備忘録(6/30)
●中国・ロシア・東欧
NATOは有事の際に即応部隊を10日以内に10万人、30日以内にさらに20万人を派遣できる体制を整えると発表した。2023年までに現在の4万人から7倍超の30万人以上に増員する。180日以内には追加で50万人を送れるようにする。
NATOのストルテンベルグ事務総長は30日の記者会見で「ここ数十年で最も深刻な安全保障状況に直面しているが、団結と決意を持って難局に立ち向かう」と述べた。
新たな戦略概念では「ロシアをパートナーとみなせない」と指摘する一方で、紛争回避のためロシアと意思疎通を維持する意向も示した。初めて言及した中国については「体制上の挑戦」を突きつけていると記した。
ルーマニアやバルト3国で巡回する部隊を拡充するほか、英国に最新鋭ステルス戦闘機F35を追加配備。スペインに駐留する米駆逐艦を現在の4隻から6隻に増やす。ドイツとイタリアの防空体制も強化する。
中国国家統計局が30日発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2と、前月を0.6ポイント上回った。非製造業のビジネス活動指数は6.9ポイント改善の54.7だった。いずれも好調・不調の境目である50を4カ月ぶりに上回った。
上海市がロックダウン(都市封鎖)を6月1日に解除した。北京市も感染拡大を防ぐ目的で止めていた飲食店の店内飲食を6日から再開した。街に人通りが戻り、感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で抑えつけられていた経済活動が活発になった。
ただ景況感の改善にはばらつきがある。大企業と中堅企業は節目の50を上回ったが、中小零細企業は48.6にとどまった。国務院発展研究センターの張立群研究員は「需要の減少という重荷は依然として大きい」と指摘する。
調査対象に民間企業が多い長江商学院の景況調査によると、利益の見通しや資金調達環境を示す指数は、景気が悪化し始めた3月の水準よりなお低い。中小零細企業が大半を占める民間企業では就業者の8割が働く。中小零細企業に先行き不安が残れば、雇用の回復も遅れがちになる。
中国人民銀行(中央銀行)が実施した4~6月の預金者向けアンケート調査では、「今の雇用環境は厳しい、または判断できない」との回答が45.6%に達した。遡れる2013年7~9月以降で最大となった。所得の見通しを示す指数は比較可能な01年以降で最低となった。
中銀は声明で「今後も経済の動向に合わせて金融政策を調整していく。インフレ率が目標に回帰するために必要な場合には、政策金利引き上げを加速させる用意がある」と表明した。
●中東
●コロナ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
JALが運航しているボーイング737は計45機で、平均使用年数は約12.5年。非公開情報であることを理由に匿名で語った関係者によると、新たな機材としてボーイング737MAX(マックス)とエアバスの競合機であるA320ネオが候補になっている。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で6月29日、合意したスウェーデン、フィンランドの新規加盟を巡っては、最後に賛成に転じたトルコの動きが鍵となった。5月に2国が加盟の意向を表明するとメンバー国としての拒否権をてこに、加盟実現を急ぎたい両国に加え、米国からもF16戦闘機売却などの実利をたくみに引き出した。
「マドリードの勝利」。トルコの親政権紙サバハはスペインのマドリードで北欧2国と結んだ合意をこう評した。北欧2国の新規加盟で合意したNATO首脳会議に先立ち、トルコと2国が28日に結んだ覚書では、2国によるトルコへの武器輸出制限の解除、トルコがテロ組織として敵視するクルド系組織への支援停止のほか、合意の履行状況を監視する枠組みの設立など同国の要求が盛り込まれた。
フィンランドのニーニスト大統領によると、4月時点の電話協議ではエルドアン氏も加盟支持を口にしていたといい、欧米諸国は慌てた。その後6週間の交渉で、欧米諸国はトルコへの譲歩を繰り返した。
バイデン米大統領は自身の就任前、「独裁者」と批判したこともあるエルドアン氏との対話に消極的で、これまで互いの訪問はなく、国際会議の場での首脳会談や電話も数えるほどだった。それがマドリード合意直前にはエルドアン氏に電話して北欧2国との妥協を促し、現地での米トルコ首脳会談の開催で合意した。
トルコのシンクタンク、EDAMのシナン・ユルゲン氏は「バイデン氏とエルドアン氏との会談が実現したこと自体が収穫だった」と説明する。
北欧2国の加盟を巡る駆け引きはいったん決着したが、火種はなおくすぶる。トルコのボズダー法相は29日、33人のクルド系活動家らを引き渡すよう改めて主張した。
2国の加盟の実現には今後、詳細を定めた文書に全加盟国が批准する必要がある。トルコは2国に引き渡しを求めて圧力をかけ続けるとみられ、批准の段階で再び問題化する可能性は残る。
米商務省が30日発表した5月の個人消費支出(PCE)物価指数は、総合指数が前年同月比で6.3%上昇した。伸び率は前月から横ばいだった。市場予想を下回ったものの、ガソリンや食品を中心にインフレ圧力は根強い。
市場予想は6.5%の上昇だった。変動の激しい食品・エネルギーを除くコア指数の上昇率は4.7%と3カ月連続で縮小した。市場が物価の「瞬間風速」として注目している前月比の上昇率は0.3%で、前月から横ばいだった。市場予想は0.4%だった。
新政権でホセアントニオ・オカンポ氏を財務・公債相に起用する意向を示した。過去にも閣僚を務めた国際経験豊かなエコノミストで、2012年には世界銀行の総裁選に立候補した。左派のペトロ氏による閉鎖的な経済政策への警戒があるなかで、金融市場では歓迎する声が目立つ。
ペトロ氏は選挙戦で貧富の格差是正を重視し、石油探査の停止や自由貿易協定(FTA)の見直しを主張してきた。この日のツイッターへの投稿でオカンポ氏の就任を明らかにして「生産的な経済をつくっていく」と書き込んだ。
オカンポ氏の就任は「金融市場の参加者から歓迎されるだろう」(米シティグループ)との見方が目立つ。コロンビアの有力経済団体、全国産業協会(ANDI)のブルス・マクマスタ会長は「疑いなく良い合図だ。コロンビア経済に知見がある信頼できる人物だ」との声明を公表した。
オカンポ氏は1976年に米エール大で博士号を取得した。コロンビアでは93~94年に農業・地方開発相、96~97年には財務・公債相を務めた。国際機関での勤務経験も豊富で、2003~07年には国連事務次長(経済社会局担当)だった。
オカンポ氏は20年にコロンビア紙レプブリカの取材に「石油資源に依存しているため、輸出の多様化が必要だ」と述べていた。環境問題を重視するペトロ次期政権で、脱炭素への道筋を探る可能性もありそうだ。
オカンポ氏は6月19日の大統領選後にツイッターでペトロ氏の勝利を祝福していた。「選挙戦の過程などで明らかになった社会、地域の深い分断の克服が不可欠だ」と投稿した。
米連邦最高裁で共和党の考えに近い保守寄りの判断が相次いでいる。人工妊娠中絶の権利を認めた判決が覆っただけでなく銃保有の権利を拡大したり、連邦政府の温暖化対策規制を制限したりした。民主党のバイデン政権の政策実現を阻み、政権運営を揺るがす。
委員が全員一致で決めた。前回4月会合では1%引き上げており、上げ幅を広げた。コロンビア経済は、国際商品の価格上昇や消費の需要増に支えられて堅調に推移している。中銀は2022年の実質経済成長率見通しを5%から6.3%に引き上げた。
5月の消費者物価指数は前年同月比9.07%上昇した。4月(9.23%)からはやや鈍化したが、高い水準での推移が続いている。中銀目標の上限(4%)を上回るのは10カ月連続となった。
金融市場では今後も利上げが続くとの見方が多い。米シティグループは次回7月会合で1.5%の利上げを見込んでいる。
米運輸省でパイプラインを管轄する安全当局は30日、南部テキサス州で火災が発生した液化天然ガス(LNG)プラント「フリーポート」について、再稼働するには外部機関による調査報告書の提出が必要との方針を公表した。報告書の提出後に破損したプラントの修理計画を受け付けるとしており、再稼働に向けたハードルが高まった。
半導体メモリーの一つ、DRAMのスポット(随時契約)価格の下落が続いている。指標品は2021年の同時期に比べ3割安い。中国・上海市の都市封鎖(ロックダウン)や世界的なインフレによる先行き不安が取引価格を押し下げた。デバイスメーカーなどで在庫が膨らんでいる。半導体市場では自動車向けのマイコンなどで引き続き需給が逼迫しているが、DRAMの需給は緩和しているとの見方が優勢だ。
モルガン・スタンレーのエコノミストは現在、4-6月(第2四半期)の米国内総生産(GDP)伸び率を前期比年率0.3%と予想しているが、数日前には2%を見込んでいた。29日発表された1ー3月(第1四半期)の実質GDP確定値は前期比で年率1.6%減。個人消費が大幅下方修正となったのが響き、改定値の同1.5%減から引き下げられた。
アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は30日、4-6月の成長率予想を1ポイント引き下げ、2.2%とした。顧客向けリポートで同氏は「個人消費の状況は劇的に悪化した」と指摘した。
ウェルズ・ファーゴのエコノミストは30日のリポートで、「夏まではサービス支出が個人消費を引っ張るとなお考えているが、レーバーデー(9月の第1月曜日)を迎えれば、個人消費全体がプラスを維持するにはサービス業による押し上げだけでは不十分だろう」と指摘した。
消費者心理も悪化の一途をたどっている。24日に発表された6月の米ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は過去最低の50に低下。コンファレンスボードが28日発表した消費者信頼感指数でも、インフレが消費者の景況感を引き続き暗くしている状況が浮き彫りになっていた。
住宅ローン金利の急上昇と高級住宅の販売不振を理由に1カ月足らずで2回目となる業績見通し引き下げを行ったことが嫌気された。RHの終値は10.6%安。
29日の発表資料で、住宅市場の減速と今後見込まれる米利上げを理由に「需要は年内いっぱい鈍化し続ける」との見通しを示した。
RHは2023年1月通期の売上高見通しを前年比で最大5%減に下方修正。そのわずか4週間前に0-2%増に引き下げたばかりだった。5-7月(第2四半期)については見通しを据え置いており、減速の影響はそれ以降に顕在化する可能性を示唆した。
●市況
日経先物(大証)26430、ダウ先30767、債先148.91、米3.020、独1.3655、仏1.949、西2.444、伊3.372、波6.896、原油106.38、ドル円135.81、墨ペソ20.11、トルコリラ16.6977、墨CDS179※7/1 9時25分頃
備忘録(6/29)
●中国・ロシア・東欧
アフリカ南部ザンビアのヒチレマ大統領は、2021年の大統領選で当選してから数カ月のうちに、国際通貨基金(IMF)から14億ドル(約1900億円)の金融支援を引き出すことに成功した。だが、債務に苦しむ同国の全債権者、とりわけ中国と合意にこぎ着けるのは、はるかに長い時間がかかりそうだ。
中国は現在、低所得国向けの2国間融資で最大の貸し手となっている。ザンビアが直面する苦境は、中国がデフォルト(債務不履行)に陥った国の債務再編に率先して取り組むかどうかを測る試金石となる。中国はこれまで、借り手とは秘密裏に1対1で交渉している。
スリランカがデフォルトに陥り、パキスタンがその寸前に至るなど、経済への圧力が高まっているいま、中国に多額の債務がある国は、ザンビアの債務問題の進展に目を光らせている。中国以外の債権者もまたしかりだ。ザンビアの危機はまた、利害の異なるさまざまな中国の政府機関が融資し、それが債務再編に向けた取り組みを必要以上に複雑にしていることも浮き彫りにしている。
中国は、欧米諸国が供与した融資の再編を目的に発足したパリクラブ(主要債権国会議)のメンバーではなく、IMFが財政難の債務国に課す緊縮措置に懸念を表明してきた。中国では、政策銀行から商業銀行までさまざまな機関が融資し、それぞれ優先事項は異なる。米ジョンズ・ホプキンス大学中国アフリカ研究所(CARI)のデボラ・ブローティガム所長によると、中国の権威主義はここでは「一本化」されておらず、むしろ「断片化」していると理解することが重要だという。
ザンビアの場合、貸し手には中国国家国際発展協力署のほか、中国輸出入銀行や中国国家開発銀行が率いるグループが含まれる。CARIによれば、融資の条件は異なるという。
英資産運用大手Abrdn(旧スタンダード・ライフ・アバディーン)で新興国債券の投資責任者を務め、ザンビアの債権者を代表する委員会のメンバーでもあるケビン・デーリー氏は「中国には、共通の枠組みの推進を遅らせたり、場合によっては阻止したりする影響力がある」と話す。「枠組みの成否はザンビアにかかっているといっても過言ではない」
中国の貸し手は、他の民間債権者とは異なるアプローチをとっている。返済に苦しむ債務者に対し、返済期限の延長や支払い猶予を認めることはいとわないが、国内の政治的反発を恐れ、債務の減額を受け入れることには消極的だと観測筋はいう。この姿勢は債券保有者などの民間債権者とは相いれない。
北大西洋条約機構(NATO)は29日に発表した今後10年の指針となる「戦略概念」で、初めて言及した中国について「体制上の挑戦」を突きつけていると警戒感をあらわにした。一方で「直接の脅威」と位置づけたロシアに比べ表現を抑え、インド太平洋地域での覇権主義的な行動に懸念を強める日米との温度差もにじんだ。
新しい戦略概念は2010年に採択して以来約12年ぶり。これまでの戦略概念はロシアとの関係を「戦略的パートナーシップ」と呼ぶ一方、中国には触れていなかった。新概念はロシアを「最も重要で直接の脅威」と定義。ウクライナに侵攻し、NATOと対立を深める現状を映した。
中国について、核兵器の開発に加え偽情報を拡散したり、重要インフラ取得やサプライチェーン(供給網)を支配したりしようとしていると分析。宇宙やサイバー、海洋で、軍事的・経済的な影響力を強めていると主張した。中ロが、ルールに基づく秩序を破壊しようとしていることは「我々の価値と利益に反している」と強調した。
バイデン米大統領は29日、ロシアの脅威が高まる東欧の防衛体制を強化するため米軍の戦力を増強すると発表した。ポーランドに東欧には初めてとなる米軍の常設司令部を設ける。ルーマニアやバルト3国で巡回する部隊を拡充するほか、英国に最新鋭ステルス戦闘機F35を追加配備する。
北欧2カ国の北大西洋条約機構(NATO)への加盟が実現する見通しになり、NATOの防衛範囲が大幅に広がる。最大の兵力を拠出する米軍の「対中国シフト」にとって重荷になる可能性がある。
フィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)に加盟する見通しになった。ロシアのリャブコフ外務次官は29日「拡大はNATO自らの安全保障の強化をもたらさず事態を不安定化する」と反発を示した。
メドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)は28日、ロシア紙に対し「バルト海地域の非核化の地位は過去のものとなる」と述べた。軍事専門家らは、ロシアがバルト海に面した飛び地カリーニングラードやベラルーシに核兵器を配備する可能性を指摘している。
●中東
物価の高騰や失業、実質所得の低下などを巡り、数十人から数百人まで様々な規模の抗議デモが毎週のように起きているにもかかわらず、「ライシ師の下で政治的な平穏」が生まれているとある内部関係者は話す。「今はこれまでと違い、決定が下されると政治システム全体がそれを支える。今は誰もが車を押して動かそうとしている。(1979年のイスラム)革命以降、めったになかったことだ」
この受け身の姿勢は、83歳の最高指導者ハメネイ師の死去後にライシ師が後継者となる可能性を高めるのか、あるいは低めるのかは不透明だ。その決定を下す高位のイスラム法学者たちに好感される可能性はある。「この姿勢はおそらく、彼の強みとみられているはずだ」との見方をアブタヒ氏は示す。「次の最高指導者になる可能性は去年のこの時期よりも高くなった」
後継者問題は今なおイラン政治で語られない最大の問題の一つで、内政・外交政策に影響を及ぼしている。強硬派は、米国と協調して次期最高指導者の選出に影響を及ぼしうる穏健派に権力が戻ることを危惧している。
ライシ師は他の強硬派と同じく、2015年のイラン核合意を復活させる必要性を退けている。イランが世界の主要国と交わした核合意は18年に当時のトランプ米大統領が離脱を宣言し、最も厳しいレベルの制裁措置をいくつか講じた。これを受けて、イランは兵器級に近いレベルのウラン濃縮に動いた。ウィーンでの数カ月にわたる間接協議の後、イラン側は革命防衛隊に対する米国のテロ組織指定解除を核合意復活と結び付け、行き詰まりを招いた。両国は今週、カタールの首都ドーハで間接協議を行う予定だ(編集注、米国とイランの間接協議は28日、カタールのドーハで開かれた)。
米国による制裁で経済に大打撃を受け、物価高と景気低迷に対する抗議デモがほぼ毎週起きる状況の中でも、妥協しようとしないイランの姿勢はそのままだ。通貨リアルは、この1年の間に対ドルでさらに22%下落した。物価上昇も収まらず、インフレ率は約40%に達している。失業率も高く、3月末までの1年間に、15~24歳の約21%が無職だった。この苦境に直面しても、保守強硬派は5月に輸入食料・原材料への補助金を減らし、植物油や鶏卵、鶏肉、乳製品などの食品の値上がりが加速した。
ロシアのプーチン大統領とイランのライシ大統領は29日、トルクメニスタンのアシガバートで会談した。ロシア側によると、プーチン氏は「我々の関係は深く戦略的なものだ」と両国の緊密な関係を強調した。ライシ師も「我々の経済・貿易関係の発展を止めるものは何もない」と語った。
●コロナ
中国の習近平国家主席は新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を堅持する方針をあらためて示し、中国国内で「集団免疫」を目指すことはないと述べた。29日の中国株式相場は隔離期間短縮を好感した前日とは対照的に下げ足を速めて取引を終えた。
ゼロコロナ堅持は習主席が湖北省武漢市を28日訪れた際に示した。国営新華社通信によれば、習主席はゼロコロナ政策が中国にとって最も「効果的で経済的」だと主張し、中国は「最終的な勝利」を収めることができると述べた。
新華社によると、習主席は「中国は多くの人口を抱える。『集団免疫』や『寝そべり』といった戦略を採用すれば、想像を絶する結果に見舞われる」とも語った。中国では学業や労働のプレッシャーに耐えられず、過酷な競争から離脱し、手の届く楽な生活で満足する「寝そべり族」と呼ばれる若者が出現。当局はこれを問題視するようになっている。
人民銀は貨幣政策委員会の会合を受けて29日公表した声明で、「雇用と物価を安定させる取り組みを調整する」と述べた。同委は24日の会合で、世界の経済成長率が鈍化傾向にありインフレ率も高止まりする一方、国内の新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた取り組みは最近改善したもののなお厳しい状況にあると判断した。
声明によると、人民銀は物価を基本的に安定した状態に維持するため、国内の穀物供給増加と安定的なエネルギー市場を活用する。また小規模な企業向け包括的融資への支援を強化し、雇用情勢安定に向けてこれら企業をサポートするとした。
人民銀の易綱総裁は今週のインタビューで、中国の実質金利が「かなり低い」との認識を示し、金融刺激策は金利引き下げよりも融資拡大に重点を置く可能性が高いことを示唆した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
金融庁は2025年に国内の保険会社に新たな資本規制を適用する。財務状況の透明性を高めるのが目的で、29年ぶりの見直しとなる。保険契約を時価で評価し、保険金の支払い能力を正確に見極められるようにする。簿価を使う現状の規制では、市場動向の影響を織り込みにくかった。終身保険など保障期間が長い商品の販売を抑えるなどの影響も出そうだ。
トヨタ自動車など国内乗用車メーカー8社が29日まとめた5月の世界生産は、前年同月比0.3%減の160万1千台だった。前年実績を下回るのは3カ月連続となる。中国・上海市などのロックダウン(都市封鎖)の影響で日本の完成車工場などへの部品が滞り、各社が減産を強いられた。ロックダウン解除後も依然、中国からの部品調達は正常化せず、低水準の車生産が続いている。
米国の通信政策を担う米連邦通信委員会(FCC)の委員が安全保障上の脅威を理由に中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」をスマートフォンのアプリストアから削除するよう米グーグルと米アップルに要求していることが29日までに明らかになった。要請に応じない場合、7月8日までに理由を回答するよう求めている。
●決算関連
●マクロ・その他
世界中の債券市場で景気の先行きを不安視するシグナルが出ている。米国やカナダ、韓国などでは長短の国債利回りが逆転する「逆イールド」が続発している。欧州では長短利回りの差が歴史的な水準まで縮小した。インフレ抑制を目的とする政策金利の引き上げが相次ぐ中、急速な利上げが景気を冷やすとの懸念が増しているためだ。
米欧英の3中央銀行のトップが29日、欧州中央銀行(ECB)主催の討論会に臨んだ。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は米経済について「労働市場は非常に強く、金融引き締めに耐えることができる状態にある」と述べた。ラガルドECB総裁とベイリー英イングランド銀行総裁もインフレの定着に危機感を示し、物価抑制へ引き締めを進める必要があるとの見方で一致した。
債券利回りから派生する今後10年の物価上昇期待が低下し、企業業績や価値に比べて割安なバリュー株のブームの流れが反転し、工業用原材料商品のスーパーサイクル(超長期サイクル)の勢いも弱まりつつある。
これらの現象は、2022年のグレートインフレーショントレードがピークを迎えつつある可能性が高いとはっきりうかがわせるシグナルだ。ビル・アックマン氏のような反対論者の正当性に異議を唱え、クロスアセットのトレーディングゲームを動揺させかねないレジームシフト(大変動)かもしれない。
連邦準備制度の金融政策引き締めが、景気循環の過熱を抑制し始めている。借り入れコスト上昇と株価下落を通じて、金融の引き締まりが消費者と企業に痛みを与えており、モノの消費ブームが終わり主要な小売業者で在庫が積み上がっている。
プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏は「米国のインフレはピーク到達に近づきつつあるようだ。消費者はモノからサービスにシフトし、全体の需要は鈍化し、コア消費財の物価圧力もよりデフレ気味になりつつある」と指摘した。
米国債とインフレ連動国債(TIPS)の利回り格差を示し、インフレ期待を反映するブレークイーブンインフレ率(BEI)は、5年と10年でいずれも、ロシアのウクライナ侵攻で小麦とエネルギー価格が急騰する以前の水準まで再び低下した。
今後5年のインフレ期待を反映するBEIは2.8%前後と、連邦準備制度の2%の目標に近い平均物価の推移を市場参加者が見込んでいる様子がうかがえる。
長く続けてきたバリュー株選好の方針を転換したウェルズ・ファーゴの株式戦略責任者クリストファー・ハーベイ氏は、「景気が減速しつつある状況にあり、より長期のインフレ期待も和らぎつつあるようだ。われわれは一定の成果を挙げた後、約2週間前にシクリカル(景気循環)陣営を離れた」と説明した。
連邦統計局が29日発表した6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は、欧州連合(EU)基準で前年同月比8.2%。ブルームバーグが調査したアナリストらの予想は8.8%と、5月の8.7%からの加速が見込まれていた。
燃料税引き下げや公共交通機関の料金割引といった措置が、物価上昇の抑制に寄与した。
ドイツでは7月に電気料金に対する再生可能エネルギー賦課金が廃止されるため、インフレ率鈍化は続く可能性がある。ただ、基調的なインフレ圧力は高止まりする公算が大きいと、ベレンベルクのエコノミスト、ザーロモン・フィードラー氏は指摘した。
1ー3月(第1四半期)の米実質国内総生産(GDP)確定値では、個人消費が新型コロナウイルス禍からの回復過程で最も低い伸びとなった。改定値からは大幅下方修正となり、従来の想定以上に米経済が弱い足取りとなっていたことが示唆された。
米経済の最大部分を占める個人消費の1ー3月確定値は前期比で年率1.8%増。改定値は同3.1%増だった。
スペイン統計局(INE)が発表した6月の消費者物価指数(速報値)上昇率は前年同月比10%となり、ブルームバーグが調査したエコノミスト15人の予想を全て上回った。予想中央値は8.7%。
5月は8.5%だった。スペインのインフレがピークを付けたとの期待は後退し、かつては一時的と予想されたインフレがどれほど消費者を圧迫しているかを浮き彫りにした。
ウォール街のアナリストは世界的な大手テクノロジー企業の一部について業績見通しを引き下げ始めており、今年の株式相場急落でこうした企業の株価に割安感が出てきたとする議論に水を差す格好となっている。
アマゾン・ドット・コムやエヌビディア、グーグル親会社のアルファベットなどが過去1カ月に業績見通し下方修正の対象となった。米金融当局の積極的な利上げがリセッション(景気後退)を引き起こすとの観測が強まったことが背景にある。JPモルガン・チェースは29日、ツイッターやスポティファイ・テクノロジーなどインターネット企業26社の業績見通しを引き下げた。
コスト急騰や金利急上昇で巨額の時価総額が消失したにも関わらず、過去何カ月にもわたって多くの大手企業の見通しは維持されてきた。しかし、リセッションのリスクを巡る懸念が強まる中、来月から始まる4-6月(第2四半期)決算シーズンを控え、アナリストは楽観的な見方を後退させ始めている。低調な利益を予想している多くの投資家に近づく形だ。
クロスマーク・グローバル・インベストメンツのボブ・ドール最高投資責任者(CIO)は「米企業は価格転嫁を非常にうまくやってきたが、それが続くのかどうかについて確信が持てない」と指摘。「業績の状況はやや暗くなるだろう」と述べた。
S&P500種構成銘柄の大半については、業績見通しは引き続き維持されている。ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、同構成銘柄の利益は今年10%余り拡大する見込み。年初時点では8.7%増の予想だった。
最初の理由として、執拗(しつよう)な物価上昇を受け、連邦準備制度は経済活動の下支えからインフレ率を物価目標の2%に再び押し下げる努力に軸足を移さざるを得なくなり、雇用のマンデート(責務)がインフレのマンデートに今や従属する立場になった点が挙げられる。労働市場の「力強さが続く」という表現がなくなった6月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明と、先週の会見でのパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の態度の両方からこれが見て取れる。
次に新たな物価安定への集中は、容赦ないものになると予想される。連邦準備制度当局者らは、インフレを再び沈静化させることに失敗すれば、悲惨な結果が待つと承知している。インフレ期待は制御不能となり、後にさらに厳しいリセッション入りを余儀なくされる公算が大きい。リスク管理の観点からすれば、雇用および成長面でどんな犠牲を払っても、今行動した方がよい。パウエル議長は1960年代後半と70年代の過ちを繰り返したくないはずだ。
さらに今の景気拡大には、急停止が起きやすい脆弱(ぜいじゃく)性がある。短期的には給与の伸びと経済活動の再開、(2020年と21年の巨額の財政出動に支えられた)健全なバランスシートが需要を後押ししよう。幾つかのセクターで需要が供給を上回っており、需要を抑制し、生産とサービスの減速をそれが十分もたらすには、かなりの金融政策引き締めと時間が必要になるだろう。
最後に連邦準備制度がリセッションを引き起こすことなく、失業率の0.5ポイント以上押し上げに十分な引き締めを遂行したことはかつてない。サームルールによると、このトリガーに到達すれば、少なくとも2ポイントの失業率上昇を伴うより深刻な景気下降が次に待つ。
日経先物(大証)26655、ダウ先30948、債先148.59、米3.083、独1.5105、仏2.059、西2.582、伊3.586、波7.088、原油109.59、ドル円136.72、墨ペソ20.15、トルコリラ16.6367、墨CDS179
※6/30 9時15分頃
備忘録(6/28)
●中国・ロシア・東欧
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●マクロ・その他
主要7カ国(G7)は28日閉幕した首脳会議(サミット)で、食料危機対応に関する共同声明を発表した。食料や肥料価格の高騰、生産やサプライチェーン(供給網)の混乱について「ロシアは重大な責任を負っている」と指摘した。「ロシアによるウクライナへの侵略戦争は飢餓の危機を劇的に悪化させている」と非難した。
声明は2022年に世界で最大3.2億人が深刻な食料不足に陥るとの国連の指摘に言及。黒海の封鎖や輸送インフラへの攻撃など「ウクライナの食料生産や輸出を妨げるすべての行為を無条件に終える」ことも改めて求めた。
ウクライナは小麦やトウモロコシといった世界有数の穀物生産国だが、ロシア軍による黒海封鎖で主要積み出し港のオデッサが機能しないなど輸出が滞っている。
G7は代替輸送路の充実も急ぐ。ポーランド経由でバルト海を渡るルートやルーマニアの港湾都市の活用が現状の有力経路だ。ただ輸送効率の点では黒海ルートが勝る。国連や英国はトルコを介した対ロシア交渉を試みているが、目立った成果は出ていない。
サミットに参加したインドのモディ首相は27日「世界の食料安全保障には、まずは肥料の確保に集中する必要がある」と述べ、自国の肥料生産拡大への協力を求めた。
インドネシアのジョコ大統領は同日「危機克服へG7と20カ国・地域(G20)が大きな責任を負っている」と述べた。中ロを含むG20との連携を呼びかけた。
インドネシアは11月に首脳会議を開くG20の議長国を務める。ジョコ氏は30日にロシアのプーチン大統領と会談を予定する。
ロシアが黒海沿いの港を封鎖した影響でウクライナからの小麦の輸出が急減し、世界の小麦の調達に影を落としている。4~6月のウクライナの港からの輸出量は8割減る。世界全体の減少量の半分以上に相当し、他の主産国での増加分で補えるか不透明だ。供給不安で穀物価格が高騰し、アフリカなどの消費国にも影響が出ている。
中国共産党は28日、上海市党幹部の選出を巡り、習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)の側近で、上海市トップの李強・共産党委員会書記の続投を決めた。当面は上海市トップを続ける見込みだが、都市封鎖(ロックダウン)を巡る不手際に対する国民の反発が根強く、2022年秋の党大会で最高指導部入りできるかどうかは不透明だ。
上海市は新型コロナウイルスの封じ込めに失敗し、6月1日に解除されるまで2カ月におよぶロックダウンに追い込まれた。いまも多くの上海市民が不満を抱える。上海市は27日に党大会に出席する地元代表を決めたものの、李強氏を書記に再任したのは28日で、時間がかかった。党内で続投に異論が出たのではとの観測もくすぶる。
難局をひとまず乗り切った李強氏だが、最高指導部である政治局常務委員に昇格できるかは見通せなくなったとの見方が広がる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は党序列7位の韓正(ハン・ジョン)副首相が李強氏の更迭を習氏に求めたと報じた。
党大会で党トップとして3選を確実にしたい習氏にとって、李強氏の処遇を巡って意見対立が生まれるのは望ましくない。党内事情に詳しい関係者は「無理に李強氏を引き上げようとすると、党内であつれきが強まるのは必至だ」と指摘する。
李強氏は習氏が浙江省トップを務めた際の秘書長として知られる。上海市トップは本来、党大会で最高指導部入りが見込まれる重要ポストだ。李強氏は23年3月に首相職を退く李克強(リー・クォーチャン)首相の後任になるとの観測もあった。
米商務省が安全保障上問題のある企業を並べた「エンティティー・リスト(EL)」に中国企業5社を28日付で加えた。対象企業に米国製品などを輸出するのを事実上禁じる。
制裁を科したのはコネック・エレクトロニックやキング・パイ・テクノロジーといった電子部品などを扱うメーカー。さらに既に制裁対象に加えている中国の2社もロシア軍を支援したと糾弾した。
フィンランド、スウェーデン、トルコの3カ国はトルコの懸念に応える覚書に署名した。フィンランドのニーニスト大統領は声明で「NATOのテロ対策に全面的に取り組む」と表明した。トルコ大統領府の高官は、PKKと同一視する組織を2国が支援しないと約束したことなどを挙げて「トルコは要求を勝ち得た」と述べた。
首脳会議の実質的な議論は29日に始まる。首脳は北欧2カ国の加盟申請を歓迎し、具体的な加盟交渉に入ることを確認する見通しだ。両国は民主主義国で、以前からNATOと共同訓練をしているため、トルコが反対を取り下げた今、大きな障害はないとみられている。
首脳会議では、ほかにも今後10年のNATOの方針となる「戦略概念」を採択し、初めて中国の脅威に触れるほか、ロシアの軍事的圧力に対応するため、欧州東部の防衛力増強を決める見通しだ。ロシアの侵攻を受けるウクライナへの包括支援策で合意するほか、さらなる防衛投資の積み増しの必要性でも一致する方向だ。
ハンガリーでは食料品や耐久消費財を中心にインフレが進んでいる。5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸び率が10.7%と、01年5月以来21年ぶりの高水準を記録した。
持続的な利上げにもかかわらず、通貨フォリントは対ドルで過去最安値圏に沈んでいる。市場予想を上回る大胆な利上げは、輸入インフレの要因となる通貨安を和らげる狙いもありそうだ。ただ28日の外国為替市場でフォリントの上げ幅は限られた。
東欧では大幅な金融引き締めが続いている。6月にはポーランドが0.75%、チェコが1.25%、政策金利をそれぞれ引き上げた。
●中東
イラン核合意の再建を巡り、同国と米国の間接協議が28日、カタールのドーハでほぼ3カ月ぶりに開かれた。米国のバイデン政権はトランプ前政権が離脱を決めた合意への復帰を目指すが、イランとは主張に隔たりがある。バイデン大統領の中東歴訪を7月中旬に控え、落としどころが見いだせるかどうか、なお不透明だ。
国営イラン通信が同日、「イランと(仲介役の)欧州連合(EU)の担当者の協議が始まった」と伝えた。核合意はイランの核開発を抑制するための多国間合意だ。米国が2018年に離脱を表明した後、イランのほか、英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国の5カ国が合意にとどまっている。主に欧州側が間に立ち、イラン、米国の双方から話を聞き、相手に伝える形式だ。
