2022年5月6日金曜日

備忘録(22/5)

備忘録(5/31
●ウクライナ
ウクライナ東部ルガンスク州の要衝セベロドネツク市の当局は31日、「市の約50%をロシア軍が掌握した」と明らかにした。同市はルガンスク州の最後の拠点とされ、ウクライナ軍は劣勢に立たされている。市街戦も起きており、民間人の退避が難しくなっているもようだ。
ロシア国営ガスプロムは5月31日、英シェル子会社のシェルエナジーがドイツ向けに供給する天然ガスを停止すると発表した。ドイツへの供給が止まるのは初めて。ロシアが求めるルーブル建てでの代金支払いに応じなかったためとみられている。
●コロナ
中国・上海市は6月1日、2カ月超にわたり実施してきた都市封鎖(ロックダウン)を解除する。供給網の回復を見込みホンダが6月の日本国内生産を微増とする計画を取引先に伝えたほか、現地に進出するセブンイレブンなども順次営業を再開する。当局の詳細な通達内容などはまだ不透明な面もあり、企業活動の正常化にはしばらく時間がかかりそうだ。
新型コロナウイルス新規感染者が3月以来初めて100人を下回る中、中国政府は一部制限措置を緩和。ロックダウンが2カ月続いていた上海では6月1日から公共交通の運行が始まり、北京でも一部ショッピングセンターが営業を再開する。
バイタル・ナレッジの創業者、アダム・クリサフルリ氏はリポートで中国に関するニュースは「引き続き強気」要因だとした上で、「『ゼロコロナ』政策で中国のロックダウンリスクは引き続き高止まりする見通しだが、この数カ月間の経済的破壊を考慮すれば中国政府はこの政策に固執する姿勢を若干緩めざるを得ないだろう」と指摘した。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米バイオ企業アフィニバックスを買収すると発表した。アフィニバックスの全株式を最大33億ドル(約4200億円)で取得する。高付加価値のワクチン開発事業などに経営資源を集中させる狙いがある。
まず21億ドルを支払い、開発状況に応じて追加で最大12億ドルを投じる。2022年7~9月に手続きが完了する見通しだ。アフィニバックスは肺炎、髄膜炎などの原因となる肺炎球菌のワクチン開発に優れる。同社製品は従来より免疫を効果的に獲得できると期待されている。
GSKは近年、ワクチンやがん治療薬の開発に注力している。一般用医薬品(大衆薬)事業は分離し、子会社「ヘイリオン」として7月に上場させる考えだ。1~3月期は新型コロナウイルス向けの抗体医薬「ゼビュディ(ソトロビマブ)」や、帯状疱疹(ほうしん)ワクチンのシングリックスなどの売り上げが好調だった。
金融大手ドイツ銀行と同グループの資産運用大手DWSに対し、独検察・金融当局が家宅捜索に入ったことが31日わかった。独メディアが一斉に報じた。ESG(環境・社会・企業統治)投資をめぐり、環境配慮に見せかけて実態を伴わない「グリーンウオッシュ」に関与した疑いが浮上していた。内部管理体制に問題がなかったか調査を進めているもようだ。
●その他産業
●決算関連
5月31日、通期の利益予想を上方修正した。マクロ経済が不安定でもビジネスソフト需要が持ちこたえていることを示唆した。株価は時間外取引で約6%上昇した。
2-4月の売上高内訳では、PCを含むパーソナルシステム部門が115億ドルと、9.2%伸びた。商用がけん引したが、消費者向けは6%減少した。プリンティング部門は7%減の50億ドルだった。 
マリー・マイヤーズ最高財務責任者(CFO)はインタビューで、「消費者向けは軟調だが、商用は力強さが確実に見られている」とし、「商用は現時点で当社ポートフォリオの約65%を占め、この傾向は今後も続くと考えられる」と語った。
●マクロ・その他
5月29日のコロンビア大統領選でポピュリスト(大衆迎合主義者)の実業家ロドルフォ・エルナンデス氏が健闘して2位につけ、元左翼ゲリラのグスタボ・ペトロ氏を相手に回す6月の決選投票への進出を決めた。
中東のカタールはアフガニスタンでの混迷の深まりや過激主義の台頭を防ぐため、欧米諸国にイスラム主義組織タリバン暫定政権への関与を強めるよう求めた。
カタールのムハンマド外相は「欧米がアフガニスタンを拒否し、国際機関を通じた人道支援活動にのみ焦点を当てている」現状を維持すれば「アフガニスタンを無傷のまま」で保つことはできないとフィナンシャル・タイムズ(FT)に述べた。
スラエルは5月31日、アラブ首長国連邦(UAE)と自由貿易協定(FTA)に署名した。イスラエルがアラブ諸国とFTAを結ぶのは初めて。2020年に国交を樹立した両国が経済面でも関係を一段と強める。
UAEで5月に就任したばかりのムハンマド大統領は対イラン強硬派で知られる。大統領に就く前からUAEの事実上の指導者としてイスラエルとの国交樹立を主導した。ともに安全保障上の脅威とみなすイランへの対抗でも連携を深める可能性がある。
イスラエル政府は31日発表した声明で、両国間で取引する製品の96%について即時または段階的に関税が撤廃されると説明した。農産物、化粧品、医療機器、医療品などが対象になる。両国は4月にFTA締結で合意していた。
声明によると、21年の両国間の貿易額は8億8500万ドル(約1100億円)に「急増」した。イスラエルとUAEはトランプ米政権(当時)の仲介で国交を結び、企業間の取引や協力を拡大してきた。FTAは両国間の貿易の活性化に追い風となる。
イスラエルは20年、UAEだけでなく、バーレーン、スーダン、モロッコとも国交正常化で合意した。こうしたアラブ諸国は従来、パレスチナ問題の解決をイスラエルと国交を結ぶ条件だとしていたが、トランプ前米政権の後押しで、方針を転換した。
このうちUAEとの経済協力をイスラエルは先行させた。同国は今後、UAEとのFTA締結を「実利」の象徴として、ほかのアラブ諸国とも外交関係の正常化を目指すとみられる。
一方、UAEは2月、インドと包括的な経済連携協定(CEPA)の締結で合意したばかりだ。インドはイスラエルとのFTA交渉を再開しており、中東からアジアにまたがる経済連携が具体化し始めている。インド、イスラエル、UAE、米国の4カ国は21年10月、オンラインで外相会談を開き、関係強化を確認した。
トルコ統計局は31日、2022年1~3月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比7.3%増だったと発表した。金融緩和と通貨安で輸出が過去最高水準で推移するものの、前の期(9.1%増)からは減速した。金融緩和の副作用で足元のインフレ率は前年同月比で70%にものぼり、消費の先行きには陰りが見えてきた。
5月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比8.1%上昇。ブルームバーグがまとめた予想中央値の7.8%上昇を上回った。ロシアのウクライナ侵攻を受けて商品相場が上昇。この影響で食料品とエネルギーが値上がりしインフレを加速させた。変動の激しい食料品やエネルギーを除くコア指数は3.8%上昇だった。
最新の統計は、食料品やエネルギーといった項目で目立つインフレの高止まりが消費者マインドへの重しとなり、家計を圧迫している様子を示唆した。こうした状況下で貯金の取り崩しや、消費支出を支えるためのクレジットカードの利用拡大を余儀なくされるケースが増えている。
消費者の1年先のインフレ期待は7.4%と高水準にとどまった。自動車や住宅、家電製品の全てについては、購入計画があるとの回答比率がいずれも低下した。
コンファレンスボードの景気指数担当シニアディレクター、リン・フランコ氏は「消費者はなおもインフレを最も憂慮しており、5月のインフレ期待は4月の高い水準からほとんど変化がなかった」と発表文で指摘。「今後に関しては、物価高騰と追加利上げが引き続き年内の個人消費への下方リスクになると予想するべきだ」と記した。
現況指数は149.6に低下し、労働市場に対する見方の後退を示唆した。今後6カ月の見通しを反映する期待指数は77.5に低下した。
雇用が「十分にある」との回答比率は51.8%に低下し、仕事が見つけにくいとの回答比率は上昇した。それでも、今後6カ月の労働市場見通しは総じて楽観的な水準にとどまった。
参加国当局者らは世界的な石油の需給水準が安定しており、ロシアの輸出にまだ深刻な打撃は見られないとして、OPECプラスによる特段の行動は必要ないと主張する。サウジアラビアと近隣諸国を除きOPECプラス諸国の大半は増産に苦慮しており、供給を巡る決定はいずれにせよ総じて象徴的なものになりつつある。
サウジのファイサル外相は先週スイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)で、OPECは世界市場の安定のために「できることは全てやってきた」と述べた。また、同国のアブドルアジズ・エネルギー相は今月、価格を押し上げているのは原油不足ではないと指摘。ガソリンなどの燃料生産に必要な製油能力が消費国で不十分なことが原因だとの見方を示していた。
OPECプラスは7月の生産について、日量43万バレルの小幅な引き上げを承認する見通しだ。ブルームバーグがまとめたトレーダー、アナリスト13人の予想によれば、11人が6月2日に開かれるOPECプラスのオンライン会合では現状維持の結果を見込む。
20都市全てで2桁の伸びとなった。上昇率が最も高かったのはフロリダ州タンパで34.8%。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのマネジングディレクター、クレイグ・ラザラ氏は発表文で、「米住宅価格の伸び率が鈍化し始めるには、少なくともあと1カ月待つ必要がある」と記した。
全米ベースでは前年同月比20.6%上昇した。
●市況
日経先物(大証)27360、ダウ先33159、債先149.59、米2.864、独1.1200、仏1.638、西2.220、伊3.089、波6.590、原油115.35、ドル円128.89、墨ペソ19.66、トルコリラ16.4068、墨CDS125
※6/1 9時15分頃

備忘録(5/30
●ウクライナ
ロシアのシルアノフ財務相は、外貨建て国債の債権者がロシアの銀行に口座を開設し、ロシアがルーブルで支払った利子を債権者が外貨で受け取れる方法を検討していると述べた。ロシア紙ベドモスチが30日付で報じた。ロシアが外貨建て国債の利払いができずデフォルト(債務不履行)とみなされる可能性があるのに対応するのが狙い。
ハンガリーのオルバン首相は、欧州連合(EU)首脳らの間でロシア産石油の禁輸を巡るコンセンサスはないと述べた。その上で、EUがハンガリーに対し引き続きパイプライン経由での石油供給とパイプラインが封鎖された際に別の手段での供給を保証する場合には、禁輸措置を支持する用意があることを示唆した。
フランスのマクロン大統領は、ロシア産石油禁輸に対する速やかな合意への見方をけん制。大統領はEU首脳会合へ向かう際にブルームバーグに対し、「引き続き非常に慎重に見ている。なぜならハンガリーが新たな要求を提示したからだ」と述べ、「前進を目指す」と続けた。
ロシア、オランダ企業へのガス供給を停止へ
ポーランド、ブルガリア、フィンランドに続き、ロシアはオランダ企業にもパイプライン経由のガス供給を停止すると警告した。オランダのガステラはロシア側の支払い要件の受け入れを拒否したことから、ガスプロムからの供給が31日に停止する。
ロシア軍はウクライナ東部ルガンスク州全域の掌握を狙い、最後の拠点セベロドネツク市中心部に迫った。ルガンスク州知事は30日「ロシア軍はセベロドネツクの中心部に押し寄せている。戦闘が続いており、状況は悪い」とSNS(交流サイト)で表明した。
米シンクタンクの戦争研究所は29日「ロシア軍は複数の作戦を同時実施できないだろう」として、セベロドネツク以外の優先度が下がると分析した。ロシアのラブロフ外相は29日、ルガンスク州とドネツク州の解放が「絶対的な優先事項だ」と仏メディアで述べた。
英国防省は30日、ロシア軍は「経験豊富で信頼できる小隊や中隊の指揮官が不足している」との分析を公表し、兵士の士気がさらに低下すると予測した。
ウクライナ軍はロシアが制圧を宣言した南部ヘルソン州では、反転攻勢を強めている。米CNNによると、同州議会の議員はウクライナ軍が一部地域でロシア軍を9キロメートル押し戻したと説明した。ロシアは2022年末までに同州の編入の準備を整える方針だったが、23年に先送りする可能性が高まっている。
欧州連合(EU)は30日夜、ロシア産石油のEUへの輸入を禁止することで合意した。EUのミシェル大統領がツイッターで「ロシアからの石油の3分の2以上がただちに対象になる」と明らかにした。
●コロナ

●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
使用済み揚げ油など廃食用油の需要が高まっている。ジェット燃料や軽油に混ぜて使うバイオ燃料の原料として活用し、二酸化炭素(CO2)の排出量削減につなげようと世界各国・企業が動いている。廃食用油は家畜のエサや工業用の原料でもあり、奪い合いに発展すれば国内価格の上昇が続く可能性もありそうだ。
米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社が開発した新型コロナウイルスワクチンの国内での製造販売が承認される見通しとなった。最初に2回の接種が必要な他社のワクチンと違い、1回で済む特徴がある。承認されれば5例目となる。政府は同ワクチンの調達を当面しない方針で、しばらくは予防接種にも使わない見通しだ。
招集通知からはソフトバンクGの主要借入先10行のうち、みずほ銀行からの借入額が8122億円と前の期から減る一方、三井住友銀行と三菱UFJ銀行では増加したほか、新たに三井住友信託銀行が加わったことが分かった。外国金融機関ではBNPパリバからの借入額が2539億円と約6割、ゴールドマン・サックスが3642億円と約4割減少した。 
また、ソフトバンクGの3月末時点の株主構成で個人投資家の比率が約41%と1年前の約45%から低下。金融機関の比率は約26%と約23%から上昇した。
●その他産業
ブルームバーグがまとめたデータによると、S&Pスーパーコンポジット一般消費財・サービス株指数の構成企業で、この2週間に決算を発表した時価総額10億ドル以上の企業が直近の四半期に積み増した在庫は計448億ドル(約5兆7000億円)と、前年同期を26%上回る。ウォルマートでは在庫費用が増加し、ターゲットとギャップは主要商品を値下げするなど、利益押し下げにつながった企業もある。
これまで消費者の購入額が減る中で小売り在庫が膨らむことは、景気減速やリセッション(景気後退)を示唆してきた。しかし、米商務省が27日発表した4月の米個人消費支出(PCE)はインフレ調整後ベースで3カ月ぶりの大幅増となった。米国民が買い続ける限り、港湾の混雑が今夏に悪化した場合には、十分に蓄えられた在庫が小売企業の追い風となる可能性がある。
小売業者への需要はなお十分だが、消費者の嗜好(しこう)は変化しつつある。メーシーズでは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期に人気だったレジャーウエアや家庭用品ではなく、オフィス復帰や特別な場合のための衣料が多く買われた。変化のペースは予想より速く、消費者が欲しがらない商品が大量に残った。
つまり、メーシーズは需要が旺盛な商品のスペースを確保するためには、より動きの遅いカテゴリーで値下げせざるを得ないということだ。在庫が43%増加したターゲットのほか、ギャップとアバクロンビー・アンド・フィッチも状況は同じだ。ウォルマートのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)はアナリストに対し、在庫の伸びは喜ばしいとしながらも、2-4月(第1四半期)に32%増えたことについては同社が「望む以上の伸びだった」と認めた。
在庫が17%増加したメーシーズは、商品を早めに手元に置いておけば、主要な商戦期を円滑に進められるよう万全を期せると考えている。ジェフリー・ジェネットCEOは中国を遅れて出港した貨物船が米西海岸の混雑した港に向かえば、「サプライチェーンに嵐が迫る」と予想。そのため、新学期やホリデーシーズンに先立って、主要商品の出荷日を前倒ししているという。
主要国の銀行監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会は、大手行の資本要件を定める際にユーロ圏を単一の市場と見なし始めることで合意した。BNPパリバをはじめとする欧州の一部銀行は、その恩恵を受ける見通しだ。
主にユーロ圏加盟国を含む銀行同盟の枠組み内に本拠を置く銀行では、域内の国境をまたぐエクスポージャー(投融資)が、より低リスクと見なされる自国市場エクスポージャーとの扱いになる。バーゼル委の文書からブルームバーグが確認した。
BNPはシステム上重要なユーロ圏の銀行のうち、資本上乗せが最も大幅なことから、ルール変更で最も大きな恩恵を受ける見通し。
●決算関連
●マクロ・その他
8社が30日まとめた4月の世界生産は、前年同月比21%減の163万3千台だった。前年実績を下回るのは2カ月連続となる。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた中国・上海市などでのロックダウン(都市封鎖)で、部品が調達できなくなった。ホンダの国内生産が約6割減るなど国内外に影響が広がった。
8社合計の国内生産は19%減の54万8千台にとどまった。中国にある取引先の部品メーカーがロックダウンなどにより操業ができなくなった。海上輸送の遅れも重なって各社の日本国内での生産に用いる部品調達にも影響が広がった。
8社の海外生産は21%減の108万5千台だった。各社とも中国生産の落ち込みが大きかった。ホンダは中国に持つ四輪車の合弁工場2カ所を5日間止めたことが響き、中国生産が81%減の3万1千台と大きく落ち込んだ。トヨタは吉林省長春市で現地企業との合弁で運営する乗用車工場を4月末まで停止し、中国生産は34%減の9万3千台となった。
ロックダウンの影響が拡大した背景には、日本の車大手がグローバル調達を進めるなか、中国の供給網の重要性が高まったことがある。上海には自動車部品の世界大手が拠点を構える。独コンチネンタルや米ビステオンは、日中などへの供給拠点として合弁企業を設け、電子制御ユニット(ECU)や先進運転支援システム(ADAS)関連の部品を生産する。振動を抑えるダンパーなども中国から輸入が滞った。
上海のロックダウンは6月1日に解除され、各社は影響が緩和していくと見込む。ホンダは6月の国内生産が前年同月から微増となる計画を部品会社に伝えた。マツダの丸本明社長は「取引先の状況が改善しており、6月以降に挽回できる見込み」と話す。
だが「中国のゼロコロナ政策は今後も生産のリスクとなる」(自動車大手幹部)との見方は強い。世界的な半導体不足も依然、解消のめどが立たず、車生産の不安定な状態はまだ続きそうだ。
米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の豚赤身肉先物(期近)が上昇している。26日には一時1ポンド111.6セントと1カ月ぶり高値を付け、その後もほぼ横ばいで推移している。米国の天候不順で飼料に使うトウモロコシや大豆の搾りかすである大豆ミールの価格が上昇していることが背景にある。
いずれの候補も当選に必要な過半数に届かない中で、左派のグスタボ・ペトロ元ボゴタ市長(62)が首位に立った。コロンビアは伝統的に親米国だが、6月の決選投票でベネズエラとの国交回復を主張する同氏が勝利すれば、中南米での米国の影響力が一段と低下する可能性がありそうだ。
ドイツ連邦統計庁が30日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は欧州連合(EU)基準で前年同月比8.7%上昇。ブルームバーグが調査したアナリスト予想中央値は8.1%上昇だった。国内基準のインフレ率は7.9%だった。
短期金融市場では年末までのECBによる利上げを計113ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と織り込む。27日から3bp加速した。
ドイツのリントナー財務相はベルリンでの記者会見で、「インフレは重大な経済リスクだ」と述べ、「経済危機やインフレが自己増殖するスパイラルへと陥らないよう闘わなければならない」と続けた。
30日に発表された5月のスペイン消費者物価指数(CPI)は欧州連合(EU)基準で前年同月比8.5%上昇となった。前月は8.3%上昇で、市場調査では今月も8.3%上昇と見込まれていた。
電気料金が低下したものの、燃料費が上昇した。変動の大きい食料・エネルギーなどの項目を除いた5月のコアインフレ率は4.9%に上昇した。
ビンセント・モルティエ最高投資責任者(CIO)は1-3月(第1四半期)の厳しい下落局面でエクスポージャーを縮小した中国株に対し、一段と強気に転じつつあると指摘。国産のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン開発が進展する可能性や年後半の共産党大会前後で経済再開に向けた措置が打ち出されるかが焦点だという。
モルティエ氏は先週のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「それが起きるかどうかよりも、いつ起きるかという問題だ。現時点で中国株をアンダーウエートとするのはリスクを伴う。中期的には価値があると考えており、オーバーウエートとする方が良い」と説明した。
同氏によると、アムンディは一般消費財や産業、ヘルスケア部門など国内活動に影響されるオンショア中国株を選好している。一方、同国のテクノロジー銘柄については、規制面の圧力が利益に及ぼす影響を理由に慎重な姿勢で、「視界の悪さを考えると、現時点では株価が修正されても割安とは言えない」と述べた。
日本不動産研究所(東京・港)はこのほど、世界の主要な14都市の不動産価格・賃料の指数を発表した。2022年4月時点のオフィスビル賃料を半年前と比べたところ、ソウルや上海、ニューヨークなど6都市で上昇した。東京は0.8%の下落で前回調査から下落幅が拡大した。
オフィス賃料は4割にあたる6都市で上昇した。下落した都市は前回調査(10都市)から6都市に減った。新型コロナウイルスのワクチン接種の普及で経済活動の正常化が進み、世界のオフィス市場に回復の兆しが見えている。
上昇率が最も高かったのはソウルで、医薬品メーカーなどを中心にオフィス需要が堅調だった。ニューヨークは0.8%の上昇で、プラスに転じた。銀行やIT(情報技術)大手が好立地の高額物件を探し求める動きが相次いだ。
米軍で中東地域を管轄する中央軍は30日、イラン革命防衛隊が27日にペルシャ湾でギリシャ船籍の商船2隻を拿捕(だほ)したと明らかにした。原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡付近の情勢が不安定になれば原油価格を押し上げる要因になる。
中央軍によると、ギリシャ商船は公海上を航行中に拿捕されてイランの領海に移動した。中央軍は拿捕について「国際法に逆行し、地域の安全保障や安定に混乱をもたらすものだ」とイランを批判した。
ロイター通信によると、ギリシャ当局は5月末までにロシアが運航するイラン船籍のタンカーを拿捕。米国が積まれていたタンカーを押収していたという。イラン革命防衛隊による拿捕は報復措置とみられている。
米国とイランは2015年に結んだ核合意の再建交渉が停滞している。相次ぐ拿捕は交渉を一段と難しくする可能性がある。産油国ロシアへの経済制裁で需給が引き締まる原油の値上がりに拍車をかけることも考えられる。
国際原子力機関(IAEA)が30日にまとめたイランに関する報告書によると、同国が60%まで濃縮したウランの貯蔵量は5月15日時点で推定43.1キログラムと前回の2月調査時から3割増えた。未申告施設から検知された核物質についてもIAEAはイランが「技術的に信頼できる説明をしていない」と懸念を表明した。
●市況
日経先物(大証)27270、ダウ先33203、債先149.83、米2.743、独1.0475、仏1.558、西2.119、伊2.983、波6.580、原油117.23、ドル円127.55、墨ペソ19.55、トルコリラ16.3884、墨CDS125
※5/31 7時35分頃

備忘録(5/27-29
●ウクライナ
ロシア産への高い依存度を理由に禁輸に反対してきたハンガリーを納得させ、対ロシア追加制裁の柱である石油禁輸で早期の合意を図る狙いがある。
非公開情報を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、欧州委の修正案は、加盟各国が海上輸送による原油輸入を6カ月以内、石油製品輸入は8カ月以内に段階的に停止することを想定する。

