備忘録(2025/12/4)
●企業
●マクロ
高市早苗政権は、日本銀行が今月利上げを行うことを容認する姿勢だ。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。日銀が利上げを決める可能性を一段と高める要因となる。
関係者によると、このタイミングでの利上げに慎重な意見もあるという。
植田和男総裁は1日の講演で、12月18、19日の会合で「利上げの是非について適切に判断したい」と述べた。この発言が利上げの明確なシグナルと受け止められ、市場では日銀が今月会合で政策金利を現行の0.5%から0.75%に引き上げるとの観測が高まっている。
日銀が前回の利上げを実施した1月の会合前にも、総裁は同様の表現を用いていた。
これに先立ち、ロイター通信は4日、複数の政府関係者の話として、日銀が今月中に利上げを行う可能性が高く、政府もこれを容認する構えだと報じていた。
高市氏は金融緩和を重視するとみられており、首相就任によって、日銀に利上げペースをより緩やかにするよう影響力を及ぼすのではないかとの観測も浮上していた。
スイスUBSグループの超富裕層顧客の間では、プライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドへの投資を抑制する動きが広がっている。世界的なPE市場の減速で、多くの買収専門企業が新規資金調達に苦戦している。
UBSが調査した10億ドル(約1550億円)以上の資産を保有する87人の個人顧客のうち、約3分の1が、今後12カ月でPEファンドへの拠出を削減する意向を示している。同行が「ビリオネア・アンビションリポート2025」で挙げた投資テーマの中では、最大の減少幅だ。
一方で、同行が4日に発表したリポートによると、今年後半に実施した調査では、回答者の約半数が、企業への直接出資という通常よりリスクの高い分野への投資拡大を計画していると回答し、他の投資テーマに比べ、最も高い増加率となった。
UBSの世界ファミリーオフィス部門最高投資責任者(CIO)のマクシミリアン・クンケル氏は「起業家経験を持つ億万長者は特に、政治・政策・金利・地政学的な不確実性がやや後退し始めたことで、こうした分野に再び優れた投資機会を見いだしている」と述べた。
回答からは世界の超富裕層の間でPEファンドへの投資への懸念が高まっていることがうかがえる。借り入れコストの上昇により、取引環境は厳しさを増し、買収専門企業の利益は縮小し、出資者への分配金も減少している。
こうした障害を克服するため、PE企業は既存投資を新ファンドへ繰り越す手法に活路を見いだしている。ベイン・アンド・カンパニーが今年発表したリポートによると、世界中で1万8000以上のプライベートキャピタルファンドが資金調達を進めており、供給1ドルに対し需要3ドルに相当する過熱ぶりだ。
金利の上昇を受け、プライベートエクイティ取引は低迷している
年金基金や寄付基金がPEへの投資上限に達する中、大手買収企業にとって、超富裕層は資金源としての重要性を増している。ドイツのヴィースマン一族は昨年、KKRと提携し再生可能エネルギー企業エンカビスを30億ドルで買収した。デル創業者のマイケル・デル氏のファミリーオフィスはシルバーレイクと提携し、タレントエージェンシーのエンデバー・グループ・ホールディングスを130億ドルで買収する取引を3月に完了した。
スポーツチーム
非公開企業への出資をファンド経由ではなく直接行うことで、富裕層投資家は過半数の株式を取得しなくとも、より大きな支配力を発揮できる。
直接的なPE取引の増加は、スポーツチームの評価額急騰の背景にもなっている。超富裕層の間で価値が高まっている資産クラスだ。
ロサンゼルス・ドジャースのオーナー、マーク・ウォルター氏は10月、ロサンゼルス・レイカーズを100億ドルで買収することで承認された。3月にボストン・セルティックスが設定したプロバスケットボールチームの評価額基準61億ドルを大幅に上回った。コーク・インダストリーズオーナーのジュリア・コーク氏とその家族は同月、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のニューヨーク・ジャイアンツの株式10%を103億ドルで買い、スポーツチームの評価額としては最高値を記録した。
世界最大の資産運用会社、米ブラックロックは、欧州の大衆富裕層を対象としたインフラファンド設定の計画を停止した。プライベート市場関連商品の個人投資家向け販売を拡大する取り組みの後退となる。
同社は最低投資額1万ユーロ(約180万円)のファンドを1-3月(第1四半期)に設定する計画だった。
計画は、ブルームバーグ・ニュースが確認した2024年9月のプレゼンテーション資料で示されていた。
しかし同社は、この取り組みを一時停止する判断を下した。事情に詳しい関係者によると、同社のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)部門による投資案件は件数が少なく、かつ規模が大きいため、個人も投資できる枠組みに適合しにくいと判断したという。
計画されていたファンドは、保険会社や年金基金と同じ案件に個人が投資できるようにするものの、個人には四半期ごとの償還を認める設計だった。
ブラックロックは当面、GIPの案件を従来型のドローダウン方式ファンドで富裕層投資家に提供することに注力する方針だという。
投資家が当初にコミットした資金を段階的に支払うこうしたファンドの投資家層は超富裕層であり、いわゆるマスアフルエント(大衆富裕層)ではないと、関係者は説明した。非公開情報のため匿名を条件に語った。
ブラックロックはなお、オープンエンド型ファンドを含め、大衆富裕層に実物資産へのエクスポージャーを提供する別の手法を検討する可能性があると、別の関係者は付け加えた。