イランは米国に対し、イラン産原油の輸出禁止をはじめとする制裁の即時停止を求めている。さらにイラン最高指導者のハメネイ師に直属する革命防衛隊に対するテロ組織指定の解除も要求している。米国はイランに対し、制裁停止よりも同国が合意の履行義務を果たすことが先だと主張する。革命防衛隊への制裁は核合意とは関係がないという立場も示している。
米国の合意離脱に反発し、イランは核合意の履行義務を逸脱する行為を繰り返している。国際原子力機関(IAEA)が5月にまとめた報告書によると、5月15日時点でイランが60%まで濃縮したウランの貯蔵量は2月時点に比べて3割増の推定43.1キログラムに達した。核合意で定めた濃縮度の上限を超過し、核兵器への転用が容易な90%に近づく。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のサナム・バキル氏は、間接協議再開の背景について「(イランと米国の)対立がエスカレートする可能性があり、話し合いが必要だと(双方の)関係者が考えたのは明らかだ」と指摘した。だが「大きな進展があるとは思えない」と語った。
間接協議は3月中旬を最後に中断していた。欧州連合(EU)の外相にあたるボレル外交安全保障上級代表が25日、テヘランを訪問してイランのアブドラヒアン外相と会談し、再開で一致した。アブドラヒアン氏は25日の記者会見で「イランにとって重要なのは(合意再建で)経済的利益を得ることだ」と言明した。
イラン外務省当局者は、加盟が実現すれば「双方にとって付加価値となる」と強調した。
南米アルゼンチンのフェルナンデス大統領も24日、BRICS加盟を希望する意向を表明していた。ウクライナに侵攻したロシアは制裁の骨抜きを図っているほか、制裁に消極的なこれらの国々と欧米諸国の間にくさびを打ち込もうと、加盟を積極的に働き掛けている可能性がある。
バイデン米大統領は2020年の大統領選のさなか、イエメンで親イラン武装組織フーシ派との内戦を主導するサウジアラビアに対し「子供たちを殺害している」と非難した。だがサウジ訪問を数週間後に控え、同氏は驚くべき方向転換を図った。イエメン内戦で「勇気あるリーダーシップ」を示したとサウジをたたえたのだ。
バイデン氏とムハンマド氏の関係はカショギ氏殺害とイエメン内戦により険悪化していた。バイデン氏は大統領就任直後にサウジ向けの武器支援の一部停止とフーシ派のテロ組織指定の解除を決定したが、いまや状況は一変した。イエメンで4月に停戦合意が発効し、6月にさらに2カ月間延長され、バイデン氏は停戦に貢献したとしてムハンマド氏を称賛したのだ。
レンダーキング米イエメン担当特使は「イエメン情勢の変化が両者の関係改善を促し、7月のサウジ訪問を後押ししたのは間違いない」と語る。「停戦したからこそ大統領の訪問が実現した。停戦していなければ、ほぼ不可能だった」
サウジは社会・経済改革に乗り出しているため、イエメン内戦から手を引きたがっていると米政府は考えている。「ムハンマド皇太子は国内経済を発展させ、そこに若者の参加を促そうとしているが、イエメン内戦は紛れもなくその目標の足かせになっている」とレンダーキング氏は指摘する。
イエメン内戦は7年に及ぶ間に病気や栄養失調で数十万人が死亡し、国連が「世界最悪の人道危機」と呼ぶ状況をもたらしたが、停戦合意によってつかの間の安らぎを得ている。国連の報告によると、サウジ主導の連合軍による住宅や学校、市場への空爆で民間人数千人が死亡し、全米で非難の声が広がっていた。
だが、停戦が正式な休戦になり、最終的に政治的対話へとつながる可能性は低いと欧米やサウジ、イエメンの当局者はみている。イエメン南部を拠点としサウジとUAEが支援する新政府は、北部発の航空便の再開やホデイダ港の利用、反政府勢力が発行するパスポートの受け入れといったフーシ派の要求に応じている。しかし、フーシ派は譲歩を拒んでいると、あるイエメン政府関係者は語った。
イエメンのアル・エルヤニ情報相は「政府側は国民の利益を考えて譲歩に譲歩を重ねているのに、フーシ派武装勢力は合意の一部を守らず、停戦違反や(南部都市)タイズの包囲を続けている」と主張し、フーシ派がタイズに通じる道路の開放を拒否していることに苦言を呈した。一方、レンダーキング氏は歩み寄りに「希望」を抱いているという。
サウジ当局者の1人は「フーシ派は米国の姿勢を誤解したからこそ(当初は)停戦拒否を主張した。彼らは米国が内戦を無条件かつフーシ派に有利な形で終わらせるようサウジに圧力をかけているとみていた」と語った。だが、フーシ派はイエメン中部シャブワ州で敗北を喫し、停戦を受け入れるしかなくなった。「連合軍の首都サヌアへの進攻を恐れた」からだ。
レンダーキング氏も同様に「フーシ派はバイデン氏の就任当初の意図を読み違えた」との見方を示した。「大統領のサウジ訪問は米国が同国を守るだけでなく、地域の危機を外交的に解決しようという決意を明確に示すものだ」
とはいえ、停戦交渉は行き詰まったままだ。サウジとイエメンの当局者は、敗北を重ねたフーシ派が軍を立て直すために停戦を利用していると非難する。サウジと米国、イエメンの政府関係者によると、フーシ派によるサウジやUAEへの攻撃を後押ししたイランはいまだに武器供与を続けているという。
サヌア戦略研究センターのメイサー・シュジャ・アルディーン氏は「停戦が延長され、恒久的な休戦になったとしても問題は解決しない」と強調する。「曲がりなりにも『未解決のまま地域紛争を凍結する』というのがほとんどの関係当事国の常とう手段だ」
●コロナ●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
米銀ゴールドマン・サックス・グループの幹部は2020年初期、投資資金を引き寄せようと新たなメインストリート(実体経済)を対象とした「マーカス」事業に関する明るい見通しを示した。同部門は赤字の状態から2022年には収支とんとんになるとの見立てだった。
実際にはそのようにうまくはいっていない。同コンシューマー事業の損失は今年12億ドル(約1630億円)余りに増大することが内部予測で示されている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。4-6月(第2四半期)の同部門の資金燃焼率はこうした予測と整合的で、景気悪化に伴い貸倒引当金の積み増しを強いられる場合、損失はさらに拡大する可能性があるという。
●決算関連●マクロ・その他
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ないし75bpの利上げが議論されるとした上で、決定は経済データに左右されるとの見解を示した。
総裁は28日、米経済専門局CNBCのインタビューで「次回の会合に関しては、50から75(bp)が議論されるのは明らかだ」とし、「政策金利を引き上げなければならないというのが私の見解で、さらに言えば利上げは迅速に行う必要がある」と語った。
ウィリアムズ総裁は政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標について、年末までに3-3.5%のレンジに引き上げることを支持。来年の金利の道筋についてはデータ次第との考えを示した。米経済については、金融当局がインフレ抑制のため借り入れコストを引き上げる中で成長が減速し、失業率は上昇すると予想しつつ、リセッション(景気後退)は見込んでいないと述べた。
今後6カ月の見通しを反映する期待指数は66.4と、ほぼ10年ぶりの水準に低下。消費者が景気と労働市場、所得の先行きをさらに悲観的にみていることが明らかになった。現況指数は小幅に低下した。
インフレを抑制するための米政策金利引き上げが借り入れコストを高めるため、消費者は住宅や自動車、家電といった高額商品の購入を控えるリスクがある。しかしセンチメントの悪化は現時点で、こうした購入計画に影響していないことが明らかになった。
今後6カ月間に自動車や大型家電製品を購入する意向だとの回答は、前月より割合が高くなった。一方で国内および国外の旅行を計画しているとの回答比率は低下。航空運賃とガソリン価格の上昇が原因とみられる。
コンファレンスボードの景気指数担当シニアディレクター、リン・フランコ氏は「消費者の見通し悪化は、特にガソリンや食品のインフレに対する懸念が深刻化したことによるものだ」と解説。「期待指数は80を大きく下回る数値に低下し、今年後半の成長減速と、年末までにリセッション(景気後退)に入るリスクの高まりを示唆している」と述べた。
雇用が「十分にある」との回答比率は小幅に低下して51.3%。今後6カ月の見通しもさらに悲観的になっている。同期間に所得が減少するとの回答比率は、2020年8月以来の高さとなった。
米国の住宅価格は4月に伸びが減速した。S&P・コアロジック/ケース・シラーがまとめた全米ベースの住宅価格指数は前年同月比20.4%上昇と、3月の20.6%上昇から鈍化した。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのマネジングディレクター、クレイグ・ラザラ氏は4月の統計について、住宅価格の伸び鈍化を示す最初の兆候だと指摘。ただ、今後一貫して下がるわけではないとの見方を示した。
住宅ローン金利は2021年末以降、2倍近くとなった。金利急上昇と高額の物件価格は潜在的な買い手を圧迫し、一部地域では住宅市場が減速し始めている。
一方、米20都市の住宅価格指数は伸びが加速。4月は前年同月比21.2%上昇、3月は21.1%上昇だった。フロリダ州のタンパやマイアミ、アリゾナ州フェニックスなどで特に伸びが目立った。
今年の米自動車販売は17.3%減少し、10年ぶりの低水準になると見込まれている。半導体不足などサプライチェーンの問題で引き続き生産に影響が出ていることが背景。
調査会社コックス・オートモーティブは生産の制約を理由に、自動車販売予想を1440万台に引き下げた。今回の予想下方修正にもかかわらず、低調な自動車販売は景気の現状と矛盾しているとコックスではみている。雇用市場や消費需要が力強さを維持しているためだ。
コックスのチーフエコノミスト、ジョナサン・スモーク氏は「リセッション(景気後退)が不可避だとは考えていない」と発言。「小売りの分野ではなお繰り延べ需要がある。欲しい物を手に入れることができない人もいる」と述べた。
新車の在庫は今年に入って増加しているが、約25日分相当にとどまっている。新型コロナウイルス禍前は、ディーラーの在庫は平均で70日分に近かった。
英北部スコットランド行政府(地方政府)のスタージョン首相は28日、地域の独立を目指す住民投票を2023年10月19日に実施する計画を発表した。正当な住民投票の実施には中央政府の承認が必要なため、スタージョン氏はジョンソン英首相に書簡を送る方針も示した。ジョンソン政権は反対しており、計画通り実現するかは不透明だ。
●市況
日経先物(大証)26773、ダウ先30964、債先148.26、米3.181、独1.6195、仏2.166、西2.711、伊3.658、波7.231、原油111.92、ドル円136.05、墨ペソ20.15、トルコリラ16.6301、墨CDS166
※6/29 8時45分頃
備忘録(6/27)
●ウクライナ
米CNNによるとウクライナは160キロ以上の射程のシステムの供与を求めている。長距離火砲の弾薬や対砲兵レーダーなども含む見通し。
26日にはウクライナの首都キーウ(キエフ)でロシアによるミサイル攻撃があった。サリバン氏によると、ゼレンスキー大統領は27日、主要7カ国(G7)首脳とのオンライン協議で「ロシアのミサイルを撃ち落とせる防空兵器を追加供与してほしい」と求めた。
米欧はこれまで射程が最大8キロメートルの携行型地対空ミサイル「スティンガー」を提供してきた。射程が数百キロメートルある旧ソ連時代に開発された地対空ミサイルシステム「S300」もスロバキアを通じて供与したが、追加で高性能の防衛システムを送る方針だ。
サリバン氏はゼレンスキー氏が「今後数年間でなく数カ月の間にウクライナが戦況で有利な立場になるのを望んでいた」と指摘した。米欧による武器供与を加速し、年内にもロシアとの停戦協議に臨む狙いがあるとみられる。
5月27日が支払期日だった2本のロシアの外貨建て国債について「デフォルト(債務不履行)に該当する」との見解を表明した。発行時の条件に基づく利払いが30日間の猶予期間内に実行されなかったことは同社の格付け定義上、不履行にあたると説明した。非公式ながら格付け会社からデフォルトとみなされたことになる。
ムーディーズはロシアの外貨建て債務について「今後も利払いでデフォルトが生じる可能性が高い」と指摘した。3月には、元利金の支払いが発行条件にない通貨で実行されれば「デフォルトと扱う可能性が高い」との認識を示していた。
●コロナ
ジョンズ・ホプキンス大によると、世界の新規感染者数(7日移動平均)は26日時点で約66万2千人となり、約2カ月ぶりの水準となった。オミクロン型の流行は1月がピークで最近は感染者数も落ち着いてきたが、各国で派生型の「BA.4」「BA.5」などが広がっている。特に増加が目立つのは欧州や中南米だ。
英国では6月に入って増加傾向が続く。英保健安全局によると、「BA.4」「BA.5」が感染者の過半を占める。陽性になっても報告する義務がないため、実際の感染者数はさらに多い可能性がある。同局の主席医療アドバイザーのスーザン・ホプキンス教授は「75歳以上の17.5%が過去6カ月以内にワクチンを接種しておらず、重症化のリスクがある」として追加接種を呼びかけている。
フランスでも感染者は増えている。ブルギニョン保健相は27日、「義務ではないが、交通機関ではマスクをつけてほしい」と述べ、警戒感をにじませた。
中南米では、メキシコやブラジルで感染者数が再び増加傾向にある。米ジョンズ・ホプキンス大によると、メキシコでは新規感染者数(7日移動平均)が25日時点で約1万4000人と1カ月前の約14倍に増えた。ブラジルでも25日時点で約4万1000人と1カ月前から約6割増えている。オミクロン型の派生型を中心に感染が広がっている。
派生型は感染力が高いとされるが、重症化率には大きな変化はなさそうだ。英政府のデータによると、人工呼吸器が必要な重症患者の数に大きな変化は見られない。むしろオミクロンが流行してからは緩やかな減少傾向にある。ロンドン中心部ではマスクをしている人はほとんどおらず、大きな問題にはなっていない。
元イングランド副主任医務官のジョナサン・バンタム氏はBBCに、「致死率ではインフルエンザに近い。インフルエンザでも数日間体調を崩して生活に支障を来すことがあるし、我々は新型コロナについてもそのような概念でとらえなくてはならない」と述べた。
●中国不動産●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
大手行の外国債券含み損は3月時点で1兆7000億円を超え、売却損も出た。3メガバンクは米トランプ大統領就任をはさみ金利が急騰した2017年3月期に一時傷を負ったが、それと比べても6.5倍の巨額含み損だ。有価証券全体で含み益を確保しているものの、自己資本に影を落とすリスクを抱えている。
モルガン・スタンレーは27日、複数年で最大200億ドル(約2.7兆円)規模の自社株買いと四半期配当を11%増やす計画を発表した。ゴールドマン・サックスなど他の金融大手も同日、増配計画を明らかにした。米連邦準備理事会(FRB)の健全性審査(ストレステスト)で景気後退時でも十分な資本を備えていると認められたことを踏まえ、株主還元策の公表が相次いだ。
●マクロ・その他
首脳会議で採択する「戦略概念」は今後10年程度のNATOの基本的な指針を記した文書。現在の文書は2010年に採択され、ロシアとの関係を「戦略的パートナーシップ」とする一方、中国には触れていない。NATOのストルテンベルグ事務総長は27日の記者会見で、新戦略概念で「中国が我々の安全保障、利益、価値観にもたらす課題に言及する」と明かした。
これは中国による長距離弾道ミサイルや核兵器の開発、宇宙・サイバー空間や北極圏での活動が、欧州の防衛と無縁ではないためだ。高速通信規格「5G」では中国によるスパイ疑惑が浮上し、広域経済圏構想「一帯一路」をテコにした欧州の重要インフラへの浸透も続いている。
ストルテンベルグ氏は22日、「中国を敵とは見なさないが、中国の台頭には対処する必要がある」と語った。首脳会議には対中国での連携を視野に日本や韓国、オーストラリア、ニュージーランドの首脳も招く。
主要な建設資材であるセメントの市中価格が3年7カ月ぶりに上昇した。セメント各社が昨秋、燃料の石炭価格や輸送コストの上昇を理由に値上げを表明。約半分が浸透した。需要家の生コンクリートメーカーは足元で転嫁値上げに動いている。建築物のコスト負担が重くなりそうだ。
6月に入り世界の株式は軒並み安となっている。米MSCIが算出する世界株指数(ACWI、現地通貨建て)の10業種は全て下落。ロシアのウクライナ侵攻後に逆行高となっていたエネルギーも下げに転じた。各国の急速な利上げによる景気後退の懸念が一段と高まり、業種を問わず売られている。投資家がリスク回避を選ぶ姿勢が鮮明となっている。
中国メディアによると、26日までの発行額は1兆4126億元で、前年同月の1カ月分と比べて8割近く増えた。新型コロナウイルス禍から経済を早期に正常化させるために発行が急増した2020年5月の1兆3024億元をすでに上回り、最大を更新した。月内の発行予定分を合わせると、1兆5000億元を超す見通しだ。
地方債のうち、「専項債」と呼ぶインフラ債の発行が急増している。中国財政省によると、年初から6月16日までに計2兆5453億元を新規に発行した。21年同時期の3倍となった。
中国経済は、新型コロナの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で悪化した。国内の民間需要が縮んでいるなか、習指導部は、地方政府のインフラ投資を景気回復のけん引役と位置づける。
22年のインフラ債の発行枠は3兆6500億元ある。財政省は地方政府に対して、6月末までにほぼ全額を発行し、8月までに調達した資金を原則使い切るよう求めている。
インフラ投資の拡大が年後半の経済成長率を高める公算は大きい。それでも政府が22年通年の目標として掲げ続ける「5.5%前後」の成長は難しそうだ。伊藤忠総研の玉井芳野氏は「回復が本格化しても通年の成長率は4.3%にとどまる」と予測する。そのうえで目標達成に向けて「新型コロナ対策で20年に発行した特別国債の再発行に踏み切る可能性もある」と分析する。
今後は最大勢力となった親イラン系を中心とした政権樹立交渉が活発化しそうだ。だが、イラクの政治システムには大統領をクルド系、首相をシーア派から選ぶなどの慣例があり、各宗派、民族が複雑に入り乱れて利害調整を行う。
新政権樹立に向けた交渉は今後も難航が見込まれる。首相指名に先立つ大統領の選出には議会の3分の2の支持が必要だ。親イラン系も一枚岩ではないため、イランが間に入って影響力が増す可能性がある。
サドル師は貧困層を中心に根強い支持を得ており、強力な民兵組織も持つ。懸念されるのはサドル師の勢力が憲法上の政治システムから離れ、武力を背景とした街頭デモや武装闘争に乗り出す事態だ。サドル師が率いる勢力は政府に影響力を行使するようになる前の00年代、駐留米軍やイラク治安部隊と武力衝突を繰り返した。
仮に新政権が発足しても、サドル師の勢力が反政府運動を繰り広げれば政権は機能不全に陥る可能性が高い。イラクはもともと電力供給が不安定で、政府が有効な対策を打てなければ気温50度を超えることもある夏に国民の不満が爆発し、政権を揺るがす大規模なデモに発展しやすい。
イラクの政情不安は周辺国にも飛び火しかねない。イランがイラクの内政に介入すれば、イランと対立するサウジアラビアなどスンニ派のアラブ諸国や、イラク北部のクルド人自治区に影響力を持つトルコの反発を招く。
8つの早期指標から成るブルームバーグの総合指数が示したもので、6月は中立水準に戻った。前月までは2カ月連続で悪化していた。
スタンダードチャータードが500社余りの中小企業を対象とした調査では、「製造業で需要と生産が力強く回復」したほか、輸出中心の比較的小規模の企業が他の企業より好調だった。同行のエコノミスト、ハンター・チャン、丁爽両氏が指摘した。
ただ、「製造業の回復はサービス業よりも大きかった」と指摘。小売りや配膳サービスなど顧客との接触が多い業種が引き続き全体の足かせとなった。活動は不動産や運輸、情報技術で加速し、建設では急増した。
活動の活発化は建材の需要増加にまだつながっていない。稼働を停止した製鉄所が増え、国内の主要製鉄所の在庫は6月半ばに月初との比較で10.7%増加。年初水準を約82%上回っている。建設に使われる鉄筋の在庫は6月にやや増えた。
中国政府は成長を支える政策の強化を方針として掲げている。習近平国家主席は先週、今年の経済目標を達成する方針をあらためて表明した。刺激策への期待や制限措置の解除を受け、中国株は4週連続で上昇。外国からの資金流入も増えている。
一方、住宅セクターが依然として経済の足を引っ張っている。上海で先週、販売がロックダウン前の水準をほぼ回復したものの、主要4都市では6月1-3週に減少となった。
エコノミストが考えなければならないのは、労働市場が減速するかどうかではなく、それがどのくらいのスピードで起きるかだ。
インフレ抑制に向け、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75ポイントの利上げが決定され、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は次回会合で少なくとも0.5ポイントの追加引き上げの構えを示している。
これを受け、消費者および企業の借り入れ需要が弱まるとして、エコノミストの間ではリセッション(景気後退)入り観測が広がりつつある。パウエル議長自身も先週、リセッションについて、不可避ではないとしながらも可能性を認めた。
ナティクシス・ノース・アメリカの米国担当シニアエコノミスト、トロイ・ルドトカ氏は「現在、労働市場は力強いものの、悪化しつつあり、それは極めて早いペースで進むだろう」とし、23年初めまでに失業率が少なくとも5%に上昇すると見込む。「今見られているタイトな労働市場は1年前の大幅な成長を受けたものだ。景気は鈍化しつつあり、つまり労働市場も減速するということだ」と語った。
金利上昇で米国経済がリセッション(景気後退)に陥るとの懸念がほぼウォール街一帯を動揺させ、ジャンク債から外為に至るまであらゆる市場に大きな変動を引き起こしている。しかし、「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は、過去の弱気相場時の水準を大きく下回っている。
これについて、オプションストラテジストや銀行関係者は単純な理由を挙げている。米連邦準備制度が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に実施した刺激策を縮小する中、S&P500種株価指数は今年初めに過去最高値を付けた後、長期的な秩序ある下落基調を示している。これは2020年3月のコロナ禍や08年9月のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻のショックに伴う急落とは異なるという。当時はいずれもVIXが急上昇していた。
フェデレーテッド・ハーミーズのシニアポートフォリオマネジャー、ルイス・グラント氏はリポートで「強気相場の過剰が解消されると、ネガティブなセンチメントが会話を支配するものだ。しかし、VIXはわずかに上昇しているに過ぎない。少なくとも株式について現在は完全なパニックではなく、秩序ある弱気相場だ」 と指摘した。
現在の相場は、インターネットバブル崩壊後の相場により類似している。プリズムFPのシニアセールス・クオンツストラテジスト、タラル・デビ氏は現在の動きについて「大きな突然のショックはないが、実現ボラティリティーが高い水準にとどまっていた2000ー02年の弱気相場に似ている」と指摘した。27日は暗号資産(仮想通貨)ビジネスの低迷を示す動きが広がり、関連銘柄の下落が目立った。米国株と仮想通貨の相関関係が高まっていた中で、仮想通貨の低迷が株価に波及するリスクを懸念する向きも出ている。
リビア国営石油会社(NOC)は、国内の政治危機が悪化する状況を受け、複数の主要ターミナルが存在するシルテ湾からの石油輸出を停止する可能性があると明らかにした。
27日のロンドン金属取引所(LME)ではスズを中心に大半の非鉄金属が上昇。中国経済が回復の兆しを見せたほか、ゴールドマン・サックス・グループが世界の供給は依然として制約されているとの見方を示した。LMEで取引される主要非鉄金属6種で構成されるLMEX金属指数は先週、週間ベースで1年ぶりの大幅安となっていた。
●市況
日経先物(大証)26840、ダウ先31509、債先148.29、米3.204、独1.5385、仏2.070、西2.648、伊3.612、波7.259、原油110.50、ドル円135.47、墨ペソ19.91、トルコリラ16.5745、墨CDS166
日経先物(大証)26840、ダウ先31509、債先148.29、米3.204、独1.5385、仏2.070、西2.648、伊3.612、波7.259、原油110.50、ドル円135.47、墨ペソ19.91、トルコリラ16.5745、墨CDS166
※6/28 9時20分頃
備忘録(6/24-26)
●ウクライナ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●マクロ・その他
ロシア政府系の「世論基金」が実施した最新の世論調査で、プーチン大統領を「信任する」との回答が80%になった。ロシア通信が24日伝えた。2月24日のウクライナ侵攻開始以降では4月24日の調査と並び最高。侵攻から4カ月が経過しても国民の支持率が低下していないことを示している。侵攻直後の2月27日の調査では「信任する」が71%だった。
国連食糧農業機関(FAO)によると、ウクライナには現在2200万トン以上の穀物が貯蔵庫などに滞留している。ウクライナ側は今秋までに年間輸出量を上回る最大7500万トンに達する恐れがあると試算する。
輸出代替路として、周辺国を経由した陸路や運河などの活用を検討している。ウクライナのセニック外務次官は「穀物輸出のためにポーランドとルーマニア経由の2つの輸送路を確立した」とロイター通信に語った。
ポーランド経由では、ウクライナからトラックや鉄道でポーランド北部の港町に輸送し、貨物船に積み替えてバルト海を渡る。すでにドイツの港湾などを経由してスペインに到着した例も出た。ルーマニア経由は鉄道でドナウ川の港まで運び、ルーマニアの港湾都市などに向かうとされる。
代替路は海上輸送に比べ効率が落ち、コストも高くなる。鉄道ではウクライナと欧州諸国のレールの幅が異なり、積み替えが必要になる。
バイデン米大統領は14日、米欧が協力してポーランドなどとの国境沿いに穀物倉庫を設置し、物流効率を上げる構想を明らかにした。
ウクライナのカチカ経済副大臣兼通商代表は内陸経由の輸送能力を月300万トンまで高められるとするが、2021年の黒海経由での輸送能力は月平均500万トン。抜本的な解決には黒海封鎖の解除が欠かせない。
ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事は24日、ロシア軍が大半を制圧した要衝セベロドネツクに残る部隊に対し、撤退命令が下ったとSNS(交流サイト)で明らかにした。セベロドネツクは同州でのウクライナ側最後の拠点とされ、同国軍は化学工場に立てこもって抗戦していた。
ガイダイ氏はこれに先立つ投稿で撤退の必要性に言及し「(施設が)壊れた場所にとどまる意味はなく、死者の数は増え続けている」などと説明していた。
同国メディアによると、撤退は未明のうちに始まっていたもようだ。川を挟んでセベロドネツクに隣接するリシチャンスクをめぐっても、ロシア軍は南部近郊の2集落を23日までに制圧。ガイダイ氏は同市から撤退する可能性も示唆していた。
●コロナ英国の人口の大半を占めるイングランドで新型コロナウイルスの規制が解除されてから24日で4カ月がたった。人々はマスクなしの生活に戻り、爆発的な流行はいまのところ起きていない。米国が入国前の陰性証明を廃止するなど、コロナとの共生路線では各国が英国に続く。いまだ国境を開ききれない日本との違いが際立っている。
英政府がコロナ規制を解除したのは、変異型「オミクロン型」の流行で重症化率が下がったためだ。欧米諸国は手探りながらもコロナとの共生で英国に続く。
米国は12日から、入国前の陰性証明の提示を不要とした。米疾病対策センター(CDC)は国内でワクチンや治療薬が普及し、重症化や死亡のリスクが下がったことを受けて「流行が新たな段階に入った」との認識を示した。ニューヨーク市の劇場街ブロードウェーは7月から観客のマスク着用義務を解除する。
アジアも同様だ。タイは7月から外国人の事前申請手続きをなくし、ワクチン接種証明書か渡航前検査の陰性証明書を提示すれば入国できるようにする。マスク着用義務も解除する。パンデミック(世界的大流行)が終わったわけではないが、重症化率などのデータを見ながら通常に近づけようとしている。
世界の航空会社が加盟する国際航空運送協会(IATA)によると、国境封鎖の効果は感染のピークを数日遅らせるだけだった。世界保健機関(WHO)もかねて、国境を閉じずに経済を回しながら感染対策をすべきだと主張している。IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は「(各国の)政府は何のプランも持たず、オミクロン型にも過剰反応した」と批判している。
●中国不動産●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
日本発の各方面で過去最高とし、北米や欧州行き(片道)は4万7000円と従来比1万200円上げる。ハワイ行きなどは6900円増の3万500円、タイやシンガポール行きなどは5100円増の2万4700円とする。
ロシアのウクライナ侵攻などを受けた原油高や円安による燃料価格の高騰を料金に反映させる。JALによると、8~9月のサーチャージの指標となる4~5月のケロシン(シンガポール市場)の平均価格は円換算で1バレル1万7644円と、2~3月から23%上昇した。
ドル建ての平均価格は13%の上昇にとどまっており円安の影響も色濃い。ドル建てのケロシン価格を指標とする海外発のサーチャージは、8~9月発券分の欧米発で368ドル(約5万円)と10%上げる。
ソフトバンクグループの孫正義社長は24日の定時株主総会で、現在実施している1兆円の自社株買いに加え、さらなる自社株買いを行う可能性について株主に問われ、「やりますよ。一言で言えば」と回答した。
一方で、自社株買いを「今まで何回もやった。そのときそのときの状況をみて、判断し発表する。いつ、どれくらいやるかは言うべきではない」とも述べた。
孫社長は、増配を求める別の株主の質問には「安定配当は続けた方がいい」としながらも、配当は特定の日の株主に出すもので、「自社株買いは1株当たりの価値が増えるので、ベターな気がする」との認識を示した。
ソフトバンクGは昨年11月に1年をかけて1兆円を上限とした自社株買いの実施計画を発表。今年5月までに累計で約5500億円を買い入れている。
約2時間半に及んだ株主総会の冒頭、孫社長はこの1年間で3割以上下落した同社株の状況を説明。上場来の長期チャートを見せながら、右肩上がりだと弁明したが、その後も総会会場に足を運んだ株主やインターネットで参加した株主から低迷する株価や株主還元に関する質問が相次いだ。
孫社長は「いろんな会社があるが、ソフトバンクGの株は一番安いと思う」と述べ、現在の時価総額と保有する時価純資産の差が10兆円以上あると指摘。株価上昇を何十年待てば良いのかと株主から厳しい質問が浴びせられると、「5年、10年の単位で見れば、私はかなり自信がある」と反論した。
会場で総会に出席した東京都在住の会社役員、園田崇史さん(49)はブルームバーグの取材に応じ、ソフトバンクG株は「個別の企業業績というよりはマクロ経済、インフレや地政学的リスクの中で下がっていると思う」と話した。園田さんは2001年から同社株を保有し、「今は下がっているが、長期的に上がるとまだ期待している」という。
新型コロナウイルス感染予防のため、この日の総会はオンライン中心で開かれ、東京都港区の竹芝本社会場に来場できる株主は150人に限定した。ソフトバンクG広報によると、出席株主数は114人(会場31人、インターネット83人)。年間44円の前期配当の実施や孫社長、新任のデビッド・チャオ氏を含む9人の取締役選任など3つの議案は賛成多数で可決された。
●その他産業米国のシリアルのテレビCMは何年も前から、ライスクリスピーなどは「完全な朝食の一部」として食べるのが最善だという「お断り」で終わっている。そして食欲をそそる果物やたっぷりバターを塗ったトーストが画面に映し出される。残念ながら、現代の米国で朝食がこれほど優雅なことはめったにない。そしてシリアルメーカー自体も、バランスがとれた企業の一部である必要はないことが明らかになった。
経営再建中の自動車部品大手マレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)は24日、法的整理で民事再生の一種である簡易再生に向けた手続きを申し立てたと発表した。私的整理の一つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の成立を目指していたが、一部金融機関の合意を得られなかった。負債総額は1兆円を超える見込み。債権者の足並みがそろわない異例の展開となった。
経営再建中のマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)が法的整理で民事再生の一種である簡易再生手続きに移行する。マレリは引き続き事業を継続しながらを経営再建を目指すが、取引先の金融機関による債権放棄などの手続きはさらに遅れる。また法的整理となることで、今後、部材などの取引に影響が生じる可能性もある。
●決算関連●マクロ・その他
米連邦最高裁は24日、人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェード判決」を覆す判断を下した。中絶の権利に対する憲法の保障がなくなり、全米の半数以上の州が中絶の禁止や厳しい制限に動く見通しだ。バイデン大統領はホワイトハウスで演説し「最高裁は米国民の憲法上の権利を奪った」と批判した。
米連邦最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利としてきた過去の判断を24日に覆したことを受けて、半数以上の州が中絶の禁止や制限に動く見通しだ。中絶する場合、禁止・制限する州に住む女性は他の州や国への移動を余儀なくされる。違法な手段で中絶薬を入手する女性も今後はさらに増えそうだ。
人工妊娠中絶を合憲とする判断を覆した24日の米連邦最高裁判決。州によっては、性的暴行を受けた場合でも犯人の子どもを産まなくてはならなくなる。保守派に多い中絶反対派が歓喜に沸く一方、権利の制限に直面する女性らには動揺が広がった。折り合えない価値観の違いに、米国民の分断は一段と深まる。
米東部マサチューセッツ州のベーカー知事は24日、同州の医療従事者が州外の住民に提供する中絶の措置が、他州の法律により妨害されないようにする州知事令に署名した。西海岸のカリフォルニア、オレゴン、ワシントンの3州は州をまたいだ協定を発表し、各州で中絶を受ける患者や、中絶を施す医療従事者を守ると強調した。
