<11月5日夜まで>
ヨルダンは3日、ブリンケン米国務長官とサウジアラビア、カタール、エジプトなどの閣僚との会談を4日に開催すると発表した。パレスチナ側も参加するという。
外務省の声明によると、閣僚は会談で「即時停戦を求めるアラブ諸国の姿勢や人道支援、地域の安全保障を脅かす危険な状況悪化を終わらせる方法」を強調するという。
また、アラブ諸国の閣僚はブリンケン氏との会談の前に会合を開くという。
ヨルダンのアブドラ国王は3日、ドイツのショルツ首相と電話会談し、民間人を保護するために国際社会はパレスチナ自治区ガザでの即時停戦を早急に推進する必要があると指摘。イスラエルの軍事作戦は成功せず、恒久的な和平への唯一の道はイスラエルと並んでパレスチナ独立国家樹立に向けた交渉を再開することだとした。
フランス外務省は3日、パレスチナ自治区ガザにある同国の研究所がイスラエル軍の空爆を受けたと発表した。職員に負傷者は出ていないというが、攻撃の理由についてイスラエルに説明を求めた。また、改めてガザでの民間人の死者数について「非常に強い懸念」を表明した。
さらに仏AFP通信によると、ガザの事業所が2日にイスラエル軍の砲撃を受け、甚大な被害が出た。ただスタッフ8人は全員が10月13日にガザ南部に避難しており、攻撃時には誰もいなかったという。
ブリンケン米国務長官は3日、イスラエル首脳らに対し、パレスチナ自治区ガザにおけるイスラム組織ハマスとの紛争に人道的な一時停止を認め、ガザへの支援を可能にし人質解放に向けた取り組みに協力するよう求めた。
ブリンケン氏の中東歴訪はここ1カ月弱で2回目。ブリンケン氏はイスラエルのネタニヤフ首相や閣僚らとハマスとの紛争の一時停止をいつ、どこで、どのように実施するのか、どのような和解に達するべきなのかについて協議したと指摘。これには時間が必要で、国際的なパートナー国との調整が必要なことを米国は認識していると述べた。
記者会見で「きょうの協議では、人道支援を最大化するために一時停止期間をどう使うか、一時停止と人質解放をどう結びつけるか、ハマスが一時停止や取り決めを自分たちに有利になるように利用しないようにするにはどうするかなど多くの正当な疑問が提起された」とし、「これらは緊急に取り組むべき問題であり、解決できると確信している」と述べた。
また毎日100台の人道支援物資を載せたトラックがエジプトからラファ検問所を通ってガザに入っているが、これだけでは十分ではないとしたほか、紛争に第2、第3の戦線があってはならず、米国はいかなる国からの侵略も抑止することにコミットしているとした。
これに対し、ネタニヤフ首相は3日、ハマスが10月7日の攻撃で拘束した240人以上の人質を解放するまでハマスとの一時停戦には応じないと言明。テレビ演説で「イスラエルはわれわれの人質の返還を含まない一時停戦を拒否する」とした
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ指導者ナスララ師は3日、米国に対し、この地域での戦争を防ぐためにはイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を止めることが重要だとし、イスラエルの北隣のレバノンとの国境地帯での戦闘が「広域戦争」に発展する現実的な可能性があると警告した。
ナスララ師が演説を行うのは10月7日のハマスによるイスラエル対する奇襲攻撃以来初めて。イスラエルの主要な同盟国である米国が地中海に派遣した軍艦とイランが支援するグルーブが対峙(たいじ)する可能性があるとも示唆した。
ナスララ師は「ガザ侵攻は米国による侵攻であるため、米国はガザ侵攻を止めることができる。米国に対して言う。地域的な戦争を防ぐにはガザ侵攻を直ちに止めなければならない」とし、「この地域で戦争が起これば、米国の艦隊は何の役にも立たず、空からの攻撃も何の利益にもならないことを、米国はよく知っているはずだ。米国は代償を払うことになる」と述べた。
その上で、米国が地中海に派遣している空母打撃群に対しヒズボラは「十分な備えをしている」ため、恐れていないと表明。ヒズボラがイスラエルとレバノンの国境地帯での戦線で戦闘をエスカレートさせているため、イスラエルはガザ地区やヨルダン川西岸ではなく、北のレバノンとの国境付近に軍を投入せざるを得なくなっているとし、レバノン国境地帯での戦線がどのように展開するかは、ガザ情勢次第になるとの考えを示した。
さらにイスラエルとレバノンの国境地帯での戦線が「本格的な戦争」に突入する可能性は現実的と言及、「それは起こり得ることであり、敵はその可能性をあらゆる考慮に入れなければならない」とした。
イスラエル側はレバノンとの国境地帯での紛争には関心がないと主張しているが、ナスララ師はヒズボラによる攻撃は日に日に強まっており、イスラエルはガザ地区やヨルダン川西岸ではなく、イスラエル北部の国境近くへの軍隊駐留を余儀なくされているとした。
イスラエル政府は3日、国民に対し海外渡航を再考するよう呼びかけた。すでに国外に出ている場合は特に注意するよう求めた。
首相官邸と外務省は共同声明を発表し、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの武力衝突を巡りユダヤ人やイスラエルに対する反感が高まっており、多くの国で生命を脅かすような暴力行為などが大幅に増加しているとした。
イスラエルのネタニヤフ首相は3日、イスラム組織ハマスが10月7日の攻撃で拘束した240人以上の人質を解放するまでハマスとの一時停戦には応じないと述べた。
テレビ演説で「イスラエルはわれわれの人質の返還を含まない一時停戦を拒否する」とした。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘を巡り、イスラエルの極右閣僚アミハイ・エリヤフ氏(エルサレム問題・遺産相)が5日、地元ラジオでガザへ核爆弾を落とすのも選択肢だと発言し非難が高まっている。ネタニヤフ首相は同氏の職務を一時停止するなど火消しに追われた。地元メディアが伝えた。
エリヤフ氏は対パレスチナ強硬派の極右政党「ユダヤの力」党員。極右系ラジオのインタビューで「ガザに戦闘員ではない人間はいない」と主張。「ガザに核爆弾を落とすべきか」と尋ねられ「それも選択肢の一つだ」と答えた。
ネタニヤフ氏は「エリヤフ氏の発言は現実とかけ離れている」との声明を発表。ガラント国防相も「無責任な発言を非難する」とX(旧ツイッター)に投稿した。
ハマスのカセム報道官は「占領政府(イスラエル)が犯してきた前例のない犯罪の象徴的な言葉で、世界にとって危険だ」と強調した。
イスラエルは核拡散防止条約(NPT)に非加盟だが、事実上の核保有国。
アンマン:ヨルダンとエジプトによるガザでの即時停戦要求は、4日にアンマンで開催されたアラブ諸国の外相会議において、アントニー・ブリンケン米国務長官によって拒否された。
ブリンケン国務長官は、停戦は逆効果であると述べ、彼が同意できる最大限の措置として、包囲されたガザへの援助物資の輸送および市民の避難を可能にするための「人道的一時休戦」の支持を挙げた。
ブリンケン氏は会談後の記者会見で、現在のガザ紛争を引き起こした過激派グループによるイスラエル南部の攻撃を指しながら、「停戦すれば、ハマスが再編成し、10月7日に起きたことが繰り返されるだけ、というのが今の我々の見解だ」と語った。
ヨルダン、サウジアラビア、エジプト、UAE、カタールの外相およびパレスチナの高官の先に別の協議会議を開き、さらにヨルダンのアブドッラー国王とも協議した後、ブリンケン氏と会談した。
同会談には、ヨルダンのアイマン・サファディ氏、サウジアラビア外相ファイサル・ビン・ファルハーン王子、UEEのアブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏、カタールのムハンマド・ビン・アブドルラフマン・ビン・ジャシム・アール・サーニー氏、エジプトのサメ・シュクリ氏の各外相、パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のフセイン・アルシェイク事務局長が出席した。
ヨルダン外務省の声明によると、会談では戦争を止めるための努力の一環として、「即時」停戦と「妨害のない」救援物資の輸送を求めるアラブの声が再確認されたという。
サファディ氏は、シュクリ、ブリンケン両氏との共同記者会見で、「虐殺と戦争犯罪を止める必要がある。同様、国際法の存在にもかかわらず、イスラエルが享受している免責も止めなければならない」
彼は、ガザへの援助物資の「即時」輸送と、イスラエルによるパレスチナ人の強制移住の停止を求め、「入植者が罪のないパレスチナ人を殺すことを許されている」ヨルダン川西岸地区の状況にも警告を発した。
シュクリ氏はまた、ガザで民間人の犠牲者が増えていることに懸念を示し、これを「集団的懲罰」と表現、「民間人の虐殺は、いかなる場合においても正当防衛として正当化できない」と述べた。
同エジプト外相は「条件なしの即時停戦」を求め、イスラエルは国際人道法違反を終わらせる必要があると述べた。
彼はまた、増え続ける民間人の犠牲者への対応における「二重基準(ダブルスタンダード)」を強調し、次のように述べた。「アラブの血もまた、それに劣らず価値がある」
ブリンケン氏は、民間人が援助を受けられるようにするための「人道的一時休戦」に対する米国の支持を再確認した。
彼は、「人道回廊」の必要性についてはアラブ側と同意見だと述べ、これまでガザに入ってきたものだけでは「不十分」だと認めた。
なぜ米国は民間人の殺害を止めるよう圧力をかけられないのか、と問われたブリンケン氏は、「イスラエルには自衛権があるが、同時に自国民の安全を確保し、被害を最小限に抑える手段をとる権利もある」と述べた。
彼は、ハマスが民間人の中に「自らを紛れ込ませて」おり、民間インフラに司令部を設置、また弾薬庫として利用していると主張した。
「しかし、イスラエルには民間人を守る義務がある。これは私がイスラエルに語ったことだ」
米国のトップ外交官として彼は、ガザでがれきの中から引き揚げられた子どもたちの遺体を見て悲しんでいると述べた。「私は父親であり、子供がいる。どのような思いを持つか、知っている」
記者会見の最後に、サファディ氏はこう語った。「正当防衛? 難民キャンプでも病院でも国連機関でも自分の子どもたちを守ることもできない。子どもたちのためのシェルターを見つけることもできない父親に、この言葉をどのように納得させるのか」
アブドッラー国王はブリンケン氏との会談に先立ち、外相たちに「アラブの協調を維持し、ガザでの危険なエスカレーションについて、国際社会に対して声をひとつにして発言するように」と述べた。
「アラブ諸国は、国際社会と世界の列強に対して、ガザに対する戦争を止めさせ、途絶えることのない援助提供を許可し、市民を保護するよう働きかける責任がある」と、彼は付け加えた。
国王は、戦闘が続けば「地域の爆発」につながると警告を発した。
ヨルダン国王はまた、ガザで活動する国際救援団体、特に国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への継続的な支援を求めた。
彼は、二国家解決に基づく公正で包括的な和平を達成するためには、政治的解決が必要であると繰り返した。
リヤド: サウジアラビア外務省の発表によると、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外務大臣は4日、アンマンで開催されたガザ危機に関するアラブ諸国と米国との会談に合わせ、アントニー・ブリンケン米国務長官と会談した。
会談の中で両者は、ガザ地区とその周辺で軍事作戦がエスカレートするのを阻止するための取り組みと、人道的危機のさらなる悪化を防ぐための人道的支援と医療的援助の導入に向けた取り組みをそれぞれ支援する方法について話し合った。
同省は声明の中で、ファイサル外相は、サウジアラビアはガザ地区住民の強制退去を断固として拒否し、いかなる形であれ民間人を標的にすること、あるいは彼らの日常生活に影響を及ぼすインフラや死活的な利益を破壊することを非難することを強調したと述べた。
一方、ヨルダンのアブドッラー2世国王は、アンマンでの会談に参加するアラブ諸国の代表らと共にファイサル外相をアル・フセイニヤ宮殿で出迎え、歓迎会には、ヨルダンのフセイン・ビン・アブドラ2世皇太子とアイマン・サファディ外相が出席した。
会談では、ガザで現在進行中の情勢の展開、緊張緩和のための国際的な取り組み、エスカレートする軍事作戦から非武装の民間人を保護する方法について話し合われた。
また、アラブ共同行動のプロセス、協力、アラブ諸国間の有意義な協調についてと、それをアラブ諸国に利益をもたらす形で進める方法についても話し合われた。
リヤド:サウジアラビアの外相であるファイサル・ビン・ファルハーン王子は4日、ヨルダンの首都アンマンで開かれたガザ情勢に関するアラブ・米会合に出席した。サウジ外務省が発表した。
同省の声明によると、この会合では、「罪のない人命の損失をもたらしている軍事作戦を即時停止すること、およびガザ地区に人道援助を緊急に提供すること」を求めるアラブの立場が議論された。
また、「安定した環境を作り出し、和平への道筋を復活させることで、パレスチナ人が正当な権利を獲得できるようにするとともに、公正かつ永続的な平和を実現する」ための取り組みについても話し合われた。
10月7日のハマスによる奇襲攻撃を受け、イスラエルはガザ地区に対する容赦のない空爆を開始した。同地区の保健省は4日、イスラエルの攻撃によるパレスチナ人の死者はこれまでに9488人以上に上り、そのうち3900人以上が子供だと発表した。
建物が密に並ぶガザ市における攻撃が続き、数百万人が生活を破壊され約25万人が避難を余儀なくされる中、合計死者数は劇的に増加する可能性が高い。
一方、ファイサル王子は、ガザ地区におけるイスラエルの戦争とそれに続く地域の人道危機を止めるための努力を結集することを目的にアンマンで開かれたアラブ諸国の調整会合にも出席した。
サウジ外務省は次のように述べた。「この会合では、ガザ地区とその周辺地域における憂慮すべき状況、および、罪のない民間人の殺害を防ぎ、パレスチナの人々の願いに応える公平かつ包括的な解決への道を開くために、この地域における軍事作戦に終止符を打つうえでの国際社会の緊急の役割に重点が置かれた」
アブダビ:UAEの大統領外交顧問は4日、米国はイスラエル・ハマス戦争の早期終結を推進する必要があるとしたうえで、数十年にわたるイスラエル・パレスチナ問題に対する新たなプロセスを見出さなければならず、さもなくば米国は無力と見なされるだろうと述べた。
アンワル・ガルガシュ顧問はまた、過去20年間パレスチナ問題の「特質」であり続けてきたイスラエルの封じ込め政策は失敗したとしたうえで、難民、国境、東エルサレムといった問題に対処するための新たなアプローチを求めた。
同顧問はアブダビで開かれた政策会議で、「米国の関与は、この戦争をいつ終わらせられるか(早ければ早いほど良い)、そして異なる種類の問題解決プロセスを持つことができるかという観点から見られるだろう」と述べた。
「もしこの危機が特に人道面において続けば、そしてこの危機を経ても10月7日以前の古い封じ込め政策が再び取られるのであれば、この地域における米国の役割は、正しいか間違っているかはともかく、無力と見なされると思う」
同じ頃、あるホワイトハウス高官はワシントンで、ハマスに拉致された多数の人質の解放を勝ち取るために、この紛争の「非常に大規模な」一時停止に関する交渉が行われているところだと述べた。
この高官は次のように話した。「この件については非常に真剣かつ活発な話し合いが行われている。しかし、その実現のための合意にはまだ至っていない」
また、人質の正確な人数は「誰も知らない」としたうえで、「100人は優に超えており、おそらくは200人以上だ」と述べた。
さらに、それだけの人数の解放を実現するには「かなり大規模な戦闘一時停止が必要になるだろう」とした。
しかし、この高官は次のように釘を刺した。「実現するかどうか、あるいはいつ実現するかについての保証はない」
エルサレム:イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の官邸前で、警察がデモ隊を制止した。同国では今、先月のハマス戦闘員らによるガザ地区周辺のコミュニティーに対する残忍な攻撃につながった失敗に対する怒りが広がっている。
エレサレムのネタニヤフ首相の官邸周辺では、数百人の群衆が青と白のイスラエル国旗を振って「今すぐ収監しろ!」と唱えながら、警察による障壁を突破した。
イスラエル国民の4分の3以上がネタニヤフ首相は辞任すべきだと考えているという世論調査結果の公開と時を同じくして行われたこのデモは、同国の政治・安全保障の指導者らに対する国民の怒りの高まりを浮き彫りにした。
ネタニヤフ首相はこれまでのところ、10月7日のハマスによる奇襲攻撃を許した失敗についての個人的責任を認めていない。この攻撃では数百人のハマス戦闘員がイスラエル南部を襲撃して、1400人以上を殺害し、少なくとも240人を人質に取った。
最初の衝撃が薄れるにつれ、国民の怒りは高まっている。ガザ地区で拘束されている人質の家族の多くは政府の対応を厳しく批判しており、自分たちの親族の帰還を実現するよう求めている。
テルアビブでは数千人がデモを行った。群衆は旗を振り、ガザ地区に人質に取られれている人々の写真や、「何としても今すぐ人質を解放せよ」などのスローガンが書かれたポスターを掲げながら、「彼らを今すぐ家に帰せ」と唱えた。
オフリ・ビバス・レヴィさんの弟は、彼の4歳の息子アリエルちゃんと10ヶ月の息子クフィルちゃんと共に、ハマスによって人質として拉致された。彼女はロイターに対し、家族への支援を示すために来たと話した。
彼女は次のように語った。「彼らがどこにいるのか、どんな状態に置かれているのか分かりません。クフィルが食べ物を貰えているのかも、アリエルが十分に食べられているのかも分かりません。とても小さな子供なんです」
ハマスによる攻撃以降、イスラエルはガザ地区に対し激しい空爆と地上攻撃を開始し、同地区の大部分が瓦礫と化した。ハマス支配下の同地区の保健省によると、死者は9000人以上に上る。
この戦争が始まる前から、ネタニヤフ首相は汚職容疑(自身は否定)と闘い、司法の権限を制限する計画を押し通す(これに対しては数十万人が街頭に出て抗議した)など、分断を作り出す人物だった。
4日に公開された、イスラエルのテレビ局「チャンネル13」が実施した世論調査によると、イスラエル国民の76%がネタニヤフ首相(史上最多の6期目を務めている)は辞任すべきだと考えている。64%は、戦争終結後にイスラエルは直ちに選挙を実施すべきだと回答している。
ハマスの攻撃に関して最も落ち度があるのは誰かという質問には、44%がネタニヤフ首相、33%がイスラエル軍参謀総長および国防軍(IDF)高官ら、5%が国防相だと回答している。(取材報告:エミリー・ローズ;編集:ロス・ラッセル、エメリア・シトール・マタリーズ)
イスタンブール:トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は11月4日、イスラエルのガザでの行動を理由に、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との接触を断つと述べた。
「ネタニヤフ首相はもはや対話できる相手ではない。我々は同大統領を見限った」とトルコのメディアはエルドアン大統領の発言を引用した。
エルドアン大統領の発言は、イスラエルとハマスの戦争についてトルコの言辞が激しさを増しているため、イスラエルがトルコ政府との関係を「再評価」していると述べた1週間後のことだった。
イスラエルは先に、安全保障上の予防措置として、トルコやその他の地域諸国からすべての外交官を引き揚げていた。