ブラックロックの広報担当者はコメントを控えた。
資産運用会社は欧州の大衆富裕層が持つ10兆ドル(約1549兆円)規模の資金を取り込もうとしている。ブラックロックの計画停止は、こうした運用会社が技術面や規制上のさまざまな課題に直面することを浮き彫りにする。
欧州の富裕層投資家を狙うプライベート資産投資業界は、欧州長期投資ファンド(ELTIF)枠組みに関する欧州委員会の最近の規則見直しから追い風を受けている。
同枠組みはインフラプロジェクトなど長期的な資本を必要とする企業やプロジェクトへの投資を促進するための規制枠組みで、改正は個人投資家にとっての商品の魅力を高めることを狙ったものだった。
これを受けてファンドの設定が急増しているが、これまでにどの程度資金が集まったかについては、多くの運用会社が開示を控えている。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は今年4月から5月にかけて、悪材料に見舞われた。保有する5-10年物の米国債とモーゲージ債が大きく下落した。
きっかけは、まずトランプ米大統領の「解放の日」関税、続いて広がった「米国売り」論の波だった。
顧客資産2兆2000億ドル(約341兆円)を託されているピムコの投資委員会は、カリフォルニア州ニューポートビーチとロンドンの拠点に集まり、損失状況の評価に追われた。
数週間にわたり、日曜日も含めて、最高投資責任者(CIO)のダニエル・アイバシン氏を中心に、長時間にわたり情報収集や顧客との連絡、利回り急上昇を受けた対応策の議論を続けた。
低調な成績が続く中、今回の局面は同社にとって一つの正念場となった。ピムコは結局、米国債の保有を維持しただけでなく、売りが広がる局面で積み増し、モーゲージ債も買い増した。この判断により、同社は今年の米国債券運用会社で先頭に躍り出ることになった。
米国債市場が2020年以来の好調な年となる中、アクティブ運用の債券ファンドとして最大の規模を誇るピムコ・インカム・ファンド(運用資産2130億ドル)は10.4%のリターンを上げた。ブルームバーグ米債券総合指数をベンチマークとする競合ファンドのいずれよりも好成績で、少なくとも過去10年で最高のリターンとなる。470億ドルを運用するピムコ・トータル・リターン・ファンドも9.1%の上昇と僅差で続いた。
インカム・ファンドは、モーニングスター・ダイレクトのデータによると、約300本の同カテゴリーのファンドの中で今年の上位3%に入っており、2017年以降トップ10%から外れていた状況から一転した。
ピムコの上級幹部は、4月2日にトランプ氏が包括的な関税措置を打ち出したことが転機になったと指摘する。これをきっかけに、米国債市場はここ数年で最も不安定な局面の一つに突入した。
その週、たまたまアイバシン氏ら上級ポートフォリオマネジャーがロンドンで顧客との面談を重ねており、海外投資家の反応を即座に把握することができた。現地で頻繁に協議し、世界各地の同僚ともタイムゾーンをまたいで電話会議を行った。
週末までに、ピムコは5-10年物米国債に強気姿勢を維持する方針を決めた。トランプ氏が公約していた関税の影響で、一定の景気減速が生じると見込んで1月から続けていたスタンスだった。
コア戦略のCIOで、4月上旬の協議に本拠のニューポートビーチから参加したモヒト・ミタル氏は「成長への影響がマイナスとなることは非常に明確だった。消費者と企業の双方に対して、不確実性を大きく高めるからだ」と述べた。
もっとも、事態がすぐにピムコの思惑通りに進んだわけではなかった。翌週には米国債利回りが急上昇。貿易戦争の激化により、米国債の重要な買い手である海外投資家が米国債を敬遠するとの懸念が一因だった。
利回りがピークに達したのは5月22日だった。ムーディーズ・レーティングが米国の最上位信用格付けを剥奪(はくだつ)し、米国の債務への懸念が高まった数日後、10年物米国債利回りは数カ月ぶりの高水準となり4.6%を上回った。
米10年債利回り、関税ショックによる売りから持ち直す
債券を含むあらゆる市場にとって不安定な時期だった。モーニングスター・ダイレクトによると、4月にはピムコ・インカム・ファンドから20億ドルの資金が流出し、23年10月以来初の純流出となった。ブルームバーグの指数によれば、5月には、米国の債券市場全体が0.7%下落し、今年最悪の月となった。
この期間、ピムコの投資委員会は通常の週3回ではなく毎日協議を重ねた。海外投資家が本当に米国債を売り始めているのかを見極めるため、顧客動向のモニタリングも強化した。
ミタル氏は「投資家が必ずしも米国債を一斉に売却しようとしているわけではないということに気付いた」と言う。むしろ、「ヘッジ付きで米資産を購入しようとする関心がやや高まっている」ことが見られたという。
こうした見立てが、利回りが大きく変動する局面で5-10年物の米国債を積み増す判断に自信を与えた。ボラティリティーの高まりで割安となったモーゲージ債への投資比率も引き上げた。
同時に、30年ゾーンの超長期債については一貫して弱気見通しを維持。超長期債がアンダーパフォームしたため、この戦略も奏功した。
ピムコはその後、こうしたポジションの一部を縮小し、2026年により良好なリターンが見込めると判断する他の海外債券市場に資金を振り向けているが、変動時に5-10年物米国債への投資を継続する判断は、今年の好成績を支える柱となった。
今年、堅調な成績を上げたのはピムコだけではない。ブルームバーグが12月2日までにまとめたデータによると、運用資産10億ドル以上でブルームバーグ債券総合指数に連動するアクティブ運用の債券ファンド175本のうち、90本が今年の市場全体のリターン(7%強)に少なくとも並んだ。
それでも、ピムコは規模の大きいファンドの中で、ポジションのタイミングと組み合わせが際立って優れていた。
