2025年1月1日水曜日

備忘録(25/1)

備忘録(2025/1/30
●海外企業決算
ドイツ銀行、第4四半期は予想以上の減益 コスト削減目標撤回 | ロイター
ドイツ銀行が30日発表した2024年第4・四半期決算と通期決算はともに予想以上の減益となった。
グローバル投資銀行部門が増収となったものの、訴訟の引当金や事業再編費用が重しとなった。
コスト削減目標を撤回し、25年のコスト・インカム・レシオ(経費率)目標を62.5%未満から65%未満に変更したことを明らかにした。事業に投資する方針。
7億5000万ユーロ相当の自社株買いの承認を得たことも明らかにした。
第4・四半期の株主帰属純利益は1億0600万ユーロ(1億1043万ドル)。前年同期は12億6000万ユーロ、市場予想は約3億8000万ユーロだった。
通期の利益は27億ユーロ。前年は42億1000万ユーロ、市場予想は約30億ユーロだった。
第4・四半期は、ポーランドの外貨建て融資を巡る訴訟に関連して3億ユーロ以上の引当金を計上したほか、事業再編費用・退職費用として3億ユーロ近くを計上した。
投資銀行部門は30%の増収。予想の20%増収を上回った。
ポストバンクを含むリテール部門は1%減収で予想と一致。法人向け金融部門は2%の減収。市場予想は4%の減収だった。
投資銀行部門では、債券・為替トレーディング業務が26%の増収。予想の12%増収を上回った。
オリジネーション・アドバイザリー業務は71%の増収。予想は54%の増収だった。
クリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は一連の野心的な利益目標とコスト削減目標の達成を目指しているが、一部のアナリストは全ての目標を達成するのは難しいと指摘している。
米アップル、四半期利益が予想上回る iPhone販売は低調 | ロイター
インテル、第1四半期売上高予想振るわず 需要低迷やシェア低下で | ロイター
米半導体大手インテルが30日発表した2024年第4・四半期決算は、売上高が市場予想を上回った。第1・四半期の売上高は117億─127億ドルになるとの見通しを示した。
これは、LSEGがまとめたアナリストの平均予想128億7000万ドルを下回っている。株価は時間外取引で一時1.5%高を付けた。昨年株価は約60%下落した。
インテルはエヌビディアが主導する人工知能(AI)向け半導体で苦戦が続いている。
第1・四半期の調整後1株利益はゼロになる見通し。アナリストは0.09ドルと予想している。
生成AI技術を活用しようとする企業は、膨大な量のデータを処理できる特殊なAIプロセッサーへの支出を優先しており、インテルが販売している従来のサーバー向け製品の需要を圧迫している。
暫定共同最高経営責任者(CEO)兼最高財務責任者(CFO)のデビッド・ジンスナー氏は声明で「マクロ経済の不確実性、さらなる在庫消化、競争の動向によって増幅された季節的な弱さを反映している」と述べた。
また、需要鈍化の見通しについては、通常の季節的な要因とトランプ大統領による関税計画によるものだと説明した。
顧客は関税引き上げが実施された場合のコスト高を避けるため、前倒しで第4・四半期に同社半導体を購入したという。
同時に発表した第4・四半期の売上高は前年同期比7%減の142億6000万ドルとなり、予想の138億1000万ドルを上回った。
ジンスナー氏は、CHIPS法に関連して受け取った補助金が第4・四半期の予想以上の売上と利益率の一因になったと説明した。
米ビザの10─12月期決算は増益、活発な年末消費で | ロイター
英シェル、24年通期は16%減益 増配などで株価上昇 | ロイター
米マスターカード、第4四半期利益が予想上回る 年末消費が堅調 | ロイター
[MA] マスターカード 2024年12月通期は増収増益 売上高12%増281億ドル、営業益11%増155億ドル、EPS13.89ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PH] パーカーハネフィン 2Q減収最終増益 売上高2%減47.4億ドル、純利益39%増9.48億ドル、EPS7.25ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[IP] インターナショナルペーパー 2024年12月通期は減収最終増益 売上高2%減186億ドル、純利益93%増5.57億ドル、EPS1.57ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MMC] マーシュ&マクレナン 2024年12月通期は増収増益 売上高8%増244億ドル、営業益10%増58.1億ドル、EPS8.18ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CMCSA] コムキャスト 2024年12月通期は増収 売上高2%増1237億ドル、営業益横ばい232億ドル、配当1.24ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[ROP] ローパーテクノロジーズ 2024年12月通期は増収増益 売上高14%増70.3億ドル、営業益14%増19.9億ドル、EPS14.35ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SHW] シャーウィンウィリアムズ 2024年12月通期は微増収最終増益 売上高微増230億ドル、純利益12%増26.8億ドル、EPS10.55ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TSCO] トラクターサプライ 2024年12月通期は増収減益 売上高2%増148億ドル、営業益1%減14.6億ドル、配当0.880ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[BX] ブラックストーン 2024年12月通期は増収最終増益 売上高65%増132億ドル、純利益2.0倍27.7億ドル、配当3.95ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CAH] カーディナルヘルス 2Q減収増益 売上高4%減552億ドル、営業益9%増5.49億ドル、EPS1.65ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DGX] クエストダイアグノスティクス 2024年12月通期は増収増益 売上高7%増98.7億ドル、営業益7%増13.4億ドル、配当3.00ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[AVY] エイブリーデニソン 2024年12月通期は増収最終増益 売上高5%増87.5億ドル、純利益40%増7.04億ドル、EPS8.73ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DOV] ドーバー 2024年12月通期は増収営業減益 売上高1%増77.4億ドル、営業益1%減12.0億ドル、配当2.05ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CAT] キャタピラー 2024年12月通期は減収増益 売上高3%減648億ドル、営業益1%増130億ドル、EPS22.05ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CI] シグナグループ 2024年12月通期は増収最終減益 売上高27%増2471億ドル、純利益34%減34.3億ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UPS] ユナイテッドパーセルサービス 2024年12月通期は微増収減益 売上高微増910億ドル、営業益7%減84.6億ドル、EPS6.75ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TT] トレインテクノロジーズ 2024年12月通期は増収増益 売上高12%増198億ドル、営業益21%増35.0億ドル、EPS11.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TMO] サーモフィッシャー 2024年12月通期は増益 売上高横ばい428億ドル、営業益7%増73.3億ドル、EPS16.53ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WM] ウェイストマネジメント 2024年12月通期は増収増益 売上高8%増220億ドル、営業益14%増40.6億ドル、EPS6.81ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[X] USスチール 2024年12月通期は減収減益 売上高13%減156億ドル、営業益70%減2.40億ドル、EPS1.57ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AAPL] アップル 1Q増収増益 売上高4%増1243億ドル、営業益6%増428億ドル、EPS2.40ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EMN] イーストマンケミカル 2024年12月通期は増収最終増益 売上高2%増93.8億ドル、純利益1%増9.05億ドル、EPS7.67ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[INTC] インテル 2024年12月通期は減収赤字転落 売上高2%減531億ドル、営業赤字116億ドル、EPSマイナス4.38ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KLAC] KLA 2Q増収最終増益 売上高24%増30.7億ドル、純利益42%増8.24億ドル、EPS6.16ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[V] ビザ 1Q増収増益 売上高10%増95.1億ドル、営業益5%増62.3億ドル、EPS2.58ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
MSとメタはAIに散財、エヌビディアには不十分 - WSJ
カネで全ての問題が解決するわけではないが、374億ドル(約5兆7800億円)あればいくらかの問題は解決できるはずだ。
29日に発表された決算報告によると、マイクロソフトとメタ・プラットフォームズの2024年10-12月期の設備投資額は、合計でこれだけあった。この支出はウォール街の予想を上回っただけでなく、前年同期の約2倍に達した。その大部分は生成AI(人工知能)サービスを支える半導体とデータセンターに向けられている。
これはエヌビディアにとって朗報のはずだった。しかし、主要なAI向け半導体メーカーである同社の株価は、2大顧客の決算発表後に時間外取引で下落した。これは先週、中国のAI新興企業が米国の競合他社に比べてはるかに少ないコンピューティングのコストで高度なAIモデルを開発したと主張して以来、エヌビディアの株価が約15%下落するという厳しい展開に続くものだ。エヌビディアは時価総額が3兆ドルを超える3社のうちの1社であり、このような下落は大きな影響を及ぼす。ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、週初の27日だけで米株式市場の時価総額から約1兆ドルが消失した。
マイクロソフトとメタのビジネスは非常に異なるものだが、一つ大きな共通点がある。両社とも現在、年間売上高の約30%を設備投資に費やしており、これはライバルのアマゾン・ドット・コムやグーグルの親会社アルファベットが投じている割合をはるかに上回る。しかし、投資家はマイクロソフトよりもメタの方に、はるかに大きな自由度を与えている。メタの株価は過去12カ月で約70%上昇したのに対し、マイクロソフト株は市場を下回る約10%の上昇にとどまっている。つまり、マイクロソフトにはAI投資の成果をすぐに出すべく圧力がかかっている。
29日の決算はそれを十分に示すものではなかった。マイクロソフトのインテリジェントクラウド部門の売上高と営業利益はウォール街の予想を下回り、同社のクラウドサービス「アジュール」の増収率も予想に届かなかった。同社はまた、期待外れの売上高予想を発表し、ドル高による悪影響が3カ月前の予想よりも大きくなると付け加えた。マイクロソフトの株価は時間外取引で5%近く下落した。
設備投資に関しては、マイクロソフトは今後2四半期の水準が24年10-12月期の226億ドルと同程度になると予想しており、これはウォール街の予想とほぼ一致している。同社は、ディープシークによる飛躍的な進歩がAIコンピューティング支出の大幅な削減につながるかどうかについては言及しなかった。これはエヌビディアの株価下落を引き起こしている主要な懸念材料だ。
マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「われわれ自身、長年にわたってトレーニングと推論の両方で大幅な効率向上を実現してきた」と電話会議で述べ、「AIが効率性を上げてアクセスしやすくなるにつれて、指数関数的に多くの需要が生まれるだろう」と付け加えた。
一方、メタのマーク・ザッカーバーグCEOも、まだ支出にブレーキを踏むつもりはないようだ。電話会議で同氏は、多額の設備投資を行う能力が長期的に「戦略的優位」を生むと述べた。「いつかそうでないと分かる可能性はあるが、それを判断するのは時期尚早だと思う」
メタはすでに先週、今年の設備投資を大幅に増やす計画を発表しており、同社のソーシャルネットワーク事業はそれを支えるのに十分なキャッシュを生み出し続けている。同社の広告収入は10-12月期に前年同期比21%増の468億ドルに急増し、営業利益率は7年ぶりの高水準である48%に達した。同社の仮想現実(VR)を手がけるリアリティー・ラボ部門でさえ、アナリスト予想よりも10億ドル少ない損失で済んだ。AI事業の構築に今年少なくとも600億ドルを投じる計画があるため、どんなにわずかな金額でも助けになる。
●日本企業
【丸の内Insight】セブンMBO、銀行に立ちはだかる大口与信リスク - Bloomberg
セブン&アイを巡るMBO計画では、総額9兆円規模という桁外れの資金調達が必要になる。成否を分けるのは、三井住友銀行を筆頭とする3メガバンクが巨額融資を実行できるかどうか。銀行は大口与信リスクをどのようにマネジメントするか、難しい判断を迫られる。
MBO案を巡っては、創業家の財務アドバイザーを務めるSMBC日興証券が中心となって株式など資本性資金の調達の取りまとめを急いでいる。通常、MBOでは買収者が実際の買収主体となる特別目的会社(SPC)を設立。SPCに資本を入れ、銀行からの借り入れと合わせて買収する。
足元ではセブン&アイ買収のためのSPCに創業家が約5000億円、伊藤忠商事が1兆円超を普通株で出資し、さらに米系投資会社のアポロ・グローバル・マネジメントやKKRなどが合わせて1兆5000億円規模の優先株を出資する方向で調整が進んでいる。出資額は合わせて約4兆円で固まりつつある。
銀行は計5兆円の融資検討
これに加えて検討されているのが、銀行からの5兆円規模の融資だ。
セブン&アイの主力取引行である三井住友銀が主導する形で、三菱UFJ銀やみずほ銀、三井住友信託銀、りそな銀も融資する方向だ。ただ、各行のハードルとなっているのが、融資額が過去に例がないほど巨額に膨らむ点だ。
銀行には、与信集中リスクを排除して健全性を維持する観点から、銀行法に基づく大口信用供与規制が課せられている。融資先企業1件の破綻で銀行の屋台骨が揺るがないようにするためだ。特定の企業やグループに対する与信を、中核的自己資本(Tier1資本)の25%以下としなければならない。
開示資料から計算すると、三井住友銀は約2兆4000億円、三菱UFJ銀は約2兆8000億円、みずほ銀は約2兆1000億円が上限となる。
ただ、為替の動向や有価証券の価格変動によっては法定上限を超えてしまうリスクがあるため、実務上はどのようなストレスがかかっても超えない水準に抑え込むようにする必要がある。複数の銀行関係者によると、3メガの実質的な与信上限は1兆円台後半から2兆円程度までに収められている。
MBOは防衛策
最近の大型融資案件では、日本製鉄によるUSスチールに対する買収提案で、3メガは日鉄に対して買収資金として総額160億ドル相当の円建て融資のコミットメントレター(融資証明)を提出。内訳は三井住友銀が65億ドル(約9500億円)、三菱UFJ銀が55億ドル(約8100億円)、みずほ銀が40億ドル(約5900億円)だった。
三井住友銀はセブン&アイに対する運転資金などの既存の貸し出しも抱えており、今回の買収資金も合わせて与信上限内に収めなければならない。新規の融資額が1兆円を超えると、ワンショットの貸し出しとしては過去最大規模になる。
三菱UFJ銀とみずほ銀は、主力行の三井住友銀の融資額を超えない範囲で資金供給を行う方針だが、いずれも自社史上最大の融資案件となる可能性がある。三菱UFJ銀はサントリーホールディングスによる米蒸留酒大手ビーム買収の際に約1兆4000億円の買収資金を融資した。
三井住友信託銀やりそな銀はメガよりも資本は圧倒的に小さく、拠出できる絶対額には限界がある。3メガはセブン&アイ買収に必要な資金需要に応えるために、大口与信リスクを抱え込まざるを得ない状況だ。
しかも、今回の融資はセブン&アイの成長戦略には直接結び付かないことも懸念材料となる。MBOは経営の独立性や事業の継続性の維持を主な目的とする。セブン&アイの場合も、アリマンタシォン・クシュタールの傘下入りを避ける防衛策でしかない。企業価値の向上につながらなければ返済の見通しも不確かにならざるを得ず、その絵はまだ描き切れてない。
分水嶺に立つ3メガ
薄氷を踏む状態の銀行融資の支えになりそうなのが、今回の貸出債権に対する外部格付けの取得だ。現在、格付け機関が審査に入っており、投資適格となる「BBB」格が認められれば、融資の収益性も高まり、銀行の自己資本比率算定の際のリスクアセットの計算でも恩恵を受けることができる。さらに将来、貸出債権を売却する際にも有利に働くことが見込まれる。
当初のMBO案は、資本性資金が3兆円程度と現在の計画よりも少なく見積もられ、その分融資の比率が過大だったことから投資適格の認定は困難とされた。このため、MBO案は一時暗礁に乗り上げた経緯がある。
銀行は巨額の融資をできるだけ圧縮させたい考えだが、創業家陣営は買収成立後に、北米でコンビニエンスストア事業を手掛けるセブンーイレブン・インク(SEI)の新規上場(IPO)を検討している。1兆円を超える規模の資金調達につなげ、銀行借り入れの返済に充てる算段だ。
実現すれば、2018年の武田薬品工業によるアイルランド同業のシャイヤー買収の約6兆8000億円規模を上回り、日本企業史上最大、世界でも歴代有数の買収案件になるセブン&アイのMBO計画。グローバルな企業の合併・買収(M&A)市場で存在感を放つ歴史的な案件となるのか、あるいは買収融資の世紀の失敗事例となるのか、3メガはその分水嶺に立っている。
●先進国政治動向
独議会、移民対策の厳格化決議案を僅差で可決 極右が支持で | ロイター
米、メキシコとカナダに25%の関税課す トランプ氏再表明 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
ECB、4会合連続利下げ ディスインフレは「オントラック」 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は30日、主要政策金利の0.25%引き下げを決定した。利下げは4会合連続で、昨年6月以降で5回目。インフレ低下プロセスは「オントラック」と指摘し、持続的なインフレよりも経済成長の低迷の方が大きく懸念される中、一段の金融緩和の可能性を排除しなかった。
中銀預金金利は3.0%から2.75%に下げられた。
ユーロ圏経済は低迷し、インフレ率はECBの目標の2%をわずかに上回る水準で推移している。
ECBは声明で、ディスインフレのプロセスは「順調に進んでいる」と改めて指摘。「賃金上昇は予想通りに緩やかになっている」とし、インフレに対する影響が部分的に緩和されているとの認識を示した。
ラガルド総裁によると、今回の決定は全会一致。理事会後の記者会見で「インフレ率は(2025年を通して)われわれの目標に持続的に到達していくと確信している」と述べた。
トランプ米大統領が関税を導入する意向を示す中、ラガルド氏は、貿易摩擦の増大でインフレ見通しが変化し、すでに低迷しているユーロ圏経済に対する一段の重しになる恐れがあると指摘。「経済成長に対するリスクは依然として下向きに傾いている。世界的な貿易摩擦の増大が輸出の抑制と世界経済の弱体化につながり、ユーロ圏の経済成長が押し下げられる可能性がある」と述べた。
<ユーロ圏経済停滞、独仏はマイナス成長>
ユーロ圏経済は個人消費の低迷などを背景に停滞。欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)がこの日に発表した24年第4・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は前期比横ばいだったほか、主要国のドイツとフランスはマイナス成長に陥った。
米連邦準備理事会(FRB)が前日まで開いた政策決定会合で金利据え置きを決定し、緩和サイクルの長期的な休止を示唆したのと対照的に、ECBは金融緩和路線を維持する公算が大きいとみられている。
市場では、インフレが収束に向かう中、低迷する経済に支援が必要との見方から、ECBは年内にあと2、3回の利下げを実施すると予想されている。
景気を刺激も冷やしもしない「中立金利」は1.75─2.50%にあるとみられており、今回の利下げでECBの中銀預金金利はその範囲に一段と近づいた。ただ、米国のトランプ政権に起因する市場の変動性が強まれば、ECBに対し中立金利を下回る水準への利下げ圧力が高まる可能性がある。
PIMCOのコンスタンチン・ベイト氏は、市場ではターミナルレート(政策金利の最終到達点)は2%程度と見込まれているとした上で、米国の動静を踏まえるとユーロ圏の経済成長には下振れリスクがあり、ターミナルレートが低下する可能性があるとの見方を示した。
英中銀、来月利下げへ 市場予想以上の追加緩和示唆も | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は2月6日に政策金利を4.75%から4.50%に引き下げる見通しだ。市場の予想以上のペースで利下げを進める可能性を示唆することも考えられる。
ロイターのエコノミスト調査では回答者全員が6日の25ベーシスポイント(bp)利下げを予想。金融市場も90%近い確率で利下げを織り込んでいる。
中銀は6日に新たな経済予測も公表する。昨年11月の経済予測公表以降、英経済は低迷しており、中銀が最も注目するインフレ指標は先月、鈍化した。ただ賃金上昇率は予想外に加速している。
経済指標は強弱入り乱れており、金融政策委員の見解に変化があれば、市場は敏感に反応するとみられる。昨年12月の金融政策委員会では6人が据え置き、3人が25bpの利下げを主張した。
金融政策委員は、昨年10月末の予算案に盛り込まれた国民保険料の雇用主負担分引き上げに企業がどう反応するかというインフレ見通しを左右する重大な問題について見解を示す可能性がある。
金融市場は29日時点で年内に3回近い25bp利下げがあると予想。中銀はさらに早いペースの利下げを望んでいる可能性があり、一部の金融政策委員は国内経済の低迷やユーロ圏経済の見通し悪化を巡るリスクを強調するとみられている。
ラボバンクのシニア為替ストラテジスト、ジェーン・フォーリー氏は「中銀のハト派的なコメントで目先、ポンド売りが出やすくなることが予想できるが、投資家や企業にとっては安心材料になるだろう」と述べた。
テイラー金融政策委員は15日、国内経済に減速の兆しがみられることを踏まえ、迅速に利下げを行うべきだと主張。年内に4回の利下げを予想していると述べた。 もっと見る
ブリーデン副総裁は9日、最近の状況は段階的な利下げを支持しているものの、適切な緩和ペースを探るのは難しいと発言した。
短期金利はここ数週間低下しているが、2─3年物の金利は昨年11月の経済予測の根拠になった水準を依然大幅に上回っており、金融環境がタイト過ぎると中銀が判断する可能性がある。
インベステックのチーフエコノミスト、フィリップ・ショー氏は、景気が低迷しており、企業が増税分を消費者に価格転嫁するのは難しいと考えるだろうと指摘。「このため、中銀は短期的なインフレ加速を無視し、現在織り込まれている以上の利下げを実施しやすくなるはずだ」と述べた。
ECB当局者、3月追加利下げに異論なしの公算=関係筋 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は、3月に政策当局者間での大きな抵抗なく追加利下げを実施する可能性が高い。ただその後の追加緩和については議論が白熱する見通し。当局者3人がロイターに語った。
ECBは30日、主要政策金利の0.25%引き下げを決定した。利下げは4会合連続で、昨年6月以降で5回目。
会合後に政策担当者3人はロイターに対し、次回3月6日の理事会でさらなる利下げを行い、中銀預金金利を2.5%にする合意が得られたと語った。
その後のさらなる利下げについてはより幅広く、より深い議論が行われると予想しており、4月に利下げを一時停止する可能性もある。これらの問題はまだ理事会で議論されていないという。
ECBの広報担当者はコメントを控えた。
●先進国経済指標
米GDP、10-12月は堅調ながらも伸び減速-個人消費は強い勢い - Bloomberg
ユーロ圏GDP、第4四半期は前期比横ばい 予想下回る | ロイター
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が30日発表した2024年第4・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は前期比横ばいだった。
個人消費が低迷した。景気の回復が一段と遅れるとの懸念が強まっている。
ロイターがまとめた市場予想は0.1%増だった。ドイツ経済が2年連続でマイナス成長となったことが響いた。
ユーロ圏経済は過去2年間、低迷している。エネルギーコストの上昇で産業が打撃を受けているほか、政府の財政余力も乏しい。家計の貯蓄率は上昇し、消費に悪影響が出ている。
労働市場の軟化や米国との貿易戦争に対する懸念も圧迫要因だ。
ただ、第4・四半期のGDPが予想を下回った背景には、アイルランドが1.3%のマイナス成長となったことがあるとの指摘も出ている。同国はハイテク企業や製薬会社など、多くの多国籍企業が拠点を置いており、GDP統計をゆがめる傾向がある。
ユーロ圏の第4・四半期のGDPは前年同期比では0.9%増。市場予想の1.0%増を下回った。
国別ではドイツとフランスがマイナス成長。イタリアはゼロ成長、スペインは0.8%増だった。
ユーロスタットが同時に発表した24年12月のユーロ圏の失業率は6.3%と、前月の6.2%から悪化した。労働市場の問題が浮き彫りとなった。
独第4四半期GDP、前期比0.2%減 景気後退懸念高まる | ロイター
ドイツ連邦統計庁が30日発表した昨年第4・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.2%減少し、再びリセッション(景気後退)懸念が高まった。
ロイターがまとめたアナリスト予想(0.1%減)を上回る縮小となった。
2025年第1・四半期も減少が続けば、2四半期連続のマイナス成長となり、定義上の景気後退に陥ることになる。
コメルツ銀行のチーフエコノミスト、ヨルグ・クレーマー氏は、第1・四半期について、 IFO業況指数や新規受注などの先行指標はまだ改善の兆しを見せていないと指摘した。
「春以降は、良くても弱い改善基調にとどまるだろう」と述べた。
ドイツ経済は海外との競争激化や高エネルギーコスト、金利の高止まり、不透明な経済見通しが重しとなり、24年は2年連続のマイナス成長となった。
政府は年次経済報告で、今年の成長率見通しを従来の1.1%から0.3%に引き下げた。しかし、一部の経済団体は25年もマイナス成長を予想している。3年連続のマイナスは東西ドイツ統一以降で初となる。
INGのマクロ部門グローバル責任者カーステン・ブルゼスキ氏は「ドイツ経済の問題が高失業率と硬直的な労働市場だった2000年代初頭とは対照的に、現在の問題ははるかに多様化している。従って解決がさらに困難になっている」と分析した。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当チーフエコノミスト、アンドリュー・ケニンガム氏は、ドイツ経済は過去5年間、全く成長していないと述べた。
「総選挙後に財政政策が緩和される可能性はあるものの、ドイツの構造的停滞はしばらく続くだろう」との見方を示した。
伊GDP、第4四半期速報値は前期比横ばい 2四半期連続ゼロ成長 | ロイター
仏GDP、第4四半期速報値は前期比-0.1% 個人消費は堅調 | ロイター
フランス国立統計経済研究所(INSEE)が30日に発表した2024年第4・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比で0.1%のマイナス成長となった。個人消費は底堅く推移したが、パリ五輪の経済への押し上げ効果が薄れたことが響いた。
第3・四半期は0.4%増で、改定はなかった。五輪は家庭用サービス、チケット、放送権の販売により、第3・四半期の成長を支えた。
内需は第・4四半期GDPにプラスに寄与。五輪後の個人消費の冷え込みがごく小幅なものにとどまる一方、新規制の導入に先立って自動車販売が急増した。
ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、ファビアン・ボッシー氏はリサーチノートの中で「過去3年間は公共支出と外需が成長をけん引してきたが、民間の内需がようやく活気を取り戻しつつある」と述べた。
伝統的にフランスの成長の原動力である家計支出は、第4・四半期は0.4%増。第3・四半期は0.6%増加していた。これまで減少していた企業投資は横ばいだった。
対外貿易は、輸出が減少する一方で輸入が回復したため、引き続き経済の足かせとなった。企業在庫の減少も成長率を押し下げた。
ロイターがまとめたエコノミスト30人の第4・四半期GDP予想は平均で変わらず。予想レンジはマイナス0.2%─プラス0.3%。
INSEEによると、GDPは24年、平均で1.1%増加した。23年も1.1%増、22年は2.6%増だった。
米新規失業保険申請、1.6万件減の20.7万件 予想以上に減少 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
米旅客機衝突墜落事故、28人の遺体収容 生存者見つからず=当局 | ロイター
世界のオフィス市場、低迷の最悪期脱した-ブラックストーン社長 - Bloomberg
世界最大の商業用不動産所有者である ブラックストーンのジョン・グレイ社長は、世界のオフィス市場は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による低迷の最悪期を脱したとの見方を示した。
グレイ氏は30日、決算発表前のインタビューで「オフィスは底を打った。好調な市場や質の高いビルでは特にそうだ」とと語った
米国のオフィスの評価額はピーク時から50-70%下落していると指摘。反発の準備ができていると述べた。
オフィス市場からの撤退をうたってきたブラックストーンの姿勢転換を意味する。同社の不動産保有物件のうち、米国の伝統的なオフィスは現在2%未満。2008年の金融危機以前には50%以上を占めていた。
状況は間もなく変わるかもしれない。グレイ氏によると、ブラックストーンは現在新たなオフィスへの投資を検討している。
ブルームバーグは30日、同社がニューヨークのオフィス市場に復帰し、マンハッタンのミッドタウンにあるタワービルの購入で合意間近だと報じた。
「物件を購入するのに前向きだ」とグレイ氏は述べた。
ブラックストーン、ニューヨークのオフィス市場への復帰計画 - Bloomberg
オルタナティブ投資会社のブラックストーンはマンハッタンのミッドタウンにある高層ビルの購入で合意に近づいている。売買が成立すれば、世界最大の不動産投資会社である同社がニューヨークのオフィスビル市場に復帰することになる。
事情に詳しい関係者によると、ブラックストーンはアベニュー・オブ・ジ・アメリカス1345番のビルの購入を検討している。同ビルは、190万平方フィート(17万6516平方メートル)の広さを誇る50階建ての高層ビル。
ブラックストーンは、苦境に立たされているニューヨークのオフィス市場も最悪期は脱したとみており、最高クラスのスペースの賃料が急騰すると予想しているという。関係者が匿名を条件に語った。
ブラックストーンの広報担当者はコメントを控えた。ブラックストーンに同物件を売却するフィッシャー・ブラザーズの広報担当者は、米国の営業時間外にコメントを求めたメールに返答しなかった。
協議は継続中で、取引が成立する保証はないと関係者は述べた。
ブラックストーンが支払う価格を確認することはできなかったが、このビルを担保とするローンの格付け報告書によると、その評価額は急落している。
S&Pグローバルは2024年11月の報告書で、その価値を8億9600万ドル(約1400億円)と評価。ローン発行時の12億5000万ドルから下落している。
23年に締結された最大の契約である、法律事務所ポール・ワイス・リフキンド・ワートン・ギャリソンとの76万5000平方フィートの賃貸契約を含め一連の新規賃貸契約を確保したが、評価額は回復していない。
ニューヨークのオフィス空室率は、仲介業者コリアーズ・インターナショナル・グループの今月のリポートによると、24年末には16.5%に達し、新型コロナウイルス流行前の水準のおよそ2倍。それでも、22年9月以来の低水準だったという。
ブラックストーンはしばらく、米国のオフィスへの投資を縮小していた。同社の不動産保有物件のうち、伝統的な米国のオフィスは2%未満。現在はアパート、倉庫、データセンターが大きな部分を占めている。
【オピニオン】ディープシークのAI、米国に必要な競争もたらす - WSJ
トランプ氏の「磁力」、米首都圏の高級住宅に買い殺到 - WSJ
強まるDeepSeek包囲網、「数百社」が使用制限-中国政府への流出懸念 - Bloomberg
●中東情勢
24年サウジGDPは1.3%増、プラスに転換 非石油部門がけん引 | ロイター
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
有給休暇「取り放題」、注意が必要な訳 - WSJ
コンピューターはトレーダーの隠語を理解できるようになるか - WSJ
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(30日)ドル小幅高、利回り低下 株反発 | ロイター
**為替:**  
米ドルはトランプ大統領の関税発言や欧州中央銀行(ECB)の利下げを受け、主要通貨に対して小幅上昇。  
- **対カナダドル:** 0.55%上昇(1ドル=1.45カナダドル)  
- **対円:** 0.54%下落(1ドル=154.36円)  
- **対スイスフラン:** 0.33%上昇(1ドル=0.91フラン)  
- **対ユーロ:** 0.24%下落(1ユーロ=1.0395ドル)  
- **ドル指数:** 0.2%上昇(108.12)  
**金利:**  
- **ECB:** 主要政策金利を0.25%引き下げ、一段の金融緩和の可能性を示唆。  
- **FRB:** 政策金利(4.25-4.50%)を据え置き。次の利下げは6月の可能性が高いと市場は予想。  
- **米国債:** 10年国債利回りは4.5163%(3.9bp低下)、2年国債利回りは4.199%(2.9bp低下)。  
**株式:**  
- 企業決算を受け、反発。  
- **上昇:** テスラ(2.9%)、メタ(1.6%)、IBM(13%)  
- **下落:** マイクロソフト(6.2%)、UPS(14.1%)、アップル(時間外取引で約1%下落)  
**商品市場:**  
- **金:** 高関税政策の不透明感から1.85%上昇(1オンス=2845.20ドル、史上最高値更新)。  
- **原油:** 関税懸念があるも小幅反発(WTI 3月物=72.73ドル、4月物=72.18ドル)。
欧州市場サマリー(30日) | ロイター
ロンドン株式市場は上昇し、FTSE100指数は8600ポイントを超えて最高値を更新。企業の好決算や貴金属株の上昇が要因。欧州株式市場も続伸し、STOXX欧州600種指数が最高値を更新。ECBの利下げ決定を受け、不動産株が上昇した。ユーロ圏債券市場では、ECBの利下げを受けて国債利回りが低下。ドイツのGDP減少やトランプ氏の関税政策がユーロ圏経済の懸念材料となっている。

備忘録(2025/1/29
●海外企業決算
ASML、第4四半期新規受注は予想大幅超え AI向け需要旺盛 | ロイター
オランダ半導体製造装置メーカーのASMLが29日発表した2024年第4・四半期決算は、新規受注が70億8800万ユーロ(73億9000万ドル)となり、予想を大幅に上回った。人工知能(AI)向け半導体の製造に使用される先端装置の需要が旺盛だった。
ビジブル・アルファによると、アナリスト予想は39億9000万ユーロ。第3・四半期は26億3000万ユーロだった。
ASML株は取引序盤に11%上昇した。
クリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は声明で「AIの成長は業界の成長にとって重要な原動力だ」と述べた。
中国の新興企業ディープシークが低コストのAIモデルを公表したことにより世界的に市場が混乱する中、ASMLの受注が好調だったことで、AI向け半導体の先行きは依然堅調との安心感が広がりそうだ。
純利益は27億ユーロ、売上高は93億ユーロとなり、24年第3・四半期の純利益21億ユーロ、売上高75億ユーロから増加した。
デグルーフ・ピーターカムのアナリスト、マイケル・ローグ氏は「受注から最終損益まで」予想を上回る数字だったと述べた。一方、ディープシークの登場が市場動向に大きな変化をもたらすかどうかを判断するには、ASMLは「火元から遠すぎる」と指摘。大規模なデータセンター事業者やエヌビディアの動向に注目する必要があると述べた。
ASMLは25年の売上高について、300億─350億ユーロとの予想を据え置いた。これは24年の283億ユーロから7─25%の増加を意味する。
第4・四半期のASMLの最大市場は米国で、売上高の28%を占め、27%だった中国をわずかに上回った。これは、ASMLの最大の顧客である台湾積体電路製造(TSMC)がアリゾナで事業を拡大したことや、インテルがASMLの新たな「High NA」EUV装置を購入したことを反映している。
仏レミー・コアントロー、業績悪化を警告 米中が不振 | ロイター
仏酒類メーカー、レミー・コアントローは29日、通期の売上高が予想レンジの下限に近くなると警告した。業績悪化の警告は過去4カ月で3度目。
中国で販売が「著しく」落ち込む可能性を警告した。米国の販売不振も続いている。
同社は2025年3月期の売上高が15─18%減少するとの予想を据え置いたものの、18%減に「近い」水準になると警告した。市場予想は16.9%減。
第3・四半期(10─12月)の売上高は、主力製品のコニャックが好調で、予想ほど落ち込まなかったが、同社の株価は朝方の取引で3.8%下落している。
同社は「第4・四半期(1─3月)の動向が決定的に重要になる」と表明した。
米国では高金利やインフレを背景に小売業者・卸売業者が高級酒の在庫を圧縮。競合他社は大幅な値下げを実施している。
中国では景気低迷と消費マインドの冷え込みで販売が鈍化しており、同社は「著しい落ち込み」を警告した。
米国を中心とする米州部門の販売はさらに「大幅に減少」する可能性があるという。
米IBM、第4四半期利益は予想上回る 時間外で株価約10%急騰 | ロイター
米マイクロソフト、クラウド事業の四半期売上高伸び率予想下回る | ロイター
米テスラ、第4四半期粗利益率16.3% 予想下回る | ロイター
[PKG] パッケージングコープオブアメリカ 2024年12月通期は増収増益 売上高7%増83.8億ドル、営業益2%増11.0億ドル、EPS8.93ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[OTIS] オーチスワールドワイド 2024年12月通期は微増収営業減益 売上高微増142億ドル、営業益8%減20.0億ドル、配当1.51ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[DHR] ダナハー 2024年12月通期は減益 売上高横ばい238億ドル、営業益7%減48.6億ドル、EPS5.29ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NSC] ノーフォークサザン 2024年12月通期は微減収増益 売上高微減121億ドル、営業益43%増40.7億ドル、EPS11.57ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GLW] コーニング 2024年12月通期は増収営業増益 売上高4%増131億ドル、営業益28%増11.3億ドル、EPS0.58ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NDAQ] ナスダック 2024年12月通期は増収増益 売上高22%増74.0億ドル、営業益14%増17.9億ドル、配当0.94ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[TMUS] TモバイルUS 2024年12月通期は増収増益 売上高4%増814億ドル、営業益26%増180億ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ADP] オートマチックデータプロセシング 2Q増収最終増益 売上高8%増50.4億ドル、純利益10%増9.63億ドル、EPS2.35ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[IBM] IBM 2024年12月通期は増収最終減益 売上高1%増627億ドル、純利益20%減60.2億ドル、EPS6.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NOW] サービスナウ 2024年12月通期は増収営業増益 売上高22%増109億ドル、営業益79%増13.6億ドル、EPS6.84ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CHRW] CHロビンソン 2024年12月通期は増収増益 売上高1%増177億ドル、営業益30%増6.69億ドル、EPS3.86ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMP] アメリプライズファイナンシャル 2024年12月通期は増収最終増益 売上高8%増174億ドル、純利益33%増34.0億ドル、EPS33.06ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TSLA] テスラ 2024年12月通期は増収減益 売上高1%増976億ドル、営業益20%減70.7億ドル、EPS2.04ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
トランプ・メディア、時間外で大幅高 シュワブと提携し金融サービスに参入へ=米国株個別速報 - 株探(かぶたん)|米国株
●日本企業
●先進国政治動向
ドイツ保守陣営、支持率低下 移民政策巡り極右と協力との批判 | ロイター
総選挙を2月23日に控えるドイツで、保守陣営の支持率が低下している。次期首相候補が極右政党の支援を得て移民取り締まりを推し進めると発言したことが影響したとみられる。
保守陣営は最多得票を獲得する勢いを維持しているが、フォルサの世論調査によると、保守陣営のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の支持率は先週半ばから1月27日の間に3ポイント下がって28%となった。
ショルツ首相が率いる中道左派のドイツ社会民主党(SPD)は2ポイント上昇して17%、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は21%だった。
CDUのメルツ党首は先週、アフガニスタンからの亡命希望者が児童を狙った襲撃事件で逮捕されたことを受け、不法移民に国境を閉鎖すると表明した。また、連邦警察が拘束した人物が国内滞在の権利を持たない場合、逮捕状を請求できるようにする計画も明らかにした。SPDのショルツ首相と緑の党はこの計画に反対している。
ショルツ首相はメルツ氏がAfDとの協力というタブーを破ったと批判している。
AfDは極右過激派の疑いで治安当局の監視下にある。米起業家のイーロン・マスク氏はAfDを支持しており、25日に同党が開いた選挙集会にサプライズで登場した。
トランプ政権、連邦補助金凍結指示を撤回=ホワイトハウス | ロイター
●先進国中銀、金融当局
スウェーデン中銀、5会合連続利下げ 見通し不確実で国内経済注視 | ロイター
スウェーデン中央銀行は29日、政策金利を2.50%から2.25%に0.25%引き下げた。中銀は金利予想は維持したが、インフレと経済活動の見通しが変われば行動する用意があると表明した。
利下げは5会合連続で昨年5月以来6回目。ロイター調査でも0.25%利下げが予想されていた。
昨年12月の政策決定会合では、インフレと経済活動の見通しが変わらなければ、今年前半にもう一回利下げする可能性があるとしていた。
中銀は29日「インフレが過度に高くなるリスクが限定的なこと、経済活動が弱いことから今は利下げするのが適切」と指摘。
利下げなどが寄与し、今年は成長が再び上向くとみているが、先行きは不確実で、見通しが変われば行動する用意があるとした。
「米国や欧州の経済政策や地政学的緊張など、海外情勢については特に不確実性がある」と指摘するとともに、国内経済の回復や通貨クローナに関連するリスクもあると述べた。
テデーン中銀総裁は会見で、政策金利はおそらく現サイクルでの底辺に到達したとの認識を示したものの、見通しは極めて不確実であり、経済とインフレに関する広範な見通しが変われば中銀は行動する用意があると述べた。「重視する点がある。特にスウェーデン経済だ」と語った。
スウェドバンクは「マクロ指標は短期的に中銀の予想より若干弱くなるとみられるため、3月に0.25%の利下げがあるとの当社の予想を維持する」と述べた。
ノルデアは5月の追加利下げを予想。
キャピタル・エコノミクスは追加利下げは見込んでいないとし、「今年の経済が消費主導で力強く回復するというのが中銀の基本シナリオだ。このシナリオは追加利下げの見送りと整合性が取れる」と述べた。
FRB、次回利下げは6月との観測 声明文言の変更受け | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が29日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定し、FOMC声明からインフレ率が2%の目標に向けて「進展」しているとの文言を削除したことを受け、短期金利先物市場でFRBは6月まで利下げを見送るとの観測が高まった。
FOMC声明発表を受け、市場が織り込む6月までの利下げの確率は約40%と、発表前の約50%から低下した。
FRB金利据え置き、議長「利下げ急がず」 トランプ政策見極めへ | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は28─29日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.25─4.50%に据え置くと決定した。決定は全会一致。今後の利下げ時期についてはほとんど手掛かりを与えず、トランプ政権の政策を見極めていく姿勢を示した。
FRBは昨年9月から12月にかけて3会合連続で合計1%ポイントの利下げを実施。今回のFOMCはトランプ大統領の2期目就任後で初めての会合となった。
パウエル議長はFOMC後の記者会見で、インフレや雇用、経済活動全般への影響を判断する前に「どのような政策が実施されるのかを見極める必要がある」とし 「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」と指摘。トランプ政権の新たな政策を時間をかけて見極めていく姿勢を示した。
また、過度な利下げにはリスクが伴うとの考えを示し、「制約的な政策を過度に早急に、もしくは過度に大幅に緩和すれば、インフレを巡る進展が妨げられる可能性がある」と警告した。
トランプ氏は先週就任した際、関税引き上げや移民規制の強化、減税、規制緩和などを改めて表明。FRBに利下げを要求する意向も示し、FRBがこれに従うことを期待すると述べていた。
パウエル議長はトランプ氏の発言について「反応もコメントもしない」と述べた。FRBの決定を受け、トランプ大統領は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、FRBは「自ら引き起こしたインフレ問題を止められなかった」と批判。「銀行規制で劣悪な仕事をした」とも非難した。 
<FOMC声明の文言変更>
インフレ指標が数カ月にわたり横ばいで推移する中、FRBは今回のFOMC声明から、インフレ率は2%の目標に向けて「進展」しているとの文言を削除。「インフレ率は依然やや高止まりしている」とするにとどめた。
FRBは声明で「経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している」とし、「失業率はここ数カ月間、低水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調だ」と指摘。「委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」とした。
<ややタカ派的との見方>
今回の金利据え置きは予想通り。FRB内では追加利下げの必要性を巡る議論が続いており、政策当局者の間では年内に0.25%ポイントの利下げを2回程度実施する可能性が見込まれている。
アネックス・ウェルス・マネジメントの チーフエコノミスト、ブライアン・ヤコブセン氏は「失業率が低水準にとどまる中、インフレが高止まりする状態にあるとFRBは見なしているようだ」とし、「声明文はややタカ派的だと解釈できる。小幅な金利調整で経済をこの均衡状態から脱却させられる可能性が示唆された」と述べた。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのマルチセクター債券投資部門責任者、リンジー・ロズナー氏は「FRBの緩和サイクルはまだ終わっていないと考えているが、FRBは次の利下げ実施に向けインフレ指標のさらなる改善を確認したいと考えているもようだ。このことは、インフレ率が目標に向けて『進展』しているとの文言が削除されたことからも明らかだ」と述べた。
●先進国経済指標
スペインGDP、24年は予想上回る3.2%増 観光など好調 | ロイター
豪CPI、第4四半期は予想下回る コアインフレ鈍化で利下げに道 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
アングル:一躍脚光のディープシーク、創業者が目指すのは中国の技術革新 | ロイター
世界の株式市場や人工知能(AI)関連業界に衝撃をもたらした中国の新興企業ディープシーク(深度求索)。創業者の梁文鋒氏(39)は中国ハイテク産業の顔として、また米国による厳しい輸出規制を乗り越える希望として、彗星のように表舞台へ登場した。
今月20日に李強首相が開催した非公開のシンポジウムで意見を求められた出席者9人の1人として紹介されるまで、梁氏の存在はほとんど知られていなかった。2023年と昨年に中国メディア「Waves」のインタビューを受けた以外では、ほとんど公の場に姿を現してこなかったためだ。
中国中央テレビで放映されたシンポジウムの映像や動画を見ると、ミレニアル世代の梁氏の若さは居並ぶ白髪の学者や当局者、国営企業トップらと好対照をなしている。しかし、首相が政府の方針に関して意見を求めようと梁氏を招待したという事実は、ディープシークこそが世界のAI開発を巡る構図を中国有利な方向に一変させる役割を果たす潜在力を持っていると当局が認識していることを浮き彫りにした。
インターネット検索大手、百度の李彦宏最高経営責任者(CEO)は昨年、同じく首相肝いりのシンポジウムで意見を述べていた。23年3月に中国勢で初めて米オープンAIが開発した対話型AI「チャットGPT」の対抗製品を発表した李CEOはこの年のインタビューで、中国は米マイクロソフトが支援するオープンAIの成功を決して再現できず、中国企業は既存AIモデルの商用化に注力すべきだとの見方を示していた。
一方、梁氏が率いるディープシークは意図的にアプリ開発を避け、オープンAIと同等またはより高性能のモデル創出に向けて優秀な研究者と資源を集中。今後も消費者や企業用のAI製品を企業が構築する際に使う最先端のモデル開発を重視したい考えだ。
この手法は、スマートフォン用アプリから電気自動車(EV)まで外国由来の革新的技術を活用し、本家よりもずっと素早く量産化にこぎ着けるのを得意としてきた中国のハイテク産業において異色と言える。
梁氏は昨年7月のWavesのインタビューで「中国のAIが永遠に追随者の立場に甘んじることは許されない。中国製AIと米国の差は1-2年だとわれわれはしばしば口にするが、実際のギャップはオリジナルと模倣の間にある」と語った。
こうした発言からは、中国のハイテク産業が基本的な研究開発の突破口を開く上で、不足しているのは資金ではなく自信だ、との梁氏が考えが伝わってくる。
<チャレンジ精神が原動力>
梁氏はこのインタビューで「過去30年間(中国のハイテク産業は)収益化だけを強調し、イノベーションは無視してきた。イノベーションはビジネスのほか、好奇心や創造意欲にけん引される」と説明した。
ディープシークは、オープンAIと異なり、全てのモデルをオープンソース方式にすることを決めている。基本コードは開発者なら誰でも利用可能で、自由に修正できる。
米ハイテク産業関係者らは、カリフォルニア州のシリコンバレーが中国勢に対して優位を維持してきた理由の1つとしてこのオープンソースの文化を挙げてきた。梁氏もその姿勢を受け入れたことがうかがえる。
梁氏は「オープンAIがソースを非公開にしても、他社のキャッチアップを止めることは不可能だ。オープンソースはビジネス慣行というよりも文化的慣行で、これを採用する企業はソフトパワーを手に入れる」と言及している。
1980年代から90年代にかけて中国で先駆けて資本市場経済を取り入れてきた南部広東省で育った梁氏は、勉強よりも起業を重視する人々に囲まれていたが、自身は学術志向が強かった。
17歳で名門の浙江大学に入ると電気通信工学を専攻。2010年に情報通信工学の修士号を取得した。
15年には複雑な数式のアルゴリズムを利用するクオンツ投資のヘッジファンドを共同で創業。21年末にはファンドの資産を1000億元(137億9000万ドル)余りにまで膨らませた。
ところがこのファンドは23年4月、活動を投資業界の外に広げ、汎用AI(AGI)開発に資源を集中すると発表。その翌月にディープシークが誕生した。
オープンAIの定義に基づくと、AGIとは経済的価値を有する作業の大半で人間の能力を超える自律的なAIを指す。
ディープシークの従業員は、中国のトップクラスの大学の卒業生や博士課程の研究者が中心となっている。梁氏の見方では、彼らはAI開発における最大の課題に取り組めるからこそ、ディープシークへの就職を望んだ人々だ。
梁氏は昨年7月に「何が最優秀の人材を引きつけるのかと言えば、世界で最も困難な問題に取り組むことであるのは間違いない。われわれの目標は引き続きAGI(の実現)に向けられている」と語っていた。
ドイツ政府、今年の輸出0.3%減と予測 経済成長見通し下方修正 | ロイター
ロイターが29日入手したドイツの年次経済報告によると、2025年のドイツの輸出は0.3%減少する見通し。競争力の低下や地政学・貿易の緊張が背景。
25年の輸入は1.9%増加する見通し。
欧州の政府・企業は米国のトランプ政権による新たな関税の可能性を警戒している。
報告書の年間予測によると、政府は25年の経済成長予測を1.1%から0.3%に引き下げた。経済成長予測の下方修正は経済専門紙ハンデルスブラットが先週、報じていた。
政府予測によると、経済成長率は26年に1.1%に回復する。
ハーベック経済相は「ドイツ経済は停滞に陥っている」と指摘。25年の政府予測が大幅に下方修正された理由として、連立政権の崩壊により成長戦略が実行できなかったこと、解散総選挙に伴う不確実性、トランプ米政権を巡る地政学的リスクの3点を挙げた。
その上で、関税措置が導入されれば投資が阻害され、物価が上昇するとし、関税導入は回避しなければならないと言及。「輸出国であるドイツにとって脅威であるほか、全ての経済圏が不利益を被る」と述べた。
このほか、ドイツの財政政策が主要7カ国(G7)の中でも制約的になっていることが経済成長の足かせとなっているとも指摘。財政赤字を抑える「債務ブレーキ」の原則を改革する必要があるとし、一段の柔軟性を持たせ、財政政策の余地を若干拡大することが議論されていると述べた。
25年のインフレ率の予想は2.2%。前年と同水準となる見込み。失業率は前年の6.0%から6.3%に上昇する見通し。
DeepSeekがオープンAIデータ不正入手か、マイクロソフト調査中 - Bloomberg
マイクロソフトとオープンAIは、中国の人工知能(AI)新興企業DeepSeek(ディープシーク)と関連のあるグループが、オープンAIの技術から出力されたデータを不正な方法で入手したかどうかを調査している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者によると、マイクロソフトのセキュリティー研究者は昨年秋に、ディープシークと関連があるとみられる複数の人物がオープンAIのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用して大量のデータを流出させているのを確認した。機密事項だとして関係者は匿名を条件に話した。
ソフトウエア開発者はAPIを使用するためのライセンス料を支払うことで、オープンAIが独自に開発したAIモデルを自社のアプリケーションに統合することができる。
関係者によると、オープンAIの技術パートナーであり最大の出資者でもあるマイクロソフトが、不審な活動についてオープンAIに通知した。そのような活動はオープンAIの利用規約に違反する恐れがあるが、取得できるデータの量に関するオープンAIの制限を取り除く目的で行われた可能性があると関係者は述べた。
ディープシークは今月、人間の推論方法を模倣できる新しいオープンソースAIモデル「R1」を発表した。これにより、オープンAIやグーグル、メタ・プラットフォームズなどの米企業が独占してきた市場に衝撃が走った。
ディープシークはR1が数学的タスクや一般知識など、AI業界のさまざまなベンチマークにおいて、米国の大手開発会社の製品と肩を並べるか、それを上回る性能を発揮するとしている。一方、その開発コストは、それらの企業の数分の一で済んだという。
オープンAIはコメント要請に応じず、マイクロソフトはコメントを控えた。ディープシークと同社創業者のヘッジファンド、ハイフライヤー・クオント(幻方量化)は、電子メールによるコメント要請にすぐには応じなかった。
トランプ米政権で暗号資産とAIの責任者に起用されたデービッド・サックス氏は28日、ディープシークがオープンAIのモデルのアウトプットを参考に技術を開発した「相当な証拠」があると述べた。
オープンAIはサックス氏のコメントに対応した発表文で、ディープシークに関する部分には直接言及しなかった。オープンAIの広報担当者は「中国を拠点とする企業およびその他の企業が常に、米国のAIをリードしている企業のモデルを模倣しようとしていることをわれわれは知っている」とした上で「AIのトップ企業として知的財産を守るための対策に取り組んでいる。(そのために)米政府と緊密に協力することが極めて重要だと考えている」と説明した。
ディープシークCEO、数学オタクから世界的破壊者に - WSJ
彼を中国のサム・アルトマンと呼ぶ人もいる。
クオンツ運用の先駆者ジム・シモンズ氏に例える人もいる。
梁文鋒氏はこの2人の革新者と多くの共通点があり、その影響力はいずれ2人に並ぶかもしれない。
梁氏率いる中国のディープシークが開発した人工知能(AI)モデルは世界を驚かせ、性能と人気の両方で世界のトップ10に躍り出た。同社は米国で入手できるものより低性能のチップでこれを実現し、シリコンバレーのテック企業幹部やワシントンの政治家、世界の投資家に衝撃を与えた。
シモンズ氏と同様、梁氏も投資の虫に取りつかれた数学オタクだ。膨大な市場データをコンピューターで分析することで、隠れたパターンを発見でき、利益への道が開けることに気づいた。同氏のヘッジファンド「ハイフライヤー」は約80億ドル(約1兆2400億円)を運用しており、中国で指折りのクオンツ運用ファンドとなった。
同僚によれば、梁氏は富や名声に溺れるタイプではないが、米国主導のテック業界から尊敬されたいと語ったことがある。
今や梁氏はそれを手にしたと言っても過言ではないだろう。
1985年生まれの梁氏は、中国南部の港湾都市、広東省湛江で育った。学業優秀で、中学生になると独学で微積分を学び、名門の浙江大学に進学した。
学生時代に株式銘柄を選別するAIアルゴリズムを書き始めた。卒業から数年後の2013年に投資会社ヤコビを立ち上げた。ドイツの数学者カール・ヤコビ氏にちなんだ社名だ。15年に大学時代の友人2人とハイフライヤーを創業した。
ディープシークは中国ではいち早くAIの新技術を導入した。コンピューターが市場価格だけでなく多種多様なデータを吸収し、有意なパターンを導き出せるようにした。
数ミリ秒を争う高頻度取引業者とは異なり、梁氏らはより長期間ポジションを維持する中頻度の取引に重点を置く。
梁氏はシモンズ氏からヒントを得た。数学者でクオンツ手法のパイオニアだったシモンズ氏は、米ロングアイランドでヘッジファンド「ルネサンス・テクノロジーズ」を創業し、1980年代に機械学習技術を採り入れた。
シモンズ氏らのチームに関する書籍『The Man Who Solved the Market』の中国語版には、梁氏が書いた序文が添えられている。「仕事で困難にぶつかるたびに、シモンズ氏の次の言葉を思い出す:『価格をモデル化する方法があるはずだ』」
金融データ会社の私募排排網によると、ハイフライヤーが運用した少なくとも5本のファンドは、直近5年間のリターンが市場の指標を平均で20%超上回った。
常に順風満帆だったわけではない。21年にハイフライヤーは、市場のどのセクターが好調になるかを読み違えたとして、投資家に成績不振を謝罪した。24年には中国の金融規制当局が、群集行動をあおってボラティリティーを増幅させたとして、クオンツ投資に監視の目を向けた。
テック業界幹部で元ヘッジファンドマネジャーのリチャード・デューイ氏は、少ない人員と少ない資金、少ないチップでより多くのことを行うディープシークのAI開発戦略について、クオンツ取引業者を想起させると話す。
「(ディープシークは)比較的少ないデータから多くのシグナルを引き出すことに重点を置いているようだ。クオンツ取引で求められることと考え方は似ている」とデューイ氏は述べた。
他のクオンツ業者のように、梁氏もトレーダーではなくエンジニアとして見られたがっている。同氏に近い人物はそう話す。ディープシークはコメント要請に応じていない。
ハイフライヤーをよく知る人は、梁氏は現場にいるリーダーだと話す。より賢い銘柄選別やリスクヘッジができるようアルゴリズムを改良したり、プロジェクトに追われる同僚たちとオフィスに寝泊まりしたりしたこともあるという。コンピューター学習の限界を試すことに興味があるエンジニアにとって、AIモデルへの移行は自然な成り行きだと梁氏は述べている。
梁氏のチームは19年、米エヌビディアの画像処理半導体(GPU)を使った計算システムの構築に着手した。米オープンAIがチャットボット(自動会話プログラム)「チャットGPT」を発表した22年末時点で、エヌビディアの高性能チップ1万個以上が手元にある中国企業はわずか数社で、ハイフライヤーもその1社だった。
「ピアノを買うのに似ている」。梁氏はチップ購入について、23年に中国のテック系メディア「36Kr」にこう語った。「一つ目の理由は、買えるから。二つ目は、それで演奏したがっている人が何人もいるからだ」
梁氏は大きな決断を下した。コードをオープンソースにし、誰もがアクセスできるようにしたのだ。ディープシークがテック大手の独占を打ち破れるようにしたいと同氏は述べていた。
「技術者は、自分の仕事が他の人から追随されると大きな達成感を覚える」。梁氏は昨年、36Krとのインタビューでこう語った。「オープンソースは商慣行というよりむしろ文化で、それに貢献すれば尊敬を得られる」
同僚らによると、梁氏はいかにも中国人エンジニアらしい人となりをしている。服装や髪型にあまりこだわらず、公式や計算に基づいて判断を下し、大のサッカー好きだ。
積極的に表舞台に立つことのなかった同氏は、ディープシークが一夜にして熱狂を巻き起こしたことに驚いた。同僚らはそう話す。
利用者の急増は梁氏と同社にとって寝耳に水で、26日以降サービスがたびたびクラッシュした。梁氏とチームは需要に対応できるよう、春節(旧正月)の休暇の前に対策を講じた。
梁氏は長々と休むつもりはない。同僚らによると、休暇が明けたら同氏は仕事に戻り、次世代モデルの開発に取り組むつもりだ。
中国ディープシーク、どうやって米国を出し抜いたか - WSJ
経験は邪魔になると考え、若い中国人技術者を雇用・活用する。さらに、プログラミングを巧妙に簡略化し、米国の規則の抜け穴を利用して先端半導体を入手する。
これは中国のAI(人工知能)新興企業ディープシークが採用した手法だ。それによって開発されたAIプログラムは世界を震撼(しんかん)させた。
これまでは、優れたAIの開発には高価な最先端コンピューターチップが大量に必要であり、中国企業はそうしたチップを入手できないため競争するのは難しいと考えられていた。ディープシークは才覚によってそうした予想を覆し、ウォール街に1兆ドル(約156兆円)の大損害をもたらすとともに、米テック企業に自社の手法の見直しを迫った。
ドナルド・トランプ米大統領によれば、ディープシークは米政府にも警鐘を鳴らした。トランプ政権は、中国によるAI向け先端半導体の利用を制限しているバイデン政権時代の政策をどうするか、数カ月中に決定することになっている。
ディープシークを率いる梁文鋒氏は、IT産業の中心地である杭州市に同社を設立した。同市には中国の電子商取引最大手アリババグループも拠点を置いている。ディープシークは梁氏が共同で設立したヘッジファンドから生まれた。このファンドは金融市場で利益になる取引を見つけるためにAIを活用している。
梁氏は2023年に中国の出版物に掲載されたインタビューで、大半の技術者のポストを埋めているのは、新卒者か実務経験が1~2年の人だと答えた。
また、経験が障害になり得ると述べ、「何かをする時、経験のある人はためらいもなく、これはこのやり方でやるべきだと伝えてくるだろうが、経験のない人はそのやり方について、何度も検討を重ね、真剣に考えることを強いられる。そして現在の実際の状況に合った解決法を見つける」と語った。
彼らが考え出した手法は現在、シリコンバレーで最も優秀な人々の研究対象になっている。
米オープンAIの対話型AI「チャットGPT」などのプログラムを下支えする先進的なAIモデルは最近まで、大量に集めたテキストや画像などのデータを使って訓練されていた。そうしたモデルは特殊なアルゴリズムを使って、チャットボットが会話するのに使えるパターンを探してきた。
ディープシークの戦術は、独自の発明や、同社と同様に制限を受けている中国のAI企業が採用している技術を利用して、AIモデルを訓練するのに必要なデータ処理量を減らすというものだった。
米シンクタンク「ランド研究所」でAIを研究しているレナート・ハイム氏は、チャットGPTの以前のバージョンを、図書館の本を全て読んだ司書だと考えると良いと話す。質問をすると、それは読んだ多くの本をベースにして答えを出す。
このプロセスには時間もお金もかかる。これらの本を読み込ませるには、電力消費の多いコンピューターチップが必要だ。
ディープシークは別の手法を取った。同社の司書は全ての本を読んだりせず、質問を受けてから答えにふさわしい本を探し出すよう訓練された。
その上に、また別のテクニックが加えられた。それは「mixture of experts(混合エキスパート、さまざまな分野の専門家集団)」と呼ばれるものだった。ディープシークや他のAI開発企業は、あらゆる事柄に関する質問をうまくさばく司書を見つけるのではなく、質問を特定分野の専門家集団に割り振るような手法を取った。その分野は、例えばフィクションや定期刊行物、料理などだ。それぞれの専門家に必要なトレーニングは司書よりも少ない。このため半導体への負担は、全ての作業を一度にこなすよう求められる場合よりも小さくなる。
ディープシークの手法では、質問を受ける前に必要とされる時間と電力がより少なくなる一方で、答えを出すために使われる時間と電力が多くなる。ハイム氏によれば、これら全ての点を考慮すると、ディープシークが取ったこうした近道は、AIの訓練に要するコストを競合AIモデルと比べて極めて低くすることに貢献した。
インテルの元最高経営責任者(CEO)のパット・ゲルシンガー氏はⅩ(旧ツイッター)への投稿で、「エンジニアリングには制約が付き物だ」と指摘。「中国のエンジニアたちが利用できる資源は限られていた。このため彼らはクリエーティブな解決策を見つける必要があった」と語った。
しかしこうした創造力は、ディープシークが成功を収めた理由の一部に過ぎない。
他の理由の一つは、米国による輸出規制の導入が紆余(うよ)曲折を経たことだった。それはディープシークに、米国製の高性能半導体を購入する抜け道を与えた。
バイデン政権は2022年、中国向け半導体を対象とした輸出規制を導入した。半導体を中国に輸出したい米企業はまず、その半導体について、相互接続帯域幅と呼ばれる能力を絞る必要があった。この能力はデータ転送スピードを左右する。
これに応じて、AIチップの設計で世界をリードするエヌビディアは中国向け新製品を開発した。この製品は、規制要件に準じつつも、他の点で高い性能を維持することでそれを埋め合わせた。一部アナリストによると、その結果、当時のエヌビディアの最先端GPU(画像処理半導体)とほぼ同等の性能を持つ製品が生まれた。
米当局者らはエヌビディアについて、法律には違反していないが法律の精神に反していると、公式あるいは非公式に不満を漏らしている。元バイデン政権高官は、急速に変化する技術に対する効果的な輸出規制の策定に際して、業界リーダーらが協力的であることを期待していたと語った。
エヌビディアの広報担当者は27日、「ディープシークは素晴らしいAIの進歩」であり、「輸出規制を完全に順守した」演算能力を用いながら革新的なAI技術を実現したと述べた。
米政府は、最初の輸出規制から1年後に規則を強化した。それでも、ディープシークがエヌビディア製の高性能な中国市場向けGPU「H800」を購入できる期間は約1年あった。ディープシークは昨年12月に発表した研究論文の中で、同社のAIモデルの一つを訓練するのにH800を2048個使用したと明らかにしている。
2023年に規則が改正されたため、エヌビディアはH800より大幅に性能を落とした新輸出規制対応の中国向けGPUを設計した。
米AI業界のリーダーの中には、ディープシークが全ての秘密を明らかにしていないのではないかと疑う向きもある。彼らは、中国の研究者たちが、米政府の輸出規制が始まる前に最先端のエヌビディア製GPUを備蓄していたか、あるいはエヌビディア製品によって可能になった演算能力に米国や中国以外の国からアクセスするなどの回避策を取っていた可能性もある、との見方を示している。バイデン政権末期には、こうした盲点に対応するための新たな規則が導入された。
長期金利1.5%近くまで上昇へ、国債需要を喚起-かんぽ生命の野村氏 - Bloomberg
かんぽ生命保険の野村裕之執行役員兼運用企画部長は、長期金利は年内に1.5%近くまで上昇し、機関投資家だけでなく事業会社や個人投資家の需要を喚起するとの見方を示した。
野村氏は28日のインタビューで「日本の金利がぐっと上がった時こそチャンス。みんな買い場を狙っている」と述べた。日本銀行の利上げペースが上がらない限り長期金利が1.5%台で定着するのは難しいものの、「1.4%程度までの上昇はあり得る。1.5%を背中に見ながら推移する」とみている。
日銀が政策金利を0.5%へと17年ぶりの水準に引き上げ、長期金利の先高観が強まっている。今後も半年に1回のペースで利上げが行われるとの見方が多く、1%まで引き上げられれば長期金利は1.5%が視野に入る。金利商品の魅力が増して需要が高まり、円安にブレーキがかかる可能性もある。
野村氏は日銀の追加利上げについて「人手不足や賃金上昇など過去にない現象が起きており、こうした傾向に大きな変化がなければ半年後くらいに確実にできるだろう」と話した。
外債への投資については「内外金利差がまだ大きく、ヘッジコストが非常に高いため、新規にどんどん増やすことはない」と語る。一方で、国内の長期金利が1.5%手前まで上昇すれば「生保を含む機関投資家や事業会社も利回り水準に敏感になる」と読む。
為替は円高想定
長期金利の上昇で金利商品の魅力が高まると、安全資産を志向する高齢者など個人投資家の個人向け国債などの購入が増え、「特に年限が短い国債相場を落ち着かせる要因になるかもしれない」と野村氏は期待する。
為替相場は円高を想定。「金融市場は米国の景気やリスク資産にかなり楽観的だが、どこかで調整局面に入り、1ドル=140円くらいで定着するのではないか」と話した。
超長期金利は年内、「30年債で2.3%程度と、今とそれほど水準が変わらないだろう」と言う。足元は「保険商品の販売状況を見ながら10-30年の国債、国内社債、通貨スワップを使って円金利化した外債など、為替リスクを取らない投資を着実に進めており、あまり相場観を入れない形で投資している」と説明した。
中国やイランなどのハッカー、グーグル「ジェミニ」利用して攻撃能力強化 - WSJ
ディープシークのAIアプリ、正答率17% 米欧競合をほぼ下回る | ロイター
ディープシーク、米製半導体と米から「盗んだ」技術を利用=米商務長官候補 | ロイター
米テク大手への集中、ITバブル以来の水準-DeepSeekショックで露呈 - Bloomberg
米ハイテク大手が株式市場を支配する状況について警告する声がかねて上がっていたが、投資家の耳には届いていなかった。だが、世界を見舞ったDeepSeek(ディープシーク)ショックで新たな懸念が浮上している。
ディープシークが開発した低コストの人工知能(AI)モデルの出現により米企業の優位性が揺らぐとの懸念から、27日の取引では米テク大手の株価が急落し、S&P500種株価指数は1.5%下落して終了。だが、指数構成銘柄の大半は値上がりしていた。一定の冷静さが戻った28日の取引では、その逆の現象が発生。ハイテク大手の主導でS&P500種が反発する一方で、指数構成銘柄の大半は下落した。
S&P500種は一握りの代表銘柄による支配がここ20年余りで最も強まっている。足元ではハイテク大手の株価は不安定な展開となっており、ウォール街にとっては特に大きな懸念材料だ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、マイケル・ハートネット氏によると、データでは過去2年間にS&P500種を上回るパフォーマンスを達成できたのは、構成銘柄の3分の1未満にとどまる。
この構図はドットコムバブルに至る1990年代終盤と酷似しており、当時もごく一部の銘柄が指数全体をアウトパフォームする状況にあった。ディープシークの衝撃でエヌビディアの時価総額が5890億ドル(約91兆円)吹き飛んだように、一極集中が市場に及ぼすリスクが顕在化している。
ピーター・オッペンハイマー氏率いるゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト陣は「割高なバリュエーションや株式リターンの急上昇によって調整を引き起こす条件が整う一方で、資産クラスとしての株式の一極集中が進んでいることで、株式投資家は失望を招く展開に脆弱(ぜいじゃく)になっている」と指摘。「株式の集中化は3つの形態を取っている。世界の株価指数における米国株式市場の支配拡大、テクノロジーセクターの増勢、単一銘柄への集中の高まりだ」と述べた。
●中東情勢
●エマージング
チリ中銀、4会合ぶり金利据え置き インフレ加速リスクに警戒 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(29日)ドル堅調、利回り上昇 株反落も下げ幅縮小 | ロイター
**要約:**  
米連邦準備制度理事会(FRB)は予想通り政策金利を4.25~4.50%に据え置いたが、年内の追加利下げに関する具体的な手がかりは示さなかった。これを受け、ドルは主要通貨に対して概ね堅調に推移。市場では年内の利下げ観測がやや後退し、債券利回りは上昇した。  
米国株式市場は一時下落したものの、パウエル議長の発言が安心感を与え、下げ幅を縮小。ハイテク株が軟調だった。金先物は小幅続伸し、原油先物は米国の関税措置への警戒感から反落した。ビットコインとイーサリアムは上昇。カナダ銀行は政策金利を0.25%引き下げた。
欧州市場サマリー(29日) | ロイター
**ロンドン株式市場**は金融関連株の上昇によりFTSE100指数が3日続伸。英財務相の発言によるポンド安が追い風となった。一方、FTSE250指数は0.14%下落。銀行・保険株が上昇し、自動車部品株も買収報道を受け上昇したが、飲料株はLVMHの業績不振を受け下落した。  
**欧州株式市場**は続伸し、STOXX欧州600指数が最高値を更新。ASMLの好業績が半導体株を押し上げ、ドイツDAX指数も最高値を記録。ドイツテレコムやボルボが上昇する一方、LVMHは業績期待に届かず下落。市場は欧米の金融政策に注目。  
**ユーロ圏債券市場**はほぼ横ばいで推移。米FRBの金利据え置きが予想される中、ECBは利下げの可能性がある。米ハイテク企業の決算が欧州債券市場に影響を与える見込み。

備忘録(2025/1/28
●海外企業決算
仏LVMH24年12月期、純利益17%減 中国なお苦戦 - 日本経済新聞
高級ブランド世界最大手の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)が28日発表した2024年12月期決算は純利益が前の期比17%減の125億ユーロ(2兆250億円)だった。中国での販売鈍化が続いている。足元では時計や宝飾品には持ち直しの兆しもみえるが、中核事業の「ファッション・レザーグッズ」の落ち込みを補えなかった。
通期の売上高は同2%減の846億ユーロだった。四半期ベースでは7〜9月期(前年同期比4.4%減)に比べて、10~12月期(同0.1%減)は下げ止まり感が出てきた。
10~12月期の売上高を地域別にみると、米国(同3%増)や欧州(同4%増)に比べてアジアの不振が目立つ。
日本を除くアジアは同10%減と、7~9月期(同16%減)ほどではないがマイナス圏を抜け出せない。中国などからの観光客需要で4~6月期には同6割近い売り上げの伸びを記録した日本も、10〜12月期は同8%増にとどまった。
商品別では衣料や皮革製品、酒がまだ苦戦する一方で時計やジュエリーは前年同期比の売り上げがプラス圏に戻ってきた。
「カルティエ」などを持つスイスのリシュモンも10~12月期の売り上げは持ち直した。新型コロナウイルス禍後のリバウンド消費が一服し、顧客は購入対象を宝飾品など特定の商品に絞っている可能性がある。
ベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)はアナリストカンファレンスで米国は今後減税が見込まれて楽観主義が広がっていると説明し、「(消費拡大の)ブームが起きる」と予想した。
また中国に関しては「政府が景気刺激が必要だと気づいた」と分析。不動産不況を経て「少しずつ正常な状況に戻る」と述べた。
独メルセデス、第4四半期利益率は自社予想上回る見通し | ロイター
GMの10~12月、最終赤字4500億円 中国事業で損失計上 - 日本経済新聞
米GM、第4四半期決算と通期見通しが予想上回る ガソリン車好調 | ロイター
米スタバ、四半期既存店売上高は予想ほど落ち込まず 再建策奏功か | ロイター
28日発表した第1・四半期(2024年12月29日まで)の世界既存店売上高は4%減少した。
ただ、LSEGのまとめたアナリスト予想の4.6%減よりも小幅な減少にとどまり、ブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)の経営再建策が奏功しつつある兆候を示唆した。
北米の既存店売上高も4%減と、市場予想の4.7%減ほど落ち込まなかった。
中国の既存店売上高は6%減。前四半期は14%減だった。
[PCAR] パッカー 2024年12月通期は減収最終減益 売上高4%減336億ドル、純利益10%減41.6億ドル、配当4.17ドルへ減配 - 株探(かぶたん)|米国株
[SYY] シスコ 2Q増収営業増益 売上高4%増201億ドル、営業益2%増7.12億ドル、EPS0.82ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LMT] ロッキードマーチン 2024年12月通期は増収減益 売上高5%増710億ドル、営業益18%減70.1億ドル、EPS22.31ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GM] GM 2024年12月通期は増収営業増益 売上高9%増1874億ドル、営業益37%増127億ドル、EPS6.37ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[RTX] RTX 2024年12月通期は増収増益 売上高17%増807億ドル、営業益84%増65.3億ドル、EPS3.55ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BA] ボーイング 2024年12月通期は減収赤字拡大 売上高15%減665億ドル、営業赤字107億ドル、EPSマイナス18.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KMB] キンバリークラーク 2024年12月通期は減収増益 売上高2%減200億ドル、営業益37%増32.1億ドル、配当4.88ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[RCL] ロイヤルカリビアンクルーズ 2024年12月通期は増収増益 売上高19%増164億ドル、営業益43%増41.0億ドル、EPS10.94ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SBUX] スターバックス 1Q微減収減益 売上高微減93.9億ドル、営業益25%減11.2億ドル、EPS0.69ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SYK] ストライカー 2024年12月通期は増収減益 売上高10%増225億ドル、営業益5%減36.8億ドル、EPS7.76ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米19州の共和党司法長官、コストコに多様性方針の撤回要求 | ロイター
●日本企業
NTT都市開発リートに3D系がTOB、「一方的に行われた」 | ロイター
●先進国政治動向
トランプ氏「半導体に近く関税発動」2.5%より大幅に高い一律関税望む - Bloomberg
トランプ米大統領は27日、外国製半導体チップや医薬品に近く関税を発動する方針を表明した。鉄鋼と銅・アルミニウム製品にも関税を賦課すると述べた。全ての輸入品に課すと公約してきたユニバーサルベースライン関税(一律関税)については、2.5%より「大幅に高く」設定したい考えを示した。
米国のサプライチェーン再構築を目指し、大統領就任後に準備を進めてきた包括的な関税制度に関し、詳細な概要の一部が発言で示された格好だ。 
トランプ大統領は一律関税を巡り、「それがどうなるか念頭にあるが、設定はまだだ。だが、わが国を守るために十分なものとなるだろう」と大統領専用機内で記者団に発言した。
米上院が27日に財務長官人事を承認したスコット・ベッセント氏が一律関税を2.5%からスタートさせる案を支持しているとの報道について問われると、ベッセント氏がそれを支持していると思わず、自分自身も支持しないと答えた。
トランプ氏はこれより先、フロリダ州マイアミのリゾートで開かれた下院共和党議員らとの会議で演説し、「極めて近い将来に外国製コンピューターチップと半導体、医薬品に関税を適用するつもりだ。これらの必需品の生産を米国に戻すことが目的だ」と語った。
「この状況から抜け出す唯一の方法は、工場を建設することだ。税金や関税の支払いをやめたいなら米国内に工場を建設しなければならない」と訴え、カナダとメキシコから輸入する自動車への関税適用の可能性も強く示唆した。
トランプ大統領は、カナダとメキシコからの輸入品への25%関税、10%の対中追加関税を2月1日から課すことを検討していると先に明らかにした。
一方、米政府は特定の先端半導体技術の輸出を禁止し、エヌビディアのAI向け先端半導体の販売を制限することで、中国のAI技術の進歩を抑え込もうとしてきた。
しかし、中国のスタートアップ企業DeepSeek(ディープシーク)が低コストで開発した新たな生成AI(人工知能)モデルの登場により、限られたリソースで性能向上を追求した結果、中国のAIエンジニアが禁輸の影響を乗り越える手段を見いだす状況が浮き彫りになった。
27日の米株市場では、米欧のテクノロジー企業の優位が崩れかねないとの動揺が広がり、エヌビディアは過去最大の時価総額減少に見舞われた。半導体への関税に言及したトランプ大統領の演説は、その数時間後に行われた。
トランプ氏は「中国企業によるディープシークAIのリリースは、わが国の産業にとって、勝つためにはレーザー光線のように競争への集中が必要という警鐘となるはずだ」と主張。ただ伝えられる画期的成果については、「良いことだ。それほど金をかけずに済む」」と評価した。
外国為替市場では、トランプ氏の発言を受け、米ドルが円など主要通貨に対し上昇。アジア時間28日の取引で、リスクに敏感な豪ドルとニュージーランド・ドルは、対米ドル0.7%下落した。トランプ政権の関税政策が他の国・地域の通貨に打撃を与え、物価圧力を高めかねないとの不安が背景にある。
米、連邦政府の補助金・融資など支援プログラムを一時停止 | ロイター
トランプ氏、2月1日に加・メキシコ関税発動の考え=報道官 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
ドイツ金融監督庁、市場の調整リスク警告 「お祭りムード」指摘 | ロイター
日銀審議委員に小枝早大教授、政策正常化を支持の可能性-政府提示 - Bloomberg
政府は28日、日本銀行審議委員の候補に小枝淳子早稲田大学教授を充てる国会同意人事案を衆参両院に提示した。金融政策運営に関しては日銀が進める正常化路線を支持する可能性が大きい。
小枝氏はマクロ経済や国際金融が専門で、2022年4月から早大政治経済学術院で教壇に立っている。日銀金融研究所の国内客員研究員を務めた経験もあり、日銀が昨年12月に過去25年間の金融緩和策の効果と副作用について取りまとめた「多角的レビュー」では、ワークショップに指定討論者として参加した。
昨年4月の日本経済新聞への寄稿では、同年3月のマイナス金利解除など大規模緩和からの脱却を「プラスの金利環境に回帰する歴史的に大きなステップ」と評価した。経済状況に応じた機動的かつ効果的な金融政策の実行のため、金融政策が波及する環境を整えることや、肥大化した日銀のバランスシートの縮小、財政の持続可能性の重要性を主張している。
日銀は24日の金融政策決定会合で17年ぶりの高水準となる0.5%程度への利上げを決めた。利上げは昨年7月以来。植田和男総裁は会合後の記者会見で、金融政策の正常化推進に意欲を示した。小枝氏が同意を得られた場合、今後の正常化に向けた理論的なバックグラウンドが強化されそうだ。
前日銀副総裁の若田部昌澄早稲田大学政治経済学術院教授は、小枝氏は「金利を上げることが経済を必ずしも収縮させるわけではないとしている」とした上で、「正常化を進めている日銀にとって好ましいと考えている可能性がある」とみている。
3月25日に任期満了を迎える安達誠司審議委員の後任で、任期は5年。昨年10月に発足した石破茂政権が行う初の日銀政策委員会人事となる。金融政策などの議決権を有する9人の政策委員のうち、女性は中川順子氏のみ。1998年の新日銀法施行後で、政策委員に複数の女性が就任すれば初めてとなる。 
小枝氏は99年に東大経済学部を卒業後、2005年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経済学研究科で博士号取得。国際通貨基金(IMF)のエコノミスト、東大経済学部経済学研究科の特任講師、早大政治経済学術院准教授や財務省財務総合政策研究所の総括主任研究官などを務めた。
日銀出身の楽天証券経済研究所の愛宕伸康チーフエコノミストは、小枝氏について「日銀の政策的にはニュートラルで、今の日銀の考え方にあった人が選ばれた」とし、女性の政策委員が二人になるという観点からも、政治的には賛同を得やすいと指摘。学者として、「金利が実際に上がっていく中での実体経済への影響を意識したコミニュケーションが取れるかがポイントになる」と語った。
安達氏は、積極的な金融緩和政策によって経済成長と緩やかなインフレを目指すリフレ派の論客として、デフレ脱却を掲げた安倍晋三政権が指名した。日銀は昨年3月のマイナス金利解除など大規模緩和から転換してから1年弱で3回の利上げを実施したが、安達氏はいずれも賛成票を投じている。
政策委員人事は衆参両院それぞれの同意が必要で、衆院が少数与党の現状では、野党の対応も鍵を握ることになる。各党は人事案を持ち帰って、賛否を検討する。採決の具体的な日程は今後の衆参それぞれの議員運営委員会で協議する。
国民民主党の浜口誠政調会長は27日のブルームバーグとのインタビューで、日銀の審議委員人事について、ジェンダーバランスを考慮した人選か確認するとの考えを示していた。
シンクタンクの公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)が昨年6月に公表した「ジェンダーバランス指数2024」の中央銀行部門で、日銀は185行中156位となり、前年の144位から後退した。日銀の歴代の総裁や副総裁には女性は一人もいない。
UBS証券の足立正道チーフエコノミストは、小枝氏の金融政策運営スタンスについて「安達氏がハト派だったことに比べると、小枝氏は中立とみている」と指摘。二人目の女性ということで、ジェンダーバランスを気にしている国民民主党などにはぴったりの人選との見方を示した。
審議委員は日銀の最高意思決定機関である政策委員会の一員。政策委員会は総裁、副総裁2人、審議委員6人で構成される。今年は安達氏に続いて、中村豊明審議委員も6月30日に任期満了を迎える。
マイナス金利、安易に導入しない 可能性は排除せず=スイス中銀総裁 | ロイター
●先進国経済指標
米住宅価格指数、11月は前月比0.3%上昇=FHFA | ロイター
米耐久財受注、12月のコア資本財0.5%増 予想上回る | ロイター
米1月CB消費者信頼感104.1に低下、労働市場への懸念が浮上 | ロイター
コンファレンス・ボード(CB)が28日発表した1月の消費者信頼感指数は104.1と、前月の109.5(上方改定)から低下した。ロイターが調査したエコノミストの予想中央値105.6も下回り、2カ月連続の低下となった。
信頼感の悪化は55歳以下の消費者で最も顕著だったほか、収入が12万5000ドル以上の世帯で急激に低下した。
仕事が「豊富にある」とみる消費者の割合は33%と、前月の37.1%から低下した。一方、仕事が「得にくい」との向きは16.8%と、前月の14.9%から増加した。
職が「十分」と「就職困難」の回答から算出する労働市場格差に関する指数は16.2。前月は22.2だった。
今後6カ月以内に自動車を購入する予定の消費者の割合は、住宅の購入を予定する消費者の割合とともに過去5カ月間で最低となったほか、 休暇を取る予定がある消費者の割合も昨年10月以来の低水準となった。
消費者の半数以上が年内の金利上昇を予想している。
CBのチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は「現在の労働市場の状況に対する見方は9月以来初めて悪化し、景気に対する評価は2カ月連続で弱まった」と指摘。さらに「インフレと物価に関する言及が自由回答の中で引き続き多数を占めた」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
米ガス価格予想引き上げ、例年下回る気温で需給逼迫=ゴールドマン | ロイター
ドイツは深刻な経済危機、25年GDPは0.1%縮小へ=産業連盟 | ロイター
欧州の住宅ローン規制緩和、貸し手のリスク高める=ムーディーズ | ロイター
大手格付け会社のムーディーズは28日、欧州の複数の国で実施されている住宅ローン規制の緩和により貸し倒れリスクが高まっており、長期的には貸し手の信用力にとってマイナスとするリポートを公表した。
リポートによると、英、スイス、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの6カ国の銀行規制当局は2022年以降、住宅ローンの融資制限を緩和する措置を取っている。
フィンランドとノルウェーはLTV(住宅資産価値に対するローンの比率)の上限を85%から90%に引き上げ、英国は住宅ローンに関するストレステストの要件を緩和した。英国は、政府が成長促進政策を推進していることを受け、さらなる規制緩和を協議している。
ムーディーズは「規制緩和は今のところ緩やかで、短期的には住宅価格を下支えしているが、長期的には債務不履行や住宅ローン損失のリスクを高める可能性がある」と指摘。
「住宅ローンの長期的なリスクを増大させることから、住宅ローンの貸し手や住宅ローン担保証券の信用に対しマイナスとなる」とした。
ユーロ圏の銀行、昨年第4四半期に企業向け与信厳格化=ECB | ロイター
欧州中央銀行(ECB)が28日に公表した銀行貸出調査(BLS)によると、ユーロ圏の銀行は昨年第4・四半期に企業向け与信を厳格化し、2025年第1・四半期にもさらなる厳格化を見込んでいることが分かった。経済成長の鈍化を背景に、追加利下げ観測が高まりそうだ。
消費の低迷、2年にわたる産業不況、輸出需要の低迷、政府の支出不足などを背景に、待望の景気回復が実現しなかったため、融資は24年の大半にわたって伸び悩んだ。
ECBは、銀行は企業に対する与信基準や融資承認基準を厳格化するとかねてより予想していたが、全体的な需要の低迷にもかかわらず、想定以上に厳しくなったと指摘。
「景気見通し、業界や企業固有の状況、銀行のリスク許容度の低下に関連したリスクの高まりが背景にある」と分析した。
与信基準は全セクターで厳格化されたが、特に商業用不動産、卸売・小売業、建設業、エネルギー集約型製造業で顕著だったという。
住宅ローンについては、与信基準はおおむね変わらなかった。ただ、銀行は前回の調査では「大幅な」緩和を予想していた。
ドイツ、最上位格付け維持には構造問題への対処必要=スコープ | ロイター
欧州格付け会社スコープ・レーティングスの幹部は、ドイツが長期的にトリプルA(AAA)格付けを維持するためには構造的な弱点を克服する必要があると指摘した。
エクゼクティブディレクターのエイコ・ジーベルト氏はロイターとのインタビューで「経済停滞が2025年も続いたとしても、国内総生産(GDP)成長率の鈍化だけで直ちにドイツのAAA格付けが危うくなるわけではない」と述べた。その上で「しかし成長鈍化の原因に対処できない場合、格付けへの圧力は高まるだろう」と指摘した。
ドイツ経済は、世界的な需要の低迷と中国などとの競争による輸出低迷で、24年は2年連続のマイナス成長を記録した。
ジーベルト氏は、構造的な弱点として「ドイツの生産力や輸出力を弱める」エネルギー価格高、インフラ・教育・デジタル化への投資の不足、国際競争力を低下させる不十分な労働市場改革などを挙げた。
GDP比で63%という債務比率の低さは、他の欧州主要国と比較して信用力が高いことを示すが、格付けは他の要素も考慮されるため、それだけでAAA格付けの維持が保証されるわけではないとした。スコープがAAAに格付けする国の債務は平均でGDP比36%で「AAAグループの中では、ドイツが最も高い」と指摘した。
財政赤字をGDPの0.35%以下に制限することを政府に求める債務ブレーキは財政政策枠組みの重要な部分を形成しているとしたが、債務ブレーキ改革は成長促進に寄与する公共投資の拡大を可能にし、プラスになると指摘。
2月23日に総選挙が行われることを踏まえ「競争力の緩やかな低下を歯止めをかけたいのなら、次期政権は投資を大幅に増やすことに重点を置くべきだ」と語った。
ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチ・レーティングスもドイツを最上位に格付けしている。
米電力株が大幅安、ディープシークの影響でAI向け電力需要に陰り | ロイター
DeepSeekに見る中国のAI戦略の脅威-豊富なIT人材と需要が強みに - Bloomberg
中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)が発表した高性能人工知能(AI)モデルは、世界市場を混乱させ、中国の台頭を遅らせることを狙った米国の輸出規制の限界も露呈させた。同社の成功は、中国がさらに大きな技術的躍進を達成する道を示している。つまり、最先端の半導体を自国で生産することだ。
米国の競合他社とほぼ同等の費用をかけずに革新的なAIモデルを構築できるディープシークの能力に、テック業界のリーダーや政治家らが驚嘆する中、中国東部・杭州市のこの企業がどうやって開発を実現したのか、また、技術競争で中国に対する優位を維持しようとする米国にとって、同社の成功がどのような意味を持つのかが今問われている。
優位性
ディープシークが使用した半導体の詳細や、AIモデルの開発をさらに進めるのに十分な半導体が手元にあるかなど不明な点は多いものの、今回の成功で、中国側にいくつか重要な優位性があることが浮き彫りになった。中国には、高度な技術を持つソフトウエアエンジニアが豊富に存在し、広大な国内市場と、補助金や研究機関への資金提供という形の政府の支援がある。一方で、少ない資源でより多くを行う方策を見つける必要性も増している。
中国のAI普及の先頭に立つ清華大学国家戦略研究院の研究員、劉旭氏は「中国はIT人材の数と人件費の両面で明らかに優位性がある。中国にとって最大の資源は、世界で最も人口の多い国の一つであり、巨大な製造拠点かつ巨大な需要がある点だ」と指摘する。
様々な点で、ディープシークは中国が誇る最高の例だ。テンセント・ホールディングス(騰訊)のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」から字節跳動(バイトダンス)の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に至るまで、中国のアプリ開発企業は、新しいコミュニケーションや電子商取引(eコマース)の形を開拓しながら、世界をリードする消費者向けアプリを開発してきた。そして今や、ディープシークのモデル「R1」は、米国のオープンAI、アルファベット傘下のグーグル、メタ・プラットフォームズのAIに挑戦する。
ただ、ハードウエア分野では中国は依然として追いかける立場にある。近年、米国の輸出規制の主な焦点となっているのがこの分野だ。米国は中国に対し、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)から最先端のAI半導体購入を禁止している。また、最先端半導体の製造に不可欠なオランダのASMLホールディングの装置の入手も阻止している。
中国の習近平国家主席は、新興技術での先行を目指す戦略「中国製造2025」の一環として、先進的な半導体分野での画期的な進歩を実現しようと、巨額の資金を投じてきた。ブルームバーグ・エコノミクスとブルームバーグ・インテリジェンスの調査によると、この取り組みはほぼ成功している。同国は電気自動車(EV)、バッテリー、ソーラーパネルなどの製造で優位に立ち、製造業の能力を過去にないレベルに押し上げている。
通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)などはAI半導体の生産で進歩しているが、現時点ではエヌビディア製造の半導体に性能が劣る。特にバイデン前政権が貿易規制を強化して以降、最先端半導体へのアクセスが制限されたことは、中国のAI開発にとって大きな障害であり続けている。
対抗
トランプ米大統領の就任直後に新モデルを発表したディープシークが、現在のAIモデルにつながった最先端半導体へのアクセスを継続できるは不透明なままだ。同社の創設者、梁文峰氏(40)は、米国の輸出規制が今後の成長の妨げになっていると指摘した。
トランプ氏は27日、ディープシークのR1について「前向きな展開」と称賛し、「わが国の産業にとって、勝つためにはレーザー光線のように競争への集中が必要という警鐘となるはずだ」と述べた。
パデュー大学のクラック技術外交研究所のミシェル・ジュダ最高経営責任者(CEO)は、ブルームバーグテレビジョンに対し、米国は輸出規制を強化し「本当に強力な防衛」を維持することが不可欠だと主張。また、2020年のエンジニアリング卒業生が中国は米国の2倍以上だったことを挙げつつ、「データセンターの構築や設計、より高度なAIの設計を行うエンジニアを確保できなければ、AIの世界的な中心地になることはできない」と述べ、人材育成の重要性も訴えた。
【社説】ディープシークAIの衝撃 - WSJ
誰がこれを予想しただろうか。ウォール街は予想しておらず、27日にはハイテク株が売り込まれた。先週末、中国企業ディープシーク(深度求索)の極めて高度な人工知能(AI)モデルが、米IT大手の構築したシステムに匹敵する性能を持つものの開発費用はごくわずかだったとのニュースが伝えられた。影響は株式だけにとどまらず、広範囲に及ぶ可能性が高い。
米半導体大手エヌビディアの株価が16.9%下落し、ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数は3.1%下落した。エヌビディアはAI向け先進半導体市場を支配している。IT大手が多額のAI向け支出を発表する中、同社の株価は2023年初め以降で10倍超に急上昇し、時価総額は27日まで3兆3000億ドル(約510兆円)を上回っていた。
そこに登場したのがディープシークだ。同社は先週、新モデル「R1」を公開した。計算・コード・推論の各タスクに関して米オープンAIのモデルと同じくらい高機能だと主張している。R1を調べたハイテク業界の大物たちも同意した。あるエコノミストがR1に、ドナルド・トランプ米大統領が検討を表明した25%の関税がカナダの国内総生産(GDP)に及ぼす影響はどの程度かと尋ねたところ、大手銀行の試算値に近い答えが12秒で返ってきた。R1が答えにたどり着くために使った詳細な手順も併せて示された。
さらに驚くべきことに、ディープシークがAIモデルの学習に必要とした半導体は他の先進AIモデルよりはるかに少なく、開発コストは推定わずか560万ドル程度だ。他の先進モデルの開発コストは約10億ドルである。ベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセン氏はこれを「AI版のスプートニク・モーメント」と呼び、人工衛星の打ち上げで米国がソ連に先を越された瞬間に例えた。その通りかもしれない。
ディープシークは、AIの進歩に必要な画像処理半導体(GPU)の数と費用についての前提を覆そうとしている。オープンAIとオラクル、ソフトバンクグループは先週、合弁事業「スターゲート」を立ち上げ、AIインフラの構築に最大5000億ドルを投資する計画を発表し、話題となった。マイクロソフトは今年、AIデータセンターに800億ドルを投じる計画だ。
メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は24日、同社が今年、AIプロジェクトに約650億ドルを投じ、「マンハッタンの大部分に相当するほど大きな」データセンターを建設することを明らかにした。メタが今年末時点で保有するGPUは130万個となる見通しだ。ディープシークのモデル開発には1万個しか必要とされなかったと報じられている。
ディープシークの飛躍的な進歩を踏まえると、ハイテク大手はAIモデルの学習にこれほど多くの費用をかけなくても済む可能性がある。一方で、これらの企業、特にグーグル傘下のグーグル・ディープマインドは、先発者としての技術的優位性を失うかもしれない。グーグルの株価は27日に4%下落した。ディープシークのモデルはオープンソースであり、他の開発者がそのコードを調べて手を加え、それを使って独自のアプリケーションを構築することが可能だ。
このため、より多くの中小企業が、オープンAIやアマゾンが支援する米AI新興アンソロピックなどのクローズドソース・モデルと比べて、はるかに低コストでAIツールを利用できるようになる可能性がある。このようなクローズドソース・システムには、とりわけプライバシーや安全保障面で利点がある。しかし、オープンソースは共同作業や実験をより促進できる。
ディープシークが中国でヘッジファンドを運営する梁文峰氏によって設立された新興企業であることは、注目に値する。米国人は中国経済がトップダウンで運営されていると考えている。大半はその通りだ。しかし過去数十年の中国経済、とりわけハイテク分野の成長は、起業家によって促進された。アリババやテンセントホールディングス、字節跳動(バイトダンス)はいずれも新興企業だったが、今では米国のハイテク大手と競い合う存在だ。
このことは、米国がAI競争で成功するためには中国の産業政策をまねなくてはならないと考える「わな」を回避すべき新たな理由だ。上院が昨春、超党派でまとめたAIに関する報告書は、非国防用AIへの「緊急」支出として年間320億ドルの承認を議会に求めていた。その目的は中国との競争をより有利に進めることだとされている。なんというカネの無駄遣いか。
トランプ大統領は政府にAIの管理権限を過度に与えたジョー・バイデン氏の大統領令を取り消したが、ディープシークの登場はこの判断の正しさを証明した。この大統領令が撤回されなければ、国家安全保障や経済安全保障、公衆衛生、公共の安全に「深刻なリスク」をもたらし得るAIモデルを開発する企業は、モデルの訓練時に規制当局に通知し、「レッドチーム・セーフティーテスト(専門家による安全診断)」の結果を報告しなければならなくなるところだった。
バイデン氏は、偏向や欠陥、誤りをなくすためにこうしたテストが必要だと主張していた。しかし、オープンソースのモデルでは一般市民がシステムの評価やテストを行うことができる。ディープシークは中国政府にとって政治的にデリケートな問題に関する質問には回答しない、と指摘する向きもある。
ワシントンの共和党員らはハイテク大手への反トラスト法(独占禁止法)適用に熱心だったが、ディープシークの台頭によって、こうした姿勢を見直す動きも出てくるはずだ。官僚に何千ものAIモデルを監督する能力はない。それに規制を増やせばイノベーションが遅滞し、米企業にとって中国との競争が一層難しくなるだろう。ディープシークが示すように、少年ダビデがゴリアテのような巨人たちと競争することは可能だ。米国のAIの花を何千も咲かせようではないか。
ディープシーク躍進、それでもAIの巨人は沈まず - WSJ
必要は発明の母かもしれないが、株価を急落させる原因に火を付けるのは無理なように思われた。
だが、27日朝はそうではなかった。米国市場は中国の人工知能(AI)新興企業ディープシーク(深度求索)に対する新たな懸念で始まった。同社は先週末、AIモデルで飛躍的進歩を遂げ、AI技術を生んだ米国の先進モデルとほぼ同等の性能を達成したと発表した。
厄介なのは、ディープシークが同社の最新モデルの一つについて、560万ドル(約8億7000万円)の学習コストで訓練したと主張していることだ。同じ作業に太平洋のこちら側(米国)で使われている費用に比べるとわずかな額だ。米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)によると、2023年終盤に提供が開始された同社の「GPT-4」の訓練には、1億ドル余りの費用がかかったという。米アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは昨年、ポッドキャストで一部モデルの訓練費用が10億ドルに近づいていると述べていた。
これほどに巨額なコストがかかることは、エヌビディアやブロードコム、マーベルといった米企業にとって非常に喜ばしいことだった。これら企業の市場価値は、AI用半導体チップやサービスへの需要が爆発的に伸びたことで急激に高まったからだ。AI分野への参入コストの高さや、米政府の制裁によって先進的なAIチップの中国企業への販売が制限されたことも、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コム、グーグル、メタ・プラットフォームズといった米ハイテク大手にとっては競争する上で「堀」の役割を果たした。こうした企業は、高価なAIネットワークを大規模に構築するための資金を十分に持つ数少ない企業だ。
このため、ディープシークが突破口を開いたことは、時価総額が1兆ドルを超えるほぼすべての企業にとって、特に悪い知らせのように聞こえる。エヌビディアとブロードコムの株価は27日の取引でそれぞれ約17%下落し、半導体セクターの急落を主導した。同セクターの主要企業で構成されるフィラデルフィア半導体株指数の下げ幅は9%を超えた。AIベースのクラウドコンピューティング・サービス提供で最前線に立っているとみられるマイクロソフトは2%、グーグル親会社のアルファベットは4%それぞれ下落した。ハイテク株を中心に構成されるナスダック総合指数は3%下落した。一方、優良株で構成されるダウ工業株30種平均は上昇した。
こうした投げ売り状態は行き過ぎだと思われる。ディープシークの主張には依然、多くの不明な点がある。その中には、制裁の影響下にありながら、どのような種類の半導体にアクセスできたのかという点も含まれる。
一部の半導体アナリストは27日、ディープシークが自ら主張しているような低コストで米国の先進モデルと同等のAIを作り上げたとの見方に疑問を呈した。バーンスタインのステーシー・ラスゴン氏は「ディープシークが『500万ドルでオープンAIと同様の成果を達成した』はずがない」と指摘。TDカウエンのジョシュア・ブチャルター氏は「ディープシークのニュースを聞いた投資家たちはまず行動し、疑問を持つのは後でという姿勢を取った」と記した。シティグループのアティフ・マリク氏は「ディープシークが示した成果は画期的かもしれないが、微調整の際に先進の画像処理半導体(GPU)を使わずにこうした成果が達成されたとの見方には、疑問符が付く」とコメントした。
もっと重要な点は、こうした技術面での画期的成果がAI競争を沈静化させたり、さらには、この分野に大量に流れ込んでいる投資の抑制につながったりするとは考えにくいということだ。オッペンハイマーのエドワード・ヤン氏は顧客向けメモの中で、ディープシークをスプートニク(ソ連が打ち上げた世界初の人工衛星)に例え、スプートニクの成功によって宇宙開発レースに注ぎ込まれる資金が減ることはなかったと指摘。「競争の激化を受けて、その分野への投入資金の総額が減ることはめったにない」と説明した。
また、ニュー・ストリート・リサーチのピエール・フェラギュ氏は、より先進的な「最先端モデル」は技術面の優位性をさらに高めるため、最も先進的な演算リソースを活用する必要がある一方、より小規模な「低位」モデルはコスト効率の良いAI技術の開発に注力することになるとの見方を示した。「ディープシークはゲームチェンジャーではなく、それどころか、過去3年間に業界が進化してきた流れに極めて合致したものだ」と同氏は指摘した。
実際、ディープシークの躍進はAIへの投資が再び活発になっているように思われるタイミングだった。メタのマーク・ザッカーバーグCEOは24日、設備投資をさらに増額し、今年だけで650億ドルにまで引き上げる計画を明らかにした。この直前には、オープンAI、ソフトバンクグループ、オラクルが関わる「スターゲート・プロジェクト」がAIインフラに5000億ドルを投じる計画を発表していた。
29日に四半期決算を発表するマイクロソフトは、ディープシークの躍進が投資計画に影響を与えるかどうかのシグナルをハイテク大手として最初に示す機会を得る。ビジブル・アルファがまとめたアナリストのコンセンサス予想によると、マイクロソフトの設備投資額は今期(2025年6月期)が約840億ドル、来期が940億ドルとみられている。これまでのところ、同社が野心的な投資計画を後退させる気配はない。
マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは27日朝、「AIがもっと効率的で利用しやすくなれば利用が急激に増え、いくらあっても足りないほどの必需品になるだろう」とXに投稿した。
AI投資競争はまさに、新たな段階に入ろうとしているのかもしれない。
中国AI企業ディープシーク、シリコンバレーで渦巻く期待と疑問 - WSJ
中国の人工知能(AI)スタートアップ企業ディープシークの最新AIモデルがシリコンバレーで大きな話題となっている。AI技術の進展に期待が高まる一方で、開発方法については疑問の声も上がっている。
シリコンバレーのAI研究者らは少なくとも昨春から、称賛と警戒心が入り交じった気持ちでディープシークの動向をうかがってきた。米国の研究者らによると、ディープシークは研究面で高い評価を得ているが、学習コストに関する同社の主張を立証するのは難しい。
ディープシークは、主力の「V3モデル」の学習コストが560万ドル(約8億7000万円)だったと説明している。これに対し、米大手AI開発企業はモデルの学習に数千万~数億ドルを投じている。ただ、同社の技術文書によると、560万ドルという金額には事前学習やデータのコスト、従業員への給与、モデル構築に必要なその他の項目は含まれていない。
業界リーダーの中には、ディープシークがモデル開発で「知識蒸留」として知られる一般的な手法を用いたと考える向きもある。既存モデルの回答を使って、新しいモデルを開発する手法だ。もしそうだとすれば、米オープンAIなどの企業が高額を費やした取り組みに支えられ、ディープシークは低コストで開発を実現できた可能性がある。
オープンAIの主要な投資家であるベンチャーキャピタル(VC)スライブ・キャピタルのジョシュ・クシュナー氏は、「ディープシークは米国の最先端モデルに基づき学習した」とXに投稿した。
ディープシークの開発方法はさておき、研究者たちはそのスピードに驚きを隠せずにいる。同社によると、V3の学習には2カ月を要した。
ディープシークにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。
英人口、32年までに7250万人に増加の見通し 移民が底上げ=統計局 | ロイター
DeepSeek巡るエヌビディア急落は「序章」-「ブラック・スワン」著者 - Bloomberg
ベストセラー「ブラック・スワン」の著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏は、人工知能(AI)向け半導体大手エヌビディア株の27日の急落について、AI主導の株価上昇に盲目的に飛び乗った投資家がこれから直面する事態の「ほんの序章に過ぎない」と警告した。
中国のスタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)が高性能AIモデル開発に成功したことを受け、エヌビディア株は27日に17%下落。時価総額は5890億ドル(約91兆円)減と、米企業1銘柄の1日当たりの減少額としては過去最大を記録した。タレブ氏は27日、マイアミで開催された「ヘッジファンド・ウイーク」の際にブルームバーグ・ニュースのインタビューに応じ、今後の下落は同日にエヌビディアが記録した2、3倍の規模になる可能性があると語った。
タレブ氏は27日の一部ハイテク株の下落について、「現実を受け入れるための調整の始まりだ。ガラスはもはや無傷ではなく、小さなひびが入っていることが分かったためだ」と指摘した。
従来より低コストでAIモデルを開発したディープシークの登場により、27日の市場では米大手ハイテク企業がAI分野で優位性を確保できないとの懸念が突然広がり、売り浴びせにつながった。
エヌビディア急落は、同社の先進半導体に対する需要と信頼性の両方が脅かされると解釈されたためだ。タレブ氏はエヌビディアがAI分野で優位性を維持する限り、同社の株価は上昇し続けるとのシナリオに投資家は集中し過ぎていたと指摘。27日の株価下落は、業界のリスクを考慮すると「ごくわずかなもの」だったとも述べた。
タレブ氏は著書の中で、まれで予測不能な出来事が引き起こす極端な影響について探究している。予想外で市場に大きな影響を引き起こすブラックスワン的イベントに備えるファンドを運用する、ユニバーサ・インベストメンツのアドバイザーも務めている。その悲観的な予測により、ウォール街ではよく知られる人物だ。
タレブ氏は、AIの機能や成功の可能性について詳細を正しく理解しないまま、関連企業の株価をつり上げている投資家が多過ぎるとも指摘。1営業日に起こり得る株価の変動が過小評価されているとして、ハイテク企業を「グレースワン(灰色の白鳥)」と表現した。
オークツリーのマークス氏、低金利時代に再び戻るとの期待は禁物 - Bloomberg
オークツリー・キャピタル・グループの共同創業者ハワード・マークス氏は、低金利時代に巨額の富を築いた投資家は、今後も同様の戦略でそうした優れたリターンが得られると期待してはいけないと指摘した。
マークス氏は、人工知能(AI)ブームを背景としたこのところの相場上昇における「市場の非合理性」について見解を表明。米金融当局が数年前のゼロ金利時代への回帰を急いでいない状況で、割高な企業のファンダメンタルズを過大評価することに警鐘を鳴らした。
マークス氏は、マイアミで開催された会議グローバル・アルツで、「今後10年間が金利低下や超低金利に特徴付けられるとは私は考えていない」と述べた。
中国のAIスタートアップ(新興企業)DeepSeek(ディープシーク)の登場で、市場ではエヌビディアのようなAI関連の大型株の高いバリュエーションに疑問を投げ掛けざるを得ない状況となっている。
マークス氏は、「もし客観的かつ論理的で、感情的ではない投資家のみがエヌビディアに注目していたとすれば、きのうのニュースで他の全ての株価が下がる理由は存在しない」とし、「これは単に、短期的な不安心理の広がりと市場の非合理性を示している」と語った。
●中東情勢
イスラエル、ヘルモン山の無期限駐留を表明 対シリア軍事要衝 | ロイター
●エマージング
ルラ氏、不支持が2年ぶりに支持上回る 増税など懸念=世論調査 | ロイター
アングル:フロンティア市場に投資妙味、新興国よりトランプ政策の影響低い | ロイター
トランプ米大統領の通商政策を巡る不確実性が高まっていることを受けて、新興国投資家の間でフロンティア市場に目を向ける動きが出ている。
トランプ氏の返り咲きを受けてメキシコペソは乱高下。中国に対する投資意欲も一段と低下しており、新興国市場の黄金期への期待は薄れている。
その一方で、投資家の注目を集めているのが、トランプ氏の関税の対象にならないとみられている一部のアフリカ、東欧、アジア、中南米諸国などのフロンティア市場だ。
投資家によると、セルビアなどの国には堅調な経済成長という魅力があり、ガーナ、ザンビア、スリランカはデフォルト(債務不履行)からの脱却で改革と経済成長に注力できる体制が整う。
フォントベルの新興国市場ポートフォリオマネジャー、ティエリー・ラローズ氏は「フロンティア市場は、他の市場よりも影響を受けにくいだろう。ナイジェリア、スリランカ、パラグアイといった国が、トランプ政権にとって差し迫った標的になるとは思えないからだ」と指摘。「こうした新興国には特有のリスクがあるが、主要新興国とは違い、リスクオン、リスクオフの影響をほとんど受けない」とし、「資産分散化の極めて強力なエンジンになる」と述べた。
エルステ・アセット・マネジメントのシニアファンドマネージャー、アントン・ハウザー氏は、セルビアの自国通貨建て債のような資産は、東欧の経済成長を取り込む良い賭けになると指摘した。
<高利回りで高パフォーマンス?>
昨年はアルゼンチン債、レバノン債、ウクライナ債、エクアドル債など、非常にリスクの高い一部の債券が目を見張るパフォーマンスを残した。
多くの投資家は、今年も各国特有の事情がリターンを左右すると予想している。
バンガードの新興国市場共同責任者ニック・アイジンガー氏は「ハイイールド債もここ数カ月、総じて非常に好調だ。引き続き投資妙味があると思う」と指摘。特にアフリカのフロンティア市場は「地政学的な要因やグローバルマクロの要因で体系的な影響を受ける可能性は低い」と語った。
投資家はエジプト、ナイジェリア、ドミニカ共和国など、さまざまな投資先を挙げている。外国からの資金調達に苦戦している国が多い。
<トルコや南アに投資妙味との声>
フロンティア市場以外の主要新興国では、トルコと南アフリカに期待が持てるとの声が出ている。
トルコは2023年にオーソドックスな経済政策を再開し、海外勢の人気の投資先になっている。最近始まった利下げサイクルや、シリア、ウクライナの再建が経済に寄与する可能性がある。
南アフリカは、対米輸出への依存度が低く、原油安で恩恵を受ける可能性があるほか、さまざまなコモディティー輸出が地政学的な混乱を乗り切る助けになるとの見方が出ている。
ソシエテ・ジェネラルのCEEMEA地域戦略責任者、マレク・ドリマル氏は、エジプトの為替フォワードやケニアの短期国債にも投資妙味があるとの見方を示した。
一方でリスクもある。トランプ氏がパナマ運河を「取り返す」と発言したことを受けて、JPモルガンはパナマ国債の投資判断を引き下げた。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの新興国市場責任者、マグダ・ブラネット氏も「(中国による迂回輸出の経由地になっている)メキシコ、ベトナム、マレーシアはさらに標的にされるだろう。トランプ氏はこうした抜け穴をふさごうとするはずだ」と述べた。
●プロファイ、インフラ、自然災害
カリフォルニア州南部の山火事、大雨で土砂災害のリスク | ロイター
山火事が続く米カリフォルニア州南部では週末に激しい雨が降り、鎮火に寄与するのではないかとの期待が消防士の間で高まっている。
ただ、降雨により土砂崩れや土石流が発生するリスクも高まっており、山火事で植物がほぼ消失した地区の住宅にさらに被害が出る恐れがある。
植物の根は土壌をつなぎとめており、大規模な山火事の後に土砂崩れが発生することが少なくない。
2018年1月にはカリフォルニア州モンテシトで豪雨により土砂崩れが発生し、128戸の家屋が全壊。さらに307戸が被害を受けた。
欧州での気温が上昇するにつれ、極寒での死者数は減少するものの、それを上回るペースで猛暑による死者数が増えると予想されている。
27日に医学誌ネイチャー・メディシンで公表された研究論文によると、英国やアイルランド、スカンジナビアなど北欧地域の都市では、冬季の寒さが和らぐため死者数が全体的に減少する見通し。だが、この減少を上回るペースで南部での死者数が増加し、全体としては極端な気温による死者数が増えるという。
研究者らは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)排出量が増加し続けると、気温上昇による死者数は2099年までに欧州854都市で約230万人増加すると予想。バルセロナ、ローマ、ナポリ、マドリードなど地中海地域の都市では死者数の増加が最も大きくなると見込まれている。
ここ数年は夏季の気温が例年を上回り、脆弱(ぜいじゃく)な高齢者を中心に死者数がすでに大幅に増加している。03年の欧州での熱波では7万人余りが死亡。22年の夏季には欧州大陸全土で記録的な猛暑が続き、大規模な適応策が講じられたにもかかわらず6万人強が死亡した。
気温は郊外よりも都市部で上昇する傾向がある。建物や舗装された道路が熱を吸収するためだ。欧州の多くの都市では日陰や緑地が少なく、エアコンの普及も十分ではない。
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の環境健康モデリング研究室責任者で研究論文のシニア著者、アントニオ・ガスパリーニ教授は、今回の研究結果は猛暑による死者数の増加が極寒による死者数の減少を上回ることを示す「説得力のある証拠」だと指摘。「これらの結果は気候変動の『有益な』効果を唱える理論を覆す」と語った。
イースト・アングリア大学気候研究ユニットのディレクター、ティム・オズボーン氏は、今回の研究は高齢化社会や各都市特有の脆弱性を考慮しており、これまでの研究よりも詳細だと評価。「新たな研究で明らかになったことは、気候変動の正味の影響として、将来、気温に関連した死者が増えるということだ」と述べた。オズボーン氏は今回の研究には関与していない。
論文によると、涼しさを維持するための大規模な適応策を講じても、気温上昇による健康リスクの増大を完全に相殺することは非常に難しいという。ただ、CO2排出量を削減し、気温上昇を気候変動対策の枠組み「パリ協定」の目標に沿った水準に抑えれば、死者数は3分の1に減少するとした。
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の助教で論文のリード著者、ピエール・マセロ氏は「われわれの研究結果は、気候変動の緩和と気温上昇への適応の双方を積極的に追求する喫緊の必要性を強調している。何もしなければ悲惨な結果になり得る地中海地域にとって特に重要だ」と警告した。
●その他
航空会社のマイレージにうんざり、離反する利用者 - WSJ
飛行機を頻繁に利用する人々の間で、特定の航空会社に縛られない「フリー」を宣言する動きが広がっている。特典を受けられるステータスを獲得・維持するための要件が変更され続けることにうんざりしているためだ。
米航空会社はここ数年、ロイヤルティープログラムを変更する中で、予算を意識しながら毎週のように飛行機に乗る顧客よりも、支出額が大きい顧客を重視する傾向を強めてきた。
こうした変更は、特定の航空会社に対する愛着を誇りにしてきた利用者の不満を招いている。離反するようになった人々からは、ステータスを維持するためのコストの高さと、サービスの質が以前のようには釣り合わなくなったとの声が聞かれる。特典も獲得しにくくなったという。
ポイントを獲得しようと躍起になることに疲れ、航空券代を節約したい利用者にとっては、空港ラウンジの利用や優先搭乗を諦めることには価値があるかもしれない。
フロリダ州ボカラトンに住む獣医師で最高医療責任者(CMO)を務めるベンジャミン・カーターさんは、デルタ航空が提供する「スカイマイル」ロイヤルティープログラムの最上位資格「ダイヤモンド・メダリオン」を6年間保持し、年会費650ドル(約10万円)のクレジットカード「デルタ・スカイマイル・リザーブ」を所有している。
カーターさんはダイヤモンド資格を持っているため、座席のアップグレードが受けられる「グローバルアップグレード証書」や、VIP専用電話窓口の利用、優先搭乗といったさまざまな特典を受けられる。ただ、デルタの顧客サービスやステータス維持にかかる高いコストへの不満が強くなっており、こうした特典を全て手放す考えだ。
ヒューストンへの出張では、カーターさんは格安航空会社(LCC)のスピリット航空が提供する座席オプション「ビッグフロントシート」の利用を検討している。異なる航空会社間の料金や定時運航といったデータをスプレッドシートを使って比較するつもりだという。
カーターさんは「目的地までの乗り継ぎが少ないフライトが多い航空会社が見つかれば、今後どの会社にするかを決める上で大きな要因になる」と話した。
優先順位の変化
この業界に長い関係者は、航空会社がここ数年マイレージプログラムに加えてきた変更に顧客は反応していると指摘する。
デルタ航空は2023年にプログラムの変更を発表し、特典は同社への支出額が多い顧客向けに重点的に提供する方針を示した。その結果、スカイマイルで上位ステータスの約10万人が、別の航空会社で同レベルのステータスを得られるかどうかを確認し、利用する航空会社を変えること検討した。そう語るのは、ロイヤルティープログラム向けテクノロジーを開発するロイヤルティー・ステータス社のマーク・ロススミス最高経営責任者(CEO)だ。
ロススミス氏は「全員が実際に他の航空会社を利用することになったわけではないが、デルタの変更はあまりに重大だったため、プログラム会員らは予備の選択肢が必要だと感じた」と話した。
デルタの広報担当者は電子メールで、同社ロイヤルティープログラムへの顧客の参加は過去最高水準であり、デルタを利用すればするほど顧客は「その経験の満足度も高くなる」とした。同社はロイヤルティープログラムの会員数を公表していないが、数百万人規模に上るとみられる。
アメリカン航空やユナイテッド航空などもロイヤルティープログラムに関してここ数年、顧客の搭乗回数よりも支出額を重視するモデルを採用している。こうしたプログラムでは提携クレジットカードの重要性が高まっている。日常の買い物にこうしたカードを使用すれば、一度も飛行機に乗らずにステータスを獲得できる。
一方、飛行機を頻繁に利用する人々は節約したいと思っている。
オレゴン州ユージーンに住むチャド・ボーデスさん(53)はデルタ航空の「プラチナ・メダリオン」会員だ。父親がデルタで働いていたため、同社に対する愛着は数十年に及ぶ。
イベント運営に携わるボーデスさんは、ステータス維持のために特定の航空会社を利用し続け、そのためにコストが高くなりがちなことを正当化しにくくなっていると話す。出張費用はコストに敏感な顧客に転嫁しなければならない。ボーデスさんは今年、航空券を予約するのに複数の航空会社から選ぶことにした。「新鮮な空気を吸っているようだ」という。
世代による違い
ミレニアル世代とZ世代の旅行者は、航空会社選びでは自由な選択をするようになっていると業界幹部らは指摘する。こうした若い顧客はそもそもマイレージプログラムに入会する可能性が比較的低く、ましてやプログラムの上位会員になることはさらに少ない。飛行機の利用者がマイルやポイントを大量にため込んだことでこうした特典の価値が低下し、これらを無料フライトと交換することはより困難になっている。
旅行IT会社アリビアのジェフ・ゾタラ最高マーケティング責任者(CMO)は、旅行者は飛行機での移動を、旅の体験の一部というよりも単に目的地に到着するための手段と見なすようになってきていると語る。そのため、旅行予算に占める航空券の比重が低下している。
一般的な旅行用クレジットカードとしては「チェース・サファイア」、「キャピタル・ワン・ベンチャー」、「アメックス・プラチナ」などがあり、航空会社のロイヤルティープログラムでステータスを獲得する必要性が薄れる要因となっている。これらのカードの特典には空港ラウンジの利用や、ポイントをフライトやホテル宿泊に交換できることなどが含まれる。
シカゴ在住で投資サービスの仕事をするライナ・ズラさん(30)は、ユナイテッド航空ブランドのクレジットカードを持ち続ける予定だ。ただ、ユナイテッドでステータスを維持することへの関心は薄れている。ズラさんのカードには無料の受託手荷物や優先搭乗といった特典があり、ユナイテッドの「マイレージプラス」プログラムでのステータスを手放すことは比較的受け入れやすいと話す。ステータスのおかげで得ていた足元の広い座席へアップグレードは懐かしくなるかもしれないという。「長時間のフライトの場合は、その分の料金を支払わなければならなくなるだろう」
ユナイテッドによると、マイレージプラスは記録的なペースで成長している。
航空会社にとって、「フリー」になった旅行客を取り戻すのは容易ではないかもしれない。ロイヤルティー・ステータスのロススミス氏は、会員がプログラムのステータスから心情的に離れがたいことを航空会社は忘れてはならないと話す。そうした関係を台無しにすれば、航空会社にはコストとなって跳ね返ってくるとみている。「そうしたコストはすぐには感じられないかもしれないが、いずれそうなる」と同氏は話した。
2800mの氷柱は「タイムマシン」、過去の気候変動の謎を解く手掛かりに(1/2) - CNN.co.jp
国際的な研究チームが南極で、120万年前にさかのぼる長さ2800メートルに及ぶ氷床コアの掘削と回収に成功した。この氷柱は南極氷床の下の岩盤に届くほどの深さに達していた。
今回掘削された氷床コアについて、「タイムマシン」であり、「地球の気候の驚異的な記録保管所」だと指摘するのは、カルロ・バルバンテ氏。バルバンテ氏は、氷床コアを採取したプロジェクト「ビヨンドEPICA(南極における欧州合同氷床コア掘削計画)」でコーディネーターを務める。
ベネチア大学の教授で、イタリア国立研究評議会極地科学研究所のメンバーでもあるバルバンテ氏によれば、氷床コアは研究ができるように1メートルの長さに切断され、断熱箱に保管されている。
氷床コアは、地球上で最も環境が厳しい場所の一つである「リトルドームC」で採取された。リトルドームCは、イタリアとフランスの観測所である「コンコルディア基地」から34キロ離れた場所に位置しており、常に強烈な突風が吹き荒れ、気温は零下40度でほとんど変化がない。
地球上で掘削されたものとしては最も古い氷床コアは、地球の気候が時間とともにどのように変化してきたのかという大きな疑問に対する答えを与えてくれるかもしれない。
バルバンテ氏は「氷床コアに閉じ込められた気泡は、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの濃度など、過去の大気の組成に関する直接的なスナップショットを提供する」と説明。それらを分析することで、太陽放射や火山活動、軌道の変動など気候変動を引き起こす要因の変化に対して地球の気候がどのように反応したのか再構築することができるという。バルバンテ氏は、そうしたデータは温室効果ガスと地球の気温との複雑な関係について、120万年かそれ以上にわたって理解するのに役立つと述べた。
科学者は、今回の氷床コアが、約100万年前に地球の氷河期のタイミングが突然変化した原因の解明につながることも期待している。最近の研究によれば、この出来事によって人類は絶滅寸前にまで追い詰められた。
今回の氷床コアの採取はビヨンドEPICAの第4次調査で行われた。調査は南極にとっての直近の夏である11月中旬から1月中旬にかけて実施された。欧州の12の科学機関の専門家が過去4回の夏に200日以上を費やして掘削を行っていた。
今回のプログラムは1996年から2008年にかけて行われたプロジェクト「EPICA」の目標に基づくもの。このときも、氷床コアの採掘が行われ、過去80万年にわたる気候と大気中の温室効果ガスとの関連が明らかになった。今回採取された氷床コアは新たな節目に到達し、さらに過去へとさかのぼる地球の気候の継続的な記録が作られる。
EPICAの最初の研究では、地球は寒い氷期と温暖な間氷期を10万年単位で繰り返していることがわかった。しかし、この発見は、地球が100万年前に4万1000年にわたる氷期を経験していたことを明らかにした海洋の堆積(たいせき)物と一致するものではなかった。
ビヨンドEPICAは、この変化がなぜ起きたのかを示すことができる可能性のある太古の氷を見つける目的で、16年に始まった。最適な掘削場所の特定には電波エコー探査技術が役立ったという。
リトルドームCは南極高原中央に位置する高地にあり、海抜は3200メートルで、掘削作業は難航した。研究チームは、ドリルの故障を防ぎ、電気機械式のドリルが氷の層を確実に進むようにしなければならなかった。
デンマーク・コペンハーゲン大学の博士研究員ジュリアン・ウェストホフ氏によれば、氷には1メートルごとに1万3000年分もの気候データが含まれている可能性がある。
氷床コアには長い年月をかけて圧縮された雪の層が含まれている。これは気泡や粒子を閉じ込めたもので、これらを分析することで、地球の温度や大気がどのように変化したのか明らかにすることができる。
これにより、地球の気候が過去にどのように振る舞ったのかを理解し、将来どのように変化するのかをより正確に予測するのに役立ちそうだ。そして、地球がさまざまな温室効果ガスの濃度にどのように反応するのか前後関係についても情報が得られるかもしれない。
米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のジム・ホワイト氏は「南極の氷床コアはロゼッタストーンのようなもの」と語る。「それらは(二酸化炭素)の水準の言語だけでなく、温度の言語も話すという点で独特で、これら二つの気候に関する主要な変数がどのように相互作用するのか知ることができる」
ホワイト氏は今回の氷床コア掘削には関与していない。だが、氷床コアについて、地球上の気候変動の基本的な力学について多くの情報を得られる可能性があり、その重要性についていくら強調してもしすぎることはないと語った。
現地で予備の分析が行われている間、氷床コアのスライスは完璧な温度を保つための専用の保冷コンテナに入れられ、砕氷船で欧州に輸送される。バルバンテ氏によれば、氷の中のガスやちりの濃度を深く掘り下げて測定するため、研究は数年がかりになる見通し。
ビヨンドEPICAは他の国際的な組織と同様に、より長い気候の記録を明らかにする可能性のある古い氷の探索を行う予定だ。しかし、バルバンテ氏は、そうした取り組みには、より高度な技術と計画が必要だと指摘する。
「南極大陸の他の場所でも我々が研究しているのと同じような気候の連続的な記録が採取できる場所を見つけなければならない」(バルバンテ氏)
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(28日)ドル/円上昇、利回り上昇 ハイテク株回復 | ロイター
**為替市場**  
- 米ドルは円に対して上昇(+0.6%、155.52円)。スイスフランや他通貨に対しても上昇。  
- トランプ政権の新関税案や中国の低価格AIモデル懸念が後退し、リスク回避の動きが和らいだ。  
**株式市場**  
- ナスダックが大幅高。半導体大手エヌビディアの反発やAI関連銘柄の買い戻しが主因。  
- ハイテク株は中国企業ディープシークの低価格AIモデル公開による前日の下落から回復。  
**債券市場**  
- 米国債利回りが上昇。10年国債は4.549%(+2.1bp)。FOMC声明とFRB議長会見を控えた慎重な動き。  
**金・原油市場**  
- 金価格は安全資産として反発(+1.06%、1オンス=2767.50ドル)。  
- 原油価格は供給不安から上昇(WTI +0.82%、73.77ドル/バレル)。  
**その他の注目点**  
- 米FRBは金利据え置き予想、ECBは利下げを見込む。  
- 仮想通貨ではビットコインが上昇(+0.62%)。
欧州市場サマリー(28日) | ロイター
**ロンドン株式市場**  
- ハイテク株の下落が一服し上昇して取引終了。FTSE250種指数は+1.08%、住宅建設株指数は+2.44%。  
- ポンド安が輸出関連銘柄を支援。テクノロジー・サービス企業コンピュータセンターが好業績を発表し+7.4%。  
**欧州株式市場**  
- 小売株などの上昇でSTOXX欧州600種指数が最高値を更新。小売株指数は+2.22%、テクノロジー株指数は+0.22%。  
- ドイツのエネルギー関連株シーメンス・エナジーは+7.5%と反発。ラボ機器企業ザルトリウスも+12.0%急伸。  
**ユーロ圏債券市場**  
- 利回りが上昇。ドイツ10年債利回りは+3bpで2.56%。ECBとFRBの政策会合が注目されている。  
- 独仏国債利回り格差が縮小し、リスクプレミアムが低下。イタリア10年債利回りは横ばい。  
**注目点**  
- 中国企業の低コストAIモデル公開がハイテク株に影響を与えたが、売り圧力が弱まった。  
- 米企業の決算発表や米個人消費支出(PCE)価格指数の発表が市場の注目材料。