エネルギー需要を満たすため技術的解決策を見いだす時間的猶予をハンガリーに与え、内陸部に位置するスロバキアやチェコの懸念にも同時に対応する。
欧州委はブルガリアに2024年6月ないし12月までの移行期間を認め、クロアチアの減圧軽油輸入を禁輸の対象外とすることも提案したという。
事情に詳しい複数の関係者によると、修正案はハンガリーへのロシア産石油の確実な供給を目指す内容だったが、同国は拒否の姿勢を変えていない。大使級会合は30日午前に再開する予定だが、合意形成にまだ成功していないため、30日から2日間の日程で開かれる首脳会合では制裁が主要議題の一つとなる可能性がある。EU当局者の一人は数日中の合意はなお可能だと述べた。
ハンガリーはパイプライン輸送が例外とされる場合は支持する意向を示唆していた。関係者の2人はハンガリーが現在、さらなる譲歩を要求していると述べた。
ロシア軍は集中砲撃などの猛攻によりウクライナ東部で着実に前進し、ルハンスク州のほぼ全域を制圧した。抵抗を続けるウクライナ軍が包囲される危険がある。
そうした状況は、ロシアがより大規模な突破作戦を準備しているのではないかと不安を誘い、なお一層強力な攻撃用兵器の供与をウクライナがますます切迫して求める状況を招いている。
ロシア軍はポパスナなどを相次いで占領し、ドンバス地方の北半分を占めるルハンスク州の既に95%を掌握した。ウクライナ軍司令部は27日時点で、ロシア軍がポパスナから西方32キロに位置するバフムートに前進しつつあり、セベロドネツク周辺の政府支配地域でウクライナ軍の孤立化を目指していると戦況を説明した。
ジョンソン英首相はブルームバーグとのインタビューで、ロシア軍の動きについて、「遅いが、目に見える前進ではないかと思われる」と述べ、より長距離の多連装ロケットシステム(MLRS)の供与を求めるウクライナ側の要求を支持する考えを示した。
ロンドン大学キングス・カレッジのローレンス・フリードマン名誉教授(軍事学)は「現在の活動から得られる成果を獲得しようと努め、取り戻してみろとウクライナに挑みかかっているというのが、ロシアの今の戦略について最もふさわしい評価だ」と27日のブログへの投稿で指摘した。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
多くの米国人はこの2年間、活動を自粛したことで貯蓄を増やすことができた。調査によると、若い世代はコロナ禍の期間中に貯蓄が増えたと回答する傾向が強く、その割合はミレニアル世代が51%、Z世代は49%だった。
今夏の行楽に使える貯金がない人は借金に走るかもしれない。調査によれば、今年の返済請求額が増える可能性は若い世代の方が高い。昨年よりクレジットカード支出が多いとの回答はミレニアル世代、Z世代ともに27%だが、X世代とベビーブーマーはそれぞれ16%、11%にとどまる。
首都ワシントン在住の核医学技術者、エマニュエル・ヌワナさん(25)は今年の夏、友人2人と2週間かけてポルトガルやスペインなど欧州を旅行する。この2年間は自宅か勤め先の病院にこもる日々だった。インフレのため旅行は費用はかさむが問題ない。旅費捻出に向け外出を控え必要なものだけを買うことで節約するという。
「全てのものが値上がりする状況は愉快ではないが、この2年間はある意味、家に閉じ込められ、我慢して生活するしかなかった」とした上で、「奮発したこの旅行のため犠牲にしていることもある。この2週間はすべてを忘れ、気分転換を図るのが楽しみだ」と語った。
●その他産業
カナダの資産運用会社ブルックフィールド・アセット・マネジメントはスペインに拠点を置く通信インフラ事業のセルネックス・テレコムと組んで、ドイツテレコムのタワー事業部門に共同で買収提案することを協議している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
非公開情報を理由に匿名で語った同関係者によると、取引はタワー事業を債務を含めて約200億ユーロ(約2兆7300億円)と評価する可能性がある。
セルネックスは既に、スイスとオランダでドイツテレコムと共同でタワーを保有している。ドイツはセルネックスが存在感を構築できていない唯一の主要な欧州市場。
関係者の1人によれば、ブルックフィールドは最終的に単独での提案を追求する可能性がある。他のプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社やインフラ投資ファンドも、同事業の少数株式あるいは支配持ち分の取得に向けた提案を検討中という。
●決算関連
JTBの業績が急回復している。27日発表した2022年3月期の連結決算で営業損益は48億円の赤字だったが、前の期の975億円の赤字から大幅に改善した。今期は国内旅行が新型コロナウイルス禍前の9割~同水準まで戻ると見込むほか、イベント運営など旅行以外の事業も寄与して3年ぶりの営業黒字転換を予想する。これまで人員削減や国内店舗網の閉鎖に取り組んできたが、新卒採用や賞与も再開する方針だ。
3月下旬にまん延防止等重点措置が全面解除されてから県民割や、より広範囲なブロック割が再開し国内の旅行需要は回復している。JTBは今期の国内旅行は新型コロナ禍前の9割程度~同水準に戻るとみており、新たな観光需要喚起策「Go To トラベル」が始まれば新型コロナ禍前を上回る可能性もある。今期の売上高は前期比74%増の1兆150億円を目指す。
もっとも単価の高い海外旅行や訪日旅行は依然戻りが鈍い。秋以降に渡航制限・入国制限が解除されることを前提としても、新型コロナ禍前と比べて2~3割の水準を想定している。JTBによると前期の予約に占めるネット比率は4割と実店舗への依存は続いており、OTA(オンライン旅行予約サイト)と再び競争が激化する懸念もある。
2022年3月期決算は、純利益が前の期比2倍超の19億4900万シンガポールドル(約1800億円)だった。不採算事業の売却準備で多額の損失引当金を計上した前の期の反動で利益を伸ばしたほか、出資先のインド企業の業績改善も寄与した。
売上高は153億シンガポールドルと前の期を1.9%下回った。半導体供給不足の影響でスマホ販売が減速した。引当金など特別損益を除く純利益は11%増だった。出資先であるインドの通信会社バルティ・エアテルが値下げ競争の緩和を支えに好調だった。シングテルはバルティに32%出資している。
インドの現地メディアが「シングテルがエアテル株を売却する」と報道したことに関し、シングテルは「(エアテルは)中核的な海外出資先であり続ける」と否定した。IT(情報技術)サービス子会社のNCSが伸びたことも利益を押し上げた。
シングテルは戦略外事業・資産を売却し、成長分野である高速通信規格「5G」やデータセンター、デジタル金融などへの投資を拡大する「戦略的リセット」を進めている。前期中にオーストラリアの通信基地局などの売却で20億シンガポールドル超を調達した。
ユエン・クアンムン最高経営責任者(CEO)は「今後2~4年間に(事業・資産の)売却でさらに30億シンガポールドルを得て新規投資に回す」と述べた。
●マクロ・その他
民間調査機関が中国の2022年の成長率見通しを相次ぎ引き下げている。ゼロコロナ政策による経済活動の停滞が主因で、民間予測が政府目標(5.5%前後)を大きく下回る異例の事態になっている。
国際通貨基金(IMF)も4月の世界経済見通しで、中国の22年の成長率を0.4ポイント下方修正し4.4%とした。民間機関の見方はIMFより厳しく、世界経済の下振れリスクに警鐘を鳴らしている。
国際線の回復が二極化している。欧米発の座席供給数は5月時点で2019年平均の8~9割になり、ほぼコロナ前水準に戻った。東アジア発は14%しか回復していない。世界全体で観光目的の予約が新型コロナウイルス禍前を2割上回ったとの民間データもあり、需要は盛り上がる。日本は6月から観光客受け入れを再開するが入国者の制限が残る。回復する旅行需要を取りこぼしかねない。
ロシアが運航するイラン船籍のタンカーをギリシャ当局が拿捕、積まれていたイラン産原油を米国がギリシャ沿岸で押収したと伝えた。イラン革命防衛隊は27日、「報復措置」(国営イラン通信)として、原油を運ぶギリシャ船籍のタンカー2隻をペルシャ湾で拿捕したと発表した。
イラン核合意の修復に向けた米国とイランの間接協議が行き詰まる中、欧米とイランの間の新たな火種となりそうだ。
ギリシャ外務省は27日「海賊行為に等しいものだ」と強く非難する声明を発表。2隻と乗船していたギリシャ人計9人の即時解放を求めた。
イラン外務省は27日までに、断交している米国の利益代表部を務める在イラン・スイス大使館と在イラン・ギリシャ大使館の担当官を召喚し、抗議したと発表した。
米ミシガン大学が27日発表した5月の消費者態度指数(確報値)は58.4で前月から6.8ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、13日発表の速報値と同様に2011年8月以来10年9カ月ぶりの低水準となった。速報値(59.1)と同程度を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測を下回った。
「現在の景況」が63.3で6.1ポイント、「今後の見通し」が55.2で7.3ポイントそれぞれ低下した。
調査担当者によると、高インフレで、消費者が住宅・耐久財の購入状況と景気先行きに悲観的になっており指数が下がった。しかし、賃金上昇を受け「家計に関してはそれほど悲観的ではなく、それが堅調な消費を支えている」と分析した。
この1年は大幅昇給で気前の良さを見せてきた企業だが、これ以上の増額は利益を圧迫すると警戒するようになっている。こうした状況は人材紹介会社や企業経営者、各種調査からみてとれる。
来週発表の5月雇用統計では、平均時給の伸びが前年比5.2%と、4月の5.5%からは減速が予想されている。いずれもこの指標が始まった2007年以来で最も高い部類に入る。
雇用主はこれまでのところ、労働コスト上昇を顧客に転嫁できているが、価格上昇は需要を抑制し始める臨界点に近づいている可能性がある。40年ぶりの強力なインフレを退治するという責務に全力で闘うFRBにとって、それこそ望むところだ。
ミルウォーキーに本社を置く人材サービス会社、マンパワーグループのヨナス・プライジング最高経営責任者(CEO)は「雇用主が『もう限界だ』と嘆くような賃金インフレのレベルにすでに到達している」と指摘する。
こうした心理は米金融当局の励みになるはずだ。当局は経済を軟着陸に誘導する上で、物価圧力を抑制するためにはインフレ期待がしっかりとつなぎ止められているという認識が欠かせないと考えている。
ゴールドマン・サックス・グループのエコノミスト、スペンサー・ヒル氏によれば、賃金の伸びは年末までに4.5%に減速する見通しだ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時昇給など、一時的な要因がなくなることが背景にある。FRBが目標とする2%のインフレ率と整合するには、賃金の伸びは3.5%から4%に落ち着かなくてはならないと同氏はみており、その水準にある程度近づくと予想される。「FRBにとってそこから先の仕事はやりやすくなる」と同氏は今週、顧客へのリポートで述べた。
トルコのエルドアン大統領がスウェーデン、フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟について「認められない」との認識を改めて示したことが29日分かった。トルコはNATOの加盟国として北欧2カ国の新規加盟に難色を示し、両国との協議を進めている。エルドアン氏は協議が「期待したレベルに達していない」と話したもようだ。
エルドアン氏は「テロを支援する国の加盟は認められない」と述べたという。トルコ大統領府のカルン報道官は25日の協議後、両国がクルド問題に関連する対トルコ制裁を解除することについて前向きな姿勢を示したと述べていたが、「テロ組織支援」を巡る認識では、なお双方の間で開きがあるとみられる。
イスラム武装勢力によるテロが続いてきたタイ南部で、政府と主要勢力の和平協議が6月にも本格化する。イスラム教の断食月(ラマダン)中の暴力停止が履行され、信頼醸成が進んだためだ。武装勢力側は分離独立の要求を自治権獲得に切り替えて交渉する方針。政府側がどこまで譲歩するかが焦点となる。
即日開票で同日夜(日本時間30日午前)には大勢が判明する見通しだ。調査会社Invamerが13~18日に実施した世論調査によると、ペトロ氏の支持率は40.6%で、中道右派のフェデリコ・グティエレス前メデジン市長(47)が27.1%、実業家のロドルフォ・エルナンデス前ブカラマンガ市長(77)は20.9%で続いている。
左翼ゲリラ出身のペトロ氏は内向きな経済政策を掲げ、環境問題を重視している。石油の新たな探査活動中止、歴代政権が重視してきた自由貿易協定(FTA)の見直し、富裕層への課税強化を主張する。2018年の前回選挙では決選投票で、現職で右派のドゥケ氏に敗退した。
ペトロ氏が当選した場合には、初めての左派政権となる。コロンビアは保守的で、南米では米国にとって最も親密な国と位置づけられる。中南米では左傾化が進んでおり、米国の影響力が一段と下がる可能性もある。
中国の上海市当局は、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)で影響を受けた経済を立て直すため、多数の政策措置を打ち出した。企業への一部税還付を実施するほか、6月から全ての製造業者が生産を再開することを認めた。
市政府の計画には、不動産プロジェクトの承認手続き加速や新たな宅地供給なども盛り込まれた。車のナンバープレート割り当てを今年4万台分増やすほか、一部の乗用車について車両購入税を引き下げ、電気自動車の購入者に補助金を支給する。
上海市が発表した措置は8分野の計50項目に上る。呉清副市長は29日、製造業者の生産再開に必要だった「ホワイトリスト」への掲載について、6月1日から不要になると述べた。
●市況
日経先物(大証)27160、ダウ先33158、債先149.96、米2.743、独0.9740、仏1.474、西2.030、伊2.891、波6.667、原油115.07、ドル円127.13、墨ペソ19.57、トルコリラ16.2750、墨CDS126
※5/27NY引け値

備忘録(5/25
●ウクライナ
ウクライナ沿岸の黒海はロシアが制海権を握っており、ウクライナの穀物は輸出できない状態が続いている。ルデンコ氏は穀物を積んだ貨物を人道上の理由で通らせる可能性を示唆した。ウクライナが港の防衛のため設置した機雷を撤去しなければいけないとも主張した。
ロシア、ウクライナ両国の小麦輸出量は世界全体の3割を占める。小麦価格の上昇で、特に購買力の低いアフリカなどでの食料不足が懸念されている。
英国のウォレス国防相は25日、「ロシアは正しいことを行うべきだ」として穀物を輸出させるよう求めた。ロイター通信によると、訪問先のスペインで記者団に語った。ウォレス氏はトルコなど中立の立場を取る第三国の船がウクライナの穀物船を先導するのが望ましいとし、ロシアに対する制裁解除は否定した。
ロシアの外貨建て国債が、債務の支払いを実施できない「債務不履行(デフォルト)」になる公算が大きくなった。米財務省は24日、ロシアから国債の元利払いなどを受け取れなくすると発表した。米国の投資家への利払いが事実上不可能になる。デフォルトと認定されれば、ロシアの国際資本市場からの資金調達がさらに難しくなる。
ロシアは27日に約1億ドル(約127億円)の利払いを予定している。ルーブルでの支払いは規約違反となり、30日の猶予期間に入った後、デフォルトとなる可能性が生じる。
シルアノフ財務相は「非友好的な国が人為的に作り出した状況」にロシアは直面しており、「われわれには資金と支払う意向がある」との声明を発表した。
●コロナ
厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織は25日、全国の感染状況について「減少に転じている」との見解を示した。24日までの直近1週間の新規感染者数が前週比0.91倍になり、2週間ぶりに1を割った。大型連休後に一時、増加傾向がみられたが、懸念された急増には至っていない。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
中国の航空会社が旅客需要の低迷が続くなかでも国産機の調達を進めている。大手による2022年の国産機種の調達数は前年の2倍に達する見込みで、航空機産業を国全体で保護する姿勢がより鮮明になっている。ただ航空会社の経営悪化や、これまで世界の旅客機市場を押さえてきた米欧との通商摩擦といった懸念もくすぶる。
米国や欧州連合(EU)で販売している特許期間中の薬剤とワクチンについて、低所得国45カ国で利益を出さずに販売すると発表した。医療格差の軽減につながると期待しており、他の製薬会社にも参加を求めた。
対象となるのは感染症、がん、炎症など向け製薬23種類で、原則として生産費と輸送費のみを考慮した価格で販売する。12億人が恩恵を受けると説明しており、アフリカのルワンダやガーナなど5カ国がまず参加するという。
●その他産業
ゼネコン大手4社の有利子負債が2023年3月期末に前期比で最大29%増の1兆7600億円にのぼり、11年ぶりの高水準となる見通しだ。バブル崩壊後に進めた財務健全化で、再び負債活用の余地が広がっている。洋上風力など成長分野への投資のほか、足元の利益率が下がっている大型工事の運転資金にも充てる。
世界の自動車大手の2022年1~3月期業績で明暗が分かれている。日米独13社のうち、米テスラ、独BMW、独メルセデス・ベンツの高級車を主力とする3社の純利益合計が前年同期比2倍となった一方、大衆車が主力の他の10社は3割減益となった。原材料高が強まるなか、テスラなどは積極値上げで吸収しており、苦戦する大衆車系メーカーと対照的だ。
米アップルが2022年の主力商品として計画しているスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新機種のうち、少なくとも1機種の開発が予定より遅れていることが関係者への取材で分かった。中国がコロナの感染再拡大を受け、都市封鎖(ロックダウン)を続けてきた影響が出ている。
●決算関連
2022年2~4月期決算は、売上高が前年同期比46%増の82億8800万ドル(約1兆円)だった。純利益は同15%減の16億1800万ドル。データセンター向けが好調で過去最高の売り上げとなったが、5~7月期は中国の都市封鎖(ロックダウン)やロシア事業停止の影響が膨らむとの見方を示した。
エヌビディアが一時10%安を付けたほか、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)やマーベル・テクノロジーなどが2%を上回る下げとなった。マイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタル(WD)も下落した。
●マクロ・その他
ロシア中央銀行は25日、臨時の金融政策決定会合を26日に開くと発表した。同日午前10時半(日本時間午後4時半)に結果を公表する。「政策金利の水準について検討する」と説明しており、景気刺激のため4月に続いて利下げを決める公算が大きい。
ロシア中銀は4月29日に政策金利を年17%から14%へ引き下げると発表した。輸出企業に外貨収入の一定割合の売却を義務づけるルールや資本規制を受け、通貨ルーブルは対ユーロで2015年5月以来約7年ぶりの水準に上昇している。通貨防衛の必要性がいったん後退するなか、景気下支えへ金融緩和を急ぐ必要があるとみているもようだ。
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は25日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%引き上げて2%にすると決定した。利上げは5会合連続。中銀は声明で「消費者物価指数(CPI)上昇率を(政策)目標の1~3%に確実に戻すため断固とした姿勢で取り組む」と指摘し、今後も金融引き締めでインフレを抑制する方針を示した。
0.5%の利上げ幅は2会合連続で、市場参加者の間でも同幅の利上げを予想する声が多かった。中銀は声明で「より大きい幅でより早期に金利を引き上げることで、インフレが持続するリスクを減らすことができる」とも説明した。NZ統計局によると1~3月期のCPI上昇率は前年同期比6.9%と約30年ぶりの高さとなった。
中銀はNZ経済は底堅いとしたが「世界経済の不確実性の高まりや高インフレが消費意欲をそいでいる」と指摘。ローン金利の上昇や供給の増加により住宅価格が下落していることにも言及した。
今後については「CPI上昇率が目標の範囲内に収まると確信できる段階まで、金利の引き上げを継続することで合意した」と言明した。そのうえで「需要と供給のバランスがより保たれるようになった際には、金利はより低く中立的なレベルに戻るだろう」との見通しを示した。
中国の李克強首相は同国経済について、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が世界を襲った2020年よりも「ある程度」悪化しているとの見方を示し、失業率の低下に取り組むよう求めた。
地方当局者や国有企業、金融機関と景気安定の方策について協議した李首相は、会合後に「中国の経済統計は著しく悪化している。厳しさは一部において、またある程度において、パンデミックの打撃を受けた2020年よりも深刻だ」と述べた。
首相は当局者らに対し、失業率を低下させ、今年4-6月(第2四半期)の経済活動が「妥当なレンジ」で推移するよう確実を期すことを求めたと、国営メディアが報じた。
第1段階では、主要な指数が極めて売られ過ぎの水準に低下する。第2段階では相場は上昇し、第3段階では反発が持続するか確認するために再び安値を試す。最終段階では、短期間に下落銘柄数と比べて上昇銘柄数が極めて多くなる「ブレドス・スラスト(breadth thrust)」のクラスターが発生する。
複数の指標に基づくと、現時点ではこのサイクルの第1段階のみに到達している。ネッド・デービスによれば、S&P500種株価指数が買われ過ぎが売られ過ぎかを判断する際に使われるモメンタム指標、ストキャスティクス(14日間)は4月26日に0.045と、2018年12月24日以来の水準に低下した。
クリソルド、グエン両氏は顧客向けリポートで「結論を言えば、市場は第1段階(売られ過ぎ)を達成し、第2段階(上昇)を試しつつある。市場が第4段階(ブレドス・スラスト)に移行できるまで、このプロセスは進行中だと考えている」と指摘した。 
ECBが半年ごとに公表する最新の金融安定報告書によれば、今も続くウクライナでの戦争やインフレ対応の金融刺激策解除を受けて、ユーロ圏の金融システムは資産市場に新たな調整が生じる可能性に備える必要がある。
デギンドス副総裁は声明で「ウクライナでの悲惨な戦争は人類に計り知れない苦しみをもたらした」と指摘。戦争はまた「経済活動と融資環境における事実上全ての側面に影響を及ぼし、金融安定のリスクを高めた」と論じた。
欧州連合(EU)の欧州委員会は今年のユーロ圏経済成長率予測を引き下げ、インフレ率見通しは平均6%余りとした。こうした環境は航空やホテル、食品・飲料を含め、新型コロナウイルス禍からしっかりと回復していない企業にとって特に厳しいとECBはみている。
クノット氏はCNBCとのインタビューで、ラガルドECB総裁による23日のブログ投稿について、「私が読んだ限りでは0.5ポイント利上げは議題から外れてはいない」と語った。ラガルド総裁は7月と9月の各0.25ポイント利上げを示唆したと見なされていた。
クノット氏はまた、7月会合の前にはあと2回のインフレ統計が発表されると指摘。「インフレ期待がしっかりと固定されている場合にのみ、漸進主義を受け入れることができる」が「インフレ期待は現在、固定されていると言える範囲の上限にある」として、変化があった場合に備えて当局は機敏に動けるようにしておく必要があると付け加えた。
6月の会合でECBは債券購入終了と7月の利上げを宣言する見込みだ。
当局者間の緊張は既に顕在化している。ラガルド総裁は7月と9月の0.25ポイントずつの利上げを23日に示唆したが、17日にはクノット・オランダ中銀総裁が7月の0.5ポイント利上げの可能性に言及。ただ、インフレ見通しが悪化しない限りは0.25ポイント利上げを支持するとしていた。
ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値によると、中国の今年の国内総生産(GDP)成長率は4.5%となる見込み。従来予想の4.9%から下方修正され、政府が掲げる5.5%前後の目標を1ポイント下回った。
4-6月(第2四半期)の成長率見通しは3%と、従来予想から1ポイント余りの引き下げ。7-9月(第3四半期)と10-12月(第4四半期)については、それぞれ0.5ポイント未満の引き下げとなった。
NG銀行の中国担当チーフエコノミスト、アイリス・パン氏は、中国の今後の成長軌道はロックダウンの柔軟性に大きく左右され、年内は地方政府の特別債発行で資金が賄われるインフラ投資が唯一の成長エンジンになるとの見方を示した。
2022~32年の中期財政見通しで、消費者物価指数(CPI)の上昇率が23年も3.1%と高止まりを続けると予測した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げもあり、経済成長は鈍る。ロシアのウクライナ侵攻や中国経済の減速など先行きの不透明感は極めて高い。
22年通年の実質経済成長率は3.8%と、新型コロナウイルス禍からの経済回復が加速した21年の5.7%から大きく減速する。23年にはさらに2.8%、24年には1.6%になる。減速の要因についてCBOは金融緩和や財政支出の縮小をあげている。
消費者物価の上昇率は22年は6.1%と予測した。8.5%と約40年ぶりの記録を更新した3月からは落ち着くが、需要の強さを反映して低下に時間がかかる。FRBが重視する個人消費支出(PCE)物価指数は食品・エネルギーを除くベースで前年比の伸び率が22年に4.5%、23年に2.8%となる。FRBが目標としている2%を上回る予想になった。
2022年1~3月期の実質国内総生産(GDP)の確定値は、前四半期比で1.0%増となった。サービス業や工業生産などが回復した。新型コロナウイルスの流行で20年に経済が大きく落ち込んだ反動が一巡し、成長率は伸び悩んでいる。
大半の参加者が「今後2回の会合でも0.5%の利上げが適切になるだろう」と指摘し、7月まで3会合連続の大幅利上げを支持した。先行きの景気を冷やす懸念よりも約40年ぶりのインフレを封じ込めることを優先する姿勢が一段と鮮明になった。
トルコによると、両国は武器輸出を制限する対トルコ制裁の解除に前向きな姿勢を示したという。
終了後に記者会見したトルコ大統領府のカルン報道官によると、トルコは自身がテロ組織とみなすクルド系勢力の活動に対する制限やメンバーの送還などを求めた。2019年にトルコがシリアに越境攻撃した際に北欧2国がトルコに科した制裁の解除については前向きな感触が得られたとし、「喜ばしい進展だ」と述べた。
●市況
日経先物(大証)26893、ダウ先31130、債先150.12、米2.763、独0.9425、仏1.475、西2.056、伊2.948、波6.540、原油111.05、ドル円127.34、墨ペソ19.81、トルコリラ16.3540、墨CDS146
※5/26 9時40分頃

