備忘録(2025/10/8)
●企業
米ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは、経営破綻した自動車部品サプライヤー、ファースト・ブランズ・グループの売掛債権および貸し付けを保有するファンドに対し、1億6100万ドル(約246億円)のエクスポージャーがあると明らかにした。
ジェフリーズのエクスポージャーは主に、同社のルーカディア・アセット・マネジメント傘下のポイント・ボニータ・キャピタルを通じて発生している。声明によれば、ルーカディアはポイント・ボニータが運用するファンドに対し1億1300万ドルを出資している。
ジェフリーズはまた、同社が50%出資するエイペックス・クレジット・パートナーズを通じたファースト・ブランズへのエクスポージャーも開示した。エイペックスは債務担保証券(CLO)を通じてファースト・ブランズへ約4800万ドルを貸し付けていた。
ファースト・ブランズは、貿易金融の利用に対する懸念が高まる中、9月28日に連邦破産裁判所に破産法適用申請を提出した。8月には投資家の監視が高まり、ファースト・ブランズは60億ドルに上る債務の借り換え計画を中断せざるを得なくなった。ジェフリーズはこの借り換えをまとめていた。
●マクロ
米政府機関の閉鎖が2週目に突入する中、25万人以上の連邦職員が今週、予定されていた給与を受け取れなかった。
予算を巡る与野党の対立が3週目に入っても解消されなければ、さらに200万人の職員が無給となる見通しだ。政府閉鎖による痛みがここにきて顕在化しつつあり、議会に対しては早期に予算を成立させ、政府機関を再開するよう圧力が強まっている。
トランプ政権は強硬姿勢で民主党に妥協を迫っている。また行政管理予算局(OMB)による法的文書の草案で、政府閉鎖が終わっても職員が必ずしも遡及的に給与を受け取れるとは限らないと主張していることが明らかになった。
この解釈は過去40年にわたる慣行を覆すとともに、遡及的な給与支払いを自動で行うことを定めた2019年の法律に抵触しているとみられる。トランプ大統領は7日、支払い分を補償する職員を選別する考えを示した。
「誰のことを指すかによるが、大部分については、われわれがしっかり面倒を見るつもりだ」とトランプ氏はホワイトハウスで記者団に発言。「中には面倒を見るに値しない人々もいる。そうした人々については別の形で対処する」と続けた。
遡及的な給与支払いを行わないとの方針は、トランプ氏の包括的な戦略の一環だ。民主党支持層に最大限の政治的痛みをもたらす一方、米軍や移民取り締まりといった「不可欠」とみる連邦政府の機能を守る狙いがある。トランプ氏は近く数千人規模の職員削減計画を発表する可能性をちらつかせているほか、ボートOMB局長は民主党地盤で計画されているプロジェクト向けの連邦資金拠出を凍結した。
過去の政府閉鎖は、数時間から数日で解消されることが多かった。時には週末を挟むこともあり、その場合の影響は極めて軽微だった。しかし今回は、現時点で近代史上4番目の長さとなっている。
トランプ政権はこれまでの閉鎖時より多くの連邦職員に出勤を命じており、一時帰休の対象は全体の30%未満にとどまっている。不可欠とされる業務の職員も休職中の職員も、年次予算によらない政府機関を除き、給与は支払われていない。
EYパルテノンのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は、未払い分の給与を支払わない、あるいは連邦職員を解雇したりすれば、過去の閉鎖時よりも経済への悪影響は大きくなると話す。所得喪失による個人消費の落ち込みを通じて、国内総生産(GDP)への逆風が強まり、現状では1週間に約0.1ポイントの成長下押し要因になるとダコ氏は分析している。
給与の未払いが長引くほど、問題は深刻化する。2018-19年にかけて35日間続いた前回の政府閉鎖では、米運輸保安局(TSA)で無断欠勤が増え、空港の保安検査場で長蛇の列が発生した。今回もすでに、一部で空港発着便に遅れが出ている。
「TSAや米連邦航空局( FAA)といった不可欠な業務に当たる職員にとって、足元の状況は士気の低下や欠勤増加を招き、業務上のリスクを高める。また旅行や物流の混乱を通じて、経済全体への悪影響も広がるだろう」とダコ氏は述べた。
外国為替市場で円安が加速し、対ドルで心理的節目の155円が視野に入る中、投資家の間では政府・日本銀行が為替介入に踏み切る水準がどこになるのかに注目が集まっている。
自民党総裁選で緩和的な財政・金融政策を志向する高市早苗氏が予想外の勝利を収めたことを受け、円は急落。一時152円65銭と2月以来の安値を更新し、対ユーロでは1999年のユーロ導入以来の最安値を付けた。
ガマ・アセット・マネジメントのグローバル・マクロ・ポートフォリオ・マネジャー、ラジーブ・デメロ氏は「日本の財務省と日銀は急激な円安を望んでおらず、再び150-160円のレンジに戻ってきたことを不快に感じている」と指摘する。「まずは口先介入の形を取る可能性が高いが、円安が続けば実際の介入が近いうちに行われるかもしれない」と話す。
急速な円安進行を受け、加藤勝信財務相は7日、「為替市場での過度な変動を注視する」と発言した。
高市氏の勝利で日銀が10月に利上げに動くとの見方が後退したことが、円の下落につながっている。一方、国債市場では財政出動を伴う景気刺激策への懸念から超長期債が下落した。高市氏の経済ブレーンの本田悦朗元内閣官房参与は、今月の日銀金融政策決定会合での利上げは「さすがに難しい」と述べ、12月の方が適切な時期だとの見解を示した。
円の対ドル相場は2024年に日本が為替介入を実施した日の安値水準(157円99銭、159円45銭、160円17銭、161円76銭)に近づきつつある。市場では介入ラインを探る動きが強まっているが、当局は特定の水準だけでなく、円安のスピードやボラティリティー(変動率)も注視しているとみられる。
市場関係者の一部では、高市氏が元財務相の鈴木俊一氏と麻生太郎氏を党の要職に起用したことに一定の安心感も広がっている。高市氏が財務省の了承なしに大規模な歳出拡大や減税に踏み切る可能性は低いとの読みからだ。
それでも市場の円先安感は強まっている。バンク・オブ・アメリカは総裁選の結果を受けて円の見通しを引き下げ、年末のドル・円予想を従来の153円から155円に修正した。ドイツ銀行も円に対する強気見通しを中立に変更した。
SBI FXトレードの上田真理人取締役は「円を積極的に買う理由は今のところ全くない」と話す。「財務省から強いけん制がなく、日銀も利上げに関して何もメッセージを出さないようなら、ドル・円が155円までいってもおかしくない」とみる。
10月に訪日する予定のトランプ米大統領は、かねて日本が自国に有利なように為替操作を行っていると繰り返し主張してきた。ベッセント米財務長官は8月、ブルームバーグの取材に対し、日銀がインフレ対応で「後手に回っている」と発言。他国の中央銀行の政策決定を公に批判する異例のコメントで、注目を集めた。
今月の日銀会合で金融政策が据え置かれた場合、高市氏の勝利を受けて日銀が利上げを先送りしたと市場で受け止められ、円がさらに売られる可能性もある。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場は現在、10月の利上げ確率を約25%と織り込んでおり、1週間前の60%超から大きく低下している。
オーストラリア・コモンウェルス銀行のストラテジスト、キャロル・コング氏は「据え置き判断はさらなる円安を招く可能性が高い」と指摘。円安が続くかどうかは「日銀の植田和男総裁が示す短期的な金利見通し次第だ」と話した。
英運用会社RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は、自民党総裁選を受けた「高市トレード」に関し、円金利のスティープ化は行き過ぎだと指摘、円ロング(買い持ち)ポジションの解消に動いたことを明らかにした。
ロイターの取材に7日、書面で回答した。主なやりとりは以下の通り。
──高市早苗新総裁誕生で、財政政策の見通しは。
「日本の債務残高対GDP比は極めて高水準にある。幸い、過去1年間で財政赤字と債務残高対GDP比は減少傾向にあったが、自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことで暗雲が漂い始めた」
「高市氏の政策は景気刺激と物価高騰で苦しむ人々への支援に重点を置いている。財政支出の増加は赤字を拡大させるが、その程度については、連立政権のパートナーや閣僚の顔ぶれによるだろう。麻生太郎氏の支持は高市氏に勝利をもたす決定的な要因となったが、麻生氏自身は消費税減税に反対の立場をとっている」
「とはいえ、われわれは財政拡張により基礎的財政(PB)赤字(対GDP比)が3.2%から、4%を超える水準まで拡大するとみている。もっと大幅に悪化するリスクもある」
「インフレ抑制が日本にとって主要なテーマの1つとして議論される時期に財政政策を拡張することは、かえってインフレを加速するリスクがある。日本の国債市場への信頼も損なう恐れがある」
「高市氏は日本のマーガレット・サッチャー(英国初の女性首相)を目指す考えのようだが、もし市場の懸念を無視するような選択をすれば(2022年のトラス・ショックを招いた英元首相の)リズ・トラスのような危機的状況に陥るリスクがある」
──高市氏は利上げに慎重とされる。日銀の金融政策をどうみるか。
「日本のインフレ率は長期間、日銀が目標とする2%を上回っており、投資家は日銀がビハインド・ザ・カーブに陥っている(政策対応が遅れている)のではないかとの疑念を持ち始めている。このため日本国債のイールドカーブはロングエンドがスティープ化している」
