2022年4月3日日曜日

備忘録(22/4)

備忘録(4/28-5/1)
●ウクライナ
ウクライナ国防省の報道官は4月30日、ロシア軍が大規模動員に乗り出す可能性があるとの見方を明らかにした。英国のウォレス国防相もロシアが5月9日の対独戦勝記念日に「戦争状態」を宣言する可能性があるとの見方を示した。戦争状態を宣言すればより多くの兵力を動員できるとみられ、ウクライナでの戦闘が長期化する可能性がある。
ロシア財務省は29日、ドル建て国債の元利金計6億4920万ドル(約840億円)の支払いをドルで実施したと発表した。複数の米メディアはロシア国内のドル資金で工面され、米政府が決済を容認したと報じた。5月4日の猶予期限を前に債務不履行(デフォルト)はひとまず避けられる可能性が出てきたが、対外債務の綱渡りは続く。
4日が期日だったドル建て国債2本の元利金計6億4920万ドル(約840億円)の支払いを「ドルで実施した」と発表した。米政府がドル払いを認めなかったためルーブルで払うと宣言していた国債で、ドルの調達経緯は明らかになっていない。保有者に払われたことが確認されれば債務不履行(デフォルト)が回避される可能性がある。
対象は4日が償還日だった国債の元本と2042年4月償還債の利息だ。ロシア財務省は支払い代理人である米銀大手シティバンクのロンドン支店に送られたと説明し、発行時に定められた義務は果たされたと主張した。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
2023年3月期の連結最終損益が210億円の黒字(前期は1436億円の赤字)になる見通しと発表した。3期ぶり黒字の前提となる旅客数は、傘下の全日本空輸(ANA)の国内線で19年1~12月比8割までの回復を見込むが、国際線は同35%にとどまる。燃油高や円安もコスト増加要因となり、先行きは晴れない。
売上高は前期比63%増の1兆6600億円と、コロナ禍前の19年3月期の約8割の水準を見込む。グループの格安航空会社を合わせた国内線旅客数は9月までにコロナ前に戻る想定だ。営業損益は500億円の黒字(同1731億円の赤字)の見通し。コスト削減も寄与する。航空機の早期退役や採用抑制などの効果で20年3月期比で約1300億円の固定費を減らす。
それでも懸案は残る。国際線の不透明さに加え、燃料高や円安も進むからだ。同社では金融商品によるヘッジを考慮しない場合、燃料費は中東産ドバイ原油と航空燃料に使うケロシン(シンガポール市場)の価格がともに1バレルあたり1ドル上昇すると約26億円、外貨で調達する燃料費などの費用は1円円安で約45億円増える。
●その他産業
英金融大手HSBCホールディングスに対し、筆頭株主の中国平安保険が事業分割を求めていることが29日、明らかになった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)など複数の欧米メディアが報じた。収益の柱であるアジア事業を切り離し、独立企業として上場させる企業価値の向上策を提案しているという。
●決算関連
2022年1~3月期決算は、売上高が前年同期比7%増の1164億4400万ドル(約15兆2500億円)だった。最終損益は38億4400万ドルの赤字。出資する新興電気自動車(EV)メーカー、米リヴィアン・オートモーティブの株式評価損を計上し、15年1〜3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。
売上高は1〜3月期として最高を更新したものの、伸び率は過去10年で最も低い水準だった。新型コロナウイルス下の「巣ごもり消費」の反動で、直営のネット通販事業の売り上げ規模が511億2900万ドルと3%減ったのが響いた。これまで2けた増が続いていた外部事業者から受け取る手数料収入(253億3500万ドル)も7%の伸びにとどまった。
クラウドコンピューティング部門の売上高は37%増の184億4100万ドルと堅調だった。「アマゾンプライム」を中心とするサブスクリプション(継続課金)型サービスは11%増の84億1000万ドル。2月に米国でプライム会員の年会費を17%引き上げたが、会員数の拡大が続いたという。
営業利益は59%減の36億6900万ドルだった。オルサブスキー氏は「さまざまなコスト上昇の圧力にさらされている」と言う。燃料価格の上昇で輸送費がかさんでいるほか、従業員に払う賃金も増えている。こうしたインフレに起因するコスト増加は1~3月期に20億ドルに及んだ。このほか新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」への対処など、倉庫作業の生産性低下もコスト増につながった。
4~6月期は1160億~1210億ドルの売上高を見込む。21年は6月に開催した大規模セール「プライムデー」を今年は7月に設定した影響はあるものの、前年同期と比べた伸び率は最大でも7%にとどまる。市場予想の1254億ドルも下回った。
ロシアのウクライナ侵攻で拍車がかかった燃料高や人件費の上昇に伴い、最悪の場合、営業損益が10億ドルの赤字に転じる可能性も指摘した。営業赤字となれば、14年7~9月期以来だ。業績の停滞を懸念し、28日の米国市場の時間外取引でアマゾン株は終値を約9%下回って取引されている。
2022年1~3月期決算は、売上高が前年同期比7%減の183億5300万ドル(約2兆4000億円)、純利益は同2.4倍の81億1300万ドルだった。パソコン向けの半導体の売上高が落ち込む一方、リストラ費用の減少などにより利益が拡大した。
同日の決算説明会でパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は「生産能力や生産設備の制約により、半導体不足は少なくとも24年まで続く」と述べた。従来は23年までとの見通しを示していた。同社は米国や欧州で生産能力の拡大を進めており、供給不足の長期化を追い風に投資を続けていく考えだ。
同日の決算説明会でパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は「生産能力や生産設備の制約により、半導体不足は少なくとも24年まで続く」と述べた。従来は23年までとの見通しを示していた。同社は米国や欧州で生産能力の拡大を進めており、供給不足の長期化を追い風に投資を続けていく考えだ。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い在宅勤務が広がり、パソコンの需要を押し上げた経緯がある。ただ、足元ではこうした需要が一巡し、米IDCによると1~3月期のパソコンの世界出荷台数は前年同期比5%減の8050万台にとどまった。インテルも需要減の影響を受けた。
また、パソコンで世界4位の米アップルがインテル製から自社開発した半導体への切り替えを進めている。競合の米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)がパソコン向け半導体でシェアを伸ばしている事情もあり、インテルの主力事業への逆風が強まった。
一方、サーバー向けを主体とする「データセンター・AIグループ」の売上高は、前年同期比22%増の60億3400万ドルに増えた。注力分野として位置付けている受託生産事業の売上高も初めて開示し、1~3月期は前年同期の2.7倍に当たる2億8300万ドルに拡大したと説明した。
22年通年の業績予想は売上高を約760億ドルに据え置く一方、実質1株利益は3.6ドル(従来は3.5ドル)に引き上げた。一方、4~6月期は売上高が約180億ドル、実質1株利益が0.7ドルとの見通しを示し、いずれも市場予想を下回った。28日の米株式市場の時間外取引で株価は一時、同日終値より5%超下落した。
2022年1~3月期決算は純利益が前年同期比で0.5%増の15億3700万ドル(約2000億円)だった。主力の北米市場などで建機の販売は好調だったが、原材料高や人件費の上昇による製造コストの増加が利益を圧迫した。積極的な値上げでこなし、増益を確保した。
売上高は前年同期と比べ14%増の135億8900万ドルだった。建機の売上高は12%増の61億1500万ドル、鉱山機械は30%増の28億3000万ドルだった。
建機は北米での売り上げが28%伸びた。南米、欧州・アフリカ・中東もそれぞれ増えた。一方、中国の建設需要の減速を受け、同国を含むアジア太平洋の売り上げは21%減だった。
販売が拡大する一方、製造コストの増加が負担になった。営業利益ベースで8億ドルの減益要因になったが、値上げで相殺する増益効果を引き出した。
22年1~3月期決算は、純利益が前年同期比57%増の43億ドル、売上高は50%増の159億ドルだった。コロナ飲み薬のほか、主力のがん治療薬や子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチンが好調だった。22年通期の売上高は前期比17~19%増の569億~581億ドルを見込み、従来予想(561億~576億ドル)から上方修正した。
新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」の2022年1~3月期の売上高が32億ドル(約4100億円)だったと発表した。
米リッジバック・バイオセラピューティクスと共同開発したモルヌピラビルは、世界で1000万回分の供給契約を締結済み。米国で昨年12月に緊急使用許可が出てから、これまで30カ国に640万回分を出荷しており、日本でも実用化されている。
もっとも、通期のモルヌピラビルの売上高見通しは下方修正した。22年の売上高は50億~55億ドルを見込み、従来予想(50億~60億ドル)から引き下げた。米政府は310万回分を購入したが、より有効性が高いとして米製薬大手ファイザーの新型コロナ飲み薬「パクスロビド」の活用を促している。
2022年1~3月期決算は、純利益が前年同期比28%減の11億400万ドル(約1450億円)だった。ロシアのウクライナ侵攻を受け、同社は3月上旬から両国での店舗営業を停止している。店舗リースや従業員への支払いを続けているため、2700万ドルの関連費用がかかった。各店閉鎖に伴う1億ドルの食品在庫損失も計上した。
2022年3月期の連結決算は、最終損益が1131億円の赤字(前の期は2331億円の赤字)だった。鉄道収入は21年末まで回復傾向だったが新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大で想定以上に利用が落ち込んだ。23年3月期は3期ぶりの最終黒字を見込むが、追加のコスト削減は手詰まりになりつつある。
●マクロ・その他
中国政府は、軍事転用ができる製品の輸出について、エンドユーザーと用途に関する証明書類の提出を義務付ける。国家の安全や利益に基づいて、対象品目を決め、輸出相手国のリスク評価を行う。軍事製品の拡散防止につながるが、外交関係がこじれた相手国などに恣意的に適用するリスクは残る。
当局が国家の安全など幅広い概念に基づいて判断するため、中国との関係が悪化した相手先を揺さぶるといった恣意的な対応への懸念は拭えない。
例えば、高性能磁石の製造などに使うレアアース(希土類)も解釈によっては輸出管理の対象になる可能性がある。輸出相手国のリスク評価も曖昧さが残る。
米調査会社IDCは2022年1~3月の世界のスマートフォン出荷台数が前年同期比8.9%減の3億1410万台だったと発表した。消費者の購買意欲が後退し、3四半期連続で減少した。上位メーカーのシェアの順位に変動はなかったが、2位の米アップルだけが出荷台数を伸ばした。
アップルをはじめとする有力メーカーがウクライナ侵攻後にロシアでの製品販売を停止したことで、両国を含む中東欧地域の出荷台数は20%近く減少した。同地域の出荷台数は世界全体の6~7%を占める。
中国国家統計局が30日発表した2022年4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は47.4と、前月より2.1ポイント低下した。2カ月連続で好調・不調の境目である50を下回った。新型コロナウイルスの感染が広がった最大経済都市の上海市が事実上の都市封鎖(ロックダウン)に追い込まれ、物流の混乱などで景況感が一段と悪化した。
4月の景気指数(PMI、季節調整済み)は56.4で前月から6.5ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(62.0程度)を下回った。
指数を構成する全5項目が低下した。特に「新規受注」が51.1で10.8ポイント低下し、2020年6月以来の低さとなったほか、「生産」も50.9で9.1ポイント低下した。企業は供給の遅れが生産能力の障害となっており、重要部品の不足が特に深刻だったと報告した。
一方、「仕入れ価格」は0.4ポイント高まり86.1となった。企業はロシアのウクライナ侵攻の影響による鉄、プラスチック、木材の高騰を伝えた。
利上げは6会合連続。2017年7月以来の高い水準となった。燃料高や新型コロナウイルス禍からの景気回復で、インフレが加速しているのに対応した。
3月の消費者物価指数は前年同月比8.53%上昇となり、16年7月以来の上げ幅を記録した。上昇率は12カ月連続で加速しており、中銀目標の上限(4%)を上回るのは8カ月連続となった。エネルギーや食料品の価格上昇が目立つ。
中銀は経済活動の勢いは持続していると判断しており、22年の実質経済成長率見通しを4.7%から5%に引き上げた。インフレ率は22年末に7%、23年末は4%と見込んでいる。
4月の消費者態度指数(確報値)は65.2で、前月から5.8ポイント上昇した。速報値(65.7)と同程度を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測には届かなかったが、4カ月ぶりに上昇した。
「現在の景況」が69.4で2.2ポイント上昇したほか、「今後の見通し」が62.5で8.2ポイント上昇した。
調査担当者は、3月のピークからガソリン価格が低下したため景気と家計の見通しが改善したのが要因と分析した。「良好な雇用と強い賃金上昇が支えとなっている」が、2月、3月を除くと指数は依然として10年ぶりの低水準にとどまっており、「冷え込んだ景況感に大きな変化はない」と指摘した。
2022年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は、前四半期比で0.9%増(速報値)だった。米国の需要増を背景に工業製品や原油の輸出が堅調に推移している。
2022年1~3月期のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)は速報値が前期比0.2%増にとどまった。伸び率は前の期から小幅に鈍化し、年率換算でも0.8%だった。新型コロナウイルス対応の行動規制が段階的に緩和されたが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高や物流網の混乱で先行きは不透明感が強まっている。
習近平指導部はアリババ集団や騰訊控股(テンセント)など中国ネット大手に対する統制強化を転換する。ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルスを徹底して抑え込む「ゼロコロナ規制」などで最近の経済が失速しているため、ネット大手の活性化によって経済のテコ入れを狙うとみられる。
3月の個人消費支出(PCE)物価指数は総合指数が前年同月比6.6%上昇し、1982年1月以来の伸びとなった。ガソリンなどを中心に約40年ぶりのインフレが続いている。総合指数の伸びは市場予想(6.7%)に届かなかった。
エネルギーは33.9%、食品も9.2%と高い伸びで、いずれも前月の上昇率を上回った。変動の激しい食品・エネルギーを除くコア指数の上昇率は5.2%と前月の5.3%を下回った。
コア指数の伸びが前月を下回るのは1年ぶりだ。90年代の半ばから2%前後で安定していたことからすれば高い水準のままだが、変化が出てきている。
物価の高騰が1年ほど前から始まっており、前年同月と比べた伸び率が大きくなりにくくなってきた面もある。消費者物価指数(CPI)でも食品とエネルギーを除くコア指数は3月にかけて上昇率の拡大ペースが弱まっている。
米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は12日のイベントでこの傾向に触れ「(物価高騰の)緩和がみられるのは非常に喜ばしい」と発言した。
1~3月期の雇用コスト指数は、季節調整済みの前期比で1.4%上昇した。2021年10~12月の1.0%から0.4ポイント高まり、2001年の統計開始以来最高の伸びとなった。労働市場の逼迫で人件費の強い伸びが続いた。
労働需要が強く、企業は人材確保のために賃上げや福利厚生の積み増しを迫られている。米連邦準備理事会(FRB)の地区連銀経済報告(ベージュブック)では、「需要の強い分野では極端な賃上げが起き、賃金を2割以上引き上げた企業もある」(ニューヨーク連銀)、「倉庫スタッフの初任時給が時給18ドル(約2300円)に達したほか、企業は勤続賞与や賃金以外の福利を増やしている」(ボストン連銀)との報告が相次いだ。
企業は、雇用コストの上昇分を顧客・消費者に転嫁しており、一段の物価押し上げにつながっている。3月の消費者物価指数は8.5%上昇と約40年ぶりの高水準となった。
アマースト・ピアポント証券のエコノミストは「新型コロナウイルスの流行が落ち着き足元で労働参加率が上がり始めているが、労働市場はかつてないほど逼迫しており、当面緩和は期待できない」との見方を示した。
中国共産党は29日、中央政治局会議を開き、2022年の「5.5%成長目標」を堅持する方針を確認した。新型コロナウイルスを徹底して抑え込む「ゼロコロナ規制」などで、最近の経済は失速している。秋の共産党大会を控えて、インフラ建設の加速などで成長を押し上げる狙いだ。
習指導部は秋の党大会で3期目入りをめざす。支持固めにはウイルスの制圧とともに、経済の安定成長も欠かせない。国務院(政府)関係者は「今年の成長率が米国を下回らないよう、指導部が景気の下支えを指示している」と語る。
国際通貨基金(IMF)が予測する22年の実質経済成長率は、中国が4.4%、米国が3.7%だ。中国経済が一段と下振れして、米中の成長率が逆転すると1976年以来となる。米国に覇権争いを挑む習指導部にとって避けたい事態だ。
政治局会議は内需の拡大へ「インフラ建設を全面的に強化する」とした。中央政府は地方政府に、インフラ債の発行を急がせる。中国メディアによると、3兆6500億元(約71兆円)の年間発行枠の大半を6月末までに使い切るよう指示した。事業の進捗も早め、22年の成長を底上げしたい考えだ。
IDCは出荷減少の理由について「新型コロナ禍の再燃が消費者の予算に影響し、新製品の刷新も小幅にとどまり、需要が低迷した」と説明する。中国では新型コロナの感染拡大で3月以降、吉林省長春市や広東省深圳市、上海市などで都市封鎖(ロックダウン)を実施したが、「スマホの物流や供給に与えるマイナスの影響は相対的に制御可能だ」と見ている。
個人消費は堅調だったが、人手不足などでモノの供給が追いついていない。輸入が急増し、貿易赤字の拡大が成長率を抑える形になっている。
個人消費は2.7%増、設備投資も9.2%増といずれも前の期を上回った。住宅投資も2.1%増と堅調さを保った。主な需要項目が軒並み増加する中で7四半期ぶりのマイナス成長になったのは、GDPから差し引く輸入が17.7%増と急増したためだ。輸出は5.9%減だった。前の期に在庫投資が急増した反動も出た。
国家統計局が30日発表した4月の製造業購買担当者指数(PMI)は47.4。3月の49.5から低下し、約2年ぶりの低水準だった。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値(47.3)とほぼ一致した。
また、建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは41.9と、2020年2月以来の低水準。3月の48.4から急低下し、市場予想の46を大きく下回った。活動拡大・縮小の節目は50。
4月分のデータとしては最初の公式指標となる今回のPMIは、コロナ感染拡大と「ゼロコロナ」政策による経済への打撃の大きさを示した。
国家統計局は発表文で、製造業活動の悪化は生産と需要の減少幅拡大が原因だと説明。最近のコロナ感染の広がりで減産、あるいは生産自体の停止を余儀なくされる企業も出ている。
同局の統計学者、趙慶河氏はサービス業活動の急速な縮小について、「コロナ感染症の流行による深刻な影響のためだ」と分析。調査対象の21セクターのうち、航空輸送や宿泊、飲食など19でビジネス活動が縮小したと指摘した。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは、「ロックダウンが断続的に続きそうで、4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)成長率はマイナスに転じると私は見込んでいる」と説明。「今後の焦点は中国政府が経済への打撃を和らげるため、コロナを容認しない政策をどのように微調整するかになる」と述べた。
市場では今年に入って初めて、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.75ポイントの利上げが実施される確率がほぼ五分五分と織り込まれている。来週の会合では0.5ポイントの引き上げが見込まれている。FOMCは1994年の積極的な引き締めサイクル以降、0.75ポイントの利上げを実施していない。
金利スワップの動向によれば、6月会合までに約111ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の引き締めが織り込まれており、5月と6月合わせて既に予想されている1ポイントの利上げ幅をさらに11bp上回る。今週初めの時点では、106bpが織り込まれていた。
4月の消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比7.5%上昇。ブルームバーグがまとめた市場予想に一致した。食料品やエネルギーなど変動の激しい項目を除くコアCPIは3.5%上昇と、前月の2.9%上昇から伸びが加速した。
エネルギー価格の上昇が引き続きインフレを押し上げている。ロシアは今週、ポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止し、エネルギー価格の動向には一段と注目が集まる。ロシア産ガスをルーブルで支払わなければ、同国産ガスを購入する他の欧州連合(EU)加盟国も同じ目に遭う恐れがある。
●市況
日経先物(大証)26755、ダウ先32882、債先149.53、米2.938、独0.9345、仏1.448、西1.962、伊2.770、波6.353、原油104.11、ドル円129.85、墨ペソ20.43、トルコリラ14.8503、墨CDS137
※4/29 NY引け値

