2024年12月1日日曜日

備忘録(24/12)

備忘録(2024/12/19
●海外企業決算
ナイキ決算が予想上回る、新CEOの電話会議に投資家注目 - Bloomberg
スポーツウエア最大手、米ナイキの9-11月(第2四半期)決算はアナリスト予想を上回り、新最高経営責任者(CEO)のエリオット・ヒル氏は就任後初の決算電話会議で明るい展開を示す機会を得た。
売上高は123億5000万ドル(約1兆9400億円)と、アナリストの予想平均を上回った。一部項目を除いた1株当たり利益も予想より高かった。
株価はニューヨーク時間19日引け後の時間外で一時12%上昇した。この日の終値の時点で年初来29%下げていた。
決算報告が示唆しているのは、安定を取り戻しつつあるナイキの業績だ。エアフォース1などライフスタイルシューズの需要が落ち込んでいるほか、新製品や新しいデザインの少なさも響き、売上高はこれまで低迷していた。同社は販売不振を反転させようと取り組んでいる。
それまで引退していたベテラン元ナイキ社員のヒル氏は、10月にCEOに就任。この日初めてアナリストらとの電話会議に臨む。業績改善へどのような起爆剤を計画しているのか、投資家は関心を寄せている。同氏は就任以来、上級経営陣を刷新し、業務の優先事項を調整、人事と法務、スポーツマーケティングで新しいリーダーを任命したほか、デジタルスニーカー事業を閉鎖した。
[LEN] レナー 2024年11月通期は増収 売上高4%増354億ドル、純利益微減39.3億ドル、EPS14.46ドル - 株探(かぶたん)|米国株
レナー、決算受け時間外で8%下落=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[FDS] ファクトセット 1Q増収増益 売上高5%増5.68億ドル、営業益1%増1.91億ドル、EPS3.89ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CTAS] シンタス 2Q増収増益 売上高8%増25.6億ドル、営業益18%増5.91億ドル、EPS1.09ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NKE] ナイキ 2Q減収最終減益 売上高8%減123億ドル、純利益26%減11.6億ドル、配当0.40ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[FDX] フェデックス 2Q減収減益 売上高1%減219億ドル、営業益18%減10.5億ドル、EPS3.04ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
印当局、酒類大手ペルノとABインベブ捜索 価格共謀か=関係筋 | ロイター
インテル、傘下のアルテラ部門売却で候補企業を絞る-関係者 - Bloomberg
米半導体メーカーのインテルはプログラマブルチップ部門アルテラの売却を巡り、次段階の入札に進む企業を絞った。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者によれば、同業ラティス・セミコンダクターのほか、フランシスコ・パートナーズやシルバーレイク・マネジメントなどのプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社が2次入札に進んだ。情報の部外秘を理由に同関係者が匿名で明らかにした。
アルテラは低消費電力のプログラマブル半導体の設計を手掛けている。同部門売却に向けたプロセスは、最高経営責任者(CEO)の座を事実上解任されたパット・ゲルシンガー氏によって始められた。
アポロ・グローバル・マネジメントやベイン・キャピタルもアルテラ買収に関心を示していると、同関係者は話す。
インテルは売却先となり得る企業に対し、来年1月下旬までに正式な提案を示すよう伝えているという。他の候補が浮上したり、売却が実現しないこともあり得ると関係者は述べた。
●日本企業
明治安田生命、積立保険と学資保険の予定利率引き上げ - 日本経済新聞
TOPPANHD、米包装大手の子会社買収 2700億円 - 日本経済新聞
日鉄、カナダ鉱山の権益3割取得 電炉向け鉄鉱石確保へ | ロイター
鴻海の関潤氏、日産株主のルノーとフランスで協議中-中央通信社 - Bloomberg
【コラム】ホンダと日産の統合案、ようやく訪れた最適解-リーディー - Bloomberg
経営難に陥った日産自動車はようやく、ホンダという永続的なパートナーを得られるかもしれない。日産が仏ルノーによって救済されたのは四半世紀も前のことだ。救済者から一転して逃亡者となったカルロス・ゴーン氏の衝撃的な逮捕からは6年、ホンダと日産の最初の統合提案からは5年が経った。
日産とホンダは23日にも経営統合の協議入りを正式に発表する可能性がある。これはまさに、一足早いクリスマスプレゼントと言えるだろう。統合案には多くの問題があるものの、あり得る選択肢であることは間違いない。これ以外の代替案はかなり見劣りする。
日本の自動車産業が崩壊しているわけではない。実際、トヨタ自動車は過去4年にわたり世界最大の自動車メーカーだ。競合他社が電気自動車(EV)への参入を急ぐ中、ハイブリッド車(HV)にこだわってきたトヨタはますます賢明に見える。これは特に米国で言えることだ。トランプ次期政権はEV支援を削減し、中国からの自動車および部品の輸入阻止を準備をしていると言われている。  
それでも日産は苦戦を強いられている。数十億ドル規模の社債は約1年で償還期限を迎える。ホンダと同じく、移ろいやすい中国市場への過度な依存は危険であることに気づいている。日産には選択肢も協力者も不足している。日産とルノーの提携は、当初から双方にとって不都合なものであり、それをまとめていたのはゴーン氏の強烈な個性だった。  
独立志向の強いホンダが正しい選択だろうか。 日産、ホンダ統合協議のニュースが最初に伝えられた後、台湾の鴻海精密工業が日産の経営権取得を模索していたことが報じられた。興味深い選択だが、かつて日産のナンバー3だった関潤氏が鴻海でEV事業の最高戦略責任者であることを考慮すると納得がいく。しかし大きな野望を抱きながらも自動車業界の経験が浅い鴻海では、ルノーと大差はないかもしれない。鴻海が取得したシャープはここ2年間で巨額の損失を計上し、テレビ用パネルの生産から撤退することになった。
マツダやスズキなど、残る国産メーカーはいずれもトヨタと結びついており、日産には選択肢がほとんどない。日産が筆頭株主の三菱自動車もいずれは今回の統合に加わることになると思われる。
つまり、日産とホンダの統合が実現すれば、日本の自動車業界は二大陣営に集約されることになる。この取引が歓迎されるべき根拠の一つだ。
理想とは程遠いものになるのは間違いないだろう。より大規模なホンダと日産が対等の立場を与えられるような面子を保てる統合になるのか、懐疑的になるのは当然だ。規模の異なる企業が尊厳を保つ形で提携することは、長年にわたり日本の企業合併・買収(M&A)では一般的だったが、すぐに主導権争いにつながった。
このほかにも今回の統合案が弱者の立場から進められ、鴻海による買収を回避すべく焦って進められている可能性があることも懸念材料だ。日本政府当局者が5年前、両社に最初に合併案を持ちかけた際に動いていたら状況はもっと良好だっただろう。
日産とホンダは部品などでのシナジー効果はあまり期待できない。しかし、両社に選択の余地はあまり残されていない。小規模メーカーが淘汰される時代にあって、統合が実現すれば販売台数世界3位の自動車メーカーになることでの恩恵も受けられるだろう。ゴーン氏失脚後の権力の空白と幹部人事の混乱を経てきた日産はとりわけ、ホンダの安定した経営から恩恵を受ける可能性がある。また日産は、ホンダがソニーグループと提携して立ち上げたEV事業にも参画できるかもしれない。
結局のところ、自動車を選ぶ時と同じで、完璧な答えなど存在しない。ニーズに合った最適な答えを選ぶしかないのだ。
日本製鉄、反対派説得へ最後の努力 USスチール買収で - WSJ
100年以上の歴史を持つ米鉄鋼大手USスチールの工場に面した会議室で、日本製鉄の森高弘副会長兼副社長は、新たなオーナーの下での工場の次なる章についてビジョンを示した。
鉄鋼労働者や市の指導者らに囲まれ、森氏は先週、インディアナ州ゲーリーにあるUSスチール最大の製鉄所に9億5000万ドル(約1470億円)近くを投資すると約束した。日鉄はまた、USスチールの全従業員にボーナスを提供すると表明した。ゲーリーの従業員に対する支払額は計2000万ドルとなる。
森氏は市庁舎で支持を得ていた。しかし、取引の行方を握る政治指導者がいる首都ワシントンでは同じような幸運に恵まれていない。
日鉄がUSスチールを141億ドルで買収すると発表してから1年が経過した。買収計画は政治家や労働組合指導者からの反対、そして投資家からの懐疑的な見方に直面している。鉄鋼市場が低迷する中、買収を巡る安全保障審査の期限が迫っている。
ジョー・バイデン米大統領はまだ正式に買収を阻止していないが、ホワイトハウスは先週、USスチールが国内で所有・運営されるべきだという大統領の立場を改めて表明した。ドナルド・トランプ次期大統領も同様に、ペンシルベニア州ピッツバーグを拠点とする同社が外国企業に売却されることに反対しており、2日にはソーシャルメディアへの投稿で「買収者は注意せよ!」と日鉄に警告した。
USスチールに対する投資家心理は悪化している。17日の株価終値は31.94ドルと、9月以来の安値となり、4月に株主が承認した買収価格(1株当たり55ドル)を大きく下回った。
USスチールのデーブ・ブリット最高経営責任者(CEO)は、買収が実現しなければ、日鉄の提示内容に匹敵するような投資は見込めず、工場を閉鎖し、本社をピッツバーグから移転する可能性が高いと警告している。
労組の反対
日鉄による買収計画は、USスチールの主な競合相手である米クリーブランド・クリフスを含む複数の買い手候補による数カ月間の競り合いの末、昨年12月に発表された。
全米鉄鋼労働組合(USW)は発表から数時間後、USスチールを「国内で所有・運営」することができなかったとして、この取引を非難した。
USスチールの時間給従業員約1万人を代表する労組は、何年もの間、レイオフや、同社がアーカンソー州の労組非加盟工場に生産をシフトしたことに反発してきた。東京を拠点とする日鉄が、他の場所にある日鉄の工場から鉄鋼を輸入できるように、USスチールの生産能力を低下させる可能性があると主張した。
日鉄の森氏は、数カ月にわたって労組の主張を否定してきた。「われわれは、鉄鋼業はローカルビジネスであり、米国の顧客は米国で生産された鉄鋼を受け取るべきだと考えている」と先週述べた。
森氏は、市長、州知事、そして特に鉄鋼労働者組合の組合員からの支持を得るために粘り強く取り組んでいる。USWのデーブ・マッコール会長の根強い反対を和らげようと、雇用の確保、買収完了時の5000ドルのボーナス支払い、老朽化が進む工場への約30億ドルの投資を約束している。
労組指導者らは、日鉄のボーナス支払いについて「単純に賄賂」だと非難した。
労組の反対姿勢は、日本が米国の最も近い同盟国の一つであるにもかかわらず、共和・民主両党が同計画に反対する一因となっている。連邦機関の委員会が米国の国家安全保障に対するこの取引のリスクを評価しており、12月23日が作業完了の期限となっている。委員会の報告書は、バイデン氏が同計画を阻止する根拠となる可能性がある。
取引が破談となれば、USスチールは短期的には、単独で売り上げと利益を伸ばすのは難しいだろう。鉄鋼価格は1年前から約40%下落している。より安価な鉄鋼がまだ十分に入手可能な中、今年の春以降、買い手は鉄鋼メーカーの値上げを繰り返し拒否している。
アリゾナ州フェニックスを拠点とする鉄鋼・アルミニウム流通業者、フラック・グローバル・メタルズのジェレミー・フラックCEOは「昨年のこの時期、鉄鋼価格は高騰していたが、今年は落ち込んでいる」と述べた。
業界アナリストらは、取引が阻止された場合、鉄鋼価格の下落と製造業の需要低迷を背景に、USスチールが他の資金力のある買収希望者から高額のオファーを引き付ける可能性は低いと指摘した。
「良い取引」
労組と日鉄の1年にわたる対立は、USスチールの従業員と製鉄所がある地域を代表する政治指導者を分断している。
先週、数百人の労組組合員がピッツバーグ近郊にあるUSスチールのモンバレー製鉄所に集まり、買収計画への支持を表明した。同じ日にゲーリーでは、森氏が市のトップから支持を取り付けた。
USスチールは1906年、当時の会長にちなんで名付けられたゲーリーを、同時に建設中だったミシガン湖南岸の製鉄所と対をなす計画都市として設立した。
ゲーリーのエディー・メルトン市長は、取引が破綻すれば一部の古い工場が閉鎖されるとUSスチールが警告したことが、日鉄を支持する決定の要因になったと述べた。
「ゲーリー市にとって、このパートナーシップは非常に重要な意味を持つ」と市長は語った。「全ての人にとって良い取引だ」
買収計画を支持する労働者の中には、日鉄と交渉せず、製鉄所が閉鎖されれば数千人の雇用を危険にさらすとして、USWのマッコール会長を批判する人もいる。
クレーン操作を担当する勤続7年のマット・アルベンシ氏は「日鉄が提示しているもの以外に、雇用を維持できる投資はもう二度と現れないだろう」と話した。
一方で、モンバレー製鉄所で労組の苦情処理委員長を務めるデービッド・モーガン氏(50)のように、労組の強硬な姿勢を支持する人もいる。同氏は「必要な場合は今でも協力するが、間違いなく緊張関係にある」と述べた。モンバレー製鉄所の労組幹部は、日鉄を支持している。
USスチールで20年以上働いているモーガン氏は、日鉄の森氏がマッコール会長に拒否された後、対応を決めかねている労働者や工場レベルの組合幹部に訴えかけていることに反対しているという。「私には納得しがたい」と彼は語った。
ホンダと日産の統合協議、背景にチャイナショック - WSJ
中国の自動車メーカーの台頭により、各国の自動車業界は再編を余儀なくされている。ホンダと日産自動車の経営統合に向けた協議は、競争力を高めた中国メーカーの脅威に他国のメーカーが対応しようとする試みの最新の例と言える。
米国ではゼネラル・モーターズが今月、中国事業に関連して50億ドル(約7700億円)の特別損失を計上すると発表した。ドイツではフォルクスワーゲン(VW)が、複数の工場の閉鎖と何万人もの人員削減に踏み切る考えを示している。VWのこうした計画の背景には、中国での市場シェア縮小に伴う利益の減少がある。
中国の自動車産業に関する三つの基本的事実が、このような他国メーカーの動きを促した。現在中国で販売されている新車の半分以上は、完全な電気自動車(EV)かプラグインハイブリッド車(PHV、PHEV)だ。中国の自動車購入者の5人中3人は、中国ブランドの車を選んでいる。この比率は、中国が世界最大の自動車市場になってから最高の水準だ。
業界データによれば、中国の乗用車の輸出台数は2020年から23年の間に5倍になり、23年には410万台に達した。
中国の台頭が世界の政治・経済に変化をもたらしているが、自動車市場も例外ではない。同市場への中国の影響が表面化するのに時間がかかったのは、中国メーカーが技術・品質・デザイン面で劣っていたためだ。中国では多くのメーカーが国家の管理下に置かれている。
日産、ホンダ、GM、VWなど欧米および日本の自動車メーカーは長い間中国市場を支配し、利益を上げてきた一方で、中国のライバル勢が自分たちの牙城に迫ってきているとの恐れはほとんど抱いていなかった。GMは好調だった時期、中国のおかげで年間およそ20億ドルの利益を上積みできていた。
海外のブランドは、中国でEVとプラグインハイブリッド車がたった4年で人気になったことに驚いた。テスラが中国でEVに対する消費者需要に火を付けた後、とりわけ比亜迪(BYD)のような積極果敢な非公開企業がEV用電池や低コストでの製造、コネクテッドカー技術の分野をけん引する存在として台頭してきた。中国企業は今や、欧州、東南アジアや中南米での市場獲得を目指している。
中国で販売台数首位のBYDは「秦プラス」などの低価格のプラグインハイブリッド車を積極的に投入している。一部の広告によると、秦プラスの価格は補助金の効果もあって7000ドル(約110万円)からになっている。同社はまた、タイやハンガリー、ブラジルなどの工場にも投資している。
アナリストによると、ホンダと日産の経営統合は、EV技術や自動運転など中国が強い分野で2社が協力し、中国企業の動きに対抗することを目指したものだ。
統合後の企業は販売台数でトヨタ自動車とVWに次ぐ世界3位のメーカーになるが、みずほ銀行の主任研究員を務める湯進(タン・ジン)氏は規模だけで十分かは分からないと述べる。
湯氏は「EVやスマートビークル技術での大きな躍進がなければ、合併だけでは戦える企業になれないだろう。主要市場においては特にそう言える」と話した。
ホンダと日産は今年少しずつ接近し始め、電動化技術で協業する方針を明らかにしていた。
両社とも2020年代の初めは、全世界の自動車販売台数の3分の1超が中国での販売で占められていた。だが今年、両社の中国での販売台数は5年前の約半分の水準にとどまっている。
日産は米国での業績も低迷しており、より深刻だ。同社は先月、9000人規模の人員削減を行い、全世界での生産能力を20%縮小すると発表した。11月には、シンガポールを拠点とするアクティビスト(物言う投資家)のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが日産の株式を取得したことを明らかにした。
日産の投資家たちは、経営不振に陥っている同社に支援を当てにできるパートナーが出現するかもしれない状況を歓迎している。18日の東京株式市場で日産株は23.7%高で取引を終えた。一方、ホンダ株は3%安となった。
18日に株価が上昇する前、日産の株式時価総額は約80億ドル相当まで減少し、同社の今後についての臆測を呼んでいた。
事情をよく知る複数の人物によれば、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の委託製造企業として知られる台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)は日産の買収を検討してきた。まだ初期段階にある鴻海のEV事業拡大が狙いだという。鴻海は日産の自動車生産および設計の強みに特に関心を持っている。この件について、日産はコメントしなかった。鴻海の広報担当者もコメント要請に応じていない。
ホンダと日産の協議に詳しい人物によると、両社は定期的なアップグレードが必要なガソリン車を量産し続ける中で、取り組むべき新技術の幅広さに悩まされているという。ホンダや日産のような規模の企業が単独でインテリジェントカーや電動化の進歩に遅れずに対応するのは難しい、とアナリストは指摘する。
それでも経営統合となれば、企業風土が衝突する可能性や、競合する製品群など、統合自体に伴う問題も生じるだろう。ホンダと日産は、米国、日本、中国という同じ市場から売り上げの大半を得ている。両社とも日本の大衆車メーカーであり、ホンダのスポーツ用多目的車(SUV)「CR-V」と競合する日産の「ローグ」のように車種も類似している。
また、ホンダと日産が経営統合すれば、市場シェアを取り戻そうとすべきか、それとも両社の縮小した地位で守りを固めるべきかという同じジレンマに直面するだろう。
VWは、本国ドイツで痛みを伴うコスト削減を進める中でも、同社にとって最大市場である中国での投資や事業立て直しの意向を明確にしている。ここ1年ほどの間に、開発の期間と費用を圧縮するため、中国のサプライヤーから入手した中国製部品の使用拡大にシフトしている。同社はまた、中国の最先端技術を手に入れるため現地企業に何十億ドルも投資している。
●先進国政治動向
ドイツ極右AfDワイデル氏、選挙でEU離脱を訴え-インタビュー - Bloomberg
トランプ氏、つなぎ予算案に反対 マスク氏も「可決すべきでない」 - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は18日、今週末の政府機関一部閉鎖を避けるために議会指導部が取りまとめた超党派案について、反対の意向を示した。トランプ氏は議員らが合意を破棄し、より的を絞った法案を可決すべきだとしている。
つなぎ予算案は3月までの政府機関の予算を確保する他、1000億ドル(約15兆3000億円)以上の災害・農業支援も盛り込んでいるが、トランプ氏の発言を受けて事態は一転。同氏はまた、来年には政府の借入限度額の期限が迫る中、議会は今期中に債務上限引き上げと組み合わせた合意を成立させるべきだと述べた。
トランプ氏はJD・バンス次期副大統領との声明で、上院院内総務の「チャック・シューマー氏(民主、ニューヨーク州)や民主党が望むものすべてを与えるわけではない、合理化された歳出法案を可決すべきだ」と主張。「それを実現する唯一の方法は、民主党への譲歩なしのつなぎ予算案と債務上限引き上げの組み合わせだ」とした。
歳出法案は20日の深夜の期限までに上下両院で可決され、ジョー・バイデン大統領の署名を得なければならない。トランプ氏は「多くの米国民がこのクリスマスの時期に苦労している中、議員給与を引き上げている」点など、法案の一部内容にも言及した。
1547ページのつなぎ予算案は17日夜に公表された直後から、共和党に所属する多くの下院議員に強く批判された。
トランプ次期政権でコスト削減を指揮することになっている米実業家のイーロン・マスク氏は、18日の夜明け前にツイートを投稿。批判する議員らに同調し、「この法案は可決されるべきではない」とした。またその後には、「この途方もない歳出法案に賛成票を投じる(議員)は、2年後の落選に値する!」とも付け加えた。
マスク氏や他の著名なトランプ氏の側近らが党の野心的な立法アジェンダに影響を与え、舞台裏では助言しつつも結果が気に入らなければオンラインや保守系メディアで公然と反対をあおるという構図は、来年の共和党の新たな力学を予見させるものにもなっている。
ハキーム・ジェフリーズ下院少内総務(民主、ニューヨーク州)は、共和党に対し合意から撤退しないよう警告。「下院共和党は政府機関を閉鎖するよう命じられた」とXに投稿したうえで、「超党派の合意を破れば、その結果について自分たちが責任を取ることになる」と続けた。
マイク・ジョンソン下院議長(共和、ルイジアナ州)は米FOXニュースでつなぎ予算案を擁護し、民主党が年末まで上院とホワイトハウで主導権を握っていることを考えれば、これが共和党にとって最善の結果だと主張。超党派の法案を不完全なものとして受け入れて今週中に可決し、トランプ氏が就任した時のために「戦いに備える」必要があるとも述べた。また「その時に大きな変化が始まるのであり、われわれはそれを待ちきれない」とも付け加えた。
マスク氏のコメントについて質問されたジョンソン氏は、継続予算決議(CR)を巡り17日夜にはマスク氏やバイオテク起業家のビベック・ラマスワミ氏とやり取りし、「彼らにこの背景を説明していた」と述べた。
ジョンソン氏によれば、ラマスワミ氏は「あなたが極めて難しい立場にいることは理解している」と述べたという。だがわずか数時間後には、マスク氏が法案への反対をツイートした。
トランプ氏と米下院共和党、政府機関の閉鎖回避と債務上限停止で合意 - Bloomberg
トランプ次期米大統領と下院共和党は19日、連邦政府機関の閉鎖を回避し、連邦債務の上限を2年間停止することで合意した。
議会民主党またはホワイトハウスがこの最新のパッケージに合意したかは明らかになっていない。下院共和党は同日採決に踏み切る方針だ。
共和党のジョンソン下院議長が超党派で進めていたつなぎ予算案への反対を表明していたトランプ氏は、自身が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、新たなパッケージには被災者や農家への支援が含まれており、「米国民にとって非常に良いディールだ」と称賛した。
政府機関閉鎖を回避するための期限が20日に迫る中、下院共和党は19日、ジョンソン氏のオフィスで対応を協議。トランプ氏に加え、次期政権で歳出削減を主導する「政府効率化省(DOGE)」の責任者に起用されたイーロン・マスク氏の双方を満足させるプランBをなかなか見いだすことができずにいた。超党派で進めていたつなぎ予算を共和党議員が支持した場合、トランプ氏は議員の再選に反対する構えをみせていた。
合意に先立ち、トランプ氏はABCに対し、債務上限が撤廃されるか、引き上げられない限り、政府機関は閉鎖されるとの考えを表明。「われわれがそれを得られなければ、政府機関は閉鎖されるだろう。しかし、それはバイデンのせいだ」とし、政府機関が閉鎖されても、バイデン大統領に打撃を与えるだけだと語っていた。
NBCニュースとの電話インタビューでは、債務上限を完全に撤廃することは、議会が「成し得る最も賢明なことだ。私は全面的に支持する」と述べていた。
一方、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員はソーシャルメディア、X(旧ツイッター)への投稿で、議会は債務上限を撤廃すべきだとのトランプ氏の考えに同意すると語った。
だが、民主下院トップのジェフリーズ院内総務は同日開いた会見で、債務上限の検討は時期尚早だと述べた。またブルースカイへの投稿で、下院民主党は債務上限の引き上げを支持しない考えを示した。
トランプ氏はまた、FOXニュースとのインタビューで、ジョンソン氏が「断固とした強硬な行動」で民主党が仕掛ける「わな」を排除すれば、「容易に議長にとどまることができる」と語った。マイク・リー上院議員ら共和党議員の一部からは、来年の新議会で、マスク氏を下院議長に推す声も出ている。 
下院議長が現職の下院議員でなければならないとの規定はないが、これまで下院議長はすべて現職議員から選出されてきた。
トランプ氏が反対したつなぎ予算案には、メリーランド州ボルティモアの橋崩落や記録的なハリケーン被害に対応する1000億ドル(約15兆4700億円)の災害救援費や農家への追加支援金100億ドルなどが含まれていた。トランプ氏は前日、つなぎ予算の「合理化」とともに、債務上限に関する議論について開始するよう要求していた。
●先進国中銀、金融当局
スウェーデン中銀、0.25%利下げ 追加緩和は慎重に検討 | ロイター
英中銀、金利4.75%に据え置き 3委員は利下げを主張 | ロイター
イングランド銀行(中央銀行)は19日、政策金利を4.75%に据え置いた。金融政策委員9人のうち6人が据え置きに賛成、ラムスデン副総裁とディングラ、テイラー委員は0.25%ポイントの利下げを主張した。
ロイター調査によるエコノミスト予想では利下げを主張するのは1人とみられていた。
ベイリー総裁は、利下げについて「段階的なアプローチ」を続ける必要があると指摘。「経済の不確実性が高まっているため、来年いつ、どの程度利下げを行うかを確約することはできない」と述べた。
先週のロイター調査によると、エコノミスト来年4回の利下げを予想していたが、予想を上回る賃金の伸びを受けて金融市場での利下げ予想は2回に減少している。
18日に発表された11月の消費者物価指数(CPI)上昇率は2.6%。中銀は「総合インフレ率は、当面若干の上昇が続く」との見通しを示した。
中銀はまた、6週間前は0.3%としていた今第4・四半期の成長率予測をゼロに下方修正した。
リーブス財務相は10月公表した予算案で増税方針を示したが、今回据え置きを支持した委員は、こうしたコスト増が物価上昇を通じて消費者に転嫁されるのか、雇用喪失や給与の伸び悩みにつながるのか、依然「特に不透明」だとの見方を示した。
その上で「最近の展開は、特定の会合で政策変更の確約は避けながら、制限的政策の撤廃に向けて段階的にアプローチすべきだとの議論を強めるものだ」との見方を示した。
利下げに賛成した3委員は、「非常に制限的な」政策スタンスによりインフレ率が中期的に目標の2%を大幅に下回り、大きな経済余剰につながるリスクがあると指摘した。
ノルウェー中銀金利据え置き、来年3回の利下げ想定 貿易戦争を懸念 | ロイター
FRB次の大議論:超低金利の時代は終わったのか - WSJ
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が18日、FRBが利下げを休止する準備があり、利下げ幅の合計が従来の想定より小幅になる可能性があると示唆したことを受け、投資家らは動揺した。
パウエル議長は最近の一連の利下げについて、借り入れコストをより「中立的な」水準に再調整する取り組みだと説明している。この表現は、これまでは関連性の低かった疑問を提起している――コロナ禍後の経済において「中立的」とは正確には何を意味するのか?
中立金利、つまり完全雇用と物価の安定を維持する金利は、直接どこかで確認することはできず、エコノミストらや政策当局者らが経済の動向から推測する。借り入れと支出が活発で物価上昇圧力が高まっている場合、現在の金利は中立水準を下回っていることになる。逆に、借り入れと支出が弱くインフレが後退していれば、金利は中立を上回っていることになる。
中立金利の水準に関する議論は、今年のこれまでの時点ではそれほど重要ではなかった。金利がほぼ全てのFRB高官が金融引き締め的だと考える水準にあったからだ。これは意図的なものだった。FRBは2022年と23年に積極的に利上げを行い、経済活動を落ち着かせることでインフレを抑制しようとした。
しかし、FRBが計1ポイント(100ベーシスポイント[bp])の利下げを行い、経済が比較的良好な状態にある今、この問題が注目を集めている。船長が船を係留する際に桟橋に激突するのを避けようとするように、中央銀行当局者らは中立金利が上昇したため最終的な目標に近づいていると考えれば、利下げにより慎重になる可能性がある。 パウエル議長は18日、「正確な水準は分からないが、確実に言えるのは、現時点で100bp近づいているということだ」と述べた。「ここからは新たな段階に入り、さらなる利下げには慎重になるだろう」
パウエル議長は9月、金利がコロナ禍前の超低水準に戻る可能性は低いと示唆した。当時は多くの国がマイナス利回りの国債を発行していた。「私の見方では、そうした状況には戻らないだろうが、正直なところ、今後分かることだ」とし、「中立金利は当時よりもかなり高い水準にあると感じている」と述べた。
ドナルド・トランプ次期大統領が通商政策と移民政策の抜本的な見直しを約束する中、FRB高官らは中立金利の水準を見極めようとしている。新たなショックによって、経済の新常態の判断が複雑になる可能性がある。インフレがまだ目標水準を上回っていることから、高官らは利下げにさらに慎重になる可能性がある。
エコノミストらは、中立金利を押し上げる可能性がある複数の要因を挙げており、その中には民間貯蓄の減少につながる財政赤字拡大が含まれる。一方、グリーンエネルギーへの移行、サプライチェーン(供給網)多様化への意欲、人工知能(AI)ブームを受けた電力集約型データセンターの構築などにより、投資需要が高まる可能性がある。
FRB高官による中立金利の推計値は、この1年間で徐々に上昇している。
高官らは四半期ごとに、長期的に金利が落ち着く水準を予測しており、これが実質的に中立金利の推計値となる。予測の中央値は2012年の4.25%から19年には2.5%に低下した。23年までその水準を維持していたが、今年に入ると4回の四半期予測全てで徐々に上昇し、18日に発表された予測では3%となった。
連邦公開市場委員会(FOMC)参加者19人のうち、8人の推計値が3%を上回った。23年6月時点では、中立金利が3%を上回ると考えていたのは2人だけだった。今回の利下げにより、指標となるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は約4.3%となる。
2018年から今年6月までパウエル議長の上級顧問を務めたジョン・ファウスト氏は中立金利について、低ければ2.5%程度、高ければ4%程度と考える理由が十分にあると述べた。  複数のFRB高官は今週の利下げに先立ち、中立金利の水準に関する認識が誤っているかもしれず、そうした認識に基づいてより大幅な利下げが可能だと想定することに懸念を表明し始めていた。
ダラス地区連銀のローリー・ローガン総裁は先月の講演で、「FF金利の目標レンジを繰り返し引き下げてより中立的な水準に近づけるという戦略は、中立水準が現在の金利よりもかなり低いという確信に基づいている」と述べた。その上で、最近のデータは中立金利が上昇したことを示しており、「現在のFF金利水準に非常に近い可能性を示唆する兆候がいくつかある」とした。
また、中立金利を大幅に下回る水準まで利下げを行い、インフレが再び加速した場合、FRBは利上げを余儀なくされるという好ましくない事態に直面すると警告した。
確かに、ここ数年の高金利にもかかわらず経済が底堅さを維持しているのは、移民の増加や家計・企業がコロナ禍で低金利を確保できたことなど、一時的な要因を反映している可能性がある。一部のエコノミストらは、こうした要因が弱まるにつれ、FRBの金利政策がこれまで以上に経済活動に影響を与え始める可能性があると考えている。
しかし、プライベートエクイティ(PE)投資会社カーライル・グループのチーフエコノミスト、ジェイソン・トーマス氏は、経済が着実に成長を続けるのに伴い、「政策当局者らは、より高い中立金利という新たな体制に劇的に移行した可能性を少なくとも検討すべきだ」と述べた。
市場参加者と政策当局者は10年前、低金利は単にFRBの金融緩和政策によるものでなく、より広範な構造的要因を反映しているとの結論に徐々に至った。これと同様に、投資家と中銀当局者は今後数年間で、高金利は単にFRBが22~23年にインフレ高進を抑制するために急速に利上げしたことだけを反映しているのではないと結論付ける可能性がある。
トーマス氏は、労働生産性の伸びを示す最近のデータについて、「これは世界金融危機後の10年間に観察されたものとは根本的に異なる経済であることを示している」と述べた。来年の春までには、より多くの経済主体が「高金利はすべてFRBが原因だ」という説明では不十分だと認識するかもしれないと指摘した。
中立金利が上昇したとFRB高官らが結論付ければ、利下げは当面打ち止めとなる可能性があるとトーマス氏は語った。
07~21年までボストン地区連銀総裁を務めたエリック・ローゼングレン氏は「直近の利下げで、『これが実際の中立金利の上限かもしれない。様子を見守ろう』と言えるほど(政策金利は)十分低くなった」と述べた。
FRBのタカ派的利下げと日銀の利上げ見送りは「適切」=IMF | ロイター
コザック報道官は、米経済を巡る不確実性が高いことを踏まえると、「FRBの行動は適切」と述べた。さらに、過去数カ月のデータは、労働市場の減速継続に加え、「インフレが予想を幾分上回っているものの、目標に向かって鈍化傾向にある」ことを示しているという認識を示した。
日銀の決定も妥当とし、「政策正常化とインフレ目標回帰を目指す中、データに基づいた金融政策運営を継続することを提言する」とした。
また、トランプ次期米大統領が目指す米国のビットコイン戦略備蓄計画に関する質問にはコメントを控え、IMFはトランプ氏の1月就任後に実施される政策を全面的に評価すると述べた。
主要中銀、トランプ米政権誕生前に警戒強める 先行きに慎重姿勢 | ロイター
トランプ次期米大統領の就任を2025年1月に控える中、足元で相次いで開かれた主要中央銀行の金融政策判断などへの影響が鮮明になっている。米連邦準備理事会(FRB)が来年の利下げ想定回数を減らしたほか、他の主要中銀も金利見通しに関して慎重な姿勢を示した。
FRBは18日、予想通りに利下げを決定したものの、パウエル議長はトランプ氏が計画している関税や減税、移民規制強化の影響を政策判断に取り込んでいる出席者がいると明らかにした。
パウエル氏の追加利下げを巡る慎重な発言を受けて、米国株は下落。市場では25年に想定するFRBの利下げ回数は1回にまで減少した。
19日に金利据え置きを決めたイングランド銀行(英中銀)は、利下げは段階的なアプローチを続ける必要があるとした。ベイリー総裁は「経済の不確実性が高まっており、来年いつ、どの程度利下げするかは確約できない」と述べた。 
金利を据え置いた日銀の植田和男総裁は記者会見で「米次期政権の政策を巡っては不確実性があり、その影響をより慎重に精査する必要がある」と述べ、トランプ氏の通商・財政政策は世界経済や金融市場に大きな影響を及ぼし得るとも指摘した。先週ロイターが発表した日本企業を対象とした調査では、4分の3近くの企業がトランプ氏は事業環境に悪影響を及ぼすと予想した。 
ノルウェー中銀は16年ぶりの高水準にある政策金利の据え置きを決め、米中間の貿易戦争のリスクが会合で議論されたことを明かした。スウェーデン中銀は利下げを決定したものの、25年初の利下げにはより慎重になる理由があると指摘した。
先週利下げを決定した欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、さらなる利下げ対応については明言を避けた。その上で、トランプ政権下での米国との貿易摩擦の可能性など、成長の下振れリスクを指摘した。
●先進国経済指標
独消費者信頼感、1月は-21.3 小幅改善も依然低水準=GfK | ロイター
英製造業受注指数、10─12月はコロナ禍以来の大幅低下=CBI | ロイター
米フィラデルフィア連銀業況指数12月は‐16.4、20カ月ぶり低水準 | ロイター
米GDP、第3四半期確報値は+3.1% 改定値から上方改定 | ロイター
米新規失業保険申請は2.2万件減の22万件、予想以上に減少 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
ドイツの対英輸出、金高騰で急増 対米輸出上回る伸び | ロイター
スペイン当局、エアビーの調査開始 オーバーツーリズムに懸念 | ロイター
米GDP、7-9月は3.1%増に上方修正-個人消費や輸出が寄与 - Bloomberg
トレーダーは英中銀の2月利下げを疑問視-市場が織り込む確率50% - Bloomberg
TikTok、米で利用禁止の可能性高まる-新法施行差し止めを高裁認めず - Bloomberg
【社説】FRBはインフレ見通しの誤りを認めた - WSJ
米連邦準備制度理事会(FRB)が18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの追加利下げを決めたことを受けて、株式と債券の相場が大幅に下落した。ひどい状況だった。
ウォール街関係者は今回の利下げを「タカ派的利下げ」と評している。FRB当局者らが今後の利下げ幅の見通しを縮小させたからだ。しかし18日のニュースの正しい解釈は、FRBがインフレのしつこさを過小評価していたことをほぼ認めた、というものだ。
FRBのジェローム・パウエル議長は9月に0.5ポイントの利下げを行った際、インフレを退治したと考えているかのような発言をした。当時のFOMC後、市場では懐疑的な見方が優勢となり、長期金利は大幅に上昇した。だがパウエル議長は11月に0.25ポイントの追加利下げを決め、緩和を推し進めた。
18日の利下げでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.25~4.5%となった。だがFRB当局者らは同時に、インフレ率は低下しておらず、来年は当初の予想より高くなるとの見方も示した。FOMC参加者(FRB理事と地区連銀総裁)の経済見通しによれば、FRBが物価指標として好む個人消費支出(PCE)物価指数は来年2.5%に上昇すると予想されており、これは9月時点での見通し(2.1%)を上回っている。
このため、9月に行った0.5ポイントの利下げは失敗だったように見える。さらに悪いことに、政策立案者らは現在、9月の時点で2026年に見込んでいたインフレ率2%という目標の達成が27年に後ずれすると予想している。今回の利下げは緩和のシグナルを発するものだが、FOMC参加者の金利予想分布図「ドットプロット」は緩和姿勢の後退を示している。来年想定される利下げ回数は2回と、9月時点の予想の4回から減った。
パウエル氏は利下げを正当化する理由を明確に示すこともできなかった。今回の利下げは最近のものより「さらに際どい判断だった」と述べる一方、一つの目標は失業率がこれ以上上がるのを防ぐことだと説明した。インフレがもはや同氏が考えていたほど低下していないことを踏まえると、今回の判断は、高いインフレ率が想定より長く続く状態を同氏とFRBが甘んじて受け入れることを示唆している。
市場はこのメッセージを受け取った。債券利回りは上昇し、株価は下落した。ダウ工業株30種平均は2.58%、ナスダック総合指数は3.56%下げた。10年物米国債の利回りは4.52%に達した。
FRBの一部に今回の利下げへの異論があったことを示す証拠もある。ドットプロットは4人の当局者が金利据え置きを望んでいたことを示唆しているが、正式に異議を唱えたのはクリーブランド地区連銀のベス・ハマック総裁だけだった。他の3人は今年のFOMCでの投票権を持たない地区連銀総裁だったかもしれない。あるいは、1人以上の理事が投票段階で自身の疑念をのみ込み、パウエル氏支持で結束しようとする行動に出たのかもしれない。
パウエル氏とその仲間たちは目標の2%に向けたなだらかなインフレ率低下の道筋に賭けたが、物価は歩調を合わせてくれていない。このため、FRBは金融政策が引き締め気味かどうかを本当に把握しているのかという疑念が生じる。われわれには金融環境が引き締め的であるようには見えない。18日のメッセージは、FRBの一部も同様に考えている可能性があるということだ。
●中東情勢
「シリアは世界の脅威ではない」 暫定政権の指導者、BBC単独インタビューで語る - BBCニュース
シリアの事実上の指導者であるアフメド・アル・シャラア氏がBBCの単独インタビューに応じ、同国は戦争で疲弊しており、近隣諸国や西側諸国にとっての脅威ではないと述べた。
インタビューでアル・シャラア氏は、シリアに対する制裁の解除を訴えた。また、バッシャール・アル・アサド政権を倒した自らのグループ、「ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS、「シャーム解放機構」の意味)」はテロ組織ではないと、BBCのジェレミー・ボウエン国際編集長に語った。
アル・シャラア氏はHTSの指導者で、アサド政権を打倒した電撃作戦を指揮した。以前は「アブ・モハメド・アル・ジョラニ」を通称として名乗っていた。
HTSはイスラム武装組織アルカイダから2016年に分離したグループで、国連やアメリカ、イギリス、欧州連合((EU)など多くの国々からテロ組織に指定されている。
アル・シャラア氏は、HTSがテロ組織ではないとする理由として、民間人や民間地域を標的にしたことはないと述べた。また、自分たちはアサド政権の犯罪の被害者だとの考えを示した。
国際的な制裁については、「制裁は旧政権を対象にしていたものであり、被害者と加害者を同じように扱うべきではない」と語った。
ボウエン国際編集長は、今後のシリアの統治について尋ねた。
女性の権利や教育についての質問には、アル・シャラア氏は、「イドリブ県には8年以上前から大学がある」、「大学における女性の割合は60%以上だと思う」述べた。イドリブ県は2011年から反アサド政権勢力が支配してきた。
一方、アルコール飲料の消費は許可されるのかという問いには、「それは法的な問題であり、私には話す権利がないことが多い」と述べた。
そのうえで、「シリアの司法専門家委員会が憲法を作成する。(中略)そしてどの統治者や大統領も法律に従わなければならない」と付け加えた。
アル・シャラア氏はインタビュー中、民間人の服装でリラックスした様子だった。HTSが過激な過去と決別していないと信じている人々に安心感を与えようとした。
しかし、多くのシリア人はアル・シャラア氏を信じていない。
今後数カ月のアル・シャラア氏らの行動が、シリアをどのような国にしたいのか、そしてどのように統治したいのかを示すだろう。
●エマージング
プーチン大統領阻止へ米欧は結束を、ウクライナ大統領が呼びかけ | ロイター
中国「秘密警察署」、NY在住の被告が罪認める | ロイター
米ニューヨーク市マンハッタンのチャイナタウンで中国の「秘密警察署」を運営し、中国政府による反体制派の摘発を手助けしていたとして起訴されたニューヨーク在住の陳金平被告(61)は18日、ブルックリンの連邦地裁での罪状認否で、「外国代理人」として登録せずに活動した共謀罪を認めた。
最長で5年の禁錮刑を言い渡される可能性がある。
陳被告は2022年9月に中国政府の代理で秘密警察署疑惑に関するオンライン記事を削除したことを認め、法律で義務付けられていた外国代理人としての司法省への登録を当時行っていなかったと述べた。
陳被告とともに23年4月に逮捕されたニューヨーク在住の盧建旺被告は無罪を主張している。
スペインの人権団体は22年、中国がニューヨークなどに在外拠点を設け、中国警察と違法に連携して逃亡者に中国への帰国を迫っていたとする報告書を作成。米司法省は、中国やイランなど敵対国が米在住の反体制派を脅迫するため「国境をまたぐ弾圧」を行っているとして捜査を強化している
検察によると、両被告は米国市民で、中国福建省の出身者に社交の場を提供する非営利団体を運営していた。活動場所では中国人の運転免許証更新の手伝いなども行われていたという。
検察は、盧被告が22年に中国政府からカリフォルニア州に住む民主化活動家とされる個人の居場所を特定するよう依頼されたと主張。18年には中国政府が逃亡者とみなす人物に帰国を説得したという。
中国外務省報道官は19日の定例会見で、この事件について「いわゆる秘密警察署は存在しない。(中国は)常に国際法を厳格に順守し、全ての国の司法主権を尊重している」と発言。事件の詳細は把握していないと述べた。
新興国中銀、一斉に自国通貨防衛 米利下げ慎重姿勢で | ロイター
18日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)が来年の利下げ予想を後退させたことで米金利やドルが上昇、新興国の中央銀行は自国通貨の支援に追われた。
ブラジルレアルは最安値。アジアでは韓国ウォが15年ぶり安値、インドルピーは最安値、インドネシアルピアも4カ月ぶり安値を付けた
ブラジル、インド両中銀は自国通貨支援へドル売りを実施。インドネシアとタイの中銀は、過度な変動を防ぐために行動すると口先介入をした。
オーストラリアのオンライン・ブローカー、ペッパーストーンの調査責任者クリス・ウェストン氏は「米国債売り(利回り上昇)ペースが、ドル買い再開のゴーサインとなった」と述べた。
HSBCのアジアチーフエコノミスト、フレッド・ノイマン氏は、FRBのタカ派姿勢が新興国中銀の手を縛ると指摘。「為替介入は短期的に下支えの効果が見込まれるが、長期的には金融政策調整を迫られる」と予想した。
中国人民銀行(中央銀行)は元の対ドル基準値(中間値)を7.1911元と前営業日終値(7.2848元)よりも元高に設定し元を支援する姿勢を見せた。しかし元は1ドル=7.3元の心理的節目を上抜け13カ月ぶり安値を付けた。 
サクソのチーフ投資ストラテジスト、チャルー・チャナナ氏は、「アジアの中銀は自国通貨の下げ圧力緩和を試みることはできるが、完全に払拭するのは当面難しい」とみる。高利回りのアジア通貨はかつてはキャリートレードの一定の恩恵を享受していたが、現在の高いボラティリティはこの戦略の持続可能性を脅かすことになると指摘した。
台湾中銀、政策金利据え置き 成長率予想引き上げ貿易リスクも指摘 | ロイター
中国産黒鉛に最大920%の関税を、米加業界団体が米国に要請 | ロイター
プーチン氏は見た目より弱い、西側はロシアの弱さを今こそ突け-社説 - Bloomberg
ロシアのプーチン大統領は西側の制裁など容易に乗り越えられるとでも言わんばかりに、同国経済の堅調さを装おうとしている。トランプ次期米大統領ら西側の指導者が思慮深い和平合意を望むのであれば、その主張をうのみにするべきではない。
プーチン氏は他の大半の独裁者よりも、強靭(きょうじん)な経済を持つ重要性を理解している。ウクライナ侵攻に先立ち、プーチン氏は自らの体制を守るための財政のとりでを築いた。収支均衡の連邦予算、最小限でしかない外国からの借り入れ、数千億ドルに上る中央銀行の準備金、1750億ドル(約27兆円)規模の国家基金などだ。この基金は、化石燃料に依存する歳入にエネルギー価格の変動が及ぼす影響を和らげることを目的としている。
こうした準備(と石油・ガスの輸出継続)が、予測された経済の崩壊をプーチン氏が防ぎ、西側の制裁を乗り越える上で役立った。同氏はまた、国内総生産(GDP)の4%未満だった軍事費を(ある試算によると)10%にまで引き上げ、軍事関連生産で高賃金の雇用を用意し、貧困に苦しむ兵士の家族に生活が一変するほどの一時金を提供するなど、大規模な景気刺激策を実施した。政府の住宅ローン補助(現在は廃止)と相まって、この大盤振る舞いは消費支出と建設ブームをあおった。
今、そのツケが回ってきている。全てが値上がりし、ある推計によると、ロシアにおける代表的な消費財のバスケット価格は、戦争前と比べて約80%上昇した。労働力の多くが死亡や負傷、その他の理由で働けなくなり、賃金は急騰した。インフレ高騰で中央銀行は主要金利を21%という極端な水準まで引き上げざるを得なくなり、民間企業の投資は事実上不可能になった。
景気刺激策の効果も薄れつつある。公式指標によると、経済成長率は今年の3.9%から来年は1%に減速する見込みだ。これに独自でインフレ調整を施すと、ロシアの実質GDPは大幅に縮小したことが分かる。
プーチン氏にとってはさらに悪いことに、同氏のとりでは大きく弱体化した。中央銀行の約3000億ドルに上る準備金は欧米に滞留したままで、おそらく二度とロシアに戻ってくることはないだろう。国家基金の中国・人民元建て流動性資金は、約310億ドル相当にまで減少した。
乱脈融資で銀行の体力も奪われ、世界的な原油価格の下落などの経済的な衝撃に対して、ロシアははるかに脆弱(ぜいじゃく)になった。戦争が長引けば長引くほど、打撃は大きくなり、増税や社会保障費の削減といった不人気な措置に頼らざるを得なくなるだろう。
確かに、経済的な制約だけでプーチン氏に戦争の早期終結を強いることはできないだろう。だが、西側諸国には利用すべき強みがあることを示してもいる。米国と欧州を合わせた経済規模は、ロシアの20倍以上だ。ロシアよりも多くの資金を投じ続けるとの決意を見せれば、プーチン氏を交渉の席につかせ、重大な影響力を発揮する助けになるだろう。このような決意は、高性能兵器の継続的な供給と制裁の厳格化と組み合わせることで、妥当な合意を引き出す可能性を最大限に高めることができる。
米国をはじめ各国でウクライナ支援に対する市民の熱意は明らかに冷めつつある。しかし、いま支援を削減しても、望ましい条件で戦争を終わらせることはできないだろう。それどころか、プーチン氏を増長させ、長期的にはるかに大きな代償を支払わされることになるのはほぼ確実だ。ロシア経済は見た目よりも弱い。西側は可能なうちに、この機会を捉えるべきだ。
中国の不動産救済策、危機解消できず-「失われた10年」招くリスク - Bloomberg
中国の習近平国家主席は国内経済にとって最大の脅威である不動産不況に歯止めをかけようとしているが、危機を先取りしていた河南省鄭州市の救済策は市況の持ち直しを促すには至っていない。
鄭州市は米アップルのスマートフォン「iPhone」を受託生産するフォックスコン・テクノロジー・グループが世界最大のiPhone工場を置き、中国本土で最初に住宅市場が崩壊した都市の一つだ。
地元政府は2022年以降、市場を活性化させようとさまざまな施策を講じてきた。建設が途中で止まったプロジェクトを完成させるための不動産開発会社向け融資や売れ残った住宅を買い取り低価格住宅に転換する提案、老朽化した住宅の建て替えに関する住民への支払いなどだ。
数多くのアイデアを試した鄭州市のモデルを研究するため、他都市の幹部が視察にやって来るほどだ。
しかし、鄭州市を含む中国の住宅価格は依然として下落を続けている。ブルームバーグ・ビジネスウィークが同市を最近取材した際には、当局による介入の兆候が幾つか見られた。 
長らく保留となっていた開発案件に公的融資が下りたことで、再び建設現場のクレーンが動き始め、手頃な価格に設定された住宅に入居するため鍵を受け取る人々の姿も見られた。だが、購入希望者は依然として様子見姿勢を崩さず、相場が底を打ったとは全く考えていない。
鄭州市の最も大胆な取り組みである住宅の公営化推進も、住宅供給過剰の解消にはつながっていない。経済的に成り立つ十分な割引価格で集合住宅を販売するよう開発会社を説得することは地方行政にとってあまりにも困難だ。
鄭州市だけでなく、中国全土で最大の課題は、ここ数年、不動産に資産のほぼ8割を依存してきた家計が現金をため込んでいることだ。
不動産市場が安定しなければ、中国は1990年代に日本が経験した「失われた10年」のような長期にわたる経済停滞のリスクに直面することになる。
当局の介入があったとしても、住宅市場の低迷はあと数年続く可能性がある。中国の人口が減少し、消費者は失業を懸念、住宅が余っていることが背景だ。
英オックスフォード大学中国センターのリサーチアソシエートで習政権についての著書もあるジョージ・マグナス氏は、不動産が少なくとも今後5年間は経済成長の足かせとなり続けると見込んでいる。
「中国では間違いなく不動産のピークが過ぎた。市場が落ち着いた後、住宅価格は持続的に下落すると予測している。政府がこれを防ぐことはできない。できるのはこうした変化をなだらかにしたり、痛みを軽くしたりすることだけだ」と述べた。
鄭州市恵済区でヨキ・イエさん(37)は7歳の息子と住むため、より広い集合住宅を購入することを長い間夢見ていた。だが、今は諦めている。
イエさんは以前、当時の夫と小さな集合住宅を所有していたが、金融業界の賃金に対する政府の取り締まりにより、夫の給料が大幅に減らされたため、2020年に持ち家を売却。売った値段は市場のピーク時に得られたであろう価格の約2割以下だった。
離婚したイエさんは現在、英語を教えるパートタイムの仕事をしている。まだ別の物件を所有しており、それを貸し出し、生活費を賄っている。
最近は財布のひもをさらに締めている。外食をやめ、格安通販サイト「Temu」で服を買い、iPhoneから安価な中国製スマホに乗り換えた。「前は住宅価格が下がることはないと思っていた。現実に思いっきり顔をたたかれたようだ」と言う。
中国政府は22年以降、不動産市場を支援する数々の対策を導入した。住宅は購入しやすくなり、価格も下がった。当局は開発会社に融資を行い、住宅プロジェクトを完了できるようにした。
習氏の目標は、24年末までにこうした融資を4兆元(約85兆円)に引き上げることだ。現地メディアによると、11月18日時点での融資額は3兆元を突破。さらに、当局は9月下旬から金融・財政政策を緩和している。
しかし、これらはどれも危機を解決するには至っていない。10月に一時的な回復を見せた後、11月は住宅販売が再び減少した。
全国の中古住宅価格は10月まで3年3カ月連続で下落し、21年7月のピークを約30%下回る水準まで落ち込んだ。鄭州の市場も同様の傾向を示している。フィッチ・レーティングスは、25年の新築住宅価格が5%下がると見込んでいる。
ビジネスウィークは住宅都市農村建設省と鄭州市政府および同市の公営住宅を運営する事業体に不動産市場への政府介入とその影響について質問したが、回答は得られなかった。
公的資金
中国では新築住宅の売れ残り物件が数千万戸に上り、先行販売されたものの建設されていない物件が膨大な数に膨らんでいることが問題をさらに深刻化させている。
国家統計局が採用している方法では、いずれについても明確な推定値を算出することは不可能だ。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は売れ残りの住宅が完売するには5年以上かかると推定。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は、先行販売された住宅の完成には11兆元の費用を要するとしている。
パンテオン・マクロエコノミクスの中国担当チーフエコノミスト、ダンカン・リグレー氏は、特にトランプ次期米大統領が関税引き上げを実施する可能性が高いことを踏まえ、住宅市場の低迷に対処するためのさらなる財政刺激策と改革措置が必要だと分析している。
中国は、米国が世界金融危機に対応して採用した救済プログラムと同様のものを追求すべきだと主張するエコノミストもいる。
このプログラムでは米財務省が金融システムを安定させるために企業の資産や株式を購入することが認められていた。つまり、売れ残りや未完成の住宅を買い上げるため、中国は公的資金を投じてはどうかということだ。
これは市場を安定させ、消費者の心理改善に寄与する可能性がある。だが、中国政府は今年、中断された開発を中央政府の資金を用いて完了させるという国際通貨基金(IMF)からの提案を拒んでいる。
この措置は4年間で国内総生産(GDP)の5.5%に相当する費用、23年の数値に基づくと1兆ドル(約155兆円)の費用がかかる見通しだ。
習氏自身の政策
米エール大学の研究員で、中国の銀行・金融・不動産業界の苦境を検証した著書を執筆した朱寧氏は、中国が本当に必要としているのは、不動産開発に大きく依存しない経済モデルだと指摘。
「ほとんどの地方政府にとって、住宅が財政収入の原動力となってきた。それがなければ、政府は財政をやりくりする手だてを見つけるのに苦労することになる」と話した。
住宅市場の低迷は、習氏自身の政策が一因でもある。ピーク時には経済の4分の1近くを占めていた不動産市場を締め付けたことにより、負債を抱えていたデベロッパーは資金繰りに窮した。 
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に採用した「ゼロコロナ」政策でロックダウン(都市封鎖)を実施したことも、不動産業界をさらに圧迫。
21年8月には当時、不動産開発会社として世界最大の債務負担を抱えていた中国恒大集団の流動性不安が、さらなる規制強化の引き金となり、下降が始まった。そして同年末までに、恒大はデフォルト(債務不履行)に陥った。
鄭州市は黄河中流域の渓谷に位置し、かつて国内で最も貧しい省の一つだった河南省の省都だ。だが、エレクトロニクス工場ができると、地元で選ばれる職業は農業ではなく製造業となった。
その結果、同省は驚異的な成長を遂げた。現在、河南省の経済規模は8000億ドルと、スイスにほぼ匹敵。フォックスコンを中心とした広大な工場団地と、電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)の製造施設関連の建設が進められた。
フォックスコンは21年のピーク時には鄭州市で約35万人を雇用していたが、パンデミックによる景気低迷の影響を受けると一部の製造を国外に移し、同市の従業員数をほぼ半数に減らしたと地元政府の最新統計は示している。
鄭州近郊で育った41歳のタクシー運転手、ワン・ウーさんは、ブームに乗ろうと18年に頭金わずか5000元で鄭州で寝室3部屋のマンションを購入。
「最初の不動産ブームは、まだ子どもだったから逃した。2度目はお金がなかったので見送った。3度目のチャンスが来たとき、何も考えずに飛び付いた」という。
頭金は2年かけて5回に分けて支払ったが、そのころにはすでに市場は崩壊し始め、景気低迷でタクシーを利用する人も減り、住宅ローンの支払いに苦労していると中国製EVタクシーの運転席から打ち明けてくれた。
ロシア中銀総裁に支配層が不満爆発、高金利で経済破壊していると非難 - Bloomberg
ロシア銀行(中央銀行)のナビウリナ総裁は、西側の制裁に直面した国内経済を救ったとして長らく称賛されてきた。だが、記録的な高金利で今やロシア経済を破壊しているとの批判が強まりつつある。
ロシア中銀は20日に年内最後の金融政策判断を発表する。アナリストは政策金利が現在の21%から23%に引き上げられると予想しており、根強いインフレを抑えるため24%とされる可能性もあるとみている。
取り扱いに注意を要する問題だとして匿名を要請したロシア大統領府に近い3人の関係者によると、銀行家や実業界幹部、政府当局者らは機会を捉えてプーチン大統領にナビウリナ氏(61)に対する不満を訴えている。ミシュスチン首相ですらプーチン氏に、政府の景気支援の取り組みを中銀の行動が阻害していると述べたと、関係者2人が明らかにした。
今のところ、プーチン氏がロシア中銀総裁の交代を検討している兆しはないという。同氏はナビウリナ氏が経済を支えるため必要な決断を下すことを引き続き確信していると、3人の関係者は語った。
プーチン氏は19日に開いた年次記者会見で、ロシアのインフレは「懸念すべきシグナル」だと指摘した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官はコメントの要請にすぐには応じなかった。
ロシア中銀はインフレ率を目標の4%に来年戻すため、必要であれば金利をいかなる水準にも引き上げる用意があると表明。これにプーチン氏に近い強い権力を持つ層が強く反発した。政府は軍事費に巨額の資金を投じる一方で、制裁から国内企業を守るための支出も増やしている。こうした状況に対応し、中銀は7月に16%だった金利を大きく引き上げた。
ロシア連邦国家統計局によると、11月のインフレ率は前年同月比8.88%と、前月の8.54%から加速した。
2013年6月に中銀総裁に就任して以来、ナビウリナ氏はロシア経済が数々の難局を乗り切る上で中心的な役割を果たした。22年2月のウクライナ侵攻開始直後には西側の包括的な制裁を受け、ロシア・ルーブルは1ドル=120ルーブル近くまで急落したが、同氏は緊急会合を開いて金利を一気に2倍余りとなる20%まで引き上げ、混乱を落ち着かせた。
だが、いまや風向きが変わり、18日にはナビウリナ氏に対する政界からの攻撃が公となった。左派系政党「公正ロシア・正義のために」のミロノフ党首は記者会見で、「おい、ナビウリナ。自分が何をしているのか分かっているのか」と問い掛け、中銀の利上げがインフレを悪化させていると非難した。
大企業の主要ロビー団体であるロシア産業起業家同盟のメンバーらは、現在の記録的な金利で投資プロジェクトの延期を余儀なくされていると主張した。鉄鋼メーカー、セベルスタリのオーナーで資産家のアレクセイ・モルダショフ氏は先月、「インフレの性質」と中銀の金利政策の影響力について議論を始めることを提案した。
ナビウリナ氏の長年の盟友で、戦争が始まって以来、金融政策と歩調を合わせた予算政策をとってきたシルアノフ財務相も距離を置くようになった。財務相は10月に行われたRBCメディアとのインタビューで、財務省は「戦闘での成功を確実にするために必要な」財源確保に集中しているとだけ語った。
ロシアの過熱する経済に重くのしかかっているのは戦争だが、ナビウリナ氏もその反対派もそれを指摘するリスクを冒そうとはしない。プーチン氏の指導を批判したと受け止められる恐れがあるからだ。
ナビウリナ氏は先月、議会で中銀の金融政策を長々と弁明したが、ウクライナ侵攻に触れることはなかった。
ロシア中銀の元幹部で20年以上前からナビウリナ氏を知っているオレグ・ビューギン氏は、ロシア経済の苦境の原因に戦争を挙げることは禁じられているため、中銀に矛先が向けられていると指摘。
「この状況の理由を理解していない者などいないが、中銀の金利よりも政治的な課題の方が重要であることも全員が理解している」とビューギン氏は述べた。
ロシア軍司令官の殺害、ウクライナが発するメッセージ - WSJ
12月17日午前6時過ぎ、ロシアの首都モスクワの住宅街で、朝の静寂を突き破る爆発音が鳴り響いた。スクーターに仕掛けられた爆弾が爆発し、軍の高官1人が死亡した。現場写真には、血のにじんだ雪の上でうつぶせに横たわる高官の姿が映っていた。
安全だと思うな、たとえ国内にいても――それはウクライナからのメッセージだった。
殺害されたのは、ロシア軍の放射線・化学・生物防護部隊を率いるイーゴリ・キリロフ中将だ。ウクライナの治安・情報機関は、ロシア側の要人を殺害する作戦を強化しており、今回の攻撃はその一環だった。作戦の狙いは、戦争をロシア国内に持ち込み、同国の指導者たちへの直接的な代償を高めることにある。
焦点は次第に、海軍高官やミサイル科学者などの重要な軍事標的に絞られてきている。戦略爆撃機の基地といった施設に対する長距離攻撃とともに、これはロシア軍を混乱させ、士気を低下させるための、非対称の手段を使う作戦の一環だ。
ウクライナの治安当局者によると、同国の情報機関ウクライナ保安庁(SBU)は、敵対者を国外で執拗(しつよう)に追跡することで知られるイスラエルの情報機関「モサド」を手本にしているという。
「ウクライナ人を殺害する者は全員、このような不名誉な最期が待っている」とSBUのある当局者は述べた。「戦争犯罪への報復は避けられない」
ロシア連邦保安局(FSB)は18日、ウズベキスタン国籍の男(29)を拘束したと発表。ウクライナに勧誘され、爆弾を仕掛けた疑いがあるという。FSBはこの男が10万ドル(約1500万円)の報酬と欧州連合(EU)加盟国での新しい生活を約束されていたとしている。
キリロフ氏への作戦実行は、ウクライナがこれまで実施した高官殺害の中で最も大胆不敵なものだった。兵力でも装備でも巨大な侵略国にかなわないウクライナは、長距離ドローンや米国に供与されたミサイル、極秘作戦などを駆使し、ロシア領内の奥深くで攻撃を展開しようとしている。
「『戦争と犯罪に責任があるロシア最高位の当局者であっても、安全だと思ってはいけない、たとえモスクワにいてもだ』というメッセージをウクライナは送った」。コンサルティング会社テネオで中・東欧に関する助言を行うアンドリウス・ターサ氏はこう指摘した。
それでも、ウクライナの作戦がロシアのウラジーミル・プーチン大統領の軍事的・政治的な計算を根本的に変える公算は小さい、と観測筋は話している。プーチン氏はこの戦争を個人的なレガシー(遺産)の問題と捉え、存亡をかけた西側との戦いとみなしている。
「このような行為はロシア政府を激怒させ、戦闘継続へと駆り立てるだけだ」。ロシアの独立系新聞ノーバヤ・ガゼータのコラムニストで、モスクワ在住のアンドレイ・コレスニコフ氏はこう指摘した。「さらに、プロパガンダに口実を与える――敵のこの汚い手口を見よ、と」
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は18日、ウクライナによるキリロフ氏の暗殺は「(戦時下の)われわれの行動の正しさを証明するものだ」と述べた。
こうした作戦の初期に注目を集めたのは昨年4月2日、ロシア西部サンクトペテルブルクのカフェで爆発が起き、著名な軍事ブロガー、ウラドレン・タタルスキー氏が死亡した事件だった。
この事件でSBUは、敵地での標的殺害という秘密裏に行われる行為においてロシアやウクライナの西側支援者を驚かせるほどの冷酷さと技術の高さを示した。それ以降、SBUとウクライナの軍事情報機関(通称HUR)はロシア国内で一連の殺害を実行している。
ウクライナの治安当局者によると、ロシア国内での作戦は主にプロの殺し屋が実行役となっている。ウクライナ側は通信アプリのテレグラムやダークネットを使い、通常は犯罪地下組織の殺し屋を見つけて金銭で雇ったり、脅迫したりする。そうした作戦に関与した人物はそう述べた。
「多くの場合、実行役は正確には自分が何をしているのか分かっていない」と、この関係者は言う。1回の殺害に複数の人間が違う任務で関わる場合があるためだ。
標的には、戦争プロパガンダに関わる人物や、寝返った元ウクライナ当局者、そして軍当局者などが含まれる。
ウクライナ治安情報筋によると、最近の作戦の一つは、ロシアの著名なミサイル科学者ミハイル・シャツキー氏が12月12日、モスクワ近郊の森の中で射殺された事件だという。
アルゼンチン改革、「無政府資本主義」大統領はトランプ氏の後押しに期待 - WSJ
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領(54)は自身が進める自由市場に基づく改革について、ドナルド・トランプ次期米大統領が後押しするとの期待を示した。ミレイ氏の下でアルゼンチンは、長年距離を置いてきた米国に接近する姿勢を鮮明にしている。
ミレイ氏はインタビューで、トランプ氏は国際通貨基金(IMF)から新規融資の獲得を目指すアルゼンチンの取り組みを支持する可能性が高いと語った。ミレイ氏はまた、トランプ氏が中国、カナダ、メキシコに関税をかけると宣言する一方で、アルゼンチンとの自由貿易協定交渉に前向きになると予想していると述べた。
「米国はわれわれが信頼できるパートナーであることに気づいているため、その可能性は非常に高いと思う」。ミレイ氏は17日、大統領官邸「カサ・ロサーダ」でウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に語った。
「われわれは戦略的同盟国だ」ともミレイ氏は述べた。トランプ氏とは11月に同氏のフロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」で会談した。来年1月20日の大統領就任式には出席を予定している。
トランプ氏は同氏のスローガン「MAGA(米国を再び偉大に)」に絡めて、ミレイ氏を「MAGAの人物だ」と評した。ただ、トランプ氏は米国に関して保護主義的な方針を示しており、貿易協定への支持を公には表明していない。トランプ氏の広報担当者は、次期大統領とミレイ氏は資本主義と自由貿易を通じて米国とアルゼンチンの相互利益のために協力すると述べた。
過激な言動で知られるミレイ氏は無政府資本主義者を自認し、もみあげがトレードマークになっている。世界で最も高水準に達したインフレ率を引き下げるために痛みを伴う歳出削減を実施した就任1年目は成果が目立った。
元経済学教授で、アルゼンチン大統領選では政府支出と規制を削減する象徴としてチェーンソーを振り回していたミレイ氏の取り組みの結果は、同氏自身もエコノミストも驚かせた。
「インフレはわれわれの予想よりもはるかに速く低下している」とミレイ氏と語った。同氏の執務室の長テーブルの上にはチェーンソーのレプリカが置かれている。「来年はインフレ率が低下し、1人当たりGDP(国内総生産)が拡大し、給与が上がり、貧困が減少することをあらゆる指標が示している」
これはアルゼンチンの国民4700万人にとって歓迎すべきニュースだ。長年にわたる経済的混乱は国民の間で政治エスタブリッシュメント(既存支配層)対する反発を引き起こし、国家官僚機構の破壊を公約に掲げたアウトサイダーのミレイ氏を権力の座に押し上げる要因になった。
左派の前政権下で、アルゼンチンの労働者は購買力が3分の1低下した。前政権は赤字を穴埋めするために通貨発行を増やし、インフレ率は3桁に達した。アルゼンチンはIMFから400億ドル(約6兆2000億円)を超える融資を受けた2018年以降、国際市場から事実上締め出されている。
ミレイ氏はIMFの新たなプログラムに期待を寄せている。これは事業活動を圧迫している現行の為替管理の解除につながる可能性がある。エコノミストらは、経済成長と雇用創出の推進に必要な投資を呼び込むために解除は重要とみているものの、ペソ安とインフレ再燃を引き起こす恐れもある。
「われわれは2025年に(為替管理の)撤廃を見込んでいる」とミレイ氏は述べた。
ミレイ氏は、事態が好転する前には痛みを伴うと警告していたショック療法を実施し、ハイパーインフレと経済崩壊の瀬戸際から国家を立ち直らせた。
現在、小売売上高と賃金は持ち直している。住宅ローンは再び利用可能になった。輸出は増加。株式市場と債券市場は活況を呈している。アルゼンチンのカントリーリスクは大幅に低下した。
政府は公共事業の停止や、年金と公務員給与の伸びを現在年率166%のインフレ率を下回る水準に抑える措置などを実施し、公共支出を実質で30%削減した。ミレイ氏は省庁などの閉鎖を実施し、公務員を3万3000人解雇した。
月間のインフレ率は11月に2.4%に低下した。ミレイ氏が就任した最初の月、2023年12月は約26%だった。同月にミレイ氏はペソを50%切り下げ、食品の価格統制を撤廃した。
アルゼンチン中央銀行はそれ以来、毎月2%のペソ切り下げを行っており、ミレイ氏はインフレが抑制されれば毎月1%に緩和する可能性があると述べた。
アルゼンチンは財政収支の赤字が続いてきたが、今年は1~11月の期間が黒字になった。政府が来年10月の議会中間選挙を前に財政規律を維持できるかどうかについて、政治アナリストの間では懐疑的な見方がある。これまでは、政治家は有権者の支持を得るために支出を増やす傾向があった。
一方、ミレイ氏は減税につなげるために公共支出の削減を続ける方針で、予算均衡については妥協しない考えを示す。
ミレイ氏は「アルゼンチンでは、これ以上の赤字はないというのがルールだ」と語った。同氏は9月、年金向けの支出拡大を目指す野党議員提出の法案に対して拒否権を発動した。
アルゼンチンの経済見通しが改善し、投資家からの信頼が回復してきていることで、同国が国際市場に復帰する可能性が高まっている。ミレイ氏は来年の国の資金需要は満たされているとし、展望が開けてきたことで将来的に債務の借り換えが容易になるとの見通しを示した。
ミレイ氏は国際金融市場に再び参加して借り入れを行う可能性について、「2026年に復帰するためにあらゆることを行っている」と述べた。
アルゼンチンの統計局は16日、7-9月期のGDPは季節調整済みで前期比3.9%拡大したと発表した。
アルゼンチンカトリック大学によると、貧困率は依然として非常に高い水準にとどまるものの、50%をやや下回る水準まで低下した。世論調査でミレイ氏の支持率は約55%と出ており、ショック療法が暴動などの社会不安を引き起こすとの予想に反する格好になっている。
「エル・ロコ(狂人)」とも称されるミレイ氏はここまでの成功により、世界的に拡大する右派の間でスター扱いされるようになった。トランプ氏や米実業家のイーロン・マスク氏からも称賛されている。米電気自動車(EV)大手テスラなどを率いるマスク氏をミレイ氏は現代のトーマス・エジソンやレオナルド・ダ・ヴィンチに例えた。
ミレイ氏は4月にテキサス州のテスラ工場を訪問してマスク氏と対面し、「並外れた人物だ」と語った。マスク氏とは先月、トランプ氏の選挙勝利後にマールアラーゴで再会した。
マスク氏がアルゼンチンに投資する計画があるかどうか尋ねられたミレイ氏は、分からないと答えた。アルゼンチンはEVの動力源に必要なリチウムに関しては世界有数の埋蔵量を誇る。
「どこに投資すべきかを世界一の富豪に言うのは私の立場ではない」とミレイ氏は述べた。
ミレイ氏は米国との関係を深める一方、中国との関係を断絶するとの以前の計画は後退している。
ミレイ氏は中国を訪問し習近平国家主席と会談する方向であるものの、当初は来年初めに予定されていた訪問がいつ実現するかは不明だと述べた。
かつて中国の指導者らを「殺人者」呼ばわりしたミレイ氏だが、現在では中国との関係についての期待を熱く語り、両国の関係は「素晴らしい」と表現している。
ミレイ氏は中国について、「何の条件も必要としない商業上のパートナー」とし、「本当に素晴らしい貿易相手だ」と話した。
アルゼンチンの農産物輸出の主要な買い手である中国との自由貿易協定を求めるかどうか尋ねられたミレイ氏は、大半の国との貿易協定に前向きだと答えた。
「われわれができる自由貿易取引は全てやるつもりだ」とミレイ氏は語り、「他国は好きなようにすればいい。私は自由貿易を追求し続ける」とした。
大統領就任後も、国家を憎悪する見方は変わっていないとミレイ氏は語った。同氏は当選前のテレビ評論家時代に税金を 「窃盗」、腐敗した政治エリートを 「カースト 」と表現していた。
ミレイ氏は「国家は敵であり、私は無政府資本主義者のままだ」とし、「国家は犯罪組織であり、誰も自発的に払おうとしない税金という強制的な財源によって賄われていると今でも信じている」と語った。
ミレイ氏は経済面の改善によって、来年10月の議会選では同氏率いる政党「自由前進」の支持率上昇を見込んでいる。そうなれば、アルゼンチンを「世界で最も自由な国」にするための改革を推し進めやすくなると話した。自由前進が占める議席の割合は下院で約15%、上院で10%弱となっている。ミレイ氏は「疑問を持つな」とし、「私は止まらない」と述べた。
メキシコ中銀、0.25%追加利下げ さらなる利下げの可能性も示唆 | ロイター
ブラジルが記録的ドル売り介入、効果持続には疑問符-当局者に無力感 - Bloomberg
韓国ウォンが下落、年金基金の外貨強制売り発動水準に到達-関係者 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(19日)ドル上昇、長期債利回り上昇  株ほぼ横ばい | ロイター
**為替市場:**  
- ドルは上昇し、2年ぶりの高値圏で推移。FRBの「タカ派的な利下げ」が影響。  
- 第3四半期の米GDP確報値が年率換算で3.1%増に上方修正されたことがドルを後押し。  
- ドル指数は2022年11月以来の高値を記録。ドル/円は157.55円、7月以来の高値近辺で推移。  
- ポンド/ドルは0.58%安。イングランド銀行が政策金利を据え置いたが、利下げ主張が予想を上回る。  
- ユーロ/ドルは0.16%高の1.0367ドル。  
**債券市場:**  
- 米長期国債利回りが上昇。10年債利回りは4.59%と約7カ月ぶりの高水準。  
- 堅調な経済指標やFRBの金融緩和ペース鈍化示唆が影響。  
- 短期債の利回りは低下。  
**株式市場:**  
- ダウ平均は11営業日ぶりに反発も、小幅高で取引終了。前日の大幅下落を受け神経質な展開。  
- 主要経済指標は新規失業保険申請件数が予想以上に減少、GDPが上方修正され、FRBの見解を裏付け。  
- 半導体大手マイクロンが業績見通しの下振れで急落、半導体指数は1.6%安。  
**商品市場:**  
- 金先物価格は6日続落。FRBが利下げに消極的とされる見解が影響。  
- 原油先物は景気減速による需要懸念から下落し、WTI原油は1バレル69.91ドル。
欧州市場サマリー(19日) | ロイター
**ロンドン株式市場:**  
- FTSE100種指数が反落し、1カ月ぶりの安値を記録。米FRBの金利見通しやイングランド銀行(英中銀)の金利据え置きが重荷。  
- 中型株のFTSE250種指数も0.98%安で1カ月ぶりの安値。  
- 不動産関連株や鉱業株が下落。一方、水道事業のセバーン・トレントは料金値上げが好感され0.9%高。  
**欧州株式市場:**  
- STOXX欧州600種指数は1カ月以上ぶりの大幅下落。約3週間ぶりの安値。  
- 不動産株とテクノロジー株が大きく下落。米マイクロンの業績見通し悪化が半導体関連株に波及。  
- ボラティリティ指数は約3週間ぶりの高水準を記録。  
- 英中銀とノルウェー中銀は金利据え置きを決定。一方、スウェーデン中銀は利下げを実施。  
**ユーロ圏債券市場:**  
- 米FRBの慎重な利下げ姿勢と欧州経済低迷の影響で、域内国債利回りが上昇。  
- ドイツ10年債利回りは7bp上昇し2.31%に。イタリア10年債も高水準を記録。  
- 欧州中央銀行(ECB)には追加利下げ圧力が強まる中、ドイツ2年債利回りは2bp上昇。

