備忘録(2024/12/19)
●海外企業決算
●先進国政治動向
●エマージング
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2024/12/18)
●海外企業決算
●海外企業
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2024/12/17)
●海外企業決算
●海外企業
●日本企業
●先進国政治動向
●エマージング
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2024/12/16)
●海外企業決算
●海外企業
●先進国政治動向
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(16日)ドル小幅高、利回り・株まちまち FOMC控え | ロイター**為替市場**
- 米ドルが主要通貨に対して小幅上昇。ドル/スイスフランは7月以来の高値に、ドル/円も11月以来の高値を更新。
- 市場はFRBや日本銀行、イングランド銀行などの金利決定を注視。FRBの25bp利下げ実施可能性は約97%。
**債券市場**
- 短期利回りが小幅上昇する一方、10年国債は横ばい。FRBが利下げを発表しつつ、一時停止を示唆するとの見方が多い。
**株式市場**
- ナスダック総合が過去最高値を更新。一方、ダウ平均は8日連続で下落。市場はFRBのガイダンスに注目している。
- テスラが6.1%高、ハネウェルは航空宇宙事業分離検討の発表で3.7%上昇。
**金・原油市場**
- 金先物は3営業日続落。中心限月は1オンス2670ドル。
- 原油先物は中国の需要懸念から下落。11月の中国小売売上高の伸びが鈍化し、内需の弱さが指摘される。
**その他**
- 暗号資産のビットコインが急騰。一時10万7821ドルを記録。トランプ次期大統領が「ビットコイン戦略備蓄」構想に言及したことが背景。
主要な市場は、今週のFRB金利発表を含む各種経済イベントに大きく影響を受ける見通し。
備忘録(2024/12/13-15)
●海外企業決算
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●日本企業
●先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
●金融市場、先進国トピックス
●中東情勢
●エマージング
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2024/12/12)
●海外企業決算
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●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2024/12/11)
●海外企業決算
●先進国中銀、金融当局
●金融市場、先進国トピックス
●その他
備忘録(2024/12/10)
●海外企業決算
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●先進国経済指標
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備忘録(2024/12/9)
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●先進国中銀、金融当局
●金融市場、先進国トピックス
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備忘録(2024/12/6-8)
●海外企業決算
●海外企業
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●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
米連邦準備制度理事会(FRB)理事らが主張するほど金融環境が引き締め状態にあるとしても、市場はそのメッセージを受け取っていない。代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格は今週、一時10万ドル(約1500万円)を超える水準に急上昇し、ダウ工業株30種平均は4万5000ドル近くで推移している。投資家らは楽しい時間が終わらないかのように盛り上がっているが、FRBがさらに潤滑油を注入すると約束しているときに彼らを責めるのは難しい。
金融メディアのわれわれの友人たちはこうしたビットコイン価格の上昇について、暗号資産に好意的なトランプ政権への賭けだとみている。規制当局がより好意的になるとの見通しが、今年に入ってからのビットコインの124%上昇に寄与したのは間違いない。しかし、資産価格は金、ジャンク債、株式など軒並み高くなっており、投機的な賭けやレバレッジ取引がそれに拍車を掛けていることが多い。
最大のモメンタムトレード(業績やバリュエーションに関わりなく人気の集中する銘柄の勢いを評価して売買する手法)が起きているものの一つはマイクロストラテジー株で、年初来で464%高となっている。売上高がほとんどないにもかかわらず、創業35年のこの小さなソフトウエア会社の時価総額は910億ドルに達している。これはどういうことだろうか。同社はビットコインの保有を膨大な額に増やしており、その価値は現在、約410億ドルに達している。投資家らは、ビットコインに強気の賭けをする手段としてマイクロストラテジー株に資金を注ぎ込んでいる。
マイクロストラテジーは10月、400億ドル超相当のビットコインを購入する計画を発表し、それが同社株とビットコインの購入をさらに加速させた。マイクロストラテジーはビットコイン購入資金をどうやって調達しているのだろうか。後で株式と交換可能な転換社債の発行だ。投資家は、マイクロストラテジーの株価が上昇し続けることに賭け、転換社債を購入する。
2021年初めのミーム株(はやり株)の上昇のように、どのような株でも、そのブームが続いている間は上昇する。だが、ビットコイン価格が下落し、レバレッジ取引が解消され始めた場合、マイクロストラテジーの株価とビットコイン価格の下落は上昇と同じくらい大幅なものになる可能性がある。
つまり、ビットコインやマイクロストラテジー株に退職後の資金を賭けるべきではない。ビットコインは以前から値動きが荒い。暗号資産を支持する人々はヘッジとしてビットコインへの投資を勧めているが、ビットコイン価格は市場全体に連動して上下する傾向がある。2022年にFRBが金融引き締めを行った際は、約75%安と急落した。ビットコイン価格が現在急騰しているのは、金融緩和に伴うものだ。
理にかなっているかどうかはさておき、市場が熱狂していることを示す兆候は他にもある。小型株指数のラッセル2000は過去1年間で30%近く上昇した。同指数の構成企業はマクロ経済政策の変更に比較的大きな影響を受ける傾向にあるため、投資家は力強い成長と規制緩和に賭けているのかもしれない。
それでも36倍という同指数の株価収益率(PER)は、ドットコム・バブルを想起させる。人工知能(AI)が生産性を向上させるとの期待も、この高揚感の高まりを促している可能性がある。AI向け半導体メーカーのエヌビディアの株価は過去1年間で211%上昇した。だが、これでは高リスク債券の相場上昇を説明できない。
米国債とジャンク債の利回り差(スプレッド)がこれほどまでに縮小したのは2007年以来のことであり、それ以前の例は1997年にさかのぼる。当時、市場はマネーであふれるという、似たような状況にあった。現在、流動性不足が生じている兆候はない。フロス(小さなバブル)的な資産価格とディスインフレの失速は、金融状況が緩和的になり過ぎていることを示している可能性さえある。消費者物価指数(CPI)のうち、食料とエネルギーを除いたコア指数は6月以降、3.3%に高止まりしている。
FRBがインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)物価指数でさえも、低下傾向にストップがかかっている。FRBのジェローム・パウエル議長は4日、連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントの利下げが決定された9月時点と比べて、「経済成長はわれわれが予想していたよりも明らかに強く、インフレ率は予想より若干高くなっている」との見方を示した。市場はこの積極的な利下げと、それに続く11月の0.25ポイントの利下げについて、インフレとの戦いに勝利したとFRBが考えている印だと受け止めている。しかし、それは正しくない。
FRB当局者らは、今月に0.25ポイントの追加利下げを行うことを示唆している。しかしわれわれは、インフレがこれほどしつこく、成長がこれほど力強く、資産価格がこれほど著しく上昇している局面で中央銀行が利下げに踏み切ったケースを思い出すのは難しい。警戒を呼び掛けたい。
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備忘録(2024/12/5)
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備忘録(2024/12/4)
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備忘録(2024/12/3)
●海外企業決算
[CRM]
セールスフォース 3Q増収増益 売上高8%増94.4億ドル、営業益26%増18.9億ドル、EPS1.58ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CPB] キャンベルズ 1Q増収最終減益 売上高10%増27.7億ドル、純利益7%減2.18億ドル、配当0.39ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
カタールエナジー、英シェルとLNG長期契約締結 中国向けに供給 | ロイター
カタール国営石油・ガス会社カタールエナジーは2日、同業大手の英シェルと、液化天然ガス(LNG)の長期売買契約を締結したと明らかにした。中国向けに年間300万トンを供給。2025年1月から開始する。
カタールエナジーはシェルとの契約締結について、中国でLNG市場の拡大が続いていることが示されたと指摘した。ただ、具体的な契約期間については言及しなかった。
中国は世界最大のLNG輸入国。同国税関のデータによると、23年の輸入量は7100万トンに上る。21年は過去最高の約7900万トンと、過去最高水準に達した。
シェルは、LNG市場は23年の年間約4億トンから40年までに約50%拡大すると予想。アジア経済が成長していることや、発電で使用する燃料が、石炭から大気汚染の排出が最も少ないガスに移行していることを理由に挙げた。
カタールは、米国、オーストラリアに次いで、世界3位のLNG輸出国。調査会社クプラーのデータと分析によると、カタールは今年これまでに7300万トンを輸出している。
ブラックロック、プライベートクレジットHPSを120億ドルで買収 - Bloomberg
米資産運用会社ブラックロックは3日、プライベートクレジット会社HPSインベストメント・パートナーズを買収することで合意したと発表した。全額株式による取引で、買収額は約120億ドル(約1兆8000億円)。ブラックロックはこの買収により、プライベートクレジット部門のトップ企業に仲間入りする。
ブラックロックの発表によると、HPSの創業者スコット・カプニック氏、スコット・フレンチ氏、マイケル・パターソン氏は、ブラックロックの新しいプライベート・ファイナンス・ソリューション事業を率いることになる。
ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は発表した声明で「HPSの規模、能力、専門知識を活用し、パブリックとプライベートを円滑に融合させた課題解決策を顧客に提供していく」と述べた。
買収手続きは、規制当局の承認を経て、2025年半ばに完了する見通しだ。買収によって、運用資産総額11兆5000億ドルのブラックロックは、6000億ドル近いオルタナティブ資産を保有することになる。
株式や債券の運用では世界最大のブラックロックを、年金機構や保険会社、政府系ファンド、富裕層が注目するプライベート資産の有力なプレーヤーに変貌させるべく、フィンク氏は1年かけ取り組みを続けてきた。ブラックロックは10月にはグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)の125億ドルの買収を完了。HPSと合わせると、1年足らずでオルタナティブ投資会社の最大規模の買収を2件も成功させたことになる。
HPSは顧客資産の管理総額が1480億ドルに上り、急成長するプライベートクレジット市場では、最大規模の独立系運用会社の一つだ。
HPSの買収により、ブラックロックのオルタナティブ投資事業は規模の上ではカーライル・グループを超え、KKRやアポロ・グローバル・マネジメントと肩を並べることになる。
AT&T、27年までの持続的な利益成長を予想-自社株買い実施へ - Bloomberg
米通信大手AT&Tは、向こう3年間の持続的な利益成長を予想。2027年については2桁の増益率になるとした。携帯電話と光ファイバー網への投資が実を結ぶと見込んでいる。
同社の3日発表によれば、2025年の利益は一部項目を除いたベースで1株当たり1.97-2.07ドルを予想。その上で、2年後については「増益率が2桁に加速する」との見通しを示した。
新たな予想には、AT&Tが所有する衛星テレビ会社ディレクTVは含まれていない。AT&Tは25年前半にディレクTVの売却を完了する見通し。数年にわたるリストラと債務削減への注力を経て、ようやく通信事業者としての原点に戻ることになる。
利益成長の加速により、AT&Tは株主への現金還元を増やすことが可能になる。1株当たり1.11ドルという年間現金配当の維持に加え、同社は200億ドル(約3兆円)相当の自社株買いを承認しており、27年末までの完了を見込んでいる。全て合わせると、AT&Tは今後3年間に配当と自社株買いを通じて400億ドル超を株主に還元する計画だ。
2024年通期については、調整後利益を1株当たり2.20-2.25ドルと予想。これにはディレクTVからの同30セントの寄与が含まれる。ディレクTV分を除いたベースでは、1株当たり最大1.95ドルと見込んでいる。
インテル、新CEOに外部の人材検討-マーベルのマーフィー氏ら候補 - Bloomberg
インテルは新たな最高経営責任者(CEO)探しでは外部人材の起用に重点を置く方針で、半導体企業マーベル・テクノロジーのマット・マーフィーCEOや、ソフトウエア会社ケイデンス・デザイン・システムズの元CEOリップブー・タン氏らを候補として検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
非公開情報であることを理由に匿名で述べた関係者によると、インテルは新CEO探しと各候補者の評価で人材会社スペンサースチュアートに協力を依頼。同社のこれまでの伝統とは異なり、外部からのトップ起用が検討されているという。
インテルは2日、パット・ゲルシンガーCEOの突然の退社を発表。かつて半導体業界の盟主だった同社の先行きが不透明さを増す中、新たなリーダー探しは急務となっている。
ゲルシンガー氏は約3年前にCEOに就任して以降、苦境に陥ったインテルの再建計画に取り組んできた。後継者育成の時間は十分になく、現在はデービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)と製品部門責任者ミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定共同CEOに就いている。
インテルの問題、大きすぎて解決不能か - WSJ
パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)による米半導体大手インテル再建の試みは突然終わりを迎えた。次に同社を率いるのが誰であろうと、偉大な功績を求められることに変わりはない。
インテルは2日、ゲルシンガー氏がCEOを退任し、取締役会からも退くと発表した。平和的な移行を装ってはいても、実情は明白だった。ゲルシンガー氏は「ほろ苦い」日だと述べ、フランク・イヤリー取締役会議長はプレスリリースで、「投資家の信頼回復」という目標に言及した。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、インテル株の11月29日終値は2021年初めのゲルシンガー氏のCEO就任日を61%下回り、フィラデルフィア半導体指数(SOX)の構成銘柄で値下がり率トップだった。S&P500種指数は同期間に53%上昇した。
こうした不振の後のCEO退任が希望をあおるのは当然で、インテル株は2日午前に5%余り急伸した。ただその後は値を下げ、小幅安で取引を終えた。退任を受け、短期的にも長期的にも同社の先行き不透明感が増している。取締役会が後任を探す間、デービッド・ジンズナー最高財務責任者(CFO)とパソコン向けチップ事業を率いるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定共同CEOを務める。インテルのプロセス(ノード)が半導体ファウンドリー(受託生産)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に追いつきかけているとされる中、トップが宙に浮く格好となる。
その競争の集大成が「インテル18A」と呼ばれる製造プロセスだ。インテルは10月31日の決算説明会で、このプロセスでは初のチップを来年半ばに出荷する見通しを明らかにした。インテル18Aの成功に多くのものがかかっている。ゲルシンガー氏は4年間で五つの「ノード」を実現する計画を掲げていた。インテル18Aはその最終段階となる(インテルはかつて一つのノードに少なくとも2年を費やしていた)。
このため、あと一歩のところでのCEO交代に驚きの声が上がるのも無理はない。TDカウエンのジョシュア・ブチャルター氏は2日付の顧客向けメモで、「『4年間で五つのノード』という指針の旗手だったゲルシンガー氏の突然の退任は、インテルの今後の戦略的道筋に不安を感じさせる」と述べた。バーンスタインのステイシー・ラスゴン氏も自身のリポートで、「少なくともインテル18Aが世に出る(そしてその競争力が明らかになる)まではパットが残りそうな気がしていたが、そうはならず、今後プロセスの確実性に何か悪い知らせが出てくるのではないかと勘繰らざるを得ない」と述べた。
インテルは他にも、自社製チップの販売とファウンドリーの顧客獲得の両方で大きな課題を抱えている。現時点でどちらの取り組みも順調とは言えない。ファウンドリー事業は1~9月の損益が110億ドル(約1兆6400億円)以上の赤字で、赤字幅は前年同期の約2倍だった。また、データセンター部門の7-9月期売上高が5四半期ぶりに市場予想を上回り、これを受けて株価が大幅上昇したものの、同部門の年間売上高は20年のゲルシンガー氏就任直前の半分にとどまっている。
要因は、サーバー向けCPU(中央演算処理装置)チップ市場で米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)にシェアを奪われたことと、人工知能(AI)に使われる米エヌビディア製GPU(画像処理装置)チップの需要が急増したことだ。インテルもデータセンター向けGPUに取り組んだものの不発だった。同社は直近の説明会で、最近発売したGPUチップ「ガウディ」は今年の売上高が目標の5億ドルに届かないことを認めた。一方、ビジブル・アルファのコンセンサス予想によると、エヌビディアの現行のデータセンター向けGPU「ホッパー」は、25年1月期の売上高が830億ドル近くに達する見通しだ。
ゲルシンガー氏の退任で何らかの事業分離の可能性が高まると考える向きもある。製品・チップ設計事業が赤字のファウンドリー部門から切り離されるかもしれない。だがそれは極めて困難だろう。インテルは半導体支援法(CHIPS法)を通じて米政府から78億6000万ドルを受給しており、これは同社が自社工場の少なくとも50%を所有していることが要件だからだ。また、同社が米国最大の半導体メーカーであることを踏まえると、外国勢が同部門を買収しようとしても規制当局が承認する可能性は低い。
つまりインテルには容易な選択肢がなく、極めて困難な選択肢さえほぼない。チップ製造は複雑で、各プロセスと製品に何年もの研究開発を要する。同社が直面している苦境の多くは、ゲルシンガー氏が同社に復帰するはるか以前の戦略ミスに起因する。ウルフ・リサーチのクリス・カソ氏は2日付の顧客向けメモで、「戦略が変わる可能性があることでいくらか楽観論が出ているのだろうが、インテルは困難な状況にあり、誰が率いても前途多難だろう」と述べた。
インテルはすでにゲルシンガー氏の下で時価総額の3分の2近くを失った。次のトップを待つのは驚くほど厳しい試練だろう。
「通信とメディアの融合」夢捨て復調 米通信AT&T - 日本経済新聞
米穀物カーギル、人員削減8000人 収益悪化うけリストラ - 日本経済新聞
●日本企業
日鉄によるUSスチール買収「阻止する」、トランプ氏が改めて反対表明 | ロイター
トランプ次期米大統領は2日、USスチールは一連の税制優遇措置や関税を通じて再び強くなると述べ、日本製鉄による買収計画に改めて反対を表明した。
トランプ氏は自身のソーシャルメディアで「かつて偉大で強力だったUSスチールが外国企業、今回は日本製鉄に買収されることに私は全面的に反対だ」と述べ「私はこの取引を阻止する。買い手は用心せよ!」とした。
日鉄はトランプ氏の発言を受けてコメントを出し、USスチールを支えて成長させることができると買収計画を改めて説明。「米国産業界、米国国内のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化、米国の国家安全保障を強化するものと考えている」とした。
日鉄のUSスチール買収は、大統領選挙中にバイデン氏も反対を表明していた。複数の関係者によると、石破茂首相は先月、バイデン大統領に書簡に送り、買収計画を承認するよう求めたことが分かっている。
日鉄の森高弘副会長は先月の決算会見で、買収について「間違いなく年末までにクローズできる」と自信を示していた。
野村証社長が元社員起訴で謝罪、報酬返上-リテール部門で再発防止策 - Bloomberg
●先進国政治動向
仏財務相「国は重大な局面にある」 内閣不信任案可決見通しで | ロイター
アルマン仏財務相は3日、予算と政府の将来を巡る不確実性によりフランスは重大な局面を迎えていると述べた。
国内の式市場と債券市場は、予算案への反対でバルニエ政権が今週崩壊するとの見方から打撃を受けている。
アルマン氏はフランス2テレビに「国は転換点にある。政治家には不信任案可決で国を不確実性に陥らせない責任がある」と語った。
バルニエ首相は3日1900GMT(日本時間4日午前4時)ごろからニュース番組で演説する予定。4日か5日には不信任決議案が審議される見込みとなっている。
内閣不信任案が可決されれば1962年以降で初めて。
600億ユーロ(629億ドル)の増税と歳出削減を通じて財政赤字拡大に歯止めをかける措置が盛り込まれた来年予算案は極右政党「国民連合(RN)」と左派連合「新人民戦線(NFP)」の反対に直面。両党を合わせれば内閣不信任可決に十分な票数となる。
不信任案が可決されれば、バルニエ首相は辞任を申し出ることになるが、マクロン大統領は新首相が決まるまでバルに江氏に暫定首相として職にとどまるよう要請する可能性がある。新首相の選出は来年になる可能性がある。
バイデン米大統領の次男恩赦、民主党からも批判や懸念相次ぐ | ロイター
バイデン米大統領が次男ハンター氏に恩赦を与えたことについて、共和党だけでなく民主党内からも批判が相次いでいる。一部の民主党議員は、悪しき前例となり、トランプ前大統領の攻撃から民主党が守ろうとした司法制度に疑念を抱かせると懸念している。
バイデン氏は1日、銃の不法購入・所持で有罪評決を受け、税務不正で罪を認めたハンター氏の無条件恩赦に署名。息子が政敵によって不当に起訴され、標的にされたと述べた。
バイデン氏はハンター氏に対する2件の有罪判決には介入しないと公言していた。民主党のグレッグ・ランズマン下院議員は「父親としては理解できる。だが、人々に政府の仕事を信じてほしいと願う人間としては、これは後退だ」とⅩに投稿した。
トランプ氏は自身に対する一連の捜査で、米司法制度は民主党によって武器にされた腐敗した制度だと激しく非難してきた。トランプ氏から連邦捜査局(FBI)長官に指名されたカシュ・パテル氏を含む次期政権メンバーは、承認されれば司法制度を覆し、職員を解雇するなどと述べている。
民主党はトランプ氏が有罪判決を受けた事件で司法の公正さと信頼性を擁護してきたが、バイデン氏の恩赦でこれまでの主張が説得力を失う恐れがあると、党員の多くは懸念しているという。
一方、オバマ政権下で司法長官を務めたエリック・ホルダー氏はXへの投稿で、ハンター氏は不起訴処分になるべきだったとし、「恩赦は正当化される」とバイデン氏を擁護した。
【社説】バイデン氏が息子に与えた恩赦 - WSJ
ジョー・バイデン米大統領や彼の報道担当者の1人は、バイデン氏が息子のハンター氏に恩赦を与えることはないと有権者に何度語っただろうか。今や、バイデン氏がよく言う「バイデンとしての言葉」を本人がどれほど真剣に受け止めているかが分かる。同氏は1日、刑務所行きから息子を救った。ほぼ前例のない広範な刑事免責を与えたのだ。
11月の大統領選後にバイデン氏が心変わりすることは予想できた。疑問の余地がある恩赦については、どちらの政党も潔白ではない。ハンター氏が今や正道を歩んでいるなら、それは喜ばしいことだ。依存症の経験がある多くの人々はバイデン一家が経験してきたことに同情するだろう。しかしわれわれは、大統領が実際に起きたことを書き換えて恩赦の政治的影響をごまかすのを許すわけにはいかない。
バイデン氏は声明で、「合理的な人がハンターの事件に関する事実を見れば、ハンターが私の息子であるという理由だけで標的になったという以外の結論には至らないだろう」と述べた。さらに、「生々しい政治がこのプロセスに影響を及ぼしてきた」と付け加えた。ハンター氏が昨年デビッド・ワイス検事から提示された実刑を免れる司法取引が法廷で破談になったことに言及した。バイデン氏はこの取引条件について「ハンターの事件を公平かつ妥当に解決するものだったはずだ」と述べた。
その見方は、銃に関する容疑についてはその通りかもしれないが、背景が重要だ。陪審は6月、コルト拳銃を購入した際に違法薬物の使用について虚偽の申告をしたことなど、銃器に関する法律違反3件でハンター氏に有罪評決を下した。このような違反が訴追されることはめったにない。一方で、ハンター氏のように自白のような回顧録を書く人はめったにいない。ハンター氏はその銃を、当時のガールフレンドが高校の向かいにある食料品店のゴミ箱に捨てるまで、11日間所持していた。
脱税に関しては米内国歳入庁(IRS)の内部告発者2人が、ハンター氏は特別に優遇されたと証言した。監督特別捜査官ゲーリー・シャプリー氏は議会で、ハンター氏の捜査の扱いについて、「私がIRS在職14年間に扱ったどの事件ともまったく違っていた。すべての段階で容疑者に有利な決定がされた」と述べた。ジョセフ・ジーグラー特別捜査官は故意を示す証拠として、ハンター氏が薬物の影響を脱していたと思われる2020年に、事業経費控除の虚偽申告容疑について認めたと指摘した。
ハンター氏の司法取引を不成立にしたのは政治ではなく、マリエレン・ノレイカ連邦判事だった。検察・弁護側双方は司法取引の条件に関して、今後訴追される可能性のある他の罪についてもハンター氏が赦免されるか否かという点で、法廷で合意できなかった。双方はまた、ハンター氏が司法取引の条件に従わなかった場合に検事が同氏を将来訴追できるかをノレイカ判事に決めさせることによって、ハンター氏を保護することを望んだ。判事はそれが合憲かどうか確信が持てなかった。
父親であるバイデン大統領は、ハンター氏が望んだ広範な保護を与えた。この無条件の恩赦の対象は、ハンター氏が2014年1月1日から先週末までに犯した可能性のある全ての犯罪行為だ。これにはトランプ氏の政権下でハンター氏を保護する狙いがある。2014年が重要なのは、ハンター氏がウクライナのエネルギー企業ブリスマとビジネスを始めた時期だからだ。同氏はブリスマから受け取った報酬について税金の支払いを怠った。
法律の専門家は、これほど広範な恩赦は、恐らくジェラルド・フォード大統領が前任者のリチャード・ニクソン氏に与えた恩赦以外、見たことがないと述べている。今回の恩赦は、民主主義の規範を守ると主張するバイデン氏が自ら破った規範のリストに付け加えられることになる。
トランプ氏は既に、次のあしき前例を正当化する理由として今回の恩赦を取り上げている。同氏は、2021年1月6日に連邦議会に乱入した暴徒らに対する恩赦を約束してきた。これは極めてひどい考えだ。この事件で警官に暴行した者まで恩赦の対象に含まれるなら、なおさらである。しかしMAGA(米国を再び偉大にというトランプ氏のスローガン)の支持者らが「ハンター氏の扱いはどうなのか」と連呼するのを覚悟しておく必要がある。トランプ氏は既に、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、今回の恩赦と「J6人質(議会襲撃事件で有罪となり服役している人々)」への寛大な扱いを結び付けている。
バイデン氏は「1人の父親であり大統領である私が今回の決断に至った理由を、米国民が理解してくれることを望んでいる」と述べた。父親として、なら理解できる。しかし、大統領としての最後を飾るには何と哀れな行動だろう。
バイデン氏は2020年、政治の常態への回帰を約束し、ハンター氏が親族としての影響力を悪用したことを弁護し、同氏のパソコンに残されていた情報はロシアによる偽情報だと主張した。その後はフランクリン・ルーズベルトのような大統領になろうとし、トランプ氏の訴追を促し、自身の息子に「収監回避」のカードを与えた。今後書かれる歴史書はバイデン氏に優しくないだろう。
イギリス、再選挙請願300万近い署名 保険料増額「公約違反」 - 日本経済新聞
フランス内閣、崩壊の危機-不信任投票4日に実施予定 - Bloomberg
フランス議会は4日に不信任投票を行う予定で、極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏が左派連合と手を組んで内閣を倒す見通しだ。
バルニエ首相は2日、不人気な社会保障予算案を採決なしに採択するため憲法の特例条項を活用。これに反発し、ルペン氏が事実上率いる国民連合(RN)と左派連合の新人民戦線が内閣不信任決議案を提出した。
国民議会(下院)ではバルニエ氏を支える中道派の議席数が少ないため、極右と左派というありそうもない同盟は内閣を倒す十分な力がある。
内閣が倒れれば、首相の在任期間として1958年の第5共和制成立以降で最短。6月にマクロン大統領が突然選挙を宣言してからのルペン氏の台頭ぶりが鮮明になる。
予算に関する不透明と政治的駆け引きを投資家が嫌気し、フランス国債の利回りは先週一時、ギリシャ債と同水準にまで上昇した。
2日にはフランスとドイツの10年物国債利回りの差が8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と6月以来の大幅拡大となり、2012年以来の高水準に近い89bp同日の3日にやや縮小し86bp前後。
年末の予算期限間近での政府崩壊は、フランスを未知の領域に導くことになる。内閣が倒れた後も閣僚は留任し、暫定政府として政府機関の閉鎖を回避するための緊急立法を含む業務を遂行する。緊急立法によって徴税と最低限の支出は行えるようになるが、経済および金融への影響は予測困難だ。
アルマン経済・財務相は3日、政府が崩壊すれば経済全体に痛みをもたらす結果になるだろうと述べた。
緊急立法に頼れば、何百万もの世帯で支払う税金が増え、安全保障や農業などいくつかの優先事項で計画されていた追加支出ができなくなる可能性があると警告した。
「金利が上昇する経済、予算のない経済、不確実性に陥った経済では、どの分野も、どのフランス人も、どの企業も勝者にはなれない」とアルマン氏は3日、公共放送フランス2の番組で語った。
4日に内閣が崩壊した場合、新たな予算案を成立させるためにマクロン氏が新たな首相を任命することになる。しかし、どのグループも過半数を持たない分裂した議会の状況を踏まえると、その人選は容易ではないだろう。
新首相の任命に憲法上の期限はない。マクロン氏が再び議会を解散できるのは、前回の選挙から1年がたった来年7月以降になる。
左派はマクロン大統領に辞任を求めているが、大統領を辞めさせることは誰にもできない。次の大統領選挙は2027年に予定されており、ルペン氏が最有力候補だ。
仏バルニエ内閣は4日の不信任投票切り抜ける-マクロン大統領 - Bloomberg
フランスのマクロン大統領は、4日に予定されている国民議会(下院)での不信任投票を、バルニエ内閣は乗り切れるとの見通しを示した。極右・国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏は、左派連合と手を組んで内閣打倒を目指すとみられている。
マクロン氏は訪問中のリヤドで、記者団に対し、RNが不信任案を支持することは「耐え難いほど皮肉な投票行為」だとして、「彼らが左派連合の動議に賛成票を投じるとは考えられない」と述べた。
また、マクロン氏は、一部の野党議員が要求している2027年の任期満了前の大統領辞任はしないと述べた。
【コラム】政治不安のフランス、危機がついに始まる-ローラン - Bloomberg
ミシェル・バルニエ氏(73)がフランス首相に任命された9月、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る交渉をまとめ上げたこの穏健派政治家が、クリスマスまでに去るなどと予想する者はほとんどいなかった。
だが、今やその可能性は高い。極右・国民連合(RN)を事実上率いるルペン氏は、有権者の間でますます不評となっている緊縮財政予算案を巡り、政権打倒を誓っているが、それは単なる威嚇以上のものになってきた。バルニエ氏が電気料金への消費税引き上げや薬代の払い戻し削減などで、数十億ユーロに相当する譲歩をRNに提案した。それにもかかわらず、ルペン氏は折り合いを付けようとするのではなく要求の全面的な受け入れを迫る強硬な態度に転じた。
ルペン氏は今、反緊縮の「譲れない一線(レッドライン)」を巡り、内閣不信任案を支持すると言っている。次に誰が首相に就こうとも、このレッドラインが、その機能をまひさせる可能性が高い。シティグループのエコノミストは先週、「少なくとも来年の秋までは、いかなる政策の余地もフランス政府にはないだろう」との見方を示した。
奇跡ない限り
EU第2の経済大国フランスは今、クリスマスの奇跡がない限り、承認された予算も機能する政府もないまま新年を迎えるリスクに直面している。予算の繰り越しを可能にする特別法や、新首相や暫定首相の任命といった混乱を和らげるための制度はあるが、政治的な行き詰まりが巨額の負債と赤字に拍車をかけるにつれ、金融市場への圧力は高まるだろう。ブルームバーグ・エコノミクスは、財政調整が行われなければ、フランスの債務水準は急上昇し、2027年までに国内総生産(GDP)の120%を超える可能性があると推計している。
ただし、フランスはギリシャのような債務危機の瀬戸際にいるわけではない。フランスには強固な制度があり、欧州のパートナーからの支援も受けている。先週S&Pのアナリストが指摘したように、フランスの国民資産は推定20兆1000億ユーロ(約3160兆円)で、GDPの686%に相当する。欧州中央銀行(ECB)の金融緩和路線も圧力を抑えるはずだ。
とはいえ不確実性のレベルは高く、経済に波及する影響も大きい。フランスとドイツの国債利回り差(スプレッド)の拡大や、来年に償還期限を迎える3500億ユーロ相当のフランス国債の利回り上昇からも、それが分かる。市場の信頼感が低下すれば、投資決定が遅れたり、借り入れコストが上昇したりと、あらゆる面で成長が阻害されるリスクがある。
明らかに失敗
持続可能な財政に対する認識の面で、フランスのエリート層は明らかに失敗していた。理論的には、マクロン大統領の2期目の任期が終わる2027年までに、1100億ユーロの財政緊縮が必要とされる。だが、しばしば飛び交う「危機」という言葉は、今に至るまでパフォーマンスとみなされてきた。
7月の緊急選挙後、単独で過半数を占める政党がない中、各党は左も右もまとまりを欠き、政治的な都合でバルニエ氏の予算を削ることに注力している。極右と左派の各党は、GDPの14%が退職後の資金として使われているこの国で、年金改革の撤回を求めている。バルニエ氏は、長年の英国との交渉経験にもかかわらず、自らの立場が弱いことを過少評価していたようだ。
そしてルペン氏は、RNの外見上の穏健化戦略をかなぐり捨て、混乱に陥れて支持者を減らすリスクを冒すことさえいとわない構えだ。どんな危機も最終的にはマクロン氏の退陣を早め、選挙での勝利の可能性を高めるとルペン氏はもくろんでいるようだ。
EU離脱を唱えた過去の英国指導者らは、確信に乏しく、正確性も欠いたまま、「悪い合意よりは、合意なき離脱の方がましだ」と口にしていた。フランスでも同様の考えが支配的になっているように思われる。「悪い予算よりは、予算なしの方がましだ」というわけだ。見当違いも甚だしい。ルペン氏の言うレッドラインに相当する、未知の世界への転落を回避できる可能性があるのなら、そのチャンスをつかむべきだ。それができない場合、次に起こる事態からの唯一の希望は、現実を身に染みて思い知れ、ということだけだ。
フランスのマクロン大統領、辞任否定 バルニエ内閣不信任案巡り - 日本経済新聞
フランスのマクロン大統領は3日、バルニエ内閣の不信任決議が成立すれば大統領も辞任するとの見方を否定した。任期の「最後の1秒まで全力を尽くし」、職務を全うすると述べた。
訪問先のサウジアラビアで記者団の前で語った。仏メディアが報じた。
極右の国民連合(RN)などの野党はマクロン氏によるバルニエ首相任命の責任を問い、大統領職を退くよう要求している。仏議会における大統領弾劾手続きのハードルは高く、マクロン氏が意思に反して辞職に追い込まれる可能性は限定的だ。
左派とRNは2日、それぞれバルニエ内閣の不信任案を議会に提出した。投票は4日(日本時間5日)の予定だ。バルニエ氏が憲法規定を適用し、議員投票を経ずに緊縮型の予算を強行採択しようとしたことに反発した。
左派とRNの議席を合わせると国民議会(下院)の半数を超え、不信任案は成立する公算が大きい。マクロン氏は「不信任決議は信じない」と述べ、内閣総辞職を回避する道があるとの見方を示した。
もっとも仏経済紙レゼコーなどによれば、マクロン氏は不信任案が成立すれば早期にバルニエ氏の後任を指名したい意向だ。候補者の選定を進めているとみられる。