ミタル氏によると、同社は現在、より良い投資機会が米国以外の地域にあるとみている。過去1-2カ月で米国の金利エクスポージャーを減らし、日本、オーストラリア、英国で増やしたという。
世界銀行が3日公表した2025年の「国際債務報告書」によると、途上国は22-24年の債務返済額が借換額を7410億ドル上回り、この格差は過去50年余りで最大になった。24年の途上国による利払い総額も4154億ドルと過去最高を記録した。
世銀チーフエコノミストのインダーミット・ギル氏は「国際的な金融環境は改善しているかもしれないが、途上国は危険水域を脱していない」と警告。債務が時には新しく、弊害のある形で積み上がり続けていると付け加えた。
世界全体で長らく継続された利上げサイクルが終わり、大半の国にとって債券市場を通じた資金調達の道が再開されたため、新規発行額は数十億ドルに上っている。ただ借り入れ金利は10%弱と20年以前の2倍前後に跳ね上がり、低コストの調達手段も少なくなった。
世銀は、新興諸国では資金調達で国内市場に対する依存度が高まっている点について、各国の債券市場が発展している兆しだと評価しつつも、こうした調達は国内の銀行から民間への融資を圧迫するとともに、債務短期化によって借り換えコストが押し上げられる恐れがあると指摘した。
一方二国間融資による途上国の24年の借り入れは45億ドルで、前年比76%減と08年の金融危機以来の水準まで落ち込み、各国はより割高な民間からの借り入れを迫られている。
国際機関からの途上国向け融資は増加し、世銀の融資額も過去最高の360億ドルに達したが、低所得国の54%は現在、債務返済に困窮しているか、高い債務リスクに直面しているという。
イングランド銀行(英中央銀行)は4日、プライベートエクイティ(PE)とプライベートクレジット業界が金融ショックにどう対応するかを検証するストレステストを開始すると発表した。
システム全体を対象とした調査により想定されるシナリオを盛り込んだ最終報告を2027年初めにまとめる。個別企業の脆弱性は公表せず、英経済全体に対する影響に焦点を絞る。
中銀のブリーデン副総裁は「グローバル大手を含め、プライベート市場で活動する複数のオルタナティブ資産運用会社が、この取り組みに参加することで合意している」と指摘。「プライベートエクイティとプライベートクレジットは、英国企業のイノベーション、投資、成長を支援する上で、ますます重要な役割を果たしている。これらを提供し続けるためには、ストレス時に金融システムを通じてリスクがどう流れるかの理解が必要」と述べた。
イングランド銀によると、プライベートエクイティに支援された企業は、英国で200万人以上を雇用している。中銀が直接規制していないため全機関に参加を強制することはできない。英国でのレバレッジドバイアウトを行ったプライベートエクイティの3分の1、企業セクターでのプライベートクレジットの半分、プライベートエクイティーの雇用の40%を占める機関からの参加を確保したという。
テストの詳細はまだ決定されていないが、危機時に他社の行動にどう対応するかを中銀に伝えられるよう、2段階で実施される予定。大規模英国企業への投資、資金調達、金融市場への波及効果に焦点を当てる。小規模企業向けベンチャーキャピタルや商業用不動産は対象外となる。
アポロ・グローバル・マネジメント、ベイン・キャピタル、ブラックストーン、カーライル、CVCクレジット・パートナーズ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、KKR、ペルミラなどのオルタナティブ資産運用会社が参加する。
中銀は2日発表した金融安定性報告書で、プライベート市場はこれまでのところ強靭だが、市場規模が拡大しており、大きな経済ショックへの耐性が試されたことがないと指摘していた。
円債市場で中期・長期債を起点とした金利上昇が続いている。高市早苗政権の財政政策を懸念した超長期金利の上昇圧力の影響に加え、植田和男日銀総裁のタカ派的な発言を契機にターミナルレート(利上げ最終到達点)予想が上振れたことが背景にある。長期金利は2%が視野に入っており、同水準で金利上昇が止まるかが目先の焦点になる。
<ロスカットの動き、金利リスクとれず>
この日の市場では、新発10年債利回りが1.935%と2007年7月以来の高水準となり、新発5年債利回りも1.410%と、08年6月以来の水準まで上昇、上昇基調に歯止めがかからなかった。
警戒されていた30年債入札は好調な結果となり、超長期ゾーンは金利低下に転じたが、5年債や10年債にその流れが波及していない。「投資家によるロスカットの動きがでている」(国内証券債券セールス担当)とされ、「あまりに速いピッチで金利上昇が進むため、どの水準で止まるか不透明だ」(同)との声が出ている。
急ピッチな金利上昇を受けて「市場参加者は金利リスクを取れない状況」(ニッセイ基礎研究所の金融調査室長、福本勇樹氏)という。
<ターミナルレート予想上振れ、円安も要因>
急ピッチな金利上昇は、植田日銀総裁のタカ派発言を受け、市場が予想するターミナルレートが切り上がったことが背景の一つとみられている。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)の2年先1カ月フォワード金利はここにきて1.4%台まで上昇。従来の市場の見方に1回分(0.25%)の利上げが上乗せされた格好で「長期金利は1.950%まで上昇してもおかしくない」とニッセイ基礎研の福本氏はみる。
高市政権による財政拡張路線を受けた円安進行も止まらない。足元のドル/円は155円台。植田日銀総裁の発言をきっかけに一時154円台まで下落したものの、再び元の水準に戻してきている。
SMBC日興証券の金利・為替ストラテジスト、丸山凜途氏は、市場では12月に50bp(ベーシスポイント)の日米金利差縮小がほぼ織り込まれているにも関わらず「円高が進行しないというセオリーに反した動きが続いてる」との見方を示す。
