備忘録(2025/2/20)
●海外企業決算
●海外企業
●日本企業
農林中央金庫は20日、今期(2025年3月期)の連結純損益が1兆9000億円程度の赤字(前期は636億円の黒字)に陥る見通しだと発表した。収益性の悪化した外国債券の売却を進める。従来は最大で2兆円規模の損失を見込んでいた。
巨額損失を受けて奥和登理事長が3月末で引責辞任し、北林太郎最高財務責任者(CFO)が昇格する人事も発表した。農林中金の純損益が赤字に陥るのは、リーマン・ショックの影響を受けて5721億円の損失を計上した09年3月期以来、16年ぶりとなる。
同日会見した奥理事長は、巨額赤字の「責任を明確化する」とした上で、役員体制の若返りを図ることで、再起につなげる考えを示した。巨額損失を招いた背景については、「高いパフォーマンスを上げてきたという一つの成功体験があり、どこかのタイミングでは金利が下がるだろうという正常性バイアスが強かった」として適切な判断が遅れたと振り返った。
農林中金では米金利の上昇などにより、外貨調達コストが外国債券の運用収益を圧迫する中、含み損を抱えた外債の売却を進めたことから損失が膨らんだ。新理事長に就く北林氏は、債券中心だった投資ポートフォリオの多様化や外部人材の登用など運用改革を迫られることになる。
会見で北林氏は「健全性を第一にポートフォリオ全体のバランスも意識しながら、中長期的には貸し出しを含むクレジット資産等をさらに積み増すことで、収益の分散化を図りながら金利リスクと非金利リスクのバランスの取れたポートフォリオを目指す」と述べた。
農林中金は、外債売却の一方、より収益力を高めるため、株式やプロジェクトファイナンス、ローン担保証券(CLO)といった証券化商品などへの投資を進めている。
ムーディーズ・レーティングスのシニア・クレジット・オフィサー、鈴木智哉氏は「不採算の外債売却などを通じた有価証券ポートフォリオの再構築が進み、収益性が安定軌道に戻るかが課題」との見方を示した。
農林中金は来期(26年3月期)の純利益が300億-700億円程度と黒字回復を見込むとの見通しも発表した。低利回り資産を引き続き売却することで、安定的な黒字を確保していく。同期末の前提として、日本の政策金利が1.00%、米国の同金利は4.00%、1ドル=150円程度としている。
外債運用での巨額損失を巡っては、農林水産省の有識者検証会が外部人材の登用などを提案として盛り込んだ報告書を先月、取りまとめた。農林中金は提言を受けた今後の対応方針についても発表した。
具体的には、従来一体化していた財務戦略と投資執行にかかるガバナンスを明確に分離し、新たにCFOを議長とする財務戦略委員会を設置する。財務戦略と投資執行のそれぞれの独立性を高めることで、従来よりも機動的な経営判断が可能になるという。
北林氏は外部人材の採用を検討することについて、幅広く金融機関や運用会社などから「いわゆる市場、非市場の資産を含めていろいろな形で経験のある方を外部の人材として採用できたらと考えている」と述べた。
経営の執行を担う理事会に外部の有識者を非常勤の外部理事として参加できるよう検討する。外部理事を実現するためには、農林中央金庫法の改正が必要のため、それまでの間は同委員会に専門性を有する外部見識者の招へいを検討する。
●先進国政治動向
トランプ時代の難題の一つは、大統領が注目を引くためにまくし立てているのか、それとも彼の発言が政策や優先事項の真の変化を示しているのかを見分けることだ。ここ何日かのウクライナに対するドナルド・トランプ米大統領の言葉による攻撃は、後者のように思われる。もしかすると、これから起きる醜悪な決着の兆候かもしれない。
トランプ氏は18日、ロシアのプロパガンダのまねをして、ウクライナがロシアとの戦争を始めたのであり、ウクライナは戦時下での選挙を実施していないため、ロシアと大して変わらないと主張した。これに対し、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、トランプ氏は「偽情報の空間」に生きていると言い返した。この発言は軽率だったかもしれないが正確だった。
トランプ氏は19日、いつものように発言をエスカレートさせ、ゼレンスキー氏を「独裁者」と呼び、ウクライナの指導者が米国をだまして「勝つ見込みのない、まったく始める必要のなかった」戦争への支援に引き込んだとほのめかした。また、ゼレンスキー氏は「選挙を拒否し、ウクライナの世論調査では支持率が非常に低く、彼が得意だったのはバイデン氏を『バイオリンのように』操ることだけだ」とトランプ氏は述べた。
この発言を単なる巧言と片付けたくなるが、トランプ氏には政治的な意図があるように感じられる。トランプ氏は有権者に、ウクライナとロシアの間に本質的な違いはないと思わせるために、ウクライナの民主主義をけなしている可能性がある。こうすれば、ウクライナを裏切るような和平合意が売り込みやすくなると考えているのかもしれない。
両国にはモラル面で大差がないというトランプ氏の主張が誤っていることを、たいていの米国人は看過しないだろう。プーチン氏によるウクライナ征服のための戦争は3年前の2月、ロシア軍が国境を越えて侵攻し、首都キーウの占領を図ったときに始まった。プーチン氏に正当な安全保障上の懸念があったために始まったわけではない。この年を重ねたソ連時代の国家保安委員会(KGB)元工作員が、自身が若い頃に崩壊した「ソビエト帝国」の大半を復活させたいと考えているために始まったのだ。
ウクライナは、戒厳令下で生き残りのために戦う中で選挙を延期している。それは同国の憲法で認められている。第2次世界大戦中にナチス・ドイツの包囲下にあった英国は選挙を実施しなかった。ウィンストン・チャーチルは独裁者だったのだろうか。
ウクライナの民主主義は脆弱(ぜいじゃく)であり、欧州連合(EU)のような西側の機関に加盟できれば、より強いものになるだろう。この戦争において、唯一の独裁者はプーチン氏だ。同氏は亡命したロシア人に海外で毒を盛り、自身に反対する人々を北極圏の刑務所に追いやる。彼が自由な選挙を実施するというのなら、知らせてほしいものだ。
トランプ氏はまた、ゼレンスキー氏に反感を抱くようウクライナ国民を誘導できると考えている可能性がある。だが皮肉なのは、トランプ氏のゼレンスキー批判が逆効果をもたらすかもしれないことだ。将来のロシアの攻撃に対して信頼できる安全面での保証を含まない米ロの取り決めによる悪いディールの押し付けに、ゼレンスキー氏が反対しているように見えればなおさらだ。
プーチン氏が北大西洋条約機構(NATO)加盟国との境界線に新たな拠点を設けるのを阻止することは、米国にとって大きな利益になる。これが、米国によるウクライナへの武器供与が正しいと考えられてきた真の理由だ。ウクライナの降伏を意味するディールは米国の力に打撃を与え、太平洋地域や中東にまでその影響は波及するだろう。そうなれば、米国が尊敬され、世界が平穏だった黄金時代を復活させるというトランプ氏の約束とは正反対の状況になる。
奇妙に思えるのは、トランプ氏がプーチン氏以上に「和平」協定を望んでいるように見えることだ。どんな交渉においても、より多くを望む方が立場が弱くなる。トランプ氏は大統領選での公約通り、和平を実現したと主張できることを望んでいるが、反面教師になるのがジョー・バイデン前大統領だ。
バイデン氏は大統領任期中に、アフガニスタンからうまく手を引くことを試みた。だが同氏が決めた米軍のアフガン撤退は、世界中での危機の連鎖の口火を切ることになった。このことは自身の大統領任期を特徴づけることとなった。バイデン氏はこの撤退が首尾良く行われ、勝利したと売り込もうとしたが、米国民はそうは受け止めなかった。今後、ロシアが勝ち誇るのを目にし、ウクライナを巡る和平が自分たちの考えていた和平と違うと気づいた時には、米軍のアフガン撤退の際と同様の反応を示すかもしれない。
トランプ氏は先週、ウクライナのNATO加盟の可能性を否定するとともに、同国はロシアに侵略された領土のかなりの部分を放棄しなければならないと語った。これは、何の見返りも得ずにプーチン氏に譲歩するということだ。プーチン氏は今週、ウクライナへのさらなるドローン攻撃でこれに応じた。トランプ氏は手玉に取られることを嫌うはずだと、われわれは思っていた。
ロシアが侵略をやめて恒久的和平を受け入れなければ、武器や他の圧力に直面することになる、とプーチン氏に明確に示す方が、ウクライナを非難するよりも好ましい戦略だ。トランプ氏がディールの実現に躍起になっているように思える現在の状況は、ウクライナ、欧州、米国の利益にとってのリスクであるだけでなく、トランプ氏の大統領としての評価にとってもリスクとなる。
移民問題で強硬派でアンゲラ・メルケル首相の長年のライバルであるフリードリヒ・メルツ氏が、ドイツの次期首相になると見られている。メルツ氏の政党であるキリスト教民主同盟は、選挙の数日前に傘下のキリスト教社会同盟とともに世論調査で首位に立っている。
メルツ氏は9月、今年の連邦選挙でCDU党の首相指名候補に選出された。同党は2022年から同党を率い、野党のCDU-CSU議員団を率いてきた。CSUは数十年にわたりバイエルン州の政治を支配してきた地域政党で、連邦レベルではCDUと連合を組んでいる。
政治とビジネスの間
69歳のメルツ氏は政界入りする前、法律を学び、最初は裁判官として、その後メイヤー・ブラウン法律事務所で弁護士として働いた。また、ブラックロック・ドイツやHSBCトリンカウス・アンド・ブルクハルトなど、さまざまな大企業で上級職を歴任したほか、EYドイツ、ボルシア・ドルトムント、ドイツ取引所の取締役も務めた。
メルツ氏は既婚で3人の子供がいる。伝えられるところによると、彼は2機の飛行機を所有しており、暇な時には操縦しているという。
メルツ氏は学生時代にキリスト教民主同盟(CDU)に入党し、最終的には同党の青年組織の地方支部を率いた。1989年に欧州議会議員に5年間就任し、その後ドイツ連邦議会議員として15年間務めた。
2000年代初頭のメルツ氏の政治キャリアの大部分はメルケル氏とのライバル関係で特徴づけられ、2人はCDUとCDU/CSU議会グループの指導的地位を争った。メルツ氏は2000年以降、まず後者グループの議長となり、その後副議長となった。
彼は2004年にこの職を辞任したが、当時の観察者はこれはメルケル氏の昇進によるものだと示唆していた。
メルケル首相とメルツ氏の間の緊張は今も続いており、元ドイツ首相は先月、議会の採決で極右政党「ドイツのための選択肢」に協力したとしてCDU党首を批判した。
政策立場
メルツ氏はCDUと同様に中道右派の政策立場をとっており、社会的に保守的で企業寄りの政治家とみなされている。
メルツ氏は、所得税や法人税の引き下げ、官僚制度の煩雑さの削減による企業やイノベーションの促進、ドイツ国内の産業の枠組み条件の調整による民間投資の促進などを主張している。また、ドイツをスタートアップにとってより魅力的な国にするという目標を掲げ、デジタル化とAIに重点を置く新たな大臣職を創設するとも述べている。
CDU党首はまた、政府が負う債務の額を制限し、連邦政府の構造的財政赤字を抑制する、ドイツの非常に議論の多い債務ブレーキ規則の改革に前向きな姿勢を示している。
メルツ氏はオラフ・ショルツ政権の経済政策を強く批判しており、それが国の不況の原因であると示唆し、大幅な政策転換を求めている。
この姿勢には、経済政策が気候変動に重点を置きすぎているという批判も含まれているが、メルツ氏はこれを変えると述べている。メルツ氏は気候危機を問題として広く認識しているものの、風力タービンの建設など、気候危機に対処するために講じられた措置の一部については懐疑的である。
外交政策の面では、メルツ氏は先週末のミュンヘン安全保障会議で、ドイツは欧州内でより強い指導的立場をとるべきだと示唆し、ウクライナ戦争はすぐに終結しなければならないと述べ、紛争が続く同国へのさらなる武器供与に前向きな姿勢を示した。
しかしメルツ氏は、NATO加盟国がこの分野での資金拠出を増額すべきかどうかの議論が続く中、ドイツの防衛費計画に関する質問は概ね避けた。
メルツ氏を苦境に陥れている政策課題は移民問題だ。同氏は、ドイツの現在の難民・移民政策が緩慢で対応が遅いと批判し、国外追放予定者による国内での暴力事件と関連づけ、警備強化、国外追放の増加、国境管理の厳格化を主張している。
事態は1月に頂点に達した。メルツ氏が先頭に立った拘束力のない動議がAfDに支持されたのだ。これはドイツ戦後史上初めて、極右の力を借りて過半数議席を獲得した事例となった。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が2022年12月に米上下両院合同会議で演説を行った際、共和党の上院議員の多くは同氏を称賛し、現代のウィンストン・チャーチルと呼んだ。
だがドナルド・トランプ米大統領がゼレンスキー氏を独裁者と呼び、ロシアによるウクライナ侵攻の責任はウクライナ側にあったと述べる中、ゼレンスキー氏を擁護する共和党議員はほぼいなくなっている。
共和党上院議員らは、米政府が3年間にわたる戦争で支援してきたウクライナに対し、トランプ氏が攻撃を展開したことに不意を突かれている。多くの議員は当初、トランプ氏の発言に関する報道が正確であるとは信じられなかったほか、発言の内容は把握していないと述べていた。
また別の議員らはトランプ氏が型破りな交渉戦略を展開しているとのわずかな期待を持ち、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対する厳しい批判を展開させた。
今回の出来事はトランプ氏が掲げる「アメリカ・ファースト(米国第一)」政策が、第2次世界大戦後の時代を定義してきた米国主導の同盟システムから共和党を遠ざけていることを浮き彫りにしている。また、大統領の突然の政策転換が議員たちを戸惑わせ、最高司令官と足並みが乱れる可能性があることも示した。
伝統的な国防タカ派は、トランプ氏の発言について発言を控えている。上院軍事委員会委員長のロジャー・ウィッカー氏(共和、ミシシッピ州)やトッド・ヤング上院議員(共和、インディアナ州)を含む数人の議員は19日午前、携帯電話を耳に押し当てたまま記者たちの前を通り過ぎた。ジョニ・アーンスト上院議員(共和、アイオワ州)は、記者からの質問を無視した。
上院共和党指導者として長年にわたりウクライナ支援を主導してきたミッチ・マコネル上院議員(ケンタッキー州)はコメントを控えた。昨年上院を通過した最新のウクライナ向け支援パッケージは、ほぼ全ての民主党議員と31人の共和党議員の支持を得て可決されている。
一方でマイク・ラウンズ上院議員(共和、サウスダコタ州)は19日、ゼレンスキー氏を強く擁護した数少ない共和党議員の1人として、「彼はウクライナの正当に選出された大統領だ」とコメント。「わたしはゼレンスキー氏と何度か会ったことがあり、ロシアからの攻撃に耐え続けている大きな理由は彼の存在だと思う」と述べた。
だがトランプ氏の今回の発言に反論した共和党上院議員らのほとんどは、穏やかな表現にとどめたうえでトランプ氏を信頼しているとも述べ、政府が主導する和平交渉に期待するとした。一部の議員はまた、支持率が低迷するゼレンスキー氏を明確に擁護することは避け、プーチン氏への批判を展開した。
超党派の議員団とウクライナを訪問し、集団墓地を視察したばかりのトム・ティリス上院議員(共和、ノースカロライナ州)は、プーチン氏を「殺人的独裁者」と呼び、戦争を始めたのは同氏だと主張。「ウクライナでの解決策が、彼に勝利したと感じさせたり、引き分けに持ち込んだりするのは良くないアイデアだと思う」と述べた。
ジョン・ケネディ上院議員(共和、ルイジアナ州)はゼレンスキー氏に関するトランプ氏の発言に同意しないと述べたうえで、プーチン氏への嫌悪感を表明。ロシア大統領は「スターリンのように血を渇望している」とし、「彼と同じ空気を吸うのも嫌だ」と語った。
ジョン・スーン上院院内総務(共和、サウスダコタ州)は、トランプ氏は自分の意見を述べることができるとしながらも、ロシアが戦争を始めたことは「疑いの余地がない」と付け加えた。
ドナルド・トランプ米大統領は、就任からわずか4週間で外交政策の方向を劇的に転換している。米国は同盟国としての自らの信頼性を低下させ、世界への関与からも後退しており、各国との関係が根本的に再編される可能性もある。
トランプ政権の外交トップがロシアと和平交渉で示した譲歩は、欧州の同盟国に驚きを持って受け止められている。トランプ氏はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を独裁者と呼び、交渉開始にあたって欧州各国とは一定の距離を保っている。
中国が途上国への影響力維持に努める中、トランプ氏はこれらの国を支援する国際開発庁(USAID)を解体。さらに米政府がガザ地区を所有してパレスチナ人を移住させる計画は、米政府が数十年にわたり仲介しようとしてきた二国家解決案への取り組みを無に帰した。
さらにトランプ氏が掲げる関税引き上げ計画は、米国主導のグローバリゼーションの終わりを告げるものとなっている。
トランプ氏が国際問題に対処するにあたり、歴代大統領と同じ方法を取るとは誰も期待していなかった。だが、1945年以来の路線から米国の外交政策をこれほど急速に方向転換することもまた、ほとんど誰も予想してはいなかった。
ほとんどの外交政策専門家は、米国が第2次世界大戦終結以来、自らが主導する同盟システムで国力の強化を支えてきたとみている。欧州、中東、そしてアジアの同盟国を守ると誓うことで、米国は他のどの国よりも自由貿易や世界の安定を保証する役割を担ってきた。その使命には、かつては旧ソ連、そして最近では中国に対抗することも含まれていた。
トランプ氏の見方はこれと異なる。同氏は同盟国が米国に与えるよりも多くを米国から得ているとみている。また他国は米軍とその核の傘に安全保障を依存するのではなく、軍事費を増額すべきであり、米国の好意を得るための経済的インセンティブを提供すべきだと考えている。トランプ氏の外交政策観ははるかに取引的で、勝ち負けを重視するものとなっている。
ヘリテージ財団で国家安全保障・外交政策担当の副所長を務めるビクトリア・コーツ氏は、「トランプ大統領が第2次世界大戦後の秩序を放棄しているわけではない」とし、「もはや第2次世界大戦後の時代ではなく、地政学的な状況が変化したことを受け入れなければならない」と付け加えた。
トランプ氏は1期目の外交政策でも同じアプローチを取ったが、2期目では新たな要素を加え、米国の国境を拡大することや、一方的に海外の領土を獲得することも提案。ホワイトハウス入りする以前からパナマ運河の奪還やデンマークからグリーンランド獲得、さらにカナダを51番目の州にすることについて言及していた。
さらに就任後にもこれらの考えを繰り返したことで、それまでは唐突な発想に過ぎなかったものが米国の政策として現実味のあるものとなり、世界中の国々に対するシグナルともなった。
外交問題評議会のリチャード・ハース名誉会長は、「外交政策で行われたことを元に戻すことや、二度と繰り返されない1回限りのことだと同盟国を説得するのは非常に困難だ。トランプ氏の1期目の当選後には可能だったかもしれないが、再選後はそうではない」と指摘。「米国の信頼性と予測可能性を巡る評判は、深刻なほど損なわれている」と述べた。
直近の出来事は、トランプ氏が率いる米政府に対する同盟国の疑念をさらに深めている。
トランプ氏は先週、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談後、ロシアの国際的孤立を終わらせる可能性のある交渉に同意。ピート・ヘグセス米国防長官も、ウクライナ戦争を終結させるための和平交渉には、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟することが含まれないだろうとした。これでは、外交努力が始まる前からロシアが勝利を手にしたようなものだ。
ヘグセス氏はその後、すべての選択肢は引き続き検討されていると述べ発言を撤回した。だが、同盟国は、トランプ氏の米国が大西洋をまたいだ団結をほとんど気にかけていないとの印象を持つこととなった。
JD・バンス米副大統領は14日にミュンヘン安全保障会議で演説を行い、欧州の同盟国は民主主義を破壊していると非難した。また、欧州各国政府がウクライナ和平交渉に参加するよう要請したにもかかわらず、米政府当局者らは、交渉の場に参加することはできないとし、欧州の見解を考慮すると述べただけだった。
オバマ政権で国防長官を務めたチャック・ヘーゲル氏は、「いま起きていることは、第2次世界大戦後の世界秩序の基盤に対する深刻な挑戦だ」とし、「この国とこの世界の未来について、今ほど懸念を感じたことはない」と付け加えている。
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
ベッセント米財務長官は20日、米国債の発行で長期債の割合を増やす措置はまだ先になるだろうと述べた。高止まりしているインフレや連邦準備制度の量的引き締め(QT)プログラムなど、現時点では障害があると指摘した。
同長官はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、期間長めの米国債発行についての問いに答え「それはまだ先のことだ」と述べた。
米財務省は今月、中長期債の発行規模を2025年も当分現状で維持するガイダンスを据え置いた。
ベッセント氏は財務長官に指名される前に、期間短めの債務で財政赤字を補うイエレン前長官の発行戦略を批判していた。
今回のインタビューで以前の発言について問われると、「前政権はデュレーションの一部を短期化した。われわれはそれ以上の短期化をしていない」と説明。
「『バイデンフレーション』とも言うべきようなものがまだ表れ続けている状態だ。われわれが何をしているか市場が理解するにつれ、インフレが低下を始めれば、そこでどうするかだろう。従って、今後の展開次第になる」と長期債の発行増額の可能性について述べ、「それが最終的な目標だが、現時点で示唆はしない」と続けた。
ベッセント氏は、政府効率化省(DOGE)が主導するコスト節約推進、規制緩和や減税による成長加速、米国のエネルギー供給拡大でインフレは低下するとの持論をあらためて強調し、それが長期金利低下の基盤になると語った。
こうした発言を受け、米長期債は上昇し、10年債利回りは一時約3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.50%に達した。同利回りは2%を優に下回っていた新型コロナウイルス流行前と比べると、依然として極めて高い。
ベッセント氏はまた、米連邦準備制度は現在、米国債の保有を減らす、いわゆるQTを実施しており、債券の売り手として事実上、財務省と競合していると指摘した。直近の議事要旨によると、連邦公開市場委員会(FOMC)ではQTの休止または減速が議論されている。
「連邦準備制度はバランスシート圧縮を停止する可能性があると表明した」とベッセント氏は指摘。そうなれば、「もう一つの大口の売り手と競合しなくなるため、自分にとってデュレーションの長期化はやりやすくなる」と語った。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長とは19日に会ったと明らかにし、現在の金融政策について公にはコメントしない慣行を続けるとも述べた。
市場はトランプ米大統領の成長促進政策になお楽観的だが、根強いインフレとトランプ氏の強硬な貿易政策により、1970年代に米国を悩ませた低成長・高インフレ、いわゆる「スタグフレーション」懸念が再燃している。
スタグフレーションの再来の可能性は過去50年間にも定期的に浮上したが、投資家のポートフォリオに対する実際の脅威としては顕在化していない。今回は違うとはまだ言い切れないものの、貿易戦争や懲罰的関税の可能性が米国の成長に影を落とす中、この恐ろしいシナリオはここ数週間、主要なリスクとして再び忍び寄っている。
ブランディワイン・グローバルの債券戦略ポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「インフレが長引き、連邦準備理事会(FRB)の政策余地が制限される一方で、消費者需要を損ないかねない政策が打ち出され、スタグフレーションの可能性が確実に再浮上した。もはや可能性ゼロのシナリオではない」と警告した。]
1月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%上昇。前月比では0.5%上昇し、2023年8月以来、約1年半ぶりの大幅な伸びを記録した。スタグフレーションを構成する重要なピースである高インフレ率の定着が裏付けられた。もう一つのピースである経済成長率も、関税がインフレ圧力を高める中、危うい状況にある。
イノベーター・キャピタル・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、ティム・アーバノウィッツ氏は「われわれが引き続き懸念しているのはインフレリスクよりもスタグフレーションだ。高インフレという根強い問題に加えて、関税は消費者への課税となり、利益と経済成長を圧迫することで経済を減速させかねない」と指摘した。
バンク・オブ・アメリカが18日に世界のファンドマネジャーを対象に行った調査によると、向こう1年間にスタグフレーション(同行の定義では成長率がトレンドを下回り、インフレ率がトレンドを上回る状態)を予想する投資家の割合が7カ月ぶりの高水準に達した。ただし同時に、投資家は株式に対して依然として強気な姿勢を維持しているほか、貿易戦争については発生確率が低いリスクとみられていることも調査で明らかになった。
トランプ大統領は2月初めにカナダとメキシコからの輸入品への新たな関税の導入を1カ月延期したが、一方で中国からの全輸入品に新たに10%の関税を導入、世界の鉄鋼とアルミニウムの輸入に関税を課すと発表した。
トランプ大統領はまた、米国からの輸入品に課税している全ての国に対して相互関税を課す計画を立案するよう経済チームに指示。今週には、自動車、半導体、医薬品の輸入に25%の関税を導入する計画を打ち出した。
一部の投資家は、関税による経済成長への打撃は一時的なものだと考えている。
キャピタル・グループの資産クラスサービス責任者マディ・デスナー氏は、長期的には関税が成長を促し、世界的な競争の減少から恩恵を受ける産業を後押しする可能性もあると述べた。一方、関税の初期の影響は価格圧力を強める可能性があり、「実際、おそらくこの2つの間のどこかになるだろう」と指摘。キャピタル・グループが20年後の10年国債利回り予想を昨年の予想の3.7%から3.9%に引き上げた理由の一部は関税だと説明した。
<スタグフレーションリスク、評価分かれる>
スタグフレーションは、インフレ率が急上昇し、株価と債券価格が急落した22年にも不安の源として浮上したが、インフレが最終的に緩和し、成長が堅調に推移したことから、そのシナリオは現実にはならなかった。
米経済が再びスタグフレーションを免れると信じる向きは多い。
現在のコアインフレ率は約3%で、年平均で7%前後だった1970年代の水準をはるかに下回っている。エバーコアISIは最近のリポートの中で、今回はインフレ期待が「固定」されていると指摘した。
それでも、ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、市場はスタグフレーションのリスクを過小評価している可能性があると警告する。トランプ氏の選挙公約の一つである、査証(ビザ)やその他の書類を持たない労働者の大規模な強制送還の可能性も、インフレを加速させるだろうとの見方を示している。
「関税と(移民の)国外追放はインフレ高進を招き、経済成長を阻害する。どちらもマイナスの供給ショックだ」と指摘し、原油価格高騰などが1970年代のスタグフレーションの一因になったことに言及した。
BNPパリバの米金利戦略責任者グニート・ディングラ氏は、市場は過去6カ月間、トランプ氏の成長促進政策を重視して「油断してきた」と述べた。その上で、スタグフレーションを警戒する投資家は、インフレ上昇で価値が下がる可能性が高い2年国債を売り、低成長シナリオで恩恵を受ける10年国債を買う可能性があるとした。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのSPDRアメリカズ調査責任者、マシュー・バルトリーニ氏は、スタグフレーション環境でも価値を維持する数少ない資産の一つである金への関心の高まりは一部投資家の懸念を示しているとの見方を示した。金価格は19日、過去最高値を更新した。
前述のブランディワインのマッキンタイア氏は、もう一つの大きな勝者は現金だろうと述べたが、「まだそこまでには至っていない」ため、今のところは現金のような固定利付商品への大きなシフトは控えていると述べた。
日本生命保険は、昨年10月に始まったトランプトレード以降の米金利上昇とドル高止まりを受け、オープン外債を積み増している。また為替のヘッジコストが低下していることから、ここ数年魅力が乏しくなっていたヘッジ付き外債への投資も再開し、両者を組み合わせた機動的な外債投資を開始した。
都築彰・執行役員財務企画部長が19日夕方、ロイターとのインタビューで明らかにした。