イスラエル軍はガザ最大の都市を包囲し、10月7日のイスラエル襲撃に対する報復としてハマスを殲滅しようとしている。当局によれば、約1400人(ほとんどが民間人)が死亡し、約240人が人質となった。
ハマスが運営するガザの保健省によれば、イスラエル軍の攻撃と地上作戦の激化により、9,400人以上のガザ市民が死亡し、そのほとんどが女性と子どもだという。
エルドアン大統領は4日、トルコはイスラエルとの国交を断絶するつもりはないと述べた。
「国交を完全に断ち切ることは、特に国際外交においては不可能だ」とエルドアン大統領は語った。
エルドアン大統領は、トルコ国家情報機構(MIT)のイブラヒム・カリン長官が、戦争終結を仲介しようとするトルコの努力の先頭に立っていると述べた。
「長官はイスラエル側と対話している。もちろん、同長官はパレスチナとハマスとも交渉している」
しかし同大統領は、ネタニヤフ首相は暴力行為の第一の責任を負っており、「自国民の支持を失っている」と述べた。
「ネタニヤフ首相がすべきことは、一歩下がって戦争を止めることだ」とエルドアン大統領は語った。
テヘラン:イラン各地で4日、1979年の米大使館占拠事件を記念する国主催の集会が開かれ、ガザ地区でイスラエルによる爆撃に晒されているパレスチナ人を支持する声が上がった。
44年前、米国の支援を受けるシャーが打倒された直後にイランの革命派の学生らが米大使館に突入し、米国人52人を444日間にわたって人質に取った。
首都テヘランでは4日、デモ隊が市中心部のパレスチナ広場から、数km離れた旧米大使館まで行進した。
国営テレビは、デモ隊がイスラエル国旗を燃やし、ガザ地区で同国の空爆により死亡したパレスチナ人の子供たちの写真を掲げる様子を放映した。
10月7日、ガザ地区を支配するパレスチナのイスラム過激派組織ハマスがイスラエル南部を攻撃し、1400人を殺害するとともに240人以上を人質に取った。それ以降、イスラエル軍は同地区を空爆し、包囲し、地上攻撃を行っている。
ザ保健省は、9250人以上のパレスチナ人が死亡し、医療サービスも崩壊しつつあるとしている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、戦闘停止を求める声に対し、ハマスに拘束されている人質が解放されるまでは応じられないと言っている。
ワシントン:イスラエルの対ハマス作戦が激化する中、米国はパレスチナ国家樹立に向けた取り組みを改めて呼びかけているが、数十年の失敗を経た今、成功を期待する者はほとんどいない。
主に民間人を標的とした10月7日のハマスによる攻撃に対するイスラエルの報復を支持したことでアラブ世界からの激しい批判に直面しているジョー・バイデン大統領の政権は、ここ最近になって微妙にトーンを変え、パレスチナ民間人の被害を最小限に抑える必要性を強調している。
アントニー・ブリンケン国務長官は3日、再度訪問したイスラエルで、支援物資の搬入を可能にするための「人道的な戦闘一時停止」を呼びかけるとともに、より長期的には二国家解決が「現実的な最善の道、いや唯一の道だ」と述べた。
ブリンケン国務長官はテルアビブで次のように語った。「それこそが、安全で、ユダヤ的で、民主的なイスラエルを保証する唯一のものだ。また、パレスチナ人が安全、自由、機会、尊厳を平等に享受しながら自分たちの国家で暮らすという正当な権利を実現することを保証する唯一のものであり、暴力の連鎖を最終的に終わらせるための唯一の方法である」
しかし、ほぼちょうど30年前のオスロ合意で提案された二国家解決は、未だに実を結んでいない。パレスチナ自治政府はヨルダン川西岸地区の一部において限定的な自治権を持つのみである。10年前のジョン・ケリー国務長官(当時)による取り組み以降、米国はこの目標に向けた協調的な外交努力を主導していない。
パレスチナ国家に長年反対しているベンヤミン・ネタニヤフ首相が率いるイスラエル史上最も右寄りの政府は、ヨルダン川西岸地区における入植地の強硬な支持者を多数抱えている。
一方のパレスチナ自治政府はますます弱体化しており、2007年にイスラム過激派組織ハマスがガザ地区を掌握して以降は同地区を支配していない。
しかし、中東研究所の政策担当副所長であるブライアン・カトゥリス氏は、バイデン政権による二国家解決への呼びかけは、「我々は出口の見えない暗いトンネルを進んでいるわけではない」というシグナルを送っていると指摘する。
同氏は、「短期的に見れば非現実的に思われるが、地域のアクター、すなわちイスラエル、パレスチナ、そして特に一部のアラブ諸国に対し、我々がある種の地平に向けて再びコミットしているというメッセージを送るためにも、この種のことを言い続けることが重要だ」と語る。「せめて絵空事でも、異なる類の未来を示す必要がある」
10月7日、ハマス戦闘員らがイスラエルを越境攻撃し、自宅や音楽フェスティバルにいた人々を殺害した。イスラエル当局によると死者は1400人以上に上り、その大半が民間人だった。
一方、ハマスが運営するガザ政府の保健省は、イスラエルによる容赦のない爆撃で9200人以上が死亡し、その大半が女性や子供だとしている。
バイデン大統領とブリンケン国務長官は、ハマスに対応するイスラエルの権利を公に支持する一方で、同国に対し、同国がパレスチナ自治政府に代わって徴収している税収を引き渡すよう、またヨルダン川西岸地区における入植者によるパレスチナ人襲撃を取り締まるよう迫っている。
ある米国の同盟国から派遣されワシントンに駐在している、ある外交官は、「二国家解決を呼びかけていることは、それが設定された目標であることや、今後パレスチナ国家が実現することを意味しない」と語る。
「米国はむしろ、今後に関する対話を強制的に始めようとしているのだ」
イスラエル史上最悪の犠牲を出した10月7日の攻撃以前でさえも、パレスチナ国家に対する支持は双方において低下していた。
ピュー研究所が今年実施した世論調査では、イスラエルがパレスチナ独立国家と平和的に共存できると考えるイスラエル国民は、10年前の50%から減少し僅か35%だった。パレスチナ側も同様の低下を示している。
ネタニヤフ首相は、ハマスによる攻撃の数週間前に国連で行った演説において、二国家解決に向けた外交は過去のものであるとしたうえで、イスラエルとアラブ諸国の国交正常化こそが未来だと述べた。ただ、今や後者の見通しも暗くなっている。
戦略国際問題研究所のベテランアナリストであるアンソニー・コーデスマン氏は、10月7日の攻撃を受けての評論の中で、二国家解決に向けた真剣な調停努力がなされるたびに新たな暴力や緊張が引き起こされてきたと指摘した。
今回の戦闘勃発が示しているのは、「二国家解決は完全には死んでいないかもしれないが死の間際にあるため、その復活に向けた努力はゾンビ外交的な行為にすぎない可能性が高い」ことだと、同氏は書いている。
しかし、オスロ合意後にパレスチナ自治区で勤務した経験を持つカトゥリス氏は、何か代替案はあるのかと問い、イスラエル人とパレスチナ人が同じ国で暮らす未来に疑義を呈する。
同氏は次のように言う。「一部の人々には二国家解決が非現実的に思われるのかもしれないが、存在する様々な選択肢の中でおそらく最も現実的なものだ」
ベイルート: ヒズボラ指導者のハッサン・ナスラッラー師は3日に、自身の強力な武装組織は既にレバノン・イスラエル国境沿いで、国境をまたいだ前例のないイスラエルとの戦闘に従事していると述べ、4週にわたるイスラエル・ハマス戦争が激しさを増す中、さらなる激化を警告した。
10月7日のパレスチナ武装組織ハマスによるイスラエル南部への苛烈な襲撃をきっかけとする戦争の開始以来初となった、テレビ放送された発言の中で同氏は、自身が率いるレバノンの武装組織ヒズボラが全面的に紛争に参加すると発表することまではしなかった。
ナラッラー師はまた、ガザの武装組織ハマスの支配者らと同盟を結ぶヒズボラは、現在の戦争に関わるなという米国の警告にひるみはしないとも述べた。また、地域への米軍の展開に言及し、地中海にいる米国の戦艦は「我々を恐れさせない」と述べた。
ヒズボラはあらゆる選択肢をとる準備ができており、「我々はいつでもそれらを用いることができる」と、ナスラッラー師は警告した。レバノン・イスラエル国境における戦闘はこれまでに見られた規模に「限定されない」と、同氏は加えて述べた。
レバノンの武装組織ヒズボラとイスラエル軍の間でのレバノン・イスラエル国境における数週にわたる限られた交戦を経て、同氏のスピーチは、イスラエル・ハマス紛争が地域戦争に発展するかを占うものとして地域全体で広く期待されていた。
「私が戦闘に参入したと発表しようとしていると言う人々もいる」と、ナスラッラー師は3日に述べた。「我々は10月8日に既に戦闘に参入した」。同氏は、ヒズボラの国境をまたいだ攻撃が、それがなければガザのハマスに集中するはずのイスラエル軍を引き離してきたと主張した。
レバノンの首都ベイルートの南郊で、数千人がビデオリンクを通じて巨大スクリーンで放映されるスピーチを観ようと広場に詰めかける中、祝いの発砲音がベイルートに鳴り響いた。
ナスラッラー師による支持者への演説の前日には、戦争開始以来のヒズボラとイスラエル軍によるイスラエル・レバノン国境における衝突が、最も著しい激化をみせており、演説当日には米国の外交トップによるイスラエル訪問が行われた。
イスラエル軍がガザ市の包囲網を狭める中、米国のアントニ-・ブリンケン国務長官は、ハマスとの戦闘における民間人の保護を求めるためにイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した。
ナスラッラー師は、農村、町、軍事拠点を攻撃し、イスラエルで1,400人以上を殺害した、ハマスによる前例をみないイスラエルへの襲撃を称賛した。
「この素晴らしい大規模作戦は完全にパレスチナ人の計画および実行の結果だ」と、ナスラッラー師は述べ、ヒズボラがこの攻撃に関与していないことを示唆した。「高度な秘密厳守がこの作戦を素晴らしい成功に導いた」
同氏はまた、10月7日が「イスラエルが蜘蛛の巣より弱いことの証明」となっているとして、戦争開始から1か月を経て、同国は「いかなる成果も得られていない」と言われていると述べた。
ナスラッラー師はまた、民間人を主とする9,000人以上の死者を出しているイスラエルのガザへの爆撃に対する米国の強固な支援を非難した。米国政府高官らはここ数日、より公然とガザの民間人保護を促しているが、まだ停戦を呼びかけてはいない。
ヒズボラの指導者である同氏は、ジョー・バイデン大統領は「ハマスが子どもたちの頭を切り落としたという偽りの主張を証拠なく」しているが、イスラエルの爆撃により「首を切断され、手足をもがれたガザの数千人の子どもたちに関しては沈黙を続けている」と述べた。
ハマスの指導者らは、時に公然と、ヒズボラにこの中東戦争への関わりを深めるよう求めてきている。ナスラッラー師は先週ベイルートで、ハマス幹部のサレハ・アルアロウリ氏、同盟組織イスラム聖戦のジアド・ナハラ氏と会談した。
しかし、ヒズボラ幹部は具体的なレッドライン(越えてはならない一線)を公に示すことを避けており、ハマスが敗北寸前にあるとみれば参戦すると、漠然と述べている。これまでのところヒズボラは、イスラエル軍をレバノン国境で手こずらせるが、全面戦争を誘発するまでには至らない程度の計算された措置をとっている。
イスラエル軍は、3日時点で北部国境において自軍の兵士7人と民間人1人が死亡していると発表した。国境をはさんだレバノン側では、ヒズボラ戦闘員50人以上と同盟組織の戦闘員10人のほか、ロイターのジャーナリスト1人を含む民間人10人が死亡した。
イスラエルは、イランが支援するレバノンのシーア派武装組織ヒズボラを最も深刻かつ差し迫った脅威とみなしており、ヒズボラはイスラエルを狙う約15万発のロケット弾とミサイルのほか、ドローンと地対空および地対艦ミサイルルを保有していると推定している。
しかし、ヒズボラにとって全面戦争は代償が大きいものでもある。ヒズボラは2006年に34日間のイスラエルとの戦争を経験しており、この戦争は引き分けに終わったものの、イスラエルの爆撃によりレバノン南部、東部ベッカー高原、ベイルート南郊の広範囲が瓦礫と化した。
また、新たな全面戦争は、数十万人のヒズボラ支持者に避難を強いることになり、レバノンが4年間の歴史的経済破綻の苦境にある中で広範なダメージをもたらすだろう。
<11月3日夜まで>
イスラエルのネタニヤフ首相が有権者の支持を失っている。イスラム組織ハマスの奇襲を許した責任を問う声が強い。パレスチナ自治区ガザへの攻撃で挽回を狙うが、人質解放を優先すべきだとの世論は無視できない。地上侵攻と明言せずに攻勢を強めており、その成否は進退に直結する。
イスラエルは、ガザ地区に対する無差別空爆や、同地区の病院、学校、避難所、難民キャンプ、民間車両の標的化を合法的な自衛行動だと説明してきた。国家も個人と同様に自衛の権利を有しているが、国際法は長きにわたってこの権利の行使に厳重な制限を課している。自衛は、国連憲章と国際慣習法に基づく武力行使の禁止の例外であり、例外であるが故に厳格な解釈が為されるべきだ。
イスラエルの支持者の一部は、イスラエルの過剰な攻撃には同意しないものの同国には自衛の権利があると主張している。これはガザに対する執拗な攻撃に対する暗黙の容認だと曲解されている。この点についての明確化や説明は為されているが、欧米諸国の一部が黙諾しているとの見解の払拭には至っていない。
どれほど凄惨な先制攻撃を受けたとしても、それに対する報復は本質的に正当な自衛とは法的には看做し得ない。たとえ正当な自衛と看做される場合であっても、必要性原則や均衡性原則、民間人と民間建造物の不可侵権といった戦争規則を遵守しつつ実行する必要がある。
ジュネーブ条約の赤十字国際委員会および国際司法裁判所の解釈によると、必要性原則とは、攻撃を終結させるためまたは差し迫った攻撃の回避のために武力行使が必要であり、企図されている武力行使の代替足り得る、攻撃の終結や回避に効果的で実際的な手段が存在しない場合に限って、武力の合法的行使が認められるということである。換言すれば、武力行使は最初の手立てであってはならず、全ての平和的解決手段が尽き果て、実効性のある非軍事的代替手段が存在しない場合の最後の方策でなければならないという事なのだ。武力行使は、差し迫った攻撃の回避か攻撃の終結のために必要な範囲に限定されなければならないのである。
自衛においては、均衡性原則も遵守しなければならない。ガザ地区での紛争においては、この均衡性原則が誤用されている。均衡性原則とは、攻撃を回避したり終結させる必要性に対して、行使する武力が過度であってはならないことを意味する。行使する武力によって相手側が受ける人的、物理的、経済的な被害は、回避したり終結させる相手側からの攻撃から受けると予想される被害に比べて過大であってはならないのだ。均衡性原則の基準は、武力行使の物理的、経済的影響が、敵対側の攻撃がもたらす損害の予測との比較において過剰であってはならないというルールを示している。
自衛権は、攻撃者を「罰する」ための武力行使を容認していない。それ故に、均衡原則とは、攻撃によって既に被った損害と、それへの反応との同等性を意味していると考えてはならない。そのように看做した場合、自衛の概念が報復のための武力行使の正当化に変質してしまうからである。
戦時における民間人の保護については、議論の余地などあり得ない。現代において、この神聖な原則は、 1864 年のジュネーブ条約と 1907 年のハーグ条約で成文化された。第2次世界大戦後、戦時中の民間人に対する筆舌に尽くし難い残虐行為(特にナチスドイツによって蹂躙された欧州地域におけるユダヤ人コミュニティに対する迫害)を考慮し、民間人の保護の強化のために規則の文言の書き直しが行われた。1949 年のジュネーブ 4 条約と 1977 年の追加議定書は、国連加盟193カ国のすべてに加えて国連非加盟のオブザーバー国2カ国(ローマ教皇庁とパレスチナ)とクック諸島の合計196ヶ国によって署名、批准されている。これほどまでに何の異論もなく、満場一致で受け入れられた国際文書は他にほとんど例を見ない。
ジュネーブ第4条約は民間人の保護を目的としている。イスラエルは、この条約を批准しているものの、ガザ地区を含むパレスチナ地域の占領に対しては適用されないと一方的に布告した。イスラエルは、ガザ地区とヨルダン川西岸地区のパレスチナ人の処遇はイスラエルが単独で決定すると主張している。国連は、ジュネーブ条約の占領地域への適用性を再三確認している。イスラエルに最も寄り添った立場で同国の支持を行っている米国や、この問題に取り組んでいる他のほぼ全ての政府と法的機関も同様にジュネーブ条約の占領地域のパレスチナ人への適用性を認めている。
ガザ地区に対する戦争において国際人道法が遵守されなかったことは、イスラエルと国際社会そして確実に近隣諸国との間での主要な争点となっている。
ガザ地区での国際人道法の遵守を拒否しているイスラエルが、自軍の行動の指針としてどのような法的基準を用いているのかは明らかではない。ヨアヴ・ガラント国防相が10月10日にイスラエル軍の兵士たちに「我々はあらゆる制約を解除した」と語った時、数多くの人々が警戒感を持った。
そして、10月29日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエルへの今回の攻撃を古代史におけるアマレク人の攻撃に擬えた。ネタニヤフ首相は、首相官邸の翻訳によると、「アマレクが皆さんにしたことを思い出してください。私たちは、それを忘れることなく、戦うのです」と旧約聖書に言及して述べたという。
この血生臭い出来事を持ち出したのは不吉なことだった。それは、ネタニヤフ首相が引用した旧約聖書の該当部分の残りには、「あなたたちは、アマレク人たちを滅ぼし、彼らの記憶を地上から消し去らなければなりません。このことを決して忘却してはなりません」と述べられているからである。別の章には、後の攻撃でアマレク人たちが剣によって倒された後、彼らの記憶は「消された」と書き記されている。
イスラエル国防省の語る「制約無しの攻撃方針」や同国首相の引用する大量虐殺的な報復は、ジュネーブ条約の代替として受け入れられ得るようなものでは決してない。
ガザでの戦争に関する言説は、現地の現実や苦しみに関するものであると同時に、世論を形成し、世論に影響を与え、支持を集めるためのイメージや物語に関するものでもある。プロパガンダ戦争は最高潮に達している。ガザの人々は電気も水も食料も燃料もない状態で苦しみ、またインターネットもない状態のため、悲惨な状況は目に見えず手の届かないところに押しやられ、真実は徐々に失われつつある。無実の市民への集団的懲罰は戦争犯罪に等しい。占領地に関する国連の報告者は、10月7日にハマスから受けた攻撃に対するイスラエルの不均衡な報復は、自衛の名の下に正当化される「集団的民族浄化」につながる可能性があると述べた。そして今、イスラエルは、大量虐殺につながりかねない地上侵攻を開始するため、100万人以上のガザ住民に避難を強いている。
一方、欧米の主要メディアを支配する意思決定者と資金提供者は、国民が自分たちの政策に無知で同意し続けるよう、特定の物語を強要してきた。とはいえ、スマートフォンやデジタル技術、ソーシャルメディアのおかげで、世界中の人々が交わし合う画像や映像の数は圧倒的に増え、異なる物語が公開・提供されるようになった。
その結果、世論に変化が生じてきている。欧米諸国では、イスラエルの人道法違反や国際法違反を阻止するために、パレスチナ支援の大規模なデモが行われ、イスラエルを全面的に支持している各国政府は困惑している。それに対する誤報や偽情報も横行している。特に、特定の枠組みやアジェンダを広めるために、意図的にコンテンツやメッセージを操作しようとする場合だ。最も 「プロフェッショナル 」なジャーナリストや報道機関にとって、世界の指導者が発言した未検証の主張を流すことは簡単になり、それによって敵意が高まり、さらなる暴力に火をつけ、波及する可能性がある。