バルニエ氏もこの日出演した仏テレビTF1の番組で、不信任決議回避の余地は残っているとの見方を示した。「議員にはそれぞれ責任が伴う。責任を持った反応が出てくる可能性がある」と述べた。
また政府債務の増大や金利上昇による国民負担の大きさにも触れ、財政再建の重要性を改めて訴えた。「莫大な金利を中国や日本、米国の投資家に支払っている」と強調した。
トランプ氏の不法移民送還、米雇用にどう影響 - WSJ
ここ数年、移民は米国の労働力と雇用の成長の重要な源となってきた。ドナルド・トランプ次期大統領の計画は、その成長がもたらされるペースをほぼ確実に鈍化させるだろう。問題はどの程度かということだ。
就業者数は今年、月間平均17万人のペースで増加してきた。トランプ氏が不法移民の取り締まりと強制送還をどう実施するかによって、来年の月間増加幅が2万5000人から10万人減少する可能性があることが、独立した機関の推計で示された。
米議会予算局(CBO)は、2021年以降、移民の流入で米国の人口が約1000万人増加したと推計している。このうち移民ビザや就労ビザ、学生ビザで、または難民として合法的に入国したのは3分の1未満だった。残りの移民の多くは不法に国境を越えたか、ビザの有効期限を過ぎても米国内に滞在した。入国後に人道的理由で滞在を申請するケースもよく見られた。
国土安全保障省は、移民が記録的に増加するよりも前の2022年時点で、約1100万人の不法移民が米国に滞在していたと発表している。移民政策研究所によると、不法移民の中には約300万人の「ドリーマーズ」が含まれる。子ども時代に親に連れられて米国に入り、国内で育った人たちのことだ。
これらの移民の存在は、米国の移民・国境政策を巡る論争を引き起こし、大統領選におけるトランプ氏の大きな勝因となった。とはいえ、移民は米国経済において重要な役割を果たしている。
トランプ氏は、不法移民の「侵入を阻止」し、「米国史上最大の強制送還作戦」を実行すると公約している。いずれの目標もどのように達成するかについて具体的な説明はほとんどないが、大統領には、ここ数年で移民が国に入る際に利用してきた多くのルートを制限する広範な権限がある。
トランプ氏が移民を強制送還する取り組みの責任者に指名したトム・ホーマン氏は、FOXニュースのインタビューで、少なくとも最初の段階では、移民の一部のみを対象とすることを示唆した。「公共の安全に対する脅威と国家安全保障上の脅威」をもたらすと見なされる移民、そして出国を命じられたがまだ米国に滞在している移民だ。
米国で有罪となったが拘束されていない非市民は、7月時点で42万5431人に上ると移民税関捜査局(ICE)は報告している。ICEは既に、公共の安全に脅威を与える人物の国外退去を優先していると明らかにしている。最も多い違反行為は交通違反だった。
トランプ氏の移民政策が労働力に与える影響については、近年ほとんど前例がない。米国内からの移民の強制送還(国境での送還とは異なる)は2009年に24万3000人と、ピークに達した。当時は2007~09年の景気後退の真っただ中だった。その後の10年間は年間平均12万6000人に減ったが、この期間の労働市場は現在よりも全般的に低調だった。
米国に不法滞在する移民の全員もしくは大部分を退去させたり、公約したように「国境を封鎖したり」することができなくても、トランプ氏の政策が影響を及ぼすことは間違いない。
移民労働者の供給が減少すれば、建設、食品加工、レストラン、ホスピタリティーといった、移民を多く雇用している分野で賃金と物価に上昇圧力がかかる可能性がある。国勢調査局によると、2020年以降に入国した移民は昨年時点で米国の人口の1.8%を占めていたが、職業別では屋根工事労働者の8.1%、農業労働者の6.7%、建設労働者の5.6%、メイド・家事清掃員の5.6%が移民だった。
ブルッキングス研究所のエコノミスト、ウェンディー・エデルバーグ氏は「これらの分野では労働力の供給が減少するだろう」と述べ、他に別の要因がない限り、物価が押し上げられるとの見方を示した。
ゴールドマン・サックスとJPモルガンはいずれも、純移民数(入国者数から出国者数を差し引いた数)が、2023年のピーク時の年間330万人から、前回のトランプ政権当時の同約75万人のペースに戻ると予測している。2010年代の平均は同91万9000人だった。
ゴールドマンは、合法的に入国する年間約100万人の移民の数はほとんど変化しないと予測している。ただ人道的理由で入国を許可された移民や、移民裁判所で今後審理が行われる移民については、大幅に減少すると見ている。
対照的にエバーコアISIは、純移民数がマイナスになると予測する。2025年には流出が流入を10万人上回り、2028年にはその差が60万人に増加すると見込んでいる。
ブルッキングスの研究者らは、2025年のトランプ政権下での純移民数について「高位」と「低位」のシナリオをモデル化した。予測範囲の幅は純増122万人~純減74万人となる。
ブルッキングスのエデルバーグ氏は「それでも彼の目標には遠く及ばない」と述べ、法的な障害と世論が、トランプ氏が米国史上「最大の国外追放」を実行するのを妨げる可能性が高いと指摘した。ただ、それでも米国の人口増加のペースは急激に鈍化すると予想した。
エデルバーグ氏は「われわれの経済は成長が鈍化し、労働力の成長も鈍化していく。ある意味、これは単なる計算上の話だ」とした上で、「痛みを伴うのは、そのような変化が非常に急激に起こることだ」と指摘した。
トランプ氏の政権移行チームの報道担当者キャロライン・レビット氏は、本当の経済危機は不法移民が米国のコミュニティーと労働者に負わせるコストだと述べた。トランプ氏の「不法移民の大量送還は、われわれのコミュニティーをより安全にするだけでなく、勤勉な米国民を第一に考え、彼らがそうしたコストを負担しなくても済むようにすることになる」と語った。
ブルッキングスの「低位」シナリオは、ビザ発給数の減少のほか、ウクライナ人やベネズエラ人、その他の国籍保持者に対する人道的な臨時入国許可の終了、密入国の減少を見込み、米国内からの強制送還がトランプ政権1期目中の2017~19年と比べて5倍に増えると予想している。
米国の人口が高齢化する中、移民は新型コロナウイルス流行後の雇用の伸びの主な原動力となっている。ブルッキングスのエデルバーグ氏とタラ・ワトソン氏の推計によると、昨年は外国生まれの雇用が170万人増加したのに対し、米国生まれの雇用は74万人しか増えなかった。
エコノミストらは、持続可能な雇用の増加率、つまり失業率を安定させるのに十分な労働力の増加に見合う雇用創出のペースを算出する。ゴールドマンのチーフ米政治エコノミスト、アレック・フィリップス氏によると、仮にトランプ氏の政策によって純移民数の増加がゴールドマンが予想するペースにまで減速した場合、毎月の持続可能な雇用の増加幅は約3万人減少する。エデルバーグ氏がモデル化した極端なシナリオに沿って純移民数がマイナスに転じれば、持続可能な雇用の増加幅は月間10万人減ることになる。
移民を巡る議論の多くは経済に関する内容ではなく、国境の安全性や移民を受け入れるコミュニティーへの影響に関するものだ。さらに、経済的な影響が及ぶのは米国居住者ではなく、主に移民自身だ。
とはいえ、経済への影響はある。労働力の伸びが鈍化すれば、経済が供給できる財やサービスの量が減り、その分の給与収入がなくなることで総支出が減少する。
移民労働者は米国生まれの労働者よりも生産性が低く、賃金も低い傾向があるため、全体的な経済成長と支出への影響は雇用への影響ほど大きくない。ブルッキングスの「低位」シナリオでは、2025年の経済成長率は0.4ポイントの低下が見込まれ、「高位」シナリオでは0.1ポイントの低下にとどまると予想されている。
最近では移民が仕事を見つけるのに時間がかかることが多いため、移民の流入ペースが減速すれば失業率は低下する傾向がある。そのためゴールドマンは、来年の雇用の伸びは鈍化すると見られるものの、失業率は0.25ポイント低下すると予想している。10月の失業率は4.1%だった。
●先進国中銀、金融当局
米シカゴ連銀総裁、今後12カ月で金利は低下との見方を再提示 | ロイター
FRB利下げ、12月も排除せず 時期は柔軟に対応=デイリー総裁 | ロイター
米インフレ、目標に向け推移 労働市場は堅調=クーグラーFRB理事 | ロイター
●先進国経済指標
スイスCPI、11月は前年比+0.7% 大幅利下げ観測強まる
| ロイター
●金融市場、先進国トピックス
ユーロの予想変動率、昨年3月以来の高水準 仏政局の不透明感で | ロイター
富国生命、内勤社員の賃金平均8.6%上げ 25年度 - 日本経済新聞
バフェット流投資:金融情報株で「城」築け - WSJ
シドニーの家賃、3年で4割高 「出稼ぎ」留学増で異変 価格は語る - 日本経済新聞
中古マンション、郊外で弱含み 値下げ回数増加 今、マンションを買う③ - 日本経済新聞
●中東情勢
シリア反体制派が中部ハマに接近 アサド政権に重圧強まる | ロイター
イラク・トルコ首脳が電話会談、シリア情勢協議 | ロイター
●エマージング
韓国の尹大統領、戒厳令を一転解除へ-国会の要求受け入れ - Bloomberg
韓国の尹錫悦大統領は4日、前日夜に宣布した「非常戒厳」を解除すると表明した。国会議員の反対に屈した形だ。宣布を受けて市場に衝撃が走り、世界の指導者の間に驚きが広がっていた。
尹大統領はテレビ演説で「国会の要求を受け入れ、閣議で戒厳令を解除する」と述べた。すでに閣議を招集したが閣僚がまだ到着していないとし、閣議が始まり次第非常戒厳を解除すると語った。
政治的亀裂が深まる中、尹大統領(63)は3日、政権をまひさせようとする野党の動きを阻止し、自由と憲法秩序を守るとして非常戒厳を宣布。国民や与党を含む国会議員、米国をはじめとする同盟国、投資家を驚かせ、市場の動揺を招いていた。
4日未明、韓国国会(定数300)のうち出席した190人全員が戒厳令の解除に賛成票を投じた。今回の展開で尹大統領の政治的将来は試されることになる。野党は大統領に辞任を求めた。
調査会社TSロンバードのエコノミスト、ローリー・グリーン氏は「尹大統領は弾劾に直面するだろう」とし、恐らく2025年4-6月(第2四半期)の早い時期に大統領選挙が行われ、野党の「共に民主党」が「本命視」されると指摘した。
韓国ウォンはニューヨーク市場での薄商いの中、非常戒厳宣布を受けて対ドルで一時2.9%下落し、1ドル=1444.65ウォンを付けた。しかし、韓国当局が金融・外国為替市場を安定させるためあらゆる可能な措置を取ると表明したことで、その後は下げ幅を縮小していた。尹大統領の非常戒厳解除表明は、韓国市場の取引開始後の相場に反映されることになる。
聯合ニュースによると、尹大統領が非常戒厳を解除すると表明した後、韓国合同参謀本部は非常戒厳で動員されていた部隊が現地時間午前4時22分(日本時間同じ)に撤収したと発表した。北朝鮮に異常な動きは見られなかったという。
尹大統領の今回の動きは軍主導の体制に戻す試みというよりも、裏目に出る可能性が高い危険な政治的駆け引きだとアナリストらはみている。大統領は閣僚や与党にも事前に相談することなく混乱を引き起こし、政治課題をコントロールする力をさらに失い孤立することとなった。
非常戒厳の宣布に先立ち、少数与党の尹政権と最大野党の共に民主党との間で数カ月にわたり争いが継続。野党側は独自の予算案を議会で強行可決に持ち込もうとし、検事総長の弾劾決議案を提出していた。一方、野党党首も複数の訴訟に直面し、先月には選挙法違反で有罪判決を受けた。
こうした争いの中、尹氏は議会を通過した一連の法案に拒否権を発動するなどして対応し、与党の怒りを買うこともあった。
韓国大統領、戒厳令解除を表明 「国会の投票を尊重」 | ロイター
韓国の尹錫悦大統領は4日、3日夜に発令した戒厳令を解除すると表明した。国会による投票結果を尊重するとした。
尹氏は3日夜の緊急テレビ演説で、野党が国を危機に陥れていると非難した上で、「反国家勢力」を撲滅するとして戒厳令を宣言。これに反発した国会は議員300人のうち190人が出席して解除要求決議を採決し、全員の賛成で可決していた。 もっと見る
聯合ニュースによると、政府は4日早朝の閣議で戒厳令解除を決定した。
国会前では抗議していた人々が「われわれは勝利した」などと声を上げた。野党・祖国革新党の曺国代表は「まだ終わっていない。(尹氏は)全国民に衝撃を与えた」と述べ、他党と協力して大統領を弾劾する考えを示した。
尹氏は支持率が20%前後と低迷しているほか、同氏が率いる与党「国民の力」は4月の総選挙で大敗し、野党が国会の多数を握っている。
韓国大統領、戒厳令を宣言 政治活動禁止やメディア規制の報道も | ロイター
韓国の尹錫悦大統領は3日、YTNテレビの緊急演説で戒厳令を宣言した。野党が国を危機に陥れていると非難した上で、自由と憲政秩序を守るための措置とした。
韓国で戒厳令が宣布されるのは1980年以来初めて。
尹大統領は演説の中で、「恥知らずな親北朝鮮の反国家勢力」を撲滅すると主張。ただ、措置については言及せず、北朝鮮からの具体的な脅威についても言及していない。
韓国の聯合ニュースは軍の発表として、議会や政党の活動は禁止され、メディアや出版社は戒厳令の司令部統制下に置かれると報じた。
韓国ウォン、対ドルで約2%安 中銀「必要なら安定措置を準備」 | ロイター
序盤のニューヨーク外為市場で、韓国ウォンが対ドルで約2年ぶりの安値を付けた。尹錫悦大統領が3日、テレビの緊急演説で戒厳令を宣言したことを受けた。
韓国ウォンは一時1.9%安の1ドル=1429.99ウォン。これは2022年10月以来の安値となる。
韓国銀行(中央銀行)関係者は、必要であれば市場を安定させるための措置を準備していると述べた。
韓国大統領「非常戒厳」を宣布 国政がまひ状態と - BBCニュース
韓国大統領が戒厳令、通貨や株式急落-市場に無制限の流動性供給へ - Bloomberg
韓国の尹錫悦大統領は3日、緊急の国民向けテレビ演説を行い、「非常戒厳」を宣布した。
尹大統領は、野党が弾劾の動きで政権を麻痺させようとしていると非難しつつ、この決定は自由と憲法秩序を守るために下されたと述べた。
尹氏は「自由民主主義の基盤となるべき国会が自由民主主義体制を崩壊させる怪物になった」と指摘。「韓国はすぐに崩壊してもおかしくないほどの風前の灯の運命に陥っている」と述べた。
聯合ニュースによると、非常戒厳下で全ての政治活動は禁止され、メディアは戒厳司令官の統制を受けることになる。
金融市場では、非常戒厳の宣布を受けて韓国ウォンが急落し、対ドルで約2年ぶりの安値。韓国の株式で構成されるiシェアーズMSCI韓国ETF(ティッカー:EWY)は米国市場で一時7%下落した。韓国企業の米国預託証券(ADR)も軒並み売られ、ソフトバンクグループが出資する韓国の電子商取引会社クーパンは一時9.8%安、KBファイナンシャル・グループは6.4%安、鉄鋼メーカーのポスコ・ホールディングスは7.8%安を付けた。
ロンドン市場に上場するサムスン電子の株価は一時7.5%安。
これに対し、韓国当局は金融・為替市場を安定させるためあらゆる可能な措置をとると表明。必要であれば市場に無制限の流動性を供給する意向を示した。崔相穆・企画財政相と李昌鏞・韓国銀行(中銀)総裁は深夜に緊急会合を行った。市場に対する詳細な措置は、4日朝に発表するという。
韓国のケーブルテレビ、YTNによると、4日の同国株式市場が開場するかは不明という。
為替市場では一方で円を買う動きが強まり、円は対ドルで一時148円台に上昇した。
聯合によると、韓国国防相は軍最高司令官らとの会合を行う。
非常戒厳の宣布に先立ち、少数与党の尹政権と最大野党の共に民主党との間で数カ月にわたり争いが継続。野党側は独自の予算案を議会で強行可決に持ち込もうとし、検事総長の弾劾決議案を提出していた。一方、野党党首も複数の訴訟に直面し、先月には選挙法違反で有罪判決を受けた。
こうした争いの中、尹氏は議会を通過した一連の法案に拒否権を発動するなどして対応し、与党の怒りを買うこともあった。
韓国の与党「国民の力」韓東勲代表は、非常戒厳の宣布は「誤り」だと非難。「国民と共にこれを止める」とフェイスブックに投稿した。共に民主党は所属議員に対し、非常戒厳解除に向けた措置を話し合うため議会に集まるよう指示した。
中国、不動産不況の対策本腰か 戸籍制度改革進める - WSJ
不動産市場の低迷が続く中国で、住宅販売の売り文句は今、大理石の調理台ではなく戸籍になっているようだ。
不動産市場の下支え策として、中国ではこれまでに10を超える都市が、住宅購入者に対しその地域での恒久的な居住権に似た権利を与える計画を打ち出してきた。中国南部の経済的な中心都市である広州が最近この仲間入りをした。北京、上海、深センを含む中国の「一線都市(1級都市)」では初めてのことだった。
中国で「戸口」と呼ばれる戸籍制度の下では、都市部への移住者は従来、医療や教育を含む社会福祉へのアクセスが制限されていた。そのため、大都市の戸籍を取得することは大きな魅力となる。
ただ、こうした変化だけでは不動産市場全体を活性化させるのは難しいだろう。そもそも、大都市の住宅市場は比較的堅調だった。それよりも小規模な都市で住宅の供給過剰は問題になっており、売れ残り住宅が増え続けた。全体的に、中国経済がデフレ圧力に直面する中で消費者心理は冷え込みが続いている。
中国経済の根本的な制約要因となっているのは、住宅販売だけではない。戸籍は長年、農村部と都市部の人々を分離する制度となってきた。中国の人口の約3分の2が都市部に住んでいるが、そのうち都市戸籍を持つのは2023年時点で半数にも満たない。つまり、約2億5000万人の都市居住者が、住んでいる場所で十分な社会福祉を受けられていないことになる。多くは大都市で住宅を購入する余裕のない労働者だが、戸籍保有に伴う恩恵を受けられない都市居住者の中には起業家として成功した人や住宅所有者も含まれる。
このことは深刻な経済的影響をもたらしている。都市部への移住者は経済的に十分な安心感を持てないため自由に消費することができず、戸籍制度は実質的に家計消費を抑制する要因となってきた。家族を田舎に残したまま都市で働いている人は多い。
政府は戸籍制度を改革する都市化5カ年計画を発表しており、この制度的な足かせを認識していることを示した。だが、有意義な変化は安く済まないだろう。農村部からの数百万人規模の移住者を都市の社会インフラに吸収するには、医療など社会福祉プログラムへの支出を増やす必要がある。
戸籍制度の改革は学者やシンクタンクの間で長年必要性が指摘されてきたにもかかわらず、なかなか進まない理由もここにある。だが、不動産市場の低迷は地方政府にとってますます差し迫った財政問題となっている。住宅購入を促す材料として戸籍に伴う恩恵を利用することは理にかなっているとの認識が強まっているが、戸籍制度の根本的な変更を目指すのであれば、中央政府は社会インフラへの支出を増やす必要があることに変わりはないだろう。
中国政府は景気活性化のために大規模な刺激策を打ち出すとの期待が高まっていた。これまでのところ、中央政府は地方政府の債務負担を軽減する計画を発表している。ただ、欧米政府が行うような直接的な消費者への現金給付を期待することは非現実的に思われる。
それよりも、戸籍に伴う制約の緩和や社会福祉プログラムの充実など、より有望で長期的な政策の方が潜在的な個人消費を大いに刺激する可能性がある。
投資家が注視すべきは、戸籍制度改革がうまくいくのか、導入する都市が増えるのか、農村部からの移住者に対する社会福祉の拡充に向けた支出拡大を伴うのかどうかだ。もしそうなれば、中国政府が数年来打ち出してきた経済対策の中でも特に効果的なものになるだろう。
中国、一部レアメタルの対米輸出を禁止 通商摩擦が拡大 | ロイター
中国商務省は3日、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料に関連する「デュアルユース(軍民両用)品目」の米国への輸出を同日から禁止すると発表した。国家安全保障と利益を守るためとしている。前日に米国は対中半導体規制を強化している。
米国向けに輸出されるグラファイトのデュアルユース品目について、エンドユーザーと最終用途に関するより厳格な審査を要求する。今回の措置は、中国政府が昨年初めから打ち出している重要鉱物の輸出規制に関し米国に対する運用を強化することになる。
商務省は「原則として、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料の米国への輸出は許可されない」と述べた。
米政府は2日、中国の半導体産業に対する3年間で3度目の取り締まりを開始した。規制強化により、半導体装置メーカーの北方華創科技集団(ナウラ・テクノロジー・グループ)(002371.SZ), opens new tabを含む140社への輸出が制限されることになった。
ガリウムとゲルマニウムは主要な半導体材料。ゲルマニウムは赤外線技術、光ファイバーケーブル、太陽電池の材料にもなる。
ただ、中国税関の統計によると、米国へのゲルマニウムやガリウムの加工品および未加工品の輸出は今年1─10月はゼロだった。前年、米国はそれぞれ第4位、第5位の輸出先だった。
また中国のアンチモンの輸出も、輸出規制の発効を受け10月は前月比97%急減した。
アンチモンは弾薬、赤外線ミサイル、核兵器、暗視ゴーグルといった軍用品のほか、バッテリー、太陽光発電設備などに使われる戦略金属。昨年は世界の鉱山生産の48%を中国が占めた。
コンサルタント会社のプロジェクト・ブルーによると、中国は今年、精製ゲルマニウム生産の59.2%、精製ガリウム生産の98.8%を占めている。同社の共同設立者ジャック・ベッダー氏は、「西側ではすでに原料入手が逼迫しており、サプライチェーンの緊張が一段と高まる」との見方を示した。
ブラジル7〜9月GDP4%増 消費好調も景気過熱に警戒感 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(3日)ユーロ/ドル小幅高、長期債利回り上昇
ナスダック・S&P終値最高値 | ロイター
**為替市場:**
- ユーロは対ドルで小幅上昇。フランスの政治不安が注目される中、一部では危機終息の見方。
- 韓国ウォンは「非常戒厳」宣言を受け一時2年ぶりの安値を更新。その後、戒厳解除で下げ幅縮小。
- ドルは米10月雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が予想を上回りやや上昇。
- ドル/円は149.55円に下落。日銀の利上げ観測が影響。
**債券市場:**
- 米10年国債利回りは4.199%に上昇、2年債利回りは4.151%に低下。
- 短期国債は地政学リスクの懸念から安全資産として需要が高い。
**株式市場:**
- 米ナスダックとS&P500が最高値を更新。FRB政策担当者のインフレ低下と雇用堅調の見方が反映。
- テスラは中国販売の減少で下落。アマゾンは新AIモデル発表で上昇。
**商品市場:**
- 金先物はドル安とFOMCの利下げ観測を背景に反発。
- 原油先物は供給懸念や中東情勢の緊迫化で上昇。WTI1月物は69.94ドル。
**地政学リスク:**
- 韓国の戒厳令、解除後も影響継続。
- イスラエルとヒズボラ間の停戦進展に注目が集まるが、緊張は依然高い。
欧州市場サマリー(3日) | ロイター
**ロンドン株式市場**
- FTSE100指数は5営業日続伸。原油価格上昇により石油大手のBP(+1.8%)、シェル(+1.7%)が上昇。
- FTSE250指数も0.60%高。SSPグループ(+9.6%)とイージージェット(+3.3%)が目立った上昇。
- 一方、タバコ銘柄のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(-1.8%)、インペリアル・ブランズ(-1.0%)は、インドの増税計画報道で下落。
**欧州株式市場**
- STOXX欧州600指数は約1カ月ぶりの高値。小売株指数(+1.43%)、航空宇宙・防衛指数(+1.58%)が上昇。
- 各国の株価指数は軒並み上昇。特にイタリアFTSE MIB指数(+1.03%)、スペインIBEX指数(+1.18%)が顕著。
**注目ポイント**
- フランスの内閣不信任案審議や韓国の戒厳令が市場に影響。
- ドイツ債利回りは小幅上昇、フランス国債のリスクプレミアムは高水準継続。
**政策予測**
- イングランド銀行は金利据え置きの見方が強い。
- ECBは12月会合での25bps利下げを織り込み、大幅利下げの可能性は低い。
全体的に、原油価格上昇や政策期待が市場を支えたが、フランスと韓国情勢が一部の銘柄や債券市場に影響を与えている。
備忘録(2024/12/2)
●海外企業決算
●海外企業
インテル、ゲルシンガーCEOが退任 業績低迷受け - 日本経済新聞
米インテルは2日、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が1日付で退任したと発表した。業績低迷を受けて経営体制を刷新し、立て直しを急ぐ。最高財務責任者(CFO)のデビッド・ジンスナー氏と製品責任者であるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定的な共同CEOに就いた。
ゲルシンガー氏は1日付で退職した。取締役会は今後、新たなCEOを選任する。取締役会議長のフランク・イヤー氏が新CEO選任までの間、暫定的な執行委員長となる。
ゲルシンガー氏は21年からインテルを率いてきた。就任直後から開始した半導体の受託生産事業が苦戦し、顧客獲得が進まない中で市場シェアが縮小。人工知能(AI)市場の開拓も遅れたことで業績が低迷していた。
2024年7〜9月期決算は最終損益が166億3900万ドル(約2兆5000億円)と過去最大の赤字となった。新型コロナウイルス下の特需を見込んで過剰投資した半導体の製造設備の損失や従業員の15%削減を柱としたリストラ費用の計上が響いた。
退任したゲルシンガー氏は2日、「厳しい決定を下した挑戦的な年だった。世界中の同僚に永遠に感謝する」との声明を発表した。退任発表を受け、インテルの株価は2日の市場外取引で一時5%上昇した。
インテルは半導体の製造と設計をともに手掛ける米国唯一の企業だ。バイデン米政権は11月26日、同社が米国の複数の州で投資する半導体工場への補助金が最終決定したと発表していた。先行投資がかさみ、インテルの業績が低迷する中、立て直しに向けて早期に補助金を受ける重要性が高まっていた。
経営不振で他社からの買収や出資に関する観測も浮上していた。9月には米クアルコムがインテルに買収を打診したことが明らかになったほか、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントがインテルに最大50億ドルの出資を打診したと報じられた。
インテルCEOが退社、再建で取締役の信頼失う-事実上の解任 - Bloomberg
米半導体メーカーのインテルは、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)の12月1日付での退社を発表した。同氏が進めた再建計画に対して取締役会が信頼を失い、道半ばで事実上更迭された格好となった。
事情に詳しい複数の関係者によると、同氏と取締役会の衝突は先週、市場シェアの回復およびエヌビディアとの差を縮めるための計画の進捗について話し合われた際に頂点に達した。退社か解任かの選択肢を迫られたゲルシンガー氏は、インテルを去ることを選んだという。非公開の情報であることを理由に関係者は匿名で語った。
2日の同社発表によると、取締役会はゲルシンガー氏(63)の後任探しを開始。デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)とインテル・プロダクツのミシェル・ジョンストン・ホルトハウスCEOが暫定共同CEOに就任する。
かつて半導体業界の盟主だったインテルは苦境に陥っており、現在は再建計画に必要な資金の確保に取り組んでいる。同計画についてゲルシンガー氏は、企業史上「最も大胆な再建計画」と呼んでいた。半導体業界が人工知能(AI)分野にシフトする中、インテルは投資家の支持を失った。各社はAI用アクセラレーター・チップを中心に構築されたコンピューターに投資しているが、この分野でインテル製品の存在感は薄い。
インテル初の最高技術責任者(CTO)だったゲルシンガー氏は2009年に退社後、再建計画を率いるため2021年にCEOとして同社に復帰。台湾積体電路製造(TSMC)のようなライバル企業に奪われた技術的優位性を回復させることを目指した。
しかしゲルシンガー氏はさらに踏み込み、インテルを半導体の受託生産メーカーに変えようとした。またインテル再生戦略の一環として同氏は、コスト負担の大きい生産網拡大の計画も打ち出した。これにはオハイオ州に建設を予定する半導体製造拠点のプロジェクトも含まれる。
同氏は、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)がデータセンター向け半導体の分野で圧倒的強さを示したことで意表を突かれた。インテルは独自のAIアクセラレーター「ガウディ」を持っているが、なおエヌビディアには後れを取っている。
インテルの暫定執行会長に就くフランク・イヤリー氏は発表文で「当社にはまだやるべきことが多くあると認識しており、投資家の信頼回復に向けて全力を尽くしている」と説明。「取締役会として、まず何よりも製品グループを全ての活動の中心に置かなければならないと承知している。顧客がこれを望んでおり、我々は顧客のためにそれを実行する」とした。
ゲルシンガー氏の退場により、より劇的な戦略転換につながる可能性がある。
ウルフ・リサーチのアナリスト、クリス・カソ氏は「今回の動きは、当社が以前から提唱してきた新たな戦略への扉を開くものだ」と指摘。「ゲルシンガー氏はインテルのプロセス・ロードマップを前進させることに概ね成功したが、AIでの弱さを踏まえれば、インテルが単独で最先端半導体製造を追求する規模を持っているとは思わない」と述べた。
米インテル、ゲルシンガーCEOを解任 AI向け半導体で遅れ | ロイター
米半導体大手インテルは2日、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)を1日に解任したと発表した。インテルは、人工知能(AI)向け半導体で独占状態にある米エヌビディアなどとの競争を巡り、苦戦していた。
取締役会は後任の選考委員会を設置した。新たなCEOの選定を進める間、デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)と上級幹部のミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏を暫定共同CEOに任命した。同社株は今年に入って半値以下に下落している。
関係筋によると、ゲルシンガー氏は先週の取締役会で、再建計画に対する支持を得られなかった。取締役会は改革の進捗も十分ではないと判断したという。
ゲルシンガー氏は2021年にCEOに任命された。台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW), opens new tabなどに半導体生産の主導権が移る中、米半導体業界のけん引役だったインテルの改革を先導してきた。ファウンドリーとして他の半導体企業の委託製造を請け負うほか、技術的優位性を取り戻すという抜本的な事業変革を目指した。
投資顧問会社カーソン・グループのチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「ゲルシンガー氏の在任期間中に株価は60%超下落したため、今回の解任劇はそれほど驚くことではない」と指摘。「事態を好転させるには新たなリーダーシップが必要であり、ファウンドリーになることに重点を置くという動きを含め、同氏の主要な戦略的決定はすべて破棄される可能性があると言っても過言ではない」との見方を示した。
ゲルシンガー氏の再建計画は、インテルが他社向けのファウンドリーになるビジネスモデルに重点を置いていた。インテルはマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabやアマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabなど数社と契約しているが、いずれも収益性確保に必要な大量の受注を得られることはないとみられている。
こうした支出の急増と、ファウンドリー化における目立った進展の欠如が相まって取締役会に亀裂が生じ、ゲルシンガー氏の解任につながったとみられる。
取締役会の独立議長であるフランク・イヤリー氏は「半導体生産の競争力を回復し、世界トップクラスのファウンドリーとなる能力を構築する上で大幅に進歩した。ただ、やるべきことは依然として多く、投資家の信頼回復に全力を尽くす」と述べた。
高級ブランドを離れる顧客、値上げし過ぎで - WSJ
高級ブランドはこの2年間で約5000万人の顧客を失った。中古サイトや、より低価格で商品を提供する競合他社は、高級ブランドから離れた消費者を歓迎している。
コンサルティング会社ベインによると、今年の高級品需要は横ばいになる(為替変動の影響を除く)と予想されているが、水面下の状況は安定していない。同社の推定では、高級ブランドは2022年以降、通常の顧客基盤の1割以上を失っている。同業界の顧客数が縮小したのは記憶している限りで初めてだ。過去30年にわたり、各ブランドは新たな中間層の消費者を引きつけることに注力し、売り上げを拡大してきた。これは高級品の「民主化」であり、業界規模を3倍に拡大するのに役立った。
だが、値上げがこの長期トレンドを反転させた。平均的な高級品の価格は新型コロナウイルス流行以降に急上昇したが、ブランドによって大きな差がある。確かにインフレで可処分所得が減少したため、いずれにせよ一部の顧客は購入を控えただろう。とはいえ、それ以外の何百万人もの顧客は高すぎて手が出せなくなった。
「有名ブランドの通常サイズ(のハンドバッグ)で3000ドル(約45万円)未満のものを見つけるのは事実上、不可能になった」。バーンスタインの高級品アナリスト、ルカ・ソルカ氏はこう述べている。
高級ブランドは顧客数が減っているだけでなく、販売数量も大幅に減少している。ベインによると、高級品業界の今年の販売数量は2022年比で20~25%減少すると予想されている。依然として需要のある化粧品やサングラスといった比較的手頃な商品を除くと、ハンドバッグや靴などの販売数量は最大3分の1減少している可能性がある。
デザイナーブランドはこれまで、全体的な物価上昇の2倍のペースで価格を引き上げてきた。しかし、コロナ禍のさなかには需要が非常に強かったため、自社のコスト上昇を大幅に上回るペースで価格を引き上げることが可能だった。
クリスチャン・ディオールのハンドバッグ「レディ ディオール」を例に見てみよう。バーンスタインの分析によれば、このバッグは2020年に3900ユーロ(現在の為替レートで約62万円)だったが、現在は5900ユーロと51%の値上げとなっている。製造コストは同期間に18%上昇し、330ユーロから388ユーロになったとみられる。その結果、顧客は現在、製造コストの15倍を支払っており、20年の12倍から上昇している。
値上げは利益を押し上げたが、消費者はデザイナーショップで買い物をする際、価格をより意識するようになった。依然として品質が高いと考えるブランド品には大枚を惜しまないようだが、それ以外は見向きもしない。皮肉なことに、この品質重視の傾向は、エルメスやブルネロクチネリなど、最高級ブランドの一部に恩恵をもたらしている。これらのブランドは製造の大部分を外部委託せずに自社で行っている。
また、買い物客はより値打ちがあると思う分野にお金を使っている。ハンドバッグほど上昇していないものの、高級ジュエリーの価格は上昇しており、このことは「カルティエ」を所有するリシュモンが今年、高級品業界で比較的堅調なパフォーマンスを示している理由かもしれない。シティのクレジットカードデータによると、9月の米消費者の高級ジュエリーへの支出は前年同月比2.6%増加したが、デザイナーハンドバッグへの支出は13%減少した。
中価格帯ブランドと中古市場も、高級品への支出に変化が起きたことによる勝者と言える。超高級ブランドが手放した中価格帯商品の穴を、それ以外のブランドが埋めている。ポレーヌやザ・キュレイテッド、クヤナ、アトリエオーガストなどの中価格帯のハンドバッグブランドは、上の世代よりも高級品に懐疑的なZ世代の消費者に人気がある。これらのブランドは300~700ドルの価格帯でバッグを販売している。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが設立にかかわるプライベートエクイティ(PE)ファンドのLキャタルトンは最近、ポレーヌに出資した。
中古市場は、依然として超高級ブランドを購入したいが、ブランド店での価格では購入したくない客を獲得している。中古市場は2019年以降、1次市場の3倍の速さで成長している。
世界最大の高級ブランド中古サイト「ザ・リアルリアル」は11月、7-9月期(第3四半期)の売上高が前年同期比11%増加したと発表した。背景には、お値打ち感を求めて同社のプラットフォームで購入した人が増えたことがある。特に、1次市場では選択肢が少ない1000~3000ドルの価格帯の高級ハンドバッグで急成長している。
超高級ブランドは、一流のイメージを守るには、より安価な商品を求める客を失うことになっても仕方ないと考えているのかもしれない。LVMHのジャンジャック・ギヨニー最高財務責任者(CFO)は、直近の決算発表説明会で、手に入れやすい価格の商品を導入することが業界減速への解決策だとは思わないと述べた。「それは間違いだと思う。われわれは自分たちの本質に忠実であり続けなければならない」
高級ブランドが自社製品の高級感が薄れることを懸念しているのであれば、それは結果的に賢明な戦略になるかもしれない。競合ブランドは、業界が見捨てた何百万人もの客を喜んで吸収している。
ステランティスが下落 タバレスCEOが辞任=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
欧米系自動車大手ステランティス<STLA>が下落。前日にタバレスCEOの辞任を発表した。同社は利益急減や米国での販売低迷に見舞われている。同社は発表文で、2025年前半には新CEOが指名されると述べた。タバレス氏は、同社の将来に対する考え方が取締役会や一部株主と異なったことから予想よりも早く退任する。今年の財務ガイダンスについては変更はない。
同社は、中国経済の減速や欧州での電気自動車(EV)低迷、トランプ次期米大統領による関税の脅威に直面。株価は年初来で43%下落している。
独VW、国内9工場で時限スト開始 本社に数千人集結 | ロイター
ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の労働者は2日、国内の9つの自動車工場・部品工場で数時間の時限ストを開始した。
同社では労組が国内事業の将来を巡って対立しており、今回の時限ストで組み立てラインがストップした。