「日銀は10月と来年初めに追加利上げを行うべきというのがわれわれの考えだが、金利政策の主導権を政府が握ることを望む高市氏の下では、その可能性は低そうだ。高市氏は低金利を維持したいと考えているが、これはインフレ圧力に拍車をかけるリスクがある。財政拡張も検討されている状況ではなおさらだ」
「植田和男日銀総裁が高市氏の見解に反対することを恐れているように見えるため、日銀の利上げは1月まで先送りされる可能性が高いとみている。ただ、政策金利は時間をかけて中立金利である1.5%前後へと調整される必要がある。そうしないと、日本で高インフレが定着してしまう」
──日本の政局を受け、投資スタンスに変化は。
「金融緩和と財政政策の組み合わせは経済成長にはポジティブで、インフレをさらに押し上げる。日本株には追い風となる一方、日本国債と円にとっては逆風となる」
「まず為替だが、総裁選で小泉進次郎農相が勝利すれば円ロング・ポジションを拡大するつもりだったが、高市氏の勝利を受け、保有していた小規模な円ロングポジションを解消した。現在は円のポジションを持っていない。円はアンダーバリュー(割安)だが、高市氏のスタンスは円安をさらに加速する恐れがある」
「日本国債については、10年/30年のカーブのスティープ化はファンダメンタルズからみて既に行き過ぎと考えており、カーブのフラット化を見込むスタンス(10年債売り・30年債買い)を維持している。全体のポジションはショート(売り目線)に戻した。高市氏が掲げる政策ミックスに関しては、それがインフレに与える影響も含め、疑問を抱いている」
「日本株には強気の見方を維持しており、債券市場の懸念が株式市場に波及し始める兆候がない限り、楽観的だ。日本国債の利回りが過度に上昇し始め、債務の持続可能性への懸念が高まり、これが『日本売り』懸念を引き起こした場合、株式・債券・為替市場にとってよりネガティブな展開となる可能性がある。こうした政策上の過ちが避けられることを願っている」
イングランド銀行は水曜日、「急激な市場調整」のリスクが高まっていると警告し、特に人工知能に重点を置くテクノロジー企業の評価額が割高になっていると指摘した。
市場が第4四半期に突入する中、 AIバブルが形成されているかどうかについて意見を述べる多くの銀行や投資家の中で、中央銀行が最新の存在となった。
イングランド銀行は最新の議事録で、地政学的緊張の高まり、貿易・金融市場の分断、国債市場への圧力がリスクに影響していると述べた。
「このような世界的なリスクが顕在化すれば、開放経済と世界金融センターとしての英国に重大な影響を及ぼす可能性がある」と報告書は指摘した。
イングランド銀行は、米ハイテク企業の第2四半期の業績が好調だったこともあり、株式市場の評価額はほぼ過去最高水準にあると発表した。
「S&P500の上位5社の市場シェアは30%近くに達し、過去50年間のどの時点よりも高かった」と述べ、AIに特化したテクノロジー企業の評価額が特に過大になっているようだと指摘した。
議事録には、「市場指数における集中度の高まりと相まって、AIの影響に関する期待が後退した場合、株式市場は特に大きな影響を受けることになる」と記されている。議事録は、将来の収益成長への期待がこれほど高いため、AI関連銘柄への投資が後退すれば、波及効果をもたらす可能性があると付け加えている。
決算シーズンが始まる中、投資家はAI関連銘柄を注視しており、一部のストラテジストは、テクノロジー企業のバリュエーションは健全なファンダメンタルズによって左右されていると確信している。ゴールドマン・サックスも最新のレポートで慎重ながらも楽観的な見方を示し、バブルはまだ形成されていないとしながらも、投資家への「分散投資」の警告に耳を傾けた。
しかし、連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は火曜日、テクノロジー企業については明確に言及しなかったものの、 「かなり高く評価されている」資産について警告した。
イングランド銀行はさらに、「下振れ要因には、AIの能力や導入の進捗が期待外れだったり、競争が激化したりすることが含まれており、現在高いと予想される将来の収益の再評価を促す可能性がある」と警告した。
「電力、データ、商品のサプライチェーンなどAIの進歩を阻む重大なボトルネックや、強力なAIモデルの開発と活用に求められるAIインフラ要件を変えるような概念的なブレークスルーも、AIインフラへの高額な投資から収益を期待している企業を含め、評価に悪影響を及ぼす可能性がある」と付け加えた。
一方、自動車メーカーのファースト・ブランズと自動車金融会社トリコロールが破産申請したという報道を受け、民間信用市場は最近苦境に立たされている。また、フランスと日本の政治的不確実性は依然として続いており、ドナルド・トランプ米大統領による連邦準備制度理事会(FRB)への介入をめぐる疑問も依然として残り、イングランド銀行の見通しをさらに暗くしている。
イングランド銀行は、リスク環境の変化により「市場が悪影響の可能性を完全に織り込んでいないリスクが高まり、こうしたリスクのいずれかが具体化すれば突然の調整が起きる可能性がある」と述べた。
そのため、生活費や借入コストの高騰によりすでに苦境に立たされている市場において、家計や企業に連鎖的な影響を及ぼす可能性があると付け加えた。
今週、ココアの価格がほぼ2年ぶりの安値に下落したことで、ココアの連勝記録は失速しつつあるが、投資銀行はココアが「極度に売られ過ぎ」になっていると警告している。
米国ココア先物12月渡しの原油価格は水曜日に1.4%下落し、1トン当たり約6,090ドルで取引された。10月3日までの週に契約価値が10%下落した下落幅が拡大した。
これは、過去2年間高値を維持してきたカカオ価格の軌道転換を示すものとなった。米国の先物価格は12月中旬に1万2931ドルの高値を記録したが、今週は2024年初頭以来の最安値に下落した。
近年、厳しい農業環境、害虫の蔓延、西アフリカの輸出規制によりカカオ価格は上昇しているが、コートジボワールとガーナの政府がカカオ農家に支払う最低価格を引き上げたため、この1週間で上昇傾向は止まった。
「極度に売られ過ぎ」
投資銀行シティのアナリストらは月曜日のレポートで、資産運用担当者らがココアに対して「歴史的に弱い投機的ポジション」を取っていると述べ、さらに、彼らのデータはココアの「勢いの弱さ」と「売られ過ぎのシグナル」を示していると付け加えた。
ソシエテ・ジェネラルのアナリストらも月曜日、ロンドンで取引されたココア先物は「極度に売られ過ぎ」ていると述べた。
「今週、マネーマネジャーはネットショートに転じた」と、彼らは顧客向けメモで述べた。「(ココアは)ショートカバーに対して極めて脆弱だ…マネーマネジャーのショートポジションは2022年8月以来の最高水準にまで増加した。」
ニューヨークでは、ロンドンの契約ほど極端ではないものの、ココアも空売りカバーの影響を受けやすいと付け加えた。
ショートカバーは、投資家が借り入れた資産を買い戻して空売りポジションを解消する際に発生し、利益または損失につながる可能性があります。価格が上昇すると、空売りポジションを解消しようとする投資家の殺到がショートスクイーズ(空売りによる資産への買い戻し)につながり、トレーダーが資産に殺到して価格を押し上げる可能性があります。
JPモルガンのストラテジストらは今週のメモで、回復の兆候がすでに現れていると指摘した。
「コートジボワールとガーナの政府が農家価格を引き上げたことを受け、ココア市場は週を通して急落し、新たな作物生産者の販売を受けて今年最大の週間下落の一つとなった」と彼らは述べた。
しかし、彼らはこう付け加えた。「ココア市場全体の先物とオプションの未決済建玉は、歴史的な最低水準から2025年2月の水準まで上昇している。」
2月には、米国のココア先物は定期的に1万ドルの水準を超えて取引された。
欧州連合(EU)が鉄鋼関税を引き上げ、輸入割当を大幅に削減するという決定は、英国内で広範な懸念を引き起こし、また欧州大陸の自動車メーカーの間でも不満の声が上がっている。
同連合は火曜日、輸入鉄鋼の無関税割当を削減し(2024年の鉄鋼割当量に比べて47%削減することを提案)、超過輸入分については関税を25%から50%に引き上げる計画を発表した。
欧州委員会は、これらの措置は、労働者、産業界、そして複数の加盟国からの「EUの雇用を守り、脱炭素化への取り組みを支援することを目的に、EU鉄鋼業界に強力かつ恒久的な保護を提供する」という要請に応えるものだと述べた。この提案は、2026年6月に期限切れとなる鉄鋼セーフガード措置に代わるものである。
この関税引き上げは英国で即座に非難を引き起こした。苦境に立たされた英国の鉄鋼業界は、製鉄所の閉鎖による数千人の失業や、米国による米国向け鉄鋼輸出への25%関税など、すでに数々の打撃を受けている。
「これはおそらく英国の鉄鋼業界がこれまでに直面した中で最大の危機だ」と業界団体UKスチールのガレス・ステイス事務局長は火曜日に語った。
同氏は「英国政府は、英国が割当枠を確保するために、欧州連合との貿易関係を最大限活用する必要がある。さもなければ、破滅に直面する可能性がある」と付け加えた。
RSM UKのディレクター兼産業シニアアナリストのエミリー・サウィッツ氏はCNBCに対し、EUの発表は英国の鉄鋼業界にとって「重大な脅威」だと語った。
「英国の鉄鋼輸出の約80%はEU向け。この関税は、鉄鋼業界がすでに世界的な競争とエネルギーコストの上昇で大きな圧力を受けている時期に、英国最大かつ最も戦略的に重要な市場へのアクセスを遮断する恐れがある」と彼女は水曜日、CNBCの「ヨーロッパ・アーリー・エディション」で語った。
群衆に従う?