備忘録(4/22-24)
●ウクライナ
ウクライナ国防省は22日、黒海艦隊の司令官が逮捕されたとの情報があると明らかにした。沈没の責任を問われたとみられる。ロシア軍の士気低下が予想される一方で、当面の焦点となるウクライナ東部の地上戦への影響は限定的との指摘がある。
司令官のほかにも複数の将官が解任されたとの情報がある。軍に大きな損失を出したとして、戦車部隊の指揮官らが解任されたという。ウクライナ国防省はモスクワの沈没を受け、ロシアのプーチン政権内で軍司令部への圧力が一段と強まっているとの見解を示した。
旗艦の損失が陸上戦主体のウクライナ東部での戦況に与える影響は限られる側面もある。米ランド研究所のウィリアムズ上級国際防衛政策研究員は「ウクライナ侵攻でのロシア海軍の貢献はごくわずかだ」と話す。ロシア軍が海軍による作戦に慎重になるとみつつも、優先地域と位置づける東部での地上侵攻への影響は軽微だと指摘した。
●コロナ
同日に5172人の新型コロナウイルス新規感染者を確認したと発表した。1日あたりとして初めて5000人を上回った。台湾は3月上旬まで感染をほぼ抑え込んできたが、3月7日に域外からのビジネス客の受け入れ再開や、隔離期間の短縮といった規制緩和に踏み切り、感染が急拡大している。
新型コロナ対策の指揮を執る陳時中・衛生福利部長(厚生相)は同日開いた記者会見で、「流行のピークは1日あたりの新規感染者が4万5000人になる可能性がある」と述べた。急速な感染拡大に歯止めをかけ、ピークに達する期間をなるべく遅らせたいとの見方も示した。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」より10年早い2040年までの排出量実質ゼロをめざす有志の企業連合「クライメート・プレッジ」の賛同企業が300社を超えた。半年あまりで1.5倍に増えたが日本からは2社のみ。取引先を含む脱炭素計画が必要でハードルが高い。環境・社会・企業統治(ESG)投融資の獲得競争が激化するなか日本企業も対応を迫られる。
米バイオ医薬品大手バイオジェンは22日、日本の製薬大手エーザイと共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」について、欧州連合(EU)の欧州医薬品庁(EMA)に販売承認申請の取り下げを伝えたと発表した。
EMAは昨年12月に同薬の販売承認を拒否する勧告を出し、バイオジェンが再審議を求めていた。その後、EMAの委員会から、承認するにはデータが不十分との見方を伝えられたため、申請を取り下げることにした。
同薬は昨年6月に米国で承認されたが、有効性に疑問の声が上がり、販売に苦戦。日本の厚生労働省も同12月、承認を見送った。
●その他産業
米ネットフリックスの高成長が転機を迎えた。この10年で初めてとなる会員の減少をきっかけに株式市場が抱いていた期待が一気にはがれ、時価総額は1週間で約7兆円減った。新型コロナウイルスの感染が落ち着いて外出を再開した消費者の選択肢は広がり、会員を獲得するコストは2倍に膨らむ。動画配信サービスの激しい競争だけでなく、世界的なインフレなど経営環境は厳しさを増している。
●決算関連
2022年2~4月期の売上高が10%台前半から半ばの減少になる見通しだと発表した。従来予想は1桁台半ばから後半のマイナスだった。インフレなどマクロ経済の動向や、傘下の主力ブランド「オールドネイビー」の販売不振を理由に挙げた。同ブランドを統括するナンシー・グリーン社長兼最高経営責任者(CEO)の退任も発表した。
オールドネイビーの不振は物流の混乱といった外的な要因に加え、新型コロナウイルス禍が下火になるなかで同ブランドが強みとするカジュアルウエアからドレスやデニムなど外出用の服へと消費が移っていることが背景にあるとみられる。22年通期の売上高予想は5月26日の2~4月期の決算発表時に発表する。
2022年3月期の連結最終損益が1450億円の赤字(前の期は4046億円の赤字)になったと発表した。赤字幅が従来予想から450億円拡大し、過去2番目の赤字規模となる。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大の影響で旅客需要が再び落ち込んだほか、燃料価格の高騰でコストが膨らんだ。
ベライゾンはまた、AT&TとTモバイルUSとの激しい競争にもさらされている。そうした状況も背景に、ベライゾンは通期の売上高についてほぼ横ばいと予想。従来は3%増を見込んでいた。また利益についても、従来会社予想の下限になるとの見通しを示した。
マット・エリス最高財務責任者(CFO)は22日のインタビューで、ガソリン価格上昇を例に挙げ、状況は年初の時点から極めて大きく変わったと指摘。現在見られるような高インフレは、計画を立てる上での前提として織り込まれていなかったと説明した。
ベライゾンの市場シェアはAT&TとTモバイルに徐々に奪われつつある。ベライゾンでは1-3月(第1四半期)、電話顧客が3万6000人の純減となった。減少数はアナリスト予想より小幅にとどまったが、同社では特典拡充で費用がかさんでいる。
売上高は2.7%減の97億5000万ユーロ(約1兆3600億円)と、ブルームバーグがまとめた市場予想(92億7000万ユーロ)を上回った。
ティエリー・ピエトン最高財務責任者(CFO)は発表資料で、市場に「ウクライナでの戦争と半導体危機、インフレで深刻な混乱が生じた」と指摘した。同社は半導体の供給不足で今年の生産台数が約30万台減ると引き続き予想する一方、受注状況は好調だと説明した。
ロシアでの売上高は16%減の9億ユーロ。ルノー傘下のアフトワズが5億2700万ユーロを占めた。
●マクロ・その他
4月の米国の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合が55.1と前月から2.6ポイント下がり、3カ月ぶりに悪化した。高インフレの継続が消費者の購買意欲を冷やすとの懸念が広がり、サービス業の活動を圧迫した。ユーロ圏の総合PMIは前月比で改善し、米欧で方向感が分かれた。
コロナの感染が落ち着くなか、飲食・宿泊や航空などのサービス需要は引き続き持ち直している。ただ賃金や資材価格などコストの上昇やインフレが需要減を招くとの懸念が景況感の重荷になった。
製造業は59.7と0.9ポイント上がり、3カ月連続で改善した。海外顧客の需要回復で輸出用の受注が上向いている。
米経済は旺盛な需要というプラス面と、インフレや供給網の混乱、人手不足といったマイナス面が綱引きをする状況が続く。S&Pグローバルのクリス・ウィリアムソン氏は「景気の先行きや金融引き締めへの懸念も高まっているが、成長や雇用のペースは比較的堅調といえる」と指摘する。
4月のユーロ圏の総合PMIは55.8と前月から0.9ポイント上がり、2カ月ぶりに改善した。
米国とは対照的にサービス業の改善が目立ち、2.1ポイント高い57.7と8カ月ぶりの高水準になった。域内でコロナ対応の行動規制が段階的に緩和されたのを受け、旅行やレジャーなどの需要が持ち直した。製造業は55.3と1.2ポイント下がり、1年3カ月ぶりの低水準に沈んだ。自動車生産の停滞が響いた。
ロシアによるウクライナ侵攻で生じた資源高は欧州経済の重荷になる。ドイツでは3月の生産者物価の前年同月比の伸び率が30.9%と統計で遡れる1949年以降で最高になった。販売価格への転嫁も進み、ユーロ圏の消費者物価の上昇率は今夏にかけて9%近くに高まるとの予測もある。S&Pグローバルのウィリアムソン氏は経済再開に伴う回復が一巡すれば「サービス業は急激に冷え込む可能性がある」とみる。
2022年4月前半の消費者物価指数は、前年の同じ時期と比べて7.72%上昇した。01年1月後半以来、約21年ぶりの高水準だった。メキシコ銀行(中央銀行)は利上げを続けているが、食料品を中心としたインフレを抑えられていない。
4月前半は食料品と飲み物、たばこの価格が前年の同じ時期と比べて10.68%上昇した。野菜と果物の価格も17.26%上がった。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は前年の同じ時期と比べて7.16%上昇した。インフレ率は米ブルームバーグ通信がまとめた事前の市場予想を上回った。
S&P住宅建設株価指数が2021年末から21日までに29%下げ、下落率は同500種株価指数(8%)を上回る。金融引き締めで住宅ローン金利は12年ぶりの高水準となり、住宅の購入が減って市場が冷え込む可能性が高まる。建材から建設、家具など関連産業にも売りが広がり、個人消費への影響も懸念される。
インタビューで関税撤廃について問われ、「中国に関する通商戦略を慎重に見直しているところだ」と発言。「検討する価値はある。インフレに対応するためにできることをしたいのは確かで、一定の望ましい効果はあるだろう。検討している事柄だ」と述べた。
インタビューで「金融政策は市場の期待や動きを通じて経済に伝わっていくことを常に念頭に置いておきたい」と発言。「75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の衝撃よりも、こうした整然としたアプローチを私が支持するのはそれが理由だ。われわれの政策でやろうとしていることにおいて、それは必要ではないと考える」と述べた。
メスター総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で議決権を有する。
中国は米利上げの影響に対処できると、国家外為管理局(SAFE)の報道官を務める王春英副局長が述べた。人民元相場の下落や資本流出を懸念していない姿勢を示唆した。
最近の元相場の変動は市場に基づくもので、元の見通しは「基本的に安定している」と王氏は22日の記者会見で語った。「外国為替市場の弾力性が高まり、中国には米金融当局の政策調整に適応するための基盤と状況が備わっている」と述べた。
ウクライナでの戦争が激化し、ロシア産の石炭や石油、天然ガスの輸入禁止で電力会社などが制約を受ける事態になれば、ドイツ経済は今年約2%のマイナス成長となる恐れがある。ドイツ連邦銀行(中央銀行)が月報で予測した。
最新予測に基づくと、同国の国内総生産(GDP)は欧州中央銀行(ECB)が3月に示した基本シナリオと比べて約5ポイント押し下げられる。
今年のインフレ率についてはECBによる3月時点の予測を1.5ポイント上回り、来年は2ポイント上回ると予測されている。
連銀は今年1-3月(第1四半期)のドイツ経済は「ほぼ停滞した」とみており、戦争による経済の影響は不透明であり、今後の動向に左右されると指摘した。
英国の3月の小売売上高は予想以上のペースで落ち込んだ。生活費の急騰で所得が目減りした上、4月に予定される増税とエネルギー価格の上昇を控えて消費者が支出を絞った。
英政府統計局(ONS)の22日の発表によると、店舗とオンラインでの販売を合わせた3月の小売売上高は前月比1.4%減少した。市場予想は0.3%減だった。2月は0.5%減。
パウエル議長は国際通貨基金(IMF)主催のパネル討論会で、5月3、4両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合に関し、「50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)が検討されるだろう」と述べた。また、人材需要が「過熱し、持続不可能なほどだ」と指摘した。
議長発言は米金融当局として旺盛な労働需要の沈静化に直接狙いを定めた形だが、米国の労働者や経済全体の成長見通しだけでなく、当局自体にとっても大きなリスクをはらむ戦略といえる。11月に中間選挙を控え、物価高騰が国民の主要な関心事の一つになっている状況が背景にある。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズのグローバル経済担当責任者、イーサン・ハリス氏は「リセッション(景気後退)に陥るかどうか、とても予断を許さない状況になりそうだ。金融政策を引き締めの領域に移行させる必要があり、恐らく何らかの形で失業率悪化を招かざるを得ないだろう」と分析した。
約40年ぶりの高インフレ抑制のため、「1回ないしそれを上回る回数」の0.5ポイント利上げが適切となる可能性に多くの当局者が言及したという3月のFOMC議事要旨にパウエル議長は触れ、これにより6月も0.5ポイントの追加利上げが決定されるとの観測が強まった。
投資家は5、6月に加え、7月のFOMC会合での0.5ポイント利上げも恐らく織り込みつつある。ブルームバーグ・エコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、エレーナ・シュルヤティエバ氏も議長の発言について、「5月の50bp利上げに同意したが、6月もそうであり、多分もっとあると思う」との見方を示した。
米金融当局者らは現在、政策金利を早急に非緩和的な水準に引き上げようとしており、景気抑制的な引き締めの領域まで利上げを進めることもあり得る。パウエル議長は当局として物品価格高騰の緩和やサプライチェーンの制約改善をもはや予想しないと発言。物価圧力がサービス価格にも波及する現状を追認したものとも受け取れる。
中欧スロベニアで24日、議会選挙(下院)の投開票が実施され、中道左派の新党「自由運動党」の勝利が確実な情勢になった。有権者の関心の高い環境政策の強化を訴え支持を広げた。ヤンシャ首相率いる中道右派の与党「民主党」は敗れ、ポピュリズム(大衆迎合主義)色が濃い政権は退陣する見通しだ。
ヤンシャ氏はトランプ米前大統領を強く支持していることで知られる。メディアへの圧力を強め、言論の自由を軽視しているとの批判を浴び、欧州連合(EU)とも度々対立してきた。2021年5月には首都リュブリャナで反政府集会が開かれた。有権者の支持離れが止まらず、自由運動党がその受け皿になったとみられている。
20年に比べると、物価変動の影響を除いた実質ベースで0.7%増えた。増加は7年連続。名目ベースでは6.1%増だった。
最も支出が多いのは米国で8010億ドルだった。前年から実質で1.4%減。米国はこの10年でも6.1%減らしている。一方で、軍事分野の研究開発費は12年以降24%増えており、SIPRIは「既存システムへの大規模な支出よりも、新技術の開発を優先しているようだ」とみる。
2位の中国は前年比4.7%増の2930億ドルと27年連続の増加だった。米国と中国で世界の軍事支出の半分以上を占める。インドが3位、英国が4位と続いた。
ロシアは5位で、3年連続で支出を増やして659億ドル。SIPRIのベローシュドロー氏は「石油とガスからの豊富な収入が軍事支出増に貢献した」と分析した。ロシアの軍事侵攻を受けているウクライナの支出は前年比では8.5%減ったが、ロシアが一方的にクリミア半島を併合した14年からは72%増えている。
一方、中国との南シナ海や東シナ海での緊張の高まりは、日本やオーストラリアなどの軍事費増加につながっている。9位の日本は541億ドルと7.3%増で、増加率は1972年以降で最も大きかった。オーストラリアも4.0%増やした。
ミュール氏は中国政府がハイテクセクターの締め付けを継続していることについて、「こうした差し迫ったリスクがそこにあるのに、市場では誰も十分に注意を払っていないように感じられた」と、今月のインタビューで振り返った。「中国株のリスクプレミアムが実際にどの程度なのか誰にも分からない。市場はいまだ探っている過程にあるからだ」と述べた。
「マクロ状況は非常に厳しい。不動産セクターが極めて大きな問題を抱えていることは明らかであり、複数の大都市が完全に封鎖されている」とミュール氏。「こうした要因全てが消費者の信頼感を深刻に傷つけている」と述べた。
●市況
日経先物(大証)26703、ダウ先33611、債先149.04、米2.905、独0.9650、仏1.416、西1.926、伊2.679、波6.286、原油101.75、ドル円128.57、墨ペソ20.23、トルコリラ14.7427、墨CDS131
※4/22NY引け値

備忘録(4/21)
●ウクライナ
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
米航空大手の1~3月、赤字続くも「出張需要が急回復」
3社合計の売上高はコロナ流行前の19年1~3月期比で16%減の258億ドル、最終損益は39億5200万ドルの赤字と21年1~3月期の37億ドルを上回った。燃料高騰や人件費の増加が収益を圧迫した。赤字は2四半期連続だ。ただ新型コロナウイルスの変異型の影響は軽微にとどまっており、各社トップは出張など法人需要の回復と4~6月期以降の黒字化に自信を示した。
赤字になった最大の要因は原油高に伴う燃料の高騰だ。アメリカンの1ガロン(約4リットル)当たりの燃料費は22年1~3月に2.80ドルで、前年同期比で65%上昇した。ユナイテッド航空では、旅客収入が19年1~3月と比べ27%低い水準にとどまったにも関わらず、全体の燃料費は同10%上回った。
「オミクロン型が広がってからの需要回復は早かった」(アメリカンのロバート・イソム最高経営責任者=CEO)「私が30年間航空業界に身を置くなか、最も強い需要を経験している」(ユナイテッドのスコット・カービーCEO)。赤字拡大とは裏腹に、各社トップの発言は強気だった。燃料高騰は22年4~6月期も続き、アメリカンでは1~3月期と比べさらに3割上がるとみる。それでも3社はそろって4~6月期に黒字転換する見通しを示した。
米国内線に限っては個人の旅行需要は堅調に回復しており「コロナ前の水準を超えた」(デルタのエド・バスティアンCEO)。各社が回復への自信を深める新たな要因は、低迷が続いていた法人需要の復調だ。単価が高く、アメリカンではコロナ前に法人による米国内線の利用が売上高全体の3割を占める重要な収益源だった。
デルタでは22年1~3月に米国内線の法人向け売り上げが19年1~3月に比べ7割の水準に回復した。アメリカンでも月を追うごとに回復し、22年3月は19年3月比で85%の水準まで戻した。
ユナイテッドのカービー氏によると「特に大企業による予約が急回復している」という。法人需要の回復は運賃の底上げにも寄与する。デルタでは22年3月、法人予約の運賃が初めて19年の水準を上回った。顧客企業へのアンケート調査では、9割が22年4~6月期に出張を増やすと回答した。
今後の見通しを左右するのが国際線だ。米国と欧州をつなぐ大西洋路線は「夏には力強い需要をみるだろう」(バスティアン氏)と休暇需要に期待を寄せる。各社は増便で対応する。
一方、アジア路線は「完全回復からはほど遠い」(カービー氏)。22年3月にかけて水際対策を緩和した韓国やオーストラリアでは強い需要回復がみられたが「日本と中国は引き続き強い制限があり、完全解除までは太平洋路線の回復の重荷となり続けるだろう」(バスティアン氏)と先行きを厳しくみる。アジアの中でも地域別に濃淡が生じ始めている。
21年は従業員の呼び戻しや採用が需要回復に追いつかず、会社によっては数千便をキャンセルする事態も起きた。「全ての航空会社にとって夏の人材確保が課題となる」(米投資会社カウエンのヘレン・ベッカー氏)。
大手各社は急ピッチで採用を増やしている。アメリカンの22年3月末時点の従業員は12万7000人と、1年前と比べ12%増えた。今年に入ってパイロットも既に600人増やしたという。ある大手の客室乗務員は「毎週のように新規採用のメンバーが加わっている」と話す。
採用増は人件費の増加をもたらす。デルタでは旅客収入が19年に届かないにも関わらず、22年1~3月期の人件費は19年同期比で3%増えた。燃料費に人件費増という収益の圧迫要因が加わり、需要回復で相殺できるかが焦点となる。米資産運用会社、アライアンス・バーンスタインのデービッド・バーノン氏は「今後の焦点は、航空会社がどこまで運賃を引き上げられるかだろう」と指摘する。
21日の米株式市場で、アメリカン航空グループなど航空株が大幅高。同社は企業による利用や国際便の渡航が回復しつつあり、4-6月(第2四半期)は黒字を見込んでいると明らかにした。
アメリカンが21日発表した1-3月(第1四半期)決算によれば、売上高は新型コロナウイルス感染がパンデミック(世界的大流行)となる前の水準の84%にまで回復。企業のオフィス勤務再開や、世界的に渡航制限が解除・緩和されたことが背景にある。第2四半期の売上高については、2019年の水準を最大8%上回るとの見通しを示した。第1四半期の赤字額はアナリスト予想より小幅にとどまった。
アメリカン航空の第1四半期調整後1株損益は、1株当たり2.32ドルの赤字。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均は2.42ドルの赤字だった。売上高は889億ドル(約11兆4100億円)、市場予想は882億ドル。
米通信大手AT&Tが21日発表した1-3月(第1四半期)決算は、無線通信契約者数が市場予想を上回る伸びとなった。携帯端末の無料提供が引き続き顧客獲得につながっている。
無線通信の契約者数は69万1000人の純増。アナリスト予想は43万7000人増だった。売上高は381億ドル(約4兆8800億円)で、一部項目を除いた1株利益は77セント。どちらもアナリスト予想を上回った。
同社は今月、メディアおよびストリーミング事業の分離を完了。19日にネットフリックスが発表した決算が投資家の失望を誘い、株価急落がメディア企業全般に及んだことを考えると、AT&Tのメディア事業切り離しは時宜を得た形となった。
2022年1~3月期決算は、純利益が前年同期比20%増の6億400万ドル(約770億円)だった。自動化ニーズの高まりなどから産業用機械・ITサービス事業の引き合いが強い。受注高は同21%増の93億7300万ドルに拡大した。
売上高は1%増の69億6500万ドルだった。産業用ロボットやプロセス自動化事業で部品不足から顧客への納期遅れが発生し、微増にとどまった。22年3月末時点の受注残高は189億ドルと前年比28%増えた。
ABBは事業再編を進めている。18年には日立製作所に送配電など電力システム事業を売却。さらに今期中、ターボチャージャー事業からの撤退、電動モビリティー事業の分社化・単独上場などを計画している。
ビョルン・ローゼングレン最高経営責任者(CEO)は「ウクライナ情勢など外的な不確実性はあるものの、今期は収益性の改善やキャッシュフローの積み増しに期待したい」とコメントした。
1~3月の売上高は前年同期比5.4%増の222億3800万スイスフラン(約3兆円)で、通年の売上高見通しは約5%増で据え置いた。今後さらにコスト高が進み、インフレによって消費が鈍れば業績にも影響する可能性がある。
2022年1~3月期に製品の価格を前年同期に比べ5.2%上げたと発表した。インフレが世界的に進む中、コストを価格に転嫁した。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギーや食料品価格は上昇している。同社は今年中にさらに値上げするとしており、消費の鈍化につながる可能性もある。
マーク・シュナイダー最高経営責任者(CEO)は「コストインフレは急激に進み続けており、今年中にさらなる価格調整が必要になるだろう」と述べた。
インフレを受けた製品の値上げは世界で広がっている。米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は20日に5%の値上げを発表した。オランダのビール大手ハイネケンもさらななる値上げの可能性を表明している。
●マクロ・その他
ウォール街でかつて不明瞭だった一角に、先見の明があり潜在的に非常にもうかる取引パターンが形成されており、米当局が疑念を抱いている。
その一角とは特別買収目的会社(SPAC)の世界だ。投資家から資金調達してから買収先企業を物色する「白紙小切手会社」とも称されるSPACは、近年市場に多数上場している。そしてもうけるための手段は、株式ワラント(新株予約権)で、ワラントの保有者は将来、特定の価格で株式を購入する権利を与えられる。SPACは多数のワラントを発行している。
気になる取引パターンの始まりは誰かがSPACのワラントを大量に購入する時だ。1日当たりの売買高が通常の水準の10倍、20倍、60倍にさえ膨らむこともある。2、3週以内にはSPACが買収する企業を見つけたという話が浮上し、ワラント価格の急騰につながるケースが多い。
ブルームバーグが2018年後半以降に発表された300件近い合併を検証したところ、ワラント取引のこうした急増が事前に見られるのはSPAC関連ディールの4件に1件程度の割合だ。潜在的な利益は目覚ましいレベルとなる可能性がある。ワラントの買い手がわずか数日ないし2、3週間保有すれば、投資額が2倍以上になるケースは十数件あり、ワラントが888%急騰したケースもあった。
事情に詳しい複数の関係者によれば、米証券取引委員会(SEC)は現在、ディール前に行われたワラント売買が内部情報に基づいて違法に行われたかどうかを見極めるため調査を進めている。SECは米金融取引業規制機構(FINRA)が運営するものも含め、市場監視システムから注意喚起があったタイミングの良い賭けに関する追加報告を精査しつつ、調査を拡大する可能性がある。
SPACの合併発表前のワラント売買は何ら問題のないものである可能性もある。買収標的企業探しに関するSPACの最新情報や、交渉が始まったとする報道などに投資家が反応する可能性はある。それでも、ブルームバーグはワラント売買が急増したケースの約3分の2について、それを説明する公開情報を見つけられなかった。最ももうけの大きかった数件も含まれる。
SECとFINRAの広報担当はコメントを控えた。当局が検証しているワラントは不明。調査開始は当局が執行措置に出ることを必ずしも意味しない。
マン氏は21日、講演後の質疑応答で、「インフレを抑制しておくために0.25ポイントかそれ以上の追加利上げが必要かどうかを検討することが可能だ」と述べた。
マン氏の発言後、短期金融市場は英中銀が5月の会合で0.5ポイントの利上げを実施する確率を50%前後織り込み始め、英国債利回りが上昇。2年債利回りは13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し1.71%と、13年ぶりの高水準。10年債利回りは2015年以来初めて2%を超えた。
4月の製造業景況指数は17.6で前月から9.8ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(21.9程度)を下回った。
個別項目では、「新規受注」が17.8で8.0ポイント、「出荷」が19.1で11.1ポイントそれぞれ低下した。一方、前月に統計開始以来の最高を記録した「雇用者数」はさらに2.5ポイント上昇し41.4となった。
インフレ圧力は一段と強まり、「仕入れ価格」は3.6ポイント上昇の84.6となり1979年6月以来の高さとなったほか、「販売価格」も0.6ポイント上昇の55.0だった。
また今後の景況見通しが14.5ポイント低下の8.2となり、大きく落ち込んだ。高インフレやロシアのウクライナ侵攻などで先行きへの不透明感が高まっていることを示した。
解雇されて失業保険を受け取っている人の数を示す総受給者数も減少傾向が続く。解雇が減っているのに加え、求人が豊富で保険を受給してもすぐに再就職できるのが要因とみられる。
労働省によると22年2月の失業者数627万人に対し、求人件数は1126万6000件もあった。直近の失業率は3.6%に下がっており、働きたい人がほぼ全員仕事に就くことができる「完全雇用」に達しつつある。
世銀は建物やインフラなどロシアの侵攻による直接的な被害額をおおむね600億ドル(約7.7兆円)とする評価を公表した。日本を含め、各国からすでに融資などで30億ドル以上の資金が集まっていることも明らかにした。
マルパス氏は「民間人に対する残虐行為で生命や何百万人もの生活が奪われたことに、恐怖と深い衝撃を受けている」とロシアの侵攻を批判した。今後、必要な資金を「戦争が続く間の金融・財政支援」「和平後6~8カ月の基幹インフラ再建」「中長期的な都市・家計の再建」の3段階に分けて説明。長期間にわたってウクライナの予算を支援する必要があると指摘した。
オンラインで参加したゼレンスキー大統領はロシア軍が駅や食料販売店といった生活の基盤を破壊しているとして、経済的な支援の必要性を訴えた。シュミハリ首相は間接的な被害額まで含めると5600億ドルを損失したという分析を示した。
●市況
日経先物(大証)27120、ダウ先34681、債先149.07、米2.921、独0.9335、仏1.393、西1.876、伊2.606、波6.184、原油103.54、ドル円128.40、墨ペソ20.18、トルコリラ14.7047、墨CDS128
※4/22 8時55分頃

備忘録(4/20)
●ウクライナ
クレジットデリバティブ決定委員会は20日、ロシアがドル建て国債2本に関する支払いを契約に反してルーブルで行ったことについて、「潜在的な支払い不履行」が発生したとの判断を示した。
ロシアによる支払いがクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引のクレジットイベント(信用事由)に該当するかについて、委員会は判断を求められていた。
今回の判断により、CDS保有者は30日間の猶予期間が切れる5月4日までにドルで支払いがない場合、CDSの保証に基づく支払いを受けられることになる。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
日本航空(JAL)は20日、6~7月の東アジア方面などの国際線運航計画を発表した。当初計画に対する運航数を示す国際線運航率(2020年度計画比、便数ベース)を一部路線を除き、6月は40%、7月は48%に引き下げた。3月の前回発表(北米線などのみ)時は6月が54%、7月は62%だった。中国で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、アジアで大幅な減便を続ける。
●その他産業
同社の19日発表によると、1-3月(第1四半期)のストリーミングサービス会員数は20万人の純減となった、会員減少は2011年以来。4-6月(第2四半期)にはさらに200万人減るとの予想を示した。
米動画配信サービス、ネットフリックスの株価が20日の米市場を35%安で引けた。日中ベースで2004年以来の大幅安となり、過去数年で築いた上昇分を失った。会員数が減少した衝撃と、長年拒否してきた広告付きプランを導入する計画が嫌気され、投資家に罰せられた格好だ。ネットフリックス株はS&P500種株価指数の採用銘柄で今年最悪のパフォーマンス。衝撃はメディア業界全体に及び、ワーナー・ブラザーズやディスカバリーなども下げた。モフェットネイサンソンのアナリスト、マイケル・ネイサンソン氏は「とにかくショックだ」と語った。
●決算関連
2022年1~3月期決算は、前年同期比7%増収/3%最終増益。風邪薬や店頭薬などヘルスケア用品の販売が13%増と堅調だった。主力のファブリック・家庭用洗剤用品事業の売上高は7%増えるなか、商品の値上げにより素材価格や輸送費などコスト増を吸収した。
シュルテン最高財務責任者(CFO)は消費者の値上げへの反応について「予想したよりポジティブだ」と述べ、値上げによる顧客離れは限定的との見方を示した。
22年通期の売上高は従来予想の3~4%増から4~5%増に引き上げた。地政学的な緊張の高まりや新型コロナウイルスの封じ込めを狙う中国での生産拠点の停止など「すべてがコスト高に結びつく地合いにある」(同CFO)という。
半導体露光装置や監視カメラが想定よりも伸びる。インフレに伴い原材料価格が上昇しているが、設計の見直しなどでコストを下げ、製品を値上げして吸収する。
●マクロ・その他
米制裁を受けて中国の華為技術(ファーウェイ)が分離したブランド「オナー」のスマートフォンを分解したところ、部品の4割が米国製だった。ファーウェイが製造していた2020年モデルの1割から急増した。高速通信5Gに使う半導体などの中核部品は米国製に変わり、依然として高機能な「中華スマホ」の完全な内製は難しいことを浮き彫りにしている。
3月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は577万戸で、前月から2.7%減った。2カ月連続の減少で2020年6月以来1年9カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。住宅ローン金利の急騰が需要を冷やし始めた。
前年同月比でも4.5%減った。販売価格(中央値)は37万5300ドル(約4800万円)で、前年同月比15.0%上昇した。
NARのエコノミストは「住宅ローン金利の急激な上昇と高インフレが購買力に打撃を与え始めた」と指摘。その上で、ローン金利のさらなる上昇が見込まれていることから、年間の販売件数は約10%減り、価格上昇率も5%程度に鈍化するとの見方を示した。
メキシコで19日、国内にあるリチウム資源を国有化するための鉱業法の改正が成立した。ロペスオブラドール政権が提出した改正案をメキシコ議会上院が賛成多数で可決した。今後は原則として民間企業の採掘を認めず、国営企業が独占する見通しだ。メキシコでリチウム採掘をめざしていた外国企業に逆風となる。
ロペスオブラドール大統領は20日、定例の記者会見で「リチウムは戦略的な鉱物だ。(鉱業法の成立で)メキシコ人の資源を外国企業に搾取されるのを防ぐことができた」と述べた。メキシコ政府は保護主義的な政策を打ち出しており、進出する外国企業は警戒感を強めている。
国際通貨基金(IMF)は20日に公表した「財政モニター」で、先進国が相次ぎ打ち出しているエネルギーや食料の価格抑制策に懸念を表明した。7割近くの先進国が財政措置を公表したと指摘。政府が国内価格を押し下げることで本来は減るべき需要が抑えられず、国際価格の上昇が一段と進む副作用があるとけん制した。
欧州自動車工業会(ACEA)が20日発表した1~3月の欧州主要18カ国の新車販売台数(乗用車)は、前年同期比11.2%減の247万9444台だった。世界的な半導体不足に加え、ロシアによるウクライナ侵攻で一部の車載部品の供給が滞った影響が続いている。
3月単月での販売台数は前年同月比19.6%減の102万3217台だった。マイナスは9カ月連続。半導体不足は23年まで続くとみられているうえ、ウクライナ情勢の長期化から、新車の供給不足は解消の見通しが立っていない。
欧州最大市場のドイツは5%減の62万台だった。フランスは17%減の36万台、イタリアも24%減の33万台と、主要国で軒並み大きく販売台数が落ち込んだ。
メーカーグループ別では、首位の独フォルクスワーゲン(VW)が販売台数を15%減らした。シェアは23.5%と1.1ポイント下げた。2位は22%減の欧州ステランティスで、シェアは2.7ポイント減の20%だった。独メルセデス・ベンツグループは11%減、独BMWグループも12%減と、ともに販売台数はふるわなかった。
カザークス・ラトビア中銀総裁は、7月の利上げもあり得ると発言した。「顕著な」インフレリスクがあると指摘、年内に恐らく追加引き締めも必要になるだろうとの認識も示した。
カザークス氏はブルームバーグとのインタビューで、「7月利上げはあり得ることで、今年後半について市場が織り込んでいる展開に異を唱える理由が私にはない」と語った。「ECBは着実に政策正常化の道を歩んでおり、段階的で漸進的なアプローチで金利をまずゼロに、そしてプラスにしていく」と述べた。
カザークス氏は「金融市場に大きな緊張は見られない。従って、7-9月(第3四半期)の早い段階での量的緩和(QE)終了が可能であり適切だと思われる。6月末に可能かどうかは最新の経済予測を入手した時点で協議する必要がある」と語った。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長をはじめ、複数の当局者が必要とあれば0.5ポイント利上げの用意があるとの認識をこれまでに示している。セントルイス連銀のブラード総裁は18日、75bp利上げの可能性を排除するべきではないとしながらも、それは自分の基本シナリオではないと述べた。
短期金融市場では年末までに合計で228bpの利上げが予想されている。
5月の連邦公開市場委員会(FOMC)での「0.5ポイントの利上げが実に堅実である論拠が見られる」と指摘。「少なくとも経済に中立的な水準に金利を調整することが適切な政策だという幅広い理解がある」とし、2.5%がその水準の「合理的な予測だ」と語った。
バランスシートに関しては「5月のFOMCでもちろんバランスシート縮小を取り上げ発表することができる」とし、「経済は回復力があり、こうした調整に対処可能だ」との認識も示した。
ベージュブックは「インフレ圧力は前回報告以降も強いままで、企業は急速に上昇する投入コストを引き続き顧客に転嫁している」と記述している。
供給コストの上昇は一部企業に値上げを迫っていることが今回のベージュブックでは明らかになった。例えば、ニューヨーク地区の多くの企業は「さまざまな供給品」で投入コストが上昇しており、さらなる上昇を見込んでいるという。ベージュブックは「今後数カ月で販売価格の引き上げを計画している企業の割合は多く、そして増えている」とした。
金融当局者らは、景気後退(リセッション)を招くことなく物価上昇ペースを鈍化させることが可能だと述べているが、サプライチェーンの混乱が長引けばこの目標はより困難になる可能性がある。
●市況
日経先物(大証)27473、ダウ先35182、債先149.25、米2.853、独0.8575、仏1.329、西1.788、伊2.472、波6,062、原油102.36、ドル円128.43、墨ペソ20.01、トルコリラ14.6729、墨CDS128
※4/21 9時35分頃