ほとんどの西側諸国の政府は、意識的に見て見ぬふりをし、一面的な見方をする一方で、自分たちのやり方で物事を見るよう周囲に圧力をかけているため、ほとんどすべての信用と道徳的優位性を失い、同時に国際法と人権に関する規範も見失っている。イスラエルによる明白な国際法違反やあからさまな人権侵害は容認され、そのようなレッテルを貼られることさえないばかりか、イスラエルは政治的、軍事的にさらに支持されている。アントニオ・グテーレス国連事務総長でさえ、紛争の根源について懸念を表明し、事実を述べたことで、激しく攻撃された。
ジャーナリストを標的にして、黙らせ、ニュースネットワークを脅迫し、ソーシャルメディア・プラットフォームに嫌がらせをし、親パレスチナ的な内容の投稿を削除させ、アカウントを閉鎖させ、さらにはパレスチナ国旗を掲げることを犯罪とする。これらの行為は、独裁政権や権威主義政権の所業とされる行為であり、中東における「唯一の」民主主義国家や自由で民主的な西側諸国が行うべきものではない。
自由の防波堤が二重基準、偏見、偏った報道を示せば示すほど、表現の自由を擁護し、守ることは難しくなる。
我々はパレスチナとパレスチナ人の権利に連帯する。すべての罪のない民間人を標的にすることを非難し、すべての暴力を非難する。しかしながら、西側諸国が我々に求めているのは、パレスチナ人の抵抗の権利、尊厳と平和のうちに生きる権利を非難することだ。これはハマスの問題ではない。これはパレスチナとパレスチナ人の権利への支持についての問題だ。
イスラエルは何十年もの間、国際法を嘲笑い、入植地を拡大し、領土を併合し、パレスチナ人を家から追い出し、強制的に移住させてきた。ガザは16年間封鎖されている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、イスラエル軍がガザおよびイスラエルとレバノンの国境沿いで、禁止されている化学兵器である白リン弾を使用したと断定している。国際機関や欧米諸国はこれらにすべてに目を光らせているにもかかわらず、誰もこれらの残虐行為を止めるための効果的な行動を起こすことができない。国際社会は緊急に停戦を求めており、大惨事のさらなる拡大を防ぐために、切実に必要とされる人道支援をようやく送ることができるようになった。
ここ数十年の間に開始された和平のための多くの機会や構想は、イスラエルがパレスチナ人の独立国家の権利と占領国としての義務を断固として認めようとしないために失敗に終わっている。サウジアラビアが提案したアラブ和平案は、2002年から検討されている。サウジアラビアはパレスチナの大義を支持する姿勢を堅持している。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は、軍事作戦の停止、緊張緩和、そして公正かつ永続的な和平を達成するためのパレスチナ人の正当な権利を保障する平和的解決の重要性を強調している。
イスラエルに対する無条件かつ絶え間ない支援は、紛争を終結させることはなく、平和にもつながらない。
分極化は明らかだ。世界はますます分断されつつある。サウジアラビアの外務大臣であるファイサル・ビン・ファルハーン王子は、世界が分極化していると繰り返し述べ、その影響に対する警告を発している。もっと対話が必要だ、と同王子は強調した。
分断のせいで国連は無力である。グテーレス事務総長は、国連が効果的な行動をとることを妨げている内部分裂と分極化を嘆き、これによっていくつかの国々も平和と安全の維持における国連の役割に挑戦する勇気を持つようになった。
国際システムは崩壊しつつあるようだ。新しい世界秩序が起き上がりつつあるのだろうか。しかし、どのような種類で、どのような効果をもたらすのだろうか。
対話の場と時間は狭まりつつある。
誤った情報、偽情報、ヘイトスピーチ、偏った内容があまりにも多いため、さらなる二極化と緊張が生じている。頭と心と目を開き続けて物語全体を理解し、思いやりをもって行動する必要がある。
正義なくして平和はありえない。
リヤド:バーレーンは、駐イスラエル大使を召還し、イスラエルとの経済関係を停止したとバーレーン議会が木曜日に発表した。
バーレーン議会のウェブサイトに発表された声明で、駐バーレーンイスラエル大使がすでにバーレーンを離れたことを正式に発表した。バーレーンはイスラエルから大使を召還し、イスラエルとの全経済関係の停止を決定した。
声明は、さらに、大使召還と経済関係停止の決定は、王国の「パレスチナの大義とパレスチナ人の正当な権利を支持する堅固で歴史的な立場」に基づくと説明している。
「下院は、駐バーレーン王国イスラエル大使がバーレーンを離れ、バーレーン王国が駐イスラエルバーレーン大使の帰任を決定したことを確認する。経済関係の終了も決定された。
下院は、戦争と軍事作戦の継続および継続するイスラエルの拡大が国際人道法を尊重していないことに鑑み、ガザとすべてのパレスチナ地区にいる無実の人々の命を守るための決定と施策を要求する。」と議会声明は続けた。
バーレーン外務相は、まだ声明を発表していないが、このニュースは、イスラエルの通信社も含めた複数の通信社が広く報道している。
バーレーンは、2020年9月に当時のドナルド・トランプ大統領の主催により米国で、イスラエルとアラブ首長国連邦とともにアブラハム合意に署名した。
ワシントンD.C.:サウジアラビアのハーリド・ビン・サルマン国防大臣は水曜日、ワシントンD.C.でアントニー・ブリンケン米国務長官と会談した。
ハーリド王子とブリンケン長官は、両国の関係だけでなく、ガザでイスラエルとハマスの紛争が続く中、中東の緊張を和らげる努力についても話し合った。
サウジ国営通信が報じたところによると、水曜日、ハーリド王子はワシントンの米国防総省本部でロイド・オースティン米国防長官の出迎えを受けた。
この会談は、ハーリド王子の米国公式訪問の一環として行われた。
到着後、国防大臣は儀仗兵の儀式や両国の国歌斉唱などの公式レセプションで迎えられた。
その後、両大臣は公式会談を行い、サウジアラビアと米国の歴史的友好関係を確認した。
両大臣は、軍事・防衛分野における両国の戦略的パートナーシップを再確認し、関係を強化・強化する方法について話し合い、世界の平和と安全保障の達成における両国の地域的・国際的な主導的役割を強調した。
SPAによると、両大臣はまた、最新の地域的・国際的な進展と、両国の共通のビジョンに従って行われている努力に取り組んだ。
会談には、リーマ・ビント・バンダル駐米サウジアラビア大使、ファイヤド・ビン・ハメド・アル・ルワイリ参謀総長中将のほか、サウジと米国の高官数名が出席した。
モスクワ:米国は、ロシアの民間軍事会社ワグネルが、イランの支援を受けるレバノンの民兵組織ヒズボラに防空システムを供与することを計画しているとの情報を入手した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が複数の身元不明の米当局者の話を引用して報じた。
同紙によると、ワグネルはパンチルS-1(NATOではSA-22として知られる)の供与を計画している。対空ミサイルと対空機関砲を使い航空機を迎撃するシステムである。
ロシア政府から資金提供を受けたワグネル・グループは、6月に元指導者のエフゲニー・プリゴジン氏が反乱を起こし失敗に終わって以降、同国政府による厳しい管理下に置かれている。ロイターは同組織にコメントを要請したが回答はなかった。
WSJ紙が話を引用した身元不明の米当局者の一人によると、米政府は防空システムが既にヒズボラに送られたとの確認はしていない。しかし、米当局者らはワグネルとヒズボラが関与する協議を注視しているという。
同紙によると、パンチルS-1が供与されるのであればシリア経由で行われるとみられる。ロシアは2015年にシリア内戦に干渉して同国のバッシャール・アサド大統領を支援した。
イランの革命防衛隊はレバノン内戦(1975~90年)のさなかの1982年にヒズボラを創設した。これは、1979年のイスラム革命を地域全体に輸出するための、そして1982年にレバノンに侵攻したイスラエル軍と戦うためのイランの努力の一環だった。
レバノンのヒズボラは、同盟関係にあるガザ地区のパレスチナ組織ハマスとイスラエルが10月7日に戦争を開始して以降、国境を挟んでイスラエル軍と砲火を交わしている。
ガザ:イスラエルよる空爆が激しさを増し数千人が死亡する中、避難しているガザ地区のパレスチナ人らは清潔な水を使い果たしつつあり、公共サービスが停止し病院が閉鎖する中で高まる健康リスクに直面している。
10月7日のハマスによる越境攻撃を受けて包囲と侵攻を強めているイスラエルは、ガザ地区への電力と燃料の供給を全て遮断しており、食料や医薬品についてもほんの少しずつの搬入しか許可していない。
人口が密集する小さな飛び地である同地区の南部にあるハーン・ユーニスで、ラフィフ・アブ・ジヤダさん(9)は、汚い水を飲んで腹痛と頭痛がすると話す。
「ガスも水もないので、十分に食べられません。皆、具合が悪くなっています」と彼女は言う。
「地面にはゴミがあるし、場所全体が汚れています」
ガザ保健省は2日、イスラエルによる空爆で9060人が死亡し、そのうち3760人は子供だと発表した。強まる地上侵攻によって死傷者数が増加しているにもかかわらず、同地区ではいくつかの病院が閉鎖された。
民間人はガザ地区北部から退避するようイスラエルから指示されたが、南部でも空爆を受けている。先週、エジプトとの間のラファ国境検問所経由でいくらかの援助物資の搬入が開始されたものの、彼らの状況はかつてなく悪化している。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のジュリエット・トーマ広報官は次のように述べた。「水が戦争兵器として使用されている。多くの人々が安全でない水の供給源に頼っている(…)ガザ地区では、清潔な水は手に入らないか、手に入っても極めて少量だ」
イスラエル軍は10月7日以降の当初、ガザ地区への水供給を全て遮断していたが、南部においては供給を再開したとしている。水道管を再び開放して1日2850万リットルの水を供給しているという。
イスラエル軍当局は、水などの物資は全てのガザ住民にとって十分な量が供給されていると主張している。また、あらゆる国連機関と連絡を取って人道状況の監視を行っているとしている。
しかし、地下水を汲み上げるためのポンプや海水淡水化プラントは電力不足のため機能していない。燃料がないため、タンク車で水を運ぶこともできない。
イブラヒム・アル・ジャバラウィさん(60)は次のように語る。「水はしょっぱいです。平時ならロバにも飲ませないような代物ですが、今は飲むしかありませんし、子供たちにも飲ませなければなりません」
「汚れた水を飲んだ子供たちが病気になっても、治すための薬はありません」
ガザ保健省によると、特に空爆と戦闘が最も激しい北部では、停電のため主要な病院が閉鎖されている。
イスラエル軍トップは2日、ハマスによって奪われる可能性への懸念から課していた、ガザ地区への燃料の搬入に対する戦時禁止措置を緩和する意向を明らかにした。燃料を使い果たした病院には監視のもとで燃料が補給されるとしている。
まだ閉鎖されていない病院は患者で一杯になっているため、負傷者や病人の一部を拒否したり、治る前に病院を出るよう頼んだりしている。薬局では医薬品が底を突きつつある。
基本的な衛生状況も悪化している。爆撃された場所が増える中で路上は瓦礫の山となっており、その合間にゴミ袋が積み上がっている。
ガザ地区北部では、イスラエルによる攻撃により数十万人が自宅から避難した。それ以来、75年の歴史を持つ難民キャンプがあり人口が密集するハーン・ユーニスの人口は大きく膨れ上がっている。
国連が運営する学校は数百人の避難民でぎゅうぎゅう詰めになっている。病院の中庭は仮設避難所として使用されており、人々はそこで空爆が弱まることを願っている。
ゴミ回収業者は路上に出るのを怖がり、イスラエルとの境界近くにある主要な廃棄場に行くことができない。ゴミの山の近くには、底を突きつつある米や野菜を料理するための薪をあさっている人々がいる。
洗濯場には水がほとんどない。トイレは日に日に汚くなっていく。ハーン・ユーニスのナセル病院では、施設から数百メートル以内で使えるトイレを見つけるのに苦労すると人々は話す。見つかったとしても汚いトイレばかりだという。
2人の医師がロイターに対し、疥癬などの皮膚病のリスクが高まっていると警告した。
パリ:フランスはヒズボラとイスラエルに対し、国連レバノン平和維持軍であるUNIFILを不安定化させないようメッセージを伝え、ハマスとイスラエルの戦争をレバノンに拡大すれば、レバノンは 「奈落の底 」に突き落とされるだろうと述べた。
フランスはレバノンとの歴史的な関係から、イスラエルとイランに支援されたヒズボラとの間の緊張を緩和しようとしているが、暴力は急増している。イスラエルとレバノンの国境で起きた暴力事件を受けて1978年に設立された国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)には、約700名のフランス兵が所属している。
「国連から与えられた任務を遂行できないような、どうしようもない状況にUNIFILを追い込んではならないことは明白である」と、セバスティアン・ルコルニュ軍事大臣はフランス・アンフォ・ラジオに語った。
「これは、レバノン側とイスラエル側の様々な関係者に送っているメッセージだ」
レバノンのフランス代表団との会談の後、ヒズボラの指導者であるサイード・ハッサン・ナスラッラー師が金曜日に行う待望の演説を前に、ルコルニュ大臣は、レバノンのすべての指導者は、戦争に突入するリスクを理解するべきだと述べた。
「ここレバノンで戦争が起これば、中東の一部は奈落の底に突き落とされ、そこから立ち上がることは集団として困難なものとなるだろう」とルコルニュ大臣は語った。
エマニュエル・マクロン大統領は6月、元外相のジャン=イヴ・ル・ドリアン氏を起用し、レバノンの政治エリートたちが対立を脇に置き、新しい国家元首を任命するよう説得する方法を考え出そうとしている。レバノンでは、1年以上にわたって経済改革を実行し、重要な対外援助を解除することが出来ないでいる。
「我々が経験している困難において、1年以上も連絡担当者がいないのは明らかに無意味だ。これはレバノンをさらに弱体化させる」とルコルニュ大臣は述べた。
10月7日にパレスチナの武装組織ハマスとイスラエルが戦争を開始して以来、ヒズボラはイスラエルとレバノンの国境を挟んでイスラエル軍と銃撃戦を続けており、暴力による国境地帯での死者数は2006年の戦争以来最悪となっている。
ベイルート:ヒズボラの指導者サイード・ハッサン・ナスナッラー師は金曜日、パレスチナのグループであるハマスとイスラエルが戦争に突入して以来初めて公の場でコメントを発表する。
イランの支援を受けた強大な軍事力を持つヒズボラは、国境沿いでイスラエル軍と交戦を続けており、2006年にイスラエルと戦争して以来、最もエスカレートした状態で55人の戦闘員が死亡している。
演説の前夜、ヒズボラは3週間以上にわたる戦闘の中で、これまでで最大の攻撃を行った。イスラエル軍の陣地に19の同時攻撃を仕掛け、初めて爆発性の無人機を使用したという。
イスラエルは、国境での戦闘がエスカレートするなか、戦車や大砲の砲撃とともに空爆で応戦した。
しかし、これまでのところ衝突はほとんど国境付近で収まっており、ヒズボラはまだ、ナスナッラー師が長年イスラエルを脅してきた戦力のほんの一部しか見せていない。
レバノンの多くの人々は、午後3時(1300GMT)の演説を心待ちにしている。演説が緊張がすすむ可能性を示すと考え、金曜日以降の予定を立てていないという人もいる。
また、演説はより広く待たれている。ナスナッラー師は、米国とイスラエルに対抗するためにイランが設立した地域軍事同盟の中心的発言者である。
「抵抗の枢軸」として知られるこの同盟には、シリアとイラクで米軍に発砲しているイスラム教シーア派のイラクの民兵勢力や、イスラエルに無人機を発射して紛争に介入しているイエメンのフーシ派が含まれている。
預言者ムハンマドの子孫であるサヤイドの黒いターバンとシーア派の聖衣を身にまとったナスナッラー師は、アラブ世界で最も著名な人物の一人である。
批評家からも演説の巧みな人物として認められ、彼の演説は敵味方関係なく長い間注視されてきた。
米国を含む敵対国からはテロリストとみなされている。
ヒズボラが対艦ミサイルでイスラエル艦艇を攻撃したと発表し、視聴者に “海を見ろ “と呼びかけた演説もある。
戦闘の指揮
ナスナッラー師は10月7日以来、表舞台には姿を現していないが、他のヒズボラ幹部はヒズボラの戦闘態勢を示唆している。しかし、イスラエルとの紛争におけるレッドラインは設定していない。
10月22日、ヒズボラの政治家サイード・ハッサン・ナスナッラー師は、なぜまだ発言しないのかと問われ、彼はガザの状況を「刻一刻、刻一刻と」追いながら、レバノンでの戦闘を監督していると答えた。公の場で発言しないことは、「彼の戦闘管理の一部」だと彼は語った。
演説は、ヒズボラが招集した、戦死した戦闘員を追悼する集会に合わせて放送される予定だ。
2006年以来、イスラエルとヒズボラがレバノン・イスラエル国境を越えて戦争をするのを阻止してきたのは、相互破壊の脅威があったからだ。一方、シリアは両者の紛争の舞台となっている。
ヒズボラの内情をよく知る情報筋によれば、ヒズボラのこれまでの攻撃は、イスラエル軍を国境に引き付けながら、大きなエスカレートを避けるための慎重なものだったという。
レバノンはイスラエルと再び戦争する余裕はない。多くのレバノン人は、4年前の壊滅的な財政破綻の影響をいまだに引きずっている。
イスラエルは、レバノンとの北部国境での紛争には関心がないと述べている。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ヒズボラに対し、イスラエルとの第二戦線を開くことは、レバノンに壊滅的な打撃を与えるだろう「想像を絶する」規模のイスラエルの反撃をもたらすことになると警告している。
アル・ムッカラー:2日(木)午前、フーシ派が発射した1発のミサイルがイエメン中部の都市マアリブにある国内避難民キャンプの近くに着弾した。フーシ派はイエメン政府の管理地域に対してドローンとミサイルによる一連の攻撃を行ってきたが、新たに今回、同様の攻撃が行われた。
マアリブの住民によれば、ミサイルが着弾した同市北部の広大な国内避難民キャンプの外で爆発音が聞こえたという。ミサイルによる人的・物的被害はなかった。
2022年4月に発効した国連の仲介による停戦合意によって敵対行為は大幅に減少したものの、フーシ派は未だにマアリブやタイズ、その他のイエメン政府支配地域に向けてミサイルや爆発物搭載ドローンの発射を続けており、これまでに数十人の一般市民を殺害した。
フーシ派のマアリブに対するミサイル攻撃は、同民兵組織がイスラエルに対してドローンによる一斉射撃を行ったと宣言した数時間後に行われた。そのような宣言が発されるのは2日間で2度目だ。
イエメン国民は、フーシ派がマアリブや他のイエメンの都市で市民の集会を攻撃してきたことを非難した上で、致命的な攻撃から一般市民が保護されるよう求めた。
イエメン人評論家のアブドゥラー・イスマエル氏は、フーシ派がイスラエルに対してミサイルやドローンによる攻撃を開始したのは、同組織がイエメンを軍事占領した初日から行ってきた残虐行為を覆い隠し、組織のイメージを美化するためだと述べた。
「フーシ派のミサイルやドローン、地雷、犯罪行為はもっぱらイエメン人を殺害し、負傷させることを目的としています。 彼らの見苦しい姿は、空虚で好戦的な麗句や欺瞞的な声明、あるいは世界中のすべての洗剤を寄せ集めても、覆い隠したり消し去ったりすることはできません」とイスマエル氏はソーシャルメディアプラットフォームXで語った。