一方、共和党を地盤とする州では最高裁の判断を歓迎し、中絶の禁止に動く。南部フロリダ州のデサンティス州知事(共和党)は同日、ツイッターで「最高裁は適切に憲法を解釈した」と述べた。同州では7月から妊娠15週より後の中絶を原則禁じる。南部テキサス州は2021年に成立した州法に従い、近く中絶が禁止となる見通し。中絶を実施した医師は終身刑となる可能性もある。
こうした事態に、国際機関からも懸念の声が上がる。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、「安全かつ合法的な中絶をする権利は国際人権法に根ざしている」と強調。米最高裁の判断に関わらず「米国は基本的な権利の保護を確約する国際的な人権義務がある」との見解を表明した。
国連のグテレス事務総長は報道官を通じて「中絶へのアクセスを制限しても、人々が中絶を求めるのを防ぐことはできない」と述べた。通常の医療機関で中絶ができなくなり、十分の技術を持たないような機関へ女性が向かうことで「中絶をより危険なものにするだけだ」との懸念を示した。
トルコのエルドアン大統領は25日、スウェーデンのアンデション首相と同国などの北大西洋条約機構(NATO)加盟問題を巡って電話協議した。トルコ大統領府の声明によると、エルドアン氏はスウェーデンの対応がなおトルコの懸念を解消するものではないという認識を伝えた。
スウェーデンは既に法律を改正してテロ対策を強化し、トルコに対する武器輸出制限を緩和するなどの方針を示しているが、エルドアン氏は不十分だと主張した形だ。
一方、NATOのストルテンベルグ事務総長も同日、エルドアン氏と電話協議した。ストルテンベルグ氏のツイッターによると、両氏は29~30日に開かれるNATO首脳会議などの場で加盟問題の協議を続けることで合意したという。
スウェーデン、フィンランドがNATOに新規加盟するには、トルコを含む既存の全加盟国の賛成が必要だ。トルコは自身が敵対する非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)の関連組織を2国が支援しているなどとして反発する。
外国企業などが発行する人民元建て債券(パンダ債)の発行が急減している。今年6月までの発行額は79億元(約1600億円)と、前年同期(159億元)から半減した。「ゼロコロナ」政策で中国経済の先行きへの警戒が強まり、外国企業が設備投資などに慎重になっているためだ。米欧と中国の関係悪化が投資意欲を低下させている可能性もある。
王氏は21年に公安省党委員会書記に就任。今回、閣僚ポストにも就いた。警察部門を全面掌握することになる。
王氏は習氏が福建省に勤務した1990年代以来の部下で、同省福州市公安局長や北京市公安局長、公安次官などを歴任した。習氏の身辺警護の役割も担ってきたとされる腹心だ。
全人代常務委は同日、中国共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)のトップを務めた陸昊・自然資源相を解任する人事も発表した。国務院直属の政策研究・諮問機関「国務院発展研究センター」のトップである書記に就く。
事実上の閑職への異動で、共青団出身者への冷遇人事との見方が出ている。共青団出身の党幹部には李克強(リー・クォーチャン)首相や胡春華(フー・チュンホア)副首相がいるが、いずれも習氏との距離が指摘されてきた。
東京カンテイの高橋雅之主任研究員は「急激な価格上昇で成約数が伸び悩んでおり、一部のエリアで販売価格を引き下げる動きが加速する可能性がある」と分析する。
6月の米ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)によれば、中長期のインフレ期待が速報値から下方修正された。速報値では14年ぶり高水準となっていた。利上げペース加速を巡る米金融当局の切迫感を和らげる可能性がある。
5-10年先のインフレ期待は3.1%と、速報値の3.3%から下向きに修正された。1年先のインフレ期待は5.3%だった。
ミシガン大消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は発表文で、「6月確定値での長期インフレ期待の下方修正は、数年先に関して極めて低いインフレを予想する消費者の割合が高まったことが理由だ」と説明した。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は今月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、ミシガン大消費者マインド指数(速報値)のインフレ期待上昇に触れ、「強く目を引く統計だった」と発言。FOMCはこの会合で0.75ポイント利上げを決定した。
6月の消費者マインド指数(確定値)は50と過去最低。速報値の50.2から小幅に下方修正された。前月は58.4だった。
同指数の大幅な低下は、数十年ぶりの高インフレやここ1カ月における株価急落、リセッション(景気後退)懸念が強まる中で経済情勢に対する見方が全般的に落ち込んでいることを反映している。
現況指数は53.8に下方修正され、過去最低を更新。期待指数はやや上方修正されたが、それでも過去最低付近にとどまっている。
日本銀行が世界的なタカ派の動きに加わるか、あるいは米経済がリセッション(景気後退)に近づく場合、円はバリュエーションから判断すると、フェアバリュー(適正価格)が下支えになる可能性がある。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の分析が示した。
対ドルで24年ぶりの低水準付近にある円相場は経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に基づくBEER(均衡為替レート)モデルが示す適正価格から大きくかけ離れていると、ストラテジストのミリア・キリアコウ氏は24日のリポートで指摘した。同日の円相場は1ドル=135円25銭付近で推移したが、適正価格は約49%高い90円74銭と推定されるという。
キリアコウ氏はリポートで、「バリュエーションは為替相場について考える枠組みを示し、『アンカー(いかり)』となることで、一時的な振れやノイズから構造的な動きを差別化するのに役立つ」と指摘。「政策の不確実性が続く中で焦点がファンダメンタルズに向かってすぐに変化するとは見込んでいないが、相場がどれほど押し流されたかを判断することはなお価値がある」とした。
BEERモデルは、ドルがG10通貨全般に対し過大評価されている状況も示しており、ユーロは対ドルで引き続き過小評価されているという。ただし、ユーロ圏の貿易および経常バランス悪化を背景に、推定均衡レートを1ユーロ=1.25ドルから1.22ドルにシフトさせたともBofAは付け加えた。
国際通貨基金(IMF)は米金融当局がインフレ抑制に向け引き締めを実施する中で、米経済は2022-23年に鈍化する可能性が高いが、「リセッション(景気後退)は辛うじて回避する」との見通しを示した。
IMFは米国に関する4条協議(年次経済審査)終了を受けた24日の声明で、「足元の政策上の優先課題はリセッションを引き起こさずに賃金と物価の伸びを迅速に鈍化させることであるべきだ」と指摘。世界的な供給制約や国内の人手不足は続く公算が大きい上にウクライナでの戦争が新たな不確実性をもたらしているとして、「これは難しい仕事になる」とした。
声明発表後、IMFのゲオルギエワ専務理事は政策金利を3.5%-4%に迅速に引き上げる当局の方針は「金融情勢の明確な引き締まりにつながり、インフレ率は目標水準に素早く戻るだろう」と記者団に説明した。「米国でリセッションを回避する道が狭まりつつあることを意識している」とし、「足元の状況の不確実性も認識せざるを得ない」とも述べた。
米新築一戸建て住宅販売は5月に増加した。西部や南部での販売増を反映し、数カ月に及ぶ減少が休止する格好となった。住宅市場は借り入れコスト上昇や高い物件価格の継続に順応している状況だ。
住宅購入能力を巡る懸念が強まる中で需要は年初から抑制されてきたが、多くの国民は住宅購入への意欲と資金をなお持ち合わせている。今回の販売増加は、借り入れコストのさらなる上昇を見込む一部買い手が住宅ローン金利を確定している動きを反映している可能性もある。
新築住宅販売価格の中央値は前年同月から15%上昇し、44万9000ドル(約6070万円)。
販売に対する在庫比率は7.7カ月。前月は8.3カ月、1年前は5.4カ月だった。売りに出されていた住宅のうち、完工物件はわずか8%だった。
●市況
日経先物(大証)26840、ダウ先31478、債先148.71、米3.138、独1.4375、仏1.968、西2.543、伊3.543、波6.993、原油107.06、ドル円135.23、墨ペソ19.86、トルコリラ16.8861、墨CDS170
※6/24 NY引け値
備忘録(6/23)
●ウクライナ
●マクロ・その他
3月初旬にはロシア国内で通信販売を停止し、店舗も一時閉鎖していた。ロシアとウクライナをあわせた売上高は同社全体の1%未満で、撤退による直接的な影響は限られる。
ロシア財務省は23日、支払期限が23日のドル建て国債の利払い計約2億3500万ドル(約320億円)を自国通貨ルーブルで実施したと発表した。前日にプーチン大統領が署名した大統領令に基づく手続きだとし、「支払い義務は完全に履行された」と説明した。ただ、米欧の金融制裁の影響で、国債保有者が実際に利息を受け取れるかどうかは不透明だ。
●コロナ●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG石炭や天然ガスの主要な輸出国の一つ、オーストラリアが電力需給の逼迫による危機に陥っている。大都市のシドニーやメルボルンがある東部向けには、停電回避のため電力市場が取引を一時停止した。石炭火力発電所のトラブルが一因で、背景には同国でも進む脱炭素の機運がある。今後は再生可能エネルギーの利用比率の引き上げなどが課題になる。
アメリカン航空はパイロット不足のため、9月から4つの地方都市の運航を取りやめる。ユナイテッド航空は7月から、ニューヨーク近郊のニューアーク国際空港発着の便数を1割減らす。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ需要が回復する中で欠航や遅延が多発し、運航体制の見直しを余儀なくされている。
広報担当者は「地方のパイロット不足により、飛ばしたいのに飛ばせない機体が100機ある」と述べた。大都市と比べて利用の少ない地方路線を縮小してきたが「パイロット不足はしばらく続く可能性がある」として、さらなる削減に踏み込む。
米航空業界では遅延や欠航の多発が問題となっている。航空情報サイト「フライトアウェア」によると、6月8~22日の2週間で米国を発着する航空便は全体の3%にあたる1万便が欠航となった。多い日は1日1500便前後が欠航している。遅延率は24%に上った。
ブティジェッジ米運輸長官は、現状の人員計画で夏の旅行シーズンの運航に支障がでないか航空会社に対して再検証するよう求めた。米メディアによると、要求を満たさなければ罰金などの措置も検討しているという。16日には航空会社の最高経営責任者(CEO)らと会談した。
ユナイテッドのスコット・カービーCEOは最近、米CNNのインタビューで「管制塔の人員不足で、空港の許容量を超える便が組み込まれている」ことが遅延の原因になっていると指摘した。空港の運営側にも人手確保などの改善を求めた。
●その他産業
宅配料金の値上げや燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上乗せでパッケージ当たりの売り上げが増えた一方、輸送費や人件費などのコスト上昇が利益を圧迫した。
●決算関連
今回は2024年1~3月期までの9四半期において、失業率がピーク時に10%まで上がるような不況を想定。商業用不動産の価格は約40%下がり、株式相場が55%下がるとの前提を置いた。融資関連の損失やトレーディング部門の損失などが膨らみ、対象とした33行全体では6120億ドル(約83兆円)の損失が生じると予測した。
損失を吸収するクッションとなる銀行の自己資本も減り、普通株などに限って算出する自己資本比率(CET1比率)は21年末実績の12.4%から9.7%まで落ち込むとみる。それでも規制が求める最低水準(4.5%)の2倍以上を維持し、個別でも最低水準を下回る銀行は出ないと試算した。
イスラエルのラピド外相は23日、敵対するイランがトルコでイスラエル人を狙う「テロ攻撃の企て」をトルコ当局の協力で阻止したと述べた。訪問先のトルコでチャブシオール外相と会談し、謝意を示した。イランで相次いだ軍人らの不審死にイスラエルの関与が取り沙汰され、イランが報復を警告していた。
ラピド氏は外相会談後の記者会見で「ここ数週間、トルコとの協力によりイスラエル市民の生命が守られた」と強調した。「イランがテロ攻撃の企ての背後にいる」と断じ「トルコの主権の明白な侵害でもある」と批判した。
トルコメディアは同日、情報機関と警察が最大都市イスタンブールでイスラエルの外交官や観光客の誘拐・殺害を計画していたイラン人らを17日に逮捕したと報じた。これに先立ち、イスラエル政府はイスタンブールに滞在する自国市民に即時帰国を呼び掛けていた。
イランでは5月下旬、テヘランで革命防衛隊の大佐が射殺され、ライシ大統領が「必ず報復する」と述べていた。直後にテヘラン郊外の軍事施設へのドローン攻撃で技術者が死亡したと伝えられ、6月にも科学者の毒殺疑惑が報じられた。いずれもイスラエルの関与が取り沙汰された。
イスラエルとトルコの関係は2010年にイスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに向かっていたトルコの支援船を襲撃した事件で悪化していたが、改善の動きが加速している。イスラエルは今月20日に連立政権が国会の解散で合意したばかりで、ラピド氏は総選挙を経て新政権ができるまで暫定的に首相を務める見通しだ。
ドイツ政府が23日、天然ガス不足で「非常警報」を発令した。ロシアからの供給減少で、長期的にガスが不足する可能性が高まっている。ドイツ経済の減速リスクが高まったとの見方から、相対的に安全資産とされるドイツ国債が買われた。6月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI、速報値)が前月から大幅に低下したのも、ドイツ国債の買いにつながった。
フィリピンのロクシン外相が23日、中国と模索していた南シナ海での海洋資源の共同開発が実現しなかったことを明らかにした。両国は領有権を巡り対立しつつも、石油や天然ガスなどエネルギー採掘事業で連携が期待されていた。
ロクシン氏は同日の演説で「(中国との)石油と天然ガスの議論は完全に終了した。全てが終わったのだ」と発言した。中国との具体的な交渉内容については述べていないが、フィリピンの憲法や中国と対立する南シナ海での領有権を巡る議論が障壁となった模様だ。
フィリピンと中国の両首脳は2018年に南シナ海でのエネルギー共同開発で基本合意していた。フィリピンは同国唯一の天然ガス田が近く枯渇する懸念があった一方で、中国との領有権争いを理由に南シナ海の海洋資源開発をしてこなかった経緯がある。そのため共同開発は、中国との外交関係の強化とエネルギー需要を満たす両面で注目されていた。
今後は30日に就任するフェルディナンド・マルコス次期大統領の動向に関心が集まる。マルコス氏はすでに対中強硬姿勢とも取れる自国の主権や領有権を重視する発言をしている。中国に対して融和姿勢を貫いたドゥテルテ現大統領の方針を転換することや、フィリピンが単独でエネルギー開発を進めるかについて注目が集まる。
ロシアのラブロフ外相は23日、イランの首都テヘランで同国のアブドラヒアン外相と会談し、2国間貿易や経済協力の拡大などで一致した。ロシアはウクライナ侵攻で、イランは核開発問題を巡ってそれぞれ米国から制裁を受けている。両国は会談で経済的な結びつきを確認し、制裁への対抗姿勢を示す狙いがある。
交渉が行き詰まっているイラン核合意再建も議題となり、アブドラヒアン氏は会見で「米国が現実的なアプローチを取ることで、イラン核合意を再建できる」と語った。ラブロフ氏も再建に向けて協力する姿勢を示した。ウィーンでの核合意再建交渉は3月を最後に開催が途絶えている。ロシアは核合意の当事国の一つだ。
ラブロフ氏のイラン訪問は2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、初めてだ。同氏は22日にはイランのライシ大統領とも面会した。イラン側によるとライシ師は「イランとロシア両国の協力強化は米国の制裁に対抗する効果的な方法だ」などと語った。ラブロフ氏は「イランの役割拡大を期待する」と述べた。
11月の米中間選挙に立候補する候補者を決める予備選は全米の半数超の州で投開票を終えた。野党・共和党の予備選では上下両院と州知事選の合計でトランプ前大統領が推薦する候補の9割超が勝利した。2024年の次期大統領選出馬をにらむトランプ氏が根強い人気を維持している。
クロアチアが2023年から欧州通貨ユーロを導入する見通しになった。23~24日の欧州連合(EU)首脳会議で合意する。法定通貨としての採用は20カ国目だ。ロシアによるウクライナ侵攻で経済制裁の武器となる国際通貨の役割は重みを増しており、通貨圏の拡大は安全保障の行方も左右する。
23日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利を年2.25%から2.5%に引き上げることを決めた。利上げは2会合連続となる。インフレ率が高水準にあることに対応する。フィリピンと米国の金利差が拡大するとの懸念により急速に進むドル高ペソ安の抑制にもつなげたい考えだ。
中銀のジョクノ総裁は同日の記者会見で、利上げを決めた背景に「2023年までのインフレ見通し」を挙げた。直近では5月のインフレ率が5.4%と、4月の水準(4.9%)や政府目標である2~4%を上回った。エネルギー価格の高騰を背景に交通費や電気代なども上昇しているうえ、食品価格も高止まりが懸念される。
中銀は22年通年のインフレ率が5%、23年は4.2%になると予測する。それぞれ前回予想より0.4ポイント、0.3ポイント引き上げた。
ペソ安への対応も急務となっている。23日は1ドル=54.50ペソ前後と、約16年半ぶりの安値圏で推移している。米国との金利差拡大への懸念が広がっているほか、フィリピンが燃料を輸入に頼っていることなどが背景にある。
ノルウェー銀行(中央銀行)は23日、主要政策金利を従来の0.75%から1.25%に引き上げると発表した。0.5%の大幅利上げは2002年以来、およそ20年ぶり。銀行が中銀に預ける資金の一部に適用する金利も0.25%に上げ、マイナス金利の適用を解消する。ノルウェーでも消費者物価の伸び率は5%を超えており、追加利上げでインフレ抑制を急ぐ。今回の声明文では、23年夏までに政策金利を3%程度まで引き上げる可能性も示した。
新たな政策金利は24日から適用する。利上げは全会一致だった。公表された声明文でバーチェ総裁は「政策金利は8月に1.5%まで引き上げられる可能性が高い」と指摘し、追加利上げを強く示唆した。失業率が想定以上に改善しており、インフレ率の高止まりが続く見通しだ。ノルウェーは北海油田を持つ産油国で原油相場の上昇は国内景気の追い風になる。
イタリアのドラギ首相の下で挙国一致政権を支える最大政党「五つ星運動」が分裂しつつある。ロシアのウクライナ侵攻とウクライナへの軍事支援を巡り、党内の有力者が対立しているためだ。
フランスの極右政党「国民連合」を率いるマリーヌ・ルペン党首は、過去10年以上にわたり、同党を国内政治の主流に食い込ませようとしてきた。その成功の度合いを測る重要な尺度は大統領選での支持率で、同氏は過去3回出馬し、そのたびに敗れつつも支持を増やしてきた。
サウジアラビアのムハンマド皇太子は22日、トルコの首都アンカラで同国のエルドアン大統領と会談した。同国イスタンブールで起きた記者殺害事件で悪化した両国関係の改善をアピールした。同皇太子は直前にエジプトとヨルダンも訪れて両国首脳とそれぞれ会った。7月の米バイデン大統領の中東訪問を前に、中東諸国の結束を強調する狙いがありそうだ。
ボウマン理事はマサチューセッツ州銀行協会での講演で「現在のインフレ指標を踏まえると、次の会合では75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが、その後の数会合では少なくとも50bpの利上げが適切になると見込んでいる。それは今後入手できるデータの裏付けがある限りだ」と述べた。発言内容は事前原稿に基づく。
政策委はインフレ加速の要因として、地政学を理由とした供給ショックやエネルギー価格の上昇を挙げ、必要に応じてマクロプルーデンス政策を追加すると表明。「これまでに講じた措置により、ディスインフレのプロセスが始まると予測する」との見解を発表文で示した。
6月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は前月から2.4ポイント低下の51.2となり、米企業活動の失速が明らかになった。インフレ高進がサービス需要を低下させ、製造業の受注および生産の縮小につながった。
同指数は依然として50を上回っているため活動拡大を示す水準にはあるものの、2020年7月より後で2番目に低い数字。高インフレや金利上昇、需要鈍化、長引くサプライチェーン懸念を背景に、米企業は今後1年の経済見通しも引き下げた。
サービス業PMIは51.6と、新型コロナウイルスのオミクロン変異株が猛威を振るい、活動が抑制された1月以来の低水準となった。製造業PMIは52.4と、前月から4ポイント余り低下した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は発表文で「調査データは6月の景気拡大が年率換算1%未満となり、財生産部門がすでに下り坂にあり、サービス部門が急失速していることと整合している」と指摘。コロナ関連の制限措置が緩和されて企業活動はいったん活発化したが、「企業は現在、生活コスト上昇にますます苦しむ家計を目の当たりにしており、非必需品の生産者でも同様に受注が減少している」と記した。
先週の米新規失業保険申請件数は小幅に減少したものの、5カ月ぶり高水準付近にとどまり、タイトな労働市場が緩和され始めている可能性を示唆した。
日経先物(大証)26133、ダウ先30586、債先148.64、米3.081、独1.4375、仏1.977、西2.501、伊3.417、波6.919、原油104.66、ドル円134.72、墨ペソ20.02、トルコリラ17.3624、墨CDS158
※6/24 9時05分頃
※6/24 9時05分頃
備忘録(6/22)
●ウクライナ
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
全日本空輸(ANA)は22日、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製エンジン「PW4000」を搭載した米ボーイングの大型機「777」の運航を23日に再開すると発表した。同エンジンは2021年2月に発生した米ユナイテッド航空機の部品落下事故を受けて国土交通省が運航停止を指示したが、22年3月に再発防止対策を条件に運航再開を認めていた。
●その他産業日本郵船は22日に東京都内で定時株主総会を開き、主力のコンテナ船事業で旺盛な需要が続いているとの見通しを示した。担当の原田浩起専務執行役員は「金融緩和の縮小やインフレなどが懸念されるが、今すぐに輸送需要がしぼむという情報はない。ただ、2022年後半にかけて正常化のタイミングがくる」と説明した。
足元では為替の円安・ドル高が急速に進む。この影響について、長沢仁志社長は「ドル収入の比率が高く、業績にはプラスに働く」と語った。1円の円安が進めば経常利益を60億円押し上げる効果がある。
稼いだ利益を環境投資や洋上風力などの成長分野に振り向ける方針も示した。長沢氏は「脱炭素燃料へ転換すると船の建造コストや船員コストが上昇する。だが、外航海運事業で2050年の温暖化ガス排出実質ゼロの達成に向け中長期的に必要だ」と述べた。
東芝は次世代の電動航空機向け中核部品の生産に参入する。飛行時の動力源となるモーターで、数十人が乗る中型機で必要とされる出力規模と小型・軽量化を両立させる技術を開発した。2020年代後半までの事業化を目指す。航空業界でも脱炭素につながるとされる電動化が期待されており、電気抵抗をゼロにする「超電導」技術を活用して先行する。
●決算関連
●マクロ・その他中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は22日、中国やロシアなど新興5カ国(BRICS)の関連会合で演説した。ロシアの侵攻によるウクライナ危機を巡り「実力や地位を妄信して軍事同盟を拡張し、他国の安全を犠牲にすれば必然的に(自国の)安全も苦しい立場に陥る」と主張。米国が主導し対ロで結束を強める北大西洋条約機構(NATO)を批判した。
石炭の需要が世界で再び増えている。ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギーの供給不安を受け、欧州で石炭回帰が急速に進む。クリーンエネルギーへの転換が遅れるアジアの新興国でも需要が伸び続ける。需給逼迫で価格が上昇し、国際エネルギー機関(IEA)は2022年に石炭への投資が前年比約10%増えるとの見通しを示した。
足元で石炭消費が上向いているのが、脱炭素の先進地である欧州だ。ドイツは19日、ロシア産ガスの供給削減を受けて石炭火力を拡大する準備に入った。オランダやポーランド、オーストリアもガス供給の途絶に備えて石炭の利用拡大策を検討している。
ウクライナ危機以前から、世界の石炭消費の伸びはアジアの新興国がけん引している。インドなどは石炭火力が主力電源で、新型コロナウイルス禍からの経済回復も重なり電力消費が拡大。中国は国外で石炭火力発電所の建設は停止すると宣言したものの、国内では新規に多くの発電所がつくられている。IEAは昨年末時点で、世界の石炭需要が24年までの3年間で1%近く増えると予想する。
ロシアは世界有数の産炭国でもあり、ウクライナ侵攻が供給不安に拍車をかけた。需給逼迫で発電用石炭(一般炭)の価格は一段と上昇。アジアと欧州の指標価格はともに1トン370ドル前後と、1年前の3倍超の水準で推移する。アジアの指標となるオーストラリア産のスポット価格は、5月下旬に一時425ドル弱と過去最高値を付けた。
夏にかけて電力消費は増える。「石炭の供給はタイトな局面が続いており、今後さらに高騰するリスクもある」(Jパワー)との見方が多い。
需給逼迫と価格の高騰を受け、石炭供給への投資も活発化している。IEAが22日公表したエネルギー投資に関する報告書によると、石炭への投資は22年に10%程度増える。すでに21年も10%増え、1050億ドルに達した。中国は昨年夏以降の深刻な電力不足の再来を避けようと、国内で石炭の生産増強を支援する政策を打ち出している。
IEAはガスや石油の上流部門への投資も22年に10%程度増えるとみる。エネルギー価格の高騰が恩恵となり、21年も10%近く伸びた。世界の石油・ガス業界の収入は22年に4兆ドルと過去5年間の平均の2倍以上となる見通しだ。
エネルギー全体への投資は22年に8%増え、2.4兆ドル(326兆円)とコロナ禍の水準を大きく上回る。再生可能エネルギーや原子力といったクリーンエネルギーとともに、化石燃料への投資が全体を押し上げている。
クリーンエネルギーへの投資は1.4兆ドルと見込む。15年からの5年間は年2%程度の増加で推移していたが、21年から急増している。欧米と中国の伸びが目立ち、各国の政策や財政面の支援措置が支えている。太陽光や蓄電池、電気自動車への投資は、50年までに世界の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標に合致する割合で増えているという。
一方、先進国や中国以外の新興・途上国ではクリーンエネルギー投資が進んでおらず、15年から横ばいが続く。公的資金が乏しく十分な政策措置がとられていないうえ、借り入れコストが上昇しているためだ。IEAのビロル事務局長は声明で「足元のエネルギー危機も気候危機も無視できる余裕はない」と訴え、2つの問題に同時に取り組むべきだと表明した。
日本工作機械工業会(日工会)が22日発表した5月の工作機械受注額(確報値)は中国向けが前年同月比14.1%減の332億円だった。前年実績を4カ月連続で下回った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う上海市などでの都市封鎖(ロックダウン)で生産や商談が停滞したことが響いた。
稲葉善治会長(ファナック会長)は同日の記者会見で「ロックダウンはサプライチェーンに悪影響を与えたが、中国需要の減少は感じておらずまだ活発に動いている」と語った。中国向け受注額は前月比では3.5%増と2カ月ぶりに増加した。電気自動車(EV)関連の積極的な設備投資が受注を下支えしている。
一方、北米向けは49.9%増の330億円となり、単月として過去最高額を更新した。EV関連の大型受注があったほか、宇宙航空や医療関連でも部品加工のための工作機械の需要が拡大している。欧州向けは20.2%増の205億円で堅調だった。
今後の受注水準については米国の利上げや部品不足の影響を注視する声が出ている。日工会が6月に集計した7~9月期の受注見通しは、4~6月期と比べて「増加する」と回答した会員企業の割合は12.2%、「減少する」は10.8%で、差し引きした業況判断指数(DI)は1.4のプラスだった。プラスを維持したものの、4~6月期の8.1から幅は縮小した。
英国でインフレが一段と進んでいる。英統計局が22日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べて9.1%上がった。伸び率は4月より0.1ポイント拡大した。ガソリンなどのエネルギーや食料品、家具など幅広い品目が値上がりした。市場ではインフレ抑制に向けた利上げが続くとの見方が多く、景気の減速懸念が強まりそうだ。
CPI上昇率は前月に続き、現行の統計を遡れる1989年以降で最大になった。統計局が参考用に出している過去の長期推計データを基にすると、1982年3月(9.1%)と並ぶ40年ぶりの高水準だった。前月比では0.7%上昇した。
日本鉄鋼連盟は22日、5月の国内粗鋼生産量が前年同月比4.2%減の806万5千トンだったと発表した。前年実績を下回るのは5カ月連続となる。半導体不足の影響で、自動車向けなど製造業の生産が停滞していることが影響した。
鋼種ごとの内訳を見ると、自動車部品など製造業に多く使われる特殊鋼が前年同月比9.4%減り177万7千トンだった。自動車業界向けの鋼材出荷は「想定以上に落ち込んでいる」(鉄鋼メーカー幹部)との声が多い。幅広い用途に利用される普通鋼の生産量は同2.6%減の628万8千トンだった。
議長は22日、上院銀行委員会で行った半期に一度の証言で「継続的な利上げは適切になるとわれわれは想定している」と指摘。「過去1年間インフレが上向きのサプライズとなっているのは明白であり、一段のサプライズが待ち受けている可能性もある。よって、われわれは入手するデータと変化する見通しに機敏に対応していく必要がある」と述べた。
インフレについては「高インフレがもたらしている苦難をわれわれは理解している」とし、「われわれはインフレを押し下げることに強くコミットしており、迅速に動いている」と説明した。
パウエル議長は冒頭証言で「米経済は非常に力強く、金融政策の引き締めに応じる態勢が整っている」と語った。ただ質疑応答でリセッションについて問われると、「可能性があるのは間違いない。われわれが意図する結果では全くない」と説明。ここ数カ月の出来事により、金融当局が目指すインフレ鈍化と健全な労働市場というソフトランディング(軟着陸)の達成が困難さを増していると述べた。
その上で「当局はリセッションを引き起こそうとはしていないし、引き起こす必要があるとも考えていない」と語った。
ゼービング氏はインタビューで「世界的なリセッションの確率は少なくとも50%あると思う」とし、金利が上昇する中で米国と欧州で「2023年下期に景気後退が訪れる可能性は、ウクライナでの戦争が始まる前に予想したよりも明らかに高い」との見方を示した。
シティグループのエコノミストらも、世界経済がリセッション入りする確率は50%に近づいていると見積もっている。中央銀行による金融引き締めと、モノへの需要後退によって景気が悪化するとみている。
供給ショックがインフレを押し上げ成長を押し下げ続ける一方、中央銀行は金利を積極的に引き上げ、モノに対する消費者の需要も軟化している。ネイサン・シーツ氏らエコノミストが22日のリポートで指摘した。
「過去の経験は、ディスインフレが成長への大きなコストとなることが多いことを示唆しており、景気後退の確率が現在50%に近づいていると考えている」とし、「中銀が自らの見通しや当社の予想に沿った軟着陸、あるいは軟着陸気味の結果をもたらす可能性はまだあるが、そのためには供給ショックが落ち着き、需要の底堅さが続く必要がある」と分析した。
この10年間は若年層の保守化がうかがえる。第2次安倍政権以降、国政選挙で若年層の自民党への投票比率は中高年層に比べて高い傾向が続く。
1998年の参院選のように若年層も関心を示し、投票率が上がったとしても、野党が有利になるとは限らない。
●市況
日経先物(大証)26242、ダウ先30389、債先148.01、米3.141、独1.6230、仏2.160、西2.684、伊3.642、波7.162、原油103.88、ドル円136.04、墨ペソ20.05、トルコリラ17.3480、墨CDS158※6/23 9時15分頃
備忘録(6/21)
●ウクライナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●マクロ・その他
ランダ政府は20日、ウクライナに侵攻したロシアへの天然ガス依存度を下げるため、石炭火力発電の利用を増やす方針を発表した。脱炭素に向けてこれまで稼働率を35%に抑えていたが、制限を解除する。ロイター通信などが伝えた。
ドイツも19日、石炭火力発電の利用を増やすと明らかにしていた。
ガスの15%をロシアから輸入していたオランダは既に消費を減らすなどの対策を講じているが、暖房の利用が増える冬にはガス不足に直面する可能性があるという。
●コロナ●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
主力のスナックなど売上高の8割を占める事業を残しながら、北米のシリアル事業と、植物肉など植物由来の新たな食品事業を切り離す。成長スピードが異なる事業を切り離し、多角化で企業価値の評価が抑えられる「コングロマリット・ディスカウント」の解消を目指す。
分割先を含め3社を上場会社とする計画。ケロッグ株主に対し、分社する2社の株式を非課税で分配する方針だ。
他の事業に比べ収益性が低い北米向けのシリアル事業を切り離す。利益率の向上に努め、安定して稼ぐ事業にすることを目指す。ケロッグの2021年12月期の売上高は141億ドル(約1兆9000億円)で、北米シリアル事業の売上高はそのうち24億ドルだった。
長期的な成長を見込む植物肉などの食品事業も切り離す。こちらの売上高規模は3億ドル。成長事業として米国外への展開などを進めるが、一方で「売却の可能性を含む他の戦略的選択肢も検討する」としている。
スナック事業や米国外のシリアル事業などは残し、これらの売上高規模は114億ドルとなる。「現在のケロッグより成長性の高い企業となることが期待される」としている。