備忘録(4/19)
●ウクライナ
プーチン氏は16日、ロシア企業に外国株式市場での上場廃止を義務付ける法改正に署名した。2014年のクリミア併合以来、国内企業には外国株式市場から引き揚げるよう促していたが、強制的な手続きに踏み切った。
これでロシアトップの富豪、ウラジーミル・ポターニン氏や鉄鋼業で財を成したウラジーミル・リシン氏、アレクセイ・モルダショフ氏らは、事業の保有構造の変更を迫られる可能性がある。富豪らは保有企業をニューヨークやロンドン、フランクフルトなどの市場に上場させ、外貨で配当金を受け取っている。
●コロナ
統計局は19日、中国の不動産セクターが1-3月に3四半期連続で縮小したと報告。不動産業界のGDPは前年同期比2%減った。1-3月の経済活動に関する項目別の詳細によると、不動産業界は全セクターで最も大きく縮小した。不動産業界の昨年10-12月(第4四半期)GDPは2.9%減だった。
●中国不動産
中国国家統計局によると、3月の新築マンション販売面積は前年同月比23%減少した。2021年7月からマイナスに転じ、減少率は縮まらない。前月と比べた主要70都市の新築価格も3月まで7カ月連続で下落している。事実上の都市封鎖(ロックダウン)など「ゼロコロナ規制」も追い打ちをかける。
中国メディアによると、経済が発展する沿岸部にある江蘇省の省都、南京市が11日、同市の戸籍を持たない人の購入制限を緩めた。同市で社会保険料や税を納めていなくても、一部地域で1軒買えるようにした。福建省の省都、福州市も3月、域外出身者の税などの納付条件をなくした。
甘粛省の省都、蘭州市も5日、住宅購入規制の見直しを発表した。対象は域外から高齢の父母を呼び寄せて扶養したり、2人以上の子を育てたりする世帯だ。市中心部などでの新規購入を認める。
黒竜江省ハルビン市は18年から、住宅購入後3年間の所有を義務付けていたが、この売却規制を撤廃した。山東省青島市の一部地域も保有義務期間を短縮した。
売買規制の緩和などで、住宅需要がどれだけ回復するかは見通しにくい。初めて住宅を買う人が多いとされる25~34歳の人口は、長年の産児制限の影響で減少している。家計の所得不安も新型コロナのまん延をきっかけに強まっている。
シンクタンクの中国指数研究院は「マンション販売は年後半に少しずつ回復するが、通年では前年実績を下回る可能性が高い」と分析する。
もう一つの懸念はマンション投機だ。省都クラスの都市は周辺地域から人口が流入しやすい。中小都市と比べて、マンションの資産価値も上がりやすいと言える。売買規制の緩和で富裕層による2軒目以降の購入という投機的取引が増えれば、物件に手が届かない若年層らの反発を強めかねない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
ブラックストーン、米学生寮REITを買収 1.6兆円
●決算関連
米IBM、1~3月期8%増収 クラウド事業など好調
2022年1~3月期決算は売上高が前年同期比8%増の141億9700万ドル(約1兆8300億円)で、市場予想(138億5000万ドル)を上回った。クラウド事業や企業向けのコンサルティング事業が伸びた。継続事業からの純利益は64%増の6億6200万ドルで、全体の純利益は23%減の7億3300万ドルだった。
部門別の売上高では、19年に買収したソフトウエア大手のレッドハットを含むソフトウエア部門が12%増の57億7000万ドル、コンサルティング部門は13%増の48億3000万ドルだった。部門にまたがるハイブリッド・クラウド事業の売上高は14%増の50億ドルで、過去12カ月間の売上高は208億ドルと17%増えた。一方、ハードウエアを含むインフラストラクチャー部門の1~3月期の売上高は2%減の32億2000万ドルだった。
●マクロ・その他
3月の米住宅着工、0.3%増 2カ月連続プラス
3月の住宅着工件数は179万3000戸(季節調整済み、年率換算)で、前月の改定値から0.3%増えた。前年同月比では3.9%増えた。
主力の一戸建ては120万戸で前月比1.7%減ったが、変動の激しい5世帯以上の集合住宅が57万4000戸で7.5%増えた。
先行指数である許可件数も187万3000戸で前月比0.4%増だった。
住宅ローン金利の急騰で住宅販売には逆風が吹き始めており、住宅建設業者の景況感を示す全米住宅建設業協会(NAHB)の住宅市場指数は4カ月連続で低下した。ただ、住宅供給が大幅に不足しており、当面は建設の緩やかな増加基調が持続すると予測するエコノミストもいる。
世界経済見通しで、2022年の実質成長率を3.6%と前回1月の予測から0.8ポイント下げた。ロシアのウクライナ侵攻が資源高を通じたインフレを加速させ、抑制に向けた各国の利上げが経済を冷やす。戦争が長引けば負の連鎖が続き、経済は一段と停滞する恐れがある。
戦争の影響は欧州各国で大きい。ドイツではウクライナからの部品供給が滞り、フォルクスワーゲンなどの自動車工場が停止した。IMFによる22年の成長率予測は2.1%と、1月に比べて1.7ポイントの下方修正だ。ユーロ圏全体でも2.8%と1.1ポイント下げた。
ウクライナの成長率は22年にマイナス35.0%、ロシアも8.5%のマイナス成長となる。日本の予測は2.4%と、0.9ポイント下げた。
ロシアとウクライナの戦争は、資源や食料品の値上がりを通じて世界にインフレ圧力をもたらす。IMFは消費者物価上昇率の見通しを先進国で5.7%、新興国は8.7%に上方修正した。
中国は「ゼロコロナ」政策による都市封鎖(ロックダウン)が経済の減速を招いている。21年に8.1%だった成長率は、22年は4.4%に鈍化する見通しだ。中国の個人消費が落ち込めば、アジア諸国の1次産品輸出にも影響が広がる。
IMFは今回の見通しは下振れの余地が大きいとみる。懸念されるのが戦争の長期化だ。仮に今後の制裁拡大によってロシアの石油・ガス輸出がさらに減ると仮定すると、世界全体のGDPが23年に2%、27年に1%減る影響が出るとする。
ユーロ圏は特に影響が大きく、今年の成長予想は2.8%と、前回予想の3.9%から引き下げられた。
先進国・経済全体では3.3%、新興・発展途上国では3.8%の成長が見込まれている。それぞれ3.9%と4.8%から引き下げられた。
今年のインフレ率は先進国・地域で5.7%、新興・発展途上国では8.7%と予想。1月予想から大きく引き上げた。23年にはそれぞれ2.5%と6.5%に低下すると見込んでいる。インフレ期待が底離れし、中央銀行による引き締め強化につながるリスクをIMFは指摘した。
IMFの基本シナリオは紛争がウクライナ以外には広がらず、対ロシア制裁とロシア産エネルギー依存脱却を目指す欧州の計画が3月末までに発表された以上に強化されないことを想定している。
しかし見通しには異例に高い不確実性があり、リスクは圧倒的に下振れ方向だ。戦争の激化とロシア制裁の強化、予想以上の中国減速、新型コロナウイルスの強力な新変異種が出現し感染が再拡大することなどがリスクに挙げられる。また需給バランスがさらに悪化しインフレが長期化すれば、速いペースの利上げを中銀に迫る可能性もある。
IMFはさらに、ロシアに対する石油・ガス制裁が今年半ばに拡大し、商品相場の一段高につながりサプライチェーンが混乱、世界の金融環境が引き締まるというもう一つのシナリオも想定。その場合は欧州連合(EU)の域内総生産は23年に基本シナリオを約3ポイント下回り、世界の総生産は基本シナリオに2ポイント届かないとみている。 
IMFは先進国・経済の金融引き締めに伴い、新興市場国の債務水準が高まるリスクも指摘。一部でソブリン債の再編が必要になる可能性にも言及した。
世界の貿易は22年に5%拡大と予想。21年ペースの半分にとどまる見通し。
UBSの汪涛氏らエコノミストは18日の顧客向けリポートで、「経済への強い下押し圧力を考慮」し、国内総生産(GDP)成長率予想を5%から4.2%に引き下げた。バークレイズも同日、「コロナを巡る混乱が長期化するとの想定」で、成長率予測を0.2ポイント下方修正し4.3%に変更した。
UBSのエコノミストは「主にインフラ投資拡大や与信の伸び強化、不動産政策の緩和という形」で、政策支援が強まると期待しているとする一方で、政府が今年5.5%前後の成長率目標達成のために「必要なことは何でもする」ということもなければ、「コロナ政策を近く変えることもない」との見方を示した。
BofAは18日のリポートで、4.8%から4.2%に下方修正。BofAは産業が集積している上海を含む長江デルタ地域のロックダウンが5月半ばまで続く一方、全面的ロックダウンが他の主要都市や経済中心地に広がることはないと分析。ただ、部分的ないし完全な形で広がっていく弱気シナリオでは、ショックが長引き、今年のGDP成長率がわずか3.5%になる可能性もあるとした。
IMFは今年と来年の両方について、英国の成長率予想を1月の前回予測に比べ約1ポイントずつ下方修正した。高騰するインフレへの対処で金利が上昇し、生活費が高騰し投資が減速していることを理由に挙げた。
IMFは19日公表した世界経済見通し(WEO)で、英国のインフレ率を今年が7.4%、来年は5.3%と予測した。英国以外のG7諸国は全て、来年にはインフレ率が3%を下回ると予想されている。
インフレの衝撃は英国が最悪となる理由について、IMFは説明していない。だが、複数のエコノミストは英国が開かれた経済で、世界のエネルギー市場の価格に極めて影響を受けやすい点を指摘している。
マクロン氏の支持率は55.5%。対立する極右政党・国民連合(RN)マリーヌ・ルペン氏の支持率は44.5%だった。マクロン氏のリードは15日時点では8.2ポイントだった。
国家統計局のデータによると、1-3月期の半導体生産は4.2%減少。減少率は四半期ベースでは19年1-3月期(8.7%)以来の大きさ。3月は5.1%減少した。
習近平政権が新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めようとする中、半導体製造の主要拠点である上海市は1カ月にわたるロックダウン下にある。地方政府の往来制限で、中芯国際集成電路製造(SMIC)や華虹半導体など国内の大手半導体メーカーは一部部品の調達が困難になっている。
●市況
日経先物(大証)27307、ダウ先34812、債先149.07、米2.956、独0.8240、仏1.396、西1.890、伊2.606、波6.235、原油103.30、ドル円129.18、墨ペソ20.02、トルコリラ14.6541、墨CDS121
※4/20 9時30分頃

備忘録(4/18)
●ウクライナ
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
2022年1~3月期決算は、純営業収益が2%増、純利益が前年同期比12%減。FRBの金融引き締めやロシアのウクライナ侵攻で金融市場の変動が大きくなり、企業の株式発行などが減ったことで投資銀行業務の手数料収入が落ち込んだものの、融資の拡大や利ざやの改善で純金利収入は13%増と大きく伸びたことを主因に、1~3月期決算を発表した米金融大手6社のなかで唯一増収だった。
不良債権処理などに充てる与信費用は3000万ドルを計上した。前年同期は18億ドル以上の戻し入れが発生していた。ロシア向けの直接的な投融資残高は約7億ドルと開示したが、アラステア・ボースウィック最高財務責任者(CFO)は「長年にわたって減らしてきており、非常に小さい」と影響が軽微であることを強調した。
●マクロ・その他
メキシコ議会下院は17日、ロペスオブラドール大統領が提出した電力国有化に関する憲法改正案を否決した。野党議員の反対で憲法改正に必要な3分の2以上の賛成を得られなかった。憲法改正案に対しては米国政府や企業が投資環境を損なうと繰り返し批判していた。
ロペスオブラドール氏は議会での否決を受け、18日の記者会見で「(反対票を投じた議員は)国民よりも外国企業の利益を優先し、メキシコを裏切った」と述べた。憲法改正案は廃案となる。
ロペスオブラドール氏は2021年10月に下院に憲法改正案を提出した。民間事業者の許認可や電力売買契約を取り消し、国営電力公社CFEのシェアを54%まで高める案だった。民間企業は残りの46%を発電できるが、CFEに不利な契約を迫られかねないという懸念が高まっていた。
CFEは民間企業に比べて発電コストが高いと指摘されてきた。憲法改正が実現すれば、非効率なCFEの電源を優先することで電力価格が上がる可能性があった。CFEは再生可能エネルギーの発電量が少ないため、工場で使う電力の再生エネ比率を増やしたい企業からも批判の声があがっていた。
4月の住宅市場指数は77と、前月の改定値から2ポイント低下した。4カ月連続の低下で、2021年9月以来の低水準だ。住宅ローン金利の急騰が住宅建設業界の足かせとなり始めたことを示した。
NAHBのジェリー・コンター会長は「住宅ローン金利の急上昇と長引く供給網の乱れが住宅市場を不安定にしている」と指摘した。
新型コロナウイルスの流行による住宅需要の変化と歴史的低水準だった住宅ローン金利を背景に、関連市場の活況が続いていた。今後は金利上昇で需要の鈍化が予測されている。ただゴールドマン・サックスのエコノミストは「供給制約のある状況では完成した物件が空き家になる恐れがほぼないため、業者は建設を続ける」として、今後も住宅着工件数は減らないとの見方を示した。


備忘録(4/15-17)
●ウクライナ
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ロシア軍が南東部の港湾都市マリウポリの守備隊を全滅させた場合、ロシアとの停戦交渉を打ち切るとけん制した。ロシア国防省は同日、マリウポリの市街地を完全に掌握し、残るウクライナ側の部隊を包囲したと主張した。
ゼレンスキー氏は「マリウポリの我が兵が全滅すれば、いかなる形の交渉も終わるだろう」とウクライナのメディアに語った。タス通信によるとロシア国防省はマリウポリでウクライナ側部隊の人的損害が既に4000人を上回ったとし、降伏を勧告した。マリウポリはクリミア半島につながる要衝で、ロシア軍が包囲攻撃を続けている。
米戦争研究所は15日、ロシアとウクライナの停戦交渉が「事実上破綻した」と指摘し、向こう数週間は真剣な交渉に入る用意が双方にないとの分析を公表した。ロシアが攻勢を強めるドネツク、ルガンスクのウクライナ東部2州での戦闘結果をみて、両国が停戦交渉の方針を調整するとの見方を示した。
ゼレンスキー氏は、ロシアの核兵器の使用可能性が指摘されていることを問われ、「正しい情報ではないかもしれないが、真実である可能性もある」と語り、すべての国が備えるべきだとした。「ロシアにとって、ウクライナ国民の命など何ともない」とし、化学兵器の使用についても警戒を示した。
米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は14日の講演で、ロシアが核兵器を使う可能性を「軽視できない」と言及。ウクライナ侵攻が計画通りに進んでいないロシア軍が状況の打開を狙って、核使用に踏み切るおそれがあるとの認識を示していた。
ゼレンスキー氏は一連の戦闘で「我々が把握している限り、2500~3000人のウクライナ兵が死亡した」とも語った。負傷者は1万人に上るという。一方で市民の死傷者については、南部や東部の地域が封鎖されているとして「全体の把握が難しい」と述べた。
黒海艦隊の旗艦である巡洋艦「モスクワ」が沈没したことについては、ウクライナ側の攻撃が原因かどうかは明言せず、「ロシア側の兵器が減ることは、我々にとってよいことだ」と述べるにとどめた。
●コロナ
世界で流行する新型コロナウイルスの99%超が変異型「オミクロン型」とその派生型に置き換わった。感染力が強く、他の変異型を駆逐した格好だ。対策しやすくなる面はあるが、脅威となる新たな変異型が現れる可能性は残る。2種類のウイルスの遺伝子が混ざった「雑種」も見つかった。各国で十分な検査をしてデータを共有し、流行を把握する取り組みが必要だ。
中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が堅持する「ゼロコロナ」政策が経済に打撃を与えている。都市封鎖(ロックダウン)中の上海市に続き、江蘇省蘇州市などで16日、移動制限が始まった。物流網寸断が加速し、工場の操業停止が一段と増える恐れがある。成長急減速を回避するため、中国政府は生産再開に向けて円滑な物流の確保と供給網(サプライチェーン)の安定に乗り出した。
中国中部の陝西省西安市は15日、新型コロナウイルスの拡大を受けて、約1300万人いる全住民の移動を厳しく制限すると発表した。西安市が移動制限を敷く期間は16~19日。企業に在宅勤務を推奨する。スーパーやコンビニエンスストア、病院など生活に必要な施設は通常通りの営業を認める。同市には韓国のサムスン電子や電気自動車(EV)中国大手の比亜迪(BYD)が工場を構えている。屋外の活動はマンションや団地の敷地内のみに制限し、不要な外出をしないよう求める。やむをえず敷地を出入りする場合には登録が必要となる。大型商業施設やカラオケ、銭湯、ジムや映画館などの営業を一時停止する。飲食店は持ち帰り・出前のみを許可する。2021年12月23日から1カ月間、事実上の都市封鎖を実施したが、感染拡大を受けて、再び対策の強化を余儀なくされた。
上海市の15日の市中の新規感染者数は2万3513人(含む無症状)。封鎖が始まった3月28日からの新規感染者数は約31万4千人となった。
香港・マカオを除く中国本土の市中感染者は5日以降、毎日2万人以上と、高水準で推移している。上海市のほか、東北部や南部など広範囲で感染が広がっている。中国政府は隔離やPCR検査を駆使する「ゼロコロナ政策」を継続しているが、その有効性に陰りが見える。
上海市経済・情報化委員会がソーシャルメディア微信(ウィーチャット)に掲載した声明によると、企業は従業員が働く現場を職住一体とし定期的に検査するクローズド型管理の計画を立てる必要があるほか、生産再開の承認を得るため地域および市レベルで新型コロナ管理当局に申請しなければならない。生産再開の日程表は示していない。
生産再開計画によると、工場は部分ごとに場所を分ける必要があり、全従業員が決められた場所で作業および生活しなければならないほか、別分野で働く人との直接的な接触は可能な限り減らすことが求められる。訪問者も厳しく制限される。
●中国不動産
主要70都市の新築物件の平均価格は3月まで7カ月連続で前月を下回った。省都より小さい中小都市で値下がりした地域が多く、3月の平均下落率は新築が0.1%、中古が0.2%だった。中古の値下がりは8カ月連続だ。
これは住宅需要が冷え込んでいるためだ。中国人民銀行(中央銀行)によると、住宅ローンが大半とみられる銀行の個人向け中長期資金の新規貸し出しは3月、前年同月より4割減少した。2021年5月以降、資金需要は弱い。
事実上の都市封鎖(ロックダウン)など感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」規制も一因になっている。経済活動の停滞で家計の所得は落ち込んでいる。
マンション価格の見通しの変化も市場の復調を遅らせている。人民銀が1~3月に預金者を調べたところ「住宅価格が今後上がる」との回答は16.3%だった。21年4~6月の25.5%を直近のピークとして低下が続き、7年ぶりの低さとなった。
人民銀の調査によると、中国の都市部の持ち家比率は9割を超す。新規購入は2軒目以降という世帯が多く、値上がり期待の薄れは不動産購入をためらう要因になっている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
海の藻などが二酸化炭素(CO2)を吸収する「ブルーカーボン」に着目する企業が増えている。Jパワーは自社の事業所近海で藻を育成しクレジット(排出枠)創出に乗り出した。商船三井などは藻由来のクレジットをこのほど購入した。ブルーカーボンはCO2吸収量が森林に匹敵するとの試算もあり、脱炭素取引の目玉の一つになる可能性がある。
●その他産業
●決算関連
2022年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が1770億円の赤字(前の期は2866億円の赤字)になったと発表した。従来予想から310億円赤字幅が拡大した。1月以降に新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が広がり、国内線の旅客需要が想定を大きく下回った。最終赤字は9四半期連続で、厳しい経営環境が続いている。
前期の連結売上収益は前の期比42%増の6820億円、本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前損益)は2390億円の赤字に修正した。前の期(3983億円の赤字)からは改善するが、従来予想と比べると売上収益で840億円、EBITで410億円の下方修正となった。売上収益は新型コロナの影響が本格化する前の20年3月期比では5割減と厳しい環境が続く。
ワクチン接種の進行などで、国内線旅客数は21年12月に19年同月比で7割を超える水準まで回復した。ただ年明け以降はオミクロン型の感染拡大を受けて各地に「まん延防止等重点措置」が適用され、1月は20年同月比で5割、2月は3割まで再び落ち込んだ。1~3月の売上収益はおよそ1835億円と、10~12月(2078億円)から落ち込んだ計算になる。
国際線旅客数は2月時点でコロナ前の1割程度と低迷が続く。世界的な航空便の減少や海上物流の混乱で需給が逼迫している国際貨物輸送は好調だが、旅客需要の下振れを補いきれなかった。燃油価格の上昇は「ヘッジ取引などにより(前期の)業績への影響は限定的」(JAL)とする。
23年3月期の黒字転換を目指すとみられるが、コロナ禍が長期化する中で需要回復ペースは見通しにくい。ロシアのウクライナ侵攻などで原油価格が上昇し、欧州路線でロシア上空の迂回も強いられている。収入と費用の両面で不透明感が強い。
●マクロ・その他
中国河南省鄭州市は台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)の「iPhone(アイフォーン)」主要製造工場に近い一部地域をロックダウン(都市封鎖)にした。アップルのサプライチェーンにさらに支障が生じる恐れがある。
24日決選投票のフランス大統領選は、最終盤に突入した。接戦のなか両候補は左派層を軸とする浮動票獲得に注力している。現職の中道マクロン大統領(44)はこれまでの政策を修正し、低所得層向けの給付拡大を表明した。極右国民連合ルペン党首(53)は反欧州連合(EU)の持論を封印するなど外交経験の乏しさを巡る懸念払拭に努める。
た3月の鉱工業生産指数(2017年=100)は104.6で、前月比0.9%上昇した。2カ月連続で製造業が力強く伸びて全体をけん引した。上昇率はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.4%程度)を上回った。
製造業は0.9%上昇した。前月落ち込んでいた自動車・同部品が、半導体不足の改善を受けプラス7.8%と急回復した。自動車・同部品を除いてもプラス0.4%と堅調に伸びた。
設備稼働率は78.3%で、前月から0.6ポイント上向いた。
経済調査会社キャピタル・エコノミックスのエコノミストは「中国を中心とするグローバルな製造業の減速から米国も免れることはできないが、少なくとも現在は供給制約の緩和を受けて強さを保っている」と分析した。
バー氏は金融サービスに関する実証研究や国内外の金融規制に関する分析で知られる。オバマ政権でウォール街改革や金融サービスの消費者保護にも取り組んだ。1990年代にはルービン財務長官の特別補佐官なども経験しており、金融当局での経験も長い。
外国為替市場で15日、中国人民元が対円で6年8カ月ぶりの高値をつけた。原油などの資源価格が高騰する中でも中国は貿易黒字を確保しているため、元高が進んでいる。国内企業のドル建て債務負担が問題となり、中国当局が元高を是認しているとの見方も浮上している。
労働の担い手となる15~64歳の「生産年齢人口」は58万4000人減の7450万4000人だった。総人口に占める割合は59.4%で過去最低を更新した。近年は労働力不足を高齢者や女性が働きやすい環境づくりで補ってきたがそれも厳しくなりつつある。
少子高齢化にも歯止めがかからない。65歳以上の高齢者は3621万4000人だった。総人口に占める割合は28.9%で過去最高となった。年金や医療、介護といった社会保障費が膨らめば国の財政悪化の要因となる。
出生児数は83万1000人と前年より4万人減った。死亡者数は6万8000人増の144万人だった。出生児数が死亡者数を下回る自然減は15年連続になった。
総人口の減少幅の拡大は新型コロナウイルス禍に伴う入国制限で外国人の流入が減ったことも一因だ。外国人に関し出国者数が入国者数を上回る社会減が2万8000人で、9年ぶりのマイナスとなった。
世界的な資源ナショナリズムの波が鉱物資源の供給懸念を強めている。石炭やニッケルは一大産地のインドネシアが輸出規制を強化。銅やリチウムを産出する南米諸国は増税や国有化に動く。ウクライナ侵攻への制裁でロシア産の資源が排除される中、他の資源国が門戸を閉ざせば世界のインフレ圧力を高めかねない。
中国共産党の高官人事を決める5年に1度の党大会が秋に迫るなか、中国の李克強(リー・クォーチャン)首相の後継レースが混沌としてきた。習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)の側近で上海市トップの李強氏が有力視されてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大への対応に批判が相次いでいるからだ。
大方のエコノミストは預金準備率が0.5ポイント引き下げられると想定していた。大半の銀行を対象とした引き下げ幅が予想より小さかったことは、人民銀の金融緩和に対する慎重なアプローチを示唆している。引き下げ発表後、中国の10年国債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し2.77%となった。
仕入れ価格指数は12.6ポイント上昇の86.4と、2001年のデータ開始以来の高水準。ロシアのウクライナ侵攻による商品市場への影響を浮き彫りにしている。販売価格指数は低下した。
新規受注の指数は今年の最高水準に上昇。出荷の指数は昨年7月以来の高水準となった。雇用者数の伸びは鈍化した。
入荷遅延の指数は前月から低下し、サプライチェーンの問題がやや落ち着きつつあることが示唆された。
一方で、6カ月先の景況指数は21ポイント余り低下の15.2。受注や出荷の伸び減速が見込まれている。
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値では1-3月のGDPは前年同期比4.3%増と、昨年10-12月(第4四半期)の4%増から伸びが拡大すると見込まれている。経済の勢いをより反映しやすい前期比ベースでは、0.7%増と10-12月の1.6%増から減速する見通しだ。
生産と消費、不動産投資は軒並み鈍化が予想されている。1-2月はいずれも市場予想を上回っていた。地方政府が債券発行で資金調達を加速させたため、インフラ投資は比較的堅調となりそうだ。
中国経済の先行きは、いかに迅速にコロナ感染を抑え込むことができるか、当局がゼロコロナ政策を防衛するため経済成長をどの程度犠牲にする用意があるのかに大きくかかっている。中国当局は最近、景気の下支えに向けて財政・金融刺激策を強化する姿勢を鮮明にしているが、企業による事業拡大や消費者の需要は乏しく、こうした政策効果は計画に届かないこともあり得る。
エコノミスト予想では中国の今年の経済成長率が5%にとどまると見込まれており、政府目標の5.5%前後を下回っている。バークレイズやゴールドマン・サックス・グループなど一部金融機関は4.5%成長まで鈍化すると予測している。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートによれば、FF金利誘導目標は2%に引き上げられるだろうが、さらに大きく上がることはなく、生計費の急上昇に対応する過度に積極的な利上げの軌道は、逆効果となりかねない。
●市況
日経先物(大証)26925、ダウ先34358、債先149.35、米2.828、独0.8395、仏1.337、西1.781、伊2.503、波5.899、原油106.51、ドル円126.36、墨ペソ19.95、トルコリラ14.6360、墨CDS121
※4/15 NY引け値