イエメン人ジャーナリストで、マアリブのシェバ・メディア・センターの責任者も務めるワリド・アル・ラジ氏は、過去数年間に約1000発のフーシ派のミサイルが避難民地区やその他の民間人居住区に向けて発射され、その内約200発は迎撃されたが、残りの約800発はマアリブ市内に着弾し、子どもや女性を含む多くの人々が死傷したと推定している。
「パレスチナ人が、ミサイルや航空機で自分たちを殺すイスラエルの占領に抵抗しているのとまったく同じように、イエメン人もまた、ミサイルや航空機で自分たちを殺すイランの占領に抵抗しているのです」とアル・ラジ氏はXで述べた。
ロンドン:ヨルダンのアブドッラー国王は1日、バーレーンのハマド国王とカタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長と個別に会談し、ガザ地区における即時停戦の必要性を再確認した。
アブドッラー国王は今回の湾岸歴訪でアブダビにも訪問し、UAEのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領とも会談した。
バーレーン国王との会談では、アブドッラー国王が、ガザ情勢の悪化に懸念を表明し、同地域で制約のない人道支援を確保することが重要であると強調した。
また、パレスチナ問題に対し、明示的な政治的解決策を与えることが急務だとも述べ、2国家の共存に基づく公正で包括的な平和を提唱した。
両首脳はさらに、民間人の保護や人道回廊の即時設置を行い、ガザ地区への医療物資や救援物資などの供給を円滑化することが大切であると訴えた。そして、両国は緊密な協力関係を維持していくことでも一致した。
ハマド国王は、特にパレスチナ問題などでアラブの大義を守る役目を果たすヨルダンを称賛し、アブドッラー国王の地域和平に向けた取り組みに感謝の意を示した。
アブドッラー国王は、カタール首長との会談でドーハにも訪問。この地域で暴力の拡大が進むことへの懸念を表明し、軍事的・安全保障的な解決策ではパレスチナ問題に十分に対処できないと主張した。
さらに、ガザ地区のパレスチナ人を強制的に退避させようとするいかなる試みに対しても、ヨルダンは反対の立場であることを再確認した。
両首脳は、パレスチナ人が正当な権利を実現し、1967年6月以前の国境線を基本とした、東エルサレムを首都とする独立国家の樹立を望んでいると語った。
アブドッラー国王は、パレスチナ人に対する支援と、停戦に向けてアラブ諸国やその他の利害関係者を調整しようとするカタールの取り組みについても取り上げ、賞賛の言葉を送った。
イスラエルは3日、国内および占領下のヨルダン川西岸で働くパレスチナ人労働者数千人をガザに送還した。
数多くの労働者がエジプトとの国境のケレムシャロム検問所を通ってガザ入りした。
イスラエルは、ガザ住民1万8000人余りに対し、イスラエルやヨルダン川西岸での就労許可を出していた。主に農業や建設業で職に就き、給料はガザの平均の最大10倍とされる。
しかし、10月7日のハマスによる攻撃を受けてこの制度を廃止。イスラエル首相府は2日の声明で「イスラエルはガザとの全ての連絡を絶つ。ガザからのパレスチナ人労働者はもういなくなる」とし、「戦争が勃発した日にイスラエルにいたガザ出身の労働者は、ガザに戻される」と表明した。
10月7日時点で何人のガザ住民がイスラエルにいたかは不明。ただパレスチナ当局の高官は、4950人がイスラエルから西岸に逃れ、約5000人はイスラエル当局に拘束されているとの見方を示した。
チリのボリッチ大統領は2日、バイデン米大統領とホワイトハウスで会談し、イスラエルの行動は国際法に違反しているとの考えを伝えた。ボリッチ氏は今週、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ空爆を非難し、駐イスラエル大使を呼び戻している。
ボリッチ氏は、1400人を殺害したイスラム組織ハマスによる10月7日のイスラエル攻撃を非難し、人質解放を求める一方、イスラエルのガザへの報復は行き過ぎであり、国際法に違反していると述べた。
会談後記者団に「ハマスの攻撃は正当化されるものではなく、世界的な非難に値するが、ネタニヤフ政権の対応も非難に値する」と主張。
「国家の自衛権には限度がある。つまり、罪のない民間人、特に子どもたちの命を尊重し、人道法を順守しなければならない」と語った。
ホワイトハウスは、バイデン氏が「ガザ市民への食料、水、医療を含む人道支援を緊急に増やし、持続させる努力を再確認した」とした。
イスラエル軍は2日、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ北部にある主要都市ガザ市を包囲したと発表した。一方、ハマスは地下トンネルから一撃離脱攻撃を行っている。
イスラエルのネタニヤフ首相は声明で「われわれの戦闘は絶頂にある。印象的な成功を収め、ガザ市郊外を通過した。前進している」と述べた。詳細は明らかにしなかった。
ガザで激しい爆発が起こる中、イスラエル軍のハガリ報道官は「ハマスのテロ組織の中心地であるガザ市の包囲を完了した」と記者団に語った。
軍高官によると、部隊は仕掛けられた地雷などに遭遇しているという。
ハマス軍事部門の広報官アブ・ウバイダ氏は2日のテレビ演説で、ガザでのイスラエル側の死者数は軍の発表よりもはるかに多いと述べた。
イスラエルは先月27日に地上作戦を拡大して以降、18人の兵士を失った一方、武装勢力の数十人を殺害したと発表している。
ハマスとイスラム聖戦の映像では両組織の戦闘員がトンネルから出て戦車に発砲し、退避する様子が確認できる。
イラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラは2日、イスラエル軍に対し、爆発物を載せたドローン(無人機)などによるの複数の攻撃を行ったと発表した。一方、イスラエルもレバノン南部への空爆で応酬。交戦の頻度が急激に高まっている。
ヒズボラは声明で、イスラエル国内に向けて19件の同時攻撃を開始したと述べた。
イスラエル軍は、レバノンからイスラエルへの攻撃に対し、空爆を始め戦車や大砲による攻撃で応戦したことを明らかにした。
レバノン国営通信は、イスラエルの砲撃が南部国境沿いの様々な地域に着弾したと報道。住民によると、砲撃の激しさは以前より増しており、地域全体に及んでいるという。
ただ、ホワイトハウス米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は2日、レバノン国境におけるヒズボラによるイスラエル軍への攻撃を懸念しているが、ヒズボラが「総力戦に踏み切る」準備ができた兆候はないと述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相は2日、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザ北部でのイスラム組織ハマスへの攻撃で「素晴らしい成功」を収めたと述べた。イスラエル軍は「ガザ市郊外を通過し、前進している」という。イスラエル首相府が声明を発表した。
また、食料、燃料、水などの人道支援は義務づけられているが、ガザへの燃料輸送についてイスラエル政府は何も決定していないとした。
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ナスララ師が3日午後3時(1300GMT、日本時間同日午後10時)に演説することが分かった。10月7日にパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃して以来、初めての公の場での発言となる。
イラン支援下にあるヒズボラは強力な軍事力を持ち、国境沿いでイスラエル軍と交戦を続けている。ナスララ師の発言が事態をエスカレートさせる可能性もあるとして、警戒感が高まっている。
<11月2日朝まで>
パレスチナ自治区ガザで10月27日、インターネットと携帯電話の回線が突然寸断され、米政府当局者はイスラエルに瞭然たるメッセージを静かに伝えた。ネットワークを復旧せよと。
要請が伝えられたのは、イスラエル軍の戦車と部隊がガザに進軍し、ちょうど地上攻撃を開始したタイミングだった。ネタニヤフ政権は米国の要請に即座に従った。
イスラエルに対する全面的な支援を公に表明しつつ、民間人の保護と紛争の拡大防止に向けた要請を抑えたトーンながらも執拗(しつよう)に伝達することで、バイデン政権はこれまで一定の成果を上げてきた。このエピソードはそれを改めて裏付けるものだ。
ホワイトハウスの元中東担当顧問で、現在はシンクタンク「アメリカ進歩センター」のシニアカウンセラーを務めるマラ・ラドマン氏は「公には緊密な支持を表明することで、一段と厳しい進言を粛然と伝えることができ、かつ相手側にも聞き耳を持つ余地が生まれる」と指摘する。
しかし、バイデン政権の微妙なかじ取りはここにきて難易度を増している。イスラエルの攻撃強化に伴いガザの人道危機が悪化。イスラエル北部のレバノンやシリアとの国境沿いにも戦闘が拡大し、紛争拡大への懸念が強まっているためだ。
米国の駐エジプト、イスラエル大使を務めたダニエル・カーツァー氏は「われわれは影響力を持っているが、問題はそれを行使しているかどうかだ」と指摘。「空爆に関するメッセージがあったとすれば、影響を与えていないのは明らかだ。影響しているなら、その規模も範囲も縮小していたはずだ」と話す。
ただ、10月7日のイスラム組織ハマス急襲を受けたイスラエルの衝撃と怒りを踏まえれば、状況はさらに悪化していた可能性があると米当局者らは主張する。ハマスは米国と欧州連合(EU)がテロ組織に指定している。
これまでのところ、ネタニヤフ首相に影響力を行使しようとするバイデン政権の取り組みは、まちまちの結果となっている。
ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日、イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの衝突が終息した後、平和維持の役割を担うために「米軍をガザに駐留させる計画もしくは意図は現在も将来もない」と言明した。
米国と同盟・パートナー国は、危機終結後のガザの状況について討議を進めている。
カービー氏は、衝突終結後に状況がどのようになるかは分からないとしつつも、ハマスが将来的にガザの統治を担うことは「あり得ないと確信している」とも述べた。
また、米国は、今が全面的な停戦の時期とは考えていないとしつつも、ガザで民間人の犠牲者が増加する中、人道的観点から戦闘の一時停止は必要とした。また、ガザ市民によるガザ以外への永住は支持しないと述べた。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの指導者ハニヤ氏は1日、ハマスがガザ地区で拘束しているイスラエルの人質は、パレスチナ人が直面した「死と破壊」に同様にさらされていると述べた。
ハニヤ氏はビデオメッセージを公表。その中で、ハマスが仲介者らに対し「虐殺」を止める必要があると伝え、特に西側諸国で意思決定者に圧力をかけるために抗議を続けるよう人々に呼びかけたと述べた。
このほか、米国に対しイスラエルへの軍事支援をやめ、ガザ地区での暴力を終わらせるための国際的な取り組みの妨害をやめるよう要請。パレスチナ自治区ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所が双方向で運用され続けることが重要との認識も示した
イランの最高指導者ハメネイ師は、イスラム諸国にイスラエルへの石油・食品輸出を停止するよう要請した。国営メディアが1日、伝えた。
ハメネイ師は演説で「ガザへの爆撃は直ちに停止されなければならない。シオニスト政権への石油と食料の輸出を停止すべきだ」述べた。
カタール仲介の合意に基づくパレスチナ自治区ガザからの退避が1日、始まり、地元メディアや関係者によると第一陣の負傷者がエジプトに入った。
エジプト、イスラエル、イスラム組織ハマスは、米国と連携したカタールの仲介で、外国のパスポート(旅券)保有者と一部の重傷者がガザからエジプトに退避するのを認めることで合意した。ただ、避難を認める期間は不明。
第一陣は救急車でラファ検問所を通りエジプト入りした。
エジプトの治安当局筋によると、最大500人の外国のパスポート(旅券)保有者が退避する見通し。ただ、関係筋は全員が1日に退避することはできないとみている。パレスチナ側では1日午前時点で約200人が待機しているという。
医療関係者によると、エジプトはシナイ半島に野戦病院を準備。先月31日に救急車10台がラファに派遣された。
イスラム組織ハマスによる奇襲を受けたイスラエルの報復攻撃でパレスチナ自治区ガザの戦闘が10月に激化して以来、世界各地でユダヤ系市民に対する憎悪事件が急増している。
米ロサンゼルスでは「ユダヤ人を殺せ」と叫ぶ男が一般家庭に押し入り、英ロンドンの公園では女の子が「臭いユダヤ人」だから滑り台から離れろと言われた。中国では、ユダヤ人を寄生虫や吸血鬼、ヘビになぞらえた投稿がソーシャルメディアで拡散し、何千もの「いいね」を集めている。
ユダヤ人の大規模コミュニティーがあるロンドン郊外ゴールダーズ・グリーンにあるシナゴーグ(ユダヤ教会堂)を訪れていたアンソニー・アドラーさん(62)は「第二次世界大戦以降でユダヤ人であることが最も恐ろしい時期だ。以前にも問題はあったが、私の生涯でこれほどひどいことはなかった」と話した。
アドラーさんはユダヤ人学校を3校経営するが、10月7日のイスラエル襲撃を受け、生徒が狙われることを恐れて2校を一時的に閉鎖し、全3校で警備を強化した。ユダヤ人に対する無差別攻撃を最も懸念しているという。
警察や市民団体が集計データを公表している米英仏独や南アフリカなどの国々ではユダヤ系市民を標的にした暴言やインターネット上の中傷、身体的暴力、ユダヤ教関連施設への落書きなどの事件が10月7日以降、前年比の数倍に激増している。
米英など一部の国では、イスラム嫌悪に関連する事件も増えている。
<各国の対応さまざま>
ユダヤ憎悪事件で最も強烈だったのは、ロシア南部ダゲスタン共和国の首都マハチカラで29日に、ガザ攻撃に抗議する数百人のデモ隊が空港に押し寄せ、イスラエルから到着した飛行機を襲撃しようとした事件だ。 もっと見る
ロシアのユダヤ人コミュニティー連盟の会長を務めるユダヤ教指導者(ラビ)のアレクサンドル・ボロダ氏は、ロシア系ユダヤ人が公然と攻撃されるまでに反イスラエル感情が高まったと嘆いた。
世界各地のユダヤ人コミュニティーでも緊張は高まっている。
南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでは、有名ユダヤ人学校の生徒が、判別されやすいとの理由で制服を着用しないよう指導を受けた。他の学校はキャンプや校外活動を中止した。
米ニューヨーク州のコーネル大学では、「ユダヤ人生活センター」が爆破予告を含むネット上の脅迫メッセージを受け取ったため、周辺の警備が強化された。
南アフリカのヨハネスブルクでは、10月28日に親パレスチナ派のデモ隊が大規模ユダヤ人コミュニティーのある地域まで行進し、公共施設の壁に貼られたガザのイスラエル人人質の写真を剥ぎ取った。
反ユダヤ感情の高まりに対する各国の対応はさまざまだ。
米国や西欧の当局はユダヤ人コミュニティーへの強い支持を表明し、反ユダヤ主義を糾弾。関連地域の警備を強化する国もある。
イスラエル政府はロシア南部ダゲスタンの事件後、イスラエル国民に海外渡航予定を見直すよう促し、海外在住のイスラエル国民には警戒を強め、デモに近づかないよう求めた。
一方、政府がソーシャルメディアの不適切な投稿を日常的に検閲している中国では、ネット上にあふれる反ユダヤ主義的な書き込みを制限する措置が取られた形跡はない。
南米ボリビア政府は31日、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を理由にイスラエルと断交したと発表した。コロンビアとチリも協議のため駐イスラエル大使を呼び戻した。
ボリビア、コロンビア、チリの3カ国は、イスラエルのガザに対する攻撃でパレスチナの民間人が死亡していると非難。
ボリビア政府高官は会見で「ガザで行われている攻撃的で不釣り合いなイスラエルの武力攻勢を拒絶・非難するため、イスラエルとの外交関係を断絶することを決めた」と表明した。
3カ国は停戦を要求。ボリビアとチリはガザへの人道支援物資の搬入を求め、イスラエルが国際法に違反していると非難した。
コロンビアのペトロ大統領は、今回の攻撃は「パレスチナ人民の虐殺」だとX(旧ツイッター)に投稿した。
メキシコやブラジルなど他の中南米諸国も停戦を呼びかけている。
ボリビアは今回の軍事衝突を受けてイスラエルとの断交を発表した最初の国の一つとなった。同国は2009年にイスラエルと断交したが、20年に外交関係を復活させていた。
イスラエル外務省は声明を発表し「(ボリビアが)テロとアヤトラ(シーア派宗教指導者)による政権に屈した」と非難した。
「両国の関係はそもそも中身のないものだった」とし、ボリビアの決定を重視しない姿勢を示した。
ガザ:イスラエルの地上部隊はこの5日間、10月7日に残忍な越境攻撃を行ったハマスに対して開始された戦争において、ガザ地区のますます奥まで進軍している。
この作戦には、陸海空軍を含むますます多くの部隊が参加している。イスラエル軍は、多数の戦闘員を殺害し、ハマスの戦略トンネル網に損害を与えたとしている。兵士らは放棄されたパレスチナ人の住宅を占拠して陣取っている。
この作戦は日ごとに拡大しているにもかかわらず、イスラエル軍はこれを侵攻と呼ぶことを拒否している。
同軍による言葉の選択の曖昧さは、単なる言い回しの問題ではない。敵に態勢を整えさせないこと、そして長期戦が展開される中で選択肢を温存することを目的とする意図的な戦略であるように思われる。
イスラエルがガザ地区の中で行っていることを以下で詳しく見てみよう。
これは侵攻なのか?
侵攻という言葉の本来の意味で言えば、今まさにイスラエルによる侵攻が行われているように思われる。
27日以降、地上部隊が敵地に進軍して継続的に作戦を実施している。イスラエル軍はこの作戦の詳細をほとんど明らかにしていないが、戦車、大砲、歩兵隊、ブルドーザー、特殊部隊が参加し、それらが上空からの支援を受けていることを認めている。
同軍は部隊の位置や規模について明言を避けている。しかし同軍の発表によると、数千人の兵士がこの作戦に参加しており、その人数は日増しに増えているようだ。
パレスチナ人ははるかに強い言い回しを使っており、イスラエルが今も続けている空爆を「虐殺」や「ジェノサイド」といった言葉で呼んでいる。ハマス傘下のガザ保健省によると、イスラエルの空爆によって8000人以上のパレスチナ人が死亡し、数千棟の建物が瓦礫と化した。
軍はこれを何と呼んでいるのか?
イスラエル軍はガザ地区に侵攻しているとは言わず、その活動を「急襲」や「作戦」と呼んでいる。
これは状況の流動性を反映したものだ。兵士の数が変動しているうえ、イスラエルは少なくとも当面は、圧倒的な数の地上部隊でハマスに圧勝しようとすることは避けている。
こうした戦術は、ハマスを混乱させること、そしてさらなる行動の選択肢を残しておくことを目的としているようだ。ただ、イスラエルはガザ地区内でのプレゼンスを今後長期にわたって維持すると明言している。
ヨアヴ・ガラント国防相とベンヤミン・ネタニヤフ首相はこの週末、作戦は新たな段階に入ったと述べた。
ガラント国防相は、「この戦争は新たな段階に達した」と語った。「ガザ地区の地面は揺れている。次の命令があるまでこの作戦は続く」
同国防相は31日に部隊を視察した際に、「我々はガザ地区の深いところで部隊を大規模に展開している」と付け加えた。
どのような計画か?