備忘録(5/24
●ウクライナ
英国防省は24日、ロシア軍がウクライナ東部ルガンスク州のセベロドネツク周辺の包囲へ攻勢を強めているとの分析を公表した。ウクライナ側は激しく抵抗しているが、ロシア軍は砲兵部隊を集中させ局地的な戦果を挙げたとみている。セベロドネツク周辺を押さえれば、ロシアがルガンスク州全域を掌握することになると指摘した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は23日、東部ドネツク、ルガンスク両州を指すドンバス地方の戦況が厳しいと認め、セベロドネツクなどにロシア軍が戦力を集中していると述べた。ロシア軍が2月の侵攻開始後、ウクライナに1474発のミサイル攻撃を加え、ロシア軍機による空爆は3千回以上に上ったとも明らかにした。
米シンクタンク「戦争研究所」は23日、ロシア軍によるセベロドネツク包囲の進展は過去24時間で限定的との見方を示しつつ、近郊の町でウクライナ側の補給線を断とうとしていると分析した。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
楽天グループが子会社上場での資金調達を進めている。24日、楽天証券の上場準備を始めると発表。2021年には楽天銀行でも上場準備に入った。携帯電話事業での基地局建設などに使う費用を賄うのが狙いだが、銀行と証券の純利益は合計で年約300億円ある。「虎の子」の将来収益を手放しても手元資金の確保を優先する姿勢には、苦境の携帯事業の先行きに対する危機感がにじむ。
独トラックメーカー、ダイムラートラックの株価が3カ月ぶりの高値圏で推移している。23日時点でドイツ株価指数(DAX)が4月以降に2%下落するなか、4月中旬に米大手物流企業との自動運転における協業発表などが好感され、同社株価は13%高と逆行高となっている。運転手不足が続く中、自動運転開発に期待が高まっている。
韓国のサムスングループは、2026年までの5年間で投資を30%余り拡大し、半導体や医薬品などの事業強化に450兆ウォン(約45兆円)を投じる計画を明らかにした。
サムスン電子やサムスンバイオロジクスなどから成るサムスングループは、26年までに8万人の雇用創出を約束すると表明。大半は半導体とバイオ医薬品の分野となる。
●決算関連
2022年2~4月期決算は、純利益が前年同期比43%減の3億4100万ドル(約430億円)だった。在庫品のだぶつきや物流混乱によるコスト増が利益を押し下げた。
売上高は9%減の106億4700万ドルと事前の市場予想(104億1000万ドル前後)を上回った。既存店売上高は8% 減少した。新型コロナウイルス下での家電需要の一巡や、急ピッチなインフレで消費者の購入意欲が低下した。パソコンなどの家庭用オフィス用品や、大型テレビなどのホームシアター用品が振るわなかった。
粗利益率は前年同期の23.3%から22.1%に低下した。値引き販売の増加や物流コストの上昇が利益を圧迫した。営業利益は7億6900万ドルから4億6200万ドルに減少した。
コリー・バリー最高経営責任者(CEO)は投資家説明会で「(新型コロナ対応の)景気刺激策の終了を受け、23年1月期の通期業績は前期より軟調になる。昨年7月に始まった値引き活動は通年で続くほか、物流コストの高騰も予想される」と話した。
●マクロ・その他
メキシコの通貨ペソがドルに対して上昇している。23日の外国為替市場で一時、1ドル=19.7ペソ台と約1カ月ぶりの高値をつけた。メキシコ銀行(中央銀行)が金融引き締め姿勢を強め、利回りが見込めるペソに買いが入った。賃金上昇が続く米国のメキシコ人労働者による送金需要も相場を支えている。
米俳優で環境活動家のレオナルド・ディカプリオさんが、ブラジルの若者に10月の大統領選での投票を呼びかけている。4月には若年層の投票率がアマゾンの熱帯雨林の保護と「地球を健康にする変化を起こす」ために決定的に重要だと話した。
4日の米株式市場で、前日に業績見通しを引き下げたスナップの株価が一時40%安と急落。上場来最大の値下がりとなった。他のソーシャルメディア関連銘柄も軒並み売られ、同セクターの時価総額は約1650億ドル(約20兆円)吹き飛んだ。
写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップは前日の通常取引終了後、4-6月(第2四半期)の売上高と利益の見通しを下方修正し、従来の自社予想レンジの下限を下回るとの見通しを示した。
デジタル広告への業績依存度が高いスナップのほか、フェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ、グーグルの親会社アルファベット、ツイッター、ピンタレストも株価が下落。ソーシャルメディア関連銘柄はユーザー数の伸び悩みと金利上昇懸念がすでに重しとなっていた。
パイパー・サンドラーのアナリスト、トム・チャンピオン氏は「現段階ではスナップ個別の問題というより、マクロかつ業界全体に起因する問題という印象だ」とリポートで指摘。ウォール街の他のアナリストからも同様の声が聞かれる。
シティグループのロナルド・ジョジー氏は「マクロ面の減速はインターネットセクターの広範で広告収入に影響を与えそうだ。ただツイッター、グーグル傘下のユーチューブ、ピンタレストなどブランド広告へのエクスポージャーがより大きいプラットフォームの方が一段と大きな影響を受けるとみられる」と語った。 
ブラックロックやTロウ・プライス・グループなど債券市場のブームと破裂を知る運用会社やベテラン投資家は、米国債の買いを再開しても安全だという兆候を見て取っている。
インフレが依然40年ぶり高水準にあり連邦準備制度の積極的利上げサイクルもまだ初期にある今、底を打ったという人はほとんどいないが、利回りが今年に入って大幅に上昇し10年債ではほぼ2倍になっている状況は過去の買い場を連想させる。
さらに、小売り大手が個人消費動向の変化を報告、住宅販売が減少傾向になるなど景気減速の兆しもある。また、成長株や暗号資産(仮想通貨)などリスク資産が売り込まれ、米国債の安全資産としての価値が浮き彫りになった。利回りが今月ピークになった時点で購入した人には利益が出た。
これら全てを、ベテランの運用者たちは慎重ながらエクスポージャーを増やし始める理由だとみている。利回りが適正水準を上回ったと考えられる時には買いを加速させる準備をしている投資家もいる。JPモルガン・アセット・マネジメントの世界金利責任者シーマス・マクゴレーン氏は利上げの大部分は既に織り込まれたため最悪期は過ぎた可能性が高いと指摘した。
Tロウ・プライス・インベストメント・マネジメントの投資戦略責任者デービッド・ジルー氏は「多くの悪いニュースが織り込み済みの段階に来つつある」として、10年債利回りが3%余りでピークとなった2013年と18年に環境が似ていると分析。「現金を減らして米国債を買っている」と述べた。
センチメントの変化は明らかだ。9日に一時3.2%に達していた10年債利回りは23日、2.85%前後だった。他の年限でも同様に低下した。
ただ、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長はインフレが低下しつつあるという明確で説得力のある証拠が見られるまで、中立金利の水準を超えて利上げをする用意があると述べており、不確実性は根強い。
ゴールドマン・サックス・グループのアナリストらも慎重で、年末の10年債利回りが3.3%前後になると予想している。
企業経営者や幹部による自社株買いの動きは、2020年の弱気相場の底を正確に示唆した。週間ベースとしては約20年ぶりの長期下落局面となった今回、底値拾いをしていた企業インサイダーらは23日に報われた。バイデン米政権がトランプ前政権が発動した対中関税を見直すとの期待が材料視され、S&P500種株価指数は2%近く上昇した。
ワシントン・サービスのまとめによると、5月は1100社余りの経営幹部らが自社株式を購入。20年3月以来で初めて、インサイダーが自社株買いに動いた企業が売りに動いた企業を月間ベースで上回る見込みという。
ただその一方で、投資家は株式ファンドから資金を引き揚げ、ウォール街のストラテジストらは、米金融当局による積極的な引き締めでリセッション入りのリスクがあるとの見方から先を争うように市場見通しを下方修正している。   
現時点での押し目買いの成否は、予想される企業業績にどの程度信頼が置けるかに行き着くだろう。既存の予想が正しければ、S&P500種構成銘柄の来年の1株利益の合計は248ドルとなり、これに基づく同指数の株価収益率(PER)は約16倍で従来に比べ割安だ。企業経営者や幹部による自社株式の購入熱は、金融引き締めで景気にブレーキがかかっても利益を達成できる自信を意味している可能性がある。 
アイコン・アドバイザーズのクレイグ・キャラハン最高経営責任者(CEO)は「企業ファンダメンタルズの見解は通常正しいと思う」と指摘した。
インサイダーが自社株式を売る行動に出た企業に対する買いに動いた企業の割合(売り買いレシオ)は15年8月と18年終盤に上昇。15年は相場の底入れより前、18年は一致するタイミングで起きた。今月の同レシオは1.04と4月の0.43から大きく上向いている。
米スターバックスの暫定CEO、ハワード・シュルツ氏やインテルのパット・ゲルシンガーCEOは、S&P500種が弱気相場入りの瀬戸際に立たされた最近の下げ局面で自社株を買った。 
ペリー・ワルジヨ中銀総裁は6.5%に引き上げる方針を先に示していた預金準備率について、6月に6%、7月に7.5%、9月に9%に引き上げると記者会見で述べた。同中銀は7日物リバースレポ金利を3.5%に維持。ブルームバーグのエコノミスト調査で30人中20人が予想した通りとなった。
不安定な食料価格の影響でインドネシアの総合インフレ率は約3.5%と3年ぶりの高水準となっているが、インドネシア中銀が政策を決める目安としているコアインフレ率は引き続き3%を下回っている。
クレジットサイツは1998年以降、S&P500種が週間ベースで特に大きく動いた7つの期間を調査した結果、S&P500種が持ち直し始める平均42日前にクレジットスプレッドの変動がピークを付けていた。
クレジットサイツの戦略部門グローバル責任者、ウィニー・シザー氏は「過去のパターンがまだ生きているとすれば、投資適格級および高利回りの社債スプレッドは絶対ベースで拡大を続ける可能性がある」と指摘。「しかしながら拡大幅は短期的にペースを落としていくはずであり、同時に株式の変動ペースは高くなり、S&P500種は底に近づいていく」と論じた。
5月の総合PMI速報値は前月から2.2ポイント低下の53.8。同指数は50を上回ると活動拡大を示す。投入価格の指数が前月から若干上昇し、データでさかのぼれる2009年以降で最高となった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「生活費や金利上昇、より広範囲にわたる景気減速を巡る懸念を背景に、需要が圧力を受けつつあると企業は報告している」と指摘した。
連邦海軍信用組合のコーポレートエコノミスト、ロバート・フリック氏は「4月の悲惨な新築住宅販売データは、建設コスト上昇やサプライ-チェンの問題、多くの購入希望者をためらわせている住宅ローン金利上昇が業界に影響していることを示している」と指摘した。
症例が確認されたのは西アフリカから到着した29歳の女性で、「必要な医療措置を受けている」としている。湾岸協力会議(GCC)諸国で感染者が確認されたのは初めて。
ロシアは価格の高騰した小麦の輸出を続けており、1トン当たりの収入を増やしている。同国の小麦は来季に豊作が見込まれており、収入増の傾向は継続するとみられる。世界の小麦価格は今年に入って50%余り上昇しており、ロシアの大手農業コンサルティング会社ソベコンの推計によると、同国の今季ここまでの小麦輸出税収入は19億ドル(約2400億円)に上る。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のリサーチディレクター、ティム・ベントン氏は、オデーサ(オデッサ)港の封鎖を解除するのは制裁が緩和された場合のみとしたロシアの主張を念頭に「これは世界的なレバレッジを通じて食料を戦争の武器として使っているということだ」と述べた。
国連の世界食糧計画(WFP)のデービッド・ビーズリー事務局長は「港湾を再開させない行為は世界の食料安保に対する宣戦布告だ」と指摘。食料危機は大量移住を招きかねないと、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で語った。
●市況
日経先物(大証)26647、ダウ先31886、債先150.01、米2.769、独0.9560、仏1.489、西2.089、伊2.961、波6.514、原油110.42、ドル円126.91、墨ペソ19.85、トルコリラ15.8578、墨CDS154
※5/25 9時30分頃


備忘録(5/23
●ウクライナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
SECは23日、米銀大手のバンク・オブ・ニューヨーク(BNY)メロンの資産運用子会社に対し、投資先のESG(環境・社会・企業統治)に関する情報開示が不十分だとして制裁金150万ドル(約1億9000万円)を課した。SECがESG関連規制を巡って大手金融機関を処分するのは初めて。
BNYメロン・インベストメント・アドバイザーに向けたSECの命令書によると、2018年7月から21年9月にかけて同社が運用する投資信託の目論見書などの書類で投資先企業のESG対応に関する情報開示が不十分だったり虚偽の情報を提供したりしていたという。BNYでは投資先企業のすべてでESG評価を実施したとしているが、SECはそうではないと指摘している。
1940年投資顧問法では運用会社が投資家に間違った情報や誤解を招く情報を提供することを禁じており、SECはBNYに制裁金を課すと同時に業務改善命令も出した。BNYはSECの指摘を認めも否定もせずに制裁金支払いに応じた。
●その他産業
3月に130店を一時的に閉鎖する意向を表明していたが、今回、同国から撤退することを決めた。
スターバックスは23日に出した声明で「ロシアから撤退する意思決定をした。同国市場でのブランドのプレゼンスはなくなる」としている。同国内に約2000人の従業員を抱えている。
投資家向け説明会で、米経済について「強い経済に、嵐を呼ぶ雲が浮かんでいる」と表現した。先行きに不確実性があると警戒を示した。個人消費など現状は良好だが、「高インフレと金融引き締めが(強さを)相殺する」可能性があるとした。
米国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費は「(インフレが進んだ)現状でさえとても良い状態にある」と述べた。金融引き締めに伴う景気後退が起きたとしても「これまでの景気後退とは異なったものになる」との見方を示した。
嵐を呼ぶ雲は「あくまで雲であり、霧散する可能性もある」として、楽観シナリオも含ませた。一方でロシアによるウクライナ侵攻について「戦争は予期せぬ結果をもたらす」と話し、先行きの不確実性に身構える姿勢を強調した。
●決算関連
●マクロ・その他
4月の日本発の航空貨物輸出量(混載貨物ベース)は、9万3335トンと前年同月比16%減った。前年割れは4カ月連続。中国・上海の都市封鎖(ロックダウン)の影響で、同国向けが大幅なマイナスとなった。5月の輸出量も低調に推移しそうだ。
4月の輸出量を方面別に見ると、中国向けが30%減った。日本発に占める中国のシェアは18%と大きい。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う上海の都市封鎖により、空港の稼働率や内陸への輸送が停滞。全体の輸出量を大きく押し下げた。
シェア20%を占める米国向けも23%減少した。海上貨物から航空へのシフトが一服した。ドイツが12%減、英国が23%減、ベルギー・オランダ・ルクセンブルクが33%減など欧州向けの落ち込みも目立った。
5月も上海方面を中心に需要が低迷する公算が大きい。一方、上海市が6月にロックダウンを解除する方針を示しており、生産活動が戻れば貨物量も回復に向かう可能性もある。
中国が台湾に侵攻すれば台湾防衛のために軍事的に関与すると明言した。台湾防衛をあいまいにしてきた歴代政権の政策修正と受け止められかねない発言で、台湾に軍事威嚇を続ける中国への強い警戒感がにじむ。ロシアのウクライナ侵攻を止められなかった米国の抑止力低下への懸念を払拭する狙いも透ける。
米国は中国が軍事力を使って台湾侵攻に動いた場合の対応を明確にしない「戦略的あいまいさ」を維持してきた。
1979年制定の台湾関係法では米国が台湾の自衛力強化を支援すると定め、武器輸出を継続する。中国抑止とともに、台湾の一方的な独立も認めない現状維持が地域の安定に寄与するとの判断がある。
記者会見後、ホワイトハウスの当局者もバイデン氏の発言について「台湾政策に変更はない。バイデン氏は一つの中国政策と、台湾海峡の安定と平和への関与を再確認した」と説明した。「台湾関係法に基づき台湾の自衛のための軍事的手段を提供するとの約束も繰り返した」と強調した。
日本や韓国、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国とは異なり、米国にはウクライナと同様に台湾を防衛する義務はない。
米国が軍事力の行使に慎重と中国がとらえれば、中国の一段の増長を招きかねない。日本には、米国の抑止力が低下すれば日本周辺を含むインド太平洋地域が不安定になるとの懸念がある。
欧州連合(EU)の欧州委員会は23日、財政ルールの凍結期間を1年間延長する案を公表した。従来は2022年までだったが、23年まで延ばす。ロシアによるウクライナ侵攻や高インフレなど経済環境が不安定になっているため、柔軟な財政政策を認めて景気を下支えする。
豊かで子どもを持ちたがらないアジアの国・地域には3つの共通点がある。第1に、これらの国・地域では、結婚せずに子どもを産む人の割合が低い。日本と韓国では未婚の母親が産む子どもの数は全体の約2%で、「先進国クラブ」とされる経済協力開発機構(OECD)で最も低い。西側先進諸国ではその割合はおおむね30~60%だ。
第2の共通点は教育費の高さだ。東アジアでは高額な塾や家庭教師など、「影の教育」と呼ばれる学校外教育が盛んで、家計の負担になっている。日本の夫婦に理想と考える数の子どもを持たない理由を尋ねると、最も多い回答は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」だ。
第3の共通点は住宅コストの高さだ。実は、日本の出生率が他のアジアの富裕国・地域に比べて高くなった理由として、この点が最も重要かもしれない。近年公表された複数の研究結果は、住宅価格が高くなるにつれ、子どもを持つ時期が遅くなる傾向があると示唆している。そうした論文の一つによると、米国では住宅価格が1万ドル(約127万円)上昇すると住宅を持っている家庭の出生率は5%高くなるが、持っていない家庭の出生率は2.4%下がるという。
東アジアの多くの地域、とりわけ中国の都市部では、若い人たちにとって家を買うことは難しくなる一方だ。東アジアで出生率が最も低いのは韓国の0.8だ。同国の住宅価格年収倍率(住宅を買うのに何年分の給料が必要か)は16.6で、OECDの中でニュージーランドに次いで2番目に高い。これに対し日本の同倍率は7.5でアジアで最も低い部類に入る。
税還付の規模を1400億元(約2兆6600億円)超上積みするほか、消費を刺激するため乗用車購入税の負担も600億元減らす。習近平(シー・ジンピン)指導部が新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策にともない、景気が悪化していることに対応する。
景気安定策は6分野33項目にわたる。
財政面では税還付を受けられる業種を増やし、年間の減税・税還付の規模を2兆5000億元から2兆6400億元に増やす。中小零細企業などに認めていた社会保険料の納付猶予も今年末まで延長する。
金融政策では零細企業向け融資を増やす。小規模事業主の借り入れやゼロコロナ政策による物流混乱の打撃を受けた運送会社などが持つトラックのローンについて、銀行が年内の元利払いを猶予するよう促す。
サプライチェーン(供給網)の復旧に向けて、国内外の旅客便を徐々に増やす。消費や投資など内需を刺激するため、乗用車購入税の負担を段階的に減らすほか、灌漑(かんがい)事業や老朽化した住宅街の改築に銀行の長期融資を振り向けるようにする。
各国が掲げる脱炭素政策を遂行した場合、IEAは30年にEV・PHVが新車販売の35%を占め、累計で2億5000万台に達するとの見通しを示した。ただ懸念材料もある。
ひとつは充電インフラの整備だ。EV・PHVの増加に合わせ、充電用電力は30年までに1900億ドル(約24兆円)分が必要になるとみられるが、「今の整備スピードだと電力供給が不十分になる可能性がある」とIEAは指摘する。
もうひとつが原料費の高騰。ロシアによるウクライナ侵攻の影響などから、車載用電池に使われるリチウムの価格は21年当初と比べ7倍以上に高騰した。高純度ニッケルはロシアが世界シェアの20%を占めている。金属価格が今の水準のまま高止まりすると、車載用電池の単価は21年比で15%上昇し、車体価格の値上げにつながる恐れがある。
小児急性肝炎の報告数が英米を中心に増加している。直近の約半年の間に、英国では197件、米国では180件の報告があった(5月20日時点)。英国では報告例の半数以上でかぜや胃腸炎を引き起こすアデノウイルスが見つかっているが、肝炎との関係はまだ不明だ。新型コロナウイルス感染症が間接的に影響している可能性もある。
Ifo経済研究所が発表した5月の独企業期待指数は86.9 と、前月の86.8から上昇した。ただ長期的な平均はなお下回っている。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は86.5への低下だった。5月は現況指数も前月から上昇した。
Ifoのクレメンス・フュースト所長は発表資料で「インフレ懸念や物資のボトルネック、ウクライナでの戦争に直面しながらもドイツ経済は底堅さを証明した」とし、「今のところ目に見えたリセッション(景気後退)の兆候はない」と指摘した。
「石油価格はさらに上昇する可能性がある。一段と不安定になり、世界経済にとってリセッション(景気後退)への主な脅威となるだろう」と指摘し、「欧州がロシアからの石油輸入を減らせば、世界の石油市場にとって容易な状況ではなくなる」との見方を示した。
ドライブシーズンは石油需要が増大するとして、「今夏は厳しくなる」とも話した。
天然痘に似た感染症「サル痘」の患者が英国で増えている。23日はイングランド地方で新たに36人の感染者を確認し、合計で57人となった。感染経路は皮膚と皮膚の接触で、ほとんどが軽症とされる。世界保健機関(WHO)は現時点では「抑制可能な状態」としている。
LMEの銅相場は1.3%高の1トン=9548ドルで終了。アルミニウムは0.3%高。一方、ニッケルは0.9%安。ロシアのノリリスク・ニッケルが2022年の世界ニッケル市場について、3万7000トンの供給過剰になるとの見通しを示した。亜鉛と鉛は値上がりした。
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●市況
日経先物(大証)26917、ダウ先31749、債先149.75、米2.842、独1.0090、仏1.530、西2.109、伊3.005、波6.502、原油109.67、ドル円127.68、墨ペソ19.92、トルコリラ15.9374、墨CDS154
※5/24 9時30分頃

備忘録(5/20-22
●ウクライナ
世界の金融機関のロシア関連費用が膨らんでいる。日米欧の主要14社の開示情報を集計したところ、費用総額は、融資の焦げ付きに備える引当金を中心に129億ドル(約1兆6600億円)となった。与信総額の15%程度にとどまり、今後、追加処理を迫られる可能性がある。危機の長期化で経済が落ち込み、不良債権処理が増えれば、金融システムへの負担はさらに重くなる。
19日現在でウクライナから640万人が国外に避難したが、192万人が帰国した。同国の求職者数は2月下旬のロシアによる侵攻開始の前に近い水準に回復してきた。
一方、ウクライナ中央銀行によると、求人数は侵攻前の約10万人から2万人未満に落ちこみ、労働需給が大きく緩和している。
ウクライナ中銀によると、4月下旬時点で、同国企業の54%が侵攻前より人員を削減し、34%は賃金を引き下げた。
ロシア軍が進駐するウクライナの地域は3月、同国の国内総生産(GDP)換算で55%に達した。その割合は4月下旬時点で20%に低下した。この間にウクライナ国内で事業を停止した企業の数の比率は全体の32%から17%に下がった。
それでも稼働する企業の6割は侵攻前より事業規模を縮小。戦闘による破壊、物流網の寸断、通常は穀物などの主要な輸出ルートである黒海の制海権をロシアが握っていることが影響している。
国際労働機関(ILO)は11日、ロシアの侵攻開始後、ウクライナで全雇用の3割に相当する480万人が失業したという4月7日時点の推計を発表した。戦闘が激しくなった場合、3カ月後には失業者が700万人に増える可能性があるとも説明していた。
ウクライナのGDPは22年、前年より大幅に減少する見込みだ。国際通貨基金(IMF)は25~35%減、世界銀行は45%減と予測している。
タス通信によると、ガスプロムは21日、フィンランドの国営ガス会社ガスムが、支払期限の20日までに4月分のガス代金をルーブルで支払わなかったためにガスの供給を全面的に停止したと明らかにした。
ガスグリッドによると、エストニアと結ぶパイプラインを通じた輸入に切り替えた。フィンランドはガス輸入の多くをロシアに頼ってきた。ただフィンランドの統計によると2020年のエネルギー消費量のうち天然ガスは約6%だった。
ロシアは欧州などの「非友好国」に対し、ガス代金をロシアの通貨ルーブルで支払うよう要求。フィンランドは拒否する姿勢を示し、供給途絶の可能性が高まっていた。
ガスプロムは4月下旬、代金をルーブルで支払わなかったとして、ポーランドとブルガリア向けのガスの供給を一方的に停止した。
ロシアの電力会社も13日、代金未払いを理由にフィンランドへの電力供給を停止すると発表していた。
ロシア財務省は20日、期限を27日に控える外貨建て国債2本の利払いについて「義務を完全に果たした」と発表した。ロシア国債の元利金受け取りを投資家に認める米国の特例措置が25日で切れるのを前に、前倒しで手続きした可能性がある。
●コロナ
19日の新規感染者数は7日移動平均で3カ月ぶりに10万人を超えた。新規入院者数もじわりと増加傾向にある。地方政府などは正常化への影響を最小限に抑えようと、自宅検査キットの配布などを進めている。
米ジョンズ・ホプキンス大によると、19日の新規感染者数は10万1000人だった。10万人超は2日連続で、2月19日以来の高水準となった。
新規入院者数もじわりと増えている。米疾病対策センター(CDC)によると、11~17日の平均で1日あたり約3300人とその前の週に比べ2割増えた。1月のピーク時の2割弱の水準になっている。
現在、米国で感染が広がるのは、感染力が強いとされるオミクロン型の派生型「BA.2.12.1」だ。14日までの1週間の新規感染のうち「BA.2.12.1」の割合は48%となり、この1カ月で2倍になった。感染拡大が深刻な東部ニューヨーク州を含む地域では「BA.2.12.1」が7割を超える。
●中国不動産
中国人民銀行(中央銀行)は20日、住宅ローンなど中長期の貸出金利の目安となる事実上の政策金利を引き下げた。マンションの購入需要をテコ入れし、不動産開発会社の資金繰りも支える狙いがある。一方、政府は新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策を堅持する方針で、厳しい行動制限が金融緩和の効果を減殺する可能性もある。
人民銀が公表した5月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)は、中長期融資の目安となる期間5年超の金利が年4.45%だった。4月までの水準と比べ0.15%低く、過去最大の下げ幅となった。4カ月ぶりの利下げだ。
経済の悪化でマンション市場が急激に冷え込んだことへの危機感が背景にある。4月の販売面積は前年同月より42%減少し、都市封鎖(ロックダウン)に追い込まれた最大経済都市の上海市は8割超落ち込んだ。4月の住宅ローンの新規借入額が返済額を下回るほど資金需要が弱い。
人民銀と中国銀行保険監督管理委員会は15日、期間5年超のLPRを基準とする住宅ローン金利の下限も下げた。今回の利下げも踏まえると、下限金利は年4.25%まで下がる可能性がある。金利規制を緩和する前は、主要都市で年4.6%だった。
金利の低下が、住宅ローンなど不動産の資金需要を刺激するかどうかは見通せない。ゼロコロナ政策で首都の北京市などでも行動制限が厳しくなっているためだ。主要70都市の新築物件価格は2021年9月から前月比マイナスが続き、マンションの値上がり期待も薄れている。
人民銀は20日、優良企業向け貸出金利の参考となる期間1年のLPRも公表した。1年物は3.7%で、2月から据え置きが続く。
丸紅中国の鈴木貴元経済調査総監は「最近の人民元安をうけ、1年物も含めた利下げに慎重になった」と指摘する。元は対ドルで5月半ばまでの1カ月間に6%下落した。全面的な利下げが、海外投資家による中国国債の売却など資金流出を招きかねないと警戒したともみられている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
タクシン元首相派政権で運輸相を務めたチャチャート氏(55、無所属)が同日夜、勝利宣言を行った。地元メディアの開票速報では、軍事政権下で任命された前職などを大差でリードしている。
知事選は2014年の軍事クーデター後に凍結され、13年以来の実施となった。23年春までに行われる下院総選挙の前哨戦と位置づけられており、プラユット政権に批判的な野党が勢いづく可能性がある。
知事選には前職のアサウィン氏も立候補していた。同氏は16年に軍事政権から任命され、選挙を経ずに知事に就任した。今回の選挙には無所属で出馬したが、親軍の最大与党「国民国家の力党」に近いとみられている。都市整備などの実績を訴えたが得票を伸ばせなかった。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は22日、中国製品に課している制裁関税を巡り、バイデン大統領が引き下げの是非について「必要との情報を得れば速やかに決断する」と述べた。トランプ前政権が課した制裁関税を引き下げれば、米中対立や世界経済に大きな影響を及ぼす。
米通商代表部(USTR)は5月上旬、制裁関税の発動開始から4年が経過するのに合わせて見直し作業を始めた。イエレン財務長官は約40年ぶりの高インフレを抑え込むため、対中関税の引き下げの必要性を唱えている。
タイ中央銀行のセタプット総裁は日本経済新聞の取材に応じ、過去最低水準にある政策金利を当面維持する考えを示した。米欧は金融引き締めにかじを切ったが「タイ経済は回復が遅れている」と説明。新型コロナウイルスの感染拡大前の経済規模は「来年の第1四半期ごろまで戻らない」との見通しも示した。
北欧2国が18日に加盟申請して以来、加盟に反対するエルドアン氏と、北欧2国の首脳との会談はいずれも初めて。2国の加盟にはトルコを含む全加盟国の承認が必要となる。エルドアン氏は、2国が反政府武装闘争を続けるトルコの非合法組織クルド労働者党(PKK)やシリアのクルド勢力を支援していると反発している。
アンデション氏は会談後、ツイッターに投稿し「平和や安全保障、テロとの戦いを含め、(トルコとの)2国間関係を強化することを望んでいる」と訴えた。ニーニスト氏もツイッターで「フィンランドはあらゆる形態のテロを非難する」と強調した。
エルドアン氏は電話会談でニーニスト氏に対し、フィンランドの態度は「友好と同盟の精神と相いれない」と抗議した。
天然痘に症状が似ている「サル痘」の感染者が欧州で増えている。ロイター通信によると100件を超える感染や感染の疑いが確認され、世界保健機関(WHO)は20日に緊急会合を開いた。ただ拡散ペースは速くなく、現時点では大流行に発展しないとみられている。
米国で夏の旅行シーズンが盛り上がりを見せている。新型コロナウイルス対策の緩和が進んだ春先以降、先延ばしした計画を実行に移す「リベンジ旅行」の需要が拡大。航空券や宿泊施設の価格高騰を招いている。ガソリンや食品など必需品の値上がりで家計の負担が増す中、より安い価格帯に計画を見直す消費者も増えている。
多くのエコノミストは、米経済には十分な勢いがあるとみている。新型コロナウイルス感染拡大の過程で積み上がった貯蓄のおかげで、自動車や住宅、旅行に対する繰り越し需要が年内は停滞することなく続くとの見立てだ。彼らが景気リスクの増大を見込んでいるのは来年以降だが、その場合でも、景気後退ではなく景気減速というのがコンセンサスとなっている。
しかし、もっと悪いシナリオを想定する識者も増えつつある。ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は16日付のリポートで「向こう12カ月以内に景気が悪化する確率は3分の1で、24カ月以内にリセッションに陥る確率もほぼ同じだ」と論じた。
21日投開票のオーストラリア総選挙で、野党・労働党が勝利し、2013年以来となる政権交代が実現する見通しとなった。アルバニージー党首は23日に首相に就任すると説明しており、東京で24日開かれる日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の首脳会合に出席する方向だ。
公共放送ABCによれば、下院(定数151)のうち労働党が少なくとも72議席を確保、保守連合(自由党・国民党)は54議席にとどまっている。無所属などが現時点で11議席となっている。
モリソン首相は21日夜、敗北を認めアルバニージー氏(59)に祝意を伝えた。自身が務めていた自由党党首を辞任する意向も示した。
アルバニージー党首は勝利演説で、「キャンパーダウンの公営住宅で育ったシングルマザーの息子が豪州の首相として皆さんの前に今夜立つことができるということが、われわれの国がいかに偉大かをよく物語っている」と述べた。
アルバニージー氏は24日開かれるクアッド首脳会合に出席する見込み。労働党は対中国政策でモリソン政権の路線をほぼ踏襲した方針を取っている。
一方、自由党では有力な党首候補の1人と目されてきたフライデンバーグ財務相が落選し、今後の党のかじ取りを誰が担うのか疑念が生じている。
総裁は20日、FOXビジネスのインタビューで、「私は年末までに3.5%に引き上げるべきだと述べてきた。これは一部同僚が考えるより高い水準だ」とし、「より前倒しし、インフレとインフレ期待を抑制できれば、それだけ状況の改善も進む。23、24年にはインフレがしっかり抑制され、政策金利を引き下げることもあり得る」と語った。
英ウェールズの勅許公認会計士協会(ACCA)で講演したピル氏は、英中銀が直面する難題について論じた。高インフレが国内の価格設定に定着しつつある上、家計所得がひっ迫し景気回復を脅かしている。
ピル氏は「リスクバランスは、基本シナリオで想定したよりもインフレが強力で持続的であるという方向に傾いている」と指摘した。
9人で構成する英中銀金融政策委員会(MPC)の今月の会合で、ピル氏は0.25ポイントの利上げを支持し、多数派に属した。
この日は追加利上げが必要だろうと述べ、「インフレを目標値に回帰させるため、さらに幾分の金融政策引き締めが必要だろう」とし、「2%のインフレ目標達成のために行動することが、今やかつてないほど重要だ」と語った。
ゴールドマン・サックス・グループは20日、英中銀の政策金利が従来見込んでいた2%でなく、2.5%に達するとの予想を発表した。
英国担当チーフエコノミストのステファン・ボール氏は「賃金と物価の持続的な上昇圧力を踏まえ、英中銀の金利見通しを引き上げた」と顧客向けリポートで説明し、「英中銀MPCは利上げサイクルを加速させ、2023年2月までの各会合で0.25ポイントの利上げを継続すると予想する。このため、従来の予測よりも利上げが2回増えると見込む」と続けた。
●市況
日経先物(大証)26740、ダウ先31213、債先149.80、米2.788、独0.9415、仏1.470、西2.072、伊2.983、波6.458、原油110.35、ドル円127.86、墨ペソ19.87、トルコリラ15.9305、墨CDS154
※5/20 NY引け値