日本生命は昨年10月半ばに示した運用計画では、オープン外債は「横ばいか減少」、ヘッジ外債は「増やすがプライベートデット中心」としていた。
都築氏は「トランプ米政権の政策により米利下げが後ろ倒しになるリスクが出ており、急には円高に行かない可能性があるとみて為替のリスクも若干取れると判断。オープンとヘッジを機動的に組み合わせながら、外債をポートフォリオに入れ始めている」と述べた。
同社では当初、日米金利差縮小を受けて為替のドル円は年度末145円への下落を見込んでいたが、19日時点のレートは151.80円と依然円安基調。引き続き方向性は円高だとして公式な為替見通しは変えていないが、「米利下げペースが緩む可能性があり、円安の滞空時間はもう少し長くなりそうだ」(都築氏)という。
具体的な運用先に関しては、「米国に加え、具体的な国名は控えるが複数の欧州国債に投資している。これまで力を入れていたクレジットは、スプレッドがタイト化していて妙味が乏しい」とした。
日本生命ではヘッジコスト上昇を見込んでヘッジ外債を22年度に大量に売却しており、ポートフォリオに占める割合が非常に小さくなっていた。しかしドルのヘッジコストは年度初が5%台前半だったものが、足もとは4%近辺に低下。ユーロのコストも年度初4%近辺が、足元は2%台前半に低下している。
都築氏は25年度の運用方針はまだ議論中だとしつつも、「我々が買おうとしている米長期債はまだ利回りも高い。今のうちに仕込んでおけば、ヘッジコストが下がってきたこともあり、5年・10年のタームで見て非常に良い投資になると思う。次年度計画での積み増しも検討したい」と述べた。
同社の当初計画では、今年度末の米10年金利を3.80%と見込んでいたが、19日時点で4.57%と高止まりしている。
一方、円債については、日本生命が当初計画で示した見通し(10年金利で年度末1.4%、30年金利同2.0─2.5%)が的中。昨年10月にロイターが聴き取りを行った大手生保10社の中で最も高く、残り9社の10年金利予想はいずれも0.9─1.2%だった
都築氏は「我々は当時、金利は日銀の利上げを十分織り込めていないと思っていた。その後の円金利は見通し通りの動きとなり、当社は年度上期の投資を遅らせた分、下期に金利が上昇(債券価格は下落)したところで順調に購入できている。年度を通じて平準買いするよりも、非常にうまいタイミングで投資できた」と振り返る。投資対象は引き続き、30年債を中心とする超長期債が中心。
日銀の金融政策見通しについては、今年6月─9月の間に1回、12月─来年3月の間に1回と、概ね半年に1回のペースで1.0%までの追加利上げを想定。それ以上は国内外の景気やインフレの状況をみての判断となり、時点ではターミナルレートの具体的な水準は想定していないという。
その上で、都築氏は25年度の円金利について「足もとの長期金利は上昇ペースが速いが、ここからは一本調子で上がるとは思っていない。1%台後半への上昇ではなく1%台半ばが居どころではないか。30年金利は2%台半ばというイメージだ」と述べ、19日時点の10年金利の1.435%、30年金利の2.330%からの上昇余地は限られるとの見方を示した。
中国市場での競争激化と欧州の厳しい規制に直面した各国の自動車メーカーは、米国に活路を見いだそうとしてきた。そこへドナルド・トランプ米大統領による関税の脅威が浮上した。
トランプ氏は大統領に返り咲くと、9180億ドル(約139兆円)に上る米貿易赤字を問題視し、関税案を次々に打ち出した。メキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税、相手国が設けている貿易制限に基づく相互関税、自動車や半導体など特定分野への関税などだ。
トランプ氏は18日、分野ごとに「25%前後」の関税を課し、その後引き上げる可能性があると述べた。企業が米国に生産を移せるよう、猶予期間を設ける可能性も示唆した。
これを受け、欧州とアジアの自動車メーカーは重要性が増している市場での競争力を維持するため、生産計画を見直している。
ホンダの青山真二副社長は先週、状況の変化に機敏に対応していく考えを示した。
トランプ氏は長年、欧州などからの自動車輸入に不満を表明してきた。米国が欧州連合(EU)からの輸入車に2.5%の関税を課す一方、欧州連合(EU)は米国からの輸入車に10%を課している。米政府は相互関税案を発表した際、これを「互恵的ではない」と指摘した。
米国で昨年販売された小型車約1600万台のうち、およそ半分が輸入車だった。その内訳は、メキシコ・カナダと北米以外がほぼ半々だった。米国はメキシコおよびカナダと貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を結んでいる。
米ミシガン州デトロイトに拠点を置く自動車メーカーの米ゼネラル・モーターズ(GM)、米フォード・モーター、欧州ステランティスとそのサプライヤーは、製造工程で米国とカナダを行き来する部品に大きく依存しており、北米内の貿易障壁を最小限に抑えるよう、ホワイトハウスに積極的に働きかけてきた。
自動車の対米貿易黒字で上位の国は、北米を除くと日本、韓国、ドイツだ。
日本の自動車大手は1980年代に米国で生産網の構築を始めたが、今も多くを日本から出荷している。トヨタ自動車は昨年の北米販売台数が約270万台だったと明らかにした。ワーズ・インテリジェンスのデータによると、このうち北米で組み立てたのは約210万台、米国に限ると140万台だった。
韓国の現代自動車と起亜は近年、米国で急成長しており、米国生産も急速に拡大しているものの、輸入の割合は日系メーカーより大きい。
こうしたアジアのメーカーは米国の消費者に大きく依存している。直近の業績では、売り上げに占める米国の割合はトヨタが4分の1、現代自動車が29%、ホンダの5分の2弱だった。
ドイツの自動車メーカーも、かつて優勢だった中国市場で競争が激化するにつれ、米国をより重視するようになった。中でもフォルクスワーゲンは、同社にとって唯一大きな成長余地が残されている米国での野心を明確にしている。
域内で低成長と厳しい規制に直面している欧州メーカーにとって、米国はこれまで以上に好環境に映る。昨年の欧州域内の販売台数は2019年比で5分の1近く減った。厳しい排出規制に合わせて各社は電気自動車(EV)への多大な投資を余儀なくされている。
欧州車は通常、高価格帯のメーカーほど米国の消費者への依存が大きく、米国生産は少ない。伊フェラーリと独ポルシェは昨年の販売台数の約4分の1を米国が占め、その全てが輸入だった。
アウディには米国工場がないが、独メルセデスベンツとBMWは1990年代にそれぞれアラバマ州とサウスカロライナ州にスポーツタイプ多目的車(SUV)の生産拠点を設け、生産網の要となっている。
メルセデスベンツとBMWにとって、米工場は米政府との交渉材料としては有益だが、必ずしも関税リスクを軽減するものではない。生産台数が限られているため、両社はセダンを欧州から米国へ、SUVを米国から欧州へそれぞれ輸出している。両地域で両車種を生産しているわけではない。
米関税の詳細はいまだ不明で、各社はさまざまなシナリオに沿って準備を進めている。ホンダと日産自動車は先週の決算発表で、生産移管の可能性に触れた。
トランプ氏が言うように、米国生産を増やせば関税を回避できるかもしれないが、簡単な決断ではない。工場建設や組み立てラインの再編に時間とコストがかかる上、新たな関税がいつまで続くのかは不透明だ。
メキシコとカナダへの関税は3月まで延期された。トランプ氏は先週、連邦機関に対し、相互関税の導入方法に関する報告書を4月初旬までに提出するよう指示した。非関税障壁も対象となる。自動車関税の詳細も同じ時期に発表するとみられる。
トランプ氏は、非関税障壁を極めて広く解釈する可能性を示唆している。今週のXへの投稿で、いわゆる付加価値税は関税より「はるかに懲罰的」だとし、相互関税の算出に加えると述べた。付加価値税は、欧州で販売される自動車などの製品に課す売上税で、税率は通常20%かそれ以上。現地企業の製品も対象となる。
スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーのジム・ローワン最高経営責任者(CEO)は、同社の米工場には増産余地があるとした上で、新たな関税について、米国での生産コストと同社のグローバル生産網への影響に照らし合わせて検証する必要があると述べた。「何よりも関税の額次第だ」
シェ・ウェイナさん(45)はかつて、1500ドル(約23万円)以上する高級バッグを2カ月おきに購入していた。昨年は、バッグの代わりにジムの会員権とピラティスのレッスンに2800ドルほど費やした。
「人は裕福になると、それを誇示するためにモノで自分を満たさなければと感じる」とシェさんは言う。「ただ一定のレベルに達すると、そうした見えのためのモノはもういらないと感じるようになる」
中国で高級ブランドの輝きが失われつつある。景気低迷、政治的な緊縮ムード、高級ブランドは時代遅れだと感じる消費者の存在が相まって、ここ数年の業界を押し上げてきたブームに終止符が打たれた。
コンサルティング会社ベインの推計によると、中国の高級品市場は昨年、2割ほど縮小した。業界首位の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは2024年10-12月期(第4四半期)に、日本を除くアジアの売上高(主に中国の売上高)が前年同期比11%減少したと発表した。グッチを傘下に持つ仏ケリングでは、同じく中国が中心の売上高が24%減少した。
ベインのパートナー、ウェイウェイ・シン氏は「超高成長期はもう戻ってこない。はるかに緩やかな成長になるだろう」と述べた。
アナリストらはLVMHとケリングの幹部に対し、この減少が景気循環的なものか、それとも中国の消費者の間でより根本的な変化が起きている兆候なのかと詰め寄った。ケリングのフランソワアンリ・ピノー会長兼最高経営責任者(CEO)とLVMHのベルナール・アルノー会長兼CEOはいずれも、中国市場は回復までに時間がかかりそうだが、いずれ回復するとの見方を示した。
中国国内では、一部のブランドが店舗を閉鎖したり、新店舗の開店に時間をかけたりしている。グッチは地方都市で少なくとも2店舗を閉鎖した。北京のおしゃれな三里屯地区では、ルイ・ヴィトンやディオール、ティファニーのロゴシートで覆われた建物が並んでいるが、いずれも開店していない。
客足は減少していると店舗スタッフは話す。元バッグ愛好家のシェさんによると、以前は問い合わせに応じなかった一流ブランドの店舗スタッフが、新商品を宣伝するためにチャットアプリで連絡してくるようになった。
各社は中国市場を諦めてはいない。縮小したとはいえ、最大級の市場であることに変わりはないからだ。昨年11月の上海輸入博覧会では、LVMHが大きなブースを設置し、中国人アーティストが書道風作品を施したルイ・ヴィトンのトランクなど、14ブランドの商品を展示した。
「こうした取り組みを行うに至った理由は非常にシンプルだ。中国を愛しているからだ」。LVMHのマルクアントワーヌ・ジャメ事務総長はこう述べた。
LVMHの傘下ブランド、ティファニーのアンソニー・レドルCEOは1月、「(中国の)平均価格は世界トップクラスだ。例えば、米国や日本、韓国よりも高い」と述べた。
中国と異なり、世界の大半の地域では高級品需要が安定を保っている。LVMHの米国での売上高は昨年、小幅増となった。ベインによると、世界の個人向け高級品市場に中国が占める割合は2024年に推計12%となり、2020年の20%から低下した。
中国では高級ブランドに限らず、西側諸国の企業(自動車メーカー、コーヒーチェーン、ハイテク企業など)が苦戦を強いられている。
中国の高級ブランド愛好家の中には、円安の影響で一部商品が割安な日本へ買い物旅行に出掛ける人もいる。こうした買い物は中国での落ち込みを一部補っているが、全てを補うには至っていないとベインは指摘する。
ケリングの株価は過去1年で3割ほど下落した。LVMH株は昨年、年初来高値を付けた後に3割程度下げたが、最近は持ち直している。
欧州の主要高級ブランドは30年前に中国に進出し始めた。新興の中間層や富裕層にとって、バッグ、ベルト、靴、スーツは憧れの的であり、新たに得た富を誇示する手段だった。
冒頭のシェさんの高級ブランド遍歴は、2008年に北京の高級モール「新光天地」で始まった。年末賞与として1万ドル強を受け取ったシェさんは友人の勧めで、そのうち約4000ドルをシャネルのクラシックフラップバッグ(ミディアムサイズ)に費やした。
シェさんは、5年間一生懸命働いた自分へのプレゼントとして購入したと話す。「お金を稼ぐ力があるという証しだった」
北京の労働仲裁会社で働くシェさんは、その後何年もかけて数十個のハンドバッグを購入し、数万ドルを費やした。エルメスの「リンディ」のバッグ、シャネルのチェーンウォレット、ルイ・ヴィトンの「ネオノエ」バッグなどだ。
シェさんは昨年、フィットネスに力を入れ始めた。今は友人たちと、ルルレモンやアークテリクスなどのライフスタイルブランドの話をするようになった。
中国経済が減速する中、高級品が以前よりも心に響かなくなったとシェさんは言う。シェさんからすれば、欧州ブランドの商品が次第にどれも同じように見えてきた一方で、ハンドバッグメーカー「ソングモント」といった中国ブランドは、手頃な価格でまずまずの品質とデザインを提供しているように映る。
医療分野で働くヤン・リウさん(32)は、グッチの「ディオニュソス」やブルガリの「セルペンティ」などのバッグを購入したが、新型コロナウイルス禍中に収入が減少し、高級品を買いたいという意欲が薄れたと話す。今はキャンバス地のトートバッグを使用している。
「ここ数年で、より合理的になった」とリウさんは言う。「それは主に費用対効果のことだ」
業界アナリストによると、世界的な値上げの結果、一部の憧れ購買層の間で高級ブランド離れが起きている。上海のコンサルティング会社、要客集団のデータによれば、中国では2019~22年の間に高級ブランドハンドバッグの平均価格が32%超上昇した。
高級ブランドは、富裕度・洗練度でトップクラスの中国の都市(北京や上海など)以外からの顧客の流入に期待を寄せている。
浦銀国際(SPDBインターナショナル)のアナリスト、リチャード・リン氏によると、中国の高級品市場は過去10年間、主に中間層の拡大によって支えられてきた。
「景気が一段と悪化すれば、中国の中間層の規模が縮小することもあり得る」とリン氏は述べた。
トランプ米政権の関税措置を巡り、市場の懸念が後退している。数週間前までは全面的な貿易戦争となる恐れから過剰なまでに反応していたが、トランプ大統領が猶予期間を設けたことなどからその可能性が少ないとの見方が強まり、投資家の関心は関税から移りつつある。ただ、その影響を軽視しすぎているとの指摘もある。
ステート・ストリート・グローバル・マーケッツ株式調査部門の責任者は「数カ月前は関税が注目すべき重要事項だった。メディアは今も関税を話題にしているが、市場は注意を払っていない」とし、「株式市場の変動の4割近くは関税の動向で説明できた。しかし、今では2%を下回っている」と指摘した。
トランプ氏の関税措置の範囲や時期、対象が明確でないことがその要因として挙がる。「合理的な確信を持って予測できない」との声も聞かれた。
トランプ氏は一律関税の構想を打ち出すなどしていたが、これまでのところ実際に発動された関税は少ない。ジェフリーズの欧州チーフエコノミスト、モヒト・クマール氏は、市場は交渉の道具にすぎないとの見方を強め、こうした動きに「一段と鈍感になっている」と指摘した。
2月にカナダとメキシコに対する関税が発表されると、カナダドルは大幅下落した。その後、関税導入の延期が発表されると、カナダドルは買い戻され、その後も上昇を続けている。ただ、関税措置が実行される可能性も残っており、そうなれば株価下落につながるとの見方も出ている。
欧州中央銀行(ECB)は20日、一部の労働者が仕事量の減少に直面し、失業を恐れて過剰に貯蓄する傾向がみられ、これが消費抑制につながっている可能性があるとの調査結果をブログに投稿した。
雇用が過去最高を更新する中、ECBはこれまで、消費が急増して成長をけん引すると予想してきた。しかしユーロ圏経済は概ね停滞したままであり、その期待は裏切られてきた。
ECBの最新のブログ投稿によると、労働者の多くは仕事量が大幅に減少しており、近いうちに仕事がなくなることをと恐れて貯蓄を増やし、消費を抑えて対応している。「成長が弱い一方で雇用市場が堅調な経済では、労働力の蓄えとそれに伴う労働力の活用率の低下が消費の足かせになる可能性がある」としている。
調査によると、労働者の10%が通常よりも仕事量が少ないと報告。建設業と工業が特に大きな影響を受けている。また、仕事量が減ったと報告した労働者は今後3カ月以内に職を失うリスクが高いと感じているという。
住宅市場が買い手に有利に転じている兆候がある。しかし、経済に対する新たな懸念が、一部の買い手を躊躇させている。
住宅購入者にとって良い面としては、住宅価格の伸びが鈍化し、住宅ローン金利が最近のピークから低下していることが挙げられる。
不動産仲介会社レッドフィンによると、 2月16日までの4週間の住宅販売価格の中央値は37万5475ドルで、前年比3.7%上昇した。これは約5カ月間で最小の増加だ。
一方、フレディマックのデータによると、2月13日までの週に30年固定金利住宅ローンの平均は6.87%に小幅低下した。これは今年これまでの最低値であり、1月の直近のピークである7.04%を下回っている。
しかし、「購入者は依然として、この大きな住宅購入の難しさに直面している」とジロウの上級エコノミスト、オルフェ・ディヴォンガイ氏は述べた。
米抵当銀行協会のデータによると、2月14日までの週の住宅ローン申請件数は前週比6.6%減少した。専門家らは、金曜日に発表される1月の住宅販売データでは減少が見られるだろうと予想している。
レッドフィンのエコノミスト、チェン・チャオ氏によると、比較的高額な費用に加え、経済全般に関する不確実性が高まっているため、一部の購入者は購入を再考する可能性があるという。
「その多くはホワイトハウスから来ている」と彼女は買い手が不安を抱いている理由について語った。
住宅市場における明るい兆し
専門家によると、住宅市場におけるいくつかの要因により、買い手は価格交渉の余地が広がっているという。
まず、売りに出す所有者が増えているため、在庫が増えている。選択肢が増えることで、買い手は「市場での交渉力が少し増す」とディボンギー氏は言う。
レッドフィンのデータによると、1月の新規住宅物件数は564,642件で、前月比1.9%増、前年比4.7%増となった。新規住宅物件数は2022年7月以来の最高水準に達した。
住宅販売業者の中には、希望価格を引き下げているところもある。レッドフィンのデータによると、典型的な住宅は希望価格より2%安く売られており、これは過去2年間で最大の値引きだ。
買い手は経済と失業を心配している
専門家によれば、経済の不確実性が広まっていることから、一部の購入者は計画を再考しているという。
2月中旬現在、トランプ大統領の政府職員削減計画の一環として、複数の連邦政府機関や省庁で数千人の職員が解雇されている。
これにより、政府と直接働いている人や、契約業務や連邦政府の資金援助を通じてつながっている人は、「近い将来に大きな変化が起こるかもしれないと不安になる可能性がある」と趙氏は述べた。
「彼らは雇用の安定を心配している」と趙氏は述べ、住宅購入の可能性をなくしている。
「まず最初にやるべきことは、経済的な安定を心配して、本当に大きな買い物を控えることです」と彼女は付け加えた。
不安はそれだけにとどまらない。貿易戦争の可能性や政府支出の大幅な変化により、米国人は「次はどうなるのか」と疑問に思うかもしれないと趙氏は説明した。
トランプ大統領は、諸外国に「相互関税」を課す計画を記した大統領覚書に署名した。この計画により、米国は他国の非関税政策を不公正な貿易慣行として扱い、それに応じて関税を課すことが可能になる。
消費者にとっては、日用品の価格上昇の見通しとインフレ加速の可能性により、新しい住宅への投資を躊躇する可能性がある。
アメリカ人はクレジットカードの借金をどんどん増やしている。
ニューヨーク連邦準備銀行は最近、消費者がクレジットカードで負っている負債総額が過去最高の1兆2100億ドルに達したと報告した。
トランスユニオンの別の四半期信用業界調査レポートによると、消費者1人当たりの平均残高は現在6,580ドルで、前年比3.5%増加している。
トランスユニオンのグローバル調査・コンサルティング担当上級副社長チャーリー・ワイズ氏は、増加傾向にあるものの、変化の速度は大幅に鈍化していると述べた。「消費者は依然としてクレジットカードを使い続けているが、クレジットカードに頼る額は減少しているようだ。」
パンデミックの影響で、物価上昇 と高金利により多くの世帯が圧迫されており、以前よりも緩やかなペースではあるものの、物価は依然上昇している。
主要なインフレ指標である消費者物価指数は、 2022年6月のパンデミック期のピークである9.1%から1月の3%まで徐々に低下しているが、依然として 連邦準備制度理事会(FRB)の2%目標を上回っている。
中央銀行は2024年後半に政策金利を1パーセントポイント引き下げたが、政策担当者らは労働市場の全体的な強さとドナルド・ トランプ大統領の政策の影響を評価しながら、今後はより慎重なペースで政策を進めることを主張している。
水曜日に公表された議事録によると、連邦準備制度理事会の当局者は、金利をさらに引き下げる前にインフレがさらに低下する必要があることに同意し、関税が及ぼす影響について懸念を表明した。
一方、ワイズ氏は、世帯は物価高、金利高という新たな常態にほぼ適応しており、「生活費をやりくりするためにクレジットカードに頼る割合はやや減ってきている」と述べた。2022年と2023年に残高が急増した後、クレジットカード負債の伸びは大幅に鈍化したと同氏は述べた。
トランスユニオンの調査によると、クレジットカードの延滞率、つまり90日以上支払いが遅れている割合は、2020年以降初めて前年比で低下した。「これは良い兆候だ」とワイズ氏は語った。
●中東情勢
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
- **為替市場:** ドルが主要通貨に対して下落。トランプ大統領の関税措置への慎重な市場反応の中、円は対ドルで11週間ぶりの高値(149.40円)を記録。
- **債券市場:** 米国債利回りは低下。FRBが量的引き締め(QT)の縮小・停止を検討。FRBはQTを早期終了する可能性も示唆。
- **株式市場:** 米株は反落。ウォルマートの弱い業績見通しが市場全体に影響。S&P500は2日続いた最高値更新がストップ。金融株が最大の下げ。
- **コモディティ市場:**
- **金:** トランプ政権の貿易政策の不透明感から金価格が反発し、史上最高値を更新(1オンス=2956.10ドル)。
- **原油:** 石油製品在庫の減少と供給不安で続伸し、WTI原油3月物は72.57ドルに上昇。
- **ロンドン株式市場:** 3日続落。英国の賃金・インフレ加速で年内の追加利下げ観測が後退し、大型株(BP、アストラゼネカなど)が下落。FTSE100は重荷となり、FTSE250も0.46%下落。フェレクスポはウクライナの鉱山国有化懸念で30%超急落。一方、ロイズ銀行は自社株買い計画で4.9%上昇。
- **欧州株式市場:** ドイツ総選挙を控え投資家が様子見姿勢。防衛費増額による財政負担懸念でSTOXX欧州600航空宇宙・防衛指数は2.8%安。エアバス、メルセデス、ルノーが下落。一方、シュナイダー・エレクトリックは好決算で3%高。
- **ユーロ圏債券:** 地政学的緊張と国防費増加見通しで売り圧力。ドイツ10年債利回りは1bp低下の2.536%。イタリア10年債利回りも2bp低下。市場は過度な上昇からの揺り戻しを意識。
- **地政学リスク:** トランプ米大統領のウクライナ批判で欧州各国が反発。国防費を賄うための国債発行増加観測が強まる中、債券市場の不透明感が続く。
備忘録(2025/2/19)
●海外企業決算
●海外企業
シルバーレイクは、インテルのアルテラ部門の過半数株式の買収交渉を行っている。インテルは非中核資産を売却し、財務を増強して米国と欧州の最新チップ製造工場に数十億ドルを投資しようとしている。
インテルは昨年、アルテラの株式を相当額取得する意欲のあるプライベートエクイティグループを探すためアドバイザーを雇った。同社は2015年に約170億ドルでアルテラを買収したが、専門投資家が同部門の復活を後押ししてくれると考えた。インテルは、株式売却はアルテラの価値を高め、完全撤退の準備を整えるだろうと述べた。
アルテラはライバルの半導体メーカーの関心を集めているが、米プライベートエクイティ・グループのシルバーレイクがインテルの優先候補として浮上していると、事情に詳しい3人が明らかにした。
1000億ドル以上の資産を運用する同社は、デルなどの大手テクノロジー企業を復活させる能力でウォール街で知られている。同社はまた、半導体業界に多額の投資を行っており、買収により現在のブロードコムの前身となったアバゴの最高経営責任者にホック・タンを据えた。
協議はまだ初期段階だが、シルバーレイクとの契約はインテルの財源に数十億ドルを注入することになる。
ブルームバーグが最初に報じたこの潜在的な取引は、ドナルド・トランプ米大統領が半導体メーカーの運命を立て直す方法を検討している中で行われた。
フィナンシャル・タイムズ紙の取材に応じた関係者によると、トランプ政権は業界大手の台湾積体電路製造(TSMC)にインテルとの提携を模索するよう圧力をかけている。半導体供給をめぐって中国との地政学的緊張にさらされている半導体業界は、このような提携に衝撃を受けることになるだろう。
先週末、ウォールストリート・ジャーナル紙はブロードコムがインテルとの取引を検討していると報じた。チップ設計と製造の両方を含むインテルの事業の一部または全部を買収する可能性があるという噂は、同社を何ヶ月も悩ませてきた。9月には、米国のチップ設計会社クアルコムもインテルに取引を打診した。
インテルの株価は、同社とTSMCのより広範な分離の憶測から、火曜日に約16%上昇して取引を終えた。
インテルとシルバーレイクはコメントを控えた。
インテルは昨年の夏、大規模なコスト削減策を開始し、半導体「ファウンドリー」事業が数十億ドルの損失を出したことから、数千人の雇用を削減し、欧州での製造プロジェクトを停止した。
暫定共同最高経営責任者兼最高財務責任者のデビッド・ジンスナー氏が効率化を追求し、事業を再編すると誓った後、同社はベンチャーキャピタル部門のインテル・キャピタルのスピンオフを発表した。
インテルの業績が悪化し、昨年12月に取締役会が最高経営責任者(CEO)のパット・ゲルシンガー氏を解任したことで、同社は最先端のチップを製造できる可能性がある唯一の米国企業であるため、国家安全保障上の懸念が高まっている。
マイクロソフトは19日、同社初となる量子コンピューティング向けチップ「マヨラナ1」を発表した。現在のコンピューターでは解決できない問題に対応可能なデバイスの開発に向けて、マイクロソフトが重要な一歩を踏み出した。
同社によると、同チップは付箋サイズのハードウエアに8量子ビットを配置しており、最終的には100万量子ビットを目指す。マイクロソフトのエンジニアは、将来の量子コンピューターの基盤として、同チップが十分な性能を備えていると話している。
量子コンピューティングの分野ではここ数カ月、実用化に近づいていることを示す発表が相次いでいる。昨年12月には、米アルファベット傘下グーグルが新たな量子チップ「ウィロー」を発表。従来のスーパーコンピューターならおよそ10の25乗年かかる計算を、わずか5分で完了することができると明らかにした。
量子コンピューターの開発に取り組む企業にとって、計算時に出るエラーの訂正が大きな課題となっている。
2004年に量子コンピューターの研究を開始したマイクロソフトは、エラーを最小限に抑えることに注力。とりわけ1930年代に理論を提唱したイタリア人物理学者にちなんで名付けられた準粒子「マヨラナ」に焦点を当てたという点において、他の企業とは異なるアプローチを採用している。マイクロソフトは、マヨラナ量子ビットは他のアプローチで作成された量子ビットよりも、1とゼロの誤った入れ替わりが起こりにくいと考えている。
旅行者にデータを提供するツアーリング・プランズによると、両親と幼い子ども2人の家族が、手頃な価格のディズニー所有のホテルに滞在してウォルト・ディズニー・ワールドを4日間訪れる典型的な費用は昨年4266ドルだった。これは食費と交通費を除いた費用で、5年前の3230ドル(インフレ調整後)から上昇している。 上昇分の約8割は、待ち時間短縮など、かつては無料だったサービスや追加オプションの新規費用によるもの。あとはディズニーがパス価格を米国のインフレ率を上回るペースで引き上げたことに起因することをツアーリング・プランズのデータは示している。
プライベートエクイティ投資家KKR & Co.