備忘録(2025/1/27
●海外企業決算
AT&Tが決算受け上昇 1株利益、売上高とも予想上回る=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[T] AT&T 2024年12月通期は減益 売上高横ばい1223億ドル、営業益19%減190億ドル、EPS1.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NUE] ニューコア 2024年12月通期は減収最終減益 売上高12%減307億ドル、純利益55%減20.2億ドル、配当2.20ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
英ディアジオ、ギネスやモエ・ヘネシー持ち株売却の意向なし | ロイター
英酒造大手のディアジオは26日、ビールブランド「ギネス」あるいは仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の飲料部門であるモエ・ヘネシーの持ち株を売却する意向はないと発表した。
ブルームバーグ・ニュースは24日、ディアジオがモエ・ヘネシーへの出資の見直しに加え、ギネスについて選択肢を模索していると報じた。報道はギネスの評価額は100億ドルを上回る可能性があるとしている。
ディアジオは声明で「ギネス・ブランドとモエ・ヘネシーの持ち株を巡る最近のメディアの憶測について、当社はいずれも売却するつもりはないことを確認する」と述べた。2月4日の中間決算で事業に関する最新情報を提供するという。
ビールよりも蒸留酒が大半を占めるディアジオの事業の中で、ギネスは異色の存在だが、最近の業績は主要なウイスキーブランドの「ジョニー・ウォーカー」などを上回っている。
コロナ禍後、高価な酒類のブームが下火になり、蒸留酒販売は苦戦している。一方、ギネスの売上高は2021年以降、毎年2桁台の伸びを見せており、ノンアルコール版も急成長している。
エスティローダーに買い 美容ブランドのポートフォリオの見直しを行っていると伝わる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
終盤になって化粧品のエスティローダー<EL>に買いが出ている。同社は新たなリーダーシップ体制に移行し、株価の向上を目指している中、美容ブランドのポートフォリオの見直しを行っていると伝わった。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。同社はエバーコア社と協力してこの見直し作業を行っており、一部のブランドの売却につながる可能性もあるという。
クリニーク、スマッシュボックス、トム・フォード、アヴェダなどのブランドを展開する同社は、ロレアルなどの競合他社や、ソーシャルメディアのトレンドに機敏に対応する新興の美容ブランドにシェアを奪われている。一方、中国からの需要はパンデミックからの回復が遅れている状況。
同社株はこの12カ月で約40%下落しており、10月には、同社のベテラン経営陣が業績回復と株価パフォーマンスの向上を実現できると期待して、ファヴリエ氏をCEOに任命した。
●日本企業
決算:日立建機の純利益上振れ、25年3月期 エンジン補償金で - 日本経済新聞
決算:日東電工、最大800億円自社株買い 25年3月期は上方修正 - 日本経済新聞
メットライフ生命、代理店出向者が情報漏洩 8000件超 - 日本経済新聞
USスチール、物言う株主が日鉄との合併断念を迫る構え 株価は小幅安=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
USスチール<X>が軟調。アクティビスト(物言う株主)として知られるアンコラが同社の株主総会で委任状争奪戦を仕掛け、日本製鉄との合併断念を迫る構えだと伝わった。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として伝えた。日鉄はUSスチール買収中止命令の無効を求め、バイデン前大統領らを今月提訴。
報道によると、アンコラはUSスチールのバリットCEOの退任と訴訟取り下げを要求する議案を巡り、株主の支持を集めたい意向。
ただ、別の買い手へのUSスチールの売却には関心がないという。
●先進国政治動向
米政府、コロンビアへの関税・制裁停止 不法移民送還で合意 | ロイター
米ホワイトハウスは26日、南米コロンビアが米国から強制送還された不法移民を受け入れることに同意したとし、コロンビアに対する制裁と関税を停止すると発表した。
コロンビアが不法移民を乗せた米国からの軍用機2機の着陸を拒否したことを受け、トランプ米大統領はコロンビアに対して25%の関税や制裁などの報復措置を取ると表明していた
ホワイトハウスは声明で「コロンビア政府は、米軍機で帰国するコロンビア出身の不法移民全員を制限や遅滞なく無制限に受け入れることなど、トランプ大統領の条件全てに同意した」と述べた。
「今日の出来事は米国が再び尊敬される国であることを世界に明らかにした。トランプ大統領は、米国に不法滞在している自国民の受け入れに全ての国が全面的に協力することを期待している」とした。
コロンビアのムリージョ外相は声明で「米政府との行き詰まりを打開した」とし、不法移民の帰国に向けて大統領専用機を用意する考えを示した。
米側はコロンビアへの報復措置として、全ての輸入品に25%の関税を課し、1週間で税率を50%に引き上げるほか、政府当局者に対する渡航禁止やビザ(査証)取り消し、緊急金融制裁などを警告していた。
さらに、コロンビア国民と貨物に対する国境検査の強化も表明。米国務省は報復措置の一環として、在コロンビア米大使館に米国ビザ発給を停止したと明らかにしていた。
コロンビアにとって米国は最大の貿易相手国。UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州新興市場担当のアレホ・チェルウォンコ氏は、コロンビアは輸出全体の約3分の1、国内総生産(GDP)の約4%を米国市場へのアクセスに依存していると指摘した。
トランプ政権は20日の発足直後から不法移民の取り締まりを強化している。コロンビアのペトロ大統領は、軍用機を使った強制送還を非難。コロンビアは強制送還された移民を民間機で迎え入れるとし、移民の「尊厳ある帰国」を後押しするために大統領専用機を提供すると述べた。
ブラジルも米国から強制送還されたブラジル人が手錠をかけられるなど「侮辱的な扱い」を受けたと非難している。
独東部ハレで25日、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が開いた選挙イベントに米実業家イーロン・マスク氏がビデオ中継を通じてサプライズで登場し、同党への支持を改めて表明した。
マスク氏はワイデル党首と共に4500人を前に演説し、「ドイツの文化、ドイツの価値観に誇りを持つことは良いことであり、全てを希薄にするある種の多文化主義の中でそれを失ってはならない」と述べた。
マスク氏を巡っては、トランプ米大統領就任初日の20日に行われた祝賀集会で見せたジェスチャーがナチス・ドイツの敬礼に似ているとインターネットで物議を醸した
25日の演説ではナチス時代を念頭に「子どもたちは、曾祖父母はもちろん、両親の罪を背負うべきではない」と指摘。「過去の罪の意識に焦点が当たり過ぎている。われわれはそれを乗り越える必要がある」と話した。
「私はAfDにとてもワクワクしている。あなたたちは本当にドイツにとって最高の希望だと思う。ドイツの素晴らしい未来のために闘ってほしい」とも語った。
一方、同日にはベルリンのブランデンブルク門周辺に約10万人、ケルンに最大2万人が集まり、反極右キャンペーンを行った。
トランプ氏、米国に「アイアンドーム」の構築求める大統領令を準備 - Bloomberg
カナダ外相、米の関税回避に向け同盟国と協議へ | ロイター
カナダのジョリー外相は27日、トランプ米大統領が導入を表明している関税を回避するため、近く同盟国の外相と協議する予定だと明らかにした。
ジョリー氏は閣僚委員会の会合後、記者団に対し、英国、メキシコ、欧州連合(EU)加盟27カ国の一部の外相らと会談する予定だとした上で、「この問題を巡り欧州諸国や英国と協力するにあたっては、極めて現実的である必要がある」と言明。
関税が賦課された場合は対抗措置を取るとの考えを改めて示し、今週にもワシントンを訪問し、ルビオ米国務長官を含む当局者らと協議する予定だと述べた。
トランプ氏は20日、カナダからの輸入品に25%の関税を2月1日に課すことを検討していると述べた。
●先進国中銀、金融当局
ECB総裁、中銀の独立性喪失に警鐘 「インフレ抑制力損なう」 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は27日、中央銀行の独立性が世界の一部で疑問視されていると指摘した上で、政策に対する政治的影響力が強まれば、インフレを抑える中銀の能力が損なわれる可能性があるとの見方を示した。ハンガリーで開催された中銀に関する会議にビデオを通じて参加した。
トランプ米大統領は先週、米連邦準備理事会(FRB)に金利引き下げを求め、自身の方が金融政策をよく理解していると主張した。
ラガルド氏は「最近の調査によると、中銀の法的な独立性が今日ほど浸透したことはないが、実質的な独立性については、世界のいくつかの地域で疑問視されていることに間違いない」と述べた。
政治的干渉は「悪循環」につながり、中銀の独立性を損なう結果になりかねないと警告。「中銀の意思決定に対する政治的影響はまた、マクロ経済の変動に大きく寄与する可能性がある」とした。
中銀に対する政治的圧力の持続は為替レートのボラティリティーを高め、債券利回りとリスクプレミアを上昇させると述べた。
このようなボラティリティーは、インフレを抑えることを難しくし、独立した中銀ではその使命を果たせないのではないかという懸念を高める可能性があると説明。
その結果、社会的コンセンサスを損ない、経済のボラティリティーをさらに増幅させる可能性があると指摘した。
労働需給ひっ迫は「バブル期以上」、サービス価格の上昇明確に=日銀展望全文 | ロイター
日銀は27日、23―24日の金融政策決定会合で議論した展望リポートの全文の中で、労働需給が均衡する「構造失業率」が3%程度との推計を示し、労働需給のひっ迫度合いは「バブル期より強まっている」と指摘した。その上で、労務費の価格転嫁が期初以外の月でも行われていることに触れ、「サービス価格のトレンドについても、賃金上昇が定着するにつれて上昇トレンドがはっきりしてきている」とした。
日銀は決定会合で政策金利を0.5%に引き上げることを決めた。今年の春闘で「しっかりとした賃上げ」が実現することへの確度の高まりが利上げの1つの決め手になったが、展望リポートでは労働需給、賃金上昇、サービス価格の上昇を巡る分析が展開された。
まず、構造失業率が3.0%付近だとする推計を示した。昨年11月の失業率は2.5%で、失業率ギャップのマイナス0.5%ポイントは、バブル期よりもマイナス幅が大きいことが示された。
労働需給のひっ迫を反映し、コロナ禍以降、一般労働者もパート労働者も名目賃金は上昇率を拡大し、日銀は賃上げの広がりがサービス価格に反映していくのか注視してきた。
展望リポートでは、年間を通じたサービス価格の上方改定のタイミングについて、年度ベースの上半期と下半期の期初に当たる4月と10月が多いと指摘。「サービス価格が全般的に上昇していた1990年代前半と同程度の改定頻度となっている」とした。4月・10月に上方改定が多かった年は、ほかの月も上方改定の頻度が高くなっていることが分かるとも述べた。
●先進国経済指標
独IFO業況指数、1月は予想外の上昇 総選挙控え悲観論根強い | ロイター
独IFO経済研究所が27日発表した1月の業況指数は85.1と、前月の84.7から予想外に改善した。現況指数が上昇した。
ただ、アナリストは総選挙を控えて不透明感が強く、多くの企業が悲観的な見方を変えていないと指摘している。
ロイターがまとめた市場予想は84.7だった。
現況指数は85.1から86.1に上昇。期待指数は84.4から84.2にわずかに低下した。
IFOのクレメンス・フュースト所長は「企業は引き続き悲観的だ」と述べた。
セクター別では、工業と建設業が悪化したが、サービス業は大幅に改善。小売業は横ばいだった。
INGのマクロ部門グローバル責任者、カーステン・ブルゼスキ氏は、期待指数は過去1年で最低の水準だと指摘。「米国の選挙結果と、総選挙を控えたドイツ政治の不透明感が、引き続き心理を圧迫していることは明確だ」と述べた。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当シニアエコノミスト、フランツィスカ・パルマス氏は、業況指数の上昇にもかかわらず、ドイツ経済が依然苦戦していることは明らかだとし「選挙で大幅な財政緩和がもたらされる可能性は低く、産業界の苦境は続くとみられ、今年は低調な成長が続くだろう」と述べた。
ドイツでは2月23日に総選挙が実施される予定。
LBBWのシニアエコノミスト、イェンス・オリバー・ニクラッシュ氏は、現況指数の上昇について、トランプ米大統領による関税引き上げを見越して米企業がドイツからの輸入を増やしたことや、金利の低下が背景だろうと指摘。また、ドイツの次期政権が改革を実行し官僚的手な手続きを廃止するとの期待が影響した可能性もあると述べた。
米12月新築住宅販売、前月比3.6%増 市場回復の兆し | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
DeepSeekショックで米ハイテク株大幅安、エヌビディア13%安で始まる - Bloomberg
社債市場にもDeepSeekショック余波、発行体の間で起債見送りの動き - Bloomberg
27日に社債発行を予定していた企業は7社ほどあったが、DeepSeek(ディープシーク)ショックによる金融市場の混乱を受けて、その大半か、すべてが起債を断念する可能性が高い。債券引受業者が行った非公式な調査で分かった。
発行体にとって市況は極めて厳しく、不安定だ。株価指数先物が急落する一方、米国債利回りは8-11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。信用リスク認識に関する重要指標である投資適格債のCDXは1bp余り拡大している。
今週は新たに約250億ドル(約3兆8500億円)規模の投資適格社債の売却が見込まれ、その大半は29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明の発表前に実施されると見込まれていた。だが、市場の混乱により、これらの計画は変更される可能性が高い。米国債利回りの上昇を受けて発行体の一部が起債を見送った2週間前のように、シンジケートデスクは今週、戦略の練り直しを迫られるだろう。
中国DeepSeek、米ハイテク株には本物の脅威-市場関係者の見方 - Bloomberg
中国DeepSeek(ディープシーク)の人工知能(AI)モデルが米欧企業の優位性を崩すとの懸念が広がっている。27日のニューヨーク市場ではハイテク株が大幅安となり、AI銘柄代表格のエヌビディアは一時13%安となった。時価総額は4650億ドル(約71兆7000億円)の減少に相当し、このまま引ければ個別企業として史上最大の減少となる。
AIブームの追い風で米株は過去2年間、記録的な上昇を見せてきた。しかし、AI分野における米国の優位性を巡る懸念以外にも、金利動向やトランプ政権の政策を巡る不透明感で米株の見通しは曇っている。
DeepSeekショックを巡る市場関係者の見方は以下の通り。
◎プルリミ・ウェルスのパトリック・アームストロング最高投資責任者(CIO):
ディープシークがさらけ出したのは裸の王様だ。途方もない規模のAI予算が優れた結果を保証しない可能性をあらわにした。
ディープシークは投資家マインドに残り続けるだろう。決算シーズンでは予想を上回っても株価は上昇せず、予想を下回れば手痛く売られることになるかもしれない。
◎MFSインベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ロブ・アルメイダ:
ディープシークは巨額資金がある産業に注入されることによって供給が生み出されている現象だと考えている。投資という観点で最終的に重要なのは、その投資利益率(ROI)だ。現時点でのROIは非常に低い。
AIのスケーリングが原因なのか、あるいはベンチャーキャピタルからアプリケーションプロバイダーへの資金投入がリターン不足を理由に後退するからなのか。いずれにしてもエヌビディア半導体の需要はいつか減少するだろう。
◎ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズのフロリアン・イエルポ氏:
AIは米国以外でも見つけることが可能である一方、ナスダックの一部企業はバリュエーションがかなり高くなっているため、予見が非常に難しい状況に対しては非常にぜい弱になっている。中国にはナスダック上場企業に相当する企業がいくつかあるが、マルチプルは40倍ではなく10倍程度だ。バリュエーションの大きな差を認識する必要がある。
◎オプティジェスチョンのファンドマネジャー、ニコラス・ドモン氏:
市場がこの発表に過剰反応しているのは、現在の高いバリュエーションが主な理由だと、われわれは確信している。調整が長期化した場合には、魅力的な投資開始の機会になるとみている。
この発表はテクノロジーセクターにパニックを引き起こし、米巨大企業によるAIへの巨額投資に疑問を投げ掛けている。しかし、この進歩がAIのバリューチェーンを阻害することはないと、われわれは考えている。
◎テーマティックス・アセット・マネジメントのAI・ロボティクス担当ポートフォリオマネジャー、カレン・カルマンダリアン氏:
ディープシークについて初めて知った多くの人にとっては大きな驚きだ。そのため、とりあえず行動して後で考える方向に傾斜している投資家もいる。われわれは今、割高なバリュエーション、AIインフラ構築に向けた巨額の投資リターンを巡る疑問、ハイテク大手の決算開始といった状況にあり、一部で出ているポジション圧縮の動きは理解できる。
投資先企業の受注動向や成長性に関して十分な見通しを持っていることに加え、モデルのトレーニングコスト低下がコンピューティング需要の低下と同義ではないことを踏まえると、当社が売りに回ることはない。売りが極端な水準に達した場合には、一部のポジションを強化する好機とさえなり得る。
全体として、ディープシークが実際にどれだけの時間や半導体、資金、リソースを必要としたのか、また最終結果を得るために既存の大規模言語モデル(LLM)をどの程度活用したのかについては、まだ多くの疑問が残っている。
◎アバディーンの投資ディレクター、シンヤオ・ヌン氏:
中国がより少ないリソースで結果を出すことを強いられ、引き続き最善の近道を模索する中、米国は現状に満足してはならないと認識する必要がある。
ディープシークから何らかの教訓を得るとすれば、AI投資を巡る大きな期待が実際にはわれわれが考えるよりもはるかに効率的になるかもしれないということだ。もしそうであれば、AI技術のサプライチェーン全体が前提条件を見直す必要がある。
◎ソシエテ・ジェネラルの米株式戦略責任者マニッシュ・カブラ氏:
テクノロジー大手の影響を薄めるため、S&P500指数連動型ファンドの買いを推奨する。ハイパースケーラーには、設備投資予測を正当化する責任があるだろう。ただ、より多くの企業がAIの生産的な利用方法を編み出せば、ハイパースケーラーもその恩恵を受けるはずだ。
◎シティグループのアティフ・マリク氏:
最先端のAIモデルで米国企業が優位を占める状況は、今後変わるかもしれない。ただ、より制限の多い環境では、米国企業がより高度な半導体にアクセスできることは有利になるとみている。したがって、AI業界をリードする企業が、対処理性能でより魅力的なコストパフォーマンスを実現する、高度な画像処理半導体(GPU)から撤退することにはならないだろう。
中国のDeepSeek、その低コストAIモデルの全て―QuickTake - Bloomberg
創業1年余りの中国の人工知能(AI)新興企業であるDeepSeek(ディープシーク)は、世界トップクラスのチャットボットに匹敵する性能を、その数分の1程度のコストで実現する画期的なAIモデルを披露し、シリコンバレーを感心させると同時に慌てさせている。
ディープシークの登場は、未来のAI開発には際限ない電力とエネルギーが必要だという一般的な考えを覆すものとなるかもしれない。
ディープシークの革新性に対する期待が膨らみ、投資家が米国のライバル企業やそのハードウエアサプライヤーへの影響について考え始めたことで、世界のテクノロジー株は27日に急落した。
ディープシークとは?
ディープシークは2023年に、AI主導のクオンツヘッジファンド、ハイフライヤー・クオント(幻方量化)の最高経営責任者(CEO)である梁文峰氏によって設立された。
同社はオープンソースのAIモデルを開発しており、これは開発者コミュニティーの誰もがソフトウエアを検査し、改善することができることを意味する。同社のモバイルアプリは1月上旬にリリースされると、米国のiPhoneダウンロードチャートでトップに躍り出た。
このアプリは、オープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」のような他のチャットボットとは異なり、プロンプトに対する応答を返す前に明確な理由付けを行うことで、他と一線を画している。
同社は、リリースされた「R1」はオープンAIの最新バージョンと同等の性能を提供すると主張。この技術を使用したチャットボット開発に興味のある個人に対して、その上に構築するためのライセンスを付与していると説明している。
ディープシーク「R1」はオープンAIやメタAIと比較してどうか?
ディープシークからの詳細な説明は出ていないが、ディープシークのモデルのトレーニングと開発にかかる費用は、オープンAIやメタ・プラットフォームズの最上位製品に比べるとほんのわずかに過ぎないようだ。
このモデルの優れた効率性は、AI開発各社がエヌビディアのような企業から最新かつ最も強力なAIアクセラレーターの入手に多額の資本を投じる必要があるのかという疑問を生じさせる。
また、米国がこのような先端半導体の対中輸出を制限していることがあらためて注視されることになる。輸出制限はディープシークが示すような画期的な進歩を阻止することを目的としたものだ。
ディープシークによると、R1は数学的タスクのAIME 2024、一般知識のMMLU、質問応答性能のAlpacaEval 2.0など幾つかの主要なベンチマークにおいて、ライバルモデルと同等か、それ以上の性能を発揮しているという。また、カリフォルニア大学バークレー校が運営する「Chatbot Arena」というランキングでも、トップクラスの性能を誇っている。
米国で何が懸念されているのか?
米政府は米国と中国の技術覇権争いの要となるAI分野で中国が優位に立つことを阻止しようと、画像処理半導体(GPU)などのハイエンド技術の中国への輸出を禁止した。しかし、ディープシークの進歩は、中国のAIエンジニアが限られたリソースで効率性の向上を追求し、規制の影響を回避できていることを示唆する。
ディープシークがどれほど高度なAIトレーニング用ハードウエアを利用できたのかは不明だが、同社が示した能力は、貿易制限が中国の進歩を完全に妨げるものではないことを十分に示した。
ディープシークが世界的な関心を呼んだのはいつか?
ディープシークは23年に初期モデルをリリースして以来、注目を集めてきた。昨年11月には、人間の思考を模倣するように設計された推論モデル「DeepSeek R1」を世界に披露した。このモデルは、モバイルチャットボットアプリの基盤となっており、今年1月にリリースされたウェブインターフェースと併せて、オープンAIの代替となるはるかに安価な製品として世界的に注目を集めた。
投資家のマーク・アンドリーセン氏はこれを、旧ソ連が1957年に世界初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功したことになぞらえ、「AIの『スプートニク的瞬間』」と呼んだ。
市場調査会社アップ・フィギュアズのデータによると、ディープシークのモバイルアプリは1月25日までに160万回ダウンロードされ、オーストラリア、カナダ、中国、シンガポール、米国、英国のiPhoneアプリストアで1位を獲得した。
ディープシークの創設者はどんな人?
1985年に広東省で生まれた梁氏は、浙江大学で電子工学および情報工学の学士号と修士号を取得した。企業データベース天眼查(Tianyancha)によると、梁氏は1000万元(約2億1000万円)の登録資本金でディープシークを設立した。
梁氏は、さらなる進歩へのボトルネックは資金調達ではなく、米国による最先端チップへのアクセス制限だと、中国メディア36krとのインタビューで語った。同氏によると、ディープシークのトップ研究者のほとんどは中国の一流大学を卒業したばかりの学生だという。同氏は、エヌビディアとそのAIチップを基盤とするものと同様のエコシステムを、中国国内に構築する必要性を強調した。
「より多くの投資が、より多くのイノベーションにつながるとは限らない。そうであれば、大企業がすべてのイノベーションを独占してしまうだろう」と梁氏は述べた。
中国のAI業界におけるディープシークの位置付けは?
中国テクノロジー業界のリーダーであるアリババグループ、百度(バイドゥ)、テンセント・ホールディングス(騰訊)などは、AI事業におけるハードウエアと顧客の獲得競争に多額の資金とリソースを投入している。李開復(カイフ・リー氏)が率いるAIスタートアップ、零一万物(01.AI)と並んで、ディープシークはオープンソースのアプローチで際立っている。
ディープシークのモデルはより手頃な価格であるため、既にAI開発者のコスト削減に貢献している。
グローバルなAI市場への影響は?
ディープシークの成功により、オープンAIやその他の米国のAIサービス提供会社は、確立された優位性を維持するために価格を引き下げざるを得なくなるかもしれない。また、より効率的なモデルがはるかに少ない支出で開発できるのであれば、メタやマイクロソフトなどの企業による巨額の支出にも疑問が投げかけられる。
AIサービスへの需要の高まりから恩恵を受けてきたエヌビディアやASMLホールディングなどの株が売られ、27日には世界の株式市場が混乱した。科大訊飛などディープシークと関連のある中国企業の株価は上昇した。
既に世界中の開発者がディープシークのソフトウエアを試用し、それを用いたツールの構築を検討している。これにより、高度なAI推論モデルの採用が加速する可能性がある。一方で、その使用に関する指針の必要性について、さらなる懸念が生じる可能性もある。ディープシークの進歩により、AIの開発方法を規定する規制が早まることもあり得る。
ディープシークの欠点は?
他の中国製AIモデルと同様に、ディープシークは中国でセンシティブと見なされるトピックについては自主検閲を行っている。1989年の天安門事件に関する問い合わせや、中国が台湾を侵略する可能性など地政学的に微妙な問題に関する質問は回避する。
テストでは、ディープシークのボットはインドのモディ首相のような政治家については詳細な回答を出すことができるが、中国の習近平国家主席に関する回答は拒否する。
ディープシークのクラウドインフラは、突然の人気によって試されることになるだろう。同社は27日、一時的に大規模なサービス停止を経験した。新規ユーザーや復帰したユーザーがチャットボットにさらに多くの問いを投げ掛けることで、同社はさらに多くのトラフィックを管理しなければならなくなる。
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ビル・ゲイツ氏インタビュー、5つのポイント - WSJ
トランプ氏、欧州の投資妙味を高めるか - WSJ
世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に集まった欧州のエリートたちは、全て順調だと何年間も主張してきた後で、何もかもがひどいという点で一致した。ドナルド・トランプ米大統領による関税の脅し、規制緩和を巡る米国の熱気、さらに長年の成長停滞が重なり、欧州の指導者は、域内企業を規制で縛り付けるのはまずいのかもしれない、と考えざるを得なくなった。あくまでも「かもしれない」だが。
欧州の問題は、自らに対して行動を起こせるかどうかだ。よく知られているように、欧州では危機に見舞われた時にしか大きな変化が起きないため、有力者らは危機感をたきつけようとしている。欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、スイスのスキーリゾートで開催された世界経済フォーラムで、現状を「存立に関わる」とさえ表現した。
これは欧州の将来にとって重要であるだけでなく、投資家全般にとってもひとごとではない。多くの投資家は、米国市場が他の地域と比べて好調であることに不安を覚えている。このかい離は続かないと考え、他国への分散投資を検討する向きもある。
欧州が軌道修正に成功すれば、成長が拡大し、欧州株の追い風になるはずだ。欧州株は年初来でプラス圏にあるものの、この10年間の上昇率はわずか50%ほどで、3倍に達した米国株とは対照的だ。
問題は、成長のためにこれまでのライフスタイルを犠牲にするトレードオフをのまざるを得ないところまできていることを、欧州の人々に納得させられるかだ。
スウェーデンのフェリー運航会社ステナ・ラインのニクラス・モルテンソン最高経営責任者(CEO)は、「われわれは規制によって競争から疎外されているのではないだろうか」と話す。「欧州から見ると、今こそ競争への意欲が高まっている」
デンマークのノボ・ノルディスク・ファンデーションの資産約1500億ドル(約23兆4000億円)を運用するノボ・ホールディングスのカシム・クタイCEOは、「欧州の規制にはいらいらする」と述べた。「多くのイノベーションが欧州で起きているが、企業は拠点を米国に移している。そこでなら製品を発売できるからだ」
クタイ氏はまた、「物事が進むスピードは氷河並みだ。とても十分とは言えない」と述べた。
前ECB総裁で前イタリア首相のマリオ・ドラギ氏は、昨年の報告書で改革案をまとめた。欧州が迅速にこれを実施することに大きな望みがかかっている。重複する国ごとの規制をなくし、域内の各金融市場をつなぎ合わせて資本市場を統合できれば大勝利だ。
これは10年来の取り組みだが、ほとんど進展していない。ほかにもエネルギーシステムの一本化や、人工知能(AI)を開発しやすい環境が必要だ。
これまでに議論されたのは規制撤廃ではなく、追加規制の当面の見送りだ。最も具体的だったのは、ダボスで欧州の指導者たちが話し合った環境報告義務の中止で、これは相反する三つの規則に基づき、近く施行されることになっている。
この報告義務先送りの協議に関わった閣僚の1人は「これは試金石だ」と語った。「もしこれすらできなければ、望みはない」
欧州連合(EU)執行機関である欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は、バルディス・ドムブロフスキス元通商担当委員に規則の簡略化を委ねた。
トランプ氏の規制緩和の動きに触発されて、他の欧州首脳陣も重い腰を上げるかもしれない。「バーニングプラットフォーム(変革を促す差し迫った要因)や共通の敵、それが助けになるかもしれない」。オランダの年金基金6160億ユーロ(約100兆円)を運用するAPGアセット・マネジメントのロナルド・ウイスターCEOこう語った。
ダボス会議では、統治層の多くがそれを理解しているように見えた。だが有権者がトレードオフを受け入れる準備ができているかどうかは見通せない。
S&Pグローバル・レーティングのパリ在勤プレジデント、ヤン・ルパレック氏は、「各国の政治家が有権者を説得できるかどうかは分からない」と語った。
問題は多岐にわたる。比較的小規模な国は自国の証券取引所を手放したがらないが、資本市場を統一すればそうなる可能性が高い。ドイツはコメルツ銀行がイタリアのウニクレディトに買収されるのを望まないであろうし、国境を越えた銀行合併は依然として多くの国にとってハードルが高い。フランスやオランダの農家は、メキシコや南米諸国の関税同盟「南米南部共同市場(メルコスル)」と最近合意したような自由貿易協定を嫌っている。いずれもEU加盟国の承認が必要になる。
今の状況は1990年代初めの頃に似ているのかもしれない。そう指摘するのは、米資産運用大手ブラックロック副会長で元スイス国立銀行(中央銀行)総裁のフィリップ・ヒルデブラント氏だ。ソ連崩壊を受け、当時の欧州には東方拡大の圧力がかかり、マーストリヒト条約によってEUが創設された。
ヒルデブラント氏は「問題は、すべきことを理解しているかどうかではない。ドラギ氏がこれをはっきりさせた。問題は、それを実行するかどうかだ」と述べた。
妥協は欧州政治にとって不可欠だ。欧州復興開発銀行のチーフエコノミスト、ベアタ・ヤボルチク氏は、新たな大規模合意が期待できると考えている。「大半の意思決定者は、この機を逃せば次はないことを理解している」と述べた。
欧州の大手企業は利益の多くを域外で稼いでいるため、欧州株にとって最善なのはおそらく成長拡大ではない。それよりも、資本市場が統合されることで貯蓄に満足している人の気が変わり、株式市場でリスクを取るようになることだろう。
自己満足に甘んじている欧州の政治家の気が変わり、規制緩和でリスクを取るようになるとは考えにくいが、もしそうなれば、欧州と金融市場が一変する可能性がある。
ひどい状況もバリュー株は底堅い展開=米国株 - 株探(かぶたん)|米国株
米利下げ、市場は織り込み不足-PIMCOのサイドナー氏 - Bloomberg
【コラム】孫正義氏とDeepSeekから、スターゲートに教訓-トーベック - Bloomberg
数千億ドルもの巨額予算を注ぎ込んで最新鋭の人工知能(AI)能力を築くのは、驚嘆すべきプロジェクトだ。しかしそれ以上に驚嘆すべきなのは、ほんのわずかな予算でそれと張り合えるツールを開発することだろう。
この1週間に世界を席巻したAIニュースを読み解く上で、これは単純な解釈に過ぎない。明らかなのは米国のハイテク巨人らがそろってパニックモードに入り、世界的なハイテク株が売られたことだ。中国AIスタートアップ(新興企業)の躍進に主流派メディアが反応したことが背景にある。同社の最新モデルはシリコンバレーからダボスに至るまで、参加者の話題をさらい、そのAIアシスタントのダウンロード数はアップルの米アプリストアでオープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」を抜き去った。私はしばらく前からディープシークに注目し、昨年6月に同社の能力を指摘。AI競争で中国を抑えつけようとするワシントンの取り組みは裏目に出る恐れがあると示唆していた。そして現在、世界は画期的な進歩を目の当たりにし、オープンAIの創業メンバーが「冗談のような予算」と呼ぶ事態になった。
ディープシークが猛スピードで普及する一方で、トランプ米大統領はサム・アルトマン氏、孫正義氏、ラリー・エリソン氏らハイテク巨人と「スターゲート」プロジェクトを発表。詳細を欠いたこの計画は、新興テクノロジーにおける米国の支配を維持することが狙いだ。トランプ氏はAIインフラ構築に「少なくとも」5000億ドル(約77兆2400億円)を費やし、10万人の雇用が「すぐさま」米国で創出されると述べた。
スターゲートには不明な点が多く、詳しく見ていくとAIセクターの問題すべてが浮き彫りになるようだ。AIは必ずしもその幅広い有用性が証明されているとは言えず、これほど大規模な投資はその期待をさらに言いはやすものだ。政府資金の関与が明らかにされていないプロジェクトが、なぜ政府から発表されたかも明らかではない。ただし米ハイテク産業と政治の新たな関係があらわになったのは確かだ。5000億ドルはおろか、1000億ドルの調達さえ疑われており、トランプ氏の右腕であるテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)からさえ、異例の批判的コメントが飛び出す事態だ。
しかしそれらの問題はさておき、このプロジェクトのリーダーであるソフトバンクグループの創業者、孫正義氏は称賛に値する。「マサ」の愛称で呼ばれる孫氏は、ゲームに参加しなければ勝てないことを知っている。そして取引好きで知られる新政権への対応方法も、同氏ならではのものだ。日本の石破茂首相はまだトランプ氏と会っていないが、孫氏は11月の選挙以来、何度もトランプ氏の隣に立っている。
詳細を詰めていないことや、手元に現金がないことは問題ではない。孫氏は新大統領にあからさまなお世辞を言いながら、自らをその場に置くことで政治的資本を築いてきた。スターゲートを発表した記者会見で、トランプ氏は孫氏を「友人マサ」と呼んだ。孫氏は大胆な賭けでグローバルなテクノロジー帝国を築き上げたが、すべてが成功したわけではない。しかしこの飽くなき野心こそ、貧しい生い立ちの同氏が米国で最も大胆なハイテクベンチャーのリーダーにのし上がった原動力だ。
しかしこのプロジェクトを米国のテクノロジー業界にとって永続的な勝利に変えるには、特にディープシークによって中国が急速かつ安価に追いついてきていることを踏まえると、孫氏は同氏らしくない自制を見せる必要がある。第1次トランプ政権当時に孫氏が約束した500億ドルの投資は、破綻したウィーワークからピザ調理ロボットに至る多種多様なスタートアップに振り向けられた。投資額については、ビジョンファンドを主な資金源として約束を果たせたようだが、同時に約束した5万人の雇用については果たせたかどうかあまり明確ではない。今回の約束で重点を置くべきなのはこの点であり、マスク氏がこだわる孫氏の資金不足ではない。
トランプ大統領と孫氏が米国民の生活について公にした約束の責任を、政治家によって問われることは重要だ。格差が拡大している昨今においてはなおさら大事だ。オープンAIはスターゲートによって数十万人もの雇用が創出されると言っており、その規模はトランプ氏が述べた10万人をはるかに上回る。同社は世界の「経済的利益が膨大な規模に膨らむ」とも言っている。(ちなみに英紙フィナンシャル・タイムズは、このインフラ投資の利益はオープンAIだけが享受すると報じている)
スターゲート、そして広義のAIは米経済に遠大な集団的利益をもたらすと約束した。しかしこれだけの規模の予算があれば、米国の住民にどんな支援ができるか想像してほしい。山火事で住まいを失ったロサンゼルス近郊の住民や、ハリケーンの被害からまだ復旧できていないノースカロライナ州のコミュニティーに何ができるだろうか。
ディープシークがタイムリーに与えた教訓を、スターゲート首脳部は軽視してはならない。欠乏がイノベーションの原動力になり得るということを中国は教えてくれた。過剰が無駄につながらないよう、米国は注意するべきだ。
この大規模なAI構築プロジェクトは、5000億ドルの調達や支出を伴わないからといって失敗になるわけではない。孫氏をはじめスターゲートのリーダーたちが雇用の約束に責任を持ちつつ、その利益がシリコンバレーの富裕なエリート以外にも広がることを証明できれば、プロジェクトは成功だ。データセンターはこれまで、大規模な雇用を生む機会ではないことが示されている。しかしAIが将来の労働市場を揺さぶると警告するハイテクリーダーたちは、このような手法でベンチャーの成否を判断することで、人間へのインパクトを常に念頭に置くだろう。
集計を始めよう。このプロジェクトに関連する最初のデータセンター建設では、当初57人のフルタイム雇用が創出される見込みだ。つまりトランプ氏の公約達成まであと9万9943人、オープンAIの声明に基づく数十万人まで実に長い道のりだ。カウントダウンは始まった。
●中東情勢
サウジアラビアとトランプ氏の関係は、今度はどうなるのだろうか?|ARAB NEWS
●エマージング
中国万科、会長とCEOが辞任 24年は450億元の赤字に転落 | ロイター
中国1月製造業PMIは49.1、24年8月以来の低水準 予想下回る | ロイター
中国国家統計局が27日発表した1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.1と、前月の50.1から低下し、昨年8月以来の低水準となった。
景況拡大・縮小の分かれ目となる50を割り込んだ。ロイターがまとめたアナリスト予想の中央値50.1も下回った。
サービス業と建設業を含む非製造業PMIは50.2となり、2024年12月の52.2から低下した。
製造業とサービス業を含めた総合PMIは50.1だった。12月は52.2だった。
中国工業部門企業利益、24年は3.3%減 3年連続で減少 | ロイター
中国国家統計局が27日発表した2024年の工業部門企業利益は前年比3.3%減となった。減少は3年連続で、トランプ新政権による関税を巡る懸念が高まる中、当局による支援強化の必要性が浮き彫りになった。
24年1─11月は4.7%減、23年通年は2.3%減だった。
24年の中国国内総生産(GDP)は5%増加した。政府の大規模な景気刺激策を受け、公式目標を達成した。ただ、不動産市場や内需の低迷、企業の信頼感の落ち込みなどにより、経済は打撃を受けている。
公式データによると、24年の工場出荷価格は2年連続で下落し、企業利益と労働者の所得に打撃を与えている。
今月初めに発表された12月の経済統計は、工業生産が小売売上高より好調で、失業率が上昇するなど、不均衡が拡大していることが示された。
12月には輸出が勢いを増したが、トランプ新政権下で高まる貿易リスクに備えて工場の在庫海外移転が進んだことが一因となっている。
24年の国有企業の利益は4.6%減少し、外資企業も1.7%減少した。民間企業は0.5%の増益だった。
工業部門利益統計は、主要事業の年間売上高が2000万元(274万ドル)以上の企業を対象としている。
コンゴの反政府勢力、主要都市掌握と表明 国連が攻撃停止要求 | ロイター
ベラルーシ大統領選、ルカシェンコ氏の7選が決定 欧米は批判 | ロイター
反体制派は「投獄と亡命を選んだ」 ベラルーシのルカシェンコ大統領、BBCの質問に回答 - BBCニュース
アルゼンチン、ムーディーズが格上げ ミレイ政権で見通し改善 | ロイター
中米諸国、米と合意の可能性 強制送還者受け入れ巡り=メキシコ大統領 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
ヒューリックが蓄電参入、1000億円投資 まず年内3カ所 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞
●その他
金価格の2倍、ウシの胆石が密輸ブームに - WSJ
ブラジル南東部の農業地帯にある食肉処理場で、血まみれの男たちがウシの内臓の周りに集まり、「金」を掘り当てたかどうかを確認していた。
「この大きさを見てくれ」。作業員の1人がウシの肉をふるいに押し付けて、ゴルフボールほどの大きさの硬くて濃いオレンジ色の塊を取り出し、蛍光灯の下で輝かせながらそう言った。
そこにあったのは胆石(牛黄)だった。
牛黄は、中国の伝統医学(中医学)で特に珍重される原料の一つだ。非常に貴重なものとなっているため、取引業者は1オンス(約28グラム)当たり5800ドル(約90万円)、すなわち金の2倍の価格でも喜んで支払う。
高血圧や肥満など、富裕な欧米諸国でおなじみの症状が急増し、それへの対応を迫られている漢方医は、脳卒中の治療に牛黄を使用している。このような症状は現在、中国で広く見られる。半世紀にわたる急速な発展と、それに伴う食生活の変化が背景にある。牛黄への需要急増を受け、世界最大級の牛肉生産地域である米テキサス州やオーストラリア、とりわけ世界最大の牛肉輸出国であるブラジルのサバンナなど、中国から遠く離れた地域で世界的な宝探しが始まっている。
「最初は冗談だと思った」。ブラジルのロデオ発祥地サンパウロ州にある農業の町バレトスの警察捜査官、ラファエル・ファリア氏はそう語る。同氏は最近、取引業者が香港や上海、北京のバイヤーに牛黄を届けようとする中で、横行する密輸や強奪事件を捜査するよう命じられた。
中医学は、中国の人口高齢化により高血圧や心臓病を患う人が増える中、これらの疾患に次第に焦点を当てるようになり、世界保健機関(WHO)によると、現在年間600億ドル規模の産業となっている。中国政府と国営メディアは国民の誇りの源として中医学の利用を奨励してきた。とりわけ、数年前に新型コロナウイルスが流行し、中国の科学者がワクチンの開発やより伝統的な治療法の効果確認に奔走した際、そうした傾向が強まった。
中国政府はまた、同国が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」を補完する目的で中薬(漢方薬)を国外に売り込んでおり、アラブ首長国連邦(UAE)やスペイン、モーリシャスなどの国々に中医学診療所を建設し、現地の人々に漢方薬の採用を促している。中国政府は昨年12月、「一帯一路」の参加国に派遣する医療従事者約1300人の訓練計画を発表した。
自然保護活動家は、野生生物の密輸が急増しているのは漢方薬が原因だと非難している。各国政府は、サイの角からセンザンコウのうろこ、トラのペニスに至るまで、希少動物の部位取引阻止に苦慮している。牛黄の採取自体は自然保護活動家から特に懸念の声は上がっていないが、牛黄は絶滅危惧種の部位と一緒に製剤化されることが多い。例えば、脳卒中の治療に使用される錠剤は、牛黄とサイの角を混合したものだ。
ロンドンに拠点を置く環境調査エージェンシー(EIA)は「過去数十年にわたる中医学産業の急速な成長は、アジアとそれ以外の地域に存在する絶滅危惧種の野生生物への圧力を高めた」と指摘する。EIAは中医学産業によるここ数十年の野生生物搾取を追跡してきた。
税金と警察を回避
ブラジルでは牛黄の販売は違法ではないが、その取引は主に地下で繁栄しており、取引業者は税金や規制を回避し、武装ギャングがこの宝物を探し求めるようになっている。
バレトスから車で数時間のサンジョアン・ダ・ボア・ビスタでは最近、武装強盗が農家に侵入し、所有者とその6歳の孫を縛り上げた末に、約5万ドル相当の牛黄を持ち去った。
ブラジルやオーストラリアのクイーンズランド州(同国最大の牛肉生産州)の食肉処理場の労働者も近年、仕事中に牛黄を盗んだとして逮捕されている。ゴム長靴の中にひそかに牛黄を落とすという手口もあった。
人口1人当たりのウシの数が世界で最も多いウルグアイでは昨年9月、あるきょうだいが当局に申告せずに約300万ドル相当の牛黄を香港に密輸したとして禁錮刑を言い渡された。国際刑事警察機構(インターポール)が明らかにした。
ほとんどの国では、人々は胆石と関わらないようにして一生を過ごしている。
赤血球の自然な分解過程で生成される濃いオレンジ色の化合物であるビリルビンは、通常体外に排出される。しかし、それが蓄積して胆石を形成すると、ウシや人間など全ての脊椎動物にとって有害で、致命的な状態になることもある。
だがここブラジルでは、農家が目を輝かせながら、これまでに見た牛黄の大きさを語り合い、飼育中のウシのでこぼこした腹部を見つめながら新たな期待を寄せている。
牧場労働者のペドロ・ベネッティさんは、30頭ほどのウシを近くの食肉処理場までトラックで運んだ後、「このうちの1頭に牛黄があると分かったら、自分で全部殺してしまうだろう」と話した。
ブラジルの胆石取引会社オックスゴー(本社:ブラジル中西部ゴイアス州)のジョゼ・デオリベイラ最高経営責任者(CEO)によると、牛黄の品質、そして価格は大きく変動し、栗色のものが最も純度が高いとされている。
「平均して、1オンス当たり1700~4000ドルを支払っている」とオリベイラ氏は言う。つまり、一つの牛黄がウシ1頭の全ての肉よりも価値があるということだ。
オックスゴーは食肉処理場や農家から牛黄を購入している。幹線道路で強奪されるのを避けるために、ブラジル国内は主に飛行機で輸送し、真空パックにしてアジアに送っていると同氏は言う。
警察や輸出業者によると、他の多くの生産者は違法に操業しており、煩雑な規制を避けるためにジャムの瓶や子どものおもちゃなどに隠して出荷している。重量を増やすために細かく砕いたレンガを加えたり、牛黄の中心に砂糖を注入したりするケースもまれに見られる。
市場の大部分がまだ法律の外で運営されているため、業界の規模に関するデータは乏しい。しかし、米農産物貿易事務所(ATO)が昨年4月に発表した報告書によると、ブラジルの対中輸出時の最も一般的な中継地・香港への輸出データは、市場が近年、劇的に拡大したことを示唆している。
香港の牛黄輸入額は2023年に2億1840万ドルと、19年の7550万ドルのほぼ3倍に増えた。だが研究者らは、実際の規模はそれよりもはるかに大きいとみている。23年の香港への牛黄輸出で最大だったのはブラジルで、全体の約3分の2を占めた。以下、オーストラリア、コロンビア、アルゼンチン、米国、パラグアイが続いた。
ATOは報告書で、「当事務所は近年、特に2024年に、現地の輸入業者から米国の牛黄を探しているとの問い合わせを受けており、香港でこの副産物に対する潜在需要があることを示している」と指摘し、米国の生産者に市場シェア拡大を促している。
昔からの慣習
数千年前から行われている中医学は、同国ではまだ広く使用されており、西洋医学と併用されることも多い。牛黄の食用への加工は高度な技術を要する。
採取された牛黄は丁寧に洗浄され、数週間乾燥させた後、粉砕される。中国では通常この粉末は、粉末状のスイギュウの角や、ヒ素を含む赤みがかった鉱物の鶏冠石(雄黄)といった他の成分と混ぜられ、「安宮牛黄丸(あんぐうごおうがん)」として成形される。
「数粒で200ドル程度もするので、家族が緊急時のために薬箱に保管しておくような薬だ」。マサチューセッツ総合病院の中国出身医師で、ハーバード大学医学部の助教であるドンハイ・ウェン氏はそう話す。同氏はキャリア初期に中医学を学んだ。
牛黄にあるとされる多くの効能(解熱から感染症の治療まで)は科学的根拠がほとんどないが、最近の実験的研究では、安宮牛黄丸が脳卒中治療の時間稼ぎに役立つ可能性があることが分かったとウェン氏は言う。
香港大学のラットを使った最近の研究では、安宮牛黄丸によって虚血性脳卒中(血栓が脳への血流を遮断する最も一般的な脳卒中)の影響を遅らせられることが分かった。
研究者らは、安宮牛黄丸のいくつかの成分が脳膜を保護し、脳卒中患者が病院到着までに取り返しのつかない脳損傷、場合によっては致命的な脳損傷を受けずに済む時間を最大30分伸ばせることを発見した。
これにより、脳卒中が死因の首位となっている中国(WHO調べ)で牛黄の価値がますます高まっている。
中国では10万人当たり約178人が毎年脳卒中で死亡しており、米国の3倍を超える。研究者らはその原因として、世界の喫煙者の約3分の1が住む中国でのたばこの大量消費、急速に高齢化する人口、さらに農村部での肥満急増といった所得増加に関連する要因を挙げている。中国国家心血管病センターによると、同国の心血管疾患数は2023年に推定3億3000万人となり、07年の約2億3000万人から増加した。
食肉処理場の状況
 ここブラジルの農業地帯では、牛黄の摂取は一般的に嫌悪されている。
「絶対に無理!」。バレトス近くの食肉処理場で働く男性は、口にできるか尋ねられるとそう答えた。
この男性は胆のうの切開責任者で、作業は食肉処理場の奥の厳重に管理された部屋で行っている。その部屋は金属棒で仕切られ、複数の監視カメラに見張られている。男性によると、夜勤では通常、食肉処理された約100頭のウシの中から牛黄が最低でも一つは見つかる。
牛黄の売却代金の大半は食肉処理場所有者の手に渡るが、男性は一つ見つけるごとに少額の手数料を受け取るという。強盗に遭うのを恐れて身元は明かさなかった。
男性は「その価値は自分の月給よりも高いことがある」とし、小さければそれだけ純度も高く、価値も高いことが多いと述べた。「とても危険なので、取り出したらすぐに金庫に入れる」
サンパウロ州立大学の研究者ダニエラ・ゴメス・ダシルバ氏は、ブラジルのサバンナ全体で牛黄探しがはやり過ぎた結果、最近では家畜に胆石を作らせる方法を問い合わせてくる生産者もいると話す。
「まるで私たちが知っているかのように!」とダシルバ氏は言う。「どのようなメカニズムで胆石が生じるのかは、まだ正確には分かっていない」
高齢の動物や放牧された動物の方が胆石に悩まされる頻度が高い傾向にあるが、一部のウシにだけなぜ胆石が生じるかは依然として謎だとダシルバ氏は言う。
同氏によると、一つ明らかなのは、ブラジルが豊かになり、農場がより効率的になるにつれて、牛黄がブラジルでは一段と珍しくなっているということだ。
裕福な農家は高品質の飼料を与える余裕があり、わずか1年半でウシを食肉処理場に送り、新しいウシと入れ替えている。これら全てが、よりおいしい肉と全体的な牛乳の生産量の増加につながるが、通常は牛黄が少なくなる。米国の牛黄輸出がすでに比較的少なくなっているのは、これと同じような傾向が原因ではないかとダシルバ氏は述べた。
ブラジルの農家は、自分たちが最も得意とすること(牛肉と牛乳)に専念するのが最善だろうとダシルバ氏は言う。その上で、サッカーボールほどの大きさで100万ドルもする牛黄の話がサバンナ中で広まっているが、そうしたうわさを信じないよう生産者に注意を呼びかけた。
「人々はとんでもない金額を耳にして正気を失い始めている」
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(27日)ドル下落・円上昇、利回り急低下 ナスダック・S&P急落 | ロイター
1. **為替市場**  
   - ドルが下落し、安全資産とされる円とスイスフランが上昇。円は対ドルで0.87%高、スイスフランは0.5%高。
   - メキシコペソやカナダドルは対ドルで下落。
2. **株式市場**  
   - 中国の新興企業ディープシークが発表した低コストAIモデルにより、ハイテク株が売り込まれ、特にエヌビディアが17%急落。
   - フィラデルフィア半導体指数が9.2%安と2020年以来の大幅下落。
3. **債券市場**  
   - ハイテク株の急落で安全資産の米国債が買われ、国債利回りが低下。5年債の入札が好調。
4. **金や原油先物市場**  
   - リスク回避の広がりで金先物は反落。原油先物も供給不安の後退で下落。
5. **要因と展望**  
   - ディープシークのAIモデルが市場を動揺させたが、債券市場への影響は一時的との見方も。
   - 今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)や欧州中央銀行(ECB)の理事会、主要企業の決算発表が注目される。
欧州市場サマリー(27日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちの動きとなった。FTSE100種指数は小幅高で引けたが、国内志向のFTSE250種指数は0.72%下落。特にテクノロジー関連株や鉱業株が売られた。中国新興企業が低価格AIモデルを発表し、AI関連銘柄の売りが一時的に広がったことも影響した。一方、タバコ銘柄は米国のメンソール販売容認が追い風となり上昇した。
欧州株式市場では、AI関連銘柄やハイテク株が下落し全体で続落。特にオランダの半導体メーカーやドイツのエネルギー関連株が大幅下落する一方、食品・飲料株は上昇した。ユーロ圏債券市場では、安全資産の国債が買われ、利回りが低下した。
今週は主要中央銀行の金融政策会合や米国の経済指標発表が注目されている。欧州中央銀行の利下げが予想される中、投資家は動向を見極めようとしている。

備忘録(2025/1/24-26
●海外企業決算
米ベライゾン、10─12月期携帯契約者数の伸び 5年ぶり高水準 | ロイター
米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズは24日、第4・四半期(10─12月期)の携帯電話の月額課金契約者数が56万8000人増え、四半期としては過去5年間で最高となる携帯電話加入者増を記録したと発表した。ファクトセットによる予想48万7500人増も上回った。
ストリーミング特典を追加料金で利用できるカスタマイズ可能な「マイプラン」への堅調な需要や昨年11月の感謝祭翌日の「ブラックフライデー」でのセールなどが追い風となった。
ベライゾンの携帯電話の顧客基盤の半分以上が「マイプラン」を利用している。
第4・四半期のワイヤレス機器の販売は、アップグレード台数の増加により、約1%増の75億ドルとなった。総売上高は357億ドルで、市場予想の353億2000万ドルをわずかに上回った。
2025年通年の1株当たり調整後利益は0─3%増とする見通しを示し、中間値はLSEGが集計したアナリスト予想平均の2.7%増を下回った。
25年のフリー・キャッシュ・フロー(FCF)の見通しは175億─185億ドル。ビジブル・アルファによると、中間値は予想(184億4000万ドル)を下回った。
ベライゾンの株価は序盤の取引で約1.6%上昇している。
英バーバリー、第3四半期業績が予想上回る 米ホリデー商戦好調 | ロイター
[NEE] ネクステラエナジー 2024年12月通期は減収減益 売上高12%減247億ドル、営業益27%減74.7億ドル、EPS3.37ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AXP] アメックス 2024年12月通期は増収最終増益 売上高9%増659億ドル、純利益21%増99.9億ドル、配当2.80ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[VZ] ベライゾンコミュニケーションズ 2024年12月通期は増収増益 売上高1%増1347億ドル、営業益25%増286億ドル、配当2.69ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[HCA] HCAヘルスケア 2024年12月通期は増収最終増益 売上高9%増706億ドル、純利益10%増57.6億ドル、EPS22.00ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
オラクルが行く独自路線、安価なAI戦略 - WSJ
巨大テック企業の中で、米オラクルは決して取るに足りない存在ではない。だが創業47年のソフトウエアの巨人でさえ、人工知能(AI)という途方もなく費用のかかるゲームになれば、自分の手札を有効に使う必要がある。
その手法が明らかになったのは、注目される「スターゲート・プロジェクト」の発表の場だった。今後4年間で5000億ドル(約78兆円)を投資し、米オープンAIの新たなAIインフラの構築を目指すものだ。オラクルはこのプロジェクトの出資者、かつ「主要な初期技術パートナー」として名を連ねた。創業者のラリー・エリソン会長は21日、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)やソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長と並んでホワイトハウスでの発表会見に臨んだ。
エリソン氏は21日、同プロジェクトの最初のデータセンターがすでにテキサス州で建設中だと明かした。だがこれだけの驚異的な金額がどこから来るのかは定かでない。オープンAIは1000億ドルが直ちに投入されると述べたが、それはオラクルとソフトバンクの手元資金を合わせた金額の2倍以上だ。独自のAIプロジェクトを推進する実業家イーロン・マスク氏は、自身のソーシャルメディア・プラットフォームX(旧ツイッター)を通じ、スターゲートの資金面の裏付けに疑問を呈した。オラクルはすでにAI向け設備投資を大幅に増額し、同社の年間設備投資額は今や110億ドルに迫っている。過去4年間(会計年度)の平均は55億ドルだった。
オラクルの株価は、スターゲートの第一報が出てからの2日間で14%跳ね上がった。つまり現時点でウォール街は誰が費用を負担するのかをそれほど気にしていないようだ。アナリストはむしろ、オラクルがスターゲートで主要な役割を果たすことで、同社のクラウド部門「OCI」が生成AIのワークロード(作業負荷)を支える重要な勢力としての地位を固めるとの見方を示す。
ドイツ銀行のブラッド・ゼルニック氏は「オラクルの勝利だと考えている。少なくともAIの未来におけるOCIの重要性をいっそう確実にしたという点で」と述べた。エバーコアISIのカーク・マターン氏は「明らかに、スターゲートの根本的な影響は今後を見なければ分からない。それでもこの発表は、オラクルがAIインフラの構築で主要プレーヤーになる好位置につけていることを改めて思い知らせた」と指摘した。
時価総額5000億ドルのオラクルは、S&P500種指数を構成するテック企業の中で、時価総額1兆ドル超えの企業を除くと最大だとはいえ、はるかに資金力のあるビッグプレーヤーと競い合わなければならない。オラクルの増額後の設備投資で比べても、マイクロソフト、アマゾン、グーグルの親会社アルファベット、メタ・プラットフォームズの4社が2024年に使ったとみられる合計2365億ドルのごく一部にとどまる(ビジブル・アルファ調べ)。オラクルは上記5社の中で唯一負債が現金総額を上回っており、昨年11月までの12カ月間の年間フリーキャッシュフローは95億ドルだった。
アナリストは、オラクルがデータセンターに対する独自の取り組みのおかげで、はるかに豊富な資金力を持つライバルと効果的に渡り合えると指摘する。バーンスタインのマーク・モードラー氏によると、同社はデータセンターに使う不動産の多くを購入せずに賃借しており、スペースを縮小して性能効率を高めるように設備を配置している。モードラー氏は先月のリポートで「設置面積を減らせば、オラクルは自社の設備投資を、顧客の消費の規模(ひいては売上高)に連動させられる。顧客のニーズに応じて拡張できるからだ」と指摘した。同氏の試算によると、オラクルのやり方であれば、ずっと大規模な投資を行うマイクロソフトと比べて、設備投資のはるかに大きな部分をコンピューター機器の取得に充てられるという。
オラクルはすでに数年先まで力強い成長が続くと見込んでいる。予想PER(株価収益率)は現在28倍余りとドット・コム・ブーム以来の高水準にある。だがこれはクラウド分野の最大のライバルであるマイクロソフトやアマゾンと比べても、新政権と良好な関係にある企業としても、依然として割安だ。トランプ大統領は21日の発表会見の場で、エリソン氏がTikTok(ティックトック)を買収する案に前向きだとも述べている。しかし、オラクルの投資家を本当に踊らせ続けるためには、AIのパイを分け合う中で、同社の獲得する部分を増やすことが重要だろう。
伊銀モンテ・パスキ、メディオバンカに買収提案 139億ドル規模 | ロイター
米大手銀、保有するX債権を来週売却へ 最大30億ドル - WSJ
米大手銀行が、実業家イーロン・マスク氏が経営するソーシャルメディアプラットフォーム「X」(旧ツイッター)の多額の債権を売却する準備を進めている。
事情に詳しい複数の関係者によると、来週に予定されている最大30億ドル(約4700億円)の債権売却に先立ち、米金融大手モルガン・スタンレーが投資家らに打診を行った。マスク氏が2022年にツイッターの買収を完了できるよう、同行やバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、バークレイズなどの銀行団は同氏に融資を行っていた。
優先債権を額面1ドル当たり0.90~0.95ドルで売却し、それより下位の債権は保有を続ける意向だという。また、一部の同関係者らによると、これらの銀行は約10億ドルの債権を複数の投資家に非公開で売却した。
融資した銀行にとっては重荷となっていた。マスク氏による440億ドルのツイッター買収に資金を提供することで合意して以来、銀行団は約130億ドルを融資していた。マスク氏がツイッターに支払った価格は買収時点でも割高で、その後、同社の業績不振により価値は下落した。2008年の金融危機以降で、最悪の買収ファイナンス案件とされている。
債権を売却するには、銀行は同社の財務状況が安定していると投資家らを説得する必要がある。最近のマスク氏の権力増大とドナルド・トランプ米大統領との協力関係が、Xの見方を変えるのに役立っているとみられる。
関係者の1人によると、Xの財務状況が上昇基調にあると考える投資家らは銀行団に接触し、債権購入に関心を示しているという。
マスク氏は今月、従業員に宛てた電子メールで、同社の影響力の拡大を指摘しつつも、財務状況には依然として問題があると述べていた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が同メールを確認したところ、マスク氏は「ユーザーの伸びは停滞し、収入はさえず、収支はかろうじて均衡している」と述べている。
スイス鉄鋼大手が上場廃止 業績悪化でリストラに専念 - 日本経済新聞
スイス鉄鋼大手スイス・スチール・ホールディングは24日、スイス証券取引所の上場を廃止すると発表した。同社は割安な中国製鋼材の流入などで業績悪化に陥っている。株式上場に関連するコストを削減し、事業再編などリストラに経営資源を集中させる考えだ。
●日本企業
●先進国政治動向
米上院、ヘグセス氏を国防長官に承認 51対50の僅差 - BBCニュース
トランプ氏、山火事被害のカリフォルニア州視察 知事と協力を約束 - CNN.co.jp
米国のトランプ大統領は24日、大規模な山火事に見舞われたカリフォルニア州を視察に訪れ、ニューサム州知事と共に復旧・復興へ向けて取り組むことを約束した。
トランプ氏は同日午後、ロサンゼルスの空港へ大統領専用機で到着。メラニア夫人と共に滑走路に降り立った。ニューサム氏が出迎え、トランプ氏と握手を交わした。
ロサンゼルス近郊に大きな被害をもたらした山火事を巡り、これまでトランプ氏とニューサム氏は連邦政府の支援や州の災害対応に関して激しい応酬を繰り広げていた。
トランプ氏はニューサム氏の出迎えに感謝を表明。山火事の被害に言及して「爆弾を落とされたようなものだ」と付け加えた。
ニューサム氏もトランプ氏に感謝の言葉を伝え、支援が必要になると強調した上で、迅速な復興に向けて共に協力できるだろうと述べた。
今回の山火事を受け、トランプ氏は再三にわたってニューサム氏とカリフォルニア州に対する怒りのコメントを発信。火災発生時、ロサンゼルスに消火用の水が不足していたのはニューサム氏が「ワカサギとか言う元来無価値の魚」を保護することを選んだからだとの誤った主張を展開した。
20日の大統領就任後にも、「魚より人々を優先」と題した大統領令に署名し、同州の複雑な給水システムの経路を変更するよう命じた。今月の山火事では一時、消火栓から水が出ない事態に見舞われたが、専門家は当該の給水システムに原因があったとはみていない。
この他、トランプ氏はカリフォルニア州に対し、選挙時の投票者の身元確認を義務づけることを復興支援の条件とする考えも示している。
トランプ氏のウクライナ特使、和平合意の道険しく - WSJ
トランプ氏がノースカロライナとロス訪問 FEMA廃止に言及 | ロイター
トランプ氏「金正恩氏に再び接触する」、FOXニュースに明かす | ロイター
マスク氏とラマスワミ氏「離別」の内幕 - WSJ
メキシコ湾を「アメリカ湾」に正式改称 米政府、デナリ山も「マッキンリー山」に - 日本経済新聞
コラム:「黄金時代」を引き継いだトランプ氏、落日を避けるには | ロイター
トランプ米大統領は米国に「黄金時代」をもたらすと宣言しているが、実際には彼はその時代を引き継いだばかりだ。彼に求められるのは、その状態を損なわないことだ。経済や金融の面で、米国はかつてないほど健全な状態にある。
世界最大の規模を誇る米国経済はこの1年間、年換算で3%に近いペースで順調に伸びている。潜在成長率はコロナ禍以前に比べて上昇し、テクノロジー主導による世界各国との経済格差も明らかに拡大している。米国の景気後退を予測するグローバル投資家は5%にも満たない。
雇用は十分にあり、ほぼ完全雇用を維持している。インフレ調整後の年間賃金上昇率は過去40年間の平均の2倍となっている。パンデミック後のインフレ上昇で借入コストが急上昇したが、それも落ち着き、インフレ率は連邦準備制度の目標である2%近くまで下がり、金利も再び低下している。
確かに、ここにたどり着くには大きな代償が必要だった。その1つが連邦政府債務の増大で、国内総生産(GDP)の6%という懸念すべき水準まで膨らみ、累積債務も通年のGDPを超えてしまった。しかし、ドルが世界中で準備通貨としての支配的な役割を維持しているおかげもあり、国内外の債権者には比較的余裕がある。連邦政府の資金調達手段が圧迫される兆候はほとんどない。
だが、ドルがしっかりと世界中で準備通貨としての支配的な役割を維持しているおかげもあって、国内外の債権者には比較的余裕がある。連邦政府の資金調達手段が圧迫される兆候はほとんどない。
実際、米国には最先端の巨大企業がそろっており、かつてない規模で直接投資やポートフォリオ投資が流れ込んでいる。米国株は、グローバルな株価指数に含まれる時価総額の約3分の2を占めているほどだ。
何か気に入らない点でもあるのだろうか。たとえ「黄金時代」ではないとしても、めったに見られない持続的な繁栄の時期であり、地球上の誰もがうらやみ、米国に投資したいと考えている。黙っていても、世界の投資家たちは少なくともこの4年間、さまざまな形で「アメリカ・ファースト」で考えてきた。
<「再び」豊かに>
それなのにトランプ氏は20日の就任演説で「米国の黄金時代がまさにいま始まる」と主張した。「再び豊かな国になる」とも述べた。
世界有数の豊かな国の野心としては奇妙だ。昨年の国民1人あたりGDPは8万7000ドルに迫り、ドイツや英国よりも約60%多く、日本の2倍以上、中国の7倍に当たる。
その一方で、投資家たちは手放しの明るい未来を確信しているわけでもないようだ。選挙以来、追加減税、移民労働者の減少に伴う賃金上昇、広範な関税強化による輸入コストの上昇など、トランプ氏が提唱する政策の多くがインフレを再燃させ、財政赤字がさらに拡大するのではないかというリスクで市場は動揺している。
経済がほぼ完璧な状態である場合、過剰な刺激は悪い結果を招く恐れがある。最大の懸念は、インフレと財政赤字の悪化により債券市場が反応し、急激な信用コストの上昇でバブルがはじけることだ。その兆しは年始にかけて見られた。
トランプ陣営は、石油・天然ガスの生産拡大によるエネルギー価格抑制と一連の規制緩和の組み合わせにより、インフレのリスクは抑制できると反論する。一方、減税の原資としては、政府支出の削減、政府の効率化、輸入関税の強化による国外からの歳入の増加が見込まれている。
だが、トランプ氏の政策は、その大袈裟なレトリックに似て、黄金時代の夜明けというよりは、むしろその黄昏を招くのではないかという懸念は残る。
<市場は「二転三転」>
今後4年間を占う手掛りを探して新政権誕生から最初の24時間に注目した投資家は、炎上しやすい発言が相次ぐことで市場価格は二転三転することを想定している。
とはいえ、トランプ氏の各種発言が最終的にそれに見合った規模の結果につながるか、まだ先行きはまったく見通せない。
就任前は、初日に関税引き上げを行うというトランプ氏の発言によりドルは上昇し、海外株式市場は下落したが、就任演説には具体的な内容は含まれなかった。その後、トランプ氏はメキシコとカナダに対する関税を2月に引き上げると主張したが、包括的な関税強化や対中関係の見直しには時間がかかると述べた。
多くの市場価格がほぼ就任式前の水準に戻る中で、ドルと米国株は再び上昇した。
結局、関税は強化される可能性があるが、具体的な対象と時期はまだ明確ではない。市場はトランプ氏の発言に動揺を続けるだろうが、最終的な政策の影響はそれほど大きくない可能性もある。
経済全体にとって、それがトランプ政権の最も好ましい進路と言えるかもしれない。大げさな発言が続く一方で実際の変化はさほどでもなく、暴落や破綻などの大きな衝撃が避けられる。
そうなれば、トランプ氏はいま引き継いだこの金ぴかの時代を、「黄金時代」として続けていけるかも知れない。
トランプ氏が招いたグローバルラリー、関税見送りで-米国第一ならず - Bloomberg
トランプ米大統領の最初の1週間、金融市場は前宣伝通り、興奮に包まれたが、それは多くの投資家が予想したような種類の興奮ではなかった。
米国株とドルを買い込む一方、国外の株は軽くし、米国債の下げ方向に投資するトランプトレードが、昨年の選挙期間中に人気を博した。しかし、それはまずまずうまくいったという程度だ。米国株は確かに上昇したが、日本やドイツ、あるいは新興国市場の一部ほどではなかった。ドルは下落し、米国債市場は1週間を通じて落ち着いた動きが続き、ほとんどの利回りは静かに低下した。
トランプ大統領は就任後最初の1週間で多くの仕事をこなし、大統領令に次々と署名し、即席で記者会見を開き、カメラに向かってポーズを取り、国内を縦横に動き回った。だが、米国の貿易相手国に直ちに関税を発動することはせず、それが驚くべき市場の反応を引き起こした。
これはトランプ氏が選挙期間中に掲げた公約であり、トランプトレードのテーマを構成する重要な要素だった。中国に対し最大60%の懲罰的関税を課せば、ライバル国の経済にはるかに大きな打撃を与え、各国・地域の通貨価値が対ドルで下落し、至る所でインフレが再燃するというのが、「アメリカファースト(米国第一)」の市場の解釈だった。けれども、少なくとも過去1週間について言えば、「アメリカラスト」だったかもしれない。
EPウェルス・アドバイザーズの投資マネジングディレクター、アダム・フィリップス氏は「米国資産へのバイアスが、選挙後すぐにコンセンサスポジションとなったが、トランプ大統領が就任した最初の週に新たな関税の発表がなく、国外の株式や通貨のセンチメントが改善されつつある」と指摘した。
トランプ大統領、WHO脱退見直しも 米の拠出減額迫る - 日本経済新聞
●先進国中銀、金融当局
米財務省、債務上限回避で新たな特別措置 Gファンド向け再投資停止へ | ロイター
米財務省は23日、債務上限到達を回避するための新たな特別資金管理措置として、政府証券投資基金(Gファンド)への再投資を停止すると発表した。
特別資金管理措置は、議会が債務上限の引き上げを承認するか上限の効力を一時停止しなくても、数カ月間政府がデフォルト(債務不履行)に陥らないようにすることが目的。財務省によると、Gファンドへの再投資停止で約3000億ドルを取り戻せる。
デービッド・レブリク財務長官代行は議会宛て書簡で、債務上限への対応がなされないのでこうした措置を講じたと説明。議会が債務上限を引き上げるか、効力を一時停止してくれれば、Gファンドの不足は穴埋めすると述べ、議会に米国の信頼を守るための速やかな行動を要請した。
既に財務省は21日、当座の支払いの必要がない公務員の医療給付基金と退職年金基金への資金拠出の中断を開始している。
早ければ週末にも上院で指名が承認される見通しの財務長官候補スコット・ベッセント氏にとっては、この債務上限問題解決が就任早々の課題になりそうだ。
ベッセント氏は先週の議会公聴会で、トランプ大統領が債務上限の廃止を望むなら、議会やホワイトハウスと協力して実現させると語った。
今後も見通し実現なら利上げ、ペースや時期は経済・物価次第=日銀総裁 | ロイター
日銀の植田和男総裁は24日、金融政策決定会合後の会見で「現在の実質金利は極めて低い水準にある」との認識を示し、今後も日銀の経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことに変わりはないと述べた。調整のペースやタイミングは経済・物価情勢次第であり、予断は持っていないと語った。
日銀は今回の会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.5%に引き上げることを賛成多数で決めた
総裁は利上げを決定したことについて「日本の経済・物価はこれまで示してきた見通しにおおむね沿って推移しており、先行き見通しが実現していく確度は高まってきていると判断した」と説明した。
判断の重要なポイントとして挙げていた春季労使交渉(春闘)の動向については、今年も賃上げを継続するという企業の声が増加しているほか、支店長会議で継続的な賃上げが必要との認識が幅広い業種、規模の企業に浸透してきているという報告があったと指摘。「昨年に続きしっかりとした賃上げの実施が見込まれると判断した」という。
もう一つのポイントだった米新政権の政策動向についても、トランプ大統領が政策の方向性を示す中で国際金融市場は全体として落ち着いており、利上げを妨げる材料にはならなかったと説明した。
今後トランプ政権が実際に関税を引き上げたり、当該国が報復措置をとったりした場合、インフレ率や世界経済にさまざまな影響が考えられるものの、「現状では関税の規模や広がりについて非常に不確実性が高い、決まっていない段階だ」と指摘。それがある程度固まったら経済・物価見通しなどに反映し、政策運営に生かしていきたいと語った。
植田総裁は、今回の利上げ後も実質金利は大幅なマイナスが続くことになると説明。「緩和的な金融環境は維持され、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていくと考えている」と語った。
日銀の推計によると、中立金利は名目で1―2.5%の間に分布していると指摘し、「0.5%という金利水準はまだ距離ある」との見方を示した。
今回の決定会合を巡っては、氷見野良三副総裁と植田総裁が連日、利上げするかどうか議論すると事前に明言する異例の展開となった。市場とのコミュニケーションを「事前予告型」に変えていくのかとの質問に対し、植田総裁は、氷見野副総裁の講演を決定会合前にセットしたのはボードメンバーの発言機会の平準化の一環であり「各会合でそれまでに得られたデータをきちんとみて、それに応じて金融政策を変更することが適当かどうか議論するという基本線を改めてリマインドした」と説明した。
●先進国経済指標
米1月総合PMI、9カ月ぶり低水準 サービス部門の雇用は増加 | ロイター
米S&Pグローバルが24日発表した1月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は、52.4と、前月の55.4から低下し、昨年4月以来、9カ月ぶりの低水準となった。
1月はサービス部門がPMIの低下を招いた一方で、製造業はトランプ米大統領政権下での「規制緩和、減税、保護主義の高まり」への観測から、7カ月ぶりに拡大した。
製造業PMIは50.1と前月の49.4から上昇し、6月以来の高水準。ロイターがまとめたエコノミスト予想は49.7だった。
サービス業PMIは前月の56.8から52.8に低下した。
民間企業の新規受注指数は54.3と、前月の55.2から低下した。投入価格は、サプライヤーによる価格引き上げや、人手不足による賃金上昇などを背景に、前月の56.0から58.5に上昇した。
販売価格も53.8と、前月の52.1から上昇した。
一方、総合雇用指数は53.7と、前月の51.4から上昇し、2年半ぶりの高水準となった。サービス部門の雇用が主に増加した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「1月は生産の伸びが若干鈍化したが、企業信頼感は持続していることから、この減速は一時的なものとなる公算が大きい」と述べた。
米ミシガン大消費者信頼感1月確報値は71.1、6カ月ぶり低下 | ロイター
米ミシガン大学が24日発表した1月の消費者信頼感指数の確報値は71.1と、前月の74.0から低下した。速報値の73.2から下方修正された。低下は6カ月ぶり。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は速報値から横ばいだった。労働市場を巡る懸念や、トランプ米大統領が表明している関税措置による物価上昇への懸念が背景にあるとみられる。
指数の低下は所得や年齢層を問わず広範囲にみられた。
消費者の1年先の期待インフレ率は3.3%と速報値から変わらず。前月は2.8%だった。
12カ月の期待インフレ率は、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)に先立つ2年間に見られた2.3─3.0%を上回った。
5年先の期待インフレ率は3.2%で、前月の3.0%から上昇した。速報値は3.3%だった。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は、消費者の約47%が向こう1年間で失業率が上昇すると予想していると指摘。その上で、「インフレの将来的な道筋に対する懸念は明らかであり、関税などの予想される政策に対する見方と整合している」と述べた。
米中古住宅販売、24年12月は2.2%増の424万戸 10カ月ぶり高水準 | ロイター
英総合PMI、1月は小幅上昇 物価圧力高まる | ロイター
ドイツ政府、25年経済成長予測を0.3%に引き下げ=経済専門紙 | ロイター
ユーロ圏総合PMI、1月は予想外に50超え 製造業縮小ペース鈍化 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた1月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は50.2と、2024年12月の49.6から上昇し、好不況の分かれ目となる50を小幅に上回った。
サービス部門が安定する中、製造業の縮小ペースが和らいだ。
ロイター調査では49.7と見込まれていた。
サービス業PMIは51.6から51.4に低下したものの、引き続き50を上回った。市場予想は51.5だった。
新規ビジネス指数は50.2から50.7に上昇した。
製造部門PMIは45.1から46.1に上昇。市場予想(45.3)以上に上向いた。
生産指数は依然として50を下回っているものの、44.3から46.8に急上昇し、8カ月ぶりの高水準となった。
製造業は原材料のコスト上昇に直面したが、販売価格は安定的に推移。投入価格指数は50.0から51.6へと5カ月ぶりの高水準に上昇した。
総合雇用指数は49.2から49.8に上昇。企業は小幅ながら人員削減を進めた。
オックスフォード・エコノミクスのレオ・バリンコウ氏は「ユーロ圏の総合PMIは12月の上昇に続き50.2に改善し、ユーロ圏の景気回復がようやく加速するかもしれないという期待が高まった」と述べた。
ただ、回復の度合いはまちまちで、ドイツの総合PMIは50を7カ月ぶりに上回ったが、フランスのサービス部門PMIは低下した。
仏サービス部門PMI、1月は48.9へ低下 需要低迷と政局不安で | ロイター
S&Pグローバルがまとめた1月のフランスのHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値は48.9と、前月の49.3から低下し、アナリスト予想(49.3)も下回った。需要の低迷と政局不安が逆風となっている。
一方、製造業PMIは12月の41.9から45.3に上昇し、市場予想の42.3を上回った。
製造業と非製造業を合わせた総合PMIは48.3と前月の47.5から上昇し、こちらも予想の47.7を上回った。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は、「2025年初めの仏経済は期待外れだった。この国を経済的にまひさせているのは、主に政治危機だ」と指摘した。
「次回の予算採決はバイル政権の運命だけでなく、この国の経済的安定も決定することになる」と述べた。
今後1年間の事業見通しはおおむね中立的で、やや楽観的だった前月から悪化した。
調査対象企業は2020年10月以来の速いペースで人員削減を行った。
●金融市場、先進国トピックス
国の債務超過、17年ぶり減少 23年度695.7兆円 - 日本経済新聞
【コラム】観光大国日本、賢い政策で国民に利益還元を-リーディー - Bloomberg
●中東情勢
イスラエルがレバノンからの完全撤退を拒否、地域の懸念に火をつける|ARAB NEWS
イスラエル史の講義に覆面集団が乱入、学生1人を停学処分 米コロンビア大(1/2) - CNN.co.jp
サウジ閣僚、対米6000億ドル は投資と購買の総額と表明 | ロイター
●エマージング
中国・深センの主要港、連休控え混雑悪化 トランプ関税に懸念も | ロイター
世界最大級のコンテナ港である中国・深センの塩田港は今週、春節(旧正月)連休を控え、米国による対中関税も見込まれる中、貨物の積み込み・出荷作業が繁忙期を迎えている。
広東省の国際貿易の3分の1、中国の対米輸出の4分の1を扱う塩田港は22日、20─28日の1日当たりコンテナ処理枠を15%増やし、1万5000個にしたと発表した。
トラック運転手のリー・グオリャンさんは23日夜、積み荷を港のコンテナヤードに運ぶのに通常の4倍となる2時間かかった。
「連休前に工場が出荷を急ぐ中、港のコンテナ処理枠とコンテナヤードのスペースが限られていたために混雑が生じた」とロイターに語った。
リーさんはトランプ米政権の関税脅威が原因だと指摘。「もし関係がないのなら、なぜ工場は連休明けに出荷しないのか?」と疑問を呈した。
混雑の悪化により、今週はトラック輸送料が上昇。深センの物流ハブである福永から塩田港までが2500元(345ドル)を超え、以前の1000元から値上がりした。
塩田港のコンテナ積み降ろし料金が1000元以上加算される可能性もある。
中国の天然ガス輸入、今年増加へ 貿易戦争がリスク | ロイター
複数のエネルギーコンサルティング会社によると、中国の今年の天然ガス輸入は増加する見通し。液化天然ガス(LNG)の輸入は過去最高になると予測されている。
景気刺激策を受けて産業用ガスの需要が増える見通しだが、米中関係の緊張が重しになる可能性もある。
エネルギーコンサルティング会社3社の推定によると、今年の中国のLNGとパイプラインを通じた天然ガスの輸入は前年比約10%増の約2000億立方メートルとなる見通し。
ライスタッド・エネルギーによると、産業用ガスの需要が前年比で105億立方メートル増える見通し。中国の内需喚起策や不動産支援策を受けて、特に製鉄、セラミック、ガラス生産の分野で需要が増加するとみられている。
ただ、トランプ米大統領の下で米中の貿易紛争が激化すれば、製造業が打撃を受ける可能性があるという。
中国石油天然ガス集団(CNPC)は、今年の産業用ガス需要が「かなり急速に」伸びると予測。インフラ整備の加速や、電気自動車(EV)、リチウム電池、ソーラーパネルの製造拡大が背景という。
CNPCは今年の中国全体のガス需要を6.2%増の4485億立方メートルと予測。今後数年間の輸入依存度は45%近くで推移するとしており、輸入量はコンサルティング会社の予測と一致する。
<LNG輸入は過去最高に>
コンサルティング会社の予測によると、今年のLNG輸入は過去最高の7900万─8600万トンとなる見通し。新規の長期契約開始や新たな輸入ターミナルの稼働開始が背景。
税関のデータによると、昨年のLNG輸入は7665万トンと、過去3年間で最多だったが、2021年の水準を下回った。
米中関係の緊張で関税が導入されれば、米国からのLNG輸入が途絶える可能性があるほか、アジアのスポット価格上昇や中国の不動産危機長期化がLNG輸入を抑制する可能性もある。
中国地方政府、24年の土地売却収入は前年比16%減 | ロイター
中国財政収入、24年は1.3%増 税収減で伸び鈍化 | ロイター
中国当局、28日に始まる春節休暇中の消費に期待 雇用不安の声も | ロイター
中国の春節(旧正月)に伴う休暇は28日に始まり、2月4日まで続く。当局は消費を促して低迷する経済を活性化させようと、昨年と同様に連休期間を7日間から8日間に増やした。
ただ、長引く不動産不況や雇用不安で、人々の財布のひもは引き続き固そうだ。
東北部の故郷に戻るため北京の鉄道駅にいた営業職男性のリウさんは「お金を稼いだり、仕事を見つけたりするのがさらに困難になっている」と話し、景気と雇用に対する懸念が広がっているとの認識を示した。
当局は春節前後の40日間で延べ90億人が全国を移動し、昨年の84億人から増加すると見積もっている。
しかし、より多く稼ぐために帰郷を見送る人もいる。
北京のスポーツセンターで働く女性のニエさん(57)は「北京に残れば、4日間の給料が3倍になる。この機会を逃したくはない」と語った。
<映画や海外旅行は好調>
好調な分野もある。
映画チケット販売プラットフォーム「猫眼」のデータによると、23日までに前売り券の売り上げが4億元(5524万ドル)を超え、春節シーズンとしては過去最速の販売ペースとなった。
また、旅行代理店「チューナー」によると、同社のプラットフォームにおける海外へのフライトやホリデーパッケージの予約は昨年から倍増している。
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)のデータによると、最も人気のある目的地はアジアで、ベトナム、シンガポール、インドネシア向け航空券の発券量はいずれも50%以上増加。日本向けも58%増、香港向けはほぼ倍増という。
中国、今年のインフレ目標を引き下げか-デフレ圧力の現実に対応 - Bloomberg
中国ではほぼ全地域で今年のインフレ目標が引き下げられており、3月に開かれる全国人民代表大会(全人代)で国家目標をおよそ20年ぶりに3%を下回る水準に変更する可能性が高まっている。
中国経済がデフレ圧力からの脱却に苦戦する中、各地域の当局の間では高い物価目標の達成は不可能との認識が広がりつつある。2023年と24年のインフレ率はわずか0.2%にとどまった。
中国本土における31の一級行政区のうち、4区を除きすべてが今年のインフレ目標を2%程度とした。各区の政府が今月の会合後に発表した声明から分かった。前年は国家目標と同じ3%が大半を占めていた。
ゴールドマン・サックス・グループや国盛証券など中国証券会社のエコノミスト陣は、行政区レベルでの変更は、中央政府が同様のインフレ目標を発表する前触れの可能性が高いと指摘している。全人代後に発表される政策課題と、行政区の経済目標は密接に関連しているためだという。
中国は通常、インフレ目標を拘束力のある目標ではなく上限として扱っており、2004年以降は3%かそれ以上の目標を維持してきた。前回の見直しは新型コロナウイルスが大流行していた2020年で、3.5%に引き上げられた。
ING銀行(香港)のチーフエコノミスト(大中華圏担当)、リン・ソン氏は、新たな目標は当局が「目指す」レベルを示すものになるだろうと述べた。「成長目標とは異なり、インフレ目標を達成するために具体的な措置が講じられることはほぼない」と述べた。
それでも、長年の慣行を破ることは、一段と現実的な経済運営へのシフトを反映していると言えそうだ。
インフレ目標の変更により、実質成長率と物価上昇率の両方の目標と「一致する水準」に設定されてきた与信の伸びについても、目標の引き下げにつながるかもしれない。与信残高は昨年8%増加しており、これは成長と物価目標の合計に相当する。
アンドルー・ティルトン氏らゴールドマンのエコノミストは、中国が今年のインフレ目標を2%に設定しても、実質的に上限と見なすのであれば、「消費者物価指数(CPI)が1%を下回っている現状を踏まえると、市場への影響は軽微か、むしろマイナスになるだろう」とリポートで記述。 「3%から2%へのインフレ目標変更が上限ではなく、目標に向かうことを意味するのであれば、需要とインフレを押し上げるためのさらなる政策措置を意味する」と述べた。
アングル:節約志向強める中国Z世代、経済成長にリスク | ロイター
中国では、新型コロナ禍に始まり不動産危機によって深まった倹約志向が一段と強まっている。Z世代が政府の消費奨励策に背を向け、ますます貯蓄を増やしているのだ。
中国版インスタグラムの「小紅書」では、30歳未満の多くの若者がオフィスでのランチ代や買い物代を節約する方法について意見交換をしている。
インフルエンサーも、倹約をライフスタイルに取り入れるためのヒントを共有している。節約術に関する投稿は150万件を超え、閲覧数は1億3000万回を突破した。
「経済状況はかなり悪いと感じている。お金を稼ぐのはだれにとっても難しそうだから自分の財布は自分で守ることが重要だと思う」と語るのは、6カ月前に大学を卒業して電子商取引(EC)大手アリババに入社し、比較的高給を得ているアバ・スーさん(26)だ。
インターネット業界を「不安定」だと考えるスーさんは衝動買いを控え、月給の100倍に当たる200万元(4260万円)を貯金する長期計画を立てていると語った。
スマートフォン決済サービス「アリペイ(支付宝)」で人気のオンライン・マネーマーケット・ファンド「余額宝」のデータによると、2000年以降に生まれたユーザーは24年末時点で毎月平均20回預け入れを行っており、その数は5月から倍増した。
5月の数字自体、前年同月比で10%増えていた。また余額宝によると、5月に各人が口座に保有していた資金は前年同月比50%増の約3000元だった。
一部のエコノミストは、貯蓄傾向が根を張れば需要を空洞化させかねないと警告している。折しも政策当局は、国内総生産(GDP)の押し上げを国内消費に頼ろうとしているところだ。根強い悲観論は既に、自動車からタピオカミルクティーに至るまで消費者物価の下落を招いており、中国の長期的な潜在成長力にも打撃を及ぼすだろう。
この状況は、いわゆる「月光族」世代の浪費的な態度とは対照的だ。月光族とは1980年代から90年代生まれの世代を指す。
米ジョンズ・ホプキンス大学の政治経済学教授、ホーフン・フン氏によると、この世代は雇用機会の拡大、所得の増加、生活水準の向上しか経験せずに育っており、月給をその月に使い切ってしまうことで知られていた。