円安是正のため「12月会合で日銀総裁は利上げの打ち止め感を出さないのではないか」(国内銀の運用担当)との見方も加わり、ターミナルレート予想の目線が切り上がった面もある。
<長期金利2.0%近辺で止まるか注目>
足元ではすでに長期金利の2%が視野に入ってきたとの見方が広がっている。「1.95%を超えたあたりから、含み損を抱えた市場参加者の売りが出始める可能性がある」とSBI証券のチーフ債券ストラテジスト、道家映二氏は指摘する。
2%を超えると節目となる水準も見当たらなくなる。日本国債の格下げリスクが意識されれば、海外勢による売りも加わり、売りが売りを呼ぶ可能性がでてくる。
一方、外債投資と比較しても「長期金利2%は投資妙味がある」(別の国内銀の運用担当)として、金利上昇ペースが落ち着いてくるにつれ「徐々に買いが入っていく」(同)との声も聞かれる。
日銀が0.75%まで政策金利を引き上げたとしても、次回の追加利上げに踏み切るまでは時間が空くとの見方が広がっているほか、将来的に1.5%まで政策金利を引き上げても、長期金利が2%の水準であれば大きな損失は生じないとの見立てが背景にある。
<政府のコミットメント>
日銀が利上げに踏み切った後は「高市政権による、財政に対するわかりやすいコミットメントが必要になってくる」とSMBC日興証の丸山氏は指摘する。来年度の予算編成を控え、財政出動が想定よりも小さい規模に収まれば、金利上昇圧力が和らぎ、円安進行も歯止めがかかっていくとみる。丸山氏は、それでも金利上昇が止まらない場合、日銀が臨時国債買い入れオペなどで対応するとの予想を示している。
米国の年末商戦は、感謝祭時期にオンライン売上高が過去最高を記録し、好調なスタートを切った。しかし水面下では景気の弱さを示す兆候が出ており、今後の消費には揺り戻しが生じる可能性もある。
11月の消費者信頼感指数は再び低下した。それでもアドビ・アナリティクスの集計によると、米感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間、いわゆるサイバーウィーク中のオンライン支出は過去最高の442億ドル(約6兆8510億円)に達した。
実店舗の売上高データはまだ入手できない。
消費分析会社コアサイトの世界調査責任者、ジョン・マーサー氏は、過去最高更新という数字は「少し割り引いて」見る必要があると指摘。関税が一因となってコストが上昇している上、富裕な消費者は「1年を通じて支出を控えてきた」と語った。
データを詳しく見ると、消費者がサイバー・ウィークに不安に満ちた行動を取っていた実態が浮かぶ。ターゲット(TGT.N), opens new tabとウォルマート(WMT.N), opens new tabでは、消費者が衝動買いを減らした。アドビによると、後払い決済サービス(BNPL)で短期の借金をする消費者が過去最高に上った。
アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabなどの小売企業は電池や掃除用品といった日用品の値下げを拡大した。ニールセンIQの電子商取引(EC)部門ディレクター、ジャック・オリアリー氏によると、これは消費者が日用品を間に合わせるのにさえセールを探している状況だとみる。
市場調査会社カンターの調べでは、生活必需品を買う資金力があると答えた消費者の割合が先月4ポイント低下した。それでも、過去最低だった2023年の水準は大きく上回っている。
消費者分析会社シビックサイエンスが11月に行った調査では、3分の2以上の潜在的消費者が、関税は自身の買い物に影響し、プレゼントの購入を早めるか、量を減らすだろうと答えた。
今年の値下げ率は非常に大きく、消費者が通常より強い購買動機を必要としていることを示している。ペンシルベニア大ウォートン校のケント・スメッターズ経済学教授は「消費者心理は不安を反映し、行動は経済力を示している。不足分を埋めるのが値引きだ」と述べた。
<景気減速の可能性>
カンターの購買行動分析担当バイスプレジデント、ジュリー・クレイグ氏は、こうした行動は景気後退を意味するわけではないが、家計の健全性が「徐々に損なわれている」ことを示していると説明。急場をしのげるだけの貯蓄があると答える消費者の割合が、前年比で減少していることを示すカンターの調査に言及した。
RBCのアナリストは11月、関税コスト上昇を控えた駆け込み消費が数カ月続いた後、小売支出が横ばいとなったことを挙げ、低中所得層の消費者が「息切れしている」と報告した。
こうした「疲れ」の影響は、年末商戦シーズン後の数カ月間に顕在化しそうだと専門家は述べている。年明けには関税コスト、最近の政府機関閉鎖、それに伴う低所得者向け食料購入補助「フードスタンプ」(SNAP)の一時停止といったストレス要因の影響が、より直接的に表れる。クレイグ氏は「消費者は不安を募らせており、突発的に支出したとしても、それを埋め合わせるために後で支出を控えるという構図だ」と述べた。
消費調査会社サーカナの小売部門主席顧問、マーシャル・コーエン氏によると、支出に影響を与える可能性のある人員削減は、休暇シーズン直前は比較的少ないが、その後は増える傾向にある。
しかし全米小売業協会の首席エコノミスト、マーク・マシューズ氏はもっと楽観的だ。約5年にわたって消費者心理と実際の支出は乖離しており、支出が大幅に減ることはまれだと指摘。「消費者は節約のために低価格店に切り替え、落ち込む心をなだめている。しかし支出を止めることはしていない」と話した。
ウクライナをめぐる直近の外交活動からは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の気分と意図について、どんなことがわかるのだろうか?
