備忘録(2025/8/29-31)
●企業
コニャック「レミー・マルタン」などを手がけるフランスの酒造大手レミー・コアントロー(RCOP.PA), opens new tabは29日、2025/26年度の通期利益見通しを引き上げた。先月合意した欧州連合(EU)製品に対する米国の関税(15%)の影響が想定を下回るとの見方を示した。
レミー・コアントローは近年、主要市場である米国と中国で売上高が低迷し、度重なる業績予想の下方修正を余儀なくされ、中期的な売上目標も撤回していた。だが、6月には、最悪期は脱したとの見解を示していた。
同社は29日、25/26年度の営業利益に対する米国関税の純影響額を、これまでの3500万ユーロから2000万ユーロ(2341万ドル)に引き下げた。
中国の関税による影響額1000万ユーロは変わらず、全世界の関税による影響は、従来の4500万ユーロから3000万ユーロに縮小すると見込んでいる。
これを受け、同社は25/26年度通期のオーガニック営業利益の減少率の予測を従来の「1桁半ば─後半」から「1桁半ば」へと修正した。
同社は売上高の約70%をコニャックが占め、大半が米国と中国向けのため、多角化しているライバル企業に比べ関税や景気後退の影響を受けやすい。
28日にはライバルのペルノ・リカールも、米国と中国が課した関税による年間影響額を、従来の2億ユーロから8000万ユーロに修正していた。
米家電量販店ベストバイは、年末商戦を控える中、トランプ米政権の関税措置の影響が引き続き事業の重しになっていると指摘した。四半期売上高が約3年ぶりに増加したものの、水を差す形となった。
同社は28日、通期業績見通しを据え置くと発表した。ここ数日で業績予想を引き上げた他の小売企業とは対照的だ。
マット・ビルナス最高財務責任者(CFO)は発表資料で、見通し据え置きの理由について「年後半における関税の影響が消費者全体および当社の事業に与える不確実性を考慮した」と説明した。
28日の株価は終値で3.7%安。年初来では15%下落している。
今回の関税に関するコメントは、ベストバイなど家電やノートパソコン、ゲーム機器などを製品として抱える企業が、中国などの供給国に対する関税引き上げの影響を特に受けやすい立場にあることを浮き彫りにしている。それでも同社は年後半の計画に自信を示しており、売上高は予想レンジの上限に近づきつつあるとしている。
4-6月(第2四半期)の既存店売上高は前年同期比1.6%増と、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均を上回った。ゲーム機器やパソコン関連機器の需要が堅調だった。売上高は94億4000万ドル(約1兆3900億円)、調整後1株利益は1.28ドルで、いずれも市場予想を上回った。
同社は最近、任天堂の家庭用ゲーム機「スイッチ2」など話題性の高い新製品の恩恵を受けており、新型コロナウイルス禍のブーム以降に伸び悩んでいるホームシアター機器などを補う形となっている。前四半期までは14四半期連続で減収だった。
中国の主要国有銀行は29日、景気低迷や不安定な世界経済を背景に、年後半にかけて利ざや(純金利マージン)への圧力がさらに強まると警告した。
中国の銀行部門の純金利マージンは、景気を刺激するための度重なる中央銀行の利下げや、低調な融資需要により、新型コロナウイルス禍以降、圧迫が続いている。
中国大手5行は29日に発表した上半期決算で、いずれも純金利マージンの縮小を報告した。純金利マージンは、銀行の収益性を示す主要な指標だ。
中国銀行の張輝行長は決算説明会で「当行は下半期、他行と同様に共通の圧力と課題に直面するが、われわれは積極的に対応し、事業全体の安定した業績を維持する自信がある」と発言。「中国国内の低金利環境は、全ての人にとって共通の課題だ」とした。
交通銀行の周萬阜副行長は、純金利マージンは今後も圧力を受けるだろうと指摘。ただ、縮小ペースは過去2年間と比べて鈍化するだろうとの見方を示した。
中国工商銀行(601398.SS), opens new tab、中国建設銀行(601939.SS), opens new tab(0939.HK), opens new tab、交通銀行(3328.HK), opens new tab(601328.SS), opens new tab、中国銀行(601988.SS), opens new tab(3988.HK), opens new tab、中国農業銀行(1288.HK), opens new tab(601288.SS), opens new tabの5行全てが、上半期の純金利マージンの低下を報告した。
公式データによると、中国の銀行の純金利マージンは6月末時点で1.42%と過去最低を記録し、業界で適正な収益性を維持するために必要とされる1.8%を下回った。
5行は29日の市場の取引終了後、上半期決算を発表した。純利益はまちまちで、農業銀行は2.7%の増益、交通銀行は市場予想を大きく上回る1.61%の増益となった。
残り3行は、純利益が0.85%─1.4%減少した。中国建設銀行は市場予想に反して減益となった。
資産の劣化に対する懸念が浮上しているが、上半期の不良債権額は総じて横ばいだった。
不動産セクターは依然低迷しており銀行にとって大きな課題となっている。
中国銀行幹部は「不動産セクターからの引き揚げ(リスク)は続いている」と指摘。「新たに発生した不良債権を見ると、国内で最も多い業界は依然として不動産だ」と述べた。
アナリストは不動産セクターの底打ち時期は不明としており、農業銀行幹部は「不動産セクターの信用リスク管理に注力する」と語った。
業界データによると、フランスで生産されるブランデーの1種であるコニャックの年間売上高が13%減少した。高級品の需要減と中国向け販売の不振が響いた。
パンデミック(コロナ大流行)時に力強い成長を遂げ、インフレ高進の中で一連の大幅値上げを行った後、コニャック需要は過去2年間減少している。
中国での反ダンピング(不当廉売)調査と米国からの関税脅威という、最も重要な2市場からのプレッシャーも大きい。
業界は今夏の価格設定によって中国の恒久的な輸入関税を回避したものの、米国の一般的な15%の輸入関税からは逃れられていない。
仏コニャック業界団体BNICがまとめたデータによると、7月31日までの1年間のコニャック出荷は数量ベースで4.2%減の1億5460万本、売上高は13.4%減の27億ユーロ(31億ドル)だった。
「エントリーレベル」と位置付けられるコニャックの出荷が2.6%増加した一方で、高級なVSOPとXOのカテゴリーがそれぞれ11.3%と12.9%減少した。
中国への輸出は24.4%減少。北米の売上高は4.6%減。米国への出荷量はわずかに増加したにもかかわらず、生産者が低価格品にシフトした。欧州の売上高は11%減少した。
エーザイと米バイオジェンは30日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名レケンビ)」について、自宅で投与できる皮下注射タイプでの承認を米食品医薬品局(FDA)から取得したと発表した。治療開始から1年半が経過した患者を対象とし、10月6日の発売を予定する。通院や看護の負担を大幅に減らせる効果を見込む。日本でも年内に承認申請する。
製品名は「レケンビアイクリック」。価格は1本375ドル(約5万5000円)に設定し、年間では1万9500ドルとなる。既存の治療法である2週に1回投与する点滴の場合は体重約70キログラムで2万6898ドルであるため、費用削減が期待できる。
週1回、専用のペン型注入器で投与する。腹や太ももなど皮下脂肪のある場所に針を押し当て、15秒程度で投与が完了する。患者本人や周囲の介助者が投与できる。
レカネマブは静脈注射の投与法が実用化されているが、投与には1時間ほどかかり、専用の施設に通う必要があった。自宅投与ができれば通院や看護の負担を減らすことができる。皮下注射タイプの臨床試験(治験)では、静脈注射と同等の有効性と安全性が確認された。
まずは1年半投与し続けた患者を対象にするが、今後治療を始めたばかりの患者でも使えるよう申請の作業を進める。
レカネマブは米国や日本、中国、韓国や欧州(EU)など48カ国・地域で承認を取得している。10カ国・地域で承認申請をしている。
●マクロ
中国の製造業活動は、8月に再び縮小となった。政府による価格競争への取り締まりが生産を抑制し、米国との関税休戦の延長を通じた恩恵を打ち消す形となった。
国家統計局が31日発表した8月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.4にとどまった。7月は49.3だった。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は49.5。活動拡大・縮小の境目は50となる。
一方、建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは50.3に上昇した。前月は50.1だった。エコノミスト予想値は50.2。
製造業の低迷は、数カ月にわたり継続している。7月には中国経済の急減速が示された。
一方、トランプ米大統領は11日、中国に対する関税停止措置を90日間延長し11月10日まで継続する大統領令に署名したと明らかにした。米中の貿易関係は、足元で比較的安定が保たれている。
異常気象が建設業や旅行業に逆風となったほか、住宅市場の悪化も重しとなった。国内の過剰生産能力を抑制する政府の取り組みも打撃となっている。
東南アジア諸国が、大豆などのオイルシード類や穀物を巡る世界的な貿易の流れを変えつつある。米国がこれらの国との通商合意を通じて自国産の農産物購入を拡大する約束を取り付け、オーストラリア(豪州)やカナダ、ロシアといった従来の輸出国に取って代わろうとしているからだ。