このEUの動きは、米国とカナダが自国の鉄鋼産業に損害を与えているとして、主に中国からの安価な輸入品を阻止するために外国製鉄鋼に課した同様の関税に続くものだ。
ドナルド・トランプ米大統領は今年、大半の鉄鋼およびアルミニウムの輸入関税を25%から50%に引き上げた。一方、カナダは輸入制限を厳格化し、中国で溶解・鋳造された鉄鋼の輸入に25%の追加税を導入した。
中国は、過剰な安価な鉄鋼を世界市場に投棄したとの非難を否定している。
EUは火曜日、「鉄鋼の過剰生産能力は、すべてのパートナーによる強力で真摯な共同行動を必要とする世界的な問題である」と指摘した。
関税は国内の鉄鋼産業を保護する手段として推進されてきたが、鉄鋼に依存する業界、特に自動車産業は割当制や関税に抵抗を示している。
英国はEUからの免除を求める可能性が高く、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインは欧州経済領域(EEA)内のためEUの鉄鋼関税割当や関税の対象にならないという事実に勇気づけられるかもしれない。
欧州委員会はまた、ウクライナを関税から免除する意向を示し、「措置の有効性を損なうことなく、割当枠の決定にあたっては、ウクライナのような例外的かつ差し迫った安全保障上の状況に直面している候補国の利益も考慮されるべきだ」と指摘した。
英国はEEA(欧州経済地域)には加盟していないが、EUの緊密な貿易相手国であり同盟国でもある。キア・スターマー首相は、関税引き上げの報道後、英国政府は鉄鋼関税についてEUと米国双方と協議を行っていると述べた。
報復措置が検討されていないわけではなく、英国のクリス・マクドナルド産業大臣は「英国の鉄鋼メーカーを不公正な行為から守るため、より強力な貿易措置を検討し続けている」と述べた。
しかし同氏は、「英国とEU間の貿易の流れを守ることは極めて重要であり、我々は最も近い同盟国と協力して世界的な課題に取り組んでいく」と付け加えた。
自動バックラッシュ
EUの発表は欧州大陸の隅々から歓迎されていない。欧州自動車工業会(ACEA)は、この措置は国内自動車産業を脅かす可能性があると述べている。
同協会は、欧州の自動車メーカーは直接購入する鉄鋼の約90%をEUから調達しており、今回の制限が欧州の市場価格に与えるインフレの影響を「最も懸念している」と指摘した。
「割当量の大幅な削減と割当量外の関税の50%への倍増により、輸入を通じて欧州市場の圧力を緩和する可能性は大幅に減少するだろう」とACEAはプレスリリースで述べた。
さらに、同省は、「メルト・アンド・ポア」原則に基づく新たな原産地規則により輸入がさらに制限され、「輸入鉄鋼製品の欧州ユーザーにとって大きな管理上の負担が生じる」と述べた。
ACEAのシグリッド・デ・フリース事務局長は、同機関は鉄鋼セクターに対する一定レベルの保護の必要性を認識していると述べたものの、「欧州委員会が提案した基準は、欧州市場を過度に限定していると感じる。この措置においては、欧州の鉄鋼生産者と需要者のニーズの間で、より良いバランスを見つける必要がある」と付け加えた。
ロンドン金属取引所の銅先物は、トレーダーらが主要鉱山の供給混乱、連邦準備制度理事会の金利見通し、進行中の米国政府閉鎖、電力網のアップグレードとAI関連の成長に関連する需要見通しを検討したことから、過去最高値に近づいている。
ゴールドマンのアナリストチームは銅価格に注目し、エオイン・ディンズモア氏率いる同アナリストチームは月曜日、この工業用金属は1トン当たり1万ドルから1万1千ドルという新たな構造的な価格帯に入りつつあると顧客に示した。
ディンズモアの論点は明確だ。
資源制約と主要セクターからの構造的な需要増加により、2026年以降、銅価格は1トンあたり10,000ドルから11,000ドルという新たなレンジに落ち着きつつあると見ています。これは、銅が2ヶ月以上このレンジを維持したことがないことを意味します。資源制約と主要セクターからの構造的な需要増加により、2026年以降、新たな価格の下限が設定されます。グラスバーグ鉱山の操業停止を受け、米国連邦準備制度理事会(FRB)の利下げと米ドルのさらなる下落も追い風となり、2026年の銅価格予想を1トンあたり10,000ドルから1トンあたり10,500ドルに引き上げます。また、2027年の銅価格予想は1トンあたり10,750ドルを維持します。
銅価格は過去平均および2027年以降と比較して強気ですが、今後2年間は11,000ドルで上限を迎えると考えています。銅市場は現在、小幅な供給過剰状態にあり、最近の鉱山の操業停止に伴う世界的な精製品生産量の大幅な減少後も、2026年もこの供給過剰が維持されると予想しています。供給不足が顕在化するのは、2020年代末になるとは考えていません。
商品アナリストは、銅が2027年まで1万ドルから1万1000ドルの範囲で取引されるはずである3つの理由を説明した。
鉱山供給は制約されているが、今のところ需要を満たすには十分である:最近の複数の鉱山事故は、銅鉱山がさらに深くなり、品位が低下し、鉱石が硬くなり、より多くの投資が必要になるなど、銅採掘における構造的な課題の増大を浮き彫りにしている。このため、2025~30年の鉱山供給の成長予測は年平均で前年比1.5%増にとどまる。銅価格の高騰により、中国、コンゴ民主共和国、ロシア、ウズベキスタンではすでに投資が行われており、今後2年間は需要を満たすのに十分だと考えているものの、南米のブラウンフィールド鉱山への投資を奨励し、10,500ドルを超える価格が必要であり、これは2020年代後半に市場を均衡させる上で不可欠である。一方、銅スクラップの使用増加により銅市場の不足は2020年代後半まで先送りされると予想しており、2026~2027年には銅価格の上昇余地は1トンあたり11,000ドルに制限される可能性が高い。
重要セクターからの構造的な需要の伸びは、景気循環セクターにおける代替の加速により鈍化すると予測:世界の精錬銅需要の伸びは、2025年の前年比+2.8%から、2026~2030年の平均+2.1%に鈍化すると予測しています。当社の予測では、引き続き送電網と電力インフラが成長の60%以上を牽引し、防衛、電気自動車、風力、データセンターも直接的な押し上げ要因となると見ています。重要なのは、AI、防衛、エネルギー安全保障において重要な役割を果たす欧米の老朽化した送電網への投資は、国家安全保障上の優先事項であると考えていることです。しかし、景気循環セクターでは銅からアルミニウムへの代替が加速すると予測しており、これが銅需要の伸びを鈍化させ、市場に小幅な供給過剰をもたらすと見ています。この代替は、銅価格が無制限の上昇ではなく、高値圏で推移する要因となります。
戦略的備蓄:銅は資源量が限られている一方で、重要なセクターにおいて不可欠な用途を持つという二面性を持つことから、戦略的備蓄を積むのに魅力的な商品です。これは、当社のバランスから判断すると、今後数年間は市場が小幅な供給過剰状態を維持すると予想されるものの(従来は小幅な供給不足を示唆していました)、この在庫増加は戦略的備蓄によって少なくとも部分的に吸収される可能性が高いため、目に見える在庫増加と為替レートへの下押し圧力は抑制されると考えられます。
ディンズモア氏は、先月の土砂崩れを受けて、インドネシアの巨大グラスバーグ鉱山(同鉱山は金第2位の供給元)からの契約供給に関してフリーポート・マクモラン社が不可抗力宣言を出したことが主な理由で、今年残りの期間は金価格が1万ドルを超える水準で推移すると予想している。
当時、ゴールドマンの商品専門家、ジェームズ・マクギオック氏は、この出来事を「ブラックスワンイベント」と呼んでいた(レポートを参照)。
ディンズモア氏は、「世界の銅市場は10年末までに供給不足に陥るだろう」と指摘した。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
