備忘録(2025/11/5)
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●マクロ
グローバルな銀行やオルタナティブ資産運用会社の幹部から、プライベートクレジットのリスクを警告する声が相次いだ。
米資産運用会社TCWグループのケイティ・コッチ社長兼最高経営責任者(CEO)は5日、プライベートクレジット市場の一部に対して自身が「非常に神経質になっている」と述べた。
デービッドソン・ケンプナー・キャピタル・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、トニー・ヨセロフ氏は、契約条項(コベナンツ)が借り手に有利な方向に緩んでいく「底辺への競争」が起きていると指摘した。
厳格な規制を受ける銀行以外による融資であるプライベートクレジットの市場規模は、1兆7000億ドル(約260兆円)に達している。
一部の銀行は、手数料収入を確保し豊富な資金源にアクセスするため、プライベートクレジットのプレーヤーとの提携を積極的に進めている。一方で、こうした枠組みはリスクを伴い、銀行セクターに悪影響を及ぼしかねないとの見方もある。
コッチ氏は香港で開催された「グローバル・ファイナンシャル・リーダーズ・インベストメント・サミット」のパネル討論会で発言。TCWでは現時点でクレジットを15%のアンダーウエートにしていると語った。
ヨセロフ氏は別のパネル討論で、プライベートクレジットの影響は特に米国で顕著だと述べた。「実際のところ、提供される契約条項(コベナンツ)や得られるクーポンの面で、底辺への競争が起きている」と語った。
前日にはスイスの銀行UBSグループのコルム・ケレハー会長が米国の保険業界に潜むリスクを警告。プライベートクレジットが活況を呈する中で、規制の不備や仕組みの複雑さがリスク要因になっていると指摘した。
アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ロワンCEOは4日の決算説明会で、保険業界についてのケレハー氏の警告には反論したものの、現在のクレジットサイクルの局面で「システミックリスクが積み上がっていると指摘するのは、必ずしも間違っていない」とも述べた。
PAGの共同創業者クリス・グレーデル氏は香港でのフォーラムで、プライベートクレジット分野には流動性のミスマッチやオープンエンド型の投資事業体を通じた資金調達など、注意を要する領域があると指摘。
プライベートクレジットやその他のオルタナティブ資産に資金を投じる保険会社などに対しても、監督強化が必要だと提案した。
プライベートクレジット市場は「現時点ではまだシステミックリスクと呼べるほど大きくはなっていない」とも付け加えた。
丸紅の大本晶之社長は5日、日本関連の企業の合併・買収(M&A)で存在感を増すプライベートエクイティー(未公開株、PE)ファンドについて、高いリターンを得ており、「過去の戦い方やオリジネーションの仕方を相当研究して学ばないといけないと思っている」と述べた。
東京で開催されたブルームバーグ主催のグローバル・クレジット・フォーラムの討論会で語った。大本氏は自社のM&A戦略は「成長を加速させていくために必要」と強調。PEについて「今後、競合にもなり得るが、パートナーにもなり得る」との認識を示した。
丸紅は1兆7000億円を成長投資に振り向ける計画を公表している。
ブルームバーグのデータによると、2025年の日本関連M&A(発表ベース)は、トヨタグループによる豊田自動織機の非公開化やNTTによるNTTデータ買収などの大型案件が寄与し、記録の残る1998年以来金額ベースで最大の48兆円まで積み上がっている。
野村証券でインベストメント・バンキング・プロダクトを担当する村上朋久常務は、日本の資金調達環境について、「調達の多様化や積極投資の中で、企業がバランスシートを膨らます動きが出ている」と指摘した。
ピクテ・ジャパンの大槻奈那シニア・フェローは「株価が上がっている分、買収価格が高くなる」と分析。こうした状況で、金利が上がるとリスクがあるほか、レバレッジが増加する分、格付けについてもいったんは保守的に見られる可能性があると述べた。
こうした環境下で大本氏は「適正価格で買う」ことが大切だとし、今後の事業計画に意識が向かいがちだが、過去の変遷をしっかり観察し、特に海外企業の買収では、地に足のついたデューデリジェンス(適正評価)を行うことが重要だと述べた。
4日投開票の米ニューヨーク市長選で民主党のゾーラン・マムダニ氏が勝利した。ウォール街は、同氏の民主社会主義的政策がNYのビジネスや競争力に与える影響を懸念し、市長就任後の采配に身構えている。
4日はバージニア州とニュージャージー州でも州知事選挙が実施され、いずれも民主党候補が制した。昨年の大統領・議会選挙以降、沈滞ムードだった民主党としては、来年の中間選挙に向け勢いづく契機としたいところだ。
マムダニ氏の勝利について、インガルス&スナイダーのシニアポートフォリオストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「彼がどの程度ニューヨークを変えようとするのか、そしてどのように受け入れられるのか、興味深い実験になる」と述べた。ニューヨーク市、ニュージャージー州、バージニア州で民主党が「全勝」を収めたことは、「ワシントン(トランプ政権)に対するかなり強い反対の意思表示だ」と指摘した。
ウォール街が警戒するのは、マムダニ氏が前面に出した「アフォーダビリティ」だ。社会民主主義に基にアパートの家賃凍結、無料バス、子育て支援などを提供する一方で、富裕層への増税や法人税引き上げを計画する。市長がウォール街を直接監督することはないが、ビジネス寄りかどうかは重要なポイントだ。多くの投資家や金融関係者は、アフォーダビリティの問題には共感できるとしながらも、税制政策は市の競争力低下につながりかねないと難色を示す。
「増税は中小企業レベルでは大きな影響がある」とオサイクのチーフマーケットストラテジスト、フィル・ブランカート氏は指摘する。
<骨抜き期待>
マムダニ氏が市長就任後に左派色を弱める、あるいは公約政策の頓挫を期待する声もある。
カーディフのディーン・リュルキン最高経営責任者(CEO)は、開票結果が出る前の段階で、マムダニ氏の勝利が「注目する2026年のリスク」に挙げた。同氏は、実際の政策は、選挙戦の美辞麗句よりもはるかに穏当なものになることが多いとしながらも、他の大都市でもマムダニ氏のような候補が勝利すれば、市場は増税、規制強化のリスクを織り込み始めると指摘した。
マムダニ氏の広報担当者は、育児支援などは仕事の継続でビジネスを支援し、より質の高い生活につなげられるとし、アフォーダビリティ政策は経済にとって良いと説明した。
<風向き変わるか>
今回の選挙は、来年の中間選挙の前哨戦だけでなく、1カ月を超えた政府機関の閉鎖を有権者がどう受け止め、その責任が共和、民主どちらの政党にあると考えているかを知る上で重要な意味を持つとされていた。
政権、上院、下院を共和党が握る現在の「トリプルレッド」が来年、下院だけでも「ブルー(民主党)」に塗り替われば、ワシントンが「膠着状態」が生じる可能性がある。
ハリス・ファイナンシャル・グループのマネジングパートナー、ジェイミー・コックス氏は、今回の選挙は共和党にとって「中間選挙に向けた大きな警鐘」と指摘した。MAIキャピタル・マネジメントのチーフマーケットストラテジスト、クリス・グリサンティ氏は「誰もが風向きを見極めようとしている」と語った。
欧州連合(EU)の駐ジョージア(グルジア)大使、パベル・ヘルチンスキ氏は4日、同国のEU加盟が、2023年に加盟候補国となった当初より遠のいたとの認識を示した。EU欧州委員会の最新報告が、加盟の望みを絶つ「壊滅的な」内容だったと説明した。
EU欧州委員会は同日の報告書で、モンテネグロ、アルバニア、ウクライナ、モルドバが加盟に必要な改革を進めていることを称賛し、早ければ30年に新加盟国として迎える可能性があるとした。
しかしジョージアについては「深刻な民主主義の後退」があり、今では「名目だけの」候補国と見なされていると指摘した。
ヘルチンスキ氏は報告書を受けて記者団に対し、「ジョージアはEU加盟国入りの軌道に乗っていない。2030年も、それ以降もだ」と語った。
ジョージアはかつて、旧ソ連国の中で最も民主的で親西側だったが、ウクライナ戦争の勃発以降、次第に権威主義を強め、隣国ロシアとの経済的な結びつきを深めている。
与党「ジョージアの夢」は野党政治家への弾圧を強化し、複数人を投獄。警察は反政府デモ参加者の逮捕を強化している。
シンクタンクの英国立経済社会研究所(NIESR)は5日、リーブス英財務相が26日に発表する予算に大幅な増税を盛り込まなければ、トラス元財務相のように市場の信認を失う恐れがあると警鐘を鳴らした。
NIESRは、今回予算では経済的ショックに備えるため、前回予算の100億ポンドより多い300億ポンド(400億ドル)の「のりしろ」を持たせるべきだと指摘。政府の予算責任局(OBR)が税収見通しを200億―300億ポンド下方修正する可能性を踏まえれば、併せて500億ポンド分の収支均衡が必要だとした。
リーブス氏は6月に長期的な支出計画を示しているため、500億ポンドの大半は増税で手当てする必要がある。NIESRのデービッド・アイクマン所長は、トラス氏が2022年、財源手当てのない減税案を発表して債券市場が暴落した「トラス・ショック」を引き合いに、金融市場が「予算にひどい反応を起こすリスク」があると指摘した。
英メディアと金融市場では、リーブス氏が選挙公約を破って所得税を引き上げる準備を進めている、との観測が広がっている。500億ポンド規模の増税には所得税を5%ポイント引き上げる必要がある。大半の英労働者の所得税は1970年代から引き上げられていない。
民主党は火曜の夜、米国で最も争われた3つの選挙で圧勝した。
NBCニュースの予測によると、当選者にはイスラム教徒で自称民主社会主義者のゾーラン・マムダニ氏も含まれており、同氏は次期ニューヨーク市長となる予定だ。
ニュージャージー州では、ミッキー・シェリルが次期知事になると予想されている。
またバージニア州では、アビゲイル・スパンバーガー氏が同州初の女性知事となり、同じ民主党のジェイ・ジョーンズ氏が共和党の現職司法長官ジェイソン・ミヤレス氏を破るとNBCニュースは予測した。
カリフォルニア州では、州が米国下院選挙区に民主党に有利な新しい地図を使用することを許可する憲法修正案第50号が有権者によって承認された。
NBCニュースの予測によると、ペンシルベニア州では有権者が現職の民主党員3人を州最高裁判所に留任させ、民主党の5対2の多数派を維持した。
全ての選挙結果が確定する前、ニューヨーク州選出の民主党上院院内総務チャック・シューマー氏は、今回の選挙結果を共和党のドナルド・トランプ大統領への痛烈な非難だと大々的に宣伝した。
トランプ大統領はソーシャルメディアへの投稿で、共和党が火曜日に敗北した理由は、自身の名前が投票用紙に載っていなかったことと、10月1日から続いている連邦政府閉鎖のためだと匿名の「世論調査員」が結論付けたと述べた。
選挙日前にマムダニ氏への支持を拒否したシューマー氏は声明で、「今夜の結果はトランプ氏の政策に対する否定だ」と述べた。
「MAGA過激主義を特徴づけ、コストを急騰させている残酷さ、混乱、貪欲さはアメリカ国民によって断固として拒否された」とシューマー氏は述べた。
同氏は「民主党にとって、そしてコスト削減、医療向上、そしてアメリカ国民のより良い未来に向けた我々の闘いにとって、良い夜だった」と語った。
「共和党がドナルド・トランプを盲目的に追従し、混沌の淵へと突き進み続けたいのであれば、そうさせておけばいい」とシューマー氏は述べた。「アメリカの他の地域は前進しているのだ。」
バージニア州司法長官選挙の予想勝利者であるジョーンズ氏は、大勝した他の民主党員とは異なり、当夜まで人気投票では有力視されていなかった。
ジョーンズ氏が2022年に、共和党の当時の州下院議長トッド・ギルバート氏を射殺することを空想する内容のテキストメッセージを送ったことが暴露され、同氏の選挙戦での運命は10月に深刻な危機に瀕した。
アジアに重点を置くプライベートエクイティ・マネージャーらは、世界第2位の経済大国である中国に対して強気の見方を強めており、中国政府が技術の自給自足と急速な導入を推進し、次の成長段階をもたらすと期待している。
EQTアジアのジャン・エリック・サラタ会長は、北京の新たな5カ年計画に示された戦略的優先事項は、中国の先進的製造業の優位性を深め、テクノロジーと人工知能への投資を強化し、消費を押し上げることになるだろうと述べた。
「私は実際、中国に対して強気だ。そしてその結果、香港に対しても非常に強気だ」とサラタ氏は水曜日の世界金融リーダー投資サミットで語った。
彼は、中国における製造業の自動化の急速な導入は、同国の能力拡大能力の表れだと指摘した。「驚くべきことだ」と彼は述べ、シャオミの電気自動車における自動化を例に挙げた。「そこには人はほとんどいないのに、ロボットが大量に存在している」
ヒルハウス・インベストメントの創業者兼会長である張磊氏は、中国の強みは人工知能(AI)を迅速に商業化する能力にあると述べた。「中国はAIアプリケーション層において、より多くのものを提供する最初の国になる可能性が高い」と述べ、製品の迅速なイテレーション、低コスト、オープンソースモデル、そして新技術を受け入れる意欲のある巨大な消費者基盤を挙げた。
中国のハイテク企業は今年、AIの開発と応用で大きな進歩を遂げ、ウォール街の複数の銀行による中国の経済成長予測を押し上げた。
今後5年間の経済発展計画において、北京は米国との技術競争における地位強化を目指し、量子コンピューティングや水素エネルギーなどの先進技術の自立を達成するためのさらなる努力を約束した。
プリマベーラ・キャピタルの会長兼CEOであるフレッド・フー氏は、中国の資本市場の「巨大な可能性」を指摘し、中流階級の消費者がより多くの退職貯蓄を積み立てられるようになり、経済を「はるかに持続可能にする」ことにもつながると付け加えた。
「中国がAI革命のリーダーになると私は非常に確信している」と胡氏は付け加え、同国のエンジニアリングの才能とコンピューティング能力を指摘した。
胡氏は、中国の発電能力は3.7テラワットで米国の3倍以上であり、さらに電力インフラに流入する新たな資本が「AI革命に大きな期待」を生み出していると指摘した。
この楽観的な見方は、過去2年間、資金調達の低迷と地政学的な不確実性に悩まされてきた業界にとって、微妙ながらも重要な変化を示唆している。米中間の緊張が高まる中、欧米の投資家は撤退しており、取引件数とファンドの立ち上げ数は数年ぶりの低水準となっている。
ピッチブックのデータによると、プライベートエクイティ会社が中国で締結した取引件数は9月末時点でわずか93件。2024年通期では279件、2022年は562件と、市場は過去10年以上で最も弱い年に向かうと予想されている。
資金調達も同様に減少しており、6月時点での資金調達額は36億ドルにとどまり、前年の236億ドルから減少した。中国における新規PEファンドの数は、2021年の144本から今年はわずか14本に激減した。
それでも、EQTのサラタ氏によると、ドル建て資産に大きく偏っている世界の投資家がポートフォリオを見直し、投資配分の再調整が進行中で、より多くの資本がアジアに流入する機会が生まれているという。
「彼らは分散化を検討している」と彼は述べ、中国本土と香港がポートフォリオの再配分による主な受益者になると予測した。
エリック・アダムス氏の資金調達責任者の自宅が家宅捜索を受けた 翌日、革新系団体と労働組合の連合体である労働家族党の新党首らは、2023年11月に開催される秘密会議への招待状を送付した。
左派は、自分たちが嫌う市長を倒す方法を思いついた。必要なのは計画だけだった。
ロングアイランドシティのアパートの談話室に集まったのは、ブラッド・ランダー市監査役、アントニオ・レイノソ・ブルックリン区長、そしてジェシカ・ラモス州上院議員。立候補したもう一人の州上院議員ゼルナー・マイリーは招待されていたが、欠席した。ゾーラン・マムダニもそこに座っていた。
彼らは皆、そこにマムダニがいるのを見て驚きました。
「ゾーラン?ゾーランは出馬を考えているのか?」集会の企画に協力した労働者家族党の共同議長アナ・マリア・アルチラ氏は、投票が進む中、周囲の反応を振り返りながらCNNに語った。
「『分からないけど、誰が立候補すべきか考えているのは分かる』と思いました」とアーキラさんは語った。
最初の会議とその後の数回の会議では、立ち上げが近い他の候補企業は計画を秘密にしていたが、マムダニ氏は熱心に会議に参加し、アイデアを提案し、提案していた。
コーヒーを飲みながら、彼は家賃凍結を掲げる候補者を見つける必要があると繰り返し主張した。彼はアメリカ民主社会主義者たちから政策綱領とスタッフを作り上げていた。
昨年の夏、マムダニ氏はアルチラ氏に、自分も参加すると告げた。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員とブルックリン市議会議員のキ・オセ氏が従来の政治を打破した実績を、ソーシャルメディアの力強い活用と100万戸の戸別訪問計画と組み合わせたいと彼は語った。WFPが予備選でどの候補者を第一候補にするかをいつ発表するのかと尋ねたマムダニ氏は、「できる限り多くの時間をください」と答えた。
当時、マムダニは友人であり盟友でもあるジャバリ・ブリスポートと、まだ車でアルバニーを往復していた。車内では、ミカのプレイリストとショーのテーマ曲を交互に大声で歌っていた。「ハミルトン」や「ディア・エヴァン・ハンセン」などだ。「ウェイビング・スルー・ア・ウィンドウ」は、少なくともお気に入りだった。選挙活動が進むにつれて、助手席から次々と電話をかけるようになり、その後、二人で分け合ったホテルの部屋で夜遅くまで電話をかけ続けるようになるまでは。
火曜日、マムダニ氏はブルックリンの満員の舞踏会場と全米の聴衆を前に舞台に立ち、社会主義者ユージン・デブスの言葉を引用し、ニューヨーク市初のイスラム教徒市長であり、ここ1世紀で最年少の市長として、自分のすべてを誇りに思うと宣言した。
「あらゆる困難を乗り越え、私たちはそれを掴み取った」とマムダニ氏は述べ、1940年代にフィオレロ・ラガーディア氏が市長を務めて以来、最も野心的な住宅価格高騰対策の幕開けを宣言した。「未来は私たちの手の中にある」
マムダニ氏の歴史的な勝利は、世界中、そして民主党政治全体に波紋を広げている。彼の支持者たちは、彼が真の民主党員ではない、あるいは彼の思想は民主党が全米の権力を取り戻すために勝利しなければならない、より政治的に多様な州ではなく、民主党支持が強いニューヨーク市でしか通用しない、といった批判を否定している。
「誰もこんなことは予想していなかったと思います」と、秘密会議にも出席していた市民活動家のジュマーン・ウィリアムズ氏は語った。彼も出馬するつもりだったわけではなく、アダムズ氏が辞任して暫定市長になった場合に備えていたのだ。「でも、私たちは皆、自分たちの信念を支持すると約束しました」
しかし、火曜日の朝、学校の体育館で自らに投票した際、彼はあの秘密会議に戻ってきた。民主党候補としての投票用紙では、マムダニ氏は労働者家族党の支持を表明し、自らに投票したと、側近がCNNに確認した。
大きな変化が近づいている
マムダニ市長就任は、ニューヨーク市とその行政にとって大きな変化を意味するだろう。彼は、公共バスの無料化や、政府直営の食料品店の開設など、生活費の削減に向けた抜本的な対策を約束している。
予備選挙勝利後、マムダニ氏の選挙運動や市政にかかわる30数名の顧問、政治家、活動家、寄付者などとCNNが行った会話によれば、同氏がどのようにしてここまで来たのか、そして今どうなっているのかは、不名誉な元知事アンドリュー・クオモやニューヨークで常に風変わりな人物であるカーティス・スリアワと戦うという予想以上に慌ただしいものだったようだ。
「これが戦いの最終局面ではないことは分かっていました」と、予備選の夜を振り返りながらアーキラ氏は語った。「億万長者たちは3000万ドルを投じて、ただ陣営を解散したわけではなかったのですから」
マムダニ陣営は予備選挙後の内部調査に驚きを隠せなかった。肯定的なものも否定的なものも、有権者の支持を左右する要素は何も見当たらなかったのだ。彼らは有権者の支持獲得を諦め、「ザ・バチェラー」や「サバイバー」をパロディ化したユーモラスな広告や動画を流し、支持者の間で自然と広がっていった。「雰囲気に乗ったんです」と、選挙戦略に関わったある人物は語った。
夏の終わりには、アルチラをはじめとする人々はマムダニ氏の選挙運動に少々不安を抱いていた。弱者として彼を突き動かしていたエネルギーが、時折、一部枯渇してしまったように感じられたからだ。反寡頭政治のメッセージを掲げ、あらゆる質問に答え、あらゆるイベントに参加する戦略をとったマムダニ氏は、結婚式を祝うために休暇を取り、その後、企業や市の指導者グループを非公開で訪問するために戻ってきた。彼らの気持ちを落ち着かせ、ひょっとしたら考えを変えるかもしれない、というのが狙いだった。
バーニー・サンダースもそれを感じた。
会話に詳しい人物によると、バーモント州選出の上院議員は側近に対し、サンダースの故郷ブルックリンで開催されるタウンホールミーティングへの参加をマムダニ陣営が要請したことに異議を唱えるよう指示したという。サンダースは、選挙戦が自身に不利に傾くのを阻止する必要があると主張し、自身の著名人としての存在感がその推進力になると考えていた。レイバーデーのパレードに参加すれば、騒ぎになり、彼とマムダニの周りに立つ選出議員全員をカメラが撮影するだろう。そして、彼らが団結の旗を掲げて五番街を歩く時、抵抗を続けるキャシー・ホークル知事を徐々に近づけさせられるだろうと考えたのだ。
前日、9月の最初の金曜日、サンダースはトレバー・ノアのポッドキャストスタジオに立ち寄った。収録開始前にトイレから出てきたところ、補佐官がエリック・アダムスがグレイシー・マンションで撮影したばかりの動画が入った携帯電話を掲げ、クオモを「蛇と嘘つき」と呼び、元知事をマムダニと並べて「甘やかされたガキ二人組」と罵倒し、自らを叩きのめす覚悟を決めていた。
「わかった!」バーモント州の上院議員は拳を振り上げながら言った。
サンダース氏は、アダムズ氏が留任することで軌道修正が容易になるだろうと述べた。
「彼はやはり撤退するつもりだ」と、CNNにその反応を伝えた人物によると、上院議員は「しかし、これは非常に良いニュースだ」と語った。
事情に詳しい関係者によると、クオモ氏とその側近たちはアダムズ氏の同じイベントを視聴し、アダムズ氏が残留しても大した問題はないと自らを納得させようとしていたという。しかし、元知事クオモ氏は、クオモ氏が2月に予備選を開始する数ヶ月前から、アダムズ氏を選挙戦から排除することに執着しており、必然性を感じて選挙戦を展開していた。
「アダムズとスリワを追い出せば、私は勝つ」とクオモ氏は繰り返し言っていたと、彼と話をしたものの選挙運動には参加していないある工作員は語った。「誰に電話すればいいか、誰に圧力をかければいいか、分かっている」
3週間後、アダムズ氏が実際に撤退したとき――サンダース氏とマムダニ氏の顧問が撤退を重要視していた時期は過ぎていた――クオモ氏のチームは異議申し立てに苦慮していた。スリア氏は結局異議を申し立てなかった。ある顧問がCNNに語ったところによると、せいぜい「チャンスができた」程度だったという。
「ニューヨークでは民主党候補と争っているが、彼は非常に欠陥のある民主党候補だ」とアドバイザーはマムダニ氏について強調し、「予備選の時のような熱意はないと思う」と述べた。
火曜日、マムダニ氏は結局クオモ氏を圧勝した。
サンダース氏にも疑問があった。オバマ氏にも疑問があった。