ウォルフスブルクの本社には数千人が集結。約1万4000人を雇用するハノーバー工場のほか、エムデン、ザルツギッター、ブラウンシュワイクなどの工場でもデモが行われた。
労組関係者によると、ウォルフスブルクの主力工場だけでも2時間のストで「ゴルフ」など数百台の車両製造がストップする。
次回の労使交渉で合意が成立しない場合は24時間ストや無期限ストに突入する可能性がある。今月9日に4回目の交渉が予定されている。
VWの広報担当は、労働者のスト権を尊重しており、顧客への最低限の供給を確保するなど、ストの影響を最小限に抑える措置を講じたと述べた。
欧米自動車メーカー格下げも、トランプ関税発動なら17%減益=S&P | ロイター
S&Pグローバルは29日に発表したリポートで、米国が欧州、メキシコ、カナダに輸入関税を課した場合、欧米自動車メーカーの年間総コア利益が最大17%減少するとの見通しを示し、信用格付けを引き下げる可能性を警告した。
特に、主に欧州で生産している高級車メーカーのボルボとジャガー・ランドローバー、メキシコとカナダに組立工場を抱えるゼネラル・モーターズとステランティスが最も脅威にさらされているという。
トランプ次期米大統領は25日、メキシコとカナダが麻薬や不法移民の米国流入を取り締まるまで両国からの全輸入品に25%の関税を課すと表明。実施されれば、1期目の政権で北米自由貿易協定(NAFTA)後継として発効させた米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に違反することになる。 もっと見る
アナリストや専門家は、欧州連合(EU)製品に対する直接関税より、フォルクスワーゲンやステランティスなどの欧州メーカーと供給業者がより大きな打撃を受ける恐れがあると懸念している。
S&Pは「関税引き上げについては緩和措置で制御できる見込みだが、2025年に欧州で始まる二酸化炭素規制強化、中国と欧州での競争激化による収益への圧力から格下げリスクが高まる可能性がある。関税により25年に生じる他の逆風が増幅した場合、格付け変更の可能性が出る」と指摘した。
世界防衛産業、23年の上位100社売上高は4.2%増=シンクタンク | ロイター
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2日、世界の防衛産業に関する調査結果を公表した。トップ100社の2023年の売上高は4.2%増の6320億ドルだった。
国別にみると、米企業の売上高は前年比2.5%増の3170億ドルだった。ただ、市場をリードするロッキード・マーチンとRTXの売上高は小幅減少した。
22年の武器売上高は3.5%減少していた。この減少についてSIPRIは、労働力不足やサプライチェーン(供給網)の混乱、コスト増により、ロシアのウクライナ侵攻による需要増加に多くの企業が対応しにくい状況になったと分析した。
ロシアを除く欧州企業の23年売上高は1330億ドルとほぼ横ばいだったが、受注は急増した。
SIPRIは「ガザやウクライナでの戦争、東アジアでの緊張の高まり、他の地域における再軍備計画に関連した新たな需要により、小規模生産業者の方が効率的に対応している」と指摘した。
HSBC、中国のクレジットカード事業から撤退へ=関係者 | ロイター
新興EV企業の苦境、一段と深刻化 - WSJ
電気自動車(EV)分野の新興企業は米大統領選の前から苦戦していたが、ドナルド・トランプ氏の勝利でさらに深刻な状況に陥る可能性がある。
注目を集めた電動SUV(スポーツタイプ多目的車)メーカーの米フィスカーやバス製造の英アライバルなど幾つかの企業が、今年に入り破産を申請した。スウェーデンの電池メーカー、ノースボルトは、独自動車大手BMWが主要な注文をキャンセルしたことを受けて先週、米破産法11条の適用を申請し、直近の犠牲者となった。
EVや電池に特化した新興各社の直近の提出文書をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が分析したところ、他に少なくとも十数社が来年夏までに資金不足に陥る恐れがあると分かった。
先行きが厳しさを増す中で、リビアン・オートモーティブやルーシッド・グループといった経営が比較的安定している米新興企業の株価でさえ、今年に入り50%近く下げている。リビアンは先週、生産能力増強のための最大66億ドル(約9900億円)の政府融資について、条件付きで承認を得た。しかし、投資家はそれでもコスト面を懸念するとともに、同社がトランプ次期大統領の就任式当日までに契約を完了できない場合、この融資を得られなくなるかもしれないとの見通しを不安視している。
こうした創業間もない企業の多くは、EV需要の減退やコストの上昇、サプライチェーン(供給網)の障害で打撃を受けているため、新製品を迅速に投入できていない。株価の暴落で、これらの企業の時価総額は何十億ドルも消失した。
政治状況の変化も、米国内で計画されていた投資を危険にさらしている。これらの計画の一部は、州政府や連邦政府の補助金が支援してきた。
「消費者需要の減少に伴って、災難が起きている状態だ」と、クリーンエネルギーを専門とする投資銀行マラソン・キャピタルのテッド・ブラント最高経営責任者(CEO)は話す。
WSJがEVおよび電池を扱う公開スタートアップ企業54社を分析したところ、その財務状況はますます厳しくなっていることが分かった。7社は既に破産法による保護を申請している。十分な分析データがある36の事業会社のうち4分の3は赤字で、13社は来夏までに手元資金が枯渇するとみられている。
さらなる困難が待ち受ける
トランプ政権はこうした企業の取り組みにさらなる打撃を与えるとみられる。次期大統領はEV需要を刺激するための1台につき7500ドルの税額控除の廃止を約束している。業界幹部はまた、バイデン政権下で提供されているEVベンチャーや電池プロジェクト向けの資金が、第2次トランプ政権で提供されなくなる可能性があることを懸念している。
一方で、海外から輸入される車両や自動車部品に新たに課される関税や、関税率の引き上げによって、コストがさらに押し上げられる可能性がある。トランプ氏が先週提案したメキシコ、カナダと中国を対象とした関税はその例だ。
こうした障壁の影響は、自動車のサプライチェーン全体に波及し、電池やその材料となるリチウムなどの素材の需要をしぼませる。
ブラント氏は、「エコシステム全体が崩壊しつつある」と話す。
スタートアップ企業の多くはここ数年の間に上場を果たした。過去10年間に生じていた、テスラの成功を再現しようとする企業に向けた熱狂の波に乗ったものだった。
一部は、いわゆるリバースマージャー(逆さ合併)のブームを利用した。リバースマージャーとは、まだ創業間もない企業が特別買収目的会社(SPAC)と合併することで上場する仕組み。この取引は、伝統的な新規株式公開(IPO)よりも容易に公開市場に到達する道を提供するが、内部関係者以外の投資家を犠牲にして、内部関係者を豊かにする仕組みであることが示されている。
第2次トランプ政権への移行は、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ(GM)など、より基盤の強固な欧米自動車メーカーにとっても、極めて厳しい経営環境の中での試練となる。これらメーカーは、EVの品ぞろえ強化に向けて何十億ドルもの投資を約束していたが、予想していたEV販売の伸びが実現しなかったことから、今では一部の投資計画の先送りや撤回を強いられている。
多くの米企業は、EVメーカーの比亜迪(BYD)や車載電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)といった中国の新たなライバル企業との競争で、さらに大きな差を付けられるのではないかと懸念している。アナリストらは、米国のクリーンエネルギー産業の後退を受けて、この分野で中国の大幅なリードがさらに拡大する恐れがあると警告している。
投資銀行ジェフリーズ・グループでサステナビリティー・エネルギー転換戦略部門のグローバル責任者を務めるアニケット・シャー氏は「こうした状況が続くなら、われわれは今後50年間にわたって経済の主要なエンジンとなる分野をまさに放棄したことになる」と語った。
非公開会社のノースボルトのケースは、EV関連業界での経営破綻の中で最も際立つものの一つだ。同社は二酸化炭素(CO2)排出量の少ない工程で車載電池生産を目指していた新興企業で、フォルクスワーゲン(VW)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、欧州連合(EU)などから10年近い期間で約150億ドルの資金を調達してきた。
ノースボルトの電池技術と、同社CEOのピーター・カールソン氏の経歴が投資家らの興奮を誘い、同社の株価は急上昇した。カールソン氏の前職は、テスラのサプライチェーン管理責任者だった。
EV市場の後退とBMWへの納入契約のキャンセルを受けてノースボルトの事業計画が破綻したため、同社は破産法の保護下に入ることになり、カールソン氏はその後CEOの座を去った。
打ちのめされる新興企業
米政府の支援を受けてきた他の新興企業も、経営難に直面している。使用済み車載電池を有用素材に転換するリサイクル事業を計画していたリ・サイクル・ホールディングス(Li-Cycle Holdings)は、ニューヨーク州ロチェスターの工場建設費の一部として4億7500万ドルの政府融資の承認を受けていた。
しかし、今年9月末時点の同社の手元資金は、約6カ月しか事業を継続できない水準にまで減少していた。鉱山会社グレンコアの資金援助を受けているカナダ企業のリ・サイクルは、コスト急増を理由にロチェスター工場の建設を休止した。
リ・サイクルの株価は株式併合を考慮すると、上場価格から97%超下落している。
アジャイ・コチャールCEOは、同社がロチェスター工場プロジェクトを完了させ、自立した事業を構築するのに必要な資金を調達できると確信していることを明らかにした。同CEOは、このセクターにおいて「投資家らは不要なものと一緒に大事なものまで捨てている」と述べた。
電動バン・トラックメーカーのカヌーも手元資金が枯渇しかけており、資金節約のためにオクラホマシティーの従業員の約4分の1を一時解雇した。
同社はオクラホマ州の車両および電池工場で1300人以上の雇用を創出するために同州から1億1300万ドル分の優遇措置プログラムの適用を受けた。同社は2020年にSPACとの合併を通じて上場を果たした後、今年の売上高がすぐに14億ドルに達するとの見通しを明言していた。
トニー・アクイラCEOは「すべての部品をずっと中国への外注に頼って自動車の開発を目指してきたため、毎朝顔面にパンチを受けているような感じだ」と語った。
同社は今年11月、アクイラ氏が支配権を持つ投資会社から1200万ドルの融資を確保した。
一部の新興企業はまだSPACとの合併を模索している。デラウェア州ウィルミントンに本社を置き、EVの機能向上に人工知能(AI)の使用を提案しているサンダー・パワー・ホールディングス(ティッカーシンボルはAIEV)は6月、逆さ合併を完了した。それ以降、同社の株価は95%超下落し、11月29日の終値が0.47ドルとなった。
このセクターを注視している証券会社クリア・ストリートのマネジングディレクター、ブライアン・ドブソン氏は「こうした経営陣の多くは、自分たちが次のテスラになるのだと考えているが、そうなれるのは普通というよりむしろ例外だということが分かっている」と述べた。
●日本企業
野村の社債引き受け、上位5社から5年ぶり陥落-法令違反の余波続く - Bloomberg
楽天グループ、ドル建て永久劣後債で主幹事を指名-750億円規模 - Bloomberg
ヤマダ、積立預金キャンペーン撤回 「年利18%」申請集中 - 日本経済新聞
九電工、36年ぶり社名変更へ 新社名は25年4月に発表 - 日本経済新聞
住友化学、医薬品の日本メジフィジックスを米系企業に売却 300億円で - 日本経済新聞
決算:伊藤園5〜10月純利益18%減 お〜いお茶堅調も材料高で - 日本経済新聞
●先進国政治動向
仏首相、予算案を議会強行通過へ-野党は内閣不信任提出の構え - Bloomberg
フランスのバルニエ首相は不人気の予算案の一部を採決なしで議会を通過させるため、憲法上の手段を行使した。だが議員らの反発は必至で、数日以内にも議会で内閣不信任が成立する恐れがある。
バルニエ氏は2日午後の国民議会(下院)で、採決なしで法案を議会通過させる憲法第49条3項を発動すると宣言した。これに対し左派政党が、まもなく不信任動議を提出すると発表した。
これに先立ち、極右政党の国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏は、同党の要求に応じなければ、内閣不信任動議を支持する考えを示していた。
バルニエ仏首相、ルペン氏に予算案で土壇場の譲歩 - Bloomberg
フランス政府は、不信任案可決による内閣崩壊を回避すべく、極右のマリーヌ・ルペン氏に対し、2025年度予算案で土壇場の譲歩案を提示した。
バルニエ首相は2日にルペン氏と協議した後、極右政党、国民連合(RN)の重要な要求を受け入れ、薬代の償還金を削減しないことを確約した。
譲歩は、議会で過半数の支持を持たないバルニエ首相が予算案を軌道に乗せ政府を維持するための最後の手段だ。憲法第49条3項に基づき採決なしで社会保障法案を議会通過させる方法もあるが、それは不信任決議案の提出につながる。
国民議会(下院)で最大勢力である国民連合は2日、「奇跡的な」妥協案が提示されない限り、政府を倒すと表明した。バルニエ氏が譲歩案を提示した後、党関係者は直ちにコメントを発表しなかった。
不確実性と瀬戸際戦略を投資家が嫌気し、フランス国債利回りは先週一時ギリシャと同水準に上昇した。
バルニエ氏が薬代の償還に関する最新譲歩案を提示したことで、フランス資産は回復。 10年物フランス国債とドイツ国債のスプレッドは、前週末比で約1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の82bpとなった。この日は一時87bpまで拡大していた。フランス株も上昇に転じ、一時の1.2%の下落を取り戻した。
国民連合の議員らは、どのような行動を取るかを決定するため現地時間午後2時から会合を開いた。
同党は、バルニエ氏が社会保障法案に盛り込んだ年金のインフレ指数への連動を抑制する措置に依然として反対している。
「後退しているような印象を受ける」と、国民連合のロール・ラバレット議員はLCIテレビの番組で語った。「バルニエ氏がどこに針を合わせるのか、正確に知るのは難しい」と述べた。
議会は午後3時に招集される予定。国民連合が不信任案の採決で棄権するだけでもバルニエ氏の政府を救うのに十分だが、ルペン氏はここ数週間、政府が同党の要求を考慮していないと不満を募らせている。
フランス政府、崩壊の危機-予算巡り極右政党との対立激化 - Bloomberg
フランスの極右政党、国民連合(RN)は、週内にもバルニエ首相の政府を倒す可能性を強く示唆した。アルマン経済・財務相が「政府は脅迫には屈しない」と発言した数時間後だった。
マリーヌ・ルペン氏が事実上率いるRNは、バルニエ首相が2025年度予算を修正し、年金をインフレに連動させるなどの要求に応じない限り、不信任案に賛成すると脅迫している。
ルペン氏はバルニエ氏に、2日までに予算案を変更する必要があると伝えた。野党議員らは同日に不信任投票を行う手続きを開始する予定だ。
1日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューでアルマン氏が「フランス政府は最後通牒を受け入れない。われわれは脅迫に屈しない」と語ったにもかかわらず、RNのバルデラ党首は2日午前にさらに過激な発言を繰り広げた。
「国民連合は、土壇場での奇跡が起こらない限り不信任投票を発動させるだろう」とバルデラ氏はRTLラジオに語った。
バルニエ首相が午後3時までに予算案を変更するかもしれないが「数カ月間、われわれを無視して拒絶してきたことを考えれば、同氏が考えを変える可能性は低いだろう」と述べた。
バルデラ氏の発言を受けて、フランス株のCAC40指数は下落。フランス債のドイツ債に対するスプレッドは86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と11月29日の80bp前後から拡大した。ユーロは対ドルで下げを広げ、一時0.8%安の1.0496ドルとなった。
予算を巡る政治的駆け引きの中でフランス国債の利回りは先週一時、ギリシャ国債に並んだ。
国民議会で最大政党を率いるルペン氏は、バルニエ氏が国民連合の主要な要求の一つである電気料金の値上げを断念することに合意したことで勝ち星を上げた。これにより自信を深めた国民連合は要求をさらに追加する構えを強めている。不信任投票は早ければ4日にも実施される可能性がある。
600億ユーロ(約9兆5000億円)の増税と歳出削減を盛り込んだバルニエ氏の予算案は、同国の財政赤字を対国内総生産(GDP)比で5%に抑えることを目指している。今年の赤字はGDPの6.1%に達すると予想されている。
サンマルタン予算相は11月30日に報じられた現地紙とのインタビューで、RNによる予算案の修正要求には100億ユーロ(約1兆5800億円)近くのコストがかかると発言。フランス政府はこれ以上譲歩しないと述べた。
サンマルタン氏の発言に対し、ルペン氏はAFP通信で12月1日、仏政府は社会保障予算案の変更に関する「協議を打ち切った」と非難。自身の要求が満たされない場合には、RNは左派と手を結び倒閣を目指す意向を明らかにした。
予算の年度末締め切り間近に政府が崩壊するというのは前例のない事態だ。ルペン氏は、年度末までに予算が組まれなかった場合の影響を軽視し、トリビューヌ紙の取材に対し「フランスの制度はうまく設計されており、何も決定的なことはない」と語っている。
バルニエ氏が解任された場合、マクロン大統領は同氏を再任するか、あるいは新たな首相を選ばなければならない。新たに誕生する政府も、25年度の予算を早急に提案する必要がある。
仏極右、内閣不信任案支持の公算大 党首が表明 | ロイター
来年度予算案を巡りバルニエ仏政権と対立する極右政党、国民連合(RN)のバルデラ党首は2日、「土壇場で奇跡」が起きない限り、RNが数日中に内閣不信任案を支持する可能性が高いとRTLラジオに述べた。
RNの指導者ルペン氏はバルニエ首相に対し、2日までに予算に関するRNの要求を受け入れなければ、RNが内閣不信任案を支持する可能性があり、政権崩壊につながると警告している。
バルニエ氏は先週、電力税増税を撤回したが、RNはインフレを反映した年金増額、薬剤費払い戻しの減額中止、欧州連合(EU)予算への拠出削減なども求めている。
バルニエ氏が憲法上の規定を行使して社会保障財源法案を強行採択すれば、左派連合が内閣不信任案を提出し、早ければ2日にも政権が行き詰まる可能性がある。
仏極右、数日中に内閣不信任案提出も 予算案で対立 | ロイター
来年度予算案を巡りバルニエ仏政権と対立する極右政党、国民連合(RN)の指導者ルペン氏は1日、政権がさらなる譲歩を拒否したため、内閣不信任案の採決が数日中に実施される可能性が高まったと述べた。
バルニエ政権は、財政立て直しに向け緊縮型の予算案を組んだが、RNなどの野党は反対。政権は先週、電力税増税を撤回したが、RNは納得せず、ルペン氏は2日までに党の要求に応じなければ、不信任案が提出する構えを見せていた
ルペン氏は仏通信社に対し、政府が事実上協議を打ち切ったと指摘した。
仏内閣不信任案、4日にも可決へ 予算案の強行採択受け | ロイター
フランスで、バルニエ内閣に対する不信任決議案が4日にも採決され可決される見通しとなった。極右政党「国民連合(RN)」と左派連合「新人民戦線(NFP)」が2日、バルニエ首相に対する内閣不信任案を提出した。
可決されれば1962年以来。両党を合わせれば内閣不信任可決に十分な票数となる。
RNを率いるマリーヌ・ルペン氏はバルニエ政権が事態を悪化させていると批判し、内閣を打倒する必要があると述べた。
これより先、バルニエ首相は、憲法上の特別権限を行使し、2025年社会保障予算案を強行採択すると発表した。議会の採決なしに法案を成立させる憲法49条3項を発動する。バルニエ氏はぎりぎりまで譲歩の可能性を探ったが、野党の支持を得られなかった。
憲法の規定によると、内閣不信任案は強行採択から24時間以内に提出することとなっている。
バルニエ氏は演説で議員らに対し、不信任案を支持しないよう呼びかけ。「われわれは正念場を迎えている。われわれが国家の将来よりも個人の利益を優先することは許されないだろう」と述べた。
バルニエ氏に近い情報筋は、首相はルペン氏に大幅な譲歩をしており、不信任案に賛成票を投じれば獲得した成果を失うことになると語った。
不信任案が可決されれば内閣は総辞職する。新首相の選出は来年になる可能性もある。
内閣不信任の可能性が高まったことを受けて市場では、フランス株が下落に転じ、ユーロ売りが加速。仏国債には利回り上昇圧力がかかった。
ホワイトハウス、大統領の次男恩赦を擁護 「退任後の迫害懸念」 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
アングル:日銀、追加利上げへ地ならしか 身構える市場 | ロイター
日本経済新聞が週末に配信した植田和男総裁インタビューを受け、市場で12月利上げを織り込む動きが加速している。7月の利上げ後に市場の混乱を招いたことから、日銀内では、コミュニケーション戦略の必要性を意識する声があった。12月会合まで1カ月を切る時点での発信に市場では、追加利上げへの地ならしとの見方も出ている。
<2年金利、08年以来の0.6%台>
インタビューで植田総裁は追加利上げの時期について「データがオントラックに推移しているという意味では近づいている」との認識を示した。これを受けて週明け2日の市場では債券が売られて金利が上昇。政策金利の影響を受けやすい新発2年債の利回りは2008年11月以来となる0.6%台に乗せた。為替市場でも円高が進行、一時149円半ばをつけた。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは今回の総裁インタビューについて「利上げに向けたコミュニケーションを図っている」とみている。
関西みらい銀行のストラテジスト、石田武氏は「日銀がタイミングを選べた中、あえて12月の政策決定会合まであと3週間というタイミングで、きちんと設定したインタビューで意図的にこうした情報発信をしてきた」と指摘。「これはもう利上げ予告だと受け止めて良いのではないか」との見方を示す。
SBIリクイディティ・マーケットの金融市場調査部長、上田真理人氏は「日銀は12月会合での追加利上げに意欲を持っている印象。ただ、市場では6割程度しか織り込みが進んでおらず、疑心暗鬼のようだ」と指摘する。
7月の追加利上げの際は、弱い米経済指標に加え、日銀のタカ派姿勢が想定外との受け止めで株安、円高が進行。この市場波乱について、植田総裁は9月の会見で、日銀の考え方が伝わってなかったという批判があることは承知しているとして、「経済・物価に関する認識と政策運営に関する考え方を丁寧に説明してくということに心がけたい」とコミュニケーションに配慮する姿勢を示した。
日銀は8月以降、政策判断にあたっては金融資本市場や海外経済の状況を確認する「時間的余裕がある」との表現を使ってきたが、10月の決定会合後の会見で植田総裁は「時間的余裕」という表現は今後使わないことになると思うと発言。この発言後のロイターエコノミスト調査では12月追加利上げ予想が過半数となった。
<今年2回目のインタビュー>
日銀内では足もとの経済・物価情勢について、総裁発言通り、オントラックとの見方が多い。一方で、米国経済の不透明感に加え、国内消費の弱さなどについて懸念する声もある。
市場では今回の総裁発言は追加利上げに前向きなものとの受け止めが多いが、「連続的に追加利上げを実施するとか、政策金利を1%の到達点より上げていくといったタカ派傾斜を示唆するものではない」(SMBC信託銀の山口真弘投資調査部長)との見方もあり、午後にかけては再び円安となり、株価も上昇した。
今回の植田総裁インタビューのタイミングについて日銀広報課では「これまでも各紙によるインタビューに総裁は応じている」とし、「前回は今年4月に実施された」としている。
英中銀が清算機関のストレステスト、一部脆弱性も全般的に底堅い | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は29日、中央清算機関(CCP)を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果を発表した。一部の機関で脆弱性が見つかったが、全般的には底堅さが確認されたと明らかにした。
ストレステストはICE・クリア・ヨーロッパ、LSEG下のLCH、香港証券取引所のLMEクリアが提供する清算サービスの信用回復力に焦点を当てた。
イングランド銀行のブリーデン副総裁は「ストレステストの結果は、懸念材料を示唆していないが、継続的なデータ収集と監督を通じてCCPのリソースを監視し続けている」と説明した。
ロンドン金属取引所(LME)の清算機関であるLMEクリアは、地政学や貿易面での緊張の高まりがコモディティー市況を上振れさせたことを踏まえ、ストレステストにおいて3機関中最も脆弱であることが明らかになった。
英中銀によると、一部のCCPは市場が混乱した後に実施された前回2022年のストレステストの時よりも財源が少ないことが判明した。「高度に集中したポジションを清算するコストや、より保守的な仮定を含めるようストレステ ストを実施したところ、いくつかの潜在的な脆弱性の領域が確認された」としている。
日銀追加利上げ、「12月」予想が最多 QUICK月次調査 - 日本経済新聞
スイスの製造業、ドイツ産業低迷で需要減退=中銀総裁 | ロイター
スイス国立銀行(中央銀行)のシュレーゲル総裁は30日、ドイツ産業低迷がスイス製造業の需要減退につながっていると述べた。
同氏はドイツ連邦銀行(中央銀行)主催のイベントで講演し、最大の貿易相手国であるドイツの景気低迷により、スイス製造業の需要が大幅に減少していると指摘。「ドイツが風邪をひくと、スイスはインフルエンザにかかる」と懸念した。
スイス中銀は今年3回の利下げで政策金利を1.00%としており、さらに追加措置が見込まれている。
現在の市場予想では、12月12日の金融政策決定会合で25ベーシスポイント(bp)の利下げが行われる可能性が72%、50bpの可能性が28%となっている。
12月の米利下げ「選択肢オープンにしている」-アトランタ連銀総裁 - Bloomberg
米アトランタ連銀のボスティック総裁は、12月に利下げが必要かどうかを自身はまだ決めかねていると述べた。一方、今後数カ月に金融当局が利下げを継続すべきであるとの考えは依然持っていると説明した。
ボスティック総裁は2日に公表した小論で、「最大限の雇用と物価安定という連邦公開市場委員会(FOMC)の2つの責務に関し、それらを達成する上でのリスクはほぼ均衡が取れている状態にシフトした。従ってわれわれも、経済活動を刺激も抑制もしないスタンスへと金融政策をシフトし始めるべきだ」と主張した。
インフレについては、データは一様でないものの、2%の当局目標へ向かう持続的軌道に乗っているとの見解を示した。労働市場については急激な悪化の兆しは示されていないが、政策当局者はインフレと雇用両方のリスクに警戒を続ける必要があると述べた。
総裁はこれとは別に記者団との電話会見で、今月17-18日のFOMC会合で利下げを支持するかどうかについて、「引き続き選択肢をオープンにしている」と語った。
ボスティック総裁は、景気抑制的な金融政策が労働市場の減速に寄与したとし、その証拠として求人件数が減少傾向にあることを挙げた。ただ、労働市場は依然として安定しているとの認識も強調した。
「これらのトレンドはいずれも、労働市場が急速に悪化している、ないし極めて逼迫(ひっぱく)しているという強いシグナルを送ってはいない」と指摘。「むしろ、金利上昇を前に、労働市場がおおむね秩序だった形で減速しつつあることを示している。われわれの情報入手先である企業からも同様の見方を得ている」と述べた。
また、「物価安定には確かに上向きのリスクがある」とした上で、「最近の変動の大きさを、物価安定に向けた進展が完全に行き詰まった兆候だとは捉えていない」と主張した。
ウォラーFRB理事、12月会合での利下げ支持に傾いている - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での追加利下げ支持に自身は傾いていると述べた。
政策金利据え置きが理にかなうデータが会合前に出る可能性はあるとしながらも、「現時点で12月会合での政策金利引き下げを支持する方向に傾いている」と述べた。ワシントンで開かれた米国経済研究所(AIER)主催のFRB政策枠組み見直しに関する会議の講演テキストで明らかになった。
【コラム】FRB枠組み見直し、重要点が見落とされる恐れ-ダドリー - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)が来年実施する定期的な金融政策の枠組み見直しは、世界に影響を及ぼすものとなるだろう。FRBは正しい取り組みに注力する方針だが、重要な部分が抜け落ちているようだ。
明るい材料としては、FRBはゼロ金利制約によって短期金利がゼロ近辺に張り付かないよう目指した制度を廃止する構えのようだ。2008年の金融危機と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によるゼロ金利の経験を経て、20年の枠組み見直しで導入されたこの制度では、FRBは一定の条件下でゼロ金利の維持にコミットした。
だたこの戦略は、コロナ禍を脱した経済にとってはそぐわなかった。22年3月時点でも金利は依然としてゼロ近辺で、FRBは長期金利の引き下げを目的に米国債や住宅ローン担保証券の買い入れを継続していた。一方で失業率は3.8%となり、FRBが重視するインフレ率は5%を超えていた。米金融当局は、経済が過熱しているにもかかわらず、異例の景気刺激策を実施していた。
パウエルFRB議長は問題を認識しているようだ。パウエル氏は中立金利が08年の金融危機後の10年間よりも高くなっているため、ゼロ金利制約のリスクは低下している可能性が高いと指摘。同氏は「オーバーシュートを目標にするのではなく、インフレを目標にする」と述べている。
ここまでは順調だ。しかし、枠組み見直しの議題には含まれていないと思われる重要な問題が3つある。
1つ目は、FRBに量的緩和(QE)の枠組みが必要な点だ。QEとは、追加の景気刺激策としてFRBがこれまで実施してきた資産購入策(およびその反転策として知られる量的引き締め)である。枠組みがなければ、市場参加者は金融政策がいつどのように実施されるのか理解することは困難になる。市場の期待は、長期金利や金融情勢、経済への金融政策の伝達に影響を与えるため、政策の有効性が損なわれることになる。
2つ目は、実際に何をすべきかをよく理解するために、量的施策の費用対効果を評価する仕組みが必要だということ。例えば22年3月に終了した資産購入プログラムの最後の1年について考えてみよう。コロナワクチン開発とバイデン米政権による大規模な財政刺激策によって、追加での金融刺激策が不要だったことはほぼ明らかであったにもかかわらず、FRBは1兆4000億ドル(約209兆円)の資産を購入した。これらの購入により、米国の納税者は最終的に1000億ドル余りの負担を強いられることになる。コロナ禍での量的緩和の総費用は5000億ドルに達する可能性がある。
3つ目は、FRBは金利ターゲットを変更する必要があるということだ。銀行の準備金が潤沢にある中で、銀行がほとんど利用しなくなった市場を追跡するフェデラルファンド(FF)金利は時代遅れである。FRBは銀行が中央銀行に保有する準備金に対する金利に切り替えるべきだった。今になってようやく、という感もあるが。
また、検討しなくてもいい問題も1つある。ゼロ金利制約にとどまるリスクを低減するために、FRBはインフレ目標を2%超に引き上げるべきかどうかという問題だ。パウエル氏が指摘したように、そのリスクは後退している。さらに重要なのは、インフレが急騰した時期でも2%という目標がインフレ期待を適切に維持するのに役立ったことだ。目標値を変更することはFRBの決意に対する信頼を弱める恐れがある。
米大統領選で、ドナルド・トランプ氏がカマラ・ハリス氏に勝利したことは、有権者がインフレを本当に好まないことを示している。有権者の意思は、何らかの形で考慮されるべきである。
●先進国経済指標
米ISM製造業景況指数、予想を上回る-新規受注が拡大圏に浮上 - Bloomberg
米供給管理協会(ISM)が発表した11月の製造業総合景況指数は、依然として縮小圏ながらも市場予想を上回った。新規受注が8カ月ぶりに拡大圏に浮上したことなどが寄与した。
ISM製造業総合景況指数は48.4に上昇
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は47.5
総合景況指数の上昇幅は1.9ポイントと、3月以来の大きさとなった。8カ月連続で縮小圏にとどまったが、サブ指数の大半で改善が示された。
総合景況指数は水準としては6月以来の高さで、約2年に及んだ製造業の低調に歯止めがかかりつつあることが示唆された。
新規受注の指数は前月比3.3ポイント上昇と、5カ月ぶりの大幅上昇となった。
米ISM製造業景気指数、11月48.4に上昇 新規受注8カ月ぶりに拡大 | ロイター
米供給管理協会(ISM)が2日発表した11月の製造業景気指数は48.4だった。2023年7月以来の低水準だった10月の46.5から上昇した。ロイターがまとめた市場予想は47.5だった。
トランプ次期米政権による企業寄りの政策への期待から上昇している他の景況感調査と同様の傾向が示された。
それでも、製造業はまだ難局を脱したとはいえない。ISM製造業景況調査委員会のティモシー・フィオーレ委員長は、需要の低迷と受注残の減少に伴って「11月は生産活動が減速した」と指摘。サプライヤーは生産能力を維持しており、リードタイムは改善傾向にあるものの、一部の製品で品不足が再び発生していると述べた。
拡大・縮小の分岐点となる50は、8カ月連続で下回った。長期的には経済全体の拡大を示すとされる水準(42.5)は、上回った。製造業は米経済の10.3%を占める。
先行指標となる新規受注は50.4と、前月の47.1から上昇した。50を上回るのは8カ月ぶり。
一方、生産は低迷した水準にとどまったほか、仕入れ価格は50.3と、前月の54.8から低下した。商品価格に下落の余地があることを示しているものの、輸入品に対する関税が上がれば反転する可能性もある。
11月はコンピューター・電子、家電製品・部品を含む3業種のみが拡大。輸送機器、機械、化学製品、一次金属を含む11業種が縮小した。
供給業者の納入を示す指数は48.7と、前月の52.0から低下した。50を超えると納入の速度が遅くなっていることを示す。
雇用は48.1と、前月の44.4から上昇した。低水準の状態だが、改善傾向を示した。
英製造業PMI、11月改定48.0 9カ月ぶり低水準 | ロイター
S&Pグローバル/CIPSが2日発表した11月の英国の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は48.0と、10月の49.9から低下し、9カ月ぶりの低水準となった。
国内外からの受注が減少したほか、供給網の混乱継続でコストが上昇した。速報値は48.6だった。好不況の分かれ目となる50を下回った。
新政権が発表した予算案で雇用主の税負担が250億ポンド(320億ドル)増えたことや、最低賃金の7%引き上げ、紅海の海運混乱、世界的な関税引き上げのリスクが逆風となった。
S&Pのディレクター、ロブ・ドブソン氏は「製造業は当面、高コスト、低需要、不確実性の高まりという環境に直面することになる」と指摘。
「あらゆる規模の企業が不況に見舞われているが、小規模企業が最も打撃を受けており、特に生産、新規受注、新規輸出事業の落ち込みが顕著だ」と述べた。
一部の企業は政府の予算案や世界経済の不透明感を受けて、顧客がコスト増加を理由に投資を延期・中止していると報告した。
イタリアGDP、第3四半期前期比横ばい 輸出と投資が不振 | ロイター
イタリア統計局が2日発表した第3・四半期国内総生産(GDP)改定値は速報値から変わらずの前期比横ばいだった。個人消費が好調だったものの輸出と投資の不振で相殺された。
前年比も速報値と同じく0.4%増だった。
第2・四半期は前期比が0.2%増、前年比は0.6%増から0.7%増に上方改定された。
政府の2024年成長率予測は1%だが、アナリストの多くは非現実的だと指摘する。
統計局は、第4・四半期もゼロ成長なら、通年成長率は0.5%にとどまるとの見通しを示した。
仏製造業PMI、11月改定43.1に低下 新規受注が急減 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のフランスのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は43.1で、10月の44.5から低下した。好不況の分かれ目となる50を22カ月連続で下回った。
新規受注指数は35.9と、新型コロナウイルス流行第1波以来の低水準。国内外の需要が落ち込んだ。今後生産が一段と減少するとみられる。
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「フランス製造業は依然として危機的状況にある。生産の縮小が続き、購買担当者が在庫の積み増しを控えている」と述べた。
投入コストは上昇したが、競争激化で企業は値下げを迫られ、利益率が悪化している。外需は過去4年半で最大の落ち込みを記録。特に米国とドイツ向けの輸出が足を引っ張った。
雇用は資本財・中間財部門を中心に引き続き減少。
先行きについては依然として悲観的な見方多く、不透明感や建設・自動車産業の低迷が今後1年間の生産見通しの重しとなっている。
ユーロ圏製造業PMI、11月改定45.2に急低下 見通し厳しい | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のユーロ圏HCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.2と、10月の46.0から大幅に低下した。速報値から修正はなかった。
10月は安定化の兆しが見られたが、その後、需要が再び落ち込んでおり、早期回復への期待が後退する可能性が高い。
PMIは好不況の分かれ目となる50を2022年半ば以降、下回っている。
生産指数は10月の45.8から45.1に低下。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ひどい結果に見える。ユーロ圏製造業の不況は永遠に終わらないように見える。新規受注が急速に、しかも加速度的に減少しているため、早期回復の兆しは全くない」と指摘。