政府閉鎖が行われると、不動産ウォッチャーはまず住宅市場への影響に注目する傾向がある。連邦洪水保険制度が新規保険契約の発行を停止する可能性があるため、数千件もの住宅販売が滞る可能性がある。連邦住宅局(FHA)、退役軍人省、農務省は住宅ローン処理を遅延または停止する可能性がある。また、IRS(内国歳入庁)は納税記録や所得証明書類の処理を迅速に行えない可能性がある。
しかし、商業用不動産への影響は、それほど即時的ではないものの、はるかに広範囲に及ぶ。政府閉鎖は経済に関する政府のデータ発表を遅らせ、金融市場に不確実性をもたらし、結果として商業用不動産の取引、特に中小企業にとっての取引に支障をきたす。また、投資家の信頼感にも悪影響を及ぼし、最終的には、しかし最も直接的な影響として、特定セクターの消費者需要の後退を引き起こす。
商業不動産連盟 (CREA) の投稿によると、潜在的な影響には次のようなものがあります。
企業や政府機関がリースや開発プロジェクトを延期または中止したため、CRE の需要が減少しました。
不確実性と市場の変動性の中で、CRE 投資家と開発者が資金調達を行い、取引を行うことがさらに困難になります。
CRE 開発プロジェクトに必要な許可証やその他の政府承認の承認が遅れる。
経済データ
政府閉鎖の影響で、労働統計局による9月の月次雇用統計は発表されませんでした。これは、経済状況や金利に関する判断を下すためにこの種のデータを必要とする投資家に影響を与えています。
政府閉鎖が続く場合、国勢調査局は建設支出、住宅着工件数、建築許可件数などの経済データを公表しなくなります。これらはすべて、集合住宅投資家にとって重要な指標です。
CREファイナンス
市場の不確実性により、貸し手からの信用が厳しくなり、特に連邦政府のプログラムに関係する場合には、取引のリスクプレミアムが上昇する可能性があります。
「投資家全般、そして特に貸し手は安定性を求めており、政情不安があると、投資判断や融資においてより慎重になる傾向があります」と、不動産プライベートエクイティおよびデットファンド運用会社であるノースウィンド・グループの創業者兼マネージングパートナー、ラン・エリアサフ氏は述べています。「引受における最大のリスクは政治リスクだと考えています。これは、政府閉鎖のような連邦レベルのリスクにも、ニューヨーク市長選挙のような地方レベルのリスクにも当てはまります。」
小売、ホスピタリティ、高齢者住宅
具体的なセクターに目を向けると、小売業とホスピタリティ業は完全に消費者主導型であるため、最も早く影響を受けるでしょう。特に連邦政府職員が集中している地域では、従業員の一時帰休や解雇により、消費者支出が減少する可能性があります。
「それは大きなリスクだと思います」と、商業用不動産情報・分析会社CoStarの米国チーフエコノミスト兼マネージングディレクター、クリスティン・クーパー氏は述べた。「小規模な小売店やコーヒーショップのことを考えてみてください。彼らの利益率は非常に低いので、顧客を失うと経営が混乱する可能性が高くなります。彼らには耐えられず、すぐに閉店する店も出てくるでしょう。」
同様の状況はホスピタリティ業界でも見られ、政府機関や国立公園の閉鎖は観光業に打撃を与えます。ワシントンD.C.の観光業は、政権による州兵やその他の連邦軍の動員によって既に打撃を受けています。今回の措置は、この都市にとって更なる打撃となるでしょう。
熟練看護施設や高齢者ケア施設も取引の遅延に見舞われる可能性があります。これらの施設は、手頃な価格の住宅プロジェクトと同様に、米国住宅都市開発省(HUD)からの融資を受けています。
「HUD融資については、待ち時間がさらに長くなると思います。申請は処理されないでしょう」とエリアサフ氏は述べた。
連邦CRE
連邦政府の商業用不動産市場は、一般調達局(GSA)が管理する物件の売却が遅延または停止されるため、最も大きな打撃を受けるでしょう。テナントとの新規賃貸契約や物件維持管理契約など、連邦政府の契約も遅延を余儀なくされます。
「これは取引に影響を与えるでしょう。GSAリース、つまり政府支援リース、退役軍人省から住宅都市開発省(HUD)の融資まで、交渉中の人は間違いなく今、何らかの問題に直面するでしょう」とエリアサフ氏は述べた。
政府閉鎖がどのくらい続くかによって、政府の家賃支払いに大きく依存しているイースタリー・ガバメント・プロパティーズやJBGスミスのような連邦政府機関向けのREITは苦境に陥る可能性がある。
イースターリー氏は今年初めの証券取引委員会への提出書類で、「当社の収益のほぼすべては、GSAおよび米国政府テナント機関からの賃料収入に依存している」と述べた。
工事
過去の政府閉鎖の例から判断すると、建設業界も打撃を受けるだろう。建設業界向け情報技術企業ConstructConnectの報告書によると、2013年の政府閉鎖は、環境保護庁(EPA)による許可審査が停止したため、連邦政府が資金提供するインフラプロジェクトに打撃を与えた。請負業者や専門業者は、作業員を動員するためにこれらの許可に依存している。
さらに、2019年の政府閉鎖により「連邦政府の建設支出が数十億ドル凍結され、運輸省関連のプロジェクトの承認が滞り、入札スケジュールに混乱が生じ、労働力、資材、キャッシュフローの管理をプロジェクト開始の予測に依存している電気技師、配管工、コンクリート専門家などの下請け業者が圧迫された」と報告書は述べている。
古河電気工業は8日、千葉県富津市に送電用の海底ケーブルの工場を新設すると発表した。投資額は約1000億円で、うち最大307億円を国からの補助で賄う。北海道や九州でつくった再生可能エネルギー由来の電気を東京などに送る用途に加え、アジアや中東で国をまたぐ長距離ケーブルを受注する。人工知能(AI)向けに急増するデータセンターの電力需要も取り込む。
新工場は2030年の稼働を目指す。古河電工が富津市に持つ拠点などに、製造設備や建物を新設する。国からの補助金は、経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択されたことによる。
製造するのは海底に敷設する高圧直流送電(HVDC)ケーブルで、交流送電に比べて損失が少なく長距離・大容量の送電に適するという。500キロボルト級の電圧のHVDCケーブルを年間200キロメートル生産できるようにする。
製品供給先は国内が、北海道や東北と東京をつなぐ送電容量2ギガ(ギガは10億)ワット(原子力発電所2基分に相当)・800キロメートル分の海底ケーブル、九州と本州をつなぐ送電容量1ギガワット・40〜55キロメートル分の海底ケーブルを想定している。
国内の海底送電線計画は従来からあったが「事業者が決まり、計画を26年3月末に提示すると聞いている。以前に比べ具体的な検討の段階に入ってきた」(古河電工の西村英一エネルギーインフラ統括部門長)ため、設備投資の実施を決めたという。
海底送電ケーブルは太陽光や洋上風力などの再生エネが天候次第で発電量が左右されるため、つくった電気を無駄にしないよう離れた地域間で融通するのに必要とされる。データセンターの増設で電力需要が世界的に膨らんでいることも追い風となる。
海外の製品供給先では、シンガポールのデータセンター向けに同国外で発電し送電するといった需要が具体化しているという。
●その他
備忘録(2025/10/7)
●企業
米デル・テクノロジーズは、向こう2年間の売上高と利益の見通しをおよそ2倍に引き上げた。人工知能(AI)関連製品への需要を背景に、少なくとも2030会計年度までこうした高い収益見通しが維持できるとの見方を示した。これを受けて、同社の株価は上昇した。
デルは「長期的な財務の枠組み」を公表し、今後4年間にわたり売上高が年率7-9%のペースで増加し、一部項目を除く1株当たり利益は15%以上の伸びになると予想。2023年時点では、売上高の伸び率が3-4%、調整後1株利益は8%以上と見積もっていた。
同社は30会計年度までを対象とする新たな見通しを7日にニューヨークで開催する投資家向けイベントで発表する。ジェフ・クラーク最高執行責任者(COO)がイベントに先立ち、インタビューで明らかにした。