事情に詳しい関係者によると、同社は経営主導の買収で英国の経営難に陥っているテムズウォーターの経営権を取得するために約40億ポンド(50億ドル)を提示している。
ロンドンとテムズ川流域の約1600万人の顧客に水道サービスを提供している英国最大の水道事業者テムズは、膨れ上がる負債を抱え、3月24日までに現金が底をつくと警告している。1989年にサッチャー政権によって民営化されたテムズは、昨年夏に追加資本の調達を開始し、先週「複数の企業」から買収提案を受けたと発表した。テムズは、各提案を検討中だと述べた。
テムズ・ウォーターは、広範囲にわたる経営立て直しの一環として、負債と資本構造を再構築する必要があり、単一の積極的な所有者が利益をもたらすだろうと、事情に詳しい情報筋がCNBCに語った。テムズは昨年9月時点で約160億ポンドの負債を抱えていた。
情報筋によると、KKRの関与は40億ポンドの経営陣による買収提案から成り、資産売却や公益事業の分割にはつながらないという。
テムズ・ウォーターとKKRはコメントを控えた。
ブルームバーグは水曜日、KKRがテムズ・ウォーターの過半数株取得のために40億ポンド近くを注入することを提案していると報じた。
KKRは英国における長年の投資家であり、1996年以来200億ポンド以上を同国に注ぎ込んでいる。このプライベートエクイティ会社は、長期投資期間を持つ投資を求めて、2008年にインフラ投資のプラットフォームを立ち上げた。
英国の高等裁判所は火曜日、テムズ・ウォーター社に対し既存株主からの30億ポンドの緊急資金提供を承認し、同社に債務再編と新規投資家の確保のための余裕を与えた。
テムズ ウォーターは、ケンブル ウォーター グループとして知られる企業グループに属しており、主に年金基金や政府系ファンドなどの機関投資家のコンソーシアムが所有しています。最大の株主は、カナダ最大の年金基金の 1 つであるオンタリオ州地方職員退職年金制度です。
危機に陥っているこの公益事業会社は、英国の首都を流れる全長215マイルのテムズ川を含む英国の水路への下水排出量の急増で批判に直面している。
●日本企業
●先進国政治動向
争いは時に全員に悪い結果を招く。ミュンヘンで起きたことを考えてみよう。先週末のミュンヘン安全保障会議とその前後に開かれた一連の米欧間の会議だ。
米国のトランプ政権はこの場で、長年の同盟国に対する敬意などほとんどなく、ミュンヘン安保会議を率いる気などさらさらないことを明確にした。18日にサウジアラビアで行われたロシアとの協議でもそうだった。一方、欧州は米中ロの3極が支配する世界の中で、戦略的な重要性を失い始めていることを浮き彫りにした。
欧州歴訪で、トランプ政権高官の出来はあまり良くはなかった。ヘグセス国防長官はブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部を訪問した際、ウクライナの和平に対する米国のアプローチを明示した。ウクライナはロシアが占領する領土の喪失を受け入れ、NATO加盟を断念し、ロシアの再侵攻を防ぐためのNATO支援の平和維持軍や米軍の駐留に期待するべきではない、と発表したのだ。
ヘグセス氏の発言内容自体は衝撃ではないが、ロシアとの交渉を始める前から重要な4つの争点全てで公に譲歩を示したことには驚かされた。この翌日にヘグセス氏は発言を撤回したが、重要な外交政策へのアプローチを場当たり的に策定している政権という印象を残しただけだった。
そして、ミュンヘンでのバンス副大統領の演説が続いた。真剣な欧州人は、防衛費や中国との関係について厳しい意見が出され、ウクライナでの交渉の進め方について率直な議論があるだろうと覚悟していた。そのようなものはなく、代わりに聞かされたのは欧州の民主主義が衰退の危機にあるという説教だった。バンス氏はその後、反NATO、反米の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の指導者と会談した。
一方、トランプ大統領はロシアのプーチン大統領とウクライナを巡る交渉をまずは電話でスタートさせた。だが、トランプ氏側近は交渉におけるウクライナの役割は限定的でしかなく、欧州連合(EU)に至っては、恐らくは何の役割も認められないと明確にした。ウクライナ支援の負担を欧州が担うよう要求しているにもかかわらずだ。
さらにトランプ氏は、マフィアすら赤面するような法外な条件で、ウクライナに鉱物資源を明け渡すよう迫った。
これらはすべて、トランプ氏が欧州を完全に蔑視していることの表れだ。ところが、欧州が戦略的に軽視されても仕方ない存在に堕してしまったこともまた事実だ。
誤解のないように言えば、自国の防衛の一部をアウトソーシングする「ただ乗り」は、米国を軸とする同盟の特徴だ。ドイツや日本など欧州やアジアの諸国が寸分の隙もなく武装し、生き残りのため核武装までするような世界を、米国は数世代にわたり避けたいと考えてきた。
しかし、ただ乗りは行き過ぎた。冷戦後に多くの国が軍事能力を過度に削減し、米国の支援や誘導がなければ行動を起こせなくなった。こうした状況は継続不可能になりつつあるとの警告が次々に表れたが、欧州は見逃してきた。
冷戦後の欧州の防衛費削減は、ロシアによる2008年のジョージア侵攻後も続いた。14年のクリミア併合で防衛支出は上向いたが、小幅でしかなかった。トランプ氏の1期目の当選後、当時のメルケル独首相ら各国の首脳は、欧州は自らの運命に責任を持つべきだと大演説をぶったが、結局のところ大半の国は防衛費を国内総生産(GDP)比2%という小さな目標に向けてのんびり増やし続けただけだった。
そして22年、プーチン氏がウクライナへの全面侵攻に踏み切り、その衝撃でようやく欧州の大半が防衛費2%の目標を達成した。だが、多くの国はウクライナに対して倉庫にある既存の兵器を供給することを選び、速やかに兵器生産を増やそうとはしなかった。
急速に大規模な軍事力の整備にかじを切ったポーランドのような国もあるが、あらゆる口実を見つけては対応を先延ばしにするドイツもいる。こうして欧州は、悲劇的でありながら完全に予測できた状況に陥っている。米国が支援を渋るようになったことで、ウクライナを支援できないという状況だ。
しかし、これは欧州の苦境の始まりでしかない。欧州の経済規模はロシアよりも数倍大きいにもかかわらず、ロシアの防衛支出はいまや、購買力平価を考慮すると欧州の合計を上回る。プーチン氏は攻撃的な手段もいとわず、ロシアの周辺国を不安定化させようしている。欧州当局者の間では、ウクライナでの戦争が終われば、プーチン氏が欧州東端のどこかに軍事行動を仕掛けるとの懸念が広がる。
欧州は、もはや信頼できない超大国の保護を失った暮らしを想像できないという地点まで落ちてしまった。これに対処できるだけの活力があるのか、定かではない。
ミュンヘン安保会議の後、マクロン仏大統領は欧州首脳を集めて緊急会合を開いたが、その会議は、いつものように対立が絶えず、結論の出ないものに終わった。さらに広く言えば、政治不安と経済的な停滞が常につきまとい、より強固な戦略的アイデンティティーの興隆を妨げようとしている。
短期的には、18日にサウジアラビアでそうだったようにウクライナの将来に関する交渉だけでなく、欧州での米軍駐留や米ロ関係におけるその他の問題においても、傍観者の立場に追いやられる可能性がある。さらにその先には、より大きな危険が待ち受けている。
欧州が団結しないなら、より活力があり、攻撃を受けやすい欧州の東部諸国がまとまって動きの鈍い西欧諸国を置き去りにし、欧州は分裂する恐れもある。あるいは、衰退する欧州は、消極的で時に敵対的な米国と、侵略的な独裁国家との間に挟まれるだけかもしれない。かつて世界を支配した大陸にとっては驚がくすべき結果だろうが、トランプ氏の時代においては、もはや考えられないことではない。
●先進国中銀、金融当局
日銀の高田創審議委員は19日、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続といった前向きな企業行動の持続性が引き続き確認され、見通しが実現していけば「一段のギアシフトを進める局面だ」と述べ、利上げを継続していく姿勢を示した。今年の春季労使交渉(春闘)での高めのベアの実現や米国経済の堅調さに言及し、物価の上振れリスクに留意する必要があると述べた。
宮城県金融経済懇談会であいさつした。高田委員は、金融緩和度合いの調整に当たっては価格転嫁や賃上げが中小・地方企業に広がるかといった視点も重要だと述べた。米国経済を巡る不確実性が残り、中立金利の把握が困難なもとでは「政策金利引き上げの経済・物価・金融情勢への影響を検証しながら対応するといった慎重さが求められる」とも話した。
一方で、賃金と物価の好循環が強まる中、特に新年度に向けて国内要因によるインフレ圧力もあるもとで、米国経済が再び回復に向かう確度の高まりによって「為替を中心とする市場変動を背景に、物価が上振れる可能性もある」と指摘。不動産も含む資産価格の上昇で投資家の期待も高まっているとし、段階的な利上げで、過度な緩和継続期待が醸成され、物価上振れリスクや金融の過熱リスクが顕在化しないようにすべきだと述べた。
高田委員は米国経済の堅調さを強調した。1月にかけて米国経済の堅調さが改めて確認され、「日米の金融政策スタンスの違いも縮小した」と指摘。「市場の大きな変動リスクが後退した、すなわち、日本銀行の政策の自由度が増した」と述べた。米国経済は「ソフトランディングよりむしろ早期の再加速の可能性が高まっている」とし、「米国中心に海外経済が上振れた場合には、(国内経済の)回復のモメンタムが強まる可能性もある」と話した。
中立金利については「推定は困難だ」と述べ、「中央銀行が一定の中立金利の水準を示すことは、市場でフォワード・ガイダンスのように捉えられる可能性もあり、政策の柔軟性の観点からも課題がある」と指摘した。
<物価上振れに警戒感>
春闘について、高田委員は「ベアも昨年に続くしっかりとした水準を期待している」と述べた。今年のベアを受けて、先行きも賃金と物価の好循環が強まり「長年、安定的な達成を果たせなかった物価安定目標の実現に近づいていく」との見通しを示した。
高田委員は、高めの物価上昇率が3年続く中で、賃金や物価は上がらないものと考える規範(ノルム)の転換が進んでいることもあり「従前より価格転嫁が進みやすい状況」だとし、米国経済の上振れに伴う「米国金利上昇・為替円安進展といった市場変動を背景に、今年の大幅なベアの実現も加わって物価が上振れるリスクに留意する必要がある」と述べた。特に、米国で新政権が発足してまだ日が浅い中で「政策への期待で市場が大きく変動する可能性も注視しておきたい」と語った。
米連邦準備理事会(FRB)が19日公表した1月28─29日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、参加者全員が目標金利の据え置きが適切だと認識していたことが分かった。
また、一部の参加者は、トランプ新政権による貿易や移民政策の変更がインフレ抑制のプロセスを妨げる可能性があると指摘した。
FOMC参加者は「概ねインフレの見通しに対して上振れリスクを指摘した」とし、「特に貿易や移民政策の変更や、国際情勢の変化に伴う供給網混乱の可能性、予想を上回る家計支出による影響を挙げた」という。
物価上昇は引き続き緩やかになるとの見方を維持する一方で、「インフレ鈍化のプロセスを妨げる可能性のある要因も挙げられた」とし、要因として「(FRBの)複数の管轄地区の関係者が、企業は関税によって原材料費が上昇すれば消費者に転嫁しようとすると示唆した」と言及した。インフレ期待に関わる一部の指標が「最近上昇した」とも指摘した。
FRB当局者は2024年12月のFOMCで、第2次トランプ政権が発足したという「仮の想定」に基づき、成長鈍化と物価上昇が見込まれるとしていた。トランプ氏は就任後、カナダとメキシコに対する25%の関税提案や、メキシコとの国境の不法移民取り締まり強化などの詳細を明らかにしている。
25年1月のFOMCで政策立案者は、24年半ば以降ほぼ停滞しているインフレ率が、中銀目標の2%まで確実に低下することが明らかになるまでは金利を据え置くべきだと合意した。
目標に向けた低下が確実になるまで利下げを急ぐつもりはないとしており、トランプ氏の政策の影響を理解することが議論の中心的な部分となっている。
議事要旨によると、複数の政策立案者が、連邦債務の上限に関する状況を踏まえて、FRBのバランスシート縮小を減速または一時停止することの検討が適切である可能性があると指摘した。 もっと見る
連邦政府の資金は3月14日以降には底をつく可能性があり、夏までに債務上限引き上げの措置を講じなければ、デフォルト(債務不履行)のリスクが生じる。
FRB当局者は1月の会合で、FRBの政策枠組みの見直しに着手した。見直しには、政策金利がゼロに近い水準にある場合の経済へのリスクに焦点を当てた声明文の修正の可能性も含まれる。FRBはインフレ目標2%、最大限の雇用達成へのコミットメントを変更しないことも明確にした。見直しは夏の終わり頃までに完了する見込みとなっている。
議事要旨の発表を受けて、金利先物市場ではFRBによる25年の最初の利下げは7月で、25年の利下げはその1回だけになるとみられている。
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
西側諸国のハイテク企業にとってABC戦略、つまり「中国以外ならどこでも(Anything but China)」が最近の合言葉になっている。
多国籍企業はここ数年、中国のサプライヤーに依存しすぎていた反省から、いわゆる「チャイナ・プラス・ワン」戦略を追求してきた。中国のサプライヤーに加え、他の国々のサプライヤーも活用することだ。
だが第2次トランプ政権下で米中の緊張が再び高まる中、ハイテク企業の多くが中国から生産を引き揚げ、他国に移転させる動きを加速させている。世界のハイテク業界が二大国の間で分断されつつあることの表れだ。
「誰もが中国に代わる移転先を見つけようとしている」。マレーシア半導体産業協会(MSIA)のウォン・シューハイ会長はこう述べた。マレーシアは中国を去るハイテク企業の移転先の一つとなっている。「企業は自分たちのビジネスを再設計している。ジャストインタイム戦略はもう通用せず、新戦略を『ジャストインケース(万が一に備えて)』と呼ぶ人もいる」
この傾向は、アジアや中南米諸国がバリューチェーン(価値連鎖)を駆け上がるチャンスを生み出しているほか、中国のサプライヤーが、西側顧客の要請で国境の外側に工場を建設するなど、これまで以上に猛スピードで国外事業を展開するのを後押ししている。
企業が組み立て工程のみを中国国外に移転させていた第1波とは異なり、現局面ではセンサーやプリント基板、電力変換装置といった部品を製造する工場も移転させている、とS&Pの最新リポートは述べている。こうした動きは機械や部品に対する多額の先行投資を伴うため、中国からのサプライチェーン(供給網)移転は、以前よりはるかに恒久的なものとなっているとS&Pのアナリストらは指摘する。
中国の厳格な新型コロナウイルス対策は、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や自動車などさまざまな製品の生産を混乱させ、西側企業が大量に引き揚げるきっかけとなった。その多くがベトナムやインドなどに移転した。
それ以降、将来の最重要技術を巡る米中の主導権争いがこうした移転を加速させている。ハイテク企業幹部は今や、ドナルド・トランプ氏の大統領復帰で中国以外に生産拠点を多様化させる圧力が高まると予想。トランプ氏は最近、中国からの全輸入品に10%の追加関税を発動し、さらなる引き上げの可能性も警告している。
「中国以外ならどこでも」とする傾向は、米中ハイテク摩擦の中心である半導体関連製品において特に顕著だ。過去2年間に、米政府は中国が最先端半導体と製造装置にアクセスするのを禁止し、中国はそれに代わる国産半導体の開発を強力に進めてきた。
中国は以前、世界有数のサーバー生産拠点だった。だが米国が2022年10月に中国への人工知能(AI)向け半導体輸出を制限して以来、AIサーバーはメキシコやマレーシアなどで組み立てられるようになった。
半導体の米国内製造を支援する「CHIPS法」の下で助成金を受け取る企業は、10年間にわたり中国での半導体生産拡大を禁止されている。
半導体製造装置メーカーとそのサプライヤーも中国への依存度を低下させている。アプライド・マテリアルズとラムリサーチは米政府の圧力を受け、直接的なサプライチェーンから中国企業を排除していると、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は昨年11月に報じた。
半導体製造に用いられる電力系統などの部品を製造するアドバンスト・エナジー・インダストリーズは先月、中国で3番目に展開していた最後の工場を7月までに閉鎖すると発表した。同社は過去2年間に中国からフィリピンとメキシコへの生産移転を進めたと、ステーブン・ケリー最高経営責任者(CEO)は述べた。
「大きな理由は、顧客が中国での製造を望まないことだ」とケリー氏は言う。同社の広報担当者は、この動きは稼働率の低い工場を閉鎖し、利益率を上げる計画の一環だとした。
こうした企業の流出はスマートフォンやノートパソコンといった消費者向け製品全般で起きている。
在中国米国商工会議所の年次調査によると、回答した360社余りのうち代替地への生産移転を検討中か、すでに開始したと答えた企業は30%を占めた。ハイテク企業と研究開発型企業の約25%がすでにサプライチェーンを中国から移転し始めたと答えた。
一方で、東南アジアは活況を呈している。西側ハイテク企業が最先端半導体やAIサーバー、消費者向け機器の生産と組み立てを、人件費やエネルギーコストが中国と似ている同地域に移転させているためだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)のデータによると、同地域への外国直接投資(FDI)は2018年の1550億ドル(約23兆5000億円)から23年は2300億ドルに増大した。
半導体メーカーのインテルやインフィニオン・テクノロジーズ、マイクロン・テクノロジーは、何十億ドルもの資金をマレーシアとシンガポールの生産施設に投じている。ノートパソコンを製造するHPは過去3年間にパソコンを組み立てるタイの生産拠点を増やした。マレーシアのペナン州の工場は現在、最先端AIサーバーを生産している。
その結果、マレーシアの半導体やコンピューターなど電子製品の輸出は2024年に過去最高の1370億ドルに達し、米国向け輸出が急拡大した。
2023年時点では、中国は世界のノートパソコンのほぼ全てを生産していた。調査会社トレンドフォースの推計では、世界生産台数に占める中国のシェアは今年80%に低下し、ベトナムとタイの生産台数が増える見通しだ。
タイのノートパソコン出荷台数は過去4年間で約8倍に増加した。
中国からのサプライチェーン移転で東南アジア最大の受益者であろうベトナムも、半導体産業から投資を呼び込みたい考えだ。
首都ハノイで最近開催された半導体フォーラムには、世界の半導体大手の幹部ら数百人の参加者が詰めかけ、ベトナム政府高官が自国を価値あるパートナーとして売り込む講演に耳を傾けた。同国政府は税優遇措置を打ち出し、半導体産業を支援するエンジニア5万人を育成する目標を掲げている。
AI半導体大手エヌビディアは昨年12月、ベトナムに研究開発センターを開設すると発表した。
一方で多くの中国企業も外国に進出し、西側諸国の顧客の要請に応じて自国以外で子会社や工場を立ち上げている。
2023年、データセンター向け光トランシーバーを製造する成都新易盛通信技術(エオプトリンク・テクノロジー)は、米中関係悪化による影響を避けながら外国の顧客向けの供給を増やすため、タイの工場を拡張した。事情に詳しい複数の関係者によると、メタ・プラットフォームズやアマゾン・ドット・コムなどのハイテク大手を顧客に持つ同社は、以前から外国での生産能力を拡大してほしいとの要望が顧客からあったという。
ただ、中国の充実したインフラやサプライヤー、労働力のエコシステムに匹敵する国が少ないのも確かだ。
マレーシア・ペナン州を拠点とし、半導体製造装置の受託生産を手がけるケミコン(Kemikon)のマーセル・ウィズマーCEOは、中国からの移転でサプライヤーのコストが15%上昇すると試算した。
「中国の製造業に勝つのは難しい」とウィズマー氏は言う。「コスト、数量、リードタイムで太刀打ちできない」
長期的には、新しい生産ラインの構築はさらに高額かつ高リスクになるだろうとIDCのアナリスト、マリオ・モラレス氏はみている。
「(ハイテク関連の)サプライチェーンの価値はすでに1兆ドルを超えている」と同氏は言う。「その高度化と複雑化は今後も進み、企業が移転するハードルは高くなるばかりだ」
米国の住宅ローン市場の二本柱であるファニーメイとフレディマックは現在連邦政府によって管理されている。ワシントンDCの一部ではトランプ大統領が両社の管理体制の終了を推し進めると予想されている。
「われわれの住宅ローン金融システムは景気上昇時には非常にうまく機能しているが、景気後退への備えはできているだろうか」と、2019年から2021年まで連邦住宅金融庁長官を務めたマーク・カラブリア氏は言う。「経済全体の状況については楽観的だが、納税者を危険にさらしているのではないか」
ファニーメイとフレディマックは、住宅ローン市場を支援し、投資家のリスクを軽減する金融商品を開発しています。これらの商品は米国の住宅ローン金利に影響を与える可能性があります。
2008年9月、世界金融危機が深刻化する中、両社は政府の管理下に置かれました。その結果、多くの借り手が住宅ローンの返済を怠り、住宅を失う危険にさらされました。シカゴ連邦準備銀行の推計によると、 2007年から2010年の間に、約380万戸の住宅が差し押さえにより失われました。
当時、財務省はファニーメイとフレディマックの経営維持のため、それぞれ1000億ドルの信用枠を設けた。また、納税者の救済資金を取り戻すため、両行の利益の一括徴収も開始した。
「私にとっては、それは良い決断だった」とムーディーズのエコノミスト、マーク・ザンディ氏は語った。
その後数年間で、ファニーとフレディは財務省に3,010億ドルを支払った。このプロセスが進むにつれ、ファニーとフレディの株価はほぼゼロにまで下落した。
2019年、政府はファニーメイとフレディマックの利益の独占を終わらせ、この2つの住宅ローン大手が民間市場に復帰するための基盤を築いた。
「我々にとって最大の制約は資本不足だった。ファニーメイとフレディマックのレバレッジは約1,000対1で、つまり資本がほとんどなかったのだ」とカラブリア氏は語った。
両社は現在、政府支援企業(GSE)として知られています。ファニーメイは1938年に政府機関として認可され、1968年に民間企業となりました。フレディマックは1970年に議会の法令により民間企業として設立されました。
マーク・ザンディ氏は、住宅ローン大手に対する政府の明示的または暗黙的な支援がなければ、住宅ローン金利は60~90ベーシスポイント上昇する可能性があると見積もっている。カラブリア氏のような民営化推進派は、金利は上がらず、むしろ下がる可能性があると述べている。
ファニーとフレディの管理終了が米国の住宅購入にどのような影響を与えるかについては、上のビデオをご覧ください。
カタストロフィー(CAT)債が、従来よりも幅広い投資家の保有対象となりそうだ。同債券のリターンは近年、ハイイールド債を一貫して上回っている。
発行済みのCAT債250銘柄のうち最大75銘柄を組み入れるポートフォリオを持つ上場投資信託(ETF)の取引が来月、ニューヨーク証券取引所で始まる予定だ。世界初の取り組みとなる。
このETFを手がけるキング・リッジ・キャピタル・アドバイザーズの共同創設者兼最高経営責任者(CEO)、リック・パニャーニ氏は「非常に複雑な資産クラスで、それを解明するのがわれわれの目標だ」とインタビューで語った。テキサス州を拠点とするブルックモント・キャピタル・マネジメントがファンドの監督に当たる。
パニャーニ氏は、昨年までパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)で保険リンク証券を担当していた。
「多様なCAT債によるポートフォリオを、一般の投資家が自力で構築するのは難しい」と同氏は指摘。CAT債をETFでパッケージにすることで、「参入障壁を幾分下げることを目指している」と説明している。
CAT債は、他のリスクが高い債券市場を大きく上回るリターンを残しており、投資対象として近年注目を浴びている。スイス再保険グローバルCAT債指数は2023年にプラス20%と記録的なリターンを達成し、昨年も17%上昇した。
これに対し、ブルームバーグの米ハイイールド債指数は23年は13%、昨年は8%の上昇だった。
保険会社や再保険会社、一部の政府機関は、自然災害関連リスクを資本市場に移転するため、CAT債を発行する。同債券を保有する投資家は、あらかじめ定められた大災害が発生しなければ高い利益を得られる一方、災害が発生した場合は多額の損失を被るリスクもある。
気候変動に伴う異常気象増大や自然災害が発生しやすい地域の都市化を背景に、CAT債への需要は急速に高まっている。
ブルックモントの最高投資責任者(CIO)、イーサン・パウエル氏は、「ハードアセット保有に伴うリスクが高まる中、多くの保険会社が危険度の高い地域から撤退している」と指摘。将来の損害への追加バッファーとなるCAT債に「より多くの資金が流入することが求められる」と語る。
CAT債市場は、米国勢の発行が市場の大半を占め、足元の規模は約500億ドル(約7兆6000億円)とされている。この業界を専門とするアルテミスは、ディールの量が近年「非常に多い」と指摘する。
CAT債の構造は非常に複雑であるため、専門家ではない投資家への適合性について疑問の声も上がっている。欧州では、欧州連合(EU)の統一規格に対応した投資信託商品である「UCITSファンド」を通じてCAT債へのエクスポージャーを得られるが、CAT債は顧客がリスクを理解しにくい構造を持つ証券に挙げられている。
パニャーニ氏はCAT債への投資について、「リスクが伴わないわけではない」と指摘した上で、投資対象が分散されたETFならば、「リターンを増大させつつ、ボラティリティーを抑えられる」と説明している。
日本銀行による利上げは、日本の投資家にとっては為替ヘッジコストの引き下げにつながり、それが米投資適格級社債に対する需要を喚起する。バンク・オブ・アメリカ(BofA)がこうした予想を示した。
物価上昇の加速が見込まれる中、日銀は1月に、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を2008年以来の水準に引き上げた。市場では追加利上げ観測と、日本国債の利回り曲線フラット化見通しが強まっている。
ユーリ・セリガー氏らBofAのストラテジストは18日のリポートで、こうした状況を背景に為替ヘッジコストが低下すると指摘。その結果、米国の高格付け社債の相対価値が改善し、日本の投資家による需要が高まると予想した。
同氏らは「ヘッジコストは主として、日米の政策金利の差だ」とし、「従って日銀が追加利上げを行えば、ヘッジコストは一段と下がるだろう」と記した。
日本の投資家が負担するヘッジコストは昨年10月以降、低下傾向にある。米金融当局は9月に利下げを開始した。
●中東情勢
●エマージング
1月の中国新築住宅価格は、2カ月連続で前月比横ばいだった。政府の支援策にもかかわらず、不動産セクターが依然低迷していることが示された。
中国国家統計局が19日発表した統計に基づくロイターの計算で、1月の新築住宅価格は前月比横ばい、前年比5.0%下落。前年比の下落率は昨年12月(5.3%下落)からやや縮小した。
野村はリサーチノートで「2025年の価格下落の長期化は、中国の不動産メルトダウンがまだ終わっておらず、財政システムの見直しが必要というわれわれの長年の見解をさらに裏付けている」と述べた。
ムーディーズ・レーティングスは今週発表した調査ノートで、主要指標は不動産市場の持続的な回復が依然不確実であることを示唆すると指摘。「もし好ましい収益見通しが出て不動産価格が安定または上昇し、在庫水準が低下し規律ある供給管理を示唆されれば、不動産販売のより持続可能な回復が期待できる」と述べた。
中国不動産業協会によると、小規模な都市を中心に10以上の都市が、新築住宅の価格規制を緩和または撤廃すると発表した。
売れ残り住宅を買い取り、安価な住宅に転換することで在庫を減らそうとする地方政府の取り組みは、中古市場における豊富な供給によって相殺されている。
国家統計局によると、2024年の売れ残り新築住宅(総床面積)は3億9088万平方メートルで、前年比16.2%増加。新築着工(同)は23.0%減少した。
中原地産(センタライン)の不動産アナリスト、張大偉氏によると、中古住宅市場の価格はピーク時から30%下落している。1月のデータでは、前年同月比下落率が1級都市で5.6%、2級都市で6.0%、3級都市で8.2%だった。
米国とロシアは、ウクライナ戦争の終結に向けた協議を開始することで合意した。トランプ米大統領は先月、100日以内に戦争を終結させると約束している。
第2次世界大戦以降、欧州で最大規模となったこの戦争を止める取り組みは困難を極めるだろう。トランプ政権は迅速な停戦を求めるだろうが、ロシアは大幅な譲歩を迫ると予想される。当初の協議から外されたウクライナは参加を要求しており、自国不在のまま交渉された和平合意に従う義務はないと表明している。
誰が協議に参加するのか?
当初の協議は米国とロシアの間で行われ、両国ともいずれかの時点でウクライナも参加する見込みだとしている。ロシアは欧州、さらには中東の地域安全保障に関する幅広い議論を求めているため、今後の協議には欧州の代表者を含み、さらにその他の地域からも参加する可能性がある。
ロシアは18日、対米関係とウクライナ問題に精通した強硬な交渉担当者らをサウジアラビアのリヤドに派遣した。セルゲイ・ラブロフ外相はロシア政府で最も経験豊富な外交官で、これまでも非常に厳しい交渉を担ってきた。ベテランのユーリ・ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は元駐米大使で、ウラジーミル・プーチン大統領と直接連絡を取っている。また、米国で教育を受けた銀行家で政府系ファンド「ロシア直接投資基金(RDIF)」のキリル・ドミトリエフ総裁も参加した。
米国側はマルコ・ルビオ国務長官、マイク・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)、トランプ大統領の親しい友人で不動産で財を成し、トランプ政権の中東、そして現在はロシアの特使も務めるスティーブ・ウィトコフ氏が出席した。この米国代表団に外交経験者はいないものの、ルビオ、ウォルツ両氏は議会で外交政策を扱ってきた。
米国とロシアは何に合意したのか?
トランプ政権当局者によると、両国はウクライナ紛争終結を目指して協力する高官級チームをそれぞれ発足させることで合意した。
しかし、トランプ大統領が近く開催を望んでいたとされるプーチン大統領との首脳会談の発表には至らなかった。米国が発表した取り組みは、停戦に向けたより広範なプロセスについて新たな疑問を投げかけた。
ウォルツ氏とルビオ氏は、新たに結成される米国のチームがロシア側のチームと直接会談し、重要な問題についてウクライナや欧州の同盟国と話し合うプロセスを説明した。
またウシャコフ氏によると、トランプ政権はロシア側と協議する特使を任命する予定だ。
ロシアは何を望んでいるか?
ロシアは国境線の引き直しと、ウクライナの4州の併合を西側に認めさせることを望むと表明している。4州の大部分は依然としてウクライナ軍の支配下にある。
ただ、現在の前線や4州の行政的な境界に沿って停戦が合意されたとしても、ロシアは依然としてウクライナに親ロ政権の樹立を目指していると指摘する声もある。
ロシアはウクライナに永世中立国となることを要求しており、安全保障の一環としてウクライナ領内に西側軍が駐留することは容認できないとしている。
より広い観点では、ロシアは欧米による制裁解除のほか、北大西洋条約機構(NATO)が旧ソ連・ワルシャワ条約加盟国に拡大して、西側がロシア国境に接近する状況が終わることを望んでいる。
米国は何を望んでいるか?
トランプ政権は、ウクライナが自衛能力を持つ主権国家となることを保証し、欧州に自由に加わることのできる和平合意を望むと表明している。
そのような和平合意は、欧州やその他の地域におけるいわゆる「ロシア勢力圏」を認めない一方で、ロシアを中国、北朝鮮、イランとの同盟関係から引き離すのに十分な譲歩を含むことになる。過去の政権と同様に、トランプ政権はロシアとの関係を抑制し、他の脅威に対処できるようにしたいと考えている。
ウクライナは何を望んでいるか?
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は18日、おなじみの言葉を繰り返した。3年間の戦争で数万人の市民を失い、数十の都市が破壊されたウクライナ人ほど平和を望んでいる者はいないと。
世論調査は、ウクライナが長く求めてきた全ての占領地域の奪還が実現できないとしても、ウクライナ国民がロシアとの和平を検討する姿勢を強めていることを示している。
ゼレンスキー大統領も、ウクライナ軍がロシア軍をウクライナから追い出せる軍事的立場にないことを認めている。大統領はウクライナ軍が支配するごく狭い範囲のロシア領をウクライナ領と交換する可能性があると述べているが、ウクライナの領土をロシアが併合することは認めないとしている。
ゼレンスキー大統領は、米国と欧州諸国からの安全保障なしには持続可能な和平合意は不可能だと語った。防衛同盟であるNATOへの加盟を望んでいるものの、米国と一部の欧州加盟国が反対していることは認識していると述べている。
潜在的な障害は何か?
領土問題以外にも、ロシアはウクライナに対して実質的に軍事力を奪うようなさまざまな要求を押し付けることが見込まれる。2022年にトルコ・イスタンブールで行われた前回の交渉では、ウクライナ軍の兵力数や、兵器の量と威力に制限を設けることが要求に含まれていた。こうした条件は、将来ロシアが再び侵攻した場合にウクライナが戦う能力を弱めることを意図していた。
ロシアが推し進めるとみられる別の議題は緩衝地帯だ。ロシアの要求について説明を受けた人物によると、同国はウクライナ側にのみ一方的な緩衝地帯を望んでいる。
ウクライナの同盟関係の先行きを議論する必要もある。トランプ大統領は、ウクライナのNATO加盟は「非現実的」で可能性は低いと述べている。
ウクライナにとっての問題は、同国の憲法がNATOへの将来的な加盟を定めていることだ。
ランド研究所の上級政治学者、サミュエル・チャラップ氏は「ウクライナのNATO加盟は現実的ではないという考えと、ロシアが望むウクライナの永久中立との間には大きな隔たりがある」と指摘した。
さらに厄介な問題は、米国とウクライナの間の情報共有だ。どちらの側も認めていないが、これはウクライナがロシアの最も機密性の高い標的を攻撃するのに役立ってきた。ロシアはこの関係の終結を望んでいると、ロシアの立場について説明を受けた人物は述べた。
戦場で何が起きているのか?