備忘録(4/14)
●ウクライナ
ウクライナ侵攻が計画通りに進んでいないロシア軍が戦局打開を狙うおそれがあるとの認識がある。一方、実際に核兵器を配備している証拠は「あまり見られない」とも語った。ロイター通信が報じた。
西側へのエネルギー供給は当面減っていくとの認識を示し、代替する売り先を広げるべきだと訴えた形だ。アジア向けの輸出インフラを整備する必要性にも言及した。
IEAによると3月のロシアの原油出荷量は欧米向けが落ち込む一方、ほぼゼロだったインド向けは日量31万バレルに増えた。
スウェーデンやフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に加盟した場合、ロシアは核兵器や対空システム、軍艦、歩兵部隊をバルト海地域に展開する可能性がある。メドベージェフ安全保障会議副議長が14日、ソーシャルメディアのテレグラムに投稿した。  
「スウェーデンとフィンランドがNATOに加盟した場合、NATO加盟国とロシアとの地上国境の長さは現在の2倍強になる。地上部隊と対空システムを真剣に強化し、フィンランド湾周辺にかなりの海軍を配備する必要がある」とコメント。「この場合、バルト海の非核状態を明言することはできない」とし、ロシアが国境近くにイスカンデルミサイル、極超音速兵器、核武装船舶を配備する可能性があることを示唆した。
ロシア国防省は黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」がえい航中に沈没したと発表した。タス通信が報じた。ウクライナ軍は同艦に複数の対艦巡航ミサイル「ネプチューン」を命中させて重大な損傷を与え、火災が発生したと主張。一方、ロシア側は火災により弾薬が爆発したと説明していた。
●コロナ
政府が厳しく統制しているソーシャルメディア上でこの数年間で最も強い反政府的な批判を目にするようになっている。
不満の高まりの兆しとして目立つものの一つは、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」へのリンクが増えていることだ。この劇中歌は2019年に香港で民主化デモが行われていた時に検閲され、武漢でコロナ感染が最初に急増した後にも再び表面化したことがあった。
今年後半の党大会で3期目続投を決めることを目指す習主席にとって最も大きい試練の一つとなっている。上海と吉林省でのロックダウンを受け、感染力の強いオミクロン変異株への対応を巡り政府に対する批判が広がっており、成果を掲げて中国の躍進を自賛する機会となるはずの党大会に汚点を残す恐れがある。
シカゴ大学の中国政治専門のダリ・ヤン教授は、習氏にとってまだ危機的水準には至っていないと指摘。「現時点では局地的なものであり、コロナがどれだけ広がるかにかかっている」と分析した上で、「ただ、中国のオピニオンを主導する同国のプロパガンダ能力を過小評価すべきではない。武漢での問題後、指導部に対する世論の支持は下がらず、実際に高まった」と述べた。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
同社に供給する部品や素材などの生産に使う電力をすべて再生可能エネルギーでまかなうと約束したサプライヤーが3月までの過去1年で2倍近く増え213社になったと発表した。日本企業ではシャープやキオクシアなどが新たに加わった。
アップルは自社製品の生産や利用を通じて排出する二酸化炭素(CO2)を実質ゼロに抑える「カーボンニュートラル」を2030年までに達成する公約を掲げている。自社のオフィスや店舗に加え、15年からは取引先の工場などについても再エネ由来電力の使用比率を100%にするよう呼びかけてきた。
政府は航空分野の脱炭素に向け、廃食油や植物などを原料とする再生航空燃料(SAF)を輸入し供給する体制づくりに乗り出す。今秋にも国が主導して海外大手からSAFを輸入し、中部国際空港に受け入れ拠点をつくる。SAFは米欧が導入の義務化などに動き、日本の航空会社も利用の拡大を迫られる。海外からの調達は争奪戦となる可能性があり、国内生産の促進策が課題となる。
●その他産業
2030年までに連結営業利益率(国際会計基準)で20%超の水準を目指す方針を明らかにした。子会社の楽天モバイルなどで手掛ける携帯通信事業を今後の成長の柱とする。
三木谷氏は携帯通信事業を軸とした成長戦略について説明し、通信の専用機器をクラウド上のソフトウエアに置き換える「仮想化」技術を活用した通信インフラの輸出に注力する方針を改めて示した。
●決算関連
2022年1~3月期決算は純利益が39億3900万ドル(約4900億円)となり、前年同期に比べて42%減った。不安定な市場環境を受けて新規株式公開(IPO)や社債発行など企業の資金調達が低迷し、投資銀行部門の収益が落ち込んだ。資産運用部門で株式評価損を計上したことも響いた。
売上高にあたる純営業収入は前年同期比27%減の129億3300万ドルとなった。機関投資家の売買を仲介するトレーディング部門は増収を確保したが、投資銀行部門と資産運用部門の落ち込みを補えなかった。ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)はロシアによるウクライナ侵攻で市場環境が急変し、「(顧客企業による)株式の発行がほぼ止まった」と述べた。
モルガン・スタンレーが同日公表した22年1~3月期決算は、純利益が前年同期比11%減の36億6600万ドルとなった。投資銀行部門は減収になったものの、富裕層向けの資産管理部門が前年同期並みの営業収益を確保し、業績の落ち込みはゴールドマンに比べて小さかった。モルガンのジェームス・ゴーマンCEOは声明で「多角化した事業の底堅さを示した」と強調した。
米大手金融機関5社が14日までに発表した2022年1~3月期決算は、いずれも純利益が前年同期比で2桁減になった。急ピッチの米利上げ観測やロシアのウクライナ侵攻で市場が動揺し、企業の資金調達を支援する業務の収益力が落ちた。景気の下振れ懸念で不良債権発生に備える費用もかさみ、米銀の好業績を支えてきた追い風は弱まっている。
半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は14日、2022年1~3月期の売上高が前年同期比36%増の4910億台湾ドル(約2兆1000億円)になったと発表した。純利益は45%増の2027億台湾ドルで、売上高・純利益ともに四半期ベースで過去最高を更新した。
サーバーやスマートフォンに使う高性能半導体の需要が高まった。主要顧客の米アップルが3月にiPhoneやパソコン「Mac」の新製品を相次ぎ投入。世界的な半導体不足が続くなか、年初から進めた値上げも業績拡大に寄与した。
4~6月期はサーバーなどの高性能演算向けがけん引して増収を見込む。ただ、スマートフォン向けは季節要因で需要が減速するとの見通しを示した。22年通年では21年に比べ25~29%かそれ以上の増収を見込む。
●マクロ・その他
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、4月8~14日の週に30年固定金利(平均)は5%となった。5%台に乗せるのは2011年2月以来、11年2カ月ぶり。住宅ローンの申請件数は足元で前年比4割減の水準まで減った。高騰が続く住宅価格とローン金利の上昇で、家が買いにくい状況となっている。
フレディマックのチーフエコノミスト、サム・カーター氏は「ローン金利が上がり、住宅価格も上がり、住宅の在庫不足も重なるなか、住宅購入が最も高くつく世代を迎えている」と指摘した。
MBAのチーフエコノミスト、マイク・フラタントニ氏は「ローン金利の急上昇が住宅市場に冷や水を浴びせるだろう」と指摘する。全米不動産協会(NAR)がまとめる2月の中古住宅販売件数は602万戸(季節調整済み、年率換算)で、前年同月比2%減少した。6カ月連続で減少が続いている。
金融政策決定会合を開き、主要政策金利の1週間物レポ金利を年14%で据え置くと決めた。据え置きは4会合連続。足元の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比61%にも達するが、金融緩和による景気浮揚を優先する政権の意向に沿った。
中銀は声明で、高インフレの原因としてロシアによるウクライナ侵攻を念頭に置いた「地政学的な動き」のほか「経済の実態に即さない一時的な価格形成」などを挙げ、インフレはじきに収束に向かうとの認識を示した。
米商務省が14日発表した3月の小売売上高(季節調整済み)は6657億ドル(約84兆円)で、前月から0.5%増えた。0.5ポイント上方修正された前月(0.8%増)から伸びは鈍化した。ガソリン価格の急騰で給油所の売上高が増え、全体を押し上げた。前年同月比では6.9%増加した。ガソリン給油所の売り上げが8.9%伸びた。これを除くと全体の売上高は0.3%減だった。
変動の激しい自動車・同部品販売店の売上高が1.9%減と大きく落ち込んだ。これら変動の大きかったガソリン給油所と自動車・同部品販売店を除くと、全体の売上高は0.2%増だった。
その他の項目別では、新型コロナウイルスの流行が収まり、飲食サービス店が1.0%伸びた。一方、ネット通販店などの無店舗小売りは6.4%減で、2カ月連続のマイナスとなった。
人民銀金融政策局の孫国峰局長が14日の記者会見で「預金準備率の引き下げなど金融政策のツールを適宜活用していく」と明らかにした。引き下げれば、2021年12月以来となる。金融市場では、人民銀が20日に公表する事実上の政策金利、最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)も引き下げるとの観測が浮上している。
ツイッターが「ポイズンピル(毒薬条項)」と呼ばれる買収防衛策の導入を検討していると報じた。これを導入すれば、ツイッターはマスク氏の買収提案を拒否し、敵対関係に踏み込むことになる。
4月の消費者態度指数(速報値)は65.7と、前月から6.3ポイント上昇した。
「今後の見通し」が64.1で前月比9.8ポイント改善し、全体を押し上げた。景気と家計の見通しが大きく上向いた。「現在の景況」も68.1で0.9ポイント改善した。
調査担当者によると、労働市場が堅調なことから、消費者は失業率がさらに低下し、景気もよくなると見込んでいるという。ガソリン価格が3月のピークから下がった点も見通しの改善につながった。一方、ロシアによるウクライナ侵攻の影響や新型コロナウイルスの変異型拡大のリスクなど不透明な要素が多く、調査担当者は「4月の一時的な上昇は容易に反転する可能性がある」と慎重な見方を示した。
総裁は14日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、0.5ポイントの利上げについて「フェデラルファンド(FF)金利は現在非常に低いことから、妥当な選択肢だと考えられる」とし、「政策をより中立に近い水準へと戻す必要がある」と付け加えた。
ウィリアムズ総裁は、金融当局は利上げに向けて「迅速に」行動すべきだとし、自身が考える中立金利は2-2.5%の範囲内だと述べた。ただ、中立水準に至るまでのペースや、中立を超える必要があるかどうかについては、今後の経済の道筋に左右されると指摘した。
ラガルド総裁は、「インフレ見通しが上振れするリスクは短期を中心に増した」と発言。「現在の不確実性に強く留意しており、中期的インフレ見通しへの影響に関して今後のデータを注視していく」と述べた。
ラガルド総裁は資産購入プログラム(APP)を7-9月に終了させる「可能性が極めて高い」としつつ、正確な期日や想定される利上げのスケジュールはまだ決定されていないと説明。利上げはAPP終了の「1週間後かもしれないし、数カ月後かもしれない」と語った。
APP終了と今後の金利については6月に決定するとも述べた。最新の経済予測を考慮して「判断の要素」を織り込むという。
「何よりも望ましくないのはインフレ期待に歯止めがかからなくなることだ。金融市場のさまざまな指標や専門家調査ではインフレ期待がほぼ2%前後にとどまっていることが示されているが、これが2%を超えて上昇する早期の兆候には注視を要する」と述べた。
ECBはこの日の声明で「インフレは大幅に加速し、今後数カ月は高止まりする見込みだ」とし、「政策委員会は物価安定というECBの責務を果たすために必要なあらゆる措置を取る」と言明した。

備忘録(4/13)
●市況
日経先物(大証)26925、ダウ先34389、債先149.3
5、米2.828、独0.8485、仏1.334、西1.778、伊2.503、波5.894、原油106.61、ドル円126.16、墨ペソ19.96、トルコリラ14.6309、墨CDS115
※4/15 9時20分頃

●ウクライナ
ロシア国防省は、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリの商用港を占領した。タス通信が13日報じた。国防省はウクライナがロシアへの攻撃を続けるのであれば、首都キーウ(キエフ)への再度の攻撃もあり得ると予告した。戦闘が激しいマリウポリでは多数のウクライナ兵が投降したとされており、陥落の懸念が強まっている。
●コロナ
感染力が非常に高いオミクロン型の派生型「BA.2」が主流となり、新規感染者数が増加に転じた。ただ入院患者数や死者数は依然として低水準で、社会経済活動の正常化を目指す方向は変えていない。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ドイツテレコムは13日、米通信大手Tモバイルの株式をソフトバンクグループ(SBG)から追加取得したと発表した。取得額は24億ドル(約3000億円)で、ドイツテレコムの持ち株比率は46.7%から48.4%に上昇した。
SBGはドイツテレコムの大株主。両社は2020年、ドイツテレコムが24年までにSBGの保有するTモバイル株の大半を取得できる契約を結んでおり、今回の追加取得はその一環だ。
独エネルギー大手ユニパーは英国東部で計画中の水素製造事業で英シェルと提携したと明らかにした。製造過程で発生する二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する「ブルー水素」の製造で連携する。両社はドイツとロシアを結ぶガスパイプライン計画に出資していた。ウクライナ侵攻を機にエネルギー分野での脱ロシア依存にかじを切る。
●その他産業
米アップルのサプライヤー、和碩聯合科技(ペガトロン)を含む台湾企業30社以上が、電子機器の主要製造拠点である中国江蘇省の昆山市で現地の新型コロナウイルス対策に従い生産を停止した。
世界の穀物メジャーの一角である米ブンゲの株価が上昇している。12日に一時、121.48ドルと2008年6月以来の高値をつけた。インフレ耐性の強い銘柄として注目が集まり、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした穀物高が追い風となっている。
●決算関連
米銀大手のJPモルガン・チェースが13日発表した2022年1~3月期の決算は、純利益が前年同期比42%減の82億8200万ドル(約1兆300億円)だった。景気の先行き不透明感を受け、融資の焦げ付きに備える貸倒引当金を積み増したことが利益を圧迫した。投資銀行部門や市場部門が低調だった。
米銀JPモルガン・チェースの1-3月(第1四半期)業績は、ロシアのウクライナ侵攻による相場の落ち込みに絡む5億2400万ドル(約660億円)の損失により損なわれた。
13日の決算発表によると、損失は「ファンディングスプレッド拡大および、商品エクスポージャー増加とロシア関連カウンターパーティーからのデリバティブ(金融派生商品)債権の評価引き下げに関するクレジットバリュエーション調整」の結果だという。
ただ、債券と株式のトレーディング収入はいずれもアナリスト予想を上回り、純利益も82億8000万ドルと予想を超えた。投資銀行業務の収入は21億ドルに減少し、市場予想の23億ドルに届かなかった。債券および株式引き受け収入がいずれも減少した。助言手数料は前年同期を超えた。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「少なくとも短期的には経済への楽観を維持している。個人と企業のバランスシートも個人消費も、依然として健全な水準だ。ただ今後については、高インフレとサプライチェーン問題、ウクライナでの戦争による地政学的および経済的な著しい困難を予想する」とコメントした。
●マクロ・その他
メキシコ人の富豪カルロス・スリム氏が創業したメキシコ通信大手アメリカ・モビルは2022年中に高速通信規格「5G」の通信網の整備に18億ドル(約2200億円)を投じる。同社が支配的な地位を保ってきた通信市場は前政権の改革で競争環境が整いつつある。米通信大手も5Gサービスで攻勢に出るなか、アメリカ・モビルは巨額投資などを通じてライバルを追撃し、圧倒的なシェアを維持して厳しくなる競争を勝ち抜く構えだ。
アメリカ・モビルは子会社を通じてメキシコ国内で「テルセル」ブランドでモバイル通信事業を展開しており、2月からメキシコシティなど主要18都市で5Gサービスの提供を始めた。22年末までに18億ドルを投じ、120都市に通信網を広げる計画だ。投資計画を表明した記者会見には取締役会の会長であるスリム氏の息子も出席した。
積極投資の背景にあるのが、ライバルである米通信大手のAT&Tの攻勢だ。同社は21年末にメキシコ国内で初めて5Gサービスを始めた。
AT&Tがメキシコで存在感を高めようとするなかで、アメリカ・モビルは現状、圧倒的な強さを示す。
メキシコの通信業界の規制当局であるメキシコ連邦通信院(IFT)によると、アメリカ・モビルはモバイル通信業界のシェアの70%を握る。AT&Tが18%、スペインの通信大手テレフォニカが10%と続く。圧倒的なシェアを持つアメリカ・モビルを2社が追う構図だ。
メキシコではペニャニエト前政権が14年にアメリカ・モビルと関連会社を「支配的企業」に指定し、ほかの企業よりも厳しい規制を課せるようにした。従来は小規模事業者が支配的な立場のアメリカ・モビルに対抗するのは難しかったが、法改正で競争環境が整いつつある。AT&Tは市場改革を受け、15年に携帯電話会社2社を買収して規模拡大に乗り出した。
カナダ銀行(中央銀行)は13日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.5%引き上げて1%にしたと発表した。25日から量的引き締め(QT)を始めることも明らかにした。物価上昇率が30年半ぶりの大きさとなったことを受け、インフレ抑制のために金融引き締めを加速する。
量的引き締めについて、政策決定の会合後に公表した声明文では「カナダ国債への再投資を終える。満期を迎えた国債の入れ替えはせず、バランスシートの規模は時間とともに縮小する」と説明した。コロナ対応の量的緩和で買い入れたカナダ国債の保有を減らす。
具体的な縮小ペースは明らかにしなかったが、13日に記者会見したマックレム総裁によると、カナダ中銀が保有するカナダ国債の約40%が今後2年間で満期を迎える。再投資をしないことで「バランスシートを2年間でかなり縮小できる」という。
カナダの2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で5.7%上昇し、1月の5.1%から加速した。1月時点の予測も上回った。インフレが目標の2%を大きく上回っていることを踏まえ「政策金利をさらに引き上げる必要がある」と表明した。マックレム総裁は、2~3%と推計する中立金利(景気を過熱も冷やしもしない金利水準)の水準まで政策金利を引き上げる意向を示した。
マックレム総裁によるとCPIを構成する3分の2の品目で上昇率が3%超となっており、ガソリンから食品、家賃まで家計に与える影響が増している。同氏は「より大きなリスクはカナダ国民が高インフレが持続すると考え始めることだ」と懸念を示し、引き締めの加速でインフレに対処する姿勢を強調した。
声明文ではロシアによるウクライナ侵攻で、石油などコモディティー(商品)価格の高騰が「世界中のインフレに拍車をかけている。戦争に起因する供給の断絶が、すでにある供給制約を悪化させている」と説明した。22年前半の物価上昇率は平均6%で推移し、今年いっぱいは高水準が続くと予測。23年後半に2.5%、24年に長期的な目標である2%に戻るとの予測を示した。
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は13日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%引き上げて1.5%にすると決定した。2月の0.25%の利上げから上げ幅を拡大した。ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍からの経済回復に伴いエネルギーなど幅広い品目で商品価格は上昇している。4会合連続の利上げでインフレの加速に対応する。
NZ統計局によると、2021年10~12月期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比5.9%増と約30年ぶりの高水準となり、中銀の政策目標(1~3%)を大きく上回った。地元金融機関は4月21日に発表予定の22年1~3月期のCPI上昇率が7%前後になると予測している。中銀は「現在の高いインフレ率が長期的なインフレ予測につながらないよう注力する」と述べた。
英統計局が13日発表した3月の英国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で7.0%上昇した。伸び率は2月の6.2%から0.8ポイント高まり、1992年3月以来30年ぶりの歴史的水準が続いた。4月には電気・ガス料金の大幅値上げでさらに加速するとみられ、賃金の伸びを大きく上回るインフレが個人消費を下押す懸念が増している。
インフレは主因のエネルギーだけでなく幅広い製品やサービスに及んでいる。変動の激しいエネルギーや食料品などを除くコアベースの伸び率は5.7%と、2月より0.5ポイント高まった。ロンドン交通局は3月から、地下鉄やバスなどの運賃を平均5%引き上げた。「衣服・履物」や「家具類」の上昇率は10%前後に拡大した。
新型コロナウイルス関連の行動規制がほぼ撤廃され、サービスや労働の需要増に供給が追いつかずインフレ圧力が高まっている。英格安航空会社(LCC)大手のイージージェットは12日、過去6週間の夏季向け予約がコロナ前の19年を上回る勢いだと明らかにした。コロナ下の人員整理を経て人手不足が深刻になり、航空業界では処理能力の制約で空港に長蛇の列ができるなど混乱も起きている。
4月から一般家庭向けの電気・ガス料金の単価上限が平均5割あまり引き上げられ、インフレの勢いはさらに強まる見通しだ。ドイツ銀行は今後、年末にかけて8%以上の伸び率が続くとみている。
同国財務省が12日に債務支払いの一時停止を表明した。スリランカは慢性的な経常赤字に新型コロナウイルスによる経済低迷などが重なり、外貨準備の急減といった苦境に陥っている。18日には一部国債の利払いも控える。国際通貨基金(IMF)などとの交渉に望みをつなぐ。周辺地域での影響力拡大をうかがう中国やインドも関与を強めるなか、どのような枠組みを構築できるかが焦点だ。
スリランカ財務省はIMFなどによる支援の枠組みが決まるまでの「一時的な措置」と説明するが、返済期限は間近に迫っている。米ブルームバーグ通信によると、ドル建て債券の利払い期限を18日に迎える。7月には10億ドル(約1260億円)の国債償還も予定されている。
観光業などサービス業を中心としたスリランカ経済は、新型コロナによる観光客の減少などで深刻な打撃を受けた。19年に就任したラジャパクサ大統領が進めた減税政策なども財政赤字に拍車をかけたと指摘される。IMFによると、8割前後で推移してきた政府債務の対国内総生産(GDP)比率は2020年に100%を突破した。21年は109%、22年は111%と推計されている。
IMFとの交渉に加えて、スリランカへの関与を強める中印の動向も注目を集める。スリランカの報道機関などは、中国が信用枠の供与など総額25億ドルの金融支援を検討していると報じている。ブルームバーグ通信によると、スリランカの駐中国大使は直近も、中国による支援が予定通り実現するとの見通しを示した。
中国の関与を巡っては、支援と引き換えに同国の影響力が強まる「債務のわな」の構図が強まるとの懸念も強い。スリランカはかつて中国に対する債務返済に行き詰まって、南部の港の99年間にわたる譲渡に至った経緯がある。
中国がスリランカへの関与を強めようとするなか、インドも支援に乗り出している。ジャイシャンカル外相は3月下旬にスリランカでラジャパクサ大統領と会談し、22年に25億ドル規模の金融支援を続ける方針を確認した。
半導体の国際団体SEMIは13日、2021年の製造装置の世界売上高が20年比44%増の1026億ドル(約12兆9000億円)になったと発表した。材料の販売額も同16%増で、いずれも過去最高を更新した。半導体市場の活況が製造装置や素材といったサプライチェーン(供給網)に波及している。
製造装置の市場は、中国が58%増の296億ドルで最も大きかった。米国の対中制裁で先端投資に必要な装置の調達には制限がかかっているが、電力制御を担うパワー半導体をはじめ、成熟分野の製造技術に関連した投資が活発になっている。
世界半導体市場統計(WSTS)によれば21年の半導体市場は26%増の5558億ドルだった。半導体各社は高まる需要に対して供給が追いつかず、生産能力の増強を急いでいる。データセンター投資や電動車の普及など中期的な需要の押し上げ要因もあり、「生産能力の拡大は需給の不均衡の解消にとどまらない」(SEMIのアジット・マノチャ最高経営責任者)
3月の米生産者物価指数(PPI)は、前年同月比での伸び率が統計でさかのぼれる2010年以降で最大となった。上昇率は市場調査での予想全てを上回り、初期のインフレ圧力が根強く続いていることが浮き彫りとなった。今後消費者に影響が及ぶ恐れがある。
今回のPPIと前日発表された消費者物価指数(CPI)を受け、米金融当局に対し一段と積極的な利上げを求める圧力が強まった格好だ。
3月のPPIは、ロシアによるウクライナ侵攻開始からの1カ月で供給経路における圧力が強まり、エネルギーと食品、金属の価格が押し上げられたことを示している。さらに、製造業などの生産者は堅調な需要に対応するため供給を増やそうと取り組んでいるものの、輸送上のボトルネックと労働力不足から厳しい状況が続いている。
3月は輸送・倉庫が前月比5.5%上昇と過去最大の伸び。貨物のトラック輸送コストと航空運賃の上昇が特に大きかった。
税関総署が13日発表した3月の輸入はドルベースで前年同月比0.1%減少した。2020年8月以来の減少で、予想中央値は8.4%増だった。輸出は前年同月比14.7%増と、市場予想の12.8%増を上回る伸びとなったが、1-2月期の前年同期比16.3%増からは伸びが鈍化した。
こうしたデータが示しているのはロックダウンによる貿易への影響だ。先月は港湾の混雑や物流の目詰まりが悪化し、輸入と輸出の両方で輸送が影響を受けた。アップルのサプライヤー、フォックスコンのほか、テスラなどの自動車メーカーが3月に操業を停止した。
税関総署の李魁文報道官は、対外貿易環境はますます厳しく複雑になっていると指摘。貿易の安定化目標を達成するにはより大きな努力が必要だと述べた。
●市況
日経先物(大証)27092、ダウ先34474、債先149.38、米2.699、独0.7755、仏1.276、西1.702、伊2.375、波5.799、原油103.64、ドル円125.28、墨ペソ19.75、トルコリラ14.5929、墨CDS115
※4/14 9時15分頃