インドネシアとバングラデシュは既に、米国向け輸出品に適用される関税を引き下げることと引き換えに米農産物の購入を増やすことに合意しているが、ベトナムやフィリピン、タイも米国との取引に基づいて飼料用穀物の買いを加速させる可能性がある、と複数の東南アジアの穀物トレーダーは話す。
シドニーに拠点を置くIKONコモディティーズの助言サービスディレクター、オレ・ホウエ氏は「米国の農産物輸出は確実にアジア地域で拡大するだろう。(政府間の)通商合意が(購入)圧力を生み出しているのと同じぐらい重要なのは、米国産の小麦や大豆ミールの価格が競合相手の製品よりも安い点にある」と指摘した。
人口と所得の増加が続くアジアは食料の純輸入地域で、世界の農産物輸出国にとって大事な市場の1つとなっている。米農務省のデータによると、世界の小麦・トウモロコシ・大豆ミール輸入の約30%をアジアが占める。
トレーダーやアナリストらは、米農産物の大量流入によって競合相手は価格引き下げを強いられるとともに、地理的により遠い別の地域へ輸出するためのコストが増大する恐れもあるとみている。
過去10年で黒海地域と南米は、アジア向け農産物輸出市場で米国のシェアを奪ってきた。
インドネシア小麦生産者協会のデータに基づくと、同国向け小麦輸出に占める米国のシェアは過去5年間に約50%も減少し、その穴をウクライナ、ロシア、アルゼンチンが埋めたことが分かる。
ところがシンガポールの2人の穀物トレーダーは、7月以降にインドネシアの製粉業者4社が米国産小麦を約25万トン買ったと明かした。7月にはインドネシア小麦生産者協会が、米国に関税率を下げてもらう取り決めの一環として年間100万トンの米国産小麦を購入する覚書に調印した。昨年の米国産小麦輸入量は69万3000トンだった。
同協会幹部の1人は「これらは製粉業者の民間取引である以上、価格が鍵となる。ただ、米国産小麦100万トンの購入は、われわれにとって問題にならないだろう」と述べた。
インドネシア向け小麦輸出の約4分の1を担ってきた豪州について同国の穀物トレーダー3人は、今後数十万トンの売り上げを失う恐れがあり、輸出業者の打撃はさらに大きくなるかもしれないと予想する。豪州の昨年のインドネシア向け小麦輸出量は300万トンだった。
コモディティー(商品)コンサルティング会社コルヌコピアの創業者、トービン・ゴリー氏は「豪州産小麦のインドネシアないしバングラデシュ向け売り上げが減少すれば、より遠い場所にそれらの小麦を出荷することになるだろう」と語った。
<飼料穀物>
バングラデシュ政府は7月20日、昨年は実質ゼロだった米国産小麦の輸入目標を年間70万トンに設定して二国間の貿易を強化すると発表。同30日には、早くも米国産小麦約22万トンの輸入を承認した。
先のシンガポールのトレーダーによると、飼料穀物市場として急成長しているベトナムも、米国産小麦・トウモロコシ、大豆ミールの輸入に乗り出す公算が大きい。
ベトナム農務省は6月、複数の国内企業が20億ドル相当の米農産物を買い入れるという覚書に調印すると明らかにしていた。この覚書には、中西部アイオワ州からトウモロコシ、小麦、穀類蒸留かす(DDGS)、大豆ミールなど8億ドル相当を購入する5つの取り決めが含まれている。
現在ベトナム向け農産物輸出規模が最も大きいのはアルゼンチンで、過去5年のデータを見るとトウモロコシ輸出の50%以上、大豆ミール輸出の65%を占める。
ただ米農務省のデータからは、ベトナムが8月末までの2024/25年度で米国産トウモロコシの購入を110万トンまで増やし、さらに同年度末までの受け渡し分が1万9051トンあったことが分かる。
25/26年度については、ベトナムの輸入業者は13万4000トンを既に発注。前年度の同じ時期の発注規模はわずか2000トンだった。
<タイとフィリピンも>
シンガポールの2人のトレーダーは、タイとフィリピンも米国産トウモロコシの重要な輸入国として浮上してくるのではないかとの見方を示した。
このうちの1人は、タイは今後、通商合意に関連し、米国産飼料用トウモロコシを100万トン余り購入してもおかしくないと指摘した。現在、それぞれ黒海地域と他のアジア諸国から輸入している飼料用小麦と飼料用トウモロコシを代替する上で必要な量に基づいているという。
またフィリピンの場合、輸入トウモロコシの関税を引き下げるという条件はあるものの、必要な飼料用小麦330万トンの代替需要として米国産トウモロコシの購入を拡大する可能性があるという。
タイ政府は8月1日に米国と通商合意に達した後、米国産大豆も最大200万トン輸入する方針を表明した。
米国大豆輸出協会の東南アジア・オセアニア地域ディレクター、ティモシー・ロー氏は「米国がこの地域へのアクセスを強化する機会を得るような生産的な通商協議が行われている。われわれは大豆ミールなどの米農産物需要の高まりを期待している」と述べた。
欧州の銀行株は今年40%以上上昇し復活を遂げたが、フランス政局の新たな不透明感によってセンチメントがすでに悪化し、試練の時を迎えている。
それでも投資家は今年これまで欧州で最も好調なセクターである銀行株を無視することは難しいだろう。 LSEGのデータによると、5年前に欧州銀行株指数(.SX7P), opens new tab に投資した投資家は、純リターン(.SX7R), opens new tabが約300%に達し、欧州市場全体(.STOXX), opens new tabの70%を大きく上回っている。
以下では、株価上昇の背景と今後の見通しを整理する。
1.利益回復は長続きしない可能性
過去数年間の比較的高い金利に支えられた好調な収益と明るい成長見通しが株価を押し上げてきた。多くの銀行が市場予想を上回る利益を計上している。
モーニングスターのシニア株式アナリスト、ヨハン・ショルツ氏は、金利低下に伴い銀行の利益は横ばいか減少に転じると予想。また「関税の結果として、企業のデフォルト(債務不履行)は確実に増えるとみている」と述べ、貸倒引当金の積み増しが必要になる可能性があるとの見方を示した。
一方、モルガン・スタンレーのアナリストは、純金利収入が予想より早く底打ちしたことが第2・四半期決算で裏付けられたとし、2026年には再び伸び始めるだろうと述べた。
2.これ以上の利下げはなし
利益の勢いが鈍ったとしても、欧州中央銀行(ECB)の利下げ局面は終盤に近づいており、マイナス金利の時代は完全に過去のものになったとみられるため、銀行は引き続き支援材料を得られるはずだ。
モーニングスターのショルツ氏は「10年続いたゼロ金利・マイナス金利が欧州の銀行に与えた打撃を人々は本当に過小評価していた」と語った。
MFSインベストメントのポートフォリオマネジャー、シャンティ・ダス・ワーメス氏は「現在はほぼ理想的な状況にある。銀行は保有する預金基盤の恩恵をようやく十分に享受できる一方、信用面のストレスも目立っていない」と述べた。
また、英国では追加利下げが限定的との見方が、ナットウエスト(.NWG.L), opens new tab、ロイズ(LLOY.L), opens new tab、バークレイズ(BARC.L), opens new tabを支えている。これらの株価は年初来で35─50%上昇している。ただ、2008年の金融危機前の水準にはなお届いていない。
3.勝者と敗者
STOXX欧州600銀行指数に採用されている銀行の平均的な株価純資産倍率(PBR)は長年1倍を下回っていたが、足元では1.12倍まで上昇している。これは株主価値の拡大に対する自信の表れだ。
ただし、全ての銀行が同じように好調というわけではない。ドイツとスペインの銀行株は、コメルツ銀行(CBKG.DE), opens new tabやサバデル(SABE.MC), opens new tabを巡るM&A(合併・買収)観測を背景に相対的に堅調だ。
これに対し、スイスのUBS(UBSG.S), opens new tabは米国の高関税、ゼロ%の政策金利、新たな資本規制などの課題に直面している。
フランスでは今週、政治的混乱が再燃したことで銀行株が急落。ソシエテ・ジェネラル(SOGN.PA), opens new tabは26日、4月以来の大幅な下落率を記録した。
4.リスクは低下
銀行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は低下しており、投資家は銀行に対してそれほどリスクを感じていない。ドイツ銀行のCDSは米国の銀行不安が欧州に波及した23年には一時200ベーシスポイント(bp)超まで急騰したが、現在は54bp付近で取引されている。
高リスクとされる銀行の「AT1債」も堅調な回復が見られる。プレミア・ミルトンのイアン・ビレル最高投資責任者(CIO)はAT1債について、投資適格級ではないが、実質的には投資適格級債に等しく、高いリターンが期待できると指摘した。
欧州の銀行株は最近、08年以来の高値に達しており、アナリストによれば、当時よりもレバレッジ水準が低下して力強い。
5.安値で買うべきか
キャンドリアムの欧州株式ファンダメンタル副責任者、クリスチャン・ソーレ氏は、銀行については中立的だとし、「勢いはまだあるが、株価にはあまり楽観的になれない」と述べた。リセッション(景気後退)に陥るリスクについて、予測はしていないが市場では織り込まれていないと分析した。
モルガン・スタンレーは今週、欧州の銀行株が弱含んでいるとして「安値で買う」ことを推奨した。
ドイツの失業者数が10年ぶりに300万人を超えたことが、29日発表された連邦雇用庁の統計で明らかになった。同国では2年連続のマイナス成長で労働市場が圧迫されている。
8月の失業者数は季節調整前で前月比4万6000人増加し、300万人の大台に乗せた。
ただ、季節調整済みの失業者数は前月比9000人減の296万人と、予想外の減少となった。ロイターがまとめた市場予想は1万人増だった。
失業率(季節調整済み)は6.3%で横ばい。市場予想と一致した。
連邦雇用庁のナーレス長官は「労働市場は依然として近年の景気低迷の影響を受けているが、安定化の初期の兆しも見られる」と述べた。