クッキー「オレオ」などのブランドを傘下に置く米モンデリーズ・インターナショナルは20日、有機エナジーバーメーカーの米クリフバーを29億ドル(約3900億円)で買収すると発表した。
シカゴに本社を置くモンデリーズの資料によると、同社は状況次第で追加の支払いを行う可能性もある。今回の買収を通じ世界的なスナックバー事業の拡大を図る。新型コロナウイルス流行期の「巣ごもり」需要でスナック事業は追い風を受けていた。
●決算関連●マクロ・その他
サウジアラビアとエジプト両政府は21日、総額77億ドル(約1兆500億円)の投資協定に合意した。エジプト側が発表した。再生可能エネルギーやインフラ整備など14分野が対象。サウジアラビアのムハンマド皇太子が20日からエジプトを訪問しており、同国のシシ大統領と経済協力について協議した。
合意にはサウジのエネルギー会社ACWAパワーによるエジプトでの風力発電所の設置などを含む。ロイター通信などによると、ACWAパワーとエジプト電力公社が風力発電所の設置に15億ドルを投じることで合意した。両国は再生可能エネルギーで生産するグリーン水素や食品、医療医薬品などでも協力を深める。
ムハンマド皇太子はエジプトを訪問後、ヨルダンとトルコを訪れる予定だ。ヨルダンのアブドラ国王やトルコのエルドアン大統領と会談し、経済協力などについて協議する見通し。7月に予定されている米バイデン大統領のサウジ訪問に向けて、中東諸国の協調をアピールする狙いもあるとみられる。
5月の輸出量を方面別に見ると、中国向けが前年同月比22%減だった。前月比では0.2%の微増だったが、上海の都市封鎖の影響が色濃く表れた。6月には都市封鎖が解除されたが、「本格的な生産回復は7月以降になりそうで、荷動きが戻るには時間がかかりそうだ」(大手フォワーダー)という。
米国向けも前年同月比13%減となり、4月の23%減に続き大幅なマイナスとなった。航空貨物を手がける各社はこれまで、貨物需要の大きい米国向けにチャーター便を確保するなどしてきたが、ここにきて荷動きが鈍り貨物スペースに余裕が生まれつつある。「供給が変わらないなかで需要が鈍ったことで需給のバランスが崩れ、スペースの安値販売の傾向がある」(大手フォワーダー)
欧州向けもドイツが11%減、英国が16%減となるなど振るわない。今後は各国の水際対策の緩和に伴い旅客便が回復すれば貨物スペースの増加につながる可能性もある。
米国の住宅価格は値下がりする可能性が高く、不動産価格は来年半ばまでに前年同期比5%下落することもあり得るとキャピタル・エコノミクスのシニア不動産エコノミスト、マシュー・ポイントン氏が予想した。30年固定の住宅ローン金利が6%に乗せ、平均的買い手の住宅取得能力が損なわれる状況が背景にある。
ポイントン氏はこれまで来年半ばまでに価格に変化はないと予測していた。20日のリポートによれば、住宅ローン金利の上昇を受け、中間価格で住宅を購入しようとする平均的な家計は、今後年収の4分の1余りをローンの支払いに充てる必要が出てくる見通し。これは2000年代半ばの平均24%を上回る水準だ。
同氏はリポートで、「そうした取得能力の悪化に伴い、多くの潜在的買い手が市場から締め出されるだろう。結果的に住宅購入の競争が減り、売り手は最終的により安い価格を受け入れざるを得なくなろう」と分析した。
キャピタル・エコノミクスは、不動産価格がその後回復し、2024年末までに前年同期比3%の上昇率に戻ると見込んでいる。
米金融当局が40年ぶり高水準のインフレを抑制しようと積極的な利上げを実施していることを背景に、住宅ローン金利が2008年以来の水準に急伸している。また住宅価格の上昇が続いており、全米で住宅購入希望者の購買能力が損なわれる格好となっている。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は発表文で「今年の住宅ローン金利急上昇が住宅購入能力に影響していることを踏まえれば、さらなる販売減少が今後数カ月に見込まれる」と指摘。「とはいえ、適正価格の住宅はすぐに売れている。住宅価格の上昇を抑え、買い手に一段の選択肢を与えるために、在庫水準がほぼ2倍に増える必要がなおある」と記述した。
中古住宅在庫は前年同月から減少して、116万戸。販売に対する在庫比率は2.6カ月。歴史的には低い比率だが、4カ月連続で改善した。同比率は5カ月を下回ると、市場がタイトになっている兆候とみられている。
中古住宅価格(季節調整前、中央値)は前年同月比14.8%上昇し、40万7600ドル(約5550万円)と過去最高を更新した。
世界最大の独立系石油商社ビトル・グループのラッセル・ハーディー最高経営責任者(CEO)は原油相場について、供給拡大が進まない中、中国の燃料需要が回復しつつあるため、下落する可能性は低いとの見方を示した。
同CEOは21日、カタール経済フォーラムで、「余剰生産能力がなくなりつつあり、それが価格に反映され始めていることを市場はやや懸念している」と述べた。
上海や北京など中国の都市では輸送や燃料の需要を大きく妨げていた新型コロナウイルス対策の厳格な規制が解除されつつある。中国の原油消費は2022年末までに日量100万バレル増加すると、ビトルは見込んでいる。
「ロックダウン措置次第だが、需要は年後半を通じて着実に回復すると想定している」と、ハーディー氏は会議に合わせて行ったインタビューで発言。「中国ではジェット燃料需要がかなり低迷している。人々が航空機を利用していないためだ。それが注目すべき事柄の一つだ」と話した。
追加の原油供給を確保することは厳しいかもしれないと、ハーディー氏は指摘。生産能力が日量1100万-1200万バレルあるサウジアラビアは市場への供給をさらに日量100万バレル増やすことは可能だとしたほか、アラブ首長国連邦(UAE)も生産を同410万-420万バレル引き上げることはできると続けた。
●市況日経先物(大証)26217、ダウ先30470、債先147.78、米3.279、独1.7595、仏2.317、西2.825、伊3.805、波7.662、原油107.67、ドル円136.38、墨ペソ20.18、トルコリラ17.3539、墨CDS156
※6/22 9時15分頃
備忘録(6/20)
●ウクライナ
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●決算関連
●マクロ・その他
外交筋によると、ラブロフ氏はアブドラヒアン外相らと会談し、ロシアのウクライナ侵攻やイラン核問題について協議。ロシアとイランは米国の制裁下にあるため、貿易強化など経済面での緊密な連携を確認する可能性がある。
英国防省は20日、ロシア空軍が完全な制空権を確保できず、リスク回避の作戦を展開しているとの戦況分析を発表した。その結果、ウクライナ軍の防衛線の背後に深く入り込むことはほとんどないとしている。
ロシア空軍は高性能な戦闘機を多く保有している一方で、西欧型の近代的作戦を展開するのに必要な組織文化や技能の開発に失敗してきたと指摘。空軍が機能せず、地上部隊が計画以上の負担を強いられて疲弊しているとの見方を示した。
ウクライナ軍は20日、黒海に面する同国南部の港湾都市オデッサの食品倉庫がロシアのミサイル攻撃で爆破されたと表明した。民間人の死者は出ていない。ロシア軍は攻撃についてコメントしていない。ロイター通信が伝えた。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
2022年の世界の航空旅客が前年比約7割増の38億人になる見通しだと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大前の8割の水準まで回復する。欧米を中心に入国制限の緩和が進み、従来の予想よりも回復が早まっている。23年には世界の航空会社の損益の合計が黒字化する見込みだ。
21年10月に公表した従来予想から4億人上方修正した。搭乗した旅客数と飛行距離をかけた「有償旅客キロ」も21年の2倍になり、コロナ禍前の19年に比べて18%減まで戻る。地域別の有償旅客キロは北米が19年比5%減、欧州は17%減まで回復する。アジア・太平洋は26%、中東は21%それぞれ落ち込んだままで、欧米に比べてアジアの回復が鈍い。
航空貨物の輸送量は前年比4%増の約6800万トンとなり、過去最高になる見込みだ。半導体などの需要が世界的に旺盛で、製造装置の輸送などに航空貨物の引き合いが強い。米国などで港湾の人手不足が続き、海上物流は混乱が続く。コンテナ船などの輸送を航空便に振り替える顧客も増えている。
世界の航空大手の22年の最終損益の合計は従来予想から19億ドル改善し、97億ドルの赤字になる。20年の1377億ドルの赤字から大きく回復し、23年には黒字に転換するとみている。21年11月にいち早く入国制限を緩和した米国は航空需要が急回復しており、アメリカン航空やデルタ航空など米国の航空会社の損益の合計は全地域で唯一、22年に黒字になる見通しだ。
国際航空運送協会(IATA)は20日、航空業界が新型コロナウイルス禍から急速に回復しており、今年の赤字額が縮小すると予想、来年には黒字を計上できる可能性があるとの見方を示した。
今年の世界の航空会社の赤字額の予想は97億ドル。昨年の421億ドルから大幅に改善する見通しだ。従来予想は116億ドルだった。
昨年の赤字も従来予想の520億ドルから縮小した。
IATAのウォルシュ事務局長は年次総会で「航空業界はスリムに、タフに、敏捷になった。来年の業界の業績が黒字になる可能性が見えてきた」と述べた。
地域別では北米が依然として最も好調で、唯一今年黒字を計上する見通し。黒字額の予想は88億ドル。
アジアは89億ドルの赤字の見通し。ゼロコロナ政策で中国の航空市場が低迷している。
航空業界では、新型コロナの流行で消滅していた旅行需要が急増。空港や航空会社は人員を増やしている。一部のアナリストは、北半球の夏が終われば、需要が急減するのではないかとの懸念を示している。
ウォルシュ事務局長はインタビューでこうした懸念を一蹴。「現在、一部の累積需要が顕在化しているが、2019年の水準は依然として大幅に下回っている。今後の需要鈍化を議論する前にさらに大幅な需要拡大を期待できる」と述べた。
ウォルシュ氏はカタールの首都ドーハでIATA年次会合前日にブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、移動制限解除に伴う需要回復は、家計への圧力にかかわらず継続するだろうと語った。
「逆風はある」とし、「幾つかの難題に直面しているという事実を無視できないが、実際に見通しはかなり良好であることに変わりはない。人々が再び航空便を利用したがっていることが、あらゆる調査で確認されている」と説明した。
余暇の旅行や友人・家族との再会で顧客が再び押し寄せる中、世界各地の大半の航空会社は販売が好調だ。ただ燃料高で航空会社が運賃値上げを迫られインフレ圧力が家計の支出の重しとなる状況にあって好況がいつまで続くのか疑問が生じている。
ウォルシュ氏は2008年の世界的な金融危機に言及し、経験則に基づくと影響はさほど大きくならないとの見方を示した。乗客数は09年に安定的に推移し、10年に力強い伸びを示した。
「われわれはこうした危機に過去に直面した」とし、「そこから教訓を得ており、次回にはよりうまく適応し、対処する。こうした状況で何をすべきかを業界は理解していると思う」と語った。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響については、航空業界が受ける影響は人道的な悲劇に比べれば微々たるものとしながらも、紛争がエスカレートしない前提でコスト増をリスク要因として挙げた。
旅客需要では、ロシアの国際線市場とウクライナ、ベラルーシ、モルドバを合わせると、2021年の世界の交通量の2.3%を占める。また、RPKの約7%は通常ロシア領空を通過する(21年データ)が、現在多くの航空会社がこのルートを回避しており、影響を受けた航空会社はルート変更の影響でコストが大幅に増加するとした。
貨物需要では、世界の貨物輸送量の1%弱がロシアとウクライナを発地または経由している。より大きな影響を受けるのは、ロシアとウクライナが市場をリードしている重量貨物という特殊な分野で、キャパシティーの損失は代替が困難だとした。
●その他産業●決算関連
●マクロ・その他
歴代の右派政権が重視してきた、開放的な経済政策や親米路線を修正する可能性がある。中南米では経済規模が大きい国で左派政権の成立が相次いでおり、米国にとっては域内での影響力の低下につながりかねない。
「コロンビアの新しい歴史、中南米の新しい歴史だ」。ペトロ氏は19日夜、首都ボゴタで支持者を前に感激した様子で演説した。8月の就任に向けて「平和、社会的正義、環境問題への正しい対応を重視する政権にする」と意欲を示した。
コロンビアでは長年、自由貿易と市場経済を重視する右派や中道右派の政権が続いてきた。経済成長を遂げ、2020年4月には経済協力開発機構(OECD)入りも果たしたが「貧困層の底上げに効果的な政策を打ち出せなかった」(観光業に従事する会社員パオラ・モレノさん)。
ペトロ氏は格差是正を重視し、富裕層への課税強化を主張する。輸出額の3割を超える石油について、新たな探査活動の中止を訴えた。歴代政権が注力してきた自由貿易協定(FTA)に関しても「国内の産業や農業に打撃を与えてきた」と、見直しを検討する。
21年7月のペルー、22年3月のチリなど中南米では左派政権の成立が相次いでいる。コロンビアの政権交代で、地域の国内総生産(GDP)の上位6カ国のうち、トップのブラジル以外はすべて左派政権となることが決まった。ブラジルも10月に大統領選挙を控えており、左派のルラ元大統領が世論調査では首位に立っている。
中南米では00年前後の資源ブームの際に、ベネズエラのチャベス政権など潤沢な資源収入を国民への分配に充てる左派勢力が台頭した。資源価格の低下とともに退潮していたが、新型コロナウイルス禍が格差や貧困問題を悪化させ、左派に支持が集まりやすい状況が生まれた。
国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は、22年の域内の貧困率は33%と、21年(32.1%)を上回ると分析している。ロシアによるウクライナ侵攻で燃料や食品の価格が上昇しており、さらに状況が悪化する可能性も指摘している。
中南米域内では、中国やロシアが貿易や投資を通じて影響力を拡大している。左派政権の増加は、米国の相対的な地位低下につながっている。今月上旬に米主催で開いた米州首脳会議では、中南米8カ国の首脳がボイコットした。
コロンビアが従来の親米外交を修正するのか、試金石となるのが隣国の反米左派ベネズエラとの関係だ。19年2月から断交状態にあるが、ペトロ氏は正常化に動く意向を示してきた。
ベネズエラのマドゥロ大統領は19日、「兄弟国に新しい時代がやってくる」とツイッターへの投稿で、ペトロ氏の当選を祝福した。
米国は、マドゥロ氏が18年の大統領選で主要野党を排除して大統領に当選したとして正統性を認めていない。コロンビアとベネズエラの関係改善は、国際的な包囲網を強化したい米国の外交戦略にほころびを生じさせる可能性がある。
フランス国民議会(下院、577議席)決選投票で、マクロン大統領が率いる与党連合が議席を大きく減らし、過半数を下回った。改革推進のための法案成立が難しくなる可能性があり、政権に打撃となる。左派連合が躍進し、野党最大勢力となる見通しだ。
仏内務省によると、与党連合の議席数は改選前の346から245まで減った。最大勢力を確保したものの、過半数ラインである289議席を大きく下回る。ドモンシャラン環境相がパリ南郊の選挙区で敗れるなど各地で苦戦した。選挙前にマクロン氏は「フランスが自立性を保つために、安定した過半数が必要だ」と仏メディアに語っていたが、訴えの効果は上がらなかった。
急進左派「不服従のフランス」のメランション党首が率い、中道左派社会党、環境政党欧州エコロジー・緑の党(EELV)などを含む左派連合は131議席となった。極右国民連合は改選前の6から89まで大幅に議席を積み上げた。野党最大勢力が急進左派系、野党第2勢力が極右という戦後の仏政治で例を見ない議席配分だ。
ボルヌ首相は記者会見し「フランスにとって危険な状況が生まれた。明日からただちに過半数確保のために努力する」と述べた。ただ少数与党を目指すのか他党と連立を組むのかなど戦略は未知数だ。61議席を取っている中道右派共和党との協力が最も可能性が高いとの見方がある。
大躍進を果たしたメランション氏は「与党は完全に敗北した」と声を張り上げた。国民連合を率いるルペン氏もツイッターで自党の躍進について「この勝利は仏国民の勝利だ」と発信し、有権者はマクロン氏を支持していないと主張した。
与党大敗の背景は、物価高だ。新型コロナウイルス禍の影響でインフレ傾向が強まっていたところに、ロシアのウクライナ侵攻が加わった。政権への批判の声が高まり、対策の拡充を訴えた野党が票を伸ばした。
マクロン氏は4月に再選を決めた大統領選でも、物価高による政権批判に悩まされた。対抗馬だったルペン氏は従来の中心の主張だった反移民や治安対策よりも物価対策を訴え、一時はほぼ支持率が並ぶほど競り合った。
新興国債券に嵐が近づいている。米連邦準備理事会(FRB)の積極的なインフレ抑制策によって米ドルが上昇している。ウクライナ紛争によるエネルギーと食品市場の混乱も加わり、新興国経済は久方ぶりの難局を迎えている。
アフリカ南西部の資源国アンゴラの政府は、ダイヤモンド採掘で国内最大手のカトカ鉱山会社の株式を接収し、同社の発行済み株式の過半を得た。これは、同国における中国勢の投資の影響力の陰りを象徴する。
日銀が20日発表した国際決済銀行(BIS)の統計によると、2022年3月末の邦銀の国際与信残高は5兆216億ドル(約677兆円)と、21年末から1151億ドル増加した。増加は3四半期連続で、過去最高を記録した。米国株が上昇し、運用している投資ファンドの評価額が増加した。米金利の上昇で米国債の売却は進んだ。
相手先の地域別の内訳をみると、先進国(米国など)向けが2兆4848億ドル、先進国(欧州)向けが1兆718億ドルだった。国別では、ロシア向けの与信が21年末から18億ドル減少し、80億ドルとなった。ロシアのウクライナ侵攻を背景に、投資信託に組み入れられていたロシア関連資産の売却・減価がみられたことや、ロシアでの銀行間取引の減少が影響したとみられる。
国のトップとしては組織運営に不安がある。2012~15年にボゴタ市長を務めた際に、ゴミ収集事業の契約を巡る混乱で市内がゴミであふれたことがある。公職への従事を禁止され、いったんは市長職を離れた。
自身のブレーンとの対立も頻繁で、市長任期中に市役所の19の主要ポストで累計65人を起用した。コンサルタントらの間では「議員としては有能でも、チームを動かす力には欠けている」との評判が目立つ。
中国政府は原材料コスト上昇による打撃を利益面で受ける川下の工業企業を支援するため、新たな「桁外れ」の政策を計画していると、中国紙・上海証券報が20日伝えた。
国営新華社通信が運営する同紙が情報源を引用せずに報じたところによると、工業情報省が供給サイド政策構造の強化や消費者需要の喚起、テクノロジー投資の後押しに向けた施策を検討している。新エネルギー車メーカーを含む多くの川下工業企業が今年、損失を計上しているという。
政府系シンクタンク、中国国際経済交流センター経済研究部の劉向東副部長は川中・川下セクターが縮小すれば、今年後半の製造業投資は大幅に鈍り、中国経済に打撃となる恐れがあると上海証券報で分析。政府はこうした企業の投資マインドを安定させ、売掛金延滞などの問題解決を通じて資本回転率の改善を支援する必要があると述べた。
財務情報を提供する博覧財経の李宏图チーフエコノミストは、中国当局は新エネ車や環境に配慮した建材およびグリーン家電の個人消費の喚起で投資の安定化に寄与すべきだと指摘したと上海証券報は伝えた。
シンガポールの鉄鉱石先物はこれで8営業日続落。中国の不動産市場低迷に加え、新型コロナウイルスの封じ込めに中国政府が手間取っていることが鉄鉱石の消費に打撃となっている。
先月は今回の感染拡大が和らいで中国の経済活動が直ちに持ち直すとの期待が幾分あったが、コロナ一掃に向けた定期的な大規模検査や新たなロックダウン(都市封鎖)を巡る根強い懸念がここにきて足かせとなっている。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は、豪中銀が7月5日か8月2日のいずれかの会合で政策金利を0.75ポイント引き上げる確率が50%余りあることを示唆している。6月会合の議事要旨が21日に発表されるのを前に、その確率が高まっている。
豪中銀は7日、インフレ抑制に向け、0.5ポイントの利上げを決定。利上げ幅は大半の予想を上回ったものの、米連邦準備制度など他の中銀に後れを取っており、短期金融市場の動向は年末まで利上げが毎月実施される可能性を示唆している。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のチーフエコノミスト、リチャード・イエッツェンガ氏はブルームバーグテレビジョンに対し、「妥当な中心的予測だと考える。今週公表される議事要旨で、実際の0.5ポイントを上回る利上げ幅が検討されていたかどうかが分かるだろう」と語った。
議事要旨の公表に先立ち、ロウ総裁が同日に「インフレと金融政策」と題した講演を行う。同総裁は先週、インフレ率を目標レンジの2-3%に押し下げるために中銀は「必要な措置を講じる」と表明したほか、政策金利が現行の0.85%から2.5%に上昇すると予想するのは「妥当」だとの認識を示していた。
時価総額で最大の仮想通貨であるビットコインは一時15%下げ、1万7599ドル台を付けた。ブルームバーグのデータによれば、12日連続の下げは過去最長。イーサは一時約19%下げて881ドルに達した。これは21年1月以来の安値。両通貨とも、昨年11月上旬に付けた過去最高値から70%余りの値下がり。日本時間19日朝の取引ではビットコイン、イーサとも値を戻しつつある。
ビットコインは17年の前回の強気サイクルで1万9511ドルを付けていたが、今回の下げ局面でこの水準を割り込んだ。取引が始まって12年前後の歴史を持つビットコインだが、前回のサイクルの高値を下回ったのは今回が初めて。
ドイツ連邦銀行(中央銀行)は20日発表した月報で、「春は上向きの力がやや優位を占める公算が大きく、生産は小幅に上向きそうだ」との認識を示した。
新型コロナウイルス対策の制限解除が消費を促す一方で、エネルギー価格の高騰が購買力を圧迫していると分析し、「相反する力が現在のドイツ経済では働いている」と論じた。
また、輸出は供給障害の深刻化や対ロシア制裁、外需の後退で影響を受けている可能性が高いと指摘。今年の平均インフレ率予想は7.1%で据え置いた。
ブラックロック・ファンダメンタル・エクイティーズのナイジェル・ボルトン共同最高投資責任者(CIO)は17日の電話インタビューで、「議論の分かれるところだが、欧州の銀行はバリュエーション面で極めて大きな好機だとみている」と発言。「金利上昇が純金利マージンを押し上げている。銀行株は引き続き非常に割安な水準にありながら、力強い利益に支えられている。リテールに注力している銀行が特に有利だ」と指摘した。
インフレを抑制するために中央銀行がタカ派寄りの姿勢に転じる中で、通常は実質利回り上昇の恩恵を受ける銀行株はリセッション懸念を示す指標となった。ストックス600銀行株指数は今年2月に約3年ぶりの高値に上昇して以降、24%程度値下がりし、バリュエーションは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった2020年3月の水準付近に落ち込んだ。
同氏は「世界金融危機のようなリセッションは見込んでいない。市場にはあの時のような行き過ぎは見当たらない」と述べ、「消費者の状況はまずまず良好で、銀行システムもそうだ。通常の景気減速が約6ー12カ月続く可能性の方が高いだろうと予測している」との見方を示した。
ストは21日、23日、25日の日程で予定されている。英全国鉄道・海運・運輸労働組合(RMT)などに所属する4万人がストに参加する。RMTは7%の賃上げを求めていたが、会社側と折り合わなかった。特に首都ロンドンの地下鉄が止まる21日は混乱も予想される。
新型コロナウイルス禍で在宅勤務が増えたこともあって旅客が減り、鉄道会社にはコスト削減や人員縮小の圧力がかかっている。一方で4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比9%にのぼり、労働者の生活は苦しくなっている。
イスラエルのベネット首相は20日、連立政権を組むラピド外相と国会(定数120)の解散を来週採決することで合意した。可決されれば2019年4月以降、5回目の総選挙になる。ベネット氏は退任し、ラピド氏が首相として選挙管理内閣を率いる。8党による連立政権の維持が困難と判断した。
20日にロンドンで行った講演の原稿によると、マン氏は国内の価格上昇圧力は従来見込まれたよりも強い公算が大きいと指摘。政府の景気支援策や力強い雇用、多額の賞与支払い、住宅市場の堅調、消費者の積み上がった貯蓄などを理由に挙げた。
「自分の見解では、より強力な政策行動を取れば、すでに定着している国内のインフレがポンド安による輸入インフレによってさらに押し上げられるリスクを低下させることができる」と語った。
マン氏によれば、利上げを加速しなければインフレ率を向こう1年で0.5ポイント押し上げる可能性があることを歴史は示唆している。英中銀は現在、インフレ率が年内に11%超でピークを付けると予想しているが、これは目標値の5倍余りに上る。
一方で、現在の引き締めサイクルの後には利下げが必要になる可能性もマン氏は示唆した。「需要に対する国内の支えが後退し、外需要因の弱さが影響を及ぼしてくる場合、中期的に政策金利を反転させることに自分はオープンだ」と述べた。
ラガルド氏は欧州議会での証言で「7月の会合でECBの政策金利を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げる意向だ」と述べ、9月にも追加利上げを実施する方針を示した。
危機時における新ツールの開発について同氏は、インフレ抑制に対する当局の従来からのコミットメントを支えるものだとの考えを示し、「われわれの金融政策スタンスが実際にユーロ圏すべての国に行き渡っていることを明確にする必要がある」と述べ、「それこそが責務の中核部分だ」と言明した。
ECBが今後数カ月で金融政策を引き締める計画を明らかにしたことを受け、イタリア国債利回りが急伸し、当局は対応策を協議した。新たな手段では債務負担がより大きい国の債券を購入する可能性が高い。
日経先物(大証)26032、ダウ先30181、債先147.69、米3.277、独1.7450、仏2.316、西2.836、伊3.804、波8.063、原油109.33、ドル円135.04、墨ペソ20.28、トルコリラ17.3163、墨CDS156
※6/21 9時00分頃
備忘録(6/17-19)
●ウクライナ
欧州連合(EU)の欧州委員会は17日、ウクライナとモルドバをEUの加盟候補国として認めるよう加盟国に勧告した。EU加盟に向けた第一歩となる。交渉入りに必要な全メンバー国の同意を得られれば加盟交渉が始まるが、実現までには長い道のりが待ち受ける。
英首相官邸によるとジョンソン氏は会談で、120日ごとにウクライナ兵を最大1万人訓練する支援策を伝えた。
訓練は英陸軍が主導し、ウクライナ国外で行われる見通しだ。ウクライナ兵は3週間の訓練に従事し、最前線での戦闘スキルや応急処置などの医療技術、サイバー攻撃への対処を学ぶ。
今回の訓練には、ウクライナ兵の装備の取り扱いの熟度を上げて、西側諸国の武器支援の実効性を高める狙いもある。英国は2014年のロシアのクリミア併合以降、米国とともにウクライナ兵の訓練に長期的に取り組んだ前例がある。
ウクライナでの戦闘は、平地が多い東部のドンバス地域が主戦場になっている。これに伴い携行型の対戦車砲を主体に首都キーウなどを守った戦闘初期に比べ、戦車や対空ミサイルなど重火器による砲撃戦の対応が必要になっている。兵器の取り扱いの難易度は上がり、訓練の必要性が指摘されていた。
ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事は18日、ロシア軍が州内でウクライナ側に残された最後の拠点であるセベロドネツクの完全掌握に向け、他の戦域から多数の予備部隊を引き抜いて同地に送り込みつつあるとの見方を示した。ロイター通信が伝えた。
知事は国営テレビで、ロシア軍の動向について「きょうかあすか、またはあさってにも、予備部隊の全てを投入してくるだろう」と語った。米シンクタンク、戦争研究所は18日、ロシア軍部隊はセベロドネツク郊外でわずかに前進したが、数週間以内に同地を奪取するには、活用できる戦力の大部分を集中する必要があると指摘した。
ウクライナ軍はルガンスク、ドネツク両州を中心とするドンバス地方で守勢を強いられる一方、南部では反攻の機会をうかがう。ウクライナ大統領府は18日、ゼレンスキー大統領が南部ミコライウ州を訪問し、ロシア軍に封鎖されている黒海の状況を含め、軍幹部から戦況報告を受けたと発表した。(時事)
ウクライナ東部ドニプロペトロフスク州の知事は18日、同州ノボモスコフスクの石油備蓄施設がロシア軍から3発のミサイル攻撃を受けたことを明らかにした。大規模な火災が発生し、11人が負傷した。ロシア軍はウクライナのほぼ全土のインフラ施設を攻撃対象にしている。
親欧州連合(EU)の立場をとるブルガリアのキリル・ペトコフ首相はロシアのウクライナ侵攻に当初から反対し、「わが国は屈しない。明らかに賛同できない事態を目の当たりにして黙っているわけにはいかない」と表明してきた。
ペトコフ首相がステファン・ヤネフ国防相を罷免したのも、ヤネフ氏がウクライナ侵攻を「戦争」ではなく「特別軍事作戦」と発言し、ロシア大統領府の公式見解と同じ表現を繰り返したからだ。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●マクロ・その他
●市況
日経先物(大証)25960、ダウ先29928、債先148.13、米3.231、独1.6595、仏2.199、西2.740、伊3.674、波7.905、原油107.99、ドル円134.96、墨ペソ20.34、トルコリラ17.3264、墨CDS156
※6/17 NY引け値
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
日本航空(JAL)の赤坂祐二社長は日本経済新聞の取材で、7月にEBIT(利払い・税引き前損益)が単月で黒字に転じる見通しを明らかにした。本業のもうけを示す損益の黒字化は新型コロナウイルス感染拡大前の2020年2月以来。政府の水際対策の緩和で国際線が想定を上回る回復をみせている。ANAホールディングス(HD)も国際線の上振れ余地が大きいとみている。
2020年度計画に対する運航便数の割合である運航率は、国際線全体で7月が34%、8月が35%となった。今後も需要動向に応じて増便する可能性がある。
●その他産業米巨大テック企業に労組結成の波が押し寄せている。米アップルの店舗で18日、同社として米国初の労働組合の結成が決まった。米アマゾン・ドット・コムの物流施設でも4月に米国初の労組が誕生した。米国経済が直面する歴史的なインフレを機に、これまで労組を通じた団体交渉と縁遠かったテック産業でも組織化の動きが広がりつつある。
●決算関連●マクロ・その他
6月9日の理事会で欧州中央銀行(ECB)は利上げを決めたが、明らかに後手に回っている。ユーロ圏の足元のインフレ率は8%に達し、とうてい「物価安定」の責務を果たせているとはいえない。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は17日、米連邦準備理事会(FRB)が15日に実施した0.75%の利上げについて「7月も同様の動きを支持するだろう」と述べた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の7月会合の後は物価動向を慎重に見極めながら利上げ幅を0.5%に縮小して続けるシナリオを示した。
「コロンビア国民は現状に不満を抱えている。新型コロナウイルスの感染などで落ち込んだ経済、政治の汚職、治安の特に3点の改善を求めている。現在のドゥケ政権(右派)の支持率は約3割にとどまり、人気がない。変化を求める声が非常に強い」
「中道右派で、前メデジン市長のフェデリコ・グティエレス氏は現政権の『継続』と判断され、決選投票に残れなかった。経済政策の大幅な転換を主張するペトロ氏には懸念も強いため、同氏に勝てる可能性のある候補として独立系のエルナンデス氏に支持が集まった」
「非常に接戦で読みにくい。エルナンデス氏が勝利する可能性の方がわずかながら高いと考えている」
「ペトロ氏は結果に不満を申し立てる可能性がある。支持者に対して路上での抗議活動を促す可能性もあるとみている。エルナンデス氏は結果を受け入れるのではないか」
「どちらが勝利しても政権運営は難しい。コロンビアの統治機構が試される局面になると思う。現在のペルーのカスティジョ政権のように何も進まない可能性もある。その場合は外国人投資家にとっては望ましいのかもしれないが、変化を求める国民は不満を抱えるだろう」
南米コロンビアで19日、大統領選の決選投票が始まった。事前の世論調査では左派のグスタボ・ペトロ元ボゴタ市長(62)と実業家で独立系のロドルフォ・エルナンデス氏(77)が大接戦を繰り広げている。即日開票で同日夜(日本時間20日午前)には大勢が判明する見通しだが、僅差の争いになる可能性が高そうだ。
「オンラインより店舗での消費が伸びている。我々のデータで4月の店舗の売上高は前年同月比10%増、ネット通販は1.8%減だった。レストランでの支出は新型コロナウイルスの流行前に比べて15.6%増、宿泊は17.1%増で、外出需要や体験型消費の拡大を映す。5月の米小売売上高は前月比で減ったが、落ち込みが大きい自動車関連を除けば0.5%増だ。我々のデータでも5月の売上高は2ケタ増で、需要は強い」
「食料品や生活必需品への支出も増えている。4月は給油所での支出が39%増えた。余力の乏しい家計は食料品やガソリンへの出費がかさむ分、不要不急の支出は減らす選択を始めた」
「一般的に二つの波及経路がある。まず消費者心理が悪化し、実際の消費にも慎重になる可能性がある。もう一つは保有する金融資産や住宅の価値の変化に伴うバランスシート効果だ。過去2年間で米家計の純資産は(株高と住宅価格高騰で)急増し、安心した消費者が積極的に消費する傾向がみられた。足元で米株相場は調整しているが、歴史的に見ればまだ非常に高い水準だ。消費者は短期的ではなく、累積的な富の調整をみながら動いている」
「景気刺激策は外出抑制に伴う意図せざる節約も重なって大きな貯蓄を生み出した。超過貯蓄は2020年3月から22年1月までに2.5兆ドル(約330兆円)に膨らんだとの試算があり、その一部を消費者はまだ持っている。これを使い果たすまで一定の消費余力が維持されることになる」
「家計はコロナ後に債務の返済を進め、バランスシートは良好な状態だ。大きい貯蓄と少ない債務の組み合わせは物価上昇のショックを和らげる。金利上昇で借金の返済コストが上がっているのは確かで、支出先の変化にどのような影響を及ぼすかに注目している」
「旺盛な個人消費と継続的な雇用増が支えになり、景気後退が間近に迫っている兆しはない。インフレや金利上昇、景気刺激策の終了に消費者がどのように反応するかをリアルタイムで監視し続ける必要がある」