まず、彼に和平案に署名する用意はないということだ。少なくとも、現時点ではない。
そして、いま協議されている案(または複数の案)での署名は、確実にないということだ。
モスクワでは2日、プーチン氏、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使、ドナルド・トランプ大統領の顧問で義理の息子のジャレッド・クシュナー氏らが5時間にわたって話し合った。同席したクレムリン(ロシア大統領府)のユーリ・ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は、「妥協案はまだ見つかっていない」とコメントした。
妥協点が見いだせないことは驚きではない。プーチン氏はここ数日、妥協は許さないと発言していたからだ。
彼はさまざまな声明で、ウクライナの指導部を「こそ泥の暫定政権」と非難してきた。欧州指導者らについても、和平に向けた努力を妨害しようとしていると責めた。そして、戦場で主導権を握っているのはロシアだと主張した。
ロシアのテレビは最近、軍服姿のプーチン氏が前線の地図を見て、軍の制圧範囲の拡大を強調する場面を何度か放映した。ウクライナや他国の専門家らは、そうした制圧の多くは事実ではないとしている。
ロシアがウクライナへの全面侵攻を始めてから4年近くがたつ。ロシアは戦場で多大な損害を被り、経済も打撃を受けている。だがプーチン氏は、この戦争で自分は勝利しており、今はそれを止める時ではないと確信しているようにみえる。
少なくとも、西側諸国にそう思わせたいと考えている。自分の目標達成を阻止することはできないと。
以前も言ったことがあるが、私はプーチン氏を見ていると、ブレーキもハンドルもバックのギアもない車のようだと感じる。高速道路を全速力で突っ走っている車だ。
全面侵攻開始から4年近くになるというのに、この「プーチン・モービル」には別の道に入る気配も、引き返す気配も、停止する気配もない。
プーチン氏は間違いなく、敵対する人々に、何も、誰も、彼に進路を変えさせることなどできないと思わせようとしている。欧州の指導者らにも、トランプ米政権にも、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領にも不可能だと。
だが、車には絶え間なく補給される燃料が必要だ。
そして戦争をするには、国家には絶え間なく補給される資金が必要だ。
ロシア政府は今のところ、国際的な制裁を科されているにもかかわらず、「特別軍事作戦」の資金を調達できている。しかし、経済的なプレッシャーは強まっている。石油とガスからの収入は減り、財政赤字は膨らんでいる。
プーチン氏も問題があると認めており、経済に「不均衡」があると述べている。
「いくつかの部門では、今年の生産は増加しなかっただけでなく、現実には減少した」。プーチン氏は今週、そう話した。「そうした傾向に私たちは満足しているのか? していない」とも。
大きな未知数がある。それは、経済をめぐる懸念が、戦場に関するクレムリンの計算に影響を与えるとすれば、それは一体どの時点からなのか――だ。
約20年前、リーマン・ブラザーズとAIGの破綻とそれに続く世界金融危機が世界を短期間ながら深刻な不況に陥れたとき、世界経済を活性化させ、失われた10年、あるいはそれよりも悪い状況から世界を救い出したのは、中国の巨額の債務を原動力とした成長のダイナモであった。この歴史的な再出発の唯一のトレードオフは、中国が総債務を倍増させ、その後も指数関数的に増加し続け、新型コロナウイルスの崩壊によって中国の巨大な中産階級の最大の資産である不動産セクターが急降下し、歴史的な経済危機を引き起こしたということだ。ただし今回は、総債務がすでにGDPの350%に達していたため、北京はもはや魔法の債務の杖を振って数兆ドルの融資を注入し、すべてを帳消しにすることはできなかった。それどころか、住宅市場は過去5年間着実に減少しており、中国に残る最後の国営不動産大手である万科集団が崩壊の危機に瀕しているため、むしろ減少は加速している。
毎年5%という不変の成長率を装いながら、経済のあらゆる問題を隠蔽するという見事な仕事をしてきた中国にとって残念なことに、状況はさらに悪化するだろう。
日本の日経新聞が報じているように、中国の地方政府の債務は、 5年にわたり続く不動産市場の低迷により不動産販売収入が落ち込み、地方政府の年間債券発行額が過去最高に達したことで、引き続き膨らんでいる。
地方政府とそのプロジェクトに資金を提供する地方政府金融公社(LGFV)の負債総額は現在、推定134兆元(18兆9000億ドル)に達しており、これは公的債務総額の対GDP比が200%をはるかに超え、しかも増加傾向にあることを示しています(比較対象として、米国では100%であり、しかも増加傾向にあります)。さらに民間部門の債務が200%も加われば、中国の債務問題が日本よりもさらに深刻である理由が分かります。ラボバンクのマイケル・エブリ氏によると、これは中国が資本規制と巨額の新重商主義的貿易黒字を維持する構造的な必要性を浮き彫りにしています(つまり、中国はダンピングとデフレ輸出を続けるでしょう。そうでなければゲームオーバーを意味するからです)。
中国の記録的な低金利は、一時的には問題を隠蔽し、先送りするかもしれないが、同時にデフレをさらに長引かせ、成長をさらに抑制し、さらなる債務の増加につながり、デフレの債務渦が拡大することになるだろう。
中国財政省は10月の通知で「地方政府向けに5000億元を確保した」と述べ、追加債務拡大を承認したと説明した。
この資金は地方自治体の負債や未払いの請求書の削減、および投資プロジェクトに使用される予定だ。
同省の新設債務管理部門を率いる李大偉氏は「現在、地方政府は債券を発行し、迅速に投資して、できるだけ早くその恩恵を実現することに重点を置いている」と語った。
