備忘録(2025/8/18)
●企業
米産業用機械メーカーが苦境に見舞われている。トランプ米大統領が進める大規模な関税政策でコストは増加するが、需要の低迷や金利の上昇のせいで負担増を顧客に転嫁する余地がほとんど残っていないためだ。
トランプ氏は国内製造業を保護し、貿易赤字を縮小するという目標の一環として関税引き上げを打ち出し、幅広い産業財や原材料を対象とした。しかし経済の見通しが不透明な上に借入コストが上昇したため顧客は大型投資を先送りし、産業機械メーカーは需要が落ち込んでいる。
米産業用機械の代表的なメーカーである建機大手キャタピラー(CAT.N), opens new tabと農機大手ディア(DE.N), opens new tabはいずれも、今年の関税関連コストは巨大な規模に膨らむ見通しだが、政策の不確実性が市場を揺さぶっているため、その大部分を今後数カ月以内に自社で吸収せざるを得ないと警告した。
キャタピラーは決算発表の投資家向け説明会で、部品や原材料に課せられる輸入関税が利益率を圧迫すると説明。ディアも農業機械や建設機械に欠かせない鉄鋼などのコストが上昇していると危惧を示した。
ディアは「建設・林業部門」の四半期営業利益が前年からほぼ半減。キャタピラーは全体の営業利益が20%近く減った。
ディアは柱となる「生産・精密農業」部門の年内の利上げが1%にとどまり、通常のコスト上昇を吸収する余地がほとんどない。キャタピラーも関税関連コストが2025年全体で最大15億ドルに達し、第3・四半期だけで4億-5億ドルに上ると予想している。
CFRAリサーチのアナリスト、ジョナサン・サクライダ氏は「足下で需要が冷え込む中、在庫調整が常態化しており、キャタピラーやディアは顧客に価格転嫁する力が押さえ込まれている」と述べた。
●マクロ
プライベート資産市場に特化したセカンダリーファンドへの需要が急増している。会計上の特徴を利用し、割安な価格で取得した資産を額面で再評価できる点に投資家が着目していることが一因だ。
ブルー・アウル・キャピタルの共同CEO(最高経営責任者)マーク・リプシュルツ氏は最近のアナリストとの電話会見で、「まるでフリーマネーを手にしているような感覚が広がっており、ほとんど熱狂状態だ」と述べた。
同氏によれば、ブルー・アウルはこうした手法を採用しない。「過去最多の売り手が存在する今、セカンダリー投資において慎重な買い手であることは極めて有望なビジネスだ」という。
投資家はセカンダリー市場を通じ、プライベート資産ファンドの持ち分を売買可能。多くの場合、割引価格で取引されるこの市場は、低金利時代の終わりにより正当化が難しくなったバリュエーションの問題や、投資からの退出が困難になった事態に対処する手段として注目されている。
ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループによると、今後数年で最も成長が見込まれるセカンダリー分野はクレジット関連だ。同社は、この分野の取引が今年は170億ドル(約2兆5000億円)を超えると予測。昨年は100億ドルだったという。かつてない数の売り手が集まり、売却に前向きな投資家が一段と増えている。
戦略拡大
プライベートクレジットファンドの投資家がセカンダリー市場経由で持ち分を流動化できるようになり、資金循環の停滞が解消されつつある。停滞は、新規株式公開(IPO)ペースが鈍り、未公開企業にダイレクトレンディング(直接融資)を行う貸し手が資金回収を待たされる状況に陥ったことから生じていた。結果的にリターンの圧迫を招いたケースもあった。
セカンダリーファンドの買い手側にとって、会計処理上の取り扱いは利点だ。取得資産の評価額引き上げが認められており、資産価値の向上につながる。
プライベートキャピタル投資会社のハミルトン・レーンは先月、「セカンダリー取引はNAV(純資産価値)に対して割安で行われることが多く、それが買い手にとって未実現の利益となる可能性があるのは本当だ」と自社のウェブサイトで指摘。「それは作られた価値ではない。リアルな価値で、ファンドのリターンを強化できる」と説明した。
セカンダリー戦略はここ数年、全体的に好調だ。オルタナティブ資産運用のブラックストーンによれば、この戦略は同社の4-6月(第2四半期)でベストパフォーマーだった。
ロンドンのコラー・キャピタルは最近、直接融資を手がけるTPGツイン・ブルック・キャピタル・パートナーズと、過去の貸し付け資産を新たなファンドへ移管する30億ドルの継続ファンド契約を締結した。これは、プライベートクレジット分野におけるセカンダリーファンドとしては過去最大規模だ。
アレス・マネジメントのCEO、マイク・アロゲティ氏は先月の決算発表で、同社初のクレジットセカンダリーファンドおよび関連商品でこれまでに35億ドル余りを調達したと明らかにした。セカンダリー部門が「今後しばらく、われわれの最も成長力のある分野の一つであり続ける」と考えているという。
中国・北京にある高級ホテル、北苑大酒店のスタッフは毎晩、屋台を設置して出来たての料理を販売している。消費者や企業が旅行や会議、宴会の出費を減らす中で、落ち込んだ収入を穴埋めしなければならないからだ。
セールスディレクターのアンウェン・シュー氏は「今はもう、単に値下げすればお客さんが来る状況ではない。そもそも全く来てくれない」と語り、新たな収入源を見つけ出す必要性を強調した。
ソーシャルメディアやニュースサイトの情報に基づくと、北苑大酒店以外に中国全土で少なくとも14の高級ホテルがここ数週間で料理を屋台販売している。いずれも消費需要の低迷や企業の出張予算削減、宴会予約の低迷などのあおりを受けている。
シュー氏は、中国指導部が今年、公務員や共産党員の倹約や規律徹底を改めて打ち出し、大人数での外食の禁止やアルコール消費の制限などが課されたことも業界の打撃になったと説明した。
複数のアナリストは、こうしたホテルの姿勢は中国にデフレ圧力のリスクが定着する新たな兆候と受け止めている。
オーストラリア・メルボルンのモナシュ大学のハー・リン・シー教授(経済学)は「高級飲食業界、とりわけ五つ星ホテルは生き残り戦略の修正を図らなければならない。現在の事態は中国経済全体がかなり大きなデフレリスクに直面していることの表れだ」と指摘した。
3元(約62円)の朝食が提供され、スーパーマーケットでタイムセールが行われているのもデフレの兆しとみられる。
公式統計によると、中国のケータリング産業の売上高は6月が前年比0.9%増で、5月の5.9%増から減速した。今年上半期の北京の宿泊業界の利益は前年同期比で92.9%も落ち込んだ。
7月10日に屋台での料理販売を開始した北京維景国際大酒店で働くウェイ・ジェン氏は「飲食業界は相当な重圧にさらされている」と明かし、多くのホテルは増収を図るために屋台販売などの方法を採用していると付け加えた。