備忘録(2024/12/18
●海外企業決算
マイクロン、売上高見通しが予想を大幅に下回る-時間外で株価急落 - Bloomberg
半導体メモリーメーカーの米マイクロン・テクノロジーが18日発表した第2四半期(2024年12月-25年2月)の売上高見通しは、スマートフォンやパソコンの需要低迷により、市場予想を約10億ドル(約1550億円)下回った。
12月-2月の売上高は約79億ドルを見込む。アナリスト予想の平均は89億9000万ドルだった。一時項目を除く1株利益見通しは最大で1.53ドルとし、同様に市場予想の1.92ドルを大幅に下回った。
マイクロンは人工知能(AI)関連の受注は好調なものの、メモリー製品にとって二大市場であるスマホやパソコン関連の需要がなお低迷している。
決算の発表を受けて、マイクロン株価は時間外取引で11%急落した。
サンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は「消費者向けの市場は短期的に弱含みだが、当社の年度下期には成長に転じると予想している」と声明で述べた。
9-11月の売上高は84%増の87億1000万ドル、一時項目を除く利益は1株当たり1.79ドルだった。市場予想は売上高が87億1000万ドル、1株利益が1.76ドル。
[GIS] ゼネラルミルズ 2Q増収増益 売上高2%増52.4億ドル、営業益33%増10.7億ドル、EPS1.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
イタリア・ウニクレディト、ドイツ・コメルツ銀行株を28%まで追加取得へ - 日本経済新聞
イタリア大手銀、コメルツ銀への出資引き上げ ドイツ政府は非難 | ロイター
イタリアの大手銀行ウニクレディトは18日、ドイツの同業コメルツ銀行への出資比率を28%に引き上げたと発表した。これに対し、ドイツ政府の報道官は「非友好的なアプローチ」と強く非難した。 ウニクレディトのアンドレア・オーセル最高経営責任者(CEO)は、ドイツの買収規定を踏まえ、新政権樹立まで取り組みを待つ意向を示していた。ロイターは10月、来年2月に連邦議会選挙を控えたドイツが買収を阻止しようとしていると報じた。ただ、情報筋はドイツ政府の選択肢は限られているとしている。 ウニクレディトは今年9月、ドイツ政府保有分の株式買い取りなどにより、コメルツ銀の最大の民間株主となった。現在、直接保有分として9.5%、デリバティブ(金融派生商品)取引を通じて18.5%を保有。以前には、デリバティブ取引を通じてコメルツ銀の株式保有率を約21%に引き上げていた。 最大29.9%まで株式を買い増すため、9月に欧州中央銀行(ECB)の承認を申請。最長90営業日かかる承認プロセスが進行中だとしている。ECBの承認が得られれば、デリバティブの持ち分を株式に転換することが可能になる。ウニクレディトは、コメルツ銀との合併が最善策としながらも、出資者としてコメルツ銀の業績改善を推進することや、保有株の売却により利益を得ることもできると述べている。 一方、コメルツ銀の広報担当者は自社事業に引き続き注力すると説明しており、新たな戦略を来年2月13日に発表する予定という。コメルツ銀の株価は一時、2%超上昇した。 ウニクレディトは、イタリアの同業バンコBPMへの買収提案も進めており、承認を申請していることを先週、発表した。
米メルク、肥満症薬参入へ 中国の製薬企業から独占提供 - 日本経済新聞
●日本企業
ルノー、日産とホンダの持ち株会社設立協議にオープン姿勢=関係筋 | ロイター
経営不振の日産、台湾の鴻海が買収意向-ホンダは統合含め検討 - Bloomberg
第一生命、不動産仲介「ハウスドゥ」に出資 顧客接点拡大 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
【社説】トランプ氏の対日政策に矛盾あり - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は経済面の優先事項がしばしば矛盾している。例えば、同氏は16日、ソフトバンクグループの孫正義最高経営責任者(CEO)が米国に1000億ドル(約15兆4000億円)を投資すると約束したことを称賛した。それではトランプ氏はなぜ、日本製鉄による149億ドル規模のUSスチール買収計画に反対するのだろうか。
孫氏はトランプ氏が同席した記者会見で投資計画を発表し、「(大統領選での)彼の勝利により、米国経済に対する私の信頼度は大幅に高まった」と語った。トランプ氏はその賛辞に感謝したに違いない。
こう考えるのは孫氏だけではない。大統領選後の株価急騰および全米自営業者連盟(NFIB)の調査による中小企業の景況感の改善からそれが分かる。企業は特に、より多くの取引(ディール)が成立することに楽観的であり、スタートアップへの投資は活発になるだろう。この中にソフトバンクの投資先企業も含まれるかもしれない。
だが、トランプ氏が外国からの投資を拒絶し、労働組合幹部らに取り入るために日本製鉄によるUSスチール買収のような取引を阻止すれば、この楽観的なムードに水を差すことになるだろう。日本製鉄は現行の労働協約を尊重し、USスチールの老朽化した設備の改修に27億ドルを投資し、買収が完了した場合は同社従業員に1人5000ドルのボーナスを支払うと約束している。
USスチールは、買収が実現しない場合、ペンシルベニア州モンバレー工場の閉鎖を迫られる可能性があると警告している。これは一般の従業員が買収を支持している理由の一つだ。モンバレー工場の従業員を代表する全米鉄鋼労働組合(USW)の地元支部は、買収を認めるようバイデン政権に働き掛けており、メンバーの95%が買収を支持していると述べている。地元選出の政治家も同様だ。
ペンシルベニア州ウェストミフリンの町長を務めるクリス・ケリー氏は、「10億ドルの投資は4~5年で5000人の追加雇用を生み出し、より良い結果をもたらす。これは、より多くの人々が雇用され、より多くの米国製品と鉄鋼労働者が使われることを意味する。頭を使わなくても分かることだ」と述べた。その通りだ。
それなのになぜ、トランプ氏はこのプレゼントの受け取りを拒否しているのだろうか。それは、USWのデビッド・マッコール会長が日本製鉄による買収に反対し、USスチールとクリーブランド・クリフスの合併を支持しているからだ。この合併が実現すれば、米鉄鋼生産分野のカルテルが出来上がる。労組幹部と米国の労働者の間ではしばしば利害対立が生じているにもかかわらず、トランプ氏は労組幹部に甘い面があるように思える。
トランプ氏は中国に対抗する上で日本を必要としているが、日本製鉄による買収を阻止すれば、日本側の感情を害することになる。トランプ氏は16日「われわれは、日本のことを極めて重要だと考えている」と語った。それならばなぜトランプ氏は、ジョー・バイデン大統領が買収を妨げるか否かにかかわらず、買収の承認を約束しないのか。買収を承認すればトランプ氏は、鉄鋼労働者の雇用を守るとともに、USスチールを再び偉大にしたという成果を誇れるかもしれない。
トランプ氏、就任初日に25以上の大統領令を計画 | ロイター
トランプ次期米大統領は来年1月20日の就任初日に一連の大統領令と指令を出し、不法移民からエネルギーまで全ての問題にわたって新大統領として影響力を見せつける計画だ。
複数の情報筋によると、就任初日に少なくとも25の命令を発出し、その後数日から数週間でさらに追加する計画という。
これまでに分かっていることは以下の通り。
<不法移民>
トランプ氏が大統領就任初日に計画している行動の大半は、不法移民の取り締まり強化と、過去最大規模の不法滞在者を国外に追放するという公約の実行が目的だ。
ロイターは11月、連邦移民局の係官が犯罪歴のない人々を逮捕する権限を拡大される上、メキシコ国境への部隊増派や国境の壁の建設再開も行われることになる見通しだと報じている。
トランプ氏は、国防予算の一部を国境の壁建設に振り向けるため、不法移民問題を国家非常事態と宣言するとみられる。11月に自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、不法移民の国外追放計画の一環として軍事力を転用する意向を示唆した。
トランプ氏はまた、民主党のバイデン大統領が導入した一時的な入国許可政策を終了する方針だ。同政策では特定の国々からの移民数十万人に人道的な理由で合法的な入国と労働許可証の取得を認めてきた。
さらにトランプ氏は、不法滞在の親が米国で出産した子どもに市民権を自動的に付与することを廃止すると公約しており、側近によれば、公約実現の大統領令を準備中だという。
ただ、憲法修正第14条は「米国で生まれ、または帰化した全ての者に市民権を付与する」と規定しており、出生地主義の廃止に動けば法廷闘争が巻き起こる可能性がある。
<エネルギー>
政権移行チームの計画に詳しい複数の情報筋によると、トランプ氏は、就任後数日内に電気自動車(EV)関連から気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱まで、あらゆることを対象とした一連の大統領令発出を検討しているという。
ロイターが確認した文書によると、政権移行チームのメンバーは、EVと充電スタンドへの支援を打ち切り、中国からの自動車や部品、蓄電池材料の輸入を阻止する措置を強化する抜本的な政策変更を提起している。
また同チームは、世界中から輸入する蓄電池材料の全てに関税を課すことで、国内生産量の押し上げに取り組み、関税導入後は同盟国と免除を巡って個別交渉することも提言している。
大統領令発出の際、バイデン大統領が発電所に課した気候変動対策の各種規制の撤回や、液化天然ガス(LNG)の輸出停止措置の終了も追求される可能性が高い。また、大気汚染対策を巡っても、カリフォルニアなどの州が政府よりも厳しく規制できる特例措置の取り消しを目指しそうだ。
<関税>
大統領就任初日か、政権始動から間もない段階で想定される動きの1つは、主要貿易相手の諸国から輸入するモノに課す関税を上げるという威嚇行為を完全に実行に移すことだ。
トランプ氏は、関税が米経済成長を促進すると考えているが、コストは最終消費者の価格に転嫁される恐れが強いと問題視する反対意見も出ている。
<恩赦>
また、トランプ氏は2021年1月6日の米議会襲撃事件に関わった人達のうち、一部に恩赦を与える大統領令についても政権始動から早い時期に出す可能性がある。詳細は不明だがトランプ氏は大統領就任初日に対処する方針を表明済みだ。
●先進国中銀、金融当局
FRB0.25%利下げ、来年利下げ見通し2回に半減 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は17─18日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.25─4.50%とした。
同時に公表した金利・経済見通しでは2025年の利下げ回数が2回と想定され、9月の前回見通しの4回から半減。今後の利下げペースが鈍化する可能性が示唆された。
FRBはFOMC声明で「経済活動は引き続き堅調なペースで拡大している」とし、「失業率は上昇したが、依然として低い。インフレ率は委員会の2%のインフレ目標に向けて進展したが、依然やや高止まりしている」とした。
同時に「FF金利の目標誘導レンジに対する追加調整の程度と時期を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する」という新たな文言を追加。1月28─29日の次回会合での利下げ一時停止に地合いを整えた可能性がある。
最新の経済・金利見通しで25年に2回の0.25%ポイント刻みの利下げが予想されたことで、9月の前回見通しと比べると想定される利下げ幅は0.5%ポイント縮小。トランプ次期政権1年目となる25年のインフレ率予想は2.5%と、前回の2.1%から上方修正され、FRBが目標とする2%を大きく上回った。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「今後はインフレの進展を見極めながら慎重に進む必要がある」と言及。今回の利下げは「より微妙な判断」だったとし、来年の利下げペース減速予想は24年のインフレ上昇を反映したものとの見解を示した。
労働市場については、極めて緩やかで秩序立った形で軟化していると指摘。FRBが担う最大雇用と物価安定という二重の責務を巡るリスクはほぼ均衡しているとの見方を示した。
同時に「一段の利下げを検討する際、インフレの進展を注視する」とし、「今後はインフレをさらに抑制しながら、堅調な労働市場を維持するという進展を見たい」と述べた。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの債券・流動性ソリューションのグローバル共同責任者兼共同最高投資責任者、ホイットニー・ワトソン氏は「FRBは3回連続の利下げを行うことで24年を終えることを選択したが、来年の利下げペースは緩やかになると予想される」とし、「FRBは1月の会合で金利を据え置き、3月に利下げを再開する」との見方を示した。
FRB当局者、25年は2回の0.25%利下げ想定 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が18日公表した金利・経済見通しから、当局者が2025年に0.25%ポイント刻みの利下げ2回を想定していることが分かった。前回9月会合で発表された見通しの4回から減少した。
最新の見通しによると、25年末時点のフェデラルファンド(FF)金利見通し中央値は3.9%と、前回9月の3.4%から上昇した。
26年末時点での金利見通し中央値も3.4%と、前回の2.9%から上昇。これは26年中に2回分の利下げを見込んだ水準で、前回見通しと同じ。
FRBが公表した金利・経済見通しの概要は以下の通り。
●FF金利見通し中央値(カッコ内は前回見通し)
*24年末:4.4%(4.4%)
*25年末:3.9%(3.4%)
*26年末:3.4%(2.9%)
*27年末:3.1%(2.9%)
*長期:  3.0%(2.9%)
●25年に0.5%ポイント、26年に0.5%ポイントの利下げを示唆
●政策金利は27年に3.1%に達すると示唆
●長期見通しは3.0%(前回9月見通しは2.9%)
●25年の利下げ回数について当局者19人のうち、1人が据え置き、3人が1回、10人が2回、3人が3回、1人が4回、1人が5回と予想
●25年の経済成長とインフレ率は共に前回の見通しから上方修正
●25年末時点の失業率4.3%と予測(前回4.4%)
●25年末時点のインフレ率2.5%と予測(前回2.1%)、コアインフレ率2.5%と予測(前回は2.2%)
●25年の経済成長率2.1%と予測(前回2.0%)、長期的な成長率1.8%と予測(前回から変更なし)
FRB1月の据え置き観測高まる、25年は2回利下げ=金利先物市場 | ロイター
情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨 | ロイター
FOMC、金利引き下げ-追加利下げにはインフレ進展必要と議長 - Bloomberg
米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月17-18両日に開催した定例会合で、主要政策金利を0.25ポイント引き下げることを決定した。これで3会合連続の利下げとなる。一方で2025年に見込む利下げ回数は従来予想から減少し、引き下げペースを巡り当局者らが慎重姿勢を強めていることが示唆された。
今回の利下げにより、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.25-4.5%となった。決定は賛成が11人、反対が1人だった。クリーブランド連銀のハマック総裁が金利の据え置きを主張し、決定に反対票を投じた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC会合後の記者会見で、「今回の行動により、われわれは政策金利をピーク時から1ポイント引き下げたことになり、現在の政策スタンスは顕著に景気抑制の度合いが弱まった」と指摘。「よって政策金利のさらなる調整を検討する上で、われわれはより慎重になることが可能だ」と述べた。
パウエル議長はただ、政策は依然として「有意に景気抑制的」であり、委員会は「利下げを継続する方向にある」と付け加えた。ただし、追加利下げを実施する上ではインフレ面でさらなる進展を目にする必要があると議長は指摘した。
会合後に公表された最新の四半期予測では、25年の利下げについて幾人かの当局者が前回より少ない回数を予想。FOMC参加者の中央値では、FF金利の誘導目標レンジは25年末までに3.75-4%になるとの予測が示された。これは0.25ポイントの利下げが2回実施されることを示唆する。
25年に関してより多い利下げへの支持を示唆した当局者は、わずか5人にとどまった。
ブルームバーグが実施した調査では過半数のエコノミストが、FOMC参加者による来年の利下げ予測中央値が3回になると予想していた。
記者会見ではトランプ次期政権が輸入関税を賦課した場合の対応についての質問が、パウエル議長に向けられた。
一部の政策当局者はトランプ氏が実施する可能性のある追加関税の潜在的な影響を織り込み始めたと、パウエル氏は指摘。ただ、そうした政策提案の影響は現時点では極めて不透明だと述べた。
「実際の政策についてはあまり分かっていないというのが本当のところだ」とパウエル氏。「よって、何らかの結論を出そうとするのは時期尚早だ」と述べた。
最新の四半期予測では、FOMC参加者は25年の失業率を4.3%と予想。経済成長率については2.1%と、従来予想から若干引き上げた。
インフレ率については、25年末の予測が中央値で2.5%と、9月時点(2.1%)から大きく上昇した。
長期の政策金利見通しは3%とし、前回の2.9%から引き上げた。経済活動を促進も抑制もしないと想定される中立金利の水準は、新型コロナウイルス禍後に著しく不透明になったと、複数の当局者がこれまでに指摘している。
一部の当局者は中立金利水準が上昇したとの認識を示唆している。つまり、従来の想定より少ない利下げで同水準に到達できることを意味する。
FOMCはまた、翌日物リバースレポ(RRP)ファシリティーを利用する金融機関にFRBが支払う金利を30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げるとも発表。これによりRRPの金利はFF金利の誘導目標レンジより実質的に5bp低くなり、レンジの下限と同水準になる。
英中銀の来年の利下げ見通しが市場で後退、2回すら織り込まれず - Bloomberg
イングランド銀行(英中央銀行)が来年行う利下げについて、2回ですらも完全には織り込まれなくなった。インフレ圧力が根強いとの兆しが表れ、金融緩和は慎重にしか進まないとの見方が説得力を得ている。
短期金融市場が織り込む2025年末までの英中銀の利下げ幅は一時49ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。週初の16日には70bpを超えていた。17日に英国の賃金上昇が予想以上に加速したことが明らかになり、金利見通しの修正が始まった。
18日に発表された11月の英消費者物価指数(CPI)はエコノミストの予想に一致したものの、中銀当局者らが注視しているサービス価格のインフレ率は5%と高止まりした。
中銀は19日の政策発表で金利を4.75%に据え置くと見込まれている。今年の利下げは0.25ポイントが2回で、米国やユーロ圏に比べて金融緩和のペースは遅く、それが来年も続くと市場では見込まれている。
G20金融安定理事会、ノンバンクのリスク管理強化を提言 | ロイター
20カ国・地域(G20)の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)は18日公表した市中協議文書で、ヘッジファンドや保険会社などノンバンク金融仲介(NBFI)を取り巻くリスクを減らすよう各国政府に提言した。
FSBによると、NBFIは2009─23年に約130%拡大しており、市場がストレスイベントの影響を受けやすくなっている。
FSBのジョン・シンドラー事務局長は「こうした成長には金融システムの複雑性と相互接続性の増大が伴う。適切に管理しなければ、金融の安定に重大なリスクをもたらし得る」と述べた。
FSBは加盟国政府・機関に対し、NBFIを注視し、信用リスクを適切に管理することを提案。
NBFIのレバレッジに関連する金融安定リスクを特定・監視するための国内枠組みの構築を推奨したほか、特定した金融安定リスクを軽減する政策手段を政府が選択・設計・調整することを提言している。
また、カウンターパーティーの信用リスク管理についも、バーゼル銀行監督委員会の改訂ガイドラインを適時に徹底して履行するよう呼びかけた。
FSBは今回の市中協議文書を通じて加盟国政府・機関に意見を求め、来年半ばに最終報告書を公表する計画。
●先進国経済指標
英CPI、11月は+2.6%で8カ月ぶり高水準 サービス価格横ばい | ロイター
米住宅着工件数は予想外に減少、7月以来の低水準-集合住宅が下押し - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
個人向け国債発行5年ぶり高水準 金利0.71%に上昇 - 日本経済新聞
泡立つ米株市場、私が恐れる理由 - WSJ
米株市場は天井に近づいている感覚がある。ただし科学的根拠はなく、読者自身が判断する必要がある。市場に問題が差し迫っているのではないかと筆者に思わせる要因を以下に挙げる。もしかすると株価の調整か、もっと大きな何かの始まりかもしれない。少なくともこれから多少の波乱はありそうだ。
どこもかしこも強気派ばかり。弱気派は見当たらない。これはセンチメントにも、各種調査にも、筋金入りの弱気派の降伏にも表れている。
シティグループのレブコビッチ指数によると、センチメントは「euphoric(陶酔状態)」にある。このインデックスは多くの指標を組み合わせたもので、投資家がこれほど前向きなのは過去に2度のみ、すなわち新型コロナウイルス収束後に起きた特別買収目的会社(SPAC)・大麻・グリーンバブルと1999~2000年のドットコムバブルしかないことが分かる。
投資家が過度に楽観的になれば、相場上昇ははるかに困難で――誰もがすでに多くの株式を保有している――、彼らが間違っているかもしれない兆候がほんの少しでもあれば、はるかに容易に下落する。何がきっかけになるかは分からないが、大したことでなくてもよい。
楽観論に傾く兆候は他にも。インベスターズ・インテリジェンスの週次調査によると、投資ニュースレターの執筆者がこれほど強気なこと(これほど弱気でないこと)はめったにない。コンファレンスボードの月次調査によると、今後1年間に株価が上昇すると米国の世帯がこれほど確信していたことは過去になかった。
またバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)の調査によると、米大統領選の結果を受け、ファンドマネジャーは2013年以降のどの時点よりも米国株の「オーバーウェート」にシフトし、過去に例がないほど米国買い一色になっている。ファンドへの資金流入も異例のスピードで、過去最高を更新しそうな勢いだ。
名だたる弱気派の一部はすでに降参している。「ドクタードゥーム(破滅博士)」の異名を取る、経済学者でファンドマネジャーのヌリエル・ルービニ氏は、ブルームバーグTVで「私はドクタードゥームではない。ドクターリアリスト(現実主義者)だ」と語り、米経済の明るい見通しを強調した。ローゼンバーグ・リサーチのデービッド・ローゼンバーグ氏は「今回は違う」という決定的な言葉こそ使わなかったが、「伝統的な評価方法は少なくとも今はあまり役に立たない」と指摘した。
今回はきっと違う。ローゼンバーグ氏は、人工知能(AI)主導の生産性ブームが見込まれることから、投資家は1年先の予想PER(株価収益率)という標準的な投資尺度をもはや重視せず、さらに先を見据えるようになったと考える。市場がいずれ正常な状態に戻るとみているゴールドマン・サックスなども、近い将来に問題が起きることは想定していない。
AIと米経済は偉大だとの見方でほぼ全員が一致。ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)のチーフ投資ストラテジストのウェイ・リー氏は、AIへの投資は「過去の産業革命に近い規模だが、はるかに急ピッチで行われている」と指摘。「米国例外主義は何年もかけて作られてきた」と主張する。
この幅広い見解の一致は、株価にも表れている。大型AI関連銘柄が今年の市場を支配した一方で、米株市場は1~11月に世界の他の株式市場を22ポイント近くアウトパフォームした。11カ月間のパフォーマンスとしては1998年以降で最大の差がついた。
誰もバリュエーションを気にしない。人々はAIと米国がうまくいくと考えているだけではない。株価は将来のリターンの起点であるにもかかわらず、誰も株価を気にしていないようだ。割安な株、つまりバリュー株は長年低迷が続くが、直近でも11営業日続落し、過去最長の連続下落記録となった。確かに業績の悪い企業ではあるが、グロース株に対する熱狂とはあまりにもかけ離れている。
株式と債券の関係にも同じことが言える。株式益利回り(PERとは逆数の関係にある)は米10年債利回りを辛うじて上回る程度で、この尺度でみた株式保有リスクに対する報酬は、ドットコムバブル直後の時期以降で最低となっている。人々は単に優良銘柄を買いたいだけでなく、優良銘柄なら株価にかかわらず買いたいようだ。
インサイダーの売買行動。このシナリオに乗ろうとしないグループがある。企業経営者たちだ。米国の企業利益が新たな黄金期を迎える可能性を最もよく見極められる場所にいるはずだが、規制当局への提出資料によると、彼らは購入する株式よりも多くの株式を売っている。つまり株価が高すぎると考えている節がある。
以上の点はいずれも、相場が必ず下落するという確かな証拠ではなく、ましてや近い将来にそれが起きることを示すものではない。過去の下落の予兆としても完璧ではなかった。米個人投資家協会(AAII)の調査をはじめ一部の指標によると、状況はそこまで極端ではない。だが筆者は、株価やバリュエーション、期待感がすでに極めて高く、企業のインサイダーが自分のお金を賭けようとしない中で、限定的なシナリオに群がる投資家には加わりたくない。
世界の石炭消費、2024年は過去最高に 中印で需要旺盛=IEA | ロイター
国際エネルギー機関(IEA)は18日、今年の世界の石炭消費量が過去最高を記録し、2027年までその水準付近で高止まりするとの見通しを示した。アジアの堅調な需要が米国や欧州の需要減少を補うという。
24年の世界の石炭需要は約87億7000万トンと見込む。中国の需要は他の地域全体と比べて3分の1程度高くなると予想している。
再生可能エネルギーの供給拡大により各国のエネルギー需要が満たされる中、石炭は世界の電力構成の35%と過去最低水準に低下している。
24年のインドの石炭消費量は5%超増加して13億トンに達し、欧州連合(EU)と米国の消費量合計を上回る見通し。
IEAは、中国の市場での優位性は輸入率の高さからも明らかだとし、24年はこれまでの輸入記録の2倍以上の5億トンに達する見通しとした。
中国は今後数年、エネルギー源の多様化を進め、風力や太陽光発電の開発を加速し、原子力発電所の建設を進めることで石炭への依存を減らすが、不確実性が依然として残るとIEAは指摘する。
豪政府、長期財政赤字見通しを引き上げ 今年度予想は引き下げ | ロイター
オーストラリア政府は18日に発表した2024/25年度(24年7月-25年6月)の中間経済・財政見通しで財政赤字について、今年度分は従来予想から引き下げる一方、長期については医療や生活費支援などの面で歳出が避けられないとして予想を引き上げた。
2024/25年度の財政赤字の見通しは269億豪ドル(約170億4000万米ドル)で、5月に示した283億豪ドルから縮小した。
しかしその後は歳出が250億豪ドル膨らむとして、27/28年度までの3年間の財政赤字予想は5月時点の予想を230億豪ドル上回る1170億豪ドルと見込んだ。財務省はこの3年間の歳出増加について「年金、メディケア(国民健康保険)、医薬品などの分野における緊急かつ不可避、あるいは自動的な支出増によるところが大きい」と説明した。
チャルマーズ財務相は記者会見で、減税、電気料金補助、薬価引き下げなどこれまでに実施してきた政策に加えて生活費軽減策をさらに手厚くする可能性を示唆。「余裕があり、国民の生活費支援を増やせる手段があれば、もちろん検討する」と述べた。
24/25年度の国内総生産(GDP)成長率の見通しは5月に示した2.0%から1.75%に下方修正。賃金上昇率の予想も3.0%に引き下げた。
最近発表された第3・四半期の経済統計によると、オーストラリア経済はインフラ向け公共投資や電気料金補助がなければ景気後退入りしていたとみられる。来年予定されている総選挙で厳しい闘いが見込まれる中道左派の労働党政権は、高金利と高インフレの重圧の下で景気は減速しているが、財政支出によって経済を確実にソフトランディングさせると主張している。
●中東情勢
シリア難民、来年前半に100万人帰還へ 国連機関が予想 | ロイター
●エマージング
インドネシア中銀、金利据え置き 通貨ルピア安定に引き続き注力 | ロイター
タイ中銀、政策金利据え置き 先行き不透明 | ロイター
中国都市部の若年層失業率、11月は16.1% 3カ月連続改善 | ロイター
中国人民銀が国債価格上昇に不快感、金融機関に警告-相場は反落 - Bloomberg
中国人民銀行(中央銀行)が、記録的な国債相場の上昇に数カ月ぶりに不快感を表明した。これにより相場は反落した。
人民銀行は債券市場の「激しいトレーディング」に関与する金融機関に対し、金利市場などでの関連リスクに細心の注意を払うよう促した。人民銀系の金融時報が18日、匿名の関係者の話として報じた。
報道を受け、10年物中国国債利回りは一時4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し1.77%となった。その後、上昇幅は1bpに縮小した。ただ、同利回りは週初に過去最低を付けていた。30年物国債先物は9月以来となる1.8%安まで売られたが、下げを縮小し、0.6%安となった。
米国との貿易戦争が激化するリスクが高まっているため中国の指導部が大規模な景気支援策を来年打ち出すとの見方から、トレーダーは中国国債を買い進めている。同国債利回りの低下は中国が日本型のバランスシート不況に向かっているとの懸念も強める一方で、米国債との利回り差は拡大し、人民元相場を大きく圧迫している。
「市場は最終的に来年の利下げを40-50bpと織り込むだろうと思うが、当局は恐らく現在の動きをあまりに急速で急激だと見なすだろう」とBNPパリバの大中華圏外国為替・金利戦略責任者、王菊氏は述べた。
人民銀は国債相場の上昇を抑えようと、今年に入り口先介入を繰り返している。また、債券投資家に措置を講じたり、長期債を売却したりもした。それでも、まだら模様の景気回復や景気支援策を巡る失望などが、国債価格を押し上げている。
ソシエテ・ジェネラルのマクロストラテジスト、キヨン・ソン氏(香港在勤)は、「中国国債は容赦のない上昇を続けていたため、利益確定の機会になったのかもしれない」と指摘しつつ、「人民銀の警告でトレンドが変わることはなさそうだ」との認識を示した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(18日)米国株大幅続落、ドル2年ぶり高値、利回り急上昇 | ロイター
**ニューヨーク外為市場**  
ドルは2年ぶりの高値を記録。FRBが利下げ(0.25%)を実施し、今後の利下げペース鈍化の可能性を示唆したことがドル高要因となった。2025年の利下げ回数見通しは4回から2回に半減。
**米国債市場**  
FRBの利下げ決定後、米国債利回りが急上昇。10年国債利回りは5月以来の高水準(4.51%)を記録し、短期国債や長期国債も大幅上昇した。
**米国株式市場**  
主要株価指数は大幅安。利下げは実施されたものの、鈍化の示唆が失望を招き、特にダウ平均は10日連続下落(1974年以来最長記録に接近)。
**金先物市場**  
FRBの金融政策決定を控えた売りが続き、金価格は5営業日連続下落。利下げペース鈍化観測と金利高止まりが、金の投資価値を低下させる要因となった。
**原油先物市場**  
原油価格は需給引き締まり観測から反発したが、FRBの利下げ回数見通し引き下げが景気押し上げ効果の鈍化と需要減退懸念を招き、上値は限定的だった。
全体的に、FRBの利下げペース鈍化が市場に影響を与え、ドル高、株安、金と原油の値動きに波及しました。
欧州市場サマリー(18日) | ロイター
**ロンドン株式市場**  
FTSE100指数はわずかに上昇、FTSE250指数も8営業日ぶりに反発。銀行株と石油・ガス株が上昇を牽引した一方、製薬株はアストラゼネカの下落により下押しされた。11月の英国消費者物価指数(CPI)は上昇率が加速し、インフレが高止まり。イングランド銀行は金利を据え置き、来年の利下げを見込むとの観測。
**欧州株式市場**  
5営業日ぶりに反発。ハイテク株やルノーの大幅上昇が寄与。ルノーはホンダと日産との経営統合協議報道を受けて5.2%高。一方、市場はFRBの金融政策発表を控え、慎重姿勢で上げ幅は限定的。
**ユーロ圏債券市場**  
ドイツ10年債利回りは1bp上昇し2.244%、イタリア10年債も1bp上昇。英10年債と独10年債の利回り格差は34年ぶり高水準の230.3bpを記録。これはイングランド銀行と欧州中央銀行(ECB)の金利政策の違いを反映。
全体的に、市場はFRBや欧州各国の政策金利決定を控えつつ、インフレや企業動向に注目しました。

備忘録(2024/12/17
●海外企業決算
●海外企業
ブロードコム株、エヌビディアをほうふつさせる急騰-結果を出すのみ - Bloomberg
大手ハイテク企業に半導体を供給するブロードコムの株価は、先週の決算発表から2日で38%の大幅上昇を記録した。まるでエヌビディアの株価が2023年に飛躍的に上昇し始めたころのようだ。ただ、ブロードコムが人工知能(AI)時代の新たな巨人として名をはせるには、その株高の期待に応えられることを証明する必要がある。
12日の決算発表後の株価上昇に伴い、ブロードコムの時価総額は約1兆2000億ドル(約184兆円)に押し上げられた。手掛かりとなったのは、データセンター事業者向けに同社が設計するAI部品の対応可能市場は27年度までに900億ドルに達するとの予測だった。ただ、この実現は容易ではない。
マホニー・アセット・マネジメントのケン・マホニー最高経営責任者(CEO)は「ある意味で1年半ほど前のエヌビディアのようだ。つまり、当時はエヌビディアが良好な業績を上げ、誰もがそれを追いかける格好だった」と述べ、ブロードコムは投資家にAIコンピューティング需要は非常に大きく、エヌビディア以外にも勝ち組が生まれる余地は十分あることを示していると語った。
ブロードコムの業績は先週の決算発表前からすでに良好だった。AI事業は堅調に成長し、フィラデルフィア半導体株価指数(SOX)採用銘柄の中でパフォーマンスはトップクラスだ。それでも完全に順風満帆というわけではなく、同社がAI以外の事業の弱さを理由に精彩を欠く見通しを示すと、株価は9月に急落した。
直近の四半期決算では再びAIに注目が集まった。ブロードコムの株価は年初来で110%余り上昇し、年間上昇率は2009年の上場以来で最高となる勢いだ。ウォール街は同社の目標株価や業績見通しを引き上げるが、それでも、ブルームバーグが集計したデータによると、決算発表後に19%上昇したアナリストの平均株価目標は株価の上昇ペースには及ばない。 
ラショナル・エクイティ・アーマー・ファンドのポートフォリオマネジャー、ジョー・タイゲイ氏は、ブロードコムとエヌビディアには多くの共通点があると指摘。「ブロードコムが38倍を裏付ける業績を上げなくてはならないのは明確だが、同社は今年、良好な成長と業績を残している」と述べた。この倍率は今後12カ月の業績見通しを基にした予想株価収益率(PER)で、記録的な領域をさらに進んでいる。ブロードコムには失敗が許される余地はあまりなさそうだ。
●日本企業
●先進国政治動向
トランプ氏の大統領選後初会見、七つのポイント - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は大統領選に勝利して以来初の記者会見に臨み、関税やワクチン、ドローンなどについて1時間余りにわたり記者団に語った。
トランプ氏の発言の最も重要なポイントを以下に挙げる。
ワクチン
次期大統領は、自身は公立学校でワクチン接種を義務化することに懐疑的だと語った。「義務付けは嫌いだ」と彼は語り、「義務付けを声高に言うのは好まない」と述べた。
トランプ氏が厚生長官に指名したロバート・ケネディ・ジュニア氏は以前から、ワクチンに対する懐疑的な見方を表明している。こうした立場を理由に、一部の上院議員が同氏の指名承認に異議を唱える可能性がある。
しかし、トランプ氏は次のように述べ、ポリオワクチンの接種を阻止しない考えを示した。「ポリオワクチンがなくなることはない。そうした事態は起こらない」
トランプ氏はまた、ワクチンが自閉症を引き起こすとの主張について、事実かどうかを調査すると表明した。大半の専門家はこの主張を否定している。トランプ氏は「どこかおかしいところがあり、それを解明する」と述べた。
閣僚人事
トランプ氏は、上院議員たちが政治的な理由やくだらない理由で誰かの指名に反対しているなら、彼らは予備選で対抗馬の挑戦を受けることになるかもしれないと述べた。こうした挑戦は「私とは無関係だ」と同氏は付け加えた。
トランプ氏は「(上院議員の反対が)合理的で、公正であり」、「何か、あるいは誰かに対して本当に異論がある」ような場合には、指名に反対票を投じるのは当然だと考えるかもしれないと述べた。しかし同氏は、自身が指名した人々は「素晴らしい人々の集団」だと確信していると語った。
トランプ氏が指名した閣僚候補の大半は、共和党所属の上院議員から歓迎されている。だが、ケネディ氏や国防長官に指名されたピート・ヘグセス氏ら、一部には厳しい目が注がれるとみられる。
トランプ氏は、マルコ・ルビオ上院議員が国務長官として承認された場合、フロリダ州知事のロン・デサンティス氏がルビオ上院議員の後任に、トランプ氏の義理の娘で元テレビプロデューサーのララ・トランプ氏を選ぶかどうかは分からないと述べた。トランプ氏はララ氏にはたくさんのオファーが来ていると指摘し、「人々は彼女にテレビに出演してもらいたがっている。彼女と契約したがっている」と述べた。
外交
トランプ氏は、現段階でイスラエルと停戦協定締結に至っていないイスラム組織ハマスについて、来年1月20日の大統領就任式までにすべての人質を解放しなければ、「地獄のような事態が生じるだろう」と述べた。次期大統領の同氏は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と最近紛争について協議したことを明らかにしたが、詳細には触れなかった。交渉担当者はパレスチナ自治区ガザの停戦協定締結を目指して取り組みを続けており、先週にはハマスが停戦協定の下で解放する予定の人質のリストを提供した。この中には米国民も含まれる。こうしたことは、昨年の1回目の停戦以来行われていなかった。
トランプ氏は、シリアの反体制派が勝利し、バッシャール・アサド大統領が追放されて、政権が崩壊したことについて、トルコの功績だとの見方を示した。シリアに駐留する約900人の米兵を撤退させるかという質問に対しては、「わが国の兵士たちが殺されるのは望まないが、片方が大打撃を受けたため、どのみち、そのようなことは起こらないと考えている」と答えた。
トランプ氏はまた、ロシアとウクライナの紛争終結のために努力しており、それに向けて「若干の前進」があったと述べたが、詳細は明らかにしなかった。
ドローン
最近何週間かにわたってニュージャージー州の上空に現れているミステリアスなドローンについてトランプ氏は、何が起きているのか米政府は知っていると語った。ただしその証拠は示さなかった。これらのドローンは、州・連邦政府当局者らを困惑させており、住民を動揺させている。トランプ氏は「米軍はそれがどこから飛び立ったものか知っている。何らかの理由があって、彼らはコメントしたがらない」と述べた。
トランプ次期大統領は、何の説明もない状況で出現したこれらドローンについて、安全保障関連のブリーフィングを受けたかどうか明らかにしなかった。
関税
トランプ氏は、大統領就任後に世界各国からの輸入品に関税を課すとの考えを改めて強調した。同氏は関税の活用に関し「彼らがわれわれに関税を課すなら、われわれも彼らに関税を課す」と語った。
トランプ氏から次期商務長官に指名されたハワード・ラトニック氏は、トランプ政権が相互主義の貿易政策を重視するとの見方を示している。ラトニック氏は、貿易面で主導的役割を果たすとみられている。
ラトニック氏は記者会見で、中国との間で貿易面の合意が結ばれるのかとの質問に対し「相互主義が重要なトピックの一つになる。われわれが相手から受けたのと同じ扱いを、相手側はわれわれから受けることになる」と語った。
トランプ氏は、今回の記者会見では関税に関する計画の詳細を明らかにしなかったが、中国、カナダ、メキシコなどの国々に対し、関税を課すことを既に警告している。
トランプ氏は「関税はわれわれの国を豊かにする」と語った。
TikTok
トランプ氏は、来月禁止される可能性のある人気動画投稿アプリTikTok(ティックトック)への対応について明確な説明はせず、「TikTokについては今後調査する」と述べた。
ジョー・バイデン大統領は今年4月、TikTokを中国の親会社が売却しない場合、米国内でのこのアプリの利用を禁止する法案に署名した。この法律は裁判で合憲との判断が下され、来年1月半ばに発効することになっているが、どのように実施されるのかは不明だ。タイミングの問題で、この法律の施行はトランプ政権に委ねられることになる。
もともとトランプ氏は、自身の1期目にTikTokの禁止を支持していたが、その後、このアプリを気に入るようになった。トランプ氏は今月16日、若者には「好感」を持っていると語った。先の大統領選で一部の若者がトランプ氏を支持したためだという。
恩赦
トランプ氏は、ニューヨーク市長エリック・アダムズ氏の恩赦を検討することを明らかにした。アダムズ氏は9月、収賄、詐欺、違法な選挙資金集めなどの罪で連邦検察に起訴された。連邦検察の起訴状によれば、アダムズ氏(民主党)は約10年間、無料でトルコの航空会社の旅客機に搭乗し、高級ホテルに宿泊するなど、10万ドル(約1540万円)相当を超える厚遇を隠れて受けていた。
トランプ氏は「彼はかなり不当な扱いを受けたと思う。現時点ではまだその重大性を完全に把握しているわけではないが、何年も前に飛行機の座席をアップグレードされたようなものだ。恐らく、ここにいる誰もがアップグレードされた経験があるはずだ」と述べた。
トランプ氏、41%が「好意的」 1期目就任前の51%から低下=調査 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
ECB年次銀行評価、レバレッジリスクで13行に資本増強求める | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は17日、ユーロ圏の銀行に関する年次評価を公表した。13行が吸収できる以上のリスクを抱えている可能性があると指摘し、レバレッジ比率要件を満たすために資本を積み増すよう求めた。
この数は昨年の2倍で、10─40ベーシスポイント(bp)相当の上積みが必要とされた。レバレッジ比率は銀行の総資産に対する中核的自己資本の割合を示す。
また、未回収の融資に対する引当金が十分でないと判断した18行に資本増強を求めた。昨年の20行から減少した。
さらに9行は、「レバレッジドファイナンス」へのエクスポージャーに対し資本の上積みを求められた。
しかしECBは監視対象である113行について、「平均すると、銀行は規制上の要件を大幅に上回る強固な資本と流動性を維持している」と評価した。
ECBのブッフ銀行監督委員長は、「欧州の銀行の資産の質は良好だ。自己資本は総じて強固で、収益性も優れ、欧州の家計や企業にとって信頼できる資金供給と金融サービスの提供元となっている」と指摘した。
ECBは来年、地政学的変化と経済の低迷から生じるリスクに焦点を当てて監督業務を行う予定。
「地政学的リスクは顕在化するまで金融市場に織り込まれないことが多く、突然のリスクの再評価が起き、流動性リスクが高まり、さらなる損失につながる恐れがある」と警告した。
「実体経済に関しては、企業のコスト上昇や世界貿易の混乱が信用リスクを高める可能性がある」との見方を示した。
ECB、金融機関に課す自己資本比率引き上げ-来年から11.3%に - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)は17日、欧州の金融機関が大幅な利益をあげているものの、地政学上のリスクが高まっているとして、求める自己資本比率をわずかに引き上げると発表した。
ECBの声明によると、銀行は来年から中核的自己資本(CET1)比率を2024年より0.1ポイント高い11.3%以上とする必要がある。ECBは「一部の銀行のリスクプロファイルの変化」を受けて、比率を引き上げたという。
欧州の銀行は過去2年半にわたる金利上昇の恩恵から、株主への配当を増加させてきた。だが、ECBは地政学的な緊張から気候変動に至るまで、数多くのリスクに直面していると警告する。
ECBはまた、「過剰なレバレッジ」を理由に追加要件を課す対象の銀行数を2倍以上に増やしたことも明らかにした。金融機関13行は、レバレッジ比率を最低3%以上に保たなければならないという。追加のバッファーは0.1ー0.4ポイント。
ECBは銀行4行に対して、最低限の「存続期間」と通貨固有の流動性バッファーを遵守するために、余剰流動性を確保するよう指示した。
金融政策の具体的手法は日銀に委ねており、コメント控える=赤沢再生相 | ロイター
【社説】FRBは今なぜ利下げするのか - WSJ
今週開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)は0.25ポイントの利下げで今年を締めくくることをすべての兆候が示している。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が実際に0.25ポイント引き下げられれば、9月以降の利下げ幅が1ポイントに達する。われわれの疑問は、なぜ今利下げなのかということだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、FRBが目標とする2%に向けたインフレ率低下の流れが止まっているのに、この路線を追求している。先週発表された11月の米消費者物価指数(CPI)は前月比で0.3%上昇した。前月までは0.2%の上昇が4カ月続いていた。前年同月比のCPI上昇率は、全体が2.7%で、食品とエネルギーを除くコア指数では3.3%だった。CPIの先行指標である卸売物価指数(PPI)の前月比上昇率は11月に0.4%と、5カ月ぶりの高水準を付けた。
インフレ楽観論者は、住居費の算出方法が不完全なためCPIが押し上げられているものの、この傾向は間もなく反転し、インフレ率は再び低下するという主張を繰り返している。PPIに関してウォール街は、上昇分の大半が卵の価格上昇だったという点に好材料を見いだしている。少し前にインフレ見通しを誤ったにもかかわらず、専門家らは他の物価上昇が引き続き抑えられると確信しているのだろうか。
FRBは9月、労働市場の軟化を懸念し、0.5ポイントの大幅利下げを実施した。そうした軟化の兆候はある程度残っているが、大半のシグナルは、2期目のトランプ政権発足を間近に控えて経済に活気が戻りつつあることを示している。成長促進政策は本質的にインフレを引き起こすという理論に賛成するわけではないが、こうした政策は追加利下げによる景気の後押しは不要だということを意味する。なぜFRBはこの機会を利用してインフレ抑制に焦点を当てないのか。
FRBの最近の金融緩和はテクニカルな要因によるものだというのが一般的な説明だ。当局者らは、インフレ率が2%の目標に向かって低下する(彼らはそうなることを想定している)中で、FOMCが名目金利を引き下げなければ実質金利が過度に上昇することを懸念しているとされている。だが、実質金利が引き締め的であることを示す動きは金融市場に見当たらない。
全く逆だ。株価は上昇し、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格は10万6000ドル(約1600万円)を超えて史上最高値に近づいている。家計の純資産も再び急増しており、7-9月期には可処分所得比で778%に達した。この数字はFRBによる金融引き締め後の昨年1-3月期に733%まで落ち込んでいた。資産価格は急騰している。
長期債の利回りは9月の利下げ後に急上昇した後、低下していない。10年物米国債利回りは4.4%で高止まりしている。シカゴ地区連銀の全米金融環境指数は、金融環境がしばらく前から緩和的で一層緩和的になりつつあることを示している。供給されている資金に不足はない。パウエル氏は何をもって金融政策が引き締まっていると考えているのか。
恐らくパウエル氏の懸念の一つは、市場が今週の利下げを予想しているため、利下げしなければ市場が悪い反応をする可能性があることだろう。FF金利先物市場の動きから判断すると、投資家は利下げの見込みに大きく賭けてきた。しかし、だから何なのか。インフレがしつこく続き、来年に利上げを迫られるようなことがあれば、FRBの信頼性ははるかに大きな打撃を受けるだろう。
パウエル氏にとって最も望ましくないのは、インフレが再燃して来年金利を引き上げなければならなくなることだ。ドナルド・トランプ次期大統領と多くの共和党員は既に、FRBが大統領選前に大幅利下げに踏み切ったのはカマラ・ハリス氏を助けるためだったのではないかと疑っている(その見方は間違っているとわれわれは思うが)。恐らくパウエル氏は今週、いわゆる「タカ派的な利下げ」の姿勢を示すだろう。つまり、利下げはするが、当面はこれで終わりだと報道陣に伝えるのではないか。それでも、経済が力強くインフレが続いている状況にもかかわらずFRBが利下げするという事実に変わりはない。
トランプ氏からの政治的攻撃に対するパウエル氏の最善の防御策は、インフレファイターとしてのFRBの信頼性を保つことだ。インフレを完全に抑え込めていないのに、なぜ米経済に必要とは思えない追加利下げを今行うことで信頼性を損なうのか。パウエル氏が本当に追加利下げに踏み切る場合、注目すべきことの一つは、FOMC参加者のうち何人が利下げに反対するかだ。
●先進国経済指標
独ZEW景気期待指数、12月は予想外に上昇 | ロイター
独IFO業況指数、12月は低下 経済低迷「慢性化」 | ロイター
独IFO経済研究所が17日発表した12月の業況指数は前月改定値の85.6から84.7に低下し、アナリスト予想(85.6)も下回った。
調査は約9000人の企業経営者を対象に実施。地政学的な不確実性と国内産業の不振を背景に、企業は今後数カ月を悲観的に捉えている。
IFOのクレメンス・フュースト所長は「ドイツ経済の低迷は慢性化している」と述べた。
現況指数は改善したものの、期待指数は11月の87.0から84.4へと予想(87.5)に反して低下した。
VPバンク・グループのチーフエコノミスト、トーマス・ギッツェル氏は「製造業とサービス業はともに厳しい状況に置かれている。サービス業では、労働市場の悪化見通しが緩慢ながらも確実に根を下ろしつつあるようだ」と語った。
コメルツ銀行のチーフエコノミスト、ヨルグ・クレーマー氏は、ドイツ産業界の根深い問題を巡るムードの悪さを指摘し「欧州中央銀行(ECB)の利下げ効果は国内総生産(GDP)にプラスのインパクトを与えそうにない」と述べ、2025年の成長率を0.2%を予想した。
ハンブルク商業銀行のサイラス・デラルビア氏は、企業は見通し悪化を受け、特に来年の選挙に向けた各政党のマニフェストを待ち、短期的に投資を手控えると予想。「来年前半に経済情勢で根本的な改善は見られないだろう」と述べた。
一方、この日発表された欧州経済センター(ZEW)の12月の景気期待指数は15.7と、11月の7.4から予想外に上昇した。アナリストは6.5に低下すると予想していた。
ZEWのワムバッハ所長は、来年2月の選挙は短期的には不確実要因だが、長期で見ると新政権が経済立て直しの道を見つけるという期待をもたらすと指摘。「民間投資を促進する経済政策が打ち出されるとの期待や追加利下げ観測で経済見通しが改善している」と述べた。
米11月製造業生産0.2%上昇、予想下回る 関税の影響を注視 | ロイター
米小売売上高、11月は0.7%増 自動車販売好調で予想上回る伸び | ロイター
米商務省が17日発表した11月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.7%増加した。自動車やオンライン販売の加速に支えられ、エコノミスト予想の0.5%を上回って増加した。
米連邦準備理事会(FRB)が17─18日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを行うとの見方には影響を与えなかった。
FWDBONDSの主任エコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「市場は25ベーシスポイント(bp)の利下げを織り込んでいる。しかし消費者が依然として自動車など金利に敏感な商品を購入しているのであれば、理性的な市場ウオッチャーなら、1月末に歴代大統領の中で最も成長志向の政策を掲げるトランプ氏が大統領に就任するのを控え、FRBがなぜ火に油を注ぐのか疑問に思わざるを得ないだろう」と述べた。
11月の前年同月比は3.8%増だった。
歴史的に低い解雇率と力強い賃金上昇を見せる労働市場の回復力が消費支出を支え、経済拡大を軌道に乗せている。記録的な株高と住宅価格の高騰を反映し家計のバランスシートが強固であることも支出をけん引している。
10月は0.5%増と、当初発表の0.4%増から上方改定された。
感謝祭の祝日が遅れたためにサイバーマンデーが12月にずれ込んだにもかかわらず、11月の小売売上高は堅調に増加した。年末商戦の好調なスタートとも一致している。
自動車販売店の売上高は2.6%増加した。これはハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」で被害を受けた自動車の買い替えの影響が大きいとみられる。オンライン小売売上高は1.8%急上昇した。
建築資材および園芸用品の売上高は0.4%増加した。これもハリケーン被災地域の復興需要とみられる。スポーツ用品、趣味用品、楽器、書店の売上高は0.9%増加した。電気・電化製品や家具の売上高も大きく伸びた。
一方、サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.4%減少した。10月は0.9%増だった。エコノミストは外食を家計の重要な指標とみなしている。
衣料品は0.2%減、食料品も0.2%減少した。その他小売店の売上高は3.5%減と、前月に引き続き減少した。ガソリンスタンドの売上高は0.1%増加した。
自動車、ガソリン、建築資材、食品サービスを除く小売売上高は0.4%増。10月は0.1%減と、当初発表から改定はなかった。
12月調査のNAHB住宅市場指数は46 - 株探(かぶたん)|米国株
●金融市場、先進国トピックス
英企業の雇用と景況感、コロナ禍以来の落ち込み 予算案が打撃 | ロイター
英国で16日に発表された調査結果によると、企業の人員削減は新型コロナウイルスのパンデミック以降で最大となり、景況感は当時以降で最悪の落ち込みを示した。新政権の増税計画が大きく影響したと分析されている。
12月のS&Pグローバルによる総合購買担当者景気指数(PMI)は、雇用指数が2021年1月以来で最も大幅に低下し、製造業団体メイクUKによる四半期調査では景況感がパンデミック開始以来で最も急激に落ち込んだ。
リーブス財務相が10月30日、増税を盛り込んだ予算案を発表したことが影響し、英国の景気は減速の兆しを見せている。
一部の企業は退職による欠員を補充しないだけでなく、労働時間を短縮し、計画していたリストラを実行に移している。
パンデミック局面を除けば、雇用指数の低下は09年の世界金融危機以降で最大となった。
ただPMIの製品価格指数は上昇した。イングランド銀行(英中央銀行)は企業が社会保障費負担の増加にどう対応するか注視しているだけに、同指数の上昇は懸念材料になるかもしれない。
会計事務所RSM UKのエコノミスト、トーマス・ピュー氏はイングランド銀行の金融政策委員会(MPC)に触れ、「MPCは現在、低成長とインフレ上振れの間で厄介なトレードオフに直面している。来年は慎重なペースでしか利下げができないかもしれない」と述べた。
12月の総合PMI速報値は50.5と前月比横ばいだったが、ロイター調査のエコノミスト予想(50.7)を下回った。サービス業指数は改善したが、製造業指数は11カ月ぶりの低水準となった。両部門の雇用指数は2021年1月以降で最も大きく低下した。
半面、製品価格指数は、給与を含む投入コストが増加したのに伴って過去9カ月間で最も大きく上昇した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「企業と家計が新労働党政権の発信と政策に否定的に反応したため、今年力強く拡大していた景気の勢いがそれ以来失われた」と述べた。
「オルカン」純資産総額が5兆円突破、年初から3兆円超増加 | ロイター
原発最大限に活用、依存低減の方針撤回-エネルギー基本計画素案 - Bloomberg
米国の大企業CEO、景気先行きを楽観=調査 - WSJ
世界の大手企業の最高経営責任者(CEO)らは経済に対し、ここ数年で最も楽観的な見方を示している。
経営コンサルティング会社テネオ・ホールディングスが上場企業300社余りのCEOを対象に実施した調査によると、米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が返り咲きを決めたこともあり、多くのCEOは法人税の引き下げや規制緩和による恩恵を受けると見込んでいる。
世界各国の選挙結果も、世界経済の改善および政治的安定への期待を後押ししている。経営者らは今後数カ月で取引活動が活発化し、資本へのアクセスが容易になるとも予想している。
また、来年1-6月期に世界経済が改善するとの回答は77%に上り、前年の45%を大幅に上回った。
テネオのポール・キアリーCEOは、トランプ氏の勝利が米国内外の経営者の楽観論を後押ししたと述べた。
年商100億ドル超の大企業のCEOらは、楽観的な見方へのシフトが最も顕著で、50%余りが今後6カ月間で経済は改善すると回答し、23年の16%や22年の6%から上昇した。
一部の経営者は、カナダおよびメキシコからの輸入品に25%の関税を課すといったトランプ氏の関税政策に苛立ちを覚えており、姿勢を変えるよう説得を試みている。特に大手企業は懸念を強めており、関税が事業にプラス作用すると回答した大手企業のCEOが13%だったのに対し、中堅企業では80%がプラスに作用すると答えた。
調査は年商10億ドル以上の企業トップを対象に、大統領選後の数週間に実施された。回答者の約3分の1は米国に本社を置く企業のCEOだった。
●中東情勢
トルコ、シリア国境付近で軍部隊集結 米は侵攻懸念 - WSJ
米政府高官らによると、トルコや同国と連携する民兵組織はシリアとの国境沿いで軍部隊などの体制を強化している。米国が支援するシリアのクルド勢力が支配する地域への大規模な侵攻を準備している可能性が懸念されている。
国境沿いの体制には民兵組織の戦闘員らに加え、トルコ軍の特殊部隊や多くの砲兵部隊も加わっているという。当局者らによれば、これら勢力はシリア北部のトルコ国境沿いにあるクルド人が多数を占めるコバニ周辺に集中している。
米政府当局者の1人は、トルコによる越境作戦が差し迫っている可能性があるとも述べた。
軍部隊の集結は12月初めにシリアのアサド政権が崩壊した後に始まり、2019年のトルコによるシリア北東部侵攻前の軍事的な動きと類似しているとみられる。米高官の1人は「われわれはこの状況を注視しており、自制を求めている」と述べた。
シリアのクルド人らによる民間行政組織の高官、イルハム・アフマド氏は、16日にドナルド・トランプ次期米大統領に対し、トルコ軍による軍事作戦が差し迫っていると説明。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領に越境侵攻を思いとどまらせるよう、働きかけを行うことを求めた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したアフマド氏によるトランプ氏への書簡は、「あなたの就任前に事実上われわれの土地を支配し、われわれの領土の支配者として彼らと交渉せざるを得なくすること」がトルコの狙いだと主張。「トルコが侵攻を実行すれば、その結果は破滅的なものとなるだろう」とも述べている。
クルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」はシリア北東部で米軍と連携し、過激派組織「イスラム国」(IS)の残党掃討作戦を行っている。だが今回のトルコによる脅威を受け、バイデン米政権が退陣する数週間前に脆弱(ぜいじゃく)な立場に置かれた格好となる。
アントニー・ブリンケン米国務長官は先週トルコを訪問し、エルドアン氏とシリアの今後について協議。トルコ政府にはクルド人戦闘員に対する作戦を抑制するよう保証を求めていた。
だがSDFの報道官によれば、シリアのクルド人らとトルコが支援する反体制派とのコバニでの停戦協議は、16日に決裂。同報道官によるとSDFは現在、コバニの東西で「大規模な軍事力の増強」を確認している。
アフマド氏はトランプ氏への書簡の中で、「国境の向こう側では、すでにトルコ軍が集結しているのが見え、われわれの市民は差し迫った死と破壊の恐怖の中で暮らしている」と訴えた。またトルコが侵攻すれば、コバニだけでも20万人以上のクルド人が難民になると警告している。
●エマージング
中国、次期米政権との協力に期待 トランプ氏「習氏は素晴らしい」 | ロイター
中国の王毅外相は17日、米国のトランプ次期政権が「正しい選択をし」、中国と協力することを期待すると述べた。これに先立つ数時間前、トランプ氏は新型コロナウイルス流行が「友人」の習近平・中国国家主席との関係を緊張させたと語った。
中国外務省によると、王氏は北京で開かれたフォーラムで「米国の新政権が正しい選択をし、中国と互恵的に協力して混乱を排除し、障害を克服することを期待する」と述べた。
一方、トランプ氏は16日、大統領選に勝利して以来初の記者会見を開き、習氏を「素晴らしい人物だ」とした上で「コロナ流行までは非常に良い関係だった」と発言。「新型コロナで関係が終わったわけではないが、私にとって遠過ぎた橋だった」と述べた。
中国と米国で世界のあらゆる問題を一緒に解決することができるとも語った。
2021年1月にバイデン現米大統領が就任すると、中国はポンペオ元国務長官らトランプ政権1期目で高官を務めた28人に制裁を科した。
この制裁に関する声明は中国外務省のウェブサイトには既に掲載されていない。17日の定例記者会見でコメントを求められた同省の林剣報道官は「提供できる情報はない」と述べた。
ただ、トランプ氏は対中強硬派を次期政権の主要ポストに指名しており、1期目より米中対立が深まる可能性もある。
中国も同様に、トランプ次期政権と張り合う方針だ。
王氏は「米国による違法で不合理な中国への抑圧に断固反対し、特に台湾など中国の内政への猛烈な干渉には断固として力強く対応しなければならない」と述べた。
中国、25年財政赤字目標をGDP比4%に引き上げ=関係筋 | ロイター
中国金融市場から過去最大の資金流出-米関税リスクで - Bloomberg
ロシア軍将官死亡、ロシア当局者が猛反発 「テロ行為」に分類 - CNN.co.jp
ロシア軍将校、モスクワでの爆発で死亡 ウクライナが暗殺に「関与」(1/2) - CNN.co.jp
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(17日)米国株3指数下落、ドル上昇、利回り低下 | ロイター
### 為替市場  
- ドルは主要通貨に対して上昇。11月の米小売売上高が予想(0.5%増)を上回る0.7%増となり、支援材料に。  
- 米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利下げが予想されている。

### 債券市場  
- 米国債利回りは低下。10年債利回りは4.385%、7日ぶりの下落。  
- FOMCでは利下げ停止や利下げペース鈍化が示される可能性がある。

### 株式市場  
- 米株式市場は下落。ダウ平均は9営業日続落(1978年以来の最長記録)。  
- 投資家はFOMCの経済見通しや議長の発言に注目。

### 金先物  
- 金相場は4日続落。ドル高が売り圧力を強めたが、午後に米金利が低下し下げ幅縮小。  
- ドットプロットで2025年以降の利下げペースが注目されている。

### 原油先物  
- 原油価格は続落。米金融政策決定や、ドイツ・中国の低調な経済指標が背景。  
- 利益確定売りと持ち高調整が主因。

全体的に、米経済指標やFOMCの決定を控え、慎重なムードが広がる市場状況を反映している。
欧州市場サマリー(17日) | ロイター
### ロンドン株式市場
- **FTSE100種指数**:賃金上昇率が市場予想を上回り、英中銀の利下げ観測が後退した影響で約3週間ぶりの安値。
- **FTSE250種指数**:1.30%下落し、1日の下落率として約1カ月ぶりの大きさ。
- **業種別動向**:
  - 一般産業株:**2.34%安**。特にバンズルが5.7%下落。
  - 建設・資材株:**2.44%安**。中国需要懸念で下げ。
  - 石油・ガス株:原油価格下落を受け**1.70%安**。
  - 航空宇宙・防衛株:**1.43%安**。ケムリング・グループが減益報告で**13.0%急落**。

### 欧州株式市場
- **STOXX欧州600種指数**:石油・ガス株や銀行株の下落で約2週間ぶりの低水準。
- **石油・ガス株指数**:原油価格の低迷で**1.34%安**。約1年5カ月ぶりの安値。
- **銀行株指数**:スペインの銀行株が主に下落し、**1.83%安**。
- 米FRBや英中銀などの金融政策発表が注目される中、市場は利下げペースの緩和を期待。

### ユーロ圏債券市場
- **ドイツ国債利回り**:国内企業景況感の悪化により、10年債利回りは**3bp低下**の**2.22%**。
- **IFO業況指数**:12月は予想を下回り、ドイツ経済への失望感が広がる。
- その他のユーロ圏では概ね安定的。市場の関心は米FRBの金融政策発表に集中。

備忘録(2024/12/16
●海外企業決算
●海外企業
ゴールドマン・サックス、日本進出50年 「官」で切り開いた金脈 ゴールドマンと日本経済① - 日本経済新聞
米ハネウェル、航空宇宙事業の分離検討 エリオット要求 - 日本経済新聞
●日本企業
ソフトバンクG孫正義氏、15兆円投資を表明へ トランプ氏に - 日本経済新聞
三菱UFJ銀行・半沢淳一頭取「信頼の根幹揺るがす」  貸金庫窃盗で会見 - 日本経済新聞
椿本チエイン、ドイツ企業を買収 現地の生産拠点を確保 - 日本経済新聞
日本精工、風力発電向け軸受けを改良 耐久性向上 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
カナダ財務相辞任、トルドー首相と財政政策巡り対立 後任は公安相か | ロイター
独首相に不信任、2月に解散総選挙実施 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
米欧の金利差拡大へ、トランプ氏のFRBバッシング再燃させる恐れ - Bloomberg
●先進国経済指標
英総合PMI、12月速報は50.5で横ばい 約4年ぶりの人員減ペース | ロイター
ユーロ圏総合PMI、12月は49.5に上昇 サービス業が50上回る | ロイター
S&Pグローバルがまとめた12月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は49.5と、11月の48.3から上昇した。
サービス部門PMIが好不況の分かれ目となる50を上回り、製造業の縮小を相殺した。
ロイターがまとめた市場予想は48.2だった。
キャピタル・エコノミクスのジャック・アレンレイノルズ氏は「今回のPMIは経済が縮小していることを示している。コロナ流行以降、PMIはGDP(域内総生産)成長率の目安としてはあまり信頼できるものではなくなっているが、他の証拠も景気低迷を示唆している」と語った。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「大方の予想ほど悪い内容ではなかった。サービス部門の活動が再び拡大し、高揚感はないにせよ、9月と10月に見られたような顕著な拡大ペースを示した」と述べた。
サービス部門PMI速報値は49.5から51.4に上昇。ロイターがまとめた市場予想は49.5だった。
ただ、サービス部門雇用指数は51.0から50.1に低下。企業は事業活動が直ちに改善するとは予想していないとみられる。
製造業PMI速報値は45.2。市場予想の45.3をわずかに下回った。生産指数は45.1から44.5に低下した。
同氏は「製造業の状況は依然としてかなり厳しい。12月の生産減少ペースは今年最大だった。受注も減少した」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスのパオロ・グリニャーニ氏は「製造業の危機は、ヘッドライン指数が横ばいだったにもかかわらず、生産サブ指数が過去1年間で最低の水準となり、終わりが見えないようだ」と話した。
製造業の新規受注指数は43.4から43.0に低下。近い将来の回復は見込めないとみられる。
ただ、全体では楽観的な見方が増えた。今後の見通しを示す総合指数は56.1から57.8に上昇し、4カ月ぶりの高水準となった。
仏12月PMI、サービス48.2に改善 製造は55カ月ぶり低水準 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた12月のフランスのHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値は48.2で好不況の分かれ目である50を引き続き下回ったものの、予想に反して11月の46.9から改善した。
アナリストの予想は46.7だった。
製造業PMIは41.1から39.6に悪化し55カ月ぶりの低水準となったが、サービスと製造業を合わせた総合PMIは横ばい予想に対し、45.9から46.7に改善した。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は、「サービス部門は依然手詰まり感があり、パリ五輪前後の時期を除くと成長の勢いがつかない」と述べた
米製造業PMI、12月は悪化し予想下回る 関税巡る懸念で | ロイター
NY連銀製造業指数、23年5月以来の大幅な低下-景況見通しも悪化 - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
フランス株と債券下落、ドイツ債との利回り差拡大-格下げ響く - Bloomberg
16日の欧州債市場では、フランス債の軟調が目立つ。極右政党・国民連合(RN)を事実上率いるマリーヌ・ルペン氏が左派連合と手を組みバルニエ内閣を倒したことに加え、ムーディーズ・レーティングスが週末にフランスの格付けを引き下げ、同国の当局者には一段と圧力がかかっている。
フランス10年債利回りは一時3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.07%、ドイツ債との利回り差(スプレッド)は81bpに拡大した。フランスの代表的な株価指数であるCAC40は一時0.8%安と、ストックス欧州600指数の下落率を大きく上回っている。
ムーディーズは14日、フランスの信用格付けを「Aa2」から「Aa3」に引き下げると予定外の発表を行った。「Aa3」は最高位の格付けから3段階下。格下げは同国の公的財政を巡る懸念が理由だった。
サクソバンク・フランスのセールス・トレーディング責任者、アンドレア・トゥエニ氏はフランス債の動きが限定的であることを挙げ、「現時点でパニックは起きていない」と指摘した。
一方、ダンスケ銀行のチーフアナリスト、イェンス・ペーターセーレンセン氏は「フランス国債の投資家は通常、安定した資金源だが、格下げでこれは変わるかもしれない」との見方を示し、1月末までにフランス債とドイツ債のスプレッドは100bpへ拡大するだろうと予測した。
ニューヨーク市の相対的な生活費、少なくとも2008年以降で最低水準 - Bloomberg
ニューヨーク市の生活費を全米平均と比較した場合、少なくとも15年ぶりの低い水準となっている。
米商務省経済分析局(BEA)が先週公表した地域別の相対的な生活費を示す消費者物価地域差指数(RPP、全国平均=100)によると、2023年のニューヨーク市都市圏の生活費は全米平均を12.5%上回った。これは少なくともBEAがデータ公表を開始した08年以降で最低水準。08年から22年までは13-15.5%で推移していた。
今回の結果は新型コロナウイルス禍のインフレショックが全米各地に広範な影響を及ぼしたことを浮き彫りにしている。移住先として魅力が増したフロリダやアリゾナ、ジョージア、南北カロライナ両州などの地域では物価上昇のペースがここ数年で最も速い。一方、相対的な生活費が安い州はおおむね中西部と南部に集中している。
BEAのデータによると、RPPが高い上位15都市圏のうち10都市がカリフォルニア州に集中している。同州以外の都市で9位のニューヨーク市都市圏を上回ったのはシアトル都市圏のみ。マイアミ都市圏は10位だった。
同データによると、ニューヨーク市都市圏の相対的な生活費は食品や燃料が含まれる財を中心とした価格高騰により打撃を受けている。財のRPPでは、ニューヨークはサンフランシスコ都市圏に次いで2位だった。サービスのRPPではニューヨークは6位で、全米384都市圏のうち住宅が14位、公共料金は51位だった。
米保険会社の対応は悪化の一途、医師の不満蓄積 - WSJ
ニューヨーク市の中心部マンハッタンのホテルの外で大手医療保険会社の幹部が殺害された事件をきっかけに、米国では保険業界に対する怒りが噴出した。国民の間では、医療制度が抱える問題の原因は保険業界にあるとの見方が強い。憤りの声は医師からも上がっている。
米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループ傘下のユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソン最高経営責任者(CEO)は今月、投資家向け説明会の会場となっていたホテルの外で射殺された。医師らは同社を含む保険会社に対する不満について、日々やりとりする中で生じたものであり、長年にわたり蓄積されてきたものだと語る。
医師が特に不満を抱くのは、患者の治療費を支払うよう保険会社を説得するためにかかる手間や費用だ。最終的に承認されたとしても、MRI(磁気共鳴画像装置)検査など、重要だが費用のかかる医療処置を巡って交渉と事務作業に何日もかかることが多いという。
「悪化の一途をたどっている」。ジョージア州オーガスタの内科医で、米国で35年間開業しているズルフィカル・アーメド氏はそう語る。「これはユナイテッドヘルスケアだけの問題ではない。この国全体の問題だ」
他の医師と同様、アーメド氏もトンプソン氏の殺害と、ソーシャルメディア上で殺害を正当化したり称賛したりする人々がいることにがくぜんとしたと語った。「トンプソン氏のことを思うと心が痛む」とし、「彼はただ、この巨大なシステムの一部にすぎなかった」と述べた。
それでも医師らは同情とは別に、適切とみなす医療処置を巡り、保険会社に雇われた医師と交渉し、多くの場合支払いを拒否されることについて感じる気持ちは変わらないと話す。保険会社は特定の医師を雇い、彼らは「拒否か遅延だけを目的にしている」とのアーメド氏の指摘は、医師の間に共通する不満でもある。
保険会社は多くの患者の命を救う医療に資金を提供するために重要な役割を果たしている、というのが業界側の主張だ。支払い請求の拒否については、不必要な治療や高額な医療費を抑制することで、治療費を誰にとっても支払い可能な水準に維持していると話す。また、医療費の高騰は医師や病院、製薬会社の役割も大きく、保険会社は患者が必要な医療を受けられるよう配慮しながら医療費の抑制に努めているとの認識を示す。
ユナイテッドヘルス・グループのアンドリュー・ウィッティCEOは11日に従業員向けのメッセージで、トンプソン氏は人々の生活に「非常に大きなプラスの影響」を与えたとして追悼した。
医療保険業界団体の米国医療保険プラン(AHIP)によると、保険会社から医療提供者への支払い対象期間や迅速な支払いを促すルールなどは州法で定められている。遅延は医療提供者が保険会社との契約ネットワークから外れたり、保険金請求の書類提出や支払いの受け取りで手作業が絡んだりした場合などに発生する可能性があるという。
業界全体における事前承認の拒否率は公表されていない。高齢者向け公的医療保険「メディケア」のプランの一つで、加入者が多い「メディケア・アドバンテージ・プラン」では、2022年に加入者に代わって提出された4620万件の請求のうち拒否されたのは7.4%で、拒否率は19年の5.7%から上昇した。これは非営利団体であるKFFが連邦データを分析した結果に基づく。米保健福祉省(HHS)に設置されている独立した監督機関である監察総監室(OIG)の監査によると、メディケア・アドバンテージ・プランで事前承認が拒否されたケースの13%は、メディケアでカバーされるべき給付に対するものだった。
保険会社が支払いを行う場合でも、医師が負担を強いられる場合がある。メーン州バンゴーで個人診療所を開業している網膜分野専門の眼科医、アンソニー・エコン氏もそうした状況に陥った。
エコン氏は先月、コティビティという会社から何度も書面で通知を受け取った。コティビティは米医療保険会社センティーンの子会社ウェルケアの監査法人だ。通知には、優れた顧客サービスを提供する取り組みの一環として、エコン氏が加齢黄斑変性や黄斑浮腫の高齢患者の治療に対して受け取った支払いの見直しを実施したと書かれていた。その結果、ウェルケアによる過払いがあったと判断されたという。金額は30万ドル(約4600万円)を超えていた。
エコン氏は「(診療所を)閉鎖するか、破産申請をしなければならなくなる」と述べた。
ウェルケアはエコン氏に対し、患者に支払いを請求することで差額を埋めるよう提案した。だが、同氏の患者の多くは高齢で、苦しい生活を送っている。ユージン・ストラウトさん(71)と妻のドナマリー・ストラウトさん(72)もそうした患者で、社会保障とユージンさんが不定期にスクールバスの運転手として働くことでなんとか暮らしている。エコン氏は、ストラウト夫妻が他の保険会社に切り替えた場合は毎月600ドルを支払わなければならず、その費用を捻出できるよう、エコン氏は夫妻に毎週診療所の掃除をしてもらう代わりに給料を支払うことを提案した。ストラウト夫妻は結局、現在の保険が使える地元の病院にしぶしぶ移ることにした。夫妻は病院がいずれ保険を扱わなくなるのではないかと心配している。  
ユージンさんは「悪質、不当であり、背信行為だ」と語った。
このケースについてセンティーンの広報担当者は、調査を進めており、円満な解決を望んでいると述べた。
メーン州医師会のCEO、アンドリュー・マクリーン氏は、すでに支払われた請求に対する保険会社の返還要求を巡り、対応に苦慮する医師からの電話を毎日のように受けていると話す。
マクリーン氏は保険会社のそうした行為について、「それができるから、ただやっているだけように感じる」と語る。同氏は、決して暴力を容認するわけではないとしながらも、「現在のシステムのあり方と力関係の不均衡に対して人々がどれほど不満を抱いているか」ということが恐ろしい形で表面化し、そうしたことを医師たちも実感していると述べた。
フロリダ州フォートマイヤーズの脊椎分野の専門医、アラン・グエン氏はX(旧ツイッター)への投稿で、保険会社に雇われた医師がMRI検査の承認申請を拒否した場合、医師の名前と医療提供者に発行されるID番号を尋ねるようになったと書いている。同氏は「がんが見逃された場合、患者は誰を訴えればいいか分かる」ということを保険会社の医師に伝えているという。グエン氏はインタビューで、状況はここ5年で大幅に悪化したと考えていると語った。保険会社が治療を拒否しても、現場の医師たちは患者の治療と彼らの苦痛に向き合うことに変わりはないとも述べた。
医師の間では、保険会社によるものもそうでないものも含め、過去20年間の大きな変化が医師という職業の立場の低下を招いたとの嘆きが頻繁に聞かれる。医師といえば以前は独立性があり尊敬されていたものの、現在では大規模な病院チェーンの従業員としての側面が強くなり、保険会社とコストを気にする経営陣との板挟みになるという状況に直面している。
カリフォルニア州サクラメントの放射線科医、マーク・ダビディアン氏は「医療はビジネス重視の人々によって運営されている」とし、患者の治療において医師の自主性が失われていることは残念だと語る。同氏は、ユナイテッドヘルスケアのトンプソン氏が昨年約1000万ドルもの収入を得ていたことを報道で知って憤慨し、治療を拒否されたがん患者はどう感じるだろうかと想像したという。
ダビディアン氏が25年前に研修を終えた頃は、状況は現在とは異なっていた。「医師は自分の診療所を持ち、自分で決定を下していた」と語る。例えば、同氏はある病院のスタッフや設備に不満があれば、患者を別の病院に移していたという。
現在、ダビディアン氏はカリフォルニア北部の病院チェーンで働いており、コスト抑制に固執する経営陣からの圧力を感じている。同氏は「もはや誰も患者のために発言する力を持っていない」とした上で、「問題は、ヘルスケアの領域においてケア(医療)を行うのはわれわれのはずだということだ」と述べた。
大規模な病院チェーンは保険会社に対応する余力があるとしても、小規模な開業医にはそうしたコストは重くのしかかる。
コネティカット州ニューブリテンの歯科医、リチャード・レヒナー氏は長年、3人の事務スタッフを雇っていた。彼らの仕事の大半は保険会社との闘いだったという。診療所は歯科医1人と衛生士2人だけの小さなものだった。
保険会社についてレヒナー氏は、「支払いを受けようとする私のような開業医に対し常に障害を設けようとする」と述べた。追加書類を要求したり、書類に不備があると主張したりするのは、「いつまでも長引かせるというはっきりした狙いがあるためで、最終的に歯科医があきらめることを期待している」という。
レヒナー氏は昨年、ついにあきらめた。州内で40以上の歯科診療所のネットワークを運営するデンタル・アソシエーツ・オブ・コネティカットに個人診療所を売却した。サクラメントのダビディアン氏と同様、レヒナー氏は今では従業員として働いている。保険金請求を勝ち取るための作業の大半は、デンタル・アソシエーツの本部にある専門チームが処理する。
レヒナー氏は「私が歯科診療所を売却した1番の理由は、保険会社の嫌がらせに耐えられなかったからだ」とし、「脳卒中になるかと思った」と話した。
米インフレ減速が足踏み、トランプ氏に打開は可能か - WSJ
11月の米大統領選でインフレは大きな争点となり、ドナルド・トランプ次期大統領は公約の一つに物価の抑制を掲げていた。
「私は食料品で勝利した」。トランプ氏は8日、米NBCの報道番組「ミート・ザ・プレス」のインタビューでそう述べた。7月の共和党全国大会での指名受諾演説では、「壊滅的なインフレ危機を直ちに終わらせる」と語っていた。
エコノミストの間では、トランプ氏はインフレ抑制を約束しているが、関税や移民に関する計画の一部を実行すればむしろ逆効果になるのではないか、との懸念がある。
インフレ率は大統領選の前から大きく低下していた。しかし、米国民の怒りはおさまっておらず、物価はコロナ禍前の水準をはるかに上回る。11日に発表された新たな統計は、インフレ減速が足踏みしていることを示した。例えば、食料品価格は11月に前年同月比1.6%上昇した。だが、2020年2月比では27%上昇している。
消費者物価全体では、11月は前年同月比2.7%上昇だった。2022年6月の9.1%からは大きく低下しているが、それでも10月の2.6%をわずかに上回っている。米労働省が12日発表した11月の卸売物価指数(PPI、季節調整済み)は前月比0.4%の上昇となり、上昇ペースはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がまとめたエコノミスト予想(0.2%)を上回った。
とはいえ、どんな上昇率であっても、たとえそれがわずかな伸びだとしても、それは米国民がすでに高水準の物価に苦しむ中で起きている。トランプ氏に何ができるのだろうか。
米大統領がインフレに関して直面する問題は、それを抑制するために実際にできることが限られている、ということだ。物価全体を引き下げるのはさらに難しく、望ましくもない。物価の下落、すなわちデフレになると、借り手は債務返済が難しくなり、経済は停滞するだろう。
エコノミストはインフレ抑制策として、イノベーション(技術革新)の促進、規制負担の軽減、米労働力のスキル向上などを提言するかもしれないが、その多くは効果が出るまでに何年もかかる。
歴代大統領によるインフレ抑制策の効果はまちまちだった。インフレ率はリチャード・ニクソン大統領の価格統制を受けて低下したが、価格統制が解除されると急騰した。ジェラルド・フォード大統領の「今こそインフレを倒せ」キャンペーンは広く嘲笑された。ジミー・カーター大統領は1980年3月、米連邦準備制度理事会(FRB)を説得して厳格な信用規制を導入した。その結果、消費が落ち込み、大規模な雇用喪失につながった。同規制は同年7月に解除された。
また、大統領の直接的な管理下にない多くの要因が物価を押し上げる可能性がある。例えば、サプライチェーン(供給網)の混乱、自然災害、遠くの国で起きる戦争、FRBの政策ミスなどだ。
許認可の迅速化と環境規制の緩和によってエネルギーコストを削減するというトランプ氏の公約、つまり「掘って掘って掘りまくれ」について考えてみよう。トランプ氏を支持する石油・天然ガス業界関係者は、同氏の規制緩和姿勢を歓迎しつつも、実際は掘削拡大に熱心ではないようだ。トランプ氏の1期目には化石燃料が供給過剰になり、多くの掘削会社が債務の重荷に苦しんだ。その結果、各社は新たな生産への投資よりも株主への資本還元に重点を置くようになった。
米国の石油生産は過去最高を記録しているが、仮に大幅に増産しなくても、米国外の要因によってエネルギーコストは下落する可能性がある。国際エネルギー機関(IEA)は11月、「世界経済の基調が平均以下にあることやクリーンエネルギー技術の発展」を理由に、2025年の石油需要の伸び予測を下方修正した。一方、石油生産は増える見通しだ。「つまり、大量の石油を抱え、ごくわずかしかいない消費者を探すということだ」と、エネルギーエコノミストのフィル・バーレガー氏は述べた。
では、これらを踏まえて、米国民は2025年のインフレについてどんな展開を予想すべきか。スムーズな道のりではないながらも下がり続けるのか、停滞するのか、それとも上昇に転じるのか。
今後1年でのインフレ低下を示唆する兆候がある。一つは、最近の統計に「キャッチアップ・インフレ」の傾向が幾らか見られることだ。例えば、自動車保険会社はコスト上昇を相殺するために、規制当局から保険料引き上げの承認を得ている。しかし、こうした影響は薄れるはずだ。
さらに、米国の生産性の伸びが加速しているようだ。これはおそらく、コロナ禍が引き起こした労働の再編成と関係がある。生産性の向上はインフレ抑制に役立つ可能性がある。効率性が改善した労働力は低コストで財・サービスを生産できるからだ。
大方のエコノミストはインフレについて、政府の政策に大きな変更がない限り、「われわれはただ、以前の状態に近いところに戻るためのグライドパス(着陸降下進路)にいるようなものだ」と考えている。カリフォルニア大学バークレー校の経済学者である中村恵美氏はそう指摘する。
トランプ氏は特に、中国製品に高関税を課し、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すと脅している。実行すれば、カナダの木材や石油、メキシコの果物や野菜など、さまざまな製品の価格を押し上げるだろう。中でも値上がりが予想されるのは自動車だ。自動車会社が米国、カナダ、メキシコにまたがる複雑な製造網に依存していることが背景にある。
そうした値上がりは、少なくとも幾らかは抑えられるだろう。例えば、関税によって消費者の購買力が低下すれば、他の製品に対する需要が減少し、それらの製品の価格を押し下げる可能性がある。報復関税が課されれば、米国製品の国外需要が低下し、国内の供給量が増えるだろう。ドルが他の通貨に対して上昇すれば輸入品価格は下がるが、米国の輸出競争力は低下する。
移民制限も物価を押し上げる可能性がある。特に移民労働者に大きく依存している企業の商品やサービスは値上がりが予想される。例えば、ゴールドマン・サックスの推計によると、不法移民が占める割合は、建設業では労働者の約13%、食肉加工処理業では約16%だ。
新年に入ってインフレを押し上げる可能性のある要因の一部は一時的なものかもしれない。物価は関税に連動して上昇しそうだが、それは恐らく1回限りの上昇だろう。
だが、新たなインフレ期を迎える場合、それに関する問題の一つは、人々や企業が数年前よりもインフレに先回りしようとする可能性が高いことだ。それ自体がインフレを引き起こしかねない。結局のところ、インフレという「映画」を米国民はもう見たことがあるのだ。
米経済学者のミルトン・フリードマン氏とエドムンド・フェルプス氏が1960年代後半に指摘したように、インフレ期待は将来のインフレに影響を与える。例えば、労働者が物価上昇を予想すれば、より大きな賃上げを要求するだろう。その結果生じる労働コストの上昇は、値上げという形で転嫁されることになる。
インフレ期待にはすでに変化の兆しが見られる。一部の小売企業は、関税導入前の今のうちに商品を購入しておくよう消費者に呼びかけている。また、ミシガン大学の最新の消費者調査では、家具や冷蔵庫、テレビなどの大型家財を購入するのに良い時期だと答えた人の割合が急上昇した。値上がりを予想しているからだ。
イタリア首相、トランプ氏と欧州の架け橋になるか(1/2) - CNN.co.jp
数年前には、イタリアが欧州で有数の安定政権を実現するとは想像もできなかった。イタリアの連立政権は1年あまり存続した後で崩壊することが多く、イタリアは予測できない国とみられていた。
しかしフランスやドイツなど比較的安定していた国の政治的な危機や、イタリアで2022年から続く極右メローニ首相率いる現連立政権の多大な人気といった一連の要因により、イタリアは、トランプ次期米大統領が2期目に入る米国と欧州の関係における重要なプレーヤーとなっている。
トランプ氏は1期目の在任中、欧州を米国の「敵」と呼んだ。今回、メローニ氏は共通の友人である米実業家イーロン・マスク氏のおかげもあって、その状況を一変させる可能性がある。
マスク氏、トランプ氏、メローニ氏は先週末、仏パリ・ノートルダム大聖堂の再開記念式典後に開かれた夕食会に参加。マクロン仏大統領をはじめとする60人が出席した夕食会後、トランプ氏はニューヨーク・ポスト紙に、この経験は前向きなものだったと語った。
トランプ氏は「私たちはとても仲がよかった」とし、メローニ氏と「多くの時間を一緒に過ごした」と付け加えた。メローニ氏については「精力的な人物」と評し、両氏が「世界を少し正す」ことができる可能性があると見立てた。
両氏は政治的に似ているが、必ずしも世界の最も緊迫した紛争のすべてで一致しているわけではない。メローニ氏は有数のウクライナ支持者で、ロシアの侵攻以来、ゼレンスキー大統領と10回以上会談を行っている。
メローニ氏がトランプ氏の行動に何らかの影響を与えることができるかどうかは分からないが、同氏がそれを欧州で最初に試みることになるとみられる。
ローマにあるルイス大学の政治科学学部の責任者ジョバンニ・オルシナ氏はCNNの取材に対し、「ドイツで新しい政権が誕生する前であり、フランスの現在の状況を考えると、トランプ氏がホワイトハウスに入ったとき、イタリアは安定した政府を持つ唯一の国として、ある種の独占状態となる」と述べた。「メローニ氏とマスク氏は現在進行形で非常に良好な関係にある。少なくとも、トランプ氏とマスク氏の蜜月が続く限り、マスク氏は両者にとって親友のような存在になれる」
マスク氏とメローニ氏は昨年の夏に強い友好関係を築いた。マスク氏は昨年12月、メローニ氏が率いる政党「イタリアの同胞(FDI)」のイベントにも出席している。
メローニ氏が、トランプ氏の「MAGA(米国を再び偉大に)」運動のエリートから好意を持たれるのはマスク氏が初めてではない。第1次トランプ政権で首席戦略官を務めたスティーブ・バノン氏はマスク氏以前にメローニ氏を支持する姿勢を示していた。バロン氏は18年の政治イベントに出席し、当時のCNNの取材に対して、メローニ氏が欧州で最も重要な政治家の一人となれると信じていると語っていた。
ただ、メローニ氏が22年に首相に就任して穏健化すると、バノン氏はメローニ氏から距離を置くようになり、先ごろ行われたイタリア紙の取材に対し、失望したと語った。
バロン氏は、メローニ氏のウクライナ支持と、イタリアによる貿易問題への取り組みが不足していると考えられる点を挙げ、メローニ氏がトランプ氏に影響を与えるのではなく、その逆になるとの見方を示した。
バノン氏は「トランプ大統領の登場で彼女の態度は変わると思う。トランプ氏が彼女を説得するだろう」と語る。「そして北大西洋条約機構(NATO)諸国はすぐに賛同するだろう。そうでない場合、彼女が自身の近年の発言を本当に信じているなら、欧州の他の国々と共に演説で言及しているのと同じだけの額の資金を投入し、小切手を切る用意をするべきだ。私たちMAGAの活動家は断固として議会の対ウクライナ資金提供を100%削減したいと考えている」
今のところ、メローニ氏はマスク氏、そして結果としてトランプ氏の味方のようだ。
ルイス大学のオルシナ氏はメローニ氏について、トランプ氏の欧州へのアプローチに関しては積極的ではなく受動的になる可能性が高いと指摘した。
大手行のモデルリスク管理、「体制整備が進展」 金融庁 - 日本経済新聞
●中東情勢
イランの燃料不足が深刻化、省エネを国民に働き掛け-寒波到来で - Bloomberg
イスラエル、占領地ゴラン高原の入植拡大を承認 シリアのアサド政権崩壊で「新たな戦線」開かれたと - BBCニュース
イスラエル政府は15日、隣国シリアとの間にある占領地ゴラン高原での入植拡大を促す計画を承認した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は、シリアの反政府勢力がバッシャール・アル・アサド政権を倒した後、イスラエルとシリアの国境に「新たな戦線」が開かれたとし、今回の承認の必要性を強調した。
ネタニヤフ首相は、ゴラン高原の人口を倍増させたい考えを示した。
ゴラン高原は、シリアの首都ダマスカスの南西約約60キロメートルに位置する岩だらけの高原。イスラエルは1967年の6日間戦争の終盤にシリアから奪い、1981年に一方的に併合した。国際的には承認されていないが、2019年に当時のトランプ米政権が単独で認めた。
イスラエル軍はアサド政権崩壊の数日間に、ゴラン高原とシリアを隔てる緩衝地帯に部隊を移動させた。
ゴラン高原の緩衝地帯は、1974年にイスラエルとシリアが合意した兵力引き離し協定により設定された。しかし、イスラエル側は、シリアで反政府勢力が実権を握ったことで、この協定は「崩壊」したと主張している。
緩衝地帯でこうした動きが見られるなか、ネタニヤフ首相は15日夕、イスラエルは「シリアとの紛争に関心はない」とする声明を発表。
「我々は、現地の現実に従って、シリアに関するイスラエルの政策を決定する」とした。
ゴラン高原には30以上のイスラエル入植地があり、推定2万人が暮らしている。これらの入植地は国際法違反とみなされているが、イスラエルはこの見解に異議を唱えている。
入植者たちは、約2万人のシリア人とともに暮らしている。そうしたシリア人の大半は、同地域がイスラエル支配下に置かれた際に逃げ出さなかったドゥルーズ派のアラブ人だ。
ネタニヤフ氏は、イスラエルは「(ゴラン高原の領土を)保持し続け、繁栄させ、定住させる」と述べた。
しかし、イスラエルのエフード・オルメルト元首相は、同国がゴラン高原の入植を拡大する「理由は見当たらない」としている。
「(ネタニヤフ)首相は、シリアとの対立を拡大することに興味はなく、現在シリアを占領している反政府勢力と戦う必要がなくなることを望んでいるとしている。それなのになぜ、我々(国)は全く正反対のことをするのだろうか?」と、オルメルト氏はBBCワールドサービスの番組「ニューズアワー」に語った。
そして、「我々には対処すべき問題が十分にある」と付け加えた。
ネタニヤフ氏の発表の前日には、シリア暫定政府を率いるイスラム武装組織「ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS、「シャーム解放機構」の意味)」のアフメド・アル・シャラア代表が、イスラエルによるシリアの軍事目標への空爆を非難した。
イギリスに拠点を置くNGO「シリア人権監視団(SOHR)」によると、アサド政権が崩壊した8日から、イスラエルの空爆が450回以上記録されている。
アブ・モハメド・アル・ジョラニという名でも知られるアル・シャラア代表は、シリアは近隣諸国との紛争を望んでいないとしつつ、イスラエルの空爆は「レッドラインを越えた」もので、同地域の緊張を激化させる危険性があると述べた。
同代表はシリアTVに対し、「長年の紛争と戦争で疲弊したシリアは、新たな対立を許さない」と語ったと、ロイター通信は伝えた。シリアTVは内戦中、反政府勢力寄りとみられていた。
イスラエル国防軍(IDF)はアル・シャラア代表の発言についてコメントしていない。IDFは先に、武器が「過激派の手に渡る」のを阻止するために空爆が必要だと述べていた。
シリアのアサド前大統領とその家族は、HTS率いる反政府勢力が電光石火の攻撃を仕掛けた際にロシアに亡命した。
同勢力は、アル・シャラア代表をトップとするシリア暫定政府の樹立のために活動を継続している。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は14日、米政府がHTSと直接接触したことを明らかにした。アメリカと複数の西側諸国は今も、HTSをテロ組織に指定している。
国連のゲイル・ペデルセン・シリア担当特使は15日、シリア経済の回復を促進するため、同国に対する制裁の早期解除を望むと述べた。
シリア暫定政権やそのほかの関係者と会談するため、首都ダマスカスに到着したペデルセン特使は、「シリアの復興に向けた真の団結を実現できるよう、制裁の早期終了を実現できることを願っている」と述べた。
トルコのヤサル・ギュレル国防相は、同国政府はシリアの新政権に軍事支援を提供する用意があると述べた。
「新政権がどのような行動をとるか、見守る必要がある。我々は彼らにチャンスを与えることが必要だと考えている」と、国防相が語ったと、国営アナドル通信などのトルコメディアは報じている。
トランプ氏「シリアでトルコが鍵握る」、強力な軍隊保有 | ロイター
●エマージング
2025年中国成長率は4.2%、4.0%から予想引き上げ=ムーディーズ | ロイター
中国、来年消費者への直接財政支援強化 党委員会が方針 | ロイター
中国共産党の政策決定機関、中央財経委員会は、2025年に家計所得の安定成長を促進する方針を示した。国営新華社が16日伝えた。
消費向け財政支出の拡大、社会保障の改善、雇用創出、賃金上昇メカニズム、退職者年金の増額、医療保険補助金の拡充、出産促進政策を通じて実現を目指す。
中央財経委員会の高官によると、消費を拡大するために、超長期特別債による資金を「大幅に増額」し産業の振興発展や消費財の下取り制度を支援する。
下取り制度については、今年「非常に良い」効果があったとして、需要が高い製品を対象に含めるなどの改正が検討されているという。ただ、財源の規模や追加する下取り対象は明らかにしなかった。
高官は「現在の経済運営を踏まえ、年間の経済成長率は5%程度と予想している」と新華社に語った。住宅市場の一段の安定化を予想し、住宅買い上げで地方政府の裁量を高めるなど、不動産市場の安定化に直結する政策措置の可及的速やかな導入を求めた。
新華社は「内需の重要な一部として、中国の投資にはなお多大な余地がある」とし、中国は投資の効率を改善しより的を絞った投資を進めるとした。
習氏「ナイフの刃を内側に向ける勇気を」、汚職撲滅へ党に要求 | ロイター
中国の習近平国家主席(共産党総書記)は16日に出版された党機関誌「求是」に掲載された文章で、汚職を含む規律問題をなくすために党は「ナイフの刃を内側に向け、その悪影響を適時に排除する勇気を持たなければならない」と述べ、腐敗官僚らを追及するよう改めて呼びかけた。
徹底的な取り締まりにもかかわらず、党内が依然として汚職にむしばまれる中、「党が直面する状況や任務が変化するにつれ、党内にはあらゆる種類の矛盾や問題が必然的に発生する」と指摘。利益団体、権力組織、特権階級が党員を食い物にしたり、腐敗させたりすることへの対抗措置を講じなければならないと警告した。
中国新築住宅価格、11月は前月比-0.1% 1年5カ月ぶり小幅下落 | ロイター
中国国家統計局が16日発表したデータによると、11月の新築住宅価格は前月比で1年5カ月ぶりの小幅な下落となった。政府が不動産セクター支援に向けた刺激策を強化したことを受けた。
一部の主要都市で安定化の兆しが出ている。
統計局データに基づくロイターの算出によると、11月の新築住宅価格は前月比0.1%下落。下落率は10月の0.5%から鈍化し、昨年6月以来最も小幅となった。
前年比では5.7%下落。10月は5.9%下落だった。
調査対象の70都市中、住宅価格が前月比で上昇したのは17都市で、前月から10都市増えた。上海で0.6%、深センで0.3%、それぞれ上昇した一方、北京は0.5%下落した。
INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、Lynn Song氏は「2カ月連続で価格データが改善したことは、不動産市場が底を打ちつつあることを示す前向きなシグナルだ。2025年に谷が形成され、L字型回復が始まるとみられる」と述べた。
不動産代理店センタラインのアナリスト、Zhang Dawei氏は「一級都市の住宅価格が転換点に達したが、多くの小都市の価格はまだ下落している」と指摘した。
北京や上海などの大都市は、住宅需要を喚起するため税制優遇措置を導入している。
Zhang氏は「住宅購入は所得の安定、人口動態、不動産在庫の水準に左右される。不動産市場全体を安定させるには追加の政策と時間が必要だ」と述べた。
1─11月の不動産投資と不動産販売は前年同期比で2桁の落ち込みとなった。
今月11─12日に開催された中央経済工作会議では、不動産市場の安定化に向け、土地供給の管理といった対策を発表。また、地方政府が売れ残り住宅を買い取り、低所得者向けの住宅として活用する計画を進める方針も示した。
中国の小売売上高、予想外の減速-内需喚起に向けた対策急務 - Bloomberg
中国の小売売上高は11月に予想外の減速となった。住宅市場の改善を示す兆しもあるが、個人消費の一段の促進に向けた対策が急務であることが浮き彫りとなっている。
国家統計局が16日発表した11月の小売売上高は前年同月比3%増加と、3カ月ぶりの低い伸び。ブルームバーグ調査の予想中央値は5%増で、最も弱気な予測にも届かなかった。10月は4.8%増加していた。11月の工業生産は前年同月比5.4%増と、予想と一致。10月は5.3%増えていた。
1-11月の固定資産投資は前年同期比3.3%増。3.5%増加と見込まれていた。
ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏は「今回のデータは内需の回復が鈍いままであることを示す一方、工業生産の安定化は米関税引き上げを控えた一部注文の前倒しによるものとみられ、持続可能ではない」と分析した。
中国の景気減速は豪州経済への逆風、鉄鉱石など需要減速-豪財務省 - Bloomberg
オーストラリアのチャーマーズ財務相は、中国の景気減速や豪州国内経済の低成長、追加支出の必要性が同国経済への逆風となっているとの認識を示した。
同財務相は18日、年央の経済・財政見通しを公表する予定。来年5月17日までに実施される総選挙を控え、中道左派の労働党政権が成長を促進できると有権者に訴える構えだ。
同財務相は「中国経済の課題は、豪州の予算にも波及する方向で、財務省の予測に明白に表れる」と15日の声明で言及。「世界経済は不透明で世界の見通しは不安定であり、それがわが国経済の大きな重しとなっている」と指摘した。
中国人民銀行(中央銀行)は9月、2024年の5%前後の経済成長目標の達成に向け景気刺激策を打ち出した。
ただ豪財務省の報道官によると、鉄鉱石などコモディティーに対する中国の需要減退を受け、年央見通しで27-28年までの4年間の輸出について1000億豪ドル(約9兆8100億円)下方修正する必要がある。法人税収入も、同期間に85億豪ドル減額修正となる予定だ。
今月初めに発表された7-9月の豪国内総生産(GDP)は、前年同期比0.8%増。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)期を除くと、同国の経済が不況に陥った1991年12月以来の低い伸びだった。
中国10年債利回りが過去最低更新、1.71%-弱い経済指標相次ぐ - Bloomberg
ジョコ氏、所属政党が除名 インドネシア前大統領 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(16日)ドル小幅高、利回り・株まちまち FOMC控え | ロイター
**為替市場**  
- 米ドルが主要通貨に対して小幅上昇。ドル/スイスフランは7月以来の高値に、ドル/円も11月以来の高値を更新。  
- 市場はFRBや日本銀行、イングランド銀行などの金利決定を注視。FRBの25bp利下げ実施可能性は約97%。  

**債券市場**  
- 短期利回りが小幅上昇する一方、10年国債は横ばい。FRBが利下げを発表しつつ、一時停止を示唆するとの見方が多い。  

**株式市場**  
- ナスダック総合が過去最高値を更新。一方、ダウ平均は8日連続で下落。市場はFRBのガイダンスに注目している。  
- テスラが6.1%高、ハネウェルは航空宇宙事業分離検討の発表で3.7%上昇。  

**金・原油市場**  
- 金先物は3営業日続落。中心限月は1オンス2670ドル。  
- 原油先物は中国の需要懸念から下落。11月の中国小売売上高の伸びが鈍化し、内需の弱さが指摘される。  

**その他**  
- 暗号資産のビットコインが急騰。一時10万7821ドルを記録。トランプ次期大統領が「ビットコイン戦略備蓄」構想に言及したことが背景。  

主要な市場は、今週のFRB金利発表を含む各種経済イベントに大きく影響を受ける見通し。
欧州市場サマリー(16日) | ロイター
**為替市場**  
米ドルは主要通貨に対して小幅上昇。ドル/円は154.12円(0.31%上昇)で11月以来の高値を更新。スイスフランに対しても0.16%上昇。市場はFRBの利下げ(0.25%)実施を97%織り込み、日銀の金利据え置き予測を背景に円安が進行。