「われわれは2年前、AI市場の大きさを完全に見誤っていた。市場は拡大する一方だ」とクラーク氏は述べた。
デルの株価はニューヨーク時間7日午前9時30分現在、前日比5.2%高。同様の顧客層にAIサーバーを販売するスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)とヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の株価も値上がり。
ギリアド・サイエンシズ<GILD>は取引開始前に、ルピン、シプラ、ローラス・ラボとのビクタルヴィ特許訴訟の和解合意を発表した。和解条件の詳細は公表されていない。
アナリストは、今回の特許延長が割引キャッシュフロー(DCF)価値に6-12ドルの上乗せ要因となると指摘。また、この和解によって、米国での特許期間が現行の2033年12月から2036年4月まで延長される見込みだとも述べている。
また、週末のバロンズ紙のコラムで、同社はウォール街の信頼を取り戻しつつあると伝わっている。新しいHIVおよびがん治療薬の伸びを背景に業績が回復しているという。同社はかつてC型肝炎治療薬に依存していたが、現在は主力のHIV治療薬と急成長する腫瘍学ポートフォリオが収入の大半を占めており、より安定した長期成長に向けた体制が整いつつあると論じた。
直近の決算では利益が市場予想を上回り、アナリストによる投資判断や目標株価の引き上げが相次いだ。コンセンサス予想では2025年の通期1株利益は前年比75%増加し、利益率も拡大する見通し。
アナリストは「現在の株価上昇は、より持続可能な事業と低い株価収益率(PER)に支えられており、長期投資家にとって遥かに安心できる状況だ」と述べている。大型買収に経営資源を割くことなく、バリュエーションもなお控えめな水準にある中、HIVとがん治療に特化する同社の戦略は、バイオ業界で最も健全な復活劇の1つになり得るという。
ただ、株価は買い先行で通常取引が始まったが、伸び悩む展開。
●マクロ
米資産運用大手ブラックロックは、欧州の社債について、世界のクレジット市場の中でも特に魅力的な投資機会の一つであるとの見方を示した。利回りが3%近くに達しており、比較的安全な収益源としては極めて珍しい水準だという。
同社で欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域のグローバル債券部門共同責任者を務めるジェームズ・ターナー氏は「企業は依然として全体的に非常に好調だ」と指摘。「現時点で、比較的安全な利回りが得られる機会は多くない」と述べた。
ブラックロックは第4四半期債券見通しの中で、欧州のインフレ期待は欧州中央銀行(ECB)の目標である2%とほぼ一致しており、成長見通しは改善傾向にあり、クレジット市場には引き続き資金が流入していると分析した。
同報告書によれば、市場は完璧なシナリオを前提条件として織り込んでいるものの、利回りが総じて3%付近にあることから、なお収益機会は残されている。特に、関税の影響を比較的受けにくい銀行や公益事業、テクノロジー、メディア、通信といった業種を選好対象とした。
ターナー氏と共同責任者のサイモン・ブランデル氏は「魅力的な収益水準は、セクター配分や銘柄選定において意義ある投資機会があることを示唆している」と記している。
今年の欧州では、ソブリン債や企業が旺盛な投資家需要を背景に新たな資金調達を進め、記録的な規模の債券発行が相次いでいる。投資家は長期的な水準と比べて依然として高い利回りに魅力を感じており、スプレッドの縮小は企業の信用力に対する信頼が続いていることを示している。
ブルームバーグの指数によると、欧州の優良企業の社債利回りは現在3%前後で推移。一方で、スプレッドはベンチマークとの比較でおよそ78ベーシスポイントと、金融危機以降で最も狭い水準となっている。
ブラックロックは、投資家が社債を保有する際に要求するプレミアムが極めて小さいため、予想外のマイナス材料が出れば、相場が大きく変動するリスクがあると指摘。そのため、投資先の選定には一層の慎重さが求められるとしている。
政治危機に陥っているフランスの国債の先行きを巡り、ゴールドマン・サックス・グループとシティグループで見方が分かれている。背景には、新たな選挙実施の可能性が市場価格にどの程度織り込まれているかに対する見解の違いがある。
サイモン・フレイセネ氏らゴールドマン・サックスのストラテジストは、6日のルコルニュ首相の予想外の辞任を受けた国債売りによって、「短期的な選挙リスクは現在の価格でおおむね先取りされている」と指摘する。この動きにより、フランス10年債とドイツ10年債の利回り差(スプレッド)は、今年の最高水準に達した。
一方、シティグループは、選挙リスクの上昇は「ようやくスプレッドに反映され始めた段階に過ぎない」と、より慎重な見方を示している。ストラテジストのアマン・バンサル氏は、現時点の政治リスクプレミアムは約14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)とみており、8月に記録した20bpには達していない。もし解散総選挙が実施されれば、それを上回る可能性が高いという。
こうした見解の分裂は、ルコルニュ氏の辞任後、フランス債市場を見極める難しさが増していることを示している。この2年で5人目の首相となったルコルニュ氏は、対立する政党双方を納得させる予算草案作りに苦しみ、退陣に追い込まれた。
マクロン大統領は、さらなる深刻な危機を回避する最後の試みとして、ルコルニュ氏に対し、8日夜までに各政党と交渉するよう指示した。合意に失敗した場合に何が起こるかは不明で、マクロン氏が新たな議会選挙を実施する可能性もある。
ゴールドマン・サックスは、独仏10年債スプレッドの年末の見通しを70bpに据え置いているが、「上方リスクがある」としている。現在の約86bpという水準を踏まえると、同社は、今後数カ月でフランス債の価格が回復する可能性を示唆している。フレイセネ氏は、成長率の一段の悪化や財政見通しの悪化が進めば、この見方が揺らぐ恐れがあると述べた。
ルコルニュ氏の辞任により、政府は13日の期限までの予算案提出が厳しくなり、1月の政府閉鎖(シャットダウン)を回避するため、緊急措置を講じる可能性が高まっている。すでにユーロ圏で最大規模となっているフランスの財政赤字を抑制しようとする取り組みは、さらに難しくなる。
米東海岸にあるバージニアビーチでは11月4日の州選挙を控え、期日前投票所の入口の両脇に女性が1人ずつ立っていた。民主党員のベティ・スネレンバーグさん(84)、共和党員のグレース・クックさん(61)はそれぞれ、党候補の支持を呼びかけるパンフレットを配っていた。
左派と右派は連邦政府のまひ状態の責任を互いのせいにしており、政府機関の閉鎖が始まったばかりの状況でこの2人の姿は、政治勢力の分断の深刻化を象徴するものと捉えることもできる。
だが2人には共通する懸念もあった。政府機関の閉鎖が数週間、あるいは数カ月続けば、支持政党の主張が有権者に届かなくなる可能性があるという点だ。特にバージニア州のこの地域は公務員や軍関連の雇用に依存しており、数万人の労働者が休職に追い込まれるか、無給で働いている。
閉鎖期間が長期に及べば、世界最大級のノーフォーク海軍基地など、複数の軍事施設を抱えるハンプトンローズ地域の経済に深刻な打撃を与える可能性がある。
スネレンバーグさんは、閉鎖が長引いて、有権者が医療補助金の延長よりも広範な経済的影響を重視するようになることを心配していた。退職前に近くの海軍情報センターで働いていた彼女は「民主党には譲ってほしくない。弱みを見せることになる」と語ったが、「1カ月以上続けば、影響は結局自分たちに跳ね返ってくるのではないか」という不安も抱いている。
一方クックさんは、政府機関閉鎖が州知事選の主要な争点となるかどうかは分からないと述べた上で、長期化すれば共和党にとっても来年の中間選挙に向けて逆風になることを危ぶんでいる。