10月の最終日曜日、クイーンズ区フォレスト・ヒルズ・スタジアムでの締めくくり集会のためニューヨークに戻ったサンダース氏は、マムダニ氏の勝利の可能性について前向きな気持ちになっていた。しかし、サンダース氏には別の懸念があり、その懸念を舞台裏の控え室で何度も話し合い、その懸念をぶちまけたと、その場にいた人物は語っている。サンダース氏はセルフィーや握手の要求をことごとく拒否し、代わりにマムダニ氏の政権移行責任者であるエル・ビスガード=チャーチ氏と選挙対策本部長のマヤ・ハンダ氏に、より詳細な計画を求めた。ある時点でサンダース氏は、元連邦取引委員会委員長のリナ・カーン氏に、市庁舎での対応について意見を求めた。
元市長でもあるサンダース氏は、最初の100日間に焦点を当て、「彼らはあなたたちを打ち負かそうとするだろう」と述べ、「人々に行動の意識を与えなければならない」と訴えた。
サンダース氏は彼らに、トランプ氏から少し学んでほしい、大切なのは政策やコミュニケーションではなく、両者を同じものとして捉え、成果を生み出すことだ、と語った。
「行政府の権限について調査しましたか? 誰かそのことについて詳しい人はいますか?」とサンダース氏は尋ねた。補佐官たちはそれぞれ検討してきたアイデアを提案した。「他に何かありますか?」と彼は繰り返した。
選挙前日の土曜日までに、マムダニ氏とその側近たちは勝利を確信していた。しかもそれは、電話口でバラク・オバマ氏の声を聞く前のことだった。
マムダニ氏はまず、夏の最後の電話会談でオバマ氏から「統治を正しく行うことに集中する必要がある」という助言を受けたことに感謝の意を表した。「ずっとそのことについて考えていました」とマムダニ氏は述べた。「オバマ氏は市長として成功してほしいと繰り返し述べました。それは、サービスの提供など、あらゆる重要な基本事項をきちんと行うことを意味します。オバマ氏自身も個人的な会話の中で、市長にはもっと専門家が必要だと懸念していました」。
二人は一度も会ったことがない。2度目の会話だった。しかし、電話に詳しい人物が語った30分間の会話の雰囲気は本物だった。マムダニ氏がオバマ氏を嘘つきで「かなり邪悪」と呼んだ過去のツイートについては一切触れず、むしろオバマ氏の現在のやり方、つまり、カリスマ性のある若手候補者への変わらぬ関心と、左派の政治情勢の変化を理解しようと党のゴッドファーザーとして調整している新たな役割を融合させている様子が伺えた。
マムダニ氏はまた、オバマ氏が2008年に行った人種差別演説にも感謝の意を表した。マムダニ氏は、この演説が2週間前に行った自身のイスラム恐怖症演説の雛形になったと述べた。選挙運動の初期に検討した結果、実施を見送った反ユダヤ主義演説とは対照的だった。マムダニ氏は、オバマ氏が2008年の演説の正式名称を「より完全な連合」と呼んだことに気づいた。
それは光栄です、とオバマ大統領は言ったが、その後、言葉を逆にした。「あなたがこれほど成功できたのは、自分が信じていることを深く理解しているからです」と、電話会議に詳しい人物によると、前大統領は大統領に言ったという。
オバマ氏は、途中でアドバイスが必要ならいつでも相談するようにと彼に伝えた。二人は近いうちに会うという漠然とした計画を立てた。
かつての仲間が内輪から抜け落ちる
数週間前、マムダニ氏は舞台裏で友人に、なぜ皆が既に移行計画を策定するよう要求しているのか理解できないと不満を漏らしていた。彼は側近らと共に、既に要職への人事候補者リストを作成していた。
話した人もいれば、話していない人もいた。
数週間にわたって返事を待っていた人々に対し、火曜日から電話がかけられ始め、マムダニ政権移行委員会のメンバーに指名されることを期待するよう伝えた。
前回の市長選討論会で、ジェシカ・ティッシュ警察長官に留任を要請すると 突然宣言したことは、未だ解決されていない。後にマムダニ氏はCNNに対し、ティッシュ氏本人に留任を要請したわけではないと語った。マムダニ氏の将来の側近候補2人はCNNに対し、もしティッシュ氏から実際に留任の意思表示を受けていなかったとしたら、その不正行為に愕然とし、それが今後の政権運営にどのような影響を与えるか懸念していると語った。
今のところ、この件から外れている人物の一人は、市の会計監査官で、最初の労働者家族会議に出席し、後に予備選挙の順位付け投票制度でマムダニと同盟を結んだブラッド・ランダーだ。
ランダー氏自身の予備選での希望が春に崩れ始めると、彼は事実上、クオモ打倒マシンとして選挙運動を再開し、すべてのバッシングを行うという明確な戦略を打ち出した。自身の広告を反クオモのスポット広告に差し替え、すべてのイベントやロボコールのスクリプトをネガティブなものにすることで、アドバイザーの計算により、マムダニ氏はポジティブで希望に満ちた気持ちで討論会を終えることができた。彼は、新型コロナ禍でクオモ氏の監視下で老人ホームで亡くなった男性の息子がカメラの前と元知事の視界に入るよう、討論会会場に補佐官を早めに送り込み、マムダニ氏にぴったりの席を探した。そしておそらく最も重要なのは、ランダー氏が比喩的にも文字通りにもマムダニ氏を抱きしめ、疑い深い進歩主義者、特にユダヤ人有権者に対して彼の正当性を認めさせたことだ。
しかし、夏の間、マムダニはランダーにあまり感銘を受けていないと打ち明けた。「まあまあいい人だが、会計監査官としては特に有能とは思えない」とマムダニは言った。これは、彼の発言を知る人物の話だ。二人は何週間も口をきかなかった。ランダーは身構え、選挙後の休暇が重なっているせいだと責めたが、来年は自分が真の市政運営者になるという彼の発言は、マムダニの耳にも届き、あまり良い印象は受けなかった。
選挙前の週末、ランダー氏の妻はパーティーで友人たちに、マムダニ氏が会計監査官に電話をかけ、希望する職に就けないために政権内での職はないと告げたと話していた。事情に詳しい人物によると、選挙前日までにランダー氏は大口献金者に連絡を取り、ダン・ゴールドマン下院議員と争う下院選挙への出馬を約束させようとしていたという。
ランダー氏は火曜夜、自身の計画についてコメントを控えた。
「これは何かの始まりであって、終わりではないと言いたい」とランダー氏は語った。「これからも進み続けなければならない」
反対派も支持者も準備しておけ
火曜の夜を迎える前から、対立候補らは次に何が起こるかについて独自の計画を立てていた。
共和党候補のカーティス・スリアワ氏は、最後の追い込みの一環として日曜夜、ヘルズ・キッチンを歩き回りながら、マムダニ氏が勝利した後の自身の役割を予測した。
「私は自らを亡命市長と宣言し、クオモ市長としての彼の行動を厳しく監視します。彼が一線を越えるたびに――彼は必ず越えるでしょうが――反対勢力を組織し、抗議活動を行い、暴力以外のあらゆる手段を講じ、彼の計画を阻止しようとします」とスリアワ氏はCNNに語り、クオモ氏が再び町を去ることを期待していると付け加えた。(クオモ氏が実際に町を去るかどうかは不明です。)
マムダニ政権の有力候補数名は、市の予算を打ち切ったり市を追及したりするというトランプ氏の脅しが何をもたらすかを軽視しているが、一方でマムダニ氏が民主党全国大会に必要な伝達者になれると信じている者もいる。
クオモ氏を後押ししようとしてスリアワ氏を追い出すことに失敗したトランプ大統領の友人、億万長者のジョン・カツィマティディス氏は、秋まで定期的に人々に「来週」、そして「また来週」にはマムダニ氏に不利な新たな展開が訪れるだろうと語っていた。
マムダニ氏が利用したあらゆる情報や選挙活動にもかかわらず、カツィマティディス氏は、マムダニ氏について他人には明らかな事実と、彼が利用した情報の説明を依然として模索していると述べている。ニューヨーク州司法長官ティッシュ・ジェームズ氏を含む、トランプ氏が敵視する人物たちを司法省が訴追していることを考えると、カツィマティディス氏の予言は不吉な可能性を孕んでいる。
「まだ私たちには分からないことがある」とカツィマティディス氏は言う。「いつか私たちはそれを見つけるだろう。」
しかし今のところ、希望はある。シリコンバレーの議員からサンダース氏の信奉者へと転身したカリフォルニア州選出のロー・カーナ下院議員は、先週末クイーンズ区で、主にインド系ムスリム有権者向けの集会で、著名なヒンドゥー教徒の政治家として演説を行った。カーナ議員はマムダニ氏がオバマ氏との会話を終えるまで待たなければならなかったが、その間、マムダニ氏の母親であるインド人映画監督のミーラー・ナイル氏と熱愛していた。
マムダニのSUVがメジャー・マーク・パークに到着したとき、彼とカンナが一緒にいられたのはほんの一瞬だった。ネアが二人のそばに立っていると、カンナはマムダニほど流暢ではないと分かっているヒンディー語を少しだけ披露した。
「カハン セ カハン」と彼は言った。それは「あなたが始めたところから今いるところまで」という意味だ。
マムダニはいつものように大きな笑顔を彼に向けました。
不動産分析会社ATTOMは10月21日に発表した声明で、2025年第3四半期に不動産を売却した米国の住宅所有者の平均所有期間は8.39年で、少なくとも過去25年間で最長の保有期間となったと述べた。
同社は、住宅所有期間の長期化は「2025年の住宅市場を形成するさまざまな要因」を反映していると述べた。
「住宅ローン金利の上昇により、住宅所有者が以前の歴史的に低い金利から抜け出せない人が多く、移転する可能性が低くなった可能性がある」と声明には記されている。
「在庫が限られ、住宅価格が高騰しているため、手頃な価格の次の家を見つけるのが難しくなり、潜在的な売り手がその家に長く留まることになった可能性もあります。」
第3四半期の平均住宅所有期間が最も長かった州はマサチューセッツ州で、12.91年だった。
これに続いてコネチカット州が12.66年、カリフォルニア州が11.2年、ロードアイランド州が11年、ワシントン州が10.74年となった。
メイン州の平均住宅所有年数は4.8年で最も短く、次いでミシシッピ州が5.71年、サウスダコタ州が5.79年、ウェストバージニア州が6.04年、ジョージア州が6.11年となっている。
ナビーン・アスラップリー氏がエポックタイムズに報じているように、ATTOMによると、全額現金による売却は第3四半期も引き続き増加しており、この期間に全国で販売された住宅の38.9%が全額現金取引であり、2024年第3四半期の37.6%から増加している。
ATTOMは、「全額現金での購入の増加は、より多くの購入者が融資を完全に避けている可能性を示唆しており、投資家や、蓄積した資産を使って住宅を縮小している可能性があり、これが流動性と市場全体の動向の両方に影響を与え続けている」と述べた。
ATTOMは10月16日の声明で、第3四半期に不動産を売却した住宅所有者は、典型的な一戸建て住宅やマンションで49.9%の利益を得たと述べた。
同社によれば、これは2024年第3四半期の55.4%の利益よりわずかに低いものの、2020年以前に住宅販売業者が得ていた約30%の利益率よりははるかに高いという。
COVID-19パンデミック以降、住宅価格は急騰し、売却を希望する所有者に莫大な利益をもたらしている。
セントルイス連邦準備銀行のデータによると、米国で第2四半期に販売された住宅の平均販売価格は51万2,800ドルで、5年前の2020年第2四半期の37万1,100ドルから上昇した。
ATTOMのCEO、ロブ・バーバー氏は「例年より忙しい夏の販売シーズンを通じて、利益率は安定して高かった」と語った。
「価格の継続的な上昇が買い手を遠ざけ、需要を鈍らせる可能性はあったが、最近の住宅ローン金利の低下は、より多くの人々が市場に留まるのに役立っているかもしれない。」
住宅価格の高騰により、COVID-19パンデミック以降、不動産を保有し続けてきた売主は大きな利益を得ているものの、売却はより困難になっている。
10月12日までの4週間の新規販売物件数は前年比4.1%増加し、過去4ヶ月で最大の増加となった。不動産仲介業者レッドフィンは10月16日の声明で、これは買い手が市場から手を引く中で起きたと述べた。
不動産仲介業者は、連邦政府閉鎖と関税の継続に対する懸念から生じる高価格と経済的不安により、多くの買い手が不動産購入に慎重になっていると述べた。
ミズーリ州カンザスシティのレッドフィン・プレミアのエージェント、ジョー・チャベス氏は、住宅ローン金利の上昇も、買い手が市場から遠ざかるもう一つの要因だと述べた。
「金利はピーク時から下がっているにもかかわらず、多くの人が購入前に6%を下回る金利を待っている」とチャベス氏は語った。
住宅ローン金利問題
フレディマックのデータによると、10月16日までの週の30年固定金利住宅ローンの平均週利は6.27%だった。6月以降、金利は概ね下落傾向にある。
現在の6.27%は、1月の年間ピークである7.04%より低いものの、新型コロナウイルス感染症のパンデミック初期に見られた水準を依然として大幅に上回っています。例えば、5年前の金利は2.81%でした。
不動産データ会社ブライトMLSのチーフエコノミスト、リサ・スターテバント氏は10月16日の論説で、最近の住宅ローン金利の低下が買い手間の競争を激化させ、住宅価格を押し上げる可能性があると示唆した。
「今年の残りの期間を見据えると、金利がどうなるかを予測するのは難しいが、おそらくこれ以上大幅に下がることはないだろう」と彼女は記した。「金利が下がるまで待とうと考えている買い手は、住宅ローン金利が改善しないまま、価格が上昇する事態に直面することになるかもしれない。」
「今後数週間で住宅ローン金利が上昇する可能性は実際にあります。連邦準備制度理事会(FRB)は住宅ローン担保証券を中央銀行のバランスシートから外しており、これが住宅ローン金利の上昇圧力につながる可能性があります。」
EUは、大陸における工業生産や技術生産に不可欠なレアアースの深刻な不足に直面しています。ポーランドには、少なくとも部分的な解決策があるかもしれません。それは、ポーランドの鉱業と抽出に関する専門知識に関係しています。
SET財団のトマシュ・ズジコット氏は、多岐にわたるインタビューの中で、ヨーロッパが長年にわたって希土類鉱物の採掘で遅れをとっていて、この業界は明らかに中国に独占されていることについて語っています。
「欧州は、例えば技術開発やエネルギーにおいて原材料が不可欠であることを正しく診断している。(中略)10年以上にわたり診断は良好であったものの、特定されたリスクを軽減できる行動にはつながっていない」と、SET財団のトマシュ・ズジコット氏は ドルジェチ・ ニュースポータルに語った。
SET財団の最近の報告書は、EUが国家安全保障の重要な柱として特定している鉱業、さらに広くは原材料産業について取り上げています。
ズジコット氏は、欧州は「現在進行中の原材料競争に加わる必要がある」と強調し、「欧州は10年以上にわたり、技術開発やエネルギーなどにおいて原材料が極めて重要であることを正しく認識してきた」と述べた。
ポーランドはどのように支援できるでしょうか?
ポーランドの鉱業が重要な役割を果たすのはまさにこの点だと、ズジコット氏はドルジェチ氏に語った。ポーランドは石炭採掘だけでなく、銅、リチウム、チタンの採掘も行っている。
ポーランドのKGHMは、世界最大級の銀生産者であり、また主要な銅生産者でもあります。同社はチリ、米国、カナダに鉱山と採掘プロジェクトを保有しており、ヨーロッパの資源安全保障の確保において重要な役割を果たしています。
彼はまた、欧州は鉱業分野でのキャリアを促進しなければならないと強調した。
「2000年から今日まで、ヨーロッパにおける鉱山学士の数は60%減少しました。ヨーロッパの鉱山労働者の平均年齢は現在50歳を超えています。幸いなことに、ポーランドには依然として鉱山労働者、専門家、そして鉱山労働者を育成する優れた大学が存在します」とズジコット氏は述べた。
「複雑なプロジェクトを主導できる優秀な学術スタッフもいる」と彼は続け、ポーランドに欠けているのは「一貫した資源政策だ」と付け加えた。
EU全体として、競争優位性を獲得するために、どのような原材料を追求すべきかを決定する必要があります。ポーランドは大陸全体に必要な銅と石炭をすべて供給できるため、まずはポーランドから始めることができます。しかし、ポーランドの鉱業部門は他の資源にも拡大する必要があります。
SET財団の報告書はまた、世界中の原材料投資を支援し、鉱床の特定を支援し、原材料の権利を取得するための金融構造を確立するための欧州商品基金の設立も求めている。
課題は大きい
しかし、ヨーロッパは現在、ほぼすべての主要原材料の供給が途絶える危険にさらされている。
専門家は、採掘量を増やし、手続きを簡素化・短縮し、供給源を多様化する計画があるものの、EUは他の多くの国と同様、依然として中国など外部の供給源に大きく依存していると指摘した。
これは偶然ではない。報告書は、中国が1980年代から希土類元素政策を推進してきたことを強調している。現在、中国は10種類の重希土類元素の世界需要の100%を供給している。
中国が最近、希土類金属の輸出を制限することを決定したことについて尋ねられると、ズジコット氏は、少なくとも0.1%の中国産希土類元素を含む製品、または中国の採掘、加工、リサイクル技術を使用している製品を輸出するすべての企業(中国国外の企業を含む)は、中国商務省が発行するライセンスを取得する必要があると確認した。
また、軍事力の構築や、防衛能力を備えた人工知能などの軍民両用技術の開発に関わる場合には、原則として承認は与えられないことも発表された。
2024年、NATOは防衛産業にとって不可欠と指定する12種類の原材料のリストを公表した。ズジコット氏は、この分野では中国が依然として世界的な独占状態にあると述べた。
電気自動車やその他の重要な気候変動対策開発にも、ますます多くの資源が必要になります。全体として、あらゆる金属および希土類資源の需要は増加するでしょう。
例えば、リチウムの世界需要は2020年から2040年の間に40倍、グラファイトは25倍、希土類元素は7倍に増加すると予測されています。
鉱業国は優位に立つ
各国がレアアース資源の抽出・加工技術を取得・開発するだけでも、何年もかかるだろう。オーストラリアやカナダといった先進的な鉱業国は、 中国の技術を使わずにレアアースを精製できる能力を獲得するには、少なくとも6年かかると見積もっている 。
欧州連合の重要原材料法では、EUは2030年までに戦略的原材料の需要の少なくとも10%を国内採掘で満たすことを目指すと規定されている。その目標は、戦略的原材料の需要の40%の処理能力と25%のリサイクル能力である。
この法律はまた、いかなる国も単一の戦略的原材料の65%以上を欧州連合に供給しないようにすることを目指している。
ズジコット氏によると、これらすべてを達成するための鍵は、採掘生産を開始するために必要な時間を短縮することです。
大手銀行監視機関は、大手銀行が「政治信条が気に入らないから、事業を潰しちゃいました」という、いや、むしろ銀行業務の縮小をついにやめるよう働きかけていると述べた。覚えていますか? ええ、覚えていますよ。ちょうどGoogle、PayPal、Amazonが、新型コロナウイルス感染症の起源に関する私たちの(正しい)見解と、BLM運動に関する私たちの(正しい)見解が気に入らないという理由で、私たちのアカウントを凍結したのとほぼ同時期に起こった。
見逃した人のために説明すると、バイデン政権下の多くの銀行は 、人々の勤務業界、あるいは多くの場合政治的見解(驚いたことに、その中には民主党員は一人もいなかった)に基づいて、人々の口座を全面的に解約し 、銀行口座へのアクセスを許可しなかった 。
ロイター通信によると 、通貨監督庁(OCC)のジョナサン・グールド長官は会議で、銀行が本当に銃器などの部門をブラックリストに載せるのをやめたかどうか監督当局が二重チェックしていると語った。
この監督は、ドナルド・トランプ大統領が6月に発令した、業種や政治的配慮に基づくサービス拒否を避けるよう銀行に指示する大統領令に続くものです。ロイター通信によると、監督当局は現在、大手銀行がこの改訂された方針を遵守していることを確認しています。
大紀元タイムズが8月に報じたように、政治的な銀行業務の廃止を禁止するドナルド・トランプ大統領の大統領 令は 、銀行や決済サービスが政治的、宗教的、あるいはイデオロギー的な理由で個人や企業へのサービスを拒否する傾向にあると一部のアナリストが指摘する状況を覆すことを目的としている。
政治的銀行離れに反対する人々は、このプロセスの犠牲者となったキリスト教徒や保守派の事例を挙げている。これには、 テネシー 州を拠点とする非営利団体「インディジェナス・アドバンス・ミニストリーズ」などのキリスト教団体、全米宗教の自由委員会(NCRF)のサム・ブラウンバック委員長、そして大統領自身による告発も含まれる。
トランプ大統領は1月の世界経済フォーラムで銀行幹部らに対し、「銀行が保守派に門戸を開き始めることを期待する。なぜなら多くの保守派が、銀行内での取引を銀行が認めてくれないと不満を漏らしているからだ。バンク・オブ・アメリカもその例外ではない」と述べた。
デバンキングは金融システムにおける最も悪質な秘密の一つです。公の場では決して語られることはなく、専門家だけが記事に書く程度ですが、非常に効果的な方法で、あらゆる人々にとって脅威となっています。この行為は人々の生活の基盤へのアクセスを奪い、異議申し立ても、手続きも、異議申し立ての方法も、改善策も存在しません。
メラニア・トランプ氏は自伝の中で、自身と息子のバロン氏が銀行閉鎖の被害者であったことを明らかにしました。これは2021年、夫が大統領職を退任した後に起こりました。当時、彼の在任期間の記憶を消し去ろうとする動きが活発化しました。エリック・トランプ氏が、家族が経験した苦難についてさらに詳しく語ります。
誰がホワイトハウスにいようとも、この時代が永久に終わることを祈りましょう。
振り返ってみると、不況はしばしば極めて明確に浮かび上がってきます。
座ってブルームバーグの画面をちらっと眺め、2008 年の明らかな不況や 2000 年のドットコム バブルに気づくのは簡単です。
しかし、経済が景気後退の瀬戸際にあるか、あるいは既に景気後退に入っているかを見極めるのは、はるかに困難です。景気後退は、かなり進行してから初めて明らかになることが多く、その頃には、すでに甚大な経済的損害が発生している可能性があります。例えば、世界金融危機(GFC)の際には、2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻とそれに伴う失業率の急上昇を景気後退の始まりと捉えた人が多くいました。しかし、景気後退はほぼ1年前の2007年第4四半期に始まっていました。このことから、ほとんどの人が景気後退に気付いた時には、すでに本格化しているのが普通です。さらに、マクロ経済データは、景気後退の早期発見においてもう一つの課題となります。なぜなら、マクロ経済データは遅れて発表される傾向があり、急激な修正を受けやすく、経済状況の認識を変えてしまうからです。世界金融危機を振り返ると、2008年初頭の労働市場データは依然として雇用の伸びがプラスで、経済の堅調さを示唆していました。これらの数字はその後の改定を経て初めて、雇用者数の減少を反映して調整され、経済悪化の真の深刻さが露呈しました。こうした動向は、景気後退が深刻なダメージを受けて初めて明らかになる理由を浮き彫りにしています。
この点を踏まえると、米国経済の現状について何がわかるでしょうか?マクロ経済データは暗い見通しを示していません。労働市場は堅調で、実質成長率もまずまずです。さらに、株式市場は過去最高値、あるいはそれに近い水準にあり、信用スプレッドは歴史的な低水準を維持しています。これは、投資家が経済の持続性に強い信頼を置いていることを示唆しています。しかし、もしこの認識が間違っていたらどうなるでしょうか?米国が景気後退の瀬戸際にいる、あるいは既に景気後退に入っているとしたらどうなるでしょうか?