**債券市場**  
短期債利回りが上昇し、10年債は横ばい(4.399%)。FRBが利下げを示唆する一方で、金融緩和サイクルの一時停止も予測。ドット・プロットによれば、2025年末の政策金利は3.4%と想定。

**株式市場**  
ナスダック総合は過去最高値を更新。S&P500は上昇したが、ダウは8連続下落。市場はFRBの金利決定と小売統計に注目。成長株の買いが活発で、テスラ(6.1%上昇)やアルファベット(3.6%上昇)が牽引。

**貴金属・原油市場**  
金価格は3営業日続落し、2670.00ドル/オンス。WTI原油は中国の内需懸念から反落(70.71ドル/バレル)。中国の小売売上高の伸び鈍化が背景。

**暗号資産**  
ビットコインは4.6%上昇し、10万6003ドル。トランプ次期大統領が戦略備蓄構想を言及したことが要因。

--- 

経済指標や中央銀行の動向に市場の関心が集中しています。

備忘録(2024/12/13-15
●海外企業決算
●海外企業
新たな肥満症薬がやってくる、2強も王座維持に躍起-需要衰え知らず - Bloomberg
これまで肥満治療薬市場は業界大手2社が独占してきた。糖尿病治療薬「オゼンピック」、肥満症治療薬「ウゴービ」を手がけるデンマークのノボ・ノルディスクと、肥満症薬「ゼップバウンド」、糖尿病薬「マンジャロ」を手がける米イーライリリーだ。だが、2025年には強力なライバル勢の登場によって、この2強支配体制に近く風穴が開く兆候が出てくるかもしれない。
調査会社エアフィニティによると、来年には肥満症および関連疾患の治療薬に関する中期段階の治験結果が多数発表される予定だ。新興企業および業界大手の双方から大量の治験結果が発表されることで、向こう数年でどのような選択肢が利用可能になるのかを決めることになりそうだ。製薬会社は少ない服用頻度で、減量効果が大きく、副作用が少ない薬を目指している。
トランプ次期米大統領が厚生長官に指名したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏はこのような薬に反対しているが、エアフィニティは2027年までに十数の新たな肥満症薬が登場するかもしれないと述べている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の分析では、それまでに市場規模は年間500億ドル(約7兆6800億円)に達する可能性がある。
世界には10億人以上の肥満症患者がいるとして、ノボは競争の余地は十分にあると述べている。同社のカルステン・ムンク・クヌーセン最高財務責任者(CFO)は「これは同質の巨大市場ではない」と指摘。患者は「それぞれ異なる動機や合併症に対して異なる製品」を必要としていると話している。イーライリリーのダン・スコヴロンスキー最高科学責任者(CSO)は、各社が「互いにしのぎを削る」ことで、誰もが製品を改善するよう強く促されると話す。
新薬に対する期待値も高まっている。アムジェンが11月、開発中の肥満症薬「マリタイド」の治験結果を発表すると、株価が急落した。同薬は、注射での投与頻度を従来の週1回から1カ月に1回に短縮。投与された患者は1年で20%の減量効果があった。それでも、治験結果は既存薬とあまりに類似していると投資家は判断し、同社の株式に売りを浴びせた。調査会社ピッチブックのアナリスト、カジ・ヘラル氏は「イーライリリーやノボの製品を超えるものが求められているようだ」と話す。
業界リーダーも、常に一歩先を行くために躍起だ。イーライリリーが開発中の新薬「レタルルチド」は、2023年に発表された中期治験で、48週間の治療後に平均24%の減量効果を示した。またノボは新薬「カグリセマ」について、25%の減量効果が期待できるかもしれないと述べている。
ドイツ自動車業界の労働者、防衛企業が受け入れ-チーム丸ごと雇用も - Bloomberg
ドイツ自動車業界の労働者に、救いの手が差し伸べられている。同業界が苦境に立たされ、人員削減をまさに進めようとしている時、防衛産業は雇用を増強している。
ミュンヘンに拠点を置くレーダーメーカーのヘンゾルトは、軍事関連の受注急増に対応するため自動車部品会社の2社からチームを丸ごと雇い入れる交渉を進めていると、同社のオリバー・デーレ最高経営責任者(CEO)が明らかにした。雇用するチームの人数は100人に上るケースもあるという。
13日にブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じたデーレ氏は「自動車業界の現在の苦境は、われわれにとってはまさにチャンスでしかない」と語った。
デーレ氏によると、今年に入りヘンゾルトは既に約1000人を採用し、ソフトウエアエンジニアから成るチームを加入させることになるという。採用交渉を行っている相手の自動車部品メーカーを明かすことは控えた。ヘンゾルトは来年も同程度の人員増加を見込んでおり、新たな提携やM&A(企業の合併・買収)の可能性に対しても積極的になる計画だと、同氏は述べた。
ウクライナや中東での戦争が続き、トランプ米次期大統領が安全保障への強力なコミットメントを求める中で、欧州各国で国防支出は増加。防衛産業には強い追い風が吹いている。トランプ氏は欧州の同盟国に軍事費の負担増を迫っているが、各国の政治指導者らは資金を使って国内の企業や雇用を支援しようとしている。
一方、欧州の自動車業界は電気自動車(EV)の需要低迷と中国との競争激化で苦戦を強いられている。コンチネンタルやボッシュ、シェフラーなどの部品メーカーは、低迷の深刻化に伴い人員を削減した。
コンサルティング会社のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)によると、デジタル化とオートメーションで現在の仕事上の役割が時代遅れになるため、ドイツの自動車業界では現時点で雇用されている77万人の人員は2030年までに12%減少する見通しだ。人員削減を模索するフォルクスワーゲンは、労働組合との緊迫した協議を続けている。
他の防衛企業も労働者を受け入れている。戦車や弾薬を生産するラインメタルは6月、タイヤメーカーのコンチネンタルから最大100人の労働者を雇用する計画だと発表した。
●日本企業
日鉄のUSスチール買収計画、審査巡り米当局の意見割れる=FT | ロイター
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は15日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を国家安全保障の観点から審査している対米外国投資委員会(CFIUS)が合意形成に苦慮していると報じた。
CFIUSを率いる米財務省が14日、両社に書簡を送り、状況を伝えたという。
CFIUSは今月22日までに計画を承認するか、阻止するか、審査期間を延長するかを決定する必要がある。
USスチールとCFIUSは現時点でロイターのコメント要請に応じていない。日鉄はコメントを控えた。
買収計画を巡ってはバイデン大統領とトランプ次期大統領の双方が阻止する意向を示している。
●先進国政治動向
トランプ氏、「夏時間」廃止を要求 | ロイター
トランプ氏、港湾労使交渉で労働者側の主張支持する投稿 | ロイター
トランプ次期米大統領は12日、米港湾労働者と使用者側の交渉で争点となっている貨物作業の自動化について、自動化に反対する労働者側の主張を支持するとみられる投稿を自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で行った。
国際港湾労働者協会(ILA)と使用者団体の米海運連合(USMX)は10月3日、バイデン政権の多大な介入を経て賃上げについて暫定合意し、ILAはストを打ち切った。ただ自動化を巡って意見が対立しており、トランプ氏就任の5日前である1月15日に最終合意の期限を控えている。
トランプ氏は「(自動化によって)節約できる金額は、米国の労働者、この場合は港湾労働者にもたらす苦痛や害に遠く及ばない」と投稿した。同氏はこの前にILAのハロルド・ダゲット会長と面会していた。
トランプ氏はまた、デンマークのマースクや中国遠洋海運集団(COSCO)など外国の海運大手は米市場にアクセスできるおかげもあって過去最高の利益を上げていると指摘。「これら外国企業は、高額で常に更新を必要とする機械ではなく、わが港湾の偉大な男女に資金を使ってほしい」と記した。
トランプ氏の側近ら、銀行規制当局の縮小・廃止を模索 - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領の政権移行チームは、銀行の監督業務を担う政府当局の大幅な縮小、統合、あるいは廃止する方法を模索し始めている。
事情に詳しい関係者らによれば、ドナルド・トランプ次期大統領の側近や政府効率化省(DOGE)の当局者らは、銀行規制当局のトップ候補者らとの面談で、次期大統領が連邦預金保険公社(FDIC)を廃止できると思うかなどを質問している。
トランプ氏の側近らはFDICや通貨監督庁(OCC)のトップ候補者らに対し、財務省が預金保険をその後に吸収できるかなどを質問していると一部関係者は明らかにした。
FDICや他の機関を廃止する提案には議会の承認が必要となる。過去の大統領は省庁の再編や名称変更を行ってきたが、主要機関が廃止されたことはなく、FDICのような機関が閉鎖されることも異例となる。
銀行幹部らはトランプ氏が自己資本規制や消費者保護に関する規制、業界再編の監視などを緩和することに期待を寄せている。一方でFDICの預金保険は神聖視されており、預金保険に対する認識を損なうような動きは銀行に急速に波及し、危機時には顧客の不安を増幅させる可能性がある。
複数の銀行が昨年破綻した後、顧客は小規模な銀行の預金の安全性に不安を感じ、政府が破綻を許さないと認識されている大手銀行に資金を移した。それ以来、銀行は小規模銀行の競争力維持のため、預金保険の保護範囲拡大を求めている。
今回の議論はトランプ氏が政府の規模縮小と監視体制の緩和を試みる中で、厳しく規制された金融業界などで、極端なアプローチを取る可能性があることを浮き彫りにしている。
一部関係者によると銀行規制当局のトップ候補者らは、財務長官候補のスコット・ベッセント氏に加え、イーロン・マスク氏とビベック・ラマスワミ氏が共同議長を務める外部諮問グループのDOGEとも面談を行った。
マスク氏は先月、共和党が長年敵視してきた消費者金融保護局(CFPB)の廃止も要求。マスク氏は「重複する規制当局が多すぎる」としている。
またトランプ氏の側近らと銀行規制当局のトップ候補者らは、主要な連邦銀行規制当局であるFDIC、OCC、米連邦準備制度理事会(FRB)を統合または再編する計画を話し合ったという。
仏、新首相に中道派バイル氏 予算案成立が急務 | ロイター
フランスのマクロン大統領は13日、バルニエ内閣の総辞職を受け、新首相に大統領の盟友で中道派のベテラン政治家フランソワ・バイル氏(73)を任命した。
バルニエ内閣は2025年度予算を巡る対立で議会で不信任決議案が可決され総辞職した。バイル氏は今年に入ってから4人目の首相。政局混迷打開の重責を担い、数日内に閣僚名簿を発表するとみられる。過半数を有する会派がない宙吊り議会で予算案などの法案成立で困難に直面する可能性が高い。
バイル氏は演説で、フランスの財政赤字問題について「われわれの前に立ちはだかるヒマラヤ山脈を知らないわけではない」とし、「財政赤字と債務は単なる財政問題ではなく、道徳的問題を引き起こす問題と確信している」と述べた。
記者団に対しては「長い道のりになる。誰もがそれを知っている。私が初めて長い道のりを歩むわけではない」と語った。同氏はマクロン氏を支える中道政党「民主運動」の議長。過去に3回、大統領選の候補になったことがある。
当面の優先課題は2024年度予算の継続を可能にする特別法の成立。来年初めには25年度の緊縮的な予算案を巡る厳しい戦いが控えている。
バイル氏は、迅速に行動したいと言明した。しかし、激しい政治的な分裂によって、内閣の指名という基本的な作業さえも長引く可能性がある。
フランスでは憲法の規定で前回の選挙から1年間は議会を解散できない。マクロン大統領はバイル氏の首相任命で、議会解散が可能になる来年7月まで内閣不信任案を回避したい考えだ。ただ、不人気なマクロン大統領と近い関係にあることがバイル氏の弱点になる可能性もある。
急進左派の「不服従のフランス(LFI)」の指導者は、バイル新首相の即時解任を求める方針を表明。ただ、他の左派政党の指導者たちはより慎重な姿勢を示している。
一方、極右政党、国民連合(RN)のバルデラ党首は、バイル氏に対する即時不信任決議を求めるつもりはないと表明。同党のマリーヌ・ル・ペン氏は、バイル氏は野党の予算要求に耳を傾けるべきだと語った。
アングル:独仏政局危機で欧州経済活性化が後退 改革に遅れ | ロイター
過去数十年間にわたり欧州連合(EU)をけん引してきた2大経済国フランスとドイツで政局危機が起こり、欧州経済は低迷から抜け出す活性化の取り組みが後退しつつある。加盟27カ国、計4億5000万人のEUでは高齢化が進み、経済改革は必須だが、企業が国際競争を勝ち抜く設備投資は既に決定することが困難になっている。
米国ではトランプ前大統領の返り咲きが決まり、中国とEUは貿易摩擦が激化。中国の関税に直面するフランスのコニャックメーカーから、欧州の電気自動車(EV)産業戦略の明確化を待つドイツの部品メーカーまで、最悪のタイミングで独仏が政治危機に陥った。
今年、EUの委託を受けて147ページの報告書で問題点をあぶり出したエンリコ・レッタ氏はロイターの取材に応じ「フランスとドイツの危機で経済改革実施が遅れてはならない」と述べた。
ドイツのショルツ連立政権の崩壊からわずか数週間後の4日、フランスではマクロン政権のバルニエ内閣が総辞職し、レッタ氏の懸念は深い。EUは公的債務が高水準で対応に苦慮しており、地域の金融安定にとってドイツとフランスの政治危機が「潜在的な隕石」(予測不能で破壊的な影響力となりかねないリスク)になると警鐘を鳴らす。
2008年の世界金融危機以降、EUの1人当たりの国内総生産(GDP)成長率は米国の後塵を拝している。元凶とされるのは生産性の低迷から、分断化されたままの資本市場や広範な銀行部門に至るまで幅広い。ロシア軍による2022年のウクライナ侵攻後は対ロシア制裁が欧州の製造業から安価なエネルギー源を奪う形となった。
加盟各国で極右と極左の両政党が台頭し、議会やEU機関で合意形成が以前にも増して難しくなっており、欧州経済が長年抱える懸案への対策は見通しが厳しい。
「われわれにとって毒だ」―。ドイツ自動車部品大手ボッシュ(ROBG.UL)のシュツットガルト工場の経営協議会長はショルツ連立政権の崩壊によって生じた不確実性をこう切って捨てた。EVなどを対象にした産業政策は来年2月の総選挙後まで明確な方向性が出そうになく、委員長はいら立ちを隠せない。
<通商政策で結束できるか>
航空大手ルフトハンザ(LHAG.DE), opens new tabは、欧州他国に比べて高い空港使用料の削減を政府に求めているが、なしのつぶてだ。ある幹部の話では、同社は基幹業務の拠点をイタリアの首都ローマなどに移管する可能性もある。
フランスの航空宇宙・防衛企業サフラン(SAF.PA), opens new tabは来年初めにカーボンブレーキの新工場建設地を決定する予定だが、政治的安定が鍵となると前週明らかにしている。候補地にはフランスのほか米国とカナダが挙がっている。
インフレで全般的にコスト高となっているにもかかわらず、議会で2025年度予算案が通過せず、緊急のつなぎ予算が必至の情勢となったことを受け、オリビエ・アンドリース最高経営責任者(CEO)は記者団に「防衛分野では財政的な圧力が起きるだろう」と警戒感を表明した。
EUが中国製EVに追加関税の適用を始めると発表した数日後、中国はEU産ブランデーを対象に反ダンピング(不当廉売)措置を課すと公表した。こうした動きもフランス経済に影を落としかねない。
国立コニャック協会(BNIC)は壊滅的な影響を受けかねないと危機感を表明した。ただ、マクロン大統領が対中貿易摩擦を解消すると国民に約束したことに言及し「多くの利害関係者の生存がかかった緊急措置を、内閣不信任投票が妨げてはならない」と指摘した。
トランプ次期米大統領が輸入品全てに少なくとも10%の関税を課すとして世界を震え上がらせていることは、EUにとって結束力を試す機会だ。しかし、加盟各国ごとに保護したい産業を抱え、互いが緊張関係にある。今週EUが南米ブラジルやアルゼンチンなどでつくる関税同盟メルコスル(南部共同市場)と自由貿易協定(FTA)に関して仮調印した際、そうしたEUが抱える問題が無残に露呈された。
EU史上最大の貿易協定として歓迎される協定だが、発効手続きが終了すれば、ドイツには自動車や機械の新市場開拓という利益がもたらされる半面、輸入から農業部門を守りたいというフランスの利益と対立することになる。
両国の政局は現在、流動的な状態で、同協定の最終的な行方は一段と不透明になっている。あるフランス外交筋の言葉を借りれば「これで話は終わりではない」。
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
ユーロ圏鉱工業生産、10月前月比横ばい 市場予想上回る | ロイター
独輸出、10月前月比-2.8% 予想以上の減少 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
フランス格付け、ムーディーズが引き下げ 予想外のタイミング | ロイター
格付け会社ムーディーズは13日、フランスの格付けを「Aa2」から「Aa3」へ引き下げた。財政の引き締めに向け、対立し合う議員らの支持を取り付けるようバイル新首相(73)への圧力が強まった。
定例の見直しではない予想外のタイミングで行われた格付け変更で、マクロン大統領が盟友で中道派のベテラン政治家バイル氏を新首相に任命した数時間後に発表された。見通しは安定的。フランスに対するムーディーズの格付けは、スタンダード&プアーズやフィッチと同水準になった。
バルニエ前首相は2025年度予算を成立させることができず、600億ユーロの予算削減に反対する左派および極右議員らによって退陣に追い込まれた。
ムーディーズは「次期政権が来年以降も、財政赤字を持続的に削減できる可能性は極めて低い」と予想。「その結果、フランスの財政は2024年10月の基本シナリオと比較して、今後3年間で大幅に弱まると予測している」とした。
政治の混乱でフランス国債のリスクプレミアムは一時、12年ぶりの高水準に達した。
TikTok、米で利用禁止の可能性高まる-新法施行差し止めを高裁認めず - Bloomberg
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が米国で利用できなくなる公算が大きくなっている。TikTokを事実上禁止する新法の施行を一時的に停止するよう求めていた申し立てについて、米連邦高裁が13日、退ける決定を下した。
新法は、親会社である中国のバイトダンス(字節跳動)が来年1月19日までに米事業を売却しなければ、米国内でのTikTok利用を禁止する内容。米連邦高裁は先週6日、同法は違憲だとするTikTok側の主張を退けた。この決定を不服とするTikTokは、上訴する間、新法の執行を差し止めるよう請求していた。
新法は、トランプ次期大統領の就任式前日の1月19日に施行される予定。一時停止すれば、次期政権にこの問題を巡る政府の立場を決定する時間を与えることになっていた。トランプ氏は1期目の任期中、TikTokへの規制を強化しようとしていたが、選挙期間中に若年層の支持獲得のため、禁止措置に反対する姿勢に転じた。
TikTokはXへの投稿で、「TikTokの禁止が停止されない限り、2025年1月19日に1億7000万人余りの米国人および世界中の人の声が封じられることになる」とコメントし、連邦最高裁に上訴する計画だとした。
連邦高裁は、国家安全保障およびユーザーのプライバシー保護を目的に制定された新法について、憲法修正第1条で定められた言論の自由を侵害するものではないとの判断を示した。
このままいけばTikTokは1月19日にモバイルアプリのストアから削除され、新たな利用はできなくなる。既存の米ユーザーもいずれは同アプリにアクセスできなくなる。
米雇用統計、信頼性低下の恐れ-トランプ氏復帰で予算削減の危機 - Bloomberg
米関税やドル高見据え戦略練る-アジア投資のグローバルファンド - Bloomberg
眠りから覚めるNY高級不動産市場、富裕層が一転「全力疾走」に - Bloomberg
ニューヨークの富裕層はここ数年、高級不動産市場に投資するタイミングをうかがってきた。その機は熟したようだ。
不動産仲介会社コーコラン・サンシャイン・マーケティング・グループのケリー・マック氏は「非常に強力な市場原理が組み合わさり、市場は眠りから覚めた。様子見姿勢だった買い手は全力疾走に転じている」と語った。
市場は買い手に有利な方向に傾き始めている。物件価格は下がり、いくつかの新規開発プロジェクトで購入者の選択肢は増え、借入コストは依然として高水準ではあるものの安定し始めている。
不動産会社コンパスのジム・セント・アンドレ氏によれば、1年前から売りに出されていたウェストビレッジ地区のタウンハウス物件は、11月になって突然入札合戦の様相を呈したという。不動産開発業ナフタリ・グループが建設した3つのコンドミニアムには予約客が殺到しており、11月5日の米大統領選投票日もショールームは盛況だった。
実際、11月の高級住宅市場は過去3年間で最も好調だった。コーコランのリポートによれば、500万ドル(約7億6800万円)を超える物件の売買契約件数は11月は90件となり、同月としては過去10年で3番目の多さとなった。
金融市場の動きも投資家の楽観姿勢を後押している。S&P500種株価指数は過去最高値更新を続けており、米金融当局による9月の利下げで金利がピークを迎えたとの見方も強まった。
コンパスのクレイトン・オリゴ氏は「S&P500種が高水準で推移し、暗号資産(仮想通貨)も最高値圏で推移する中、多くの富が生み出されている」と指摘。「大型契約が結ばれており、実際に高級不動産市場の中でも最高額の物件が活況を呈している」と語った。
ミッドタウン・イーストの超高層住宅サットン・タワーなどでデベロッパーが価格を引き下げたことも取引の活発化を促している。
サットン・タワーのプロジェクトを共同で手掛けたJVPデベロップメントは、今年1-3月(第1四半期)に一部の物件で値下げを実施。「それ以降、好調な販売が続いており、サットン・タワーはニューヨークで最も売れているビルの一つになった」と語った。
マンハッタンのアップタウンでは新たなプロジェクトが相次ぎ、高級不動産市場では供給も増加傾向にある。ナフタリ・グループによる2つのプロジェクトでは、過去1カ月で400万ドルを超える売買契約が21件成立した。
ただ、同社の創業者ミキ・ナフタリ氏は、買い手が求めているのは質であり、その点で「在庫はそれほど多くない」と語った。
●中東情勢
焦点:中東の空は安全か、欧州旅客機パイロットや客室乗務員から不安の声 | ロイター
「処刑、処刑、病死」 シリア刑務所に残されたおぞましい記録 - WSJ
【オピニオン】欧州の移民危機、アサド政権崩壊では解決せず - WSJ
シリアのバッシャール・アサド大統領がロシアに逃亡し、欧州の指導者たちは大きな安堵(あんど)のため息を漏らしたに違いない。絶対的支配者だったアサド氏が権力の座から転落したことは、シリア国内でこれまで同氏が服従させていた国民にとっては朗報と言える。だが欧州では、最も差し迫った問題の一つである難民問題も今回の出来事によって解決できると期待されているようだ。
シリアの危機に対する欧州の最も明らかな行動がどのようなものだったか見てみよう。それはシリア人を送り返そうという試みだ。本稿の執筆時点で、欧州の十数カ国が、シリア人が提出した難民申請の処理を中止している。政治家の中には、既に申請が承認された難民を帰国するよう仕向けられるかもしれないとの見通しを語る者もいる。
2011年に始まったシリアの内戦が引き金となって大量の不法移民が押し寄せたため、欧州の政治はほぼ10年にわたって混乱している。最大規模の移民流入は2015年に始まった。何度も国境を越えようと試みた末に成功したり、完全に不法滞在となったりした者もいるため、その流入規模を正確に示すのは難しい。
おそらく最良の推計方法は、難民認定の初回申請件数だろう。これは、移民が合法的な滞在資格を得ようとする際に好む手段だ。2015年1月から今年8月までの間に、欧州連合(EU)域外から770万人近くが難民認定申請を行い、そのうちの約240万件は最初の2年間に行われた。国別の内訳では約20%がシリアから来た申請者であり、ほぼすべての年で最大の集団となっている。
このように難民が大量に押し寄せたことで、欧州は制度的および政治的な限界点に達した。新たにやってきた人々は、第2次世界大戦後に考案された人権擁護と亡命に関する法制度を利用した。これは西側諸国が、アドルフ・ヒトラーのナチス・ドイツから逃れてきたユダヤ人の受け入れに消極的だった恥ずべき過去を顧みて制定したものだ。ただ、この亡命申請と申請裁定のプロセスは予想にたがわず遅く、煩雑だ。
今年9月の時点で、あるEU加盟国では100万件近くの申請にまだ初回の決定も出されておらず、英国では13万3000件が保留となっている。申請書の大半はこの段階で承認される。却下された申請者は不服申し立てをすることができ、そうする場合が多い。このプロセスが長引けば、その間は税金で申請者の社会福祉や住居などを支援する必要がある。
これがなぜ欧州の有権者を悩ませる可能性があるのかは理解できる。状況は悪化している。多くの移民は多かれ少なかれ法律に従っているが、従わない者もいる。移民にテロリストが紛れ込んだり、移民がテロ組織に引き入れられたりする懸念は常にある。8月に独ゾーリンゲンで3人が死亡した刃物による襲撃事件など、一部のケースでは、シリア難民がテロ行為で非難されている。
これらすべての背景にあるのは、平和志向が比較的強い新規の移民の多くでさえ、ある意味、欧州が現行の法律を策定した時に想定していた「難民」ではない可能性があるという疑念だ。2015年に流入してきた移民の写真を見ると、女性や子ども、高齢者が少なく、労働年齢の若い男性のように見える人があまりに多いことが分かる。
過去10年間に国境の安全を確保して不法移民を抑止・送還することができなかった欧州の政治家たちは、この1週間に遠くで起きた出来事が救いの手を差し伸べてくれることを期待している。これらすべてのシリア「難民」がアサド氏の取り巻きや刑務所から逃れるためにやって来たと主張していたならば、その政権が崩壊したことで、難民が欧州で避難場所を見つける必要性はなくなったという考え方だ。
祝杯を上げるのは、同じ一つの理由から時期尚早であり、不適当だと言える。シリアは、アサド政権下の状況から解放されたわけでもなく、互いに競い合っているさまざまな民兵組織による抑圧から逃れられてもいない。それは、これら組織が過激なイスラム主義を信奉しているか、そうでないかとは無関係だ。欧州各国政府は、移民希望者の入国を拒否する前に、シリア新体制が安全を提供するか否かについて、徹底的に(そして大変な労力を投じて)法的審査を行わなければならない。移民をシリアに送り返すことの難しさは言うまでもない。
難民を送り返せるような場所にシリアをつくり変える上で、EUはどんな貢献を果たしただろうか。EU加盟国は過去13年間に、広義の「シリア危機」対応策に計330億ユーロ(約5兆2800億円)超を支出してきた。しかし、今のシリアに役立つかもしれない市民社会の構築のために、欧州諸国がどんな役割を果たしてきたのかははっきりしない。欧州諸国には、例えばイスラエルが実現したような状況変化を起こすための軍事的手段がない。イスラエルは、シリア政府が保有していた化学兵器を怪しげな勢力が手に入れる前に、これら兵器の備蓄場所を破壊した。
欧州諸国は、シリアの変化によって難民危機が緩和されることを期待しているが、前述のような状況を背景に、各国の指導者らは逆の展開になることを懸念すべきだ。悪夢のシナリオは、イスラムの教義に基づく新たな統治体勢から逃れようとする新たな移民の波が起きるというものだ。
欧州で不法移民に関する政治危機の中心にあるのは、国内外の安全保障環境を整えるための断固たる行動を取る能力を各国政府が持っていない、という有権者の認識だ。有権者らは、外国での出来事によって自国政府が身動きできなくなっていると考えている。その出来事とは、何百万人もの外国人が国境を越えて欧州諸国になだれ込む決意を固めていることだ。アサド政権の崩壊によって、この大きな問題が解決されることはない。
●エマージング
韓国大統領の弾劾案可決、与党の一部造反 職務停止に | ロイター
ロシアがウクライナ電力システムを再び攻撃、厳寒のなか停電広がる - Bloomberg
中国が強気の反撃、トランプ次期政権の貿易戦争にらみ - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領の1期目には、中国ははるかに規模の大きい米経済に関税で対抗するのは難しいと悟り、他の方法で痛みを与えるべく迅速に動いた。多くの場合、それはトランプ氏の戦術を借りることだった。
トランプ氏の2期目が近づく中、中国は以前より豊富な対抗手段を誇示し始めている。同氏が次期政権は中国製品に一律関税を課し、最大で税率60%になると警告するなか、中国はこうした対抗手段を頼みとする公算が大きい。
中国は今月、米半導体大手エヌビディアに対する規制当局の調査を始めたほか、著名な米アパレルメーカーをブラックリストに載せると警告し、重要鉱物の対米輸出を禁止し、無人機(ドローン)のサプライチェーン(供給網)に圧力をかけた。一連の動きに手がかりを得るならば、中国の対抗手段は主に非関税措置となりそうだ。
米国は大量に中国製品を輸入し、米国の対中輸出の約3倍にも上るため、中国は関税だけで報復措置を同じだけ講じることができない。またそれを実行すれば、中国経済のさまざまな問題点を悪化させるリスクもある。
むしろ自分より強い敵と戦う時と同じく、自国の強みを生かし「てこの原理」で最大限の効果を引き出すことが重要だ。米国に痛みを与える取り組みは、その多くが米国自身の戦略にヒントを得ている。
中国の市場規制当局は9日、エヌビディアに対する反トラスト(独占禁止法に相当)調査を始めると発表。その約1週間前には、来月退任するジョー・バイデン大統領の政権が中国の先端半導体へのアクセス制限を強化していた。中国によると、エヌビディアは2020年にイスラエルのネットワーキング企業買収に関して中国から条件付き承認を得たが、その条件に違反した疑いがある。
規制当局の調査実施のタイミング(買収から5年近く経過)や標的企業の注目度の高さ(技術革新の最前線にいる米テック大手)から、中国が法的手段を使ってトップクラスの米企業を標的にすることもいとわない姿勢が浮き彫りになった。

 南カリフォルニア大学のアンジェラ・チャン教授(法学)によると、第1次トランプ政権下で初めてこの戦略が用いられた。チャン氏は、2018年の米中貿易戦争のさなか、中国は米半導体大手クアルコムによる蘭NXPセミコンダクターズ買収案への承認を保留したと指摘。これが事実上、貿易交渉を有利に進める切り札となった。この買収計画は結局、中国の承認を得られずに不成功に終わった。
このような場合、中国が世界規模の企業合併を詳しく調査する権限を持っていることが、てこの働きをする(同国に密接な関係があるとは思えない取引さえも対象になる)。中国の規制当局は2022年、米半導体大手インテルがイスラエルの半導体受託生産会社タワーセミコンダクターを52億ドルで買収する案を撤回させるために同様の手段を用いた。インテルの野心的な再建計画は、その重要な部分で決定的打撃を受けた。
今回、中国の規制当局はエヌビディアがどんな間違いを犯した可能性があるのか、なぜ条件付き承認からこれほど長期間が経過した後に問題を提起したのかを、何も語らなかった。だが業界ウオッチャーは、中国が米国に反撃の意思を示すメッセージだったことをほぼ確信している。
不明瞭な「リスト」
ただ中国は依然として外国からの投資を積極的に呼び込む必要があり、行き過ぎには注意しなければならない。特定の米企業とのビジネスを邪魔したり拒否したりすれば、米政府や外国企業が他の選択肢を探すきっかけを与え、中国の長期的な立場を弱める可能性がある。
こうした慎重さは、中国が取引制限対象の外国企業や団体、個人を列挙した「信頼できないエンティティーリスト」の作成の過程にも表れている。2019年に初めて発表したこの動きは、米商務省が中国の通信大手、華為技術(ファーウェイ)とその関連会社に対して講じた措置を借用したもので、サプライヤーが「エンティティーリスト」に載った企業とビジネスを行う前に当局の許可を取るよう義務づけている。
だが、中国の「リスト」は2023年初めまで空白のままだった。米軍が中国のスパイ気球だと疑う飛行体を撃墜したのを受け、中国は米防衛関連企業2社を「信頼できないエンティティー」に指定した。
不明瞭さは中国のエンティティーリストの注目すべき特徴だ。ある事業体がリストに載り続ける期間に制限はなく、リスト入りの基準や削除の基準は米国のブラックリストに比べてはるかに曖昧だ。だがその不透明さが、米国に圧力をかける幅広い裁量を政府に与えるため、有効な手段になることはほぼ間違いない。
9月、中国商務省はカルバン・クラインやトミーヒルフィガーなどのブランドを傘下に持つ米PVHをエンティティーリストに載せるかどうかを調査中だと発表した。PVHが中国の新疆ウイグル自治区で生産した綿製品を「事実に基づく根拠なしに」ボイコットした疑いがあるという。PVHは2020年、新疆綿を使用する衣料品工場や紡績所との一切の関係を絶つと発表。それに続いて米国は、強制労働の報告を巡って新疆で生産した綿製品を輸入禁止にした。中国共産党はこの疑惑を否定している。
PVHへの警告が出された前日には、米商務省が国内のコネクテッドカー(ネットに接続された車)に中国製とロシア製の部品を使うことを禁じる規制案を発表していた。PVHが中国のリストに入れば、中国との間で売買禁止になる可能性がある。そうなれば同社は、昨年の世界売上高の6%を占めた急成長市場から締め出されることになる。
重要鉱物やドローンも
それ以外にも、中国は不均衡に大きな強みを持つ分野を米国への反撃に利用している。例えば、ドローンのサプライチェーンにおける優位性や、半導体・電池・防衛装備品に不可欠な重要鉱物の生産における支配的地位などだ。
中国は先週、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどの対米輸出を原則として禁止し、グラファイト(黒鉛)の輸出審査も厳格化すると発表した。
中国は近年、優れた技術力や稼働コストの低さもあり、多種多様な鉱物の生産で支配的地位を占めるようになった。米国と米同盟国は重要鉱物の採掘・加工の拡大を進めてきたが、西側企業は中国との価格競争に苦戦し、多くの戦略的鉱物でむしろ中国の支配力は強まっている。
半導体の材料となる金属のガリウムの場合、中国は低純度ガリウム生産の約98%を占める。中国の禁輸前に米地質調査所が公表した調査結果によると、中国産のガリウムとゲルマニウムの輸出を完全に制限した場合、米国の国内総生産(GDP)は34億ドル(約5190億円)減る可能性がある。
中国が優位性をてこに圧力をかける分野の一つが量産型ドローンだ。この分野で中国は他を大きく引き離し、世界最大の生産量を誇る。米国が支援するウクライナをはじめ他の国々も取り組んでいるが、電池やカメラ、電気モーターの調達に課題を抱える。それらのサプライチェーンが中国を経由しているためだ。
中国外務省は先週、米ドローン技術企業十数社に制裁を課すと発表した。ウクライナにドローンを納入する企業が含まれる。新興ドローン企業のシールドAIもその一つだ。同社の人工知能(AI)を搭載した長距離ドローンはウクライナの戦場で活用されている。
ここでも制裁の見通しを踏まえ、すでに多くの企業が無線機やコンパス、モーター、電池を中国以外から調達する方法を探っている。
シールドAIのライアン・ツェン最高経営責任者(CEO)は、すでにサプライチェーンを中国以外にシフトしたと述べ、制裁の見通しと米国の国家安全保障上の制限により、長らく中国からの購入は「商業的に実行不可能」だったと述べた。
「(制裁は)不可避だと思われたので、実際起きたことに驚きはない」とツェン氏は語る。
とはいえ、米国のドローン各社がサプライチェーンの「脱中国依存」を進めるスピードは遅い。中国は4枚の回転翼がついたクアッドコプターや一人称視点(FPV)ドローンなどの小型ドローンが飛ぶのに必要な電池とモーターの世界的な供給を依然支配している。またミサイルや船舶、ドローン、衛星などを動かすモーターに使われる磁石も、中国が90%以上を供給している。回路基板の場合、中国製品は迅速に納入され、価格も安いのが実情だ。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(13日)ドル小幅高、国債利回り上昇 ナスダック4週連騰 | ロイター
### 為替
- **ドル指数**は小幅上昇し、週間では約1%上昇。1カ月ぶりの大幅な上昇率。
- ドル/円は0.69%上昇し、153.695円で11月下旬以来の高値。
- ポンド/ドルは0.45%安、ユーロ/ドルは0.26%高。

### 債券
- **10年国債利回り**は4.403%と3週間ぶりの高水準。
- **FRB**は来週のFOMCで0.25%の利下げが予想されるが、その後の利下げ一時停止が見込まれる。
- ドットチャートの修正や1月の利下げ停止の可能性も議論。

### 株式
- 株式市場はほぼ横ばい。ナスダック総合は4週連続上昇、ダウとS&P500は下落。
- **ブロードコム**が24%急騰。生成AI向け半導体需要の増加が背景。
- 取引量は直近20営業日の平均を下回る。

### 商品市場
- **金先物**は売りが優勢で続落。中心限月は1.24%安。
- **米原油先物**は1.81%上昇し、供給不安から反発。
欧州市場サマリー(13日) | ロイター
### ロンドン株式市場
- **FTSE100種指数**は週間で0.10%下落し、4週ぶりのマイナス。
- **FTSE250種指数**は13日に0.29%下落、週間では0.81%のマイナス。
- 英10月GDPが0.1%縮小(市場予想は0.1%増)し、2カ月連続のマイナス成長が株価の重しに。

### 欧州株式市場
- **STOXX欧州600種指数**は週間で0.77%下落し、4週ぶりにマイナス。
- 鉱業株や貴金属株指数が下落。一方、保険株指数は上昇。
- 個別では、ウィズエアーが5.7%下落、ミュンヘン再保険が5.6%上昇。

### 債券市場(ユーロ圏)
- **ドイツ10年債利回り**が4.5bp上昇し、2.23%に。週間では12.5bpの大幅上昇。
- ECBの利下げ加速観測に対し、慎重な姿勢が示され、期待値とのズレが影響。

### その他の動向
- **フランス政局**:マクロン大統領がフランソワ・バイル氏を新首相に任命。宙吊り議会で法案成立の難航が予想される。

備忘録(2024/12/12
●海外企業決算
ブロードコム、8-10月利益は市場予想上回る-AI需要が追い風 - Bloomberg
[AVGO] ブロードコム 2024年11月通期は増収減益 売上高44%増515億ドル、営業益17%減134億ドル、EPS1.23ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
メタ、トランプ次期大統領の就任基金に100万ドル寄付-関係改善図る - Bloomberg
ハーシー・トラストとは、なぜ買収を阻止できるのか-QuickTake - Bloomberg
ハーシー・トラストは米国の企業の中でも珍しい存在だ。チョコレートメーカー、米ハーシーのクラスB株ほぼ全てを保有しており、同社の議決権の約80%を握っている。その影響力は、今年最大の合併合意となるはずだった米製菓大手モンデリーズ・インターナショナルによる予備的な買収提案を拒否したことで浮き彫りとなった。ハーシー・トラストはモンデリーズによる2016年の買収提案を含め、ハーシー買収を長年にわたり複数阻止してきた経緯がある。
ハーシー・トラストとは
同社ウェブサイトによると、ハーシーの創業者ミルトン・ハーシー氏が1905年に設立。同氏と妻が開設した低所得世帯の子供向け寄宿学校や、植物園、劇場などの施設を運営する非営利団体などを支援する。
ハーシー・トラストはペンシルベニア州当局の規制下にある。長年論争やスキャンダルに悩まされ、2016年には、役員の任期や報酬制限といったガバナンス改革を巡り同州司法長官と合意した。
なぜ設立されたのか
ペンシルベニア州にあるハーシー氏の地元コミュニティーバンクとして設立され、住宅ローンや預金口座、融資を手掛けてきた。ハーシー従業員の給与支払いも管理した。
今は主にスクールトラストを管理しており、プロパブリカ・ノンプロフィット・エクスプローラーによると、同トラストの23年時点の資産は240億ドル(約3兆6500億円)に上る。
モンデリーズとの協議はどうなったのか
ハーシー・トラストはモンデリーズの提示額が低過ぎるとして拒否した。事情に詳しい複数の関係者がブルームバーグ・ニュースに語った。ハーシー株は23年のピークから3分の1程度下落している。
CNBCによると、ハーシーがアナリスト予想を下回る7-9月(第3四半期)利益を発表した直後、モンデリーズは協議を始める好機と見ていた。
他にどのような買収を阻止したのか?
ハーシー・トラストは長年にわたり、複数の買収を阻止してきた。同社ウェブサイトによると、1980年代からハーシーと共に「企業の乗っ取りや敵対的買収」を懸念していた。
2002年には、ネスレとウィリアム・リグレー・ジュニアがそれぞれハーシー買収を提案したが拒まれた。16年、モンデリーズが買収価格を引き上げる考えを示したがこれも断られ、ハーシーは買収されない企業だという見方が強まった。
次の一手は
CFRAのアナリスト、アルン・スンダラム氏によると、モンデリーズのディールが立ち消えになっても、ハーシー・トラストは他のオファーにはオープンな姿勢を示す可能性がある。「まだ別の企業が興味を示すかもしれない」とし、ペプシコやネスレを候補に挙げた。
TDカウエンのアナリスト、ロバート・モスコウ氏は、ハーシー・トラストの経営陣交代や同社資産のハーシー株集中、ハーシーに対する外部の脅威などを踏まえると、ハーシー・トラストがハーシーの支配権を手放してもよいと考える価格が存在する「可能性は十分」あると指摘した。
インテル暫定CEO、会社分割決まっておらず-次期リーダーが決定へ - Bloomberg
●日本企業
西武、「赤プリ」跡地の商業ビルを4000億円で売却 米ブラックストーンに | ロイター
日本生命、米運用会社に追加投資 総額830億円 - 日本経済新聞
三菱電社長、パワー半導体の国内再編は必要-複数社と協議も - Bloomberg
●先進国政治動向
トランプ氏、イラン特使にグレネル氏検討 元国家情報長官代行=関係筋 | ロイター
トランプ次期米大統領は、リチャード・グレネル元国家情報長官代行をイラン特使に起用することを検討している。政権移行計画に詳しい関係者2人が明らかにした。
トランプ氏は、イランの核開発を阻止するために新たな制裁を科すのか、外交交渉を進めるのか、あるいはその両方を行うのかなど、イランに関する人事や戦略について明らかにしていない。
トランプ氏のチームもグレネル氏もコメントの要請には応じなかった。
トランプ氏が側近の1人をこのような役職に就かせることは、イランとの話し合いに前向きであるというシグナルを送ることになる。司法省は11月、大統領選挙中にトランプ氏を暗殺する計画にイランが関与したと発表したが、イランはこれを否定している。
ある関係者によれば、グレネル氏は関係国と協議し、交渉の可能性についてイラン政府の意向を探る役割を担うことになるという。
グレネル氏は、トランプ前政権下で駐ドイツ大使、セルビアとコソボの和平交渉の大統領特使、国家情報長官代行を務めた。
●先進国中銀、金融当局
ECBが3会合連続利下げ、0.25ポイント下げ3%に-経済下支え - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)は12日、3会合連続となる利下げを発表した。インフレ率が目標の2%に近づく一方で経済は低迷していることから、来年もさらなる利下げを行うと示唆した。
中銀預金金利は0.25ポイント引き下げられ、3%となった。ブルームバーグのエコノミスト調査で1人を除く全員が予想した通りだった。
今回の利下げにより、6月以来の金利引き下げ幅は合計で100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。
姿勢の変化を示すように、声明からは政策金利を必要な限り「十分に景気抑制的な」水準にとどめるという文言が削除された。
「政策委員会は、インフレ率が中期目標の2%で持続的に安定することを確実にする決意だ」とECBは表明。「適切な金融政策のスタンスを決定するに当たり、データ次第かつ会合ごとのアプローチを継続する」と続けた。
発表後にユーロは0.2%安の1.0470ドルとなった。投資家は、金利を「景気抑制的な水準」に維持するという文言が削除されたことに注目している。
市場が織り込む来年の利下げ幅は発表前とほぼ変わらず、125bp程度となっている。
スイス中銀0.5%利下げ、一段の利下げ示唆 必要なら為替介入 | ロイター
スイス国立銀行(中央銀行)は12日、政策金利を1.0%から0.5%ポイント引き下げ、2022年11月以来の低水準となる0.5%とした。今回が初の決定会合となるシュレーゲル総裁は、一段の利下げ余地があるとの認識を示すとともに、必要なら為替市場に介入する用意があるとも述べた。エコノミストはスイスフラン高の抑制を狙った措置と指摘した。
0.5%という引き下げ幅は、対ユーロでのフラン相場の上限を撤廃し、マイナス金利を深掘りした15年1月以来。
ロイターのエコノミスト調査では、0.25%利下げ予想が85%以上を占めていたが、市場は0.5%利下げを予想していた。
中銀は「基調的なインフレ圧力はこの四半期も低下した。本日の金融緩和は、この進展を考慮した」と表明した。
スイスのインフレ率は直近で0.7%と、中銀の目標レンジ(0─2%)内で推移している。
シュレーゲル総裁は会見で「引き続き状況を注意深く監視し、インフレ率が中期的な物価安定と一致する範囲内に収まるよう、必要に応じて金融政策を調整する」と述べた。将来の物価動向についてはなお不確実性が高いと指摘した。
中銀は、25年のインフレ予測を0.6%から0.3%に下方修正した。24年は1.1%(従来予想1.2%)、26年は0.8%(同0.7%)とした。
来年の成長率は1 .5%から1─1.5%に修正した。
<フラン高に先制措置>
大幅利下げを受け、フランは対ユーロ、対ドルで下落した。
欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)は追加利下げが予想されている。他国との金利差縮小は、安全通貨とされるフランの魅力を高めることにもなる。
シュレーゲル総裁は「3月に政策決定会合がある。さらなる調整が必要であれば、決定することができる」とし「次の段階に向けた余地がなおあることを意味する」と述べた。
政策金利が主要政策手段で、政策金利によって経済と為替レートに影響を与えることが可能と指摘。マイナス金利回帰の可能性は排除できないが、今回の0.5%利下げで可能性は低下したと述べた。必要に応じて為替市場に介入する用意があるとも述べた。
UBSのエコノミスト、アレッサンドロ・ビー氏は「低インフレ、欧州経済、ひいてはスイス経済のリスクが今回の利下げの主な要因だ」と述べた。0.5%の利下げは、金利差を拡大させ、過度なフラン高を阻止する予防的措置との見方を示した。
ライファイゼンのマクロ・債券調査責任者アレクサンダー・コッホ氏は、今回の利下げで市場の利下げ観測を強めたとし、今後の会合で利下げを見送れば、フランが再び上昇する可能性が高いと指摘した。
ECB、今後2回の会合で0.25%利下げの準備=報道 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は次回2回の会合で0.25%ポイント利下げを実施する準備を整えているもよう。ブルームバーグが12日、関係筋の情報として報じた。
報道によると、ECBは、インフレが目標の2%で安定し経済成長が引き続き弱含む中、来年1月、さらにおそらく3月にもそれぞれ0.25%ポイント利下げを実施する可能性がある。
ただ関係筋は、3月以降の会合も含めすでに決まった道筋ではないとし、入手される全ての情報に基づき各会合で決定されると述べた。また、トランプ次期米大統領の政策がより明確となれば、こうした見通しは変化する可能性があるとした。
ECB、3会合連続で0.25%利下げ 文言変更で一段の緩和示唆 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は12日、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ、3.0%とした。域内の政情不安による経済成長への影響や米国との新たな貿易戦争のリスクを踏まえ、2025年の追加利下げの可能性に含みを残した。
利下げは3会合連続で、今年4回目。今回の利下げは予想通り。声明の文言を変更したことで、一段の利下げが示唆された。
ECBは声明で「大部分の基調インフレ指標は、インフレ率が理事会が中期的な目標とする2%近辺で持続的に安定すると示唆している」とし、従来の「十分に制約的な政策」を維持するとの確約を削除した。
同時に「理事会は特定の金利の道筋を事前に確約しない」とも表明した。
ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で「ディスインフレのプロセスは順調に進んでいる」とし、「25年には2%のインフレ目標が達成される」との見通しを示した。 もっと見る
同時に「変化した要素は下振れリスクだ。特に成長に対する下振れリスクがより顕著になった」とも指摘。域内のインフレ率は依然として懸念すべき高水準にあるとし、インフレに対する勝利宣言は尚早との認識を示した。
ラガルド氏はこのほか、今回の理事会で「0.50%ポイントの利下げについても一部で議論があった」と言及。最終的には0.25%の利下げで合意に至ったと説明した。
今回の理事会に先立ち、0.50%ポイントの利下げを明確に主張した政策担当者はいなかった。ただ、複数の当局者が経済成長とインフレを巡るリスクが高まっていると指摘。こうした懸念はECBがこの日に発表した最新の経済予測に反映された。
ユーロ圏ではドイツが早期の選挙に直面、フランスが安定政権の樹立で苦戦する中、来年初めに就任する米国のトランプ次期大統領が導入する可能性のある関税措置などを巡る不確実性が高まっている。
ラガルド総裁は記者会見で、貿易摩擦が経済成長の重しになる可能性を指摘。広範な地政学的な状況がインフレ上昇リスクの一因になる可能性があるとの見方も示した。
<文言変更で追加利下げ観測高まる>
ECBが声明から制約的な政策に関する言及を削除したことで、利下げ継続が示唆されたとの見方が台頭。来年1月の理事会でも追加緩和が決定されるとの見方が出ている。
S&Pグローバル・レーティングスの欧州・中東・アフリカ(EMEA)チーフエコノミスト、シルバン・ブロイヤー氏は「ECBは利下げペースを加速させなければならない」と指摘。「中銀預金金利が中立水準に達するまで継続的に利下げを実施するというコミットメントを示す必要がある」と述べた。
一方、ノルデアは「一段の利下げが予想される」としながらも、「ECBはその過程を急がない」と予想。「ラガルド総裁はこれまでの4回の利下げで多くの成果が得られたと強調しているため、追加利下げの余地は限定される可能性がある」との見方を示した。
市場では、来年1月の理事会で0.5%ポイントの大幅利下げが決定される確率は30%程度と予想されている。年後半も利下げが続き、25年末までに中銀預金金利は1.75%に引き下げられるとの見方が出ている。
米利下げ、年内で打ち切りの可能性も - WSJ
米連邦準備制度理事会(FRB)は年内で利下げを打ち切るだろうか。その可能性を排除すべきではない。
市場は11日の米インフレデータに動じなかったようだ。11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇し、10月の2.6%から伸びが加速した。S&P500種指数は0.8%上昇し、ナスダック総合指数は終値で初めて2万を突破した。CPIが予想通りの内容で、これより強い数字が出て悪いサプライズとならなかったことに安堵(あんど)したのかもしれない。
それでも、インフレ鈍化が止まったか、少なくとも足踏みしているという不安な傾向が今回のデータで裏付けられた。食品とエネルギーを除くコアのCPIは前年同月比3.3%上昇し、上昇ペースはここ数カ月ほぼ横ばい。特に懸念されるのはサービス価格の伸びで、エネルギー関連を除くと前年同月比4.6%上昇した。
これはFRBに12月の利下げを見送らせるほどの内容ではなさそうだ。CMEのFedWatchツールによると、金利先物市場が織り込む12月の利下げの確率は11日時点で96%だ。雇用の伸びがこの数カ月に緩やかに鈍化したため、FRBは引き続きある程度の追加緩和を容認するだろうと市場はみている。ストライキやハリケーンなどの一時的要因があるためデータを解釈しづらいものの、基調は明白だ。就業者数の伸びの3カ月平均は11月に17万3000人と、年初の24万3000人から縮小した。
金利先物市場は来年0.25ポイントの利下げが2回あるいは3回実施されることを織り込んでおり、確率は現時点でそれぞれ約30%だ。
これはあまりに楽観的かもしれない。雇用は鈍化したとはいえ、まずまずの伸びを維持しており、米経済全体の勢いも強いままだ。7-9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率換算で2.8%だった。インフレ率が3%前後で固着しているのは明らかで、FRBの目標である2%を上回っている以上、利下げを継続すべきもっともな理由はあるのだろうか。
加えて、トランプ次期政権は減税や不法移民取り締まり、追加関税などに踏み切る可能性が高い。いつ、どの程度実施されるかは不明だが、少なくともいくつかは実施される可能性が極めて高く、いずれもインフレにつながりやすい。
FRBは公には、こうした政策の影響についてまだ考えてもいないとしている。だがこれまでに公表されたデータだけでも、利下げ休止の十分な理由になる。休止すれば、トランプ次期政権下で何が起きるか見極める時間を確保できる。
少なくとも来年前半は、FRBが喜々として利下げを続けると想定すべきではない。また、今回の金融緩和サイクルが「1回限り」、つまり1ポイントの利下げで終わる可能性も排除すべきではない。
●先進国経済指標
米11月PPI、前年比3.0%上昇に伸び加速 卵の高騰が寄与 | ロイター
米労働省が12日発表した11月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比3.0%上昇した。伸びは前月の2.6%から加速し、上昇率は2023年2月以来最大となった。市場予想の2.6%も上回った。
鳥インフルエンザの流行による卵の価格高騰が上昇に寄与した。
前日発表の11月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.7%上昇。伸びは10月の2.6%から加速した。
11月のPPIは前月比0.4%上昇。エコノミスト予想は0.2%上昇だった。10月は0.3%上昇と、従来の0.2%上昇から上方改定された。
主に食品価格の急騰で押し上げられたが、サービス価格の上昇が緩和したことから、ディスインフレ傾向は続いているとの見方も出ている。
食品とエネルギー、貿易サービス部門を除く狭義のコア指数は前年比3.5%上昇と、伸びは10月と同じだった。前月比では0.1%上昇。10月は0.3%上昇していた。
モノの価格は0.7%上昇。伸びは10月の0.1%から加速した。食品は3.1%、エネルギー商品は0.2%それぞれ上昇した。卵の価格は前月比54.6%上昇した。
食品とエネルギーを除くモノの価格は0.2%上昇。5カ月連続でこの幅での上昇となった。
サービス価格は0.2%上昇と、伸びは10月の0.3%から鈍化した。ポートフォリオ管理費が0.6%下落したほか、航空運賃が2.1%下落。宿泊費も下落した。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、サミュエル・トゥームズ氏は、コアPCEインフレが来年さらに低下する下地は整っているとした一方で、「トランプ次期政権が輸入関税の引き上げや不法移民送還などを行えば、せっかくの勝機を逃すことになるだろう」と述べた。
米新規失業保険申請は1.7万件増の24.2万件、予想外に増加 | ロイター
米労働省が12日発表した12月7日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比1万7000件増の24万2000件となった。エコノミスト予想は22万件だった。
11月30日までの1週間の継続受給件数は1万5000件増の188万6000件だった。
継続申請件数の増加は、解雇された労働者の一部が長期の失業状態にあることを示唆する。
●金融市場、先進国トピックス
ストラテジストは円一段安を警戒、日銀利上げ3月以降の見方浮上 - Bloomberg
ニュース対価支払わなければ巨大ITに罰金、豪が規制強化へ | ロイター
ドイツ成長率、来年は0.4─1.1%、IFOが2つのシナリオ提示 | ロイター
アングル:来年の米株式市場、トランプ氏の関税政策次第で波乱も | ロイター
米国株式市場は米大統領選でのトランプ氏の勝利を歓迎したが、新たな関税を導入するとのけん制を実行に移せば波乱が待ち受けているかもしれない。
トランプ氏は11月、中国やカナダ、メキシコなどの貿易相手国に新たな関税を課すと脅した。ただ、これは国境警備といった他の問題を交渉するための布石なのかどうかといった不透明な要素が多く残ったままだ。
新たな関税の導入時期と範囲も不透明で、関税が米国に与える影響は適用対象となる国々が独自の措置で報復するかどうかで左右される可能性がある。
しかし、エコノミストらが予測した最悪のケースは憂慮すべきものだ。
オックスフォード・エコノミクスが示した極端に長期的なシナリオによると、世界貿易は最大で10%減り、米経済成長率が現在の予想より1%程度下回る。他の予測によると、関税は企業の利益、特に小売業と工業、素材分野を直撃し、インフレを助長する。
JPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、デビッド・ケリー氏は「基本的に関税は経済に悪影響を与える」とし、「インフレ圧力を高めると同時に、経済成長率を低下させるというスタグフレーションを引き起こす可能性がある」と指摘した。
新たな関税を導入するとのトランプ氏の脅しは外国為替市場に波風を立てたが、米国株式市場はほぼ受け流して今年に入ってから26%超上昇した。S&P500種株価指数は過去最高値を更新した。
バークレイズのストラテジストらは、カナダやメキシコ、中国に対する関税案とそれらの国による報復措置がS&P500種銘柄の利益を2.8%押し下げる可能性があると予想。素材と消費者裁量の分野はメキシコとカナダでの供給と生産が大きいため、減益率が2桁に達する可能性があると指摘した。
対象国による報復関税は利益の落ち込みをさらに悪化させるだろう。
BofAグローバル・リサーチは、中国からの輸入品への関税が2倍の40%へ引き上げられ、中国とメキシコ、カナダを除く国々からの輸入品への関税が8%程度へ引き上げられた場合、S&P500種銘柄の利益を1%押し下げると予想している。外国での売り上げに打撃を与える報復関税が実施された場合には、利益を5%引き下げることが想定されるとした。
また、ドイツ銀行のエコノミストらは、関税の引き上げはインフレの指標として広く使われている個人消費支出(PCE)物価指数のコア指標を押し上げる可能性があると言及。25年の上昇率が前年比2.5%程度となり、現在の2.3%から拡大する可能性があるとの見通しを示した。
トランプ陣営はコメントの要請にすぐに応じなかった。
<第1次政権を検証>
トランプ氏は関税を「世界で最も美しい言葉」と呼び、自身の計画が米製造業の基盤を立て直し、米国の雇用と所得を拡大し、10年間で数兆ドルの連邦政府収入を得られるようになると主張している。
投資家の一部は、第1次トランプ政権で導入された関税を検証し、次期政権での影響を洞察しようとしている。
RBCキャピタル・マーケッツによると、2018年の米中貿易戦争では素材と工業の両分野が市場でのパフォーマンスが最も悪かった。不透明な時期に人気の高いディフェンシブ銘柄が最も強いリターンを記録し、公益事業と不動産の両分野は10%超上昇したと指摘した。
RBCのストラテジストらは今月、素材分野の評価を「オーバーウエート」から「マーケットウエート」へ引き下げた。トランプ氏の大統領選での勝利が決まった後にS&P500種株価指数が4%上昇したのに対し、素材分野は3%下げた。
シティグループは、ハイテク分野は18年と19年に米国の関税引き上げや中国の報復措置が発表された日にパフォーマンスが低下する傾向があり、特にハードウエアと半導体の銘柄が弱かったと分析。一方、シティのストラテジストらは最近のリポートでハイテク分野は「人工知能(AI)の最前線にあり続け、関税が発表された場合には注文の前倒しによる恩恵を受ける可能性があることから、直ちにリスクが生じるとはそれほど懸念していない」と言及した。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米国株式部門責任者であるデビッド・レフコウィッツ氏は、中国からの輸入品への関税引き上げは小売業、工業、ハイテクのハードウエア企業に特に影響が出る可能性があると言及。一例としてアップルやスターバックス、ナイキなどの米国の人気ブランドは報復措置に直面する可能性があるとした。
また、レフコウィッツ氏はカナダとメキシコで生産している自動車メーカーは関税引き上げの影響を受ける可能性があるとも指摘した。トランプ氏が関税の導入を訴えた後、米ゼネラル・モーターズなどの自動車株は売られた。
米インフレ加速、トランプ氏とFRBの課題に - WSJ
11月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇と伸びが加速し、同国のインフレ減速が足踏みする格好となった。
自動車から家具に至る消費財(食品とエネルギーは除く)の価格は、自動車価格の上昇にけん引され、前月比の伸びが1年半ぶりの大きさとなった。これは先般の大型ハリケーンの影響で乗用車やトラックが被害を受け、乗り換えの動きが広がったことが背景にある。
この上昇は注目に値する。多くの財価格は今年8月まで約1年間、総じて下落または横ばいだったからだ。こうした流れは今や変わったようだ。
こうした状況は、インフレ抑制を公約に掲げて当選し、就任を目前に控えるドナルド・トランプ次期大統領に深刻かつ中心的な課題を突きつけている。エコノミストらは、トランプ次期政権が輸入品に一律関税を課すとの脅しを実行に移せば、財のインフレ率が加速する可能性があると懸念している。
11月のCPIは、向こう1年間の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースについて疑問を投げかけるものでもある。FRBは来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利下げを行うと広く予想されている。実現すれば3会合連続の利下げとなる。
金利先物市場の投資家は11日時点で、来週の利下げをほぼ確実視していた。12日に発表される別のインフレ統計によって、来週の利下げが決定的となるかもしれない。
FRB高官らは、根強いインフレが利下げペースの減速や利下げの停止につながる可能性があると示唆している。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは11月に前月比0.3%上昇し、4カ月連続で0.3%という高水準を維持した。前年同月比は3.3%上昇と横ばいだった。いずれもエコノミストらの予想とおおむね一致した。
アナリストらは年間を通じて、住居費をはじめとするサービス価格に減速の兆しがないか注視していた。今回のCPI統計は、その点で希望を示した。住居費の前月比の伸びがやや鈍化し、エコノミストらはこれを好感した。
ここで問題なのは、「住居費の伸び鈍化」と「財価格の上昇」という二つの流れのどちらが今後数カ月にわたり続くかということだ。
KPMGエコノミクスのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏によると、消費者は関税関連の値上げを見込み、自動車などの高額商品を購入しているもようだ。
「これは一種の条件反射だ」とスウォンク氏は言う。「コロナ禍前にはこのようなことは決して起こらなかっただろう。それが起きたという事実は、FRBにとって警戒すべき赤信号だ」
トランプ氏のドル政策、市場の行方を左右 - WSJ
1985年のプラザ合意以降、ドルが実質ベースで今より高水準だったのはわずか4カ月間しかない。プラザ合意とは、主要国の協調介入によってドル高是正を図った国際的な取り組みだ。近く米大統領に就任する人物は、米国が「大きな通貨問題」を抱えていると考えている。ドル高は国内製造業を傷つけるというのがその理由だ。
だが、市場はドナルド・トランプ氏の政策が一段のドル高を招くと見込んでいる。トランプ氏の勝利が織り込まれ始めた10月初め以降、ドルは先進国通貨に対して5%、新興国通貨に対して4%それぞれ上昇した。
市場はトランプ氏を読み誤ったのだろうか。その答えを出すのは難しいが、極めて重要でもある。ドルは世界の準備通貨であり、国際貿易のみならず、ほぼ全てのものの市場で価格形成に影響を及ぼしているからだ。
まずはドル高要因を見てみよう。トランプ氏が減税や規制緩和による生産性向上を訴える前から米経済は好調に推移している。同氏は何年にもわたり関税に言及しているが、それ以前から世界の多くの国や地域は苦境に立たされてきた。また同氏はドルの基軸通貨としての地位を守りたがっている。基軸通貨であるということは需要が高まるということだ。さらに同氏は石油・ガスの増産も望んでおり、そうなればエネルギー輸出が拡大する可能性が高い。
単純な話だ。成長拡大は通貨高を意味し、少なくとも貿易財部門の生産性向上は通貨高を意味するはずだ。ドル高は当然の成り行きといえる。
一方、ドル安の要因を挙げるのはそれほど簡単ではない。一つ目は、トランプ氏が通貨安を望んでいることだ。同氏は自称「低金利派」で、夏の時点でもドル安は米国の製造業を支えるために必要だと主張していた。
だが、大統領が望むことが実現するとは限らない。ドルはトランプ政権1期目の初期に関税への期待から急騰したが、その後下落。2018年に関税が導入されると再び上昇し、人民元に対しては関税を完全に相殺するほど値上がりした。
二つ目は、おそらくトランプ氏は市場が考えるほど「タリフ・マン(関税男)」ではないことだ。同氏が駆け引きを好むのはもはや定説だ。関税は単に貿易相手国から譲歩を引き出すために使われるだけだろう。これを裏付けるように、トランプ氏はカナダとメキシコに対し、不法移民と麻薬の越境防止策を強化しなければ25%の関税を課すと脅した。カナダ首相は直ちに同氏を訪問、メキシコ大統領も同氏と電話協議した。有効な脅しとなったようだ。
貿易のみならず政策を実現するための制裁代わりに関税を使うなら、それは交渉次第となり、長続きしないか、導入さえされない可能性がある。ドルは下落するかもしれない。
三つ目は、ドルは一部通貨、特に円と元に対してのみ下がる必要があるというものだ。トランプ氏は夏の演説で過度のドル高に言及した際、円と元を名指しした。円安については日銀ですら行き過ぎを認めているため、他の通貨に対するドル相場をそれほど調整しなくても、円安修正は可能だろう。
最後に、トランプ氏は米経済を再び均衡させられる可能性がある。市場は減税で巨額の財政赤字がさらに拡大し、好景気とドル高が続くと予想している。だが、富豪のイーロン・マスク氏が主導するコスト削減がうまくいけば、赤字を抑制できるかもしれない。
以上の要因を検証するために、プラザホテルに戻ってみよう。ただし、通貨協定が話し合われた1985年ではなく、2024年10月のプラザホテルに、だ。後にトランプ氏が財務長官に指名したヘッジファンドマネジャーのスコット・ベッセント氏は、同ホテルで開催された「グランツ・インタレスト・レート・オブザーバー」の会合で、経済の視点から関税を支持した。
筆者はベッセント氏について、ドルを直接操作することに懐疑的で、ドル相場を動かす経済構造に的を絞るべきとの立場だと理解した。同氏は関税を駆け引きの道具とみているが、中国から引き出したい譲歩は経済の抜本的改革だ。同国をはじめ輸出依存国が国内消費を増やせば全体に恩恵が行き渡る上、そうした国の通貨が対ドルで上昇しやすくなる。
だがベッセント氏が指摘したように、中国の経済構造は共産党の権力維持に役立っており、少なくとも短期間では変わらないだろう。したがって、改革を強要するために使うなら関税は長期間続くことになるだろう。
またベッセント氏は、「制御不能な連邦支出は、米国が生産する以上に消費している主因の一つだ」と述べ、赤字縮小が極めて重要だと主張した。少なくとも、マスク氏が取り組むコスト削減は正しいと考えている。
最良のドル安要因は、すでにドルが高値圏にあるためサプライズに対してぜい弱だというものだ。もし日本に内需が生まれて利上げの環境が整う一方、欧州が生産性向上への道筋をつけることができれば、ドル高は解消されるだろう。
その上さらに、関税が予想より限定的で、財政赤字が縮小すれば、ドルは大幅に下落するはずだ。
だが、トランプ氏のホワイトハウス復帰を控えた多くの不確実性と同様、あくまでも仮定の話だ。
活況のリスク移転市場に「隠れたリスク」の可能性、ピムコが警戒促す - Bloomberg
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、合成リスク移転(SRT)市場の活況に警戒を促している。SRTは、リスクを軽減しながら融資能力を高める手段として銀行からの人気が高まっている。
ピムコのポートフォリオ・マネージャー、クリストファー・クラウス氏率いるチームは今週発表したリポートで、慎重なアプローチが求められる資産担保融資の一つとしてSRTを挙げ、「まだ検証されていない重大な資本形成や、隠れたリスクがある」と指摘した。
欧州の銀行、最近では米国の銀行も、「シグニフィカント・リスク・トランスファー」とも呼ばれるこの金融商品を利用して引き受けリスクを投資家に移転し、新たな融資のための資金を確保している。
昨年の地域銀行危機以降、ヘッジファンドやその他投資家は成長中のSRT分野に殺到している。米国の銀行は規制強化を見越してSRT商品を急速に発行している。
SRTは利益を生む可能性がある一方で、投資家は最初の損失を被る必要がある。
クラウス氏、ハリン・デシルバ氏、ジェーソン・スタイナー氏は「SRTは、銀行が組成した高品質の信用に効率的なアクセスを提供するが、それ自体が独立した資産クラスであるとは考えていない」とした上で、「ローン全体へのアクセスが困難な場合、高値で取引されている場合、または規模が小さい場合などには、特定の資産クラスにアクセスする魅力的な手段であると考えている」と述べた。
リポートでは、音楽著作権や短期消費者ローン商品への投資についても慎重な姿勢を促した。3人は、資産担保融資は最も確信度の高い投資テーマの一つとしつつ、楽観的な見通しは「規律をもって抑制されなければならない」と強調した。
●中東情勢
アサド政権崩壊後のシリア、大国の駆け引きの場に - WSJ
シリアのアサド政権が予想外に早く崩壊したことで、同国に空白が生じた。シリア国境付近に配置された各国の強力な軍隊がそれを埋めようと殺到している。
米国は、シリア中部にある過激派組織「イスラム国(IS)」の標的75余りに対して空爆を行うため、B52戦闘機を派遣した。トルコの支援を受けた反体制派はクルド人勢力を攻撃し、シリア北部の支配地を奪取した。そしてイスラエルはシリア全土にある数百カ所の軍事目標を爆撃し、長年の敵の戦闘能力を徹底的に破壊した。
さまざまな勢力がこの侵攻で長年かなえたかった願望のリストに次々と完了の印を付けているが、それは新たなシリアの脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにしている。シリアでは50年余りにわたったアサド家による支配を終わらせた反体制各派が、影響力と支配力を得ようと画策している。彼らの国益追求が日和見的なため、電撃作戦の先頭に立った主要反体制派組織「シャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)」の運命は複雑になっている。HTSは現在、暫定政府樹立に取り組んでいる。バッシャール・アサド氏の失脚で、戦略的な位置にあるシリアでの米国の敵ロシアとイランの支配は弱まったが、こうした駆け引きによって北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコは米国やイスラエルの国益と衝突する立場に置かれる可能性がある。
パレスチナ自治区ガザやレバノンにおける紛争があまり激しくなくなっているとはいえ、こうした状況はドナルド・トランプ次期米大統領にとって地政学上の課題となっている。トランプ氏はアサド政権崩壊の直前、米国はシリアの内戦に関与すべきではないとの考えを示していた。トランプ氏は大統領の任期1期目にシリア駐留米軍を削減した。彼が現在直面しているジレンマははるかに複雑なものになるだろう。
シリア武装勢力の研究を専門とするキングス・カレッジ・ロンドンのアソシエートフェロー、ブロデリック・マクドナルド氏は「米国はアサド氏がシリアを去ったことを喜んでいるかもしれないが、米国は今、危機に直面している」と指摘した。マクドナルド氏は「シリアの当事者はそれぞれ、先を争ってアサド政権崩壊後の勢力図を塗り替えようとしている」と述べた。
最も差し迫った問題は、米国が大きな試練に直面していることだ。米国はシリアで同盟関係にあるクルド人主体の武装勢力「シリア民主軍(SDF)」への支援を約束しており、それが試されることになる。この地域では、過去にトルコと米国が衝突寸前の状態になったことがある。トランプ氏が大統領1期目に行った駐留米軍の削減を受けて、トルコとその代理勢力はSDFをシリア北部の国境沿いの地域から追い出すことができた。アサド氏が追放され、ロシアの存在感が薄れたことで、トルコにはそうした動きを再開する好機が生まれている。シリア北部では10日、トルコが支援する反体制派がSDFを攻撃したことを受け、新たな衝突が発生した。
トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は10日、シリアにいるクルド人「テロリスト」を「できるだけ早く壊滅する」ことを望んでいると述べた。
トルコは国内で何十年にもわたってクルド人の分離独立勢力と戦っており、SDFを率いるシリアのクルド人組織「クルド人民防衛隊(YPG)」のことを、政府がテロリストだと考えている国内武装勢力の一派ととらえている。一方の米国は、シリアにおけるISとの戦いで、YPGおよびSDFと緊密に連携してきた。
この戦いは依然、バイデン政権の最優先事項の一つであり、米国はアサド氏の失脚を利用して、ISの残党をたたきのめそうとしている。8日には、米国のB52爆撃機、F15E戦闘機、A10攻撃機がシリア中部のISの拠点や部隊に対し、何十もの地点への空爆を実施した。ある政権高官によると、75以上の標的に対して、計140発の爆弾が落とされた。
米中央軍トップのマイケル・エリック・クリラ大将はその後、アサド氏を失脚させたシリアの反体制派グループに対し、ISを支援しないよう、くぎを刺した。ISはISISとも呼ばれている。クリラ氏は「シリアのすべての組織は、ISISに加わったり、どんな形であれISISを支援したりすれば、その責任が問われることを知っておくべきだ」と述べた。
米国にとってのもう一つの懸念事項は、シリア北東部の収容所ネットワークに拘束されているおよそ9000人のIS戦闘員と、その近くのアルホル難民キャンプに収容されている何万人もの人々だ。拘束されている人々と難民は、SDFからの警護を受けている。この取り決めは、米軍の駐留が続く限り、継続される公算が大きい。
SDFの戦闘員らは、反体制派が11月末に攻勢を開始してから、トルコの支援を受けた勢力やトルコ空軍の攻撃を受けて後退を強いられるなど苦境にあった。12月初めには、トルコの支援を受けた武装勢力が、北西部の都市タルリファートを制圧した。彼らは今月10日には北部の戦略的重要都市マンビジの最後の一角を奪取した。マンビジの戦闘は1週間近く続き、SDFの報道担当を務めるファルハド・シャミ氏によると、その間に少なくとも60人のSDF戦闘員が死亡した。
シャミ氏は、トルコの支援を受けた戦闘員らがマンビジでクルド系の民間人らを拘束し、その家々に火を放ったと語った。トルコの外務省、国防省はコメント要請に応じていない。
米国は、10日夜にマンビジでの停戦合意をまとめ上げた。しかし同日には、トルコ軍が戦闘機とドローンを使って、以前からクルド勢力の重要拠点で行政の中核都市ともなっていたコバニ(正式名はアイン・アルアラブ)付近に攻撃を加えた。SDFはこの空襲について、全面攻撃の前触れだとしている。
国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は、テロリストの脅威から自国を守る権利をトルコは有しているとする一方で、米国はISとの戦いでSDFとの協力関係を続けると語った。
アサド政権の崩壊は、シリアでのトルコの影響力を大幅に高めた。トルコの支援を受けているシリア北部の諸勢力はこれまで、特にロシア軍によって行動を制約されてきた。ロシアがシリアから手を引くことになれば、トルコが自国の利益を追求する際の自由度が増すかもしれない。シリアでトルコと友好関係にある勢力の中にはシリア国民軍(SNA)やHTSなど、アサド政権を倒した反体制派グループが含まれており、トルコはシリア新政権に対する影響力を確保するだろう。
トルコの元外交官で、イスタンブールを拠点とするシンクタンク「エダム」の会長、シナン・ウルゲン氏によると、トルコの優先課題は、シリアの新憲法の枠組みがどんなものになろうとも、それが自治権を持つようなレベルのクルド人支配地域の創設につながらないようにすることだとの見方を示した。自治権の確保は、SDFが戦いを通じて以前から求めてきたものだ。同氏はこうしたトルコの姿勢について「これは、非現実的な想定や期待を抱いているクルド人にとっては悪いニュースだ」と語った。
トルコが軍事作戦の勢いを強めていることで、同国はすでにイスラエルとの舌戦に突入している。イスラエルは最近、シリアの海軍や兵器などの軍事資産を標的として広範囲にわたる空爆作戦を開始した。イスラエルもまた、この地域の地政学を再編し、長年の敵を弱体化させることを狙っている。
イスラエルのギドン・サール外相は今週、トルコが支援する反体制派がシリアのクルド人グループを攻撃したことを非難した。サール氏は、ISと勇敢に戦った人々を国際社会は守らなければならないと述べた。
イスラエルは、同国が行った大規模な空爆作戦(数日間で350を超す標的を陸・海・空から攻撃)について、イスラエルに対して使用される可能性のある軍備を破壊することが目的だとしている。
イスラエルはまた、国連の監視下にあるゴラン高原の緩衝地帯にも軍を移動させた。155平方マイル(約400平方キロ)に及ぶこの地帯は、イスラエルと歴史的に敵対してきたシリアとの間で1967年に起きた戦争後に両国間で設定された。
トルコ、サウジアラビア、エジプト、カタールは、イスラエルがこの緩衝地帯に派兵したことを非難している。イスラエルは、シリア国内の権力争いに介入するつもりはないと述べている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「われわれはシリアの新政権との関係構築を望んでいる」とした上で、「だがこの政権が、シリアでのイランの存在感が再び高まるのを許したり、イラン製を含む何らかの兵器がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの手に渡るのを容認したり、イスラエルを攻撃したりすれば、われわれは激しく反撃し、それに対する高い代償を支払わせるだろう」と述べた。
長年にわたる内戦を経て、シリアの反体制派はアサド政権の打倒に成功した。だが、他国による新たな勢力争いが、シリアを戦争状態に押し戻す恐れがある。マクドナルド氏は「多くの国が独裁政権の崩壊後に経験したように、シリアにはさらに広範な紛争に陥るリスクがある」と指摘した。
【寄稿】イラク戦争の誤った教訓=アボット豪元首相 - WSJ
JD・バンス氏は、「米国の意に沿うように全世界を作り替える」ことが可能だと信じているワシントンの連邦議会議員たちにうんざりしている。彼は10月、司会者のジョー・ローガン氏とのポッドキャスト番組でそう語り、イラク戦争は米国にとって最大の世界史的惨事だったと付け加えた。この発言は、気候とエネルギー、移民と同化、自己決定権と生存権の衝突のような多様な問題に関する洞察の後に出たものだ。ドナルド・トランプ次期米大統領がこのようなテーマを非常に巧みに扱える人物を副大統領に選んだことは、称賛に値する。
米国の同盟国がつけを払うべき時はとうに過ぎているとのトランプ、バンス両氏の主張は正しい。これは、自国の義務を回避する傾向が最も弱い国々である英国とオーストラリアにも当てはまる。米国人が正当に評価されていないと感じるのもまた正しい。長年にわたるパックス・アメリカーナ(米国による平和)が、大部分は米国自体よりも世界にとって役に立ってきたのだから。それでも米国が払った人的犠牲と資金負担のおかげで、世界は史上最も多くの人々にとって、自由・公正・安全・豊かさが増している。
大国の役割に疲れた米国が、人類普遍の良識を守る主要な番人となるのに消極的なのは理解できる。だが米国の次期政権は、このなくてはならない国が身を引くには、今が最悪のタイミングだということを理解する必要がある。軍国主義のロシア、イスラム主義のイラン、共産主義の中国という独裁国家の枢軸は、西側への憎悪と、歴史を後戻りさせたいとの願望で一致している。米国の積極的な関与がなければ、これらの独裁国家は今よりも殺伐とした、危険度の高い世界を作り上げるだろう。
具体的な脅威と、それに対抗する準備ができている国はどこなのかを考えてみよう。ウラジーミル・プーチン氏は、広大なユーラシア大陸に広がる貧窮した警察国家だった「大ロシア」を再び作り上げたいと考えている。習近平氏は、世界の覇権を握る「中華帝国」の復活を望んでいる。アリ・ハメネイ師は世界的イスラム帝国の形成を望んでおり、そのためなら暴力と流血もいとわない。彼らの行く手を阻んでいるのは、ウクライナ、台湾、イスラエルだ。だが、このいずれも単独では戦えない。強い目的意識を持つ軍事国家のイスラエルでさえ、イランの核開発計画を無力化するには米国の助けが必要だ。台湾では、「ヤマアラシ戦略」による防衛の最適化が成功するまで、その安全は米国の支援態勢にかかっている。そして米国による追加支援がなければウクライナは敗北に追い込まれ、バルト3国がプーチン氏の次の標的になるだろう。
北大西洋条約機構(NATO)が何らかの挑発をしたことでプーチン氏の戦争を引き起こしたという考え方は、ばかげている。ソ連崩壊後に東欧諸国が集団安全保障になだれ込んだのは、プーチン体制の本質を知っていたからだ。ジョージアなど、ロシアの隣国でNATOに加盟していない国を見れば、彼らの判断が正しかったことが分かる。安全のために領土を手放すことは理にかなっているかもしれないが、それが意味を成すのは真の安全が提供される場合のみだ。英国やフランスの軍を配備するなどの防衛線を何も設けずに、ウクライナに停戦を強いようとすれば、英仏独伊が結んだミュンヘン協定並みの領土放棄になるだろう。1938年の協定締結後、後に英首相となるウィンストン・チャーチル氏は、当時首相だったネビル・チェンバレン氏にこう言ったという。「あなたは戦争と不名誉のうち、どちらかを選ぶよう求められた。あなたは不名誉を選んだが、戦争もすることになるだろう」
バンス氏はイラクで立派に軍人としての任務を果たしたが、その戦争について誤解しており、彼の見方は今日の紛争についても含意がある。幾つかの国連決議に違反したモンスターのようなサダム・フセイン政権を排除したことは間違いではなかった。失敗だったのは、イラク軍を解体したことだ。これによって、銃を携えた数十万人の男性が無職になり、バース党を支持していた公務員が解雇され、民間のインフラがほぼ壊滅状態になった。
アラブ世界で機能する唯一の政府形態である王政を復活させられなかったことや、サダム・フセイン政権の軍幹部のうち、悪質度が一番ましな人物に政権を委ねなかったことは失敗だった。多くの批評家はイラク戦争の目的が「石油だけ」だったと示唆しているが、決してそうではなかった。イラク戦争は、やり方が稚拙だったとしても、頑迷な人々に一定の人間らしい生活をもたらそうとする称賛に値する試みだった。ベールに覆われた自由のない生活に逆戻りさせられたアフガニスタンの女性たちが、西側諸国の試みについて、厚かましい行為だったと考えているとは思わない。こうした西側諸国の取り組みは、さまざまな場所で評価されている。世界の覇権を握ってきた国々の中で初めて、弱者を抑圧するのではなく助けるためにその影響力を使った国のおかげで、ドイツ、日本、韓国の人々は変革の恩恵に浴することができた。
あまりにも多くの米国人が、近年に各地で起きた戦争で命を落としたことは悲劇だった。しかし彼らが払った犠牲に敬意を示す最善の道は、今後の紛争に以前より賢明な対応を取ることであり、彼らが命を賭けた理想を捨てることではない。米国の同盟諸国は、米国がカバーできなくなった役割を埋め合わせられる。オーストラリアなどの国々は、国内総生産(GDP)の3%を国防費に振り向ける方向へと、迅速に進むべきだ。英国と欧大陸諸国は、ウクライナ支援で主導的役割を強めるべきだ。西側諸国は、軍事産業基盤を再建しなければならない。
こうした転換の効率的な進展を促すことは、トランプ、バンス両氏が取り組むべき大きな課題だ。彼らの取り組みの成果に期待する部分は大きい。
サウジアラビア、2034年ワールドカップ開催国に決定:FIFA|ARAB NEWS
ロシア、シリア新指導部と軍事基地維持で合意に近づく-関係者 - Bloomberg
●エマージング
米中利回り格差、拡大-中国10年債が米国債を245bp下回る - Bloomberg
中国、さらなる財政刺激策と利下げを示唆-成長後押しへ - Bloomberg
ロシアとインド、過去最大の原油供給契約 年130億ドル規模 | ロイター
大韓航空、アシアナ航空買収完了 アジア有数の航空会社に | ロイター
尹大統領の弾劾案、再び採決の見通し 北朝鮮は戒厳令を「独裁者」の「正気でない」動きと - BBCニュース
ポーランド、停戦実現でもウクライナに派兵せず=トゥスク首相 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
米カリフォルニア州の山火事、6300人が避難 「鎮火に数日」 | ロイター
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(12日)株下落、ドル上昇 ユーロはECB利下げで下落 | ロイター
1. **為替市場**  
   ドルが上昇。ユーロは欧州中央銀行(ECB)の0.25%利下げ決定を受け下落。ECBは経済成長や貿易戦争リスクを考慮し、追加利下げの可能性を残した。ドル指数は0.375%上昇し106.95。ドル/円は152.525円。日銀では追加利上げを急ぐ必要がないとの認識が広がっている。

2. **債券市場**  
   米国債利回りが上昇。10年債利回りは5.5bp上昇の4.326%、2年債は2.9bp上昇の4.186%。一方、新規失業保険申請件数増加により一時利回り上昇幅が縮小。FRBの12月FOMCでは0.25%の利下げが予想されるが、1月に利下げ停止の観測も浮上。

3. **株式市場**  
   米株式市場は下落。FOMCを前に投資家が主要経済指標を注視。アドビは売上見通し下振れで13.7%安、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは事業分離計画発表で15.4%急伸。

4. **金・原油市場**  
   - 金先物は利食い売りで1.72%反落し、清算値は1オンス=2709.40ドル。  
   - 米原油先物は供給過剰懸念から0.38%安の1バレル=70.02ドルとなったが、値頃感で下げ幅を縮小。

市場は主要国の政策動向や経済指標に敏感に反応している状況です。
欧州市場サマリー(12日) | ロイター
**ロンドン株式市場**  
- FTSE100指数は小幅上昇、FTSE250指数は0.12%下落。  
- ECBが25bpの利下げを決定し、2025年の追加利下げの可能性に含み。  
- イングランド銀行は金利据え置きが予想されるが、総裁は今後の引き下げを示唆。  
- ディアジオ株がUBSの投資判断引き上げを受けて2.8%上昇。  
- 貴金属株指数は金価格の下落を受け2.93%下落。  
- エススリーは通期利益予想の大幅下方修正で26.6%急落。

**欧州株式市場**  
- STOXX欧州600種指数は小幅下落。  
- ECBは年内4回目の利下げを決定。投資家は2025年末までに120bpの利下げを予想。  
- ユーロ圏銀行株指数は0.27%上昇、スイスSMI指数は0.29%上昇。  
- 資源株指数は1.62%下落、高級品株指数は0.78%上昇。  
- ブルネロ・クチネリが売上高見通し引き上げで8%高。  

**ユーロ圏債券市場**  
- 国債利回りは全体的に上昇。  
- ドイツ10年債利回りは4bp上昇の2.17%。  
- イタリア10年債利回りは8bp上昇の3.28%。  
- 独伊10年債利回り格差は5bp拡大の111bp。  
- ECBによる2027年のインフレ見通しが長期債売りを誘発した可能性。