備忘録(4/12)
●ウクライナ
ウクライナを巡っては、ショルツ首相の訪問を求める声が国内外で強まっている。首都キーウ(キエフ)には、英国のジョンソン首相や欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長が相次ぎ訪問した。ドイツのベーアボック外相は「ウクライナに重火器を支援する必要がある」と発言しており、独政府が戦車を含めた武器供与を進めるかどうかが焦点に浮上している。
フィンランドの通信機器大手ノキアは12日、ロシア事業から撤退すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻を受け、スウェーデンの同業エリクソンもロシア事業の無期限停止を決めている。大手2社がロシア事業から手を引くことで、華為技術(ファーウェイ)などの中国勢に追い風になる可能性がある。
ノキアによると、2021年12月期の売上高に占めるロシア事業の割合は2%未満だった。撤退に伴い1億ユーロ(約136億円)の引当金を計上するが、業績見通しに影響はないとしている。
●コロナ
米国の大手企業が自社の従業員に義務付けてきた新型コロナウイルスの感染対策を相次ぎ緩めている。オフィスに加え、工場や小売りの現場でもマスク着用を免除し、ワクチン接種を出社などの条件とすることも廃止している。2月下旬以降の新規感染者の急減が背景にあるが、足元ではオミクロン型の派生型の感染がじわりと増えており、対策の再強化を迫られる可能性もある。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
川崎重工業と航空機大手の欧州エアバスの日本法人は12日、水素を燃料とする航空機の商用化に向けて水素の供給インフラの整備などで連携すると発表した。将来は水素航空機の開発を共同で進める可能性も示した。化石燃料を大量に使う航空機の脱炭素に向け、両社の技術などを持ち寄り、水素航空機の商用化を急ぐ。
航空機の燃料に使う水素の利用促進に向けた調査で協力する。水素の生産から空港への輸送、航空機への補給までの供給網の構築のしかたを調査し、計画表を共同で策定する。空港の水素の供給網を整備し、航空機やトラックなどさまざまな交通インフラにも広げるためのノウハウをまずは1年間ともに積み上げる。
川崎重工はオーストラリアでとれた褐炭から水素をつくり、自社の運搬船で大量輸送する供給網構築に2016年から取り組んでおり、商用化に向けた技術実証をこのほど終え、水素の調達のめどを立てた。エアバスは35年までに水素航空機の商用化をめざしている。
●その他産業
欧米の立法府が制定に動く米巨大IT(情報技術)企業への包括規制が消費者のプライバシーをリスクにさらすとの懸念を表明した。スマートフォン「iPhone」上でアプリ配信の市場開放が義務付けられれば「予期せぬ重大な結果を招く」とも警告した。
クック氏の念頭にあるのは、欧米の立法府が制定に動く巨大IT企業に対する包括規制だ。米上院で審議中の「アプリマーケット開放法案」と3月下旬に欧州連合(EU)が合意した「デジタル市場法案」は、いずれもアップルが独占してきたiPhone上のアプリ配信や決済市場について外部開放を義務付ける内容だと解釈されている。
クック氏はアプリ配信市場を外部企業に開放すれば「データに飢えた企業が我々のプライバシー規則を回避し、ユーザーの意思に反して再び彼らを追跡することが可能になる」と指摘。巨大IT企業の独占・寡占に歯止めをかけようとする包括規制が逆効果となるリスクに言及した。
2022年1~3月期の売上高は、前年同期比29%増の約180億ユーロ(約2兆4000億円)だった。ウクライナ危機やインフレで世界経済の不透明感は強いが、高級品の消費は好調が続いている。
主要5部門すべて増収だった。全体の半分を稼ぐファッション・皮革は35%増と最も伸び率が大きく、主力の「ルイ・ヴィトン」などがけん引した。新型コロナウイルスの感染拡大による行動規制で大きな打撃を受けた免税・百貨店も30%増と復調している。
地域別では欧州と米国、日本は2桁増収と好調が目立つ。アジア(日本を除く)は、中国を中心とした新型コロナの感染拡大の影響で伸び率が鈍化した。LVMHは3月、ウクライナに侵攻したロシアの全店舗の営業を中断した。ただ、ロシアの売上高は少なく、店舗閉鎖が業績に与える影響は軽微とみられている。
●決算関連
●マクロ・その他
2021年に世界の電気自動車(EV)の新車販売台数が約460万台と20年の2.2倍に増え、初めてハイブリッド車(HV)を上回った。低価格帯の車種が人気の中国で新車の1割を占め、温暖化対策を掲げてEVを後押しする欧米でも販売が好調だ。海外でのEV普及を受け、ホンダなど日本勢も巨額の投資を決めた。EVの主導権争いが自動車産業の構図を変えそうだ。
3月の米CPIは前年同月比8.5%上昇(前月は7.9%上昇)と前年同月比で1981年終盤以来の大幅な伸びを示した。生活費がかなり高くなっていることを浮き彫りにするとともに、一段と積極的な利上げを米金融当局に求める圧力が強まった。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.3%上昇。前年同月比では6.5%上昇。いずれも伸びは市場予想を下回った。中古車の価格が1969年以来の大幅マイナスとなったほか、この他の財分野でも伸びが減速した。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏はこうした数字について、「最近の持続的なコア指数高騰からの小休止を示す歓迎すべきものだ。このところの原油価格下落に応じて、燃料コストが落ち着きそうだ」とリポートで指摘。
その上で「食品や家賃、その他の幾つかの項目は気掛かりな状況が続き、この1年間に想定されるインフレ低下を遅らせる見通しだ」と言及した。
3月のCPIは多くのエコノミストが予想する現在のインフレ局面のピークに当たり、ロシアのウクライナ侵攻後の食品やエネルギー価格高騰の影響を反映している。
ウクライナ侵攻への制裁でロシア産原油・ガスの供給に支障が生じるとの懸念から、エネルギー価格は前月比11%上昇と、2005年以来の大幅な伸び。ガソリンは同18.3%上昇と、09年以来の大幅な伸びを示した。
別の統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は前年同月比2.7%減少と、12カ月連続のマイナス。雇用主は人材確保に向け賃上げをしているが、賃金の伸びはインフレに追い付いていない。
米国債市場では12日、短期債の利回りが大幅に低下した。同日発表された米消費者物価指数(CPI)統計で、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率が市場予想を下回った。
ドイツの景気回復に対する信頼感は4月も低下した。ウクライナでの戦争の影響で急騰する物価が生産を損ねるとの懸念が広がっている。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が12日発表した期待指数は4月にマイナス41と、前月のマイナス39.3から低下した。現状指数も悪化した。
ZEWのバンバッハ所長は発表資料で、「専門家は現在の経済状況に悲観的で、悪化が続くと見込んでいる」と述べ、「インフレ期待の低下はある程度の希望を与えるものの、今後6カ月間のスタグフレーション観測は依然として残っている」と指摘した。
製造業が強いドイツ経済は、すでに回復のブレーキとなっていたサプライチェーンの目詰まりに加えて、戦争によるエネルギー価格の高騰で相当の障害に直面している。ロシアのウクライナ侵攻後最初の丸1カ月となった3月のインフレ率は前年同月比7.6%上昇と、東西ドイツ統一後の1990年代初頭に統計を開始して以降で最高に達した。
4月の調査によると、景気が悪化すると見込む投資家の割合は過去最高。スタグフレーションの予想は2008年8月以来の高水準で、金融政策のリスクに対する指摘も記録的な多さだった。合計運用資産8330億ドル(約104兆6000億円)の運用者292人を対象に4月第1週に調査した。
米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な引き締め姿勢に転じるに伴い投資家の悲観度が増していることを浮き彫りにした。投資家の姿勢は極端な悲観に傾き、株式市場への参入の好機を探る逆張り指標であるBofAの買いシグナルが点灯した。債券利回り上昇の中で世界の株式相場は4月に軟調となっている。
だがBofAのストラテジストは、この買いシグナルに乗ずる考えはなく、「値上がり時の売り」を引き続き勧めていると表明した。今年初めの株価下落は「2022年の前菜」にすぎず、メインコースとも言うべき本格的な下げはこれからやって来るとみている。
WTO予測によれば、今年の貿易量は前年比で3%増。前回予測の4.7%増から下方修正された。来年は3.4%増を見込むが、見通しには食料不安や新型コロナ感染再拡大の可能性など多くの下方リスクがあると指摘した。
オコンジョイウェアラ事務局長は「世界経済をブロック経済に分断し、低所得国から目を背けることは、繁栄も平和ももたらさないことは歴史が教えている」と述べ、「WTOは各国が武力に頼らず差異を協議できる場を提供するという、重要な役割を担うことができる」と続けた。
米国とその同盟国の対ロシア制裁発表後にロシア向け輸出を停止した国が供給していた産品を、インドが輸出することも検討している。医薬品やプラスチック、有機・無機化学品、家具、コメ、紅茶・コーヒーなどの飲料、乳製品などがこうした輸出品に当たるという。
スリランカのパリサ・コホナ駐中国大使は、中国からの計25億ドル(約3100億円)の金融支援が実現すると強く確信していると述べた。スリランカではインフレ高進で経済危機がさらに深刻化している。
コホナ大使は、中国の複数の当局者からつい先週、融資と信用枠の手続きが進んでいるとあらためて確認があったと説明。スリランカは中国から10億ドルの融資獲得と15億ドルの信用枠確保を目指している。7月に期限を迎える中国からの既存債務の返済に充てるほか、衣料輸出業界を支えるのに必要な繊維などの製品を同国から輸入するためだという。
ブルームバーグのデータによると、フィリピンのサムライ債は2021年4月以来1年ぶり。今回は18年以降で初めて3年債を発行せず、代わって同国のサムライ債として最長となる20年債を初めて発行する。当初は15年債も検討したが取りやめた。5、7、10年債のスプレッドは2月にグリーンボンド(環境債)として発行されたハンガリー債を2-4bp下回った。
石油輸出国機構(OPEC)のバルキンド事務局長が「現在の需要見通しを考慮し、(ロシア産原油の)大規模な供給不足を補うのはほぼ不可能だ」と述べたと報じた。OPECに増産を求める欧州連合(EU)との11日の協議で発言した。最近の原油相場の変動は「OPECが制御できるファンダメンタルズの問題ではない」と増産に消極的な姿勢も示したという。先行きの供給逼迫が意識され、買いを呼び込んだ。
新型コロナの感染拡大を防ぐ都市封鎖(ロックダウン)が続く中国の上海市で、一部地域の外出規制が緩和されたと複数の主要メディアが報じた。人の移動などが徐々に回復すると期待された。中国のエネルギー需要が細るとの警戒感が和らぎ、相場を押し上げた。
ゴンキャルベス氏によれば、日本からの買いのフローは、欧州の国債やより高利回りのモーゲージ債、米国のクレジットを選好する可能性が高いという。
米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は12日、経済を刺激も減速もしない水準に政策金利を年内に引き上げるため金融当局は「速やかに」行動すると述べた。また、当局として労働市場に打撃を与えずにインフレを抑制することができるとの自信を示した。
利上げを具体的にどのようなペースで進めるのが適切かについては「あまりそのことに重点を置きたくない」とした上で、利上げとバランスシート縮小の「複合的な効果により、年内には速やかに政策スタンスがより中立的なものとなる」とし、経済成長を促進も抑制もしない中立金利に言及した。当局のコミュニケーションによって、期間が長めの金融市場でも金融情勢が引き締まったとも指摘した。
さらに、財政刺激策の縮小や海外経済の成長減速、金融情勢の引き締まりで総需要が鈍化し始め、労働力供給が引き続き拡大しながら求人の水準が下がるとの見方を示した。これは当局者が最近の予測で示したソフトランディング(軟着陸)のシナリオを表すもので、金融引き締めでも失業率がほとんど悪化しない状況を意味する。
●市況
日経先物(大証)26435、ダウ先34212、債先149.44、米2.727、独0.7975、仏1.306、西1.722、伊2.408、波6.115、原油101
.53、ドル円125.43、墨ペソ19.80、トルコリラ14.5876、墨CDS113
※4/13 8時55分頃

備忘録(4/11)
●ウクライナ
フランスの大手銀行ソシエテ・ジェネラルは11日、ロシアでの銀行と保険事業から撤退すると発表した。傘下のロスバンクなどの株式を売却することで合意した。ウクライナ侵攻を受けて各国が経済制裁を発動し、欧米の大手銀行はロシアからの撤退を相次ぎ表明している。ソシエテ・ジェネラルは、ロスバンクとロシアでの保険子会社の全株式を、ロスバンクの前の株主であるインテロス・キャピタルに売却する。
ソシエテ・ジェネラルのロシアの投融資残高は2021年末時点で186億ユーロと、グループ全体の1・7%。そのうち154億ユーロがロスバンクだった。21年12月期は純利益の3%近くがロシア事業によるものだった。
発表によるとソシエテは、ロスバンクと同社のロシア保険子会社の持ち分全てを売却する。インテロスはロスバンクの旧株主。この売却でソシエテが計上する金額は約30億ユーロ(約4090億円)で、同行の普通株式等ティア1(CET1)比率に20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後の影響が及ぶという。
ロシアへの貿易制裁の効果を日本経済新聞社と日本経済研究センターが試算したところ、ロシアがすべての輸出をできなくなった場合、同国の損失が最大で名目国内総生産(GDP)の3割相当の約4600億ドル(約57兆円)に達することがわかった。西側諸国が制裁の実効性を高めるには、エネルギー調達でのロシア依存をどこまで減らせるかがカギを握る。
オーストリアのネハンマー首相は11日、モスクワを訪問しロシアのプーチン大統領と会談した。ウクライナ情勢を協議し戦争の終結を訴えたが、物別れに終わったようだ。プーチン氏は同日までにウクライナでの作戦を統括する司令官を新たに任命した。ウクライナは徹底抗戦を続ける構えで、東部での大規模な戦闘へ緊張が高まっている。オーストリアメディアによると、ネハンマー氏は会談後の声明で「友好的な訪問ではなかった」とコメントした。オーストリアは永世中立国で、ロシア訪問を事前にEUやドイツと調整していた。
国営ロシア鉄道は先月の利払いを行わずデフォルト(債務不履行)に陥ったと、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)のクレジットデリバティブ決定委員会が判断した。
同委員会によると、3月14日が支払い日だったクーポンは10日間の猶予期間の終わりまでに投資家に届かなかったため、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の支払い事由が発生した。
CDSの支払い事由発生は、ウクライナ侵攻を巡りロシアが制裁を科された後では初めて。制裁は債券の利払いや償還を困難にした。ロシア鉄道はクーポン支払いを試みたが、「コルレス銀行の法規制順守義務」により債券保有者に支払いが届かなかったという。
ポーランド首相、大規模な戦車戦が迫っていると予想
ロシアがウクライナ東部のドンバス地方に新たな攻撃を準備しているため、EU加盟国はウクライナ向けの追加軍事支援を急がなければならないと、ポーランドのモラウィエツキ首相が呼び掛けた。「最大の決戦が始まろうとしている。欧州では第2次大戦以降で最大の戦車戦になる」と語った。
●コロナ
中国・上海市は、集合住宅の43%を対象に新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)措置を緩和した。経済活動を大幅に抑制し、市民の日常生活に大混乱を引き起こした前代未聞の厳格な都市封鎖はひとまず解除に向かっている。
上海市当局者が会見で述べたところによれば、人口2500万人の同市を細かい区域に分け、それぞれを3つのカテゴリーに分類する。このうち過去2週間に感染者が確認されなかった7565の集合住宅については11日にロックダウンを解除する。ただし感染者が1人でも報告された場合には、ロックダウンが再び課されるという。
また過去1週間に感染報告はなかったものの、14日以内に感染者が報告された2460の区域は、住民の外出を認めるが、集合住宅の敷地内にとどまる必要があるという。さらに過去1週間に感染者が出た7624の区域ではさらに7日間、自宅隔離が義務付けられる。
●中国不動産
中国不動産業者の高利回りドル建て債が50%近いデフォルト(債務不履行)確率を織り込む水準で取引されているのは、「過度に弱気なシナリオ」ではないと、ゴールドマン・サックスが論じた。
ゴールドマンのアナリスト、ケネス・ホー、チャッキ・ティン両氏はリポートで、社債価格が額面1ドルに対して50セントを割り込んでいるがデフォルトには至っていない不動産業者全てが年内にデフォルトに陥る場合、デフォルト確率は47.4%になると分析した。
ゴールドマンの基本シナリオでは今年のデフォルト率は19%、弱気シナリオでは31.6%としている。
弱気シナリオが現実となる可能性は高まったと両アナリストは指摘。どこがデフォルトするか見分けるのは引き続き困難だとして、「個別のクレジットリスクを判断するのは非常に難しい」と述べた。
また財務体質が比較的弱い不動産業者が、中国の緩和的な金融政策でデフォルトを回避できるかは定かではないとの見方も示した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
独メルセデス・ベンツグループは11日、2030年までに乗用車1台あたりの二酸化炭素(CO2)排出量を20年比で半分以下とする新たな目標を明らかにした。原材料の調達から生産、廃棄までのライフサイクル全体の排出量が対象。電動化や車載電池開発に加え、工場で使う電力の7割を再生可能エネルギーに変える。
メルセデスは39年にガソリン車の販売終了などでCO2排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を目指す計画を掲げている。今回の発表で計画達成に向けたロードマップを示した。
脱炭素戦略の柱となるのが電動化だ。メルセデスはこれまでに乗用車で6車種の電気自動車(EV)を発売。さらに25年には販売する新車の半分をEVかプラグインハイブリッド車(PHV)とし、30年にもすべてEVにする。
さらに「CO2排出削減の最大の手段」ととらえる車載電池の開発を進める。リチウムイオン電池のエネルギー密度を現行の2倍に高めるとともに、コバルトを使わないリン酸鉄リチウム(LFP)電池、全固体電池など次世代技術の開発を強化。各社も開発に乗り出す全固体電池については、28年までの量産化を目指す。こうしたEV関連投資は30年までに400億ユーロ(5兆4400億円)に上る見通しだ。
米自動車用品販売のオライリー・オートモーティブ株が上場来高値を連日で更新している。景気減速時には新車販売が減る半面、長く乗り続けるため補修部品などの販売が伸びるとされる。景気後退懸念が強まる中、見直し買いが進む。
米アマゾン・ドット・コムは11日、投資適格級の社債を発行する。調達資金は一般の事業目的に充当する方針で、債務返済のほか、買収や自社株買いの資金として使用される可能性がある。同社の起債は約1年ぶり。
●決算関連
●マクロ・その他
中国汽車工業協会が11日発表した3月の新車販売台数は、前年同月比11.7%減の223万台だった。新型コロナウイルスの感染拡大で工場の休止が相次ぎ、3カ月ぶりのマイナスとなった。英調査会社LMCオートモーティブはコロナ禍が年間販売台数を約100万台押し下げる要因になるとの予測を明らかにした。
英ドーバー港での渋滞によって生鮮食品を積んだ大型トラックが英仏海峡を渡るのに最大2日間待たされる事態が発生し、英国の食肉業界は政府に対して傷みやすい商品の輸出を優先して迅速化するよう要求した。
貨物の遅延は英P&Oフェリーズによる運航停止と悪天候、観光客の通行増加、税関手続きのIT(情報技術)システム障害によって引き起こされた。
英政府は7日、ガソリン・ディーゼル車の販売を段階的に禁止する計画の詳細を発表した。2028年までに国内で販売される新車の過半数を完全な電気自動車(EV)にすることを盛り込んだ。
2024年以降、自動車メーカーにEVの販売比率を定める中国のような強制的な目標を課すことを検討している。毎年のEV販売比率を設定し、35年までに全車種の排出ゼロを達成することを想定する。
10日に実施されたフランス大統領選挙の1回目投票で、急進左派「不服従のフランス」のメランション党首が3位につけ、事前予想を上回る票を獲得した。調査会社Ifopによると、1月上旬には8~9%程度だったのが、選挙戦が進むにつれ、支持を拡大した格好だ。1位につけたマクロン大統領と、2位の極右国民連合ルペン党首がどう左派層の支持を取り込むかが、24日の決選投票の行方を占う。
「(決選投票で)ルペン氏には一票も入れるべきではない」。メランション氏は10日夜、投票締め切り後にパリ市内で支持者にこう呼びかけた。マクロン氏に投票すべきかには触れなかったが、消極的なマクロン氏支持の立場を示唆したといえる。
フランスの伝統的な二大政党である中道右派の共和党と中道左派の社会党の候補の得票率は5%に届かなかった。仏有権者の既存政党への不信感が根強いことを示した。
投票締め切り後、敗北を認めた候補者で、極右の「再征服」のゼムール氏はルペン氏を、中道右派共和党のペクレス氏はマクロン氏を決選投票で支持すると表明した。
「緊張」の長期的な傾向を表す指数は17年1月の0.81から上昇を続け、21年末には1.16に達した。新型コロナウイルスの広がりが長期化している影響が表れた。短期的にも上昇しており、ウクライナ侵攻直後の2月末は1.23、3月は1.28と年末を上回った。月別の傾向では緊張は新生活が始まる4月に上がりやすいことが分かった。職場や学校などで新しい環境になり、緊張感が高まりやすいことがうかがえる。
「活気」は17年1月に0.8だったのが21年末には1.11に上昇した。感染症や地政学リスクが明らかとなった割には景気が底堅く、株価なども上昇傾向にあったのが影響しているとみられる。
短期の傾向では、活気は緊急事態宣言の解除のような節目となる出来事があると上がりやすかった一方、土日や夏休みなどの定期的な休みでは上昇しなかった。怒りは他の指標と比べて平日に上がる傾向にあった。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアと近接する北欧のフィンランドとスウェーデンが早ければ夏にも北大西洋条約機構(NATO)に加盟を申請する準備を進めていると、英紙タイムズが11日報じた。複数の米当局者の話としている。
ロシアはこれまで、北欧2カ国が加盟すれば「軍事、政治的に重大な結果を招く」と警告しており、対抗策を講じるのは確実。欧州の安全保障構造が大きく変わる可能性をはらんでいる。ペスコフ大統領報道官は11日「NATO拡大は欧州の安全保障を高めることにつながらない」と述べた。
ロシアと約1300キロにわたり国境を接するフィンランドは1995年、欧州連合(EU)に加盟。ロシア、EU双方との関係強化を掲げてきた。最近はNATO加盟を支持する世論が急速に広がり、最新の世論調査では支持が60%を超えた。
スウェーデンも伝統的に中立を維持してきたが、NATO加盟支持の声が高まっている。領土である戦略的要衝の島はロシアの欧州内の飛び地までバルト海を挟んで約二百数十キロの至近距離にある。タイムズによると、アンデション首相も加盟を「否定するつもりはない」との考えを示した。
中国が景気停滞と物価高の二重苦に陥っている。中国国家統計局が11日発表した3月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比8.3%上昇し、中でも石炭や石油は約5割上昇した。新型コロナウイルス対応の厳格な移動制限で中国景気は停滞感を強めている。ウクライナ情勢緊迫化に伴う資源高が企業収益を一段と悪化させ、家計の節約志向も強めかねない。
コスト高と弱い消費の板挟みで民間企業の収益は悪化している。赤字に陥った民間企業の比率は直近2月末時点で27.3%と、前年同月末(24.6%)より上昇。18年まで各年2月の比率は20%未満だったが、米中貿易戦争や新型コロナの打撃で高止まりしている。
中国の就業者の8割は民間企業で働いており、収益悪化は雇用や所得の伸び悩みを通じて家計にも響く。中国人民銀行(中央銀行)が1~3月に預金者を調べたところ、「より多くのお金を貯蓄に振り向ける」との回答は54.7%に達した。新型コロナが初めて中国経済を直撃した20年1~3月(53.0%)を上回り、家計の節約志向の強さを示した。
岸田文雄首相は8日夕の記者会見で、ウクライナ侵攻に対する追加制裁としてロシアからの石炭輸入を禁止するとした一方、電力需給の逼迫(ひっぱく)を回避するため再生可能エネルギーや原子力を活用すると表明した。
政府はこれまで停止中の原発について原子力規制委員会の新規制基準に適応すると認められた場合のみ活用する考えを示しており、今回の方針表明で再稼働のペースが加速するかには不透明感も残る。
メキシコで10日、ロペスオブラドール大統領への信任をめぐる選挙が実施され、約9割が同氏の続投に賛成票を投じた。今回の選挙は大統領が自らの支持率を示すために実行し、野党は有権者に棄権を呼びかけていた。投票率は約18%と低水準にとどまった。
ロペスオブラドール氏は2018年の大統領選で、任期中に信任投票を実施する公約を表明。19年に国民投票の制度を導入した。投票率が有権者の40%を超えた場合、過半数が大統領に反対票を投じれば解任できる。今回の信任投票は解任の条件が厳しいため、続投が確実視されていた。
今回の信任投票をめぐっては、同氏が自らの支持を示すための資金の無駄遣いだと批判されてきた。国民行動党(PAN)などメキシコの野党は有権者に対し、無意味な投票だと指摘してきた。フォックス元大統領は「投票に行かないで欲しい」とツイートで呼びかけた。
経済紙フィナンシエロの世論調査によると、ロペスオブラドール氏の支持率は2月時点で54%と就任時に比べて10ポイント以上低かった。同氏は支持者に対して積極的に投票を促すことで、続投に対する高い賛成票を得た。現政権に反対する有権者の多くは投票に行かなかったとみられる。
●市況
日経先物(大証)26627、ダウ先34208、債先149.29、米2.803、独0.58185、仏1.303、西1.746、伊2.483、波6.221、原油95.09、ドル円125.44、墨ペソ19.94、トルコリラ14.6755、墨CDS113
※4/12 9時5分頃