「不況は広範囲に及び、ユーロ圏上位3カ国全てが打撃を受けている。ドイツとフランスが最悪で、イタリアもあまり良くない」と述べた。
値下げにもかかわらず需要全体が落ち込んでおり、人員削減ペースは新型コロナウイルス流行時以来の高水準となった。雇用指数は46.2から45.2に低下、2020年8月以降で最低となった。
外需の減少ペースも加速。トランプ次期米大統領が一律10%の関税を提案しているため、状況はさらに悪化する可能性が高い。
独製造業PMI、11月43で横ばい 需要低迷で雇用縮小 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のドイツのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は、10月から横ばいの43.0だった。速報値の43.2から下方改定された。
生産と新規受注の落ち込みが緩和し、新規受注は過去半年で最も緩やかな減少となった。しかし雇用、産出価格、輸出売上高は減少幅が拡大した。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、製造業はかなり厳しい状況にあり、大規模人員削減の話が毎日のように出ていると述べた。
雇用は17カ月連続で縮小し、指数は9月の49カ月ぶり低水準近くとなった。調査企業の約29%が人員削減を報告した。
ただ先行きの見通しは3カ月ぶりに幾分改善した。連立政権が崩壊し来年2月に選挙が実施されることになり、景気回復が期待されているとデラルビア氏は述べたが「製造業不況は来年も続く」との見方を示した。
豪小売売上高、10月は前月比0.6%増に加速 3カ月連続増 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
米ブラックフライデー、オンライン販売が好調、実店舗は低調 | ロイター
米国では29日、感謝祭翌日の「ブラックフライデー」のセールが行われた。オンライン販売が好調だった一方で、実店舗の販売は低調だった。
マスターカード・スペンディングパルスによると、ブラックフライデーのオンライン販売は14.6%増えた。実店舗の売上高は0.7%増にとどまった。売上高はインフレ調整前の数字。
マスターカード・エコノミクスのチーフエコノミスト、ミシェル・マイヤー氏は、全体的なインフレ率が2%を超える中、家電製品や衣料品、スポーツ用品、パーソナルケア用品、宝飾品など、年末商戦に関連した人気の高い商品は昨年から値下がりしているか、小幅な値上がりにとどまっていると指摘した。
マイヤー氏は、ブラックフライデーを前に多くの買い物客は実店舗を訪れ、どのような商品や価格かを見て回り、ブラックフライデーのセールが始まるとオンラインで買い物をしたと指摘した。携帯電話やノートパソコン、デスクトップパソコンなどのオンライン販売が好調だった。
アドビのデータによると、ブラックフライデーのオンラインでの米消費者の支出は108億ドルで、前年比10.2%増加した。
GPIFの利回り0.2%上げ案 日本株比率に上昇観測 - 日本経済新聞
大手ヘッジファンドの11月リターン良好、トランプ氏勝利が追い風に - Bloomberg
●中東情勢
イスラエルによるガザ侵攻に不吉な兆し|ARAB NEWS
ガザで起きている出来事を観察していれば、イスラエルがこの地域での再定住に向けて効果的に動いていることは、たとえその目的が公式には語られないままであったとしても、ほとんど努力することなく見抜くことができる。このトピックに関する議論はイスラエル政府の廊下だけにとどまっているか、あるいは世界中の同盟国と目立たないように共有されているかもしれないが、証拠は明らかだ。
この目的は、イスラエルが公言している紛争の目標、すなわちハマスの排除と人質の奪還に加えられる。しかし、地上での行動は、第3の、より隠された意図を指し示している。それは、イスラエルが交渉を執拗に妨害していることや、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がガザに対する「翌日以降の」戦略の概要を示そうとしないことからも明らかだ。
イスラエルによる組織的な攻撃の中、兵士たちは、79歳の入植者活動家ダニエラ・ワイス氏が、入植地の候補地を調査するために飛び地に入るのを、上官の許可なく手伝ったと伝えられている。「入植者の母」として知られるワイス氏は、イスラエル軍がガザに入ったのは入植のためだと公の場で宣言した。彼女の行動は、非公式ではあるが、イスラエル社会の特定の層における長年の野心と一致している。
ワイス氏は論争に慣れているわけではない。彼女は1967年のイスラエル占領直後、ヨルダン川西岸地区での入植地設立で重要な役割を果たし、ケドゥミム入植評議会の代表を10年以上務めた。彼女の記録には、パレスチナ人に対する暴力的な行動への関与も含まれており、しばしば公式の後ろ盾があった。
ネタニヤフ首相のパートナーである政府関係者の発言からも、ガザに対する長期的な計画についての率直な見解が明らかになっている。べザレル・スモトリッチ財務相は、イスラエル軍が何年にもわたってこの地域を支配するだろうと述べた。彼の発言は、ガディ・アイゼンコット前イスラエル軍参謀総長の発言と呼応するもので、彼は戦争の公的目標と秘密目標の両方を認めている。こうしたいわゆる秘密目標は公式には明言されていないが、イスラエルの行動にはますます明らかになっている。
テルアビブは、ガザを再定住させるか、少なくとも軍事的プレゼンスを長期化させる戦略を実行しているようだ。この戦略は、2005年のガザ撤退計画でイスラエルが解体した21の入植地を思い起こさせる。
西側メディアの報道は、ガザ北部の併合計画を示す軍事行動と政治的策略を強調している。イスラエル軍幹部のイツィク・コーエン氏の発言は、この地域での「民族浄化」を認めているようであり、10月初めから執拗な砲撃を受けているジャバリア、ベイト・ハヌーン、ベイト・ラヒアの避難民の帰還を阻止する意図を明らかにしている。軍は公式にコーエン氏の発言から距離を置いているが、現場の現実は彼の主張と一致しているように見える。
もうひとつ明らかになったのは、イスラエルの元国防大臣ヨアヴ・ガラント氏がイスラエル人人質の家族に語った言葉だ: 「ガザでこれ以上やることはない。主要な目的は達成された」イスラエルがガザの再定住計画を公に否定しているにもかかわらず、彼のこの告白は、占領が長期化する可能性を強調している。
ガザ北部の民族浄化は、イスラエル入植者たちが、この地域に入植地を再確立するという長年の願望を実現する道を開くことになる。アナリストたちは、イスラエルの安全保障閣僚に極右閣僚のオリット・シュトロック氏とイツハク・ワッセルラウフ氏が含まれていることが、このアジェンダのさらなる証拠だと指摘する。両者とも入植地拡大の強固な支持者であり、政策形成において重要な役割を果たしている。
イスラエルの新聞『Haaretz』は、ガザを再占領する計画を詳細に伝えており、パレスチナやアラブ諸国の反発を呼んでいる。ラッマラーの情報筋によれば、イスラエルはガザを4つのゾーンに分割することを目指しているという。
北部地区ではすでに大規模な取り壊しが行われ、100万人いた住民は2万人しか残っていない。第二のゾーンであるネツァリムは、ガザを東西に横切る幅6km、長さ7kmの主要回廊になる予定だ。第3の回廊、エジプト国境沿いのラファに近いサラー・アルディン軸も、住宅地の完全破壊を目撃することになる。さらに、ガザ東部国境に1kmに及ぶ緩衝地帯も計画されている。これらの措置は2026年までに実施される予定で、最近のエスカレーションがその実行のきっかけとなっている。
イスラエル当局は、ガザの再定住計画を否定し続けているが、政府の盟友や入植者指導者たちの行動は、そうではないことを示唆している。イスラエル軍は、ワイス氏のガザへの立ち入りは無許可で規約に反するものだと主張しているが、ワイス氏自身はヨルダン川西岸地区と同じ方法を用いていることを認めている。
一方、ネタニヤフ首相はガザ再定住の意図を公に否定している。しかし、彼の連合政権メンバーやリクード党の盟友たちは、公然とこの考えを支持している。事態が進展するにつれ、ガザの将来は不透明なままであり、不吉な兆候が占領の長期化と入植地拡大の可能性を指し示している。
【社説】再び火を噴いたシリア内戦 - WSJ
中東では、混乱の嵐が休暇状態に入ることはめったにない。最近発生した嵐は、シリアのバッシャール・アサド大統領の政権に対するイスラム勢力の新たな蜂起だ。イスラム教スンニ派の反政府勢力は先週末、主要都市アレッポになだれ込み、政府軍が逃げ惑う中でアレッポだけでなく他の地域も制圧した。
反政府勢力は、アサド政権の協力者たちが他の出来事に気を取られたり、弱体化したりする中で、攻勢に出る好機を見いだした。アサド政権を支える主要勢力だった、イランの革命防衛隊(IRGC)と同国の代理勢力であるヒズボラは、イスラエルとの対立で激しい報復攻撃を受けたことから、シリアでは腰が引けた状態になっている。アサド政権にとってもう一つの主要な支えとなっていたロシアは現在、ウクライナとの戦争に集中している。
アサド政権にとって今回の反政府勢力の攻勢がどれほどの脅威となるかは不透明だ。未確認情報によると、反政府勢力はハマとダマスカスの制圧に向かっている。制空権は依然としてロシアとシリアが握っており、反政府勢力の拠点を空爆している。民間人居住地域などへの容赦のない空爆は、シリア軍が数年前にアレッポを制圧した際に役立った。
アサド氏が自国民に対する虐殺を是認してきたことを考えれば、アサド政権の崩壊を願いたくなる。だが、アサド氏を追放しようとするこのイスラム主義勢力は、民主主義陣営あるいは西側諸国にとって好ましい組織ではない。トルコは自国の目的のために彼らを支援するかもしれない。その目的とは、シリア国内にいる反トルコ派のクルド人を殺害することなどだ。
米国の1番の関心事は、この騒乱がイスラエルやイラクに広がるのを防ぐことにある。騒乱が広がれば、過激派組織「イスラム国(IS)」の復活につながりかねないからだ。米国はISを制御するため、シリア西部に900人ほどの兵士を配置しているが、騒乱が起きているアレッポからは遠く離れている。米国の拠点が安全に守られている限り、兵士の存在は情報収集と対テロ作戦にとって有益なものとなる。
シリアの内戦は2011年に勃発し、オバマ政権が民主派勢力を支援しないことを選択した後は、ロシアとイランが空白を埋めてきた。パックス・アメリカーナ(米国の覇権)の終わりがより良い世界につながると考えている人は、シリアの状況を見てみるがよい。米国は今や傍観者になっているが、シリアで再び騒乱が起きたことは、米国がイスラエルを支持し続けるべきもう一つの理由となる。イスラエルは惨劇が絶えないこの地域にある類いまれな友好国なのだ。
ヒズボラがイスラエル軍を攻撃、停戦後初-ネタニヤフ首相は報復示唆 - Bloomberg
シリアで何が起きているのか 内戦の経緯と再燃のきっかけを解説 - CNN.co.jp
内戦状態が続いていたシリアは、新たな反体制派の連合体が奇襲攻撃を展開し、同国第2の都市アレッポに攻め込んだことで再び注目を集めている。
この攻撃によって反体制派は2016年以降初めてアレッポを制圧し、正式に終結したことのない戦闘の膠着(こうちゃく)状態を打破した。
30万人以上が死亡し、600万人近くが国外に流出した紛争の新たな展開は、中東地域内外に広範な影響を及ぼしている。
シリア内戦で何が起こったのか?
「アラブの春」と呼ばれた民主化運動が広がっていた11年、民主化を求めるシリアのデモ隊は路上に繰り出し、独裁的なアサド大統領の退陣を求めた。
政府軍が民主化運動を鎮圧するにつれ、小規模な民兵組織とシリア軍からの離脱者からなる反体制派武装勢力が形成され始めた。
反体制派勢力は分散しており、異なるイデオロギーで構成されていたが、アサド政権打倒という共通の目標を掲げていた。近隣のトルコや、地域の大国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)のほか、米国などの外国勢力からさまざまな形で支援を受けていた。
反政府勢力が拡大するにつれ、シリアの同盟国であるイランとロシアは支援を強化した。地上では、イランの革命防衛隊とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが反政府武装勢力との戦いを支援した。空では、ロシアの戦闘機がシリア空軍を強化した。
国際テロ組織「アルカイダ」を含むイスラム過激派はシリアに関心を持ち、聖戦主義者の関与を歓迎しないシリアの穏健な反体制派と共通の大義を掲げた。
しかし14年までには過激派が優勢となり、「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がシリア国内を席巻し始めた。米国が率いる有志連合はシリアが恒久的なテロの温床となることを恐れて介入。シリア政権と対立することなくISISの排除に重点を置いた。
米国が支援する、クルド人戦闘員で構成されるシリア民主軍(SDF)はISISと戦い、同組織の領土面での支配を事実上終わらせた。
ロシアとトルコは20年、反体制派が支配する最後の県イドリブで停戦に合意。人道回廊の設置に合意した。
これ以降、大きな衝突は起きていないが、シリア政府は領土のすべての奪還には至っていない。そしてアレッポでの出来事が示すように、反体制派武装勢力は決していなくなってはいない。
なぜ今、紛争が再燃したのか?
11月27日に始まった攻撃に先立ち、反体制派は「軍事作戦司令部(MPO)」と呼ばれる新たな連合体を結成した。
MPOはすぐにアレッポ郊外の村々を制圧し、住民によれば、今や市内の大部分を制圧した。
戦闘員は、占領地の解放を目指しており、激しさを増している政府軍と親イラン民兵組織による攻撃に対処していたと述べている。
反体制派は、主要同盟国が他の紛争に大きく気を取られ政府が弱体化している折に乗じようとしている可能性がある。
反体制派の進撃に対応して、ロシアとシリアの空軍はアレッポとイドリブ県で空爆を開始した。
ロシアはウクライナ侵攻に兵力と資源を投入してきたが、アサド大統領にとって同国は空軍における主要なパートナーだ。
一方、イランはイスラエルからの一連の攻撃に悩まされており、特にヒズボラへの打撃は大きい。アナリストはCNNに対し、シリアの反体制派はヒズボラがいなくなったことで生じた間隙(かんげき)を利用して進撃していると指摘する。
アレッポの喪失は政府軍にとって大きな後退を意味する。アレッポはかつて人口と経済資本でシリア最大を誇り、世界でも有数の歴史を持つ居住都市だ。
アレッポは、アサド氏が16年に奪還するまで反体制派の主要拠点でもあった。反体制派は足場を取り戻したことで、イドリブに追い詰められることはなくなった。
反体制派とは誰か?
この新しい連合体は、イスラム主義派から穏健派まで、幅広い反体制派勢力で構成されている。
この連合体を率いるのは、過激派組織「シャーム解放委員会」(HTS、旧ヌスラ戦線)だ。ヌスラ戦線はかつて国際テロ組織アルカイダと関係があった。
HTSは正式にアルカイダとの関係を断ち切り、イドリブの事実上の支配者となっている。トルコの支援を受けた組織や、米国が以前支援していた組織も加わっている。
シリアはどう対応するのか?
シリアとロシアの戦闘機は、アレッポとイドリブで反体制派を攻撃してきた。これは、内戦下で領土を取り戻すために極めて重要な戦術だった。
アサド氏は、シリアは引き続き「すべてのテロリストとその支持者を前に、安定と領土保全を守る」と約束しており、国防省は反撃の準備を進めていると述べた。
しかし、現段階では政府の対応能力や意思がどの程度のものなのかは不明であり、主要な支援勢力によるサポートに大きく左右されるとみられる。
イランのアラグチ外相が1日にシリア首都ダマスカスに向かうなど、同盟国がシリアに結集する兆しがある。
反体制派がアレッポの主要な軍事施設や空港までをも支配下においているため、シリア軍にとって反撃は困難だとみられる。この都市は16年に政府に奪還されるまで、政府軍によるほぼ継続的な包囲に2年近く持ちこたえた。
●エマージング
中国10年債利回りが2%割れ、預金金利抑制の動きで追加緩和観測 | ロイター
中国の10年債利回りが2日、2%の心理的節目を割り込み過去最低となった。預金金利押し下げの動きを受け追加の金融緩和観測が高まった。
中国人民銀行の監督下にある機関は29日、銀行が特定の顧客に優遇預金金利を提供することを禁止すると発表した。
人民銀行は、証券会社や資産運用会社などのノンバンク金融機関に銀行が提供する預金金利を政策金利と一致させることを目指している。
10年債利回りは一時5ベーシスポイント(bp)低下し1.9750%と、中国中央国債登記結算(CCDC)のデータで最低を記録した。10年債先物は0.4%上昇し最高値付近。30年債利回りは約4bp低下し2.16%を付けた。
国信証券のアナリスト、ヤン・イェウェイ氏はこの政策が短期金利を押し下げ「長期債利回り低下トレンドの新たな原動力になる可能性がある」と指摘した。
BNPパリバの中国マルチアセット投資部門責任者ウェイ・リー氏は「人民銀行は25年に金融緩和を強化し、債券市場をさらに下支えする」との見方を示した。
中国債券市場は10年にわたり上昇基調にある。約2年前、不動産不況や株安を受け上昇に拍車がかかった。当局は国債市場の過熱感を抑えようとしているが効果は乏しく、アナリストは来年にかけて上昇が続くとみている。
ヘッジファンドMingshiの元ポートフォリオマネジャー、Ke Zon氏は「ファンダメンタルズはなお非常に弱い。諸政策は経済のハードランディングを防ぐだけで、力強い刺激とはなっていない」と述べた。以前消極的だったファンドや機関投資家の投資が依然低調なことや、保険会社が新年を迎える前に資金のアロケーションをすることが利回りを押し下げていると指摘した。
モルガン・スタンレーのストラテジストは、中国経済への慎重な見方、米国の対中関税の公算を踏まえ、人民銀行が政策金利を第1・四半期末までに40bp下げると予想している。
中国製造業PMI、11月民間指標は5カ月ぶり高水準 受注が堅調 | ロイター
財新/S&Pグローバルが2日発表した11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.5と前月の50.3から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。ロイターがまとめたアナリスト予想の50.5も上回った。
海外からの受注を含む新規受注が生産の堅調な拡大につながり、製造業者の楽観度を8カ月ぶりの高水準に押し上げた。
中国国家統計局が11月30日に発表した製造業PMIも景況拡大・悪化の分かれ目となる50を上回った
新規受注は2023年2月以来最も速いペースで増加した。特に新規輸出受注は4カ月ぶりのプラスとなり、サブ指数は7カ月ぶりの高水準を記録。受注は主に投資財と中間財で拡大し、消費財はわずかに減少した。
新規受注増の理由としては、基調的な需要の改善、新製品の発売、米国の選挙を受けた在庫積み上げなどが挙げられた。
中国企業は、経済状況の改善と政府の政策が今後1年間の売り上げを下支えするとの期待感を示している。
2カ月連続で受注残は積み上がった。ただ、人員削減ペースは和らいでいるものの、企業は雇用に慎重な姿勢を崩していない。
財新智庫のエコノミスト、王哲氏は「景気低迷は底を打ちつつあるように見えるが、さらなる足場固めが必要だ」と指摘。雇用の縮小が続いていることを挙げ、景気刺激策の効果がまだ労働市場に表れていないとし、雇用拡大に対する企業の自信を強化する必要があると述べた。
原材料高に伴い、平均投入価格が過去5カ月で最も速いペースで上昇する中、コスト懸念も高まった。その結果、企業はコスト負担を顧客に転嫁し、販売価格は23年10月以降で最も急速な上昇を見せた。
中国新築住宅価格、11月は伸び加速 経済対策の効果か=民間調査 | ロイター
中国の民間不動産調査会社の中国指数研究院が1日発表した11月の国内100都市の新築住宅平均価格は前月比0.36%上昇し、伸び率は10月の0.29%から加速した。前年同月比でも2.08%上昇から2.40%上昇に拡大した。
政府は過去数カ月間、住宅購入時の減税や頭金減額など各種規制を緩和し、マイホーム機運を刺激する経済対策に乗り出しており、その効果が表れたとみられる。
住宅価格の公式データは16日に統計局が発表する。
ロイター調査によると、一連の政策の効果が出始めることで、2024年と25年の住宅価格は下落ペースが緩やかになり、26年には価格が安定化する見通しだ。
中国の対日感情、尖閣国有化時並みに悪化 日中世論調査 - 日本経済新聞
日本の非営利団体「言論NPO」と中国国際伝播集団は2日、日中両国で実施した共同世論調査の結果を発表した。日本への印象を「良くない」と答えた中国人は合計で87.7%だった。2023年調査より24.8ポイント上昇した。
調査を始めた05年以降で2番目に高い。最も高かったのは日本が尖閣諸島を国有化した際の13年で92.8%だった。日本人の対中感情はやや改善した。中国への印象を「良くない」と答えた日本人は合計で89%で前回調査比で3.2ポイント下がった。
日中関係への認識でも温度差が浮き彫りになった。「関係は重要」とした人は日本が67.1%と微増だったのに対し、中国は26.3%で33.8ポイント急落し、過去最低を記録した。
日本に関する情報源として「微博(ウェイボ)」や動画共有アプリ「ティックトック」の中国版「抖音(ドウイン)」などのSNSが上位になっていることもわかった。対日感情に影響を与えている可能性がある。
世界の紛争や緊張の原因がどこにあるかも聞いた。ロシアを念頭にした「核保有国で、安保理の常任理事国である国が他国を侵略し、核使用の威嚇を行うなどしていることを世界が止められないこと」との回答が日中ともに最も多かった。
日本が32%で、中国が41%だった。両国ともに「国連が機能していないこと」という回答が日本で28.5%、中国で19.9%だった。
調査は24年の10~11月に両国で18歳以上の男女を対象に実施した。日本は全国で1000人、中国は北京、上海など10都市で1500人から回答を得た。
ロシア戦時経済に新たな亀裂露呈 ルーブル急落で - WSJ
2年を超える戦争と制裁の中、驚くほどの強じんさを見せてきたロシア経済に突然、深刻なひずみが現れ始めた。
ロシアの通貨ルーブルが急落し、インフレが急激に高進している。ウラジーミル・プーチン大統領は先週、国民に対し、パニックを起こす理由はないと述べた。
経済状況が変化したきっかけは、バイデン米政権がロシアの銀行ガスプロムバンクへの制裁を決定したことだ。同銀は制裁を免れていたロシア最後の主要銀行で、ロシア政府は兵士への給与の支払いや貿易取引の処理に利用している。米政府は50を超える他の金融機関も制裁対象に加えた。
ガスプロムバンクがこれまで制裁対象から除外されていたのは、ロシアからエネルギー供給を受ける欧州の国が代金を支払えるようにするためだった。同行はロシアからの輸出と引き換えに流入するハードカレンシー(国際決済通貨)にとって極めて重要なルートとなっていた。
LSEGのデータによると、ルーブルは先週終盤、対ドルで2年8カ月ぶりの安値を付けた。ロシアのウクライナ侵攻直後以来の安値水準となる。
ロシア政府関係者やアナリストによると、新たな制裁措置で既に圧迫されているロシアの貿易ルートが利用できなくなる恐れがあるという。
開始から間もなく3年になるウクライナとの戦争にとって、今は極めて重要な時期だ。ロシアは北朝鮮兵士とイラン製兵器の助けを借りて、前線に沿って前進している。米国のドナルド・トランプ次期大統領は戦争の早期終結を約束しており、現在と今後の対ロ制裁がどうなるかは不透明だ。
ロシア政府の支配下にあるガスプロムバンクは当初エネルギー関連の銀行業務のハブだったが、近年はその他の分野の国際決済でも重要性が高まっている。米国政府はガスプロムバンクを制裁対象とすることで、西側の金融システムへ最後の主要ルートの一つを止めようとしている。
ロシアは自国通貨のほか、中国人民元やインドルピーといった友好国の通貨での取引を増やしている。ロシア企業も暗号資産(仮想通貨)を利用したり、バーター取引を行ったりして制裁の影響を回避している。それでもドルの入手が極めて重要であることに変わりはない。
制裁の発表後、トルコはガスプロムバンクにロシアからの天然ガスの輸入代金を引き続き支払うことができるよう適用除外を確保するため、米国政府と協議することを明らかにした。欧州で今もロシア産ガスに依存する数少ない国の一つであるハンガリーも、解決策を探す意向を示した。
米シンクタンク、新アメリカ安全保障センターのレイチェル・ジエンバ上級研究員(非常勤)は、ガスプロムバンクへの制裁には「萎縮効果」があると指摘。「取引業者や輸出業者、外資系銀行は自分たちの負債がどこにあるかを把握しようとしている。したがって多少のパニックが起きるのは理にかなっている」とした上で、「数週間で新しいルートができるかもしれない」と語った。
2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始してまもなく、ロシア経済は大打撃を受けたが、大規模な政府支出と戦時経済への方向転換で成長を取り戻した。兵士への多額の支払いや低金利の住宅ローンが家計支援に一役買った。
軍事支出は今年、ソ連崩壊後の最高水準に達し、来年は総歳出額の3割を上回る1200億ドル(約17兆9600億円)超になる見通しだ。
ただこうした刺激策は危険な副作用をもたらしている。中でも注目すべきは、物価上昇率が中央銀行の目標の2倍以上のペースで推移していることだ。中銀は今年、政策金利を21%にまで引き上げたが、これまでのところ、過熱した経済を冷やす効果はほとんど見られない。労働年齢の男性が前線に派遣されたことによる記録的な労働力不足が、インフレをさらに加速させている。
ルーブル急落で輸入コストはさらに増える恐れがある。公式データによると11月の消費者物価の上昇率は既に9%に近い水準にあった。市場調査会社ロミールがまとめた代替指標によると、日用品・サービスの平均コストは11月半ばの時点で前年比28%増だった。
オックスフォード・エコノミクスの新興市場担当リードエコノミスト、タチアナ・オーロバ氏は、ロシア中銀が今月、政策金利を23%に引き上げると予想している。同氏はまた、政府が輸出業者に外貨収入の国内送金を増やすことを義務付ける資本規制を再び課すとみている。ロシア国内への送金が増えればルーブルの需要が高まる。
こうした取り組みや、ホリデーシーズン後の輸入減によってルーブルの価値は安定するかもしれない。だが、来年には利上げが経済をさらに圧迫し始め、2026年には景気後退(リセッション)が起きるとオーロバ氏はみている。農業や輸送など、政府の支援による後押しを受けない業界は縮小している。
「ロシア経済は今、おそらく転換点にある」とオーロバ氏は指摘する。「この厳しい金融引き締め政策が、経済をリセッションに追い込んでいる」
ロシアがより深刻な経済危機の瀬戸際にあると考える人はほとんどいないが、戦争が長引くにつれて困難が増すとみられている。
ピーターソン国際経済研究所のエリーナ・リバコワ上級研究員(非常勤)は「政策の折り合いをつけることは、ますます困難になるだろう」と語った。同氏によると、ロシアは医療や教育などの非軍事分野を犠牲にして戦争を優先することで、経済の見通しを悪化させ続ける可能性が高いという。
ロシアはトランプ氏のウクライナ停戦案を拒否する-プーチン派有力者 - Bloomberg
ロシア保守派の大物実業家で大統領府とも深い関係を持つコンスタンチン・マロフェーエフ氏は、トランプ次期米大統領が仲介するいかなるウクライナ停戦案も、ロシア政府は拒否するだろうと述べた。
金融グループを率いるオリガルヒ(新興財閥)のマロフェーエフ氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、ウクライナ中立化に法的拘束力を持たせることを含む追加的な譲歩をロシアは求めているため、合意には応じないだろうとの考えを示した。ただ、トランプ氏と最終的に合意する可能性は「五分五分」だとも語った。
マロフェーエフ氏は米国など西側の制裁対象となっている。
トランプ氏はウクライナでの戦争を24時間以内に終わらせると公約。だが、容易かつ迅速な合意にロシアが応じる意思はほとんどない兆しが積み上がっており、マロフェーエフ氏の発言もそれを裏付ける。同氏はプーチン政権の当局者ではないものの、ロシア強硬派の代表的な論客で、大金を投じて傘下のテレビ局「ツァールグラード」などで同国政府の主張を流布している。
マロフェーエフ氏はドバイでのインタビューで、「停戦はロシアが待ち望んでいる贈り物ではないと、米国の次期政権が理解することは重要だ」と述べ、「現時点での停戦はウクライナと米国にとっては有益だが、われわれにとっては何の得にもならない。ロシアが勝利しつつあるからだ」と続けた。
ロシアはウクライナ東部でじりじりと進軍を続け、過去数週間に拡大した占領地は今年のどの期間よりも大きかった。ロシア大統領府に近い関係者2人は先週、ブルームバーグに対し、同国が現在注力しているのは占領地の拡大だと指摘した。西側兵器によるロシア領内への攻撃を許可するなど、最近の米国のウクライナ支援措置が戦況を変えることができるかは不透明だ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は11月29日、ウクライナが支配する領土だけを北大西洋条約機構(NATO)の安全保障下に置くことと引き換えに、ロシアとの停戦に応じる用意があると示唆した。この発言をマロフェーエフ氏は歓迎。発言は「転換点」だと指摘し、ゼレンスキー氏は全ての領土を奪還することなく戦争を終わらせる選択肢を排除していないとの見解を示した。
ジョージア野党指導者を逮捕、EU加盟交渉停止への抗議デモ続く | ロイター
ムーディーズ、ハンガリーの見通しを「ネガティブ」に引き下げ | ロイター
ルーマニア議会選、極右勢力拡大 首相与党が第1党 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
PG&Eが下落 資金調達計画を発表=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
カルフォルニア州で電力・ガスの公益を手掛けるPG&E<PCG>が下落。資金調達計画を発表。12億ドル規模の普通株と12億ドル規模の優先転換社債を発行する。同社はまた、2024年通期の利益のガイダンスを再確認した。
調達した資金の使途は、5年間の資本投資計画への資金提供を含くむ一般企業目的としている。
●その他
新電化時代、必要なのはガラクタ - WSJ
世界最大の鉱山会社の一つが米国でがらくたや古い携帯電話、ごみの埋め立て地を掘り起こしている。エネルギーの転換やデータセンターブームで必要とされている銅があるからだ。
97年の歴史を持つスイスの資源大手グレンコアの銅製錬所はカナダの亜寒帯林にある。外には破砕された携帯電話や自動車、使われなくなったコンピューター用のケーブルが9メートルほどの高さにまで積み上げられている。これらのスクラップはここで銅精鉱と一緒に溶かされ、新たな金属板になる。
この銅製錬所では以前から古い電子機器を原料の一部に使用してきたが、最近はグレンコアを含む銅生産会社がスクラップにまで手を伸ばし、リサイクル能力の拡大に多額の資金を投じている。
化石燃料からより再生可能なエネルギーへとシフトし、コモディティー(商品)市場の構造変化が見込まれている。米国で必要とされる原油や石炭が減り、電化が進めば、代わりに電気自動車(EV)用電池に使用されるリチウムや、より大きな電柱に使用される松の木がこれまで以上に必要になる。銅もそうだ。
「私たちは今後25年間で、人類が今まで消費してきた以上の銅を消費するだろう」。グレンコアのリサイクル担当グローバル責任者、クナル・シンハ氏はこう話した。「そのような規模に挑もうとしている」
さまざまな製品の回路基板が米ロードアイランド州にあるグレンコアの施設に届く。ここで銅や貴金属含有量を特定する
中国の近代化に伴い、銅の消費量はこの数十年で急増した。2022年に米国で再生可能エネルギー開発を推進する法律が成立し、銅の需要はさらに増えた。人工知能(AI)開発の支援やスマートフォンの動画保存のために建設されているデータセンターも至る所に銅が使われている。スマホ自体もそうだ。
グレンコアの推計では、世界の銅供給量は2050年まで年間約100万トンのペースで増加する必要がある。それだけ供給するには、チリにある世界最大の銅鉱山、エスコンディーダ鉱山の生産量に相当する量を毎年追加しなければならない。
豊富な埋蔵量が見つかったとしても、鉱山を稼働させるには数十年かかることもある。シティグループの金属ストラテジスト、トム・マルクイーン氏によると、そうした事情から鉱山開発企業は新たな需要に迅速に対応できず、スクラップが市場のバランスを保っている。
銅の需要予測は中国の景気低迷や製造業の落ち込み、エネルギー転換の失速で外れることもありうる。
米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が勝利した翌日の11月6日、トレーダーはトランプ氏の選挙公約から中国との貿易摩擦がエスカレートし、クリーンエネルギーの奨励策が縮小されると考えた。
シティの基本シナリオは、銅価格が来年半ばまでに高値を更新すると予想しているが、マルクイーン氏はトランプ氏の勝利と投資家を失望させた中国の経済政策の発表以降、予想はより大きなリスクにさらされていると指摘する。
エネルギーデータ会社ウッド・マッケンジーの推計によれば、2050年には銅需要の約半分がリサイクル銅で賄われる見通しで、現在の約3分の1から上昇する。米国で発生するスクラップの多くは現在、アジアに送られているが、銅生産会社は北米のリサイクル能力を増強している。
ドイツの伸銅メーカー、ウィーランドは2022年、米ケンタッキー州シェルビービルで1億ドル(約155億円)を投じてリサイクル施設の建設を開始した。現在は、同施設の拡大に向けて2億7000万ドルの補助金を得るためエネルギー省と交渉している。
同じくドイツ企業アウルビスも、ジョージア州オーガスタに8億ドルをかけてリサイクル施設を建設中だ。広報担当者によると、同社は既にスクラップの調達を開始しており、来年には銅の生産を開始する見通しだという。
グレンコアは2013年にスイスの鉱山大手エクストラータを合併した際、カナダ・ケベック州ルイーヌノランダにあるホーン製錬所を取得した。地元の鉱山が掘り尽くされた後、1980年代に電子機器のリサイクルが同製錬所で最初に行われた。
過去の所有者は、カリフォルニア州サンノゼに古いコンピューターを収集する施設を造った。またロードアイランド州には、回路基板や古い銀製食器などの素材を受け入れ、銅や貴金属の含有量についてサンプル調査を行い、価格を付ける施設を開設した。グレンコアのシンハ氏によると、同社は最近、アーカンソー州で倒産した電子機器のリサイクル施設を買収しており、この施設もスクラップの収集に使用するという。
トロント、スイス、ニューヨークにいるグレンコアのトレーダーはスクラップを探し回り、約40カ国から集められた原料はホーン製錬所に送られる。製錬所の門にも回収箱が設置され、4万2000人の住民が古いケーブルや壊れたトースターを捨てに来る。
シンハ氏によると、グレンコアは分解やリサイクルが容易な製品の設計を目指して、電子機器や太陽光パネルのメーカーとも協力している。
「ほとんどの人は製品の寿命が終わった後のことを考えて作っていない」とシンハ氏は言う。
グレンコアは自動車が廃棄されている埋め立て地も調査している。自動車が廃棄されると、使える部品や金属の多くが取り除かれ、残りは破砕されて「自動車破砕残さ(ASR)」と呼ばれる素材になる。
グレンコアは既に破砕前の自動車から取り出した銅を購入しているが、同社の納入業者は銅を確保するためASRが多く廃棄されている埋め立て地を掘り起こし始めている。グレンコアの試験では、埋められたASRの銅の濃度が鉱山の濃度の2倍以上になる可能性があることが分かった。
ケベック州に積み上げられているスクラップはさらに細かく砕かれて、溶解炉に投入される。シンハ氏によると、投入物に占めるスクラップの割合は通常15%程度だという。責任者が製錬プロセスの熱や化学現象に影響するプラスチックなどの素材を考慮してスクラップと銅精鉱と混ぜ合わせる。
最終的に溶けた金属が鋳型に注がれ、重さ約340キログラムの板ができる。板は冷却後に約640キロメートル離れたモントリオールにあるグレンコアの精錬所に運ばれ、再び溶かされて微量のプラチナやパラジウム、銀、金を除去、回収する。
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(2日)ユーロ1%下落、株まちまち | ロイター
### **為替市場**
- **
- **ユーロ安**:
- **
- **ユーロ/ドル**は1.0469ドル(1%安)で推移し、11月初旬以来最大の下落幅となる見込み。
- **背景**: フランスの内閣不信任案可決の可能性が高まり、財政赤字削減計画の停滞懸念が浮上。
- アナリストの指摘: 仏政局の混迷に加え、米経済指標が市場予想を上回る結果となり、ユーロに圧力。
- **ドル指数**は0.3%上昇し、106.33を記録。
- **米経済指標**: 11月のISM製造業景気指数は48.4(前月46.5)で改善。
- FRBのウォラー理事が12月の利下げを支持する発言を受け、利下げの確率が79%に上昇。
- **円相場**: ドル/円は0.2%下落し、149.37円。
### **米株式市場**
- **S&P500**
- **S&P500**および**ナスダック**はハイテク株主導で上昇。
- **ダウ工業株30種平均**は小反落。
- 投資家は今週発表される雇用統計を含む経済指標に注目。
### **コモディティ市場**
- **
- **金先物**:
- 2
- 2月物は1オンス=2658.50ドル(0.84%安)。
- **背景**: トランプ次期大統領による「脱米ドル」へのけん制発言が影響。
- **原油先物**:
- WTI
- WTI原油1月物は68.10ドル(+0.15%)、2月物は67.84ドル(+0.12%)。
- **背景**: 中国の需要回復期待と中東地域の供給懸念が支援材料。
### **まとめ**
- **
- **為替市場**ではユーロが仏政局リスクで下落、ドルが強含む展開。
- **株式市場**はテック株が上昇を牽引する一方、金価格は反落。
- **原油市場**では中国需要や地政学リスクがプラス材料となった。
【欧州市況】仏独債のスプレッド拡大、仏政治危機で-ユーロも下落 - Bloomberg
10年物のフランス債とドイツ債のスプレッドは8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大して89bpと、2012年以来の大幅な開きに迫った。フランスの主要株価指数であるCAC40指数は一時1.2%安まで売り込まれたが、その後は戻してほぼ変わらずで取引を終えた。この日はユーロも下落。一時は対ドルで1%超下落した。