備忘録(2024/12/11
●海外企業決算
[M] メーシーズ 3Q減収減益 売上高3%減49.0億ドル、営業益23%減6400万ドル、EPS0.10ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ADBE] アドビ 2024年11月通期は増収増益 売上高11%増215億ドル、営業益1%増67.4億ドル、EPS12.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
メーシーズ、利益見通しを下方修正-元従業員による経費隠しが影響 - Bloomberg
米百貨店メーシーズは、利益見通しを下方修正した。同社は、元従業員による多額の経費隠蔽(いんぺい)を巡る調査が完了したことを明らかにした。
メーシーズの11日発表によれば、配送費に関する問題により、通年で粗利益と調整後1株利益に7900万ドル(約120億円)の影響が及ぶ見通し。メーシーズは配送費の問題について、元従業員1人が経費を意図的に隠していたことと関連していると説明した。影響分の大半は11月-1月(第4四半期)に計上される。
これを受け、メーシーズは利益予想を1株当たり2.25-2.50ドルに下方修正。8月時点ではレンジの上限を2.90ドルと予想していた。同社は粗利益率の予想も引き下げた。
メーシーズは、調査の結果、これまでに届け出た財務諸表への「重大な影響や訂正」はなかったと結論付けたと説明。調査では、現金紛失や業者への未払いがあったことを示す証拠は見つからなかったと改めて指摘。一方で、2021年第4四半期から今年の第3四半期にかけて約1億5100万ドルの配送費を隠蔽した元従業員による誤った会計処理を指摘した。
トニー・スプリング最高経営責任者(CEO)は、「われわれは調査を完了し、既存の管理体制を強化するとともに、再発防止を目的とした追加的な変更を実施している」と説明。その後、アナリストとの電話会見で元従業員について、単独で行動し、個人的な利益のために経費を隠蔽したわけではないと語った。
調査に詳しい関係者によると、この元従業員は当初、調査担当者に対し、配送費の計上にミスがあったと話した。最初のミスの後、元従業員はそのミスを隠すために意図的に誤った会計処理を行ったという。この関係者は、情報が公になっていないとして匿名を条件に語った。
エイドリアン・ミッチェル最高財務責任者(CFO)は電話会見で、「これは窃盗ではない」とし、「売上高への影響はなく、現金や在庫への影響もなかった。全ての業者に対し、支払いは全額行われた」と説明した。
同社は11日の規制当局への届け出で、配送費など経費の手入力に関する内部統制に「重大な脆弱(ぜいじゃく)性」が見つかったと記述。また元従業員は書類も改ざんしていたと指摘した。
メーシーズは通期の売上高予想を上方修正。純売上高は223億-225億ドルになるとした。従来予想は221億-224億ドルだった。既存店売上高(直営・ライセンスベース)は、前年比横ばいから1%減の見通し。従来は最大で2%減を見込んでいた。
●海外企業
アルバートソンズ、 クローガーとの合併取りやめ - Bloomberg
モンデリーズのハーシー買収 実現に懐疑的な見方も=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
前日に菓子メーカーのモンデリーズ<MDLZ>がチョコレートのハーシー<HSY>の買収を検討と伝わっていたが、アナリストからは「ハーシーが買収提案を受け入れるとすれば、1株240ドル以上になる可能性が高い」との見解も示されている。
ハーシーの株価は前日終値で187ドルだが、投資家の間では、モンデリーズの買収提案をハーシー側が最終的に受け入れるかについて懐疑的な見方が強まっている。ハーシー・トラスト社がハーシーの支配株主だが、買収提案を受け入れる可能性は低いのではと指摘されている。ハーシー・トラストは議決権の80%を保有しており、取締役会だけでなく、事実上ハーシー・トラスト社の承認も必要となる。
なお、モンデリーズは取引開始前に最大90億ドルの自社株買いを承認したと発表していた。モンデリーズは本日の声明で「われわれブランドおよび能力への再投資、補完的買収、自社株買い、配当金支払いを含む資本配分の優先事項を確認した」と述べている。モンデリーズ株は上昇。
米ハーシー支配株主、モンデリーズの買収提案を拒否=報道 | ロイター
アップル、AI用サーバーチップ開発でブロードコムと協力-報道 - Bloomberg
●日本企業
USスチール、日鉄による買収で長期的衰退も 労組トップが懸念 | ロイター
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画に反対する全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長は、日鉄がUSスチールの持続的な成功にコミットしているという確約は受けていないと述べた。
同氏は9日、ロイターに対し、最大の懸念の一つは日鉄が海外の製鉄所から米国に鉄鋼を輸入する可能性だと述べ、そうなればUSスチールの弱体化を招く恐れがあると懸念を示した。
「(日鉄との)話し合いでは、事業が長期的に持続可能だという保証を得られるようなことは何もなかった」とし、「(日鉄が)投資のリターンを求めるのは理解できるが、われわれの製鉄所を取得し、時間とともに徐々に、しかし確実に劣化させ、その後世界各地の製鉄所から製品を持ち込んで米市場にアクセスするということがあってはならない」と述べた。
日鉄はこれまで、海外で生産された鋼片を米国に持ち込むことはないとしているほか、雇用を保護し、将来の成長に重要な米国内の製鉄所に投資すると表明している。
日鉄はマッコール氏の発言についてコメントを控えた。USスチールは日鉄による買収が「唯一の現実的な取引」で、高炉設備への投資拡大につながると述べた。
買収計画を巡っては、現職のバイデン米大統領とトランプ次期大統領の双方が反対し、対米外国投資委員会(CFIUS)による安全保障に関する審査の対象になっている。
ホワイトハウスは10日、バイデン氏が審査結果を待った上で買収を阻止するかどうかを決定すると説明した。
USスチール買収、「審査結果待ち」とホワイトハウス 日鉄副会長が訪米 | ロイター
日本製鉄でUSスチールの買収計画を担当する森高弘副会長が今週、訪米していることが分かった。広報担当者が11日、明らかにした。予定通りのタイミングで、買収への理解を促進するため現地で関係者らに会うとしている。
同買収計画は対米外国投資委員会(CFIUS)が国家安全保障の観点から審査を継続しており、月内に結果が出る見通し。ホワイトハウスの報道官は10日、審査結果を踏まえてバイデン大統領が是非を判断を決定すると説明した。バイデン氏は買収に依然として反対の立場だとも述べた。
同報道官は「(バイデン)大統領は当初から、USスチールが国内で所有され、運営されることが不可欠との立場だ」とした上で、「大統領はCFIUSの手続きがどうなるか引き続き見守る。CFIUSの勧告は受け取っていない。手続きは現在も進行中だ」とした。
ブルームバーグは先に、バイデン氏が安保上の懸念を理由に買収を正式に阻止する計画だと報じていた
CFIUSは今月22日までに計画を承認するか、阻止するか、審査期間を延長するかを決定する必要がある。CFIUSはロイターの取材にコメントを控えた。
日鉄はブルームバーグの報道を受け、「政治が真の国家安全保障上の利益に勝る状態が続くことは、適切ではない」とのコメントを発表した。「米国の正義と公正さ、および法制度を信じている」とし、「公正な結論を得るために、今後、USスチールとも協働し、あらゆる手段を検討し、講じていく」とした。
USスチールは「地域社会、顧客、投資家、従業員はこの取引を強く支持しており、われわれはこの取引と法の支配の順守を擁護し続ける」との声明を出した。
バイデン大統領が買収阻止を決定した場合、日鉄とUSスチールは訴訟を起こす構えだ。
10日の米株式市場でUSスチールの株価は一時22%急落し、10%安で取引を終えた。取引が一時停止になる場面もあった。
買収計画を巡っては、石破茂首相がバイデン氏に書簡を送り、承認するよう求めたことが分かっている
林芳正官房長官は11日午前の会見で、買収が困難になる可能性について問われ、「個別企業の経営に関する事案」としてコメントを控えた。一方、日米相互の投資拡大を含めた経済関係の強化は互いにとって不可欠だとし「引き続き日米間で幅広く議論を行っていきたい」と語った。
11日の東京市場で日本製鉄の株価は前日比12円安の3055円で午前の取引を終えた。
●先進国政治動向
トランプ氏、FTC委員長にファーガソン氏起用へ - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は10日、米連邦取引委員会(FTC)の次期委員長にFTC委員のアンドリュー・ファーガソン氏を起用すると明らかにした。共和党系の弁護士であるファーガソン氏は、バイデン政権の企業合併に対するリベラルな監視姿勢を見直す一方で、大手IT企業への監視は継続する見通しとなっている。
5人の委員で構成されるFTCのうち2人は共和党系で、ファーガソン氏はその1人。委員長に就任すれば、リナ・カーン委員長の後任に就くことになる。カーン氏は進歩派の英雄的存在で、数十年間見られなかった方法で委員会の執行力を発揮し、幅広い企業合併や支配的企業の商慣行に異議を唱えた。
カーン氏は任期満了に伴い、まもなく委員を退任する。
カーン氏とファーガソン氏は共に大手IT企業に対して深い懐疑心を抱いているが、その問題へのアプローチは異なる。トランプ氏が起用するファーガソン氏は、他の多くの共和党員と同様に、ソーシャルメディアやその他のIT企業が公の議論に及ぼす影響力を批判してきた。そのため委員長に就任すれば、自由な政治的表現を抑圧しているとされるIT企業の取り締まりを、反トラスト法の執行課題として掲げることも考えられる。
トランプ氏は10日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「アンドリューは大手IT企業による検閲に立ち向かい、われわれの偉大な国における言論の自由を守ってきた実績がある」と述べた。
ファーガソン氏はXへの投稿で、「競争と言論の自由に対する大手IT企業による報復を終わらせるため、尽力する」と声明を発表した。
同氏はまた、「米国が世界を技術面でリードし、イノベーターが新しいアイデアを実現するのに最適な場所であることを確実にしていく」と述べた。
一方でトランプ氏は10日、共和党系の反トラスト法専門弁護士であるマーク・メダー氏をFTC委員に指名することも明らかにした。メダー氏はマイク・リー上院議員(共和、ユタ州)の元側近。リー氏はグーグルの分割を求める法案の提出で主導的な役割を果たしたことで知られる。メダー氏が承認されれば、共和党はFTC委員の過半数を占めることになる。
メダー氏の就任は上院の承認が必要だが、ファーガソン氏の指名はこれを必要としない。ファーガソン氏は3月に委員に承認されていることから、このまま委員長へ移行することが可能となっている。
独首相、16日に信任投票要請 2月に解散総選挙の見通し | ロイター
●先進国中銀、金融当局
カナダ中銀、2会合連続の0.5%利下げ トランプ関税の可能性に懸念 | ロイター
カナダ銀行(中央銀行)は11日、主要政策金利を0.5%ポイント引き下げ3.25%とした。今後の利下げについてはより緩やかなペースになるという見通しを示し、成長支援に向けて継続的な金融緩和が必要という従来の方針から転換した。
0.5%ポイント利下げは広く予想されていたものの、2会合連続での大幅利下げは新型コロナのパンデミック(世界的大流行)以降で初めて。
マックレム総裁は、トランプ米次期政権が課す可能性のあるカナダの輸出品に対する関税の影響について初めて言及し、「新たな大きな不確実性」という認識を示した。
スイス中銀、再びゼロ金利に向かう-フラン投機と闘う手段が縮小 - Bloomberg
スイス国立銀行(中央銀行)が2年にわたって続けてきたプラス金利政策が、終わりに近づこうとしている。中銀は今週、利下げをする見通しだ。
政策金利は0.25ポイント引き下げられ0.75%となる見込み。0.25ポイント刻みの利下げを続けた場合、ゼロまであと3回となる。スイス中銀は3カ月に1回のペースで政策決定を行うため、利下げペースを緩やかにしない限り、2025年中にゼロ金利に達する可能性が高い。
経済成長を促しスイス・フランへの投機を抑制するために、中銀が12日に0.5ポイントの利下げをすると予想するエコノミストも少数派ではあるがいる。
いずれにしても、すでに世界最低水準にある金利は今回の利下げでさらに低くなり、中銀がフランへの投機と闘う貴重な手段が縮小することになる。
フラン上昇圧力が収まらない場合、当局は厳しい選択を迫られる可能性がある。トランプ次期米政権の怒りを買うリスクを冒して為替介入するか、あるいは金融システムへの副作用を伴うマイナス金利に逆戻りするかだ。
ピクテのエコノミスト、ナディア・ガルビ氏(ジュネーブ在勤)は「欧州では成長が低迷している上に、貿易戦争が起こる恐れもある。マイナス金利の可能性も排除できない」と述べた。
今週、スイス中銀総裁として初めて決定会合に臨むマルティン・シュレーゲル氏は、最近の世界的インフレショックによる中断を経て、フラン投機の新時代に直面している。
市場はフランを、地政学的な緊張が高まった際の安全資産と見なし、フラン上昇圧力はこの1年で強まった。フランスとドイツの政局がフラン高をあおり、スイス経済の回復力がさらに後押しした。
ユーロに対しては先月、ほぼ10年ぶりの高値を記録した。
日銀は利上げ急がず、今月見送りでも物価加速リスク小さい-関係者 - Bloomberg
日本銀行は、消費者物価の上昇に加速感が見られず、海外経済の不確実性が強まっている中で、追加利上げを急ぐ状況にはないと認識している。もっとも、今後公表されるデータや為替相場の動向次第では、来週の金融政策決定会合での実施の可能性もあるという。複数の関係者への取材で分かった。
関係者によると、賃上げコストを価格転嫁する動きに広がりが見られているが、引き続き物価上昇が加速する状況ではないと日銀はみている。トランプ次期米大統領の就任を来年1月に控え、具体的政策と世界経済への影響を含めた不確実性は大きく、1月以降に利上げを先送りした場合も大きなコストは伴わないとの認識という。
日銀内では経済・物価が想定通りに推移しているとの認識がコンセンサスになっており、利上げは時間の問題になりつつあると考えていると関係者は指摘する。18、19日に開く決定会合では、データと金融市場の動向を慎重に見極めた上で、政策決定を行う。12月会合で利上げが提案された場合、一部の政策委員は反対しない見通しだという。
日銀は経済・物価見通しが実現していけば、利上げで金融緩和度合いを調整する方針を示している。時間の経過とともに見通し実現の確度が着実に高まる中で、12月会合では現在0.25%程度に誘導している政策金利の引き上げの是非が議論になる見通しだ。急速に円安が進行したり、経済・物価の上振れを示すようなデータが示されるなど、状況次第では利上げの可能性も否定されないとみられる。
関係者によると、7月利上げの一因となった円安による物価上昇リスクについて、足元の輸入物価がマイナス圏にあるなど相対的に低下している状況と日銀は判断している。
日銀が今月会合までに注意深く監視するデータには、11日の米国の消費者物価指数(CPI)、13日の四半期ごとの日銀企業短期経済観測調査(短観)、日銀による19日の政策決定の数時間前に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合結果などがある。
ブルームバーグの報道を受けて、円相場はいったん上げ幅を拡大した後に急落し、先月27日以来の水準となる1ドル=152円台後半まで円安が進んでいる。
植田和男総裁は先月28日の日本経済新聞とのインタビューで、データは想定通りで追加利上げの時期が近づいているとする一方、賃上げと米国経済の動向を見極めたいとの見解を示した。
日銀の金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS) 市場で、12月会合での0.25%利上げの織り込みは、足元で2割前後と先月末の約66%から低下。一方、1月会合は5割台まで上昇している。
米、為替操作に「強力に反応」 ドルの地位に脅威なし=財務長官 | ロイター
イエレン米財務長官は11日、競争上の優位性を得るために他国による自国通貨操作の動きが見られれば、米国は「強力に反応する」と表明した。ただ、現時点ではそうした市場介入は行われていないと述べた。
イエレン長官はブルームバーグTVとのインタビューで、基軸通貨としてのドルのライバルとなる通貨は存在しないとし、ドルの地位が「脅かされていることは確認していない」と語った。
また、主要国の通貨は市場によって決定されるべきという認識を改めて示した。
米中関係については、政策上の見解の相違に加え、気候や金融安定などの共通の関心分野を巡り議論を促進するため、米国はあらゆるレベルで中国当局者との継続的なコミュニケーションを維持することが重要と強調。「コミュニケーションチャネルをオープンにしておくことは極めて重要だ」と述べた。
●先進国経済指標
米CPI、11月は前年比2.7%上昇 伸び2カ月連続で加速 | ロイター
米労働省が11日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.7%上昇し、伸びは前月の2.6%から加速した。
前月比は0.3%上昇し、7カ月ぶりの大幅な伸びを記録した。
前年比、前月比とも市場予想と一致した。
変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは、前年比3.3%上昇し、伸びは前月と同じだった。前月比では0.3%上昇した。
●金融市場、先進国トピックス
世界IPO番付、東京メトロ上場の日本は6位-英国は20位に後退 - Bloomberg
12月の米利下げ観測強まる、予想通りのCPIで-国債利回りも低下 - Bloomberg
変動利付債、26年度にも発行 期間は2年と5年軸 - 日本経済新聞
米保険会社への脅迫、業界への長年の怒り浮き彫りに - WSJ
米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループの幹部が殺害された事件で、容疑者は逮捕されたものの、保険業界では依然として緊張状態が続いている。
保険各社は怒りの声をあげる多くの顧客になお直面しているほか、業界のリーダーの1人が殺害された事件を巡って、犯人を称賛する声もある。これは2010年の医療保険制度改革法(オバマケア)成立以前から続く業界批判が、新たな段階に入ったことを示している。
非営利保険会社SCANグループのサチン・H・ジェイン最高経営責任者(CEO)は、「保険プランを提供する業界で働く大半の人々は、患者のために行動していると信じているが、米国民が必ずしもそうは見ていないことがこれまで以上に明らかになった」と述べた。
オンライン上ではユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソンCEOの殺害を正当化する内容や、他の保険会社CEOも同様に扱うと脅す投稿が相次いでいる。各社幹部の間で出回っているこれら投稿のスクリーンショットの中には、業界トップ幹部らの名前と写真、そして「指名手配、生死を問わず」と書かれたポスターが写り、「生」の文字には取り消し線が引かれている。
これまで身の安全を心配する必要のなかった中小規模の保険会社幹部も、今では24時間体制で警備を付け始めている。また多くの保険会社幹部は、不安定な時期にさらなる注目を集めたくないとして、この記事で実名を使用することを拒否した。
保険組織ブルークロス・ブルーシールド・オブ・テネシーのCEOを務めた経験を持つビッキー・グレッグ氏は、在職中だった数年前に度重なる殺害の脅迫を受け、会社は一部の人に対して接近禁止命令を求めなければならなかったと言及。また一部の保険会社幹部は、「自社の加入者がそこまで不満を抱いているとは認識できていない」と指摘した。
グレッグ氏はまた、現在の状況がその認識を変えるかもしれないと述べる一方で、「路上で人を撃つことは、このような問題に対処する方法であるべきではない」と述べた。
2010年のオバマケアは、当時顕著だった業界の多くの問題点を解消しようとする内容だった。同法は保険の適用範囲を拡大しただけでなく、保険会社が既往症のある人々の保険加入を拒否することも禁止。また保険会社が医療費の支払い上限を設定することなども禁じた。
だが非営利の健康研究機関KFFでバイスプレジデントを務めるシンシア・フォックス氏は、「オバマケアは医療費が高い根本的な理由に対処するものではなかった」と指摘する。
オンライン上で見られる現在の反発は、より辛辣(しんらつ)な論調を浮き彫りにしている。元保険会社幹部で、シグナなどの保険会社で働いた経験を持つアラン・ミューニー氏は、「当たり前のことを言う人がいないことに驚いている、『わたしは怒っているし現状は機能していないが、(殺害された)相手は妻や子どももいる50歳の男性で、容認することができない』といったことだ」と述べた。
保険各社はウェブサイトから幹部の名前や写真を削除し、職場のセキュリティーを強化するなどの対応を打ち出している。またトンプソン氏の殺害を受け、今週ニューヨークで投資家向け説明会を開催する予定だった保険会社センティーンは、オンライン形式で説明会を開催することを決定している。
ビットコイン高騰の単純なからくり - WSJ
世界で最も代表的な暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格が先週、初めて10万ドル(約1520万円)に達した。支持派はこの相場上昇が続くと主張している。その根拠は「発行可能な量に限りがある」というビットコインの技術的特性だ。
ビットコインの基盤であるコンピューターコードは、発行量の上限を2100万枚と厳格に定めている。これまでに約1980万枚が発行され、残りの採掘(マイニング)には1世紀以上かかる上、その作業は残りが少なくなるにつれ一層困難になっていく。
ビットコイン支持派は、希少であるため新規あるいは既存の発行分に買い手が殺到し、今後の価格上昇を後押しすると主張する。グーテンベルク聖書や限定版トレーディングカード、海辺の不動産を買うのと理屈は同じで、供給量に限りがあるということだ。
懐疑派は、ビットコインには本質的な価値がなく、売りが続けば足元の上昇分が吹き飛ぶ可能性があると反論する。ビットコインはその短い歴史を通して値動きが極めて不安定で、熱狂的な高騰と途方もない暴落を繰り返してきた。2021年に最高値を付けた後、仮想通貨交換業大手FTXが破綻すると、翌年の安値まで80%近く下落した。
実際の価値がどうであれ、ビットコインは世界がこれまで見たことがない類いの技術的実験だ。テック愛好家が作り出したインターネット上の通貨で、政府や中央銀行の後ろ盾がない。
ドルなど従来型の通貨は、政府が発行量を増やせるためインフレが起きる可能性がある。経済学者によるとこれは良いことで、インフレの脅威があるからこそ人は現金をため込まずに使ったり生産的な投資に回したりする。だが貯金や投資をする人にとって、インフレはずる賢い税金であり嫌われ者だ。
そこに登場したのが、ビットコインの発明者とされるサトシ・ナカモト氏だ。同氏はビットコインに上限を設けることがインフレ回避の手段になると考えた。
ナカモト氏は2010年、ビットコインに関する初期のネット掲示板にこう書き込んだ。「中央で管理された通貨の恣意(しい)的なインフレリスクから逃れよう! ビットコインの総流通量は2100万コインに制限される」
ビットコインを新しく手に入れるには、コンピューターを使った複雑な計算を行うことが必要で、その報酬として新しいビットコインをもらえる(その作業は金などの鉱物を掘るイメージになぞらえて採掘と呼ばれている)。報酬の量は約4年ごとに半減する。最終的に報酬はゼロになる。
つまりその時点でビットコインの総発行量は2100万枚に達し、それ以上は増えなくなる。そうなるのは2140年頃と予想されている。
理論的にはこの上限の引き上げは可能で、コンピューターコードを変更すればいい。ただ、ビットコインはネット上に存在している分散型システムであるため、そのような変更を実行するのは難しいだろう。採掘者(マイナー)や開発者など、ビットコインの流通を支えている多くの人の同意が必要になる。
大半のアナリストは、変更が実現する可能性は低いと話す。上限を2100万枚以上に引き上げれば、供給量が増えて価格が下がりかねない。これは変更について同意を得る必要があるビットコイン関係者自身にとっても痛手だ。
ナカモト氏は08年にビットコインを提案し、09年1月に最初のビットコインを作った。その後ビットコインは同氏が意図した以上に希少な商品(コモディティー)となり、実際の流通量が2100万枚の上限に達する可能性は低くなっている。
ビットコイン交換業者リバーの推計によると、約1500億ドルに相当するビットコイン150万枚余りが紛失している。ビットコインは、保有者がアクセス用の英数字の鍵をなくすと紛失する可能性がある。ビットコインの価値が低かった初期の頃は鍵をなくす人が多かった。英ウェールズのあるIT技術者は、数億ドル相当のビットコインの鍵を記録したハードドライブをなくし、これを探し出すため何年間もごみの埋め立て地を掘り続けている。
また、リバーのデータによるとナカモト氏が採掘したビットコイン100万枚近くが09年から休眠している。同氏は11年に姿を消した。一部の仮想通貨研究者が信じているように、仮に同氏が死亡しているなら、ビットコインの最終的な総供給量2100万枚のうち、約12%が紛失したかアクセス不可能な「サトシ・ウォレット」に閉じ込められていることになる。
リバーの推計によると、ビットコインの最終的な総供給量の約70%(約1470万枚)を保有しているのは個人投資家だ。こうした大口保有者は、デジタル資産を何年も保有し続けていることが多い。仮想通貨の投資家は、この「クジラ」がビットコインを動かすような兆候に注意を払っている。大量に売却されればビットコイン市場が暴落しかねないからだ。
ここ数年は大手機関がビットコインの新規発行分を取得して手元に置いている。企業向けソフトウエアを手掛ける米マイクロストラテジーや米電気自動車(EV)メーカー、テスラなどの上場企業のほか、ビットコインETF(上場投資信託)を扱う金融機関、政府などだ。米国は犯罪者から仮想通貨を押収しており、ビットコイン保有データを調査するBitcoinTreasuries.netのウェブサイトによると、政府としては最大のビットコイン保有者だ。
手元に置いておけば非流通量が増えるため、ビットコイン価格にとってはプラスだ。仮想通貨の投資家は、選挙中にビットコインの戦略的備蓄を公約したドナルド・トランプ次期大統領の下で、米政府が保有量を増やすことを期待している。
「われわれの政府はあまりにも長く、全てのビットコイナーが理解している基本原則に背いてきた。決してビットコインを売るな、という原則だ」。トランプ氏は7月にこう述べていた。
CAT債、ファンドの保有額が急拡大-異常気象増えても高リターン - Bloomberg
カタストロフィー(CAT)債を保有する投資家が急増している。例年に比べ極めて活発だったハリケーンシーズンを好調なリターンで切り抜けたことが背景にある。
今年のシーズンは、大西洋流域での暴風雨の発生数が9年連続で平均を上回った。こうした形で異常気象が増えているにもかかわらずCAT債は強い耐性を示した。2023年の過去最高の20%に続き、今年も約16%のリターンを達成する勢いだ。
チューリヒに拠点を置き保険リンク証券を専門とするプレナム・インベストメンツのシニアファンドマネジャー、ディルク・シュメルツァー氏は、「素晴らしい2年間だ」とコメント。それが「新規資金を引き付けている」と語った。
プレナムの推計によると、欧州のUCITSラベルの下で販売されているファンドに組み込まれたCAT債は22年末から今年9月末にかけ約49%増加し、130億ドル(約2兆円)に達した。 保険リンク証券市場を調査するアルテミスによると、24年の発行額は過去最高の165億ドルを更新する見通しだ。
保険会社は、極端な自然災害に絡むリスクを資本市場に転嫁するためCAT債を発行する。あらかじめ定められた大災害が発生した場合、投資家は損失の補償を求められるが、災害が発生しなければ大きな利益を得られる。
気候変動や都市開発で保険業界の地図が塗り替えられる中でCAT債への関心は高まってきた。アルテミスは、プライベート市場での取引を含めCAT債の市場規模が足元で約480億ドルに上ると推定する。
今年のリターンが23年ほど高くない主な要因として、シュメルツァー氏は米国債の利回り低下と投資家需要の高まりを挙げており、発行体は若干有利な条件を設定できるとインタビューで指摘。「CAT債のスプレッドに自動的に若干のプレッシャーがかかる」と述べた。
プレナムによると、利回りは11月末時点で10.3%程度と、5月末時点の14%近くから低下している。
シュメルツァー氏は、市場で大きなショックがない限り25年に「1桁台後半から2桁台前半のリターン」を投資家は期待できると話している。
商品取引の「スーパーサイクル」終了か、ウォール街の収入が低迷 - Bloomberg
世界的な大手銀行のコモディティー(商品)取引は、新型コロナ禍以降は見られなかった不調で今年を終えそうだ。ボラティリティーが利益を生み出す時代が終わりを迎えようとしている。
ウォール街のデータサービス大手コーリション・グリニッチの調査によれば、ゴールドマン・サックス・グループやシティグループ、JPモルガン・チェースを含む250社余りは、今年の純収入を合計で106億ドル(約1兆6100億円)と予想している。昨年実績を5分の1ほど下回る数字だ。新型コロナ禍による制約とロシアのウクライナ侵攻がサプライチェーンを分断し、商品市場は乱高下していたが、今では落ち着きを取り戻した。
トレーディングのブームは「衰退しつつある」とコーリション・グリニッチの世界マクロ市場責任者、アンガド・チャトワル氏は指摘する。同社は2025年にさらに3%の減収を予想している。「パンデミックになってから銀行のコモディティーデスクは収入のスーパーサイクルを経験してきたが、それが6-8四半期前から後退し始めた」と述べた。
ガンバ-・グループやグレンコア、トラフィグラ・グループなどの商品取引会社は、今年上半期決算でトレーディング利益の減少を明らかにした。それでも収入が50億ドルから80億ドル程度だった2012年から19年と比較すると、業界全体の水準は依然として高いことが、コーリションのデータは示している。
商社やヘッジファンドと同様に、銀行もボラティリティーの波に乗ろうとコモディティーデスクを強化してきた。
こうした動きが奏功した企業もある。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は今年のコモディティー取引で競合をしのぐ実績を残した。同行の商品トレーディング世界責任者ジョージ・カルトラロ氏によれば、7-9月(第3四半期)の商品取引部門は債券・通貨・商品全体と同程度の12%増収だった。アジア投資と米国や欧州、中東、アフリカでのヘッジファンド事業投資などを挙げ、「投資が良い結果を出した」とインタビューで述べた。
欧米の石油・ガス市場が7-9月に大きく変動したことが、BofAに利益をもたらしたという。同行は今後、アジア太平洋と欧州での投資を強化し、世界規模でガスと金属の機会を拡大する方向だ。
シティとゴールドマン、モルガン・スタンレー、JPモルガンはいずれも収入低迷に関するコメントは控えた。
シティは1年前から北米コモディティーデスクを6人増員しており、同事業に引き続き力を入れていると、事情に詳しい関係者は公的に話す権限がないことを理由に匿名で明らかにした。増員した人材にはゴールドマンやモルガン・スタンレー、BofA出身のトレーダーやオリジネーターが含まれるという。
ケン・グリフィン氏の投資会社シタデルは例外的に好調だった。今年、約40億ドルの収入を上げ、昨年に匹敵する成績を残す勢いだ。
コーリションのチャトワル氏によれば、ボラティリティー主導のチャンスは減ったものの、コモディティーデスクは持続可能なエネルギーに移行する長期トレンドに引き続き重点を置いている。「このトレンドにはバイサイドからも投資の関心が寄せられており、リソースや人員を増強している」と述べた。
運用会社の収入「15分の1」 価格競争で利益なき繁忙へ インデックス投信革命 (中) - 日本経済新聞
マンション価格、年収の10倍超える 東京は18倍に - 日本経済新聞
●中東情勢
アサド政権崩壊は米・イスラエルが計画、イランのハメネイ師主張 | ロイター
イランの最高指導者ハメネイ師は11日、シリアのアサド政権崩壊は米国とイスラエルが計画したことだと主張した。
シリアの隣国も関与したとしている。名指しはしなかったが、反体制派を支援してきたトルコを指すものとみられる。
アサド政権崩壊は、中東におけるイスラエルと米国の影響力に対抗するイラン主導の「抵抗の枢軸」への大きな打撃とされる。
ハメネイ師はイラン国営メディアで放映された演説で「シリアで起きたことは、主に米国とイスラエルの司令室で計画されたものだ。その証拠がある。シリアの隣国政府も関与していた」と指摘。この隣国は「明確な役割を担っており、現在もそうしている」と述べた。
また、イラン主導の同盟は地域全体で力を増すだろうと主張した。「圧力をかければかけるほど、抵抗は強くなる。イランは強く、強力であり、さらに強くなるだろう」と語った。
アサド氏失脚、イランに「歴史的規模」の打撃 - WSJ
イランは数十年の歳月と数十億ドルの資金を費やし、民兵組織や各国政府のネットワークを構築してきた。それによって同国は、中東全域で政治的・軍事的影響力を行使し、自国領土に対する外国の攻撃を抑止できるようになった。
その同盟の柱は、ほんの数週間で音を立てて崩れ去った。
シリアのバッシャール・アサド大統領の退陣は、イランの戦略面における大惨事だ。今まさにドナルド・トランプ次期米大統領の選出と、イラン政府に新たな圧力をかけるとする同大統領の公約に直面しているイランは、これにより何十年も前からの安全保障政策の見直しを迫られるだろう。
アサド氏が排除されたことは、昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃をきっかけに起きた一連の出来事の中で、今までのところのクライマックスでもある。ハマスの攻撃は、2003年の米国によるイラク侵攻以来で最も根本的な変化をイランの安全保障環境にもたらした。ただ、イラクのサダム・フセイン氏が打倒されたことは最終的にイランにチャンスを与えたが、今回はイランが不利な立場に置かれている。
イスラエルは1年余りにわたる攻撃で、パレスチナにおけるイランの主要な協力者であるハマスに大打撃を与えた。今年9月以降、イスラエルはイランの最も強力な仲間であるレバノンの民兵組織ヒズボラの指導者の大半を殺害し、生き残っている最高司令官たちを雲隠れさせた。シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」のイランプロジェクト担当ディレクター、アリ・バエズ氏によると、アサド氏の打倒でイランが「前方防衛」と呼ぶ前線の残存部分が破壊された。
バエズ氏は「イランは昨年10月7日のハマスによる攻撃が歴史上の転換点だと考えていた。それは事実だが、イランが望んでいたのとは正反対の方向転換だった」と指摘し、「イランの西側戦線のドミノが次々に倒れた」と語った。
シリアはイランにとって、中東で唯一の同盟国だった。さらに重要なのは、シリアがイランに陸路によるヒズボラへのアクセスを提供していたことだ。ヒズボラはイランが「抵抗の枢軸」と呼ぶネットワークの中心的存在であり、イランの支援のおかげで世界最強の軍事力を持つ非国家主体になった。
バエズ氏は「ヒズボラへのアクセスがなければ、抵抗の枢軸は存在し得ない」と語った。
イランは最高指導者のアリ・ハメネイ師が来年86歳になるなど、宗教指導者の高齢化が進むタイミングで、新たな安全保障状況に直面している。イスラム主義政権に対する国内の支持率は低下する一方、同国の最大の敵であるイスラエルは勢いづいている。
過去1年間のイランの後退は、同国が外国からの攻撃への抑止力を取り戻すために核開発を加速する可能性があるとの懸念を生じさせている。イラン当局者はここしばらく、核開発の取り組みを強化するかや、大量破壊兵器を調達しないとのハメネイ師が20年前にした約束を考え直すかについて、公然と議論している。
先週公表された米情報機関の報告書は、イランが核爆弾の製造を決めるリスクが高まっていると指摘している。国際原子力機関(IAEA)は6日、イランが高濃縮ウランの生産を大幅に拡大し始めたことを明らかにした。IAEAはイランと監視に関する新たな取り決めをしなければ、イランによる兵器級の高濃縮ウラン生産や核分裂性物質の流用を確実に止めることが困難になる恐れがあると警告した。
トランプ氏の大統領復帰を控え、イランはウラン濃縮活動に関して協議する準備ができていると述べているが、武装勢力の支援やミサイル開発など、地域的な活動について交渉する意向は示していない。トランプ氏は1期目の際、核交渉を行うのであれば、地域的な活動を議題に含めるべきだと主張していた。
イスラエルがハマスとヒズボラの及ぼす自国への脅威を当面取り除いたことで、イランがこれまで維持してきたイスラエルからの攻撃に対する抑止力が低下した。イスラエルは今年に入ってから2回、イランに空からの直接攻撃を行い、イランの軍事施設に打撃を与えるとともに、ロシアがイランに供与していた防空システムを破壊した。イスラエルはまた、イランの革命防衛隊(IRGC)の複数の指揮官を殺害した。
2008~2017年に米情報当局でイラン担当部門のトップを務めたノーマン・ルール氏は今回のイランの対応について、10年以上にわたり内戦状態のシリアでアサド政権を支持してきたが、結局同政権をあからさまに見捨てたと語った。
同氏はまた「例えばイスラエルは、シリアのことをよく知る世代のヒズボラとIRGCの幹部らを殺害し、官僚のネットワークと調整能力を葬り去った」と指摘。アサド政権の崩壊は「歴史的な規模の戦略的打撃をイランに与えた」と述べた。
今後のイランの足場
ヒズボラ、ハマス、アサド政権の三者は、イランの「前方防衛」戦略の最前線を構成していた。これらの防衛線が崩壊した今、イランと直接国境を接するイラクが脚光を浴びることになった。イラクはイランにとって、制裁の影響回避策を含む経済活動の重要なルートであり、最も差し迫った安全保障上の懸念要因でもある。2003年に起きた米国主導のイラク戦争の後、イランはシーア派イスラム教徒を中心とするイランに忠実な民兵のネットワークを構築し、それを基盤として海外に軍事的・政治的影響力を行使できるようになった。シリアで反体制派の攻勢に直面した多くの民兵が、イラクに逃れてきている。シンクタンクの英王立国際問題研究所(チャタムハウス)でイラク問題のプロジェクトディレクターを務めるレナド・マンスール氏は、イランが今後、自国に紛争が波及するのを防ぐために、イラクに関心を向けるだろうと述べている。
同氏は「ヒズボラに起こったこと、ハマスに起こったこと、そしてアサド政権に起こったことですら、ある程度までは(イランにとって)それほど重要でないと言える。イラクはもっとイランに近い」と語った。
確かに、イランとシリアとの関係は、イランとアサド氏との結び付きを超えて深く根付いている。シリアは1979年にイランのイスラム共和国を国家として承認した最初のアラブ国家であり、両国は1980年代以降、戦略的同盟関係にある。イランは地域全体で忠誠を誓う勢力を増やしてきた。一部は資金力と武力によるものだが、米国とイスラエルの支配に対する広範な反感も利用してきた。
テヘラン大学のフォアド・イザディ教授は、こうした根本的な反感はまだあり、イランは、公然とイスラエルに対抗し、パレスチナの大義を真摯(しんし)に支持する中東唯一のイスラム国家であり続けていると指摘する。イランは歴史的に、分裂状態にある国家に足掛かりを見つけてきたため、シリアの今後の政治状況がどうなるかにかかわらず、同国で一定の影響力を維持できるかもしれない。
イザディ氏によれば、「民主的なシリア政府ができてもイスラエルに友好的になることはなく、パレスチナの大義を支持することになる」、「大混乱が起きてシリアが第2のリビアになったとしても、やはりイランは対処可能だ」という。
元米情報当局幹部のルール氏によると、またイランは依然、この地域全体に10万人以上の民兵組織を持ち、自前の精鋭部隊数千人と国内で影響力を持つ強硬派を擁する潜在力の高い軍事大国だ。
ルール氏は「(イエメンの)親イラン武装組織フーシ派はかつてなく強力になっている。レバノンではヒズボラが生き延び、力を取り戻しそうだ。ハマスの復活もあるかもしれない」との見方を示した。「イランの後退を確実に恒久的なものとするには、イランが代理勢力の残党に対する兵たんおよび訓練システムを再構築するのを防ぐための地域的・国際的な計画が必要だ」
シリアの暫定首相、「安定と平穏」を呼びかけ 政権移行に向けた協議開始 - BBCニュース
シリア暫定政府の首相は10日、バッシャール・アル・アサド大統領の失脚後、「安定と平穏を享受する時が来た」と述べた。中東メディアのアルジャジーラが報じた。
アサド政権の崩壊を主導したイスラム武装組織「ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS、「シャーム解放機構」の意味)」と連携組織はこの日、HTS傘下の「救済政府(HS)」の首相だったモハメド・アル・バシル氏を、2025年3月までのシリア暫定首相に任命した。
バシル暫定首相はその後、首都ダマスカスで新政府のメンバーとアサド前政権幹部が出席する会議を開催。閣僚が管轄する職務や政府機関の移管について話し合った。
国連のシリア特使は、シリアの政権移行について、反アサド政権勢力が「数々の良い発言」を実行に移す必要があると述べた。
また、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、将来のシリア政府が少数派を尊重し、包括的で信頼できる手続きから生まれるのならば、アメリカはこれを承認し全面的に支持すると表明した。
アサド前大統領は2011年、平和的な民主化運動を徹底的に弾圧した。その結果、50万人以上が死亡し、1200万人が家を追われる壊滅的な内戦を引き起こした。
HTSは今月初めに北西部アレッポを制圧し、南進。8日にはダマスカス入りし、アサド政権の打倒を宣言した。アサド前大統領はその後、ロシアに亡命したことが確認された。
HTSの「救済政府」を統括
バシル氏は今週に入るまで、イドリブやアレッポといったHTSが支配するシリア北西部以外ではほとんど知られていなかった。公表された来歴によると、電気技師として訓練を受け、2011年の内戦開始前はガス施設で働いていた。
バシル氏は今年1月に、HTSが支配地域を統治するために設立した「シリア救済政府」の首相に任命された。
「シリア救済政府」は、イスラム法に基づく宗教評議会を維持しながら、各省庁や地方部門、司法および治安当局を備えた国家のように機能していた。約400万人がその支配下で生活しており、その多くは国内の他の地域から避難してきた人々だった。
バシル暫定首相は10日、暫定政権閣僚とアサド前政権の閣僚との会議を主催。バシル氏の後ろには、シリアの反アサド政権勢力とHTSの旗が立てられていた。
バシール氏は会議後にアルジャジーラに対し、「向こう2カ月の間、シリア国民に奉仕する憲法体制が整うまでのすべての必要な作業を円滑に進めるため、旧政府のメンバーやイドリブおよびその周辺地域の一部の行政責任者を招待した」と語った。
また、「シリア国民に奉仕できるよう、機関を再始動するための会議も行った」と述べた。
HTSとその同盟組織は今月初めにアレッポを占領。その際、同市の機関が機能を停止したが、救済政府が公共サービスの復旧に乗り出した。
報道によると、技術者らが地元の電気・通信網の修理を支援し、治安部隊が街をパトロールした。医療従事者は病院でボランティア活動を行い、慈善団体はパンを配布したという。
9日にダマスカスで行われた会議の映像では、HTSのアブ・ムハンマド・アル・ジョラニ代表が、アサド政権の首相だったモハメド・アル・ジャラリ氏に、「イドリブは確かに資源に乏しい小さな地域だが、(救済政府の)職員は何もないところから始めて、今や非常に高いレベルの経験を持っている」と話していた。
また、「あなた方の経験を参考にさせてもらう。決して皆さんを無視したりしない」とも、ジョラニ代表は述べていた。
テロリスト指定が「複雑な要因」
国連のゲイル・ペデルセン・シリア担当特使は、ジュネーヴで記者団に対し、シリアの政権移行には「可能な限り広範なシリア社会とシリアの政党の代表」が参加する必要があると述べた。
また、「これが実現しない場合、新たな紛争のリスクがある」と警告した。
ペデルセン特使は、HTSが国連やアメリカ、イギリス、その他の国々からテロ組織に指定されていることが、今後の道を模索する中で「複雑な要因」となるだろうと述べた。
HTSの前身「ジャバハト・アル・ヌスラ」(別名アル・ヌスラ戦線)は、2013年にイスラム武装組織アルカイダへの忠誠を誓った。しかし、3年後には正式にこの聖戦主義(ジハード)組織との関係を断った。
ペデルセン特使は、「これまでのところ実際、HTSや他の武装グループは、シリアの人々に団結や包括性のメッセージを発してきた」と指摘。アレッポや、先週占領された主要都市ハマでも、「現場の様子は安心できるものになっている」と述べた。
その上で、ダマスカスで政権移行の取り決めがどのようにまとまり、実施されるかが、シリアの今後を判断する最重要な課題だと強調した。
「HTSによる移行が本当に、すべての異なるグループやコミュニティーを包括するものになるなら、新しい出発が実現する可能性がある」、「そしてその時には、国際社会がHTSのテロリスト指定を再検討するだろうと信じている」と特使は話した。
こうしたなか、ブリンケン米国務長官は、シリアがアメリカの完全な承認を得るための事実上の条件となるものを列挙した。
「全ての関係者が民間人を保護し、人権、特に立場の弱い少数派の人権を尊重し、国家の機関とそのサービスを維持して国民のニーズに応え、包括的な統治に向けて国を作っていくことが不可欠だ」と、ブリンケン氏は説明した。
「こうした目標実現のため反政府勢力の指導者たちが発した一連の声明は、非常に歓迎する。しかしもちろん、彼らがどこまで真剣なのかを図る尺度は、言葉ではなくその行動だ」
首都で一部の店舗再開
首都ダマスカスでは、2日間のほぼ停止状態の後、生活がゆっくりと正常に戻りつつあるようだ。
多くの人や車が通りに出ており、一部の店舗や飲食店も営業していた。
街の中心部にあるウマイヤド広場周辺では、24年続いたアサド前大統領の統治の終わりを祝う群衆が空に向けて発砲していたため、散らばった使用済みの薬莢(やっきょう)を掃除する人もいた。
現地のイスラム教指導者はBBCに対し、シリア人は未来を見据え、平和で統一された国を望んでいると語った。
アブドゥル・ラフマン・アル・コウキー師は、「私たちは、国家主義と正義と法の支配の原則に基づいて築かれた国を作りたい。国の制度が尊重され、すべての人に平等な機会が保証される、専門知識のある技術者を重視する国家を確立したい」と述べた。
アサド氏のシリア脱出はロシアが手引き、内戦に敗れたと判断-関係者 - Bloomberg
シリアの病院で発見の多数の遺体、どんな状況だったのか 反アサド政権勢力が説明 - BBCニュース
●エマージング
韓国大統領の2回目弾劾訴追案、野党が提出準備-尹氏は退陣拒否 - Bloomberg
ロシア・ハンガリー首脳の電話会談、ウクライナ大統領が強く反発 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
謎の病「疾病X」とは何か、なぜ警鐘を鳴らすのか-QuickTake - Bloomberg
アフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール)で、10月下旬に首都キンシャサから遠く離れた地域で最初に確認された「疾病X」と呼ばれる謎の病に数百人が罹患(りかん)し、数十人が死亡した。国際的な保健機関やコンゴ当局は調査チームを派遣したが、原因はまだ特定されていない。
症状はインフルエンザに似ており、発熱や頭痛、咳(せき)、鼻水、体の痛みなどが挙げられる。比較的短期間で感染者が相次ぎ確認され、死亡率も高めだ。新型コロナウイルス感染症によって、各国が国境閉鎖を余儀なくされ、経済や社会がほぼ停止状態に陥ってからわずか数年で、再び広範囲に及ぶ恐れもある新たな病原体の出現を巡って懸念が広がっている。
警告を発するまでなぜこれほどの時間がかかったのか
西欧にほぼ匹敵する広さを持つコンゴは、世界でも発展が遅れた国家の一つだ。1億人を超える人口に対応できる診断能力が乏しく、保健システムも初歩的なものにとどまっている。疾病Xの感染者は首都から約700キロメートル離れたコンゴ南西部クワンゴ州のパンジ保健区域に集中している。この地域へは陸路で約48時間かかるが、雨期にはさらにアクセスが困難になる。
考えられる原因は何か
今のところ結論が得られるところまで検査は行われていないが、世界保健機関(WHO)は現時点で急性肺炎やインフルエンザ、新型コロナ、はしか、マラリアを潜在的な病因として挙げている。また、複数の病気が感染や死亡に影響している可能性もある。
野生動物に存在する膨大なウイルスは、新たな疾患の発生源になる可能性があると考えられている。ウイルスはヒトなど他の生物種に感染し、ヒトが免疫を持たない感染症を引き起こす恐れがあるからだ。
どの程度心配すべきなのか
現時点では何とも言えない。今のところ、コンゴで感染が確認されただけであり、主要な輸送ルートになっていないパンジ以外に感染が広がっているかどうかも分からない。感染者にとっては深刻なようであり、特に幼い子供が危険にさらされている。感染者は全員が極度の栄養失調状態にあり、その多くは5歳未満だった。コンゴで確認された今回の感染症は、健康状態が異なる他の場所では同じようには現れないかもしれない。
疾病Xという名前の由来は
この表現は数年前、エボラウイルスなど既知の感染脅威ではなく、未知の脅威に対する医療面の備えを科学者らに促すことを目的に作られた。比較的広範囲に及ぶエピデミックや、それよりも規模が大きいパンデミック(世界的大流行)の恐れがある将来の感染症の拡大に迅速に適応し、対応できるワクチンや投薬、診断検査などプラットフォームの技術開発を働きかけるという発想だ。
WHOは2017年に重症急性呼吸器症候群(SARS)やマールブルグウイルスなどと並んで、研究の最優先事項とされる病原体のショートリストに疾病Xを追加した。新型コロナも19年末にパンデミックの発端となった際、疾病Xの一例となっていた。
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(11日) | ロイター
### ロンドン株式市場
- **FTSE100指数**は小幅反発。米国のインフレ率発表でFRBの利下げ観測が強まり、金価格が上昇。貴金属株が主に上昇。
- **FTSE250指数**は横ばい。
- 貴金属株指数は5.01%高。エンデバー・マイニングが5.9%上昇。
- 教育・出版のピアソンは目標株価引き上げを受け3.4%上昇。
- 銀行株は0.85%高、不動産投資信託株は1.39%下落。
- イングランド銀行は来週、政策金利の据え置きを見込む。
### 欧州株式市場
- **STOXX欧州600指数**は反発。FRBの利下げ観測で買い注文が増加。
- 米CPIが市場予想通りの結果。
- **ECB理事会**では25bp利下げの可能性が85%と見られる。
- 銀行株は0.13%高、航空宇宙・防衛株は1.44%上昇。
- 小売株指数は1.77%安。インディテックスが6.5%下落、第3四半期の売上高が予想下回る。
### 債券市場
- ユーロ圏国債利回りはまちまち。12日のECB理事会で25bp利下げが確実視。
- ドイツ10年債利回りは2.13%、イタリア10年債は28カ月ぶりの低水準(3.162%)。
- 独伊10年債利回り格差は106bpに縮小。
全体として、米国のインフレ率結果と各国中央銀行の利下げ期待が市場に影響を与えた形です。

備忘録(2024/12/10
●海外企業決算
[AZO] オートゾーン 1Q増収減益 売上高2%増42.7億ドル、営業益1%減8.41億ドル、EPS32.52ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
アングル:米で「医療保険への不満」噴出、大手CEO射殺受け | ロイター
米ワシントン州に住むジェン・ワトソンさん(41)はてんかんや線維筋痛症など複数の慢性疾患を抱え、何年も前から医師と相談しながら適切な薬物治療を探してきた。医師はワトソンさんの神経痛を和らげる医薬品をいくつか見つけてくれたが、低所得層向けの公的医療保険「メディケイド」に基づき医療保険大手ユナイテッドヘルスケアが提示したプランでそれら医薬品の保険適用を断られ、痛みが原因で職探しもままならないという。
「症状がうまく管理されていないため15分以上は耐えられず、あっという間に激痛が走る。それもあって職探しに苦労している」
ユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソン最高経営責任者(CEO)がニューヨーク市マンハッタンで射殺された先週の事件をきっかけに、医療を受けられない、もしくは医療費が高くて払えない米国民の間で怒りが噴出している。CEOを射殺したと疑われる男は9日に拘束された。
ニューヨーク市警察幹部はこの男について「米ビジネス界に対して何らかの恨みを持っているようだ」と述べた。
射殺事件は医療保険に対する不満の根深さを改めて示すことになった。
最近のデータでは、医療保険請求を却下されたり、保険料や医療費の支払いが増加したり、保険が適用されないために想定外のコストに直面する可能性がますます高まっていることが分かる。病院や保険会社の統合もコスト増大の一因だ。
ユナイテッドヘルス・グループ傘下のユナイテッドヘルスケアは米医療保険最大手で、シグナとCVSヘルスがそれに続く。
メリーマウント・マンハッタン大学のコミュニケーション学部教授、ターニア・オクスマン氏は「とてもショッキングな事件だった。だが多くの人々が大きな関心を寄せていた問題について、不満を爆発させるきっかけにもなった」と語る。
米国民の医療費支払いは世界一多額で、政府のデータによると過去5年間でますます増えている。
ユナイテッドヘルスケアの株価は過去5年間で約2倍になったが、射殺事件のあった先週は10%余り下落した。
医療保険の業界団体AHIPはロイターへの電子メールで、医療保険とその提供者、医薬品メーカーは、可能な限り医療を受けやすくする義務を負っているとの認識を示した。
医療保険会社は往診や入院、高額な医薬品の料金を、交渉により引き下げていると主張している。大半の保険プランは雇用主の企業もしくは政府系機関がスポンサーとなり、保険料を一部負担して保険適用範囲について意見を出している。
ユナイテッドヘルスの株式2.6%を保有する投資会社バール・アンド・ゲイナーのケビン・ゲイド最高執行責任者(COO)は、非効率な米医療制度において、医療保険会社は全ての患者に必要な医療を提供する上で重要な役割を果たしていると語った。
しかし慈善団体「ペイシェント・アドボケート・ファウンデーション」によると、状況はますます悪化している。広報のケイトリン・ドノバン氏は、2018年には保険金の請求1件当たりの処理に担当者が行う電話もしくは電子メールの回数は平均16回だったが、今では27回になったと説明。「米国の医療保険業界は複雑化し、交渉したり訴えたりするのがすんなり行かなくなっている」と語った。
<保険請求を拒否>
2010年に成立した医療保険制度改革法(通称オバマケア)は、保険適用される人々や内容について新たな基準を設けた。しかしコストが高まるにつれ、保険会社は事前承認プロセス、つまり支払いに応じる前に請求内容を精査する仕組みを復活させつつある。
KFFが高齢者向けの公的医療保険「メディケア」に基づく民間保険プランを調査したところ、事前承認プロセスの採用回数は2019年の3700万回から22年には4600万回に増えていた。CVSはこれら請求の13%、ユナイテッドヘルスケアは8.7%を拒否していた。
拒否されて抗議した患者は約10%にとどまり、その3分の1は失敗に終わったという。
米医療協会が2023年に実施した調査では、医師の94%は事前承認プロセスによって医療処置が遅れたと答え、78%は患者が治療を諦めるケースもあるとした。4分の1近くの医師は、この結果患者が深刻な状況に至ったとし、95%は医師が消耗する率が高まったと答えている。
信用会社エクスペリアンが2024年に実施した調査によると、保険金請求の拒否件数も22年から24年にかけて31%増えている。
保険金請求を拒まれた人々にとって、保険会社独自の手続き以外、法的な救済手段は乏しい。連邦法は雇用主が提供する医療保険プランの適用拒否による損害補償金を制限しているため、保険会社相手の訴訟について乗り気になってくれる法律事務所もほとんどいない、と保険金請求を拒否された人たちの代理人を務める弁護士のサラ・ハビバ・マーク氏は明かした。
ネブラスカ州オマハに住む博士課程大学院生のレイチェル・ベンゾニさんは「最近定期的な治療に1000ドル近く支払った。ユナイテッドヘルスケアが保険金請求を全く認めなかったからだ」と語り、彼らはこの治療はカバーされないという以外に拒否の理由を何も示さなかった、と納得いかない様子だった。
ユナイテッドヘルスCEO射殺事件、26歳男を殺人罪で起訴 | ロイター
米アッヴィのパーキンソン病薬、後期試験で患者の運動能力を改善 | ロイター
JPモルガン幹部、第4四半期の投資銀行手数料収入は45%増と予想 | ロイター
ゴールドマンCEO、トランプ氏の成長路線に期待-銀行の追い風に - Bloomberg
ウォルグリーン株が急伸、PE会社への身売りで協議中-関係者 - Bloomberg
●日本企業
日本生命、米レゾリューションライフの買収で交渉-1兆円超とも - Bloomberg
日本生命保険が米系生保のレゾリューションライフの買収交渉に入っていることが10日、分かった。
日本経済新聞は同日、日生がレゾリューションの株式を米投資ファンドのブラックストーンなどから約82億ドル(約1兆2000億円)で取得すると報じた。日本の保険業界で過去最大の合併・買収(M&A)だという。
同報道に対して日生の広報担当者は、レゾリューションと買収に関して交渉中であるのは事実だとコメントした。日経報道によると、2025年下半期をめどに完全子会社する予定。買収は手元資金を活用する見込みという。
国内の人口減少から保険市場が厳しさを増す中、生保各社は国内事業の多角化に加え、海外事業の強化を進めている。日生も米国などの生保や資産運用会社への大型投資で規模拡大を目指す考えを示している。
9日の投資家向け説明会で配布した資料では、26年度までの中期経営計画で5つの戦略軸の一つに海外事業の拡大が含まれると説明。新たな収益の柱を確立し伸ばしていくためには、保険やアセットマネジメントなど海外事業の拡大が必要だと訴えた。
同社はグループ基礎利益を21-23年度平均の約7000億円から35年度には約1兆4000億円へと倍増させることを目指しており、そのうち約3割に相当する約4000億円を海外保険やアセマネなどで稼ぐことを目指している。
日生は19年以降、段階的にレゾリューションに出資しており、9日の資料によると現時点の出資比率は22%。また同資料では、既存の海外保険分野の投資先の収益拡大に加えて、安定的な成長が見込める先進国を中心に新規投資を検討する方針も示していた。
同日には米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)傘下の米生保コアブリッジ・ファイナンシャルの発行済み株式の約21.6%を38億3800万ドル(約5850億円)で取得を完了したとも発表していた。
トプコンが非公開化へ、JICやKKRなどが買い手候補-関係者 - Bloomberg
私募REIT参入続々、東京メトロや九電 資産効率を向上 - 日本経済新聞
【社説】日鉄のUSスチール買収計画、正念場のバイデン氏 - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は先週、日本製鉄による150億ドル(約2兆2700億円)でのUSスチール買収を阻止するとしていた大統領選中の公約を、重ねて明言した。コート内のボールはジョー・バイデン大統領の側にあるが、残り時間は少ない。バイデン氏が任期最後の日々に買収を承認すれば、米国への貢献を果たすことになる。
トランプ氏は自身が立ち上げたソーシャルメディアの「トゥルース・ソーシャル」に、「われわれは一連の税制優遇措置と関税によって、USスチールを再び強く偉大な企業にする」「大統領として、この買収の成立を阻止するつもりだ。買い手企業は覚悟しておけ!!!」と投稿した。何がこの発言を促したのかは分からないが、日本の石破茂首相が最近バイデン氏にこの買収の承認を求めたことを、トランプ氏は耳にしたのかもしれない。
トランプ氏と民主党が労働組合の支持獲得競争を展開する中で、日本製鉄によるUSスチール買収案は、選挙戦で人質のような扱いを受けることになった。USスチールの労働者を代表する全米鉄鋼労組(USW)は、この買収案に反対している。
日本製鉄が労働協約を尊重し、組合組織がある工場に27億ドルを投資すると約束していることは、どうでもいいようだ。USスチールは、設備改修に必要な資金が不足しているため、この買収が成立しなければペンシルベニア州の工場は閉鎖を余儀なくされる可能性があると警告している。
USWは、同じく労組がUSW傘下にあるクリーブランド・クリフスによる買収を望んでいる。同社が買収すれば、関税で保護された国内カルテルができるからだ。
クリーブランド・クリフスの買収提案は日鉄のものより条件が悪いため、USスチールはこれを拒否した。この買収が実現すれば、米高炉利用の生産の100%、電気自動車(EV)モーター向けの国内鋼材の100%、自動車に使用されるその他の国内鋼材の65~90%を支配することになる。クリーブランド・クリフスのローレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は、この独占状態を手にすべく、バイデン政権に日本製鉄による買収を阻止するよう働き掛けた。
この取引に国家安全保障上のリスクがないにもかかわらず、対米外国投資委員会(CFIUS)は審査を開始した。日本は米国の重要な同盟国であり、アジア太平洋地域において中国の経済的・軍事的野心に対する防波堤の役割を果たしている。
米国防総省は先月、オーストラリア、日本との3カ国防衛相会談で、「共通の価値、深い信頼および共同の抑止の強化に対する不屈のコミットメントに根ざした」、「日米豪パートナーシップの長年の継続と永続的なコミットメント」を強調する声明を発表したばかりだ。
買収の阻止は、同盟関係と米鉄鋼業界を弱体化させるだろう。ロイター通信の報道によると、石破首相はバイデン大統領に宛てた11月20日付の書簡で、「大統領の在任中、この同盟関係は前例のないほど強力になった」と指摘し、「われわれは、大統領が過去4年間で積み上げてきた成果に影を落とすことがないよう、日本製鉄による買収計画の承認を謹んで米政府に要請する」と述べた。
一方、下院金融サービス委員会に所属する共和党のメンバーは、CFIUSによる政治的影響を強く受けた買収案審査について調査する計画であることを示唆し、ジャネット・イエレン財務長官とジーナ・レモンド商務長官に対し、関連書類の保存を求めている。この書類には、クリーブランド・クリフスやUSWとのやりとりが含まれる。
期限は延長できるものの、CFIUSは2週間で審査を終える予定になっている。だが、米国の鉄鋼生産、鉄鋼労働者、日米の同盟関係にとって良い買収をなぜ阻止するのか。その判断をなぜトランプ氏に委ねるのか。
キオクシアIPOに陰り、公開価格が仮条件上限を下回る-今年2件目 - Bloomberg
バイデン氏、日鉄のUSスチール買収を阻止へ 国家安保懸念で=報道 | ロイター
●先進国政治動向
バイデン氏、トランプ政権下で「トリクルダウン経済」回帰を警告 | ロイター
バイデン米大統領は10日、ワシントンのブルッキングス研究所で演説し、トランプ次期政権下で富裕層や企業への新たな減税措置が実施され、「トリクルダウン経済」に回帰する可能性に警鐘を鳴らした。
バイデン氏による経済に関する演説は今回が最後となる可能性がある。
トランプ氏が掲げる海外製品への関税引き上げは「大きな間違い」という認識も示した。
バイデン大統領は、自身の任期中にインフラや製造業、取り残されていた地域への投資拡大を推進し、より大きな経済危機を回避したほか、継続的な成長の基盤を築いたと主張。「新政権はかなり強い経済を引き継ぐことになると、大半の経済学者が同意している」とし、「新政権がこの進展を維持し、さらに発展させていくことを願っている」と述べた。
自身の政権が、中間層に恩恵をもたらす「ミドルアウト(中間層支援)とボトムアップ(低所得層支援)」による経済成長を成し遂げたと指摘。大統領任期1期としては最多となる1600万件の雇用を創出し、過去50年間の政権中で最も低い平均失業率を達成したとも強調した。
トランプ氏、10億ドル以上の米国への投資で許可や承認を迅速化 - Bloomberg
マクロン仏大統領、2027年まで総選挙を回避したい考え-当局者 - Bloomberg
フランスのマクロン大統領は、2027年の任期満了前に新たな総選挙の実施を避けたいと考えている。新内閣の組閣について各政党との協議を終えた後で、大統領に近い当局者が語った。
3つの勢力に分裂する下院は先週、不信任決議を成立させバルニエ内閣を総辞職に追い込んだ。マクロン氏は新首相を48時間以内に指名する計画だと、当局者は匿名を条件に述べた。
政治的な手詰まりの打開を図るマクロン氏にとって、新たな総選挙は選択肢になると広く見なされ、各政党は来年夏の選挙を見込んでいる。
マクロン氏は10日、議会によって直ちには倒されないような内閣を組織できる新首相を選ぼうと、極右と極左を除く大半の主要政党と会談した。この前日に大統領府は、新内閣発足に向けて「妥協の意思を示した全ての政党」とマクロン氏は協力すると説明していた。
25年の予算案を巡ってマリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右・国民連合(RN)が左派連合に同調し、バルニエ内閣を追い落としてフランスを政治的混乱に陥れたことを受け、マクロン氏は穏健派連合を成立させるための落としどころを見いだそうとしている。
マクロン氏与党は下院で過半数を持たず、同氏は厳しい議会運営を強いられている。議会では単独で第1党となったRNが大きな影響力を握る。
●先進国中銀、金融当局
豪中銀、政策金利据え置き 2月利下げに含み | ロイター
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は10日、予想通り政策金利を4.35%に据え置いた。ただ、インフレが目標に向かっていると「ある程度確信」していると表明、タカ派的な文言を和らげた。
また、前回の声明にあった「何も決定しておらず何も排除していない」との文言や「政策は十分に制限的である必要がある」との文言を削除した。
声明で「インフレと経済情勢に関する最近のデータは依然としてこうした予想と整合性が取れており、理事会はインフレが持続的に目標に向かっているという、ある程度の確信を得つつある」と表明した。
ハト派的なトーンを受け、豪ドルは0.9%下落し1豪ドル=0.6380米ドル。3年債先物は9ティック上昇し96.289と10月以来の高値。 スワップ市場は来年2月の利下げの確率を57%、来年4月までの同確率を100%以上と予想している。
市場関係者はこの日の金利据え置きをほぼ確実視していたが、第3・四半期国内総生産(GDP)が予想を下回ったことを受け、一部の市場関係者は中銀がハト派に転換すると予想していた。
理事会後に会見した中銀のブロック総裁は、2月にも利下げに踏み切る可能性について聞かれると「分からない」と答え、決定までには四半期インフレ統計のほか、労働市場や消費関連の指標があると指摘。「私が言えるのは、データを注視しているということだ」とした。
「これまでのところ、予測通りに推移していると考えており、このまま予測通りに推移すれば、ある時点でインフレ率が目標圏内に戻りつつあると確信し、それを検討することが可能になるだろう」と述べた。
きょうの理事会では利下げを検討しなかったとし、経済指標の軟化を受けて声明文の文言を変更することを意図的に決定したと説明した。
第3・四半期の豪消費者物価指数(CPI)は前年比の伸びが2.8%に鈍化し、中銀の目標レンジ内に入った。ただ、政府の補助で電気料金が一時的に下落したことによるもので、コアインフレ率は3.5%に高止まりした。
<2月利下げに含み>
5月の利下げを予想するナショナル・オーストラリア銀行は、データが特に低調であれば2月に利下げを実施する可能性も否定できないと指摘。シティ・オーストラリアはなお、2月利下げのハードルは高いとみる。オーストラリア・コモンウェルス銀行は、2月の利下げを見込みつつも、まだ確実とは言えないとしている。
ITCマーケッツのシニアアナリスト、ショーン・キャロウ氏は「豪中銀は現在のコアインフレ率の水準に満足していないことを明確にしたが、インフレ見通しについて『確信を得つつある』と2回言及したことで、2月に最初の利下げが行われるとの期待が高まった」と指摘。
また「『何も決定しておらず何も排除していない』との文言を削除したのは非常に歓迎すべきで、おそらく遅すぎただろう」と述べた。
●先進国経済指標
米中小企業の景況感、3年ぶり高水準に上昇-トランプ次期政権に期待 - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
プライベートクレジットの老舗が苦戦-市場にとっての警戒シグナル - Bloomberg
フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソン最高経営責任者(CEO)がリンクトインへの投稿で、欧州のプライベートクレジットの雄であるアルセントラの買収に興奮を隠しきれない様子だったのは、わずか2年半ほど前のことだ。 現在、アルセントラのダイレクトレンディング(直接融資)事業は、その熱狂を正当化する状態にない。
アルセントラは全盛期にはアレス・マネジメントやインターミディエイト・キャピタル・グループ(ICG)といったプライベートクレジット業界の成功者と肩を並べ、欧州企業への融資で優位性を競っていた。しかし、かつてのライバルが猛烈な勢いで資産を拡大しているのとは対照的に、アルセントラは縮小している。
フィッチ・レーティングスによると、アルセントラはピーク時には約430億ドル(約6兆5000億円)の資産を運用していたが、 フランクリンが同社を買収した時点では380億ドル。現在は約320億ドルに縮小している。ブルームバーグ・ニュースが同社の開示情報を分析したところによると、プライベートクレジット事業の中心である企業向けダイレクトレンディング事業の規模は2020年の120億ユーロ(約1兆9000億円)から60億ユーロへと半減している。
1兆6000億ドル規模に急成長を遂げたプライベートクレジット市場で、ブラックロックやステート・ストリートなどの大手資産運用会社が買収の機会をうかがっている中、アルセントラは業界にとっての教訓的な事例となっている。
22年のフランクリンによるアルセントラ買収はブラックロックによるHPSインベストメント・パートナーズ買収とは比べものにならない規模で、売却価格の低さは売却前に抱えていた問題を反映していた。問題は現在も続いており、老舗でも立て直しが難しい場合があることを物語っている。
アルセントラは19年に、当時として欧州最大規模のダイレクトレンディングファンドを立ち上げたが、その後にリーダーシップ交代の失敗、人材の流出、幾つかの投資の誤りが重くのしかかり、5年後の今も継続ファンドに資金を集めようとしている。
アルセントラの広報担当者は、22年11月にフランクリンによる買収が完了して以来、同社の運用資産総額は「安定」しており、ダイレクトレンディング以外の事業分野では「強い勢いと業績」を維持してきたと述べた。「過去12カ月に複数のファンドの資金調達を成功裏に完了したほか、ストラクチャードクレジットおよびスペシャルシチュエーションでの資金調達に大きな進捗(しんちょく)があった。また、欧州流動性クレジット戦略への資金流入も見られた」と説明した。
しかし、同社のダイレクトレンディングファンドの苦境は、プライベートクレジットという資産クラス全体に警鐘を鳴らす。同業他社のリターンに追随できないファンドや、人材を失ったファンドは、新規資金の獲得が困難になっている。投資家は、プライベートキャピタル業界の最大手企業が約束する安定性にますます引き付けられている。
パートナーズ・グループのプライベートデット責任者、アンドルー・ベリス氏は業界全体について「問題を抱える企業が増えている」と指摘。「淘汰が進むだろう。それは長い時間をかけて起こり、ある時点で振り返って見て『大手だったあの企業はどうなったのだろう』と思うことがあるかもしれない」と語った。
アルセントラは、アレス、ICG、アークモント・アセット・マネジメントといった同業他社とともに、欧州のダイレクトレンディングにいち早く参入した。しかし、業界が成長を遂げ、かつてウォール街が独占していた収益性の高い企業向け融資ビジネスにプライベートレンダーが参入するようになったにもかかわらず、先駆者であるアルセントラは苦戦を強いられている。
ライバル企業が100億ユーロを優に超える資金調達をターゲットとし、ダイレクトレンディング部門を拡大する一方で、アルセントラの同市場向けの最新ファンドは4年以上前にルクセンブルクで登録されたが、これまでにそのファンドが何らかのマイルストーンに到達したという公式発表は行われていない。
アルセントラのダイレクトレンディング部門の問題の一部はパフォーマンスにあった。ブルームバーグの調査によると、同社は19年以降、複数の債務株式交換に関与している。融資先企業がうまくいっていない兆候だ。
アルセントラのファンドに投資しているストラスクライド年金基金の資料によると、アルセントラは昨年6.7%のリターンを提供した。一方で、他の2つのプライベートクレジット投資であるベアリングスとパートナーズ・グループのリターンは、それぞれ10.9%と11.1%だった。ストラスクライドが投資を開始した以降の全期間では、アルセンタは同業他社と比較しても良好な実績を残している。
ストラスクライドは、最近のいくつかの問題がどこから生じたかについて率直に指摘している。「アルセントラは上級管理職の離職率が高く、オーナーが交代した」。文書によると、同基金はアルセントラへの投資を終了することを決定している。
プライベートクレジットファンドへの投資経験が豊富なバシリオス・コケイラス氏は、投資家が求めるのは「パフォーマンスとチームの一貫性だ」と述べた。
小規模なプライベートクレジット会社が、一貫性を維持し新規の資金調達を軌道に乗せるのが難しくなっているため、ブラックストーンやアレスなどのプライベートキャピタル巨大企業が市場の成長の大部分を占めるようになっている。リミテッドパートナー(LP)として知られる投資家はその資金で、大手への支持を表明している。
プライベートクレジット市場の負け組側では、ゾンビファンドの出現を懸念する声も聞かれる。ゾンビファンドというのは、流動性の低い資産を大量に保有し、追加投資のための資金も調達できない状態のファンドだ。 こうしたファンドはゆっくりと衰退していく。 プライベートエクイティー(PE)ではよく見られる光景だ。
プライベートクレジットでは、資産は固定満期のローン債権であるため、PEとは異なり永久にその状態が続くということはない。しかし、ファンドの将来は追加資金の調達能力と規模拡大の持続可能性にかかっている。新しい資産クラスが成熟するにつれ、パフォーマンスの低さが苦境につながる可能性がある。
「クレジットファンドが抱える問題債権があまりにも多いため、そのファンドに追加資金を投じようとする投資家がいなくなり、ゾンビファンドが増えるだろう」とコケイラス氏は結論付けた。
世界の広告収入、2024年に1兆ドル突破へ-オンラインがけん引 - Bloomberg
今年の世界広告収入は9.5%増加し1兆400億ドル(約157兆円)に達する見通しだ。グループMが最新のリポートで明らかにしたもので、1兆ドルの大台に乗るのは初めてとなる。米アルファベット傘下のグーグルやメタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コムなどのサイトのオンライン広告がけん引した。
グループMのビジネスインテリジェンス担当グローバルプレジデント、ケイト・スコットドーキンス氏が9日、ニューヨークで開催されたUBSグローバルメディア&コミュニケーションズ・カンファレンスで説明した。同社はWPP系列のメディア投資グループ。
同氏は「グーグルとメタ、アマゾンが世界全体の広告収入に占める割合は現時点で41%だ」と指摘した。
2024年の予測には、米大統領選挙の影響で今年急増した米国の政治広告は含まれていない。グループMは、25年の世界広告収入を7.7%増と予測している。
市場調査会社マグナのグローバル・マーケティング・インテリジェンス担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、ビンセント・ルタン氏は会議の出席者に対し、パリ五輪などのイベントが広告売り上げの増加に寄与したとの見方を示した。
ルタン氏は、ネットフリックスやコムキャストの「ピーコック」などのストリーミングサービスに広告付きプランが登場したことは、広告業界にとって「素晴らしいニュース」だと述べた。
世界の航空業界、25年に収入総額初の1兆ドル突破へ=IATA | ロイター
過剰政府債務、25年に市場揺るがす恐れ=BIS報告書 | ロイター
国際決済銀行(BIS)は10日、四半期報告書を公表し、急増する政府債務による金融市場の不安定化の脅威が強まっていると指摘し、経済的損失を防ぐために政策立案者に迅速な対応をするよう呼びかけた。
BISの金融・経済部門の責任者、クラウディオ・ボリオ氏は、過剰な政府債務が債券市場の混乱を引き起こし、他の資産にも波及する恐れがあると警告した。
「金融市場は増大する政府債務を吸収しなければならないことを認識し始めている」とした上で、「政策立案者の政策調整には時間がかかり、市場が目覚めるのを待っていると手遅れになる」と述べた。
国際金融協会(IIF)によると、各国政府の財政赤字増大で、公的債務が2028年までに3割以上増え、130兆ドルに近づく可能性がある。
トランプ次期米大統領が掲げる減税案で、すでに36兆ドルに達する米債務はさらに8兆ドル近く膨らむとみられている。
BISの報告では、フランスの財政赤字を巡る政局の混乱や日本の財政拡張の動きも「財政懸念の再燃」の要因として挙げた。
世界の国債や社債などの動きに影響する米10年債利回りは今年9月以来、約56ベーシスポイント(bp)上昇し、4.22%近辺で推移している。
米国債の投資環境は、国債の供給過剰と、景気刺激策によるインフレという2つの危険に直面しており、今年に入ってBISが公的債務に警告を発した時点よりも「今の方が心配すべき理由が増えている」とボリオ氏は言及した。
トランプ関税恐るるに足らず、単なる「駆け引き」と資産運用幹部ら認識 - Bloomberg
トランプ次期米大統領が広範囲にわたる関税引き上げを示唆しているが、これは交渉戦術に過ぎないというのが、世界的に影響力のある一部マネーマネジャーの共通見解だ。
ブルームバーグが10日にロンドンで開いた「女性とマネー、権力」と題するイベントで、フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソン最高経営責任者(CEO)とグッゲンハイム・パートナーズ・インベストメント・マネジメントのアン・ウォルシュ最高投資責任者(CIO)が登壇した。
ウォルシュ氏は「実際に広く関税が引き上げられるのではなく、まだ交渉上の駆け引きに過ぎないというのが私の見立てだ」と発言。ジョンソン氏も「もっと対象を絞ったものになるだろう」と同意し、そうした措置は「インフレ的」な影響を伴う傾向があると付け加えた。
トランプ氏の政策アジェンダが与え得る影響については、トレーダーやアナリスト、地政学の専門家などによって幅広く精査されている。関税引き上げや貿易戦争の可能性を踏まえ、どのように資産を分散するのが最善かはじき出そうとしている。トランプ氏は大統領選挙運動で「アメリカ・ファースト」の政策を繰り返し主張したものの、かつて懸念されていたほど深刻な打撃を及ぼすことはないとマネーマネジャーらは考えているようだ。
ロックフェラー大学で約25億ドル(約3800億円)の基金運用を担うポーラ・ボレント氏も同じ見解だ。同氏によれば、同氏を任命したロックフェラー大学理事会の投資委員会委員長は、トランプ氏が次期財務長官に指名したスコット・ベッセント氏が兼任していた。
同氏のチームはインフレに強い資産をポートフォリオに加える方向で検討しているが、「スコットとトランプ氏は恐らく関税を交渉材料として使うつもりだろう」とボレント氏は話した。多くが心配するほど「悪い事態にはならないと思う」という。
同氏はまた、最近の香港出張でプライベートマーケットのマネジャーらと関税について長時間話したところ、彼らは関税引き上げに神経を尖(とが)らせていたと述べた。
ボレント氏の投資委員会は「中国に対して非常にネガティブで」、中国市場での投資については多くを引き揚げたが、世界のサプライチェーンにおける同国の重要性という観点から、同氏個人の見解は「はるかに楽観的」になって帰国したという。
おしなべて言えるのは、トランプ氏の政策アジェンダは世界経済に悪影響を与える可能性が高いものの、ワシントンの行動ペースが遅いことを考えれば即座の影響はなさそうということだ。ブルームバーグ・エコノミクスの予測では、世界経済は来年3.1%成長し、今年と変わりばえのないペース。インフレは6%から3.4%に減速し、中央銀行が目指す2%に低下する先進国経済は多くなるとみられている。
トランプ関税、米小売りへの打撃は前回より深刻か - WSJ
米小売企業の多くは、ドナルド・トランプ次期大統領が第1次政権下の2018年に開始した関税措置をおおむね無傷で乗り切った。だが、第2次政権では関税がもたらす影響がより大きくなる可能性がある。
トランプ氏は今回、米国の全ての輸入品に対して10~20%の関税を課し、中国からの輸入品には60%以上の関税を課すことを提案している。その一方で同氏は、不法移民と麻薬を巡る問題に絡めてカナダとメキシコからの輸入品には25%の関税を、また中国に対しては追加で10%の関税をかけるとも表明しており、状況はやや複雑になっている。
このため、第2次トランプ政権の最終的な関税政策がどのような形になるかははっきりしないものの、中国を標的に2018年から始まった前回の関税よりも懲罰的かつ広範囲に及ぶとみられている。関税への対応策として、米小売企業は調達先の多様化を進めてきた。米国が輸入する繊維・アパレルのうち、中国からの割合は2017年の37%から昨年は26%に低下した。調達先はベトナムやインド、バングラデシュなどにシフトした。
関税の影響は小売りカテゴリーで最も鮮明に表れた。例えば、2018年初めに家庭用洗濯機の輸入品を対象にした20%の関税が発効。米連邦準備制度理事会(FRB)とシカゴ大学のエコノミストによる19年の研究によると、これを受けて洗濯機の価格は関税導入後の数カ月間で約12%上昇しており、関税コストの大半は消費者が負担したことが示唆されている。
トランプ氏の主張とは裏腹に、関税コストは輸出業者の負担にはならなかった。米国際貿易委員会(ITC)の調査リポートは、2018~19年の関税に伴うコストは米国の輸入業者が全て負担したと結論づけている。
タイミングのおかげで、前回の関税による全面的な影響を回避できた小売業者もある。例えば、中国から輸入するアパレル品目に対するトランプ政権の最初の関税は2019年9月に発効した。商品の出荷には通常6カ月のリードタイムがあるため、企業が関税対象品を販売し始めた頃にはもう2020年に入っており、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が始まっていた。
ウィリアム・ブレアの株式アナリスト、ディラン・カーデン氏がまとめたデータによると、小売企業の利益率は2020年のコロナ禍による需要の落ち込みで急低下したが、21年に大きく回復した。景気刺激策やサプライチェーン(供給網)の混乱によって抑制されていた「繰り越し需要」が拡大したことで、小売企業は値上げしやすくなった。例えば、アパレル・アクセサリー小売企業の営業利益率は、21年は平均12.3%で、19年の9.5%を上回った。
今回、小売企業は関税コストを消費者に転嫁する余地が少ないかもしれない。これは小売企業の中でも、アパレルなど「裁量的支出」に分類される商品を扱い、価格決定力が相対的に弱い企業に特に当てはまる。コロナ流行下の数年間を例外として、アパレルやおもちゃといった裁量品の価格は1990年代以降、おおむね下落か横ばい状態が続いてきた。最近では、インフレに苦しむ消費者の間で裁量的支出を控え、割引商品を購入する傾向が強まっている。BMOキャピタル・マーケッツの分析によると、靴の「VANS(ヴァンズ)」や「ビルケンシュトック」、また化粧品の「セフォラ」や「アルタ・ビューティー」などは今年の「ブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日)」のネット販売で、セール対象商品の数を増やした。こうした商品の数はヴァンズやヴィクトリアズ・シークレットのブランド「PINK(ピンク)」など一部では2倍に増えた。
生活必需品を販売する小売企業では状況が異なるかもしれない。エバーコアのアナリストらは、関税に伴う利益減少率は平均的な小売企業で1桁半ばになるリスクがあるとの推計を示す一方、自動車部品や家庭用品といった必需品に分類される品目を販売する小売企業は価格決定力が相対的に強いため、利益への影響は小さくなることが考えられるという。
ウィリアム・ブレアのリポートによると、百貨店やアパレル・アクセサリー小売企業の2024年上半期の営業利益率は19年の水準を下回った。アパレル小売業界について同リポートは、「価格決定力が限られていることと相まって、他の条件が同じであれば関税引き上げは利益率へのさらに大きな圧力につながる可能性がある」と指摘した。
全米小売業協会(NRF)は報告書の中で、トランプ氏が提案する関税は米国の小売企業が吸収するには大きすぎるとの見解を示した。同協会の推計によると、アパレル、家具、家電製品を含む六つの小売りカテゴリーにおいて、関税は1世帯当たり毎年362~624ドル(約5万4700~9万4300円)の負担増につながる。相殺要因としてはトランプ氏が提案する法人税減税があり、これは米国企業全体の利益を押し上げる可能性がある。
小売企業はここ数年、大きな反発を招くことなく値上げを続けてきた。一部の企業は今回もまた値上げを実施し、消費者に不利益をもたらすことが考えられる。一方で、自社でコストを吸収せざるを得ず、利益と株主への打撃が避けられなくなる企業もあるかもしれない。結局のところ、誰かが負担を背負わなければならない。
米トランプ次期政権、規制緩和でM&Aが活性化か-金融関係者が指摘 - Bloomberg
米国のトランプ次期政権下で規制緩和が予想されることから、企業は買収や新規上場に関する戦略を練り直しているという。ウォール街のアドバイザーら複数の金融関係者らが10日、ロンドンで開かれたブルームバーグのイベントで語った。
ゴールドマン・サックス・グループのグローバル買収ファイナンス責任者クリスティーナ・ミニス氏は「トランプ氏が大統領選挙中に掲げた政策公約を踏まえると、米国での企業の買収・合併(M&A)は少し活発になるとの見方があると思う」と指摘した。
ミニス氏は、米次期政権が課す可能性のある関税を巡る不確実性により、欧州では「やや慎重な姿勢になる」との見通しを示した。ただ、それでも取引は夏までには全般的に活発化するとみており、「大統領選以来、それまで様子見していたり、何が起こるのか不安を抱いていたりした出資者や企業から、問い合わせが増えている」と述べた。
ドイツ銀行のM&Aグローバル責任者アリソン・ハーディングジョーンズ氏は、米国の次期政権はM&Aに対してより寛容な姿勢をとると示唆しており、当局の審査が2年以上もかかり、規制プロセスのためにM&Aをしようとさえしない企業もいた時代は終わると語った。
UBSグループのオルタナティブ・キャピタル・グループのグローバル共同責任者であるシモーナ・メラーレ氏によると、バイアウト企業が何兆ドルもの未使用資本を保有するプライベートエクイティー(PE、未公開株)業界でも、来年には環境が改善すると予想されている。
米国の政権が保護主義的になることで、金融危機以来、米国に大きく後れをとっている欧州に銀行業界の統合を促す可能性があると、ハーディングジョーンズ氏は指摘した。今年に入ってから欧州の金融機関による買収は増加しているものの、主に各国の国内にとどまり、欧州議会議員らが長年求めてきた欧州銀行同盟の構築には至っていない。
ビットコインの準備資産化、史上最大の詐欺となる恐れ-社説 - Bloomberg
トランプ次期米大統領が検討しているように、米政府には暗号資産(仮想通貨)ビットコインの戦略備蓄が必要だろうか。単純化し過ぎるきらいはあるが、答えはノーだ。実際、このアイデアは史上最大の仮想通貨詐欺のように思える。
ビットコインは米大統領選前日の11月4日の水準から50%余り上昇し、10万ドルを突破。その背景には、トランプ氏と数十人の議員候補の選挙運動に約1億3500万ドル(約205億円)を献金した仮想通貨の支持者たちがビットコイン備蓄の創設に向け、トランプ氏を説得してくれるのではないかという期待がある。
トランプ氏はこれまで、この構想は政府が刑事事件で押収したビットコインを保有するだけかもしれないと示唆している。政府はこれまでに約20万コイン、200億ドル相当を差し押さえている。
しかし、仮想通貨に理解を示すシンシア・ルミス上院議員(共和、ワイオミング)が提出した法案は、はるかに踏み込んだ内容で、政府が今後5年間でさらに100万ビットコインを購入し、その後少なくとも20年間それを備蓄することを義務付けるものだ。
何のためにビットコインを保有するのか。 政府は、例えば石油などのさまざまな戦略物資を備蓄し、経済や国家の安全保障にとって重要な商品の供給を確保している。連邦準備制度は、完全雇用や低インフレ、安定した金融システムの実現を目的として資産の売買を行っている。
税金でビットコインを購入することは、そのような公共の目的には役立たない。ビットコインに産業利用価値はなく、実際のキャッシュフローに対する請求権もなく、実体経済とのつながりもない。
ビットコインは純粋な投機の手段だ。その価格はただ、より愚かな者が支払ってもよいと思う金額によって決まる。
しかし、政府がビットコインを準備資産に加えれば、既存のビットコイン保有者は大いに潤うことになる。選挙後の仮想通貨急騰は、政府の購入に先んじようと買い手が殺到したことによるもので、今後起こり得ることを垣間見させた。
世界の投資家が保有する資産のほんの一部でもビットコインに振り向けた場合、現存する約2000万トークンの価格はすぐに上昇するだろう。特に、これらのトークンのうち実際に取引されているのはごく一部であることを踏まえると、その傾向は著しいものになる。
政府は「より愚かな者」の役割を演じることになるだろう。そのコストは数千億ドルに上るかもしれない。準備資産としてビットコインを調達するために、財務省が借金を増やして利息を支払うか、連邦準備制度が通貨を発行してインフレをあおり、ドルの信頼性を損なうしかない。
政府はその見返りとして、利子や配当という形の収入を生み出さないトークンの山を手に入れることになる。仮想通貨支持派は、売却で利益を出すことで債務を返済できると主張している。
しかし、購入のタイミングが強制的なものであること、ビットコインのボラティリティーとファンダメンタルな価値の欠如を考慮すると、損失のリスクは大きい。米国の準備資産が最終的に無価値になってしまう恐れがある。
さらに悪いことに、価格上昇と政府の後押しが組み合わさることで、ビットコインは銀行やその他の金融機関にとって魅力的に映り得る。
規制当局が許可すれば、デジタルトークンを担保にドルを貸し付けることも可能となり、保有者は暗号資産を現実の通貨に変えることができる。もしその担保が大幅に価値を失った場合、金融システムの救済がまた必要になることもあり得ないことではない。
皮肉なことを考えてみよう。ビットコインは本質的には無政府主義者のプロジェクトであり、人々が中央集権的な仲介者や政府に頼らずに取引を行うことを可能にした。
ところが、取引を支配するようになった中央集権的な仲介者、例えば仮想通貨交換を手がけるコインベース・グローバルなどは今、巨額の補助金に相当するビットコインの準備資産化を実現させようと政府に働きかけている。
納税者にとっての結末は悲惨なものになる可能性がある。もしトランプ氏が仮想通貨のカジノを始めたいのであれば、そうすればいい。
しかし、仮想通貨で起こったことは仮想通貨の領域にとどめるべきだ。納税者の資金を投入すれば、何百万人もの米国人がリスクにさらされる。
●中東情勢
UAE、1月から多国籍企業へ最低税率15%導入 | ロイター
カタール、シリア反体制派HTSと接触開始 情勢安定化へ=当局筋 | ロイター
アングル:シリア政変でイラン失墜、「力の空白」が生む次のリスク | ロイター
シリアの反体制派の攻勢でアサド大統領が失脚し、中東におけるイランの影響力は失墜した。一方でイスラエルと米国、アラブ諸国はアサド氏に代わる勢力がモザイク状に広がる不安定さと、過激主義が台頭するリスクに対処しなければならない。
父親の代から50年余り続いたアサド一族による支配を崩壊に追い込む主導的な役割を果たしたのがシャーム解放機構(HTS)だ。以前はアルカイダと連携していたイスラム教スンニ派のグループで、米国と国連からテロ組織に指定されている。
3人の外交官と3人のアナリストはロイターに対し、HTSが主導する反体制派連合がアサド政権に代わって強硬なイスラム主義政権を樹立するか、過激派勢力の復活を阻止できる可能性が低いか、そうした流れになるのではないかと西側諸国とアラブ諸国は懸念していると述べた。
中東を専門とするシンクタンク、ガルフ・リサーチ・センターのアブデラジズ・アルセイガー所長は「アサド政権の突然の崩壊が引き起こすかもしれない権力の空白に対する強い恐怖が域内外にある」と指摘。例として2003年にフセイン政権が崩壊した後にイラクが、11年のカダフィ大佐が失脚した後にリビアが内戦に突入したことを引き合いに出した。
この地域に駐在する西側諸国の外交官はロイターに対し、反政府勢力が分断され、さまざまな宗派や民族に分かれており、それぞれが地域に権力基盤を持つ複雑な国となっているシリアをどのように統治するか計画はないと説明した。
同外交官は、シリアでの無法状態が、過激派組織「イスラム国」(IS)のような過激派がシリアで台頭する恐れがあると警告した。ISは14年にシリアとイラクの大部分を席巻し、19年までに米国主導の連合軍によって追われるまでカリフ制国家を樹立した。
バイデン米大統領は今月8日、アサド政権の崩壊を歓迎し、独裁的に支配した「責任を負うべきだ」と訴えた。一方でアサド氏の退陣は「リスクと不確実性」が始まった瞬間になったと警告した。米軍は8日、ISが再興するのを防ぐためにシリアで数十回空爆をした。
反体制派の攻勢開始からわずか2週間でアサド氏が退陣に追い込まれたことは、米ホワイトハウス関係者の多くを驚かせた。ある米政府高官は、米国はHTSだけでなく、全ての反体制派と意思疎通を図る方法を模索していると明らかにした。
米国はこれまで、クルド人主体の組織「シリア民主軍(SDF)」といったシリア北東部を支配地域とするクルド人グループを主に支援してきた。しかし、これらのグループは、クルド人の影響力拡大に反発するトルコが支援する「シリア国民軍(SNA)」と対立している。
アサド政権を軍事支援してきた同盟国だったイランとロシアは、アサド氏の突然の失脚がもたらす広範囲な影響に直面している。
アサド氏とその家族の亡命を受け入れたロシアは、中東の拠点としてシリアに2つの主要な軍事基地がある。
イスラム教シーア派が大勢のイランにとってアサド政権との同盟関係は、イランを警戒するイスラム教スンニ派が大多数を占める地域での権力基盤の要だった。
イラン政府高官は9日、ロイターに対して「敵対的な軌道を防ぐ」ために反体制派グループらと直接連絡を取れるようにしたと語った。
イスラエルのネタニヤフ首相は、アサド氏の失脚を「歴史的な日」とたたえた。ネタニヤフ氏はイスラエルの安全保障を確実にするため、イスラエル軍に対して国境沿いの緩衝地帯を占領するよう命じたことを明らかにした。
イスラエルの外相によると、敵対勢力の手に渡るのを防ぐために化学兵器やミサイルがあると疑われる場所をイスラエル軍が9日に空爆した。
イスラエルのテルアビブに本部がある国家安全保障研究所(INSS)のカーミット・バレンシ上級研究員は、シリアの混乱と暴力が長期化するリスクはあるものの、アサド政権の崩壊はイスラエルに利益をもたらす可能性があると指摘する。
バレンシ氏は「国境付近の過激派勢力の台頭や、明確な権力者が不在になることが懸念されるものの、反政府勢力の軍事力はさまざまな形態があるにせよ、イランやその代理勢力に匹敵するものではない」との見方を示した。
イスラエル、シリア軍基地を空爆 ダマスカス近郊への進軍は否定 | ロイター
イスラエルは10日、シリア軍基地を攻撃した。武器が敵の手に渡らないようにするための攻撃としているが、国境の非武装緩衝地帯を越えてシリアに進軍したことは否定した。
シリア治安当局筋によると、イスラエル軍が首都ダマスカスの南西約25キロメートルまで進軍。イスラエル軍は非武装地帯からシリア領内に10キロ入った地点にあるカナタまで達したという。
一方、イスラエル軍は緩衝地帯から部隊は離れていないとした。
イスラエルは占領地であるゴラン高原のシリアとの緩衝地帯に部隊を展開し、シリア軍の装備が敵の手に渡らないよう基地を空爆した。シリアの新政権との衝突は望まないとし、緩衝地帯を管理下に置いたのは防衛策としている。
エジプト、カタール、サウジアラビアはイスラエルの侵攻を非難した。サウジは「シリアが治安を回復するチャンスを台無しにする」と指摘した。
<拷問の責任問う>
崩壊したシリア・アサド政権への攻勢を主導したシャーム解放機構(HTS)は、国民への拷問に関与した治安当局者や軍将校の責任を問う方針を示し、「犯罪者や殺人者」のリストを公表するとした。
アサド政権のジャラリ首相は9日、北西部の反体制派支配地域を拠点とする「救国政府」に権力を移譲することで合意。政権移譲には数日かかると述べた。 もっと見る
アルジャジーラTVによると、暫定政権のトップは救国政府を率いるムハンマド・バシル氏になる見通し。
一方、シリアでは秩序回復の兆しも見えてきた。銀行が10日に再開するほか、石油省は石油部門の全従業員に対し、安全を確保するとして、同日に出勤するよう呼びかけた。
●エマージング
中国、財政赤字拡大と大幅利下げの可能性-エコノミストらが予想 - Bloomberg
中国は国内総生産(GDP)に対する財政赤字比率を30年ぶりの高水準に引き上げ、2015年以来の大幅な金利引き下げを行う可能性がある。共産党指導部が積極的な景気刺激策を打ち出す方針を示したことを受け、エコノミストらはこう予想している。
少なくとも中国の証券会社7社が来年の財政赤字目標はGDP比4%に達し得ると想定。1994年の大規模な税制改革以来、最も高い赤字水準となる。中国政府は伝統的に財政赤字を対GDP比3%以下に抑えてきた。
証券6社は、来年の政策金利引き下げ幅を40-60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と予測。複数の外資系銀行による以前の見通しに追随した。
エコノミストらの最新予想は共産党中央政治局の会議を踏まえ、9日遅く以降に発表された調査リポートに盛り込まれた。
粵開証券のエコノミストらは政治局の会議について、「経済の持続的な改善を推進し、市場の信頼を高めるという指導部の決意が十分に反映された」と10日のリポートで指摘した。
国営メディアの報道によると、習近平国家主席は10日、中国は今年の経済成長目標達成に十分自信を持っていると述べた。貿易やテクノロジーを巡る戦いに勝者はいないとの考えも示したという。 
中国11月輸出は+6.7%に鈍化、輸入減少 トランプ関税控え懸念材料 | ロイター
中国税関総署が10日発表した11月の貿易統計によると、輸出は前月から伸びが鈍化し、輸入は予想に反して減少した。トランプ次期米大統領の返り咲きで新たな貿易リスクが浮上する中、今回の統計は中国経済にとって懸念材料となりそうだ。
輸出は前年同月比6.7%増と、10月の12.7%増から鈍化し、ロイターがまとめたエコノミスト予想(8.5%増)も下回った。
輸入は前年比3.9%減少し、過去9カ月で最も弱い結果となった。10月は2.3%減、予想は0.3%増だった。
貿易黒字は974億4000万ドルで、10月の957億2000万ドルから拡大した。
長引く不動産危機を受けた家計や企業の信頼感低下で苦境が続く中国経済にとって、輸出の勢いは明るい材料の一つだった。
政府の景気刺激策が徐々に奏功しつつある兆候も出始め、11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は7カ月ぶりの高水準だった。ただ、企業は依然として輸出受注の低迷を報告している。
中国の輸入の先行指標である韓国の輸出は11月に14カ月ぶり低水準に減速した。
韓国から中国への輸出は8カ月ぶりに減少した。これは、中国の製造業者が完成電子機器製品の再輸出用に韓国の部品を購入する量が減っていることを示している。
中国政府の顧問らは想定される米関税引き上げが中国の輸出に及ぼす影響を緩和するため強力な財政出動が必要だとしているほか、来年の経済成長目標を5.0%前後に維持するよう求めている。
中国は今週、2025年の経済運営方針を決める中央経済工作会議を開く。投資家は地方政府や不動産部門への新たな政策支援が打ち出されるか注視する見通しだ。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のシニアストラテジスト、Xing Zhaopeng氏は、輸入が低調だったのは商品価格の下落が要因と分析した。中国の先月の原油輸入量は前年比14.3%増の4852万トンだった。中東産原油価格の下落と備蓄需要が輸入を押し上げた。
商品価格の下落を受けて植物油やレアアース、肥料などの輸入額が大幅に減少した。その一方で、原油に加えて石炭や銅の輸入量が増加した。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットの上級エコノミスト、Xu Tianchen氏は「世界的な需要はそれほど強くなく、韓国やベトナムなど他の主要輸出国のデータもさまざまな水準で減速を示している」と指摘。「トランプ氏の来年の関税(引き上げ)を見込んだ貿易前倒しの動きは出始めているが、影響が完全に感じられるのは今後数カ月、特に12月と1月になるだろう」と述べた。
輸出業者は関税引き上げを予想して、10月に在庫を米国内の倉庫に移した。こうした動きは11月に急激に鈍化したものの、引き続き輸出を支える可能性がある。
キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、Zichun Huang氏は、輸出競争力の向上や関税導入前の駆け込み需要により、数カ月以内に輸出が再び加速すると予想した。
輸入についても、当局が来年、財政余地を拡大すると見込まれていることなどから、今後数カ月で回復するとの見方が出ている。
Huang氏は「積極的な財政支出の多くが投資に向けられる可能性が高く、今後数カ月で工業用商品の需要が押し上げられるはずだ」と述べた。
韓国与党、2-3月の大統領退陣案を検討 選挙は4-5月 | ロイター
ブラジル大統領、頭部を緊急手術 副大統領が業務代行 - 日本経済新聞
ブラジル消費者物価、11月4.9%上昇 再利上げの観測 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
五洋建設、洋上風力工事作業船に790億円 国内で最大級 - 日本経済新聞
米加州マリブで山火事、強風にあおられ規模が拡大-数千人に避難命令 - Bloomberg
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(10日) | ロイター
### ロンドン株式市場:
- **FTSE100種指数**は4週間ぶりの大幅下落。
- **FTSE250種指数**は0.36%安。
- 中国の輸出伸び鈍化や銅価格下落が影響し、資源関連株(アングロ・アメリカン、グレンコアなど)が1.0~3.5%下落。
- **FTSE350貴金属株指数**は1.72%安、**航空宇宙・防衛株指数**は2.12%下落。
- アシュテッドは利益見通し引き下げで14%大幅下落。NCCグループは赤字転落で15.3%急落。
- 市場は米消費者物価指数(CPI)と英GDPの発表に注目。
### 欧州株式市場:
- 9営業日ぶりに反落。中国の貿易統計が影響し、高級ブランド株(LVMH、ケリングなど)が1.4~2.5%下落。
- フランスCAC40指数は1.14%安、ドイツDAX指数は0.08%安。
- ドイツのデリバリー・ヒーローは中東子会社の新規上場後に11.9%大幅下落。
- 米CPIやECBの政策金利決定が注目されている。
### ユーロ圏債券市場:
- 方向感の乏しい展開。
- ドイツ10年債利回りは2.122%でほぼ横ばい。
- ECBの50bpの大幅利下げ観測は約5%まで後退。市場は25bpの利下げを織り込んでいる。
- フランス10年債利回りは1bp低下、イタリア10年債利回りは1bp上昇。