イスラエルは2つの目標を設定している。人質全員を帰還させること、そして、数千人の戦闘員、ロケット弾、爆弾、対戦車ミサイルで武装し、大衆からの大きな支持を得ている過激派組織ハマスを壊滅させることだ。
イスラエル軍首席報道官のダニエル・ハガリ海軍少将は、それを侵攻とは呼んでいないが、これらの目標を達成するための体系的な計画に繰り返し言及している。同少将は31日、「我々の攻撃作戦は計画に従って継続され強化される」と述べた。
退役将軍で元イスラエル軍ガザ部門副司令官のアミール・アビビ氏は、曖昧な言葉遣いは意図的なものだと指摘する。「自分たちが行っていることを敵に知られたくないのだ」
しかし、現在はタカ派の元軍司令官のグループ「イスラエル防衛・安全保障フォーラム」の代表を務める同氏は、目標を達成するために何が必要かは明らかだと言う。
「それを達成するための方法は一つしかない。ガザ地区全体を制圧し、何ヶ月もかけて全ての力を解体することだ」と同氏は語る。「軍がそれをどう呼ぶかは問題ではない」
リヤド:ムスリム世界連盟(MWL)は10月31日、包囲されたガザ地区のジャバリア・キャンプをイスラエル軍が攻撃し、数人が死亡したことを非難した。
MWLのシェイク ムハンマド ビン アブドルカリム アル イッサ事務局長は声明において、「罪のない数名の民間人を死に至らしめたこの重大な行き過ぎを非難する」と述べた。
また同事務局長は、「国際社会に対し、国際法と規範の明白な違反である、このようなひどい集団的懲罰から民間人を保護する義務を守るよう求める」と述べた。
アル イッサ事務局長は、「あらゆる断固とした良心を揺るがす、このような大量破壊行為を直ちに停止すべきだ」と述べた。
10月31日、ガザ最大の難民キャンプへのイスラエルの苛烈な爆撃により、女性や子どもを含む数十人が死亡した。
イスラエル軍は、人口密度の高いジャバリア・キャンプの地下にあるハマスのトンネル群を標的にしたと伝え、10月7日の武装組織による攻撃に関与したとみられるハマスの上級司令官も殺害したと主張した。
リヤド:サウジアラビアは、国際社会に対し、ガザでの軍事行動を停止し、救援団体が緊急人道援助を市民に届けられるようにする責任を負うよう求めた、とサウジ通信が火曜日に報じた。
サウジアラビア内閣は、パレスチナの人々の願望を満たす公正で包括的な解決策を見出すために、王国が様々な場で行っている外交努力をフォローしていると述べた。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、ジョー・バイデン米大統領との電話会談について内閣に説明し、ガザの進展に対する王国の姿勢を確認した。
イスラエルはハマスとの戦争でガザ地区で地上攻撃を実施しており、火曜日には難民キャンプを攻撃し、少なくとも50人の市民が死亡した。ハマスがガザ地区外の入植地を攻撃し、1,400人のイスラエル人が死亡した後、イスラエルが軍事報復を行った結果、これまでに8,500人以上のパレスチナ人が死亡している。
サウジアラビア外務省は、ジャバリア・キャンプへの攻撃を非難する声明を発表し、王国はイスラエル軍による人口密集地の市民地域への攻撃を非難すると述べた。
王国のハーリド・ビン・サルマン国防大臣は月曜日にアメリカに行き、「即時」停戦を求めた。
ムスリム世界連盟(MWL)のモハメッド・アル=イッサ代表もまた、国際社会に対し、民間人を保護する責任を負うよう求めた。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は次のように述べた: 「私は、ガザにおける民間人の殺害を非難し、殺害された人々の3分の2が女性と子どもであるという報告に落胆している」。
国連総会は金曜日、停戦を求める決議を採択したが、その決定は不保持である。
イスラエルはハマス壊滅まで軍事作戦を継続すると宣言している。しかし、これらの行動は、大量の民間人の死と、イスラエルの行動がパレスチナ人を集団的に罰することを目的としているという非難を招いている。
サヌア:イエメンのイランに支援されたフーシ派は火曜日、もしイスラエルがガザのハマスに対する戦争を続ければ、イスラエルに対する更なる攻撃を約束した。
「我々は…イスラエルの侵略が停止するまで、ミサイルと無人機による質的攻撃を継続する」と、反政府勢力のアルマシラTVで放映されたフーシ派の軍事声明は述べた。
この声明によると、フーシ派民兵は火曜日、イスラエルに向けて「大量の弾道ミサイルと大量の武装航空機を発射」したという。イスラエル史上最悪の攻撃をハマス過激派が行った後、10月7日にガザ攻撃が始まって以来、このような作戦は3度目となる。
これに先立ちイスラエル軍は、紅海のリゾート地であるエイラートで「敵機の侵入」による警告サイレンが鳴り響いたと発表し、その後イスラエル領内に向けて発射された「地対地ミサイル」を迎撃したと発表した。
「すべての空中からの脅威はイスラエル領土の外で迎撃された。
フーシ派のアブデラジズ・ビン・ハブトゥール氏は火曜日、フーシ派はイスラエルに対する「抵抗軸の一部」であり、レバノン、シリア、イラクのテヘランが支援するグループを含み、「言葉と無人機」の両方で戦っていると述べた。
「これはひとつの手段であり、すべての作戦のために共同作戦室と共同司令部があり、調整が行われている。この傲慢なシオニストの敵に、我々の国民を殺させるわけにはいかない」
フーシ派は2014年にイエメンの首都サヌアを掌握し、国内の大部分を支配している。
イスラエルは金曜日にフーシ派を非難し、自国の航空機がイスラエル南部に向かう「敵対的目標」を迎撃したと述べた。
同時に、エイラートから国境を越えて隣接するエジプトのリゾート地タバにある建物に破片が当たり、6人が軽傷を負ったとエジプト軍が発表した。
10月19日、アメリカ海軍は、フーシ派がイスラエルに向けて発射した3発の陸上攻撃巡航ミサイルと「複数の」無人機を撃墜したと発表した。
イスラエルは、ハマスの武装集団が国境を越えて押し寄せ、民間人を中心に1400人以上を殺害し、230人以上を誘拐した10月7日の攻撃以来、ガザを攻撃し続けている。
それ以来、イスラエルによる砲撃で8,500人以上が死亡し、そのうち3,500人以上が子どもであったと、ハマスが運営するガザの保健省は発表している。
イランはハマスに資金的・軍事的支援をしているが、10月7日の攻撃には関与していないと主張しており、イラク、シリア、レバノン、イエメンに忠実な代理戦闘員を持っている。
ガザ紛争が始まって以来、イラクとシリアでは米軍への攻撃が相次ぎ、イスラエルとレバノンの国境ではヒズボラとイスラエル軍がほぼ毎日銃撃戦を繰り広げている。
日曜日、イランのイブラヒム・ライシ大統領は、イスラエルが「レッドラインを越えた」とツイッターで警告した。
<11月1日朝まで>
ガザの殺戮が急増するにつれ、テヘランが支援する準軍事組織とその巨大なミサイル兵器庫が地域全体にもたらす脅威は、もはや抽象的なものではない。何十万人もの過激化した多国籍準軍事組織が、表向きはイスラエルとの紛争に身を投じているが、おそらくはアメリカやその同盟国、そして地域をも巻き込もうとしている。
民兵はすでにシリア、レバノン、イスラエルの国境沿いに集結しており、ミサイル攻撃、小競り合い、空爆がエスカレートしている。イスラエルの軍事関係者は以前から、これらの派閥との決定的な対決が最終的には必要だと主張してきた。特にイスラエル指導部は、イランがハマスを通じて今回の紛争を引き起こしたと広く考えている。
ガザでは、約3200人のパレスチナ人の子供を含む8000人以上が死亡している。ヒズボラは10万人の戦闘員と15万発のロケット弾の保有を誇っている。イラクのハシュド・アル・シャアビは24万人を超える戦闘員を擁し、シリアとイエメンには大規模な関連部隊がある。そして、イスラム革命防衛隊の戦闘員は19万人で、その多くはすでにこの地域一帯に配備されている。イスラエル軍の現役兵17万人、予備役兵46万人と比較すると、その差は歴然としている。
イスラエル軍30万人がすでにガザ周辺に配備されており、このことは、多方面にわたる戦争がイスラエルにとって悪夢のシナリオであり、特にヨルダン川西岸地区を混乱に巻き込むことを物語っている。イランの代理勢力が介入してくれば、アメリカの介入は避けられないだろう: イスラエルは一度にすべての相手と戦うことはできない
全面的な衝突に対するアメリカの神経質さは、イラクとシリアにおけるアメリカの標的に対する18の過激派による攻撃を受動的に観察し、シリアとイラクの国境にある過激派の施設に対する2つの象徴的な攻撃で恥ずかしげもなく応戦するという臆病な態度に現れている。ホワイトハウスのジョン・カービー報道官は言う: 「誰もイランとの衝突など望んでいない」。ロイド・オースティン国防長官は、アメリカは「さらなる敵対行為に関与する意図も意欲もない」と述べた。しかし、民兵の攻撃は止むことなく続いているため、アメリカは不本意ながらエスカレートするいたちごっこに巻き込まれるかもしれない。
欧米人はレバノンを離れるように言われている。ベイルートで現在唯一機能している空港では避難勧告が出され、イスラエル軍の侵攻の矢面に立たされるのではないかと全国的にパニックが起きている。
この紛争は、すべての側が自分たちでは制御できない怪物をでっち上げ、挑発したからこそ始まった。ヒズボラとハマスの存在そのものが、長く続くイスラエルの策略の結果なのだ。ヒズボラは1982年のイスラエルによるレバノン侵攻の焼け跡で創設され、ハマスの拡大は、世俗的なPLOに対抗するものとしてイスラエルがパレスチナのイスラム運動を育成したことによる。ネタニヤフ首相が2国家解決策を破棄したことで、パレスチナの穏健派と知識人の意見は壊滅し、武装イスラム主義者だけが占領に抵抗するための実行可能な戦略を持つ唯一の存在となった。イスラエルとアメリカのコラムニストの多くは、ネタニヤフ首相とハマスが数十年にわたる「共生」関係を享受し、党派的な政治的計算のために互いを育ててきたと主張している。極右の操り人形によって動員された、殺人狂で救世主気取りの入植者たちの悪意に満ちた暴徒が、ヨルダン川西岸地区で沸騰する混乱を引き起こした。ガザの大虐殺がもたらす唯一の結果は、復讐に燃える怪物のまったく新しい世代である。
テヘランは、自らが育てた多国籍の大群をコントロールするのに苦労している。カイス・カザリのような気まぐれな民兵司令官たちは、無秩序と騒乱を生み出すことでキャリアを積んできた。フーシ派はGCCへの攻撃を予告し、エジプトとサウジアラビアの領空に無人偵察機を発射し、イラクの武装勢力はヨルダン国境沿いの石油供給を妨害している。
テヘランからの声明は、挑発に対処しながらも、緩和を促している。ホセイン・アミール・アブドラヒアン外相は、ヒズボラのような準軍事組織が「引き金に指をかけている」とほくそ笑み、彼らの次の動きは「あなた方が目撃したものよりもはるかに強力で深いものになるだろう」と豪語した。イランはヒズボラに何十年も投資をし、ヒズボラは他の地域の民兵を訓練し動員する上で主導的な役割を果たした。ダーイシュやアルカイダが無限に利用する大量殺戮自爆攻撃の手法は、1980年代にヒズボラが開拓したものだ。
テヘランは、イスラエルが最大の資産をバラバラにし、排除するのを目撃したくない。ヒズボラも同様に、ハマスが破壊されるのを黙って見ているわけにはいかないと警告している。ウラジーミル・プーチン大統領は、中東紛争を自分たちの娯楽のために操ってきた他の大国と同様、西側諸国が紛争拡大に巻き込まれれば、ウクライナが完全に忘れ去られることを期待し、嬉々として火に油を注いでいる。
イスラエルのガザ侵攻が続く中、ヒズボラは「エルサレムへの進軍」という美辞麗句にもかかわらず、まさに自分たちが戦うために存在するとされる戦争に突入することを避けていると嘲笑されている。何十万人もの戦闘に飢えた準軍事組織も同様に、自分たちが「イスラム抵抗勢力」の代表であり、パレスチナ解放の使命を帯びていると洗脳されている。幸いなことにサイード・ハッサン・ナスラッラー師は、今のところイスラエルの終末論的な脅しを真剣に受け止めるだけの現実主義者であるようだ–紛争をシリア国境に移そうとする彼の努力は、レバノンを免れさせられないだろうが。ナスラッラー師はイスラム聖戦とハマスの代表者に会い、共同作戦室を通じて調整することに同意しながら、紛争に参加すると要請した。
2014年、アメリカはダーイシュに対抗するための手段として、イラクの準軍事組織ハシュド・アル・シャービの創設を許可した。しかし西側諸国は、ダーイシュが敗北した後も、このような勢力が地域の安定にもたらす危険性について何度も警告を発しているにもかかわらず、ハシュド・アル・シャービの規模が倍増するのを防ごうとはしなかった。狂った想像力によって作られた厄介な切り裂き魔映画のように、過去の紛争のアンデッドの悪魔を退治しなかったこの臆病な失敗が、2023年のハロウィンで私たちを悩ませている。
多国籍民兵とその支配者たちによる好機的な姿勢と挑発は、爆撃と飢餓で忘却の彼方に追いやられているガザ市民にとっては、慰めにもならない。イスラエルもアメリカも、そして破産したイランも、誰も紛争の拡大を望んでいない。しかし、これらすべての当事者は、彼らや彼らの代理勢力が精力的に煽っている増幅サイクルの無力な囚人となっている。
エルサレム:イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、イスラエルが中東の中でますます受け入れられつつあることを理由に、中東に平和と繁栄の新時代が訪れると予言したのは、つい先月のことだった。
しかし現在、イスラエル・ハマス戦争が4週目に入る中、そのビジョンは打ち砕かれている。
イスラエル軍が発表した数字によると、予備役36万人が動員され、25万人が自宅から避難しており、多くの企業が大混乱に陥っている。レストランや商店からは人けがなくなった。
航空各社はイスラエルへの航空便の大半を運休にし、旅行者は渡航をキャンセルしている。主要な天然ガス田は閉鎖され、農場は労働者不足で壊滅し、企業は何万人もの従業員をレイオフしている。
ガザ地区を実効支配する組織ハマスが10月7日にイスラエル南部を襲撃して1400人を殺害し240人以上を人質に取ったことを受け、イスラエルは同組織を壊滅させると誓っている。イスラエルによる空爆でガザ地区全体が破壊され、ガザ保健省によると8000人以上が死亡した。
イスラエル経済はハマスとの以前の戦争からは回復したが、今回の戦争はより長期化し、もしかしたら数ヶ月続く可能性がある。イスラエル軍が宣言している任務が、ハマスを封じ込めるだけでなくその支配を終わらせることだからだ。
この紛争のエスカレーションは目に見える脅威である。イスラエルは既に、さらに3つの戦線で低強度戦闘に従事している。レバノン、ヨルダン川西岸地区、シリアである。おそらくは複数の戦線を持つ長期間の紛争となれば、経済の回復は過去の紛争の時よりも難しくなる可能性がある。それに、この戦争が始まる以前でさえ、イスラエル経済はネタニヤフ首相の物議を醸す司法弱体化案による痛みを感じていた。
イスラエル財務省は、この戦争によって打撃を受けている企業に対する10億ドルの補助金を含む経済援助プランを提示している。批判者らは、それでは十分ではないとして、連立合意のもとでユダヤ教超正統派政党や親入植者政党が推進するプロジェクトに割り当てられた数十億ドルの一部を振り向けるよう要求している。
今週、著名エコノミスト300人のグループがネタニヤフ首相とべザレル・スモトリッチ財務相に対し、「正気に戻れ!」と呼びかけた。
彼らは書簡の中で次のように述べた。「イスラエルが被った深刻な打撃に対しては、国家としての優先順位を根本的に変え、戦争被害、被害者への援助、経済回復への対処のために資金を大規模に振り向けることが必要である」。また、戦時支出は数十億ドルにまで跳ね上がると予測した。
さらに、ネタニヤフ首相とスモトリッチ財務相に対し、「戦時努力や経済回復にとって重要でない活動に対する資金を、そして何よりもまず、連立合意のために割り当てられた資金を直ちに停止すること」を求めた。
親入植者政党の党首であるスモトリッチ財務相は先週、イスラエルのアーミー・ラジオで、「戦時努力や国家の回復力に関係のないものは何であれ停止する」と述べた。しかし、懐疑的な見方は残っている。
金融指標が示す見通しは暗い。イスラエルの通貨であるシェケルは14年ぶりの安値に達し、ベンチマーク株式インデックスは今年に入って約10%下落している。イスラエルの経済成長のエンジンであるテック産業は、戦争開始前でさえ出血し始めていた。
フィッチ・レーティングス、ムーディーズ・インベスターズ・サービス、S&Pはいずれも最近、紛争がエスカレートすればイスラエル国債の格下げにつながる可能性があると警告した。
イスラエル中央銀行は、戦闘が同国南部に限定されるという前提のもと、2023年の経済成長率予測を3%から2.3%に下方修正した。
また、シェケルを支えるために300億ドルを計上した。中銀のアミール・ヤロン総裁は今週の記者会見で、経済の回復力は「強固で安定している」と強調した。
「イスラエル経済は過去、困難な時期から回復し迅速に繁栄状態へと戻る方法を知っていた。今回もそうなることを私は疑っていない」
イスラエルは、約2000億ドルの外貨準備高を持ってこの戦争に突入した。さらに、バイデン政権はイスラエルへの140億ドルの緊急援助(その大半が軍事資金)を米連邦議会に承認させようとしている。イスラエルが毎年受け取っている38億ドルに加えてだ。
イスラエルは戦争が始まった時、予想されるミサイル攻撃に対する脆弱性を低下させるため、シェブロンに対しタマル天然ガス田での生産を停止するよう指示した。エネルギー専門家のアミット・モル氏の推計によると、このガス田の閉鎖により毎月2億ドルの収入が失われる可能性がある。
ハマスと同盟関係にあるレバノンの民兵組織ヒズボラが全面的に参戦すれば、イスラエル最大のものを含む他の2つのガス田での生産に影響が出る可能性があるとモル氏は指摘する。しかし、さらなるエネルギー探査への深刻な影響はないと考えているという。
「関係者は政治的リスクを認識している。それはずっと前から存在していた」と同氏は語る。
イスラエルは西欧諸国に匹敵する経済を誇る起業大国だが、戦争が勃発する前でさえ苦境にあった。かつてテック投資で膨れ上がった財源は、裁判所の権限を低下させることを目論む司法改革案によって大打撃を受けた。政府は、選挙で選ばれていない裁判官が過剰な権限を持っていると主張しているが、司法の権限の支持者らは、それが政治家の権力に対する最も重要な監視機能であると見なしている。イスラエルの統治に対する懸念、インフレ率上昇、昨年の世界的なテック投資低迷なども、経済に重くのしかかった。
イスラエルのスタートアップに対する投資額は、2021年には過去最高の270億ドルに達したが、昨年はほぼ半減した。さらに、イスラエルのスタートアップ国家政策研究所によると、司法改革案とそれが引き起こしたデモに投資家が怖気づき、今年上半期のスタートアップ投資額は前年同期比で68%減少した。
テックはイスラエルの輸出の48%を占めるため、その繁栄は同国経済にとって極めて重要である。
政府のイスラエル・イノベーション庁は、戦争期間中にスタートアップの動向調査を実施した。その結果、資金調達の低迷が、従業員が予備役として招集されていることと相まって、「かなりの数のハイテク企業に困難をもたらしている」ことが判明したと、最高責任者のドロール・ビン氏は言う。
「今後数ヶ月以内に閉鎖する危機に直面している企業もある」
それでも、ヤロン総裁がイスラエル経済の回復力を強調したことには歴史的根拠がある。エルサレム・ヘブライ大学の経済学者で元中央銀行調査局長のミシェル・ストロチンスキー教授によると、中銀は2014年のガザ侵攻の戦費をGDPの0.4%、2006年のレバノン侵攻のそれを0.5%と計算しているという。
「2023年の第4四半期に大打撃があると予想している。どれほど酷い打撃かは分からないが、年率で15%縮小しても驚かない」とストロチンスキー教授は語る。しかし、戦時に抑えられていた経済活動が解放されるにつれ、「徐々に経済活動が再開するだろう」
もしこの戦争が目的を達成したら、「経済活動のリバウンドが起こるだろう。それがいつになるかは分からないが」と同教授は言う。「戦線の数によっても変わってくるだろう。しかし重要なのは戦争の長さだ
クルディスタン(イラク):原油価格の高騰で財源が膨れ上がり、政治家たちは敵意を捨て、イラクはここ数十年来の安定期を迎えるかに見えた。しかし、10月初旬に勃発したイスラエルとハマスの戦争は、このささやかな進歩を台無しにする可能性がある。
ワシントンがガザ地区のハマスに対するイスラエルの地上戦に公然と関与するようになれば、中東全域でイランが支援するさまざまな民兵が、この地域のアメリカの利益を攻撃すると脅している。これらの民兵は、すでにここ数日、イラクとシリアでアメリカ軍を受け入れている基地をロケット弾や無人機で攻撃している。
元駐米イラク大使のレンド・アル・ラヒム氏は、アラブ・センター・ワシントンDCのための分析で、次のように書いている。”わずか2週間余りの間に、イスラエルのガザに対する戦争は、イラクのムハンマド・シア・アル・スダニ首相の1年にわたるイラク外交の慎重なバランス調整とイラクの安定維持の努力を根底から覆した。”
米国は「緊急ではない」要員のイラクからの退去を命じ、脅威レベルが高まっていることから米国人にイラクへの渡航を控えるよう警告した。英国もバグダッドにある大使館から一時的に職員を引き揚げ、イラク・クルディスタンへの厳密に必要不可欠な旅行を除き、イラクへの渡航を控えるよう英国人に勧告した。
現在、推定2500人の米軍がバグダッドの承認のもとイラクに駐留し、ダーイシュとの戦いを続けるイラク軍とクルド人部隊に助言と訓練を行っている。さらに900人がシリア北東部に配備され、過激派組織残党との戦いにおいて地元のクルド人主導の部隊と提携している。
10月17日以来、米軍はイラク西部のアイン・アル・アサド空軍基地、イラク・クルディスタンのハリール飛行場、シリア南部のアル・タンフ駐屯地でロケット弾やドローンによる攻撃を受けている。21人の米軍兵士が「軽傷」を負ったが、すぐに任務を再開することができた。一方、民間人の請負業者1人が、これらの攻撃の1つで心臓に異常をきたして死亡した。
木曜日、アメリカはシリア東部でイランの強力なイスラム革命防衛隊とその現地関連組織が使用する2つの施設に対して「精密な自衛攻撃」を開始した。ロイド・オースティン米国防長官は、この攻撃は「イランに支援された民兵グループによる、イラクとシリアでの米軍兵士に対する一連の継続的で、ほとんどが失敗した攻撃」への対応だと説明した。