独IFO経済研究所の雇用バロメーターは8月に93.8ポイントと、7月の94.0ポイントからわずかに低下した。調査責任者のクラウス・ヴォールラーベ氏は「労働市場は依然として危機に陥っている。景気の停滞により、企業は人事計画に関して慎重に行動している」と述べた。
北京で暮らす年金生活者のワン・シューユンさんはここ数カ月で、体重を減らして血糖値を下げるために8000元(約1115ドル)の栄養講座の費用を奮発し、さらにアディダス(ADSGn.DE), opens new tabの靴の購入で1200元を支払った。
78歳のワンさんは元公務員で年金は月1万元。中国の平均受給額を大きく上回る金額を受け取り、子どもはいない。ニュージーランド産の輸入牛乳を日常的に買う。ワンさんは「自分自身のために快適な生活をすることを重視している。一番大事な目標だと考えているからだ」と話した。
ワンさんは中国に約3億人いる高齢退職者の1人で、中国が現在強力に推進する「シルバー経済」の中心となっている。
中国政府は2021年の政策指針で「高齢者の新時代」を掲げ、「シルバー経済の力強い構築」を呼び掛けるが、今年はこうした動きが加速している。これまでに声明を少なくとも20件出し、企業に対して食品・医療・介護サービスの改善し、金融商品の種類を拡充し、新しいビジネスモデルに注力するよう求めている。
中国政府が急ぐ背景に2つの要因がある。中国は高齢化が急速に進んでおり、60歳以上の人口は35年までに4億人に達する見込みだ。この人口は米国とイタリアの人口を合わせた規模にほぼ匹敵する。
一方で全体的な消費の伸びは低迷し、若年層はデフレや雇用不安をもたらした貿易摩擦から不動産不況に至るまで経済的な困難に直面し、経済に対する信頼感を失っている。
エコノミストらによれば、中国はこの40年間で急成長した結果、現在の高齢世代は十分な水準の貯蓄があり、極めてつつましく暮らしたさらに年齢の高い世代よりも自由に消費できるようになっているという。
調査会社ユーロモニター・インターナショナルのデータによると、世帯主が60歳以上となる中国の家計部門の消費支出総額は15年から25年の間に129%増加したと見込まれており、人口全体の79%増を大きく上回る。ユーロモニターの上席マネージャー、ヤナ・ルード氏は「成熟した消費者層は数が増えているだけでなく、消費額を大幅に増やしている」と話した。
高齢者世帯は平均すると若者世帯よりも消費額が少ないが、集計すれば大きな存在感がある。高齢者世帯の支出の伸び方は顕著になる見通しで、ユーロモニターの予測によると、60歳以上の消費総額は25―40年の間に3倍超に拡大し、人口全体の136%増を大幅に上回ると見込まれる。60歳以上の消費は40年までに中国の消費支出全体の34%を占め、現在の24%から拡大すると推定されている。
<シルバーテック>
創業100年という老舗の宝飾品大手の老鳳祥(ラオ・フォン・シャン)(600612.SS), opens new tabは高齢の消費者に狙いを定めている中国企業の1つだ。6月に人工知能(AI)搭載の老眼鏡を発売し、「シルバーテクノロジーに参入した」と宣言した。この老眼鏡は薬品のラベルやレストランのメニューのような小さな文字で書かれた印刷物を読みやすくし、道に迷った時に手助けしたり、「感情のこもった対話」で話し相手になる音声機能が使える「高齢者に優しい体験」ができるという。
IT大手の小米科技(シャオミ)(1810.HK), opens new tabもスマートフォンやテレビに高齢者向けの機能を追加し、子どもが遠隔操作で年老いた親たちの証明やエアコンのような生活環境を容易に管理できる仕組みを提供している。
しかしながら、政府や企業の試みにもかかわらず、エコノミストらは高齢者の消費が最終的にそれほどたくさん消費しない傾向があると指摘する。
さらに、ワンさんのような元公務員は手厚い年金を受け取る一方で、都市部在住の高齢の退職者は平均的な年金が1月当たり3000元とはるかに少なく、農村部は200元程度にとどまる可能性もある。
ナティクシスのアジア太平洋地域チーフエコノミストのアリシア・ガルシア・エレロ氏は高齢世代の消費が「デフレ圧力を相殺したり経済を全体的に押し上げたりするほど強力にならないだろう」と語った。
仏BNPパリバ(BNPP.PA), opens new tabが顧客向けに実施した調査によると、投資家はヘッジファンドのエクスポージャーを増やす計画で、2023年以降初めて米国よりも欧州やアジアを選好していることが分かった。
今年に入り政策を巡る不透明感や関税引き上げを受け、米国市場からシフトし、投資先を多様化する動きが見られている。
欧州はドイツが長期的な成長見通し押し上げに向け財政刺激策を強化していることからも恩恵を受けている。
調査によると、2025年上半期の欧州ヘッジファンドへの資金流入は世界の他の地域よりも多かった。
25年上半期に資金を追加した投資家の割合は欧州が37%でトップ。下半期に資金を追加する予定の投資家は33%だった。
米国とアジアのヘッジファンドへの資金流入は47%と半数弱を占め、残りを欧州が占めた。
また、約3分の1がアジア太平洋地域と欧州のヘッジファンドへの投資を増やす計画であるのに対し、北米を拠点とするヘッジファンドに投資するとの回答は14%だった。
調査は、ヘッジファンド関連資産9600億ドルに相当する16カ国の金融機関140社を対象に行われた。
調査によると、回答者のうち約73%と、ヘッジファンド投資家の多くは依然として米国に拠点を置いている。欧州は32%、アジア(日本を除く)は23%だった。
世界中で企業を活性化させると同時に衰退させてきた知られざる貿易法の条項であるデミミニス免除は、ドナルド・トランプ大統領の大統領令により金曜日に正式に終了した。
10年近くにわたり、800ドル以下の貨物は事実上無税で、監視も緩い状態で米国に輸入されていました。しかし今、タペストリーのような企業からの貨物は
また、オンラインで展開している他の小売業者のほとんども、大型パッケージの取り扱いと同じ方法で 関税が課され、処理されます。
トランプ大統領は5月に中国と香港からの製品に対する免除を終了し、7月30日にはすべての国にロールバックを拡大し、これを「破滅的な抜け穴」と呼び、関税を回避して「安全でない、または市場価格以下の」製品を米国に持ち込むために使われてきたと述べた。
この最小限の免除は、議会で可決された包括的法案の一環として、当初は2027年7月に終了する予定だったが、トランプ大統領の大統領令により、その条項ははるかに早く廃止され、企業、税関職員、郵便局に与えられる準備時間は短くなった。
「世界的に見ると、1人1日800ドル未満の滞在制限の撤廃は、おそらく混乱を招くだろう」と、会計事務所EYの国際貿易部門パートナー、リンリー・ブラウン氏は述べた。「財務面、運用面、そして純粋なコンプライアンス上の問題もある。例えば、これらはすべて非公式な入国手続きだった。誰も真剣に検討していない」
すでにこの突然の変更により、フランスからシンガポールまでのサプライチェーンが混乱し、世界中の郵便局はシステムを更新して新規制に準拠できるよう、米国への 発送を一時停止する事態に陥っている。
物流専門家によると、この変化は企業の収益に影響を及ぼす可能性があるため、大小を問わず企業はサプライチェーンだけでなくビジネスモデル全体を再考せざるを得なくなり、全国の役員会議室でパニックが巻き起こっているという。
「これは明らかに、SheinsやTemusだけでなく、これまでeコマースと実店舗を展開してきた企業にとって、事業モデルにとって大きな変化だ」とブラウン氏は語った。
この変更はまた、すでに継続的なインフレと高金利の圧力にさらされている消費者にとって、コロンビアの水着から日本から直送される特製ラーメンの定期購入ボックスまで、幅広い商品の 価格がさらに上昇する可能性があることも意味している。
パブロ・ファジゲルバウム氏とアミット・カンデルワル氏が全米経済研究所(NBER)に依頼した2025年の論文によると、デ・ミニミス制度の廃止により、米国の消費者は少なくとも109億ドル、つまり1世帯あたり136ドルの損失を被る可能性がある。この研究によると、低所得者層とマイノリティ層の消費者は、より安価な輸入品への依存度が高まるため、最も大きな影響を受けるとされている。
サプライチェーンのカスタマイズ
中国のオンライン小売業者であるSheinとTemuによって普及したこのデ・ミニミス免除の利用は、過去10年間で爆発的に増加し、2015年の1億3,400万件の出荷から2024年には13億6,000万件以上に膨れ上がると予想されている。この免除の利用を制限する最近の変更以前、米国税関・国境警備局は、毎日400万件以上のデ・ミニミス免除貨物を米国に輸入していると述べていた。
2023年の下院報告書によると、2021年のデミミニス貨物の60%以上が中国から輸入されたが、小包は大型コンテナよりも情報が少なく済むため、その原産地や中身の品物に関する情報はほとんど知られていない。この不透明性が、ジョー・バイデン前大統領とトランプ大統領の両氏がこの免除措置の縮小または廃止を求めた主な理由の一つとなっている。
両政権は、この免除措置が過剰に利用され、乱用されており、小包は大型コンテナと同じレベルの検査を受けないため、CBP職員が米国に入ってくる違法または危険な貨物を特定して阻止することが困難になっていると述べている。
「これらの貨物については、コンプライアンスに関する情報が全くありませんでした。そのため、これらの貨物に麻薬などが含まれている危険性が生じます」とKPMGの貿易・関税部門プリンシパル、イリーナ・ベイスフェルド氏は述べた。
バイデン政権は、この免除措置によって強制労働によって作られた製品がウイグル強制労働防止法に違反して米国に流入することを許していることを特に強調した。一方、トランプ大統領は、この免除措置がフェンタニルなどの合成オピオイドの米国への輸送に利用されていると述べている。ホワイトハウスは7月30日に発表したファクトシートの中で、2024年度の貨物押収量の90%(麻薬押収量の98%、知的財産権押収量の97%を含む)が、ごくわずかな貨物輸送によるものだと述べている。