備忘録(4/8-10)
●ウクライナ
企業のロシア事業の撤退や停止に向けた作業が長期化している。撤退をいち早く打ち出した英シェルは現地事業の売却手続きが進捗せず、米エクソンモービルはなお事業を続ける。ウクライナ侵攻でロシアの「戦争犯罪」を問う声も強まり、企業の実質的な事業継続は信用低下を招く恐れもある。経済制裁の実効性を高めるためにも、企業を後押しする政策も求められている。
米格付け会社S&Pグローバルは8日、ロシアの発行体の信用格付けを撤回したと発表し、その直前にロシアの外貨建て発行体の格付けを一部デフォルト(債務不履行)とみなす「SD(選択的デフォルト)」に引き下げた。ロシアが4日に期限を迎えたドル建て国債の償還と利払いをルーブルで実施したことがルール違反にあたると判断した。
ロシアのウクライナ侵攻を巡る米国の批判の矛先がプーチン大統領に回帰した。一時は軍や情報機関を批判対象にしてプーチン氏に停戦交渉の余地を残そうとしているとの分析があった。民間人の虐殺で転換したとみられる。追及には核兵器使用や戦争長期化のリスクが高まるジレンマもある。
永世中立国のオーストリアは、停戦に向け西側諸国とロシアの仲介役として期待されている。ネハンマー氏は9日にウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問し、同国のゼレンスキー大統領と会談した。
ロシアの軍事侵攻を受けたウクライナは2022年の実質成長率がマイナス45.1%と、記録的な落ち込みになると予想した。日米欧から経済制裁を受けているロシアも、マイナス11.2%になると見込んだ。
シルアノフ財務相は同紙に対し、「われわれは今年国内市場や国外市場に(調達に)行く予定はない。借り入れコストの果てしない上昇が予想され意味がない」と語った。
ロシア財務省のデータによれば、今年これまでのルーブル建て国債(OFZ)の発行額は1280億ルーブル(約1994億円)。当初の計画では1-3月(第1四半期)に7000億ルーブルの発行を予定していた。
●コロナ
中国金融の中心地、上海市で新型コロナウイルスの感染が広がり続けている。ロックダウン(都市封鎖)延長にもかかわらず、新規感染者数が過去最多となった。
上海市が10日発表した声明によれば、9日の新規感染者は2万4943人。同市がロックダウンを始めた3月28日は4477人と報告されており、5倍余りに増えている。中国全体の9日新規感染は2万6355人。
米国務省は8日、米国民に対し中国への渡航について再考を促し、コロナ規制が「恣意(しい)的に執行」されている上海などの感染拡大地域を訪れないよう要請。上海の米総領事館で働く一部外交官とその家族の中国出国を容認し、自主退避を認めるこの決定について中国側に伝えるとともに、中国のコロナ対応に懸念を示した。
中国外務省の趙立堅報道官は声明で、「中国の疫病対策は科学に基づき効果的であることを指摘しなければならない。上海などが感染の新たな波に打ち勝つことを完全に確信している」とコメント。「中国の防疫政策に対する米国側の根拠のない批判は極めて不快で、断固として反論する。米国に厳重な抗議を行った」ことを明らかにした。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米国で格安航空会社(LCC)を巡る買収合戦が熱を帯びている。もともとフロンティア航空との合併を予定していたスピリット航空にジェットブルー航空が対抗案を提示。スピリットは7日夜、ジェットブルーと協議を始めると発表した。集約が進んだ米航空業界での大型再編に対する規制当局の動向も焦点になる。
新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、世界の航空各社の業績低迷が続いている。コロナ禍が航空業界に与えた影響や業績回復の見通しはどうか。世界の航空会社の運航データなどを収集する英航空情報会社シリウムのジェレミー・ボーウェン最高経営責任者(CEO)に聞いた。
ビデオゲームのスタートアップ、英インプロバブルは7日、株主のソフトバンクグループとアンドリーセン・ホロウィッツが主導した資金調達で新プロジェクト「M²(Mスクエアド)」向けに約1億5000万ドル(約190億円)を集めたと発表した。
インプロバブルの資料によれば、M²はメタバースの基盤となるブロックチェーンを活用したシステムで、異なるバーチャル空間を結び付ける。今回の資金調達でM²の価値は10億ドルと評価されたと同社は説明した。ソフトバンクGはビジョン・ファンド2が資金を提供した。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
オーストラリアのモリソン首相は10日、連邦議会下院を解散し総選挙を5月21日に実施すると発表した。最新の世論調査では、与党・保守連合(自由党と国民党)の支持率は最大野党・労働党を下回っており、約9年ぶりの政権交代が焦点となる。
豪紙オーストラリアンが4月上旬に発表した世論調査では、二大勢力だけで測った場合の支持率は保守連合が46%、労働党が54%だ。モリソン氏は3月下旬に発表した2022会計年度(22年7月~23年6月)の連邦政府予算案で、ガソリン税の引き下げや低・中所得者層への減税など家計支援を打ち出し巻き返しを図る。
米連邦準備理事会(FRB)は6日、3月に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開した。量的引き締め(QT)では保有資産を月に950億ドル(約12兆円)を上限として縮小することでおおむね合意し、5月にも開始することが分かった。今後の利上げペースについては、0.5%の幅で引き上げる可能性があることを強く示唆した。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、米メキシコ国境のガソリンの価格差が拡大している。ウクライナ情勢の影響で米国のガソリン価格が高騰し、大幅な減税を進めるメキシコの価格を超えている。背景にはガソリン価格の抑制で支持率を維持したいロペスオブラドール政権の思惑がある。
米メキシコ国境では差が開いている。AAAによると、メキシコと国境を接する西部カリフォルニア州は足元で1ガロン5.8ドルと全米平均よりも高い。一方でメキシコでは給油所のブランドによって価格が異なるが、北西部ティフアナでも全国平均との大きな差はない。米メキシコ国境では米国側のほうが1ガロン1ドル以上高い。
もともと全国平均でメキシコのほうがガソリン価格が高かったのは、産油国でありながら製油所の老朽化が深刻だからだ。国営石油会社のペメックスによると、国内6カ所の製油所の稼働2021年時点で45%にとどまる。海外からのガソリンの輸入に依存しており、政府にとって価格抑制が課題だった。
この構図を逆転させたのがメキシコ政府の大規模なガソリン価格の抑制策だ。メキシコには通常は1リットルあたり5.49ペソかかる税金をガソリン価格に応じて減税する制度がある。21年12月中旬時点では47%の減税をしていたが、世界的にエネルギー価格が上がると減税幅を拡大した。3月からはガソリンにかかる税金を完全に免除する状況が続いている。
メキシコ政府はさらに追加の税控除を打ち出している。政府は8日、9~22日に1リットルあたり1.02ペソを石油業界の企業の所得税や消費税から控除すると発表した。世界的なエネルギー価格の上昇を受け、通常のガソリンにかかる税金だけでなく他の税金も控除することで価格抑制を促す。
メキシコ政府がガソリン価格の抑制に注力する背景には、支持率を維持したいという現政権の思惑がある。ガソリン価格が上昇すれば、ロペスオブラドール大統領の支持基盤である低所得者層の生活が悪化しかねない。
メキシコ国内では財政悪化を懸念する声が高まっている。地元紙の報道によると、1月はガソリンの減税によって前年同月比で税収が127億ペソ減った。3月以降はさらに大胆な減税を打ち出しており、減収幅の拡大は避けられない。産油国のメキシコは原油価格の上昇で歳入が増えるが、減税による落ち込みは補えないという見方がある。
米農務省は8日、4月の穀物需給見通しで、2021~22年度の小麦の世界の期末在庫は2億7840万トンと3月予想から310万トン減り、5年ぶりの低水準になると発表した。ロイター通信が集計したアナリスト予想平均の2億8140万トンを下回った。インドが国内向け供給のため在庫を切り崩すとみて、同国の期末在庫を442万トン減の2100万トンに引き下げたことが響いた。
小麦の世界輸出は2億トンと3月から300万トン減った。欧州連合(EU)の輸出は「予想を下回るペース」(米農務省)とし、350万トン減の3400万トンに引き下げた。ロシアの侵攻を受け黒海からの出荷が止まっているウクライナの輸出は100万トン減の1900万トンに引き下げた。一方ロシアの輸出は価格競争力があることを理由に100万トン増の3300万トンに引き上げた。
トウモロコシの世界在庫は、ブラジルやインドネシアの増産を見込み、3月に比べ450万トン増の3億550万トンと推定した。ロイターの予想平均を上回った。大豆の世界在庫は米国とアルゼンチンの在庫減を反映し40万トン減の8960万トンを見通した。
スリランカ中央銀行は8日、政策金利の大幅な引き上げを決めたと発表した。預金金利(SDFR)と貸出金利(SLFR)を7%ずつ引き上げて、13.5%と14.5%とした。スリランカは外貨不足により輸入品を中心とした物価上昇に見舞われ、政権への抗議活動も続く。政情不安が深刻になるなか、異例の引き締めでインフレ抑制を図る。
スリランカ経済は新型コロナウイルスにより主力の観光業が低迷し、足元で急激な外貨不足に直面している。発電に必要な原油や食品などの生活必需品の輸入が滞り、深刻な物価上昇が国民生活を直撃している。3月の最大都市コロンボの消費者物価指数は前年同月比18.7%増と、記録的な高水準だった。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「ウクライナ情勢の悪化による国際商品市況の上振れも重なった」と指摘する。
国民の不満は高まり、各地で政権に対する抗議活動が発生している。ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領は4月に入って一時、全土に非常事態宣言を発令した。大統領の弟であるバシル・ラジャパクサ氏が財務相を辞任するなど、人事の刷新で事態収拾を探るが、抜本的な打開には至っていない。
折からの財政赤字にも苦しむスリランカは、今後も国債の償還期限などを控える。政権運営は一段と困難になる見込みで、国際通貨基金(IMF)などに支援を求めていくとみられる。スリランカは中東・アフリカと東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝にあたり、周辺地域での影響力拡大を図る中国やインドの動向も注目を集めそうだ。
ブラジル地理統計院が8日発表した2022年3月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で11.3%上昇した。03年10月(13.98%)以来の高い上昇率となった。ロシアによるウクライナ侵攻で燃料費、干ばつなどで食料品の価格が上昇している。
エコノミストの市場予想を上回る上昇率となった。10%を上回るのは7カ月連続で、3カ月連続で上昇幅が加速している。月間上昇率は1.62%と、03年1月(2.25%)以来の高い伸び率となった。
原油価格の高騰を受けたガソリン価格は1年間で3割近く上がった。ガソリンの値上がりは、生産コスト上昇となり企業への影響が広がっている。食料品ではにんじん、トマト、コショウなどの価格が上がっており、食卓への影響が広がっている。
食料インフレが加速している。国連食糧農業機関(FAO)が8日発表した3月の世界の食料価格指数(2014~16年=100)は159.3と前月比17.9ポイント上昇した。ロシアが侵攻したウクライナ危機で穀物や植物油が大きく値上がりし、2カ月連続で過去最高値を記録した。
パキスタン下院は10日未明、カーン首相に対する不信任決議案を可決した。不信任決議で首相が失職するのはパキスタン史上初。
決議案採決直前に与党の正副議長は辞任。野党のアヤズ・サディグ議員によれば、不信任賛成が計174票と、可決に必要な172票を上回った。与党側は採決を遅らせるため米国がカーン氏の追い落としを図っているとの主張を繰り返し、幾度となく審議を中断。バイデン政権はこうした主張を否定している。
野党側は下院の任期が終わる2023年8月までパキスタンを統治する首相候補としてシャハズ・シャリフ氏を指名する見込み。同氏はナワズ・シャリフ元首相の弟。新政権は国際通貨基金(IMF)と融資に関する交渉を行う必要もある。
下院は11日に後任選定のため招集される予定で、軍と比較的友好的な関係を持つシャリフ氏が選出されるのはほぼ確実な情勢。一方、カーン氏は10日夜、「米国の支援を受けた政権交代」だとし、全国の支持者に自身の失職が不当であると訴えた。
クリケットの元スター選手であるカーン氏の失職の背景には、軍人事への介入やぎくしゃくした対米関係、インフレ高進に見舞われた経済の運営などさまざまな問題で同氏と軍との関係悪化がある。パキスタン軍は建国75年の歴史のほぼ半分にわたって国を統治しており、軍事政権下では任期を全うした首相はいない。
スリランカの最大野党、統一人民戦線(SJB)は、ラジャパクサ大統領が持つ広範な権限を失効させる動議を間もなく提起する方針だ。強大な大統領権限が経済運営を誤らせていると議員らは指摘、街頭では大統領の退陣を求める抗議活動が広がっている。
SJBのハルシャ・デシルバ議員はブルームバーグ・ニュースに対し、「大統領権限を奪う動議になる」と述べ、大統領権限を弱めた先の憲法修正条項よりもさらに踏み込んだ改憲を目指すと説明した。こうした憲法修正には、議会で3分の2以上の賛成が必要となる。
オピニオンウェイが第1回投票終了後に1700人を対象に実施した世論調査ではマクロン氏が54%、ルペン氏が46%。Ifopが1000人弱を対象に行った調査ではマクロン氏51%、ルペン氏49%だった。誤差は1.4-3.1ポイント。
選挙戦終盤にルペン氏が支持を急激に伸ばしたことから政治リスクへの警戒が高まった。投資家は決選投票までの2週間、マクロン氏が優位を固められるかどうかに注目することになる。仏10年債利回りは先週、親ロ派として知られる極右のルペン氏がウクライナ侵攻のさなかに当選するのではないかとの懸念から7年ぶり高水準となった。
TSロンバードの調査責任者、アンドレア・シシオーネ氏は第1回投票の暫定予測について、「かなり心強い数字だ」とした上で、「マクロン氏とルペン氏には大きな差がある。これが決選投票に引き継がれるなら市場、特に債券市場にとっては極めて良い展開になりそうだ」と指摘した。
ルペン氏(53)にとって暫定予測の数字は過去最高の結果を示唆しており、同国の極右リーダーとしての地位を固められる見通しだ。5年前の大統領選で表面化した分断がさらに深まったことも示している。
同氏は第1回投票終了後、パリで支持者らにマクロン氏を権力の座から降ろすため結集すべきだと発言。「きょうマクロン氏に票を投じなかった人は全員、当然ながらこの動きに加わるべきだ。私は右派、左派や出生地を問わず、この偉大な国民・民衆の運動に加わるよう国民に呼び掛ける」と語った。
●市況
日経先物(大証)27017、ダウ先34613、債先149.34、米2.704、独0.7110、仏1.261、西1.707、伊2.385、波6.061、原油97.84、ドル円124.33、墨ペソ20.05、トルコリラ14.7486、墨CDS108
※4/8 NY引け値

備忘録(4/7)
●ウクライナ
ロシア軍がウクライナ侵攻で化学兵器を使った場合を想定し、対応策を検討していると明らかにした。同氏は「これから戦争の状況が悪化しないという保証はない」と語った。
ロシアは当初計画したとみられる進軍ができておらず、化学兵器を使って戦局を打開するのではないかという懸念が出ている。バイデン米大統領は3月下旬、ロシアが化学兵器を使った場合には対抗措置をとると表明し、けん制している。
米商務省は7日、ロシアへの経済制裁として科したハイテク製品の輸出規制に違反したとして、同国の航空大手3社に初めての罰則を科すと発表した。対象企業は米国の製品やサービスの供給を受けられなくなり、運航が難しくなる。
ラブロフ氏は6日にウクライナから停戦合意案を受け取ったという。ただ3月29日にトルコの最大都市イスタンブールで開いたロシアとウクライナの停戦協議から「明らかに後退した内容だ」として拒否する考えを示した。
ラブロフ氏によれば、ウクライナの安全を多国間で保証する枠組みについて同国案には、クリミア半島を適用外にする項目が省かれたという。ウクライナで軍事演習を実施する際にロシアの同意が必要とする、ロシア側が求めた項目も盛り込まれなかったと主張した。
一方、ウクライナ大統領報道官は、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長とウクライナのゼレンスキー大統領が8日に首都キーウ(キエフ)で会談すると明らかにした。1日には欧州議会のメツォラ議長が来訪するなど、欧州要人のキーウ入りが続いている。
NATO外相会議に参加するためブリュッセル入りしたウクライナのクレバ外相は、武器の追加供給を巡るドイツの決定が遅過ぎると指摘した。「ベルリンには時間があるが、キーウ(キエフ)に時間がない」と述べ、ドイツは数週間前にウクライナへの武器供給合意という「革命的」な一歩を踏み出したが、ドイツの力を踏まえれば「もっとできるのは明らかだ」と主張。7日のNATO会議で自身にとっての議題は「3つだけだ。その3つとは武器と武器、武器だ」と語った。
同誌によれば、ドイツ当局者は今回傍受した内容について、キーフ近郊のブチャでの民間人殺害が一部のならず者兵士によるものではなく、恐怖をあおるための意図的な戦略の一環だった可能性があることを示唆していると語った。同当局者は6日にこの情報を議会に伝えたという。ロシア側は同国軍が撤退した後にブチャで見つかった民間人の遺体の画像について、でっち上げだと主張している。
独連邦情報局(BND)は、ブチャで見つかった遺体の場所と一致する位置データを傍受していると、シュピーゲルは伝えた。ある会話では、自転車に乗っていた人を銃撃して殺害したと主張する兵士の声が含まれていた。また別の会話では、その場にいる民間人にはまず尋問し、その後銃撃すべきだと話している人の声もあった。
こうしたドイツの情報は、ロシアの民間軍事会社ワグナー・グループの雇い兵が残虐行為に関与した可能性を示唆していると、シュピーゲルは報道。複数の目撃者によれば、侵攻の第1段階でブチャには当初若い兵士が来ていたが、その後別の兵士に置き換えられ民間人への攻撃が始まったという。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ソフトバンクGは昨年11月、株価がディスカウントされているとの判断から2022年11月8日までを期間とした1兆円の自社株買い実施を表明。3月末時点の累計取得額は約3446億円となっている。
5月の国内線運航率(2022年度計画比、便数ベース)を97%にすると発表した。4カ月ぶりに9割を超える見通しだ。新型コロナウイルス禍で低迷する観光や出張などの需要が回復するとみて、減便を小幅に抑える。需要が想定を下回れば、追加減便を行う可能性もある。
●その他産業
三菱電機は7日、スウェーデンの昇降機企業モートム社を買収すると発表した。買収額は非公表。モートム社は昇降機2万台超の保守契約を結ぶなど北欧地域で一定のシェアを持つ。三菱電機は海外での昇降機事業拡大を掲げており、欧州地域での保守・交換需要の獲得につなげる。
3月23日付でモートム社の全株式を取得する株式譲渡契約を結んだ。モートム社の売上高は年間で約7億スウェーデンクローナ(約91億円)。モートム社は同社ブランドでの昇降機販売に加え、他社製品の保守も手掛ける。昇降機の交換ではスウェーデン国内で首位級のシェアを誇るという。
ウクライナ侵攻を受けて欧米企業中心にロシア撤退の動きが広がる中でも、明確な態度を示していない。スマートフォンやテレビで高いシェアを握り、撤退すれば、猛追する中国勢に市場を奪われるとの懸念が強いためだ。LG電子や現代自動車といった韓国企業も同様の板挟みに直面している。
●決算関連
英石油大手シェルは7日、ロシアからの事業撤退に伴う損失が2022年1~3月期に最大50億ドル(約6200億円)になりそうだと発表した。ロシア事業の固定資産について従来は34億ドル程度と説明していたが、売掛債権の引当金計上などで損失規模が上振れする見通しになった。
シェルはウクライナ侵攻に抗議して2月末、ロシア極東の石油ガス開発事業「サハリン2」など、国営ガスプロムと手がけてきた合弁事業から引き揚げると表明した。3月上旬には資源の調達や小売事業も含め、ロシア関係の事業や取引から全面的に退くことを決めた。
●マクロ・その他
ハンガリーで3日に投開票された議会選挙でオルバン首相が率いる右派の与党が勝利した。
ロシアのプーチン大統領や中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席、米フロリダ州の別荘「マール・ア・ラーゴ」にいるトランプ米前大統領は快哉(かいさい)を叫び、欧州連合(EU)指導部とウクライナ政府は頭を抱えていることだろう。
米金融政策の正常化に伴う金利上昇でアジア各国の外貨準備が減少している。財務省が7日発表した日本の3月末の外貨準備高は前月末比2.1%減の1兆3560億7100万ドル(約166兆7970億円)だった。約285億ドルの減少幅は2000年4月の統計公表以降で最大だ。中国や韓国も減少傾向で、各国の通貨当局が対応を迫られる可能性がある。
企業年金の運用で「インフラ投資」への配分を増やす動きが強まっている。民間調査によると、2021年は全体の15%の企業が「投資を増やす」と回答し、新型コロナウイルス禍前の19年の8%から増加した。「不動産投資」も増加傾向だ。市場環境が不透明になる中、年金の商品構成を見直す機運が高まっている。
JTBは7日、2022年春の大型連休「ゴールデンウイーク(GW、4月25日~5月5日)」に国内旅行人数が21年比で7割増える推計を発表した。新型コロナウイルス前の19年の水準には届かないものの、3月に「まん延防止等重点措置」が全面解除されたことや比較的連休を取りやすい日程が追い風となった。遠方への旅行を計画する人も増えて平均費用も上がった。
新型コロナ感染防止のため近隣での旅行が目立った21年から、より遠方を望む消費者が増えているという。5月2日と同6日は平日だが休みにすると10連休となる日並びの良さも後押ししている。旅行に行く予定の人のうち、利用する交通手段は「JR新幹線」が21年と比較して5ポイント増の23%、「航空機」も5ポイント増の21%だった。一方で「乗用車・レンタカー」は62%と最も高かったものの3ポイント減った。
旅行日数も1泊が3ポイント減の36%だった一方で、2泊が4ポイント増の33%だった。旅行先としては関東地方や近畿地方を挙げる声が多かった。海外は2%弱にとどまる。出発のピークは29日と予想している。
エルドアン氏はイスラム世界での指導力の強化を目指し、メッカなど二大聖地を抱えるサウジに強い態度を示すようになった。イスラム原理主義組織、ムスリム同胞団を擁護し、同組織を脅威とみなすサウジ、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトなどとの緊張を高めた。これを改める契機が21年1月のバイデン大統領の就任だった。
トルコの強権体制を懸念するバイデン政権との関係が悪化。パレスチナを圧迫するイスラエルを批判していたが、同国がアラブ諸国との和解を進めるとトルコの孤立が鮮明になった。2月にエルドアン氏がUAEを訪問して和解を演出した。3月にはイスラエルのヘルツォグ大統領をトルコに招いた。
記者殺害を巡りサウジとの修復は遅れていた。サウジでは20年、トルコに反発して同国製品の不買運動が起きた。サウジの公共工事からトルコ企業が締め出される状況もあったといわれている。
IMFは新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、ワクチン接種が進むことで「消費が回復をけん引する」と指摘した。ただ原材料価格の高騰やウクライナ危機による不確実性の高まりで「国内需要の回復ペースは鈍化する」との見通しを示した。
外需も欧州経済の減速を背景に「地政学的な緊張の影響を受ける」と分析した。部品不足といった供給制約が解消され「設備投資は持ち直す」との見解を示した。23年の成長率は2.3%と、1月時点の1.8%から引き上げた。
6日の年次審査報告では、日本経済の潜在成長率を高めるにはデジタルやグリーン分野へ積極的に投資すべきだと提言した。経済的に大きなショックが起きても対応できるように「成長に配慮しながら中長期的な財政健全化策が必要だ」とも説いた。
ドイツのシンクタンク、キール世界経済研究所は6日、3月の世界貿易額(物価調整済み)が前月に比べて2.8%減少したとの見通しを示した。ウクライナ侵攻に伴うロシアへの経済制裁を受け、世界で物流が停滞していることが背景だ。
同研究所は世界500港の入出港船舶などのデータを人工知能(AI)で分析し世界の貿易額を示す貿易指数を公表している。
3月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は6.37%と、2月に比べ0.04ポイント低くなった。空室率の低下は2カ月ぶり。IT(情報技術)企業などで、中小型ビルに拡張移転する動きが出ている。
供給過剰の目安となる5%を14カ月連続で上回ったものの、地区別では中央区を除く4地区で空室率が下がった。渋谷区は5.65%と前月から0.13ポイント低い。新型コロナウイルスの収束後を見据え、従業員が通いやすい好立地にオフィスを移す企業がみられた。
空室がなく移転できずにいたベンチャー企業で、中小型ビルでより広いオフィスを確保して移転する事例もあった。
平均募集賃料は3.3平方メートルあたり2万366円と2月に比べ52円(0.25%)下がった。下落は20カ月連続。空室を少しでも早く埋めるため、賃料を下げるオーナーが多いようだ。全5地区で下落した。
プーチン政権に対する米欧などの制裁を受け、ルーブルは一時1ドル=121.5ルーブルと過去最安値に沈み、1998年のロシア金融危機時の暴落を想起させた。厳しい様相となる中で、バイデン米大統領は「ルーブル(ruble)が瞬く間にほぼrubble(がれき)と化した」とやゆした。
しかし現状は異なることは明らかだ。6日のモスクワ市場のルーブル終値は79.7ルーブルで、ウクライナ侵攻前の水準を回復している。
ロシア政府や新興財閥(オリガルヒ)にさまざまな制裁が科され、外国企業の撤退も相次いでいるが、外国勢がロシア産原油・天然ガスの大量購入継続でプーチン大統領の財源を満たしルーブルが下支えされる限り、こうした措置がほぼ骨抜きであることは明らかだ。
それ以外の面でロシアが世界経済からほぼ遮断されたままであっても、同国の今年のエネルギー輸出収入は約3210億ドル(約39兆7000億円)と、前年を3割余り上回るとブルームバーグ・エコノミクスは推計する。
米欧などの制裁に対応し、ロシアが実施した資本規制もルーブルを支えているものと見受けられる。海外に住む投資家の資産凍結やロシア企業に保有外貨の8割売却を義務付ける措置などが含まれる。
ストラテジストらは6日付のリポートで、「インフレヘッジの必要性が一段と高まっている現在の状況においては、資産配分に占める商品の比率が長期的に上昇し、最終的には世界の金融資産全体の1%超と、これまでの最高を上回ることもあり得る」と指摘。他の条件が全て同じだと考えた場合、商品相場には「ここからさらに30ー40%の上昇余地がある」と分析した。
INGのカルステン・ブジェスキ氏は7日のリポートで、高インフレの長期化は「ECBをひどく不安にさせるため、9月の50ベーシスポイント利上げ」もあり得るとの見方を示した。
マーク・ウォール氏らドイツ銀のエコノミストは今週、「ECBは1回かそれ以上の会合で50bp利上げを実施する可能性がある」と指摘した。
ラガルド総裁は先週、金利調整は緩やかに行うと発言。市場は9月と12月、来年1月、3月に0.25ポイントずつの利上げがあると見込んでいる。
欧州中央銀行(ECB)が公表した3月9、10両日の政策委員会会合の議事要旨によると、一部のメンバーは「資産購入プログラム(APP)の純購入終了期日を夏季に設定する」ことを主張した。
金利調整が純購入の終了後「しばらくして」行われるという表現を当局者らは「総じて」支持した
ユーロ圏経済は新たな危機に突入しつつあるが、ファンダメンタルズは2020年3月よりは良好だとの認識
「厳しいシナリオでも年間成長率はプラスを維持すると予測されており、景気が停滞するスタグフレーションではなく緩やかな減速にとどまる『スローフレーション』を示唆している」
政策金利を0.5%引き上げて4.5%にすると発表した。利上げは9会合連続。
3月のリマ首都圏の消費者物価指数は前年同月比で6.82%上昇した。中銀目標の上限(3%)を10カ月連続で上回っている。中銀は7日の声明で「インフレ率が目標範囲内に戻るのは来年の第2四半期から第3四半期の間になる」と指摘した。3月時点では来年前半には目標範囲内に入るという見通しを示していた。
ペルーではインフレに反発する抗議活動が起きている。一部のデモ参加者は混乱に乗じて暴徒化しており、逮捕者や死亡者が出ている。ペルー政府は5日、首都リマとリマ近郊の港湾都市カジャオの2カ所で一時的に市民に対して外出禁止令を出した。中銀は利上げを通じて物価上昇を抑制し、政情不安を緩和したい考えだ。
セントルイス連銀のブラード総裁は7日の講演で、米連邦準備理事会(FRB)の政策金利が「(理論値と比べて)3%も低い」と述べ、3.5%まで利上げを続ける必要があるとの見方を示した。金融引き締めが大きく出遅れていると指摘し、急速な利上げを主張した。
3月の消費者物価指数は、前年同月と比べて7.45%上昇した。食料品や燃料を中心に価格が上がった。ロシアによるウクライナ侵攻でインフレ圧力が高まっており、メキシコ銀行(中央銀行)は利上げを続ける見通しだ。
3月としてインフレ率が7%を超えるのは21年ぶり。食料品では前年同月比でアボカドが13.84%、たまねぎが10.87%上がった。燃料では家庭用液化石油ガス(LPG)が7.48%上がった。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は前年同月比で6.78%上昇した。