通常、景気後退はマネーフローの大幅な減速によって引き起こされます。新型コロナウイルス感染症後のように、流動性が豊富でマネーがスムーズに流れる場合、経済は活況を呈する傾向があります。逆に、マネーフローが停滞し、逆流すると、経済活動は減速し、最終的には深刻な雇用喪失と経済成長のさらなる低迷につながります。したがって、マネーフローを監視することは、経済の将来の軌道を予測する上で非常に重要です。
大まかに言えば、マネーフローは主に金融政策と財政政策の影響を受けます。新型コロナウイルス感染症のパンデミック時には、両政策とも拡張的な政策となり、その後の景気拡大を促しました。その後、金融政策は引き締め方向に転じましたが、財政緩和によってこの変化が補完され、引き続き景気拡大を支えています。しかしながら、今日では、金融政策と財政政策の両方が引き締め方向に作用し、経済へのマネーフローを阻害しているという状況に直面しています。
金融面では、商業銀行の融資活動は大幅に鈍化している一方、連邦準備制度理事会はバランスシートを縮小し、比較的高い金利を維持している。
財政面では、トランプ大統領の下で、削減や関税の導入によって状況が変わり始めており、関税は輸出業者が負担するのではなく、国内で支払われる傾向が強まっている。
これにより、私たちはコロナ後の好景気時代とは大きく異なる状況に置かれています。現在、マネーフローは停滞し、反転しています。この傾向は、広く注目されているマクロ経済データではまだ明らかではないかもしれませんが、投資家がこれまで頼りにしてきた伝統的な景気後退指標には現れ始めています。リチャード・ウールナフ氏は最近、経済成長見通しを評価するために多くの人が長年利用している指標である「ドクター・コッパー」について論じました。これを踏まえ、同様に暗い経済見通しを示唆する他の指標をいくつかご紹介します。
結論として、景気後退が起こった後にそれを特定することは非常に簡単ですが、その瀬戸際、あるいはその最中にそれを特定することははるかに困難です。景気後退は労働市場の崩壊から始まるわけではありません。それは景気後退の結果であり、原因ではありません。景気後退は、経済への資金の流れが止まり、成長が鈍化し、利益が減少し、レイオフにつながることで始まります。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、各国政府と中央銀行は世界経済に資金を投入し、経済の急成長を支えてきました。しかし今、両国とも金融引き締めを進めており、資金の自由な移動が困難になっています。これは将来への大きな懸念事項です。一部の景気後退指標は既に米国の景気後退の可能性を示唆していますが、投資家は過度に楽観的であり、差し迫った景気後退の可能性は無視できるほど低いと想定しています。これは誤りである可能性があり、現在のマクロ経済環境を踏まえると、より慎重になり、景気後退の可能性について議論を始めるべきです。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
ドイツ銀行は、人工知能とクラウドコンピューティングの需要に対応するためデータセンター業界に数十億ドルの融資を行った後、データセンターに対するエクスポージャーをヘッジする方法を模索している。
いわゆるハイパースケーラーがAIニーズに対応するインフラ構築に数千億ドルを注ぎ込み、その資金調達がますます借金で賄われている中、銀行幹部らは急成長する業界へのエクスポージャーを管理する方法を議論してきた。
ドイツの銀行は、AI関連銘柄の空売りを含む選択肢を検討している。これは、AIセクターの企業に投資することで下振れリスクを軽減するのに役立つ。また、合成リスク移転(SRT)と呼ばれる取引を通じてデリバティブ取引を活用し、一部の債務についてデフォルト保護を購入することも検討している。
ドイツ銀行はコメントを控えた。
ドイツ銀行の投資銀行部門は、データセンター融資に「大きな賭け」をしていると、ある上級幹部は語った。
しかし、AIインフラへの支出規模の大きさから、バブルが形成されつつあるという懸念が生じており、その熱狂ぶりはドットコムバブル崩壊前の熱狂に似ていると考える人もいる。
懐疑論者は、技術の急速な変化により資産価値が急速に下落する未検証の業界に数十億ドルが投入されていると指摘している。
ドイツ銀行は主にアルファベット、マイクロソフト、アマゾンなどのハイパースケーラーにサービスを提供する企業に融資しており、その債務は安定した収益を約束する長期契約によって担保されていると、同銀行に詳しい2人の関係者は述べている。
ドイツ銀行はここ数カ月、スウェーデンのエコデータセンターグループとカナダの5Cに融資を行い、両社合わせて10億ドル以上を調達して事業拡大を図ってきた。ドイツ銀行は同分野への融資額の内訳を明らかにしていないが、数十億ドル規模と推定されている。
AI関連銘柄のバスケットに賭けて急成長市場を乗り切るにはコストがかかるため、業界へのエクスポージャーヘッジは困難になる可能性があります。一方、SRT取引では格付けを得るために多様な融資プールが必要であり、投資家はデフォルトに対する保険としてより高いプレミアムを要求する可能性が高いでしょう。
ハイパースケーラーによるスーパーインテリジェンスの追求は、その構築を支援するインフラと、それらにサービスを提供する企業の需要を刺激している。現在から10年末までのコストは3兆ドルに達すると推定されている。
欧州では、企業が猛スピードで土地の買収や開発を進めており、デジタルインフラ分野での取引や統合の波が予想される。
フィナンシャル・タイムズは9月、ドイツ銀行の資産運用部門であるDWSが、評価額が20億ユーロに達することを期待してデータセンター事業の売却を準備していると報じた。
ドイツ銀行のアナリストは9月下旬、今年初め以降、英語の出版物でAIバブルに関する言及がどれだけあったかをAIを用いて分析した結果、懸念は誇張されていたと述べた。彼らは「AIバブルの一つは既に崩壊している。バブルがあると言うこと自体がバブルだ」と結論付けた。
米電子商取引(EC)大手アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabは3日、対話型生成人工知能(AI)「チャットGPT」を手掛けるオープンAIとの380億ドル規模の契約を結び、クラウドサービス「AMS(アマゾン・ウェブ・サービス)」を提供すると発表した。これは競合企業に市場シェアを奪われ、大規模障害にも見舞われたアマゾンのクラウド事業にとって、追い風となりそうだ。
アマゾンは利益率の高い「AMS」でクラウドコンピューティング業界を長年リードしていたものの、ここ数年はAIサービスでマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabやグーグルの親会社アルファベット(GOOGL.O), opens new tabに大型契約を奪われていた。
シナジー・リサーチ・グループのデータによると、アマゾンのクラウド部門における市場シェアは2022年、チャットGPTが登場する数カ月前の時点では34%だったが、25年9月には29%に低下している。
投資家の間では、アマゾンは大規模言語モデル(LLM)の導入が遅れ、チャットGPTのような消費者向けチャットボットを提供できていないなど、AI競争で後れを取っているとの見方が多かった。
ただ最近では、アマゾンの対AI分野投資も加速しつつある。10月には110億ドルを投じた計算クラスタープロジェクト「レーニア」の立ち上げを発表。自社開発の半導体「トレーニウム」を組み込んだ米国内のデータセンターで、新興企業アンソロピックのAIトレーニングを行うというものだ。
今回のオープンAIとの契約は、先週発表された好調な四半期決算とともに、AWSが勢いを回復しつつある状況を示している、とアナリストや投資家は指摘した。
クイルター・チェビオットのアナリスト、マンタ・バレチャ氏は「今回の契約は、オープンAIが他のクラウド事業者とこれまでに契約した案件に比べれば小規模だ。ただ、計算処理能力の開発に今後数年間で数兆ドル規模を投資する企業と提携を組もうとするアマゾンの試みとしては、重要な第一歩となる」と述べた。
アマゾンの株価は今回の契約発表後に5%上昇し、史上最高値を記録。それ以前は、新興AI企業との数千億ドル規模のクラウド契約を手掛かりに急騰した他のテック大手株からは遅れを取る形となっていた。
マイクロソフトは先週、オープンAIとの組織再編を巡る新たな合意に基づき、クラウドサービス「Azure(アジュール)」について2500億ドル規模の契約を締結したと発表した。オラクルも9月、オープンAIと総額3000億ドルの契約を締結。グーグルはアンソロピックとの数百億ドル規模の半導体関連契約など、複数企業との事業提携を進めている。
<AI投資拡大が成長けん引>
アマゾンのAI戦略は、幹部の離脱によって停滞した側面もある。ロイターは6月、生成AI開発の責任者が他社に移籍したと報じていた。
競争力を維持し、高コストのデータセンターへの資金を確保すべく、アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は管理職の削減や非効率的な要素を特定するための匿名内部通報制度の導入といった取り組みを進めている。
先週には本社部門の従業員のうち、過去最大規模となる約1万4000人の削減を発表。他方、AI投資は拡大しており、今年の設備投資は約1250億ドルに達したほか、来年はさらなる増加が見込まれている。この金額はアルファベットの最大930億ドルという投資計画を上回り、マイクロソフトの今年の投資額見通しとほぼ同等だ。
BMOキャピタル・マーケッツのアナリスト、ブライアン・ピッツ氏は、アマゾンとオープンAIの契約により、AWSの第4・四半期時点の受注残は9月末時点の2000億ドルから約20%増加する可能性があると予測している。
オープンAIの株式を保有するスロ・キャピタルの投資家ウィリアム・リー氏は「アマゾンは明らかに以前と異なり、ようやくLLM開発を巡る時代の流れに乗ってきたようだ」との見方を示した。
AIと量子インフラの急速な発展は、見過ごされがちな商業用不動産セクターに活況をもたらしています。供給が逼迫する中、産業用屋外倉庫(IOS)は急激に需要と賃料の上昇を見せています。
IOSは、企業が建設機械、車両、コンテナ、資材など、屋外に保管できるあらゆるものを駐車できる、舗装または砂利敷きのあらゆるタイプの土地を指します。倉庫や工場以外のあらゆる用途で、国内の物品の移動に不可欠なバックオフィス業務をサポートします。建物の設置は可能ですが、指定にあたっては、建物の面積が全体の25%未満であることが求められます。
これらの敷地は高速道路、港湾、その他の主要インフラの近くに位置していることが多いですが、現在ではデータセンター建設のための重要な拠点となりつつあります。この分野の有力企業で、全国で400以上の敷地を買収しているAlterra IOSによると、開発業者は数百万ドル相当の発電機、トラクター、その他の重要な機器を駐車しているとのことです。
「目に見えないところに隠れている不動産です」と、アルテラIOSのCEO、レオ・アディマンド氏は述べた。「米国には1兆ドルを超えるIOS関連不動産がありますが、そのほとんどは自治体や政府が所有しています。造船所や空港もそうです。そのうち約3,000億ドルは、機関投資家ではなく、主に地元の小規模事業主が所有しており、これが潜在市場なのです。」
このセクターはかつてCRE市場において個人経営の企業が多いと考えられていましたが、現在では大手企業からの巨額投資を集めています。8月には、ゼニス・IOSがJPモルガン・アセット・マネジメントのアドバイザーを務める機関投資家と7億ドル規模の合弁会社を設立し、全米のIOS物件を対象とすることになりました。ゼニスの発表によると、総資産額は15億ドルを超え、米国最大級のIOSポートフォリオの一つとなります。
また今年、ブラックストーンは、49のサイトに対してアルテラIOSに1億8,900万ドルの融資コミットメントを提供し、43の物件ポートフォリオに対してジャディアン・キャピタルに2億3,100万ドルの融資を提供した。
ファンダメンタルズは魅力的であり、さらに魅力的になりつつあり、バルク倉庫セクターをアウトパフォームしています。過去5年間、eコマースの成長を背景に倉庫は投資家の注目を集めてきましたが、ニューマークのレポートによると、IOSはバルク倉庫セクターの2倍の賃料上昇率を達成し、空室率は約半分となっています。
IOS賃料は2020年以降123%上昇しました。フェニックス、メンフィス、アトランタが賃料上昇率をリードしています。一部の市場では、IOSの賃料はエーカー当たりで標準化すると、バルク倉庫と同等となっています。
「これはセルフストレージよりも、プレハブ住宅よりも、マリーナよりも、RVパークよりも、そして既に機関投資家が所有している多くの不動産カテゴリーよりも大きなものです」とアディマンド氏は述べた。
Alterraは、Blue Owl Capitalが運用するファンドから1億5,000万ドルの融資枠を取得したと発表しました。この融資枠の初期資金は、12州にある21件の不動産を担保としていました。Alterraによると、この融資枠によるその後の資金調達は、9億2,500万ドルのエクイティコミットメントを持つクローズドエンド型ファンドであるAlterra IOS Venture IIIによる買収資金に充当されます。この取引は、Blue OwlにとってIOS分野における初の資金調達となります。
「アルテラへの投資は、ブルー・オウルが高成長で回復力のあるセクターにおける市場をリードする事業者との連携に注力していることを反映しています」と、ブルー・オウルの実物資産プラットフォームの最高投資責任者であるジェシー・ホム氏は述べています。「IOS資産に対する堅調かつ持続的な需要を見出しており、アルテラはこの進化する分野をリードする優位な立場にあると考えています。」
IOSは米国で推定140万エーカーに広がっていますが、ゾーニングの関係で好立地の用地は依然として不足しているとニューマークは指摘しています。ニューマークは、輸送・物流分野ではフェデックス、JBハント、マースクといった企業が利用していると指摘しています。機器やバルク材の保管では、トゥルーグリーン、ABCサプライ、そして全米に約1,400の拠点を持つユナイテッド・レンタルズなどが利用しています。
ファンダメンタルズは堅調で改善傾向にあるものの、このセクターにはリスクがないわけではありません。データセンターの需要は膨大ですが、過熱感を懸念する声も既に上がっています。依然として高い金利、関税、そして景気減速も懸念材料であり、さらにゾーニングといったより基本的な問題も存在します。
「最大のリスクはゾーニングです。これは、なぜ土地が限られているのかという問題に関係しています。IOS用不動産の増築が進んでいないだけでなく、IOS用不動産に対するゾーニングの特例措置も誰も認めていません」とアディマンド氏は述べ、自治体はIOS用地の面積を縮小しようとしていると説明した。IOS用地は実際には雇用や増税を生み出さないからだ。
●その他
備忘録(2025/11/4)
●企業
3日の取引で、商業用不動産に融資するドイツの金融機関ドイチェ・ファンドブリーフバンク(PBB)の株価が急落した。同行は急落の理由を説明できていない。
PBBの株価は一時18%安と、2002年7月以降で最大の下げ。引けにかけて下げを縮小したが、それでも終値は8.5%安で、時価総額は5億7100万ユーロ(約1010億円)となった。
PBBのその他ティア1債(AT1債)は額面1ユーロ当たり4.4セント下落して93セントとなり、1年余りで最大の下落を記録した。
PBB広報はブルームバーグに対し、コメントはないとした。
PBBは6月、10年前に進出した米国からの撤退を発表。米国進出で事業拡大を図ったが、最終的にバランスシートを悪化させただけだった。同行は当時、進出地域を広げるのではなく欧州に注力し、新たな事業分野の開拓を通じて収益を多様化させる意向を示していた。
この米国撤退に関連して、同行は3億1400万ユーロの損失を計上。1-6月の税引き前損失は2億4900万ユーロに上っていた。7-9月(第3四半期)決算は11月13日に発表が予定されている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、フランクフルト時間3日午後4時半時点のPBB株の売買代金は950万ユーロと、今年の1日当たり平均の5倍余りに上った。
●マクロ
自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスのビジネスモデルは元々、安定したものとは言い難かった。信用度の低い顧客を対象とするサブプライム自動車ローンを専門とし、ウェブサイトには今も「信用履歴が悪くても心配いりません」との文言が残る。顧客層には不法移民も含まれていた。
こうした危うい事業構造にもかかわらず、9月に破産申請したトライカラーには、JPモルガン・チェースやバークレイズといった大手金融機関が巨額の融資を行っていた。
問題はトライカラーだけではなかった。すぐ後に自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループが、貸借対照表に反映されない短期融資への依存を巡る懸念から破産を申請。さらに地方銀行のザイオンズ・バンコープとウエスタン・アライアンス・バンコープが借り手による不正疑惑を公表し、銀行株が急落した。同じ日にマイアミの投資会社777パートナーズの共同創業者が、同じ担保を複数の貸し手に提供するなどの詐欺と共謀の罪で起訴された。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は10月半ばの決算説明会で、同社がトライカラー関連で1億7000万ドル(約260億円)の損失を計上したことを明らかにし、「ゴキブリは1匹いたら、恐らく他にもいる」と語った。
この比喩は一部では誇張と受け止められた。特に、透明性や監督の欠如を理由に批判を受けてきたプライベートクレジット業界の関係者は防御的な姿勢を示した。地方銀行も、最近の信用損失はシステム全体の不安定化を示すものではなく、2023年に中小銀行を揺るがせた危機の再来を意味するものではないと主張した。一方で、発言はウォール街の警戒心をかき立て、ゴキブリ探しが始まった。
ダイモン氏の発言で浮き彫りになったのは、信用市場の脆弱(ぜいじゃく)性に対する市場の神経質な反応だ。低金利による好調が続いた後で、調整局面が近づいているとの見方もある。高利回り社債のデフォルト率は歴史的平均と同程度にとどまっているが、特に実態が把握しにくいプライベートクレジット市場については懸念が強い。
ニューヨーク大学スターン経営大学院の名誉教授エドワード・アルトマン氏は、企業が利払いを先送りし元本に組み入れる『ペイメント・イン・カインド(PIK)』が増えていることを指摘し、「企業の資金繰りは逼迫(ひっぱく)している」と警鐘を鳴らす。デューク大学ロースクールのエリザベス・ド・フォンテネー教授も、同じローンを金融機関によって大きく異なる評価額で計上する事例があるとし、「これらが本当に公正価値で報告されているのかが問題だ」と語る。
こうした事態は信用市場が過去10年で著しく不透明化したことの表れと言える。2008年の金融危機後、米議会は大手銀行のリスク保有を制限したが、それが「シャドーバンキング」と呼ばれるノンバンク(非預金金融機関、NDFI)の拡大を招いた。プライベートクレジットを提供するこれらの業者は、借り手の事情に合わせた柔軟な融資が可能である一方、外部からは実態が見えにくく、リスクの所在が不明瞭になりやすい。
NDFIによる融資が急増する中、銀行側はその拡大を批判しながらも、自らも参入している。ダイモン氏は以前から、プライベートクレジットの緩い契約条件を「金融危機を招く処方箋」と警告してきた。一方で、ムーディーズによるとJPモルガンを含む大手銀行は現在、NDFI向けに年間1兆2000億ドル、そのうち3000億ドルをプライベートクレジット向けに融資している。つまり、一部の「ゴキブリ」は自分たちの内部から発生している可能性もある。
警戒すべきかどうかを巡る議論は続いている。ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOは10月下旬、相次ぐ信用損失にも過度の不安は不要との姿勢を示した。
JPモルガンの決算説明会でダイモン氏に質問を投げかけたウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏は、一連の信用不安を次の景気後退に備える「小規模な防災訓練」と位置付ける。「こうした出来事は、ローンが不良化するという現実を思い出させる良い警鐘だ。銀行や投資家に健全な疑心暗鬼を喚起する」と語った。
信用リスクが最も高いサブプライム(信用力の低い個人向け)に分類される借り手の割合が2019年以来の高水準に達しており、家計の状況が悪い借り手が増える兆候をうかがわせる。
信用調査会社トランスユニオンによると、7-9月(第3四半期)には、個人向け与信全体にサブプライムの借り手が占める割合は14.4%と、7-9月としては、19年(14.5%)以来で最も大きくなった。24年の同期は13.9%だった。
コロナ禍とその直後の期間は、出費の減少や支援策で債務返済が進んだ結果、リスクが比較的高い借り手は減っていたが、その後4年連続で増加した。
その一方で、最も信用度の高いスーパープライムの割合も一貫して増加が続く。
トランスユニオンで金融サービス責任者を務めるエグゼクティブバイスプレジデント、ジェーソン・レーキー氏は「消費者の信用リスクは二極化し、リスク分布の両端に向かう人が増えている。多くの消費者が今の経済情勢をうまく乗り切る一方、資金的に逼迫(ひっぱく)する人もいる可能性がうかがえる」と指摘した。
消費者の債務残高が全体的に増加する状況で、こうした変化が起きている。第3四半期のクレジットカード残高は1兆1100億ドル(約171兆円)に達した。無担保の個人ローンの組成も前年同期比26%増え、残高は2690億ドルと過去最高を記録した。
もっともトランスユニオンのバイスプレジデントで、米国リサーチ&コンサルティング責任者ミシェル・ラネリ氏によれば、個人ローンの伸びは現時点で懸念要因ではない。借り入れの動きが鈍かった時期が終わり、一部の借り手はより低い金利でクレジットカード債務を一本化するため、個人ローンを利用している可能性もあるという。
ウォール街の最高経営責任者(CEO)たちは、今後12-24カ月の間に株式市場が10%以上下落する可能性があるとして、投資家に備えを呼びかけた。もっとも、こうした調整はむしろ健全な展開となり得るとの見方も示した。
投資運用会社キャピタル・グループの社長兼CEOとして約3兆ドル(約461兆円)の運用に携わるマイク・ギトリン氏は、香港金融管理局(HKMA)が4日に開催した金融サミットで「企業業績は堅調だが、課題はバリュエーション(株価水準)だ」と述べた。
株価水準が割安、適正、あるいは割高のいずれであるかについて、ギトリン氏は「多くの人は現在の水準を適正から割高の間にあると考えるだろうが、割安から適正の間にあるという人はあまりいないと思う」と話した。クレジットスプレッドについても同様だと付け加えた。
モルガン・スタンレーのテッド・ピックCEOやゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOも株式市場について同様の見解を示し、今後大幅な売りが発生する可能性があるとした上で、市場の調整局面はサイクルの中で通常の現象だと述べた。
ピック氏は、市場はこれまで大きく上昇してきたものの、米国では依然として「政策ミスのリスク」が存在し、地政学的な不確実性も残っていると指摘した。
「確かに市場は割高に見えるが、実際にはシステマティックリスクは恐らく縮小している」と述べた。「マクロ要因による急落ではなく、10-15%程度の調整が起きる可能性を歓迎すべきだ」とし、これを「健全な展開」と表現した。
S&P500種株価指数構成銘柄の株価収益率(PER)は、予想収益ベースで23倍と過去5年の平均の20倍を上回っている。同様に、ナスダック100指数の倍率は28倍と、2022年の約19倍から上昇している。
米経済の減速や政府機関の閉鎖にもかかわらず、世界の株式が今年たびたび最高値を更新したことで、過熱したバリュエーションへの懸念は一段と強まった。
ヘッジファンド会社シタデルのCEO、ケン・グリフィン氏は、市場は強気相場の頂点と弱気相場の底で最も非合理的になると述べ、現在は「非常に深い強気相場の中にある」と語った。
ソロモン氏は「テクノロジー関連株のバリュエーションは既に高水準だが、市場全体がそうというわけではない」と述べた。
株式相場の10-15%の調整は、良好なサイクルの中で、全般的な資本の流れや長期的な資産配分の方向性を変えることなく起こることもよくあると指摘した。
「相場が走った後に一服するだけだ。人々はこの間に状況を見直すことができる」と語った。
ボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)は、バーゼルIII関連の計画公表は優先事項だが、新たな提案は銀行に対する資本規制全体の枠組みに適合するものでなければならないと強調した。
ボウマン副議長はマドリードで開かれたサンタンデール国際銀行会議で4日、同計画の公表が「われわれの優先事項の一つだが、資本だけを切り離して議論することはできない」と述べた。
ブルームバーグは先月、FRBがウォール街の大手銀行に課す資本要件を大幅に緩和する修正案をまとめており、その概要を他の米金融監督当局に示したと報じた。
計画は初期段階だが、いわゆる「バーゼルIII最終化」案の米国版に強く反対してきたウォール街の銀行は歓迎する公算が大きい。
ボウマン副議長は4日、大手行に課す資本上乗せや銀行ストレステスト(健全性審査)改定案、米銀大手に適用される強化補完的レバレッジ比率(eSLR)についても監督当局が検討を進めていると説明した。
スイスの銀行UBSグループのコルム・ケレハー会長は、米国の保険業界がリスクに直面していると警告した。プライベートクレジット投資ブームの中で脆弱(ぜいじゃく)で複雑な米国の規制体制が問題だと指摘した。
ケレハー氏は、香港金融管理局(HKMA)が4日開催した金融サミットで、保険会社関連では、複数の格付け機関の評価基準の差を利用して有利な格付けを得ようとする「裁定行為が大規模に起き始めている」と述べた。
2007年のサブプライム危機はこうした裁定行為が発端だったとし、現在は保険会社の「投資要件を満たすために小規模格付け機関が利用されている」と指摘した。
米保険会社はここ数年、プライベートクレジットへの投資を拡大させている。調査会社クレジットサイツによれば、昨年は運用資産の3分の1近くをこの資産クラスに割り当てていた。急拡大は世界の規制当局の警戒を呼び、特に銀行システムへの影響が懸念されている。
ケレハー氏は「保険業界を見渡すと、システミックリスクが迫っていると感じる。それは実効性ある規制が欠けているからだ」と語った。
国際決済銀行(BIS)は先週公表した報告書で、保険会社が投資するプライベートクレジットの格付けが小規模な格付け会社に依存している傾向があると指摘。その結果、「信用力の過大評価」が生じるリスクが高まると警鐘を鳴らした。
BISによれば、保険会社は資本要件を低く抑えるために高格付けを求める傾向があり、小規模な格付け会社はより高い格付けを提供する「商業的誘因」に直面する可能性がある。
米国でトランプ政権2期目が発足して以来、世界の債券市場における米国の優位性に対する疑念が繰り返し示されてきた。
関税の大幅引き上げや減税、拡大する財政赤字、さらには連邦準備制度理事会(FRB)への絶え間ない批判で、ウォール街では不安の連鎖が広がり、多くの関係者が同じ警鐘を鳴らした。つまり「Sell America(米国売り)」だ。
それでも、投資家は米国債への資金投入を続けている。借り入れコストが低下し、リターンは上昇。悲観的な予測はこれまでのところ現実化していない。実際、約30兆ドル(約4620兆円)規模の米国債市場では相場が年初来で約6%上昇しており、2020年以来の好調な年となる勢いだ。