北苑大酒店のシュー氏は、一番の売れ筋としてこのホテルの看板料理であるハト1羽丸ごとのクリスピーローストを挙げた。屋台では38元(約780円)だが、ホテルのレストランで食事すれば58元だ。
7月28日に屋台を開いて以来、それまで1日当たり約80羽だったハトの売り上げがおよそ130羽に増えた。
一方でシュー氏は、ここ数カ月でレストランの個室の稼働率は100%から33%前後まで落ち込み、レストランの客単価は半減して100-150元程度になってしまったと説明。屋台の粗利益率は10-15%とケータリング業界の平均を上回るものの、ホテル内での事業の縮小を完全にカバーできていないと述べた。
<しぼむ高額消費>
コンサルティング会社アパーチュアチャイナ創業者のヤリン・ジャン氏は、経済が下降する中で消費者は引き続き割安さや目新しさを求める半面、高額消費には二の足を踏んでいると解説する。
北苑大酒店の近くに住み金融関係の仕事をしているというある男性は、このホテルの取り組みに理解を示すとともに、自身も豪華なホテルに泊まる回数が以前より減ったと話す。「重要なのは人々が十分な収入を得られていないということだ」と訴えた。
外資系でも重慶のJWマリオットや武漢のヒルトンなどのホテルが、屋台販売に乗り出していることが、ソーシャルメディアから分かる。
重慶の五つ星ホテル、リバー・アンド・ホリデー・ホテルは、先月に駐車場で屋台販売を始めて以来、1日当たりの収入が数千元から6万元に跳ね上がった。マーケティング・セールス担当マネジャーのシェン・キュヤ氏は、インターネットでホテルのブランド価値が損なわれかねないと批判されても意に介していない。
「どの業界も今年は厳しい局面にある。生き残りが最も大事で、なりふりなど構っていられない」と強調した。
世界の投資家によるドル安へのヘッジは、4月の米関税問題で市場が動揺する前の水準近くにまで縮小したことが、ステート・ストリートのデータで明らかになった。
トランプ米大統領が4月2日に関税措置を発表したことを受け米国株とドルが下落し、ドルに対するヘッジが強まっていたここ数カ月の動きとは対照的だ。アナリストらは、米国外の株式投資家がさらなる下落に備えてヘッジを引き続き積み増し、そうした動きがドルの一段の重しになると警告していた。
ただ、ステート・ストリート・マーケッツがまとめたデータによれば、ヘッジの動きは当初懸念されたほど、ドルに対する圧力にはなっていないことが示唆されている。それによると、現在のヘッジ比率は21.6%で、5月から2ポイント低下し、4月上旬とほぼ同水準に戻っている。
ステート・ストリート・マーケッツのマクロ戦略責任者、マイケル・メットカーフ氏は「これまでに見られた、最大10%の変動を伴うようなヘッジ比率の動きとはまったく異なる」と述べ、「ドルへの脅威は依然としてくすぶっている」とも指摘した。
4月の関税を巡る混乱は、ドルが米国株の損失に対する保険として機能するとの広く共有された見方を揺るがした。過去のリスク回避局面でドルは伝統的に上昇する傾向があったためだ。しかし4月の売り局面では、このパターンが崩れたにもかかわらず、外国人投資家の行動には大きな変化が見られないと、メットカーフ氏は述べている。
同氏はまた「誰もがヘッジ比率に注目していた。なぜなら低水準にあるヘッジ比率だが、本来ならもっと高くなっていてもおかしくなかったからだ。実際のところ、8月中旬時点でもその比率はほとんど上がっていない」と述べた。
これは、投資家が為替ヘッジの最適水準を評価する際に通常3-5年といった長期的なデータを参照する傾向があることを反映している可能性がある。その観点から見れば、株が下落した期間においてドルはなお有効なヘッジ手段と見なされているようだ。
中国からの月間の資本流出が7月に過去最大となった。新たな市場開放策を受け、中国本土の投資家が香港資産への投資を積極的に進めたことが背景だ。
中国の国家外為管理局(SAFE)が15日遅くに公表したデータによると、中国の国内銀行は7月、顧客による証券投資を目的とした資金として、差し引きで583億ドル(約8兆5900億円)を海外に送金した。これは、統計が開始された2010年以降で最大の月間流出額となった。
こうした資本流出の急増は、中国本土の投資家による香港株式の積極的な買いに加え、いわゆる南向きの「南向通」の投資枠拡大によって海外債券への投資が拡大したことが一因とされる。一方で、よりリスクの高い資産や世界的な代替資産と比較して相対的な魅力が薄れたことなどを理由に外国人投資家は中国国債の保有を引き続き減らしている。
中国は今年、ドル安環境を活用して資本取引の自由化を段階的に進めようとしており、一定の資本流出を容認する見通しだ。これは、人民元の国際化を長期的に後押しする措置で、6月には、当局が認可投資家に対して、海外資産への投資枠を1年強ぶりに拡大した。
ING銀行の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は、「国内投資家がリスク選好の高まりを背景にポートフォリオの見直しを進めている」とし、今年は認可チャンネルを通じた対外投資の拡大が続くと指摘。資本流出は当初は人民元を圧迫するように見えるかもしれないが、米利下げ観測や米中利回り格差の縮小により、実際のリスクは抑制される可能性が高いと述べた。
米連邦準備理事会(FRB)が9月に大幅利下げをするとの期待感が最近の統計を受けて後退し、米国債利回りが激しく変動している中でも、債券銀行関係者やストラテジストらの間で米ドル建ての社債発行が9月に活発化するとの見方が強まっている。
インフォーマ・グローバル・マーケッツ(IGM)のデータによると、これまでの9月の平均では約1400億ドルの投資適格級社債が発行されている。
IGMのデータでは、昨年9月の発行額は1720億ドルを超え、9月としては過去最高を記録した。これは企業が健全な投資家需要を捉えようとしたためだ。
先週発表された米国の7月の卸売物価指数(PPI)が大幅上昇した一方、消費者物価指数(CPI)の伸び率は市場予想通りだった。これらの結果を受け、FRBが9月に大幅な利下げを実施する確率が低下した。
ニューヨークに本社を置く米州みずほの投資適格級資本市場・米国債務シンジケート部門責任者、ビクター・フォルテ氏は「利下げがいくらか遅延することを示すデータは、9月の社債発行に影響を与えないだろう」とし、「伝統的に忙しい月であり、スプレッド(または)利回りの小さな変化にもかかわらず、今年もそうなると予想されている」と指摘した。
投資適格社債と国債の利回り差の企業信用スプレッドは今週、一部の社債で数ベーシスポイント(bp)拡大した。