EYのブラウン氏によると、世界各国では、国際貿易を合理化し、円滑にする手段として、低価値の貨物の無税輸入を認めるのが一般的だが、通常は800ドルではなく200ドル程度の荷物が対象だという。
2016年まで、米国における低額貨物の基準額は200ドルでしたが、議会調査局によると、企業、米国消費者、そして米国経済全体の利益を目的として、議会が貿易円滑化・貿易執行法を可決した際に800ドルに変更されました。基準額の引き上げは、企業と消費者の両方、ひいては経済全体に「大きな経済的利益」をもたらすと、同局は述べています。
善意から制定されたものの、この法律は予期せぬ結果をもたらしたとブラウン氏は述べた。
「価値が200ドルから800ドルに上がったことで、まるで『よし、全部入れて』と言えるような状況になった」と彼女は語った。
最終的に、企業はこの免税措置を軸にサプライチェーンを設計した。カナダやメキシコなどの場所に、輸出前に関税の支払いを延期できる保税倉庫を設置し、それらの地域に商品をまとめて輸入し、顧客の注文が入るたびに免税で国境を越えて一つずつ送るようになったとブラウン氏は語った。
「企業はサプライチェーンを(デ・ミニミスを軸に)非常に具体的な形で構築しており、それがまさに問題の核心です」とKPMGのベイスフェルド氏は述べた。「現在のサプライチェーンの構築方法は、変更する必要があるかもしれません。」
小売業界への影響
SheinとTemuの台頭まで、小売業界ではデ・ミニミス免除についてほとんど議論されていませんでした。しかし間もなく、これらの巨大eコマース企業は、多くの人が「抜け穴」と呼ぶものを利用したとして、広範な批判にさらされるようになりました。
2023年、下院の中国共産党特別委員会はSheinとTemuに関する報告書を発表し、両社は「デミミニス条項に基づいて米国に毎日発送されるすべての荷物の30%以上を占めている可能性があり、中国から米国へのデミミニス貨物のほぼ半分を占めている可能性が高い」と述べた。
この暴露は小売業界の幹部、ロビイスト、政府関係者の間で大きな動揺を引き起こし、彼らは企業による免除の利用は不公正な競争だと述べた。
しかし、大小さまざまな企業が、オンラインでの商品販売に伴う高額なコストを削減できることに気づき、水面下で同じモデルを模倣し始めた。
オンラインでのみ展開している直販企業はソーシャルメディアに大きく依存しており、ソーシャルメディアなしでは事業が成り立たない可能性があるとベイスフェルド氏は述べた。
「私たちが話をした企業の中には、関税が1年、2年と続いた場合、収益性にどのような影響が出るかモデル化し、どれくらい持ちこたえられるかを把握している企業もあります」とベイスフェルド氏は述べた。「彼らは大企業ではなく、むしろ中小企業です。…調達先や製造場所によっては、長期的に事業を継続できないほど収益性に深刻な影響を与える可能性があります。」
連邦控訴裁判所は金曜日、いわゆる「相互関税」を含むトランプ大統領の大幅な関税の大半は違法だとの判決を下し、企業への打撃はさらに不透明になった。
小規模なデジタル企業はよりリスクが高いが、「思い浮かぶほぼほとんどの企業」が免除期間が終了する前から何らかの形でこの免除を利用していたとベイスフェルド氏は述べた。
コーチとケイト・スペードの親会社タペストリーを例に挙げよう。株式調査会社バークレイズの推計によると、同社の売上高の約13%から14%はこれまでは軽微な関税の対象だったが、今後は30%の関税が課されることになる。
今月初めの決算説明会で、スコット・ロー最高財務責任者(CFO)は、関税導入により、デ・ミニミス条項の終了の影響を含め、今年の利益が合計1億6000万ドル減少すると述べた。これは利益率の約2.3%の逆風となると同氏は述べた。
タペストリーが利益の減少を報告した日、同社の株価は16%近く下落した。
ロー氏は声明の中で、タペストリーは強力なオンライン事業を支えるために最小限のコストでサービスを提供していると述べ、これは「高度なサプライチェーンを持つ多くの企業が長年行ってきた慣行」だと付け加えた。
同氏は、タペストリーは事業終了による損失を補うため、コスト削減策を模索しており、多くの国にまたがる製造拠点を活用していると述べた。
ウェルズ・ファーゴによると、カナダの小売業者ルルレモンもデ・ミニミス条項を導入している企業の一つだ。先週、同行はデ・ミニミス条項の廃止を理由に、ルルレモンの目標株価を225ドルから205ドルに引き下げた。ウェルズ・ファーゴのアナリスト、アイク・ボルチョウ氏はレポートの中で、デ・ミニミス条項の廃止により、ルルレモンの1株当たり利益が90セントから1.10ドル減少する可能性があると見ていると述べた。
ルルレモンは、業績報告前の沈黙期間を理由にコメントを控えた。
業界最大の業界団体である全米小売業協会(NRF)は、この免除措置について賛成・反対の立場を取っていない。NRFのサプライチェーン・関税政策担当副社長、ジョナサン・ゴールド氏は、NRFの会員の中にはこの政策を支持する者と反対する者がいると述べた。
ゴールド氏によると、デジタル店舗を持つ独立系販売業者を含むあらゆる規模の小売業者が、より安価に「消費者に商品を届ける便利な方法」としてこのアプローチを活用しているという。
「彼らのコストは上昇し、そのコストは最終的に消費者に転嫁される可能性がある」とゴールド氏は語った。
市場への影響
デミニミス終了による最も深刻な影響は、Etsyのような何百万もの中小企業が商品を販売するオンラインマーケットプレイスに及ぶと予想される。
世界の他の地域から米国にオンライン注文を送る際のコストを最小限にするために、最小限の費用を使用しました。
アメリカの消費者は、美術品、コーヒーマグ、Tシャツなどの商品を海外の商店から関税を払うことなく購入することに慣れてきました。この関税免除がなくなると、消費者は価格上昇と選択肢の減少に直面する可能性があります。
Etsy、eBay、その他一部の小売業者は、この抜け穴が削除される前に、CBPによるデミミニス規制案についてパブリックコメントを提出し、この抜け穴を守ろうとしました。eBayの公共政策担当幹部は、デミミニス規制は「米国の消費者と輸入業者に大きな負担を課す」ことを懸念していると述べました。
エッツィの公共政策責任者ジェフリー・ズブリッキ氏は、この職人マーケットプレイスは「賢明な米国のデミニミス改革」を支持するものの、「米国の小規模販売者に不均衡な影響を与える可能性のある」変更には警戒していると述べた。
「これらの免除は、小規模なクリエイター、職人、メーカーが国境を越えた貿易に参加し、それをうまく乗り切るのに役立つ強力なツールです」とズブリッキ氏は3月にCBPに宛てた書簡に記した。
Etsyの広報担当者は、この方針変更についてコメントを控えた。EtsyのCFO、ラニー・ベイカー氏は、5月に開催されたバーンスタインのカンファレンスで、米国の購入者と欧州の販売者間の取引が同社の総売上高の約25%を占めていると述べた。
eBayはCNBCの取材に対し、すぐにはコメントしなかった。同社は最新の決算報告で、中国以外でのデミミニス条項の終了が業績見通しに影響を与える可能性があると警告したが、CEOのジェイミー・イアンノーネ氏は7月にCNBCに対し、 eBayは概して変化する貿易環境を乗り切るのに「適している」と考えていると語っていた。
英国、カナダ、その他の国に拠点を置くeBayやEtsyの一部セラーは、関税引き上げへの対応策を練るため、米国への事業を一時的に停止している。カナダのブライダルアクセサリー会社を経営するブレア・ナドー氏も、今週、この措置を取らざるを得なくなった。
「これはあらゆる面で壊滅的な打撃であり、世界中の何百万もの中小企業がキャリア、情熱、そして生計を脅かされています」とナドー氏は火曜日のインスタグラム投稿で述べた。「この1時間だけでも、アメリカの顧客2名をお断りしなければならず、心が張り裂けそうです。」
ナドーさんは自身のウェブサイトとEtsyでオーダーメイドのウェディングベール、ジュエリー、髪飾りを販売しており、顧客の70%は米国在住だ。ナドーさんはインタビューで、このデミミニス条項は多くのカナダ企業にとって、自社製品を米国消費者の手に届けるための「命綱」だったと語った。
「本当にショックです」とナドー氏は言った。「まるで給料の70%が突然、一夜にして削られたような感じです。」
デミミニスがない場合、オンライン販売業者は、輸入税を前払いして、その費用を値上げで買い手に転嫁するか、「配送税未払い」で商品を発送するかのいずれかを選択することになります。後者の場合、到着時に関税を支払うのは顧客の責任となります。
イングランドのコッツウォルズ地方を拠点とする芸術家アレクサンドラ・バーチモア氏は、関税を前払いした結果、Etsyでの油絵の価格が10%上昇する予定であると語った。
「今、私が参加している中小企業フォーラムはどこもこの件で大混乱に陥っています」とバーチモア氏は述べた。「誰も得をしない大惨事に思えます」
市場シェアの変化
この混乱はアマゾンのような企業にとって恩恵となる可能性がある
米国の消費者は、他国での価格上昇や、積み残しや国境でのその他の問題による配送遅延の可能性に直面した場合、大手小売業者に目を向けるかもしれない。
特にアマゾンは、米国が5月に中国と香港からの出荷に対するデミミニス条項を廃止した後も、既に底堅さを見せている。6月30日までの3ヶ月間で、同社の売上高は13%増加し、前四半期の10%増を上回った。販売個数は12%増加し、第1四半期から加速している。
アマゾンとウォルマートはどちらも米国にフルフィルメント拠点を置いており、海外企業が商品をまとめて発送し、顧客に配送する前に両社の倉庫で保管できるようにしています。SheinとTemuは、以前はこのモデルをほとんど避け、デミニミス例外を優先していましたが、その後、関税の上昇を受けて米国内に倉庫を増設するようになりました。