ロシアはウクライナの領土の約20%を占領している。ロシア軍はウクライナ東部で徐々に前進しているが、ここ数週間は大きな損失を被り、侵攻のペースが遅れている。
北朝鮮軍の支援を受け、ロシア軍は自国のクルスク州からウクライナ軍を追い出そうとしている。ウクライナが同州で支配する地域は、当初占領した土地の約半分にまで縮小している。
ロシア当局者は、昨秋に加速した軍の前進を、さらなる戦況の進展が不可避であることの証拠として提示しようとしている。しかしアナリストらは、侵攻のペースが減速していることは、兵士と装甲車両が大規模な損失を被り、軍が疲弊しつつあることを示している可能性があると指摘する。
ウクライナは重要な砲弾と爆発物搭載ドローン(無人機)の生産を大幅に増加させているが、依然として西側の支援に大きく依存している。
ドナルド・トランプ米大統領はウクライナでの戦争を終わらせることを大統領選の公約に掲げていた。今月18日には、サウジアラビアでマルコ・ルビオ米国務長官とロシア外相との会談が行われ、トランプ氏主導の和平交渉のプロセスが始まった。国際政治は時に醜いものだが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の名誉回復が近づいているという事態は特に受け入れがたい。
トランプ氏は、先週のプーチン氏との電話会談の後、ロシアの独裁者が「和平」を望んでいることは間違いないと語った。それがどんな種類の和平なのかには触れなかった。しかし歴史に照らせば、プーチン氏が思い描く和平は、大半の米国民がその言葉で理解するものではないだろう。
プーチン氏は2022年、欧州でヒトラー以来最大の地上戦を開始した。彼の「特別軍事作戦」はロシア人とウクライナ人の死者・重傷者を何十万人も出してきた。彼のミサイルは集合住宅や鉄道の駅を標的にしてきた。彼の軍隊は発電所をまひさせることでウクライナ市民を凍えさせ、降伏に追い込もうとしている。
プーチン氏の軍隊は、ウクライナ生まれの子ども数百人を親元から拉致し、ロシアの新しい家に連れていった。また、国際的な戦争におけるあらゆるルールに違反して、ウクライナ兵を拷問し、処刑してきた。
ロシアはプーチン氏の独裁支配に対する敵を暗殺するため、暗殺部隊を国内外に派遣している。英ロンドンでのアレクサンドル・リトビネンコ氏の放射性物質ポロニウムによる殺害や、英ソールズベリーでの神経剤「ノビチョク」による元スパイ殺害未遂が、その活動の例だ。後者の事件では何の罪もない通行人が巻き添えで死亡した。英政府はこのノビチョク攻撃について、プーチン氏の指示と考えていることを明らかにしている。
忘れてはならないのが、勇敢な反体制派の政治家アレクセイ・ナワリヌイ氏の死だ。彼はロシア国外で毒を盛られ、帰国直後に逮捕され、獄中で殺された。多くのロシア人が、高い建物から飛び降り自殺をしたいという突発的で不可解な願望に駆られ、死亡している。
プーチン氏は、国際的な裁判所から戦争犯罪の容疑をかけられている。米国は22年、「ロシアの対ウクライナ戦争の立案者」の1人だとして、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相を制裁対象にした。ラブロフ氏は18日、テーブルを挟んでルビオ氏の向かいに座り、多数の証拠があるにもかかわらず、ロシアがウクライナの発電所を狙っていることを否定した。
われわれは、世界の大半を支配する無慈悲な男たちを無視できないことは理解している。しかし、彼らが何らかの譲歩を示す前に訪米という報酬を与えられることは通常ない(トランプ氏は先週、訪米の可能性を示唆した)。冷戦中にソ連の指導者が訪米した際には、少なくとも米国が外交から何かを得られるとの前提で準備が行われていた。プーチン氏と和平に関する取り決めを交わすなら、彼の破壊の遺産すべてを考慮しなければならない。
人工知能の新興企業DeepSeekは、AIの世界を揺るがし、世界的に注目を集めているが、その背後にあるチームは中国以外ではあまり知られていない。
ディープシークの創業者、梁文鋒氏は、西側メディアの一部から中国のサム・アルトマンと呼ばれている。しかし、シリコンバレーの同僚とは異なり、梁氏は目立った活動はしていない。
中国の主要大学を卒業した若者たちで構成されるリャン氏のチームもあまり知られていない。中国国営メディアによると、チームは140人未満だが、最新のR1推論モデルに関する研究論文には約200人の貢献者が挙げられている。CNBCはチームの公式な規模を確認できていない。
同社に詳しい情報筋によると、ディープシークは中核技術開発者を除き、主に上級管理チーム、運営スタッフ、人事部、財務会計担当者を母体であるハイフライヤーと共有している。
ここでは、この AI センセーションの背後にいる人々と、このスタートアップがどのようにして誕生したかについての概要を紹介します。
梁文峰
DeepSeek のチャットボットが世界のアプリランキングで トップに躍り出たため、Liang 氏はここ数週間、メディアの注目を最も多く集めている。
先月、彼は故郷の中国で英雄的な歓迎を受け、中国の李強首相が主催した円卓会議に出席したと報じられ、最近では今週初めに 習近平国家主席が議長を務めた非公開のシンポジウムに出席した。
ディープシークの創業者で40歳の同氏は、昨年7月と2023年に中国メディア36Krとの2度の珍しいインタビューを除いて、メディアにあまり顔を出さない人物だ。
インタビューでは、人間の能力を模倣するタイプのAIである汎用人工知能(AGI)を実現し、中国を技術革新国に変革することを目指す理想主義的なリーダーの姿が描かれている。
1985年生まれの梁さんは、中国南部の港湾都市であり貿易の中心地でもある湛江で育った。地元メディアの報道によると、梁さんは成績優秀で、特に数学に才能があったという。
中学校で独学で微積分を学んだ後、2002年に浙江大学に入学し、2010年に情報通信工学の学士号と修士号を取得した。
梁氏は機械視覚研究を専門とし、2008年に市場動向やマクロデータを分析して投資判断を下す機械学習アルゴリズムの作成を開始したと、梁氏にインタビューした中国のテクノロジー専門メディア36Krは伝えている。
AIは当時、典型的なクオンツ戦略ではなかったが、リャン氏は、世界で最も成功したファンドの一つであるルネッサンス・テクノロジーズを設立したクオンツ投資の先駆者であるジム・シモンズ氏からインスピレーションを得たと、リャン氏はシモンズ氏の伝記の中国語版の序文で述べている。
ハイフライヤーファンドマネージャー
2015年、リャン氏と大学時代の友人ジン・シュー氏は、複雑な数学アルゴリズムを使用して市場動向を予測し、投資判断を行う定量的ヘッジファンド、ハイフライヤー・アセット・マネジメントを設立した。
徐氏は、エリート大学のトップ学生を選抜する浙江大学のチュー・コーチェン優等生学院 の卒業生だった。
そこで徐氏は、博士課程でロボットの自律航法と機械学習に重点を置き、梁氏の博士研究員時代の研究と似たテーマに取り組み、中国の月探査計画における視覚航法研究プロジェクトの主要メンバーとなった。
プライベートエクイティデータベース「PaiPaiWang」のプロフィールページによると、徐氏は2010年代初頭に華為技術のソフトウェア開発に携わっていたが、現在はハイフライヤーの技術開発を指揮し、取引戦略を練っている。
ハイフライヤーの最高経営責任者である鄭哲(ルー・ジェンジェ)氏は、リャン氏や徐氏と同じ大学を卒業し、その後ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで修士号を取得した。
ハイフライヤー入社前、ルー氏は国営の中国招商銀行に勤務し、マクロ調査や海外デリバティブ投資に従事していた。
2023年に中国国営メディアのインタビューで、ルー氏は「投資とは独立した新しいチームを立ち上げた。これは第二のスタートアップに相当する」と語った。このチームは後にディープシークとなる。「より価値の高いこと、投資業界を超えたことをやりたい」
パイパイワン氏によると、この2人は同社のポートフォリオの中で最もパフォーマンスの良いファンドを運用しており、2024年の平均リターンは20%を超える。これは昨年のCSI300指数の約15%の上昇、小型株CSI500指数の5%の上昇を上回る。
リャン氏は2023年に36クローネに対し、クオンツファンドの利益の一部はディープシークの成長資金に充てられたと語った。
DeepSeekの頭脳
2023年、High-FlyerはDeepSeekを独立した企業としてスピンオフさせ、投資の範囲を超えてAGIの追求に注力しました。
チームは主に、清華大学や北京大学など中国のトップ大学を卒業した地元の工学、コンピューターサイエンス、AIの卒業生で構成されており、その多くが言語モデルや機械学習などのテーマで最近論文を発表している。
LinkedInのプロフィールによると、チームメンバーの多くはアメリカのトップ大学を卒業し、NvidiaやMicrosoftで経験を積んだ後、成長を続ける中国のAI業界に戻ることを決めたという。
チームを際立たせる重要な属性は年齢です。DeepSeek は就業経験の少ない卒業生を優遇します。
その代わりに、「彼らは学位、国際プログラミングコンテストでの受賞、トップクラスの業界誌に掲載された研究論文を重視しています」とディープシークのヘッドハンターはCNBCに語った。
2023年のインタビューで、リャン氏は長期的には経験はそれほど重要ではなく、「基礎的な能力、創造性、情熱がより重要だ」と語った。
2024年には、AI分野のトップ50の人材は中国にはいないかもしれないが、DeepSeekは独自の人材育成を目指していると彼は語った。
優秀な卒業生が同社に惹かれる理由としては、大手テクノロジー企業に比べ て給与が高く、ボトムアップ型の経営が進んでいると報じられていることが挙げられる。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
住宅の売買では、買い主も売り主も交渉次第で節約できる。オンライン融資のプラットフォームを手掛ける米レンディングツリーが2023年5月に実施した調査によると、買い主の63%が価格交渉に成功したほか、38%が契約にかかる諸経費を割り引いてもらい、36%が売り主に修繕費を負担させている。
不動産取引では交渉するのが普通で(それが長引くこともままあるが)特に高級住宅を購入する際には交渉がつきものだ。新たな物件が登場するこの時期、交渉の基本を確認しておくのも悪くないだろう。
米フロリダ州マイアミビーチにある不動産仲介会社コーコラン・グループで働くミック・デュション氏は昨年、同州サーフサイドの高級マンションに約250平方メートルの分譲物件を所有する売り主とこの物件に興味を持った買い主の間で、数週間にわたってやり取りされた交渉を仲介した。この物件は8月に1490万ドル(約22億7800万円)で売り出された。だが買い主は当初、1325万ドルという低めの価格を提示した。
「売り主は驚いていた。最近の類似物件の売却価格を大きく下回っていたからだ」とデュション氏は言う。「だが高級物件市場では年間の成約件数が多くないため、この買い主との交渉を検討すべきだと私は伝えた。そして相手には多少考慮の余地はあるが、合意には程遠いと伝えるのがよいと説明した」
売り主は1450万ドルに価格を引き下げ、買い主はこれに対抗して1400万ドルを提示した。売り主が値引きを拒否すると、買い主は提示額を1430万ドルに引き上げた。まだ20万ドルの開きがあった。売り主は最終的に1430万ドルで売ることに同意し、12月に取引は成立した。
「家の売買は非常に感情的になりがちだ」。ペンシルベニア大学ウォートン校の講師で「Bring Yourself: How to Harness the Power of Connection to Negotiate Fearlessly(恐れることなく交渉するために人間関係のパワーを生かす)」の著者でもあるモリ・タヘリプール氏はそう述べた。「事前に多くの情報があればあるほど、冷静さを保てるし、後悔するような決断を避けられる」
レンディングツリーの調査によると、買い主の24%と売り主の32%が、住宅の値引き交渉で自分が譲歩したことを後悔している。売り出し中の物件数や売り出してからの期間、住宅価格は上昇傾向にあるのか下落傾向にあるのか、売り主の動機(転職などの理由で売る必要があるのか)といった情報は全て、交渉において買い主が優位に立つための重要な要因となる。逆に、買い手候補がすでに自宅を売却し、早急に住む場所を探していることを売り主が知っていれば、その情報は売り主に有利となる。
住宅の売買で交渉する際には、自分で取引するにせよ、不動産仲介業者と協力するにせよ、以下の点を考慮すべきだ。
恐れずに希望を伝える、ただし言い方には気をつける
何を交渉しても構わない。契約に盛り込みたい具体的条件があれば、それを伝えるとよい。ただしきちんと敬意を払い、そつなく行うべきだ。オンライン不動産仲介プラットフォームを運営するコンパスのレナード・スタインバーグ氏は「合理的な話し方を心がけ、要求するのは避けたい」と話す。「最悪の事態は『ノー』という答えが返ってくることだ」。できれば質問の形で「販売価格に家具を含めることを検討していただけますか?」というように聞く。「家具が含まれない限り、その価格には同意しません」などと要求を突きつけてはいけない。
新築物件では交渉戦略を少し変える
新築住宅の場合、デベロッパーは購入価格の交渉に応じたがらない。記録された価格が同じ開発計画で建設中の他の住宅の価格に影響するからだ。そう話すのは、ニューヨークの不動産会社コールドウェル・バンカー・ウォーバーグのジェレミー・カム氏だ。「新築物件で交渉の余地があるものは通常、水面下の譲歩という形で行われる」とカム氏は言う。そのためデベロッパーが売値を変えないとしても、追加オプションやアップグレード(カーテンなど窓の装飾品や、キャビネット・床材の高級化など)を提案したり、契約にかかる諸経費やコンドミニアムや共用部分の前払い費用を負担したりする可能性がある。
強引すぎないこと
優れた交渉人は、各当事者の相対的な価格交渉力を考慮に入れる。交渉で有利な立場にある人(例えば、同じような住宅物件が市場にあふれている場合の買い手候補など)は不利な立場にある人に比べ、望みの条件を押し通す力を持っている。とはいえ強引すぎれば、その取引自体が破談になるリスクがある。
「特に不動産市場がひっ迫している場合、勝ち負けを前提に交渉に臨むと、相手があなたの提案を直ちに拒否することになりやすい」とタヘリプール氏は言う。「だがより協調的な姿勢で人間関係を構築すれば、双方が協力して問題に取り組める可能性が高い」
●市況(ChatGPTによる要約版)
ニューヨーク外為市場では、安全通貨の米ドルや円が上昇した。トランプ米大統領の関税政策やロシア・ウクライナ戦争の交渉を巡る不安が影響し、米ドルは円に対して下落したが、新興国通貨に対しては上昇。円は主要通貨に対しても上昇した。
債券市場では、FOMC議事要旨の公開を受けて利回りが低下。政策当局者の間で量的引き締め(QT)の減速や一時停止が議論されたことが明らかになった。
米国株式市場では、主要指数が小幅に続伸し、S&P500は最高値を更新。投資家はFOMC議事要旨を精査し、関税政策の影響を注視。
金先物は地政学リスクや関税政策の不確実性から一時上昇したが、利益確定売りで反落。高関税によるインフレ懸念から長期金利が高止まりし、金の投資妙味が低下した。
原油先物は、ロシアの供給混乱や米国の寒波による生産減少を背景に続伸。一方、関税政策による世界経済への影響懸念が原油需要を圧迫し、相場の上値を抑えた。
ロンドン株式市場は続落し、英物価上昇が予想を上回ったことで利下げ観測が後退。トランプ米大統領の関税発言への懸念も相場を圧迫。FTSE250種指数は0.83%下落。グレンコアやトレインライン、Jet2などが大幅安となった。
欧州株式市場も反落し、STOXX欧州600種指数の下落率は1月以降で最大。ドイツDAXは1.80%、フランスCAC40は1.17%下落。米国の関税措置を巡る懸念が広がり、特に自動車・部品株が下落。フィリップスは業績予想未達で急落。
ユーロ圏債券市場では、国債利回りが上昇。ドイツ10年債利回りは一時2.19%と約2週間ぶりの高水準。米ロのウクライナ協議を受け、欧州の国防費増加が国債発行増につながるとの見方が影響。イタリア10年債利回りは8.5bp上昇した。
備忘録(2025/2/18)
●海外企業決算
●海外企業
フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップなどを所有する米メタは、世界をめぐる全長5万キロの海底通信ケーブルを敷設する計画を発表した。
「プロジェクト・ウォーターワース」はアメリカやインド、南アフリカ、ブラジルといった地域を結ぶもので、完成すれば世界最長の海底ケーブルプロジェクトになるという。
メタは、ソーシャルメディアを超え、人工知能(AI)やそれを支えるインフラなどの技術分野での存在感を強化しようとしている。
新しいケーブルプロジェクトでは、主要5大陸に「業界をリードする接続性」を提供し、AIプロジェクトを支援することを目指しているという。
メタはブログ投稿で、「このプロジェクトは、より大きな経済協力を可能にし、デジタル・インクルージョンを促進し、各地域での技術開発の機会を開く」と説明した。
また、48心(24ファイバーペア)のケーブルとしてはこれまでで最長のもので、より高い容量を持つという。
海底ケーブルは、さまざまなデジタルサービスを提供し、世界中でデータを高速で転送する手段としてますます重要になっている。
よく引用される統計によれば、インターネットの世界的なトラフィック(データ送受信の量や流れ)の95%以上が海底ケーブルを通じて転送されているという。
通信市場調査会社のテレジオグラフィーによると、現在、公に知られている海底ケーブルシステムは600件以上。
これには、メタやオレンジ、ボーダフォン、中国移動通信などのモバイルネットワーク事業者が支援する「2Africa」も含まれている。同ケーブルは3大陸を結び、全長は4万5000キロにわたっている。
テクノロジー企業の成長と進出
テクノロジー企業は、ウェブサービスの主要な提供者として、ケーブルインフラに莫大な投資を重ねてきた。
米グーグルは2024年、アフリカとオーストラリアを結ぶ初の海底ケーブルを建設すると発表。また、太平洋に新しい海底ケーブルを2本敷設し、日本との接続性を強化するために10億ドルを投資すると発表した。
英オックスフォード・インターネット研究所のヴィリ・レドンヴィルタ教授はBBCに対し、「過去10年間で、これらのケーブルは大規模なテクノロジー企業によって敷設されることが増えている」と述べた。
これは、以前はかなりの投資が必要だったため、海底ケーブルが大規模な国家通信企業グループによって敷設され、資金提供されていたこととは対照的だと、レドンヴィルタ教授は述べた。
レドンヴィルタ教授によると、大手テクノロジー企業が海底テーブルを独自に敷設できるようになったことは、各社の規模と地位の成長、インフラ設置のための資金調達力を示している。このことは「デジタル市場の集中に関心を持つ政策立案者にとって、重要なことかもしれない」と教授は指摘する。
通信および技術産業アナリストのパオロ・ペスカトーレ氏は、今回の計画はメタの野心を示すものだと述べた。
「メタは接続性の分野でシェアを拡大したいと、強い意欲を示している」とペスカトーレ氏は言い、「これはメタが、ハードウェア、ソフトウェア、プラットフォーム、そして接続性への意欲を、ひとつにきっちり統合することで、ライバルを一気に飛び越えしてユーザーにユニークな体験を提供しようとしている表れ」だと説明した。
海底ケーブルを脅威から守る
海底ケーブルの重要性が高まる中、その脆弱(ぜいじゃく)性に対する懸念も増している。
各海域でケーブルの切断が相次いだ後、専門家たちは、海底通信インフラが地政学的緊張と紛争の新たな舞台となっていると述べている。
北大西洋条約機構(NATO)は、昨年の重要な海底ケーブルの損傷を受けて、1月にバルト海での船舶監視を強化するためのミッションを開始した。
イギリスの議会委員会は最近、潜在的な混乱に直面した際のイギリスのレジリエンスに関する証拠を求める呼びかけを発表した。
この呼びかけでは、「特に緊張や紛争が高まる時期に、ロシアと中国が海底インフラを危険にさらす能力」に対する懸念の高まりを指摘している。
メタは「プロジェクト・ウォーターワース」について発表したブログで、ケーブルシステムを最大7000メートルの深さに敷設するとともに、「沿岸近くの浅瀬などの高リスク断層地域では、船の錨やその他の危険からの損傷を避けるために強化された埋設技術を使用する」と述べた。
レドンヴィルタ教授は、このプロジェクトがヨーロッパや中国を避けるとともに、スエズ運河や南シナ海の「地政学的ホットスポット」を避けることで、従来の確立されたルートから外れているように見えると述べた。
また、アメリカと南半球の主要な競争市場を結ぶことは、「外国においてアメリカの経済力とインフラ力を強化する」ことにつながるとも考えられると述べた。
18日の米株式市場で、半導体メーカーのインテルが急伸。一時11%高となった。台湾積体電路製造(TSMC)と米ブロードコムが関与する取引により、インテルが分割される可能性があるとの観測が広がっている。
ブルームバーグ・ニュースは先週、TSMCがインテルの工場の運営権取得を検討していると報道。また米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、ブロードコムがインテルの半導体設計およびマーケティング事業買収について、アドバイザーと非公式な協議を行っていると伝えた。
昨年以降、投資家やアナリストの間ではインテル分割を巡る観測が広がっていたが、今回の報道によりそうした見方が再び強まった。インテルは、同社の工場と製品開発部門を正式に分離するかどうかは未定だとしている。
インテル株は一時11%高の26.24ドルとなり、1日の上げとしては2023年10月27日以来の大きさとなった。年初来では、前週末までの時点で18%上昇している。
●日本企業
大手生命保険4社の2024年4-12月期決算(9カ月累計)で、住友生命保険を除く3社が計約4671億円に上る国内債券の売却損を計上したことが分かった。国内金利が上昇する中、運用ポートフォリオの改善を図る過程で損失が顕在化した。
各社の決算資料などによると、国内債の売却損は日本生命保険が約2200億円、第一生命保険が1925億円、明治安田生命保険は約546億円。前年同期は第一生命が57億円の売却益、明治安田が約8000万円の損失となっていた。日本生命は24年3月期全体で約1500億円の損失を計上していた。住友生命は非開示。
日本銀行が追加利上げに動く中、国内債券の利回りは上昇(価格は下落)。指標である10年国債利回りは18日、1.4%と約15年ぶりの高水準となった。価格下落などにより保有債券の含み損が拡大する中、低利回りの債券を売却して比較的高利回りの債券の積み増しを進めた結果、損失計上につながった。
ただ、国内債の含み損は、昨年12月末時点で日本生命が2兆5311億円、第一生命が1兆3764億円、住友生命が1兆842億円、明治安田が9389億円と規模が大きい。それぞれ6月末から9月末にかけて縮小したが、12月末では再び拡大に転じた。
一方、4-12月期の各社グループ全体の基礎利益は、日本生命が前年同期比43%増の6897億円と過去最高を記録。第一生命ホールディングスが同27%増の4338億円、住友生命は同62%増の2400億円だった。明治安田は同7.8%増の3774億円となり、通期見通しを増益に転換した。
基礎利益は保険関係の収益など保険事業のもうけを示すもので、資産運用収支のうち保有する有価証券の利息や配当金収入の増加が貢献した。含み益が膨らんだ国内外の株式売却益により、各社は債券の売却損をカバーした上で経常利益を確保した。
●先進国政治動向
トランプ米大統領は18日、自動車や半導体、医薬品に税率25%前後の輸入関税を賦課する公算が大きく、4月2日にも発表する可能性があると語った。
新たな関税が実際に導入されれば、トランプ氏の貿易戦争は拡大することになる。大統領は先に鉄鋼とアルミニウムの輸入に25%の関税率を賦課し、3月発効の予定を発表していた。しかし、18日の発言は新たな関税賦課の対象となる他のセクターを特定する上で、最も詳細な内容となった。
トランプ氏はフロリダ州にある邸宅「マールアラーゴ」で、自動車関税に関して記者団の質問に答え、「それについては恐らく4月2日に話すことになるだろうが、25%の近辺だろう」と話した。
医薬品と半導体チップの輸入関税率を巡っては「25%以上になり、1年かけて大幅に引き上げられるだろう」とコメントした。
その上で、新たな関税の発表に先立ち、企業に米国に「来る時間」を与えたいとも発言。「彼らが米国に来て、ここに工場を持てば関税はない。このため、彼らに多少のチャンスを与えたい」と述べた。
トランプ氏はかねて、世界中の国・地域との貿易不均衡是正の取り組みの一環として他の一連の関税賦課の可能性を警告してきた。他国・地域が米国を食い物にしていると非難する同氏は輸入関税について、産業を米国に回帰させるとともに、歳入増を図るための手段の一つと見なしている。
だが、エコノミストの多くは関税賦課が米消費者物価を押し上げてインフレ抑制の取り組みを阻害すると指摘している。
トランプ氏はさらに、国ごとに相互関税を適用し、4月初めにも実施する方針を表明。中国に対しては既に10%の追加関税を賦課したほか、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税賦課は少なくとも3月4日まで延期した経緯がある。
トランプ米大統領は18日、自動車関税の税率は25%程度になると述べ、4月2日に詳細を明らかにする考えを示した。
「おそらく4月2日に明らかにするが、25%程度になるだろう」と記者団に語った。
トランプ氏は先週14日、米国が輸入する自動車に対して4月2日ごろにも関税を課す考えを明らかにした。同氏は関係省庁に、さまざまな輸入品に対する関税の選択肢を調査して4月1日までに提出するよう命じている。
トランプ氏は18日、医薬品と半導体に対する分野別関税も4月に税率25%で開始し、少なくとも一部は1年かけて引き上げる可能性が高いと述べた。
●先進国中銀、金融当局
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は18日、約4年ぶりに利下げを決定した。インフレ抑制で進展があったとするものの、ブロック総裁は勝利宣言は時期尚早と述べ追加利下げの言質を与えなかった。
中銀理事会は、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、4.10%とすることを決定した。利下げは2020年11月以来。
2024年第4・四半期のコアインフレ率が3.2%に鈍化したことから、市場では25bpの利下げが広く予想されていた。
中銀は声明で「本日の政策決定はインフレに関する歓迎すべき進展を認識したものだが、理事会はさらなる政策緩和の見通しについて引き続き慎重だ」と表明。
「労働市場が従来考えられていたよりも幾分タイトになっている可能性を示唆している」とし、雇用の強さに起因するインフレ上方リスクを指摘した。「理事会の評価は、金融政策は制約的であり、今回のキャッシュレート引き下げ後もそうあり続けるというものだ」とした。
この日発表した経済予測では、基調インフレは従来予想よりも速いペースで下落するものの、労働市場の逼迫で物価上昇圧力が長引くとし予想。失業率予想は引き下げた。
声明は、この予測を踏まえ「金融緩和が早すぎれば、ディスインフレが停滞し、インフレ率が目標レンジの中間値を超えて落ち着く可能性がある」と指摘した。
<市場の利下げ観測をけん制>
中銀のブロック総裁は会見で、インフレに対する勝利宣言は時期尚早で、追加利下げするにはインフレ抑制にさらなる進展が見られる必要があるとの認識を示した。
市場が年内あと2回の25bp利下げの可能性を織り込んでいることについて「本日の決定は、市場が示唆する通りの利下げが将来行われることを意味するわけでないことを明確にしておきたい」と述べ、市場の織り込みは「非現実的」と指摘した。
「理事会は将来について決定を下す前に、インフレが引き続き低下していることを示すさらなるデータを必要としている」と述べた。
スワップ市場が示唆する4月の追加利下げの確率は18%にとどまるが、5月利下げはほぼ100%織り込んでいる。
コモンウェルス銀行の豪経済部門責任者ガレス・エアド氏は、今回の利下げは「景気のアクセルを踏むというより、ブレーキを緩めることに近い」と指摘。「失業率が低いということは、政策金利の正常化をゆっくり進めることが可能ということになる」と述べる一方、労働市場が悪化すれば4月利下げの可能性も排除できないとした。
キャピタル・エコノミクスのAPAC(アジア太平洋地域)担当シニアエコノミスト、アビジット・スリヤ氏は、現在の緩和サイクルではあと2回しか利下げを行わないだろうと予想。「中銀は、家計消費とより広範な経済活動の回復を引き続き見込んでおり、インフレ上昇圧力が中期的に持続する可能性が高いと考えている」と述べた。
利下げを受け、国内主要4行も預貸金利の引き下げを発表した。
チャーマーズ財務相は会見で、利下げは国民にさらなる救済を提供する「歓迎すべき一歩」だと述べた。
オーストラリアでは5月17日まで選挙が実施される予定。苦戦が予想されるアルバニージー首相が利下げを追い風に早期の選挙を実施するとの観測も出ている。
新たな経済見通しは、この日を含め今年3回の25bp利下げが行われる想定に基づいている。コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は、4─6月期に2.7%に鈍化すると予想。従来は3.0%だった。
その後は2027年半ばまで同水準で推移するとみられ、昨年11月時点の2.5%からやや引き上げられた。中銀はこれについて「国内経済活動が勢いを回復することで、労働市場の逼迫状況が続き、インフレ率への上昇圧力がある程度持続するという判断に基づく」と述べた。
12月時点で4.0%だった失業率については、6月に4.2%に上昇し、27年半ばまで同水準で推移すると予想。従来予想の4.5%からやや引き下げた。
消費者物価指数(CPI)は6月までに2.4%で推移すると予想。年央に政府による電気料金支援が終了すると、3.7%まで上昇し、その後は再び下落すると見通した。
民間需要の低迷を反映し、経済成長率は昨年第4・四半期に1.1%まで鈍化したと予想し、6月には2.0%まで回復するとした。従来予想の1.5%と2.3%から引き下げた。
欧州連合(EU)主要4カ国の中央銀行総裁は、域内銀行の競争力をそぐ大量の規則を簡素化するよう欧州委員会に求めた。
スペインとドイツ、フランス、イタリアの中銀総裁は欧州委への書簡で、要件の「包括的分析」が「他の主要管轄区域との公平な競争条件」確保に役立つと伝えた。書簡の内容をブルームバーグ・ニュースが確認した。
米国で第2次トランプ政権が発足したのを受け、世界の金融機関幹部は、2008年の金融危機後に導入された規制の巻き戻しを求めるようになった。これら中銀総裁らは規制緩和を求めているわけではないとしているが、同書簡は、複雑すぎる銀行規制が経済成長を阻害していると主張する政治家に利用される可能性が高い。
同書簡はスペイン銀行のエスクリバ総裁とドイツ連銀のナーゲル総裁、イタリア銀行のパネッタ総裁、フランス銀行のビルロワドガロー総裁が今月書いたもの。
「われわれは、欧州の銀行に適用される規則の全体的な評価を行うことが今最優先されるべきだと考えている」と説明。分析は「欧州の枠組みが不当に複雑で、金融安定化に大きなメリットがなく、国際レベルで競争のゆがみを生み出す可能性がある分野」の特定に役立つとした。
各中銀の担当者はコメントを控えた。欧州委はコメントの要請にすぐには応じなかった。
●先進国経済指標
欧州経済センター(ZEW)が18日発表した2月のドイツ景気期待指数は26.0で1月(10.3)から大幅に改善した。総選挙を控え景気見通しが回復した。
ロイターがまとめたアナリストの予想(20.0)を上回り、過去2年で最大の上昇幅を記録した。
ZEWのワムバッハ所長は「新政権に行動力があるとの期待から楽観度が高まった可能性がある」と述べ、停滞状態の個人消費が向こう半年の間に勢いづくことも予想されるとした。
VP銀行のチーフエコノミスト、トーマス・ギッツェル氏は、製造業受注の増加やインフレ率の低下など、ここ数週間の好ましい経済動向を示す指標と指摘。「経済は現在底を打ち春以降は徐々に改善すると期待できる」との見方を示した。
現況指数はマイナス88.5で、前月のマイナス90.4から改善した。
ハウク・アウフホイザー・ランプの主任エコノミスト、アレクサンダー・クルーガー氏は、現況は依然として非常に低いとし、「センチメントが実際に好転するには、期待の高まりが状況改善に反映する必要があると述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスの欧州上級エコノミストは、欧州中央銀行(ECB)の緩和継続や23日の総選挙後には財政見通しが明確になることから、ZEW指数は一段と上昇する可能性が高いとの見方を示した。