フォルテ氏は、企業の財務担当者が9月の債券発行計画を変更するほど大幅な動きは見られていないとして「彼らが9月に社債を発行するかどうかは、FRBが金利を引き下げる時期の予測よりも、企業財務に必要かどうかが左右する」と語った。
ICE BAML投資適格指数によると、投資適格債の平均スプレッドは今週約1bp縮小し、直近では77bpと、1998年7月28日に記録した74bpに迫る水準となっている。社債の平均利回りは4.94%で、今年1月の水準を41bp下回る。
債券銀行関係者とアナリストらは、9月の社債発行が高水準になるのを控え、8月の投資適格級社債発行も活発になると予想している。
米中西部ミネアポリスを拠点とするUSバンコープの投資適格債務資本市場・シンジケート部門責任者のカイル・ステッグマイヤー氏は「将来の投資適格債の年間供給が1兆5000億ドル前後になるとの予想を踏まえると、夏の終わりが近づくにつれてより活発なスケジュールが予想される」と話した。
中国南部で、ウイルス性疾患のチクングニア熱が猛威を振るっている。感染者数は直近で減少傾向にあるものの、広東省の保健当局によると、同省だけで今年に入り1万人近くが感染。当局は封じ込めに躍起で、新型コロナウイルス流行時の厳しい統制措置「ゼロコロナ」をほうふつさせると懸念する声も上がっている。
チクングニア熱は蚊が媒介する感染症。厚生労働省のサイトによると、2〜12日間の潜伏期間を経て、発熱や関節炎、発疹といった症状が出る。死亡することはまれだ。ワクチンや予防薬はない。
中国では7月ごろから広東省仏山市を中心に流行し、同省に隣接する香港などでも感染者が確認された。当局は感染抑制の徹底を命じ、ドローンを駆使して民家の屋上やベランダを捜索。蚊の発生源となる鉢植えや水がたまった容器の強制撤去に乗り出した。
今月上旬には、広東省湛江市で当局が午前1時台に家を訪れ、子どもの採血を強行する様子がSNSに投稿され、波紋を呼んだ。母親は夜勤で留守だった。子どもの発熱を知った地元の診療所が当局に通報したと報じられている。
仏山市政府は7日、さらなる対策強化と蚊の撲滅を目指し「愛国衛生運動」を開始すると宣言。愛国衛生運動は、毛沢東が1950年代にハエやネズミを駆除するよう呼び掛けた際のスローガンだ。2022年には、習近平国家主席が新型コロナ対策に関して同じ言葉を使った。
X(旧ツイッター)では、採血のため屋外に並ばされる住民や市街地で大量の殺虫剤をまく様子を映した動画が拡散。中国のSNSでも「コロナ時代の再来だ」といったコメントが出ている。
石油大手各社は液化天然ガス(LNG)に大金を賭けており、10年末までに天然ガスのピークを迎えるという予想に挑戦状を叩きつけている。
英国のシェル
世界のLNG市場の大手企業である同社は、エネルギー転換の中で過冷却商品を主な焦点と位置付けている。
フランスのTotalEnergies
同社は、同社が管理するLNGの量が2023年から2030年の間に50%増加すると予想しているが、BPは
同社は最近、グリーン戦略の方向転換の一環として化石燃料への依存を強めており、LNGへの投資も大幅に拡大している。
米国ではエクソンモービル
シェブロンは2030年までにLNGポートフォリオを倍増させることを目指している。
既存のLNGプロジェクトの拡大と新規施設の開発を進めており、ベーカー・ヒューズは
同社は最近、LNGへのエクスポージャーを高める動きの一環としてチャート・インダストリーズを136億ドルで買収すると発表した。
大手石油会社によるLNGへの取り組みは、業界が世界的な需要の拡大を捉え、主要プレーヤーがポートフォリオの多様化を目指す中で進められている。しかし、エネルギーアナリストは懸念を表明している。
LNGは化石燃料である天然ガスから生成されますが、石炭や石油などの他の化石燃料よりもクリーンな代替燃料としてしばしば紹介されています。しかし、環境への影響、特にサプライチェーンにおけるメタン漏出への懸念から、LNGは現実的な「橋渡し燃料」とは考えにくいと批判する声もあります。
シェルのワエル・サワンCEOは決算シーズン中にCNBCのインタビューに応じ、エネルギー転換を通じて同社は柔軟な姿勢を保つ必要があると述べ、この変化は「直線的ではない」と指摘した。
サワン氏は、低炭素プロジェクトの構築計画と並んで、同社の長期戦略において重要な役割を果たす「非常に求められているエネルギー形態」の一つとしてLNGを挙げた。
「しかし、シェルが主にどこで活動できるかという質問の核心については、まず第一にそれはLNGだと私は答えます」とサワン氏は7月31日、CNBCの「スクワークボックスヨーロッパ」で語った。
「これは、数年前のブラジルの干ばつに対応し、ロシアのウクライナ侵攻後のヨーロッパのニーズに対応し、暑い夏や非常に寒い冬のアジアのニーズに対応できる多用途の燃料です。そして、現在から2040年の間に60%成長するでしょう。」
シェルのLNGに対する強気な見通しは、主にLNGの最大の市場であるアジアの経済成長予測、重工業と運輸における排出量の削減、そして人工知能ブームの影響によるものである。
しかし、LNG需要予測は国際エネルギー機関の予想とは食い違っている。
「何かを犠牲にしなければならない」
世界を代表する国際エネルギー監視機関は最近、市場への供給増加に伴い、世界の需要は2025年に減速した後、来年には回復すると予想していると述べた。しかし、IEAは依然として、ガス需要は10年末までに横ばい、あるいはピークを迎えると予想している。
クリーンエネルギー源が急速に注目を集める中、パリに拠点を置く同機関は以前、LNG市場で「何かを変えなければならない」と警告していた。
IEAは「世界エネルギー展望2024」の中で、米国とカタールが主導して世界の輸出能力が50%近く増加する中、多くの供給者が投資を回収するために必要な価格は、低所得国による大規模な天然ガスへの移行を促さない可能性があると述べた。
IEAはLNGの予測を上方修正し、発表されたエネルギー・気候変動政策のシナリオ下では、2035年までLNG需要が年率2.5%で増加すると予測している。これはガス需要全体の増加率を上回るが、エネルギー転換の加速によってLNGの供給過剰が悪化する可能性があるとIEAは指摘している。
「結局のところ、これは非常に危険な賭けであり、エネルギー転換に逆らう賭けだ」とエネルギーシンクタンク、エンバーの電力・データアナリスト、ユアン・グラハム氏はCNBCに電話で語った。
グラハム氏は、特に太陽光発電の急速な増加が世界のLNG需要を圧迫しているようだと述べ、再生可能エネルギーの成長規模が「状況を完全に変えてしまった」と指摘した。
「地政学的緊張により化石燃料への依存のリスクも明らかになり、アジアの一部の国が特にそのリスクにさらされている」とグラハム氏は述べた。