 備忘録(4/6)
●ウクライナ
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は5日、下院軍事委員会の公聴会で、ウクライナ紛争について「少なくとも数年単位になる」と述べた。ロシアの脅威が高まる欧州の抑止力を強化するため、東欧諸国で米軍拠点の拡大を検討すると表明した。ポーランドやルーマニア、バルト3国を候補に挙げた。
ミリー氏は「北大西洋条約機構(NATO)加盟国や米国、ウクライナ、同国を支援するすべての同盟国・有志国はかなり長い間、この紛争に関与することなるだろう」と明言した。「欧州での長期的な軍の態勢は今まさに議論しているが、長期間にわたって兵力が増強される可能性があるのは明らかだ」と話した。
現在、欧州に展開する米軍は10万人で、国防総省は2月上旬から1割以上増やした。ミリー氏は「実際に部隊がいることは抑止力になる」と言及。「私の考えでは恒久的な基地を設け、常駐させずに巡回駐留させるやり方が効果的だ」と説明した。一時的に米兵を派遣するローテーション形式を採用すれば費用負担が抑えられると強調した。
公聴会では、ロシアや隣国ベラルーシによる脅威の最前線になるエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国に加え、ポーランドやルーマニアが恒久的な基地建設の費用負担に前向きだと明らかにした。
ミリー氏はロシアによるウクライナ侵攻について「私の42年間の軍勤務の中で最大の脅威を目の当たりにしている」と主張した。「より不安定な世界に入りつつあり、大国間の重大な紛争のおそれは増大している」とも提起した。
ウクライナへの米軍派遣には改めて慎重な考えを示した。「(米軍派遣は)ロシアとの武力衝突のリスクを伴う。私はそれは勧めない」と唱えた。
ミリー氏は「米軍をウクライナに送らない限りはプーチン(大統領)を抑止できたと思えない。ウクライナ侵攻は彼の長年の目標で、抑止するには米軍の投入が必要だった」と発言した。
さらに同氏は台湾有事をにらんだウクライナ危機の教訓にも触れた。「敵が侵攻を試みた際、軍が武装し訓練を受けていれば非常に有効だ」と語った。米欧から武器供与を受けているウクライナの激しい抵抗で、想定外の苦戦を強いられているロシア軍と中国人民解放軍を重ね合わせたとみられる。
オースティン国防長官は同じ公聴会で「台湾が自らを守るために必要なものを支援する」と述べた。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
英政府は6日、エネルギーの安定供給に向けた新たな中長期計画を公表した。2030年までに原子炉を最大8基建設し、50年時点の原発比率を足元の16%程度から25%に引き上げる。原子力も含めた「低炭素」電源の比率を足元の6割ほどから30年までに95%に引き上げることも「可能だ」とした。
柱となるのが原発の発電量の増強だ。政府統計によると、総発電に占める原発比率は20年時点で16%だが、これを原発の新規建設や技術革新で1割ほど引き上げる。現在稼働中の原発は30年代半ばには全て操業期間を終え、停止する可能性が高いため対策を急ぐ。
建設地として、すでに工事に入っている英南西部ヒンクリーポイントや、日立製作所が事業運営から撤退したウェールズのアングルシー島などの名前が挙がっている。50年に向けては小型モジュール炉の開発も急ぐ。
再生可能エネルギーでは洋上風力の30年時点での発電能力の目標を10ギガワット引き上げ、50ギガワットとした。現状で14ギガワットの太陽光発電も35年までに5倍に増やすことを視野に入れる。商用ビルの屋上の積極活用など規制緩和も検討する方針だ。
これにより20年時点で4割強の再エネの比率を30年までに7割以上に引き上げ、原発も含めた「低炭素」電源を95%に近づける。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は6日、非加盟のフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟を申請すれば「すべての同盟国が歓迎するだろう」と語った。NATOと両国はすでに密接な協力関係にあり、相互運用や民主的な統制の面で「NATOの基準を満たしている」と説明した。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、フィンランドとスウェーデンではNATOへの加盟論議が熱を帯びている。現地メディアによると、フィンランドのマリン首相は2日、加盟を申請するかどうか「この春の間に注意深く、しかし迅速に決定されねばならない」と述べた。世論調査ではNATO加盟を支持する声が増えている。
スウェーデンのアンデション首相は3月末のテレビ番組で「NATO加盟を排除しない」と表明した。同国では9月の総選挙でNATO加盟が争点になるとみられている。
キシコの国立統計地理情報院(INEGI)が6日発表した3月の自動車生産台数は30万5976台と前年同月比0.8%増となった。2カ月連続で前年の水準を上回った。半導体不足の影響で落ち込んでいた生産台数が回復しつつある。
一方でメキシコの国内販売は伸び悩んでいる。販売台数は3月に前年同月比1.2%減の9万5199台だった。3月の輸出台数は26万2494台と2.5%増えた。
米国の小麦先物が上昇している。5日の米シカゴ商品取引所の小麦先物(期近)は続伸し、一時1ブッシェル10.74ドルと3月末以来の高値をつけた。米国で小麦の生育の状態を表す作柄が1996年以来の大幅悪化となり、供給懸念から買いが入った。主産国ウクライナからの輸出が滞るなか、米国産も減るとの見方が広がり、トウモロコシや大豆など主要穀物も連れ高となった。
アジア開発銀行は6日、2022年のアジア新興国のインフレ率が3.7%になる見通しだと発表した。21年12月時点の前回予想(2.7%)から1ポイント上方修正した。食品などの価格上昇の継続や、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰が背景だ。
アジア新興国の22年の国内総生産(GDP)の前年比伸び率は5.2%を見込む。新型コロナのワクチン接種が進み内需や輸出が堅調に回復する見通しだが、ロシア侵攻の影響がどこまでアジアに波及するかが懸念材料となっている。

備忘録(4/5)
●ウクライナ
ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊で多数の民間人遺体が見つかったことを受け、米欧はロシアへの制裁を一段と強化する。欧州連合(EU)の欧州委員会は5日、ロシア産の石炭の輸入停止を含む制裁案を公表した。米国は新たな制裁を週内にも発表する。
ロシア政府は、米金融機関に保有する口座からドルで債務の支払いを行うことができなくなる。米財務省の報道官が匿名を条件に明らかにした。ロシア軍がウクライナで戦争犯罪を行った疑いが強まり、世界中からの非難がロシアに集中している。
この報道官によれば、財務省外国資産管理局(OFAC)は、ロシア政府が米金融機関に保有する口座からのドルの支払いを今後認めない。国内に保有するドルの外貨準備を目減りさせるか、新たに受け取った収入を支払いに費やすか、デフォルト(債務不履行)に陥るか、いずれかの選択をロシアに迫る狙いがあるという。
財務省は米国などの債券保有者がロシア中央銀行から外貨建て債の支払いを受けることができる包括許可を3月2日に出したが、この適用除外措置は5月25日が期限となる。
米国と同盟国による対ロシア制裁はエネルギー取引を除外しており、ロシアは原油と天然ガスの代金は引き続き受け取ることが可能だ。
事情に詳しい関係者からの情報を引用しロイター通信が伝えたところでは、ロシアの22年償還債と42年償還債の直近利払いについて、コルレス銀行であるJPモルガン・チェースは、米財務省から送金処理の許可が得られていない。
ラトビアのリンケービッチ外相は5日、ツイッターで「ロシア軍による残虐行為を考慮し、ロシア領事館2つを閉鎖し13人を追放することを決めた」と発信した。エストニアも領事館の閉鎖と14人の追放を決めた。イタリア、スペイン、デンマーク、スウェーデンなども追放を発表した。4日にはフランスとドイツが計70人以上の追放を明らかにしていたが、同調する動きが広がった。
ウクライナへの軍事支援を強める流れもある。ロイター通信によると、チェコは旧ソ連製の戦車をこのほどウクライナに引き渡した。地元テレビが戦車5台を載せたウクライナ行きとみられる列車の映像を公開したという。
ポーランドの学校が、ロシア軍の侵攻でウクライナから逃れてきた子どもの受け入れを急いでいる。ポーランド政府は最大70万人に教育機会を提供する必要があると想定する。大阪府の小中学生の合計(約65万人)を上回る規模の就学が急な課題になっている。
トゥエンティフォー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ゲーリー・カーク氏は「ロシアにさらに圧力をかける狙いがあるのは明らかだ。支払いの代替手段はロシアにとり著しくより懲罰的で厳しいものとなり、そのため(支払い能力はあるが条件違反でデフォルト状態となる)テクニカルデフォルトの可能性が高まる」と指摘した。
ICEデータ・サービス傘下のCMAによれば、5年以内に同国がデフォルト(債務不履行)に陥る87.7%の確率が織り込まれた。
CDS市場に反映されるロシアのデフォルト確率は、ウクライナ侵攻が開始された2月24日時点では24.1%だったが、4月4日の時点で77.7%に達し、ロシア政府が米金融機関に保有する口座からドルの利払いや償還金支払いを行うことを認めない米財務省の決定が明らかになるとさらに高くなった。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
木材を半炭化したバイオマス燃料「ブラックペレット」の商用化に挑んでいる。ブラックペレットを石炭に混ぜて燃やすことにより石炭火力発電の二酸化炭素(CO2)排出を減らし、最終的にはブラックペレットのみを燃料にする専焼化によりCO2排出を実質的にゼロにするカーボンニュートラルを目指す。2022年11月にベトナムで製造プラントを稼働させる。
●その他産業
●決算関連
米エクソン、1~3月純利益見通し 最大1兆4000億円
ウクライナ情勢を受けて原油相場が上昇し、上流部門が純利益を最大22億ドル押し上げた。
すでに撤退を表明している極東ロシアの原油プロジェクト「サハリン1」については最大40億ドルの損失が出る可能性もあるとした。「サハリン1のオペレーションを停止するための努力を続けている」という。
●マクロ・その他
南米ペルー政府は5日、市民に対して外出禁止令を発動した。期間は5日午前2時から午後11時59分まで。医療従事者や電力などインフラ関連企業の従業員、報道関係者などは対象外となる。
ペルーではウクライナ情勢の緊迫を背景に燃料や食料品の価格が上がっており、3月のリマ首都圏の消費者物価指数は前年同月比で6.82%上昇した。トラックやバスの運転手らがインフレ抑制を求めて抗議デモをしている。デモ隊の一部が暴徒化しているのを受け、政府は事態の収拾を急ぐ。
ペルーのカスティジョ政権は不安定な政権運営が続いている。3月中旬には議会がカスティジョ氏の弾劾を審議するための提案を可決した。同月末の本投票では弾劾は否決されたが、汚職疑惑がある現政権への不満は解消されていない。ウクライナ情勢によってインフレ圧力が高まり、現政権の求心力はさらに下がっている。
量的引き締め(QT)と呼ばれる資産圧縮について「5月にも急ピッチで始める」と発言した。FRBが資産圧縮を進めた2017~19年より力強く急速な経済回復が進んでいると指摘し、当時と比べて「かなり急速な圧縮を想定している」とした。約40年ぶりの水準となっている足元のインフレについて「賃金上昇が物価の上昇に追いついておらず、家計の購買力が低下している」と指摘。特に食品や住宅への支出割合が大きい低所得層への影響が大きいとの分析を示した。ロシアのウクライナ侵攻が食品や原油の価格を一段と上昇させるリスクにも触れ、主に低所得層の生活に打撃を与えるインフレの抑制を急ぐ姿勢を強調した。
独自動車工業会(VDA)は2022年の独車メーカーの国内乗用車生産台数を、従来予想の前年比13%増から、同7%増の330万台に下方修正した。独メーカーによる海外生産台数も5%増から、2%増の960万台へと予測を引き下げた。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、ワイヤハーネスなどの車部品や素材の一部が供給不足に陥っている。VDAのヒルデガード・ミュラー会長は「ロシア経済制裁の延長などでさらに予測の修正が必要になる可能性がある」とみている。
VDAの統計によると、3月の独車メーカーによるドイツ国内の乗用車生産台数は前年同月比29%減の26万7600台。1~3月の合計も同12%減の82万9100台にとどまった。ドイツから海外への輸出台数も同35%減の20万200台だった。
10月2日投票のブラジル大統領選まで半年となった。現職で右派のボルソナロ大統領は再選を目指す意向だが、新型コロナウイルス対策を巡る失政や汚職疑惑で世論調査の支持率は2位にとどまる。貧困削減を重視する左派のルラ元大統領が首位を走る。経済界には中道の候補に期待する声もあるが、上位2人による一騎打ちの様相が強い。
日本生命保険は企業から預かる年金保険の予定利率を2023年4月に年1.25%から0.50%へと引き下げる。日本生命の契約企業は約5200社で、運用額は5.6兆円に及ぶ。利率の引き下げは21年ぶりで、企業年金は掛け金の積み増しや運用実績に応じた仕組みへの変更などを迫られそうだ。背景には超低金利の長期化があり、他社も追随する可能性がある。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5日の理事会で政策金利を過去最低の0.1%に据え置くと決めた。労働コストの伸びがインフレ率を政策目標である2~3%に維持するための水準を下回っていると指摘した。中銀のロウ総裁は声明で「利上げの前に、インフレ率が2~3%の範囲内に持続的に収まるという実際の証拠を確認したい」と述べ、今後数カ月かけてインフレ率や労働コストを精査すると述べた。市場では6月にも中銀が利上げに踏み切るとの見方が強まっている。
豪統計局によると、2021年10~12月期の消費者物価指数(CPI)はガソリン価格上昇などを受け前年同期比で3.5%上昇した。変動の大きい品目を除く「刈り込み平均値」は同2.6%上昇し中銀の政策目標の中間値を上回り、14年以来の高い伸びとなった。
今回の声明からは、2月や3月の声明に記された「忍耐強く対応する準備ができている」との文言が削除された。英調査会社キャピタル・エコノミクスのマーセル・ティエリアント氏は「中銀のハト派的な姿勢は減退した」と指摘。5月下旬までに予定される総選挙後の6月に中銀が利上げに踏み切るとの見通しを示した。
ウクライナの農場地帯では、秋の収穫期から倉庫に蓄えられ出荷を待つトウモロコシが合計1500万トンに上る。
その半分程度は外国に輸出されるはずだったが、買い手への引き渡しは難しさを増している。およそ1200億ドル(約14兆7500億円)の規模を持つ世界の穀物取引で、ウクライナとロシアは合わせて約4分の1を占める。両国からの供給の乱れは、すでに問題化していたサプライチェーンの障害や運賃の高騰、異常気象などと相まって、世界が食糧難に陥るとの見通しを強めている。
ウクライナはトウモロコシ、小麦、ひまわり油の世界最大級の輸出国だが、輸出の流れはほぼ止まっている。同国農業省によると、戦争前の穀物輸出は最大で月500万トンに上ったが、現在は50万トンにとどまり、15億ドルの損失が生じているという。小麦輸出で世界首位のロシアは穀物輸出に支障が生じていないが、将来の引き渡しや支払いを巡り疑問は消えない。
世界の数十億人の主食であり家畜の飼料でもある穀物や油糧種子の供給障害で、価格はすでに上昇。食糧不足を懸念する各国は代替となる供給国の開拓を急ぎ、新たな取引も生まれつつある。
膨大な小麦収穫量を国内に維持してきたインドは方針を転換し、輸出市場に参入してアジア諸国に記録的な量を販売する。ブラジルの小麦輸出は1-3月で、すでに昨年全体を大きく上回った。米国は約4年ぶりにトウモロコシをスペインに輸出する。エジプトはルーマニアから穀物を輸入する代わり肥料を供給する取引を検討し、アルゼンチンとも小麦の輸入を交渉している。
農業市場調査会社アグリソースのダン・バス会長は、こうした取り組みも十分ではないかもしれないとの見方だ。現時点で工面できるとしても、例年ならウクライナなど黒海地域からの小麦輸出が加速する夏まで戦争が長引けば、「問題に突き当たり、食糧不足が世界を襲い始める」と語った。
国連はすでに過去最高値にある食料品価格が今後さらに22%上昇する恐れがあると予想。黒海沿岸の輸出が大きく落ち込めば、さらに1310万人が栄養不足に陥り、世界の飢餓が深刻化する可能性があると警告した。
スリランカではインフレ高進と長期停電に対する抗議行動が内閣改造という事態につながり、債券価格が下落した。深刻化する経済危機に政局混乱が加わり、政府の債務返済能力が損なわれるとの懸念が強まった。
5日には前日就任したばかりのサブリ財務相が辞任した。その前任はラジャパクサ大統領の弟のバシル氏だった。辞任理由についてはまだ明らかにされていない。大統領に対する議員からの辞任圧力は一段と強まっている。
スリランカはアジアで最高水準のインフレ率に見舞われている。増大する市民の怒りに直面し、権力を握るラジャパクサ一族と距離を置く政府高官や政治家が相次いでいる。
7月に償還日を迎える10億ドル(約1226億円)のドル建てスリランカ国債の価格は約2%安の額面1ドル当たり59セントと、7セント値下がりして2020年5月以来の安値。今後4カ月弱で迎える償還日に債務履行は難しくなるとの投資家の見方がますます強まっていることが示唆された。スリランカ・ルピーは対ドルで0.7%安の1ドル=299ルピーと、今年に入り対ドルでの下落率は世界で最も大きい。
政局混乱はスリランカが現金不足に見舞われ資本統制や輸入規制を実施する中で起きた。危機深刻化を受けた抗議デモの盛り上がりを受け、1日には非常事態宣言が発令された。必需品購入のためのドルが不足するスリランカは、デフォルト(債務不履行)回避に向け返済条件の再交渉を目指している。先月には国際通貨基金(IMF)の支援を模索した。
新興市場に特化した調査会社テリマーのエコノミスト、パトリック・カレン氏は「政局混乱の前でもデフォルトは不可避だったが、政府が近いうちにIMFプログラムを確保し債券保有者と話し合える見込みも低下した」と指摘。「幅広い政情・社会不安の見通しも下振れリスクを拡大しており」、利回り上昇や回収可能価値の低下につながる恐れがあるとした。
スリランカの貿易赤字は昨年12月に倍増して11億ドル、外貨準備は今年2月時点で約23億ドル。一方、フィッチ・レーティングスによると、今年中に返済期限を迎える対外債務は70億ドル近い。これには1月に返済された5億ドルの債券や7月が期限の債券が含まれる。
新規受注の指数は昨年10月以来の上昇となった。雇用の指数は新型コロナウイルス感染者数の減少を背景に、2021年1月以来の大幅な伸びを示した。ISM製造業指数の生産に相当する業況指数は前月から持ち直した。
ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は発表文で、「3月は事業活動が上向いたが、回答企業は引き続き能力の制約や物流面の課題、物価上昇の影響を受けていると指摘した」と説明。一方で「労働力不足はやや和らいだ」としている。
3月は17業種が活動拡大を報告。教育サービスや娯楽、公益、建設で拡大が目立った。
受注残の指数が4カ月ぶりの高水準となる一方で、在庫増減の指数は低下。このことは、回復力に富む需要に対し在庫水準が低すぎると企業が受け止めていることを示唆する。
こうした需給不均衡は物価上昇圧力を高めている。仕入れ価格指数は83.8と、統計が始まった1997年以来の高水準近辺。商品相場は昨年の大幅上昇に続き、ロシアのウクライナ侵攻を受けた供給懸念で高水準にとどまっている。
伸び悩む地方票の掘り起こしを狙った。一方、猛追する極右国民連合ルペン党首の支持率は同日、1月以来の最高を更新した。
マクロン氏の支持層は都市部の高所得者層などだ。調査会社エラブが5日発表した調査によると、パリ都市圏では有権者の29%がマクロン氏を支持しているのに対し、過疎地では24%にとどまる。ルペン氏はパリ都市圏では17%の支持だが、過疎地では26%とマクロン氏を上回っている。
フランスはパリ一極集中の経済構造で、地方は高い失業率などの問題を抱える。マクロン政権が十分に対策を取っていないとの見方が一部で広がり、「移民が職を奪う」など極右政治家がとなえる短絡的な考えに飛びつく人が出ている。マクロン氏は自身の再選に向けこうした有権者層への訴えの強化が必要と考えている。
ジョージ総裁は5日、ブルームバーグ・ニュースのマイケル・マッキー記者とのインタビューで「50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)は、われわれが他の事とともに検討しなければならない選択肢の一つだと思う」と話した。金融当局は「この金融緩和を解除する課程で、非常に慎重かつ意図を持って行う必要がある。バランスシートが政策金利の上昇とともにどう推移するかを考えることを、私は重視している」と語った。
デーリー総裁は「金利は上昇しつつあるものの、歴史的基準から見て比較的低い軌道上になおある」と、ネーティブアメリカン・ファイナンス・オフィサー・アソシエーション主催のイベントで語った。同総裁は名目中立金利を2.5%前後とみている。
米労働市場については「極めてタイト」だとした上で、インフレは失業と同じぐらい有害だと指摘。また消費者の回復力は著しく強いと述べた。
同総裁はサプライチェーンについて、「年末にかけて、さらなる難題が山積しているものの、改善する兆しが見られる」と語った。
両氏によれば、米当局は向こう3回の会合で0.5ポイントの連続利上げを行い、政策金利は来年半ばまでに3.5%超でピークに達する見通し。
ドイツ銀は米当局が利上げに加え8兆9000億ドル(1100兆円)のバランスシートを来年末までに約2兆ドル圧縮するともみている。「米経済は来年終盤から2024年序盤までに行われる追加の引き締めで大きな打撃を受ける見込みだ」という。
今回の予測に基づくと、米失業率は24年に4.9%に急上昇する。3月は3.6%だった。10年物米国債利回りは今年中に3.3%に上昇し、リセッションが続く中で株価は23年夏までに「一時的に約20%下落する」との見通しを示した。
「エネルギー価格の衝撃という性質からして、最も可能性が高いのは物価が現在の高水準で横ばいとなるか、下落を始めるかだ」と予想。「だが、インフレの勢いは減速するだろう。今年下期にはインフレ率が低下するとわれわれは確かに考えている。来年と再来年には大きく低下するとも見込んでいる」と述べた。
●市況
日経先物(大証)27475、ダウ先34583、債先149.51、米2.569、独0.6085、仏1.145、西1.546、伊2.143、波5.435、原油101.00、ドル円123.78、墨ペソ19.98、トルコリラ14.7281、墨CDS99
※4/6 9時25分頃