5月に中国からの輸入免除が終了して以来、SHEINとTemuへの影響は急速に現れています。Temuは米国でのビジネスモデルを変更せざるを得なくなり、中国の工場から米国消費者への製品出荷を停止しました。
デ・ミニミス制度の終了とトランプ大統領の中国輸入品への新たな関税により、テムは価格を引き上げ、積極的なオンライン広告活動を抑制し、米国の買い物客が利用できる商品を調整せざるを得なくなった。
フィナンシャル・タイムズは火曜日、テムがワシントンと北京の間のいわゆる「休戦」を受けて、中国の工場から米国への商品の出荷を再開し、広告費も増やす予定だと 報じた。
テム氏はコメントの要請に応じなかった。
一方、 CNBCは以前、このわずかな抜け穴が塞がれて以来、SHEINは値上げを余儀なくされ、米国における両プラットフォームの1日当たりアクティブユーザー数は減少していると報じていた。市場調査会社センサータワーがCNBCに提供したデータによると、Temuの米国における1日当たりアクティブユーザー数は5月に3月比52%減、SHEINは25%減となった。
中国がアジアの大国とアジア、欧州、中東、アフリカ、ラテンアメリカ諸国を結ぶ「一帯一路」構想を開始してから12年が経ちました。この巨大投資とインフラ整備プロジェクトをめぐる熱狂は、今や沈静化しています。
その構想は、BRIを開発、外国直接投資、経済成長、協力のための相互に利益のある手段として宣伝し、その過程で中国の経済貿易提携を強化することだった。
しかし、このプロジェクトの全盛期は遠い昔のことのように感じられます。この取り組みは、巨額の投資を約束して低所得国を誘致する一方で、持続不可能な債務を背負わせるものだ、という見方が強まっています。
このプロジェクトは、ガバナンス、社会的不平等、汚職、大規模インフラ計画の環境への影響をめぐる懸念によっても評価が下がっている。
一方、中国は、BRIは加盟国の社会的、経済的発展に貢献し、何千もの雇用を創出し、貧困を軽減し、経済成長と商業的パートナーシップを促進したと主張している。
アナリストらは、このプロジェクトは時間とともに進化してきたと述べている。
「もう10年以上が経ち、中国の世界における立場は変化し、その過程で多くのことを学んできた」と戦略国際問題研究所の中国ビジネス・経済担当理事の副所長兼シニアフェロー、イラリア・マッツォッコ氏はCNBCに語った。
彼女は、中国はますます「小さいながらも美しいプロジェクト」に焦点を当てるようになったと付け加えた。
「BRIは、多くの場合、ガバナンスに多くの問題を抱える国々で、非常にリスクの高いプロジェクトを展開するという特徴がありました。それが多額の債務と多くの問題を生み出し、中国企業は必ずしも成果を上げているわけではありませんでした。それが北京にとって政治的な問題を引き起こしたのです。」
批判が相次ぐ中、「中国にとっても中国企業にとっても事業展開しやすい国々における、リスクの少ないプロジェクトへと移行する」という大幅な調整が行われたと彼女は強調した。
マッツォッコ氏は、発展途上国におけるプロジェクトへの融資に関しては、中国のアプローチははるかに繊細で慎重なものになっていると指摘し、「非常に公的で、注目度が高く、権威のあるプロジェクトから、長期的には中国にとってより高い利益を得られる可能性のある、より慎重なアプローチへと移行している」と述べた。
BRIの進化
話を元に戻しましょう。習近平国家主席は2013年、北京の外交政策の中核を成す現代の「シルクロード」として、一帯一路構想を華々しく打ち出しました。その目的は、中国の経済的・地政学的影響力を拡大・拡張するとともに、パートナー諸国に中国の影響力、すなわち政府支援による融資、投資、そして将来の成長への期待を提供することでした。
この計画は、深水港の開発を通じて、道路、鉄道、エネルギーインフラから構成される陸上経済ベルトと海上経済ベルトを創設することだった。
当初は「一帯一路」として導入されたこの事業と関連プロジェクトは、後に総称して「一帯一路」構想として知られるようになった。
上海の復旦大学に拠点を置くグリーン金融開発センターは7月のBRI投資報告書の中で、2013年以来、中国のBRI関与は累計1兆3080億ドルに達し、そのうち7750億ドルは建設契約、5330億ドルは投資だと述べた。
GFDCは、5月時点で、インフラ投資と世界第2位の経済大国とのつながりの見通しが、世界GDPの約40%を占める150カ国に中国との覚書を通じてBRIへの参加を促したと付け加えた。
しかし、この事業は、他に投資の選択肢がほとんどない発展途上国にとって持続不可能な資金調達モデルに典型的に表れているという非難の中で、プロジェクトの壮大な野望に亀裂が生じている。
イタリアとパナマはそれぞれ2023年と2025年にBRIを離脱しました。両国の離脱は、期待が満たされなかったことへの失望と、より広範な地政学的・戦略的懸念を反映しています。
良くも悪くも
ローマは2019年、中国の経済力を活用することを期待して中国と覚書を締結した。しかし4年後、ローマは一帯一路(BRI)協定の更新を前に離脱した。アントニオ・タヤーニ外相は、このパートナーシップは貿易と投資の面で「期待された効果を生み出していない」と述べた。
G7諸国の中で唯一BRIに署名したイタリアは、この協定によって中国への売上が増加することを期待していた。しかし、経済複雑性観測所のデータによると、イタリアのBRI加盟期間中、イタリアの対中輸出は中国からイタリアへの輸出と比べると微増にとどまった。
ラテンアメリカ諸国として初めてBRIに署名したパナマも、米国からの圧力を受け、今年、同構想への参加を更新しないことを選択した。米国は、特に重要なパナマ運河に関して、米国の裏庭とみなす地域における中国の影響力拡大を懸念していた。
中国外務省は米国を「中傷と妨害行為」で非難した一方、マルコ・ルビオ米国務長官はパナマの一帯一路構想離脱をホワイトハウスとの関係における「大きな前進」と称賛した。
アナリストらは、BRIが失敗と成功の両方を経験するのは当然だと強調している。
前者陣営では、特にアジアにおける鉄道や道路の建設が、中国と近隣諸国間の移動や貿易における接続性と商業的つながりを改善したとされている。2021年に開通し、最終的にはタイとシンガポールにもつながる予定の「一帯一路」構想の主要プロジェクトである中国・ラオス鉄道は、観光と貿易の促進に貢献したと高く評価されている。
一方、エクアドルにある中国国営企業シノハイドロ社のコカ・コド・シンクレア水力発電ダムのような野心的なプロジェクトは、建設品質の低さ、汚職疑惑、環境への影響などに対する懸念に悩まされている。
「鉄道も道路も建設されました。これらの取り組みは現場で実際に大きな変革をもたらしました。抗議活動がないからこそ、私たちは見過ごしがちですよね?しかし、実際には地元レベルでは非常に好意的に受け止められています」とCSISのマッツォッコ氏は述べた。
西側諸国はBRIを「債務の罠外交」とみなす傾向にあったが、投資と開発の代替源を持たない国々にとっては依然として魅力的な選択肢であった。
「BRIプロジェクトの資金調達に多額の費用を支払った国々からの話がますます増えている一方で、そもそもこれらの国々にとってこの構想を魅力的にしていた条件、つまり優先度の高い開発プロジェクトへの支援が不足していることは依然として残っている」と、元米国大使でウィルソンセンター名誉会長のマーク・A・グリーン氏は昨年指摘した。
「BRIを『打ち負かす』最善の方法は、それを『打ち負かし』、発展途上国が国家目標と願望を追求できるよう支援することだ」と彼は語った。
太陽光や風力の発電容量が記録的に増加し、再生可能エネルギーの生産が急増しているにもかかわらず、中国は石炭火力発電を諦めるどころか、むしろ石炭火力発電を放棄している。
中国は2025年上半期に21ギガワット(GW)の石炭火力発電所を稼働させた。これは2016年以来上半期の最高量だと、エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)とグローバル・エネルギー・モニター(GEM)が 月曜日に発表した 中国の石炭プロジェクトに関する2025年上半期の半期報告書で明らかにした。
通年稼働の石炭火力発電容量は80GWを超えると予測されている。
世界的に見て、中国は再生可能エネルギー設備の設置においてリーダーであるが、石炭火力発電でもリーダーであり、 記録的な世界的石炭需要の 主な原動力であり続けている。
さらに、中国は 今年、国内の石炭需要と価格を押し上げることを目指している。
中国の石炭価格は今年低迷しており、石炭生産者の利益と収益性に重くのしかかっている。
昨年は石炭火力発電の減速の兆候が見られ、今年はクリーンエネルギーが好調であるにもかかわらず、中国の石炭火力発電は依然として好調で、新規および復活したプロジェクトは過去10年間で最高であると、クリーンエネルギー推進団体のCREAとGEMは半期報告書で述べた。
石炭火力発電所の稼働開始の急増は、2022年と2023年に中国が 毎週平均2基の新しい石炭火力発電所を許可していたときに石炭プロジェクトの許可が急増したことに続くものである。
2022年と2023年には、両年とも100GWを超える石炭火力発電設備容量が承認されました。
「政策措置が取られない限り、この傾向は2026年、2027年も続く可能性が高い」と報告書は述べている。
CREAとGEMの調査によると、中国では2025年上半期にわずか25GWの石炭火力発電プロジェクトしか許可されなかったが、新規および復活したプロジェクトは75GWに達し、過去10年間で最高となり、着工および再開された建設は46GWに達し、これは韓国の全石炭火力発電設備容量に相当する。
「中国のクリーンエネルギーブームは経済成長と脱炭素化の両方を推進しているが、石炭火力発電の拡大が続くと、その成長が阻害される恐れがある」と、 報告書の主執筆者でCREAの中国アナリストであるQi Qin氏は述べた。