全米住宅建設業者協会(NAHB)が18日発表した2月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は42と、2024年9月以来の低水準となった。輸入関税の引き上げと住宅ローン金利の上昇が住宅価格の一段の押し上げ要因になるとの懸念が背景。
現在の販売状況を示す指数は46と、5カ月ぶりの低水準となったほか、向こう6カ月間の販売予測を示す指数も46と、23年12月以来の低水準となった。
新築住宅の建設は、木材や家電製品など他の製品を含む輸入資材に大きく依存しており、トランプ米大統領による関税措置を巡り消費者の間に広がる動揺が指数の低下に反映されたとみられる。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディーツ氏は「関税の規模と範囲を巡る不確実性から建設業者はコストについて一段の懸念を抱いている」と指摘。住宅価格の上昇ペースに対処するには、「より手頃な住宅を増やす必要がある」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
ドイツの都市自治体の全国組織、ドイツ都市会議が17日公表した調査結果によると、低成長と社会保障支出の増大により、同国の都市は厳しい財政状況に直面しており、今年は多くが財政赤字に陥る見通しだ。
調査では、主要都市の37%が今年は財政収支を均衡させられないとの見通しを示し、47%は予備費に頼ると答えた。
今後5年間の財政を楽観視している都市はわずか2%と、過去5年間の64%から急減。約半数は財政悪化を予想しており、スタッフやサービスが削減されたり、インフラ計画が頓挫したりする恐れがある。
都市会議のマルクス・ルーエ会長は記者会見で「都市財政が均衡していた時代は終わった。問題は構造的であり、都市自体の落ち度ではない」と発言。次期連邦政府は税収の公平な分配や、連邦政府が都市に委託する施策への十分な資金手当て、財政赤字に上限を設ける「債務ブレーキ」の見直し等を通じて早急に都市財政の崩壊を防ぐべきだと訴えた。
都市会議によると、都市の社会保障支出は昨年12%も急増し、児童と若者の福祉コストは過去10年で倍増している。終日の託児サービスなど連邦・州政府が都市政府に義務付けている施策について十分な資金手当てが成されていないほか、難民の大量流入も児童、若者、失業、社会保障関連の支出増につながっていると都市会議は説明した。
ドイツは外国との競争激化やエネルギー価格と金利の上昇などから昨年は2年連続でマイナス成長に陥り、今年もマイナス成長が予想されている。約1週間後に迫るドイツ総選挙は経済悪化が最大の争点で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進すると予想されている。
●中東情勢
●エマージング
米国とロシアの高官が18日、サウジアラビアの首都リヤドで会談した。会談に出席したロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)はプーチン大統領とトランプ米大統領の会談時期について、断言は難しいとインタファクス通信に述べた。
ウシャコフ氏の発言としてインタファクスが報じたところによると、両大統領の会談について議論はあり、両国はその設定に継続して取り組む。
ウクライナ問題で米国との接触をいつ開始するかはプーチン氏が決定すると、ウシャコフ氏は話したという。
一方、米国務省のブルース報道官は、今回の協議で米ロは「ウクライナでの紛争を恒久的かつ持続可能、全ての当事者に受け入れ可能な形で可及的速やかに終わらせる道筋について、取り組みを開始する高位級のチームを指名」することで合意したと説明。さらに、「米ロの2国間関係の障害に対応する協議の仕組みを立ち上げ」、外交業務正常化への措置をとることでも合意したと述べた。
「一度の電話、それに続く一回の会談では恒久的な和平の確立に十分ではない。行動することが必要で、本日われわれは重要な前進を果たした」とブルース氏は語った。
FOXニュースの報道によると、米国とロシアの和平計画にはウクライナでの新たな選挙実施が盛り込まれている。計画は停戦、ウクライナでの選挙、最終合意への調印という3段階に分かれていると、FOXのジャクリーヌ・ハインリヒ記者がXに投稿した。
今回の会談はトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領との12日の電話会談を受けて開催が決まった。トランプ氏は会談で従来の米国の立場を大幅に転換し、ウクライナと欧州を参加させずにロシアとの直接的なやり取りを前進させた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「わが国についてわれわれ抜きのいかなる合意」も認めることはないと警告している。
トランプ氏は電話会談で、ウクライナの関与なしにロシアとの接触を拒否してきたバイデン前政権の政策を放棄するとともに、ウクライナの領土の完全性と北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持するとした米国のかねてからの立場を大きく転換した。
米側からウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)やウィットコフ中東担当特使、ルビオ国務長官が出席。ロシア側はウシャコフ氏のほか、ラブロフ外相が会談に臨んだ。サウジのファイサル外相も同席した。
国務省のブルース報道官はルビオ長官の同行記者団に対し、会談は「ロシアが恐らく真剣かどうかを判断」するとともに、ウクライナでの戦争終結についてロシアが米国と「同じ考えかどうか見極める」ための方途の一つと語った。
一方、17日遅くにリヤドに到着したウシャコフ氏は「わが国と米国側との間で真の関係正常化を開始するのが主なテーマだ」とロシア国営テレビに発言。ウクライナでの戦争の決着に向けた交渉の可能性や、米ロ首脳会談の準備が会談の焦点になるとの認識も示した。
インタファクス通信によれば、ウシャコフ氏はこれに先立ち国営テレビに対し、経済問題に絡んでロシア直接投資基金(RDIF)のキリル・ドミトリエフ総裁が会談に加わる可能性があると述べていた。ウクライナ全面侵攻開始を受けたロシア市場からの撤退で、米企業は3000億ドル(約45兆5200億円)を失ったとドミトリエフ氏は述べた。
元駐ロシア米大使のマイケル・マクフォール氏は「ロシア側の代表団は米ロ関係改善を目的にリヤドに来ている」と指摘。「米国側の代表、またはそのように思い込まされている派遣団は、ウクライナでの戦争を終わらせるための交渉を開始しに来た。意図はかなり隔たっている」と分析した。
プーチン氏が2022年2月にウクライナへの全面侵攻を命じて以降、正式に発表のあった米ロ首脳の接触としては、12日の会談が初めてだった。トランプ氏は1時間半に及んだプーチン氏との会談について、「非常に生産的」だったとし、サウジで会談する可能性があると発言した。
ウクライナの代表が参加しないまま、米国とロシアが話を進めているとの欧州の反発を受け、今回の協議は模索的なものであり、ウクライナの荒廃を招いた約3年間の戦争を終結させるための本格的な交渉の開始ではないと、米国は説明した。
国務省のブルース報道官は「この会談を詳細についてや、ある種の交渉の前進についてのものと捉えるべきではないと思う」とコメント。生産的な会談がトランプ氏とプーチン氏の首脳会談につながるかどうかについては明言を避けた。
米国とロシアの高官が18日、サウジアラビアの首都リヤドで会談した。ウクライナ戦争の終結方法などが話し合われたが、ウクライナの参加はなく、欧州を置き去りにしたまま二大国で拙速な合意に突き進む可能性が懸念されている。
米ロはまた停戦協議の一環として、ウクライナ侵攻後に導入された対ロ制裁の解除を議論する方針を示唆しており、欧州との間で隔たりが深まりそうだ。
4時間余り続いた会談の後で、出席者の1人であるロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は、プーチン大統領とトランプ米大統領の会談日程は設定されなかったと説明。首脳会談が来週実現する公算は小さいと述べた。ブルームバーグはその可能性があると報じていた。
米ロ高官の会談後、トランプ氏はフロリダ州にある邸宅「マールアラーゴ」で記者団に対し、停戦合意が交渉可能であることに「はるかに自信を深めた」と指摘。月内にプーチン氏と「おそらく」会談すると語った。
ロシア国営タス通信の報道によると、ウシャコフ氏は米ロの立場について「近づきつつあるのか断言は難しいが、会話はした」と述べた。
ウクライナ問題で米国との接触をいつ開始するかはプーチン氏が決定すると、ウシャコフ氏は話したという。
会談には米側からウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)やウィトコフ中東担当特使、ルビオ国務長官が出席。ロシア側はウシャコフ氏のほか、ラブロフ外相が会談に臨んだ。サウジのファイサル外相も同席した。
ウォルツ氏は米国側の記者会見で、トランプ氏はウクライナの恒久的な解決策確保に向け「極めて迅速に動く」ことを決意していると発言。ルビオ氏は、ウクライナの停戦プロセスにロシアが「真剣に」関与する意向だとの確信を得たと語った。ウィトコフ氏は「極めて中身の濃い」会談だったと評価した。
またルビオ氏は両国がそれぞれの大使館の人員を元に戻す準備を進めていることを示唆した。米国とロシアは、スパイ活動やハッキング疑惑、ウクライナ侵攻などを巡って互いに大使や外交官の国外追放を繰り返しており、大使館の人員は最小限に減っていた。
米国務省のブルース報道官は、今回の協議で米ロは高官級の交渉団を指名することで合意したと説明。ウクライナでの紛争を「恒久的かつ持続可能で、全ての当事者に受け入れ可能な形で」終わらせる道筋を話し合うとしている。
「一度の電話、それに続く一回の会談では恒久的な和平の確立に十分ではない。行動することが必要で、本日われわれは重要な前進を果たした」とブルース氏は語った。
FOXニュースの報道によると、米国とロシアの和平計画にはウクライナでの新たな選挙実施が盛り込まれている。計画は停戦、ウクライナでの選挙、最終合意への調印という3段階に分かれていると、FOXのジャクリーヌ・ハインリヒ記者がXに投稿した。
対ロ制裁も議論へ
米ロはまた停戦協議の一環として、ウクライナ侵攻後に導入された対ロ制裁を解除する方針であることを示唆。制裁措置の維持を望む欧州との間で新たな緊張が生じる可能性がある。
ロシアのラブロフ外相は記者団に対し、米ロが「相互に有益な経済協力の発展を阻む人為的な障壁を取り除くことに大きな関心を抱いている」と発言。経済問題に関して「具体的な解決策を見いだすことをお互いに望んでいる」とした。
リヤドでの会談後に公表された米国務省の文書では、紛争解決後の「歴史的な経済および投資の機会」を巡って将来的な米ロ協力の可能性が強調されている。
ルビオ国務長官も、制裁解除が議題に上っていることを明確にした。「この紛争の結果としてわれわれが発動した制裁措置がある」とした上で、「いかなる紛争も終結に導くには、すべての当事者による譲歩が必要だ」と述べた。
欧州連合(EU)も多数の対ロ制裁を科していることを踏まえ、EUも交渉の場に加わる必要があるとルビオ氏は認めた。
ロシアに対しては、外貨準備の凍結のほか、銀行や企業、エネルギー輸出に対する制裁が発動されている。また、米国の制裁対象となっている政府高官にはラブロフ外相とプーチン大統領も含まれている。
サウジ訪問中止
今回の会談はトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領との電話会談を受けて開催が決まった。トランプ氏は12日の電話会談で、従来の米国の立場を大幅に転換し、ウクライナと欧州を参加させずにロシアとの直接的なやり取りを前進させた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「わが国についてわれわれ抜きのいかなる合意」も認めることはないと警告している。
トランプ氏は電話会談で、ウクライナの関与なしにロシアと接触することを拒否してきたバイデン前政権の政策を放棄するとともに、ウクライナの領土の完全性と北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持するとした従来の米国の立場を大きく転換した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は自国の将来が議論された米ロ会談について、情報を間接的にしか得られていない。ゼレンスキー氏は当初、会談が行われたサウジアラビアを19日に訪問し、ムハンマド皇太子から会談内容を聞き出したいと考えていたが、その後、急きょサウジ訪問を取りやめた。
トルコを訪問しているゼレンスキー氏は、エルドアン大統領との会談後に米ロ会合に呼ばれなかったことへの失望感をあらためて示し、「私はサウジアラビアには行かない」と語った。さらに「われわれは誰よりも戦争終結を望んでいる。そしてわれわれの背後ではなく、公正な方法で終わらせることを求めている」と続けた。
サウジの準備状況について知る関係者によると、ムハンマド皇太子はゼレンスキー氏の会談出席を望んだが、米ロともウクライナ抜きでの会談を希望していると主張した。皇太子は会談におけるサウジの役割と、ロシア側および米国側とのやり取りをゼレンスキー氏に説明する予定だと、取り扱いに注意を要する問題だとして匿名を要請した関係者が明らかにした。
G7が修正検討
一方、主要7カ国(G7)はロシア産原油に対する価格上限の修正を検討している。ウクライナ侵攻を続けるロシアの石油収入を減らすことで、停戦交渉の進展を後押したい考え。
ブルームバーグ・ニュースが入手した草案によると、G7は現在バレル当たり60ドルに設定されている価格上限について、再設定を財務相に指示する可能性がある。全てのG7諸国がどの程度この文書を支持しているのか、現段階では分かっていない。
ベッセント米財務長官はこれまで、ウクライナ停戦を加速させるのに寄与すると判断すれば、対ロシア制裁を強化することもあり得るとの認識を示している。G7はロシアによるウクライナ侵攻から3年となる2月24日に、声明を発表する予定だ。
米国とロシアは18日、サウジアラビアの首都リヤドでウクライナ紛争の停戦などを協議する初の高官会合を開いた。米政府は会合後、紛争終結への道筋を模索し、さらなる協議を重ねる方向で合意したと発表した。
会合は4時間半にわたり行われ、米国からはルビオ国務長官、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)、ウィトコフ中東特使、ロシアからはラブロフ外相、ウシャコフ大統領府外交政策顧問らが出席した。
当事者であるウクライナは参加しなかった。
米国務省報道官によると、「全ての当事者が受け入れ可能で、持続的かつ永続的な方法で可能な限り早期」に戦争を終結させるため、高官級チームを任命すると明らかにした。米ロの外交関係の正常化に向け「二国間関係における懸案事項」に対処するための体制構築などについても協議が行われたという。
ルビオ長官は会合後「今回の会合は長く困難な道のりの第一歩で、重要な一歩だった」と言及。トランプ大統領は戦争終結に向け迅速な行動を望んでおり、公平で永続的かつ持続可能な合意を目指しているとし、ウクライナ、欧州のパートナー、ロシアを含む全ての関係者が受け入れ可能な合意を目指していると述べた。
ロシア側には「真剣な交渉に着手する用意がある」と確信したとしつつも、和平に達するには全ての当事者による譲歩が必要とも指摘。欧州連合(EU)もいずれかの時点で関与する必要があり、いかなる解決策も全ての当事者によって受け入れられるものでなければならないと強調した。
ウォルツ補佐官は、戦争は恒久的に終結する必要があり、そのためには領土を巡る交渉が必要になるとし、今後の交渉ではウクライナの領土問題のほか、安全保障を巡る協議が含まれるだろうと述べた。
また、ウォルツ氏によると、トランプ氏とプーチン氏の対面形式での会談の日程は現時点で決まっていない。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた協議はウクライナ抜きでは実施できないと改めて強調。公正な平和を確保するために、ウクライナの安全保障に関する協議に米国のほか、ウクライナ、欧州が参加しなくてはならないと述べた。
ドイツのショルツ首相も「ウクライナの頭越しに決定を下すべきではない」と述べた。
<ラブロフ氏、NATO拡大容認できずと再表明>
ロシアのラブロフ外相も会合後の記者会見で、ウクライナ紛争の解決に向けた道筋を確立し、外交使節団の障壁を取り除くことで合意したと表明。今回の協議は有意義なものだったとし、ロシアと米国は互いの意見を聴き、理解し合い、両国間の協力関係を完全に回復するための条件整備で合意したと語った。
同時に、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は容認できないと改めて表明。「プーチン大統領がこれまでも繰り返し強調したように、NATOの拡大とウクライナのNATO加盟は、ロシアの国益と主権に対する直接的な脅威だと説明した」と述べた。
その上で「NATO加盟国の軍隊が展開されるのが、EUや個々の国の旗の下であったとしても、何も変わらないと説明した。当然、ロシアが容認できるものではない」とし、英国のスターマー首相が提案したNATO加盟国がウクライナに平和維持部隊を派遣する案についても否定した。
ロシア外務省のザハロワ報道官はモスクワで記者団に対し、NATOがウクライナの加盟を認めないだけでは「不十分」とし、将来の加盟の可能性に関する約束を撤回するなど、さらに踏み込んだ行動を取るべきと語った。
<譲歩みられず>
ロシアはいかなる譲歩も示唆せず、米当局者らも会合で譲歩が得られたとは主張していないため、協議が和平交渉に発展するかどうかについては不透明感が漂う。
オバマ元政権で駐ロシア大使を務めたマイケル・マクフォール氏はXで「プーチン大統領が和平交渉に向け一歩でも譲歩する意向があるという証拠は、これまでのところ全くみられない」と述べた。
<外交使節団の機能回復で合意>
米ロは今回の会合で、外交使節団の通常機能を相互に回復させることで合意。ロシアによるウクライナ全面侵攻などを受け米国がこれまでにロシアに課した外交使節団の制限が大幅に緩和される可能性がある。
ルビオ長官は「対話の経路を維持するために、通常の機能を果たせる活発な外交使節団が必要になる」とし、第一段階として、米ロがそれぞれの外交使節団の機能を迅速に回復させるための実務者を任命することで合意したと明らかにした。
ただ、具体策については言及しなかった。米国務省からもコメントは得られていない。
ロシア外務省によると、ラブロフ外相はリヤドでの会合に先立ち15日に実施したルビオ氏との電話会談で、在米ロシア使節団の機能について協議していた。
●プロファイ、インフラ、自然災害
業界データによると、2024年はドイツの風力エネルギーにとって好調な年となり、陸上風力タービンの許可交付が加速した。しかし、2月23日に予定されている総選挙により、この分野は不確実性に直面しており、世論調査でトップの2つの政党が声高に懐疑的な見方を示している。
支持率約30%で支持率首位に立つ中道右派キリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ党首は、風力発電を「過渡的技術」と表現している。昨年末、公共放送ZDFのインタビューでメルツ党首は、「景観に合わない」という理由で「醜い」風力タービンが最終的には撤去されることを望むと述べた。
全国世論調査で2位で、約20%の得票率を確保すると見込まれる極右政党「ドイツのための選択肢」は、このレトリックをさらに推し進めた。同党の首相候補アリス・ヴァイデル氏は、風力タービンをすべて取り壊すと脅し、風力タービンを「恥ずべき風車」と呼んだと報じられている。AfDは気候変動に疑問を投げかけ、環境危機への取り組みを頻繁に否定してきた。
風力発電は、発電に使用される再生可能エネルギーの一種であり、化石燃料からの移行において重要であると考えられています。
ドイツ経済研究所(DIWベルリン)のエネルギー経済学者ウォルフペーター・シル氏は、選挙運動中の「風力発電叩き」の一部、特にAfDによるものは時々「ばかげている」と述べた。
「AfDは多くの点で悪夢だ。風力発電の面でもそうだが、彼らが政権を握ることはないだろうから、あまり関係ないと思う」とシル氏は ビデオ通話でCNBCに語った。
AfDが世論調査で2位であるにもかかわらず、ドイツの他の主要政党は今のところAfDと連立政権を組まないと約束しており、選挙後はAfDが野党の一角を占める可能性が高いことを意味する。
「少なくとも次期政権にとっては、保守政党であるキリスト教民主・社会同盟(CDU)の行動の方がはるかに重要だ」とシル氏は指摘した。
ドイツの風力エネルギー拡大
シル氏は、ドイツ風力エネルギー協会とエンジニアリング財団VDMAパワーシステムズの最近の報告書を引用し、同国は2024年に陸上風力エネルギーの歴史的な節目を達成すると述べた。
報告書によると、欧州最大の経済大国である中国は昨年、陸上風力タービン2,400基以上のライセンスを取得し、総発電容量は14ギガワットを超えた。陸上風力タービンの契約数も過去最高を記録したという。
VDMAパワーシステムズのマネージングディレクター、デニス・レンシュミット氏はCNBCに対し、この記録的な数字は近年実施された法改正や政策措置の有効性を浮き彫りにしていると語った。また、この数字は業界に新たな動きが起こっていることを示しているとも述べた。
CNBCが電子メールで送ったコメントを翻訳したところによると、レンシュミット氏は「この勢いは新連邦政府によって維持される必要がある」と付け加えた。風力エネルギーの拡大は制限なく続けられなければならない、そうすればエネルギーコストが下がり、雇用が生まれ、エネルギー供給が確保され、エネルギー輸入への依存が減るからだ、とレンシュミット氏は述べた。
DIWベルリンのシル氏は、潜在的な障害はほとんどないと考えている。
「将来の成長に向けた条件はすべて整っている」と彼は述べ、唯一の障害は、新政権がイデオロギー的な理由か、エネルギーシステムにおける風力発電の役割に対する理解不足のいずれかから拡大のペースを鈍化させた場合のみに生じる可能性があると指摘した。
業界団体ウインドヨーロッパのCEO、ジャイルズ・ディクソン氏はCNBCに対し、CDU主導の政権が誕生する可能性は高いが、この業界に対する懸念はわずかだと語った。
「キリスト教民主同盟(CDU)主導の政府と、社会民主党または緑の党のどちらか、あるいはその両方が連立政権を組むことを考えれば、私たちにとってそれは全く暗雲を漂わせるものではない」と彼は語った。
ドイツの新連立政権CDU/CSUの有力なリーダーの立場について詳述した際、フラウンホーファー風力エネルギーシステム研究所(IWES)のアンドレアス・ロイター所長はCNBCに対し、同党は気候変動に関しては無関心ではなく、少なくとも風力エネルギーに強く反対しているわけではないと語った。
CDUはこれまで風力タービンに批判的だったが、ロイター通信によると、風力タービンは概ね信頼性が高く、安価なエネルギーを生産するため、当面は「容認できる」と見なす可能性が高いという。
再生可能エネルギーの課題
政権交代はドイツの風力エネルギーにとって差し迫った問題を意味するものではないかもしれないが、再生可能エネルギーと風力発電に関しては新たな与党連合は課題に直面することになるだろう。
ディクソン氏は、これにはドイツの再生可能エネルギー法の改正も含まれると指摘した。この法律は、10年後までに同国が電力の80%を再生可能エネルギー源から生産できるようにすることを目的に制定された。
こうした野望の鍵となるのは太陽光と風力エネルギーだ。核融合エネルギーは持続可能なエネルギー源として広く認識されているが、ドイツの取り組みは依然研究と計画の段階にある。ドイツは2023年に、国内に残る最後の従来型原子力発電所を閉鎖する。
新政府は法律の新たな改正に取り組む必要があると述べ、業界団体はこうした動向を注視し、改革を形作るために政府との緊密な対話を求める必要があることを示唆した。
ドイツが現在、再生可能エネルギーの生産と利用の拡大に向けて掲げている目標も、調整が必要となる分野のひとつだ。これらの目標のいくつかはすでに「完全に非現実的」だとIWESのロイター氏は語った。
つまり、政府は目標を削減しなければ毎年達成できないことになる、と彼は述べ、現在の計画は「積極的」だが、再生可能エネルギーが優先事項であることを示すのに役立ち、人々が大きな視野で考え、この問題に関して前向きな環境を作るよう促すのにも役立つと指摘した。
「一方で、まだギャップは存在し、2030年に近づくにつれてそのギャップはどんどん大きくなっています。問題は、このギャップをどう埋めるかということです。これらの目標を達成できないことをいつ受け入れるのか。これは次期政権にとってまた興味深い議論になるでしょう」と同氏は述べた。
投資家グループは、韓国で世界最大級の人工知能(AI)データセンターを建設する計画だ。AIブームの持続性に不透明感が漂う中でも、AI需要は世界各地で盛り上がりを見せている。
構想通りに完成すれば、データセンターの総工費は最大350億ドル(約5兆3000億円)。利用可能電力は最大3ギガワットと、米オープンAIとソフトバンクグループ(SBG)が計画するAIインフラ整備事業「スターゲート」のテキサス州の複合施設のほぼ3倍に当たる。
建設地は首都ソウルから離れた南西部を予定している。今年前半の着工、2028年の完工を見込む。ストック・ファーム・ロード(SFR)という投資会社の下にまとまった投資家グループがまずは100億ドル、長期的に最大350億ドルを出資する計画だ。SFRは韓国LG財閥の創業者の孫の具本雄(ブライアン・クー)氏と、ロンドンとヨルダンを本拠とするBADRインベストメンツの創業者で最高経営責任者(CEO)のアミン・バドラルディン(Amin Badr-El-Din)氏が立ち上げた。
クー氏は、韓国のデータセンターは現在おおむね内需を満たしているが、世界にサービスを提供する大型施設にふさわしい条件が同国にはそろっていると話した。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
ニューヨーク外為市場では、安全資産としての需要からドルが上昇。特にウクライナ停戦交渉や関税措置への懸念が影響した。米金融市場では、強い経済指標を受けて国債利回りが上昇し、FRBの利下げ判断が難しくなるとの見方が強まった。株式市場は高値圏で推移し、インテル株が急伸。金先物は地政学的リスクや関税政策への懸念から買われ反発。原油先物も、ロシアのパイプライン攻撃による供給不安で上昇した。
ロンドン株式市場は反落。英国の賃金上昇で利下げ観測が後退したが、銀行株が下支えし、FTSE100はほぼ横ばい。欧州株式市場では防衛関連銘柄の買いが膨らみ、STOXX欧州600種指数が最高値を更新。ドイツのDAXも上昇。ユーロ圏債券市場では、防衛費増加による国債発行懸念からドイツ10年債利回りが上昇。ウクライナ和平の進展やECBの政策が今後の債券市場に影響を与えると見られている。
備忘録(2025/2/17)
●海外企業決算
●海外企業
トランプ米政権は事実上、米半導体大手インテルの株式に買い推奨を出した。だがそれだけでは、同社を苦境から救うには十分ではない。
インテル株は先週急伸した。JD・バンス米副大統領がパリで開催されたAIサミットで11日に演説し、米政権が半導体の国内生産を強化する方針を掲げたことがきっかけとなった。同氏は「トランプ政権は、最も強力なAIシステムが米国内で構築され、米国で設計・製造された半導体が使われるよう徹底していく」と述べた。
ロバート・W・ベアードのアナリストはこの後に出したリポートで、米政府はインテルと競合の間で話し合いを取り持とうとしているとの見方を示した。「アジアのサプライチェーン(供給網)」からの情報だとして、半導体ファウンドリー(受託生産)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、スピンオフ(分離・独立)されるインテル製造部門を共同で所有し、施設の運営を担う可能性があると指摘。「(情報は)未確認で、プロジェクト完了には時間がかかりそうだが、理にかなった動きだろう」と述べた。
このような提携の構想は以前からあった。インテルはすでに、ファウンドリー事業部門「インテル・ファウンドリー・サービシズ」を子会社化する手続きに着手しており、書類上はスピンオフ(分離・独立)しやすくなる。
どちらかと言うと小粒の材料で株価が大きく上昇したことは、むしろインテルが抜け出そうとしている苦境を反映したものだ。売り上げ減と製造部門の現金燃焼で同社の時価総額は大きく落ち込んだ。株価は昨年60%下落し、先々週は10年ぶりの安値に迫った。足元で持ち直したものの、時価総額はTSMCの8分の1程度だ。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、わずか5年前にはドルベースで同水準だった。
それでも、最先端プロセッサーを生産できる半導体メーカーは米国にはインテルしかなく、トランプ政権の構想には不可欠だ。同じく最先端半導体メーカーであるTSMCと韓国のサムスンは現在、米国に新工場を建設している。だがいずれも外国企業で、最悪の場合、TSMCは台湾を巡る中国との衝突に巻き込まれる可能性がある。エヌビディア、アップル、クアルコム、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの米テック大手が製品に使う最先端半導体は、ほぼ全てTSMC製だ。
一方、インテルのファウンドリー部門の主な顧客はインテルで、自社で設計した半導体の製造が事業の大半を占める。この厳しい現実を受け、唯一の生き残り策は同部門最大の競合との提携だという見方も出ている。TSMCならインテルの工場に顧客を回すことも可能だ。インテルのファウンドリー部門は2024年の売上高が175億ドル(約2兆6600億円)、営業損益は130億ドル超の赤字だった。TSMCの同年の売上高は900億ドル、営業利益は411億ドルだった。
ウルフ・リサーチのアナリスト、クリス・カソ氏は13日付の顧客向けメモで、「インテルのサーバー事業とPC事業は、最先端工場の多額のコストを吸収できるだけの成長を生み出せなくなるとみている」と述べ、「インテルの固定費を早期に吸収するのに必要な生産量を呼び込めるのはTSMCだけだ」と指摘した。
ただ、インテルとTSMCは同業に見えるが運営方法は大きく異なる。インテルは創業以来長きにわたり、自社設計の半導体しか製造していなかった。「インテルの工程のエコシステム、設計方法、製造システムはTSMCと根本的に違う」。シティグループのアナリスト、ローラ・チェン氏は13日付のリポートでこう指摘した上で、この違いがインテルの潜在顧客にとって高い障壁になると述べた。
こうした問題は、トランプ政権の明確な支持があっても簡単には解消されない。資金ももっと必要だ。インテルは製造工程でTSMCに追いつこうとし、直近3年間で400億ドル近いキャッシュバーン(現金燃焼額)に陥った。ファクトセットによると、アナリストは赤字のフリーキャッシュフローが来年末まで続くと予想している。「お見合い婚」ではインテルを救済できないかもしれない。だが資金と時間でも救済できないことはすでに明らかだ。
オーストラリアの保険会社の株価が17日の取引で下落した。5月までに予定されている総選挙を控え、野党・自由党のダットン党首は保険各社が顧客を搾取していると非難し、解体すると警告した。
ダットン氏は16日に放送されたスカイ・ニュースとのインタビューで「消費者が公平に扱われるよう保険市場に介入する。人々は保険料を払い過ぎており、結果として、保険に加入していない人もいる」と述べた。
豪保険市場はサンコープ・グループ、インシュアランス・オーストラリア・グループ(IAG)、QBEインシュアランスによって支配されている。
取引時間中にサンコープ株は21.3%下落し、昨年5月30日以来の安値を付け、IAG株も約4%安と3カ月ぶりの安値まで下げた。QBEは一時1%下落した。
●日本企業
●先進国政治動向
17日公表された豪世論調査によると、アルバニージー首相率いる労働党政権の交代を求める有権者が過半数を占めたほか、首相の支持率が就任以来最低となり、5月までに実施される総選挙で再選が危うくなっている。
調査会社ニューズポールが豪紙オーストラリアンの委託で行った調査では、対象となった1244人の有権者中約53%が、労働党政権は再選に値しないと回答。再選されるべきとの回答は34%だった。
アルバニージー氏の実績について「満足」から「不満足」を引いた純評価はマイナス21と、首相就任以来最低となった。