備忘録(5/19
●ウクライナ
ドイツ政府はロシアの侵攻が続くウクライナに10億ユーロ(約1340億円)規模の資金を支援する。主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が開かれている独西部ボン近郊で19日、リントナー独財務相が記者団に明らかにした。ウクライナで財政悪化への懸念が強まるなか、当面の資金繰りを支える。
中国は安価なロシア産原油で戦略備蓄を補充しようとしている。欧州がウクライナ侵攻に抗議しロシア産原油の輸入禁止に動く中で、中国はエネルギー分野でロシアとの関係強化に向かっている。
非公開の情報だとして匿名を要請した関係者によると、中国はロシアと追加購入について協議している。追加供給される原油は、中国の戦略備蓄の補充に使われるという。交渉は政府間で行われ、石油会社はほとんど直接的に関与していないと関係者の1人は述べた。
ロシアがウクライナに侵攻して以来、石油相場は上昇しているが、評判の低下や制裁に巻き込まるリスクから買い手はロシア産原油を敬遠し、同国産原油の価格は急落した。
●コロナ
●中国不動産
中国の上海市に住むオフィスワーカーのウーさん(28)は、普段なら1カ月当たり約1万2000元(約23万円)を日々の生活で使う。買い物をためらうことはほとんどないと彼女は話す。だが上海市でロックダウン(都市封鎖)が実施された4月には、普段の3分の1程度しかお金を使えなかったという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
国内航空会社の資金繰りの改善が遅れている。2022年1~3月期の営業キャッシュフロー(CF)は欧米大手が軒並み黒字だったのに対し、ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)は赤字だった。日本勢は航空券予約の回復が鈍く、現金収入が伸び悩んでいる。収入の低迷が続けば投資余力を欠き、脱炭素などの投資が停滞しかねない。
市場のリセッション懸念は行き過ぎ-ゴールドマンやJPモルガン
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-19/RC4G9QT0G1KW01?srnd=cojp-v2
●その他産業
楽天グループが主に個人投資家向けに普通社債1500億円の発行を準備していることが19日、わかった。同社が関東財務局に提出した訂正発行登録書によると、利率は年0.40~1.00%の範囲内で、27日に条件決定を予定する。愛称は「楽天モバイル債」とし、調達資金は既存社債の借り換えや携帯電話事業の基地局建設などに使う。
●決算関連
中国スマートフォン大手の小米(シャオミ)が19日発表した2022年1~3月期の最終損益は5億8700万元(約100億円)の赤字だった。最終赤字は18年7月の上場以来初めてとみられる。半導体不足の影響などで主力であるスマホの出荷台数が前年同期に比べて2割落ち込んだ。
半導体不足の継続が5-7月(第3四半期)見通しの重しとなった。
同日の発表資料によると、5-7月売上高は約62億5000万ドル(約8000億円)の見通し。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均は66億9000万ドルだった。同社は一部項目を除いた1株利益を1.59-1.95ドルと見込む。アナリスト予想平均は2.05ドル。
半導体業界は業界全体に広がる不足の解消に向け十分な生産能力を確保しようと、製造装置を急ピッチで発注している。ただアプライドでも自社製品生産に必要な半導体が不足している。
18日に軟調な見通しを示したシスコシステムズと同様にアプライドも、主要サプライヤーの拠点がある中国の一部地域のロックダウン(都市封鎖)で部品供給が受けられなくなっていると指摘した。ゲイリー・ディッカーソン最高経営責任者(CEO)はインタビューで、サプライチェーンの状況把握に努めているが、新型コロナウイルス感染再拡大が確認されている上海など中国沿岸部の一部が目詰まりの地点だと述べた。これらの地域は部品製造拠点などになっているためだという。
ディッカーソン氏は「需要は非常に力強いが、最大の問題は供給だ」とし、「今でも一部サプライヤーの稼働率は50%未満だ」と語った。こうした制約で5-7月の売上高が約1億5000万ドル押し下げられるとした。
●マクロ・その他
バイデン米大統領は19日の演説で、フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)への加盟について「条件を満たしている」と述べ、「NATOが一段と強力になる」と支持を明言した。米議会上院に対し、加盟に向けた批准手続きを早期に完了するよう要請した。
全米不動産協会(NAR)が19日発表した4月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は561万となり、前月から2.4%減った。3カ月連続の減少で、2020年6月以来の低水準となった。
19日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利を年2.0%から2.25%に引き上げることを決めた。利上げは2018年11月以来、3年半ぶりとなる。インフレ率が高水準にあることに対応する。新型コロナウイルスの感染者数減少で経済活動が活発になったことも金融政策の正常化を後押ししている。
中銀のジョクノ総裁は同日の記者会見で「タイムリーな利上げがインフレ期待を和らげることになる」と語った。4月のインフレ率は4.9%で、政府目標である2~4%を上回る水準となった。今後もエネルギー価格高騰に伴い輸送運賃が高まることや豚肉や魚など食品価格が高止まりすることを懸念する。
経済活動が回復してきたことも利上げの要因だ。同国は直近で1日あたりの新型コロナ新規感染者数は平均で200人を下回る水準にあり、マニラ首都圏をはじめ各地で移動・行動制限を緩和している。個人消費が持ち直し2月から外国人観光客の受け入れも再開したことで、1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比8.3%増となった。
スリランカが同国史上初めて、デフォルト(債務不履行)に陥った。経済は急速に悪化、インフレ率は今後数カ月で40%に加速する見通しで、国内では抗議デモや政治危機が起きている。
ウィーラシンハ中銀総裁は19日、債務再編完了までドル建て債務の支払いを行わない「事前調整型デフォルト」にスリランカが陥ると述べた。2023年と28年に満期を迎えるドル建て債の利払いは当初、4月18日が期限で7800万ドル(約100億円)相当。30日間の支払い猶予期間は今月18日に終了している。
米カンザスシティー連銀のジョージ総裁は「株式市場が大荒れの1週間」となっているのは驚きではなく、金融政策の引き締めを一部反映したものだと指摘。インフレ抑制に向け、複数回の0.5ポイント利上げを支持する考えは変わらないと述べた。
ジョージ総裁は19日のCNBCとのインタビューで、「われわれが期待しているのは市場の理解を通じた政策の伝達であり、こうした引き締まりは予想されているはずだ」と述べた。
「現在はインフレ率が高過ぎて、それを下げるために一連の金利調整を行う必要がある」とジョージ総裁は指摘。「金融環境が引き締まり始めていると判断しており、その点は注視していかなくてはならない。どの程度必要になるか理解するのは難しい」と述べた。
その上で「今は0.5ポイントの行動に全く違和感はない」とし、米金融当局の8兆9000億ドル(約1130兆円)規模のバランスシート縮小計画が一段の政策引き締めに寄与するとも発言。「現時点では0.5ポイントでよいだろう。それよりも大幅な行動が必要だと判断するには、何か非常に異なる状況を確認する必要がある」と述べた。
一部の米金融当局者は金利について、景気を加速も減速もさせない中立水準まで引き上げる必要性を強調している。一方でジョージ総裁はその水準がどこにあるか明確ではないとし、インフレが落ち着く兆候を見極める姿勢でいたいと説明。「私にとって、より重要なのはどの時点でインフレが横ばいになり、そして減速し始めるかだ」とし、「それが金融政策の方向性を教えてくれると考える」と語った。
中国の2022年経済成長率見通しを民間エコノミストが相次いで下方修正している。4月の経済統計が予想より悪く、政府が厳格な新型コロナウイルス対策を堅持すると示唆しているためだ。
同行のエコノミストは、厳しいコロナ規制が4月と5月前半の活動を大きく圧迫し、生産と消費が妨げられたと指摘。「厳格なロックダウン(都市封鎖)が続くと1カ月ごとに」年間成長率が最大0.6ポイント押し下げられる可能性があるとの見方を示した。  
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は同日、今年の中国成長率がわずか2%にとどまるとの見通しを示した。これまでは3.6%とみていた。
BEのチャン・シュウ、エリック・チュー両エコノミストはリポートで、「活動制限が響いて刺激策に弾みがつかない。政府と中国人民銀行(中央銀行)には支援を強化する余地があり、その実行を見込んでいる」としながらも、 「良好なシナリオでも『ゼロコロナ』のスタンスが緩む可能性は低く、政府目標の5.5%前後どころか5%成長にも手が届きそうにない」と指摘した。
4-6月のGDPは前年同期比2.7%減になると予想。従来は1.5%増と見込んでいた。
ゴールドマン・サックス・グループは18日、今年の中国成長率見通しを4.5%から4%に引き下げた。政府が徹底的にコロナを抑え込むゼロコロナ戦略を強化していることを理由に挙げた。
シティグループは年間成長率予想を5.1%から4.2%に引き下げ。ロックダウンによる景気への影響が6月以降も続きそうだとしている。
サクソ・キャピタル・マーケッツの市場ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「金融環境の引き締めは始まったばかりだ」と指摘。「市場はまだコロナ禍と供給問題、インフレが複合した状況の意味合いを消化しつつある段階だが、今はスタグフレーションのリスクも加わった。これはまだ序の口に過ぎないと考えている」と続けた。
その一方で別の見方もある。JPモルガン・チェースの世界調査共同責任者のマルコ・コラノビッチ氏は、米株相場が今年回復すると確信しており、「悪いことのほとんどは今年既に起こった」と分析する。
ACYセキュリティーズのチーフエコノミスト、クリフォード・ベネット氏は「すでに本格的に起きている世界的な景気減速を世界の株式市場は織り込みつつあるが、まだそのごく初期の段階でしかないというのがつらい真実だ」と述べ、「これが半年から1年半にわたる調整局面となるのか、3-6年に及ぶ資産価格の下落といった、もっとずっと深刻な落ち込みになるのかは分からない」と述べた。
世界のサプライチェーンに対する圧力が4月に今年初めて高まったことが、米ニューヨーク連銀の指数で示された。地政学的緊張の高まりが短期的な物流の目詰まりをさらに悪化させる可能性もある。
同連銀が18日に発表した4月のグローバル・サプライチェーン・プレッシャー指数は3.29となった。同指数は昨年12月の4.45をピークに、今年1月は3.74、2月と3月はいずれも2.8と低下傾向にあったが、再び上向いた。
新型コロナウイルス対策として厳格なロックダウン(都市封鎖)を行っている中国で配送が滞る傾向にあるほか、ロシアのウクライナ侵攻で欧州のサプライチェーンに悪影響が及んでいる。ユーロ圏のリードタイムが長くなり、米国からアジアに向かう航空貨物コストも上昇した。
中古住宅販売件数はこれで3カ月連続の減少。米抵当銀行協会(MBA)のデータによれば、30年固定の住宅ローン金利は先週5.5%と、年初時点の3.5%から上昇した。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は発表文で「住宅価格の上昇や住宅ローン金利の急上昇で購入活動が減速した」と指摘。「今後数カ月に一段と減少するとみられる。住宅販売活動は過去2年間に目覚ましく急増したが、今後は新型コロナウイルス禍前の状況に戻る可能性が高い」と記した。
中古住宅在庫は前月比で増加したが、前年同月比では10.4%減。販売に対する在庫比率は2.2カ月。同比率は5カ月を下回ると、市場がタイトになっている兆候とみられている。
中古住宅価格(季節調整前、中央値)は前年同月比14.8%上昇し、39万1200ドル(約4990万円)と過去最高を更新した。
「インフレ率はあまりにも高く、米国全土の地域社会を苦しめている」と物価上昇率の抑制に全力をあげる考えを示した。
バー氏はリーマン危機の教訓を経て2010年に成立したドッド・フランク法の制定に関わった。今の金融システムについては「資本と流動性が極めて強固だ」との認識を示し、公正な運営に努めると強調した。
金融機関に低炭素社会への移行を促すのか問われると「特定の部門に融資するように、あるいは融資しないように指示することはできない」と慎重に答えた。バイデン米政権は当初、金融監督担当副議長に元理事のラスキン氏を指名したが、石油やガス業界への融資抑制に動くとの懸念が与野党から出て撤回した経緯がある。
5月上旬に市場混乱を起こしたステーブルコインを「投資家保護に関わる重大な問題であると同時に、金融安定を損なうリスクもはらんでいる」と問題視した。中央銀行デジタル通貨についてもさらなる研究が不可欠と指摘したうえで「議会や政府の賛同なく軽々に着手すべきものではない」と話した。
●市況
日経先物(大証)26425、ダウ先31256、債先149.61、米2.852、独0.9640、仏1.472、西2.053、伊2.908、波6.526、原油109.17、ドル円127.89、墨ペソ19.93、トルコリラ15.9159、墨CDS147
※5/20 8時55分頃