「石炭火力発電所の増設は投資を無駄にするだけでなく、中国経済の将来の真の原動力である再生可能エネルギーを駆逐してしまうだろう。」
ニーダーザクセン州ウンターリュースで、ヨーロッパ最大の弾薬工場が昨日生産を開始しました。秘密裏に始まったものが、今や公然と、そして本格的な戦力体制へと拡大されつつあります。欧州連合(EU)は独自の軍需経済を構築しつつあるのです。
古き良き時代のドイツでは、景気後退は国家資金によるインフラ整備によって隠蔽されることが多かった。この考え方は、国家が過剰な成長や過剰な規制をせず、またグリーン・トランスフォーメーションのように民間部門を破壊的なイデオロギーに押し付けない限り、機能していた。言い換えれば、経済は常に国家が残した残骸を片付けることができたのだ。
南欧は決して回復できなかった
国家の役割が伝統的に高く、金融政策が寛大で、公的資金の扱いが悪名高い南欧において、この政策はインフラの廃墟と産業の荒廃をもたらしました。地域経済は、EUが供給した人工的な信用を生産的に吸収することができませんでした。この疑似好景気の致命的な結果は、今日に至るまで南欧の景観を形作っています。
経済史家にとって、現代ヨーロッパは長きにわたり魅力的な研究対象となってきた。危機が次々と起こり、その度に公的部門の介入は増大してきた。ケインズ派の疑似経済であるグリーンディールの導入の試みも、こうした文脈の中で理解されなければならない。ドイツの防衛企業ラインメタルが昨日、ウンターリュースにヨーロッパ最大の弾薬工場を開設したことも、この文脈に合致する。
同社は2027年までに年間35万発の砲弾を生産できる能力を持たせるために5億ユーロを投資した。500人の新規雇用が創出される予定で、政治家たちはこれを転換点、汎欧州防衛構造の始まりとして歓迎している。
儀式と半端な真実
ラインメタルのアルミン・パペルガーCEOは満足感を表明した。「受注がない中で5億ドルを投資するのは容易なことではありませんでした。握手で合意を守ってくださったことに深く感謝いたします」――この言葉はピストリウス国防相に向けたものだった――「あなたは言葉と行動の人です」。ここには、政治と防衛産業が長きにわたり密接に絡み合っているという、強い哀愁と自画自賛が滲み出ている。
もちろん、これは真実の半分に過ぎません。政治は、通常の水面下での取引に加え、ドイツの防衛産業を育成するためにあらゆる手段を講じ、必要に応じて関連企業に保証と補助金を提供する用意があることを明確に示しました。大企業であればリスクはありません。
グリーン経済の崩壊後、政治は今、次の疑似経済にすべてを賭けている。その狙いは、ウラジーミル・プーチン政権下のロシアを長年にわたり潜在的なヨーロッパ侵略国として描き出してきたメディアのスピンを利用しながら、アメリカへの依存を緩めることにある。この恐怖キャンペーンが長期的に効果を発揮するかどうかは、まだ分からない。
メルツやマクロンのために戦う人は誰もいない
ドイツやEUの大部分が陥っている深刻な経済不況、一般的な戦争疲労、ドイツやフランスなどEUの中核国における社会的亀裂を考えると、徴兵制の復活にもかかわらず、ほとんどの国民が軍事関与を断固として拒否することは明らかだ。
EUの財政状況を見れば、ロシアとの戦争が政治的に狂気の沙汰であることが十分に分かる。対GDP債務比率が115%のフランスは、新たな緊縮予算に対する信任投票まであと数日しかない。債券市場はすでにこれらの破綻した国々に打撃を与えている。兆候は、好戦的な冒険ではなく、貯蓄を示唆している。
不条理で破壊的。
ドイツがいわゆる1000億ユーロの連邦軍特別基金をほぼ使い果たし、今や借入モードに転じている現状において、この路線を加速させるのは不条理だ。しかし、ブリュッセル、ベルリン、パリ、ロンドンは真剣だ。ラインメタルは2026年秋、ヴェーツェにF-35戦闘機の胴体部品を生産する新たな工場を開設する予定だ。費用は2億ユーロで、今回は直接公的資金で賄われる。
今後数ヶ月から数年の間に、防衛工場は急増し、民生需要をはるかに超える生産量となるだろう。ドイツは国防予算をGDPの最大5%まで引き上げる計画だが、民間部門が既に4~5%縮小している状況下で、国民の貧困はさらに悪化するだろう。これは戦後ヨーロッパで前例のない惨事となるだろう。
ロシアとの激しい紛争は経済的に極めて可能性が低い。しかし、1990年以前のような継続的な軍備維持、つまり新たな冷戦こそが、ヨーロッパの目標であるようだ。彼らは中央計画と指令経済という不合理な経済理論に囚われている。新たな権力基盤、すなわち防衛産業とブリュッセルの政治複合体によるコーポラティズムが形成されつつある。
錨としてのドイツ ドイツは、
この経済危機の資金調達先として明らかに選ばれている。EU内で債務比率が64%と最も低い国の一つであったドイツは、2029年までに年間国防予算を倍増し、1620億ユーロにする予定だ。2027年までに特別基金が枯渇し、その後は最大4000億ユーロの融資が必要となる。
ドイツは、既に金利が上昇している債券市場において、積極的な役割を果たすことになるだろう。欧州中央銀行(ECB)は、急速に増加する債務の流動性維持に多大な労力を費やすことになるだろう。EUは新たな基金であるEDIPとASAP(この文脈では幼稚さを帯びた用語だが)を通じて、共同防衛プロジェクトに年間500億~700億ユーロを拠出する。
教訓は何も学ばれず
、ドイツの民間産業が崩壊し、工場が大量に閉鎖され、社会基金や国内情勢にあらゆる影響を及ぼす中で、私たちは今、防衛工場の盛大な開所式を次々と目撃している。私たちが費用を負担してシャンパンを開けるのだ。
ヨーロッパはグリーン疑似経済の惨事から何も学んでいない。ドイツをはじめとする工業地帯がいかにして空洞化したのかを分析することを拒否している。戦時経済の構築がもたらす致命的な結末は、生産部門から希少資源を大量に吸い上げ、民間企業の資金調達と発展をほぼ不可能にしてしまうことだ。
ドイツは技術的に取り残され、文字通り自国の繁栄を損なっている。
世界の主要都市の多くでは、住宅購入がますます手の届かないものになりつつあります。 過去数十年にわたり、不動産価格は所得を大きく上回り、住宅購入のハードルは歴史的な低水準にまで下がっています。
このインフォグラフィックでは、Visual Capitalist の Marcus Lu が住宅価格と収入の比率を使用して、世界で最も住宅が手に入りにくい住宅市場をランク付けしています。
このビジュアライゼーションのデータは、デモグラフィア国際住宅購入可能性レポート2025年版に基づいています 。このレポートでは、世界94の主要住宅市場を比較し、住宅購入において住民が最も大きな障壁に直面している市場を明らかにしています。
香港は、 住宅価格と収入の比率が驚異の 14.4倍で、世界ランキングでトップです。これは、典型的な住宅価格が世帯収入の14年分以上に相当することを意味します。
土地供給の不足と世界的な資本需要の高まりにより、多くの住民にとって住宅価格は依然として手の届かないものとなっています。政府は供給増加に努めていますが、過去10年間で住宅価格の手頃さは悪化しています。
さらに詳しい情報については、香港で販売された最も高価な住宅を記録しているこのWikipedia ページをご覧ください 。
北米の高価な西海岸
バンクーバー、 サンノゼ、 ロサンゼルス、 ホノルル、 サンフランシスコ、 サンディエゴは いずれも、最も住宅価格が手頃でない市場の上位10位以内にランクされています。
これらの都市では、旺盛な需要、地理的制約、そして新規供給の少なさが相まって、住宅価格が 年収の9~12倍を超える水準にまで押し上げられてい ます。例えばロサンゼルスでは、この比率は 11.2倍に達し、中流階級の家庭にとって住宅所有はほぼ不可能となっています。
エネルギー価格は経済について何を物語っているのでしょうか? ブルームバーグの最近の記事で は次のように述べられています。
ロシア原油に対する追加制裁のリスクが後退し、世界的な供給過剰への懸念が再び表面化したため、ヘッジファンドは原油の強気ポジションを約17年ぶりの低水準にまで削減した。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、火曜までの1週間で、ファンドマネージャーによるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエイト)のネットロングポジションは19,578枚減少し、29,686枚となった。これは2008年10月以来の低水準だ。
しかし、この話は、世界的な緊張緩和と石油供給量の増加がエネルギー価格に影響を与えているというだけのことではない。エネルギー価格は経済の強さ、あるいは今回の場合は弱さを示している。世界経済が力強く成長すれば、石油消費量が増加し、現在の生産量を吸収し、エネルギー価格が上昇するだろう。しかし、主要な石油消費国である米国とユーロ圏の経済成長見通しは非常に弱い。
これは、2020年のパンデミック危機以来、中央銀行による利下げペースが最も速い理由であり、米国連邦準備制度理事会も、株価が過去最高値に達しているにもかかわらず、これに加わっている理由でもある。
しかし、エネルギー価格は「地政学的ショック」の影響を受けやすいと言わざるを得ません 。 これは、NYMEXのトレーダーが原油不足、あるいは逆に過剰供給を予想して原油価格を高値で買い上げるためですが、こうした価格変動は短期的な出来事である傾向があります。
長期的には、エネルギー価格は経済の強さや弱さを示す指標となります。これは、前述の通り、エネルギーが経済サイクルのあらゆる段階で消費されるためです。
「原油価格の高騰は事業運営コストの増加を招き 、最終的には顧客や企業に転嫁されます。タクシー料金の値上げ、航空券の値上げ、カリフォルニアから輸送されるリンゴの価格上昇、中国から輸送される新しい家具の価格上昇など、原油価格の高騰は一見無関係に見える製品やサービスの価格上昇につながる可能性があります。」 - Investopedia