いくつかのアジア諸国では、ホルムズ海峡周辺の地政学的リスクの高まりにより、石油とガスの供給が途絶える可能性に対する懸念が高まっている。
ペルシャ湾とアラビア海を結ぶホルムズ海峡は、世界で最も重要な石油の難所の一つとして認識されています。日本、韓国、中国、インドはいずれも、この海峡に起因するLNG供給ショックに対して脆弱であることが知られています。
資本規律
「大手石油会社はLNGへのエクスポージャーを増やそうとしているので、LNG推進について語るのは正しい。しかし、石油メジャー間で若干の分散化を図る必要がある」と、ウェルスマネジメント会社キルター・シェビオットのエネルギー・素材アナリスト、マウリツィオ・カルリ氏はCNBCの電話インタビューで述べた。
カルリ氏は、シェルにとってLNGへの注力は数十年前に事実上ゼロから立ち上げた事業の「自然な継続」であり、ロンドン証券取引所に上場する同社に業界の同業他社に対する「競争上の優位性」をもたらしていると述べた。
カルリ氏は、トタルエナジーズもこの分野の主要企業の一つであり、一方で米国のエクソンモービルやシェブロンなども、欧州の同業他社に比べると低いとはいえ、LNG市場で大きなシェアを持っていると述べた。
カルリ氏は、LNGプロジェクトは30年から40年続く可能性があることを踏まえ、エネルギー大手は、需要の伸びが2040年頃から鈍化したとしても、今日稼働を開始する施設への投資が依然として利益を生むものであることを確認する必要があると述べた。
「石油会社はこの点に非常に注意する必要がある」とカルリ氏は語った。
しかし彼は、エネルギー大手企業による大規模LNG事業の資本予算策定プロセスは「実に厳格に行われている。そのため、2040年以降にLNG需要が減少する可能性がある場合でも、これらのプロジェクトが収益性が高く、他の燃料と比較して競争力があることを保証している」と付け加えた。
ドイツの航空交通量は依然として2019年の水準を大きく下回っています。高額な規制と国の経済状況が回復を阻んでいます。航空会社は政府の政策を批判しています。
ドイツの空港における旅客数は、経済全体の危機を裏付けています。2025年上半期の旅客数は9,940万人で、前年比2.8%増加しましたが、依然としてコロナ以前の水準を15.8%下回っています。
この減少は首都ベルリン・テーゲル空港で特に顕著です。2019年の旧テーゲル空港とシェーネフェルト空港の合計旅客数と比較すると、ベルリン・テーゲル空港は現在、約30%減少しています。
大きな能力ギャップ
これは業界の苦境を如実に示す指標であり、ドイツ経済の他のセクターの動向とも一致しています。建設業と主要工業セクターの操業水準はともに2019年の水準を12~15%下回っています。これは労働市場に影響を及ぼしています。航空業界では、2019年以降、雇用の約24%、つまり25万5000人のうち6万人が削減されました。全国では、現在、約70万人の雇用が失われています。
ドイツ経済は明らかに低調な状態にあります。第2四半期の設備稼働率は77.7%と、平均の83.4%を大きく下回っており、これは内需の弱さと輸出部門の冷え込みを示しています。米国の貿易政策はさらなる圧力となる可能性が高いでしょう。ドイツ経済は深刻な混乱に陥っており、国全体の競争力は低下しています。
批判は高まる
航空会社と空港運営会社は、ドイツの過剰なコストと規制負担について長年不満を訴えてきました。EU委員会による既に厳格な規則は、国内では追加税、賦課金、そして官僚的な手続きによってさらに複雑化しています。この相乗効果は航空会社に重くのしかかり、ドイツの航空交通量の実質的な回復を阻害しています。
最近最も厳しい批判を受けたのはアイルランドの航空会社ライアンエアーで、同社はドイツ国内での運航コストの高騰を理由にドルトムント、ライプツィヒ、ドレスデンでの運航を完全に停止し、ハンブルクでの運航を60%、ベルリン・エアラインズ(BER)での運航を20%削減すると発表した。
トトへの道
ライアンエアのCMO、ダラ・ブレイディ氏は、現状を率直に総括し、連邦政府が高額な航空旅行税の引き下げ、あるいは少なくとも減額を繰り返し怠り、市場の回復を阻んでいると痛烈に批判した。ブレイディ氏は、観光、雇用、そしてドイツと国際ハブ空港との連結性に甚大な影響を及ぼすと警告した。
彼は、航空旅行税が廃止されれば、ライアンエアはドイツに30億ドルを投資し、1,000人の新規雇用を創出すると発表した。旅客数は年間3,400万人に増加する可能性がある。しかし、高コストとアクセス障壁が残る場合、成長の拠点はスウェーデン、ハンガリー、イタリアといった他のヨーロッパ市場に移らざるを得なくなるだろう。
ライアンエアのメッセージは明確だ。具体的な救済措置がなければ、さらに多くの企業が撤退し、ドイツの経済状況と航空業界の雇用に悪影響を及ぼすだろう。2019年以降、ドイツに駐機している民間航空機の数は190機から130機に減少し、約1万人の雇用が失われ、年間40億ユーロを超える経済生産の損失につながっている。
政治は沈黙を守る
今のところ、政策立案者たちは沈黙を守っている。連邦観光コーディネーターのクリストフ・プロス氏(キリスト教民主・同盟)だけが漠然とした反応を示し、航空旅行税の引き下げ計画を発表した。
しかし、2026年度連邦予算には具体的な救済策は含まれていない。
この分野は政治的な支援を受けられず、依然として危機に瀕している。
ドイツの孤立への単独逃避
規制は国内線に最も大きな打撃を与えており、これは個人の移動と航空利用に対するイデオロギー的な姿勢を反映しています。現在、航空券価格の最大35%が政府の料金に充てられています。これには、2024年に25%引き上げられ、航空券総費用の約10~12%を占める航空旅行税が含まれます。さらに、二酸化炭素税、空港使用料、航空安全料金が10~15%を占めています。空港使用料と航空管制料金は8~10%を占めています。
欧州と比較すると、ドイツの料金は競合都市の料金をはるかに上回っています。例えば、ポーランドとイタリアでは、航空券にかかる税率は10~15%です。この差は、競争の激しい市場において極めて重要です。EU委員会が統一的な規制を導入しない限り、立地競争は続くでしょう。航空会社の近隣諸国への流出が迫っているため、財務大臣への減税圧力は高まっています。しかし、厳しい財政状況を考えると、減税が実現可能かどうかは依然として疑問です。
ほぼ1世紀が経ち、ドナルド・トランプ大統領は、社会保障制度を創設した法案を「これまでに法制化された最も重要な法律の一つ」として民主党の前任者であるフランクリン・ルーズベルト大統領に称賛を送った。
このプログラムは今月90周年を迎えました。改革がなければ、100周年を迎えることは保証されません。