しかし新型コロナウイルスや景気後退、政府によるハイテク企業など民間セクターへの締め付けを経て、今日の若者は最悪の事態に備える必要があると実感していると、フン氏は語る。「楽観主義が失われるのは、1978年に改革解放政策が開始してから初めてのことだ」という。
<雇用の不安>
悲観論が広がる中、多くの若者は政府機関や国有企業などで「鉄飯碗(安定した雇用)」の仕事を求めている。スーさんは将来、公務員試験を受けるつもりだと語った。
16歳から24歳までの約1億人の失業率は過去2年間、高止まりしている。2023年6月には若年層の失業率が21.3%と過去最高を記録。これを受けて当局はデータの公表を停止して算出方法の「再評価」に乗り出し、調整を経て発表された昨年12月の同失業率は15.7%だった。
深セン市在住の高校英語教師、リリー・リーさん(26)は、9月に現在の職に就いたばかりだが、1万元を超える月給の80%を貯金し、洋服やコンサートチケットなど不要不急の支出を大幅に減らしている。
彼女は会社勤務を希望していたが、安定性を求めて学校の教師になった。2、3年後には別の仕事を探そうと考えているが、見つかるかどうかは分からないと語る。
人生を最大限に楽しむというミレニアル世代の哲学とは異なり、中国のZ世代は「実存的不安」を抱えており、その不安は同国の経済停滞とともに深まるばかりだ。
最近まで、Z世代は「躺平(寝そべり)」という言葉を使って「内巻」に見舞われた社会を嘆いていた。内巻とは、無意味な競争環境に閉じ込められて抜け出せなくなる状態を指す。
寝そべりという流行語は、敗北主義をたたえる「喪」文化や、人生に対する無関心な態度を指す「仏系(仏教系)」若者の登場を経て生まれた。
香港のナティクシスのシニアエコノミスト、ギャリー・ン氏は「『内巻』の傾向が続けば、企業は縮小する需要を奪い合って価格競争が激化し、ディスインフレが強まる可能性がある」とし、「このように消費が抑制されれば、中価格帯の製品やサービスが空洞化しかねない。中国の長期潜在成長率は鈍化するだろう」と予想した。
17日に発表された中国の2024年のGDP成長率は5.0%。しかし今後2年間で成長率は鈍化すると見込まれている。
●プロファイ、インフラ、自然災害
「メガ干ばつ」が世界中で発生、気候変動で長期化も-研究論文 - Bloomberg
深刻な干ばつがロサンゼルスの山火事を助長している。しかし、科学誌「サイエンス」に23日掲載された新しい研究論文で、気候変動により世界中で壊滅的な数年にわたる「メガ干ばつ」がさらに悪化するという警告が発せられている。
干ばつは相対的なもので、例えば雨の多いシアトルでの干ばつは、乾燥した気候のアリゾナ州フェニックスでは、異常なほど雨が多い時期と見なされ得る。しかし、干ばつは生態系を混乱させ、時には危険な形で住民らを脅かす。
スイス連邦森林・氷雪・景観研究所(WSL)の上級研究員で論文を執筆したディルク・ニコラウス・カルガー氏は、「それが今、カリフォルニアで起きていることだ」と指摘。「長い時間をかけて植生が乾燥し、火災の頻度が増え、家屋が焼失している。他の地域では農業に支障が出るだろう」と述べた。
カリフォルニア州の山火事は、降雨がほとんどない状態が8カ月続いた後に発生。気候変動により米西部では降水量が不安定になっているが、この論文は何年も続く干ばつについてグローバルな視点で考察。
研究のきっかけは、2010年に始まった干ばつに見舞われているチリに、カルガー氏と共同執筆者のオーストリア科学技術研究所教授フランチェスカ・ペリッチオッティ氏が滞在したことだった。
ペリッチオッティ氏は「生態系から農業まで、その影響は壊滅的だった」と説明。この干ばつにより、断続的な水の配給制限が実施され、首都サンティアゴなどでチリ経済の重要な一部である鉱業にも混乱が生じた。
21、22両年には、ロンドンに拠点を置くチリの多国籍企業アントファガスタが、干ばつにより生産量を削減せざるを得なくなったと発表。グーグルは昨年9月、水不足を理由に大規模なデータセンター建設計画を再考すると明らかにした。
同様のメガ干ばつに見舞われた可能性のある他の地域を特定するため、降水量と植生に関するデータと、干ばつがどの程度の地域に影響を与えたかを把握するために空間データも調べられた。
その結果、過去40年間でメガ干ばつは南極大陸を除く全ての大陸を襲っていたことが判明。モンゴルとオーストラリア南東部、米西部などで深刻な複数年にわたる干ばつが最も頻繁に発生していた。
研究対象の中で最も長期にわたった干ばつは、コンゴ東部の盆地で起き、10年間続いた。その範囲は149万4226平方キロメートルと、テキサス州の面積の約2倍に及んだ。
また、気候変動が長期干ばつに見舞われる地域の増加を促していることも分かった。メガ干ばつの拡大につれ、その被害も広がる。世界的に見ると、洪水よりも干ばつの方が5倍以上の人口を移動させる要因となっている。
世界銀行の分析によると、干ばつは低・中所得国において国内総生産(GDP)の0.5%余りを減少させている。地球温暖化が進むにつれ、この問題はさらに悪化する公算が大きい。
●その他
ロサンゼルス山火事、エンタメ産業に打撃 ロケ半減 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(24日)米国株反落、ドル下落 利回り低下 | ロイター
**為替市場**  
- ドルが下落し、ドル指数は週間で1.79%下落、1年以上ぶりの大幅安。  
- 人民元は1ドル=7.2363元と8週間ぶり高値を記録。  
- ユーロ/ドルは週間で2.18%高、7月以来の大幅な伸び。
**米国の経済・金融動向**  
- 経済指標の弱含みによりFRBの年内利下げ観測が強まる。  
- 来週のFOMCでは金利据え置き予想だが、3月利下げの可能性も注目される。
**株式市場**  
- S&P500種は1.74%高、ナスダックは1.65%高、ダウは2.15%高で2週連続上昇。  
- テスラ、マイクロソフト、エヌビディアなどハイテク株が下落。  
- ボーイングは赤字見通しで下落。
**商品市場**  
- 金先物はドル安を背景に上昇、1オンス=2778.90ドルと約3カ月ぶりの高値。  
- 原油先物は小幅反発、WTI原油3月物は1バレル=74.66ドル。
**背景**  
- トランプ米大統領が貿易合意への前向きな発言をしたことが影響。  
- 経済指標の低下や金利政策に関する不透明感が市場を揺るがしている。
欧州市場サマリー(24日) | ロイター
**ロンドン株式市場**  
- 市場は下落で終了。ポンド高の影響で輸出関連株が下落。  
- FTSE250指数は0.01%安。  
- シェル(-2.3%)、HSBC(-1.4%)が下落。一方、銅価格上昇によりアントファガスタ(+1.4%)、リオ・ティント(+0.8%)など資源株が上昇。  
- バーバリーは通期黒字見通しで9.9%高。ディアジオはギネスの分社化報道で4.2%高。  
**欧州株式市場**  
- 反落して取引終了。通信株(-2.8%)やエネルギー株(-0.98%)が下落要因。  
- 一方、バーバリー(+9.9%)やケリング(+4.5%)など高級ブランド株が上昇。STOXX欧州高級品株指数は1.24%高。  
- STOXX600指数は週間で1.23%上昇、5週連続の上昇。  
**ユーロ圏債券市場**  
- 国債利回りが上昇。ユーロ圏PMI速報値が50.2と景気回復を示唆。  
- ドイツ10年債利回りは一時2.569%に上昇後、終盤2.544%。  
- ECBの預金金利が2025年末に約2.1%になると市場は織り込み。  
- トランプ新大統領の関税政策発言には市場はほぼ無反応で、焦点は来週のECB理事会へ。

備忘録(2025/1/23
●海外企業決算
TIの業績見通し、半導体需要の低迷持続を示唆-株価下落 - Bloomberg
半導体メーカーの米テキサス・インスツルメンツ(TI)は23日、1-3月(第1四半期)の低調な業績見通しを示した。依然として緩慢な半導体需要と製造コストの増加が痛手となっていることを示唆した。
発表資料によると、1-3月期の売上高は37億4000万ドル(約5800億円)から40億6000万ドルになる見通し。1株利益は94セントから1.16ドルを見込む。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均は、売上高が38億6000万ドル、1株利益は1.17ドルだった。
電子機器業界の大部分は低迷から抜け出せておらず、TIの売上高は9四半期連続で減少した。製造費用も利益に影響を与えていると同社経営陣は説明した。
TIは売上高の大部分を産業用機器や車両のメーカーから得ており、同社の業績見通しは世界経済の多くの分野の先行指標となる。3カ月前に経営陣は、同社の最終市場の一部が在庫過剰から脱する兆しを見せていると述べていたが、一部投資家が期待していたほどの速さでは回復していない。
株価は決算発表を受けた時間外取引で一時約3%下落した。
ハビブ・イラン最高経営責任者(CEO)は23日のアナリスト向け電話会見で、産業需要は依然として鈍いと述べ、「工業オートメーションとエネルギーインフラはまだ底が見えない」と指摘。自動車部門では、中国での成長はこれまでほど強くなく、他地域で予想される低調さを相殺できないとの見方を示した。
期待外れの業績見通しとは対照的に、昨年10-12月(第4四半期)の業績はアナリスト予想を大きく上回った。売上高は1.7%減の40億1000万ドル(市場予想38億6000万ドル)で、1株利益は1.30ドル(同1.21ドル)だった。
アメリカン航空が決算受け下落 第1四半期の1株損益が予想外の赤字見通しに=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[TXN] テキサスインスツルメンツ 2024年12月通期は減収減益 売上高11%減156億ドル、営業益26%減54.6億ドル、配当5.26ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
ユニオン・パシフィックが決算受け上昇 まちまちな経済情勢も今年の見通し変わらず=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[UNP] ユニオンパシフィック 2024年12月通期は増収増益 売上高1%増242億ドル、営業益7%増97.1億ドル、配当5.28ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[NTRS] ノーザントラスト 2024年12月通期は増収最終増益 売上高22%増82.9億ドル、純利益87%増19.7億ドル、EPS9.77ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AAL] アメリカン航空 2024年12月通期は増収営業減益 売上高3%増542億ドル、営業益14%減26.1億ドル、EPS1.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ウニクレディトのアプローチは「敵対的」、コメルツ銀が批判 | ロイター
ボーイング売上高と損益低調、操業停止の影響色濃く-暫定決算 - Bloomberg
アマゾン、加ケベック州の全倉庫を閉鎖へ-労組結成阻止が狙いとの声 - Bloomberg
●日本企業
三菱自がホンダ・日産への合流見送りへ、東南ア拡大に集中-読売 - Bloomberg
●先進国政治動向
トランプ氏、FRBが自らの金利巡る発言聞くと期待 議長と協議検討 | ロイター
トランプ氏、プーチン氏と近く会談の意向 戦争終結望む | ロイター
トランプ氏、サウジに原油値下げ要求へ 1兆ドルの投資も要請 | ロイター
トランプ氏「関税避けたければ米で生産」、利下げも要求 ダボス会議演説 | ロイター
トランプ米大統領は23日、米連邦準備理事会(FRB)に金利引き下げを求め、自身の方が金融政策をよく理解していると主張した。
世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)にオンラインで参加し、「原油価格が下落している今、金利の即時引き下げを要求する。同様に、世界中で金利が引き下げられるべきだ」と発言した。
その後、ホワイトハウスで行われたイベントで「私は政策金利について彼らよりずっとよく理解している。その決定を主に任されている人物よりはるかによく理解しているのは確かだ」と述べた。FRBのパウエル議長に言及したとみられる。
新政権発足後初の会合となる28─29日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、利下げが見送られると広く予想されている。
政治から独立して金利を決定するFRBの政策について大統領が発言するのは極めて異例だが、トランプ氏は第1次政権でもFRBやパウエル議長をたびたび批判した。
<「関税避けたければ米で生産を」>
トランプ氏はダボス会議での演説で、世界が身構える関税計画について「米国で製品を製造すれば、地球上のどの国よりも低い税金が適用される」と言明。米国に製造拠点を設けるべきだと呼びかけた。
「米国で製品を製造しないのはあなた方の権利だが、関税を支払うことになる」とし、「関税により、経済の強化と債務返済に利用可能な何千億ドル、何兆ドルもの資金が財務省に流入する」と述べた。
また「過去72時間に世界が目撃したのは、まさに常識の革命だ」とし、自身が1期目に行った減税措置を延長するほか、規制緩和に着手し、米国を人工知能(AI)と仮想通貨のハブ(中心地)にすることに注力するとも表明した。
「米国は地球上どの国よりも大量の石油とガスを保有しており、われわれはそれを活用する。これにより事実上全ての商品やサービスのコストが削減され、米国は製造業の超大国になる」と述べた。
隣国カナダについては、米国はカナダの石油、ガス、自動車、木材を必要としていないとし、「米国の51番目の州になるべき」という考えを再表明。「われわれは他国からの敬意を要求する。カナダは長年、非常に扱いにくい相手だった」とも述べた。
サウジアラビアと石油輸出国機構(OPEC)に原油価格の引き下げを求める考えも示した
米FCC、大統領討論会の司会とハリス氏テレビ出演巡る苦情調査へ | ロイター
トランプ大統領、金利についてパウエル議長よりも自分の方が熟知 - Bloomberg
米国防長官指名のヘグセス氏、共和上院議員2人が反対の意向 - WSJ
マスク氏の政府効率化省、法律顧問が退任へ - WSJ
「マスク氏が嫌う相手」にトランプ大統領言及、巨額AIプロジェクト批判の発言めぐり - CNN.co.jp
トランプ氏、NATO加盟国は「国防費をGDP比5%に」 - CNN.co.jp
トランプ米大統領は23日、スイス・ダボスで開催されている世界経済フォーラム年次総会にオンライン出席し、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国は国防費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げるべきとの考えを改めて示した。
トランプ氏は「国外の平和と安定を取り戻すために我々は迅速に動いている」と述べ、NATOの全加盟国に国防費をGDP比5%に引き上げるよう求める考えを明らかにした。国防費の増加は数年前に実現されるべきだったとの見解も示した。
トランプ氏はNATOの目標はわずか2%で、自身の大統領1期目が始まるまで加盟国の多くは費用を払っていなかったと指摘。「当時、不足分は米国が負担していた」ため、加盟国も払うべきと主張し、払うようになったと述べた。
加盟国の大半はNATOが掲げるGDP比2%以上という目標を達成していないが、これはあくまでも「指針」であり、達成しない場合に請求や債務が発生することはなく、法的義務もない。実際、指針に伴う支払いは一切ない。
NATO加盟国の国防費については、オバマ元大統領やジョージ・W・ブッシュ元大統領もかつて不満を示していた。
トランプ氏、「バイデン捜査」を否定せず 就任後初のTVインタビュー - CNN.co.jp
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
米新規失業保険申請は6000件増、継続受給は約3年ぶり高水準 | ロイター
米労働省が23日発表した1月18日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比6000件増の22万3000件だった。エコノミスト予想は22万件だった。
増加幅はわずかにとどまり、雇用増が1月も堅調に続いていることが示された。これを受け、米連邦準備理事会(FRB)が1月30─31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを実施しないとの見方は強まった。
1月11日までの1週間の継続受給件数は4万6000件増の189万9000件と、2021年11月中旬以来、約3年ぶりの高水準となった。
全米を襲った記録的な寒波により、今後数週間は申請件数が一時的に増加する公算が大きい。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「カリフォルニア州の山火事の影響が若干の上振れ圧力となった可能性がある」と指摘。今後もその影響がさらにみられる可能性があるとした上で、「今週南部で発生した歴史的な暴風雪も押し上げ要因となるだろう」と述べた。
季節調整前の申請件数は6万8135件減の28万4222件となった。テキサス、オハイオ、ジョージア、ニューヨーク、ミズーリ、イリノイ、ペンシルベニア、サウスカロライナ、ケンタッキー、アイオワ、コネチカットの各州で大幅に減少した一方、カリフォルニア州で増加。ロサンゼルスの山火事が影響とみられる。
●金融市場、先進国トピックス
リスク増やす想定でないと理解=運用利回り引き上げ提案でGPIF理事長 | ロイター
生保で劣後債発行相次ぐ、日生は初のユーロ建て-新規制控え資本増強 - Bloomberg
劣勢不動産株に反発機運、市況良好と割安再評価-日銀利上げパス焦点 - Bloomberg
日本銀行の政策金利引き上げを契機に、日本株市場で過去1年近く劣勢を強いられた不動産株。投資家の間では、利上げパス(経路)や国内金利の最終到達点が今後はっきりと見えてくれば、良好なファンダメンタルズや投資指標から見た割安感が再評価され、一気に株価は反発するとの期待感が出ている。
オフィス仲介業者の三鬼商事によると、東京都心5区のオフィス空室率は昨年12月に4%まで低下し、約4年ぶりの低水準となった。平均賃料も11月まで10カ月連続で上昇するなど需給は良好だ。オフィスに加え、住宅の不動産価格指数も上昇している。
不動産市場は好調な半面、株式市場では国内の金融政策転換が有利子負債の多い不動産株の重しになってきた。日銀が17年ぶりの利上げに踏み切った2024年3月19日以降、市場全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)がほぼ横ばいとなっているのに対し、不動産業指数は10%安だ。金利上昇が収益にプラスに働く銀行業指数は21%高。
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは「今回の利上げの後は、金利上昇が持続的に大きくスピード感を持ってついていくというよりも、 少し小康的な状態になるだろう」と予測。金利が上がらないことで国内経済へのポジティブな影響が見込まれ、不動産株に「見直しが起こる可能性がある」と指摘した。
投資指標の割安感も不動産株の追い風になるかもしれない。TOPIX不動産業指数の株価純資産倍率(PBR)は1.19倍と、過去10年の平均1.33倍を下回っている。業績見通しも明るく、12カ月先の1株当たり利益(EPS)は直近で最低だった24年4月から12%増加した。
ロベコ香港のポートフォリオマネジャー、ケルビン・レオン氏は日本の不動産セクターをオーバーウエートにしている。主要都市のオフィス空室率が低下するなどファンダメンタルズは良好と判断しているが、「バリュエーションは逆の方向に向かっている」と言う。
ブルームバーグ・インテリジェンスの調査では、企業のオフィス拡張の動きから東京のオフィス賃料は25年に上昇が加速する可能性が高い。アナリストのパトリック・ウォン氏は、JR東京駅周辺で新しいオフィスビルを開発中の三井不動産や三菱地所などに有利に働くとの見方を示している。
とはいえ、さらなる金利上昇は投資家のセンチメント悪化につながる可能性があるとピクテ・アセット・マネジメントのシニア・インベストメント・マネジャー、シャニエル・ラムジー氏は警戒する。一方、日銀の追加利上げ後も日本の金利は海外の水準より低く、ファンダメンタルズの見通しは良好だとも指摘した。
実質金利がマイナスであるほか、産業用やオフィス用不動産に高い需要がある点を踏まえると、「日本の不動産セクターには長期的なストーリーがある」とラムジー氏は話している。
世界の海外旅行者、昨年は14億人超 コロナ前の水準に(1/2) - CNN.co.jp
●中東情勢
サウジ、対米投資6000億ドル拡大へ 皇太子がトランプ氏と電話会談 | ロイター
●エマージング
韓国GDP、第4四半期は+0.1% 政治危機が見通しに影 | ロイター
フィリピン中部沖でM5.8の地震、建物や道路損壊 負傷者なし | ロイター
メキシコ、米国から強制送還される人々の受け入れ施設立ち上げ | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
【北海道】新千歳空港で男性飛び降り死亡 ビル内吹き抜け - 日本経済新聞
●その他
世界最大の氷山「A23a」、南大西洋の島に衝突する恐れ(1/2) - CNN.co.jp
●市況(ChatGPTによる要約版)

備忘録(2025/1/22
●海外企業決算
J&J24年10〜12月17%減益 売上高増も有価証券関連益減 - 日本経済新聞
P&Gの24年10〜12月、34%増益 値上げせず販売数量増 - 日本経済新聞
アボット・ラボが決算 上振れ余地があるとの指摘=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
独アディダス、2024年は黒字転換 第4四半期好調で | ロイター
[TEL] TEコネクティビティ 1Q微増収減益 売上高微増38.3億ドル、営業益1%減6.90億ドル、EPS1.75ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ABT] アボットラボラトリーズ 2024年12月通期は増収増益 売上高5%増419億ドル、営業益5%増68.2億ドル、EPS7.64ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PG] P&G 2Q増収増益 売上高2%増218億ドル、営業益30%増57.4億ドル、EPS1.88ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TRV] トラベラーズ 2024年12月通期は増収最終増益 売上高12%増464億ドル、純利益67%増49.9億ドル、EPS21.47ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[JNJ] J&J 2024年12月通期は増収最終減益 売上高4%増888億ドル、純利益60%減140億ドル、EPS5.79ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
エアバス、経営状態は想定より良好 リスクも=CEO | ロイター
「反DEI」活動家、ゴールドマンとJPモルガン標的に - WSJ
●日本企業
みずほフィナンシャルグループ、4年後に純利益1兆円達成目指す - Bloomberg
村上世彰氏の長女ら、王子ホールディングス株5.14%を取得 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
焦点:トランプ米政権、結束した敵対勢力に直面 外交で新たな課題 | ロイター
トランプ米大統領は1期目に敵対国のロシアや北朝鮮と公然と友好関係を築く一方、中国やイランには個別に圧力をかける独自の外交を展開した。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後に米国の敵対勢力は結束を強めており、トランプ氏は1期目とは異なる課題に直面している。
20日に大統領に就任したトランプ氏は米軍を増強する一方で、ウクライナでの戦闘を終結させ、イランの核開発を抑制し、中国に対抗することを誓った。だが、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は「制約のないパートナーシップ」を築いており、中国はロシアに対してウクライナでの戦闘を維持するのに必要な経済支援をしている。
プーチン氏と習氏は21日、両国の戦略的パートナーシップのさらなる深化について話し合った。
一方でプーチン氏は、24年6月に北朝鮮と、今月17日にイランとそれぞれ包括的戦略パートナーシップ条約に署名した。
バイデン前大統領に指名されたニコラス・バーンズ駐中国大使が「神聖でない同盟」と呼んだ米国の敵対国4カ国のグループは、米国と同盟国にとって影響力の喪失につながるとアナリストは指摘している。
オバマ米政権で東アジア政策の責任者を務めた、米首都ワシントンのアジア・ソサエティー政策研究所のダニエル・ラッセル氏は「『ロシアと仲良くしたい』との願望を表明し、貿易で中国を封じ込めようとしているトランプ氏にとってのジレンマは、中ロの連携という制約ゆえにロシアは米国との関与にあまり意欲的でなくなると同時に、中国は米国の圧力による影響を受けにくくなることだ」と語った。
ロシアが欧米の厳しい制裁を乗り切ってこられたのは、中国によるロシア産石油の大量購入と、バイデン前政権がロシアの防衛産業基盤を支えていると指摘したデュアルユース製品(軍事、民事両方で利用可能な製品)の供給のためだ。
北朝鮮はロシアに対してウクライナ戦闘のための兵士と武器を供給し、核ミサイル計画を急速に進めている。専門家らは、イスラエルの攻撃によって弱体化したもののイランが核兵器製造に向けた取り組みを再開するのではないかと懸念している。
トランプ政権のメンバーもこうした課題を認めており、トランプ氏が安全保障補佐官に指名したマイク・ウォルツ氏は昨年11月のFOXニュースのインタビューで「中国はイランから小銭で石油を買っており、イランはそれを使ってロシアにミサイルや無人機を送り込み、それらがウクライナの極めて重要なインフラを攻撃している」と批判した。
国務長官に指名されたマルコ・ルビオ氏は先週の議会上院の承認公聴会で、中国について米国が直面する最大の脅威だと位置付け、ロシアとイラン、北朝鮮が「混乱と不安定 」の種をまいていると非難した。
<中国から引き離し>
アメリカン・エンタープライズ研究所のアジア担当シニアフェロー、ザック・クーパー氏は、トランプ政権が「中国から国々を引き離そうとするだろう」と分析。「彼らはロシア、北朝鮮、イランを中国から引き離したがっているようで、それはこれらの脅威が相互に関連していることを示唆するのではなく、区別することを意味している」とし、「北朝鮮との取引を進め、別の取引をロシアと進める可能性が最も高いように思える」と語った。
しかしながら、同盟関係にある国々を分割するのは簡単ではない。
オバマ米政権で通商代表を務め、現在はシンクタンクの外交問題評議会の会長を務めるマイケル・フロマン氏は、北朝鮮が米国と直接交渉するインセンティブが失われている可能性があると言及した。
トランプ氏は第1期在任中に北朝鮮と取引ができると考えていたものの、フロマン氏は北朝鮮がロシアと中国からより広範な支持を得ている今となっては米国と関与することに関心があるかどうかは不透明だと語った。
トランプ氏は1期目に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記と前例がなかった首脳会談を実施し、仲の良さをアピールした。トランプ政権は金氏との直接会談の可能性について再び議論している。
一方、4カ国の関係には亀裂が生じ始めているようだ。
バイデン政権下で国連次席大使を務めたロバート・ウッド氏は、イランがロシアの支援を当てにできるかどうか疑問視し、その根拠としてイランの同盟相手だったシリアのアサド前大統領が追放される直前にロシアからの支援がなかったことを挙げた。
ウッド氏は「もしも私がイランで、ロシアがどのようにアサドを見捨てたのかを目撃したとしたら、非常に強い懸念を抱くだろう」と話した。
トランプ氏は、核開発、弾道ミサイル開発、地域活動についての交渉をイランに迫るためにイラン経済を破壊しようとした1期目の政策に戻る公算が大きい。
ウッド氏は、トランプ政権が米国の資産となっている同盟関係の強化に重点を置けば、こうした努力はより容易になるだろうと指摘。中国とロシア、イラン、北朝鮮を指して「米国が単独でこれら全てを相手にすることはできないため、わが国が持っている一種の同盟を持ち、頼れることが極めて重要だ」との見解を示した。
トランプ氏、多様性政策撤廃の動き加速 民間部門の調査警告 | ロイター
トランプ氏、バイデン氏直筆手紙の内容公開 伝統の就任はなむけ | ロイター
トランプ大統領、中国への10%関税を検討と表明-2月1日実施も視野 - Bloomberg
トランプ米大統領は21日、中国から合成オピオイドの一種フェンタニルが流入していることへの報復として、同国からの全ての輸入品に対する10%の関税賦課を引き続き検討していると語った。「恐らく2月1日を考えている」とし、来月にも実施の可能性があることも示唆した。
トランプ氏は2期目就任初日の20日、かねて表明していた対中関税を発表しなかったものの、21日の同氏の発言は同国が米国による関税賦課を逃れられない可能性を示唆した形だ。
トランプ氏はホワイトハウスのイベントで記者団に対し、中国からメキシコとカナダにフェンタニルが送られている事実に基づき、「中国への10%の関税について協議している」と話した。
また、トランプ氏は就任前の17日に行った中国の習近平国家主席との電話会談に関し、「関税に関してあまり話さなかった」とも述べた。
さらに、政権1期目に中国に大幅な関税を賦課して多額の関税収入を受け取ったとし、「私が大統領になるまで、中国は米国に10セントも支払うことがなかった」とコメントした。
トランプ氏の発言を受けて米ドルは他の主要通貨に対し上昇。アジア時間22日の取引でニュージーランド・ドルやオーストラリア・ドルが下落を主導し、円やオフショア人民元も下げた。中国の主要株価指数も低下した。
このほかトランプ氏は欧州連合(EU)に対しても批判の矛先を向けた。「他の国々も米国にひどいことをしており、中国だけでない」とし、「米国の対EU貿易収支は3500億ドル(約54兆5000億円)の赤字で、彼らはわれわれを非常に不当に扱っている。彼らは関税の対象になるだろう」と話した。
昨年の米大統領選でトランプ氏は、全ての国・地域からの輸入品に対する一律関税や最高60%の対中関税を公約。当選後には10%の対中追加関税やメキシコとカナダからの輸入品への25%の関税賦課の方針を表明していた。
トランプ氏は20日には、フェンタニルと不法移民がカナダから流入しているとして、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を2月1日までに賦課することを計画していると述べる一方、中国に対する関税を就任後直ちに発表することはなかった。
大統領はその代わりに、政権として世界における不公正貿易慣行に対処するとともに、中国政府がトランプ政権1期目に合意した第1段階の貿易合意を順守したかどうか調査するよう命じていた。
中国の丁薛祥副首相は21日、スイスのダボスで開催の世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、同国として「貿易黒字を求めているのではない」とし、輸入を拡大する方針を表明した。
ただ、トランプ氏がどのような法的権限に基づいて一連の関税賦課を命じることができるのかは不明だ。法律事務所ベーカー・アンド・マッケンジーは行政措置に関するリポートで、「トランプ政権の即座の行動が、直ちに新たな関税の賦課につながるわけではないが、大統領覚書は将来の関税措置やその他の措置の基礎を築くための、明確かつ計画的な取り組みを示している」との分析を示した。
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)のストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は最新の動向について、「意図的に不確実性を演出するトランプ政権の政策の一例だ」と述べ、「市場や貿易相手国・地域に疑念を抱かせ続けることはゲームの一部であり、不確実性とドルの安全資産買いを助長する」と指摘した。
一方、トランプ氏が10%の対中関税を引き続き検討中だとした発言を巡っては、多くの人々が懸念していたほど高率でなく、ややポジティブだと複数のアナリストは受け止めている。それでも、同氏の方針が固まっていない点を踏まえれば、市場のボラティリティーが高まる可能性があるとアナリストらはみている。
アバディーンの投資ディレクター、シンヤオ・ヌン氏は関税に関し、トランプ氏は動かないのではないかとの誤った印象が就任初日に広がった可能性があるが、同氏は行動するということを再確認する形になったと論評。「状況はこれから難しくなる一方だ」との見方を示した。
マスク氏、米政権で影響力強める-トランプ氏就任初日から鮮明 - Bloomberg
トランプ政権、「DEI」徹底排除へ-担当職員は22日から有給休暇 - Bloomberg
トランプ氏、カナダ・メキシコに貿易協定見直し迫る - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領はカナダとメキシコからの輸入品に高関税を課すことも辞さない姿勢を示し、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)について早ければ来週にも再交渉を開始するよう両国に圧力をかけている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
第1次トランプ政権下で、USMCAは北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな協定として策定された。2026年の見直しが条文で定められているが、トランプ氏はより早期の再交渉を望んでいるという。
トランプ氏の考えを知る関係者によると、同氏は特に、関税の脅しを利用してUSMCAの自動車を巡る規則を変更し、カナダとメキシコから米国に自動車工場を移転させることに焦点を当てている。ある自動車業界幹部によると、主要自動車メーカー各社は3カ国にまたがる「北米の自動車サプライチェーン(供給網)を破壊することなく」、トランプ氏の要求を満たす方法を特定することを急務としている。
関係者によると、トランプ氏はUSMCAの再交渉を商務長官に指名したハワード・ラトニック氏と、米通商代表部(USTR)代表に指名したジェミソン・グリア氏に任せる方針だ。
ホワイトハウスはコメントの要請に応じなかった。
カナダのジャスティン・トルドー首相は21日、同国は報復措置の用意があると述べ、「強固、迅速、適切、かつ非常に強力な」対応を約束した。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は定例記者会見で、冷静であることの重要性を説き、「常に対立は避けるべきだ」と主張した。
【オピニオン】米国例外主義が戻ってきた - WSJ
ドナルド・トランプ氏の2度目の政権に世界が身構える中で、多くの人が恐れ、一部の人が願っているのは、同氏の政権返り咲きによって米国の例外主義が終わりを迎えることだ。しかし筆者は真逆だと考える。彼の目覚ましい政治的復活は、米国の文化的な力の持続的な強さを示している。この強さによって米国は2世紀以上にわたり、ダイナミックな資本主義が必然的にもたらす混乱や混沌(こんとん)を他に例を見ないほど快く受け入れてきた。
トランプ氏の「MAGA(米国を再び偉大に)」連合は、世界の大部分で対立する二つのグループを少なくとも一時的に結集させている。一つは、アイデンティティーや、自分が属する社会の伝統的価値を守ろうとする怒れるポピュリストのグループ。もう一つは、規制緩和や、多くのブルーカラー労働者に取って代わる可能性が高い最先端技術の急速な展開を強く求める、企業家精神にあふれたハイテク業界の大物たちのグループだ。
自身の連合内のこうした対立勢力を結束させ続けるためには、トランプ氏の巧みなフットワークが必要だが、それは不可能ではない。米国のポピュリストは通常、欧州などのポピュリストよりも強く資本主義を支持している。また米国のハイテク業界の大物たちには、伝統的な業界や企業のリーダーほど、MAGA政策のポピュリスト的な要素に反対する理由がない。トランプ氏の支持層とハイテク分野の仲間が同じ意見を持つ問題は多くあり、意見が異なるものにおいても、多くの観察者が予想する以上に妥協の余地がある。
米国の主な組織を動かす既得権を持つ官僚や独善的な専門家階級に対してMAGA連合が抱く嫌悪感は、ハイテク業界の志向と非常にうまくかみ合う。米国のポピュリストが望む経済改革は、大企業の力を抑えるものよりも、大小問わず企業の活動を阻む官僚の力を抑えるものだ。トランプ氏を支持するブルーカラー労働者の多くは人工知能(AI)やその他の革命的な技術が雇用にもたらす影響を恐れ、不快に思うかもしれない。しかし大統領の支持者の大半は、技術によって多数の官僚や銀行員、弁護士が不要になれば喜ぶだろう。この支持層は、技術の規制を支持することもなければ、上位中間層の専門職の自動化を阻止するために独占禁止関連の訴訟を要求することもないだろう。
一方、産業保護主義や移民の制限など、企業の役員や経済学者が眉をひそめるようなMAGA政策の要素は、ハイテク業界リーダーらにとっては他の多くのビジネスマンが感じるほど大きな懸念材料ではない。ハイテク企業は、米小売りチェーン大手ウォルマートのような企業よりも関税や貿易障壁の影響を受けにくい。ハイテク業界が高度技術者向け「H1B」査証(ビザ)プログラムを強く擁護していることが一部のポピュリストを激怒させているが、ハイテク業界は他の多くの業界よりも低賃金の移民労働力への依存度がはるかに低い。全体的に見て、トランプ氏のハイテク分野の仲間が、自分たちに必要な技術を持つ移民の受け入れを継続しつつ、技能を持たない移民の制限と厳格な国境管理を支持するという妥協策は、実現可能に思われる。
生産のリショアリング(国内回帰)と労働力増加の抑制が行われることで、ハイテク業界には実質プラスとなる可能性がある。製造業者は、生産を担う従業員に米国水準の賃金を支払うことが必要になる中で、人員数を低く抑えるのを可能にする技術にこれまでより格段に多くの資金を投入するだろう。これは米国の経済全体および生産性にとって好材料だ。ハイテク業界にとってはさらに好都合である。
一方、技術革命が産業に次々と大きな変化をもたらす中でも、保護主義や移民、規制緩和がブルーカラーの労働需要を支えるだろう。これは重要なことだと思われる。ロボタクシー(自動運転タクシー)は既に米都市部の道路を走り始めている。全米運輸労組(チームスターズ)の組合員がトラック運転手として必要とされるのは、あとどれくらいだろうか。
米国の例外主義は、このように機能する。大半の西側諸国は依然、成長重視の政策に反対する環境保護勢力、維持不能な福祉国家の考えにしがみ付く不機嫌な社会主義者、ハイテク技術の影響を恐れる規制当局者に囲まれて、身動きが取れなくなっている。規制当局者は、世界を制覇する企業を育てることよりも、危険をもたらしかねない技術を阻止することに関心がある。米国のポピュリストたちは、米経済の変革を加速させる規制緩和を支持するという点では、ハイテク業界の大物たちと足並みをそろえている。
米国のポピュリズムには企業家精神を支持する流れが根強くある。かつて英国に反旗を翻した植民地住民は、他のさまざまな要求とともに、英国が押し付けようとした規制のない状態で事業を展開する自由を求めた。アンドリュー・ジャクソン大統領を支持したポピュリストたちは、中央計画体制の導入や米企業家のアニマルスピリッツの抑制を望むような、資本主義嫌いの社会主義者ではなかった。彼らは東海岸のエリートとその金融支配を嫌っていたが、その一方で、資本主義者のチャンスをつぶすのでなく、そうしたチャンスを巡る分権化と民主化を求めていた。
MAGAポピュリストとハイテク業界の大物たちの連合は不安定であり、その維持は骨の折れる作業になるだろう。第2次トランプ政権がどれほどの成功を収められるか予想するのは時期尚早だ。しかし筆者は今週ダボスの世界経済フォーラム(WEF)において、米国が意外な形で、見苦しいとさえ言える形で自己刷新する能力を過小評価すべきではないと警告するつもりだ。米経済で最もダイナミックで未来志向の要素のニーズに米国の政策を合わせる上で、MAGA運動とその新たな仲間であるハイテク業界の大物たちが持つ影響力は、多くの批判者が考えているよりも大きいかもしれない。
トランプ氏のミームコイン発行、暗号資産業界に動揺 - WSJ
グリーンランド鉱物資源、開発が容易でない理由 - WSJ
グリーンランドの荒涼とした広大な氷床の下には、スマートフォンや電気自動車(EV)、ジェット戦闘機「F35ライトニング2」などさまざまな製造物に使われる原材料が眠っている。なかにはその埋蔵量が世界最大規模とされるものもある。
だがそれを地中から取り出すのは至難の業だ。
ドナルド・トランプ米大統領は、米国の安全保障上の理由からグリーンランドが必要だと述べている。グリーンランドの魅力の一つは、レアアース(希土類)や金属などの鉱物資源だ。米国は現在、一部の重要な鉱物の供給を主に中国に依存しており、中国は貿易戦争でこれを武器にする可能性がある。
だが、グリーンランドは気候が厳しく海運には危険が伴い、インフラ整備と労働力も不十分であることから、ゴールドラッシュが約束されていながら長年手つかずのままだった。
地政学的競争の激化やレアアース元素の需要増、気候温暖化に伴い、グリーンランドの鉱業開発への期待が高まっている。ただ、大規模な採掘は数年先になると専門家や業界関係者は指摘する。
トロムソ大学教授でグリーンランド大学の非常勤講師も務めるマーク・ランテーン氏は「グリーンランドは、レアアース輸出における中国の甚大な影響力を打破したい向きにとって魅力が大きく高まっている。気候変動が一部の問題解決に寄与している」と述べた。
ランテーン氏は「だが全体的な状況は変わっていない。インフラと労働力の不足などで、採掘は非常に困難で高コストだ」と指摘。「威勢のいい計画は数多くあったが、実際の開発はほとんど進んでいない」と述べた。
トランプ氏は大統領選で勝利して以来、デンマークからグリーンランドの支配権を奪う考えを示しており、同国が応じない場合は関税を課すと脅している。最近では武力行使の可能性も排除していない。グリーンランド自治政府の関係者、および米国の同盟国で北大西洋条約機構(NATO)加盟国でもあるデンマークの政府関係者は、グリーンランドが米国の一部になるという考えを一蹴した。
一方でグリーンランド自治政府関係者は、鉱業などへの米国の投資拡大を歓迎している。グリーンランドは外交など一部の権限をデンマークに委ねているが、最近では独立機運が高まっている。
グリーンランドのムテ・エーエデ首相は13日、米国の一部になることは望んでいないと発言。一方、防衛分野で米国との協力深化を目指すとし、鉱業への米国の投資を歓迎する姿勢を示した。
アドバイザリー会社カヤ・パートナーズのグリーンランド担当責任者ミラ・クライスト氏は、鉱業に関して企業や投資家からの問い合わせが増えていると述べた。地政学的状況と気候変動が背景にあると同氏はみている。1年のうち凍結していない期間が長くなれば操業が容易になり、融氷で新たに鉱物資源が見つかる可能性もある。
現在グリーンランドで稼働している鉱山は2カ所のみで、いずれも重要な鉱物資源の採掘はしていない。承認済みの有効な鉱業権は約100件で、探査用が大半を占める。
とりわけ問題となるのは多額の初期費用だ。採鉱場は一から建設する必要があるが、グリーンランドは地形が険しく、フィヨルドが入り組み、氷床は厚さ1.6キロメートルに達することもある。集落を結ぶ道路はなく、浮氷があるため海上輸送は危険を伴う。人口は約5万7000人にすぎず、開発にはおそらく外国人労働者の受け入れが必要になる。
グリーンランドが近年ウラン採掘を禁止したことも、投資家の懸念材料となっている。
この地域をよく知る地球科学コンサルタントのフレミング・ゲトロイヤー・クリスティアンセン氏は「大げさな宣伝でこの場所の潜在性ばかり語られてきた」と話す。「トランプ氏の関心は、まさに関心を呼ぶかもしれないが、課題があることに変わりはない」
グリーンランド自治政府関係者は、資本誘致が難しいことを認めた上で、米国との協力がグリーンランドの潜在力を活用する一助になるとの見方を示した。この関係者によると、これまでに探査が承認されたのは氷に覆われていない部分の約7%にすぎず、「探査拡大の余地は十分にある」。
グリーンランド沿岸の岩だらけの丘陵地には、レアアースやグラファイト、銅、リチウムなどさまざまな資源が眠っている。グリーンテクノロジーや人工知能(AI)チップ、軍事技術にとって欠かせない鉱物だ。
米議会調査局の2013年の報告書によると、バージニア級潜水艦「SSN-774」は1隻で約4173キログラムのレアアース原材料を必要とし、ジェット機「F35ライトニング2」1機には約417キログラムが使われる。欧州連合(EU)執行機関の欧州委員会は、欧州の産業とグリーンへの移行にとって「戦略的に重要」な資源に分類した34種類のうち、25種類がグリーンランドにあるとしている。
中国はこうした原材料の多くの生産と輸出を握っている。米政府のデータとS&Pグローバル・モビリティーによると、米国は輸入しているレアアースの72%とグラファイト需要の40%余りを中国に依存している。
グリーンランドの豊かな鉱物資源を巡って画策しているのは米国だけではない。
EUは2023年にグリーンランドと戦略的パートナーシップを結び、重要鉱物資源の探査・採掘・処理への協力で合意した。中国は経済的プレゼンスを高めるため、グリーンランドの採掘事業に投資してきた。18年には米国防総省の働きかけで、中国からグリーンランドの空港3カ所への資金提供が阻止された。
「特に今は、グリーンランドのレアアース鉱床は米国にとって非常に大きな関心事だが、他の多くの国にとっても同様だ。中国が世界市場をほぼ独占しているためだ」。デンマーク王立防衛大学のマーク・ヤコブセン准教授はこう述べた。
一部の鉱山会社はリスクを取る価値があると考えている。米クリティカル・メタルズはグリーンランド南部のレアアース・プロジェクト「タンブリーズ」の支配権を持つ。22年に一部を購入し、24年に権益比率を引き上げた。
27年までにレアアース採掘を開始する計画だ。トニー・セージ最高経営責任者(CEO)によると、米政府と同事業への資金提供について協議しているほか、米防衛大手ロッキード・マーチンと供給契約の可能性を話し合っている。
トランプ氏発表の大型AI投資計画、マスク氏が実現性を公然と疑問視 - Bloomberg
トランプ政権、クリーンエネルギー支援縮小 まずは風力発電 - 日本経済新聞
米トランプ政権が発足直後から、脱炭素に向けたクリーンエネルギーに対する政府支援の縮小に動き出した。トランプ大統領は脱炭素支援に絡む支払い停止に加え、風力発電向けの公有地貸し出しの一時停止を大統領令で指示した。一方、液化天然ガス(LNG)や海底油田など化石燃料の利用は促進する「シナリオ通り」の展開だ。
トランプ氏、対ロ追加制裁を警告 ウクライナ合意なければ - WSJ
米国のドナルド・トランプ大統領は22日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナ戦争の終結に向けた合意に達しない場合、ロシアに対して追加制裁と高関税を課すことも辞さない姿勢を示した。
トランプ氏はソーシャルメディア(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に、「ディール(取引)で合意できない場合、ロシアが米国および他の参加国に販売するあらゆるものに高関税や制裁を科す以外、選択肢はない」と投稿した。
トランプ氏はウクライナ戦争終結に向けた米政府の取り組みとして、これまでで最も強力なメッセージを送った格好だ。ただ同時にロシアを傷つけたくないとも強調した。「私はロシアの人々を愛しており、常にプーチン大統領とは非常に良い関係を築いてきた」と書き込んだ。
ロシア政府は現時点でコメントの要請に応じていない。
独仏首脳が会談、トランプ関税にらみ結束アピール | ロイター
フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相が22日、トランプ米大統領による関税政策を巡りパリで会談した。結束をアピールする狙いとみられる。
カナダ、メキシコ、中国に高関税を課す方針を示したトランプ氏は21日、欧州の対米貿易黒字も問題視し「関税を課す可能性がある」と述べた。
マクロン氏とショルツ氏は声明で、「われわれの立場は明確だ。欧州は約4億5000万人の人口を抱える大経済圏であり、強く団結している。欧州は逃げ隠れはしない」と表明。困難を予想しつつも、欧州および仏独の連携は堅固だと述べた。
両首脳は、米国の関税の対象になる可能性がある鉄鋼、自動車、化学部門が欧州経済にとって極めて重要だとした。
複数の企業幹部やアナリストは、トランプ氏は大統領一期目に、交渉の材料として関税などの措置をちらつかせたものの、最終的に実行することなく終わったと指摘する。一方、米国民の強い支持と議会両院での過半数獲得によってトランプ氏が勢いづくのではないかと懸念する人もいる。
独仏両国首脳はともに政治的に弱体化している。マクロン氏は昨年の総選挙で敗れ、2024年だけでも4人の首相が交代する事態となった。ショルツ氏は、来月の総選挙を前に世論調査で対抗馬に後れを取っている。
さらに両首脳はこのところ、多くの問題で意見が異なり、欧州連合(EU)の意思決定の遅延につながっている。
●先進国中銀、金融当局
日銀は最終的に金利を1%に引き上げる-ティー・ロウが予想 - Bloomberg
日本銀行は最終的に政策金利を1%に引き上げ、日本国債利回りに上昇圧力がかかる可能性があると、ティー・ロウ・プライスが予想した。
債券部門最高投資責任者のアリフ・フセイン氏は「中期的に見て、日銀が政策金利を1%に近づけようとするだろうと考えてきた」とし、日銀は「賃金に関する協議によって幾らか背中を押されており、1%まで利上げする口実を与えられている」と語った。
フセイン氏は、イールドカーブのフラット化を見込むいわゆる「フラットニングトレード」を好んでいる。短期債の利回りが長期債の利回りよりも速く上昇した場合に利益を得られるポジションだ。
最近の市場の動きと日銀からのシグナルは、この賭けを裏付けるもので、スワップ市場は日銀が年内に2回の利上げを行う確率90%以上を織り込んでいる。
23、24両日の政策決定会合については、0.25ポイント利上げがほぼ確実視されている。日本の政策正常化に向けたさらなる一歩となる。
10年物日本国債利回りは、先週1.255%まで上昇し、2011年以来の高水準となった。日銀の政策金利は昨年の2回の利上げ後、現在0.25%。
フセイン氏は「日銀は自らのペースを維持するだろう」と述べ、「機会があれば、国内のデータがそれを裏付ける限り、必要とあらばもう少し速いペースで進むだろう」と付け加えた。
円の見通し
米国との金利差から、円は依然としてキャリー取引の調達通貨として好まれているが、世界的な衝撃が安全資産への逃避を誘発した場合、数年ぶりの水準まで円高が進む可能性があるとフセイン氏は指摘。「1ドル=120円や130円を除外するつもりはない」と述べた。
日銀がタカ派的な姿勢をとり、他の国・地域が金融緩和を進めるというシナリオは、円高を促す可能性が十分あるが、そのような水準まで円高が進むとすれば「恐らく質への逃避的な動きによるもの」になるだろうと付け加えた。
ドル・円相場が130円を下回れば2023年3月以来となる。
ECB総裁ら、緩やかな利下げに前向き 「トランプ関税」の影響警戒 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁ら理事会メンバーは22日、緩やかな利下げに前向きな姿勢を示した。ただトランプ米政権の発足を受け、関税発動が欧州経済に及ぼす影響に警戒感を示した。
ECBは昨年4回利下げしたが、短期金融市場は今年さらに4回の利下げをほぼ完全に織り込んでいる。
ラガルド総裁は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催されているスイスのダボスで、金利について「方向性は非常に明確だ」と述べ、「今後のペースはデータ次第だが、現段階で想定されるのは穏やかな動きだ」とCNBCに語った。
大幅利下げの可能性に関しては、ECBが2%のインフレ目標を下回ることは想定していないとし、慎重な姿勢をにじませた。「われわれが注目する興味深い現象が起こるだろう。例えば注目は為替レートで何らかの結果をもたらす及ぼす可能性がある」と述べ、エネルギーを含む輸入品価格を押し上げる可能性があるユーロ安の影響を注視する必要があると指摘した。
クノット・オランダ中銀総裁は、「心強いデータ」を踏まえ、今月と3月の利下げへの支持を示唆した。
クノット氏はブルームバーグTVに「私は今後2回の会合に関する市場の予想にかなり満足している」と述べ、それ以降についてコメントするのは時期尚早とした。
「データは心強いもので、年内に目標水準に戻り、経済もようやく若干の回復が期待できるという大まかな見通しを裏付けている」と述べた。しかし「中・長期的に作用するリスク要因」にも言及し、「(トランプ氏の貿易)政策が非常に多くの経路で世界経済や世界のインフレ見通しに影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁も、穏やかな動きを支持し、年内に中銀預金金利を2%へ向けて段階的に引き下げるとの見通しを示した。ただ、米国の大規模関税発動は経済成長へのリスクとなりECBが利下げペースを速める必要が生じる可能性もあるとギリシャ紙ナフテンポリキに語った。
エスクリバ・スペイン中銀総裁は、状況は予想通りだがECBはいかなる動きも事前に約束しないと述べた。ただその予想は今年の利下げを前提としており、エスクリバ氏も追加緩和に前向きであることを示唆する。
<中立金利>
一部ECB理事は政策金利が、景気を刺激も抑制もしない中立金利を下回る可能性を指摘している。
ラガルド総裁は、中立金利について、ECBが中立水準を正確に特定しようとしており、それは1.75─2.25%の間のどこかだと述べた。
クノット氏は、政策金利が中立金利を下回るという説に懐疑的で、「回復が進み、年半ばまでに目標に近づくとしても、刺激的なモードに踏み込む必要があるとはまだ思えない」と発言。「データがどこへ向かうべきかを教えてくれるだろう」と述べた。
ビルロワドガロー仏中銀総裁はダボス会議で、ECBはインフレ率を2%目標まで下げることを確信しており、3%の預金金利は急速に低下する可能性があるとした。
「(今年の)夏までに政策金利が2%前後になると予想するのは妥当なシナリオだ」とし、2%が自身が想定する中立金利だと述べた。
ECB、来週利下げの「可能性が最も高い」-スペイン中銀総裁 - Bloomberg
ECB金利、年末には2%付近に-ギリシャ中銀総裁が現地紙に語る - Bloomberg
スイス中銀、必要ならマイナス金利や為替介入の用意=総裁 | ロイター
米新政権の政策、欧州インフレへ大きな影響見込まず=仏中銀総裁 | ロイター
ECB、利下げ継続の見通し インフレ安定を確信=レーン専務理事 | ロイター
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
独自動車業界、トランプ政権の関税で米消費者負担増大と警告 | ロイター
ドイツの自動車業界は21日、トランプ米大統領が表明している輸入品への新たな関税は、結局のところ米国の消費者が購入する自動車の値上がりにつながると警告した。
ドイツ自動車工業会(VDA)のミュラー会長は年頭記者会見で、トランプ氏が示唆する関税は米国の物価を押し上げると主張。「トランプ氏は選挙戦で物価を下げると約束した。それとの関連でこの問題がさらに議論されるのを期待している」と語った。
トランプ氏は過去に、自動車メーカーが米国での生産を拡大するのを促す目的で関税導入をちらつかせてきた。
こうした中でフォルクスワーゲン(VW)は、トランプ政権が提案した関税が米国の消費者と世界中の自動車産業に及ぼす経済的な弊害について懸念していると表明した一方、米国で100億ドルを超える投資を計画していると強調。事情に詳しい2人の関係者は、VWが関税に関してトランプ政権と緊密に接触していることを明らかにした。
VWやメルセデス・ベンツ、BMWといったドイツメーカーはいずれも、米大統領選でトランプ氏が勝利した共和党系の州に工場があり、米国での生産に力を入れる意向を示してきた。
VDAのミュラー氏は、関税を巡る議論ではこうした状況を「考慮に入れなければならない」と強調。その上で「われわれは米国で、大量の雇用や成長と繁栄も生み出す機能的な生産ネットワークといった提供できるものを多く持っている。関税が発動されれば、具体的条件面でそれらにどう対応できるか考えなければならない」とくぎを刺した。
米国債累増を懸念、減税や金利上昇で持続不可能も=ダブルライン | ロイター
第2次トランプ米政権発足から2日目となる21日、債券投資を主体とする米資産運用会社ダブルラインのアナリスト、ライアン・キンメル氏はロイターのインタビューで、米国債が累増しかねず先行きは持続不可能のままだとの見方を示した。
減税措置や金利上昇が見込まれていることが要因で、超党派機関である米議会予算局(CBO)が17日に更新した今後10年間の財政赤字見通しは「非常に楽観的だ」と指摘した。
CBOによると、国内総生産(GDP)に対する債務残高比率は118.5%に達する見通し。昨年の10年予測の122%よりも低下していた。
また、CBOは10年物国債利回り(長期金利)などが来年から2035年まで4%を下回ると予測した。
キンメル氏は「現在、イールドカーブ全体が4%を超えている状況にあるが、特に景気見通しが明るく、金利上昇圧力が高まれば、そうした利回り水準の実現は難しいだろう」と述べた。
キンメル氏は、財政見通しの悪化が予想され、米国政府が国債増発を余儀なくされる可能性が高いことから、長期金利が上昇し続けると話した。
米株式相場は「ややインフレ」、JPモルガンのダイモン氏が指摘 - Bloomberg
JPモルガンのトップバンカーが欧州銀に助言、「規模を拡大せよ」 - Bloomberg
バークレイズCEOが期待、欧米でのディールメーキング活発に - Bloomberg
住宅再建か移転か、山火事被災者が迫られる難しい選択-ロサンゼルス - Bloomberg
米カリフォルニア州ロサンゼルス市近郊の山火事はようやく鎮火しつつあり、バス市長は復興の加速に向けた行政命令を既に出している。
しかし、地球温暖化の影響で同じような壊滅的な山火事が再発する可能性は高く、一部地域をなお居住可能と見なすべきかどうかを巡り、難しい問題が浮上している。
気候変動による深刻な打撃を受けた地域から住民を計画的に移動させる試みは、これまでも幾つか行われてきた。
こうした管理された退避、いわゆる「マネージド・リトリート」の対象となるのは海面上昇のリスクがある場合が一般的だが、米国のプログラムでは最近、アラスカ州やワシントン州での先住民の移住も含まれている。 
だが、ロサンゼルス郡など高リスク地域から、より安全な地域に住み替えるよう山火事の被災者を促す行政の取り組みはまだ始まったばかりだ。
カリフォルニア州は昨年、2018年および20年の山火事で被害を受けた住民の引っ越しを支援する最大35万ドル(約5500万円)の融資提供プログラムを始めたが、開始から数週間で予算を全て使い切った。
専門家は山火事について、海面上昇や河川の氾濫といったより予測可能な事象とは極めて異なるリスクをもたらすと警告している。
ブラウン大学のキャサリン・マコーネル氏とカリフォルニア大学ロサンゼルス校のリズ・コスロフ氏は昨年3月発表の研究論文で、「マネージド・リトリートは必ずしも火災リスクに対する適切な対応とは限らず、山火事に伴う移転の唯一の選択肢でもない」との見方を示した。
場合によっては、被災者がその土地にとどまる方がはるかに望ましいこともある。火災後の住民移転で空き家や空き地が増え、草木が生い茂った結果、火災がより起きやすくなり、さらに危険になりかねない。地中海地方の過疎化が進んだ一部地域では数年を経て、より深刻な山火事が発生している。
気候変動と米国人の移動に関する著書のあるジェイク・ビットル氏は、ロサンゼルス郡の人気の高さを理由に、今年の山火事後、住宅の大半が再建されるとの見通しを示した。
同氏の分析によると、米国民は、一段と深刻化する気象災害の影響を極めて受けやすい地域から離れるどころか、むしろそうした地域へと移り住んでいる。
ここ数年の間に被害額が過去最大級の気候災害に見舞われたフロリダ、テキサス、アリゾナ各州では人口が増加。こうした全米の移住トレンドもマネージド・リトリートをより困難にしている。
政府債リスク、「従来型の危機誘発」も-UBSのエルモッティCEO - Bloomberg
次の金融危機を予測するなら、不透明な市場リスクよりも高い政府債水準について政策当局者らは熟考するべきだと、スイスの銀行大手UBSグループのセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は述べた。
エルモッティ氏は22日に世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に登壇し、「まったく新しいことを考える上では革新的になり過ぎず、今の金融システムにおける債務水準についてもう少し慎重になるのが適切だと考えられる」と発言。高インフレと金利上昇というシナリオでは「債務コストが極端な重荷となり、非常に従来型の危機を誘発しかねない」と述べた。
エルモッティ氏は米地銀シリコンバレー銀行(SVB)でソーシャルメディアに端を発する取り付け騒動が起きた事例を挙げ、最近の危機は新しい現象がきっかけになっているが、政府債が金融システムに与え得るダメージは「過去の例からみて極めて重大だ」と述べた。
同じ公開討論に参加したクノット・オランダ中銀総裁は、過去には「公的債務のぜい弱性」が民間セクターと交差した際に金融の安定に影響を及ぼしたと指摘した。同総裁は金融安定理事会(FSB)の議長を務める。 
「潜在的な波及影響のほとんどは、依然としてノンバンクの分野だと考えている」とクノット氏。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期に見られた急激な現金シフトや、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの破綻を例に挙げた。
国際通貨基金(IMF)は昨年、世界の政府債残高が2024年末までに100兆ドル(約1京5612兆円)に達すると警告した。英国債市場では最近、債務水準が投資家を神経質にしている。米議会予算局(CBO)は米政府負債の対国内総生産(GDP)比水準が第2次世界大戦後に記録した過去最高を上回るとの見通しを示した。
ドルに「さらなる上昇の余地」-ブリッジウォーター共同CIO - Bloomberg
[FT]スペイン、非EU市民の不動産購入に100%の課税提案 - 日本経済新聞
●中東情勢
イエメンの紅海港湾、稼働率25%に イスラエルのフーシ派攻撃で | ロイター
イスラエル、債務残高の対GDP比率が69%に上昇 軍事費拡大で | ロイター
イラン副大統領、トランプ氏の「合理的行動」に期待 | ロイター
サウジ王子の投資会社、TikTok出資も マスク氏が買収なら | ロイター
●エマージング
中国、国有金融機関に年収上限設定 収入半減も=関係筋 | ロイター
中国の高級品売上高、昨年は最大20%減少 今年は横ばいか=報告書 | ロイター
コンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーが21日に公表した報告書によると、中国での高級品売上高は2024年に前年より18―20%減り、急拡大の時代に終止符が打たれた。
中国は世界の高級品市場の約3分の1を占めている。しかし、長引く不動産危機と雇用不安を背景に中国の消費者信頼感は落ち込んだままだ。
ベインの上海事務所のパートナー、ブルーノ・ランズ氏は「(昨年は)もちろん、期待が大きく裏切られた」とした上で、「しかし、われわれは25年にはもっと良くなると信じている。上半期は減少が続く見通しだが、下半期には回復して通年では横ばいになるだろう」と予想した。
報告書によると、昨年は海外での売り上げが中国国内の落ち込みを一部相殺した。高級品を購入する中国人は、為替レートで有利になる日本での購入を特に好んだ。それでも、世界全体で見ると中国人向けの高級品売上高は7%減少した。
特に、免税品の販売で知られる中国・海南島での売り上げは29%減と大打撃を受けた。為替上有利な他の免税地域を買い物客が選んだのに加え、アリババ・グループ・ホールディング(9988.HK), opens new tab傘下の仮想商店街「天猫(Tモール)」や「TikTok(ティックトック)」の中国版「抖音(ドウイン)」といったプラットフォームに価格競争力で負けた。
ランズ氏によると、中国政府が昨年後半に打ち出した景気刺激策の効果で昨年第4・四半期には高級品の売り上げがやや持ち直した。また、中国全体で見ると依然として高級品の購入慣行が浸透していないため、長期的な見通しは明るいかもしれないと指摘した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
洋上風力関連株が軒並み下落、トランプ氏の土地貸与停止命令で | ロイター
21日の株式市場で、欧州の風力発電関連株が軒並み下落した。トランプ米大統領が就任初日の20日、洋上風力発電事業向けに連邦政府管理の土地貸与を停止する大統領令に署名したためだ。
洋上風力発電業界は、二酸化炭素(CO2)排出量削減の取り組みで多くの国から期待された重要な役割を十分に果たせていない。コスト増大や供給制約の問題、なかなか計画が進まないことなどが業界に痛手となり、プロジェクトの中止や延期が相次いでいる。
それでもバイデン前政権はグリーン投資促進政策を通じて洋上風力発電に支援の手を差し伸べてきたが、トランプ氏はこうした方針を一変させた。
この日最も下げきつかったのはデンマークのオーステッドで株価は17%下落。完成すれば米国最大の洋上風力発電施設になると予想されている「サンライズ・ウインド」プロジェクトのコスト増大と計画の遅れが主な理由だった。
アナリストの1人は「オーステッドは現在米国で価値のなくなっている幾つかの資産を保有している。トランプ氏のせいで何も建設されない場合でも、売却もリース利用もできない」と指摘した。
その他の銘柄ではポルトガルのEDPレノバベイスが約1.6%、ドイツのRWEが約0.5%、ノルウェーのエクイノールが2.2%、風力タービン製造のベスタスが3%弱それぞれ値下がりした。
イタリアのプリズミアンは21日、洋上風力発電施設向けのケーブルを製造する米国工場の建設計画を取りやめると発表。前日過去最高値を更新したばかりの同社株価は一転して1%前後下落した。
米ロス北部で新たな山火事、延焼拡大で約1.8万人が避難 | ロイター
米カリフォルニア州消防当局によると、ロサンゼルスの北約80キロに位置するキャスティーク・レイク地区で22日に発生した山火事は急速に延焼が広がり、焼失面積は3407エーカー(5.3平方キロ)に拡大している。
キャスティーク地域に住む約1万8600人の住民が避難を余儀なくされているほか、米国森林局によると、ロサンゼルス市東部のサンガブリエル山脈にある70万エーカー(2800平方キロメートル)の公園全体が閉鎖された。
一方、今月7日に発生したロサンゼルス西部の高級住宅地パシフィックパリセーズ地区の火災の鎮火率は現時点で68%、東部イートン地区の鎮火率は91%となっている。
JPモルガン、データセンター開発に23億ドル融資-オラクルがリース - Bloomberg
米銀JPモルガン・チェースは、ブルー・アウル・キャピタルとそのパートナーらが所有するデータセンター開発に23億ドル(約3600億円)を融資する。
22日の発表資料によればこのデータセンターは、テキサス州アビリーンでブルー・アウルとクルーソー・エナジー・システムズ、プライマリー・デジタル・インフラストラクチャーによって開発が進められている。建設は昨年に開始した。事情に詳しい複数の関係者によれば、このプロジェクトは既にオラクルにリースされている。関係者らは、情報が非公開だとして匿名を条件に語った。
発表資料によれば、不動産会社ニューマーク・グループのチームが資金調達を担当した。
JPモルガンの広報担当はコメントを控えた。オラクルの担当者にもコメントを求めて連絡を取ったがこれまで返答は得られていない。またニューマークとブルー・アウルもコメントを避けた。
オラクルは今週、ソフトバンクグループとオープンAIと共に「スターゲート」合弁出資事業を通じた人工知能(AI)インフラへ1000億ドルの共同投資を明らかにした。オラクルのラリー・エリソン会長は21日、ホワイトハウスでの発表イベントで、プロジェクトの第1号はアビリーンで建設中だと明らかにした。
エリソン氏は「第1号はテキサスで建設中だ」としつつ、「現在のところ10棟のビルを建設中だが、今後は建設地を最初のアビリーン以外にも広げ、20棟に増やす」と語った。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(22日)米国株続伸、ドル一時2週間ぶり安値、国債利回り小幅上昇 | ロイター
**為替市場**  
ニューヨーク外為市場ではドルが一時2週間ぶりの安値を記録。トランプ大統領がEU製品への関税や中国製品への10%の追加関税を検討しているが、詳細発表の遅れが利益確定売りを誘発した。主要通貨に対するドル指数は一時下落したが、その後小幅回復。
**債券市場**  
米国債利回りは小幅上昇。投資家は新政権の関税や移民政策に慎重な姿勢を示し、大きなポジション構築を控えている。インフレ率が上昇傾向にあると見られ、利回り上昇が続く見込み。
**株式市場**  
米国株は続伸。S&P500指数が日中最高値を更新。ネットフリックスの好調な決算やトランプ大統領によるAI関連への大規模投資発表がテクノロジー株を押し上げた。一方で公益事業株は下落。
**金先物市場**  
金価格は新政権の政策不透明感を背景に安全資産としての需要が高まり続伸。ドルの動きにより一時的に割安感から買いが優勢となった。
**原油市場**  
原油価格は下落。トランプ大統領の関税政策やロシアへの制裁発言に対する不透明感が警戒感を呼び、売りが優勢となった。
欧州市場サマリー(22日) | ロイター
#### ロンドン株式市場
- **FTSE100指数**は取引時間中に一時最高値を更新したが、小幅安で終了。資源大手の下落が影響。  
- **FTSE250指数**も0.07%下落。トランプ大統領の関税措置発言は市場に大きな影響を与えていない。  
- **銅価格の下落**で資源関連株(グレンコア、リオ・ティント)が下落。  
- **ホックシールド・マイニング**は15.5%急落。  
- **イージージェット**は収益見通し引き下げを受け5.2%下落。  
- 英国財政赤字が予想を上回り、経済状況に懸念。
#### 欧州株式市場
- **STOXX欧州600指数**は続伸し、約4カ月ぶりの高値を記録。テクノロジー株と産業株がけん引。  
- **ネットフリックス**の好調な決算やユーロ圏債券利回りの低下が追い風。  
- **アディダス**が6.0%上昇、**シーメンス・エナジー**はAI投資計画への期待で6.5%上昇。  
- STOXX欧州600指数は年初来4.02%上昇し、S&P500を上回る成績。
#### ユーロ圏債券
- ドイツ10年債利回りは小幅上昇(2.493%)。イタリア10年債は横ばい。  
- ECBラガルド総裁は金利動向について「データ次第」とコメント。  
- スペインの10年国債発行に過去最高の需要(1550億ユーロ超)。

備忘録(2025/1/21
●海外企業決算
チャールズ・シュワブ上昇、予想上回る20%増収-過去最高の資金流入 - Bloomberg
金融サービス会社の米チャールズ・シュワブは、2024年10-12月(第4四半期)決算が市場予想を上回った。リテール証券事業への新規の資金流入が引き続き過去最高を更新した。
第4四半期の収入は前年同期比20%増の53億ドル(約8250億円)と、アナリスト予想平均の51億9000万ドルを上回った。1株当たり利益は1.01ドルで、同じく市場予想を超えた。24年通年では4%増収となり、同社が12月に示した3-3.5%増との見通しを上回った。
チャールズ・シュワブ株は21日のニューヨーク市場で一時、前営業日比8%余り上昇した。
25年1月1日付で最高経営責任者(CEO)に就任したリック・ワースター氏は「当社の投資ソリューションへの記録的な純資金流入が、24年第4四半期の収入押し上げに寄与した」と述べた。
シュワブは23年の米地銀危機時に業績が打撃を受け、24年を移行の年と位置付けていた。
顧客資産総額は10兆1000億ドルで、アナリスト予想の10兆1700億ドルをわずかに下回った。投資事業への純資金流入は通年で550億ドルと、過去最高を更新した。
ネットフリックス、第4四半期の新規会員1890万人 過去最高 | ロイター
[MMM] 3M 2024年12月通期は微減収黒字転換 売上高微減245億ドル、営業益48.2億ドル、EPS7.55ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KEY] キーコープ 2024年12月通期は減収最終赤字転落 売上高28%減45.7億ドル、最終赤字3.04億ドル、EPSマイナス0.32ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SCHW] チャールズシュワブ 2024年12月通期は増収最終増益 売上高4%増196億ドル、純利益18%増54.7億ドル、EPS2.99ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[COF] キャピタルワンファイナンシャル 2024年12月通期は増収最終減益 売上高6%増391億ドル、純利益3%減44.4億ドル、EPS11.59ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NFLX] ネットフリックス 2024年12月通期は増収増益 売上高16%増390億ドル、営業益50%増104億ドル、EPS19.83ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DHI] DRホートン 1Q減収最終減益 売上高2%減76.1億ドル、純利益11%減8.44億ドル、EPS2.61ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UAL] ユナイテッドエアラインズ 2024年12月通期は増収増益 売上高6%増570億ドル、営業益21%増50.9億ドル、EPS9.45ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
●日本企業
日産のリストラ策、生産部門で6700人削減 全体の7割超=報道 | ロイター
三菱ケミ「売却含めあらゆる選択肢念頭」、田辺三菱巡る報道受け | ロイター
旧村上系のシティ、古河機金株を大量保有 5.05% | ロイター
●先進国政治動向
トランプ大統領、メキシコとカナダに25%関税を計画-一律関税検討も - Bloomberg
トランプ大統領2期目、レガシーと復讐せめぎ合う-2つの演説が象徴 - Bloomberg
第47代米国大統領に就任した直後、ドナルド・トランプ氏は連邦議事堂のロタンダ(円形広間)で、インフレ、移民、エネルギーに関する政策声明と政治における良識の必要性を訴える堅苦しい就任演説を行った。
それからわずか1時間後、全く異なる姿を見せた。議事堂の下層階にある奴隷解放ホールで生き生きとした演説を行い、2020年の「不正選挙」を非難、ペロシ元下院議長を「極悪人」と呼び、チェイニー元下院議員を痛烈に批判した。
最初の演説ではバイデン前大統領が発令した恩赦や21年1月6日の連邦議事堂襲撃事件の暴徒について語るべきではないと助言者たちに言われたと明かした。
「ホールでの演説の方がロタンダで行った演説より良かったと思う」と大統領は述べた。
1期目のトランプ政権での対立が、体制派と「MAGA(米国を再び偉大に)」の忠実な支持者たちとの間のものだったとすれば、今回の2つの演説は、2期目における綱引きの様子を垣間見させてくれた。
レーガン元大統領のようなレガシー(歴史的に評価される遺産)の可能性を秘めた政策上の勝利を収めたいという新大統領の願いと、復讐(ふくしゅう)と自己正当化への渇望との間の綱引きだ。
その緊張は、20日に発表された一連の大統領令にも見て取れた。そこには「米国第一」の政策を復活させるだけでなく、それを最も純粋な形に凝縮しようとするトランプ氏の姿があった。
国境を巡る国家緊急事態宣言や移民申請手続きの一部廃止宣言など一部の措置は、8年前よりも権力の扱い方に精通した大統領としての統治に重点を置いていることを示唆している。
同時に、トランプ氏が「1月6日の人質」と呼ぶ支持者1500人に対して恩赦を与えることも発表。これは前回の選挙と暴徒への取り締まりに対するしっぺ返しのようなものだ。
この2つの衝動は、トランプ大統領2期目の最初の100日間、そして2期目全体に、根本的に異なる道筋を示すことになる。政策領域内でも、綱引きのような状況が見られる。
トランプ氏は一連の関税導入を公約しているが、20日には通商政策を推進するための措置を慎重にしか講じなかった。恐らくは最初から市場を混乱させることを避けようとする姿勢を反映したものだ。
しかしその後、トランプ氏は大統領執務室で「メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すことを検討している」と発言した。
政策協議に詳しい関係者によると、トランプ氏の側近や協力者は、トランプ氏のビジョンにおおむね賛同しているが、トランプ氏の2つの異なる本能をそれぞれ反映する派閥に分かれているという。
一方は、政策志向の大統領令と、政権が終了した後も政府にトランプ氏の足跡を残すような広範囲にわたる立法議題を優先するよう迫っている。
他方はトランプ氏を抑制と均衡から守る取り組みに固執しており、法的措置や弾劾を受けた同氏が復讐を果たすのに有利なポジションに立たせることを望んでいる。
トランプ氏の盟友や顧問らによると、元選挙スタッフの緊密なグループは政策の電撃的な展開を好んでいる。このグループには、史上初の女性首席補佐官に就任するスージー・ワイルズ氏、およびホワイトハウス内の一部の副補佐官や政策担当のトップ補佐官が含まれている。
ワイルズ氏は、トランプ氏の最初の政権で入れ替わり立ち替わり務めた4人の首席補佐官とは異なっている。トランプ政権1期目にはしばしば欠けていた規律とプロ意識をもって、24年の選挙キャンペーンを成功に導き、明確な信頼を得ている。
ワイルズ氏は共和党が上下両院の過半数を失う可能性がある26年中間選挙までの最初の2年間を、トランプ陣営は強い緊急性を持って取り組むつもりだと協力者らに伝えている。
トランプ氏の側近の間では、明言されないものの、政策に重点を置いた行動が共和党内でのレーガン元大統領のような地位を獲得する切符になるかもしれないということが暗示的に語られている。
保守派の旗手であるレーガン氏は、政治的には過小評価されていた元俳優であったことを踏まえると、トランプ氏がレーガン氏を模範とすることは自然なことだと見られている。
同時に、重罪犯として有罪判決を受けた人間として初めて米大統領となったトランプ氏は、抑制と均衡を妨げる人物を政府内に配置している。連邦捜査局(FBI)長官に指名されたカシュ・パテル氏などだ。同氏はFBIの独立性を低下させると予想されている。
トランプ氏は20日夜のキャピタル・ワン・アリーナでの演説で、復讐心に満ちた一面を見せ「法執行の武器化を阻止する」ために、「前政権下での政治的迫害に関するすべての記録を保存するよう、全ての連邦機関に指示する命令に署名する」と述べた。
また、連邦政府における一時的な新規採用凍結を発令すると述べ、DEI(多様性、公平性、包摂性)推進の取り組みを打ち切る大統領令に署名した。
大統領は、自分が袖をまくり仕事に取り掛かっていることを有権者に示すために、早い段階で一連の大統領令を発することが多い。全ての大統領令が訴訟を起こされた場合に耐え得るかどうかはまだ分からない。
しかし、20日に発令された大統領令は、その広範さ、迅速さ、野心的な内容において注目に値するものであり、新政権が行政権の行使をためらわないという明確な兆候だ。
プリンストン大学のジュリアン・ゼリザー教授(歴史学)は「トランプ氏の2期目における主要な点は、まさに大統領権限の行使だ」と言う。「これはトランプ氏が以前よりも大胆になっている分野だ。同氏は自分が断固とした態度を取れること、そして自分の政党が自分を保護してくれることを理解している」という。
実際、トランプ氏と側近たちは、あり得ないような復活劇を演じた後、自信を深めてホワイトハウスに入った。
わずか4年前、議事堂での暴動事件の後、トランプ氏は共和党の同盟者や米企業から見捨てられた。バイデン氏の就任式への出席を拒否し、ワシントンを騒然とさせたまま、数人の若い側近だけを連れてフロリダ州の私邸「マールアラーゴ」に戻った。
その後、徐々に支持者を引き戻し、主要な対立候補を打ち負かし、献金者の支持を取り戻した。重罪での有罪評決は、トランプ氏の出馬に対する有権者の熱意をそれほど損なうことはなく、暗殺未遂から生き延びたことで支持者たちの間には無敵の感覚が芽生えた。
「私はその時、そして今ではさらに強くそう感じているが、私の命は理由があって救われたのだ」と、トランプ氏は20日にロタンダで行った演説で述べた。「私は神によって救われ、米国を再び偉大な国にする」。
今、同氏はより緊密な補佐官グループを引き連れ、幅広い有権者連合の支援を得て、そして両院を自党が掌握する中で、ワシントンに戻ってきた。 就任式では、ジェフ・ベゾス氏、ティム・クック氏、そして親しい友人であるイーロン・マスク氏といったビジネスリーダーたちが、トランプ氏の家族や閣僚候補者たちと共に着席した。これは、米企業の同氏に対する姿勢がどれほど変化したかを示している。
トランプ氏が政治的に勝利を収めるための道筋が楽なものだとは限らない。共和党は連邦議会で多数派を占めるが議席数は極めて僅差であり、党内の争いが主要な法案の成立を妨げる恐れがある。
多くの有権者が経済を最優先事項として挙げた選挙の後、トランプ氏が主に敵対者を攻撃することにエネルギーを費やす場合、同氏の支持率がどうなるかは分からない。
より専門的で組織化されたアプローチをとった場合も、混乱と無秩序を巻き起こす可能性は常に存在する。
「この種の混乱、破壊、絶え間ない騒乱状態の統治は全く終わっていない」とゼリザー氏は付け加えた。「トランプ氏はこれら全てが関連していると認識していると思う。目まぐるしく周囲を振り回し、その後、自分の望む方向に進むだろう」。
トランプ大統領、政府を意のままに動かす決意 - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領の1期目は予想外の当選だったが、今回は征服者として戻ってきた。そして連邦議会議事堂の大理石の円形広間に立ち、権力層と産業界の巨人たちに囲まれ、自らの意のままに動かす決意をかつてないほど固めた政権のかじ取りを担うことになった。
宣誓を終えたばかりの第47代大統領は、挑戦的な就任演説で容赦なく批判の矢を放ち、目の前にいる「急進的で腐敗した既得権益層」が「われわれの社会の柱が壊れ、完全に修復不可能に見える中で、国民から権力と富を搾取してきた」と非難した。トランプ氏は広範囲に及ぶ破壊的な政策目標を示し、数十年に及ぶ停滞から米国を解放し、大きな野心を取り戻し、火星に米国旗を立てると宣言した。抑制的でありながら挑戦的な口調で、自身の不満を列挙しつつ、「怒りにあふれ暴力的で、全く予測不可能だった世界」を平和にすると約束した。
第2次トランプ時代の幕開けであり、雰囲気は著しく変化している。4年間の一般市民生活を経て、主役は年を取ったが闘争心は衰えていない。選挙での敗北と暗殺未遂事件を経て、むしろ大胆さを増している。しかし、米国がトランプショーのシーズン2に備える中、前回の就任宣誓から8年を経て、同氏を取り巻く世界は劇的に変化した。
議事堂の外では、40年ぶりに屋内で行われた就任式の間、冷たい空気の中で太陽が明るく輝いていた。リベラルな都市である首都ワシントンの通りや地下鉄は、トランプ氏のスローガンである「MAGA(米国を再び偉大に)」グッズを身につけた観光客が散見される程度で、閑散としていた。荘厳な円形広間には油絵が掛けられ、周囲の彫像が無言の過去の象徴として静かに見守る中、億万長者や外国の要人たちが新内閣のメンバーと交流していた。
民主党員にとって、ここは犯罪現場だ。4年前、トランプ氏の支持者たちが同氏を続投させるために暴力的かつ無駄な試みで汚した議場だ。ジョー・バイデン前大統領は退任間際に、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を調査した委員会のメンバーや証人、そして自身の家族に予防的な恩赦を与えた。
しかし、トランプ氏の敵対者たちはかつてないほど弱体化し、萎縮している。週末に行われた反トランプデモには数千人しか集まらず、2017年に全米各地で行われた、当時史上最大と言われたデモの影も形もなかった。
トランプ氏は彼らを屈服とまではいかなくても忍耐へと追い込んだ。また、同氏が得票数でも僅差で勝利したことで、民主党は国民からの厳しい批判に向き合わざるを得なくなった。バイデン氏とカマラ・ハリス前副大統領は、弱体化し、ほとんど存在感のないまま、民主党員からの非難の嵐の中、退任していく。
8年前、トランプ氏はバラク・オバマ氏から大統領職を引き継ぎ、第45代大統領に就任した。その際の演説では「わが国の景観に墓石のように散らばる、さびついた工場」を嘆き、「米国の危機的状況」を一変させると誓った。
トランプ氏は2017年、政界に地震のような衝撃を与えたが、古くからの正統的慣行にとらわれ続けている共和党、トランプ氏の意図を抑え込む官僚機構、民主党の容赦ない抵抗、大衆の反発の波などが、同氏の行く手を何度も阻んだ。2020年になると、トランプ氏の混沌(こんとん)とした統治が自身の命取りになり、致命的な新型コロナウイルス禍に見舞われた有権者が、安心感のある従来型の政治家を選ぶことで同氏をホワイトハウスから追い出した。トランプ氏はその結果を覆そうとしたが、結果は変わらなかった。
2021年にバイデン氏が就任演説を行った時、国民は依然として議会襲撃事件の衝撃から立ち直れずにいた。バイデン氏は寛容と団結を訴え、民主主義の貴さと脆弱(ぜいじゃく)さについて語った。しかし、その後の4年間は団結と正常化の約束を裏切り、代わりに分断を主にもたらした。
一方、トランプ氏は権力の座を離れた4年間、返り咲きを画策し、共和党を自らのイメージでつくり変え、法的な挑戦をかわしてきた。揺るぎない忠誠心を持つ運動の力を背景に、再び注目を集めるまで奮闘した。同氏が民主党員の検察官3人による攻撃を受けながらも、そうした運動はますます献身的になっていった。2016年のトランプ「候補」は保守的なキリスト教福音派の有権者から懐疑的に見られていたが、同氏は2024年には救世主的な存在とみなされるようになっていた。自身が判事任命を後押しした最高裁判所の助けを得て訴訟に勝利し、現職の大統領と副大統領という2人の民主党候補に打ち勝った。
トランプ氏が、自身に忠実であるが議会の過半数議席をかろうじて握る共和党の助けを借りて広範な政策目標を実行しようとする中、今後数カ月から数年を決定づける二つの大きな疑問がある。一つ目は、トランプ氏がそうした政策をどこまで大胆に進めるかだ。同氏は20日、不法移民の取り締まり、化石燃料の探査拡大、連邦官僚機構の再編、トランスジェンダーの性自認を認めないことなどに関する大統領令に署名し始めた。しかし、トランプ氏と同氏が任命した人々は、移民の強制送還や関税をどれほど迅速に実施できるかについて相反するシグナルを送っている。経済と社会が目先どれほど混乱するかは、これらの目標を段階的に追求するか、一気に推し進めるかによって決まるだろう。
二つ目の疑問は、トランプ氏には、労働者階級の支持を取り付けたポピュリスト的な公約をどこまで果たす決意があるのかだ。大統領1期目のトランプ氏は、伝統的な共和党員が強く懸念する構想について口先だけの支持にとどめる一方、彼らが望むことはほとんど行った。同氏は今回、より大きな信任と、よりトランプ色の強い副大統領・議会・内閣を得ているが、公約の全てを果たすためには、税金と歳出に関して旧来の保守派と対決しなければならないだろう。
準備原稿による就任演説の後、トランプ氏は別室に移動し、即興で30分にわたって敵対者に対する怒りの演説を繰り広げた。フロリダ州ネープルズ在住で、パン製造機械用の潤滑剤を販売する事業を営むクレイグ・ドーナーさん(58)は、その一言一言に興奮していた。「悪夢が終わるのを待ち望んでいた」と彼は言う。「移民問題に対処してほしい。しかし、正義も求めている。トランプ氏だけでなく多くの人々に対して政府を武器として使った人々の責任を追及してほしい。われわれのシステムを修正してほしい」
これはどう見ても大きな目標だが、トランプ氏は就任演説で、その挑戦に立ち向かう準備ができていると主張した。「多くの人々は、私がこのような歴史的政界復帰を果たすのは不可能だと思っていた」と同氏は述べた。「しかし、今日ご覧の通り、私はここにいる」
トランプ氏、カナダ・メキシコに25%関税 2月1日発動目指す - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は20日夜、カナダとメキシコが対象になる25%の関税について、2月1日に発動することを目指していると述べた。
同氏はその一方で連邦政府機関に対し、中国や北米の同盟国との貿易慣行や政策を分析するよう指示する計画となっている。
トランプ氏はまた、これ以外にも中国やその他の国を対象に関税を課すかもしれないと示唆。中国、ロシア、インドネシア、イランなどを含む新興国グループ「BRICS」加盟国には、少なくとも100%の関税を課すことも辞さない姿勢を示した。
【社説】トランプ氏就任演説が伝えた楽観主義 - WSJ
ドナルド・トランプ氏は、エイブラハム・リンカーン大統領の2期目のような就任演説をするつもりは毛頭なかった(そうした者はこれまで誰もいなかったが)。しかし、第45代米大統領を務め、いまは第47代大統領となったトランプ氏は20日、大半の米国民が歓迎するであろう希望と楽観主義のメッセージを伝えた。これが実際の計画を示しているなら、同氏は4年後に成功した大統領として退任する可能性がある。
トランプ氏は出席した要人たちに言及した後、「米国の黄金時代が今まさに始まる」と演説の冒頭で述べ、「この瞬間から米国の衰退は終わる」と強調した。
「米国民の大虐殺」という表現を使った2017年の就任演説とは、この上なく対照的だ。2017年の演説では、トランプ氏が大統領に選出されたことへの民主党とメディアの抵抗に対し、それと同じ暗いトーンで応じた。それがその後4年間の憎しみと分断の土台となった。今回の就任演説のトーンとメッセージは、米国が常に偉大であり続けてきたし、新たな試練に立ち向かう中でさらに偉大になるというものだった。この演説は、イーロン・マスク氏の影響が大きく、スティーブ・バノン氏的な要素が大幅に減り、すべてが良い方向に向かっていた。
これはドナルド・トランプ氏の大統領就任演説なので、前政権に関する不平不満が列挙されるのは必然だった。ジョー・バイデン前大統領とカマラ・ハリス氏に対するリップサービスを期待していた人がいたとしても、そうしたものは一つもなかった(4年前のトランプ氏とは異なり、バイデン、ハリス両氏が大統領選で敗れても姿を見せたことを評価したい)。
トランプ氏はいつもの誇張表現で、「何年もの間、急進的で腐敗したエスタブリッシュメント(支配層)が国民から権力と富を搾取してきた。米国社会の柱は崩壊し、見たところ完全な荒廃状態だ」と語った。
ただ、政府はかつてなく大きな存在になる一方、公共の安全と基本的サービスを提供するという政府本来の義務に関して米国民を失望させることがあまりにも多かった、とするトランプ氏の言い分は正しい。また、法廷に出された証拠で明らかになったように、バイデン政権はまた、権限を行使して、ソーシャルメディア上で批判する人々を抑え込んだ。こうした検閲体制が終わることは、今回の大統領選で得られた最良の結果の一つだ。
今回の就任演説はまた、米国の過去に存在した最高の要素と未来への希望を結び付けたことでも注目に値する。この二つを結び付けることは、米国の復活に不可欠だ。米国の文化的・政治的指導者たちは長年にわたり、米国社会には「体系的な人種差別」がはびこっていると述べ、米国は自由の理念ではなく奴隷を所有する欲望によって建国されたのであり、ほとんどの場合において世界中に破壊を広げていると国民に説いてきた。
トランプ氏はこれまでの米国を築いてきた「探検家、建国者、イノベーター、起業家と開拓者」を称賛した。同氏はまた、「人種差別をしない、能力主義の社会」という米国の中核的価値観を思い起こさせた。米国人は、より良い未来を形成するために、この国の根本的な良さ―—われわれが不人気な言葉を使えるのであれば、米国の例外主義―—を再び信じる必要がある。
トランプ氏の演説で恐らく最も重要だった部分は、政治的に動機付けられた訴追行為をやめるとの約束だった。彼は「国の強大な権力を武器にして政敵を訴追することは今後、絶対にない。私にはそれに関して多少のことを知っている。われわれはそれが起きることを容認しない。再び起きることはない。私のリーダーシップの下、われわれは憲法に従った、公正、公平で偏らない司法を復活させる」と述べた。
それはこれ以上ないほど明確な発言であり、バイデン時代と比較すると、新鮮に感じられる。選挙期間中たびたび訴えてきた言辞と違い、トランプ氏が本当にそうするのであれば、彼は政治的な行き詰まりに至るような報復の動きを回避することによって、この国と大統領としての自分を救うことになるだろう。
トランプ氏の今回の演説は、これまでの大半の大統領の就任演説と比べて、自身が最初に発出する大統領令の幾つかに大きな比重を置いたものになった。彼が何をやりたくて、それをどう実現すべきかについて、自身の1期目の政権時よりもよく分かっていることは明らかだ。彼は迅速に行動する必要がある。彼が再度大統領選に出馬するのは不可能だからだ。
しかし、警戒すべき点が一つある。それはトランプ氏が、国家非常事態を宣言すると述べたことだ。それも、一つではなく、二つの問題、すなわち国境警備(不法移民)問題とエネルギーについてだ。非常事態宣言によって彼は、行政権の行使と連邦政府のリソースの活用について、より大きな権限を手に入れる。しかし「エネルギー」の非常事態とは、一体何のことだろうか。
こうした宣言は、真の緊急事態のためにとっておくべきものだ。そして、トランプ氏がこの二つの優先課題に関する目標を達成する上で、こうした特別な権限は必要ではない。トランプ氏は、巨大な官僚機構の力の抑制を約束しているが、緊急事態宣言は、官僚機構の力を逆に強めることになる。「気候変動」に関する非常事態宣言を左派勢力がバイデン氏に求めていたことを思い起こすべきだ。
米国の民主主義は現在、脅威にさらされていると言われているが、20日の大統領就任演説が一つの指標になるとすれば、おそらく多くの人々が考えているほど深刻な状況ではない。対抗勢力は権力の移譲過程に敬意を表し、トランプ氏の支持者は厳粛さと同時に喜びを示した。第2次トランプ政権は、ほんの数カ月前にわれわれが予想していたよりも好ましいスタートを切ったのかもしれない。
日米豪印、クアッド外相会合 中国の対応念頭か | ロイター
トランプ氏、支持率47%で2期目開始 議事堂襲撃の恩赦は不評=調査 | ロイター
ロイター/イプソスの調査から、米ホワイトハウス返り咲きを果たしたトランプ大統領を国民の約47%が支持していることが分かった。米政治の二極化が改めて示された格好だ。
2017年の大統領1期目就任時の支持率である43%を上回った。トランプ氏の1期目の支持率は同年1月末までに49%に上昇したものの、21年1月の連邦議会議事堂襲撃事件を受けて34%に低下した。
今回の調査は米国の成人1077人を対象に、20日のトランプ氏就任から数時間後に実施された。
トランプ氏が就任直後に打ち出した一連の政策では、連邦議会議事堂襲撃事件で起訴された支持者約1600人に恩赦を与えたことについて「恩赦すべきでない」との回答は約58%となった。
一方、トランプ氏の移民問題の取り組みについては約46%が支持すると回答した。
トランプ氏は20日、不法移民の流入阻止に向け、国境関連の複数の大統領令に署名。南部国境における移民問題で国家非常事態も宣言し、犯罪組織をテロ組織に指定した。
デンマークに対してグリーンランドを売却するよう圧力をかけるべきだとの回答は16%にとどまった。
トランプ氏が掲げるスローガン「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」に多少は共感するとの回答は約38%だった。
バンダービルト大学の世論調査専門家ジョン・ギア氏は、トランプ氏は一般大衆よりも、最も熱心な支持者を満足させることに重点を置いているようだと指摘。2期目の大統領は国民の意見よりも自身の功績に重点を置くという慣例にトランプ氏も従っているとし、政権発足直後のハネムーン期間は恐らく短くなるから最大限に活用すべきだと述べた。
パナマ国連大使、トランプ氏の運河奪還巡り懸念表明=書簡 | ロイター
トランプ米大統領が20日の就任演説で、米国はパナマ運河を取り戻すとした発言について、パナマのアルファロ国連大使は国連に懸念を表明した。ロイターが21日付の書簡を確認した。
アルファロ国連大使は、国連憲章に基づき、各国は「いかなる国の領土保全や政治的独立に対する武力の威嚇や行使も、国際関係において控えなければならない」と指摘。同書簡は国連のグテレス事務総長に宛てられ、国連安全保障理事会(15カ国)に回覧された。
トランプ大統領は20日の就任演説で、太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河を「取り戻す」と表明。これに対しパナマのムリノ大統領はXへの投稿で、米国を含む世界貿易のために責任を持って運河を管理していると言明した。
トランプ氏、上下両院の共和党指導部と会談 政策推進へ - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は21日、議会の共和党指導部と会談し、自身の政策を推進する計画について協議した。 
同氏は前日、複数の大統領令に署名。2021年1月6日に発生した議会議事堂襲撃事件への関与で訴追された多くの人たちの有罪判決を無効とした。また、移民やエネルギー政策を見直し、世界貿易と課税の抜本的な変更に向けた基盤を築いている。
米議会では共和党が僅差で主導権を握る中、マイク・ジョンソン下院議長(共和、ルイジアナ州)とジョン・スーン上院院内総務(共和、サウスダコタ州)は、税制や国境に関するトランプ氏の包括的な計画を推進しようとする中、失敗の余地がほとんどない状況に置かれている。議員らとトランプ氏は、政権の優先事項を一つの法案にまとめるか、あるいは分割するかについてまだ合意に至っていない。
共和党の上下両院トップとの会談は21日にホワイトハウスで実施され、事情に詳しい関係者らによれば、同党の立法アジェンダに焦点とする話し合いになった。
一方でホワイトハウスは21日午後遅く、人工知能(AI)インフラ向けとして、オープンAI、ソフトバンク、オラクルの合弁事業が大規模な投資を行うと発表する予定。3社は「スターゲート」と呼ばれる合弁事業に1000億ドル(約15兆5000億円)を投じ、今後4年間で5000億ドルを投資する見込み。
関係者らによれば、スターゲートはテキサス州でのデータセンター関連のプロジェクトを皮切りに拡大していく予定。3社のトップ幹部は21日午後にホワイトハウスに集まる。この件については先に米CBSが報じていた。
トランプ氏は24日には、大統領就任後初の訪問先として、ハリケーン「ヘリーン」の影響が今も続くノースカロライナ州アシュビルを訪れる予定。事情に詳しい関係者らによれば同氏はその後、山火事の被害を受けたロサンゼルスにも向かう見込みとなっている。
トランプ政権は発足2日目となった21日も活発な動きを続けたが、ホワイトハウス内部では職員がまだ電子メールの設定や入館証の取得作業を行っていた。多くの職員は、殺風景なオフィスやデスクに引っ越しを始めたばかりの状況となっている。
トランプ氏本人は20日、就任式や祝賀会の合間にホワイトハウスを訪れたわずかな時間で、出生地主義に基づく市民権付与の廃止からジョー・バイデン前大統領の気候変動・多様性政策の撤回に至る数十の大統領令に署名した。
これらの大統領令が法廷での異議申し立てを越えて完全に発効すれば、米国の移民制度や経済に広範な変更を迫り、国内外に影響を及ぼすことになる。
メラニア夫人が大統領就任式の装いで伝えたメッセージとは - CNN.co.jp
●先進国中銀、金融当局
ECBは各会合で利下げの可能性-ビルロワドガロー仏中銀総裁 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)は当分の間、開催される会合のたびに利下げを行う可能性があると、政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁が述べた。
ビルロワドガロー氏は21日ダボスでブルームバーグテレビジョンに対し、トランプ米大統領の貿易関税の脅威にもかかわらず、インフレ率を2%に戻すというECBの仕事は順調に進んでいると説明。このため、現行3%の中銀預金金利は夏までに2%に下がる可能性があると述べた。
「昨年9月以来、成功裏に実施してきた各会合での利下げという行動を今後も続けていくという妥当なコンセンサスがある」と語った。
タカ派として知られるカジミール・スロバキア総裁も、来週の会合を皮切りに3回か4回の連続利下げは「実現可能性がある」と述べた。
新しいデータに対応できるよう柔軟性を持つ必要があると付け加えた。
ビルロワドガロー氏はまた、今サイクルでこれまで実施された0.25ポイント刻みを超える幅の利下げの可能性は低いとみている。
「このペースでの利下げを断固として行うことができるならば、今、利下げ幅を拡大する必要はない。それはまた別の議論となるだろう」と語った。
いわゆる中立金利以下に利下げすることについても、今すぐ議論する必要はないとの考えを示した。
欧州の銀行ストレステスト、今年は世界貿易の分断想定-EBA - Bloomberg
欧州の銀行ストレステスト(健全性審査)は今年、世界貿易の分断を想定したシナリオで行われる。欧州銀行監督機構(EBA)が20日、明らかにした。テストの結果が振るわなかった銀行は、株主への利益分配見直しを迫られる可能性がある。
EBAによると、欧州連合(EU)とノルウェーの銀行資産の約4分の3を対象としたこのテストでは、64行がエネルギー・商品価格の上昇やサプライチェーンの混乱、世界的な景気後退といったストレスをどう乗り切るか計画することが求められる。
戦争や貿易摩擦など地政学的リスクへの懸念が高まる中で、規制当局や監督機関は銀行側に衝撃耐久性を高めるよう促している。
EBAが想定するストレスは予測ではないものの、8月初旬に発表される結果は金融機関のリスク評価に寄与し得る。特に今年はトランプ米大統領が関税導入を図っており、隔年実施のこのテストへの注目度は高い。
ストレステストの「逆境シナリオ」では、失業率とインフレ率の上昇が想定されている。この条件の下でEUの実質域内総生産は3年間で6.3%縮小と、過去のテストよりも若干大きなマイナスとなる。
テストは合格・不合格という評価は下さないが、欧州中央銀行(ECB)などの規制当局はこの結果を基に各行の資本要件を個別に設定し、株主への利益分配を含む資金備蓄計画に対し、必要に応じ異議を申し立てることができる。
●先進国経済指標
独ZEW景気期待指数、1月は10.3 予想以上に低下 | ロイター
欧州経済センター(ZEW)が21日発表した1月のドイツ景気期待指数は10.3と、前月の15.7から予想以上に低下した。
ロイターがまとめたアナリスト予想は15.3だった。
ZEWのワムバッハ所長は「個人消費の減少と建設部門の需要低迷により、独経済は停滞が続いている」と指摘し、「こうした傾向が今年も続けば、ドイツはユーロ圏の他の国々にさらに遅れをとることになるだろう」と述べた。
ドイツでは2月23日に選挙が実施される。ワムバッハ所長は、連立協議の行方など政局の不透明感も指数を下押ししたと述べた。さらにトランプ新米政権の政策の不確実性も投資家心理を冷やしていると述べた。米国はドイツの主要貿易相手国で、2024年の対米貿易黒字は過去最高となる見込みだが、トランプ政権が懲罰的関税を発動すれば、状況が暗転する可能性がある。
現況指数はマイナス90.4と、前月のマイナス93.1から小幅上昇した。
英追加利下げ後押し、雇用者数が12月に大幅減-マイナスは2カ月連続 - Bloomberg
英国の雇用者は昨年12月に大幅な減少となり、イングランド銀行(英中央銀行)の利下げ継続を後押しする格好となった。労働党政権が最初の予算案で増税を打ち出して以降、同国の雇用は低調だ。
英政府統計局(ONS)が21日発表した税務記録を基にしたデータによると、給与支払い対象の雇用者数は12月に前月比4万7000人減少し、約1年ぶりの低水準に落ち込んだ。前月比での減少幅は新型コロナウイルスの感染対策による制限措置が取られていた2020年末以降で最も大きかった。
雇用者数の減少は2カ月連続。政府が示した雇用主に対する国民保険料の負担増が人員削減を招いているとの懸念を強めるものとなった。
リーブス財務相にとって労働市場の弱体化の兆しは頭痛の種だが、英中銀にとっては約2週間後に発表する金融政策判断での3回目の利下げに道筋を付けるとみられる。
ドイツ銀行の英チーフエコノミスト、サンジェイ・ラジャ氏は「労働市場の緩みは2月利下げの可能性を高めるだろう」と述べ、「需要低迷と人件費上昇が雇用に重しとなり始め、労働市場は疲弊の兆しを見せつつある」と指摘した。
また、ONSによれば賞与を除く賃金上昇率は11月までの3カ月で前年同期比5.6%増と、前月の5.2%増から伸びが加速。市場予想の5.5%増も上回った。
●金融市場、先進国トピックス
トランプ米政権の政策、銀行は影響を分析 混乱から利益との声も | ロイター
米大手銀行JPモルガン・チェースの幹部は21日、トランプ米政権の貿易や規制政策などの影響を分析するため、JPモルガンでは徹夜で検討が行われたと明らかにした。
JPモルガン・チェースの資産・ウェルスマネジメント部門責任者メアリー・キャラハン・エルドーズ氏は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)のパネルディスカッションで「この24時間は、われわれ全員が消化しなければならない多くの変化が起こることを示している」と語った。
トランプ米大統領は20日、前政権の80近い大統領令を撤回すると表明し、新たな規制を即時凍結するほか、連邦政府職員の採用凍結も実施する方針を示した。
エルドーズ氏は「JPモルガンは、これら一つひとつを分析・評価するための作戦会議室を設置し、徹夜で取り組んでいる」と述べた。「多くは非常に親ビジネス的な環境を実現するためのものだ」と指摘した。
英大手銀スタンダード・チャータードのビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)はダボス会議で、トランプ氏の新政権が落ち着くにつれて、世界の貿易の流れは「興味深い混乱」に見舞われると予想した。
「関税に関してどのような政策や影響が出てくるかはまだ分からないが、大規模な貿易黒字を抱える中国が主な対象であることは明らかだ」と述べた。
グローバルに事業を展開する大手銀行は、市場をつなぐ役割を担うことで混乱から利益を得ることも可能だろうが、地元に特化した銀行は苦戦を強いられるかもしれないと語った。
フランス、銀行団通じ約8カ月ぶりに国債発行-需要は過去最大 - Bloomberg
フランスが約8カ月ぶりに銀行団を通じて売り出した国債に、過去最大の需要が集まった。懸案の予算案通過に十分な政治的な支持を取り付けようと躍起になっているバイル内閣にとっては、励みになりそうだ。
この国債は2042年に償還予定の新発債で、発行予定額は100億ユーロ(約1兆6100億円)。ブルームバーグがまとめたデータによると、注文は1340億ユーロを超えた。発行利回りは同種の債券を8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る水準になりそうだと、匿名を要請した関係者が明らかにした。
フランスが銀行団を通じて前回発行したのは昨年5月で、マクロン大統領が議会の早期解散・総選挙を発表する1カ月足らず前だった。この総選挙後、同国は政治的な混乱に陥った。
バルニエ前内閣の崩壊を受けて誕生したバイル内閣は、議会の不信任決議案を乗り切り、今年の財政赤字を国内総生産(GDP)比5.4%と、前内閣よりも緩やかな縮小幅とする計画で欧州連合(EU)の支持も確保した。
注目されているリスク指標であるフランスとドイツの10年債利回り差は先週、昨年10月以降で最も大きく縮小した。21日は1bp縮小して77bp前後となっている。
銀行団を通じた国債発行は、入札方式よりも発行利回りが概して高くなる傾向にあるが、さまざまな投資家から大規模な資金を速やかに調達することができる。
●中東情勢
ガザ停戦、イスラエルの信用改善に寄与の可能性=主要格付け機関 | ロイター
イスラエルとイスラム組織ハマスのパレスチナ自治区ガザを巡る停戦合意を受け、イスラエルの財政リスクは緩和され、同国の信用格付けが改善する可能性がある。主要格付け機関が21日、明らかにした。
格付け会社フィッチは、停戦が順守されればイスラエルは2025年に期待を上回る財政・経済パフォーマンスを上げる公算が大きいと指摘。ムーディーズは、停戦合意により、紅海経由の船舶輸送を巡る混乱によるエネルギー価格や世界のサプライチェーン(供給網)への波及効果が生じるリスクが軽減されるとした。
また、フィッチとS&Pグローバルは、イスラエルの「ネガティブ」な格付け見通しには今後のエスカレーションリスクが織り込まれており、停戦が維持されれば信用見通しが変わる可能性があると示唆した。
ムーディーズは昨年9月、レバノンに拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラとの紛争拡大を理由に、イスラエルの格付けを「A2」から「Baa1」へ2段階引き下げ、見通しは「ネガティブ」に据え置いた。
トランプ新米政権、イスラエルとイランの紛争リスク高めず=サウジ外相 | ロイター
サウジアラビアのファイサル外相は21日、米国のトランプ新政権がイスラエルとイランの紛争リスクを高めることはないとの見解を示した。
ファイサル外相は世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で行った演説で、20日に就任したトランプ米大統領のイランに対する政策にイランが前向きに対応することを望んでいるとし、「イランとイスラエルの戦争だけでなく、中東地域のいかなる戦争も可能な限り回避しなければならない」と述べた。
その上で「トランプ大統領は戦争は望まないと明確に示している」とし、米新政権が戦争のリスクを高めるとは考えていないと語った。
また、週内にレバノンを訪問すると明らかにした。サウジ外相がレバノンを訪問するのは過去約10年で初めて。レバノンでは親イラン武装組織ヒズボラが強い影響力を持っていたため、サウジとレバノンの関係は薄かった。
●エマージング
香港の新世界発展、2兆円超の物件担保に借り換え目指す-関係者 - Bloomberg
香港の不動産開発大手、新世界発展は、融資借り換えの担保として150億米ドル(約2兆3200億円)相当の不動産を差し出した。香港の富豪、鄭家純氏の不動産帝国が直面している資金調達条件の厳しさが浮き彫りとなっている。
事情に詳しい関係者によると、新世界発展は2025、26両年に満期を迎える581億香港ドル(約1兆1600億円)の無担保ローンを借り換えるため、同社が持つ主要物件の一角を担保とする3年間の融資枠を提供するよう複数の銀行に要請している。
新世界発展の社債はここ数日で投げ売られ、一部は深刻なディストレスト水準に値下がり。無担保社債の保有者が確保し得る資産が減るのではとの懸念が広がった。
鄭家が経営する新世界発展は、香港のデベロッパーの中でも特に高い債務負担に耐える能力があるのか投資家から疑問視され、混乱に巻き込まれている。鄭氏は経営の安定化を目指しているものの、同社最高経営責任者(CEO)の交代が続いている。
非公開情報だとして匿名を条件に述べた関係者によれば、新世界発展は中環地区の「新世界大廈」や高級サービスアパートメント「K11 Artus」などの不動産を担保として提供し、借り換えを試みている。
新世界発展は20日、包括的な債務再編の協議には入っていないと発表。同社にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。
マージンローン
一方、UBSグループのウェルス部門は最近、新世界発展の一部社債・株式について、マージンローンの担保としての受け入れを停止した。事情に詳しい関係者が述べた。
シティグループおよびHSBCホールディングスのプライベートバンキング部門は数カ月前に同様の動きに出ていたという。
UBSとHSBC、シティの広報担当者はコメントを控えた。銀行はこうしたローン要件を定期的に見直している。
南アは格付けより改革に注力、投資適格級回復に2年前後=財務相 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
米南部に冬の嵐襲来、テキサス州で約4.5万戸停電 航空便に乱れ | ロイター
積雪が珍しい米メキシコ湾岸が21日、厳しい冬の嵐に見舞われている。南部ルイジアナ州ニューオリンズでは1895年の記録に並ぶ20センチもの積雪が予想されている。
電力網の追跡サイトPowerOutage.usによると、テキサス州南東部では約4万5000戸の家計や企業で停電が発生した。同州ヒューストンでは学校が休校となった。
また、気象庁によると、テキサス州南東部とルイジアナ州南西部には21日午後までに暴風雪警報が発令された。21日朝、同地域の空港発着の数百便が遅延や欠航に見舞われる事態となっている。
航空便追跡サービスサイトのFlightAware.comによると、ヒューストンのジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港では約960便の発着便が欠航となっている。
●その他
ポケモンカード、ピークの7割安 バブル去り遊びやすく 価格は語る - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(21日)米国株続伸、ドル乱高下、利回り低下 | ロイター
1. **為替市場**:
   - ニューヨーク外為市場ではドルが乱高下。
   - トランプ大統領が就任初日に関税を発動しなかったが、2月1日からメキシコとカナダへの25%関税を検討中。
   - ドル指数は序盤に上昇したが、終盤にはほぼ横ばいに。
2. **債券市場**:
   - トランプ大統領が関税措置を見送ったことを受け、米国債利回りが一時低下。
   - 政策に対する不確実性が市場を揺さぶっている。
3. **株式市場**:
   - 主要株価指数が続伸、安心感が広がる。
   - 小型株が大型株をアウトパフォームし、工業株が最大の上昇。
4. **金先物市場**:
   - トランプ氏の政策不透明感から安全資産需要が高まり金価格が反発。
   - 関税や移民政策によりインフレ懸念がある一方で、エネルギー政策は物価抑制要因と見られる。
5. **原油先物市場**:
   - トランプ大統領の原油増産表明を受けて3日続落。
   - 需給緩和観測や中東の地政学的リスク軽減が背景。
全体として、トランプ大統領の政策に対する市場の不確実性が影響を与えた動きとなった。
欧州市場サマリー(21日) | ロイター
**ロンドン株式市場**  
- **FTSE100種指数**:ポンド安の影響で一時最高値を更新。  
- **FTSE250種指数**:企業決算の堅調さから0.53%上昇。  
- 失業率は4.4%に小幅上昇し、ポンドは対ドルで下落。  
- 英中央銀行による利下げ観測が市場で強まっている。  
- 銀行株指数は0.81%高で、ロイズが4.0%、バークレイズが1.4%上昇。  
- プレミア・フーズは通期利益見通しが市場予想を上回り2.6%高。
**欧州株式市場**  
- 欧州株式は5営業日続伸。STOXX600種指数は3カ月ぶりの高値を記録。  
- **ヘルスケア株**:1.49%高で、ノボノルディスクが4.0%上昇。  
- **高級品株**:1.60%高で、バーバリーが4.4%上昇。  
- **自動車株**:関税懸念で下落(VW、ステランティス、BMWが0.8~1.8%下落)。  
**関税関連の動き**  
- トランプ大統領は就任直後の新関税導入を見送ったが、カナダ・メキシコからの輸入品に25%の関税を検討中。  
- 一部の政策は交渉戦術と見られるが、欧州の貿易や投資には不安材料。  
**ユーロ圏債券市場**  
- ドイツやイタリア国債利回りは小幅低下。  
- ECBが次回理事会で25bpの利下げを実施するとの見方が市場で織り込まれている。