一方のドイツ債は安全逃避の買いが入り、10年債利回りは8日連続で低下。フランス債以外のユーロ圏国債は総じて上昇した。
短期金融市場では欧州中央銀行(ECB)による来週の利下げは28bpと織り込まれており、0.5ポイント利下げの観測は後退している。ただ、来年の利下げ見通しは加速しており、2025年末までに162bpの利下げが想定されている。
欧州市場サマリー(2日) | ロイター
### **ロンドン株式市場 (FTSE 100)**
- **FTSE 100
- **FTSE 100指数**は約1カ月半ぶりの高値で続伸し、取引を終えました。
- **背景**: ポンド安により、ドル建て収益が多い国際企業に有利な環境が整ったため。
- 主要企業の動き:
- **
- **ユニリーバ** +0.9%
- **HSBC** +0.7%
- **
- **HSBC** +0.7%
- **アングロ・アメリカン** +1.7%
-
- 中型株指数**(FTSE 250)**は小幅に下落。
- **住宅建設セクター**が影響を受け、**ビストリー・グループ**(-3.9%)や**パーシモン**(-1.3%)が値を下げました。背景にはRBC証券による投資判断の引き下げがあります。
- **PMI指標**: 英国11月製造業PMI改定値は48.0(前月49.9)と低下。供給網の混乱とコスト上昇が主因。
### **欧州株式市場**
-
- ドイツの**DAX指数**は+1.57%で過去最高値を記録。ユーロ安が輸出企業を支援。
- フランスの**CAC 40指数**は政局混乱の中で横ばい。
- **背景**: 極右・左派政党がバルニエ首相への不信任案支持を表明。
- 銀行株は軟調 (クレディ・アグリコル -0.9%、BNPパリバ -1.2%)。
- 高級品セクターが堅調:
- **
- **エルメス** +4.8%
- **LVMH** +3.3%
### **
- **LVMH** +3.3%
### **債券市場**
-
- フランスの政局不安が債券市場に波及:
- **
- **独仏10年債利回り格差**: 7bps拡大し87bps(ユーロ危機以降の高水準)。
- **フランス10年債利回り**: 一時2.921%まで上昇。
- ドイツ10年債利回りは低下し、2.035%を記録。
- ユーロ圏製造業PMI改定値は45.2(前月46.0)で、引き続き不況領域。
●海外企業決算
[CPB] キャンベルズ 1Q増収最終減益 売上高10%増27.7億ドル、純利益7%減2.18億ドル、配当0.39ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
カタール国営石油・ガス会社カタールエナジーは2日、同業大手の英シェルと、液化天然ガス(LNG)の長期売買契約を締結したと明らかにした。中国向けに年間300万トンを供給。2025年1月から開始する。
カタールエナジーはシェルとの契約締結について、中国でLNG市場の拡大が続いていることが示されたと指摘した。ただ、具体的な契約期間については言及しなかった。
中国は世界最大のLNG輸入国。同国税関のデータによると、23年の輸入量は7100万トンに上る。21年は過去最高の約7900万トンと、過去最高水準に達した。
シェルは、LNG市場は23年の年間約4億トンから40年までに約50%拡大すると予想。アジア経済が成長していることや、発電で使用する燃料が、石炭から大気汚染の排出が最も少ないガスに移行していることを理由に挙げた。
カタールは、米国、オーストラリアに次いで、世界3位のLNG輸出国。調査会社クプラーのデータと分析によると、カタールは今年これまでに7300万トンを輸出している。
ブラックロック、プライベートクレジットHPSを120億ドルで買収 - Bloomberg
米資産運用会社ブラックロックは3日、プライベートクレジット会社HPSインベストメント・パートナーズを買収することで合意したと発表した。全額株式による取引で、買収額は約120億ドル(約1兆8000億円)。ブラックロックはこの買収により、プライベートクレジット部門のトップ企業に仲間入りする。
ブラックロックの発表によると、HPSの創業者スコット・カプニック氏、スコット・フレンチ氏、マイケル・パターソン氏は、ブラックロックの新しいプライベート・ファイナンス・ソリューション事業を率いることになる。
ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は発表した声明で「HPSの規模、能力、専門知識を活用し、パブリックとプライベートを円滑に融合させた課題解決策を顧客に提供していく」と述べた。
買収手続きは、規制当局の承認を経て、2025年半ばに完了する見通しだ。買収によって、運用資産総額11兆5000億ドルのブラックロックは、6000億ドル近いオルタナティブ資産を保有することになる。
株式や債券の運用では世界最大のブラックロックを、年金機構や保険会社、政府系ファンド、富裕層が注目するプライベート資産の有力なプレーヤーに変貌させるべく、フィンク氏は1年かけ取り組みを続けてきた。ブラックロックは10月にはグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)の125億ドルの買収を完了。HPSと合わせると、1年足らずでオルタナティブ投資会社の最大規模の買収を2件も成功させたことになる。
HPSは顧客資産の管理総額が1480億ドルに上り、急成長するプライベートクレジット市場では、最大規模の独立系運用会社の一つだ。
HPSの買収により、ブラックロックのオルタナティブ投資事業は規模の上ではカーライル・グループを超え、KKRやアポロ・グローバル・マネジメントと肩を並べることになる。
AT&T、27年までの持続的な利益成長を予想-自社株買い実施へ - Bloomberg
米通信大手AT&Tは、向こう3年間の持続的な利益成長を予想。2027年については2桁の増益率になるとした。携帯電話と光ファイバー網への投資が実を結ぶと見込んでいる。
同社の3日発表によれば、2025年の利益は一部項目を除いたベースで1株当たり1.97-2.07ドルを予想。その上で、2年後については「増益率が2桁に加速する」との見通しを示した。
新たな予想には、AT&Tが所有する衛星テレビ会社ディレクTVは含まれていない。AT&Tは25年前半にディレクTVの売却を完了する見通し。数年にわたるリストラと債務削減への注力を経て、ようやく通信事業者としての原点に戻ることになる。
利益成長の加速により、AT&Tは株主への現金還元を増やすことが可能になる。1株当たり1.11ドルという年間現金配当の維持に加え、同社は200億ドル(約3兆円)相当の自社株買いを承認しており、27年末までの完了を見込んでいる。全て合わせると、AT&Tは今後3年間に配当と自社株買いを通じて400億ドル超を株主に還元する計画だ。
2024年通期については、調整後利益を1株当たり2.20-2.25ドルと予想。これにはディレクTVからの同30セントの寄与が含まれる。ディレクTV分を除いたベースでは、1株当たり最大1.95ドルと見込んでいる。
インテルは新たな最高経営責任者(CEO)探しでは外部人材の起用に重点を置く方針で、半導体企業マーベル・テクノロジーのマット・マーフィーCEOや、ソフトウエア会社ケイデンス・デザイン・システムズの元CEOリップブー・タン氏らを候補として検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
非公開情報であることを理由に匿名で述べた関係者によると、インテルは新CEO探しと各候補者の評価で人材会社スペンサースチュアートに協力を依頼。同社のこれまでの伝統とは異なり、外部からのトップ起用が検討されているという。
インテルは2日、パット・ゲルシンガーCEOの突然の退社を発表。かつて半導体業界の盟主だった同社の先行きが不透明さを増す中、新たなリーダー探しは急務となっている。
ゲルシンガー氏は約3年前にCEOに就任して以降、苦境に陥ったインテルの再建計画に取り組んできた。後継者育成の時間は十分になく、現在はデービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)と製品部門責任者ミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定共同CEOに就いている。
インテルの問題、大きすぎて解決不能か - WSJ
パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)による米半導体大手インテル再建の試みは突然終わりを迎えた。次に同社を率いるのが誰であろうと、偉大な功績を求められることに変わりはない。
インテルは2日、ゲルシンガー氏がCEOを退任し、取締役会からも退くと発表した。平和的な移行を装ってはいても、実情は明白だった。ゲルシンガー氏は「ほろ苦い」日だと述べ、フランク・イヤリー取締役会議長はプレスリリースで、「投資家の信頼回復」という目標に言及した。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、インテル株の11月29日終値は2021年初めのゲルシンガー氏のCEO就任日を61%下回り、フィラデルフィア半導体指数(SOX)の構成銘柄で値下がり率トップだった。S&P500種指数は同期間に53%上昇した。
こうした不振の後のCEO退任が希望をあおるのは当然で、インテル株は2日午前に5%余り急伸した。ただその後は値を下げ、小幅安で取引を終えた。退任を受け、短期的にも長期的にも同社の先行き不透明感が増している。取締役会が後任を探す間、デービッド・ジンズナー最高財務責任者(CFO)とパソコン向けチップ事業を率いるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定共同CEOを務める。インテルのプロセス(ノード)が半導体ファウンドリー(受託生産)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に追いつきかけているとされる中、トップが宙に浮く格好となる。
その競争の集大成が「インテル18A」と呼ばれる製造プロセスだ。インテルは10月31日の決算説明会で、このプロセスでは初のチップを来年半ばに出荷する見通しを明らかにした。インテル18Aの成功に多くのものがかかっている。ゲルシンガー氏は4年間で五つの「ノード」を実現する計画を掲げていた。インテル18Aはその最終段階となる(インテルはかつて一つのノードに少なくとも2年を費やしていた)。
このため、あと一歩のところでのCEO交代に驚きの声が上がるのも無理はない。TDカウエンのジョシュア・ブチャルター氏は2日付の顧客向けメモで、「『4年間で五つのノード』という指針の旗手だったゲルシンガー氏の突然の退任は、インテルの今後の戦略的道筋に不安を感じさせる」と述べた。バーンスタインのステイシー・ラスゴン氏も自身のリポートで、「少なくともインテル18Aが世に出る(そしてその競争力が明らかになる)まではパットが残りそうな気がしていたが、そうはならず、今後プロセスの確実性に何か悪い知らせが出てくるのではないかと勘繰らざるを得ない」と述べた。
インテルは他にも、自社製チップの販売とファウンドリーの顧客獲得の両方で大きな課題を抱えている。現時点でどちらの取り組みも順調とは言えない。ファウンドリー事業は1~9月の損益が110億ドル(約1兆6400億円)以上の赤字で、赤字幅は前年同期の約2倍だった。また、データセンター部門の7-9月期売上高が5四半期ぶりに市場予想を上回り、これを受けて株価が大幅上昇したものの、同部門の年間売上高は20年のゲルシンガー氏就任直前の半分にとどまっている。
要因は、サーバー向けCPU(中央演算処理装置)チップ市場で米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)にシェアを奪われたことと、人工知能(AI)に使われる米エヌビディア製GPU(画像処理装置)チップの需要が急増したことだ。インテルもデータセンター向けGPUに取り組んだものの不発だった。同社は直近の説明会で、最近発売したGPUチップ「ガウディ」は今年の売上高が目標の5億ドルに届かないことを認めた。一方、ビジブル・アルファのコンセンサス予想によると、エヌビディアの現行のデータセンター向けGPU「ホッパー」は、25年1月期の売上高が830億ドル近くに達する見通しだ。
ゲルシンガー氏の退任で何らかの事業分離の可能性が高まると考える向きもある。製品・チップ設計事業が赤字のファウンドリー部門から切り離されるかもしれない。だがそれは極めて困難だろう。インテルは半導体支援法(CHIPS法)を通じて米政府から78億6000万ドルを受給しており、これは同社が自社工場の少なくとも50%を所有していることが要件だからだ。また、同社が米国最大の半導体メーカーであることを踏まえると、外国勢が同部門を買収しようとしても規制当局が承認する可能性は低い。
つまりインテルには容易な選択肢がなく、極めて困難な選択肢さえほぼない。チップ製造は複雑で、各プロセスと製品に何年もの研究開発を要する。同社が直面している苦境の多くは、ゲルシンガー氏が同社に復帰するはるか以前の戦略ミスに起因する。ウルフ・リサーチのクリス・カソ氏は2日付の顧客向けメモで、「戦略が変わる可能性があることでいくらか楽観論が出ているのだろうが、インテルは困難な状況にあり、誰が率いても前途多難だろう」と述べた。
インテルはすでにゲルシンガー氏の下で時価総額の3分の2近くを失った。次のトップを待つのは驚くほど厳しい試練だろう。
「通信とメディアの融合」夢捨て復調 米通信AT&T - 日本経済新聞
米穀物カーギル、人員削減8000人 収益悪化うけリストラ - 日本経済新聞
●日本企業
トランプ次期米大統領は2日、USスチールは一連の税制優遇措置や関税を通じて再び強くなると述べ、日本製鉄による買収計画に改めて反対を表明した。
トランプ氏は自身のソーシャルメディアで「かつて偉大で強力だったUSスチールが外国企業、今回は日本製鉄に買収されることに私は全面的に反対だ」と述べ「私はこの取引を阻止する。買い手は用心せよ!」とした。
日鉄はトランプ氏の発言を受けてコメントを出し、USスチールを支えて成長させることができると買収計画を改めて説明。「米国産業界、米国国内のサプライチェーンの強靭(きょうじん)化、米国の国家安全保障を強化するものと考えている」とした。
日鉄のUSスチール買収は、大統領選挙中にバイデン氏も反対を表明していた。複数の関係者によると、石破茂首相は先月、バイデン大統領に書簡に送り、買収計画を承認するよう求めたことが分かっている。
日鉄の森高弘副会長は先月の決算会見で、買収について「間違いなく年末までにクローズできる」と自信を示していた。
野村証社長が元社員起訴で謝罪、報酬返上-リテール部門で再発防止策 - Bloomberg
●先進国政治動向
アルマン仏財務相は3日、予算と政府の将来を巡る不確実性によりフランスは重大な局面を迎えていると述べた。
国内の式市場と債券市場は、予算案への反対でバルニエ政権が今週崩壊するとの見方から打撃を受けている。
アルマン氏はフランス2テレビに「国は転換点にある。政治家には不信任案可決で国を不確実性に陥らせない責任がある」と語った。
バルニエ首相は3日1900GMT(日本時間4日午前4時)ごろからニュース番組で演説する予定。4日か5日には不信任決議案が審議される見込みとなっている。
内閣不信任案が可決されれば1962年以降で初めて。
600億ユーロ(629億ドル)の増税と歳出削減を通じて財政赤字拡大に歯止めをかける措置が盛り込まれた来年予算案は極右政党「国民連合(RN)」と左派連合「新人民戦線(NFP)」の反対に直面。両党を合わせれば内閣不信任可決に十分な票数となる。
不信任案が可決されれば、バルニエ首相は辞任を申し出ることになるが、マクロン大統領は新首相が決まるまでバルに江氏に暫定首相として職にとどまるよう要請する可能性がある。新首相の選出は来年になる可能性がある。
バイデン米大統領の次男恩赦、民主党からも批判や懸念相次ぐ | ロイター
バイデン米大統領が次男ハンター氏に恩赦を与えたことについて、共和党だけでなく民主党内からも批判が相次いでいる。一部の民主党議員は、悪しき前例となり、トランプ前大統領の攻撃から民主党が守ろうとした司法制度に疑念を抱かせると懸念している。
バイデン氏は1日、銃の不法購入・所持で有罪評決を受け、税務不正で罪を認めたハンター氏の無条件恩赦に署名。息子が政敵によって不当に起訴され、標的にされたと述べた。
バイデン氏はハンター氏に対する2件の有罪判決には介入しないと公言していた。民主党のグレッグ・ランズマン下院議員は「父親としては理解できる。だが、人々に政府の仕事を信じてほしいと願う人間としては、これは後退だ」とⅩに投稿した。
トランプ氏は自身に対する一連の捜査で、米司法制度は民主党によって武器にされた腐敗した制度だと激しく非難してきた。トランプ氏から連邦捜査局(FBI)長官に指名されたカシュ・パテル氏を含む次期政権メンバーは、承認されれば司法制度を覆し、職員を解雇するなどと述べている。
民主党はトランプ氏が有罪判決を受けた事件で司法の公正さと信頼性を擁護してきたが、バイデン氏の恩赦でこれまでの主張が説得力を失う恐れがあると、党員の多くは懸念しているという。
一方、オバマ政権下で司法長官を務めたエリック・ホルダー氏はXへの投稿で、ハンター氏は不起訴処分になるべきだったとし、「恩赦は正当化される」とバイデン氏を擁護した。
【社説】バイデン氏が息子に与えた恩赦 - WSJ
ジョー・バイデン米大統領や彼の報道担当者の1人は、バイデン氏が息子のハンター氏に恩赦を与えることはないと有権者に何度語っただろうか。今や、バイデン氏がよく言う「バイデンとしての言葉」を本人がどれほど真剣に受け止めているかが分かる。同氏は1日、刑務所行きから息子を救った。ほぼ前例のない広範な刑事免責を与えたのだ。
11月の大統領選後にバイデン氏が心変わりすることは予想できた。疑問の余地がある恩赦については、どちらの政党も潔白ではない。ハンター氏が今や正道を歩んでいるなら、それは喜ばしいことだ。依存症の経験がある多くの人々はバイデン一家が経験してきたことに同情するだろう。しかしわれわれは、大統領が実際に起きたことを書き換えて恩赦の政治的影響をごまかすのを許すわけにはいかない。
その見方は、銃に関する容疑についてはその通りかもしれないが、背景が重要だ。陪審は6月、コルト拳銃を購入した際に違法薬物の使用について虚偽の申告をしたことなど、銃器に関する法律違反3件でハンター氏に有罪評決を下した。このような違反が訴追されることはめったにない。一方で、ハンター氏のように自白のような回顧録を書く人はめったにいない。ハンター氏はその銃を、当時のガールフレンドが高校の向かいにある食料品店のゴミ箱に捨てるまで、11日間所持していた。
脱税に関しては米内国歳入庁(IRS)の内部告発者2人が、ハンター氏は特別に優遇されたと証言した。監督特別捜査官ゲーリー・シャプリー氏は議会で、ハンター氏の捜査の扱いについて、「私がIRS在職14年間に扱ったどの事件ともまったく違っていた。すべての段階で容疑者に有利な決定がされた」と述べた。ジョセフ・ジーグラー特別捜査官は故意を示す証拠として、ハンター氏が薬物の影響を脱していたと思われる2020年に、事業経費控除の虚偽申告容疑について認めたと指摘した。
ハンター氏の司法取引を不成立にしたのは政治ではなく、マリエレン・ノレイカ連邦判事だった。検察・弁護側双方は司法取引の条件に関して、今後訴追される可能性のある他の罪についてもハンター氏が赦免されるか否かという点で、法廷で合意できなかった。双方はまた、ハンター氏が司法取引の条件に従わなかった場合に検事が同氏を将来訴追できるかをノレイカ判事に決めさせることによって、ハンター氏を保護することを望んだ。判事はそれが合憲かどうか確信が持てなかった。
父親であるバイデン大統領は、ハンター氏が望んだ広範な保護を与えた。この無条件の恩赦の対象は、ハンター氏が2014年1月1日から先週末までに犯した可能性のある全ての犯罪行為だ。これにはトランプ氏の政権下でハンター氏を保護する狙いがある。2014年が重要なのは、ハンター氏がウクライナのエネルギー企業ブリスマとビジネスを始めた時期だからだ。同氏はブリスマから受け取った報酬について税金の支払いを怠った。
法律の専門家は、これほど広範な恩赦は、恐らくジェラルド・フォード大統領が前任者のリチャード・ニクソン氏に与えた恩赦以外、見たことがないと述べている。今回の恩赦は、民主主義の規範を守ると主張するバイデン氏が自ら破った規範のリストに付け加えられることになる。
トランプ氏は既に、次のあしき前例を正当化する理由として今回の恩赦を取り上げている。同氏は、2021年1月6日に連邦議会に乱入した暴徒らに対する恩赦を約束してきた。これは極めてひどい考えだ。この事件で警官に暴行した者まで恩赦の対象に含まれるなら、なおさらである。しかしMAGA(米国を再び偉大にというトランプ氏のスローガン)の支持者らが「ハンター氏の扱いはどうなのか」と連呼するのを覚悟しておく必要がある。トランプ氏は既に、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、今回の恩赦と「J6人質(議会襲撃事件で有罪となり服役している人々)」への寛大な扱いを結び付けている。
バイデン氏は「1人の父親であり大統領である私が今回の決断に至った理由を、米国民が理解してくれることを望んでいる」と述べた。父親として、なら理解できる。しかし、大統領としての最後を飾るには何と哀れな行動だろう。
バイデン氏は2020年、政治の常態への回帰を約束し、ハンター氏が親族としての影響力を悪用したことを弁護し、同氏のパソコンに残されていた情報はロシアによる偽情報だと主張した。その後はフランクリン・ルーズベルトのような大統領になろうとし、トランプ氏の訴追を促し、自身の息子に「収監回避」のカードを与えた。今後書かれる歴史書はバイデン氏に優しくないだろう。
イギリス、再選挙請願300万近い署名 保険料増額「公約違反」 - 日本経済新聞
フランス内閣、崩壊の危機-不信任投票4日に実施予定 - Bloomberg
フランス議会は4日に不信任投票を行う予定で、極右政党のリーダーであるマリーヌ・ルペン氏が左派連合と手を組んで内閣を倒す見通しだ。
バルニエ首相は2日、不人気な社会保障予算案を採決なしに採択するため憲法の特例条項を活用。これに反発し、ルペン氏が事実上率いる国民連合(RN)と左派連合の新人民戦線が内閣不信任決議案を提出した。
国民議会(下院)ではバルニエ氏を支える中道派の議席数が少ないため、極右と左派というありそうもない同盟は内閣を倒す十分な力がある。
内閣が倒れれば、首相の在任期間として1958年の第5共和制成立以降で最短。6月にマクロン大統領が突然選挙を宣言してからのルペン氏の台頭ぶりが鮮明になる。
予算に関する不透明と政治的駆け引きを投資家が嫌気し、フランス国債の利回りは先週一時、ギリシャ債と同水準にまで上昇した。
2日にはフランスとドイツの10年物国債利回りの差が8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と6月以来の大幅拡大となり、2012年以来の高水準に近い89bp同日の3日にやや縮小し86bp前後。
年末の予算期限間近での政府崩壊は、フランスを未知の領域に導くことになる。内閣が倒れた後も閣僚は留任し、暫定政府として政府機関の閉鎖を回避するための緊急立法を含む業務を遂行する。緊急立法によって徴税と最低限の支出は行えるようになるが、経済および金融への影響は予測困難だ。
アルマン経済・財務相は3日、政府が崩壊すれば経済全体に痛みをもたらす結果になるだろうと述べた。
緊急立法に頼れば、何百万もの世帯で支払う税金が増え、安全保障や農業などいくつかの優先事項で計画されていた追加支出ができなくなる可能性があると警告した。
「金利が上昇する経済、予算のない経済、不確実性に陥った経済では、どの分野も、どのフランス人も、どの企業も勝者にはなれない」とアルマン氏は3日、公共放送フランス2の番組で語った。
4日に内閣が崩壊した場合、新たな予算案を成立させるためにマクロン氏が新たな首相を任命することになる。しかし、どのグループも過半数を持たない分裂した議会の状況を踏まえると、その人選は容易ではないだろう。
新首相の任命に憲法上の期限はない。マクロン氏が再び議会を解散できるのは、前回の選挙から1年がたった来年7月以降になる。
左派はマクロン大統領に辞任を求めているが、大統領を辞めさせることは誰にもできない。次の大統領選挙は2027年に予定されており、ルペン氏が最有力候補だ。
仏バルニエ内閣は4日の不信任投票切り抜ける-マクロン大統領 - Bloomberg
フランスのマクロン大統領は、4日に予定されている国民議会(下院)での不信任投票を、バルニエ内閣は乗り切れるとの見通しを示した。極右・国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏は、左派連合と手を組んで内閣打倒を目指すとみられている。
マクロン氏は訪問中のリヤドで、記者団に対し、RNが不信任案を支持することは「耐え難いほど皮肉な投票行為」だとして、「彼らが左派連合の動議に賛成票を投じるとは考えられない」と述べた。
また、マクロン氏は、一部の野党議員が要求している2027年の任期満了前の大統領辞任はしないと述べた。
【コラム】政治不安のフランス、危機がついに始まる-ローラン - Bloomberg
ミシェル・バルニエ氏(73)がフランス首相に任命された9月、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る交渉をまとめ上げたこの穏健派政治家が、クリスマスまでに去るなどと予想する者はほとんどいなかった。
だが、今やその可能性は高い。極右・国民連合(RN)を事実上率いるルペン氏は、有権者の間でますます不評となっている緊縮財政予算案を巡り、政権打倒を誓っているが、それは単なる威嚇以上のものになってきた。バルニエ氏が電気料金への消費税引き上げや薬代の払い戻し削減などで、数十億ユーロに相当する譲歩をRNに提案した。それにもかかわらず、ルペン氏は折り合いを付けようとするのではなく要求の全面的な受け入れを迫る強硬な態度に転じた。
ルペン氏は今、反緊縮の「譲れない一線(レッドライン)」を巡り、内閣不信任案を支持すると言っている。次に誰が首相に就こうとも、このレッドラインが、その機能をまひさせる可能性が高い。シティグループのエコノミストは先週、「少なくとも来年の秋までは、いかなる政策の余地もフランス政府にはないだろう」との見方を示した。
奇跡ない限り
EU第2の経済大国フランスは今、クリスマスの奇跡がない限り、承認された予算も機能する政府もないまま新年を迎えるリスクに直面している。予算の繰り越しを可能にする特別法や、新首相や暫定首相の任命といった混乱を和らげるための制度はあるが、政治的な行き詰まりが巨額の負債と赤字に拍車をかけるにつれ、金融市場への圧力は高まるだろう。ブルームバーグ・エコノミクスは、財政調整が行われなければ、フランスの債務水準は急上昇し、2027年までに国内総生産(GDP)の120%を超える可能性があると推計している。
ただし、フランスはギリシャのような債務危機の瀬戸際にいるわけではない。フランスには強固な制度があり、欧州のパートナーからの支援も受けている。先週S&Pのアナリストが指摘したように、フランスの国民資産は推定20兆1000億ユーロ(約3160兆円)で、GDPの686%に相当する。欧州中央銀行(ECB)の金融緩和路線も圧力を抑えるはずだ。
とはいえ不確実性のレベルは高く、経済に波及する影響も大きい。フランスとドイツの国債利回り差(スプレッド)の拡大や、来年に償還期限を迎える3500億ユーロ相当のフランス国債の利回り上昇からも、それが分かる。市場の信頼感が低下すれば、投資決定が遅れたり、借り入れコストが上昇したりと、あらゆる面で成長が阻害されるリスクがある。
明らかに失敗
持続可能な財政に対する認識の面で、フランスのエリート層は明らかに失敗していた。理論的には、マクロン大統領の2期目の任期が終わる2027年までに、1100億ユーロの財政緊縮が必要とされる。だが、しばしば飛び交う「危機」という言葉は、今に至るまでパフォーマンスとみなされてきた。
7月の緊急選挙後、単独で過半数を占める政党がない中、各党は左も右もまとまりを欠き、政治的な都合でバルニエ氏の予算を削ることに注力している。極右と左派の各党は、GDPの14%が退職後の資金として使われているこの国で、年金改革の撤回を求めている。バルニエ氏は、長年の英国との交渉経験にもかかわらず、自らの立場が弱いことを過少評価していたようだ。
そしてルペン氏は、RNの外見上の穏健化戦略をかなぐり捨て、混乱に陥れて支持者を減らすリスクを冒すことさえいとわない構えだ。どんな危機も最終的にはマクロン氏の退陣を早め、選挙での勝利の可能性を高めるとルペン氏はもくろんでいるようだ。
EU離脱を唱えた過去の英国指導者らは、確信に乏しく、正確性も欠いたまま、「悪い合意よりは、合意なき離脱の方がましだ」と口にしていた。フランスでも同様の考えが支配的になっているように思われる。「悪い予算よりは、予算なしの方がましだ」というわけだ。見当違いも甚だしい。ルペン氏の言うレッドラインに相当する、未知の世界への転落を回避できる可能性があるのなら、そのチャンスをつかむべきだ。それができない場合、次に起こる事態からの唯一の希望は、現実を身に染みて思い知れ、ということだけだ。
フランスのマクロン大統領、辞任否定 バルニエ内閣不信任案巡り - 日本経済新聞
フランスのマクロン大統領は3日、バルニエ内閣の不信任決議が成立すれば大統領も辞任するとの見方を否定した。任期の「最後の1秒まで全力を尽くし」、職務を全うすると述べた。
訪問先のサウジアラビアで記者団の前で語った。仏メディアが報じた。
極右の国民連合(RN)などの野党はマクロン氏によるバルニエ首相任命の責任を問い、大統領職を退くよう要求している。仏議会における大統領弾劾手続きのハードルは高く、マクロン氏が意思に反して辞職に追い込まれる可能性は限定的だ。
左派とRNは2日、それぞれバルニエ内閣の不信任案を議会に提出した。投票は4日(日本時間5日)の予定だ。バルニエ氏が憲法規定を適用し、議員投票を経ずに緊縮型の予算を強行採択しようとしたことに反発した。
左派とRNの議席を合わせると国民議会(下院)の半数を超え、不信任案は成立する公算が大きい。マクロン氏は「不信任決議は信じない」と述べ、内閣総辞職を回避する道があるとの見方を示した。
もっとも仏経済紙レゼコーなどによれば、マクロン氏は不信任案が成立すれば早期にバルニエ氏の後任を指名したい意向だ。候補者の選定を進めているとみられる。
バルニエ氏もこの日出演した仏テレビTF1の番組で、不信任決議回避の余地は残っているとの見方を示した。「議員にはそれぞれ責任が伴う。責任を持った反応が出てくる可能性がある」と述べた。
また政府債務の増大や金利上昇による国民負担の大きさにも触れ、財政再建の重要性を改めて訴えた。「莫大な金利を中国や日本、米国の投資家に支払っている」と強調した。
トランプ氏の不法移民送還、米雇用にどう影響 - WSJ
ここ数年、移民は米国の労働力と雇用の成長の重要な源となってきた。ドナルド・トランプ次期大統領の計画は、その成長がもたらされるペースをほぼ確実に鈍化させるだろう。問題はどの程度かということだ。
就業者数は今年、月間平均17万人のペースで増加してきた。トランプ氏が不法移民の取り締まりと強制送還をどう実施するかによって、来年の月間増加幅が2万5000人から10万人減少する可能性があることが、独立した機関の推計で示された。
米議会予算局(CBO)は、2021年以降、移民の流入で米国の人口が約1000万人増加したと推計している。このうち移民ビザや就労ビザ、学生ビザで、または難民として合法的に入国したのは3分の1未満だった。残りの移民の多くは不法に国境を越えたか、ビザの有効期限を過ぎても米国内に滞在した。入国後に人道的理由で滞在を申請するケースもよく見られた。
国土安全保障省は、移民が記録的に増加するよりも前の2022年時点で、約1100万人の不法移民が米国に滞在していたと発表している。移民政策研究所によると、不法移民の中には約300万人の「ドリーマーズ」が含まれる。子ども時代に親に連れられて米国に入り、国内で育った人たちのことだ。
これらの移民の存在は、米国の移民・国境政策を巡る論争を引き起こし、大統領選におけるトランプ氏の大きな勝因となった。とはいえ、移民は米国経済において重要な役割を果たしている。
トランプ氏は、不法移民の「侵入を阻止」し、「米国史上最大の強制送還作戦」を実行すると公約している。いずれの目標もどのように達成するかについて具体的な説明はほとんどないが、大統領には、ここ数年で移民が国に入る際に利用してきた多くのルートを制限する広範な権限がある。
トランプ氏が移民を強制送還する取り組みの責任者に指名したトム・ホーマン氏は、FOXニュースのインタビューで、少なくとも最初の段階では、移民の一部のみを対象とすることを示唆した。「公共の安全に対する脅威と国家安全保障上の脅威」をもたらすと見なされる移民、そして出国を命じられたがまだ米国に滞在している移民だ。
米国で有罪となったが拘束されていない非市民は、7月時点で42万5431人に上ると移民税関捜査局(ICE)は報告している。ICEは既に、公共の安全に脅威を与える人物の国外退去を優先していると明らかにしている。最も多い違反行為は交通違反だった。
トランプ氏の移民政策が労働力に与える影響については、近年ほとんど前例がない。米国内からの移民の強制送還(国境での送還とは異なる)は2009年に24万3000人と、ピークに達した。当時は2007~09年の景気後退の真っただ中だった。その後の10年間は年間平均12万6000人に減ったが、この期間の労働市場は現在よりも全般的に低調だった。
米国に不法滞在する移民の全員もしくは大部分を退去させたり、公約したように「国境を封鎖したり」することができなくても、トランプ氏の政策が影響を及ぼすことは間違いない。
移民労働者の供給が減少すれば、建設、食品加工、レストラン、ホスピタリティーといった、移民を多く雇用している分野で賃金と物価に上昇圧力がかかる可能性がある。国勢調査局によると、2020年以降に入国した移民は昨年時点で米国の人口の1.8%を占めていたが、職業別では屋根工事労働者の8.1%、農業労働者の6.7%、建設労働者の5.6%、メイド・家事清掃員の5.6%が移民だった。
ブルッキングス研究所のエコノミスト、ウェンディー・エデルバーグ氏は「これらの分野では労働力の供給が減少するだろう」と述べ、他に別の要因がない限り、物価が押し上げられるとの見方を示した。
ゴールドマン・サックスとJPモルガンはいずれも、純移民数(入国者数から出国者数を差し引いた数)が、2023年のピーク時の年間330万人から、前回のトランプ政権当時の同約75万人のペースに戻ると予測している。2010年代の平均は同91万9000人だった。
ゴールドマンは、合法的に入国する年間約100万人の移民の数はほとんど変化しないと予測している。ただ人道的理由で入国を許可された移民や、移民裁判所で今後審理が行われる移民については、大幅に減少すると見ている。
対照的にエバーコアISIは、純移民数がマイナスになると予測する。2025年には流出が流入を10万人上回り、2028年にはその差が60万人に増加すると見込んでいる。
ブルッキングスの研究者らは、2025年のトランプ政権下での純移民数について「高位」と「低位」のシナリオをモデル化した。予測範囲の幅は純増122万人~純減74万人となる。
ブルッキングスのエデルバーグ氏は「それでも彼の目標には遠く及ばない」と述べ、法的な障害と世論が、トランプ氏が米国史上「最大の国外追放」を実行するのを妨げる可能性が高いと指摘した。ただ、それでも米国の人口増加のペースは急激に鈍化すると予想した。
エデルバーグ氏は「われわれの経済は成長が鈍化し、労働力の成長も鈍化していく。ある意味、これは単なる計算上の話だ」とした上で、「痛みを伴うのは、そのような変化が非常に急激に起こることだ」と指摘した。
トランプ氏の政権移行チームの報道担当者キャロライン・レビット氏は、本当の経済危機は不法移民が米国のコミュニティーと労働者に負わせるコストだと述べた。トランプ氏の「不法移民の大量送還は、われわれのコミュニティーをより安全にするだけでなく、勤勉な米国民を第一に考え、彼らがそうしたコストを負担しなくても済むようにすることになる」と語った。
ブルッキングスの「低位」シナリオは、ビザ発給数の減少のほか、ウクライナ人やベネズエラ人、その他の国籍保持者に対する人道的な臨時入国許可の終了、密入国の減少を見込み、米国内からの強制送還がトランプ政権1期目中の2017~19年と比べて5倍に増えると予想している。
米国の人口が高齢化する中、移民は新型コロナウイルス流行後の雇用の伸びの主な原動力となっている。ブルッキングスのエデルバーグ氏とタラ・ワトソン氏の推計によると、昨年は外国生まれの雇用が170万人増加したのに対し、米国生まれの雇用は74万人しか増えなかった。
エコノミストらは、持続可能な雇用の増加率、つまり失業率を安定させるのに十分な労働力の増加に見合う雇用創出のペースを算出する。ゴールドマンのチーフ米政治エコノミスト、アレック・フィリップス氏によると、仮にトランプ氏の政策によって純移民数の増加がゴールドマンが予想するペースにまで減速した場合、毎月の持続可能な雇用の増加幅は約3万人減少する。エデルバーグ氏がモデル化した極端なシナリオに沿って純移民数がマイナスに転じれば、持続可能な雇用の増加幅は月間10万人減ることになる。
移民を巡る議論の多くは経済に関する内容ではなく、国境の安全性や移民を受け入れるコミュニティーへの影響に関するものだ。さらに、経済的な影響が及ぶのは米国居住者ではなく、主に移民自身だ。
とはいえ、経済への影響はある。労働力の伸びが鈍化すれば、経済が供給できる財やサービスの量が減り、その分の給与収入がなくなることで総支出が減少する。
移民労働者は米国生まれの労働者よりも生産性が低く、賃金も低い傾向があるため、全体的な経済成長と支出への影響は雇用への影響ほど大きくない。ブルッキングスの「低位」シナリオでは、2025年の経済成長率は0.4ポイントの低下が見込まれ、「高位」シナリオでは0.1ポイントの低下にとどまると予想されている。
最近では移民が仕事を見つけるのに時間がかかることが多いため、移民の流入ペースが減速すれば失業率は低下する傾向がある。そのためゴールドマンは、来年の雇用の伸びは鈍化すると見られるものの、失業率は0.25ポイント低下すると予想している。10月の失業率は4.1%だった。
●先進国中銀、金融当局
FRB利下げ、12月も排除せず 時期は柔軟に対応=デイリー総裁 | ロイター
米インフレ、目標に向け推移 労働市場は堅調=クーグラーFRB理事 | ロイター