トランプ大統領は、大恐慌の真っ只中に創設されたこの制度をルーズベルト大統領が築いたことを今でも称賛し、大統領執務室で「90年以上も」維持・改善していくと誓った。大統領はこれを「高齢者への神聖な誓い」だとした。もし自分がホワイトハウスに戻っていなかったら、「社会保障制度は破壊されていただろう」とトランプは豪語した。
トランプ氏は約束通り、高齢者の福利厚生に介入していない。実際、彼の目玉法案は社会保障給付を非課税にすることで高齢者の税負担を軽減した。しかし、保険数理表は大統領がカメラの前で見せたほど楽観的ではない。
社会保障制度の主任アクチュアリーであるカレン・グレン氏の新たな推計によると、現状では社会保障制度は100周年を迎えられないだろう。信託基金はわずか7年で破綻するだろう。当初は2033年第1四半期までに資金が枯渇すると予想されていたが、「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」が成立し、給付金が非課税となったため、この予測は2032年第4四半期まで若干繰り上げられた。
議会調査局の分析によれば、その時点で連邦政府には増税、給付金削減、あるいはその両方の組み合わせという3つの選択肢があることになる。
その時までに元大統領の仲間入りを果たしているトランプ氏は、こうした予測には無関心な様子だった。「『6年後、7年後には社会保障制度はなくなる』という話はよく聞く」と記者団に語り、「民主党が介入すれば、本当になくなるだろう。彼らは何をやっているのか分かっていないからだ」と付け加えた。そして、自分の政党が政権を握っている限り、「社会保障制度は我々の時代から長く続くだろう」と約束した。
左派からの非難にもかかわらず、共和党は財政上の警告灯が点滅しているにもかかわらず、このプログラムに手を出すことを躊躇している。選挙期間中は政治的な材料となるこの国民の権利は、連邦議会において根強い禁忌となっている。
社会保障制度の財政難は今に始まったことではない。共和党政権、民主党政権のいずれにおいても、状況は悪化してきた。リベラルなブルッキングス研究所が指摘するように、 1983年以降、社会保障受託者によって発表されたすべての報告書において、同制度は不足に直面していることが明らかになっている。かつては、財政の崖に立ち向かうことは保守派の正統派だった。
ジョージ・W・ブッシュ元大統領は、社会保障制度が「破綻に向かっている」と警告しました。 共和党員である彼は、自身の遺産の多くをこの改革に賭け、部分的な民営化と、国民が税金の一部を投資に回せる条項を提案しました。しかし、結局この提案は実現せず、議会での採決さえ行われませんでした。その後、マサチューセッツ州の元知事ミット・ロムニーは大統領選に出馬した際に、退職年齢の引き上げや富裕層への給付金削減といった、より控えめな改革を提案しましたが、選挙運動中に痛烈に批判されました。
イーロン・マスク氏が政権メンバーだった当時、社会保障制度を「史上最大のポンジー・スキーム」と呼んで警告していたにもかかわらず、トランプ政権は制度全体を抜本的に見直す意欲を示さなかった。むしろ、無駄、詐欺、そして濫用を根絶しつつ、官僚機構の効率化に注力してきた。
社会保障局長フランク・ビシニャーノ氏は同局の指揮を執ってまだ3か月も経っていないが、報告書を提出することに意欲的にホワイトハウスに到着した。
顧客サービスが向上し、平均待ち時間は30分から6分に短縮されました。新技術が導入され、高齢者は24時間365日、オンラインで給付金に関する情報にアクセスできるようになりました。障害年金の請求残高は26%削減され、310万件の給付金が予定より数ヶ月早く受給者に支払われました。
大統領にとって嬉しいことに、25万人以上の不法移民が年金制度から排除され、100歳を超える数百万人が名簿から削除されたが、亡くなった100歳以上の高齢者の大多数がまだ年金を受け取っていたかどうかは不明だ。
ビシニャーノ氏は記者団に対し、近代化の取り組みが完了し、不正行為が対処された後、「それをすべて実行すれば、欠陥があったかどうかの答えが本当にわかるだろう」と語った。
一部の専門家は、こうした評価は楽観的すぎると指摘し、社会保障制度における不正行為は既に比較的稀であることを強調しています。「特に障害者支援プログラムに関しては、改善の余地は常に存在する」と、責任ある連邦予算委員会は最近の報告書で結論付けています。「しかし、社会保障制度における不正行為や不正使用は稀であり、プログラムの財政に大きな影響を与えるほどの規模ではないことは明らかだ」
社会保障局の広報担当者はRealClearPoliticsに対し、信託基金の長期的な健全性を確保することが「最優先事項」であり、ビシニャーノ氏は議会、ホワイトハウス、その他の関係者と協力してプログラムを強化することに尽力していると語った。
「本日の大統領執務室でのイベントで、ビシニャーノ長官は、このプログラムが今後90年間繁栄し続けることができるよう、トランプ大統領のリーダーシップの下、SSAが無駄、詐欺、乱用に取り組んでいるいくつかの方法について詳しく説明しました」と広報担当者は続けた。
グリーン疑似経済が経済全体を低迷させる一方で、ドイツ人の3分の2は再生可能エネルギーに満足しており、さらにはより急速な拡大を望んでいるとさえ述べている。一方、欧州の戦時経済の構築は、欧州の貧困化の新たな段階を示唆している。
最も普及しつつも、最も破壊的な経済戦略は、依然としてケインズ主義の現代的解釈である。イギリスの経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、経済活動を過度に単純化した見解によって、戦後の政治家たちに意図せずして道具箱を渡してしまった。そして彼らはそれを、後にあらゆる経済危機に対する万能の「解決策」へと転用してしまった。要約すると、ほぼすべての不況は消費者の需要不足に起因する。したがって、国家の役割は、この需要ギャップを埋めるために人為的な信用を創出することである。
官僚機構拡大のレシピ
金利の低下、信用の発行、そして(おとぎ話では)経済が軌道に乗る。しかし現実には、残るのは山のような国家債務、肥大化した官僚機構、歪んだ金融市場、そして生産性の低下だ。これらは経済学者でなくても容易に検証できる経済上の事実だ。繁栄は、より多くの財とサービスによって消費者の需要に効率的かつ的確に応える資本ストックの増加から生まれる。
ケインズ政策はヨーロッパにとって悲惨な結果をもたらしました。なぜなら、政治家に影響力を拡大し、官僚機構を構築し、市場を操作するための恒久的な口実を与えてしまうからです。欧州委員会、ほとんどの欧州政党、そして加盟国の政府といった政治機関は、ほぼ例外なくこの方法で運営されています。
グリーンディール