今年の地方債発行額は先月末時点で10兆元を超え、昨年通年の発行額9.7兆元を上回り、すでに年間発行額としては過去最高を記録しました。地方債の発行残高は54兆元に達しています。
増加の要因は複数あるが、最大の要因は、不動産市場の低迷が続くことによる地方政府の歳入減少である。地方政府が1月から10月にかけて売却した不動産の総額は2兆5000億元弱だった。2021年には、年間で8兆7000億元を超えた。
「売り出し予定の物件の10%以上は、買い手が見つからず入札がなかった」と、中泰国際証券のアナリスト、ユー・ジペイ氏は述べた。ユー氏は、市場はさらに調整を進めており、2025年の不動産売買総額は約3兆元と、ピーク時から5兆元以上減少すると予想している。
地方自治体が債券を発行するもう一つの理由は、隠れ債務です。隠れ債務とは、地方自治体の資金調達機関や地方自治体が所有する投資会社が発行する社債などを通じて調達された資金を指します。
これらの地方政府系金融機関(LGFV)の債務残高に関する正確なデータは存在しない。中国のデータプロバイダーDZHによると、約4,000の地方政府系金融機関(LGFV)が発行した利子付き債務の総額は、昨年末時点で87兆元に達している。これに地方政府債の47兆元を加えると、総額は134兆元、つまり19兆ドル弱となる。
国際通貨基金(IMF)は、中国の地方自治体の負債が2024年には65兆元に達すると推定している。推計には幅があるものの、中国の地方政府が抱えるオフバランス債務は60兆元から80兆元に上るとの見方が一般的だ。
企業は多額の負債を抱えていても利益を上げている限り存続できますが、LGFVは収益性が低く、約10%が損失を出しています。自己資本利益率(ROE)が4%を超えるLGFVはわずか3%です。
案の定、LGFVの2024年12月期の純利益は約5,500億元であるにもかかわらず、補助金はその2倍、1兆元以上も受け取っている。つまり、北京からの継続的な資金援助がなければ、中国の地域経済は崩壊してしまうだろう。
これは、補助金を除いた場合、これらの地方公共団体の約50%が赤字であったことを意味します。これらの団体が資金提供するプロジェクトは収益性の低いインフラプロジェクトであることを考えると、これらの団体の債務返済は長期にわたるものとなるでしょう。
LGFVは巨額の負債を抱えているにもかかわらず、政府の暗黙の保証と長期にわたるデフレによる低金利に頼って事業を継続している。一方、債務の穴は拡大するばかりだ。習近平政権は昨秋、LGFVの負債を地方政府に移管するため、10兆元の地方債の追加発行を承認した。政府は、LGFVに限らず、他のいかなる企業による金融危機も避けたいと強く望んでいる。トランプ大統領との貿易戦争の最中に経済が崩壊すれば、習近平の評判に壊滅的な打撃を与えることになるからだ。
北京市傘下の地方政府系機関が今年発行した社債の平均利回りは2.1%で、2021年より1.4ポイント低下した。これは国債の利回りに匹敵する低下幅だ。低迷する経済を支えるため、中国人民銀行は金融緩和策を講じており、地方政府の財政は支えられている。
デフレは債務問題の先送りには役立つものの、最終的には、壊滅的な危機でもない限り、問題の解決を不可能ではないにしても、より困難にする。
ドーマー条件は財政の安定性を判断する指標の一つです。基本的な考え方は、名目経済成長率が名目金利を上回っている限り、財政の持続可能性が損なわれる可能性は低いというものです。
「中国の名目成長率は3%台に低下し、名目金利は2%をわずかに下回る水準にあるため、その差は縮まりつつある」と、シンクタンクのニッセイ基礎研究所の三浦雄介氏は述べた。中国人民銀行が日本のように大規模な量的緩和によってマイナス金利を導入しない限り、中国は次なる巨大危機へのカウントダウンを開始するだろう。
中国国債の大部分は人民元建てである。経常収支の黒字が大きいことから、地方債の買い手がすぐに枯渇する可能性は低い。しかし、中国政府は財政状況の悪化を十分認識しており、大規模な支出を控え始めており、需要低迷によるデフレが長期化する恐れが高まっている。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
エヌビディアが同社は今週、チップ設計会社シノプシスに20億ドルの出資を行うと発表したが、これは今年このチップメーカーが発表した一連の大規模投資の最新のものに過ぎない。
エヌビディアはまた、ノキアに10億ドルの株式を取得し、インテルに50億ドルを投資すると発表している。
そして、アントロピックに100億ドルを投資しました。これら4つの取引による投資コミットメントは、小規模なベンチャーキャピタル投資を除いて180億ドルです。
エヌビディアの最高財務責任者コレット・クレス氏は火曜日、この金額には最大のコミットメントである、数年かけてオープンAI株を1000億ドルで買収するという金額は含まれていないものの、まだ最終合意には至っていないと述べた。
多額の資金と多くの取引だが、Nvidia には巨額の小切手を切るだけの資金がある。
10月末時点で、NVIDIAの現金および短期投資残高は606億ドルでした。これは、OpenAIがChatGPTをリリースした直後の2023年1月の133億ドルから増加しています。3年前のこのリリースは、NVIDIAのチップを最も価値の高いテクノロジー製品に押し上げる鍵となりました。
エヌビディアがゲーム技術メーカーから米国で最も価値の高い企業へと変貌を遂げるにつれ、同社のバランスシートは要塞となり、投資家たちは同社がその現金をどう使うのかますます疑問に思うようになっている。
「私たちが話しているような規模で成長した企業はこれまでありませんでした」と、先月のエヌビディアの決算説明会で、保有する現金をどう使う計画かと問われたジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は述べた。