カタイブ・ヒズボラ、アサイブ・アフル・ハック(AAH)などを含むこれらのグループは、イスラエルがガザのハマスに対して大規模な地上戦を開始した場合、攻撃を強化すると脅している。このようなエスカレートは、イラクを再び混乱と戦争に陥れる制御不能の火種となる可能性がある。
アル・スダニ首相は、最近の在イラク米軍への攻撃を「容認できない」と非難し、国家治安部隊に犯人の追跡を命じている。
イラクにおけるイランの支援を受けた民兵の多くは、イラクの国家公認の準軍事組織である民衆動員部隊(PMF)の一部であり、その指導者の一部はアル・スダニ政権に所属している。にもかかわらず、アル・スダニ首相はこれらの武装集団をほとんど、あるいはまったくコントロールできていない。
「親イラン派がガザに直接関与すれば、アメリカとイスラエルはイラクで彼らに報復するだろう」と彼(アル・スダニ首相)が警告したという報道がある。「それ以外には、彼は彼らを拘束する力がない」
実際、イスラエルとハマスの戦争が始まった直後、PMFの大部分を構成するイランと結びついたバドル組織のリーダーであるイラクの政治家ハディ・アル・アミリ氏はこう言った: 「もし彼ら(アメリカ)が介入してきたら、われわれも介入するだろう。
リスク情報会社RANEの中東・北アフリカ上級アナリストであるライアン・ボール氏は、大規模なエスカレーションが起きた場合、アル・スダニ政権はバグダッドではなくテヘランとワシントンが「地上での出来事を動かす」ことになり、「大部分は傍観者になる」と同様に考えている。
「イラクの外交戦略は、イスラエルやアメリカに対して非常に批判的であり続けるだろう」
イラクで親イラン派と衝突を繰り返してきたシーア派の有力者であり民兵組織の指導者の一人がムクタダ・アル・サドル師である。アナリストたちは、アル・サドル師が現在の危機を利用して政界に復帰し、イランに支援されているライバルたちに挑戦しようとしているのではないかと見ている。
ウイング氏によれば、アル・サドル師もイラクの他の政治指導者と同様、ガザの危機を「利用することを望んでいる」という。実際、彼がここ数日に組織した街頭抗議行動は、12月の選挙を前にした選挙運動の始まりを意味する可能性がある。
ボール氏は、アル・サドル師がこの危機を “少なくともわずかな政治的利益 “のために利用する可能性が高いという意見に同意する。しかし、そもそも「彼を追い出した要因」はイスラエル・パレスチナ紛争とは無関係であるため、この問題によってアル・サドル師が政界に復帰するかどうかはわからないという。
「一方で、イラクを巻き込むような大規模な地域的エスカレーションが起きた場合、アル・サドル師は、シーア派政治家の指導力を期待される一人となる可能性がある」
より広範な紛争のリスクはかなりある。ウイング氏によれば、ガザで地上戦が始まった場合、イラクの一部のグループはすでに「現在進行中の攻撃をエスカレートさせる」ことを話し合っているという。そのようなエスカレーションは、バグダッドの「アメリカ大使館へのロケット攻撃やドローン攻撃を意味するだろう」と彼は予測する。
「この紛争に直接関与するかどうかについては、各派で意見が分かれていると読んでいる。もし参戦するとすれば、レバノンのヒズボラであり、ガザのハマスではない」
ボール氏は、イスラエルによるガザへの地上侵攻がイラクの重大な不安定化につながるという「可能性」は残るものの、「考慮すべき要因は別にある」と考えている。
「このような民兵がアメリカに対してエスカレートしすぎれば、イランとその代理勢力に対するアメリカの地域的な反応を引き起こす可能性があり、それはイランにとって得策ではない」
「大きな犠牲者を出すような大規模な攻撃よりも、嫌がらせや単発的な攻撃を行うだろうと私は予想している」
より広範な紛争のリスクはかなりある。ウイング氏によれば、ガザで地上戦が始まった場合、イラクの一部のグループはすでに「現在進行中の攻撃をエスカレートさせる」ことを話し合っているという。そのようなエスカレーションは、バグダッドの「アメリカ大使館へのロケット攻撃やドローン攻撃を意味するだろう」と彼は予測する。
「この紛争に直接関与するかどうかについては、各派で意見が分かれていると読んでいる。もし参戦するとすれば、レバノンのヒズボラであり、ガザのハマスではない」
ボール氏は、イスラエルによるガザへの地上侵攻がイラクの重大な不安定化につながるという「可能性」は残るものの、「考慮すべき要因は別にある」と考えている。
「このような民兵がアメリカに対してエスカレートしすぎれば、イランとその代理勢力に対するアメリカの地域的な反応を引き起こす可能性があり、それはイランにとって得策ではない」
「大きな犠牲者を出すような大規模な攻撃よりも、嫌がらせや単発的な攻撃を行うだろうと私は予想している」
2021年2月、イラク・クルディスタンのエルビル国際空港にある米軍基地を狙った民兵のロケット攻撃により、民間人の契約社員が死亡した。アメリカはイラクではなくシリアでイランが支援する民兵に報復したが、これは一触即発の銃撃戦によってイラク情勢が不安定化するのを避けるためだったようだ。
木曜日のシリアでの報復攻撃の目的がそれであったのか、あるいはアメリカが将来イラク国内での報復を検討するのかは不明である。
「攻撃された場所やアメリカ人の死傷者の性質など、状況次第だと思います」とウイング氏は言う。「米兵の死者が出れば出るほど、ワシントンの反応は大きくなる。
多くのアメリカ人が殺されれば、シリアとイラク全土でアメリカの報復攻撃が予想される。「もし1人か2人が殺されれば、アメリカはおそらくイラクのある派閥の弾薬庫を攻撃するでしょう」
ボール氏はまた、今後のアメリカの報復攻撃は、地域全体のイランの代理勢力を標的にした「包括的なキャンペーン」ではなく、「攻撃の起点に焦点を絞った比例的なもの」にとどまるだろうと考えている。
「しかし、イランが地域全体のエスカレーションを準備していると米国が判断すれば、この状況は一変するでしょう」
イラクの元外交官でアナリストのアル・ラヒム氏は、将来を見据えてこう語る: 「確かなことは、イラクにおける強硬派の勢力が再び強まったことで、イラクの内政や外交政策に対するイランの干渉が強まるということだ。
彼女は、テヘランの地域的な計算が、「イラクの同盟勢力の好戦の範囲を決定し、アル=スダニ首相とその政府に対する圧力を強めることになる」と予想している。
ロンドン:アラブ首長国連邦(UAE)のシェイク・アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン外相は30日、アブダビで英国のジェームズ・クレバリー外相と会談し、現在の中東情勢について意見交換を行ったと、エミレーツ通信社(WAM)が報じた。
両外相らは、ガザ地区で発生している暴力行為を鎮め、民間人を保護し、封鎖された同地区へ人道支援を継続的に届けるための国際的な取り組みについて話し合った。
また、地域および世界が協力を図り、被害に遭っている民間人らのニーズに応えることの重要性を強調した。
シェイク・アブダッラー外相は、国際社会が過激思想に歯止めをかけ、この地域で暴力行為がエスカレートしないよう取り組みを強化していくことが重要だと語った。
両外相はまた、両国間の経済・貿易における協力関係や、様々な分野での深い結びつきにも注目した。
この会談には、UAEのリーム・ビント・イブラヒム・アル・ハーシミー国際協力担当国務大臣とアブドラ・ビン・トウク・アル・マリ経済大臣が同席した。
イスラエル軍の戦闘機がレバノン南部のヒズボラの拠点を攻撃したと、イスラエル軍がソーシャルメディアXへの投稿で発表した。
31日に公開された動画には、(イスラエルがレバノンにおけるヒズボラの武器、駐屯地、拠点だと主張する)ヒズボラのインフラに一連のミサイルが着弾する様子が映っていた。
今回の攻撃は、ヒズボラが30日にイスラエル軍への一連の攻撃を実行したと主張した後に行われた。
レバノンのナジーブ・ミカティ暫定首相は30日、レバノン政府がイランの支援を受けるヒズボラに対してほとんど影響力を持っていないにもかかわらず、自国が戦争に陥るのを防ぐために可能な限りのことをしていると述べた。
米軍は31日、爆撃機「B1B」をトルコ南部の空軍基地に派遣したと発表した。強力な戦力を誇示し、イランや親イラン武装勢力を抑止して中東地域の緊張拡大を防ぐ狙いがある。
在欧米軍は31日の声明で、英国に配置していた複数のB1Bがトルコ南部のインジルリク空軍基地で給油したと説明した。「世界中に米国の空軍戦力を展開できると示すものだ」と指摘し、即応力をアピールした。
インジルリク空軍基地はシリア国境に近く、爆撃機派遣は同国やイラクで駐留米軍への攻撃が相次いでいることに対応したとみられる。米軍は過去に同基地を拠点としてシリアなどで過激派組織「イスラム国」(IS)に対する空爆を実施した。
米国防総省のライダー報道官は31日の記者会見で、シリアとイラク駐留米軍への攻撃は最近2週間で27回にのぼったと明らかにした。バイデン政権は、イランから武器や財政面の支援を受ける武装勢力が実行犯とみている。
ライダー氏は米本土から米兵300人を中東地域に増派するとも言及した。「地域における抑止力強化の取り組みを支えて米軍の防衛能力を一段と高める」と話した。爆発物処理や通信などの任務を担う。
米国はパレスチナ自治区ガザへの人道支援を急ぐ。ブリンケン米国務長官は31日、上院歳出委員会の公聴会で1日あたりの物資搬入に関し、週内にトラック100台分へ増やせるように取り組んでいると証言した。水や食料、医療品などを届ける。
国連は1日あたり少なくともトラック100台分の援助が必要だと指摘してきた。イスラエル軍がガザでの地上作戦を拡大させており、ガザで深刻な人道危機が起きるリスクがある。
ブリンケン氏は「イスラエルや米国のような民主主義国は可能なかぎり民間人を傷つけず、支援を必要とする人たちを気遣う責任がある」と明言した。軍事作戦を続けるイスラエル軍に対し、民間人の被害を避けるよう重ねて求める考えを示した
ドバイ:クウェートのシェイク・ナワフ・アル・アフマド・アル・ジャベール・アル・サバーハ皇太子は、ガザ地域のパレスチニア人に対するイスラエルの攻撃を非難し、改めて即時停戦を呼びかけた。
皇太子は、国民議会の第17会期第2セッションの冒頭でこう述べた。「クウェート国の指導者、人民、国民議会および政府は、パレスチナの領土、特にガザ地域で起きている凄惨なできごとを注視しており、イスラエルの残忍な攻撃を弾劾する」
また皇太子は、「我々はパレスチナ問題に対するクウェートの強固な立場をここに明確にし、停戦と、人道・救援物資の通過を求める」と述べた。
皇太子はさらに、クウェートは「パレスチナ問題への国際法に則った正当かつ完全な解決」のためのあらゆる努力を支持すると語った。
リヤド:サウジアラビアのハーリド・ビン・サルマン王子国防相は月曜日、米国高官との会談で、ガザにおける即時停戦の必要性を強調した。
イスラエルがハマスに対して大規模な軍事作戦を展開しているため、パレスチナの飛び地の人道状況が悪化している中での呼びかけである。
米国の国家安全保障担当大統領補佐官であるジェイク・サリバン氏と会談したハーリド王子は、戦闘の停止を求める王国の要請を再確認した。
「私は、ガザでの即時停戦の必要性、市民の保護、人道援助の許可、和平プロセスの再開を強調した」とハーリド王子は会談後、Xに記した。
ホワイトハウスが発表した報告書によると、二人は「ガザの人々への人道支援を増やす緊急の必要性」を確認し、パレスチナ人とイスラエル人の間に持続可能な和平を見出す必要性を強調し、ここ数カ月にわたるサウジとアメリカの努力を土台にするという。
イスラエル軍は週末、戦闘停止を求める声が強まる中、空からの援護を受けて地上部隊をガザに移動させ始めた。テルアビブは、ハマスがイスラエル国内で多角的な攻撃を行い、民間人を中心に1400人以上が死亡したことを受け、ハマスの壊滅を宣言した。イスラエルは数週間にわたり、人口の多いガザ地区を砲撃し、民間人を中心に8000人以上の死者を出した。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子とジョー・バイデン大統領は先週、パレスチナの飛び地における状況について電話会談を行った。皇太子は米国に対し、罪のない人々の命を奪ったイスラエルの軍事作戦を停止させる方法を協議するために直ちに取り組むよう求めた。
ハーリド王子とサリバン氏はまた、”いかなる国家や非国家主体が紛争を拡大しようとすることを抑止することの重要性”を確認した”。
サリバン補佐官は、月曜日に米国の首都に到着したハーリド王子とその随行団を歓迎し、「何十年もの間、地域の安定と抑止力の礎石として機能してきた米国とサウジアラビアの防衛パートナーシップを強化するための継続的な努力」について話し合った。
イエメンについてハーリド王子は、「我々はまた、危機を終結させ和平を達成するためのイエメンにおける王国の努力についても話し合った」と記した。また、ホワイトハウスは次のように述べた: 「サリバン氏は、過去1年半にわたる紛争の大幅な緩和を歓迎し、戦争を完全に終結させるためのサウジ主導の努力を支持した」
米国務省のミラー報道官は31日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザから米国人を含む外国人を安全に退避させるための交渉が、過去数時間で「かなり進展」したと明らかにした。
ただ、この日は何も発表することはないと述べた。
米国はイスラエルがガザへの攻撃を激化させたことを受け、ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所から米国人が退避できるよう、エジプトやカタールと協議してきた。
ミラー氏は、ガザから個人の退避を認める何らかの合意がまとまれば、米国人など外国人の退避につながる可能性があると期待感を示した。
一方、ブリンケン米国務長官は上院歳出委員会公聴会で、約400人の米市民とその家族の計1000人程度がガザからの脱出を望んでいると述べた。
「ガザからの退避を可能にするためにさまざまな相手と交渉している。ハマスが明らかに障害になっている」とし、米国人以外の外国人約5000人も脱出を望んでいると語った。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は31日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃を非難した。同時に、イスラエルによるガザでの軍事行動について、国際法を尊重する必要があるという認識を示した。
ストルテンベルグ事務総長は北欧諸国議員ら向けの演説で「ハマスによるイスラエルに対するテロ攻撃を非難する」と言明。同時に「イスラエルの対応が国際法の範囲内で行われるとともに、民間人の命が守られ、人道支援がガザに届くことが重要」と強調した。
さらに、イスラエル軍とハマスの衝突がより広範な地域紛争に拡大することを警告し、「イランやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどは現状を利用してはならない」とけん制。さらに「ここ数週間の苦しみは、紛争の平和的かつ政治的解決に向けた努力をあきらめてはならないことを思い出させた」と述べた。
米大統領選の激戦州のアラブ系米国人有権者の間で、2024年大統領選で再選を目指す現職のバイデン大統領への支持率が急低下していることが、最新の調査から分かった。
イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ治区ガザに対するイスラエル軍の攻撃に支持を表明したバイデン大統領への怒りが募っている様子が浮き彫りとなった。
アラブ系米国人協会が委託した調査によると、アラブ系米国人のバイデン氏への支持は17%と、2020年時点の59%から大幅に落ち込んだ。実際、支持率はすでに低下傾向にあり、今回のガザ危機前の時点で35%となっていた。
さらに、32%が自身を共和党支持者、31%が無党派と回答。アラブ系米国人の過半数が民主党支持ではないとする回答は、調査が始まった1997年以来初めて。
また、40%が23年大統領選で共和党候補指名争いで首位を走るトランプ前大統領に投票すると回答。20年調査時から5%ポイント上昇した。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの軍事部門報道官は31日、人質として拘束している多数の外国人を数日以内に解放する方針を仲介者に伝えたと発表した。テレグラムに投稿した動画で明らかにした。
解放される人質の人数や国籍など詳細は明らかにしていない。
さらに、3つの前線でイスラエルと衝突し、「多数のイスラエル兵士を殺傷」したほか、軍事車両22台を破壊したと述べた。水中ミサイルを使用したとも明らかにした。
ロイターは独自にこの主張を確認できていない。
イスラエル国防軍はハマスが主張する攻撃について認識していないとしている。
ブリンケン米国務長官は11月3日にイスラエルを訪問し、現地の政府関係者と会談する。その後、中東の他の地域も訪問する。国務省報道官が31日、明らかにした。
<10月31日朝まで>
イスラエルと敵対するイスラム教シーア派組織ヒズボラを抱えるレバノンは、4年前の金融危機以来、経済が破綻し、国家が崩壊状態に陥っている。このためヒズボラとイスラエルが戦争状態に陥れば、持ちこたえることは不可能だ。
関係筋によると、イランの影響下にあるヒズボラはこうしたレバノンの危機的状況を承知しており、この点を念頭に置きつつ、対イスラエル戦における次の一手を練っている。
ヒズボラの盟友ハマスとイスラエルとの戦争の波紋が中東全域に広がる中、ヒズボラとイスラエルが戦争に陥るリスクは2006年の前回の大規模な紛争以降、最も高い状態が続く。
中東情勢に詳しい専門家によると、レバノンから200キロの位置にあるガザ地区でハマスが窮地に陥った場合、ヒズボラが動きをエスカレートさせる可能性があり、レバノンの指導者はイスラエルがヒズボラとの大規模な紛争に突入するのではないかと不安を抱いている。
イスラエルはヒズボラに対し、ヒズボラが戦線を開けばレバノンに「壊滅的な打撃 」を与えると警告している。既に1975─90年の内戦以来、最も不安定な局面にあるレバノンにとって、いかなる戦争も大きな代償を伴う。
ヒズボラの内情に詳しい関係筋は「ヒズボラは戦争に熱心ではないし、レバノンもそうだ」と明かした。レバノンからは既に数千人が国外に脱出しており、ヒズボラはこれ以上の国土の破壊や国民の流出を望んでいない。
レバノンは財源が枯渇しており、復興費用を誰が負担するのかも疑問だ。レバノンにおけるヒズボラの影響力の大きさを考えると、06年に復興資金を提供したスンニ派の湾岸アラブ諸国が今回も急ぎ支援に動くかどうか疑わしいとの声もある。
関係筋によると、ハマスとイスラエルの戦闘開始以来、27日までにヒズボラの戦闘員47人が死亡しているが、それでも国境付近での衝突は今のところ大規模戦闘へのエスカレートを避けるように調整されている。
ただ、ヒズボラはイスラエルと米国に対抗するイランの支援を受けたグループの急先鋒としての立場を背景に、戦争に乗り出す用意があることも表明している。
レバノンの政治家は、ヒズボラに戦闘を激化しないよう働き掛けているが、ほぼ影響力はない。
<代償払わせる>
イスラエルのヘルツォグ大統領は、イスラエルは北部国境での対立を望んでいないが「ヒズボラがわれわれを戦争に引きずり込めば、レバノンがその代償を払うことになるのは明白だ」とくぎを刺した。
ヒズボラと関係の深いキリスト教政治家スレイマン・フランギエ氏は25日、ヒズボラは戦争を望んでいないと述べ、もし、望んでいたならハマスがイスラエルを奇襲した7日にイスラエルを襲撃していたはずだとした。
あるレバノン高官は、複数の国の政府が緊張を和らげるためにレバノンに接触してきたと語った。そうした政府には「われわれにヒズボラを抑えろと言う代わりに、イスラエルにエスカレートを避けるなと圧力をかけるべきだと伝えている」という。
レバノンは独立以来、安定した時期がほとんどない。1978年と82年のイスラエルによる侵攻など戦争に耐えてきた同国にとって、この数年は特に困難な時期だった。
数十年にわたる与党政治家の汚職と政策ミスにより、2019年には金融システムが崩壊。外貨準備が払底し、通貨は暴落、貧困に拍車がかかった。
さらに翌年、首都ベイルートの港湾で起きた化学薬品の大爆発で壊滅的な被害が発生した。ヒズボラがこの事件を巡る捜査を妨害し、緊張状態が激しい暴力につながった。
国家はかろうじて機能しているが、派閥争いのため大統領は不在で、完全な権限を備えた行政機構もない。地元紙アンナハルのナビル・ブーモンセフ副編集長は、レバノンには危機を管理できる政府がないと指摘。「本当に恐ろしいシナリオに直面することになる。インフラが破壊され、経済回復の見通しが立たなくなる」と戦争拡大に懸念を示した。
2006年、ヒズボラがイスラエル兵2人を拉致したことに端を発する戦争では復興に何年も要した。この戦争の後、ヒズボラの指導者であるサイエド・ハッサン・ナスララ氏は、ヒズボラは戦争を予期しておらず、もし、このような紛争につながると知っていたら作戦を実行しなかっただろうと述懐した。
<ヒズボラが主導権>
それから17年、ヒズボラの攻撃力は大幅に拡充され、レバノン国内でのパワーバランスはヒズボラ有利な形で固定されている。
強硬な反ヒズボラ政党、レバノン軍団党のガッサン・ハスバニ氏は「ヒズボラが主導権を握っている。全く容認できない」と述べた。「レバノンがヒズボラによって破壊的な対立に引きずり込まれることに深刻な懸念がある。社会的・経済的状況は脆弱で、これ以上、不安定な状態が続くことには耐えられない」と述べた。
カーネギー中東センターのモハナド・ハゲ・アリ氏は、ヒズボラは戦争後に復興資金が調達できるか否かを真剣に考えるだろうと予測する。湾岸アラブ諸国が支援に動くか、イランがどれだけの資金を提供できるかなど、疑問があるからだ。
「復興しなければ、ヒズボラは間違いなく政治的な代償を払わされる。そうなれば人々は疑問を口にし、怒りが広がるだろう」と同氏は語った。
イスラエル首相、「ハマスとの停戦ない」 掃討計画推進を表明
イスラエルのネタニヤフ首相は30日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの停戦はないと言明し、ハマスを掃討する計画を推進すると表明した。