野党連合と与党のどちらに投票するかを問う調査の支持率は、野党連合が51対49で与党へのリードを維持。今回の調査結果が選挙で再現されれば、与党が過半数に達しない公算が最も大きいとみられている。
アルバニージー政権は生活費上昇への対応や雇用拡大に向けさまざまな政策を打ち出しているが、支持率押し上げに苦戦している。
●先進国中銀、金融当局
日本銀行が金融危機などの際に金融機関から買い入れた株式の売却が、2016年4月の開始から想定よりも早い今夏にも完了する見通しだ。日銀が大量に保有する上場投資信託(ETF)の処分に向けた議論を促すかが注目される。
日銀は金融システム安定を確保する目的で、02年11月-04年9月とリーマンショック後の09年2月-10年4月に金融機関から株式を購入した。26年3月末まで10年かけて処分する予定としてきたが、簿価で毎月100億円前後の売却が進む中、先月末の残高は550億円程度に減少。同様のペースならあと6カ月で残高がゼロになる計算だ。
保有株式の売却は、この間の相場環境が良好だったこともあり、市場に大きな影響を与えることなく円滑に進められてきた。売却が完了するのをきっかけに、これまで封印された状態が続いている保有ETFの処分を巡る議論が、今年中にも始まる可能性が出てくる。
日銀は昨年3月にマイナス金利解除など大規模緩和からの転換に踏み切り、ETFの新規買い入れも終了した。7月には国債購入の減額計画を決めてバランスシートの正常化にも着手したが、保有ETFの処分については、植田和男総裁が1月31日の国会答弁で「時間をかけて方法を決めたい」と述べるにとどめている。
ETF買い入れは、白川方明総裁の下で10年12月に開始。後任の黒田東彦総裁が推進した大規模緩和によって増額が繰り返され、簿価が37兆円、昨年9月末の時価は70兆円に達する。日経平均株価はそれ以降に3.3%、購入開始時点からは約4倍に上昇している。
ETFを処分する場合、市場への影響を最小限にするため、金融機関から買い取った株式の売却完了に合わせてETF売却を開始することも一案となる。ただ、売却前の保有株式残高が簿価で1兆3500億円程度だったのに対し、ETF残高はその約27倍だ。同じペースの売却なら200年以上かかる計算になり、現実的とは言い難い。
公的債務残高の対国内総生産(GDP)比率が先進国で最悪という財政状況の中で、日銀の保有ETFの行方は政界でも注目を集めている。立憲民主党は、保有ETFを簿価で政府に移管した上で、その分配金収入と売却益を少子化対策などの財源に充てるよう提唱している。
収入源
一部のアナリストは、アジア通貨危機時の1998年に香港当局が株式市場に介入した後、第三者機関を設立して保有株式の管理・処分を行った手法が参考になると指摘。日本も好機をうかがって市場で売却する機関を設立したり、市場外で長期保有の機関投資家に譲渡したりすることも可能だとみている。
一方、日銀の2024年度上期決算ではETFの分配金などの利益は1兆2641億円に達し、安定した収入源となっている。日銀は昨年7月と今年1月にも利上げし、今後も政策正常化を続ける見通しだ。支払利息の増加に伴う財務悪化や最終利益にあたる当期剰余金の国庫納付への影響なども踏まえれば、処分を急ぐ必要性は乏しいとの見方もある。
ETF買い入れという中央銀行として異例の政策を大規模に進めた結果、市場での存在感が高まり、処分の行方に注目せざるを得ない状況となっている。株価の動向次第では負の遺産に変わる可能性もあり、処分方法を検討する際には市場関係者を交えた議論が必要になりそうだ。
アジア諸国の中央銀行は、強いドルに対する自国通貨の防衛でデリバティブ(金融派生商品)活用を拡大している。ただそうした措置がいつまで可能か、また将来に問題を残すだけではないかとの疑念が生じている。
インド準備銀行(中央銀行)では、あらかじめ設定された価格で将来の特定の期日に売却されるドルの規模を示すネット・ドル・ショート・フォワードポジションが昨年12月に680億ドル(約1兆400億円)と、過去最大に達した。インドネシアの中銀でもネット・ショートが196億ドルと、少なくとも2015年以来の高水準を記録したことが、最新の公式データで示された。
こうしたポジション増加は、中銀による自国通貨防衛の戦略変化を示す。ただ、通貨防衛で現物取引に加えデリバティブを活用する結果、売り圧力が除去されるのではなく先送りされるリスクへの懸念が強まっている。
ANZバンキング・グループの外為ストラテジスト、ディラジ・ニム氏は「これは基本的に通貨下落を先延ばしにしているだけだ。その間に自信を示す手段として外貨準備高を高い水準に維持している」とした上で、「私はそうしたシナリオを少し憂慮している」と述べた。
インド、インドネシア両国中銀にコメントを求めたが、今のところ回答はない。両中銀は以前、デリバティブの活用を確認している。
インド・ルピーとインドネシア・ルピアはこの1年間、ドルに対し4%強下げており、いずれもアジア通貨パフォーマンスで下位に沈んでいる。
政治リスク
トランプ米大統領の返り咲きを受け、新興国中銀に対する圧力は増している。トランプ氏の関税政策に対する恐れから、対ドルで通貨安の波が起きているほか、他国を為替操作国と名指しするトランプ氏の姿勢に伴い、介入に対する政治的な監視が強まっている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の通貨・金利戦略担当共同責任者クラウディオ・パイロン氏は「これが非常に微妙な問題であることは明らかだ。公正な貿易や為替操作に関し米国の監視の目が厳しくなっている現在の環境ではなおさらだ」とし、「市場に過度に介入したいという切実な願望はないと考えられる」と分析した。
フォワードの活用には、潜在的なコスト低減やマネーサプライ減少の回避など、中銀にとって大きな利点がいくつかあるが、中銀介入を覆い隠すことも可能にする。外貨準備高の減少につながらないため、トランプ大統領の怒りを買うリスクを最小限に抑えることができるかもしれない。また、この戦略の活用はトレーダーを不安にさせ続けることもできる。
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
最近の山火事の被害に遭った地区から約16キロ離れたロサンゼルス郊外の高級住宅地には、無傷の家が立ち並ぶ。数軒は人が住んでいない。所有者が暮らしているのは遠く離れた中国だ。
米国では以前から、外国の富裕層が投資対象として高級住宅を購入している。率先して買っていたのは大抵、中国人だった。多くの買い手がロサンゼルスに押し寄せたが、中国政府による新たな通貨制限の実施を受けて、2018年には中国人の購買意欲は失われ始めた。
パリセーズ、イートン両地区の火災で住む場所を失った数千人の住宅所有者が新たな住宅を探す中、これまでは住宅市場の一面として許容されていたロサンゼルス郡の空き家は、怒りを招くテーマになりつつある。
「なぜここに空き家があるのか」。不動産仲介会社コンパスのアシュリー・レーダー氏は疑問を投げかけた。
レーダー氏はパリセーズ地区とイートン地区の火災で家を追われた10人超の顧客のために新しい家を探している。「十分な住宅がない時には、住宅を資産や投資戦略ではなく、避難所と考える必要がある」
ロサンゼルス郡の空き家の多くは国内に所有者がいる。親戚から不動産を相続したが、どうするかを決めていない人もいれば、米国の他の地域に住んでいるが、セカンドハウスとして使うため売りに出していない人もいる。
金融危機後に住宅価格が下落すると、中国人が米国の住宅市場に殺到した。特に買い手が集まったのがロサンゼルス市の東にあるサンガブリエルバレー地区だった。立派な住宅と、中国人移民の活気あるコミュニティーが近くにあることが人気の理由だった。
国勢調査局が2023年の米地域社会調査(ACS)を実施した時点で、ロサンゼルス郡の総住宅戸数のうち、約22万5000戸(6.1%)が空き家だった。空き家のうち、3万3000戸以上が「季節的、レクリエーション目的、または不定期の使用」のために使われていたという。
全米レベルで見ると、ロサンゼルス郡の空き家はそれほど多くない。カリフォルニア大学ロサンゼルス校ルイス地域政策研究センターの住宅研究者、シェーン・フィリップス氏によれば、ロサンゼルス郡は「米国の大多数の郡や主要都市」よりも空き家率が低い。
ロサンゼルスの火災によって住む家を失った家族の一部は、空き家が避難所として使えるのに無駄になっていると今も考えている。
2人の幼い子どもがいるジョアン・グエンさん(39)と夫は、イートン地区の火災でアルタデナにある家を失って以来、長期の賃貸物件を見つけようとしている。これまで3人の家主に断られたが、そのうち1人からは、月額1万6500ドル(約252万円)を超える家賃に加えて、賄賂を要求された。
グエンさん一家はホテルや義母宅の予備の寝室に滞在していたが、現在は、火災後にロードアイランド州に引っ越した友人が所有する空き家を一時的に借りている。今の危機的状況を考えると、より多くの空き家所有者が住宅を利用できるようにするべきだ、とグエンさんは言う。
「ホテルに暮らしている家族のために、思い切って在庫を解放する絶好の機会だ」とグエンさんは話した。「空き家なら滞在を認めるべきだ」
ロサンゼルス郡当局は以前から、管理者不在時の安全上のリスクを理由に、空き家の規制や戸数の把握を試みている。
2022年にはサンマリノ市議会が、空き家となっている商業用・住宅用物件に1万ドルの税金を課す条例を提案したが、最終的に可決されなかった。サンマリノやアルカディア、テンプルシティなどの地区は住宅の不在所有者に対し、住宅の登録、手数料の支払い、現地の緊急連絡先の明確化を義務付けている。
カリフォルニア不動産協会(CAR)の次席エコノミスト、オスカー・ウェイ氏によると、これら3都市はサンガブリエルバレー地区のパサデナなどと共に、外国人投資家に人気の地域となった。最近では、こうした投資家の大半を中国人、メキシコ人、韓国人が占めているという。
外国の住宅所有者は1年のうち数週間、休暇中に立ち寄るのかもしれないし、米国の大学に通う子どもが一時的に住むのかもしれない(例えば、カリフォルニア工科大学が近くにある)。時には家を貸し出すのかもしれない。
近年、ロサンゼルス郡住宅市場への外国人による投資は大幅に鈍化している。CARの不動産業者年次調査によると、2024年の同郡の住宅販売総数のうち外国人が購入した物件数は約4.6%で、08年の10.6%より低下した。
ウェイ氏がCARの調査に基づいて見積もったところ、ロサンゼルス郡の一戸建て住宅のうち約15万戸は外国人が所有している。こうした住宅の約2万7000戸は、主な居住用物件というより投資用物件と見なせると同氏は言う。
サンマリノ市議会のカルビン・ロー議員は空き家の持ち主に対し、少なくとも山火事のような状況の際には物件を売りに出すよう強く求めた。
サンマリノの不動産業者、ジャニス・リー氏によると、同地区で過去40年間に扱った物件の10件に1件は外国人が購入した。そうした買い手の一部は、購入した家に住む予定だと話していたという。
「疑わしくても好意的に解釈したい」。リー氏は外国の購入者についてそう話した。「ただし、私たちのコミュニティーにもう空き家はいらない」
17日の取引で欧州債が下落。パリで緊急に開催が決まった欧州首脳会議で、安全保障強化に向け支出拡大計画が示されるとの臆測が広がっている。
ドイツ10年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、2.50%弱を付けた。フランスとイタリアの10年債利回りも同様に上昇。米国債市場は同国の祝日のため休場だが、先物は10年債利回りが4.50%を上回っていることを示唆する。
フランスのアダッド欧州担当相はブルームバーグテレビジョンに対し、欧州の防衛費増額に対処するため、向こう数日間で欧州共同債を協議する必要があると主張。「ウクライナで起きていることは、欧州とその安全保障の将来にとって、存亡の危機に関わる重要性を持つ。また、どのように安全保障強化の資金を調達できるかを考えるべき時でもある」と語った。
「このような非常事態に直面し、歴史的な決断を下す時だと思う。実際、例えばユーロ共同債は話し合うべき仕組みの一つだ」と続けた。
パリでの首脳会議には、ショルツ独首相、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と欧州理事会(首脳会議)のコスタ常任議長(EU大統領)、ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長、イタリアのメローニ首相、ポーランドのトゥスク首相、スペインのサンチェス首相、デンマークのフレデリクセン首相、オランダのスホーフ首相、英国のスターマー首相らが出席する見込み。
米国が対ウクライナ支援の意欲を失いつつあることを示唆する和平案を示し、欧州当局が軍事投資の強化を探るのではないかとの懸念から、投資家は欧州全域で国債利回りが上昇する可能性があるとみている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、欧州主要国の国防強化とウクライナの防衛には今後10年間で3兆1000億ドル(約470兆円)の追加費用がかかり得ると推定。
ダンスケ銀行のミナ・クーシスト氏らストラテジストは、「和平合意が金利市場に与える最大の影響は、ガソリン価格下落によるディスインフレ効果よりも、むしろ財政支出の増加によるものだ」とリポートで分析。「財政支出の増加は長期的にインフレ加速につながり、イールドカーブのロングエンドに圧力が加わるだろう」と指摘した。
売り圧力はユーロにもかかっている様子だ。ユーロは月初からドルに対して1%以上余りしているが、米商品先物取引委員会(CFTC)の直近のデータによると、投機筋はユーロに対するショートを今年最高の水準に積み上げた。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「米ロの和平協議は、欧州に大きな負担を移管することになりそうだ」と指摘。「防衛費増額と相まって、これが欧州債の長期的な債券供給を押し上げるとの見方が多い」と述べた。
為替市場で低金利の円を調達して高金利通貨を買う「円キャリー取引」に異変が起きている。金利差を利用して収益を狙う投資家は、変動が大きいドルではなく欧州通貨で円買いに必要な資金を調達し始めた。
ドルを基軸とした投資戦略は、トランプ米大統領の貿易関税案で生じた市場の先行き不透明感によって難局に直面している。関税案がドル高の材料となるのか、それとも交渉戦術に過ぎないのか投資家は疑問視している。
円高を予測する一部の運用会社は、日本との金利差を収益とするためにドルではなく欧州通貨を絡めた戦略を採用している。
バンガード・アセット・マネジメント、ラッセル・インベストメント、RBCブルーベイ・アセット・マネジメント、カンドリアムが該当し、ユーロ、スイス・フラン、ポンドの円に対するショート(売り持ち)を行っている。こうした背景には、大きなリターンが見込めることに加え、値動きの予測が一段と困難になっているドルよりも安全だと考えられていることがある。
UBSグループのマクロ・ディストリビューション部門のグローバルヘッド、エイドリアン・ボーラー氏は「ドルのリスクを負わずに円取引を行う方法の一つは、クロス円で取引することだ」と語る。「ドル・円を避けることで、トランプ氏に関連するヘッドラインリスクを排除し、より確度の高い円取引を行うことを選択している」と説明した。
約5年にわたる円安基調の後、円はようやく低利回り通貨というレッテルを変える準備が整ってきた。日本銀行はデフレが終焉(しゅうえん)したことを認め、政策金利を0.5%からさらに引き上げていく方針を示している。
投資家は特に、欧州の通貨に対して円を買うことに意欲的だ。欧州の多くの国々が自国の経済を支えるために積極的な利下げを行う見通しであるのに対し、日銀は金融引き締めを行っていくからだ。
トレーダーは、欧州中央銀行(ECB)が今年少なくともあと3回、0.25%の利下げを行うと予想している。これに対し米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ予想は1回のみであり、ユーロ安に働く可能性が高い。一方、日本では賃金上昇の兆しが見られ、日銀は2025年に少なくともあと1回利上げに動くとの期待が高まっている。
こうした状況から、円は1月以降、スイス・フラン、英ポンド、ユーロに対して約2%上昇している。
「経済面でも政治面でも、ユーロには対円での下落圧力がかかっている」と、ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは指摘する。
シティグループ、ラボバンク、ダンスケ銀行はユーロが年末には150円を割り込むと予測、ダンスケ銀は現在の160円から12%下落して141円になるとみている。
オプション市場は年初来、円に対する欧州通貨のセンチメント(市場心理)の弱さを示している。対円でのスイス・フランのいわゆるリスクリバーサルは2カ月ぶりの弱気水準に近づき、トレーダーは160円への下落に対する警戒感の高まりを指摘する。スイスがマイナス金利への回帰の可能性に直面しているためだ。
年初来のユーロ・円のボラティリティーはユーロ・ドルに比べて落ち着いている。この2つの通貨ペアのスプレッド(格差)は、昨年の米国大統領選直前から縮小をたどり、オプション市場が主にドルクロスの形で関税リスクプレミアムを反映し始めた時期と一致する。
ブルーベイのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は、米国の関税に関する騒動を無視して円高に賭ける手段として、対ユーロとポンドで円を買ったと述べた。
バンガードの国際金利責任者アレス・クートニー氏も、昨年12月にユーロと韓国ウォンとともに、フランに対して円を買い始めたと話す。「円はかつてわれわれが最も好むショートポジションの一つだったが、今では最も好むロングポジションの一つとなっている」と語った。
米国で昨年12月に中古住宅の売却を取りやめた件数が増加した。米住宅市場が機能不全に陥りつつあることを示す最新の兆候だ。
不動産情報会社コアロジックのデータによると、12月に買い手が見つからず、売り物件を取り下げたケースは約7万3000件に上った。
冬季には積極的に住宅を探す人が減り、中古住宅の売却取り下げは増加しやすい。だが昨年12月は例年よりもその傾向が強く、売り出し中だった物件のほぼ10件に1件が取り下げられた。前年同月比で64%増加した。
多くの売り手は一時的に取り下げ、春に再び売り出す方が効果的だと考えている。だが売却取り下げの急増は、2024年を通じて住宅市場に出された物件の多くが余剰在庫として残り、冬の到来とともに取り下げざるを得なかったことを物語る。それに加え、表面的な在庫数が示す以上に、積もり積もった売りの意欲があることもうかがわせる。
ここ数年の米住宅市場を特徴づけてきたのは、超低金利の住宅ローンで持ち家を購入した人々が、その金利を手放したくないため、同じ家に住み続けているという状況だった。住宅ローン利用者の約3分の2は4%未満の金利で借りている。そのため、中古住宅の供給が滞り、米国の住宅価格を過去最高水準に押し上げていた。
だがそのロックイン(囲い込み)効果は徐々に薄れている。仕事の都合や家族の増加など、先延ばしできない人生のイベントで転居の必要がある人が増えているためだ。全米不動産協会(NAR)のデータによると、12月の中古住宅の売り物件数は115万件で、前年同月比16%増加した。
売り物件は増えたものの、買い手が現れないため、2024年の中古住宅販売件数は約30年ぶりの低水準にとどまった。
需要の弱さにもかかわらず、中古住宅の価格は少なくとも現時点では底堅さを保っている。所有者は近隣物件の成約価格を下回る水準での売却を望んでおらず、期待値の調整に乗り出す気配はない。売却の取り下げは恐らく一種の安全弁として機能し、売り手が値下げを受け入れるのではなく、売却を先送りする手段となっている。
一方、新築住宅の価格は下落傾向にある。初めて住宅を購入する層向けに床面積を縮小し、手頃な価格にしていることが一因だ。それでも売れ行きは思わしくない。全米住宅建設業者協会(NAHB)のデータによると、12月の入居可能な新築住宅の在庫件数は前年同月比46%増の11万8000件に達した。
12月は住宅市場にとって異例の逆風が吹いた可能性もある。30年物住宅ローンの固定金利は次第に上昇して24年末時点で7%に迫り、需要の重荷となった。第2次トランプ政権下で米経済の方向性が明確になるまで、一部の買い手は様子見をするとみられる。
だが中古住宅の売却取り下げと新築住宅の売れ残りが今後何カ月も高水準で推移すれば、売り手にとっては悪い兆候となる。不動産分析会社グリーンストリートによると、一戸建て住宅の賃貸を手がけるインビテーション・ホームズとアメリカン・ホームズ4レントの株価はそれぞれすでに純資産価値を33%と22%下回る水準にあり、米国の住宅価格が調整局面に入る可能性があるとの投資家の見方を反映している。
また売り物件の取り下げ増加は、住宅取引が回復次第、市場に戻ってくる「影の在庫」があることも意味する。そうなれば、たとえ春になって買い手が現れても、住宅価格に下押し圧力がかかるかもしれない。
米国の欧州同盟諸国は、第2次トランプ政権との関係が困難なものになると分かっていた。そうであっても、ここ数日で彼らが米政府から受けた衝撃は危機に等しい。米国からの警告はおおよそ次のようなものだ。「しっかりしろ、さもなければ米国は出て行くぞ」
まずはウクライナ戦争の話からだ。これは1945年以降に欧州の地で起きた最大の軍事紛争であり、欧州大陸諸国の指導者たちは、自分たちの安全保障が危機にさらされていることを認識している。しかし、ドナルド・トランプ大統領のメッセージは、ウクライナ戦争がどのように解決されるべきかについて、欧州の人々がどう考えているかなど米国は気にしていないというものだ。
トランプ氏は先週、この紛争の終結について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談した。この出来事は欧州を驚かせた。ピート・ヘグセス米国防長官もまた、同盟・友好諸国に相談することなく、ウクライナは2014年のロシアによる最初の侵攻で失った領土の回復を期待すべきではないとの考えを明らかにした。トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使キース・ケロッグ氏は記者会見で、欧州諸国が和平交渉で役割を果たす可能性について問われ、「それはないだろう」と述べた。
これらは北大西洋条約機構(NATO)の同盟国に対する侮辱だ。これらの国々は、プーチン氏の帝国主義的な野望によって安全保障が脅かされており、ウクライナの防衛に資金や装備を供与してきた。だが、この無礼な言動は、現実を認識したものでもある。ウクライナへの支援提供では、あまりに多くの欧州各国政府、特に最大の政府の対応が遅過ぎる上、規模もごくわずかだ。それは戦略的な信念が欠如していたり、何十年にもわたって軍事ではなく福祉に支出してきたりしたためだ。
トランプ政権は、ウクライナ戦争への寄与に関して騒いではいたが先延ばししてきた欧州を、寄与を理由にして交渉のテーブルに着かせることに消極的なように見える。米国が在欧米軍の兵力縮小でロシアと合意する可能性をヘグセス氏が示唆していることなど、トランプ氏の和平交渉へのアプローチの多くは、米国自体の利益にまったくそぐわないものだ。だが、自国の安全保障に関する決定を自ら下さず、他国に委ねるという立場を選んだのは欧州だ。
欧州で先週、トランプ政権にとってより大きなテーマだったのは、その点だとわれわれは思っている。フランス・パリで開かれた人工知能(AI)に関するサミットで、JD・バンス米副大統領は身が引き締まるような警告を発した。バンス氏は欧州が今日の最先端技術を規制し過ぎることがあれば、欧州は次の産業革命で後れを取るだろうと述べた。欧州の人々は米国の当局者から、欧州が経済統制政策によって自らを貧困化していると、これほどまで率直に告げられることに慣れていないが、誰かが言う必要があった。
その後、バンス氏はドイツ・ミュンヘンで、一層驚くような批判を展開した。同氏は欧州にとって最大の安全保障上の脅威が「域内からの脅威」だと述べた。彼は、主流派の政治家が自らの力を右派や左派の新興政党に奪われることを心配する中、「誤情報」や人種差別主義などの問題をしばしば名目にして、反体制派を積極的に締め付ける政治風土が存在すると指摘した。それに隠された意味は、民主主義のために米国が欧州を守ることを期待するのなら、欧州ははっきりと認識できるほどに民主的である必要があるということだ。
こうした介入に対して欧州各地から怒りの声が上がった。一部には理由があった。ドイツの政治家にはバンス氏を腹立たしく思う理由がある。同氏が選挙の1週間前に極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」への遠回しな支持を表明したことだ。それは間違いだった。次期首相になる公算が大きく、AfDよりはるかに親米的な中道右派のフリードリヒ・メルツ氏の立場を弱める格好になったからだ。
しかし欧州の人々は一般的に、少なくともウクライナと防衛問題に関しては、トランプ氏のチームに一理あることを渋々認めている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は今週、ウクライナ停戦交渉への対応について話し合うため、欧州の主要国が参加する緊急首脳会合を開催する予定だ。首脳たちは、欧州が役割を果たす方法は「具体的な提案やアイデアを出し、(防衛)支出を増やす」ことだとするケロッグ氏の忠告に耳を傾けるべきだ。
後者の点に関して、英国のキア・スターマー首相は先週末、財務相の判断を覆し、同国の国防支出の国内総生産(GDP)比を財務省が目標とする2.3%ではなく2.5%に引き上げるよう主張した。しかし軍の指導者たちはさらなる支出拡大が必要だと考えている。この新たな目標にも期限は設定されておらず、経済成長がほぼ止まり、政府の財政状況がひどく悪化している中で、目標を巡り厄介な政治的駆け引きが行われるだろう。そこで、バンス氏は経済成長の重要性を説いたのだ。
米国が欧州から撤退するなら、それは歴史的な誤りとなり、米国の利益を損なうことになる。しかし欧州は先週以降、トランプ氏が欧州大陸のことには関与せず各国の判断に委ねる用意があるかもしれないことが分かった。欧州はそれに応じて行動する必要があり、経済を再生し自国の防衛への投資を拡大することが不可欠かつ緊急な課題だ。
コートジボワールの中央部全域に降る大雨によりカカオの木が強くなり、4月から9月の中期作物の生育条件が改善されると農家らは月曜日に述べた。
チョコレートの主原料であるチョコレートの世界最大の生産国であるコートジボワールは、11月中旬から3月まで雨がほとんど降らない乾季にある。
農家は、先週、国の中央部で例年を上回る降雨があったため、暑い天候により中期作物の収穫期の開始が遅れ、豆の供給が逼迫するのではないかと懸念していた。
農家は、水分が若いカカオの実の生存を助けると期待されるため、今は喜んでいると語った。彼らは、カカオの木の収穫量を増やすには、今月末までにもう一度雨が必要だと付け加えた。
「木々はもっと元気になるだろう。水不足で多くのカカオの木が弱っていた」と、
先週5年間の平均より11.3ミリ多い18.2ミリの雨が降ったヤムスクロ中部地域の近くで農園を営むエティエンヌ・ブルーさんは語った。
降雨量が例年を上回ったボンゴアヌ中央部と、降雨量が例年を下回ったもののカカオの木を育てるのに水分量は十分だったと農家が述べたダロア西中央部でも、同様のコメントがあった。
雨量が例年を下回ったスーブレ西部とディボ南部の農家、また雨量が例年を上回ったアグボヴィル南部とアベンゴルー東部の農家は、生育状況は引き続き良好で、多くのシェレルが小さな実に変化していると語った。
これらの地域の農家は、3月から雨が定期的に降れば、中間期の収穫は昨シーズンと同じくらい豊作になるだろうと付け加えた。
「3月以降に十分な雨が降れば、中期作物に十分な豆が収穫できるだろう」と、スーブレ近郊で農業を営むクアシ・クアメさんは言う。スーブレでは先週、例年より7.2ミリ少ない1.2ミリの雨が降った。
先週のコートジボワール全土の週平均気温は27.8度から33.2度の範囲でした。
日本の社債市場が活況だ。景気が回復し、日本銀行が超金融緩和政策からの脱却を進める中、金利上昇に先手を打つ企業の姿勢が発行ラッシュを後押ししている。
ブルームバーグのデータによると、2024年度の社債発行総額は17日時点で約14兆6800億円と、同期間として過去最高に達した。年度末まで残り6週間にも多数の起債が予定されている。
発行ラッシュは日本経済に大きな変化が起きていることを示す一例だ。日本経済はようやくデフレからインフレへ転換しつつあり、日銀は世界最長となった超金融緩和政策を終了した。一連のコーポレートガバナンス(企業統治)改革により、企業に資本効率の向上を求める動きも強まっている。これら全てが企業に社債発行を急がせる号砲となった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資銀行本部の諏訪一キャピタル・マーケッツ・グループ長は、発行企業の顔ぶれが広がっており、「同じ企業でもより大きい調達に動いてくる」と話す。
日本企業の社債発行額は過去最高
日本の長期金利は足元で約15年ぶりの高水準に到達。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値では、現在0.5%の政策金利は27年に1.1%へ上昇する見込みだ。ただ、企業経営陣からは利上げは景気回復を反映した結果とポジティブに捉える声が聞こえてくる。
三井不動産の植田俊社長は1月に経済3団体が共催した新年祝賀会で記者団に対し、「利上げは成長の裏返しでもある」とコメント。短期的にはデメリットがあるとしつつ、「長期で見ると成長の証しであり、本来あるべき姿に戻ろうとするプロセス」だとの見方を示した。三井不では円での借り入れの9割を長期の固定利付きで固めているとも明かした。
円建て社債の平均利回りを示すブルームバーグの債券指数は1.39%と1年前の0.87%から上昇したが、借り入れコストの国際比較では依然最も低い水準にある。
ガバナンス改革
企業にガバナンス改革や資本効率の向上を迫る圧力も社債発行が増えている要因の一つだ。業績や株価を押し上げる優良なプロジェクトを動かすには資金が必要で、企業も追加で負債を抱えることに前向きになっている。
ソニーグループは総額1100億円の社債を通常より短いマーケティング期間で起債する方針で、日本の社債市場が世界基準に近づいていることを示唆する。
企業による大型の合併・買収(M&A)の増加も社債の発行につながっている。総合通信大手のKDDIはコンビニエンスストア大手ローソンの株式公開買い付け(TOB)に伴う借入金の返済に充てるため、24年度に総額5100億円と年度ベースで同社として過去最大額の社債を発行した。
日本の事業会社や金融機関は海外でも発行を増やしている。ブルームバーグが集計したデータによると、日本の発行体と海外子会社による今年度これまでのドル建ておよびユーロ建て起債額は約890億ドル(約13兆5000億円)と、同じ期間としては過去3年で最も多い。
現在の社債発行ブームには注意も必要だ。日本企業は潤沢なキャッシュフローを持っており、今後借り入れを続ける意欲が減退する可能性は否定できない。日銀のデータによると、民間の非金融法人が保有する現金は約350兆円に達し、1990年代後半のほぼ2倍となっている。
日本経済にはトランプ米大統領の関税政策の脅威もある。円相場の変動が大きくなり、輸出企業を中心に業績の不確実性が高まっている。
もっとも、市場のボラティリティーが高まると社債を発行しにくくなるリスクが出てくるため、世界経済の混乱リスクはむしろ企業に社債の前倒し発行を促す可能性もある。
大手外食グループのすかいらーくホールディングスの谷真会長はブルームバーグの取材に、経済が混迷して金利が上がるかどうか不透明な中で、できるだけ今年の上半期に「社債も含めて資金調達をしっかりと実行したい」と語った。
●中東情勢
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
米国の洋上風力発電に関連したインフラと供給網に対する投資を予定していた企業各社が、計画を撤回しつつある。トランプ米大統領が連邦政府による支援を廃止する姿勢を示していることを含め、プロジェクトが強い逆風にさらされているからだ。
米国の洋上風力発電産業はこの2年、急激な減速に陥っている。多くのプロジェクトで長期にわたる遅れやコスト増大が生じ、計画中止に至った例さえある。期待されていた数千人の雇用や数十億ドルの投資に影響が及びかねない状況だ。
洋上風力発電の業界団体オーシャンティックでマーケテイング・広報担当シニアバイスプレジデントを務めるステファニー・フランクール氏は、「プロジェクトがまったく頓挫してしまえば、影響は特定の州にとどまらず、全国的なサプライチェーンに波及する」と語った。