こうした精神のもと、グリーンディールが誕生した。これは「グリーン・トランスフォーメーション」を装った疑似経済であり、地球救済への貢献として国民に売り込まれた。しかし実際には、これはとんでもない仕掛けであり、過剰な補助金制度を維持するために毎年ますます経済の大きな部分を食いつぶしているヨーロッパの戦略的エネルギー依存に対する、奇怪な反応である。
2024年だけで、ドイツはこの機械に900億ユーロから1000億ユーロを投入した。連邦政府は580億ユーロ、欧州投資銀行は86億ユーロの新規融資、EUのInvestEUプログラムが91億ユーロ、EUのイノベーション・環境基金が約200億ユーロを投入した。この継続的な資金の流れがなければ、ゾンビ経済は崩壊するだろう。まるでそのことを証明するかのように、ドイツ政府は「特別基金」を装い、さらに1000億ユーロの債務を、常に資金を貪欲に使うグリーン補助金機械に注ぎ込んだ。
疑似経済は新たな資本注入によってのみ存続し、市場の需要に反して継続的に生産を続ける。内部の緊張は高まり、ついには崩壊が避けられなくなる。グリーンディールはまさにこの下降スパイラルにヨーロッパを陥れてしまったのだ。
スピルオーバー
ドイツは現在、不況3年目に入り、企業倒産件数が過去最高を記録しています。同時に、政府はわずか6年間で公的部門の雇用を50万人増やした一方で、民間部門の雇用は120万人減少しました。さらに、制御不能な移民の増加も相まって、ドイツの福祉制度は極めて大きな圧力にさらされています。
政治は完全に防御的な姿勢に後退した。つまり、福祉国家は生活の糧を失った何十万人もの人々の受け皿となり、民間部門はエネルギーコストと補助金の重荷の下で崩壊するのだ。
診断は明白だ。グリーンディールは行き詰まりだ。グリーンディールに費やされる1ユーロごとに、民間資本市場が締め出され、資源が不適切に配分され、非生産的な部門の労働者が足かせをはめられる。アルゼンチンとの対照は際立っている。アルゼンチンでは、ミレイ大統領が国家のGDPに占める割合を6パーセントポイント削減し、7.7%という経済成長を実現した。
変革には痛みが必要
ヨーロッパにとって唯一の道は、痛みを伴う変革期を受け入れ、国家規模を縮小し、エコ幻想を捨て去ることです。合理的なエネルギー政策とは、原子力発電とロシアのエネルギー供給の再統合を意味します。
しかし、世論は異なる見方を示している。ドイツ人の64%が再生可能エネルギーに満足しているか、あるいは再生可能エネルギーの拡大を望んでいる。長年にわたる政府のプロパガンダによって、グリーン補助金と経済崩壊の関連性は薄れてしまった。気候変動に関する物語は、道徳化され、武器化され、国民の意識に深く根付いている。
再生可能エネルギーは確かに存在意義を持つかもしれないが、それは強制や強制課税のない自由市場においてのみである。グリーンゾンビ経済は、ヨーロッパの成長を回復させることに一度も成功していない。今こそ現実を直視し、何か新しいものを構築する前に、この構造を打破すべき時だ。
次の試み
しかし、欧州は方針転換の兆しを見せていない。官僚機構は巨大化しすぎて、自ら解体することはできない。ベルリンからブリュッセルに至るまで、各国の指導者たちは、産業流出を自らの政策の直接的な結果ではなく、一連の不幸な事故として扱っている。フリードリヒ・メルツ氏とDAXのCEOによる親密な「Made for Germany」円卓会議は、企業と国家の共謀疑惑を裏付けた。
グリーンディールで失敗した欧州の政治家たちは今、新たな疑似経済、つまり借金漬けの軍産複合体を試みている。アーンスト・アンド・ヤングの調査によると、ドイツのDAX構成企業は2025年上半期に3万人の雇用を削減した。ただし、防衛関連企業のラインメタルとMTUエアロエンジンはそれぞれ17%と7%の人員増加となった。
EUの計画は、2035年までに、砲兵、サイバー防衛、精密兵器に至るまで、欧州の防衛装備品の半分を域内で生産し、最大66万人の雇用を創出するというものだ。これは、各国の国防予算の拡大だけでなく、 ReARM EuropeやSAFEといったEUのプログラムによって賄われ、数千億ドル規模の新たな債務が調達されることになる。
アイズ ワイド シャット
EUは2030年までに8,000億ユーロの追加国防費を動員する計画だ。しかし、軍需産業ほど消費者の実質需要から大きく乖離した生産を行っている産業はない。これはケインズ経済学の最も極端な形であり、民間資本市場を飢えさせながら借金で時間を稼いでいると言えるだろう。
ブリュッセルの新たな寵児として台頭する防衛ロビーは、腐敗を加速させ、EUの寄生的な構造と縮小する生産力との間の溝を深め、EUの運営システムとしての企業主義的な縁故主義を強固なものにするだろう。フォン・デア・ライエン氏によるファイザー社へのテキストメッセージスキャンダルは、このブリュッセルの秘密組織を最も適切に象徴するものだ。
結局のところ、ヨーロッパの戦時経済は、EUの軍事化という夢を実現するための資源も技術も持ち合わせていない。これはグリーンディールの悲劇的な再現であり、プロパガンダ主導で、債務に支えられ、崩壊へと突き進んでいる。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米財務省は15日、太陽光・風力発電施設整備への税額控除について、適用要件を厳格化する新規則を発表した。同控除は、トランプ米大統領肝煎りの大型減税関連法が成立したことにより、27年末までの2年間で段階的に廃止となる見込みだ。
今回の規則改定では、太陽光・風力発電施設が「建設中」の扱いとなるための定義を変更。事業者に対し、資本を投入するだけでなく実際の建設作業を完了させるよう求める。
トランプ氏は7月、太陽光・風力発電施設のうち大部分が建設済みでなければ税額控除の対象としないよう、財務省に命じる大統領令に署名していた。
トランプ氏は1月の大統領就任以降、太陽光・風力発電施設の開発に対する妨害を繰り返し模索。これらの発電方法は信頼できず、高コストで、中国のサプライチェーン(供給網)に過度に依存しているとの主張を続けてきた。
テキサス州は、電力系統の緊急事態の際にデータセンターへの電力供給を遮断する準備を進めている 。これは、電力系統がいかに逼迫しているかを示す兆候だ。
7月4日の独立記念日には、テキサス州中部を壊滅的な洪水が襲い、インフラが寸断され、広範囲にわたる停電が発生しました。一方、テキサス電力信頼性評議会(ERCOT)は、すでに複数の価格高騰と節電警報を発令しています。これは電力が不足したからではなく、必要な場所に電力を供給できなかったためです。
これらは孤立した出来事ではありません。テキサスだけの問題ではありません。