備忘録(2024/12/9
●海外企業決算
[ORCL] オラクル 2Q増収増益 売上高9%増140億ドル、営業益17%増42.2億ドル、EPS1.10ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TOL] トールブラザーズ 2024年10月通期は増収増益 売上高9%増108億ドル、営業益18%増20.4億ドル、配当0.90ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
チョコレートの米ハーシー、モンデリーズが買収を模索-関係者 - Bloomberg
米製菓大手モンデリーズ・インターナショナルが、チョコレートメーカーの米ハーシー買収を検討していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。買収が成立すれば、売上高が合わせて500億ドル(約7兆5500億円)に近い巨大食品企業が誕生する。
シカゴに本社を置くモンデリーズは、統合の可能性について予備的な打診を行ったと、関係者は匿名を条件に話した。
9日の米株式市場でハーシーの株価は一時19%高。日中ベースで約8年ぶりの大幅上昇となった。ニューヨーク時間午後0時49分現在では約14%高で、時価総額は400億ドル。モンデリーズは2%下げており、時価総額は約820億ドル。
モンデリーズは2016年にもハーシーの買収を目指したことがあるが、当時は230億ドルでの買収提案がハーシーに拒否され、交渉から退いていた。
ブルームバーグのデータによると、ペンシルベニア州に本社を置くハーシーの企業価値は債務も含め約450億ドル。統合が実現すれば、今年最大の合併・買収(M&A)であるスナック菓子メーカーのマースによる360億ドル弱でのケラノバ買収を上回る規模になる。
いかなる取引もハーシーの経営権を握る信託「ハーシー・トラスト」の支持が必要になる。ハーシー・トラストは同社のクラスB株ほぼ全てを保有し、同社議決権の約80%を有している。同信託は保有資産の分散化を図るため、ハーシー株の一部売却を徐々に進めてきた。ハーシー・トラストが買収を支持すれば、他の企業からも同社買収に関心が寄せられる可能性があると、関係者らは語った。
CFRAリサーチのアナリスト、アルン・スンダラム氏は、ネスレといった世界的なスナック菓子大手が買い手候補になり得るとの見方を示した。
関係者によれば、協議は初期段階にあり、合意につながるという確実性はない。モンデリーズの担当者はコメントを控えた。ハーシーの担当者は市場のうわさについてはコメントしないと述べた。ハーシー・トラストの広報担当者からはまだ返答が得られていない。
米オムニコム、競合を約133億ドルで買収 広告世界最大手誕生へ | ロイター
米広告大手オムニコム・グループは9日、競合の米インターパブリック・グループを総額132億5000万ドルで買収することで合意したと発表した。実現すれば、世界最大の広告代理店が誕生する。
買収は全額株式交換で実施する。インターパブリック株主は保有株1株当たりオムニコム株0.344株を受け取る。オムニコムの6日終値に基づくと、買収額は1株当たり35.58ドルで、インターパブリックの6日終値に21.6%のプレミアムを上乗せした水準となる。
オムニコム株主は新会社の60.6%を保有する見通し。手続きは2025年後半に完了し、年間7億5000万ドルのコスト削減が見込まれる。
9日午前の取引で、インターパブリックの株価は10%強上昇、オムニコムは6%強下落。インターパブリックは年初来10%超値下がりしていた。
オムニコムは広告業界で世界第3位、インターパブリックは4位。23年のデータに基づくと、新会社の売上高は250億ドルを超える見通しで、英WPPや仏ピュブリシス・グループと競合することになる。
より安価かつ迅速な広告の作成を可能とする人工知能(AI)ツールの台頭によって伝統的な広告代理店が圧力にさらされる中での買収となる。ただ、規制当局の監視に直面することが予想される。
米オムニコム、インターパブリック買収で交渉中=WSJ | ロイター
広告大手の米オムニコム・グループは、同業インターパブリック・グループ買収で協議を進めている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が8日に報じた。
負債を除いたインターパブリックの価値を130億─140億ドルと評価する取引になる見込みで、全て株式交換で行う方向で協議している。
インターパブリックの時価総額は6日時点で約109億ドル。マッキャン、ウェーバー・シャンドウィック、メディアブランズなどのブランドを所有する。
WSJによると今週中にも買収が発表される可能性がある。
2023年の数字に基づくと、合併後の売上は200億ドル以上となる。英WPPおよび仏ピュブリシス・グループと競合することになる。
オムニコムとインターパブリックにコメントを求めたが、回答を得られていない。
検索は時代遅れ? グーグルに迫る三つの脅威 - WSJ
グーグルを船に例えるなら、氷山に衝突する数時間前の「タイタニック号」のようだ。威風堂々として、決して沈むことはないと思われていたが、後にその名を大惨事の代名詞にしかねない自然の力に遭遇しようとしている。
グーグルに不利に働く動きは非常に多く、また相互に関連しているため、司法省が11月20日に詳細を明らかにした事実上の解体の試みは、同社が抱える問題の中で最も小さいものかもしれない。
グーグルの中核事業は包囲されている。人々はますます人工知能(AI)に回答を求めるようになってきている。若い世代は情報収集に他のプラットフォームを使用している。そして、ウェブがAI生成コンテンツであふれかえるにつれ、検索エンジンが提供する結果の質は低下している。こうした力が合わさって、グーグル検索のトラフィックと、そこから生み出される巨額の利益を長期的に減少させる可能性がある。その利益は、親会社アルファベット傘下の自動運転部門ウェイモといった赤字事業を支えている。
グーグルが直面する一つ目の脅威は明確で、すでに存在している。人々がインターネットで情報を検索したり買い物をしたりする際、グーグルの競合他社にシフトしており、広告費も同様に移っている。調査会社イーマーケターは米検索広告市場に占めるグーグルのシェアについて、2025年には調査開始以来で初めて50%を割ると予測している。
グーグル自身も政府の独占禁止法調査に対してこの点を指摘しており、「裁判で提出された証拠は、われわれが幅広い競合他社との激しい競争に直面していることを示している」と訴えている。
このシフトは主に、ユーザーがグーグルを通り抜けて米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムのサイトで商品検索を始めることによって起こり、アマゾンに数十億ドルの広告収入をもたらしている。一方で中国発の人気動画投稿アプリ、TikTok(ティックトック)は、米国でのデジタル広告収入の市場シェアは現在のところ4%未満だが、今後拡大していく可能性は高い。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたTikTokの広告主向け資料によると、ユーザーの23%がアプリを開いてから30秒以内に何らかの検索を行い、1日当たりの検索件数は世界全体で30億件に上るという。
二つ目の脅威は、AI検索エンジンの米新興企業パープレキシティが展開するような「回答エンジン」の台頭だ。こうしたツールはその名の通り、質問に回答する。オープンAIは対話型AI「チャットGPT」にインターネット検索機能を追加し、メタ・プラットフォームズは独自の検索エンジン構築を模索している。インターネット検索ができないAIチャットボットでさえ、多くの質問に対応する能力が高まっている。AIチャットボットは、マイクロソフトやアップルが自社製品やサポートする全てのデバイスのオペレーティングシステム(OS)に直接統合する中、ますます広範囲に普及している。
ニューヨーク大学スターン経営大学院のメリッサ・シリング教授は「グーグルは検索で圧倒的な優位を築いていたが、それはAIが登場するまでのことだった。今やAIは検索にとって、(米小売り大手)ウォルマートにとってのEコマース(電子商取引)のような存在になっている」と述べた。またそれに匹敵する重大な出来事として、マイクロソフトがスマートフォンの重要性を見逃し、アップルの「iPhone(アイフォーン)」が消費者向けコンピューティングにおけるマイクロソフトの支配的地位を覆したことを挙げた。
もちろんグーグルは、AIで検索の概念が破壊されることがあれば、それは自身の手によって行われるべきだと考え、懸命に取り組んでいる。グーグルは今年、米国の全てのユーザーに対し、自社の検索結果のAIによる要約を提供し始めた。このようなイノベーション(技術革新)は、スタートアップとハイテク大手が開発するAIとの激しい競争に直接対応するものだと説明している。
三つ目の脅威は、グーグルがほとんど対処できない可能性があるため最も危険性が高い。それは、グーグルがこれまで形作り、依存してきたウェブサイトの全体的なエコシステムが劣えていくことだ。
AI生成コンテンツの増加により、ウェブの検索方法に関係なく、検索結果全体の質が低下しているという指摘は多い。他の特別な動向がない場合、これだけでグーグルにとって大きな問題となるだろう。しかし、AIが生成した要約を提供することでリンクをクリックする必要をなくすという同社の対応は、ウェブの衰退を加速させる恐れがある。
その理由は、インターネットがエコシステムであり、グーグルがトラフィック、ひいては収益の主要な提供者の一つだからだ。グーグルがウェブ全体に送るトラフィックがなければ、同社の検索アルゴリズムに注目されるようなウェブサイトを作り続けるインセンティブとリソースは減少するだろう。
欧州フィンテック大手フィナストラのマーケティング責任者ヨルク・クルークマン氏は、まさにそのことを懸念している。AIを早い時期に使い始めた同氏のように、多くの人がAIに回答を求めるようになると、ウェブサイトへのトラフィックは枯渇するだろう。「そうなれば、検索エンジンのマーケティングチームをどうするのか? 世の中にある全てのウェブサイトにとって、それは何を意味するのか?」と同氏は尋ねた。
このプロセスは既に目に見え始めている。グーグルの前四半期の売上高の伸びは好調だったが、広告プラットフォーム会社スカイのデータによると、検索結果に表示される広告のクリック率は1年前と比べて8%低下した。なぜこのようなことが起きているのかは明確ではないが、論理的な結論の一つとして、グーグルが独自のAI要約を導入したことで、スポンサーリンクをクリックしたり、広告のある下の方までスクロールしたりする必要がなくなった結果だと考えられる。
検索エンジン最適化ソフトウエアを手掛けるオーソリタスが1月に行った調査によると、グーグルの検索結果におけるAIの回答は、既存のウェブサイトのランキングやトラフィックを一変させる可能性がある。また広告販売会社ラプティブは、こうした検索への変更が全面的に展開された場合、コンテンツ提供元の収益から20億ドル(約3000億円)が失われかねないとみている。
ハーバード大学ビジネススクールのデービッド・ヨフィー教授は、AIの台頭は最終的にグーグルの存在を脅かす可能性があるが、同社の支配的地位が本当に衰えるまでには長い時間がかかるとの見方を示した。
「人々は特定の習慣に陥る傾向があり、圧倒的に優れた製品がない限りその習慣を続ける傾向があることが、行動経済学で証明されている」と同教授は述べた。
政府がグーグルに対する独占禁止法訴訟で今年勝訴した後、司法省はグーグルに対し、モバイル端末向けOS「アンドロイド」を使用するデバイスで自社の検索エンジンに優先的にアクセスできないようにすべきだと提案している。人気のウェブブラウザー(閲覧ソフト)「クローム」の売却など他の是正措置も明らかにしている。
グーグルの国際問題担当プレジデント、ケント・ウォーカー氏は、司法省の提案は「極めて広範囲に及ぶ」とし、「米国民と米国の技術面での世界的なリーダーシップを害する」と指摘している。同氏はグーグルが12月中に独自の是正案を裁判所に提出する予定だと語った。
司法省との裁判が解決するまでには何年もかかり、最終的な是正措置は同省が提案したほど大規模なものにはならないかもしれない。ヨフィー氏は最も起こり得る結果として、グーグルがトランプ次期政権と何らかの同意判決を交渉する可能性を挙げた。これはマイクロソフトがジョージ・W・ブッシュ政権と行ったものと同様だ。
マイクロソフトの分割を試みた時のように、グーグルに対する政府の訴訟も、独占禁止の執行よりもはるかに強力な競争力によって追い抜かれる可能性がある。
●日本企業
英BPとJERAが洋上風力統合、58億ドル出資し世界4位規模に - Bloomberg
国内最大の発電事業者のJERA(ジェラ)は9日、英石油大手BPと洋上風力発電事業を統合すると発表した。両社は新たに本社をロンドンに置く合弁会社を設立し、2030年末までに開発資金として最大58億ドル(約8728億円)を出資する。
発表によると、折半出資となる新会社「JERA Nex bp」は関係当局からの承認などの手続きを経て、25年9月末をめどに設立する予定だ。JERAとBPが開発中のものも含めて出力13ギガワット(1300万キロワット)規模の洋上風力発電所を持ち寄ることで、新会社はデンマークのオーステッドなどに次ぐ世界4位の洋上風力発電事業者になるとしている。
世界的なインフレや金利上昇の影響で開発コストは増加傾向にあり、JERAの奥田久栄社長は先月の記者会見で風車の価格は4年前に比べ1.5倍から1.8倍に上昇したと説明していた。採算が悪化する中、洋上風力の開発案件からの撤退など事業見直しの動きが広がっている。
JERAの矢島聡常務執行役員は9日のオンライン説明会で、資材価格の上昇で当初見込んでいた採算が見込めなくなるなど、「洋上風力事業が難しくなってきている」と話した。事業環境が厳しくなる中、スケールメリットを生かした競争力向上などの観点から「2社の連合というのは極めて有効」との考えを示した。
発表によると、JERA Nex bpの最高経営責任者(CEO)はJERAが、最高財務責任者(CFO)はBPが任命する。
気候変動への対応が急務となる中、JERAは液化天然ガス(LNG)、再生可能エネルギー、水素・アンモニアの3分野に35年までに計5兆円を投資する方針を掲げている。昨年にはベルギーの洋上風力発電大手パークウインドを約15億5000万ユーロ(約2464億円)で買収したほか、NTT傘下のNTTアノードエナジーと共同で国内再生可能エネルギー事業を取得するなど取り組みを加速している。
東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAは4月、開発中のものを含めた再エネ容量を35年度までに現行の約6倍となる20ギガワットとする目標を打ち出した。BPは運転をしている洋上風力事業はない一方、開発中や海域リース権を獲得済みの案件で計10ギガワット弱を持ち寄ることになっており、今後の拡大に向けた足がかりとなる。
JERAの矢島氏は両社が開発・準備中の案件を全て運転開始までもっていくのは難しいとして、今後取捨選択を進めていく考えを示した。「資金も要員も無尽蔵ではないので、規律ある投資基準の中で優良案件を選んでいく」と続けた。    
JERA、洋上風力事業を英BPと統合 25年9月に新会社 - 日本経済新聞
国内発電大手のJERAは9日、英石油大手BPと洋上風力事業を統合すると発表した。2025年9月にも折半出資の新会社を設け、両社の関連資産ほぼ全てを移す。新会社を通じて30年までに最大58億ドル(約8700億円)を投じ、米欧やアジアで発電所を新設する。インフレで風力の建設費が膨らむ中、両社の事業統合は再編の呼び水となりそうだ。
英国に折半出資の事業会社「JERA Nex bp(ジェラ・ネックス・ビーピー)」を設ける。稼働済みの発電所で約100万キロワット、建設・準備中で約1200万キロワットの資産を新会社へ移す。
JERAによると、開発中も含めた電源の保有量では英BPは世界5位、JERAは14位とみられる。新会社は首位のオーステッド(デンマーク)などに次ぐ4位となる見通しだ。
関係当局の許可を前提に新会社を発足させる。最高経営責任者(CEO)はJERA、最高財務責任者(CFO)はBPが指名する。資本金などは非公表だが、30年までに新会社を通じて日欧や米国で開発中の10カ所超の発電事業を前進させる。JERAの矢島聡常務執行役員は9日の記者会見で「欧州と日本をマザーマーケットに、アジアでも貢献できるようにする」などと述べた。
JERAは4月に再生可能エネルギーの開発を35年度までに約6倍の2000万キロワットに増やす計画を公表した。同時期に英国に新設した子会社へ再生エネ事業を集約し、主に欧州やアジアで洋上風力の開発を推進する計画を示していた。
BPは化石燃料事業の再強化と再生エネ事業の再編を模索していた。金融市場から株主還元の強化を迫られ、収益性の高い石油や天然ガス投資の優先度が高まっていた。
物価高で採算が低下する再生エネ事業は縮小していた。6月には洋上風力事業で新規の開発・採用の停止を決めたことが明らかとなり、9月には米国の陸上風力事業の売却も発表していた。
BPは洋上風力発電で運転中の発電所はほぼ無いが、開発・準備中だと英米やドイツでJERAの倍以上となる1000万キロワット弱の事業を手掛ける。JERAは23年にベルギーの洋上風力大手を買収したが、洋上風力で先行する米欧の事業基盤が弱い。BPと連合を形成して大型開発が進む米欧市場への参入を本格化する。
洋上風力発電で上位企業の「連合」が誕生するのは初めてとみられる。背景にあるのが世界的なインフレによる開発コストの増加だ。JERAによると、風車の調達価格は4年前の1.5〜1.8倍に上昇したという。コスト上昇で事業の採算悪化が表面化している。
過去1年に世界で撤退・延期となった洋上風力発電事業の計画は、23年に世界で新規導入された発電容量の5割に相当する。ノルウェーの石油大手エクイノールは9月までに、フランスで計画してきた洋上風力発電事業からの撤退を決めた。オーステッドも2月に最大800人の人員削減と、ノルウェーなど3カ国からの撤退を決めている。
従来は事業ごとの企業体でリスクを分散し、再編も事業単位での権益売却が主流だった。ただ化石燃料や火力発電事業も手掛ける事業者にとって、世界的なインフレで複数の地域にまたがる事業を単独では管理しきれなくなっている。
トランプ次期米大統領が化石燃料に傾斜する姿勢を示し、再生エネ全般に逆風が吹く。もっとも中長期では大量の再生エネ電力を安定して発電できる洋上風力の優位性は揺るがない見通しだ。今回のJERAとBPの「連合」形成は、洋上風力事業の継続に向けた再編を後押しする可能性がある。
日生、上期に国内債券で6000億円以上を入れ替え-運用収益の改善狙い - Bloomberg
日本生命保険の都築彰・執行役員財務企画部長は9日の投資家向け説明会で、運用収益を改善するため、国内債券全体で上期(4-9月期)に6000億円以上の資産を入れ替えたことを明らかにした。
同社は金利が上昇してきた数年前から継続的に入れ替えを進めており、金利低下の局面では売却する一方で30年金利が2%を上回ったときには投資するなどして「機動的にペースを調整しながら入れ替え投資を実施している」と述べた。
国内大手生保4社が運用する資産の大半を占める国内債券の含み損は、日本銀行の利上げに伴う債券利回りの上昇(価格は低下)により増加傾向にあり、日本生命の場合には9月末時点で2兆188億円に膨らんでいた。
10年国債利回りは日銀が3月に利上げに踏み切る前の0.7%台から直近では1%台に上昇している。生保各社は運用ポートフォリオの改善に向け、利回りの低い債券から高い債券への入れ替えを進めている。
今後について都築氏は「入れ替えペースをどうしていくのか、またはデリバティブを用いたヘッジ活用の検討なども含めて具体的なアクションプラン」を検討していると述べた。
日鉄、USスチール従業員の支持獲得へ最後の訴え-書簡を公開 - Bloomberg
●先進国政治動向
アングル:トランプ氏の仮想通貨政策、推進派起用でも先行き不透明 | ロイター
トランプ次期米大統領は、ホワイトハウス内に新設する人工知能(AI)・暗号資産(仮想通貨)の責任者と、証券市場の管理・規制を司る証券取引委員会(SEC)委員長の2つの重要ポストにいずれも仮想通貨推進派を充てる人事を発表し、次期政権の政策が具体的な姿を現しつつある。しかし実際には誰が政策運営のかじを握るのかはっきりしない上、関係者が多過ぎて改革の進展が遅れるのではないかと懸念する声もあり、先行きは不透明だ。
トランプ氏は4日、SEC次期委員長に仮想通貨推進派のポール・アトキンス氏を指名。翌5日にはAI・仮想通貨責任者に米決済サービス大手ペイパルの元最高執行責任者(COO)でやはり仮想通貨推進派のデービッド・サックス氏を指名すると発表した。
仮想通貨業界はこの人選を歓迎。バイデン現政権下で進んだ仮想通貨の規制強化に終止符が打たれ、イノベーションが進むと期待を寄せている。
仮想通貨コンプライアンス企業、ソリダス・ラブズの共同創設者チェン・アラド氏は「より建設的な規制ができると思う。そして当然ながら、その際には証券とは何かが明確になる」と述べた。
ただアナリストの間では「仮想通貨責任者」というポストが新設されたことで政策を誰が主導するのかが曖昧になり、決定過程であつれきが生じるのではないかとの危惧も出ている。
キャピタル・アルファ・パートナーズのマネジングディレクター、イアン・カッツ氏はロイターへのメールで、「大きな疑問の1つはサックス氏自身が政策を進めるのかということだ。トランプ氏によって任命された責任者として迅速な変化を追求するだろうが、手続きを担うのはSECであり、SECを無視して新たな規則を作るわけにはいかない」と指摘。「当事者それぞれの人柄が鍵になる」と付け加えた。
トランプ氏に近い起業家のイーロン・マスク氏とも親しいデービッド・サックス氏は、早い時期から代表的な仮想通貨であるビットコインに投資していた人物。2017年のCNBCとのインタビューでは、仮想通貨がインターネットに革命を起こすと述べる一方、この分野には詐欺師もいると認めていた。ロイターがサックス氏の経歴を調べたところ、政策の立案や主導に関わった経験はなかった。
一方、アトキンス氏はSECで幹部を務めた経験を持ち、ワシントンの政策関係者の間では信頼を得ている経験豊富な人物だ。仮想通貨のイノベーションは金融サービスの競争を促進するとして仮想通貨への支持を表明しており、自身のコンサルティング会社を通じて仮想通貨企業が規制当局と交渉する際の支援も行ってきた。
「アトキンス氏はある程度予測可能な人物だと言える」と、金融コンサルティング会社ウォルターズ・クルーワーのシニアリーガルアナリスト、リーン・パウエル氏は指摘。これに対してサックス氏は「全く畑違いの人物だ」と評した。
サックス氏とアトキンス氏はともに規制当局は仮想通貨企業に対する姿勢をもっと寛大にするべきだと主張している。ただ、仮想通貨を証券、商品、ユーティリティー(便益提供)のいずれに分類すべきか、あるいはその条件は何かという、仮想通貨業界の規制方法を決定付ける核心的な問題についていずれも立場を明確にしていない。
アトキンス氏とサックス氏はこれまでコメント要請には応じていない。
トランプ氏がSECのトップにアトキンス氏を指名すると発表したことを受けて市場では規制緩和への期待が高まり、ビットコインは一時10万ドル(約1500万円)を突破した。
バイデン政権下ではSECが多数の暗号資産企業を相手取り、証券法違反の疑いで訴訟を起こしてきた。また、銀行規制当局も金融機関が仮想通貨に関わることに消極的で、議会は仮想通貨の本格的な流通を促進する法律の制定に踏み込まなかった。
一方、仮想通貨業界は、仮想通貨が証券や商品として分類されるための条件を定める規制枠組みの構築など、デジタル資産の導入を促進するための大胆な政策の推進を求めている。
トランプ氏は5日に自身のSNSへの投稿で、サックス氏が仮想通貨政策の「ガイド役」になり「法的枠組みを整備して業界に明確性をもたらす」と説明した。しかしこれで本当にサックス氏が新政権の仮想通貨政策を主導するのかどうかははっきりしないままだ。
トランプ次期政権では暗号資産諮問委員会が設立され、政策面で重要な役割を担う予定だが、サックス氏がこの委員会のトップを務めるのかどうかも定かではない。
専門家によると、仮想通貨に関する法的枠組みを確立するには、SECや商品先物取引委員会(CFTC)のような規制機関から広範な意見を集める必要があるほか、議会の承認も欠かせない。
銀行の自己勘定取引や資本規制のような仮想通貨と無関係の課題でさえ、規制機関同士の対立で何年も足踏みしているという実態もある。ウォルターズ・クルーワーのパウエル氏は次期政権の仮想通貨政策について「間違いなく、船頭多くして船山に登るという状態に陥る」と指摘した。
トランプ次期政権の広報担当者は6日のメールで、サックス氏の指名については確認したが、ポストの働きについての質問には答えなかった。
消費者保護団体の間からは、トランプ政権の仮想通貨政策が規制の抜け穴を生み出し、投資家をリスクにさらす可能性があるとの懸念も聞かれる。仮想通貨業界はこうした懸念を全面的に否定している。
●先進国中銀、金融当局
日銀が1月会合前に異例の懇談会、年明け利上げ観測高まる可能性 - Bloomberg
日本銀行は9日、来年1月の金融政策決定会合前に氷見野良三副総裁が懇談会で講演する予定を発表した。1月の決定会合前に政策委員が懇談会を開くのは異例。市場の1月利上げ観測を高める可能性がある。
氷見野副総裁は1月14日に神奈川県金融経済懇談会に出席し、その後記者会見を行う。日銀が年明け最初の決定会合を前にこうした懇談会を開くのは、少なくとも2013年に黒田東彦氏が総裁に就任して以降では初めて。
追加利上げを予想するエコノミストが増加している1月会合の前に氷見野副総裁が講演することで、日銀の政策運営に関する考え方を明確に市場に伝える機会となる。植田和男総裁は、7月の追加利上げがサプライズと受け止められ、世界的な市場乱高下の一因になったとの批判に対し、7月会合の前にコミュニケーションの機会があればよかったとの考えを示していた。
日銀は今月18-19日、来年1月23-24日に会合を開く。10月会合の前にブルームバーグが実施した調査によると、日銀ウオッチャーの8割超が1月までの追加利上げを予想している。
日銀総裁が新年祝賀会で短いあいさつをしたり、一部の政策委員が特別イベントで講演したりすることはあったが、1月会合前に金融経済懇談会での講演や記者会見は少なくともこの10年以上なかった。講演は政策委員が金融政策に関する考えを自由に発信する機会であり、市場参加者らは予想を調整する手掛かりを得る。
シティグループ証券の相羽勝彦エコノミストの9日付リポートによると、同社は日銀の追加利上げ時期を従来の12月から1月に変更した。
植田総裁は10月、出張先の米ワシントンで、「6月と同じことを言っているとしても、7月にもう少し発信があってもよかった」と語っていた。
●先進国経済指標
米消費者のインフレ期待、1─5年先いずれも上昇=NY連銀11月調査 | ロイター
米ニューヨーク連銀が9日発表した11月の消費者調査によると、1年先・3年先・5年先のインフレ期待がいずれも上昇した。
1年先のインフレ率予想は3%。10月時点では2.9%だった。3年先のインフレ率予想は2.6%で、10月の2.5%から上昇。5年先のインフレ率予想も2.9%と、10月の2.8%から上昇した。
ニューヨーク連銀によると、教育水準が将来のインフレ見通しに影響を与えている。1年先、3年先のインフレ期待は、大卒でない人の間では低下する一方、大卒者では上昇した。
住宅価格の予想上昇率は11月も3%で横ばいだった。
経済の先行きについては楽観的な見方が示された。回答者は、雇用市場に対する見通しはやや軟化したものの、収入の伸びは改善すると予想した。
現在の家計に関する見方は安定しており、信用へのアクセスに関する感覚もほとんど変わっていない。家計の状況が改善すると見ている回答者の1年後の見通しは、2020年2月以来の最高水準に急上昇した。一方、状況が悪化すると予想する回答者の割合は、21年3月以来の最低水準に低下した。
債務返済が滞る可能性も低下している。
●金融市場、先進国トピックス
フランス債の再購入は時期尚早、大手債券ファンドは仏資産に懐疑的 - Bloomberg
世界の大手資産運用会社は、フランスの政治的不安定が経済成長と財政の見通しを曇らせているため、フランス資産への投資に前向きになるのは難しいと指摘している。
アリアンツ・グローバル・インベスターズ(GI)やアバディーン、フランクリン・テンプルトンは、先週後半のフランス資産の急上昇について懐疑的だ。来年の予算を巡る政治的駆け引きが長引き、膨れ上がる財政赤字を抑制する有意な取り組みを阻んでいることが理由。
アリアンツGIの債券部門のジュリアン・ルベロン最高投資責任者(CIO、ロンドン在勤)は、フランス市場を揺るがしている不安定を「前代未聞」と表現。この状況は「短期的にはさらに悪化する可能性がある」とみており、その結果債券スプレッドは拡大するだろうと述べた。
同氏とアバディーンは、フランス債のドイツ債のスプレッドが再び1ポイントに近づくかそれを超えると予想している。前回スレッドがそれほど大きくなったのは10年以上前のユーロ圏ソブリン危機のさなかだった。
フランスでは先週、予算を巡る攻防で不信任案が可決され内閣が倒れた。マクロン大統領は今後数日のうちに新首相を任命する見通しだが、次の議会選挙は早くても来年7月になる。
極右政党を事実上率いるマリーヌ・ルペン氏が「数週間以内」に予算案がまとまる可能性を示唆したことで先週はフランス債が上昇した。しかし多くの投資家は一時的な反発に過ぎないとみている。
フランクリン・テンプルトンの欧州債券責任者、デービッド・ザーン氏は「新政権は現政権と同様に議会での支持基盤の弱さという問題を抱え、特に予算案の可決について引き続き困難に直面する可能性が高い」とし、「フランスの政治的不確実性は2025年の議会選挙まで続くと予想される」と述べた。
同氏は、フランス国債を「大幅にアンダーウエート」にしている。トランプ次期米大統領が公約通りフランス製品に高関税を課した場合の逆風についても警告した。
ここ数週間の政治的混乱の中では、10年物フランス国債の利回りがドイツ国債を90ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る場面もあった。6日は77bpで取引を終えた。6月にマクロン大統領が選挙を決める前は50bp未満だった。
フランス債の利回りは、かつて欧州債務危機の中心にあった国よりも高くなっている。10年物利回りはスペインやポルトガルを上回り、ギリシャとほぼ同水準。通常、域内で最も高リスクと見なされるイタリア債よりも約30bp低いが、逆転の可能性を指摘する声も出始めている。
豪、銀行ハイブリッド債を段階的廃止へ クレディS巡る経緯考慮 | ロイター
オーストラリア金融規制当局の豪健全性規制庁(APRA)は9日、危機発生時に損失を吸収する効果がないと見なされているハイブリッド債による銀行の資金調達を段階的に廃止すると発表した。昨年のクレディ・スイス(クレディS)を巡る無価値化のような事態を避けるためという。
ハイブリッド債と呼ばれる「AT1債(その他Tier1債)」について、今後8年間でストレス時に損失をより効果的に吸収する資本形態に切り替える。
スイスの金融規制当局が昨年、UBSとの合併を余儀なくされたクレディSのAT1債を巡って約170億ドルの減損処理を行い、投資家からの訴訟に発展して以来、こうした債券は世界の金融セクターの懸念材料となっている。
APRAのロンズデール長官は「豪州の銀行は疑いなく強いが、海外の経験によると、AT1債はその利用の複雑さ、訴訟の可能性、伝染を引き起こすリスクのため、危機時に意図したようには機能しないことが示されている」と述べた。
米ファンドのアレス、日本企業に融資 中堅・中小にも - 日本経済新聞
ピムコ、米長期債への資産配分を削減-連邦財政赤字の拡大警告 - Bloomberg
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、米財政赤字が膨らんでいることを考えると、償還までの期間が長い米国債を購入することには「消極的だ」と述べた。歳出を拡大させる連邦政府をけん制した格好だ。
ピムコのマネジングディレクター、マーク・サイドナー氏とプラモル・ダワン氏は、同社が「長期債への配分を減らし」、短中期の米国債を選好していると9日発表のリポートに記した。ピムコの運用資産額は2兆ドル(約302兆円)に上る。
「時間が経過し規模が拡大すれば、投資家のそうした行動は、補償をより多く要求することで政府に規律を求める債券自警団の役割を果たすことにつながる」と説明した。
米連邦債務の累増で米長期債の利回りが跳ね上がることへの懸念が高まっている。市場性のある政府債の規模は、新型コロナ禍前の17兆ドルから29兆ドル近くへと急増している。
「債券自警団が行動する可能性について手掛かりを探しているなら、世界最大の債券投資家に何を今しているのかを聞くのが第一歩かもしれない。この投資家は理論上、市場への影響力が最も大きい」と、両氏はリポートで述べた。
「米債務の持続可能性への疑問、関税や移民制限の影響などインフレを引き起こし得る材料を踏まえると、長期債への投資に一段と慎重になっている」と説明。
2025年の米国債については「深刻化する財政赤字などが原因でイールドカーブはスティープ化する」との見通しを示した。
シティ、FRB12月利下幅見通し0.25%に修正 従来は0.50% | ロイター
●中東情勢
イスラエル、シリア空爆強化へ 戦略兵器の破壊が目的 | ロイター
イスラエルはシリアが保有する最新兵器への空爆を強化し、「限定的な」地上部隊を駐留させて、アサド政権の崩壊に伴うあらゆる脅威を阻止すると表明した。
アサド政権の崩壊はシリアにおけるイランの拠点を喪失させる一方で、国際武装組織アルカイダのイスラム主義思想に根ざした反政府勢力の進撃は危機をもたらす恐れがある。
イスラエルのカッツ国防相は、「地対空ミサイル、防空システム、地対地ミサイル、巡航ミサイル、長距離ロケット、対艦ミサイルなど、シリア全土の戦略兵器を破壊する」と述べた。
イスラエルの高官は、シリアへの空爆は数日間続くだろうと述べた。
サール外相は記者団に、イスラエルはシリアの内政に干渉する意図はなく、自国民を守ることに専念していると表明した。「攻撃しているのは、残存する化学兵器や長距離ミサイル、ロケット弾のような戦略兵器が過激派の手に渡らないようにするためだ」と述べた。
イスラエル軍は8日、同国が占領するゴラン高原とシリア国境の非武装地帯に地上部隊を派遣したと発表した。
サール氏は部隊の駐留は極めて限定的だと述べた。「基本的にはイスラエル国境付近で、数百メートルか1─2マイルだ。安全保障上の理由によるもので、非常に限定的で一時的なものだ」と説明した。
イラン、シリア新指導部と接触か 政権崩壊受け影響力維持模索 | ロイター
イランのある高官は9日、シリアのアサド大統領が追放されて以来、イランはシリア新指導部の反体制派と直接接触していると、ロイターに対して明らかにした。両国関係が敵対化することを避けるためだという。
アサド政権の崩壊によって、イランとロシアがこれまでアラブ世界に影響力を行使していた「とりで」が拭い去られた形となった。シリアの政変が、地域的影響力の要であるシリアにおけるイランの影響力にどのような影響を及ぼすのか、イラン当局は懸念を深めているもようだ。
ただ、イラン高官によると、イランは「シリアの新支配グループの中でイラン寄りの人々」と接触する外交的手段を模索。「イランにとっての最大の懸念は、アサド氏の後継者がシリアをイランから遠ざけるかどうかであり、それはイランにとって避けたいシナリオだ」という。
高官は、シリアという重要な同盟国を失い、来年1月にトランプ次期米大統領の就任に直面しているイランの支配層はシリアの新たな指導者との関与に前向きと分析。「こうした関与は、関係を安定させ、さらなる地域的緊張を避けるための鍵となる」と語った。既にシリア新指導部内の2つのグループと接触したという。
トルコ支援のシリア反体制派、北部の町を米支援組織から奪取 | ロイター
トルコ治安筋によると、トルコが支援する複数のシリア反体制派組織がシリア北部の町マンビジュを米国が支援するクルド人主体の組織「シリア民主軍(SDF)」 から奪取した。
シリアでは反体制派が首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領を追放したが、北部での衝突は続いている。
SDFは「シリア国民軍(SNA)」などトルコが支援する組織と激しい戦闘を繰り広げ、ここ数日マンビジュを占拠していた。
ロイターが確認した動画によると、マンビジュでは住民が反体制派組織を歓迎する様子が映っている。マンビジュはトルコとの国境の南30キロの地点に位置する。
SDFは過激派組織「イスラム国」(IS) の掃討で米国の支援を受けているが、トルコはSDFについて、トルコ国内で非合法化されている武装組織「クルド労働者党」(PKK)とつながりのあるテロリスト集団が指揮していると主張している。
米国はSDFが制圧するシリア東部でプレゼンスを維持し、ISの復活を阻むために必要な措置を講じる意向を示している。
これとは別にオースティン米国防長官は、米軍がここ数日、シリアを攻撃したことについて、ISが混乱に乗じて活動を拡大することを阻止する狙いがあると説明した。
シリア、アサド政権崩壊から一夜 反体制派に国家再建の難事業 | ロイター
反体制派が抵抗を受けることなく首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領を追放したシリアで、市民らは9日、不確実ながらも希望に満ちた夜明けを迎えた。反体制派が外出禁止令を出しているため、ダマスカスでは大半の商店が営業しておらず屋外で市民の姿はほとんど見られない。
アサド政権の崩壊に国際社会からも歓迎の声が上がっているが、反体制派は今後、内戦と海外からの制裁によりほぼ壊滅状態にある国を再建するという難事業に直面することになる。
アサド政権への攻勢を主導したシャーム解放機構(HTS)のジャウラニ指導者は8日、ダマスカス中心部にあるモスクで大衆を前に「兄弟たちよ、偉大な勝利を経てこの地域全体に新たな歴史が刻まれようとしている」と語り、多大な努力によってシリアは「イスラム国家の道標」になるとした。
アサド政権のジャラリ首相は、スカイ・ニューアラビアに対して、ジャウラニ氏との会談を希望するとしたほか、政権移行のための文書や支援を提供する用意があると語った。
シリア軍の処遇については「国政を引き継ぐ兄弟に託された問題であり、今重要なのはシリア国民への公共サービスの継続だ」とした。
焦点:シリア政権崩壊、反体制派の電撃進軍を可能にした「完璧な条件」 | ロイター
約6カ月前、シリアの反体制派はアサド大統領による権力を弱める好機が訪れたことを察知した。トルコに大規模な攻勢計画を伝えたところ、同国から暗黙の承認が得られたという感触があったからだ。計画を知る情報筋2人が語った。
この作戦は開始からわずか2週間で、当初の目標だったシリア第2の都市アレッポの制圧を達成し、ほぼ全員を驚かせた。それから1週間余りで反体制派連合軍は首都ダマスカスに到達し、8日にはアサド氏一族による50年にわたる支配に終止符を打った。
電撃的な進撃が可能になったのは、反体制派にとってほとんど完璧とも言える条件が整ったおかげだ。アサド政権の軍は士気が低下し、疲弊していた。政権の主要同盟相手だったイランとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラは、イスラエルとの戦争で深刻な打撃を受けていた。その上、アサド政権にとってもう1つの主要な軍事支援国であるロシアは、ウクライナ侵攻に気を取られ、シリアへの関心をなくしていた。
中東の外交官とシリア反体制派メンバーは、内線の初期から反体制派を支援してきたトルコに通知せずに反体制派が行動を起こすことはあり得なかったと語った。
トルコはシリア北西部に軍を駐留させ、シリア国民軍(SNA)など一部の反体制派を支援してきた。ただ、反体制派連合の主要グループであるシャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)についてはテロ集団とみなしている。
中東の外交官によると、反体制派の大胆な作戦はHTSとその指導者アブ・ムハンマド・アル・ゴラニ氏の発案だった。
ゴラニ氏は過去に国際テロ組織アルカイダとつながっていたため、米国、欧州、トルコからテロリストに指定されている。
トルコのエルドアン政権は2020年、シリア北西部での戦闘を縮小することでロシアと合意。エルドアン大統領は長年、新たにシリア難民が押し寄せることを懸念し、シリア反体制派の大規模な攻勢に反対してきた。
しかし反体制派は今年、アサド氏に対するトルコの姿勢が硬化したことを感じ取っていたと情報筋は言う。エルドアン氏が、軍事的膠着(こうちゃく)状態の政治的解決を前進させるため度重なる申し入れを行ったにもかかわらずアサド氏がそれを拒絶したためだ。この結果シリアは政権側と、複数の反体制派グループの寄せ集めに分断されたままの状態に置かれた。
シリア反体制派の情報筋によると、アサド氏がトルコの申し入れを拒絶した後、反体制派はトルコに作戦の詳細を知らせた。「他の方法はもう何年も成功していない。だからわれわれの方法を試してくれ。何もする必要はない。ただ介入しないでいてくれ」というメッセージだったという。
ロイターは、こうしたやり取りの正確な内容を確認できなかった。
トルコのフィダン外相は8日にドーハで演説し、エルドアン大統領がここ数カ月アサド氏に接触を試みたが失敗に終わり、トルコは「何かが起こることを知っていた」と述べた。
一方トルコの外務省高官の1人はこの日、シリア反体制派の攻勢はトルコが「黒幕」ではないし、同意を与えたわけでもないと説明している。
トルコの外務省と国防省は、アレッポ作戦に関するHTSとトルコの認識についてロイターの質問に直接回答しなかった。
トルコ政府高官はロイターに対し、HTSは「われわれから命令や指示を受けておらず、作戦についてわれわれと調整もしていない」と説明。「そういう意味では」アレッポでの作戦がトルコの承認または許可のもとで行われたと言うのは正しくないと述べた。
<弱体化したアサド政権>
反体制派はアサド政権が最も弱体化した時に攻撃を仕掛けた。
政権に軍事協力するロシア、イラン、レバノンのヒズボラは他の戦闘に目を奪われ、長年アサド氏を支えてきたような決定的な戦力を動員できなかった。
アサド政権の脆弱な軍事力だけでは反体制派に抵抗できなかった。政権筋はロイターに対し、戦車や飛行機は汚職と略奪により燃料が切れていたと語った。政権の空洞化を如実に示すエピソードだ。過去2年間に軍隊の士気は著しく低下していたと同筋は言う。
シンクタンク、センチュリー・インターナショナルのアロン・ランド研究員は、HTS主導の連合軍は内戦始まって以来のどの反体制派よりも強力で結束しており「その多くはゴラニ氏の功績だ」と述べた。ただ同氏は、決定的な要因は政権側の弱さにあったと指摘した。
米政府高官は、米政府はトルコが反体制派を全面的に支援していることを認識していたが、アレッポ攻勢に関するトルコの暗黙の承認については承知していなかったと述べた。
トランプ次期米大統領は8日、ロシアがアサド氏を見捨てたことが同氏の失脚につながったと発言。そもそもロシアはアサド氏を守るべきではなかった上に、起こってはならなかったウクライナ戦争のためにシリアへの関心を失っていたと付け加えた。
<ガザ地区戦闘の余波>
情報筋によると、ヒズボラは内戦初期にアサド政権を支援していたが、過去1年間にイスラエルとの戦闘のために多くの精鋭戦闘員をシリアから撤退させていた。
シリアでの反体制派の攻勢は、イスラエルとヒズボラの停戦が発効した11月27日に始まった。情報筋によると、ヒズボラはこの戦闘による大打撃からの組織立て直しに集中しており、シリアで大きな戦闘に関与することを望んでいなかった
アサド政権崩壊は、ヒズボラの後退に続いてイランの中東地域における影響力に重大な打撃を与えたと言える。対照的にシリアで最も強力な外国勢力となったように見えるのはトルコだ。
トルコはシリアからの難民を送り返す道筋を確保しただけでなく、シリアの北東部を実質的に支配するクルド人グループの力を抑えたいと考えている。これらのグループは、トルコがテロ組織と認定するクルド系団体とつながりがあるためだ。
こうした中、反体制派による攻勢作戦の一環としてトルコを後ろ盾とするSNAは、クルド人グループの支配地域に属していたテルラファートなどを掌握。トルコの治安当局筋によると、8日にはクルド人グループを押し返して反体制派が北部の都市マンビジに突入したという。
情報BOX:シリアのアサド政権崩壊に対する世界の反応 | ロイター
シリアの反体制派は8日、アサド大統領を追放し、首都ダマスカスを掌握したと発表した。ロシアメディアによると、アサド大統領と家族はロシアに亡命した。
アサド政権崩壊を受けた各国の指導者・機関の発言は以下の通り。
◎欧州連合(EU)フォンデアライエン欧州委員長
「残酷なアサド独裁政権は崩壊した。地域におけるこの歴史的な変革は機会をもたらすが、リスクがないわけではない。欧州は国家統一の維持と、全ての少数派を保護するシリア国家の再建を支援する用意がある」
◎イラン外務省
シリア統一と国家主権を尊重するとし、「軍事紛争の速やかな終結、テロ行為の防止、国民的対話の開始」を声明で求めた。
またイラン政府は、政治的プロセスを実現するための国際的なメカニズムを引き続き支持し、イランとシリアの長期にわたる友好関係は今後も続くとの見通しを示した。
◎イスラエルのネタニヤフ首相
イランとの主要なつながりであるアサド政権の崩壊は歴史的な日となり、イスラエルが(レバノンの親イラン武装組織)ヒズボラとイランに与えた打撃の直接的な結果だと指摘。さらに「いかなる敵対勢力もわが国の国境に進出することを許さない」とした。
◎バイデン米大統領
「長年、アサド大統領の主な支援者はイラン、ヒズボラ、ロシアだった。だが、これらの支援は崩壊した。なぜならイラン、ヒズボラ、ロシアが私が大統領に就任した時よりもはるかに弱体化しているからだ」
「米国はシリアにおけるパートナーや利害関係者と協力し、彼らがリスクを管理する機会をつかめるよう支援していく」
◎トランプ次期米大統領
「アサドは去った。彼は国から逃げた。庇護者であるプーチン大統領のロシアは、もはや彼を守るつもりはなかった」
「ロシアとイランは現在弱体化しているが、その原因はウクライナと経済悪化、そしてイスラエルと同国による戦闘の成功だ」
◎ロシア外務省
声明で、アサド大統領が平和的な権力移譲を命じた後、退任し国を離れたと明かした。
また、シリアにあるロシアの軍事基地は厳戒態勢に置かれているが、現時点では深刻な脅威はないとし、ロシア政府は全てのシリア反体制派と連絡を取っており、暴力を控えるよう求めていると述べた。
◎ヨルダンのアブドラ国王
ヨルダンはシリア国民の選択を尊重すると述べた。シリアで混乱を招く可能性のあるいかなる紛争も回避するよう求め、隣国の安全を守る必要性を強調した。
◎マクロン仏大統領
「ついに野蛮な国家は崩壊した。シリア国民の勇気、忍耐に敬意を表する。この不確実な瞬間に彼らの平和、自由、団結を願う」
「フランスは中東全域の安全保障に引き続き尽力する」
◎スターマー英首相
「シリア国民はアサド氏の野蛮な政権下で、あまりにも長い間苦しんできた。われわれは彼の退陣を歓迎する」
「われわれの焦点は今、政治的解決を実現し、平和と安定を回復することだ」
「全ての関係者に対し、民間人と少数派を保護し、今後数時間から数日中に必要な援助が届くよう求める」
◎サウジアラビア政府高官
「われわれはトルコや全ての利害関係者と常に連絡を取っている」とし、シリアの混乱を避けるために可能なことを行う決意があると述べた。  
◎トルコのフィダン外相
シリア国民が自らの国の将来を形作る段階に達しており、希望はあると述べた。
また、テロ組織がこの状況を利用することを許してはならないとし、非合法組織PKK(クルド労働者党)民兵のいかなる拡大も、シリアにおける正当な対抗勢力とは見なされないと警告した。
◎ショルツ独首相
「アサド氏は国民を残酷に抑圧し、多くの命を奪い、多数の人々をシリアから逃亡させ、その多くがドイツに逃れて来た。シリア国民は恐ろしい苦痛を経験してきた。アサド政権の終焉は朗報だ」
「今重要なのは、シリアで法と秩序が速やかに回復されることだ。全ての宗教グループ、少数派は将来にわたり保護されなければならない」
◎ゲイル・ペデルセン国連シリア特使
「シリアの歴史において重要な節目だ。シリアは14年近く容赦ない苦痛と言葉に尽くせないほどの喪失に耐えてきた。この暗い章は深い傷跡を残したが、きょう私たちは慎重に、希望を持って新たな章の始まりを待ち望んでいる。それは全てのシリア人にとって平和、和解、尊厳、そして包摂の時代だ」
トランプ氏、シリアのアサド政権は「ロシアの支援喪失で崩壊」 | ロイター
政権崩壊後のシリア、米の重大懸案に急浮上 - WSJ
シリアのバッシャール・アサド大統領が予想外に早く失脚したため、同国の将来を巡る問題は退任を控えたバイデン米政権にとって――恐らくトランプ次期政権にとっても――優先度の低い問題から重要な懸案事項へと転換している。
米政府当局者らは、アサド氏を亡命に追い込んだ反体制派の中でも特に、「シャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)」と呼ばれるイスラム主義勢力の狙いを把握しようとしている。HTSは、シリアの首都ダマスカスで誕生する新政権で重要な役割を果たすとみられるが、米政府からは外国テロ組織に指定されている。
最善のシナリオは、アサド政権後のシリアがイランの影響力から解放され、これによりイランがシリアを介しレバノンの親イラン組織ヒズボラに武器を供与できなくなることだろう。
このシナリオ通りなら、すでに変化の渦中にある中東地域にはさらに大きな変化がもたらされる。米国とイスラエルに対抗するためイランが支援している、レバノン、イラク、シリア、イエメンの政府や民兵組織からなる「抵抗の枢軸」主要メンバーの一部を排除することとなるからだ。
一方でシリア全土や大部分が、欧米を敵視するイスラム過激派の支配下に置かれる可能性もシナリオとして残る。さらに国家としてのシリアが完全に崩壊すれば、すでに緊迫した地域にさらなる混乱をもたらす可能性も考えられる。
米政府当局者らは現時点で、今後の展開や米国の影響力の程度について不確実性を抱えている。バイデン政府高官は8日、ジョー・バイデン大統領は中東諸国の指導者と電話会談を行う予定だが、政府当局者らも今後数日間にわたり、シリアの近隣諸国や反アサド勢力と協議するため同地域を訪問することになっていると明らかにした。
だがヒズボラ、ロシア、イランの支援を受けるアサド政権下のシリアに関して、米政府当局者らは膠着(こうちゃく)状態にあると想定していたこともあり、同国の内戦終結はホワイトハウスとしても優先事項ではなかった。
米シンクタンク中東研究所でシリアプログラムの責任者を務めるチャールズ・リスター氏は、「バイデン政権は就任当初からシリア問題と意図的に距離を置いてきた」と指摘。「その結果、重要な複数の当事者と米政府の関係については、広がりも深さも時間とともに衰えてしまった」という。
バイデン氏は8日には、国家安全保障担当の側近らとの会合後、シリアの情勢転換は同国民にとって重要な機会となると発言した。「今後の情勢に目を向けるにあたって、米国はパートナー国やシリアの利害関係者と協力し、リスク管理の機会を捉える支援をしていく」とした。
一方、HTS指導者でスンニ派のムハンマド・ジャウラニ氏は、国外からの信頼回復と国際支援への可能性を模索しており、宗教的および民族的少数派を保護すると約束している。ホワイトハウスはこうした発言を慎重に精査すると述べており、米政府当局者らもHTSや他の反政府組織とどのように関わるかを検討している。
バイデン氏は「彼らは今、正しいことを言っている」としながらも、「今後、より大きな責任を担うようになれば、われわれは言葉だけでなく行動も注視していく」ことになると述べている。
反体制派主導による新政権への移行が比較的平和に行われるかについては、スンニ派グループやクルド人、アラウィ派など少数派を含む対立勢力がさらなる紛争を回避できるかに大きく左右されるだろう。
アサド政権崩壊、中東の勢力図が一変 - WSJ
シリアのアサド政権の追放を目指す闘いは13年余りを要し、無数の死者や破壊をもたらした。外部勢力がシリアを自分たちの野心を追及する代理戦争の場に変えたからだ。
バッシャール・アサド大統領の敵・味方双方を驚かせた反体制派の電撃的な攻勢により、政権は8日午前、ついに崩壊した。それを実現したのはシリア人自身だった。政権の主な支援勢力は、よそで起きた大混乱によって弱体化し、注意をそがれていた。
この地殻変動が中東と世界のパワーバランスに重大な影響を及ぼすのは必至だ。
今後の展開は、反体制派主導の新政権への移行がいかに秩序立って行われるかや、少数派のクルド人やイスラム教アラウィ派(シーア派の一派)を含むシリア国内の対抗勢力がさらなる紛争を回避できるかに左右されるだろう。
勝者と敗者は既にはっきりしている。だが、民衆が心に傷を負い、暴力が染みついているシリアのような国では、得たものも失ったものも幻となるかもしれない。
「われわれはこの地域の大きな変化を目の当たりにしている。トルコは強くなり、ロシアは弱くなり、イランも弱体化した」。反アサド政権の急先鋒である野党政治家のバドル・ジャマス氏はこう述べた。「ただ以前とは異なり、これから大きな役割を果たすのはシリア人だ。誰もがわれわれの意見や決定に耳を傾けなくてはならなくなるだろう」
イランの在ダマスカス大使館は反体制派が権力を奪取した直後に略奪に遭った。同国は「抵抗の枢軸」の主要な同盟国と、代理勢力であるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとつながる重要な陸地を失った。
ロシアは長年、アフガニスタンやベトナムでの米国とは違い、従属する国を決して見捨てないと豪語してきた。そのロシアも屈辱的な打撃を受け、地中海に面した自国の重要な海軍・空軍基地の将来を巡る不確実性に直面している。
トルコは今のところ優位に立っている。アサド氏が去ったことで、南の隣国シリアや東地中海沿岸全域に対してこれまでよりはるかに大きな影響力を行使するだろう。これはレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の新オスマン主義という野望に追い風となる。
トルコは公然と武装組織「シリア国民軍(SNA)」を支持している。SNAはここ数週間、主にシリアのクルド人勢力との戦いに集中しており、衝突は8日の時点でも続いていた。トルコはまた、最も強力なシリア反体制派「シャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)」の活動に対し、暗黙の支持を与えてきた。
HTSは過去に国際テロ組織アルカイダと関係を持っていたことから米国からテロ組織に指定されている。8日のダマスカス陥落前に、アレッポとハマ、ホムスを制圧した反体制派の攻撃で中心的な役割を担った。ダマスカスの陥落に主に関わったのはシリア南部の反体制派で、その多くはかつてサウジアラビアから支援を受け、その後ロシアの仲介による和平プロセスの一環で政権と和解した戦闘員だった。
米シンクタンク、中東研究所でシリアプログラムの責任者を務めるチャールズ・リスター氏は「トルコには、この結果が新たな内戦や、アラブ人やクルド人などによる地図の塗り替えではなく、さらなる安定と難民の帰還、新たなシリアの誕生に確実につなげる主な責任がある。トルコにはその手段がある」と話す。
トルコ政府当局者は他のほぼすべての国の当局者と同様に、シリア反体制派の思いがけない成功に驚いた。トルコのハーカン・フィダン外相は8日ドーハで、シリアの一体性と領土保全を維持することがトルコの大事な目標だとした上で、同時にシリアのクルド人支配地域にいる「テロリスト」との戦いも重要だと述べた。
「トルコの視点からすると、新たな危険要素はシリア国家の崩壊だ」。トルコの元外交官で、イスタンブールのシンクタンク「エダム」を率いるシナン・ウルゲン氏はこう話す。「シリアの政治的一体性の分断化は、米国やイスラエルの支援を受けたクルド人勢力による原始的国家の誕生につながる可能性がある」
HTSはSNAと違い、ここ数週間にわたってクルド人との戦闘をおおむね控えている。HTSはアレッポ市内の各地からクルド人武装勢力が安全に退避するのを容認したほか、シリアの人種的・宗教的多様性を保護する必要があると表明している。
シリア反体制派をかつて資金面で支えていたサウジやカタールなどペルシャ湾岸の君主国も、アサド氏の失脚が、中東各国の支配者に対する新たな蜂起の波やイスラム国(IS)のような過激主義運動の復活につながるのをいかに防ぐかを考えている。こうした過激主義は2011年の「アラブの春」以降に活発化した。
「この地域には多くのトラウマがある。良いニュースはすぐに悪いニュースに変わる」カタール首相の上級顧問を務めるマジド・アルアンサリ氏はこう話す。「アラブの春以降に他国で起こったことがシリアで起きてほしくない。われわれは国民を養える存続可能な国家への移行を望んでいる」
イスラエルは先週末、ゴラン高原に沿ってシリア領内への軍の侵入を進めた。同国は、最強の敵対勢力である、イラン主導の「抵抗の枢軸」の一部が崩壊したことで戦略的成果を得た。イスラエルがレバノンのヒズボラに壊滅的な打撃を与えたことで、シリア反体制派が政権軍を圧倒することが可能になった。かつてヒズボラは最も能力の高い戦闘部隊をアサド政権に提供してきた。
ただイスラエル当局者は、トルコに支援されたイスラム教スンニ派の国家が隣国として台頭することを懸念している。新たな国家は、イスラエルが1967年に占領したゴラン高原の奪還を目指したり、パレスチナの武装勢力ハマスと連携したりするかもしれない。
HTSを率いるアハメド・アルシャラ氏(通称アブ・ムハンマド・アル・ジャウラニ)は、イスラエルのゴラン高原占領から逃れたシリア人の子孫だ。通称はその歴史に由来している。ダマスカス入りしたジャウラニ氏は8日、旧市街のウマイヤ・モスクで勝ち誇った姿を見せた。同氏は以前、自身が初めてイスラム政治に深く関わったのは2000年に始まったパレスチナ人の第2次インティファーダ(対イスラエル抵抗運動)の時期だったと語っていた。
イラクもイスラエルとやや似通った懸念を抱いている。イラクの当局者は、シリアでの出来事がイラク国内でのスンニ派の新たな蜂起を引き起こす可能性を恐れている。そもそもジャウラニ氏が最初に銃を手に戦ったのは、シーア派が多数派のイラクで2003年にスンニ派イスラム勢力が蜂起したときだった。同氏はイラクのムハンマド・スダニ首相に宛てた先週のビデオメッセージで、イラクのシーア派民兵組織に対し、シリア情勢への介入を避けるとともにアサド氏を助けないようよう求めた。イラク政府は最終的にこの求めに応じた。
テヘランのシンクタンク「ガバナンス・アンド・ポリシー・シンクタンク」の共同創設者セイエド・エマミアン氏は、イランにとってはシリアでの紛争のイラクへの波及を防ぐことが、再び優先課題になる可能性があると指摘する。「それはイランにとって抵抗の枢軸の仲間を支えるという意味だけでなく、イラクの治安を維持するという面でも極めて重要だ。イラク国内で何らかの混乱が起きればイランの国境地帯が極めて危険な状態になり、国家安全保障上の問題になり得るからだ」
シリア国内でクルド人支配地域とヨルダン国境付近の砂漠地帯に兵力を維持している米国は、アサド政権の崩壊過程を通じて様子見の姿勢を続けた。ドナルド・トランプ次期米大統領はこうした対応を支持し、7日のソーシャルメディアへの投稿の中で、シリアは「われわれの戦争ではない」、「(米国は)関与すべきではない」と主張した。ロシアについてはアサド政権崩壊後の別の投稿で、そもそも同国がシリアに介入すべき理由はなかったと述べた。
ロシアのソーシャルメディア上ではダマスカス陥落は地政学的な大惨事として扱われ、超国家主義の思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏はこれを「悲劇的な出来事」と表現した。ロシアは2015年にシリアに派兵し、反体制派が優勢な状況を逆転させ、間近に迫っていると思われた政権の崩壊を防いだ。
「今回の出来事はロシアの地域的な影響力と威信に大きな打撃を与えた」。カーネギー国際平和財団ロシア・ユーラシアセンターのアレクサンドル・ガブエフ所長はこう述べた。「イランとともにアサド政権側についてシリア内戦に干渉し、政権を支えることは、ロシアが身の丈以上の影響力を行使できることを示す主要な行動の一つだった」
シリアの地中海沿岸の基地(ロシアが2017年に49年契約で租借したタルトスの海軍施設と、フメイミム空軍基地)は、ロシアが中東やアフリカで影響力を行使する上で不可欠だった。ロシアはリビア、スーダン、中央アフリカ、マリ、ニジェールなどアフリカの広範な地域で紛争に介入している。
ロシアとイラン、トルコ、アラブ主要国は7日、アサド政権崩壊の数時間前にカタール・ドーハでシリアについて協議した。この協議に参加した複数の外交官によると、政権移行の一環としてロシアがこれらの基地を維持できるという確約を得た可能性が高いという。
ただ、シリアの反体制派がそうした約束をどの程度履行するかは不明だ。ロシアが過去10年間にシリアの諸都市を空爆でがれきに変えてきたことを踏まえれば、なおさら不透明感がある。これを左右する要因の一つは、今後のシリア政府が少なくともロシアとの何らかの軍事協力に関心を持つ可能性が高いという点だ。これは、アサド政権から奪取した兵器のほとんどがロシア製またはソ連製であるためだ。
「シリア軍はロシアが訓練し、確立した。軍を統治するソフトウエアはロシア製だ」。シリア反体制派とつながりのあるシンクタンク「オムラン」のエグゼクティブディレクター、アマル・カーフ氏はこう述べた。「シリアは米国ともロシアとも良好な関係を持つ中立的な国家になる可能性があるが、シリア軍は基本的にロシアの方に向いたままだろう」
今のところ、シリアの反体制派はロシアの扱いをイランと区別している。反体制派はアレッポ制圧後に出した声明で、シリア国民はロシアに対して不服はないと述べた。反体制派はダマスカスのイラン大使館で喜々として略奪行為に及んだが、ロシア公館は略奪を免れた。
イランは明らかに打撃を受けたが、シリアにおける影響力をすべて失ったわけではない。アフガニスタンでは1998年、同国のイスラム教スンニ派勢力タリバンがマザーリシャリーフのイラン公館で略奪行為をし、外交官数人を殺害する事件があった。しかしその後の10年間で、イランはアフガニスタンのタリバンと良好な協力関係を築くことに成功し、2021年にタリバンがカブールを掌握し復権すると結び付きは強固になった。
シンクタンク「国際危機グループ」のシニアアドバイザー、ディナ・エスファンディアリー氏はこう語った。「シリアで起きたことはイランにとって一時的な後退であるのは間違いない。だが、イランは日和見主義であり、不安定な情勢の中で立ち回るのに慣れている点を念頭に置くことが重要だ。イランは長期的な戦略をとる」
シリアのアサド政権崩壊、権力の空白に懸念 - WSJ
シリアを50年以上にわたり支配してきたアサド一族の独裁政権が8日に崩壊し、反政府勢力が首都ダマスカスを制圧したと発表した。バッシャール・アサド大統領が国外に脱出する中、長年抑圧されてきた国民の間で祝賀ムードが広まっているものの、中東全体にどのような影響が生じるかについては懸念も浮上している。
反体制派はここ一週間でシリアの主要都市を一気に制覇し、ダマスカスに侵攻した。アサド政権に攻勢を仕掛けた「シャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)」と呼ばれるイスラム主義勢力を率いるムハンマド・ジャウラニ氏も8日、わずか数時間でダマスカス入りを果たしている。
ロシア国営タス通信は8日、アサド氏がロシアに脱出したと報道。またロシア政府は同氏と家族の政治亡命を認めたとも伝えられている。
イスラエル軍のアラビア語広報官は8日のXへの投稿で、「地域内の戦闘によりイスラエル国防軍(IDF)は出動せざるを得ない状況だが、住民に危害を加えるつもりはない」と述べた。
シリアの治安当局者ら2人によれば、アサド氏は現地時間の8日早朝に国外へ脱出。行き先は不明だと述べていた。その後にロシア外務省は、アサド氏が辞任して出国したと明らかにした。ロシア政府はまた、シリア国内の全ての反政府組織と連絡を取っているとも外務省は付け加えた。
シリアのアサド政権は10年以上にわたる内戦と経済危機を生き延びてきたが、北部、南部、そして東部から反体制派が迫る中、その急速な進撃の圧力に屈した。また今回の戦闘は、1年以上にわたって中東を揺るがしてきたさまざまな紛争において、新たな劇的展開となった。これらの紛争は2023年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル南部への攻撃に端を発し、ガザ地区での戦争やその後レバノンやイランなどへも拡大している。
アサド政権の崩壊には、レバノンやウクライナでの戦争も影響している。この二つの戦争は、政権を支えてきた重要な後ろ盾であるロシアに加え、レバノンの親イラン組織ヒズボラの軍事力を弱体化させる形にもなった。
ドナルド・トランプ次期大統領は8日、アサド氏の国外逃亡に触れ、「ロシアがもはや彼を守ることに関心がなかった」ことが理由だと述べた。トランプ氏はまた、「ロシアはウクライナのために、シリアへの関心をすべて失った」とも指摘した。
イラン、ロシア、トルコ、イスラエル、アラブ諸国、そして少なくとも900人の兵士をシリアに駐留させている米国は、事態の推移を注視している。戦略的に重要な中東のシリアで無秩序が深まれば各国の利益が損なわれる可能性がある。また後継者の計画なしに政権が急速に崩壊したことで危険な権力の空白が生まれ、近隣諸国に波及効果が生じることも懸念されている。
アサド政権崩壊につながった一連の戦闘は、米国がテロ組織に指定しているHTSによって開始された。HTSは過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカイダとのつながりのあったジャウラニ氏が率いている。同氏はこれらのつながりを断ち切り、シリアの宗教的・民族的多様性を守ると誓っているが、こうした発言がどこまで本当かは分からない。
アサド一族に対しては批判も多かったが、敵対的な反政府組織と対峙しつつ、トルコ、ロシア、イランなどの外部勢力からの圧力にもさらされながらも長年にわたり一定の勢力均衡を保ってきた。だがここ数日間、近隣諸国は紛争の波及を防ぐため国境の強化を急いでいた。
シリアは小さく貧しい国だが、相互に関連するさまざまな地域紛争において中心的役割を果たしてきた。同国はヒズボラへの武器供給のパイプラインとなり、イランの影響力がイスラエルとの国境にまで及ぶ支えとなってきた。また化学兵器を保有、これを使用したこともあり、現在はその悪用が危惧されている。
バイデン氏、米軍がシリア国内の「イスラム国」拠点を空爆と発表 - WSJ
ジョー・バイデン米大統領は8日、米国がシリア国内にある過激派組織「イスラム国」(IS)の標的に対し空爆を行ったと明らかにした。攻撃はシリアのアサド政権崩壊からわずか数時間後に実施された。
バイデン氏は「米軍は本日、シリア国内でISの拠点や幹部を標的とした数十回の精密空爆を実施した」と述べた。米軍はIS戦闘員に対する防衛のため、シリア南東部に約900人の部隊を維持している。
バイデン氏はまた、「ISが権力の空白に乗じようとすることは承知している」とし、「そうはさせない」と付け加えた。
米政府高官によれば、米軍は8日にシリア国内の75カ所の標的を攻撃。B52爆撃機やF15戦闘機、A10攻撃機を投入し、140発の弾薬を使用したと明らかにした。現時点で作戦の即時評価は行われていない。同高官はまた、シリアの化学兵器が「誰の手にも渡らないよう、また適切に管理されるよう」全力を尽くしていると記者らに述べた。
シリアのアサド政権崩壊はひとつの時代の終わりを意味する|ARAB NEWS
「自由の夜明け」: シリアが50年にわたるアサド支配に終止符を打った日の記録|ARAB NEWS
シリアの化学兵器廃棄の絶好の機会、アサド政権崩壊で=外交筋 | ロイター
NATO事務総長、ロシアとイランを批判 アサド氏「見捨てた」 | ロイター
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は9日、崩壊したシリアのアサド政権の主要な支援国だったロシアとイランについて、アサド氏が役に立たなくなったと見なした時点で「見捨てた」と非難した。
ルッテ氏は、ロシアとイランはアサド政権がシリア国民に対して犯した罪の責任を負っていると指摘。シリアの平和的な権力移譲を望むとし、政権移譲中の法の支配の順守のほか、民間人の保護、宗教的少数派の尊重などの必要性を強調した。
米国務長官、シリアでのイスラム国再興を警戒 | ロイター
ブリンケン米国務長官は9日、シリアのアサド政権崩壊を受け、過激派組織「イスラム国」(ISIS)がシリアで再興を図る恐れがあると警告した。
ブリンケン氏は、ISISがこの機に乗じて組織を再興し、安全な拠点を作ろうとするとの見方を示した上で、「われわれはそうさせないよう断固として取り組む」と言明した。
また、シリア国民が自らの未来を選択する必要があるとした上で、反政府勢力指導者らによる包括的な統治体制に向けた発言は歓迎するものの、真の評価は言葉ではなく具体的な行動によって決まるとの考えも示した。
●エマージング
韓国、尹大統領に出国禁止措置 | ロイター
尹錫悦大統領になお統帥権、米国との同盟に混乱なし=韓国国防省 | ロイター
「プーチン政権の弱さ露呈」、シリア政権崩壊でウクライナが見解 | ロイター
中国、25年の刺激策強化示唆-トランプ氏との貿易戦争再燃に備え - Bloomberg
中国共産党指導部は9日、2025年に金融緩和と財政支出の拡大を進める方針を示した。トランプ次期米政権の発足を来月に控え、米国との第2次貿易戦争に備える。
習近平総書記(国家主席)をトップとする中央政治局は来年の金融政策を「適度に緩和的」とすると発表。11年以来の大幅なスタンス変更となる。これまでは「穏健な」金融政策としていた。国営新華社通信によると、指導部は財政政策に関しても「より積極的な」と、従来の「積極的な」から表現を強めた。
今回の政治局会議では「不動産と株式市場を安定化させる」方針が示されたほか、共産党用語で景気押し上げを目的とした異例の手段の活用を意味する「超常規の逆周期政策調整」の強化も打ち出された。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のシニアストラテジスト、邢兆鵬氏は「今回の政治局会議の声明文の表現は前例がない」と指摘。強力な財政拡大や大幅利下げを示唆しているとの見方を示した。
邢氏はトランプ氏が中国からの輸入品に60%の関税を課す考えを示唆している点に触れ、「政策のトーンとしてはトランプ次期大統領による脅威への備えに強い自信を示している」とも分析した。
中国当局が9月下旬から広範な刺激策を打ち出し、景気はここ数カ月で安定化の兆しを見せている。だが、米追加関税の可能性で輸出見通しは悪化し、世界2位の経済規模を誇る中国には貿易戦争が再燃した場合のショックに対処する必要性が生じていた。
12月の政治局会議では通常、年間の国内総生産(GDP)成長率目標など翌年の経済運営方針を決める中央経済工作会議に向けた議題が設定される。ブルームバーグ・ニュースは、中央経済工作会議が11日から始まると先週報じた。
中国はここ数年、金融引き締めと緩和のサイクルを何度か繰り返してきたが、11年以降は「穏健な」金融政策という全般的なスタンスを堅持していた。11年当時は当局が世界金融危機の際に採用した「適度に緩和的な」スタンスからインフレ抑制に転じた。
今回の金融政策スタンス変更は、新型コロナウイルス禍後に期待されていた好景気が実現せず、中国人民銀行(中央銀行)による緩和モードの強化が急務だったことを示している。人民銀はすでに利下げに踏み切り、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率も引き下げてきたが、借り入れ拡大を促す効果は乏しかった。
ジョーンズラングラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、龐溟氏は「追加的な政策手段では量と質、効果において大幅な改善が見込まれる」と指摘。「GDP成長率目標は5%前後に設定される可能性がかなり高まった」と述べた。
中国首相が表明、需要拡大のためあらゆる手段を講じていく - Bloomberg
中国の李克強首相は、国内消費を刺激して経済成長を支えるために、政府としてあらゆる手段を講じていくと表明した。
国営新華社通信が報じたところによると、李氏は9日、北京で開かれた国際通貨基金(IMF)や世界銀行など国際機関10団体の代表らとの会合で、中国はカウンターシクリカル的な措置を強化し、マクロ経済政策をさらに進めて経済を支えると述べた。
今年の中国経済は、消費の低迷とデフレに苦しんできた。中国の輸入需要は打撃を受け、影響は世界に及んだ。来月のトランプ次期米政権の発足は中国の見通しを悪化させる可能性が高い。
中国財政省の廖岷次官は9日の会見で、国際機関の代表らはデカップリングが世界経済にダメージを与えるとの懸念を示したと述べた。ただ、代表らは中国経済の減速を認めた上で、マクロ経済政策には懸念に対処する余地が十分あるとみているという。
中国共産党指導部は9日、2025年に金融緩和と財政支出の拡大を進める方針を示した。習近平総書記(国家主席)をトップとする中央政治局は来年の金融政策を「適度に緩和的」とすると発表。11年以来の大幅なスタンス変更となる。これまでは「穏健な」金融政策としていた。
中国がエヌビディアを調査、独占禁止法違反の疑い-株価下落 - Bloomberg
中国の輸出攻勢、グローバルサウスも反発 - WSJ
発展途上国に押し寄せる安価な中国製品が、中国とグローバルサウス(新興・途上国)の緊張を高めている。このことは、米国との貿易摩擦がエスカレートする中で、他国と新たな協力関係を構築しようとする中国政府の計画に影を落としている。
ドナルド・トランプ次期米大統領は対中関税を大幅に引き上げる方針を明らかにしており、中国は過剰な工場生産物をインドネシアやパキスタン、ブラジルなどの途上国にもっと振り向けたいと望んでいる。
ところが、こうした国々の多くは反発している。中国からの安価な輸入品が自国の工場を圧迫し、雇用を奪い、国内製造業を育成する取り組みを阻害しているためだ。多くの貧困国は、経済発展を推進する最善の方法として製造業を拡大させることに期待をかけている。
中国への反感が高まっていることは、グローバルサウスのリーダーになるという目標の足かせになる恐れがある。米国に対抗する独自の協力関係を構築する手段として、中国は途上国の支持を集めようと努力してきた。
多くの途上国は目下、四半世紀前に米国の産業を破壊したのと同じような「チャイナ・ショック」に見舞われることを危惧している。エコノミストの推計によると、米国では1999年から2011年にかけて家具やおもちゃ、衣料品のメーカーが中国からの輸入品との競争に負け、200万人以上の雇用が失われた。
同様のパターンが、中国の貿易パートナーである発展途上国の一部で起きているようだ。タイの銀行キアットナキン・ファトラ・ファイナンシャル・グループ傘下のKKPリサーチによると、タイでは中国製品の流入が急増したため、2023年初めから24年1~3月期にかけて1700超の工場が閉鎖された。
新規工場の開設がこれらの閉鎖を埋め合わせるのに一役買っているが、「将来の見通しは一段と厳しくなる公算が大きい」という。
中国からの輸入に対抗するため、発展途上国は2022年初め以降、関税や反ダンピング(不当廉売)調査、反補助金調査など、中国製品を対象にした250近い通商上の防衛措置を講じている。自由貿易を支持するスイスの非営利団体(NPO)グローバル・トレード・アラートが明らかにした。
こうした防衛措置のうち120以上は、中国などの新興国で構成する「BRICS」の主要メンバーであるブラジルによるものだ。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領と中国の習近平国家主席との個人的な結びつきにもかかわらず、同国は中国をはじめ各国で製造された自動車部品や通信機器、鉄鋼に対する関税を引き上げた。
インドネシアは10月、中国発のネット通販アプリ「Temu(テム)」を禁止した。このアプリを使うと、激安価格の商品が中国の工場から世界中の消費者の玄関先まで直接届けられる。インドネシア当局はこのモデルが略奪的な価格設定のリスクを高めると述べた。
「外国製品が国内の中小企業の製品よりもはるかに低価格で入ってくれば、消費者は安い方を選ぶだろう」とインドネシア通信・情報省のプラブ・レボルシ公共情報通信局長は述べた。「わが国の中小企業は競争に苦しむことになる」
中国商務省はコメントの求めに応じなかった。
マンゴーの輸入要請
一部の途上国の首脳は、自国の不満をはるばる北京まで伝えに行っている。バングラデシュのシェイク・ハシナ首相(当時)は7月に訪中した際、中国と「より公平な通商関係」を結びたいと述べた。中国のバングラデシュに対する貿易黒字は年間220億ドル(約3兆3000億円)に上っている。ハシナ首相はバングラデシュ産マンゴーの輸入開始という約束は取り付けたものの、それ以上の成果は得られなかった。
南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は9月に訪中した際、同様の要請をした。南アフリカ経済が停滞する中、中国から同国への輸出は2016年以降2倍に増えている。
その一方で、中国はグローバルサウスに対する融資や投資計画を数十億ドル規模に拡大してきた。中国はこうした資金が、米国よりも信頼に足る存在である証拠だと主張している。米国の支援の約束は時に実現しなかったり、制限が課されたりするからだという。
習氏は11月、中国の資金で建設したペルーの新しい大型深海港の開港式を見守った。多くの新興国は大豆や鉄鉱石などの一次産品を中国に大量に輸出しており、中国と自由貿易協定(FTA)を結んでいる国もある。
途上国には中国との関係を深める地政学的な理由があり、米国への不信感を持つ国もある。習氏とブラジルのルラ大統領は11月、貿易関係や投資をさらに強化することで合意し、抱擁を交わすなど、ブロマンス(男性同士の信頼関係)を確かめ合った。ブラジルは対中国で貿易黒字を確保する数少ない国だ。
こうした相反する流れが起きるのは、中国が可能な限り多くの国を味方につけようとする中、諸外国との関係が複雑化していることの表れだ。トランプ氏は中国製品への輸入関税を60%以上に引き上げる考えを示すが、それより小幅な引き上げだとしても、不動産バブルの崩壊などさまざまな問題からまだ立ち直れない中国経済を揺るがす可能性がある。
中国の過剰生産
不協和音の多くは、中国が経済安定化に向けて製造業を支援していることに起因する。2021年に不動産バブルがはじけて以降、中国指導部は製造業に資金をつぎ込み、それが大幅な増産と輸出急増につながっている。
欧米は関税引き上げによって中国が過剰生産した製品の流入を防いでいるため、必然的に発展途上国がその受け皿となっている。
国際通貨基金(IMF)のデータによると、2022年初めに比べ、中国の新興国向け輸出額は19%増加している。同期間に新興国からの輸入額は11%増だった。
その結果、中国の新興国に対する貿易黒字は今年8月までの12カ月間で3840億ドルに達し、2021年に比べ56%拡大した。
これは途上国の側には受け入れがたい事実だ。中国は経済が成熟するにつれ安価な製品の生産から手を引くと予想されていたからだ。そうなれば、途上国が繊維や鉄鋼など労働集約型産業に乗り出す余地が生まれ、経済発展が加速するとの期待があった。
ブラジルの不満
ブラジルでは、経営者らが工業部門の低迷を主に中国の責任だとしている。製造業は1985年に同国の国内総生産(GDP)の36%を占めていたが、昨年は11%を割り込むまでに縮小した。
鉄鋼は論争の主な焦点となっている。ブラジルは鉄鋼の主原料である鉄鉱石の供給量で世界有数の規模を誇る。だが生産を国内で行うよりも、1万6000キロメートル以上離れた中国に運び、鉄鋼にして輸入する方が安い場合が多い。そのためブラジルに投資することをためらう企業がある。
「鉄鋼の20~23%程度をすでに輸入している国に投資して何の意味があるのか。当社にとってひどい市場だ」。欧州鉄鋼大手アルセロール・ミタルのブラジル部門トップ、ジェファーソン・デ・パウラ氏はこう述べた。
ブラジル政府は最近、ワイヤやケーブルなど一部の鉄鋼製品に対する輸入関税を2倍に引き上げたが、企業は輸入品を一律に制限するよう求めている。
反発も慎重に
インドネシアでは、中国企業が天然資源に巨額の資金を投じ、ニッケルをはじめとする同国の資源輸出を後押ししている。
一方、インドネシア第2の都市スラバヤにある家族経営のおもちゃメーカー「Pt.GMS」のような小規模事業者にとって、中国との競争を生き抜くのは困難だ。中国製おもちゃの輸入は2018年の4億ドル弱から23年には約8億5000万ドルへと倍増した。
「まるで金を惜しげもなく使って安売りしているようなものだ」と同社のウィナタ・リアングサプトラ取締役は言う。
数十年の歴史を持つ同社の工場では人員を削減し、紙のパズルなどの人手がかからない低価格商品にシフトしている。原材料を近くで調達すればコストを削減できるという。
他の業界でも中国に対する通商政策を厳しくするよう求める声が上がっている。インドネシア製陶業協会は、中国製の安価な皿やボウルのせいで国内陶磁器工場が6カ所以上閉鎖されたと話す。
ただ、中国への一次産品の輸出を考えると報復は危険な行為になりかねない、と地元住民の一部は言う。
インドネシアのズルキフリ・ハッサン貿易相(当時)は7月の演説で、中国の輸出業者が過剰生産への対応に苦慮する中で、同国が中国製品の氾濫に見舞われていると指摘。国内産業を保護するため、近く繊維や陶器などの輸入品に最大200%の関税を発動すると述べた。
数日後、別の閣僚がいかなる関税であれ中国を標的にすることはないと明言した。だが中国外務省の報道官は記者会見でこの議論に触れ、「中国企業の正当な権利と利益を守るために必要な措置を講じる」と警告した。
関税は結局、実施されなかった。インドネシア貿易省はコメント要請に応じなかった。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(9日)株下落、エヌビディア安い ドル・利回り上昇 | ロイター
### 為替市場  
- ドル指数は0.179%上昇の106.14。  
- 豪ドル/米ドルが0.82%、NZドル/米ドルが0.58%上昇。  
- 人民元代理通貨としての豪ドル・NZドルが注目される中、中国が「適度に緩和的な」金融政策を発表。  
- ユーロは対ドルで下落し、ドル/円は0.77%上昇し151.235円。  
### 債券市場  
- 10年国債利回りは4.195%、2年国債利回りは4.124%に上昇。  
- インフレ指標次第でFOMC(米連邦公開市場委員会)の利下げ期待に影響。  
### 株式市場  
- 主要3指数が下落。  
- エヌビディアは中国の独占禁止法調査で2.5%下落、AMDは投資判断引き下げで5.7%下落。  
- コムキャストはブロードバンド加入者減少見通しで9.5%下落。  
- 一方、ハーシーは買収報道を受け10.9%上昇。  
### 商品市場  
- 金価格は中国の購入再開を背景に1オンス=2,685.80ドルに上昇。  
- 原油価格はシリア情勢悪化への懸念からWTI原油が1.74%上昇し1バレル=68.37ドル。  
全体として、インフレ指標や地政学的動向への注目が高まる中、市場は不安定な動きを見せています。
欧州市場サマリー(9日) | ロイター
### ロンドン株式市場  
- **FTSE100指数**は反発し、鉱業株やエネルギー株が押し上げ要因。  
- **FTSE350鉱業株指数**は3.79%上昇。リオ・ティント、グレンコア、アントファガスタが3.8~4.9%上昇。  
- **石油・ガス株指数**は2.91%上昇。BPは4.3%上昇し、日本企業JERAとの洋上風力事業統合も注目。  
- 一方、中型株の**FTSE250指数**は0.05%下落。  
### 欧州株式市場  
- **STOXX欧州600種資源株指数**は3.15%高、中国の新たな景気刺激策への期待で資源株が上昇。  
- 高級ブランドの**LVMH**と**ケリング**は3.5%上昇。  
- フランスの**CAC40指数**は0.72%上昇し、8営業日続伸。  
- 原油価格の上昇を受け、欧州の石油・ガス株指数は2.05%高。  
- フランスのメディア大手**ビベンディ**は企業分割案承認で1.2%上昇。  
### ユーロ圏債券市場  
- **ドイツ10年債利回り**は2.12%で横ばい。市場は11日の米CPIや12日のECB理事会に注目。  
- **独仏10年債利回り格差**は2bp縮小の75bp、フランスの政治リスクが影響。  
- **イタリア10年債利回り**は2bp低下の3.18%。独伊10年債利回り格差は106bpで37カ月ぶりの低水準。  
### 総括  
鉱業・資源株や高級ブランド株が中国政策への期待で上昇する一方、中東情勢や中央銀行の政策動向も注目される状況です。