もちろん、毎週ガソリンを満タンにする消費者は、原油価格の高騰にすぐに気づきます。コアインフレ指標では食品とエネルギーは除外されていますが、これらの項目が短期的な消費パターンを左右します。GDPの約70%を消費が占めていることを考えると、原油価格上昇の影響はほぼ即座に現れます。
上記のように、原油価格の急騰は、景気後退、金融イベント、そして原油価格の反転と高い相関関係にあります。そこで、エネルギー価格を経済指標として捉え、原油価格が現在の米国経済の状況をどう示しているのかを見てみましょう。
石油とのつながり
前述の通り、エネルギー価格は経済全体のバランスにとって極めて重要です。価格が上昇すると、消費者はより高いインフレコストに直面することになります。当然のことながら、エネルギー価格の上昇と下落は消費者物価指数(CPI)と高い相関関係にあります。また、2020年から2021年にかけての景気刺激策による経済成長の急激な高まりの後、経済需要が弱まるにつれて、エネルギー価格とインフレ率は低下しました。
エネルギー価格は、食料から購入する製品やサービスに至るまで、私たちの生活のほぼあらゆる側面に影響を与えるため、石油を経済指標として捉える見方を広げることができます。したがって、需要サイドは経済の強さや弱さを示す明確な兆候となります。下のグラフは、GDP、金利、インフレ率を原油価格と比較した経済複合指標です。両者の間に良好な相関関係があるのは当然のことです。
石油産業は製造業と生産集約型であるため、エネルギー価格の下落は、製造業、雇用、設備投資といった経済的に重要な他の側面にも影響を与えます。下のグラフは、原油価格とイベントを、過去4年間の平均エネルギー価格からの乖離と比較したものです。2022年のように地政学的イベントによってエネルギー価格は急騰しますが、こうした急騰は景気後退を招き、需要を減少させ、エネルギー価格を押し下げます。
パンデミックによる経済活動の停止は供給不足を引き起こしましたが、流動性の氾濫は必然的に需要の急増をもたらしました。この 消費の「前倒し」は 、インフレ圧力の高まりと原油価格の上昇につながりました。原油価格とブレークイーブン・インフレ率の間には高い相関関係があることを示しています。
原油価格は、消費財全体に大きく貢献していることから、経済活動全体を反映しています。流動性の反転により、生活費が実質賃金を上回るため、経済需要は弱まっています。したがって、エネルギー価格の低下、将来の経済成長、そしてインフレ・ブレークイーブンの相関関係は驚くべきものではありません。
FRBはエネルギー価格にもっと注意を払うべきだ
前述の通り、多くの国が景気後退の瀬戸際に立たされているため、世界の中央銀行はパンデミック以降、最速のペースで利下げを進めています。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)は最近まで、関税によるインフレの再燃を懸念する姿勢を崩していませんでした。しかし、前述の通り、エネルギー価格の上昇は米国にとってインフレが懸念材料ではないことを示唆しており、FRBは利下げで出遅れている可能性があります。
GDPの約70%を消費が占め、私たちが消費するあらゆるものにおいて石油が重要な役割を果たしていることを考えると、原油価格が経済活動全体を反映していることは驚くべきことではありません。現在のエネルギー価格の下落は、経済の基盤となる力強さを物語っており、FRBは最新の雇用統計にそれが表れていると指摘しています。
「短期的には、インフレリスクは上昇に傾き、 雇用リスクは下降に傾いており、困難な状況です。このように目標が対立している状況では、私たちの枠組みは、二重の使命の両面のバランスを取ることを求めています。」 – J. パウエル
しかし、前述の通り、エネルギー価格はインフレリスクが下振れ傾向にあることを明確に示しており、より大きなリスクは経済成長率の大幅な低下です。したがって、連邦準備制度理事会(FRB)は、原油価格の下落による潜在的な警告を回避するために、今すぐより積極的な利下げを行うべきでしょう。
エネルギー価格が経済活動を反映するのであれば、現在の動向は、主要指標の裏側で弱さが拡大していることを示している。株式市場は最高値を更新し、失業率は低水準に見えるものの、原油価格の急落とブレークイーブン・インフレ期待の低下は、別の物語を物語っている。価格下落を引き起こしているのは地政学的な要因でも供給過剰でもない。需要の減退であり、これは危険信号だ。
このシグナルに対するFRBの対応の遅れは懸念すべき点だ。パウエル議長が指摘するように、FRBの枠組みはインフレと雇用のバランスを取る必要がある。しかし、現状ではインフレ圧力は加速しているのではなく、緩和している。原油価格は、どの遅行指標よりもこの変化を明確に反映している。消費が減速し、エネルギー価格がそれを強く示唆しているのであれば、FRBは対応を遅らせるのではなく、加速させるべきだ。過去のデータで裏付けを待つことは、既に進行している経済の弱さを悪化させるリスクがある。
歴史的に見て、原油価格が大幅に下落すると、経済もそれに追随する。FRBは注意を払うべきだ。
2050年のドイツを想像してみてください。
アラブ系の氏族が大都市を支配している。組織犯罪における支配権をめぐり、ギャング同士が抗争を繰り広げている。「正しい側」に属さない人々は路上で殺害される。警察でさえ、もはや立ち入り禁止区域と呼ばれる特定の地域に立ち入ることさえほとんどない。薬物による死亡者数は過去最高を記録した。一部の地区では、シャリーア法のみが有効な法として認められている。女性は全身を覆うベールを着用し、男性の親族に同伴されない限り、路上に出ることが許されていない。これらの都市の街並みは、アラブ系の商店や商人たちで占められている。
アラビア語しか聞こえてこない。ドイツ人は街の他の地域に移住し、もう戻る勇気はない。学校の授業はバイリンガルでしか行われない。校庭では強者の法が支配する。少女や女性は、ポケットに催涙スプレーを忍ばせている人にしか近づこうとしない。集団レイプ犯やいわゆるグルーミング・ギャングは、何の罰も受けずに大混乱を引き起こす。まだ思春期前のイスラム教徒の少女たちは、年上の男性と結婚することを好む。性器切除は、一部のコミュニティではごく自然に行われている。ドイツの民族祭は散発的にしか行われない。
多くの都市でイスラム主義者の市長が誕生し、連邦議会で最有力勢力の一つにイスラム右派過激派政党が存在します。毎日何百人もの男性移民が国境を越えています。クリスマスのイルミネーションは廃止され、砂糖祭りなどのイスラムの祭りは国民の祝日となりました。十字架は公共の場から姿を消し、ほとんどの教会は閉鎖されています。イマームが一日に何度も祈りを唱える声が聞こえてきます。社会制度はほぼ崩壊し、年金も支給されなくなりました。
「また大げさに言っているじゃないか!なんてディストピア的なナンセンスだ!」と叫ぶ声が聞こえてきそうですが、私はまたこう答えます。「いいえ、全く大げさではありません。」
イギリスを見てください
すでに上記の説明に数歩近づいていますね。ドイツでも状況は変わらないはずがありません。
私たちの社会はイスラム化が急速に進むだけでなく、あらゆる面で間違いなく過激化していくでしょう。暴力行為は増加し続けるでしょう。
もし…そうだ、国内政治が直ちに180度転換しなければ。
私たちには二度目のチャンスはありません。計画された開発を阻止する方法はこれしかありません。
明日ではない。いつかではない。
ドイツはもはや安全ではない。これは無謀なヒキガエルではない。これは「ポピュリスト」の闘争の叫びでもない。これは悲観論でもない。これが現実だ。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米ニューヨーク市マンハッタンのハドソンヤード近くにある18階建てのオフィスビルが、2018年の購入時の価格を大幅に下回る金額で売却された。事情に詳しい関係者が明らかにした。
非公開情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、不動産投資家のデービッド・ワーナー氏が「440ナインス・アベニュー」を現金1億ドル(約148億円)強で取得。これは前回の販売価格2億6900万ドルの半値以下となる。
今回の取引は、所有者だったタコニック・インベストメント・パートナーズと全米教職員保険年金協会(TIAA)の不動産部門ヌビーン・リアル・エステートがローン残高を下回る価格で売却する「ショートセール」だった。
住宅ローン貸し手であるメットライフの関連会社も売却に同意したという。仲介はCBREグループのダグ・ミドルトン、ジャック・スティルワゴン両氏が務めたという。
ヌビーンとメットライフはコメントを控えた。CBRE、ワーナー氏、タコニックはコメント要請に応じていない。
1927年に建設されたこのビルの延べ床面積は41万1000平方フィート(3万8000平方メートル)。ブラックロックやKKRなど著名なテナントを引きつけてきたマンハッタンの最西端に位置している。
一方、近年の金利上昇やリモートワークの定着を背景にオフィスビルの不動産価値は全米で急落している。
米デル・テクノロジーズ(DELL.N), opens new tabの株価が、午前の取引で約10%下落している。人工知能(AI)最適化サーバーの高い製造コストと競争の激化が、AIインフラに対する強気な需要予測に影を落としている。
JPモルガンのアナリストはメモで、デルは利益率の維持よりもAIサーバーの受注履行を優先したと指摘。サプライチェーン(供給網)の混乱と早期出荷に伴う追加コストが、競争的な価格戦略による利益の圧迫に拍車をかけたと述べた。
それでも、デルは通年の出荷見通しを200億ドルと、当初の150億ドルから引き上げた。米実業家イーロン・マスク氏のAI新興企業xAIや、AIクラウドのコアウィーブ(CRWV.O), opens new tabなど顧客からの好調な受注が背景にある。