停電計画が発表されてわずか数日後、米国エネルギー省は、2030年までに全米の停電リスクが100倍に増加する可能性があると警告した 。
これらすべては、より深刻な脆弱性を示唆しています。私たちはいまだに、嵐が少なく、負荷の増加が緩やかで、大規模なデータセンターがない、別の時代向けに構築されたツールと想定に基づいて電力網を運用しているのです。
テキサス州の新たな常態は、よりスマートで、より迅速で、より適応性の高い送電網運用を求めています。長期的なインフラ投資は不可欠ですが、今後3年間の夏を乗り切るには間に合いません。
テキサス州は、特に太陽光、蓄電池、風力発電といった新たな発電設備の構築において、着実な進歩を遂げてきました。しかし、電力を運ぶ電線は変わっていません。さらに重要なのは、送電網の運用方法が、変化する気象パターンや電力需要の増加といった需要に対応できるほど進化していないことです。
現在、 産業拡大、電化、AIデータセンターからの需要急増が、その負担を倍増させています。ERCOT独自の予測に よると、テキサス州の電力需要は2030年までにほぼ倍増する可能性があります。そして、他の地域も例外ではありません。
ミッドコンチネント独立系統運用会社は最近、 増大する交通渋滞を緩和するために220億ドルの送電設備増強を承認した。
カリフォルニア州独立系統運用機関は、 昨年再生可能エネルギーの削減が約30%増加したと報告した。
PJM インターコネクションは、データセンターの発展により 2035 年まで年間ピーク負荷が 3% ~ 4% 増加すると予測しており 、今後 15 年間で最大 70 GW の需要を見込んでいます。
全国的に、米国の需要は今後5年間で約16%増加すると予想されているが、これは1980年代以来見られなかったペースだ。
これは、すでに混雑している送電システムにさらなる負担がかかることを意味する。送電システムは依然として、熱、風力、需要に関する何十年も前の想定に基づいて管理されている。
こうした仮定はもはや通用しない。そして、より暑く、より嵐の多いテキサスでは、それらは危険になりつつある。
運用インテリジェンスの重要性
世界中の電力会社は、新しい送電線を建設するのに10年も待つ必要がないという異なるアプローチを採用している。
欧州では、ハードウェア不要の動的送電線定格(DLR)や超局所気象予報といったソフトウェアベースのツールによって、既存の送電線に流せる電力量を安全に増やしています。これらのツールは、新たなハードウェアや大規模なインフラを必要としません。衛星、LiDARスキャン、数千の気象観測所からのデータを活用し、事業者が余剰電力がいつどこで利用可能かを把握し、それに応じた計画を立てるのに役立ちます。
私は海外の国営送電事業者とこのアプローチの導入を支援してきました。例えばエストニアとフィンランドでは、7,000マイル(約11,200キロメートル)の送電線にAI駆動型のDLRを適用しました。これらの送電線の多くは、アメリカの多くの地域と同様に、丘陵地帯や森林地帯に位置しています。その結果、従来の基準では限界に達していた送電線で、最大40%の容量増加が実現しました。
ここでも同じ物理法則が当てはまります。時速わずか4マイル(約6.4キロメートル)の微風でも、送電線を冷却し、容量を30%増加させることができます。しかし、送電網運用者は通常、十分に正確な天気予報にアクセスできません。そのため、万が一に備えて、常に最悪の天候を想定しています。つまり、私たちは毎日、重要な時間帯や緊急時でさえ、メガワット単位の電力を供給できない状態にしているのです。
負荷の柔軟性だけが緊急時のツールではない
需要側管理は不可欠です。しかし、夏の猛暑を乗り切るためだけに重要なインフラを停止させるべきではありません。系統状況の可視性を高め、混雑を早期に予測し、より遠方から電力を供給できれば、そもそも強制的な負荷制限を回避できるでしょう。
データ センターなどの産業負荷を停止することは、デフォルトのバックアップ プランではなく、最後の手段である必要があります。
これは、新しい送電線や発電機の建設をやめろという呼びかけではありません。それらは必要です。しかし、今後数年間に急増する需要に対応するには間に合わないでしょう。
今私たちにできることは、ソフトウェアベースの運用インテリジェンスを活用してよりスマートに運用し、削減を減らし、混雑を緩和し、消費者のコストを下げることです。
これは政治的なものではなく、実践的なものであり、そして実証済みです。
ERCOTは長年にわたり、米国の送電網イノベーションの実証の場として機能してきました。しかし今日では、炭鉱のカナリアのような存在でもあります。テキサス州の今後の取り組みは、米国の他の地域が今後どのような準備をしていくかを左右するでしょう。
●その他
いわゆる「大退職」は「大残留」へと変化しました。しかし専門家は、労働者は単に残留しているのではなく、「職に執着している」と指摘しています。
ジョブ・ハギングとは、仕事を「必死に」つかみ続ける行為だと、組織コンサルティング会社コーン・フェリーのコンサルタントは先週書いている。
こうした固執は、 2021年と2022年に労働者が示した過去の転職率 とは全く対照的だが、現在の労働市場の傾向を考えると納得できる。
「労働市場は停滞しており、採用率、退職率、レイオフ率が低い」と、Indeed Hiring Labの北米経済調査ディレクター、ローラ・ウルリッチ氏は述べた。「ほとんど動きがない」
「世界の不確実性」
労働者が自主的に仕事を辞める割合は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの初期を除けば、2016年頃以来の最低水準付近で推移している。
いわゆる離職率は、労働者が労働市場全体に対して抱いている認識のバロメーターだとウルリッチ氏は述べた。この場合、労働者は別の仕事を見つけることに不安を感じているか、あるいは新しい仕事を見つけられるかどうかに自信がない可能性があると彼女は述べた。
「世界には経済、政治、世界的にかなりの不確実性があり、その不確実性によって人々は当然のように現状維持の姿勢に陥るのだと思う」とコーン・フェリーのエグゼクティブサーチコンサルタント、マット・ボーン氏は語った。
同氏は、この状況を、投資機会を待ちながら傍観している臆病な投資家に例えた。
金利が上昇する中で雇用市場も徐々に冷え込み、企業にとって資金を借り入れて事業を拡大するコストがさらに高くなっている。
過去1年ほどの雇用率は(新型コロナウイルス感染症のパンデミックの初期を除く)10年以上ぶりの最低水準に急落しており、新しい仕事を探したい人にとっては仕事を見つけるのが比較的難しいかもしれない。