備忘録(2024/12/6-8
●海外企業決算
●海外企業
沈むインテル株、投資家に広がる諦めムード-経営再建は視界不良 - Bloomberg
米インテルの株価は今年、軟調が続いていた。しかし、突然の最高経営責任者(CEO)の解任により、タオルを投げる投資家がさらに増えている。
インテルは2日、再建計画を進めていたパット・ゲルシンガーCEOの退社と、2人の暫定共同CEOの就任を同時に発表。株価は下落し、週間ベースでは13%安と、3カ月ぶりの大幅安となった。年初来での下落率は58%に達しており、1983年以降で最悪の年間パフォーマンスに向かっている。
ボケ・キャピタル・パートナーズの創業者で最高投資責任者(CIO)のキム・フォレスト氏は「方向音痴でリーダー不在の組織にしたいのなら、2人をトップに置くのがいいだろう」と語る。この言葉こそ、インテル株が敬遠される理由を端的に示している。ゲルシンガー氏による経営再建は確かに時間がかかり過ぎだったが、投資家にとっては、この先どうなるか分からないよりは良かっただろう。
デービッド・ジンスナー共同CEOは4日に開催されたUBSの会議で、直近のガイダンスを改めて説明し、設備投資を厳しく管理すると語ることで投資家の不安を和らげようとした。しかし、その言葉は投資家には響かず、株価は上向かなかった。KCラージクマール氏率いるリンクスのストラテジストは、「弱々しい」プレゼンテーションだったと一蹴。いったん白紙に戻す機会をジンスナー氏は逃したと語った。
インテル株のコンセンサスレーティング(買い、ホールド、売りの投資評価の比率を示す指標)は5段階中の2.96で、2023年3月以来の低水準となっている。ブルームバーグが追跡しているアナリスト52人のうち、インテル株の買いを推奨しているのはわずか7人だ。
暫定ではない新CEOが見つかるまで、多くのアナリストや投資家は様子見姿勢となりそうだ。一部には、ゲルシンガー氏の穴を埋められる候補者がいるとは思えないとの声もある。
ガベリ・ファンズのポートフォリオマネジャー、ヘンディ・スサント氏は「私はゲルシンガー氏こそがインテルにとって最善のCEOだと考えていた」とし、「製造業の経験を持つ候補者のリストが思い浮かばない。(新CEO探しは)至難の業だ」と語った。
アップルが自社製モデムチップ投入準備-クアルコム製から移行へ - Bloomberg
米アップルは、スマートフォン「iPhone」に搭載する自社製モデムチップを市場に投入する準備を進めている。同社の最も野心的なプロジェクトの一つである自社製モデムチップ開発は計画に遅れが生じていたが、クアルコム製品からの置き換えがようやく進むことになる。
事情に詳しい複数の関係者によれば、5年余りかけて開発されたアップルの自社製モデムシステムは来春に投入される見通し。このモデムチップは、エントリーレベルの「iPhone SE」に搭載される予定だ。アップルは2025年、iPhone SEの新型を発表する見通し。
その後はさらに高度なモデムチップを投入する予定。関係者らによれば、アップルは27年までにクアルコムの技術を追い越したい考えだという。関係者らは、プロジェクトは部外秘だとして匿名を条件に語った。
アップルがこのチップの製造に着手した当初は、早ければ21年の市場投入を目指していた。だが開発の途中で多くの問題に直面し、遅れが生じていた。
その後、開発手法を調整し、経営陣を再編成、クアルコムからも多くのエンジニアを採用した結果、アップルはようやく成功を確信したと、関係者らは語った。
英保険アビバ、ダイレクト・ライン買収へ 46億ドル新提案で合意 | ロイター
●日本企業
楽天Gが株主優待強化、モバイル音声とデータプラン1年無料に | ロイター
●先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
米シカゴ連銀総裁、来年末までの中立金利水準到達に期待 | ロイター
FRB、利下げペース減速の時期到来=クリーブランド連銀総裁 | ロイター
インフレをなお懸念、利下げは慎重に=ボウマンFRB理事 | ロイター
英中銀、一段の利下げを 政策なお非常に制約的=ディングラ委員 | ロイター
米金融システム、商業用不動産や暗号資産のリスクに直面-イエレン氏 - Bloomberg
イエレン米財務長官は6日、インフレの鈍化と低失業率で景気全般が支えられているものの、米金融システムは2024年も商業用不動産リスクやデジタル資産を要因とする脆弱(ぜいじゃく)性に引き続き直面したと指摘した。
金融安定監視評議会 (FSOC)を構成する米規制当局のトップは、商業用不動産の信用リスク監視に引き続き注力しており、ウォール街の対応能力を注視し続けるよう当局者らに促したと、イエレン氏は示唆した。
FSOCはデジタル資産や人工知能(AI)など著しい技術革新により生じるリスクへの対応努力を強化したとも、イエレン氏は説明。そのようなイノベーションは効率化といった利益を市場にもたらし得るが、サイバーや第3者のサービス提供者などを巡る懸念すべきリスクももたらすと続けた。
「当評議会は、ステーブルコインの発行体を対象とする包括的な連邦の枠組み構築に向けた法整備、またわれわれが特定したリスクに対処する暗号資産(仮想通貨)関連の法整備を引き続き求めている。イノベーションを促進しつつ、金融サービスセクターにおけるAI利用に関連した潜在的なシステミックリスクを分析・監視するため、省庁間で専門性をさらに高めることを提言する」とイエレン氏は述べた。
バイデン政権下で公表されるFSOCの年次報告はこれが最後となる。
米連邦準備制度理事会(FRB)や米証券取引委員会(SEC)のトップも参加するFSOCは、2008年の金融危機後にシステミックリスクに対応するために設置された。
●先進国経済指標
米11月雇用22.7万人増に急回復、失業率は4.2%に悪化 | ロイター
米労働省が6日発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は22万7000人増と、市場予想の20万人増を上回り、小幅な伸びにとどまっていた10月から急回復した。
失業率は4.2%に上昇した。前月まで2カ月連続で4.1%だった。労働市場の減速を示唆し、月内の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げを正当化する可能性がある。
10月の雇用者数は1万2000人増から3万6000人増に上方改定され、9・10月分の増加数は計5万6000人上方改定された。
10月の労働市場は、ハリケーンや航空機大手ボーイング(BA.N), opens new tabの大規模ストライキの影響を受けたため、雇用状況の把握には10・11月の統計を平均する必要があるとの見方をエコノミストは示していた。
11月雇用者数のエコノミスト予想のレンジは15万5000人増ー27万5000人増だった。過去3カ月の増加数は月平均17万2000人。
プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏は「12月の米連邦準備理事会(FRB)の利下げの根拠を強める内容となったが、労働市場に関する重大な懸念を喚起するものではない」と述べた。
時間当たり平均賃金は前月比0.4%、前年比4.0%それぞれ上昇し、いずれも10月の伸びと同じだった。
業種別では、医療関連が5万4000人増で、全体の伸びを主導。レジャー・接客はレストラン・バーを中心に5万3000人増、政府は3万3000人増だった。
ボーイングなどのスト終結を背景に、製造業は2万2000人増だった。
半面、小売業は2万8000人減少した。
失業率を集計する家計調査では、雇用者数は35万5000人減少した。約19万3000人が労働市場から離脱し、労働力参加率は62.5%と、前月の62.6%から低下した。
CMEグループのフェドウォッチによると、金融市場ではFRBが今月17─18日の会合で0.25%ポイント利下げを実施する確率は約89%に上昇した。
カナダ、11月の失業率6.8%に上昇 大幅利下げ観測高まる | ロイター
カナダ統計局が6日発表した11月の失業率は6.8%に上昇し、新型コロナウイルス禍の期間を除くと7年10カ月ぶりの高い水準となった。前月は6.5%だった。求職者の増加が悪化の要因としており、失業率は23年4月以降、1.7%ポイント上昇した。
11月の純雇用者数は前月比5万500人増えた。ロイターがまとめた市場予想では、失業率は6.6%、純雇用者数は2万5000人増だった。
正社員の平均時給は前年同月比3.9%上昇と、伸び率は前月の4.9%から鈍化した。賃金上昇率は、23年6月以来の低水準となった。
失業率の上昇により、カナダ銀行(中央銀行)は今月11日に、2回連続で通常より大きい50ベーシスポイント(bp)の政策金利引き下げを決める可能性がある。カナダ中銀は6月以来、計125bp引き下げ、3.75%としている。
11月の雇用増は全てフルタイムで、パートタイム雇用はわずかに減少した。製造業を中心に2万800人減った一方、卸売・小売業などサービス部門では7万1500人増えた。
雇用率(労働年齢人口全体に占める就業者数の割合)は60.6%と横ばいだった。
ユーロ圏労働生産性、第3四半期も低迷 GDPは前期比+0.4% | ロイター
独鉱工業生産、10月は前月比-1.0% 予想外の低下 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が6日発表した10月の鉱工業生産指数は前月比1.0%低下と、予想外に低下した。エネルギー産業や自動車産業の生産が落ち込んだ。
ロイターがまとめた市場予想は1.2%上昇だった。9月改定値は2.0%低下、8月は2.6%上昇。
経済省は「鉱工業は依然低迷している」と表明した。
エネルギー生産は8.9%急減。自動車産業の生産は1.9%減だった。
エネルギーと建設を除くと季節・日数調整済みで前月比0.3%減。
8─10月の鉱工業生産指数は前期比0.4%低下。
VP銀行のエコノミスト、トマス・ギッツェル氏は「第4・四半期は低調なスタートとなった。最重要の貿易相手国である米国との貿易紛争のリスクを踏まえると、来年の見通しも当面改善しないだろう」と述べた。
5日発表された10月の鉱工業受注指数は前月比1.5%低下だった。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「受注状況は短期的な回復を示唆していない」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
仏大統領・トランプ氏・ゼレンスキー氏が会談、大聖堂式典前に | ロイター
マクロン仏大統領は7日、修復を終えたノートルダム寺院(大聖堂)の公開式典に先立ち、式典に招待したトランプ次期米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領とパリで三者会談を行った。
ゼレンスキー氏と欧州諸国の指導者は、米大統領に来月就任するトランプ氏がロシアの侵攻を受けるウクライナへの軍事支援を撤回する可能性を懸念していた。
ゼレンスキー氏は、良好で生産的な会談だったとし、3人は今後も協力し合うことで合意したと発言。「トランプ氏はいつものように毅然としている。私たちは皆、この戦争ができるだけ早く、公正な形で終結することを望んでいる」とXに投稿した。
トランプ氏にとっては11月の大統領選で勝利して以来、初の海外訪問となった。トランプ氏は出迎えたマクロン大統領に対し、就任1期目で共に仕事をし、「本当に大きな成功」を収めたと語った。
トランプ氏はゼレンスキー氏と固い握手を交わし、背中を叩いた。その後、マクロン氏が2人の間に立ち、トランプ氏はカメラに向かって微笑んだ。3人の会談は約20分間続いた。
ノートルダム寺院の式典にトランプ氏を招待したことで、マクロン大統領は第1次トランプ政権代に一定の成功を収めた個人的なアプローチを繰り返したと専門家は指摘する。
トランプ氏は、2019年にノートルダム寺院が火災で壊滅的な被害を受けた際に大統領職にあり、17年から21年までの在任中に4回フランスを訪問した。
米欧関係を促進するジャーマン・マーシャル基金のヘザー・コンリー上級顧問は「マクロン氏は、トランプ氏がフランスを高く評価していることを知っている。象徴的なのは、トランプ氏の大統領復帰とノートルダム寺院修復がほぼ同時期になったことだ。同氏のパリ訪問は、世界の舞台への復帰の口火を切るものでもある」と語った。
民主主義存続には多元主義への深い関与不可欠=オバマ元米大統領 | ロイター
オバマ元米大統領は5日、民主主義の確実な存続を図るには多様な価値観を認める「多元主義」に改めて深く関与することが不可欠だとの認識を示した。自身の財団が主催する「民主主義フォーラム」での発言。
オバマ氏は先の米大統領選でハリス副大統領が敗北して以降、ほぼ沈黙を守っていた。この日は米国の次世代リーダーに意見の異なる人々と話し合うよう呼びかけ、「それを怠った結果が米国や世界中の多くの民主主義国家で今起きている事態だ。つまり、単なるこう着状態や市民の不信感の増大ではなく、政治家やその支持者が民主主義の規範を破り、自分たちの目的の達成のために手段を選ばなくなっている」と指摘した。 
オバマ氏は、公正さを支える永続的多数派を構築するには、われわれの問題や理念、われわれが信じるものを、「私たち」と「彼ら」という言葉ではなく、「われわれ」という言葉でくくることが必要だと訴えた。
同時に、こうした態度は敵対勢力が権力を濫用したときに屈服することを意味するものではないとも主張。「(権力の乱用は)問題だ。そうなったときには自分の信じるもののために戦う」とも述べた。
オバマ氏は民主党の選挙活動でなお応援要請を多数受けている。ただ、ハリス氏が大統領選において全ての激戦州でトランプ氏の後塵を拝するなど敗北し、議会選も上下両院で共和党が過半数議席を制したことから、民主党内には若いリーダーを求める声もある。
オバマ政権で大統領上級顧問も務めたアクセルロッド氏は「オバマ氏は、既に自分は役割を終えており、新たなリーダーの台頭が欠かせないと言うだろう」と述べた。
民主党のセス・モールトン下院議員も「オバマ・マジックが完全に消えたわけではないが、オバマ氏は今後大統領になることができないし、上院議員にも立候補しない。われわれは国民が今直面している不安や葛藤をよりよく代弁することができる、もっと新しい声を聞く必要がある」と述べ、世代交代が必要性との考えを示した。
トランプ氏、郵便車両のEV化契約破棄を検討=関係筋 | ロイター
トランプ次期米大統領の政権移行チームは、米郵政公社(USPS)の配達車両を電動化する契約の破棄を検討している。関係者3人が明らかにした。
電気自動車(EV)を対象とした大統領令の一環になる見通しで、来年1月20日に発足する新政権の初期に発表される可能性があるという。
トランプ氏は選挙戦で、バイデン政権が進めた輸送車両の脱炭素化の取り組みを撤回する方針を打ち出していた。
関係者によると、政権移行チームは数十億ドルに上るUSPSの契約を破棄する方法を検討している。これには自動車大手フォード・モーターや特殊車両を手がけるオシュコシュなどとのEVや充電設備に関する契約が含まれる。
米議会は2023年、4300億ドルの気候変動対策法の一環で、EVと充電インフラの購入資金としてUSPSに30億ドルを付与した。USPSは28年までに約6万6000台のEVを購入する計画だ。
FRB0.25%利下げ確率高まる、12月会合 雇用統計受け | ロイター
米労働省が6日発表した11月の雇用統計を受け、連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で0.25%ポイントの利下げを決定するとの観測が短期金融市場で高まった。
FRBが17─18日の会合で0.25%ポイントの利下げを決定する確率は85%以上。雇用統計発表前は67%だった
独建設売上高、25年は5年連続減と予想 底打ちの兆しも=業界団体 | ロイター
ドイツ建設業者中央連盟(ZDB)は6日、独建設会社の2025年の売上高は5年連続でマイナスとなるとの見通しを示した。一部で明るい兆しも見られると指摘した。
ZDBのウォルフガング・シューベルトラーブ会長は、企業は谷がさらに深くなるとは予想しておらず、底打ちを見据えて行動し始めていると述べた。
ZDBによると、今年の売上高は約1593億ユーロ(1690億4000万ドル)となり、前年比で名目2%、実質4%減少する見込み。25年は実質2.5%減少すると予想している。
テマセク、プライベートクレジット会社設立 75億ドル運用 | ロイター
シンガポールの政府系投資会社テマセクは6日、全額出資のプライベートクレジット会社を設立したと発表した。
当初の運用資産は100億シンガポールドル(75億ドル)。プライベートクレジットを直接提供するほか、クレジットファンドにも投資する。
機関投資家が企業に直接融資するプライベートクレジットは、規制強化に伴って伝統的な金融機関による高リスクローンの調達コストが増大する中で近年急成長している。
資産運用世界最大手の米ブラックロックは3日、プライベートクレジットを手がけるHPSインベストメント・パートナーズを120億ドル相当の全額株式交換方式で買収すると発表した。
テマセクによると、新会社はニューヨーク、ロンドン、シンガポールに駐在するクレジット投資の専門家約15人で運営する。同社のクレジット・ハイブリッド・ソリューション・チームから移籍したという。
テマセクは10年以上前からクレジットファンドに投資。今回、専門の子会社を設立することでグローバルな投資機会が得られるとしている。
テマセクの運用資産は3月31日時点で総額3890億シンガポールドル。デジタル化や持続可能性などをテーマとした長期投資を重視している。
[社説]フランス与野党は財政懸念直視を - 日本経済新聞
アポロ、優良社債の取引開始-プライベートクレジットETF構築へ - Bloomberg
米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントは、新たにプライベートクレジットのトレーディングデスクを設置し、同社が組成する投資適格債に注力すると、事情に詳しい関係者が述べた。アポロは投資適格債を上場投資信託(ETF)に組み込む計画という。
これにより、ETF推進に不可欠なトレーダーによる債券の市場価格設定が容易になり、アポロはステート・ストリートとの協力の下での初のETF立ち上げに向け動き出す。
トレーディングデスクとETFに関する計画は、急成長するプライベートレンディング事業を積極的に拡大するというアポロのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)の姿勢を反映している。
アポロは過去1年間に、投資適格部門を通じて半導体メーカーの米インテルやドイツの不動産サービス会社、ボノビアなどに関連するプロジェクトや団体に180億ドル(約2兆7000億円)のプライベート融資を実施。非公開情報として匿名を条件に関係者が語ったところによると、インテルとの取引の一部を含む債務の一部はすでに保険会社などに売却されているという。
関係者は、アポロの資本ソリューション部門責任者のエリック・ニードルマン氏がトレーディングデスクの取り組みを主導していると述べた。同氏はスティーフル・フィナンシャルで約8年間にわたり債券部門のグローバル責任者を務めた後、今年アポロに入社した。
関係者の一部は、このプロジェクトが軌道に乗るにつれ、アポロは採用を増やす可能性があると話した。アポロの担当者はコメントを控えた。
12月米利下げ、雇用統計が示唆も確信には至らず-インフレ統計待ち - Bloomberg
【社説】ビットコインブームと緩和マネーに警戒 - WSJ
米連邦準備制度理事会(FRB)理事らが主張するほど金融環境が引き締め状態にあるとしても、市場はそのメッセージを受け取っていない。代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格は今週、一時10万ドル(約1500万円)を超える水準に急上昇し、ダウ工業株30種平均は4万5000ドル近くで推移している。投資家らは楽しい時間が終わらないかのように盛り上がっているが、FRBがさらに潤滑油を注入すると約束しているときに彼らを責めるのは難しい。
金融メディアのわれわれの友人たちはこうしたビットコイン価格の上昇について、暗号資産に好意的なトランプ政権への賭けだとみている。規制当局がより好意的になるとの見通しが、今年に入ってからのビットコインの124%上昇に寄与したのは間違いない。しかし、資産価格は金、ジャンク債、株式など軒並み高くなっており、投機的な賭けやレバレッジ取引がそれに拍車を掛けていることが多い。
最大のモメンタムトレード(業績やバリュエーションに関わりなく人気の集中する銘柄の勢いを評価して売買する手法)が起きているものの一つはマイクロストラテジー株で、年初来で464%高となっている。売上高がほとんどないにもかかわらず、創業35年のこの小さなソフトウエア会社の時価総額は910億ドルに達している。これはどういうことだろうか。同社はビットコインの保有を膨大な額に増やしており、その価値は現在、約410億ドルに達している。投資家らは、ビットコインに強気の賭けをする手段としてマイクロストラテジー株に資金を注ぎ込んでいる。
マイクロストラテジーは10月、400億ドル超相当のビットコインを購入する計画を発表し、それが同社株とビットコインの購入をさらに加速させた。マイクロストラテジーはビットコイン購入資金をどうやって調達しているのだろうか。後で株式と交換可能な転換社債の発行だ。投資家は、マイクロストラテジーの株価が上昇し続けることに賭け、転換社債を購入する。
2021年初めのミーム株(はやり株)の上昇のように、どのような株でも、そのブームが続いている間は上昇する。だが、ビットコイン価格が下落し、レバレッジ取引が解消され始めた場合、マイクロストラテジーの株価とビットコイン価格の下落は上昇と同じくらい大幅なものになる可能性がある。
つまり、ビットコインやマイクロストラテジー株に退職後の資金を賭けるべきではない。ビットコインは以前から値動きが荒い。暗号資産を支持する人々はヘッジとしてビットコインへの投資を勧めているが、ビットコイン価格は市場全体に連動して上下する傾向がある。2022年にFRBが金融引き締めを行った際は、約75%安と急落した。ビットコイン価格が現在急騰しているのは、金融緩和に伴うものだ。
理にかなっているかどうかはさておき、市場が熱狂していることを示す兆候は他にもある。小型株指数のラッセル2000は過去1年間で30%近く上昇した。同指数の構成企業はマクロ経済政策の変更に比較的大きな影響を受ける傾向にあるため、投資家は力強い成長と規制緩和に賭けているのかもしれない。
それでも36倍という同指数の株価収益率(PER)は、ドットコム・バブルを想起させる。人工知能(AI)が生産性を向上させるとの期待も、この高揚感の高まりを促している可能性がある。AI向け半導体メーカーのエヌビディアの株価は過去1年間で211%上昇した。だが、これでは高リスク債券の相場上昇を説明できない。
米国債とジャンク債の利回り差(スプレッド)がこれほどまでに縮小したのは2007年以来のことであり、それ以前の例は1997年にさかのぼる。当時、市場はマネーであふれるという、似たような状況にあった。現在、流動性不足が生じている兆候はない。フロス(小さなバブル)的な資産価格とディスインフレの失速は、金融状況が緩和的になり過ぎていることを示している可能性さえある。消費者物価指数(CPI)のうち、食料とエネルギーを除いたコア指数は6月以降、3.3%に高止まりしている。
FRBがインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)物価指数でさえも、低下傾向にストップがかかっている。FRBのジェローム・パウエル議長は4日、連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントの利下げが決定された9月時点と比べて、「経済成長はわれわれが予想していたよりも明らかに強く、インフレ率は予想より若干高くなっている」との見方を示した。市場はこの積極的な利下げと、それに続く11月の0.25ポイントの利下げについて、インフレとの戦いに勝利したとFRBが考えている印だと受け止めている。しかし、それは正しくない。
FRB当局者らは、今月に0.25ポイントの追加利下げを行うことを示唆している。しかしわれわれは、インフレがこれほどしつこく、成長がこれほど力強く、資産価格がこれほど著しく上昇している局面で中央銀行が利下げに踏み切ったケースを思い出すのは難しい。警戒を呼び掛けたい。
●中東情勢
シリア反政府派が首都に、軍司令「アサド政権終焉」 大統領は出発か | ロイター
シリアの反政府勢力は8日、政権軍の抵抗なく首都ダマスカスに入り、ダマスカスが「アサド大統領から解放された」と発表した。一方、シリア高官は、陸軍司令部がアサド政権の終焉を将兵らに通達したとロイターに語った。
これに先立ち、軍の幹部2人はロイターに対し、アサド氏が8日にダマスカスから飛行機で出発したと語った。目的地は不明という。
反政府勢力は「われわれは捕らわれた仲間を解放し、セドナヤ刑務所における不正の時代の終焉を告げるニュースをシリア国民とともに祝う」と表明。同刑務所はダマスカス郊外にある大規模な軍事刑務所で、シリア政府は数千人を拘束していた。
目撃者によると、ダマスカスの主要広場には数千人が集まり、手を振りながら「自由」を唱えている。
飛行中の航空機を追跡するフライトレーダーのデータによると、首ダマスカスが反体制派に支配したと伝えられた頃、シリア航空の飛行機がダマスカス空港を離陸。同機は当初、アサド政権のアラウィ派が拠点とするシリア沿岸部に向かっていたが、突然Uターンし、数分間反対方向に飛行した後、地図から消えた。ロイターは搭乗者を確認できていない。
反政府勢力は8日早朝、わずか1日の戦闘で中部の主要都市ホムスを完全に支配したと発表していた。
政権軍の撤退後、ホムスの住民数千人が通りに繰り出し、解放を喜んだ。
トランプ氏、シリア内戦への介入拒否 「友人ではない」 - 日本経済新聞
シリア反体制派「アサド政権崩壊」 首都ダマスカス制圧と主張 - 日本経済新聞
シリア反政府勢力、大統領が逃亡し国は「自由になった」と主張 首都ダマスカス掌握と - BBCニュース
シリアの反政府勢力は8日朝、首都ダマスカスに入ったと表明した。ロイター通信は政府高官2人の話として、バッシャール・アル・アサド大統領がダマスカスを脱出したと伝えた。シリアの首相は、シリア国民が選んだ指導陣なら協力すると表明した。
ロンドン拠点のNGO「シリア人権監視団(SOHR)」によると、ダマスカスの空港から出発したプライベートジェットにアサド大統領が乗っていた様子。この飛行機が離陸した後、空港にいた政府軍は撤収したという。
反政府勢力はこの後、国営テレビとダマスカス・ラジオを通じてメッセージを放送し、アサド大統領の支配を終わらせ、政治犯を解放したと宣言。
さらに、「ムジャヒディン(イスラム戦士)と市民は、自由国家シリアの資産を守るよう」呼びかけ、「自由で誇り高いシリアよ、永遠に。所属する派閥を問わず、すべてのシリア人に」と強調した。
この日の朝には、反政府勢力「ハヤト・タハリール・アル=シャーム機構(HTS)」が首都ダマスカスに入ったと表明。通信アプリ「テレグラム」で、「独裁者」のアサド大統領がシリアから逃亡し、シリアは「自由だ」と宣言した。暗黒時代の終わりで新時代の始まりだとも書いていた。
ロイター通信は政府高官2人の話として、アサド大統領がダマスカスを脱出したと伝えた。シリアの首相は、シリア国民が選んだ指導陣なら協力すると表明した。
ロンドン拠点のNGO「シリア人権監視団(SOHR)」によると、ダマスカスの空港から出発したプライベートジェットにアサド大統領が乗っていた様子。この飛行機が離陸した後、空港にいた政府軍は撤収したという。
HTSのアブ・モハメド・アル・ジャウラニ(別名アブ・モハメド・アル・ゴラニ)代表は、「テレグラム」で、首都ダマスカス市内の政府軍部隊が「公共施設」に近づくのを禁止したと表明。政府庁舎について、「正式に移譲されるまでは、前首相の監督下にとどまる」と述べた。
HTSは、アサド政権によって国を追われたり投獄されたりした人は、家に戻れるようになるとして、「誰もが平和に暮らし、正義が行われる」「新しいシリア」になると主張した。
シリアのモハメド・ガジ・アル・ジャラリ首相はこれを受けて同日朝、ソーシャルメディアで演説動画を発表し、自分は首都ダマスカスにとどまっており、国民のために最善の対応をするよう協力する用意があると述べた。
アル・ジャラリ首相はさらに、「シリア国民が選ぶ指導陣となら、協力する」、「さまざまな政府資料を速やかに移転するべく、あらゆる支援を提供する」と話したほか、シリアは「近隣諸国や世界と良好な関係を築く、普通の国」になれると強調した。
首相はこの後、中東の衛星テレビ局「アル・アラビーヤ」に対して、自由な選挙をシリアで行うべきだと話した。
ダマスカス中心部で政府庁舎が並ぶウマイヤド広場では、住民が踊っているとも伝えられた。国防省の当局者が首都の庁舎を離れたとの情報もあった。
シリアの野党指導者ハディ・アル・バフラ氏はアル・アラビーヤに対して、アサド政権は倒れ、「シリアの歴史の暗黒時代は過ぎ去った」と話した。
アサド政権に対抗する反体制派の統一組織「シリア国民連合」を率いるアル・バフラ氏は、ダマスカスは安全だと強調。「あらゆる派閥や宗教の皆さん、他の市民に武器を向けず、自宅にとどまる限り、皆さんは無事です」、「復讐も報復もなく、人権侵害も行われない。人の尊厳は尊重し、守られる」とソーシャルメディア「X」に書いた。
2011年の内戦発生でシリアを追われた国民の多くが、世界各地でこの日の事態に反応している。ソーシャルメディアには、「自分の国が解放されている時、寝ていられるはずがない」という投稿もあった。
反政府勢力がダマスカス近郊にあるサイドナヤ刑務所を掌握して、数万人の政治犯を解放したと情報が広まると、多くの人が喜びをソーシャルメディアに投稿。「みんながこの日を待っていた」と書く人や、「シリアは今、シリア人のものだ」と書く人もいた。
HTSは7日には、国内第3の都市ホムスを「完全に解放」したと主張。組織の代表は「歴史的な瞬間」だと強調したものの、シリア国防省は「テロリストがホムスに入ったという情報に根拠はない」と反論していた。
ダマスカスの郊外では、アサド政権に抗議する群衆がアサド大統領の亡父の像を倒した様子が撮影された。
反政府勢力は11月末に北西部のアレッポを掌握。これを機に、中部ハマや南部ダルアー県などシリアの広範囲で、反政府勢力が制圧範囲を広げている。
アメリカ政府関係者は、BBCがアメリカで提携するCBSニュースに、ダマスカスが「地区ごとに反政府勢力に陥落している」と匿名で話した。
他方でシリアのモハメド・アル・ラフムーン内相は国営テレビで「ダマスカスの外周には非常に強力な安全保障と軍事的包囲網があり、誰もこの防衛線を突破することはできない」と述べていた。
ダマスカスの住民は米CNNに対して、反政府勢力がバルゼ地区に入り、戦闘が発生していると話した。「停電して、インターネットはなかなか通じない。住民は家の中にこもっている」という。
ロイター通信は、住民2人の話として、激しい銃撃音が聞こえたと伝えた。具体的な場所は明らかになっていない。
アメリカ拠点のNPO「シリア緊急タスクフォース(SETF)」は、シリアの首都が「すぐに陥落する」と主張していた。反政府勢力を支持するSETFのムアズ・ムスタファ代表はCBSに、ダマスカスが反政府勢力に包囲されており、近く陥落するだろうと話した。ムスタファ氏によると、イランのイスラム革命防衛隊は8日朝の時点ですでにダマスカスを離れ、ロシアの海軍関係者もシリアを離れていた。
AFP通信によると、レバノンのイスラム武装組織ヒズボラも、戦闘員をホムスやダマスカスから撤収させた。ヒズボラは、アサド大統領に協力してきたイランが支援している。
ロイター通信によると、ヒズボラはレバノン国境に近いシリア西部クサイルからも撤収したという。
HTSはシリア国内の政府庁舎、国際機関や国連の事務所を守る義務が自分たちにあると主張している。
国連のアダム・アブデルムーラ人道調整官は声明で、「国連がシリアから全職員を避難されているといううわさは事実ではない」としつつ、「業務に不可欠ではない」スタッフは出国させていると認めた。
国連のゲイル・ペデルセン・シリア担当特使はカタールのドーハで記者団に対し、シリアの状況は「刻一刻と変化」していると述べ、「状況緩和、事態の鎮静化、流血の回避、民間人の保護」を呼びかけた。さらに、「シリア国民の正当な希望実現につながるプロセスの開始」を促した。
首都掌握に先立ちHTSは、ホムス市のいくつかの地区を制圧したと発表した。イギリス拠点のNGO「シリア人権監視団(SOHR)」によると、HTSの戦闘員はホムス市内に入り、シリア軍の撤退後にいくつかの地区を制圧したという。ホムス市内の中央刑務所の職員は、「囚人が政府軍によって人間の盾として使用されることを恐れて」扉を開けたと報告されている。
ホムスは、地中海沿岸にあるアラウィ派(アサド政権の支持基盤)の中心地域と首都ダマスカスを結ぶ戦略的な要衝。
反政府勢力にとってホムス制圧には、象徴的な意味合いも伴う。2011年にアサド政権が平和的な民主化要求運動を弾圧したことを機に始まった内戦の初期、ホムスは反政府勢力の一大拠点だった。その一部は政府軍に3年間包囲され、2015年に国連仲介の合意の一環で、アサド政権がホムス全体を掌握したという経緯がある。
●エマージング
韓国与党・首相「大統領は国政関与せず」、前国防相は戒厳令関与で拘束 | ロイター
韓国大統領の弾劾訴追案、成立せず 与党議員の大半が投票不参加 | ロイター
韓国与党代表が談話「尹錫悦大統領は外交含む国政に関与せず」 - 日本経済新聞
中国テーマパーク、4割利益無し 420億円古城に1日13人 - 日本経済新聞
アングル:中国メーカーが欧州向けハイブリッド車輸出拡大、EV関税回避狙う | ロイター
中国自動車メーカーは欧州向けのハイブリッド車輸出を拡大しつつあり、今後より多くの車種を投入する計画だ。欧州連合(EU)が発動した中国製電気自動車(EV)に対する高関税による影響を、最小限にとどめる狙いがある。
EUの輸入関税対象にハイブリッド車は含まれず、BYDといった中国メーカーはこのハイブリッド車を通じて欧州市場での事業拡張路線を維持できる、と複数のアナリストが解説した。
カウンターポイント・リサーチのアナリスト、ムルトゥサ・アリ氏は、EUが中国から輸入されるEVに課す関税を回避する手段として、中国のOEM(相手先ブランドによる生産)がプラグインハイブリッド車(PHEV)にシフトしていることが輸出の伸びをけん引していると指摘。中国の欧州向けハイブリッド車輸出は今年が20%、来年はもっと増えると予想している。
最大45.3%の税率が適用されるEUの中国製EV関税は10月終盤に発効した。ただEUの反補助金調査は昨年10月に始まっており、一部の中国メーカーは国内の景気減速に伴う販売鈍化という事情も踏まえ、既に欧州戦略をハイブリッド車輸出に転換していることがデータから分かる。
通常のエンジン車と完全電動車の中間的性格を持つハイブリッド車は、価格の手頃さから消費者の間で人気が高まってきている。
中国乗用車協会(CPCA)によると、7―9月の欧州向けハイブリッド車輸出は6万5800台と前年同期の3倍以上に増加し、昨年から今年それまでにかけての販売減少の流れが逆転しつつある。
7―9月に中国から欧州に輸出された全自動車のうちPHEVと従来のハイブリッド車の比率は18%と1―3月の9%から2倍に上昇。対照的にこの間のEVの比率は62%から58%に低下した。
こうした傾向はさらに強まりそうだ。
複数のアナリストは、昨年日本を抜いて世界最大の自動車輸出国となった中国は、国内の過剰供給問題を解消するため輸出攻勢をかけている、と話す。
米国とカナダが中国製EVに100%の関税を課している状況にあって、欧州は中国メーカーにとって最も明確な販路にもなっている。
<PHEV市場の構図塗り替えも>
大手中国メーカーは、物価高の下で燃費性能が高く価格が手頃な車の需要が高まっている市場に対応する形で、今のところ地元勢と日本勢が牛耳る欧州のPHEV市場の構図を覆す可能性がある。
BYDは欧州向け初のPHEVとなる「シールU DM-i」を投入し、独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車に対抗する構え。
シールU DM-iは3万5900ユーロ(3万7700ドル)からと、VWで最も売れ筋のPHEV「ティグアン」の価格を下回り、トヨタの「C-HR」より10%安い。
中国メディアの報道では、BYDはハンガリーの工場でEVとハイブリッド車を生産することも検討中だ。
オートモーティブ・フォーサイトのマネジングディレクター、イェール・チャン氏は「ハイブリッド車の分野は中国メーカーにとってより大きな成長機会をもたらしてもおかしくない。欧州により多くの手頃な価格の選択肢を提供し、価格に敏感な消費者を引きつける」と述べた。
販売台数で中国2位のメーカー、吉利汽車は先月、欧州向けブランド「リンク&コー」の下で新たなPHEVを投入。ロイターの質問に対して通商規制には言及しなかったが「最近世界中の市場で自動車メーカーがハイブリッド車のモデルの投入を増やしていることは、消費者の需要や購入傾向と整合性がある」とコメントした。
今年の欧州におけるハイブリッド車の需要拡大は、中国での過剰生産に悩む日本メーカーにとっても追い風だ。
中国の1―9月販売が29%落ち込んだホンダは、中国から欧州に従来のハイブリッド車2種類とPHEV1種類を輸出している。
中国から欧州へのハイブリッド車輸出増加は、欧州市場での価格競争を激化させかねないが、複数の専門家は中国メーカーがEUの追加的な関税発動を警戒してより慎重に振る舞う公算が大きいと予想する。
チャン氏はBYDのハイブリッドセダン「キンプラス」に言及して「欧州向け価格が2万ユーロに設定されれば、新たな激震が走るのは間違いない」と述べた。
●プロファイ、インフラ、自然災害
三菱商事、英の海底送電事業を売却 約226億円を減資 - 日本経済新聞
●その他
情報BOX:コーヒー豆高騰の理由、カフェの値段にどう影響 | ロイター
<食品メーカーと消費者への影響>
コーヒー前の価格高騰は焙煎して販売する食品メーカーにとって問題だ。
ネスレの今年8月、トップが交代した。価格の上昇で消費者が安価なブランドに切り替え、ネスレは販売が落ち込んだ。市場シェアが低下し、取締役会が不満を募らせた。
焙煎を手掛けるメーカーは何カ月も前にコーヒー豆を調達する傾向があるため、消費者が価格高騰を実感するのは6カ月から12カ月後だろう。
一方、店でコーヒーを飲む消費者は現在の価格上昇による打撃をそれほど感じないだろう。スターバックスなど主にカフェの店舗でコーヒーを提供する企業の場合、1杯5ドルのコーヒーのコストに占めるコーヒー豆国際価格の割合が約1.4%にとどまるため、他の業者に比べて価格高騰の影響を回避しやすい。
ベビーブーマー富裕層、どの世代よりも「けち」-生前贈与に消極的 - Bloomberg
中山美穂さん死去 アイドルから俳優、新たな表情見せた - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(6日)ドル上昇、ナスダック・S&P最高値 利回り低下 | ロイター
**為替市場:**  
- ドル指数は主要通貨に対して0.3%上昇。ユーロ/ドルは0.3%安、ドル/円はほぼ横ばい。
- 11月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が22.7万人増(市場予想の20万人増を上回る)。失業率は4.2%に上昇。
- 米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、ドル売りが失速。
**債券市場:**  
- 米国債利回りが低下。10年債利回りは4.14%、2年債利回りは4.10%に下落。
- FRBの12月FOMCで0.25%の利下げが決定される確率は雇用統計発表後に約85%に上昇。
**株式市場:**  
- ナスダックとS&P500種指数が過去最高値を更新。ルルレモンやアルタ・ビューティーなどが牽引。
- 一方、ダウ平均は下落。ユナイテッドヘルス・グループの株価下落が影響。
**商品市場:**  
- **金先物:** 利下げ観測の広がりで反発。一方で週間では0.8%の下落。
- **原油:** 需給緩和の懸念から3日連続で下落。WTI先物は67.20ドル(1.61%安)。
**注目点:**  
- FRB理事らが利下げの慎重な姿勢を示しつつ、来年の金融政策について発言。
- 世界的なエネルギー需要見通しへの懸念が原油市場の重しに。
欧州市場サマリー(6日) | ロイター
**ロンドン株式市場:**  
- **FTSE100種指数**は貴金属株や公益事業株の下落により下落(1日の下落率は約3週間ぶりの大きさ)。  
- **FTSE250種指数**は0.28%上昇。ダイレクト・ラインの買収合意報道が支え。  
- いずれの指数も週間では3週連続上昇。  
- 個人用品株指数が2.07%上昇、建設・資材株指数も1.01%高。英住宅価格の上昇が背景。  
**欧州株式市場:**  
- **STOXX欧州600種指数**は週間で2.00%高(約10週ぶりの大幅上昇)。  
- フランスの**CAC40指数**は1.31%上昇。政局混乱の中、予算案成立期待が浮上。  
- **ドイツDAX指数**は0.13%高で最高値を更新。週間で3.86%上昇。BMWの投資判断引き上げが寄与。  
- イタリアのモンクレールが5.0%上昇(ゴールドマン・サックスが投資判断を「買い」に引き上げ)。  
**ユーロ圏債券市場:**  
- 域内国債利回りが低下。米雇用統計が予想を上回る結果でも、米FOMCでの利下げ期待は維持。  
- **ドイツ10年債利回り**は2.109%、**フランス10年債利回り**は2.868%(いずれも小幅低下)。  
- 独仏10年債利回り格差は縮小(77bp)。イタリア10年債利回りも横ばい。  
市場全体としては、政局混乱の中でも予算案への期待や個別銘柄の動きが株式市場を支えた一方、債券市場では利回りが低下する展開となりました。

備忘録(2024/12/5
●海外企業決算
[KR] クローガー 3Q減収減益 売上高1%減336億ドル、営業益9%減8.28億ドル、EPS0.85ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BF.A] ブラウンフォーマン 2Q減収増益 売上高1%減10.9億ドル、営業益1%増3.41億ドル、EPS0.55ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DG] ダラージェネラル 3Q増収減益 売上高5%増101億ドル、営業益25%減3.23億ドル、EPS0.89ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
インテルの新共同CEO、財務規律を強調 - WSJ
米半導体大手インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)の突然の退任に伴い、暫定共同CEOを兼任することになったデビッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)が4日、就任以来初めて公の場で発言した。ゲルシンガー氏が打ち出した事業戦略を実行するにあたり、支出規律の重要性を強調した。
ゲルシンガー氏は2日に退任したばかり。半導体受託生産(ファウンドリー)事業の構築に多額の投資を行うなど、苦境に立つインテルの再生をかけて約4年にわたりCEOを務めた。
ジンスナー氏はUBS主催のテクノロジー会議で、「取締役会は中核戦略を維持する方針を明確にした」と述べた。同社は目下、恒久的なリーダーを探している。
ただし、インテルは設備投資を厳しく精査中だとも指摘。2024年の投資額は250億ドル(約3兆8000億円)、25年は200億~230億ドルと見積もっているとし、「資本の投入方法について、はるかに慎重になっている」と話した。
その上で、数カ月前にインテルに加わり、ファウンドリー事業を率いるナガ・チャンドラセカラン氏が支出規律に取り組んでいることを挙げた。
チャンドラセカラン氏もこの会議で発言し、ファウンドリー事業の外部顧客のニーズにより焦点を当てるよう、インテルは考え方を改める必要があると述べた。「ファウンドリーに移行するには、社内文化の大きな変革が必要だ」と続けた。
アメリカン航空株が急伸、10-12月の利益見通しを上方修正 - Bloomberg
銃弾に「遅延」などの文字刻まれる、米保険会社幹部の殺害に使用 - Bloomberg
医療サービスを手掛ける米ユナイテッドヘルス・グループの幹部、ブライアン・トンプソン氏の射殺現場から回収された薬きょうと実弾に、「delay(遅延)」および「depose(追放)」の文字が記されていたことが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。
同氏は4日早朝、ニューヨーク市マンハッタンのホテル「ニューヨーク・ヒルトン・ミッドタウン」の外で撃たれた。
これらの文字は、保険会社が保険金請求を拒否するために使うとされる手口を表現した書籍のタイトル『Delay, Deny, Defend(遅延、拒否、防御)』に似ている。警察当局はこれが保険会社に対する怒りといった動機を示唆するのか、調べる可能性がある。
元ニューヨーク市警当局者のジョセフ・ジアカローン氏は「極めて異例だ」と指摘。「私は長きにわたって捜査に携わってきたが、こんなことは見たことがない」と話した。同氏は現在、ニューヨーク市立大学の一部であるジョン・ジェイ・カレッジ・オブ・クリミナルジャスティスの教授を務める。
容疑者の捜索は2日目に入った。ニューヨーク市警は5日、容疑者の一連の写真を公開し、この人物の特定に協力するよう訴えた。情報提供者には1万ドル(約150万円)を支払うとしている。
グーグルの事業分割は検討続ける、競争政策担当の新欧州委員が明言 - Bloomberg
欧州連合(EU)で新たに競争政策を担うテレサ・リベラ欧州委員は、米アルファベット傘下のグーグルを事業分割させる可能性について、検討を続ける考えを示した。また、トランプ米次期大統領との橋渡し役を務めるとも述べた。ブルームバーグテレビジョンとのインタビューに答えた。
スペインの社会労働党(PSOE)出身のリベラ氏は、今週から5年間の任期をスタートさせた。インタビューでは、ビッグテック企業による市場の過度な支配を防ぐため、事業分割も一つの方法だと述べた。グーグルを巡っては、米司法省が一部事業の売却を求めたほか、リベラ氏前任のマルグレーテ・ベステアー氏も同様の対策を検討していた。
リベラ氏はこの問題について「もちろん検討課題のひとつであり、米国の競争当局を含め世界中の関連当局と協力しようとしている」とした上で、「事業の一部を分割・売却させる可能性を考慮することは重要。ケース・バイ・ケースで評価していく」と述べた。リベラ氏は、在任中にシリコンバレーにとって悩みの種とされたベステアー氏の「遺産」を基盤に、政策を構築していく方針を示した。
ベステアー氏はデジタル広告市場におけるグーグルの独占に対処するため、同社に広告技術事業を分割させる可能性に言及していた。司法省など米当局はグーグルがオンライン検索サービスをほぼ独占している状況に鑑み、インターネット閲覧ソフト「クローム」を含むより広範な事業の売却を要求している。
リベラ氏は、2期目となるフォンデアライエン氏率いる欧州委員会の中でも、最も影響力のある役職の一つを任されたことになり、EUの気候変動対策の監督役も務める。
欧州が米国を不当に扱っていると繰り返し非難し、貿易戦争をちらつかせているトランプ氏への対応が、まずは課題となりそうだ。EUによる米テック大手への巨額制裁金は、米国に対する挑発と受け取られ、さらなる過激な反応を呼ぶ可能性もある。リベラ氏は、トランプ政権と「真の協力関係を築くため努力する」と述べた。
欧州の自動車産業、なぜ危機に陥ったか - WSJ
欧州の自動車メーカーはかつて世界を席巻していたが、現在はあらゆる方面で苦戦を強いられている。
欧州では排ガス規制が強化され、各社は収益性の低い電気自動車(EV)の販売を増やさざるを得なくなっている。中国では、現地メーカーの台頭によりドイツブランドの黄金時代が終わろうとしている。米国ではドナルド・トランプ次期大統領が新たな関税を課す考えを表明しており、他国への脅威となっている。
コンサルティング会社アリックスパートナーズの自動車部門共同責任者、アンドリュー・ベルグバウム氏は「まさに大きな混乱の時代にある」と話す。
こうした混乱はすでに数千人規模の雇用喪失につながっており、ここ数年の成長率で米国を下回る欧州経済へのさらなる打撃となる恐れがある。自動車産業が欧州連合(EU)の域内総生産(GDP)に占める割合は約7%で、米国の国内総生産(GDP)における同産業の割合よりもはるかに高い。
欧州の自動車最大手、独フォルクスワーゲン(VW)は昨年は過去最高益を計上したが、足元の株価は約14年ぶりの安値圏で推移している。VWは創業以来初となる国内工場の閉鎖に踏み切るかどうかを巡って労働組合と交渉を続けており、労働者は今週、抗議のため警告ストライキを実施した。
苦境にあえぐのはVWだけではない。欧州第2位の自動車メーカー、ステランティスは1日、カルロス・タバレス最高経営責任者(CEO)の退任を発表した。同社はサプライヤーや政治家との関係が悪化していた。また、米フォード・モーターは先月、欧州で4000人の人員削減を実施すると発表した。自動車部品大手では、独ボッシュと独ZFフリードリヒスハーフェンがいずれも数千人規模の人員削減に踏み切っている。
欧州自動車メーカーは規制当局に促され、EVの急速な普及を計画していた。ところが、消費者は当初こそ熱烈に歓迎する姿勢を示したものの、高価格と充電インフラ不足に対する懸念から熱は冷めた。欧州最大のEV市場であるドイツでは、購入者への補助金が昨年12月に打ち切られ、市場への大きな打撃となった。
EUでは、自動車メーカーは来年から新たな二酸化炭素(CO2)排出規制に対応するため、より多くのEVあるいはハイブリッド車を販売しなければならなくなった。対応できなければ罰金を払うことになる。英国では、今年の販売台数に占めるEVの割合が22%未満の場合、メーカーは高額な罰金を科される。
ある関係者によると、VWはEUの罰金を最大で15億ユーロ(約2400億円)払う可能性があるとの非公式の試算を示している。
英政府は先週、EV規制を緩和する可能性を示唆しており、アナリストの間ではEUが追随するとの向きもある。こうした不透明感は、サプライチェーン(供給網)の長さを考慮して精緻な需要予測を立てる業界にとっては厄介な問題となる。
業界での技術シフトがなくても、欧州の自動車産業は苦戦していたと思われる。欧州の自動車販売台数は新型コロナウイルス流行前の水準を約2割下回っている。高インフレが続き、経済的に余裕のない消費者が新車市場から締め出されたことが影響している。
生産コストは上昇が続いてきた。ドイツでは特にそれが顕著で、ウクライナでの戦争の影響で安価なロシア産ガスの供給が途絶えたことが響いた。今年はVW、メルセデス・ベンツグループ、BMWの独自動車メーカー3社の合計利益は3分の1減少すると予想されている。アナリストらは来年は小幅な回復にとどまるとみている。
欧州では、より低価格なことが多い中国製EVが競争激化をもたらしていることも、現地メーカーにとって試練となっている。EUが今年決定した追加関税は中国EVメーカーの比亜迪(BYD)などが目指す欧州での市場シェア拡大を遅らせる効果があるとはいえ、こうした企業にEU域内での新工場建設を促す結果にもなっている。
輸出は欧州の高級車メーカーの伝統的な強みだったものの、競争が激化し縮小する域内市場を補うには至っていない。S&Pグローバルは、欧州からの自動車輸出台数は今年270万台と、2019年比で16%減少すると予想している。
欧州自動車メーカーにとって、中国はこれまで高級車の輸出先としてうまみのある市場だったが、今年は需要が落ち込んでいる。高級品消費の全般的な低迷が響いている。メルセデスとBMWは9月、中国市場の低迷などを背景に利益見通しが悪化しているとした。
状況はさらに悪化する可能性がある。中国はEUによる関税への対抗措置として、輸入ガソリン車に追加関税を課すことを検討している。
トランプ氏も関税を導入する構えだ。これは欧州からの輸出だけに関わる問題ではない。VWとVW傘下のアウディ、メルセデス、BMWはメキシコでも米国向け製品を製造している。トランプ氏は先週、メキシコからの輸入品に25%の関税を課す考えを表明した。
1990年代と2000年代の貿易障壁撤廃の動きで欧州自動車産業が特に大きな恩恵を受けたことを考えると、現在の窮状は劇的な変化といえる。2008年の世界金融危機の後、欧州は自動車の生産と技術において世界で大きな存在感を示してきた。
欧州の自動車産業は、中国が生産台数で首位に立った後も勢いを保ち、コロナ流行前は世界のライトビークル(乗用車と車両重量6トン未満の商用車)生産の約4分の1を占めていた。だが、S&Pグローバルの予測によると、欧州の割合は今年、北米をわずかに上回るものの、33%の中国を大きく下回る19%に低下するとみられる。
一方、EVの普及に伴い技術分野の主導権は米国が握り、中国の台頭も著しい。かつて中国企業はVWからエンジン技術を得るために対価を支払っていたが、現在こうした企業がEV技術獲得のために支払う相手は中国の小鵬汽車(シャオペン)や米リビアン・オートモーティブといった新興EV企業になっている。
銃弾に「遅延」「追放」の文字、容疑者の捜索続く 米保険大手トップ銃撃 - CNN.co.jp
米医療保険大手の最高経営責任者(CEO)が4日、米ニューヨークで銃撃され死亡した事件で、警察は容疑者の顔写真を新たに公開するなどして行方を追っている。犯行に使用された実弾や薬きょうに「遅延」「追放」といった言葉が書かれていたことも明らかになった。
この事件では、ユナイテッドヘルスケアCEOのブライアン・トンプソン氏が、会議のためにマンハッタン中心部にあるホテルに向かって歩いていたところ、背後から近寄って来た男に銃撃され、死亡した。容疑者は犯行後、逃走した。
当局の情報筋はCNNに、被害者に向けて発射された銃弾の薬きょうに追放を意味する「depose」という言葉が書かれていたことを明らかにした。また、容疑者が銃弾の装填(そうてん)の不具合をなおそうとしていたとみられるときに押し出された銃弾に、遅延を意味する「delay」という言葉が書かれていたという。
警察は「delay、deny、defend」という言葉が保険業界でよく使われていることを指摘し、銃弾などに書かれた言葉が犯行の動機を意味しているのかを調べている。
警察は前日に容疑者とみられる人物のマスクで覆われた顔写真を公開して情報提供を呼びかけていたが、5日は新たに「指名手配中」の人物のマスクを着用していない写真を公開した。CNNは写真2枚が容疑者が滞在していたとみられるマンハッタンのホステルで撮影されたものであることを確認した。
事件を受けて、大手保険会社は経営幹部らの警護を強化している。
●日本企業
あおぞら銀社長、金利復活で国内企業融資に再注力-大和証G基盤活用 - Bloomberg
あおぞら銀行は円金利の上昇を受け、国内の企業向け融資を増やしていく方針だ。資本業務提携する大和証券グループ本社の顧客基盤を活用し、取引先の拡大を目指す。
大見秀人社長がブルームバーグとのインタビューで述べた。同融資について「スプレッドがそれほどない時代は収益性が低かったが、金利のある世界となったことで増やしたい」と説明。「われわれは顧客との取引が細かったので、大和証Gの約2000社の幹事先を紹介していただく」と語った。
3月まで続いた日本銀行によるマイナス金利政策下では、国内貸し出しで収益を上げることは難しかった。そのため、あおぞら銀は積極的に増やさず、海外での貸し出しに比重を置いてきた経緯がある。国内上場企業の約半数の幹事証券を務める大和証Gのネットワークを活用することで、国内向けの増加につなげる。
あおぞら銀は前期(2024年3月期)、市況が悪化した米オフィス向け融資の引当金計上などで15年ぶりの赤字に転落し、純損失は499億円に上った。大和証Gが約24%を出資して持ち分法対象とし、資本と業務の両面から同行の立て直しを支援している。
同行の法人営業グループの貸出金残高は9月末で約1兆円。強みを持つのは、買収先企業の資産などを担保とするレバレッジドバイアウト(LBO)融資などのストラクチャードファイナンスだ。4月に社長に就任した大見氏も長年にわたり国内LBO市場での経験を持つ。
LBO融資残高は9月末で約3300億円。大手企業による非公開化案件の増加や中堅・中小企業の事業継承ニーズの高まりで需要はさらに伸びるとみられ、ストラクチャードファイナンスの出し手として地方銀行などの参入も相次ぐ。LBOなどに関する地銀からの相談も増えており、今年度は2行から行員をトレーニーとして受け入れた。
大見氏はLBO市場の発展のためにも参加者が増えることは良いことだとしながらも「日本の場合、コーポレートローンと比べると収益性が高く、そこだけを見てしまうと規律は緩みがちになる」と指摘。性急な市場拡大と競争激化がもたらすリスクには懸念を示した。
前期の赤字原因となった米オフィス向けノンリコースローンについては、2月に行った物件評価の見直し以降、見通しに変更はないと述べた。残高については「引き続き極力圧縮していく」とした。ただ、同融資から完全に撤退する考えはないとして、将来的には新たな融資を行う可能性もあるという。
●先進国政治動向
マクロン仏大統領、政治的行き詰まり打開に苦慮-社会党取り込み模索 - Bloomberg
内閣が倒れ政治空白に陥ったフランスで、マクロン大統領は社会党と手を組むことによる行き詰まり打開を模索している。
左派連合は極右の国民連合(RN)と手を組んで、国民議会(下院)で不信任決議案を可決させた。この左派の大連合を分裂させ、中道派を結集させるのがマクロン氏の狙いだ。
退陣する内閣のルコルニュ国防相は5日、社会党との同盟を呼びかけた。現時点では、社会党は急進的な極左政党「不屈のフランス」を含む左派の大連合の一員。不屈のフランスは主流派との協力に強く反対している。
「社会党を不屈のフランスから引き離すために、できる限りのことをしなければならない」と、マクロン氏の盟友であるルコルニュ氏はRTLラジオとのインタビューで語った。「緊急を要する」と述べた。
マクロン大統領は5日午後8時に声明を発表する予定。
マクロン氏は以前にも左派グループとの連合構想を推し進めたことがあるが、成功には至らなかった。しかし、4日に政府が崩壊して以来、この構想は再び勢いを増している。
問題は、不人気な大統領を支援する動機が社会党にはほとんどないことだ。フランスは来夏にも再び議会選挙を迎える可能性が高く、社会党の幹部はマクロン氏と手を組めば有権者が離反するのではないかと懸念している。
フランス債上げ拡大、ルペン氏が数週間以内で予算成立可能と発言 - Bloomberg
5日の欧州債市場では、フランス債が上げを拡大。フランスの極右政党、国民連合(RN)を実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏が、向こう数週間で2025年の予算を成立させることが可能だとブルームバーグのインタビューで発言した。
フランス10年債とドイツ債との利回り差(スプレッド)は5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小し、2週間ぶりに80bpを下回った。ルペン氏の発言前まで、内閣不信任可決は既に見込まれていたため市場の反応が薄く、ポジション調整と手じまいが相場の動きを主導していた。ユーロも対ドルで上げ幅を広げている。
マクロン大統領は現地時間5日午後8時(日本時間6日午前4時)に国民に向け演説する予定。投資家は政治的な争いが長期化する可能性も視野に入れつつ、この演説を待ってフランス債について新たなポジションを建てる構えだ。
みずほインターナショナルのストラテジスト、エブリン・ゴメスリヒティ氏は、「市場は短期的に落ち着くかもしれないが、弱い経済成長と政治不安が債務圧縮を阻み投資を遠ざけるという悪循環にフランスは直面している」と指摘。フランス債のスプレッドで次に重要な水準は100bpだとの見方を示した。
フランス政府は同日、期間15年から50年の国債を総額46億ユーロ(約7300億円)発行した。発行額は目標上限の50億ユーロをやや下回ったものの、需要は堅調で、最近の政治騒動が投資家の意欲をそいではいないことをうかがわせた。
アナリストは4日のフランス債が上昇した理由として、薄商いとショートカバーを挙げていた。
ナティクシスの金利ストラテジスト、ブノワ・ジェラール氏は「不信任案の可決でフランスの危機は終わりではない。いっそう深刻な危機への道が大きく開かれた」と述べ、「議会内でどのような連合が組まれても、政府を支え、不信任に抵抗し、公的財政を持続的な再建路線に乗せることはできない」と論じた。
マクロン仏大統領が次期首相に選ぶのは誰か-厳しい政治環境続く - Bloomberg
フランス国民議会(下院)がバルニエ内閣を崩壊に追い込み、同国をさらなる政治的混乱に陥れた今、マクロン大統領は自身の政策を軌道に戻さなければならない。
最優先事項は、1958年のフランス第五共和制成立以来、最も短い在任期間で去ることになったバルニエ氏の後任となる新首相を選出することだ。新首相が誰であっても、前内閣を崩壊させたのと変わらない、分裂した政治環境の中で、2025年の予算折衝を再び始めなければならない。
下院のブロンピベ議長は仏ラジオ局フランス・アンテルに「マクロン氏に、首相を早急に指名するよう求める。これは重要で、ためらってはならない」とした上で、「年末までに予算を組む時間はまだある。簡単ではないし、時間は極めて限られているが、可能だ」と強調した。
次期首相候補として取り沙汰されている人々は以下の通り:
ベルナール・カズヌーブ氏(61)
社会党のカズヌーブ氏は、オランド元大統領の下で首相、内相を務めた経験がある。バルニエ氏が選ばれる前、首相候補と見られていた。左派系では唯一首相候補となっているカズヌーブ氏が首相に就任すれば、マクロン氏にとっては、左派政党連合「新人民戦線」(NFP)の切り崩しにつながるかもしれない。
セバスチャン・ルコルニュ氏(38) 
ルコルニュ氏は2022年、フランス革命以来最年少で国防相に就任した。中道右派・共和党出身で、マクロン氏に忠実な人物。マクロン氏が大統領になって以来閣僚を務め、急増する国防費を監督してきた。
フランソワ・バイル氏(73)
ベテラン中道派の政治家であるバイル氏は、下院でマクロン氏の主要な協力相手である民主運動党(MoDem)の党首を務める。同氏は、極右・国民連合(RN)が推す比例代表制による議会選挙を支持している。
ブルーノ・ルタイロー氏(64)
上院共和党グループの元リーダーで、バルニエ内閣では内相を務めた。移民問題への対応の厳格化を唱える。以前は、カトリック信者でナショナリストとして知られる政治家フィリップ・ドビリエ氏と親しかった。
ティエリ・ブルトン氏(69)
元経済・財務相のブルトン氏は、9月までは欧州委員(域内市場担当)を務めていたが、フォンデアライエン欧州委員長の要請を受けたマクロン氏から交代させられた。過去にはフランスの大手IT(情報技術)企業アトスの最高経営責任者(CEO)を務めた。アトスは現在経営難に直面し、負債削減のための資産を売却に追われている。このためブルトン氏は、フランスではしばしば批判の対象となっている。
フランソワ・バロワン氏(59)
バロワン氏は右派のシラク元大統領の愛弟子で、2000年代と2010年代に閣僚を務めた。元ジャーナリストで、現在はバークレイズ・フランスの会長を務める。マクロン氏について「友人がいない」と述べるなど非常に批判的で、今夏の下院解散の決定を「驚くべき危険な行為」と非難した。
ジャン・カステックス氏(59)
カステックス氏は、マクロン氏の下で2020-22年に首相を務めた。南仏訛りのアクセントと経営手腕で知られる。現在は、パリの地下鉄を運営する国営企業パリ交通公団(RATP)のトップを務める。
ミシェル・バルニエ氏(73)
マクロン氏は、退任するバルニエ氏を再任することもできる。ただ、本人は、不信任案採決前日の3日の時点で、その可能性を実質的に排除する発言を行った。バルニエ氏は「私は職務を全うしたい。だが、明日内閣が倒れ、その後私が何事もなかったかのようにここにいるとしたら、それはどういうことなのか」と述べた。
ブリンケン米国務長官、後任ルビオ氏に「最強の手札を」 政権移行控え | ロイター
仏大統領、新首相指名は「数日内に」 自身は職務満了を表明 | ロイター
フランスのマクロン大統領は5日、議会で不信任決議案が可決されたバルニエ首相の後任を「数日中に」指名すると表明した。新首相の最優先課題は、2025年予算案の議会承認になるとした。国民向けのテレビ演説で明らかにした。
予算の空白を回避するための特別法が12月中旬までに提出されるとみられる。その後、新政権が来年初めにも新たな予算案を編成し議会での採決にかける見通し。
自身の職務については、27年5月の任期満了まで大統領職にとどまる意向を表明した。
「皆さんから与えられた任期は5年間であり、私は最後までそれを全うする」と述べた。
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
米新規失業保険申請は9000件増の22.4万件、緩やかに増加 | ロイター
米労働省が5日発表した11月30日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比9000件増の22万4000件となった。エコノミスト予想は21万5000件だった。
緩やかに増加し、労働市場が引き続き着実に鎮静化していることを示唆した。
11月23日までの1週間の継続受給件数は2万5000件減の187万1000件だった。
今回のデータは11月の雇用統計の調査期間と重なっていない。
独鉱工業受注、10月前月比-1.5% 国内受注が低迷 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が5日発表した10月の鉱工業受注指数(季節・日数調整済み)は前月1.5%低下した。内需の低迷が背景。
ロイターがまとめた予想は2.0%低下だった。
部門別では機械・設備製造が7.6%減少し、自動車も3.7%減少した。半面、ベースメタル部門は10.2%増加し、コンピューター・電子・光学製品部門も8.0%増加した。
大型受注を除くベースでは0.1%増だった。
8─10月の3カ月では前の3カ月を2.7%上回った。
LBBWのエコノミスト、エルマー・フォルカー氏は「10月は、大幅増加した前月の反動で減少を予想していたが、予想ほど落ち込まなかった」と指摘した。
9月は、4.2%上昇から7.2%上昇に上方改定された。造船部門の大型受注が押し上げた。
フォルカー氏は過去3─6カ月のトレンドにかすかな希望の光が見えてきたが、数多くの経済や地政学のリスク要因を考えると、好転の兆しとみるのは時期尚早だと述べた。
ハウク・アウフハウザー・ランペのチーフ・エコノミスト、アレクサンダー・クルーガー氏は「業況底打ちの期待はあるものの、それで生産能力の減少に歯止めがかかるとは思えない」と述べ、来年2月の選挙後に発足する新政権が製造業を支援するのか、どのように支援するかも不透明だと指摘した。
統計庁によると10月は国内受注が5.3%減少した。海外受注は0.8%増加、ユーロ圏からの受注が7.6%減少する一方、ユーロ圏以外からの受注は6.3%増加した。
VP銀行のチーフエコノミスト、トマス・ギッツェル氏は、「ユーロ圏諸国の経済をけん引しているのはサービス業で、ドイツ製造業の助けにはならない」と述べ、新規受注トレンドの持続的変化は期待できないと語った。
●金融市場、先進国トピックス
ロンドン株式市場が急速に縮小、企業買収による上場廃止相次ぐ - Bloomberg
東京23区の家賃、30年ぶりの上昇幅 日銀利上げなど影響 - 日本経済新聞
トランプ政権下で銀行破綻なら、預金はどうなる  - WSJ
銀行株は米大統領選の投票日以降、値上がりしている。テールリスク(発生確率は低いが発生すると大きな損失をもたらすリスク)も上昇している。
S&Pの地方銀行株指数は11月5日以降、12%上昇しており、これは理解できる。銀行業界は規制緩和や、想定外の損失に備えて保有が義務付けられている資本についての要件緩和を見込んでいる。こうした動きは今後数年間に銀行の収益面で助けになるかもしれない。
投資家はこれまでのところ、起こり得るトレードオフを無視したがっている。ドナルド・トランプ次期米大統領が提案した大幅な関税引き上げは、インフレを誘発し、金利や債券利回りの上昇につながる可能性がある。米国債や政府保証付きの住宅ローン担保証券といった長期の固定金利資産を大量に保有している銀行にとって、そのような事態は債券価格の下落に伴う含み損が拡大し、バランスシートが悪化することを意味する可能性がある。
これは2023年3月のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻につながったタイプの損失だ。10年物米国債利回りは4.23%と、大統領選当日より若干低下しており、この類いのリスクは今のところ対処可能と思われる。しかし、同利回りが5%あるいはそれを上回る水準に戻ることがあれば、一部の金融機関にとっては再び問題となりかねない。
そこで厄介なのが、地銀大手がトランプ氏の次の任期中に破綻した場合に、同氏の新政権がどのような反応を示すかが予測不可能なことだ。トランプ氏が過去にどのような見解を支持していようとも、同氏は実際にその状況が起きて自身の対応が試されるまで、自分でもそれが分からないかもしれない。
一般的に、連邦預金保険公社(FDIC)は、預金者1人当たり1行につき最大で25万ドル(約3800万円)の預金を保護する。ただし、複数の口座を持つ顧客の一部はそれ以上の保護が受けられる可能性がある。銀行が破綻した場合、保護の限度額を超えて預金をしている人は、損失を被る可能性がある。]
SVBの株主は、同行が破綻した際に政府からの救済を受けられなかった。しかし、保護の限度額を超えて預金していた人の預金は保護された。続いてその週末に破綻したシグネチャー銀行の預金者も同様だった。数日後、トランプ氏は自らのソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」のアカウントに投稿した動画の中で、「救済はされるべきでなかった」と述べていた。
その後、同じ月に行われたインタビューで、FOXニュースの司会者を務めるショーン・ハニティー氏は「あなたならSVBの救済を支持したか」とトランプ氏に尋ねた。トランプ氏は「私なら支持しなかった。SVBは自力で対応すべきで、それは可能だったかもしれない」と答えた。トランプ氏によれば、SVBが破綻したのは、「彼らが愚かにも長期国債を購入」し、金利が上がると「その国債の価格が急落した」からだ(実際に最大の損失が出たのは政府保証付き住宅ローン担保証券だが、ポイントは同じだ)。
危機が生じた際、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど、米最大級の金融機関で保護の限度額を超えて預金している人を政府が保護することは、ほぼ間違いない。こうした金融機関は何兆ドルもの資産を持ち、システム上重要な金融機関として正式に指定されている。しかし、SVBが資産額として公表していた2000億ドル、あるいはシグネチャー銀行が公表していた1000億ドル程度の資産を持つ銀行はどうなるのか。資産が400億ドルの銀行はどうか。
どこで線引きされるかは誰にも分からない。投資家と保護対象外の預金者はいずれも注意すべきだ。
SVBの破綻後、それよりはるかに小規模な銀行であっても、預金保険対象外の預金は何としても保護されるだろうという想定が広がっていた。
政府は初期対応で、SVBの預金者は連邦預金保険の限度額までしか保護を受けられないと発表したが、その2日後にシグネチャー銀行が破綻し、他の銀行でも取り付け騒ぎの恐れが高まると、バイデン政権はすぐに方針を転換した。
ジャネット・イエレン財務長官はシステミックリスクに関する連邦法の例外規定を行使し、FDICがSVBとシグネチャー銀の預金を全額保護することを認めた。イエレン氏は後に議会で、このような決定はケース・バイ・ケースで行われるもので、連鎖のリスクがある場合は中小銀行も対象になり得ると語った。この危機は数カ月以内に沈静化した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが集計したデータによると、米上場銀行のうち、直近四半期の時点で貸出金と満期保有目的債券の含み損の合計が純資産の50%以上に相当する銀行は40行ある。そのほとんどが保有資産30億ドル未満だ。資産1140億ドルのフラッグスター・ファイナンシャルはこの含み損の比率が49%と、50%の基準をぎりぎり下回った。フラッグスターは最近、ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)から社名変更した。NYCBは今年になって破綻寸前の様相を見せ、新たな米地銀の危機を引き起こす可能性があった。
FDICによると、銀行業界全体での満期保有目的債券の含み損は、昨年第3四半期に3900億ドルのピークに達した後、入手可能な最新の数値となる今年6月末時点の統計では、3100億ドルに上っていた。満期保有目的とされた債券の含み損は、銀行のバランスシートに反映されないため、各行は保有資産の実際の価値が表面上の数字よりずっと低いにもかかわらず、資本状況を健全に見せることができる。しかし、流動性の確保が必要になった際には、これらの銀行は債券の売却を強いられる可能性があり、その場合には含み損が表に出てくる。こうした損失は、金利が上昇し始めた2022年より前には、無視できる水準だった。
取引銀行に大口預金がある顧客は最近、その銀行が経営破綻に陥った際に損失を被る恐れがあることを改めて認識させられた。最新の決算に基づく資産総額が1億0800万ドルだったオクラホマ州の地銀ファースト・ナショナル・バンク・オブ・リンゼーは今年10月に経営破綻した。FDICは、保護対象外の預金について同行の顧客が回収できる割合は50%までであり、これを超える額の回収は保証できないと発表した。米国の銀行が破綻して保護対象外の預金について顧客が損失を被ったのは、2019年以来のことだった。
米消費者金融保護局(CFPB)局長で、FDICの理事でもあるロヒト・チョプラ氏は先月、米議会に対し、ファースト・ナショナルの例を引き合いに出しながら、給与向けなどの金利の付かない事業資金口座について、連邦政府の預金保証の上限を撤廃するか、大幅に引き上げるよう求めた。同氏は「大手銀行に預金している大企業が制限なしに預金保険の恩恵を受けられるのに対し、小規模な銀行に預金している中小企業はその恩恵にあずかれない。これは根本的に不公平だ」と主張した。
しかし、現在の状況が続く可能性が高いことも事実だ。大き過ぎてつぶせない最大手銀行以外の金融機関に保護対象外の預金を持っている顧客は、可能であれば別のところに預金を移すべきだ。
トランプ氏が高インフレ招くとは限らない-7.5兆円運用の英ファンド - Bloomberg
英企業の賃金上昇率予想、4.0%に鈍化=中銀調査 | ロイター
フランス内閣崩壊、財政赤字削減の道筋不透明に=S&P | ロイター
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は5日、フランスで内閣総辞職が決まったことを受け、財政赤字削減への明確な道筋が失われたとの見方を示した。
S&Pグローバル・レーティングスはメモで、「年末まで4週間を切り、21日の予算成立期限までさらに時間がないことから、新政権が発足するかどうかにかかわらず、2025年の修正予算案が24年末までに成立する可能性は低いとみている」と記した。
ほとんどのシナリオにおいて、財政再建計画は前政権が提案した新税を含む計画よりもかなり小規模になると予想した。
米上院、航空会社の手数料を激しく非難 顧客を「貯金箱」扱い | ロイター
生保の為替ヘッジ比率が13年ぶり低水準、想定外の円高転換にリスクも - Bloomberg
日本の大手生命保険会社は、外国証券に投資する際にかける為替ヘッジの比率を13年ぶりの低水準まで引き下げた。生保の間で円安予想がなお優勢であることを示す。
ブルームバーグが生保9社の決算報告書を分析したところ、9月末時点で為替のフォワード(先渡し)取引や通貨スワップ、プットオプションなどのデリバティブ商品を使って円高リスクをヘッジしている比率は45.2%と半年前の47%から下がり、2011年以来の低水準になった。
現時点では日米の金利差が大きいことがこうしたスタンスを支えている。だが今後、金利差が急激に縮小すれば、各社は円高リスクにさらされる。ヘッジを急ぐ必要に迫られた生保の動きが円高に拍車を掛ける可能性も出てくる。
東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、生保勢は「円高シナリオが描けないのだろう」と話す。ヘッジをすると投資妙味が落ちるため、為替リスクを取って外債を買うか、「それが嫌なら外債のポートフォリオを減らすのではないか」とみている。
月内に予定される日本銀行と米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定は、生保の今後の対応を左右する重要な試金石となる。今週は日銀の利上げを巡り相反するシグナルを投資家が見極めようとする中、円相場は上下に揺れ動いている。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、急激な円高で投機筋が締め上げられるのと「同じようなことが生保にも起こる可能性はそれなりにある」と話す。円高局面に転じて生保が急いでヘッジを行う必要が出てくれば、これが円高圧力を一段と高めるリスクがあると述べた。
政府による円買い介入と日銀の追加利上げが低金利の円を売って高金利通貨を買うキャリートレードの解消を促し、円は7月から9月にかけて16%上昇した。その後は依然として大きい利回り格差が逆風となり、上昇分の半分程度を帳消しにしている。
生保の決算資料によると、ヘッジ比率の低下はフォワード取引の減少が理由だ。長期投資に用いられる通貨スワップのヘッジ比率は過去最高の13.6%となり、プットオプションの比率は5.4%と3月の4.6%から上昇した。
24年度上半期の円相場は乱高下した。大幅な資本流出に直面する中で、7月に一時1ドル=161円95銭とおよそ38年ぶりの安値を付けた。一方、財務省が実施した総額15兆3000億円に上る為替介入が円安の反転に寄与した。
FRBや他の中央銀行が利下げに動き、ヘッジコストが低下したことは生保にとって朗報だ。ドル安・円高に備えるための3カ月間のコストは23年10月のピークから約150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。22年9月以来マイナスが続く為替ヘッジ付き米国債10年物の利回りはゼロに近づいている。
門田真一郎氏らバークレイズのストラテジストはリポートで、米欧中銀の利下げと大規模な債券発行により、25年はヘッジ外債の利回りがプラスに転じる見込みだとし、為替ヘッジ比率は再び上昇する可能性があると指摘。為替スポットでの円買いを示唆すると分析した。
●中東情勢
●エマージング
韓国最大野党「共に民主党」代表、今週の弾劾案可決は困難な可能性 - Bloomberg
韓国の尹錫悦大統領の戒厳令宣布・解除を受け、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は尹大統領の弾劾訴追案を巡り、今週の可決は困難な可能性があるとの認識を示した。5日のブルームバーグテレビジョンのインタビューで語った。
李代表は数日後に予定されている弾劾案の採決に当たり、今週、与党からの十分な支持を集めるのは難しい可能性があると語った。
弾劾案を可決する上では、尹大統領が所属する与党「国民の力」から最低8人の造反を必要とする。李代表は与党議員の多くは弾劾に賛成の意向を持っているものの「党の方針に逆らう必要があるため、難しい立場に置かれている」と指摘した。
その上で李代表は最初の投票で弾劾が可決されなかったとしても、引き続き「共に民主党」は尹大統領の罷免を求める考えを示し、最終的には弾劾が実現するとの見通しだとし、「明後日(みょうごにち)、1週間後、1カ月後、3カ月後、いつ弾劾訴追されるかということだけが問題だ」と語った。
このほか、李氏は、株式の空売り制度の復活に賛成の立場を示し、「MSCI構成銘柄に選ばれるためにも必要だ」と指摘した。
李氏は、2022年の大統領選で僅差で尹氏に敗れた経緯がある。4月の総選挙で「共に民主党」が圧勝したことを受け、再び大統領選に立候補する機運も高まったが、11月に公職選挙法違反で有罪判決を受けた。判決が確定した場合、一定期間立候補できなくなる。
情報BOX:韓国大統領の弾劾プロセスと過去の実例 | ロイター
東欧ジョージア、親欧米派の野党指導者を相次ぎ拘束 抗議行動続く | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
米カリフォルニア州北部でM7の地震発生、津波警報は解除 - Bloomberg
米カリフォルニア州北部で5日、マグニチュード(M)7.0の地震が発生し、西海岸沿岸の広範な地域に津波警報が一時出された。米地質調査所(USGS)によると、地震は現地時間午前10時44分(日本時間6日午前3時44分)に同州ファーンデールの西南西99キロメートルで検知された。
太平洋津波警報センターは、同地震によって危険な津波が発生する恐れがあると発表。オレゴン州中部沿岸からカリフォルニア州サンタクルーズの北にかけて津波警報が発令されたが、複数回の余震があったものの警報は1時間弱で解除された。
米国本土を襲った地震としては、2019年にカリフォルニア州東部で観測されたM7.1以来、最も強いものとなった。
ファーンデールの北約15マイル(約25キロメートル)に位置するユリーカ市の当局者マイルズ・スラッテリー氏は、警察が津波危険区域の地域住民を避難させていたが、地震による初期の被害はわずかなようだと述べた。
今回の地震は、カリフォルニア沖の活発なプレート境界に沿って発生。USGSのジェシカ・ターナー氏によると、この境界沿いではここ数日で4回の小さな地震が発生していたが、小規模過ぎて揺れは感じられなかったとみられる。
地震発生直後、サンフランシスコでは、高台か内陸に至急移動するように促す緊急津波警報が携帯電話向けに発信された。市内エンバカデロのウォーターフロント地区などではオフィスワーカーが高台に避難した。
サンフランシスコ国際空港とオークランド空港の業務に影響は出ていない。
米カリフォルニア州北部でM7の地震、1万世帯で停電 - CNN.co.jp
米地質調査所(USGS)によると、米西部カリフォルニア州沖で5日午前10時44分(日本時間6日午前3時44分)ごろ、マグニチュード(M)7.0の地震があった。震源地は同州ハンボルト郡ユーレカから南西に約80キロ離れた沖合。
地震発生後、同州とオレゴン州の一部の沿岸部に津波警報が発令されたが、間もなく解除された。
国立津波警報センターによると、カリフォルニアの約320キロメートル沖合にあるブイで海面のわずかな変化が観測されたが、沿岸部では目立った変化はみられなかった。
M4.2の余震もあったが、これまでのところ大きな被害は報告されていない。
停電の情報サイト「PowerOutage.us」によると、ハンボルト郡では1万世帯超で停電が発生している。
サンフランシスコの北約480キロメートルに位置するユーレカで2022年12月に発生したM6.4の地震では少なくとも2人が死亡し、道路や家屋が損壊した。それから2週間もたたないうちにユーレカの南約48キロメートルでM5.4の地震があった。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(5日)ユーロ上昇、10年債利回り低下 株反落 | ロイター
### 為替
- ユーロが上昇:フランス国債利回りの安定や、フランス政局の影響が軽微とみられたことが買い材料に。
- ビットコインが史上最高値10万ドルを突破し、年初来130%以上の上昇率。
- 円は対ドルで0.4%上昇。日銀の中村審議委員の発言が材料視された。
### 債券市場
- 米10年債利回りは0.6bp低下し4.176%に。2年債利回りは2.7bp上昇して4.148%。
- 米11月雇用統計や消費者物価指数(CPI)などの指標発表を控え、市場は注目。
### 株式市場
- 米株式市場は反落。医療保険大手ユナイテッドヘルスが大幅下落し、テクノロジー株も軟調。
- ビットコイン関連株も下落。
### 商品市場
- 金先物は3営業日ぶりに反落、10年債利回りの上昇が影響。
- 原油先物は続落。OPECプラスが協調減産延長を決定したが、供給過剰懸念が重し。
全体として、主要市場は金利、原油供給、仮想通貨の動向、雇用統計などに注目が集まっている状況です。
欧州市場サマリー(5日) | ロイター
### ロンドン株式市場
- **FTSE250指数**: 0.02%下落し、ほぼ横ばい。
- **個人用品株**: FTSE350個人用品株指数は3.26%上昇。時計小売りのウォッチズ・オブ・スイスが14.2%急伸。
- **不動産関連株**: 不動産投資信託株指数が1.90%、不動産株指数が1.57%下落。ブリティッシュ・ランドが5%下げた。
- **フレイザーズ・グループ**: 通期利益見通しを引き下げた影響で10.7%下落。
- **石油・ガス株**: 1.43%下落。シェルも1.4%下げた。
- **建設・資材株**: 0.50%下落。英国の建設業PMIは改善も住宅建設は低迷。
### 欧州株式市場
- **STOXX欧州600指数**: 6営業日続伸し、約1か月ぶりの高値。
- **CAC40指数**: 0.37%上昇し約3週間ぶりの高水準。
- **DAX指数**: 0.63%上昇し、最高値を更新。
- **銀行株**: ユーロ圏銀行株指数は3.14%上昇。仏銀行大手が2.3~4.3%上昇。
- フランスで予算案可決の期待感が高まり、投資家心理が改善。
### ユーロ圏債券市場
- **仏独10年債利回り格差**: 77.2bpに縮小(2週間ぶりの低水準)。
- **独10年債利回り**: 6bp上昇し2.124%。
- **EU防衛基金**: 5000億ユーロ規模の共同資金を債券市場で調達する可能性が報道。