2022年には、市場調査会社4Cオフショアが、米国市場ではバイデン前大統領が掲げた「2030年の時点で30ギガワットの洋上風力発電所を建設」という目標を上回るとの予測を発表していた。だが同社は昨年予想を修正し、30年時点での導入規模は25ギガワットに届かないとしている。
ニュージャージー州の本格的な洋上風力発電用港湾は、米国東海岸における風力発電産業の拡張に向けた最初の拠点になるという触れ込みだったが、用途が変更されることになった。洋上風力発電を支援する新規造船に向けた数十億ドルの契約は立ち消えとなり、メーカーも計画を撤回している。公式発表の他、企業幹部や業界団体関係者、州政府当局者10人に対するロイターの取材で明らかになった。
洋上風力発電はかつてクリーンエネルギー分野における有望な成長分野と考えられていた。だがコスト急騰による打撃に加え、最近ではトランプ政権が、連邦政府管理地の貸与や許認可、補助金などの形による支援策を打ち切るとの展望が追い討ちとなっている。
トランプ氏は1月、洋上風力発電事業向けの連邦政府管理地の貸与を停止する大統領令に署名し、風力発電用タービンについて、「景観を害し、高コストであり、野生生物にとって有害だ」と評した。
トランプ大統領は地球温暖化をでっちあげだと称し、すでに過去最高の水準にある米国の石油・天然ガス生産を最大化することに政策を集中させると約束した。また、バイデン前大統領が気候変動対策に振り向けた公共支出を削減すると宣言している。
<船舶、港湾、ケーブル>
オーシャンティックでは、造船産業では洋上風力発電向け船舶の受注が急減しており、造船産業にとどまらず、国内鉄鋼メーカーにも影響が及ぶ可能性があるとしている。
オーシャンティックによれば、造船産業は過去10年のあいだに総額で約20億ドル相当の受注を獲得した。内容は、洋上風力発電タービンの建設やスタッフ・補給品の運搬に用いる数十隻の船舶だ。
このうち約15億ドルは建造中か着工待ちの状態にある。だが2024年の船舶の注文はわずか1隻にとどまった。洋上風力発電産業向けの船舶の建造や改修は、13州にわたる20カ所以上の造船所が担っている。
オーシャンティックのフランクール氏は、「中西部一帯の造船会社や鉄鋼メーカーは、受注増を当て込んで工場を拡張していたのに、期待していた取引を失ってしまった。小規模メーカーは空白の受注一覧表を前に途方に暮れている」と話す。
ニュージャージー州経済開発庁は今月、セーラム郡に建設予定だった洋上風力発電支援に特化した港湾について、代替用途の検討を急いでいると述べ、一因として連邦政府の方針変更に触れた。
このプロジェクトは用地面積にして220エーカー規模で、2020年に米国初の洋上風力発電支援に特化した港湾としてニュージャージー州が提案したものだ。長さ数百フィート、重量は満載時のボーイング747ジェット機を上回るという巨大な風力発電用タービンに対応できる施設を備えるはずだった。
「ニュージャージー州における洋上風力発電の長期的な可能性を今も信じているが、納税者の資産を預かる立場として、すべての選択肢を評価する必要がある」と同州経済開発庁は声明で述べた。
これに先立って、同州の公益事業監督当局は、先日行われた州調達プログラムの入札に唯一参加していたアトランティック・ショアーズとの契約を撤回した。アトランティック・ショアーズはEDFとシェル(SHEL.L), opens new tabの合弁事業だが、シェルは先月撤退した。
競合するデンマーク企業オーステッドは計画中の港湾の利用契約を結んでいたが、23年末にニュージャージー州でのプロジェクト2件を中止した。
ニュージャージー州南部商工会議所のクリスティーナ・レンナ代表は、この港湾が創出するものと期待されていた数千人分の雇用が危うくなっている、と指摘する。
「他の洋上風力発電企業が来てくれるのが理想だが、この状況では難しいだろう」とレンナ代表は述べ、この港湾は石油・天然ガス産業や大手メーカーにとっても有益だろうと続けた。
ニューヨーク州では、風力発電産業が沖合のプロジェクトに向けてブレードやタワーなどの部品を製造する工場に20億ドルを投資することで、ハドソン川に面した2つの港湾が潤うものと期待されていた。
だが昨年にはエネルギー企業GEベルノバが大型洋上風力タービンの計画を撤回、コイマンズ港で機器を生産する合意から離脱した。
オールバニー港は21年、風力発電用タワー工場計画を支援するため、数百万ドルの設備刷新投資に着手したが、その後、コスト高騰のために計画は棚上げとなっている。
海底ケーブルメーカーも撤退しつつある。
イタリアのプリズミアンは1月、洋上風力発電向けの海底ケーブル製造施設をマサチューセッツ州に建設する計画を中止すると発表した。
プリズミアンはトランプ大統領就任の翌日に計画変更を発表したが、政治的な理由による決定ではないとしている。広報担当者によれば、同社の送電関連ビジネスの受注残は180億ユーロに達するが、すべて欧州市場分であるという。
プリズミアンと競合する韓国LSコープ傘下のLSグリーンリンクは、バージニア州チェサピークで総工費6億8100万ドルを投じた海底ケーブル製造施設を計画しており、変更はないと述べている。LSグリーンリンクは、この工場では欧州の顧客向けの生産も想定しており、必要に応じて陸上ケーブルの生産も可能だという。
だが、LSグリーンリンクでマネージングディレクターを務めるパトリック・シム氏は、この製造施設の拡張については計画を見合わせていると話す。
シム氏はロイターの取材に対し、「拡張するとなれば投資額は9-10ケタ、雇用も数百人規模になるが、とにかく現時点では白紙の状態だ」と述べた。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
**外為市場**
・日本のGDP成長率が予想を上回り、円が上昇。
・ドル/円は151.44円まで下落、日銀の追加利上げ観測が強まる。
・市場は12月までに約37bpの利上げを織り込み。
・豪ドル、NZドルが2カ月ぶり高値を記録。
**ロンドン株式市場**
・防衛関連株の上昇を受け、FTSE250指数は0.1%上昇。
・BAEシステムズが約9%上昇、欧州防衛支出拡大の期待。
・不動産関連株は利回り上昇の影響で下落。
**欧州株式市場**
・STOXX欧州600種指数が0.5%上昇し、最高値を更新。
・防衛関連株が急騰、サーブ(+16.2%)、ラインメタル(+14%)など。
・ドイツDAX指数も1.3%上昇し、最高値を記録。
**ユーロ圏債券市場**
・ドイツ10年国債利回りが2.5%まで上昇、国債発行増の懸念。
・ECBの利下げ観測は年内3回(合計75bp)で据え置き。
・独伊10年債利回り格差は107.5bpに拡大。
昨年の世界の高級品販売は、中国の不動産危機やインフレで約2%減少したが、エルメスはLVMHやグッチなど同業他社を上回る好業績を残した。
アクセル・デュマ会長は記者会見で「厳しい環境の中、当社は素晴らしい1年を祝っている」と語った。
デュマ会長は「関税に適応していく。それに応じて値上げする」と述べた。
今年は生産コストの上昇と為替レートの動向を受けて6-7%の値上げを行う予定。値上げ率は昨年をやや下回るという。
アプライドが決算受け下落 輸出規制の影響で売上高見通しを控えめに=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
Ken Griffin’s Citadel bets £300mn against drugmaker GSK
(Google翻訳)ヘッジファンドのシタデルは、製薬メーカーのGSKに対して3億500万ポンドの投資を行った。これは同社に対する過去10年以上で最大の空売りポジションとなる。
ブレイクアウト・ポイントがまとめた金融行動監視機構のデータによると、億万長者のケン・グリフィン氏のヘッジファンドは火曜日にネットショートポジションに入ったことを明らかにした。その金額は同社株の0.51%に相当する。
GSKの株価はライバルの製薬会社に遅れをとっている。同社は、10年後に特許切れを迎えるHIV治療薬に代わる新薬やワクチンの開発計画について投資家を興奮させることができなかったからだ。過去5年間でGSKの株価は15%下落したが、S&P500製薬株指数は45%上昇した。
GSKの最高経営責任者(CEO)エマ・ウォルムズリー氏は、ヘッジファンドのエリオット・マネジメントが2021年に同社に数十億ポンドの株式を取得した際に、すでに物言う投資家との戦いに直面している。エリオットは、ウォルムズリー氏が科学のバックグラウンドを持たないことから、同社にとって適切なリーダーなのか疑問視した。また、GSKに対し、後に分社化された消費者向けヘルスケア事業のハレオンに対する買収提案を検討するよう圧力をかけた。
JPモルガンのアナリストらは、第4四半期の利益と同社の2025年までの見通しは「良好」だと述べた。しかし、アナリストらは「HIV特許崖の開始から3年が経過し、後期パイプラインがまだかなり薄い中で、市場は自社株買いの論理に疑問を抱くかもしれないと考えている」と付け加えた。バークレイズのアナリストらも自社株買いは「予想外」だったと述べたが、ジェフリーズのアナリストらは、この動きは「好意的に受け止められた」と述べた。
GSKの株価は、胸焼け薬ザンタックをめぐる訴訟が浮上した2022年8月に暴落した。しかし、GSKが昨年10月にほとんどの訴訟を22億ドルで和解したとき、株価は以前の水準に戻らなかった。
同社はまた、2つの主要製品に関して予想外の悪い知らせに見舞われた。2022年、GSKは、迅速承認を受けた医薬品に対するFDAの要件を試験が満たさなかったため、抗がん剤ブレンレップを米国市場から撤退させた。同社は現在、さらなる研究を経て、この薬が2025年7月までに規制当局から再承認されると予想している。
RSウイルス(RSV)ワクチン「アレキシー」の売上は、米国の諮問委員会が予想外に使用制限を勧告したため、昨年後半に減少した。
ヘッジファンド投資会社LCHインベストメンツのデータによると、シタデルは世界最高の成績を収めているヘッジファンドだ。同社は株式を含む幅広い資産に投資する何百ものトレーディングチームを抱えている。シタデルは今年初め時点で650億ドル相当の投資家資本を運用しており、2024年には15.1%増加した。
France’s Safran calls for European governments to buy from local defence groupsTSMCがインテル米工場運営を検討、トランプ政権要請で-関係者 - Bloomberg
ブロードコムとTSMC、インテル分割につながる取引検討 - WSJ
半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と米半導体製品大手ブロードコムは、競合する米半導体大手インテルを2分割する可能性のある取引をそれぞれ検討している。
事情に詳しい複数の関係者によると、ブロードコムはインテルの半導体設計・マーケティング部門を詳しく調査している。アドバイザーと非公式に買収提案について協議しているが、インテルの製造部門のパートナーが見つかった場合にのみ提案する可能性が高いという。
ただ関係者によると、インテルに対してまだ何の提案も行われておらず、ブロードコムは買収を目指さない可能性もある。
これとは別に、TSMCは投資家コンソーシアムなどの形態でインテルの半導体工場の一部または全てを運営することを検討していると、協議に詳しい関係者が明らかにした。
ブロードコムとTSMCは共同ではなく個別に検討を行っており、またこれまでの協議は全て予備的で非公式なものだ。
インテルが最近苦境に立たされ買収対象となったことで、こうした取引は考えられないものではなくなった。結果として、パソコンとデータセンター向けの中央演算処理装置(CPU)製造で数十年にわたり支配的地位を築いてきた、米国の象徴的企業が分割される可能性がある。
会社が分割されれば、製造か設計のいずれかに特化し、両方は手掛けないというここ数十年の業界の流れにも沿うものとなる。
事情に詳しい関係者によると、インテルのフランク・イヤリー暫定執行会長が、国家安全保障上、極めて重要とされる同社の先行きを懸念するトランプ政権当局者や、潜在的な買い手との協議を主導している。イヤリー氏は自身に近い人物らに対し、インテルの株主価値の最大化に最も注力していると話しているという。
インテルの苦境は、最小のトランジスタを使用した最速のチップ製造でTSMCに遅れを取ったことから始まった。昨年12月に最高経営責任者(CEO)を解任されたパット・ゲルシンガー氏の下での野心的な立て直し策も失敗に終わった。
インテルはまた、半導体製造部門の分離を始めている。一部のアナリストはこうした動きを会社分割の前触れとみている。
協議に詳しい関係者によると、インテルの工場に関する協議は初期段階にある。トランプ政権はTSMCにこの件について検討するよう要請したという。
ホワイトハウス当局者は、外国企業がインテルの工場運営に関与する取引を大統領が支持する可能性は低いと述べた。
TSMCとインテルの協議およびトランプ政権の関与については、すでにデジタイムズ、ブルームバーグ、ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じている。
●日本企業日鉄によるUSスチール少数株式取得「容認」、トランプ氏が表明 | ロイター
日鉄とUSスチールには寝耳に水、トランプ米大統領の「投資」発言 - Bloomberg
本命は三菱自動車 ホンダが日産より欲した秘石「スリーダイヤ」 - 日本経済新聞
日産、R&Iが格下げ 業績低迷でシングルAマイナスに - 日本経済新聞
セブン-イレブン、米国での生鮮食品強化が鍵-買収案巡る攻防続く - Bloomberg
●先進国政治動向
米副大統領、独極右政党への支持を表明 独政府「選挙干渉」 | ロイター
トランプ氏「欧州は言論の自由失いつつある」、副大統領演説に呼応 | ロイター
米、4月2日めどに自動車関税発動 トランプ氏が表明 | ロイター
トランプ米大統領は14日、米国が輸入する自動車に対して4月2日ごろ関税を課す考えを明らかにした。トランプ氏は関係省庁に、さまざまな輸入品に対する関税の選択肢を調査して4月1日までに提出するよう命じている。
トランプ氏はホワイトハウスの執務室で行われた大統領令の署名式で、自動車関税の導入時期について問われ、「おそらく4月2日頃だろう。本来なら4月1日にしていただろうが、4月2日にする」と答えた。
トランプ大統領はこれ以上の詳細を明かさなかった。同氏は外国市場で米国製自動車が不公平な扱いを受けているとして問題視してきた。例えば、欧州連合(EU)は自動車輸入に10%の関税を課しているが、これは乗用車に対する米国の関税率2.5%の4倍の水準に相当する。一方、米国は利益率の高いピックアップトラックには25%の輸入関税を導入している。
米自動車大手フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、「米国へのすべての自動車輸入を検討するというトランプ大統領の考えを称賛する。これは重要な前進だ」と、Xに投稿。「包括的な貿易政策は、米国自動車産業を強化するという大統領のビジョンを実現する上で不可欠だ」とした。
米副大統領、欧州の規制・政治巡り批判展開 独国防相ら猛反発 | ロイター米国のバンス副大統領は14日、ドイツで開幕したミュンヘン安全保障会議の基調演説で、ロシアによるウクライナ侵攻について「合理的な解決」が達成されることを望むとの考えを示した。ただ、ウクライナに関する言及は少なく、ヘイトスピーチや誤情報の規制を巡り欧州連合(EU)を激しく非難する場面が目立った。これに対しドイツのピストリウス国防相が激しく反発。ウクライナ和平を巡る議論に影を落としている。
バンス氏は、欧州の政治家が自国民を恐れていると強い口調で非難。欧州の民主主義に対する真の脅威はロシアや中国ではないとした上で、「私が懸念しているのは内部からの脅威、つまり欧州が米国と共有する最も基本的な価値観から後退していることだ」と主張した。
ピストリウス独国防相はこの発言について「受け入れられない」と反発。ドイツだけでなく欧州全体の民主主義に疑問を投げかけたと反論した。
欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表も、米国が欧州に「けんかを売ろうとしている」ように感じられたとの見方を示した。
この衝突はトランプ米新政権と欧州首脳の見解の相違を浮き彫りにし、長年の同盟国である米国と欧州がウクライナ問題などの問題で共通の立場を見出すことを困難にした。
多くの会議出席者は、驚いて沈黙しながらバンス氏の演説を見守った。演説の間、拍手はほとんどなかった。
ロシアによる欧州政治への介入リスクについて否定する場面もあり、会場からは驚きの声が上がった。トランプ米大統領も、ロシアが2016年の大統領選に介入したとする米情報機関の主張を強く非難している。
トランプ米大統領が12日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争終結に向けた交渉を直ちに開始することで合意したと言明する中、多くの会議参加者からはウクライナおよび和平交渉の見通しに関心が寄せられていた。
バンス氏は演説に先立ち、トランプ大統領はプーチン氏に対する影響力行使のために、経済的、軍事的な手段を使う可能性があると述べたほか、欧州諸国に対し国防費を増やすよう促した。
トランプ氏「相互関税」世界が身構え、貿易の新局面へ-個別交渉に軸 - Bloombergトランプ米大統領が各国の税制や規制にも批判の矛先を向けたことで、世界経済が大きな混乱に見舞われる可能性が出てきた。
トランプ氏は13日、貿易相手国が課す関税やその他の税、規制、為替レートなどの貿易障壁の合計に基づいて、米国が課す関税を新たに算出するよう経済担当高官に指示した。この「相互」関税は国ごとに算出される。4月1日までに提出される一連の報告書で明らかになる予定だ。米当局者によると、まずは対米貿易黒字が最も大きい相手国について調査する。
トランプ氏は選挙戦で一律関税の導入を掲げていたが、相互関税はこれに代わるものだとの認識を示している。米国の貿易データによると、相互関税によって欧州連合(EU)や中国、インド、メキシコ、ベトナムなどの国々が即座に標的となる。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は14日、トランプ氏が検討している相互関税は「誤った方向への一歩」だと批判。米国は「関税を引き上げることで自国民に課税することになる。企業のコストを上昇させ、成長を抑制する一方でインフレを押し上げる」と述べた。
他の主要貿易相手国の反応も素早かった。トランプ氏は13日に行ったインドのモディ首相との共同記者会見で、両国が貿易交渉を開始すると明らかにした。インド政府当局者によると、同国は米国からの石油・ガスの輸入を拡大したい考え。日本やベトナムなど複数の国も、すでに米国産石油・ガスの輸入拡大を表明済みだ。
アジアの輸出国
日本政府は14日、米政府との間で意思疎通を開始し、適切に対応していく姿勢を表明。武藤容治経済産業相は閣議後会見で「既に米国政府とは意思疎通を開始している。わが国の国益に資する形で日米の経済関係を進化、発展させるべく適切に対応させていただく」と語った。
台湾の頼清徳総統は中国に対する防衛力強化をアピールするため、軍事費の増額を表明。韓国は米国製品に対する実質的な関税率の低さを強調する声明を発表した。米政府高官によると、トランプ氏は米国を不当に利用しており、相互関税のターゲットとなるかもしれない国として日韓両国を名指ししている。
トランプ氏の計画が実行されれば、米国の関税政策は過去ほぼ1世紀にわたって続いてきた従来の方針から大きく転換することになる。また、特別な貿易協定を結ばない限り、すべての世界貿易機関(WTO)加盟国に関税などで「最恵国待遇」を与えなければならないという現在の国際貿易ルールは大きな打撃を受ける。「相互主義」との言葉はこれまで、むしろ関税引き下げを意味していた。
VATが標的に
トランプ大統領は今回、非関税障壁についてもやり玉に挙げた。中でも付加価値税(VAT)を問題視しており、他国の輸出業者は米国の輸出業者よりも不当に優位になると主張している。国際通貨基金(IMF)によると、世界では160カ国以上がVATか類似の消費税を導入している。
VATを導入しているEUなどの国・地域では、輸出業者が製品の出荷時にVATの払い戻しを請求できる一方、EUに輸入される米国製品には加盟国によって15-20%か、それ以上のVATが課されるため、欧州企業は米企業に比べて不当に有利に扱われていると、トランプ氏らは主張している。トランプ氏は「VATは関税だ」との立場だ。
キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏はリポートで、トランプ氏の相互関税は一律関税より米経済に大きな打撃を与える可能性が高いと述べている。
VATに各国の平均最恵国関税率を上乗せするだけで、米国の主要貿易相手国に対しては相当な報復関税が課されることになるとアシュワース氏は指摘。米国がVATと最恵国税率を合わせた相互関税を課した場合、最も大きな影響を受けるのはインド(29%)で、とブラジルや欧州連合(EU)が続くという。
このような関税を導入するだけで、米国が輸入品に課す平均実効関税率は現在の3%から20%程度に上昇するだろうと、アシュワース氏は予想。これに伴い、米国のインフレ率は一時的に上昇し、今年後半には約4%に押し上げられる可能性があると分析している。
新たな局面
ブッシュ(子)政権で通商担当高官だったジョン・ベロノー氏は、米国の動きは「世界貿易における新局面の幕開け」を告げていると話す。米国が自国の持つ力を利用して国際ルールに影響を与えるのではなく、財の二国間貿易に影響を与えようとしている点が従来から異なるという。関税を巡る貿易戦争をエスカレートさせることなく、米国が新たなディールを交渉できるというのが、期待できる最善のシナリオだと同氏は話した。
マスク氏の政治介入に代償 ドイツ次期首相候補が警告 - WSJ米自動車業界、トランプ氏に働きかけ 関税やEV補助金巡り - WSJ
米自動車業界の幹部はドナルド・トランプ大統領の政策に異議を唱えており、今週は米フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)が首都ワシントンを訪れ、関税措置は自動車メーカーに打撃を与えることになると議員らに警告した。
事情に詳しい関係者らによれば、ファーリー氏はメキシコとカナダへの関税は、海外の競合企業を利することになると主張。また、フォードの声明によれば、同氏は連邦政府による電気自動車(EV)やバッテリー向け補助金の重要性を強調し、急速に台頭する中国のメーカーにさらに後れを取らないためにも必要だと述べている。
ファーリー氏は今週開かれた調査会社ウルフ・リサーチ主催のイベントで、「自動車業界では現在、世界規模の激烈な戦いが繰り広げられている」と発言。国内の自動車業界や全体的な製造業を強化するというトランプ氏の公約に期待を寄せてはいるものの、「今のところ、目にしているのは多くのコストと混乱だ」と付け加えている。
自動車業界幹部らはここ数週間、優先課題のリストを掲げワシントンでロビー活動を展開。テクノロジー業界など他セクターのCEOらと同様、政権高官やホワイトハウスに近い人物らと会談し、トランプ氏に対し自社の課題を直接訴えようとしている。
貿易関連では特にそうだが、トランプ政権の優先政策は国境を越えた事業展開を行い、製造業務で輸入に大きく依存する業界に動揺を与えている。提案されている関税は、一部で利益率をさらに圧迫する恐れがある他、EV向けの政府支援が撤回されれば、この技術に関する損失が拡大することも懸念される。
トランプ氏は13日、相互貿易に関する覚書に署名し、連邦機関に対し他国の既存の関税に合わせ米国の関税を調整する方法を検討するよう指示。この命令は直ちに関税を課すものではなく、商務省と米通商代表部(USTR)に対し次の段階に関する報告書を提出するよう指示している。調査は4月1日までに完了する見通しとなっている。
トランプ氏はまた、署名式が行われたホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、自動車関税も「まもなく」導入されると発言。「これらは多かれ少なかれ、同時期に導入される」と述べ、「われわれは国内の自動車生産を大幅に増やすつもりだ」と付け加えた。
小規模な部品メーカーから大手メーカーまで、自動車業界の幹部らはいつ、どのように関税が導入されるかを想定し、これに応じて異なるシナリオを検討することに多くの時間を費やしている。ミシガン州ディアボーンに本社を置くフォードは、関税が導入された場合の潜在的影響を分析し、サプライチェーン全体で対応策を策定するチームを設置しているとシェリー・ハウス最高財務責任者(CFO)は今週明らかにした。
またアナリストらや企業幹部によれば、トランプ氏が9日に発表した鉄鋼・アルミニウム輸入に対する25%の関税が3月に予定通り発効すれば、業界全体のコストを押し上げる可能性が高い。フォードのファーリー氏も、関税に関する臆測だけでもサプライチェーン内で価格を押し上げる可能性があると警告している。
自動車メーカーと部品サプライヤーは先週、トランプ氏がメキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税導入を1カ月延期したことで一時的な猶予を得た。アナリストらによれば、これらの関税はゼネラル・モーターズ(GM)の利益の半分以上を消し去り、多くの部品メーカーを破産に追い込む可能性があった。
一方で自動車業界幹部らは、数百億ドル規模のEV補助金が不安定なEV事業の採算性確保に不可欠と主張しているものの、トランプ氏はこれを撤回すると警告。政権はまた、自動車の燃費と排ガス規制に関する連邦規則の大幅な緩和も検討している。
GMのメアリー・バーラCEOは11日、トランプ氏がメキシコとカナダに対する関税を示唆した日から、同社が対策の準備を開始したと説明。デトロイトに本拠を置く同社は追加の資本支出なしで、新たな輸入関税の影響の30%から50%を軽減できるとみている。
ジープの親会社ステランティスのジョン・エルカン会長もトランプ政権の就任式前の数日間で2回、トランプ氏のもとを訪れたと同社広報担当者は述べた。両氏はステランティスが米国で計画している工場投資について協議し、その中には中型トラック生産のためにイリノイ州中部の工場を再開する考えなども含まれていたという。
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事情に詳しい関係者らによれば、ハワード・ラトニック次期商務長官は現代自動車などの幹部との非公開会合で、各社が米国での工場稼働と雇用を増やせば関税は課されないと強調している。
米連邦準備理事会(FRB)が14日発表した1月の製造業生産指数は0.1%低下した。自動車生産の急減が響いた。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は0.1%上昇だった。2024年12月分は当初の0.6%上昇から0.5%上昇に下方改定された。
1月の前年比は1.0%上昇。製造業部門は米経済の約10.3%を占める。
自動車・部品は5.2%大幅低下した。
耐久財は横ばいだった。非耐久財は0.3%低下。食品・飲料・たばこ製品などの製造が減少した。
鉱業は1.2%低下。12月は2.0%上昇していた。
公益事業は7.2%上昇。異例の寒波を受け暖房需要が高まったとみられる。12月は2.9%上昇だった。
鉱工業全体の生産指数は0.5%上昇。前年比も2.0%上昇した。
鉱工業部門の設備稼働率は77.8%上昇と、12月の77.5%から上昇。1972─2024年の平均を1.8%ポイント下回る水準にある。
製造業の設備稼働率は76.3%と、前月から0.1%低下。長期平均を1.9%ポイント下回った。
米輸入物価、1月は前月比+0.3% 緩やかに上昇 | ロイター米企業在庫、24年12月は-0.2% 9カ月ぶりに減少 | ロイター
米小売売上高、1月は0.9%減 山火事や寒波で約2年ぶりの大幅減 | ロイター
米商務省が14日発表した1月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.9%減少した。厳しい寒波や西部カリフォルニア州で発生した大規模な山火事などが響き、2023年3月以来の大きな減少となった。第1・四半期初めに米国の経済成長が急激に減速した可能性がある。
エコノミスト予想は0.1%減。昨年12月は0.7%増に上方改定された。1月は前年比では4.2%増加した。
売上高の落ち込みは広範囲に及んだ。エコノミストは、輸入関税による物価上昇と不透明な経済見通しが、消費者に財布のひもを締めさせていると推測している。関税で商品の価格が上昇するとの見通しから先回り買いが先行したことで、ここ数カ月は小売売上高が伸びたが、消費者心理は悪化している。
<FRB利下げ休止見通しは変わらず>
INGの主任国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「おそらく人々は関税の話に混乱し、関税がすぐに適用されると考え、購入を検討すらしていないのだろう。これがより慎重な消費行動の始まりなのか、それとも単に天候に関連した反動なのかを知るには、2月のデータを待つ必要がある」と述べた。
ただ、昨年12月の小売売上高が大きく上方修正されたことで、1月の減少の影響は緩和。年末年始に特有の季節変動要因を除外することは困難なことも踏まえ、連邦準備理事会(FRB)は下半期まで利下げを休止するとの観測は変わっていない。
PNCファナンシャルのシニアエコノミスト、ジェイ・ホーキンス氏は、米国第2位の都市圏であるカリフォルニア州ロサンゼルス近郊で山火事が発生したことや、他の地域が厳しい寒波に見舞われたことで、実際に店舗を訪れる買い物客が減った可能性があると指摘。ネイビー・フェデラル・クレジットユニオンの企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は「(1月の)落ち込みは劇的だったが、衝撃を和らげる数点の要因があり、警戒する必要はない」と述べた。
RSM・USのエコノミスト、トゥアン・グエン氏は「経済の基調的な強さはほとんど変わっていない。この力強さが継続すれば、向こう数カ月で小売り売上高は回復する」との見方を示した。
<自動車や建設資材など減少、飲食店は増加>
自動車販売店の売上高は2.8%減少した。12月は0.9%増だった。家具は1.7%減、衣料品小売店は1.2%減少だった。
スポーツ用品、趣味用品、楽器、書店は4.6%急減した。一方、雑貨小売店は0.2%増した。
オンラインストアの売上高は1.9%減少した。サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.9%増加した。12月は0.1%の小幅増だった。エコノミストは外食を家計の重要な指標とみなしている。
建築資材は1.3%減少した。氷点下の気温が足かせとなったとみられる。ガソリンスタンドは0.9%増加、電気店は0.7%減少した。
自動車、ガソリン、建築資材、食品サービスを除く小売売上高は0.8%減。12月は0.8%増に上方改定された。
ユーロ圏GDP、第4四半期は前期比+0.1%に上方改定 | ロイター欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が14日発表した2024年第4・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)改定値は前期比0.1%増と、速報値の前期比横ばいから上方修正された。
前年同期比では0.9%増。速報値から修正はなかった。
第4・四半期の就業者数は前期比0.1%増にとどまった。22年初めから伸びの鈍化傾向が続いている。
ユーロ圏の今年のGDPは1%をわずかに上回ると予測されているが、この予測には下振れリスクがある。
消費は伸び悩んでおり、労働市場は軟調。製造業の低迷も続いている。米国による関税のリスクが投資の重しになっている。
天然ガスの高騰を背景にエネルギー価格も急上昇。エコノミストは、ユーロ圏経済の停滞が当面続くと予想している。
●金融市場、先進国トピックスアングル:カナダで農家保護制度の欠陥あらわ、取引業者の破綻増 | ロイター
米家計債務、第4四半期は0.5%増の18兆ドル=NY連銀 | ロイター
米ニューヨーク連銀が13日発表した2024年第4・四半期の家計債務・信用統計によると、米国の家計債務残高は前期比0.5%増の18兆0400億ドルとなり、新型コロナウイルス流行前の19年第4・四半期と比べると3兆9000億ドル増加した。
ニューヨーク連銀は「消費者の家計負債状況は安定的な残高と住宅ローンの堅調なパフォーマンスにけん引され、かなり良い状態にある」としつつ、「自動車ローンについては、自動車の値上がりと金利上昇が相まって毎月の支払額が増え、所得やクレジットスコアの範囲を超えているのが消費者を圧迫している」と指摘した。