中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は新疆ウイグル自治区で人権を抑圧する政策を進めたとして米国が非難していた前自治区トップの陳全国氏を農業担当の幹部に異動させた。事実上の左遷とみられる。2022年秋の共産党大会を前に習指導部が米国との緊張緩和を探っているとの見方がでている。
政府ナンバー2の政務官には国家安全維持委員会の事務局長を務める陳国基(エリック・チャン)氏を起用し、警察出身の李家超(ジョン・リー)次期行政長官とあわせて、治安畑が政府中枢を占める異例の布陣とした。
陳氏は入境事務所での勤務経験が長く、中国当局からの信任が厚いとされる。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官のもとで長官弁公室主任を務め、2020年の香港国家安全維持法(国安法)施行に伴い発足した国家安全維持委員会にも参加していた。
政務官は主要な政策を統括する重要ポストで、陳氏の任命は中国が国家安全を最重視する表れとの見方が出ている。香港政府内でも警察や入境事務所など規律部門出身の「武官」と呼ばれるグループからの登用が目立っている。李氏と陳氏はともに米国から制裁対象に指定されており、国際的なイメージ低下を懸念する声もある。
ウォラー理事は18日、7月に開かれる次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを「支持するつもりだ」と表明した。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁も17日に同様の意向を示しており、金融先物市場はすでに約9割が0.75%の利上げを織り込んでいる。
世界の中央銀行による政策金利の引き上げが2022年1~6月期で延べ80回に達し、過去最多になっている。なかでも新興国が60回と多い。高まるインフレを抑制するために利上げが先進国で本格化し、新興国はインフレと通貨安の連鎖を恐れて引き締めを急ぐ。世界同時に急ピッチで進む利上げにより、金融緩和で膨らんだ株式などのリスク資産からマネーが流出し、景気を圧迫する副作用も顕著になってきた。
代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が18日、一時2万ドルの節目を割った。2万ドルを下回るのは2020年12月以来。情報サイトの米コインデスクによると、18日の日本時間午後に一時、前日高値比約1割安い1万8739ドル(約250万円)を付けた。21年11月の最高値から7割超下落した。
中国当局は2022年末までに鉄鉱石の輸入を中央で一括管理する新たな体制を構築しようとしている。習近平(シー・ジンピン)政権が価格交渉力の強化を目指す取り組みの一環だ。
事情に詳しい複数の関係者によると、新体制への移行は中国鋼鉄工業協会や政府機関が主導し、中国宝武鋼鉄集団、中国五鉱集団、中国アルミ集団といった国有資源・鉄鋼大手が参加する。
議長は17日、ワシントンで開かれたドルの国際的役割に関するFRB主催の会議で講演し、「私と同僚は、インフレ率の2%目標への回帰に極めて重点的に取り組んでいる」と言明。また「米金融当局による物価安定の責務達成への強いコミットメントが、価値保存手段としてのドルの幅広い信認に寄与している」と述べた。
パウエル議長はまた、金融当局が最大限の雇用達成と物価安定という2大責務を達成できるか否かは金融安定の維持にかかっているとの見解を示した。
議長は「2大責務と金融安定の双方への金融当局のコミットメントは、国際社会によるドルの保有・利用の促進に寄与している」と語った。
イエレン米財務長官は、物価は「容認し難いほど高い」とした上で、この状態は今年いっぱい続くと予想した。ただ家計の力強さにより、リセッション(景気後退)は回避するとの見解を示した。
長官は19日、ABCの番組「ジス・ウィーク」で、「インフレは今年これまで高い状態が続いており、残りの期間も高インフレが続くのは確実だ」と述べた。
ただ新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を背景に国民の貯蓄が積み上がっているほか、労働市場は「極めて力強い」として、リセッションは「全く不可避というわけではない」と言明。また消費者がインフレを乗り切る上で助けとなり得るのであれば、ガソリン税の一定期間免除も「検討する価値はある」と述べた。
根強いインフレの要因については、米国内の問題ではなく世界的な状況が影響していると説明。ウクライナでの戦争を発端としたエネルギー供給の混乱や、新型コロナに伴うロックダウン(都市封鎖)で中国からの物流に影響が出ていることを挙げた。
「そうした要因が直ちに弱まる可能性は低い」とし、「世界情勢に関しては極めて多くの不確実要素が存在する」と述べた。
バイデン米大統領は18日、中国の習近平国家主席と「近く」会談すると述べ、トランプ前政権が導入した対中制裁関税を緩和する可能性を検討していることも明らかにした。
関税の一部解除を決めたかを記者団に問われたバイデン氏は「その最中にわれわれはある」と答え、「自分で決断する過程にある」とも語った。
バイデン政権は、中国からの約3000億ドル(約40兆円)相当の輸入品を対象にトランプ前政権が課した制裁関税の扱いを検討している。中国製品との競争から保護されることで恩恵を被る米企業がある一方で、製造業など中国製品を部材として利用するセクターの企業は打撃を受けている。
バイデン氏は具体的にいつ習国家主席に会うかを語らなかったが、「彼と会談するつもりだ」とだけ答えた。
欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏19カ国の国債市場が正当な根拠なく混乱する事態を予防することで、金融政策が域内全体に均等に浸透するのを万全にする方針だ。政策委員会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁が述べた。
レーン氏は米ダラス連銀が18日主催した会議で、「金融政策の浸透を損なう不当な市場分断の封じ込めに強くコミットしている」と語った上で、「政策委員会を代表してというより、メンバーの一人として話している」と強調した。
政策委メンバーの中では穏健派として知られるレーン氏だが、巨額な債務を抱えるユーロ参加国を支える行為は政府への財政ファイナンスに相当するとの懸念に言及。財政状況から金融政策が制約を受ける「財政支配の予防に強くコミットしている」と言明し、その逆の金融支配についても同様との認識を示した。
7月に利上げ着手のECBの計画に変更はないともレーン氏は説明。「第3四半期末までにはマイナス金利を脱却できる公算は大きい」と話した。
バイデン米政権の当局者らは、中国が最近繰り返す台湾海峡は「国際水域」ではないとの曖昧な主張を受け入れないと決めた。中国の姿勢は台湾への挑発が海上で今後増える可能性を意味するかもしれないとして、懸念を強めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。
中国がここ数カ月、米当局者との会合で台湾海峡を「国際水域」ではないとする主張を繰り返していることはブルームバーグが先週報じた。米中両国の認識が異なる重要地域において、米国の影響力および軍事力への新たな対抗を中国が準備しつつある可能性の見通しを強めるものだ。
中国は長年にわたり台湾海峡は排他的経済水域(EEZ)の一部だと主張しており、これら水域での外国軍艦の活動は制限されるとの認識を示している。中国は同海峡での米軍の動きには定期的に抗議しているが、これまで水域の法的地位が米当局者との会合で通常の議題に上ることはなかった。中国の新たな主張のタイミングは、ロシアによるウクライナ侵攻もあって、米政権内で警戒を強める要因となっている。
関係者によると、バイデン大統領はこの件で説明を受けており、米政権の安全保障チームは中国側が具体的に何を意図しているのか、理解しようとその主張を検証している。過去数10年間にわたって中国が台湾海峡について用いてきた文言を調べたり、同盟国同士でそれぞれの解釈を評価したりしているという。
米当局者が懸念を強めているのは、中国側の主張が台湾周辺水域について、中国の水路と見なしていると示唆できるよう法的解釈をあえて混乱させる取り組みである可能性だ。この点を米側は中国側に伝達済みという。
中国が「国際水域」で意図している内容は謎だが、米側の台湾海峡通過を抑制する意図はあるかもしれない。中国が自国のスタンスを強化するため具体的な行動に出るかも明確ではないと、関係者は述べた。
日経先物(大証)25960、ダウ先29928、債先148.13、米3.231、独1.6595、仏2.199、西2.740、伊3.674、波7.905、原油107.99、ドル円134.96、墨ペソ20.34、トルコリラ17.3264、墨CDS156
※6/17 NY引け値
備忘録(6/13)
●ウクライナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
戦況のカギを握るのは米欧が支援する兵器だ。「緒戦でロシア軍があまりに相手を侮ってかかり、待ち構えていたウクライナ軍に撃退された。反撃の決め手は米欧から供与された兵器の質に尽きる」。日本の情報部局関係者は戦局をこう中間総括する。
ロシアのプーチン大統領は、米欧による補給を警戒している。ロシア軍は現地時間6月5日早朝、4月下旬以来となるウクライナの首都キーウへのミサイル攻撃を実施。この長距離攻撃は「これ以上補給を続けるなら攻撃の矛先をそちらにも向けるぞ」との米欧諸国への警告でもあった。
戦争が北大西洋条約機構(NATO)加盟国に広がる「第3次世界大戦リスク」は依然ある。そうなれば自国が戦場になる欧州諸国は気前よくウクライナに軍事物資を提供していられなくなる。
南シナ海など中国沿岸部で監視活動を続けるオーストラリア軍やカナダ軍の哨戒機に対し中国軍機が危険な行為をとるなど、緊張の種は朝鮮半島にとどまらない。北朝鮮や中国の軍事的動きは、結果としてアジア太平洋諸国からの対ウクライナ軍事支援にブレーキをかけている側面がある。
ロシア軍は現時点で占領している地域を維持できるのであれば、直ちに戦闘を停止したいのが本音だろう。8月を過ぎると東欧は短い秋を経て長く暗い冬へと向かう。戦闘条件は厳しくなり、ロシア側の士気は一段と落ちていく。
これに対し、ウクライナは現状での停戦には到底応じられない。ただ、米欧からウクライナ軍への補給が、開戦当初のような勢いを維持できるかどうかは予断を許さない。補給を軸に米欧ウクライナ陣営とロシア側の「我慢比べ」が続く。
●コロナ●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
北米や欧州行き(片道)は従来比1万1600円増の4万9000円で過去最高水準となる。ロシアのウクライナ侵攻などを受けた原油高に円安が重なり、燃料価格が高騰していることを料金に反映させる。
ハワイ行きは従来比7300円増の3万1100円、タイやシンガポールなどは同5400円増の2万5800円となる。8~9月発券分のサーチャージは航空燃料に使うケロシン(シンガポール市場)の4~5月の平均価格をもとに決める。ANAによると4~5月の平均価格は円換算で1万7645円となり、2~3月平均から2割強上昇した。
海外発の航空券に上乗せするサーチャージはドル建てのケロシン価格を指標にする。8~9月発券分は北米発の場合363㌦(約4万9000円)と従来比34㌦の上昇にとどまる。円安の影響で円建ての燃料費の上昇が目立っており、日本発のサーチャージの上げ幅が大きくなっている。
●その他産業●決算関連
HISの11~4月、最終赤字269億円 海外旅行回復に遅れ主力の海外旅行取扱高は新型コロナウイルス禍前の3%程度の水準にとどまった。日本の入国者数制限や円安の影響を受けている。
財務も悪化した。4月末の自己資本比率は6%と21年10月末と比べて4ポイント低下した。新型コロナ前は15~20%ほどだった。コスト削減や資金確保のため、従業員の他社への出向や不動産や子会社売却を進めた。選択肢の一つとしていた日本政策投資銀行からの借り入れは目立った進捗がない。同日の記者会見で矢田素史社長は「一番は本業の回復だが、(資金調達の)手段を幅広く持つ必要がある」と述べるにとどめた。
●マクロ・その他
中国企業の米上場問題を巡って米中の神経戦が続いている。米証券取引委員会(SEC)による新規則導入から約半年間で、ネット検索最大手の百度(バイドゥ)など150社が「上場廃止警告リスト」に入った。全上場企業の6割に相当する。当局は混乱回避に向けて協議を続ける一方、米議会は上場廃止時期を2023年に早めようとしている。資本市場の分断(デカップリング)は着実に進んでいる。
イスラエルで13日に発足1年となるベネット連立政権が揺らいでいる。与党議員の離反で国会の過半数を失い、左右両派にアラブ系政党まで加わる8党連立のもろさを露呈。ネタニヤフ前首相がパレスチナ問題など政権内の本質的な矛盾に付け入り、復権をうかがっている。
現地報道によると最近の世論調査では、直ちに総選挙を実施すればネタニヤフ氏の支持派が計60議席を得るとの結果が出た。過半数に迫る勢いだが、同氏は自らの汚職疑惑による裁判を抱え、有権者の評価は二分されている。同じ右派政党でも「ネタニヤフ嫌い」は多く、たもとを分かった議員を取り込めるかはまた別の問題だ。
現状では野党側も過半数には届かず、国会を解散させる法案は成立する保証がない。しかしさらにもう一人でもネタニヤフ氏側に寝返れば、局面は変わりベネット政権は崩壊に近づく。19年4月から約3年間で5度目となる総選挙が現実味を増す。
ベネット氏はロシアのウクライナ侵攻で両国の仲介役を買って出たほか、イスラエルが20年に国交を樹立したアラブ諸国との関係を強化してきた。敵対するイランをにらみ、バイデン米政権との関係強化にも力を入れている。内政の苦境で、こうした外交が停滞する可能性もある。
HSBCのマルチアセットチーフストラテジスト、マックス・ケトナー氏は、インフレ高進か成長減速のどちらかを選ばなければならないが、この二者をうまく調整して「軟着陸させるというゴルディロックス的な狭い道筋をたどる可能性は今まで以上に低くなった」と話した。
モルガン・スタンレーのストラテジストは13日のリポートで、消費者心理の悪化が米株式市場と経済に対する主要な脅威だと指摘。「株式リスクプレミアムは、マージン圧力と需要低下により増している成長リスクを反映していない」と分析した。
デービッド・コスティン氏らゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、米企業の収益予測は依然として高過ぎるとの見方を示し、さらなる下方修正を予想した。
米国関連資産で売られないのはドルだけだ。ドイツ銀行の為替調査グローバル責任者、ジョージ・サラベロス氏(ロンドン在勤)はリポートで、「ドルは世界的なスタグフレーションヘッジの役割を担っている」と指摘した。
商品価格の上昇で、世界の商品購入者が生産者に今年支払う金額は2019年と比べて5兆2000億ドル(約700兆円)増える見通しだ。米シティグループのアナリストが新たな基本シナリオで示した。
13日付のリポートによれば、増額分は世界の国内総生産(GDP)の5%に相当する。今年下期のフォワード(先渡し)価格が現実のものとなる場合、商品購入者は19年比で6兆3000億ドルと、GDPの6.2%相当を多く支払うことになる。
いずれにせよ、増額分のGDP比は1970年代初頭の石油危機で世界が経験した衝撃に匹敵するという。
同リポートは「商品ショックが長引けばその分、商品の消費者への悪影響が大きくなる。世界の成長や株式にとっても差し引きでマイナスだ」と指摘した。
特に欧州や一部の新興国は、商品ショックが長期化した場合に成長への影響を受けやすいという。ユーロ建てクレジット商品にも影響が及ぶとアナリストは指摘した。その一方で、南米諸国の通貨は恩恵を受ける可能性があるとも分析した。
トルコ国債の保証コストを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは13日、841ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に上昇。2008年の世界金融危機や、現在大統領のエルドアン氏が首相に就任した03年当時の水準を上回った。通貨リラの一段安や同国政府が頼る非従来型の金融政策を投資家が懸念していることを示唆する。
CDS上昇に伴い、同国のドル建て10年債利回りは10.6%と過去最高を更新した。
リラは年初から対ドルで23%下落し、新興国通貨の中で最悪のパフォーマンスとなっている。
こうした観測を受けて欧州債の下げは加速。金利変更への感応度が高いドイツ2年債利回りは10年余りで初めて1%を上回った。イタリア10年債利回りは2014年以来の高水準を付けた。ドイツ10年債との利回り格差は一時233ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に拡大し、2020年5月以来の大きさとなった。
英政府統計局(ONS)が13日発表した4月の国内総生産(GDP)は前月比0.3%減。エコノミストの予想は0.1%増。3月の0.1%減に続き、2カ月連続で縮小した。
4月のGDPは英経済の見通しに暗い影を投げ掛ける。2021年1月以降で初めて、製造業、サービス業、建設業が全て落ち込んだ。これに鑑み、16日に金融政策判断を発表するイングランド銀行(英中央銀行)はインフレへの対応として慎重な行動を選択する可能性がある。一部の投資家は英中銀が今週、0.5ポイントの利上げを発表するとの見方に基づくポジションを縮小させた。市場では、0.25ポイントの利上げが見込まれている。
KPMGの英法人チーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は「GDPの落ち込みが短期で終わる公算は小さい」と指摘。「消費者の所得縮小で需要が冷え込む見込みで、全体的な見通しは依然として暗い」と語った。
猛暑に加え、人口が伸びていることも電力需要増の背景にある。テキサス州の低い税率や比較的安価な労働力が、テクノロジーや航空宇宙、製造業などの企業を引き付けている。同州では気温がセ氏38度を超えることはよくあるが、このような早い時期にこれほど暑くなるのは珍しい。米国立環境情報センター(NCEI )が8日に明らかにしたところによれば、テキサス州は先月、5月としては記録上2番目に暑かった。
●市況
日経先物(大証)27745、ダウ先32888、債先149.52、米2.941、独1.2605、仏1.788、西2.431、伊3.377、波6.652、原油120.26、ドル円130.88、墨ペソ19.56、トルコリラ16.4200、墨CDS126
日経先物(大証)27745、ダウ先32888、債先149.52、米2.941、独1.2605、仏1.788、西2.431、伊3.377、波6.652、原油120.26、ドル円130.88、墨ペソ19.56、トルコリラ16.4200、墨CDS126
※6/14 *時*分頃
備忘録(6/10-12)
●ウクライナ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●決算関連
●マクロ・その他
ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問は10日、ロシアによる侵攻開始以降でウクライナ兵の死者が1万人ほどに達したとみられると明らかにした。インターネットで配信された番組で語った。東部での戦闘が激化し、犠牲者数はさらに拡大するとみられる。
ウクライナ軍の全体的な死者数については、ゼレンスキー大統領が4月半ばの米メディアの取材に対し、2500~3000人にのぼると説明していた。6月9日には別の政府高官が「前線で毎日100~200人のウクライナ兵が死亡している」と発言した。6月初めに「1日60~100人」(ゼレンスキー氏)とされた犠牲者数が急増したと受け止められていた。
ロシア軍でも多くの死傷者が出ているとみられる。英国防省は5月下旬に、侵攻開始からわずか3カ月間で、ロシア兵の死者数がソ連によるアフガニスタン侵攻(1979~89年)と並ぶ1万5000人規模にのぼったとの分析を発表した。ロシアは1351人が死亡したと発表した3月下旬以降は更新を控えている。ウクライナ側はロシア兵3万人以上が死亡したと主張している。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は10日、世界の企業のロシア事業に関する損失が合計590億ドル(約7兆9000億円)超にのぼると報じた。ロシアのウクライナ侵攻が長期化するなか、エール大の調査によると約1000社がロシア事業の撤退や縮小などを表明している。
WSJが企業が開示した財務資料などを調べ、ロシア事業に関連する損失額を算出した。米リスクコンサルティング会社クロールのマネージングディレクター、カーラ・ヌネス氏は「今回の損失計上で終わりということではない。危機が長引けば、財務面でさらなる影響が出るだろう」と指摘した。
ロシア事業を見直した企業は多岐にわたる。米マクドナルドはロシア事業を売却し、最大14億ドルの損失を計上する。米石油エクソンモービルは極東ロシアの石油開発事業「サハリン1」からの撤退で約34億ドルの損失を発表した。WSJによると、ロシアで事業を続けている企業もロシア経済の停滞を受けて損失を計上するケースが増えている。
ロシア中央銀行は10日に開いた金融政策決定会合で、政策金利を年11%から9.5%へ引き下げることを決めた。4会合続けての利下げで、14日から適用する。ウクライナ侵攻から100日を超えて米欧からの経済制裁の影響が目立ち始めており、侵攻前の水準まで金利を引き下げた。
ロシア中銀は10日の声明で、欧米による経済制裁で輸入が減少しており「外部環境は依然として厳しく、経済活動が大きく制約されている」と指摘した。5月26日に開いた臨時会合で政策金利の年14%から11%への大幅引き下げを決めたが、一層の金融緩和による景気刺激が必要と判断した。
プーチン大統領は6月7日の会合で「主要金利の引き下げや、国家による貸出支援策にもかかわらず、(住宅ローンなどの)貸出ペースは低下している」と述べていた。
海外の自動車メーカーのロシアへの輸出と現地生産の停止に伴って、ロシアの自動車販売は急減している。欧州ビジネス協議会(AEB)によると、5月のロシアの新車販売は前年同月比83.5%減少した。
ウクライナ侵攻開始前の政策金利は9.5%で、侵攻後に進んだルーブル安とインフレを抑制するため、ロシア中銀は2月末に政策金利を20%まで引き上げた。外貨の引き出し制限や、輸出企業への外貨収入のルーブル両替の義務づけなど通貨防衛策の導入によってルーブル高となり、4月中旬以降は政策金利の引き下げに転じた。
通貨高を背景に侵攻後に進んだインフレには一服感が出ている。ロシア連邦統計局が公表する週次のインフレ率は6月3日時点で前週比ほぼ横ばい。5月の年間インフレ率は17.1%で上昇率は落ち着きつつある。
●コロナ中国・上海市当局は今週末に新型コロナウイルス大規模検査を実施するため、約2500万人のほぼ全ての住民を対象に一時的な封鎖措置に乗り出す。同市は約2カ月に及ぶロックダウン(都市封鎖)が事実上解除されたばかりで、食料品店に買い物客がまた殺到するなど新たな混乱が生じている。
上海市には16の行政区があるが、週末の封鎖計画はコロナ感染がわずかに見つかった1つの行政区から始まり、瞬く間に14カ所へと広がった。保健当局は静かなコロナ感染をあぶり出すため検査を活用。中国の大規模検査はコロナ感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策の鍵となる手段だ。
上海市はコロナ感染対応の初動が遅れ、3月下旬に厳格なロックダウンを余儀なくされた経緯があり、今回の検査急拡大はコロナを巡る懸念の根深さを示している。住民は検査後に解放される見通しだが、新たな感染が居住区内で見つかれば封鎖下に逆戻りとなる。
●中国不動産●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
エミレーツ航空は、2023年までに座席の供給能力を新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻す。ビジネス需要の回復を見込み、欧州エアバスの超大型機の運航も順次再開する。ウクライナに侵攻したロシアへの路線も継続し、ロシア人の往来需要を取り込む。
●その他産業●決算関連
●マクロ・その他
5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸び率が8.6%となった。3月の8.5%をさらに上回り、40年5カ月ぶりの水準となった。新型コロナウイルス禍で控えていた旅行などの「リベンジ消費」も夏にかけて物価を押し上げ、インフレは高止まりしそうだ。米連邦準備理事会(FRB)による急ピッチの利上げが長引く可能性もある。
上昇率は第2次石油危機後にインフレが長期化し、8.9%だった1981年12月以来の高水準となった。5月の市場予想は8.3%だった。
変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数の上昇率は6.0%で、前月の6.2%を下回った。コア指数を前月比でみると4月と同じ0.6%の上昇で、市場予想を上回った。インフレの根強さを示す結果となった。
エネルギーは前年同月比で34.6%、食品は10.1%上昇した。住居費が5.5%値上がりするなどサービス価格も全般的に上昇した。貧困層を中心に生活を圧迫するインフレへの不満がますます高まる公算が大きい。米国は人手不足が深刻で、失業者1人に対して約2人分の求人がある状態だ。賃金の上昇が加速すれば、インフレの制御はますます困難になる。
商品市場で原油先物が5月から上昇していることに加え、米国内の需要も強い。背景にあるのが「リベンジ消費」だ。首都ワシントンでウーバーを運転する女性は「今年の夏は3年ぶりに息子のいるペルーに帰る」と話す。旅費の高さも「コロナ禍で家族と会えなかった期間の長さを考えれば我慢できる」という。
4月の航空運賃は前年同月から33.3%上昇し、コロナ前の2019年4月と比べても1割以上高かった。それでも運輸保安庁(TSA)によると、空港でのチェックポイント通過者は1日211万人と前年同月の1.5倍に上る。5月までのメジャーリーグの観客動員数も1試合平均2.5万人と前年平均の1.3倍だ。
最近は人手不足を背景にしたサービス価格の上昇が目立つ。獣医は診察などにかかる価格が4月に前年同月比9.8%上昇した。ランドリー代は10.3%高い。どちらも統計を遡れる1998年12月以降で最高を更新した。
米ミシガン大学が10日発表した6月の消費者態度指数(速報値)は50.2で前月から8.2ポイント低下した。2カ月連続の低下で、統計開始の1952年以来で最低となった。インフレ懸念で消費者景況感が急激に悪化した。
10月のブラジル大統領選に立候補した左派のルラ元大統領は「以前のように、貧しい人と労働者のための予算にするため」憲法で規定している歳出上限を撤廃し、税制を全面的に見直し、政府支出を拡大することを掲げている。選挙陣営が配布した政権公約(マニフェスト)の原案で明らかになった。
ハンガリーのビクトル・オルバン首相は明快だった。4月、ポーランドとの関係修復が欧州外交における重要な政治課題だと表明した。ロシアのウクライナ侵攻を巡ってきしんだ両国の関係を、以前のような緊密な状態に戻すことが狙いだ。
バイデン大統領はロサンゼルスの港で開かれたイベントで、「われわれはエクソンの利益を周知させるつもりだ。エクソンは昨年、神より多く稼いだ」と指摘した。
エクソンの今年の利益は約2倍の430億ドル(約5兆8000億円)と、過去2番目の好業績になると予想されている。これに対して消費者はかつてない燃料価格高騰に見舞われており、全米自動車協会(AAA)によれば、レギュラーガソリン価格の全米平均は6月10日時点で1ガロン当たり4.99ドル。
バイデン大統領は、米石油会社に増産を強く要請。「彼らが掘削していない理由は、自社株買いをしているからで、それらは率直に言って課税されるべきだ。自社株買いを進めながら新たな投資は全くしていない」と批判した。
ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、サラ・ハウス、マイケル・パグリース両氏はリポートで、「金融政策の引き締めは、世界的な商品価格の高騰や新型コロナ禍後の経済における消費と生活の構造的変化にはあまり役に立たないだろう」と指摘した。
こうした状況は、11月の中間選挙を控えて支持率低迷に悩むバイデン政権にさらなる苦境をもたらす可能性がある。雇用市場に引き続き明るさが見える一方、数十年ぶりの高インフレは賃金の上昇を上回るペースとなっており、政権に対する国民の信頼感を損ねている。
●市況
日経先物(大証)27350、ダウ先31437、債先149.79、米3.165、独1.4960、仏2.070、西2.733、伊3.831、波7.155、原油120.47、ドル円134.40、墨ペソ19.96、トルコリラ17.1257、墨CDS139※6/10 NY引け値
備忘録(6/9)
●ウクライナ
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●マクロ・その他
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
英政府がソフトバンクグループ(SBG)傘下の英半導体設計大手アームのつなぎ留めに必死になっている。上場先として米ナスダックが有力視されているためで、ロンドン証券取引所への誘致にジョンソン首相も動員して説得にあたる。テック企業の集積は英国の成長シナリオに欠かせないほか、半導体は経済安保の要でもある。
非公表の情報だとして匿名を条件に語った関係者の1人によると、中国証券監督管理委員会(証監会)はアントのIPO計画を再評価するチームを発足させた。当局はまた、アントに待望されていた免許を交付する最終段階に近づいていると、関係者らは述べた。この免許でアントはIPO実施への道筋が開かれるほか、銀行に近い形での規制が適用されることになるという。
これに対し証監会は発表文で、アントのIPO復活について再検討や調査を行っていることはないと表明。ただ、適格なプラットフォーム企業の国外上場は支援すると説明した。
中国証券監督管理委員会(証監会)はアントのIPO復活について再検討や調査を行ってはいないと表明。ただ、適格なプラットフォーム企業による国内外での上場は支援するとした。アントはIPOに着手する計画はないと説明した。
●その他産業
●決算関連●マクロ・その他
2022年5月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で11.73%上昇した。4月(12.13%)からはやや減速したものの、高インフレが続いている。ロシアによるウクライナ侵攻で燃料費、干ばつなどで食料品の価格が上昇している。
10%を上回るのは9カ月連続となった。前月の水準を下回るのは5カ月ぶりだった。
食料品ではコーヒー、タマネギ、牛乳、鶏肉などの価格上昇が目立ち、食卓への影響は広がっている。ガソリンは1年間で3割弱、航空券は9割近く上昇した。
5月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は6.37%と、4月に比べ0.01ポイント低くなった。低下は2カ月ぶり。新型コロナウイルス禍の収束を見据えて新規で借りる企業が増えている一方、大型ビルでの解約は依然多く縮小移転も目立つ。空室率はこの半年余り小幅な上昇と低下を繰り返し、膠着気味だ。
供給過剰の目安となる5%を16カ月連続で上回った。地区別では濃淡が見られ、新宿区や中央区の空室率は上がった半面、IT(情報技術)系などの企業集積が続く渋谷区は前月比0.38ポイント低い4.92%と20カ月ぶりに5%を下回った。
平均募集賃料は3.3平方メートルあたり2万319円と4月に比べ9円(0.04%)下がった。下落は22カ月連続。空室率が上昇する地域のビルオーナーを中心に空室を早めに埋めるため、以前より賃料水準を下げる動きが続いている。
都心5区のオフィス市場を巡っては、2020年にコロナ禍が始まってから大手企業を中心にオフィスの解約や縮小が相次いだ。旺盛なオフィス需要を背景にコロナ禍前に1.5%程度だった空室率は、1年半で5ポイント弱上昇した。歩調を合わせるように賃料も下落した。
それが21年末ごろから膠着状態に入っている。一つの要因が企業のオフィス需要の回復基調だ。オフィス仲介大手の三幸エステート(東京・中央)によると都心5区の大規模ビルの成約面積は5月にコロナ発生後として初めて5万坪(16.5万平方メートル)を超えた。
今関豊和チーフアナリストは「コロナ禍後の経済の本格再開を見据え、賃料水準が下がってるうちにより良い立地にオフィスを移す企業が目立つ」と話す。
半面、大企業のオフィス戦略の見直しによる解約や縮小の動きも続く。新規でオフィスを借りる企業も契約面積は以前より少ないことが多く、既存ビルで2次空室が出やすい地合いにある。面積の縮小傾向が続くようでは「市場全体の先行きは決して楽観視できなくなる」(オフィス仲介会社の47)との声もある。
イスラエルのベネット首相は9日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビを訪問した。5月に就任したUAEのムハンマド大統領と会談する。ともに脅威とみなすイランの核開発などを巡って協議し、協力を強化する狙いがあるとみられる。
ベネット氏は訪問に先立ち、国際原子力機関(IAEA)理事会が8日にイランに対する非難決議を採択したことについて「イランが隠し事を続けていると明確に述べたものだ」と歓迎した。イスラエルはイランの核武装を警戒し、阻止に向けて単独での軍事行動も辞さない構えをみせている。
欧州中央銀行(ECB)は9日、7月に0.25ポイントの利上げを実施すると表明した。9月に0.5ポイント引き上げる可能性も示唆した。
約10年ぶりの利上げ実施を宣言したほか、ECBは一連の追加利上げの道筋についても触れた。債券購入は7月1日に終了させる。
声明は「中期的なインフレ見通しが現状維持または悪化する場合、9月会合でより大幅な利上げが適切になるだろう」とした上で、「現在の判断に基づいて、漸進的だが持続的な追加利上げが妥当になると政策委員会は予想している」と説明した。
ラガルド総裁はアムステルダムでの記者会見で「漸進的な利上げで開始するのは世界の大半の中銀が採用することの多い手法で、優れた慣行だ」と発言。「この日の決定は7月単月だけでなく、行程全体を念頭に置いたものだ」と述べた。
インフレについては、リスクは「主として上方向だ」との認識を示した。リスク要因として、生産能力の長期的な悪化とエネルギーおよび食料品価格の高止まり、インフレ期待の上昇、予想以上の賃金上昇などを挙げた。
ECBは最新の経済予測で、2024年のインフレ率が平均2.1%と中銀目標を上回るとの見通しを示した。今年については最新予測よりもさらに高い7.1%となる可能性があるとも指摘した。
総裁は「金融政策の調整はデータ次第だ」とした上で、インフレ率を中期目標の2%で安定させるため「責務の範囲内であらゆる政策手段を調整する用意がある」と表明した。
ECBの発表を受けて欧州債は下落。とりわけイタリア10年債利回りは一時25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、ドイツ債とのスプレッドは約2年ぶりの大きさとなった。