米国債の強い需要が続いている理由は幾つかある。まず、企業が関税コストを全て消費者に転嫁していないため、インフレ率はおおむね抑制されている。
関税収入に加え、連邦政府職員の大幅な削減が財政赤字の縮小に寄与している。さらに、連邦公開市場委員会(FOMC)は9、10両月に利下げを実施。景気の下支えとなり、今後も追加利下げが見込まれている。
もう一つ重要なのは、債券投資家から見て米国が依然として最もましな選択肢に映っている点だ。
TCWグループのルーベン・ホヴハニスヤン氏やPGIMフィクスト・インカムのロバート・ティップ氏、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO=ピムコ)のダニエル・アイバシン氏ら投資家によれば、主要7カ国(G7)の中で債務膨張や財政赤字、政治的機能不全に苦しんでいるのは米国だけではない。
他の主要中央銀行はすでに利下げサイクルの終盤にあるか、日本のように利上げに向かう可能性もある。その中で米国はいまだに世界最大かつ最も流動性の高い債券市場だ。
ホヴハニスヤン氏は「他の選択肢を見ても、それぞれ固有の問題を抱えている。『一番きれいな汚れたシャツ』という例えが非常に的確で、明確な代替先は存在しない」と語った。
こうした状況は、トランプ政権の主張をある意味で正当化している。「米国第一」政策によって、製造業を再活性化させ、景気を刺激しつつインフレを招かず、さらに国の利払い負担も軽減できるとうたってきたからだ。
ベッセント米財務長官は今年、米10年国債利回りの低下を公約。先月には懐疑派に対して「市場リスクはどこにあるのか。彼らはずっと間違っていた」と反論した。
より懸念されるのは、トランプ大統領の通商政策がリセッション(景気後退)を招くリスクをはらんでいるからこそ、米国債の需要が高まっているという点だ。加えて、労働市場の軟化を背景に、インフレが再び連邦準備制度を悩ませ、債券市場に逆風となる可能性もある。
パウエルFRB議長は先週の利下げ後、12月の追加利下げが「既定路線」との見方を強く否定し、米国債の売りを誘発した。
2025年のサプライズ
2025年に入ると当初、債券投資家にとって米国に対して悲観的になる要因が多かった。トランプ大統領が掲げる成長促進と減税の公約は財政赤字拡大につながり、国債発行の増加や消費財価格の上昇につながるとの見方から利回りが急上昇した。
さらに4月、トランプ氏が発表した強硬な関税政策によって、貿易戦争が外国人投資家の米国離れを引き起こすとの懸念も浮上した。
向かい風は残っている。関税収入は月額約300億ドルに達しているが、米国の年間ファイナンス需要は依然として1兆5000億ドルを超える。
加えて、これらの関税が最高裁判所で違憲と判断されるリスクもある。11月5日に合法性を巡る審理が予定されている。
利付国債の投資家にとって最大の懸念であるインフレも、依然としてリスク要因だ。セントルイス連銀の調査によると、企業が関税引き上げ分を消費者に転嫁した割合は現時点で約35%にとどまっている。
ドルの動向も問題だ。ドルは数十年ぶりの大幅下落に見舞われており、ドル安は現地通貨ベースでの投資収益を押し下げる。米国債の約30%を保有する海外投資家にとって、これは警戒すべきシグナルと言える。
米政府の一部閉鎖も経済の先行きを不透明にしており、公式統計の発表が再開された際には予期せぬ悪材料が明らかになる恐れもある。
バンガードのファンドマネジャー、ジョン・マッツイレ氏は「もし景気の再加速や財政不安、米連邦準備制度の独立性に対する懸念が再燃すれば、その時こそ債券にリスクが生じ、利回りが急上昇する局面となる」と述べた。
ドル安
もっとも現時点では、海外からの資金流入が続き、米国債利回りが低下している。7月時点で外国勢による米国債保有額は過去最高の9兆2000億ドルに達した。ただし、投資家の間ではドル安へのヘッジを進める動きも見られる。
ベッセント氏も、長期金利の抑制によって市場を支えている。就任前、同氏は当時のイエレン財務長官が財務省短期証券(Tビル)を中心に政府資金を調達していた方針を批判し、選挙前に景気を刺激するため、長期の借り入れコストを人為的に低く抑えようとしたものだと指摘していた。
しかし、ベッセント氏は就任以後、同様の手法を採用。この動きが長期の借り入れコストへの圧力を和らげる助けとなっている。投資家が長期国債を保有するリスクに対して追加的に求める補償を示す指標「タームプレミアム」は、米10年国債で4月以来の低水準近辺となっている。
ウォール街の債券ディーラーらは、財務省が5日に発表する四半期の国債発行計画で、資金調達構成をより短期債中心に傾ける方針を示唆すると見込んでいる。
PGIMフィクストの投資担当チーフストラテジスト兼グローバル債券責任者であるティップ氏にとって、米国は依然として他の先進国経済に比べて優位に立っている。
「米国の環境は混乱しており異例だ。数字を見れば、市場のストーリーは実際の価格動向とかみ合っていない」と分析しながらも、「米国例外主義が終わりを迎えつつある中でも、米国債は十分に競争力があり、海外資金を引き付けている」と話した。
実際、米国の10年物国債利回りは、今年これまでにG7の中で最も大きく低下している。米国の地位を巡る議論の中心となってきた30年物の国債でも、主要国の中で利回りが下がったのは米国だけだ。
日独仏
日本とドイツ、フランスでは、放漫財政への懸念を背景に長期金利が最も大きく上昇した。欧州一の経済大国ドイツは、防衛費とインフラ投資を拡大するため、財政規律を緩和した。
フランスは財政悪化を反映して格下げに見舞われている。日本では超長期金利が過去最高水準まで急上昇した。
もちろん、米国も今後数年間にわたり巨額の債務と財政赤字という重荷に直面し続けるが、利回り低下により利払い費の増加ペースは鈍化している。
金融政策も米国に有利に働いている。エコノミストによると、欧州中央銀行(ECB)は利下げをほぼ終えた一方、日本銀行は引き締めに動く公算が大きい。
その一方で、パウエルFRB議長が12月利下げへの期待を抑えた後でも、市場ではFOMCが来年9月までに3回の利下げを実施するとの見方がまだ織り込まれている。
ピムコのアイバシン氏は、米国で金利が低下し経済の不透明感が高まる中で、現金を保有しているリスク回避的な投資家が米国債に資金を移すだろうと想定。
FOMCが緩和に動く中で、「経済の信用リスクが上昇する一方、キャッシュの利回りが低下するという状況が生じている」とし、「リスクが高まり、利回りは下がる。それが高格付け債を支え続ける要因になり得る」と同氏は語った。
ファンドマネジャーたちは、さまざまな要因が交錯する市場環境の理解に苦しんでいる。
ブルームバーグが10月30日時点のデータを基にまとめたところ、米債券市場全体を対象とするブルームバーグUS総合指数に連動し、運用資産が10億ドル超の米国アクティブ債券ファンドのうち、同指数を上回る運用成績となったのは約62%にとどまった。これは22年の急速な米利上げ以来、最も低い比率だ。
コロンビア・スレッドニードルは、市場が悲観ムードに包まれ利回りが上昇していた局面で、償還期間5年を超える米国債への投資を選んだ運用会社の1社だった。
同社の債券マネジャー、エド・アルフセイニ氏は「年初に財政赤字やインフレ指標、関税について非常に悲観的な見方をしていて、1月に5%の米国債利回りをショートしていたとすれば、現在4%に低下している状況では少し残念に感じるだろう」と述べた。「かなり良好なパフォーマンスを逃してしまったことになる」という。
韓国を訪れているヘグセス米国防長官は4日、在韓米軍の重点は引き続き北朝鮮の抑止だと述べる一方で、中国との緊張が高まる中で朝鮮半島以外での潜在的な役割を示唆した。
同長官は韓国の安圭伯国防相との共同記者会見で、米軍が台湾を巡る紛争や南シナ海で動員される可能性について質問された際、「地域的な不測の事態に対する柔軟性は、われわれが検討すべき事項であることに疑いの余地はない」と語った。
米政府は中国をけん制するため、インド太平洋地域の同盟国との連携を深めている。
ヘグセス長官はまた、ミサイル防衛や宇宙への投資など、軍事支出を増強する韓国の計画を称賛。軍事技術を推進するために、米韓が防衛研究所間の協力を拡大すると述べ、「これらの投資により、韓国は、北朝鮮に対する通常の抑止力と防衛力を主導する能力を加速させるだろう」と期待感を示した。
韓国国防省は4日、米国から原子力燃料の供給を確保できれば、2020年代後半にも原子力潜水艦の建造を開始し、30年代半ばから後半にかけて進水可能だと閣議に報告した。
同省によれば、韓国はすでに通常動力型潜水艦の設計・建造において世界最高水準の能力を有しており、その技術力を基盤に原子力潜水艦の建造もできるという。
スターバックスが9月に900人の本社従業員の削減を発表した際、エコノミストの反応は薄かった。というのも、同社は新経営陣が立て直しを急ぐ中で2月にも人員整理を実施していたためだ。10月にはターゲットが、業務の簡素化などを目指して1800人を削減することが明らかになった。
各社の人員削減にはいずれも明確な理由がある。約1万4000人のコーポレート職の削減計画を発表したアマゾン・ドット・コムは、人工知能(AI)の活用を促進している。パラマウント・スカイダンスは1000人を解雇する方針だが、同社は2社の合併により誕生したばかりだ。モルソン・クアーズ・ビバレッジは、糖質を気にする消費者のビール離れが影響し、400人を削減する。
これらを個別に見れば、いずれも単発的な動きと解釈することも可能かもしれない。だがこうした動きが相次ぐ現状に、単なる経費削減ではなく、むしろ警戒シグナルではないかと懸念するエコノミストもいる。
アリアンツ・トレード・アメリカズのシニアエコノミスト、ダン・ノース氏は「名の知れた大手企業がかなり大規模な人員削減を実施している」とした上で、「これらは偶発的な動きではないのかもしれない」との見方も出始めていると述べた。
最近では米労働市場の状況を把握するのがより困難になっている。労働統計局といった主要な経済データを提供する複数の機関が、政府閉鎖により業務を停止したためだ。それ以前も、トランプ大統領による連邦政府の規模縮小の取り組みを受け、広範な連邦統計システムに空白が生じていた。そうした中、民間のデータがその空白を埋める手助けをしてきた。
民間再就職会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのリポートによると、今年1月から9月末までにおよそ95万人の削減が発表されており、累計としては2020年より後では最大だ。しかもこの数字には相次ぐ削減発表が行われた10月は含まれていない。新型コロナウイルス禍初年を除けば、今年1-9月の削減数は2010年以降全ての年の年間総数を既に上回っており、「あまり楽観できる数字ではない」とノース氏は指摘する。
政府部門が最も大きく影響を受けており、チャレンジャーによると今年は約30万人の削減が同部門で発表されている。だがテクノロジーや小売りなど、他の業界でも削減は見られる。サウスウエスト航空は今年、同社初のレイオフを発表した。
米国はつい最近まで、「採用も解雇も低水準」という状況が続いてきた。大半の企業は採用を絞りつつ、大規模な解雇を避け、将来必要になった場合に備えて従業員を抱え込む傾向さえあった。コロナ禍で人材確保が困難になった経験も、そうした慎重姿勢の一因とみられる。
だが現在は状況が変わりつつある。シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「今は労働力の供給が十分にあり、企業は必要以上に従業員を引き留めておく必要性を感じていない」と指摘する。アリアンツのノース氏は、「もはや採用も解雇も低水準という環境ではない」とし、「今は解雇している状況だ」と述べた。
レイオフの規模とペースは、AIや自動化の進展を背景に経営陣が解雇にためらわなくなってきていることを示唆している。リンクトインが今年に入り実施した調査では、経営幹部の6割超が、AIが将来的にエントリーレベルの業務の一部を代替すると答えた。また、多くの大企業は関税コストを価格に転嫁せず、自社で吸収しながら、人件費の削減で利益の確保を図っている。
それでも大半のエコノミストは今のところ警戒レベルを引き上げていない。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、労働市場は「非常に緩やかに冷え込みつつある」とし、それよりひどい状況ではないとの認識だ。ただ市場は、さらなる悪化の兆しに強く警戒している。シティのクラーク氏は、新規失業保険申請件数が過去1年間の大半で見られた22万-24万件の範囲を超え、26万件以上で推移するようであれば懸念は強まると指摘。求人情報サイト、インディードのシニアエコノミスト、コーリー・ステール氏は、運輸や小売りなどテクノロジー以外でのレイオフが増え始めた場合は、「強い警戒が必要になる」と述べた。
先行きが見通せない中、企業は臨時雇用者への依存を強めている。米人材派遣協会(ASA)のチーフエコノミスト、ノア・ヨシフ氏によると、過去3年にわたり低迷してきた短期雇用サービスの需要は、ここ数カ月に増加している。年末商戦が関連している部分もあるが、正社員を削減し、臨時雇用者で穴埋めする動きが広がっているという。
高級車市場は中国の自動車メーカーの欧州連合(EU)に対する販売攻勢にとって新たな前線となるだろう。EU欧州委員会が昨年、バッテリー式電気自動車(BEV)に最大45%の関税を課したにもかかわらず、中国の自動車メーカーは今年に入ってからEU域内で販売をほぼ倍増させている。
今や比亜迪(BYD)(002594.SZ), opens new tabやその他の中国メーカーはプレミアム市場を狙っている。最新の技術力と競争力のある価格設定によってBMW(BMWG.DE), opens new tab、ポルシェその他のライバルメーカーの本拠地で張り合う可能性があるのだ。
欧州委が昨年10月に発動した関税は大きな障害となっていない。JATOダイナミクスによると、中国ブランドのBEVは2025年1月から8月の間にEU25カ国で市場シェアを7.6%と、24年の7%から拡大した。1―8月の中国ブランドの域内の販売台数は前年同期比94%増えて30万台を超えた。
中国メーカーが西側市場で販売を拡大する理由ははっきりしている。中国国内は生産能力が過剰で、アリックスパートナーズによると国内の消費者が1年間に買う台数の2倍もの車を生産可能できるほどなので、メーカーが価格を引き下げざるを得ない。輸出は関税があっても利益率が高く、BYDは欧州で価格を中国国内の2―3倍に引き上げることができている。
中国企業は上海汽車集団(SAIC)(600104.SS), opens new tabがMG4を3万ユーロ(3万4986ドル)で、また浙江零跑科技(リープモーター)(9863.HK), opens new tabがT03を2万ユーロで売り出すなど大衆向けモデルで欧州市場に早期参入し成功を収めた。しかし、ポルシェのタイカンやメルセデス・ベンツ(MBGn.DE), opens new tabのEQSのような高性能・高級仕様のプレミアム車がますます魅力的なターゲットとなっている。
今後何が起こるのかを探るには、中国国内の状況がヒントになる。消費者需要の低迷により、プレミアムブランドの販売台数は25年8月まで19カ月連続で減少した。ポルシェの中国の販売台数は25年上半期に前年同期比で28%減、メルセデスは14%減、BMWは16%減となった。オートモビリティによると、ドイツブランド全体は7%減少した一方で、中国ブランドが25%増加した。
中国政府の支援を受ける賽力斯集団(セレス・グループ)(601127.SS), opens new tabが香港上場申請で提出した目論見書のデータによると、中国ブランドはとりわけプレミアムEV市場で急速にシェアを拡大しており、既に販売台数の半分以上を占めている。ブルームバーグによると、同社のAITOブランドは24年に50万元(7万0195ドル)以上の価格帯で国内トップの販売台数となった。
BYDやその他の中国メーカーは現在、欧州でこうした成功事例を再現したいと望んでいる。しかし欧州自動車業界の幹部は恐れていない。成熟したブランドの知名度と歴史が新興勢力に対する持続的な優位性をもたらすとの共通認識があるのだ。マッキンゼーが今年初め実施した調査によると、消費者の90%以上が高級車を購入する際にブランドの伝統を最も重んじていると答えた。回答者はアフリカ、アジア、中東、欧州に広がっており、71%が次の購入で中国車を考える可能性は低いと述べた。
しかしながら、中国も10年前にこうした議論があった。さらに、中国で育ったブランドは他の強みも活用できる。技術力がその一つだ。確かに、カラオケ機能や備え付けの冷蔵庫のような中国メーカーの装備はロンドンやベルリンでは魅力的でないだろう。しかし、BYDの一部ハイブリッド車は1回の充電で1000キロ以上を走行できるなどといった超長距離バッテリーや急速充電システムは広く受け入れられる可能性がある。
コストパフォーマンスの良さもまた魅力だ。小米科技(シャオミ)は新型EV「SU7 ウルトラ」をポルシェのタイカン・ターボと比較しているが、前者の中国での価格は約3分の1だ。多くのメーカーはブランド価値を損なわないよう、既存ブランドよりも大幅に安くしないが、豪華な装備を追加して価格競争力を高めている。
また、中国メーカーは欧州企業が中国市場で学んだ教訓を活かせる。フォルクスワーゲン(VW)(VOWG.DE), opens new tabなどが「中国のために中国で作る」戦略を採用するようになったのに倣い、中国ブランドも「欧州のために欧州で作る」戦略を打ち出している。
現在の関税が中国企業の進出を阻止できなければ、欧州の政治家はさらなる貿易障壁を検討する可能性があるだろう。関税を引き上げ、最低価格や輸入枠を導入し、インターネットに接続してさまざまなサービスを提供するコネクテッドカー(つながる車)に対して規制を強化することができるだろう。しかし、中国メーカーには現地生産という選択肢もある。BYDは早ければ28年までに欧州向け車両をすべて現地生産する予定だ。
高級自動車メーカーは中国国内の価格競争やトランプ米大統領の関税の影響で既に苦しんでおり、ビジブルアルファによると、メルセデス・ベンツとポルシェの26年の営業利益率はそれぞれ6.8%、8.5%と23年の約半分に低下する見通しだ。中国の新たな自動車販売攻勢によって、欧州の高級車メーカーは今後数年先まで厳しい状況が続くだろう。
新興国による今年のソブリン債の発行総額は年初来で既に2400億ドル弱に達した。通年では、新型コロナウイルス禍に揺れた2020年に記録した過去最高水準を更新する見通しだ。メキシコやサウジアラビアの大型起債が発行額を押し上げた。
メキシコは国営石油公社(ペメックス)を支援する目的などで300億ドル超を起債。サウジアラビア、ルーマニア、トルコなども大規模な起債を実施した。
新型コロナのパンデミック期に発行された債券の一部で借り換えが必要になったことや、今年に入って高リスク資産の価格が上昇して新興国債の上乗せ金利(スプレッド)が縮小していることも起債の増加を後押しした。
一方で新興国ソブリン債全体の平均利回りは引き続き7%近くと米国のハイイールド債(ジャンク債)並みで、投資家にとって魅力的な水準となっている。
投資銀行関係者は、新興国のソブリン債発行は今後さらに増えると見込んでおり、モルガン・スタンレーのアナリストチームは中国、ブラジル、南アフリカ、ナイジェリアのほか、カメルーンやパキスタンといった小規模でリスクの高い国も年内に起債に踏み切る可能性があると指摘している。
米投資会社KKR(KKR.N), opens new tabのジョー・ベイ共同最高経営責任者(CEO)は4日、今年投資家に還元するプライベートエクイティ(PE)の資金の半分がアジアからもたらされるとの見通しを示した。
アジアでのエグジット(投資の回収)が力強い回復を遂げたとみられる。
ベイ氏は香港で開催されたグローバル金融リーダーサミットで「当社のPEのグローバルな分配は、半分がアジアからもたらされる。これは資本市場の発展をはっきり物語っている」と述べた。
関係筋によると、KKRアジアのPE投資から投資家に還元された資金は今年73億ドルを上回っている。
ベイ氏は「KKRアジアは、少なくともPE分野で、群を抜いて急成長している」と述べた。
アジアでの今年のエグジットには、西友の売却(25億5000万ドル)、インドのJBケミカルズ&ファーマシューティカルズ(JBCH.NS), opens new tabの経営権売却(約14億ドル)、韓国のHD現代マリン・ソリューションの株式の一部売却などが含まれる。
米連邦準備理事会(FRB)が3日発表した上級銀行融資担当者調査(SLOOS)で、2025年第3・四半期に大規模と中規模の企業の借り入れ需要の前期と比べた改善幅が、約3年ぶりの大きさとなったことが分かった。一方、小規模企業の借り入れ需要は前期からほぼ横ばいだった。
調査によると、銀行は企業の規模を問わず、与信条件を全体的に引き締め続けている。引き締めの度合いは年初に比べるとやや緩んだとはいえ、こうした動きは借り入れ需要が改善する中で与信の拡大を抑制する可能性がある。
ネーションワイド・ファイナンシャルの市場エコノミスト、オレン・クラチキン氏は、借り入れ需要が高まる中での貸出基準の引き締まりについて、「過去2カ月にFRBが行った計50ベーシスポイント(bp)の利下げによる成長押し上げ効果を弱め、政策当局が雇用市場を下支えするのを難しくする」と指摘した。
借り入れ需要は、今年1月のトランプ第2次政権発足以降の大幅な政策変更、特に関税政策を巡る不確実性の影響で大きく落ち込んだ。その後は先行き不透明感が緩和する中で、改善している。ただ、今回の調査でも銀行は貿易依存度の高い企業への融資拡大には引き続き慎重な姿勢だった。
米国経済を批判し、米国はフランス、ドイツ、カナダの政策に従うべきだと長年主張してきた専門家を決して信用してはならない。
国家主義は決して機能せず、フランス、ドイツ、カナダ、英国、日本は経済成長を妨げる肥大化した公共部門と、雇用と投資に悪影響を与える過剰な規制と税金により停滞しています。
米国は2025年に主要先進国すべてよりも力強い経済成長を遂げ、インフレ率、実質賃金上昇率、失業率の数値も日本、英国、カナダ、フランス、ドイツなどの国を上回ると予想されます。
アメリカでは、ヨーロッパ型ケインズ政策の実施を擁護した主流派経済学者たちが、経済について否定的な発言をするのをよく目にします。その結果は明白です。アメリカは、ケインズ政策と税制を採用した他のどの国よりも速く、より健全な成長を遂げています。
公式統計によると、米国は2025年の経済成長率が先進国の中で最も高いことが示されています。経済は年率3.8%で成長しています。IMFは米国の2025年の実質GDP成長率を2.0%と予測しています。一方、ドイツはわずか0.2%、フランスは0.7%、英国は1.1%、カナダは1.2%、日本は1.1%です。さらに、アトランタ連邦準備銀行は、米国の第3四半期の経済成長率を年率3.9%と予想しています。
この経済成長の質を強調することが重要です。 2025年の米国の経済発展は、力強い消費者需要、技術力、継続的な投資、そしてさらに重要な点として、政府支出の減少によって牽引されます。対照的に、日本、ドイツ、カナダ、英国、フランスでは、政府支出が「成長」の重要な要因の一つであるにもかかわらず、投資の低迷、消費の伸び悩み、外需の低迷が見られます。巨大な政府と高い税金が、これらの国の成長率を1%未満に抑えています。
米国のインフレ率は安定しているが、日本と英国では消費者物価指数が上昇し、加速している。
米国の年間インフレ率は9月に3%で落ち着き、10月にはさらに低下すると予想されています。一方、英国のインフレ率は3.8%と、13ヶ月ぶりの高水準にとどまっています。ブルームバーグ・エコノミクスによると、日本では消費者物価指数が1年ぶりの高水準に上昇し、2026年にかけて加速すると予想されています。米国ではインフレ率が安定し、トゥルフレーション指数は年率2.25%を示していますが、英国と日本はインフレ率の上昇と経済停滞に苦しんでいます。
米国の労働市場は依然として堅調であり、政府および移民雇用の減少を考慮すると、実質賃金の上昇が見られます。米国の連邦政府雇用は2025年まで減少しており、1月以降9万7000人減少しましたが、民間部門の雇用は月平均で依然としてプラス成長を維持しています。欧州諸国や日本と比較して、米国は失業率が低く、民間部門の雇用成長はより健全な構成となっています。移民と政府雇用の減少が及ぼす重大な影響を理解することは、米国の労働市場の強さを正しく分析する上で不可欠です。
2025年の米国の実質賃金上昇率は1.5%で、フランス、ドイツ、英国のほぼ2倍であり、マイナスとなっている日本よりもはるかに高い。
アメリカの雇用、実質賃金の伸び、インフレ率、GDP成長率をカナダと比較すると、その差は歴然としています。政府の介入主義、過剰な規制と高税率、そして誤った移民政策が、カナダ経済を停滞させ、雇用を失わせています。カナダの失業率はアメリカの2倍であり、成長率は半分以下です。
米国のGDPの力強い成長、インフレ抑制の改善、そして国内の民間労働市場の好調なパフォーマンス、政府支出と移民雇用の減少が相まって、米国は他のすべての国よりも大幅に先行しており、供給側対策、減税、規制緩和、そして政府支出の削減が経済成長と繁栄を促進し、一方、大きな政府と高い税金は停滞と債務危機をもたらすだけであることを証明している。
住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードの取得可否は、長年にわたり信用スコアによって左右されてきました。しかし、何十年もの間、その判断基準としてFICOスコアが主流でした。1956年にウィリアム・フェアとアール・アイザックによって考案されたFICOスコアは、借り手のリスクを測る標準的な指標となり、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米国では融資決定の約90%に利用されています。
しかし、WSJは、最近の10ドルの手数料値上げが、この重要な数字の支配権をめぐる熾烈な争いを引き起こしたと報じている。フェア・アイザック社は、エキファックス、エクスペリアン、トランスユニオンの信用データに依存している。これら3社は長年にわたり、独自のスコアリングモデル「VantageScore」を推進することで、FICOの力を弱めようとしてきた。
連邦住宅金融庁(FHA)長官ビル・パルテ氏がFICOを反競争的行為だと非難し、VantageScoreが多くの住宅ローン審査に利用される可能性があると宣言したことで、緊張が爆発した。パルテ氏は「FICOをはじめとする、何十年にもわたってアメリカ国民を欺いてきた他の独占企業は、不適切な手段を用いて規制当局を脅迫すべきではない」と記している。
4社の関係は敵対的なものに変貌した。業界ベテランの一人は、かつては互恵的なパートナーシップと思われていたものが、今では戦争に近い状況にあると指摘する。FICOのCEO、ウィル・ランシング氏は、スコアの真の価値を反映して価格を引き上げました。FICOの住宅ローンスコア手数料は、数年前にはわずか数セントでしたが、2025年には4.95ドルに上昇し、さらに2倍の10ドルに引き上げられる予定です。住宅ローン業者は、特に借り手が契約を破棄し、貸し手が手数料を負担しなければならない状況では、既に薄いマージンがさらに値上げによって圧迫されるとして不満を訴えています。
ランシング氏は、競争によって貸し手側が緩いスコアリングを好むようになると主張し、「選択肢が増えることで住宅ローン利用者は最も緩いスコアを求めるようになり」、「底辺への競争」が生じると警告している。同氏は、「FICOスコアは住宅ローン業界の安全性と健全性の基盤です」と述べた。一方、信用情報機関は、VantageScoreによって従来の信用履歴を持たない何百万人もの人々を評価し、住宅取得の機会を拡大できると主張している。
つまり、おそらく家を所有すべきではないタイプの人々です...