備忘録(2025/1/20
●海外企業決算
●海外企業
●日本企業
明治安田生命保険5%賃上げ、営業職員は4年連続 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
トランプ氏、就任初日に関税発動見送りへ=報道 | ロイター
トランプ氏、就任演説で「常識の革命」呼びかけへ - WSJ
ドナルド・トランプ次期大統領は就任演説で「常識の革命」を呼びかける見通しだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が演説原稿を確認した。
「われわれは刺激的な、新たな国家的成功の時代の始まりにいる。私はそのような確信と楽観的な気持ちをもって大統領に復帰する。変革のうねりが国中を席巻している」とトランプ氏は演説で述べる見込みだ。「今日、米国民に伝えたいメッセージは、史上最も偉大な文明の勇気と力強さ、活力をもって再び行動する時が来たということだ」
2017年の1期目の就任演説では、トランプ氏は「米国の惨状」を嘆いたが、今回の演説はより楽観的になるよう考案されたと、同演説の起草に詳しい関係者は語る。ただし、トランプ氏は原稿を逸脱することで知られている。また、最も差し迫った国家的問題とその解決策を率直に述べると予想される。
トランプ・トレードの成功例と失敗例 - WSJ
ドナルド・トランプ氏の米大統領返り咲きに関連した投資で特に好調だったものを見ると、投資家は四つの展開を予想していることが分かる。移民規制の強化、新たな友人イーロン・マスク氏への恩恵、規制緩和、そして政府系住宅金融機関(GSE)である連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の株主への納税者からの資金移転だ。
トランプ氏が公約に掲げた減税と関税が小型株に恩恵をもたらすという当初の期待は薄れた。そうした施策がインフレを押し上げるとの見方が広がり、債券利回りとドル相場が上昇したためだ。
注目すべき「トランプ・トレード」、つまりトランプ次期大統領の政策に賭ける投資の中には、大統領選以降、非常に収益性の高いものが幾つかある一方で、成績が振るわないものもある。投資家は選挙結果への対応に苦慮しており、ウォール街が政治に度々手を焼かされていることが浮き彫りとなった。
成功例
・ファニーメイとフレディマック
パーセンテージで見ると、最も成功したのは、新政権がファニーメイとフレディマックを民営化するとの見方に賭けた取引だ。両社の優先株保有者は、民営化すれば労せずして数十億ドルの利益を得られると考えている。
店頭取引されているファニーメイとフレディマックの株価は、大統領選以降に3倍超となった。ヘッジファンド運用者のビル・アックマン氏が公然とこの取引を後押ししたことも追い風となった。ただし、先週は両社株とも急落し、2日間で時価総額の4分の1近くを失った。
・テスラ
ドル建てで見ると、株式市場で最も成功したトランプ・トレードは、ダントツで電気自動車(EV)大手テスラ株の買いだった。トランプ氏はEVを好まないかもしれないが、テスラの最高経営責任者(CEO)であるマスク氏との友好関係の芽生えが同社の株価を押し上げ、その時価総額は大統領選当日の取引終了時から5000億ドル(約78兆円)増えた。これはS&P500種指数構成銘柄全体の増加分の35%に相当する。
・民間刑務所運営会社
トランプ氏の公約に賭けた株式投資で最も成功したのは、移民収容施設を運営するコアシビックとGEOグループが、移民の強制送還増加による恩恵を受けると見込んだ取引だった。16日の取引終了時点でGEOの株価は2倍超となっていた。コアシビックは66%高で、テスラと同程度の上昇率だ。
・ビットコイン
暗号資産(仮想通貨)のビットコインはトランプ氏の公約を受けて急騰した。同氏は、暗号資産に対する証券取引委員会(SEC)の厳しい姿勢を撤回させ、規制を大幅に緩和し、政府としてビットコイン備蓄を構築すると主張していた。熱心な支持者はビットコインが準備通貨として扱われ、金と同じように備蓄対象となることに期待している。ビットコインと時価総額2位の仮想通貨イーサリアムは大統領選以降、いずれも約40%上昇している。
失敗例
・米経済の成長加速を見込んだ株式取引
こうした取引はそれほどうまくいっていない。債券利回りとドル相場は急上昇した。予想以上に根強いインフレと、関税や移民強制送還に対する懸念を背景に、米連邦準備制度理事会(FRB)が今年の利下げ予想を縮小したことに支えられた。ウォール街のアナリストはS&P500種企業の2025年の利益予想を若干引き下げており、同指数の上昇は再び一握りの大型ハイテク株がけん引している。
・小型株
小型株への投資は散々な結果となっている。小型株で構成されるラッセル2000指数は大統領選後の上昇分を全て失った。一方、S&P500種指数の構成銘柄の半数超は選挙後の騰落率がマイナスに沈んだ(1月16日の取引終了時点)。
・大手石油会社株
トランプ氏のスローガンの一つが「掘って掘って掘りまくれ」であるにもかかわらず、大手石油会社の株価は下落している。金価格も同様だ。欧州の防衛関連株の多くは現地通貨建てで好調に推移している。欧州諸国が自国用兵器の購入拡大を余儀なくされるとの見方が背景にある。だがドル建てで見ると、欧州の航空宇宙・防衛株で構成されるFTSE指数は横ばいだ。
・トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ
トランプ氏のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)の株価は過去2週間で20%上昇したが、大統領選から年末までは横ばいだった。赤字企業であるTMTGの株主が、トランプ氏のホワイトハウス入りから実際にどのように利益を得るのかは全く不透明だ。
TMTG株の買い手は一種の奇妙な期待に頼っている。つまり、米国の大統領が不振企業の大株主であるために、その企業に政府の資金・支援・契約が流れるよう画策するという期待だ。可能性はあるが、大統領にそのような行動を望む人は多くないだろう。
余談だが、これらのトランプ・トレードは投票日前から同氏の勝利を織り込んだ価格になっていたわけではない。大統領選以降に大きく上昇した銘柄はいずれも、選挙前の数カ月間はそれほど上昇していなかった。
今後はどうなるのだろうか。筆者が懸念するのは、特に成功したトランプ・トレードが目覚ましい上昇を見せた分だけ失望リスクも高まっていることだ。民主党支持者の多くは、トランプ氏とマスク氏は強烈な個性を持つため衝突は避けられないと予想しているが、2人の関係が良好なままでも投資家は損失を被る可能性がある。テスラは実際にこの友好関係からどのような恩恵を得られるのか。規制を緩和したり、法執行措置を終了したりすることは可能だが、それに5000億ドルの価値があるとは思えない。
トランプ氏が新しい友人を助けたいと考えたとしても、TMTGの株価に織り込まれている期待のように、そうした支援がマスク氏率いる非上場企業への政府契約を通じて行われた場合、テスラを通じて行われた場合よりも目立たないだろう。結局のところ、テスラの株価上昇の大半はマスク氏自身の利益にはならない。
同様に、ファニーメイとフレディマックの株主に税金を与えることは、トランプ氏が掲げる目標を一つも後押しするものではない。また、移民の強制送還が、GEOとコアシビックの株主が期待するほど迅速に、あるいは積極的に行われない場合、両社の株価は急落する可能性がある。楽観的な見方が株価に織り込まれていることを考えると、これは十分あり得るシナリオだ。移民の自主的な出国が増える可能性もあり、そうなれば移民収容の必要性も低下するだろう。
移民・関税・減税・規制に関するトランプ氏の政策を巡る臆測は、間もなく事実に取って代わられるだろう。そうすれば、同氏に関するどのトレードが的中し、どのトレードが外れたか(トランプ氏流に言えば「敗者になったか」)が分かるはずだ。
【社説】トランプ氏、2度目の機会を生かせるか - WSJ
ドナルド・トランプ氏は20日、2期目の大統領就任の宣誓を行い、ワシントンと全世界の現状を大きく変革することを約束する。現状を打破する必要があることは間違いないが、同氏がどのようにそれを行うのか、どこまで行うのかは謎のままだ。もっとも、その理由は8年前とは異なる。
2016年にトランプ氏はほとんど偶然に小差で勝利し、税制や医療、判事の任命など長年練られた政策課題を持つ共和党の議会多数派を受け継いだ。1期目の政策面での主な成果は、税制改革とエネルギー開発、判事の任命で、これらは共和党の伝統的な優先事項だった。しかし、関税や移民規制という自身の特徴的な政策課題に関しては、トランプ氏はあまり思い通りにできなかった。
***
今回、トランプ氏は主に自身の力で明確な勝利を収め、大統領執務室に戻る。議会の多数派を占める共和党は彼に忠実であり、下院では驚くべきことに共和党議員の3分の2が2016年以降に選出された人々だ。議会にはトランプ氏が選挙戦で訴えた以外の政策課題があまりない。
トランプ氏は8年前も民主党に立ち向かった。民主党は最初から彼を弾劾しないまでも、あらゆることに関して異議を唱える決意だった。今回はロシアとの共謀という話はない。前回「抵抗」に全力を挙げたマスメディアは自らの信頼性を大きく傷つけているため、トランプ氏にはメディアからの批判の大半を無視する余裕がある。
こうしてトランプ氏は、50%近い支持率と新たな政治的資本を得て2期目の政権をスタートさせる。大統領首席補佐官になるスーザン・ワイルズ氏は、政権移行作業とホワイトハウスの新たなスタッフに秩序を与えているように見える。2017年のトランプ政権の最初の半年間は、これとは対照的に、連日メディアへのリークが絶えず、思いつきのような大統領令が次々に出されていた。
これらはすべてトランプ氏に政治的余裕があることを意味するが、それは無制限ではない。トランプ氏の勝利は手堅いものではあったが、大勝ではなかった。国民の半数はなおトランプ氏を嫌っている。下院では共和党が過半数を占めているものの議席数の差は非常に小さく、数人の共和党議員が造反すればすべて台無しになる可能性がある。トランプ氏が有権者からの負託を越えるようなことをすれば、すぐに窮地に陥る恐れがある。
例えば、移民と国境警備だ。トランプ氏は不法移民の大量流入を食い止めることを公約しており、それは当面の優先事項になるだろう。犯罪者やトレン・デ・アラグア(ベネズエラがルーツの犯罪組織)などのギャングの追放に関しては、トランプ氏は支持を得られるだろう。
だが、トランプ氏は大量の強制送還も約束した。これが、バスボーイ(飲食店でテーブルの後片付けをする人)を夜中に強制捜索したり、母親を子どもから引き離したりすることを意味するなら、政治の風向きはすぐに変わりかねない。トランプ氏の最良の選択肢は、国境を管理しつつ、自身の政治的資本を使って合法移民と不法移民に関して議会と取引をまとめることだ。
一方、2026年に4兆ドル(約620兆円)の増税になるのを回避するために必要な税制法案はどうか。2017年の税制規定を延長するだけでも大変な作業になる。しかしトランプ氏は選挙期間中、ほかにもチップや社会保障給付、残業代への課税を撤廃し、何兆ドルもの減税を行うと訴えていた。
問題は、税制法案が経済成長ではなく所得再分配の手段になる恐れがあることだ。インフレこそがトランプ氏当選の最大の要因であり、新たに彼の支持者となった労働者層の実質賃金を引き上げる政策を実行できなければ、大統領として失敗に終わるだろう。トランプ氏はインフレを抑制し続ける連邦準備制度理事会(FRB)の取り組みを支援し、サプライサイドの税制および規制改革で成長を促す必要がある。
***
そこで問題になるのが関税だ。トランプ氏は関税について、恐らく「信仰」や「愛」を除いて「最も美しい言葉」だと述べている。関税は税金であり、税金は成長を抑制する。同氏は大統領就任1週目にも関税を課す計画だ。大規模で、すべての国々が対象になる可能性がある。
その関税と他国からの報復措置がもたらす影響は、経済成長に関する不確定要素だ。連邦議会は貿易に関する権限のかなり多くを大統領に移譲したため、関税政策を現実にチェックする唯一の場は金融市場になるかもしれない。今回は政策顧問が皆、何らかの関税措置を支持している。
トランプ氏は関税が万能な政治手段だとも考えている。このため、米国の同盟・友好国をどれほど混乱させたいのかという疑問が生じている。北大西洋条約機構(NATO)からの離脱は、少なくともすぐに実行することはないだろうが、欧州が自衛の費用の大半を負担することを求めるだろう。アジアの同盟国についても同様だ。
分からないのは、米国が西半球、中国がアジア太平洋、ロシアが欧州といった勢力圏が存在する世界をトランプ氏が信じているのかどうかだ。これは共和党の孤立主義支持派の論理であり、世界秩序の混沌(こんとん)とした再編につながりかねない。
われわれが最大のリスクと考えているのは、トランプ氏が外交上の取引自体を目的に敵対諸国に接近しようとすることだ。ウクライナ戦争は約束通りに1日で終わらせることはできない。しかしロシアを利する醜悪な取引をまとめたら、ジョー・バイデン大統領が決めたアフガニスタンからの米軍撤退のトランプ版になりかねない。トランプ氏は前回、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)氏に核開発問題での取引を持ち掛けて失敗したにもかかわらず、再び同様の取引を促そうとするだろう。イランに対しては就任当初は以前より強硬な姿勢を取るだろうが、イランの指導者らが望めば核合意を結ぶこともいとわないだろう。
最も重要なのは、中国の独裁者である習近平氏にトランプ氏がすり寄るかどうかだ。第1次トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたジョン・ボルトン氏の回顧録によると、トランプ大統領は当時、米国が台湾を防衛することは考えにくいと語ったという。習氏はそこから学ぶことができる。トランプ氏の対中関税への対抗措置として、中国は台湾を封鎖するかもしれない。あるいは、現在台湾が支配している中国近海の島々を奪い取るかもしれない。トランプ氏は戦争のリスクを避けるためにどう対応するのか。習氏に台湾を引き渡すのだろうか。
***
大統領選でのトランプ氏勝利の最も重要な側面は、ウォーク(人種差別など社会的不公正の問題に高い意識を持つこと)を支持する左派への拒絶反応だった。それは、新たな多数派を形成するまれな好機を共和党にもたらした。しかし米国民は変革のための変革は望んではいない。自分たちが享受できる広範な繁栄につながるなら、変革を支持するだろう。国民はまた、米連邦捜査局(FBI)や司法省を使って敵対者を攻撃させるような報復政治に夢中になることも望んでいない。
トランプ氏が国民の所得を増やすことより報復に力を注げば、2026年の中間選挙で民主党が大勝利を収め、28年には進歩派勢力が逆襲して権力の座を奪い返すだろう。大統領2期目という機会を決して無駄にしてはならない。
トランプ氏就任直前、インフレ見通し上昇=WSJ調査 - WSJ
エコノミストらは、ドナルド・トランプ次期米大統領が打ち出している関税引き上げや減税、移民制限の影響をモデル化し始めた。その結論は、インフレ率と金利が少なくとも今後2年間、大統領選前の予想よりも高くなる公算が大きいということだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の四半期調査に回答したエコノミスト73人による予想の平均によると、2025年12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.7%上昇すると予想されている。昨年10月時点の調査では、2.3%と予想されていた。
「トランプ政権が発足することで、インフレと金利のリスクは上向きになっている」。PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのチーフエコノミスト、オーガスティン・フォシャー氏はこう述べた。
最新の個人消費データに基づくと、このより高い予想インフレ率が丸1年続いた場合、平均的な世帯の負担は約600ドル(約9万4000円)増えることになる。
トランプ氏は2020年の大統領退任時よりも経済がかなり好調な中で、20日に再び大統領に就任する。国際通貨基金(IMF)は17日、米国の経済成長のペースは引き続き他の先進国を大きく上回っており、失業率は歴史的水準から見て依然低いと指摘した。
しかし、インフレ率はかなり低下してきたものの、4年前より高い。トランプ氏がホワイトハウスに復帰できた主な理由の一つは、物価高騰に対する国民の怒りだった。
トランプ氏は選挙期間中、石油掘削を増やすなどして物価を下げると繰り返し約束してきた。
1月10~14日に実施された今回のWSJ調査によると、エコノミストは2026年のインフレ予想も引き上げ、同年末時点のCPI上昇率が2.6%になるとの見方を示した。昨年10月時点では2.3%を予想していた。それでも昨年12月に記録した2.9%よりは低い。
トランプ氏が自らの経済公約をどれほど実現させられるかや、それが物価・雇用・経済成長にもたらす影響は依然不明だ。同氏は選挙期間中、中国に60%以上、他国に10~20%の関税を課すと話していた。11月下旬には、メキシコとカナダを対象に25%、中国に10%の追加関税を就任初日に課すと述べた。
WSJはエコノミスト調査で、トランプ氏が課す関税の予想を尋ねた。回答の平均値は、中国からの輸入品に対する関税は23ポイント、それ以外の国は6ポイント、全体で10ポイントの上昇だった。これにより今年第4四半期のCPIの上昇幅は0.5ポイント拡大するとの予想が示された。
「コロナ禍によって引き起こされた物価ショックの後のインフレが持続していることを踏まえると、関税を引き上げるには特に悪いタイミングだ」。コンサルタント会社RSM・USのチーフエコノミスト、ジョー・ブラスエラス氏はこう語った。
ただエコノミストの一部は、関税免除の可能性や、サプライチェーン(供給網)や輸送体制の再編によって関税回避を目指す輸入業者の取り組みが、こうした物価予想に大きな不確実性をもたらすとみている。今回の調査では、すべてのエコノミストが全調査項目に回答したわけではない。
前回の調査から経済見通しが変化した要因は、トランプ氏が大統領選でカマラ・ハリス副大統領に勝利したことだけではない。現在のインフレ率と経済成長率が昨年秋時点の予想より高くなっていることも一因だ。エコノミストらは昨年10月、2024年末のCPI上昇率が2.5%になると予想していたが、実際の上昇率は2.9%になった。昨年第4四半期の国内総生産(GDP)伸び率の現時点での予想値は前年同期比2.5%だが、10月時点では1.7%と予想されていた。今後12カ月間にリセッション(景気後退)に陥る確率は22%とみられている。これは2022年1月以来の低水準だ。
米連邦準備制度理事会(FRB)の政策立案者らも、こうした経済状況の変化と、トランプ氏の経済政策がもたらし得る影響の双方を考慮して、2025年のインフレ見通しを引き上げた。
根強いインフレを背景にFRBは2027年まで、従来予想されていたより高い水準に金利を維持する、とエコノミストらはみている。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の中間値(現在4.375%)は、昨年10月時点では平均で今年末に3.3%になると予想されていたが、現時点での予想は3.89%になっている。
10年物米国債利回りは2025年末時点で4.4%になるとエコノミストらは予想している。これは昨年10月に予想した3.7%を上回るが、今月17日午後時点の4.6%より低い。他のすべての条件が同じであれば、住宅ローン金利も同程度高くなる可能性が高い。
GDP予想は若干修正された。2025年のGDP伸び率の予想は2%で、昨年10月時点の予想(1.9%)から引き上げられた。2026年の見通しも2%で、これは10月時点の2.1%から引き下げられた。
トランプ氏の政策が経済成長見通しに及ぼす影響について、見方はまちまちだ。エコノミストらは、同氏の関税が2025年のGDP伸び率を0.2ポイント押し下げるとみている。
一般的に、関税は経済生産の足かせになりがちだ。それは関税が主要生産コストの上昇や可処分所得の減少に加え、貿易相手国の報復措置につながるからだ。報復措置は米国の輸出の減少を招くことが多い。移民を抑制し、強制送還措置を強化するというトランプ氏の計画は、労働力供給の妨げとなる可能性が高い。ただいずれも、その規模は極めて不透明だ。
その一方で、トランプ氏の計画の中には成長を促進し得るものもある。新規の減税と既存の減税の延長によって全体的に需要が押し上げられ、同氏が公約している規制緩和と相まって、労働や投資への意欲を高める可能性がある。WSJの調査に回答したエコノミストらは、こうした減税措置により今後10年間で財政赤字が4兆ドル拡大すると予想している。
2025年末の失業率についてのエコノミスト予想は4.3%と、昨年10月の予想とほぼ変わっていない。また今年第4四半期に就業者数が1カ月当たり12万1000人増加すると予想されており、これは10月の予想(13万9000人)を下回った。
トランプ氏側近、就任日に署名予定の大統領令について幹部議員に説明 - CNN.co.jp
トランプ次期米大統領は大統領就任の初日から、移民やエネルギー政策、連邦政府の運営に関する大統領令をただちに実行し、大統領選の選挙活動中に掲げた数多くの政策目標を実現したい意向だ。
トランプ氏は19日、「就任初日に約100件の大統領令を発令する」と公約した。その多くは、バイデン政権が実現した大統領令を撤回・廃止することを目的としている。
トランプ政権で政策担当次席補佐官に就任予定のスティーブン・ミラー氏は同日、共和党の幹部議員との電話会議でその一部を事前に説明した。
電話会議で情報の共有を受けた2人の情報筋によれば、会議は政策の詳細な説明ではなく、議員が見越しておくべきことの概要を伝える内容だったという。
ミラー氏は説明の中で、長期にわたり計画された包括的な移民政策の一部を明らかにした。これには国境での国家非常事態宣言を通じて国防総省の資金を確保する計画などがある。
また、トランプ氏は複数の麻薬カルテルを外国のテロ組織に指定し、1期目に実施した、通称「メキシコ待機」政策を復活させる指示を出す予定だ。
トランプ氏は、2021年にバイデン大統領が就任初日に撤回した1期目の一連の移民政策を再び実施するとみられる。
トランプ氏は、就任前夜となる19日の夕食会で支持者らを前に「就任から数時間以内に大統領令を数十件、正確には約100件署名する。その多くを明日の就任演説で説明するつもりだ」と語った。
また、「私の署名一つで、バイデン政権が実施した破壊的かつ急進的な命令や措置を取り消す。明日の今ごろにはそれらすべてが無効になっているだろう」と続けた。
これらの大統領令は直ちに法的な問題に直面する可能性が高い。
2期目の初日には、連邦政府とその運営も重要な焦点となる。ミラー氏が議員らに予告した措置の中には「スケジュールF」と呼ばれる大統領令が含まれる。これは連邦職員の雇用保護を削減または廃止するものだ。この命令は20年大統領選直前にトランプ氏が署名したが、バイデン氏によって撤回されている。
また、実業家のイーロン・マスク氏とビベック・ラマスワミ氏が率いる「政府効率化省」の役割と権限を公式に定める措置も予定されている。
ミラー氏は議員らに対し、連邦政府の「DEI(多様性・公平性・包摂性)」施策を撤回する大統領令が署名される予定であること、また、バイデン氏が署名したジェンダー関連の大統領令も取り消される予定であると明かした。
トランプ氏はさらに国内エネルギー生産や関連産業、許認可規制、関連産業の土地利用を対象とする多数の措置の一環として、エネルギーに関連する国家非常事態を宣言する見通しだという。
トランプ氏、連邦政府管理の土地貸与停止へ-大規模な風力発電向け - Bloomberg
トランプ米大統領は連邦政府が管理する土地について、「大規模な風力発電」向けの貸与停止を命じる。就任後に発表されたホワイトハウスのファクトシートで明らかになった。
米政府は風力発電を巡る連邦政府管理地・水域の貸与・許可に関し広範な権限を有するが、トランプ大統領の計画の対象範囲は今のところ不明。再生可能エネルギー推進派は、洋上風力発電に対するいかなる厳しい措置も、黎明(れいめい)期にある米産業をつぶし、東海岸の大規模クリーンエネルギー施設の設置計画を頓挫させる恐れがあると警告している。
この指令は、トランプ大統領が20日に発表を予定するエネルギー関連の行政措置の一つになる見通し。
「自然の景観を損ない、米国のエネルギー消費者に役立たない大規模な風力発電への貸与は、トランプ大統領のエネルギー政策によって終了する」と、ホワイトハウスはファクトシートで説明した。
洋上風力発電の開発業者は貸与中断に備えていたが、この発表はトランプ氏が自身の好まない産業を痛めつける措置をいかに迅速に講じる意向かを物語る。また、今後数年間に見込まれる電力需要急増への対応で洋上風力発電プロジェクトに頼るニューヨーク州やニュージャージー州などにとっては、長期の不確実性に見舞われる可能性が高まった。
トランプ氏、「パリ協定」離脱を表明 就任直後に文書発表 | ロイター
トランプ氏「黄金時代」誓う、不法移民対策など優先 米大統領就任 | ロイター
米国の第47代大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が米東部時間20日正午(日本時間21日未明)に就任した。首都ワシントンの連邦議会議事堂で行われた就任式での演説で不法移民の取り締まりなどを優先課題に挙げ、「米国の黄金時代が今始まる」と表明した。
トランプ氏は約30分に及んだ演説で「2025年1月20日は米国民にとって解放の日になる」と表明。昨年7月の自身に対する暗殺未遂を念頭に「米国を再び偉大にするため、私は神によって救われた」と述べた。
トランプ氏は20年大統領選を巡る起訴や有罪判決などを経て4年ぶりにホワイトハウスに復帰。「このような歴史的な政治的復活は不可能だと多くの人は考えていた」とし、「私は今、米国では何事も不可能ではないことの証としてここに立っている。不可能とされることこそ、われわれが最も得意とすることだ」と語った。
トランプ氏は自身を和平の実現者として印象づけようとすると同時に、他の国が犯罪者を米国に送り込んでいるという選挙活動中の主張を繰り返したほか、自身に対する訴追への不満も表明。バイデン前大統領も就任式に出席する中、移民対応から外交に至るまで前政権の政策を痛烈に批判した。
エネルギーに関する国家非常事態を即時宣言するとしたほか、「南部国境での国家非常事態を宣言する」と表明。「不法入国を即座に阻止し、何百万人もの外国人を送還する手続きを開始する」と述べた。
当局者によるとトランプ氏は直ちに、国境警備と移民問題に焦点を当てた10件の大統領令を含む一連の大統領令に署名する。
このほか、パナマ運河を取り戻すとしたほか、外国からの全ての歳入を徴収する「外国歳入庁」の創設も表明。メキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変更する考えを改めて示したほか、火星に米国の宇宙飛行士を送り込む構想にも触れた。
トランプ氏の就任式には多くのハイテク企業幹部が出席。米実業家イーロン・マスク氏のほか、アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏や、メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、閣僚候補者やトランプ氏の家族に近い壇上の目立つ席に着席した。
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
米地銀、商業用不動産リスク再燃も-長期金利上昇で損失拡大の恐れ - Bloomberg
米国債利回りが昨年後半から上昇傾向にあり、商業用不動産(CRE)のディストレスリスクが再び地銀のバランスシートを圧迫しつつある。
株式市場は借り入れコスト高騰に既に反応し、米10年国債利回りの上昇傾向が始まった後、中小銀行の株価は、昨年11月後半以降約8.2%下落した。コロナ禍の価値急落前にオフィスビルを購入した借り手のデフォルト(債務不履行)リスクも増大している。
金融安定に関するエール・プログラムのリサーチアソシエートディレクター、スティーブン・ケリー氏は「長期利回り上昇は、ベースケースの経済シナリオで銀行の収益性を高めるとはいえ、短期的には銀行システムを確かに脆弱(ぜいじゃく)にする」と指摘した。
コロンビア・ビジネススクールのトマシュ・ピスコルスキ教授(金融・不動産)は、借り入れコストのベンチマークが高止まりすれば、借り手は借り換えに苦労し、地銀はCREの損失拡大の恐れがあると分析する。
ピスコルスキ教授らの推計によると、米国のCRE向け融資3兆ドル(約468兆円)のうち約14%がアンダーウォーター(物件市場価値が融資の残債を下回る)状態で、オフィス用不動産では44%に上るという。
ビットコイン、トランプ氏の大統領就任後に上げ消す-最高値から反落 - Bloomberg
●中東情勢
イスラエル、極右の反発で連立崩壊の危機-ガザ停戦は2日目に - Bloomberg
イスラエルとイスラム主義組織ハマスのパレスチナ自治区ガザでの停戦は20日、2日目に入った。最初の人質と捕虜の交換後、数百台の支援物資輸送トラックが戦争で荒廃した地区への進入を許可された。今後の展開はなお不透明だ。
イスラエルでは、米国が支持する今回の合意について、極右の閣僚の1人が抗議の意思表示として自身の政党とも連立与党から離脱。ネタニヤフ政権は危機に立たされた。スモトリッチ財務相も、ハマスとの戦闘が6週間以内に再開されない場合には後に続くと表明し、そうなれば政権は少数与党内閣に転落する恐れがある。
ガザ地区で誰が220万人の住民を統治し、再建を監督するのかという問題は未解決のままだ。停戦が確認された後も、覆面と武器を身に着けたハマスの武装勢力は街に繰り出し、壊滅してはいないことを示そうとした。 一方、2007年にハマスによってガザ地区からは正式に追い出され、現在はヨルダン川西岸地区の一部を支配するパレスチナ自治政府は、統治を主張し、ブルドーザーを操作する同組織の映像を公開したり、銀行に業務再開を指示したりしている。
イスラエル当局は、欧州連合(EU)の代表や米国の民間警備会社とともに、パレスチナ自治政府が近くエジプトからガザ地区への境界で援助物資の通過管理に関与し始めることを確認した。
イスラエルは、ハマスにもパレスチナ自治政府にもガザ地区の統治を許可しないと発表しているが、誰が統治主体となるのかについては言及していない。
また、ガザ北部から避難を強いられた数十万人のパレスチナ人の今後も問題となる。イスラエルの爆撃により同地域がほぼ完全に破壊されたものの、多くは帰郷を試みるとみられる。仮設住宅が提供される予定だが、戦闘が再開すれば、再び深刻な危険にさらされる。
カタール、エジプト、米国が仲介したイスラエルとハマスの停戦合意では、複雑な計算式に基づき、33人のイスラエル人が約1900人のパレスチナ人と交換されるという6週間にわたるプロセスが規定されている。次の交換は25日に行われる。同時に、イスラエル軍はガザ地区の周辺部に後退する予定だ。
●エマージング
プーチン大統領、トランプ氏とウクライナ情勢巡る対話にオープン - Bloomberg
ロシアのプーチン大統領は、次期米大統領に就任するドナルド・トランプ氏に祝意を表し、ウクライナでの戦争を巡る米国との対話についてオープンな姿勢を示した。
プーチン氏は20日、テレビ放映された安全保障会議で「次期米大統領の就任を祝福する」と述べ、トランプ氏が望む直接的なやり取りの再開や第3次世界大戦を防ぐ必要があるとの同氏の主張を歓迎するとした。
プーチン氏は「ウクライナでの紛争に関して、われわれは米国の新政府との対話に前向きだ」と語り、「対話では、戦闘の継続を目的とした戦力の再編成や再軍備のための一時的な停戦ではなく、この地域に住むすべての人々や国家の正当な利益を尊重した長期的な平和を目指す必要がある」と訴えた。 
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
「永遠に残る化学物質」、EUが使用禁止計画 消費者製品が対象 | ロイター
英ヘッジファンド、エクセル超えるツールを開発 - WSJ
渋滞税でNY市の混雑緩和、不満の声も - WSJ
ハーバード大MBA取得者も就職に苦戦 - WSJ
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(20日) | ロイター
1. **外為市場**  
   - トランプ次期米大統領が20日に新たな関税発動を見送る見通しとの報道を受け、ドルが急落。ドル指数は1%安の108.23(先週は110.17の高値を記録)。  
   - ドル/円は0.4%安の155.61円。日銀の金利引き上げ観測が影響。  
   - ビットコインは4.2%上昇し、一時最高値を更新。
2. **ロンドン株式市場**  
   - FTSE100種指数は2営業日連続で過去最高値を更新。FTSE250種指数は0.5%下落。  
   - 個別銘柄では、リーチが21%急騰、ポッドポイントグループが約35%急落。
3. **欧州株式市場**  
   - トランプ氏の関税発動見送りの報道で、序盤に3カ月ぶりの高値を記録。  
   - 自動車セクターや銀行株指数が上昇する一方で、公益事業セクターは下落。  
4. **ユーロ圏債券市場**  
   - ユーロ圏の国債利回りはほぼ横ばい。トランプ氏の慎重な政策姿勢が市場に安堵感を与える。
全体的に、トランプ氏の関税発動見送りの報道が市場に安心感を与えた一方、各市場では取引量が低調だった。

備忘録(2025/1/17-19
●海外企業決算
[SLB] シュルンベルジェ 2024年12月通期は増収最終増益 売上高10%増362億ドル、純利益6%増44.6億ドル、EPS3.11ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[STT] ステートストリート 2024年12月通期は増収最終増益 売上高9%増130億ドル、純利益36%増24.8億ドル、配当2.90ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CFG] シチズンズファイナンシャル 2024年12月通期は減収最終減益 売上高5%減78.0億ドル、純利益8%減13.7億ドル、EPS3.03ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
●日本企業
フジTVスポンサー離れ拡大、第一生命やトヨタも-中居氏騒動で - Bloomberg
●先進国政治動向
米政府債務、21日に上限到達 特別措置実施へ=財務長官 | ロイター
トランプ氏、中国の習主席と電話会談-TikTokや貿易を巡り協議 - Bloomberg
トランプ次期米大統領は17日、中国の習近平国家主席と電話会談を行い、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」や貿易などについて協議した。トランプ氏就任前の電話会談は、世界の二大経済大国で地政学的ライバル同士である両国の今後の関係を方向付ける可能性がある。
トランプ氏は「中国と米国の両方にとって非常に良い会談だった」と、自身のソーシャルメディアプラットフォームであるトゥルース・ソーシャルに投稿。TikTokについて協議したことも明らかにした。
いわゆるTikTok禁止法の下、親会社である中国の字節跳動(バイトダンス)が1月19日の期限までに米事業を売却しない限り、米国内でのTikTok利用が禁止される。だが、売却に向け本格的な交渉が進行している場合、大統領は期限を90日間延長することが可能。トランプ氏はTikTokを巡り、政権1期目では禁止を求めていたが、それ以降は積極的に活用しており、若い有権者への働きかけを強めるのに役立ったと評価している。
一方で米連邦最高裁判所は17日、「TikTok」を事実上禁止する新法について、支持する判断を示した。中国傘下のアプリが国家安全保障上のリスクをもたらすとの懸念は言論の自由の権利よりも優先されるべきだとした。
台湾やウクライナにも言及
トランプ氏はトゥルース・ソーシャルへの投稿で「習主席と私は、世界をより平和で安全なものにするために可能な限りのことをするつもりだ!」と続けた。  
中国中央テレビ(CCTV)の報道によると、習氏は、米国とのさまざまな相違は「避けられない」ものの、両国はパートナーや友人として協力できるとの考えを示した。習氏はまた、台湾問題を巡り米国が慎重に対処することを望むとも述べた。
中国側の声明によれば、両氏はウクライナ情勢や、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争についても協議。トランプ氏は習氏に対し、できるだけ早期に会うことを楽しみにしていると述べたという。習主席はワシントンで20日に予定されているトランプ氏の大統領就任式には出席せず、代わりに韓正国家副主席を派遣する。
両国が戦略的な対話チャンネルを確立し、共通の課題について定期的に連絡を取り合うことにも合意したと中国側は説明している。
上海の復旦大学アメリカ研究センターの主任、呉心伯氏は今回の電話会談について、「関係再構築に向けての両国からの重要なジェスチャーだ。双方がこの先、建設的な関与を追求したいと考えていることも示唆する」と述べた。
トランプ氏は習氏を「素晴らしい指導者だ」と称賛する一方、中国からの輸入品には60%の関税を課すと表明している。
1期目の政権ではトランプ氏は中国を相手に貿易戦争を仕掛け、世界経済に大きな影響が及んだ。新型コロナ禍とも相まってトランプ氏の貿易政策は世界のサプライチェーン再編にもつながった。対中政策の多くはバイデン政権にも引き継がれ、米国は中国が最先端技術にアクセスできないよう輸出規制をかけるなどの措置を講じている。
トランプ次期政権が中国との関係をどのような方向に持っていくかは定かではない。ただ新政権の閣僚候補には、国務長官に指名されているマルコ・ルビオ上院議員など対中強硬派が顔をそろえている。
トランプ氏の貿易戦争リスク、アジアはどう乗り切るか-投資ガイド - Bloomberg
トランプ次期米政権による関税の脅威がアジアの株式市場や通貨を揺るがしているが、20日の大統領就任で、アジア市場には一段のボラティリティーがもたらされる見通しだ。
最も敵対的な貿易措置は中国を対象としたものになる公算が大きいが、トランプ氏の「米国第一」政策はサプライチェーンの見直しを迫っており、アジアで影響を免れる企業はほとんどないだろう。こうした不確実性がさらに株価の重しとなる可能性がある。
アジア地域は輸出に依存する面があり、トランプ次期大統領の就任前から、保護主義的な政策を巡る懸念や景気への影響により、市場は大きく揺れ動いた。中央銀行は既にドル高見通しへの対応に追われている。
一方で、トレーダーらは関税が抑制されたものにとどまる可能性という上振れ要因にも備えなければならない。その場合、アジア資産全体のリリーフラリー(買い安心感による相場上昇)に拍車が掛かる可能性もある。
サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「トランプ政権発足後の100日間が大きな焦点で、関税の規模とターゲットが注目される」と指摘。「テクノロジーや電気自動車(EV)のサプライチェーンは貿易政策を巡る混乱にとりわけ脆弱(ぜいじゃく)だ」と語った。
トランプ次期政権発足で注目される一部のセクターは以下の通り。
テクノロジー
半導体は米中テクノロジー対立の最前線にあり、米政府は最先端部品の対中輸出を抑制するために規制を強化した。一方、中国は独自の制限措置で対抗しており、トランプ次期政権下ではこうした報復合戦が強まることが予想される。
影響は広範囲にわたる。産業の自立を目指す中国当局の動きは現地の半導体株にとっては追い風で、中芯国際集成電路製造(SMIC)の上海上場株は昨年9月の安値から2倍余りに上昇した。
米政府は中国が先端半導体を入手できないよう規制を強化しており、韓国のサムスン電子や台湾積体電路製造(TSMC)などアジア半導体大手の中国売上高に注目が集まっている。
こうした包括的な制限措置がすでに講じられているということは、ここから事態が大きく悪化することはないことを意味する可能性もある。
オルタス・アドバイザーズのストラテジスト、アンドルー・ジャクソン氏はトランプ氏のスタンスについて、バイデン政権が設定したハードルはすでにかなり高く、それに比べて過度に厳しいものにはならないだろうとの見方を示す。「それどころか彼が後退させる余地もあるかもしれない」とも述べた。
EVやバッテリー
トランプ氏は化石燃料の生産を優先し、環境面の懸念を重視しておらず、EV普及の促進を目的とした税控除を廃止する恐れがある。
昨年の米大統領選でトランプ氏が勝利して以降、サムスンSDIやLG化学など韓国のEV用バッテリーサプライヤーの株価は、20%余り下落した。
安価な製品で世界の市場を席巻し、米国が監視を強める中国の太陽光パネルメーカーにとっても、見通しは明るくない。
銀行や自動車
トランプ次期政権の政策がインフレを誘発し、金利は高止まりすると見込まれる中、日本では銀行株がアウトパフォームしている。また、規制緩和の推進により、米国で事業を展開する金融大手の収益が改善する可能性もある。
自動車メーカーの見通しはまちまちで、関税引き上げが主なリスクとなる一方、中国のライバル企業への打撃が大きくなれば好材料となる可能性もある。
債券には追い風か
貿易摩擦がアジア地域の経済に打撃を与える可能性があり、中央銀行による金融緩和でアジア債は下支えされる公算が大きい。
インドネシア中銀は15日、景気支援に向けた利下げで市場を驚かせ、韓国銀行は政治的リスクが後退すれば追加緩和の可能性が大きいと説明した。中国人民銀行は今年、主要金利を引き下げると予想されている。
金利差が米国に有利に働くため、通貨は脆弱なままだ。トランプ氏が大統領選で勝利して以降、アジア通貨の指数は3%余り下落している。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのアジア太平洋担当シニアマーケットストラテジスト、ウィー・クーン・チョン氏は「緩和サイクルは短期的にはアジアの現地通貨建て債の支援材料になる」と指摘。ただ、外国人投資家にとってはヘッジコストが高いため、海外需要の回復にはアジア通貨の安定を待つ必要があるかもしれないと付け加えた。
米有権者、トランプ氏に「マイルドなMAGA」望む=WSJ調査 - WSJ
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が行った最新の世論調査によると、米有権者はドナルド・トランプ次期大統領が2期目に掲げる目標の多くを支持しているものの、その達成方法には必ずしも賛成していないことが分かった。
有権者の大半はトランプ氏が大統領選で掲げた過激な公約よりも、抑制的で控えめな政策を望んでいることを調査結果は示している。有権者が求めているのはMAGA(Make America Great Againの略で、米国を再び偉大にの意)の強力な推進ではなく、「マイルドなMAGA」だ。
回答者の53%が20日の大統領就任後にトランプ氏が政府運営のあり方を大きく変えることを望んでいる。だが、数千人のキャリア公務員を大統領が自ら選んだ人物らに置き換える計画には60%以上が反対している。
連邦政府の縮小を目指すトランプ氏の看板政策である教育省の廃止にも、60%以上が反対している。また、同氏が提案している連邦支出に関する大統領権限の拡大について、支持するとの回答はわずか18%だった。
同様に、有権者はメキシコとの国境沿いの壁建設と不法移民問題への対処を望む一方で、トランプ氏が計画している大規模な不法移民の強制送還には制限が必要だと考えていることが今回の調査で明らかとなった。
75%近くが犯罪歴のある者のみを国外退去の対象とすべきだと回答し、70%が犯罪歴のない長期居住者を保護すべきだとしている。重罪を犯した者の逮捕に重点を置き、犯罪歴のない不法滞在者の取り締まりを控えるよう促す現行の方針をトランプ氏は撤廃する計画だ。
共和党支持者は、トランプ氏の閣僚人事や政権移行への対応を圧倒的に支持している。だが有権者全体で見ると、その評価は割れている。46%が閣僚人事を、47%が次期大統領としての仕事ぶりを評価する一方で、否定的な評価を下す回答もほぼ同じ割合となっている。
このことは、1期目就任時と比べ、トランプ氏がより強い立場にあることを示している。1期目就任前の評価は不支持が上回っていた。だが同時に、「前例のない強力な(統治の)権限」を有権者から与えられたと主張するトランプ氏が行き過ぎるリスクがあることも示唆した。
一方、バイデン大統領は衰え、傷ついた姿で退任することとなり、民主党のイメージも大きく損なわれていることが今回の調査で分かった。バイデン氏が2期目を務める適性があるとの回答は12%だった。
バイデン氏の大統領としての仕事ぶりを支持すると答えた人の割合は36%、不支持は62%で、バイデン政権下で行われたWSJ調査で過去最低を記録した。民主党に対しても支持が36%、不支持が60%と、ほぼ同じ結果となった。これは1990年以降のWSJ調査で同党にとって最低の評価となる。
今回の調査では、有権者はトランプ氏の主要な提案のいくつかに反対しているか、条件付きで支持していることが明らかとなった。
2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件に関連して有罪判決を受けた人々の恩赦というトランプ氏の約束に57%が反対している。
・グリーンランドを支配するための経済的威圧や軍事力行使に3分の2以上が反対している。また、パナマ運河の支配権奪還のための威圧や軍事力行使には57%が反対している。
・3分の2がカナダを51番目の州にすることに反対している。
・連邦支出削減などに関してトランプ氏に助言している米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が顧問を務めることについて、半数が悪い考えだとし、39%が良い考えだとしている。
・64%が出生地主義の廃止に反対している(賛成31%)。これは米国で生まれた者には市民権を付与するという憲法の規定で、トランプ氏は廃止を目指すと約束している。
・有権者は教育や医療、社会的セーフティーネットに関するプログラムへの資金を守ることを重視している。これはトランプ氏と、大規模な支出削減を行おうとしている顧問のマスク氏とビベック・ラマスワミ氏に対する警鐘となる。これらのプログラムを守ることが減税や連邦債務削減よりも重要であるとの答えは約60%、そうは思わないとの回答は34%だった。
・輸入品への関税というトランプ氏のもう一つの看板政策に対しては、48%が賛成、46%が反対と、真っ二つに分かれた。同時に、関税によって購入する製品の価格が上がると考えている人が68%いた。
減税についても意見が分かれている。有権者は、社会保障給付金や残業代への課税をなくすというトランプ氏の選挙公約を支持している。また、トランプ氏が1期目に署名し、今年失効する個人向け減税の延長も支持している。
一方で、減税が連邦債務を増やしたり、社会保障給付金が早急に底を突いたりしても減税を支持するかとの質問では、減税への支持はわずかだが反対に転じる。例外は、チップへの連邦所得税をなくすというトランプ氏の約束で、国の債務を増やすことになっても支持する人が過半数を占めた。
今回のWSJ調査は1月9日から14日にかけて、携帯電話と固定電話で有権者1500人を対象に実施。一部の有権者にはテキストメッセージでオンライン調査への参加を呼びかけた。誤差の範囲はプラスマイナス2.5ポイント。一部の質問は調査対象の半数に提示され、誤差の範囲はプラスマイナス3.6ポイント。
トランプ氏、就任後100日以内に訪中の意向=関係筋 - WSJ
ドナルド・トランプ次期大統領は、就任後に中国を訪問したいとの意向を側近らに伝えている。事情に詳しい関係者が明らかにした。同氏が中国製品への追加関税を警告していることで米中の緊張が高まる中、習近平国家主席との関係を強化する狙いがある。
トランプ氏は2017年、1期目の就任から約1年後に北京を訪問している。側近らによると、再訪問はまだ決定されたわけではない。関係者の一人によると、トランプ氏は就任後100日以内の訪中に関心を示している。トランプ氏の政権移行チームはコメントの要請に応じなかった。
トランプ氏と習氏は17日、昨年11月の大統領選後初めて電話会談を行い、貿易や合成オピオイドのフェンタニル、TikTok(ティックトック)などについて協議した。「われわれが多くの問題を一緒に解決することに期待している。すぐにも始めたい」。トランプ氏は会談後、ソーシャルメディアにこう投稿した。
中国政府の意思決定に近い関係者によると、トランプ氏と習氏はそれぞれの担当者を通じ、直接会談についての協議を進めており、選択肢の一つしてトランプ氏が習氏を米国に招くことが挙がっているという。トランプ氏が17日に習氏と電話会談した際、訪中のことに言及したかどうかは不明だ。
トランプ氏は20日の大統領就任式に習氏を招待していたが、中国側は韓正国家副主席を派遣する予定にしている。
中国で経済的圧力が高まる中、同国政府はトランプ氏が公約に掲げる関税引き上げを回避するか、少なくとも引き上げ幅縮小に向けた交渉を行うことに強い関心を持っている。中国の意思決定に近い関係者によると、首脳会談が実現すれば、このプロセスを勢いづける可能性がある。トランプ氏は中国からの輸入品に最大60%の関税を課すと主張していた。
中国側は17日の電話会談の内容について、戦略的な対話チャンネルの確立で両氏が合意したと発表。中国側の説明によると、トランプ氏は習氏に対し「できる限り早期に会えることを楽しみにしている」と伝えたという。
トランプ氏の1期目の2017年11月に訪中が実現したのは、同氏のフロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」で習氏と初の対面会談に臨んだ数カ月後だった。
トランプ氏は側近らにインドを訪問する可能性も語っていると、同氏に近い関係者が明かした。
トランプ氏は就任当初は国内政策に注力し、厳格な国境警備に向けた新たな措置や、移民の強制送還の加速などに取り組むとみられる。同氏の計画を知る関係者によると、最初の週に全米各地に足を運び、署名予定のエネルギー問題などの大統領令についてアピールするつもりだという。また山火事で大きな被害を受けたロサンゼルスを週内に見て回ることも予定している。
北京で首脳会談が行われれば、世界の大国間の関係がまさに緊迫しているさなかとなる。トランプ氏は中国製品への追加関税だけでなく、メキシコの麻薬組織にフェンタニルの原料を供給する中国化学メーカーの取り締まりも中国に迫っている。
もう一つ火種になり得るのは台湾だ。中国は台湾を自国の領土だと主張し、武力行使も辞さない立場を取っている。トランプ氏は台湾指導者に防衛費の大幅増額を求める他には、台湾との微妙な関係をどう扱うかについて多くを語っていない。17日の電話会談では、習氏がトランプ氏に台湾問題を「慎重に」扱うべきだと念を押し、国家主権と領土保全に関わる問題だと指摘した、と中国国営メディアは伝えた。
就任式に習氏の特使として出席する韓正氏は、米首都ワシントンでは実務家との見方が一般的で、副主席として主に儀礼的な役割を果たす。英語を話せる韓氏は、上海市トップを長年務め、米企業は外国投資に賛成する協力者とみなしていた。企業幹部の間には、習氏が韓氏を派遣するのは、貿易交渉に応じる用意があることをトランプ氏のチームに伝えるためではないかと期待する声がある。
トランプ氏はウクライナでの戦争を終結させるため、習氏をパートナーと考える可能性がある。中国はロシアに支援を提供し、米議員らの怒りを買っている。トランプ氏は17日の電話会談に関するソーシャルメディアへの投稿で、この紛争に触れることなく、「習主席と私は世界をより平和で安全な場所にするためにできることは何でもする」と述べた。
トランプ氏は「経済の黄金時代」もたらす 米財務長官候補 - WSJ
米次期財務長官に指名されているスコット・ベッセント氏は、上院財政委員会で指名承認公聴会に出席した。関税政策を擁護し減税延長の主張も展開したが、民主党議員は同氏の証言に懐疑的な姿勢を示した。
16日時点で同氏の支持を表明した民主党議員はいない。
一方で共和党議員らはベッセント氏を称賛しており、同党が主導権を握る上院では、ドナルド・トランプ次期大統領が就任した直後に人事が承認される見込みとなっている。
ベッセント氏は、トランプ大統領が「すべての米国人のために雇用増と富、繁栄を生み出す経済の新黄金時代を解き放つ、世代を超えたチャンス」を手にしている、と語った。
ベッセント氏は関税についての言及を避けることなく、トランプ次期政権がどのようにこれを活用していくか見通しを示した。同氏はトッド・ヤング上院議員(共和、インディアナ州)からの質問に対し、関税策は主に三つの目的で使用されると述べた。
ベッセント氏によれば、一つは外国の「不公正な貿易慣行」への対応で、トランプ氏が1期目に中国に課した関税や各国からの鉄鋼に課した関税などがこれに該当する。また二つ目の目的はより広範な関税を課すことで、連邦政府の「歳入増」につなげることだとした。
さらに三つ目の狙いとして、関税は貿易以外の目的を含む交渉の手段としても使用できると同氏は発言。トランプ氏は最近、カナダとメキシコが米国との国境問題に対処しない場合、25%の関税を課すと警告したが、ベッセント氏によるとトランプ氏は経済制裁が過剰使用されていると考えており、これらの関税に関する警告が経済制裁の代わりに使用される可能性がある。
一方でベッセント氏の税制に関する発言は、共和党の中核的な立場を反映したものとなった。同氏は「米国には歳入の問題はない。歳出の問題がある」と述べ、共和党議員がよく使うフレーズを口にした。
同氏は2025年末に期限切れとなる減税を延長する重要性を繰り返し強調し、これらの減税が失効した場合の経済的影響を警告。ほとんどの世帯で増税となるとした。民主党議員らはこれに対して、高所得世帯がより大きな恩恵を受けると繰り返し指摘したが、ベッセント氏は譲歩しなかった。
アングル:トランプ氏のカナダ併合発言は「陽動作戦」、関税見送りも=専門家 | ロイター
トランプ次期米大統領が隣国で友好国のカナダに関税や併合などの脅しをかけているものの、両国関係が20日の就任式に「終末」を迎えるという悲観論ばかりではなさそうだ。
米バンダービルト大のトーマス・シュワルツ歴史学教授は16日にトロントで開かれた講演会で、多くの懸念に反し、トランプ氏が関税を巡り実際に行動しない可能性は十分にあると語った。
1971年にニクソン元大統領が実施した関税がカナダに衝撃を与えたように、トランプ氏が大幅な関税を課す可能性はあるものの、カナダからの輸入品に25%の関税を課し、「嫌ならば米国の51番目の州になればいい」というトランプ氏の発言は「陽動作戦」にすぎないという認識を示した。
トランプ氏の優先事項は国内政策で、インフレ抑制を公約に掲げていたこともあり、「インフレ高進につながりかねない関税は即時の反発を招き、撤回を迫られるだろう」とした。
また、ルビオ国務長官候補やウォルツ次期大統領補佐官(国家安全保障担当)ら側近が、カナダのトルドー首相の辞任表明を踏まえ、「新たな指導者が就任し、交渉できる相手ができるまで見送ろう」と説得する可能性があるとも述べた。
一方、トロント大学ムンク国際問題・公共政策研究所のドゥリュー・ファーガン教授はロイターに対し、25%の関税は両国の「共生」関係を悪化させるとし、次期米政権の突飛な考えの「賞味期限が長くないことを願う」として慎重な見方を示す。
さらに、足元のカナダの政治的リーダシップの欠如から、米国がカナダの鉄鋼・アルミニウム製品に対し関税を課した2018年よりも厳しい状況に直面する可能性があると述べた。
<併合>
調査会社アンガス・リードの最新の調査によると、「カナダを51番目の州」にすることを「支持する」との回答は、カナダで10%、米国では25%。また、トランプ氏の発言を「真剣」と考えるとの回答はカナダで32%、米国で22%だった。
前出のファーガン教授は、100年以上も「併合」が話題になったことはないとし、併合よりもまず両国が連携してできることを考えるべきと話す。「相互利益のために本腰を入れる必要がある」とし、それは「カナダを心理的、経済的に打ちのめすことではない」と強調。ここ数週間のレトリックが反発を高め、協力が困難となる可能性に懸念を示した。
トランプ氏はこれまで、カナダに対し「経済的圧力」をちらつかせるにとどめている。しかし仮に米国がカナダに対し軍事力を行使した場合、両国の軍事力を比較すると、どのような結果に至るかを想定することは困難ではない。
世界の軍事力を分析するグローバル・ファイヤーパワーの25年版データによると、米国が抱える正規軍132万8000人に対し、カナダは6万8000人。米軍保有の戦闘機は1790機、カナダ軍は66機にとどまる。
●先進国中銀、金融当局
日銀、25年・26年に各2回利上げの公算=IMF | ロイター
日銀が利上げの見通し、トランプ次期大統領就任後に波乱なければ - Bloomberg
日本銀行の利上げ期待が高まる中、植田和男総裁は23、24日の金融政策決定会合で政策金利引き上げの必要性について判断する。ただし、トランプ次期米大統領の就任後の数日間で市場に衝撃が起きなければの話だ。
米連邦準備制度をはじめとする世界の他の中銀が利下げペースに注力する一方で、植田総裁率いる日銀は伝統的政策への段階的な復帰を目指し、今なお利上げの方向に向かっている。
日本は数十年にわたるデフレと経済成長低迷を経て、安定的なインフレと堅調な賃金の伸びの実現に近づいており、日銀が金利を他の主要国と同水準近くに引き上げることも可能になりつつある。
ブルームバーグが今月実施した調査では、日本の経済・物価情勢は1月の利上げを正当化すると思うかとの質問には、90%が「はい」と回答。約4分の3は日銀が今週利上げに動くと予想している。17日のオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、23、24日の決定会合での0.25ポイント利上げの確率が一時99%まで上昇した。
20日のトランプ次期大統領の就任式は金融市場の方向性を決定づけることが見込まれ、スイス・ダボスで同日に開幕する世界経済フォーラム(WEF)年次総会の影が薄れる可能性がある。トランプ氏は23日にダボス会議でオンライン形式で演説する。
トランプ氏は大統領の宣誓式および就任演説を屋内で行う予定。首都ワシントンでは最高気温がマイナス6度になると予想されている。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、同氏は就任直後にバイデン政権の移民政策の撤回を含む多くの大統領令に署名する見通しだ。
米クリーブランド連銀総裁、「インフレは依然問題」=WSJ | ロイター
●先進国経済指標
英小売売上高、12月は前月比-0.3% 第4四半期マイナス成長も | ロイター
英国立統計局(ONS)が17日発表した2024年12月の小売売上高(数量ベース)は前月比0.3%減で予想外のマイナスとなった。
第4・四半期の国内総生産(GDP)がマイナス成長となるリスクが浮上した。来月の利下げ観測をさらに強めそうだ。
エコノミストは0.4%増を見込んでいた。11月改定値は0.1%増だった。
ONSは「食品販売が13年以来の低水準に落ち込み、特にスーパーマーケットが影響を受けた」と説明した。
指標発表を受け、ポンドは対ドルで0.25セント下落し、1ポンド=1.22ドルを割り込んだ。英国債利回りは低下した。
英国ではリーブス財務相が10月の予算で1993年以来最大となる増税を発表して以降、さえない経済指標の発表が続いており、来月の利下げ観測が強まっている。
リーブス氏は17日、BBCのポッドキャストで、批判的な意見に耳を貸さず、経済成長のために難しい決断を下し続けると語った。
第4・四半期の小売売上高は0.8%減少。ONSによると、同四半期の経済成長率を0.04%ポイント程度押し下げる可能性がある。
9─11月のGDPは横ばいとなっており、小売売上高以外の分野が経済成長に寄与しなければ、第4・四半期のGDPがマイナス成長に陥るリスクがある。
パンテオン・マクロエコノミクスの英国シニアエコノミスト、エリオット・ジョーダン・ドーク氏は「小売売上高の減少は、今週発表された11月のGDPに続き、失望を招いた。第4・四半期の経済停滞、場合によっては若干の縮小を示唆している」とし「中銀は2月に利下げを実施するチャンスがあり、われわれは(2月の利下げを)予想している」と指摘した。
キャピタル・エコノミクスの英国エコノミスト、アレックス・カー氏は「きょうの発表は、昨年末の経済にほとんど勢いがなかったことをさらに裏付けるものであり、第4・四半期にマイナス成長を回避したという当社の予測に対する下振れリスクをわずかに高めるものだ」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
IMF、25年の世界成長3.3%に引き上げ 米経済の強さがけん引 | ロイター
国際通貨基金(IMF)は17日、2025年の世界経済成長率の見通しを0.1%ポイント引き上げ、3.3%とした。米国の予想を上回る成長が、ドイツやフランスなど主要経済国の見通し引き下げを相殺する形となった。日本の25年成長率は1.1%で据え置いた。
IMFは最新の見通しで25年と26年の世界経済成長率を3.3%とした。世界の総合インフレ率は25年に4.2%、26年には3.5%に低下すると予想。これを受け、金融政策の正常化が一段と進むとした。
一方、世界経済成長率は00─19年の平均である3.7%を下回っていると指摘。関税や非関税障壁、補助金といった一方的な措置は貿易相手国を害し、報復措置の原因となる可能性があると警告した。
来週20日には、高関税案を掲げるトランプ次期米大統領がホワイトハウスに返り咲く。
IMFのチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は17日に公開したブログで、こうした政策が「国内の見通しを持続的に改善することはほぼなく」、全ての国を「より悪い状況に追い込む」可能性があると述べた。
米成長予測は、堅調な労働市場と投資の加速を背景に24年10月の前回見通しから0.5%ポイント引き上げ、2.7%とした。一方、26年については2.1%に鈍化すると予想した。
ユーロ圏の成長予想は、25年は1.0%、26年は1.4%と、それぞれ0.2%ポイント、0.1%ポイント下方修正。製造業の予想を下回る勢いと、政治や政策動向を巡る不確実性の高まりを理由とした。
ドイツは、25年にはわずか0.3%の成長率になると予測。10月は0.8%と予測していた。一方、26年には1.1%に上昇すると見込む。
フランスも25年を1.1%から0.8%、26年も1.3%から1.1%に引き下げた。
一方、中国は25年を0.1%ポイント上げて4.6%、26年を0.4%ポイント上げて4.5%とした。11月に発表した財政刺激策を理由とした。
中東・中央アジア地域は25年は0.3%ポイント下げて3.6%、26年も同じく3.9%に引き下げた。原油の自主減産を背景としたサウジアラビアの成長率見通しの下方修正が主に寄与した。
アジア系ファンドのPAG、日本の不動産に1兆円投資 - 日本経済新聞
米国の住宅価格、割高と考えるウォール街 - WSJ
住宅購入希望者に現在の不動産価格が高すぎると言う必要はない。だが、ウォール街はどれくらい高すぎるのかについてヒントをくれる。
米株式市場で住宅関連のポートフォリオは、実際の不動産市場での取引価格に対して大幅なディスカウントで取引されている。不動産調査会社グリーン・ストリートによると、賃貸用一戸建て住宅を保有・運営する不動産投資信託(REIT)のインビテーション・ホームズとアメリカン・ホームズ4レントの投資口価格は、純資産価値(NAV)に対してそれぞれ35%、20%安い水準で取引されている。インビテーション・ホームズの投資口価格は2022年初めに金利が上昇し始めて以降、特に大幅なディスカウントで取引されているが、ディスカウント幅は過去1年間で10ポイント拡大した。
言い換えれば、グリーン・ストリートが分析した一般の市場価格に基づくと、インビテーション・ホームズが物件を所有する都市圏の平均的な住宅価格は41万5000ドル(約6500万円)だが、同社の投資口価格は31万ドルがより適切だと投資家が考えていることを示唆している。
投資口価格に織り込まれた価値とプライベートマーケット(未公開市場)との間に大きな乖離(かいり)が持続的に生じる場合、それは価格調整が近いことを意味する可能性がある。オフィスREITの投資主は2020年、コロナ下で進んだリモートワークへのシフトがもたらす混乱を、プライベートセールでの価格が下落し始める数カ月前に織り込んでいた。
グリーン・ストリートのマネジングディレクター、ジョン・ポロウスキー氏は「投資口価格は一戸建て住宅価格が高すぎて持続不可能であることを示唆している」と述べる。ただし、住宅価格は投資家ではなく居住目的の買い手によって決定されるため、商業用不動産と比べて公開市場と未公開市場の価格乖離が長期化する可能性があると指摘している。
現在、不動産運用会社は目立った動きを見せていない。ジョン・バーンズ・リサーチ・アンド・コンサルティングのデータによると、1000件以上の物件を所有する大手機関投資家による米国の住宅購入は、2024年7-9月期に全体のわずか0.3%だった。コロナ下のロックダウン(都市封鎖)で住宅取引が事実上凍結した20年4-6月期と7-9月期を除けば、大手機関投資家の住宅購入に占める割合は7年ぶりの低水準となっている。
現在、中古住宅の購入はあまり経済的合理性がない。平均的な米国の住宅のキャップレート(期待利回り、年間純収益を不動産価格で割ったもの)は約4%となっている。これは、借り入れコストが高騰している中で許容可能なリターンを得るために5~6%のキャップレートで購入する必要がある大手機関投資家にとって(価格は)高すぎる水準だ。
注目すべきは、一般の買い手よりも若干低い借り入れコストでも、不動産運用会社の採算が合わないことだ。連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)のデータによると、消費者向けの30年固定住宅ローン金利は6.93%だが、住宅に投資する機関投資家は、業界関係者によると約6.25%で借り入れることができる。
一般の買い手と投資家では、住宅購入を検討する際の優先事項が異なる。居住目的の買い手はキャップレートにこだわらず、毎月の住宅ローン返済が可能かどうかを重視する。立地が良く、長期的に自分や家族に適した物件であれば、多少高くても購入する可能性がある。
現在のように需給のひっ迫した市場で、住宅購入希望者が非合理的な水準まで価格を押し上げることは、機関投資家にとってはフラストレーションがたまる。だが一方で、不動産運用会社にとって住宅価格の高騰には明るい兆しもある。奇妙なことに、一戸建て住宅は金利上昇に対する優れたヘッジとなることが判明した。超低金利の既存の住宅ローンによるロックイン効果が価格を下支えしているためだ。また、現在は不動産運用会社がポートフォリオを整理し、ほぼ記録的な高値で物件を売却するのに適した時期でもある。
既存の住宅在庫が非常に高額なため、投資家はポートフォリオを拡大する別の方法を見つける必要がある。アメリカン・ホームズ4レントなどの大手は自ら住宅を建設したり、建設会社から新築物件を直接購入したりしている。これは供給不足の米住宅市場にとって有益なはずだ。
投資家が理にかなう価格で購入できる物件は少数ながら存在する。不動産投資を手掛けるアマーストによると、現在、キャップレート5.75%で販売されている住宅(寝室2~4部屋)の総額は約120億ドル。これらの物件は改修が必要なため安価だ。新築の場合は平均して1平方フィート当たり200ドルの建設コストがかかるのに対し、改修は同20~30ドルで済むため、新築よりも改修の方が収益性が高い可能性がある。
資金力のあるウォール街の買い手との競争は、すでに苦しんでいる住宅購入希望者にとっては極力避けたいことだ。だが「スマートマネー」を呼び戻すには何が必要かを考えてみる価値はある。借り入れコストがさらに低下するか、賃料が大幅に上昇しない限り、大手機関投資家の関心を引くには米国の住宅価格が10~15%下落する必要があるだろう。これは、現在の市場で住宅購入者がどれくらい割高な価格を支払っているかを示す良い指標となるかもしれない。
焦点:「債券自警団」復活か、トランプ氏の政策阻む可能性も | ロイター
1993年にクリントン米大統領(当時)は就任早々、予想外の敵に直面した。債券トレーダーらから成る「債券自警団」だ。
それまでの10年間、低税率と多額の防衛支出によって米国の債務比率は倍増しており、新政権下での財政悪化を警戒した債券トレーダーが米国債を売って利回りを急上昇させる恐れがあった。クリントン氏はやむなく増税、支出削減という不人気の政策を実行する。
クリントン氏の側近の1人で、後に米連邦準備理事会(FRB)副議長を務めたアラン・ブラインダー氏は「難しい三つどもえ選挙に大差で勝利したばかりだというのに、一握りの債券トレーダーらに屈することを彼(クリントン氏)は相当不快に思っていた」と振り返る。
トランプ次期大統領の就任を20日に控え、米国で債券自警団が復活すると複数の市場専門家が予想している。しかも経済指標はクリントン氏の大統領就任当初よりさらに警戒すべき状態だという。ブラインダー氏は「われわれの多くは、債券市場の自警団が第2章に向けて蘇るのではないかと思っている」と語った。
米国の債務の対国内総生産(GDP)比率は100%近くと、当時の2倍。抑制しなければ2027年までに第2次大戦後の過去最高を更新する見通しだ。
米10年物国債利回りは既に、昨年9月から1%ポイント余り上昇している。
在任中に市場の混乱を経験した米国および外国の政策当局者らによると、トランプ氏は債券自警団によって政策を監視される可能性がある。
ロイターは政策当局者やエコノミスト、投資家など12人近くに取材するとともに、1980年代以降に世界中で起こった債券市場の混乱を調べることで、トランプ氏就任後の市場混乱リスクを検証した。
それによると、債券トレーダーが注視する複数の指標が赤信号を発している。米連邦政府債務は、トランプ氏が1期目の大統領に就任した2017年の20兆ドル弱から、現在は28兆ドル超に拡大。世界の総債務は24年に初めて100兆ドルを超えたとみられ、投資家を神経質にさせている。
ルーミス・セイルズのポートフォリオマネジャー、マット・イーガン氏は「債券自警団が現れるリスクはある。答えられないのは、それがいつ起こるかだ」と語った。
専門家らによると、トランプ氏にはいくつか救いとなる要因もある。世界の準備通貨というドルの地位、そしてFRBが今では危機時に介入する能力を確立している、つまり常に米国債の買い手は存在する、ということだ。
ロイターが過去の危機を分析したところ、何が債券売りのきっかけになるかを予想するのは難しいものの、いったんパニックが起こるとすぐに制御不能になってしばしば大規模な介入が必要になることが浮き彫りになった。
クリントン政権で財務長官を務めたロバート・ルービン氏は、急激な利回り上昇は景気後退や金融危機を引き起しかねないため、債券市場はトランプ氏が実施したいことを「あっという間に実行しにくくする可能性がある」と語る。ただ、「その転機がいつ訪れるかは予想できない」と付け加えた。
トランプ氏は減税と景気刺激策を実施したいと語っているが、ロイターが取材した政策当局者やエコノミスト、投資家は懐疑的な目を向ける。
トランプ氏がFRBなどの機関を弱体化させかねないことも考え合わせると、政策は激しい市場の反応を引き起こし、同氏は方向転換を余儀なくされそうだという。
長年にわたりトランプ氏の経済顧問であるスティーブン・ムーア氏は、世界の経済成長を損ないかねない「大規模な関税」のリスクを債券売りの引き金となる可能性の一つに挙げた。
<減税>
「債券自警団」という言葉の生みの親であるエコノミストのエド・ヤルデニ氏は、トランプ氏は支出削減を約束するとともに、債券市場に通じた元ヘッジファンドマネジャーのスコット・ベッセント氏を財務長官に指名することである程度の時間稼ぎができたと言う。
ベッセント氏らはクリントン政権のルービン氏と同じ役割を果たし、トランプ氏の財政政策は比較的保守的なものになる可能性があるとヤルデニ氏は予想した。
ベッセント氏はこの記事へのコメントを控えた。
同氏は昨年6月、昨年時点で6.4%だった財政赤字の対GDP比率を、政権の終わりまでに3%に下げるようトランプ氏に促したいと述べている。今週16日の上院指名承認公聴会では、17年のトランプ減税を称賛する一方で、現在の財政赤字比率は高く、危機に対応するために多額の国債を発行する余地は減っているなどと訴えた。
一方、同じくトランプ氏の長年の経済顧問であるエコノミスト、アーサー・ラッファー氏は財政赤字を重視するのは適切ではないと指摘。同氏の「ラッファー曲線」理論は、減税は経済活動を刺激するため将来的な税収増につながるというものだ。
ラッファー氏は最近の国債利回り上昇について、トランプ氏の政策が経済成長を押し上げるという予想を反映しており、明るい兆しだとの考えを示している。
しかし、クリントン政権時代に債券自警団の一員だった著名債券投資家、ビル・グロース氏は、経済成長によって多額の米財政赤字が解決されるというラッファー氏の予想を一蹴。「そんなことは起こらなかったし、今も起こらないだろう」と電子メールでコメントした。
<潜在成長率超え>
債券トレーダーは幅広い要因を元に売買の判断を行う。一部の指標は現在、長期の資金貸し出しのリスクが高まっていることを示しているため、投資家は債券に高い利回りを要求するようになっている。
そうした指標の一つが、潜在成長率と借り入れコストの対比だ。借り入れコストが潜在成長率を上回ると、債務の対GDP比率は新規借り入れをしなくても高まり、長期的に持続不可能になる恐れがある。
FRBは長期的な米国の実質成長率を1.8%とみており、これにインフレ目標の2%を乗せた名目値は3.8%となる。米10年物国債利回りは既に4.7%前後と、この水準を超えている。
<世界的な影響>
米国で金利が急上昇すれば、世界にショックが広がるだろう。既に英国債は売られており、30年物の利回りは26年ぶりの高水準を付けた。フランス10年物国債のドイツ国債に対する利回りスプレッドは昨年11月、欧州債務危機時の12年以来の水準に拡大した。
11年に危機からイタリアを救うために首相に指名されたマリオ・モンティ氏は当時と現在の違いについて、当時は欧州の小国が危機だったのに対し、現在は欧州最大級の国々が苦しい状況にある点を指摘する。そして当時はオバマ米政権のリーダーシップが欧州債務危機を封じ込める上で重要な役割を果たしたという。
<債券売りの引き金>
複数の専門家によると、債券市場はトランプ氏の支出削減と減税の影響を見極めたいと考えており、失望が広がるようなら債券自警団登場の引き金になりかねない。連邦債務上限を巡る論争が長引いたり、米国の信用格付けが一段と引き下げられたり、制裁や戦争などの理由で米国債に対する外国からの需要が下がったりすれば、事態は悪化するかもしれない。
マクロヘッジファンドのブリッジウォーター・アソシエーツの創業者、レイ・ダリオ氏は電子メールで「潜在的な引き金は数多くある」と指摘した。
米共和党議員、トランプ氏減税計画の債券市場への影響懸念 | ロイター
●中東情勢
[社説]イラン・ロシア接近の脅威 - 日本経済新聞
イランのペゼシュキアン大統領がロシアを訪れ、プーチン大統領と包括的戦略パートナーシップ条約に署名した。世界の安定を脅かす「強権国家の枢軸」を強化する動きで、日米欧など民主主義陣営は警戒を強める必要がある。
17日の首脳会談後、プーチン氏は「質的に新しい水準に関係を引き上げる」と述べ、2001年に署名した合意文書に代わる新条約の意義を強調した。歴史的には敵対と競合の関係にもあったイランとロシアだが、経済や軍事、科学技術、文化など幅広い分野で2国間協力を発展させると定めた。
新条約には両国と激しく対立する米国で20日に発足する第2次トランプ政権に緊密な関係を誇示し、外交的立場を強める狙いがある。プーチン氏は両国が「新しい世界秩序」の構築に賛成だと述べ、米欧主導とみなす既存の秩序に挑戦する姿勢を隠さなかった。
ロシアは24年に北朝鮮と同様の名称の条約を結び、事実上の同盟関係に入った。ベラルーシとイランも含めた「強権国家の枢軸」を形成し、やはり強権色の濃い中国とも蜜月関係にある。
こうした動きは自由と民主主義に基づく世界秩序を乱し、国際的な安全保障への深刻な脅威となっている。民主主義陣営は結束を固め、抑止力の強化を急ぐべきだ。
イランとロシアの新条約がロ朝の条約と異なるのは、有事の相互軍事支援を盛り込まなかった点だ。ただ、イランはウクライナへの侵略を続けるロシアに攻撃用のドローン(無人機)などを大量に供給していたとみられている。
イランは昨年来、米国が支援するイスラエルとの対決で劣勢に回り、軍事的な抑止力の立て直しに躍起だ。航空戦力や防空網の近代化で、ロシアの力を求めている。両国の軍事協力がどこまで深まるかを注視する必要がある。
イランとロシアが接近した背景に、長きにわたる米国の強硬姿勢があるのは否定できない。米欧や日本は、イランと対話を重ねることも忘れてはならない。
●エマージング
韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所襲撃 | ロイター
アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジタル駆使し抗議活動 | ロイター
TikTokのCEO、トランプ氏に謝意 米での運営維持巡る取り組みで | ロイター
24年の中国成長率5%、「ポジティブなサプライズ」=IMFチーフエコノミスト | ロイター
- 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏は17日、中国から2024年の経済成長率が5%だったという報告があったとし、「ポジティブなサプライズ」と述べた。
IMFによる24年の中国成長率見通しは4.8%だった。
IMFは17日、25年の世界経済成長率見通しを0.1%ポイント引き上げ、3.3%とした。中国については25年を0.1%ポイント上げ4.6%、26年を0.4%ポイント上げ4.5%とした。財政刺激策による勢いを反映しているとしつつも、貿易政策の不確実性によって相殺されるとも指摘した。
グランシャ氏はオンライン記者会見で「中国経済はより国内主導の成長型へと転換する必要がある」とし、自国の国内成長をけん引するために対外貿易のみに頼ることはますます困難になるという認識を示した。
中国当局が複数の措置を講じていることを認識しつつも、一段の取り組みが必要とした。
また、中国経済のぜい弱性は多くの新興国や途上国に波及効果をもたらし、世界経済にとってリスク要因となると述べた。
中国総人口が3年連続減少、24年末は14.08億人 今後も減少か | ロイター
中国国家統計局が17日発表した2024年末の総人口は14億0800万人で、23年末から139万人減った。減少は3年連続。出生数は954万人と若干増えたものの、死亡者数も1093万人に増え、出生者数を上回った。専門家は人口減少が今後も数年続くとみている。
統計発表を受け、中国経済が労働者や消費者の減少によって打撃を受けるのではないかとの懸念が強まっている。高齢者介護や退職給付などの費用増加で地方政府の負担がさらに拡大する可能性もある。
中国では1980年から2015年まで実施された「一人っ子政策」や急速な都市化の影響で、数十年にわたり出生率が低下を続けている。当局は24年、出生率を高めるための一連の対策を発表した。
人口統計学者によると、コロナ禍で結婚を遅らせる人が増えた影響で23年に婚姻数が12.4%増加したことを受け、24年は出生数が一時的に回復したが、25年には再び減少すると予想されている。
育児や教育にかかる費用の高さ、雇用の不安定さ、経済の減速も、多くの若い中国人が結婚して家庭を持つことを躊躇させている。
男女差別や、女性が家事をすることへの伝統的な期待が、人口減少問題を悪化させている、と人口統計学者は指摘する。
国連が15歳から49歳までと定義する中国の生殖可能年齢の女性の数は、今世紀末までに3分の2以上減少し、1億人を下回る見込み。一方、60歳以上の人口は現在の約2億8000万人から35年には4億人以上に増加すると予想されている。
中国科学院は、年金制度は35年までに資金不足に陥ると発表している。
24年時点で、中国で60歳以上の人口は3億1031万人に増え、全体の約22%を占めた。
24年は都市化も加速し、都市人口は1083万人増の9億4330万人となった一方、農村人口は4億6478万人に減少した。
中国、金利リスク管理向上へ変動利付債を推進 | ロイター
中国の貿易不均衡、GDP統計で浮き彫り-ベッセント氏は是正求める - Bloomberg
中国の2024年の国内総生産(GDP)成長率は5%と、5%前後に設定されていた政府目標を達成した。十分に予想されていた結果であり、驚きはほとんどなかった。しかし、今回の数字を詳しくみると、中国経済の貿易依存が対米関係を悪化させる恐れがあることが分かる。
中国のGDP統計が発表される数時間前、トランプ次期米大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏は、中国が「恐慌とまではいかないまでも、深刻なリセッション(景気後退)」から「輸出で抜け出そうとしている」と非難した。
国家統計局が17日発表した経済指標では、中国経済は引き続き貿易を原動力とする一方、個人消費がなお伸び悩んでいることが示された。これでは、世界の通商を一変させる恐れがあっても、トランプ次期大統領に新たな貿易戦争に乗り出すよう促す声を抑えることはほとんどできないだろう。
トランプ次期政権が近く向き合うことになる中国経済は、その工業力と製造業の海外における優位性をてこに、昨年半ばの景気停滞を乗り切ろうとした。
昨年10-12月のGDPは6四半期ぶりの高い伸びとなり、国家統計局は「経済が著しく回復した」と指摘した。
だが、この数字の裏では、名目と実質の成長率のかい離が広がっていた。慢性的な内需の弱さを反映する物価低迷の結果であり、世界2位の規模を誇る中国経済を圧迫する最大の問題にもなっている。
24年の名目GDP成長率は4.2%に鈍化。1970年代後半に市場経済への移行を開始して以降、2番目に小さな伸びにとどまった。なおインフレが続く世界にあって、中国のGDPデフレーターは昨年0.8%下落し、25年も3年連続でマイナスになると予想されている。
マッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は「25年における最大の問題は中国のインフレ率が持ち直すかどうかであり、それは刺激策がどの程度講じられるかに全面的にかかっている」と話す。
弱い名目成長率は、労働者の賃金や企業収益の伸び悩みを示唆し、個人消費や企業投資を圧迫するため問題になる。これらが相まって、内需の低迷を招き、国内の工業生産の流れを吸収できず、物価は下落し、輸出が急増する。
その結果、中国の昨年の貿易黒字は1兆ドル(約156兆3000億円)近くにまで膨れ上がり、世界中で保護主義的な対抗措置の波を引き起こした。あまりにも偏った貿易収支を踏まえ、ベッセント氏は16日、米上院で開かれた指名承認公聴会で、中国を「世界史上最も不均衡な経済」と批判した。
今のところ、一つだけ確かなことがある。中国国内の消費を増やし、トランプ次期政権による関税の嵐が中国に向かうのを避けたいのであれば、当局はもっと手を打つ必要がある。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチの大中華圏担当チーフエコノミスト、喬虹氏は中国経済が「あらゆる人の期待を高めるような大規模な政策パッケージ」を必要としていると指摘した。
喬氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、当局は昨年9月にそれをやろうとしたが、今はその勢いが少し失われているとし、「恐らく3月か4月くらいまでには、さらに行動する必要があるだろう」とコメントした。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
燃えたテスラ車、ロス山火事で被災地復興の妨げに-残がいに有害物質 - Bloomberg
甚大な被害を受けたパシフィックパリセーズ地区選出の州議会議員、ジャッキー・アーウィン氏は「避難区域の車の多くはリチウム電池搭載車だった」と説明。「そうしたリチウム電池はかなり長い間、家屋の近くで燃えていたと消防士から聞いている」と語った。
同山火事の経済的コストは増え続けており、保険業界の総損失は最大400億ドル(約6兆2500億円)に上る見通しだ。米資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、被災地復興には10年かかる可能性があると警告。米連邦緊急事態管理局(FEMA)はすでに、被災地の浄化作業に1億ドルを充てている。
S&Pグローバル・モビリティーのデータによると、ロサンゼルス地域でのテスラ車の数は2024年10月時点で43万1000台余り。カリフォルニア州新車ディーラー協会(CNCDA)によれば、テスラ「モデルY」は昨年9月までで同州で最も売れた車種となっていた。
大きな被害が出たパリセーズとイートン両地区の一部では16日、避難指示を受けていた住民が自宅に戻ることを許された。ただ現地当局者は焼失地域への立ち入りを認められた住民に対し、鉛や水銀、その他の化学物質など有毒物質を含む恐れのあるがれきを片付けようとしないよう注意喚起している。
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(17日)ドル/円上昇、株反発 利回り上昇 | ロイター
1. **為替市場**  
   - ドル円は0.68%高の156.165円だが、週間では下落。来週の日銀利上げ観測が高まり、円は1%超上昇。
   - 米利下げ幅は2025年に約40bpと予測。市場はトランプ大統領就任式に注目。
   - ドル指数は0.34%高だが、週間では約0.25%下落。
2. **債券市場**  
   - 米短期金利は上昇、2年債利回りが週間で12.4bp低下し11月以来の大幅下落。
   - 景気底堅さを示す米経済指標を受け、FOMCは6月利下げが66%と予測。
3. **株式市場**  
   - トランプ新政権期待で主要株価指数が上昇、S&P500銀行株指数は週間7.41%高。
   - 半導体株や一部企業(例:エヌビディア、インテル)が大幅上昇。
4. **貴金属市場**  
   - 金は利食い売りで反落するも週間で1.24%高。FRBの年内利下げ期待が金価格を支える。
5. **原油市場**  
   - WTI原油先物は1.02%安の77.88ドル。中東情勢の緊張緩和が要因だが、ロシア制裁への警戒感で下げ幅は限定的。
全体的に市場はトランプ新政権の政策や金融政策の方向性を注視する姿勢が強い週でした。
欧州市場サマリー(17日) | ロイター
### **ロンドン株式市場**
- **FTSE100種指数**: ポンド安と英利下げ期待が追い風となり続伸、一時最高値を更新。週間で4週連続上昇。
- **FTSE250種指数**: 0.34%高、週間では4.38%高と大幅上昇。
- **背景**: 英小売売上高の減少で第4四半期マイナス成長の可能性が浮上。イングランド銀行の利下げ期待が高まり(82%の確率で25bp利下げ予想)、英国債利回り低下やポンド安が海外収益の多い企業を支援。
- 主な上昇銘柄: シェル(1.2%高)、ユニリーバ(1.6%高)、グレンコア(2.7%高)、リオ・ティント(2.2%高)。
### **欧州株式市場**
- **STOXX欧州600種指数**: 2.37%高で4週連続上昇。中国経済の安定成長(2024年成長率5.0%達成)や欧州国債利回り低下が支援。
- セクター動向: 資源株(2.05%高)、建設・資材株(1.61%高)が上昇。ヘルスケア株は0.80%下落。
- 中国経済の安定が資源株を押し上げる一方、バークレイズが医薬・生命科学分野に慎重な見方を示したことがヘルスケア株に影響。
### **ユーロ圏債券市場**
- **ドイツ債利回り**: 10年債は週間で7bp低下(2.494%)、2年債は6bp低下(2.221%)。イタリア10年債も14bp低下(3.632%)。
- ECBは慎重な政策緩和を進める方針を示唆。預金金利は2025年末に2%超の見通し。
- 独伊10年債利回り格差は114bpで縮小傾向。
全体的に、欧州では国債利回り低下や中国経済安定を背景に株式市場が好調。一方で、英市場では利下げ期待が主要指数を支える形となった。