備忘録(2024/12/4
●海外企業決算
[DLTR] ダラーツリー 3Q増収増益 売上高3%増75.6億ドル、営業益11%増3.33億ドル、EPS1.08ドル - 株探(かぶたん)|米国株
米セールスフォース、8─10月売上高が予想超え クラウド需要堅調 | ロイター
米アプライド、11─1月期の業績予想変えず 米半導体規制強化でも | ロイター
米カーギル、世界で5%の人員削減へ 収益減受け米部門から | ロイター
●海外企業
米ユナイテッドヘルスケアCEO、撃たれて死亡-マンハッタンで - Bloomberg
ウェルズ・ファーゴ、サンフランシスコ本社ビル売却へ=WSJ | ロイター
米メタ、2030年代前半に米国で原発稼働目指す 実現へ事業者募集 | ロイター
GM、中国事業で7500億円超の損失計上へ 工場閉鎖も - 日本経済新聞
米ゼネラル・モーターズ(GM)は4日、中国事業で2024年10〜12月期に50億ドル(約7500億円)超の特別損失を計上すると発表した。減損損失や工場閉鎖などの費用が含まれる。上海汽車集団(SAIC)との合弁で手掛ける中国事業は現地勢との価格競争で販売台数が減り、赤字が続いていた。
GMは今後、SAICとの中国合弁事業の価値を26億〜29億ドルの範囲で引き下げると予想している。その上で、工場の閉鎖や事業再編に伴う27億ドルの追加費用がかかるとしている。内訳や詳細は明らかにしていない。
一連の費用は24年10〜12月期に特別損失として計上する。GMの広報担当者は4日、「合弁相手とのリストラ計画の最終決定に近づいている」とコメントした。
開示資料によると、GMの監査委員会が中国での合弁事業の投資価値の下落は「一時的なものではない」として減損損失の計上が必要であると判断した。同日の米株式市場の時間外取引でGMの株価は1%以上下落した。
GMは中国でSAICと折半出資の合弁会社を持つ。24年7〜9月期の中国事業の持ち分法損益は1億ドルの赤字だった。赤字は3四半期連続で、合弁事業の販売台数は37万2000台と前年同期比で37%減少した。一連の合理化で「25年の中国事業の業績は24年比で改善すると予想している」(広報担当者)。
GMは24年に入り、中国事業の苦戦を受けて研究開発部門のリストラや生産能力の削減を進めてきた。メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は7月、「中国の固定費削減は十分ではなく、合弁相手と事業の再構築を進めている」と表明していた。
アマゾン、自社AI半導体搭載のスパコン開発へ - WSJ
米ユナイテッドヘルスケアのCEO、マンハッタンで銃撃され死亡=報道 | ロイター
グローブ・ライフが乱高下 空売りのバイスロイが複数の主要事業所閉鎖と報告 同社は偽りと否定=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
生命保険のグローブ・ライフ<GL>が乱高下。一時100ドル台前半まで下落したものの、後半にかけて106ドル台半ばに戻す展開。空売りで知られるバイスロイ・リサーチが、同社のアメリカン・インカム・ライフ(AIL)部門が複数の主要事業所を閉鎖したようだと報告した。AILに深刻な問題があるという内容と、同社のオフィスに空室があるという内容のレポートを発表。
ただ、同社はそのレポートを否定。パンデミック以降、仮想ビジネスモデルへの移行を開始したためだと述べた。代理店がバーチャルで業務を行えるようにし、柔軟な働き方を実現し、間接費を削減することで、代理店の事業をより発展させることができるようにした結果だとしている。
AILの従業員は2020年3月の8000人超から2024年11月には1万2000人超に増えているとも述べている。「今回もまた日和見主義的な空売り屋が、AILの全米での存在感を偽って伝えた」とも付け加えた。
バイスロイは以前も同社を標的とし、今年初めには「詐欺的、不誠実、誤解を招く行為を行っている」と主張していた。
●日本企業
セブン北米事業IPO検討、創業家のMBO計画の一環で-関係者 - Bloomberg
セブン&アイ・ホールディングスの創業家による同社への買収提案の一環で、創業家陣営が買収後に北米でコンビニエンスストア事業を手掛けるセブンーイレブン・インク(SEI)の新規株式公開(IPO)を検討していることが4日、分かった。1兆円を超える規模の資金調達につなげ、MBOに伴う借り入れの返済に充てる。複数の関係者が明らかにした。
創業家の伊藤一族による買収提案では、経営陣による買収(MBO)に最大9兆円がかかる見通し。関係者によると、創業家や伊藤忠商事が出資し、3メガバンクなどから最大6兆円規模を借り入れてまかなおうとしているが、負担が大きくなりすぎるため、北米事業のIPOで得た売却益を返済に充てる。また関係者の1人によると、IPO後もセブン&アイは一定程度の持ち分を維持する計画という。
カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールによる買収提案への事実上の対抗策としてMBO計画が浮上。史上最大のバイアウトになる可能性もあるセブン&アイのMBO案は、大規模な借り入れ負担への対処が課題だった。SEIのIPOで1兆円を超える規模の資金が手に入り、返済計画の説得性が増すことでメガバンクなども巨額融資に応じやすくなり、MBO計画の実現性が高まる。
伊藤家の資産管理会社である伊藤興業に取材を試みたが、コメントは得られていない。セブン&アイにコメントを求めたが、得られていない。
報道を受けてセブン&アイ株は上げに転じ、一時2.7%高の2683円を付けた。
SEIは北米で、セブン-イレブンやガソリンスタンド併設型コンビニチェーンのスピードウェイなどを展開する。セブン&アイの資料によると、今期(2025年2月期)のSEIの売上高は573億ドル(約8兆6000億円)の見通し。これまでセブン&アイは北米事業を成長の柱として位置づけてきた。
IPOを通じた資金調達プランが浮上し前進したように見えるものの、MBO案には課題も残る。創業家と伊藤忠が主な出資者となる計画だが、資本は十分に集まっておらず、創業家側は複数の投資ファンドに資本性資金の要請を行っている。出資と資本性資金の合計で3兆円規模の調達を目指している。
JR東日本など、鉄道網維持へ苦肉の値上げ 老朽化・人手不足重く - 日本経済新聞
三菱商事、中国の銅不正取引疑惑で138億円の損失計上 - 日本経済新聞
三菱商事は4日、中国にもつ事業会社で銅を売買する担当者が不正取引に関与した疑いがあることを明らかにした。2024年7〜9月期連結決算に不正取引に関連する損失額として138億円を計上した。
三菱商事傘下企業の三菱商事RtMチャイナ(上海)は「トレーディング」と呼ばれる銅の売買業務を手がける。銅取引に関して重大な背任行為が認められたことから、RtMチャイナは担当者を懲戒解雇し、中国の公安当局に刑事告訴した。「刑事手続きにかかわるため、不正取引の詳細についてはコメントできない」(三菱商事広報)としている。
関係者によると、不正に関与した担当者を通じて取引した会社から代金が決済されなかったり、支払いが遅れたりしてキャッシュを回収できないことがあった。債権を回収できなかった分などを見込み、損失として24年7〜9月期に計上したという。
「現時点でこれ以上の損失は認識しておらず、通期業績への影響はない」(三菱商事広報)と説明している。同社は25年3月期の連結純利益は前期比1.5%減の9500億円を見込んでいる。
日鉄副会長、トランプ氏でも買収覆せず-手続きに則り現政権で承認なら - Bloomberg
日本製鉄の森高弘副会長兼副社長は、トランプ次期米大統領が阻止する考えを表明したUSスチール買収について、現政権で承認されればトランプ氏でも覆せないなどとして年内の実現について改めて意欲を示した。
森副会長は都内の本社での3日のインタビューで、トランプ氏が今週、USスチール買収に反対の意向を示したことに対し、買収実現の自信に揺らぎはないと話した。バイデン政権の間に正式な手続きにのっとって買収が承認されれば、トランプ氏がホワイトハウスに返り咲いてもひっくり返すことはできないとの考えを示した。
USスチール買収は米大統領選と重なったことでバイデン・トランプ両氏とも反対意向を表明するなど政治問題化。日鉄の森副会長は大統領選の終了後は冷静な議論ができると期待感を示していたが、全米鉄鋼労働組合(USW)は依然反対姿勢を崩しておらず、必ずしももくろみ通りには進んでいない。
森氏はUSWとの交渉状況についてはコメントを控えるとした上で、直近の訪米でUSスチールの拠点があるコミュニティのリーダーなどからUSスチール買収は「自分たちにとって必要で、ぜひ実行してくださいという感じの強い要請があった」と語った。そういった後押しがあれば「必ずこれは年末までにできると気持ちを新たにした」という。
また、森氏は中国製鋼材の輸出増加に対し、反ダンピング(不当廉売)調査は時間がかかるとし、「即効性のある関税」を課す必要があるとの考えも示した。日本に入ってくる中国製鋼材を放っておけば大変なことになるのは「火を見るより明らか」だとして、そうなる前に手を打つべきだと語った。
●先進国政治動向
米共和、トランプ氏政策を2段階で推進へ 民主の抵抗阻止も | ロイター
米議会共和党は、上下両院で多数派を占める来年にトランプ次期大統領の政策を推進するため2段階の計画について議論している。
上院のジョン・スーン次期院内総務は3日、非公開の党内会合で野党の「議事妨害(フィリバスター)」を回避する方策を含めた計画を示した。野党がフィリバスターに出た場合、それを止めるには議員60人の同意が必要となる。上院は共和党が53対47で多数派を占める。
同党が検討している「財政調整措置(リコンシリエーション)」は、上院多数派が優先順位が高いと見なす法案を通過させるための仕組みで、60議席ではなく単純過半数での法案採択が可能となる。
財政調整措置には、前段階として予算決議案の審議と成立が必要。会合に出席した共和党のジョンソン下院議長は、議会は今後数週間でつなぎ予算案を可決すると確信していると述べた。現在の資金は12月20日に期限切れとなる。
検討されている2段階計画によると、最初の法案は国境警備、エネルギー規制緩和、国防費といったトランプ氏の政策に焦点を当て、2つ目はトランプ前政権下の2017年に可決され、来年期限切れとなる減税措置を延長するための法案となる。
減税が延長された場合、現在36兆ドルの米債務総額は10年間で4兆ドル増加する。
トランプ氏はまた、社会保障税、残業代、チップ収入への課税を廃止し、自動車ローン利子控除を復活させるなど新たな減税も公約。超党派の財政監視団体である「責任ある連邦予算委員会」によると、10年間で議会予算局(CBO)の基準額を7兆7500億ドル上回る負担となる可能性が高い。
トランプ次期政権で2人目の指名辞退 麻薬取締局の長官ポスト - CNN.co.jp
米国防長官にデサンティス氏の指名検討、ヘグセス氏に代わり - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は、国防長官候補について、ピート・ヘグセス氏に代わり、フロリダ州のロン・デサンティス知事の指名を検討している。事情に詳しい関係者らが明らかにした。元FOXニュース司会者のヘグセス氏を巡っては、さまざまな疑惑が浮上しており、共和党上院議員らの間でも懸念が高まっている。
デサンティス氏とトランプ氏は2024年の大統領選で共和党からの指名獲得を争った関係だが、国防長官に指名すればトランプ氏としても大きな転換となる。一方でデサンティス氏は保守派として広く知られて軍歴もあり、米軍における「ウォーク(人種差別など社会的不公正の問題に高い意識を持つこと)」な政策の一掃についてもトランプ氏やヘグセス氏と同じ見解を示している。
事情に詳しい複数の関係者によれば、ヘグセス氏がさらなる精査には耐えられない可能性があるとの考えがトランプ氏の側近らの間で広がっており、次の48時間が同氏の運命を左右すると予想している。
デサンティス氏は国防長官候補のリストに含まれていたものの、トランプ氏は最終的にはヘグセス氏を選択。だがヘグセス氏の指名が行き詰まる中で、再びリストの候補者らが浮上し、デサンティス氏はトランプ氏が検討している1人だという。
関係者らはヘグセス氏の指名が頓挫した場合、トランプ氏がデサンティス氏ではなく他の候補を選ぶ可能性があるとも述べている。
デサンティス氏はかつてトランプ氏の信奉者と見られていたが、共和党の指名獲得争いに挑戦したことで両者の間には激しい対立が生まれ、トランプ氏はデサンティス氏が不忠だと非難していた。その後にトランプ氏は予備選で圧勝し、両者の友人らが関係修復に努めてきたという。
デサンティス氏の報道官からは今のところコメントは得られていない。
バイデン米大統領のレガシー、息子恩赦で台無しか - WSJ
第2次トランプ政権の始動に急ブレーキも、共和党は薄氷の下院支配に - Bloomberg
トランプ次期米大統領が目指す就任最初の100日間における法制化ダッシュに暗雲が立ちこめてきた。最後の結果確定となったカリフォルニア州の下院選議席は民主党候補の勝利が確定したほか、トランプ氏が次期政権の主要ポストに自身に忠実な下院議員を抜擢したことで、11月の選挙で過半数議席を維持した共和党のリードが僅差まで縮まるためだ。
これに伴い、政権入りで生じた空席を埋める補欠選挙が行われる少なくとも4月まで、共和党内から1人でも造反者が出れば、トランプ氏が目指す政策が一時的にとん挫する可能性が出てきた。
新下院議会(定数435)の構成は共和が220対215で多数派を占める。共和党が民主党に対して握るリードは、すでに立法化に苦戦している現在の下院勢力図よりも小さい。
トランプ氏は大統領補佐官(国家安全保障担当)にマイク・ウォルツ下院議員(フロリダ州)を指名。同氏はトランプ氏が大統領に就任する来年1月20日に議員を辞職する考えを示している。トランプ氏が司法長官に指名し、その後指名を辞退したマット・ゲーツ元下院議員(フロリダ州)は、1月3日から始まる新議会にも戻らない意向を示した。
両氏の議席は4月1日に予定されている補欠選挙後まで空白のままだ。
トランプ氏はまた、エリス・ステファニク下院議員(ニューヨーク州)を国連大使に指名した。ニューヨーク州の補欠選は、ステファニク氏が議員を辞職してから90日以内に実施されなければならない。
ステファニク氏の上院での人事承認手続きや議員辞職の時期にもよるが、ジョンソン下院議長と共和党にとっては、11月の選挙で獲得した3議席が同時に空席となり、217対215というさらに僅差の状況に直面する可能性がある。
そのシナリオでは、共和党から1人でも反対に回れば、216対216の同数となり、法案は否決されることになる。そうなれば、トランプ氏がジョンソン議長とともに目指している就任最初の100日間での野心的な立法課題の実現は遠のく。ステファニク氏が議員を辞職する前の段階でも、身内から2人の造反者が出れば、共和党のみが支持する法案は通らない可能性がある。
トランプ氏、貿易担当上級顧問に対中強硬派のナバロ氏指名 | ロイター
BRICS共通通貨恐れるトランプ氏の対応、ドルに逆効果か - WSJ
マスク氏の比類なき権力、ライバル勢に脅威 - WSJ
トランプ氏、SEC委員長にアトキンス氏指名 仮想通貨規制に懐疑的 - WSJ
仏議会、内閣不信任案を可決 バルニエ首相辞表提出へ | ロイター
フランス議会は4日、内閣不信任案の採決を行い、議員574人中331人が賛成票を投じ可決された。これを受け、バルニエ首相はマクロン大統領に辞表を提出する。
フランスで内閣不信任案が可決されるのは1962年以来初めて。予算成立と巨額の財政赤字の抑制が危ぶまれる政治的混迷に陥った。
野党はバルニエ首相による緊縮型の2025年度予算案に反対し、左派連合と極右が一致して不信任案を提出していた。
バルニエ首相は採決前、「財政赤字の現実は不信任案の魔法で消えることはない」と語り、次にどの政権が誕生しても財政赤字は再び頭を悩ませることになるとしていた。
マクロン大統領が6月に早期の総選挙に踏み切ったことが議会の二極化を招き、今回の政局行き詰まりにつながった。
政治的危機からの脱出は容易ではなく、マクロン氏にとっても打撃となる。
マクロン大統領は5日1900GMT(日本時間6日午前4時)から国民向けにテレビ演説を行う。
●先進国中銀、金融当局
ECB、12月利下げの正当性高まる=フィンランド中銀総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は、12月に利下げする正当性が高まったと見ており、今後数ヶ月は金融緩和が続くとの見方を示した。
国内紙とのインタビューで総裁は、ユーロ圏の経済成長の脆弱性と、インフレ率が中銀目標とする2%前後のの鈍化を指摘。「これらの要因が、12月に主要金利を引き下げる正当性を高めており、金融政策のこの方向性は今後数カ月続く」との見方を示した。
米経済活動、大半の地区で若干拡大 物価上昇ペースは控えめ=地区連銀報告 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は4日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動はほとんどの地区で若干拡大したという認識を示した。
物価上昇は控えめなペースにとどまったいう。雇用の伸びは「抑制的」で、物価上昇は緩やかなペースにとどまり、企業は楽観的な見通しを示したと言及した。
10月初旬から11月22日までに12地区連銀の調査先から得た情報に基づき、報告では「経済活動の伸びはおおむね小幅だったものの、ほとんどの地域や部門で成長への期待は緩やかに高まった」とし、「企業は向こう数カ月、需要が増えるとの期待感を示した」と言及した。
大半の地区で成長は小幅だったが、3地区は「緩やかまたは穏やか」、2地区は「横ばいまたはやや減少」を報告した。
今回の報告書を作成したカンザスシティー地区連銀は「最近人員を追加したと報告した企業はほとんどなく、ほぼ全ての企業が離職率は異例の低さと報告したことから、採用活動は抑制されている」とし、全体の雇用もおおむね同様の状況が示された。
また、大半の地区は従業員の賃金の伸びが穏やかとし、今後も同様のペースが続く見込みと報告した。
インフレは全般的に穏やかと報告されたが、幾つかの地区の企業はトランプ次期政権が新たな関税を課すとの見通しから、今後の物価上振れリスクに言及。フィラデルフィア地区連銀は「相当数の企業が関税によって物価が上昇するとの懸念を示した。全企業の今年第4・四半期のインフレ期待トリム平均値は3.3%で、第3・四半期の3.0%から上昇した」と報告した。
ベージュブックは、9月と11月の利下げにより現在4.50─4.75%としている政策金利の引き下げペースに関する判断材料となる。
今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合は12月17-18日に開かれる。金融市場では、0.25%ポイントの利下げが決定されると見込まれている。
ただ、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア個人消費支出(PCE)価格指数の前年同月比は今年5月以来、2.6─2.8%の範囲にとどまり、FRB目標の2%を上回っている。それでも、FRB当局者の多くは、短期金利の水準を踏まえてインフレ率は鈍化するとみている。
労働市場は引き続き堅調ながら徐々に冷え込みつつあり、FRB当局者は政策金利について、3.5%は超えないとの想定が多い中立金利の水準から大幅に長期間高い状態で据え置くことに慎重論がある。
6日に発表される11月の雇用統計では、10月にハリケーンや米航空機大手ボーイングのストライキの影響を受けた賃金の伸びが回復するとエコノミストはみている。ただ、失業率は4.2%と、4.1%から上昇するとみられている。
今後の利下げに慎重になる可能性、経済が堅調に推移=FRB議長 | ロイター
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は4日、米経済は9月に利下げを開始した当初よりも力強く推移しているため、FRBはさらなる利下げに慎重になる可能性があると述べた。
パウエル氏はニューヨークタイムズ紙主催のイベントで「経済は9月に予想していたよりも好調だ」と指摘。これを踏まえ、「金利政策で中立的な水準を見出そうとする中で、もう少し慎重になる余裕はある」とした。
その上で「米経済は極めてに良好な状態にあり、これが続かない理由はない。労働市場のリスクは低下したもようで、経済成長は明らかにわれわれの予想以上に強く、インフレはやや高めに推移している」と指摘。「良いニュースは、中立的な政策を模索する中で、一段と慎重になる余裕があるということだ」と述べた。
FRBが9月に決定した0.50%ポイントの利下げについては、労働市場の弱体化が続けばFRBは支援するという強力なシグナルを発信することが目的だったと説明。「その後の数カ月でデータが修正され、われわれの想定以上に経済が力強いことが強く示唆された」と語った。
BMOのエコノミストはパウエル氏のこの日の発言について、「FRBは利下げを行うとの市場の見方を変えるものではなかった」との見方を示した。
次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)を17─18日に控え、今回がブラックアウト期間入り前最後の議長発言となる見通し。
ECB総裁、仏支援に直接回答せず 「物価と金融安定は相関連」 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は4日、ユーロ圏の経済成長は今後数カ月で鈍化する可能性があり、中期見通しは不透明で下振れリスクが優勢との見方を示した。ブリュッセルで開かれた欧州議会の委員会で述べた。
ユーロ圏経済は過去1年半にわたって停滞が続いており、長らく予想されていた景気回復は実現していないうえ、フランス政局混迷により一層困難になっている。
市場の混乱が大きくなった場合にECBがフランス支援に踏み切るかとの質問に対し、ラガルド総裁は直接の回答を避け、「物価と金融の安定は相互に関連している。どちらか一方がなければ、もう一方も存在しない」と言及。金融安定はECBの主たる使命である物価安定に関係する要素だと述べるにとどめた。
またECBはインフレ対策を「確約」しており、不当かつ無秩序な市場の圧力にさらされた国の国債を無制限に購入することが可能な「伝達保護措置(TPI)」など複数の仕組みを駆使していると指摘した。
フランス国債利回りはここ数週間上昇基調にある。政権が崩壊すればさらに上昇する可能性があるため、投資家の間でECBの潜在的役割が注視されている。
しかし、市場の動きが無秩序でも不当でもなく、フランスは財政赤字抑制に向けた取り組みを進めている最中であるため、フランスがECBの支援対象となる可能性は低いとみられる。
このほかラガルド総裁は「調査に基づくデータは、サービス部門の成長鈍化と製造業の継続的な縮小を背景に、短期的には成長が弱まることを示唆している」と指摘。
「地政学的リスクが高まっており、国際貿易への脅威が増大している」とし、貿易障壁が製造業や投資に脅威を与えることになるとの見通しも示した。
●先進国経済指標
仏サービスPMI、11月46.9に低下 政局不透明感が圧迫 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のフランスのHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は46.9で10月の49.2から低下した。速報値の45.7からは上方改定された。予算案を巡り野党と対立するバルニエ政権退陣懸念が重しとなった。
サービス業の景況感は3カ月連続で悪化。夏季五輪中に回復が見られた景気は失速しつつある。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは48.1から45.9に低下した。
企業の信頼感は約4年ぶりの低水準。ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は予算案を巡りバルニエ政権が崩壊する可能性がある状況にあり、不透明な政局に対し企業マインドがいかに脆弱化を示していると述べた。
英サービスPMI、11月50.8に低下 予算案受け雇用コスト増大懸念 | ロイター
S&Pグローバル/CIPSがまとめた11月の英国のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は50.8で速報値の50.0から上方修正されたものの、10月の52.0を下回った。社会保障費の雇用者負担増大を前に企業が採用に慎重になった。
サービス部門の雇用は2カ月連続で減少。ただ減少ペースは10月から鈍化した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのエコノミクスディレクター、ティム・ムーア氏は、「予算案で発表された政策、特に雇用コストを押し上げそうな政策の影響に対する懸念が、企業の投資見通しを悪化させたとの指摘が多い」と述べた。
S&Pによると、調査企業は増税計画を受けて投資を保留し、需要減退への懸念を高めた。来年のインフレ圧力も懸念要因に挙げられた。
主に賃金コストの上昇により、投入コストは4月以来の大幅な上昇となった。
サービス企業の新規受注の伸びは6月以来最低、生産の伸び予想は2022年12月以来最低となった。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは51.8から50.5に低下し12カ月ぶりの低水準。速報値の49.9からは上方修正された。
ユーロ圏総合PMI改定値、11月は48.3 サービス業も50割れ | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は48.3と、前月の50.0から大幅に低下した。製造業に続いてサービス業も不況を示す水準となった。
速報値の48.1から小幅に上方修正されたが、好不況の分かれ目となる50を下回った。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「経済全体を支えてきたサービス部門は1月以来初めて縮小に転じた」と指摘。ユーロ圏の主要3カ国でこの傾向が見られるとして、「全体的な成長見通しにとって悪いニュースだ」と述べた。
サービス部門PMI改定値は49.5と、1月以来初めて50を下回った。先月は51.6だった。
総合新規事業指数は今年最低だった前月の47.9から46.8に低下した。全体的な需要が急減し、短期的な改善が見込めないことが示された。
ただ、サービス企業では雇用が拡大し、雇用指数は10月の50.3から51.0に上昇した。
独サービスPMI、11月は50下回る 第4四半期は良くてゼロ成長か | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のドイツのHCOB購買担当者景気指数(PMI)改定値は、サービス部門が49.3と10月の51.6から低下し、好不況の分かれ目である50を9カ月ぶりに下回った。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、8カ月にわたって50を上回っていたサービスPMIが50を下回ったことは、製造業の低迷をサービスが補えなくなったことを意味するとし、第4・四半期はゼロ成長ないしマイナス成長となる可能性があると指摘した。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは48.6から47.2に低下した。
新規事業が引き続き減少した。調査企業によると公共部門や製造業の引き合いが減少している。新規輸出は、ペースは落ちたものの5カ月連続で減少した。
サービス部門の人員削減はやや緩和したが、雇用は5カ月連続で減少した。これは2009年以来、最長となる。
賃金上昇を受けたコスト圧力で産出価格は4月以来の大幅上昇となった。
米製造業新規受注、10月は前月比0.2%増 小幅に回復 | ロイター
米11月ISM非製造業総合指数52.1に低下、価格指数はほぼ横ばい | ロイター
米供給管理協会(ISM)が4日発表した11月の非製造業総合指数は52.1と、前月の56.0から低下し、予想の55.5も下回った。
指数は10月に2022年8月以来の高水準を付けるなど、ここ数カ月は大幅に伸長。11月は低下したものの、第4・四半期に予想される堅調な経済成長と整合する水準は上回っている。
構成指数では、新規受注指数が53.7と、57.4から低下。雇用指数は51.5と、53.0から低下した。
価格指数は58.2と、ほぼ横ばい。運輸、金融サービス、保険などのサービス価格の上昇が、インフレ率を米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%に引き下げることの妨げになっている。
今回の結果から、企業がトランプ次期大統領による関税案の可能性を懸念し、価格上昇を警告していることも示された。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は、多くの企業は大統領選前に設備投資計画を控えていたとし、「私は企業投資の中長期的見通しについてはおおむね楽観的だが、企業は新政権が掲げる税制、規制、通商政策の詳細を見極めるまで、投資に慎重な姿勢をとる可能性が高い」と述べた。
業種別では、卸売、金融・保険、建設などを含む14業種が拡大、鉱業などの3業種が縮小した。
米11月ADP民間雇用、14.6万人増 予想わずかに下回る | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
ヘッジファンド 対円でのユーロ売りに転じる-日銀利上げを期待 - Bloomberg
OECD世界経済見通し、安定的な成長予想 保護主義リスク警戒 | ロイター
経済協力開発機構(OECD)は4日に公表した経済予測で、保護主義の再燃で貿易の回復が妨げられなければ、世界経済は今後2年間安定的に成長するとの見通しを示した。
2024年の世界経済の成長率は3.2%、25年と26年は3.3%と予想した。インフレ率の低下、雇用の拡大、金利の引き下げにより、一部の国の財政引き締めが相殺されるとみている。
9月の予想では今年と来年の成長率を3.2%としていた。26年の見通しは今回初めて公表された。
OECDによると、昨年落ち込んだ世界貿易は、輸入制限措置が増えているにもかかわらず回復しており、来年は数量ベースで3.6%増加する見込み。
OECDは「貿易摩擦と保護主義の高まりでサプライチェーンが混乱し、消費者物価を押し上げ、成長に悪影響を及ぼす恐れがある」と警告した。
トランプ次期米大統領は主要貿易相手国に対し関税を引き上げる構えを見せており、貿易の見通しが不透明になっている。
OECDは米経済について、雇用市場の冷え込みにより消費が鈍化するとの見方を示し、今年の成長率は2.8%となり、25年は2.4%、26年は2.1%にさらに鈍化すると予測した。
中国も金融・財政政策の緩和にもかかわらず、24年の4.9%から25年は4.7%、26年は4.4%に減速する見込み。備えのための貯蓄が高水準で消費者支出が低迷していると指摘した。
一方、ユーロ圏は欧州中央銀行(ECB)の金融緩和が投資を促し、労働市場の引き締まりが個人消費を支えると予想。成長率は今年の0.8%から25年は1.3%、26年は1.5%に加速するとした。
英国の成長率は今年は0.9%、25年は1.7%と予測した。実質所得の増加と政府支出の増加が増税の影響を相殺すると見込む。26年は1.3%に鈍化する見通し。
日本の成長率は今年はマイナス0.3%となるが、景気刺激策を追い風に25年は1.5%のプラス成長を回復し、26年は0.6%へ鈍化すると見込んだ。
OECDは、インフレ緩和に合わせて日本を除く大半の主要中銀は慎重に金融緩和を続けるべきとの見解を示した。
ほとんどの国は政府の財政が圧迫されているため、債務負担を安定させるために断固たる行動を取る必要があると訴えた。
第2次トランプ政権で金融グローバル化はリセットへ=欧州銀行幹部 | ロイター
トランプ次期米大統領が計画する輸入関税や米金融業界の規制緩和により、金融の「グローバル化」はリセットされるだろう――。ロンドンで開かれた「FTグローバル・バンキング・サミット」に出席した欧州の銀行幹部らは3日、こうした見方を示した。
 トランプ氏はメキシコとカナダからの全輸入品に25%の関税を課すと述べている。スペインのビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)のメキシコ法人は同国最大の商業銀行であり、関税によって同国の競争力や経済成長に変化が生じればBBVAは最も大きな影響を受ける外国銀行の一つだ。
ただBBVAのオヌル・ヘンク最高経営責任者(CEO)は「米国の労働コストが100で、メキシコが10だとすれば、10(%)に25%を足す」だけのことであり、メキシコはコスト面で競争力を維持すると予想。「われわれはまったく心配していない」と述べた。
英銀大手スタンダード・チャータード(スタンチャート)(STAN.L), opens new tabの最高ストラテジー人材責任者、タヌジ・カピラシュラミ氏は、トランプ氏の関税は世界のサプライチェーンを混乱させる一方で、アジアと中東の銀行にとっては新たなビジネス機会が開けるとの見方を示した。広告 - スクロール後に記事が続きます
欧州中央銀行(ECB)のチポローネ理事は、トランプ氏の関税がユーロ圏の経済成長とインフレを低下させる可能性があると述べた。
トランプ氏は米金融業界で次々と規制緩和を行うとの見方がある。これに伴い、米国では銀行の自己資本規制「バーゼル3」の最終化「バーゼル・エンドゲーム」が欧州と同じペースでは実施されないとの観測も生じている。
英大手銀バークレイズ(BARC.L), opens new tabのC・S・ベンカタクリシュナンCEOはこの点を警戒しつつも「米国は偉大で強力な制度を有しており、国際社会で非常に重要な役割を担っていることを自認している」と述べ、欧米でほぼ同じ時期にエンドゲームが採用されるとの期待を示した。
コンサルタント会社アルバレス・アンド・マーサルの調査によると、北米の銀行の純金利マージンは1.8%と欧州銀の1.2%を上回っている。欧州の銀行幹部らは、トランプ氏が自国市場に有利な政策を実行すれば、この差がさらに開きかねないと懸念している。
東証REIT指数、4カ月ぶり安値 金利先高観が重荷 - 日本経済新聞
トランプ氏勝利で国を出ると話す米国人たち、海外移住への関心が急上昇 - CNN.co.jp
「サイバーマンデー」の売り上げ2兆円と過去最高、米国の消費意欲旺盛 - CNN.co.jp
●中東情勢
サウジ皇太子:世界は水分野で高まる課題に直面している|ARAB NEWS
サウジ、石油市場で支配力弱まる - WSJ
石油輸出国機構(OPEC)に対するサウジアラビアの強い影響力は、世界の石油市場における揺るぎない支配力を意味していた。だがその時代は終わった。少なくとも今のところは。
サウジは原油価格を高水準に保とうとしているものの、計画通りに進まず苦戦している。サウジにとって、価格が上昇すればインフラ向け支出の拡大に必要な資金を調達しやすくなる。こうした支出には、国内経済を石油依存から急転換させるための1兆ドル(約150兆円)規模のプロジェクトも含まれる。一方、価格上昇はガソリンの値上がりとなってドライバーを直撃し、世界的なインフレ再燃を招くリスクもある。
OPECでは、共同歩調を取ることに抵抗する一部の加盟国が増産と短期的利益の最大化を求めている。背景には、米国のドナルド・トランプ前大統領の再選で勢いづいた米シェール業界との競争が激化するとの見通しがある。
トランプ氏は11月6日、大統領選での勝利宣言をした演説の中で「われわれは世界のどの国よりも多くの液体の黄金(石油)を持っている」とし、「サウジアラビアよりも多い。ロシアよりも多い」と述べた。
OPECに加えロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が5日に予定する会合を前に、実質的なリーダーであるサウジはジレンマに直面している。石油価格の維持を優先するか、あるいは市場シェア回復のために闘うか、という問題だ。
サウジは新たな価格戦争を始めるつもりはないように思われる。
サウジは自国の生産量を引き続き抑制する方向に傾いており、すでに2度延期している供給拡大計画をさらに先送りする可能性が高いと同国当局者らは語る。
サウジ当局者の一人は「来年、石油を市場に再流入させることはできないだろう」と述べた。
ただ、生産量が多いアラブ首長国連邦(UAE)は来年1月から市場への供給を増やすことを認められている。イラクとカザフスタンも自国の増産を求めてOPECへの働きかけを行っており、実現すれば市場への供給がさらに拡大し価格が抑制されることになる。
サウジは2014年と20年に価格戦争を仕掛けて米シェール業界に対抗しようとしたが、結局は米国の生産量拡大を抑えることはできなかった。
今回サウジ当局者らは、トランプ氏がどの程度の価格水準を望んでいるのかを示唆するまでは思い切った行動を起こしにくいと語る。トランプ氏は以前、消費者のガソリン代負担を軽減したいと述べていたが、同氏の選挙活動に対しては価格上昇の恩恵を受ける石油業界も献金を行っていた。
米州での原油増産などを背景に、2016年に発足したOPECプラスは世界供給におけるシェアが過去最低に近い水準にまで低下している。
サウジが推し進めるOPECプラスの減産に対し、他のメンバーの間では不満が高まっている。
調査会社ライスタッド・エナジーのアナリスト、ホルヘ・レオン氏は「市場が拡大しているときにカルテルの一員でいることは楽だ」とした上で、「生産を削減しているときには誰もカルテルに参加したいとは思わない」と述べた。
結果として、OPECプラスは米国に対する地政学的影響力を一部失った。米国務省のエネルギー資源担当次官補、ジェフリー・パイアット氏は、現在はブラジル、カナダ、ガイアナといった石油生産国が供給を大幅に拡大しており、OPECプラスの市場に対する影響力は「想像以上に小さい」と指摘する。
パイアット氏は「米国がエネルギー超大国としての地位をどう考えているか」が戦略における課題だとし、「われわれは自分たちのことに集中することができるため、OPECなどが何をしているかについてそれほど騒ぐ必要はない」と述べた。
OPECウオッチャーらは、力関係の変化によって、サウジは加盟国を統率したり加盟国の拡大に取り組んだりすることが難しくなったと指摘する。
OPEC内の摩擦は先週表面化した。イランのOPECプラス代表が国営通信社に寄稿し、価格を高水準に維持するサウジ主導の政策について、米国など他の生産国の増産意欲を刺激するなどの結果を招き、ほとんど失敗に終わったと主張。同代表はアンゴラがすでにOPECを脱退したことに言及し、この政策によって、脱退する国は増える可能性があるとの見解を示した。
ほんの2年前と比べ、状況は様変わりした。当時の原油価格は1バレル=100ドルを超え、ジョー・バイデン米大統領はサウジに増産を要請した。ウォール街では、2000年代に中国がコモディティー(商品)価格の押し上げ要因になったように、原油価格も長期的に上昇すると予想する向きもあった。
現在、原油価格は1バレル=75ドルを下回る水準で推移している。中国経済は成長が予想ほど伸びず、エネルギー効率は向上が著しい。OPEC関係者の一人は、従来の計画通り1月から増産するのではなく、「第1四半期が終わり、中国の需要が高まるのを待って増産する方が賢明かもしれない」と話した。
サウジ当局者の監督下にあるOPEC内部のアナリストらは今年と来年の需要の伸びについて、見通しを4カ月連続で下方修正した。こうした予想引き下げは、トレーダーや米当局者、さらには一部のOPEC代表者らの間で市場見通しの精度に関するOPECへの信頼性低下の一因になっている。
国際エネルギー機関(IEA)の予測によると、OPECプラスが減産しなければ、来年は世界の供給量が需要を日量100万バレル以上、上回るとみられている。
UAEのアブダビで開催された石油関連の会合に出席した商品取引大手ガンバー・グループのトルビョルン・トルンクビスト会長は「業界は過剰投資をしている」と記者団に語った。「現在、(石油の)余剰が積み上がっている」
こうした要因により、ウォール街ではここ数カ月、原油価格は軟化するとの見通しが強まった。9月には、ブレント原油先物市場でヘッジファンドが初めて売り越しに転じた。
OPECプラスの一部では、トランプ氏が掲げる「掘って、掘って、掘りまくれ」というスローガンは規制緩和と連邦所有地における開発加速という形で価格のさらなる圧迫要因になるとの懸念がある。一方、米国の石油会社幹部やアナリストらの間では、トランプ氏が公約とする急速な増産を警戒する姿勢が見られる。
米国の原油生産量は今年、サウジの10月の生産量を47%上回る日量1320万バレルに達し、2025年には日量1350万バレルになるとの予測を連邦当局は示す。ニューメキシコ州の一つの郡だけで、OPECの中核12カ国のうち最小6カ国の生産量を上回る原油を生産している。
サウジのエネルギー相、アブドルアジズ・ビン・サルマン氏は、サウジの影響力低下への不満をあらわにすることがある。
OPEC会合は中止になったり直前に招集されたりすることが多く、情報漏れを避けるためにオンラインでの開催も珍しくない。アブドルアジズ氏は9月、生産協定を守らないOPECプラスのメンバーがいれば、原油価格は1バレル=50ドルに下落する可能性があると警告したとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じていた。
一部のアナリストは、原油価格を維持しようとするサウジの戦略は、今後数年で米国のシェール生産が予想通りピークに達するのを待つという長期的な賭けに等しいとの見方を示す。
一方、コロンビア大学グローバルエネルギー政策センター(CGEP)の上級研究員、カレン・ヤング氏は、OPECプラスの結束を維持することは、参加国にとって「低価格が予想される時期を乗り切るために」極めて重要になると述べた。
●エマージング
【社説】韓国の戒厳令騒ぎで見えた希望 - WSJ
韓国では3日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が根拠のはっきりしない戒厳令を布告したが、この戒厳令が短時間で解除されたことで、同国の民主主義はここ数十年で最大の試練を乗り越えた。韓国の国会は戒厳令の布告後すぐに戒厳令の解除要求決議を190対0で可決し、尹氏はこの判断に従った。尹政権は閣議を開き、4日午前4時半ごろに戒厳令の解除案を承認した。
尹氏が3日深夜に突然行った演説は、韓国国民を驚かせた。尹氏はその中で、「北朝鮮の共産主義勢力の脅威」から国家と「自由の憲法秩序」を守るとともに、「北朝鮮を支持する反国家勢力」を排除するため、戒厳令を布告すると発表した。尹氏は、こうした脅威の詳細を明らかにせず、誰を脅威と捉えているのかも示さなかった。今回の戒厳令布告は、弱体化が進む政権を救おうとする同氏の無謀な賭けであるかのようだった。
尹氏が勝利した2022年の韓国大統領選は、得票差が1%にも満たない接戦だった。韓国の政治は時には米国と同じくらい分裂しているようにも見える。過半数を占めていた野党が今年4月の総選挙でさらに議席数を伸ばし、尹大統領の支持率は20%を下回っている。
尹氏は今月3日、野党が予算案の削減を求めていることや、政府高官を弾劾しようとしていることを激しく非難した。同氏は、国会が「犯罪者の巣窟」になっており、「自由民主主義体制を崩壊させる怪物」になっていると主張した。
だが、予算を巡る争いは、戒厳令を発動して、政府がメディアを統制し、国会の活動を制限し、軍を街頭に配備する理由にはならない。韓国の戒厳令法でこのような手段を取ることが認められているのは、戦争や国家の緊急事態などの非常時、あるいは治安確保や公共秩序の維持が目的の場合だけだ。そのような脅威に当たるものは何も見当たらない。
尹氏が所属する与党「国民の力」の党首が「要件を満たさない違法、違憲の戒厳令宣言」を非難したことは注目に値し、希望を与えるものだ。2027年に5年の任期が切れる尹氏は、再出馬できないレームダックとなっている。
韓国と北朝鮮の国境は世界で最も重武装されている国境の一つであり、朝鮮半島にはおよそ2万8500人の米兵が駐留している。尹氏による戒厳令布告といった韓国での混乱の兆候は、北朝鮮の独裁者・金正恩朝鮮労働党総書記からの無謀な軍事行動を招く恐れがある。バイデン政権は米軍が駐留していることを考慮し、戒厳令布告がもたらす危険について、尹氏に幾つかの的を射た助言をしたかもしれない。
韓国政府が差し迫った危機を回避できたとしても、政治的な影響はしばらく残るだろう。国会は尹氏を弾劾しようとする可能性があり、そうなればどのような結果になるかは不明だ。韓国国民は、北朝鮮の脅威からの自由を維持するため、そして1980年代には独裁者の支配を終わらせるために、犠牲を払った。3日の出来事は、韓国に民主主義の文化が根付いたことを示唆する。アジア太平洋地域にある米国の重要な同盟国の一つでこうした動きが示されたことは心強い。
韓国資産への投資意欲低下の可能性、政治的混乱で - WSJ
韓国での突然の戒厳令宣言を受けて市場は動揺し、ウォンと韓国株が下落している。国会の決議によって戒厳令は即座に解除されたものの、今回の出来事は投資家の間に悪い印象を残す可能性が高い。
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は3日遅く、政敵らが北朝鮮に対する国家の脆弱(ぜいじゃく)性を高めたとして非常戒厳を宣言したが、国会が4日未明に解除要求決議案を可決したことを受け、数時間後に解除を余儀なくされた。
みずほセキュリティーズシンガポールのアジア(日本を除く)担当マクロ調査責任者、ビシュヌ・バラサン氏は、このニュースを受けてウォンは急落したが、その後やや持ち直し、市場の不安も多少和らいだものの、この混乱は韓国資産の政治的リスクプレミアムに関する厄介な問題を引き起こしていると指摘。
「ファンダメンタルズの完全な回復は見込めない。リスクプレミアムが消えることはないだろう」と述べた。
韓国野党が大統領弾劾訴追案を国会提出、6日か7日採決 国防相辞意 | ロイター
韓国の野党6党は4日、尹錫悦大統領が戒厳令を発令し数時間後に解除したことを受けて、大統領弾劾訴追案を国会に提出した。採決は6日か7日に行われる。
法案を正式に提出するための本会議は、午前0時過ぎ(日本時間同)に開始される予定。
尹氏の与党「国民の力」も党内分裂は深刻だ。韓東勲代表は金龍顕国防相の解任と内閣全体の総辞職を要求した。その後、国防相は辞意を表明した。
大統領の弾劾法案は国会議員の3分の2以上の賛成があれば可決される。その後、憲法裁判所で審理が行われ、9人の判事のうち6人が支持すれば弾劾が承認される。
与党は国会の300議席のうち108議席を占める。尹氏が辞任するか罷免された場合、新たな選挙が行われるまで韓悳洙首相が職務を代行することになる。
【解説】 なぜ尹大統領はいきなり非常戒厳を宣布したのか……翌朝には解除 - BBCニュース
韓国戒厳令巡り国際的な反発、「グローバル中枢国家」が看板倒れ | ロイター
ウクライナ終戦へ領土割譲やNATO加盟断念、トランプ氏側近が提案=関係筋 | ロイター
トランプ次期米大統領に側近から複数のウクライナ終戦案が提示されていることが、政権移行チーム関係者の話で分かった。提案には、事実上のロシアへの領土割譲となる現行戦線の凍結や、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟断念が含まれているもようだ。
トランプ氏は選挙戦中、自分が大統領ならウクライナ戦争を24時間で終わらせると主張していた。同氏の側近は「アメとムチ」戦略でウクライナとロシアを交渉のテーブルに着かせようとしている。
政権移行チーム関係者によると主な提案は3つ。トランプ氏がウクライナ・ロシア担当特使に任命した元陸軍中将のキース・ケロッグ氏、バンス次期副大統領、駐ドイツ大使を務めたグレネル元国家情報長官代行がそれぞれ提出した。
今年提出されたケロッグ氏案では、ウクライナ領内の現在の戦闘ラインを凍結するとともに、米国がウクライナに安全保障を保証するとしている。合意が成立すれば米国がウクライナへの武器供与を拡大する可能性がある。
上院議員時代にウクライナ支援に反対していたバンス氏が9月に策定した案では、ウクライナのNATO加盟を否定している。バンス氏は、米ポッドキャスト司会者に対し、終戦案には、既存の前線に非武装地帯を設け、「厳重に要塞化」してロシアのさらなる侵攻を防ぐことが含まれる可能性が高いと語っている。
グレネル氏は、7月のブルームバーグとの円卓会議でウクライナ東部に「自治区」を設置することを提唱した。ただ詳細は明らかにしていない。
次期政権の安全保障担当副補佐官に就任する予定のセバスチャン・ゴルカ氏は6月、英ラジオのインタビューで、トランプ氏が、プーチン大統領が和平協議への参加を拒めばウクライナに前例のない規模の兵器を供与すると脅して、交渉のテーブルに着かせると述べていた、と語った。
米国家情報会議(NIC)の国家情報職員を務めた経歴を持つカーネギー国際平和基金のユージーン・ルーマー氏は、ウクライナ東部戦局が優勢なこともあり、プーチン氏がトランプ氏の要請に易々と応じることはないと指摘。今回の侵攻で一方的に併合を宣言したウクライナ東部4州の認定やウクライナのNATO加盟断念は譲れない要求だという。「現実的な終戦計画は誰も持っていない」と指摘した。
財新・中国サービスPMI、11月は51.5に低下 新規事業の伸び鈍化 | ロイター
財新/S&Pグローバルが4日発表した11月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は51.5と、10月の52.0から低下した。輸出を含む新規事業の伸びが鈍化した。景況拡大・縮小の分かれ目となる50は上回った。
統計局が11月30日に発表したサービス業と建設業を含む非製造業PMIも50.0と、10月の50.2から低下した。
財新智庫のシニアエコノミスト、王哲氏は「サービスプロバイダーは、政策支援を背景に市場改善に自信を示している。ただ、一部は今後の貿易環境を懸念している」と述べた。
11月の新規事業の動向を示す指数は前月の52.1から51.8に低下した。海外からの新規事業の伸びも鈍化した。
ただ、企業の雇用は3カ月連続で増加し、全般的な景況感は7カ月ぶりの水準に改善した。
王氏は、11月に景気回復の勢いは増したが、成長への下振れ圧力は依然として顕著だとし、「経済が直面している構造的・循環的な圧力は今後も続く見通しで、さらに外的な不確実性が増す可能性があり、十分な政策のバッファーが必要になる」と述べた。
製造業とサービス部門を合わせた総合PMIは前月の51.9から52.3に上昇した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
今年の単語は「demure」 辞書サイトが発表 - CNN.co.jp
誰もが突然「ほぼシラフ」になった理由 - WSJ
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(4日)ハイテク主導で株上昇、ユーロ小幅上昇、利回り低下 | ロイター
- **為替市場**  
  - ユーロ/ドルは小幅上昇(1.0512ドル)。フランスの内閣不信任案可決が影響。  
  - バルニエ首相の辞任見通しがフランスの政治危機を深め、ユーロに圧力。  
  - ドルは横ばい。韓国ウォンは上昇。ドル指数は106.33。  
  - 米経済指標は利下げ予想に大きな影響を与えず。  
- **債券市場**  
  - 米国債利回りは低下。10年債利回りは4.184%、2年債利回りは4.132%。  
  - 12月のFOMCでの25bp利下げ観測が継続。ISM非製造業総合指数は予想を下回る結果。  
- **株式市場**  
  - 米主要株価指数はハイテク株主導で最高値更新。セールスフォース株が大幅上昇。  
  - パウエルFRB議長が慎重な利下げスタンスを示唆。楽観的な経済観測が市場を後押し。  
- **金市場**  
  - 米雇用指標が市場予想を下回り、ドル安・ユーロ高が進行。金価格は続伸。  
- **原油市場**  
  - 原油先物は反落。OPECプラスの生産方針会合を控え、利食い売りが出た。  
  - ガソリンなど石油製品在庫の増加報告が売りを促進。  
  - 地政学的リスクも一時相場を押し上げる要因に。
欧州市場サマリー(4日) | ロイター
### ロンドン株式市場
- **FTSE100種指数**は6営業日ぶりに反落。アストラゼネカの株価下落が影響。
- **FTSE250種指数**は0.54%上昇。
- アストラゼネカはHSBCの目標株価引き下げを受け2.9%下落。
- 資源株も軟調:グレンコア1.0%安、アングロ・アメリカン2.5%安。
- イングランド銀行は段階的な利下げ方針を示し、来年末までに79bpの利下げが織り込まれる。
- 英国サービスPMI改定値は50.8と上方修正も、10月の52.0を下回る。
### 欧州株式市場
- **STOXX欧州600指数**は5営業日続伸し1カ月ぶりの高値。
- **DAX指数**は1.08%高、2万ポイント超え。
- 小売株指数が2.21%高で市場をけん引。
- フランスCAC40指数は0.66%高。政治的混乱の中でも上昇。
- 個別銘柄:ヒューゴ・ボス9.8%高、ヘキサゴン7.9%高。ベスタスはCFO退任発表で10.9%急落。
### ユーロ圏債券市場
- フランス国債市場は安定。10年債利回りは2.907%。
- ドイツ10年債利回りは2bp上昇の2.089%。
- ECBは来週25bpの利下げを実施すると市場は予想。50bpの可能性は27%。
主要市場では政策や経済指標への関心が高まる中、個別銘柄や業種ごとに明暗が分かれました。

備忘録(2024/12/3
海外企業決算
[CRM] セールスフォース 3Q増収増益 売上高8%増94.4億ドル、営業益26%増18.9億ドル、EPS1.58ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CPB] キャンベルズ 1Q増収最終減益 売上高10%増27.7億ドル、純利益7%減2.18億ドル、配当0.39ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
海外企業
カタールエナジー、英シェルとLNG長期契約締結 中国向けに供給 | ロイター
カタール国営石油・ガス会社カタールエナジーは2日、同業大手の英シェルと、液化天然ガス(LNG)の長期売買契約を締結したと明らかにした。中国向けに年間300万トンを供給。2025年1月から開始する。
カタールエナジーはシェルとの契約締結について、中国でLNG市場の拡大が続いていることが示されたと指摘した。ただ、具体的な契約期間については言及しなかった。
中国は世界最大のLNG輸入国。同国税関のデータによると、23年の輸入量は7100万トンに上る。21年は過去最高の約7900万トンと、過去最高水準に達した。
シェルは、LNG市場は23年の年間約4億トンから40年までに約50%拡大すると予想。アジア経済が成長していることや、発電で使用する燃料が、石炭から大気汚染の排出が最も少ないガスに移行していることを理由に挙げた。
カタールは、米国、オーストラリアに次いで、世界3位のLNG輸出国。調査会社クプラーのデータと分析によると、カタールは今年これまでに7300万トンを輸出している。
ブラックロック、プライベートクレジットHPSを120億ドルで買収 - Bloomberg
米資産運用会社ブラックロックは3日、プライベートクレジット会社HPSインベストメント・パートナーズを買収することで合意したと発表した。全額株式による取引で、買収額は約120億ドル(約1兆8000億円)。ブラックロックはこの買収により、プライベートクレジット部門のトップ企業に仲間入りする。
ブラックロックの発表によると、HPSの創業者スコット・カプニック氏、スコット・フレンチ氏、マイケル・パターソン氏は、ブラックロックの新しいプライベート・ファイナンス・ソリューション事業を率いることになる。
ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は発表した声明で「HPSの規模、能力、専門知識を活用し、パブリックとプライベートを円滑に融合させた課題解決策を顧客に提供していく」と述べた。
買収手続きは、規制当局の承認を経て、2025年半ばに完了する見通しだ。買収によって、運用資産総額115000億ドルのブラックロックは、6000億ドル近いオルタナティブ資産を保有することになる。
株式や債券の運用では世界最大のブラックロックを、年金機構や保険会社、政府系ファンド、富裕層が注目するプライベート資産の有力なプレーヤーに変貌させるべく、フィンク氏は1年かけ取り組みを続けてきた。ブラックロックは10月にはグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)の125億ドルの買収を完了。HPSと合わせると、1年足らずでオルタナティブ投資会社の最大規模の買収を2件も成功させたことになる。
HPSは顧客資産の管理総額が1480億ドルに上り、急成長するプライベートクレジット市場では、最大規模の独立系運用会社の一つだ。
HPSの買収により、ブラックロックのオルタナティブ投資事業は規模の上ではカーライル・グループを超え、KKRやアポロ・グローバル・マネジメントと肩を並べることになる。
AT&T、27年までの持続的な利益成長を予想-自社株買い実施へ - Bloomberg
米通信大手AT&Tは、向こう3年間の持続的な利益成長を予想。2027年については2桁の増益率になるとした。携帯電話と光ファイバー網への投資が実を結ぶと見込んでいる。
同社の3日発表によれば、2025年の利益は一部項目を除いたベースで1株当たり1.972.07ドルを予想。その上で、2年後については「増益率が2桁に加速する」との見通しを示した。
新たな予想には、AT&Tが所有する衛星テレビ会社ディレクTVは含まれていない。AT&Tは25年前半にディレクTVの売却を完了する見通し。数年にわたるリストラと債務削減への注力を経て、ようやく通信事業者としての原点に戻ることになる。
利益成長の加速により、AT&Tは株主への現金還元を増やすことが可能になる。1株当たり1.11ドルという年間現金配当の維持に加え、同社は200億ドル(約3兆円)相当の自社株買いを承認しており、27年末までの完了を見込んでいる。全て合わせると、AT&Tは今後3年間に配当と自社株買いを通じて400億ドル超を株主に還元する計画だ。
2024年通期については、調整後利益を1株当たり2.202.25ドルと予想。これにはディレクTVからの同30セントの寄与が含まれる。ディレクTV分を除いたベースでは、1株当たり最大1.95ドルと見込んでいる。
インテル、新CEOに外部の人材検討-マーベルのマーフィー氏ら候補 - Bloomberg
インテルは新たな最高経営責任者(CEO)探しでは外部人材の起用に重点を置く方針で、半導体企業マーベル・テクノロジーのマット・マーフィーCEOや、ソフトウエア会社ケイデンス・デザイン・システムズの元CEOリップブー・タン氏らを候補として検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
非公開情報であることを理由に匿名で述べた関係者によると、インテルは新CEO探しと各候補者の評価で人材会社スペンサースチュアートに協力を依頼。同社のこれまでの伝統とは異なり、外部からのトップ起用が検討されているという。
インテルは2日、パット・ゲルシンガーCEOの突然の退社を発表。かつて半導体業界の盟主だった同社の先行きが不透明さを増す中、新たなリーダー探しは急務となっている。
ゲルシンガー氏は約3年前にCEOに就任して以降、苦境に陥ったインテルの再建計画に取り組んできた。後継者育成の時間は十分になく、現在はデービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)と製品部門責任者ミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定共同CEOに就いている。
インテルの問題、大きすぎて解決不能か - WSJ
パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)による米半導体大手インテル再建の試みは突然終わりを迎えた。次に同社を率いるのが誰であろうと、偉大な功績を求められることに変わりはない。
インテルは2日、ゲルシンガー氏がCEOを退任し、取締役会からも退くと発表した。平和的な移行を装ってはいても、実情は明白だった。ゲルシンガー氏は「ほろ苦い」日だと述べ、フランク・イヤリー取締役会議長はプレスリリースで、「投資家の信頼回復」という目標に言及した。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、インテル株の1129日終値は2021年初めのゲルシンガー氏のCEO就任日を61%下回り、フィラデルフィア半導体指数(SOX)の構成銘柄で値下がり率トップだった。S&P500種指数は同期間に53%上昇した。
こうした不振の後のCEO退任が希望をあおるのは当然で、インテル株は2日午前に5%余り急伸した。ただその後は値を下げ、小幅安で取引を終えた。退任を受け、短期的にも長期的にも同社の先行き不透明感が増している。取締役会が後任を探す間、デービッド・ジンズナー最高財務責任者(CFO)とパソコン向けチップ事業を率いるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定共同CEOを務める。インテルのプロセス(ノード)が半導体ファウンドリー(受託生産)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に追いつきかけているとされる中、トップが宙に浮く格好となる。
その競争の集大成が「インテル18A」と呼ばれる製造プロセスだ。インテルは1031日の決算説明会で、このプロセスでは初のチップを来年半ばに出荷する見通しを明らかにした。インテル18Aの成功に多くのものがかかっている。ゲルシンガー氏は4年間で五つの「ノード」を実現する計画を掲げていた。インテル18Aはその最終段階となる(インテルはかつて一つのノードに少なくとも2年を費やしていた)。
このため、あと一歩のところでのCEO交代に驚きの声が上がるのも無理はない。TDカウエンのジョシュア・ブチャルター氏は2日付の顧客向けメモで、「『4年間で五つのノード』という指針の旗手だったゲルシンガー氏の突然の退任は、インテルの今後の戦略的道筋に不安を感じさせる」と述べた。バーンスタインのステイシー・ラスゴン氏も自身のリポートで、「少なくともインテル18Aが世に出る(そしてその競争力が明らかになる)まではパットが残りそうな気がしていたが、そうはならず、今後プロセスの確実性に何か悪い知らせが出てくるのではないかと勘繰らざるを得ない」と述べた。
インテルは他にも、自社製チップの販売とファウンドリーの顧客獲得の両方で大きな課題を抱えている。現時点でどちらの取り組みも順調とは言えない。ファウンドリー事業は19月の損益が110億ドル(約16400億円)以上の赤字で、赤字幅は前年同期の約2倍だった。また、データセンター部門の7-9月期売上高が5四半期ぶりに市場予想を上回り、これを受けて株価が大幅上昇したものの、同部門の年間売上高は20年のゲルシンガー氏就任直前の半分にとどまっている。
要因は、サーバー向けCPU(中央演算処理装置)チップ市場で米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)にシェアを奪われたことと、人工知能(AI)に使われる米エヌビディア製GPU(画像処理装置)チップの需要が急増したことだ。インテルもデータセンター向けGPUに取り組んだものの不発だった。同社は直近の説明会で、最近発売したGPUチップ「ガウディ」は今年の売上高が目標の5億ドルに届かないことを認めた。一方、ビジブル・アルファのコンセンサス予想によると、エヌビディアの現行のデータセンター向けGPU「ホッパー」は、251月期の売上高が830億ドル近くに達する見通しだ。
ゲルシンガー氏の退任で何らかの事業分離の可能性が高まると考える向きもある。製品・チップ設計事業が赤字のファウンドリー部門から切り離されるかもしれない。だがそれは極めて困難だろう。インテルは半導体支援法(CHIPS法)を通じて米政府から786000万ドルを受給しており、これは同社が自社工場の少なくとも50%を所有していることが要件だからだ。また、同社が米国最大の半導体メーカーであることを踏まえると、外国勢が同部門を買収しようとしても規制当局が承認する可能性は低い。
つまりインテルには容易な選択肢がなく、極めて困難な選択肢さえほぼない。チップ製造は複雑で、各プロセスと製品に何年もの研究開発を要する。同社が直面している苦境の多くは、ゲルシンガー氏が同社に復帰するはるか以前の戦略ミスに起因する。ウルフ・リサーチのクリス・カソ氏は2日付の顧客向けメモで、「戦略が変わる可能性があることでいくらか楽観論が出ているのだろうが、インテルは困難な状況にあり、誰が率いても前途多難だろう」と述べた。
インテルはすでにゲルシンガー氏の下で時価総額の3分の2近くを失った。次のトップを待つのは驚くほど厳しい試練だろう。
「通信とメディアの融合」夢捨て復調 米通信AT&T - 日本経済新聞
米穀物カーギル、人員削減8000人 収益悪化うけリストラ - 日本経済新聞
日本企業
日鉄によるUSスチール買収「阻止する」、トランプ氏が改めて反対表明 | ロイター
トランプ次期米大統領は2日、USスチールは一連の税制優遇措置や関税を通じて再び強くなると述べ、日本製鉄による買収計画に改めて反対を表明した。
トランプ氏は自身のソーシャルメディアで「かつて偉大で強力だったUSスチールが外国企業、今回は日本製鉄に買収されることに私は全面的に反対だ」と述べ「私はこの取引を阻止する。買い手は用心せよ!」とした。
日鉄はトランプ氏の発言を受けてコメントを出し、USスチールを支えて成長させることができると買収計画を改めて説明。「米国産業界、米国国内のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化、米国の国家安全保障を強化するものと考えている」とした。
日鉄のUSスチール買収は、大統領選挙中にバイデン氏も反対を表明していた。複数の関係者によると、石破茂首相は先月、バイデン大統領に書簡に送り、買収計画を承認するよう求めたことが分かっている。
日鉄の森高弘副会長は先月の決算会見で、買収について「間違いなく年末までにクローズできる」と自信を示していた。
野村証社長が元社員起訴で謝罪、報酬返上-リテール部門で再発防止策 - Bloomberg
先進国政治動向
仏財務相「国は重大な局面にある」 内閣不信任案可決見通しで | ロイター
アルマン仏財務相は3日、予算と政府の将来を巡る不確実性によりフランスは重大な局面を迎えていると述べた。
国内の式市場と債券市場は、予算案への反対でバルニエ政権が今週崩壊するとの見方から打撃を受けている。
アルマン氏はフランス2テレビに「国は転換点にある。政治家には不信任案可決で国を不確実性に陥らせない責任がある」と語った。
バルニエ首相は3日1900GMT(日本時間4日午前4時)ごろからニュース番組で演説する予定。4日か5日には不信任決議案が審議される見込みとなっている。
内閣不信任案が可決されれば1962年以降で初めて。
600億ユーロ(629億ドル)の増税と歳出削減を通じて財政赤字拡大に歯止めをかける措置が盛り込まれた来年予算案は極右政党「国民連合(RN)」と左派連合「新人民戦線(NFP)」の反対に直面。両党を合わせれば内閣不信任可決に十分な票数となる。
不信任案が可決されれば、バルニエ首相は辞任を申し出ることになるが、マクロン大統領は新首相が決まるまでバルに江氏に暫定首相として職にとどまるよう要請する可能性がある。新首相の選出は来年になる可能性がある。
バイデン米大統領の次男恩赦、民主党からも批判や懸念相次ぐ | ロイター
バイデン米大統領が次男ハンター氏に恩赦を与えたことについて、共和党だけでなく民主党内からも批判が相次いでいる。一部の民主党議員は、悪しき前例となり、トランプ前大統領の攻撃から民主党が守ろうとした司法制度に疑念を抱かせると懸念している。
バイデン氏は1日、銃の不法購入・所持で有罪評決を受け、税務不正で罪を認めたハンター氏の無条件恩赦に署名。息子が政敵によって不当に起訴され、標的にされたと述べた。
バイデン氏はハンター氏に対する2件の有罪判決には介入しないと公言していた。民主党のグレッグ・ランズマン下院議員は「父親としては理解できる。だが、人々に政府の仕事を信じてほしいと願う人間としては、これは後退だ」とⅩに投稿した。
トランプ氏は自身に対する一連の捜査で、米司法制度は民主党によって武器にされた腐敗した制度だと激しく非難してきた。トランプ氏から連邦捜査局(FBI)長官に指名されたカシュ・パテル氏を含む次期政権メンバーは、承認されれば司法制度を覆し、職員を解雇するなどと述べている。
民主党はトランプ氏が有罪判決を受けた事件で司法の公正さと信頼性を擁護してきたが、バイデン氏の恩赦でこれまでの主張が説得力を失う恐れがあると、党員の多くは懸念しているという。
一方、オバマ政権下で司法長官を務めたエリック・ホルダー氏はXへの投稿で、ハンター氏は不起訴処分になるべきだったとし、「恩赦は正当化される」とバイデン氏を擁護した。
【社説】バイデン氏が息子に与えた恩赦 - WSJ
ジョー・バイデン米大統領や彼の報道担当者の1人は、バイデン氏が息子のハンター氏に恩赦を与えることはないと有権者に何度語っただろうか。今や、バイデン氏がよく言う「バイデンとしての言葉」を本人がどれほど真剣に受け止めているかが分かる。同氏は1日、刑務所行きから息子を救った。ほぼ前例のない広範な刑事免責を与えたのだ。
11月の大統領選後にバイデン氏が心変わりすることは予想できた。疑問の余地がある恩赦については、どちらの政党も潔白ではない。ハンター氏が今や正道を歩んでいるなら、それは喜ばしいことだ。依存症の経験がある多くの人々はバイデン一家が経験してきたことに同情するだろう。しかしわれわれは、大統領が実際に起きたことを書き換えて恩赦の政治的影響をごまかすのを許すわけにはいかない。
バイデン氏は声明で、「合理的な人がハンターの事件に関する事実を見れば、ハンターが私の息子であるという理由だけで標的になったという以外の結論には至らないだろう」と述べた。さらに、「生々しい政治がこのプロセスに影響を及ぼしてきた」と付け加えた。ハンター氏が昨年デビッド・ワイス検事から提示された実刑を免れる司法取引が法廷で破談になったことに言及した。バイデン氏はこの取引条件について「ハンターの事件を公平かつ妥当に解決するものだったはずだ」と述べた。
その見方は、銃に関する容疑についてはその通りかもしれないが、背景が重要だ。陪審は6月、コルト拳銃を購入した際に違法薬物の使用について虚偽の申告をしたことなど、銃器に関する法律違反3件でハンター氏に有罪評決を下した。このような違反が訴追されることはめったにない。一方で、ハンター氏のように自白のような回顧録を書く人はめったにいない。ハンター氏はその銃を、当時のガールフレンドが高校の向かいにある食料品店のゴミ箱に捨てるまで、11日間所持していた。
脱税に関しては米内国歳入庁(IRS)の内部告発者2人が、ハンター氏は特別に優遇されたと証言した。監督特別捜査官ゲーリー・シャプリー氏は議会で、ハンター氏の捜査の扱いについて、「私がIRS在職14年間に扱ったどの事件ともまったく違っていた。すべての段階で容疑者に有利な決定がされた」と述べた。ジョセフ・ジーグラー特別捜査官は故意を示す証拠として、ハンター氏が薬物の影響を脱していたと思われる2020年に、事業経費控除の虚偽申告容疑について認めたと指摘した。
ハンター氏の司法取引を不成立にしたのは政治ではなく、マリエレン・ノレイカ連邦判事だった。検察・弁護側双方は司法取引の条件に関して、今後訴追される可能性のある他の罪についてもハンター氏が赦免されるか否かという点で、法廷で合意できなかった。双方はまた、ハンター氏が司法取引の条件に従わなかった場合に検事が同氏を将来訴追できるかをノレイカ判事に決めさせることによって、ハンター氏を保護することを望んだ。判事はそれが合憲かどうか確信が持てなかった。
父親であるバイデン大統領は、ハンター氏が望んだ広範な保護を与えた。この無条件の恩赦の対象は、ハンター氏が201411日から先週末までに犯した可能性のある全ての犯罪行為だ。これにはトランプ氏の政権下でハンター氏を保護する狙いがある。2014年が重要なのは、ハンター氏がウクライナのエネルギー企業ブリスマとビジネスを始めた時期だからだ。同氏はブリスマから受け取った報酬について税金の支払いを怠った。
法律の専門家は、これほど広範な恩赦は、恐らくジェラルド・フォード大統領が前任者のリチャード・ニクソン氏に与えた恩赦以外、見たことがないと述べている。今回の恩赦は、民主主義の規範を守ると主張するバイデン氏が自ら破った規範のリストに付け加えられることになる。
トランプ氏は既に、次のあしき前例を正当化する理由として今回の恩赦を取り上げている。同氏は、202116日に連邦議会に乱入した暴徒らに対する恩赦を約束してきた。これは極めてひどい考えだ。この事件で警官に暴行した者まで恩赦の対象に含まれるなら、なおさらである。しかしMAGA(米国を再び偉大にというトランプ氏のスローガン)の支持者らが「ハンター氏の扱いはどうなのか」と連呼するのを覚悟しておく必要がある。トランプ氏は既に、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、今回の恩赦と「J6人質(議会襲撃事件で有罪となり服役している人々)」への寛大な扱いを結び付けている。
バイデン氏は「1人の父親であり大統領である私が今回の決断に至った理由を、米国民が理解してくれることを望んでいる」と述べた。父親として、なら理解できる。しかし、大統領としての最後を飾るには何と哀れな行動だろう。
バイデン氏は2020年、政治の常態への回帰を約束し、ハンター氏が親族としての影響力を悪用したことを弁護し、同氏のパソコンに残されていた情報はロシアによる偽情報だと主張した。その後はフランクリン・ルーズベルトのような大統領になろうとし、トランプ氏の訴追を促し、自身の息子に「収監回避」のカードを与えた。今後書かれる歴史書はバイデン氏に優しくないだろう。
イギリス、再選挙請願300万近い署名 保険料増額「公約違反」 - 日本経済新聞
フランス内閣、崩壊の危機-不信任投票4日に実施予定 - Bloomberg
フランス議会は4日に不信任投票を行う予定で、極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏が左派連合と手を組んで内閣を倒す見通しだ。
バルニエ首相は2日、不人気な社会保障予算案を採決なしに採択するため憲法の特例条項を活用。これに反発し、ルペン氏が事実上率いる国民連合(RN)と左派連合の新人民戦線が内閣不信任決議案を提出した。
国民議会(下院)ではバルニエ氏を支える中道派の議席数が少ないため、極右と左派というありそうもない同盟は内閣を倒す十分な力がある。
内閣が倒れれば、首相の在任期間として1958年の第5共和制成立以降で最短。6月にマクロン大統領が突然選挙を宣言してからのルペン氏の台頭ぶりが鮮明になる。
予算に関する不透明と政治的駆け引きを投資家が嫌気し、フランス国債の利回りは先週一時、ギリシャ債と同水準にまで上昇した。
2日にはフランスとドイツの10年物国債利回りの差が8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と6月以来の大幅拡大となり、2012年以来の高水準に近い89bp同日の3日にやや縮小し86bp前後。
年末の予算期限間近での政府崩壊は、フランスを未知の領域に導くことになる。内閣が倒れた後も閣僚は留任し、暫定政府として政府機関の閉鎖を回避するための緊急立法を含む業務を遂行する。緊急立法によって徴税と最低限の支出は行えるようになるが、経済および金融への影響は予測困難だ。
アルマン経済・財務相は3日、政府が崩壊すれば経済全体に痛みをもたらす結果になるだろうと述べた。
緊急立法に頼れば、何百万もの世帯で支払う税金が増え、安全保障や農業などいくつかの優先事項で計画されていた追加支出ができなくなる可能性があると警告した。
「金利が上昇する経済、予算のない経済、不確実性に陥った経済では、どの分野も、どのフランス人も、どの企業も勝者にはなれない」とアルマン氏は3日、公共放送フランス2の番組で語った。
4日に内閣が崩壊した場合、新たな予算案を成立させるためにマクロン氏が新たな首相を任命することになる。しかし、どのグループも過半数を持たない分裂した議会の状況を踏まえると、その人選は容易ではないだろう。
新首相の任命に憲法上の期限はない。マクロン氏が再び議会を解散できるのは、前回の選挙から1年がたった来年7月以降になる。
左派はマクロン大統領に辞任を求めているが、大統領を辞めさせることは誰にもできない。次の大統領選挙は2027年に予定されており、ルペン氏が最有力候補だ。
仏バルニエ内閣は4日の不信任投票切り抜ける-マクロン大統領 - Bloomberg
フランスのマクロン大統領は、4日に予定されている国民議会(下院)での不信任投票を、バルニエ内閣は乗り切れるとの見通しを示した。極右・国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏は、左派連合と手を組んで内閣打倒を目指すとみられている。
マクロン氏は訪問中のリヤドで、記者団に対し、RNが不信任案を支持することは「耐え難いほど皮肉な投票行為」だとして、「彼らが左派連合の動議に賛成票を投じるとは考えられない」と述べた。
また、マクロン氏は、一部の野党議員が要求している2027年の任期満了前の大統領辞任はしないと述べた。
【コラム】政治不安のフランス、危機がついに始まる-ローラン - Bloomberg
ミシェル・バルニエ氏(73)がフランス首相に任命された9月、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る交渉をまとめ上げたこの穏健派政治家が、クリスマスまでに去るなどと予想する者はほとんどいなかった。
だが、今やその可能性は高い。極右・国民連合(RN)を事実上率いるルペン氏は、有権者の間でますます不評となっている緊縮財政予算案を巡り、政権打倒を誓っているが、それは単なる威嚇以上のものになってきた。バルニエ氏が電気料金への消費税引き上げや薬代の払い戻し削減などで、数十億ユーロに相当する譲歩をRNに提案した。それにもかかわらず、ルペン氏は折り合いを付けようとするのではなく要求の全面的な受け入れを迫る強硬な態度に転じた。
ルペン氏は今、反緊縮の「譲れない一線(レッドライン)」を巡り、内閣不信任案を支持すると言っている。次に誰が首相に就こうとも、このレッドラインが、その機能をまひさせる可能性が高い。シティグループのエコノミストは先週、「少なくとも来年の秋までは、いかなる政策の余地もフランス政府にはないだろう」との見方を示した。
奇跡ない限り
EU第2の経済大国フランスは今、クリスマスの奇跡がない限り、承認された予算も機能する政府もないまま新年を迎えるリスクに直面している。予算の繰り越しを可能にする特別法や、新首相や暫定首相の任命といった混乱を和らげるための制度はあるが、政治的な行き詰まりが巨額の負債と赤字に拍車をかけるにつれ、金融市場への圧力は高まるだろう。ブルームバーグ・エコノミクスは、財政調整が行われなければ、フランスの債務水準は急上昇し、2027年までに国内総生産(GDP)の120%を超える可能性があると推計している。
ただし、フランスはギリシャのような債務危機の瀬戸際にいるわけではない。フランスには強固な制度があり、欧州のパートナーからの支援も受けている。先週S&Pのアナリストが指摘したように、フランスの国民資産は推定201000億ユーロ(約3160兆円)で、GDPの686%に相当する。欧州中央銀行(ECB)の金融緩和路線も圧力を抑えるはずだ。
とはいえ不確実性のレベルは高く、経済に波及する影響も大きい。フランスとドイツの国債利回り差(スプレッド)の拡大や、来年に償還期限を迎える3500億ユーロ相当のフランス国債の利回り上昇からも、それが分かる。市場の信頼感が低下すれば、投資決定が遅れたり、借り入れコストが上昇したりと、あらゆる面で成長が阻害されるリスクがある。
明らかに失敗
持続可能な財政に対する認識の面で、フランスのエリート層は明らかに失敗していた。理論的には、マクロン大統領の2期目の任期が終わる2027年までに、1100億ユーロの財政緊縮が必要とされる。だが、しばしば飛び交う「危機」という言葉は、今に至るまでパフォーマンスとみなされてきた。
7月の緊急選挙後、単独で過半数を占める政党がない中、各党は左も右もまとまりを欠き、政治的な都合でバルニエ氏の予算を削ることに注力している。極右と左派の各党は、GDPの14%が退職後の資金として使われているこの国で、年金改革の撤回を求めている。バルニエ氏は、長年の英国との交渉経験にもかかわらず、自らの立場が弱いことを過少評価していたようだ。
そしてルペン氏は、RNの外見上の穏健化戦略をかなぐり捨て、混乱に陥れて支持者を減らすリスクを冒すことさえいとわない構えだ。どんな危機も最終的にはマクロン氏の退陣を早め、選挙での勝利の可能性を高めるとルペン氏はもくろんでいるようだ。  
EU離脱を唱えた過去の英国指導者らは、確信に乏しく、正確性も欠いたまま、「悪い合意よりは、合意なき離脱の方がましだ」と口にしていた。フランスでも同様の考えが支配的になっているように思われる。「悪い予算よりは、予算なしの方がましだ」というわけだ。見当違いも甚だしい。ルペン氏の言うレッドラインに相当する、未知の世界への転落を回避できる可能性があるのなら、そのチャンスをつかむべきだ。それができない場合、次に起こる事態からの唯一の希望は、現実を身に染みて思い知れ、ということだけだ。
フランスのマクロン大統領、辞任否定 バルニエ内閣不信任案巡り - 日本経済新聞
フランスのマクロン大統領は3日、バルニエ内閣の不信任決議が成立すれば大統領も辞任するとの見方を否定した。任期の「最後の1秒まで全力を尽くし」、職務を全うすると述べた。
訪問先のサウジアラビアで記者団の前で語った。仏メディアが報じた。
極右の国民連合(RN)などの野党はマクロン氏によるバルニエ首相任命の責任を問い、大統領職を退くよう要求している。仏議会における大統領弾劾手続きのハードルは高く、マクロン氏が意思に反して辞職に追い込まれる可能性は限定的だ。
左派とRN2日、それぞれバルニエ内閣の不信任案を議会に提出した。投票は4日(日本時間5日)の予定だ。バルニエ氏が憲法規定を適用し、議員投票を経ずに緊縮型の予算を強行採択しようとしたことに反発した。
左派とRNの議席を合わせると国民議会(下院)の半数を超え、不信任案は成立する公算が大きい。マクロン氏は「不信任決議は信じない」と述べ、内閣総辞職を回避する道があるとの見方を示した。
もっとも仏経済紙レゼコーなどによれば、マクロン氏は不信任案が成立すれば早期にバルニエ氏の後任を指名したい意向だ。候補者の選定を進めているとみられる。
バルニエ氏もこの日出演した仏テレビTF1の番組で、不信任決議回避の余地は残っているとの見方を示した。「議員にはそれぞれ責任が伴う。責任を持った反応が出てくる可能性がある」と述べた。
また政府債務の増大や金利上昇による国民負担の大きさにも触れ、財政再建の重要性を改めて訴えた。「莫大な金利を中国や日本、米国の投資家に支払っている」と強調した。
トランプ氏の不法移民送還、米雇用にどう影響 - WSJ
ここ数年、移民は米国の労働力と雇用の成長の重要な源となってきた。ドナルド・トランプ次期大統領の計画は、その成長がもたらされるペースをほぼ確実に鈍化させるだろう。問題はどの程度かということだ。
就業者数は今年、月間平均17万人のペースで増加してきた。トランプ氏が不法移民の取り締まりと強制送還をどう実施するかによって、来年の月間増加幅が25000人から10万人減少する可能性があることが、独立した機関の推計で示された。
米議会予算局(CBO)は、2021年以降、移民の流入で米国の人口が約1000万人増加したと推計している。このうち移民ビザや就労ビザ、学生ビザで、または難民として合法的に入国したのは3分の1未満だった。残りの移民の多くは不法に国境を越えたか、ビザの有効期限を過ぎても米国内に滞在した。入国後に人道的理由で滞在を申請するケースもよく見られた。
国土安全保障省は、移民が記録的に増加するよりも前の2022年時点で、約1100万人の不法移民が米国に滞在していたと発表している。移民政策研究所によると、不法移民の中には約300万人の「ドリーマーズ」が含まれる。子ども時代に親に連れられて米国に入り、国内で育った人たちのことだ。
これらの移民の存在は、米国の移民・国境政策を巡る論争を引き起こし、大統領選におけるトランプ氏の大きな勝因となった。とはいえ、移民は米国経済において重要な役割を果たしている。
トランプ氏は、不法移民の「侵入を阻止」し、「米国史上最大の強制送還作戦」を実行すると公約している。いずれの目標もどのように達成するかについて具体的な説明はほとんどないが、大統領には、ここ数年で移民が国に入る際に利用してきた多くのルートを制限する広範な権限がある。
トランプ氏が移民を強制送還する取り組みの責任者に指名したトム・ホーマン氏は、FOXニュースのインタビューで、少なくとも最初の段階では、移民の一部のみを対象とすることを示唆した。「公共の安全に対する脅威と国家安全保障上の脅威」をもたらすと見なされる移民、そして出国を命じられたがまだ米国に滞在している移民だ。
米国で有罪となったが拘束されていない非市民は、7月時点で425431人に上ると移民税関捜査局(ICE)は報告している。ICEは既に、公共の安全に脅威を与える人物の国外退去を優先していると明らかにしている。最も多い違反行為は交通違反だった。
トランプ氏の移民政策が労働力に与える影響については、近年ほとんど前例がない。米国内からの移民の強制送還(国境での送還とは異なる)は2009年に243000人と、ピークに達した。当時は200709年の景気後退の真っただ中だった。その後の10年間は年間平均126000人に減ったが、この期間の労働市場は現在よりも全般的に低調だった。
米国に不法滞在する移民の全員もしくは大部分を退去させたり、公約したように「国境を封鎖したり」することができなくても、トランプ氏の政策が影響を及ぼすことは間違いない。
移民労働者の供給が減少すれば、建設、食品加工、レストラン、ホスピタリティーといった、移民を多く雇用している分野で賃金と物価に上昇圧力がかかる可能性がある。国勢調査局によると、2020年以降に入国した移民は昨年時点で米国の人口の1.8%を占めていたが、職業別では屋根工事労働者の8.1%、農業労働者の6.7%、建設労働者の5.6%、メイド・家事清掃員の5.6%が移民だった。
ブルッキングス研究所のエコノミスト、ウェンディー・エデルバーグ氏は「これらの分野では労働力の供給が減少するだろう」と述べ、他に別の要因がない限り、物価が押し上げられるとの見方を示した。
ゴールドマン・サックスとJPモルガンはいずれも、純移民数(入国者数から出国者数を差し引いた数)が、2023年のピーク時の年間330万人から、前回のトランプ政権当時の同約75万人のペースに戻ると予測している。2010年代の平均は同919000人だった。
ゴールドマンは、合法的に入国する年間約100万人の移民の数はほとんど変化しないと予測している。ただ人道的理由で入国を許可された移民や、移民裁判所で今後審理が行われる移民については、大幅に減少すると見ている。
対照的にエバーコアISIは、純移民数がマイナスになると予測する。2025年には流出が流入を10万人上回り、2028年にはその差が60万人に増加すると見込んでいる。
ブルッキングスの研究者らは、2025年のトランプ政権下での純移民数について「高位」と「低位」のシナリオをモデル化した。予測範囲の幅は純増122万人~純減74万人となる。
ブルッキングスのエデルバーグ氏は「それでも彼の目標には遠く及ばない」と述べ、法的な障害と世論が、トランプ氏が米国史上「最大の国外追放」を実行するのを妨げる可能性が高いと指摘した。ただ、それでも米国の人口増加のペースは急激に鈍化すると予想した。
エデルバーグ氏は「われわれの経済は成長が鈍化し、労働力の成長も鈍化していく。ある意味、これは単なる計算上の話だ」とした上で、「痛みを伴うのは、そのような変化が非常に急激に起こることだ」と指摘した。
トランプ氏の政権移行チームの報道担当者キャロライン・レビット氏は、本当の経済危機は不法移民が米国のコミュニティーと労働者に負わせるコストだと述べた。トランプ氏の「不法移民の大量送還は、われわれのコミュニティーをより安全にするだけでなく、勤勉な米国民を第一に考え、彼らがそうしたコストを負担しなくても済むようにすることになる」と語った。
ブルッキングスの「低位」シナリオは、ビザ発給数の減少のほか、ウクライナ人やベネズエラ人、その他の国籍保持者に対する人道的な臨時入国許可の終了、密入国の減少を見込み、米国内からの強制送還がトランプ政権1期目中の201719年と比べて5倍に増えると予想している。
米国の人口が高齢化する中、移民は新型コロナウイルス流行後の雇用の伸びの主な原動力となっている。ブルッキングスのエデルバーグ氏とタラ・ワトソン氏の推計によると、昨年は外国生まれの雇用が170万人増加したのに対し、米国生まれの雇用は74万人しか増えなかった。
エコノミストらは、持続可能な雇用の増加率、つまり失業率を安定させるのに十分な労働力の増加に見合う雇用創出のペースを算出する。ゴールドマンのチーフ米政治エコノミスト、アレック・フィリップス氏によると、仮にトランプ氏の政策によって純移民数の増加がゴールドマンが予想するペースにまで減速した場合、毎月の持続可能な雇用の増加幅は約3万人減少する。エデルバーグ氏がモデル化した極端なシナリオに沿って純移民数がマイナスに転じれば、持続可能な雇用の増加幅は月間10万人減ることになる。
移民を巡る議論の多くは経済に関する内容ではなく、国境の安全性や移民を受け入れるコミュニティーへの影響に関するものだ。さらに、経済的な影響が及ぶのは米国居住者ではなく、主に移民自身だ。
とはいえ、経済への影響はある。労働力の伸びが鈍化すれば、経済が供給できる財やサービスの量が減り、その分の給与収入がなくなることで総支出が減少する。
移民労働者は米国生まれの労働者よりも生産性が低く、賃金も低い傾向があるため、全体的な経済成長と支出への影響は雇用への影響ほど大きくない。ブルッキングスの「低位」シナリオでは、2025年の経済成長率は0.4ポイントの低下が見込まれ、「高位」シナリオでは0.1ポイントの低下にとどまると予想されている。
最近では移民が仕事を見つけるのに時間がかかることが多いため、移民の流入ペースが減速すれば失業率は低下する傾向がある。そのためゴールドマンは、来年の雇用の伸びは鈍化すると見られるものの、失業率は0.25ポイント低下すると予想している。10月の失業率は4.1%だった。
先進国中銀、金融当局
米シカゴ連銀総裁、今後12カ月で金利は低下との見方を再提示 | ロイター
FRB利下げ、12月も排除せず 時期は柔軟に対応=デイリー総裁 | ロイター
米インフレ、目標に向け推移 労働市場は堅調=クーグラーFRB理事 | ロイター
先進国経済指標
スイスCPI、11月は前年比+0.7% 大幅利下げ観測強まる | ロイター
金融市場、先進国トピックス
ユーロの予想変動率、昨年3月以来の高水準 仏政局の不透明感で | ロイター
富国生命、内勤社員の賃金平均8.6%上げ 25年度 - 日本経済新聞
バフェット流投資:金融情報株で「城」築け - WSJ
シドニーの家賃、3年で4割高 「出稼ぎ」留学増で異変 価格は語る - 日本経済新聞
中古マンション、郊外で弱含み 値下げ回数増加 今、マンションを買う③ - 日本経済新聞
中東情勢
シリア反体制派が中部ハマに接近 アサド政権に重圧強まる | ロイター
イラク・トルコ首脳が電話会談、シリア情勢協議 | ロイター
エマージング
韓国の尹大統領、戒厳令を一転解除へ-国会の要求受け入れ - Bloomberg
韓国の尹錫悦大統領は4日、前日夜に宣布した「非常戒厳」を解除すると表明した。国会議員の反対に屈した形だ。宣布を受けて市場に衝撃が走り、世界の指導者の間に驚きが広がっていた。
尹大統領はテレビ演説で「国会の要求を受け入れ、閣議で戒厳令を解除する」と述べた。すでに閣議を招集したが閣僚がまだ到着していないとし、閣議が始まり次第非常戒厳を解除すると語った。
政治的亀裂が深まる中、尹大統領(63)は3日、政権をまひさせようとする野党の動きを阻止し、自由と憲法秩序を守るとして非常戒厳を宣布。国民や与党を含む国会議員、米国をはじめとする同盟国、投資家を驚かせ、市場の動揺を招いていた。
4日未明、韓国国会(定数300)のうち出席した190人全員が戒厳令の解除に賛成票を投じた。今回の展開で尹大統領の政治的将来は試されることになる。野党は大統領に辞任を求めた。
調査会社TSロンバードのエコノミスト、ローリー・グリーン氏は「尹大統領は弾劾に直面するだろう」とし、恐らく2025年4-6月(第2四半期)の早い時期に大統領選挙が行われ、野党の「共に民主党」が「本命視」されると指摘した。
韓国ウォンはニューヨーク市場での薄商いの中、非常戒厳宣布を受けて対ドルで一時2.9%下落し、1ドル=1444.65ウォンを付けた。しかし、韓国当局が金融・外国為替市場を安定させるためあらゆる可能な措置を取ると表明したことで、その後は下げ幅を縮小していた。尹大統領の非常戒厳解除表明は、韓国市場の取引開始後の相場に反映されることになる。
聯合ニュースによると、尹大統領が非常戒厳を解除すると表明した後、韓国合同参謀本部は非常戒厳で動員されていた部隊が現地時間午前4時22分(日本時間同じ)に撤収したと発表した。北朝鮮に異常な動きは見られなかったという。
尹大統領の今回の動きは軍主導の体制に戻す試みというよりも、裏目に出る可能性が高い危険な政治的駆け引きだとアナリストらはみている。大統領は閣僚や与党にも事前に相談することなく混乱を引き起こし、政治課題をコントロールする力をさらに失い孤立することとなった。
非常戒厳の宣布に先立ち、少数与党の尹政権と最大野党の共に民主党との間で数カ月にわたり争いが継続。野党側は独自の予算案を議会で強行可決に持ち込もうとし、検事総長の弾劾決議案を提出していた。一方、野党党首も複数の訴訟に直面し、先月には選挙法違反で有罪判決を受けた。
こうした争いの中、尹氏は議会を通過した一連の法案に拒否権を発動するなどして対応し、与党の怒りを買うこともあった。
韓国大統領、戒厳令解除を表明 「国会の投票を尊重」 | ロイター
韓国の尹錫悦大統領は4日、3日夜に発令した戒厳令を解除すると表明した。国会による投票結果を尊重するとした。
尹氏は3日夜の緊急テレビ演説で、野党が国を危機に陥れていると非難した上で、「反国家勢力」を撲滅するとして戒厳令を宣言。これに反発した国会は議員300人のうち190人が出席して解除要求決議を採決し、全員の賛成で可決していた。 もっと見る
聯合ニュースによると、政府は4日早朝の閣議で戒厳令解除を決定した。
国会前では抗議していた人々が「われわれは勝利した」などと声を上げた。野党・祖国革新党の曺国代表は「まだ終わっていない。(尹氏は)全国民に衝撃を与えた」と述べ、他党と協力して大統領を弾劾する考えを示した。
尹氏は支持率が20%前後と低迷しているほか、同氏が率いる与党「国民の力」は4月の総選挙で大敗し、野党が国会の多数を握っている。
韓国大統領、戒厳令を宣言 政治活動禁止やメディア規制の報道も | ロイター
韓国の尹錫悦大統領は3日、YTNテレビの緊急演説で戒厳令を宣言した。野党が国を危機に陥れていると非難した上で、自由と憲政秩序を守るための措置とした。
韓国で戒厳令が宣布されるのは1980年以来初めて。
尹大統領は演説の中で、「恥知らずな親北朝鮮の反国家勢力」を撲滅すると主張。ただ、措置については言及せず、北朝鮮からの具体的な脅威についても言及していない。
韓国の聯合ニュースは軍の発表として、議会や政党の活動は禁止され、メディアや出版社は戒厳令の司令部統制下に置かれると報じた。
韓国ウォン、対ドルで約2%安 中銀「必要なら安定措置を準備」 | ロイター
序盤のニューヨーク外為市場で、韓国ウォンが対ドルで約2年ぶりの安値を付けた。尹錫悦大統領が3日、テレビの緊急演説で戒厳令を宣言したことを受けた。 
韓国ウォンは一時1.9%安の1ドル=1429.99ウォン。これは2022年10月以来の安値となる。
韓国銀行(中央銀行)関係者は、必要であれば市場を安定させるための措置を準備していると述べた。
韓国大統領「非常戒厳」を宣布 国政がまひ状態と - BBCニュース
韓国大統領が戒厳令、通貨や株式急落-市場に無制限の流動性供給へ - Bloomberg
韓国の尹錫悦大統領は3日、緊急の国民向けテレビ演説を行い、「非常戒厳」を宣布した。
尹大統領は、野党が弾劾の動きで政権を麻痺させようとしていると非難しつつ、この決定は自由と憲法秩序を守るために下されたと述べた。
尹氏は「自由民主主義の基盤となるべき国会が自由民主主義体制を崩壊させる怪物になった」と指摘。「韓国はすぐに崩壊してもおかしくないほどの風前の灯の運命に陥っている」と述べた。
聯合ニュースによると、非常戒厳下で全ての政治活動は禁止され、メディアは戒厳司令官の統制を受けることになる。
金融市場では、非常戒厳の宣布を受けて韓国ウォンが急落し、対ドルで約2年ぶりの安値。韓国の株式で構成されるiシェアーズMSCI韓国ETF(ティッカー:EWY)は米国市場で一時7%下落した。韓国企業の米国預託証券(ADR)も軒並み売られ、ソフトバンクグループが出資する韓国の電子商取引会社クーパンは一時9.8%安、KBファイナンシャル・グループは6.4%安、鉄鋼メーカーのポスコ・ホールディングスは7.8%安を付けた。
ロンドン市場に上場するサムスン電子の株価は一時7.5%安。
これに対し、韓国当局は金融・為替市場を安定させるためあらゆる可能な措置をとると表明。必要であれば市場に無制限の流動性を供給する意向を示した。崔相穆・企画財政相と李昌鏞・韓国銀行(中銀)総裁は深夜に緊急会合を行った。市場に対する詳細な措置は、4日朝に発表するという。
韓国のケーブルテレビ、YTNによると、4日の同国株式市場が開場するかは不明という。
為替市場では一方で円を買う動きが強まり、円は対ドルで一時148円台に上昇した。
聯合によると、韓国国防相は軍最高司令官らとの会合を行う。
非常戒厳の宣布に先立ち、少数与党の尹政権と最大野党の共に民主党との間で数カ月にわたり争いが継続。野党側は独自の予算案を議会で強行可決に持ち込もうとし、検事総長の弾劾決議案を提出していた。一方、野党党首も複数の訴訟に直面し、先月には選挙法違反で有罪判決を受けた。
こうした争いの中、尹氏は議会を通過した一連の法案に拒否権を発動するなどして対応し、与党の怒りを買うこともあった。
韓国の与党「国民の力」韓東勲代表は、非常戒厳の宣布は「誤り」だと非難。「国民と共にこれを止める」とフェイスブックに投稿した。共に民主党は所属議員に対し、非常戒厳解除に向けた措置を話し合うため議会に集まるよう指示した。
中国、不動産不況の対策本腰か 戸籍制度改革進める - WSJ
不動産市場の低迷が続く中国で、住宅販売の売り文句は今、大理石の調理台ではなく戸籍になっているようだ。
 不動産市場の下支え策として、中国ではこれまでに10を超える都市が、住宅購入者に対しその地域での恒久的な居住権に似た権利を与える計画を打ち出してきた。中国南部の経済的な中心都市である広州が最近この仲間入りをした。北京、上海、深センを含む中国の「一線都市(1級都市)」では初めてのことだった。
中国で「戸口」と呼ばれる戸籍制度の下では、都市部への移住者は従来、医療や教育を含む社会福祉へのアクセスが制限されていた。そのため、大都市の戸籍を取得することは大きな魅力となる。
ただ、こうした変化だけでは不動産市場全体を活性化させるのは難しいだろう。そもそも、大都市の住宅市場は比較的堅調だった。それよりも小規模な都市で住宅の供給過剰は問題になっており、売れ残り住宅が増え続けた。全体的に、中国経済がデフレ圧力に直面する中で消費者心理は冷え込みが続いている。 
中国経済の根本的な制約要因となっているのは、住宅販売だけではない。戸籍は長年、農村部と都市部の人々を分離する制度となってきた。中国の人口の約3分の2が都市部に住んでいるが、そのうち都市戸籍を持つのは2023年時点で半数にも満たない。つまり、約25000万人の都市居住者が、住んでいる場所で十分な社会福祉を受けられていないことになる。多くは大都市で住宅を購入する余裕のない労働者だが、戸籍保有に伴う恩恵を受けられない都市居住者の中には起業家として成功した人や住宅所有者も含まれる。
このことは深刻な経済的影響をもたらしている。都市部への移住者は経済的に十分な安心感を持てないため自由に消費することができず、戸籍制度は実質的に家計消費を抑制する要因となってきた。家族を田舎に残したまま都市で働いている人は多い。
政府は戸籍制度を改革する都市化5カ年計画を発表しており、この制度的な足かせを認識していることを示した。だが、有意義な変化は安く済まないだろう。農村部からの数百万人規模の移住者を都市の社会インフラに吸収するには、医療など社会福祉プログラムへの支出を増やす必要がある。
戸籍制度の改革は学者やシンクタンクの間で長年必要性が指摘されてきたにもかかわらず、なかなか進まない理由もここにある。だが、不動産市場の低迷は地方政府にとってますます差し迫った財政問題となっている。住宅購入を促す材料として戸籍に伴う恩恵を利用することは理にかなっているとの認識が強まっているが、戸籍制度の根本的な変更を目指すのであれば、中央政府は社会インフラへの支出を増やす必要があることに変わりはないだろう。
中国政府は景気活性化のために大規模な刺激策を打ち出すとの期待が高まっていた。これまでのところ、中央政府は地方政府の債務負担を軽減する計画を発表している。ただ、欧米政府が行うような直接的な消費者への現金給付を期待することは非現実的に思われる。
それよりも、戸籍に伴う制約の緩和や社会福祉プログラムの充実など、より有望で長期的な政策の方が潜在的な個人消費を大いに刺激する可能性がある。
投資家が注視すべきは、戸籍制度改革がうまくいくのか、導入する都市が増えるのか、農村部からの移住者に対する社会福祉の拡充に向けた支出拡大を伴うのかどうかだ。もしそうなれば、中国政府が数年来打ち出してきた経済対策の中でも特に効果的なものになるだろう。
中国、一部レアメタルの対米輸出を禁止 通商摩擦が拡大 | ロイター
中国商務省は3日、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料に関連する「デュアルユース(軍民両用)品目」の米国への輸出を同日から禁止すると発表した。国家安全保障と利益を守るためとしている。前日に米国は対中半導体規制を強化している。
米国向けに輸出されるグラファイトのデュアルユース品目について、エンドユーザーと最終用途に関するより厳格な審査を要求する。今回の措置は、中国政府が昨年初めから打ち出している重要鉱物の輸出規制に関し米国に対する運用を強化することになる。
商務省は「原則として、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料の米国への輸出は許可されない」と述べた。
米政府は2日、中国の半導体産業に対する3年間で3度目の取り締まりを開始した。規制強化により、半導体装置メーカーの北方華創科技集団(ナウラ・テクノロジー・グループ)(002371.SZ), opens new tabを含む140社への輸出が制限されることになった。 
ガリウムとゲルマニウムは主要な半導体材料。ゲルマニウムは赤外線技術、光ファイバーケーブル、太陽電池の材料にもなる。
ただ、中国税関の統計によると、米国へのゲルマニウムやガリウムの加工品および未加工品の輸出は今年1─10月はゼロだった。前年、米国はそれぞれ第4位、第5位の輸出先だった。
また中国のアンチモンの輸出も、輸出規制の発効を受け10月は前月比97%急減した。
アンチモンは弾薬、赤外線ミサイル、核兵器、暗視ゴーグルといった軍用品のほか、バッテリー、太陽光発電設備などに使われる戦略金属。昨年は世界の鉱山生産の48%を中国が占めた。
コンサルタント会社のプロジェクト・ブルーによると、中国は今年、精製ゲルマニウム生産の59.2%、精製ガリウム生産の98.8%を占めている。同社の共同設立者ジャック・ベッダー氏は、「西側ではすでに原料入手が逼迫しており、サプライチェーンの緊張が一段と高まる」との見方を示した。
ブラジル7〜9月GDP4%増 消費好調も景気過熱に警戒感 - 日本経済新聞
プロファイ、インフラ、自然災害
その他
市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(3日)ユーロ/ドル小幅高、長期債利回り上昇 ナスダック・S&P終値最高値 | ロイター
**為替市場:**
- ユーロは対ドルで小幅上昇。フランスの政治不安が注目される中、一部では危機終息の見方。
- 韓国ウォンは「非常戒厳」宣言を受け一時2年ぶりの安値を更新。その後、戒厳解除で下げ幅縮小。
- ドルは米10月雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が予想を上回りやや上昇。
- ドル/円は149.55円に下落。日銀の利上げ観測が影響。
**債券市場:**
- 10年国債利回りは4.199%に上昇、2年債利回りは4.151%に低下。
- 短期国債は地政学リスクの懸念から安全資産として需要が高い。
**株式市場:**
- 米ナスダックとS&P500が最高値を更新。FRB政策担当者のインフレ低下と雇用堅調の見方が反映。
- テスラは中国販売の減少で下落。アマゾンは新AIモデル発表で上昇。
**商品市場:**
- 金先物はドル安とFOMCの利下げ観測を背景に反発。
- 原油先物は供給懸念や中東情勢の緊迫化で上昇。WTI1月物は69.94ドル。
**地政学リスク:**
- 韓国の戒厳令、解除後も影響継続。
- イスラエルとヒズボラ間の停戦進展に注目が集まるが、緊張は依然高い。
欧州市場サマリー(3日) | ロイター
**ロンドン株式市場**  
- FTSE100指数は5営業日続伸。原油価格上昇により石油大手のBP(+1.8%)、シェル(+1.7%)が上昇。  
- FTSE250指数も0.60%高。SSPグループ(+9.6%)とイージージェット(+3.3%)が目立った上昇。  
- 一方、タバコ銘柄のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(-1.8%)、インペリアル・ブランズ(-1.0%)は、インドの増税計画報道で下落。  
**欧州株式市場**  
- STOXX欧州600指数は約1カ月ぶりの高値。小売株指数(+1.43%)、航空宇宙・防衛指数(+1.58%)が上昇。  
- 各国の株価指数は軒並み上昇。特にイタリアFTSE MIB指数(+1.03%)、スペインIBEX指数(+1.18%)が顕著。  
**注目ポイント**  
- フランスの内閣不信任案審議や韓国の戒厳令が市場に影響。  
- ドイツ債利回りは小幅上昇、フランス国債のリスクプレミアムは高水準継続。  
**政策予測**  
- イングランド銀行は金利据え置きの見方が強い。  
- ECB12月会合での25bps利下げを織り込み、大幅利下げの可能性は低い。  
全体的に、原油価格上昇や政策期待が市場を支えたが、フランスと韓国情勢が一部の銘柄や債券市場に影響を与えている。
 