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
富国生命、内勤社員の賃金平均8.6%上げ 25年度 - 日本経済新聞
バフェット流投資:金融情報株で「城」築け - WSJ
シドニーの家賃、3年で4割高 「出稼ぎ」留学増で異変 価格は語る - 日本経済新聞
中古マンション、郊外で弱含み 値下げ回数増加 今、マンションを買う③ - 日本経済新聞
●中東情勢
イラク・トルコ首脳が電話会談、シリア情勢協議 | ロイター
●エマージング
韓国の尹錫悦大統領は4日、前日夜に宣布した「非常戒厳」を解除すると表明した。国会議員の反対に屈した形だ。宣布を受けて市場に衝撃が走り、世界の指導者の間に驚きが広がっていた。
尹大統領はテレビ演説で「国会の要求を受け入れ、閣議で戒厳令を解除する」と述べた。すでに閣議を招集したが閣僚がまだ到着していないとし、閣議が始まり次第非常戒厳を解除すると語った。
政治的亀裂が深まる中、尹大統領(63)は3日、政権をまひさせようとする野党の動きを阻止し、自由と憲法秩序を守るとして非常戒厳を宣布。国民や与党を含む国会議員、米国をはじめとする同盟国、投資家を驚かせ、市場の動揺を招いていた。
4日未明、韓国国会(定数300)のうち出席した190人全員が戒厳令の解除に賛成票を投じた。今回の展開で尹大統領の政治的将来は試されることになる。野党は大統領に辞任を求めた。
調査会社TSロンバードのエコノミスト、ローリー・グリーン氏は「尹大統領は弾劾に直面するだろう」とし、恐らく2025年4-6月(第2四半期)の早い時期に大統領選挙が行われ、野党の「共に民主党」が「本命視」されると指摘した。
韓国ウォンはニューヨーク市場での薄商いの中、非常戒厳宣布を受けて対ドルで一時2.9%下落し、1ドル=1444.65ウォンを付けた。しかし、韓国当局が金融・外国為替市場を安定させるためあらゆる可能な措置を取ると表明したことで、その後は下げ幅を縮小していた。尹大統領の非常戒厳解除表明は、韓国市場の取引開始後の相場に反映されることになる。
聯合ニュースによると、尹大統領が非常戒厳を解除すると表明した後、韓国合同参謀本部は非常戒厳で動員されていた部隊が現地時間午前4時22分(日本時間同じ)に撤収したと発表した。北朝鮮に異常な動きは見られなかったという。
尹大統領の今回の動きは軍主導の体制に戻す試みというよりも、裏目に出る可能性が高い危険な政治的駆け引きだとアナリストらはみている。大統領は閣僚や与党にも事前に相談することなく混乱を引き起こし、政治課題をコントロールする力をさらに失い孤立することとなった。
非常戒厳の宣布に先立ち、少数与党の尹政権と最大野党の共に民主党との間で数カ月にわたり争いが継続。野党側は独自の予算案を議会で強行可決に持ち込もうとし、検事総長の弾劾決議案を提出していた。一方、野党党首も複数の訴訟に直面し、先月には選挙法違反で有罪判決を受けた。
こうした争いの中、尹氏は議会を通過した一連の法案に拒否権を発動するなどして対応し、与党の怒りを買うこともあった。
韓国大統領、戒厳令解除を表明 「国会の投票を尊重」 | ロイター
韓国の尹錫悦大統領は4日、3日夜に発令した戒厳令を解除すると表明した。国会による投票結果を尊重するとした。
尹氏は3日夜の緊急テレビ演説で、野党が国を危機に陥れていると非難した上で、「反国家勢力」を撲滅するとして戒厳令を宣言。これに反発した国会は議員300人のうち190人が出席して解除要求決議を採決し、全員の賛成で可決していた。 もっと見る
聯合ニュースによると、政府は4日早朝の閣議で戒厳令解除を決定した。
国会前では抗議していた人々が「われわれは勝利した」などと声を上げた。野党・祖国革新党の曺国代表は「まだ終わっていない。(尹氏は)全国民に衝撃を与えた」と述べ、他党と協力して大統領を弾劾する考えを示した。
尹氏は支持率が20%前後と低迷しているほか、同氏が率いる与党「国民の力」は4月の総選挙で大敗し、野党が国会の多数を握っている。
韓国大統領、戒厳令を宣言 政治活動禁止やメディア規制の報道も | ロイター
韓国の尹錫悦大統領は3日、YTNテレビの緊急演説で戒厳令を宣言した。野党が国を危機に陥れていると非難した上で、自由と憲政秩序を守るための措置とした。
韓国で戒厳令が宣布されるのは1980年以来初めて。
尹大統領は演説の中で、「恥知らずな親北朝鮮の反国家勢力」を撲滅すると主張。ただ、措置については言及せず、北朝鮮からの具体的な脅威についても言及していない。
韓国の聯合ニュースは軍の発表として、議会や政党の活動は禁止され、メディアや出版社は戒厳令の司令部統制下に置かれると報じた。
韓国ウォン、対ドルで約2%安 中銀「必要なら安定措置を準備」 | ロイター
序盤のニューヨーク外為市場で、韓国ウォンが対ドルで約2年ぶりの安値を付けた。尹錫悦大統領が3日、テレビの緊急演説で戒厳令を宣言したことを受けた。
韓国銀行(中央銀行)関係者は、必要であれば市場を安定させるための措置を準備していると述べた。
韓国大統領「非常戒厳」を宣布 国政がまひ状態と - BBCニュース
韓国大統領が戒厳令、通貨や株式急落-市場に無制限の流動性供給へ - Bloomberg
韓国の尹錫悦大統領は3日、緊急の国民向けテレビ演説を行い、「非常戒厳」を宣布した。
尹大統領は、野党が弾劾の動きで政権を麻痺させようとしていると非難しつつ、この決定は自由と憲法秩序を守るために下されたと述べた。
尹氏は「自由民主主義の基盤となるべき国会が自由民主主義体制を崩壊させる怪物になった」と指摘。「韓国はすぐに崩壊してもおかしくないほどの風前の灯の運命に陥っている」と述べた。
聯合ニュースによると、非常戒厳下で全ての政治活動は禁止され、メディアは戒厳司令官の統制を受けることになる。
金融市場では、非常戒厳の宣布を受けて韓国ウォンが急落し、対ドルで約2年ぶりの安値。韓国の株式で構成されるiシェアーズMSCI韓国ETF(ティッカー:EWY)は米国市場で一時7%下落した。韓国企業の米国預託証券(ADR)も軒並み売られ、ソフトバンクグループが出資する韓国の電子商取引会社クーパンは一時9.8%安、KBファイナンシャル・グループは6.4%安、鉄鋼メーカーのポスコ・ホールディングスは7.8%安を付けた。
ロンドン市場に上場するサムスン電子の株価は一時7.5%安。
これに対し、韓国当局は金融・為替市場を安定させるためあらゆる可能な措置をとると表明。必要であれば市場に無制限の流動性を供給する意向を示した。崔相穆・企画財政相と李昌鏞・韓国銀行(中銀)総裁は深夜に緊急会合を行った。市場に対する詳細な措置は、4日朝に発表するという。
韓国のケーブルテレビ、YTNによると、4日の同国株式市場が開場するかは不明という。
為替市場では一方で円を買う動きが強まり、円は対ドルで一時148円台に上昇した。
聯合によると、韓国国防相は軍最高司令官らとの会合を行う。
非常戒厳の宣布に先立ち、少数与党の尹政権と最大野党の共に民主党との間で数カ月にわたり争いが継続。野党側は独自の予算案を議会で強行可決に持ち込もうとし、検事総長の弾劾決議案を提出していた。一方、野党党首も複数の訴訟に直面し、先月には選挙法違反で有罪判決を受けた。
こうした争いの中、尹氏は議会を通過した一連の法案に拒否権を発動するなどして対応し、与党の怒りを買うこともあった。
韓国の与党「国民の力」韓東勲代表は、非常戒厳の宣布は「誤り」だと非難。「国民と共にこれを止める」とフェイスブックに投稿した。共に民主党は所属議員に対し、非常戒厳解除に向けた措置を話し合うため議会に集まるよう指示した。
中国、不動産不況の対策本腰か 戸籍制度改革進める - WSJ
不動産市場の低迷が続く中国で、住宅販売の売り文句は今、大理石の調理台ではなく戸籍になっているようだ。
不動産市場の下支え策として、中国ではこれまでに10を超える都市が、住宅購入者に対しその地域での恒久的な居住権に似た権利を与える計画を打ち出してきた。中国南部の経済的な中心都市である広州が最近この仲間入りをした。北京、上海、深センを含む中国の「一線都市(1級都市)」では初めてのことだった。
中国で「戸口」と呼ばれる戸籍制度の下では、都市部への移住者は従来、医療や教育を含む社会福祉へのアクセスが制限されていた。そのため、大都市の戸籍を取得することは大きな魅力となる。
ただ、こうした変化だけでは不動産市場全体を活性化させるのは難しいだろう。そもそも、大都市の住宅市場は比較的堅調だった。それよりも小規模な都市で住宅の供給過剰は問題になっており、売れ残り住宅が増え続けた。全体的に、中国経済がデフレ圧力に直面する中で消費者心理は冷え込みが続いている。
中国経済の根本的な制約要因となっているのは、住宅販売だけではない。戸籍は長年、農村部と都市部の人々を分離する制度となってきた。中国の人口の約3分の2が都市部に住んでいるが、そのうち都市戸籍を持つのは2023年時点で半数にも満たない。つまり、約2億5000万人の都市居住者が、住んでいる場所で十分な社会福祉を受けられていないことになる。多くは大都市で住宅を購入する余裕のない労働者だが、戸籍保有に伴う恩恵を受けられない都市居住者の中には起業家として成功した人や住宅所有者も含まれる。
このことは深刻な経済的影響をもたらしている。都市部への移住者は経済的に十分な安心感を持てないため自由に消費することができず、戸籍制度は実質的に家計消費を抑制する要因となってきた。家族を田舎に残したまま都市で働いている人は多い。
政府は戸籍制度を改革する都市化5カ年計画を発表しており、この制度的な足かせを認識していることを示した。だが、有意義な変化は安く済まないだろう。農村部からの数百万人規模の移住者を都市の社会インフラに吸収するには、医療など社会福祉プログラムへの支出を増やす必要がある。
戸籍制度の改革は学者やシンクタンクの間で長年必要性が指摘されてきたにもかかわらず、なかなか進まない理由もここにある。だが、不動産市場の低迷は地方政府にとってますます差し迫った財政問題となっている。住宅購入を促す材料として戸籍に伴う恩恵を利用することは理にかなっているとの認識が強まっているが、戸籍制度の根本的な変更を目指すのであれば、中央政府は社会インフラへの支出を増やす必要があることに変わりはないだろう。
中国政府は景気活性化のために大規模な刺激策を打ち出すとの期待が高まっていた。これまでのところ、中央政府は地方政府の債務負担を軽減する計画を発表している。ただ、欧米政府が行うような直接的な消費者への現金給付を期待することは非現実的に思われる。
それよりも、戸籍に伴う制約の緩和や社会福祉プログラムの充実など、より有望で長期的な政策の方が潜在的な個人消費を大いに刺激する可能性がある。
投資家が注視すべきは、戸籍制度改革がうまくいくのか、導入する都市が増えるのか、農村部からの移住者に対する社会福祉の拡充に向けた支出拡大を伴うのかどうかだ。もしそうなれば、中国政府が数年来打ち出してきた経済対策の中でも特に効果的なものになるだろう。
中国、一部レアメタルの対米輸出を禁止 通商摩擦が拡大 | ロイター
中国商務省は3日、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料に関連する「デュアルユース(軍民両用)品目」の米国への輸出を同日から禁止すると発表した。国家安全保障と利益を守るためとしている。前日に米国は対中半導体規制を強化している。
米国向けに輸出されるグラファイトのデュアルユース品目について、エンドユーザーと最終用途に関するより厳格な審査を要求する。今回の措置は、中国政府が昨年初めから打ち出している重要鉱物の輸出規制に関し米国に対する運用を強化することになる。
商務省は「原則として、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬度材料の米国への輸出は許可されない」と述べた。
米政府は2日、中国の半導体産業に対する3年間で3度目の取り締まりを開始した。規制強化により、半導体装置メーカーの北方華創科技集団(ナウラ・テクノロジー・グループ)(002371.SZ), opens new tabを含む140社への輸出が制限されることになった。
ただ、中国税関の統計によると、米国へのゲルマニウムやガリウムの加工品および未加工品の輸出は今年1─10月はゼロだった。前年、米国はそれぞれ第4位、第5位の輸出先だった。
また中国のアンチモンの輸出も、輸出規制の発効を受け10月は前月比97%急減した。
アンチモンは弾薬、赤外線ミサイル、核兵器、暗視ゴーグルといった軍用品のほか、バッテリー、太陽光発電設備などに使われる戦略金属。昨年は世界の鉱山生産の48%を中国が占めた。
コンサルタント会社のプロジェクト・ブルーによると、中国は今年、精製ゲルマニウム生産の59.2%、精製ガリウム生産の98.8%を占めている。同社の共同設立者ジャック・ベッダー氏は、「西側ではすでに原料入手が逼迫しており、サプライチェーンの緊張が一段と高まる」との見方を示した。
ブラジル7〜9月GDP4%増 消費好調も景気過熱に警戒感 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
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**ロンドン株式市場**
●海外企業決算
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インテル、ゲルシンガーCEOが退任 業績低迷受け - 日本経済新聞
米インテルは2日、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)が1日付で退任したと発表した。業績低迷を受けて経営体制を刷新し、立て直しを急ぐ。最高財務責任者(CFO)のデビッド・ジンスナー氏と製品責任者であるミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏が暫定的な共同CEOに就いた。
ゲルシンガー氏は1日付で退職した。取締役会は今後、新たなCEOを選任する。取締役会議長のフランク・イヤー氏が新CEO選任までの間、暫定的な執行委員長となる。
ゲルシンガー氏は21年からインテルを率いてきた。就任直後から開始した半導体の受託生産事業が苦戦し、顧客獲得が進まない中で市場シェアが縮小。人工知能(AI)市場の開拓も遅れたことで業績が低迷していた。
2024年7〜9月期決算は最終損益が166億3900万ドル(約2兆5000億円)と過去最大の赤字となった。新型コロナウイルス下の特需を見込んで過剰投資した半導体の製造設備の損失や従業員の15%削減を柱としたリストラ費用の計上が響いた。
退任したゲルシンガー氏は2日、「厳しい決定を下した挑戦的な年だった。世界中の同僚に永遠に感謝する」との声明を発表した。退任発表を受け、インテルの株価は2日の市場外取引で一時5%上昇した。
インテルは半導体の製造と設計をともに手掛ける米国唯一の企業だ。バイデン米政権は11月26日、同社が米国の複数の州で投資する半導体工場への補助金が最終決定したと発表していた。先行投資がかさみ、インテルの業績が低迷する中、立て直しに向けて早期に補助金を受ける重要性が高まっていた。
経営不振で他社からの買収や出資に関する観測も浮上していた。9月には米クアルコムがインテルに買収を打診したことが明らかになったほか、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントがインテルに最大50億ドルの出資を打診したと報じられた。
インテルCEOが退社、再建で取締役の信頼失う-事実上の解任 - Bloomberg
米半導体メーカーのインテルは、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)の12月1日付での退社を発表した。同氏が進めた再建計画に対して取締役会が信頼を失い、道半ばで事実上更迭された格好となった。
事情に詳しい複数の関係者によると、同氏と取締役会の衝突は先週、市場シェアの回復およびエヌビディアとの差を縮めるための計画の進捗について話し合われた際に頂点に達した。退社か解任かの選択肢を迫られたゲルシンガー氏は、インテルを去ることを選んだという。非公開の情報であることを理由に関係者は匿名で語った。
2日の同社発表によると、取締役会はゲルシンガー氏(63)の後任探しを開始。デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)とインテル・プロダクツのミシェル・ジョンストン・ホルトハウスCEOが暫定共同CEOに就任する。
かつて半導体業界の盟主だったインテルは苦境に陥っており、現在は再建計画に必要な資金の確保に取り組んでいる。同計画についてゲルシンガー氏は、企業史上「最も大胆な再建計画」と呼んでいた。半導体業界が人工知能(AI)分野にシフトする中、インテルは投資家の支持を失った。各社はAI用アクセラレーター・チップを中心に構築されたコンピューターに投資しているが、この分野でインテル製品の存在感は薄い。
インテル初の最高技術責任者(CTO)だったゲルシンガー氏は2009年に退社後、再建計画を率いるため2021年にCEOとして同社に復帰。台湾積体電路製造(TSMC)のようなライバル企業に奪われた技術的優位性を回復させることを目指した。
しかしゲルシンガー氏はさらに踏み込み、インテルを半導体の受託生産メーカーに変えようとした。またインテル再生戦略の一環として同氏は、コスト負担の大きい生産網拡大の計画も打ち出した。これにはオハイオ州に建設を予定する半導体製造拠点のプロジェクトも含まれる。
同氏は、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)がデータセンター向け半導体の分野で圧倒的強さを示したことで意表を突かれた。インテルは独自のAIアクセラレーター「ガウディ」を持っているが、なおエヌビディアには後れを取っている。
インテルの暫定執行会長に就くフランク・イヤリー氏は発表文で「当社にはまだやるべきことが多くあると認識しており、投資家の信頼回復に向けて全力を尽くしている」と説明。「取締役会として、まず何よりも製品グループを全ての活動の中心に置かなければならないと承知している。顧客がこれを望んでおり、我々は顧客のためにそれを実行する」とした。
ゲルシンガー氏の退場により、より劇的な戦略転換につながる可能性がある。
ウルフ・リサーチのアナリスト、クリス・カソ氏は「今回の動きは、当社が以前から提唱してきた新たな戦略への扉を開くものだ」と指摘。「ゲルシンガー氏はインテルのプロセス・ロードマップを前進させることに概ね成功したが、AIでの弱さを踏まえれば、インテルが単独で最先端半導体製造を追求する規模を持っているとは思わない」と述べた。
米インテル、ゲルシンガーCEOを解任 AI向け半導体で遅れ | ロイター
米半導体大手インテルは2日、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)を1日に解任したと発表した。インテルは、人工知能(AI)向け半導体で独占状態にある米エヌビディアなどとの競争を巡り、苦戦していた。
取締役会は後任の選考委員会を設置した。新たなCEOの選定を進める間、デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)と上級幹部のミシェル・ジョンストン・ホルトハウス氏を暫定共同CEOに任命した。同社株は今年に入って半値以下に下落している。
関係筋によると、ゲルシンガー氏は先週の取締役会で、再建計画に対する支持を得られなかった。取締役会は改革の進捗も十分ではないと判断したという。
ゲルシンガー氏は2021年にCEOに任命された。台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW), opens new tabなどに半導体生産の主導権が移る中、米半導体業界のけん引役だったインテルの改革を先導してきた。ファウンドリーとして他の半導体企業の委託製造を請け負うほか、技術的優位性を取り戻すという抜本的な事業変革を目指した。
投資顧問会社カーソン・グループのチーフ市場ストラテジスト、ライアン・デトリック氏は「ゲルシンガー氏の在任期間中に株価は60%超下落したため、今回の解任劇はそれほど驚くことではない」と指摘。「事態を好転させるには新たなリーダーシップが必要であり、ファウンドリーになることに重点を置くという動きを含め、同氏の主要な戦略的決定はすべて破棄される可能性があると言っても過言ではない」との見方を示した。
ゲルシンガー氏の再建計画は、インテルが他社向けのファウンドリーになるビジネスモデルに重点を置いていた。インテルはマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabやアマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabなど数社と契約しているが、いずれも収益性確保に必要な大量の受注を得られることはないとみられている。
こうした支出の急増と、ファウンドリー化における目立った進展の欠如が相まって取締役会に亀裂が生じ、ゲルシンガー氏の解任につながったとみられる。
取締役会の独立議長であるフランク・イヤリー氏は「半導体生産の競争力を回復し、世界トップクラスのファウンドリーとなる能力を構築する上で大幅に進歩した。ただ、やるべきことは依然として多く、投資家の信頼回復に全力を尽くす」と述べた。
高級ブランドを離れる顧客、値上げし過ぎで - WSJ
高級ブランドはこの2年間で約5000万人の顧客を失った。中古サイトや、より低価格で商品を提供する競合他社は、高級ブランドから離れた消費者を歓迎している。
コンサルティング会社ベインによると、今年の高級品需要は横ばいになる(為替変動の影響を除く)と予想されているが、水面下の状況は安定していない。同社の推定では、高級ブランドは2022年以降、通常の顧客基盤の1割以上を失っている。同業界の顧客数が縮小したのは記憶している限りで初めてだ。過去30年にわたり、各ブランドは新たな中間層の消費者を引きつけることに注力し、売り上げを拡大してきた。これは高級品の「民主化」であり、業界規模を3倍に拡大するのに役立った。
だが、値上げがこの長期トレンドを反転させた。平均的な高級品の価格は新型コロナウイルス流行以降に急上昇したが、ブランドによって大きな差がある。確かにインフレで可処分所得が減少したため、いずれにせよ一部の顧客は購入を控えただろう。とはいえ、それ以外の何百万人もの顧客は高すぎて手が出せなくなった。
「有名ブランドの通常サイズ(のハンドバッグ)で3000ドル(約45万円)未満のものを見つけるのは事実上、不可能になった」。バーンスタインの高級品アナリスト、ルカ・ソルカ氏はこう述べている。
高級ブランドは顧客数が減っているだけでなく、販売数量も大幅に減少している。ベインによると、高級品業界の今年の販売数量は2022年比で20~25%減少すると予想されている。依然として需要のある化粧品やサングラスといった比較的手頃な商品を除くと、ハンドバッグや靴などの販売数量は最大3分の1減少している可能性がある。
デザイナーブランドはこれまで、全体的な物価上昇の2倍のペースで価格を引き上げてきた。しかし、コロナ禍のさなかには需要が非常に強かったため、自社のコスト上昇を大幅に上回るペースで価格を引き上げることが可能だった。
クリスチャン・ディオールのハンドバッグ「レディ ディオール」を例に見てみよう。バーンスタインの分析によれば、このバッグは2020年に3900ユーロ(現在の為替レートで約62万円)だったが、現在は5900ユーロと51%の値上げとなっている。製造コストは同期間に18%上昇し、330ユーロから388ユーロになったとみられる。その結果、顧客は現在、製造コストの15倍を支払っており、20年の12倍から上昇している。
値上げは利益を押し上げたが、消費者はデザイナーショップで買い物をする際、価格をより意識するようになった。依然として品質が高いと考えるブランド品には大枚を惜しまないようだが、それ以外は見向きもしない。皮肉なことに、この品質重視の傾向は、エルメスやブルネロクチネリなど、最高級ブランドの一部に恩恵をもたらしている。これらのブランドは製造の大部分を外部委託せずに自社で行っている。
また、買い物客はより値打ちがあると思う分野にお金を使っている。ハンドバッグほど上昇していないものの、高級ジュエリーの価格は上昇しており、このことは「カルティエ」を所有するリシュモンが今年、高級品業界で比較的堅調なパフォーマンスを示している理由かもしれない。シティのクレジットカードデータによると、9月の米消費者の高級ジュエリーへの支出は前年同月比2.6%増加したが、デザイナーハンドバッグへの支出は13%減少した。
中価格帯ブランドと中古市場も、高級品への支出に変化が起きたことによる勝者と言える。超高級ブランドが手放した中価格帯商品の穴を、それ以外のブランドが埋めている。ポレーヌやザ・キュレイテッド、クヤナ、アトリエオーガストなどの中価格帯のハンドバッグブランドは、上の世代よりも高級品に懐疑的なZ世代の消費者に人気がある。これらのブランドは300~700ドルの価格帯でバッグを販売している。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンが設立にかかわるプライベートエクイティ(PE)ファンドのLキャタルトンは最近、ポレーヌに出資した。
中古市場は、依然として超高級ブランドを購入したいが、ブランド店での価格では購入したくない客を獲得している。中古市場は2019年以降、1次市場の3倍の速さで成長している。
世界最大の高級ブランド中古サイト「ザ・リアルリアル」は11月、7-9月期(第3四半期)の売上高が前年同期比11%増加したと発表した。背景には、お値打ち感を求めて同社のプラットフォームで購入した人が増えたことがある。特に、1次市場では選択肢が少ない1000~3000ドルの価格帯の高級ハンドバッグで急成長している。
超高級ブランドは、一流のイメージを守るには、より安価な商品を求める客を失うことになっても仕方ないと考えているのかもしれない。LVMHのジャンジャック・ギヨニー最高財務責任者(CFO)は、直近の決算発表説明会で、手に入れやすい価格の商品を導入することが業界減速への解決策だとは思わないと述べた。「それは間違いだと思う。われわれは自分たちの本質に忠実であり続けなければならない」
高級ブランドが自社製品の高級感が薄れることを懸念しているのであれば、それは結果的に賢明な戦略になるかもしれない。競合ブランドは、業界が見捨てた何百万人もの客を喜んで吸収している。
ステランティスが下落 タバレスCEOが辞任=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
欧米系自動車大手ステランティス<STLA>が下落。前日にタバレスCEOの辞任を発表した。同社は利益急減や米国での販売低迷に見舞われている。同社は発表文で、2025年前半には新CEOが指名されると述べた。タバレス氏は、同社の将来に対する考え方が取締役会や一部株主と異なったことから予想よりも早く退任する。今年の財務ガイダンスについては変更はない。
同社は、中国経済の減速や欧州での電気自動車(EV)低迷、トランプ次期米大統領による関税の脅威に直面。株価は年初来で43%下落している。
独VW、国内9工場で時限スト開始 本社に数千人集結 | ロイター
ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の労働者は2日、国内の9つの自動車工場・部品工場で数時間の時限ストを開始した。
同社では労組が国内事業の将来を巡って対立しており、今回の時限ストで組み立てラインがストップした。
ウォルフスブルクの本社には数千人が集結。約1万4000人を雇用するハノーバー工場のほか、エムデン、ザルツギッター、ブラウンシュワイクなどの工場でもデモが行われた。
労組関係者によると、ウォルフスブルクの主力工場だけでも2時間のストで「ゴルフ」など数百台の車両製造がストップする。
次回の労使交渉で合意が成立しない場合は24時間ストや無期限ストに突入する可能性がある。今月9日に4回目の交渉が予定されている。
VWの広報担当は、労働者のスト権を尊重しており、顧客への最低限の供給を確保するなど、ストの影響を最小限に抑える措置を講じたと述べた。
欧米自動車メーカー格下げも、トランプ関税発動なら17%減益=S&P | ロイター
S&Pグローバルは29日に発表したリポートで、米国が欧州、メキシコ、カナダに輸入関税を課した場合、欧米自動車メーカーの年間総コア利益が最大17%減少するとの見通しを示し、信用格付けを引き下げる可能性を警告した。
特に、主に欧州で生産している高級車メーカーのボルボとジャガー・ランドローバー、メキシコとカナダに組立工場を抱えるゼネラル・モーターズとステランティスが最も脅威にさらされているという。
トランプ次期米大統領は25日、メキシコとカナダが麻薬や不法移民の米国流入を取り締まるまで両国からの全輸入品に25%の関税を課すと表明。実施されれば、1期目の政権で北米自由貿易協定(NAFTA)後継として発効させた米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に違反することになる。 もっと見る
アナリストや専門家は、欧州連合(EU)製品に対する直接関税より、フォルクスワーゲンやステランティスなどの欧州メーカーと供給業者がより大きな打撃を受ける恐れがあると懸念している。
S&Pは「関税引き上げについては緩和措置で制御できる見込みだが、2025年に欧州で始まる二酸化炭素規制強化、中国と欧州での競争激化による収益への圧力から格下げリスクが高まる可能性がある。関税により25年に生じる他の逆風が増幅した場合、格付け変更の可能性が出る」と指摘した。
世界防衛産業、23年の上位100社売上高は4.2%増=シンクタンク | ロイター
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2日、世界の防衛産業に関する調査結果を公表した。トップ100社の2023年の売上高は4.2%増の6320億ドルだった。
国別にみると、米企業の売上高は前年比2.5%増の3170億ドルだった。ただ、市場をリードするロッキード・マーチンとRTXの売上高は小幅減少した。
22年の武器売上高は3.5%減少していた。この減少についてSIPRIは、労働力不足やサプライチェーン(供給網)の混乱、コスト増により、ロシアのウクライナ侵攻による需要増加に多くの企業が対応しにくい状況になったと分析した。
ロシアを除く欧州企業の23年売上高は1330億ドルとほぼ横ばいだったが、受注は急増した。
SIPRIは「ガザやウクライナでの戦争、東アジアでの緊張の高まり、他の地域における再軍備計画に関連した新たな需要により、小規模生産業者の方が効率的に対応している」と指摘した。
HSBC、中国のクレジットカード事業から撤退へ=関係者 | ロイター
新興EV企業の苦境、一段と深刻化 - WSJ
電気自動車(EV)分野の新興企業は米大統領選の前から苦戦していたが、ドナルド・トランプ氏の勝利でさらに深刻な状況に陥る可能性がある。
注目を集めた電動SUV(スポーツタイプ多目的車)メーカーの米フィスカーやバス製造の英アライバルなど幾つかの企業が、今年に入り破産を申請した。スウェーデンの電池メーカー、ノースボルトは、独自動車大手BMWが主要な注文をキャンセルしたことを受けて先週、米破産法11条の適用を申請し、直近の犠牲者となった。
EVや電池に特化した新興各社の直近の提出文書をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が分析したところ、他に少なくとも十数社が来年夏までに資金不足に陥る恐れがあると分かった。
先行きが厳しさを増す中で、リビアン・オートモーティブやルーシッド・グループといった経営が比較的安定している米新興企業の株価でさえ、今年に入り50%近く下げている。リビアンは先週、生産能力増強のための最大66億ドル(約9900億円)の政府融資について、条件付きで承認を得た。しかし、投資家はそれでもコスト面を懸念するとともに、同社がトランプ次期大統領の就任式当日までに契約を完了できない場合、この融資を得られなくなるかもしれないとの見通しを不安視している。
こうした創業間もない企業の多くは、EV需要の減退やコストの上昇、サプライチェーン(供給網)の障害で打撃を受けているため、新製品を迅速に投入できていない。株価の暴落で、これらの企業の時価総額は何十億ドルも消失した。
政治状況の変化も、米国内で計画されていた投資を危険にさらしている。これらの計画の一部は、州政府や連邦政府の補助金が支援してきた。
「消費者需要の減少に伴って、災難が起きている状態だ」と、クリーンエネルギーを専門とする投資銀行マラソン・キャピタルのテッド・ブラント最高経営責任者(CEO)は話す。
WSJがEVおよび電池を扱う公開スタートアップ企業54社を分析したところ、その財務状況はますます厳しくなっていることが分かった。7社は既に破産法による保護を申請している。十分な分析データがある36の事業会社のうち4分の3は赤字で、13社は来夏までに手元資金が枯渇するとみられている。
さらなる困難が待ち受ける
トランプ政権はこうした企業の取り組みにさらなる打撃を与えるとみられる。次期大統領はEV需要を刺激するための1台につき7500ドルの税額控除の廃止を約束している。業界幹部はまた、バイデン政権下で提供されているEVベンチャーや電池プロジェクト向けの資金が、第2次トランプ政権で提供されなくなる可能性があることを懸念している。
一方で、海外から輸入される車両や自動車部品に新たに課される関税や、関税率の引き上げによって、コストがさらに押し上げられる可能性がある。トランプ氏が先週提案したメキシコ、カナダと中国を対象とした関税はその例だ。
こうした障壁の影響は、自動車のサプライチェーン全体に波及し、電池やその材料となるリチウムなどの素材の需要をしぼませる。
ブラント氏は、「エコシステム全体が崩壊しつつある」と話す。
スタートアップ企業の多くはここ数年の間に上場を果たした。過去10年間に生じていた、テスラの成功を再現しようとする企業に向けた熱狂の波に乗ったものだった。
一部は、いわゆるリバースマージャー(逆さ合併)のブームを利用した。リバースマージャーとは、まだ創業間もない企業が特別買収目的会社(SPAC)と合併することで上場する仕組み。この取引は、伝統的な新規株式公開(IPO)よりも容易に公開市場に到達する道を提供するが、内部関係者以外の投資家を犠牲にして、内部関係者を豊かにする仕組みであることが示されている。
第2次トランプ政権への移行は、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ(GM)など、より基盤の強固な欧米自動車メーカーにとっても、極めて厳しい経営環境の中での試練となる。これらメーカーは、EVの品ぞろえ強化に向けて何十億ドルもの投資を約束していたが、予想していたEV販売の伸びが実現しなかったことから、今では一部の投資計画の先送りや撤回を強いられている。
多くの米企業は、EVメーカーの比亜迪(BYD)や車載電池メーカーの寧徳時代新能源科技(CATL)といった中国の新たなライバル企業との競争で、さらに大きな差を付けられるのではないかと懸念している。アナリストらは、米国のクリーンエネルギー産業の後退を受けて、この分野で中国の大幅なリードがさらに拡大する恐れがあると警告している。
投資銀行ジェフリーズ・グループでサステナビリティー・エネルギー転換戦略部門のグローバル責任者を務めるアニケット・シャー氏は「こうした状況が続くなら、われわれは今後50年間にわたって経済の主要なエンジンとなる分野をまさに放棄したことになる」と語った。
非公開会社のノースボルトのケースは、EV関連業界での経営破綻の中で最も際立つものの一つだ。同社は二酸化炭素(CO2)排出量の少ない工程で車載電池生産を目指していた新興企業で、フォルクスワーゲン(VW)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、欧州連合(EU)などから10年近い期間で約150億ドルの資金を調達してきた。
ノースボルトの電池技術と、同社CEOのピーター・カールソン氏の経歴が投資家らの興奮を誘い、同社の株価は急上昇した。カールソン氏の前職は、テスラのサプライチェーン管理責任者だった。
EV市場の後退とBMWへの納入契約のキャンセルを受けてノースボルトの事業計画が破綻したため、同社は破産法の保護下に入ることになり、カールソン氏はその後CEOの座を去った。
打ちのめされる新興企業
米政府の支援を受けてきた他の新興企業も、経営難に直面している。使用済み車載電池を有用素材に転換するリサイクル事業を計画していたリ・サイクル・ホールディングス(Li-Cycle Holdings)は、ニューヨーク州ロチェスターの工場建設費の一部として4億7500万ドルの政府融資の承認を受けていた。
しかし、今年9月末時点の同社の手元資金は、約6カ月しか事業を継続できない水準にまで減少していた。鉱山会社グレンコアの資金援助を受けているカナダ企業のリ・サイクルは、コスト急増を理由にロチェスター工場の建設を休止した。
リ・サイクルの株価は株式併合を考慮すると、上場価格から97%超下落している。
アジャイ・コチャールCEOは、同社がロチェスター工場プロジェクトを完了させ、自立した事業を構築するのに必要な資金を調達できると確信していることを明らかにした。同CEOは、このセクターにおいて「投資家らは不要なものと一緒に大事なものまで捨てている」と述べた。
電動バン・トラックメーカーのカヌーも手元資金が枯渇しかけており、資金節約のためにオクラホマシティーの従業員の約4分の1を一時解雇した。
同社はオクラホマ州の車両および電池工場で1300人以上の雇用を創出するために同州から1億1300万ドル分の優遇措置プログラムの適用を受けた。同社は2020年にSPACとの合併を通じて上場を果たした後、今年の売上高がすぐに14億ドルに達するとの見通しを明言していた。
トニー・アクイラCEOは「すべての部品をずっと中国への外注に頼って自動車の開発を目指してきたため、毎朝顔面にパンチを受けているような感じだ」と語った。
同社は今年11月、アクイラ氏が支配権を持つ投資会社から1200万ドルの融資を確保した。
一部の新興企業はまだSPACとの合併を模索している。デラウェア州ウィルミントンに本社を置き、EVの機能向上に人工知能(AI)の使用を提案しているサンダー・パワー・ホールディングス(ティッカーシンボルはAIEV)は6月、逆さ合併を完了した。それ以降、同社の株価は95%超下落し、11月29日の終値が0.47ドルとなった。
このセクターを注視している証券会社クリア・ストリートのマネジングディレクター、ブライアン・ドブソン氏は「こうした経営陣の多くは、自分たちが次のテスラになるのだと考えているが、そうなれるのは普通というよりむしろ例外だということが分かっている」と述べた。
●日本企業