ワシントンでの圧力が高まるにつれ、議員たちも関心を示し始めた。ジョシュ・ホーリー上院議員は「FICOは政府から与えられた市場支配力を乱用している」と述べた。FICOは積極的にロビー活動を展開し、プルト氏率いるFICOは競争の促進を訴えた。
FICOは信用情報機関の影響力を弱めるため、戦略を変更し、「トライマージ・リセラー」が同社のアルゴリズムを用いてスコアを生成できるようにしました。この動きにより信用情報機関は排除され、利益はFICOに移り、FICOの株価は上昇し、FICOの株価は下落しました。これを受けて、信用情報機関は多くのローンにおいてVantageScoreを無料で提供し始めました。
この結果によって、アメリカにおける信用へのアクセスを誰が管理し、借り手がいくら支払うかが決まる。当初はわずかな手数料の値上げだったものが、何百万人もの人々の経済的将来をめぐる争いへとエスカレートした。今後の展開にご注目ください…
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
アマゾンはメリーランド州東海岸とアイルランドのコーク州を結ぶ「ファストネット」と呼ばれる海底光ファイバーケーブルを建設しており、これは同社が全額出資する初の海底ケーブルプロジェクトとなる。
海底光ファイバー通信ケーブルは、世界中の国際データおよび音声トラフィックの95%以上を伝送しています。これらのケーブルは、政府通信、金融取引、電子メール、ビデオ通話、ストリーミングなど、毎秒数百テラビットのデータを伝送します。
アマゾンはこれまで、コンソーシアムの一員としてJako、Bifrost、Havfrueなどいくつかの海底ケーブルプロジェクトに投資してきたが、Fastnetは同テクノロジー企業が単独でこれらのプロジェクトに取り組む初めてのケースだ。
「海底はAWSにとって、そして海を越えたあらゆる国際的接続にとって本当に不可欠です」とアマゾン・ウェブ・サービスのコアネットワーク担当副社長マット・レーダー氏は、アマゾンの海底ケーブル投資に関するCNBCのインタビューで語った。
「海底がなければ、衛星接続に頼らざるを得なくなりますが、衛星接続は確かに機能します」と彼は述べた。「しかし、衛星は遅延が大きく、コストも高く、お客様やインターネット全体のニーズを満たす十分な容量やスループットを得ることができません。」
Amazonによると、Fastnetの容量は毎秒320テラビットを超え、これは1,250万本のHD映画を同時にストリーミングすることに相当します。同社は、Amazon Web Servicesを利用するクラウドコンピューティング、人工知能、エッジアプリケーションへの高まる需要に対応するために、このケーブルを構築しています。
ファストネットはアマゾンのネットワークの耐障害性も強化する。アマゾンはファストネットの構築費用を明らかにしていないが、2028年までに運用開始する予定だと述べた。グーグル、メタ、マイクロソフトといった他のテクノロジー大手も海底ケーブルインフラにも投資を行っている。
米石油大手エクソンモービルとカタール国営石油・ガス会社カタールエナジーの経営者は3日、気候変動対策を盛り込んだ欧州連合(EU)の法律が大幅に緩和されなければ、EU向け事業から撤退する可能性もあると警告した。
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催されている会合に出席したエクソンモービルのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)はロイターに、EUの「企業サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)」が現在の形態のまま適用されれば、「悲惨な結果」をもたらすと述べた。
CSDDDは企業に対し、自社のサプライチェーン(供給網)全体にわたって人権と環境のリスクに対処することを義務付けており、EU域外で起きた問題に対しても企業に責任を負わせることを目指している。違反した企業は全世界の売上高の5%を罰金として科される可能性がある。
ウッズ氏は「仮にわれわれが欧州で成功できないなら、そしてより重要なことに、仮に彼ら(EU)が有害な法律を制定して、われわれが事業を展開している世界各国に適用するなら、欧州の事業を続けることは不可能になる」と訴えた。
カタールエナジーのCEOを兼務するカタールのエネルギー担当国務相、サアド・カアビ氏はロイターに、EUがCSDDDを修正しなければ、欧州向け事業を続けられなくなると述べ、EUへの液化天然ガス(LNG)輸出を停止しなければならなくなると改めて警告した。
エクソンモービルとカタールエナジーは、欧州へのLNG供給元として最大級のシェアを握る企業の一角を占めている。
●その他
備忘録(2025/11/3)
●企業
●マクロ
信用市場の「応急処置」として導入されたはずの仕組みが、いま新たなリスクの火種になりつつある。
「ペイメント・イン・カインド(PIK)」型債務は、金利の急上昇に苦しむ借り手に一時的な猶予を与える手段とされる。利払いを元本の返済時まで先送りできるため、資金繰りに一定の余裕を持たせることができる仕組みだ。しかし、この高コストな債務が膨張を続けており、プライベートクレジットファンドがPIKを利用してローンの質の悪化を覆い隠しているとの懸念も一部で浮上している。
焦点となっているのは、いわゆる「バッド(悪い)PIK」と呼ばれるタイプだ。これは借り手の資金繰りの負担を和らげるため、既存ローンの期間中に追加されるもので、当初の債務契約に組み込まれていたPIKとは異なる。
第3者評価機関のリンカーン・インターナショナルは、バッドPIKをディストレス(財務的苦境)の兆候だとみており、透明性の低さで知られるこの業界の「影のデフォルト率」として位置づけている。同社の最新データでは、この指標は6%に達し、2021年の2%から上昇した。
投資会社ケンブリッジ・アソシエイツのマネジングディレクター、ビジャイ・パドマナバン氏は「PIKはデフォルト(債務不履行)を回避する手段だ。正直あまり歓迎できるものではない」と指摘する。「そうした対応が取られる理由は理解できるが、懸念すべき動きとして捉えている」と述べた。
ローンや社債の不履行が相次ぎ、信用市場全体が不安定化する中、ウォール街の伝統的な貸し手も用いるPIKが厳しい目にさらされている。米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスや、米自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループなどの破綻が一例だ。
これらの破綻はプライベートクレジット市場に特有のものではないが、融資基準が緩過ぎたのではないかとの懸念を呼んでいる。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、こうした懸念を代弁するかのように「言うべきでないだろうが、ゴキブリを1匹見たら、恐らく他にもいる。この件は誰もが警戒すべきだ」と話した。JPモルガンはトライカラー関連で1億7000万ドル(約260億円)の貸倒損失計上を余儀なくされた。
もっとも、ダイレクトレンディングは情報の非公開性が高いため、借り手の苦境の全体像を把握することはほぼ不可能だ。データ提供会社はサンプル数が限られる上、プライベートクレジット会社からの部分的な開示情報に頼らざるを得ない場合もある。
また、貸し手が自ら融資資産を評価できる「沈黙の掟(おきて)」に似て、借り手の経営不安について公に語る動機はほとんどない。貸し手は資金の流れを維持することを優先し、投資家も安定した利回りと低ボラティリティーの維持を最も重視しているためだ。
それでも、入手可能なデータの内容は芳しくない。モーニングスターDBRSによると、プライベートクレジット市場でのデフォルトのペースは10月初旬に加速した。9月には一時的な落ち着きを見せていた。同社の先のリポートでは、格付け対象の約400社の中堅借り手のうち、およそ30%が何らかの財務的ストレスに直面しているとされた。
JPモルガンによる最新の分析では、プライベートクレジットファンドの代表的な投資ビークルである「ビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC)」29社を対象にしたところ、PIKローン残高が4-6月(第2四半期)に435億ドルに増加した。これは債務ポートフォリオ全体の約15%に相当する。
リンカーン・インターナショナルにとっては、PIKはプライベートクレジット市場のストレスを示す有効な指標だ。ローン契約の条件変更によってデフォルト率が見かけ上抑えられる可能性があるためだ。リンカーンが評価対象とするローンのうち、何らかの形でPIKを含む案件の割合は、2022年の6%から今年第2四半期には11.4%へ上昇した。そのうち半数超が「バッドPIK」と呼ばれるタイプだった。
投資コンサルティング会社マーサーのEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域チーフ・インベストメント・オフィサー、ガーバン・マッカーシー氏は、成長が鈍化すれば「繰り延べた利払いはすぐに繰り延べた痛みに変わりかねない」と語った。
英国の右派ポピュリスト政党「リフォームUK」は不法移民、欧州連合(EU)や主要政党を激しく非難することで、支持を急拡大させた。だが今は地方税やごみ収集、路面補修といった国民の生活に根ざす問題にも対応を迫られ、党の政権担当能力が初めて試されている。
リフォームUKは2018年に「ブレグジット(英国のEU離脱)党」として設立され、21年に改称した。ブレグジットの立役者だった政界の古株ナイジェル・ファラージ党首のもと、5月の地方選では23自治体のうち10自治体において議会の支配権を獲得するなど躍進。脱炭素目標や「ウォーク(社会意識の高い)」政策の撤廃など、自らの政治理念を実行に移す機会を得た。
同党が有権者の支持を得れば、世論調査での大幅なリードを追い風に与党労働党と最大野党保守党から支持を奪い、ファラージ氏が次期首相となる可能性もある。
リフォームUKは必要な公共サービスを維持しつつコスト削減を進めるという公約を掲げており、イーロン・マスク氏が率いた米国の政府効率化省(DOGE)の取り組みを手本としている。ただ政権を担ったことはこれまでなく、下院での議席数は定数650のうち5にとどまる。
世論調査では現在10ポイントのリードを保っており、29年の次期総選挙までに主要政党に代わる本格的な選択肢となり得るかどうかが焦点と言える。
ファラージ氏がトランプ米大統領の当選に刺激を受けたと述べているとおり、移民の取り締まりや製造業再生のための工場再開、気候変動対策の撤廃といった点で両者の立場は似通っている。
リフォームUKは政権を獲得した場合、第2次大戦以降で最大規模の政府支出改革を実施し、5年間で2250億ポンド(約45兆3000億円)を節約できると約束している。
ただ経済学者らは、この計画や年間900億ポンドの減税策を非現実的だと批判。22年に保守党のトラス元首相が減税策を打ち出して債券とポンド市場が混乱に陥り、辞任に追い込まれた例と同様、市場の反発を招く恐れがあると警告した。
ファラージ氏は財政均衡を維持することを誓い、政権として「支出のための借り入れは決して行わない」と明言している。そのため、リフォームUKが進める「DOGE式」効率化には限界がある。ロイターの取材に応じた党幹部らは、現時点ではより現実的な対応に重点を置いていると述べた。
労働党のスターマー首相への不満が高まる中、リフォームUKの人気は今年急上昇している。世論調査会社ユーガブは9月、次回の総選挙で同党が過半数まであと15議席という311議席を獲得する可能性があると予想した。
だが抵抗勢力から政権与党への移行は、地方レベルであっても複雑であり精査を要する。「ドイツのための選択肢(AfD)」やフランスの国民連合(RN)など欧州の右派政党だけでなく、リフォームUKもその点は認識し始めている。高いレベルの規律と組織力も必要だ。
<債務削減、ネットゼロ>
ロンドンから約100キロ北西に位置するウエストノーサンプトンシャー統一自治体議会のマーク・アーノル議長は、リフォームUKの所属だ。住宅サービスや廃棄物収集から成人向け社会福祉や児童サービスまであらゆる地方行政を監督している。
英国各地の地方自治体は長年にわたり多額の負債を抱え、政府の予算削減や社会福祉費用の高騰、場合によっては不適切な投資に悩まされてきたが、リフォームUKはこれに取り組むと約束してきた。
アーノル氏が率いる地方議会は「ネットゼロ(実質排出ゼロ)」の気候変動目標について「そもそも達成不可能」として目標値を引き下げた。児童福祉団体や地方議会と連携し、3年間で100万ポンドの削減を目指すソフトウエア契約の再交渉を進めるほか、アーノル氏はリサイクルセンターの効率化も計画している。
特別な教育ニーズや障害を持つ児童の交通手段も見直しが進んでいる。このサービスには1550万ポンドの費用がかかっており、さらに1500人の子どもが支援の認定審査を受けることから、費用の増加が見込まれている。
アーノル氏は、サービスを中止するのではなく、効率化のためにルートを見直し、子供らを乗せるミニバスを導入すると述べた。
ただ、リフォームUKの提案がすべて通ったわけではない。
地元紙によると7月には、ネットゼロ目標の廃止に反対する環境活動家らが仮装し、音楽を演奏しながら市議会に乱入したため、議員らは別の部屋に移動しなければならなくなった。
リフォームUKは反移民の立場で知られ、ワクチンに対して懐疑的な姿勢を示すこともあった。これに対しアーノル氏は「財政的に責任ある」政権を運営できるよう「現実的な判断」を重視していると述べている。
<経験豊富な人材を求めて>
ファラージ氏は、党の組織的経験を深めるためには他党からの人材受け入れが必要だと考え、支持率を高めるために急進的な改革を進めている。
たとえば保守党議長で無任所大臣だったジェイク・ベリー氏が7月、リフォームUKに加わった。24年3月以降、保守党から移籍してきた現役および元議員は19人いる。
ベリー氏は保守党が「変化を実現するよりも現状維持に関心を持つようになった」と述べ、リフォームUKが英国のために掲げる野心的な方針についてファラージ氏に説得されたと語った。
元保守党幹部らの採用についてファラージ氏は、変革のためには彼らの経験が必要だと擁護。9月、党員に向けて「我々には弱点がある。それは幹部の中に、政権運営の経験のある者がいないことだ」と語った。
24年に与党の座を奪われた保守党のベーデノック党首は、リフォームUKへの離党者についての懸念を繰り返し否定。今年9月には「(有権者の)我々に対する怒りはまだ消えていない。通常であれば政権の有力候補とはみなされないような政党が、勢力を伸ばしている」と述べたほか、リフォームUKが「まるでビールの無料配布のように、実現困難な甘い約束をして有権者の関心を引いている」と非難した。
与党労働党もリフォームUKを攻撃し、同党が移民の大規模な国外追放という「人種差別政策」を計画していると非難している。スターマー首相は5月、リフォームUKの提案を、わずか6週間余りで辞任したトラス元首相の政策になぞらえ、その計画には「全く財源が確保されていない何十億ポンドもの支出」が含まれていると述べた。
これに対しファラージ氏は、リフォームUKによる権力掌握の可能性をちらつかせて恐怖をあおるという「汚いやり口」を使っていると非難。16年の国民投票でEU離脱を訴えた際に自身が受けた批判と重ね合わせてみせた。
意思決定の場から離れたところにいる住民のエリザベス・スネドカーさんは警戒している。「実際に責任を負う必要がないなら、約束するのは簡単だ」と彼女は言った。
「なんでも請け合っておいて、結局実現できないかもしれない」
S&Pグローバルがまとめた10月のレーティングドッグ中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.6と、9月の51.2から低下し、ロイターがまとめた市場予想の50.9も下回った。関税を巡る懸念から新規受注と生産がともに減速した。
PMIは50が好不況の分かれ目となる。
レーティングドッグの創業者ヤオ・ユー氏は「サブ指数のうち、雇用のみが前月比でプラスの変化を示し、他の指標は程度は異なるものの全て低下した」と述べた。
調査はトランプ米大統領が中国製品に対する100%の追加関税を警告していた時期に実施された。トランプ氏はその後、中国の習近平国家主席と会談し、中国が米国産大豆の購入を再開し、レアアース(希土類)の輸出を継続するほか、合成麻薬フェンタニルの違法取引を取り締まることを条件に対中関税を10%引き下げることで合意したと明らかにした。
10月は新規受注の増加により生産も増加したが、いずれも前月からペースが鈍化した。
生産増加に対応するため追加の従業員を採用する動きが見られ、従業員数は7カ月ぶりに増加。雇用創出のペースは2023年8月以来の速さとなった。
買い物シーズンを前に購買活動も4カ月連続で拡大した。
一方、9月に増加していた新規輸出受注は減少に転じた。世界貿易を巡る不確実性の高まりが外需に影響した可能性がある。
今後1年間の生産見通しは過去6カ月で最も低調だった。
原材料価格の上昇と完成品価格の下落が続き、企業の利益率は引き続き圧迫された。
シティのアナリストは、10月は8日間の連休による影響や関税を巡る不確実性の高まり、成長モメンタムの弱まりが見られたと指摘。年内に大規模な刺激策が実施されるとは予想していないものの、段階的な支援策の展開は加速していると述べた。
ベセント米財務長官は2日、高金利の影響で米経済の一部、特に住宅部門はすでにリセッション(景気後退)に陥っている可能性があると述べ、連邦準備理事会(FRB)に対し利下げ加速を改めて求めた。
CNNの番組で「経済状況は良好だと考えているが、景気後退に陥っている部門もある」とし、「FRBの政策は多くの分配の問題を引き起こしている」と述べた。
米経済全体は依然として底堅いものの、高水準の住宅ローン金利が依然として不動産市場の足かせになっていると指摘。住宅部門は事実上、景気後退に陥っており、低所得層が最大の打撃を受けていると語った。経済環境全体が移行期にあるとも述べた。
FRBのミラン理事は米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が10月31日に実施し11月1日に掲載したインタビューで、FRBが迅速に金利を引き下げなければ景気後退を招くリスクがあると指摘。「これほど引き締め的な政策を長期にわたり維持すれば、金融政策自体が景気後退を誘発するリスクがある」とし、「インフレ上振れを懸念していないのであれば、そのようなリスクを冒す理由はない」と述べた。
ベセント氏も同様の見解を示し、トランプ政権による政府支出削減が財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を6.4%から5.9%に低下させ、インフレ率の低下にも寄与するはずだとした。
「(政府が)支出を縮小すれば、インフレ率は低下するはずだ。インフレ率が低下しているなら、FRBは利下げすべきだ」と述べた。
嵐の前の静けさ:貨物業界の現状
貨物業界は、専門家が貨物輸送史上最も興味深い時期の一つと評する状況に直面しています。しかし残念ながら、多くの業界関係者にとって好ましい状況とは言えません。あらゆる業界の自動車運送業者と貨物ブローカーは、貨物量の低迷と事業環境の急激な変化によって大きな痛手を負っています。私たちが目撃しているのは、大きな嵐の前の静けさのように見えます。兆候は、トラック輸送史上最大のキャパシティの喪失につながる可能性を示唆しています。
市場が60万人の現役ドライバーを失墜させるリスクを抱える中、史上最大のキャパシティパージが起こり、COVID-19のようなスポットレートの下落をもたらす可能性があります。今回は、バイデン政権の国境開放政策によって生み出された移民の流入が起こらないという点が異なります。バイデン政権の国境開放政策は、トラックドライバーの無限の供給を可能にしました。荷主と仲介業者にとってのキャパシティ不足の救済手段は永久に閉ざされ、運送業者はトラックドライバーの賃金やボーナスを引き上げることで、その負担を強いられることになります。また、キャパシティの確保もはるかに困難になるでしょう。
貨物市場の低迷に寄与する要因
貨物量は劇的に減少し、前年比で18%という驚異的な減少を示しています。この急激な減少は、貨物の確保に苦戦するトラック運送業者や、事業維持のために最小限の取扱量で事業を運営している貨物ブローカーにとって深刻な課題となっています。
スポット市場へのエクスポージャーを持つブローカーにとって、状況は特に深刻です。貨物の不足により、収益性を確保する余地がほとんどないからです。契約市場においても、多くのブローカーが持続不可能なほど低い運賃で取引を固定化し、資産ベースの運送業者と競争しているため、大きな課題が生じています。この結果、多くの参加者が水没するシステムが生まれており、これは持続不可能です。
中小規模の自動車運送業者、特に英語能力要件(ELP)などの規制要件を満たせなくなる可能性のある非居住地CDLドライバーを雇用している中小規模の運送業者は、さらなるプレッシャーに直面しています。
不正行為者がHighway社とRMIS社のシステムをリバースエンジニアリングする方法を解明したため、不正行為は加速を続けています。これにより不正行為が急増し、ブローカーは騙されることを恐れて苦い経験から学び、もはや最も無害なフラグでさえ無視しなくなりました。コンプライアンス検証システムで誤検知を受ければ、最も正当な運送業者でさえも痛い目に遭う可能性があります。これらの不正防止システムによってフラグが付けられた運送業者は、ほぼすべてのブローカー貨物取引への参加を阻まれます。これは、生き残りをかけて奮闘する運送業者にとって、まさに死刑宣告です。
キャパシティパージと規制の変更
予想される「大規模な供給不足」は、いくつかの要因が重なり合った結果であり、中でも特に最近の米国移民政策と法執行の変更が顕著です。JB Huntの調査によると、これらの政策変更、特に非居住商用運転免許(CDL)と英語能力要件に関する変更により、今後2~3年で、米国のCDL保有者の5%~12%(21万4000人~43万7000人)が米国の供給から減少すると予想されています。
2025年9月26日、連邦自動車運送安全局(FMCSA)は、非居住地CDLの発行と更新を即時制限する緊急指令を発令しました。FMCSAは、現在20万人いる非居住地CDL保有者のうち97%が新たな要件を満たすことができず、今後1~3年以内に業界から退出する可能性が高いと推定しています。これは、米国で登録されているCDL保有者の約5%に相当します。
同時に、英語能力規制の厳格化により、23,000件を超える違反が発生し、そのうち5,000件以上が運行停止命令に至りました。業界アナリストのエイブリー・バイス氏によると、この規制強化だけでも年間約20,000人のドライバーが労働力から排除される可能性があるとのことです。
交通経済学者のノエル・ペリー氏によると、非居住のCDL制限とELP施行の影響を受けるドライバーの重複、さらに不法滞在のドライバーと新規雇用の制限を考慮すると、危険にさらされているドライバーの総数は60万人を超え、現役ドライバーの約17%に相当する可能性があるという。
移民の労働力に依存している運送業者や、新しい規則の要件を満たさない運送業者は、おそらく廃業するだろう。
生産能力削減の経済的影響
規制変更と長期にわたる貨物不況が相まって、市場に大きな混乱が生じやすい環境が生まれています。業界専門家は、財務上の圧力が高まる中、今後数ヶ月で運送業者と仲介業者の両方で多数の倒産が発生すると予想しています。
このキャパシティ削減に続いて予想される市場合理化は、この危機を乗り越え、変化する規制環境に適応するためのリソースを有する大手資産運用会社に有利に働く可能性が高い。これは、移民によって供給されるトラック運転手の供給によって多くの小規模事業者が従来の運航要件に縛られることなく車両を拡大できた最近の市場動向とは大きく異なる。
市場の調整に伴い、運送会社は、減少する適格な候補者の中から優秀なドライバーを確保するために、ドライバーの給与とインセンティブを引き上げる必要があります。より伝統的な需給バランスへの移行は、生き残る運送会社の収益性向上につながる可能性がありますが、移行期間は間違いなく困難を伴います。
今後の道筋:貨物輸送の回復への道
貨物業界は変革期の瀬戸際に立っています。規制変更と市場の持続的な低迷により、予想されるキャパシティの枯渇は、市場の再均衡化に伴い、スポットレートの上昇を加速させ、契約レートの安定化につながる可能性が高いでしょう。
この移行のタイムラインは依然として不透明ですが、最終的には、より伝統的な需給原則に基づいて運営される市場へと向かうことが示唆されています。荷主にとって、これは運賃変動やキャパシティ制約の可能性に備えることを意味します。一方、規制環境をうまく乗り越えられる大手運送業者、特に運送業にとっては、長期にわたる市場の混乱の後、より持続可能な運航環境に戻る機会となります。
もし輸送量が急増したら(今のところはそんなことはないが)、油断はできない。運送業者にとって、ここしばらくで最も好調な貨物市場の一つになるだろう。それまでの道のりは困難だが、この前例のないキャパシティ削減が一段落すれば、業界は最終的により強力で安定した状態に戻るかもしれない。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米アマゾン・ドット・コムのクラウド部門は、OpenAIと380億ドル(約5兆8600億円)の契約を締結した。両社の3日発表によると、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は今後7年間にわたり、オープンAIに米エヌビディア製画像処理半導体(GPU)へのアクセスを提供する。
米グーグルの親会社アルファベットは、欧州市場で複数年限の社債を発行する。人工知能(AI)およびクラウドインフラへの記録的な投資を支える。
匿名を要請した関係者によると、新たに発行する社債はユーロ建てで、期間3年から39年までの6本立て。発行総額は少なくとも30億ユーロ(約5320億円)になる見込みだという。
3年債はスワップ金利の中間値に60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後上乗せした水準、最長の30年債は同約190bpの上乗せで、それぞれ買い手を募っている。
アルファベットは今年前半に初めて、ユーロ建てで社債を発行。この時は5本立てで総額67億5000万ユーロを調達し、旺盛な需要を集めた。ユーロ建ての起債はこれに続き2回目で、資金調達をドル以外にも広げ、多様化する狙いがある。
AI投資を加速させるテクノロジー業界では、大型の資金調達が相次ぐ。先週はメタ・プラットフォームズが、今年の米ドル市場で最大となる300億ドル(約4兆6300億円)の社債を発行した。
アルファベットは7-9月(第3四半期)売上高が875億ドルに拡大したが、クラウドとAIサービスの伸びがけん引したと説明していた。
アルファベットの格付けはムーディーズ・レーティングスでAa2、S&Pグローバル・レーティングでAA+。
この起債では、ゴールドマン・サックス、HSBC、JPモルガンが共同グローバル・コーディネーターおよび共同主幹事を務めている。共同主幹事にはBNPパリバ、クレディ・アグリコル、ドイツ銀行も名を連ねる。3日中に発行価格は決定される見通し。
米マイクロソフトは、オーストラリアのIRENから人工知能(AI)クラウドキのャパシティーを約97億ドル(約1兆5000億円)で購入する契約を締結した。
3日発表の声明によると、今回の契約は5年間。マイクロソフトは、米テキサス州にあるアクセラレーターシステムを利用できるようになる。同システムは、AI関連処理向けに米エヌビディアの最新チップ「GB300」を基に構築されている。契約金額の20%は前払いされる。
IRENはまた、必要なチップや関連機器をデル・テクノロジーズから58億ドルで購入することで合意した。
IRENのダニエル・ロバーツ最高経営責任者(CEO)は電子メールで、契約が全面的に実施されれば、年間約19億4000万ドルの収入を見込めると述べた。今回の契約で使用されるのはIRENが持つキャパシティーの約10%にとどまる。
ロバーツ氏は「当社はこれまでも、大手ハイパースケーラーを適切なパートナー企業として考えてきた」と述べ、「そうした企業数社と協議を進めており、計算需要と当社のAIクラウド機能の双方が拡大するなかで、その議論が加速している」と語った。
循環型AI資金調達の見出しは、米国の現金セッションの30分前に届きました。
今回、アマゾンの株価は6%上昇し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)とOpenAIの間で380億ドルという巨額の取引が報道された後、先週の決算発表後の上昇をさらに拡大した。
この7年間の契約により、OpenAIはAWSのクラウドインフラストラクチャ上でコアAIワークロードを実行および拡張することになります。この契約は即時発効し、ChatGPTを含むOpenAIの生成AI製品の拡大するポートフォリオにとってAWSは重要なコンピューティングプロバイダーとしての地位を確立します。
AWSとOpenAIの契約は、MicrosoftとOpenAIの独占クラウド権が失効してからわずか1週間後に成立し、サム・アルトマンのAIチャットボットスタートアップは他のハイパースケーラーとコンピューティング契約を締結できるようになりました。
アマゾンは、この新たな提携により 、AIのトレーニングと推論の両方に専用のコンピューティング能力が提供され、次世代モデルとChatGPTのようなサービスが強化されると述べた。
AWSがOpenAI向けに構築しているインフラストラクチャは、AI処理の効率とパフォーマンスを最大限に高めるために最適化された、洗練されたアーキテクチャ設計を特徴としています。NVIDIA GPU(GB200とGB300の両方)をAmazon EC2 UltraServerを介して同一ネットワーク上にクラスタリングすることで、相互接続されたシステム間で低レイテンシーのパフォーマンスを実現し、OpenAIはワークロードを最適なパフォーマンスで効率的に実行できます。これらのクラスターは、ChatGPTの推論処理から次世代モデルのトレーニングまで、様々なワークロードをサポートできるように設計されており、OpenAIの進化するニーズに柔軟に対応できます。
AIデータセンターバブルへの懸念が高まる中、OpenAIはNvidia、Broadcom、Oracle、Googleと総額1兆4000億ドルという驚異的なクラウドおよびハードウェア契約を締結し、盛んに取引を行っている。
ZeroHedge プレミアムの加入者は、これらの循環フロー取引がどのように機能するかについて、「AI ベンダーによる資金調達「Circle Jerk」の背後にある驚くべき数学」と題する最近のメモで説明されています ...
「OpenAIは、この提携の一環として、直ちにAWSコンピューティングの利用を開始し、すべての能力を2026年末までに展開することを目標とし、さらに2027年以降に拡張する能力も持つ」とアマゾンは声明で述べた。
この契約はAWSの大規模なAIインフラストラクチャを強調し、Peloton、Thomson Reuters、Comscore、Triomicsなどのクライアントを含む最先端のモデル開発者とAWSをより近づけるものです。
OpenAI の共同創設者兼 CEO であるサム・アルトマン氏は、「最先端の AI を拡張するには、大規模で信頼性の高いコンピューティングが必要です」と述べ、「AWS とのパートナーシップにより、次の時代を推進し、高度な AI をすべての人に提供する幅広いコンピューティングエコシステムが強化されます」と付け加えました。
しかし、Amazon は自社の業務のために膨大なコンピューティング リソースを必要としているのに、今回のケースではコンピューティング能力の販売者として機能しているのではないだろうか...
ゴールドマン・サックスのジェームズ・シュナイダー氏はここ数週間、顧客に対し、 「当社のモデルアップデートによる実質的な影響により、データセンターのピーク時の稼働期間は(従来は2025年末とされていた)2026年まで延長される見込みです。その後、2027年には需給バランスが緩やかながらも徐々に緩和していくと予測しています」と述べた。
この GS モデルは間違っており、データセンターのピーク占有はもっと早く到来するのでしょうか?