こうしたユーロ圏債券市場の「断片化」についてラガルド総裁は、必要に応じ既存のツールや新たな措置を駆使して防ぐと語った。既存手段としてはパンデミック債券購入プログラム(PEPP)で購入した債券の満期償還金再投資に言及し、柔軟性を強調した。
CBAは9日、今年の豪国内総生産(GDP)の成長率見通しを3.5%と従来予想の4.7%から下方修正するとともに、23年は「潜在成長率を下回る」2.1%(従来予想は3.1%)を見込んでいる。
豪州経済担当責任者、ガレス・エアード氏は、中銀は「インフレ率を迅速に押し下げることに熱中しているようだが、それによって家計消費を中心に総需要の伸びが犠牲になる」と指摘した。
足元の焦点は、ロシアによる黒海封鎖で滞っているウクライナ産の穀物輸出の問題だ。ロシアとウクライナの小麦輸出は世界の3割、ヒマワリ油で6割を占める。ロシアとトルコの外相は8日、ウクライナ発の船舶が安全に運航するための回廊を国連とともに設ける案などを協議した。
ロイター通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は9日、トルコなどとの協議は継続中で、現時点で合意はないと説明した。
グテレス氏は「食料はほぼ過去最高値で、肥料は2倍以上になった」として、コメを主食とするアジアにも影響が広がる恐れを指摘した。輸出の再開に向けて関係者と交渉を行っていることを明らかにしたが、交渉への影響を避けるために詳細な説明は避けた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、自国産の「農産品輸出が世界市場の安定につながる」と訴えたが、ロシアの要求をのんで機雷を除去すれば南部オデッサなどへの攻撃に利用されると警戒する。ロシアのプーチン大統領は米欧からの制裁解除を条件に穀物や肥料の輸出再開に言及したが、米欧などは食料危機を人質にしていると反発している。
――GFANZは化石燃料会社への信用供与を続けているという批判もあります。
「昨年から今年にかけての化石燃料への融資額は、国際エネルギー機関(IEA)と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の分析によると、ネットゼロへの移行を考えた場合に化石燃料に投じられる金額とほぼ同じという。大まかには適切な水準にあるといえる。石油やガスへの融資は必要で、一定期間避けられないだろう。だが時間とともに減少し、適切なプロジェクトに使われる必要がある。そのためにも詳細な情報が必要だ」
「特にクリーンエネルギーの拡大は課題で、融資を現在のほぼ3倍にする必要がある。資本はあるがプロジェクトが十分にない。(主要7カ国による途上国の脱石炭を支援する枠組み)『公正なエネルギー移行パートナーシップ』などが資金調達を開始したら、私たちはそれに乗る必要がある」
5月の消費者物価指数は、前年同月と比べて7.65%上昇した。アボカドやオレンジなどの食料品の価格が大幅に上がった。メキシコ銀行(中央銀行)は利上げを続けているが、物価上昇は抑えられていない。
5月は食料品と飲み物、たばこの価格が前年同月と比べて11.27%上がった。野菜と果物の価格は前年同月比で12.88%上昇した。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は前年同月比で7.28%だった。一部の食料品は価格上昇が落ち着きつつあるが、前年に比べると高止まりした状況が続いている。
中銀が民間銀行など37機関の予測をまとめて6月1日に公表した調査では、22年通年のインフレ率の見通し(中央値)は6.81%だった。5月公表時点の6.75%から上方修正となった。23年通年のインフレ率の見通しも4.34%と5月公表時点の4.13%から上方修正となった。
●市況
日経先物(大証)27805、ダウ先32276、債先149.05、米3.057、独1.4330、仏1.985、西2.629、伊3.698、波6.909、原油121.27、ドル円134.11、墨ペソ19.68、トルコリラ17.2456、墨CDS139
※6/10 9時30分頃
日経先物(大証)27805、ダウ先32276、債先149.05、米3.057、独1.4330、仏1.985、西2.629、伊3.698、波6.909、原油121.27、ドル円134.11、墨ペソ19.68、トルコリラ17.2456、墨CDS139
※6/10 9時30分頃
備忘録(6/8)
●ウクライナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●決算関連
ロシア最大手自動車メーカー、アフトワズが8日に自動車生産を再開した。タス通信が伝えた。生産の再開は4月下旬以来といい、ロシア国内で認知度の高い「ラーダ」ブランドの乗用車を生産する。
アフトワズは自動車部品の不足に伴って、工場の生産を一時的に停止していた。今回生産する車種は、輸入する部品不足の影響を回避するため、可能な限り現地化を進めたという。
●コロナ●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
取引可能な再生航空燃料(SAF)を使用することで削減できた温暖化ガス排出量に相当するクレジットを発行し、法人顧客などに販売すると発表した。7月からSAFを導入して全便に広げる方針で、クレジットが売れれば高価なSAFの導入コストを下げられるとの狙いがある。
リー・ウェンフェン上級副社長は「(クレジットの発行が)SAFの導入加速を後押しする」と述べた。同社は2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指している。
1年間に使用予定の1000トンのSAFに対し、1000クレジットを発行し、法人顧客や貨物フォワーダー(貨物利用運送事業者)などに販売する。SAFの1クレジットは2.5トンの二酸化炭素排出量削減に相当する。自社の排出量と相殺できる企業や、環境意識の高い個人の需要を見込む。
フィンランドの再生燃料大手、ネステ社製のSAFを使う。食用廃油や動物油脂を再利用したもので、米エクソンモービルがジェット燃料と配合し、シンガポールのチャンギ空港に供給する。SAFは航空業界で需要が高まっているものの、供給が少なく、価格が従来の石油由来のジェット燃料を大幅に上回っている。
スピリットの買収を巡っては同業ジェットブルー航空が名乗りを上げ、条件面でつばぜり合いをしている。内容を精査するために時間が必要になったとみられる。
●その他産業クレディ・スイスの株価はチューリヒ時間午後4時15分時点で前日比2.3%高。赤字見通しを示したため、7.6%安まで下げる場面もあったが、買収報道を受けて一時は4.8%高まで買い進まれた。IPが内部関係者の情報を基に報じたところによれば、ステート・ストリートは早ければ数日以内に1株当たり9スイス・フランでクレディ・スイスに買収案を提示する可能性がある。
ジェフリーズのアナリスト、ケン・ウスディン氏は顧客向けリポートで、「多くの理由から、この組み合わせは極めて可能性が低いとみている。資本水準や保留となっているステート・ストリートのBBH部門買収、クレディ・スイスが多大な法的・事業面の問題を抱えていることがある」と指摘した。
クレディ・スイスの時価総額は185億スイス・フラン(約2兆5400億円)。これに対し、ステート・ストリートは253億ドル(約3兆3800億円)に上る。
2022年2~4月期決算は、純利益が前年同期比80%増の7億6千万ユーロ(約1100億円)、売上高は同36%増の67億ユーロだった。オンライン、店舗の販売がいずれも堅調で、売上高は新型コロナウイルス禍前の2019年同期の水準を上回った。
●マクロ・その他3日までの週の申請規模を示す総合指数(季節調整済み)は前の週から6.5%下がり、22年ぶりの低水準になった。米連邦準備理事会(FRB)による急ピッチの利上げ方針を反映して住宅ローン金利も大幅に上がり、借り換えと新規購入の両方でローン需要が落ち込んだ。
住宅ローン金利は30年固定型で昨年末の3%程度から足元で5%台まで上昇している。金利負担を減らすため、過去の住宅ローンを低い金利で借り換える動きは止まった。金利上昇に加えて住宅価格の高騰で物件の値ごろ感も失われており、MBAで経済・産業予測を担当するジョエル・カン氏は「特に初めて住宅を買おうとしている人には厳しい状況だ」と指摘する。
8日の金融政策決定会合で、政策金利(レポ金利)を0.5%引き上げて4.9%にすると決めた。5月に続き、2会合連続の利上げ。インド中銀は新型コロナ危機からの経済回復の後押しを期待されるが、エネルギー価格の高騰などを受け、インフレを抑制するための金融引き締めを加速せざるを得なくなっている。
インド中銀は消費者物価指数(CPI)上昇率の中期目標を「2~6%」と定めているが、1月以降は6%を超える水準が続き、4月の速報値は7.79%だった。経済回復で需要が増えていることに加え、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う国際市況の高騰が重なり、およそ8年ぶりの高水準を記録した。石油製品のほか、熱波によるトマトの値上がりなどが目立つ。
インド中銀のダス総裁は8日、「インフレは許容範囲を大きく超えて急激に進んでいる。戦争が主な要因だ」と語った。2022年度(22年4月~23年3月)のインフレ予想を、従来の5.7%から6.7%に引き上げた。
インド中銀は新型コロナウイルスの感染で打撃を受けた経済を支えるため、金融緩和を続けてきた。20年に厳しいロックダウン(都市封鎖)が導入され、自動車生産が一時停止するなど経済活動に急ブレーキがかかったからだ。
同年3月と5月に利下げし、約2年にわたって政策金利を4%で据え置いた。しかし、急激な物価上昇で5月に臨時の金融政策決定会合を開き、3年9カ月ぶりの利上げに踏み切った。
米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めの影響で、通貨ルピーの対ドル相場は下落が続く。インド中銀の5月の利上げ後もルピー安は止まらず、1ドル=70ルピー台後半の最安値圏で推移している。ダス総裁は8日「多くの新興国通貨と比べれば(環境は)よい」と述べた。
OPECと非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」は先週、原油供給拡大ペースの加速で合意した。ただUAEの見解は、同増産決定が今夏のエネルギー価格高騰の緩和にはほとんど寄与しないことを認めた格好だ。OPEC諸国は計画通りの供給引き上げに苦慮しており、生産を拡大できる余力のある産油国は限られていると、UAEのマズルーイ・エネルギー相は述べた。
マズルーイ氏は8日、ヨルダンでの会議で「今の石油消費ペースでは価格はピークにはほど遠い。なぜなら中国がまだ戻っていないからだ」と述べ、「中国が戻れば消費は増えるだろう」と続けた。また、新型コロナウイルス禍から需要が完全に回復するのに伴い、世界規模で投資を拡大しなければOPECプラスは十分な供給を確保できないとの警戒感も示した。
さらにロシア産石油・ガスが市場から完全に排除されれば、価格は「これまで見たことのない」水準へと上昇する可能性があるとも述べた。
ワクチンについては、ウイルスにさらされる危険性がある医療従事者らに接種を優先させる一方、一般人を対象にした大規模な接種は必要ないと強調した。WHOによると、サル痘は軽症で済む例が大半。
米国、英国、ドイツ、フランスが理事会に決議案を提出していた。ウィーン外交筋によると、30カ国が賛成した一方、ロシアと中国の2カ国が反対した。インドなど3カ国が棄権した。理事会で対イラン決議が採択されるのは2020年6月以来。
イランへの圧力が強まっていることに反発し、同国は態度を硬化させている。国営イラン放送によると、イラン原子力庁は8日、IAEAの監視カメラ2台の稼働を停止させたと発表した。イラン側はこれまでに記録したデータも引き渡さない方針で、同国の核開発の実態把握が一段と難しくなるのはさけられない。
核合意の再建交渉の妥結も遠のく公算が大きい。18年に米トランプ前政権が核合意から一方的に離脱し、経済制裁を再開した。これに反発したイランはウラン濃縮など核開発を進め、核合意は事実上、機能不全に陥った。関係国は再建へ協議を重ねてきたが、制裁の解除の範囲などをめぐって折り合えず、交渉は行き詰まっている。
OECDは8日発表した経済見通しで、今年の世界成長率を3%と予想。昨年12月時点の4.5%から下方修正した。加盟38カ国のインフレ率予想は9%付近とほぼ倍増させた。2023年については2.8%への成長鈍化を見込んだ。
OECDは、金融緩和措置の縮小は全ての中銀にとって妥当だとしながらも、ユーロ圏については特に慎重を促した。ユーロ圏の物価上昇は主として供給への圧力を反映したものだと分析した。
「中央銀行はインフレ抑制とパンデミック後の景気回復維持の間で微妙なバランスを取る必要がある。回復がまだ完全でない地域では特にそうだ」と論じた。
チーフエコノミストのローレンス・ブーン氏は記者会見で、新型コロナに続きウクライナ戦争と相次ぐ衝撃に見舞われていることに言及し、一部の国で経済の供給側が完全には回復していないと発言。「これが長引けば長引くほど、世界のサプライチェーンの混乱は長期化し、投資意欲は後退する」と語った。
OECDは、インフレが世界各地で生活水準を低下させ、個人消費を冷え込ませるとともに、企業は将来の生産に対する楽観を後退させていると分析。信頼感へのこうした打撃が投資を妨げ、「今後何年にもわたり」供給の重しとなる恐れがあると警告した。
ただ、1970年代の石油ショックとの類似性はあるものの、世界がスタグフレーションの瀬戸際にあるかどうかについては慎重な見方を示した。
当時に比べると主要国・地域のエネルギー依存は低く、中央銀行の枠組みは堅固で独立性も高いと指摘。新型コロナ禍の影響で消費者の貯蓄は積み上がっているとの見解も示した。
コロナとの共生が進み、旅行などレジャー活動も再開している国・地域では、消費者は中国製のノートパソコンや携帯電話、在宅勤務関連の製品支出を減らしている。これまで中国の輸出を後押しし、2020年のコロナ禍に伴う景気低迷からの持ち直しの原動力となったのがこうした外国での中国製品消費だった。
さらに、米欧では高インフレを受けて家計部門が出費を抑えつつある一方、原材料コストや物流費も高騰しており、輸出業者の利益が圧迫されている。
ジャン氏は、同社顧客の一部が発注先を東南アジア諸国に最近移したと説明。同地域のサプライヤーの供給網が相対的に圧迫されず、より低価格を提示しているという。
マッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は「コロナを発端とする輸出ブームは過ぎ去った」と指摘した。
●市況
日経先物(大証)28243、ダウ先32908、債先149.07、米3.034、独1.3610、仏1.886、西2.469、伊3.434、波6.725、原油122.34、ドル円134.39、墨ペソ19.58、トルコリラ17.1942、墨CDS128
※6/9 9時25分頃
※6/9 9時25分頃
備忘録(6/7)
●ウクライナ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
米司法省は6日、ロシアのプーチン大統領に近い新興財閥オリガルヒの一人、アブラモビッチ氏が所有する航空機2機の押収令状を取得したと発表した。2機がロシアへ飛行したことで、ロシアへの輸出を規制する経済制裁に違反したという。
ウクライナ海軍は6日、ロシアの黒海艦隊をウクライナ沿岸から100キロメートル以上後退させたと発表した。ロシアによる海上封鎖で小麦の輸出が滞っており、ウクライナは第三国の艦船による護衛で黒海から輸出することについて英国やトルコと協議を始めた。ロシア側は7日、激しい戦闘が続く東部ルガンスク州で支配地域をさらに広げたと発表した。
●コロナ
●中国不動産●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
日系自動車大手5社の5月の中国での新車販売台数が7日出そろった。トヨタ自動車は前年同月比1割減で、日産自動車も4割減だった。ホンダやマツダ、三菱自動車を含む5社すべてが前年実績を下回った。上海市のロックダウン(都市封鎖)で部品供給が逼迫した影響が続いたが、4月に比べて減少幅は縮小した。
上海市では新型コロナの感染縮小を受け、約2カ月続いたロックダウンが1日に終わり、サプライチェーン(供給網)の復旧が進んでいる。トヨタやホンダは5月まで生産調整を実施したが、6月に入り正常稼働に戻ったという。中国政府は乗用車購入税の負担を減らすなどの消費喚起策を打ち出しており、6月以降、各社の販売は回復に向かう可能性がある。
中国汽車工業協会の予測では、中国全体の5月の新車販売台数は前年同月比17%減となり、4月の48%減から改善したもようだ。
7日のターゲット発表によれば、今四半期(5-7月)の営業利益率は約2%になり、5月18日時点での予想を大きく下回る。当時は5.3%前後の広いレンジを予想していた。今年下期に約6%に上昇すると同社は予想している。株価は一時9.5%下げて144.54ドルとなった。
ターゲットは余剰在庫を処分し、「輸送および燃料コストの異例な高騰」による影響に対応し一部の価格を調整する意向も明らかにした。「米港湾近くでの保管能力」を段階的に増やすことで柔軟性を拡大し、サプライチェーンの目詰まり問題に対応する方針だという。
ウォルマートやターゲットなど主要 6 社平均の 2022 年2~4 月期の在庫回転日数は 68 日と前年同期から 1 割増え、16 年以降で最高水準だ。新型コロナウイルス禍で供給網の混乱が続くなか、各社とも先回りして取扱商品の調達に走ったが、店頭でさばききれていない。高インフレによる消費抑制が直撃し、対策が裏目に出た格好だ。
●マクロ・その他
7日の理事会で、政策金利を0.5%引き上げ、年0.85%にすると発表した。8日に実施する。利上げは5月に続き2会合連続で、上げ幅は同月の0.25%の2倍に拡大した。消費者物価指数(CPI)の上昇率がほぼ20年ぶりの高水準になっており、インフレ抑制に力を入れる。
ロウ総裁は7日の声明で「これから数カ月間、豪州の金融正常化を進める過程でさらに手段を講じることになるだろう」と述べ、利上げ方針の継続を示唆した。
ロウ氏は声明で「電力・ガス料金の上昇、ガソリンの値上がりで1カ月前の予測よりもインフレが進みそうだ」と指摘した。豪統計局によると1~3月期のCPI上昇率は前年同期比5.1%で、01年以来の高さだ。
価格変動の大きな食料品、エネルギーを除くコアインフレ率に相当する「刈り込み平均値」も1~3月期は同3.7%上がった。中銀の政策目標(2~3%)を上回る。ロウ氏は「きょうの利上げ(の決定)の目的はインフレ率が長期で政策目標の範囲内に戻るようにするためだ」と説明した。
ブラジルレアルが対ドルで上昇基調で推移している。1ドル=4.7レアル前後と、5月上旬からは1割ほどレアル高・ドル安の水準にある。ブラジルが豊富に抱える国際商品の値上がりに加え、主要な輸出先である中国が追加減税に動いて経済減速の懸念が後退したためだ。
EU内で販売される電子機器について充電機器の端子を「USBタイプC」とするよう義務づける。米アップルのスマホ「iPhone」も対応を迫られる。
対象となるのは、スマホなど携帯電話のほか、タブレットやデジタルカメラ、ゲーム機、キーボードなど幅広い電子機器だ。規制はEU内で効力があるが、日本を含む他の地域でも標準となる可能性がある。
さらに消費者が製品を購入する際に充電器の付属の有無を選べるようにする。ワイヤレス充電についても規格の統一に取り組む方針を確認した。
世界銀行は7日公表した経済見通しで、2022年の世界経済の実質成長率を2.9%とし、前回1月時点から1.2ポイント下方修正した。新型コロナウイルス禍からの持ち直しで5.7%の高成長だった21年から減速する。ロシアのウクライナ侵攻による混乱やインフレの長期化を反映した。23年見通しも0.2ポイント低い3.0%とした。
22年の見通しはウクライナ危機の影響が大きいユーロ圏が2.5%と、1.7ポイントの大幅な下方修正になった。米国は2.5%、日本は1.7%とそれぞれ1.2ポイント下げた。
新興国全体は1.2ポイントの下方修正で3.4%とした。世銀のマルパス総裁は同日の記者会見で、低所得国が発電に使う天然ガスや肥料の不足に直面していると指摘した。「多くの国で景気後退を避けるのが困難になっている」とも説明した。
各国で歴史的な水準に達したインフレ率は23年には緩やかになるが、多くの地域で物価目標を上回ると分析した。高止まりが続くと一部の新興国では金融危機が起きるリスクがあり、急激な世界的景気後退につながりかねないと警鐘を鳴らした。
マルパス総裁は7日公表した世界経済見通しの前文で、「世界経済は再び危険な状態にある」と指摘。「高インフレと低成長に同時に見舞われている。世界的リセッション(景気後退)が回避できたとしても、大幅な供給増加が始まらなければスタグフレーションの痛みは数年続く可能性がある」と分析した。
世銀は今年の成長率を2.9%と予想。4月時点では3.2%、1月時点では4.1%と見込んでおり、予想の引き下げが続いている。エネルギーおよび食料価格の高騰、ロシアのウクライナ侵攻に伴う供給混乱、世界の中央銀行による過去最低水準からの金利引き上げが背景にある。
マルパス総裁は「多くの国にとってリセッション回避は難しいだろう」とし、過去2年の負の衝撃は開発途上国・地域の約40%で23年の国民1人当たり実質所得が新型コロナ前の水準を下回ることを意味すると付け加えた。
新興国や途上国・地域の負債水準が過去数十年で最高となっているため、「世界的な借り入れコスト上昇と自国通貨の為替レート下落が1980年代初期のような金融危機を引き起こす恐れがある」と世銀は指摘した。
現在の高インフレをもたらしている供給サイドの主要ファクターのうち、3つの指標が既にピークを打ったとみられ、世界の消費者が待ち望むインフレ減速が間近に迫っている可能性がある。
その3つとは半導体価格、コンテナ輸送のスポット(随時契約)運賃、北米の肥料価格だ。
ノート型パソコン(PC)や自動食洗機、LED電球、医療機器など多様な電子機器完成品の将来コストの目安となる半導体価格の指標は現在、2018年7月のピーク時の半分まで下げており、昨年の年央時点の水準を14%下回っている。
シカゴのアパレルやシンガポールの高級品、欧州の家具・インテリアの流通経路での費用の目安となるコンテナ輸送のスポット運賃は、過去最高を記録した昨年9月から26%下げている。
世界の食料品価格上昇の先行きを示す北米の肥料価格は3月の過去最高値を24%下回っている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のアジア調査責任者クーン・ゴー氏は「世界の一部地域のインフレはまだピークに達していないものの、年間インフレ率が下がり始める転換点がそれほど遠い先ではないことを示す少なくとも幾つかの兆候がみられる」と指摘した。
中国の生産者物価指数(PPI)の上昇率は昨年10月にピークを付けた後、鈍化している。エコノミスト予想によると、5月のPPIは前年同月比6.5%上昇と、4月(8.0%)を下回る伸びにとどまる見通し。
これは世界的な輸入インフレの緩和を示唆する有望な兆候だとゴー氏は分析。購買担当者指数(PMI)のコンテナ輸送運賃が下落し、サプライヤー納期が改善したことは供給面のボトルネック緩和を示しており、年内に物価圧力は抑制されるだろうと説明した。
南米チリの中央銀行は7日、政策金利を0.75%引き上げて9%にすると発表した。利上げは8会合連続。決定は全員一致だった。ロシアによるウクライナ侵攻もあり「世界での価格上昇はより広範囲で、持続的になっている」と判断しており、金融引き締めを一段と進めた。
サル痘は手や顔に特徴的な発疹のほか、発熱、頭痛、リンパ節の腫れといった症状が出る。更新された警告でCDCは、旅行者には病気の人や発疹が出ている人との濃厚接触を避けるよう勧告した。一般市民へのリスクは低いとしている。
CDCは欧州や北米、南アメリカ、アフリカなどの29カ国で1019人の感染者が確認されていると指摘した。現時点で最も感染者が多いのは英国(302人)。スペイン(198人)とポルトガル(153人)と続く。北米ではカナダで80人、米国で30人の感染が確認されている。
●市況
日経先物(大証)28110、ダウ先32097、債先149.30、米2.988、独1.3000、仏1.821、西2.466、伊3.511、波6.560、原油119.66、ドル円132.82、墨ペソ19.59、トルコリラ16.8395、墨CDS127
※6/8 9時15分頃
※6/8 9時15分頃
備忘録(6/6)
●ウクライナ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●マクロ・その他
バイデン米政権はウクライナ東部で攻勢を強めるロシア軍に対抗するため、射程や機動性を大幅に向上させる米製のロケット砲システムをウクライナに供与すると決めた。プーチン大統領の激しい反発は戦況を変える「ゲームチェンジャー」になり得る新兵器がウクライナに渡ることへの危機感を映す。
プーチン氏はウクライナで核爆弾を使用しなくとも、すでに核の秩序を乱している。同氏の脅しを受け、北大西洋条約機構(NATO)は提供する支援を制限した。これは2つの危険を示唆している。それらは、ロシアが軍事作戦を展開するなかでかき消されがちだが、懸念は高まる一方だ。
1つ目の危険は、ウクライナの目を通して世界を見ている無防備な国々が、核武装した侵略国に対する最善の防衛策は自らも核を保有することだと考えるようになることだ。もう一つは、他の核保有国が、プーチン氏の戦法をまねるのは得策だと確信するようになることだ。そうなれば、どこかで誰かが必ずや脅威を現実のものとするだろう。それがこの戦争の負の遺産として残ってはならない。
インドはロシア産石油の輸入拡大を図る。調達計画に詳しい関係者が明らかにした。ロシアとの取引が世界的に敬遠される中、インドの国営石油精製企業はロシアの石油会社ロスネフチからの大幅な値引きを狙っている。
情報が非公開だとして匿名を条件に応じた関係者の情報によれば、国営精製企業はロシア産原油の6カ月供給契約の成立を巡り協力して取り組んでいる。合意が成立した場合、既存契約とは別に追加供給分となる。
インドの石油精製企業はインド石油会社やヒンドゥスタン石油、バーラト石油といった国営企業に加え、リライアンス・インダストリーズやロスネフチが一部所有するナヤラ・エナジーなど民間企業もある。調達活動は国営、民間いずれの企業も個別に行っている。国営大手3社の広報担当者にコメントを求めたが直ちに返答は得られなかった。
●中国不動産●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米格安航空会社ジェットブルー・エアウェイズは同業スピリット航空に対する買収案を改善し、違約金の条項を3億5000万ドル(約458億円)に引き上げたほか、現金前払い分を増やした。スピリットは既にフロンティア・グループ・ホールディングスへの身売りで合意しており、スピリットの株主は数日内に同合意に関して採決する予定。
6日のジェットブルー発表によると、今回の修正案により、ジェットブルー側が支払う違約金は1億5000万ドル引き上げられ、両社の買収が採決で承認された「直後」に現金配当として約1億6400万ドルの支払いが可能になる。フロンティアもこれより先、スピリットとの合意が反トラスト法(独占禁止法)上の理由で破棄となった場合に2億5000万ドルの違約金を支払うとの条項を合意に追加していた。
ジェットブルーは全額現金による買収案の引き上げでスピリット株主の支持拡大を目指している。スピリット株主は6月10日にフロンティアとの合意案について採決する。
●その他産業●マクロ・その他
メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)が6日発表した5月の自動車生産台数は27万5436万台と前年同月比15.2%増えた。2カ月ぶりに前年同月の水準を上回った。半導体不足で停滞していた自動車の生産台数が回復しつつある。
調査対象の13社のうち8社が前年同月を上回った。米ゼネラル・モーターズ(GM)が28.5%増の5万6638台だったほか、米メルセデス・ベンツグループも9.6%増の9173台だった。日本企業ではトヨタ自動車が45.3%増の2万7463台だった。日産自動車は12.6%減の3万7772台だった。
販売台数は5月に前年同月比5.2%増の9万1215台だった。5月の輸出台数は24万4643台と前年同月比で1%増えた。
メキシコのロペスオブラドール大統領は6日、記者会見で「米州首脳会議には出席しない。全ての国が招待されなかったからだ」と述べた。米政府は民主的ではないとして南米ベネズエラと中米ニカラグア、カリブ海の社会主義国キューバを米州首脳会議に招待しない考えを示していた。
メキシコからはロペスオブラドール氏の代わりにエブラルド外相が会議に出席する。メキシコの決定を受け、他の中南米の国も直前で首脳が出席しない判断を下す可能性がある。ロペスオブラドール氏は6日、7月に別の機会として米国を訪問し、バイデン米大統領と会談して北米と中南米諸国の結束を呼びかけたい考えを示した。
これらの「三重苦」にはそれぞれ解決方法があり、日銀の政策修正、原子力発電所の再稼働推進、インバウンドの全面解禁がそれにあたる。しかしどれも政治面などのハードルが高く、すぐに実現する可能性は低い。三重苦は当面続くと構えておいた方がよさそうだ。
中国での新型コロナウイルスの感染急増を受け、大規模なPCR検査の実施など「ゼロコロナ政策」による政府の費用負担が膨らんでいる。財政の悪化で公務員のボーナスが削られた地方もあり、習近平(シー・ジンピン)指導部が維持する同政策への不満も募っている。
中央アジアのカザフスタンで5日、憲法改正案の是非を問う国民投票が実施された。カザフ中央選管が6日発表した暫定結果によると改憲への賛成票は約77%で、憲法改正は承認された。
憲法改正では、初代大統領であるナザルバエフ前大統領の特別な地位に関する条文を憲法から削除した。大統領の近親者が政府関連機関の要職につくことも禁じた。他には死刑の廃止など多岐に及ぶが、主には大統領に権力が集中していたことへの国民の不満を解消する狙いとみられる。
中南米各国がインフレ対策に悪戦苦闘している。ブラジルが食品などを対象に輸入関税を一時撤廃する対象を増やしたほか、メキシコは穀物増産のために肥料を無償供与する地域を拡大した。米国が利上げを本格化する中でのドル高・中南米通貨安の懸念から、インフレが加速しかねない状況にある。
中南米各国ではインフレが加速している。4月の消費者物価指数の上昇率はブラジルが年率12.13%と、18年半ぶりの高い上昇率となった。メキシコは7.68%と、約21年ぶりの水準だ。国際的なインフレ圧力に加えて、国内の天候不順も農作物の価格上昇につながっている。
ペルーは鶏肉やパンなど主要食材5品目にかかる一般売上税(IGV)18%の適用を7月末まで免除しているほか、チリは公共交通機関の料金引き上げを年内は凍結すると決めた。
中南米では21年から利上げに動いてきた中銀が多いが、政策金利がインフレ率を上回る国も出始めている。利上げが経済見通しの悪化にもつながってきている。ブラジル中銀は「6月と8月に0.5%ずつ利上げを実施して停止する」(金融大手イタウグループ)との見方が増えている。金融引き締めの余地が乏しくなるなか、各国は財政政策に頼らざるをえなくなってきている。
中南米の通貨は年明け以降は比較的堅調に推移してきたが、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ姿勢を強めるなかで下押し圧力を受けている。歳出拡大による財政健全化への懸念が膨らめば、一段の通貨安がインフレにつながる恐れもある。
ジャン・ハッチウス氏らエコノミストは、労働市場に若干の軟化の兆候が見られる一方、サプライチェーンへの圧力改善に伴いコアインフレは鈍化しているようだと分析した。
エコノミストらはその上で、インフレの数字改善と労働市場の一定の調整により、米経済を今後数年でリセッションに追い込むほどの金融政策引き締めを迫られるリスクは低下したとの認識を示した。
アクサ・インベストメント・マネージャーズのマクロ経済調査責任者、デービッド・ページ氏は「どの程度の政策引き締めが必要かの目安として金融環境に注目している」とした上で、「しかし標準となる目安がない」と指摘した。
パウエル議長は5月のFOMC後に行った記者会見で「金融環境」という言葉を繰り返し用いた。金融環境が十分に引き締まらなければ利上げを続ける必要があると論じた。
議長が利上げの終着点を示唆しようとしていることは明らかだが、その終着点を定義することは当局者にとっても難しい。
5月の財新中国サービス業購買担当者指数(PMI)は41.4と、エコノミスト予想中央値の46に届かなかった。活動拡大・縮小の分かれ目は50で、4月の36.2からは上昇した。
財新智庫の王喆シニアエコノミストは発表資料で、「中国のコロナ感染が依然としてサービス活動に大きな重しとなり、5月の数値は2020年2月以降で2番目の低水準だった」と指摘。「コロナ感染再拡大の懸念が一部であるものの、企業経営者は全体としてコロナが抑制されると引き続き確信している」とコメントした。
備忘録(6/3-5)
●ウクライナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●マクロ・その他
ロシア軍は5日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)周辺にミサイル攻撃を実施した。ロシア国防省は同日、この攻撃で東欧がウクライナに供与した戦車などを破壊したと主張した。キーウのクリチコ市長は市内2カ所で爆発が起きたと通信アプリで伝えた。死傷者などの詳しい状況はわかっていない。
ロイター通信によると、キーウへのミサイル攻撃は4月下旬以来という。ウクライナ軍はロシア軍がカスピ海から巡航ミサイル5発をキーウに向けて発射し、うち1発を迎撃したと説明した。
ロシア軍は最近、東部への攻撃を集中させていたが、米欧から供与された強力な武器の破壊などにも力を入れている可能性がある。
ウクライナ軍が東部へ戦力を集中させないように、キーウなどを再び攻撃することで、戦力を分散させる狙いも考えられる。
ウクライナ側によると、キーウへのミサイル攻撃で爆発と火災が発生した。攻撃を受けたのは鉄道関連施設で、兵器は収容されていないと主張し、ロシア側の説明に反論した。
ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事は4日、要衝セベロドネツク市で「市街戦が続いている」と明らかにした。同氏はウクライナ軍がセベロドネツクで約2割を奪還したと表明しており、ロシア軍が完全制圧をめざす東部で一進一退の攻防が続いている。
同州はロシア軍が9割以上を占拠している。ガイダイ氏はあと2週間でロシア軍が同州を完全制圧するとした英国防省の予測を否定し、西側諸国の兵器が十分に届けばロシア軍をさらに撃退できるとの見方を示した。
英国防省は4日、ロシア軍による東部ドンバス地方での爆撃で「市街地が広範囲に破壊され、かなりの巻き添えや民間人の犠牲が出ている」との分析をまとめた。ロイター通信は3日、セベロドネツク近郊で同社の記者2人が車で移動中に銃撃を受けて負傷し、運転手が死亡したと伝えた。