備忘録(5/18
●ウクライナ
イエレン米財務長官は18日、ロシアへの追加制裁で資産を没収する案について「米国では合法ではない」との認識を示した。侵攻を受けるウクライナは主要7カ国(G7)に、押収した資産を売却して復興資金に充てるよう求めている。米国だけでなく、他国でも同様に「法的な課題がある」と指摘した。
●コロナ
中国の首都北京に隣接する経済・港湾都市、天津市で新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)対象が18日から拡大された。中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。
天津経済技術開発区で追加対象となった集合住宅2棟の住民は自宅待機となり、定期的なコロナ検査が義務付けられる。
天津市当局は18日、無症状の39人を含む55人の新たな感染を発表。前日の28人から増加した。市内36の地下鉄の駅が閉鎖されたほか、北京に通勤する市民は移動前48時間以内の検査で陰性の確認が必要になる。
天津市河北区当局の情報をCCTVが伝えたところでは、同区では19日から大規模検査が実施される。今年1月には同市での感染拡大の影響で、トヨタ自動車とドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)の現地生産拠点が操業停止に追い込まれた。
●中国不動産
4月の主要70都市の新築物件価格は平均で前月比0.3%下がり、下落率は3月の0.1%から拡大した。習近平(シー・ジンピン)指導部が新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で経済が悪化し、住宅需要もしぼんだ。
中国国家統計局が18日発表した。前月から値下がりしたのは全体の7割弱にあたる47都市で、3月より9都市増えた。地方の中小都市でマイナス幅が広がったほか、省都クラスも4カ月ぶりに下落した。
新築物件の平均価格は2021年9月から前月比マイナスが続く。習指導部がバブル抑制のため不動産金融を引き締めたためだ。規制の部分的な緩和で22年に入ってから下落幅は縮まっていたが、上海市の都市封鎖(ロックダウン)など厳しい行動制限で4月は再び市況が悪化した。
4月のマンション販売面積は前年同月より42%減少した。落ち込み幅は、中国経済が初めて新型コロナの打撃を受けた20年1~2月(前年同期比39%減)を上回り、10年以降では最大だった。
人民銀の調査では、1~3月時点で住宅の値上がり期待が7年ぶりの水準に低下した。資産価値の増加を期待しにくいことも、住宅市場の回復にとって重荷だ。
マンション市場は5月に入っても不調が続く。1日の労働節(メーデー)に伴う大型連休は例年、住宅展示場を訪れる人が増え、不動産業界のかき入れ時だった。ただ調査会社の中国指数研究院によると、上海市を含まない主要12都市の合計売買面積は、19~21年の同時期の平均と比べて5割減少した。
市場をてこ入れするため、人民銀などは15日、1軒目の購入を対象に住宅ローン金利の下限を引き下げた。省都など経済規模が比較的大きい都市では、かつてバブル抑制のために設けた住宅購入制限を緩める動きも広がる。ただ景気の悪化で家計の先行き不安は強く、肝心の住8宅需要が持ち直すかはなお見えない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
IATAによると、アジア太平洋地域の3月の国際線旅客需要はコロナ前の17%だった。ウォルシュ氏は「60%まで回復した世界的な傾向をはるかに下回る。政府の規制が原因であり、規制が解除されれば観光業界の回復や経済への波及効果が期待できる」と指摘した。同地域の回復の遅れの要因として挙げたのが日本と中国だ。
ウォルシュ氏は日本について「渡航を許可する段階的措置を取っているが、全ての観光客や渡航者への再開に向けた明確なプランがない」と指摘した。ワクチン接種者の隔離や到着時の検査、1日の入国制限を撤廃することから始める必要があるとした上で、「日本政府に対し、国境の開放と復興に向けてより大胆な手段をとることを求める」と述べた。
中国については「中国政府がゼロコロナのアプローチを続ける限り、国境が再び開かれることはないだろう。これは地域の完全な回復の足かせとなる」とした。欧米などは重症化率が下がっていることから、規制を緩和・撤廃している。日本と中国は感染者の数にこだわり、規制解除や経済回復が遅れている。
従業員による人種差別被害の訴えや、米当局の事故調査への対応などを問題視した。
●その他産業
●決算関連
2022年2~4月期決算は、純利益が前年同期比52%減の10億900万ドル(約1300億円)だった。輸送費や人件費などのコスト上昇や在庫品の処分が重荷になった。売上高は4%増の251億7000万ドルで市場予想(244億9000万ドル前後)を上回った。既存店売上高は3.3%増えた。食品・飲料品などの販売は値ごろ品への需要が強く堅調だったが、低気温が続き春物衣料が振るわなかった。「消費者は体験重視の商品購入にシフトした」(コーネル氏)といい、トランクなど旅行グッズは好調だった。
営業利益は43%減の13億4600万ドルだった。家電や衣料品、スポーツ用品などの販売が不振で、在庫品を処分するためのセールが利益を押し下げた。長期化する物流混乱を背景とした輸送費の増加や人件費高騰も響いた。
23年1月期通年の売上高成長率は1ケタ台半ばとの予想を据え置いた。マイケル・フィデルキ最高財務責任者(CFO)は物流の混乱に伴う輸送費の上昇圧力や商品調達への影響について「23年初めまで続く」と述べた。
2022年3月期決算は、最終損益が9億6200万シンガポールドル(約895億円)の赤字だった。新型コロナウイルスの影響が続き3期連続の赤字だったが、前の期にあった航空機の減損損失がなくなったことや、国際線需要が戻り始めたことで赤字額は前の期の4分の1以下に縮小した。
回復傾向にはあるものの、燃料価格の高騰が収益の重荷になっている。運航便数の増加もあり、燃料費は前の期と比べて約2倍に膨らんだ。21年10~12月期には四半期ベースで黒字に浮上したが、22年1~3月期は再度赤字に陥った。
今期は国際線の回復度合いと、燃料費が通期の黒字転換のカギを握りそうだ。シンガポール航空は国際線しか持たないため、旅客数はコロナ前の19年3月期の1割程度にとどまっている。足元で運航再開を急ピッチで進めており、運航能力は3月末にコロナ前の約6割まで戻した。主要市場の中国でのコロナ規制の見通しが不透明だが、運航能力を9月末に7割にまで高めることで、再開による需要拡大に備える。
●マクロ・その他
バイデン米政権が中南米外交でジレンマに直面している。カリブ海の社会主義国キューバや南米ベネズエラに対して制裁の一部緩和を打ち出し、6月に開く米州首脳会議に向けて中南米での影響力の拡大を模索する。一方で両国には国民に対する強権姿勢など人権問題が残っており、全面的な制裁の撤廃には踏み込めずにいる。
米政府はベネズエラに対しても制裁を一部緩和する可能性を示している。米政府高官は17日、米石油大手シェブロンがベネズエラの国営石油PDVSAと同国での事業をめぐって交渉するのを認めると明らかにした。即座にシェブロンの事業再開を認めるわけではないが、ベネズエラから米国への原油の輸入につながる可能性がある。
米政府がキューバやベネズエラへの制裁緩和を打ち出す背景には、6月に開く米州首脳会議に向けて中南米との結束を示したいという思惑がある。
米国務省のニコルズ国務次官補(米州担当)は3日、米州首脳会議にキューバとニカラグア、ベネズエラを招待しない可能性に言及した。メキシコやボリビアの政府はこの発言に反発し、3カ国を排除すれば首脳が会議に出席しない考えを表明している。米国と中南米諸国の溝が生まれるなか、キューバなどとの関係改善を迫られた形だ。
ただ米国の両国に対する制裁緩和は一部にとどまっている。キューバでは米国民の観光目的の渡航の禁止や米企業との取引制限といった規制の多くは残る見通しだ。キューバのロドリゲス外相は「正しい方向への一歩にすぎない」と指摘した。ベネズエラに対しても米企業との取引制限などの経済制裁は緩和していない。
全面的な制裁解除が難しいのは、人権問題に対する懸念が残っているからだ。キューバでは21年7月に大規模な反政府デモが発生し、当局が参加者を相次ぎ拘束した。反発した米政府は1月にキューバの政府高官に対してビザを制限するなど対抗措置を表明した。米議員の間ではベネズエラの反米マドゥロ政権への制裁緩和に対しても慎重論が根強い。
4月の住宅着工件数は172万4000戸(季節調整済み、年率換算)で、下方修正された前月の改定値から0.2%減った。2カ月連続の減少で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(175万戸程度)を下回った。前年同月比では14.6%増えた。
主力の一戸建てが110万戸で前月比7.3%減った。一方、変動の激しい5世帯以上の集合住宅が61万2000戸で16.8%増えた。
4月の欧州主要18カ国の新車販売台数(乗用車)は、前年同月比21%減の74万533台だった。新型コロナウイルス禍の2020年に次ぐ低水準で、3月(20%減)に続き減少幅は2割を超えた。半導体不足に加え、ロシアによるウクライナ侵攻で物流網が停滞している影響が大きかった。
フィンランドとスウェーデンが18日、米欧の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)への加盟を正式に申請した。NATOにとっては北方の守りを固めるうえで重要な意味を持つが、ロシアと接する境界が約2倍に増えることで有事の衝突リスクも高まる。膨らむ国防費をどう捻出していくかも課題となる。
米格付け大手S&Pグローバルは4月下旬、スリランカの外貨建て国債の信用格付けを「部分的なデフォルト」にあたる「選択的デフォルト(SD)」に引き下げていた。スリランカは一部国債の利払いを期日の4月18日までに実施できなかった。30日間の猶予期間が設けられたが、S&Pは期間内の支払いは困難だとみていた。
ロイター通信によると、ウィクラマシンハ首相は16日の国民への演説で「今後の数カ月が人生で最も困難な時期になる」と述べた。財政立て直しに向けて、国営のスリランカ航空の売却なども検討しているという。
スリランカは慢性的な経常赤字に加え、新型コロナウイルスの発生によって外貨獲得の主要な手段である観光業低迷に直面した。4月末時点の外貨準備高は約18億ドル(約2300億円)と、19年末の76億ドルから大幅に減少している。
同国の対外債務は21年末時点で500億ドルを超えている。スリランカ財務省は4月中旬、IMFなどとの協議による経済再建策がまとまるまで債務の支払いを一時停止すると表明していた。IMFとの協議は現在も断続的に続いているが、具体的な支援策が早期にまとまる見通しはたっていない。
足元では輸入品を中心とした生活必需品の値上がりが国民生活を直撃している。4月のコロンボ消費者物価指数は前年同月比29.8%増という記録的な水準だった。政権への抗議デモが続き、政権支持者との衝突などによる死傷者も出ている。
4月の英国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で9%上昇した。電気・ガスの料金が同月から大幅に引き上げられた影響で、伸び率は3月から2ポイント急拡大した。労働需給の逼迫もインフレ圧力を高めており、イングランド銀行(中央銀行)は年内に10%に達するとみている。
大きな押し上げ要因はエネルギー料金の改定だ。天然ガスや石油などの価格高騰に伴い、規制当局が定める家庭向けのエネルギー単価上限が4月から5割ほど引き上げられた。CPI上昇率の細目をみると「電気」は53.5%と3月の19.2%から急上昇した。「ガス」は3月の28.3%から95.5%に跳ね上がった。
物価上昇はモノやサービスの幅広い項目で進む。「食品・非アルコール飲料」は6.7%で、前月から0.8ポイント上がった。「レストラン・ホテル」は7.9%で、同1ポイント上昇した。食品やエネルギーなどを除くコアベースのCPI上昇率は6.2%(3月は5.7%)だった。
中米グアテマラのジャマテイ大統領は17日、米国が6月に開く米州首脳会議に出席しない考えを示した。ジャマテイ氏が再任したグアテマラの検事総長に対し、米政府が汚職疑惑を批判したのが理由だとみられる。グアテマラが欠席すれば移民問題をめぐる協議に影響が出る可能性がある。
ジャマテイ氏はグアテマラ国内で開かれたイベントに出席し、「米国は私をどうせ招待しないだろう。行くつもりはないと(米国側にメッセージを)送った」と述べた。米国務省は16日、グアテマラのコンスエロ・ポラス検事総長を汚職リストに加えて米国への入国を制限すると発表していた。
米税関・国境取締局(CBP)によると、2021年10月~22年4月にはグアテマラ出身の不法移民の拘束者が約13万4000人と全体の1割を占めた。メキシコ南部と国境を接するグアテマラは中南米出身の移民の経由地となっている。グアテマラが米州首脳会議に参加しなければ移民問題をめぐる議論に支障が出かねない。
米州首脳会議をめぐっては米政府高官が3日にキューバとニカラグア、ベネズエラを招待しない可能性に言及した。メキシコのロペスオブラドール大統領はこの発言を受け、全ての国が招待されなければ自身は出席しないと表明した。ホンジュラスとボリビアの大統領も一部の国の排除に反対している。
イスラム教シーア派武装組織ヒズボラをはじめとする親イラン系は過半数議席を維持できなかった。長引く経済危機への国民の不満を反映し、改革志向の独立系が躍進した。既存の少数政党が並び立つ構図は変わらず、組閣が難航する可能性もある。
親イラン系の議席減と改革派の伸長は国民の不満を映したものだ。レバノンは放漫財政や汚職などで20年3月に債務不履行(デフォルト)に陥った。通貨の対ドル価値は闇相場で19年の20分の1にまで落ち込み、国民は高インフレや燃料不足などに苦しむ。
もっとも、改革派も宗派や政策に隔たりがあり一枚岩ではない。合計でも議会の1割ほどを占めたにすぎず、財政健全化などの改革をただちに進めるのは難しい。ヒズボラは国内で圧倒的な武力と資金を握っており、影響力は依然として大きい。
選挙結果を受けて、闇相場の対ドル通貨価値は前週末から約1割下落した。親イラン系が過半数割れとなったことで組閣が難航し、政治の停滞につながる可能性が懸念された。
米国の消費者は物品から旅行などのサービスに支出をシフトさせている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を背景とした個人消費ブームから恩恵受けていた小売業者にとっては心配な傾向である半面、サプライチェーンの混乱とインフレーションの面では明るい兆しだ。
エコノミストの間では何カ月も前から、新型コロナ感染への懸念が後退して米国民が休暇や娯楽などの体験に支出するようになれば、物品需要は減少すると予想されていた。物品への支出が減ればサプライチェーンへの圧力は改善され、数十年ぶりの高インフレ率の押し下げに役立つと見込まれていた。
小売り大手ウォルマートとターゲットが今週発表した決算では、利益を過去2年間押し上げてきた雑貨への支出鈍化が示された。ターゲットのブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は、消費者が飲食店のギフトカードや旅行かばんを買うためにテレビなどの高額商品から離れていると指摘した。
米金融当局の観点では、商品価格のインフレ鈍化は朗報だ。1980年代以来の高インフレにつながった構成要素だからだ。サービス価格のインフレは比較的最近になって上昇したものの、ほとんどは過去のペースを維持している。物品需要の減少はまた、運送や労働市場における圧力を緩和する。
22Vリサーチの創業者デニス・デブシェール氏はウォルマートの決算発表について、「物品のデフレと消費者の好みの変化を示す最新例だ」と述べ、「これはインフレには朗報だ。ただ、引き続き問題なのはディスインフレが米金融当局にとって十分なスピードで進むかだ」と指摘した。
中国の李克強首相は18日、経済指標が3月以降悪化し、経済的課題が増える中でもこれに対処する十分な政策的余地があるとの見解を示した。国営中央テレビ局(CCTV)が報じた。
それによると、李首相は市場と雇用の安定に関する会議で、中国はマクロ政策調整を強化するとした上で、各政府機関により強い切迫感を持って行動し、政策をより迅速に実行するよう求めた。
クラウレ氏は、地政学的な情勢を受けサプライチェーンが1カ国に集中し過ぎるのはリスクが高いことが判明する中で、中南米に企業が押し寄せると見込んでいる。こうしたトレンドは、メキシコを中心に中南米に「多くの資本」をもたらすと語った。
資本を呼び込むもう1つの大きな原動力は電気自動車(EV)革命を巡るものだろうという。特にボリビアとチリ、アルゼンチンは、バッテリーの生産に必要なリチウムなどの原料で豊富な埋蔵量を有する。
「状況に合う商品を保有しているだけで途方もない潜在性がある」とし、原料価格は当面、高止まりするだろうとの見方も示した。 
さらに「今後5年、10年はかなり刺激的な時期になろう」とし、「今は大規模な投資をする時期で、企業はさまざまな評価を受け、あなた方は新たな大きな波に乗ることができる」と強調した。
●市況
日経先物(大証)26348、ダウ先31437、債先149.57、米2.917、独1.0185、仏1.518、西2.135、伊3.013、波6.609、原油108.23、ドル円128.77、墨ペソ19.97、トルコリラ15.9694、墨CDS147
※5/19 12時30分頃

備忘録(5/17
●ウクライナ
米財務省外国資産管理局(OFAC)は、債務返済を認める一般許可が25日の期限で失効するのを容認すると見込まれている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
財務省内では許可を延長して支払いを容認し、ロシアの軍事資金低減を図るべきだとの声もあったが、ロシアに対する金融面の圧力を維持するため延長しないことが決まったと、複数の関係者が語った。
ただ、別の関係者1人は財務省では最終的な決定を下していないと述べた。ホワイトハウスとOFACの報道官は今のところコメントに応じていない。
●コロナ
米ニューヨーク市では新型コロナウイルス感染者が再び増加しており、警戒レベルが数日内に「高い」に引き上げられる可能性がある。その場合、公共の場など屋内でのマスク着用が再び義務として再検討されることになる。
NY市保健当局のウェブサイトに掲載されている指針では、「NY市の警戒レベルが『高い』に引き上げられた場合、市はあらゆる公共の場を対象に屋内でのマスク着用義務を検討する」と記されている。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
全日本空輸(ANA)は17日、7月~10月29日の国際線運航計画を発表した。計画に対する運航便数の割合である運航率(2020年度計画比)は、7月を28%、8~10月(29日まで)を27%とした。6月の28%からほぼ横ばいとなる。
米航空各社が一段の運賃引き上げに動いている。国内線運賃の上昇率が過去数十年で最大に達しているにもかかわらず、米国民が旅に出ようとしていることが背景にある。
米労働省労働統計局によると、航空運賃は4月に前月比18.6%上昇、前月比の伸び率は消費者物価指数(CPI)の統計開始以来最大を記録した。4月のCPIは前年同月比8.3%上昇したが、この伸びに最も大きく寄与した要因の1つが航空運賃だった。
気候変動問題を巡る米大手金融機関と環境団体の攻防が転機を迎えている。JPモルガン・チェースなど大手5行が17日までに年次株主総会を終え、化石燃料企業への新規融資停止を求める株主提案が相次ぎ否決された。賛成比率も総じて低調だった。ウクライナ危機でエネルギーの安定確保が優先課題になり、大手機関投資家が支持にまわらなかった。
●その他産業
格付け会社のS&Pグローバルは17日、東京電力ホールディングスの長期発行体格付け「ダブルBプラス」の方向性を「安定的」から「ネガティブ」に変更したと発表した。電力小売事業の競争が激化する中で原発再稼働が見通せず、早期の収益力回復が見込めないと判断した。
米著名投資家ウォーレン・バフェット率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは1-3月(第1四半期)に米銀シティグループの株式約29億ドル(約3700億円)相当を新たに取得した一方、ウェルズ・ファーゴへの長年の投資を解消した。
米ネットフリックスが150人規模の人員削減に踏み切ることが17日わかった。世界の従業員の1〜2%にあたり、大半は米国での解雇となる。動画配信サービスの会員数が減少に転じるなど成長鈍化が目立ち始めるなかで、人件費を含めたコストの抑制を急ぐ。
ネットフリックスの停滞は4月中旬に開示した決算であらわになった。3カ月ごとに開示している会員数が3月末に過去10年で初めてマイナスに転じたほか、4~6月期も減少が続くとみる。インフレや在宅時間の減少で消費者が家での娯楽支出を見直しているほか、米国などでは競争も激しさを増している。
利上げに伴う株価の急落や経済減速への警戒感を受け、米国のIT(情報技術)企業では人員削減や採用凍結に動く企業が増えている。ツイッターが採用凍結の方針を明らかにしているほか、著名人の動画メッセージ販売アプリを手がけるスタートアップ、カメオの人員削減も伝えられている。
●決算関連
2022年2~4月期決算は、純利益が前年同期比24.8%減の20億5400万ドル(約2657億円)、調整後の1株当たり利益が1.30ドルで、市場予想(1.48ドル)を大幅に下回った。燃料価格の高騰や人件費などのコスト上昇が収益の重荷となった。
売上高は2.4%増の1415億6900万ドルで、市場予想の1388億300万ドルを上回った。既存店売上高は3%増えた。食料品のプライベートブランド(PB)などが好調だった。傘下の会員制量販店「サムズクラブ」の比較可能な既存店売上高が10.2%増え、全体をけん引した。電子商取引(EC)の売上高は1%増にとどまった。
ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「異常な環境を反映した結果で、食料品や燃料の高インフレが予想以上に収益を圧迫した」と述べた。「価値を求める顧客のニーズと将来の利益成長のバランスを取っていく必要がある」とも語った。
インフレへの対応をめぐり、ブレット・ビッグス最高財務責任者(CFO)は「競争力のある価格差を維持しつつも、一時的でないと思われるコストについては転嫁していく」と述べ、値上げに取り組む考えを示した。
米ホームセンター最大手ホーム・デポが17日発表した2022年2~4月期決算は、純利益が前年同期比2%増の42億3100万ドル(約5460億円)だった。銅板、建材、ゴム製品などの素材高に伴うコスト増を吸収するため、値上げを実施したことが功を奏した。
2022年1~3月期連結決算が32億バーツ(約120億円)の最終赤字だったと発表した。赤字額は前年同期の122億バーツから縮小した。タイ政府による外国人観光客の受け入れ拡大で旅客数が回復した。債務超過額は21年末時点より増加しており、厳しい経営状況が続いている。
営業収入は前年同期に比べ約2.6倍の111億バーツとなった。タイ政府が導入した入国時の隔離を免除する措置を受けて、旅客数が約2.4倍の102万人に増えた。貿易の増加により貨物収入も約2.6倍になった。一方で営業経費は26%増の143億バーツだった。運航便数の増加や油価の高騰により、燃料費が約5倍に膨らんだ。
●マクロ・その他
世界有数の産油国サウジアラビアが化石燃料の増産に向けて投資を拡大させる。足元で石油や天然ガスの国際価格が高騰しているうえ、再生可能エネルギーが主流になる「脱炭素」まではなお時間がかかると判断した。ウクライナ侵攻で制裁を受けるロシアからの供給量も当面は減る見通しで、世界市場の「調整役」としての存在感を強める。
ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、ロシアの国民生活への負担が一段と増している。経済制裁などによる物価高基調が続き、価格が上昇する医薬品を急ぎ買い求める動きや万引きも増加している。ロシア国内の動画大手サービスがハッキングで利用が一時停止する事態も起きており、混乱の度合いが高まっている。
こうした動きが増える背景には、経済制裁などによる国内経済の停滞や物価上昇がある。ロシア連邦統計局が13日に公表した4月の消費者物価指数は前年同月比17.83%上昇した。ロイター通信によると、2002年1月以来の高水準だ。西側諸国による経済制裁や、通貨ルーブルの大幅な変動が主な要因とみられる。
グスタボ・ペトロ氏はかつて都市ゲリラとして地下生活を送り、投獄や拷問を経験した。その元革命家が今、南米コロンビアの大統領選で支持率トップに立ち、保守的な伝統を持つ同国の歴史を通じて最も左寄りの政権樹立をうかがっている。
中国共産党内で首相の李克強(リー・クォーチャン)がここにきて突如、「復権」したことが大きな話題になっている。この9年余り、国家主席の習近平(シー・ジンピン)は自らに権力を集中し、国務院(政府)のトップに立つ李が担うべきマクロ経済政策を巡る権限も有名無実化してきた。だが、この1カ月で様相が一変している。
国を率いている人物によって、これほど大きく変わるものなのか。ドイツとイタリアの指導者は、ロシアへの依存と決別するため、それぞれ対照的な対応を示した。
ドイツのショルツ首相とイタリアのドラギ首相は、ロシアのウクライナ侵攻によって拍車がかかった欧州連合(EU)の劇的な外交政策転換の最前線に立たされている。
4月の小売売上高(季節調整済み)は6777億ドル(約88兆円)で、前月から0.9%増えた。上方修正された前月(1.4%増)から伸びは鈍化したが、4カ月連続の増加で、高インフレにかかわらず消費は堅調さを維持した。
前月急増したガソリン給油所の売り上げは、ガソリン価格の一時的な下落で前月比2.7%減った。一方、前月落ち込んでいた自動車・同部品販売店は2.2%増えた。これら変動の激しいガソリン給油所と自動車・同部品販売店を除くと1.0%増加した。
全体の売上高は前年同月比では8.2%増えた。CIBCキャピタル・マーケッツのエコノミストは、物価上昇による増加分を差し引いても良好な伸びだったと分析。その上で「インフレによる家計の圧迫が、まだ消費に大きな影響を与えていない」との見方を示した。
4月の消費者物価指数は前年同月比8.3%上昇と歴史的高水準圏だった。家賃、食品などが幅広く値上がりしていることから、消費者のインフレ懸念は強く、消費者態度指数が約11年ぶりの低水準に落ち込むなど消費者心理は冷え込んでいる。
フィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟にトルコが異議を唱えている。NATO入りにはトルコを含む全加盟30カ国の賛成が必要だ。トルコは武装勢力への対応やトルコ制裁で不満を募らせており、譲歩を引き出したい考えだ。
問題視するのは、クルド労働者党(PKK)への対応だ。トルコではPKKの反政府武装闘争で4万人が死亡したとされ、国民的な反感が強い。米欧はPKKをテロ組織に指定しつつ、トルコがPKKと同一視する人民防衛隊(YPG)などの関連組織に資金調達や政治活動を容認していると批判する。
北欧2カ国によるトルコへの武器輸出制限も尾を引く。2019年にトルコがPKKなどの掃討を理由にシリアに越境攻撃して国境沿いを占領した際、制裁として発動した。エルドアン氏は「トルコに制裁を科す国のNATO加盟は認められない」と明言した。
トルコの不満は米欧にも向く。米国はシリアでYPGなどと過激派組織「イスラム国」(IS)掃討で共闘。トルコがロシア製地対空ミサイルを導入すると最新鋭戦闘機F35の共同開発や売却から締め出した。欧州連合(EU)も領海問題などを巡り、トルコに制裁を科す。
トルコの通貨リラが対ドルで下落している。17日の外国為替市場では一時1ドル=15.8リラ台と年初来安値を付けた。トルコはインフレ率が前年比で約70%となるなど物価上昇に歯止めがかからない状況で、さらなるリラ安進行懸念から資金が逃避している。
住宅市場指数の低下は5カ月連続。指数細目では、現況、購買見込み客足、販売見通しの指数がそろって大幅に悪化した。
住宅ローン金利が2009年以来の高水準となり、提示価格の上昇が続いていることから、ここ数カ月では住宅の値ごろ感が悪化している。さらに、住建業者は資材費・人件費急騰の問題に直面している。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は「住宅市場では問題が膨らんでいる」と発表文で指摘。「中でも低価格帯および初回の購入者は、住宅ローン金利急上昇の矢面に立っている」と分析した。
販売の現況指数は8ポイント低下して78。購買見込み客足指数は9ポイント低下の52と、2020年夏以来の低水準。向こう6カ月の販売見通し指数は10ポイント低下し63となった。
製造業が0.8%上昇した。自動車・同部品がプラス3.9%で2カ月連続で大きく伸びた。自動車・同部品を除いてもプラス0.5%だった。鉱業は1.6%、電気・ガスは2.4%それぞれ上昇した。
設備稼働率は79.0%で、前月から0.8ポイント上昇した。このうち製造業の稼働率は79.2%で、2007年4月以来の高さとなった。
消費者の製品需要は持続しており、企業は減った在庫を積み増す必要がある。ウェルズ・ファーゴ証券のエコノミストは、金融引き締めによる景気全般の減速懸念にもかかわらず設備投資に変化は見られないと指摘。「供給制約は回復しておらず、(中国やウクライナの影響で)再び悪化する可能性があるが、産業は表面的な正常さを取り戻した」と分析した。
●市況
日経先物(大証)26838、ダウ先32600、債先149.35、米2.997、独1.0470、仏1.551、西2.118、伊2.964、波6.584、原油110.91、ドル円129.46、墨ペソ19.94、トルコリラ15.9186、墨CDS148
※5/18 8時50分頃