ネタニヤフ首相は記者会見で、いかなる戦争にも意図せぬ民間人の犠牲はあり得ると述べたほか、ハマスを実効支配するガザへの攻撃を「文明と蛮行」の戦いと呼び、同盟国にイスラエルを支援するよう要請した。
また、会見に同席したダーマー戦略相は、ハマスとの戦いにおけるイスラエルとアメリカの協調は「史上前例がない」としたほか、ロシアとの関係は複雑という認識を示した。 イスラエルのシャハール在ジュネーブ国連大使は30日、イスラエルは国連に「失望させられた」と述べた。国連機関の指導部は、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの攻撃や増大する反ユダヤ主義を十分に非難していないという認識を示した。
シャハール氏は記者団に対し、国連機関の指導部の一角は、1400人が殺害され、200人以上が人質に取られたハマスによる7日のテロ攻撃を非難していないとし、「総じて国連はイスラエル市民を失望させたと言わざるを得ない」と語った。
シャハール氏の発言は、世界保健機関のテドロス事務局長が、ガザ市民の犠牲に懸念を表明したことに言及しているとみられる。
先週には、グテレス国連事務総長がイスラエルとハマスの戦闘が続くガザでの「明白な国際人道法違反」に対する懸念を表明し、民間人の保護を訴えたことを受け、イスラエルのエルダン国連大使は「衝撃的」とし、グテレス氏の辞任を求めた。
ガザ危機、西側に責任 米は世界的混乱が必要=プーチン氏
ロシアのプーチン大統領は30日、安全保障会議当局者らとの会議で、中東危機の責任は西側にあり、米国は世界的な混乱を必要としていると主張した。
プーチン大統領とはテレビ放映された会議で「米国の支配的なエリート」とその「衛星国」がイスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザでの殺害や、ウクライナのほか、アフガニスタン、イラク、シリア情勢の背後にいるという認識を表明。「米国は中東の絶え間ない混乱を必要としているため、ガザ地区での即時停戦を主張し、危機の解決に真の貢献をしようとする国々の信用を失墜させることに全力を尽くしている」と述べた。
その上で、中東危機の原因になっている米国の影の勢力と、ロシアはウクライナの戦場で戦っているとし、「パレスチナはこの悲劇の背後にいる者と戦うことによってのみ救われる。ロシアは、われわれ自身のほか、真の自由を求める人々のために、『特別軍事作戦』を通して彼らと戦っている」と語った。
プーチン氏はこのほか、ロシア南部ダゲスタン共和国の首都マハチカラで29日、数百人の反イスラエルのデモ隊が空港の滑走路に侵入し、イスラエルから到着した飛行機を襲撃しようとした事件について、西側諸国の情報機関やウクライナが手助けしていると非難。マハチカラで起きたことは、西側情報機関のエージェントによって触発されたと述べた。ただ、証拠は示さなかった。
イスラエル軍、ガザで「計画に従い徐々に前進」=報道官
イスラエル軍のハガリ報道官は30日の定例会見で、イスラエル軍はガザ地区内で「計画にしたがい徐々に前進している」と述べた。 ガザの武装勢力を一晩で数十人殺害したと明らかにした。
イスラエル軍の戦車がガザの幹線道路を進んでいるように見える画像がソーシャルメディアに投稿されたが、地上部隊の位置を確認することは避けた。
イスラエルとハマスの紛争、拡大望まず=イラン外相
イランのアブドラヒアン外相は29日、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が拡大しないことを望むと述べた。
同相はCNNで「この戦争を拡大させたくない」と発言。今月7日のハマスによる対イスラエル攻撃にイランが直接関与したとの見方を「根拠がない」と否定した。
米軍と連合軍がイラクとシリアでイランの支援を受ける勢力を攻撃したことについては、たとえ米国の拠点が標的になったとしても証拠もなくイランとのつながりを指摘するのは「完全に間違っている」と主張。
現地の人々は怒りを感じているとし、「彼らは私たちから命令を受けているわけではない。自分たちの利益に従って行動している。またハマスによって実行されたことは、完全にパレスチナ人によるものだ」と述べた。
イスラエルとハマス、カタール仲介で交渉継続=関係筋
イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突を巡り、中東のカタールが仲介役として進める交渉は28日も続いた。関係筋がロイターに明らかにした。
交渉は決裂していないが、情勢が緊迫化する前の27日夜よりも「はるかに遅いペース」で行われているという。
カタールは和平を促進し、イスラム組織ハマスや他の武装組織がガザで拘束している200人以上の人質を解放するため、ハマス幹部やイスラエルと対話し、約3週間にわたり水面下で交渉してきた。
先週には米国人2人とイスラエルの高齢女性2人の解放を実現した。
カタールは中東湾岸の小国だが、野心的な外交政策目標を掲げており、エネルギー資源が豊富な投資大国。ハマスはドーハに事務所を構えており、カタール当局者はハマスと直接接触している。
ネタニヤフ政権の即時退陣要求=モービルアイCEO
自動運転技術を手がけるイスラエルのモービルアイ(MBLY.O)のアムノン・シャシュア最高経営責任者(CEO)は29日、地元金融紙カルカリストへの寄稿で、ネタニヤフ首相と政権の即時退陣を求めた。
民間セクターの有力者から公然と政権批判が飛び出したことで、ネタニヤフ氏への逆風が強まる可能性もある。
シャシュア氏は、ネタニヤフ政権が、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスから7日に奇襲攻撃を受けて以来、数々の失敗や足並みの乱れ、無能さを露呈した罪は重いと糾弾した。
さらに「われわれは、迅速に『損切り』をしなければならない。イスラエルが現在置かれている状況を打開する唯一の道は政権交代で、今すぐ行われるべきだ」と訴えた。
シャシュア氏によると、ネタニヤフ政権は国益よりも自分たちの政治的な延命に関心が向いている様子で、今の国会議席の枠組みでも新たな連立を形成し、選挙を経ず混乱を最小限に抑える形での交代は可能だという。
ネタニヤフ氏は、ハマスによる攻撃を事前に察知できなかったとして治安機関幹部をX(旧ツイッター)で批判した後、戦時内閣メンバーから投稿内容を追及されると「間違っていた」と謝罪する騒動も起こしている。
カタール、自国内のハマス拠点について再考の余地=米高官
カタールは自国内にイスラム組織ハマスが拠点を構えていることについて、ハマスがガザで拘束している人質の解放という形で一連の危機が収束した後、考え直す余地があると米国に伝えたことが27日、米高官の話で明らかになった。
ワシントン・ポスト紙が最初に報じた。ブリンケン米国務長官が今月、ドーハでカタールのタミム首長と会談した際に伝えられたという。
この報道に対してカタールの当局者は27日、取材に応じなかった。
ハマスは2012年にカタールに事務所を開設。ハマスが拘束している200人余りの人質の解放へ向けたハマスとイスラエル間の交渉では、カタールが米国と協力しながら仲介役を担ってきた。
一方米議会では、カタールが国内にハマスの拠点を抱えていることなどを巡って批判の声も出ている。
カタールのムハンマド首相兼外相は25日、人質解放へ向けた交渉は進展しており、早期に事態が打開されることを期待していると表明した。
ガザ攻撃への抗議デモ、世界各地で ロンドンでは数万人参加
イスラエルによるガザ攻撃に抗議するデモが28日、欧州や中東、アジアの各都市で行われた。
英ロンドンではスナク首相に停戦支持を訴え市民がデモ行進し、警察によると5万─7万人が参加した。
デンマークのコペンハーゲンやイタリアのローマ、スウェーデンのストックホルムでもデモが行われた。
ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスは10月7日、イスラエル南部を攻撃。イスラエルによると、これまでに約1400人が死亡し、その大半が民間人という。
一方、パレスチナ保健当局は28日、ガザの死者は7650人に達したと発表。大半が民間人という。
ハマスの攻撃を受けたイスラエルに対し、欧米諸国の政府や多くの市民は支持する姿勢を示しているいが、怒りも広がり、特にアラブ諸国からは強い反発が出ている。
マレーシアでは首都クアラルンプールのアメリカ大使館前で大勢のデモ隊がスローガンを叫んだ。
トルコのエルドアン大統領はイスタンブールの大規模集会で数十万人の支持者を前に、イスラエルが占領者であり、ハマスはテロ組織ではないとの考えを改めて示した。
ヨーロッパと中東での戦争の中で大きくなるアラブ世界の声
ドイツは先週、ウクライナに14億ユーロ(14億8000万ドル)の「冬季支援」の追加を約束した。オラフ・ショルツ首相は、ウクライナに対するドイツ政府の援助が、ハマスとの紛争におけるイスラエルへの支援によって影響を受けることはないと強調した。しかし、これまでのところ、ハマスとイスラエルの戦争がウクライナの戦争に与えた影響をどのように評価すればよいのだろうか。とりわけ、エネルギーと資源を振り向ける際、イスラエルとウクライナのどちらかを選ばなければならない可能性のある西側諸国がキエフに送っている財政、外交、軍事援助に(もし影響があるとすれば)どのような影響を及ぼすのだろうか。
さらに、イスラエルとハマスの戦争に対するロシアの対応の背後にある潜在的な目的は何であろうか。先週、ハマスの代表団を受け入れたことからもわかるように、ロシアはイスラエルとハマスの間でバランスを取るという立場から遠ざかっているように見える。これはイスラム世界に対するロシアの地政学的な動きの一環なのか、それとも単に西側から最も遠い側を支援するためなのか。最後に、より広いスケールで見るならば、多極化する世界秩序の中で、イスラエルとハマスの戦争は何を意味するのだろうか。
10月7日のハマスの攻撃を受けて、西側がウクライナへの資源提供(特に軍事・財政援助)を中止するのではないかという一部の外交官や当局者の懸念にもかかわらず、依然としてウクライナ戦争は西側の安全保障にとって重要な優先事項となっている。
10月20日、アメリカのジョー・バイデン大統領はアメリカ国民に対し、ウクライナとイスラエルというまったく異なる2つの戦争への支援を強めることを含む政権の優先事項を述べた。バイデン大統領は、「これらの紛争は遠くにあるように見えるかもしれないが、アメリカの国家安全保障にとって不可欠なもの」であることに変わりはないと述べた。同大統領はアメリカ議会に対し、イスラエルとウクライナへの軍事・人道支援を含む1050億ドルの支援を要請している。
一方、先週2日間にわたって開催されたEU首脳会議では、ウクライナに対する500億ユーロの財政支援と200億ユーロの軍事支援の複数年計画は、より大きな予算計画の一部であるため、EUは署名できないことが確認された。それでも、EU首脳はガザへの爆撃を一時停止し、同地域への人道支援を行うよう求めた。
国家レベルでは、各国が様々なアプローチをとっている。ドイツは、ウクライナへの冬季援助の約束に加え、国内でのハマスの取り締まりなど、軍事援助と外交力の両面からイスラエルを支援することを約束した。ショルツ首相は、イスラエルの安全保障に対するドイツの歴史的責任を強調した。一方、スロバキアとハンガリーは、ウクライナへの軍事援助はEUの結束を崩すと警告している。ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相の 「陣営 」に、新たに選出されたスロバキアのロベルト・フィツォ首相が加わり、ウクライナへのさらなる軍事援助や対ロシア制裁には賛同しないと表明した。
一方、ロシア政府はハマスの代表団を歓迎し、ガザにいるロシア人やその他の外国人の人質解放について話し合った。ハマスの上級政治指導者であるMousa Abu Marzook氏が率いる代表団は、ロシアのミハイル・ボグダノフ外務副大臣と会談した。ロシア政府は当初、戦闘に対して慎重な反応を示し、両陣営のバランスを取っていたが、今回の訪問は、ロシアがこの戦争でハマス側に回ったと見られている。また、ウラジーミル・プーチン大統領は、イスラエルによるガザへの地上侵攻が、より広範な地域紛争につながる可能性があることを強調し、「我々の主な任務は流血と暴力を止めることだ……そうでなければ、危機のさらなる拡大は重大かつ極めて危険な破滅的結果を招く。中東地域にとってだけではない。中東の国境をはるかに越えて波及する可能性がある」と述べた。
ソーシャルメディア上では、ロシアの立場は 「冷戦型 」と分類されており、西側諸国のイスラエル支援に対抗してソ連がパレスチナの大義を支援していた時代をほのめかしているが、これは確かに現在の現実にも当てはまる。しかし同時に、ロシア政府の考えには別の説明もある。例えば、ウクライナとの戦争に対するイスラム世界の反応は、外交上極めて重要であり、非常に高く評価されていることがあげられる。
ロシア政府の対東方政策は、中国、インド、その他の諸国との「制限のない」パートナーシップの拡大とも連動して理解することができ、その中にはイスラム世界の重要性の高まりも含まれている。特にウクライナ戦争が始まって以来、「ロシアのムスリム」とも呼べる、中東と連携するロシア人のグループは、ロシアの外交政策におけるイスラム世界の役割を高く評価している。ロシア政府は昨年来、このアイデンティティ要素を積極的に統合し、利用してきた。言い換えれば、ハマスに対するロシア政府の立場は、こうした対外政策の物語と合致している。最後に、イランは歴史的にハマスに肩入れしており、ロシアとイランの軍事・防衛パートナーシップが高まる中、今回の動きはそうした協力関係の進展にとって重要な意味を持つことを指摘しておく。
同時に、ハマスとイスラエルの戦争は、いわゆる多極的な世界秩序に関する議論を形成している。中東における外部勢力の継続的な役割と、地域の主体の世界的な重要性を示しているからである。例えば、イスラエルへの攻撃以来、武装組織ハマスが拘束している200人以上の人質の運命をめぐる協議において、カタールが重要な仲介役として浮上していると報じられている。
一方、トルコのハカン・フィダン外相は先週、アラブ首長国連邦とカタールを訪問し、トルコが仲介役を務める可能性を高めた。さらにトルコとカタールは、特にこの紛争に対する西側諸国の「二重基準」を非難している。ヨルダンのラーニア王妃も、イスラエルによるガザ空爆に対する西側諸国の「沈黙」を非難し、「目に余る二重基準だ」と強調した。
これらはすべて、アラブの指導者たちがこの地域の出来事に対して慎重な反応を示していることを示唆しているかもしれないが、同時に、日々大きくなりつつあるアラブの指導者らの独立した声を反映したものであり、やがては多極化する世界秩序の構図を形成し、中期的には地域主体が重要な位置を占めることになるかもしれない。
結論として、ハマスとイスラエルの戦争は、ウクライナに対する財政的、外交的、軍事的支援に関する西側の優先順位に明確な変化をもたらすには至っていない。ウクライナは依然として重要であり、先週のアルハンゲリスク地方でのロシアの弾道ミサイル発射実験は、この見方に重みを加えている。つまり、ウクライナ戦争は、主要な主体であるロシアとウクライナに加えて、西側諸国にとっても重要な優先事項であり続けることが予想される。
一方、アラブ諸国の声が日増しに大きくなっているため、ロシア政府のハマスへの対応はイスラム世界との関係にプラスに働くかもしれない。中東での紛争が東欧で起きている事態を覆い隠すことはないだろうが、それがどのように展開するかは、当面のロシアの外交努力にも、長期的な世界政治の形にも影響を及ぼすだろう。
フランクリー・スピーキング: イスラエルに自衛権はあるのか?
ドバイ:占領下にあるパレスチナ領の国連特別報告者によると、イスラエルは占領国であるため、同国が主張しているガザ地区における自衛権はないという。
2022年5月から3年の任期で国連特別報告者に任命されたフランチェスカ・アルバネーゼ氏は、10月7日にハマスが起こした多方面からの攻撃へのイスラエルの軍事対応は、自国の領土と国民を守るという域を単純に超えていると考えている。
「国連憲章51条の下でイスラエルが行使した自衛権は非常に明確なものです。これは国家に対し、他国家からの攻撃を撃退する権利を認めるものです。つまり、攻撃を撃退するために必要とされる行動は、相手の攻撃の強度と規模に基づくものでなければなりません。そしてそれは、比例的なものでなければならないのです」アルバネーゼ氏はアラブニュースの時事問題番組「フランクリー・スピーキング」でそう述べた。
アルバネーゼ氏は次のように続けた。「国際司法裁判所の法学には、軍事占領の文脈において自衛権は適用できないとあります。つまりこの件で言えばイスラエルは他国、他の人々を占領下に置いているため自衛権を持たないということになります」
「比例的」な対応という言葉の文脈について同氏は、「イスラエルは24、ないし30時間で自国の領土のコントロールを取り戻しました。つまりその時点で、自国領土の自衛権――もし自衛を適用するなら、ということですが――は失われたことになります」
さらにアルバネーゼ氏は続ける。「これは、イスラエルがハマスの攻撃を受けて受動的に放置しなければならなかったという意味なのかといえば、そうではありません。先程申し上げたように、イスラエル市民の安全確保と、ハマスの軍事的プレゼンスの撃退は行う必要がありました。そしてそれは実行されたのです」
イスラエルが軍事作戦を激化させ犠牲者が急増し、230万人のパレスチナ人の命運が不確かな状況にあるなか、イタリアの学者で国際人権弁護士のアルバネーゼ氏が、この紛争の根本に働いている力学、民間人に対する戦争犯罪で起訴される者はいるのか、そして国連が再びパレスチナの人々を失望させたのかを語った。
10月7日、ハマスがガザ地区からイスラエル領にロケット弾を発射したことで戦闘が勃発し、その後ハマスは国境を越えてイスラエルに侵入し、国境付近の街、キブツ、音楽フェスティバルで民間人および軍人を殺害した。
数百人のイスラエル市民および兵士、さらに他国からイスラエルを訪れていた多数の人々がガザ地区に連行され、人質となっている。
ハマス戦闘員の領地を一掃した後、イスラエルは武装組織ハマスに対して正式に宣戦布告し、ガザ地区で報復作戦を開始した。
アルバネーゼ氏によると、イスラエルが軍事目標を明言せずにガザ地区全体を爆撃していることは、重要な問いを浮かび上がらせているという。「明確な軍事目標としては、ハマスの戦闘能力解体があり得るでしょう。その可能性はありますが、そう言語化されていないのです。目的はそこにはないのです」アルバネーゼ氏はそう話す。
「彼らの意図は、ハマスの完全な排除です。しかしハマスは政治組織でもあります。となると、それは現実的に何を意味するのでしょうか」
「イスラエルの政治家やリーダーたちは声明で、ハマスの行動の責任はガザ地区のパレスチナ人全員にあると宣言しており、そのハマスの中心を破壊すべきだと述べています。ここで使われている言葉は極めて危険です。使われているのは虐殺の言葉であり、何百人もの学者たちが警鐘を鳴らしています」
アルバネーゼ氏は、イスラエルの軍事活動は非常に破壊的かつ無差別的であり、ガザの収容能力の42%以上が破壊され、病院、宗教施設、公共市場といった民間地域が標的にされていると話す。
パレスチナの保健当局によると、29日の時点でイスラエルの報復空爆による犠牲者は8,000人以上に上るという。
ガザ地区の最新の紛争が自身の見方を変えたかという質問に対しアルバネーゼ氏は、「現時点で大きく、明確で、議論の余地のない法的・倫理的な意思表明の唯一の方法は、それが誰であれ民間人への攻撃を批難することだけです」と述べた。
「10月7日にハマスが行ったことは抵抗の範疇を超えています。なぜなら民間人の殺戮は決して正当化されない、正当化できないものだからです」アルバネーゼ氏は「フランクリー・スピーキング」の司会を務めるケイティ・ジェンセン氏に対してそう語った。
さらにアルバネーゼ氏は次のように続けた。「民間人を無惨にも殺害したことの責任はハマスにあります。戦争行為の文脈で言えば、軍事目標は正当なものであり、兵士の殺害は悲劇である一方、民間人の殺害は戦争犯罪です。民間人の殺害は完全に禁じられているのです」
他方でアルバネーゼ氏は、イスラエルとパレスチナの紛争は10月7日に始まったものではないと断言した。「エルサレムとガザ地区を含め、イスラエルが続けているヨルダン川西岸地区の占領は多くの理由により違法です。その理由としては、その占領がデフォルトの人種隔離政策へと転化されていること、パレスチナ領土の植民地化の媒体となっていること、人々を強制的に難民化させていること、大人も子どもも等しく恣意的に逮捕・拘束されていること、ガザ地区の封鎖を含めて数百万人のパレスチナ人に対して戒厳令を敷いていることなどが挙げられます」アルバネーゼ氏はそう述べた。
「ガザ地区は16年間に渡って違法な封鎖状態にあります。この16年間で、2008年、2012年、2014年、2021年、2022年と、5回の戦争が起きています。そしてこの5回の戦争により、既に1,100人の子どもを含めて4,200人が亡くなっています」
イスラエルのガザ地区での自衛と行動の権利に関するアルバネーゼ氏の意見は議論を呼んでいる。メディア、NGO監視団体、イスラエル政府関係者は、反ユダヤ主義だとして彼女を批判している。
今年4月、あるイスラエルの閣僚はアルバネーゼ氏の解任を要求している。この閣僚は国連人権部門の責任者と高等弁務官に対し、アルバネーゼ氏が「憎悪と反ユダヤ主義を拡散させ、暴力を扇動している」として書簡を送っている。
アルバネーゼ氏は、自身を今の立場から排除しようとする動きはガザ地区およびパレスチナ全般で起きていることから注意を逸らそうとするものだと考えている。「今に始まったことではありません。この手の個人攻撃は、パレスチナの人々に対するイスラエルの政策や動きに対し、覚悟を持って批難するすべての人に対して行われてきたことです」アルバネーゼ氏はそう話す。
「ですから、私は特に驚いてはいません。確かに彼らは非常に暴力的です。しかし繰り返しになりますが、メッセージの声が大きくなるほど批難の声も大きくなり、反応もより暴力的になっていきます」