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ChatGPTアプリの成長鈍化とデータセンターの拡張による過剰供給リスクにより、OpenAIとMicrosoftの摩擦が拡大
AWSとOpenAIのコンピューティング契約は、先週の収益からの上昇を受けて、ニューヨークの早朝の現金取引セッションでアマゾンの株価を5%上昇させるのに十分だった。
新たな AI コンピューティング取引が発表されるのは時間の問題です。AI 銘柄が勢いを失い始めたときに、間違いなくそれが起こるでしょう。
●その他
備忘録(2025/10/31-11/2)
●企業
医薬品のアッヴィ<ABBV>が下落。取引開始前に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。通期の1株利益の見通しも上方修正している。
ただ、株価は冴えない反応。免疫疾患薬は好調だったものの、美容部門が不調だったことを嫌気している。ボトックスやジュビダームなどの美容製品群の売上は連続の減収となった。
消費者の節約志向と競合の台頭が要因。スチュワート商務最高責任者(CCO)は「米国を中心に消費者マインドが依然として低調で、カテゴリー全体の成長は当初想定を下回っている」と述べた。
●マクロ
JA三井リースは31日、経営破綻した米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループ関連の債権で取り立て不能や遅延の恐れが生じたとして、損失を計上すると発表した。
発表によると、2025年7-9月期(第2四半期)に189億円の貸倒引当金を計上する。これに伴い今期(26年3月期)の連結純利益を従来予想の358億円から205億円に下方修正した。
JA三井リースの広報担当者はブルームバーグの取材に、今回の引き当ては監査法人と協議の上、予防的に行われたもので、最終的な損失が確定した訳ではないと説明。引き続き、裁判所の精査を注視していると述べた。
同社は農林中央金庫と三井物産が大株主。完全子会社のカツミ・グローバルが表面残高で17億5000万ドル(約2700億円)の売掛債権を保有しているものの、一部は投資家に売却しており実態は14億3000万ドルだと10日に公表していた。
この売掛債権の回収先は、アマゾン・ドット・コムやゼネラル・モーターズ、フォード・モーターなどが占めていると説明していた。
ファースト・ブランズは9月29日に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請して経営破綻した。バランスシート(貸借対照表)外で約23億ドル規模の金融取引を活用していたことについて、取締役会が新たに設置した特別委員会が調査している。
経営破綻した米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループは「広範な不正」を行っていたとして、破産手続きの一部除外を金融機関が求めている。
10月30日に裁判所に提出された文書によると、ファースト・ブランズはこれまでに指摘されていた資産の二重担保設定に加え、新たな情報によって「多数の財務報告や与信契約書、融資可能額証明書において虚偽の記載がなされていた」ことが示唆されたと、同社に関連する特別目的事業体(SPV)に資金を貸し付けていた金融機関は主張。このSPVをファースト・ブランズの破産手続きから除外することを求めた。
また、消えたとされる数十億ドルに上るファースト・ブランズの資金について、他の債権者の呼び掛けに同調する形で、独立した調査官の選任を要請した。
この提出文書の中で金融機関は、SPVの銀行口座には常に現金があるとされていたが、ファースト・ブランズは破産申請の直前になって「その口座には現金がない。ファースト・ブランズのアドバイザーも口座に以前あった現金がどこに消えたのか、把握していない」と通知してきたと説明した。
SPVはファースト・ブランズの特定の種類の在庫を保有し、主にワイパーやフィルター、ブレーキが占めていたという。
テキサス州の破産裁判所は11月17日に、破産手続きからのSPVの除外を求める金融機関の訴えを審理する予定。
ファースト・ブランズが破産申請前に不正を行っていたとする債権者の訴えは増える一方だ。SPVと在庫ファイナンス契約を結んでいた、エボリューション・クレジット・パートナーズが管理する複数のファンドは別の提出文書で、ファースト・ブランズがSPVから「不正に資産を吸い取っていた」とし、独立した管財人の指名を求めた。
ファースト・ブランズを巡っては、創業者のパトリック・ジェームズ氏が10月始め、最高経営責任者(CEO)を辞任。米連邦検察は同社破綻の状況について捜査に入った。同社の取締役および役員の代理人弁護士は、債権者が主張する不正容疑を全面的に否定している。
米通信企業2社に不正疑惑が浮上し、両社に融資した米資産運用大手ブラックロックを含む債権団が損失への対応を迫られている。
ブロードバンド・テレコムとブリッジボイスが融資を受ける上で売掛金を水増しする不正を働いたとして、貸し手側は訴訟を提起。ニューヨーク州裁判所に提出された訴状によれば、担保代理人はその規模を「息をのむほど大きい」と形容している。この件について先に報じた米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ブラックロックのプライベートクレジット部門であるHPSインベストメント・パートナーズによる融資組成は、仏金融大手BNPパリバが支援した。
ブロードバンド・テレコムは8月にニューヨーク東部地区の連邦破産裁判所に破産を申請。ブリッジボイスおよびブロードバンド・テレコムの関連会社も今月、破産を申請した。負債総額は最大10億ドル(約1500億円)、債権者にはブラックロックのHPSインベストメント・パートナーズも含まれるとされる。HPSは昨年年8月に融資額を約4億3000万ドルに増額したとWSJは報じた。ブラックロックとBNPの広報担当者はいずれもコメントを控えた。ブリッジボイスとブロードバンド・テレコムのオーナーであるバンキム・ブラームバット氏の弁護士にコメントを求めたが、現時点で回答はない。
BNPパリバは7-9月(第3四半期)にトレーディング部門が、「特定の与信案件」に関連して1億9000万ユーロ(約340億円)の損失を計上したと、今週明らかにした。経営陣は顧客名を明かさなかったが、「一過性の案件」であり、信用環境の悪化を示すものではないと強調した。
同社のラルス・マシュニル最高財務責任者(CFO)は「グローバル市場で特定の案件が一つあったが、詳細や名称は公表しない」とブルームバーグテレビジョンで述べた。「ただ、それは常連の問題先ではなく、決済関連の分野に属する案件だ」と続けた。
世界の大手上場酒類メーカーの株式時価総額が、この4年余りで計8300億ドル(約127兆7000億円)減少した。業界は大きな転換期に直面している。
ビールやワイン、スピリッツのメーカー約50社で構成されるブルームバーグの業界株価指標は、2021年6月の高値から約46%下落した。
消費者の飲酒習慣の変化や健康志向の高まりに加え、米国の関税や高金利による消費抑制、原材料費高騰などが業績を圧迫。中国では消費者信頼感の低迷や公務員による会食での飲酒禁止が追い打ちをかけている。
こうした逆風の結果、国際的人気ブランドを擁する企業は記録的な世界株高局面から取り残され、新たなビジネス環境への対応に苦慮している。
モルガン・スタンレーのアナリスト、サラ・サイモン氏は「構造的な変化が進行しており、人々は以前より酒を飲まなくなっている」と指摘する。
「ジョニーウォーカー」や「スミノフ」を抱えるディアジオ、ペルノ・リカール、レミー・コアントローなど欧州大手の株価は今年、少なくとも10年ぶりの安値水準に落ち込んだ。「ジャックダニエル」で知られる米ブラウンフォーマンやオーストラリアのトレジャリー・ワイン・エステーツも同様に下落。中国の白酒大手、貴州茅台酒の株価は21年の高値から約40%下げている。
酒造各社は売上高の低迷に加え、高水準の債務や経営陣交代にも見舞われており、株価下落がさらに続く可能性があるとサイモン氏は予想している。
飲酒習慣の変化
業界の最大の課題は消費者行動の変化だ。ギャラップがまとめた米国のアルコール消費指数は8月、1939年の統計開始以来の最低を記録。世界保健機関(WHO)や米医務総監の警告がX世代の需要を減退させたほか、ミレニアル世代やZ世代でも飲酒はそれほど人気がない。
セレブの禁酒志向もこの流れを後押ししており、俳優のトム・ホランド氏や歌手のケイティ・ペリー氏はノンアルコール飲料を宣伝している。減量効果のある薬の普及や、大麻など代替嗜好(しこう)品の台頭もアルコール離れに拍車をかけている。
バークレイズのアナリスト、ローレンス・ワイアット氏は「アルコール消費への影響は金融危機当時の4倍に上る。構造的な変化が起きており、かつてのような成長率には戻らないと市場では考えられている」と語った。
苦境が続く中、業界では合併・買収(M&A)や新製品投入が相次いでいる。デンマークのカールスバーグは2月にノンアルコールのシードルを発売し、ダヴィデ・カンパリ・ミラノは5月にノンアルコール飲料「クロディーノ」を米市場に投入した。昨年はディアジオが米シカゴのリチュアル・ゼロ・プルーフ・ノンアルコール・スピリッツを買収。フランスの高級ブランドグループLVMHの飲料部門モエヘネシーは、高級スパークリング飲料を手がけるフレンチ・ブルームに出資した。
また、事業再編や人員削減を含むより抜本的な動きも見られる。今年に入り欧州ディアジオ、レミー・コアントロー、カンパリに加え、豪トレジャリー・ワイン、米モルソン・クアーズ、日本のサントリーホールディングスなどでトップが交代。茅台酒ではこの2年で会長2人が退任した。
買いの好機
一方で、株価急落後の今を買いの好機と考える投資家もいる。ブルームバーグの世界アルコール株指数の予想株価収益率(PER)は現時点で約15倍と、21年のピーク時の半分に満たない。
バリュー株投資の米ヘッジファンド、クック・アンド・バイナムは、ブラジルのビール販売大手アンベブとペルーのビールメーカー、バッカス&ジョンストンの株式を増やしている。同社のパートナー兼ポートフォリオマネジャー、リチャード・クック氏が明らかにした。
クック氏は「人類が飲酒を完全にやめるとは思わない」と述べ、急成長する新興国市場ではビール販売が増えると予想。さらに、販売されるビール商品の高級化が進み、企業の利益率が上昇するとの見方を示した。
米国の若年層の間で、ファストフードとレストランの中間的な外食業態である「ファストカジュアル」の人気が低下している様子だ。こうした世代は、失業率の上昇や賃金の伸び鈍化といった苦境に直面している。
「ファストカジュアル」形式の外食チェーンであるチポトレ・メキシカン・グリル、シェイクシャック2社の経営陣が、若年層顧客を巡る課題について指摘。若年層は「雇用も解雇も低水準」の米労働市場の影響を強く受けており、新卒者はキャリアの入り口となる職を探しにくい状況だ。
以前はファストカジュアル業態の成長を支えてきた若い世代は、足元で外食を減らしているものと見受けられる。
ブリトー・チェーンのチポトレは30日、今年3度目の業績予想の下方修正を発表したことが嫌気され、株価は急落した。スコット・ボートライト最高経営責任者(CEO)は、20代後半から30代前半の顧客層が「特に厳しい状況にある」と電話会議で説明した。
ボートライト氏は「このグループは失業、学生ローン返済の増加、実質賃金の伸び鈍化など複数の逆風に直面している」と指摘した。チポトレの売上高の約25%はこうした年齢層の顧客によるもので、業界全体に比べ比率は大きいという。
シェイクシャックの経営陣も同様の見方を示す。ロブ・リンチCEOは、若年層の失業が業界に「明らかに影響している」と指摘した。
広範な消費者層が家計の厳しさを実感する中でも、特に苦しい状況にあるのが低所得層と若い労働者だ。25-34歳の失業率は、今年半ばに一時低下したもののここ数カ月、再び上昇している。
ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、米国の債務水準が膨張を続ける中、経済成長のペースが改善しなければ「ツケを払う」事態に直面する恐れがあると述べた。
ソロモン氏は30日、ワシントンのエコノミック・クラブが主催したデービッド・ルーベンスタイン氏とのインタビューで、「現行の進路を継続し、成長率を引き上げることができなければ、ツケを払う時が訪れるだろう」と発言。「打開の道筋は成長路線だ」と話した。また、短期的にリセッション(景気後退)が起きる可能性は「低い」との見方も示した。
同氏の発言は、米国をはじめとする西側諸国が債務主導の景気刺激策に依存しつつあるとの広範な懸念を反映したものだ。こうした傾向は、新型コロナ禍期に講じられた対策が個人消費を押し上げて以降、特に強まっている。
「財政刺激策と積極的な財政出動は、もはや民主主義経済の運営そのものに深く組み込まれている」とソロモン氏は指摘。米国や他の先進国に対する金融界の懸念に言及し、「この傾向は過去5年間で顕著に加速している」と語った。
ソロモン氏は今週、米自動車ローンのトライカラー・ホールディングスと自動車部品業者ファースト・ブランズ・グループ破綻で表面化した不安について、金融システムを脅かすシステミックリスクは信用市場に見られないと話していた。
ジーナが初めて家政婦として働いた家庭はごく普通の富裕層だった。あれから26年。今ではサンフランシスコのベイエリアで、超富裕層の家庭を支えるエグゼクティブ・ハウスキーパーとして働いている。
「ここに至るまでにさまざまな掃除をしてきた」とジーナは話す。職務の性質上、下の名前だけ明らかにしたジーナは「美術品やアンティークが分からないといけない。特注の家具も多く、当然ながら入れ替えもきかない」と語る。
家政婦として駆け出しの頃に訪れた家庭は、磁器の花瓶や年季の入った木製テーブル、シルク張りのソファなど、いかにも金持ちらしい家具が多かった。だが今の勤め先では、家具そのものが芸術品とみなされ、価格もそれに見合う水準だという。
「家具の価値は、たとえ最も著名なアーティストの作品でなくても高騰している。超富裕層の家はほぼ全ての品に驚くような値段が付いている」と語る。さらに仕上げ材や素材も金属や木材、とう、ガラス、合成素材など多様だ。「触る前に必ず調べるようにしている」と話した。
メンテナンスは別次元
こうした超富裕層に仕える家政婦たちは今、ラグジュアリーデザインに直接向き合っている。ディエゴ・ジャコメッティのコーヒーテーブルが「フェラーリ」より高価ともなれば、掃除も命がけと言える。
「ジャン・ロワイエ風のソファを100万ドル(約1億5000万円)で購入するような人は、歴史の一部を手に入れている感覚だと思う」と語るのは、ニューヨークのデザインギャラリー、R & Co.の共同創業者ゼスティ・マイヤーズ氏だ。「メンテナンスが別次元になることは理解されている」。
だが、所有者としてそうした意識を持つことと、実際に特別な手入れをすることはまったく別の話だ。トロントで人材派遣・研修会社を営むチャールズ・マクファーソン氏は「掃除は誰でもできるわけではなく、職を得られない無能な人がする仕事でもない。正しい掃除の仕方は教わって獲得するスキルであり、れっきとした仕事だ」と話す。
同氏の会社は世界各地でスタッフの研修や派遣を手掛ける。5週間のコースでは、雇用主とのコミュニケーションや家庭管理、セキュリティーまで教える。最近では、現代アートの家具に対応できる家政婦の需要が急増しているという。
報酬もうなぎ登りだ。コロナ禍前は、経験豊富な家政婦の年収は6万ドルだったが、今では10万ドルを超え、福利厚生も付くのが当たり前という。
マクファーソン氏は「富裕層は一層裕福になり、より繊細なものを買うようになっている。自宅を美術館レベルに維持したいと考えるが、訓練された人材は不足している。この二つが重なれば、需給の関係で給与は跳ね上がる」と分析した。
時代とともに家具も変化
昔から富裕層は高価な家具を購入してきたが、それはあくまで家具だった。ソファにシルクやスエードが使用され、ダイニングテーブルがカエデやマホガニー製だったとしても、芸術品とみなされることはほぼ皆無だった。
ところが10年ほど前から、コンテンポラリーデザインのギャラリーが急増し始めた。カーペンターズ・ワークショップやフリードマン・ベンダ、R & Co.などが先駆けとなり、洗練された住宅は米国の一般的な一戸建て住宅より高価な45万6000ドルもするウェンデル・キャッスルの限定版の椅子などを備えているといった概念を広めた。
同時に、年代物にも熱い視線が注がれるようになった。2023年には、フランソワ・グザヴィエ・ラランが1964年に制作したサイの形をしたキャビネットが、過去最高の1830万ユーロ(約33億円)で落札された。
購入後も出費続く
こうした作品を手にした人たちは、高価なデザインへの出費が白い手袋で運び込まれた瞬間で終わるわけではないことに気づいている。マイヤーズ氏は顧客が購入した木製オブジェが手入れされずに屋外に放置された結果、「ボロボロになった」と語った。少し手入れすれば完璧な状態を維持できるものだったという。
こうした話は尽きない。マクファーソン氏が顧客について語ったエピソードがある。休暇から帰宅した家主を出迎えた家政婦は「ドアノブと金具を全部磨いてピカピカにした」と胸を張ったが、家主はそれを見て青ざめた。ドアノブに施されていた仕上げがすっかり失われていた。
取り外して修復し再設置にかかった費用は7万5000ドル。だが家政婦は解雇されなかった。ちゃんと教育していなかった「自分の責任だ」と家主が考えたからだという。
柔軟な人材を教育
ほこり取りの基本は単純だが、多くの人が正しく行っていない。例えば米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の清掃器具「スイッファー・ダスター」は繊維に化学物質が含まれているため「実は良くない」とマクファーソン氏はいう。「手を濡(ぬ)らして軽く振り、コットンの布で拭けば、ほこりを払うのにちょうどよい湿り気が得られる」と語る。
一見、単純そうに見えても、その完璧さを追求するにはコストを伴う。「安く雇って不十分になるより、多少払い過ぎでも手入れが手厚過ぎる方がいい」。ミシガン州の人材紹介会社ハーパー・アソシエーツのベン・シュワルツ社長はこう指摘する。
とはいえ、どんなに優秀な家政婦でも、独特の風合いが残る1960年代の金属製デスクを掃除する方法を自然に身につけるとは限らない。「家政婦として経験豊富で完璧そうな人を雇うより、学ぶ意欲のある柔軟な人を採用して育てた方がいい」と顧客に伝えるようにしているとマクファーソン氏は語る。
ジーナはこれまでに引き抜きの誘いを受けたことがあると語った。「80人ほど集まったパーティーで」雇用主のゲストから声をかけられたという。「この業界で本当にプロとして働ける人は多くない。家政婦の仕事を社会の底辺と見る人が多く、やりたがる人は少ない」とジーナは話している。
米地区連銀総裁3人が、先の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げ決定を支持しない考えを示した。「12月会合での追加利下げは既定路線ではない」とのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の警告を裏付ける形となった。
ダラス連銀のローガン総裁とクリーブランド連銀のハマック総裁は10月31日、ダラスで開催された会議で、金利据え置きが望ましかったと述べた。これに先立ち、カンザスシティー連銀のシュミッド総裁は、FOMC会合で利下げに反対票を投じた理由を説明する声明を発表していた。
次回12月FOMCまでに激しくなると見込まれる議論の口火を3氏が切った格好だ。FOMC内では現在、労働市場を支えるために追加緩和が必要だとする当局者と、インフレ懸念を優先する当局者の間で意見が分かれている。
ローガン総裁は「想定より速いインフレ鈍化や一段と急激な労働市場の冷え込みに関する明確な証拠がない限り、12月に再び利下げをするのは難しいと私自身は考える」と講演テキストで述べた。
先のFOMC会合では2会合連続での0.25ポイント利下げが決まった。夏場に雇用が急減速したことを受け、労働市場への懸念が強まったことが背景にある。
パウエル議長は会合後の記者会見で、12月の追加利下げは既定路線ではないとし、FOMCメンバーの一部がインフレを懸念していると説明した。
ドイツ銀行証券の米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼッティ氏は12月には据え置きよりも利下げに対して、より強い抵抗が見込まれるとし、「それがパウエル氏がタカ派的な発言を行った理由の一つだ」と指摘した。
ローガン、ハマック両氏は今年、FOMCの投票権を持たないが議論には参加している。FOMC会合では、金利据え置きを主張したシュミッド氏に加え、0.5ポイントの利下げを求めたマイラン理事も反対票を投じた。
シュミッド氏は31日の声明で、「私の見立てでは、労働市場はおおむね均衡しており、経済は勢いが継続していることを示している。そしてインフレは依然として高過ぎる」と述べた。
金利先物市場の動向によると、投資家は依然として12月の利下げ確率を5割強と見込んでいる。
ウォラーFRB理事はこの日、FOXビジネスとのインタビューで、12月の追加利下げが妥当との見解を示した上で、「現在、最も懸念しているのは労働市場だ」と述べた。
中立金利
経済を刺激も抑制もしない中立金利を巡っても当局者の見解は分かれている。
ハマック氏はダラスで開催された会議で、アトランタ連銀のボスティック総裁とのパネル討論に登場し、今回の利下げにより自身の中立金利の推定値に「ほぼ一致する」水準に達したとの見方を示した。そして、「インフレを目標水準まで引き下げるためには、一定の引き締めを維持する必要があると考えている」と語った。
一方、ボスティック氏は利下げ後も金融政策は依然として「引き締め的な領域」にあるとの認識から、「最終的には利下げ決定を支持した」と説明した。
パウエル氏は29日の会見で、金融政策は依然「やや引き締め的」と考えているが、金利水準は今や「多くの中立金利の推計に合致する3-4%の範囲内」にあると認めた。
バランスシート
ローガン総裁は、FRBのバランスシート縮小を12月1日に終了するというFOMCの決定については支持したことを明らかにした。バランスシートが正常な規模に近づいていることを、短期金融市場の動向が示しているためだという。
短期金融市場でここ数週間、短期金利が上昇していたことを受け、FOMCは3年ほど続けていたバランスシート縮小を終了すると発表した。
ローガン総裁はバランスシートのランオフ(償還分を再投資しないなどの手段で保有証券を削減すること)を終了すれば、資金調達圧力を和らげるのに寄与するとの認識を示した。
米資産運用大手ブラックロックでは、120億ドル(約1兆8500億円)を投じたHPSインベストメント・パートナーズ買収が完了した直後、HPSが関与していた投資案件で重大な問題が発覚した。
事情に詳しい関係者によれば、HPSは仏大手銀行のBNPパリバと組み、無名の実業家バンキム・ブラームバット氏が率いる企業グループに数億ドル規模を融資していた。HPSはその中でも最もリスクの高い部分を引き受け、世界的な大手通信会社からの売掛金で担保されているとされていた。しかし実際の担保は偽ドメインからのメールや偽造署名によってねつ造されていたことが、7月の社内調査で判明した。
HPSはこれを受け、約1億5000万ドルのエクスポージャー全額を償却した。融資先のブロードバンド・テレコムとブリッジボイスは破産を申請した。ブラームバット氏の弁護士や、ブラックロック、BNPパリバの担当者はコメントを控えている。
この失敗は、急成長中のプライベートクレジット市場において成功を収めてきたHPSに大きな打撃を与えたほか、資産担保融資(ABF)に対する監視の目を一段と厳しくすることになった。大手米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「ゴキブリが1匹見つかれば、他にもいる」と警告。これを受けてオルタナティブ資産運用会社ブルー・アウル・キャピタルのマーク・リップシュルツCEOは、銀行主導の融資に問題があると反論した。
HPSは1800億ドル近い資産を運用しており、今回のエクスポージャーは小さい。償却が影響を与えたのは、30億ドル余りを運用するアセットバリュー戦略の一部を成す2つのファンドだ。両ファンドは9〜11%のリターンを目指していた。関係者によれば、最も影響を受けた3号ファンドは、リターンがレンジ下限に近いとみられる。
アセットバリュー戦略は、HPSが資産担保型融資事業を拡大するために推進してきた取り組みの一環だった。これらのファンドは、銀行や専門の引き受けプラットフォームから新たなローンを継続的に取得する必要がある。関係者によれば、問題の通信企業関連ローンはHPSが内部で組成したものではなく、外部から持ち込まれたポートフォリオだった。
大胆な詐欺の実態
HPSは現在、資金を回収しようと複数の訴訟に関与している。ニューヨーク州とデラウェア州で提起された一連の訴訟では、複数の貸し手や債権者が「息をのむほど大胆な」詐欺の実態を明らかにし始めた。担保の多くは実在せず、メールアドレスやドメイン、署名の偽造によって実行された融資は、モーリシャスやインドなど監視が届かないオフショア口座に送金されたという。被告側は訴訟に対して何ら回答せず、破産申請により訴訟は自動的に停止された。
ブラームバット氏は1989年、インドでバンカイ・グループを創業。同国の通信規制緩和を背景に事業を拡大した。2017年にはノンバンクのキャリオックス・キャピタルを設立。同氏は2024年のポッドキャストで、「なぜ自分のビジネスを通信事業者の資金で運営しなければならないのかと考え、市場から資金を調達すればよいことが分かった」と述べ、「われわれはパートナー企業の運転資金調達に関与するようになった」と語っていた。
BNPパリバは同氏のビジネスに対する関与を公的に認めていない。7-9月(第3四半期)にトレーディング部門が、「特定の与信案件」に関連して1億9000万ユーロ(約340億円)の損失を計上したと先月明らかにしたが、経営陣は顧客名を明かさなかった。
同行のラルス・マシュニル最高財務責任者(CFO)は「グローバル市場で特定の案件が一つあったが、詳細や名称は公表しない」とブルームバーグテレビジョンで述べた。「ただ、それは常連の問題先ではなく、決済関連の分野に属する案件だ」と続けた。
9月下旬のある午後、ニューヨーク市長選(11月4日投開票)に出馬している民主党候補のゾーラン・マムダニ氏がマンハッタンのミッドタウンに到着した。黒いスポーツタイプ多目的車(SUV)から降りると、通行人が足を止めて見守る中、歩道に設置された小さな演台へと歩み寄った。
セントラルパークのすぐ南に位置するこの一帯は「ビリオネアズ・ロウ」と呼ばれる超高級マンション街。その一角では、報道陣やカメラマン、テレビクルーが待ち構えていた。
マムダニ氏の背後に立つ住宅用高層ビルでは、4ベッドルーム・7バスルームの物件が8750万ドル(約135億円)で売りに出されていた。米国で最も物価の高い都市の生活コストを語るのに象徴的な場所だ。
「ニューヨークには2億ドルを超える物件もある」と語ったマムダニ氏は、大半の住民が悩んでいるのは「家賃に加え、子どもの保育料や食費を賄えるのかという問題だ」と続けた。
この日の発言はマムダニ氏がここ1年、市内の5行政区を回りながら繰り返してきた演説とほぼ同じ内容だった。公園、教会、モスク、デモや集会など、あらゆる場で訴えてきたのは、家賃を下げ、交通費を安くし、保育料を手の届く水準にというメッセージだ。
マムダニ氏がニューヨーク市長選に向けた民主党予備選で圧勝してから約3カ月が経過していた。数日前には再選を目指していた現職のアダムズ市長が選挙戦からの撤退を表明し、マムダニ氏は今や次期ニューヨーク市長の有力候補として確固たる地位を築きつつあった。
あらゆる政治的立場のニューヨーク市民が、その考えになじみ始めていた。演説が始まって2分ほどたった頃、マムダニ氏は対立候補のクオモ前ニューヨーク州知事について、生活に苦しむ人々をないがしろにしてきたと非難した。
通りがかったBMWの運転手が「お前は最低だ!」と叫ぶと、マムダニ氏は笑顔で「ありがとう」と返した。数秒後、別の車からは支持する歓声と喝采が上がった。
その様子を見ていた1人の通行人が誰にともなくつぶやいた。「彼が勝つだろう」。
マムダニ氏は州議会議員(クイーンズ区選出)を3期務めるが、立法実績に乏しく、2025年初めの時点ではほぼ無名だった。しかし、そこから巧みなSNS戦略と地道な草の根運動で一気に知名度を上げた。
予備選直前にはマンハッタンを徒歩で縦断しながら握手を重ね、自身の「売り文句」を磨き上げた。政策の柱は、① 市内バスの無料・高速化、②市内住宅の約4分の1を占める家賃安定型物件の賃料凍結、③ 生後6週間から5歳までの子ども全員を対象とする無償保育の3点。実施費用は富裕層への増税で賄うとしている。
このメッセージは多くの市民の共感を得た。ニューヨーク市では公共交通機関の利用コストが年間1800ドル、家賃の中央値が月3400ドル、保育費は子ども1人当たり年間最大2万5000ドルにも上る。
6月の予備選の頃までに、マムダニ氏の陣営は5万人のボランティアを擁し、市内160万戸を訪問。公の場を避けがちだったクオモ氏を大差で破り、民主党候補指名を獲得した。最近の全ての世論調査が、11月4日の本選でも独立候補となったクオモ氏に勝利する可能性を示している。
自らを「民主社会主義者」と称するマムダニ氏(34)が、世界の金融の中心地であるニューヨーク市を向こう4年にわたって率いる可能性が濃厚となっている。そのシナリオが現実味を帯び始めるやいなや、裕福な実業家の一部は臨戦態勢に入った。
実業界の反発
まずは、ヘッジファンド界の大物でトランプ米大統領を支持するビル・アックマン氏だ。「米経済の中心地に社会主義はふさわしくない」と、6月にX(旧ツイッター)に長文の投稿を寄せた。マムダニ氏の政策は「破滅的」で、富裕層の流出につながり、市の財政を行き詰まらせるとも訴えた。