備忘録(5/16
●ウクライナ
●コロナ
中国政府が新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で、中国景気の傷が深まってきた。4月は物流の混乱などで生産、小売り、雇用が軒並み悪化した。共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部はゼロコロナ政策を堅持する方針で、民間予測では4~6月のマイナス成長を懸念する声も出始めた。
中国国家統計局が16日、4月の主な経済統計を発表した。工業生産は前年同月を2.9%下回った。約2年ぶりの減少で、中国経済が初めて新型コロナの打撃を被った2020年1~2月(前年同期比13.5%減)以来の落ち込み幅となった。
自動車の生産量が前年同月を4割超下回った。サプライチェーン(供給網)の寸断で部品や原材料の調達が滞った。中国経済の「体温」を映す発電量も4.3%減った。
厳しい行動制限で、サービス業も不振が目立った。4月のサービス業生産指数は6.1%低下し、マイナス幅は3月(0.9%)より拡大した。小売売上高も11.1%減少した。都市封鎖(ロックダウン)が続く上海市では小売売上高の落ち込みが4割に達したとの試算もある。
5月に入っても、ゼロコロナ規制による経済の低迷は続いている。首都の北京市も飲食店の店内飲食を止め、多くの小売業やサービス業が営業を禁じられている。5月1日の労働節(メーデー)に伴う大型連休では、観光収入が前年同期を4割下回った。
習指導部は5日開いた党の会議で、ゼロコロナ政策の徹底を確認した。上海市は16日、感染拡大に歯止めが掛かったとして都市封鎖を6月中に解除する方針を示したが、秋の党大会を前に中国全体の行動制限がどこまで緩まるかは見通せない。
オランダ金融大手のINGは4~6月の実質国内総生産(GDP)が前年同期比1%減少すると予想する。湖北省武漢市の都市封鎖などで四半期ベースで初のマイナス成長だった20年1~3月以来の景気悪化を見込む。物流の混乱と内需の停滞で中国の輸入は3、4月と前年同月比横ばいだった。世界経済の回復に水を差す可能性がある。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
三井住友トラストAMの目標設定は、同社が加盟する50年に運用資産全体で排出実質ゼロを目指す投資家団体「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ(NZAM)」の要請による。NZAMの加盟社は30年などにおける、50年の実質ゼロに向け動いている企業などへの投資額や総運用資産に占める割合を出す必要がある。
国内ではすでにアセットマネジメントOneや野村アセットマネジメント、ニッセイアセットマネジメントが中間目標を出した。いずれも30年時点で運用資産の5~6割を目標にする。NZAMによると21年11月時点で海外運用大手など43社の平均は運用資産の35%にとどまった。
ただ、ウクライナ危機を受けて、当面は化石燃料の使用の増加に伴って排出量も一時的に増える可能性が高い。運用会社が掲げた野心的な削減目標を達成するには、投資先企業に対し着実な排出削減を促せるかがカギになる。
ドイツが脱炭素に向け、ガソリンなどの燃料代を上げる仕組みを2021年に導入した。販売業者がガソリンを売るには、二酸化炭素(CO2)を出した量に応じて「排出枠」を買わなければならない。購入費が転嫁されて小売価格が上がり、消費を減らす効果が生まれる。負担の抑制に偏る日本と比べ、ドイツは厳しい規制で先に進む。
スピリットは同業のフロンティア航空を傘下に持つフロンティア・グループ・ホールディングスとの合併で合意し、ジェットブルーによる買収提案を拒否していた。ジェットブルーが敵対的買収を仕掛ける。
スピリットは2月、フロンティアが現金と株式交換の組み合わせで29億ドルでスピリットを買収する計画で合意した。ジェットブルーが4月に対抗案を提示。スピリットの取締役会は5月2日、ジェットブルーによる買収が「反トラスト法(独占禁止法)に照らすと(米司法省の)認可を受ける可能性が低い」としてジェットブルーの提案を拒否した。
ジェットブルーの動向が注目されていたが、今回のTOB表明は、スピリットの拒否を受けた対抗策となる。スピリットは6月10日に臨時株主総会を開き、フロンティアとの合併案を諮る。ジェットブルーはスピリットの株主向けに提案を説明するウェブサイトを開設。合併に反対票を投じるよう株主に呼びかけた。
ジェットブルーは、自社の提案がスピリットの13日時点の株価を77%上回るもので、フロンティアの提案と比べ株主に大きな価値をもたらすと説明する。反トラスト法の懸念に関しては「根拠がない。我々に(懸念について問いあわせるための)連絡を取ってくることもなかった」とスピリットの取締役会を非難した。
米投資会社カウエンの航空アナリスト、ヘレン・ベッカー氏によると、スピリットの株主上位10者が発行済み株式の40.6%を保有している。株主の動向が今後の焦点となる。「ジェットブルー、フロンティアどちらの買収にしても規制当局の承認が必要で、状況は不確実だ」とみる。
米ボーイングの最大の中国顧客が、737MAX100機余りを航空機導入計画から削除した。引き渡しを巡る不確実性を理由に挙げた。
中国南方航空の馬須倫会長は先週の投資家向け説明会で、2024年までに納入される予定の航空機から737MAXが除外されると説明した。この期間に南方航空は計78機の航空機引き渡しを見込んでおり、3月時点予想の181機から引き下げた。
南方航空の投資家向け情報提供(IR)担当者は13日、737MAXが計画に含まれないのは「引き渡しを巡る不確実性」が理由だと述べた。詳細は明らかにしなかった。
同社は3月の年次報告書で年内に737MAXを39機受け取り、24年までに103機の納入を受ける計画を示していたため、大きな方針転換となる。
●その他産業
米マクドナルドは16日、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシア事業を売却すると発表した。同社は3月上旬からロシアでの事業を一時停止していた。現地で売却先を探している。撤退に伴う損失として最大で14億ドル(約1800億円)計上する。
ロシアでの事業を巡っては一時停止や縮小などの決定にとどめる企業もまだ多いなか、マクドナルドに追随する動きが広がるとの見方も出ている。
個人利用者向けは各通話回線の管理費を6月から1.35ドル(約170円)引き上げる。法人顧客は6月16日から「経済調整料」を新たに請求され、データプランは月額2.20ドル、基本的なサービスプランは98セントそれぞれ引き上げられる。ベライゾンの広報担当者らが明らかにした。
多くの企業同様、ベライゾンはインフレ圧力に対応する手段の選択肢を検討してきた。競合するAT&Tも今月、既存顧客向けサービスプランの価格を引き上げていた。
●決算関連
●マクロ・その他
米国の大都市圏の鉄道で、列車を増やしたり、割安な運賃を設けたりする動きが相次いでいる。新型コロナウイルス禍による利用者減少から回復が遅れる中、利便性向上で通勤客らを取り戻すことや原油価格高騰によるマイカーの代替手段としての需要増を狙う。
米公共交通協会(APTA)によると、国内の公共交通機関の2月半ばから4月の利用者数はコロナ流行前の60~65%程度にとどまっている。
米国で食品や日用品の値上がりが加速している。原材料費や物流費の高騰が続き、企業は値上げだけでなく、商品を小型化したり、容量を減らしたりする対応に動く。ネット通販にも値上がりが波及し、消費者の家計を圧迫している。
4月のアジア発米国向け海上コンテナ輸送量は、前年同月比7%増の175万8138個(20フィートコンテナ換算)だった。22カ月連続で前年を上回り、4月単月では過去最高だった。米国の堅調な需要を受け、中国発を中心に輸送需要が一段と高まった。
主要10カ国・地域のうち、全体の6割近いシェアを占める中国発が4%増えた。3月は22カ月ぶりに前年を下回ったが、一転増加した。港湾別では都市封鎖(ロックダウン)の続く上海港の取扱量が前年同月比8%減った一方、上海に近い寧波港は同27%増えた。新型コロナウイルス禍が落ち着きつつある米国向けの輸送需要は根強い。
シェア2位の韓国は20%増、3位のベトナムは24%増、5位のインドは27%増えた。日本は34%減だった。日本発米国向けの直行便が限られる中、韓国などを経由した輸送が増えたとみられる。
ユーロ圏の2022年の実質成長率見通しは2.7%と、前回2月の4.0%から下方修正した。物価上昇率は6.1%と、同3.5%から引き上げた。ウクライナ危機による天然資源や食料品の値上がりで、景気減速とインフレが同時に進む懸念が強まりつつある。
欧州委員会はユーロ圏や国別の経済見通しを季節ごとに公表している。23年の成長率は2.3%と減速を見込む。EU全体でも22年は2.7%を見込み、国別ではドイツが1.6%、フランスが3.1%と想定した。ドイツはウクライナ情勢や中国の都市封鎖に伴う物流網の混乱で物資調達が遅れるなど、製造業の生産活動に影響が出ている。
ロシアからの天然ガスの調達が完全に止まる場合などには、域内景気にさらに下押し圧力がかかることになる。
インフレは長引く見通しだ。物価上昇率は22年4~6月に6.9%まで高まった後、7~9月は6.2%、10~12月に5.2%と高止まりが続く想定を置いた。ユーロ圏の消費者物価は4月の伸び率が7.5%と過去最高を6カ月連続で更新した。
ロシアのウクライナ侵攻が長引くなか、資源高に拍車がかかる恐れもある。ドイツは天然ガスなどの調達を、主にロシアからの輸入に頼ってきた。資源高は日本と同様、所得の流出を通じて企業収益や家計所得を下押しする恐れがある。足元ではコスト増を販売価格に転嫁する動きも広がり、物価上昇が一時的ではなくなってきた。
ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州で15日投開票された州議会選挙で、ショルツ首相の所属する中道左派のドイツ社会民主党(SPD)が支持を大きく下げた。物価高をめぐる有権者の不満のほか、ウクライナ危機への対応の混乱などが響いたもようだ。8日の北部の州議会選挙に続く連敗で、同氏の政治的な求心力に打撃が広がっている。
同州の人口は国内最大の約1800万人。日本企業が多く進出するデュッセルドルフを州都とする。CDUの地盤州だ。2021年12月に発足したショルツ政権への評価を測るうえで選挙の結果が注目されていた。
NY連銀製造業景況指数は36ポイント余り低下のマイナス11.6-前月はプラス24.6
新規受注の指数は34ポイント近く低下してマイナス8.8。出荷は約50ポイント下げて、新型コロナウイルス禍初期以来の大幅なマイナスとなった。
仕入れ価格指数は統計開始後の最高水準だった前月からは低下したものの、なお高水準の73.7。販売価格指数も伸びは鈍化した。雇用者数の指数は上昇。
6カ月先の景況指数は前月から小幅改善したが、2021年末にかけて見られた水準を引き続き大きく下回っている。
ニューヨーク連銀の同指数は、他の幾つかの連銀が今後発表する製造業指数に先行するもので、それらの指数でも同様に失望を誘う数値が示された場合、経済活動減速への懸念が一段と強まる可能性がある。
調査結果によれば、政策委員会は7月と9月、12月に0.25ポイントずつの利上げを決め、中銀預金金利(現行マイナス0.5%)を年末までにプラス0.25%とする見込みだ。主要リファイナンスオペ金利(リファイナンスオペの最低応札金利、現行ゼロ%)は9月と12月に0.25ポイントずつ引き上げ、 年末までに0.5%になると予想される。
従来の調査では、0.25ポイントの利上げ1回をエコノミストらは想定していたが、ECB内部で7月利上げ開始と中銀預金金利の年内のプラス圏引き上げに支持が広がる現状が予測に反映された。
インフレ率は今年が6.7%、来年が 2.6%、24年には1.9%に鈍化し、ECBの物価目標を下回る とエコノミストらは見込む。成長率予想は今年が2.8%、来年が2.3%と0.1ポイントずつ下方修正された。
ロシアからのガス供給が本格的に滞る最悪のシナリオの場合、ユーロ圏の今年の成長率はわずか0.2%となり、インフレ率は9%を超える。欧州委員会が16日、春季経済予測を公表した。
ロシアからのガス供給の途絶が依然として重大なリスク。欧州委はこれまでのところ、ガスよりも影響が比較的少ないロシア産石油の禁輸を提案している。ただ、ハンガリーが反対しているため禁輸実施は遅れる可能性がある。
疲弊するウクライナ経済(The Economist)
ウクライナ、欧州、そして世界中が、今年9月の収穫期以降に深刻な食料不足に直面することになるだろう。「欧州のすべての国がウクライナの貨物車の自由な出入りを認める必要がある」とナイエム氏は力説する。「各国はどれほど膨大な量の小麦が(欧州を経由地にして)押し寄せようとしていることを分かっていないようだ」
●市況
日経先物(大証)26600、ダウ先32219、債先149.51、米2.900、独0.9400、仏1.451、西1.991、伊2.838、波6.659、原油111.87、ドル円129.18、墨ペソ20.01、トルコリラ15.6040、墨CDS148
※5/17 9時30分頃

備忘録(5/13-15
●ウクライナ
英国防省は15日の分析で、ウクライナ東部ドンバス地方へのロシア軍の侵攻が「勢いを失い、予定より大幅に遅れている」とした。2月の侵攻開始から地上戦力の3分の1を失ったと指摘した。士気や戦闘効率が低下しているとし、速やかな回復は不可能だとの見方を示した。
ウクライナ北東部ハリコフのテレコフ市長は14日、ロシア軍が市街地から対ロ国境方面に撤退していると英BBCに語った。ハリコフではウクライナ軍の攻勢が続いており、米シンクタンクの「戦争研究所(ISW)」は13日に「ウクライナはハリコフの戦いに勝利したように見える」と分析していた。
●コロナ
●中国不動産
中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会は15日、住宅ローン金利の下限を引き下げると発表した。1軒目を買う人が対象で、これまでより0.2%低くした。銀行に金利の引き下げを促し、低迷が続くマンション市場をてこ入れしたい考えだ。
住宅ローンの利回りは最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の5年物が目安になる。現在の5年物は4.6%なので、新たな下限は4.4%となるもようだ。なお購入物件が2軒目以降という場合の下限は「LPRより0.6%高い水準」で、従来のままだ。
不動産シンクタンクの易居不動産研究院の厳躍進氏によると、500万元(約9500万円)のローンを30年かけて元利均等で返済する場合、0.2%の金利低下で毎月の返済額は600元ほど少なくなる。「過去の利下げによる月々の負担軽減額は150元ほどだったので、下限引き下げの効果は大きい」と指摘した。
中国人民銀行(中央銀行)が13日、社会全体が銀行や市場から調達した資金を示す「社会融資規模」などを公表した。4月の新規調達額は9102億元(約17兆3000億円)で、前年同月から51%減った。このうち元建ての融資額は3616億元と、09年11月以来の低水準だった。
上海市の都市封鎖(ロックダウン)など厳しい行動制限で、住宅や自動車の販売が大幅に落ち込んだためだ。住宅や自動車向けの新規ローンはマイナスとなった。新たな借入額が返済額を下回ったことを示す。
社会融資規模の4月末の残高は前年同月末より10.2%増えた。地方政府によるインフラ債の発行が全体を押し上げた。政府債券を除いた残高は9.0%増だった。遡れる17年以降で最も低い伸びで、企業や家計の資金需要の弱さを示した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
5大銀行グループの2022年3月期決算が16日夕に出そろう。三菱UFJフィナンシャル・グループを除く4社の連結純利益は計1兆5159億円と前の期から21%増えた。運営の難度を増すのが市場部門で、3メガバンクの外債含み損は3月末時点で1兆5000億円程度に膨らんだようだ。海外金利が一段と上昇し、含み損が拡大するリスクに身構える。
米国の大手銀行が銀行免許返上などロシアからの全面撤退に踏み込めないでいる。ロシアのウクライナ侵攻を受け、各行は3月に段階的な事業縮小を公表したが、既存顧客との融資・サービス契約が残っているほか、ローン債権や事業の売却先を探すのも難しい。風当たりは強まりかねない。
航空機を購入して航空会社などに貸し出す航空機リース業界の再編が活発になってきた。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は新型コロナウイルス後の需要回復をにらんで、欧州の航空機リース会社を買収する方針を固めた。機体数で世界2位のグループとなり、コスト競争力を高める。ただ、機体数で3倍の規模がある首位との開きは大きい。業界全体に企業数が多く、日本勢を含む再編が加速する可能性がある。
●決算関連
2022年3月期決算は最終損益が38億ディルハム(約1300億円)の赤字だった。新型コロナウイルスの感染が広がった前の期は221億ディルハムの最終赤字で、赤字幅が縮小した。旅客需要の回復が鮮明になっており、23年3月期は黒字化を見込む。
グループ全体の前期の収益は662億ディルハムで86%増加した。エミレーツ航空の座席の利用率を示す「シートファクター」は前の期の44.3%から58.6%に回復した。シェイク・アハメド最高経営責任者(CEO)は「22年3月期の後半以降に回復が加速した。旺盛な需要に支えられて業績が大幅に改善した」と指摘。「23年3月期には黒字化を見込んでいる」と明らかにした。
内田氏は23年3月期の自動車事業について、「損益分岐点より少しよくなるレベルだが、黒字化する」と述べた。20年3月期以降、営業赤字が続いてきたが、工場閉鎖や車種の絞り込みといった合理化が寄与する。さらに世界販売台数についても、現状では400万台と前提を置いているが、「半導体不足などがなければ、480万~500万台はいける力がある」と語った。
●マクロ・その他フィンランド、NATO加盟申請表明 スウェーデン判断へ
スウェーデンの政権与党、社会民主労働党は15日、北大西洋条約機構(NATO)加盟への態度を表明する。ロシアによるウクライナ侵攻で、同国は長年の軍事的な中立路線を転換して加盟する方向に傾いている。フィンランドは同日、正式に加盟申請すると発表した。NATOは北欧2カ国が申請すれば迅速に手続きを進める構えだ。
東欧各国が防衛装備の更新を急いでいる。保有していた旧ソ連製の戦車などをウクライナ支援として供与する代わりに、米国や西欧諸国の協力を得て新型兵器などの配備を進める。米欧各国はウクライナへの武器供与も続ける方針で、軍事関連企業は増産体制に入った。
ポーランドのモラウィエツキ首相は4月下旬、ウクライナに同国の戦車を送ったと明らかにした。同国メディアによると、200両以上の旧ソ連製戦車「T72」を供与した。英国防省はその穴埋めとして、英国製「チャレンジャー2」を展開すると公表した。
ポーランドは既に米国との間でM1A2エイブラムス戦車250両を47.5億ドル(約6200億円)で購入する契約で合意した。国防費支出を国内総生産(GDP)比で2021年の約2%から23年には3%に引き上げる。
米防衛大手ロッキード・マーチンは携行型の対戦車砲「ジャベリン」の生産能力を2倍の年4000基に増やす。同業のレイセオン・テクノロジーズも地対空砲「スティンガー」を増産する。欧米がウクライナに供与したジャベリンとスティンガーは大きな威力を発揮し、ロシア軍の車両などを大量に破壊している。
ロッキード・マーチンの13日時点の株価はロシアのウクライナ侵攻前の2月23日に比べ約12%、英航空・防衛大手BAEシステムズは同約23%それぞれ上昇した。同じ期間でS&P500種株価指数が下落しているのとは対照的だ。
インド政府は14日、小麦輸出停止について「国内の食料価格を抑制し、インドの食料安全保障を強める措置にあたる」との声明を出した。ロシアのウクライナ侵攻によって最高値圏で推移している小麦の国際価格への影響が懸念される。
日本の外務省によると、インドの2019年の小麦生産は約1億トン。1位の中国に続く生産量で、3位のロシアや7位のウクライナを上回る。これまでインドの小麦はインド国内やスリランカなどの近隣国向けの需要が大半を占めていた。ロシアのウクライナ侵攻による供給不安を踏まえ、3月以降にアフリカ諸国やトルコなどへの輸出拡大も検討していた。
小麦相場の国際指標となる米シカゴ商品取引所の先物価格(中心限月)は12日に一時1ブッシェル11.83ドルと前日比で6%上昇、3月につけた最高値に接近した。インド政府によると、インドの小麦など穀物関連価格は4月に前年同月比で約6%跳ね上がった。
インドは3月以降に熱波が到来しており、足元で記録的な暑さに見舞われている。インドメディアによると、4月の平均最高気温はセ氏35.3度で歴史的な高さだった。5月に入ってもインド各地で気温は40度を超える日が多く、小麦生産への悪影響が懸念されている。
フィンランドのニーニスト大統領は14日、ロシアのプーチン大統領に北大西洋条約機構(NATO)に加盟する意思を電話で伝達した。ウクライナ侵攻を受けて、安全保障を巡る環境が根本的に変わったなどと述べた。フィンランド大統領府が発表した。
ロシア大統領府によると、プーチン氏はフィンランドの中立政策転換は間違いで、両国の関係を悪化させる可能性があると反論した。フィンランドに安全保障上の脅威は存在しないとも述べた。
アラブ首長国連邦(UAE)の最高評議会は14日、アブダビ首長国のムハンマド皇太子を大統領に選出した。国営首長国通信社(WAM)が報じた。ムハンマド皇太子は13日に死去したハリファ前大統領の異母弟で、病床にあった前大統領に代わって影響力を強めていた。
ムハンマド皇太子は外交などの国家政策を担っており、長年対立関係にあったイスラエルとの国交正常化を主導した。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子との関係も深い。
国家元首でもあるUAEの大統領は、アブダビやドバイなどUAEの7首長国のトップらで構成される最高評議会で決まる。石油資源が豊富で発言力の強いアブダビ首長国が建国以来2代続けて務めており、ムハンマド皇太子の就任は既定路線だった。WAMは決定は満場一致だったと伝えた。
トルコがフィンランドやスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟に難色を示したことをめぐり、米国のサキ大統領報道官は13日の記者会見で「トルコの立場を明確に知るために取り組んでいる」と述べた。トルコが反対に回れば北欧2カ国の加盟手続きが迅速に進まない可能性がある。
トルコのエルドアン大統領は13日、イスタンブールで記者団に対し、フィンランドやスウェーデンの加盟について「前向きに考えていない」と述べた。北欧諸国についてトルコがテロ組織として敵視するクルド系武装勢力などに近いことなどを理由にあげた。トルコはNATOに加盟している。
5月の消費者態度指数(速報値)は59.1で、前月から6.1ポイント下がった。2カ月ぶりの低下で、2011年8月以来10年9カ月ぶりの低水準となった。高インフレの持続で景況感は一段と冷え込んだ。
「現在の景況」が63.6で前月から5.8ポイント、「今後の見通し」が56.3で同6.2ポイント低下した。調査担当者によると、景況感の悪化は、広範囲の所得・年齢層、党派におよんだ。高インフレが理由で耐久財を買い時とみる人は、1978年以降の最低に落ち込んだ。
4月の消費者物価指数は前年同月比8.3%上昇し、3月からわずかに低下したものの歴史的高水準が続いている。ガソリンだけでなく家賃、食品、日用品などが全般に値上がりしており、消費者は懸念を強めている。
FTCはアマゾンについて反トラスト法違反がないか調査してきた。既に提訴したメタ(旧フェイスブック)に続き、アマゾンとも法廷闘争に発展する可能性がある。
M&Aの審査も厳しくする構えだ。民主党は大企業による新興企業の買収などに神経をとがらせており、FTCは司法省と共同で審査指針の見直しを進める。グーグルなどM&Aを駆使して事業領域を広げてきた企業は経営戦略の見直しを迫られる。
米スタンフォード大学のダグラス・メラメド教授は「FTCは民主党の急進左派の意向に沿って、労働者や中小企業を保護する名目で(大企業を)提訴していく可能性がある。非常に活動的なFTCになりそうだ」と指摘する。
政権の狙い通りに進むかは見通せない。全米商工会議所は「FTCが企業に戦争を仕掛けている」と主張し、法廷闘争も含めて対抗する構えだ。保守的な裁判所がFTCの急進的な法執行に待ったをかける可能性もある。
南米ペルーの中央銀行は12日開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.5%引き上げて5%にすると発表した。アルゼンチンの中央銀行も同日、政策金利を2%引き上げて49%にすると決めた。ロシアのウクライナ侵攻を背景に進むエネルギーや食料品の価格上昇を抑える狙いがある。
ペルーの利上げは10会合連続となった。2022年4月のリマ首都圏の消費者物価指数は前年同月比で7.96%上昇した。1998年5月(8.25%)以来の高い上昇率となった。中銀目標の上限(3%)を11カ月連続で上回っている。
中銀はこの日の声明で「インフレ率が目標範囲内に戻るのは来年の第2四半期から第3四半期の間になる」と指摘した。
ペルー政府は4月14日、主要食材にかかる一般売上税(IGV)18%の適用を7月末まで免除すると発表した。鶏肉、鶏卵、砂糖、パスタ、パンの5品目が対象となる。国民の生活苦が増して不満が高まるなか、政府と中銀が一体となってインフレ抑制を目指している。
欧州委はロシアのウクライナ侵攻後、初となる今回の見通しで、域内総生産(GDP)成長率予想を22年2.7%、23年を2.3%とする。2月時点の予想はそれぞれ4%と2.7%。一方、インフレ率は今年が6.1%、来年が2.7%の予想。従来予想はそれぞれ3.5%と1.7%だった。 
英財務省で顧問を務めたJPモルガン・アセット・マネジメントのチーフ市場ストラテジストのカレン・ウォード氏はインタビューで、新型コロナウイルス禍の下での多額の貯蓄増加と、住宅ローン金利の低位・長期固定を急ぐ動きによって、金利上昇が物価の伸びを抑制する伝統的な波及メカニズムが弱まったとの見解を示した。
ウォード氏は、家計部門が以前よりずっと金利に敏感でなくなったため、英中銀の予想より個人消費は回復力を維持し、高インフレはなかなか収まらない可能性が高いと指摘した。
英国の3月単月の国内総生産(GDP)成長率が予想外のマイナスとなったにもかかわらず、金融政策委員会(MPC)委員の経験者であるアダム・ポーゼン、チャールズ・グッドハート、クリスティン・フォーブスの3氏は議会に対し、英中銀は利上げを継続すべきだと主張した。
ポーゼン氏らによれば、インフレ加速はターミナルレート(利上げの最終到達点)が少なくとも3%に達することを意味し、グッドハート氏は5%まで引き上げる必要もあり得るとした。
これに対し、ブラックロック・インターナショナルのポートフォリオマネジャーで、元英政府顧問のルパート・ハリソン氏は、ベイリー総裁とMPCメンバーらは、利上げを停止すべきだという意見だ。
ブルームバーグ・エコノミクスも、英中銀が4会合連続の利上げ決定を経て、6月のMPCでは金融引き締めの停止を決定すると予測している。
●市況
日経先物(大証)26630、ダウ先32087、債先149.45、米2.928、独0.9385、仏1.451、西1.992、伊2.842、波6.806、原油108.30、ドル円129.21、墨ペソ20.10、トルコリラ15.4945、墨CDS153
※5/13 NY引け値