彼女は、射殺された保守系政治活動家チャーリー・カーク氏への敬意を示す「フリーダム」と書かれたTシャツを着ていた。「この地域では――海軍や国防総省、連邦政府の仕事が多いから」
国防総省では、全体の約半数に当たる約33万5000人の民間職員が閉鎖計画に基づき休職対象となる。
世論調査も、スネレンバーグさんとクックさんの双方が抱く懸念を裏付けている。それは、両党とも支持を失う可能性があるという点だ。ただ少なくとも現時点では、両院を支配する共和党とトランプ大統領に責任があると多くの人々が感じているようだ。
9月下旬に実施されたマリスト大学、公共放送サービス(PBS)、公共ラジオ(NPR)の調査では38%が共和党、27%が民主党に責任があると回答。31%は両党に原因があると答えた。
政府機関の閉鎖は、州レベルの政治にも影響を与えている。下院議会に出馬している民主党のマイケル・フェガンズ議員は前週、30秒の広告を公開し、バージニアビーチ選挙区に及ぶ経済的影響を強調。「常に『取引の達人』を自認してきた人物(トランプ氏)が、再び政府を閉鎖に追い込もうとしている」一方、「バイデン政権下では政府閉鎖はなかった」と訴えた。
一方、共和党候補のティム・アンダーソン氏は、上院で暫定予算案を阻止できる民主党が、閉鎖開始時点では「妥協を拒む、譲らない党」と見なされると考えている。ただ閉鎖が長引けば、有権者は大統領に責任があると見なし「長期化するほど、共和党にとって不利になる」との見方を示した。
<経済への影響>
政府機関の一部閉鎖は10月1日から始まり、科学研究や経済指標の報告など幅広い業務が停止した。例外を除き、多くの連邦職員は政府機関再開の合意が成立するまで給与を受け取れない。
オールドドミニオン大学経済学部長のボブ・マクナブ氏によると、ハンプトンローズ地域では6万人が連邦政府職員、8万5000人が現役軍人として勤務している。政府支出の減少により、長期閉鎖が続けば同地域の経済活動は月10億ドル縮小する可能性がある。
取材に応じた有権者や連邦職員、選出公職者のほぼ全員が、自身や家族への経済的影響を懸念していた。
ただ共和党の一部関係者は、地域経済への打撃があってもトランプ氏には主張を貫いてほしいと述べ、暫定予算案を阻止するために民主党が影響力を行使するのは、原則的に間違っていると主張した。
民主党は、まず政府機関を再開させ、その後に医療補助金の問題に取り組むという合意を、共和党が守るとは信じていない。これらの補助金は、2021年に民主党が成立させた新型コロナウイルス感染の救済策の一環であり、現在は2400万人の米国民が医療費を支払う際に利用している。
共和党の投票立会人を務めるジャネット・キャラウエーさん(69)は、トランプ氏の対応次第では、政府閉鎖を理由にさらに多くの公務員を解雇する方針を支持する可能性があると述べた。すでに2025年末までに30万人が対象になる予定だという。
「長引くのは心配だが、民主党は自分で自分の首を絞めていると思う」とキャラウエーさんは言った。「トランプ氏を信頼している。彼は取引の達人だ」
ロイターの取材に応じた、民主党寄りの無党派層の2人は、共和党が情報戦で優勢になっていることを懸念していると語った。共和党は、民主党の支出案が不法滞在者にも医療保険を拡大するという事実に反する主張を繰り返すことで、世論の支持を広げつつあるという。
そのうちの1人は、民主党の党指導部について「真実を伝える努力が十分ではない」と述べ、「残念ながら共和党のメガホンの方が大きいようだ」と語った。
スネレンバーグさんとクックさんも、それぞれの支持政党と同様、政府閉鎖について話し合うために相手に歩み寄ることはなかった。
国民民主党の玉木雄一郎代表は7日の記者会見で、所得税の非課税枠を拡大する「年収の壁の引き上げ」について、今年度から拡充して実施することを自民党の高市早苗総裁に求める考えを示した。自民との連携・連立は「自公連立がどうなるかを踏まえて」検討するとした。
同党は「年収の壁」の178万円までの引き上げを求めており、この内容を盛り込んだ昨年末の自公との3党幹事長合意を守ることが自民と連携する「第一関門」と改めて強調した。
玉木氏は会見で、記者団から年末の税制改正大綱に178万円への引き上げを盛り込むことを求めるか問われ、「来年度の税制改正を待たずに今年度からやればいい」と指摘。すでに低所得者向けに非課税枠が160万円まで引き上げられている点を挙げ、「物価高騰で困っているのは低所得者だけではない。(非課税枠の拡大が)年収要件を超えてもう少しできないか具体的に協議していくことになる」と語った。
自民との連携・連立については「高市体制とどう向き合うかは、公明党がまずどうするかを踏まえて」判断するとし、自公連立交渉の推移を見守る考えを示した。
連立入りを想定した記者団からの質問には「われわれが関心があるのは閣僚ポストではなく国民が求めている政策の実現だ。この1点に絞ってベストな政策、政局、選挙戦略を描いていきたい」と述べた。
この日はまた、「スパイ防止法」に関する党内議論の中間報告を発表。国や国に準ずる外国勢力の日本国内での活動を透明化するため、外国政府などの代理人が国内で行う政治的ロビー活動を登録し、一部を公開させるなどの内容を盛り込んだ関連法案を早期に国会へ提出する考えを表明した。「外国勢力」の定義については「個人の外国人をイメージしたものではない」とも語った。
安住氏が会談後、記者団に語った。維新の中司宏幹事長は「しっかり受け止めるが、そう簡単に私たちが了とすることはできにくい状況にある」と述べた。立民は国民民主党にも協議を呼びかける方針だ。
これに先立ち、立民、維新、国民民主、共産、参政、日本保守の野党6党と衆院会派「有志・改革の会」の国対委員長らは国会内で首相指名について協議した。
維新の遠藤敬国対委員長は首相指名で野党が国民民主の玉木雄一郎代表に投票することに言及した。
政府・与党は15日にも臨時国会を召集し、首相指名選挙を実施する方向で調整していた。公明党内で自民党との連立政権からの離脱論が出ている。自公の連立協議が長引けば、首相指名選挙をする臨時国会の開会が先送りされる可能性がある。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、セバスティアン・ルコルニュ首相が就任わずか27日で電撃辞任したことで、新たな大きな政治的悩みに直面している。
元国防大臣で長年の盟友である同氏は、対立政党との協議でそれぞれの予算や政策要求を巡る妥協の意思がないことが示されたため、中道右派の少数政権を率いることはできないとして、発足間もない政府の計画を発表する前の月曜日に辞任した。
フランス24が翻訳した発言によると、ルコルニュ氏は「各政党は議会で自らが多数派を占めているかのように振舞っている」とし、「政権にとどまるための条件は満たされていない」と述べた。
フランスが直面している危機は主にマクロン大統領が招いたものであり、同大統領は昨年、分裂した国民議会に「透明性」をもたらすために、自信たっぷりに議会を解散した。
その後の選挙は決着がつかず、右派と左派が連続して勝利を収めたため、権力闘争と政治的膠着状態が続いており、それが今日まで続いている。マクロン大統領は政権の主導権をどちら側にも譲ることを望まず、代わりに支持者を少数派政権の指導者に任命したが、これらの政権は野党からの不信任決議案の発動に脆弱であることが判明した。
ルコルニュ政権は短命に終わったが、ミシェル・バルニエ政権とフランソワ・バイルー政権に続き、3度目の政権失脚となった。これらの政権に共通するのは、国家予算、特に2024年の国内総生産(GDP)比5.8%に達するフランスの財政赤字を抑制するために必要だと考えられている歳出削減と増税をめぐり、他党との合意形成に苦戦したことだ。
月曜夜、マクロン大統領はルコルニュ氏に対し、行き詰まりを打開するため、対立政党との「最終協議」を行うための48時間の猶予を与え、意外な展開を見せた。ルコルニュ氏はXニュースに、水曜夜にマクロン大統領に何らかの進展があれば報告し、「必要な結論をすべて導き出せるよう」と投稿した。
次に何が起こるでしょうか?