ここ数カ月の雇用の伸びも急激に鈍化しており、経済学者はこれをより広範な経済減速の証拠だと指摘している。
今月初めに発表されたコンファレンス・ボードの四半期調査によると、今後12ヶ月間で従業員数を削減する計画があると回答したCEOが、人員削減の計画があると回答したCEOの数が、人員削減の計画があると回答したCEOの数を上回りました。これは2020年以来初めてのことです。人員削減と人員削減の比率は、それぞれ34%と27%でした。
一つの仕事に長く留まることは本質的に悪いことではないが、仕事に「固執」することは不注意な人にとってはリスクをもたらす可能性があると専門家は述べている。
ウルリッチ氏は、第一に、転職者は一般的に現職にとどまる者よりも高い賃金上昇を要求するため、収入の伸びをある程度犠牲にしている可能性があると述べた。
例えば、現在の職務にあまりにも慣れすぎている労働者は、新たな責任を担ったり新しいスキルを習得したりするのではなく、停滞してしまう可能性があり、労働市場が改善した際に市場価値やキャリアアップに悪影響を与える可能性があるとボーン氏は述べた。また、雇用主は、そのような労働者がもはや自社のパフォーマンス基準を満たしていないと判断する可能性があるとも付け加えた。
さらに、雇用市場の動きが鈍いため、新卒者などの新規参入者が仕事を見つけるのが難しくなる可能性があるとウルリッチ氏は述べた。
過去 10 年間で、私は 3 つのデジタル エージェンシーを立ち上げ、Profit Labs の CEO となり、これらの企業で 500 人以上の求職者を面接してきました。
採用された人がその後どのようなパフォーマンスを発揮するかを予測するには、適切な質問をすることが重要だと学びました。
そして、どんな履歴書や身元照会よりも、採用する人が私にとって最高の候補者になるか最悪の候補者になるかを常に教えてくれる質問が 1 つあります。
何百回もの面接を通じて、これは長期的な成功を予測する最も信頼できるツールとなり、どの採用ツールよりも多くの費用を節約してくれました。
この質問には正直な答えが返ってくる
以前は、候補者に「天才の領域」(優れた点、有能な点、無能な点など)について尋ねていました。何が得意で、何がそこそこでき、何が苦手なのかを探るためです。しかし、「無能」という言葉は、相手を守勢に立たせてしまうことがよくありました。正直な答えを求めているのに、何度も繰り返して繰り返し聞かれました。
時が経つにつれ、同じような洞察を得るためのより良い方法を見つけました。今日、私はこう問いかけます。「何があなたにエネルギーを与え、何がそれを奪うのか?」
このフレーミングは、私が彼らの味方であることを示しています。彼らを躓かせようとしているのではなく、彼らが嫌うかもしれない役割から彼らを守ろうとしているのです。これにより、人々はより率直に答えることができ、彼らの回答は多くのことを明らかにします。
見逃せない: 目立つパーソナルブランドを構築する方法:オンライン、対面、職場
この質問は、履歴書の審査や性格診断よりも早く、仕事への適性を判断する材料となります。スキルや経験は重要ですが、重要な変数、つまりエネルギーが欠けています。優秀な人材であっても、消耗する仕事に日々を費やしていると燃え尽きてしまいます。一方、仕事が自分のエネルギー源と合致していれば、新しい仕事への刺激が薄れても高いパフォーマンスを維持できます。
私の経験では、面接で得たエネルギープロファイルは、10回中9回は、数ヶ月後の業績評価でマネージャーが述べる内容と一致します。高価な採用ソフトウェアを使っても、これほどの精度は得られませんでした。
単純な質問ですが、答えをよく聞いてみると、チームとビジネスの軌道が変わる可能性があります。
危険信号を早期に発見する
場合によっては、候補者の答えから、その役割に満足していないことが明らかになることがあります。
たとえば、私がアカウントマネージャーのポジションで面接したある候補者は、次のように言っていました。「クライアントを支援するのは大好きですが、彼らがアイデアに反対したときに何度もやり取りするのは耐えられません。」
クライアントからのフィードバック(反対意見も含む)は、その役割における日常業務の一部です。
彼らがその仕事に求められる労力に疲弊していることは分かっていました。私は彼らの正直さに感謝し、なぜ適任ではないのかを説明しました。二人とも、将来起こるであろう悪い事態を避けることができました。
成功するトップパフォーマーを特定する
また、答えが仕事に直接関係し、誰かが活躍できることが明らかになることもあります。
例えば、カスタマーサクセスの職種について、ある応募者はこう言っていました。「私はクライアントと深く関わり、彼らの目標を理解し、彼らが本当に必要としているものを確実に提供することにエネルギーを注いでいます。一方、エネルギーを奪うのは、クライアントとの距離を縮める雑務です。」
採用から6ヶ月後、彼らの業績評価は、その会話とほぼそのまま一致していました。彼らは顧客対応業務で優れた成果を上げ、トップパフォーマーとなりました。
この質問をする方法
この質問を自社の採用プロセスで使用したい場合は、次のことをお勧めします。
早めに質問しましょう。面接が終わるまで待たずに。会話がまだ新鮮なうちに質問すれば、より明確でリラックスした答えが得られるでしょう。
言葉の奥にあるものにも耳を傾けましょう。トーン、間、抑揚に注目しましょう。ためらいは、熱意と同じくらい相手に伝わることがあります。
確実に成果を出せるようにしましょう。もし応募者が、活気があり協力的な環境で力を発揮できると言うなら、実際にそれを実現できるかどうかを確認しましょう。そうでなければ、応募者を失敗に導くことになります。
ミスマッチな求人に「売り込む」のはやめましょう。優秀な候補者を説得して採用してもらいたくなる気持ちはわかりますが、ほとんどの場合、それは短期間での採用となり、再雇用コストの増加につながります。
この質問にどう答えるか
この質問は求職者にとってもリトマス試験紙です。求職者へのアドバイス:
事前に振り返ってみましょう。現在と過去の役割について考えてみましょう。一日の終わりにエネルギーが満ち溢れた仕事はどれでしたか?疲れ果ててしまった仕事はどれでしたか?
適性を判断するために活用してください。その職務の日々の責任が、あなたがエネルギーを注げると言ったことと一致していない場合、それは適切な機会ではないというサインかもしれません。
正直に話しましょう。真実を隠しても、つまらない仕事に就くだけです。率直であればあるほど、自分が力を発揮できる仕事を見つけられる可能性が高まり、疲れ果ててしまうような仕事を避けることができるでしょう。
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