備忘録(2025/1/16
●海外企業決算
[USB] USバンコープ 2024年12月通期は減収最終増益 売上高2%減273億ドル、純利益17%増59.0億ドル、配当1.98ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[BAC] バンカメ 2024年12月通期は増収最終増益 売上高3%増1018億ドル、純利益3%増255億ドル、配当1.00ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[PNC] PNCファイナンシャルサービシズグループ 2024年12月通期は微増収最終増益 売上高微増215億ドル、純利益7%増54.9億ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UNH] ユナイテッドヘルス 2024年12月通期は増収 売上高8%増4002億ドル、営業益微減322億ドル、EPS15.51ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MS] モルガンスタンレー 2024年12月通期は増収最終増益 売上高14%増617億ドル、純利益50%増128億ドル、配当3.70ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
高級ブランドのリシュモン、10─12月は10%増収 予想大幅に上回る | ロイター
「カルティエ」などを展開するスイスの高級ブランド大手リシュモンが16日発表した第3・四半期(10─12月)の売上高は前年同期比10%増の62億ユーロ(63億7000万ドル)と、市場予想の1%増を大きく上回った。
市場では高級ブランド業界が最近の低迷から脱しつつあるとの期待が浮上。同社の株価はプレマーケット取引で7%高となっている。
バーンスタインのアナリスト、ルカ・ソルカ氏は「心強い兆候で、(前四半期が)谷であった可能性を裏付けるものだ」と述べた。
7─9月はアジア市場の低迷で1%の減収だった。
リシュモンは今後の見通しについてコメントを控えている。
10─12月は、18%の減収となった中国で「厳しい」状況が続いたが、他の地域が力強い伸びを示した。
米国では大統領選を巡る不透明感が解消され、客足が伸びた。欧州でもドル高を背景に観光客の購入が増えた。日本でも円安が観光客の購入を後押ししたという。
ケプラー・シュブルーのアナリスト、ジョン・コックス氏は「高級品業界が新たな転換点を迎えたと断言するのは恐らく時期尚早だが、非常に心強い内容だ」と述べた。
「カルティエ」のリシュモン、予想超える増収-高級品市場回復の兆し - Bloomberg
ターゲットが下落 既存店売上高の見通し上方修正も、収益性への懸念払拭には不十分=米
TSMC、売上高・設備投資見通しが予想上回る-底堅いAI投資示唆 - Bloomberg
国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
バンカメが決算 投資銀行とトレーディングが好調 NIIも予想上回る=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ユナイテッドヘルスが決算受け下落 売上高が予想下回る 医療損失率が通年で上昇=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
モルガン・スタンレーが決算受け上昇 トレーディング収益が予想上回る=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米運輸省、サウスウエスト航空を2路線の慢性的遅延で提訴 | ロイター
米銀大手の好調続く、融資の長期的シフトが影 10-12月期決算 - WSJ
企業役員室やトレーディングフロアでの動きが活発化し、米銀大手など「ウォール街」の来たる1年の業績に対する投資家の期待感をあおっている。一方で地域に密着した「メインストリート」の銀行全般において、それが当てはまるわけではない。
大手グローバル銀行から2024年10-12月期決算の第1弾が発表された。それによると、2025年に多くの合併・買収(M&A)が成立し、ハイファイナンス(大規模で専門性の高い金融活動)分野で大型取引などが活発化する兆しが見られた。一方、中核的と考えられる銀行業務(融資または純金利収入で定義される)の伸びは、2025年に同じ程度の飛躍は予想されていない。純金利収入は、銀行が融資や証券投資で得る利回り収入から、預金者に支払う利息やその他の資金調達コストを差し引いたものだ。小規模な金融機関にとって、この指標はさほど幸先の良いものではない。
JPモルガン・チェースは、変動の大きい市場部門を除いた中核業務の純金利収入が若干減少し、24年の約920億ドルから25年には約900億ドルになると予想。ウェルズ・ファーゴは、純金利収入の伸びが1~3%と予想する。その一部はよりメカニカルな要因、例えば、古い投資が償還されたり、より高い金利で再投資されたりすることによるものだ。
各行はこれらの予想が、米連邦準備制度理事会(FRB)の次の動きといった多くの要因に左右されることを常に警戒している。今のところ、FRBは以前考えられていたほど急いで利下げする見通しではなくなったため、銀行の変動金利ローンや、満期を迎えた債券の償還金や新規預金の再投資にとっていくらかプラスに働くかもしれない。だがそれは、預金コストの低下に対する期待も抑えることになる。
ここで重要なのは、米銀大手が融資の大幅な伸びを見込んでいないことだ。特に伝統的な商業銀行部門の借り手に対してはそうだ。
例えば、JPモルガンのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は15日に記者団に対し、中小企業の顧客の間で「全般的にやや慎重姿勢が強まった」と述べ、その理由にインフレの影響を挙げた。
JPモルガンでは、中堅企業向けや商業用不動産向けを含む商業銀行部門の10-12月期末時点の融資が、前年同期比2%減少した。一方、消費者向けクレジットカードローンは同10%増加した。クレジットカード関連が比較的小さいウェルズ・ファーゴの融資総額は、10-12月期末時点で同約3%減少した。
クレジットカードローンは引き続き成長する見通しだが、恐らく24年ほどのハイペースではないだろう。昨年はまだ、人々が異例なほど熱心にカードローン残高を返済していた新型コロナウイルス下からの回復途上にあった。今年はその正常化効果が薄れ、前年比の伸びがやや鈍化する可能性がある。
一方で、銀行関係者は融資需要の一部が年内に回復する可能性を示唆してもいる(それは楽観的ムードの先行指標ではなく、一種の遅行指標となる)。だがそれは、米政府の政策の方向性にかかっている部分が大きい。金利上昇、あるいは少なくとも追加利下げの回数が以前の予想よりも減ったことによって、借り手(消費者、特に住宅購入者)の意欲がそがれる可能性がある。関税も、多くの企業の売上高や借り入れ意欲に悪影響を及ぼしかねない。
とはいえ、消費者や中堅企業の警戒心が、必ずしもウォール街の銀行業務に悪い影響を与えるわけではない。トレーダーは株価や金利の方向性に賭けるチャンスがあり、この不透明感による恩恵を受けられる。
また一部の企業顧客は、資金調達市場に目を向けており、プライベートクレジット(非公開融資)を手がける金融機関から資金を引き出すなどしている。このことは、ウォール街には利益をもたらすが、商業・消費者向け銀行の成長には役立たない。
要するに、最も規模が大きく、最もグローバルで多角化されたウォール街のメガバンクにとっては素晴らしい一年となり得る半面、融資への依存度が高い地域銀行や融資専門機関はそれほど好調にならない可能性がある。多くの地域銀行やクレジットカード発行・融資機関は数日中に決算発表を控えている。
投資家が考えるべきより重大な問題は、この傾向が、融資活動のより大規模で長期的なシフトの一環なのかどうかだ。すなわち、銀行が自己資金を貸し出す従来型の融資から、投資家の資金をノンバンク経由で借り手に直接融資し、銀行は仲介役になることへのシフトだ。
その流れに沿うように、世界最大の資産運用会社ブラックロックは15日、運用資産額が過去最高に達したと発表。2024年の年間収入は初めて200億ドルを突破した。同社は最近、ノンバンクのプライベートクレジットやインフラ融資への大きな賭けに出ている。
同様に、資本ソリューションに戦略的焦点を当てるゴールドマン・サックスの最近の動き――これにより、プライベートクレジット・ファンドによる融資へのアクセスなど、資金調達のさまざまな選択肢を顧客に提供することを目指す――は、銀行がいかに進化しているかを具体的な形で示している。
そう考えると、たとえ25年に期待されるようなM&A案件の急増が実現しなくても、投資銀行や資産運用会社は依然として、銀行がメインストリートの貸し手の役割を離れ、ウォール街の側にシフトする長期的傾向によって利益を得られるだろう。
ブラジル航空大手ゴルとアズールが統合協議へ 実現なら中南米最大 - 日本経済新聞
リオ・ティントとグレンコアが統合協議、実現なら業界最大=報道 | ロイター
●日本企業
三井住友信託と住友生命、新興PEファンドへ投資 運用業者を開拓 | ロイター
三井住友信託銀行と住友生命は16日、三井住友トラストグループ傘下の運営会社を通じて、設立年数が比較的浅い国内の新興プライベート・エクイティー(PE)ファンドへ投資すると明らかにした。政府が掲げる「資産運用立国」の方針の下、新興運用業者の発掘を進め投資機会を拡大する。
PEファンドの運営会社である三井住友トラスト・インベストメントが組成し、複数のファンドを組み合わせて運用する「ファンドオブファンズ」に、両社で数十億円を投じる。
投資助言を行う三井住友信託銀行によると、ある程度成熟した非上場企業を対象に投資するバイアウトファンドや、新興企業への投資を行うベンチャーキャピタルファンドが含まれる。幅広い国内新興運用業者向けのファンドの組成は初めてで、多少粗削りであっても将来有望な新興の運用業者の育成の意味も込めて投資するという。
新興の運用業者には、実績不足や規模が小さいなどの理由から投資が難しいといった課題があった。資産運用立国の行動規範は、新興運用業者を運用歴だけで判断せず運用委託先として検討するよう求めている。住友生命は、三井住友信託銀行が投資を助言することで効率的で効果的に運用できるようになるほか、優秀な資産運用業者を発掘して運用収益の拡大へつなげる。
住友生命は、24年1月に公表した資産運用立国に向けた取り組みの中で、優秀な新興資産運用会社の開拓を掲げており、今回の施策はその一環となる。
セブンMBO案に米KKRが優先株出資を検討、数千億円規模-関係者 - Bloomberg
明治安田、アクセンチュアと提携-生成AI活用強化へ300億円 - Bloomberg
三菱UFJ銀行、貸金庫事業「現状維持から撤退まで選択肢」 - 日本経済新聞
日鉄の買収再審査に含み、FRB独立支持 米財務長官候補公聴会 | ロイター
トランプ次期米大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏は16日、上院財政委員会で開かれた指名承認公聴会に臨んだ。バイデン政権に阻止された日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収について、再審査されることになれば、対米外国投資委員会(CFIUS)は「通常通りの審査を行う」と述べた。
公聴会ではその他、米ドルは世界の基軸通貨であり続けるべきと主張。米連邦準備理事会(FRB)は独立を維持すべきと述べ、ロシアの石油部門に対してより厳しい制裁を課す用意があるとの姿勢を示した。
今年末で期限切れとなるトランプ氏の2017年減税を延長し、米経済を圧迫しかねない4兆ドルの増税を回避することが急務と強調した。「もし更新・延長しなければ、われわれは経済的災難に直面することになる」とし、「中間層にとって巨大な増税になる」などと訴えた。
トランプ次期大統領が打ち出している関税引き上げについては、改めて支持を表明。不公正な貿易慣行と闘い、歳入を増やし、貿易以外の問題も含めて米国の交渉力を高めることにつながるとの見方を示した。
ロシアの石油セクターに対する米国の制裁は弱すぎると主張した。バイデン政権が米国の石油生産を抑制する一方で、石油価格の上昇を懸念しすぎたためであり、米国の石油生産量が増えれば、ロシアの石油メジャーに対する制裁を一段と厳しくすることができるだろうと語った。
<FRB「独立維持すべき」>
ベッセント氏は公聴会で、FRBは「金融政策決定に関し独立すべき」との見解を示した。トランプ氏がFRBの金融政策を巡り「自身の見解を表明するだろう」としつつも、トランプ氏がFRBの政策決定に影響力を持つべきと考えているという見方は「極めて不正確」とした。
ドルについては「重要なのは、ドルが世界の基軸通貨であり続けることだ」と主張した。トランプ氏は長年、ドル高に不満を抱いている。
また、トランプ氏が目指す政策については、インフレを抑制し労働者の賃金上昇を促すという見通しを示し、物価上昇につながる政策があるかという議員からの質問に対しては「今すぐ思い付くものはない」と応じた。
楽天Gの三木谷社長、国内での社債発行に意欲-ビジネスにも好影響 - Bloomberg
●先進国政治動向
トランプ氏、議会承認予算の執行留保可能=米予算局長候補 | ロイター
トランプ氏がデンマーク首相と電話会談、グリーンランドの関心伝える - Bloomberg
デンマークのフレデリクセン首相は15日、米国のトランプ次期大統領と電話会談し、同氏がデンマークの自治領グリーンランドの獲得に関心を示していたことを明らかにした。会談後、デンマークのテレビ局TV2のインタビューに応じた。
フレデリクセン氏はインタビューで「グリーンランドとその周辺地域に大きな関心が寄せられていることは疑いようがない。交わした会話から判断すると、これまで公の場で議論されてきた以上の関心があると考えた方がいい」と述べた。
トランプ氏が7日の記者会見で、グリーンランドの支配権を得たいと主張し、目標達成のためには軍事・経済的な強制措置も排除しないと述べて以来、両氏が会談したのは初めて。
トランプ氏はフレデリクセン氏との会談についてコメントしていない。ただ、電話会談直後、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、グリーンランド人の大半がデンマークからの独立を望んでいることを示した2019年の世論調査の結果を投稿した。トランプ氏の報道官はコメントの求めに対し、今のところ回答していない。
デンマーク首相府の15日の声明によると、フレデリクセン氏とグリーンランドのエーエデ首相はともに、グリーンランドは売り物ではないと発言しており、フレデリクセン氏は電話会談でもこの点を強調したという。同氏は「グリーンランドの独立はグリーンランド自身が決めることだ」と主張した。また、北極圏の安全保障強化の重要性を強調し、米国のグリーンランドでの軍事的プレゼンス拡大には前向きな考えを示した。
ベッセント次期米財務長官、ポピュリストとウォール街の両方が信頼 - Bloomberg
バイデン氏、自分ならトランプ氏に勝てたと主張 ハリス氏との間に亀裂 - WSJ
●先進国中銀、金融当局
日銀が来週会合で利上げの公算大、米新政権の影響限定的なら-関係者 - Bloomberg
日本銀行は、来週予定されるトランプ米次期大統領の就任時の発言を受けて金融市場などで大きな混乱が起きなければ、23、24日の金融政策決定会合で追加利上げを決める公算が大きい。複数の関係者への取材で分かった。
関係者によると、日銀が政策判断で重視している春闘をはじめとした今年の賃上げは、支店長会議での報告などを踏まえ、33年ぶりの高水準となった昨年に続く良好な内容が期待できるという。持続的な賃上げ機運の高まりから、賃金コストを価格に転嫁する動きも想定通り強まっている。
20日に就任するトランプ氏の発言では、関税をはじめ経済政策の具体的内容や為替を含む日本への言及が注目される。関係者によると、金融市場にショックを与える大きな波乱や世界経済見通しを覆すようなことがない限り、0.25%程度の政策金利を0.5%程度に引き上げて金融緩和度合いを調整する環境が整いつつあるという。経済データや市場動向などを会合直前まで見極めた上で最終決定する。 
植田和男総裁は15日、前日の氷見野良三副総裁に続き、来週の会合で利上げを行うかどうか議論して判断すると明言した。タイミングの判断では、米新政権の経済政策を巡る状況と春闘に向けたモメンタムが重要と改めて指摘。正副総裁の発言を受け、金利スワップ市場では同会合の利上げの織り込みが8割台まで高まっている。
会合では経済・物価情勢の展望(展望リポート)も議論し、変動の大きい生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価(コアコアCPI)は、2024年度と25年度が上方修正となる公算が大きい。関係者によると、物価見通しの引き上げも今会合での利上げ判断を後押しする要因になるという。
植田総裁は経済・物価情勢の改善が続けば、それに応じて利上げで金融緩和度合いを調整していく方針を繰り返し表明してきた。日銀は見通しに沿って経済・物価が推移しており、2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現する確度が高まっているとみていると関係者は述べた。
ブルームバーグの報道を受けて、東京外国為替市場の円相場は上げ幅を拡大し、一時ニューヨーク終値比0.8%高の1ドル=155円21銭と昨年12月19日以来の高値を更新した。
トランプ氏は14日、関税など外国からの全ての歳入を徴収する「外国歳入庁」を就任日に創設すると表明し、大統領選で掲げていた新たな関税導入を実行に移す姿勢を改めて鮮明にした。氷見野副総裁は米新政権の政策について、「来週の就任演説で政策の大きな方向は示されるのではないか」との見解を示している。
植田総裁は16日、第二地方銀行協会が開いた会合で、来週の決定会合で「利上げを行うかどうかについて議論し、判断したいと思う」と語ったとNHKが報じた。賃上げ動向について前向きな認識を示すなど、15日の発言に沿った内容だったという。
FRBが今年、利上げに転じたら? - WSJ
米連邦準備制度理事会(FRB)が今年利上げに転じたら、どれほど恥ずかしいことになるだろうか。昨年の積極的な利下げ(直近では12月)が間違いだったと認め、方向転換することは可能だろうか。
投資家はこうしたシナリオを検討し始めている。CMEグループのFedWatchツールによると、政策金利であるフェデラルファンド金利(FF金利)の先物が織り込む年内の利上げ確率はゼロのままだが、利上げの可能性を巡る議論は活発に行われている。
これは単に、経済がなお過熱しているかどうか、あるいは第2次トランプ政権の関税・移民・減税政策がインフレを引き起こすかどうかの問題ではない(いずれも重要ではあるが)。投資家にとって議論の中心にあるのは「利上げのハードルは利下げのハードルよりも高いのか」という問題だ。言い換えれば、FRBが利上げに踏み切るには、利下げよりも多くの根拠を必要とするのか、ということだ。
歴史を振り返ると、FRBは、大きな変更を行う際にはそれをかなり前から示唆し、利上げを開始する前にはそれが正しいと確信できるまで時間をかける、という傾向がある。
連邦公開市場委員会(FOMC)後に政策声明を発表する慣行が始まった1994年以降、FRBが1年未満で利下げから利上げに転じたのは1回だけだ。その1回は特殊なケースだった。FRBは1998年後半、米ヘッジファンド「ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)」の破綻によってウォール街が危機に陥る恐れがあったため、大幅利下げを実施。全てが落ち着きを取り戻したことが明らかになると、再び利上げを開始した。当時はドットコムバブルに伴うインフレが急速に進行していたが、それでも利上げ転換には7カ月を要した。
とはいえ、FRBは2021~22年のインフレショックに対して当初十分に対応しなかった経験から学んでおり、インフレ再燃の兆しがあれば速やかに動くはずだ、との見方もある。
資産運用会社コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのグローバル金利ストラテジスト、エド・アルフサイニー氏は「(FRBは)より多くのデータが得られるまで利上げを示唆することはない」とした上で、「しかし、それは紙の障壁に過ぎず、データが圧倒的なものとなれば(FRBは)それを即座に突破するだろう」と話す。
利上げへのハードルがより高いと考える投資家は、1年物や2年物など満期が短めの米国債の購入を検討するかもしれない。単純な考え方では、これは(経済がどちらに転んでも)勝ち目のある賭けだ。経済が順調ならFRBは利上げを控えるか遅らせるので、大きな変化はなく投資家は利回りを得られる。経済が悪化すればFRBは利下げし、米国債価格は上昇(利回りは低下)する。
この取引は、年限がより長い5年債などでも有効だ。政策金利との連動性を幾らか維持し、利益を得る可能性はより高い。ただ残念ながら、損失の可能性も高まる。満期が長めの債券特有のリスクが加わるからだ。例えば、米財務省による長期債発行の増額・短期債発行の減額、財政赤字への懸念、恒久的な高金利へのシフトなどがある。
市場がただでお金を配ることはまずなく、この(勝ち目がある賭けという)考え方には当然、欠点がある。大きなリスクは、それが単に間違っており、FRBが利上げすることだ。より巧妙で、筆者がより可能性が高いとみるのは、FRBが政策金利の据え置きを続ける一方で、トレーダーらが米国債を売却して金利上昇に備え始めることだ。最近も長期債が売られた。
投資家がよりタカ派的なFRBを織り込むのは簡単だろう。現時点では、もう1回の利下げが織り込まれているため、市場はFRBの利上げを予想しなくても、その1回の利下げ観測を撤回するだけで、米国債利回りを押し上げる可能性がある。ただし、1年債や2年債に生じる損失は限定的だろう。
米投資顧問会社PGIMフィクスト・インカムのグレゴリー・ピーターズ共同最高投資責任者(CIO)は、市場はこの非対称性の一部を織り込み済みだが、ボラティリティーは非常に高いと語る。「(利下げの可能性と利上げの可能性の間の)ゆがみが有利に働く、というのがコンセンサスだと思う」が、レンジは非常に広くなっていると述べた。
過去8カ月だけでも、2年債利回りは5%から3.5%に低下し、その後、4.4%まで戻している。昨年9月に利回り3.5%で2年債を購入した投資家は、クーポン(利息)収入を含めてもわずかに損失が出ている。
利上げの可能性を示す初期兆候が、借り入れコストの指標となる担保付翌日物調達金利(SOFR)のオプションに現れている。アトランタ地区連銀によると、同オプションが昨年末時点で織り込んでいた利上げ確率は35%で、FRBが前回利下げした昨年12月18日の翌日の水準(30%)から上昇した(これらのオプションは極端な動きに対する保険として使用されるため、ある程度の確率は正常)。だが、利上げという結果が予想されていると言うには依然として程遠い。
筆者の見方では利上げは起こりそうにないが、それは市場の見方でもある。FRBが利上げに言及し始めれば、実際に利上げに動くよりもはるか前に市場が大きく反応するかもしれない。
インフレ抑制傾向が続く場合は早期利下げも=ウォラーFRB理事 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は16日、インフレは引き続き緩和し、FRBは予想よりも早くより速いペースで利下げする可能性が高まるとの見方を示した。FRBの利下げペースがより緩やかになるとみる最近の市場の動きに逆行する認識を示した。
ウォラー理事はCNBCで、インフレ率は目標である2%に近づいていると述べた上で「こうした数字が続くなら、今年前半に利下げが行われると考えるのが妥当だ。デフレーション傾向は続き、おそらく他の人が考えているよりも少し早く2%に近づくと楽観している」とした。インフレの動向次第では今年最大3─4回の0.25%ポイントの利下げがあり得るとも述べた。
ウォラー氏は3月18─19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に言及し「インフレが抑制され、労働市場が堅調であれば、数カ月後に利下げ再開を検討できるだろう。3月の可能性を完全に排除することはできないと思う。大きな進展があれば、さらに踏み込むことも可能だ」と述べた。
次回FOMCは1月28─29日。間もなくFRB当局者はブラックアウト期間に入る。
その直前に出されたウォラー氏のハト派的コメントで、市場の期待は即座に変化した。
FRBは1月FOMCで政策金利を据え置くと予想されている。これまで投資家はFRBが6月まで金利を据え置き、年内の利下げは1回のみになると予想していたが、この日は年内2回の利下げの可能性が高まり、最初の利下げは早ければ5月にも実施されるとの観測が浮上。債券利回りも低下した。
労働市場の安定化に安心感─米シカゴ連銀総裁=報道 | ロイター
●先進国経済指標
米1月フィラデルフィア連銀業況指数が改善、4年半ぶりの大幅な伸び | ロイター
米フィラデルフィア地区連銀が16日に発表した1月の製造業業況指数は44.3になった。2024年12月のマイナス10.9(改定)から大きく改善し、21年4月以来の高水準に達した。
単月の伸びとしても、新型コロナウイルス第1波に伴う工場閉鎖から再開した20年6月以来最大となった。
ロイターがまとめたエコノミスト予想のマイナス5.0も大きく上回った。
内訳では新規受注と出荷が急増した。
新規受注指数は42.9に上昇し、21年11月以来の高水準を付けた。出荷指数も41.0で、20年10月以来の高水準。雇用指数は11.9で、6カ月ぶりの水準に上昇した。
業況6カ月予測は46.3と、前月の30.7から上昇した。
米新規失業保険申請は1.4万件増の21.7万件、予想以上に増加 | ロイター
米小売売上高、12月は0.4%増 予想下回るも堅調維持 | ロイター
米商務省が16日発表した2024年12月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.4%増加した。11月のデータも上方改定され、米連邦準備理事会(FRB)が今年の利下げに慎重となる可能性を改めて示唆した。
市場予想は0.6%増。
11月分は0.8%増と、当初発表の0.7%増から改定された。
自動車、ガソリン、建築資材、食品サービスを除く小売売上高は0.7%増。11月は0.4%増で、改定はなかった。
12月の小売売上高は前年比では3.9%増だった。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの主任エコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「今回の小売売上高から、FRBが緊急に金利を引き下げる必要があると主張する人はいない。経済がすでに完全雇用状態にあるため、金融刺激策による後押しは必要ない」と述べた。
自動車販売店の売上高は0.7%増加した。11月は3.1%増だった。家具は2.3%急増、衣料品小売店の売上も回復した。スポーツ用品、趣味用品、楽器、書店の売上高は2.6%増加した。
その他小売店は4.3%増加した。一方、オンラインストアの売上高は0.2%の増加にとどまった。
サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.3%減少した。11月は0.1%増加だった。エコノミストは外食を家計の重要な指標とみなしている。氷点下の気温が消費者を家に引き止めた可能性がある。
英GDP、11月は前月比+0.1% 3カ月ぶり増加も予想下回る | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
英金融機関、住宅ローン需要鈍化を予想=中銀調査 | ロイター
ドイツ企業、値上げ計画 23年4月以来の高水準=IFO | ロイター
ドイツのIFO経済研究所が16日発表した2024年12月の価格予想指数は23年4月以来の高水準となった。全ての経済部門が指数の上昇に寄与した。
同指数は値上げを予定している企業の割合を示す。12月は19.7で、前月の15.8から上昇した。
IFOの予測責任者、ティモ・ウォルマーショイザー氏は「今後数カ月、インフレ率は2.5%前後で横ばいとなり、欧州中央銀行(ECB)の目標を上回ると予想される」と述べた。
12月は消費者関連サービス業、製造業、ビジネス関連サービス業で価格予想が上昇した。
欧米で自動車工場閉鎖の恐れ、環境規制や中国勢攻勢で=ガートナー | ロイター
調査会社ガートナーは、自動車ブランドが過剰生産能力と価格競争に苦しむ中、今年、欧州と北米で複数の自動車工場が閉鎖または売却される可能性があると指摘した。
ガートナーは16日付のリポートで、自動車メーカー各社は今年、排ガス規制や関税に直面し、米欧で生産能力を削減する可能性が高いと指摘した。中国の電気自動車(EV)メーカーは、ソフトウェアと電動化での優位性から支配的地位を強くすると予想した。
ガートナーのアナリスト、ペドロ・パチェコ副社長はロイターに、「閉鎖や売却の可能性が高いのは高コストの国で、政治的・社会的圧力は競争の激化によって相殺される」と述べた。「圧力が高まるほど、多くの自動車メーカーがより現実的な決断を迫られる」とした。
中国ブランドは、貿易障壁を克服するために工場を買収したり、欧州の低コストの国、モロッコやトルコのような自由貿易パートナー国に新工場を作る可能性があると予測した。
独自動車部品メーカー、ボッシュのシュテファン・ハートゥング最高経営責任者(CEO)は、欧州連合(EU)の2025年CO2排出ルールによる混乱を懸念し、EUが目標未達の企業への罰金賦課を控えるべきだと業界誌に語った。
仏自動車ロビー団体PFAのリュック・シャテル会長は、欧州自動車業界は30年と35年のEV目標を達成できそうにないと指摘し、「EV販売を人為的に強化するために、内燃エンジン車の販売を減らしてしまう危険性がある」とロイターに語った。
ガートナーは、電動化には課題があるものの、電気バス、自動車、バン、大型トラックの25年の出荷台数が17%増加し、30年までに販売全体の50%以上がEVになると予測。
パチェコ氏は、このシフトを実現するために、レガシーな自動車メーカーは新興EVメーカーやデジタル企業からソフトウエア・アーキテクチャを購入したり、研究開発センターを強化、技術系企業と提携して自己資金によるEV合弁事業を立ち上げるといった動きに出る可能性があると述べた。
世界失業率、記録的低水準の5%で推移へ 若年層は高い=ILO | ロイター
国際労働機関(ILO)は16日発表した報告書で、2024年の世界失業率がデータがある1991年以降、最低の5%だったと明らかにした。25年もこの水準を維持すると予想した。
ただ世界経済成長は昨年の3.3%から今年は約3.2%に減速し、中期的に緩やかな減速が続くことで雇用創出が制限されるとの見方を示した。
「世界経済は緩やかなペースで拡大を続けているが、徐々に勢いを失い、労働市場のより強力で持続的な回復を妨げることが予想される」と述べた。
26年の失業率は4.9%に低下する見込み。
ただ一部の国やグループは好調な傾向の恩恵を受けられず、若年失業率は12.6%と高くなっていると指摘した。欧州の一部では近年、失業率が低下しているが、南アフリカなどでは24年が30%を超えるなど高水準が続いた。
ILOのウングボ事務局長は報告書の序文で活発な労働市場への障壁に対処するために大胆な行動が必要とし「世界は、適切な仕事を生み出す社会正義への新たなアプローチを受け入れなければならない」と述べた。
報告書には、教育への投資を通じた雇用創出の促進に向けた勧告や、貧困国の発展を促進するために、移民が母国に送金する資金を活用した新たな民間資金の提案が盛り込まれている。
米国債「デススパイラル」、外国ファンドはリスク軽視-依然最高の投資先 - Bloomberg
 欧州最大の資産運用会社、オーストラリアの巨大年金基金、潤沢な資金を持つ日本の保険会社などに米国債について話を聞くと必ず「米国債は勝るものは依然としてない」という考えがあるのが分かる。
バンス次期米副大統領は4カ月前、「債券自警団」が債券利回りを押し上げようと動き出せば米国債は「デススパイラル」に陥る可能性があると発言したが、英最大の資産運用会社であるリーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメントなどは新政権に好意的な見方を示している。
米国債が歴史的な弱気相場に陥っているにもかかわらず、外国ファンドが米国債を購入する理由は数多くある。第一に、日本などの国債に対して米国債は非常に高い利回りプレミアムを提供する。また、急速に成長しているオーストラリアの年金業界は、市場の厚みと流動性から、米国債を毎月買い増している。さらに、米国債は財政問題を抱える一部の欧州諸国の国債よりは安全な投資先のように見える。
トランプ次期米大統領が米国債発行を監督する財務長官にヘッジファンド運用者のスコット・ベッセント氏を指名したことも投資家を安心させた。ベッセント氏は、減税、支出抑制、規制緩和、安価なエネルギーを通じて財政赤字の対国内総生産(GDP)比を低下させることを目指している。
リーガル・アンド・ジェネラルのマクロ戦略・資産運用責任者、クリス・ジェフリー氏は「デススパイラル」のリスクについて「債券市場というものは、利回り上昇と債務予測上昇が相互に強め合うサイクルに陥ることがある」と説明。
しかし「次期米財務長官は2028年の赤字をGDPの3%にするという目標を掲げている。連邦政府がそのような目標を掲げるのであれば、債券投資家がストライキを起こす理由はない」と述べた。
米国債の最大の海外保有者である日本の投資家は、リスクの高まりを認識しているが依然として積極的な買い手だ。
日興アセットマネジメントのチーフグローバルストラテジスト、ナオミ・フィンク氏は「米国債市場は規模が大きく流動性が高く、また米国の通貨発行益が深く根付いているため、世界中の中央銀行の準備における米国債の中心的役割が損なわれることはないという見方が市場では優勢だ」と説明。
「基本シナリオとして、米国債利回りの調整は秩序ある形で進むと予想している。しかし、より混乱を招く調整の可能性は、まだ小さいものの高まっているとみている」と語った。
日本の投資家が米国債を好む理由の一つは、米国債が強いドルへのエクスポージャーを提供することだ。24年にはヘッジなしの米国債投資で国内のファンドは12%のリターンを上げ、そのうち11.5%はドル高によるものだった。
欧州の視点
欧州のファンドもおおむね楽観的で、特にトランプ氏が世界中の投資家を味方につけておく必要性を認識しているように見えることから、米国債利回りが急上昇する可能性は低いとみている。
アムンディのグローバルアグリゲート戦略副責任者、アン・ボードゥ氏は「利回り上昇は最終的に成長見通しやリスク資産のパフォーマンスの重しになる」と、政権がこれを避けようとする理由を説明。ただ、「トランプ氏の政策についてより明確になるまでは、市場は確実に慎重な姿勢を維持するだろう」と付け加えた。
米国の債務が積み上がる中、米国債に対して慎重な姿勢を示す運用会社もある。
RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのシニアポートフォリオマネージャー、カスパー・ヘンス氏は「新発債が大量に市場に投入される」ことが最終的に悪影響を及ぼすリスクを指摘。「米国債利回りが急上昇する可能性は少なくともある。22年のトラス英首相在任中の英国で起きたようなことが起きないとは限らない」と述べた。
米国債以上の投資先はない
米国債の海外保有国として2番目の中国では、米国債暴落の可能性は限定的だとみられている。
中信証券のチーフエコノミスト、明明氏(北京在勤)は「米国の借り入れコスト上昇や財政圧力に対する懸念が正当なものであったとしても、債券市場が大崩れする可能性はかなり低いだろろう」と言う。
「米国債市場に不必要な変動が生じたとしても、米連邦準備制度理事会(FRB)には市場を安定させ流動性を管理する手段がまだたくさんある。それによって圧力が緩和されるだろう」と同氏は述べた。
台湾でも米国債投資が活発だ。台湾最大の資産運用会社である元大証券投資信託の劉宗聖会長は「台湾の投資家の大半にとって結論は、『米国債以上の投資先はない』ということになるだろう」と語った。
米で賃貸物件が供給過剰、ただし高級物件のみ - WSJ
15%の空室率に悩まされているのはオフィスビルの所有者だけだと思う人もいるかもしれない。
米国は深刻な住宅不足に直面している。ただし、不動産投資家が記録的水準で資金をつぎ込んできた種類の賃貸物件は、事情が異なる。
米国の賃貸物件空室率は2024年10-12月期に8%に達し、新型コロナウイルス流行前を上回った。推計150万~700万戸が不足していることを踏まえると、空室数の増加は奇妙に見える。
問題の一因は「群集心理」で、不動産開発業者は同じ都市に同じ種類の物件を建設している。投資が集中したのは、月額家賃が平均2139ドル(約33万7000円)の四つ星か五つ星の物件だ。
これには財務的にもっともな理由があった。建設費と土地代が上昇し、開発業者は納得のいくリターンを得るために高額の賃料を必要としたためだ。だがその結果、多くの賃借人の予算を超える高級物件の供給過剰を招いた。調査会社コスターのデータによると、米国の四つ星・五つ星物件の空室率は11.4%と、より手頃な物件の2倍に達した。
米南部の「サンベルト地帯」の都市は、東西両海岸地域の市場より高級賃貸物件の供給過剰が深刻だ。テキサス州オースティンの空室率は15%に達している。家主は入居者を集めるため、1年契約で家賃2~3カ月分を免除するなどの大幅値引きに頼らざるを得なくなっている。こうした特典は数字の上では賃料を押し下げないものの、実質的には最大25%値下がりしていることになる。
コロナ禍で投資家が離れたマサチューセッツ州ボストンやイリノイ州シカゴなどの都市は比較的早く立ち直っている。ニューヨークの空室率は2.8%で、国内でも特に需給が引き締まっている。これは2021~24年に新規供給がほぼなかったためだ。建設が低調だった他の多くの沿岸部や中西部でも賃料が上昇している。
ハイブリッド勤務が進んでここ数年空洞化していた都市が回復し始めている。賃貸物件を手掛ける米上場不動産投資信託(REIT)エクイティ・レジデンシャルは直近の決算説明会で、米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムが従業員に週5日の出社を義務付けて以来、ワシントン州シアトル市内の賃貸需要が改善したと明らかにした。今年はサンフランシスコで賃料を引き上げられると楽観的な見方を示した。
家主は目下の住宅市場で大もうけしていることだろう。30年固定金利型住宅ローンの金利は再び7%近くまで上昇し、多くの米国人にとって持ち家は手の届かないものとなっている。
ジョン・バーンズ・リサーチ・アンド・コンサルティングによると、初回住宅購入者の月々の住宅ローン返済額と維持費を合わせると、同じ物件の賃貸費より1091ドル高い。歴史的に見ると、持ち家の費用は賃貸を233ドル上回っているにすぎない。このため、賃貸の期間が長引く人が増えている。
供給過剰が解消されるまで業者が開発を控えているため、高級賃貸物件の新規建設は減速している。一方、実際に需要がある種類の住宅建設はこれまで増えずにいる。コスターのデータによると、24年10-12月期に建設中だった賃貸物件は、平均月額賃料1332ドルの価格帯がわずか6700戸だったのに対し、高価格帯は50万戸弱だった。
多くの家主は、サンベルト地帯の都市の賃料が年内に回復すると考えている。人口が流入して供給過剰を吸収すると見込んでいるためだ。こうした市場への人口流入数は、コロナ下のピークに比べると大幅に減速しているものの、依然として堅調に見える。米商業不動産サービス大手クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのマルチファミリー・インサイト部門責任者サム・テネンバウム氏の分析によると、オースティンでは現在、約2万1000戸が建設中で、これは同市の賃貸物件在庫の6.5%に当たる。25年の同市への人口流入数が24年と同水準なら、わずか1年でこれが埋まることになる。
だが投資家にとってありがたくない供給源がもう一つある。米プリンストン大学エビクション・ラボのデータによると、フロリダ州ゲインズビル、テネシー州ナッシュビル、テキサス州ヒューストン、アリゾナ州フェニックスなど人気の高いサンベルト地帯の市場で、立ち退き通知件数が19年の水準を大幅に上回った。オースティンではコロナ前の平均を36%上回り、1万2500戸が市場に追加放出されて賃料の成長回帰が遅れる可能性がある。
立ち退きの急増は一時的なもので、賃借人が経済的に圧迫されているという深刻な兆候ではないかもしれない。上場賃貸不動産では家賃未払いは警戒水準に達しておらず、入居者の定着率は依然として極めて高い。
ただ業界関係者によると、サンベルト地帯の賃借人は現在「特典買い」をしている。つまり、新築物件に家賃2カ月免除で入居し、契約期間が終了すると出ていく。一方、低中所得の賃借人はコロナ下の蓄えを使い果たしたとみられる。
かつては比較的手頃だったこうした市場で家主が家賃を上げようとすれば、賃借人は支払いが難しくなるかもしれない。投資家にとっては、供給不足の地域に目を向けるのが賢明なヘッジかもしれない。ひっ迫した住宅市場にとってこれ以上に望ましいのは、手頃な物件でも採算が取れるようにするという難しい課題に開発業者が取り組むことだろう。
空売りヒンデンブルグ、事業閉鎖へ - WSJ
25年世界成長、「トランプ関税」と報復措置で0.3%下押しも=世銀 | ロイター
原油先物一時2ドル超安、フーシ派の船舶攻撃停止の見通しで | ロイター
●中東情勢
停戦合意後のガザ攻撃で71人死亡、イスラエルはハマスの違反非難 | ロイター
ガザ停戦合意の後に来るもの|ARAB NEWS
イスラエルとハマス、停戦合意の最終調整で対立 - WSJ
イスラエルとイスラム組織ハマスの当局者らは、ガザでの停戦合意の最終調整で対立している。仲介者らは19日の発効に向け努力を続けているものの、合意の脆弱(ぜいじゃく)性が浮き彫りになった形。
ジョー・バイデン米大統領とカタールの首相は15日、イスラエルとハマスが共に休戦を受け入れたと発表。1年間にわたる慎重な外交努力を経て、ドナルド・トランプ次期大統領の就任数日前に合意を取りまとめていた。
またハマスもイスラエルと合意に達したと述べていた他、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領も合意を歓迎し、同国政府にこれを受け入れるよう促していた。
だがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は16日、カタールで行われている交渉の中でハマスが合意の一部を撤回したと非難。首相府は「土壇場で危機」が生じていると述べている。
イスラエル内閣は合意について話し合うため予定されていた会合を延期し、承認に向けた重要なプロセスの一つを先送りした。またハマス側が合意の全ての側面を受け入れたと交渉担当者らが報告してくるまで、内閣は会合を開かないとしている。
ハマス政治部門の高官エザット・エルラシュク氏は16日、同組織が合意に引き続きコミットしていると述べた。ハマス幹部のサミ・アブ・ズフリ氏もアラブ地域の衛星テレビ局に対し、ネタニヤフ氏のコメントは「根拠がない」ものだと伝えている。
停戦合意は複数の段階で構成されており、初期の段階にはハマスによる人質の解放とイスラエルによるパレスチナ人囚人の釈放、ガザへの人道支援物資の輸送開始などが含まれる。ハマスとイスラエルはこの段階で、より長期的な休戦の条件について交渉する。
パレスチナメディアや現地住民らによれば、イスラエルは15日と16日午前にガザ地区でさらなる空爆を実施。パレスチナ自治政府の通信社WAFAは、イスラエルの爆撃によりガザ市で複数人が死亡したと発表している。イスラエル軍は報告された攻撃について、今のところコメントしていない。
イスラエル国内ではハマスを完全に排除する当初の戦争目的を堅持したい極右政治家らが合意に抵抗している。
イタマール・ベングビール国家治安相やベザレル・スモトリッチ財務相など強硬派の政治家らはネタニヤフ政権の要職に就いているが、首相が停戦を受け入れれば内閣を去ると過去に脅していることから、連立与党が崩壊するリスクもある。
●エマージング
韓国中銀、予想外の利下げ見送り 15年ぶり安値のウォン支援 | ロイター
コラム:インドの成長構造にほころび、けん引役の家計消費が低調 | ロイター
中国、1960年代以来となるデフレ長期化も-GDP統計で脆弱性露呈か - Bloomberg
中国はデフレサイクルを断ち切ることができず、1960年代以来最も長期の物価下落局面にあるとエコノミストらはみている。昨年末の景気上振れで見えなかった経済の脆弱(ぜいじゃく)性が今週の公式統計で露呈しそうだ。
中国が17日発表する国内総生産(GDP)データは、2024年の中国経済が2年連続でデフレとなったことを示すと大方の市場関係者が想定している。
JPモルガン・チェースやシティグループなどの米大手銀行の一角は、デフレが25年も続くと予測。そうなれば、毛沢東初代国家主席の「大躍進」政策で経済が失速した1960年代以来最も長いデフレ局面となる。
ブルームバーグが調べた市場関係者15人の予想中央値では、昨年10-12月(第4四半期)の実質GDPは前年同期比で拡大ペースが加速すると見込まれている。ただ、2025年には物価を示す最も幅広い指標であるGDPデフレーターがマイナス0.2%になると予測されている。  
GDPデフレーターは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の10年間、平均でプラス3.4%を記録していた。
HSBCホールディングスのアジア担当チーフエコノミスト、フレデリック・ニューマン氏(香港在勤)は、「中国では特に財政面での刺激策が非常に必要とされている」と指摘。
「ディスインフレから完全に脱却するには大きな政策の後押しが必要なことを各国の経済で確認してきた。中国でも徐々にそうなるだろうが、実際には非常にゆっくりとした動きになるだろう」と述べた。
中国がデフレから脱却できないのは、推定18兆ドル(約2800兆円)相当の富を家計から奪った住宅危機によるところが大きい。資産価値の目減りを目の当たりにした一般世帯は、消費よりも貯蓄に向かっている。
ブルームバーグが集計したエコノミスト予想では、24年の実質GDP成長率は4.9%に達したもよう。政府が相次ぎ景気対策を打ち出したことから直近の数カ月は景況感が好転した。
中国が金融セクターの統制強化、大物幹部も追放 - WSJ
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(16日)ドル155円台に下落、米国債利回り低下 株小反落 | ロイター
#### **為替市場**
- **ドル/円**は0.81%安の155.2円で約1カ月ぶりの安値。
  - 日銀の利上げ期待(利上げ確率約79%)や米経済指標が背景。
  - 米新規失業保険申請件数が予想を上回る一方、小売売上高の増加でFRBの慎重な利下げ姿勢が示唆された。
- **ユーロ/ドル**は0.1%高の1.03ドル、主要通貨に対するドル指数は0.05%安の108.96。
- **ポンド**は対ドルで0.13%安、対円でも取引序盤で急落。
#### **米債券市場**
- 米国債利回りは低下。
  - 10年債利回り:4.592%(6.1bp低下)。
  - FRB理事の発言で、年内利下げ幅は43bpへ拡大。
  - 利回り曲線の正常化が進む中、長期金利の大幅な低下は見込み薄。
#### **株式市場**
- 米株式市場は小反落。
  - モルガン・スタンレーは決算好調で4.03%高、バンク・オブ・アメリカは0.98%下落。
  - アップルは中国でのiPhone販売減少で4.04%安。
  - 医療保険会社ユナイテッドヘルスの決算悪化も市場に影響。
#### **金先物市場**
- FRBの利下げ期待を背景に金先物価格は3日続伸。
  - 2月物は1オンス=2,750.90ドル(1.22%高)で約1カ月ぶりの高値。
#### **原油市場**
- 米原油先物(WTI)は1.70%安の1バレル=78.68ドル。
  - イエメンのフーシ派が紅海での攻撃停止観測や中東供給リスクの緩和、利益確定売りが影響。
### **全体のポイント**
- 日銀の利上げ観測が円高要因となり、ドルは対円で弱含み。
- FRBの利下げ観測が強まる中、株式市場は決算や経済指標の影響を受けて小幅な動き。
- 金や原油など商品市場も、金融政策や地政学的リスクの動向に敏感に反応。
欧州市場サマリー(16日) | ロイター
### **ロンドン株式市場**
- **FTSE100種指数**は2024年5月以来の約8か月ぶりの高値。
- **FTSE250種指数**は0.95%上昇。
- 英国GDPは前月比でプラスに転じたが予想を下回り、英中銀の利下げ観測が強まる。
- 個別銘柄では、バーバリー(+4.1%)、リシュモン(+16.4%)、ウォッチズ・オブ・スイス(+8.1%)など高級ブランドや小売り関連が上昇。
- デリバルーは業績好調の発表を受けて6.6%上昇。
### **欧州株式市場**
- **STOXX欧州600種指数**は約5週間ぶりの高値。
- 高級品株が大幅上昇し、リシュモン(+16.4%)、LVMH(+9.2%)、クリスチャン・ディオール(+8.6%)などが牽引。
- 半導体関連も上昇。台湾TSMCの好調な決算を受け、**STOXX欧州600テクノロジー株指数**は2.05%高。
### **ユーロ圏債券市場**
- ドイツ10年債利回りは2.523%でほぼ横ばい、2年債利回りは2bp低下。
- ECBは慎重に政策緩和を進める方針で、年内に約100bpの利下げが織り込まれる。
- 米消費者物価指数(CPI)のインフレ鈍化が債券市場を支えた。
高級品株と半導体関連が市場をけん引する一方、各国の利下げ観測が投資家心理を押し上げました。

備忘録(2025/1/15
●海外企業決算
[GS] ゴールドマン 2024年12月通期は増収最終増益 売上高16%増535億ドル、純利益71%増135億ドル、配当11.50ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[JPM] JPモルガン 2024年12月通期は増収最終増益 売上高12%増1775億ドル、純利益18%増584億ドル、配当4.80ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[C] シティグループ 2024年12月通期は増収最終増益 売上高3%増811億ドル、純利益37%増126億ドル、EPS5.94ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WFC] ウェルズファーゴ 2024年12月通期は微減収最終増益 売上高微減822億ドル、純利益3%増186億ドル、配当1.50ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[BLK] ブラックロック 2024年12月通期は増収増益 売上高14%増204億ドル、営業益21%増75.7億ドル、配当20.40ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[BK] BNYメロン 2024年12月通期は増収最終増益 売上高5%増186億ドル、純利益41%増43.3億ドル、配当1.78ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
ゴールドマン、10-12月利益倍増-株式トレーディング好調が寄与 - Bloomberg
JPモルガンが決算 米大統領選でトレーディング収益が過去最高 株価は小幅高=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
JPモルガン、トレーディングで最高の第4四半期-21%増収 - Bloomberg
シティ、収益性の主要目標引き下げ-フレーザーCEOの再建道半ば - Bloomberg
シティグループが決算受け上昇 200億ドルの自社株買い ただ、ROTCEの目標は下方修正=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ウェルズ・ファーゴが決算受け上昇 人員削減を継続=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
米銀4行の決算好調、トランプ次期政権への期待に沸く-見通しも強気 - Bloomberg
トランプ次期米大統領が掲げる成長重視政策への期待にウォール街が沸く中、銀行大手はバイデン政権時代を好調な業績で締めくくった。
大手4行が15日発表した2024年業績は、利益がバイデン大統領就任最初の年となる21年に次ぐ過去2番目の高さを記録した。金利の変動がトレーディングおよび融資業務の利益を押し上げた一方、投資銀行の手数料収入は32%増と、23年の低迷から持ち直した。これは始まりに過ぎないと経営陣は予測している。
JPモルガン・チェースは年間利益が米銀史上初めて500億ドル(約7兆8300億円)を突破した。シティグループでは、主要5部門のうち、富裕層向け、米個人向け銀行業務、サービスの3部門で、通年の収入が過去最高となった。
とりわけ10-12月(第4四半期)に収益への大きな追い風が吹いたのは確かだ。米大統領選でトランプ氏が勝利し、同氏の政策を巡る不透明感から市場が大きく変動した。だが、それだけではない。雇用の上振れで米利下げ予想の見直しが進んだことも背景にある。
こうした中、ゴールドマン・サックス・グループの株式トレーディング収入は年間で134億ドルに達し、過去最高となった。JPモルガンでは、トレーディング収入が10-12月としては過去最高を記録した。
企業のディールメイキングも活発化。大手行の中で規模の小さいウェルズ・ファーゴでも、投資銀行業務の年間収入が62%伸びた。
16日にはバンク・オブ・アメリカ(BofA)とモルガン・スタンレーが決算を発表する。
トランプ氏の返り咲きを受けて、銀行トップからはホワイトハウスを去るバイデン政権に対して批判的な別れの言葉が聞かれた。ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)氏はアナリストとの電話会議で「企業経営陣の間ではセンチメントの変化が起きている」と発言。「2025年にかけて追い風が吹いているような感触だ」と続けた。
さらに、今後は規制当局との「建設的な」話し合いが増えると予想。米連邦準備制度理事会(FRB)が金融機関を対象に行うストレステスト(健全性審査)は「理解できない」結果を生み出すとして痛烈に批判した。
JPモルガンのダイモンCEOは、経済成長と銀行の安全性の間で当局はバランスを取る必要があると指摘。そのためには「透明性が高く、公平かつ包括的なアプローチで、厳格なデータ分析に基づきルールを定めること」が必要との考えを示した。
銀行幹部の間では足元、トランプ次期政権下で規制緩和が進むとの期待が高まっている。これに加え、2024年に好調な業績を収めたことを踏まえると、経営陣は株主還元を厚くすることに自信を深めているようだ。
シティグループ株価は同日の取引で急伸。再建計画の要となる収益性の目標を引き下げたが、今後数年で200億ドル規模の自社株買いを行うと発表したことが好感された。
●海外企業
インテル、「インテル・キャピタル」を新ファンドとしてスピンオフ=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
JPモルガン、国外リテール事業拡大へ ドイツ皮切り - WSJ
米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が、大きな冒険に乗り出そうとしている。
長年にわたりCEOを務めてきた同氏は、自らが企業トップとしての最終章を迎えたとし、国外でデジタルに焦点を当てた巨大なリテールバンクを構築する計画に注力。同行はドイツで「チェース」ブランドの銀行立ち上げを準備しているという。
欧州最大の経済大国であるドイツは8000万人以上の人口と巨額の貯蓄を抱えているが、銀行セクターの収益性は低いことで知られている。その中で事情に詳しい関係者らによれば、JPモルガンは2025年後半から26年初めにかけ、ドイツでチェースを立ち上げる予定となっている。
JPモルガンは資産規模ではすでにドイツ最大級の銀行の一つで、フランクフルトを拠点に大企業向け融資、証券取引、決済処理を行っている。また英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後はEU事業もフランクフルトに設置。ダイモン氏は昨年、JPモルガンのドイツ進出100周年を記念するイベントに出席するため、昨年は4-6月期(第2四半期)決算発表を欠席していた。
ダイモン氏は支店網のコストを削減したデジタルバンキングの登場前は、外国のリテール銀行と他国で競合することに消極的だった。だがシティグループやHSBCが世界各地の地場市場で長年にわたり展開してきた事業から撤退する中、同氏は前進を続けている。
JPモルガンは知名度に加え、1年間で170億ドル(約2兆6800億円)を投じる技術力に支えられたアプリにより、従来の銀行や新興フィンテック企業の双方から顧客を引き付けることを目指すという。
一方でゼロからデジタル銀行を構築するのは、JPモルガンが予想していたよりも時間がかかり、複雑だったとプロジェクトに詳しい関係者らは言及。チェースは22年にドイツで開業する予定だったが、一連の遅延を受けてこれを延期している。
また米国のチェース事業の幹部の中からは、当初からこの高コストの計画に懐疑的な意見もあがったが、ダイモン氏と右腕のダニエル・ピント最高執行責任者(COO)は支持。
両氏は技術革新によって新しい国で銀行を開業しやすくなったため、JPモルガンが国外でリテール事業を拡大できるかどうかを見極めたいとしている。また支店網を買収する代わりにアプリを開発し、コストのかかる物理的な拠点なしで顧客を獲得することにも期待がかかる。このような技術が機能した場合、より大規模な米国市場でもこれを展開できる可能性があり、これがさらなる潜在的な追い風となることも考えられる。
マッコーリー、米アプライドのAIデータ拠点に最大50億ドル投資へ | ロイター
オーストラリアの金融大手マッコーリーは14日、米コンピューティングインフラ企業アプライド・デジタルの高性能コンピューティング事業の株式15%を取得し、同社の人工知能(AI)用データセンターに最大50億ドルを投資することで合意した。
生成AI「チャットGPT」の登場以来、企業は競合他社に先駆けて自社のAIモデルを訓練しようとコンピューティングインフラ企業に多額の投資を行っている。
マッコーリーの資産運用部門は、アプライド・デジタルが米ノースダコタ州で開発中のデータセンターに最大9億ドルを投資することで合意。アプライドはまた今後30カ月間、将来の企業データセンターに41億ドルを追加投資する「先買権」を有している。
●日本企業
●先進国政治動向
英右派リフォームUK支持率、与党との差1ポイントに迫る=世論調査 | ロイター
14日に公表されたユーガブの世論調査によると、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を推進したナイジェル・ファラージ氏率いる右派政党「リフォームUK」の支持率が、与党労働党にわずか1%ポイントの差で2位に付けている。
労働党圧勝からまだ半年しかたっておらず、次回の投票は2029年だが、明日総選挙が行われたら労働党に投票すると回答した有権者は26%、リフォームUKに投票するとの回答は25%だった。
保守党の支持率は22%だった。
ユーガブの調査は総選挙以来初めてで、昨夏に14%の票を獲得したリフォームUKが保守党から支持され、より小規模ながら労働党の支持も集めていることが示された。
リフォームUKは、英議会650議席中5議席を占めるに過ぎないが、全国で400万票以上を獲得しており、歴史的に労働党と保守党が支配してきた英国の政治体制に対するポピュリスト的な挑戦者と見なされている。
トランプ陣営、ケネディ氏のワクチン懐疑派側近を排除  - WSJ
●先進国中銀、金融当局
米企業、トランプ次期大統領の関税政策を警戒=地区連銀報告 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は15日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、昨年終盤の米経済活動が小幅から緩やかなペースで拡大し、雇用もやや増えたとの総括的な見方を示した。
2025年の見通しについては楽観的な見方が悲観的な見方を上回ったものの、トランプ次期米大統領による移民や関税を巡る政策変更で物価上昇など経済に悪影響を及ぼす可能性があるとの懸念も示された。
FRBの12地区で25年1月6日までに実施された調査で、カリフォルニア州での山火事の影響は反映されていない。
報告では「調査先は25年も物価上昇が続くと予想し、一部は関税引き上げが物価上昇につながる可能性を指摘した」と記載した。
24年11月5日の大統領選挙で、大幅な関税引き上げと移民規制強化を掲げて勝利したトランプ氏が集票を伸ばした地域からも懸念が示された。ダラス地区連銀は「見通しは引き続き改善しているものの、今後の移民・貿易政策による悪影響への懸念がある」と指摘した。
カンザスシティー地区連銀は「カンザス州とネブラスカ州の食品製造・農業関係者は移民の臨時雇用への制限が著しい供給制約につながる可能性があると指摘した」と報告した。
また、「コロラド州のリゾート地周辺では移民制限が労働力不足を悪化させる可能性があるとレジャー・接客業者が指摘した。テクノロジー業界の関係者はオフショアリング政策が変更された場合、海外のテクノロジー労働者の雇用への影響を懸念している」とも報告した。
リッチモンド地区連銀は、地区内の製造業者が関税を物価上昇の要因に織り込み、「企業による1年後の物価上昇予想は高まっている」と指摘した。「製造業者の方が非製造業に比べて予想する1年後の物価上昇ペースは速く、複数の企業は物価が上昇する理由として関税を挙げた」とも記載した。
NY連銀総裁「金融政策はデータ次第」、政府巡る不確実性で | ロイター
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は15日、今後の金融政策は経済データ次第であるとの考えを示した。政府の政策変更などにより連邦準備理事会(FRB)は大きな不確実性に直面しているとした。
ウィリアムズ総裁は、コネチカット州ハートフォードで行う講演の原稿で、「経済見通しは、とりわけ財政や貿易、移民、規制に関する政策を巡って依然として不確実性が非常に高い」とした上で、「そのため、今後の金融政策決定は、引き続きデータや経済見通しの推移、FRBの二重の使命の達成に対するリスクを総合的に判断して行っていくことになる」と言及。金融政策見通しに関する指針を示す上で、政府が制約要因になっていると指摘した。
債券利回りの上昇にも言及。これが投資家のインフレ見通しに対する根本的な見方の変化を示すとは考えていないとした上で、利回り上昇は「入手されるデータの強さだけでなく、財政政策や世界情勢を巡る市場の不確実性も反映しているようだ」との見方を示した。
また、経済は好調で、コロナ禍の混乱を経て均衡を取り戻したと言明。ディスインフレのプロセスは継続する可能性が高く、目標とする2%には「今後数年」で回帰するとみていると述べた。
米CPI、インフレ圧力緩和継続を示唆=リッチモンド連銀総裁 | ロイター
インフレ鎮静化の進展を予測、軟着陸に楽観的=米シカゴ連銀総裁 | ロイター
ECB、利下げ継続の公算 リスクには慎重に対応へ=副総裁 | ロイター
●先進国経済指標
米CPI、12月は前年比2.9%上昇に加速 インフレ依然高止まり | ロイター
米労働省が15日発表した2024年12月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.9%上昇した。伸びは前月の2.7%から加速し、7月以来の大幅な伸びを記録した。年内の米利下げ回数が当初見込まれていたよりも減少するという見通しを裏付ける内容となった。
前月比は0.4%上昇した。11月の0.3%上昇から加速し、3月以来9カ月ぶりの大幅な伸びとなった。
エネルギーは2.6%上昇し、CPI全体の伸びの40%超を占めた。ガソリン価格の4.4%上昇に押し上げられた。
食品も0.3%上昇した。
市場予想は前年比2.9%上昇、前月比0.3%上昇だった
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「米連邦準備理事会(FRB)のインフレ抑制に向けた仕事は残っており、それが制約的な金利をより緩やかなペースで引き下げる計画にシフトした理由だ」と指摘。月内の米連邦公開市場委員会(FOMC)で「現状維持」となった後、トランプ次期政権が実施する可能性のある「関税のインフレへの転嫁が明確になるまで、利下げは再開されない可能性がある」という見通しを示した。
変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは、前年比3.2%上昇、前月比0.2%上昇した。伸びはともに11月の3.3%上昇、0.3%上昇から鈍化し、物価上昇圧力が緩和されつつある兆候を示唆した。
これを受け、金融市場では6月の利下げ観測が強まった。
ただ、注目されている家賃は0.3%上昇し、11月の0.2%上昇から伸びが加速。帰属家賃(OER)も0.3%上昇した。
航空運賃は3.9%、中古車・トラックも1.2%それぞれ上昇した。
英CPI、12月は予想外に伸び鈍化 コア・サービスインフレ減速 | ロイター
英国立統計局(ONS)が発表した2024年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.5%と、11月の2.6%から予想外に減速した。
エコノミストは2.6%と予想。イングランド銀行(英中央銀行)は11月上旬に12月のインフレ率を2.5%と予測していた。
エネルギー、食品、アルコール、タバコを除いたコアインフレ率は3.2%で、11月の3.5%から低下。市場予想(3.4%)以上に鈍化した。
サービスインフレ率は4.4%と11月の5.0%から低下し、22年3月以来の低水準。エコノミストは4.9%と予想していた。
ナットメグの投資ストラテジスト、スコット・ガードナー氏は「政策当局者と財務省関係者は安堵のため息を小さくつくだろう」と語った。
投資家はここ数日、英国国債を大量に売っている。一因はインフレ率が高過ぎるために英中銀が今年大幅な利下げに踏み切れず、経済成長や財政に打撃を与えることを懸念しているためだ。
<利下げ予想強まる>
インフレ率は再び上昇すると見込まれ、多くのアナリストは25年序盤に3%を超えると予想している。
しかし、投資家は金融緩和予想を強め、2月に0.25ポイントの利下げが行われる確率は82%に達した。
年内2回の利下げは市場でほぼ織り込み済み。確率は指標発表前の約60%から上昇した。
英国国債利回りは低下。ポンドは指標発表後に下落したが、その後切り返し、小幅高となった。
ドイツ銀行の英国担当チーフエコノミスト、サンジェイ・ラジャ氏は4月の最低賃金引き上げなどを背景に物価は上向くとしつつ、「一時的なものである可能性が高く、来年にインフレ率はより目標に沿った水準まで正常化するだろう」と述べた。
12月の工場出荷価格は前年同月比0.1%上昇。11月は0.5%下落していた。
ユーロ圏鉱工業生産、11月は前月比+0.2%・前年比-1.9% | ロイター
独成長率、第4四半期速報0.1%減 循環・構造問題で2年連続マイナス | ロイター
ドイツ連邦統計庁が15日発表した2024年の国内総生産(GDP)は、市場予想通り0.2%縮小した。2年連続のマイナス成長となり、ユーロ圏内で景気が最も低迷している。
第4・四半期は速報で0.1%縮小した。改定値は1月30日に発表される。
輸出中心のドイツ経済は、世界的な需要低迷と中国製品との競争に苦しんでいる。24年の輸出は前年比0.8%減少した。
25年第1・四半期も経済が縮小すれば、冬季のテクニカルリセッション(2期連続のマイナス成長)となる。
統計局庁のブラント長官は会見で、24年の成長阻害要因として海外からの競争激化、エネルギーコスト高、高金利、不透明な経済見通しなど循環的、構造的な問題を挙げた。23年も0.3%縮小しており、2年連続でのマイナス成長は2000年代初頭以来となる。
IFO経済研究所の予測責任者ティモ・ウォルマーショイザー氏「戦後最も長い停滞期にある。世界的に比較してもかなり遅れをとっている」と述べた。
INGのマクロ部門グローバル責任者、カルステン・ブルゼスキ氏は「エネルギー価格高騰で製造業が12月に生産停滞となったとの報告を踏まえると、第4・四半期のGDPが下方修正されるリスクは現実的だ」と述べた。
LBBWのエコノミストは、トランプ次期米大統領の就任後は輸出機会が一段と悪化する可能性を指摘。「25年は3年連続の景気後退になることが示唆されている」との見方を示した。
コメルツ銀行のチーフエコノミストは、「第4・四半期は若干の改善見通しもあったが期待外れとなり、第1・四半期も改善の兆しはない」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのエコノミストは、実質家計所得の小幅な回復と金利低下が消費と建設投資を一定程度押し上げる可能性があるとしたが、エネルギー価格の高止まりと主要工業製品への需要低迷によりほぼ相殺されるとの見方を示した。
●金融市場、先進国トピックス
昨年の訪日外国人は最多の約3687万人、消費額も過去最高に | ロイター
[FT]カナダ、ウラン大国再び 原発回帰で需要が急増 - 日本経済新聞
カカオ農家、記録的高値でも栽培やめる訳 - WSJ
米国人が払うチップ額、6年ぶりの低水準に - WSJ
米の労使パワーバランス、会社側が再び優位に - WSJ
米国の労働市場は、表面上は依然として堅調なようだ。だが水面下では、労働者は全く異なるメッセージを受け取っている。会社側が再び主導権を握ったということだ。
大手企業はリモートワークに関する方針を厳格化しているほか、出張予算を縮小し、福利厚生を削減している。金融大手JPモルガン・チェースは10日、ハイブリッド勤務の社員は3月から基本的に週5日オフィスに戻る必要があると従業員に通達した。ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは今月から全面的にオフィス勤務に戻ることを従業員に義務付け、IT大手デル・テクノロジーズは昨年の秋に営業チームに同様のことを求めた。企業は大学授業料の補助や、病気のペットの世話をするための休暇といった福利厚生を縮小している。
こうした動きは、労働市場が過熱から単に堅調な状態に移行する中で、雇用主と従業員との力関係がどのように変化したかを示している。
2020年から22年にかけて、新型コロナウイルス流行による人手不足が賃金を大幅に押し上げ、離職者は簡単に次の仕事を見つけることができた。労働者の離職率は急上昇し、23年初めには失業率は50年以上ぶりの低水準となる3.4%をつけた。
失業率はその後上昇し、昨年12月には4.1%となった。一方、求人倍率は2022年につけた過去最高の2倍から昨年11月には1.1倍にまで低下した。
労働市場はどの指標に照らしても依然として健全だ。実際、求人数は9月以降増加している。12月の就業者数は11月から25万6000人増加するなど予想を上回る伸びを示し、2024年は平均で月間18万6000人増えた。ただ、過去1年間の雇用増の76%は医療・教育、レジャー・接客、政府部門に集中している。金融、情報、専門・ビジネスサービスといった分野では雇用の伸びははるかに弱い。
これまで雇用主の相対的な優位が強まれば、解雇や賃金カットという形で表れていた。だが現在はもっと巧妙で、労働条件が変更されるケースが多い。例えば、一部の従業員がオフィスへの復帰よりも退職を選ぶことを知っている企業の中には、人件費削減の手段として在宅勤務を終了させるところもある。退職せずに淡々と必要最低限の仕事をこなす「静かな退職(quiet quitting)」はいまや、正式な人員整理を発表せずに企業が従業員を減らす「静かな人員削減(quiet cutting)」に取って代わっている。
米シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスのマイケル・ギブス教授(経済学)は企業から従業員への最近の指令について、単に時代が変わったことを伝えるメッセージかもしれないと語る。「企業は期待値をリセットしようとしている」
メイリアン・サンツさん(33)は、10月にテクノロジー企業のオペレーションディレクターを辞めたと話す。上司が従業員に週4日のオフィス勤務に戻るよう求めたことがきっかけだった。サンツさんはリモートで働いていたが、ニュージャージー州の自宅からニューヨークのオフィスまで通勤すると仕事で費やす時間が1日に数時間増え、子ども2人の保育料と犬の散歩代も支払わなければならなくなる状況だったという。
「影響は家族全員に及ぶ」とサンツさんは話した。
現在、独立してビジネス・リーダーシップコーチとして働くサンツさんは、リモート勤務との説明がある25~30件の求人に応募したが、当初は返事がなかったと話す。採用担当者から最終的に返事があったが、その内容に驚いた。リモートと記載されていた仕事が、現在ではオフィス勤務になっていた。会社側は「全てがオフィス回帰にシフトしていると言うだけだった」という。
テクノロジー関連求人サイトのダイスによると、テック業界の従業員の間では、ボランティア活動のための有給休暇、大学授業料の企業負担、無料の財務アドバイスやメンタルヘルスプログラムといった福利厚生を受ける割合は2024年、前年から約4ポイント低下した。ボーナスの平均は1万5011ドル(約240万円)から1万4194ドルへと800ドル以上減少した。一方、動画配信大手ネットフリックスは社員に対し、子どもの出生後1年間は無制限の育児休暇を取ることを許可してきたが、同社はこの制度を静かに後退させてきたことをウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先月報じた。記事の中でネットフリックスの広報担当者は、従業員には自身にとって何が最善であるかを決める自由と柔軟性があると述べていた。
コンサルティング会社アンクラで労働慣行を担当するジョン・フレーゼ氏は、雇用主は実質的に「病気のペットのための休暇は、経済状況が4年後に再び変化したら再導入する。だが今は、病気のプードルの世話をするために休暇を取るべきではない」というメッセージを発していると指摘する。
リモートワークは当初、新型コロナウイルス流行に対応するために必要とみなされていた。従業員はリモートでもオフィス勤務と同様に生産的である証拠が示されたため、多くの企業はリモート制度を恒久的なものにした。その後、リモートへの移行は行き過ぎであり、チームワークや協業、アイデア創出といった面が犠牲になったとの結論に達する企業も出始めた。
企業の経費管理を支援し、米国で約4200人の従業員を抱えるコーペイはコロナ流行に伴い拡大したハイブリッド勤務およびリモート勤務に関する方針の見直しに動いている。この方針には、税金が正確に徴収され、従業員の生産性が高い限り、どこで働いても良いとの内容が含まれる。
コーペイの最高人事責任者、クリスタル・ウィリアムズ氏は「それはちょっと抑制しよう、ということだ」と述べた。
コーペイは、アトランタの本社を皮切りに、オフィスの近くに住む従業員に対し、週3日以上の出社を求める方針を伝えている。さらに「よほど専門的なスキルを持ち、どうしても引っ越しできない人でない限り、どこでも働けるというシナリオはありえない」とウィリアムズ氏は語る。
ウィリアムズ氏は方針の変化について、労働市場におけるコーペイの地位が高まったことを反映している面があるとしている。従業員の勤続期間が長くなり、要件を満たす応募者を集めやすくなっているという。同氏によると、退職や解雇、定年退職による米従業員の2024年離職率は前年から12ポイント低下し、優秀な候補者の採用が増えた。
オフィス回帰の流れが実際にどのような影響をもたらすかはまだはっきりしない。経営陣は自社の生産性を高めたいと思っており、これは経済全体で見ると、物価上昇を伴わない成長加速につながる。ただ、エコノミストの間では懐疑的な見方がある。現在出社を求められている従業員の多くはすでに、一定の時間をオフィスで過ごしている。米スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授(経済学)は、協力し合って働くことの利点は週に数日出社するだけで得られることが多く、集中力を要する業務は自宅で行う方が良い場合もあると指摘する。
このことは、コーペイが採用するようなハイブリッド勤務に関するルールのほうが、厳格な週5日出勤義務よりもはるかに一般的である要因になっているといえる。週5日出勤を義務付けると発表した大企業の数はまだ少なく、一部はまだ実施されていない。調査会社フレックス・インデックスによると、週5日のオフィス勤務を義務付ける企業の割合は昨年の春からほとんど変わっておらず、2023年からは大幅に低下している。一方、ビジネス向けSNSのリンクトインのデータによると、ハイブリッド勤務の求人の割合は過去1年間でわずかに上昇している。
おおむね労働市場全体において力関係の変化が見られるが、特にホワイトカラーの職種では顕著だ。マーク・ガズディクさん(57)は8月に大手クルーズ会社のアカウントマネジメントの仕事を解雇された。数件の求人に応募し、貯金が底をつきかけていた頃、航空会社で客室乗務員になるための訓練生プログラムに採用された。給与は以前の半分以下だった。客室乗務員は30年前に経験していた。
ガズディクさんは「20万ドルの給料を稼げるホワイトカラーのキャリアをあきらめたように見られることに不安を感じた」とした上で、「でも、この仕事には心地よさと安心感があり、再び必要とされていると感じられるのはとてもうれしい」と話した。
武力紛争が最大のリスク=世界経済フォーラム報告書 | ロイター
世界経済フォーラム(WEF)は15日、年次総会(ダボス会議)が20日に始まるのを前に、「グローバルリスク報告書」を公表した。2025年の世界経済の最大のリスクとして戦闘やテロを含む武力紛争を挙げ、世界の分断が深まっていることを印象付ける結果となった。
学界や企業、政策立案者といった900人以上の専門家を対象に24年9─10月に調査を実施した。武力紛争を最大のリスクとしたのは4人に1人近くに上った。24年の最大リスクとされた異常気象は今回、2番目に深刻なリスクとされた。また、回答者の64%が多極化・分断化した世界が続くと予想した。
WEFによると、ダボス会議にはトランプ次期米大統領が就任直後の23日にオンライン形式で参加。ウクライナのゼレンスキー大統領も出席し、21日に演説を行う。欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長や中国の丁薛祥副首相も参加する。
WEFのブレンデ総裁によると、今年のダボス会議では、シリアやガザ地区の「悲惨な人道的状況」を含めた中東での紛争を巡る議論が焦点となるとしている。
報告書では、今後2年の最も深刻な世界的リスクは誤・偽情報で、24年と同様だった。
今後10年間のリスクに関しては、環境の脅威がリスク懸念の大部分を占めた。異常気象が長期的なリスクとしてトップで、生物多様性の喪失、地球環境の重大な変化、天然資源の払底が続いた。
トランプ関税は米自動車産業に打撃、中国の利益に=ミシガン州知事 | ロイター
ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(民主党)は15日、トランプ次期米大統領が表明したメキシコとカナダへの追加関税は米自動車産業に打撃を与え、自動車価格の上昇を招くほか、中国の利益となる可能性があると警告した。
ホイットマー知事はデトロイトでの演説で、関税賦課によりサプライチェーン(供給網)が損なわれるほか、生産ラインが停滞し「米・カナダ両国で雇用が減少する」と指摘。
関税に関する協力など巡り、オンタリオ州首相や他のカナダ当局者らと活発に協議していると言明した。
同知事はまた、多くの部品が自動車完成までに何度も国境を通過し、カナダと米国間の年間貿易額7000億ドルのうち4分の1がミシガン州デトロイトとカナダ東部オンタリオ州ウィンザーの国境を越えていると説明した。
トランプ政権移行チームからコメントは得られていない。
トランプ新政権経済顧問が示す「20%関税」の効果 - WSJ
高い関税を課せば米国がより豊かになるというドナルド・トランプ次期大統領の信条を共有すれば、同氏の経済顧問として働きやすい。だが、この基準を満たすエコノミストは多くない。
スティーブン・ミラン氏は、まさにその信条と同じ主張を展開している。トランプ氏が経済諮問委員会(CEA)の委員長に指名したミラン氏は、米国の現行の関税率である平均2%と比べて、平均で20%前後、最高で50%になった場合、米国はより豊かになる可能性があると最近のリポートで述べている。
ミラン氏の見解は検討に値する。それは同氏が今後トランプ氏に助言するからというだけではない。ミラン氏は関税と、ドルの価値を下げるための国際介入をそれぞれ、長年の世界的な緊張に対応する道具と表現している。米国の他国に対する経済的・軍事的支援は、ドルの過大評価や大幅な貿易赤字、産業基盤の空洞化の一因となっている。
「全面的な関税と、『強いドル』政策の転換は、政策によるものとしては数十年で最も幅広い影響を及ぼし、世界的な貿易・金融システムを根本から作り変える可能性がある」。ミラン氏は上級ストラテジストを務めるハドソン・ベイ・キャピタルの11月のリポートにそう記した。
ミラン氏がCEA委員長に指名されたのは12月末で、「世界貿易システム再構築のためのユーザーガイド」と題したリポートはその前に執筆された。
同氏はこのリポートについて、トランプ氏の見解ではなく自身の見解を反映したもので、政策提言としてではなく、「実行される可能性のあるさまざまな政策を理解する」ために作成したと記している。
41歳のミラン氏は2010年にハーバード大学で経済学の博士号を取得し、その後は金融業界で働いている。現在は保守派シンクタンクのマンハッタン研究所の研究員でもある。
関税に関するものを含めてミラン氏の主張は目新しいものの、正統派経済学に基づいている。クリントン政権に仕え、ミラン氏の博士課程のアドバイザーの一人だったハーバード大学の経済学者デービッド・カトラー氏によれば、ミラン氏は「全ての学者は間違っているに違いない」と決めてかかる人物ではないという。「理論と証拠が(ミラン氏の)指針となっている」とカトラー氏は話した。
だからといってその提案がうまくいくとは限らない。ミラン氏のリポートはうまくいかない可能性が高いことを認めている。「これらの政策が重大な悪影響を及ぼさずに実行される道はあるが、その道は狭い」という。
貿易によって一つの国が消費と生産の両方を増やせることや、関税を課せば経済が悪化することで、経済学者の意見は一致している。しかしアダム・スミスが1776年に自由貿易を支持する明確な主張を展開してから数十年の間に、経済学者は関税を課した方が国が豊かになる条件を突き止めた。
ある輸入国が買い手独占者――支払う価格に影響を与えるほどの支配的な買い手(独占企業が売値に影響を与えるのと同じだ)――だと仮定しよう。輸入国が輸入した製品に10ドルの関税を課しても、製品は10ドル値上がりせず、価格は以前と変わらない。輸出業者が市場のシェアを減らさないように10ドル値下げするからだ。
従って消費者が痛手を被ることはない。消費者が支払う代金が少し増えたとしても、関税収入は支払いを上回るプラスの効果をもたらす可能性がある。この純便益を最大化する関税率は「最適関税」と呼ばれている。ミラン氏が引用するマサチューセッツ工科大学のアルノー・コスティノ氏とカリフォルニア大学バークレー校のアンドレス・ロドリゲスクレア氏の研究によると、20%前後の関税が最適で、最高で50%までなら米国はより豊かになる可能性がある。
これは目標としての高関税を支持する議論であり、トランプ氏の一部の同調者が交渉戦術として関税を擁護しているのと対照的だ。
最適関税政策は明らかに「近隣窮乏化政策」だ。つまり、ある国が別の国に損害を与えることによってのみ利益を得る。第2次世界大戦以降、世界が相互に関税を引き下げることを目指していた中で、「体系的かつ意図的に最適関税政策を追求する意欲のある国の実例はなかなか見つからない」。ダートマス大学の貿易歴史学者ダグ・アーウィン氏はこう指摘した。
最適関税理論は実際には欠点がある。トランプ氏の対中関税はこの理論の正しさを裏付けているようには思えない。コンスティノ氏はインタビューで、関税はほとんどが輸入業者に転嫁されることが研究で明らかになっていると指摘した(ミラン氏のリポートはこれらの研究に異議を唱えている)。
中国や欧州連合(EU)、メキシコ、カナダが2018年に行ったように、他の国が報復措置を取れば、関税はもはや最適ではなくなり、双方が敗者となる。「他国が報復関税を課せば、米国にとって関税の福祉便益が無効になりうる」とミラン氏は認めている。
報復を思いとどまらせるため、トランプ政権は「報復関税を実施する国にとって、共同の防衛義務と米国の防衛の傘はこれまでほどの拘束力はなく、信頼できるものでもないと政権は認識していると宣言」することができる、とミラン氏は書いた。言い換えれば、日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国が報復措置を取った場合、米国はこれらの国を守らないかもしれないということだ。
問題はもう一つある。輸入価格がほとんど上昇しなければ関税を課しても米国は豊かになるが、その場合、消費者は輸入品から国産品に切り替える気にならず、米国の製造業を強化するというトランプ氏の目的は果たされない。
もう一つ注意すべきは、関税を課しても貿易赤字が減らないかもしれないことだ。貿易赤字が減ってドルが上昇すれば、輸入品がさらに安くなり、輸出品の競争力がそがれるからだ。
ミラン氏は関税の代替手段として、米国が1985年のプラザ合意――米国と同盟国が協調してドルの切り下げに動いた――をモデルにした「マールアラーゴ合意」を通じてドル安にできると述べた。「懲罰的な関税を課された欧州や中国などの貿易パートナーは、関税率の引き下げと引き換えにある種の通貨合意を進んで受け入れようとするようになる」としている。そうでなければ米国は米国債の買い手に利用料を課すこともできるという。
これによって長期債が売られれば、連邦準備制度理事会(FRB)は長期債を購入して長期金利の上昇圧力を抑えなければならないかもしれない、とミラン氏は記した。FRBは金融政策の独立性と引き換えに、通貨や債券への介入で財務省と協力する可能性が高い、とも述べている(トランプ氏は金融政策への発言権を求めている。ミラン氏は別の論文で、大統領と州知事がFRBの統治にこれまで以上の支配力を持つことを提案している)。
問題は、米国に協力しない国に防衛の傘を使わせないという脅しが利くかどうかだ。米国は貿易赤字の半分を占めるメキシコ、ベトナム、中国とは防衛同盟を結んでいない。
トランプ氏は7日、デンマークからグリーンランドの支配権を獲得するのに軍事力の行使を否定せず、「経済力」を行使してカナダを併合する可能性にも言及した。デンマークもカナダも米国と同じくNATO加盟国だ。米国の同盟国はトランプ氏が同盟国への脅しを繰り返していることから、米国の防衛保証はもはや存在しないとの結論を下すかもしれない。ロシアと中国も同じ結論に達して、この機会にそれぞれの近隣諸国への攻撃的な姿勢を強めるかもしれない。
ミラン氏自身は「潜在的に不安定な結果」を招くことをあっさり認めている。
●中東情勢
イスラエルとハマス、ガザ停戦で合意 19日に発効 | ロイター
イスラエルとイスラム組織ハマスが15日、パレスチナ自治区ガザでの停戦で合意した。当局者によると、合意には当初6週間の停戦やイスラエル軍の段階的撤退、ハマスが拘束している人質解放などが含まれるもよう。
ガザ地区の路上では、停戦合意を祝うパレスチナ人らの姿が見られた。
バイデン米大統領はホワイトハウスで会見し、合意を確認。「この合意により、ガザでの戦闘停止とパレスチナ民間人への人道支援の拡大が実現し、15カ月余りも拘束されていた人質が家族と再会することになる」と述べた。
停戦交渉を仲介したカタールのムハマンド首相兼外相は、ドーハで記者会見を開き、ガザ停戦合意が19日に発効すると発表した。
合意の第1段階では、女性、子供、50歳以上の男性を含むイスラエル人の人質33人が解放される見通し。
その後、第1段階の16日目までに第2段階の実施に向けた交渉を開始し、残りの人質全員の解放、恒久的な停戦、イスラエル軍のガザからの完全撤退が含まれる見込み。
第3段階では、全ての遺体の返還と、エジプト、カタール、国連が監督するガザの復興開始が想定される。
15カ月に及ぶ戦闘の停戦に向けた交渉は、米国の支援の下、エジプトとカタールの仲介によって数カ月にわたり行われてきた。バイデン米大統領の任期終了、トランプ次期大統領の20日の就任間際での合意となる。
トランプ氏は自身のソーシャルメディアに「中東の人質を巡り合意を得た。間もなく解放されるだろう」と投稿した。
エジプトのシシ大統領もXへの投稿でこの合意を歓迎した。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相官邸は声明で、ハマスが土壇場で要求を取り下げたが、合意には依然として未解決の問題がいくつかあるとし、「今夜中に詳細が確定することを望んでいる」と述べた。
極右のイスラエル国家治安相、ガザ停戦同意なら辞任と警告 | ロイター
●エマージング
米国の新たな制裁、ロシアの石油供給を大幅抑制も=IEA | ロイター
アングル:メキシコ大統領の「対トランプ」戦略が高評価 関税回避に期待 | ロイター
昨年11月終盤、トランプ次期米大統領が世界の貿易環境に衝撃を巻き起こした。メキシコとカナダが米国への不法移民や麻薬の流入対策をもっと進めない限り、就任後直ちに両国製品へ25%の関税を課し、自由防衛協定を破棄すると発言したからだ。
これは当時、就任から8週間足らずだったメキシコのシェインバウム大統領にとって大きな試練になった。シェインバウム氏は、トランプ氏に対してあまりにも厳格で融通が利かない態度を見せるのではないか、というのが専門家の当初の見立てだった。
しかしトランプ氏の米大統領就任が近づいた今、シェインバウム氏は公的な場でこそトランプ氏との「口論」を続けているものの、メキシコが移民や治安、中国を巡る問題で米国との協力に真剣だという姿勢を証明できる具体的な措置を打ち出している。
これらの措置がトランプ氏の関税発動を回避する上で十分か、またそもそも「就任初日から関税」というトランプ氏の脅しが全て現実になるのかはまだ分からない。ただ複数の専門家や元外交官らは、シェインバウム氏によるトランプ氏への対応は着実な滑り出しを見せたとの見方を示した。
米シンクタンク、メキシコ研究所のグローバル研究員を務めるジェマ・クロッペ・サンタマリア氏は「シェインバウム氏と彼女のチームによる非常に現実的で先回り的なアプローチだ」と指摘する。
実際シェインバウム氏は、既に厳しくなっていた米国への不法移民流入取り締まりを一層強化し、昨年10―12月の拘束者は過去最大の47万5000人に達した。またメキシコ政府として、米国から強制送還された非メキシコ人を受け入れる可能性も排除していない。
メキシコ政府は医療用麻薬フェンタニルについて史上最大量の1100キロを押収したとも発表。一部アジア製品への新たな関税導入と、幾つかの国内都市で中国の違法コピー商品を没収したと明らかにした。
クロッペ・サンタマリア氏は「シェインバウム氏は強い政治指導者というメッセージを発信している」と語り、就任から100日間を経た最近の世論調査で支持率が80%まで高まっていると説明。「トランプ氏が絶大な権力と正当性を身にまとって登場してくるのは間違いないが、シェインバウム氏にもそれは当てはまる」と付け加えた。
ロイターが取材した経済専門家やメキシコの元外交官、メキシコ政治研究者ら7人の大半は、シェインバウム氏の「対トランプ」戦略を高く評価している。
バンコ・ブラデスコのアナリスト、ロドルフォ・ラモス氏は、メキシコが自国の利益を米国の利益と完全に合致させる決意を示していることから、シェインバウム氏とトランプ氏が力を合わせて序盤の脅威や不確実性を乗り切れるとの確信が強まっていると述べた。
<潜在的リスク>
メキシコの元駐米大使、アルトゥーロ・サルカン氏は、第2次トランプ政権においてメキシコは最大の「負け組」国家の一つと目されると話す。
貿易相手として米国の比重は他国に対して圧倒的に大きく、トランプ氏が関税を課せばメキシコ経済を激しく揺さぶりかねないからだ。サルカン氏によると、トランプ氏が約束している不法移民の大量強制送還も、メキシコの労働市場に緊張をもたらすほか、既に暴力や成長低迷などに苦闘する同国に人道や治安の面で課題を突き付ける恐れもある。
サルカン氏は、米国とメキシコの関係は過去数十年で最も不安定化し、メキシコ政府は第1次トランプ政権よりも向き合うのがさらに難しくなると覚悟する必要があると警告した。
しかしシェインバウム氏は、まさにお手本通りに備えを固めているように見えるし、今のところ政権が講じてきた措置に不足はないかもしれない。
ユーラシア・グループのアナリスト、マティアス・ゴメス氏は「これらの措置はトランプ氏との交渉の土台を築き、同氏が就任初日に関税を課すのを防ぐ上で十分だと思う」と述べた。
それでもゴメス氏は、トランプ氏による関税の脅しは今年を通じてさまざまな面でシェインバウム政権に重圧を与えるリスクとしてくすぶり続けるとみている。
ウクライナ和平「就任初日」公約は誇張、トランプ氏側近が認める | ロイター
インドネシア中銀、0.25%利下げ 成長支援へ予想外の緩和再開 | ロイター
韓国失業率、12月は3.7%に大幅上昇 政治混乱で3年半ぶり高水準 | ロイター
韓国資本市場、12月は外国人売り越しが20年以来高水準 政局不安で | ロイター
インド国債に海外資金 24年3兆円、指数組み入れけん引 - 日本経済新聞
人民元に圧力、中国が直面するジレンマ - WSJ
中国は通貨政策の綱渡りを強いられている。経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)が人民元安を示唆し、資本流出の懸念がつきまとう中、中国当局は相場の急変を警戒している。
人民元の最近の値動きは小幅ながら象徴的だ。ここ数カ月は人民元の対ドル相場が1ドル=7.3元を下回ると、相場を下支えするためにしばしば中国国有銀行が介入していたが、当局はさしあたりこの水準割れを容認している。現在は7.33元近辺で取引されており、1日の許容変動幅の下限に迫っている。人民元は中国人民銀行(中央銀行)が毎日設定する基準値の上下2%まで変動が許容されている。
だが人民元急落の可能性が高いと投機筋が考えているとしたら、それは見当違いだ。人民銀は通貨の安定維持を約束し、実行してもいる。過去最大規模の短期証券を発行して香港で人民元の流動性を吸収したのはその一環だ。当局はまた、国際金融取引に関する規則を変更し、中国企業が国外で借り入れをしやすくしたため、人民元を外貨に換金する需要が減った。
確かに元安要因はある。対ドルでは特にそうだ。米国と中国の経済は互いに反対方向に進んでいる。市場が見込む米利下げ回数が減り、トランプ次期政権がインフレをもたらしそうな政策を打ち出す可能性があることから、米国の債券利回りは急上昇している。一方、デフレ脱却に手こずる中国では債券利回りが過去最低を記録した。米10年物国債利回りは足元で同年限の中国国債を約3.1ポイント上回っている。1年前はこの差が約1.4ポイントだった。
貿易戦争が差し迫っていることも人民元への圧力となる。第1次トランプ政権下で人民元の対ドル相場は約10%下落した。
一方で中国当局は大規模な資本流出の可能性も危惧している。国内経済が低迷していた2015年、人民元が対ドルで3%急落するのを当局が容認すると、資本の国外流出が加速。資本流出を反映する中国の外貨準備高は、14年から17年までに1兆ドル(約158兆円)近く減少した。当局が資本規制を強化し、経済が落ち着き始めると、流出に歯止めがかかった。
これらを踏まえると、中国当局はトランプ関税の行方を様子見すると思われる。人民元の若干の下落は容認されるだろうが、関税の影響を完全に相殺するほどの下落は容認されないだろう。税率がトランプ氏の言葉通り60%になればなおさらだ。
だが人民元相場にばかり気を取られていると、景気刺激策を打ち出しにくくなる。一方で当局の資本規制は実効性を試されることになり、15年以来の難局となるかもしれない。国内経済が窮地にあり、国外からの逆風が強まる中、中国に容易な解はない。
中国の自動車業界、「淘汰」の段階に - WSJ
中国の自動車メーカーが過剰生産能力を抱えた結果、世界最大の自動車市場が淘汰(とうた)の段階に入っている。
中国乗用車協会(CPCA)が9日発表した昨年の国内自動車販売台数は前年比5.5%増の2290万台だった。しかし、この需要は各社が構築した生産能力をはるかに下回っており、メーカーは生き残りをかけて値下げや国外市場への進出を迫られている。
中国の電気自動車(EV)メーカー、小鵬汽車(シャオペン)の何小鵬CEO(最高経営責任者)は昨年12月31日付の社内文書で、「自動車業界は2025~27年に淘汰の時期を迎える」とし、「2025年の競争はかつてないほど激しいものになる」と述べた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はこの文書を確認した。
早々に「負け組」に名を連ねているのは外国ブランドだ。米ゼネラル・モーターズ(GM)や独フォルクスワーゲン、日本のトヨタ自動車は、地場メーカーにシェアを奪われている。CPCAによると、中国市場では昨年、国産ブランドのシェアが61%となり、前年から8.6ポイント上昇した。
とはいえ、国産ブランドも試練に直面している。
コンサルティング会社アリックスパートナーズのマネジングディレクター、スティーブン・ダイヤー氏によると、昨年、23のEVブランドが中国市場から撤退したか他のブランドに統合された一方で、12の新ブランドが市場に参入した。昨年の1~9月に少なくとも1台のEVを販売したブランドは112に上るという。
同氏の推計では、中国の自動車メーカーは昨年、生産能力の半分程度しか使用しなかったとみられる。
「国有企業や大手民間企業は生き残れるだろうが、小規模企業、特に輸出実績のない企業の間では再編と淘汰が進むだろう」。調査会社オートフォーキャスト・ソリューションズで世界の自動車生産・販売予測を担当しているサム・フィオラニ氏はこう指摘する。
こうした淘汰は、中国政府の産業政策の結末としてよくあることだ。中央・地方政府はまず、補助金や政策支援で特定の産業を奨励する。一定の規模に達すると、生存競争を繰り広げさせる。同様の動きは、最近では太陽光パネルや風力タービンで、過去には鉄鋼や電子機器でも見られた。
競争に生き残った企業は世界トップ企業になることも多く、国の誇りの源となる。EV大手の比亜迪(BYD)をはじめとする中国の自動車メーカーは、すでに世界のEVメーカーの上位に入っている。
中国の新車販売台数の半分超を占めるのはフルEVかPHV(プラグインハイブリッド車)だ。同国の習近平国家主席は新年の演説で、2024年にこれらの車両の生産台数が1000万台の節目に達したことを強調した。
中国でのEV・PHV販売台数は今や、米国の自動車市場全体の規模に迫る。調査会社ワーズ・インテリジェンスによると、昨年の米自動車販売台数は約1590万台だった。
CPCAの崔東樹事務局長によれば、2024年に値下げした車種数は227にも及び、23年の148から増加した。米EV大手テスラの中国法人は、5年間無金利のローンを提供しているほか、スポーツタイプ多目的車(SUV)「モデルY」の価格を3万3000ドル(約520万円)未満相当に引き下げた。
テスラは欧米や日本の競合他社の多くよりも健闘している。調査会社グローバルデータによると、テスラの昨年の中国での販売台数は前年比8%増の約66万2000台だった。それでも、BYDをはじめとする国内ライバルに後れを取っている。BYDは昨年、中国で約400万台を販売した。
GMの中国合弁会社の販売台数は2018年から24年にかけて5割余り減少した。オートフォーキャストのフィオラニ氏は、GMの工場は中国に6カ所あり、必要以上だと指摘する。GMは先月、中国事業の不振により50億ドル超の非現金費用を計上するとの見通しを示した。GMはコメント要請に応じなかった。
資金力のある後ろ盾があっても企業の将来は保証されない。中国のソーシャルメディアに昨年12月、国内のあるEV新興企業の従業員が上司を取り囲み、給与などが確実に支払われるのか懸念を伝える動画が投稿された。同社のオーナーであるIT大手の百度(バイドゥ)と自動車大手の吉利汽車(ジーリー)の2社は、この企業の事業運営が課題に直面しているとし、退職する従業員は公正に扱われると述べた。
中国の高級EVメーカー、上海蔚来汽車(NIO)のウィリアム・リー(李斌)CEOは先月、「自動車会社には欠点が許されない」とし、自動車業界は「最も激しく残酷な競争の段階に入った」と述べた。
バーンスタインのアナリスト、ユニス・リー氏によると、中国は経済全般が低迷しているため、2025年の国内自動車販売は減少する可能性が高い。昨年導入された購入奨励策(買い換え補助金など)は一時的な需要を生み出したが、今年は同様の需要は見込めない。ただし、中国政府は今月8日にこの補助金プログラムを延長した。
中国の自動車メーカーは在庫車を売りさばくために国外に目を向ける。しかし、貿易障壁の高まりでそれも難しくなっている。
欧州連合(EU)は昨年10月、中国製EVに対する最大45%の関税賦課を開始した。バイデン米政権も昨年、中国製EVに100%の関税を課した。CPCAのデータによると、中国のEV輸出はここ数カ月、増え続けているものの、そのペースは鈍っている。
中国の自動車メーカーは関税を回避するために国外に工場を建設しているが、その中で特に注目されているBYDのブラジル工場が問題に直面した。ブラジル政府は昨年12月下旬、一部の労働者が奴隷のような状態にあるとして、調査のため工事を中断させたと発表した。BYDは現場の下請け業者との契約を解除したとし、人権や労働法に違反する行為は容認しないと述べた。
プーチン氏、ウクライナのNATO加盟可能性消滅を要求へ-関係者 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
肥満診断、BMIに代わる新たなガイドライン提案=専門家委員会 | ロイター
週75時間労働も……SHEINの格安衣服を作る工場をBBCが取材 - BBCニュース
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(15日)ドル下落、米国債利回り低下 株上昇 | ロイター
### **為替市場**  
- ドルは米12月の消費者物価指数(CPI)のコア指数伸び鈍化を受け、主要通貨に対して下落したが、下げ幅を縮小。  
- **ドル指数**:0.1%安の109.07(13日には26カ月ぶり高値の110.17を記録)。  
- **ドル/円**:0.93%安の156.49円。日銀総裁の発言が円の支援材料。  
- **ポンド/ドル**:0.1%高の1.2229ドル(英CPIが予想外に減速)。  
- **ユーロ**:0.15%安の1.0299ドル。  
- **シェケル**:0.4%上昇、停戦合意が背景。  
### **債券市場**  
- 米国債利回りが低下:10年債利回りは2日連続低下し4.657%。  
- **CPIの影響**:年内の利下げ観測が強まり、金利低下幅が大きくなる展開。  
- **利下げ予想**:フェデラルファンド金利市場では、年内38ベーシスポイントの利下げを織り込み。  
### **株式市場**  
- 12月CPIの結果を受け、インフレ懸念が緩和。主要株価指数は上昇。  
- 銀行株が堅調(例:JPモルガン +1.97%、ゴールドマン・サックス +6.02%)。  
### **その他市場動向**  
- **金先物**:CPIの鈍化で利下げ期待が高まり、1.32%上昇。  
- **原油先物**:米国の対ロシア制裁強化や在庫減少で3.28%上昇、5カ月ぶりに80ドル台に回復。
全体として、CPIの影響が広範囲にわたり、利下げ観測が市場の注目ポイントとなっている。
欧州市場サマリー(15日) | ロイター
ロンドン株式市場では、英国と米国の消費者物価指数(CPI)の鈍化を受けて利下げ期待が高まり、株価が上昇しました。FTSE250種指数は2.87%高、不動産関連株や住宅建設株が大きく上昇。米大手銀行の好業績も好感され、スタンダード・チャータードなどの銀行株が上昇しました。
欧州株式市場も、米CPIの鈍化と欧州中央銀行(ECB)の利下げ継続観測を背景に反発。STOXX欧州600種指数は約4カ月ぶりの大幅な上昇。不動産株や金融サービス株が高騰しました。
ユーロ圏債券市場では、ドイツ10年債利回りが2.53%に低下し、連続上昇が止まりました。米CPI発表を受け、米連邦準備理事会(FRB)の年内利下げ期待が高まり、ECBも年内の利下げ幅を拡大するとの見方が強まっています