マクロン氏は現在、次に何をすべきかを決めるという、うらやましくない課題に直面している。窮地に立たされたマクロン氏にとって魅力的な選択肢はなさそうだ。同氏は辞任しないと繰り返し表明しており、辞任すれば新たな大統領選挙が行われることになるが、現在のところ、選挙は2027年まで行われない予定だ。
マクロン氏は新たな首相を選出することもできる。フランスでは2年足らずで6人目となる。しかし、自身の政治的陣営からでない人物を選ぶことは、過去1年間政権のリーダーとして繰り返し忠誠派を選んできたマクロン氏にとって、不快で不愉快な見通しとなるだろう。
あるいは、議会を解散して新たな議会選挙を実施するという選択肢もある。しかし、マリーヌ・ル・ペン率いる反移民政党「国民連合」が現在、世論調査で約32%の得票率でトップに立っており、左派連合「新人民戦線」の得票率25%を大きく上回っているため、この選択肢も魅力的ではない。
マクロン氏が辞任を選択する可能性は低いとアナリストらは見ている。「彼にとって正しい行動を取るには危険すぎる。もちろん、権力の座から退くつもりはない」と、INSEAD政治学教授のダグラス・イエーツ氏は月曜日にCNBCに語った。
「今日、安全保障に関して言えることは一つ。マクロン氏は自ら辞任を発表するつもりはない。だから、最も簡単なのは別の首相を指名することだろう。彼はまるでシャツを着替えるようにそうする。もし新首相が長く続かなければ、彼は別の首相を指名するだろう。そして、それは彼にとって組織的な優位性を活かすことになるだろう。」
イエーツ氏は、マクロン氏が新たな選挙を実施するとは考えていない。「前回の選挙があまりにも悲惨だったからだ」。新たな世論調査は、極左と極右の有権者の溝が深まる、フランス政治の二極化を再び反映するだろう。「人々はマクロン氏の政党を見捨て、左派か右派か、心で投票するだろう」とイエーツ氏は付け加えた。
左ですか、それとも右ですか?
マクロン氏が思い切って、自身の中道派政治的な裏庭の同盟者ではない人物を首相に指名するかもしれない、中道左派の社会党から選出される可能性もある、との憶測もある。
マクロン氏が極左のフランス不屈党や極右の国民連合の候補者を選ぶ可能性は低く、両党とも月曜日にマクロン氏の解任を要求した。
「これまでのところ、彼は間違った人物を選んでおり、中道の人物を選んだことで左派と右派を疎外してしまった」とイェーツ氏は語った。
「トランプ氏にとっては、政権樹立を助け、問責決議を回避できるような中道左派に新戦力を送り込む方がうまくいくと思う。だから社会党候補か、緑の党の候補者の一人がおそらく最も受け入れられるだろう」とイエーツ氏は語った。
それで、予算は?
パリでは政治的麻痺が続く中、2026年度予算は未確定のままで、経済学者たちは、今年の予算が当面の対策として来年に繰り越される可能性が高まっていると述べている。
ドイツ銀行のヤシーン・ルーミ氏は月曜日、もし今のように政府が崩壊した場合、フランスはおそらく特別法に基づいて運営され、「2025年の枠組みに近い支出を維持し、財政赤字はGDPの5.0~5.4%程度になるだろう」と述べた。
「近いうちに新たな選挙が行われる可能性はゼロではない」とルーイミ氏は語った。
もしマクロン氏が社会党など別の政党から新首相を選ぶことを選択した場合、それは前政権が提案して失敗した改革や支出削減がさらに縮小されることを意味するかもしれない。
マクロン氏は「中道左派(あるいは極右)から首相を任命する可能性がある。しかし、これは彼がこれまで進めてきた経済成長促進型の構造改革(年金受給年齢の引き上げなど)や財政赤字の悪化といった痛ましい逆行につながる可能性が高い」と、ベレンベルク銀行のエコノミスト、サロモン・フィードラー氏は月曜日にメールでコメントを寄せた。
フランスのセバスチャン・ルコルニュ首相の辞任のニュースが月曜日の朝に報じられると、ジャーナリストたちは政府報道官に連絡を取り、実際に責任を負っているのは誰なのか、ルコルニュ首相が前夜に指名したばかりの閣僚なのか、それとも内閣改造前にすでにその職に就いていた閣僚なのかを明らかにしようと急いだ。
フランスの政治状況は今、いかに前例のない、特異なものとなっているか(ちなみに答えは、日曜の夜に指名された人々が、新しい首相と政府が選ばれるまでの間、暫定的に責任を負うことになる、ということだ)。
ルコルニュ首相は新内閣を発表してから13時間後、就任からわずか27日目にフランスのエマニュエル・マクロン大統領に辞表を提出した。
2024年7月の総選挙後の政治的分裂がこの不安定さを引き起こし、絶対多数には程遠い2回の投票で対立する政治陣営が出現した。
その結果、マクロンは不安定な協定や取引に依存し、最終的には失敗した少数派政権を樹立した。
一方で、フランスでは今、デジャブの雰囲気が漂っている。次の首相は、2年以内にマクロン氏にとって6人目の首相となるだろう。
一方、現在の危機は異なる。ルコルニュ政権は、前任者のミシェル・バルニエやフランソワ・バイルー政権のように野党によって倒されたのではなく、政権崩壊の原因は自らの同盟者にあったのだ。
味方が
ルコルニュ首相は月曜日朝、辞任の決意を説明する演説で、フランスが陥っている行き詰まりの原因は政党の頑固さにあると非難した。
「私は妥協する用意があったが、各政党は相手に自党の政策を丸ごと採用するよう求めていた」と述べ、「政権の構成が、将来の大統領選挙と無関係ではない一部の党派的な欲望を呼び起こした」と付け加えた。
これは、新たに再任された内務大臣であり、中道右派グループ「共和国党(LR)」の党首であるブルーノ・リテールロー氏に対する、ほとんど隠されていない批判だった。
リテールロー氏は日曜夜の指名発表直後、政府の構成が「ルコルニュ氏が約束した決別を反映していない」と批判し、同党執行部が翌日会合を開き、引き続き政府を支持するかどうかを決めると述べた。
自由党(LR)とその49人の議員は、総選挙以来、そしてそれ以前にも重要な改革に取り組んできたマクロン大統領の中道連合「アンサンブル」と「ソクレ・コミュン」(共通基盤)の一員だった。新内閣の重要ポストの一部は、元自由党出身の政治家に委ねられ、その中には新国防相に指名された元経済・財務相のブルーノ・ル・メール氏も含まれており、これが党内の反感を買った。
特に財政問題において責任ある政党を自称する政党が、フランスの最近の政治危機を引き起こしたのは、実に皮肉なことだ。しかし、LRが政府から距離を置いていたため、ルコルニュ氏には行動の余地がなかった。
ある意味、「ソクレ・コミュン」の崩壊は驚くべきことではない。2027年の大統領選挙が近づくにつれ、政党や主要政治家たちは自らの将来について考え始めている。マクロン氏は2度の大統領選に勝利したため、再選は難しい。彼の不人気ぶりから、同盟国でさえ彼から距離を置き始めている。LRの今回の動きは、選挙を前にしたより広範な政界再編の新たな一歩となる可能性がある。
次は何をする?
そこで、再びすべての目がエリゼ宮に向けられることになった。
月曜の夕方、マクロン大統領は予想外の展開を見せ、行き詰まりを打破するために対立政党との「最終協議」を行うため、ルコルニュ氏にさらに48時間の猶予を与えた。
ルコルニュ氏はソーシャルメディアプラットフォームXに、水曜夜に大統領に進展があれば報告し、「必要な結論をすべて導き出せるようにする」と投稿した。
ルコルニュ氏が指名されてからほぼ1か月が経った現在までに成し遂げてきたこと以上の成果を48時間で達成できるのかは見通せない。
では、次のステップは再び総選挙になるのでしょうか?