同じくヘッジファンドを運営するダン・ローブ氏も「熱い共産主義の夏が来た」とXに投稿し、ニューヨーク州のホークル知事がマムダニ氏を支持したことを「必死のアピール」と揶揄(やゆ)した。
10月には不動産開発業者でスーパーマーケット業界の有力者、ジョン・キャツィマティディス氏がFOXニュースに対し、マムダニ市政下では不動産価格が半減しかねないと業界は懸念していると発言。根拠は示さなかった。
マムダニ氏はウガンダ系米国人で、イスラム教徒でもある。パレスチナ人の権利擁護を政治的アイデンティティーの中心に据えてきた。
イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでの行動をジェノサイド(集団虐殺)と呼ぶ数少ない主流派政治家の一人でもある。そのため、さまざまな過激な批判の標的となる一方で、多様な若い有権者の間で支持を広げてきた。
一方で実業界の有力者らは、もしマムダニ氏が当選すれば出ていくと何度も表明している。ニューヨーク市では上位1%の富裕層が個人所得税収の4割超を占めるとされ、その影響力は極めて大きい。
こうした事情もあり、マムダニ氏は労働組合や選出された公職者、ユダヤ系コミュニティー、同氏に懐疑的な有権者との関係構築に努める一方で、この数カ月間はニューヨーク実業界との「第二の予備選」に臨んできた。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)との電話会談を皮切りに、スティーブ・コーエン氏のヘッジファンド、ポイント72の幹部マイケル・サリバン氏、弁護士ブラッド・カープ氏、デベロッパーのジェド・ワレンタス氏らと面談した。対話した人々の多くはマムダニ氏について、聡明(そうめい)でよく耳を傾ける人物だと感じたという。
マムダニ氏は10月初旬、マンハッタンのチェルシーにある陣営本部でブルームバーグ・ビジネスウィークの取材に応じた。クイーンズ区での集会を終えたばかりで、おなじみのスーツにネクタイ姿。疲れを見せずに街の将来像や実業界リーダーらとの関係などについて語った。
「正直であることが重要だ。そして正直さとは、意見の違いを理解することで、それが他の分野での合意の可能性を妨げないようにすることでもある」とマムダニ氏。「市内で最も利益を上げている企業のトップや、最も革新的なテック企業の経営者とも会ってきた。彼らの中には『税制ではあなたに反対だけど、無料バスには賛成だ』と耳元でささやく人もいた」という。
市政改革に意欲
クオモ氏はマムダニ氏の市政経験不足を声高に批判し、トランプ氏はマムダニ氏を「小さな共産主義者」と呼ぶ。すでにトランプ政権はシカゴ、ロサンゼルス、首都ワシントンなどに軍隊を派遣しており、軍幹部との会議で国内都市を兵士の訓練場とする考えを示唆している。ニューヨークについて政権が何を計画しているか、また次期市長がどこまで対応できるのかは定かでない。
しかし、マムダニ氏が選挙運動で示した方向性は明確で、民主党がこれまで獲得に苦戦してきた若年層を取り込んだ。「市政を変革し、政治への信頼を失わせるのではなく、ニューヨーカーが助けを求める場にできる」と語る。
マムダニ氏はウガンダのカンパラで生まれた。母はデンゼル・ワシントン主演の映画「ミシシッピ・マサラ」の監督として知られるインド系米国人のミラ・ナイール氏、父はコロンビア大学のインド系ウガンダ人学者マフムード・マムダニ氏だ。一家は南アフリカを経て、マムダニ氏が7歳の時にニューヨークに移住した。
マンハッタンのアッパーウエストサイドで育ち、市内の私立・公立学校で教育を受けた後、メイン州のボウドイン・カレッジに進学。アフリカ研究で学位を取得した。14年にニューヨークへ戻り、数年にわたり地元進歩派候補の選挙に次々と携わった。
19年までにクイーンズ区に移り、非営利の住宅支援団体チャーヤで差し押さえに直面した住宅所有者の支援に当たった。同年末、5期連続当選の現職に挑む形で20年の州議会選への出馬を表明。家賃問題を最重要課題と位置付け、ニューヨーク市警(NYPD)の予算削減を訴えて選挙戦を展開し、423票差で勝利を収めた。
州議会での実績は乏しく、約5年間の在職中に成立させた法案は4件に過ぎない。だが、21年には15日間のハンガーストライキに参加し、タクシー運転手への4億5000万ドル規模の債務救済を実現させた。また23年には、ニューヨーク州都市交通局(MTA)に市内全区で無料バスの試験運行を求めるキャンペーンを展開した。
今年の早い段階で、マムダニ氏の支持率はわずか1%と最下位だった。しかし、選挙運動を通じて市民の声を直接聞く中で、自身の政策の柱に確信を持っていた。「市民の声に耳を傾けた。繰り返し語られた課題は住宅、保育、公共交通、食料品で、生活費の話ばかりだった」と話す。
予備選の期間中は、とにかく住民に会い、握手し、笑い合い、抱き合った。かつて携わった選挙戦から得た教訓だった。
「素晴らしいフィールドプログラムを作り上げたが、それだけでは不十分だ。テレビ、郵送物、ラジオなど、従来の方法でも対抗しなければならない。そしてその精神を市政運営にも持ち込むつもりだ」とマムダニ氏は語った。
支持が広がるにつれ、反発も強まった。マムダニ氏は予備選後には握手すべき相手が増えることを理解していた。
財界との関係強化へ
民主党予備選での勝利から間もなく、マムダニ氏はニューヨーク財界との関係強化に乗り出した。企業トップ350人を擁するビジネスロビー団体「パートナーシップ・フォー・ニューヨーク・シティー」のキャシー・ワイルド会長が仲介役となった。
ある金融業界の幹部は匿名を条件に、政治的な駆け引きを脇に置き、真摯(しんし)に耳を傾け学ぶ姿勢に感銘を受けたと話した。一方で、経験の浅い人物が市政を本当に運営できるのか懐疑的だとも述べた。
マムダニ氏は歴代の市長経験者3人と面会し、市政運営について学んだ。「これまでの成功と失敗から学ぶこと」が複雑な職務を遂行する鍵であり、「周囲に誰を置くかが最も重要な決断の一つになる」としている。
ニューヨーク市長は世界的に注目され、地元では強大な権限を持つが、財政を完全にコントロールしているわけではない。税制やMTA運営などの権限は州政府が握っている。
マムダニ陣営の試算では、子育て支援に年間約60億ドル、バス無料化に約7億ドルが必要となる。財源として、年収100万ドル超の高所得者への2%の追加課税と法人税率引き上げを提案している。しかし、市長には税制面の決定権がないため、実現には州議会の承認が必要となる。このため州レベルの連携にも力を入れている。
マムダニ氏は州議会のヒースティー下院議長とカズンズ上院院内総務の支持を獲得。ヒースティー氏は「富裕層への課税は世論の支持が高い」と述べた。ホークル州知事もマムダニ氏を支持しているが、増税案そのものには慎重姿勢を崩していない。
増税が「一番理にかなう方法」との立場を示してきたマムダニ氏も、9月のブルームバーグ・ニュースのインタビューでは、もし他の財源が見つかるならそれで構わないと発言。「最も重要なのはこれらのプログラムに必要な資金を賄うことだ」と語った。
一方、無料バス構想について、MTAのジャノ・リーバー最高経営責任者(CEO)らは懐疑的だ。リーバー氏はサービスを無償化すれば、支援を必要としない層も恩恵を受けることになるとして、さらなる検証が必要だと訴えた。選挙やマムダニ氏の提案への直接の言及は控えた。
そして最も火の手が上がりやすいのがイスラエル問題だ。マムダニ氏はイスラエルのガザでの行動を一貫して批判しており、イスラエルの生存権を支持するとしながらも、「人種や宗教に基づくヒエラルキー体制を有する国家の生存権は承認しない」との立場を示した。
予備選以降は実業界に対して使ったのと同じ「現場に出て耳を傾ける」戦略で、ユダヤ系コミュニティーとの関係修復を図っている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)とシエナ大学が9月初旬に実施した世論調査では、有権者の39%が選挙期間中にイスラエル・パレスチナ問題に最も適切に対応した候補者はマムダニ氏だと回答。クオモ氏は17%にとどまった。
マムダニ氏は「私はこの街を故郷と呼ぶ全ての人の市長になりたい。民主党予備選で私に投票した人や本選で私に投票する人だけでもなく、イスラエルやパレスチナに関する私の見解に懸念や反感を持つユダヤ系市民も含む850万人の全市民のために」と意欲を示した。
対トランプ戦略
この10年で分かったのは、どれほど慎重に政治的均衡や連携を図ろうと、トランプ氏の影響を免れることはできないということだ。
連邦政府は2月、議会が承認した緊急資金8000万ドルをニューヨーク市の銀行口座から引き揚げた。連邦緊急事態管理庁(FEMA)が救援資金を不法移民向けに転用しているとするイーロン・マスク氏の誤った投稿が発端だった。アダムズ市長の下、市は現在、資金返還を求めて提訴している。
さらにトランプ政権は、地下鉄のセカンドアベニューライン延伸やハドソン川を横断する鉄道トンネル新設に向けた補助金など、総額約180億ドルの連邦資金の支払いを停止。MTA当局者は「ニューヨークへの報復行為だ」と非難した。州の対テロ資金1億8700万ドルも一時凍結された。
トランプ氏は今回のNY市長選への関心を隠そうとしていない。アルゼンチンのミレイ大統領を招いた10月の閣議で、同国支援は選挙結果次第なのかと記者に問われたトランプ氏は、突然ニューヨーク市とマムダニ氏を罵倒し始めた。
「彼は何も分かっていない」と述べ、「ニューヨークには金を送らない。その必要はない」と断言した。さらにニューヨークを「浄化」するために連邦法執行機関や軍を投入すると脅した。
次期市長にクオモ氏を推すトランプ氏が脅しを実行に移した場合、マムダニ氏にできるのは法廷闘争と世論に訴えることくらいだ。マムダニ氏は、イリノイ州やカリフォルニア州がホワイトハウスの州兵派遣命令に法的手段で対抗した例を手本に挙げている。
マムダニ氏は緊急資金引き上げや移民取り締まりを巡りトランプ政権を公然と批判し、「ニューヨークは恐怖を政治の武器にする連邦政府に屈しない」と語った。
マムダニ氏はまだ公約を実現しておらず、その自信が国家権力との衝突の中でどこまで通用するかは未知数だ。だが、生活費や交通費、子育て支援の問題で市民に手を差し伸べるだけでなく、明確な価値観も示している。対立する者との交渉における出発点は明確だ。
もし彼が財界を取り込み、双方が受け入れられる合意にこぎ着ければ、トランプ氏でさえ一定の敬意を払わざるを得なくなるかもしれない。
11月4日に米東部ニュージャージー州と南部バージニア州の知事選の投開票がある。世論調査ではともに民主党候補がリードしており、トランプ米政権に冷や飯を食わされている民主党は圧勝を納め、来年の中間選挙に向けて弾みを付けたい考えだ。
中でも注目を浴びているのが、フィル・マーフィー知事(民主党)の後継を選ぶニュージャージー州知事選の動向だ。民主党候補のマイキー・シェリル元連邦議会下院議員(53)が、共和党候補のジャック・チャタレリ元ニュージャージー州議会下院院内総務(63)に対して世論調査では1桁のリードを保っている。マーフィー氏は4年間の任期を2期務めたため、規定によって3選できない。
シェリル氏が勝利すれば、3期連続で同じ政党がニュージャージー州知事を務めることになる。一方、チャタレリ氏が当選した場合には、過去9回の知事選で現職大統領と同じ政党から選出される2人目の知事となる。
ライダー大のニュージャージー政治レボビッチ研究所のマイカ・ラスムッセン所長は「シェリル氏が確かにリードしているが、その差は決して越えられないものではない」とし、「シェリル氏とチャタレリ氏のどちらも勝利の可能性がある」と語った。
米紙ニューヨーク・タイムズ紙によると、最も信頼されている世論調査ではシェリル氏が5―8%ポイントのリードを保っている。だが、今月30日に発表されたエマーソン大とテレビ局PIX11、議会専門誌ザ・ヒルの調査では、シェリル氏に投票するとの回答が49%、チャタレリ氏の48%と僅差で、2%が未定となっている。
一方、バージニア州知事選では、民主党候補の元米中央情報局(CIA)職員のアビゲール・スパンバーガー元連邦下院議員(46)が、共和党候補のウィンサム・アールシアーズ副知事(61)に対して世論調査でリードを維持している。
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は1日、記者会見で高市早苗首相と初めて会談した際の感想を問われ「非常に良い印象を受けた。心配はすべて消えた」と話した。「日韓関係は今よりさらに発展できる」と強調した。
日韓両首脳は10月30日に初めて会談した。李氏は高市氏について「心配がなかったわけではないが、長く話してみて全く同じ考えを持つ、非常に優れた立派な政治家だと感じた」と話した。
過去の言動や靖国神社への参拝などを巡り、韓国メディアは高市氏を「強硬保守」とも評し、警戒感を示していた。歴史や領土を巡る懸案が再燃すれば、改善基調の日韓関係に影響するのではないかとの懸念もあった。
李氏は「一政治家の時と国家のかじ取りを担う立場では考えや行動が異なるべきだ。私も野党代表だった時と大統領になってからでは判断が違う」と共感を示した。自身が大統領に就任した際には日本が心配したのではないかと話し、笑顔を浮かべた。
両首脳は互いの国を行き来する「シャトル外交」の継続で一致した。李氏から次回は高市氏の出身地である奈良県での会談を提案したところ、高市氏が快諾したとも明らかにした。
中国国家統計局が31日発表した10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0と、景況拡大・縮小の分かれ目となる50を7カ月連続で下回った。内需を押し上げる追加刺激策を求める声が引き続き上がりそうだ。
9月の49.8から低下し、6カ月ぶりの低水準となったほか、市場予想の49.6も下回った。
サービス業と建設業を含む非製造業PMIは、9月の50.0から50.1に上昇した。サービス部門は50.1から50.2に小幅上昇。建設部門は49.3から49.1に低下した。
キャピタル・エコノミクスの中国エコノミストは「こうした弱さは短期的に反転するかもしれないが、米中貿易合意による輸出増は小幅にとどまる公算で、成長への逆風は続く」との見方を示した。
保銀投資(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏 は「経済の勢いは年央から弱まっている。不動産セクターの減速が引き続き内需を圧迫している」と指摘。「財政スタンスはこのような下押し圧力を相殺するほど大きくは変わっていない」と述べた。
今年はこれ以上の刺激策を必要としていないと考えるアナリストもいれば、インフラ投資を加速させることが第4・四半期に経済目標達成を確実にする方法だと考えるアナリストもいる。
ユーラシア・グループの中国担当ディレクター、ダン・ワン氏は「景気刺激策はちょうど通年目標を達成し、第15次5カ年計画期間の開始に向けてどの指標もあまり悪く見えないようにするのに十分なものになるだろう」と述べた。
オランダで10月29日に投票が行われた総選挙で、中道リベラル派「民主66(D66)」のロブ・イェッテン党首(38)が31日、勝利を宣言した。選挙は接戦となったが、投票分析により、反イスラムを掲げるヘルト・ウィルダース氏が率いる極右・自由党が、第1党の座を失う見込みが示された。
ほとんどの開票が終わった31日時点で、D66は1万5000票の僅差で自由党をリードしている。オランダのANP通信によると、開票作業はまだ完了していないものの、自由党が勝利する可能性はすでにないとされる。
イェッテン氏はソーシャルメディアに、「われわれはオランダ最大の政党だ! これからすべてのオランダ国民のために働いていく」と投稿した。一方のウィルダース氏は、選挙結果を決定するのメディアではなく選挙管理委員会だと述べ、「その決定を待たないとは、なんという傲慢(ごうまん)さだ」と述べた。
開票率約99%時点の予測では、定数150のオランダ議会において、両政党がそれぞれ26議席を獲得する見通しとなっている。ただしANP通信は、D66が27議席目を獲得する可能性があると報じている。
イェッテン氏は記者団に対し、「この歴史的な結果を非常に誇りに思っている」と述べ、安定的かつ野心的な政権を構築する責任の重さを感じていると語った。
ウィルダース氏は、選挙前の世論調査で首位を維持していた。しかし、イェッテン氏は「Yes, we can(我々はできる)」というキャッチフレーズを用いた前向きな選挙運動によって、ロッテルダムやハーグ、ユトレヒトといった主要都市で勝利を収めた。
オランダの総選挙で、これほど接戦となった例はない。イェッテン氏が首相に就任した場合、同国史上最年少の首相となる見通しだ。
これまでイェッテン氏は、すべての票が集計されるまで勝利宣言をしない姿勢を見せてきた。そうしたなかANP通信は、海外在住の郵便投票者の集計結果に基づき、イェッテン氏が勝者と宣言できる状況にあると報じた。
ウィルダース氏は、仮にD66が最大政党となったとしても、自身が率いる自由党は「イェッテン氏とその仲間によってオランダが分断されることを許さない」と述べた。
イェッテン氏は記者団に対し、D66が「前向きなメッセージによる選挙運動を行えば、ポピュリズム運動に打ち勝つことが可能であることを、ヨーロッパと世界に示した」と述べた。
オランダの選挙制度は、全国単一選挙区による比例代表制に基づいており、最も多くの票を得た政党が最多議席を獲得する仕組みとなっている。
これまでのところ、イェッテン氏のD66の得票率は16.9%、ウィルダース氏の自由党は16.7%となっている。開票結果が進む間も両党の差は極めて小さく、優勢が何度も入れ替わる展開となった。
ウィルダース氏は、D66の勝利を認める姿勢を見せていない。ANP通信を「ANP66」と呼び、ソーシャルメディアで拡散された根拠のない不正投票の主張を自らのアカウントでも取り上げた。これに対し、アムステルダム郊外のザーンスタット市当局は、この主張は「捏造(ねつぞう)されたもの」だとして否定している。
連立政権への道のりは厳しく
イェッテン氏の連立政権への道のりは容易ではないものの、同氏は迅速に始動したい意向を示している。
イェッテン氏は投票が終了した後、これまで30議席未満でオランダの選挙に勝利した政党は存在しなかったと述べた。
同氏が連立政権を樹立するには、過半数となる76議席を確保するために、少なくとも他の3政党の支持が必要となる。最も有力な候補は、中道右派リベラルの自由民主国民党(VVD)か、左派の労働党(PvdA)と緑の党の連合、そしてキリスト教民主アピール(CDA)とされているが、これが実現するには数カ月を要する可能性がある。
VVDのディラン・イェジルゲス党首は、これまでのところ左派との協力を否定している。一方イェッテン氏は、中道派から幅広い支持を得る政権を望んでいると述べた。
週明けの4日には、当局から「スカウト」が任命され、各政党の意向を探る役割を担うことになる。
イェッテン氏は、住宅不足や亡命申請者・移民問題などの主要課題に取り組むために、他の政党に投票した何百万もの有権者を最もよく代表する連立政権を構築したいと述べている。
イェッテン氏の勝利までの道のりは、関係者をおどろかせている。同市は2年前の前回選挙でもD66を率いていたが、5位に沈み、わずか9議席しか獲得できなかった。
今回も数週間前まで世論調査で低迷していたが、イェッテン氏がテレビ討論で洗練されたパフォーマンスを重ね、投票11日前にはテレビのクイズ番組の決勝にも出場するなどして、徐々に支持を伸ばした。
退任するディック・スホーフ首相は31日、イェッテン氏による連立政権の構築は困難を伴うだろうとの見通しを示し、「クリスマスまでに新政権ができていたらおどろきだ。私はまだ首相でいると思う」と語った。
元情報機関長官のスホーフ氏は昨年、極右の首相を受け入れないとする連立相手の意向を受けて、ウィルダース氏によって首相に指名された。
ウィルダース氏は、2023年11月の前回選挙で勝利を収めたが、政権が発足したのは2024年7月だった。その11カ月後には、難民申請者・移民政策をめぐって連立政党と対立し、自ら政権を崩壊させた。
今年に入ってからの影響は今のところ小さいが、ホリデーショッピングシーズンに間に合うように関税が消費者の支払う価格に追いつくと予想される。
ドナルド・トランプ大統領が4月に開始した多数の品目と個別の国に対する関税は、今年の一般的なインフレ指標が2.5%から3%の間で低迷している時期と一致している。
経済学者たちは、消費者物価指数や個人消費物価指数などの一般的な指標が大幅に上昇するとは考えていないものの、本来であれば下落するはずのこれらの指標が関税によって高止まりすると予想している。
「ここ数ヶ月、関税が消費者のインフレ率を押し上げたかどうかについて疑問が投げかけられている」と、バンク・オブ・アメリカのエコノミスト、アディティア・バーベ氏はメモの中で述べた。「関税が消費者物価を押し上げたことは議論の余地がない」
企業が関税発動前に在庫を積み上げ、利益率の圧縮を通じて影響の一部を吸収したため、これまでのところ関税の影響は軽微だ。
しかし、バンク・オブ・アメリカは、関税導入により、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ評価に用いるコアPCE指数が約0.5%ポイント押し上げられると予想している。同行は、関税導入後の9月のインフレ率は2.9%と推計しており、関税導入がなければ2.4%に近い水準となる。この数値は、ジェローム・パウエルFRB議長が水曜日に引用した数値とほぼ一致している。8月のコアPCE指数は前年比2.9%だった。
こうしたパーセンテージポイントの違いは、食品とエネルギーを除いたコアインフレ率を2021年3月以来上回っている2%に抑えようとしているFRBにとって重要だ。カンザスシティのジェフリー・シュミッド地域総裁とダラスのローリー・ローガン地域総裁の2人のFRB当局者は金曜日、同僚らが水曜日に中央銀行の主要金利を引き下げる決定を下したことに同意できないと述べた。
消費者にとっても、関税は重要です。Bhave氏は、消費者が関税コスト全体の約50~70%を負担し、残りは企業が負担していると推定しています。
レジでのインパクト
現実世界では、コーヒー、家具、そして最近では衣料品などの価格上昇を意味しています。労働統計局によると、衣料品は9月に0.7%上昇しました。物価指数の構成要素としては小さいものの、消費者が頻繁に購入する商品であるため、インフレに関する認識を生み出し、それが価格上昇を促す自己強化的なサイクルを生み出す可能性があります。
TDコーエンのアナリストは報告書の中で、「特定の商品のインフレは、たとえそれらの品目が消費者物価指数(CPI)の構成比で無視できるほど小さいものであっても、消費者信頼感に甚大な影響を与える可能性がある」と述べた。卵などの商品の値上げは、「食料品店で毎週、継続的かつ具体的なフィードバックループを生み出す。こうした商品は、統計的な有意性が示唆する以上に消費者の認識を形成する」のだ。
同社は、人工クリスマスツリーのほぼすべてがトランプ大統領の関税により大きな負担を強いられる中国から輸入されているため、今年のホリデーシーズンにはそうした事態が増える可能性があると指摘した。
「人工クリスマスツリーは珍しいものではないが、高関税の季節商品がどのように消費者のインフレ認識を形成するかを示す明確な例だ」とコーエン氏は述べた。
レンディングツリーが複数の政府および民間の情報源から得たデータを基に推計したところによると、もしこの関税が2024年のホリデーシーズンに導入されていたら、買い物客はさらに406億ドルを費やしていただろうという。
レンディングツリーのバジェットラボはさらに、2025年6月までに新関税の約70.5%が消費者に転嫁されると推定している。
「つまり、さらに多くのアメリカ人が、贈り物の購入費用を賄うためにクレジットカードや個人ローンに頼らざるを得なかったということです」と、同社のチーフ消費者金融アナリスト、マット・シュルツ氏は述べた。「多くの人が直面していたであろう、残念な現実です。」
レンディングツリーは、同じ推計を使用して、関税コストは買い物客1人当たり132ドルになると述べた。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米エヌビディアは、韓国の大手企業に自社の技術を提供する大型契約を締結した。世界各地で人工知能(AI)インフラを拡大する取り組みの一環となる。
韓国の科学技術情報通信省と、サムスン電子、現代自動車グループ、SKグループ3社との契約に基づき、エヌビディアは26万超のアクセラレーター半導体を供給し、韓国AIプロジェクトの本格始動を支援する。
エヌビディアは、金額など詳細な契約内容は明らかにしなかった。
同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は今週韓国に滞在しており、31日開催のアジア太平洋経済協力会議(APEC)のCEOサミットに出席している。
同氏にとって今回の訪問は、AIコンピューティングの普及や自社製品の需要拡大を推進する取り組みの一環となる。韓国でのこうした提携は、テクノロジー産業が活発な同国で、エヌビディア製品の存在感を一段と高めることにつながる。
今回の合意の一環で、韓国政府は「ソブリンAI」と呼ばれる自らが管理するコンピューティング基盤を構築する。
韓国政府は、ナショナル・AIコンピューティング・センターや、カカオ、ネイバー、NHN Cloudといった企業のデータセンターに、エヌビディア製の最新AIアクセラレーター5万基余りを導入する。
サムスン電子は、「AIファクトリー」に5万個以上のエヌビディア製チップを導入する計画だという。
ヘッジファンド運用者のマイケル・バーリ氏が小口投資家に対し、市場の過熱感について暗示的な警告を発したとみられる投稿をX(旧ツイッター)に掲載した。
バーリ氏(54)は、2000年代後半に住宅ローン市場を空売りした取引が映画「マネー・ショート 華麗なる大逆転(The Big Short)」で取り上げられ、一躍その名を知られるようになった。
バーリ氏の警告は、AIブームによって一部のハイテク企業の株価が高騰する中、その持続可能性や財務の健全性に疑問を投げかける声が広がるタイミングで発信されたものだ。
同氏は「Cassandra Unchained(カサンドラ・アンチェインド)」というアカウント名で、X(旧ツイッター)に次のように投稿した。
「時に、私たちはバブルを見ることがある。 時に、それに対して取るべき行動がある。 時に、唯一の勝ち筋は、参加しないことだ。」
実際、人工知能(AI)用半導体のエヌビディアは今週、時価総額が5兆ドル(約771兆円)を突破した初の企業となった。現在の同社の時価総額はS&P500全体のほぼ1割を占め、インド、日本、ドイツの国内総生産(GDP)を上回っている。
バーリ氏は、市場や経済に対する警鐘的な発言で知られるが、今回の投稿で同氏がどの「バブル」に言及しているのかは明確でない。
バーリ氏が率いるサイオン・アセット・マネジメントは1-3月(第1四半期)に、上場株式のポートフォリオのほぼ全てを売却し、新たにエヌビディアや中国関連株に対する弱気のポジションを取った。
米マイクロソフトは、巨額資金を投じるデータセンター建設計画への地域社会の反発が新たな事業リスクになっていると投資家に警告した。
同社は29日の決算報告書で「当社は地域社会の反発や自治体による建設停止措置、地域コミュニティーの反対に直面しており、インフラ開発の阻止や遅延につながる可能性がある」と説明した。
マイクロソフトは、メタ・プラットフォームズやアルファベット傘下のグーグルなどと並び、クラウドや人工知能(AI)事業を支えるデータセンターインフラの大規模拡張に取り組んでいる。同社のデータセンター関連支出の指標である設備投資は7-9月(第1四半期)に約350億ドル(約5兆3800億円)に達し、同支出の拡大を示唆している。
一方で、データセンター建設計画への反対は高まりつつある。膨大な電力を消費する上、州・地方政府から税優遇措置を受けることが多いことが住民の反発を招いている。ウィスコンシン州の地元紙によると、マイクロソフトは今月、住民らの反対を受けて同州でのデータセンター建設計画を撤回した。OpenAIにリースする目的でニューメキシコ州にデータセンターを建設するオラクルの計画も反対を招いている。
対話型人工知能(AI)ChatGPTの開発会社OpenAIの会長でAI新興企業シエラ・テクノロジーズ共同創業者のブレット・テイラー氏は、現在のAIブームをドットコム・バブルと重ね、成功がいかにして崩れ去るかについて思いを巡らせている。
スタンフォード大学キャンパス近くの屋外カフェで取材に応じたテイラー氏(45)は、自身が学生だった1999年当時の熱狂を振り返る。学生のラボにサン・マイクロシステムズの高価なワークステーションが並び、人気のIT企業が無料のピザで学生を勧誘していた時代だ。
しかし間もなくドットコム・バブルが崩壊し、ピザも就職オファーも、5兆ドル(約770兆円)の時価総額と共に消えた。サンの株価は最大96%下落し、今ではその名を知る学生も少ない。テイラー氏は、自身を含めたコンピューターサイエンス専攻の学生にとって、「シリコンバレーのブームとバブルのサイクル」は第2の専攻科目だったと冗談交じりに語る。
同氏は今、現在のAIブームを25年前の熱狂と重ねる。人間を超えるAIを約束して巨額の赤字を積み上げる新興企業のバリュエーション高騰や、研究者たちを引き付けるための高額報酬を目の当たりにし、業界が当時の熱狂に近づき過ぎているように感じる。
実際、インタビューの前日にはシエラが100億ドルの評価額で3億5000万ドルを調達するとの報道が出たばかりだった。しかしテイラー氏にとって重要なのは、過去と同じ過ちを回避することだ。「多くの企業が急成長した後に崩壊するのを見てきた。それを恐れ過ぎているかもしれない」と述べ、「自分たちの妄言を信じ込み始めたら、未来を正しく見通せる確率はかなり低くなる」と戒めた。