野村の社債引き受け、上位5社から5年ぶり陥落-法令違反の余波続く - Bloomberg
楽天グループ、ドル建て永久劣後債で主幹事を指名-750億円規模 - Bloomberg
ヤマダ、積立預金キャンペーン撤回 「年利18%」申請集中 - 日本経済新聞
九電工、36年ぶり社名変更へ 新社名は25年4月に発表 - 日本経済新聞
住友化学、医薬品の日本メジフィジックスを米系企業に売却 300億円で - 日本経済新聞
決算:伊藤園5〜10月純利益18%減 お〜いお茶堅調も材料高で - 日本経済新聞
●先進国政治動向
仏首相、予算案を議会強行通過へ-野党は内閣不信任提出の構え - Bloomberg
フランスのバルニエ首相は不人気の予算案の一部を採決なしで議会を通過させるため、憲法上の手段を行使した。だが議員らの反発は必至で、数日以内にも議会で内閣不信任が成立する恐れがある。
バルニエ氏は2日午後の国民議会(下院)で、採決なしで法案を議会通過させる憲法第49条3項を発動すると宣言した。これに対し左派政党が、まもなく不信任動議を提出すると発表した。
これに先立ち、極右政党の国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏は、同党の要求に応じなければ、内閣不信任動議を支持する考えを示していた。
バルニエ仏首相、ルペン氏に予算案で土壇場の譲歩 - Bloomberg
フランス政府は、不信任案可決による内閣崩壊を回避すべく、極右のマリーヌ・ルペン氏に対し、2025年度予算案で土壇場の譲歩案を提示した。
バルニエ首相は2日にルペン氏と協議した後、極右政党、国民連合(RN)の重要な要求を受け入れ、薬代の償還金を削減しないことを確約した。
譲歩は、議会で過半数の支持を持たないバルニエ首相が予算案を軌道に乗せ政府を維持するための最後の手段だ。憲法第49条3項に基づき採決なしで社会保障法案を議会通過させる方法もあるが、それは不信任決議案の提出につながる。
国民議会(下院)で最大勢力である国民連合は2日、「奇跡的な」妥協案が提示されない限り、政府を倒すと表明した。バルニエ氏が譲歩案を提示した後、党関係者は直ちにコメントを発表しなかった。
不確実性と瀬戸際戦略を投資家が嫌気し、フランス国債利回りは先週一時ギリシャと同水準に上昇した。
バルニエ氏が薬代の償還に関する最新譲歩案を提示したことで、フランス資産は回復。 10年物フランス国債とドイツ国債のスプレッドは、前週末比で約1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の82bpとなった。この日は一時87bpまで拡大していた。フランス株も上昇に転じ、一時の1.2%の下落を取り戻した。
国民連合の議員らは、どのような行動を取るかを決定するため現地時間午後2時から会合を開いた。
同党は、バルニエ氏が社会保障法案に盛り込んだ年金のインフレ指数への連動を抑制する措置に依然として反対している。
「後退しているような印象を受ける」と、国民連合のロール・ラバレット議員はLCIテレビの番組で語った。「バルニエ氏がどこに針を合わせるのか、正確に知るのは難しい」と述べた。
議会は午後3時に招集される予定。国民連合が不信任案の採決で棄権するだけでもバルニエ氏の政府を救うのに十分だが、ルペン氏はここ数週間、政府が同党の要求を考慮していないと不満を募らせている。
フランス政府、崩壊の危機-予算巡り極右政党との対立激化 - Bloomberg
フランスの極右政党、国民連合(RN)は、週内にもバルニエ首相の政府を倒す可能性を強く示唆した。アルマン経済・財務相が「政府は脅迫には屈しない」と発言した数時間後だった。
マリーヌ・ルペン氏が事実上率いるRNは、バルニエ首相が2025年度予算を修正し、年金をインフレに連動させるなどの要求に応じない限り、不信任案に賛成すると脅迫している。
ルペン氏はバルニエ氏に、2日までに予算案を変更する必要があると伝えた。野党議員らは同日に不信任投票を行う手続きを開始する予定だ。
1日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューでアルマン氏が「フランス政府は最後通牒を受け入れない。われわれは脅迫に屈しない」と語ったにもかかわらず、RNのバルデラ党首は2日午前にさらに過激な発言を繰り広げた。
「国民連合は、土壇場での奇跡が起こらない限り不信任投票を発動させるだろう」とバルデラ氏はRTLラジオに語った。
バルニエ首相が午後3時までに予算案を変更するかもしれないが「数カ月間、われわれを無視して拒絶してきたことを考えれば、同氏が考えを変える可能性は低いだろう」と述べた。
バルデラ氏の発言を受けて、フランス株のCAC40指数は下落。フランス債のドイツ債に対するスプレッドは86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と11月29日の80bp前後から拡大した。ユーロは対ドルで下げを広げ、一時0.8%安の1.0496ドルとなった。
予算を巡る政治的駆け引きの中でフランス国債の利回りは先週一時、ギリシャ国債に並んだ。
国民議会で最大政党を率いるルペン氏は、バルニエ氏が国民連合の主要な要求の一つである電気料金の値上げを断念することに合意したことで勝ち星を上げた。これにより自信を深めた国民連合は要求をさらに追加する構えを強めている。不信任投票は早ければ4日にも実施される可能性がある。
600億ユーロ(約9兆5000億円)の増税と歳出削減を盛り込んだバルニエ氏の予算案は、同国の財政赤字を対国内総生産(GDP)比で5%に抑えることを目指している。今年の赤字はGDPの6.1%に達すると予想されている。
サンマルタン予算相は11月30日に報じられた現地紙とのインタビューで、RNによる予算案の修正要求には100億ユーロ(約1兆5800億円)近くのコストがかかると発言。フランス政府はこれ以上譲歩しないと述べた。
サンマルタン氏の発言に対し、ルペン氏はAFP通信で12月1日、仏政府は社会保障予算案の変更に関する「協議を打ち切った」と非難。自身の要求が満たされない場合には、RNは左派と手を結び倒閣を目指す意向を明らかにした。
予算の年度末締め切り間近に政府が崩壊するというのは前例のない事態だ。ルペン氏は、年度末までに予算が組まれなかった場合の影響を軽視し、トリビューヌ紙の取材に対し「フランスの制度はうまく設計されており、何も決定的なことはない」と語っている。
バルニエ氏が解任された場合、マクロン大統領は同氏を再任するか、あるいは新たな首相を選ばなければならない。新たに誕生する政府も、25年度の予算を早急に提案する必要がある。
仏極右、内閣不信任案支持の公算大 党首が表明 | ロイター
来年度予算案を巡りバルニエ仏政権と対立する極右政党、国民連合(RN)のバルデラ党首は2日、「土壇場で奇跡」が起きない限り、RNが数日中に内閣不信任案を支持する可能性が高いとRTLラジオに述べた。
RNの指導者ルペン氏はバルニエ首相に対し、2日までに予算に関するRNの要求を受け入れなければ、RNが内閣不信任案を支持する可能性があり、政権崩壊につながると警告している。
バルニエ氏は先週、電力税増税を撤回したが、RNはインフレを反映した年金増額、薬剤費払い戻しの減額中止、欧州連合(EU)予算への拠出削減なども求めている。
バルニエ氏が憲法上の規定を行使して社会保障財源法案を強行採択すれば、左派連合が内閣不信任案を提出し、早ければ2日にも政権が行き詰まる可能性がある。
仏極右、数日中に内閣不信任案提出も 予算案で対立 | ロイター
来年度予算案を巡りバルニエ仏政権と対立する極右政党、国民連合(RN)の指導者ルペン氏は1日、政権がさらなる譲歩を拒否したため、内閣不信任案の採決が数日中に実施される可能性が高まったと述べた。
バルニエ政権は、財政立て直しに向け緊縮型の予算案を組んだが、RNなどの野党は反対。政権は先週、電力税増税を撤回したが、RNは納得せず、ルペン氏は2日までに党の要求に応じなければ、不信任案が提出する構えを見せていた
ルペン氏は仏通信社に対し、政府が事実上協議を打ち切ったと指摘した。
仏内閣不信任案、4日にも可決へ 予算案の強行採択受け | ロイター
フランスで、バルニエ内閣に対する不信任決議案が4日にも採決され可決される見通しとなった。極右政党「国民連合(RN)」と左派連合「新人民戦線(NFP)」が2日、バルニエ首相に対する内閣不信任案を提出した。
可決されれば1962年以来。両党を合わせれば内閣不信任可決に十分な票数となる。
RNを率いるマリーヌ・ルペン氏はバルニエ政権が事態を悪化させていると批判し、内閣を打倒する必要があると述べた。
これより先、バルニエ首相は、憲法上の特別権限を行使し、2025年社会保障予算案を強行採択すると発表した。議会の採決なしに法案を成立させる憲法49条3項を発動する。バルニエ氏はぎりぎりまで譲歩の可能性を探ったが、野党の支持を得られなかった。
憲法の規定によると、内閣不信任案は強行採択から24時間以内に提出することとなっている。
バルニエ氏は演説で議員らに対し、不信任案を支持しないよう呼びかけ。「われわれは正念場を迎えている。われわれが国家の将来よりも個人の利益を優先することは許されないだろう」と述べた。
バルニエ氏に近い情報筋は、首相はルペン氏に大幅な譲歩をしており、不信任案に賛成票を投じれば獲得した成果を失うことになると語った。
不信任案が可決されれば内閣は総辞職する。新首相の選出は来年になる可能性もある。
内閣不信任の可能性が高まったことを受けて市場では、フランス株が下落に転じ、ユーロ売りが加速。仏国債には利回り上昇圧力がかかった。
ホワイトハウス、大統領の次男恩赦を擁護 「退任後の迫害懸念」 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
アングル:日銀、追加利上げへ地ならしか 身構える市場 | ロイター
日本経済新聞が週末に配信した植田和男総裁インタビューを受け、市場で12月利上げを織り込む動きが加速している。7月の利上げ後に市場の混乱を招いたことから、日銀内では、コミュニケーション戦略の必要性を意識する声があった。12月会合まで1カ月を切る時点での発信に市場では、追加利上げへの地ならしとの見方も出ている。
<2年金利、08年以来の0.6%台>
インタビューで植田総裁は追加利上げの時期について「データがオントラックに推移しているという意味では近づいている」との認識を示した。これを受けて週明け2日の市場では債券が売られて金利が上昇。政策金利の影響を受けやすい新発2年債の利回りは2008年11月以来となる0.6%台に乗せた。為替市場でも円高が進行、一時149円半ばをつけた。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは今回の総裁インタビューについて「利上げに向けたコミュニケーションを図っている」とみている。
関西みらい銀行のストラテジスト、石田武氏は「日銀がタイミングを選べた中、あえて12月の政策決定会合まであと3週間というタイミングで、きちんと設定したインタビューで意図的にこうした情報発信をしてきた」と指摘。「これはもう利上げ予告だと受け止めて良いのではないか」との見方を示す。
SBIリクイディティ・マーケットの金融市場調査部長、上田真理人氏は「日銀は12月会合での追加利上げに意欲を持っている印象。ただ、市場では6割程度しか織り込みが進んでおらず、疑心暗鬼のようだ」と指摘する。
7月の追加利上げの際は、弱い米経済指標に加え、日銀のタカ派姿勢が想定外との受け止めで株安、円高が進行。この市場波乱について、植田総裁は9月の会見で、日銀の考え方が伝わってなかったという批判があることは承知しているとして、「経済・物価に関する認識と政策運営に関する考え方を丁寧に説明してくということに心がけたい」とコミュニケーションに配慮する姿勢を示した。
日銀は8月以降、政策判断にあたっては金融資本市場や海外経済の状況を確認する「時間的余裕がある」との表現を使ってきたが、10月の決定会合後の会見で植田総裁は「時間的余裕」という表現は今後使わないことになると思うと発言。この発言後のロイターエコノミスト調査では12月追加利上げ予想が過半数となった。
<今年2回目のインタビュー>
日銀内では足もとの経済・物価情勢について、総裁発言通り、オントラックとの見方が多い。一方で、米国経済の不透明感に加え、国内消費の弱さなどについて懸念する声もある。
市場では今回の総裁発言は追加利上げに前向きなものとの受け止めが多いが、「連続的に追加利上げを実施するとか、政策金利を1%の到達点より上げていくといったタカ派傾斜を示唆するものではない」(SMBC信託銀の山口真弘投資調査部長)との見方もあり、午後にかけては再び円安となり、株価も上昇した。
今回の植田総裁インタビューのタイミングについて日銀広報課では「これまでも各紙によるインタビューに総裁は応じている」とし、「前回は今年4月に実施された」としている。
英中銀が清算機関のストレステスト、一部脆弱性も全般的に底堅い | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は29日、中央清算機関(CCP)を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果を発表した。一部の機関で脆弱性が見つかったが、全般的には底堅さが確認されたと明らかにした。
ストレステストはICE・クリア・ヨーロッパ、LSEG下のLCH、香港証券取引所のLMEクリアが提供する清算サービスの信用回復力に焦点を当てた。
イングランド銀行のブリーデン副総裁は「ストレステストの結果は、懸念材料を示唆していないが、継続的なデータ収集と監督を通じてCCPのリソースを監視し続けている」と説明した。
ロンドン金属取引所(LME)の清算機関であるLMEクリアは、地政学や貿易面での緊張の高まりがコモディティー市況を上振れさせたことを踏まえ、ストレステストにおいて3機関中最も脆弱であることが明らかになった。
英中銀によると、一部のCCPは市場が混乱した後に実施された前回2022年のストレステストの時よりも財源が少ないことが判明した。「高度に集中したポジションを清算するコストや、より保守的な仮定を含めるようストレステ ストを実施したところ、いくつかの潜在的な脆弱性の領域が確認された」としている。
日銀追加利上げ、「12月」予想が最多 QUICK月次調査 - 日本経済新聞
スイスの製造業、ドイツ産業低迷で需要減退=中銀総裁 | ロイター
スイス国立銀行(中央銀行)のシュレーゲル総裁は30日、ドイツ産業低迷がスイス製造業の需要減退につながっていると述べた。
同氏はドイツ連邦銀行(中央銀行)主催のイベントで講演し、最大の貿易相手国であるドイツの景気低迷により、スイス製造業の需要が大幅に減少していると指摘。「ドイツが風邪をひくと、スイスはインフルエンザにかかる」と懸念した。
スイス中銀は今年3回の利下げで政策金利を1.00%としており、さらに追加措置が見込まれている。
現在の市場予想では、12月12日の金融政策決定会合で25ベーシスポイント(bp)の利下げが行われる可能性が72%、50bpの可能性が28%となっている。
12月の米利下げ「選択肢オープンにしている」-アトランタ連銀総裁 - Bloomberg
米アトランタ連銀のボスティック総裁は、12月に利下げが必要かどうかを自身はまだ決めかねていると述べた。一方、今後数カ月に金融当局が利下げを継続すべきであるとの考えは依然持っていると説明した。
ボスティック総裁は2日に公表した小論で、「最大限の雇用と物価安定という連邦公開市場委員会(FOMC)の2つの責務に関し、それらを達成する上でのリスクはほぼ均衡が取れている状態にシフトした。従ってわれわれも、経済活動を刺激も抑制もしないスタンスへと金融政策をシフトし始めるべきだ」と主張した。
インフレについては、データは一様でないものの、2%の当局目標へ向かう持続的軌道に乗っているとの見解を示した。労働市場については急激な悪化の兆しは示されていないが、政策当局者はインフレと雇用両方のリスクに警戒を続ける必要があると述べた。
総裁はこれとは別に記者団との電話会見で、今月17-18日のFOMC会合で利下げを支持するかどうかについて、「引き続き選択肢をオープンにしている」と語った。
ボスティック総裁は、景気抑制的な金融政策が労働市場の減速に寄与したとし、その証拠として求人件数が減少傾向にあることを挙げた。ただ、労働市場は依然として安定しているとの認識も強調した。
「これらのトレンドはいずれも、労働市場が急速に悪化している、ないし極めて逼迫(ひっぱく)しているという強いシグナルを送ってはいない」と指摘。「むしろ、金利上昇を前に、労働市場がおおむね秩序だった形で減速しつつあることを示している。われわれの情報入手先である企業からも同様の見方を得ている」と述べた。
また、「物価安定には確かに上向きのリスクがある」とした上で、「最近の変動の大きさを、物価安定に向けた進展が完全に行き詰まった兆候だとは捉えていない」と主張した。
ウォラーFRB理事、12月会合での利下げ支持に傾いている - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での追加利下げ支持に自身は傾いていると述べた。
政策金利据え置きが理にかなうデータが会合前に出る可能性はあるとしながらも、「現時点で12月会合での政策金利引き下げを支持する方向に傾いている」と述べた。ワシントンで開かれた米国経済研究所(AIER)主催のFRB政策枠組み見直しに関する会議の講演テキストで明らかになった。
【コラム】FRB枠組み見直し、重要点が見落とされる恐れ-ダドリー - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)が来年実施する定期的な金融政策の枠組み見直しは、世界に影響を及ぼすものとなるだろう。FRBは正しい取り組みに注力する方針だが、重要な部分が抜け落ちているようだ。
明るい材料としては、FRBはゼロ金利制約によって短期金利がゼロ近辺に張り付かないよう目指した制度を廃止する構えのようだ。2008年の金融危機と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によるゼロ金利の経験を経て、20年の枠組み見直しで導入されたこの制度では、FRBは一定の条件下でゼロ金利の維持にコミットした。
だたこの戦略は、コロナ禍を脱した経済にとってはそぐわなかった。22年3月時点でも金利は依然としてゼロ近辺で、FRBは長期金利の引き下げを目的に米国債や住宅ローン担保証券の買い入れを継続していた。一方で失業率は3.8%となり、FRBが重視するインフレ率は5%を超えていた。米金融当局は、経済が過熱しているにもかかわらず、異例の景気刺激策を実施していた。
パウエルFRB議長は問題を認識しているようだ。パウエル氏は中立金利が08年の金融危機後の10年間よりも高くなっているため、ゼロ金利制約のリスクは低下している可能性が高いと指摘。同氏は「オーバーシュートを目標にするのではなく、インフレを目標にする」と述べている。
ここまでは順調だ。しかし、枠組み見直しの議題には含まれていないと思われる重要な問題が3つある。
1つ目は、FRBに量的緩和(QE)の枠組みが必要な点だ。QEとは、追加の景気刺激策としてFRBがこれまで実施してきた資産購入策(およびその反転策として知られる量的引き締め)である。枠組みがなければ、市場参加者は金融政策がいつどのように実施されるのか理解することは困難になる。市場の期待は、長期金利や金融情勢、経済への金融政策の伝達に影響を与えるため、政策の有効性が損なわれることになる。
2つ目は、実際に何をすべきかをよく理解するために、量的施策の費用対効果を評価する仕組みが必要だということ。例えば22年3月に終了した資産購入プログラムの最後の1年について考えてみよう。コロナワクチン開発とバイデン米政権による大規模な財政刺激策によって、追加での金融刺激策が不要だったことはほぼ明らかであったにもかかわらず、FRBは1兆4000億ドル(約209兆円)の資産を購入した。これらの購入により、米国の納税者は最終的に1000億ドル余りの負担を強いられることになる。コロナ禍での量的緩和の総費用は5000億ドルに達する可能性がある。
3つ目は、FRBは金利ターゲットを変更する必要があるということだ。銀行の準備金が潤沢にある中で、銀行がほとんど利用しなくなった市場を追跡するフェデラルファンド(FF)金利は時代遅れである。FRBは銀行が中央銀行に保有する準備金に対する金利に切り替えるべきだった。今になってようやく、という感もあるが。
また、検討しなくてもいい問題も1つある。ゼロ金利制約にとどまるリスクを低減するために、FRBはインフレ目標を2%超に引き上げるべきかどうかという問題だ。パウエル氏が指摘したように、そのリスクは後退している。さらに重要なのは、インフレが急騰した時期でも2%という目標がインフレ期待を適切に維持するのに役立ったことだ。目標値を変更することはFRBの決意に対する信頼を弱める恐れがある。
米大統領選で、ドナルド・トランプ氏がカマラ・ハリス氏に勝利したことは、有権者がインフレを本当に好まないことを示している。有権者の意思は、何らかの形で考慮されるべきである。
●先進国経済指標
米ISM製造業景況指数、予想を上回る-新規受注が拡大圏に浮上 - Bloomberg
米供給管理協会(ISM)が発表した11月の製造業総合景況指数は、依然として縮小圏ながらも市場予想を上回った。新規受注が8カ月ぶりに拡大圏に浮上したことなどが寄与した。
ISM製造業総合景況指数は48.4に上昇
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は47.5
総合景況指数の上昇幅は1.9ポイントと、3月以来の大きさとなった。8カ月連続で縮小圏にとどまったが、サブ指数の大半で改善が示された。
総合景況指数は水準としては6月以来の高さで、約2年に及んだ製造業の低調に歯止めがかかりつつあることが示唆された。
新規受注の指数は前月比3.3ポイント上昇と、5カ月ぶりの大幅上昇となった。
米ISM製造業景気指数、11月48.4に上昇 新規受注8カ月ぶりに拡大 | ロイター
米供給管理協会(ISM)が2日発表した11月の製造業景気指数は48.4だった。2023年7月以来の低水準だった10月の46.5から上昇した。ロイターがまとめた市場予想は47.5だった。
トランプ次期米政権による企業寄りの政策への期待から上昇している他の景況感調査と同様の傾向が示された。
それでも、製造業はまだ難局を脱したとはいえない。ISM製造業景況調査委員会のティモシー・フィオーレ委員長は、需要の低迷と受注残の減少に伴って「11月は生産活動が減速した」と指摘。サプライヤーは生産能力を維持しており、リードタイムは改善傾向にあるものの、一部の製品で品不足が再び発生していると述べた。
拡大・縮小の分岐点となる50は、8カ月連続で下回った。長期的には経済全体の拡大を示すとされる水準(42.5)は、上回った。製造業は米経済の10.3%を占める。
先行指標となる新規受注は50.4と、前月の47.1から上昇した。50を上回るのは8カ月ぶり。
一方、生産は低迷した水準にとどまったほか、仕入れ価格は50.3と、前月の54.8から低下した。商品価格に下落の余地があることを示しているものの、輸入品に対する関税が上がれば反転する可能性もある。
11月はコンピューター・電子、家電製品・部品を含む3業種のみが拡大。輸送機器、機械、化学製品、一次金属を含む11業種が縮小した。
供給業者の納入を示す指数は48.7と、前月の52.0から低下した。50を超えると納入の速度が遅くなっていることを示す。
雇用は48.1と、前月の44.4から上昇した。低水準の状態だが、改善傾向を示した。
英製造業PMI、11月改定48.0 9カ月ぶり低水準 | ロイター
S&Pグローバル/CIPSが2日発表した11月の英国の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は48.0と、10月の49.9から低下し、9カ月ぶりの低水準となった。
国内外からの受注が減少したほか、供給網の混乱継続でコストが上昇した。速報値は48.6だった。好不況の分かれ目となる50を下回った。
新政権が発表した予算案で雇用主の税負担が250億ポンド(320億ドル)増えたことや、最低賃金の7%引き上げ、紅海の海運混乱、世界的な関税引き上げのリスクが逆風となった。
S&Pのディレクター、ロブ・ドブソン氏は「製造業は当面、高コスト、低需要、不確実性の高まりという環境に直面することになる」と指摘。
「あらゆる規模の企業が不況に見舞われているが、小規模企業が最も打撃を受けており、特に生産、新規受注、新規輸出事業の落ち込みが顕著だ」と述べた。
一部の企業は政府の予算案や世界経済の不透明感を受けて、顧客がコスト増加を理由に投資を延期・中止していると報告した。
イタリアGDP、第3四半期前期比横ばい 輸出と投資が不振 | ロイター
イタリア統計局が2日発表した第3・四半期国内総生産(GDP)改定値は速報値から変わらずの前期比横ばいだった。個人消費が好調だったものの輸出と投資の不振で相殺された。
前年比も速報値と同じく0.4%増だった。
第2・四半期は前期比が0.2%増、前年比は0.6%増から0.7%増に上方改定された。
政府の2024年成長率予測は1%だが、アナリストの多くは非現実的だと指摘する。
統計局は、第4・四半期もゼロ成長なら、通年成長率は0.5%にとどまるとの見通しを示した。
仏製造業PMI、11月改定43.1に低下 新規受注が急減 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のフランスのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は43.1で、10月の44.5から低下した。好不況の分かれ目となる50を22カ月連続で下回った。
新規受注指数は35.9と、新型コロナウイルス流行第1波以来の低水準。国内外の需要が落ち込んだ。今後生産が一段と減少するとみられる。
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「フランス製造業は依然として危機的状況にある。生産の縮小が続き、購買担当者が在庫の積み増しを控えている」と述べた。
投入コストは上昇したが、競争激化で企業は値下げを迫られ、利益率が悪化している。外需は過去4年半で最大の落ち込みを記録。特に米国とドイツ向けの輸出が足を引っ張った。
雇用は資本財・中間財部門を中心に引き続き減少。
先行きについては依然として悲観的な見方多く、不透明感や建設・自動車産業の低迷が今後1年間の生産見通しの重しとなっている。
ユーロ圏製造業PMI、11月改定45.2に急低下 見通し厳しい | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のユーロ圏HCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.2と、10月の46.0から大幅に低下した。速報値から修正はなかった。
10月は安定化の兆しが見られたが、その後、需要が再び落ち込んでおり、早期回復への期待が後退する可能性が高い。
PMIは好不況の分かれ目となる50を2022年半ば以降、下回っている。
生産指数は10月の45.8から45.1に低下。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ひどい結果に見える。ユーロ圏製造業の不況は永遠に終わらないように見える。新規受注が急速に、しかも加速度的に減少しているため、早期回復の兆しは全くない」と指摘。
「不況は広範囲に及び、ユーロ圏上位3カ国全てが打撃を受けている。ドイツとフランスが最悪で、イタリアもあまり良くない」と述べた。
値下げにもかかわらず需要全体が落ち込んでおり、人員削減ペースは新型コロナウイルス流行時以来の高水準となった。雇用指数は46.2から45.2に低下、2020年8月以降で最低となった。
外需の減少ペースも加速。トランプ次期米大統領が一律10%の関税を提案しているため、状況はさらに悪化する可能性が高い。
独製造業PMI、11月43で横ばい 需要低迷で雇用縮小 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のドイツのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は、10月から横ばいの43.0だった。速報値の43.2から下方改定された。
生産と新規受注の落ち込みが緩和し、新規受注は過去半年で最も緩やかな減少となった。しかし雇用、産出価格、輸出売上高は減少幅が拡大した。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、製造業はかなり厳しい状況にあり、大規模人員削減の話が毎日のように出ていると述べた。
雇用は17カ月連続で縮小し、指数は9月の49カ月ぶり低水準近くとなった。調査企業の約29%が人員削減を報告した。
ただ先行きの見通しは3カ月ぶりに幾分改善した。連立政権が崩壊し来年2月に選挙が実施されることになり、景気回復が期待されているとデラルビア氏は述べたが「製造業不況は来年も続く」との見方を示した。
豪小売売上高、10月は前月比0.6%増に加速 3カ月連続増 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
米ブラックフライデー、オンライン販売が好調、実店舗は低調 | ロイター
米国では29日、感謝祭翌日の「ブラックフライデー」のセールが行われた。オンライン販売が好調だった一方で、実店舗の販売は低調だった。
マスターカード・スペンディングパルスによると、ブラックフライデーのオンライン販売は14.6%増えた。実店舗の売上高は0.7%増にとどまった。売上高はインフレ調整前の数字。
マスターカード・エコノミクスのチーフエコノミスト、ミシェル・マイヤー氏は、全体的なインフレ率が2%を超える中、家電製品や衣料品、スポーツ用品、パーソナルケア用品、宝飾品など、年末商戦に関連した人気の高い商品は昨年から値下がりしているか、小幅な値上がりにとどまっていると指摘した。
マイヤー氏は、ブラックフライデーを前に多くの買い物客は実店舗を訪れ、どのような商品や価格かを見て回り、ブラックフライデーのセールが始まるとオンラインで買い物をしたと指摘した。携帯電話やノートパソコン、デスクトップパソコンなどのオンライン販売が好調だった。
アドビのデータによると、ブラックフライデーのオンラインでの米消費者の支出は108億ドルで、前年比10.2%増加した。
GPIFの利回り0.2%上げ案 日本株比率に上昇観測 - 日本経済新聞
大手ヘッジファンドの11月リターン良好、トランプ氏勝利が追い風に - Bloomberg
●中東情勢
イスラエルによるガザ侵攻に不吉な兆し|ARAB NEWS
ガザで起きている出来事を観察していれば、イスラエルがこの地域での再定住に向けて効果的に動いていることは、たとえその目的が公式には語られないままであったとしても、ほとんど努力することなく見抜くことができる。このトピックに関する議論はイスラエル政府の廊下だけにとどまっているか、あるいは世界中の同盟国と目立たないように共有されているかもしれないが、証拠は明らかだ。
この目的は、イスラエルが公言している紛争の目標、すなわちハマスの排除と人質の奪還に加えられる。しかし、地上での行動は、第3の、より隠された意図を指し示している。それは、イスラエルが交渉を執拗に妨害していることや、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がガザに対する「翌日以降の」戦略の概要を示そうとしないことからも明らかだ。
イスラエルによる組織的な攻撃の中、兵士たちは、79歳の入植者活動家ダニエラ・ワイス氏が、入植地の候補地を調査するために飛び地に入るのを、上官の許可なく手伝ったと伝えられている。「入植者の母」として知られるワイス氏は、イスラエル軍がガザに入ったのは入植のためだと公の場で宣言した。彼女の行動は、非公式ではあるが、イスラエル社会の特定の層における長年の野心と一致している。
ワイス氏は論争に慣れているわけではない。彼女は1967年のイスラエル占領直後、ヨルダン川西岸地区での入植地設立で重要な役割を果たし、ケドゥミム入植評議会の代表を10年以上務めた。彼女の記録には、パレスチナ人に対する暴力的な行動への関与も含まれており、しばしば公式の後ろ盾があった。
ネタニヤフ首相のパートナーである政府関係者の発言からも、ガザに対する長期的な計画についての率直な見解が明らかになっている。べザレル・スモトリッチ財務相は、イスラエル軍が何年にもわたってこの地域を支配するだろうと述べた。彼の発言は、ガディ・アイゼンコット前イスラエル軍参謀総長の発言と呼応するもので、彼は戦争の公的目標と秘密目標の両方を認めている。こうしたいわゆる秘密目標は公式には明言されていないが、イスラエルの行動にはますます明らかになっている。
テルアビブは、ガザを再定住させるか、少なくとも軍事的プレゼンスを長期化させる戦略を実行しているようだ。この戦略は、2005年のガザ撤退計画でイスラエルが解体した21の入植地を思い起こさせる。
西側メディアの報道は、ガザ北部の併合計画を示す軍事行動と政治的策略を強調している。イスラエル軍幹部のイツィク・コーエン氏の発言は、この地域での「民族浄化」を認めているようであり、10月初めから執拗な砲撃を受けているジャバリア、ベイト・ハヌーン、ベイト・ラヒアの避難民の帰還を阻止する意図を明らかにしている。軍は公式にコーエン氏の発言から距離を置いているが、現場の現実は彼の主張と一致しているように見える。
もうひとつ明らかになったのは、イスラエルの元国防大臣ヨアヴ・ガラント氏がイスラエル人人質の家族に語った言葉だ: 「ガザでこれ以上やることはない。主要な目的は達成された」イスラエルがガザの再定住計画を公に否定しているにもかかわらず、彼のこの告白は、占領が長期化する可能性を強調している。
ガザ北部の民族浄化は、イスラエル入植者たちが、この地域に入植地を再確立するという長年の願望を実現する道を開くことになる。アナリストたちは、イスラエルの安全保障閣僚に極右閣僚のオリット・シュトロック氏とイツハク・ワッセルラウフ氏が含まれていることが、このアジェンダのさらなる証拠だと指摘する。両者とも入植地拡大の強固な支持者であり、政策形成において重要な役割を果たしている。
イスラエルの新聞『Haaretz』は、ガザを再占領する計画を詳細に伝えており、パレスチナやアラブ諸国の反発を呼んでいる。ラッマラーの情報筋によれば、イスラエルはガザを4つのゾーンに分割することを目指しているという。
北部地区ではすでに大規模な取り壊しが行われ、100万人いた住民は2万人しか残っていない。第二のゾーンであるネツァリムは、ガザを東西に横切る幅6km、長さ7kmの主要回廊になる予定だ。第3の回廊、エジプト国境沿いのラファに近いサラー・アルディン軸も、住宅地の完全破壊を目撃することになる。さらに、ガザ東部国境に1kmに及ぶ緩衝地帯も計画されている。これらの措置は2026年までに実施される予定で、最近のエスカレーションがその実行のきっかけとなっている。
イスラエル当局は、ガザの再定住計画を否定し続けているが、政府の盟友や入植者指導者たちの行動は、そうではないことを示唆している。イスラエル軍は、ワイス氏のガザへの立ち入りは無許可で規約に反するものだと主張しているが、ワイス氏自身はヨルダン川西岸地区と同じ方法を用いていることを認めている。
一方、ネタニヤフ首相はガザ再定住の意図を公に否定している。しかし、彼の連合政権メンバーやリクード党の盟友たちは、公然とこの考えを支持している。事態が進展するにつれ、ガザの将来は不透明なままであり、不吉な兆候が占領の長期化と入植地拡大の可能性を指し示している。
【社説】再び火を噴いたシリア内戦 - WSJ
中東では、混乱の嵐が休暇状態に入ることはめったにない。最近発生した嵐は、シリアのバッシャール・アサド大統領の政権に対するイスラム勢力の新たな蜂起だ。イスラム教スンニ派の反政府勢力は先週末、主要都市アレッポになだれ込み、政府軍が逃げ惑う中でアレッポだけでなく他の地域も制圧した。
反政府勢力は、アサド政権の協力者たちが他の出来事に気を取られたり、弱体化したりする中で、攻勢に出る好機を見いだした。アサド政権を支える主要勢力だった、イランの革命防衛隊(IRGC)と同国の代理勢力であるヒズボラは、イスラエルとの対立で激しい報復攻撃を受けたことから、シリアでは腰が引けた状態になっている。アサド政権にとってもう一つの主要な支えとなっていたロシアは現在、ウクライナとの戦争に集中している。
アサド政権にとって今回の反政府勢力の攻勢がどれほどの脅威となるかは不透明だ。未確認情報によると、反政府勢力はハマとダマスカスの制圧に向かっている。制空権は依然としてロシアとシリアが握っており、反政府勢力の拠点を空爆している。民間人居住地域などへの容赦のない空爆は、シリア軍が数年前にアレッポを制圧した際に役立った。
アサド氏が自国民に対する虐殺を是認してきたことを考えれば、アサド政権の崩壊を願いたくなる。だが、アサド氏を追放しようとするこのイスラム主義勢力は、民主主義陣営あるいは西側諸国にとって好ましい組織ではない。トルコは自国の目的のために彼らを支援するかもしれない。その目的とは、シリア国内にいる反トルコ派のクルド人を殺害することなどだ。
米国の1番の関心事は、この騒乱がイスラエルやイラクに広がるのを防ぐことにある。騒乱が広がれば、過激派組織「イスラム国(IS)」の復活につながりかねないからだ。米国はISを制御するため、シリア西部に900人ほどの兵士を配置しているが、騒乱が起きているアレッポからは遠く離れている。米国の拠点が安全に守られている限り、兵士の存在は情報収集と対テロ作戦にとって有益なものとなる。
シリアの内戦は2011年に勃発し、オバマ政権が民主派勢力を支援しないことを選択した後は、ロシアとイランが空白を埋めてきた。パックス・アメリカーナ(米国の覇権)の終わりがより良い世界につながると考えている人は、シリアの状況を見てみるがよい。米国は今や傍観者になっているが、シリアで再び騒乱が起きたことは、米国がイスラエルを支持し続けるべきもう一つの理由となる。イスラエルは惨劇が絶えないこの地域にある類いまれな友好国なのだ。
ヒズボラがイスラエル軍を攻撃、停戦後初-ネタニヤフ首相は報復示唆 - Bloomberg
シリアで何が起きているのか 内戦の経緯と再燃のきっかけを解説 - CNN.co.jp
内戦状態が続いていたシリアは、新たな反体制派の連合体が奇襲攻撃を展開し、同国第2の都市アレッポに攻め込んだことで再び注目を集めている。
この攻撃によって反体制派は2016年以降初めてアレッポを制圧し、正式に終結したことのない戦闘の膠着(こうちゃく)状態を打破した。
30万人以上が死亡し、600万人近くが国外に流出した紛争の新たな展開は、中東地域内外に広範な影響を及ぼしている。
シリア内戦で何が起こったのか?