ロシア軍がウクライナ東部地域の完全掌握を目指して攻勢を強めている。英国防省は3日「ロシア軍は東部ルガンスク州の完全制圧をあと2週間で達成しそうだ」と分析した。ウクライナ側の抵抗も激しく、長期戦の様相を呈している。
●コロナ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
「各社の企業価値は手に負えない水準に上がっていた。半年から1年の間に資金が枯渇するスタートアップがでてくる。多くの起業家の警鐘になるだろう」
米グーグル幹部からソフトバンク(現ソフトバンクグループ)に転籍。一時は孫正義氏が「後継者」に指名したニケシュ・アローラ氏に昨今のハイテク株下落の影響を聞くと、こんな答えが返ってきた。
●その他産業クラーク氏は1999年のアマゾン入社以来、23年間にわたり物流やロジスティクスの分野で経験を重ねた。2021年からは現職で、コロナ下で急増したネット通販需要に対応した倉庫や物流システムの規模拡大を指揮。直営の通販や外部事業者が出店する「マーケットプレイス」、有料会員サービス「プライム」から実店舗まで統括してきた。
●決算関連●マクロ・その他
ロシアのウクライナ侵攻や中国の厳格な新型コロナウイルス対策の影響で、海上輸送の混乱が続いている。海運市場が映すモノの流れや世界経済の現状はどのようなものか。日本の海運大手3社が共同出資するコンテナ船事業会社オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)のジェレミー・ニクソン最高経営責任者(CEO)に聞いた。
バイデン米大統領の就任後初の中東訪問となるサウジアラビア訪問が7月に延期されると報じた。6月下旬の欧州訪問に合わせたサウジ入りを模索していたが、分けることで余裕を持って調整ができると判断したという。サウジとともにイスラエルも訪れる見通しだ。
バイデン氏は6月下旬、ドイツで先進7カ国首脳会議(G7サミット)、スペインで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席する。米メディアはバイデン氏がこれに合わせた中東訪問を検討したと伝えていた。
ロシアのウクライナ侵攻もあって世界的にエネルギー価格の高騰が続いている。バイデン氏は人権問題などで関係が冷え込んだサウジのムハンマド皇太子らと直接会談して関係改善を図り、石油のさらなる増産などにつなげたい思惑とみられている。
イエレン米財務長官は4日、バイデン米政権の財政支出計画を縮小するよう求めていたとの報道について、声明を通じて否定した。そのうえで「(新型コロナウイルス対策の財政支出は)2021年以降の力強い成長を後押しするうえで中心的な役割を果たした」と主張した。現政権の政策が高インフレを招いたとの批判は根強く、早めの火消しに動いた。
米ブルームバーグ通信は3日、イエレン氏に関する書籍から引用する形で報じた。書籍は米ジャーナリストのオーエン・ウルマン氏が執筆し、9月に発売予定という。バイデン米政権が21年春に推進した1兆9000億ドル(約240兆円)規模の巨額財政支出「アメリカン・レスキュー・プラン」について、イエレン氏は当初、3分の1の規模に縮小するよう求めていたとしている。
巨額の財政支出を巡っては当時、サマーズ元米財務長官が高インフレを招くとして批判していた。ブルームバーグによるとウルマン氏は書籍で「イエレンはサマーズと、過剰な政府資金が急速に経済に流れ込んでいるとの認識で一致していた」と記した。イエレン氏は4日の声明で「より小さなアメリカン・レスキュー・プランの採用を促したことはない」と反論した。
高インフレに対する米国民の不満は大きく、バイデン政権の支持率低下につながっている。インフレ懸念が政権内部から出ていたにもかかわらず、財政支出を推進していたとすれば、バイデン氏への批判は一段と高まりかねない。5月下旬、米テレビCNNのインタビューに応じたイエレン氏は、「インフレ見通しについて私は間違っていた」などと発言していた。
さまざまな経済統計が新型コロナウイルスによる乱高下から落ち着き始めた米国で、元の姿と異なったままの「断層」が目立ち始めた。その一つが職探しをしない非労働力人口だ。コロナ前から400万人ほど増えたまま、働かない米国人はざっと1億人に上る。その存在は米国経済の「コロナ後」の停滞を示唆している。
19年12月に9550万人だった非労働力人口は20年4月に初めて1億人を突破したあとも高止まりを続けている。22年5月は9930万人。戻りは極めて緩慢だ。これはコロナ禍で退職し、そのまま職探しもしなくなった人が多いことを示している。
カンザスシティー連銀は5月に出したリポートで、その原因追究に挑んだ。移民の減少や人口構成の変化など様々な要因を取り除いたところ、浮かび上がったのが働かなくなった「65歳以上」の存在だった。
20年4月から21年末にかけて学校や保育所が再開し、親たちが仕事に復帰し始めた。ワクチンの普及も進み、22年からは経済再開が本格化した。プライムエイジと呼ばれる働き盛りの労働参加率が回復するなか、仕事に戻れるはずなのに戻らない200万人のうち7割近くを65歳以上が占めるという。戦後から60年代前半に生まれたベビーブーマー世代が早期退職した可能性がある。
浮かび上がるのは「老いる米国」だ。米国の非労働力人口は19年末までの20年間で4割増えている。コロナ禍の前は増加傾向が収まっていたが、それが再び加速した。もともと65歳以上の人口は19年までの10年で3割増えており、フロリダ州やウェストバージニア州では5人に1人が65歳以上だ。
90年代に3%を超えていた米国の潜在成長率は、米議会予算局(CBO)が5月に出した経済見通しでは22~26年に1.9%と低迷する。労働力の押し上げ効果が1.2ポイントから0.3ポイントまで落ち込む影響が大きい。
「移民は解決すべき米国の問題ではない。移民こそが米国の問題に対する解決策だ」。調査団体の全米移民フォーラムはこう訴えるが、移民の急速な増加は政治的な問題をはらむ。
米国経済は約40年ぶりのインフレ抑制が課題で、米連邦準備理事会(FRB)の利上げがその後に景気後退を呼び込むことも懸念されている。コロナ禍前に話題になった長期停滞論は話題から消えた。だが中長期的にみた経済の構造変化は水面下で着々と進んでいる。
中道右派の改革党を率いるカラス首相が、教育改革を巡る対立などから連立を組む中道左派の中道党の閣僚らを解任し、別の政党と新たな連立政権を組むと明らかにした。地元メディアが報じた。
ロシアに対して強硬姿勢を取るカラス氏は同日、フェイスブックに「共通の価値観に基づいた機能的な政府がこれまで以上に必要だ。欧州の安全保障の状況は、中道党と協力関係を継続する機会を与えてはくれない」と投稿した。
5月の非製造業(サービス業)景況感指数は55.9で、前月から1.2ポイント低下した。2カ月連続の低下で、2021年2月以来、1年3カ月ぶりの低さとなった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(56.7程度)を下回った。
「事業活動・生産」が54.5で4.6ポイントの大幅下落となった。一方、「新規受注」は57.6で3.0ポイント、「雇用」は50.2で0.7ポイント上向いた。「(仕入れ)価格」は82.1と過去最高だった前月から2.5ポイント低下したが、依然として高かった。
ISMは「労働力不足は依然深刻で、物価上昇も続いた」と指摘した。新型コロナウイルスの流行とロシアのウクライナ侵攻による事業環境の混乱の影響が残っているという。
回答企業は「求人が求職者数を上回り、空きが埋まらない。離職も記録的なペースで続いている」(専門・科学・技術サービス分野)、「供給不足や輸送の遅れ、価格上昇が相まって納期を守れない」(公益分野)などとコメントした。
統計では雇用主が必要な労働者を確保できていることが示された。賃金の伸びが2021年の大半で見られたような、より急速な増加ペースから鈍化したため、米経済はソフトランディングが可能との安心感が広がる可能性もある。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「米金融当局は複雑な思いだろう。失業率の低位安定と労働参加率の上昇、賃金上昇が和らぐ可能性は歓迎するが、インフレを目標水準に確定的に戻すには経済がなお過熱していることを懸念しているだろう」とリポートで指摘した。
ブラックスワン的なイベントに備えるファンド(ブラックスワン・ファンド)を運用する米ユニバーサ・インベストメンツを創業したマーク・スピッツナーゲル最高投資責任者(CIO)は、金融システムには「人類史最悪のクレジットバブル」が迫っていると警告する。
「このクレジットバブルが破裂すれば、誰も聞いたことのないような大惨事に市場は見舞われる。これが起きないことを祈ろう」とスピッツナーゲル氏は3日の電話インタビューで述べた。「私たちは自ら厳しい位置に来てしまった」と語った。
スピッツナーゲル氏は自分は「終末的な悲観論者」ではないと言う。かねて中央銀行によるゼロ金利政策、もしくはマイナス金利政策に異論を唱えてきた同氏は、こうした政策が資産価値をかさ上げし、過剰な借り入れを奨励したと主張してきた。現在の金融当局は世界的に、高まるインフレを相手に金融引き締めで闘っている。
スピッツナーゲル氏は米国債や金といった従来式の質への逃避先について、今年は投資家を裏切り、痛みを深刻にしたと指摘。2021年の著書「セーフヘイブン」では、米国債と金はいずれもリスク軽減と整合しないと論じている。
2007年に創業したユニバーサには、ベストセラーとなった著書「ブラック・スワン」で2008年の金融危機を予言したナシーム・ニコラス・タレブ氏が助言している。同社はリスクを最小化することに特化した純然たるヘッジファンドで、特異な相場急落に備え資本を保全することをうたう。ブルームバーグが入手した書簡によれば、2020年3月にはオプション取引で3612%のリターンを上げたと顧客に述べている。
新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われていた中国がロックダウン(都市封鎖)を解除し、ドルがピークに達したとトレーダーらが見込む中で、リスクに敏感なアジア通貨・株式の一部に投資家の関心が戻っている。
中国の経済活動再開はアジアを巡る地合いを大きく好転させた。こうした動きがサプライチェーンの混乱を緩和し、商品需要を刺激すると投資家が考えているためだ。すでにドルが上限に達しているのではとの観測も支えとなり、ゴールドマン・サックス・グループやフィデリティ・インターナショナルなどは新興国市場のポートフォリオでアジア関連資産の強化を探っている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のアジア調査責任者クーン・ゴー氏は、ドル安や上海の制限緩和、予想を上回る中国購買担当者指数(PMI)などの要因が今週のアジア通貨高を支えたと指摘。「株式投資に最も敏感な韓国ウォンと台湾ドルが最も恩恵を受ける立ち位置だ」と述べた。
マラヤン・バンキングの通貨ストラテジスト、ヤンシー・タン氏は「米国の成長に対する一定の懸念と若干不安定な米統計が、最終的に米連邦準備制度が実現し得るタカ派スタンスの程度に対する疑念を増幅させる可能性があり、当面のドル高を抑制するのに寄与するかもしれない」と語った。
21年の加盟国の国内総生産(GDP)は計7.7兆ドル(約1000兆円)と世界の8%を占める。
21、22年は4.3~4.5%と過去10年の平均の成長に近い水準を取り戻す見通しだ。成長はさらに上振れる可能性がある。OIC経済のけん引役であるサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などの有力産油国が原油高の大きな恩恵を受ける可能性が高いためだ。
サウジが改革の目玉のひとつとして掲げるのが観光業だ。メッカとメディナという2つの重要なイスラム聖地をかかえるため、信者の巡礼にからむ観光業の発展に大きな期待を寄せる。
もっとも、OICが1つの経済圏として発展するには一体性を欠いているといわざるを得ない。例えばイスラム諸国が集まる北アフリカ地域。アフリカ開発銀行は、同地域のGDPは統合の欠如で2~3%押し下げられていると推計している。高関税や紛争で域内の貿易は伸びない。OICの貿易に占める域内取引の割合はわずか19.5%だ。
OICの加盟国の経済的な実力はばらばらだ。インドネシア、トルコ、サウジアラビア、イラン、ナイジェリアの上位5カ国でOIC全体のGDPの半分以上を占めている。外国直接投資(FDI)のシェアではアラブ首長国連邦(UAE)とインドネシアの2カ国だけで全体の4割近くを占める。
現実には政治対立の壁が立ち塞がる。中東アフリカ地域は世界で最も紛争が多い不安定な地域の一つだ。大きな影を落とすのはイスラム教スンニ派の盟主サウジアラビアとシーア派のイランの覇権争いである。
イランの核の脅威を封じ込めるために結ばれた2015年のイラン核合意。米国のトランプ元大統領が18年に一方的に離脱し、これに反発したイランが原子力活動を広げ、事実上の機能不全に陥った。封じられていた対立がこれによって吹き出した。
バイデン米政権は核合意への復帰を目指し、今年初めには再建合意の一歩手前まで進んだが、ロシアによるウクライナ侵攻で再び議論が宙に浮いてしまった。ロシアは英独仏中とならぶ重要な当事国の一つだが、核合意再建後の取引について、対ロ制裁の適用除外とするよう要求し、議論が混乱した。
シリアやイエメンの内戦ではイランとサウジが代理戦争を繰り広げる。両国が政治的な影響を競うレバノンは経済が崩壊状態にもかかわらず、政治対立で必要な改革が進まない。イランとサウジは水面下での対話も模索するが、相互の不信感は根深い。
バイデン政権の政策の優先課題は中国の権威主義との戦いだ。加えてウクライナ紛争の長期化で、中東問題にかつてのような外交資源を割くことは難しくなるかもしれない。
米国が"撤退"した跡を中国やロシア、インドなどが埋めようとするが、その行動はしばしば機会主義的だ。自国の利益を重視して対応を変えるため、対立の仲介、紛争予防、持続可能な発展に向けた改革の支援などは後回しにされる恐れがある。
リビア最大のシャララ油田が約2カ月の操業停止を経て、生産を再開した。石油輸出国機構(OPEC)加盟国のリビアがフル生産に近づく可能性がある。
ブルームバーグの集計データによると、多くの主要石油施設が抗議活動に巻き込まれたことで、リビアの5月の原油輸出は平均日量71万9000バレルと、年初の約120万バレルから大きく減少していた。
イタリアの石油天然ガス会社ENIとスペインの同業レプソルは、欧州連合(EU)の禁輸対象となるロシア産石油の供給を埋め合わせるため、ベネズエラ産原油の欧州向け積み出しを7月にも開始する可能性がある。
米国務省が欧州向け積み出し再開を書面で両社に許可したとロイター通信に関係者が明らかにした。両社の引き受けが見込まれる原油の量は多くなく、国際原油価格への影響も軽微と予想されるという。
ロイターによると、国営ベネズエラ石油 (PDVSA)と合弁事業を行うENIとレプソルは、積み出す原油を未払い債務などに反映させることができる。「仕向け地は欧州である必要があり、他の場所に転売できない」という条件が付くと関係者の1人はロイターに語ったという。
●市況
日経先物(大証)27745、ダウ先32888、債先149.52、米2.941、独1.2605、仏1.788、西2.431、伊3.377、波6.652、原油120.26、ドル円130.88、墨ペソ19.56、トルコリラ16.4200、墨CDS126※6/3NY引け値
備忘録(6/2)
●ウクライナ
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●マクロ・その他
●市況
日経先物(大証)27675、ダウ先33270、債先149.71、米2.924、独1.2320、仏1.751、西2.348、伊3.251、波6.580、原油117.13、ドル円129.99、墨ペソ19.55、トルコリラ16.4860、墨CDS126
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
4-6月(第4四半期)の業績見通しを引き下げた。当局への届け出によると、売上高は519億4000万-527億4000万ドル(約6兆7400億-6兆8400億円)を見込む。従来予想は最大532億ドルだった。
マイクロソフトは業績見通しの修正について「第4四半期の不利な為替レートの動きによる影響を投資家に理解してもらうため」と説明。同社は為替変動が同四半期売上高に与える影響を4億6000万ドルとみている。
●決算関連●マクロ・その他
「歴史的に見ると、こういう局面だと次は必ず中国との関係に問題が生じる」。3代にわたる独裁体制の歴史に詳しい北朝鮮筋は、「蜜月」といわれる中国と北朝鮮の関係について行方をこう占う。
北朝鮮が中国依存を深めればその分、中国による北朝鮮への影響力が強まっていく。染みついた旧宗主国への警戒心がある。
米国とその他の主要先進国は景気後退に陥るのか――。5月に開かれた世界経済フォーラム(WEF)の今年の年次総会(通称ダボス会議)でこの疑問が出たのは当然だ。
だがこの問いは、少なくとも米国に関する限り正しくない。正しい問いはこうだ。米国は1970年代のスタグフレーションによく似た高インフレ低成長時代に向かっているのか、もしそうならばどうなるのか、だ。
2022年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比で1.7%増となった。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の影響は限られ、経済活動の回復でサービス業は堅調で、資源価格の上昇で輸出が増えた。
プラス成長は5四半期連続。21年10~12月期(1.6%増)とほぼ横ばいだった。前四半期比では1%増だった。遡及修正されて、前四半期比では3四半期連続のプラス成長となった。
前年同期比の項目別では輸出が8.1%増、家計消費が2.2%増と伸びた一方で、設備投資など固定資本形成は7.2%減に落ち込んだ。主力のサービス業は3.7%増、農牧畜業は干ばつや大雨が響いて8%減となった。
1~4月の輸出額は1014億ドル(約13兆2000億円)と、前年同期比で24%増となった。大豆や鉄鉱石など1次産品の価格上昇で輸出額全体が伸びている。
インフレは加速しているが、消費は底堅く推移している。ブラジルショッピングセンター協会(ABRASCE)によると、1~3月の販売額は前年同期比の実質で22%増となった。
同協会は「ワクチン接種が進み、ショッピングセンターを訪れる人が増えている」と分析している。22年通年の見通しを上方修正し、販売額は実質で前年比9%増になるとみている。
ただ足元での消費の堅調さは、新型コロナからの回復期なのに加え、政府による現金給付策の拡大や減税策によって支えられている側面も強い。5月前半の消費者物価指数の上昇率は前年同期比で12.20%と、インフレは加速している。中央銀行も利上げを続けており、消費の堅調さの今後の持続性には懸念も強い。
ブラジル経済省は22年通年の実質経済成長率を1.5%と予測している。金融市場では1%程度との見方が多い。中銀は10会合連続で政策金利を引き上げており現状は12.75%と、17年2月以来の高い水準だ。6月と8月の会合で追加利上げが見込まれている。
7月の増産幅を日量64万8千バレルとし、従来の43万2千バレルから拡大する。ロシアの生産がウクライナ侵攻による制裁で落ち込んでいるのを部分的に補い、増産加速を求める米国に一定の配慮を示した。
増産余力を持つサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は対ロ協調を優先し、大幅増産に応じてこなかった。サウジが重い腰を上げたのは、インフレに悩む米国へのメッセージとなる。ジャンピエール米大統領報道官は2日、「新たな市場環境に基づき、供給を日量20万バレル以上増やすとの重要な決定を歓迎する」とコメントした。
RBCキャピタル・マーケッツのヘリマ・クロフト氏は2日のOPECプラス閣僚協議に先立ち「米国がサウジの安全保障上の懸念を解消すれば、取引が成立する可能性がある」と指摘していた。サウジはイエメンの親イラン勢力との戦いで米国の支援が弱いと感じ、米国がイラン核合意の再建を目指していることも警戒する。これらの問題で米国から明確な見返りがあれば、一定の原油増産で応えるとの見立てだ。
もっともロシア1カ国の生産減を完全には穴埋めできない。国際エネルギー機関(IEA)によると、4月のロシアの生産量は計画に対し日量134万バレルの未達だった。欧州連合(EU)が5月末に合意したロシア産石油の禁輸など米欧日の制裁が続く限り、回復は見込みにくい。ほかにもアフリカの産油国なども生産目標割れが続いている。
サウジアラビアが率いる有志連合とイスラム教シーア派武装勢力フーシ派による内戦が続くイエメンで2日、双方が停戦合意を2カ月間延長することで合意した。国連のハンス・グランドバーグ担当特使が発表した。両者は4月に2カ月間の停戦で合意しており、2日が期限だった。
ハンス氏は2日の声明で「当事者が休戦の延長に合意したことを称賛する」と強調した。4月2日に発効した停戦合意後に、フーシ派が支配するイエメンの首都サヌアの空港からカイロ、アンマンなどへの航空便が再開された。「(サヌアに近い)ホデイダ港からの燃料の供給も大幅に増加した」(ハンス氏)という。
今後は停戦合意を本格的な和平合意に結びつけられるかどうかが焦点になる。4月の停戦発効後、国連を仲介としたサウジなど有志連合とフーシ派の対話が進められてきた。だが、内戦は約7年に及び、双方の隔たりは大きい。今回の停戦期間中も小規模な合意違反があったと、双方が相手を非難している。
イエメンでは15年にフーシ派がクーデターを起こし、当時のハディ暫定大統領が逃亡した。サウジが暫定政権の後ろ盾となって軍事介入し、同国と対立するイランが支援するフーシ派との内戦が激しくなった。サウジは4月、ハディ氏を事実上辞任に追い込み、サウジに近いアリーミ氏が大統領権限を委ねられた「大統領評議会」のトップに就いていた。
加盟38カ国の4月の消費者物価指数(CPI、加重平均)の上昇率は前年同月比で9.2%だった。1988年9月以来、33年7カ月ぶりの高水準だ。上昇率は3月より0.4ポイント高く、食品とサービスの上昇が目立った。ロシアのウクライナ侵攻で先行きの不透明感も強まっている。
食品の価格は4月に11.5%上がり、3月より1.5ポイント高い。エネルギー価格の伸び率は32.5%でなお高いが、3月に比べ1.2ポイント下がった。
4月の国別は、加盟する主要国の上昇率が日本2.5%、米国8.3%、ドイツ7.4%など。非加盟国では中国2.1%、インド6.3%などとなった。
欧州連合(EU)の欧州委員会は1日、新型コロナウイルスからの復興を支援する基金からポーランドへ354億ユーロ(約4兆9000億円)の分配を承認した。同国における司法の独立の強化が条件だ。ポーランドは「法の支配」の解釈を巡ってEUと対立。だが、ロシアに侵攻されたウクライナからの避難民を積極的に受け入れ、関係が改善している。
復興基金は新型コロナで打撃を受けたEU加盟国の経済再建を支援する目的で、2020年7月に域内で合意された。総額は7500億ユーロ。ポーランドは分配される資金を再生可能エネルギーの普及など環境分野を中心に使う方針だ。高速通信規格「5G」のインフラ整備や、医療関連施設の近代化も進める。
フォンデアライエン欧州委員長は声明で、復興基金が「ポーランド経済の脱炭素化に大きく貢献する」と説明した。一方、分配を実行するには司法を巡る「明確な取り組みが必要だ」とポーランドに求めた。フォンデアライエン氏は2日にワルシャワを訪れ、同国のモラウィエツキ首相と協議する。
復興基金は多くの加盟国に対し、21年から分配されてきた。だが、欧州委はポーランドへの分配の承認を遅らせていた。
風向きが変わったのは、ポーランドがウクライナ支援で存在感を高めているからだ。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ポーランドはウクライナを出国した避難民のほぼ半数の計360万人を受け入れた。避難民に個人IDを与え、就労も支援する。
EUとの間で、法の支配の問題が解消するかどうかは不透明だ。ポーランドの下院は5月下旬、復興基金の分配を受けるため、懲戒機関の廃止を決議した。だが、同国政府は代わりに新たな機関を設ける計画だ。野党側からは「表面的な対応だ」という批判が噴出する。EUが納得しなければ、復興基金の分配が取り消される可能性もある。
一方、EUによるロシア産原油の全面禁輸に反対し、同国寄りの姿勢を見せるハンガリーに対しては復興基金の分配が承認されるめどが立たない。ハンガリーのオルバン首相とロシアのプーチン大統領は個人的にも親しい。
ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は2日、市場が6月と7月の50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げを織り込んでいるのは「妥当な」道筋に思えると指摘。9月に利上げを「休止するという可能性は非常に低いと思われる」と、米金融専門局のCNBCで述べた。
ブリンケン国務長官は記者会見で、中国について「主にイスラム教徒であるウイグル族のジェノサイド(民族大量虐殺)と弾圧を続けている」と非難した。チベット仏教やキリスト教など他の宗教の信者への抑圧も継続しているとした。
報告書作成を担当したフセイン大使は、中国が新疆ウイグル自治区の収容所の監視に人工知能(AI)や顔認証といった先端技術を使っていると指摘。収容所での死亡や拷問の多数の報告があるとし、中国は信教の自由抑圧の「際だった例」と批判した。
またフセイン氏はロシアに関して、昨年初めて信教の自由抑圧が「特に懸念される国」に指定した後に「方針を転換するどころか、侵害を強化した」と非難した。イスラム主義組織タリバンが制圧したアフガニスタンで宗教の自由が悪化したことも指摘した。
米政府は5月16日にキューバに関する渡航規制の緩和を発表しており、今回の措置はその一環となる。教育や研究、ビジネス支援を目的とするチャーター便などがハバナ以外の都市に渡航できるようにする。ハバナにある空港への航空便の本数も上限を撤廃する。
バイデン米政権は渡航制限以外にもキューバ関連の規制を緩和している。在ハバナ米大使館での領事業務を拡大し、米国籍や永住権を取得したキューバ人が母国から家族を呼び寄せられるようにする。米国からキューバへの送金額の上限を定めていた規制も撤廃している。
ウォルドロン氏は投資家会議で「これは私がこれまでのキャリアで見てきた中で、最もとは言わないまでも、かなり複雑かつダイナミックな環境の1つだ」と発言。「経済システムにこれほどの数の衝撃が同時発生するのは前代未聞だ」と述べた。
ダイモン氏は1日、アライアンス・バーンスタイン・ホールディングスがスポンサーの会合で、「今はそこそこ日当たりが良く、順調で、米金融当局はうまく対処できると誰もが考えている」とした上で、「ハリケーンはすぐそこまで来ている」と発言。「それが小型なものか、『サンディ』のように超大型なのかは分からない。身構えた方がいい」と述べた。
ダイモン氏は、5月の投資家イベントでは米経済に「大きな暗雲」があると述べていたが、米金融当局がインフレとの闘いで向き合う課題を考慮し、その後、予想を更新したと説明した。
JPモルガンとしてはバランスシート面で保守的な姿勢をとることで、この乱気流に備えていると同氏は述べた。
一方で、個人消費の堅調に言及し、賃金の上昇と十分な雇用は経済の「明るい雲」だとも話した。
フィンク氏はインタビューで、米金融当局は経済全体の供給問題を是正する手段を自らは持ち合わせていないとし、市場ボラティリティーは続くと予測した。米経済が環境により優しいエネルギー源に移行することもあり、インフレ率は高止まりする可能性が高いとした。
環境を巡る対応については、企業が今年、温室効果ガス排出に関する情報提供を自発的に拡大していると指摘。「私は環境分野の警察にはなりたくない」とし、こうした役割を「民間部門に求めるのは間違っている」との考えを示した。
欧州連合(EU)の欧州委員会は、19カ国から成るユーロ圏で今年の経済成長率がドイツより低くなるのはエストニアだけだと予測。ロシアからの影響という共通点があるドイツとエストニアのインフレ率はユーロ圏平均よりも高くなる見通し。
1990年の東西ドイツ統一後、国内経済の混乱が続いたドイツは「欧州の病人」とやゆされた。2000年代初頭の低迷から抜け出したきっかけは、地政学的リスクを無視した国内製造業の強化と抜本的な労働改革だった。シュレーダー元首相とその後任のメルケル前首相はロシア産の安価なエネルギーへの依存を強め、独企業に中国で事業展開するよう促した。
資産家で投資家のジョージ・ソロス氏はスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)年次総会で先週、ロシアと中国との関係強化が「ドイツを欧州でベストの経済にしたが、今は支払うべき重い代償がある」と指摘。
同じくダボス会議に参加したドイツのショルツ現首相は「過去に少し不注意だった人もいた」と述べ、こうした懸念を認めているようだ。
「ドイツは今サプライチェーンと輸出市場を急いで分散化する必要がある」とするショルツ首相は「多くの企業がそれを直視しなければならない」と呼び掛け、「ビジネススクールで最初に学ぶこと、つまり全ての卵を1つのかごに盛ってはならないという鉄則に反していたことが多々あった」と話した。
ショルツ首相が就任後初のアジア歴訪でまず訪れたのが日本だった。ベルリンではインドのモディ首相とも会談した。中国訪問はまだのショルツ首相は中国国内の人権侵害疑惑に対する批判を強めている。ショルツ政権はロシアに代わる天然ガスの調達先を確保する取り組みの一環としてカタールとの協議も行った。
ブレイナード氏は米金融専門局CNBCとのインタビューで「現時点でのデータに基づいて市場が6月と7月に0.5ポイントの利上げを織り込んでいることは、妥当な道筋のようだというのが今の私の見方だ」と発言。「休止するという可能性は、現時点では非常に低いと思われる。インフレを当局目標の2%に戻すためにやるべき仕事がまだ多く残っている」と述べた。
同氏は「月間のインフレ指標で減速が確認されない場合、極めて強い需要が少しでも一部減速し始めない場合、同じペースで政策を実施する会合がもう1回あるのは適切かもしれない」と説明。「月間の数字で減速が見られるなら、やや緩やかなペースで政策を進めるのは理にかなう可能性がある」と話した。
FOMCが重視する物価圧力の指標である個人消費支出(PCE)総合価格指数が4月に前年同月比6.3%上昇と、前月を若干下回る伸びだったことについて、ブレイナード氏はピークを付けたと言うのは時期尚早だと指摘。「もっと確信を持てるようになるまで、コアインフレ率で毎月の数字の減速が一貫して続くことに注目していくつもりだ。われわれはインフレ率の押し下げに必要なことを確実に行っていく。それが当局の一番の課題だ」と述べた。
連邦準備制度のバランスシート縮小に関しては、金融状況にどれだけの影響が及ぶかを予測するのは難しいとした上で、2ー3回分の利上げに相当し得るとする一部の試算に言及した。
日経先物(大証)27675、ダウ先33270、債先149.71、米2.924、独1.2320、仏1.751、西2.348、伊3.251、波6.580、原油117.13、ドル円129.99、墨ペソ19.55、トルコリラ16.4860、墨CDS126
※6/3 9時20分頃
備忘録(6/1)
●ウクライナ
ロシア産石油の締め出し加速 英EUがタンカー保険禁止へ
ロシア産の石油を締め出す動きが一段と加速している。欧州連合(EU)は英国と共同でロシア産石油を運ぶタンカーへの保険を禁止する見通しで日本の損保も対応を迫られる可能性がある。禁輸措置と合わせてロシアの輸出は一段と困難になり、制裁効果は高まりやすくなるが、石油の需給はさらに逼迫する懸念もある。産油国連合「OPECプラス」や米国の増産により、ロシア産の減少分を穴埋めできるかどうかも不透明だ。
ロシア国債、利払い「不履行」認定 国際金融団体
クレジットデリバティブ決定委員会は1日、ロシアのドル建て国債の利払いに不履行が生じたとの判断を示した。30日間の猶予期間中に完了した元利金の支払いを巡り、当初の期日から遅れた分の利息が上乗せされなかったのは不払いにあたるとの投資家の主張を認めた。事実上、デフォルト(債務不履行)となる見通しだ。
決定委員会は、支払いの不履行が発生したかとの投資家の質問に対し「発生した」との決定文を公表した。発行時の約束通りに利払いなどが実行されないクレジットイベント(信用事由)にあたるとの判断を示した。
対象は4月4日が償還日だった国債だ。欧米の制裁で元利金を当初支払えなかったものの、最終的に猶予期間中に投資家に渡りデフォルトは避けられたとみられていた。だが一部の保有者が遅延分の金利が払われなかったことを問題視した。●コロナ
香港当局、厳格なコロナ対策を復活-軽症患者も施設で隔離
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米デルタ航空、NYで新ターミナル公開 5200億円投資
主要拠点のひとつであるニューヨーク州のラガーディア空港で新装した旅客ターミナルを報道陣に公開した。同日には2022年4~6月期の業績予想を上方修正し、売上高が新型コロナウイルス禍前の19年4~6月期と同水準に戻る見通しを明らかにした。増加する夏の旅行需要を取り込む。
新たな旅客ターミナルは4日から順次、一般利用を始める。デルタは17年、ラガーディア空港で使用する2つのターミナルを統合する工事を始めた。同空港の運営者であるニューヨーク・ニュージャージー港湾局と提携し、総工事費は40億ドル(約5200億円)にのぼる。新ターミナルは37の発着ゲートを抱える。
デルタは同日、22年4~6月期の業績見通しを上方修正した。従来は19年同期比で3~7%減としていた売上高が同水準に戻るとの見通しを示した。予想通りになれば、新型コロナの感染拡大前の水準を初めて回復する。燃料費の上昇は当初の想定より大きく、1ガロン(約4リットル)あたりの燃料費の想定は約1割引き上げた。
●その他産業
鉄鋼大手も円安に悲鳴、原料コスト増がメリット上回る-利益押し下げ
一時20年ぶりの円安水準に振れた急激な為替変動は、これまで輸出を通じて円安メリットを享受してきた鉄鋼業界にも試練を与えている。地政学リスクを背景に原燃料価格の高騰が同時に進み、これらを海外からの輸入に頼る国内メーカーにとって、輸入コストの増加というデメリットの方が大きくなってきたためだ。
JFEホールディングス(HD)の最高財務責任者(CFO)でもある寺畑雅史副社長は27日のインタビューで、足元の急激な円安進行で鉄鉱石や原料炭などの輸入コストの上昇に拍車が掛かり、同社収益を圧迫していることに警戒感を示した。
寺畑副社長は円安の効果について、「原料高の中で製品輸出での売りよりも原料の買いのポーション(比重)が大きくなり、負担が大きくなっている」と説明。為替変動幅の拡大によって以前より影響度も増しており、今の円安は鉄鋼業にとってむしろ逆風との認識を示した。
輸出企業にとって、円安の進行は海外で稼いだ外貨をより多く円に転換できるため、長らく円安は日本経済にとって有利だとの見方が強かった。日本の鉄鋼メーカーも国内で生産した鋼材の多くを輸出し、顧客も自動車や造船、機械など輸出産業が中心で、過去の円安局面では恩恵を享受してきた経緯がある。