テイラー氏はグーグル・マップの開発に携わり、フェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)で「いいね」ボタンを生み出したほか、イーロン・マスク氏への売却に際してツイッターの取締役会を率いた。OpenAIでは1350億ドル規模の再編取引をマイクロソフトとの間でまとめた。
それでもスタンフォード大で通りすがりの学生に気づかれることはなく、写真撮影を求められることもない。その目立たない姿が、テクノロジー業界で静かな影響力を持つ知られざるリーダーにふさわしい。
テイラー氏は、時に風変わりな経営者たちの突飛な構想を、現実的な実行力で形にする才覚を持っており、その能力は同氏のキャリアで最も厄介だった二つの局面で大いに発揮された。
2022年にはマスク氏によるツイッター買収の難交渉を最終的に取りまとめた。翌年にはOpenAIでサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が突然解任された際に調整役として呼び戻された。いずれも波乱に満ちた出来事だったが、テイラー氏は「私は泣かなかった」と冗談めかして振り返る。
現在はシエラで、しばしば忌避される分野であるカスタマーサポートの在り方の再構築を図っている。シエラは、ディレクTV、シリウスXM、ウェイフェアなどの企業における苦情対応や返品手続きの体験を、AIによってつくり変えようとしている。
顧客が苦情の電話をかけるたびに、企業側は対応コストとして約20ドルの負担が生じる上に、応対を誤ればブランドイメージの悪化というさらに大きな損失を招く恐れがある。テイラー氏が率いる300人超のチームは、こうした不満を解消するため、テキストや音声でのやり取りを人の介入なしに円滑に完結できるAIエージェントの開発に取り組んでいる。顧客対応の効率化は、将来的に新たな収益源への入り口にもなり得る。スクエアのカードリーダーが創業者のジャック・ドーシー氏に小口融資やP2P送金(個人間送金)へ進出する道を開いたように、シエラも応用分野を広げられる可能性がある。
こうした課題の解決こそ、テイラー氏が熱中する分野だ。シエラが取り組むのは、慎重派の業界関係者が、次のバブル崩壊を避けるためにテクノロジー業界が追求すべき現実的なAI応用とみなすタイプの事業でもある。消費者はもはや「何番目かのChatGPT」を求めていない。テイラー氏は「上司や取締役を喜ばせるため」の見かけ倒しのAIプロジェクトを追いかけるのはやめるべきだと話す。
とはいえ、もしAIバブルが崩壊したとしても、それほど悪いことではないかもしれないと同氏は考える。ドットコム・バブル崩壊の経験から、一定の「創造的破壊」は健全だと知っているからだ。バブル崩壊で多くの企業が消えた一方、グーグルやアマゾン・ドット・コムのように生き残った企業が次世代の主役になった。
「本当に長く続くテクノロジー企業はごくわずかだ」ということを、テイラー氏は思い出させてくれる。その中には、彼が子供の頃に使っていたパソコンの発展に大きく貢献したビル・ヒューレット氏やデービッド・パッカード氏のように、創業者の名前がスタンフォード大の建物の外壁に刻まれている企業もある。テイラー氏の目標は、そんな時代を超えて残る企業を築き上げることだ。たとえ自分の名前が世に知られることがなくても。
連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利を引き下げ、多数の米企業が決算を発表した。10月は投資家に「人工知能(AI)」という宿題を残して終わった。
ハイテク大手は依然としてAIインフラに巨額を投じており、投資家の期待を支えている。S&P500株価指数とナスダック100指数はいずれも週間で上昇し、過去最高値付近にある。
一方で、短期的な成果が見えない企業には投資家の厳しい視線が向けられており、AI支出に対する曇りのない楽観ムードにも変化が出てきた。メタ・プラットフォームズではAI関連の投資拡大に対する懸念から、株価が3年ぶりの大幅安となった。マイクロソフトもクラウド収益が期待に届かず、2日間での株価下落は4% を超えた。
チャールズ・シュワブのマクロ調査・戦略責任者ケビン・ゴードン氏は、投資家が企業の投資規律をチェックする動きが出ていると指摘。「この投資がどれほどのリターンを生むのか、いずれ証拠が求められるだろう」と述べた。
対照的にアマゾン・ドット・コムとアルファベットの決算は好意的に受け止められた。アマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)の成長加速は、10月31日の市場でアマゾン株を10%近く押し上げた。アルファベット株もAIとクラウド需要の急増を好感し、30日に2.5%上昇した。
増収
投資家は増益率をこれまで以上に重視し、AI投資というだけで満足はしないようになった。アルファベットとアマゾンはAI投資の継続を表明しただけでなく、過去の投資で既に成果が出ていることも示した。アルファベットは生成AIモデル関連の収益が前年の3倍を超えた。グーグル・クラウドの売上高も34%増の152億ドルと、アナリスト予想を上回った。アマゾンもクラウド事業の力強い成長に加え、アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)が買い物チャットボットの投入で年100億ドルの追加売上高を見込むと明かした。
AIによる増収の裏付けを示すクラウド事業がないメタは、広告ターゲティングなどの改善を強調したが、過剰投資を警戒するウォール街の懸念を緩和できなかった。ジェンセン・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アレン・ボンド氏は「設備投資の増加が一律に評価されなかったのは、今期が初めてだ」と述べた。
青信号
それでも業界最大手によるAI投資継続を、AIトレードの青信号と受け止める投資家は多い。特にAI半導体を事実上独占するエヌビディアは、株価が週間で9%上昇し、時価総額は世界初の5兆ドルを突破した。株価上昇の波はシーゲイト・テクノロジーやウエスタン・デジタル、スーパー・マイクロ・コンピューター、ブロードコムなどにも広がった。建機大手のキャタピラーもデータセンターの建設需要を追い風に、10%急伸した。
AI投資で出遅れているアップルも、強弱混在の決算にもかかわらず株価は週間で約2.9%上昇した。
予想を上回る
ハイテク大手の利益は全体として市場予想を上回り、割高感が警戒される株式市場を支えている。テスラを含むいわゆる「マグニフィセントセブン」のうち、6社が決算を発表した。ブルームバーグ・インテリジェンスのデータによると、グループ全体の四半期利益は約27%増と、決算前に予想されていた15%を大きく超えた。一方、S&P500種の増益率は13%にとどまっている。
シュワブのゴードン氏は「予想自体が高くなっていたが、実際の決算はそれも上回った」と述べた。「市場にとっては非常に心強いサポートだ」と続けた。
ラスボス
発表済みの決算はAIトレードの追い風となったが、トリを飾るエヌビディアの決算発表(11月19日)まで、投資家はあと3週間待たされる。ジェンスン・フアンCEOがワシントンDCで強気の見通しを示したばかりで、期待は高まっている。AI市場の中核を担う同社だけに、決算が期待に届かなければその影響は広範囲に拡大しかねない。
それでも投資家はこの流れを楽しんでいる。BNYの市場マクロ戦略責任者ボブ・サベージ氏は「ハイテク大手は期待されていた好決算を実現してみせた」と指摘。「これほど一貫して稼いでいるセクターに弱気になるのは難しい」と語った。
アルファベット(GOOGL.O), opens new tab、マイクロソフト(MSFT.O), opens new tab、メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tab、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabの米巨大テック4社は今週の四半期決算発表で、来年にかけて設備投資を加速させる方針を示したが、最も投資家が評価したのはアルファベットだ。ポイントは、キャッシュフローから資金を調達する能力だった。
4社は、半導体やデータセンターなど人工知能(AI)関連分野の強化に資金を投入している。
「データセンターとAIインフラへの継続的な投資は、この決算シーズンでビッグテック全体に見られたテーマだ」とeToroのマーケットアナリスト、ジョシュ・ギルバート氏は指摘する。
AI業界で数十億ドル規模の取引が行われる中、投資家はここにきて循環投資の網に警戒感を強める。大手ハイテク企業はAIが収益にどの程度貢献しているか正確に説明していないことも投資家を不安にさせる。
アマゾンを除く3社の株価は、AI競争の勝者になるとの期待から今年大幅に上昇してきた。しかし30日の米国株式市場では、各社の投資コストを投資家がはじく中、アルファベットが上昇し、マイクロソフトとメタは売られた。
30日の引け後に決算を発表したアマゾンは、「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」を手掛けるクラウド部門が予想を上回る増収となり、時間外取引で13% 近く急伸した。多額の投資が実を結び、AWSが他社との競争を予想以上に順調に進めていると受け止められ、AIへの過剰投資懸念を払拭した。
<費用とキャッシュフローのバランス>
メタの株価は30日に11%以上下落し、マイクロソフトは3%安で取引を終えた。多額の投資を回収しリターンを生むのに要する時間への懸念を映した。
一方、アルファベットは一時6%高まで買われ、約3%高で終了。株価上昇は、高騰する費用と強力なキャッシュフローをバランスさせていることだとアナリストは指摘する。
「設備投資が売上高やキャッシュフローに占める割合が低いことがポイントだと思う。投資家により安心感を与える。どの企業も支出を大幅に増やしており、フリー・キャッシュフローへの圧力が懸念されている」とエドワード・ジョーンズのシニア株式アナリスト、デイブ・ヘガー氏は語った。
アルファベットの第3・四半期の設備投資額は営業キャッシュフローに占める割合が49%。メタは64.6%、マイクロソフトは77.5%、アマゾンは約90%とさらに高い。
「一部の同業他社とは異なり、アルファベットはその支出をキャッシュフローでカバーしており、全てのシリンダーをフル回転させている」とeToroのギルバート氏は述べた。
シノバス・トラストのポートフォリオマネージャー、ダン・モーガン氏は、「キャッシュフローに余裕のある企業は、AIインフラにより積極的に投資する余裕がある。投資リターンが低くても許容できる」と指摘する 。
身の丈に合わない投資が懸念される中でも、経営陣は、AI需要に対応するには投資が必要と主張する。メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、AIへの過剰投資を巡り最悪のシナリオでは「多少の損失と減価償却が発生するだろう」としながらも、時間をかけてその投資を活用し、会社として成長することになると説明した。
アマゾンのアンディ・ジャシーCEOは「キャパシティへの積極的な投資を継続していく。需要があるからだ」と語った。
人工知能(AI)分野の目まぐるしい競争においては、業績が好調なだけでは必ずしも十分とは言えない。
これは米アマゾン・ドット・コムが今年学んだ教訓だ。多くの投資家が同社のクラウドコンピューティング事業の伸びを物足りないと感じ、冷ややかな反応を示していた。アマゾン株の10月30日終値は年初来約1%高と、他のテック大手を大幅に下回った。S&P500種指数の同期間の上昇率は約16%だ。
だが、このさえないアマゾンの株価は、すでに堅調でさらなる加速が見込まれるクラウド事業を反映していない。
そのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)事業は業界最大規模で、同社の稼ぎ頭だ。10月30日に発表した7-9月期(第3四半期)売上高の伸び率は20%と、4-6月期(第2四半期)の17.5%から拡大した。
それでも米マイクロソフトや米アルファベット傘下グーグルと比べると見劣りするかもしれない。マイクロソフトのクラウドコンピューティング部門の伸び率は40%で、グーグルが29日に発表したクラウド事業の売上高も同程度の伸びを示した。
AWSの伸びが比較的小幅なのは、ただ単に、規模が大きいほど伸び幅を拡大するのが難しいからかもしれない。7-9月期の売上高は330億ドル(約5兆円)だった。これは業界2位のマイクロソフト「アジュール」のアナリスト予想(約230億ドル)を大幅に上回る。
規模というハードルはあるものの、AWSが今後数四半期に躍進する可能性は十分にある。2022年以来の大きさだった7-9月期の売上高伸び率(20%)は、それを予告しているようだ。全体の売上高見通しが予想を下回ったにもかかわらず、アマゾンの株価は30日の決算発表後の時間外取引で14%上昇した(31日終値は9.6%高)。
この復調の理由は明快だ。業界の合言葉が多かれ少なかれ「構築せよ、顧客はそこにいる」となっている中、アマゾンは急ピッチでAI向けクラウドコンピューティングのインフラを拡充しているからだ。
クラウドコンピューティング大手は口をそろえて、AI計算能力への需要は供給を大幅に上回っており、この不均衡はあと数四半期、場合によってはそれより長く続く可能性が高いと主張する。つまり、利益を手にするのはデータセンターを最も早く構築できる企業ということになる。
アマゾンは、大規模言語モデル開発を手掛ける米アンソロピック向けに110億ドル規模のデータセンターをインディアナ州に開設し、このほど本格的に稼働を開始したと発表した。アマゾンが主要投資家となっているアンソロピックは、競合のオープンAIほど目立たないものの、持続可能な売上高成長への道筋はより明確で、今後数年間でAI分野の主要顧客となる可能性が高い。
ウェドブッシュのアナリストは最近のメモで、アンソロピック向けの売り上げはAWSの今年の売上高伸び率を2ポイント近く押し上げるとの試算を示した。
アマゾンは手を緩めていない。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)によると、同社はこの12カ月間に、AI用データセンター向けの電力供給を3.8ギガワット(GW)増やした。これは競合各社を上回る規模だという。
ブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)はアナリスト向け電話説明会で、設備投資額は10-12月期に約342億ドル、年間では1250億ドルに達し、2026年はこれを上回るとの見通しを示した。AWSは電力や半導体を入手できないなどの制約を受けずにすめば(大きな不確実性だ)、今後数カ月間に成長するための十分な計算能力を持つはずだ。
アマゾンにはもう一つ、この競争で有利な点がある。1分野に集中できることだ。同社はAIコンピューティングインフラをクラウド事業に優先的に割り当てられる。AWSは投資家に訴求する上で極めて重要で、それより規模ははるかに大きいものの利益率ははるかに低いネット通販事業を埋め合わせている。
一方、マイクロソフトは資源を分散させている。「Word」「Excel」「PowerPoint」など主力の企業向けソフトウエアにAI機能を追加し、AIブームのさなかに売上高が急増してきた。そのためコンピューティングインフラの需要が増え、契約先の法人を優先せざるを得なくなっている。アジュールの10-12月の伸びは37%に減速する見通しで、エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は29日、これが足かせになっていると述べた。
アマゾンのクラウドコンピューティング事業はこのところ投資家を失望させていた。ここから急展開があるかもしれない。
問題は、支出がさらに急速なペースで増加していることだ。設備投資総額は前年同期の2倍以上となる194億ドルに達した。同社はさらなる支出増加を見込んでおり、今年の設備投資総額は最大720億ドルに達し、来年も設備投資と営業費用が大幅に増加する見通しだ。メタの株価は29日の時間外取引で7%超下落した。
米マイクロソフトと米グーグルの親会社アルファベットも、29日の四半期決算発表で来年のAI投資の急増を予想した。しかし、両社は大型クラウドコンピューティング事業を運営し、既にAI業務を支える重要なビジネスを展開している。
このため両社の大規模投資の収益性は理解しやすい。少なくとも、収益の大部分を依然として広告から得ているソーシャルメディア企業と比べればそうだ。29日の決算電話会見で、複数のアナリストがメタの経営陣に対し、投資の拡大が実際にどのように収益につながるのかと質問した。スコシアバンクのナット・シンドラー氏は電話会見後のリポートで、「設備投資の急増を正当化するには多数の新たな収益源を確保する必要がある」と述べた。
しかし、そうした収益源がないからといって、メタがすぐに支出の抑制を余儀なくされることはないかもしれない。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は29日、同社の積極的な投資戦略は、より強力なAI「超知能」の出現に先んじる計画の一部だと述べた。
超知能がいつ出現するかは誰にも分からない。それでも大規模投資は中核事業に役立つとザッカーバーグ氏は述べ、「中核事業は、当社がこれまで投入してきた以上の計算能力を、収益性を保ちつつ活用し続けることができる」と語った。また、同社のAIレコメンデーション(おすすめ)システムが7-9月期にフェイスブックでの滞在時間を5%押し上げたと付け加えた。
メタは資金不足に陥っているわけではない。日間利用者数35億人超の大規模ソーシャルメディアプラットフォームでの広告は、特に収益性の高いビジネスだ。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、メタは、営業活動から年間1000億ドル超のキャッシュを生み出すS&P500種指数構成企業5社のうちの1社だ。
それでも、同社の投資は目を見張るレベルに達している。今年の設備投資720億ドルは、同社の予想売上高の37%に相当する。これは大型ハイテク株の同業で最も高い支出割合であり、しかもその額にはザッカーバーグ氏が一流のAI研究者に支払っている9桁(億ドル単位)の報酬も含まれていない。メタは29日、来年の総費用が、今年予想される23%増と比べて「大幅に速いペースで」増加すると述べた。
投資家は、AIへの大規模投資と他分野での積極的なコスト削減から、メタをAI勝者として扱ってきた。米オープンAIの対話型AI「チャットGPT」が3年前に公開されて以来、メタの株価は約500%上昇し、米半導体大手エヌビディアを除く大型ハイテク競合他社の上昇率を大幅に上回ってきた。
しかし、最新の決算と29日の時間外取引での反応は、投資家がメタに与えた白紙委任状にも結局は期限があることを示している。
テクノロジーのインターネット大手は決算シーズンを乗り越え、ウォール街に対して一貫したメッセージを発信した。人工知能への投資は拡大する一方だ。
各社は設備投資の見通しを引き上げ、今年の設備投資額は合計で3,800億ドル以上に達すると予想している。
マイクロソフトの予測は6月に終了する2026年度を対象としていた。
各社は、AIサービスに対する事実上無限の需要に対応するインフラの構築を競っている。
一方、こうした歴史的な支出レベルがバブルを煽っていると懸念を表明する懐疑論者も増えており、AIに関する壮大な計画を現実のものにできるだけのエネルギーと資源があるのかどうか疑問視する声も上がっている。
今週の支出予測は大規模だったが、最近NVIDIAを含むパートナーと約1兆ドル相当のインフラ取引を発表したOpenAIと比較すると平凡に見える。
大型株に関する報道に対する投資家の反応はまちまちだった。
アマゾンは利益と売上高が予想を上回り、今年の設備投資額が従来予想の1180億ドルから約1250億ドルに増加すると発表したことを受けて株価が急騰した。
「特にAI分野を中心に、引き続き多額の投資を行っていきます」と、ブライアン・オルサフスキー最高財務責任者(CFO)は決算説明会で述べ、2026年には投資額が増加すると付け加えた。「長期的には、AIは投下資本に対する高いリターンをもたらす可能性を秘めた、大きなチャンスだと考えています」
アルファベットも投資家から歓迎された。同社は予想を上回る利益を発表し、今年の設備投資見通しを従来の750億ドルから850億ドルから910億ドルから930億ドルに引き上げた。同社の株価は木曜日に2.5%上昇した。
しかし、ソフトウェア会社の業績が予想を上回ったにもかかわらず、マイクロソフトの株価は約3%下落した。
エイミー・フッドCFOは決算説明会で、7月に開始された2026年度には設備投資の成長が加速すると述べた。同社は当初、成長は鈍化すると予想していた。設備投資は前年度比45%増の645億5000万ドルとなり、2026年度には最低でも約940億ドルに達すると予想されている。この数字はリースを含めると大幅に増加する。
メタの株価は木曜日に11%急落し、全銘柄が予想を上回ったにもかかわらず、3年ぶりの大幅下落を記録した。同社は設備投資見通しを従来の660億ドルから720億ドルから700億ドルに引き下げた。
「未知の収益機会」
Amazon、Microsoft、Googleとは異なり、Metaにはクラウドサービスがなく、AI投資に結びついた明確な収益ストーリーがない。
Metaは、AIによる恩恵は他の部分、具体的にはターゲティングの改善による中核のデジタル広告事業のパフォーマンス向上から得られると述べている。
それでも、オッペンハイマーのアナリストは、同社がスーパーインテリジェンスと呼ぶ分野における「未知の収益機会」を理由に、同社株の投資判断を買い推奨から保留相当に引き下げ、投資家は「積極的な収益成長が高額な支出に相殺される」ことに苦戦するだろうと述べた。
対照的に、グーグルは「予測可能な収益」を持っているとアナリストらは書いている。
MetaのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は6月に同社の スーパーインテリジェンス・ラボの設立を発表し、Scale AIの元CEO、アレクサンダー・ワン氏やGitHubの元CEO、ナット・フリードマン氏など、同社が高額な費用をかけて採用した著名人らがラボを率いると語った。
ザッカーバーグ氏は当時のメモの中で、この研究所には同社のさまざまなチームが拠点を置き、基礎モデルに取り組む予定だと記していた。
「この新たな才能の流入とモデル開発への並行アプローチにより、誰もがパーソナルなスーパーインテリジェンスを実現できると楽観視している」とザッカーバーグ氏は書いている。
しかし、オッペンハイマーのアナリストは、これはザッカーバーグ氏がこのプラットフォームがコンピューティングの未来であると宣言していた2021年と2022年の同社のメタバース支出を「反映した」アプローチだと述べている。
Metaは依然として、拡張現実(AR)への投資で四半期ごとに数十億ドルを費やしている。同社は決算報告の中で、Reality Labs部門が4億7000万ドルの収益に対して44億ドルの損失を計上したと発表した。
「終わりは見えない」
他のハイパースケーラーの場合、全社的に AI を活用しているにもかかわらず、AI への投資は主にクラウド インフラストラクチャ ビジネスに結びついています。
クラウド コンピューティングの分野では、Amazon Web Services は依然として Microsoft Azure や Google Cloud よりも規模が大きいものの、競合他社に比べると成長は緩やかです。
AWSは第3四半期の売上高が20%増の330億ドルに達したと報告した。MicrosoftはAzureの売上高が40%増加し、Googleのクラウド売上高は34%増の151億5000万ドルに達したと発表した。
カンターのアナリストは、「マイクロソフトのような拡張可能なサービス スタック」を備えたクラウドは、この「AI インフラストラクチャ構築の強化された段階」から恩恵を受ける立場にあると述べています。
彼らは同社株の購入を推奨しているものの、支出予測には懸念材料があると見ている。アナリストによると、キャピタルリースを含む設備投資総額は今年1,400億ドルに達し、前年比58%増、2024年度の3倍に達する見込みだ。
この数字は「プラス面では強い需要を反映しているが、終わりが見えないことから依然として懸念材料となっている」とアナリストらは記している。
1970 年代後半には、 映画監督のオーソン・ウェルズが「急げないこともある」と私たちに思い出させ、後に有名なキャッチフレーズとなる「時期尚早にワインを販売することはありません」で締めくくる、人気のワイン コマーシャルがありました。
補助金切れ前に太陽光発電産業を立ち上げようとする競争において、最も大きな問題でありながら、最も議論されていない点の一つは、製品が完成する前に市場に投入されすぎているという点だ。建設が専門知識を先取りしている。つまり、すぐに時代遅れになる太陽光発電装置に数十億ドルもの投資が行われる可能性があるのだ。
米国の100万エーカーを超える 農地 に太陽光発電所を急いで建設し 、世界中の数え切れないほど多くの施設も建設されているが、その展開、既存の電力網との連携、そして最終的な廃止や廃棄に関する長期的な計画はほとんどないようだ。
現代の太陽光発電装置は比較的新しいもので、多くの場合、まだ研究と改良の段階にあります。しかし、何エーカーものトウモロコシ、小麦、大豆畑に取って代わる、支柱に取り付けられた巨大な太陽光パネルアレイが、あたかも技術が完成し、形態も完成しているかのように建設されつつあります。
太陽光発電製品の市場投入を急ぐことの愚かさを示す、際立った例が最近明らかになった。モハーベ砂漠にあるイヴァンパ太陽光発電施設は、2010年から2014年にかけて22億ドル(オバマ政権下のエネルギー省による3件の連邦融資保証による16億ドルを含む)をかけて建設されたが、ニューヨーク・ポスト紙の最近の記事によると、「太陽エネルギーを効率的に発電できなかったため、2026年に閉鎖される予定」となっている 。
「施設の5平方マイルの砂漠には、約17万3500台のヘリオスタットが設置されており、最大限の太陽光を捉えられるようコンピューターで調整されている」と記事は指摘している。「コンピューター制御の鏡は、設置場所によっては1000度に達する高温の太陽光を反射することができる。」
「太陽熱を熱源として利用するというアイデアでした」と、代替エネルギーコンサルタントのエドワード・スメロフ氏はワシントン・ポスト紙に語った。「鏡が太陽熱を反射し、塔の頂上に設置された受熱器に送ります。そこで液体が加熱され、蒸気が生成され、従来型の蒸気タービンを回転させます。仕組みは複雑です。」
しかし、技術が急速に進歩するにつれ、アイバンパーの施設は「より新しく、より安価な太陽光発電の手段と競争できなくなった」とワシントン・ポスト紙は報じている。その結果は?「グリーン化」への無謀な急ぎは、再びプロジェクトを深刻な赤字に陥れた。
現代の太陽光発電技術は発展途上であり、完成には程遠い。例えば、Metal Tech Newsによると、メキシコのケレタロイン自治大学では、「標準的な太陽光量の2倍以上を利用可能な電力に変換できる新しい薄膜太陽電池の設計」を研究して いる。
この技術は、「太陽光発電産業の改革に役立つ可能性のある画期的な技術として、地球上に豊富に存在する無毒の材料のみを使用する」ように設計されており、「環境に優しく、大規模製造に適した」用途を持つ。「効率が高いということは、太陽光パネルが一定量の太陽光でより多くの電力を生産することを意味します。これは、利用可能なスペースが限られている場合や、エネルギー出力の最大化が不可欠な場合に非常に重要になります」と記事は指摘しています。
業界レポートによると、もうひとつのイノベーションは「両面」ソーラーパネルで、これは「モジュールの前面と背面の両方から太陽光を捉える」ことで動作し、「地面、水面、近くの構造物など、さまざまな表面からの反射太陽光を利用し、結果として発電量を増加させる」ことができる という。
言及されていないのは、このような画期的な進歩は、多くの既存の太陽光発電施設が時代遅れの技術で稼働しており、忍耐強く研究を続け、より完成度の高い製品を市場に投入していた場合よりも発電量が少ないことを意味するということだ。
確かに、テクノロジーは常に進化しており、自動車から電子レンジ、携帯電話、ノートパソコンに至るまで、あらゆるものが絶えず改良されています。しかし、納税者が太陽光発電を支えてきたほどの規模で、まだ進化を続ける製品の生産、設置、そして実用化を急ぐために数十億ドルもの補助金が割り当てられた分野はほとんどありません。
さらに懸念されるのは、そこまでの緊急性がないという事実です。私たちが伝統的に保有する、手頃な価格の炭化水素、特に天然ガスは、少なくとも 今世紀の残りの期間までは十分に供給可能です。より多くの時間と継続的な研究があれば、太陽エネルギーは将来、より効率的かつ費用対効果の高い方法で導入され、現在必要とされている面積のほんの一部で済むようになるかもしれません。このような先見の明があれば、より多くの農地を農業用に確保し、太陽光発電所が廃止段階に至った際に生じる可能性のあるブラウンフィールドの損害を最小限に抑えることができるでしょう。
太陽光発電業界は、政府の補助金なしに経済的に採算が取れる、検証済みで完全に実現可能な製品のみを投入すべきです。エネルギー・環境法研究所のシニアフェロー、スティーブン・ミロイ氏は、 アイバンパ太陽光発電の失敗に関して、「納税者の補助金に頼るグリーンプロジェクトは、経済的にも環境的にも全く意味がありません」と述べています。
「再生可能エネルギー」部門はワイン製造業界から教訓を得て、時期が来るまで太陽光発電を設置しないことを約束すべきだ。
●その他
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