「アラブの春」と呼ばれた民主化運動が広がっていた11年、民主化を求めるシリアのデモ隊は路上に繰り出し、独裁的なアサド大統領の退陣を求めた。
政府軍が民主化運動を鎮圧するにつれ、小規模な民兵組織とシリア軍からの離脱者からなる反体制派武装勢力が形成され始めた。
反体制派勢力は分散しており、異なるイデオロギーで構成されていたが、アサド政権打倒という共通の目標を掲げていた。近隣のトルコや、地域の大国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)のほか、米国などの外国勢力からさまざまな形で支援を受けていた。
反政府勢力が拡大するにつれ、シリアの同盟国であるイランとロシアは支援を強化した。地上では、イランの革命防衛隊とレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが反政府武装勢力との戦いを支援した。空では、ロシアの戦闘機がシリア空軍を強化した。
国際テロ組織「アルカイダ」を含むイスラム過激派はシリアに関心を持ち、聖戦主義者の関与を歓迎しないシリアの穏健な反体制派と共通の大義を掲げた。
しかし14年までには過激派が優勢となり、「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」がシリア国内を席巻し始めた。米国が率いる有志連合はシリアが恒久的なテロの温床となることを恐れて介入。シリア政権と対立することなくISISの排除に重点を置いた。
米国が支援する、クルド人戦闘員で構成されるシリア民主軍(SDF)はISISと戦い、同組織の領土面での支配を事実上終わらせた。
ロシアとトルコは20年、反体制派が支配する最後の県イドリブで停戦に合意。人道回廊の設置に合意した。
これ以降、大きな衝突は起きていないが、シリア政府は領土のすべての奪還には至っていない。そしてアレッポでの出来事が示すように、反体制派武装勢力は決していなくなってはいない。
なぜ今、紛争が再燃したのか?
11月27日に始まった攻撃に先立ち、反体制派は「軍事作戦司令部(MPO)」と呼ばれる新たな連合体を結成した。
MPOはすぐにアレッポ郊外の村々を制圧し、住民によれば、今や市内の大部分を制圧した。
戦闘員は、占領地の解放を目指しており、激しさを増している政府軍と親イラン民兵組織による攻撃に対処していたと述べている。
反体制派は、主要同盟国が他の紛争に大きく気を取られ政府が弱体化している折に乗じようとしている可能性がある。
反体制派の進撃に対応して、ロシアとシリアの空軍はアレッポとイドリブ県で空爆を開始した。
ロシアはウクライナ侵攻に兵力と資源を投入してきたが、アサド大統領にとって同国は空軍における主要なパートナーだ。
一方、イランはイスラエルからの一連の攻撃に悩まされており、特にヒズボラへの打撃は大きい。アナリストはCNNに対し、シリアの反体制派はヒズボラがいなくなったことで生じた間隙(かんげき)を利用して進撃していると指摘する。
アレッポの喪失は政府軍にとって大きな後退を意味する。アレッポはかつて人口と経済資本でシリア最大を誇り、世界でも有数の歴史を持つ居住都市だ。
アレッポは、アサド氏が16年に奪還するまで反体制派の主要拠点でもあった。反体制派は足場を取り戻したことで、イドリブに追い詰められることはなくなった。
反体制派とは誰か?
この新しい連合体は、イスラム主義派から穏健派まで、幅広い反体制派勢力で構成されている。
この連合体を率いるのは、過激派組織「シャーム解放委員会」(HTS、旧ヌスラ戦線)だ。ヌスラ戦線はかつて国際テロ組織アルカイダと関係があった。
HTSは正式にアルカイダとの関係を断ち切り、イドリブの事実上の支配者となっている。トルコの支援を受けた組織や、米国が以前支援していた組織も加わっている。
シリアはどう対応するのか?
シリアとロシアの戦闘機は、アレッポとイドリブで反体制派を攻撃してきた。これは、内戦下で領土を取り戻すために極めて重要な戦術だった。
アサド氏は、シリアは引き続き「すべてのテロリストとその支持者を前に、安定と領土保全を守る」と約束しており、国防省は反撃の準備を進めていると述べた。
しかし、現段階では政府の対応能力や意思がどの程度のものなのかは不明であり、主要な支援勢力によるサポートに大きく左右されるとみられる。
イランのアラグチ外相が1日にシリア首都ダマスカスに向かうなど、同盟国がシリアに結集する兆しがある。
反体制派がアレッポの主要な軍事施設や空港までをも支配下においているため、シリア軍にとって反撃は困難だとみられる。この都市は16年に政府に奪還されるまで、政府軍によるほぼ継続的な包囲に2年近く持ちこたえた。
●エマージング
中国10年債利回りが2%割れ、預金金利抑制の動きで追加緩和観測 | ロイター
中国の10年債利回りが2日、2%の心理的節目を割り込み過去最低となった。預金金利押し下げの動きを受け追加の金融緩和観測が高まった。
中国人民銀行の監督下にある機関は29日、銀行が特定の顧客に優遇預金金利を提供することを禁止すると発表した。
人民銀行は、証券会社や資産運用会社などのノンバンク金融機関に銀行が提供する預金金利を政策金利と一致させることを目指している。
10年債利回りは一時5ベーシスポイント(bp)低下し1.9750%と、中国中央国債登記結算(CCDC)のデータで最低を記録した。10年債先物は0.4%上昇し最高値付近。30年債利回りは約4bp低下し2.16%を付けた。
国信証券のアナリスト、ヤン・イェウェイ氏はこの政策が短期金利を押し下げ「長期債利回り低下トレンドの新たな原動力になる可能性がある」と指摘した。
BNPパリバの中国マルチアセット投資部門責任者ウェイ・リー氏は「人民銀行は25年に金融緩和を強化し、債券市場をさらに下支えする」との見方を示した。
中国債券市場は10年にわたり上昇基調にある。約2年前、不動産不況や株安を受け上昇に拍車がかかった。当局は国債市場の過熱感を抑えようとしているが効果は乏しく、アナリストは来年にかけて上昇が続くとみている。
ヘッジファンドMingshiの元ポートフォリオマネジャー、Ke Zon氏は「ファンダメンタルズはなお非常に弱い。諸政策は経済のハードランディングを防ぐだけで、力強い刺激とはなっていない」と述べた。以前消極的だったファンドや機関投資家の投資が依然低調なことや、保険会社が新年を迎える前に資金のアロケーションをすることが利回りを押し下げていると指摘した。
モルガン・スタンレーのストラテジストは、中国経済への慎重な見方、米国の対中関税の公算を踏まえ、人民銀行が政策金利を第1・四半期末までに40bp下げると予想している。
中国製造業PMI、11月民間指標は5カ月ぶり高水準 受注が堅調 | ロイター
財新/S&Pグローバルが2日発表した11月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.5と前月の50.3から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。ロイターがまとめたアナリスト予想の50.5も上回った。
海外からの受注を含む新規受注が生産の堅調な拡大につながり、製造業者の楽観度を8カ月ぶりの高水準に押し上げた。
中国国家統計局が11月30日に発表した製造業PMIも景況拡大・悪化の分かれ目となる50を上回った
新規受注は2023年2月以来最も速いペースで増加した。特に新規輸出受注は4カ月ぶりのプラスとなり、サブ指数は7カ月ぶりの高水準を記録。受注は主に投資財と中間財で拡大し、消費財はわずかに減少した。
新規受注増の理由としては、基調的な需要の改善、新製品の発売、米国の選挙を受けた在庫積み上げなどが挙げられた。
中国企業は、経済状況の改善と政府の政策が今後1年間の売り上げを下支えするとの期待感を示している。
2カ月連続で受注残は積み上がった。ただ、人員削減ペースは和らいでいるものの、企業は雇用に慎重な姿勢を崩していない。
財新智庫のエコノミスト、王哲氏は「景気低迷は底を打ちつつあるように見えるが、さらなる足場固めが必要だ」と指摘。雇用の縮小が続いていることを挙げ、景気刺激策の効果がまだ労働市場に表れていないとし、雇用拡大に対する企業の自信を強化する必要があると述べた。
原材料高に伴い、平均投入価格が過去5カ月で最も速いペースで上昇する中、コスト懸念も高まった。その結果、企業はコスト負担を顧客に転嫁し、販売価格は23年10月以降で最も急速な上昇を見せた。
中国新築住宅価格、11月は伸び加速 経済対策の効果か=民間調査 | ロイター
中国の民間不動産調査会社の中国指数研究院が1日発表した11月の国内100都市の新築住宅平均価格は前月比0.36%上昇し、伸び率は10月の0.29%から加速した。前年同月比でも2.08%上昇から2.40%上昇に拡大した。
政府は過去数カ月間、住宅購入時の減税や頭金減額など各種規制を緩和し、マイホーム機運を刺激する経済対策に乗り出しており、その効果が表れたとみられる。
住宅価格の公式データは16日に統計局が発表する。
ロイター調査によると、一連の政策の効果が出始めることで、2024年と25年の住宅価格は下落ペースが緩やかになり、26年には価格が安定化する見通しだ。
中国の対日感情、尖閣国有化時並みに悪化 日中世論調査 - 日本経済新聞
日本の非営利団体「言論NPO」と中国国際伝播集団は2日、日中両国で実施した共同世論調査の結果を発表した。日本への印象を「良くない」と答えた中国人は合計で87.7%だった。2023年調査より24.8ポイント上昇した。
調査を始めた05年以降で2番目に高い。最も高かったのは日本が尖閣諸島を国有化した際の13年で92.8%だった。日本人の対中感情はやや改善した。中国への印象を「良くない」と答えた日本人は合計で89%で前回調査比で3.2ポイント下がった。
日中関係への認識でも温度差が浮き彫りになった。「関係は重要」とした人は日本が67.1%と微増だったのに対し、中国は26.3%で33.8ポイント急落し、過去最低を記録した。
日本に関する情報源として「微博(ウェイボ)」や動画共有アプリ「ティックトック」の中国版「抖音(ドウイン)」などのSNSが上位になっていることもわかった。対日感情に影響を与えている可能性がある。
世界の紛争や緊張の原因がどこにあるかも聞いた。ロシアを念頭にした「核保有国で、安保理の常任理事国である国が他国を侵略し、核使用の威嚇を行うなどしていることを世界が止められないこと」との回答が日中ともに最も多かった。
日本が32%で、中国が41%だった。両国ともに「国連が機能していないこと」という回答が日本で28.5%、中国で19.9%だった。
調査は24年の10~11月に両国で18歳以上の男女を対象に実施した。日本は全国で1000人、中国は北京、上海など10都市で1500人から回答を得た。
ロシア戦時経済に新たな亀裂露呈 ルーブル急落で - WSJ
2年を超える戦争と制裁の中、驚くほどの強じんさを見せてきたロシア経済に突然、深刻なひずみが現れ始めた。
ロシアの通貨ルーブルが急落し、インフレが急激に高進している。ウラジーミル・プーチン大統領は先週、国民に対し、パニックを起こす理由はないと述べた。
経済状況が変化したきっかけは、バイデン米政権がロシアの銀行ガスプロムバンクへの制裁を決定したことだ。同銀は制裁を免れていたロシア最後の主要銀行で、ロシア政府は兵士への給与の支払いや貿易取引の処理に利用している。米政府は50を超える他の金融機関も制裁対象に加えた。
ガスプロムバンクがこれまで制裁対象から除外されていたのは、ロシアからエネルギー供給を受ける欧州の国が代金を支払えるようにするためだった。同行はロシアからの輸出と引き換えに流入するハードカレンシー(国際決済通貨)にとって極めて重要なルートとなっていた。
LSEGのデータによると、ルーブルは先週終盤、対ドルで2年8カ月ぶりの安値を付けた。ロシアのウクライナ侵攻直後以来の安値水準となる。
ロシア政府関係者やアナリストによると、新たな制裁措置で既に圧迫されているロシアの貿易ルートが利用できなくなる恐れがあるという。
開始から間もなく3年になるウクライナとの戦争にとって、今は極めて重要な時期だ。ロシアは北朝鮮兵士とイラン製兵器の助けを借りて、前線に沿って前進している。米国のドナルド・トランプ次期大統領は戦争の早期終結を約束しており、現在と今後の対ロ制裁がどうなるかは不透明だ。
ロシア政府の支配下にあるガスプロムバンクは当初エネルギー関連の銀行業務のハブだったが、近年はその他の分野の国際決済でも重要性が高まっている。米国政府はガスプロムバンクを制裁対象とすることで、西側の金融システムへ最後の主要ルートの一つを止めようとしている。
ロシアは自国通貨のほか、中国人民元やインドルピーといった友好国の通貨での取引を増やしている。ロシア企業も暗号資産(仮想通貨)を利用したり、バーター取引を行ったりして制裁の影響を回避している。それでもドルの入手が極めて重要であることに変わりはない。
制裁の発表後、トルコはガスプロムバンクにロシアからの天然ガスの輸入代金を引き続き支払うことができるよう適用除外を確保するため、米国政府と協議することを明らかにした。欧州で今もロシア産ガスに依存する数少ない国の一つであるハンガリーも、解決策を探す意向を示した。
米シンクタンク、新アメリカ安全保障センターのレイチェル・ジエンバ上級研究員(非常勤)は、ガスプロムバンクへの制裁には「萎縮効果」があると指摘。「取引業者や輸出業者、外資系銀行は自分たちの負債がどこにあるかを把握しようとしている。したがって多少のパニックが起きるのは理にかなっている」とした上で、「数週間で新しいルートができるかもしれない」と語った。
2022年2月にロシアがウクライナ侵攻を開始してまもなく、ロシア経済は大打撃を受けたが、大規模な政府支出と戦時経済への方向転換で成長を取り戻した。兵士への多額の支払いや低金利の住宅ローンが家計支援に一役買った。
軍事支出は今年、ソ連崩壊後の最高水準に達し、来年は総歳出額の3割を上回る1200億ドル(約17兆9600億円)超になる見通しだ。
ただこうした刺激策は危険な副作用をもたらしている。中でも注目すべきは、物価上昇率が中央銀行の目標の2倍以上のペースで推移していることだ。中銀は今年、政策金利を21%にまで引き上げたが、これまでのところ、過熱した経済を冷やす効果はほとんど見られない。労働年齢の男性が前線に派遣されたことによる記録的な労働力不足が、インフレをさらに加速させている。
ルーブル急落で輸入コストはさらに増える恐れがある。公式データによると11月の消費者物価の上昇率は既に9%に近い水準にあった。市場調査会社ロミールがまとめた代替指標によると、日用品・サービスの平均コストは11月半ばの時点で前年比28%増だった。
オックスフォード・エコノミクスの新興市場担当リードエコノミスト、タチアナ・オーロバ氏は、ロシア中銀が今月、政策金利を23%に引き上げると予想している。同氏はまた、政府が輸出業者に外貨収入の国内送金を増やすことを義務付ける資本規制を再び課すとみている。ロシア国内への送金が増えればルーブルの需要が高まる。
こうした取り組みや、ホリデーシーズン後の輸入減によってルーブルの価値は安定するかもしれない。だが、来年には利上げが経済をさらに圧迫し始め、2026年には景気後退(リセッション)が起きるとオーロバ氏はみている。農業や輸送など、政府の支援による後押しを受けない業界は縮小している。
「ロシア経済は今、おそらく転換点にある」とオーロバ氏は指摘する。「この厳しい金融引き締め政策が、経済をリセッションに追い込んでいる」
ロシアがより深刻な経済危機の瀬戸際にあると考える人はほとんどいないが、戦争が長引くにつれて困難が増すとみられている。
ピーターソン国際経済研究所のエリーナ・リバコワ上級研究員(非常勤)は「政策の折り合いをつけることは、ますます困難になるだろう」と語った。同氏によると、ロシアは医療や教育などの非軍事分野を犠牲にして戦争を優先することで、経済の見通しを悪化させ続ける可能性が高いという。
ロシアはトランプ氏のウクライナ停戦案を拒否する-プーチン派有力者 - Bloomberg
ロシア保守派の大物実業家で大統領府とも深い関係を持つコンスタンチン・マロフェーエフ氏は、トランプ次期米大統領が仲介するいかなるウクライナ停戦案も、ロシア政府は拒否するだろうと述べた。
金融グループを率いるオリガルヒ(新興財閥)のマロフェーエフ氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、ウクライナ中立化に法的拘束力を持たせることを含む追加的な譲歩をロシアは求めているため、合意には応じないだろうとの考えを示した。ただ、トランプ氏と最終的に合意する可能性は「五分五分」だとも語った。
マロフェーエフ氏は米国など西側の制裁対象となっている。
トランプ氏はウクライナでの戦争を24時間以内に終わらせると公約。だが、容易かつ迅速な合意にロシアが応じる意思はほとんどない兆しが積み上がっており、マロフェーエフ氏の発言もそれを裏付ける。同氏はプーチン政権の当局者ではないものの、ロシア強硬派の代表的な論客で、大金を投じて傘下のテレビ局「ツァールグラード」などで同国政府の主張を流布している。
マロフェーエフ氏はドバイでのインタビューで、「停戦はロシアが待ち望んでいる贈り物ではないと、米国の次期政権が理解することは重要だ」と述べ、「現時点での停戦はウクライナと米国にとっては有益だが、われわれにとっては何の得にもならない。ロシアが勝利しつつあるからだ」と続けた。
ロシアはウクライナ東部でじりじりと進軍を続け、過去数週間に拡大した占領地は今年のどの期間よりも大きかった。ロシア大統領府に近い関係者2人は先週、ブルームバーグに対し、同国が現在注力しているのは占領地の拡大だと指摘した。西側兵器によるロシア領内への攻撃を許可するなど、最近の米国のウクライナ支援措置が戦況を変えることができるかは不透明だ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は11月29日、ウクライナが支配する領土だけを北大西洋条約機構(NATO)の安全保障下に置くことと引き換えに、ロシアとの停戦に応じる用意があると示唆した。この発言をマロフェーエフ氏は歓迎。発言は「転換点」だと指摘し、ゼレンスキー氏は全ての領土を奪還することなく戦争を終わらせる選択肢を排除していないとの見解を示した。
ジョージア野党指導者を逮捕、EU加盟交渉停止への抗議デモ続く | ロイター
ムーディーズ、ハンガリーの見通しを「ネガティブ」に引き下げ | ロイター
ルーマニア議会選、極右勢力拡大 首相与党が第1党 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
PG&Eが下落 資金調達計画を発表=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
カルフォルニア州で電力・ガスの公益を手掛けるPG&E<PCG>が下落。資金調達計画を発表。12億ドル規模の普通株と12億ドル規模の優先転換社債を発行する。同社はまた、2024年通期の利益のガイダンスを再確認した。
調達した資金の使途は、5年間の資本投資計画への資金提供を含くむ一般企業目的としている。
●その他
新電化時代、必要なのはガラクタ - WSJ
世界最大の鉱山会社の一つが米国でがらくたや古い携帯電話、ごみの埋め立て地を掘り起こしている。エネルギーの転換やデータセンターブームで必要とされている銅があるからだ。
97年の歴史を持つスイスの資源大手グレンコアの銅製錬所はカナダの亜寒帯林にある。外には破砕された携帯電話や自動車、使われなくなったコンピューター用のケーブルが9メートルほどの高さにまで積み上げられている。これらのスクラップはここで銅精鉱と一緒に溶かされ、新たな金属板になる。
この銅製錬所では以前から古い電子機器を原料の一部に使用してきたが、最近はグレンコアを含む銅生産会社がスクラップにまで手を伸ばし、リサイクル能力の拡大に多額の資金を投じている。
化石燃料からより再生可能なエネルギーへとシフトし、コモディティー(商品)市場の構造変化が見込まれている。米国で必要とされる原油や石炭が減り、電化が進めば、代わりに電気自動車(EV)用電池に使用されるリチウムや、より大きな電柱に使用される松の木がこれまで以上に必要になる。銅もそうだ。
「私たちは今後25年間で、人類が今まで消費してきた以上の銅を消費するだろう」。グレンコアのリサイクル担当グローバル責任者、クナル・シンハ氏はこう話した。「そのような規模に挑もうとしている」
さまざまな製品の回路基板が米ロードアイランド州にあるグレンコアの施設に届く。ここで銅や貴金属含有量を特定する
中国の近代化に伴い、銅の消費量はこの数十年で急増した。2022年に米国で再生可能エネルギー開発を推進する法律が成立し、銅の需要はさらに増えた。人工知能(AI)開発の支援やスマートフォンの動画保存のために建設されているデータセンターも至る所に銅が使われている。スマホ自体もそうだ。
グレンコアの推計では、世界の銅供給量は2050年まで年間約100万トンのペースで増加する必要がある。それだけ供給するには、チリにある世界最大の銅鉱山、エスコンディーダ鉱山の生産量に相当する量を毎年追加しなければならない。
豊富な埋蔵量が見つかったとしても、鉱山を稼働させるには数十年かかることもある。シティグループの金属ストラテジスト、トム・マルクイーン氏によると、そうした事情から鉱山開発企業は新たな需要に迅速に対応できず、スクラップが市場のバランスを保っている。
銅の需要予測は中国の景気低迷や製造業の落ち込み、エネルギー転換の失速で外れることもありうる。
米大統領選でドナルド・トランプ前大統領が勝利した翌日の11月6日、トレーダーはトランプ氏の選挙公約から中国との貿易摩擦がエスカレートし、クリーンエネルギーの奨励策が縮小されると考えた。
シティの基本シナリオは、銅価格が来年半ばまでに高値を更新すると予想しているが、マルクイーン氏はトランプ氏の勝利と投資家を失望させた中国の経済政策の発表以降、予想はより大きなリスクにさらされていると指摘する。
エネルギーデータ会社ウッド・マッケンジーの推計によれば、2050年には銅需要の約半分がリサイクル銅で賄われる見通しで、現在の約3分の1から上昇する。米国で発生するスクラップの多くは現在、アジアに送られているが、銅生産会社は北米のリサイクル能力を増強している。
ドイツの伸銅メーカー、ウィーランドは2022年、米ケンタッキー州シェルビービルで1億ドル(約155億円)を投じてリサイクル施設の建設を開始した。現在は、同施設の拡大に向けて2億7000万ドルの補助金を得るためエネルギー省と交渉している。
同じくドイツ企業アウルビスも、ジョージア州オーガスタに8億ドルをかけてリサイクル施設を建設中だ。広報担当者によると、同社は既にスクラップの調達を開始しており、来年には銅の生産を開始する見通しだという。
グレンコアは2013年にスイスの鉱山大手エクストラータを合併した際、カナダ・ケベック州ルイーヌノランダにあるホーン製錬所を取得した。地元の鉱山が掘り尽くされた後、1980年代に電子機器のリサイクルが同製錬所で最初に行われた。
過去の所有者は、カリフォルニア州サンノゼに古いコンピューターを収集する施設を造った。またロードアイランド州には、回路基板や古い銀製食器などの素材を受け入れ、銅や貴金属の含有量についてサンプル調査を行い、価格を付ける施設を開設した。グレンコアのシンハ氏によると、同社は最近、アーカンソー州で倒産した電子機器のリサイクル施設を買収しており、この施設もスクラップの収集に使用するという。
トロント、スイス、ニューヨークにいるグレンコアのトレーダーはスクラップを探し回り、約40カ国から集められた原料はホーン製錬所に送られる。製錬所の門にも回収箱が設置され、4万2000人の住民が古いケーブルや壊れたトースターを捨てに来る。
シンハ氏によると、グレンコアは分解やリサイクルが容易な製品の設計を目指して、電子機器や太陽光パネルのメーカーとも協力している。
「ほとんどの人は製品の寿命が終わった後のことを考えて作っていない」とシンハ氏は言う。
グレンコアは自動車が廃棄されている埋め立て地も調査している。自動車が廃棄されると、使える部品や金属の多くが取り除かれ、残りは破砕されて「自動車破砕残さ(ASR)」と呼ばれる素材になる。
グレンコアは既に破砕前の自動車から取り出した銅を購入しているが、同社の納入業者は銅を確保するためASRが多く廃棄されている埋め立て地を掘り起こし始めている。グレンコアの試験では、埋められたASRの銅の濃度が鉱山の濃度の2倍以上になる可能性があることが分かった。
ケベック州に積み上げられているスクラップはさらに細かく砕かれて、溶解炉に投入される。シンハ氏によると、投入物に占めるスクラップの割合は通常15%程度だという。責任者が製錬プロセスの熱や化学現象に影響するプラスチックなどの素材を考慮してスクラップと銅精鉱と混ぜ合わせる。
最終的に溶けた金属が鋳型に注がれ、重さ約340キログラムの板ができる。板は冷却後に約640キロメートル離れたモントリオールにあるグレンコアの精錬所に運ばれ、再び溶かされて微量のプラチナやパラジウム、銀、金を除去、回収する。
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(2日)ユーロ1%下落、株まちまち | ロイター
### **為替市場**
- **
- **ユーロ安**:
- **
- **ユーロ/ドル**は1.0469ドル(1%安)で推移し、11月初旬以来最大の下落幅となる見込み。
- **背景**: フランスの内閣不信任案可決の可能性が高まり、財政赤字削減計画の停滞懸念が浮上。
- アナリストの指摘: 仏政局の混迷に加え、米経済指標が市場予想を上回る結果となり、ユーロに圧力。
- **ドル指数**は0.3%上昇し、106.33を記録。
- **米経済指標**: 11月のISM製造業景気指数は48.4(前月46.5)で改善。
- FRBのウォラー理事が12月の利下げを支持する発言を受け、利下げの確率が79%に上昇。
- **円相場**: ドル/円は0.2%下落し、149.37円。
### **米株式市場**
- **S&P500**
- **S&P500**および**ナスダック**はハイテク株主導で上昇。
- **ダウ工業株30種平均**は小反落。
- 投資家は今週発表される雇用統計を含む経済指標に注目。
### **コモディティ市場**
- **
- **金先物**:
- 2
- 2月物は1オンス=2658.50ドル(0.84%安)。
- **背景**: トランプ次期大統領による「脱米ドル」へのけん制発言が影響。
- **原油先物**:
- WTI
- WTI原油1月物は68.10ドル(+0.15%)、2月物は67.84ドル(+0.12%)。
- **背景**: 中国の需要回復期待と中東地域の供給懸念が支援材料。
### **まとめ**
- **
- **為替市場**ではユーロが仏政局リスクで下落、ドルが強含む展開。
- **株式市場**はテック株が上昇を牽引する一方、金価格は反落。
- **原油市場**では中国需要や地政学リスクがプラス材料となった。
【欧州市況】仏独債のスプレッド拡大、仏政治危機で-ユーロも下落 - Bloomberg
10年物のフランス債とドイツ債のスプレッドは8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大して89bpと、2012年以来の大幅な開きに迫った。フランスの主要株価指数であるCAC40指数は一時1.2%安まで売り込まれたが、その後は戻してほぼ変わらずで取引を終えた。この日はユーロも下落。一時は対ドルで1%超下落した。
一方のドイツ債は安全逃避の買いが入り、10年債利回りは8日連続で低下。フランス債以外のユーロ圏国債は総じて上昇した。
短期金融市場では欧州中央銀行(ECB)による来週の利下げは28bpと織り込まれており、0.5ポイント利下げの観測は後退している。ただ、来年の利下げ見通しは加速しており、2025年末までに162bpの利下げが想定されている。
欧州市場サマリー(2日) | ロイター
### **ロンドン株式市場 (FTSE 100)**
- **FTSE 100
- **FTSE 100指数**は約1カ月半ぶりの高値で続伸し、取引を終えました。
- **背景**: ポンド安により、ドル建て収益が多い国際企業に有利な環境が整ったため。
- 主要企業の動き:
- **
- **ユニリーバ** +0.9%
- **HSBC** +0.7%
- **
- **HSBC** +0.7%
- **アングロ・アメリカン** +1.7%
-
- 中型株指数**(FTSE 250)**は小幅に下落。
- **住宅建設セクター**が影響を受け、**ビストリー・グループ**(-3.9%)や**パーシモン**(-1.3%)が値を下げました。背景にはRBC証券による投資判断の引き下げがあります。
- **PMI指標**: 英国11月製造業PMI改定値は48.0(前月49.9)と低下。供給網の混乱とコスト上昇が主因。
### **欧州株式市場**
-
- ドイツの**DAX指数**は+1.57%で過去最高値を記録。ユーロ安が輸出企業を支援。
- フランスの**CAC 40指数**は政局混乱の中で横ばい。
- **背景**: 極右・左派政党がバルニエ首相への不信任案支持を表明。
- 銀行株は軟調 (クレディ・アグリコル -0.9%、BNPパリバ -1.2%)。
- 高級品セクターが堅調:
- **
- **エルメス** +4.8%
- **LVMH** +3.3%
### **
- **LVMH** +3.3%
### **債券市場**
-
- フランスの政局不安が債券市場に波及:
- **
- **独仏10年債利回り格差**: 7bps拡大し87bps(ユーロ危機以降の高水準)。
- **フランス10年債利回り**: 一時2.921%まで上昇。
- ドイツ10年債利回りは低下し、2.035%を記録。
- ユーロ圏製造業PMI改定値は45.2(前月46.0)で、引き続き不況領域。
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