しかし、足元ではロシアのウクライナ侵攻を受けて資源・エネルギー価格の高騰が加速。日本は原材料や燃料を海外に依存しており、急激な円安は輸入コストの増加を通じて国内企業の脅威になっている。また、製造業の多くは1990年代前半、2000年代後半にかけての円高局面で生産拠点の海外移転を進めたため、過去に比べると円安メリットは薄れている。
寺畑副社長によると、JFEHDでは2、3年前まで原料輸入と製品輸出の外貨バランスはほぼ相殺されていたが、足元は海外から調達する原料単価の高騰で買いの方が多くなっているという。同社では、1円の円安進行は年間の事業利益を約30億円押し下げると試算している。
日鉄の森高弘副社長は24日、自動車メーカーの減産を例に、供給網(サプライチェーン)の寸断などで輸出企業が売りたくても生産を増やすことが難しい環境下にあると指摘。「円安になっても、昔取れていたメリットが取れなくなっているという意味では必ずしもプラスではない」と述べた。
日本鉄鋼連盟の橋本英二会長(日本製鉄社長)は3月29日の記者会見で、長らく円高リスクへの対応を迫られていた日本の製造業にとって、「今回の円安リスクは初めてだ」との見解を示した。橋本氏は、日本はデフレ構造にある業界が多くある中、「海外発のインフレが襲ってきている」とし、こうした状況下で「円安を容認しておく政策でいいのか」との疑問を呈した。
●決算関連
●マクロ・その他
中国の一人っ子政策「共産党支配を弱体化」
クロアチア、ユーロ導入23年から可能 欧州委が評価
欧州連合(EU)の欧州委員会は1日、クロアチアがEUの単一通貨「ユーロ」導入の基準を満たし、2023年1月から導入できるとの評価を公表した。実現すれば、公式なユーロ採用国としては20番目になる。
人口約400万人のクロアチアは13年にEUに加盟した。その後、ユーロ導入に向けて物価や財政などでの基準を満たすべく改革を進めてきた。欧州中央銀行(ECB)も同日の報告書でクロアチアのユーロ導入に肯定的な評価を示した。
クロアチアでは現行通貨クーナからユーロに移行する国内法制の整備は完了しつつある。クロアチアのプレンコビッチ首相はツイッターに「我々は間もなく戦略的な目標の一つを達成する」と投稿した。
通貨ユーロは1999年に採用され、直近はリトアニアが2015年に導入した。クロアチアに続いて、ブルガリアが24年の導入をめざしている。
カナダ中銀、2会合連続0.5%利上げ インフレ抑制に注力
カナダ銀行(中央銀行)は1日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.5%引き上げ、1.5%にしたと発表した。利上げは3会合連続で、0.5%利上げするのは2会合連続だ。4月から始めた量的引き締め(QT)も続ける。4月の物価上昇率は前年同月比6.8%とインフレがおさまらず、金融引き締めを加速する。
カナダの消費者物価指数(CPI)の上昇率は3月に前年同月比で6.7%となり、4月には6.8%に達した。1991年1月(6.9%)以来、約31年ぶりの大きさとなる。カナダ銀は1日の声明文で「予想を大きく上回っており、短期的にはさらに上昇するだろう」と述べた。カナダ銀によるとCPIを構成する70%の品目で上昇率が3%を超えている。「高インフレが定着するリスクが高まっている」と警戒を示した。
カナダの1~3月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率ベースで3.1%増だった。2021年10~12月期(同6.6%増)よりは鈍化したものの、3四半期連続のプラスだ。声明文では「我々の予測とも一致しており、経済は堅調で需要過剰となっている」と説明した。
こうした経済認識を踏まえカナダ銀は「政策金利をさらに引き上げる必要がある」として、利上げを続ける構えをみせた。マックレム総裁は4月、2~3%と推計する中立金利(景気を過熱も冷やしもしない金利水準)の水準まで政策金利を引き上げる意向を示している。
カナダ銀は3月の会合で0.25%利上げし、20年3月に新型コロナウイルス対応で始めた低金利政策を転換した。4月には0.5%利上げし、満期を迎えた国債の再投資をしないという形で量的引き締めも始めた。
豪1~3月GDP0.8%増 輸入が大幅増で成長は減速
オーストラリア統計局が1日発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は、前期比0.8%増加した。新型コロナウイルス下での規制緩和を受けて同3.6%増となった2021年10~12月期から減速した。個人消費は堅調な伸びを見せたが、輸入の急増で成長は小幅にとどまった。足元で進むインフレや住宅価格の弱含みが今後の成長の妨げとなる可能性もある。
GDPの約6割を占める個人消費は前期比で1.5%増となり全体を0.8ポイント押し上げた。輸入は、豪東部での悪天候を受けた資源輸出の減少で全体でも同0.9%減少した。輸入は乗用車や家電製品などが増加したことで、同8.1%増と09年10~12月期以来の高さとなりGDP全体を1.5ポイント押し下げた。
経済再開を受けた堅調な内需で「4~6月期の成長率は1~3月期比1.5%増に加速する」(英調査会社のキャピタル・エコノミクス)との見方が出る一方、住宅市場の弱含みへの懸念も浮上する。
住宅情報会社コアロジックが1日に発表した5月の豪住宅価格は前月比0.1%減となった。前月を割り込むのは20年9月以来だ。シドニー(同1%減)やメルボルン(同0.7%減)といった大都市での下落が影響した。
豪準備銀行(中央銀行)は5月にインフレ抑制のため11年半ぶりの利上げを決め、6月以降も利上げは続くとの見方が大勢だ。金融大手AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は「住宅価格は22年に2%、23年には10%落ちる」との見方を示す。ローン金利上昇などを受け住宅市場がさらに弱含めば、資産価値の低減を懸念し消費意欲がそがれるリスクもはらむ。
アルゼンチン、債務返済24年9月に延期 主要国と合意
アルゼンチン政府は5月31日、日米欧などで構成するパリクラブ(主要債権国会議)に対する債務について、返済期限を2024年9月まで延ばすことで合意したと明らかにした。国際通貨基金(IMF)との3月の合意に続いて債務交渉が進んだことになる。
アルゼンチン政府が官報で告示した。同政府は21年5月に約24億ドル(約3100億円)の支払期日を迎えたが、金利が高いことを理由に返済を拒否して交渉に入っていた。その後一部を返済したが、約20億ドルの支払いが残っている。
アルゼンチン政府は官報で、14年5月の合意に代わる「新たな合意の枠組み」ができた場合には、24年9月より早く返済を始める可能性を示した。
地元メディアによると、アルゼンチン政府は今後数週間程度で、同国にとってより有利な支払い条件での合意も目指しているもようだ。
原油相場は1バレル=70ドルが適切、現在の120ドルに対し-シティ
経済が不況に備え始める中で、石油と精製製品の需要は減少しつつある。シティグループの商品調査グローバル責任者、エド・モース氏が指摘した。
ブレント原油先物の適正価格は1バレル当たり70ドルだと同氏は5月31日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで述べた。現在の相場は120ドル前後。景気減速懸念を受けてアナリストは需要見通しの下方修正を続けていると同氏は指摘した。
シティは需要見通しを日量220万バレルと年初の360万バレルから下方修正。「リセッション(景気後退)を見据えている世界でディーゼルの需要が堅調ということはない」とモース氏は指摘した。
米ISM製造業総合景況指数、5月は予想外の上昇-受注が増加
米製造業の活動は5月に予想外に上向いた。新規受注と生産の伸びが加速し、基調的な需要がなお底堅いことを示唆した。
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は統計資料で、「米製造業セクターを囲む環境は依然として需要主導型であり、サプライチェーンの問題に抑制されている」と指摘。「需要に関するセンチメントはなお非常に楽観的で、成長について慎重なコメント1つに対して、5つの前向きなコメントが残された」と説明した。
統計では労働力や入荷遅延、資材不足に関連した生産能力の問題が長引いている状態も浮き彫りになった。雇用の指数は2020年11月以来の50割れとなった。入荷遅延の指数は多少下げたものの、依然として高い水準にある。
プーチン大統領、ソ連の「母親英雄」復活へ 人口減対策
ロシアのプーチン大統領は1日、10人以上の子どもを持つ女性に「母親英雄」の称号を贈っていたソ連時代の制度を復活する意向を示した。多くの子どもを抱える家族らとのオンライン会合で明らかにした。
トルコと北欧2カ国が近く高官協議 NATO加盟めぐり
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は1日の記者会見で、NATO加盟を申請した北欧のフィンランド、スウェーデンと、両国の加盟に反対するトルコが近く高官協議を開くと明らかにした。6月下旬にスペインで開くNATO首脳会議までの決着をめざす意向を示した。
訪問先のワシントンでブリンケン米国務長官と会談後、共同で記者会見に臨んだ。ストルテンベルグ氏はフィンランド、スウェーデンの加盟について「我々は一致団結して前進する道を見いだせると確信している」と表明した。ブリンケン氏も事態の打開に自信を示した。
ストルテンベルグ氏は「我々は抑止力と防衛力を強化し、ロシアや中国のような権威主義的な大国との競争が激化する時代に備える」と語った。「アジア太平洋地域のパートナーなどとの協力関係をさらに緊密にする」と強調した。NATO首脳会議には日本、韓国、オーストラリアなどにも参加を呼びかけている。
SPACブーム終焉 宴の後始末始まる(NY特急便)
米自動車、半導体不足収束みえず 日系4社5月販売4割減
米国の自動車市場で半導体不足による生産停滞が長引いている。十分な数量の半導体を調達できないため車をつくりきれず、需要があるのに販売は落ち込む。トヨタ自動車など日本車4社が1日発表した5月の新車販売台数は前年同月比で4割減った。新車不足は車両価格の上昇を招いており、歴史的なインフレ下の米国で消費者の負担になっている。
ウクライナ産小麦の生産42%減 22年、業界団体見通し
ウクライナの2022年の小麦の収穫量が前年に比べて4割以上減る見通しとなった。同国の業界団体「ウクライナ穀物協会(UGA)」は1日、22年の小麦の収穫量は前年の3300万トンから42%減少し、1920万トンになるとの見通しを発表した。
UGAはロシアによる一部の領土の占領や畑への地雷の設置などが穀物の生産に悪影響を及ぼしたとしている。他の品目の22年の収穫量の見通しは、トウモロコシが31%減の2610万トン。大麦も35%減って660万トンとなる。
ただ生産量が減ってもウクライナ国内での例年の消費量は大きく上回る見通し。このため、紛争による輸出の急減の方が、世界的な食料価格の高騰や途上国での食料不足を招く主因となりそうだ。
出荷できない穀物の在庫が積み上がる可能性は高い。UGAは悲観シナリオでは穀物の在庫が4300万トンに達すると試算する。UGAは「ウクライナには十分な穀物の備蓄がある」と説明する。一方で輸出の急減は「先進国で食料価格を上昇させ、アフリカなどの途上国では飢餓や暴動を招いて、欧州への大量の移民を生み出す可能性がある」と警告している。
5月の米製造業景況感、3カ月ぶり上昇 需要が堅調
5月の米製造業景況感指数は56.1で前月から0.7ポイント上昇した。3カ月ぶりの上昇で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(54.5程度)を上回った。需要が堅調で製造業の拡大が持続した。
「新規受注」、「生産」、「在庫」が改善し全体を押し上げた。「新規受注」が55.1で1.6ポイント上昇したほか、「生産」は54.2で0.6ポイント、「在庫」は55.9で4.3ポイントそれぞれ上向いた。ISMは「需要に関して企業は極めて楽観的だ」と指摘した。
一方、「雇用」は49.6で1.3ポイント低下し、9カ月ぶりに縮小圏となった。労働者の採用・維持の難しさを反映したとみられる。ただし、ISMによると、企業コメントからは、全般的な人手不足の改善が読み取れるという。
供給網の目詰まりを示す「入荷遅延」はわずかに緩和したが65.7と依然高く、「(仕入れ)価格」も2.4ポイント下がったが82.2で高止まりしたままだった。
経済調査会社キャピタル・エコノミックスのエコノミストは、今後は国内需要の減速、ドル高による輸出減などで生産が弱まる可能性が高いとして「5月の指数上昇は持続的な回復の始まりではない」との見方を示した。
メキシコへの送金、4月は16.6%増 米国の雇用回復で
外国からメキシコへの4月の送金額が前年同月比16.6%増の約47億1800万ドル(約6100億円)になったと発表した。主な出稼ぎ先である米国で失業率が低水準で推移しており、母国であるメキシコに住む家族への送金が増えた。
前年同月を上回るのは24カ月連続だった。4月は1人当たりの送金額が平均391ドルと前年同月比で4%増えた。送金回数も1万2058回と前年同月比で12%伸びた。1~4月の送金額の合計は前年同期比18%増の172億4000万ドルだった。5月には母の日があるため、米国などに住む子供からメキシコの母親への送金額が増える可能性がある。
米労働省が発表した4月の雇用統計によると、失業率は前月の3.6%から横ばいだった。米国では失業率が低水準で推移しており、メキシコ出身の移民にとっても雇用環境は改善している。米国をめざすメキシコ出身の移民は増加しており、今後も母国への送金額は伸び続ける見通しだ。
デンマークがEU防衛政策参加へ、ウクライナ情勢が転機に-国民投票
デンマークで1日、欧州連合(EU)の共通安全保障・防衛政策への参加の賛否を問う国民投票が実施された。公共放送の開票予測によると、賛成多数で参加が承認されることが確実になった。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、EUとの関係深化を避けてきたデンマークの政策の歴史的転換を意味すると言えそうだ。
暫定集計はほぼ完了し、共通安保・防衛政策の適用除外権放棄への賛成が66.9%、反対が33.1%となったとデンマークの公共放送DRは同日遅くに報じた。
フレデリクセン首相はコペンハーゲンで演説し、「欧大陸で戦争がある状況でわれわれは中立ではいられない。これは恐らくデンマークでこれまでに行われたEUを巡る国民投票で最も大きな『イエス』だ」と語った。
また、ブドスコウ国防相は議会でのインタビューで、「国民はパートナー国や隣国が足並みをそろえる時に行動を共にしたいとの極めて明確なシグナルを発しているようだ。これは重要なシグナルだ」と述べた。
中国、インフラ拡充に15兆円超の与信枠指示-打撃受けた経済刺激へ
中国は国有の政策銀行に対し、インフラ計画向けに8000億元(約15兆5700億円)の与信枠を設けるよう指示した。新型コロナウイルス対策に伴うロックダウン(都市封鎖)で打撃を受けた経済を刺激すべく、同国は建設事業に力を入れる。
李克強首相が主宰した国務院常務会議で発表された与信枠は、今年のインフラ計画で必要な資金のかなりの部分を支えるとみられる。ブルームバーグ・エコノミクスの予測によれば、2021年の中国のインフラ支出は23兆元に達した。
●市況
日経先物(大証)27325、ダウ先32804、債先149.69、米2.915、独1.1735、仏1.687、西2.280、伊3.168、波6.472、原油112.44、ドル円130.06、墨ペソ19.71、トルコリラ16.3977、墨CDS126
※6/2 10時10分頃
●ウクライナ
ロシア産石油の締め出し加速 英EUがタンカー保険禁止へ
ロシア産の石油を締め出す動きが一段と加速している。欧州連合(EU)は英国と共同でロシア産石油を運ぶタンカーへの保険を禁止する見通しで日本の損保も対応を迫られる可能性がある。禁輸措置と合わせてロシアの輸出は一段と困難になり、制裁効果は高まりやすくなるが、石油の需給はさらに逼迫する懸念もある。産油国連合「OPECプラス」や米国の増産により、ロシア産の減少分を穴埋めできるかどうかも不透明だ。
ロシア国債、利払い「不履行」認定 国際金融団体
クレジットデリバティブ決定委員会は1日、ロシアのドル建て国債の利払いに不履行が生じたとの判断を示した。30日間の猶予期間中に完了した元利金の支払いを巡り、当初の期日から遅れた分の利息が上乗せされなかったのは不払いにあたるとの投資家の主張を認めた。事実上、デフォルト(債務不履行)となる見通しだ。
決定委員会は、支払いの不履行が発生したかとの投資家の質問に対し「発生した」との決定文を公表した。発行時の約束通りに利払いなどが実行されないクレジットイベント(信用事由)にあたるとの判断を示した。
対象は4月4日が償還日だった国債だ。欧米の制裁で元利金を当初支払えなかったものの、最終的に猶予期間中に投資家に渡りデフォルトは避けられたとみられていた。だが一部の保有者が遅延分の金利が払われなかったことを問題視した。●コロナ
香港当局、厳格なコロナ対策を復活-軽症患者も施設で隔離
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米デルタ航空、NYで新ターミナル公開 5200億円投資
主要拠点のひとつであるニューヨーク州のラガーディア空港で新装した旅客ターミナルを報道陣に公開した。同日には2022年4~6月期の業績予想を上方修正し、売上高が新型コロナウイルス禍前の19年4~6月期と同水準に戻る見通しを明らかにした。増加する夏の旅行需要を取り込む。
新たな旅客ターミナルは4日から順次、一般利用を始める。デルタは17年、ラガーディア空港で使用する2つのターミナルを統合する工事を始めた。同空港の運営者であるニューヨーク・ニュージャージー港湾局と提携し、総工事費は40億ドル(約5200億円)にのぼる。新ターミナルは37の発着ゲートを抱える。
デルタは同日、22年4~6月期の業績見通しを上方修正した。従来は19年同期比で3~7%減としていた売上高が同水準に戻るとの見通しを示した。予想通りになれば、新型コロナの感染拡大前の水準を初めて回復する。燃料費の上昇は当初の想定より大きく、1ガロン(約4リットル)あたりの燃料費の想定は約1割引き上げた。
●その他産業
鉄鋼大手も円安に悲鳴、原料コスト増がメリット上回る-利益押し下げ
一時20年ぶりの円安水準に振れた急激な為替変動は、これまで輸出を通じて円安メリットを享受してきた鉄鋼業界にも試練を与えている。地政学リスクを背景に原燃料価格の高騰が同時に進み、これらを海外からの輸入に頼る国内メーカーにとって、輸入コストの増加というデメリットの方が大きくなってきたためだ。
JFEホールディングス(HD)の最高財務責任者(CFO)でもある寺畑雅史副社長は27日のインタビューで、足元の急激な円安進行で鉄鉱石や原料炭などの輸入コストの上昇に拍車が掛かり、同社収益を圧迫していることに警戒感を示した。
寺畑副社長は円安の効果について、「原料高の中で製品輸出での売りよりも原料の買いのポーション(比重)が大きくなり、負担が大きくなっている」と説明。為替変動幅の拡大によって以前より影響度も増しており、今の円安は鉄鋼業にとってむしろ逆風との認識を示した。
輸出企業にとって、円安の進行は海外で稼いだ外貨をより多く円に転換できるため、長らく円安は日本経済にとって有利だとの見方が強かった。日本の鉄鋼メーカーも国内で生産した鋼材の多くを輸出し、顧客も自動車や造船、機械など輸出産業が中心で、過去の円安局面では恩恵を享受してきた経緯がある。
しかし、足元ではロシアのウクライナ侵攻を受けて資源・エネルギー価格の高騰が加速。日本は原材料や燃料を海外に依存しており、急激な円安は輸入コストの増加を通じて国内企業の脅威になっている。また、製造業の多くは1990年代前半、2000年代後半にかけての円高局面で生産拠点の海外移転を進めたため、過去に比べると円安メリットは薄れている。
寺畑副社長によると、JFEHDでは2、3年前まで原料輸入と製品輸出の外貨バランスはほぼ相殺されていたが、足元は海外から調達する原料単価の高騰で買いの方が多くなっているという。同社では、1円の円安進行は年間の事業利益を約30億円押し下げると試算している。
日鉄の森高弘副社長は24日、自動車メーカーの減産を例に、供給網(サプライチェーン)の寸断などで輸出企業が売りたくても生産を増やすことが難しい環境下にあると指摘。「円安になっても、昔取れていたメリットが取れなくなっているという意味では必ずしもプラスではない」と述べた。
日本鉄鋼連盟の橋本英二会長(日本製鉄社長)は3月29日の記者会見で、長らく円高リスクへの対応を迫られていた日本の製造業にとって、「今回の円安リスクは初めてだ」との見解を示した。橋本氏は、日本はデフレ構造にある業界が多くある中、「海外発のインフレが襲ってきている」とし、こうした状況下で「円安を容認しておく政策でいいのか」との疑問を呈した。
●決算関連
●マクロ・その他
中国の一人っ子政策「共産党支配を弱体化」
クロアチア、ユーロ導入23年から可能 欧州委が評価
欧州連合(EU)の欧州委員会は1日、クロアチアがEUの単一通貨「ユーロ」導入の基準を満たし、2023年1月から導入できるとの評価を公表した。実現すれば、公式なユーロ採用国としては20番目になる。
人口約400万人のクロアチアは13年にEUに加盟した。その後、ユーロ導入に向けて物価や財政などでの基準を満たすべく改革を進めてきた。欧州中央銀行(ECB)も同日の報告書でクロアチアのユーロ導入に肯定的な評価を示した。
クロアチアでは現行通貨クーナからユーロに移行する国内法制の整備は完了しつつある。クロアチアのプレンコビッチ首相はツイッターに「我々は間もなく戦略的な目標の一つを達成する」と投稿した。
通貨ユーロは1999年に採用され、直近はリトアニアが2015年に導入した。クロアチアに続いて、ブルガリアが24年の導入をめざしている。
カナダ中銀、2会合連続0.5%利上げ インフレ抑制に注力
カナダ銀行(中央銀行)は1日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.5%引き上げ、1.5%にしたと発表した。利上げは3会合連続で、0.5%利上げするのは2会合連続だ。4月から始めた量的引き締め(QT)も続ける。4月の物価上昇率は前年同月比6.8%とインフレがおさまらず、金融引き締めを加速する。
カナダの消費者物価指数(CPI)の上昇率は3月に前年同月比で6.7%となり、4月には6.8%に達した。1991年1月(6.9%)以来、約31年ぶりの大きさとなる。カナダ銀は1日の声明文で「予想を大きく上回っており、短期的にはさらに上昇するだろう」と述べた。カナダ銀によるとCPIを構成する70%の品目で上昇率が3%を超えている。「高インフレが定着するリスクが高まっている」と警戒を示した。
カナダの1~3月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率ベースで3.1%増だった。2021年10~12月期(同6.6%増)よりは鈍化したものの、3四半期連続のプラスだ。声明文では「我々の予測とも一致しており、経済は堅調で需要過剰となっている」と説明した。
こうした経済認識を踏まえカナダ銀は「政策金利をさらに引き上げる必要がある」として、利上げを続ける構えをみせた。マックレム総裁は4月、2~3%と推計する中立金利(景気を過熱も冷やしもしない金利水準)の水準まで政策金利を引き上げる意向を示している。
カナダ銀は3月の会合で0.25%利上げし、20年3月に新型コロナウイルス対応で始めた低金利政策を転換した。4月には0.5%利上げし、満期を迎えた国債の再投資をしないという形で量的引き締めも始めた。
豪1~3月GDP0.8%増 輸入が大幅増で成長は減速
オーストラリア統計局が1日発表した1~3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は、前期比0.8%増加した。新型コロナウイルス下での規制緩和を受けて同3.6%増となった2021年10~12月期から減速した。個人消費は堅調な伸びを見せたが、輸入の急増で成長は小幅にとどまった。足元で進むインフレや住宅価格の弱含みが今後の成長の妨げとなる可能性もある。
GDPの約6割を占める個人消費は前期比で1.5%増となり全体を0.8ポイント押し上げた。輸入は、豪東部での悪天候を受けた資源輸出の減少で全体でも同0.9%減少した。輸入は乗用車や家電製品などが増加したことで、同8.1%増と09年10~12月期以来の高さとなりGDP全体を1.5ポイント押し下げた。
経済再開を受けた堅調な内需で「4~6月期の成長率は1~3月期比1.5%増に加速する」(英調査会社のキャピタル・エコノミクス)との見方が出る一方、住宅市場の弱含みへの懸念も浮上する。
住宅情報会社コアロジックが1日に発表した5月の豪住宅価格は前月比0.1%減となった。前月を割り込むのは20年9月以来だ。シドニー(同1%減)やメルボルン(同0.7%減)といった大都市での下落が影響した。
豪準備銀行(中央銀行)は5月にインフレ抑制のため11年半ぶりの利上げを決め、6月以降も利上げは続くとの見方が大勢だ。金融大手AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は「住宅価格は22年に2%、23年には10%落ちる」との見方を示す。ローン金利上昇などを受け住宅市場がさらに弱含めば、資産価値の低減を懸念し消費意欲がそがれるリスクもはらむ。
アルゼンチン、債務返済24年9月に延期 主要国と合意
アルゼンチン政府は5月31日、日米欧などで構成するパリクラブ(主要債権国会議)に対する債務について、返済期限を2024年9月まで延ばすことで合意したと明らかにした。国際通貨基金(IMF)との3月の合意に続いて債務交渉が進んだことになる。
アルゼンチン政府が官報で告示した。同政府は21年5月に約24億ドル(約3100億円)の支払期日を迎えたが、金利が高いことを理由に返済を拒否して交渉に入っていた。その後一部を返済したが、約20億ドルの支払いが残っている。
アルゼンチン政府は官報で、14年5月の合意に代わる「新たな合意の枠組み」ができた場合には、24年9月より早く返済を始める可能性を示した。
地元メディアによると、アルゼンチン政府は今後数週間程度で、同国にとってより有利な支払い条件での合意も目指しているもようだ。
原油相場は1バレル=70ドルが適切、現在の120ドルに対し-シティ
経済が不況に備え始める中で、石油と精製製品の需要は減少しつつある。シティグループの商品調査グローバル責任者、エド・モース氏が指摘した。
ブレント原油先物の適正価格は1バレル当たり70ドルだと同氏は5月31日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで述べた。現在の相場は120ドル前後。景気減速懸念を受けてアナリストは需要見通しの下方修正を続けていると同氏は指摘した。
シティは需要見通しを日量220万バレルと年初の360万バレルから下方修正。「リセッション(景気後退)を見据えている世界でディーゼルの需要が堅調ということはない」とモース氏は指摘した。
米ISM製造業総合景況指数、5月は予想外の上昇-受注が増加
米製造業の活動は5月に予想外に上向いた。新規受注と生産の伸びが加速し、基調的な需要がなお底堅いことを示唆した。
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は統計資料で、「米製造業セクターを囲む環境は依然として需要主導型であり、サプライチェーンの問題に抑制されている」と指摘。「需要に関するセンチメントはなお非常に楽観的で、成長について慎重なコメント1つに対して、5つの前向きなコメントが残された」と説明した。
統計では労働力や入荷遅延、資材不足に関連した生産能力の問題が長引いている状態も浮き彫りになった。雇用の指数は2020年11月以来の50割れとなった。入荷遅延の指数は多少下げたものの、依然として高い水準にある。
プーチン大統領、ソ連の「母親英雄」復活へ 人口減対策
ロシアのプーチン大統領は1日、10人以上の子どもを持つ女性に「母親英雄」の称号を贈っていたソ連時代の制度を復活する意向を示した。多くの子どもを抱える家族らとのオンライン会合で明らかにした。
トルコと北欧2カ国が近く高官協議 NATO加盟めぐり
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は1日の記者会見で、NATO加盟を申請した北欧のフィンランド、スウェーデンと、両国の加盟に反対するトルコが近く高官協議を開くと明らかにした。6月下旬にスペインで開くNATO首脳会議までの決着をめざす意向を示した。
訪問先のワシントンでブリンケン米国務長官と会談後、共同で記者会見に臨んだ。ストルテンベルグ氏はフィンランド、スウェーデンの加盟について「我々は一致団結して前進する道を見いだせると確信している」と表明した。ブリンケン氏も事態の打開に自信を示した。
ストルテンベルグ氏は「我々は抑止力と防衛力を強化し、ロシアや中国のような権威主義的な大国との競争が激化する時代に備える」と語った。「アジア太平洋地域のパートナーなどとの協力関係をさらに緊密にする」と強調した。NATO首脳会議には日本、韓国、オーストラリアなどにも参加を呼びかけている。
SPACブーム終焉 宴の後始末始まる(NY特急便)
米自動車、半導体不足収束みえず 日系4社5月販売4割減
米国の自動車市場で半導体不足による生産停滞が長引いている。十分な数量の半導体を調達できないため車をつくりきれず、需要があるのに販売は落ち込む。トヨタ自動車など日本車4社が1日発表した5月の新車販売台数は前年同月比で4割減った。新車不足は車両価格の上昇を招いており、歴史的なインフレ下の米国で消費者の負担になっている。
ウクライナ産小麦の生産42%減 22年、業界団体見通し
ウクライナの2022年の小麦の収穫量が前年に比べて4割以上減る見通しとなった。同国の業界団体「ウクライナ穀物協会(UGA)」は1日、22年の小麦の収穫量は前年の3300万トンから42%減少し、1920万トンになるとの見通しを発表した。
UGAはロシアによる一部の領土の占領や畑への地雷の設置などが穀物の生産に悪影響を及ぼしたとしている。他の品目の22年の収穫量の見通しは、トウモロコシが31%減の2610万トン。大麦も35%減って660万トンとなる。
ただ生産量が減ってもウクライナ国内での例年の消費量は大きく上回る見通し。このため、紛争による輸出の急減の方が、世界的な食料価格の高騰や途上国での食料不足を招く主因となりそうだ。
出荷できない穀物の在庫が積み上がる可能性は高い。UGAは悲観シナリオでは穀物の在庫が4300万トンに達すると試算する。UGAは「ウクライナには十分な穀物の備蓄がある」と説明する。一方で輸出の急減は「先進国で食料価格を上昇させ、アフリカなどの途上国では飢餓や暴動を招いて、欧州への大量の移民を生み出す可能性がある」と警告している。
5月の米製造業景況感、3カ月ぶり上昇 需要が堅調
5月の米製造業景況感指数は56.1で前月から0.7ポイント上昇した。3カ月ぶりの上昇で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(54.5程度)を上回った。需要が堅調で製造業の拡大が持続した。
「新規受注」、「生産」、「在庫」が改善し全体を押し上げた。「新規受注」が55.1で1.6ポイント上昇したほか、「生産」は54.2で0.6ポイント、「在庫」は55.9で4.3ポイントそれぞれ上向いた。ISMは「需要に関して企業は極めて楽観的だ」と指摘した。
一方、「雇用」は49.6で1.3ポイント低下し、9カ月ぶりに縮小圏となった。労働者の採用・維持の難しさを反映したとみられる。ただし、ISMによると、企業コメントからは、全般的な人手不足の改善が読み取れるという。
供給網の目詰まりを示す「入荷遅延」はわずかに緩和したが65.7と依然高く、「(仕入れ)価格」も2.4ポイント下がったが82.2で高止まりしたままだった。
経済調査会社キャピタル・エコノミックスのエコノミストは、今後は国内需要の減速、ドル高による輸出減などで生産が弱まる可能性が高いとして「5月の指数上昇は持続的な回復の始まりではない」との見方を示した。
メキシコへの送金、4月は16.6%増 米国の雇用回復で
外国からメキシコへの4月の送金額が前年同月比16.6%増の約47億1800万ドル(約6100億円)になったと発表した。主な出稼ぎ先である米国で失業率が低水準で推移しており、母国であるメキシコに住む家族への送金が増えた。
前年同月を上回るのは24カ月連続だった。4月は1人当たりの送金額が平均391ドルと前年同月比で4%増えた。送金回数も1万2058回と前年同月比で12%伸びた。1~4月の送金額の合計は前年同期比18%増の172億4000万ドルだった。5月には母の日があるため、米国などに住む子供からメキシコの母親への送金額が増える可能性がある。
米労働省が発表した4月の雇用統計によると、失業率は前月の3.6%から横ばいだった。米国では失業率が低水準で推移しており、メキシコ出身の移民にとっても雇用環境は改善している。米国をめざすメキシコ出身の移民は増加しており、今後も母国への送金額は伸び続ける見通しだ。
デンマークがEU防衛政策参加へ、ウクライナ情勢が転機に-国民投票
デンマークで1日、欧州連合(EU)の共通安全保障・防衛政策への参加の賛否を問う国民投票が実施された。公共放送の開票予測によると、賛成多数で参加が承認されることが確実になった。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、EUとの関係深化を避けてきたデンマークの政策の歴史的転換を意味すると言えそうだ。
暫定集計はほぼ完了し、共通安保・防衛政策の適用除外権放棄への賛成が66.9%、反対が33.1%となったとデンマークの公共放送DRは同日遅くに報じた。
フレデリクセン首相はコペンハーゲンで演説し、「欧大陸で戦争がある状況でわれわれは中立ではいられない。これは恐らくデンマークでこれまでに行われたEUを巡る国民投票で最も大きな『イエス』だ」と語った。
また、ブドスコウ国防相は議会でのインタビューで、「国民はパートナー国や隣国が足並みをそろえる時に行動を共にしたいとの極めて明確なシグナルを発しているようだ。これは重要なシグナルだ」と述べた。
中国、インフラ拡充に15兆円超の与信枠指示-打撃受けた経済刺激へ
中国は国有の政策銀行に対し、インフラ計画向けに8000億元(約15兆5700億円)の与信枠を設けるよう指示した。新型コロナウイルス対策に伴うロックダウン(都市封鎖)で打撃を受けた経済を刺激すべく、同国は建設事業に力を入れる。
李克強首相が主宰した国務院常務会議で発表された与信枠は、今年のインフラ計画で必要な資金のかなりの部分を支えるとみられる。ブルームバーグ・エコノミクスの予測によれば、2021年の中国のインフラ支出は23兆元に達した。
●市況
日経先物(大証)27325、ダウ先32804、債先149.69、米2.915、独1.1735、仏1.687、西2.280、伊3.168、波6.472、原油112.44、ドル円130.06、墨ペソ19.71、トルコリラ16.3977、墨CDS126
※6/2 10時10分頃
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