ファクトセットが調査したアナリストは、同社が今年だけで968億5000万ドルのフリーキャッシュフローを生み出し、今後3年間で5760億ドルのフリーキャッシュフローを生み出すと予想している。
一部のアナリストは、NVIDIA がより多くの現金を自社株買いに費やすことを望んでいる。
「エヌビディアは今後数年間で6000億ドル以上のフリーキャッシュフローを生み出す見込みで、機を捉えた自社株買いに使える資金がかなり残っているはずだ」とメリウス・リサーチのアナリスト、ベン・ライツェス氏は月曜日のメモに記した。
同社の取締役会は8月に自社株買いの承認額を引き上げ、総額を600億ドル増加させた。今年の最初の3四半期では、自社株買いと配当に370億ドルを費やした。
黄氏は「自社株買いは今後も継続していく」と語った。
Nvidia は自社株買いを行っていますが、それだけに留まるつもりはありません。
黄氏は、エヌビディアのバランスシートの強さにより、顧客やサプライヤーは将来の注文(いわゆるオフテイク)が満たされるという自信を持てると述べた。
「当社の評判と信頼性は信じられないほど高いです」と黄氏は述べた。「それを実現するには、成長レベル、成長率、そしてそれに伴う規模を支える、非常に強固なバランスシートが必要です。」
エヌビディアのCFOであるクレス氏は火曜日、同社の「最大の焦点」は次世代製品を予定通りに納品するために十分な資金を確保することだと述べた。エヌビディアの主要サプライヤーの多くはフォックスコンやデルといった機器メーカーであり、在庫管理や製造能力の増強のためにエヌビディアに運転資金の提供を求める可能性がある。
フアン氏は、自社の戦略的投資を「非常に重要な仕事」と呼び、OpenAIのような企業が成長すれば、AIとNVIDIAのチップのさらなる消費が促進されると述べた。NVIDIAは自社製品の使用に投資は必須ではないとしているが、実際にはどの企業も投資を義務付けている。
「私たちがこれまでに行ったすべての投資は、すべてCudaの範囲を広げ、エコシステムを拡大することに関連しています」とフアン氏は同社の人工知能ソフトウェアに言及して述べた。
エヌビディアは10月の提出書類で、すでに非公開企業に82億ドルの投資を行ったと述べている。エヌビディアにとって、これらの投資は買収に取って代わるものである。
NVIDIA が2020 年に実施した70 億ドルでの Mellanox の買収は同社にとって過去最大規模であり、この買収によって、単一のチップではなく、推定 300 万ドルで販売されるサーバー ラック全体である現在の AI 製品の基礎が築かれました。
しかし、同社は半導体技術企業アームの買収を試みたときに規制上の問題に直面した。
2020年には400億ドルに達する見込みだ。
米国と英国の規制当局が半導体業界の競争への影響を懸念したことを受け、NVIDIAは買収を完了前に中止した。NVIDIAは近年、エンジニアリングチームの強化を目的に小規模企業をいくつか買収してきたが、Arm買収が失敗して以来、数十億ドル規模の買収は完了していない。
「非常に重要で大規模なM&Aを考えるのは難しい」と、クレス氏は今週、投資家向けカンファレンスで述べた。「M&Aの機会があれば良いのですが、そう簡単にはいかないでしょう。」
メタ<META>が上昇。取引開始前にザッカーバーグCEOがかつて会社の未来と位置づけたメタバース事業への投資を大幅に縮小する方針と伝わった。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。
メタバース関連部門の2026年予算について最大30%の削減案が協議されており、早ければ1月にもレイオフが実施される可能性があるという。削減対象は、仮想空間サービス「メタ・ホライゾン・ワールズ」やVRヘッドセットを手掛けるクエスト部門を含むメタバース事業全般で、特にVR関連のリアリティ・ラボが中心的に影響を受ける見通し。
ザッカーバーグCEOは今年の予算編成で、全社的に10%の削減を各部門に求めているが、メタバース領域は競争環境が想定ほど加熱していないこともあり、より深い削減が求められたとされる。
同社のリアリティ・ラボは2021年以降で累計700億ドル超の損失を計上しており、投資家からは長年、採算性への懸念や事業整理を求める声が上がっていた。メタバースを巡っては子どもの安全性やプライバシーを巡る批判も根強い。
一方、ザッカーバーグCEOは近年、生成AIやAIチャットボットを支える大規模モデル開発へ注力しており、レイバンとのスマートグラスなど、AI関連のハードウエアとサービスの強化へ軸足を移している。公の場でもメタバースへの言及は激減。
アナリストの中には、同社がメタバース事業を年内に閉鎖すると予測する声もあり、企業全体としてAI優先戦略が一段と鮮明になりつつある。
これとは別に、欧州委員会がメタのメッセージングサービス「ワッツアップ」へのAI機能導入を巡り、新たな競争法調査を計画していると伝わった。英FT紙が関係者の話として報じた。欧州委は今年に入り、メタがワッツアップに「メタAI」をどのように統合したかについて調査を開始する準備を進めていたという。
メタの株価は、ブルームバーグの報道を受け、数ヶ月ぶりの大幅な上昇を記録した。マーク・ザッカーバーグ氏がメタバース事業への投資を大幅に削減する計画だと報じたのだ。かつてザッカーバーグ氏が「インターネットの次なる章」と謳ったメタバース事業は、全くの失敗に終わった。
ブルームバーグによると、Metaの幹部は、2026年にメタバース予算を最大30%削減することを検討しているという。これには、仮想世界製品「Meta Horizon Worlds」と同社の仮想現実部門「Quest」が含まれる。Reality LabsのVR事業へのこれらの削減は、早ければ1月にも人員削減につながる可能性が高い。