備忘録(4/4)
●ウクライナ
現在注目されているのは、米制裁の主な免除措置が期限切れとなり、ロシアが一連のドル建て債クーポン支払期限を新たに迎える5月最終週だ。
米国に拠点を置く企業と投資家がロシア債の支払いを受け取れるようにする現行の制裁免除措置は、米財務省外国資産管理局(OFAC)が延長しない限り、5月25日に失効する。
米財務省高官1人が匿名を条件に記者団に語ったところでは、この期限について何の決定も下されていない。同高官によると、制裁が西側の企業や個人に及ぼす影響を緩和するため、定期的な債務返済を認めるOFACの一般許可が下ったほか、米国は西側の銀行の損害回避に関心を持っているという。
米国の制裁免除が延長されず、債券保有者が支払いを受けられなければ、ロシアは1918年以来となる外貨建て債のデフォルトリスクにさらされる。2026年と36年償還債のクーポン支払期限である5月27日が注目される。
ロシア中銀は3月31日、外貨・金準備高が25日時点で6044億ドルと、昨年8月以来の低水準になったと発表。2月のピークから388億ドル減ったことになり、ロシアが侵攻を開始して以来、同国から資金が流出していることが浮き彫りになった。ロシアが対外債務返済に充てる資金をこれまでどこで賄っていたか正確には分かっていないが、準備高の減少は長期的な債務の持続可能性がより厳しくなりつつある兆しかもしれない。
カービー氏はロシア軍によるキーウへの地上侵攻について「少なくとも現時点では断念した」と指摘した。一方で「キーウはロシア軍による空爆に脆弱なままだ」とも語り、ロシア軍の脅威は消えていないと警戒を緩めなかった。
ロシア国営大手ガスプロムの独子会社を政府の管理下に置くと表明した。ガスプロムは独事業からの撤退を決めており、エネルギー供給が不安定になる事態に備えて緊急の措置をとる。
対象になるのはガスプロムゲルマニア。独連邦ネットワーク庁が一時的に管理する。同社はドイツを中心に欧州で天然ガスの貯蔵施設の運営や輸送事業を展開している。ドイツは天然ガスの輸入の過半をロシアに依存しており、ロシアのウクライナ侵攻で供給不安が高まっていた。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ソフトバンクグループは傘下の英半導体設計会社アームの株式を担保とするタームローン80億ドル(約9800億円)をJPモルガン・チェースやバークレイズなど11行から確保した。
ソフトバンクGの広報担当者は、サンタンデール銀行やBNPパリバ、クレディ・アグリコル・コーポレート・アンド・インベストメント・バンク、 ゴールドマン・サックス・グループなども11行に含まれると述べ、ブルームバーグが先に関係者の話として報じた2年物融資の内容を確認した。
日本の大手2社が進めてきた国際化戦略は逆回転。2社の航空機数は羽田空港の国際線の発着枠が拡大された2014年まで後退を余儀なくされた。移動への価値観も変わる中、再成長へのシナリオをどう描くか。
パリ協定の1.5度目標の達成には2025年までに排出量がピークを過ぎる必要があるという。電気自動車(EV)向け蓄電池の単価が10年間で85%下がるなど技術革新が進んでいるが、途上国に行き届いていない課題がある。ロシアのウクライナ侵攻という危機の下で世界の協調が改めて試される。
●その他産業
業績の好調さに加え、ロシアによるウクライナ侵攻の余波で米国の農家が増産に向け設備投資を増やすとの思惑が成長期待につながっている。
ウクライナ危機で小麦などの食糧生産が減り、米農家が増産投資するとの思惑も働く。農業関連では農機大手の米キャタピラーや化学肥料をてがける米コルテバ・アグリサイエンスなどもここ1カ月ほどで上昇が目立つ。「人手不足や国内生産回帰の動きもあり、農業関連は中長期的なテーマになる」(東海東京調査センターの平川昇二氏)との見方がある。
ロシアのウクライナ侵攻に伴って「長期的に10億ドル(約1220億円)の損失を被る可能性がある」と明かした。現在進行中の制裁措置とロシアの反応を注視しているほか、多くの企業や国に対する二次的な影響を懸念しているという。
JPモルガンはロシアで多国籍企業向けに融資や決済、証券の管理・保管(カストディー)事業などを手がけている。同社は3月、ロシアからの撤退に向けて、事業を段階的に縮小すると説明していた。ダイモン氏が損失規模について語るのは初めて。ただし損失の具体的な中身や計上の時期について言及しなかった。
ダイモン氏は手紙のなかで、自社の強固な財務体質を強調し、ロシアへの直接的なエクスポージャー(与信残高)についても「心配していない」と述べた。そのうえで「米国はウクライナでの戦争が長期化し、結果が予測できなくなる可能性に備えなければならない」と指摘した。
米連邦準備理事会(FRB)が進める金融政策の正常化にも言及した。今後の金利上昇について「市場の予想を大幅に上回る可能性がある」と語った。経済や市場への影響について「FRBがうまくやれば、何年も成長を続けることができ、インフレもやがて後退し始めるだろう」と述べる一方、引き締めの過程でマーケットは非常に不安定になると警告した。
経営破綻した英金融会社グリーンシル・キャピタルの保険をオーストラリアの子会社を通じて引き受けていた問題で、保険契約は無効だとグリーンシル・キャピタルなどに通知したと発表した。調査の結果、グリーンシル社から契約時に虚偽の申告があったとしている。
東京海上の調査では、BCCに虚偽申告があったうえに、重要事項が告知されなかったとしている。BCCは保険金請求を求める訴訟を豪州で起こされているが、東京海上は「当社の立場を適切に主張していく」と説明している。
ポールスターのEVは、欧州の営業拠点で2022年春、北米とオーストラリアでは22年後半にも利用可能になるという。ハーツのスティーブン・シャー最高経営責任者(CEO)は声明で「EV導入を加速させ、ユーザーや法人顧客、ライドシェアパートナーに優れた体験を提供する」と述べた。
ニュースケールの最大株主である米プラント大手フルアからJBICが株式を買い取った。日本勢3社を合計すると出資比率は8~9%となり、最大株主のフルアに次ぐという。ニュースケールは近く上場する計画で、上場資金や私募増資で小型モジュール炉(SMR)の開発を加速させる。
ニュースケールが開発しているSMRは1基あたりの出力が7万7000キロワットで従来の大型炉の10分の1以下。初期投資を抑えて電力会社が投資しやすくしているのが特徴。2011年の東日本大震災以降、大型炉の建設コストは膨らみ、先進国で新規建設は滞っている。小型化して発電事業の競争力を高めるのが狙いで、IHIと日揮は国内の原発産業の技術を維持するために21年に出資した。
●決算関連
●マクロ・その他
香港に上場する主要32行のうち17行が2021年に融資残高を減らした。中国工商銀行など大手の伸び率も縮小した。財務内容が悪い不動産会社の資金繰りは一段と厳しくなるとの見方が出ている。
21年末の不動産業向け融資残高が20年末と比べて減ったのは、中国中信(CITIC)傘下の中信銀行や民営最大手の中国民生銀行、中国恒大集団が大株主の盛京銀行など17行。地方銀行の減り方が大きく、天津市を拠点とする渤海銀行は32%減、重慶銀行は21%減、貴州銀行は12%減だった。
工商銀など国有大手4行の不動産融資残高は4.9%増えたものの、貸し出し全体の伸び(12%増)を大幅に下回った。不動産向けが2桁の伸び率だった17~20年に比べると急ブレーキがかかった。
背景には中国当局が20~21年に打ち出した不動産融資の規制強化がある。20年夏には負債比率など不動産会社が守るべき財務指針「3つのレッドライン」を定め、財務内容が悪い企業の借り入れに歯止めをかけた。21年からは銀行の住宅ローンや不動産企業向け融資に上限を設ける総量規制を導入した。
民生銀は決算発表で「不動産リスクの規制をしっかりと守り、与信管理能力を向上させた」と説明した。不動産融資が12%減った中国光大銀行も「住宅は投機ではなく住むためのものという原則を守り、貸付金の使われ方や開発プロジェクトへの監視を強めた」とした。
資産内容の悪化も目立つ。大手4行の21年末の不良債権比率は平均1.4%と20年末に比べて小幅に低下した。ただ、不動産業向けに限ると3.8%と、1ポイント以上悪化した。不動産業向け不良債権比率は錦州銀行が9.8%、晋商銀行が10.3%に達した。
22年も不動産業向けの厳しい融資姿勢は続くとの見方が多い。一部の地方政府は住宅市場の低迷を受けて個人の住宅ローン規制の緩和に乗り出したものの、開発業者向けの融資規制の骨格は維持しているためだ。
中国銀行の劉堅東・最高リスク責任者(CRO)は決算説明会で「一部の不動産業者は資金繰りの問題を抱えている。局所的なリスクに注意を払っていく」と述べた。香港の証券会社、光銀国際の林樵基氏は「不動産のリスクは管理可能」としつつ「銀行は(不動産以外に)融資先を多様化する必要がある」と話す。
調査会社・克而瑞研究センターによると、2月の主要不動産会社100社の銀行借り入れや社債発行を含む資金調達総額は398億元(約7700億円)と前年同月比59%減った。住宅市場の低迷が信用力の低い企業の資金繰りを一段と悪化させる構図だ。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「業界の厳しい資金調達環境や巨額の借り換え必要額を踏まえると、22年のデフォルト件数は増えそうだ」と指摘する。
米運用会社、アダムズ・ストリート・パートナーズの調査によると、86%の機関投資家がプライベート・エクイティ(PE=未公開株)が長期的に上場株式の運用成績を上回ると考えていることが分かった。米利上げや地政学リスクなどに伴い株式市場の短期的な変動が激しくなる中、市場変動に左右されにくい成長資産としてPEに注目が集まっている。
3日投開票された議会選挙(一院制、定数199)は、オルバン首相が率いる右派の与党が勝利した。ガソリンなどに価格上限を設けるなどポピュリズム(大衆迎合主義)的な政策によって保守層から支持を集めた。オルバン氏はメディア統制などの強権政治を実施し、ロシアとも接近する姿勢を示しており、欧州連合(EU)の対ロ政策での懸念材料になる恐れがある。
オルバン政権は、選挙対策ともとれる歳出拡大路線の経済政策を実施してきた。インフレ対策として21年11月にガソリンや軽油の価格に上限を設け、2月にはこの措置を3カ月間延長すると表明した。22年の月額最低賃金も前年比約2割増やすことで労働組合などと合意した。一方、企業の税負担の軽減も進めている。
ハンガリーの2月の失業率は3.7%とEU全体(6.2%)を大きく下回り、経済状況は好調という実感を持つ有権者は多い。与党に票を投じた不動産会社経営の男性(52)は「企業の国有化などを含め経済対策は非常にうまくいっている」と語る。保守層にはオルバン氏が生活に安定をもたらす「強いリーダー」に映る。
一方で、EUとの関係は近年あつれきが生じている。直近ではロシアやウクライナを巡る外交ですれ違う。
オルバン氏はロシアがウクライナ国境に大規模な兵力を配置し、侵攻への警戒が高まっていた2月上旬、モスクワを訪れて自国への天然ガスの供給拡大の約束を取り付けた。EUが決めた経済制裁に対しても調整の過程で反対まではしなかったが、一貫して消極的な姿勢を見せてきた。
一方で、ウクライナへの支援には及び腰だ。EU内では伝統的に軍事介入に慎重なドイツまでウクライナに対する武器供給に踏み切ったが、オルバン氏は「戦争に巻き込まれないようにしたい」という理由で承認していない。
ウクライナ政府はハンガリーについて「EU内の親ロシア勢力」とみている。ゼレンスキー大統領は3月下旬のEUでのオンライン演説で、オルバン氏を名指しし、ロシアと手を切るよう迫った。
表現の自由や法の支配という価値観での対立も深刻だ。
首都ブダペストに駐在するある外交官は「今回の選挙戦で大手の放送局や新聞社は、与党を持ち上げる報道に終始した」と話す。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」の21年の報道自由度ランキングでハンガリーは180カ国・地域のうち92位。オルバン氏が政権を握った10年の23位から急低下した。
林鄭氏は不出馬の理由を「家庭の事情」と説明したものの、額面通りに受け取る向きは少ない。同氏は2期目をにらんで政府機構の改革や大型の都市開発構想を打ち出していたためだ。
林鄭氏は2019年に起きた民主化を求める大規模デモを香港国家安全維持法(国安法)で抑え込んだが、22年に新型コロナウイルスの感染拡大を招いた。「ゼロコロナ」政策を掲げる中国で異例の事態となり、責任を問われた可能性がある。
中国政府系シンクタンクの劉兆佳氏は「(デモとコロナという)大きな危機を招き林鄭氏の信任と統治能力が損なわれた。難しい課題に対処する政治的なエネルギーが十分でない」と指摘する。
出馬が有力視される李氏は警察で30年以上のキャリアを積み、民主派に厳しい強硬派として知られる。デモ隊を治安対策の責任者として厳しく取り締まり、21年には中国共産党に批判的な香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)を廃刊に追い込んだ。習指導部の信任が厚く、同紙廃刊後に政府ナンバー2の政務官に昇格した。
林鄭氏が再選を目指さない場合は、経済畑でソフトなイメージの陳茂波・財政官が有力候補とみられていた。政務官としても主に国家安全を担当する李氏が長官になれば、初の警察出身者で、極めて異例の人事と言える。
香港中文大学の蔡子強・高級講師は「長官の人選は北京の今後5年の香港統治の注力分野を示す。(警察など)規律部門から選ばれる場合は、国家安全への懸念が深いことを意味する」と話す。
3月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比61%だったと発表した。2002年3月以来の水準となった。政府は今春までにインフレが減速するとの見通しを示していたが、ロシアによるウクライナ侵攻で為替安や輸入エネルギー価格の上昇が進み、目算に狂いが生じている。
2月の54%からさらにインフレが加速した。政府は年初ごろ、CPI上昇率は春までにピークに達し、23年半ばまでには1桁に下落するとしていた。米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは1日、22年のCPI上昇率が55%になると予測し、「我々が格付けする国で最も高い水準だ」と述べた。
ウィルソン氏は顧客向けリポートで、「弱気相場の株高は終了した」と指摘。「経済成長を巡る懸念が中心的な材料となるため、短期的には株式よりも債券がより建設的だ。ディフェンシブな見方に倍賭けしている」とコメントした。
同氏は「昨年の財政出動による需要の反動や価格上昇による需要の崩壊、増税として機能する戦争による食料・エネルギー価格上昇、今や需要に追い付き積み上がる在庫」を背景に景気は急降下に向かいつつあると分析。こうした企業利益をむしばむマクロ環境を投資家はますます無視できなくなるだろうと論じた。
2月の製造業新規受注額(季節調整済み)は5420億ドル(約67兆円)と、前月比で0.5%減った。マイナスは2021年4月以来10カ月ぶり。0.6%程度の減少を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測は上回った。
耐久財が2.1%減った。民間航空機・同部品、自動車・同部品を含め幅広くマイナスだった。一方、非耐久財は1.2%増えた。変動の激しい輸送関連を除くと0.4%増えたが、同じく変動の激しい国防関連を除くと0.7%減少した。
●市況
日経先物(大証)27752、ダウ先34778、債先149.91、米2.399、独0.5070、仏1.015、西1.421、伊2.020、波5.379、原油104.97、ドル円122.78、墨ペソ19.82、トルコリラ14.6983、墨CDS99
※4/5 9時35分頃

備忘録(4/1~3)
●ウクライナ
ロシア、エネルギー輸出で今年約40兆円の収入へ-禁輸なければ
ロシアの消費者にはインフレが襲い始め、政府は外国からの金融制裁にあえぐ。それでもロシアのエネルギー輸出による今年の収入は3210億ドル(約39兆4000億円)に上り、前年を3割余り上回るだろうと、ブルームバーグ・エコノミクスは予想。国際金融協会(IIF)はロシアの経常黒字は過去最大に上るペースで、今年通年で2400億ドルに達する可能性があるとみている。
ロビン・ブルックス氏らIIFのエコノミストらは、「ロシアの経常黒字の単一で最大の要因は、依然として強固であるように見える」とリポートで指摘。「現在の制裁が科されてはいても、大規模なハードカレンシーがロシアには引き続き流入する見通しだ」と述べた。
ただ、エネルギー輸出が禁止される場合には、見通しが完全に変わる可能性もある。そうでなくともロシアの石油輸出と生産はすでに減少しつつある。国際エネルギー機関(IEA)によれば、ロシアの来月の原油生産量は約25%減少する可能性がある。
ロシア、ルーブル払い要求 ガス以外に対象拡大へ
具体的な品目には言及しなかったが、主要輸出品の石油や金属、穀物などが対象になる可能性がある。
ロシア苦境、ドル国債のルーブル買い戻し 外貨節約か
ロシア財務省は4月4日に償還予定のドル建て国債を自国通貨ルーブルで買い戻した。ドルの支払いを抑える奇策だが、応じた投資家はロシア国内に限られ国外投資家の大半は応じなかったとみられる。格付け会社は相次いでロシアの格付けを取り下げておりロシアへの投資は今後も限られる見込み。国際債券市場で資金調達が難しくなったロシア政府のあせりが表れている。
●コロナ
●中国不動産
中国、コロナ新規感染1万人に迫る VWは生産停止
中国、コロナの新規感染1万人超え 上海で拡大続く
中国の新型コロナウイルスの新規感染者数が1万人を超えた。新規感染の6割を占める上海市では、2地域に分けて都市封鎖(ロックダウン)を実施しているが、感染者数の増加が止まらない。全市民を対象としたPCR検査を進めるが、結果の公表が遅れるなど混乱も出ている。市民からは外出制限の長期化を危惧する声が増えている。
中国・国家衛生健康委員会によると2日の市中の新規感染者数(含む無症状)は前日比3271人増の1万3146人だった。データを比較できる2020年4月以降で1万人を超えるのは初めて。西部で1日から都市封鎖を続けている上海市の新規感染者数は1915人増の8226人と2日連続で増加した。
経済活動への影響も深刻だ。中国メディアによると、3月21日から休園している上海ディズニーランドは2日、チケットとホテルの新規予約の受け付けを当面停止すると決めた。再開の見通しがたたないためとしている。独フォルクスワーゲン(VW)も上海汽車集団との合弁工場を1日から停止するなど製造業でも影響が広がっている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
米自動車販売、トヨタが1-3月も首位-GMをまたも退ける、
R&I、東芝の格付け見通しを「安定的」に下げ
ガスプロム、ドイツの子会社を分離 独紙報道
同社をめぐっては、エネルギー供給を安定させるため、独政府が国有化を検討している。
ガスプロムゲルマニアはドイツを中心とした欧州で天然ガスの貯蔵施設の運営のほか、輸送事業などを展開している。ドイツの天然ガス輸入全体に占めるロシア比率は5割を超えており、ロシアのウクライナ侵攻による供給不安が高まっていた。こうした状況から、独経済省はガスプロムゲルマニアなどの国有化を検討している。
●決算関連
●マクロ・その他
トウモロコシに先高観が強まっている。最大の輸出国である米国で2022年の作付面積が減り、需給が逼迫するとの見方が広がった。背景には肥料価格の上昇がある。トウモロコシよりも、肥料が少なくて済む大豆の生産を増やしたいとする米農家の意識がうかがえる。
米就業者3月43.1万人増 失業率は3.6%に低下
3月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から43万1000人増えた。増加幅は前月の75万人から縮小した。失業率は前月の3.8%から低下し、3.6%となった。賃金上昇がインフレの加速を招けば、ウクライナ危機下でも米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを速める可能性がある。
失業率は新型コロナウイルス禍が実体経済に影響を及ぼす前の2020年2月の時点で3.5%と、約50年ぶりの低水準だった。同年4月には14.7%まで跳ね上がったが、再び戻りつつある。働きたい人がほぼ全員仕事に就くことができる「完全雇用」に達しつつある。
2月の就業者は67万8000人増としていた速報値から上方修正された。3月の増加幅はほぼ市場予想通りだった。雇用増の大半をサービス業が占める構図は変わっていない。
米給与調査サイトのペイスケールによると、人手不足が目立つのはデータ処理のできるエンジニアやSNS(交流サイト)関連のマネジャーらだ。コロナ禍を経たデジタル化の加速を受け、特に産業構造の変化に対応する業種で人材の逼迫が激しくなっている。
「ボトムアップ・ミドルアウト(低所得層と中間層の底上げ)を目指した経済政策の成果だ」。米バイデン大統領は3月、失業保険の新規申請が1969年以降で最低となったことで声明を発表した。失業率の改善はヒスパニックやラテン系で特に顕著だ。格差是正を掲げる政権にとって追い風となる。
FRBのパウエル議長の見方はやや異なる。「不健全なまでに非常に逼迫している」。利上げに踏み切った3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見では、足元の労働市場について警戒感を示した。
賃金の上昇は続くが、働き手の戻りは鈍い。労働参加率は62.4%と前月から0.1ポイントの上昇にとどまった。労働力人口は20年4月の1億5636万人まで急減したが、22年3月には1億6440万人に戻し、19年末の水準に並んだ。
シカゴ連銀総裁、年内残り全ての会合での0.25ポイント利上げを支持
総裁はイリノイ州オリンピアフィールズで講演。事前に配布された原稿によれば、「私自身の基本的な評価は当局者の予測中央値と合致する。ただ現在直面する多大な不確実性から、私の評価を変えさせるような状況も起こり得るということは十分認識している」と述べた。
エバンス総裁は政策金利を今年1.9%、2023年に2.8%に引き上げるというFOMC参加者が3月に示した予測中央値に同意する考えを示した上で、それは「若干抑制的な政策スタンスを意味する」と述べた。エバンス氏は10年余りシカゴ連銀の総裁を務めており、ハト派として知られる。
米経済については着実な成長を予想。失業率は3.5%前後に低下するとの見通しを示した。ただロシアのウクライナ侵攻と新型コロナウイルス禍がインフレに上方向のリスク、成長には下方向のリスクをもたらすと述べた。金融政策については会合ごとに、その時点での情勢を踏まえて決定を下すべきだと強調した。
中国、大半の企業監査に米当局の完全アクセス容認も-関係者
中国当局はニューヨークに上場する200社余りの中国企業の大半について、監査報告書への米規制当局の完全なアクセスを今年半ばにも認める準備をしている。
証券監督管理委員会(証監会)を中心とする中国当局が大半の中国企業が米上場を維持できるようにする枠組みを策定していると、このプロセスについて知る関係者が非公開情報だとして匿名を条件に述べた。ただ、慎重に扱うべきデータを保有する一部の国有・民間企業については上場廃止になることを受け入れる用意があるという。
中国の財新製造業PMI、3月は約2年ぶり低水準-ゼロコロナ影響か 
中国の製造業活動を測る民間指数が先月、大きく落ち込み、約2年ぶりの低水準となった。新型コロナウイルス対策として上海などでロックダウン(都市封鎖)が行われており、これが景気の足かせとなっている。
財新伝媒が1日発表した3月の中国製造業購買担当者指数(PMI)は48.1と、活動拡大・縮小の境目である50を下回った。前月は50.4だった。
モルガン・スタンレーはコロナ感染を一切容認しない「ゼロコロナ」政策を中国が「厳守」しているとして、今年の中国成長率見通しを5.1%から4.6%に引き下げた。邢自強氏らエコノミストは1日のリポートで、「さらなるロックダウンが消費の伸びを抑え、生産活動さえ混乱させ、労働市場にも影響をもたらす」と指摘した。
世界はウクライナ戦争の影響を過小評価-OECDチーフエコノミスト
ブーン氏は世界中に広がる避難民の問題に加え、「エネルギー安全保障、食料安全保障、デジタル安全保障、決済システム、貿易に長期的な影響が出るだろう」と述べた。
ウクライナからの避難民が500万人に達すると、定住や適応を助けるための費用は欧州連合(EU)の域内総生産(GDP)の0.5%に達する可能性があるとも述べた。避難民1人当たり約1万2500ユーロ(約170万円)が必要になるとの推計も示し、「大きな額だが、その価値は当然ある」と語った。
企業の想定為替レート111円93銭、実勢より大幅な円高に
円安は輸出企業にとっては収益の上振れ要因になるが、輸入価格を押し上げ、原材料コストが増加する面もある。2月の輸入物価の上昇率はドル建てなど契約通貨ベースでは前年同月比25.7%だったが、円換算すると34.0%と一段と高い伸び率になる。
日銀は四半期に一度公表する短観で、企業が事業計画の前提とする想定為替レートを調査している。21年度の予想は1ドル=110円だった。22年度上期に想定する円相場は全規模の全産業で1ドル=111円92銭、下期で111円95銭だった。輸出企業に限ると1ドル=111円01銭となった。
ユーロ圏消費者物価3月7.5%上昇、資源高で最高更新
3月のユーロ圏の消費者物価指数(速報値)は前年同月比で7.5%上昇した。前月の5.9%を上回り、統計で遡れる1997年以降で最高を更新した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高で、エネルギーや食品など幅広い品目が値上がりしている。欧州中央銀行(ECB)は景気と物価の安定へ難しい判断を迫られる。
品目別で最も大きく上昇したのはエネルギー価格で、前年同月比で44.7%と前月の32.0%から急加速した。食品は5.0%、エネルギー以外の工業製品は3.4%の上昇だった。エネルギーや食品を除くコア指数は3.0%で、ECBがめざす2%を大幅に上回る状況が続いている。国別ではドイツが7.6%、フランスが5.1%の上昇で、最も低いマルタでも4.6%だった。
ユーロ圏は日本と同様にエネルギーを輸入に頼る。資源価格の上昇は国富の流出を通じて実体経済を押し下げることになる。ドイツの経済諮問委員会は22年のユーロ圏の成長率見通しを従来の4.3%から2.9%へ引き下げた。域内企業ではコストを販売価格に転嫁する動きも強まっており、個人消費が冷え込む恐れもある。
世界の社債、過去最大の価格下落 米利上げなど重荷
世界の社債価格の下落率が1~3月に7%安と、四半期ベースで過去最大となった。米国の金融引き締めで社債価格のベースとなる国債金利が上昇(価格は下落)したほか、ウクライナ危機の深刻化で企業業績の悪化懸念が強まる。企業の信用リスクを映し、国債金利に上乗せする金利(スプレッド)が拡大した。
3月の米製造業景況感1.5ポイント低下 1年6カ月ぶり低さ
3月の米製造業景況感指数は57.1で前月から1.5ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、2020年9月以来1年6カ月ぶりの低さとなった。
供給網の乱れが続く中で、需要が弱まった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(59.0程度)を下回った。個別項目は「新規受注」が53.8で7.9ポイント低下したほか、「生産」も54.5で4.0ポイント下がった。
一方、「雇用」は56.3で3.4ポイント上昇した。企業は採用が上向き、離職や早期退職も減ってきたと報告しており、労働者不足の解消にむけ前進がみられた。
「価格」は87.1で11.5ポイント急上昇した。ISMは、ロシアのウクライナ侵攻に伴う国際エネルギー市場の変動が主な要因と指摘。「鉄製品の値上がりとエネルギー価格の急騰で、(新型コロナウイルスの変異型の)オミクロン型流行の収束後にやわらいでいた全般的な価格上昇が再び始まった」と分析した。
回答企業からは、供給網の乱れの悪化を伝える声も聞かれた。ある製造業者は「材料が入手できず供給業者は見積もりも注文もとってくれない。価格は毎日上がっている」と苦境を報告した。ISMは、海外業者らが受けているオミクロン型流行の影響が今後さらに広がり、逆風となる可能性があると指摘した。
肥料原料の尿素、アジアで6割高 ロシア産から代替需要
ロシア産原油「穴埋め」5割どまり 中東・南米に期待
ウクライナに侵攻し米欧と対立するロシア産原油の穴埋めを各国が急いでいる。米国は過去最大となる石油戦略備蓄の放出を決め、シェールオイルの増産を急ぐ。経済制裁下のイラン産輸出拡大や南米各国での増産にも期待がかかるが、短期的に手当てできるのはロシアからの輸出の半分程度にとどまりそうだ。
●市況
日経先物(大証)27610、ダウ先34680、債先149.65、米2.401、独0.5575、仏1.028、西1.488、伊2.097、波5.338、原油98.31、ドル円122.61、墨ペソ19.87、トルコリラ14.6873、墨CDS99
※4/4 8時50分頃

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