備忘録(5/10
●ウクライナ
同国の主要エントリーポイントを経由するロシア産ガスの欧州向け供給が11日から停止すると発表した。ロシア軍がガス圧縮施設の操業を妨害しているためだという。
同社はウェブサイトに掲載した発表文で、主要エントリーポイントのソフラニフカを経由するガス輸送について、11日午前7時以降のフォースマジュール(不可抗力条項)を宣言した。ガスが別の圧縮施設へと回され、欧州との供給契約が履行される可能性もまだあるという。
欧州の指標ガス価格は急速に上昇に転じ、一時8.1%高と急騰した。
●コロナ
テドロス氏は記者会見で「ウイルスの振る舞いを考えると、ゼロコロナ規制は持続可能ではないと考えている。今はいい対策もそろってきている」と指摘した。「中国の専門家と議論し、規制が持続可能ではないと伝えた」ことも明らかにした。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米製薬バイオヘイブンを116億ドル(約1兆5000億円)で買収すると発表した。片頭痛の治療薬に強みを持つ同社を取り込むことで、成長につなげる。
ファイザーはバイオヘイブン1株あたり148.5ドルを現金で支払う。同社株の9日終値83.14ドルを8割近く上回る。2023年初めまでに取引を完了する見通しだ。
バイオヘイブンは片頭痛の治療や予防に有効な「リメゲパント」を手掛けており、米国で承認されている。ファイザーは声明で「リメゲパントはすでに米国で処方される同水準の片頭痛薬として首位に立つ。医療システムへの提供能力を含めた規模を活かし、片頭痛に苦しむ患者に最大限届けられるように支援する」と述べた。
●その他産業
●決算関連
2022年3月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期の5倍の660億円と過去最高だった。主力の航空機エンジン事業が回復した。保有資産売却や円安による為替差益も寄与し、ロシア関連損失(約50億円)計上の影響を補った。年間配当は70円と復配し、新型コロナウイルス禍前の19年3月期と同水準とした。
欧米中心に国内線や短距離の国際線の稼働が回復し、稼働の分だけ更新需要のある部品の販売が伸びた。プラント事業では海外での建設が進み、原子力発電所の再稼働に向けた工事も堅調だった。
2022年3月期連結決算は、最終損益が218億円の黒字(前の期は193億円の赤字)だった。新型コロナウイルス禍から旅客需要が回復し、航空機エンジン事業が持ち直した。円安も追い風で、鋼材価格上昇が響いた船舶事業の落ち込みを補った。年間配当は40円(前の期はゼロ)とし従来予想から10円引き上げた。
ロナ禍で拡大したアウトドアレジャーの需要を取り込み、欧米を中心に二輪車や岩場を走行できる四輪バギーが伸びた。旺盛な半導体需要を背景に半導体製造ロボットの販売も好調だった。民間航空機向けのエンジンの整備費用が縮小し採算が改善した。部門赤字が続いていた車両事業も5年ぶりに黒字に転じた。
2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)は6373億円と、12年の経営統合後の最高益だった。前の期は324億円の赤字だったが、供給能力を削減し、旺盛な鋼材需要を背景に値上げを進めた。景気の先行きが不透明な中、価格交渉力を維持できるかが今後の焦点になる。
●マクロ・その他
高インフレ下で多くの中央銀行が金融引き締めを急ぐなか、社債の金利が世界的に上昇(価格は下落)している。国際指標でみた世界の社債利回りは10年半ぶりの高水準になった。国債利回りの上昇に加え、景気悪化への警戒感から企業の信用リスクに応じた「上乗せ金利(スプレッド)」が広がっている。信用力の低い企業の社債発行が減り、企業の債務不履行(デフォルト)リスクが高まる兆しもみえる。
世界の株式や債券の価値が急速に減少している。インフレを背景に米金融引き締めが加速し景気減速の懸念が強まるなか、世界の株式時価総額は100兆ドル(1京3000兆円)を割り、債券を合わせた価値は年初から38兆ドル減った。世界の国内総生産(GDP)の半分近い金額が消えた計算になる。新型コロナウイルス下の緩和マネーで膨張した金融市場が縮み、企業の資金調達などに影を落とす。
中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が近く南太平洋のソロモン諸島を訪問する見通しだと報じた。ソロモンと中国は4月、安全保障協定を締結し豪州や米国の警戒を招いている。
ソロモンは豪州の北東約2000キロメートルに位置し、米豪の海上交通路(シーレーン)に近接するなど地政学上の要衝にある。豪州の最大野党・労働党は選挙戦で、ソロモンと中国の安保協定締結について与党・保守連合の失策と非難を強めてきた。総選挙直前の王氏のソロモン訪問は野党にさらなる攻撃材料を与えることになり「保守連合内での不安を高めている」(ABC)という。
ソロモンは伝統的に台湾と外交関係を持ってきたが2019年に台湾と断交し、中国と国交を結んだ。4月に署名された安保協定の詳細は明らかになっていないが、3月に流出した草案にはソロモンへの中国軍派遣や中国艦船の寄港を認める内容が盛り込まれていた。
株式相場が急激に下げる中で悪材料に警戒する投資家は、経済が堅調だとする米連邦準備制度の見方は誤りであることを示す証拠として、通常はそれほど目立たないデータの多くに注目し始めている。
その一つは現在の決算発表シーズンで言及されている「需要の弱さ」だ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)によれば、2020年4-6月(第2四半期)以来の多さとなっている。もう一つは小売店舗への客足の鈍化。企業収益は伸びているかもしれないが、アナリストは22年の利益予想を引き下げている。一部の消費関連企業は、注文の遅れや下降局面で通常見られる行動について警告を発した。
懸念の大きな理由は現時点ではっきりしている。ロシアのウクライナ侵攻や中国のコロナ対策の制限措置が需要を損ない、サプライチェーンをさらに混乱させる中で、米連邦準備制度がインフレ抑制で引き締め姿勢を強めていることだ。リセッションの警告は数カ月前から聞かれていたが、投資家は景気が悪化し始める兆しを、市場のさまざまな分野のミクロ面のメッセージから読み取ろうとしている。
BofAの分析によると、企業の決算に関する電話会見は景況感の急激な悪化を示唆している。それによれば、「改善」「堅調」と「悪化」「軟調」の間のスプレッドが20年第2四半期以来の水準に落ち込んでいる。
国際金融協会(IIF)の6日のリポートによると、中国は今年約3000億ドル(約39兆円)の純資本流出(誤差脱漏を含む)が見込まれる。昨年は1290億ドルの純流出だった。
IIFのエコノミスト、青馬氏らはリポートで、「中国の経済成長と資本フローは、2022年に山積する問題に直面することになる。新型コロナウイルスのオミクロン株対応で延々と続くロックダウン(都市封鎖)と政治不安、エネルギー価格高騰がいずれも中国の成長の重しとなる」と分析した。
世界の投資家はロシアのウクライナ侵攻に伴う地政学的リスクも懸念しているとリポートは指摘。非居住者ポートフォリオの流入額は500億ドル未満と昨年の1770億ドルを下回る一方、居住者ポートフォリオは流出が増加すると予想した。
外貨準備も今年は減少する見通し。貿易黒字縮小と資本流出の急増、中国人民銀行(中央銀行)による人民元相場安定の意向が背景にあるという。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が10日発表した5月の期待指数はマイナス34.3と、3カ月連続の悪化予想に反して4月のマイナス41から改善した。現状指数は悪化した。
ZEWのバンバッハ所長は発表資料で、見通しの「悲観度が若干後退した」と指摘。「専門家はまだ悪化が続くと想定しているが、以前に予想されたよりも緩やかなペースになると考えている」と説明した。
今のところ、新型コロナウイルス対策の制限中に積み上がった需要がサービスセクターを支えている。一方、製造業は中国の新たなコロナ対策によるサプライチェーンの逼迫(ひっぱく)とさらなる供給不足に直面している。
2022年1~3月期の米家計債務の報告書によると、住宅ローンの組成額は8589億ドル(約112兆円)と前の四半期から17%減った。落ち込み幅は5年ぶりの大きさだった。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向けて金融引き締めに踏み出すなか、住宅ローン金利の急上昇が借り換えや新規契約の需要を鈍らせている。
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、昨年末に3%程度だった30年固定金利(週平均)は3月末に4%台後半まで上がった。足元では5.3%近くとさらに高くなっている。
ニューヨーク連銀で家計と公共政策の調査を担当するアンドリュー・ホーワウト氏は「高水準だった借り換え需要の巻き戻しが起きている」と指摘する。低金利環境で住宅所有者が既存債務を借り換え、返済負担を軽くしようとする動きが一巡した。新規購入者の需要も落ちている。コロナ後に進んだ住宅価格の急上昇に加え、金利も大幅に上がり、家計の購入余力が乏しくなったことを映す。
住宅以外では、1~3月期の自動車ローンの組成額も2%減の1766億ドルと3期連続で減った。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は10日、ドイツで開かれたイベントで「我々の金融政策手段は耐久消費財や住宅など、大きな(需給の)不均衡が生じて過熱の兆しがみられる分野で特に威力を発揮する」と語った。金利を高くして需要を冷まし、供給力とのギャップを解消することでインフレ圧力を和らげる狙いがある。
ECB政策委員会メンバーでもあるナーゲル氏は10日、「ユーロ圏のインフレ率は高止まりしており、行動が必要だ」とドイツのエルトビルで発言。ECBの債券純購入は6月末で停止するだろうとの見方を示した上で、「7月に金利正常化の最初の一歩を踏み出すことを支持する」と語った。
ナーゲル氏は、行動を遅らせることのリスクは「著しく増している」と述べ、世界的な経済環境が変化する中でインフレに関する古い認識にとらわれることがないよう他の中銀当局者に注意を促した。ECB政策委員の数人と同様に、物価の動きがロシアのウクライナ侵攻前に見られた状態に戻る公算は小さいとの認識も示した。
同時に、金利上昇に借り主が対応しやすくするために、金利の変更は「予測可能で段階的、データを基にして」行うべきだとも述べ、それが速やかな行動をいっそう適切にしていると論じた。
●市況
日経先物(大証)26015、ダウ先32035、債先149.28、米2.987、独1.0105、仏1.553、西2.178、伊3.072、波6.920、原油98.74、ドル円130.37、墨ペソ20.38、トルコリラ15.3265、墨CDS154
※5/11 9時00分頃


備忘録(5/9
●ウクライナ
今年の国内総生産(GDP)は最大12%のマイナス成長となる可能性が高いとの見方が、ロシア財務省の内部予測で示されている。
この予測に詳しい複数の関係者が匿名を条件に話したところによると、ロシア政府は公式見通しをまだ示しておらず、同国経済発展省は8%のマイナス成長を予想している。
ロシア財務省の予測通りとなれば、約10年分の経済成長が帳消しになると、関係者の1人は述べた。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
インフレ下で消費者の節約志向が強まっているほか、自社物流の拡大など生産性向上による業績改善への期待が高い。
●決算関連
国内の海運大手3社の2022年3月期決算が9日出そろい、連結純利益はいずれも過去最高を更新した。新型コロナウイルス禍による海上物流の需給逼迫でコンテナ船運賃の高止まりが続き、3社合算の利益額は前の期の約7倍の2兆3600億円になった。為替の円安・ドル高も寄与した。需給逼迫の解消時期はなお見通せず、各社とも23年3月期も高水準の利益を見込むが、コンテナ船事業への収益依存のリスクも高まっている。
スウェディッシュの企業価値は約120億ドル(約1兆6000億円)で、プレミアムを加えた買収額は150億ドルを超えると見られている。PMIは買収協議が進んでいることは認めたが「(買収)提案につながるかは不確定」とコメントした。
スウェディッシュはスウェーデンが本社。米国や北欧地域でたばこの葉をつめた小袋を口に含んで使う「スヌース」やかぎたばこ、かみたばこなどで主力ブランドを持ち、無煙製品は売り上げの7割を占める。2021年12月通期の売上高は約185億スウェーデン・クローナ(約2300億円)だった。PMIは25年までに無煙製品が売り上げに占める割合を直近の3割程度から5割以上に引き上げることを目標に、無煙たばこの分野で積極的な事業買収を進めている。
た1~3月期決算は売上高が前年同期比16%増の131億1700万ドル、純利益が74%増の8億2900万ドルだった。1株利益は2.28ドルと75%伸び、市場予想(1.89ドル程度)を上回った。
インフレに対応した大幅値上げが好決算に貢献した。需要の強さを追い風に牛肉商品の価格を前年同期比23.8%引き上げたほか、ソーセージなど加工食品についても15.9%上げた。鶏肉や豚肉商品の価格も2ケタ引き上げた。同社では、穀物や人件費、輸送コストの上昇を背景に「公平な価格設定を実施した」としている。
人材不足については改善がみられた。決算発表後に実施したアナリストとの質疑応答で、ドニー・キング最高経営責任者(CEO)は「子育てや医療支援などを手厚くし、採用から離職までの期間が延びた」と指摘した。今後も人材確保に全力を尽くす構えだ。
ヒンデンバーグは「マスク氏の買収計画が明日なくなれば、ツイッター株は現行水準から50%値下がりするだろう」とし、「結果的に買収予定額が引き下げられる大きなリスクがある」との分析を示した。
●マクロ・その他
2022年1~3月期の国内総生産(GDP)は、物価の変動を除いた実質で前年同期に比べて5.01%増えた。世界的な資源高に押された輸出がけん引した。4四半期連続のプラス成長で、経済は回復基調を強めている。
GDPの約6割を占める家計消費は前年同期比で4.34%、同じく約3割を構成する投資は4.09%伸びた。輸出は16.22%増加した。2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻に伴い、世界的に資源の需給が逼迫するなか、石炭やパーム油など主要輸出品目が伸びた。
インドネシアの3月の輸出額は前年同月比44%増の264億9600万ドル(約3兆4400億円)と過去最高額を更新した。政府は国内の電力料金の維持のため、発電用の石炭について1月から国内供給を優先するなどの輸出制限策を講じているが、価格の高騰で相殺しているとみられる。
景気の懸念材料は物価高だ。中央統計局が9日に発表した4月のインフレ率は前年同月比で3.47%増だった。3月に比べ0.95%上昇した。資源高は輸出を後押しする一方、食品や燃料など生活必需品の価格上昇として跳ね返り、家計を直撃している。
022年4月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比3.9%増の2736億ドル(約36兆円)だった。20年6月以来の低い伸びとなった。最大経済都市の上海市が新型コロナウイルスへの対応で都市封鎖(ロックダウン)に追い込まれ、物流が混乱した影響が出た。輸入は3月と同様、前年同月比横ばいにとどまった。
輸出を品目別にみると、パソコンなどが5%減った。3月まで1割前後伸びていたが、失速した。ウイルスを徹底して抑え込む中国政府の「ゼロコロナ規制」で、サプライチェーン(供給網)が乱れ、生産や出荷に支障が出た可能性がある。
3月に0.1%の減少に転じた輸入は4月は前年同月比横ばいの2225億ドルだった。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は511億ドルだった。輸出が増えて輸入が横ばいだったため、黒字額は拡大した。
4月のロシアとの貿易は輸出が3割近く減少したが、輸入は6割近く増えた。輸出は米欧などの経済制裁の影響が出た可能性がある。輸入は価格が高騰する原油の調達額が伸びたとみられる。
輸出の増加率は、20年6月以来の低い伸びだった。品目別でみると、パソコンや部品が5%、携帯電話が7%それぞれ減少した。
新型コロナを徹底して抑え込む「ゼロコロナ規制」に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱で、部品の調達が滞った。行動制限で工場労働者が出勤できなかった影響も大きい。
マルコス氏は1960~80年代に独裁を続けた故マルコス元大統領の長男。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済の立て直しに主眼を置く。
治安面では超法規的殺人も辞さない強硬な麻薬対策、外交面では中国に対して融和的なドゥテルテ現大統領の路線を踏襲するとみられ、人権状況が悪化するとの懸念の声もある。
スリランカは慢性的な経常赤字に加え、新型コロナウイルスによって主な外貨獲得手段だった観光業の低迷に直面した。2019年末時点で約76億ドルだった外貨準備高は、4月末時点で約18億ドルにまで減っている。外貨不足で輸入が滞っていたところに、ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際商品市況の高騰も重なり、食料品や医薬品などの物資の不足や価格上昇が深刻になっている。
国民の不満が高まるなか、4月に入って閣僚が一斉に辞任したが、マヒンダ氏とゴタバヤ氏はそれぞれ続投していた。スリランカ政府は国際通貨基金(IMF)などにも支援を求めているが、事態打開のメドは立っていない。米格付け大手S&Pグローバルは4月下旬、スリランカの外貨建て国債の信用格付けを「部分的なデフォルト(債務不履行)」にあたる「選択的デフォルト(SD)」に引き下げた。
4月の自動車生産台数は25万1547台と前年同月比6.58%減となった。3カ月ぶりに前年の水準を下回った。半導体不足で落ち込んだ生産台数が一時的に回復したが、再び減少に転じた。
メキシコは半導体不足の影響で21年に自動車の生産台数が落ち込んでいた。3月には21年3月以来12カ月ぶりに30万台を超え、2カ月連続で前年の水準を上回った。半導体不足は一時に比べると改善しているものの、本格的な回復には至っていない。
4月の消費者物価指数は、前年同月と比べて7.68%上昇した。2001年1月以来、約21年ぶりの高水準だった。野菜や果物などの食料品の価格が大幅に上がった。メキシコ政府は価格抑制策を打ち出しているが、インフレを抑えられるかは不透明だ。
4月は食料品と飲み物、たばこの価格が前年同月と比べて10.88%上がった。野菜と果物の価格は前年同月比で15.84%上昇した。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は前年同月比で7.22%だった。中銀が2日時点で民間銀行など38機関の予測を集計したところ、4月のインフレ率の見通しの中央値は6.75%だった。
メキシコ政府はインフレ抑制策に乗り出している。4日には穀物の生産量を増やすために肥料を無料で供与する対象を広げる計画を発表した。肥料の支給によって国民の主食であるタコスに用いるトルティーヤの原料となるトウモロコシや豆、米の生産量を200万トン増やしたい考えだ。
3年後の予想インフレ率(中央値)は4月に3.9%と、昨年12月以来の高水準となった。一方、1年後の予想インフレ率は過去最高となった3月から鈍化し、6.35%となった。ガソリン価格見通しの大幅低下が寄与した。
FRBはその中で、「一部の指標によれば、発行間もない現物の米財務省証券と株価指数先物の市場では、流動性が2021年終盤以降に低下してきた」と指摘。「最近の流動性の状況悪化は過去の一部の事例ほど極端ではないものの、突然の大幅な悪化のリスクは通常よりも高いと見受けられる」との分析を示した。
また、「それに加え、ロシアによるウクライナ侵攻以来、原油先物市場では時々、流動性に幾分逼迫(ひっぱく)が見られる一方、その他の影響を受けた一部の商品市場は顕著な機能不全に陥っている」とも論評した。
先に上院でFRB副議長指名が承認されたブレイナード理事は報告書の発表に合わせた声明で、ウクライナでの戦争が引き金となって、「商品市場では大幅な価格変動や証拠金請求の動きが生じるとともに、大手金融機関が波及効果にさらされるかもしれない潜在的な経路が浮き彫りとなった」とコメントした。
その上で、「金融安定の観点から見ると、参加者の大部分は関連清算機関のメンバーである大手銀行もしくはブローカーディーラーを通じて商品先物市場にアクセスしているため、顧客が異例の高額証拠金請求に直面した場合、これらの清算機関メンバーもリスクにさらされる」とし、「連邦準備制度は国内および国際的な規制当局と協力して、商品市場参加者のエクスポージャーと中核的な金融システムとのリンクについて理解を深めている」と説明した。
FRBは報告書で「米国での高インフレと金利上昇は国内経済活動や資産価格、信用の質、金融状況全般にマイナスの影響を及ぼす恐れがある」と指摘したのに加え、米住宅のバリュエーションの高まりを踏まえれば、「特にショックに敏感である可能性がある」と明記した。
インド準備銀行(中央銀行)は9日、対ドルで最安値を更新したルピーを防衛するため外国為替市場に全面的に介入している。事情に詳しい1人の関係者が明らかにした。
同中銀は約6000億ドル(約79兆円)の外貨準備で投機筋に十分対抗できるとみており、ルピーの値下がりは容認するものの、秩序あるルピー安を探っている。非公開情報だとして関係者は匿名を条件に語った。今後もルピー防衛の介入を続けるという。 
●市況
日経先物(大証)26025、ダウ先32268、債先149.19、米3.034、独1.0810、仏1.623、西2.169、伊3.076、波6.953、原油102.86、ドル円130.30、墨ペソ20.37、トルコリラ15.0993、墨CDS143
※5/10 9時5分頃

備忘録(5/6-5/8)
●ウクライナ
約500機が実効支配されており、このまま取り返せないと、損失は最大150億ドル(約2兆円)に膨らむとの見方もある。この損失を誰が負うかでリース会社と保険会社の溝が深まっている。
航空機が差し押さえられるなど戦争に伴うリスクに対し、保険会社は契約者に通告して7日間の猶予期間を経て補償を解除できる条項がある。ロシアによる航空機の押収が始まった日付が重要で、請求を巡る裁判でもこの日付が法的議論の対象になる見通しだ。
ロシアは2月24日にウクライナへの侵攻を始め、3月14日にロシアの航空会社が外国から借りている航空機の所有権を自社に移すのを認める新法を制定した。保険会社が戦争リスクを補償外にすると通告したのは侵攻後とみられる。
仮に航空機の押収が始まった日付を2月24日とすれば、多くの保険会社は補償を解除するための事前通告が遅れたとみなす。リース会社は保険会社から通告があった段階ではすでに航空機は実効支配されていたとして、現実的に猶予期間中に取り戻すのは不可能だったと主張しているようだ。
米格付け会社S&Pグローバルはロシア関連の航空保険で60億~150億ドルの支払いが発生すると見積もり、「潜在的な訴訟の大多数は可能な限り(リース会社に)有利に裁定する可能性がある」と述べた。米保険仲介マーシュの松田光史シニアバイスプレジデントは「今後の展開によっては、航空保険分野全体に保険料率の上昇が広がる可能性がある」と語る。
再保険会社では保険引き受けに慎重な動きもある。損害保険ジャパンで再保険業務を担う槙絵美子取締役執行役員は「ロシアとウクライナに所在するリスクは再保険上、引き受けられ
ないと明言する保険会社も出てきた」と指摘する。
●コロナ
中国の感染症研究の第一人者・鍾南山氏は4月6日、ゼロコロナ政策は「長期的に続けることはできない」とする論文を発表した。王様は裸だと告げるこの論文はSNSに拡散し、当局は消去に大わらわとなっている。
経済活動とコロナ対策の両立に転じようにも、問屋が卸さない事情がある。ゼロコロナ政策を緩めると、「中国で1年以内に200万人の死者が出る」。王文濤商務相は4月18日、日米欧の企業関係者にそんな推計を示した。
中国国立感染症対策センターの試算によれば、仮に中国製のワクチンが欧米並みの有効性だったとしても、1日当たりの感染者は数十万人にのぼり、1日で1万人規模の重症者が発生してしまう、というのである。
現実はこの試算よりも厳しいはずだ。ひとつは中国製の不活化ワクチンの有効性問題。試算では欧米並みを想定しているが、実際の有効性ははるかに低いとする臨床報告が相次いでいる。もうひとつは感染力が一段と高いオミクロン型の登場だ。そのオミクロン型はこの試算の公表後に広がった。
記者会見した朝陽区の幹部は区内の居住者や区外から通勤する市民に「厳格」な在宅勤務を続けるよう要請。「市民生活の維持に関係がない企業」には営業停止を求めた。家族でも集まらず、不要不急の区外への外出も控えるよう呼びかけた。
朝陽区は日系企業が集まり、駐在員も多い。毎日のPCR検査が求められている。百貨店などは休業し、飲食店では店内での飲食ができなくなっている。
中国・上海市の都市封鎖(ロックダウン)が1カ月を超え、海上コンテナ物流の正常化が一段と遠のいている。上海の沖合では入港できず、待機中の船舶が一時最大で約120隻に及び、通常の約2倍まで増えた。今後、都市封鎖が解除されると、滞留していた貨物が一気に動き出し各地の港湾で混雑が予想される。
新型コロナウイルスの感染再拡大で上海市などの自動車工場が相次いで稼働を中止したため。世界最大の中国市場の急ブレーキは自動車大手の事業展開にも影響を与えそうだ。
李首相は全ての政府機関と地方政府に対し、雇用維持と厳しい現状の克服で企業を支援する措置を優先するよう指示。「雇用の安定化は人々の生活にとって大きな問題であり、適切な範囲内での経済運営でも重要な支えとなる」と述べ、企業にコロナ対策を施し生産を再開するよう促した。声明は、雇用に関する全国的なオンライン会議での李首相の発言を引用した。
中国人民銀行(中央銀行)の陳雨露副総裁は国営新華社通信が7日配信したインタビューで、経済成長の安定化を一段と重視し、実体経済支援を強化すると表明。中小の銀行が貸し出し能力を高めことができるよう人民銀が永久債発行を巡り手助けするとともに、金融機関の手数料引き下げを後押しすると語った。
大規模検査やロックダウン(都市封鎖)、接触追跡、入国制限を伴うゼロコロナを近い将来に撤回することはないとの主張を中国政府は強めている。一方で、コロナに対して勝利を宣言するには何が必要かを、当局者は話し始めた。
中国がゼロコロナ解除に向かっている可能性を示唆する手掛かりとして、以下のような材料が注目される。
言い回しの変化
コロナ関連政策に大きな変更がある場合は、それに先立って国営メディアや政府の情報発信、公衆衛生を巡る国内の議論でコロナに関する表現に変化が見られるだろうと、複数の専門家が指摘した。
これには、季節性インフルエンザを引き起こすウイルスよりも新型コロナの方が危険だと強調する現在の姿勢から、大きな転換が必要になる。中国政府の上級顧問や国営メディアはコロナと共存するという考えを「正しくない」としているが、かつて厳格なコロナ対策をとったシンガポールやオーストラリアは、ワクチン接種を完了すればコロナは脅威ではないとの立場に移行した。
法律上の分類
中国の既存の感染症関連法の下で、新型コロナウイルス感染症はエイズやウイルス性肝炎、鳥インフルエンザ、狂犬病などと同じ「乙類伝染病」に分類されているが、同時にペストやコレラのような最も危険で重篤な感染症に適用される厳格な封じ込め措置が義務付けられている。
英オックスフォード大学のチェン・ジョンミン教授(疫学)は「これは最高度の管理を伴い、行政や法律担当部局は膨大な権限を行使してウイルスを排除することが求められる」と説明。「コロナへの対処法は調整が必要だが、中国の感染症関連法でコロナの分類を格下げすることなくそうするのは難しいだろう」と指摘した。
高齢者のワクチン接種
コロナのパンデミック(世界的大流行)初期に厳格な管理措置をとったシンガポールやオーストラリア、ニュージーランドなどはいずれも、高齢者や免疫に障害のある人々など最もリスクの高い集団にワクチン接種で保護が確実に行き渡るようにし、その後で制限を緩和・解除した。
中国も制限解除時の大規模な流行や死者の発生を防ぐには、同様の手順を踏む必要がある。スタンダードチャータードの大中華圏・北アジア担当チーフエコノミスト、丁爽氏は、中国がゼロコロナ政策の大幅な緩和を開始するには、80歳以上のワクチン接種率が80%に達する必要があるだろうと指摘した。国家衛生健康委員会は3月、中国の80歳以上でワクチン接種を完全に済ませたのは半分に過ぎないと発表している。
治療薬、mRNAワクチン
流行当初から中国のコロナ対策を主導してきた疫学者の梁万年氏は4月に記者団に対し、ゼロコロナ政策の堅持で中国は抗ウイルス剤とワクチンの開発を加速する時間を稼いでいると説明した。この発言は、インフルエンザよりも高いオミクロン株の致死リスクが中国にとっては依然として受け入れられないことを示唆している。
隔離期間の短縮
外国からの入国者に義務付けているホテルでの隔離期間を現行の14日間から短縮したり、陽性者にホテルや政府施設でなく自宅での隔離開始を認めたりするようになれば、制限措置の緩和を示す明らかな兆しだと、CFRのフアン氏は指摘する。
イデオロギーと時期
中国で制限緩和の兆しが表れるのは、習近平総書記(国家主席)が最高指導者として異例の3期目を決めると予想される年後半の共産党大会を終えた後だろうとみる向きもいる。中国は自らのコロナ抑制策が西側に比べていかに優れているかを約2年にわたってアピールしてきただけに、習氏への信頼感はいまやゼロコロナ戦略の成功と深く結び付いている。早期の方針転換は政治的にリスクが高く、習氏が続投を目指している間はなおさらだ。
オックスフォード大学中国センターの研究員、ジョージ・マグナス氏は「ゼロコロナ政策が本質的に政治的な手段であるなら、今年後半の党大会が終わってしばらくたつまで大きな緩和はないと考えるべきだ。恐らく2023年まではないだろう」と指摘。「習氏個人がゼロコロナ政策と結び付いているため、政策そのものの継続が重要になっている」と語った。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
FDAは6日までに、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナウイルスワクチンの使用を制限する方針を発表した。まれだが深刻な血栓症を引き起こすリスクがあるという。一般に18歳以上には米ファイザーか米モデルナのワクチンを推奨し、J&J製はアレルギー反応があるなど健康上の理由や、それ以外の接種を拒否する人のみに認める。
●その他産業
●決算関連
世界の企業業績の拡大に急ブレーキがかかっている。2022年1~3月期の主要企業全体の純利益は前年同期比2%増にとどまり、約6割の増益だった21年10~12月期と比べ増益ペースが鈍化した。素材企業は資源高の追い風が吹いたが、新型コロナウイルス下で成長した情報通信が減益に転じた。米国のマイナス成長や、ロシアのウクライナ侵攻の影響も機械などの製造業や金融に影を落とした。
22年1~3月期決算は、最終損益が7億8700万ユーロ(約1100億円)の赤字(前年同期は10億7400万ユーロの赤字)となった。売上高は前年同期比で3.5倍の34億3500万ユーロだった。ガイエゴ最高経営責任者(CEO)は観光、ビジネスともに需要は旺盛と説明したうえで「4~6月期以降と通年で(営業損益は)黒字になる見込みだ」と述べた。
傘下のBAはコロナ禍で約1万人の従業員を解雇したためスタッフが足りず、当面は減便を余儀なくされる。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、BAは3月から10月の間に運航を10%減らす予定だ。22年中に6000人を雇用する計画だが、需要増に追いついていない状況だ。
日本航空(JAL)は6日、2023年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が売上収益が新型コロナ禍が本格化する前の20年3月期とほぼ同水準となる1兆3900億円、EBITは800億円の黒字(前期は2394億円の赤字)、450億円の黒字(前期は1775億円の赤字)になりそうだと発表した。国内線の需要が新型コロナウイルス禍前の水準にほぼ回復し、3期ぶりに黒字転換すると見込む。22年3月末に約4300億円だった純有利子負債を26年3月期末をメドにゼロにする方針も明らかにした。
国内線旅客数が通年で19年度(20年1~3月はコロナ禍の影響除く)の90%程度、7~9月期以降は約95%とコロナ前と同水準まで回復すると見込む。国際線は通期で45%程度まで回復すると見込む。前期は19年度実績比で国内線が45%、国際線が10%だった。
ANAホールディングス(HD)は今期の「ANA」ブランドの国内線旅客数を19年(1~12月)比80%、国際線は同35%と想定している。JALによれば、同社は新型コロナの再拡大やウクライナ情勢により回復ペースが見通しにくい中国線や欧州線の比率がANAよりも低い。国際線の路線網の違いが想定の差に影響した可能性があるという。
JALやANAHDは国内線使用分の燃料費について金融商品でヘッジしており、米国勢ほどの影響はない。ただ、国際線はヘッジせずに燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上乗せで燃料高を吸収しており、サーチャージ高騰が需要を下押しするおそれもある。
●マクロ・その他
英領北アイルランド議会選で、隣国のアイルランドとの統一を訴えるシン・フェイン党が史上初めて第1党となった。同党は過去の北アイルランド紛争で、英各地でテロ活動を重ねたアイルランド共和軍(IRA)の政治団体が前身だ。親英派政党との対立が深まり、英政界が不安定になる恐れもある。
英BBCによると、8日までに全選挙区の開票が終わり、シン・フェイン党が全90議席中27議席を獲得した。BBCは「歴史的な勝利」と報じた。改選前の第1党で親英派の民主統一党(DUP)は25議席にとどまった。
シン・フェイン党はテロ組織を想像させる過去のイメージを払拭し、再分配政策や社会保障の充実など左派的政策で支持を高めた。同党のマクドナルド党首は「5年以内に」南北アイルランド統一を問う住民投票を実施できる可能性があると語った。ただ有権者は同党の再分配政策は支持しても南北統一への理解は進んでおらず、思惑通り議論が進むかは不透明だ。
ブラジルのルラ元大統領(76)は7日、10月の大統領選に向けた立候補を正式に表明した。左派の同氏は貧困対策を重視し、環境問題にも配慮する意向で、世論調査の支持率で首位にたつ。副大統領候補には経済界との結びつきが強いかつての政敵の起用を決め、支持基盤を広げていきたい考えだ。
ルラ氏は03年から2期8年大統領を務めた。高騰した資源価格の果実を財源に所得再分配を進め、多くの貧困層を中間層に引き上げた。退任時の支持率は87%を記録し、いまでも人気は高い。退任後に汚職事件で有罪判決を受けて収監されたが、21年3月に裁判所が過去の司法手続きを無効とする判決を下したため、立候補が可能になった。
ルラ氏はこの日の演説で、当選したら「栄養や健康、医療を保障する」と述べ、低所得者層向けの社会保障に重きをおく考えを示した。石油会社のペトロブラスに代表される国営企業の民営化には反対する考えを強調した。
2022年4月末の外貨準備が前月末より683億ドル(約8兆9000億円)少ない3兆1197億ドルだったと発表した。減少幅は16年11月以来、5年5カ月ぶりの大きさだ。外貨準備高の減少は4カ月連続だ。17年1月まで7カ月連続で減少して以来の長さとなる。残高の水準は20年6月以来の低さだ。
ドル高が一因だ。米連邦準備理事会(FRB)によると、4月29日時点のドルの主要通貨に対する指数は3月末より4.7%上がった。中国は外貨準備でドル建て以外にユーロ建てや円建ての債券を多めに保有しているとみられる。ドル高が進むと、ドル換算の評価額は下がる。
もう一つは海外マネーの流出だ。新型コロナウイルスを徹底して封じ込める中国政府の「ゼロコロナ規制」で物流が混乱し、経済が失速している。人民元の対ドル相場は4月下旬に4%下落した。資本の流出も外貨準備の減少につながった可能性がある。
欧州がパイプライン経由で輸入しているロシア産ガスを液化天然ガス(LNG)で代替する場合、輸入量の約3割に相当する年4000万トンの受け入れ基地が不足することがわかった。既存の基地の稼働率を上げ、陸上の新増設分を加えてもまだ足りない。陸上基地より建設費が安く工期も短い浮体式の基地が、ロシア依存解消のカギとなりそうだ。
南米チリの中央銀行は5日、政策金利を1.25%引き上げて8.25%にすると発表した。利上げは7会合連続。委員が全員一致で決めた。燃料や食料の価格上昇を抑制するため、金融引き締めを続けた。
バーキン総裁は6日にポッドキャストのインタビューで、「インフレ期待が動き始めているとの確信が得られ始めたら、それは私にとっては、動きを加速させようとする最も強い根拠になる」などと発言。「需要は極めて力強く、インフレ率はかなり高い。これは共に、利上げが可能で、しかも比較的迅速な利上げが可能な方向を指している」と述べた。
同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持たない。
同総裁は米金融当局で最もハト派的とされる。
カシュカリ氏は6日、ミネソタ大学で開かれたイベントでの質疑応答で、「現在は雇用市場が非常に力強いと大半の基準が示している。かつインフレが非常に高い時期でもある」と発言。「インフレを2%に戻さなくてはならない。雇用市場がやや軟化したとしても、大したトレードオフではない」と述べた。
総裁は一方で、ウクライナでの戦争や新型コロナウイルス対策に伴う中国のロックダウン(都市封鎖)でサプライチェーンの目詰まりが続いた場合、そうした事態が起きなかった場合よりも米金融当局は政策を引き締める必要があるとの見方を示した。
カシュカリ氏はミネアポリス連銀のウェブサイトに掲載された論文で、「残念ながらウクライナでの戦争と中国での新型コロナロックダウンに関するニュースはサプライチェーンの正常化を遅らせる可能性が高い」と指摘した。
その上で、同総裁は「供給制約が早急に解消された場合、インフレ抑制を図るためには金融政策をニュートラルに戻すか、それを若干超える程度の政策で良いかもしれない」と指摘。「早急に解消しない場合、あるいはより高い圧力を受けても経済が均衡を保っている場合には、われわれは需給バランスを図るために実質長期金利を縮小スタンスにする必要があるだろう」と論じた。
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、ユーロ圏経済に一段の打撃がない限り、中銀預金金利を年内にゼロ以上に引き上げる可能性があると述べた。
同総裁は6日パリで行った講演で、現在マイナス0.5%の中銀預金金利を引き上げる前提として債券の純購入を6月末で終了させるべきだとの考えも示した。
「フォワードガイダンスで示した利上げの3つの前提条件は、私の判断では満たされている」とし、「想定外の新たな衝撃がない限り、年内に金利がプラス圏に回帰するのは妥当だと思う」と語った。
ビルロワドガロー氏は25人から成る政策委員会の中で比較的穏健派と見なされるが、影響力は大きい。
レーン・フィンランド中銀総裁も5日、7月利上げを示唆。ウンシュ・ベルギー中銀総裁も年内に政策金利がプラスとなる可能性があると述べている。
ナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁も6日にフランクフルトで、ECBが行動するための時間は限られつつあるとして、長く待つべきではないと主張した。
年内に政策正常化を進めるべきだとし、「金融政策行動を開始する機会が開かれているが、その時間枠はゆっくりと閉じつつある。これを認識して年内に何かをしなければならない」と述べた。
これ以上待てばインフレ期待をあおり、将来にさらに強力な措置が必要になる恐れがあると警告。マイナス金利は近いうちに過去のものになるとも語った。
また、スロベニア中銀のバスレ総裁はクロアチアで、利上げ開始に適切な時期は「夏の前」だと発言。「インフレの勢いは別の段階に入った。インフレは広範だ。進む道は利上げを開始することだけだ」と論じた。
●市況
日経先物(大証)26808、ダウ先32742、債先148.99、米3.142、独1.1280、仏1.650、西2.210、伊3.143、波6.781、原油110.61、ドル円130.57、墨ペソ20.15、トルコリラ14.9700、墨CDS143
※5/6 NY引け値
 