備忘録(2025/1/14
●海外企業決算
イーライリリー、暫定売上高が予想に届かず-肥満治療薬など伸び悩む - Bloomberg
●海外企業
独VW、24年は販売台数が減少-中国での競争激化やEVの低迷影響 - Bloomberg
ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)では、2024年に販売台数が減少した。電気自動車(EV)の需要低迷のほか、主要市場である中国での激しい競争が重しとなった。
アウディやポルシェなどのブランドを傘下に持つVWの24年の世界販売台数は903万台で、前年比2.3%減。完全EVの販売は欧州と米国の両方で減少した。
VWは中国市場における国内メーカーとの競争激化や、欧州でのEVに対する補助金削減で打撃を受けている。オリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は、特にVW部門でのコスト節減に苦慮している。同部門では昨年、コスト削減策を巡り経営陣と労組が対立。数カ月にわたる交渉の末、生産能力削減で合意した。
世界最大の自動車市場である中国での販売台数は9.5%減の293万台と、特に厳しい状況となった。VWは14日の発表資料で中国について、「120社を超える競合との激しい価格競争が続いている」と説明。その上で、2030年までに中国市場での年間販売台数400万台を目指す考えを示した。
ドイツ高級車販売、24年は国内・中国で大幅減少 景気減速が重し | ロイター
イツの高級車メーカーが13日発表した2024年の販売台数は、国内と中国での落ち込みが大きかった。不透明な経済情勢を背景に富裕層が購入を手控えたほか、電気自動車(EV)販売が予想を下回った。
世界販売台数はBMWが2.3%減、メルセデス・ベンツ(MBGn.DE), opens new tabとポルシェが3%減、フォルクスワーゲン(VW)のアウディは12%減だった。
これに対し、中国とドイツでの販売はBMWがそれぞれ13.4%、5.3%減少。メルセデスは7%と9%、アウディは11%、21%の落ち込みとなった。
世界最大の中国市場は24年も安定的な成長を維持したが、価格競争や環境対応車購入に向けた下取り補助金が需要を喚起する中、競争力の低いEVラインアップを持つ海外勢はEV専業の中国勢に押された。
ドイツでは自動車需要がコロナ禍前の水準を依然として大きく下回っており、24年の販売台数は約280万台と前年比約1%減少。19年からは25%減少した。
ドイツ自動車当局のデータによると、同国での販売はバッテリー式EV(BEV)が前年比25%減少する一方、ハイブリッド車が12%増えて約95万台となった。
メドトロニックが上昇 CMSが腎除神経に関する全米適用分析を開始=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
●日本企業
日本が口火、世界的な自動車業界再編の波 - WSJ
従来型の自動車メーカーは行き詰まりつつある。業界に大きな変化をもたらしている二つの力に圧迫されているためだ。一つは、収益性が高かった市場を激変させた中国の電気自動車(EV)メーカーの台頭であり、もう一つは電動化への移行に伴う資金需要の高まりだ。業界には再編の波が迫る。
ホンダと日産自動車が目指す経営統合はこうした流れを示す最新の例に過ぎない。ホンダの三部敏宏社長と日産の内田誠社長は昨年12月、2026年に経営統合する計画を発表した。実現すれば、世界3位の自動車グループが誕生する。ただ、この組み合わせは強さを誇示するというよりも、従来型の自動車メーカーが直面している厳しい現実を反映する面が大きい。
両社の決断の背景にあるのが中国の存在だ。かつて世界の自動車メーカーに大きな利益をもたらしていた中国で、日産は業界の新たな現実にうまく適応できないでいる。同社の2024年4~9月の中国での販売台数は33万9000台と、2018年同期の半数以下だった。
日産だけではない。中国で長年最も人気のある自動車ブランドだった独フォルクスワーゲン(VW)の販売台数は、同じ期間に約4分の1減少した。VWが中国で長らく保持していた販売首位の座は、中国のEVメーカー、比亜迪(BYD)に奪われた。
中国のEVメーカーは、自国市場を過酷な競争の場に変えた。外国ブランドは中国市場の半分以上を占めていたこともあったが、中国の金融情報サービス大手、万得信息技術(ウインド)経由による中国汽車工業協会(CAAM)のデータによると、最近ではその割合が約30%に低下している。中国乗用車協会(CPCA)によると、ここ数カ月間に中国で販売された乗用車のうち、プラグインハイブリッド車(PHV)を含む新エネルギー車が占める割合は半分を超えた。
高級ブランドでさえも影響を受けている。VW傘下の高級車ブランド、ポルシェの中国での販売台数は2024年1~9月に前年同期比で29%減少した。ドイツ製の高級車はかつて中国の富裕層のステータスシンボルだったが、最近では先端技術を搭載した中国の新型EVがその地位に取って代わり始めている。
一方、中国の自動車業界の過剰生産能力を背景に、低価格車が輸出され世界市場を席巻するとの懸念が強まっている。中国の自動車メーカーは昨年、生産能力の約半分しか使わなかったと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じている。
世界の自動車メーカーが中国や世界で競争力を維持するには、実行可能なEV戦略が不可欠となる。だが、これには別の問題が生じる。つまり、巨額の設備投資が必要ではあるものの、他の市場、特に米国ではそうした投資の効果について不透明感が強まるかもしれないということだ。
米国ではEV販売が伸び悩んでおり、トランプ次期政権がガソリン車からの切り替えを促す補助金や政策の一部を撤廃すれば、販売はさらに減速する可能性がある。
ホンダと日産の経営統合で自動車業界の再編が終わることはないだろう。従来型の自動車メーカーとEV新興企業の間では提携が広がっている。
例えば、VWは米国では新興EVメーカーのリビアンと、中国では小鵬汽車(シャオペン)と提携している。従来型の自動車メーカー同士でも、EVの技術開発に向けてリソースを共有するため、提携を追求し続けるとみられる。ホンダと日産の経営統合の背景にあるような、国内大手企業を支援する動きは他の自動車生産国でも見られる可能性が高い。
従来型の自動車メーカーにとって、単独で競争することはますます難しくなっている。自動車業界再編の新時代は始まったばかりなのかもしれない。
米鉄鋼クリフスとニューコア、USスチール買収検討=関係者 - WSJ
米鉄鋼大手のクリーブランド・クリフスとニューコアは、同業USスチールの買収を目指して協力する方向で協議中だ。ただし、買収提案は数カ月先になる可能性が高い。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
USスチールは日本製鉄に買収されることで合意していた。だが、ジョー・バイデン米大統領は3日、外国企業がUSスチールの所有権を握ること、および国家安全保障上の懸念を理由に、日鉄による買収計画を阻止する判断を下した。ドナルド・トランプ次期大統領も買収計画に反対を表明している。
関係者によると、クリーブランド・クリフスはUSスチール全体を全額現金で買収し、その後にアーカンソー州北東部の製鉄所ビッグ・リバー・スチールをニューコアに売却することを目指している。
買収提示額は1株につき30ドル台後半になる可能性が高いという。CNBCが13日午前に両社の買収計画を報じると、USスチール株は上昇した。
ニューコアは生産量で米国1位の鉄鋼メーカーで、クリーブランド・クリフスは2位。両社がUSスチールを買収すれば、米大手鉄鋼メーカーの数は4社から3社に減少することになる。
クリーブランド・クリフスのロレンゾ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は13日、USスチール買収に依然として関心を寄せているとしつつ、買収価格やニューコアとの提携に関する報道は臆測に過ぎないと述べた。ニューコアはコメントを控えた。
ゴンカルベス氏は記者団に対し、「まずは(日鉄との)合併計画の破棄ありきだ」と語った。米政府は先週末、日鉄による買収計画の破棄期限を6月18日まで延期することを決めた。
ゴンカルベス氏はまた、クリーブランド・クリフスの本社を、USスチールが本社を構えるペンシルベニア州ピッツバーグに移転し、合併後の新会社の社名を「USスチール」に変更することにも前向きだと言明。バイデン氏が日鉄による買収計画を阻止したことについて、トランプ氏がその判断を覆すことはないと確信していると述べた。
事情に詳しい複数の関係者によると、クリーブランド・クリフスとニューコアによる買収提案は、日本製鉄との状況や関連訴訟の行方を見極める必要があるため、しばらく先になる可能性が高い。
S&P、日産の格付け見通し「ネガティブ」に下げ 業績改善に時間 | ロイター
東京海上HD、小池常務執行役員が社長に昇格 小宮社長は会長に | ロイター
日本生命、大樹生命社長に初の出身者擁立 立て直しへ大なた - 日本経済新聞
米鉄鋼クリフスCEO、USスチール買収への資金を準備=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
●先進国政治動向
トランプ氏、関税徴収の新組織設置を表明 就任初日の20日発足 | ロイター
グリーンランド巡るトランプ陣営との協議、デンマークが非公開での実施要求 - WSJ
●先進国中銀、金融当局
議論の焦点は「利上げするかどうか」、1月会合 全体像で判断=氷見野日銀副総裁 | ロイター
日銀の氷見野良三副総裁は14日午後、横浜市で開いた金融経済懇談会後の記者会見で、来週23―24日の金融政策決定会合の議論の焦点は「利上げするかどうか」だと明言した。利上げするかどうかは、午前の講演で言及した国内の賃上げ動向やトランプ次期米大統領の就任演説のみならず、経済・物価・金融情勢の「全体像」を見た上での判断になるとの見方を示した。
氷見野副総裁は、特定の項目をパスすれば利上げに至るといった「チェックリスト」のようなものはないと強調した。トランプ氏の就任演説と1月会合の結論を「一対一で結びつけるつもりはない」とも話した。
経済・物価は上下双方向のリスクがあり得るが「今のところ、見通し通りに進んでいく確度が徐々に高まってきている」と指摘した。米国経済は「引き続き堅調に推移するというのがメインシナリオだ」とし、トランプ氏の就任演説も見た上でメインシナリオの確度を確かめていきたいと述べた。一方で、輸入物価の円ベースの前月比が2024年10月、11月と「かなり高い伸びになっている」と話し、物価への影響を注視する姿勢を示した。
足元で各国の金利が上昇基調にある。日本の10年金利は14日に急上昇し、一時1.250%と2011年4月以来の高水準となった 。氷見野副総裁は「長期金利は市場で決まるものだ」とした上で、変動の背景についてはコメントを控えるとした。「1日や2日、1週間の動きだけをもって政策の判断のベースにすることにはならない」と話した。
住宅価格高騰、NY地区の最大の課題=ウィリアムズ米連銀総裁 | ロイター
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は14日、住宅価格の高騰を同地区が直面する最大の経済問題に挙げた。
同総裁は短いスピーチの中で「住宅に関しては、需要が供給をはるかに上回っていることがコスト高につながり、地域経済が潜在能力を発揮する能力を制限している」と述べた。さらに「住宅需要を満たすことは、持続的な経済の繁栄を達成する上で極めて重要だ」とした。
金融政策の見通しについては触れなかった。
FRBは行動へ、トランプ氏関税が二大責務に影響なら=カンザスシティー連銀総裁 | ロイター
●先進国経済指標
米PPI予想外に鈍化、食品価格低下-インフレ懸念緩和に寄与か - Bloomberg
昨年12月の米生産者物価指数(PPI)は、前月比の伸びが予想外に鈍化した。食品コストの低下やサービス価格の横ばい推移が寄与した。根強い物価圧力を巡る懸念緩和に寄与する可能性がある。
キーポイント
PPI(最終需要向け財・サービス)は前月比0.2%上昇
エコノミスト予想の中央値は0.4%上昇
11月は0.4%上昇
前年同月比では3.3%上昇
市場予想は3.5%上昇
11月は3.0%上昇
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比横ばい。予想は0.3%上昇。前年同月比では3.5%上昇(予想3.8%上昇)だった。
エコノミストがPPIに注目するのは、いくつかの項目が個人消費支出(PCE)価格指数に反映されるためだ。米金融当局は同価格指数を物価指標として重視している。
これらの項目は強弱まちまちだった。病院での診療は前月比横ばいで、医師による診療費やポートフォリオ管理サービスは小幅な伸びにとどまった。一方、航空運賃は2022年3月以来の高い伸びを示した。
24年終盤での頑固なインフレおよび底堅い雇用市場を背景に、米金融当局は今年の利下げ予想を後退させた。
食品価格は前月比0.1%低下。野菜が15%近く値下がりした。一方、エネルギー価格は3.5%上昇した。
米中小企業景況感、18年以来の高さ-トランプ次期政権への期待裏付け - Bloomberg
豪消費者信頼感、1月は前月比0.7%低下 家計評価が悪化 | ロイター
街角景気12月は0.5ポイント上昇、旅行関連や季節商品が押し上げ | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
英国、30年物インフレ連動債に堅調な需要-高利回りが投資家引き付け - Bloomberg
24年の企業倒産件数、11年ぶり1万件超え 3年連続増 | ロイター
為替市場、金利差よりリスク許容度で動いている=神田前財務官 | ロイター
米国有地にデータセンター、AIインフラの海外流出防ぐ - 日本経済新聞
世界を揺るがす債券売り 逆張りの好機か - WSJ
ウォール街は債券に強い懸念を抱いている。だが今こそ債券を買う好機かもしれない。
10日の米国債市場では、予想以上に好調な米雇用統計を受け、10年債利回りが4.772%と2023年11月1日以来の高水準で取引を終えた。30年債は4.962%となった。
しかし、市場を不安にさせているのは、最近の利回り上昇(価格下落)の大半が、経済成長加速への期待を反映したものではないように見える点だ。むしろ、投資家が長期債保有に対してより大きなディスカウント、あるいは「タームプレミアム」を求めた結果かもしれないことが、米連邦準備制度理事会(FRB)の推計から示唆されている。一部のアナリストはその原因として、ドナルド・トランプ次期米大統領が公約した関税が世界経済を混乱させ、インフレ率を急上昇させる一方、もう一つの公約である減税が財政赤字をさらに膨らませる可能性を挙げる。
タームプレミアムの変動は通常、世界中で強い相関関係があり、その影響は経済が相対的に低迷している国、英国で特に顕著に表れている。英国では30年債利回りが約5.4%と、27年ぶりの高水準で推移する。最新の予算案で、債券市場を安心させつつ、適度な成長目標も掲げようとしている同国のレイチェル・リーブス財務相は、強い圧力にさらされている。
フランスも苦境に立たされている。議会の膠着(こうちゃく)状態が足かせになっている政府の借り入れコストは現在、ギリシャを大きく上回る。
さらなる問題の兆候として、ポンドとユーロが下落しており、ユーロは対ドルでパリティ(等価)に近づく。また、S&P500種指数とストックス欧州600指数が10日にそれぞれ1.5%安、0.8%安で終えた。
だが意外にも、債券が最終的に嵐の中で最も安全な場所であることが明らかになるかもしれない。
まず、財政の悲観論者は恐らく間違っている、という点が挙げられる。自国通貨を発行する国が本当の意味でデフォルト(債務不履行)に追い込まれることはない。さらに重要なのは、米物価連動国債も売られていることだ。これは、市場が過熱経済と関税をインフレにつながる深刻な問題と見なしている、という考えを否定している。
結局のところ、全ては金利に関係しているのかもしれない。昨年12月以降、FRBは長期的な利下げサイクルへの期待を打ち砕いた。その結果、米国債の利回り曲線(イールドカーブ)の中間部分(2~5年債)全体が2022年以降では初めて順イールド(右肩上がり)になった。短期の部分(3カ月~1年債)だけが逆イールドを維持しており、市場は依然として年内に1~2回の利下げがあると織り込んでいるようだ。
警鐘が鳴っている理由は、より長期の債券に対する売りがもっと激しいことにある。ウォール街の専門用語で「ベア・スティープニング(長期債利回りが短期債利回りよりも速く上昇することで起きる)」と呼ばれる取引だ。過去のデータによると、イールドカーブがスティープ化した事例4回のうち3回は、逆の理由(中央銀行が非常に速いペースで利下げすることにより、短期債利回りが低下すること)で起きている。逆イールド期間後のベア・スティープニングはまれで、ほとんどが1970年代と80年代の「スタグフレーション」期を想起させる。
しかし、これが問題の核心だ。中央銀行が経済に打撃を与えることなく積極的に利上げし、その後ゆっくりと利下げしながらタカ派的なメッセージを発信するという今日の状況は、ほとんど前例がない。
これを念頭に置くと、債券に起きていることは理にかなっている。債券投資家は米経済が「ハードランディング(強行着陸)」する可能性を排除し、当局者らの説明に納得し、キャッシュの利回りが当面3.5%を下回る可能性は低いと考えるようになった。その結果、投資家は資金を長期固定することに対して、より大きな見返りを求め始めた。
このタームプレミアムはまだそれほど大きくない。現在、10年債利回りの構成要素のうちタームプレミアムは0.6ポイントとされるが、過去平均は1.5ポイントだ。イールドカーブの大半の部分の傾きは、過去の基準からすると依然として緩やかだ。
では、なぜ10日の株式市場はこれほど否定的な反応を示したのだろうか。重要な要因の一つは、割高なバリュエーションかもしれない。ハイテク株主導の上昇が何年も続いた後、S&P500種指数は非常に割高になった。2025年に関するアナリストらの楽観的な見通しが実現したとしても、同指数の1年先の予想益回りは4.6%に低下しており、5年物の米国債利回りと同程度だ。だからこそ、株式保有者は債券をますます競合と見なすようになっているのだ。中期的な投資期間では、特にその傾向が強い。
確かに、これは利回りがさらに上昇する可能性や、高利回り自体が特に米国外の経済成長に悪影響を与える可能性を排除するものではない。
とはいえ、経済成長と企業収益が本当に悪化すれば、中央銀行は方針を転換し、景気刺激モードに入らざるを得なくなるだろう。そのシナリオで上昇する資産クラスは何か考えてみてほしい。それは債券だ。
米国製自転車は実現可能か、課題は中国製部品 - WSJ
●中東情勢
イスラエルとハマス、停戦合意近づくか - WSJ
停戦合意に向けたイスラム組織ハマスとイスラエル政府の交渉がここ数日で進展を見せ、ガザ地区での拘束が続く人質の一部開放や、15カ月におよぶ戦闘の一時停止の実現に期待が高まっている。
ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は13日、「われわれは合意に近づいており、今週中にもこれが実現する可能性もある」と発言。中東の仲介者やイスラエル政府当局者らも交渉に進展があったとしているが、なお埋めるべき隔たりは残っているとも述べている。
合意が成立すれば2023年10月7日のハマス主導の攻撃によって始まった戦争が少なくとも一時停止し、ガザで拘束されている人質の一部が解放されることになる。ハマスによる攻撃では約1200人が死亡し、約250人が人質として拘束された。
一方でパレスチナ保健当局によれば、ガザ地区では戦闘によってこれまでに4万6000人以上が死亡しているが、このうち戦闘員が占める割合は明らかになっていない。
イスラエルとハマスによる戦闘停止に向けた交渉は数カ月にわたり停滞。ハマスは、停戦を恒久的なものにすべきだと主張する一方で、イスラエルは、軍事行動再開の余地を残したい意向を示している。立場が異なる根本的な問題を受け、両者の意見は対立が続いていた。
だが米国の政権移行が近づく中、双方には合意に達するよう圧力が高まっており、ドナルド・トランプ次期米大統領も1月20日の就任までに人質が解放されなければ「中東で地獄のような事態が生じるだろう」と繰り返し述べている。
トランプ氏はこれが何を意味するか詳細は明らかにしていないが、ハマスにとって、そして「率直に言って誰にとっても」良くないことになるだろうと先週述べていた。
トランプ氏が中東特使に指名した不動産業者のスティーブ・ウィトコフ氏は、合意に向けた協議のため中東地域を訪問。イスラエルではベンヤミン・ネタニヤフ首相とも会談している。
検討されている合意内容では第1段階として、戦闘の一時停止やイスラエルに収監されているパレスチナ人囚人の一部釈放と引き換えに、ガザで拘束されている33人の人質が解放されることになる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した合意案によると、解放される人質には女性や子供、重傷者、そして50歳以上の人が含まれる。ハマスは遺体も引き渡すことになる。
ハマスは長期服役していたパレスチナ人らが釈放された場合、パレスチナ自治区を離れ、家族と共に亡命することにも同意している。
中東地域の仲介者らによれば、ハマスは米国やカタール、エジプト、トルコから、合意の第1段階が終了した後もイスラエルが恒久的な停戦に向けた交渉を継続するという口頭の約束を取り付けている。
ハマス、ガザ停戦案への回答まだ イスラエル軍撤退の工程表待ち=幹部 | ロイター
●エマージング
トランプ氏の和平構想検討の用意、ウの安全保障協議も=ロ外相 | ロイター
ロシアのラブロフ外相は14日の会見で、来週就任するトランプ次期米大統領のウクライナに関する和平構想を検討する用意があると述べた。また停戦に向けた交渉の一環として、ウクライナに対する安全保障の保証について協議する用意があると述べた。
ラブロフ氏は、トランプ氏がかつて大統領に就任すれば24時間以内にウクライナ戦争を終結させることができるとの発言は就任前のものだと指摘しつつ、ロシアはトランプ氏のチームが「現地の現実」を語り始めていることを歓迎すると表明。トランプ氏とマイク・ウォルツ次期米大統領補佐官(国家安全保障担当)のコメントにはこのことが反映されているとした。
ウォルツ氏は12日にABCに対し、戦争は外交的手段で何とか終わらせなければならないのは明らかだと指摘。その上で「クリミアを含め、ウクライナ領土の隅々から全てのロシア人を追い出すというのは現実的ではないと思う。トランプ大統領はその現実を認めている」と述べていた。
ロシア大統領府は13日、ロシア、ウクライナ両国に対する安全保障の問題は、交戦国間の和解に不可欠な要素となると述べた。
ラブロフ氏は会見で「現在ウクライナと呼ばれる国の安全保障について議論する用意がある」と述べた。
中国スワップ金利の長短逆転、短期的な利下げ観測後退示す | ロイター
 デリバティブ市場では、中国金融当局は人民元安の局面では緩和政策を控えるとの見方が強まり、短期的な利下げ観測が後退している。
国内投資家がヘッジに活用し、金利見通しが反映される人民元金利スワップ(IRS)は、4週間近くにわたって短期金利が長期金利を上回っている。利下げ観測の後退に伴い短期金利が上昇しているためだ。
5年物スワップ金利と1年物スワップ金利 の差は14日、マイナス9ベーシスポイント(BP)と、ほぼ10年ぶりの大幅なマイナスとなった。
コメルツ銀行のアナリストはメモで「中国人民銀行(中央銀行)の利下げと預金準備率引き下げへの期待が後退していることを示している」と分析した。
「これは人民元の安定性に対する懸念の中で生じた。実際、中国と米国の債券利回り格差の拡大と、米国の関税政策を巡る不確実性が根強いことで、人民元の対ドルでの下落に拍車が掛かっている。これにより人民銀の金融緩和の余地は制限されるだろう」との見方を示した。
BNPパリバで中華圏の為替・金利戦略部門の責任者を務めるジュウ・ワン氏は、人民銀は元相場防衛のために短期的な金融緩和を避けていると指摘。「このため次の利下げと預金準備率引き下げは、トランプ次期米大統領の就任式後になる可能性が高い」と予想した。
債券の空売りはできないため、中国の金利上昇を見込む向きは金利スワップと債券先物を主に活用している。
1月末の春節の連休に向けて現金需要が高まるのを前に、流動性状況が引き締まる兆候も見られた。しかし人民銀は元相場に対する懸念から流動性の供給には慎重だとトレーダーらは述べた。
銀行間市場取引の指標金利で、全般的な資金繰り状況を反映する翌日物加重平均レポ金利は、14日に1.9636%に急上昇し、2024年6月以来の高水準となった。
中国人民銀幹部、利回り低下する国債のリスクに警告 | ロイター
中国人民銀行(中央銀行)金融政策局の鄒瀾局長は14日、国債への投資はリスクがないわけではないと述べ、潜在的な市場バブルとそれに起因する混乱に警告を発した。
中国国債利回りは急速に低下しており、軟調な人民元相場を安定させようとする当局の取り組みを複雑にしている。
記者会見を行った鄒氏は「長期の国債利回りが経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を正確に反映できない場合、あるいは需給に大きな変化がある場合、一部の金融機関が金融レバレッジを効かせているため、償還によってスパイラル効果が形成され、短期的に大きな損失が発生する可能性がある」と述べた。
人民銀は「需給緊張と市場変動の悪化」を避けるため、マクロプルーデンス管理を強化し、リスク警告を発し、国債購入を停止し、他の流動性手段に切り替えているという。
ただ、同氏の発言は市場にほとんど影響を与えなかった。10年債利回りは3.25ベーシスポイント(bp)、30年債利回りは4bp、それぞれ一時低下した。
また、人民銀の宣昌能・副総裁は同じ会見で、人民元を合理的でバランスの取れた水準で安定させるための措置を取り続けると強調した。
碧桂園、最終赤字3兆8500億円 発表遅延の23年12月期 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
国内損保3社で900億円超の損失も、ロス山火事で業績影響-専門家 - Bloomberg
米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で7日に発生した山火事で、国内の大手損害保険会社3社の損失は最大900億円超に上るとの見方が出ている。 
SMBC日興証券の村木正雄アナリストは14日付の投資家向けリポートで、今回の山火事に伴う保険金支払いによる税前ベースでの負担額について、東京海上ホールディングス160億-250億円、MS&ADインシュアランスグループホールディングス250億-370億円、SOMPOホールディングス200億-300億円との試算を示した。過去の災害損失の影響を基に算出した。
村木氏はリポートで「依然として損失状況は流動的」としながらも「決算には一定の影響が出そう」と指摘。1月発生の海外災害は来期(2026年3月期)決算に反映するが、規模が大きい場合には今期(25年3月期)決算に前倒し計上されるとも言及した。
東京海上HDの小宮暁社長は同日の社長交代の記者会見の場で「業績影響について試算するのはまだ早い」との認識を示した。その上で「被害に遭った方々にできるだけ早く、保険金をお支払いするようグループを挙げて進めている」と述べた。
ロサンゼルス郡パシフィック・パリセーズ地区で発生した「パリセーズ火災」と同郡アルタデナ地区で発生した「イートン火災」では、地上および空からの消火活動を強風が妨げている。この山火事では少なくとも24人が死亡し、両地区で4万エーカー強の土地に建つ1万2000棟以上の建物が焼失した。
米銀ウェルズ・ファーゴのアナリストによると、全体の保険損失額は最大300億ドル(約4兆7200億円)に達する可能性があるという。
訂正 ロス山火事、米経済全体への影響は限定的の見通し=エコノミスト | ロイター
米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で続く壊滅的な山火事による米経済全体への影響について、短期的には若干の圧力がかかる可能性が高いものの、現在みられる力強い勢いを失速させる公算は小さいとみられている。
エコノミストらは、山火事による財産の喪失と雇用市場の混乱が成長を鈍化させ、雇用に幾分のブレーキをかけるため、インフレに上振れ圧力がかかる可能性があると想定。ただ、見通しを根本的に変えるほどの規模ではないとみられる。
JPモルガンのエコノミスト、アビエル・ラインハート氏は「山火事の規模と失われた住宅不動産の価値という面から、米史上最も損害の大きい自然災害になりつつある」と指摘。経済被害額は推計2500億ドル規模(訂正)とみられ、2005年のハリケーン「カトリーナ」の被害額を上回る見通しに言及した。
同時に「米国内総生産(GDP)の伸び、雇用、インフレへの短期的な影響は小さい」とし、「家賃、建設資材、住宅建設労働力に対する地域的な上方圧力は想定されるが、全国的な影響は限定的となるだろう」という見方を示した。
ゴールドマン・サックスのエコノミストは、復興活動によって相殺されないと仮定した場合、第1・四半期の成長率は0.2%ポイント押し下げられると予想する。
1月の雇用は1万5000─2万5000人減となる公算が大きいとも予想。ただ昨年12月の雇用が25万6000人増になったことを踏まえると、比較的控えめな減少と言える。また、失業保険申請件数が即時に押し上げられることは見込んでいないとした。
モルガン・スタンレーのアナリストも、雇用が2万─4万人減少するほか、インフレは小幅上昇すると予想した。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(14日)ドル弱含み、利回り低下 株まちまち CPIに注目 | ロイター
為替市場では、ドルが対ユーロで弱含むも、米卸売物価指数(PPI)の伸び加速により、FRBの利下げ期待が縮小し、ドルは依然高値付近にある。一方、トレーダーは翌日発表の消費者物価指数(CPI)に注目。トランプ次期大統領の関税政策への懸念も影響。
債券市場では、米PPIの結果を受けて利回りが低下。特に10年債利回りは小幅低下し、金融政策の据え置き観測が高まった。
株式市場では、S&P 500が小幅上昇し、ナスダックは下落。PPIが市場予想を下回り一時株価が上昇したものの、CPI発表を控えて変動。ゴールドマン・サックス株は決算発表を前に上昇する一方、イーライリリー株は予想下回る売上高見通しで下落。
金先物はPPIを受けて反発、米原油先物は需給緩和懸念から反落。EIAは2025年以降の供給過多予想を示した。
全体的に、市場はFRBの金融政策と経済指標に注視している。
欧州市場サマリー(14日) | ロイター
### ロンドン株式市場
- **FTSE100種指数**は石油大手BPや小売業JDスポーツの下落が影響し、2週間ぶりの安値を記録。
  - BPは石油・ガス生産量の減少や精製マージンの低下見通しから2.5%下落。
  - JDスポーツは利益見通し引き下げにより6.4%の大幅安。
- **FTSE250種指数**は0.24%上昇。
  - 住宅建設のパーシモンは好調な通期利益見通しを受けて5.5%上昇。
- 英米の物価指標が注目され、2025年の利下げ観測が市場で議論。
### 欧州株式市場
- 株価はほぼ横ばい。国債利回り上昇が相場の重しとなり、投資家心理を圧迫。
- **セクター別動向**:
  - ヘルスケア株指数は1.59%下落。
  - 石油・ガス株指数はBPの下落もあり0.73%安。
  - 自動車・部品株指数は0.84%上昇。トランプ政権の関税政策に期待感。
  - 銀行株指数は1.68%上昇。
- 投資家はトランプ氏の大統領就任やユーロ圏経済指標の発表を注視。
### ユーロ圏債券市場
- **ドイツ10年国債利回り**は10営業日連続上昇し、2.62%に達した。
  - 2022年以来2番目に長い上昇期間。
- フランス10年国債利回りは1.8bp上昇の3.473%。プレミアムは横ばい。
- イタリア10年債利回りは横ばいで3.838%。独伊格差は若干縮小。
- 世界的なインフレ懸念が債券利回りの上昇を支えている。
市場は全体的に金利動向や経済指標への関心が高まる中、方向感を欠く動きとなっている。

備忘録(2025/1/10-13
●海外企業決算
[STZ] コンステレーションブランズ 3Q微減収 売上高微減24.6億ドル、営業益微減7.93億ドル、EPS3.39ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WBA] ウォルグリーンブーツアライアンス 1Q増収赤字拡大 売上高7%増394億ドル、営業赤字2.45億ドル、EPSマイナス0.31ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DAL] デルタエアラインズ 2024年12月通期は増収営業増益 売上高6%増616億ドル、営業益9%増59.9億ドル、EPS5.33ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米デルタ航空、25年の利益も好調と予想 株価11%高 | ロイター
米銀JPモルガン、週5日出社を義務化 3月から - 日本経済新聞
米ウォルグリーンズ9〜11月、リストラで赤字420億円 - 日本経済新聞
米薬局大手ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが10日発表した2024年9~11月期の決算は、最終損益が2億6500万ドル(約420億円)の赤字だった。前年同期は6700万ドルの赤字だった。収益改善にむけたリストラ費用がかさんだ。
特殊要因調整後の1株利益は0.51ドルで、前年同期の0.66ドルを下回ったが市場の予想(0.38ドル程度)よりよかった。コスト削減が奏功した。
売上高は394億5900万ドルで、前年同期比で7%増。売上高に占める割合が最大の米薬局部門の売上高は7%増だった。ただ、増収は処方薬の価格上昇などの押し上げ効果が大きい。実際に薬局の収入となる「薬剤償還費」の目減りや、雑貨・大衆薬など小売事業の不振により、同部門の営業利益(調整後)は36%減った。
ウォルグリーンズは24年10月、事業立て直しに向け、傘下店舗の15%に当たる1200店の閉鎖を発表した。25年8月までに、まず500店舗を閉鎖する。
ティム・ウェントワース最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「既に予想を上回るペースでコスト削減効果が表れている」と話し、投資家に対し再編の効果に自信を示した。店舗閉鎖と併せて、従業員のスケジュール見直しや流通システムの改善などにも着手したと明らかにした。
25年8月通期の業績見通しは、特殊要因を除いた1株利益で1.40〜1.80ドルとし、前回予想を据え置いた。
収益改善の見通しを受けて、この日の米株式相場でウォルグリーンズの株は前日終値比で28%高だった。
HPエンタープライズがプラスに転じる Xから10億ドル超の契約獲得=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
HPエンタープライズ<HPE>が日本時間5時頃から買いが強まりプラスに転じている。XにAI作業に最適化されたサーバーを提供するという10億ドル以上の契約を獲得したと伝わった。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。昨年末に合意に達したという。競合のデル・テクノロジーズ<DELL>とスーパー・マイクロ<SMCI>も入札に参加した。
AIの作業負荷を処理するコンピューティングに対する需要が、同社のような高性能サーバーメーカーのブームを招いている。マスク氏の企業はハードウェアの主要顧客として台頭。xAIが構築しているスーパーコンピュータープロジェクトでは、デルとスーパーマイクロのサーバーを組み合わせて使用している。
マスク氏が経営する企業は、従業員、技術、コンピューティングパワーを共有していることで知られている。AIのスタートアップ企業xAI社の主力製品であるチャットボット「Grok」はXの有料ユーザー向けに提供されてきた。
同社のAIサーバー事業は成長しているものの、デルやスーパー・マイクロと比較すると相対的に遅れをとっていると見られていた。マスク氏の企業との契約は同社製品に対する信頼の証となり、AIサーバーにはエヌビディア<NVDA>などの企業が製造する高性能チップが搭載されている。
コンステレーション・エナジーが大幅高 カルパインを買収で合意=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
電力のコンステレーション・エナジー<CEG>が大幅高。発電所の開発や運営を手がける非上場のカルパインを164億ドルで買収することで合意した。米国の電力需要の急増が予想される中、コンステレーションは米国全土で発電のための資産を多数得ることになる。
コンステレーションは現金と株式の混合で買収額の支払いを行う。また、コンステレーションはカルパインの負債約127億ドルも引き受ける方針。
米国の電力会社としては最大規模の買収で、2018年に55億ドルで同社を非公開化したカルパイン株主のエナジー・キャピタル・パートナーズ、カナダ年金基金投資委員会(CPPIB)、アクセス・インダストリーズに相当な利益をもたらすことになる。
米国ではエネルギー消費量が急増しており、コンステレーションは事業拡大を目指してきた。AI向けデータセンター、新工場、電気自動車(EV)から家庭の暖房まで様々な電化に伴い、電力需要は今後5年間で約16%増加すると見込まれている。
今回のカルパイン社の買収により、コンステレーションは新たに22州に発電所78カ所、発電能力計27ギガワットの資産を持つことになる。
米メタやアマゾン、社内の多様性対応を縮小へ 企業で同様の動き広がる - BBCニュース
プラダ、ヴェルサーチ買収を検討=伊紙 | ロイター
JPモルガンのダイモン氏、関税は競争や安保上の問題解決に寄与も - Bloomberg
J&J、バイオ医薬品企業イントラセルラーを146億ドルで買収へ - Bloomberg
損保株が上昇に転じる アナリストからは売られ過ぎとの指摘も=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
トラベラーズ<TRV>やオールステート<ALL>など損保株に買い戻しが入っている。時間外では軟調に推移していたものの、通常取引に入って買いが出ている状況。ロサンゼルス市内の一部を襲っている山火事の影響で保険株に売りが強まった。米気象局はマリブ、サンフェルナンド・バレー、ベンチュラ郡の大部分に、特に危険な状況の警告を発している。
ただ、アナリストからは先週の損保株は売られ過ぎとの指摘が出ている。「ロサンゼルス地域を襲っている前例のない山火事の状況から、保険金支払額が史上最高の山火事被害となる可能性が高い」と指摘。しかし、「先週見られた多くの反応は行き過ぎ」とも指摘している。
山火事のモデリングを専門とするケトル社は保険損害額を110億ドルから175億ドルと見積もっているが、ギャラガー・リー社は100億ドルから200億ドルと幅を持たせている。
別のアナリストは「山火事は投資家の注目を引く主要な問題であり続けるが、山火事による経済的損失の規模を推定するにはまだ時期尚早だ」と述べている。
また、バロンズ誌は損保株について、すべて売却してはいけないと指摘。気候変動による災害の頻度が増しているため、保険株は需要増から、過去5年間にS&P500を上回るペースで上げている。ETFのiシェアーズUSインシュアランスは87%上昇の一方、S&P500種は80%高。リスクの広がりが業界の拡大につながるため、長期見通しは明るいと予測している。
医療保険株が上昇 米政府のメディケア計画案を好感=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ユナイテッドヘルス<UNH>やヒューマナ<HUM>といったメディケア・アドバンテージプランを持つ医療保険株が上昇。米政府のメディケアが2026年の保険会社への支払い増加を認める可能性のある計画案を発表したことが好感されている。
米政府が先週金曜日にメディケア・アドバンテージ・プランへの支払いを平均4.3%増加する見込みだと発表した。2023年以来最大。この提案がトランプ次期政権に採用されれば、2026年の保険会社への支払い額は今年よりも大幅に増加することになる。
過去2年間、保険会社は医療費の高騰をカバーするには保険料が少な過ぎると不満を訴え、株価にも影響を与えていた。これまでバイデン政権は、無駄遣いであると議員や監視団体、内部告発者からの非難で、メディケア・アドバンテージ・プランへの支払いを抑制しようとしてきた。今回のポジティブな変更は業界に歓迎される可能性があり、トランプ次期政権はさらに有利な政策を打ち出す可能性もある。
もし、提案が採用されれば、2025年の予想支払い額を上回る210億ドルが2026年に追加で支払われることになる。
ハネウェルに一時買い強まる 事業分割を進める意向と伝わる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
日本時間の午前3時45分頃にコングロマリットのハネウェル<HON>に買いが強まる場面が見られた。アクティビスト(物言う株主)で知られるエリオットからの圧力を受け、事業分割を進める意向だと伝わった。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。同社はオートメーション事業と航空宇宙および防衛事業をそれぞれ独立させ上場させる意向だという。
2月初旬に発表予定の第4四半期の決算報告で、この計画を正式に発表する可能性がある。最終的な詳細については取締役会の承認が必要であると伝えた。同社は12月に事業全般の見直しの一環として、航空宇宙事業の分離を検討していると発表。その際、第4四半期の決算と共に最新情報を提供すると述べていた。
ハネウェルの株価は過去12カ月で11%超上昇しているが、同期間に20%超上昇したS&P500と比較するとアンダーパフォームしている。
●日本企業
USW会長、日鉄による提訴は「根拠がない脅迫だ」 - 日本経済新聞
日鉄のUSスチール買収放棄期限、米当局が6月まで延長 | ロイター
USスチールへの買収提案、競合クリフスとニューコアが検討 - Bloomberg
●先進国政治動向
トランプ氏に刑罰なし、有罪評決は維持 不倫口止め事件でNY地裁 | ロイター
トランプ氏、一族企業から距離置く方針 - WSJ
【社説】トランプ氏の強権外交 - WSJ
ドナルド・トランプ氏は前々から不動産の話をするのが好きだが、ここにきて取得対象にしているのはホテルやマンションではなく、主権国家や領土だ。次期大統領は7日の記者会見で、カナダとパナマ、グリーンランドを米国の不動産ポートフォリオに加えることについて発言し、ニュースになった。ただ、トランプ氏が挑発的な冗談を言っているのか本気で語っているのかを見極めるのは難しい。
トランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」での記者会見で、あるジャーナリストが、カナダを併合するために軍事力の行使を考えているかと尋ねた。トランプ氏はこう答えた。「いや、経済力だ。カナダと米国が一つになれば本当に素晴らしい。人為的に引かれた国境線を取り除いて、それがどのような姿になるか見てみるといい」
これは純粋な挑発だ。トランプ氏はカナダの進歩派のジャスティン・トルドー首相をけなすことを好み、間もなく米国の51番目の州になる場所の「知事」だと軽んじている。カナダが北大西洋条約機構(NATO)内で十分な役割を果たしていないというトランプ氏の主張には一理ある。カナダは最近になって、国防費を国内総生産(GDP)比2%にするというNATOの目標を2032年までに達成することを約束した。しかし、国民は米国への併合を望んでいない上、カナダの政治風土は欧州の福祉国家のものと同じだ。カリフォルニア州をもう一つ増やすことが、議会の過半数を握るトランプ氏の共和党にとってどんな利益になるのか。
トルドー氏の政権下でカナダの国力は低下しており、世論調査によれば、ピエール・ポワリエーブル氏と同氏率いる保守党が次回総選挙での勝利に向けて好位置に付けている。しかし、トランプ氏がカナダを次に購入する不動産の候補と呼んで同国をからかえばからかうほど、ポワリエーブル氏がナショナリストとして反発し勝利するのを後押しすることになる。トランプ氏は同盟国をからかうことのマイナス面に全く気付いていないようだ。
パナマに関しては支離滅裂だ。トランプ氏は「パナマ運河はわが国にとって不可欠だ」とし、「パナマ運河は中国が運営している。中国だ。われわれはパナマ運河をパナマにやったのであって、中国にやったわけではない」と述べた。同氏は、1978年に上院で批准された条約に基づき米国がパナマ運河を引き渡したことは「大きな間違い」であり、「だからジミー・カーター氏は選挙で負けた」と主張した。トランプ氏はまた、軍事力を行使しないとは約束できないと述べた。
これがもし本気なら、トランプ氏は自らトラブルを招いている。西半球の友好国を敵に変えることになる。彼は永遠のゲリラ戦を望んでいるのか。
より可能性が高いのはトランプ氏の大言壮語が、運河通航料または香港の事業体が管理するパナマの港湾に関する何らかの取引を狙ったものであることだ。しかし、中国軍がパナマ運河を管理しているというのは、ただの作り話である。
この地域にとってより大きな脅威は、米国などに何百万人もの難民が流入する原因となっているキューバとベネズエラの枢軸だ。これに取り組んでみてはどうだろうか。
一方でグリーンランドは興味深い。トランプ氏は「国家安全保障上、われわれにはグリーンランドが必要だ」と述べ、「そのことは以前から話題にされてきた」と指摘した。この点はその通りだ。
かつて米国務長官を務めたウィリアム・スワード氏は、1867年のアラスカ購入の交渉を進めていた頃にグリーンランドの購入も検討していた。ハリー・トルーマン政権は1946年にグリーンランドの購入を提案したが、うまく行かなかった。米国は既にグリーンランドに軍を駐留させている。旧宗主国のデンマークには現在、中国やロシアの策略からグリーンランドを守る力がない。
トランプ氏はこの件では本気かもしれない。しかし、長男のトランプ・ジュニア氏が今週、父親のプライベートジェットでグリーンランドを訪問したのは、巧みな外交とは言えない。次期大統領はグリーンランドの人々に対し、スピーカーフォンを通じて「われわれはあなた方を大切に扱うつもりだ」と語った。その後マールアラーゴで記者団に対し、軍事行動の可能性を排除しないと語った。こうした言動はグリーンランドの住民を引き寄せるどころか、むしろ彼らを怒らせ、独立の追求や良からぬ勢力との連携に向かわせる可能性が高い。
米国が防衛に関して太平洋島しょ国と結んでいる自由連合協定のような取り決めを、グリーンランドとの間で結ぶことは一つの選択肢になるかもしれない。そのためには繊細な説得の技術が必要になる。トランプ氏はしばしば強硬な発言を好むが、その地位を利用して米国の友人たちをいじめることは、真の悪者たちに対抗する上で何の役にも立たない。
カーニー氏、カナダ自由党党首選に出馬へ-3月9日に新党首選出 - Bloomberg
石破首相、インドネシア大統領と安保・エネルギー連携強化で合意 - Bloomberg
トランプ氏とプーチン氏の電話会談近く実現、次期政権側近が見通し | ロイター
トランプ氏が貿易戦争開始ならカナダは報復関税の用意-トルドー首相 - Bloomberg
暴力振るった米議会襲撃犯に恩赦与えるべきではない-次期米副大統領 - Bloomberg
●先進国中銀、金融当局
日銀が物価見通しを上方修正の公算大、コメ価格上昇と円安-関係者 - Bloomberg
日本銀行が今月開く金融政策決定会合では、変動が大きい生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(コアコアCPI)について、2024年度と25年度の見通しが上方修正となる公算が大きい。利上げの是非は直前まで見極める方針だ。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。
23、24日に開く会合では、経済・物価情勢の展望(展望リポート)について議論し、最新の見通しを示す。関係者によると、コアコアCPI見通しの引き上げは、コメを中心とした食料品価格の上振れが主因。円安の進行や原油価格の上昇も押し上げ要因になる。賃金コストを価格に転嫁する動きも想定通り強まっているという。
前回の見通しにおけるコアコアCPIは、24年度が前年比2.0%上昇、25年度が1.9%上昇、26年度が2.1%上昇だった。関係者によると、経済・物価情勢は日銀の見通しに沿って推移していると日銀は引き続き判断している。新たな展望リポートでは、生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)とコアコアCPIともに、見通し期間の26年度にかけて2%程度で推移する姿が維持される可能性が大きい。
植田和男総裁は、経済・物価情勢の改善が続けば、利上げによって金融緩和度合いを調整すると繰り返している。物価見通しの上振れや経済・物価が見通しに沿って推移することは、追加利上げの根拠になり得る。 市場では日銀が今月会合で追加利上げの是非を議論すると広く予想されている。
報道後、外国為替市場では円を買う動きが優勢となり、ドルに対し一時1ドル=157円76銭まで上昇した。報道前は158円30銭台で推移していた。
もっとも、総裁は利上げを見送った昨年12月会合後の会見で、今年の春闘など賃上げの動向と20日に始動するトランプ米政権の経済政策の影響などを注視していく考えを表明している。今月の会合では市場動向などを直前まで見極めた上で、利上げが必要な情勢かを慎重に判断する見通しだ。
日銀は、展望リポートの物価見通しを従来からコアCPIで示しているが、地政学リスクの高まりやコロナ禍でのエネルギー価格の変動などを踏まえ、より物価の基調的な動きを捉えるためにコアコアCPIを参考として22年から公表している。
コアCPIに関しては、政府による電気・ガス料金の負担軽減策が来年1-3月に再開されることが24年度の下振れ、反動による25年度の上振れ要因となるが、物価の基調的な動きには影響しない。前回見通しでは、24年度が2.5%上昇、25年度と26年度が1.9%上昇だった。
一段の利下げが適切、米経済に過熱の証拠なし=シカゴ連銀総裁 | ロイター
米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は10日、12月の雇用統計は極めて好調だったものの、米経済が再び過熱している証拠はないと述べ、一段の利下げが適切になるとの考えを示した。
グールズビー氏はCNBCに対し、賃金上昇率が連邦準備理事会(FRB)のインフレ目標に沿っていることなどを指摘し、「ここ数カ月、経済の過熱を示す多くの証拠は出ていない」と述べた
米セントルイス連銀総裁「利下げに一段と慎重姿勢必要」=WSJ | ロイター
米セントルイス地区連銀のムサレム総裁は、利下げに一段と慎重な姿勢が必要との認識を示した。ウォール・ストリート・ジャーナルが10日報じた。
同紙とのインタビューで総裁は、先月の会合までにインフレ率が2.5%ー3%の間に留まるリスクが高まったと語った。
英中銀の保有国債売却に堅調な需要、量的引き締めの休止求める声も - Bloomberg
●先進国経済指標
米12月雇用25.6万人増、予想上回る 失業率は4.1%に低下 | ロイター
米労働省が10日発表した2024年12月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は25万6000人増加し、市場予想の16万人増を上回った。
同時に、失業率は4.1%と、前月の4.2%から低下し、米連邦準備理事会(FRB)が今年は利下げを慎重に進める可能性を示唆した。
FRBが2022─23年に大幅な利上げを行った影響で雇用は鈍化しているものの、主に歴史的に低い解雇を反映した労働市場の回復力が賃金上昇を通じて消費支出を支え、経済をけん引している。米経済はFRB当局者がインフレを伴わない成長率とみなす1.8%を大きく上回るペースで拡大している。
キャピタル・エコノミクスの北米エコノミスト、トーマス・ライアン氏は「トランプ新政権が関税と移民制限を組み合わせたスタグフレーション政策を推進すれば、FRBが金融緩和サイクルをほぼ終了させる可能性が高まっている」と述べた。
BMOキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏も「労働市場の回復力」が示されたとし、堅調な非農業部門雇用者数の伸びと一定の所得の伸びを背景に「米経済は年初から堅固な基盤に基づき拡大し、FRBは1月の会合で様子見姿勢を維持する公算が大きい」と述べた。
12月の雇用増加は医療などの非景気循環型業種に集中した。在宅医療サービス、介護・居住型介護施設、病院などで4万6000人の雇用が増加した。
小売業は4万3000人増加した。11月は2万9000人減少していた。政府部門は3万3000人増、レジャー・接客業は4万3000人増加した。
一方、製造業は1万3000人減。大半が半導体や電子部品関連だった。
また、10、11月分の雇用者数は計8000人下方改定された。
時間当たり平均賃金は前月比0.3%、前年比3.9%それぞれ上昇。11月は前月比0.4%、前年比4.0%上昇していた。
平均週間労働時間は34.3時間で変わらず。
政府は、失業率の算出元となる季節調整済みの家計調査データを過去5年間分見直した。失業率への影響は軽微だった。12月に職を失った人の数は16万4000人減の170万人となった。
24万3000人が労働市場に参入したものの、労働参加率は3カ月連続で62.5%。一方、人口に占める雇用者数の比率は60%と、11月の59.8%から上昇した。
失業期間の中央値は10.4週間だった。9月以降長期化傾向にあり、11月には3年ぶりの水準となる10.5週間を記録した。
CMEのフェドウオッチによると、金融市場ではFRBが1月28─29日の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置くとの見方が大勢を占めている。
雇用統計の発表後、市場はFRBの利下げ回数が2025年は1回になると織り込んでいる。6月に金利を再度引き下げ、利下げサイクルをそこで終了させると予想している。
発表前はFRBが5月にも利下げを行うと予想し、年末までに2回目の利下げが行われる可能性を約50%織り込んでいた。
米金融各社も軒並み利下げ見通しを修正。とりわけバンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチは利上げの可能性も想定した。JPモルガンの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、FRBが「3月までに追加利下げに踏み切るには、非常に悪い雇用統計が必要になるだろう」と述べた。
米雇用者数は予想上回る、失業率低下-利下げ休止の論拠裏付け - Bloomberg
昨年12月の米雇用統計では、雇用者数が3月以来の大幅増加となり、失業率は予想外に前月から低下した。利下げ休止の論拠を裏付ける内容となった。
高い借り入れコストや根強いインフレ、政治的な不透明感にもかかわらず、労働市場が昨年も持ちこたえたことを今回の統計は示した。2024年は労働需要が鈍化し、失業率は上昇したものの、雇用者数は通年で220万人増加した。伸びは23年の300万人を下回ったものの、19年の200万人を上回った。
雇用統計は事業所調査と家計調査の2つで構成され、今回は家計調査の年次改定が含まれた。7月の失業率は当初の発表時点で4.3%に上昇し、9月の大幅利下げに道を開いたが、今回4.2%に下方修正された。労働市場が夏の間も従来の想定よりいくぶんか堅調だったことが示唆された。
インフレ目標2%への進展が足踏みしているように見受けられる中、米金融当局者は利下げに関して今年は慎重に動く方針を示しており、今回の統計はそれを補強しそうだ。統計発表後に、次回利下げ時期の予想はさらに後ずれした。来週には12月の米生産者物価指数(PPI)と米消費者物価指数(CPI)が公表される。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合は1月28-29日に開かれる。
フィッチ・レーティングスのチーフエコノミスト、ブライアン・コールトン氏は「FOMCが利下げを開始した9月に高まっていた、労働市場の急激な悪化リスクを巡る懸念は、多少和らいだ。利下げペースがこの先減速するのは間違いなさそうだ」と、統計発表後にリポートで指摘した。
12月は業種別で見ると、ヘルスケア・社会扶助、小売り、娯楽・ホスピタリティーなどで雇用が増加。政府部門でも増えた。一方、製造業は過去5カ月で4度目の減少となり、昨年は計8万7000人の雇用減となった。
労働参加率は62.5%で横ばい。今回の統計では、恒久的な失業者が減少し、自発的な離職者が増えたことも示された。失業期間の中央値は若干短くなった。
平均時給は前月比0.3%増。市場予想と一致した。前年同月比では3.9%増。予想は4%増だった。労働者の大半を占める非管理職の賃金上昇率は前月比0.2%増。前年同月比では3.8%増と、21年半ば以来の低い伸びにとどまった。
非農業部門雇用者数の年次改定は、2月7日に発表される1月分の雇用統計に反映される。昨年8月に発表された推計値では、24年3月まで1年間の雇用者増が81万8000人の下方修正となることが示された。これはリセッション(景気後退)期だった2009年以来の大きさだ。
米消費者のインフレ予想急上昇、トランプ関税を懸念=ミシガン大調査 | ロイター
米ミシガン大学が10日に発表した1月の消費者の1年先の期待インフレ率(速報値)は3.3%と、前月の2.8%から上昇し、昨年5月以来の高水準となった。トランプ次期米大統領が導入を表明している広範な関税措置による物価上昇への懸念が背景にあるとみられる。
1年先の期待インフレ率は、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)に先立つ2年間に見られた2.3─3.0%を上回った。
5年先の期待インフレ率も3.3%。 前月の3.0%から上昇し、2008年6月以来の高水準となった。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏によると、インフレ見通しは短期的にも長期的にも人口統計上の複数のグループで上昇したが、低所得層と無党派層の上昇が顕著だった。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、オリバー・アレン氏は「消費者が関税措置による物価上昇を予想していることが示された」としている。
1月の消費者信頼感指数は73.2と、前月の74.0から低下。予想は73.8だった。
ドイツの対米貿易黒字、24年1─11月650億ユーロ 23年通年上回る | ロイター
ドイツの2024年1─11月の対米貿易黒字が、23年年間の貿易黒字を大きく上回ったことが、連邦統計庁のデータに基づくロイターの算出で分かった。
1─11月の対米貿易黒字は650億ユーロ(669億5000万ドル)超。23年の633億ユーロを大きく上回った。
デュッセルドルフ競争経済研究所(DICE)のイェンス・スエデクム氏は「ドイツの対米輸出はここ数カ月非常に好調で、現在記録的な水準にある」と述べた。
しかし、トランプ次期米大統領は、世界の輸入品に10%の関税を課すと公約。先月には欧州連合(EU)が米国の石油・ガス輸入を増やさなければさらなる関税に直面すると警告した。
DICEのスエデクム氏は、欧州ではドイツが最も深刻な影響を受けることになるとし、「トランプ氏は貿易障壁を築き、自動車メーカーなど独産業コングロマリットにアメリカへの生産移転を求めるだろう」と述べた。
米消費者1-3年先インフレ期待が上昇、5年先は低下-NY連銀 - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
米利下げ時期予想後ずれ、BofAは利上げも想定 雇用統計受け | ロイター
BofAグローバル・リサーチのアナリストはメモで「米利下げサイクルは終了したと考える」とし、「FRBが長期間金利を据え置くというのがわれわれの基本シナリオだが、次の動きに絡むリスクは利上げに傾いている」という見方を示した。
CMEのフェドウオッチによると、市場は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイント利下げの確率を76.31%と織り込んだ。
JPモルガンとゴールドマン・サックスは、次回の利下げ時期を6月に後ずれさせた。JPモルガンのアナリストは「3月までに追加利下げに踏み切るには、非常に悪い雇用統計が必要になるだろう」と述べた。
ウェルズ・ファーゴも、3月利下げの「確率はますます低下している」と指摘。INGは、インフレの粘着性を踏まえ「FRBによる利下げ休止長期化リスクが高まっている」とした。
モルガン・スタンレーは、雇用統計を受け短期的な米利下げの可能性は低下するとしつつも、「より良好なインフレ見通しを踏まえ、3月利下げの可能性は依然高い」との見方を示した。
米シティ、25年も世界的株高継続と予想 1株当たり利益10%増に | ロイター
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米利下げ予想、雇用統計受け後退相次ぐ-バークレイズ年内わずか1回 - Bloomberg
ドル上昇、米企業利益に大きな開きもたらす公算大-モルガンS - Bloomberg
今決算シーズンは、ドル上昇の影響で米企業の間で利益に大きな開きが生じる可能性が高いと、米モルガン・スタンレーのストラテジストが指摘した。利益は国内に注力する企業が、国外での売り上げの多い企業を上回るとみている。
昨年11月の米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利して以来、ドルは大きく上昇している。同氏の税制や関税政策がインフレをあおる可能性があるとの見方が背景にある。また底堅い経済動向を背景に連邦公開市場委員会(FOMC)が高めの政策金利を長期化させ得るとの見方も、ドルを一段と押し上げている。
マイケル・ウィルソン氏率いるモルガン・スタンレーのチームは、S&P500種株価指数の構成銘柄は国外の売上高比率が30%未満のため、ドル上昇は通常、同指数のパフォーマンスの幅の広がりにつながると分析。家庭用品やテクノロジーハードウエア、食品・飲料関連の銘柄が最も国外へのエクスポージャーが高い一方、通信サービスと公益は最もリスクが低いと指摘した。
ウィルソン氏はリポートで、「今決算シーズンは、ドル高が市場全体におけるパフォーマンスのばらつきを大きくさせる主な要因になる可能性があると考えられる」と記述。ドルとの関連性がより強く、このところアンダーパフォームしているセクターは、その傾向が今後も続くと予想した。
ただそれでも、「国内の堅調な成長がドル上昇の主因である限り」、S&P500種全体のパフォーマンスは底堅さを維持し得るとも指摘した。ウィルソン氏は長年にわたり株式に対して弱気な姿勢を維持してきたが、昨年半ばにその姿勢を撤回した。
●中東情勢
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●エマージング
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中国の若者、年金支払いボイコット-住宅不況と人口減が不安に拍車 - Bloomberg
中国の年金制度が逼迫(ひっぱく)している。すでに10年以内に資金が底を突く恐れがあるが、ソーシャルメディアのインフルエンサー、高鵬程さんのような若者の考え方も新たな脅威になりつつある。
高さん(22)は任意の公的年金に加入しておらず、多くの友人も同様だ。月200ドル(約3万1600円)の保険金納付は、高さんの給料の約2割を占め、自分の稼ぎを年金に支払うくらいなら、外食や新しいハンドバッグの購入に充てたいと思っている。
オンラインで焼き菓子や化粧品を販売している高さんは深圳でのインタビューで、いずれにしても年金加入は意味がないと言う。なぜなら、自分が年を取りリタイアするまでに財源が不足すると考えているからだ。
「理論上は老後のために貯蓄していることになるのかもしれないが、実際には自分の貯蓄が他の誰かの支援に使われている」と述べ、「なぜ、他人を助けるため自分の貯蓄を使わなければならないのか」と疑問を呈した。  
中国の年金制度から推定数千万人の若い働き手が脱退しており、高齢化に伴う年金給付急増に充てる必要不可欠な資金源が損なわれている。
中国では今後10年間、毎年2000万人以上が退職するが、出生率の記録的な低下により、年金拠出を担う労働力人口は減る。労働者4億6000万人を対象とする年金制度の主要な一角は、政府による追加支援なしでは4年以内に初の年間赤字に陥る。 
世界2位の人口を抱える中国は、すでにデフレのリスクと底なしに思える住宅不況に脅かされている。潜在的な年金制度危機が次の大きな難題として迫りつつある。
特に年金支給が確実でないと感じている若い世代が、習近平総書記(国家主席)率いる共産党に対する信頼を失う可能性もはらむ。働き手がわずかな稼ぎを貯蓄に回してしまえば、実体経済に資金が流れず景気が悪化し、社会不安を招きかねない。
米外交問題評議会(CFR)で中国研究の上級研究員を務める劉宗媛氏は「こうした信頼の欠如は、家計の消費意欲をさらに損なう」と分析。「景気減速ですでに逼迫している政府の財政に一段と圧力がかかる」と述べた。
この巨大な問題は政府内でも認識されている。昨年9月には年金制度を支えるため、男性の定年を60歳から63歳に、女性の定年を50歳から55歳に引き上げるという大きな一歩を踏み出した。1978年以来となるこの段階的な引き上げは今年1月1日に施行されたが、すでに不満の声が上がっている。
人事社会保障省にコメントを求めたが、回答はなかった。同省は2019年、将来の年金支給を確保するため幾つかの措置を講じると発表。これには、年金加入の基準引き下げや中央政府からの追加支援と財政支援の拡大による地域格差の是正などが含まれていた。
人口動態
こうした改革は、多くの人々にとっては遅過ぎるかもしれない。公的年金への支払いを停止した人数を正確に算出することは難しいが、中国社会科学院がまとめたデータをブルームバーグが集計したところ、数千万単位の人が拠出を停止していると推定されている。
年金のない働き手は個人貯蓄がない限り、貧困の中で老後を迎えることになる。不動産価格の急落が事態をさらに悪化させている。多くの国民が住宅価格の上昇で退職後の蓄えが増えると信じていたからだ。
公務員や軍人ら一部の「インサイダー」に手厚い退職金が支払われていると見なされている公的年金制度への拠出を求められている若者たちの間で、特に不満が高まっている。 
ブルームバーグが分析した人事社会保障省のデータは、24年1-10月における2つの基本的な年金プランへの純流入額がわずか2.3%増の5420億元(約11兆7000億円)にとどまり、その前の2年間に見られた2桁の伸びから急減速したことを示している。
これら2つのプランへの加入者数は合わせてわずか1.3%増と、19年の伸び率の半分だ。
拠出ペースの鈍化は年金の負担を増大させる。都市部労働者を対象とする基金の累積積立金は、政府からの支援があったとしても35年までに枯渇する可能性があると社会科学院は想定している。
CFRの劉氏は「問題に対応するため、社会保障制度の強化に向けた改革を行わなければ、年金の赤字問題は予想以上に深刻化し得る」とみている。
欧州や米州でも多くの国が高齢化問題に直面しているが、中国ほど深刻な人口動態はないだろう。35年余りにわたって続けられた「一人っ子政策」は16年に撤回されたが、ほとんどの親は2人以上の子ども持つ余裕がなく、22年以降、人口は減少。国連は、中国の人口が2100年までに半減するとの予測を出している。
大量の働き手が退職を控えており、2035年までに60歳超の国民は4億人を超える見通しだ。これは米国とカナダの人口を合わせたよりも多く、中国総人口の約29%に相当する。現在の米国の割合(約23%)を上回る。
「ごみの時間」
他のほとんどの事例と同様、中国においては年金制度の規模も驚異的だ。中国は1951年にほぼゼロからスタートし、世界最大の社会保障ネットワークを構築。現在では11億人が基礎年金制度の対象となっている。
広州でソフトウエア開発に携わるフリーランスのホアン・ハイヤンさん(31)は、自分が退職する前に積立金が底を突くと心配し、昨年1月に公的年金の保険料を納めるのをやめた。
「私が仕事を辞める時に年金制度がまだ存在しているかどうか、誰が分かるでしょうか」とホアンさんはインタビューで語った。そもそも、支払いを続ける余裕がなかったという。
公的な年金・社会保障への拠出が義務付けられている多くの先進国とは異なり、中国では自営やパートタイムなどで働く住民は「都市職工基本年金」に任意で加入。この年金は大都市で非正規雇用で働く数百万人の出稼ぎ労働者も支えている。
転売して利益を得ることを期待して高級バッグも買っているインフルエンサーの高さんは、年金に「高いお金を払うくらいなら、全く払わない方がまし」という主張だ。
約40年後に退職するころに中国経済がどうなっているのか見当もつかないと述べ、「年金が生活費を賄うのに十分な額になっているかどうか、誰にも分からない」と指摘した。 
年金制度に対する懐疑的な見方は、若者たちの間に広がる不安感や閉塞(へいそく)感を反映している。低賃金と厳しい雇用見通しにより、多くの若者が出世競争から逃れるため「躺平」(寝そべる)という考え方をするようになっている。
中国でかつて多くの若者を突き動かした、成功を目指して一生懸命勉強し、一生懸命働くという意欲はほとんど見られなくなっている。
インターネット上には「歴史的垃圾時間(歴史のごみの時間)」という多くの若者が感じている苦境を象徴する表現が広がり、政府の検閲チームはその削除に躍起になっている。
●プロファイ、インフラ、自然災害
米当局、カリフォルニア州の山火事で公衆衛生緊急事態を宣言 | ロイター
ロス近郊山火事、消火活動で鎮火前進-当局者は責任のなすり合い - Bloomberg
ロス山火事、電力事業者の安全対策に不備か - WSJ
山火事に見舞われているロサンゼルス地域に電力を供給している公益事業者の1社が、設備による火災発生を防ぐために広く採用されている安全対策を実施していなかったことが分かった。この対策は、カリフォルニア州の他の大手電力供給事業者はすべて導入している。
規制当局への提出書類によれば、ロサンゼルス水道電力局 (LADWP)は強風時にシステムの一部を予防的に停止する計画を策定していないが、カリフォルニア州の他の電力事業者は火災リスクが高まった際に定期的にこの措置を講じている。
危険な強風がロサンゼルスを襲う恐れがある中、LADWPのシステムは通電が続き、その後の強風によって大規模な被害が発生したことで数万人の顧客が停電に見舞われた。
ロサンゼルスやその周辺の山火事では数千の家屋や建物が焼失したほか、これまでに少なくとも5人が死亡しており、火災発生の原因は現在も調査が続いている。過去にカリフォルニア州や他の地域で発生した火災と同様に、送電線が原因となった可能性があるかどうかはまだ判明していない。
LADWPの広報担当者は、その他の安全対策を講じているとし、停電や障害後に自動的に送電を再開する技術を無効にすることで、強風時に送電線からの火花が生じるのを防いでいると述べた。また広範囲にわたる停電は重要な市の機能や緊急サービスにリスクをもたらすとした。
広報担当者は「LADWPはロサンゼルス消防局と緊密に協力し、火災リスクを軽減しつつ、電力で駆動する重要な機能を継続するための緊急時対応策を策定した」と述べた。
電力事業者の送電線は、カリフォルニア州で過去に発生した米国で最も破壊的な火災の一部を引き起こしてきた。だがLADWPの最新の山火事軽減計画によれば、州内の電力事業者が広く採用している他の火災リスク軽減策を欠いており、隣接する電力事業者とは異なり風速やその他のリスク要因を監視するカメラや気象観測所のネットワークを構築していない。同局は軽減計画の中で、これらの技術の導入を検討していると述べていた。
スタンフォード大学の気候・エネルギー政策プログラムを率い、山火事軽減戦略を研究しているマイケル・ワラ弁護士は、「LADWPは現時点で、カリフォルニア州や西部地域の投資家所有の電力事業者とは大きく異なる方法で運営されている」と述べた。
LADWPは米国最大の公益事業者で、ロサンゼルスの400万人の住民や企業に水と電力を供給している。その都市部の供給地域の大部分は山火事の危険性が低いが、規制当局への提出書類によると供給地域の約21%は火災リスクの高いエリアに位置している。
今回の山火事で最大規模のパリセーズ火災は、LADWPの供給地域で発生。またサンフェルナンドバレーのシルマー近くで発生したより小規模なハースト火災もLADWPの供給地域で発生している。
ロス山火事、被害額は米史上最高へ - WSJ
米ロサンゼルスで発生した山火事についてアナリストらは9日、米国史上最も被害額の大きい火災になる見通しだと述べた。制御できない火災が広がり、推定被害額は初期の見積もりから急増している。
今回の火災による経済損失の総額は現時点で500億ドル(約7兆9000億円)に迫っていると、JPモルガン・チェースのアナリスト、ジミー・ブラー氏はみている。前日の推計値から倍増した。保険損害額だけで200億ドルを超えていると同氏は推計し、「火災を制御できなければさらに増える」と述べた。
経済損失に関する他の初期見積もりでも、被害額は米国最大級と位置づけられている。格付け会社モーニングスターDBRSは、保険損害額を計80億ドル超と見積もった。
自然災害による保険損害額の最終的な集計値は、初期の見積もりと大きく異なる場合がある。特に事態がまだ進行している中で予測する場合はそうなりやすい。アナリストらは、焼失した不動産の件数や平均的価値を過去の火災と比較するなどして潜在的なコストを算出している。
昨年まで米国で過去最高の被害額を記録した山火事は、2018年にカリフォルニア州北部ビュート郡で発生した「キャンプ・ファイア」だった。英保険ブローカー大手のエーオンによると、保険損害額(インフレ調整後)は約125億ドルだった。
さまざまな大災害の中でも、最大の損害をもたらすのはハリケーンと地震だ。保険業界団体の米国保険情報協会に提供されたエーオンのデータによると、保険損害額(インフレ調整後)が過去最大を記録したのは2005年のハリケーン「カトリーナ」で1020億ドルだった。
2位は2022年のハリケーン「イアン」で560億ドル、3位は2011年の東日本大震災で発生した地震と津波による480億ドルだった。
巨額の損害が生じれば、すでに脆弱(ぜいじゃく)なカリフォルニア州の住宅保険市場に相当な圧力をかける可能性がある。
この火災は「同州の保険市場全般に対し、広範囲に悪影響を及ぼすだろう」。格付け会社ムーティーズ・レーティングスのシニアアナリスト、デニス・ラップマンド氏はそう述べた。そのコストは「保険料を押し上げ、不動産保険に加入しにくくなる可能性がある」とも述べた。
また損害が高額になれば、保険会社(ひいては保険契約者)に対し、同州が提供する住宅保険の最後の手段である「フェアプラン」の救済を強いることにもなりかねない。同プランは民間保険会社を利用できない住宅所有者の保険をカバーするものだが、この仕組みで十分対応できなければ、民間保険会社に保険請求額の支払いを求める場合がある。
保険損害額のうち同プランに該当するのがどれくらいかはまだ不明だが、火災で最も被害の大きい地域の一部でかなりの影響を受ける可能性がある。同プランの最新データによると、火災の中心地の一つである高級住宅街パシフィック・パリセーズでは、9月末時点の潜在損失額が60億ドル近くに達していた。
フェアプランの広報担当者は8日、同プランが「再保険を含む支払いメカニズムを備えており、カバー対象である全ての請求に対応できる」と述べた。
保険会社の観点からは、「高額の損失は(同州での)将来の保険料にとって良い前兆だが」、短期的には収益に打撃を与える公算が大きい。JPモルガンのブラー氏は顧客向けメモでそう述べた。
予想損害額が急増すれば、再保険会社にも同様に影響を与える可能性が高い、と同氏は続けた。再保険会社は通常、保険会社の損害額が一定レベルを超えた場合にそれを補てんするためだ。
米ロサンゼルスの山火事、死者11人に 強風で被害拡大のおそれも - BBCニュース
米ロス山火事、発生前後の衛星写真を比較 被害まざまざ - CNN.co.jp
灰と化した楽園-ロス近郊を襲った山火事、焼失の惨状明らかに - Bloomberg
ロサンゼルス山火事、保険請求3兆円 値上がりで住宅復旧危うく - 日本経済新聞
カルフォルニアの山火事が続く中、保険株が下落=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
オールステート<ALL> 183.53(-8.28 -4.31%)
AIG<AIG> 70.33(-1.10 -1.54%)
トラベラーズ<TRV> 234.73(-8.04 -3.31%)
カルフォルニアの山火事が続く中、欧米で保険株が下落している。NY市場でもオールステート<ALL>、トラベラーズ<TRV>、AIG<AIG>が下落。山火事関連の損害見通しが拡大していることが重石となっている。
ロサンゼルス近郊で発生した山火事とは3日目を迎えたが、市内のいたるところで被害の拡大が続いており、当局によると数千の建物が焼失した。アキュウェザー社は被害総額が1350億-1500億ドルに上るとの推計を示しており、被害額では米国の近代史上有数の自然災害になる見通しだという。
ロス山火事、死者24人に 一部で延焼抑制も再び強風の予報 | ロイター
山火事の死者24人に、逮捕者29人 米ロサンゼルス - CNN.co.jp
宮崎県で震度5弱の地震 宮崎と高知に津波注意報 - 日本経済新聞
気象庁、南海トラフの発生可能性「高まらず」と評価 日向灘の地震で | ロイター
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
1. **為替市場**  
   - 米雇用統計が予想を大幅に上回り、FRBの年内利下げ観測が後退。ドルが上昇し、他の主要通貨が下落。
   - ドル指数は約2年ぶりの高値(110.17)を記録。
   - ドル/円は157.77円、ユーロは1.0208ドルと2022年以来の安値、豪ドルは2020年以来の安値を一時記録。
2. **債券市場**  
   - 米10年債利回りが4.799%と14カ月ぶりの高水準。労働市場の堅調さとインフレ懸念が影響。
   - イールドカーブはスティープ化し、2年債と10年債の利回り格差は2022年5月以来の水準。
3. **株式市場**  
   - 米国債利回りの上昇が株価に圧力。ナスダックが下落する一方、S&P500種は反発。
   - エネルギー株は原油価格上昇により上昇。AI関連株(エヌビディア、マイクロン)は輸出規制懸念で下落。
4. **商品市場**  
   - 金先物はFRB利下げ観測の後退を受け5営業日ぶりに反落。
   - 原油先物はロシア産原油供給減少見通しを背景に続伸。
5. **注目イベント**  
   - 米消費者物価指数(CPI)発表が15日に控えており、結果次第で利下げ観測がさらに低下する可能性。
欧州市場サマリー(13日) | ロイター
**ロンドン株式市場**  
・続落して取引終了。米利下げ鈍化の懸念で投資家はリスク回避姿勢を継続。  
・英国債利回りが急上昇し、財政リスク懸念が増加。  
・FTSE250種指数は0.08%下落。石油・ガス株指数は原油価格高騰で1.44%上昇。  
・一方、航空関連株や人材派遣大手の下落が目立つ。  
・今週の注目は英GDPや物価指標の発表。
**欧州株式市場**  
・米利下げ鈍化観測やインフレ懸念で不安定。STOXX欧州600種指数は約1週間ぶりの安値。  
・金利敏感なテクノロジー、不動産、ヘルスケア株が下落。一方、石油・ガス株は1.11%上昇。  
・個別銘柄ではノルウェー企業買収を発表したビオメリューが3.6%上昇。  
・今週は英独の物価指標や米消費者物価指数(CPI)に注目。
**ユーロ圏債券市場**  
・域内国債利回りが上昇。米雇用統計の好調や原油価格高騰が要因。  
・ドイツ10年国債利回りが昨年7月以来の高水準に達し、終盤は2.592%。  
・イタリアやフランスなどのリスクプレミアムが拡大。独仏10年債利回り格差は昨年11月以来の高水準。  
・欧州中央銀行(ECB)の金利見通しに敏感な独2年債利回りも高水準。
市場全体として金利上昇や財政リスクへの懸念が広がっており、投資家心理は不安定です。
NY市場サマリー(10日)ドル高、株安 利回り急上昇 | ロイター
**為替市場**  
・ドルが上昇。好調な米雇用統計を受け、FRBが6月まで利下げを見送るとの見方が強まった。  
・12月の非農業部門雇用者数は25.6万人増(予想16万人増)、失業率は4.1%に低下。  
・ドル指数は2022年11月以来の高値を記録し、主要通貨に対して強含み。  
**債券市場**  
・米10年国債利回りが2023年11月以来の水準に急上昇(4.79%)。  
・雇用統計を受け、市場はFRBが利下げを6月以降に延期すると予測。  
**株式市場**  
・米株は下落。インフレ懸念とFRBの利下げ慎重姿勢が影響。主要指数は2週連続の下落。  
・半導体株や輸出規制報道で関連株が下落。電力会社の買収報道や好決算銘柄は上昇。  
**その他市場動向**  
・金先物価格が上昇(4日連続)。リスク回避姿勢の強まりが要因。  
・米原油先物も続伸。対ロシア制裁強化の影響で価格は約3カ月ぶりの高値。  
全体的に、米雇用統計の結果が市場に大きな影響を与え、FRBの利下げ観測の後退がドルや金利の上昇を促しました。一方で、株式市場には逆風となりました。
ロンドン株式市場は反落して終了。FTSE250種指数は1.36%安、週間で4.16%下落し、1年半ぶりの大幅な下げとなった。英国債利回りの急上昇が借り入れコスト増への懸念を高め、リスク回避姿勢が強まった。一方、FTSE100種指数はポンド安による輸出企業への期待から0.30%上昇。原油価格の上昇で石油・ガス株指数も0.46%上昇したが、損害保険株は山火事の保険損失懸念で下落。
欧州株式市場も反落。STOXX欧州600種指数は3週間ぶりの大幅な下げで、インフレ懸念や利下げ期待の後退が重荷に。ただ、週間では0.65%上昇。金利動向に敏感な公益事業株や不動産株が下落する一方、自動車・部品株はメルセデス・ベンツの好調な販売実績で上昇。
ユーロ圏債券市場では利回りが急上昇。米雇用統計が予想を上回り、FRBの利下げ期待がさらに後退。ドイツ10年債利回りは7月以来の高水準、イタリア10年債利回りも昨年11月以来の高水準に。市場は欧州中央銀行(ECB)の25年の利下げを予想しつつも、短期的には引き下げ幅を修正。

備忘録(2025/1/9
●海外企業決算
●海外企業
エヌビディア、データセンター以外にも注目集めるべき理由 - WSJ
米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアン氏は今週開催されたテクノロジー見本市「CES」で聴衆を喜ばせたが、それは同社が望むような理想的な聴衆というわけではなかった。
毎年恒例のCESで基調講演に登壇したエヌビディアの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のフアン氏はいつもの黒革のレーシングジャケットではなく、光沢感のあるものを着用するなど、普段とは違う姿を見せた。同氏は新たなゲーム用プロセッサーや、大きなサンドイッチほどのサイズの人工知能(AI)スーパーコンピューターなどの製品を紹介したほか、人型ロボットや自動運転車に関する新たな取り組みを発表した。自動運転車については、初の数兆ドル規模のロボット産業になるとの見方を示した。
会場は熱気に包まれていた。エヌビディアのAI半導体「ブラックウェル」をベースにしたゲーム用グラフィックスカードの新シリーズは特に注目を集めた。ただ、投資家らは失望したようで、エヌビディア株は7日に6%超下落した。エヌビディアはその前日、時価総額が米アップルを追い越して4兆ドル(約630兆円)の大台に達する初の上場企業になるとの期待から、株価が上昇していた。
エヌビディアの時価総額は、1年前はその大台の3分の1にすぎなかったことを考えると、現在の3兆4000億ドルという数字は過小評価すべきものではない。ただ、売上高と利益の爆発的な伸びに後押しされて時価総額がここまで拡大したため、エヌビディアの株価は当然ながら、今後現れるどのようなマイナス材料にも極めて敏感に反応することになる。投資家の関心が集中しているのは、同社の成長をけん引しているデータセンター向けAI半導体事業だ。エヌビディアは今回のCESで同事業に関する新たな情報を提供しなかった。ベンチマークのアナリスト、コーディ・アクリー氏は顧客向けメモで、フアン氏の基調講演を「手堅くはあるが、やや控えめ」だったと評し、投資家の多くは「ブラックウェルの展開に関する具体的な進捗(しんちょく)状況」や見通しについての発言を期待していたと述べた。
ファクトセットによると、エヌビディアの2025年1月期はデータセンター部門だけで約1130億ドルの売上高を計上すると予想されており、これは今年の他のどの半導体メーカーの予想総売上高よりも多い。このため、同部門は当然ながら注目の的となる。マイクロソフトやアマゾン、グーグル、メタ・プラットフォームズなどの米IT大手は毎年数百億ドルをAIシステム向けに投資しており、それがエヌビディアの現在の市場価値を支える大きな要因となっている。だが、エヌビディアは長年、自動車やゲーム、高性能デザインといった分野にも関わってきた。これらの産業の多くは、生成AIによって影響を受ける可能性がある。あるいはすでに影響を受けている。こうしたことは、時価総額4兆ドル到達を目前にした企業にとって将来的に重要な機会となる。
しかし、その認知を得るには長い時間がかかりそうだ。主にゲームに使われるパソコン(PC)向けの画像処理半導体(GPU)を扱うゲーム部門はエヌビディアにとって2番目に大きな事業部門だが、今年度に見込まれる売上高は120億ドル弱と、データセンター部門の約10分の1の規模にとどまる。自動車部門の売上高は来年度に約20億ドルに拡大すると予想されている。ただエヌビディアによると、自動運転車を動かすのに必要なデータセンターでの処理などを含めれば、来年度の自動車関連の総売上高は50億ドル程度になるという。
現状ではエヌビディアの事業にはこのように大きな不均衡があり、データセンター部門が同社の株価をけん引する状況は当面変わりそうにない。ブラックウェル製品に関しては、出荷が始まったばかりだ。関連需要は「とてつもなく大きい」とフアンCEOは語る。だがウォール街ではすでに、データセンター向けの次の製品群である「Rubin(ルービン)」と呼ばれるAI半導体を巡る臆測が広がっている。ルービンは2026年になるまでは出荷が開始されないとみられるが、この製品も大きな成功が求められている。ビジブル・アルファがまとめたアナリスト予想によると、エヌビディアのデータセンター関連売上高は27年1月期に2000億ドルの大台を突破するとみられている。
エヌビディアの他の事業は付随的なものにすぎないとの考えを見直すよう投資家を説得するのは容易ではない。
●日本企業
ファストリ、9-11月期営業益は過去最高-国内外ユニクロ好調 - Bloomberg
マコネル氏「日鉄は敵ではない」、現政権の買収阻止を批判-米紙寄稿 - Bloomberg
セブン丸山CFO、買収提案への判断時期は株主総会が一つの目安 - Bloomberg
カナダ小売大手の買収提案、5月総会までに一定の判断=セブン&アイCFO | ロイター
セブン&アイ・ホールディングスの丸山好道・最高財務責任者(CFO)は9日の決算会見で、カナダの小売大手アリマンタション・クシュタールや創業家から受けた買収提案について、現段階では評価する材料が出そろっていないと説明した。ただ、すでに検討が長期化する中、5月に予定されている株主総会を時間的な目安とし、一定の判断を行う考えを示した。
丸山CFOは「どの選択をすれば株主価値・企業価値一番高める可能性があるかが基準となる」とし、「今の段階では、それを評価する材料が出そろっていない。買収を実現させるハードルはどちらにもある。いくつかの問題に対するソリューションが、まだ十分にはわれわれのところには来ていない」と述べた。社外取締役で構成する特別委員会が検討する状況が続いているとした。
2つの買収提案の他に、単独で成長を追求する選択肢もある。
丸山CFOは、ボールは買収提案をする側にあるため会社側から期限を言うことはできないとしながらも「このままの状況がいつまでも続くわけにはいかない。スタンドアローン(単独)も含めて一定の判断をしながらになる。一つの目安としては、今年5月の株主総会に向けて、どういうことが最善か考えながら動いている」とした。
経営側が「今やるべきことは、いかにこれまでとは違う非連続的な取り組みで価値を向上させることができるかに注力している」とし、その一つとして、スーパーストア事業を分離・独立させるプロセスを進めていることを説明した。
さきしまコスモタワーホテル開発が破産 負債額75億円 - 日本経済新聞
USスチール買収阻止、米企業・対日投資にもたらすリスク - WSJ
1980年代の経済の雰囲気が戻ってきた。日本株は2024年に史上最高値を更新した。そして米国は最近、国家安全保障を理由に、日本企業による米産業界の象徴的存在の買収を阻止した。
バイデン米政権が日本製鉄によるUSスチール買収計画を阻止したことは誤った判断であるだけではない。日本政府の動揺を招いたほか、アジアにおける米国の緊密な同盟国との関係を悪化させる恐れもある。
日本と米国は現在、表面的には40年前の貿易摩擦を彷彿(ほうふつ)とさせる状況にあるとはいえ、両国の経済は相互に深く絡み合っており、ここ数年でも新たな投資関係が盛んになっている。買収阻止を巡り、石破茂首相が日本から米国への投資に悪影響が及ぶ恐れがあると示唆したことは軽視すべきではない。
日本の閉鎖的な企業文化は長く外国人投資家をいら立たせてきたが、それが変わり始めている。長年にわたるガバナンス(企業統治)改革と、企業にガバナンスと収益性の改善を求める規制当局や投資家からの圧力がようやく実を結び始めた。
システム開発会社の富士ソフトを巡り、ベインキャピタルとKKRという米プライベートエクイティ(PE)投資大手2社の間で現在繰り広げられている買収合戦はその一例だ。日米でコンビニエンスストア「セブンイレブン」を運営する小売り大手セブン&アイ・ホールディングスでさえ買収対象になっており、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールが日本で過去最大規模となる買収を実現させる可能性もある。
米コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーによると、日本におけるPE投資会社絡みの買収などの取引総額は2023年に過去最高の5兆9000億円に達し、前年の2倍となった。ベインキャピタル、カーライル、KKRといった米PEファンド大手はいずれも日本での投資を強化している。
このような状況下での米政府の介入は、特にタイミングが悪い。外国企業による買収に抵抗する理由として国家安全保障が持ち出される中で、こうした保護主義が日本市場開放に向けた進展を遅らせるリスクがいま高まっている。次に日本で米国のアクティビスト(物言う投資家)が業績不振の複合企業の分割を求めたり、米PEファンド大手が買収に関心を示したりしても、歓迎ムードは生まれにくいだろう。
中国に対する日米の連携にも悪影響を与える。対中半導体規制を巡りバイデン政権は、東京エレクトロンなど国内装置メーカーが不利になりかねない日本からも同意を取り付けることに成功した。日米間の信頼関係が低下すればこうした協調は難しくなることが考えられる。トランプ次期政権が日本に対して保護主義的姿勢を取ればなおさらだ。
世界各国は、中国の過剰生産能力を背景に安価なモノが世界にあふれるとの懸念を強めている。例えば、日本製鉄とUSスチールが経営統合していれば、ライバルの中国企業に対する競争力が強まったはずだ。また米国にとって日本は、電気自動車(EV)やバッテリーといった新たな成長分野における中国の台頭という課題に取り組む上で重要なパートナーでもある。そのため、米国と日本の協力はかつてないほど重要になっている。両国は経済関係がもはやゼロサムゲームではないことを心にとどめておく必要がある。
米国の鉄鋼産業を守ろうとすることでジョー・バイデン大統領は、政治的・経済的に重要な同盟関係に亀裂を生じさせるという、それよりはるかに危険な結果を招きかねないリスクを冒している。
●先進国政治動向
英首相批判のマスク氏、退陣も画策か 関係者と協議の報道 | ロイター
トランプ氏のグリーンランド購入案、勢力圏拡大と歴史的功績狙う | ロイター
トランプ次期米大統領がデンマーク領グリーンランドの獲得に意欲を示していることについて、複数の関係筋は、一時的な思いつきではなくトランプ氏は本気だと指摘、西半球で米国の勢力圏を拡大することや自身の名を後世に残すことが狙いだと述べた。
同氏は7日、グリーンランド獲得のためには軍事力や経済的措置の利用を排除しない姿勢を示した。
内部情報に詳しいある関係筋は、グリーンランド獲得のためにトランプ氏が軍事力を行使する可能性は低いが、外交や経済で圧力をかけるといった他の手段の利用は本気で考えていると指摘。
同筋は「真の功績は米国の領土拡大だ。米国は過去70年間、全く領土を拡大していない。(トランプ氏は)その点についてよく話している」と述べた。
米国の50州のうち、アラスカとハワイは1959年に、当時のアイゼンハワー大統領の下でそれぞれ49番目、50番目の州となった。
トランプ氏に近い別の関係筋は、昨年11月の大統領選で同氏が勝利した後に陣営幹部がまとめた外交政策の優先リストを見たが、ひときわ目を引いたのが「グリーンランドの購入」だったと語る。
トランプ氏は、グリーンランドの獲得を国家安全保障上の重要課題に位置付けている。
中南米政策を担当するトランプ氏の顧問2人によると、次期政権では外交政策のリソースと関心が米州にシフトすると見込まれている。トランプ氏は基本的にこの地域を米国の裏庭と考えており、中国やロシアの影響力を警戒しているという。
また、トランプ氏の考えに詳しい3人の現・元関係者は、同氏が後世に名を残す手段として領土拡大に関心を持っていると指摘。
トランプ氏が英雄視するマッキンリー第25代大統領は、就任した1897年から暗殺される1901年までにプエルトリコやハワイなどを併合。トランプ氏は選挙戦の際、マッキンリー元大統領が高率の関税を利用したことをたびたび称賛している。 もっと見る
トランプ氏のある顧問は、カナダと米国を含む「スーパー米国(super U.S.)」の地図をソーシャルメディアに投稿して、グリーンランドに関する同氏の計画を説明。スーパー米国が北極圏からロシアの影響力を排除することになると主張した。
第1次トランプ政権で国家安全保障担当の顧問を務めた関係者によると、トランプ氏が初めてグリーンランド購入のアイデアを出したのは2017年で、その後19年に本格的に購入を考えるようになった。
これを受けて、ホワイトハウスではトランプ氏との一連の会合が開かれたが、米メディアが計画を報じると、デンマークが公然と拒否。結局、購入に向けた措置は講じられなかった。
1946年には当時のトルーマン大統領が1億ドルでグリーンランドの購入を打診したが、デンマークから拒否されている
「庶民派」のカナダ野党党首、反トルドー政権の波に乗って総選挙へ | ロイター
独極右政党党首、マスク氏と対談 同氏による支持表明にEUが対応苦慮 | ロイター
マスク氏、連邦支出2兆ドル削減の目標後退-選挙公約の修正相次ぐ - Bloomberg
●先進国中銀、金融当局
ボストン連銀総裁、今年の利下げは従来の予想よりも少ないだろう - Bloomberg
FRB利下げ継続、即時実施は不要 指標注視=フィラデルフィア連銀総裁 | ロイター
FRBが信るもう一つのインフレ指標、追加利下げのハードル下げる - Bloomberg
パウエル議長をはじめとする連邦準備制度理事会(FRB)当局者らは、経済見通しに自信がある根拠を説明する際、聞き慣れない物価指標に言及することが増えた。「市場ベース」のインフレだ。
この指標ではデータ収集のプロセスで直接的に価格を測定できず、代わりに推定値を採用せざるを得ないさまざまなサービスが除外されている。その結果、ここ数か月のインフレ様相は違ってくる。FRBが重視するインフレ指標、個人消費支出(PCE)コア価格指数は11月に前年同月比で2.8%上昇した。一方で市場ベースの指標は5月からずっと、前年同月比2.4%の上昇率付近でほぼ変わらない。
12月17-18両日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)は、主要政策金利を0.25ポイント引き下げることを決定。一方で2025年に見込む利下げ回数は従来予想から減少し、引き下げペースを巡り当局者らが慎重姿勢を強めていることが示唆された。
米国債利回りが上昇し、投資家が今年の利下げ見通しを後退させている中で、両者の区別は重要だ。FRB当局者らはこれまで、追加利下げの前に2%目標への進展をもっと確認したいと示唆しながらも、もう一つの指標である市場ベースのインフレに繰り返し言及している。これは追加利下げのハードルが比較的低いと示唆している可能性がある。
ウォラーFRB理事は8日の講演で、代替指標である市場ベースのインフレを注視する意義を説明した。インフレの沈静化が継続すると考えている同理事は、今年の追加利下げを支持している。
「2024年のインフレは住宅サービスや非市場サービスといった、帰属価格の上昇が主な要因だった。これらは直接測定されるのではなく推計値であり、すべての財とサービスにおける需給バランスを判断する指標としては信頼性が低いと考えている」とウォラー理事は述べた。
同日に開示されたFOMC議事要旨には、「多くの」政策当局者がウォラー氏の見解に同意したことが記された。
市場ベースのPCE価格指数はいくつかの項目を除外している。これらの項目は実際に消費者が支払う価格を観察できないため、政府の統計担当者は推計値を採用、もしくは経済用語でいう「帰属」で代入する。
除外される主な項目には、ポートフォリオ管理や投資助言が含まれる。いずれも株価との連動性が高く、ここ数カ月の株価上昇がインフレを押し上げたことを意味する。除外項目には一部の保険も含まれる。
●先進国経済指標
豪小売売上高、11月は10カ月ぶり大幅増 2月利下げを市場なお予想 | ロイター
ユーロ圏小売売上高、11月は前月比+0.1% 予想下回る | ロイター
欧州連合(EU)統計局が9日発表したユーロ圏の昨年11月の小売売上高は前月比0.1%増と、予想を下回った。個人消費の低迷継続が裏付けられた。ユーロ圏では弱い経済指標の発表が相次いでいる。
ロイターがまとめた市場予想は0.4%増だった。10月は0.3%減少していた。
11月の小売売上高は前年同月比では1.2%増。2カ月連続で伸びが鈍化した。
小売売上高の前月比の伸びは全て食品と燃料の販売によるもの。非食品の販売は0.6%減。前月も0.6%減少していた。
国別ではドイツとスペインの小売売上高が前月比で大幅に減少。他の国では増加した。
近づく米雇用統計の年次基準改定、波乱の可能性にエコノミストら警戒 - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
ドイツ企業倒産件数、24年第4四半期は金融危機以来で最多=調査 | ロイター
ハレ経済研究所(IWH)の調査によると、ドイツでは昨年第4・四半期の企業倒産件数が2009年以降で最多を記録した。経済危機と高金利、エネルギー・賃金の上昇が背景にある。
IWHによると、第4・四半期の企業倒産は4215件で、前年同期比36%増。世界的金融危機さなかの09年半ば以来の高水準となった。
IWHの調査責任者は「長年にわたる超低金利が倒産を防いできたのに加え、新型コロナウイルスのパンデミック期には短時間労働手当などの補助金のおかげで倒産が起こらなかった」と分析。金利上昇と補助金廃止が22年以降の倒産件数の増加に拍車をかけたと指摘した。
業種別では、サービス業の倒産件数が前年比47%増と最も高い伸びを示し、製造業は32%増だった。
気候変動の「破壊力」明白、災害コストが増加=ミュンヘン再保険 | ロイター
ハリケーン、暴風雨、洪水など保険でカバーされる自然災害による2024年の保険損害は推定1400億ドルで、1980年以降で3番目に高額だった。再保険大手の独ミュンヘン再保険が9日に発表した。
24年の保険損害額は23年の1060億ドルを上回り、長期平均も大きく超えた。
ミュンヘン再保険は、世界の気温が上昇を続け、異常気象が頻発する要因となる中、保険損害額の増加傾向は「気候変動の悪影響が顕在化しつつある」ことを示していると指摘した。
取締役会メンバーのトーマス・ブルンク氏は「相次いで記録的な高温に見舞われ、壊滅的な結果を招いた。気候変動の破壊力はますます明白になってきている」と述べた。
ミュンヘン再保険によると、24年の保険損害額は
保険でカバーされないものも含めた自然災害による損害総額は、24年は3200億ドル。23年の2680億ドルから増加し、長期平均を上回った。
24年で最も損害が大きかったのは、米国を直撃したハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」だった。
米で2回目の港湾スト回避、労組と使用者側が新労働協約で合意 | ロイター
25年度も継続的賃上げ必要と企業は認識、人手不足で-日銀支店長会議 - Bloomberg
英国債の混乱、1976年の債務危機を彷彿-再び緊縮財政迫られる恐れ - Bloomberg
英国債市場の最近の混乱は、2022年の「トラス危機」と比較されているが、むしろ1970年代の債務危機を彷彿(ほうふつ)とさせる。
元イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員のマーティン・ウィール氏はこのように分析し、労働党政権は英国の債務負担に関して市場を安心させるため、緊縮財政をとらざるを得ないかもしれないと述べた。
ここ数日、英国の長期借り入れコストは急上昇し、ポンドは急落した。債務を抑制しインフレを抑え込む政府の能力に対する信頼を投資家が失ったことを示す、珍しい組み合わせだ。
通常、利回り上昇は通貨を支えるが、9日午前にポンドは1.23ドルを割り込み、2023年11月以来の安値をつけた。
この展開は1976年の債務危機の「悪夢」を思い起こさせるとウィール氏は言う。英国は当時、大幅な財政赤字と貿易赤字で危機に陥り国際通貨基金(IMF)に39億ドル(現在のレートで約6200億円)の融資を申請した。その見返りとして、政府はIMFが課す緊縮財政に同意した。英国は現在、再び双子の赤字を抱えている。
借り入れコストの急上昇は、財政健全化を進めようとするリーブス財務相にとって頭痛の種だ。同氏が予算案で見込んだ99億ポンド(約1兆9000億円)という財政のわずかなゆとりは失われ、予算責任局(OBR)が財政見通しの更新を予定する3月26日を前に不安定な状況が生まれる恐れもある。
他のエコノミストや投資家は、最速の成長によって大幅な歳出増を賄うという労働党の約束への懐疑が、今回の市場の動きの原因だと主張している。
現在キングス・カレッジ・ロンドンの経済学教授であるウィール氏はブルームバーグとのインタビューで、「ポンドの急落と長期金利の上昇という有害な組み合わせは、1976年以来見たことがない。それがIMFによる救済につながった」とし、「今のところそのような状況にはないが、財務相にとっての悪夢の一つに違いない」と語った。
英政府の借り入れコストは年初から、政治的混乱の渦中にあり英国よりも借入額が多く債務残高が大きいフランスよりも、急速に上昇している。
金融市場の投資家は、英資産が売られたのは楽観的な成長予測に支えられた労働党の予算計画が実現可能かという疑念や、根本的なインフレに対する懸念を反映していると指摘した。
ウィール氏は、市場環境がさらに悪化した場合、労働党は「債務が適切に管理されている」ことを市場に示すために、歳出を削減し、増税する以外に選択肢はほぼないだろうと述べた。
リーブス財務相は、日々の支出を税金で賄うという自ら課した財政ルールに対して、わずかなゆとりしか残さなかった。もし事態が変わらなければ、ゆとりはもはや消滅し、同相は3月に歳出削減か増税のどちらかを迫られる。
ドイツ銀行は、2029-30年度の英国の金利負担が予算案で見込まれた額よりも100億ポンド増加すると試算。ブルームバーグ・エコノミクスのダン・ハンソン氏は、利回り上昇による追加費用を約120億ポンドと予想した。
ウィール氏は予算問題は以前から生じていたとして、歴代の保守党財務相らも英国の債務負担の増大に対処することができなかったと指摘した。英政府債務は1960年代前半以来の高水準となっている。
「過去20年間、政府は物事がうまくいかないときに負債を増加させる一方、好調な時期にそれを減らすことをしてこなかった。市場が今までそれを懸念していなかったことの方に恐らく驚くべきだろう」とウィール氏は語った。
英資産売りが悪化、ポンドは約1年ぶり安値-財政とインフレ懸念 - Bloomberg
米労働者の生産性向上、何が起きているのか - WSJ
●中東情勢
●エマージング
韓国与党に支持回復の兆し、尹氏拘束失敗で保守層勢いづく | ロイター
中国CPI、24年通年は+0.2% PPIデフレ2年目に | ロイター
中国国家統計局が9日発表した12月の消費者物価指数(CPI)は前年比0.1%上昇した。これを受け、2024年通年では0.2%上昇と小幅な伸びとなった。一方、需要低迷で生産者物価指数(PPI)のデフレは2年目に突入した。
12月CPIはエコノミスト予想と一致したが、11月(0.2%上昇)から鈍化し、4月以来の低水準となった。
前月比では変わらずで、こちらも予想と一致。11月は0.6%下落していた。
一方、変動の激しい食品・燃料価格を除いたコアインフレ率は0.4%上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。11月は0.3%上昇だった。
通年のCPI上昇率は23年と同水準となったが、公式目標である約3%を下回り、13年連続で目標を下回った。
また、12月の生産者物価指数(PPI)は前年比2.3%下落した。11月は2.5%下落、予想は2.4%下落だった。PPIは27カ月連続で下落している。
キャピタル・エコノミクスの中国経済責任者ジュリアン・エバンスプリチャード氏はコアCPIの加速とPPIの下落鈍化について、景気刺激策が需要と物価をある程度下支えしていることを示すと指摘。ただ「刺激策による押し上げ効果は短期間で薄れる可能性が高く、基調インフレは年内に再び鈍化するだろう」と述べた。
3年目に入る電気自動車(EV)の価格競争に加え、値引きの動きは小売業界全体に広がりつつある。消費者の間ではカメラやハンドバッグなどの商品を購入せず、レンタルする傾向も高まっている。
上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)の社長兼チーフエコノミスト、張智威氏は「デフレ圧力は根強い」と指摘する。「不動産部門の低迷は終わっておらず、消費者心理を圧迫し続けている」とし、「物価の見通しは財政政策の効果に左右される部分が大きい」と述べた。
中国、エムポックス新型変異株の集団感染を確認-感染源は外国人 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
米ロス近郊の山火事拡大、10万人超避難で死者も-ハリウッドに迫る - Bloomberg
LA山火事で広がる大気汚染、遠方で健康被害の恐れも - CNN.co.jp
米カリフォルニア州ロサンゼルスで続く火災の影響で大気汚染が深刻化し、健康被害が現場から離れた場所まで及ぶ事態も懸念されている。
世界の大気汚染を監視するスイス企業「IQエアー」によると、カリフォルニア州南部の大気汚染レベルは6段階のうち最悪の「レベル6」に達している。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の疫学者、アン・リモイン教授は、火災で発生する大気汚染物質の微小粒子状物質(PM2.5)が遠く離れた場所まで運ばれ、吸い込んだ人の肺の奥まで達して血管に取り込まれる可能性を指摘。慢性疾患の患者や妊婦、若年者は特に大きな影響を受けるため、窓を閉めて屋内にとどまり、エアコンやエアフィルターを使うよう呼び掛けた。また、やむなく屋外で過ごす場合は高性能のN95マスクを着けるべきだと警告した。
ただし、同州パサデナの自宅から家族で避難したという男性は、家のドアを閉めてフィルターをいくら使っても効果はなく「息ができなかった」と話している。
英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに最近掲載されたスタンフォード大学教授らの研究では、山火事の熱で土壌中の金属が発がん性物質の粒子に変わり、大気中に飛散する可能性も指摘された。
ロス山火事、鎮火率依然0% プロバスケ試合も延期 | ロイター
米ロス山火事の経済損失、自然災害で過去最大級か-推定520億ドル超 - Bloomberg
米ロサンゼルス近郊を襲っている大規模な山火事は、自然災害による経済的損失としては過去最大級に上ることが、暫定データから分かった。山火事に限れば、米史上で最悪の被害額となる可能性が高い。
気象情報サイトのアキュウェザーによると、サンタモニカやマリブ周辺で発生している火災により、住宅価格の中央値が200万ドルを超える全米有数の高級住宅地に被害が出ている。同社では山火事による被害や経済的損失が520億-570億ドル(約8兆2200億-9兆円)に上る可能性があると分析している。
今回の山火事では、ハリケーン並みの強風によって被害が拡大。今後も火が燃え広がり、さらに多くの家屋が焼失する恐れがある。
さらに人的被害や経済的損失に加え、刺激の強い煙による長期的な健康被害や観光業への打撃も予想されると、アキュウェザーは指摘した。
1980年までさかのぼる米海洋大気庁のデータによると、米史上最も被害額が大きかった自然災害は2005年のハリケーン「カトリーナ」で、被害額は推定2000億ドル。18年にカリフォルニア州全体を襲った「キャンプ・ファイヤ」を含む大規模山火事による被害額は推定300億ドルだった。
●その他
「SMS認証、破られるリスク」 米政府機関が注意喚起 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(9日) | ロイター
- **ロンドン株式市場**  
  国内志向の中型株を含むFTSE250指数は0.27%上昇。小売業界は英国債利回りの急上昇に伴う警戒感から大幅安。特に、小売大手M&Sはコスト増加や事業環境悪化の見通しで8.4%下落。B&Mは通期利益見通しの下限引き下げで8.5%安、グレッグスは15.8%急落。一方、資源大手アングロ・アメリカンは金属価格の上昇で3.3%上昇。
- **欧州株式市場**  
  資源株とヘルスケア株が上昇し反発。STOXX欧州600資源株指数は1.47%高、ヘルスケア株指数は1.01%高。一方、インフレ懸念と利下げ観測後退により、世界的に債券利回りが上昇。
- **債券市場**  
  英国10年債利回りは4.925%に上昇し2008年以来の高水準。ユーロ圏でも債券利回りは上昇。シティグループは英国債利回り上昇を財政緩和の前倒し実施が原因と指摘。独10年債利回りは一時2.542%、伊10年債利回りは3.726%に上昇。
- **背景と見通し**  
  欧州では、サービス部門のインフレや財政問題が懸念材料。市場は米12月雇用統計に注目しているが、米株式市場はカーター元大統領の国葬で休場だったため取引は薄商い。


備忘録(2025/1/8

海外企業決算

[JEF] ジェフリーズファイナンシャル 2024年11月通期は増収最終増益 売上高50%増70.3億ドル、純利益2.5倍6.69億ドル、配当1.40ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株

海外企業

メルセデス・ベンツ、中期利益目標を下方修正へ=関係筋 | ロイター

ドイツの自動車大手メルセデス・ベンツは需要低迷の長期化や電気自動車(EV)への移行を背景に、乗用車事業の中期的な利益目標を引き下げる見通しだ。事情に詳しい関係者が7日、ロイターに語った。

関係者によると、オラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)ら経営陣は、通期決算発表と資本市場説明会を予定している2月20日までに、2022年に設定した利益目標を引き下げる見通しだ。

最善のシナリオで2桁の利益率を目指すという。22年に設定した目標では、調整後利益率を8─14%にしていた。

ベンツは、新型コロナウイルス禍局面の強い需要に支えられた22年の調整後の利益率が14.6%と目標を上回った。その後は乗用車事業の利益率が低下した。

米エクソン、第4四半期は減益予想 全般的な業績低迷受け | ロイター

アマゾンのAWS、ジョージア州にAIなどで110億ドル投資へ | ロイター

インテルの問題、言われる以上に深刻 - WSJ

読者の皆さんは米インテルがどれほど苦戦しているか承知していると思っているかもしれないが、現実はさらに厳しい。

かつて米国を代表する革新的大企業として栄華を極めたインテルは、収益を確保する上で不可欠な複数の分野で市場シェアを失いつつある。競合相手は数多く、AI(人工知能)業界の巨人エヌビディアだけでなく、より小規模なライバル企業、さらにはマイクロソフトのような、かつて蜜月関係にあった企業とシェア争いを演じている。

不穏な兆候の一つは、長年インテルの後塵(こうじん)を拝してきた米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が、データセンター向け半導体の売上高でインテルを逆転したことだ。両社の最新の四半期決算で明らかになった。2022年にはインテルの同売上高はAMD3倍だったため、驚くべき逆転劇と言える。

AMDなどは、世界最先端・最高性能の汎用(はんよう)チップ(CPU=中央演算処理装置)を製造するというインテルの主力事業に大きく食い込んでいる。

さらに悪いことに、データセンター向け半導体に画像処理半導体(GPU)が占める割合がますます高まっている。インテルはこのようなハイエンド半導体市場でのシェアがごくわずかだ。GPUAIの学習・運用に利用されている。

AMDのマーク・ペーパーマスター最高技術責任者(CTO)によると、同社はチップに投入されるエネルギー単位当たりの性能という極めて重要な指標に焦点を当てることで、サーバーの市場シェアがほぼゼロだった状態から現在の優位な立場に至った。データセンターに必要なエネルギーが一段と増えていくにつれ、この効率性重視の姿勢がAMDにとって重要な優位性となっている。

注目すべきは、インテルがデータセンター向けCPUの市場でなお約75%のシェアを保持していることだ。この数字と、データセンター向けの広範なチップ販売による売上高シェアとの乖離(かいり)は、同社が根本的な問題を抱え、それが運命の反転を引き起こしていることを如実に示している。

この状況は悪化する可能性が高く、しかも急速に進みそうだ。新たなデータセンターの構築に巨額投資を行っている企業の多くが、インテルの独自アーキテクチャー「x86」とは無関係のチップに切り替えており、代わりに英半導体設計大手アームの競合アーキテクチャーと各社独自のカスタムチップ設計の組み合わせを使用している。

インテルの広報担当者によると、同社は製品群の簡素化および強化、製造・ファウンドリー(受託製造)能力の向上、コストの最適化に注力している。同社のミシェル・ジョンストン・ホルトハウス暫定共同最高経営責任者(CEO)は最近、2025年は同社にとって「安定化の年」になるとの見方を示した。同社は昨年12月にパット・ゲルシンガー氏を解任し、現在、正式なリーダーとなる人材を探している。

開発者がインテル製半導体向けのソフトウエアを書くのに費やした数十年間は、インテルの市場シェアが縮小しても同社が巨人であり続けることを意味する。その遺産によってインテルは今後の減収スピードを抑えられるだろう。アナリストらは、インテルの2024年の売上高が約550億ドルと、エヌビディアの約600億ドルをわずかに下回る程度だったと推定している。インテルは今なおデスクトップ・ノートパソコン向けCPUの市場シェアの大部分を握っており、調査会社マーキュリー・リサーチによると、全体で約76%を占める。

AMDは最近、インテルと提携を結び、両社がチップを製造するx86エコシステムの支援・開発で協力する方針を示した。AMDのペーパーマスター氏によれば、同社は、ネットワーキング・組み込みデバイスなどの一部アプリケーション向けにアームのアーキテクチャーに基づくチップも開発する一方で、このエコシステムへの投資を続けている。

インテルが直面する課題の具体例として、世界最大のクラウドコンピューティングプロバイダーである米アマゾン・ドット・コムを見てみよう。アマゾンのデーブ・ブラウン副社長(コンピューティング・ネットワーキングサービス担当)は最近、過去2年間に自社データセンターに設置したCPUの半分超が、アームのアーキテクチャーに基づくアマゾン独自のカスタムチップだったと述べた。

このようにインテル製品を置き換える動きは、クラウドコンピューティングサービスの大手プロバイダーやユーザーの間で広範に繰り返されている。米マイクロソフトと米グーグルもそれぞれのクラウド向けに独自のアームベース・カスタムCPUを構築している。いずれの場合も、カスタムシリコン(自社開発の半導体)によって可能になるカスタマイズ・処理速度・効率性を理由に、企業はこの方向に動いている。

これらの企業は全て、AIワークロード向けに独自のアームベース・カスタムチップも製造しており、インテルはこの分野でほぼ完全に出遅れている。そして、AI業界の巨人エヌビディアがいる。エヌビディアの現行世代AIシステムの多くにはインテル製CPUが搭載されているが、エヌビディアの最先端ハードウエアではアームベースのチップがいっそう中心的な役割を果たすようになっている。

インテルが新種のコンピューティングやチップの新たな応用分野に参入する際に失敗を繰り返したことは、大規模で収益性の高い既存企業が「イノベーターのジレンマ」の犠牲になる典型例と言える。調査会社セミアナリシスの業界アナリスト、ダグ・オラフリン氏はそう指摘する。同社は最近、インテルに関する厳しい内容の報告書を発表した。イノベーターのジレンマとは、最大の収益源を共食いすることを望まない有力企業が、小規模から始まるものの最終的に既存企業が支配する市場を奪取できる競合製品(アームが最初に手がけたモバイルチップのようなもの)を作る新興企業に追い抜かれる可能性がある、という理論だ。

インテルの元CEOであるアンディ・グローブ氏は1988年に出版した著書「パラノイアだけが生き残る 時代の転換点をきみはどう見極め、乗り切るのか」で、企業がどのようにして次に来るものを警戒し、自らを破壊し、新しい技術を追求していくべきかを論じた。これは全ての企業に向けられた警鐘だったが、その後、インテルの現在の苦境を示唆する予言となった。

「この本は文字通り、戦略転換点を見逃さないことの重要性に関するものだが、その後インテルはあらゆる戦略転換点を見逃している」とオラフリン氏は言う。

そしてノートパソコンがある。数十年にわたる試みの末、2024年にようやく、信頼できるアームベースのウィンドウズ・ノートパソコンが誕生した。ウィンドウズをアームベースのチップで稼働できるようにする取り組みが奏功した形だ。マイクロソフトは他の企業に自社ソフトウエアを移植するよう説得し、既存プログラムの大半をこの新たなノートパソコンで実行できるツールを作成した。これらのデバイスのチップは米クアルコムが製造しており、ベンチマーク(処理性能テスト)は、アップルのMシリーズ・モバイルプロセッサーとついに張り合えることを示している。同プロセッサーもまた、アームの技術と、アップルの強力な社内チームによる多数のカスタムチップ設計との組み合わせに基づいている。

インテルの市場シェアと利益のもう一つの砦(とりで)であるPCゲーム市場も、浸食され始めているようだ。米バルブの「Steam Deck(ストリーム・デック)」や中国レノボの「Legion Go(リージョン・ゴー)」のような携帯ゲームシステムは、AMD製プロセッサーを使用しており、非常に要求の厳しいゲームでも実行できる。AMDのカスタムOSを他のメーカーにライセンス供与する計画に組み込まれる将来のデバイスも、アームベースのプロセッサーを使用する可能性がある。

インテルの苦境に内在するのは、長年の資産だった垂直統合構造が現在、同社の収益と革新能力の重荷になっていることだ。チップの設計か製造のどちらかを行う他の企業とは異なり、インテルは両方を行うという一見時代遅れのモデルにこだわっている。

インテルは直近の四半期決算で160億ドルの赤字となった。受託製造業者(つまり、競合企業を含む他社のチップも製造する企業)に変身し、現在世界で最も先端的なチップを生産しているライバルの台湾積体電路製造(TSMC)に追いつくために、多額の投資を行ったことがその理由だ。

アナリストらはインテルが2025年に黒字転換すると予想しているが、同社の大規模な製造への賭けが最終的に実を結ぶかどうかは何年もたたないと分からないだろう。

最近解任されたインテルのゲルシンガーCEOの大きな賭けの一つは、チップ技術でTSMCを追い越そうとしたことだった。インテルが「18A」と呼ぶ技術によって同社のチップと外部向けに製造するチップが再び世界最先端・最速のチップとなることは、理論的には可能だ。同社は2026年までにその称号を取り戻せると述べている。同社は最近、18A技術を使用してアマゾン向けにカスタムチップを製造する契約を締結したと発表した。

オラフリン氏によると、インテルが再び業界をリードする技術を手にしたとしても、同社製品にとって最良のシナリオは、縮小し続ける市場(x86 CPU市場)で支配力を取り戻すことだ。自社製チップ市場と外部企業向けサービスの両方で支配力を取り戻すためのオールイン戦略に賭けていたゲルシンガー氏を解任したということは、インテルの取締役会は、同社があらゆる分野で世界最高の座をつかむと期待し続けることはできないとの考えで一致しているようだ。

以上のような課題と、相反する優先事項により、インテルは今後、設計部門と製造部門の二つに分割される可能性がある。インテルのデービッド・ジンスナー暫定共同CEOは最近、製造部門のスピンオフ(分離・独立)は「議論の余地がある問題」だと述べた。

最悪の場合、事業分割よりもさらに厳しい運命がインテルを待ち受けている可能性もある。

アームのレネ・ハースCEOは最近、インテルは長年にわたり革新的大企業だったとした上で、半導体の製造・設計分野では、十分な速さでイノベーションを進められず、もはや存在していない企業が無数にあると指摘した。

日本企業

米グッドイヤー、欧米などの「ダンロップ」ブランドを住友ゴムに売却 | ロイター

セブンきょう決算、創業家MBO計画の検討状況に集まる関心 - Bloomberg

先進国政治動向

米司法長官候補辞退のゲーツ氏、フロリダ州知事選に出馬検討 | ロイター

アングル:トランプ次期米大統領、グリーンランドの購入は可能か | ロイター

20日に政権に返り咲くトランプ次期米大統領が北大西洋条約機構(NATO)加盟国デンマークの自治領グリーンランドを米領土の一角に取り込みたいとの意欲を改めて表明している。1期目の2019年に初めて購入意向を表明し、デンマーク政府に提案したものの一蹴されていた。グリーンランド自治政府も拒絶した。

トランプ次期大統領は今回、前年末に続き年明け6日にも購入意向を表明。自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」で「信じられないほど素晴らしいところで、わが国の一部になれば(グリーンランドの)人々は多大な恩恵を受けるだろう」と書き込んだ。

7日には長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が個人的な訪問として現地入りし、その後にトランプ次期大統領は「これは実現しなければならないディール(取引)だ」と発言した。

◎トランプ氏は購入できるのか

グリーンランド自治政府のエーエデ首相は最近、独立に向けた動きを強めている。ただ、繰り返し強調するのがグリーンランドは売り物ではないし将来を決めるのは住民の判断に委ねられているという点だ。