デルは28日に発表した2026年度(25年2月―26年1月)通期決算の売上高見通しを1050億―1090億ドルとし、従来の1010億―1050億ドルから上方修正している。
経済産業省は2026年度の税制改正要望に太陽光や風力など再生可能エネルギーの発電設備にかかる固定資産税を3年間減税する制度の延長を盛り込んだ。運転開始の時期に関し、洋上など風力発電は31年度末まで6年延長するよう求める。事業が遅れている状況に対応する。
現行は25年度末までに運転を始める事業を対象としている。太陽光、地熱、バイオマス、中小規模の水力は2年の延長をめざす。
洋上風力は課税標準額を小さくして税負担を減らす。対象は政府の公募などで選ばれた事業に絞る。
制度は発電設備への固定資産税を運転開始の翌年度から3年間減税する。
太陽光はシリコン製パネルなどに幅広く適用してきたのを改め、薄くて曲がるペロブスカイト太陽電池のみとする。27年度末までに運転を始める事業が対象だ。日本の事業者が優位を持つペロブスカイトを減税対象にすることで国産製品の導入を促す。
洋上風力を巡っては千葉県と秋田県沖の3海域で三菱商事と中部電力系が撤退するなど、運転開始の遅れが懸念されている。
●その他
欧州の防衛費調達を目的とした初の債券が28日、フランスの銀行によって売り出された。受注額は27億ユーロ(約4600億円)を超え、市場の強い関心を示している。
事情に詳しい関係者によると、BPCEグループは7億5000万ユーロ規模の債券を発行する。ユーロネクストが新たに策定した「欧州防衛債」ラベル付き債券となる。
このラベルは、グリーンボンド(環境債)と同様に調達資金の使途が特定されている。環境関連事業の代わりに、防衛関連企業向けの資金として利用される。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、防衛産業の資金調達に対する投資家の姿勢が大きく変化したことを浮き彫りにする画期的な商品だ。
現在、防衛関連は欧州市場で最も注目を集めるセクターとなっている。メーカー各社が各国政府から殺到する大規模な注文に応えるべく対応を急ぐ中、かつて同業界を投資対象から外していた一部のサステナブルファンドでさえ、参入の動きを見せている。
INGグループの金融セクター戦略責任者、モーリーン・シュラー氏は防衛関連の「使途を明確にした資金調達は、欧州が直面する巨大な課題を反映している」と述べ、「今後はこうした債券の発行が増え、銀行が欧州の防衛戦略の資金面での支援に乗り出すことになるだろう」と述べた。
事情に詳しい関係者によれば、期間5年のBPCEの防衛債の条件はミッドスワップに85ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の上乗せで決まった。需要の高さにより、当初案の105-110bpから縮小した。
戦火が自国の国境近くで続き、トランプ米大統領が支援の打ち切りを示唆する中、欧州連合(EU)の指導者たちはロシアに対抗し得る軍事的抑止力の構築を急いでいる。
6月には、北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国防費を国内総生産(GDP)の5%に引き上げることで合意した。欧州諸国の安全保障費の低さに対するトランプ氏の度重なる非難に対応するものだ。
こうした動きに支えられ、欧州株の指標であるユーロ・ストックス600指数では今年の上位5銘柄のうち4つを防衛関連企業が占めている。
運用会社や銀行は、防衛支出の急増によるビジネスチャンスを巡って激しい競争を繰り広げている。
BPCEの起債も、欧州の防衛熱を取り込もうとする試みの一つだ。同行の投資家向け資料によれば、防衛産業向けの融資額は既に従来比で2.5倍に、フランス製防衛装備品の輸出金融は7倍以上に拡大しているという。
BPCEの債券は、取引所運営会社ユーロネクストが設計した新たな分類である「欧州防衛債ラベル」付きとなる。
防衛債はグリーンボンドと同様の報告基準に基づき、資金の使途に関する年次報告書を外部の第三者が検証した上で公表することが義務付けられる。
アバディーンの債券ポートフォリオマネジャー、ルーク・ヒックモア氏は「この仕組みにより、BPCEは批判を受けることなく防衛資金を調達できる。この債券を購入した投資家は、その資金が防衛に使われることを気にする立場にはない」と述べた。
中国人民解放軍の最高幹部らは今年4月、北京で行われた恒例の植樹イベントに集まった。習近平共産党総書記(国家主席)の下でひそかに広がる権力闘争の舞台裏をうかがわせる貴重な機会となった。
イベントを前に、制服組ナンバー2の何衛東・中央軍事委員会副主席が、習氏の反汚職キャンペーンの新たな標的になったとの報道が流れた。人民解放軍では既に、国防相経験者2人が汚職スキャンダルで失脚していた。何氏は3年足らず前、より上位の将官を飛び越えて、習氏率いる中央軍事委の副主席に抜てきされたばかりだった。
約40年前に始まった植樹イベントには、習氏が2012年に権力を掌握して以来、中央軍事委の幹部全員が毎年参加していた。
国営テレビの夜のニュースで迷彩服姿の幹部らが土を掘る姿が映し出されたが、何氏の姿はなく、毛沢東時代が終わった1976年以降で最も高位の将官の失脚が示唆された。
何氏の不在は驚きだったが、習政権の下では同様のパターンが増えつつある。ブルームバーグ・ニュースがテレビ映像や中国の公的記録を分析したところでは、習氏は自ら指名した将官のおよそ5分の1を失脚させている。こうした粛清により、中央軍事委メンバーは3期目の習政権発足時の7人から4人に減り、毛沢東時代以降で最も少なくなった。
中国を理解しようとする人々が抱く疑問は、これが習氏の政治的強さの証しなのか、それとも弱さの表れなのかということだ。共産党の不透明な性質を考えれば、答えを得るのはほぼ不可能だが、影響が世界各国と国際経済全体に及ぶのは明らかだ。
習氏は来週、北京の天安門広場を見下ろす楼閣の上から、2019年以来となる軍事パレードを観閲する。外部のオブザーバーが注目するのは、台湾攻撃や米軍の優位を脅かすのに使われるかもしれない戦車やミサイルといった最新兵器だけではない。習氏が自らの将官を信頼できるのか、また最近の軍幹部粛清が何を意味するのかを見極める手がかりも求めている。
シンガポールの南洋理工大学で中国軍を研究するジェームズ・チャー助教は「上層部が今、大きく揺れているのは間違いない。見苦しい状況なのは確かだ」と語った。
習政権が3期目に入ってから、同氏の下で昇進した将校79人中14人が動静不明ないし調査対象であることがブルームバーグの分析で分かっている。その前の国家主席である胡錦濤氏、それ以前の江沢民氏の下でそれぞれ昇進しながら調査の対象となった将校はいない。
習氏は国家主席に最初に就任した際、軍の腐敗は共産党の存続に関わる脅威をもたらすと警告した。その当時、人民解放軍の入隊試験に合格するため志願者は1万6000ドル(約236万円)もの金を支払う一方、将校は昇進のために上官に賄賂を渡し、昇進後にキックバックを通じて見返りを与えていた。そうした状況は、公然の秘密だった。
習氏は前例のない反腐敗運動を推進し、政敵を排除すると同時に、人民解放軍を「戦いに勝てる軍」に再編し始めた。その10年後、「微信(ウィーチャット)」に掲載された政府の通知文書からは、習氏が軍の改革を強化していることがうかがえる。
軍の兵器調達を担う装備発展部は23年7月、17年までさかのぼる情報漏えいや派閥などを巡る8件の問題を調査すると発表。それがロケット軍高官の解任につながり、習氏直属の将校にまで影響が及んだ。
中国の軍は政府以上に秘密主義で、粛清の実態を把握するのは難しい。植樹イベントに出席しなかった何氏のように、幹部の失脚は通常、公の場に姿を見せなくなって初めて分かる。だが、それでも真相が明らかになるとは限らない。
中央軍事委は、世界最大の常備軍である人民解放軍を指揮するだけにとどまらない。政府ではなく党に直属する同委は、14億人の国民を統治する権力の要でもある。
中国の最高指導者は通常、国家主席と党総書記、中央軍事委主席の3つの肩書を持つが、中でも軍事委主席が権力掌握の要とされる。国家主席が不在だった時期や総書記の力が比較的弱かった時代もあるが、毛沢東以来ほぼずっと、最強の指導者が軍事委トップを担ってきた。
習氏が後継者を指名するとすれば、軍事委は注目すべき機関だ。江沢民氏は1989年の天安門事件後に同委主席に就任、胡錦濤氏と習氏はいずれも同委副主席に抜てきされた約2年後に党総書記に就任している。
現在の同委メンバーは、主席を務める習氏のほか、張又侠・副主席(75)、張昇民(67)、劉振立(60歳前後)両委員の計4人だ。
9月3日の軍事パレードの数週間後に開かれる共産党中央委員会第4回全体会議(四中全会)が、中央軍事委メンバーを補充するチャンスとなる。同会議では300人超の党幹部が北京に集まり、次期5カ年計画と主要人事が協議される。
ワシントンのアジアソサエティー政策研究所で中国政治を担当するニール・トーマス研究員は、「習氏は後継問題について、最後の瞬間まで味方やライバルに分からないままにしておくつもりのようだ。もし四中全会で文民を中央軍事委メンバーに昇格させれば、同氏の後継者となる可能性を示唆するかもしれないが、極めて異例であり、可能性は極めて低い」との見方を示した。
人民解放軍の若手には、習氏による粛清を腐敗一掃の取り組みと受け止める層もいるもようだ。しかし、より年長の軍幹部の間では装備調達を巡る不正を隠す動機が働き、装備の欠陥が戦闘で初めて露呈することになりかねないと、米国防大学・中国軍事研究センターの上級研究員ジョエル・ウースナウ氏は指摘する。
同氏は「粛清が即応態勢にどれほど影響したかは判断が難しい」とした上で、「重要なのは、世界に最新兵器を誇示する北京での軍事パレードを前にしても、習氏自身も恐らく人民解放軍の装備品質に完全な自信を持てないという点だ」と述べた。