備忘録(5/2-5/5)
●ウクライナ
ロシア外相「ヒトラーにユダヤ人の血」 イスラエル反発
【ウクライナ】ロシア軍、希望通りの前進遂げていない-米国防総省
●コロナ
首相、水際対策「6月にG7諸国並みに緩和」 新型コロナ
新型コロナ死者、実際は3倍の1490万人か WHOが推計
2020年1月~21年末に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が原因で死亡した人の数は、公式に発表された死者数の約3倍の1490万人にのぼる可能性があると発表した。平年より死者がどの程度多いかを示す各国の超過死亡数から推定した。世界で同期間に判明していた死者数は約540万人だが、はるかに甚大な被害が出ていた可能性がある。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米バイオジェン、CEOが退任へ 認知症薬難航で
●その他産業
マスク氏、Twitter買収へ9000億円調達 ファンドなど
ツイッターの買収資金として71億ドル(約9200億円)を投資ファンドなどから調達することが5日までにわかった。自身によるテスラ株の売却と合わせて資金を積み上げ、総額440億ドル規模のツイッター買収に弾みをつける。
ツイッターが米証券取引委員会(SEC)へ提出した資料で明らかにした。オラクル共同創業者のラリー・エリソン氏が10億ドルを投資するほか、米ベンチャーキャピタル(VC)のセコイア・キャピタル、暗号資産(仮想通貨)交換所世界大手のバイナンスなど18者が投資家として名を連ねる。
資料によると、既にツイッターの大株主となっているサウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール王子も約3500万株分の資金を、ツイッターへの資本参加を維持するために投資する。同氏はこれまでマスク氏の提案に否定的な見解を示していたこともあったが、マスク氏の支援に回った。
今回の資金調達によって、モルガン・スタンレーなど銀行団との間で交わしていた125億ドル分のテスラ株を担保とした融資枠は62億ドルに減額した。
●決算関連
英シェル、ロシア損失5500億円 1~3月の純利益26%増
2022年1~3月期決算で、ロシアからの事業撤退に伴う費用として42億3500万ドルを計上した。サハリン2関連で16億ドルの減損損失を出したほか、「ノルドストリーム2」向けの融資で、11億ドルの貸倒引当金を計上した。ガスプロムと合弁展開していたシベリアと北極圏の資源開発でも事業資産の減損を実施した。
もっとも、原油や天然ガスなど資源の値上がりで収益力は大きく高まった。売上高は842億400万ドルと51%増えた。探査や採掘などの上流部門では生産量が15%減ったが、売価の上昇で部門利益は3倍強に膨らんだ。在庫評価や減損の影響を除く調整後純利益は2.8倍の91億3000万ドルと、四半期ベースで過去最高になった。
Uber、1~3月最終赤字7600億円 滴滴の評価損響く
2022年1~3月期決算は最終損益が59億3000万ドル(約7600億円)の赤字(前年同期は1億800万ドルの赤字)だった。中国配車アプリ大手の滴滴出行(ディディ)などの保有株式の評価損を計上したのが響いた。赤字幅は19年の上場以来、四半期ベースで最大となった。
エアバスの1~3月、純利益3.4倍の1670億円
2022年1~3月期の連結業績は、15%増収/純利益が前年同期比3.4倍増。小型機「A320」シリーズを中心に引き渡し機数は142機で、前年同期の125機を上回った。同社のギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)は「A320シリーズに支えられ、力強い航空需要の成長が起きている」などとした声明を出した。同シリーズの増産を進める意向も示した。
ウクライナ危機で欧州連合(EU)がロシア機の乗り入れを禁止したことなどで、エアバスの顧客である航空各社の運航に混乱が生じた。エアバスはロシアの航空会社に部品を提供することもやめた。
一方で新型コロナ感染による死者や重症者の拡大が抑えられたことから、多くの国が移動制限の緩和に踏み切っている。エアバスは、これから始まる夏季休暇でも一定の人の移動が見込めると判断しており、22年通年の予想引き渡し機数は720機で据え置いた。
米モデルナ、1~3月純利益3倍 コロナワクチンが好調
VWの1~3月、営業益7割増 価格改定で利益率が改善
2022年1~3月期の連結決算は、売上高が前年同期とほぼ同水準の627億4200万ユーロ、営業利益が前年同期比73%増の83億2300万ユーロだった。全体の販売台数は189万台と22%減ったが、価格改定により、グループの多くのブランド車で平均販売価格は上昇した。旺盛な需要から営業利益率も5.6ポイント増の13.3%に高まった。半導体不足やロシアによるウクライナ侵攻の影響で販売台数は2割減少したが、主要部材の値上がり分を織り込んだ価格改定などで利益を拡大させた。
特に好調なのが、高級ブランド「ベントレー」などを含むプレミアムカーだ。同カテゴリーの売上高は前年同期とほぼ同じ約144億ユーロだったが、営業利益は2.3倍の約35億ユーロに増えた。販売台数の減少などによる固定費削減がプラスに働いた。
VWのヘルベルト・ディース最高経営責任者(CEO)は電話での記者会見で「ワイヤハーネス(組み電線)などの原材料価格上昇に対するヘッジが効果を発揮したうえ、グローバルでの部品融通、利益率の高い車種に注力することで供給問題を軽減できた」と利益拡大の理由を説明した。
一方、ウクライナ情勢の先行きが見通せないものの、22年後半には半導体不足が改善するとの見立てを踏まえ、営業利益率7~8.5%など今期の業績目標については据え置いた。
大韓航空が営業最高益 1~3月、貨物伸び旅客も復調
2022年1~3月期の売上高は同60%増の2兆8052億ウォン、単独営業利益は、前年同期比6.3倍の7884億ウォン、最終損益は5439億ウォンの黒字で、前年同期の288億ウォンの赤字から黒字転換した。燃料費用が2倍に増え、航空機リース費もドル高で負担が増えたものの、販管費などを抑えたことも寄与した。
貨物売上高は59%増の2兆1486億ウォン、旅客売上高は2.3倍の3598億ウォンだった。貨物と旅客ともに主力の米国便が復調していることが大きい。ただ、旅客は一部で戻り始めたものの、売上高の77%を貨物が占め、依然貨物頼みの構図が続く。
エーザイ前期、純利益480億円に下振れ 認知症薬で減損
米バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」の収益拡大が困難な情勢となり、減損損失や在庫の評価損を計上した。
米ファイザー、コロナ特需で8割増収 1~3月
2022年1~3月期決算は、売上高が前年同期比77%増の256億6100万ドル(約3兆3400億円)、純利益が同61%増の78億6400万ドルだった。世界的な新型コロナウイルス流行が続くなか、ワクチンと経口薬の需要が引き続き業績拡大をけん引した。コロナ関連薬のみで全体の売上高の6割を稼ぐまで販売が膨らんだ。
米スターバックス1~3月、2%増益 コロナで中国苦戦
2022年1~3月期決算は、純利益が前年同期比2%増の6億7400万ドル(約877億円)だった。米国市場は堅調だったが、厳しい新型コロナウイルス対策を続ける中国が振るわず、小幅増益にとどまった。素材価格や人件費の上昇が重荷となり、営業利益は4%の減益となった。
英BP、ロシア撤退損失3兆円 ロスネフチ株の価値ゼロに
2022年1~3月期決算で、ロシアからの事業撤退に伴う損失を、税引き前ベースで255億2000万ドル(約3兆3200億円)計上した。19.75%保有するロシア石油大手ロスネフチの株式の価値をゼロに切り下げたほか、同社と手掛けてきた合弁事業の減損損失などもかさんだ。
●マクロ・その他
NYダウ、一時1000ドル安 金融引き締め不安が再燃
米失業保険申請は20万件 3週ぶり増加
米労働省が5日発表した失業保険統計(季節調整済み)によると、4月24~30日の週間に新規に失業保険を申請した件数は20万件と、前週の改定値から1万9000件増えた。3週間ぶりの増加で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(18万2000件程度)を上回った。
首相、英国のTPP加盟「高水準の経済秩序形成に意義」
OPECプラス、小幅増産を維持 ロシアと結束優先
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は5日、現行の小幅増産を6月も続けることで合意した。ロシアのウクライナ侵攻で原油高が続くが、米国などが求めた追加増産に応じず、市場の影響力維持へロシアとの結束を優先する。欧州連合(EU)はロシア産石油を禁輸する方針で、原油が高止まりするリスクがある。
英中銀が1%に利上げ 4会合連続、13年ぶり高水準に
政策金利を0.25%引き上げて年1%にすると発表した。利上げは4会合連続で、米金融危機時の2009年3月以来約13年ぶりの高さになった。一部の政策委員はさらに大きい0.5%幅の利上げを主張し、加速するインフレへの警戒感をより鮮明にした。
トルコ4月CPI上昇率70% 暮らし圧迫も緩和を維持か
4月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比69.97%だったと発表した。3月の61.1%からさらにインフレが加速した。食料品は89.1%で、イスラム教徒が祝うラマダン(断食月)と重なった4月、一般市民の食卓を直撃した。大手スーパーでは日没後のごちそうに使う食材のセットが昨年の2倍の値段で売られていた。
中銀はインフレのピークが5月になるとしたが、市場ではより悲観的な見方もある。前中銀チーフエコノミストのハカン・カラ氏は10月ごろに80%台まで上昇する可能性があるとみる。CPIの先行きを占う4月の卸売物価指数(PPI)は121.8%増だった。
ブラジル中銀が1%利上げ、12.75%に 10会合連続
政策金利を1%引き上げて12.75%にすると決めた。利上げは10会合連続。燃料や食料品など幅広い分野で価格は上昇している。景気は厳しいものの、中銀はインフレ抑制を優先させた。
4月前半の消費者物価指数は前年同期比で12.03%上昇した。中銀の目標上限(5%)を大幅に上回っている。月間の上昇率は1.73%と、4月としては1995年以来の高い水準となった。
米連邦準備理事会(FRB)は4日、0.5%の利上げを決めた。米国が利上げペースを引き上げたことは、新興国にとって資金流出への懸念につながる。ブラジル中銀は声明で、先進国の金融政策によって「新興国は不確実性やボラティリティー(変動率)が増大する」と警戒を示した。
ブラジル中銀は次回6月会合について「より小さい幅での調整を続けると予測している」と言及した。年明け以降は堅調に推移していた通貨レアルがここに来て弱含んでいることも、小幅な追加利上げを後押しする可能性がある。
4月の米非製造業景況感、1.2ポイント低下 予測下回る
4月の非製造業(サービス業)景況感指数は57.1で、前月から1.2ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(58.3程度)を下回った。
「新規受注」が54.6で5.5ポイント低下したほか、労働力の供給が足りず「雇用」も49.5で4.5ポイント下がった。「事業活動・生産」は59.1で3.6ポイント上向いたものの、ISMは「高インフレ、能力制約、供給網の乱れが支障となっている」と指摘した。
また「仕入れ価格」は0.8ポイント上昇の84.6で過去最高に達し、強い物価上昇圧力が続いたことを示した。
回答企業は「価格圧力と製品入手の難しさが引き続き深刻な問題」(宿泊・飲食サービス業)や「ビジネスは堅調だが、人手不足、材料の値上がり、入荷遅延が足かせとなっている」(管理・支援サービス業)などと報告した。
OECD、3月消費者物価8.8%上昇 エネルギーが主因
加盟38カ国の3月の消費者物価指数(CPI、加重平均)の上昇率は前年同月比で8.8%だった。上昇率は前月を1ポイント上回り、1988年10月以来33年5カ月ぶりの伸びを記録した。エネルギー価格の上昇が主な理由で、ロシアのウクライナ侵攻でインフレ傾向がさらに強まっているとみられる。
金融引き締めに消極的なトルコの上昇率が61.1%で最も高かった。経済規模の大きい加盟国では米国が8.5%、日本が1.2%、ドイツが7.3%だった。
インド中銀、3年9カ月ぶり利上げ 物価上昇に対応
政策金利(レポ金利)を0.4%引き上げて4.4%にすると発表した。利上げは2018年8月以来3年9カ月ぶり。インド中銀は4月まで11会合連続で政策金利を据え置いてきたが、足元では目標を上回る物価上昇が続いていた。
ダス総裁は4日の臨時オンライン演説で、ウクライナでの危機が続くなか「物価上昇圧力の持続と拡大が日々深刻になっている」と指摘した。主要先進国で金融政策の正常化が加速していくと予想したうえで、「インドを含む新興国に不吉な影響をもたらす」との懸念を示した。金融緩和姿勢については「緩和的」を維持したが、市場ではインド中銀が年内に追加利上げに踏み切るとの見方も出ている。
4月米新車販売、トヨタ23%減 半導体不足で生産足踏み
日本車メーカー4社が3日発表した4月の米新車販売台数は前年同月比27%減の約35万4000台だった。半導体不足が長引いているため、需要に応じた生産がなお難しい状況だ。販売実績も前年割れが続く。
オーストラリア、11年半ぶり利上げ 0.35%に
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は3日の理事会で、政策金利を0.25%引き上げ、0.35%にすると決定した。利上げは2010年11月以来、11年半ぶりだ。豪州では1~3月期の消費者物価指数(CPI)上昇率が約20年ぶりの高水準となった。インフレの抑え込みに向け、金融引き締めにかじを切る。
コロンビア大統領選、左派候補が首位 開放路線を修正も
29日投票のコロンビア大統領選で、左派のグスタボ・ペトロ元ボゴタ市長が支持率で首位に立っている。自由貿易協定(FTA)に消極的で、当選すれば、歴代の右派政権が進めてきた経済の開放路線を修正する可能性がある。中南米で広がる「左傾化」の波が同国にも及ぶ勢いで、経済界は警戒している。
米利上げ、新興国に圧力 債券ファンド1.8兆円流出超
米国の利上げで新興国経済に圧力がかかっている。ドルの金利上昇に伴って新興国からの資金流出が強まり、ロシアのウクライナ侵攻後は新興国債券の運用残高が約136億ドル(約1兆8000億円)の流出超となった。資金流出による通貨安はインフレにつながるため、新興国も利上げをせざるを得ない。急速な利上げが新興国経済を冷やし、世界経済の減速を招く恐れがある。
メキシコへの送金、3月は12.6%増 移民増で仕送り拡大
前年同月を上回るのは23カ月連続だった。3月は1人当たりの送金額が平均393ドルと前年同月比で6%増えた。送金回数も前年同月に比べて6.2%伸びた。1~3月の送金額の合計は前年同期比18%増の125億2100万ドルだった。移民の増加に伴って送金額は今後も増える見通しだ。
4月の米製造業景況感、1.7ポイント低下 供給制約が重荷
4月の米製造業景況感指数は55.4で前月から1.7ポイント低下した。2カ月連続の低下で2020年9月以来1年7カ月ぶりの低さとなった。供給制約とインフレが足かせとなり、製造業の成長が鈍り始めたことを示唆した。
指数を構成する5項目のうち「入荷遅延」以外がすべて低下した。「新規受注」が53.5で0.3ポイント、「生産」が53.6で0.9ポイントそれぞれ低下した。
「雇用」は50.9で5.4ポイントと大きく低下した。企業は離職・退職が増える一方、新規採用が改善せず、労働力を十分に確保できないと報告した。「在庫」も51.6で3.9ポイント下がった。
一方「入荷遅延」は67.2で1.8ポイント上昇した。ISMは、需要は依然強いものの「海外の提携企業が新型コロナウイルス流行の影響を受けており、短期的に米製造業の逆風になっている」と指摘。夏にかけてアジアからの供給に懸念を示す企業が増えたという。
回答企業は「上海の(コロナ対策による)封鎖の影響が、中国のほかの地域の供給業者に波及しており、港の混雑もまだ続いている。インフレは制御不能になっている」(化学製品分野)、「新規受注と不安定な供給のせいで受注残が増え続けている。部品不足が生産を妨げている」(電子機器・製品・部品分野)などとコメントした。
パウエル議長、インフレ抑制を確約-「多少の痛み」伴うリスク認める
欧州経済は「事実上の停滞状態」-ECBのパネッタ理事
5日付のイタリア紙スタンパに掲載されたインタビュー記事によれば、パネッタ理事は「欧州経済は事実上の停滞状態にある」と指摘。「1-3月(第1四半期)の成長は0.2%だった。一部の国の成長の一時的高まりがなければ、基本的にはゼロ成長だっただろう」と述べた。
パネッタ理事は「このためECBが直面する選択肢はさらに複雑化する。インフレ抑制を狙った金融引き締めは、既に弱まりつつある経済成長を結局は妨げることになる」とコメントした。
パネッタ理事はまた、4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)の数値を先に見ずに行動することは「軽率」だろうとも述べ、決定の先送りを支持する考えも示唆した。
利上げに関して問われたパネッタ理事は「2、3カ月早まるか遅くなるかは大した違いはもたらさない」とした上で、現状では「マイナス金利と純資産購入はもはや不要かもしれない」と付け加えた。
ドイツ製造業受注指数、3月は前月比4.7%低下-予想大幅に下回る
ドイツの製造業受注は3月に予想以上に落ち込んだ。ロシアのウクライナ侵攻がインフレ圧力や世界的なサプライチェーン混乱を悪化させドイツ経済の見通しに暗雲をもたらした。
ドイツ連邦統計局が5日発表した3月の製造業受注指数は前月比4.7%低下。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想のうち1人を除く全員の予想を下回った。予想中央値は1.1%低下。国外からの受注減が響いた。
ドイツ経済省は声明で、ウクライナでの戦争に伴う不確実性の高まりを反映し特にユーロ圏外からの需要が大きく抑制されたと指摘、「現在のところ今後数カ月間の見通しは弱い」と続けた。
●市況
日経先物(大証)26702、ダウ先32992、債先149.29、米3.086、独1.0395、仏1.573、西2.141、伊3.036、波6.535、原油106.70、ドル円130.41、墨ペソ20.30、トルコリラ14.8622、墨CDS143
※5/6 1時00分頃
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備忘録(5/2-5/5)
●ウクライナ

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