ザッカーバーグ氏は全部門に10%の節約を求めたと報じられているが、メタバース部門はパンデミック初期に導入されて以来完全な失敗だったため、さらに大幅な削減を求められていた。
レポートにはさらに次の内容が記載されています。
関係者によると、メタバース事業の削減案は、同社の2026年度予算計画の一部であり、先月ハワイにあるザッカーバーグ氏の邸宅で行われた会議もその一部だったという。ザッカーバーグ氏はメタバースの幹部に対し、全体予算の10%削減を目指すよう指示しており、これは過去数年間の同様の予算サイクルにおける標準的な要求となっているという。
2021年、ザッカーバーグ氏は創業者レターの中で投資家に対し、メタバースは「インターネットの次の章、そして当社にとっての次の章の始まり」であると語った。
ブルームバーグNEFは月曜日、米国のデータセンターの電力需要は2035年に106ギガワットに達する可能性があると発表した。これはこれまでで最も積極的な需要増加予測の一つである。ブルーム・エナジーは今年初め、2024年時点で米国の稼働中のデータセンターは約25ギガワットになると発表していた。
ブルームバーグNEFの最新予測は、4月に発表された前回予測より36%高くなっています。この上昇は、過去1年間に発表された米国の主要データセンタープロジェクト150件の平均規模が拡大したことが一因です。BNEFによると、そのうち4分の1以上が500MWを超えています。
連邦政府の需要を追跡しているエネルギー情報局は、通常、2~3年先の詳細な予測のみを公表しており、2035年まで先を見据えた確固たる予測を試みた分析は他にほとんどない。
BNEFの報告書は、一部のエネルギー業界のアナリストや幹部が、人工知能バブルや投機的なデータセンター提案が過剰な負荷増加予測を助長する可能性があると警告している中で発表された。
グリッド・ストラテジーズが先月発表した報告書によると、 2030年までにデータセンターの負荷が90GW増加するという電力会社の予測は誇張されている可能性が高く、市場分析ではその期間の負荷増加は65GWに近いことが示されているという。
米国エネルギー省が7月に発表した報告書では、2030年までに新たに100GWのピーク容量が必要になると推定されており、そのうち50GWはデータセンターに起因する。ローレンス・バークレー国立研究所によると、これらの施設は2028年までにピーク需要の最大12%を占める可能性がある。
BNEFのデータセンタープロジェクトトラッカーによると、業界はバージニア州北部、アトランタ都市圏、オハイオ州中部などの従来のデータセンターハブを越えて、データトラフィック用の既存の光ファイバー幹線が整備された郊外や田舎の地域へと多様化しています。
建設中、決定済み、そして初期段階のプロジェクトを示す地図を見ると、計画中のデータセンター容量は、南はバージニア州とカロライナ州、北はペンシルベニア州東部、そしてシカゴからミシガン湖岸沿いに広がるギガワット規模に広がっていることが分かります。テキサス州とメキシコ湾岸諸州にも、さらに多くのデータセンターが計画されています。
容量の大部分は、PJMインターコネクション、ミッドコンチネント独立系統運用機関(MIDSO)、テキサス電力信頼性評議会(Electric Reliability Council of Texas)が管理する送電網で実現される見込みです。BNEFは、PJMだけで今後5年間で31GWのデータセンター負荷を追加できると予測しており、これは新規発電による予想容量増加分を約3GW上回ります。
予想される電力需要の急増を受け、北米電力信頼度公社は昨年末、今年、2026年以降、3地域すべてで夏の電力不足の「リスクが高まっている」と警告した。
しかし、一部の専門家はNERCの分析手法に異議を唱えた。MISOの独立市場モニターは6月、 NERCの分析には欠陥があり、MISOはISOニューイングランドやニューヨーク独立系統運用者(NSO)など、データセンターの急激な成長が見込まれない電力網地域よりも有利な立場にあると述べた。
他のテクノロジーおよびエネルギーシステムのアナリストは、チップ不足、許可申請の重複、その他の要因により、今後数年間で提案されているデータセンターの容量のかなりの部分が消失すると予想しています。
ロンドン・エコノミクス・インターナショナルは7月、南部環境法律センター向けに作成した報告書の中で、2030年の米国データセンターの負荷予測を満たすには世界の半導体供給の90%が必要になると述べ、このシナリオを「非現実的」 と呼んだ。
アメリカ公共電力協会の政策・調査担当ディレクター、パトリシア・テイラー氏は今年初め、Utility Diveに対し、データセンター開発者が近隣の管轄区域で同じプロジェクトを「買い漁る」のは一般的だと語った。
それでも、BNEFは、米国の送電事業者は、大規模データセンターを受け入れたいという要望と、全顧客に信頼性の高いサービスを保証する義務とのバランスを取る中で、「転換期」に直面していると述べた。
再生可能エネルギー開発大手のレノバは4日、小型太陽光の開発に223億円を調達すると発表した。子会社を通じ三井住友信託銀行などとプロジェクトファイナンス(事業融資)の契約を結んだ。レノバは小型太陽光事業を拡大する。
調達した資金は国内の計17万キロワット分の小型太陽光の開発や運用に使う。約1300カ所に相当し、耕作放棄地を中心に開発する。完成した発電所で生み出した電気を企業など需要家に売って収益を確保する。
小型太陽光は開発件数が多く長期運用が難しいなどの理由で事業融資が下りにくい。レノバはバイオマスや風力発電で事業融資を受けた実績をいかして契約した。小型太陽光は国内の耕作放棄地を活用するなどして、2030年度までに9000カ所開発する目標を掲げている。
●その他