同首相は7日、「(グリーンランドの住民ではない)デンマーク人や米国人らには意見を言う権利があるものの、われわれは病的な興奮状態に巻き込まれたり、外部からの圧力に惑わされたりして進路を逸らされるべきではない」と切って捨てた。

グリーンランドはかつてデンマークの植民地だった。1953年に正式な領土の一部となってデンマーク憲法の適用下にある。このため法的地位の変更には憲法改正が欠かせない。2009年には、住民投票を通じてデンマークからの独立を宣言する権利を含む広範な自治権が付与された。

米国政府は以前にも領土欲を示しており、東西冷戦期のトルーマン政権が戦略的資産として1億ドル相当の金塊で購入しようとしたが、当時のデンマーク政府は植民地だったグリーンランドの売却を拒否した。

◎グリーンランドが独立したら何が起きるか

仮にグリーンランドが独立した場合、米国と連携する選択肢もある。

グリーンランド住民の大多数は独立を望んでいるが、完全な独立が現実的だと考える人はほとんどいない。欧州連合(EU)の一員であるデンマークに経済面で依存しているためだ。

選択肢の1つは、太平洋島しょ国のマーシャル諸島やミクロネシア、パラオの地位に似た、いわゆる自由連合盟約(COFA)を米国と結ぶことだ。

デンマーク国際問題研究所の上級研究員でグリーンランド専門家ウルリク・プラム・ガド氏は「グリーンランドではデンマークからの独立が話題に上がっているが、支配者を新しくしたがっている人はいない」と話す。住民福祉が確保されない限り独立の是非を問う住民投票をしても賛成派は勝ちそうにないと見ている。

◎トランプ氏が関心を持つ理由

グリーンランドは米軍にとって戦略的重要性があり、弾道ミサイルの早期警戒システムを設置している。欧州から北米に至る弾道ミサイルの飛行ルートはグリーンランド上空を通過するのが最短になるためだ。

グリーンランド北西部のピツフィク空軍基地には米軍が常駐しているが、米国はグリーンランドでの軍事的な影響力を高める意向を示しており、グリーンランドやアイスランド、英国間の海域を監視するレーダーの設置を検討している。ロシア海軍の艦艇や原子力潜水艦には同海域が重要通航ルートになっているためだ。

ウルリク・プラム上級研究員によると、グリーンランドは地理的に北米大陸の一部であり、米国にとっては他の主要国が足場を築かないようにするのが極めて重要という。

また、グリーンランド主要都市ヌークはデンマークの首都コペンハーゲンよりも米東部ニューヨークに近い。鉱物や石油、天然ガスといった資源も豊富だが、石油と天然ガスの採掘は環境上の理由から禁止されており、鉱業開発は官僚主義と先住民の反対で行き詰まっている。

グリーンランド経済は漁業頼みで、予算の約半分はデンマーク政府の補助金に依存している。

◎デンマーク政府の方針

デンマーク政府は過去にグリーンランドで歴史的に深刻な問題を引き起こしていたことが暴露され対立が先鋭化した。その後に改めて出てきたのがトランプ氏の再度の購入意欲表明だ。

デンマークのフレデリクセン首相は19年、トランプ氏が大統領1期目に購入を言い出した際は「ばかげている」と非難した。

フレデリクセン氏は今週7日にトランプ氏が再度意欲を示した際に感想を求められ「米国と非常に緊密に協力する必要がある」と述べつつ、「グリーンランド住民を国民として尊重するよう、皆にお願いしたい。グリーンランドの未来を決定し、方向付けられるのはグリーンランドだけだ」と付け加えた。

トランプ次期大統領、新たな関税導入へ経済緊急宣言を検討-CNN - Bloomberg

トランプ次期米大統領、グリーンランドとパナマ運河の支配めぐり脅し強める 「カナダ合併」にも言及 - BBCニュース

アメリカのドナルド・トランプ次期大統領は7日の記者会見で、グリーンランドとパナマ運河を獲得するために軍事力や経済力を行使する可能性を否定するかと問われ、「いや、その二つについてはどちらも断言できない」と答えた。

トランプ氏は昨年末、デンマーク自治領のグリーンランドと、中米パナマが得ているパナマ運河の管理権を、アメリカが獲得することを望んでいると発言。以来、その意欲が弱まる気配はない。

この日、フロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴで開いた記者会見では、「私が言えるのは、それらが経済的安全保障のために必要だということだ」と述べた。ただ、こうした発言がどこまで本気なのか、交渉の駆け引きに過ぎないのかは、定かではない。

デンマークもパナマも、領土を放棄する可能性を全面否定している。

「カナダ合併」についても

トランプ次期大統領は、カナダの合併を試みるつもりがあるのか問われると、「経済力」を行使することを誓い、アメリカとカナダの国境は「人為的に引かれた線」だとした。

アメリカとカナダの境界線は、2国間で共有する世界最長のもので、1700年代後半のアメリカ建国にさかのぼる条約で定められた。

次期大統領は、アメリカはカナダを保護するために何十億ドルも費やしているとし、カナダからの自動車や木材、乳製品の輸入について批判した。

「彼らは(アメリカの)州であるべきだ」と、トランプ氏は記者団に語った。

しかし、6日に辞任の意向を表明したカナダのジャスティン・トルドー首相は、カナダとアメリカが合併する可能性は「ないに等しい」としている。

7日の記者会見は当初、アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイの開発業者ダマック・プロパティーズが、アメリカでのデータセンター建設に200億ドルを投資することを発表する、経済開発プロジェクトの発表の場とされていた。

しかし、トランプ次期大統領の発言は、環境をめぐる規制やアメリカの選挙制度、自身に対するさまざまな訴訟、そして今月退任するジョー・バイデン大統領に対する批判にまで及んだ。

さらに、メキシコ湾を「アメリカ湾」に名称変更することを提案。また、風力タービンが「クジラを狂わせている」と述べ、風力発電に反対する姿勢を改めて示した。

グリーンランドは「軍事的取り組みで非常に重要」

こうした中、トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏はグリーンランドを訪問した。

首都ヌークに到着する前、トランプ・ジュニア氏はグリーンランド訪問について、人々と話をするための「個人的な日帰り旅行」で、政府関係者との会談は予定していないと述べていた。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、同国のテレビ局からトランプ・ジュニア氏のグリーンランド訪問について問われると、「グリーンランドはグリーンランドの人々のもの」であり、彼らの将来を決められるのは地元住民だけだと述べた。

フレデリクセン首相はまた、「グリーンランドは売り物ではない」とするグリーンランド自治政府の主張に同意しつつ、デンマークには北大西洋条約機構(NATO)の同盟国であるアメリカとの緊密な協力が必要だと強調した。

グリーンランドはデンマークの自治領であり、大規模なアメリカの宇宙軍基地が存在する。また、アメリカから欧州各国への最短ルートの中にあるため、アメリカにとって戦略的に重要な場所でもある。

また、バッテリーやハイテク機器の製造に欠かせないレアアース(希土類)の埋蔵量は世界有数の規模を誇る。

トランプ氏は、「そこらじゅうにいる」中国やロシアの船舶を追跡する軍事的取り組みにおいて、グリーンランドは極めて重要な場所だと示唆。

「私は自由な世界の保護について話をしている」と記者団に語った。

パナマ運河については

トランプ氏は昨年の大統領選で再選を果たして以来、パナマ運河の管理権奪還など、アメリカの領土拡大という考えを繰り返し発信している。

7日の記者会見では、「我が国にとって不可欠」なパナマ運河が「中国に運営されている」と主張した。

トランプ氏は以前にも、大西洋と太平洋を結ぶパナマ運河を通航する米船舶に対し、パナマが通航料を過剰請求していると非難していた。

パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は、パナマ運河に「中国はまったく干渉していない」と、トランプ氏の主張を否定した。

香港を拠点とするCKハチソン・ホールディングスは、運河の入り口にある二つの港を管理している。

パナマ運河はアメリカが1900年代初頭に建設し、1977年まで運河地帯の管理権を維持していた。その後、ジミー・カーター政権下で交渉された条約に基づいて、管理権が徐々にパナマに移された。

「パナマ運河をパナマに与えたことは、非常に大きな間違いだった」とトランプ氏は述べた。「(カーター氏は)いい人だった。(中略)だが、あれは大きな間違いだった」。

アメリカの領土を拡大することに、とりわけ、約41000万人が暮らす、世界第2位の面積を有するカナダをアメリカに加えるということに、トランプ氏がどれほど本気なのかは不明だ。

トランプ氏はこの日の記者会見で、20211月の米連邦議会議事堂襲撃に、レバノンのイスラム教シーア派ヒズボラが関与していたと示唆するなど、多数の虚偽や奇妙な陰謀論も繰り返した。

マスク氏、欧州政界を揺らす - WSJ

米富豪イーロン・マスク氏は、移民問題や言論の自由などを巡って欧州政治の主流派に爆弾発言を放っている。トランプ次期米政権の有力顧問となる同氏への対応に各国政府は苦慮している。

マスク氏はこのところソーシャルメディアで、欧州政治に関する挑発的な発言を繰り返している。総選挙を控えるドイツの極右政党を支持し、英首相がレイプに加担しているとして非難。また、イタリアの判事を糾弾し、欧州連合(EU)執行機関の欧州委員会を痛烈に批判した。

世界一の富豪による一連の投稿は外交における頭痛の種と化し、欧州の主流政党の一部は守勢に立たされている。ドナルド・トランプ氏の大統領就任式を間近に控え、マスク氏を公然と批判すればトランプ氏との関係が悪化し、マスク氏の攻撃が激化しかねないとの懸念から、多くの欧州首脳は慎重な姿勢を示している。

だが、マスク氏が自身のソーシャルメディア「X」のフォロワー21100万人に向けた一連の投稿は、今やこうした国々でニュースに取り上げられており、無視できなくなっている。経済成長停滞で主流派による政治への信頼が低下し、政治が不安定化する中、支持率が低迷する欧州首脳らはマスク氏がXを使って不満を抱く有権者を動かしかねないと危惧している。

エマニュエル・マクロン仏大統領は6日、大使らを前に「世界有数のソーシャルメディア企業のオーナーが、世界的な新たな反動主義を支持し、ドイツなどの選挙に直接介入すると10年前に聞かされていたら、誰もそんなことが起きるとは想像しなかっただろう」と語った。

マスク氏の手荒な外交姿勢は、トランプ次期米政権に同盟国はどう対応すべきかという課題を浮き彫りにする。各国政府は第1次トランプ政権時、トランプ氏が深夜にソーシャルメディアで発信する予測不能な発言に対処しなければならなかった。これからはマスク氏の発言にも目を配る必要がある。

キア・スターマー英首相は6日、ひっ迫する医療制度に焦点を当てる予定だった記者会見で、マスク氏の投稿への反論に多くの時間を割いた。マスク氏は、スターマー氏が10年以上前に検察局トップを務めていた際の児童性的虐待事件への対応を巡り投稿していた。スターマー氏は「イーロン・マスク氏や他の誰かに限定しない」とした上で、「うそや誤情報を可能な限り拡散している人々」を非難した。

スターマー氏の記者会見に先立ち、マスク氏はXの自身のフィードに「米国は英国民を専制政府から解放すべきだ」というメッセージを固定表示した。スターマー氏はこれについてコメントを控えた。

欧州の政治家や経営者らは米国の政治について頻繁に意見を述べており、トランプ氏を批判することも多いが、米国の有権者に対して影響力を持つことはほぼない。一方、政治ストラテジストは、マスク氏が特定の政党を支援するためにXを強力な道具にし、競争をゆがめかねないことを懸念している。

ドイツの一部ストラテジストや政治家は、マスク氏の個人的見解が2月の総選挙に影響を与える可能性を危惧する。マスク氏は昨年、オラフ・ショルツ独首相を「愚か者」と呼び、最近では極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を表明した。マスク氏は今週、AfD共同党首のアリス・ワイデル氏とXでライブチャットを行う予定。先にドイツの有力紙に寄稿し、同党を「この国最後の希望の光」と持ち上げていた。

AfDは欧州の反移民・反体制の政党の中でも際立って右寄りだ。ドイツの情報機関は、AfDの地方支部の一部を過激派組織に分類している。同党は政策綱領案で、対ロシア制裁の解除、外交・エネルギー政策における米国の影響排除、EU離脱などを求めている。同党の一部指導者は、ホロコースト犠牲者を追悼する自国の慣習を批判している。

AfDのレイフエリク・ホルム議員はマスク氏の支持について、「ドイツで毎日起きているわれわれに対するネガティブキャンペーンへの歓迎すべき対抗策だ」とし、「ゲームチェンジャーになる可能性がある」と述べた。

世論調査で次期独首相の最有力とされる中道右派「キリスト教民主同盟(CDU)」のフリードリヒ・メルツ党首は、国内メディアに対し、マスク氏の介入は「出しゃばりで厚かましい」とし、「西側民主主義国の歴史の中で、友好国の選挙活動にこれほど干渉した例は思いつかない」と述べた。

トランプ前大統領の側近だったスティーブ・バノン氏は2019年、欧州議会選を前に右翼政党のネットワークを構築しようとしたものの、成果は乏しかった。マスク氏は欧州の国内選挙に焦点を当てており、ソーシャルメディア企業であることを武器にしているため、より大きな成果を上げる可能性がある。シンクタンク・欧州外交評議会(ECFR)のホセ・イグナシオ・トーレブランカ上級政策フェローはそう指摘する。「(マスク氏は)自身を、進歩派から米国の民主主義を守る救世主とみなしている」とし、「国内だけでなく欧州でもそれを続けるべきだと考えている」と述べた。

課題はある。世論調査会社ユーガブによると、英国ではマスク氏に対して好意的な見方をしている人はわずか26%で、スターマー氏と同水準だ。Xのデータによると、EU全体の平均アクティブユーザー数は2310月から24年夏までに約500万人減少した。

ドイツでは、マスク氏がAfDを支持すると表明してから初めて実施された世論調査で、同氏がドイツの政治について発言するのは不適切だと答えた回答者は74%に上った。調査を実施したフォルザを率いるマンフレート・ギュルナー氏によると、AfDに対する全体の支持率は昨年12月から変わっていない。

欧州委は6日、Xに対する調査の一環で、マスク氏がAfDと行うライブ配信の調査を検討していると明らかにした。

欧州委のトーマス・レグニエ報道官は6日、記者団に「自由に意見を表明することはできるが、限度がある」と述べた。マスク氏は以前、Xに対するEUの判断について法廷で争う意向を示していた。

マスク氏の影響力をうかがわせる動きはある。同氏が最近激しく批判していた英国のイベット・クーパー内務相は6日、児童性的虐待の申し立ての隠ぺい・報告怠慢を犯罪とする法案を発表した。

マスク氏はまた、シリア難民に対する虚偽の主張を繰り返して法廷侮辱罪で英国に収監されている極右活動家トミー・ロビンソン氏の釈放を繰り返し求めた。右派ポピュリズム(大衆迎合)政党リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首がロビンソン氏の入党を支持しないと発言すると、マスク氏はファラージ氏への批判に転じた。

一方、右派のジョルジャ・メローニ伊首相はマスク氏が敬意を示す数少ない西欧の指導者だ。メローニ氏が22年後半に政権を獲得して以来、2人は数回会っている。移民や出生率低下、「ウォーキズム(社会的不公正に対して高い意識を持つこと)」に関するマスク氏の意見に対し、メローニ氏は他の欧州首脳よりも共感を示している。

メローニ氏は3日付の伊紙コリエーレ・デラ・セラのインタビューで、マスク氏とは意見が異なることもあるとした上で、「昨日までマスク氏を天才とたたえていた人が、彼がバリケードの『間違っている』とされる側(がわ)を選んだだけで怪物扱いするのは笑いぐさだ」と述べた。

カナダ次期首相の座を狙うポピュリスト - WSJ

2022年初め、カナダの政界は「フリーダム・コンボイ」と呼ばれる抗議活動を非難する姿勢でほぼ一致していた。このデモでは、新型コロナウイルスワクチンの接種義務化に反対するトラック運転手らが首都オタワへの輸送ルートを遮断した。だが、野党・保守党のピエール・ポワリエーブル氏の姿勢は政界の大勢とは異なっていた。

ポワリエーブル氏(45)はカナダの主流派政治家とは一線を画し、トラック運転手らを支持した。同氏はロックダウン(都市封鎖)やワクチン、マスク着用義務などを巡る運転手らの反発に乗じ、ジャスティン・トルドー首相は尊大なエリート主義者であり、庶民感覚から乖離(かいり)しているとの主張を展開した。こうした批判は、トルドー氏が6日に辞任の意向を表明するまで続いた。

ポワリエーブル氏は、トルドー氏に対して高まる国民の不満を背景に、2022年後半に保守党の党首の座を獲得し、次の総選挙では首相の座を狙っている。最近の世論調査では、ポワリエーブル氏率いる保守党は支持率でトルドー氏の自由党を29ポイントリードしている。

カナダの法律では総選挙は今年の10月までに実施することになっている。

トルドー氏が首相を退くことになり、ポワリエーブル氏には自身が単なる反トルドー候補ではないことを証明する必要がある。また、これまでカナダでは珍しかったポワリエーブル氏の好戦的な政治スタイルが、他の指導者との対決で有権者の支持を得られることも示さなければならない。

議会でポワリエーブル氏は押しの強さと鋭い弁舌、また、カナダの政治的慣習を意に介さないことで知られている。同氏は500ポンド(約230キロ)のタイヤをひっくり返したり、75ポンドの重りを載せたそりを引きながら坂道をダッシュしたりするといった、激しい筋トレを自慢している。

陽気なトルドー氏とは対照的に、ポワリエーブル氏は気性の荒さを見せることがある。2023年のインタビューでは新聞記者の質問に対し、りんごを頰張りながらつっけんどんに答えた。その様子は支持者の間で話題になったものの、政治評論家の間では中道派の有権者には逆効果になる可能性があるとの指摘もあった。

世論調査会社アンガス・リードによると、回答したカナダ国民の55%がポワリエーブル氏に対して好ましくないとの印象を持っており、好ましいとの見方をしているのは34%だった。それでもトルドー氏よりは印象は良い。12月末時点でトルドー氏を好ましくないとする見方は74%に達し、好ましいとの見方は22%にとどまった。

アンガス・リードのシャチ・カール社長は、「トルドー疲れ」という要因はポワリエーブル氏に対する懸念よりも大きいと述べた。

ポワリエーブル氏はキャリア政治家で、伝統的に保守派の多いアルバータ州で教師夫妻の養子として育てられた。人工妊娠中絶に反対する集会には、保守派の人々と積極的に関わっていた母親と共に参加した。大学では保守派クラブの会長を務め、オタワで保守派政治家の政治スタッフとして最初の仕事に就いた。

ポワリエーブル氏は2004年、選挙で元自由党国防相を破る番狂わせの勝利を収め、カナダ議会議員に初当選した。06年~15年にカナダ首相を務めたスティーブン・ハーパー氏率いる保守党政権では若手議員として積極的に活動した。

ハーパー政権の高官だったガリー・ケラー氏はポワリエーブル氏について、「物事を成し遂げるために必要なことを進んで行った」と述べた。

野党の党首として、ポワリエーブル氏はトルドー氏との違いを際立たせようと巧みに取り組んできた。ポワリエーブル氏の主張の柱となっているのは、トルドー氏の10年にわたる政策がカナダを壊したとの見解だ。公約として、減税や気候変動関連の規制緩和、法執行の強化、カナダのエネルギー産業の促進などを掲げる。

カナダの心理学者から保守系メディアの評論家に転じたジョーダン・ピーターソン氏とのインタビューで、ポワリエーブル氏は世論調査で支持率が上昇している理由として、有権者が「ぞっとするような、ユートピア的なウォーク主義(人種差別などの社会問題に高い意識を持つ姿勢)」を拒絶していることや、コロナ前と比べ家計の財・サービス支出が約20%増加するなど経済状況が悪化していることを挙げた。

生活水準を測るのに適した指標であるとアナリストがみなす1人当たりの国内総生産(GDP)は、カナダでは過去9四半期のうち8四半期で減少した。カナダ経済は10年前と同じ水準にとどまっていることになる。

「人々は『人生の主導権を取り戻し、家族のために素晴らしい未来を築くことができるようになることを重視する人物がようやく現れた』と言っている」とポワリエーブル氏はピーターソン氏に語った。

トルドー氏は6日の記者会見で、ポワリエーブル氏が提案する政策は限定的であり、意気込みに欠けるとの見方を示した。

トルドー氏は「気候変動に対する闘いをやめるのは理にかなっていない。カナダがこれまで一丸となって追求してきた価値観や強さ、多様性から後退するのはこの国にとって正しい道ではない」と述べた。「われわれには野心的、楽観的な未来像が必要だ。だがピエール・ポワリエーブルはそれを提示していない」

世論調査でポワリエーブル氏はトルドー氏を大きく引き離しているものの、元副首相兼財務相のクリスティア・フリーランド氏に対してはわずかにリードしているにすぎない。フリーランド氏の辞任は最終的にトルドー氏に引導を渡す格好になった。フリーランド氏は、今後行われる自由党の党首選でトルドー氏の後継を目指して出馬するとみられている。

次期首相の座を争うとみられているもう1人の候補は、英国とカナダで中央銀行総裁を務めたマーク・カーニー氏で、世論調査ではトルドー氏と同程度の低い支持率にとどまっている。

ポワリエーブル氏は社会問題について穏健な立場を取ってきた。自身の姿勢を「プロチョイス(選択重視)」とし、妊娠中絶を規制しないと公言したことで、一部の社会的保守派の怒りを招いたこともある。同性婚も支持している。同氏が12歳の時に両親は別居し、その後、養父は自身がゲイであることをカミングアウトした。

ポワリエーブル氏は自由市場政策とカナダの大企業に対する否定的な姿勢とを融合させた経済的ポピュリズムで際立っており、世界各地で政権を獲得した多くの右派ポピュリストがたどってきた道と似通っている。同氏は規制緩和を主張しており、自由党政権が二酸化炭素(CO2)排出量削減を目的とした政策でたびたび標的にしてきた石油・ガス産業に対しては、支援する方針を示している。

ポワリエーブル氏は保守党党首に就任して以来、政策オタクの堅物のような一面があるとの従来のイメージを払拭しようと努めてきた。眼鏡をコンタクトレンズに替え、議会の外ではボタンダウンシャツの代わりにTシャツを着用するようになった。

一方で好戦的なスタイルは維持している。トルドー氏の辞任発表後に公開された動画声明では、現政権は同氏の政策を全面的に支持する自由党政治家らによって運営が続いているため、首相が辞任しても何も変わらないと主張。自由党は保身のためにリーダーを切り捨てたとポワリエーブル氏は断じた。

ポワリエーブル氏は自由党について、「自分たちの年金と給与を守ることが大事であり、有権者を欺き同じことを繰り返すために、選挙の前に嫌われ者のリーダーを追い出した」と述べた。「全てが混乱し、いまや政府も混乱している。この状況を続けることはできない」

先進国中銀、金融当局

ウォラーFRB理事、追加利下げを支持-インフレは鈍化継続へ - Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、インフレ率が当局目標の2%に向けて低下を続けると予想。年内の追加利下げを支持する姿勢を示した。 

ウォラー理事は8日、経済協力開発機構(OECD)がパリで開催したイベントで、「常に言っていることだが、追加緩和の程度はインフレ率2%に向けた進展がデータによってどう示されるかに左右される。だがここで私が言いたいのは、さらなる利下げが適切になるだろうということだ」と述べた。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は昨年9月に利下げを開始し、12月まで3会合連続で引き下げた。参加者による最新の四半期予測では、中央値で2025年に2回の追加利下げが見込まれている。ただ当局者の見解には開きがあり、ウォラー氏もそのことに言及した。

ウォラー氏は「私がここで述べたような形で見通しが進展すれば、私は2025年に政策金利を引き下げ続けることを支持する」と発言。「利下げのペースについては、労働市場の軟化を抑えつつ、インフレ面でどの程度進展するかに左右される」と語った。

ウォラー氏は、インフレ率が2%目標に向かって低下を続けると確信する理由を説明。6カ月間の基調的なインフレ基調や11月の物価データが予想よりも良い内容だったこと、さらに、主要なインフレ指標の算出において直接実際に観測された物価ではなく推計された価格が果たした役割などを挙げた。

パウエルFRB議長を含め複数の政策当局者は、追加利下げを急ぐ必要はないとのシグナルを発している。そうした慎重姿勢は、インフレに対する根強い懸念や労働市場が総じて堅調さを維持していることが背景にある。

先物市場では、FOMCが1月2829日の会合で利下げする可能性はほぼゼロと見込まれている。

ウォラー理事は、最近はインフレ面での進展がごくわずかなものにとどまっていることから「政策金利の引き下げペースを減速させる、または利下げを停止するよう求める声が上がっている」としつつ、「だが私は、インフレ率は中期的に2%目標に向かって進展を続け、さらなる利下げが適切になると考えている」と語った。

関税の影響

ウォラー氏はまた、トランプ次期米大統領が公言している関税政策が物価に上昇圧力をかける可能性についても言及。

「関税がインフレに顕著な、または持続的な影響を与えることはないと私はみており、その予想通りであれば、適切な金融政策に関する私の見解に影響する可能性は低いだろう」と述べた。

FOMC参加者、インフレリスク高まり指摘 次期政権の政策踏まえ=議事要旨 | ロイター

米連邦準備理事会(FRB)が8日公表した2024年12月17─18日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、当局者はインフレが今年も引き続き減速する公算が大きいとの見解で一致した。

同時に、トランプ次期米政権が実施する可能性のある政策の影響で、物価上昇圧力が高止まりするリスクが増したという認識を示した。

議事要旨では「インフレ率は引き続き2%に向けて低下すると予想しているものの、足元の予想を上回る物価状況のほか、貿易や移民政策の変更の可能性を踏まえると、従来予想よりも鈍化への過程が長引く可能性があることを参加者は指摘した」と指摘。「インフレ鈍化が一時的に停滞している、あるいは停滞するリスクがあるとの意見も出た」とした。

一部が主張するインフレ鈍化の停滞を踏まえ、利下げしないことの「利点」を指摘する参加者もあり、24年12月の0.25%の利下げ決定は「微妙なバランス」だったと議事要旨は言及した。

先行き不透明感のほか、24年に政策金利が1%ポイント引き下げられていることを考慮し、「委員会が金融緩和を減速させるのに適切な時点にある、あるいは近付いていると参加者は指摘した」という。委員会がさらなる引き下げを検討するにあたり「慎重なアプローチを取ることができる」と参加者の多くが指摘した。

議事要旨の発表後、金利先物市場では、FRBが今後数回の会合で政策金利を現行の4.25─4.50%に据え置くとの見方が続き、最初の利下げは早くても25年5月とし、25年に2度目の利下げが行われる可能性も50%程度にとどまっている。

FRB当局者は、不法移民の国外追放や国境の強化、輸入品への関税引き上げを掲げる次期米政権が今後どのような政策を打ち出すかを見極めることの「難しさを強調」すると同時に、成長率の鈍化と失業率の上昇につながる可能性があると言及した。

議事要旨では、1月20日のトランプ氏の大統領就任後の政策に関する当局者の評価に関して「最近のデータや政策変更を巡る予備的な仮定に基づくと、実質国内総生産(GDP)の伸び率は従来のベースライン予測よりもやや低くなり、失業率は少し高くなると予測された」と記した。

政策立案者らは、トランプ氏の掲げる政策が成長や雇用、インフレに及ぼす影響を判断するには時間がかかるとも指摘している。トランプ氏は関税の引き上げや移民規制強化のほか、規制緩和や減税も表明している。

先進国経済指標

独小売売上高指数、11月前月比-0.6% 年末商戦の効果なし | ロイター

ドイツにリセッション懸念 11月鉱工業受注と小売売上が予想外の減少 | ロイター

ドイツの11月の鉱工業受注と小売売上高はいずれも予想外の減少となり、リセッション懸念が再び台頭した。

連邦統計庁が8日発表した11月の鉱工業受注指数(季節・日数調整済み)は前月比5.4%減少した。大型受注の減少が響いた。

ロイターがまとめた予想は横ばいだった。

INGのマクロ部門グローバルヘッド、カーステン・ブルゼスキ氏は、弱い受注と依然高い在庫は今後数カ月の鉱工業生産によってよくない兆候だとし「ドイツの新規受注と小売売上高統計は、冬の軽度のリセッションというわれわれの見方を確認した」と述べた。

列車や船舶、航空機といった大規模輸送機器部門は10月のような受注がなく11月は58.4%減だった。

大口受注を除いた鉱工業受注は前月比0.2%増だった。

国内受注は3.8%増加したが、海外受注の10.8%減をカバーできなかった。海外のうちユーロ圏からの受注は3.8%減、それ以外は14.8%減だった。

コメルツ銀行のエコノミスト、ビンセント・スタマー氏は、独製造業の回復は依然「視野に入っていない」と述べた。

9─11月の受注は前の3カ月を1.7%上回った。

11月の小売売上高指数は前月比0.6%低下した。ブラックフライデーやサイバーマンデーといったクリスマス前の販促効果が期待されたが予想外に減少した。

ロイターがまとめたアナリストの予想は0.5%増加だった。

INGのブルゼスキ氏は「クリスマス商戦がポジティブサプライズをもたらさない限り、(12月の)個人消費は減少する見込みだ。政治と政策の不透明感がインフレ再燃と重なり、消費の大幅な回復は見込めない」と述べた。

連邦統計庁の予測によると、24年の小売売上高は前半が低調だったものの前年比実質1.3%増加の見込み。パンデミック前の19年の水準を推定2.6%上回った。

米12月ADP民間雇用、12.2万人増 伸び鈍化し予想下回る | ロイター

米ADPリサーチ・インスティテュートが8日発表した2024年12月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は12万2000人増だった。伸びは11月の14万6000人増から鈍化し、エコノミスト予想の14万人増を下回った。

10日に発表される12月の米雇用統計が注目されている。ロイター調査によると、非農業部門雇用者数は13万5000人増、失業率は4.2%と予想されている。

米新規失業保険申請は1万件減の20.1万件、予想外に減少 | ロイター

米労働省が8日発表した1月4日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比1万件減の20万1000件となった。予想外に減少し、年初は労働市場が安定していることを示唆した。

エコノミスト予想は21万8000件だった。

9日は、先月29日に100歳で亡くなったジミー・カーター元大統領の国葬で連邦政府機関が休業となるため、1日早い公表となった。

12月28日までの1週間の継続受給件数は3万3000件増の186万7000件だった。

金融市場、先進国トピックス

英国の電力源、24年は風力が初の首位 30%でガス上回る | ロイター

英国家エネルギー・システム・オペレーター(NESO)は7日、2024年に風力が初めてガス火力発電を抜いて国内最大の電力源になったと発表した。

同国には約15ギガワット(GW)近い洋上風力発電設備があるが、電力部門を大幅に脱炭素化する計画の一環で30年までに4倍の60GWに増やすことを目指している。

NESOは「風力は24年に初めて最大の電源となり、全体の30%を占めた」と報告した。

データによると、ガス発電が総電源ミックスに占めた割合は26.3%、輸入は14.1%、原子力は14%だった。昨年最後の発電所を閉鎖した石炭は0.6%だった。

昨年はクリーン電力に関する記録がいくつか更新され、12月18日には風力発電容量が最大2万2523GWに達し、国内電力の68.3%を風力が占めた。

フランスの信用格付け、年内引き下げ確率は30─40%=JPモルガン | ロイター

米金融大手JPモルガンは7日、フランス政府が信用できる中期的な財政再建計画を打ち出せなければ、同国の信用格付けもしくは格付け見通しが今年内に引き上げられる確率が30─40%になるとの見方を示した。

フランスのマクロン政権は昨年、首相が相次いで交代するなど政局が混迷した上、財政は悪化が続き、信用格付けや格付け見通しの引き下げに見舞われた。

フランスの信用格付けは現在、過去最低の「AAマイナス」、ムーディーズでは「Aa3」となっている。フィッチは同国の格付け見通しを「ネガティブ」としている。

フランスの政界では歳出削減は難題となっている。昨年12月にはバルニエ首相率いる内閣が打ち出した財政再建案に左派と極右の野党が猛反発したため、内閣は総辞職に追い込まれた。

欧州中央銀行(ECB)が昨年6月以降、政策金利を4回引き下げたにもかかわらず、フランス国債の利回りは現在、約6カ月ぶりの高水準となる3.3%近辺で推移している。

アングル:半導体株切り返し、復活の序章か TSMC決算に集まる熱視線 | ロイター

米長期金利5%に備える債券市場、トランプ氏の就任間近-6%予想も - Bloomberg

米国債市場の低迷に見舞われている債券トレーダーらは、トランプ次期米大統領の就任が近づく中で、さらに同じ状況が続くと覚悟している。米国の10年国債利回りが、202310月以来となる5%に跳ね上がる可能性をオプション取引は暗示する。

トランプ次期政権の政策で米国のインフレが加速し、財政赤字が拡大するという観測から米10年国債利回りは過去1カ月で約0.5ポイント上昇し、4.7%近くに達した。社債発行ラッシュに加え、今週は1190億ドル(約188000億円)規模の米国債入札も予定され、今後数週間のうちにさらに国債発行が見込まれることも、利回りの押し上げ圧力を増大させた。

ブラックロックの米州チーフ投資ポートフォリオストラテジスト、ガルギ・チャウドゥーリー氏は「財政政策は少し確実な情報が必要だが、新政権が発足すれば、もっと詳しく分かるだろう。米国債の発行増という未知の要素が市場に作用し、買い手を遠ざける見通しだ」と言及した。

7日に発表された昨年11月の米求人件数と米供給管理協会(ISM)の非製造業総合景況指数(12月)はいずれも強い数字となり、市場が想定する米追加利下げの時期を下期以降に先送りする結果となった。

INGグループのグローバル債券・金利戦略責任者パドレイク・ガービー氏は、米10年国債利回りが年末までに5.5%前後に到達すると予測。ティー・ロウ・プライスのアリフ・フセイン氏も6%は可能性の範囲と指摘する。

最近の米国債利回りの上昇は、先物市場のショートポジションの積み上がりを伴っているようだ。ジェネリック10年米国債に連動する「ウルトラ10年米国債先物」の建玉(未決済約定)は、過去5営業日でいずれも増えた。売り建玉の増加は、弱気方向の新たな投資ポジションをおおむね反映する。

利回りの着実な上昇にもかかわらず、新年の取引開始に伴い一部の投資家は確かに好機を見いだしているようだ。JPモルガン・チェースの顧客調査によると、1月6日までの1週間で、ショートポジションが増える一方、ロングポジションも過去1年余りで最も積み上がった。

失業中の米ホワイトカラー労働者、再就職に苦戦 - WSJ

米国経済はこの1年間で雇用を200万人以上増やした。だが、失業者の多くが再就職に苦戦している。

仕事がなく職探しをしている失業状態の米国人は昨年11月時点で700万人を超えた。米労働省によると、6カ月以上求職活動を続けている人数はそのうち160万人超で、2022年末と比べ50%以上多い。

労働省によると、求職者が仕事を見つけるまでにかかる期間は足元で平均約6カ月と、新型コロナウイルス流行の収束に伴い2023年初めに訪れた採用ブーム時と比べ1カ月ほど長い。苦戦が特に目立つのは給与が高いホワイトカラー職で、テクノロジー、法律、メディアといった分野が含まれる。これらの業界では企業はコロナ後の経済活動再開で事業を急拡大したものの、現在は新規雇用の必要性が低下している。

米労働市場は数字の上では健全に映るとはいえ、見た目よりも実態は弱い。足元の失業率は4.2%と、コロナ前の10年間の平均を大きく下回っているものの、失業者1人に対する求人件数は1件程度であり、2022年初めの2件から減少している。採用が活発なのは一部の業種だけだ。10日に発表される12月の米雇用統計では、労働市場の健全性について新たな状況が示されることになる。

「人生が完全に止まっている」。新たな就職先で3カ月間働いた後、昨年5月に解雇されたオリビア・パラクさん(32)はそう語る。シカゴ在住のパラクさんは、約10年間テクノロジー企業や経営コンサルティング会社で採用業務に携わってきた。パートタイムの請負業務を見つけたものの、過去8カ月間の大半はフルタイムの仕事探しを続けている。労働省の統計によると、勤務時間を減らされたため、あるいはフルタイムの職が見つからないためといった理由でパートタイムで働かざるを得ないパラクさんのような米国の労働者は400万人を超える。

医療や接客業など、対面のサービス分野では依然として求人は多い。一方、オフィスでの仕事に関しては状況は厳しい。経営者が合理化を目指しているためで、労働者を人工知能(AI)に置き換えるケースもある。

ジョージア州アトランタ在住のジョシュ・マクラーティさん(42)はロボット関連の新興企業で試験担当マネジャーを務めていたが、4月に解雇された。その後約500件の求人に応募し、6社で面接を受けたが、内定は1件も得られなかった。

友人や家族のアドバイスを受け、マクラーティさんはスーパーマーケットのパブリックスでの仕事など、賃金が低い時間給の職にも応募したが、そこでも採用されなかった。マクラーティさんは、時間給の労働者を求めている雇用主は自分の履歴書を見て、長く働くつもりはないと判断するのではないかと心配している。また、安くても給与をもらうことになればフードスタンプ(低所得者向けの公的な食料費補助)やメディケイド(低所得者向け公的医療保険)の受給資格を失うことになり、かといって住宅ローンを返済できるほどの額にはならない。

「どうしようもないような八方ふさがりの状況に陥っている」とマクラーティさんは述べた。

求職者の間では、長期にわたり失業保険給付に頼る人が増えている。労働省が先週発表したデータによると、失業手当を継続的に申請している人は12月下旬時点で180万人に上り、コロナ後の高水準に近づいた。

賃金の伸び率は前年比4%に鈍化しており、採用が活発だった2020年代初めの約6%から低下している。これは、雇用主が労働者を引き付けるためにそれほど必死になる必要がなくなったことを示している。

テキサス州オースティンに住むビジュアルデザイナーのウィル・ウィギンス3世さん(36)は、2019年に教育関連の非営利団体での職を失って以来、断続的にフリーランスとして働いてきた。だが、昨年4月以降は全く仕事がない状態だ。現在は週約40時間を求職活動に充て、フルタイムの職への応募件数は数百件に達した。幼い娘を片腕に抱えながら応募書類を作成することもある。

「午前1時に応募書類を提出し、午前3時に却下の通知を受け取ることもある」とウィギンスさんは語る。「私の書類を人間が見たということはありえない」

これまでのところ、労働市場の軟化は主に採用の減少によるものであり、解雇が広がっているわけではない。ただ、企業がいったん人員削減を決めれば解雇は急速に連鎖する傾向があり、失業率が急上昇する可能性もあるとシティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は指摘する。

クラーク氏は「雇用の弱さを悲観的に見るなら、企業は人件費を削減しようとしていると解釈できる。そうだとすれば、いずれ解雇という段階に至らないはずがない」と語る。

全米産業審議会(コンファレンスボード)が消費者を対象に昨年12月に実施した調査では、「仕事は豊富にある」と回答した割合は37%で、2022年半ばの57%から低下した。給与が減ることに不安を抱く世帯は支出を抑える傾向があり、米国の経済成長を支えてきた堅調な個人消費を圧迫する恐れがある。

労働市場の軟化と賃金上昇率の低下を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年9月以降、インフレ率が目標値まで低下していないにもかかわらず、政策金利を合計で1ポイント引き下げた。

求人サイトのインディードのエコノミスト、コーリー・スターレ氏によると、ソフトウエア開発、データサイエンス、マーケティングの職種の求人掲載件数は昨年後半にいずれもコロナ前水準を少なくとも20%下回った。政府の統計では、情報産業における採用率はコロナ流行直前と比べ30%低く、金融業では28%低いことが示された。

一方、鉱業、製造業、運輸業などの分野では雇用は堅調さを維持している。医療関係と公務員の2分野だけで、過去12カ月間の全体的な雇用増加の半分以上を占めた。

職を得るために業界を変えざるを得ない人が増えている。求人サイトを運営するジップリクルーターのエコノミスト、ジュリア・ポラック氏は過去6カ月間のデータとして同社の調査を引用し、そうした傾向を指摘した。新たな職に採用された労働者の半数以上は業種を変更したと回答したという。この割合は通常は40%程度であり、大幅に上昇したことになる。

最高のトランプトレード成功させたアックマン氏、投資額の13倍増狙う - Bloomberg

量子コンピューティング株急落、「実用化は20年先」とエヌビディアCEO | ロイター

米債券価格急落で市場に動揺、次期政権始動控えドル上昇 | ロイター

トランプ次期米大統領の政策を巡る不透明感が増す中、米国債市場で売り注文が膨らみ、価格が急落している。外国為替市場ではドルが上昇し、金融市場に動揺が広がっている。

8日には米10年債の利回りは4.7%を超えて、2024年4月以来の高水準となった。英10年債利回りも08年以来の高水準に達した。対ドルで英ポンドは1%以上下落しているほか、ユーロ はドルと等価の為替水準へと近づいている。

24年には主要中央銀行のインフレとの闘いは勝利宣言が近いとみられていたが、足元の複数の指標では物価上昇圧力が再び高まっていることが示されている。

トランプ氏が掲げる関税引き上げや減税、規制緩和の政策は、インフレを押し上げ、財政圧迫につながる恐れがある。そうなれば、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ余地が狭まる可能性がある。

ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、ケネス・ブルー氏は「次期米政権下での国債発行や政策の急増を踏まえれば、25年の出だしは容易なものにはならない」と指摘し、米10年債利回りは5%になると予想しているとコメントした。トランプ氏の大統領選勝利で上昇していた米S&P総合500種なども軟調に転じている。

金融政策を巡る短期的な変動の影響を受けにくい長期債は、25年の大量の新規発行もあり、各国で利回りが数年来の高水準を付けている。

米30年債利回りはこの1カ月で60ベーシスポイント(bp)上昇し、5%に迫っている。英30年債利回りは5.4%程度と1998年以来の高水準を付け、英政府の債務負担増大への懸念が強まっている。

中東情勢

エマージング

中国、リチウム埋蔵量で世界第2位に=新華社 | ロイター

中国が通貨防衛強化、元相場管理の手綱緩めず-資本流出を警戒 - Bloomberg

中国が自国通貨の防衛を強化している。無秩序な資本流出が人民元建て資産のパニック売りにつながり、低迷が続く景気の回復を妨げることを当局は懸念している。

中国人民銀行(中央銀行)は8日、人民元の中心レートを1ドル=7.1887元に設定。アナリスト予想より元高水準で、元高方向での予想との開きは昨年4月以来の大きさとなった。人民元の対ドルでの許容変動幅は、毎営業日発表される中心レートから上下それぞれ2%。

トレーダーによると、中国の国有銀行は香港で人民元融資を縮小し続けており、投資家が人民元ショート(売り持ち)を構築するコストを上昇させている。

こうした動きは、米中の国債利回り格差拡大や第2次トランプ政権の関税政策、国内経済の低迷といった圧力にもかかわらず、中国が引き続き人民元相場を強く管理していく考えであることを示唆している。  

ただ、そうした戦略にはコストが伴い、人民元が許容変動幅の下限に近づくにつれ、取引の混乱や流動性の低下が起こる可能性がある。

また、中国が相場下支えを続けていることで、人民元は貿易相手国・地域の通貨から成る通貨バスケットに対し約2年ぶりの高値水準を付けた。これは、中国の輸出企業に打撃を与え得る。

マラヤン・バンキング(メイバンク)のシニアストラテジスト、フィオナ・リム氏(シンガポール在勤)は、「明らかに現時点で中国当局は一方向での投機が雪だるま式に膨れ上がることを望んでいない」と指摘。

その上で、トランプ政権による「関税の脅威が現実のものとなり、経済成長を損ねる恐れがある場合、人民銀が元相場管理の手綱をもう少し緩めるとしても驚かない」と語った。

中国デフレスパイラル、債券市場で高まる懸念-日本化回避の岐路に - Bloomberg

11兆ドル(約1740兆円)規模を誇る中国国債市場の投資家は、世界2位の経済大国に対し、かつてないほど悲観的になっている。1990年代に日本が経験したデフレスパイラルに中国も陥ると見込む向きも出ている。

中国当局が打ち出した一連の景気刺激策にもかかわらず、10年債利回りは低下し、この数週間で過去最低水準を付けた。米国債利回りとは300ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)もの開きが生じている。

中国債利回りは、2008年の世界金融危機や新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)時の水準を大きく下回る。数十年続く恐れもある経済の停滞を止められないのではないかという懸念の強まりが浮き彫りとなっている。

債券市場の織り込みが正しいとすれば、その影響は極めて大きい。デフレが長期化すれば、世界最大の経済成長エンジンの一つである中国経済の足かせとなり、世界2位の人口を擁する中国の社会的安定にも新たなひずみが生じ、金融市場からの資本流出も加速する可能性がある。

中国の証券大手10社はいずれも日本の失われた数十年に関するリサーチを発表しており、投資家が日本化リスクをどれほど深刻に受け止めているかを示している。野村総合研究所のチーフエコノミストで、日中両国の比較で知られるリチャード・クー氏は、中国の企業やシンクタンクから見解を聞きたいとアプローチを受けていると明かす。ゴールドマン・サックス・グループは今週、ここ10年近くで最悪の年明けに動揺している中国の株式投資家にとって、日本のケースは「貴重な指南書」になると指摘した。

中国がバブル崩壊後の日本と同じような状況に陥るかは分からないが、類似点は無視できない。日中両国は不動産市場の崩壊や民間投資の低迷、消費の伸び悩み、巨額の債務、急速な高齢化に苦しんできた。中国政府による国内経済の管理強化を楽観的な理由として挙げる投資家でさえ、当局の力強い対応が遅れていることを懸念している。日本から得られる明確な教訓の一つは、当局が投資家や消費者、企業の悲観的な見方を払拭(ふっしょく)するのに時間がかかればかかるほど、成長を取り戻すことがますます難しくなるという点だ。

アバディーンの投資ディレクター、シンヤオ・ヌン氏は「これは悪循環であり、是正しなければ悪化の一途をたどるだろう」と分析。「日本の教訓には、心理的な側面もある。つまり、こうした状況が長引けば長引くほど企業や消費者のマインドも低下する」と話す。

リチャード・クー氏は「債券市場はすでに『バランスシート不況に陥っている』と中国の人々に示している」と語る。バランスシート不況とは、日本が長らく苦しんできたデフレを説明する方法としてクー氏が広めたもので、多くの企業や家計が債務を減らす一方、貯蓄を増やすことで、経済活動が落ち込む状況を指す。

中国当局は対策を講じていないわけではない。昨年9月下旬から打ち出した広範な景気刺激策が国内経済を下支えし、習近平国家主席は5%前後に設定した24年の国内総生産(GDP)成長率目標の達成に自信を示した。今年は財政支出を強化する方針で、内需拡大を最優先課題としている。

問題は、これまでの政策対応に物価下落を反転させるほどの積極性がなかった点だ。低調な消費マインドや不動産危機、不透明なビジネス環境が影響し、物価は伸び悩んでいる。9日発表される昨年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は引き続きゼロに近く、生産者物価指数(PPI)の下落も続くと見込まれている。経済全体の物価を示す最も幅広い指標であるGDPデフレーターは、今世紀最長のマイナス局面にある。

大きな違いも

だが、誰もがバランスシートに関する警告を受け入れているわけではない。現在の中国と90年代後半の日本との間には大きな違いもあり、特に中国では平均所得が低く、その分成長の余地が大きいと指摘する声もある。

アクサ・インベストメント・マネージャーズのエコノミスト、ワン・インルイ氏は、家計と企業の支出減少は「部分的なバランスシート不況」に過ぎないことを示唆しているとの見方を示す。

ブルームバーグ・エコノミクスの曲天石エコノミストは、景気刺激策の積み重ねと住宅市場の底入れの可能性により、中国経済は26年に持ち直す可能性があると分析。電気自動車(EV)を含む新産業の役割が大きくなる一方、不動産セクターによる経済の足かせは和らぐかもしれないと述べた。

日本からの教訓

どのような見方があるにせよ、日本の1990年から2010年までの失われた20年は中国資産への投資家に厳しい警告となっている。

日経平均株価は同期間でその価値の70%余りを失い、企業や銀行の痛手はさらに大きくなった。長期にわたる異次元金融緩和やコーポレートガバナンス(企業統治)を巡るパラダイムシフト、待望のインフレ転換を経てようやく昨年、日経平均は史上最高値を更新した。

日本の10年債利回りは90年に8%を超えていたが、その後は長期にわたって低下。2010年代半ばにはゼロを割り込んだ。超低利回りはデフレの特徴であり、内需を活性化させるために中央銀行が低金利を維持すると投資家は見込んだ。

中国市場も同じ方向に進みつつある。13年に5%弱だった10年債利回りは6日には1.6%を割り込んだ。本土株のCSI300指数は21年2月に付けた高値から30%余り低い水準で取引されている。

トランプ次期米大統領の就任後、インフレ圧力が強まるとの見方から利回りが上昇している米国債市場などとは極めて対照的だ。

しかし、日本化が実際に起きれば、投資家にもチャンスが生まれるだろう。中国の海通証券は昨年公表した複数のリポートで、日本の失われた数十年の勝者を分析。高配当株や成長余地のあるテクノロジー企業、多様な収益源を持つ輸出銘柄などの投資機会を指摘した。

新興国への投資歴が長いマーク・モビアス氏のように、中国には日本の二の舞を避ける手段があると考える向きもある。「政府は経済を強く管理できるため、マイナス要因の多くを軽減する、あるいは排除することを目的とした金融面の措置を講じる能力がある」とモビアス氏は話す。

だが、中国にとって時間的余裕は少なくなっており、当局は日本の苦境から早急に学ぶ必要があるとアナリストらは指摘する。経済全体のアニマルスピリットを復活させ、人々の消費意欲を高めるよう促すアドバイスはよく目にするが、マインドの危機が続いていることを考えると、それも容易ではない。

マネックスグループのエキスパートディレクターで、数十年にわたり日本を調査してきたイェスパー・コール氏は日本経済が好転し始めたのは、当局がインフラや企業に資金を投入するのではなく、「国民の懐にようやく直接お金を回すようになってから」だと分析。「政治家がその教訓を学ぶまで、基本的に20年かかった。中国の指導者らがこの教訓を学び、人々の購買力を高める知恵を持っていると願っている」と語った。

習主席、GDP統計に疑問唱えたエコノミストを処分 - WSJ

昨年12月に米首都ワシントンで開かれたフォーラムで、中国の著名エコノミスト、高善文氏が中国政府の経済運営に疑問を呈し、中国の経済成長率は当局が豪語する約5%の半分未満だった可能性があると述べた。

中国の習近平国家主席は、これを知ると激怒した。

高氏は中国国有のSDIC証券のチーフエコノミストで、政府の経済・金融政策について頻繁に助言してきた。事情に詳しい複数の関係者によると、習氏は高氏の調査を命じ、その後、高氏を処分するよう当局に指示した。

関係者によれば、ピーターソン国際経済研究所と中国のシンクタンクが昨年1212日に共同主催したフォーラムで高氏が行った二つの発言が習氏の怒りを買った。

一つは、中国の経済成長統計の信頼性に疑問を呈するものだった。高氏はフォーラムで「われわれは中国の成長率がいったいどれくらいなのか本当の数値を把握していない」と述べた。このフォーラムの動画はピーターソン国際経済研究所のウェブサイトとユーチューブで視聴できる。

「過去23年の成長率は、公式統計では5%近くとなっているが、実際には平均で2%程度ではないかと私は推測している」と高氏は述べた。

習氏はさらに、高氏が中国政府について、成長促進に必要な措置を講じられるのか疑問を呈したことを知り、激怒した。

高氏はフォーラムで「彼らの経済刺激への取り組みは非常に日和見的なものになるだろう」とし、「結局のところ、彼らが約束したことを自信を持って実行できるとは思わない」と述べた。

関係者によると、習氏の命令により、高氏は公の場での発言を禁じられた。期間は未定で、現時点では職を失わずに済んでいるという。

高氏の批判に対する習氏の反応は、習政権下で積み重なってきた経済問題に対して中国政府がいかに敏感になっているかを物語っている。

政府は中国が長期的な景気後退に陥るという懸念を払拭しようとしている。中国経済は、家計資産18兆ドル(約2850兆円)を吹き飛ばした不動産不況、国内総生産(GDP)比300%に迫る債務の積み上がり、デフレスパイラルのリスクをはらむ深刻な過剰生産能力によって足を引っ張られている。

当局はここ数カ月、経済状況に関するネガティブな発言を一掃しようとしてきた。

こうした取り組みは高氏の処分後に加速した。

中国証券監督管理委員会(CSRC)の監督下にある業界監視機関、中国証券業協会(SAC)は昨年12月下旬、証券会社や資産運用会社に対し、政府の政策解釈および投資家の信頼向上において自社のエコノミストやアナリストに「前向きな役割」を果たさせるよう求めた。違反者は解雇される可能性があるという。

週末の会議で、習氏の補佐役である蔡奇氏は全国の宣伝部門の責任者に「経済宣伝と期待管理を強化する」よう促した。これは経済に関するネガティブな論評を封じ込める呼びかけだ。

CSRCは、証券業協会の指令は主に、プロ意識に欠け無責任な発言をするチーフエコノミストを対象としていると述べた。高氏や習氏の関与など、その他の質問に対しては「残りは事実ではない」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。

SDIC証券は質問に回答しなかった。

高氏が窮地に陥っていることを示す最初の兆候は先月、中国の南開大学が主催予定だった111日のイベント(高氏がゲストスピーカーを務める予定だった)が中止されたことだった。イベントを宣伝するウェブサイトと、参加者に送られたメッセージ(WSJが確認済み)によると、このイベントは「ゲストの高善文氏の個人的な日程の都合」で中止されたという。

高氏がワシントンで行った発言は、中国内外の多くのエコノミストやアナリストが水面下で共有していたものだ。

高氏など率直な発言をするエコノミストへの処罰は、ますます不透明になる中国市場の真の状態を評価しようとする投資家にとって打撃となっている。

中国の公式GDP統計は、国内の政策立案者たちの中でさえも長年疑問視されてきた。故・李克強首相は、GDP統計に頼るのではなく、電力消費量、鉄道輸送量、銀行融資という指標を用いて経済の健全性を測ることを好んでいた。

中国の統計の信頼性に対する疑念は、ここ数年で高まっている。当局が特定のデータへのアクセスを制限し、他のデータ(中国株に対する外国人投資家の関心度など)の公表を停止したためだ。政府は2023年後半、注目度の高かった若年層失業率の公表も一時中断した。その後、公表を再開したが、大学生を調査対象から除外した。

バークレイズのエコノミストは昨年10月に顧客向けリポートで、中国の7-9月期の主要経済活動データが突然改善したことと、賃金の伸び、輸出、購買担当者指数(PMI)などの弱い経済指標との間に不一致があることに気付いたと指摘した。ノムラのエコノミストも矛盾を指摘し、不動産・金融セクターの代替的な情報源からのデータが公式データと一致していないように見えると述べた。

公式統計によると、中国の経済成長率は2023年に5.2%となり、24年は5%程度となったもようだ。5%程度の成長率は、習氏が20年に示した野心的な計画にとって重要だ。この計画では、中国の富を拡大し、35年までに経済規模を2倍にすることを目指している。このような目標を達成するには、15年間で年平均5%近くの成長が必要だと、政策立案に関与する当局者らは試算している。

高氏はフォーラムで「私の推測が正しければ、今後35年の成長率は34%の間を予想するのがより妥当だと思う」とした上で、「しかし、公式の数字が常に5%前後になることは分かっている」と語った。

ピーターソン国際経済研究所は声明で、中国の専門家との率直な意見交換を重視しており、「事実に基づいた分析的な専門家による公共政策の議論は、相互理解とより良い公共政策を育むために不可欠」であると確信していると述べ、中国の学者が「そのような基盤に基づいて関与できる限り」協力を続けるとした。

中国マネー、香港の投資ファンドに殺到 高金利の米国債など人気 | ロイター

中国から債券向けを中心とする香港の海外投資ファンドに資金が動く傾向が顕著になっている。香港で登録され、中国本土の投資家に販売が認められている複数の投資ファンドは、2025年初めの募集開始から24時間で完売したことが、ファンドの運用書で明らかになった。

中国当局が今月、海外取引ルートを拡大し、より高い利回りを得る手段が開かれたことが背景にある。

「ファンド相互承認(MRF)」の制度下で中国本土での販売が許可されている香港ファンドの制限が緩和されたことを受け、ファンドの募集が年明けから再開された。ファンド総資産の上限は、従来の50%から80%に引き上げられた。

中国国内では債券利回りが低水準で推移し、人民元も安値を付けている。中国の10年債利回りは1年で100ベーシスポイント(bp)以上低下して1.6%を下回り、米国債との利回りの差は24年ぶりの大きさとなっている。中国の株式市場も低迷しており、海外投資への需要が顕在化した形だ。

JPモルガンが運用する2つの債券ファンドは今週、上限に近付いたことから中国本土の投資家による購入を停止した。また、新規購入受付を再開した初日に購入枠が売り切れたファンドもある。

公式データによると、24年11月末までにMRFを利用した香港のファンドは合計41。販売総額は415億元(56億6000万ドル)に達し、23年末と比べて138%増えている。

中国にとって海外証券投資の重要なルートである適格国内機関投資家(QDII)制度に基づく投資枠が少ないことを踏まえ、MRFが「放出弁」となっているとの指摘もある。

プロファイ、インフラ、自然災害

米ロサンゼルス近郊で山火事拡大、3万人避難 加州が非常事態宣言 | ロイター

米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊の高級住宅地で7日、山火事が発生、3万人が避難を余儀なくされている。新たに2カ所で火災が発生し負傷者も出ている。

当局は乾燥した強風により火災が発生する危険性を警告していた。サンタモニカとマリブに挟まれたパシフィックパリセーズ地区の少なくとも2921エーカー(1182ヘクタール)が焼失。

消防当局によると数人が顔や手にやけどを負うなど負傷。女性の消防隊員1人が頭を負傷した。

2カ所目はパサデナから約50キロで発生、火の回りが早く数時間で2倍の162ヘクタールに拡大した。CBSニュースによると、パサデナの高齢者施設から入居者約100人が避難した。

さらに、ロサンゼルス北西サンフェルナンドバレーのシルマーで3カ所目の火災を確認し、周辺住民が一部避難している。

<州が非常事態宣言>

山火事は数時間で急速に拡大。当局は夜間に最も強い風が予想されると警告しており、避難地域が拡大する可能性が懸念されている。

消防隊員が空から海水をまいて消火活動を行っているほか、テレビの映像では緊急車両が道路を通行できるよう放置された車をブルドーザーで撤去する様子が確認できる。

海岸へ通じる主要道路は1本しかなく、交通渋滞が発生し、住民らは徒歩で避難している。

カリフォルニア州のニューサム知事は、非常事態宣言を出した。

火災をもたらした強風はバイデン大統領の移動計画に影響を及ぼし、大統領専用機をロサンゼルスに着陸させた。バイデン氏はカリフォルニア州で2つの新しいナショナル・モニュメントを指定する式典のため、内陸のコーチェラ・バレーへ短時間のフライトを予定していたが、式典はホワイトハウスで後日行うことになった。

バイデン氏は「恐ろしいパシフィックパリセーズ火災を鎮圧するために必要な連邦援助を提供している」と声明で述べた。

パシフィックパリセーズはハリウッドスターらの自宅がある高級住宅地。俳優のジェームズ・ウッズさんは避難できたとXに投稿したが、自宅が残っているかどうか分からないと述べた。

ロサンゼルス、高級住宅街襲った山火事が拡大-サンタモニカ脅かす - Bloomberg

その他

世界最強パスポートはシンガポール、日本は2位 25年版ランキング - CNN.co.jp

市況(ChatGPTによる要約版)

NY市場サマリー(8日)利回りとドル上昇、株ほぼ横ばい | ロイター

1. **為替市場**  

   - ドルが上昇。トランプ次期米大統領が関税導入の法的根拠として国家経済緊急事態の宣言を検討しているとの報道を受け、米10年債利回りが急上昇。

   - ポンド/ドルは0.87%下落、一時1.2321ドルと昨年4月以来の安値。

   - ドル/円は0.25%上昇し158.41円に。

2. **債券市場**  

   - 10年債利回りが4.693%に上昇、一時4.73%と昨年4月以来の高水準。

   - 2年債と10年債の利回り格差が拡大(40.2bp → 一時42.9bp)。

   - 30年債利回りも上昇(4.933% → 一時4.968%)。

3. **株式市場**  

   - 全体的に横ばい。S&P500種のうち8セクターが上昇。

   - 大型株はマイクロソフトが上昇、アルファベットとメタは下落。

   - 量子コンピューター関連株が38%以上急落。エヌビディアCEOが「実用化は約20年先」との見通しを示したことが影響。

4. **金先物**  

   - 米利下げ期待を背景に上昇。清算値は1オンス2672.40ドル(0.26%高)。

5. **原油先物**  

   - 需給引き締まり期待で買い先行も、ドル高と在庫増加が重しとなり反落。WTI2月物は1バレル73.32ドル(1.25%安)。

欧州市場サマリー(8日) | ロイター

### **ロンドン株式市場**

中型株中心のFTSE250種指数は1.96%下落し、約8カ月ぶりの安値。インフレと政策金利高止まり観測で英国債利回りが急上昇。

- FTSE100種指数は0.07%上昇。英ポンドは対ドルで約1%下落。

30年債利回りは1998年以来、10年債利回りは2008年以来の高水準に。

石油大手シェルは第4四半期の業績予測下方修正を受け1.4%下落。

防衛関連株は1.21%上昇。トランプ次期米大統領がNATO加盟国に国防費増加を求めた影響で、ラインメタルが5.2%高。

### **欧州株式市場**

欧州主要株価指数は反落。米欧の利下げが少ないとの観測で国債利回りが上昇。

フランスCAC40指数は0.49%下落、STOXX欧州600小売株指数は1.77%安。

一方、ヘルスケア株指数は0.76%上昇。デンマーク製薬大手ノボノルディスクがUBSの投資判断引き上げで2.8%上昇。

ユーロ圏12月消費者物価指数は前年比2.4%上昇しインフレ加速。

### **ユーロ圏債券市場**

ドイツ10年債利回りは5カ月ぶりの高水準(2.53%)に一時到達。その後2.51%で推移。

ドイツ2年債利回りは2.20%、わずかに下落。

- ECBによる1月末の利下げ観測は継続。ただし2025年までの利下げ幅見通しは縮小。

イタリア10年債利回りは3.67%、独伊10年債利回り格差は112bpに縮小。イタリアがグリーン国債発行予定。

 

 

備忘録(2025/1/7

海外企業決算

海外企業

日本企業

日本製鉄の訴訟提起、クレジットにはネガティブ=ムーディーズ | ロイター

格付け会社ムーディーズは7日、日本製鉄が米USスチール(X.N), opens new tabの買収計画に関連し訴訟を起こしたことは、日鉄のクレジットに対してネガティブとの見解を示した。

日鉄は6日、USスチールの買収に不当介入があったとして、米大統領の買収禁止命令や対米外国投資委員会(CFIUS)の審査の無効を求める訴訟など複数の訴訟をUSスチールと共に提起したと発表した 

ムーディーズのVPシニア・アナリスト、ローマン・ショア氏は、訴訟提起により「買収を巡る不確実性が高まり、(日鉄の)クレジットにとってはマイナス」との認識を示した。買収が頓挫すれば、国内市場での需要減を補うための海外成長戦略の実行が遅れることになるとした。

ただ、訴訟に敗訴し買収が実現しなかったとしても、日鉄には違約金支払いなどの影響を相殺できる「財務上の柔軟性」があるとも指摘。海外ではインドなどの成長市場でも投資を拡大させる余地があり、「USスチール買収失敗による下振れリスクの緩和にもなる」としている。

買収が成立しない場合、日鉄はUSスチールに5億6500万ドル(約890億円)の違約金を支払う義務が発生する可能性がある

対米投資に懸念の声、日本企業から相次ぐ 日鉄の買収阻止で | ロイター

USスチールCEO「早期に完了と確信」、日鉄の買収巡り=報道 | ロイター

九州電力・関西電力・北海道電力がトランジションボンド 原発資金調達、24年は計1350億円 - 日本経済新聞

先進国政治動向

カーニー氏、カナダ自由党党首選への出馬検討-トルドー氏辞意表明で - Bloomberg

トランプ氏、ウクライナのNATO加盟に反対するロシアに理解 | ロイター

トランプ次期米大統領は7日、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟すべきではないとするロシアの立場に理解を示し、大統領就任前にロシアのプーチン大統領と会えないことを残念に思うと述べた。

トランプ氏はフロリダ州パームビーチにある自宅で記者会見し、バイデン大統領がウクライナのNATO加盟に関し米国を変節させたと非難した。「ロシアは、プーチン大統領が就任するずっと前から『NATOがウクライナに関与するはずがない』と言っていた。それは石に刻まれたように変わらない立場だ。しかしある時バイデン大統領が『いや、彼らはNATOに加盟できる』と述べた。ロシアはすぐ近くに脅威を感じることになる。それに対する彼らの気持ちは理解できる」と述べた。

トランプ氏の側近らは、少なくとも近い将来においては、ウクライナのNATO加盟をロシアに対する不必要な挑発とみなし、概ね反対している。

トランプ氏は選挙活動中、大統領就任前にウクライナ紛争を解決できると発言していた。すぐに解決するとの方針は維持しているが、その発言はほぼ撤回している。

半年以内に戦争を解決できるかとの質問に対し、トランプ氏は「6カ月は欲しい。いや、6カ月よりずっと早く達成したいと思う」と述べた。」

同氏はまた、1月20日に就任するまでプーチン氏と会談できないことに不満を漏らした。詳細には触れなかったが、そのような会談は不適切だと述べた。

トランプ氏「米デフォルト見たくない」、債務上限の延長望む | ロイター

トランプ次期米大統領は7日、米国の債務上限問題を巡り、債務不履行(デフォルト)は「見たくない」とし、議会が上限を延長することを望むという認識を示した。

また、自身が掲げる一連の政策を包括的な1本の法案としてまとめて議会可決を目指す考えを巡り、共和党内で1本化もしくは法案を分割するかで見解が分かれていることについては、「2法案とすればより迅速に議会を通過できる可能性はある」という考えを示した。

トランプ氏、軍事・経済措置排除せず グリーンランド獲得などで | ロイター

トランプ次期米大統領は7日、米国がパナマ運河の管理権を取り戻し、デンマークの自治領グリーンランドを獲得するために軍事行動や経済措置を取る可能性を排除しなかった。

パナマ運河やグリーランドを巡り、軍事力や経済的威圧を用いないと確約できるか記者会見で問われ、「いずれも保証できない」と返答。「経済安全保障のために必要だとは言える」と応じた。グリーンランド購入にデンマークが抵抗すれば、関税を課す可能性も示唆した。

「51番目の州」になるべきと発言しているカナダについては、「合併」への関心を改めて表明し、両国の国境は「人為的に引かれた線」だと主張。米国によるカナダ製品への支出や軍事支援は米国に恩恵をもたらさないと批判した。

デンマークのフレデリクセン首相はトランプ氏の発言について「緊密な同盟国、パートナーであるのに、経済的手段で互いに争うのは良い道ではない」と述べた。

カナダのジョリー外相は「トランプ次期大統領の発言は、カナダがなぜ強い国なのかという点の理解が完全に欠けていることを示すものだ。カナダの経済は強く、国民は強い。脅しには決して屈しない」とXに投稿した。

トランプ氏はメキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変更するという考えも示した。

北大西洋条約機構(NATO)については、各加盟国が国内総生産(GDP)の5%を国防費に充てるべきとし、現行の目標である2%から大幅な増額を求める姿勢を示した。

NATOによると、米国も含め、現在GDPの5%を国防費に充てている加盟国はない。ポーランドがGDP比4.12%で最も高く、エストニアが3.43%、米国が3.38%と続いている。

トランプ氏は中東情勢を巡っても、自身の就任までにイスラム組織ハマスがイスラエルの人質を解放しなければ「深刻な結果」がもたらされると改めて警告した。

トランプ氏、データセンター建設に200億ドル UAE実業家が出資 | ロイター

トランプ次期米大統領は7日、全米各地でのデータセンター建設に向け200億ドルの新たな投資を行う意向を明らかにした。アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの高級不動産開発会社ダマック・プロパティーズのフセイン・サジワニ会長が出資するという。

トランプ氏は、フロリダ州ウエストパームビーチの私邸マールアラーゴで開いた記者会見でサジワニ氏について「中東のみならず、世界で最も尊敬されるビジネスリーダーの一人」と紹介した。

大手ハイテク企業はここ1年間、膨大な計算能力を必要とする対話型人工知能(AI)の稼働に不可欠なデータセンターの建設を巡り競争を繰り広げている。

米マイクロソフトも3日、AIモデルのトレーニングや運用などに対応するデータセンターの建設に、2025年度に約800億ドルを投じる計画を明らかにしたばかり。

トランプ氏、軍事・経済面の圧力行使否定せず パナマ運河など巡り - WSJ

ドナルド・トランプ次期米大統領は7日、グリーンランドやパナマ運河の支配権を獲得するために軍事的および経済的圧力を行使することについて、その可能性を否定しなかった。世界各地で米国の影響力を拡大する意向をさらに強めた格好となる。

トランプ氏は自身の要求を通すために米国が軍事力と経済力を利用しないと保証できるか会見で質問され、「今の時点では約束できない。何かしなければならないかもしれない」と述べた。

同氏は選挙で勝利して以降、パナマからパナマ運河を、またデンマークからグリーンランドの支配権を獲得する構想を繰り返し提起。また辞意を表明したカナダのジャスティン・トルドー首相を挑発するような形で、同国は米国の51番目の州になるべきだと述べている。

トランプ氏は7日の会見で、グリーンランドの支配権の獲得要求にデンマーク当局が協力しない場合、「非常に高い水準」の関税をデンマークに課すことも辞さない姿勢を示した。

またデンマークがグリーンランドを支配する法的権利に関しても疑問を呈し、「デンマークに法的権利があるかどうか、実際のところ誰も知らない。しかし仮に権利があるとしても、われわれの国家安全保障に必要であるため手放すべきだ」と述べた。

先進国中銀、金融当局

先進国経済指標

ユーロ圏CPI、12月速報前年比+2.4%に加速 サービス高止まり | ロイター

欧州連合(EU)統計局が7日発表した12月のユーロ圏消費者物価指数(EU基準=HICP)速報値は、前年比2.4%上昇し、前月の2.2%から加速した。

エネルギー価格の上昇とサービスコストの高止まりが要因で、ロイター調査によるエコノミスト予想と一致した。前月比は0.4%上昇した。

基調インフレ率は依然として粘着的水準で、今後数カ月間の欧州中央銀行(ECB)による制約的政策解除に慎重姿勢を求める声が出る可能性がある。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年比2.7%上昇。最大項目のサービス価格は3.9%から4.0%に加速した。

11月の失業率は6.3%と過去最低水準を維持した。

スイスCPI、12月は前年比+0.6%に鈍化 追加利下げ観測強まる | ロイター

仏EU基準CPI、12月は前年比+1.8% 予想下回る | ロイター

ユーロ圏、消費者インフレ期待が上昇 今後1年2.6%=ECB調査 | ロイター

米12月ISM非製造業総合指数54.1に上昇、投入価格2年ぶり高水準 | ロイター

米供給管理協会(ISM)が7日発表した12月の非製造業総合指数は

54.1に上昇した。11月は52.1だった。ロイター調査のエコノミスト予想53.3も上回った。

需要の増加に伴い、投入コストが上昇。投入価格指数は11月の58.2から64.4に急上昇し、2023年2月以来約2年ぶりの高水準となった。

これはインフレの上昇を示しており、米連邦準備理事会(FRB)による今年の利下げ幅予想縮小と一致している。

新規受注指数は11月の53.7から12月は54.2に上昇した。企業活動指数は11月の53.7から58.2に大きく上昇した。

雇用指数は51.4とほぼ変わらずだった。

ただ、企業からの報告では関税に対する懸念が高まっていることが示された。

複数の宿泊施設や飲食サービス業者は、新政権による関税導入を見越して供給の多様化の準備を進めていると述べた。建設業界は「関税を恐れ、供給業者は1年以上価格を維持することに消極的になっている」とした。

米11月貿易赤字、782億ドルに拡大 関税案にらみ輸入前倒し | ロイター

米求人件数、11月は予想上回る増加 採用減は労働市場の減速示唆 | ロイター

金融市場、先進国トピックス

NY中心部で米国初「渋滞税」開始、公共交通機関向け資金調達 | ロイター

日本企業トップが賃上げ定着に意欲、大企業は昨年並み5% | ロイター

年明けの米社債発行活発、金利上昇見越し資金調達急ぐ | ロイター

6日の米社債発行市場は活況だった。例年、年明けの数日は資金調達が活発化するが、今年は10日の米雇用統計を受けた国債利回り上昇を見越し、その前に起債しようとする動きが広がった。

投資適格債市場では22社が発行。年初から累計34社となった。

銀行のシンジケートデスクは、今週の発行総額は約650億ドル、今月は2000億ドルに上ると予想する。

ウェリントン・マネジメントの債券ポートフォリオ・マネジャー、コナー・フィッツジェラルド氏は「スプレッドが歴史的な水準に近づいており、市場はリスクフリーレートの大幅な低下という希望を表向きには諦めているため、今が企業にとって資金調達の好機であるように見える。異例なものも含まれる次期政権の政策が具体化し始める今年、市場が直面することになる不確実性を考慮すれば、なおさらだ」と述べた。

米国債に対する上乗せ(スプレッド)の小ささも起債を促した。ICE BofAコーポレート・インデックスによると、スプレッドは3日時点で83ベーシスポイント(bp)と、最もタイト化した昨年11月30日から数bp拡大したに過ぎない。

6日は外国企業が米国で起債するヤンキー債市場も活況で、BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、現代キャピタル・アメリカ、トヨタ自動車などの大型案件が市場に出た。トラクター・メーカーのジョン・ディア、重機メーカーのキャタピラーも金融部門を通じて起債した。

3日は自動車メーカーのフォード・モーターとゼネラル・モーターズが起債した。

インフォーマ・グローバル・マーケッツのデータによると、24年の投資適格債の発行額は1兆5200億ドル。23年の1兆2100億ドルを26%上回り、過去2番目の規模となった。

英30年債利回りが上昇、1998年以来の高水準に-国債供給相次ぐ - Bloomberg

ホリデーシーズンの米オンライン販売、過去最高の2410億ドル-アドビ - Bloomberg

2025年の投資先どうするか - WSJ

新年の始まりはいつも投資家にとって課題となる。戦略とポートフォリオを見直す機会だからだ。

2025年は特に難しい年となる。ドナルド・トランプ氏が120日にホワイトハウスに復帰することで、投資家は多くの政策変更を予想している。その中には、移民規制の強化、企業規制の緩和、2017年の減税措置の延長、関税の引き上げなどがある。

さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを続けると予想される。株式のバリュエーションは、特にテクノロジーや通信サービスなど成長の早いセクターで割高に見える。

つまり、投資家が注視すべき点は多い。金融の専門家10人に市場と経済の見通し、投資家への提言を聞いた。

1.マグニフィセント・セブンを超えて  

ゴールドマン・サックスの米国株チーフストラテジストのデービッド・コスティン氏は、2025年は市場の上昇銘柄が増えると予想している。これまで数年間は、グーグルの親会社アルファベット、アマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラという超大型株「マグニフィセント・セブン」が市場を支配していた。  

マグニフィセント・セブンの24年のパフォーマンスはS&P500種指数の他の銘柄を34ポイント上回ったが、コスティン氏は25年にはその差が7ポイントに縮小すると予想している。マグニフィセント・セブンと他の銘柄との利益成長率の差は「劇的に縮小している」という。 

それでも投資家はマグニフィセント・セブン株に資金を配分すべきだが、他の銘柄、特に中型株(時価総額が50億~200億ドル)にも注目すべきだとコスティン氏は述べる。中型株企業は負債の約25%が変動金利であるため、さらなる利下げの恩恵を受けるはずだという。

コスティン氏はまた、人工知能(AI)関連銘柄が初期のインフラ構築段階――半導体企業、データセンター不動産投資信託(REIT)、セキュリティーソフトウエア企業などが恩恵を受けた――から、「AIの広範な採用によって収益が向上する企業」の段階に進化していると指摘する。  

その段階にある企業には、アップル、アドビ、セールスフォース、サービスナウ、スノーフレイクなどが含まれるという。これらは、AIが定着するにつれて恩恵を受けるとゴールドマン・サックスが予想する30銘柄に含まれている。

2.大型成長株にこだわる  

米ファンド運用会社アルジャーのエグゼクティブバイスプレジデント兼ポートフォリオマネジャーのアンカー・クロフォード氏は、引き続きAI関連の大型成長株を全面的に信じている。これらの企業のイノベーションと甚大な影響力は、トランプ政権による政策変更などの要因によって妨げられることはないと主張する。  

AIのパラダイムを推進する最も革新的な企業へのエクスポージャーが必要だ。これは本当に社会にとって世代を超えた変化だ」とクロフォード氏は言う。  

これらの株が高すぎるという懸念についてはどうか?  

同氏はその見方には同調せず、AI関連株へのエクスポージャーは「今後5年間でアウトパフォームするために不可欠になる」と話す。  

同氏は、例えばメタ・プラットフォームズの予想株価収益率(PER)が最近、S&P500種指数のそれを約10%上回っていたことを指摘し、同社の強力な成長見通しを考えると妥当なバリュエーションだと言う。これは過去5年間の平均プレミアムである7%をわずかに上回るだけだ。

3.米株市場の大幅上昇は期待しない  

米資産運用会社ヌビーンの最高投資責任者(CIO)で株式・債券部門責任者のサイラ・マリク氏は、S&P500種指数が2年連続で20%以上上昇したため、株式リターンについてより慎重だ。25年末のS&P500種指数の目標水準は6400で、2412月下旬の水準から約9%上昇するとみている。

「減税や規制緩和などについて多くの前向きな見方があるが、投資家が自問すべきは、これらがどの程度すでに織り込まれているかということだ」

それでもマリク氏は株式と債券に幾つかの投資機会があるとみている。

前者の一つは不動産セクターで、比較的弱かった昨年より良くなると同氏は考えている。個人投資家がこのセクターにエクスポージャーを得る一般的な方法は、多くの収入を生み出すREITを通じてだ。

小型株もマリク氏にとって理にかなっている。大型株と比較して割安な上、第2次トランプ政権下での減税延長と規制緩和による追い風が期待されるためだ。

債券に関しては、マリク氏は比較的質の高いハイイールド債、住宅ローン担保証券(MBS)、シニアローンなどの証券を選好している。金利が高止まりする可能性が高いことを考えると、ますます魅力的に見えるという。これらの債券の利率は一般的な金利水準に基づいて定期的に見直される。 

4.大型株には慎重に  

JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジストのデービッド・ケリー氏は、特に大型株の割高なバリュエーションに投資家は警戒すべきだと述べる。

S&P500種指数全体に一定のリスクがあり、それは特に大型成長株に集中している。問題は、多くの投資家がまさにそのセクターにオーバーウエートになっていることだ」

仮に2019年初めにS&P500種指数に60%、ブルームバーグ米国総合債券指数に40%を投資し、それ以来リバランスしていない投資家がいたとすると、最近のその資産構成は株式79%、債券21%になっていたとケリー氏は言う。

つまり、多くの投資家は大型成長株にオーバーウエートになっているだけでなく、債券にアンダーウエートになっている。債券はポートフォリオのボラティリティーを抑えるのに役立つ。一部の投資家は自分がどれだけのリスクを取っているかを認識していない可能性があり、リバランスを検討すべきだという。

5.波乱に備える

調査会社ウルフ・リサーチのチーフ投資ストラテジストのクリス・セニエク氏は、2025年は政策の不確実性が大きいとみている。「市場はトランプノミクスについて非常に楽観的な見方をしているが、もう少し波乱の多い道のりになるだろう」

そのためセニエク氏は、今年の初めにマグニフィセント・セブン銘柄や通信サービス、その他の大型テクノロジー株のポジションを取ることを推奨している。こうした銘柄は強力で安定した利益成長により、ほとんどの嵐を乗り越えられるからだ。

AIへの支出やその他の要因により、テックのファンダメンタルズ(基礎的諸条件)はすでに非常に強い。ファンダメンタルズを強く保つために政策的な後押しは必要ない」  

セニエク氏は25年の株式市場が三つの段階を経ると予想している。

最初の段階は昨年11月の大統領選挙の直後に始まり、新トランプ政権の「前向きな政策変更への期待感」から株価が上昇した。

次の段階は25年序盤に始まり、「関税・減税・規制緩和などの具体的な政策についてより詳細な情報が明らかになる」実施段階だ。

最後に、市場はこれらの政策を消化しなければならず、これが年内の第3段階につながる。

投資家にとって最善なのは、実績のある銘柄を維持し、トランプ次期大統領の政策とそれが他のセクターや産業に与える影響がより明確になる最後の段階まで待つことだ、とセニエク氏は考えている。

6.バリュー株に注目  

長年バリュー株を重視してきたアリエル・インベストメンツの創業者でポートフォリオマネジャーのジョン・ロジャーズ氏は、バリュー株が過去20年間ほとんど注目されてこなかったにもかかわらず、強い確信を持って2025年を迎えている。

「大型成長株は小型バリュー株と比較して法外に高くなっている」と言う。「だから私のテーマは、より小型の企業を買い、小型株の中でもバリュー株を買うことだ」

ラッセル1000グロース指数は24年に35%のリターンを記録し、同バリュー指数のリターン(14%)の2倍以上だった。

ロジャーズ氏はまた、新政権による規制緩和が一部の企業にとってチャンスになると予想している。「取締役会や多くの人々が規制環境のために取引を遅らせたり、取りやめたり、取引に関与しなかったりしてきた。最大の変化は規制の緩和だ」

これらのテーマが同氏の予想通りに進展すれば、ラザードやプライベートエクイティ(PE)投資会社カーライル・グループなど時価総額の小さい金融企業に恩恵をもたらすはずだという。「プライベートエクイティはこの環境で本当に良い成績を上げるだろう。話題に上がっている取引の数を見れば分かる」

7.株式より債券

ピムコの債券担当シニアポートフォリオマネジャーのマイク・クジル氏は、25年は債券が株式と比較して魅力的になると考えている。

FRBが予想通り今年さらに利下げすれば、債券保有者は価格上昇の恩恵を受ける。しかし金利が上昇したとしても、利回りが十分に高いため、多少の価格下落なら相殺してプラスのリターンを得られる余地があるとクジル氏は言う。

同氏がオーバーウエートにしている債券には、クレジットカードや自動車ローンなどの資産担保証券(ABS)、政府系機関の住宅ローン担保証券(エージェンシーMBS)、トリプルA格の商業用不動産担保証券、トリプルA格のローン担保証券(CLO)などがある。

8.さらなるボラティリティーに備える  

BMOウェルスマネジメントのユンユ・マCIOは、今年はトランプ次期政権が通商政策を展開する中で株式市場の一層のボラティリティーに備えるべきだと言う。  

マ氏は「人々が現在想像している以上に混乱を招くだろう」と述べる一方、通商問題で米国経済が脱線することはないと予想している。「われわれは全体的に米国株への投資を維持することに前向きだが、同時に投資家は調整に備えるべきだと考えている」  

同氏は、24年に好調だった巨大テクノロジー株だけでなく、若干の小型株も含めた幅広い米国株のポートフォリオを推奨している。「経済的・技術的恩恵が他の企業にも広がっていくとわれわれは予想している」

9.インフレに注意  

ストラテガス証券のジェイソン・デセナ・トレナート会長兼CEOは、規制緩和などのトランプ政権の政策から市場は恩恵を受けるとしつつも、賃上げを求める声の蓄積、巨額の財政赤字支出、脱グローバル化の中でインフレが加速する可能性を警戒する。また不法移民の大規模な強制送還が物価を押し上げる可能性も懸念している。  

同時にトレナート氏は投資機会も見いだしている。例えば満期が最長5年の投資適格社債だ。短期債券は、さらなる減税による政府債務の増加などの影響を受けにくいという。  

株式に関しては市場のバリュエーションが高く、「それを支える利益成長がなければ持続不可能」であるため、3年連続で20%以上のリターンを期待することはできないと話す。  

「強気相場は続くと思うが、上昇のペースは鈍化するだろう」。トレナート氏は新政権への参画について協議したことがあるという。  

投資家が検討すべきテーマには、AI関連証券、データセンターなどのAIインフラ、AI関連事業に電力を供給する企業などがある。

「平均的なCEOは、AIに投資し過ぎるより、十分な投資をしないことで解雇される可能性の方が高い。そのような投資をするなら、大量の電力が必要だ」

10.金利の不確実性  

BofAグローバル・リサーチのシニア米国エコノミストのアディチャ・バベ氏は、金利が過去の経済サイクルで正常と考えられていた水準よりも高止まりする可能性があると話す。  

そのようなシナリオの一つは、FRBがインフレ率を長期目標の2%に戻せない場合だ。「高金利環境は長続きする可能性が高く、投資家はそれを考慮に入れる必要がある」  

要するに、高金利と減税の組み合わせにより、政府の財政赤字と長期債の利回りが押し上げられる可能性がある。  

とはいえ、新政権は規制と税制の面で企業に友好的になるとバベ氏は予想しており、これは投資家全般にとって好ましい環境だとしている。

新車販売が物語る米自動車市場の現状 - WSJ

自動車業界は2024年、米国での自動車販売台数の小幅増加を何とか達成できた。ここ数カ月で新車の在庫状況が改善したほか、販促キャンペーンが相次いだことが寄与した。

調査会社ウォーズ・インテリジェンスが3日公表した推計によると、米国のディーラーが24年に販売した自動車は1590万台と、前年比2.2%増加した。好調な年末商戦が最終的な販売台数を押し上げ、12月の販売台数は6%増となった。

フォード・モーターやゼネラル・モーターズ(GM)など複数の自動車メーカーは3日、24年終盤の数カ月に米国での販売が好調だったと報告した。フォードとGMはいずれも24年第4四半期(10-12月期)の販売が、ストライキで打撃を受けた前年から回復した。

GMの第4四半期の販売は、「シボレー・サバーバン」など大型のスポーツ用多目的車(SUV)に対する旺盛な需要に支えられ、21%増加した。フォードはピックアップトラック「Fシリーズ」がけん引し、同期の販売が9%増となった。

販売台数で世界首位の自動車メーカーであるトヨタ自動車によると、同社の米国での販売台数は12月に7%減少したものの、通年では4%増加した。現代自動車は第4四半期の販売が10%増となった。両社とも、電気自動車(EV)やハイブリッド車の好調が寄与した。

何年にもわたり米自動車市場を悩ませてきた在庫不足は、24年に緩和された。選択肢が広がる中で、米国の消費者はより手頃な価格の車種やリースに注目するようになった。リース販売台数は急増し、米国の新車販売全体の4分の1近くを占めるまでになった。

アナリストは25年について、販売は小幅に増えるものの、潜在的な懸念材料もあるとみている。新車は依然として高価だ。とりわけ自動車ローンの金利が高く、月々の返済額は平均で750ドル(約118000円)を超えている。

EVへの移行は、多くの業界幹部が予想していたペースでは進んでいない。加えてドナルド・トランプ次期米大統領が提案する、カナダやメキシコからの輸入品への高い関税が業界を混乱させ、最も安価な類いの新車をはるかに高額にする恐れがある。

25年に向け、米自動車業界に関する重要な点を以下にまとめた。

販売店の在庫増加

販売店で購入可能な車の数は、新型コロナウイルス流行時の低水準から回復し続けている。当時はサプライチェーン(供給網)の混乱で米国内の販売店で在庫数が減少し、21年終盤には約100万台となっていた。だがウォーズ・インテリジェンスによれば、先月時点で在庫数は約270万台にまで回復した。

自動車メーカーは生産の回復に伴い、販売を持続させるため、キャッシュバックや低金利ローンといった販売促進策を増やしている。JDパワーのデータによると、購入者が受け取ったインセンティブは、先月には平均で3400ドルと、前年同月比で25%増となった。

ローン返済額は依然高水準

新車価格の上昇は落ち着いたものの、月々の返済額はそうではない。その主因は高金利にある。車購入サイト「エドマンズ」によると、新車ローンの月々の支払額の平均は、11月時点で753ドルと、前年同月の738ドルを上回っている。

米連邦準備制度理事会(FRB)が24年終盤に短期金利の引き下げに動いたものの、これまでのところ自動車購入者に大幅な負担軽減をもたらしていない。エドマンズのデータによれば、新車ローンの金利は7%前後、中古車ローンの金利は11%前後で推移している。

ハイブリッド車の見通しは良好

米自動車市場でのEVのシェアは拡大し続けているが、調査会社コックス・オートモーティブによると、24年に最も大きな伸びを示したのは従来型のハイブリッド車だった。

トヨタの「カムリ」、ホンダの「シビック」といった人気のガソリン車のハイブリッド版は、ガソリンエンジンの燃費向上を目的に小型電池を搭載している。このような車は、プラグイン式での充電や電気のみでの走行をすることがないため、消費者は運転方法を変える必要がない。

ハイブリッド車分野のけん引役となっているトヨタは、同社の米国内での昨年のハイブリッド車とEVの販売台数が50%以上増加し、全販売台数の43%を占めたと発表した。

北米トヨタのゼネラルマネジャー、デービッド・クリスト氏によれば、SUVRAV4」のような人気車種のハイブリッド版は、ガソリンエンジン版よりも平均約2000ドル高いにもかかわらず、ガソリン車よりも売れ行きが良いという。

クリスト氏は3日のインタビューで「人々はハイブリッド車には(ガソリン車よりも)高い代金を払う価値があると考えている」と語った。

勝者と敗者:マツダとホンダが好調、ジープ・ラム・テスラは後退

コックスの暫定データによると、マツダとホンダは24年に米国市場でシェアを伸ばした。

マツダの販売台数は、ディーラー網の刷新と従来よりも高価格帯のSUVで高所得層を狙うといった長年の戦略が功を奏し、16%増加した。

電動トラックを手掛けるリビアン・オートモーティブが発表した第4四半期の販売台数は14183台で、ファクトセットがまとめたアナリスト予想の13000台を上回った。これを受け、リビアンの株価は3日に24%上昇した。同社の通年での販売台数は51579台と、ほぼウォール街の予想と一致した。

「ジープ」「ラム」といったブランドを擁するステランティスは、24年の米国市場では販売台数が15%減と不振だった。米国のディーラーからはこの1年を通して、ジープのSUVとラムのピックアップトラックの価格が高く販売が冷え込んだとの不満が出ていた。ステランティスの米国市場での不振は、カルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)の先月の退任につながった。

テキサス州に本社を置く米EV市場のリーダー、テスラは、10年以上伸びてきた同社の世界販売台数が24年に減少に転じたと発表した。イーロン・マスク氏率いるテスラは国別の販売台数を公表していないが、コックスは、24年の米国での販売台数が約6%減少したと推計している。

リースが回復

信用調査会社エクスペリアンによれば、自動車購入者はリースに回帰する傾向にあり、販売に占めるリース車の割合は、23年の20%から24年は24%に拡大した。

リースは、月々の支払額をより少なくして新車を手に入れられるため、自動車ローンに高金利の影響が及ぶ中、魅力的な選択肢となっている。

一部のEVでリースの場合のみ連邦政府の税優遇措置の対象となることも、リースが増加している理由の一つだ。エドマンズによれば、2411月時点でのEV販売におけるリース車の割合は72%に達した。

7月より前の米利下げ、市場はもはや完全に織り込まず-景気底堅く - Bloomberg

ドイツ銀・米シティ、欧州株に強気転換 利下げなど追い風との見方 | ロイター

イギリス30年国債金利、27年ぶり高水準 トランプ氏懸念が欧州に波及 - 日本経済新聞

7日の債券市場で英30年物国債の利回りが27年ぶりの高水準まで上昇した。米トランプ次期大統領の政策がインフレにつながるとの懸念が出る中、国債の入札が相次いで需給が緩みやすく、欧州に金利上昇圧力が波及している。

7日に英30年債金利は一時5.25%まで上昇(価格は下落)した。英フィナンシャル・タイムズ(FT)などによると、同水準を付けたのは1998年以来だ。

政権交代後初となる労働党のスターマー首相による予算案が財政拡大方針を掲げることや、賃金上昇による根強いインフレでイングランド銀行(BOE)の利下げペースが遅れることへの警戒感が出ている。

欧州の30年債は同日、ドイツが2.71%と半年ぶり、イタリアが4.28%2カ月ぶりといずれも高水準を付けた。

米国の金利上昇が波及しているためだ。米30年債金利は一時4.92%と、12カ月ぶりの高さとなった。20日のトランプ氏の大統領就任を控え、関税強化によるインフレや大型減税による財政悪化への警戒感が出ている。

年初で国債入札の予定が相次いでおり、投資家が買いをためらって需給が緩みやすくなっている面もある。7日には英国で30年債の入札があった。

中東情勢

アサド政権崩壊は、この地域の民主化シフトへの扉を開く|ARAB NEWS

エマージング

9月のドル建て債償還は困難、中国不動産の融創が予告=関係者 | ロイター

中国の住宅差し押さえ、昨年増加 37万戸が競売対象に | ロイター

中国の民間不動産調査会社、中国指数研究院が7日発表した2024年の住宅差し押さえ件数は、前年比で増加した。

不動産市場の低迷や景気回復のもたつきを背景に住宅ローンの延滞に対する懸念が強まっている。

24年は37万戸の差し押さえ住宅が競売にかけられた。23年は36万4000戸だった。

競売で売却が決まった差し押さえ住宅は11万7000戸。取引総額は前年比1.9%減の1636億元(223億3000万ドル)だった。

商業用、住宅用、工業用不動産、土地、車庫、駐車場を含む差し押さえ物件の総数は前年比0.9%減の76万8000件。

住宅の差し押さえは3級都市と4級都市に集中しており、合計で6万3871戸が差し押さえの対象となった。2級都市は4万5997戸、1級都市は6994戸。

中国指数研究院によると、差し押さえ件数は20年以降徐々に増えており、24年も増加が続いた。

韓国裁判所、尹大統領の拘束令状を再発付 | ロイター

中国製電池に依存する米国、「食卓塩」が終わらせるか - WSJ

米中両国は目下、米国や米同盟国のエネルギー安全保障の未来がかかった大勝負を繰り広げている。それは食塩に含まれるのと同じ、ナトリウムを原料にした電池をめぐる競争だ。

両国の研究者や企業がいまや開発に躍起となっているのは、われわれの携帯電話や送電網など多くのものを現在動かしているリチウムイオン電池とは全く異なるものを出発原料とする電池だ。米中貿易摩擦がこのままでは米国の電力貯蔵ニーズを阻害しそうな中で、そのような電池が実現すれば、中国が重要な電池材料をほぼ独占している現状を打破できるかもしれない。

この草創期にある電池技術は、リチウムではなく「ソーダ灰」と呼ばれる食塩を使って製造できるナトリウム化合物を使用する。リチウムとは違い、ナトリウムはどんな場所でも容易に入手できる。米国にとってなお好都合なのは、中国では塩からソーダ灰を合成する必要があるのに対し、米国には同じものが安価で豊富に存在することだ。実際、世界の埋蔵量の92%がある米国はこの物質の「サウジアラビア」と言えるかもしれない。

研究者や起業家たちは、米国を電池製造大国にする試みにこれまで2度失敗している。だが今回は超党派の政策立案者グループと連携していることもあり、彼らは以前より楽観的だ。現バイデン政権が導入した支援策に加え、次期トランプ政権では関税発動が見込まれている。

電動化した輸送への移行や、電力の貯蔵が電力網の信頼性に今も将来も不可欠な役割を担っていることを考えると、米国が今後必要になる膨大な量の電池を確保することは非常に重要だ。過去にエネルギー貯蔵の改革に取り組んだ専門家たちは、この最新技術が米国に3度目の問題突破のチャンスをもたらすと話す一方で、二度とチャンスは巡ってこないかもしれないと警告する。

この技術を発展させるため、国立研究所6機関と8大学が参加するコンソーシアムが、米エネルギー省から5000万ドル(約785000万円)の助成金を与えられたばかりだ。

ナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池の技術に勝るいくつかの利点がある。例えば、頑丈で、そのため安全性に優れる可能性があることだ。だが一つ、大きな欠点もある。周期表の避けがたい現実のために、重くかさばることだ。

この新種の電池の推進派は、サイズと重量のデメリットは多くの用途でほとんど問題にならないと主張する。例えば、太陽が輝き、風が吹いている時にエネルギーを貯蔵し、それ以外の時に電力網にエネルギーを供給するための大型の据え置き型蓄電池などだ。また研究者の話では、電気自動車(EV)に搭載できるくらい小型で軽量のナトリウムイオン電池をいずれ開発できる可能性がある。

それが実現すれば、安全で安価なだけでなく、現在より幅広い温度で機能するEV用電池につながる可能性がある。リチウムイオン電池を搭載した従来型EVでは、例えば、寒冷な気候が航続距離に影響する場合がある。

国家安全保障の観点から、米国はナトリウムイオン電池の開発を優先すべきだ。そう語るのは、アルゴンヌ国立研究所のエネルギー貯蔵研究責任者で、最近発表されたコンソーシアムの代表を務めるベンカット・スリニバサン氏だ。リチウムイオン電池の場合、サプライチェーン(供給網)はほぼ必ず中国を経由している。中国は重要鉱物の精製でも電池セルの製造でも圧倒的優位に立っているからだ。

しかも中国は手をこまぬいているわけではない。中国はこれまでEVや再生可能エネルギー設備の他の部品に不可欠な鉱物の輸出をたびたび制限しており、直近ではレアアース(希土類)の輸出を禁止した。またリチウムイオン電池の製造に欠かせない黒鉛の輸出規制も検討している。

世界中で電池への依存が強まる中、中国は1970年代初めの石油輸出国機構(OPEC)もうらやむほどの諸外国に対する支配力を手にする危険がある。米国は過去に2度も――リチウムイオン電池につながる最初のブレークスルーと、世界中で急速に普及する安価なEV電池を目指して化学的改良を加える最近の取り組みで――、中国に完全に陣地を明け渡している。

もし米国が素早く動ければ、電池を中心とする中国へのエネルギー依存を脱却できるだろう。ピーク・エナジー(本社・デンバー)のランドン・モスバーグ最高経営責任者(CEO)はそう語る。同社は米送電網のエネルギー貯蔵にナトリウムイオン電池を導入する計画で、すでに電力会社や独立系発電事業者と契約を結び、2025年に小規模な実験施設を数カ所稼働させる予定だ。

米国には膨大な量の天然の炭酸ナトリウムが埋蔵されている(これはナトリウムイオン電池の主な原材料になり、ソーダ灰とも呼ばれる)。ソーダ灰は合成できるが、採掘する方が安上がりだとスリニバサン氏は言う。米国では、毎年の採掘量の約半分が、住宅の窓やビール瓶といったガラスの生産に使われている。

中国は、ナトリウムイオン電池を早々に商用化し、大量生産している唯一の国だ。そのため、モスバーグ氏率いるピーク・エナジーは中国の取引先企業(同氏は社名を明かさなかった)から電池セルを購入し、その製造方法について可能な限り学ぼうとしている。このプロセスは、米企業が中国で工場を建設する際、強制されてきた技術移転に似ている。だが今回は中国が逆に技術面で先行し、米国がそれを学んでいるのだ。

サンフランシスコ・ベイエリア地区にあるピーク・エナジーの施設では、数十人のエンジニアが、中国製電池セルを大型コンテナサイズに組み立てる方法を研究していた。電力会社が使用する何列ものリチウムイオン電池と置き換えられるようにするためだ。同社の目標は、最終的に米国でナトリウムイオン電池の生産工場を稼働させることだが、それは何年も先になると、モスバーグ氏は述べた。

一方、スリニバサン氏率いるコンソーシアムの研究者は、ピーク・エナジーのような企業がすでに購入しているナトリウムイオン電池の改良に取り組んでいる。同氏によると、最終目標の一つは、現在の低価格EV電池の標準である、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池と同じエネルギー密度を持つEV用電池パックの製造方法を明らかにすることだ。LFP電池は、テスラの小型EVセダン「モデル3」の廉価モデルやフォードの電動ピックアップトラック「F-150ライトニング」、電動スポーツタイプ多目的車(SUV)「ムスタング・マッハE」、さらに多くの中国製EVモデルに搭載されている。

そこに到達するには相当な量の研究が必要になる、とスリニバサン氏は言う。まだ克服すべき多くの問題があるからだ。一つは現在のナトリウムイオン電池の化学構造を調整し、中国の支配下にある重要鉱物ニッケルを排除すること。もう一つは、小さなスペースにより多くを詰め込み、リチウムイオンに対抗できる電池パックを作ることだ。

結局のところ、ナトリウムイオン電池がEV向けの実現可能な代替部品になるためには、EVの他の技術が同時に進化しなければならない。新興EVメーカー、ルーシッド・モーターズのピーター・ローリンソンCEOがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のポッドキャスト番組「ボールド・ネームズ」の最近のインタビューで言及したように、同社の車両があらゆる面で技術的進歩を遂げれば、はるかに小型の電池パックを搭載したEVが大型の電池パックを載せた現行EVと同じくらいの航続距離を出すかもしれない。

そこに到達するには、科学に負けないくらい多くの政策立案が必要だ、とモスバーグ氏は言う。例えば、もし米国が中国製品に一律で輸入関税を課すとしたら、同氏の会社はナトリウムイオン電池が対象外にならない限り、身動きが取れなくなる。だが次期政権の政策は米国の次世代エネルギー技術の構築を阻害するというアナリストの心配をよそに、モスバーグ氏は楽観的に構えている。

「次期政権メンバーと議論を交わす中で、エネルギー安全保障はすなわち国家安全保障だとの超党派的な見解があると、われわれは感じている」。モスバーグ氏はこう語った。「その戦術が(現政権の)インフレ抑制法であれ(次期政権が見込む)関税であれ、目標は変わらない。それは米国の新興企業が成長し、世界的競争力を持つためのスペースを作り出すことだ」

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NY市場サマリー(7日)10年債利回り8カ月ぶり高水準、ドル上昇・株下落 | ロイター

1. **為替市場**  

   - 米経済指標の堅調な結果を受け、FRBの利下げペース鈍化が予想され、ドルが上昇。

   - 11月の雇用動態調査(JOLTS)では求人件数が市場予想を上回る増加。

   - 12月のISM非製造業総合指数も予想を上回り、投入価格指数が約2年ぶりの高水準。

   - ドル/円は約6カ月ぶりの高値を記録。

2. **債券市場**  

   - 10年債利回りは8カ月ぶりの高水準に上昇。2年・10年債利回り格差が20225月以来の大きさ。

   - 10年債入札は堅調な需要。

3. **株式市場**  

   - 経済指標の好調でインフレ懸念が広がり、FRBの緩和ペース鈍化を警戒して株価は下落。

   - 特にハイテク株や半導体株が影響を受け、エヌビディアは6.22%安。テスラも投資判断引き下げで4%下落。

   - 一方、マイクロン・テクノロジーは次世代チップへのメモリー提供で2.67%上昇。

4. **金市場**  

   - 中国による金購入報道を背景に反発し、清算値は1オンス=2,665.40ドル。

5. **原油市場**  

   - 供給不安を背景に反発。WTI原油先物は1バレル=74.25ドルと約2カ月半ぶりの高値水準。

全体として、経済指標の堅調さが為替・債券・株式市場に大きな影響を与えた一日でした。

欧州市場サマリー(7日) | ロイター

### **ロンドン株式市場**  

- **反落**:金融政策関連の経済指標発表を控え、投資家は様子見姿勢。銀行銘柄の下落が相場を押し下げた。

- **FTSE250種指数**1.27%安。  

- **要因**:インフレ率が中銀目標を上回る可能性から、英中銀の利下げ幅は限定的との観測。

  - 30年債利回りは1998年以来の高水準(5.252%)。

  - ナットウエスト、HSBCなど銀行銘柄や住宅建設株が下落。

  - 英建設業PMIは半年ぶりの低水準。住宅価格は20243月以来の下落。

### **欧州株式市場**  

- **続伸**:エネルギー関連銘柄の上昇が相場を支える。

  - 石油・ガス株指数は0.78%上昇。フロントラインは7.4%高。

- **要因**:ユーロ圏消費者物価指数(前年比2.4%上昇)が市場予想通り。  

  - 不動産株、建設・資材株は下落。

  - ドイツ銀行は欧州株の見通しを引き上げ、中国の景気刺激策の可能性などを評価。

### **ユーロ圏債券市場**  

ドイツ10年債利回り:5日連続で上昇、2カ月ぶり高水準(2.474%)。

ユーロ圏インフレ率は上昇するも、1月のECB理事会での利下げ観測に影響なし。

  - 市場は2024年中にECBが計100bpの利下げを行うと予想。

イタリア10年債利回り:3.629%(約2カ月ぶりの高水準)。

全体として、インフレや利下げ観測が市場全体の動向に影響を与えた。

 