備忘録(2024/12/2
海外企業決算
●海外企業
インテル、ゲルシンガーCEOが退任 業績低迷受け - 日本経済新聞
米インテルは2日、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が1日付で退任したと発表した。業績低迷を受けて経営体制を刷新し、立て直しを急ぐ。最高財務責任者(CFO)のデビッド・ジンスナー氏と製品責任者であるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定的な共同CEOに就いた。
ゲルシンガー氏は1日付で退職した。取締役会は今後、新たなCEOを選任する。取締役会議長のフランク・イヤー氏が新CEO選任までの間、暫定的な執行委員長となる。
ゲルシンガー氏は21年からインテルを率いてきた。就任直後から開始した半導体の受託生産事業が苦戦し、顧客獲得が進まない中で市場シェアが縮小。人工知能(AI)市場の開拓も遅れたことで業績が低迷していた。
202479月期決算は最終損益が1663900万ドル(約25000億円)と過去最大の赤字となった。新型コロナウイルス下の特需を見込んで過剰投資した半導体の製造設備の損失や従業員の15%削減を柱としたリストラ費用の計上が響いた。
退任したゲルシンガー氏は2日、「厳しい決定を下した挑戦的な年だった。世界中の同僚に永遠に感謝する」との声明を発表した。退任発表を受け、インテルの株価は2日の市場外取引で一時5%上昇した。
インテルは半導体の製造と設計をともに手掛ける米国唯一の企業だ。バイデン米政権は1126日、同社が米国の複数の州で投資する半導体工場への補助金が最終決定したと発表していた。先行投資がかさみ、インテルの業績が低迷する中、立て直しに向けて早期に補助金を受ける重要性が高まっていた。
経営不振で他社からの買収や出資に関する観測も浮上していた。9月には米クアルコムがインテルに買収を打診したことが明らかになったほか、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントがインテルに最大50億ドルの出資を打診したと報じられた。
インテルCEOが退社、再建で取締役の信頼失う-事実上の解任 - Bloomberg
米半導体メーカーのインテルは、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)の12月1日付での退社を発表した。同氏が進めた再建計画に対して取締役会が信頼を失い、道半ばで事実上更迭された格好となった。
事情に詳しい複数の関係者によると、同氏と取締役会の衝突は先週、市場シェアの回復およびエヌビディアとの差を縮めるための計画の進捗について話し合われた際に頂点に達した。退社か解任かの選択肢を迫られたゲルシンガー氏は、インテルを去ることを選んだという。非公開の情報であることを理由に関係者は匿名で語った。
2日の同社発表によると、取締役会はゲルシンガー氏(63)の後任探しを開始。デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)とインテル・プロダクツのミシェル・ジョンストン・ホルトハウスCEOが暫定共同CEOに就任する。
かつて半導体業界の盟主だったインテルは苦境に陥っており、現在は再建計画に必要な資金の確保に取り組んでいる。同計画についてゲルシンガー氏は、企業史上「最も大胆な再建計画」と呼んでいた。半導体業界が人工知能(AI)分野にシフトする中、インテルは投資家の支持を失った。各社はAI用アクセラレーター・チップを中心に構築されたコンピューターに投資しているが、この分野でインテル製品の存在感は薄い。
インテル初の最高技術責任者(CTO)だったゲルシンガー氏は2009年に退社後、再建計画を率いるため2021年にCEOとして同社に復帰。台湾積体電路製造(TSMC)のようなライバル企業に奪われた技術的優位性を回復させることを目指した。
しかしゲルシンガー氏はさらに踏み込み、インテルを半導体の受託生産メーカーに変えようとした。またインテル再生戦略の一環として同氏は、コスト負担の大きい生産網拡大の計画も打ち出した。これにはオハイオ州に建設を予定する半導体製造拠点のプロジェクトも含まれる。
同氏は、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)がデータセンター向け半導体の分野で圧倒的強さを示したことで意表を突かれた。インテルは独自のAIアクセラレーター「ガウディ」を持っているが、なおエヌビディアには後れを取っている。
インテルの暫定執行会長に就くフランク・イヤリー氏は発表文で「当社にはまだやるべきことが多くあると認識しており、投資家の信頼回復に向けて全力を尽くしている」と説明。「取締役会として、まず何よりも製品グループを全ての活動の中心に置かなければならないと承知している。顧客がこれを望んでおり、我々は顧客のためにそれを実行する」とした。
ゲルシンガー氏の退場により、より劇的な戦略転換につながる可能性がある。
ウルフ・リサーチのアナリスト、クリス・カソ氏は「今回の動きは、当社が以前から提唱してきた新たな戦略への扉を開くものだ」と指摘。「ゲルシンガー氏はインテルのプロセス・ロードマップを前進させることに概ね成功したが、AIでの弱さを踏まえれば、インテルが単独で最先端半導体製造を追求する規模を持っているとは思わない」と述べた。
米インテル、ゲルシンガーCEOを解任 AI向け半導体で遅れ | ロイター
米半導体大手インテルは2日、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)を1日に解任したと発表した。インテルは、人工知能(AI)向け半導体で独占状態にある米エヌビディアなどとの競争を巡り、苦戦していた。
取締役会は後任の選考委員会を設置した。新たなCEOの選定を進める間、デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)と上級幹部のミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏を暫定共同CEOに任命した。同社株は今年に入って半値以下に下落している。
関係筋によると、ゲルシンガー氏は先週の取締役会で、再建計画に対する支持を得られなかった。取締役会は改革の進捗も十分ではないと判断したという。
ゲルシンガー氏は2021年にCEOに任命された。台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW), opens new tabなどに半導体生産の主導権が移る中、米半導体業界のけん引役だったインテルの改革を先導してきた。ファウンドリーとして他の半導体企業の委託製造を請け負うほか、技術的優位性を取り戻すという抜本的な事業変革を目指した。
投資顧問会社カーソン・グループのチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「ゲルシンガー氏の在任期間中に株価は60%超下落したため、今回の解任劇はそれほど驚くことではない」と指摘。「事態を好転させるには新たなリーダーシップが必要であり、ファウンドリーになることに重点を置くという動きを含め、同氏の主要な戦略的決定はすべて破棄される可能性があると言っても過言ではない」との見方を示した。
ゲルシンガー氏の再建計画は、インテルが他社向けのファウンドリーになるビジネスモデルに重点を置いていた。インテルはマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabやアマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabなど数社と契約しているが、いずれも収益性確保に必要な大量の受注を得られることはないとみられている。
こうした支出の急増と、ファウンドリー化における目立った進展の欠如が相まって取締役会に亀裂が生じ、ゲルシンガー氏の解任につながったとみられる。
取締役会の独立議長であるフランク・イヤリー氏は「半導体生産の競争力を回復し、世界トップクラスのファウンドリーとなる能力を構築する上で大幅に進歩した。ただ、やるべきことは依然として多く、投資家の信頼回復に全力を尽くす」と述べた。
高級ブランドを離れる顧客、値上げし過ぎで - WSJ
高級ブランドはこの2年間で約5000万人の顧客を失った。中古サイトや、より低価格で商品を提供する競合他社は、高級ブランドから離れた消費者を歓迎している。
コンサルティング会社ベインによると、今年の高級品需要は横ばいになる(為替変動の影響を除く)と予想されているが、水面下の状況は安定していない。同社の推定では、高級ブランドは2022年以降、通常の顧客基盤の1割以上を失っている。同業界の顧客数が縮小したのは記憶している限りで初めてだ。過去30年にわたり、各ブランドは新たな中間層の消費者を引きつけることに注力し、売り上げを拡大してきた。これは高級品の「民主化」であり、業界規模を3倍に拡大するのに役立った。
だが、値上げがこの長期トレンドを反転させた。平均的な高級品の価格は新型コロナウイルス流行以降に急上昇したが、ブランドによって大きな差がある。確かにインフレで可処分所得が減少したため、いずれにせよ一部の顧客は購入を控えただろう。とはいえ、それ以外の何百万人もの顧客は高すぎて手が出せなくなった。
「有名ブランドの通常サイズ(のハンドバッグ)で3000ドル(約45万円)未満のものを見つけるのは事実上、不可能になった」。バーンスタインの高級品アナリスト、ルカ・ソルカ氏はこう述べている。
高級ブランドは顧客数が減っているだけでなく、販売数量も大幅に減少している。ベインによると、高級品業界の今年の販売数量は2022年比で2025%減少すると予想されている。依然として需要のある化粧品やサングラスといった比較的手頃な商品を除くと、ハンドバッグや靴などの販売数量は最大3分の1減少している可能性がある。
デザイナーブランドはこれまで、全体的な物価上昇の2倍のペースで価格を引き上げてきた。しかし、コロナ禍のさなかには需要が非常に強かったため、自社のコスト上昇を大幅に上回るペースで価格を引き上げることが可能だった。
クリスチャン・ディオールのハンドバッグ「レディ ディオール」を例に見てみよう。バーンスタインの分析によれば、このバッグは2020年に3900ユーロ(現在の為替レートで約62万円)だったが、現在は5900ユーロと51%の値上げとなっている。製造コストは同期間に18%上昇し、330ユーロから388ユーロになったとみられる。その結果、顧客は現在、製造コストの15倍を支払っており、20年の12倍から上昇している。
値上げは利益を押し上げたが、消費者はデザイナーショップで買い物をする際、価格をより意識するようになった。依然として品質が高いと考えるブランド品には大枚を惜しまないようだが、それ以外は見向きもしない。皮肉なことに、この品質重視の傾向は、エルメスやブルネロクチネリなど、最高級ブランドの一部に恩恵をもたらしている。これらのブランドは製造の大部分を外部委託せずに自社で行っている。
また、買い物客はより値打ちがあると思う分野にお金を使っている。ハンドバッグほど上昇していないものの、高級ジュエリーの価格は上昇しており、このことは「カルティエ」を所有するリシュモンが今年、高級品業界で比較的堅調なパフォーマンスを示している理由かもしれない。シティのクレジットカードデータによると、9月の米消費者の高級ジュエリーへの支出は前年同月比2.6%増加したが、デザイナーハンドバッグへの支出は13%減少した。
中価格帯ブランドと中古市場も、高級品への支出に変化が起きたことによる勝者と言える。超高級ブランドが手放した中価格帯商品の穴を、それ以外のブランドが埋めている。ポレーヌやザ・キュレイテッド、クヤナ、アトリエオーガストなどの中価格帯のハンドバッグブランドは、上の世代よりも高級品に懐疑的なZ世代の消費者に人気がある。これらのブランドは300700ドルの価格帯でバッグを販売している。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが設立にかかわるプライベートエクイティ(PE)ファンドのLキャタルトンは最近、ポレーヌに出資した。
中古市場は、依然として超高級ブランドを購入したいが、ブランド店での価格では購入したくない客を獲得している。中古市場は2019年以降、1次市場の3倍の速さで成長している。
世界最大の高級ブランド中古サイト「ザ・リアルリアル」は11月、7-9月期(第3四半期)の売上高が前年同期比11%増加したと発表した。背景には、お値打ち感を求めて同社のプラットフォームで購入した人が増えたことがある。特に、1次市場では選択肢が少ない10003000ドルの価格帯の高級ハンドバッグで急成長している。
超高級ブランドは、一流のイメージを守るには、より安価な商品を求める客を失うことになっても仕方ないと考えているのかもしれない。LVMHのジャンジャック・ギヨニー最高財務責任者(CFO)は、直近の決算発表説明会で、手に入れやすい価格の商品を導入することが業界減速への解決策だとは思わないと述べた。「それは間違いだと思う。われわれは自分たちの本質に忠実であり続けなければならない」
高級ブランドが自社製品の高級感が薄れることを懸念しているのであれば、それは結果的に賢明な戦略になるかもしれない。競合ブランドは、業界が見捨てた何百万人もの客を喜んで吸収している。
ステランティスが下落 タバレスCEOが辞任=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
欧米系自動車大手ステランティス<STLA>が下落。前日にタバレスCEOの辞任を発表した。同社は利益急減や米国での販売低迷に見舞われている。同社は発表文で、2025年前半には新CEOが指名されると述べた。タバレス氏は、同社の将来に対する考え方が取締役会や一部株主と異なったことから予想よりも早く退任する。今年の財務ガイダンスについては変更はない。
同社は、中国経済の減速や欧州での電気自動車(EV)低迷、トランプ次期米大統領による関税の脅威に直面。株価は年初来で43%下落している。
独VW、国内9工場で時限スト開始 本社に数千人集結 | ロイター
ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の労働者は2日、国内の9つの自動車工場・部品工場で数時間の時限ストを開始した。
同社では労組が国内事業の将来を巡って対立しており、今回の時限ストで組み立てラインがストップした。
ウォルフスブルクの本社には数千人が集結。約1万4000人を雇用するハノーバー工場のほか、エムデン、ザルツギッター、ブラウンシュワイクなどの工場でもデモが行われた。
労組関係者によると、ウォルフスブルクの主力工場だけでも2時間のストで「ゴルフ」など数百台の車両製造がストップする。
次回の労使交渉で合意が成立しない場合は24時間ストや無期限ストに突入する可能性がある。今月9日に4回目の交渉が予定されている。
VWの広報担当は、労働者のスト権を尊重しており、顧客への最低限の供給を確保するなど、ストの影響を最小限に抑える措置を講じたと述べた。
欧米自動車メーカー格下げも、トランプ関税発動なら17%減益=S&P | ロイター
S&Pグローバルは29日に発表したリポートで、米国が欧州、メキシコ、カナダに輸入関税を課した場合、欧米自動車メーカーの年間総コア利益が最大17%減少するとの見通しを示し、信用格付けを引き下げる可能性を警告した。
特に、主に欧州で生産している高級車メーカーのボルボとジャガー・ランドローバー、メキシコとカナダに組立工場を抱えるゼネラル・モーターズとステランティスが最も脅威にさらされているという。
トランプ次期米大統領は25日、メキシコとカナダが麻薬や不法移民の米国流入を取り締まるまで両国からの全輸入品に25%の関税を課すと表明。実施されれば、1期目の政権で北米自由貿易協定(NAFTA)後継として発効させた米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に違反することになる。 もっと見る
アナリストや専門家は、欧州連合(EU)製品に対する直接関税より、フォルクスワーゲンやステランティスなどの欧州メーカーと供給業者がより大きな打撃を受ける恐れがあると懸念している。
S&Pは「関税引き上げについては緩和措置で制御できる見込みだが、2025年に欧州で始まる二酸化炭素規制強化、中国と欧州での競争激化による収益への圧力から格下げリスクが高まる可能性がある。関税により25年に生じる他の逆風が増幅した場合、格付け変更の可能性が出る」と指摘した。
世界防衛産業、23年の上位100社売上高は4.2%増=シンクタンク | ロイター
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2日、世界の防衛産業に関する調査結果を公表した。トップ100社の2023年の売上高は4.2%増の6320億ドルだった。
国別にみると、米企業の売上高は前年比2.5%増の3170億ドルだった。ただ、市場をリードするロッキード・マーチンとRTXの売上高は小幅減少した。
22年の武器売上高は3.5%減少していた。この減少についてSIPRIは、労働力不足やサプライチェーン(供給網)の混乱、コスト増により、ロシアのウクライナ侵攻による需要増加に多くの企業が対応しにくい状況になったと分析した。
ロシアを除く欧州企業の23年売上高は1330億ドルとほぼ横ばいだったが、受注は急増した。
SIPRIは「ガザやウクライナでの戦争、東アジアでの緊張の高まり、他の地域における再軍備計画に関連した新たな需要により、小規模生産業者の方が効率的に対応している」と指摘した。
HSBC、中国のクレジットカード事業から撤退へ=関係者 | ロイター
新興EV企業の苦境、一段と深刻化 - WSJ
電気自動車(EV)分野の新興企業は米大統領選の前から苦戦していたが、ドナルド・トランプ氏の勝利でさらに深刻な状況に陥る可能性がある。
注目を集めた電動SUV(スポーツタイプ多目的車)メーカーの米フィスカーやバス製造の英アライバルなど幾つかの企業が、今年に入り破産を申請した。スウェーデンの電池メーカー、ノースボルトは、独自動車大手BMWが主要な注文をキャンセルしたことを受けて先週、米破産法11条の適用を申請し、直近の犠牲者となった。
EVや電池に特化した新興各社の直近の提出文書をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が分析したところ、他に少なくとも十数社が来年夏までに資金不足に陥る恐れがあると分かった。
先行きが厳しさを増す中で、リビアン・オートモーティブやルーシッド・グループといった経営が比較的安定している米新興企業の株価でさえ、今年に入り50%近く下げている。リビアンは先週、生産能力増強のための最大66億ドル(約9900億円)の政府融資について、条件付きで承認を得た。しかし、投資家はそれでもコスト面を懸念するとともに、同社がトランプ次期大統領の就任式当日までに契約を完了できない場合、この融資を得られなくなるかもしれないとの見通しを不安視している。
こうした創業間もない企業の多くは、EV需要の減退やコストの上昇、サプライチェーン(供給網)の障害で打撃を受けているため、新製品を迅速に投入できていない。株価の暴落で、これらの企業の時価総額は何十億ドルも消失した。
政治状況の変化も、米国内で計画されていた投資を危険にさらしている。これらの計画の一部は、州政府や連邦政府の補助金が支援してきた。
「消費者需要の減少に伴って、災難が起きている状態だ」と、クリーンエネルギーを専門とする投資銀行マラソン・キャピタルのテッド・ブラント最高経営責任者(CEO)は話す。
WSJEVおよび電池を扱う公開スタートアップ企業54社を分析したところ、その財務状況はますます厳しくなっていることが分かった。7社は既に破産法による保護を申請している。十分な分析データがある36の事業会社のうち4分の3は赤字で、13社は来夏までに手元資金が枯渇するとみられている。
さらなる困難が待ち受ける
トランプ政権はこうした企業の取り組みにさらなる打撃を与えるとみられる。次期大統領はEV需要を刺激するための1台につき7500ドルの税額控除の廃止を約束している。業界幹部はまた、バイデン政権下で提供されているEVベンチャーや電池プロジェクト向けの資金が、第2次トランプ政権で提供されなくなる可能性があることを懸念している。
一方で、海外から輸入される車両や自動車部品に新たに課される関税や、関税率の引き上げによって、コストがさらに押し上げられる可能性がある。トランプ氏が先週提案したメキシコ、カナダと中国を対象とした関税はその例だ。
こうした障壁の影響は、自動車のサプライチェーン全体に波及し、電池やその材料となるリチウムなどの素材の需要をしぼませる。
ブラント氏は、「エコシステム全体が崩壊しつつある」と話す。
スタートアップ企業の多くはここ数年の間に上場を果たした。過去10年間に生じていた、テスラの成功を再現しようとする企業に向けた熱狂の波に乗ったものだった。
一部は、いわゆるリバースマージャー(逆さ合併)のブームを利用した。リバースマージャーとは、まだ創業間もない企業が特別買収目的会社(SPAC)と合併することで上場する仕組み。この取引は、伝統的な新規株式公開(IPO)よりも容易に公開市場に到達する道を提供するが、内部関係者以外の投資家を犠牲にして、内部関係者を豊かにする仕組みであることが示されている。
2次トランプ政権への移行は、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ(GM)など、より基盤の強固な欧米自動車メーカーにとっても、極めて厳しい経営環境の中での試練となる。これらメーカーは、EVの品ぞろえ強化に向けて何十億ドルもの投資を約束していたが、予想していたEV販売の伸びが実現しなかったことから、今では一部の投資計画の先送りや撤回を強いられている。
多くの米企業は、EVメーカーの比亜迪(BYD)や車載電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)といった中国の新たなライバル企業との競争で、さらに大きな差を付けられるのではないかと懸念している。アナリストらは、米国のクリーンエネルギー産業の後退を受けて、この分野で中国の大幅なリードがさらに拡大する恐れがあると警告している。
投資銀行ジェフリーズ・グループでサステナビリティー・エネルギー転換戦略部門のグローバル責任者を務めるアニケット・シャー氏は「こうした状況が続くなら、われわれは今後50年間にわたって経済の主要なエンジンとなる分野をまさに放棄したことになる」と語った。
非公開会社のノースボルトのケースは、EV関連業界での経営破綻の中で最も際立つものの一つだ。同社は二酸化炭素(CO2)排出量の少ない工程で車載電池生産を目指していた新興企業で、フォルクスワーゲン(VW)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、欧州連合(EU)などから10年近い期間で約150億ドルの資金を調達してきた。
ノースボルトの電池技術と、同社CEOのピーター・カールソン氏の経歴が投資家らの興奮を誘い、同社の株価は急上昇した。カールソン氏の前職は、テスラのサプライチェーン管理責任者だった。
EV市場の後退とBMWへの納入契約のキャンセルを受けてノースボルトの事業計画が破綻したため、同社は破産法の保護下に入ることになり、カールソン氏はその後CEOの座を去った。
打ちのめされる新興企業
米政府の支援を受けてきた他の新興企業も、経営難に直面している。使用済み車載電池を有用素材に転換するリサイクル事業を計画していたリ・サイクル・ホールディングス(Li-Cycle Holdings)は、ニューヨーク州ロチェスターの工場建設費の一部として47500万ドルの政府融資の承認を受けていた。
しかし、今年9月末時点の同社の手元資金は、約6カ月しか事業を継続できない水準にまで減少していた。鉱山会社グレンコアの資金援助を受けているカナダ企業のリ・サイクルは、コスト急増を理由にロチェスター工場の建設を休止した。
リ・サイクルの株価は株式併合を考慮すると、上場価格から97%超下落している。
アジャイ・コチャールCEOは、同社がロチェスター工場プロジェクトを完了させ、自立した事業を構築するのに必要な資金を調達できると確信していることを明らかにした。同CEOは、このセクターにおいて「投資家らは不要なものと一緒に大事なものまで捨てている」と述べた。
電動バン・トラックメーカーのカヌーも手元資金が枯渇しかけており、資金節約のためにオクラホマシティーの従業員の約4分の1を一時解雇した。
同社はオクラホマ州の車両および電池工場で1300人以上の雇用を創出するために同州から11300万ドル分の優遇措置プログラムの適用を受けた。同社は2020年にSPACとの合併を通じて上場を果たした後、今年の売上高がすぐに14億ドルに達するとの見通しを明言していた。
トニー・アクイラCEOは「すべての部品をずっと中国への外注に頼って自動車の開発を目指してきたため、毎朝顔面にパンチを受けているような感じだ」と語った。
同社は今年11月、アクイラ氏が支配権を持つ投資会社から1200万ドルの融資を確保した。
一部の新興企業はまだSPACとの合併を模索している。デラウェア州ウィルミントンに本社を置き、EVの機能向上に人工知能(AI)の使用を提案しているサンダー・パワー・ホールディングス(ティッカーシンボルはAIEV)は6月、逆さ合併を完了した。それ以降、同社の株価は95%超下落し、1129日の終値が0.47ドルとなった。
このセクターを注視している証券会社クリア・ストリートのマネジングディレクター、ブライアン・ドブソン氏は「こうした経営陣の多くは、自分たちが次のテスラになるのだと考えているが、そうなれるのは普通というよりむしろ例外だということが分かっている」と述べた。
日本企業
野村の社債引き受け、上位5社から5年ぶり陥落-法令違反の余波続く - Bloomberg
楽天グループ、ドル建て永久劣後債で主幹事を指名-750億円規模 - Bloomberg
ヤマダ、積立預金キャンペーン撤回 「年利18%」申請集中 - 日本経済新聞
九電工、36年ぶり社名変更へ 新社名は25年4月に発表 - 日本経済新聞
住友化学、医薬品の日本メジフィジックスを米系企業に売却 300億円で - 日本経済新聞
決算:伊藤園5〜10月純利益18%減 お〜いお茶堅調も材料高で - 日本経済新聞
●先進国政治動向
仏首相、予算案を議会強行通過へ-野党は内閣不信任提出の構え - Bloomberg
フランスのバルニエ首相は不人気の予算案の一部を採決なしで議会を通過させるため、憲法上の手段を行使した。だが議員らの反発は必至で、数日以内にも議会で内閣不信任が成立する恐れがある。
バルニエ氏は2日午後の国民議会(下院)で、採決なしで法案を議会通過させる憲法第49条3項を発動すると宣言した。これに対し左派政党が、まもなく不信任動議を提出すると発表した。
これに先立ち、極右政党の国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏は、同党の要求に応じなければ、内閣不信任動議を支持する考えを示していた。
バルニエ仏首相、ルペン氏に予算案で土壇場の譲歩 - Bloomberg
フランス政府は、不信任案可決による内閣崩壊を回避すべく、極右のマリーヌ・ルペン氏に対し、2025年度予算案で土壇場の譲歩案を提示した。
バルニエ首相は2日にルペン氏と協議した後、極右政党、国民連合(RN)の重要な要求を受け入れ、薬代の償還金を削減しないことを確約した。
譲歩は、議会で過半数の支持を持たないバルニエ首相が予算案を軌道に乗せ政府を維持するための最後の手段だ。憲法第49条3項に基づき採決なしで社会保障法案を議会通過させる方法もあるが、それは不信任決議案の提出につながる。
国民議会(下院)で最大勢力である国民連合は2日、「奇跡的な」妥協案が提示されない限り、政府を倒すと表明した。バルニエ氏が譲歩案を提示した後、党関係者は直ちにコメントを発表しなかった。
不確実性と瀬戸際戦略を投資家が嫌気し、フランス国債利回りは先週一時ギリシャと同水準に上昇した。
バルニエ氏が薬代の償還に関する最新譲歩案を提示したことで、フランス資産は回復。 10年物フランス国債とドイツ国債のスプレッドは、前週末比で約1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の82bpとなった。この日は一時87bpまで拡大していた。フランス株も上昇に転じ、一時の1.2%の下落を取り戻した。
国民連合の議員らは、どのような行動を取るかを決定するため現地時間午後2時から会合を開いた。
同党は、バルニエ氏が社会保障法案に盛り込んだ年金のインフレ指数への連動を抑制する措置に依然として反対している。
「後退しているような印象を受ける」と、国民連合のロール・ラバレット議員はLCIテレビの番組で語った。「バルニエ氏がどこに針を合わせるのか、正確に知るのは難しい」と述べた。
議会は午後3時に招集される予定。国民連合が不信任案の採決で棄権するだけでもバルニエ氏の政府を救うのに十分だが、ルペン氏はここ数週間、政府が同党の要求を考慮していないと不満を募らせている。
フランス政府、崩壊の危機-予算巡り極右政党との対立激化 - Bloomberg
フランスの極右政党、国民連合(RN)は、週内にもバルニエ首相の政府を倒す可能性を強く示唆した。アルマン経済・財務相が「政府は脅迫には屈しない」と発言した数時間後だった。
マリーヌ・ルペン氏が事実上率いるRNは、バルニエ首相が2025年度予算を修正し、年金をインフレに連動させるなどの要求に応じない限り、不信任案に賛成すると脅迫している。
ルペン氏はバルニエ氏に、2日までに予算案を変更する必要があると伝えた。野党議員らは同日に不信任投票を行う手続きを開始する予定だ。
1日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューでアルマン氏が「フランス政府は最後通牒を受け入れない。われわれは脅迫に屈しない」と語ったにもかかわらず、RNのバルデラ党首は2日午前にさらに過激な発言を繰り広げた。
「国民連合は、土壇場での奇跡が起こらない限り不信任投票を発動させるだろう」とバルデラ氏はRTLラジオに語った。
バルニエ首相が午後3時までに予算案を変更するかもしれないが「数カ月間、われわれを無視して拒絶してきたことを考えれば、同氏が考えを変える可能性は低いだろう」と述べた。
バルデラ氏の発言を受けて、フランス株のCAC40指数は下落。フランス債のドイツ債に対するスプレッドは86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と1129日の80bp前後から拡大した。ユーロは対ドルで下げを広げ、一時0.8%安の1.0496ドルとなった。
予算を巡る政治的駆け引きの中でフランス国債の利回りは先週一時、ギリシャ国債に並んだ。
国民議会で最大政党を率いるルペン氏は、バルニエ氏が国民連合の主要な要求の一つである電気料金の値上げを断念することに合意したことで勝ち星を上げた。これにより自信を深めた国民連合は要求をさらに追加する構えを強めている。不信任投票は早ければ4日にも実施される可能性がある。
600億ユーロ(約9兆5000億円)の増税と歳出削減を盛り込んだバルニエ氏の予算案は、同国の財政赤字を対国内総生産(GDP)比で5%に抑えることを目指している。今年の赤字はGDPの6.1%に達すると予想されている。
サンマルタン予算相は1130日に報じられた現地紙とのインタビューで、RNによる予算案の修正要求には100億ユーロ(約1兆5800億円)近くのコストがかかると発言。フランス政府はこれ以上譲歩しないと述べた。
サンマルタン氏の発言に対し、ルペン氏はAFP通信で12月1日、仏政府は社会保障予算案の変更に関する「協議を打ち切った」と非難。自身の要求が満たされない場合には、RNは左派と手を結び倒閣を目指す意向を明らかにした。
予算の年度末締め切り間近に政府が崩壊するというのは前例のない事態だ。ルペン氏は、年度末までに予算が組まれなかった場合の影響を軽視し、トリビューヌ紙の取材に対し「フランスの制度はうまく設計されており、何も決定的なことはない」と語っている。
バルニエ氏が解任された場合、マクロン大統領は同氏を再任するか、あるいは新たな首相を選ばなければならない。新たに誕生する政府も、25年度の予算を早急に提案する必要がある。
仏極右、内閣不信任案支持の公算大 党首が表明 | ロイター
来年度予算案を巡りバルニエ仏政権と対立する極右政党、国民連合(RN)のバルデラ党首は2日、「土壇場で奇跡」が起きない限り、RNが数日中に内閣不信任案を支持する可能性が高いとRTLラジオに述べた。
RNの指導者ルペン氏はバルニエ首相に対し、2日までに予算に関するRNの要求を受け入れなければ、RNが内閣不信任案を支持する可能性があり、政権崩壊につながると警告している。
バルニエ氏は先週、電力税増税を撤回したが、RNはインフレを反映した年金増額、薬剤費払い戻しの減額中止、欧州連合(EU)予算への拠出削減なども求めている。
バルニエ氏が憲法上の規定を行使して社会保障財源法案を強行採択すれば、左派連合が内閣不信任案を提出し、早ければ2日にも政権が行き詰まる可能性がある。
仏極右、数日中に内閣不信任案提出も 予算案で対立 | ロイター
来年度予算案を巡りバルニエ仏政権と対立する極右政党、国民連合(RN)の指導者ルペン氏は1日、政権がさらなる譲歩を拒否したため、内閣不信任案の採決が数日中に実施される可能性が高まったと述べた。
バルニエ政権は、財政立て直しに向け緊縮型の予算案を組んだが、RNなどの野党は反対。政権は先週、電力税増税を撤回したが、RNは納得せず、ルペン氏は2日までに党の要求に応じなければ、不信任案が提出する構えを見せていた
ルペン氏は仏通信社に対し、政府が事実上協議を打ち切ったと指摘した。
仏内閣不信任案、4日にも可決へ 予算案の強行採択受け | ロイター
フランスで、バルニエ内閣に対する不信任決議案が4日にも採決され可決される見通しとなった。極右政党「国民連合(RN)」と左派連合「新人民戦線(NFP)」が2日、バルニエ首相に対する内閣不信任案を提出した。
可決されれば1962年以来。両党を合わせれば内閣不信任可決に十分な票数となる。
RNを率いるマリーヌ・ルペン氏はバルニエ政権が事態を悪化させていると批判し、内閣を打倒する必要があると述べた。
これより先、バルニエ首相は、憲法上の特別権限を行使し、2025年社会保障予算案を強行採択すると発表した。議会の採決なしに法案を成立させる憲法49条3項を発動する。バルニエ氏はぎりぎりまで譲歩の可能性を探ったが、野党の支持を得られなかった。
憲法の規定によると、内閣不信任案は強行採択から24時間以内に提出することとなっている。
バルニエ氏は演説で議員らに対し、不信任案を支持しないよう呼びかけ。「われわれは正念場を迎えている。われわれが国家の将来よりも個人の利益を優先することは許されないだろう」と述べた。
バルニエ氏に近い情報筋は、首相はルペン氏に大幅な譲歩をしており、不信任案に賛成票を投じれば獲得した成果を失うことになると語った。
不信任案が可決されれば内閣は総辞職する。新首相の選出は来年になる可能性もある。
内閣不信任の可能性が高まったことを受けて市場では、フランス株が下落に転じ、ユーロ売りが加速。仏国債には利回り上昇圧力がかかった。
ホワイトハウス、大統領の次男恩赦を擁護 「退任後の迫害懸念」 | ロイター
先進国中銀、金融当局
アングル:日銀、追加利上げへ地ならしか 身構える市場 | ロイター
日本経済新聞が週末に配信した植田和男総裁インタビューを受け、市場で12月利上げを織り込む動きが加速している。7月の利上げ後に市場の混乱を招いたことから、日銀内では、コミュニケーション戦略の必要性を意識する声があった。12月会合まで1カ月を切る時点での発信に市場では、追加利上げへの地ならしとの見方も出ている。
<2年金利、08年以来の0.6%台>
インタビューで植田総裁は追加利上げの時期について「データがオントラックに推移しているという意味では近づいている」との認識を示した。これを受けて週明け2日の市場では債券が売られて金利が上昇。政策金利の影響を受けやすい新発2年債の利回りは2008年11月以来となる0.6%台に乗せた。為替市場でも円高が進行、一時149円半ばをつけた。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは今回の総裁インタビューについて「利上げに向けたコミュニケーションを図っている」とみている。
関西みらい銀行のストラテジスト、石田武氏は「日銀がタイミングを選べた中、あえて12月の政策決定会合まであと3週間というタイミングで、きちんと設定したインタビューで意図的にこうした情報発信をしてきた」と指摘。「これはもう利上げ予告だと受け止めて良いのではないか」との見方を示す。
SBIリクイディティ・マーケットの金融市場調査部長、上田真理人氏は「日銀は12月会合での追加利上げに意欲を持っている印象。ただ、市場では6割程度しか織り込みが進んでおらず、疑心暗鬼のようだ」と指摘する。
7月の追加利上げの際は、弱い米経済指標に加え、日銀のタカ派姿勢が想定外との受け止めで株安、円高が進行。この市場波乱について、植田総裁は9月の会見で、日銀の考え方が伝わってなかったという批判があることは承知しているとして、「経済・物価に関する認識と政策運営に関する考え方を丁寧に説明してくということに心がけたい」とコミュニケーションに配慮する姿勢を示した。
日銀は8月以降、政策判断にあたっては金融資本市場や海外経済の状況を確認する「時間的余裕がある」との表現を使ってきたが、10月の決定会合後の会見で植田総裁は「時間的余裕」という表現は今後使わないことになると思うと発言。この発言後のロイターエコノミスト調査では12月追加利上げ予想が過半数となった。
<今年2回目のインタビュー>
日銀内では足もとの経済・物価情勢について、総裁発言通り、オントラックとの見方が多い。一方で、米国経済の不透明感に加え、国内消費の弱さなどについて懸念する声もある。
市場では今回の総裁発言は追加利上げに前向きなものとの受け止めが多いが、「連続的に追加利上げを実施するとか、政策金利を1%の到達点より上げていくといったタカ派傾斜を示唆するものではない」(SMBC信託銀の山口真弘投資調査部長)との見方もあり、午後にかけては再び円安となり、株価も上昇した。
今回の植田総裁インタビューのタイミングについて日銀広報課では「これまでも各紙によるインタビューに総裁は応じている」とし、「前回は今年4月に実施された」としている。
英中銀が清算機関のストレステスト、一部脆弱性も全般的に底堅い | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は29日、中央清算機関(CCP)を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果を発表した。一部の機関で脆弱性が見つかったが、全般的には底堅さが確認されたと明らかにした。
ストレステストはICE・クリア・ヨーロッパ、LSEG下のLCH、香港証券取引所のLMEクリアが提供する清算サービスの信用回復力に焦点を当てた。
イングランド銀行のブリーデン副総裁は「ストレステストの結果は、懸念材料を示唆していないが、継続的なデータ収集と監督を通じてCCPのリソースを監視し続けている」と説明した。
ロンドン金属取引所(LME)の清算機関であるLMEクリアは、地政学や貿易面での緊張の高まりがコモディティー市況を上振れさせたことを踏まえ、ストレステストにおいて3機関中最も脆弱であることが明らかになった。
英中銀によると、一部のCCPは市場が混乱した後に実施された前回2022年のストレステストの時よりも財源が少ないことが判明した。「高度に集中したポジションを清算するコストや、より保守的な仮定を含めるようストレステ ストを実施したところ、いくつかの潜在的な脆弱性の領域が確認された」としている。
日銀追加利上げ、「12月」予想が最多 QUICK月次調査 - 日本経済新聞
スイスの製造業、ドイツ産業低迷で需要減退=中銀総裁 | ロイター
スイス国立銀行(中央銀行)のシュレーゲル総裁は30日、ドイツ産業低迷がスイス製造業の需要減退につながっていると述べた。
同氏はドイツ連邦銀行(中央銀行)主催のイベントで講演し、最大の貿易相手国であるドイツの景気低迷により、スイス製造業の需要が大幅に減少していると指摘。「ドイツが風邪をひくと、スイスはインフルエンザにかかる」と懸念した。
スイス中銀は今年3回の利下げで政策金利を1.00%としており、さらに追加措置が見込まれている。
現在の市場予想では、12月12日の金融政策決定会合で25ベーシスポイント(bp)の利下げが行われる可能性が72%、50bpの可能性が28%となっている。
12月の米利下げ「選択肢オープンにしている」-アトランタ連銀総裁 - Bloomberg
米アトランタ連銀のボスティック総裁は、12月に利下げが必要かどうかを自身はまだ決めかねていると述べた。一方、今後数カ月に金融当局が利下げを継続すべきであるとの考えは依然持っていると説明した。
ボスティック総裁は2日に公表した小論で、「最大限の雇用と物価安定という連邦公開市場委員会(FOMC)の2つの責務に関し、それらを達成する上でのリスクはほぼ均衡が取れている状態にシフトした。従ってわれわれも、経済活動を刺激も抑制もしないスタンスへと金融政策をシフトし始めるべきだ」と主張した。
インフレについては、データは一様でないものの、2%の当局目標へ向かう持続的軌道に乗っているとの見解を示した。労働市場については急激な悪化の兆しは示されていないが、政策当局者はインフレと雇用両方のリスクに警戒を続ける必要があると述べた。
総裁はこれとは別に記者団との電話会見で、今月1718日のFOMC会合で利下げを支持するかどうかについて、「引き続き選択肢をオープンにしている」と語った。
ボスティック総裁は、景気抑制的な金融政策が労働市場の減速に寄与したとし、その証拠として求人件数が減少傾向にあることを挙げた。ただ、労働市場は依然として安定しているとの認識も強調した。
「これらのトレンドはいずれも、労働市場が急速に悪化している、ないし極めて逼迫(ひっぱく)しているという強いシグナルを送ってはいない」と指摘。「むしろ、金利上昇を前に、労働市場がおおむね秩序だった形で減速しつつあることを示している。われわれの情報入手先である企業からも同様の見方を得ている」と述べた。
また、「物価安定には確かに上向きのリスクがある」とした上で、「最近の変動の大きさを、物価安定に向けた進展が完全に行き詰まった兆候だとは捉えていない」と主張した。
ウォラーFRB理事、12月会合での利下げ支持に傾いている - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での追加利下げ支持に自身は傾いていると述べた。
政策金利据え置きが理にかなうデータが会合前に出る可能性はあるとしながらも、「現時点で12月会合での政策金利引き下げを支持する方向に傾いている」と述べた。ワシントンで開かれた米国経済研究所(AIER)主催のFRB政策枠組み見直しに関する会議の講演テキストで明らかになった。
【コラム】FRB枠組み見直し、重要点が見落とされる恐れ-ダドリー - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)が来年実施する定期的な金融政策の枠組み見直しは、世界に影響を及ぼすものとなるだろう。FRBは正しい取り組みに注力する方針だが、重要な部分が抜け落ちているようだ。
明るい材料としては、FRBはゼロ金利制約によって短期金利がゼロ近辺に張り付かないよう目指した制度を廃止する構えのようだ。2008年の金融危機と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によるゼロ金利の経験を経て、20年の枠組み見直しで導入されたこの制度では、FRBは一定の条件下でゼロ金利の維持にコミットした。
だたこの戦略は、コロナ禍を脱した経済にとってはそぐわなかった。22年3月時点でも金利は依然としてゼロ近辺で、FRBは長期金利の引き下げを目的に米国債や住宅ローン担保証券の買い入れを継続していた。一方で失業率は3.8%となり、FRBが重視するインフレ率は5%を超えていた。米金融当局は、経済が過熱しているにもかかわらず、異例の景気刺激策を実施していた。
パウエルFRB議長は問題を認識しているようだ。パウエル氏は中立金利が08年の金融危機後の10年間よりも高くなっているため、ゼロ金利制約のリスクは低下している可能性が高いと指摘。同氏は「オーバーシュートを目標にするのではなく、インフレを目標にする」と述べている。
ここまでは順調だ。しかし、枠組み見直しの議題には含まれていないと思われる重要な問題が3つある。
1つ目は、FRBに量的緩和(QE)の枠組みが必要な点だ。QEとは、追加の景気刺激策としてFRBがこれまで実施してきた資産購入策(およびその反転策として知られる量的引き締め)である。枠組みがなければ、市場参加者は金融政策がいつどのように実施されるのか理解することは困難になる。市場の期待は、長期金利や金融情勢、経済への金融政策の伝達に影響を与えるため、政策の有効性が損なわれることになる。
2つ目は、実際に何をすべきかをよく理解するために、量的施策の費用対効果を評価する仕組みが必要だということ。例えば22年3月に終了した資産購入プログラムの最後の1年について考えてみよう。コロナワクチン開発とバイデン米政権による大規模な財政刺激策によって、追加での金融刺激策が不要だったことはほぼ明らかであったにもかかわらず、FRBは1兆4000億ドル(約209兆円)の資産を購入した。これらの購入により、米国の納税者は最終的に1000億ドル余りの負担を強いられることになる。コロナ禍での量的緩和の総費用は5000億ドルに達する可能性がある。  
3つ目は、FRBは金利ターゲットを変更する必要があるということだ。銀行の準備金が潤沢にある中で、銀行がほとんど利用しなくなった市場を追跡するフェデラルファンド(FF)金利は時代遅れである。FRBは銀行が中央銀行に保有する準備金に対する金利に切り替えるべきだった。今になってようやく、という感もあるが。
また、検討しなくてもいい問題も1つある。ゼロ金利制約にとどまるリスクを低減するために、FRBはインフレ目標を2%超に引き上げるべきかどうかという問題だ。パウエル氏が指摘したように、そのリスクは後退している。さらに重要なのは、インフレが急騰した時期でも2%という目標がインフレ期待を適切に維持するのに役立ったことだ。目標値を変更することはFRBの決意に対する信頼を弱める恐れがある。
米大統領選で、ドナルド・トランプ氏がカマラ・ハリス氏に勝利したことは、有権者がインフレを本当に好まないことを示している。有権者の意思は、何らかの形で考慮されるべきである。  
先進国経済指標
米ISM製造業景況指数、予想を上回る-新規受注が拡大圏に浮上 - Bloomberg
米供給管理協会(ISM)が発表した11月の製造業総合景況指数は、依然として縮小圏ながらも市場予想を上回った。新規受注が8カ月ぶりに拡大圏に浮上したことなどが寄与した。
ISM製造業総合景況指数は48.4に上昇
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は47.5
総合景況指数の上昇幅は1.9ポイントと、3月以来の大きさとなった。8カ月連続で縮小圏にとどまったが、サブ指数の大半で改善が示された。
総合景況指数は水準としては6月以来の高さで、約2年に及んだ製造業の低調に歯止めがかかりつつあることが示唆された。
新規受注の指数は前月比3.3ポイント上昇と、5カ月ぶりの大幅上昇となった。
米ISM製造業景気指数、11月48.4に上昇 新規受注8カ月ぶりに拡大 | ロイター
米供給管理協会(ISM)が2日発表した11月の製造業景気指数は48.4だった。2023年7月以来の低水準だった10月の46.5から上昇した。ロイターがまとめた市場予想は47.5だった。
トランプ次期米政権による企業寄りの政策への期待から上昇している他の景況感調査と同様の傾向が示された。
それでも、製造業はまだ難局を脱したとはいえない。ISM製造業景況調査委員会のティモシー・フィオーレ委員長は、需要の低迷と受注残の減少に伴って「11月は生産活動が減速した」と指摘。サプライヤーは生産能力を維持しており、リードタイムは改善傾向にあるものの、一部の製品で品不足が再び発生していると述べた。
拡大・縮小の分岐点となる50は、8カ月連続で下回った。長期的には経済全体の拡大を示すとされる水準(42.5)は、上回った。製造業は米経済の10.3%を占める。
先行指標となる新規受注は50.4と、前月の47.1から上昇した。50を上回るのは8カ月ぶり。
一方、生産は低迷した水準にとどまったほか、仕入れ価格は50.3と、前月の54.8から低下した。商品価格に下落の余地があることを示しているものの、輸入品に対する関税が上がれば反転する可能性もある。
11月はコンピューター・電子、家電製品・部品を含む3業種のみが拡大。輸送機器、機械、化学製品、一次金属を含む11業種が縮小した。
供給業者の納入を示す指数は48.7と、前月の52.0から低下した。50を超えると納入の速度が遅くなっていることを示す。
雇用は48.1と、前月の44.4から上昇した。低水準の状態だが、改善傾向を示した。
英製造業PMI、11月改定48.0 9カ月ぶり低水準 | ロイター
S&Pグローバル/CIPSが2日発表した11月の英国の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は48.0と、10月の49.9から低下し、9カ月ぶりの低水準となった。
国内外からの受注が減少したほか、供給網の混乱継続でコストが上昇した。速報値は48.6だった。好不況の分かれ目となる50を下回った。
新政権が発表した予算案で雇用主の税負担が250億ポンド(320億ドル)増えたことや、最低賃金の7%引き上げ、紅海の海運混乱、世界的な関税引き上げのリスクが逆風となった。
S&Pのディレクター、ロブ・ドブソン氏は「製造業は当面、高コスト、低需要、不確実性の高まりという環境に直面することになる」と指摘。
「あらゆる規模の企業が不況に見舞われているが、小規模企業が最も打撃を受けており、特に生産、新規受注、新規輸出事業の落ち込みが顕著だ」と述べた。
一部の企業は政府の予算案や世界経済の不透明感を受けて、顧客がコスト増加を理由に投資を延期・中止していると報告した。
イタリアGDP、第3四半期前期比横ばい 輸出と投資が不振 | ロイター
イタリア統計局が2日発表した第3・四半期国内総生産(GDP)改定値は速報値から変わらずの前期比横ばいだった。個人消費が好調だったものの輸出と投資の不振で相殺された。
前年比も速報値と同じく0.4%増だった。
第2・四半期は前期比が0.2%増、前年比は0.6%増から0.7%増に上方改定された。
政府の2024年成長率予測は1%だが、アナリストの多くは非現実的だと指摘する。
統計局は、第4・四半期もゼロ成長なら、通年成長率は0.5%にとどまるとの見通しを示した。
仏製造業PMI、11月改定43.1に低下 新規受注が急減 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のフランスのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は43.1で、10月の44.5から低下した。好不況の分かれ目となる50を22カ月連続で下回った。
新規受注指数は35.9と、新型コロナウイルス流行第1波以来の低水準。国内外の需要が落ち込んだ。今後生産が一段と減少するとみられる。
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「フランス製造業は依然として危機的状況にある。生産の縮小が続き、購買担当者が在庫の積み増しを控えている」と述べた。
投入コストは上昇したが、競争激化で企業は値下げを迫られ、利益率が悪化している。外需は過去4年半で最大の落ち込みを記録。特に米国とドイツ向けの輸出が足を引っ張った。
雇用は資本財・中間財部門を中心に引き続き減少。
先行きについては依然として悲観的な見方多く、不透明感や建設・自動車産業の低迷が今後1年間の生産見通しの重しとなっている。
ユーロ圏製造業PMI、11月改定45.2に急低下 見通し厳しい | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のユーロ圏HCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.2と、10月の46.0から大幅に低下した。速報値から修正はなかった。
10月は安定化の兆しが見られたが、その後、需要が再び落ち込んでおり、早期回復への期待が後退する可能性が高い。
PMIは好不況の分かれ目となる50を2022年半ば以降、下回っている。
生産指数は10月の45.8から45.1に低下。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ひどい結果に見える。ユーロ圏製造業の不況は永遠に終わらないように見える。新規受注が急速に、しかも加速度的に減少しているため、早期回復の兆しは全くない」と指摘。
「不況は広範囲に及び、ユーロ圏上位3カ国全てが打撃を受けている。ドイツとフランスが最悪で、イタリアもあまり良くない」と述べた。
値下げにもかかわらず需要全体が落ち込んでおり、人員削減ペースは新型コロナウイルス流行時以来の高水準となった。雇用指数は46.2から45.2に低下、2020年8月以降で最低となった。
外需の減少ペースも加速。トランプ次期米大統領が一律10%の関税を提案しているため、状況はさらに悪化する可能性が高い。
独製造業PMI、11月43で横ばい 需要低迷で雇用縮小 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のドイツのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は、10月から横ばいの43.0だった。速報値の43.2から下方改定された。
生産と新規受注の落ち込みが緩和し、新規受注は過去半年で最も緩やかな減少となった。しかし雇用、産出価格、輸出売上高は減少幅が拡大した。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、製造業はかなり厳しい状況にあり、大規模人員削減の話が毎日のように出ていると述べた。
雇用は17カ月連続で縮小し、指数は9月の49カ月ぶり低水準近くとなった。調査企業の約29%が人員削減を報告した。
ただ先行きの見通しは3カ月ぶりに幾分改善した。連立政権が崩壊し来年2月に選挙が実施されることになり、景気回復が期待されているとデラルビア氏は述べたが「製造業不況は来年も続く」との見方を示した。
豪小売売上高、10月は前月比0.6%増に加速 3カ月連続増 | ロイター
金融市場、先進国トピックス
米ブラックフライデー、オンライン販売が好調、実店舗は低調 | ロイター
米国では29日、感謝祭翌日の「ブラックフライデー」のセールが行われた。オンライン販売が好調だった一方で、実店舗の販売は低調だった。
マスターカード・スペンディングパルスによると、ブラックフライデーのオンライン販売は14.6%増えた。実店舗の売上高は0.7%増にとどまった。売上高はインフレ調整前の数字。
マスターカード・エコノミクスのチーフエコノミスト、ミシェル・マイヤー氏は、全体的なインフレ率が2%を超える中、家電製品や衣料品、スポーツ用品、パーソナルケア用品、宝飾品など、年末商戦に関連した人気の高い商品は昨年から値下がりしているか、小幅な値上がりにとどまっていると指摘した。
マイヤー氏は、ブラックフライデーを前に多くの買い物客は実店舗を訪れ、どのような商品や価格かを見て回り、ブラックフライデーのセールが始まるとオンラインで買い物をしたと指摘した。携帯電話やノートパソコン、デスクトップパソコンなどのオンライン販売が好調だった。
アドビのデータによると、ブラックフライデーのオンラインでの米消費者の支出は108億ドルで、前年比10.2%増加した。
GPIFの利回り0.2%上げ案 日本株比率に上昇観測 - 日本経済新聞
大手ヘッジファンドの11月リターン良好、トランプ氏勝利が追い風に - Bloomberg
中東情勢
イスラエルによるガザ侵攻に不吉な兆し|ARAB NEWS
ガザで起きている出来事を観察していれば、イスラエルがこの地域での再定住に向けて効果的に動いていることは、たとえその目的が公式には語られないままであったとしても、ほとんど努力することなく見抜くことができる。このトピックに関する議論はイスラエル政府の廊下だけにとどまっているか、あるいは世界中の同盟国と目立たないように共有されているかもしれないが、証拠は明らかだ。
この目的は、イスラエルが公言している紛争の目標、すなわちハマスの排除と人質の奪還に加えられる。しかし、地上での行動は、第3の、より隠された意図を指し示している。それは、イスラエルが交渉を執拗に妨害していることや、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がガザに対する「翌日以降の」戦略の概要を示そうとしないことからも明らかだ。
イスラエルによる組織的な攻撃の中、兵士たちは、79歳の入植者活動家ダニエラ・ワイス氏が、入植地の候補地を調査するために飛び地に入るのを、上官の許可なく手伝ったと伝えられている。「入植者の母」として知られるワイス氏は、イスラエル軍がガザに入ったのは入植のためだと公の場で宣言した。彼女の行動は、非公式ではあるが、イスラエル社会の特定の層における長年の野心と一致している。
ワイス氏は論争に慣れているわけではない。彼女は1967年のイスラエル占領直後、ヨルダン川西岸地区での入植地設立で重要な役割を果たし、ケドゥミム入植評議会の代表を10年以上務めた。彼女の記録には、パレスチナ人に対する暴力的な行動への関与も含まれており、しばしば公式の後ろ盾があった。
ネタニヤフ首相のパートナーである政府関係者の発言からも、ガザに対する長期的な計画についての率直な見解が明らかになっている。べザレル・スモトリッチ財務相は、イスラエル軍が何年にもわたってこの地域を支配するだろうと述べた。彼の発言は、ガディ・アイゼンコット前イスラエル軍参謀総長の発言と呼応するもので、彼は戦争の公的目標と秘密目標の両方を認めている。こうしたいわゆる秘密目標は公式には明言されていないが、イスラエルの行動にはますます明らかになっている。
テルアビブは、ガザを再定住させるか、少なくとも軍事的プレゼンスを長期化させる戦略を実行しているようだ。この戦略は、2005年のガザ撤退計画でイスラエルが解体した21の入植地を思い起こさせる。
西側メディアの報道は、ガザ北部の併合計画を示す軍事行動と政治的策略を強調している。イスラエル軍幹部のイツィク・コーエン氏の発言は、この地域での「民族浄化」を認めているようであり、10月初めから執拗な砲撃を受けているジャバリア、ベイト・ハヌーン、ベイト・ラヒアの避難民の帰還を阻止する意図を明らかにしている。軍は公式にコーエン氏の発言から距離を置いているが、現場の現実は彼の主張と一致しているように見える。
もうひとつ明らかになったのは、イスラエルの元国防大臣ヨアヴ・ガラント氏がイスラエル人人質の家族に語った言葉だ: 「ガザでこれ以上やることはない。主要な目的は達成された」イスラエルがガザの再定住計画を公に否定しているにもかかわらず、彼のこの告白は、占領が長期化する可能性を強調している。
ガザ北部の民族浄化は、イスラエル入植者たちが、この地域に入植地を再確立するという長年の願望を実現する道を開くことになる。アナリストたちは、イスラエルの安全保障閣僚に極右閣僚のオリット・シュトロック氏とイツハク・ワッセルラウフ氏が含まれていることが、このアジェンダのさらなる証拠だと指摘する。両者とも入植地拡大の強固な支持者であり、政策形成において重要な役割を果たしている。
イスラエルの新聞『Haaretz』は、ガザを再占領する計画を詳細に伝えており、パレスチナやアラブ諸国の反発を呼んでいる。ラッマラーの情報筋によれば、イスラエルはガザを4つのゾーンに分割することを目指しているという。
北部地区ではすでに大規模な取り壊しが行われ、100万人いた住民は2万人しか残っていない。第二のゾーンであるネツァリムは、ガザを東西に横切る幅6km、長さ7kmの主要回廊になる予定だ。第3の回廊、エジプト国境沿いのラファに近いサラー・アルディン軸も、住宅地の完全破壊を目撃することになる。さらに、ガザ東部国境に1kmに及ぶ緩衝地帯も計画されている。これらの措置は2026年までに実施される予定で、最近のエスカレーションがその実行のきっかけとなっている。
イスラエル当局は、ガザの再定住計画を否定し続けているが、政府の盟友や入植者指導者たちの行動は、そうではないことを示唆している。イスラエル軍は、ワイス氏のガザへの立ち入りは無許可で規約に反するものだと主張しているが、ワイス氏自身はヨルダン川西岸地区と同じ方法を用いていることを認めている。
一方、ネタニヤフ首相はガザ再定住の意図を公に否定している。しかし、彼の連合政権メンバーやリクード党の盟友たちは、公然とこの考えを支持している。事態が進展するにつれ、ガザの将来は不透明なままであり、不吉な兆候が占領の長期化と入植地拡大の可能性を指し示している。
【社説】再び火を噴いたシリア内戦 - WSJ
中東では、混乱の嵐が休暇状態に入ることはめったにない。最近発生した嵐は、シリアのバッシャール・アサド大統領の政権に対するイスラム勢力の新たな蜂起だ。イスラム教スンニ派の反政府勢力は先週末、主要都市アレッポになだれ込み、政府軍が逃げ惑う中でアレッポだけでなく他の地域も制圧した。
反政府勢力は、アサド政権の協力者たちが他の出来事に気を取られたり、弱体化したりする中で、攻勢に出る好機を見いだした。アサド政権を支える主要勢力だった、イランの革命防衛隊(IRGC)と同国の代理勢力であるヒズボラは、イスラエルとの対立で激しい報復攻撃を受けたことから、シリアでは腰が引けた状態になっている。アサド政権にとってもう一つの主要な支えとなっていたロシアは現在、ウクライナとの戦争に集中している。
アサド政権にとって今回の反政府勢力の攻勢がどれほどの脅威となるかは不透明だ。未確認情報によると、反政府勢力はハマとダマスカスの制圧に向かっている。制空権は依然としてロシアとシリアが握っており、反政府勢力の拠点を空爆している。民間人居住地域などへの容赦のない空爆は、シリア軍が数年前にアレッポを制圧した際に役立った。
アサド氏が自国民に対する虐殺を是認してきたことを考えれば、アサド政権の崩壊を願いたくなる。だが、アサド氏を追放しようとするこのイスラム主義勢力は、民主主義陣営あるいは西側諸国にとって好ましい組織ではない。トルコは自国の目的のために彼らを支援するかもしれない。その目的とは、シリア国内にいる反トルコ派のクルド人を殺害することなどだ。
米国の1番の関心事は、この騒乱がイスラエルやイラクに広がるのを防ぐことにある。騒乱が広がれば、過激派組織「イスラム国(IS)」の復活につながりかねないからだ。米国はISを制御するため、シリア西部に900人ほどの兵士を配置しているが、騒乱が起きているアレッポからは遠く離れている。米国の拠点が安全に守られている限り、兵士の存在は情報収集と対テロ作戦にとって有益なものとなる。
シリアの内戦は2011年に勃発し、オバマ政権が民主派勢力を支援しないことを選択した後は、ロシアとイランが空白を埋めてきた。パックス・アメリカーナ(米国の覇権)の終わりがより良い世界につながると考えている人は、シリアの状況を見てみるがよい。米国は今や傍観者になっているが、シリアで再び騒乱が起きたことは、米国がイスラエルを支持し続けるべきもう一つの理由となる。イスラエルは惨劇が絶えないこの地域にある類いまれな友好国なのだ。
ヒズボラがイスラエル軍を攻撃、停戦後初-ネタニヤフ首相は報復示唆 - Bloomberg
シリアで何が起きているのか 内戦の経緯と再燃のきっかけを解説 - CNN.co.jp
内戦状態が続いていたシリアは、新たな反体制派の連合体が奇襲攻撃を展開し、同国第2の都市アレッポに攻め込んだことで再び注目を集めている。
この攻撃によって反体制派は2016年以降初めてアレッポを制圧し、正式に終結したことのない戦闘の膠着(こうちゃく)状態を打破した。
30万人以上が死亡し、600万人近くが国外に流出した紛争の新たな展開は、中東地域内外に広範な影響を及ぼしている。
シリア内戦で何が起こったのか?
「アラブの春」と呼ばれた民主化運動が広がっていた11年、民主化を求めるシリアのデモ隊は路上に繰り出し、独裁的なアサド大統領の退陣を求めた。
政府軍が民主化運動を鎮圧するにつれ、小規模な民兵組織とシリア軍からの離脱者からなる反体制派武装勢力が形成され始めた。
反体制派勢力は分散しており、異なるイデオロギーで構成されていたが、アサド政権打倒という共通の目標を掲げていた。近隣のトルコや、地域の大国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)のほか、米国などの外国勢力からさまざまな形で支援を受けていた。
反政府勢力が拡大するにつれ、シリアの同盟国であるイランとロシアは支援を強化した。地上では、イランの革命防衛隊とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが反政府武装勢力との戦いを支援した。空では、ロシアの戦闘機がシリア空軍を強化した。
国際テロ組織「アルカイダ」を含むイスラム過激派はシリアに関心を持ち、聖戦主義者の関与を歓迎しないシリアの穏健な反体制派と共通の大義を掲げた。
しかし14年までには過激派が優勢となり、「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がシリア国内を席巻し始めた。米国が率いる有志連合はシリアが恒久的なテロの温床となることを恐れて介入。シリア政権と対立することなくISISの排除に重点を置いた。
米国が支援する、クルド人戦闘員で構成されるシリア民主軍(SDF)はISISと戦い、同組織の領土面での支配を事実上終わらせた。
ロシアとトルコは20年、反体制派が支配する最後の県イドリブで停戦に合意。人道回廊の設置に合意した。
これ以降、大きな衝突は起きていないが、シリア政府は領土のすべての奪還には至っていない。そしてアレッポでの出来事が示すように、反体制派武装勢力は決していなくなってはいない。
なぜ今、紛争が再燃したのか?
11月27日に始まった攻撃に先立ち、反体制派は「軍事作戦司令部(MPO)」と呼ばれる新たな連合体を結成した。
MPOはすぐにアレッポ郊外の村々を制圧し、住民によれば、今や市内の大部分を制圧した。
戦闘員は、占領地の解放を目指しており、激しさを増している政府軍と親イラン民兵組織による攻撃に対処していたと述べている。
反体制派は、主要同盟国が他の紛争に大きく気を取られ政府が弱体化している折に乗じようとしている可能性がある。
反体制派の進撃に対応して、ロシアとシリアの空軍はアレッポとイドリブ県で空爆を開始した。
ロシアはウクライナ侵攻に兵力と資源を投入してきたが、アサド大統領にとって同国は空軍における主要なパートナーだ。
一方、イランはイスラエルからの一連の攻撃に悩まされており、特にヒズボラへの打撃は大きい。アナリストはCNNに対し、シリアの反体制派はヒズボラがいなくなったことで生じた間隙(かんげき)を利用して進撃していると指摘する。
アレッポの喪失は政府軍にとって大きな後退を意味する。アレッポはかつて人口と経済資本でシリア最大を誇り、世界でも有数の歴史を持つ居住都市だ。
アレッポは、アサド氏が16年に奪還するまで反体制派の主要拠点でもあった。反体制派は足場を取り戻したことで、イドリブに追い詰められることはなくなった。
反体制派とは誰か?
この新しい連合体は、イスラム主義派から穏健派まで、幅広い反体制派勢力で構成されている。
この連合体を率いるのは、過激派組織「シャーム解放委員会」(HTS、旧ヌスラ戦線)だ。ヌスラ戦線はかつて国際テロ組織アルカイダと関係があった。
HTSは正式にアルカイダとの関係を断ち切り、イドリブの事実上の支配者となっている。トルコの支援を受けた組織や、米国が以前支援していた組織も加わっている。
シリアはどう対応するのか?
シリアとロシアの戦闘機は、アレッポとイドリブで反体制派を攻撃してきた。これは、内戦下で領土を取り戻すために極めて重要な戦術だった。
アサド氏は、シリアは引き続き「すべてのテロリストとその支持者を前に、安定と領土保全を守る」と約束しており、国防省は反撃の準備を進めていると述べた。
しかし、現段階では政府の対応能力や意思がどの程度のものなのかは不明であり、主要な支援勢力によるサポートに大きく左右されるとみられる。
イランのアラグチ外相が1日にシリア首都ダマスカスに向かうなど、同盟国がシリアに結集する兆しがある。
反体制派がアレッポの主要な軍事施設や空港までをも支配下においているため、シリア軍にとって反撃は困難だとみられる。この都市は16年に政府に奪還されるまで、政府軍によるほぼ継続的な包囲に2年近く持ちこたえた。
エマージング
中国10年債利回りが2%割れ、預金金利抑制の動きで追加緩和観測 | ロイター
中国の10年債利回りが2日、2%の心理的節目を割り込み過去最低となった。預金金利押し下げの動きを受け追加の金融緩和観測が高まった。
中国人民銀行の監督下にある機関は29日、銀行が特定の顧客に優遇預金金利を提供することを禁止すると発表した。
人民銀行は、証券会社や資産運用会社などのノンバンク金融機関に銀行が提供する預金金利を政策金利と一致させることを目指している。
10年債利回りは一時5ベーシスポイント(bp)低下し1.9750%と、中国中央国債登記結算(CCDC)のデータで最低を記録した。10年債先物は0.4%上昇し最高値付近。30年債利回りは約4bp低下し2.16%を付けた。
国信証券のアナリスト、ヤン・イェウェイ氏はこの政策が短期金利を押し下げ「長期債利回り低下トレンドの新たな原動力になる可能性がある」と指摘した。
BNPパリバの中国マルチアセット投資部門責任者ウェイ・リー氏は「人民銀行は25年に金融緩和を強化し、債券市場をさらに下支えする」との見方を示した。
中国債券市場は10年にわたり上昇基調にある。約2年前、不動産不況や株安を受け上昇に拍車がかかった。当局は国債市場の過熱感を抑えようとしているが効果は乏しく、アナリストは来年にかけて上昇が続くとみている。
ヘッジファンドMingshiの元ポートフォリオマネジャー、Ke Zon氏は「ファンダメンタルズはなお非常に弱い。諸政策は経済のハードランディングを防ぐだけで、力強い刺激とはなっていない」と述べた。以前消極的だったファンドや機関投資家の投資が依然低調なことや、保険会社が新年を迎える前に資金のアロケーションをすることが利回りを押し下げていると指摘した。
モルガン・スタンレーのストラテジストは、中国経済への慎重な見方、米国の対中関税の公算を踏まえ、人民銀行が政策金利を第1・四半期末までに40bp下げると予想している。
中国製造業PMI、11月民間指標は5カ月ぶり高水準 受注が堅調 | ロイター
財新/S&Pグローバルが2日発表した11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.5と前月の50.3から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。ロイターがまとめたアナリスト予想の50.5も上回った。
海外からの受注を含む新規受注が生産の堅調な拡大につながり、製造業者の楽観度を8カ月ぶりの高水準に押し上げた。
中国国家統計局が11月30日に発表した製造業PMIも景況拡大・悪化の分かれ目となる50を上回った  
新規受注は2023年2月以来最も速いペースで増加した。特に新規輸出受注は4カ月ぶりのプラスとなり、サブ指数は7カ月ぶりの高水準を記録。受注は主に投資財と中間財で拡大し、消費財はわずかに減少した。
新規受注増の理由としては、基調的な需要の改善、新製品の発売、米国の選挙を受けた在庫積み上げなどが挙げられた。
中国企業は、経済状況の改善と政府の政策が今後1年間の売り上げを下支えするとの期待感を示している。
2カ月連続で受注残は積み上がった。ただ、人員削減ペースは和らいでいるものの、企業は雇用に慎重な姿勢を崩していない。
財新智庫のエコノミスト、王哲氏は「景気低迷は底を打ちつつあるように見えるが、さらなる足場固めが必要だ」と指摘。雇用の縮小が続いていることを挙げ、景気刺激策の効果がまだ労働市場に表れていないとし、雇用拡大に対する企業の自信を強化する必要があると述べた。
原材料高に伴い、平均投入価格が過去5カ月で最も速いペースで上昇する中、コスト懸念も高まった。その結果、企業はコスト負担を顧客に転嫁し、販売価格は23年10月以降で最も急速な上昇を見せた。
中国新築住宅価格、11月は伸び加速 経済対策の効果か=民間調査 | ロイター
中国の民間不動産調査会社の中国指数研究院が1日発表した11月の国内100都市の新築住宅平均価格は前月比0.36%上昇し、伸び率は10月の0.29%から加速した。前年同月比でも2.08%上昇から2.40%上昇に拡大した。
政府は過去数カ月間、住宅購入時の減税や頭金減額など各種規制を緩和し、マイホーム機運を刺激する経済対策に乗り出しており、その効果が表れたとみられる。
住宅価格の公式データは16日に統計局が発表する。
ロイター調査によると、一連の政策の効果が出始めることで、2024年と25年の住宅価格は下落ペースが緩やかになり、26年には価格が安定化する見通しだ。
中国の対日感情、尖閣国有化時並みに悪化 日中世論調査 - 日本経済新聞
日本の非営利団体「言論NPO」と中国国際伝播集団は2日、日中両国で実施した共同世論調査の結果を発表した。日本への印象を「良くない」と答えた中国人は合計で87.7%だった。2023年調査より24.8ポイント上昇した。
調査を始めた05年以降で2番目に高い。最も高かったのは日本が尖閣諸島を国有化した際の13年で92.8%だった。日本人の対中感情はやや改善した。中国への印象を「良くない」と答えた日本人は合計で89%で前回調査比で3.2ポイント下がった。
日中関係への認識でも温度差が浮き彫りになった。「関係は重要」とした人は日本が67.1%と微増だったのに対し、中国は26.3%33.8ポイント急落し、過去最低を記録した。
日本に関する情報源として「微博(ウェイボ)」や動画共有アプリ「ティックトック」の中国版「抖音(ドウイン)」などのSNSが上位になっていることもわかった。対日感情に影響を与えている可能性がある。
世界の紛争や緊張の原因がどこにあるかも聞いた。ロシアを念頭にした「核保有国で、安保理の常任理事国である国が他国を侵略し、核使用の威嚇を行うなどしていることを世界が止められないこと」との回答が日中ともに最も多かった。
日本が32%で、中国が41%だった。両国ともに「国連が機能していないこと」という回答が日本で28.5%、中国で19.9%だった。
調査は24年の10~11月に両国で18歳以上の男女を対象に実施した。日本は全国で1000人、中国は北京、上海など10都市で1500人から回答を得た。
ロシア戦時経済に新たな亀裂露呈 ルーブル急落で - WSJ
2年を超える戦争と制裁の中、驚くほどの強じんさを見せてきたロシア経済に突然、深刻なひずみが現れ始めた。
ロシアの通貨ルーブルが急落し、インフレが急激に高進している。ウラジーミル・プーチン大統領は先週、国民に対し、パニックを起こす理由はないと述べた。
経済状況が変化したきっかけは、バイデン米政権がロシアの銀行ガスプロムバンクへの制裁を決定したことだ。同銀は制裁を免れていたロシア最後の主要銀行で、ロシア政府は兵士への給与の支払いや貿易取引の処理に利用している。米政府は50を超える他の金融機関も制裁対象に加えた。
ガスプロムバンクがこれまで制裁対象から除外されていたのは、ロシアからエネルギー供給を受ける欧州の国が代金を支払えるようにするためだった。同行はロシアからの輸出と引き換えに流入するハードカレンシー(国際決済通貨)にとって極めて重要なルートとなっていた。
LSEGのデータによると、ルーブルは先週終盤、対ドルで28カ月ぶりの安値を付けた。ロシアのウクライナ侵攻直後以来の安値水準となる。
ロシア政府関係者やアナリストによると、新たな制裁措置で既に圧迫されているロシアの貿易ルートが利用できなくなる恐れがあるという。
開始から間もなく3年になるウクライナとの戦争にとって、今は極めて重要な時期だ。ロシアは北朝鮮兵士とイラン製兵器の助けを借りて、前線に沿って前進している。米国のドナルド・トランプ次期大統領は戦争の早期終結を約束しており、現在と今後の対ロ制裁がどうなるかは不透明だ。
ロシア政府の支配下にあるガスプロムバンクは当初エネルギー関連の銀行業務のハブだったが、近年はその他の分野の国際決済でも重要性が高まっている。米国政府はガスプロムバンクを制裁対象とすることで、西側の金融システムへ最後の主要ルートの一つを止めようとしている。
ロシアは自国通貨のほか、中国人民元やインドルピーといった友好国の通貨での取引を増やしている。ロシア企業も暗号資産(仮想通貨)を利用したり、バーター取引を行ったりして制裁の影響を回避している。それでもドルの入手が極めて重要であることに変わりはない。
制裁の発表後、トルコはガスプロムバンクにロシアからの天然ガスの輸入代金を引き続き支払うことができるよう適用除外を確保するため、米国政府と協議することを明らかにした。欧州で今もロシア産ガスに依存する数少ない国の一つであるハンガリーも、解決策を探す意向を示した。
米シンクタンク、新アメリカ安全保障センターのレイチェル・ジエンバ上級研究員(非常勤)は、ガスプロムバンクへの制裁には「萎縮効果」があると指摘。「取引業者や輸出業者、外資系銀行は自分たちの負債がどこにあるかを把握しようとしている。したがって多少のパニックが起きるのは理にかなっている」とした上で、「数週間で新しいルートができるかもしれない」と語った。
20222月にロシアがウクライナ侵攻を開始してまもなく、ロシア経済は大打撃を受けたが、大規模な政府支出と戦時経済への方向転換で成長を取り戻した。兵士への多額の支払いや低金利の住宅ローンが家計支援に一役買った。
軍事支出は今年、ソ連崩壊後の最高水準に達し、来年は総歳出額の3割を上回る1200億ドル(約179600億円)超になる見通しだ。
ただこうした刺激策は危険な副作用をもたらしている。中でも注目すべきは、物価上昇率が中央銀行の目標の2倍以上のペースで推移していることだ。中銀は今年、政策金利を21%にまで引き上げたが、これまでのところ、過熱した経済を冷やす効果はほとんど見られない。労働年齢の男性が前線に派遣されたことによる記録的な労働力不足が、インフレをさらに加速させている。
ルーブル急落で輸入コストはさらに増える恐れがある。公式データによると11月の消費者物価の上昇率は既に9%に近い水準にあった。市場調査会社ロミールがまとめた代替指標によると、日用品・サービスの平均コストは11月半ばの時点で前年比28%増だった。
オックスフォード・エコノミクスの新興市場担当リードエコノミスト、タチアナ・オーロバ氏は、ロシア中銀が今月、政策金利を23%に引き上げると予想している。同氏はまた、政府が輸出業者に外貨収入の国内送金を増やすことを義務付ける資本規制を再び課すとみている。ロシア国内への送金が増えればルーブルの需要が高まる。
こうした取り組みや、ホリデーシーズン後の輸入減によってルーブルの価値は安定するかもしれない。だが、来年には利上げが経済をさらに圧迫し始め、2026年には景気後退(リセッション)が起きるとオーロバ氏はみている。農業や輸送など、政府の支援による後押しを受けない業界は縮小している。
「ロシア経済は今、おそらく転換点にある」とオーロバ氏は指摘する。「この厳しい金融引き締め政策が、経済をリセッションに追い込んでいる」
ロシアがより深刻な経済危機の瀬戸際にあると考える人はほとんどいないが、戦争が長引くにつれて困難が増すとみられている。
ピーターソン国際経済研究所のエリーナ・リバコワ上級研究員(非常勤)は「政策の折り合いをつけることは、ますます困難になるだろう」と語った。同氏によると、ロシアは医療や教育などの非軍事分野を犠牲にして戦争を優先することで、経済の見通しを悪化させ続ける可能性が高いという。
ロシアはトランプ氏のウクライナ停戦案を拒否する-プーチン派有力者 - Bloomberg
ロシア保守派の大物実業家で大統領府とも深い関係を持つコンスタンチン・マロフェーエフ氏は、トランプ次期米大統領が仲介するいかなるウクライナ停戦案も、ロシア政府は拒否するだろうと述べた。
金融グループを率いるオリガルヒ(新興財閥)のマロフェーエフ氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、ウクライナ中立化に法的拘束力を持たせることを含む追加的な譲歩をロシアは求めているため、合意には応じないだろうとの考えを示した。ただ、トランプ氏と最終的に合意する可能性は「五分五分」だとも語った。
マロフェーエフ氏は米国など西側の制裁対象となっている。
トランプ氏はウクライナでの戦争を24時間以内に終わらせると公約。だが、容易かつ迅速な合意にロシアが応じる意思はほとんどない兆しが積み上がっており、マロフェーエフ氏の発言もそれを裏付ける。同氏はプーチン政権の当局者ではないものの、ロシア強硬派の代表的な論客で、大金を投じて傘下のテレビ局「ツァールグラード」などで同国政府の主張を流布している。
マロフェーエフ氏はドバイでのインタビューで、「停戦はロシアが待ち望んでいる贈り物ではないと、米国の次期政権が理解することは重要だ」と述べ、「現時点での停戦はウクライナと米国にとっては有益だが、われわれにとっては何の得にもならない。ロシアが勝利しつつあるからだ」と続けた。
ロシアはウクライナ東部でじりじりと進軍を続け、過去数週間に拡大した占領地は今年のどの期間よりも大きかった。ロシア大統領府に近い関係者2人は先週、ブルームバーグに対し、同国が現在注力しているのは占領地の拡大だと指摘した。西側兵器によるロシア領内への攻撃を許可するなど、最近の米国のウクライナ支援措置が戦況を変えることができるかは不透明だ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は1129日、ウクライナが支配する領土だけを北大西洋条約機構(NATO)の安全保障下に置くことと引き換えに、ロシアとの停戦に応じる用意があると示唆した。この発言をマロフェーエフ氏は歓迎。発言は「転換点」だと指摘し、ゼレンスキー氏は全ての領土を奪還することなく戦争を終わらせる選択肢を排除していないとの見解を示した。
ジョージア野党指導者を逮捕、EU加盟交渉停止への抗議デモ続く | ロイター
ムーディーズ、ハンガリーの見通しを「ネガティブ」に引き下げ | ロイター
ルーマニア議会選、極右勢力拡大 首相与党が第1党 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
PG&Eが下落 資金調達計画を発表=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
カルフォルニア州で電力・ガスの公益を手掛けるPG&E<PCG>が下落。資金調達計画を発表。12億ドル規模の普通株と12億ドル規模の優先転換社債を発行する。同社はまた、2024年通期の利益のガイダンスを再確認した。
調達した資金の使途は、5年間の資本投資計画への資金提供を含くむ一般企業目的としている。
その他
新電化時代、必要なのはガラクタ - WSJ
世界最大の鉱山会社の一つが米国でがらくたや古い携帯電話、ごみの埋め立て地を掘り起こしている。エネルギーの転換やデータセンターブームで必要とされている銅があるからだ。
97年の歴史を持つスイスの資源大手グレンコアの銅製錬所はカナダの亜寒帯林にある。外には破砕された携帯電話や自動車、使われなくなったコンピューター用のケーブルが9メートルほどの高さにまで積み上げられている。これらのスクラップはここで銅精鉱と一緒に溶かされ、新たな金属板になる。
この銅製錬所では以前から古い電子機器を原料の一部に使用してきたが、最近はグレンコアを含む銅生産会社がスクラップにまで手を伸ばし、リサイクル能力の拡大に多額の資金を投じている。
化石燃料からより再生可能なエネルギーへとシフトし、コモディティー(商品)市場の構造変化が見込まれている。米国で必要とされる原油や石炭が減り、電化が進めば、代わりに電気自動車(EV)用電池に使用されるリチウムや、より大きな電柱に使用される松の木がこれまで以上に必要になる。銅もそうだ。
「私たちは今後25年間で、人類が今まで消費してきた以上の銅を消費するだろう」。グレンコアのリサイクル担当グローバル責任者、クナル・シンハ氏はこう話した。「そのような規模に挑もうとしている」
さまざまな製品の回路基板が米ロードアイランド州にあるグレンコアの施設に届く。ここで銅や貴金属含有量を特定する
中国の近代化に伴い、銅の消費量はこの数十年で急増した。2022年に米国で再生可能エネルギー開発を推進する法律が成立し、銅の需要はさらに増えた。人工知能(AI)開発の支援やスマートフォンの動画保存のために建設されているデータセンターも至る所に銅が使われている。スマホ自体もそうだ。
グレンコアの推計では、世界の銅供給量は2050年まで年間約100万トンのペースで増加する必要がある。それだけ供給するには、チリにある世界最大の銅鉱山、エスコンディーダ鉱山の生産量に相当する量を毎年追加しなければならない。
豊富な埋蔵量が見つかったとしても、鉱山を稼働させるには数十年かかることもある。シティグループの金属ストラテジスト、トム・マルクイーン氏によると、そうした事情から鉱山開発企業は新たな需要に迅速に対応できず、スクラップが市場のバランスを保っている。
銅の需要予測は中国の景気低迷や製造業の落ち込み、エネルギー転換の失速で外れることもありうる。
米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が勝利した翌日の116日、トレーダーはトランプ氏の選挙公約から中国との貿易摩擦がエスカレートし、クリーンエネルギーの奨励策が縮小されると考えた。
シティの基本シナリオは、銅価格が来年半ばまでに高値を更新すると予想しているが、マルクイーン氏はトランプ氏の勝利と投資家を失望させた中国の経済政策の発表以降、予想はより大きなリスクにさらされていると指摘する。
エネルギーデータ会社ウッド・マッケンジーの推計によれば、2050年には銅需要の約半分がリサイクル銅で賄われる見通しで、現在の約3分の1から上昇する。米国で発生するスクラップの多くは現在、アジアに送られているが、銅生産会社は北米のリサイクル能力を増強している。
ドイツの伸銅メーカー、ウィーランドは2022年、米ケンタッキー州シェルビービルで1億ドル(約155億円)を投じてリサイクル施設の建設を開始した。現在は、同施設の拡大に向けて27000万ドルの補助金を得るためエネルギー省と交渉している。
同じくドイツ企業アウルビスも、ジョージア州オーガスタに8億ドルをかけてリサイクル施設を建設中だ。広報担当者によると、同社は既にスクラップの調達を開始しており、来年には銅の生産を開始する見通しだという。
グレンコアは2013年にスイスの鉱山大手エクストラータを合併した際、カナダ・ケベック州ルイーヌノランダにあるホーン製錬所を取得した。地元の鉱山が掘り尽くされた後、1980年代に電子機器のリサイクルが同製錬所で最初に行われた。
過去の所有者は、カリフォルニア州サンノゼに古いコンピューターを収集する施設を造った。またロードアイランド州には、回路基板や古い銀製食器などの素材を受け入れ、銅や貴金属の含有量についてサンプル調査を行い、価格を付ける施設を開設した。グレンコアのシンハ氏によると、同社は最近、アーカンソー州で倒産した電子機器のリサイクル施設を買収しており、この施設もスクラップの収集に使用するという。
トロント、スイス、ニューヨークにいるグレンコアのトレーダーはスクラップを探し回り、約40カ国から集められた原料はホーン製錬所に送られる。製錬所の門にも回収箱が設置され、42000人の住民が古いケーブルや壊れたトースターを捨てに来る。
シンハ氏によると、グレンコアは分解やリサイクルが容易な製品の設計を目指して、電子機器や太陽光パネルのメーカーとも協力している。
「ほとんどの人は製品の寿命が終わった後のことを考えて作っていない」とシンハ氏は言う。
グレンコアは自動車が廃棄されている埋め立て地も調査している。自動車が廃棄されると、使える部品や金属の多くが取り除かれ、残りは破砕されて「自動車破砕残さ(ASR)」と呼ばれる素材になる。
グレンコアは既に破砕前の自動車から取り出した銅を購入しているが、同社の納入業者は銅を確保するためASRが多く廃棄されている埋め立て地を掘り起こし始めている。グレンコアの試験では、埋められたASRの銅の濃度が鉱山の濃度の2倍以上になる可能性があることが分かった。
ケベック州に積み上げられているスクラップはさらに細かく砕かれて、溶解炉に投入される。シンハ氏によると、投入物に占めるスクラップの割合は通常15%程度だという。責任者が製錬プロセスの熱や化学現象に影響するプラスチックなどの素材を考慮してスクラップと銅精鉱と混ぜ合わせる。
最終的に溶けた金属が鋳型に注がれ、重さ約340キログラムの板ができる。板は冷却後に約640キロメートル離れたモントリオールにあるグレンコアの精錬所に運ばれ、再び溶かされて微量のプラチナやパラジウム、銀、金を除去、回収する。
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(2日)ユーロ1%下落、株まちまち | ロイター
### **為替市場**
- **
- **ユーロ安**:
  - **
  - **ユーロ/ドル**1.0469ドル(1%安)で推移し、11月初旬以来最大の下落幅となる見込み。
  - **背景**: フランスの内閣不信任案可決の可能性が高まり、財政赤字削減計画の停滞懸念が浮上。
  - アナリストの指摘: 仏政局の混迷に加え、米経済指標が市場予想を上回る結果となり、ユーロに圧力。
- **ドル指数**0.3%上昇し、106.33を記録。
  - **米経済指標**: 11月のISM製造業景気指数は48.4(前月46.5)で改善。
  - FRBのウォラー理事が12月の利下げを支持する発言を受け、利下げの確率が79%に上昇。
- **円相場**: ドル/円は0.2%下落し、149.37円。
### **米株式市場**
- **S&P500**
- **S&P500**および**ナスダック**はハイテク株主導で上昇。
- **ダウ工業株30種平均**は小反落。
- 投資家は今週発表される雇用統計を含む経済指標に注目。
### **コモディティ市場**
- **
- **金先物**:
  - 2
  - 2月物は1オンス=2658.50ドル(0.84%安)。
  - **背景**: トランプ次期大統領による「脱米ドル」へのけん制発言が影響。
- **原油先物**:
  - WTI
  - WTI原油1月物は68.10ドル(+0.15%)、2月物は67.84ドル(+0.12%)。
  - **背景**: 中国の需要回復期待と中東地域の供給懸念が支援材料。
### **まとめ**
- **
- **為替市場**ではユーロが仏政局リスクで下落、ドルが強含む展開。
- **株式市場**はテック株が上昇を牽引する一方、金価格は反落。
- **原油市場**では中国需要や地政学リスクがプラス材料となった。
【欧州市況】仏独債のスプレッド拡大、仏政治危機で-ユーロも下落 - Bloomberg
10年物のフランス債とドイツ債のスプレッドは8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大して89bpと、2012年以来の大幅な開きに迫った。フランスの主要株価指数であるCAC40指数は一時1.2%安まで売り込まれたが、その後は戻してほぼ変わらずで取引を終えた。この日はユーロも下落。一時は対ドルで1%超下落した。
一方のドイツ債は安全逃避の買いが入り、10年債利回りは8日連続で低下。フランス債以外のユーロ圏国債は総じて上昇した。
短期金融市場では欧州中央銀行(ECB)による来週の利下げは28bpと織り込まれており、0.5ポイント利下げの観測は後退している。ただ、来年の利下げ見通しは加速しており、2025年末までに162bpの利下げが想定されている。
欧州市場サマリー(2日) | ロイター
### **ロンドン株式市場 (FTSE 100)**
- **FTSE 100
- **FTSE 100指数**は約1カ月半ぶりの高値で続伸し、取引を終えました。
  - **背景**: ポンド安により、ドル建て収益が多い国際企業に有利な環境が整ったため。
- 主要企業の動き:
  - **
  - **ユニリーバ** +0.9%
  - **HSBC** +0.7%
  - **
  - **HSBC** +0.7%
  - **アングロ・アメリカン** +1.7%
-
- 中型株指数**(FTSE 250)**は小幅に下落。
  - **住宅建設セクター**が影響を受け、**ビストリー・グループ**(-3.9%)**パーシモン**(-1.3%)が値を下げました。背景にはRBC証券による投資判断の引き下げがあります。
- **PMI指標**: 英国11月製造業PMI改定値は48.0(前月49.9)と低下。供給網の混乱とコスト上昇が主因。
### **欧州株式市場**
-
- ドイツの**DAX指数**+1.57%で過去最高値を記録。ユーロ安が輸出企業を支援。
- フランスの**CAC 40指数**は政局混乱の中で横ばい。
  - **背景**: 極右・左派政党がバルニエ首相への不信任案支持を表明。
  - 銀行株は軟調 (クレディ・アグリコル -0.9%BNPパリバ -1.2%)
- 高級品セクターが堅調:
  - **
  - **エルメス** +4.8%
  - **LVMH** +3.3%
### **
  - **LVMH** +3.3%
### **債券市場**
-
- フランスの政局不安が債券市場に波及:
  - **
  - **独仏10年債利回り格差**: 7bps拡大し87bps(ユーロ危機以降の高水準)。
  - **フランス10年債利回り**: 一時2.921%まで上昇。
- ドイツ10年債利回りは低下し、2.035%を記録。
- ユーロ圏製造業PMI改定値は45.2(前月46.0)で、引き続き不況領域。

0 件のコメント:

コメントを投稿