内訳では、クレジットカード債務残高が前期比450億ドル増の1兆2100億ドル、住宅ローン債務残高は110億ドル増の12兆6100億ドル、自動車ローン残高は110億ドル増の1兆6600億ドルとなった。
統計によると、信用面でもいくらかほころびが見られる。24年第4・四半期に何らかの問題を抱えた債務は3.6%と、前期の3.5%からやや上昇。延滞に移行する負債が「わずかに上昇した」クレジットカードを除いた借り入れは横ばいだった。
3カ月以上延滞している深刻な延滞に移行した借り入れは自動車ローン、クレジットカード、住宅クレジットラインで「上昇した」という。一方、住宅ローンは横ばいだった。
統計では、自動車ローンでは価格上昇と高水準のローン金利の問題が、所得水準によって異なる借り手に打撃を与えていると指摘した。とりわけ新型コロナ流行時に高価な中古車を購入し、自動車ローンで現在苦しんでいる消費者がそれに当たる。
しかし、状況は改善するかもしれない。ニューヨーク連銀のエコノミストらは「自動車価格下落は、最近組成された自動車ローンほど経過年数が長くなるにつれて良い結果をもたらす可能性があると示唆している」との見方を示した。
一方、24年第4・四半期には新たに約12万3000人の消費者が信用記録で破産とみなされ、前期より減少した。第4・四半期には、信用記録で第三者による取り立ての記載があった消費者は「比較的安定している」と説明された。
世界の電力需要、27年まで年4%増加へ 中国は6%増=IEA | ロイター国際エネルギー機関(IEA)は14日発表した報告書で、世界の電力需要が2027年まで毎年4%のペースで拡大するとの見通しを示した。年間の電力需要の伸びは日本の総消費量を上回るという。
世界の電力需要の伸びの85%は新興国と途上国が占める見通し。伸びの半分以上は中国によるもので、中国の電力需要は27年まで年6%のペースで拡大すると見込まれている。
中国では20年以降、電力を大量に消費する工業部門や、太陽光パネル、バッテリー、電気自動車(EV)、関連材料の製造など電力集約型製造業の急速な拡大を背景に、電力需要が経済成長を上回るペースで伸びている。
空調、データセンター、5G(第5世代)ネットワークも電力需要増加の原因。
インドも世界の電力需要の伸びの10%を占める見通し。活発な経済活動やエアコンの急速な普及が背景。
米国など、これまで電力需要が停滞していた一部の先進国も、輸送、暖房、データセンターなどの分野で急速に電化が進むため、電力需要が拡大する見通しという。
欧州連合(EU)の電力需要の伸びは昨年7月時点の予測から1%ポイント下方修正され今年1.6%となる見込み。マクロ経済の見通し悪化が背景。21年の需要水準を回復するのは少なくとも27年以降になるという。
再生可能エネルギーや原子力といった低排出エネルギー源は、世界の需要増加傾向に対応できる見通し。電源構成で石炭のシェアを引き続き上回っているという。石炭のシェアは100年ぶりに33%を下回る見通し。
27年には太陽光が水力に次ぐ2番目に大きな低排出エネルギー源になると見込まれている。
機関投資家、PEからヘッジファンドに資金移動=BNPパリバ調査 | ロイター仏金融大手BNPパリバの調査によると、企業の合併・買収(M&A)がここ数年枯渇しているのを背景に、機関投資家はプライベートエクイティ(PE)に再投資せず、資金をヘッジファンドにシフトしている。
ヘッジファンドから大量の資金を引き揚げてPEなどに資金を滞留させてきた機関投資家が、市況悪化を警戒して逆張り、もしくは市場の変動に影響を受けにくい取引手法を用いるファンドに資金を移動させていることが分かる。
BNPパリバ(ロンドン)のキャピタル・イントロダクション世界責任者、マーリン・ナイドゥー氏は、低金利、株価高騰の時代に投資家はアクティブ運用に背を向けてパッシブ運用に移行したが、最近はアクティブ運用に戻りつつある兆しが見られると指摘した。
年金基金や大学などの機関投資家は2022、23年にヘッジファンドから520億ドルもの資金を引き揚げる一方、当時コストが利回りを上回り始めていたPEやベンチャーキャピタルへの投資を維持した。
しかしPEのリターンの源泉となるM&Aはその後も活況を取り戻さなかった。
BNPパリバが調査した機関投資家のポートフォリオは昨年、差し引き222億ドル増加。ヘッジファンドには252億ドルが流入し、その約5分の1がPEから引き揚げられた分だった。「ロングオンリー」戦略の株式および債券ファンドからもヘッジファンドに資金が移った。
調査対象の投資家290社のうち、約3分の2が今後ヘッジファンドへの投資配分を増やす意向を示した。
金地金をディーラーが空輸する理由、カギは価格差 - WSJしあなたが最近、欧州から米ニューヨークのジョン・F・ケネディー国際空港に向かう旅客便に搭乗したなら、米銀大手JPモルガン・チェースの金ディーラーのいちかばちかの大空の賭けは、そのすぐそばにあったかもしれない。
ドナルド・トランプ米大統領が欧州連合(EU)からの輸入品に対する関税発動をちらつかせる中、貴金属市場は大混乱に陥っている。金価格は過去最高値を更新し、二大取引市場のニューヨークとロンドンで価格差が大きく開いている。
ニューヨークの金価格は今のところロンドンに比べて相当な高値となり、大西洋を越える金地金の大移動がここ何年もなかった規模で起きている。主要銀行のトレーダーはロンドンの中世の街並みの地下に置かれた金庫やスイスの精錬所から金の現物を取り出し、海の向こうに急ぎ運搬している。
この貴重なコモディティー(商品)を安全に輸送する最も低コストな手段――それは民間航空機の貨物室だ。
ニューヨーク金先物は年初来11%上昇し、13日は1トロイオンス=2925.90ドルで引けた。一部のアナリストの予想では、近く初の3000ドルに達する可能性がある。金は多くの投資家からリスクが高まった際の資金の避難先とみられている。だがロンドンでは12月上旬以降、1トロイオンス当たりの価格が約20ドル安い水準で推移している。この異例に大きな価格の開きは、米国国境で課される可能性がある関税の影響だとトレーダーはみている。
市場関係者やアナリストによると、米JPモルガン・チェースや英HSBCホールディングスなど大量の金にアクセスできる数少ない大手銀行は、この価格差を利用できる有利な立場にある。
だが一部の銀行やヘッジファンドは、ニューヨークで損失が出ている取引を救済するための金地金を早急に手に入れなければ、痛手を被る可能性がある。一部の市場参加者への圧力を示す兆候として、金の借入金利が急上昇している。
その大きな理由は、ニューヨークに金を空輸する動きが急増し、英イングランド銀行(中央銀行)の地下保管庫から金地金を取り出すのに数週間の順番待ちが発生したことだ。ロンドンの金現物市場を監視する当局者は、手続きの簡略化を求める銀行関係者からの電話対応に追われていると、事情に詳しい関係者らは話す。イングランド銀行は順番が来るまで待つべきだと回答した。
こうした金を巡る混乱は、トランプ氏の世界貿易再編を目指す政策が、国際市場に波紋を広げていることの表れだ。同氏は最近、欧州の対米通商政策は非道だとして、同地域に懲罰的な関税を課す考えを示した。関税が金に直接影響するかどうかは不明だが、トランプ氏が今週、アルミニウムと鉄鋼に対する広範な関税を発表した後、金の価格差は拡大した。
金の高騰で、金を使用する米製造企業では赤字が拡大し、製品価格の決め方に苦慮している。コモディティー関連の融資を手がけるキロキャピタルのウェード・ブレナン最高経営責任者(CEO)はそう述べた。
一方で「この状況は、短期的には一部のプレーヤーに大きな利益をもたらす。特に清算機関や精錬業者にとってはそうだ」とブレナン氏は言う。
金のニューヨークへの流入は、米大統領選でトランプ氏が勝利した直後に始まった。通常時には多くのトレーダーが、現物の金が実際に受け渡される前に、金先物価格を固定するデリバティブ(金融派生商品)を清算する。
投資家や銀行、鉱山会社、宝飾品業者はニューヨーク商品取引所(COMEX)で先物取引を行っている。一方、英国は数百年前から現物の金地金の購入場所となっている。二つの市場はおおむね足並みをそろえるが、そうでない場合、トレーダーは価格の高い方へ金を空輸すればよいと心得ている。
銀行はロンドンで金地金を保有し、それを貸し出すことで収益を得る一方、価格下落リスクをヘッジするためにニューヨークで金先物の売り建て(ショート)取引を行うという、大規模な相殺ポジションを取っている。JPモルガンやHSBCは金取引の清算を手がけるとともに他銀行のためにロンドンで金地金を保管しており、大西洋にまたがる市場の最大のプレーヤーだ。
大西洋両岸の価格差が少なければ、ほぼリスクのない取引だと思われる。だが昨秋にトランプ関税の可能性が織り込まれると、COMEXの価格がロンドンを超えて急騰し、銀行が売り建てていたニューヨーク金先物が突然、含み損を抱えた。
さらに急を要するのは、たとえ含み損であっても、多額の損失が発生すれば、銀行はコモディティー部門に追加資本を準備する必要があり、この先何年も高収益を追求する能力の足を引っ張ることだ。
銀行はニューヨークで先物を買い戻し、ポジションを解消することも可能だが、そうした動きは損失確定を意味する。もう一つの選択肢は、ロンドンにある現物の金をニューヨークに空輸し、それを金先物の契約者に受け渡すことだ。金取引を手がける会社の元幹部ロバート・ゴットリーブ氏はそう説明する。
ひとたびポジションをうまくカバーできれば、銀行には大もうけのチャンスがある。その方法は、先物を通じてニューヨークでより高い価格を固定した上で、空輸する金地金をさらに増やすことだ。COMEXへの提出資料によると、JPモルガン・チェースだけでも今月40億ドル(約6100億円)相当の金を受け渡す予定がある。
空輸する金のうち、損失を減らす目的のものと利益を得る目的のものの内訳は不明だ。
ただJPモルガンのような大手でも、金をニューヨークに運ぶことは容易ではない。
警備会社は非常に強度の高い車両でロンドンの空港まで金地金を輸送する。COMEXの先物取引では異なるサイズの金地金が必要なため、トレーダーは米国に空輸する前に、スイスの精錬所に送って鋳造し直す必要がある。場合によっては、ロンドンで精錬業者に金地金を渡して適切なサイズのものと交換したり、オーストラリアから直接運び込んだりして手順を省くこともある。
イングランド銀行は急増する需要への対応に苦慮している。先週、デーブ・ラムズデン副総裁は「物流上の制約と警備上の制約がある」と述べた。「(金地金を運ぶのは)時間がかかるし、それ自体が重い」
(Google翻訳)一見無関係に見える2つの人口動態の傾向が、資本市場に強力な警告信号を送っている。高校の教室の空きと、使われていない寝室の数百万である。
これらの同時進行は、「不況に強い」資産クラスについての長年の想定に疑問を投げかけ、人口の高齢化と出生率の低下という長寿経済の破壊的な波及効果によって引き起こされた投資環境の根本的な再形成を示唆しています。
西部州間高等教育委員会の最新の報告書「大学の扉をたたく」は、教育市場の変化を初めて示唆しています。委員会は、2025 年に米国の高校卒業生の数がピークに達し、その後着実に減少すると予測しています。
予測では、減少が急激な減少を意味するわけではないが、明らかに下降傾向にあることが示唆されている。卒業生数はピーク時の約 380 万から 390 万人から、2030 年までに 3.1% 減少し、2041 年までに 10.5% 減少すると予想されている。この傾向は、学生寮や大学街が不況に強いという従来の考えに疑問を投げかけるものである。
2つ目のシグナルは、アメリカの住宅から来ています。Realtor.comによる国勢調査局のデータの分析により、ほとんど目に見えない傾向が明らかになりました。全国の余剰寝室数は、1970年の400万室から2023年には3190万室に急増しています。全寝室に占める余剰寝室の割合は、1970年の2.7%から2023年には8.8%に3倍以上に増加しています。この傾向は、単に住宅の大型化によるものではなく、主に世帯規模の縮小によって推進されています。世帯規模は、1970年の1世帯あたり3.1人から、2023年には過去最低の2.5人にまで減少しています。
これらの傾向は、複数の資産クラスにわたる投資戦略の見直しを要求する深刻で破壊的な人口動態の変化を示す相互に関連した指標であり、資本市場に広範囲にわたる影響を及ぼします。
不動産市場
伝統的な一戸建て住宅市場は、双方からの圧力に直面している。世帯を形成して子供を持つ若い家族が減る一方で、子育てが終わった親はより大きな家に住み、老後を過ごす。地理的な違いがそれを物語っている。ユタ州オグデン(空き部屋率12.2%)やコロラド州コロラドスプリングス(12.1%)などの山岳西部の都市は、過剰収容率でトップである一方、マイアミ(5.9%)やニューヨーク市(6.5%)などの高価な沿岸市場では、割合が低い。これらのパターンは、歴史的パターンではなく人口動態の現実に基づいて、不動産価値の再分配が今後行われることを示唆している。
学生寮と教育用不動産
かつては信頼のおける反景気循環特性だった教育用不動産が、前例のない試練に直面している。学生用住宅や大学の寮は不況に強いと考えられてきた。なぜか? 景気が落ち込み、雇用市場が低迷すると、大学の入学者数は通常増加するからだ。学生数が減少するにつれ、この基準ははるかに予測しにくくなるかもしれない。
さらに、学生寮部門は、周期的な課題だけでなく構造的な課題にも直面する可能性があります。多くの大学ではすでに入学者数の減少が見られます。Inside Higher Education のレポートによると、この秋、46 州で 18 歳の学生の入学者数が平均 7% 減少しました。私立の地方大学は、学生獲得をめぐって大規模な州立大学や私立大学と競争し、プレッシャーにさらされています。実際、 2020 年 3 月以降、 73 の公立または非営利の大学が閉鎖、合併、または閉鎖または合併の計画を発表しました。連邦準備制度理事会は、今後 5 年以内に最大 80 の大学が閉鎖される可能性があると見積もっています。明らかに、多くの大規模で名門の大学は通常どおりの業務を継続しますが、他の大学では、キャンパス全体を規模変更したり、工業団地、イノベーション センター、高齢者用住宅などに転用したりする必要があるかもしれません。景気後退時の防御戦略としての学生寮という考え方は、少数の厳選された高等教育機関に依存する可能性があります。
地方債市場
地方自治体の財政は二重の圧迫に直面している。就学率の低下は教育関連収入に影響し、世帯構成の変化は固定資産税基盤に影響を及ぼす。優れた公立学校制度で知られるボストン郊外のニュートン(マサチューセッツ州)のような裕福なベッドタウンでさえ、就学率と収入の減少を食い止めるために学校を周辺地域に開放することを検討している。教育機関に大きく依存している市や町、または家族向けの郊外は、財政構造を再考する必要があるかもしれない。これは、特に人口動態の変化の影響を最も受けている地域で、地方自治体の債務の広範な再評価を引き起こす可能性がある。
商業用不動産
人口構成の変化の波及効果は、これまで学生人口や家族構成に依存してきた小売業やサービス業にも及んでいます。商業用不動産投資の根底にある従来の前提は、人口構成の変化という現実に合わせて再調整する必要があります。小売業者、娯楽施設、レストラン、サービス提供者は、世帯数の減少、学生数の減少、高齢化に対応するために適応する必要があるかもしれません。
変革における投資機会
こうした人口動態の変化は課題をもたらす一方で、チャンスも生み出します。不動産の転換やアダプティブリユースに重点を置いた新たな投資手段が出現する可能性があります。こうした傾向を牽引する高齢化人口は、さまざまなタイプの住宅やサービスに対する需要を生み出します。高齢者向け住宅施設、医療用不動産、小規模世帯向けの不動産が成長分野になる可能性があります。
機関投資家にとって、こうした人口動態の混乱はポートフォリオ戦略の根本的な見直しを要求します。こうした変化は徐々に進むため、調整のための時間はありますが、今後数十年間は方向性が明確で、覆すことはできません。不況に強いセクター、予測可能な人口動態パターン、ライフスタイルに関する従来の投資戦略の前提は、再考が必要です。
空き教室と空き寝室の融合は警鐘となります。経済予測や技術予測とは異なり、これらの傾向は一時的な周期的な変化ではなく、何十年にもわたって市場を再形成する予測可能な構造変化です。この新しい環境で成功するには、従来のセクターごとの分析を超えて、人口動態の変化が相互に関連する市場や資産クラスにどのように波及するかを把握する必要があります。
高齢化と出生率の低下という人口動態の破壊的な変化は、投資戦略と資本市場の基本的な原動力の徹底的な再評価が必要であることを意味します。かつては予測どおり安定していると考えられていた資産が長期的な課題に直面する可能性がある一方で、こうした人口動態の変化から新たな機会が生まれるでしょう。
この変革で勝者となるのは、今日これらのシグナルを認識し、将来の人口動態の現実に合わせてポートフォリオを再配置する人々です。
米経済の好調により、ディストレスト債への投資機会が少ない状態が続いてきたが、状況は変わりつつあるかもしれないと、ベテランの高利回り債アナリスト、マーティン・フリッドソン氏は考えている。
米連邦準備制度理事会(FRB)の最新の上級融資担当者調査によると、銀行は中規模以上の企業への融資基準を過去3年で最も大幅に引き締めた。これにより、高い資金調達コストや貿易戦争の激化による世界的な不安定で既に苦しんでいる借り手は、さらに追い込まれることになる。
「限界付近では、信用基準の引き締めにより多くの企業がデフォルト(債務不履行)の深刻なリスクにさらされることになる」と、数十年にわたりウォール街で研究されてきた債務分析の専門家で元メリルリンチ戦略担当者のフリッドソン氏は述べた。
リスクの高い借り手は、新型コロナウイルス禍の時期に低金利で借り入れた債務が満期を迎え始めており、より高い金利での借り換えを迫られている。昨年9月に連邦準備制度が利下げに踏み切ったにもかかわらず、10年物米国債利回りなど借り入れコストの基準となる金利はそれ以降上昇している。
ジャンク格付けの企業の収益が圧迫され人員削減につながり、経済全体に悪影響が広がる可能性がある。
1997年までさかのぼるフリッドソン氏のデータによると、融資基準と信用市場のディストレスの度合いには約0.7の相関関係がある。スプレッドが1000ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上のディストレスト債の比率は1月に3.7%まで低下し、過去の平均12.7%を大幅に下回っている。2023年3月に付けた直近ピーク10.4%からも低下している。
「ディストレスト債比率が直ちに急上昇することはないだろうが、上昇はするだろう」と、フリッドソン氏は述べた。08年11月にディストレスト債比率が過去最高の82%に達した時、信用供与は過去最悪の状態にあったと、フリッドソン・ビジョン・ハイ・イールド・ストラテジー最高経営責任者(CEO)のフリッドソン氏は説明した。
もちろん、FRBの最新調査結果は一時的なものに過ぎない可能性もある。融資基準は23年9月以降、緩和傾向にあり、銀行が貿易戦争による不安定を重大視せず米国が持続可能な長期成長路線にあると確信すれば、再び緩和される可能性がある。
しかし、22年10-12月以来の大幅な貸し出し基準厳格化により、満期が近く、弱い企業には圧力がかかっている。一部の企業にとっては、借り換え後の金利負担が持続不可能なほど高くなっており、新たな貿易および移民政策が重しとなってと収益が圧迫される可能性がある。債券市場の今後は予測困難だ。
「ディストレスト債比率が長期にわたって低い状態が続いていることは、『爆発寸前の火薬庫』のようなものだ」と、ブルームバーグ・インテリジェンスの上級クレジットアナリスト、フィル・ブレンデル氏は最近のポッドキャストで語った。
「地政学的な状況は極めて不安定であり、いずれ、われわれの予想を上回る大混乱を引き起こす何らかの出来事が起こると思う」と話した。
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●エマージング
中国への直接投資、過去最大の流出超-貿易戦争でさらに悪化の可能性 - Bloomberg
中国への直接投資は2024年に過去最大の流出超となった。米国との貿易戦争が再開されたことで、資金流出は今後も続く可能性がある。
国家外為管理局(SAFE)が公表した昨年の対中直接投資(FDI)は1680億ドル(約25兆6000億円)の流出超。1990年にさかのぼる同データで最大となった。対中直接投資は21年には過去最大の3440億ドルを記録したが、ここ数年落ち込んでいる。
海外企業が資金を引き揚げる一方、中国企業は急激なペースで資金を海外に移している。中国勢の海外投資額は1730億ドルに上ったが、海外からの対中投資額は45億ドルと1992年以来の低水準にとどまった。
中国と米国が新たな貿易戦争を始め、巻き込まれる企業が増えるとみられる中、資金流出を止めるのは困難を伴う。
トランプ米大統領は中国からの全輸入品に10%の追加関税を賦課。中国は米国からの一部輸入品に報復関税を課したほか、グーグルに対する調査なども打ち出した。
日本企業
また、今月公表されたデータによれば、24年の日本企業による対中直接投資は純額ベースで、低水準だった23年とほぼ同規模。今後は一層落ち込む可能性がある。
中国日本商会の最新調査によると、中国で事業活動を行う日本企業の半数近くが今年は投資額を減らす、ないし新規投資を行わない予定。
これは日本企業による対米投資とは対照的だ。日本財務省のデータによれば、日本企業が昨年行った米国への新規投資は過去最大の11兆7000億円に上った。
一方、ポートフォリオ運用者の間では、ここへきて中国資産の保有を増やす動きも見られる。中国政府が景気刺激策を発表したことなどを受け、本土株は発表前の昨年9月中旬に付けた安値から約25%上昇している。
中国の24年通年の経常黒字は4220億ドルと、史上2番目の高水準。10-12月に1810億ドル増と大幅に増えたことで押し上げられた。
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●プロファイ、インフラ、自然災害
How China's DeepSeek could boost the already booming data center market
中国のディープシークを背景に、より安価で効率的なAIモデルが登場すれば、データセンターの需要が再編され、投資家がすでに成長を続けると強く期待しているセクターがさらに活性化する可能性がある。
アナリストたちは何年も前から、世界のデジタル化の推進と大規模言語モデル (LLM) のトレーニングに必要な重要なインフラストラクチャであるデータ センターの急激な成長を予測してきました。
中国の新興企業DeepSeekのAIモデルは1月下旬、投資家を不安にさせた。同社のR1モデルの発表により、AI分野における米国の優位性や、開発会社の効率性向上がデータセンター容量の需要に打撃を与える可能性があるかどうかという疑問が浮上したためだ。
データセンターの構築には最低でも2年かかることが多く、2025年の注文は既にほぼ織り込まれているため、破壊的なR1モデルの発売が直ちに影響を及ぼす可能性は低い。DeepSeekのR1の発売は当初、この分野に注ぎ込まれた資金がやや「見当違い」だったのではないかと疑問を呈し、一部のアナリストが予測を控える結果となったが、専門家はCNBCに対し、より安価で性能の低いチップで構築されたモデルが最終的には市場の促進剤になる可能性があると語った。
強気の見通し
バークレイズのアナリストによると、ディープシークは、データセンターがAI支出をめぐる論調の変化に脆弱であることを浮き彫りにしている。中国の新興企業による効率性の主張が裏付けられれば、この展開は「AI開発に費やされた数千億ドルは誤った方向へ向かっているように思われ、ハイパースケーラーの設備投資計画は再考される可能性がある」ことを示していると、ブレンダン・リンチ率いるアナリストらは1月27日に発表したメモで述べた。
さらに、AIに必要なインフラが減れば、エネルギー効率が最も悪い「最低品質の施設」が需要の低下と価格の低下に直面する可能性があると付け加えた。
一方、UBSのアナリストらは、現在のデータセンター市場の成長予測の約3分の1は、生成型人工知能(書かれたプロンプトから画像を作成できるAI)の構築と開発に依存していると指摘した。これらの予測には効率の大幅な改善は考慮されていないとUBSは1月28日のメモで述べた。
UBSは昨年4月、世界のデータセンター機器市場が2028年までの3年間で10~15%成長すると当初予測した。今週、同行のアナリストらは、新たなデータと専門家の見解が、最終的により強気な市場見通しにつながると述べた。同社は現在、2025年に同部門の収益が20%増加すると予想しており、少なくとも2026~2028年の初めには10~15%の成長率の「上限に近づく余地」があるとアナリストらは水曜日のメモで述べた。
UBSの株式調査アナリスト、アンドレ・クフニン氏はCNBCに対し、ディープシークが推論のためのクエリ1つあたり20~30倍少ない計算能力で済むかどうかについては「まだ結論が出ていない」と語った。推論とは、予測を行ったりタスクを解決したりするためにAIモデルにデータを実行するプロセスを指す。
「トークン当たりの効率は向上しているが、これは『スピーチの流れ』ではなく推論モデルであるため、クエリ当たりのトークン数が多くなる。要するに、推論に必要なパワーが大幅に削減されるとは考えていない」とクフニン氏は説明した。
ゴールドマン・サックスの調査部門は、データセンターの需要と供給のバランスが今後数年間で「引き締まり」、2026年後半にピークに達し、2027年以降は緩和すると予測している。
効率性の向上により主要投資家の設備投資(CAPEX)水準が下がれば、「2027年以降に予想される長期的な市場供給過剰のリスクが緩和される可能性がある。これはデータセンター市場の耐久性を高め、循環性を低下させる重要な考慮事項だと我々は考えている」とゴールドマン・サックスのシニア株式調査アナリスト、ジェームズ・シュナイダー氏は2月4日のレポートで指摘した。
DeepSeek がデータを発表してからまだ 3 週間も経っていないが、この新興技術の影響についてはまだ多くのことが分かっていない。RPC 法律事務所のパートナー、アンドリュー・マクミラン氏によると、需要に関して言えば、R1 だけでは「変化」を起こすには不十分だという。
「これが再現可能であることが証明されれば、投資家の意欲は和らぎ、したがって、将来的にはデータ処理の需要は現在よりもはるかに低くなるか、少なくとも同じ成長軌道をたどることはなくなるだろう」と、M&Aとデータガバナンスを専門とするマクミラン氏は述べた。
「長期的には、この構造的なアプローチが定着するかどうかを見るのは非常に興味深いだろうし、それが市場の形に影響を与える可能性があると思う。」
「火に油を注ぐ」
データセンター市場の変化に脆弱な株価は1月27日に急落した。シュナイダーエレクトリック
UBSによると、データセンターに最も依存している欧州企業であるは9%以上下落し、シーメンス・エナジーの株価は20%下落し、ABBは
この日は6%下落して終了した。
一部の銘柄はその後、市場の反射的な反応から回復し、損失を取り戻した。アルファベット傘下のグーグルなどの超大型企業の決算発表では、
およびメタ
また、両社ともハイテク株の売却後に数十億ドル規模の投資を約束したことで、信頼も高まった。
UBSのクフニン氏は、この分野では「ミスを許す余地はあまりない」と述べた。「一部の株が暴落し、すぐに買い戻されないのは、人々がすでに多くの株を保有しており、これが買い増しのチャンスなのか、それともその逆なのかを見極めようとしているからだ」
同氏は、コストの低下はAIの潜在的な民主化を示しており、それが技術の導入の加速につながる可能性があると付け加えたが、これは「定量化するのが非常に難しい」ことだという。
データセンター市場は、AIの進歩とは別に進行するデジタル化の進展によっても引き続き活性化するだろう。「ジェネレーティブAIは、いわばケーキの上のアイシングのようなものでしたが、将来の成長という点では間違いなく、非常に厚いアイシングの層になりました」とクフニン氏は述べた。
エクイニクスのEMEA社長ブルース・オーウェン氏は、同社は「AI技術の曲線が曲がる中で有利な位置にいる」と述べ、より効率的なモデルの出現がAIの「加速剤」になると期待していると付け加えた。
「今後見られるかもしれないもう一つの動きは『ジェヴォンズのパラドックス』だ。これは、資源の効率性の向上がその資源の消費量の増加につながるというものだ」と彼はCNBCに語った。
コンサルティング会社シネクロンのAI部門責任者ライアン・コックス氏も、ジェヴォンズ・パラドックス効果により、より効率的な技術が最終的にデータセンターの需要増加につながると予想している。
「これは本当に複雑な方程式だ」と彼はCNBCに語り、需要の潜在的な変化を判断する際にはいくつかの逆風と追い風があると指摘した。彼は、Synechronの顧客が、AIモデルのリポジトリであるHugging Faceなどを介してDeepSeekを間接的に使用する「安全な」オプションを追求していることを明らかにした。
「全体的に見て、効率性が採用を後押しし、コストが下がっても利用は引き続き増加すると思います。より高度なモデルやより幅広いアプリケーション、AI の利用に向けた競争は、データセンター全体の需要が下がるのではなく、上昇することを意味します」と Cox 氏は指摘しました。
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Cocoa stockpiles plunge to record low
●市況(ChatGPTによる要約版)
1月の米小売売上高が予想以上に減少し、ドルは下落。ユーロはウクライナ和平交渉への期待感から上昇。米国債利回りも低下し、FRBの年内利下げ観測が強まった。株式市場はまちまちで、ナスダックは上昇したが、一部ハイテク株は下落。トランプ大統領は「相互関税」を発表したが、即時発動は見送られた。金先物は利益確定売りで反落し、原油はウクライナ情勢を背景に続落した。
ロンドン株式市場は下落し、ポンド高が輸出企業に影響。製薬株も下押し要因となったが、FTSE100・250種指数は週間で上昇。欧州株式市場は5日ぶりに反落も、STOXX600は8週連続で上昇。高級ブランド株は堅調だったが、医療関連株は下落。ユーロ圏債券市場はほぼ横ばい。FRBの利下げ慎重姿勢を受け、利回りは週間で上昇見込み。ユーロ圏GDPは速報値から上方修正されたが、景気停滞が続くと予想されている。
備忘録(2025/2/13)
●海外企業決算
●海外企業
●日本企業
●先進国政治動向
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
●中東情勢
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
備忘録(2025/2/12)
●海外企業決算
●海外企業
●日本企業
●先進国経済指標
●中東情勢
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2025/2/10-11)
●海外企業決算
●先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
●エマージング
●その他
●市況
備忘録(2025/2/7-9)
●海外企業決算
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2025/2/6)
●海外企業決算
●海外企業
●中東情勢
備忘録(2025/2/5)
●海外企業決算
米クレジットカード大手決算、消費堅調で増収増益 延滞は3年ぶり減少 - 日本経済新聞
●海外企業
●先進国中銀、金融当局
●中東情勢
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2025/2/4)
●海外企業決算
●日本企業
●エマージング
●その他
備忘録(2025/2/3)
●海外企業決算
●日本企業
●先進国中銀、金融当局
●中東情勢
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2025/1/31-2/2)
●海外企業決算
●海外企業
●先進国政治動向
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
●中東情勢
●エマージング
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
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