備忘録(2025/1/6
海外企業決算
●海外企業
ディズニー傘下のHulu+ライブTV、FuboTVと統合 | ロイター
日本企業
インタビュー:「金利ある世界」で業績回復へ、資産形成商品が起爆剤=第一生命社長 | ロイター
第一生命保険の隅野俊亮社長は、「金利ある世界」への回帰を背景に貯蓄性商品の需要が高まる中、資産形成商品をてこに業績回復を図る考えを示した。ロイターとのインタビューで語った。
2020年以降、営業職員による金銭搾取などの不祥事が相次ぎ、営業活動を抑制してきたが、隅野氏が社長に就任した23年4月以降、攻めの姿勢に転じる方針を打ち出し、業績は回復途上にある。資産形成商品の投入は施策の一つで、隅野氏は回復の「起爆剤になりえる」と話した。
第一生命保険は、23年12月、独自の指数に連動して受取額が変わる個人年金保険を発売した。契約から3年以降は払い込んだ保険料(元本)が保証され、元本を確保しつつ指数に連動してアップサイドが見込める商品だ。主力の個人年金で幅広い世代を対象とした新商品を開発するのは18年ぶりで、数年の研究・開発期間を経て投入した。
金利復活や政府が「資産運用立国」の実現に向け「貯蓄から投資へ」の流れを後押しする中で、資産形成に対する関心が高まっている。隅野氏は、時流に乗る形で同社の保険の新規契約数を伸ばしているといい、24年4-9月期の新契約件数は前年同期比で178%増加した。同商品をてこに23年度に85万件まで減少したグループ全体の販売件数を「従前の100万件に一刻も早く回復してきたい」との考えを示した。
「120年余り保障を提供し続けてきた。保障と資産形成には一体的な意味もあり、双方から総合的なコンサルティングを行う」とも語り、新商品だけでなく、資産形成、承継、相続などを総合的にアドバイスできる人員の拡充も進めている。また、営業をサポートする内勤職員を来年度には約2倍の550人体制にしていきたい考えも明らかにした。
第一生命社長、金利高見据え国債入れ替え進める-30年債は2.5%上限 - Bloomberg
第一生命保険は国内金利の上昇を見据え、運用資産における日本国債の入れ替えを来期(2026年3月期)も進める方針だ。隅野俊亮社長がブルームバーグとのインタビューで述べた。
金利上昇に伴い、第一生命はポートフォリオ改善などを目的に国内債券の入れ替えを加速させている。今上期(24年4ー9月)には主に2040年の日本国債約5000億円を入れ替え、約1400億円の売却損を計上した。
隅野氏は上期に入れ替えが集中したとし、下期は少し抑制的になると説明。来期以降については「損益への影響に留意しながら適切な入れ替えオペレーションを進めていく」と述べた。
第一生命を含めた国内大手生保4社の運用資産の大半を占める国内債券の含み損は、金利上昇を受け増加傾向にある。昨年9月末の4社合計額は4兆4294億円と3月末から2倍超に拡大。第一生命の含み損も1兆円を超える規模に膨らんだ。含み損は運用資産の配分でリスクを取りにくくする原因にもなり、金利上昇に合わせて各社はポートフォリオの改善を進めている。
米国モーニングスターのアナリスト、マイケル・マクダッド氏は、親会社の第一生命ホールデイングスが株式売却益などによる通期利益見通しの上振れが見込まれるとして、「損失を計上できる余地があった」と指摘。その上で「資産入れ替えによって将来的にはより高い投資収益率につながり、金利上昇は一般的に生保にとってはポジティブ」との見方を示した。
隅野氏は足元の日本経済は回復基調を維持しているとして日本銀行が今月にも追加利上げを行うとみている。ただ、長期的な日本経済を考えると「インフレ率が2%を維持できるか少し疑問視している」とも言及。今年の金利動向は上昇を見込むが、主要な投資対象とする30年債で2.5%、10年債では1.5%程度が上限との見通しを示した。
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日に就任するトランプ次期米大統領の施策が日本経済に及ぼす影響について、17年からの第1期政権期間に米国に駐在していた同氏は、好悪両面の影響があるとみる。また、国内では一部大手企業で大幅な減益決算が出るなど、好調な企業との二極化の兆しがあると指摘した。
相互会社の形態をとる生保大手の間では、年金保険などの予定利率の引き上げが相次いでいるが、より資本規律を重視する株式会社の同社は、30年を超えるような長期の契約で同一の利率を保証するリスクを取ることには慎重になる。「戦略の差は出ているが、これが制約とは思っていない」として、高度な数学的手法を用いるクオンツ運用に特化したグループ企業などと連携しながら商品開発の強化に注力すると述べた。
日鉄の対応踏まえ、どのような具体的支援できるか考えていく=USスチール買収阻止で経産相 | ロイター
日鉄のUSスチール買収計画、大統領「禁止命令」の舞台裏 - WSJ
ジョー・バイデン米大統領は日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収を禁止する命令を出すにあたり、国家安全保障担当のトップ補佐官らの意見には従わなかった。代わりに、労働組合の側に立つという自身のレガシー(遺産)を強化するため、国内政策担当の側近に同調した。
政権関係者によれば、バイデン氏のスタッフたちは最近、二つの幅広い選択肢を提示した。141億ドル(約22160億円)の買収計画を完全に阻止するか、あるいは、日本製鉄がUSスチールを所有することが米製造業のサプライチェーン(供給網)に悪影響を与えるとの懸念を払拭(ふっしょく)できるまで承認を遅らせるかだ。
関係者によれば、非公開の話し合いの中で、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とアントニー・ブリンケン国務長官は東アジアの同盟国との重要な関係を損ないたくないと考える外交政策志向の側近として、取引を存続させる選択肢を推した。一方、スティーブ・リチェッティ大統領顧問をはじめとする国内担当スタッフは、202312月に買収計画が発表されて以来この取引に声高に反対してきた全米鉄鋼労働組合(USW)の幹部たちに味方するのが最善の策だと述べたという。バイデン氏は米国史上最も労働組合寄りの大統領を自称している。
バイデン氏の国家安全保障問題担当のアドバイザーたちは、この取引を承認する道筋を見つけることに一様に賛成したわけではない。例えば、米通商代表部(USTR)代表のキャサリン・タイ氏は買収中止を支持した。しかし最終的な議論では、バイデン氏の政治的本能とグローバルな検討事項が相いれないことが明らかになったと関係者は語る。
ある政府高官は、国家安全保障と経済問題の両方が「プロセス全体を通して、また大統領との話し合いの中でも議論された」と述べた。
バイデン氏は何カ月もの間、USスチールを外国の手に渡さないとする発言を続け、最終的には13日にその約束を実行に移すことで、1年間に及ぶ密室の議論を終わらせた。
「現在と将来にわたって米国内で所有・運営する強力な鉄鋼業を確実に維持することは、大統領としての私の厳粛な責任だ」とバイデン氏は声明で述べた。
USW
指導部は、USスチールの売却後に日鉄が減産すれば、製鉄所の雇用が危険にさらされると述べた。同組合は、生産を古い製鉄所から、従業員が少なく低コストの工場に移すというUSスチールの戦略を、日鉄が継続するとみている。
2次世界大戦以来、米国と緊密な関係にある日本が米企業を買収するのを阻止することで、バイデン氏は、米国を常にパートナーに寄り添う揺るぎない同盟国にするとしてきた自身の戦略を損なった。それでもこの動きは、たとえ友好国を困らせても重要な産業を保護するという政権の姿勢と一致するものだ。例えば、米国企業に巨額のグリーンテクノロジー補助金を提供するインフレ抑制法(IRA)は、欧州諸国から過剰な保護主義だと非難された。
対米外国投資委員会(CFIUS)と呼ばれる外国企業の対米投資を審査する省庁間委員会は、日本製鉄によるUSスチール買収が国家安全保障に及ぼす影響について何カ月も検討した。財務省・国務省・国防総省などを代表する同委員会のスタッフたちは、この取引を大統領に推薦するかどうかで意見がまとまらなかった。日本製鉄の規模の大きさと世界的な広がりを考えれば、USスチールの生産が海外工場からの輸入に置き換えられる可能性があり、米鉄鋼産業のリスクとなるかどうかで意見が分かれた。
バイデン氏は買収を禁止する声明の中で、この懸念に触れている。「この買収は、米国最大級の鉄鋼メーカーを外国の支配下に置くものであり、われわれの国家安全保障と重要なサプライチェーンにリスクをもたらす」
ドナルド・トランプ次期大統領は選挙戦でこの買収を阻止すると繰り返し宣言していたが、これはバイデン氏とトランプ氏の間で意見が一致した珍しいケースだった。トランプ氏の大統領就任を間近に控え、日本企業が米国のサプライチェーンを守ることができるとバイデン政権を説得する時間は事実上尽きてしまったと関係者は語った。
CFIUS
は審査期間を延長し、日本製鉄に時間を与えたが、「日本製鉄は国家安全保障上の懸念に対処するために約1年を費やしてもうまくいかなかった」と前出の政府高官は語った。結局のところ、条件付きで取引を阻止するのではなく、全面的に取引を拒否することをバイデン氏が決めた理由はそこにあるという。
日鉄は、同社が連邦政府に提示した、USスチールの工場への30億ドル近い投資や米国内での鉄鋼生産の保証、連邦政府によるUSスチール事業の監督を含む複数の提案や合意案にCFIUSが応じなかったことに、不満を表明した。
先週初めにホワイトハウスに直接提示された最終案の一部として、日鉄は政府の承認なしにUSスチールの生産能力を10年間一切削減しないことを約束した。
日鉄とUSスチールの弁護士はCFIUSが提起した異議や懸念について、しばしば国家安全保障問題の検討の域をはるかに超えていたと主張した。両社は1217日付の書簡で、同委員会が「事実無根の架空のリスク」をつくり出していると非難した。この取引に関する委員会の調査は、ホワイトハウスからの「許されざる影響」を反映していると両社は述べた。
「このような虚偽がまかり通るのであれば、CFIUSとこのプロセスに関わったすべての人々のレガシーを汚す結果となる。そこにはバイデン大統領も含まれる」と同書簡で述べている。
この1年間、日鉄はUSスチールが操業している州の政治家たちにこの取引への支持を求めた。一部の指導者は、組合や一部の有権者との意見の不一致を示すのを避けるため、公的な支持を差し控えた。USスチールの最高経営責任者(CEO)は、取引が失敗した場合、同社は最終的にペンシルべニア州ピッツバーグ近郊にある製鉄所を閉鎖し、本社をピッツバーグから移転する可能性があると警告していた。同州のジョシュ・シャピロ知事は3日、USスチールが従業員に責任を持ち、州内の雇用や本社を脅かさないことを期待すると述べた。
ペンシルベニア州選出のジョン・フェッターマン上院議員(民主)は、バイデン氏の決断を称賛した。しかし、党員全員が満足しているわけではない。オバマ政権で経済諮問委員会の委員長を務めたジェイソン・ファーマン氏は、「特定の利害に屈する哀れで臆病な決断であり、米国の繁栄と安全を低下させる」とXに投稿した。「法律を乱用して同盟国を裏切る彼(バイデン氏)を見るのは残念だ」
政権関係者は、バイデン氏は日本に敵意を持っていないと主張している。日本の政府当局者との最近の電話会談で、バイデン氏の側近は、同氏が日本による米国経済への投資を望んでおり、長きにわたる関係はこの荒波を越えて続いていくと強調した、と話した。
バイデン氏の発表後、国家安全保障会議のジョン・カービー戦略広報調整官は記者団に対し、「われわれは、特にインド太平洋地域において、信頼できるパートナーであること、条約上の同盟関係や約束を真剣に受け止めていることを、何度も何度も証明してきた」と述べた。「率直に言って、この決定が、あるいは他のいかなる決定も、米国および世界において堅実で一貫した、安定的な米国のリーダーシップ以外のものを示しているとは思わない」
日本製鉄の森高弘副会長「理不尽な扱い、徹底抗戦する」 - 日本経済新聞
日本製鉄、米大領領のUSスチール買収禁止命令などを提訴 | ロイター
【社説】USスチール問題とCFIUSの堕落 - WSJ
ジョー・バイデン米大統領が3日、日本製鉄によるUSスチール買収の中止を命じたことは、米国の製造業と安全保障に害を及ぼす経済的マゾヒズムの行為だ。また、対米外国投資委員会(CFIUS)を露骨な政治的えこひいきのために堕落させるものであり、投資先としての米国の評判に傷をつける。
日鉄による150億ドル(約23600億円)での友好的な買収案は、経営難に陥っているUSスチールを再活性化しようとするものだったが、選挙政治と経済ナショナリズムの犠牲になった。ドナルド・トランプ氏がこの買収に反対を表明したことを受け、バイデン氏は全米鉄鋼労働組合(USW)の機嫌を取るため、買収を阻止すると約束した。
この買収を経済的側面で見れば、USスチールと同社従業員の双方にとって圧倒的に理にかなっている。日鉄は、USスチールの老朽化した工場を最新のものにし、労働協約を順守するために27億ドルの新規投資を約束した。また、USスチール従業員に5000ドルのボーナスを提示し、雇用を保証するとともに、工場の生産能力削減をCFIUSに阻止させることに同意するなど政治的な「甘い餌」を提供した。
クリーブランド・クリフスとの合併を好むUSWのデービッド・マッコール会長は、こうした条件のいずれにも満足しなかった。2023年にUSスチールの買収合戦で日鉄に競り負けたクリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は、日鉄による買収を阻止するようホワイトハウスに働きかけた。関税と「バイ・アメリカ」規則によって外国との競争から守られた鉄鋼カルテルを作りたいからだ。
クリーブランド・クリフスとUSスチールが合併すれば、米国の高炉による製鉄の100%、電気自動車(EV)モーター向け国内鋼材の100%、車両に使用されるその他の国内鋼材の6590%を支配することになる。ただ、現時点で時価総額47億ドル、負債額38億ドルのクリーブランド・クリフスは、USスチールの買収資金の捻出にさえ苦労し、ましてや工場を再活性化させるのに十分な設備投資を行うのは難しいだろう。
US
スチールの株価は3日に7%下落し、日鉄による買収計画が発表されて以降38%安となっている。投資家はUSスチールが破産して切り売りされる可能性を懸念している。USスチールの幹部は、日鉄による買収が成立しなかった場合、工場閉鎖の可能性があると警告している。こうした事態が労働者にとってどのような利益となるのだろうか。
US
スチールが破綻しても、クリーブランド・クリフスにはまだ市場を独占できる可能性がある。ただし、鉄鋼を使用する米メーカーはコスト上昇に直面し、競争力が低下する。米国製EVのコストは上昇するだろう。だからこそ米自動車メーカーは日鉄の買収計画を支持したのだ。
恐らくもっと有害なことは、本来政治とは無関係であるはずのCFIUSによる投資の審査が、安全保障上の懸念という理由で、卑劣にも公然と政治の影響を受けたことだ。ジェラルド・フォード元大統領は、議会が外国からの投資を制限する新たな法律を作るのを防ぐため、大統領令によってCFIUSを設立した。CFIUSの権限は当初、外国からの投資を評価し、報告書を出すことに限定されていたが、議会は1988年、安全保障を脅かす外国企業による買収案件を大統領が阻止することを容認した。
1988
年に制定された法律は当初、「重要な商取引」に影響を及ぼす投資を大統領が阻止することを容認するものだったが、レーガン政権がこの文言について幅が広過ぎるともっともな主張を行い、それが通る形となった。
だが、今回バイデン氏が行ったことは、事実上、安全保障に経済的ナショナリズムを含めるよう言葉を定義し直すものであり、政治介入への新たな扉を多数設けることになるだろう。労組やライバル企業は今や、自分たちが気に入らない投資を阻止するため、CFIUSという新たな政治的手段を使えることを認識した。外国企業は米国への投資に、より慎重になるだろう。
バイデン氏は、米国と同盟諸国の協力関係強化の成果を強調している。しかし今回のケースは、太平洋地域における中国の経済・軍事面での野望を封じ込める上で不可欠な同盟国にとんでもない仕打ちをしたようなものだ。同氏がこれまでに阻止した外国企業による買収案件はほんの一握りにすぎなかった。そしてその大半は、中国企業が絡んだものだった。米国務省は2日、今後想定される日本への空対空ミサイルの売却を承認した。それなのになぜ、日本からの投資が安全保障上の脅威になるのか。
日本製鉄は3日、今回の買収中止命令が「米国憲法上の適正手続きと、CFIUSを規律する法令に明らかに違反している」との声明を発表し、法的措置に訴える構えを示した。日鉄は、「提案した問題解消措置のいずれについても(CFIUSは)適切に検討することはなかった」と述べた。同社はさらに「この決定は、バイデン大統領の政治的な思惑のためになされた」ものであり、彼の命令は「国家安全保障問題に関する確かな証拠を提示していない」と付け加えた。
これらの主張はすべて真実であり、今回の決定は、米政界関係者らの恥ずべき態度の象徴だと言える。バイデン氏には、マッコール氏に立ち向かう勇気が欠けていた。そしてバイデン氏のこうした弱さは、彼の大統領任期がもっと早く終わっていればよかった追加理由の一つでもある。
太陽HDがDICとの経営統合検討、JIPが協力の可能性も-関係者 - Bloomberg
先進国政治動向
トランプ氏、重要セクターの輸入品に「一律の」関税導入を検討-WP - Bloomberg
トランプ次期大統領の側近らは導入を計画する関税について、全ての国に適用されるが、重要輸入品のみを対象とすることを検討している。米紙ワシントン・ポスト(WP)が事情に詳しい匿名の関係者3人の情報として報じた。
現在の議論では、国家や経済の安全保障にとって重要と見なされる特定のセクターに絞った関税に焦点が当てられているという。
トランプ氏は選挙戦で、米国に輸入される全てに10%か20%の関税を「一律に」課すと主張していた。報道内容通りとなれば、公約内容からは大幅に後退することになる。
最終的な決定はまだ下されておらず、計画は依然として流動的だとワシントン・ポストは報じている。
トランプ氏の政権移行チームは現時点でコメントの要請に応じていない。
報道を受けて、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は1%低下。2023年以来の大幅安となった。一方、ユーロは対ドルで1%余り値上がりしている。関税の範囲が狭まれば広範な関税発動に比べて物価上昇圧力も弱まるとの思惑から、米金融当局が利下げを進めやすくなるとの見方も広がっている。
どの分野や商品が関税の対象となるかは現時点で明らかになっていない。報道によると、トランプ氏が米国への回帰を狙っているものが議論されている。
トランプ氏が重視する分野として、鉄鋼や鉄、アルミニウム、銅に対する関税を通じた防衛産業のサプライチェーンに加え、重要な医療品などが含まれる可能性がある。またワシントン・ポストは関係者2人の話として、トランプ氏が電池、レアアース鉱物、ソーラーパネルなどのエネルギー関連も対象にするかもしれないと報じた。
オーストリア中道派の連立交渉決裂、極右主導の協議へ 首相辞任表明 | ロイター
オーストリア大統領、極右党首に組閣協議を指示 - 日本経済新聞
カナダのトルドー首相、辞意表明見通し 早ければ6日と報道 | ロイター
グリーンランド首相、デンマークからの独立の必要性強調 | ロイター
米議会、トランプ氏の大統領選勝利を認定 | ロイター
オーストリア大統領、極右政党に組閣指示 中道派が連立できず | ロイター
マスク氏との関係見直しを、英主要3党がトランプ氏側近に促す - Bloomberg
トランプ氏が報道を否定=速報 - 株探(かぶたん)|米国株
先進国中銀、金融当局
トランプ氏に身構える中銀、ショック警戒-25年の利下げは慎重な構え - Bloomberg
世界の主要中央銀行は、政策金利を今年さらに引き下げる構えだが、トランプ次期米政権の政策を注視しつつ、利下げを慎重に進めることになりそうだ。
今後1年は主要国・地域のほぼ全てで金融緩和が見込まれるが、ペースは落ちる可能性が高い。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、先進国・地域の金利総合指標が2025年に72ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)しか低下しないと予測。これは24年のペースを下回る。
金利総合指標の変化は、既に進行する緩和サイクル、十分な解消がなお必要かもしれないインフレ圧力への根強い警戒、近く発足するトランプ政権2期目の未知数を反映する。
トランプ次期大統領は、世界各国・地域の中銀にとって頭の痛い存在だ。トランプ氏が脅しをちらつかせる貿易関税が実行に移されれば、経済成長を損ない、報復措置が取られる場合、消費者物価も押し上げかねない。
米連邦準備制度の注意はインフレ再燃の危険性に既にシフトし、大幅緩和の可能性は当面抑えられている。経済成長を支えるため、欧州中央銀行(ECB)からイングランド銀行(英中央銀行)に至るまで、他の主要国・地域中銀は借り入れコスト引き下げを継続する構えだが、急ぐ様子は見られない。
今回の四半期ガイドが注目する23中銀のうち、政策金利が年末時点でより高くなる可能性があるのは、日本銀行とブラジル中央銀行だけだ。日銀の利上げサイクルは続く公算が大きく、ブラジル中銀は財政支出が促すインフレの抑制に動く構えを崩していない。
BEのグローバルチーフエコノミスト、トム・オーリック氏は「政策正常化の途上にある中銀にとって、ラストマイルの歩みはスムーズではなかろう。平たんでない2%の物価目標に向けた進展とトランプ次期米政権からのショック、中立金利を巡る不確実性は全て、サプライズの可能性を増大させる方向に働く。先進国・地域中銀の政策金利の平均は24年末の3.6%から今年末に2.9%に向かうとBEはみている。短い距離でも移動が困難な場合がある」と指摘した。
日本銀行
政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標 :0.25%程度
BEの25年末予測:1%
短期金融市場は漸進的な引き締めを想定し、5月までに0.25ポイントの利上げが決まり、年末にかけもう1回の利上げが決定される可能性を織り込んでいる
日銀の植田和男総裁は、次の利上げのタイミングに関し、難しい判断を迫られる。
インフレ率は2年半余りにわたり日銀の2%の目標に達するか、それを上回る水準で推移している。経済成長は続いており、超低水準から金利を引き上げるには十分長い期間と思われる。利上げは大幅安となっている円相場を支える効果も期待される。
1月の金融政策決定会合は、トランプ氏の米大統領就任式(20日)直後の2324日に開かれる。植田総裁は、警戒を要する主な不確実要因の一つとして、トランプ次期政権の政策を挙げた。3月まで待てば、米国経済と国内の賃金動向についてより明確な認識が得られるだろう。25年度予算の早期成立を目指す石破茂首相の少数与党政権にも時間的余裕が生まれよう。
結局は円相場が決め手になるかもしれない。
BEの木村太郎シニアエコノミストは「植田総裁が12月の会合で、1月の利上げの下地をつくると予想していたが、実際にはそうならなかった。彼の慎重なアプローチは、市場環境や政治情勢が好転した場合に動ける一定の裁量を残したいと日銀が考えている様子をうかがわせる。1月に利上げが決まるというわれわれの強い確信に変わりはない。インフレ率が日銀の2%目標近辺にとどまる可能性がますます高まっているように見えることが理由だ。円安も上振れリスクを高めるだろう」と分析した。
米連邦準備制度
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標:4.254.5
BEの25年末の上限予測:3.75
BEのチーフ米国エコノミスト、アナ・ウォン氏は「米連邦公開市場委員会(FOMC)は、24年最後の会合でタカ派的姿勢を示し、25年の利下げが合計50bpにとどまるとの想定は、市場の期待を裏切った。それでも25年と26年にそれぞれ合計75bpの利下げに結局動かざるを得ないとわれわれは考えている。失業率は引き続き上昇し、25年末に4.7%、26年末に5%に達しよう」と見解を示した。
FRB副議長が辞意、金融規制担当 次期政権との「衝突リスク回避」 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融規制担当)は6日、2月28日付で退任する意向を表明した。
バー氏は声明で、トランプ次期大統領に直接言及しなかったものの、自身のポストを巡る法廷闘争のリスクが「FRBの使命の妨げとなる可能性」を避けたいと説明した。
関係筋によると、バー氏は、トランプ氏が自身を解任しようとした場合に備え、個人としての立場で法律事務所アーノルド・アンド・ポーターに法的助言を求めていた。
同氏の任期は2026年7月まで。
FRBの理事は引き続き務める。FRBは声明で、副議長の後任が承認されるまでは主要な規制策定に取り組むつもりはないとした。
バー氏が理事留任を決めたことで、副議長の後任選びでトランプ氏の選択肢は限られる可能性がある。現在、FRBの理事ポストには空席がないため、トランプ氏は既存のFRBメンバーから新たな金融規制担当者を選ぶ、もしくはメンバーの1人を政府内の別のポストに異動させて空席を設ける必要がある。
アナリストらの間では、バー氏に批判的だったボウマンFRB理事が有力後任候補になるとみられている。また業界関係者は、トランプ氏が大統領1期目に指名したウォラーFRB理事も候補になるという見方を示す。
TDコーウェンのマネージングディレクター、ジャレット・セイバーグ氏はメモで「民主党は26年初めまでFRBの多数派を維持する見通しで、大手銀行にとり見かけほど大きな勝利とはならない。また、新規制当局者の承認が必要であることを踏まえると、規制緩和について今年は大きな成果が出るとは考えにくい」と述べた。
FRBは追加利下げに慎重になる可能性=クック理事 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)のクック理事は6日、経済が堅調でインフレが従来予想よりも堅調なことから、FRBは追加利下げに慎重になる可能性があると述べた。ミシガン大学ロースクールで講演した。
クック氏はFRBが9月に政策金利の引き下げを開始して以来、「労働市場はやや耐性を高めており、インフレは当時の私の想定よりも根強い。さらなる利下げをより慎重に進めることができると考えている」と述べた。
また「時間の経過とともに、政策金利をより中立的なスタンスに近づけることが適切になる可能性が高いとみている」とも指摘。「緩和政策の初期段階ではより迅速に行動し、その後、政策金利が中立に近づくにつれて、より緩やかに緩和していくことを想定していた」とした。
クック氏は講演の大部分を金融の安定性に関する見解に費やし、金融システムは「健全かつ強じん」だと考えていると述べた。
一方で、民間融資の拡大など、細心の注意を払う必要がある分野もいくつか指摘した。
先進国経済指標
英総合PMI、12月50.4に低下 コロナ禍以来の大規模雇用削減 | ロイター
仏サービスPMI、12月改定49.3 雇用が4年ぶり減少 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた昨年12月のフランスのHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.3と、11月の46.9から上昇したものの、好不況の分かれ目となる50を引き続き下回った。
需要低迷と政治の先行き不透明感が重しになっており、雇用が4年ぶりに減少した。
新規受注の減少ペースは9月以来の水準に鈍化。ただ、政治の不透明感や資金調達難が引き続き大きな制約要因となった。
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「足元の需要低迷でサービス企業の価格決定力はさらに低下している」と指摘した。
雇用減少の主因は、解雇ではなく、一時雇用契約の更新見送りや自主退職だった。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは11月の45.9から47.5に上昇したが、引き続き50を下回った。
独サービスPMI12月改定値は51.2、コスト上昇でも50回復 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた12月のドイツのHCOB購買担当者景気指数(PMI)改定値は51.2と、前月の49.3から上昇し、好不況の分かれ目となる50を上回った。
速報値の51.0から小幅に上方修正された。
新規事業を表す指数は4カ月連続で50を下回ったものの、受注残の進捗が寄与した。
新規事業の不振は顧客の不確実性、公共部門の入札不足、製造業の需要低迷が背景にある。一方で、消費者サービス部門では新規事業が順調に増えた。
ただサービス部門は強いコスト圧力に直面した。投入コストは賃上げなどにより昨年2月以来の高水準となり、サービス価格の大幅な上昇につながった。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「12月のサービス業PMIから読み取れるのは、弱い成長と強いインフレであり、つまりスタグフレーションの極みだ」と指摘した。
製造業の不況にもかかわらず、サービス部門が底堅いのは、工業活動からの独立性が高まっているからだと分析した。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは48.0と、9カ月ぶりの低水準だった11月の47.2から上昇した。
サービス部門の雇用は6カ月連続で減少したが、小幅な減少にとどまった。企業は人員削減の理由として、コスト削減の取り組みと新規事業の不足を挙げた。
ユーロ圏12月サービスPMI、需要回復し50超え コスト圧力強まる | ロイター
S&Pグローバルがまとめた12月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.6で、11月の48.3から上昇した。速報値の49.5から若干上方改定された。
12月の調査はホリデーシーズンのため通常より早い12月5─18日に実施された。
サービスPMIは49.5から51.6に上昇し、好不況の分かれ目である50を上回った。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「12月のPMIデータは、2025年のサービス部門活況に向けた素晴らしい土台を築いたとは言えないが、少なくとも受注の減少に歯止めがかかり、受注残の減少も和らいだ」と述べた。
「製造業と異なり、サービス業者は幸いにも米国関税の直接的な影響を受けない。今年、製造業の低迷が経済全体の足を引っ張るのを和らげるだろう」と指摘した。
需要の指標である新規サービス指数は50.2と4カ月ぶりに50を上回った。ただコストを転嫁する動きで産出価格指数は51.9から52.5に上昇し、4カ月ぶりの高水準となった。
デラルビア氏は「欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は(12月理事会後の)記者会見で、サービスインフレはまだ高すぎると指摘した。12月のサービスPMIはそれを裏付けている」と述べ、ECBが慎重姿勢を維持し、第1・四半期は小幅な利下げにとどめるとの見方を示した。
独インフレ率、12月は前年比2.9% 予想以上に伸び加速 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が6日発表した12月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比2.9%上昇した。前月の2.4%から伸びが加速し、アナリスト予想の2.6%も上回った。
変動が激しい食品とエネルギー価格を除いたコア指数は3.1%上昇。前月の3.0%から伸びが加速した。
エネルギー価格が1.7%下落する一方、食料品が2.0%上昇した。
サービスインフレ率は4.1%と、伸びは過去2カ月の4.0%から小幅に加速した。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当シニアエコノミスト、フランツィスカ・パルマス氏は「ECB当局者はサービスインフレの上昇に失望するだろう」と指摘。ただ、2025年には総合インフレ率とコアインフレ率が低下する可能性が高く、総合インフレ率は2%の目標を下回る公算が大きいと考えていると述べた。
今月30日には、欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される予定。ユーロ圏のインフレ率は2.4%と、前月の2.2%から伸びが加速すると予想される。
金融市場、先進国トピックス
2025年の世界10大リスク「Gゼロ混迷」首位 イアン・ブレマー氏の調査会社 - 日本経済新聞
TopRisks2025JPN(1).pdf
リスク No. 1 深まる G ゼロ世界の混迷
リスク No. 2 トランプの支配
リスク No. 3 米中決裂
リスク No. 4 トランプノミクス
リスク No. 5 ならず者国家のままのロシア
リスク No. 6 追い詰められたイラン
リスク No. 7 世界経済への負の押し付け
リスク No. 8 制御不能な AI
リスク No. 9 統治なき領域の拡大
リスク No. 10 米国とメキシコの対立
米エリート大学に迫る資金問題 - WSJ
アングル:アルコール発がん警告、トランプ氏とケネディ氏の沈黙の理由 | ロイター
ドル指数が23年11月以来の大幅安-円は反発、一時156円台前半 - Bloomberg
R&Iの格上げ数、24年は金融危機後で最大 22回増の84回 - 日本経済新聞
格付投資情報センター(R&I)がまとめた2024年の信用格付けの変更実績によると、国内発行体の格上げは84回(23年は62回)、格下げは4回(同12回)だった。格上げ回数は金融を中心に増え、08年秋の金融危機後で最大になった。製造業や非製造業では、収益基盤の強化や事業構造改革の進展を評価した格上げが目立った。
業種別にみると、金融の格上げ数は40回(23年は31回)に増え、全体の約半分を占めた。持ち株会社の格付け方針の改定などが寄与した。2311月の3メガバンクグループの格上げを背景に、みずほリースなど傘下企業の営業基盤の評価も引き上げた。
製造業の格上げは22回(同13回)に増えた。海外展開の強化や価格改定が評価を押し上げ、食料品では日本ハムやキッコーマンなど5社を格上げした。紙パルプでは事業ポートフォリオを改革したレンゴーや北越コーポレーションなどを格上げした。
非製造業の格上げは21回(同17回)だった。原子力発電所の稼働率の上昇で収益力が高まった関西電力や九州電力などを格上げした。三越伊勢丹ホールディングスなど百貨店4社は「シングルA」に1段階引き上げた。インバウンド(訪日外国人)や国内富裕層を中心とした販売が好調だ。
格下げは4回(前年は12回)に減った。JSRとシャープをそれぞれ2回ずつ格下げした。JSRは産業革新投資機構(JIC)が実施したTOB(株式公開買い付け)の成立による財務負担の増加や、バイオ医薬品工場の立ち上げの遅れによる収益力悪化を反映した。
格付けの変更は事業法人(87回)と投資法人(1回)で、地方自治体、ソブリン等、政府系機関等における変更はなかった。
●中東情勢
●エマージング
中国人民銀が「債券バブル」懸念 投資家に買い自制要求=関係者 | ロイター
中国人民銀行(中央銀行)は3日、一部の資金運用会社を呼び出し、国内債券に対する熱狂的な買いの動きに加わらないよう警告した。「債券バブル」は政府による景気てこ入れと人民元レートの制御に向けた取り組みを台無しにしかねないからだ。関係者2人が明らかにした。
3日の会合を含めて、人民銀行は昨年以降再三にわたって銀行や投資会社に過度な債券買いを自重するよう求めている。中国経済の先行き懸念が続く中で投資家が株式から安全資産とされる債券へ乗り換える動きが強まっているため、関係者の1人によると、人民銀行と機関投資家のこうした会合が最近定例化し、週に数回開催されるようになったという。
実際株価は過去2営業日で4%下落し、人民元は3日に14カ月ぶりの安値に沈んだ一方、10年と30年の国債利回りは一時過去最低水準に低下(価格は上昇)した。
人民銀行が追加利下げに動く公算が大きいとの報道が出ていることも、債券利回り押し下げの要因だ。
経済に関する極端な悲観ムードと広がるデフレ圧力を背景に、残存3年までの短期ゾーンの利回りは政策金利の7日物レポレートを下回る「逆イールド」になった。
財新・中国サービスPMI、12月は7カ月ぶり高水準 貿易リスク警戒も | ロイター
財新/S&Pグローバルが6日発表した昨年12月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は52.2と、前月の51.5から上昇し、7カ月ぶりの高水準となった。
内需の伸びが寄与し、景況拡大・縮小の分かれ目となる50を上回った。一方、海外からの受注は減少し、貿易リスクの高まりを示した。
国家統計局が先週発表した非製造業PMIも11月の50.0から52.2に上昇していた。
中国経済は過去数年、消費・投資の低迷や深刻な不動産危機を受けて苦戦を強いられてきた。輸出は数少ない明るい話題の一つだったが、トランプ次期米政権による関税強化に直面する可能性がある。
こうした中、当局は景気支援に向けた財政・金融政策をここ数カ月で相次いで打ち出した。
財新智庫のシニアエコノミスト、王哲氏は「9月下旬以降、既存の政策と追加刺激策の相乗効果が市場に作用し、よりポジティブな要因を生み出している」と述べた。
財新の12月PMIは新規事業指数が11月の51.8から52.7に上昇した。一方、海外からの新規事業は2023年8月以来初めて減少した。
雇用も4カ月ぶりに減少し、一部企業は投入資材価格や賃金の上昇などコスト面の懸念を理由に挙げた。
王氏は内需の低迷と外部環境の悪化を背景に、強い下押し圧力が続いていると指摘。「今年は外部環境がより複雑になることが予想され、早期の政策準備と時宜を得た対応が必要になる」と述べた。
企業景況感は50を上回る水準を維持したものの、一部企業が競争激化や貿易混乱の可能性に懸念を示し、20年3月以降2番目に低い水準に低下した。
製造業とサービス部門を合わせた総合PMIは51.4と、11月の52.3から低下した。
日本「失われた30年」の教訓、中国は聞くべき - WSJ
中国株は2024年、政府が強力な景気刺激策を打ち出すことへの期待から、3年連続の下落にストップをかけた。一方、債券市場はそれほど楽観的ではないようだ。
MSCI
中国指数は昨年の年間騰落率が16%上昇と、2020年以来4年ぶりのプラスだった。上昇分の多くは、政府が景気刺激策を積極的に行う姿勢を示した9月下旬以降に起きている。中国は以後、中央政府が地方政府の債務負担を引き受ける14000億ドル(約220兆円)規模の対策を打ち出し、今年さらなる金融緩和を行うことを約束した。だが、最近は株価上昇の勢いが失われている。投資家はもっと具体的な政策、特に国内消費の喚起策を依然として待っているからだ。
債券市場が示す見通しはそれより暗いものだ。中国国債の利回りは数十年ぶり低水準に落ち込み、より低成長の未来が待ち受けるとの見方を映し出す。中国の30年国債利回りは昨年末に1.93%まで低下した。2018年には4%を超えていた。
この悲観論は根拠がないわけではない。中国経済はデフレの泥沼から抜け出せずにいる。11月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.5%下落し、26カ月連続のマイナスだった。同月の消費者物価指数(CPI)はかろうじてゼロを上回ったが、同0.2%上昇にとどまった。
そこには、数十年にわたってデフレに苦しみ、ここ数年の強力な景気刺激策でようやく脱却した日本との不快な類似が認められる。実際、中国の30年国債利回りは今や、2.3%付近にある日本の30年国債を下回っている。1990年代初めに日本の不動産・株式バブルが崩壊したのと同様、中国が今陥っている苦境は2021年頃の住宅バブル崩壊が起点となっている。
中国の家計や企業は、保有資産が不動産投資と結びついていたため、支出を手控えることでこの事態に対応し、結果として需要不足と物価下落を招いた。それが今度は賃上げと企業の利益率を圧迫し、物価をさらに押し下げた。トランプ次期政権下で差し迫る米国との貿易戦争が、さらに状況を悪化させる可能性がある。
中国がデフレスパイラルと不透明な経済見通しに直面する中、同国経済を再び高成長軌道に乗せるためには利下げだけでは十分でない。日本の経験から得られる教訓の一つは、デフレスパイラルを脱するには強力で圧倒的な景気刺激策が必要なことだ。今のところ、習近平国家主席率いる中国はそこまでの対策を打つ気はなさそうだ。それはつまり、債券利回りが低水準にとどまる一方、株式市場が再び投資家を失望させかねないことを意味する。日本国債の価格が下落する(金利が上昇する)と予想してファンド勢が仕掛けた空売りは、「ウィドウメーカー」(寡婦を生み出すほど危険な取引)と呼ばれるようになった。数十年にわたって金利が上昇せず、賭けに負ける投機筋が多かったからだ。
2024
年は中国の株式・債券がともに好調だった。だが今年は後者のほうがよりよい賭けになるかもしれない。中国政府が本気の対応をしない限り、将来の長きにわたってそれが続く可能性がある。
北朝鮮が弾道ミサイル発射、2カ月ぶり 日本のEEZ外に落下か - BBCニュース
北朝鮮、6日に新型極超音速ミサイル発射成功 金氏立ち会う=KCNA | ロイター
中国主席、汚職を共産党の「最大の脅威」と強調 | ロイター
中国の「見えない壁」、人口減少に追い打ち - WSJ
低下する出生率を反転させる方法を模索する中国の指導者たちは、国内には多くの子どもを持ちたいと常に願う人々がいると考えてきた。農村部の夫婦のことだ。
だが、それは間違った考え方だった。農村部からの出稼ぎ労働者は家庭を持つことに大きな不安を抱いていることが調査で示されている。これには「戸口」と呼ばれる中国の戸籍制度が大きく関係しているとみられる。戸籍制度は1950年代から人口を農村部と都市部に分け、農村部の労働者が子どもを連れて出稼ぎに行くことを困難にしてきた。
「目に見えない壁」に例えられる中国の戸籍制度は、都市の過密を防ぐために設けられた。この制度は出稼ぎ労働者が中国の大都市に定住することを困難にしている。医療や教育といった地域サービスへのアクセスや住宅購入の権利を制限しているためだ。
中国が1980年代に経済改革を開始した頃は、大半の中国人は村落や田舎の町に住んでいた。新たな経済的機会が生まれると、何百万人もの人々が都市の工場や建設現場で働くようになった。戸籍制度に伴う制限のため、子どもは通常、故郷に置き去りにされ、祖父母などが面倒を見た。
こうした「留守児童」の多くは、成長して自身も出稼ぎ労働者になった。そして、子どもを持っても離れて暮らすというつらい状況には置かれたくないと多くが思っている。
ある27歳の女性は、祖父母の下で育った。両親は仕事を求めて都市から都市へと渡り歩いた。彼女は結婚や出産を急ぐつもりはないという。
この女性は名前の姓「ジャオ」のみを明かすことを条件に語った。「留守児童としての自尊心の低さと臆病さを実感する」という。彼女の祖父母は読み書きができず、貴州省の村では農作業をするしかなかった。十分に見守られ世話をされた経験がないまま、ジャオさん姉妹は何とか職業学校を卒業した。
「次の世代には私のようになってほしくない」とジャオさんは話した。
中国では現在、人口の3分の2が都市部に住んでいるものの、都市戸籍の保有者は48%に過ぎない。これは、都市部で働く10億人のうち約25000万人は社会福祉の恩恵を十分に受けられないことを示唆している。中国の人力資源・社会保障省のデータによると、2017年時点で都市の仕事で年金制度の対象になっているか、医療保険に加入している出稼ぎ労働者は22%程度にとどまった。同省はそれ以降のデータを公表していない。
少子高齢化が進む中国で、政府は出生率引き上げを優先事項に掲げる。劇的な向上が期待できる数少ない施策の一つが、戸籍制度の撤廃だと一部の人口統計学者は主張している。
米ハーバード大学社会学部名誉教授のマーティン・ホワイト氏は「大都市の支援をいまだに利用できない出稼ぎ労働者たちは、中国の出生率を押し下げる大きな要因になってきた」と指摘する。
上海財経大学の研究者らによると、制限の厳しい都市で働く出稼ぎ労働者は、比較的規制の緩い都市の労働者と比べ、子どもを持つことを少なくとも1年間先延ばしにする傾向がある。
カナダ・ビクトリア大学の社会学者、ミン・ジョウ氏が執筆した2021年の研究論文によると、戸籍制度に伴う制限によって、出稼ぎ女性は都市部の女性と比べ、2人目の子どもを持つ意欲が大幅に低下する。
多くの農村部の労働者にとって都市で暮らすということは、工場が管理する寮の二段ベッドで寝たり、他の労働者とアパートで共同生活をしたりすることを意味する。家族で暮らすためにアパートを借りたり、ましてや購入したりする金銭的余裕はほとんどない。
そうした余裕がある出稼ぎ労働者は家族を都市に連れてくることが多く、子どもを地元の公立学校に通わせることができる人もいる。また、出稼ぎ労働者の子どもを対象とした私立学校に子どもを通わせる労働者もいる。そうした学校の質はまちまちで、多くは規制されておらず過密状態にあると、香港を拠点とする非営利団体の中国労工通訊が2023年の報告書で指摘している。
北京市当局は数年前、実質的に農村からの労働者を追い出す大規模な取り組みとして、こうした労働者が多い卸売市場や正式な許可を得ていない事業を閉鎖した。同市は人口を15%削減する目標を掲げ、「違法建築」とみなすものを取り壊した。
農村からの労働者によって建設された都市ともいえる深圳は長年、他の大都市と比べ、出稼ぎ労働者にとって足場を築きやすい場所だった。ところが他の都市が戸籍制限を緩和する一方、深圳は出稼ぎ労働者に対して子どもの教育へのアクセスや、婚姻による戸籍取得を厳格化している。
2023
年の公式データによると、農村部住民の年間可処分所得は1人当たり約3000ドル(約47万円)で、7000ドル超の都市部住民の半分に満たない。
米スタンフォード大学の研究者、スコット・ロゼル氏とナタリー・ヘル氏は2020年の著書「インビジブル・チャイナ」で、「都市と農村の分断が公的な政策によって定着し、法律で成文化されているのは中国だけだ」と指摘した。
留守児童の数は中国が世界で最も多く、2020年の公式データによると6700万人に上る。こうした子どもが直面する困難や悲劇は広く知られている。
中国北部の村で20243月、13歳の少年がクラスメートたちに殺害される事件が起き、留守児童の問題が改めて注目された。被害者も加害者も、両親は遠く離れた場所で働いていた。
30
代半ばのウエートレス、ワン・ヤーフイさんはこの殺人事件を知り、動揺した。ワンさんと夫は共に北京で働いており、2人の息子は内モンゴル自治区に住む彼女の両親に預けている。夫妻は年に2回は地元に帰って息子たちに会うよう努めている。それでも、ワンさんは教育に関し息子たちを適切に監督することは不可能だと感じている。上の息子は今10代で、「私と話したがらない」という。
北京の非営利団体が2020年に留守児童3501人を対象に行った調査によると、1割超が前の年に両親に全く会わなかったと答えた。約4分の1は、親からの電話は3カ月に1回しかないと答えた。
中国は202411月、留守児童の少女に対して彼女が11歳の時から強姦(ごうかん)を続けていた男を処刑した。1人で暮らしていたこの少女は16歳の時に自殺した。裁判所は処刑を発表するにあたり、「留守児童は保護者に十分守られず、標的になりやすい」と述べた。
中国の人気歌手、周深さん(32)は最近、国営新華社通信のインタビューで、両親の顔を見ずに育った心の傷について語った。「私の夢は、ちゃんと靴と服があり、空腹を感じずに学校に行くことだった」
中国の共産党指導部が人口動態の課題が明白になった後も産児制限を全面的に解除しなかった理由の一つは、制限がなければ農村部の家族で子どもの数が増えすぎ、貧困から抜け出せなくなる恐れがあると考えていたためだ。
米ジョージ・メイソン大学の社会学者、ジャック・ゴールドストーン氏は、農村部の家族はより多くの人手を農作業で必要とするとの昔からの常識が世界で変わりつつあると語る。
中国では出生数の減少が2024年も続くと予想されている。最新の公式データによると、1月~9月の婚姻登録件数は470万件で、前年同期比17%減少した。
中国の保健当局は10月、人々が子どもを持ちたがらない理由を把握しようと、農村部や小都市に特に焦点を当てた全国調査を開始した。同月に中国国務院(内閣に相当)は出生率を引き上げるためのさまざまな施策を発表した。この一環として各地の市当局に対しては、出産保険を出稼ぎ労働者に拡大するよう求めた。
チン・ジョウさんは、北京のあちこちで見かける黄色の制服を着た宅配ドライバーの一人だ。妻と貯金して、子どもを持つ前に出身地の山西省に戻ることを計画しているという。ジョウさんは30代前半で、子どもは「1人で十分だと思う」と語った。
チェン・パンさんも北京で宅配ドライバーとして働く。20代で、出身は湖南省だ。30歳になる前に結婚する予定はないとし、当面は北京でもっと稼ぐことだけを考えていると話した。
プロファイ、インフラ、自然災害
米東部に冬の嵐襲来 十数州で降雪暴風警報出され6000万人影響か | ロイター
米中部大西洋沿岸で大雪、複数州が非常事態宣言 33万戸超が停電 | ロイター
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(6日)ドル下落、S&Pとナスダック続伸・利回り上昇 | ロイター
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為替市場**  
ドルは下落したが、トランプ次期大統領が関税政策の報道を否定したことを受けて下げ幅を縮小。主要通貨に対するドル指数は終盤で0.64%安の108.26。ドル/円は0.17%高の157.53円。カナダドルは対米ドルで0.74%上昇。
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米債券市場**  
トランプ次期政権の関税政策が影響を与え、10年債利回りが5月以来の高水準(4.612%)。30年債利回りも202311月以来の高水準(4.8316%)。
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米株式市場**  
S&P500
種とナスダック総合が続伸。半導体株が主導し、トランプ氏の関税政策が限定的との期待が追い風。特にエヌビディア(3.43%上昇)やAMD3.33%上昇)などが好調。
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金先物・原油先物**  
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金先物**:米長期金利の上昇を背景に0.27%下落し、1オンス=2647.40ドル。  
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原油先物**:米独の経済指標の影響で反落。WTI2月物は0.54%安の1バレル=73.56ドル。
主要ポイントはトランプ政権の関税政策に関連する不透明感が、為替・株式・債券市場全体に影響を及ぼしている点です。
欧州市場サマリー(6日) | ロイター
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ロンドン株式市場:
トランプ次期米政権の関税措置が懸念ほど厳しくならないとの観測で、FTSE100指数は小幅に上昇。
- FTSE250
指数は0.10%上昇。
ユニリーバ(2.5%安)やロールスロイス(2.6%安)は投資判断の引き下げで下落。
12PMI改定値は50を割り込まなかったが、雇用は過去4年で最大の減少を記録。
今週は取引量の増加が見込まれる。
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欧州株式市場:
欧州株式市場も反発。自動車関連株指数が2.82%上昇。
フランスの高級ブランド株やスイスのリシュモン株が大幅上昇(2.54.5%)。
テクノロジー株指数は3.90%高。ASMLホールディングやSTマイクロエレクトロニクスが78%以上上昇。
フランスCAC40指数、ドイツDAX指数、スペインIBEX指数も12%上昇。
米雇用統計など、今後の経済指標に注目。
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ユーロ圏債券市場:
ドイツ10年債利回りが2カ月ぶりの高水準(2.466%)。12月のインフレ率が予想以上に加速。
- ECB
の利下げ観測が後退。
ドイツとフランスの10年債利回り格差は縮小(81.3bp)。
イタリア10年債利回りは一時高水準に達したが、最終的に3.59%。
全体的に、トランプ政権の関税懸念後退や経済指標が市場を動かしている一方、欧州の債券市場ではインフレ率や政策金利が焦点となっています。
 
備忘録(2025/1/3-5
海外企業決算
●海外企業
●日本企業
バイデン米大統領のUSスチール買収阻止、新たな疑問が多数浮上 - Bloomberg
バイデン米大統領は3日、日本製鉄による141億ドル(約2兆2200億円)規模のUSスチール買収計画を阻止する決定を下した。米国の象徴的企業であるUSスチールは、買収計画を巡って国内政治の激しい論争の的となり新たな不確実性に直面。バイデン米大統領による計画阻止は、長年の同盟国である日本との緊張も高める。
USスチール買収計画を巡っては、国家安全保障上の問題を審査していた対米外国投資委員会(CFIUS)で意見がまとまらず、最終判断が先月、バイデン氏に委ねられた。バイデン氏の決定を受けて、同社の株価は日本製鉄が提示した1株当たり55ドルを大きく下回る水準に下落した。
トランプ次期米大統領が政権発足準備を進める中、1901年設立のUSスチールが今後取り得る道筋は幾つかあり、起こり得る展開を以下に挙げる。
バイデン氏の決定は覆される可能性があるか?
ハードルは高い。米国の法律では、国家安全保障上の脅威とみなされる取引を阻止する権限が大統領に与えられていることが明確に規定されている。
しかし、USスチールと日本製鉄は手続き上の理由から異議を申し立てる可能性がある。CFIUSは昨年8月下旬に両社に書簡を送り、取引が国家安全保障を脅かすものであると指摘した。両社は100ページを超える書簡を送付しワシントンでのCFIUSの委員会と面談。審査の再申請が認められた。
一連の出来事は異例だ。企業には通常、案件に問題があると警告され対処の時間が与えられる。だが、今回のケースでは、こうした警告期間が与えられなかったため、訴訟の可能性が残った。だが、それでも勝訴するのは難しいかもしれない。
今後の展開は?
USスチールと日本製鉄は3日、バイデン氏の動きは米国憲法上の「適正手続きとCFIUSを規律する法令に明らかに違反している」とし、「法的権利を守るためにあらゆる措置を追求する」との共同声明を発表した。
声明は「われわれはバイデン大統領が自身の政治的思惑のために米国の鉄鋼労働者の未来を犠牲にすることに他ならないと考える。買収完了時にUSスチールの株主に対して1株当たり55ドルを支払うとの約束を果たすべく、法的権利を守るためのあらゆる適切な措置を講じる」とした。
ブルームバーグ・ニュースは以前、USスチールと日本製鉄が今回の案件に関し共同で訴訟を起こす可能性が高いと報じていた。訴訟が具体的にどのような形式になるかは明らかではないが、両社の株主の利益を損なうと判断したさまざまな当事者を訴える公算が大きい。
違約金はあるのか?
買収が実現しない場合、日本製鉄はUSスチールに5億6500万ドル(約890億円)の違約金を支払うことが合意に含まれていた。政府によって取引が阻止されたにもかかわらず、支払いは依然として必要。
買収阻止は日米関係にどんな意味を持つのか?
この案件は重要な同盟国との関係に緊張をもたらすものであり、米国の対中競争において極めて重要。今回の決定は、米国のいかなる同盟国や産業も、国家安全保障に関する調査を免除されることはないとのメッセージでもあり、鉄鋼を戦略的分野として扱うという超党派の動きが継続していることを示すものだ。
トランプ次期大統領は、米国内で10億ドルを投資する意思のある国に対しては、承認を迅速化するとソーシャルメディアに投稿している。だが、日本製鉄による買収については外国資本にUSスチールが所有されることへの懸念を背景に阻止する考えを表明している。
USスチールの追求できる他の選択肢は?
法的措置以外にも、USスチールの取締役会が取り得る選択肢はある。会社全体または部分的に売却する是非を再検討する可能性が高い。
昨年、クリーブランド・クリフスは現金および株式で1株当たり54ドルの買収案をUSスチールに提示したが、日本製鉄が示した全額現金による1株55ドルでの提案に劣ると広く受け止められた。クリーブランド・クリフスや他の買い手候補が交渉のテーブルに戻ってくる用意があるかどうかは不明。
取締役会は、2023年の入札プロセスで議論されたように会社分割を検討する可能性もあり、その選択肢の場合、古い資産から新しい施設を切り分けることを意味する。もちろん、USスチールが売却対象を提示せず、日本製鉄による買収提案が始まる前の経営に戻るというシナリオも考えられる。
鉄鋼労組にとっての意味は?
バイデン氏の決定は、全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長にとって大きな勝利だ。マッコール氏は計画発表当初から一貫して批判的で、この騒動の初期段階でバイデン氏からの支持を獲得することに成功した。買収を支持していた組合員の多くが、マッコール氏ら労組執行部による計画反対姿勢をどう受け止めるかは問題として残る。
USWは3日の声明で、バイデン氏の決定を「組合員と米国の安全保障にとって正しい行動だ」と称賛した。
日本製鉄の今後は?
衰退する日本市場への依存を減らし、中国の大手メーカーに対抗することを目指した今回の買収が実現していれば、日本製鉄は世界3位の鉄鋼メーカーとなっていた。日本製鉄は今後、他の成長市場での取り組みを強化する可能性があり、アナリストらはインドをその一つとして指摘している。
USスチール買収阻止、国内生産維持に関する決定 対日軽視でない=米高官 | ロイター
カービー米大統領補佐官は3日、バイデン大統領が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を阻止する決定を下したことについて、鉄鋼の国内生産を維持するためで、主要同盟国である日本を軽視する意図はないとの考えを示した。
カービー氏はバイデン大統領の決定は、米国の鉄鋼生産に関するもので、「米国最大の鉄鋼生産者の一つを米国所有の企業として維持するため」と強調した。安全保障上のリスクのみに基づく決定とも言明した。
日鉄とUSスチール「法的権利守る措置講じる」、米政府の買収阻止受け | ロイター
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、両社は3日、「法的権利を守るために適切な措置」を全て講じると表明した。バイデン米大統領が買収計画を阻止する決定を下したことを受け、共同で声明を発表した
両社は「米国で事業を遂行することを決して諦めない」とした上で、日鉄と組むことがUSスチールの競争力にとって「最善の方法だと確信している」と強調。「日米政府関係者を含むステークホルダーと引き続き緊密に連携し、法的権利を守るためのあらゆる措置を追求する」とした。
バイデン大統領が買収計画を阻止すると決めたことは、「政治的な思惑のためになされたもの」だとし、米国憲法上の適正な手続きや対米外国投資委員会(CFIUS)を規制する法令に明らかに違反していると指摘。国家安全保障問題に関する証拠を提示しておらず、「明らかに政治的な判断であることを示している」とした。
両社は、CFIUSの審査にも真摯(しんし)に応じてきたと説明。「審査プロセスが、政治によって著しく適正さを欠いていたことは明白」とし、「同盟国である日本国をこのように扱うことは衝撃的であり、非常に憂慮すべきこと」と非難した。他の同盟国に拠点を置く企業が対米投資に消極的になるとも指摘した。
日鉄とUSスチールが共同声明を発表するのに先立ち、日本経済新聞は両社が米政府を相手取り訴訟を提起する方針を固めたと報じた。日鉄はかねてから、買収が阻止された場合は法的措置を取る可能性を示唆してきた。
米労組、バイデン氏決定を歓迎 日鉄のUSスーチル買収阻止「正しい動き」 | ロイター
バイデン米大統領、日鉄のUSスチール買収阻止 安保の懸念理由に | ロイター
明治安田2年連続で初任給引き上げへ、33万2000円と業界最高水準に - Bloomberg
コラム:USスチール買収阻止、背景に保護主義と技術革新のせめぎ合い | ロイター
USスチールは、さまざまな意味で過去の重荷を背負っている。123年の歴史を持つこの金属メーカーは、老朽化した高炉から新型の電気炉への移行が利益を圧迫したため、買収の対象になりやすくなった。バイデン米大統領は、日本製鉄による約150億ドルでの買収を阻止する決定を下したが、これは主にこうした古い施設の運命を巡る争いの末のことだった。レガシー産業の保護は、今や超党派の執着事案だ。しかし、このような場当たり的な優遇措置は、消費者に不利益をもたらす危険性がある。
3日に発表されたバイデン氏の決断は、2023年8月に国内ライバルのクリーブランド・クリフスが80億ドルでの買収に失敗したことに端を発した、1年以上にわたる争いに続くものだ。バイデン氏も後継者のトランプ氏もかねてより反対を表明しており、日鉄によるUSスチール買収の阻止決定はサプライズではない。USスチールの株価は2日、日鉄の提示額を41%下回って引けた。
USスチールのデービッド・ブリット最高経営責任者(CEO)は、業界の他の企業に追いつこうとしていた。同社と日鉄の支払利息・税金・償却控除前利益(EBITDA)マージンは、石炭に頼る従来の高炉ではなく、スクラップを電気で溶かして鉄鋼を生産しているニューコアやスチール・ダイナミクス(STLD.O), opens new tabなどに遅れをとっている。この新しい製法では、必要な従業員の数も少なくて済む。しかし、旧式の炉を操業する労組組合員は政治的に重要であり、電気生産への移行に多額の資金を投入しようとするブリット氏の計画に敵対している。クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベスCEOと手を組むことで、労組はUSスチールの日鉄への売却をあらゆる場面で反対し、事実上妨害した。
次の展開がどうなるのかは予断を許さない。USスチールと日鉄は訴訟を起こす可能性を示唆しているが、国家安全保障の決定に対する訴訟が成功することはめったにない。一方、USスチールのペンシルベニア州モンバレーにある古い施設とインディアナ州ゲーリーにある高炉は、多額の投資ニーズに直面している。これらの施設には、日鉄が13億ドルの追加投資を約束していた。ビジブル・アルファのデータによれば、USスチールは24年にこれだけの資金を消費したとみられる。ブリット氏は、旧来の技術を支援するために赤字を倍増させることはないだろう。
しかし、特に自動車メーカーなど、高炉からの鉄鋼を必要とする産業もある。USスチールとクリーブランド・クリフスは唯一の国内のプロバイダーであり、海外生産への関税は上昇する一方だ。モンバレーとゲーリーの施設が閉鎖されるか、あるいはクリーブランド・クリフスに売却されれば、競争が低下して最終的には消費者にとって価格が上昇することになる。
民主党も共和党も、米国の労働者と企業を競争から守ることでは一致している。しかし、その未来の実現に向けた持続的なコンセンサスはない。自動車を例にとると、両党とも中国メーカーへの障壁を望んでいるが、バッテリー駆動車へのシフトの必要性については意見が分かれている。補助金がなくなり関税が残るのであれば、米国にはより環境への負荷が大きく、競争力の低い交通システムを残すことになるかもしれない。保護主義というのは、往々にして過去に焦点を当てるものだ。
●先進国政治動向
米下院ジョンソン議長の続投可決、必要最小票 共和党最終的に結束 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
今年の経済不確実性高い、FRBの政策は指標次第=クーグラー理事 | ロイター
FRB、制約的な政策の維持必要 物価リスク踏まえ=リッチモンド連銀総裁 | ロイター
先進国経済指標
米ISM製造業景気指数、12月49.3に上昇 9カ月ぶり水準まで回復 | ロイター
米供給管理協会(ISM)が3日発表した2024年12月の製造業景気指数は49.3だった。11月の48.4から上昇し、3月以来、9カ月ぶりの水準まで回復した。ロイターがまとめた12月の市場予想は横ばいだった。
拡大・縮小の分岐点となる50は、9カ月連続で下回った。製造業は米経済の10.3%を占める。
先行指標となる新規受注指数は52.5と、前月の50.4から上昇した。
価格指数は52.5と、前月の50.3から上昇。輸入は49.7と、前月の47.6から上昇した。トランプ次期米大統領が掲げている関税引き上げを見越して、輸入が増えた可能性がある。
供給業者の納入を示す指数は50.1と、前月の48.7から上昇。50を超えると納入が遅くなっていることを示す。
雇用指数は45.3と、前月の48.1から低下した。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のため、22年と23年に積極的な金融引き締め政策を実施したことで製造業は打撃を受けてきた。
米政府が先月発表した24年第3・四半期の国内総生産(GDP)は年率換算で前期比3.1%増だった。このうち製造業は3.2%増となり、成長に寄与した。
独失業者、12月は予想を下回る増加 求人は減少 | ロイター
ドイツ連邦雇用庁が3日発表した12月の失業者数は季節調整済みで前月比1万人増の287万人で予想より小幅な増加にとどまった。
ロイターがまとめたアナリスト予想は1万5000人増加だった。
連邦雇用庁は「労働市場は12月から冬休みに入る。その結果、12月は例年通り失業率と不完全雇用が増加した」と述べた。
景気見通しが芳しくないため、失業者数は増え続け、2025年初めに10年ぶりに300万人の大台を超えると予想されている。
24年の平均失業率は6.0%で23年の5.7%から上昇した。
雇用庁は「2024年の景気低迷は労働市場に一段と深刻な影響を残している」と指摘した。
失業率(季節調整済み)は6.1%で横ばい。
パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミストは「失業率が再び上昇するのは時間の問題だ」と述べた。
求人件数は65万4000件で、前年比5万9000件減少。労働需要の鈍化を示した。
ドイツ銀行リサーチのエコノミストは、関連する初期の労働市場指標で改善は当面示唆されていないと指摘。24年の平均雇用者数は4610万人と過去最大となったが、今年は良くても停滞となる可能性が高いとし、減少する可能性もあるとの見方を示した。
金融市場、先進国トピックス
ドイツの電力取引価格が一時マイナス、風力発電の供給急増で需要超過 - Bloomberg
ドイツの電力価格が2日の取引で一時マイナスとなった。再生可能エネルギーの拡大を背景に、欧州では同様の事態が起きる回数が増えている。
翌日分の電力を売買するドイツの電力先物取引では2日、マイナスの価格が4時間にわたって続いた。風力発電の供給が40ギガワットにも達し、需要を大きく上回ったためだ。
急拡大する風力や太陽光の導入が発電量を押し上げる中で、昨年は欧州の電力取引市場でマイナス価格の発生時間が過去最長に上った。欧州電力取引所(EPEXスポット)のデータによると、ドイツで昨年、電力取引価格がマイナスとなったのは計468時間と、前年から60%増加した。フランスでは2倍余り増えて356時間に及んだ。
米新車販売、24年は1600万台に迫る HV人気で5年ぶり高水準 | ロイター
米国の2024年の新車販売台数が1600万台に迫り、19年以来の高水準になる可能性があることが、大手自動車メーカー各社が3日に公表した統計で分かった。販売奨励金の拡充やハイブリッド車(HV)への需要急増などが下支えになった。
メーカー別では、米ゼネラル・モーターズが前年比4.3%増の270万台。23年に続き首位の座を維持した。
トヨタ自動車は前年比3.7%増。「カムリ」やスポーツ多目的車(SUV)RAV4のほか、ハイブリッド車が増加した。
米フォード・モーターは4.2%増。ハイブリッド車の販売台数が電気自動車(EV)の約2倍になった。
一方、欧米自動車大手ステランティスは減少。米電気自動車大手テスラも減少した。
焦点:深刻化する世界の飢餓、支援責任果たさぬ大国に不満も | ロイター
アルコール飲料の発がんリスク、ラベルに明記を 米公衆衛生局長官 | ロイター
米国公衆衛生局のマーシー長官は3日、アルコール飲料のラベルについて、がんの発症リスクを明記すべきとの見解を示した。アルコール業界に対する、より厳格な規制への移行を示唆する可能性がある。
マーシー長官はアルコール摂取は乳がん、大腸がん、肝臓がんなど、少なくとも7種類のがん発症のリスクを高めるが、大半の米消費者がそのリスクを認識していないと指摘。また、アルコール摂取量の制限に関するガイドラインの見直しを求めた。
これを受け、株式市場では飲料メーカーの株価が下落。午前の取引で英酒造大手のディアジオが3.8%、仏蒸留酒大手ペルノ・リカールが3.1%、米アルコール飲料大手コンステレーション・ブランズが1.3%超、それぞれ下落している。
米、国内アンチモン採掘を許可 中国禁輸で調達体制構築へ | ロイター
ロレックスの腕時計価格、天井知らずの高騰 金価格上昇で - CNN.co.jp
金価格の上昇を受け、スイスの高級腕時計メーカー、ロレックスの金時計の価格が今年に入り約14%上昇したことが分かった。価格動向を追跡する複数の愛好家のウェブサイトから明らかになった。スチール製モデルの上昇幅が平均3%にとどまったのとは対照的だ。
ロレックス有数の人気モデル「デイトナ」の上昇幅が最も大きい。例えば、オイスターフレックスブレスレットを備えたホワイトゴールドモデルの場合、希望小売価格は3万8100ドル(約599万3900円)と昨年の3万5000ドルから急上昇。イエローゴールドの「GMTマスター」もロレックスのウェブサイト上で、7%近い上昇となる4万3300ドルの値段が付いている。
CNNはロレックスにコメントを求めたものの、返答は得られていない。ただ、ロレックスは毎年値上げを行っており、昨年は金価格の上昇が主因で金時計の値段が2倍に跳ね上がった。
世界の中央銀行が利下げに動いた昨年、金価格は27%上昇した。投資家の間では金を経済的混乱やインフレの時期の安全な避難先とみなすケースが多く、利下げが行われると、債券のような利回り資産に比べ投資妙味が増す場合がある。
ただ、価格上昇で買い手やコレクターが敬遠する見込みは乏しい。むしろ富裕層の顧客は資金が潤沢なため、「普通の消費者に影響を与える市場の変動に左右されることはめったにない」。アントニオ・サッソ氏はウェブサイト「イタリアン・ウォッチ・スポッター」でそう指摘し、「価格引き上げは大きな顧客離れにつながらないだけでなく、重要な戦略になる」と述べている。
低調なユーロ、ヘッジファンドは対ドルでのパリティーを視野に - Bloomberg
新年に入っても低調さが続くユーロは、数カ月以内に対ドルでパリティー(等価)かそれを下回る可能性があると、複数のヘッジファンドが予測している。
ユーロは2日、対ドルで202211月以来の安値を付けた。DTCCデータを基にブルームバーグが算出したところによれば、ユーロが対ドルでパリティーかそれを割り込むことを見込んだオプション取引の規模は拡大し、2日には先月の1日当たり平均の約4倍に膨らんだ。
欧州の経済成長見通しや米国のさらなる関税の可能性に対する懸念が強まる中、今週のユーロは主要10通貨の中でも下げがきつい。成長見通しが一段と悪化すれば、ユーロは特に流動的な資産の一つとして、売りの勢いが加速しかねない。
オーバーシー・チャイニーズ銀行のストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「ユーロのリスクバランスは、特に1.03ドル付近のオプションバリアが突破されたことで、明らかに下落方向に偏っている」と述べた。
中国人民元、1ドル=7.3元超える下落-当局は一段安も容認か - Bloomberg
中国人民元は3日の本土市場でドルに対し売られ、2023年後半以来の1ドル=7.3元を超える元安となった。
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年終盤から中国が守り続けてきた水準を突破する元安進行で、中国経済低迷の中で人民元が一段と値下がりする余地が生じている。
中国人民銀行(中央銀行)が節目となる水準の防衛を見送ったことは、景気低迷の影響を通貨安で緩和しようとする動きを示唆しているかもしれない。対ドルでの元の水準を維持してきた結果、元は主要な貿易相手国の通貨に対して2022年以来の高値まで値上がりしており、中国の輸出競争力を損なう恐れがある。
この日の取引では、中国の10年国債利回りが初めて1.6%を割り込んだ。米国債を大きく下回る中国国債の利回り水準も人民元相場の重しとなっている。
オンショア人民元は一時0.3%安の7.3190元となったが、その後は下げ幅を縮小した。
人民銀は人民元を支えるため、毎営業日発表する中心レートをこのところ1ドル=7.2元よりも元高方向に設定してきた。オンショア人民元の対ドル許容変動幅は中心レートから上下それぞれ2%。
BNYのシニアAPAC市場ストラテジスト、ウィー・クーンチョン氏は「7.3元という水準は、ドル高と中国国債の利回り低下が続く限り、ある意味で避けられない」と述べ、「ドル・人民元のリスクは依然としてドル高の方向だ」との見方を示した。
この先、中国経済のファンダメンタルズは一段の弱さを示唆している。リスク志向は非常に低く、主要株価指数は昨年9月以来の低水準に落ち込んだ。ソブリン債利回りは記録的な低さだ。また、トランプ次期米大統領は中国の輸出品を対象に関税を賦課する方針を示している。 
BNPパリバのストラテジストは、人民元が2025年末までに7.45元まで下落すると予測する。JPモルガン・チェースによれば、4-6月(第2四半期)にオフショア人民元は7.5元まで値下がりする可能性がある。 
また、人民銀は3日に発表した声明で、世界経済および金融情勢を踏まえて適切な時期に準備預金比率と金利を引き下げると表明した。
2025年の視点:改善する貿易収支と加速するデジタル赤字、円相場の需給を検証=唐鎌大輔氏 | ロイター
2025年の円相場見通しのポイントに関し、言及したい論点は多岐にわたるが、今回は以前から本コラムでも重視している需給に絞って議論したい。以下では、需給分析の要となる経常収支を中心に25年のイメージを示す。
<25年の円相場見通しと需給分析の整理>
まず、経常収支の仕上がりを規定しやすい貿易収支は原油価格のピークアウトを背景として赤字縮小が予想される。貿易収支の仕上がりに最も大きな影響を与える変数はやはり資源価格、象徴的には原油価格だ。近年の原油価格について通年平均を見ると、22年に100ドル程度、23年と24年は80ドル程度だった。25年の原油価格を予想することは筆者の手に余るが、中国経済不振による需要減退から下落を指摘する声は多い。さらに第二次トランプ政権で進む環境規制の巻き直しや化石燃料の供給増加も資源価格の上値を押さえそうだ。
実際、大統領選後の原油価格は軟化し、断続的に70ドルを割り込んでいる。例えば、25年の原油価格を平均70ドルと仮定すると前年比で約マイナス13%の下落になる。これだけでも2兆円以上の輸入減少になるだろう。実際の影響は原油に限らず、原料品(木材など)、原料別製品(鉄鋼や非鉄金属など)や化学製品など、輸入構成比が大きな品目の単価にも影響が及ぶはずだ。いずれにせよ、70ドル前後の原油価格が続けば、貿易収支全体で兆円単位の改善要因になる。これは非常に大きな話だ。
<貿易収支改善はコンセンサス>
しかし、第二次トランプ政権が仕掛ける貿易戦争の行方次第では輸出の増勢が鈍る懸念もある。特に日本は、対米自動車輸出が目の敵にされた上で追加関税が課される懸念がくすぶる。輸入が減少しても、輸出も減少すれば収支の改善は限定される。輸出増加を確信できない中、25年の貿易収支が19年以前の水準(15─19年の5年平均で約プラス2400億円)に戻るのは難しいかもしれない。
24年の貿易収支赤字が仮にマイナス5─6兆円程度だとすれば、そこから若干改善を見込んで25年の仕上がりはマイナス3─4兆円程度だろうか。それでも22年に記録した過去最大の赤字(約マイナス20兆円)から比べると劇的な改善ではある。貿易収支予想は幅を持った理解を求めたいが、貿易収支の改善予想自体はコンセンサスと言えるだろう。
<サービス収支に想定される2つの変化>
その他の項目はどうか。第一次所得収支はプラス40兆円程度、第二次所得収支はマイナス4兆円程度と24年並みの仕上がりと考えておくのが無難だろう。しかし、残るサービス収支は注目したいポイントが2つある。1つが旅行収支黒字のピークアウト、もう1つがデジタル赤字の拡大だ。いずれも需給悪化を示唆する事実である。
前年比の増勢という観点に立てば、旅行収支の増勢は鈍るだろう。というのも、日本では23年3月まで水際対策と称した防疫措置が取られていた。24年の旅行収支が23年の約プラス3.6兆円からプラス5兆円台へ大幅増加となるのはそのためでもある。同様の動きを25年に期待するのは難しいだろう。言い方を変えれば、パンデミックとは無関係の、地力としての旅行収支の変化を確認するのが25年になる。人手不足や円安のピークアウト、日本におけるオーバーツーリズムへの警戒なども踏まえると、旅行収支黒字のピークアウトは25年に注目したい1つのテーマではある。旅行収支黒字は24年並みを維持できたとしてプラス5兆円程度、ピークアウトが顕著になるケースとしてプラス4─5兆円程度ではないか。
<デジタル赤字は伸びる>
一方、その他サービス収支赤字も毎年のように過去最大を更新しており24年は1─10月合計で約マイナス7.1兆円と23年通年の赤字(約マイナス5.9兆円)を超えている。この赤字のほとんどが近年注目されるデジタル赤字であり約マイナス7.1兆円のうち約マイナス5.6兆円を占める。ちなみに23年の貿易収支を例に取れば、日本が輸入する液化天然ガス(LNG)が約マイナス6.5兆円、石炭が約マイナス5.8兆円であった。今やGAFAMを中心とする米巨大IT企業から供給されるデジタルサービスは天然資源と引けを取らないほどの必需品として経済活動に組み込まれてしまっている。その性質から需要の価格弾力性は極めて低いため、値上げされても消費は続くことになる。
なお、デジタル赤字の拡大は20年以降の話であり、純粋にサービスへの需要を反映していると見るべきだろう。筆者も委員として参加した財務省「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」の第1回議事要旨には「デジタル赤字の背景には、コロナ禍で、学生等にリモート学習のためのツールを配布したこともある」といった記述がある。パンデミックを契機として遠隔会議や授業、セミナー等を実施するようになったのは教育機関だけではなく、社会のありとあらゆる場所でこれが日常として取り入れられるようになった。この流れがいつ、どうやって止まるのか想像がつかない。
筆者試算ではデジタル赤字は24年に約マイナス7兆円に到達する。デジタル赤字の前年比変化率に関し、過去10年の平均を取るとプラス13%程度だ。仮に24年が約マイナス7兆円だと仮定すれば、25年は約マイナス7.7兆円まで赤字が膨らみ、その他サービス収支赤字はマイナス8兆円に肉薄する。輸送収支が前年並みのマイナス6000億円程度だとすると、サービス収支赤字はマイナス3.6兆円程度(その他サービス収支の赤字マイナス8兆円、輸送収支の赤字マイナス6000億円、旅行収支の黒字プラス5兆円)になる。この赤字水準はほぼ近年のイメージから逸脱しない。
<CFベース経常収支は均衡イメージ>
こうした議論を踏まえた上で25年の経常収支をイメージすると大体、プラス28─30兆円程度の黒字が予想される。しかし、黒字を支える第一次所得収支のうち、確実に円買いが発生すると思われる部分を考慮した上で試算したキャッシュフロー(CF)ベース経常収支はプラス1─2兆円程度とも予想している。おおむね均衡のイメージである。これは実は24年と似たような仕上がりでもある。「実需の円売り」が円安相場を主導した22年や23年のような状況は再現されず、金利差の説明力、言い換えれば「投機の円売り」の影響力が相対的に増幅されやすい年になるように思える。こうした状況ではボラティリティは上がりやすく、24年で言えば8月初頭や11月末に見たような円相場の急騰とこれに連れた日本株の動揺は起きやすくなる。そのような状況が慢性化してしまうと日銀は正常化方向の政策運営をやりづらくなるかもしれない。
<基本的な需給環境は変わらず>
今回は経常収支に議論の的を絞った。実際、それが需給環境をイメージするのに最も相応しい計数であることは論をまたない。だが、それ以外でも24年大いに注目された新NISA(少額投資非課税制度)などに伴う「家計の円売り」や政府が旗振りを行う対内直接投資の動向など、考慮すべき論点は無数にある。それら全てを議論し尽くす紙幅は無いが、月間1兆円ペースで投資信託経由の円売りが出ていた24年からの減速はあるとしても「家計の円売り」自体が25年に途絶することも考えにくい。一方、対内直接投資は23年の「骨太の方針」から掛け声こそ大きいものの、未だその実績をはっきり確認する状況にはない。25年は過去3年間の中で言えば、円を取り巻く需給環境がはっきり改善する部分もありそうではある。しかし、「円を売りたい人の方が多い」という基本的な事実が変わるまでには至らないだろう。
そうこうしている間に25年には米連邦準備理事会(FRB)の「利下げの終わり」が争点化しそうなことは円安を忌避する日本経済にとって悲報と言わざるを得ない。こうした金利にまつわる議論はまた別の機会に委ねたいと思う。
●中東情勢
●エマージング
米、韓国情勢安定化を希望 憲法手続き順守に期待=カービー氏 | ロイター
中国、公務員に10年ぶり大幅賃上げ 経済活性化策の一環 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
ラスベガスでのテスラ車爆発、容疑者はPTSD-テロでないとFBI - Bloomberg
米ラスヴェガスの車爆発、容疑者の軍人がPTSDに苦しんでいた可能性 - BBCニュース
市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(3日) 株価反発、ドル下落 利回り上昇 | ロイター
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為替市場:**  
ドルは下落したものの、週間では1カ月ぶりの大幅上昇を見込む。  
ドル指数は0.28%安だが、週間で0.85%上昇の見込み。  
ユーロとポンドは日次で上昇、週間ではそれぞれ1.22%安と1.15%安。  
ドル/円は157.11円で推移、中国人民元は1年超ぶりの安値。
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債券市場:**  
米国債利回りは高水準を維持。来週発表の雇用統計を注視。  
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年債、10年債、30年債の利回りはいずれも小幅上昇。  
来週、財務省は総額1,190億ドルの国債入札を予定。  
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株式市場:**  
米主要株価指数は反発。ただし週間では小幅下落。  
テスラやエヌビディアが上昇を牽引、一般消費財セクターが最大の上昇率。  
米スチールは日本製鉄による買収阻止の影響で下落。  
マイクロソフトはAI関連の投資計画を発表。  
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商品市場:**  
金先物は利食い売りで反落、根強いインフレが背景。  
原油先物は寒冷天候や中国の景気刺激策期待で5日続伸し、2カ月半ぶりの高値。
欧州市場サマリー(3日) | ロイター
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ロンドン株式市場:**  
- FTSE100
種指数は反落し、約半月ぶりの大きな下落率。週間では0.91%高で2週連続上昇。  
- FTSE250
種指数は日次で0.24%安、週間で0.50%高。  
酒造大手ディアジオが3.9%下落し、FTSE350飲料株指数を3.35%押し下げた。  
石油・ガス株指数は原油価格上昇の影響で1.45%高。  
英小売協会のデータでは2024年の来店者数が前年から2.2%減少。  
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欧州株式市場:**  
欧州株式市場も反落。高級品株やアルコール飲料大手が下落し、相場を押し下げた。  
中国経済や対米貿易摩擦への懸念が背景。高級品関連指数は2.65%安。  
フランスCAC40指数は1.51%安。  
ステランティスや蒸留酒大手ダビデ・カンパリなどが下落。  
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ユーロ圏債券市場:**  
ドイツ10年債利回りは2.40%と約6週間ぶりの高水準。  
ドイツ失業率が予想を下回り、景気低迷への若干の支援材料に。  
イタリア10年債利回りも上昇し、独伊利回り格差は拡大。  
フランスの2025年予算案の遅れが政治リスクとして懸念されている。
市場全体で、アルコール飲料業界の下落や中国経済懸念、欧州債券利回り上昇が主な焦点となっています。
備忘録(2025/1/2
海外企業決算
●海外企業
テスラ、年間販売台数が過去10年余りで初の減少-株価下落 - Bloomberg
モルガン・スタンレーも脱退表明-銀行業界の気候変動対策グループ - Bloomberg
シティとバンカメもNZBAから脱退=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
日本企業
トヨタ、トランプ氏の動向焦点 国内300万台維持なるか 中部展望2025① - 日本経済新聞
日鉄の新提案、「失敗する運命」-全米鉄鋼労組が確約の欠如を批判 - Bloomberg
全米鉄鋼労働組合(USW)は日本製鉄が提示したUSスチール買収計画を巡る新たな案について、将来の生産維持を確約しない望み薄の試みだと指摘した。日鉄による最新の提案は、141億ドル(約2兆2200億円)規模の買収計画でバイデン米大統領の承認を得るための最後の取り組みとみられている。
USWは日鉄が示した新提案への対応として、組合員向けの声明をウェブサイト上で発表した。ブルームバーグ・ニュースは今週、日鉄がUSスチールの生産能力削減に関して米政府に拒否権を与えることを提案したと報じた。
USWは「報道によると、日鉄は生産能力の監視を認めるとしているが、長期的な生産維持や国内の統合施設における生産能力の強化を確約するものではない」と批判。「生産能力の保護とは、設備を休眠状態にし、再稼働が不可能になるほど劣化させることを意味するだけだ」と指摘した。
日鉄の提案は、対米外国投資委員会(CFIUS)が提起した懸念への対応が目的とされる。CFIUSは先週、日鉄によるUSスチール買収は米鉄鋼生産の減少につながると指摘していた。CFIUSは意見がまとまらず、最終判断はバイデン大統領に委ねられた。バイデン氏は以前から同計画への反対を示唆している。
デービッド・マッコール会長らによるUSWの声明は「これは、いちかばちかの『ヘイルメアリー』パスに他ならず、失敗する運命にある」と指摘した。
USスチールは直ちにはコメントを発表しなかった。日鉄の代表者は、USWが代表する施設から生産を移転する計画はないとの以前の声明を繰り返した。
CFIUSの報告を受けてから15日以内に決定を下すことになるバイデン大統領は、USスチールが引き続き国内で所有され、運営されるべきだと繰り返し述べてきた。
先進国政治動向
マスク氏、英国に解散総選挙を訴え-ドイツに続く同盟国への介入発言 - Bloomberg
米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は英議会を解散し総選挙を実施するべきだと呼び掛けた。トランプ次期米政権がスターマー英政権に与える悩みの種が、また一つ増えた格好。
マスク氏は1月20日に大統領に就任するトランプ氏と親しく、率直な物言いで知られるアドバイザーでもある。マスク氏は1日夜、自身が所有するソーシャルメディア「X」に連投し、英政府批判を展開。政界入り前に検察局長だったスターマー氏の実績に疑問を呈し、極右活動家のトミー・ロビンソン受刑者(本名スティーブン・ヤクスリーレノン)の釈放を訴えた。マスク氏は英国を「唯一救済」できるのは、ナイジェル・ファラージ氏の「リフォームUK」だと述べた。
スターマー氏の労働党は7月4日の総選挙で圧勝したが、最近の世論調査で支持率が落ちている。マスク氏はこの世論調査を踏まえて、解散総選挙を訴えた。与党労働党は議会で単独過半数を制しており、あと4年半は選挙の必要がない。
資産家マスク氏がソーシャルメディアを通じて英政府を攻撃するのは、これが初めてではない。同氏はトランプ次期政権で新設される政府効率化省(DOGE)の共同トップに起用されている。米国にとって主要な同盟国、英国に対し繰り返されるマスク氏の攻撃は、米英の「特別な関係」を曇らせる恐れがある。
マスク氏、ドイツ極右政党党首とXで対談か 10日開催との情報 | ロイター
先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
ユーロ圏製造業PMI、12月改定45.1で速報小幅下回る 受注振るわず | ロイター
S&Pグローバルがまとめた12月のユーロ圏HCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.1となり、速報値の45.2を小幅下回った。
11月は45.2。2022年半ば以降50を下回っている。
生産高指数は44.3で11月の45.1から低下した。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「12月も製造業はホリデー気分で盛り上がらなかった。新規受注は過去2カ月よりもさらに低下し、早期回復への期待を打ち砕いた」と指摘。「この見方は、受注残の低下加速でも裏付けられる」と述べた。
新規受注指数は50を一段と下回り3カ月ぶりの低水準。受注残指数は42.9から42.0に低下した。
製品価格指数は4カ月連続で低下、今年の楽観的見方は改善、雇用は再び削減された。
英製造業PMI、12月改定値は47.0 11カ月ぶり低水準 | ロイター
独製造業PMI、12月改定値は42.5へ低下 景気回復の道筋見えず | ロイター
S&Pグローバルがまとめた12月のドイツのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は42.5と、前月の43.0から低下し、速報値と一致した。
生産と新規受注が大幅に減少し、ドイツが近い将来低迷から抜け出すめどが立っていないことが示された。
ハンブルグ商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「製造業の状況は依然としてかなり厳しい」と指摘。「生産は急激に減少し新規受注も低迷が続いている。製造業が短期的にリセッション(景気後退)から抜け出せないことは明らかだ」と述べた。
特に中間財部門はここ1年で最も急激な落ち込みを見せており、投資財部門も状況はあまり良くないと語った。
製造業の雇用者数は、企業が需要減に対応したことで18カ月連続の減少となったが、マイナス幅は8月以来の水準へ縮小した。
投入資材の価格が引き続き低下し納期も改善したものの、政局の不透明感や建設・自動車セクターの問題により、製造業者の成長期待は依然として低迷している。
デラルビア氏は、2月の総選挙後にドイツに新政権が誕生し、投資と消費に対する慎重姿勢が変化すれば、景況悪化の傾向は2025年後半に終わる可能性があるとの見方を示した。
「しかし、この見方を数字で裏付けるのは難しい。将来の生産を示す指数は50をわずかに上回る程度だ。企業が1年後に現在よりわずかに多く生産すると予想しているに過ぎない」と語った。
米新規失業保険申請は9000件減の21.1万件、8カ月ぶり低水準 | ロイター
米労働省が19日発表した12月28日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比9000件減の21万1000件となった。エコノミスト予想は22万2000件だった。
2024年4月以来、8カ月ぶりの低水準となり、労働市場が依然として堅調であることを示唆した。
地域別では、カリフォルニア州とテキサス州で季節調整前の申請件数が急減。一方、ミシガン州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州、オハイオ州、マサチューセッツ州、コネチカット州では大幅に増加した。
4週間移動平均は3500件減の22万3250件となった。申請件数は年末にかけて変動する傾向がある。
12月21日までの1週間の継続受給件数は5万2000件減の184万4000件だった。
継続受給件数の高止まりについて、エコノミストらはデータから季節変動を除外するのが困難であることを一因に挙げている。
LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「サービス部門のインフレが継続する中、労働市場が安定していることで、連邦準備理事会(FRB)の積極的な利下げ意欲が抑制される可能性がある」と述べた。
金融市場、先進国トピックス
米財務省へのサイバー攻撃、制裁当局などが標的=米紙 | ロイター
米紙ワシントン・ポスト紙は1日、今週報じられた中国政府系ハッカーの米財務省へのサイバー攻撃について、財務省で経済制裁を所管する部署などが標的だったと報じた。
匿名の米当局者の話として、経済制裁を所管する外国資産管理室(OFAC)、金融調査局(OFR)、イエレン財務長官の事務所も攻撃されたと伝えた。
財務省は今週、中国政府が背後にいると疑われるハッカー集団が昨年12月に財務省のコンピューターに侵入し、非機密文書を盗み出したと議会に文書で報告したが、被害にあった部署は明らかにしていなかった。
ワシントン・ポスト紙は情報筋の話を引用し、中国政府が最も関心を寄せているのは、米国政府が金融制裁対象とすることを検討している可能性のある中国企業だろうとしている。
在ワシントン中国大使館の報道官は、ワシントン・ポスト氏の報道について、米国の「不合理な」主張は「事実無根」であり、北京に対する「中傷攻撃」だと指摘。「(中国は)あらゆる形態のサイバー攻撃に対抗する」と述べた。
中東情勢
イスラエルのガラント前国防長官、国会議員を辞任 | ロイター
2025年にこの地域を平和に近づける方法|ARAB NEWS
中東の激動の基準から見ても、2024年はガザ、シリア、レバノン、ヨルダン川西岸地区で地殻変動が起きた。ガザでは数万人が殺され、数百万人が家を失った。戦争犯罪や人道に対する罪に対する免罪符が、加害者たちをますます残虐な行為に駆り立てた。シリアでは、バッシャール・アサドが、13年にわたる内戦を頂点とする24年にわたる悲惨な支配の末、逃亡を余儀なくされた。レバノンでは、イスラエルがヒズボラの指導部を壊滅させ、権力への支配力を弱めた。イスラエルの無差別戦闘のドクトリンに従い、民間人が大量に犠牲になった。
2024
年の最も悲惨な出来事は、ガザの殺戮の場であり、これは2025年まで続きそうだ。202310月以来、45,000人以上のパレスチナ人が殺害され、そのほとんどが女性と子どもだった。さらに約10万人が負傷し、なかには障害を負った者もいる。その他大勢の人々が行方不明になっているか、破壊された家の瓦礫の下に埋もれている。
世界保健機関(WHO)は10月、ガザの人口230万人の6%以上が死亡または負傷したと推定した。
国連は、ガザの給水・衛生施設の70%近くが破壊または損壊したと推定している。これには、ガザにある5つの廃水処理施設すべてと、海水淡水化施設、下水ポンプ場、井戸、貯水池が含まれる。ガザの住民のほぼ全員が強制的に避難させられており、中には何度も避難させられている者もいる。
イスラエルは、ガザ地区へのすべての入口を掌握しているため、援助の流れが著しく妨げられている。例えば、国連が106日から1125日の間に、包囲されたガザ北部に援助を届けようと試みた91件のうち、82件が拒否され、9件が妨害された。北部に残っていると推定される65,000人から75,000人の生存条件は低下している。飢餓はすでにガザの多くの地域で犠牲者を出し、飢饉が迫っている。
イスラエルは、ガザのパレスチナ人を意図的に飢餓状態に陥れ、強制的に集団で避難させるという、ジュネーブ条約上の戦争犯罪に加え、無差別爆撃や非武装の民間人、病院、学校、難民キャンプ、避難所などを標的にした爆撃など、国際人道法の重大な違反行為を行ってきた。国際刑事裁判所が11月、ベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアフ・ガラント前国防大臣の逮捕状を発行したのは、こうした戦争犯罪や人道に対する罪のためである。
ネタニヤフ首相が率いるイスラエル政府は、イスラエルとこの地域がこれまでに経験したことのないような卑劣な閣僚たちによって構成されており、アメリカの全面的な支援によってこの大量虐殺キャンペーンを行った。バイデン政権は、ネタニヤフ首相の極端な戦術の一部には同意できないとの声を頻繁に上げていたが、物質的には彼を支援し、国連の非難から彼を守り続けた。
ジョー・バイデン大統領は、50年以上政治に携わってきた完璧な政治家だが、ガザでのイスラエルの傍若無人な振る舞いを和らげるために、その絶大な影響力を行使することはできなかった。彼の政権はまた、飢餓に苦しむパレスチナ人への援助を認めるようイスラエルを説得することにも失敗した。
米国の選挙キャンペーン中にバイデン氏がイスラエルを懲らしめるのは難しいだろうと主張された。しかし、選挙が終わると、国連がガザ国内の状況を改善しようとするたびにイスラエルを野放しにするという、不誠実なアプローチを続けた。
バイデン氏が120日に退任するまでは、正しいことをするのに十分な時間と権力があると主張する人は多い。現在ランド研究所にいるジョナ・ブランク氏は、バイデン氏の顧問を10年間務めた。彼は、「パレスチナの苦しみを和らげ、2国家間解決の可能性を維持するために、バイデンが任期最後の数週間に取ることのできる3つのステップがある」という。
第一に、パレスチナの国家化を認めることだ。第2に、国連安全保障理事会で2国家間解決に関する決議案を提出することだ。第三に、武器移転に関する米国の現行法を施行することである。これら3つの行動はバイデン氏の行政権の範囲内であり、ブランク氏が明言したように、「破局に向かって突き進んでいる」中東の危機の流れを変える可能性がある。
このような行動は、中東政策の失敗だけでなく、大統領選挙と連邦議会選挙で民主党を敗北に追い込んだバイデン氏のレガシーを救うことができるだろう。これは2024年の最も重要な瞬間のひとつだった。
米国の選挙専門家によれば、バイデン氏は当初、民主党の長老たちの判断に反して再選出馬にこだわったことが敗北につながったという。ドナルド・トランプ氏との大統領選討論会での散々なパフォーマンスの後、バイデン氏は2期目の立候補を断念するよう促された。彼はしぶしぶ同意したが、民主党の選挙戦を救い出すには遅すぎた。
民主党は、トランプ氏率いる共和党があらゆるところで大敗を喫し、競馬で言うところの3連単、あるいはスーパー3連単を獲得したことで、バイデン氏を責めた。共和党は説得力を持ってホワイトハウスと上院をひっくり返し、下院では過半数を維持した。共和党はすでに最高裁判所でも多数を占めており、行政、立法、司法の三権を掌握している。120日以降、彼らは長期にわたって連邦政府の様相を変える立場になる。
少なくとも今後4年間は、アメリカの同盟国、パートナー、敵対国は、ワシントンのこの変わり果てた状況に対処する必要がある。しかし、今後数週間はバイデン氏が主導権を握っており、彼がその気になれば歴史を塗り替えることができる。分派ではなく、パレスチナ自治政府のもとで再建とヨルダン川西岸地区との再統合のプロセスを開始するためには、ガザでの恒久的な停戦が必要だ。
ガザ紛争以外にも、ホワイトハウスと議会の衛兵交代に伴い、米国の地域政策にずれが生じないよう、トランプ大統領就任までの数週間の間にホワイトハウスが対処すべき危機がある。その中には、ヨルダン川西岸地区、レバノン、シリア、イエメンが含まれる。幸いなことに、これら4つの危機のいずれにおいても、なすべきことについてのコンセンサスがあり、国連安保理決議も存在する。
イスラエル政府と入植者たちは、パレスチナ人を自分たちの土地から追い出すという明確な目的のもと、パレスチナ人への攻撃を強めている。何百人ものパレスチナ人が殺され、彼らの家や農場が破壊されたり、焼き払われたりしている。
ヨルダン川西岸地区の危機を打開する唯一の方法は、占領を終わらせ、パレスチナ国家を樹立することであることは明らかだ。すでに約150カ国がパレスチナを国家として承認しており、国連決議やアラブ和平イニシアチブにおいても、この解決策のパラメーターについて明確なコンセンサスが得られている。
9
月、サウジアラビアはノルウェー、アラブ連盟、EUとともに「二国家解決実現のためのグローバル・アライアンス」を発足させた。同同盟の第1回会合は1030日にリヤドで開催され、90の国や組織が参加した。第2回会合は1128日にブリュッセルで開催され、第3回会合は1月にオスロで予定されている。米国はこれらの会議に参加し、同盟への支持を表明した。イスラエルを説得するためにもっと努力する必要がある。
2に、レバノンでは、60日間の一時停戦が合意されたことは幸先の良いスタートであったが、リタニ川以南のレバノン領土から国連レバノン暫定軍とレバノン治安部隊を除く全軍の撤退を求めた2006年の国連安保理決議1701の履行によって、より強固なものにする必要がある。
第三に、11月下旬にトルコの支援を受けたシリア人グループによるアレッポとその周辺地域への奇襲攻撃は、アサドの失脚とダマスカスでのイスラム新政権の樹立という結果に終わった。この攻撃の動機の大部分は、国連とアラブ連盟が仲介する政治プロセスの行き詰まりにあった。
2015
12月、国連安保理は全会一致で決議2254号を採択し、シリアの危機を解決するためのロードマップを示した。アサド政権が国連特使ゲレ・ペダーソン氏に協力しなくなったため、その実施をめぐる協議は停滞した。代わりに内戦が激化し、数十万人の命が奪われ、シリアの人口の半分が家を失った。
2023
5月、アラブ連盟はアンマンでアサド政権と政治プロセス再開の合意に達したが、その後、アサド政権はその合意に従うようアラブ連盟の嘆願を無視した。
アサドの緊密な同盟国であるイランとヒズボラが弱体化し、アサドの第三の同盟国であるロシアが気をもんでいたことが、武装勢力が電撃作戦を成功させる決断を下す一因となった。10月、アサド軍は反体制派が支配するイドリブ県を再び空爆し、反撃の決断を早めたと思われる。
シリアの情勢は現在流動的だが、新政権は、荒廃したシリア経済の再建に焦点を当てた包括的な政府を樹立する意向であることを、シリア国民と外部世界を安心させようと躍起になっているようだ。
4に、イエメンでは国連主導の和平プロセスも停滞している。フーシ派が国際海上貿易を妨害し、船舶を攻撃することで政治的地位を向上させる道を選んだからだ。ここでも、紛争の平和的解決のための主要なパラメーターを定めた明確な国連安保理決議(国連憲章第7章に基づいて採択された2015年第2216号)がある。
バイデン政権はこれらすべての問題に取り組んできた。しかし、時間が重要である。新政権に首尾一貫した対応を引き継ぐためにも、残り少ない任期を利用して、少なくともその一部を終わらせる必要がある。
●エマージング
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財新・中国製造業PMI、12月は50.5に低下 市場予想下回る | ロイター
財新/S&Pグローバルが2日発表した12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、50.5と前月の51.5から低下し、市場予想の51.7も下回った。
貿易見通しへの懸念から海外からの受注が減少し、全体の売り上げを押し下げた。
新規受注の伸びが鈍化したため、生産を示す指数は3カ月ぶりの低水準となった。世界経済の低迷と米国の関税政策が中国経済に大きなリスク要因となっている。
製造業者の2025年の生産に対する楽観的な見方は維持されたが、楽観度は9月以来の低水準となった。成長と貿易の見通しに対する懸念が新製品の投入と政策主導の売り上げ増加期待に重しとなっている。
また12月は購買品在庫の伸びが鈍化し、完成品在庫が積み上がった。
従業員数は4カ月連続で減少したが、減少幅は11月より小幅だった。
購買価格が上昇する一方で、製品価格は9月以来の下落となった。
調査対象企業はコスト上昇を吸収し、販売価格をさらに引き下げて売り上げを支えたと回答した。輸出費用も減少した。
財新智庫のエコノミスト、王哲氏は、「今年は外部環境がより複雑になることが予想され、早期の政策準備と迅速な対応が求められる」と述べた。家計収入を増やし、人々の生活を改善するための政府の取り組みが必要と指摘した。
中国株、年初として2016年以来最大の下落-終値2.9%安 - Bloomberg
中国株は今年、ここ10年近くで最悪のスタートを切った。製造業データが予想を下回ったほか、追加関税賦課が予想されていることで、投資家は経済の不確実性に身構えている。
中国本土株の指標であるCSI300指数の2日終値は2.9%安。年初の取引として2016年以来最大の下落率を記録した。香港上場の中国本土企業から成るハンセン中国企業株(H株)指数は一時3.1%安となった。
中国株は昨年、年間として20年以来初めて上昇を記録した。投資家によると、慎重なセンチメントの背景には、予想を下回った財新製造業購買担当者指数(PMI)などさまざまな要因がある。24年の最終取引日ではCSI300指数が大きく下げ、注視されていたテクニカル上の節目である60日移動平均も下回った。これが一部ファンドによるさらなる売りを招いた可能性が高い。
一方、中国工商銀行や中国農業銀行など一部の大型金融株が配当落ちとなったことも、CSI300指数の下げを悪化させた。
ロンバード・オディエ・シンガポールのシニアマクロストラテジスト、ホーミン・リー氏は「12月の政策会議で中国当局から明確な景気刺激策のシグナルが発せられた後にこうした状況になっている。投資家が慎重姿勢で新年をスタートするのは少し厄介だ」とした上で、「中国について基調的な勢いはなおかなりぜい弱であり、中期的なデフレのリスクに関する論調を変えるには、当局による一定の取り組みが必要だろう」との見方を示した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
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市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(2日)株価続落、ドル上昇 利回りまちまち | ロイター
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為替市場**  
ドルが2年ぶりの高値を更新。米経済の堅調さと金利の相対的な高さがドル高を支える要因。ユーロは1.025ドル、ポンドは1.2368ドルとそれぞれ大幅に下落。市場ではECBが今年4回以上の利下げを予測する一方、FRBの利下げは不確実。
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債券市場**  
取引は薄く方向感に欠ける中、10年債利回りは4.567%。今後の雇用統計や国債入札が注目される。
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株式市場**  
米株式市場は続落。テスラが前年比1.1%減の販売台数発表で急落、他の主要株も影響を受けた。一方、仮想通貨関連株はビットコインの上昇で値上がり。
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金市場**  
金価格は1オンス=2669ドルに上昇。地政学リスクや安全資産需要が影響。
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原油市場**  
WTI
原油価格は1バレル=73.13ドルに上昇。中国の経済回復期待が背景だが、在庫増加の影響で売り圧力も一部あり。
全体として、米経済の堅調さと中国の景気回復期待が市場に影響を与えつつ、地政学リスクや在庫動向も注目されています。
欧州市場サマリー(2日) | ロイター
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ロンドン株式市場**  
続伸し、FTSE100種指数は約半月ぶりの高値。上昇率は20241122日以来の大きさ。  
- FTSE250
種指数も0.09%高で一時高値を記録。  
貴金属株指数は4.61%上昇。金価格高騰が背景。  
石油・ガス株指数は2.22%高。中国の景気刺激策期待で原油価格が上昇。BP2.6%、シェルは2.1%上昇。  
住宅建設株指数は0.92%下落。英製造業PMI11カ月ぶり低水準で、雇用削減が示唆された。  
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欧州株式市場**  
石油・ガス株が相場を下支えし続伸。石油・ガス株指数は2.35%高。  
公益事業株指数1.58%、航空宇宙・防衛指数1.46%上昇。  
自動車・部品株指数は0.61%下落。欧州高級品株指数も0.41%下落。  
ユーロ圏製造業PMIは速報値を下回る45.1で、回復の兆しなし。  
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ユーロ圏債券市場**  
薄商いの中で国債利回りが小幅低下。  
ドイツ10年債利回りは1.5bp低下、イタリア10年債利回りも約1bp低下。  
欧州では政策金利の引き下げ予想が利回り低下を支える見通し。

 

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