自身を中傷する者たちが注意を逸らそうとしているデータは、彼らの批難よりも遥かに重要だとアルバネーゼ氏は論じる。「民族自決とイスラエルの暴力――パレスチナの占領地域における、恣意的な、広範に渡る、体系的な自由の簒奪、パレスチナの子どもたちに対する違法行為――に関する3件の報告書で私が述べたことに対しては、これまで疑義を呈されたことが一切ありません。私の事実に基づく法的分析の内容は依然として正当なものであり、私が国際コミュニティに対してこれを何よりもまず優先的に考慮するよう呼びかけている理由もそこにあります」
国連の統計によると、28日時点で強制的に住居を追われたパレスチナ人は160万人を超えており、ガザ地区は取り返しがつかない状況に陥っているとアルバネーゼ氏は述べた。
複数の報道機関が、避難命令に次いで実行された空爆によりガザ市から避難しようとしていた多数のパレスチナ人が殺害されたと報じている。パレスチナ人は自国領内の他地域あるいは他国、つまりエジプトに避難することができない。ガザ地区と国境を接するエジプトは一切の回廊を開いていないため、パレスチナ人が避難を求めることができない状況だ。
「イスラエルは110万人、つまり人口の半数に対し、ガザ地区北部からの避難を命じました」アルバネーゼ氏は言う。
「病院に収容されている人々がいて、移動できない女性、子ども、高齢者がいるなかで、そもそもこんなことが合法的なことだと言えるのでしょうか。なぜなら、人々が避難を命じられた南部は爆撃を受けているのです。爆撃され、破壊されました。避難した人々を収容する余地などありません」
アルバネーゼ氏は別の発言で、彼女が言うところのメディアによる誤情報やデマの拡散を批判し、こうした動きは今回の紛争において頻発していると述べた。
「すべてのジャーナリストは、情報を検証してから発信すべきです。また、あらゆる事実、あらゆる状況を報告し、伝えるよう努めるべきです。私は数多くのバイアスを目の当たりにしてきました」アルバネーゼ氏はそう述べる。
メディア報道という点で最も大きな議論を引き起こしたもののひとつは、10月17日に起きたガザ市のアル・アハリ・アラブ病院での爆発だ。爆発の詳細に関しては数多くの食い違いがあり、攻撃を実行した組織の正体について激烈な議論が起きている。
複数の情報機関が、この爆発はパレスチナのイスラム聖戦組織によるロケットの誤射が原因だと主張している一方、ハマスが運営するガザ地区保健省はイスラエルの空爆によるものだと主張している。
「私は紛争のナラティブを目の当たりにしてきました。なぜなら当初、イスラエル軍は病院に対して何度も避難するよう警告を発していたからです。この病院の責任者である医療従事者は、状態が深刻な負傷者や患者がいるため避難できないと述べていました」アルバネーゼ氏はそう話す。
爆撃直後に投稿され、すぐに削除されたソーシャルメディアへの複数の投稿は、病院内にハマスがいたためイスラエル軍が攻撃を行ったことを示唆していた。
こうした投稿が削除されたことに対し疑念が浮かんだかと問われたアルバネーゼ氏は、「現在、10月7日以来行われてきたあらゆる暴力と犯罪を調査している調査委員会があります。この調査委員会は2021年5月に国連人権理事会が任命したものです。私は彼らの調査結果を待ちます」
イスラエルに停戦合意を強制できなかった国際社会の失敗を受けて、国連が再びパレスチナの人々を失望させたと多くの声が挙がっている。
だがアルバネーゼ氏は、国連がパレスチナとイスラエル双方の人々を失望させたと言う。「なぜなら彼ら全員が平和と安定を享受して然るべきだからです。それは国連安全保障理事会の責任です」
「今私の目に映っているのは、圧倒的な規模の政治的、人道的大惨事です」
最後にアルバネーゼ氏は、10月7日のハマスによる襲撃を受けてベンヤミン・ネタニヤフ首相が行った、テレビ放映された演説で「我々が敵に対して行うことは、数世代に渡って影響を及ぼすことになるでしょう」と発言したことに対し、イスラエルの同盟国はその発言の真意を問うべきだと述べた。
アルバネーゼ氏は次のように話す。「その言葉の意味に私は恐れを抱いています。なぜなら一方では、ハマスの支持者や戦闘員を全員排除することは可能ですが、イスラエルが数十年に渡ってパレスチナの人々に対して行ってきたように、人々を抑圧し続けることで別の形での抵抗が再び起きる可能性があるからです」
「私が本当に恐れているのは、すでに致命的な影響を受けている地域全体にこの状況が伝播することです。アラブ諸国各都市の路上や広場を人々が埋め尽くし、抗議を行っています。彼らが抗議しているのは、パレスチナの人々が正義に値すると考えているからです」
自身の取り組みについてアルバネーゼ氏は、「明確な、人々を中心に据えたアプローチ」を取っていくだけだと述べた。
「命の価値に優劣などありません」アルバネーゼ氏はそう話す。「パレスチナとイスラエル双方の人々のために、現行の戦争行為は止めなければなりません。明日では遅すぎるかもしれない。だから、国際法に基づく現実的な解決策を今すぐ見出さなければなりません。」
ハマス、ガザで「激しい戦闘」 イスラエルが地上作戦を強化
パレスチナ自治区ガザ地区: ハマスが日曜日に語ったところによると、イスラエルが地上作戦をエスカレートさせているガザでは、ハマスの戦闘員が「激しい戦闘」に従事している。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が「長く困難な戦争」に備えて自国を奮い立たせた後、世界の指導者たちはハマスが支配する領域への援助拡大の緊急性を強調し、世界中の抗議者たちが停戦を求めて結集した。
人道的停戦を求める声、国際的な憤り、ガザに拘束されている人質への潜在的な危険性にもかかわらず、イスラエルはハマスの前代未聞の攻撃によって引き起こされた戦争を激化させている。
ダニエル・ハガリ陸軍報道官が日曜日に発表した最新の数字によれば、ハマス過激派は10月7日、イスラエル史上最悪の攻撃でガザ国境を越えて突入し、民間人を中心に1,400人を殺害、多くの移民労働者を含む239人を誘拐した。
ガザでハマスが運営する保健省によれば、イスラエルの報復砲撃によって8000人以上が死亡し、その半数は民間人で、子どもたちだという。
国連によれば、240万人の住民の半数以上が避難し、何千もの建物が破壊されているという。
ハマスの武装組織であるエゼディン・アル・カッサム旅団は日曜日に、その戦闘員がガザ北西部で占領軍(イスラエル軍)と激しい戦闘を行っていると発表した。
イスラエル軍は、金曜日遅くから地上侵攻による戦争の新たな「段階」が始まり、週初めの2回の短期作戦からエスカレートしていると述べた。
日曜日にネタニヤフ首相と電話会談したジョー・バイデン米大統領は、「ガザの市民のニーズに応えるため、人道支援の流れを即座に大幅に増やす必要性を強調した」とホワイトハウスが発表した。
また、ガザの南に隣接するエジプトのアブドゥルファッター・エルシーシ大統領との別の電話会談では、両首脳は「支援の大幅な加速と増加を約束した」とホワイトハウスは述べた。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、死傷者が増加し、食料、水、医薬品、避難所など必要不可欠な物資が減少する中、状況は「刻々と絶望的になっている」と述べた。
ハマス幹部ムサ・アブ・マルズークは日曜日の声明で、エジプトに対し、ガザへの援助を加速させるために「断固とした」行動をとるよう求めた。
「エジプトは傍観者であってはならない。エジプトが一刻も早く援助をガザに入れるよう、断固とした態度をとることを期待する」と述べた。
パレスチナ赤新月社によると、イスラエルはガザ中心部にあるアルクッズ病院周辺を繰り返し爆撃し、損害を与え、市民を危険にさらしているという。
ガザ最大の病院シファに避難しているモハメド・アル・タルマス氏は、イスラエルの激しい空襲で「地面が揺れた」と述べた。
国連パレスチナ難民救済機関UNRWAは、「数千人」がガザにあるUNRWAの倉庫や配送センターのいくつかに押し入り、小麦粉や衛生用品などの基本的な品物を奪った、と述べた。
「これは、市民の秩序が崩壊し始めていることを示す憂慮すべき兆候である」とUNRWAは述べた。
あるアメリカ政府高官は、匿名を条件に、イスラエルは毎日100台の援助トラックをガザに入れることを約束していると述べた。
日曜日にイスラエル軍は、数百のハマスの標的を攻撃し、ガザの地上部隊を増強したと発表した。ハガリ報道官は、ガザにいるハマスの指導者ヤヤ・シンワールを「追い詰める」と宣言した。
軍は、ガザ北部のトンネルから出てきた武装勢力に「立ち向かった」と述べ、イスラエルの地上作戦に対するハマスの広大な地下ネットワークの課題を浮き彫りにした。
ネタニヤフ首相は土曜日深夜のテレビ演説で、2007年以来ガザを統治してきたパレスチナのイスラム主義運動ハマス「撲滅」のための「戦争の第二段階」を発表した。
イスラエルが作戦強化に先立ちインターネット回線を切断したため、ガザでは通信が途絶えたが、日曜日には徐々に接続が回復している。
米国のジェイク・サリバン国家安全保障顧問はCNNテレビに対し、ガザで過激派と罪のない市民を区別する「責任」はイスラエルにあると語った。
ハガリは、パレスチナの市民に対し、「より安全な地域へ」南下するよう再度促したが、空爆が続く中、住民は警戒を続けている。
ガザ北部のジャバリヤに住む53歳のイブラヒム・シャンドゥリさんは、AFP通信に対し、家族とともにどこへも行かなかったと語った。
「どこに避難しろというのか。すべての地域が危険だ」。
イスラエルでは、愛する家族をハマスに拉致され、戦争が激化するにつれて危険にさらされている家族への同情が広がっている。
ハマス側は4人の人質を解放したが、今週、イスラエルの攻撃によって「50人近く」が死亡したと発表した。
「われわれは、家族の運命を危険にさらすような行動をとらないよう要求した」と、人質ロミ・ゴネンの母親メイラフ・レシェム・ゴネンは語った。
ハマスが、イスラエルが拘束しているパレスチナ人囚人を解放すれば、人質を解放する用意があると述べた後、イスラエルのヨアヴ・ギャラント国防大臣は、ハマスが “心理ゲーム “をしていると非難した。
「ガラント国防相は、人質の親族に対し、「ハマスがわれわれにとって大切な人たちを冷笑的に利用している。
ガザで拘束されていると思われる親族を持つイファト・カルデロンさんは、AFP通信に対し、人質と引き換えに囚人を解放するという考えを支持すると語った。
パレスチナ人拘留者のことを指して、「彼らを連れて行きなさい、ここには必要ない」と彼女は言った。
地上作戦は、イスラエルの他の敵、つまりレバノン、シリア、イラク、イエメンにいるイランと同盟関係にある「抵抗の枢軸」勢力が紛争に参戦するのではないかという懸念を高めている。
イランのイブラヒム・ライシ大統領はX日、以前はツイッターで、イスラエルの「犯罪はレッドラインを超えた。
最大の同盟国であるアメリカは、イスラエルの敵に近づかないよう警告し、この地域での軍事的プレゼンスを強化している。
イスラエルとレバノンとの国境では、イランに支援されたハマスの同盟国ヒズボラとの小競り合いが激化しており、新たな戦線への懸念が高まっている。
日曜日には、レバノン南部の過激派がイスラエルに向けてロケット弾を発射し、イスラエルはこれに反撃した。
ヨルダン川西岸地区でも10月7日のテロ以来、暴力が急増し、同地区の保健省によれば、110人以上のパレスチナ人が死亡している。
サウジアラビア、ルクセンブルク、ノルウェー外相、ガザについて協議
リヤド:サウジアラビアの外務大臣、ファイサル・ビン・ファルハーン王子は、29日と30日、ルクセンブルクのジャン・アセルボーン外務・欧州相とノルウェーのエスペン・バート・アイデ外相と、ガザの悲惨な状況について個別に会談したと報じられた。
ファイサル王子は電話会談で、27日に発表されたガザに関する国連決議(即時停戦を求める)をルクセンブルクが支持していることを称賛した。
両外相は、国際社会が戦闘の終結を支援し、包囲された地域へ援助の流れを確保すべきであるという点で合意。
ビン・ファルハーン王子はさらに、ノルウェーが国連決議に賛成票を投じたことをたたえ、ガザでの軍事作戦がますますエスカレートしていること、そして住民の強制移住を防ぐ必要性について意見交換した。
王子はまた、アイルランドのミホル・マーティン外務・国防相とも電話会談を行った。
イスラエル、シリアの軍事インフラを攻撃と発表
エルサレム:ハマスとの戦争がより広範な地域紛争に発展する懸念が高まるなか、イスラエル軍は月曜日、シリア国内の軍事インフラを空爆したと発表した。
イスラエル軍は、同国領土に向けて夜間攻撃が行われた「発射台をイスラエル国防軍の戦闘機が少し前に攻撃」したと発表し、「シリア領土内の軍事インフラ」に打撃を与えたことを示唆した。
同国軍は詳細を明らかにしなかったが、公共放送カンニュースは、南部の都市ダルアー近郊で空爆があったと報じた。
同日、シリア国防省は、イスラエルが午前1時35分(グリニッジ標準時22時35分)頃に「イスラエル占領下のシリア・ゴランの方向から、ダルアーの田園地帯にあるシリア国軍の2拠点を標的として攻撃し、ある程度の物的損害を被った」と発表した。
シリア人権監視団は、イスラエルが占領するゴラン高原付近への砲撃に対抗し、ダルアー県の「砲兵大隊」を標的にしたと述べた。
シリアに広範な情報ネットワークを持ち、英国に本拠を置くこの監視団は、ヒズボラとの関連があるシリアとパレスチナのグループが、ダルアー地域からのロケット弾攻撃の背後にいると伝えた。
ガザ地区を統治するハマスに対するイスラエルの戦争で、より広い地域に影響がおよぶ懸念が高まっている。
戦闘が始まって以来、イラクとシリアの米軍に対する攻撃が相次ぎ、イスラエルとレバノンの国境沿いでは、イランが支援するヒズボラ民兵組織とイスラエル軍との間で銃撃戦が激化している。
日曜日遅く、イスラエル軍はロケット弾攻撃に対抗して、「レバノンにいるヒズボラのテロリストを標的」に攻撃を行っていると発表した。
イスラエル当局者らによると、ハマス武装勢力がガザ地区の国境を越えてイスラエル南部を急襲し、約1,400人(その大半は民間人)を殺害して、約240人を人質として拘束した10月7日以降、ヒズボラとの国境での交戦がほぼ毎日行われている。
ハマスが急襲してから、イスラエルはガザ地区への容赦ない砲撃で対抗しており、ハマス保健省は、これら砲撃で8,000人以上が命を落とし、その半数近くが子どもであると発表している。
AFPの集計によると、イスラエルとレバノンの国境での戦いで、レバノンでは少なくとも62人が死亡している。このうち47人はヒズボラ戦闘員だが、民間人4人も含まれており、1人はロイターの記者であった。
イスラエル当局は民間人1人を含む少なくとも4人の死亡を報告した。
国際移住機関によると、この小規模な戦闘の影響で、レバノンでは2万9,000人近くが避難している。
地域の緊張が高まる中、ヨルダンが米国にパトリオット防空ミサイルの配備を要請
アンマン:米国の強固な同盟国であるヨルダンは、地域の緊張が高まり、紛争が激化する中で国境防衛を強化するために、米国政府にパトリオット防空システムの配備を要請したと、ヨルダン軍報道官が29日に述べた。
「アメリカ側に、パトリオット防空ミサイルシステムによって我が国の防衛システムの強化を支援するよう要請した」と、ヨルダン軍報道官のムスタファ・ヒヤリ准将は国営テレビに述べた。
米国のパトリオットミサイルは、北方の隣国シリアにおける反乱をうけて、2013年にヨルダンに配備されていた。ヨルダンは当時、シリアの内戦が波及して地域紛争につながることを危惧していた。
ヨルダンは、10月7日にハマスがガザからイスラエルに苛烈な襲撃を行って以来の、イスラエルによるガザへの容赦ない爆撃が、より広範な戦火にも発展する可能性への懸念をますます強めていると、当局者が述べた。
最も高度な米国の防空システムのひとつだと考えられているパトリオットは、世界中の同盟国が競って求める中で、通常は供給が不足している。
ガザの戦争におけるイスラエルの防衛強化のため、米国防総省が機器や兵器を貯蔵所からイスラエルへ輸送するのに各基地を利用しているというソーシャルメディア上での噂を、ヒヤリ氏は否定した。
しかし、米国政府が地域における軍事態勢を強化する中で、米国防総省はここ数か月の間、ヨルダンの軍事施設を利用してきたと、西側の外交官らは語った。
米国はこの数週間で、2隻の空母とその支援艦を含むかなりの海軍戦力を中東に派遣し、地域の部隊の兵員を数千人追加した。
ロイド・オースティン国防長官などのバイデン政権幹部は、中東における米軍への攻撃の大幅な激化のリスクを警告するとともに、イランがイスラエル・ハマス戦争の拡大を目論む可能性があると警鐘を鳴らしている。
ヨルダンは、国内に数百人の米国の訓練指導者を受け入れており、年間を通して米軍と広範な演習を行っている数少ない地域の同盟国のひとつだ。
ヨルダン軍は米国政府の対外軍事融資の最大の供給先のひとつであり、その額は数億ドルにのぼる。
ヨルダンは、シリアとの国境沿いにおける激化する数十億ドル規模の麻薬戦争で使用されるドローンへの対策のため、さらなる援助も求めている。ヨルダン政府は、この麻薬戦争の責任はシリア南部を支配する親イラン民兵組織にあるとしている。
「ドローンは我が国のあらゆる前線で脅威となっている」と、軍の報道官であるヒヤリ氏は述べた。
2011年のシリア内戦開始以来、米国政府は、ヨルダン政府がシリアおよびイラクからの民兵の侵入を防ぐために「国境警備プログラム」と呼ばれる精密監視システムを設置するのを支援する目的で、数億ドルを費やしてきた。
米国、ハマスとガザ地区の民間人との区別をイスラエルに要請
ワシントン:ジョー・バイデン大統領がガザ地区への大幅な支援増加を約束するなか、ホワイトハウスは日曜日、イスラエルはハマス過激派と民間人を区別して、このパレスチナ領土の罪のない住民を守らなければならないと警告した。
イスラエル国防軍(IDF)はガザ地区で民間人が死傷するのを防ぐよう求められている。ハマスが実効支配する同地区の保健当局者らは、10月7日のハマスによるイスラエルへの致命的な攻撃に対する報復として行われた3週間の空爆で、すでに8,000人以上(その半数は子ども)が死亡したと述べている。
ホワイトハウスは公式声明で、バイデン大統領が日曜日に、エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領との電話会談で、民間人の命を守ることについて議論し、その中で両首脳は、「今すぐガザ地区への援助物資搬入を大幅に加速し、その後も継続的に行うことを約束した」と発表した。
この電話会談は、現地で紛争が続くなか、民間人の命を守る必要性をバイデン政権が強調して行われた。
ジェイク・サリバン米国家安全保障問題担当大統領補佐官はCNNのトーク番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、「IDF、イスラエル政府は可能なあらゆる手段を講じて、正当な軍事目標であるテロリスト集団のハマスとそうでない民間人を区別すべきである」と語った。
バイデン大統領は日曜日、ネタニヤフ首相とガザ地区の情勢について話し合う電話会談を行った際、同首相にメッセージを伝えた。
この会談に関するホワイトハウスの公式声明によると、バイデン大統領はやり取りのなかで、「ガザ地区の民間人のニーズを満たすために、人道支援の流れを直ちに大幅に増やす必要性があることを強調した」という。
「バイデン大統領は、イスラエルには国民をテロから守るあらゆる権利と責任があると繰り返す一方で、民間人の保護を優先する国際人道法に沿った形で実施する必要性を強調した」と声明では述べられていた。
また、サリバン大統領補佐官はCNNで、「今回の爆撃で何千人というパレスチナの民間人が命を落としたことは間違いなく、その死一つひとつが悲劇である」と強調した。
サリバン補佐官は日曜日のトーク番組に次々と出演し、ABCの「ディス・ウィーク」では、「残忍なテロ組織」であるハマスが「民間人の陰に隠れている」と付け加えた。
ハマスは民間人を「人間の盾」として利用し、民間人の地域にロケット弾やその他「テロインフラ」を設置していると同補佐官は述べた。
「だからと言って、民間人を守るために全力を尽くすという、国際人道法と戦時法に基づくイスラエルの責任は変わらない。」
サリバン補佐官はまた、米当局者らはガザ地区でハマスに拘束されている220人以上の人質の解放と、同地区に取り残されている数百人のパレスチナ系米国人の支援に取り組んでいると語った。
さらに、CBSの番組「フェイス・ザ・ネイション」では、「彼らの多くは今も現地にいて、脱出を待っている。我々はその実現に向けて積極的に取り組んでいる」と話した。
しかし、隣国のエジプトとイスラエルは米国人やその他外国人のガザ地区から退避させる用意があるものの、「ハマスが彼らの出国を阻止している」と補佐官は述べた。
今回の戦闘は、ハマス民兵組織がガザ地区の国境を越えてイスラエルを襲撃した10月7日に始まった。これは、イスラエル史上最悪の被害を出す攻撃となり、同国当局者らによると1,400人が殺害され、その大半が民間人であった。
イスラエルとハマスの戦争による膨大な被害を物語る数字
エルサレム:イスラエルとハマスによる今回の戦争は、2007年にハマスがガザ地区の支配権をパレスチナ自治政府から奪取して以来、両陣営が戦ってきた5度の戦争の中で最も多くの犠牲者を出し、壊滅的な被害を記録することとなった。
10月7日、ハマスがイスラエル南部で血みどろの襲撃作戦を実行したことをきっかけに戦争が勃発。その日以降、イスラエルはガザ地区に空爆を繰り返し、前例のない破壊行為で、地区内の各所を瓦礫に変えてきた。
ガザ保健省、イスラエル当局、国際監視団や支援団体などによれば、10月29日時点で確認されている戦争の被害は以下の通りである。
1,400人 イスラエル国内での死者数
8,005人 ガザ地区でのパレスチナ人死者数
116人 ヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人死者数
5,431人 イスラエル人の負傷者数
20,242人 ガザ地区でのパレスチナ人負傷者数
2,000人 ヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人負傷者数
250,000人 イスラエル人の避難者数
140万人 ガザ地区で避難民となったパレスチナ人の数
239人 ガザ地区で人質となっている兵士や民間人
4人 解放された人質の数
117台 ガザ地区に入った支援トラックの数
27,781戸 ガザ地区で破壊された住宅の数
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