ジョーダン・バルデラ氏とマリーヌ・ル・ペン氏が率いる極右政党がこれを訴えている。世論調査では彼らが30~35%の得票率でリードしていることを考えると、驚くべきことではない。
昨年も同様の事態でしたが、最終的には左派連合といわゆる「コルドン・サニテール」の投票によって勝利しました。極左、共産党、緑の党、社会党によるこの連合はその後崩壊しました。
現状では国民議会の解散こそが民主的な論理的選択と言えるでしょうが、より明確な多数派が生まれるという保証はありません。
ルコルニュ氏は月曜日の朝、辞任声明の最後に「人は常に自分の政党よりも自分の国を優先しなければならない」と述べた。
昨年の総選挙の結果は試金石となった。フランスの議員たちは、他の多くの欧州諸国のように、幅広い連立政権を築くことを学ぶだろうか?15ヶ月が経過した今、その答えは断固たる「ノー」だ。
米国破産協会(ABI)は10月3日の声明で、今年最初の9カ月間で米国における連邦破産法第7章に基づく個人破産申請は計24万9152件で、昨年の同時期に比べて15%増加したと発表した。
連邦破産法第7章(清算破産とも呼ばれる)では、裁判所が選任した管財人が個人の非免除資産を売却し、債権者に支払います。これにより特定の債務が免除され、個人は支払い義務を負わなくなります。
これは、個人がすべての資産を保持しながらも、3年から5年にわたる返済計画について債権者と合意しなければならない連邦破産法第13章とは異なります。
ABIによると、2025年の最初の9か月間に連邦破産法第13章に基づく個人破産申請は149,337件あり、2024年の同時期と比べて4%増加した。
同報告書は、この期間中に個人破産申請件数は合計11%増加したと付け加えた。
破産データプロバイダーのエピックAACERの副社長マイケル・ハンター氏はABIの声明の中で、この急激な増加は家計への財政的圧力の高まりを浮き彫りにしていると述べた。
連邦破産法第13章に基づく未解決の案件数の増加は、より多くの消費者が必要な財政的リセットとして破産を選択することを示唆しています。この上昇傾向は今後も継続すると予想しており、2026年にかけて加速する可能性が高いでしょう。
米国人の間で信用ストレスが高まっていることに対する懸念も高まっている。
金融サービス会社ヴァンテージスコアは9月24日の声明で、8月の信用延滞は前年比でほぼすべての信用階層と延滞カテゴリーにわたって増加したと述べた。
「例えば、自動車ローンや個人ローンの延滞の増加は、持続的なインフレ、一貫して高い金利、借入コストの上昇、不安定な雇用情勢などの複合的な影響を部分的に反映している可能性が高い」と、ヴァンテージスコアのエグゼクティブバイスプレジデント兼最高デジタル責任者であるスーザン・フェイ氏は述べた。
しかし、経済指標は近年好調に推移しています。インフレ率は昨年6月以降2.3~3%で推移し、雇用市場も安定していることから、経済の安定に貢献しています。
労働統計局が9月30日に発表した求人・労働力移動調査報告によると、米国の求人件数は8月に1万9000件増加し、727万件となった。
求人サイトIndeedが9月30日に発表した調査レポートでは、労働市場は「解雇、採用、離職率が低い」と特徴づけられている。
報告書は、「経済の他の部分で高まる不安定さに対して、限定的なレイオフは安心感を与えており、すでに仕事を持っている労働者の相対的な安定は支出の安定維持に役立っている」と述べている。
その逆に、「外から仕事を探している人にとっては、市場の活力の欠如により選択肢が限られている」という。
全体的な経済楽観
一方、ABIは声明の中で、2025年の最初の9か月間で商業破産申請件数も増加したと述べた。
全体として、商業申請件数は前年比4パーセント増、中小企業の申請件数は6パーセント増加した。
「家計債務が増加し、融資条件が厳しくなり、地政学的不確実性によりサプライチェーンに課題が生じているため、倒産件数はパンデミック前の水準に向かって増加し続けている」とABI事務局長エイミー・クアッケンボス氏は述べた。
「増え続ける負債に圧倒された家族や企業にとって、破産手続きは経済的な命綱となる。」
全米独立企業連盟(NFIB)は9月9日の声明で、商業破産申請件数の増加にもかかわらず、中小企業の楽観度は8月に改善したと述べた。NFIBの中小企業楽観指数は8月に0.5ポイント上昇し、100.8に達した。
NFIBのチーフエコノミスト、ビル・ダンケルバーグ氏は「8月は楽観的な見方がやや強まり、売上高予想が上方修正され、収益も改善したと報告するオーナーが増えた」と述べた。
「経営者たちは事業全体の健全性は改善したと述べているが、メインストリートでは依然として労働の質が最大の問題となっている。」トランプ政権は、企業が直面する課題を緩和するための措置を講じてきました。9月30日、中小企業庁(SBA)は、ドナルド・トランプ大統領が2025年度に中小企業に「記録的な資本」を提供したと発表しました。
SBAは2025年度に8万4400件、総額448億ドルの中小企業向け融資を保証しており、その大部分はトランプ大統領が1月に大統領に就任した後に承認されたとSBAは述べている。これらの融資はSBAの7(a)および504融資プログラムに基づいていた。
「記録的な融資額により、借り手と貸し手の双方が、アメリカ第一主義はアメリカの再成長を意味するという明確なシグナルを送っている。」
S&P500株価指数は、経済に対する投資家の楽観的な見方を反映し、現在史上最高値を更新しています。同指数は、金曜日時点で4月の安値から約39%上昇しています。
企業は外国政府機関との契約獲得においても、より成功している。トランプ政権発足後最初の9カ月間で、米国企業は98件のこうした契約を締結し、その総額は「過去最高」の1700億ドルに達したと、商務省国際貿易局は9月30日の声明で述べた。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
山陰合同銀行は、海外不動産の購入資金向けローン商品を10月末にも導入する。分散投資の対象として海外不動産を活用する富裕層のニーズに対応する。拠点の山陰に加えて東京や関西など都市部で顧客を開拓し、新たな収益源に育てることをめざす。
Jトラスト傘下で信用保証を手がける日本保証(東京・渋谷)と9月に包括保証契約を締結した。
山陰合銀が始める「海外不動産購入ローン」は米国のハワイ州、カリフォルニア州で不動産を購入する顧客が対象だ。融資金額は100万円以上3億円以内で10万円単位。貸出金利は保証料を加えた同行所定の利率となる見込み。
海外の投資先物件を担保にして融資を受けられる仕組みで、顧客の利便性が高まる。従来は国内にある不動産などを担保として準備する必要があった。日本保証からカントリーリスクや現地の法制度への対応などを含めた与信ノウハウの提供を受ける。
山陰合銀の地盤である山陰は高齢化や人口減が進み、持続的な成長のためにも新たな収益源の確保を迫られている。富裕層向け融資商品の投入で、東京など都市部での取引拡大にもつなげたい考えだ。
●その他
備忘録(2025/10/6)
●企業
ゴールドマン・サックスのストラテジストらは、堅調な経済と人工知能(AI)分野の明るい見通しを背景に、米企業は当初予想を上回る好決算シーズンを迎えるとの見通しを示した。
デービッド・コスティン氏率いる同社のチームは、7-9月期について「四半期中の経済データを踏まえると、コンセンサス予想は過度に慎重すぎる」として、いわゆる「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大型ハイテク株グループも、市場予想を上回る業績を示すと見込んでいる。
7-9月期の決算発表は、JPモルガン・チェースやシティグループなどの銀行を皮切りに10月中旬に始まる予定だ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がまとめたアナリストの予想によると、S&P500株価指数採用企業の7-9月期の利益は、前年同期比で7.2%増と、過去2年間で最も小幅な伸びとなる見込みだ。売上高の伸びも前期の6.4%から5.9%に鈍化すると予測されている。
一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを進め、米経済の底堅さへの楽観が広がる中で、S&P500は決算発表シーズンを前に過去最高値を更新している。AIへの期待の高まりも、市場心理を押し上げている。
コスティン氏は、米国の包括的な関税措置による影響が当初想定より小さいと見て、ここ数カ月でS&P500の年末目標を引き上げたストラテジストの一人だ。同氏は、7-9月期には関税の影響がやや大きくなると予想しているものの、企業は利益率を維持している可能性が高いと述べた。
モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏も、米企業の業績見通しについて強気な予測を示している。同氏は6日のリポートで、来年は物価が再び上昇に転じる可能性があり、企業の価格決定力と利益拡大を後押しするとの見通しを示した。
ウィルソン氏は「2021年以来となるポジティブな営業レバレッジが再び現れる舞台が整った」としている。
経営破綻した米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスは、ローン債権を金融機関からの与信枠や資産担保証券(ABS)の担保として差し入れていた。しかし、一部の債権の車両識別番号(VIN)などが他のローンと重複する事実が、初期段階の調査で確認された。
複数の調査関係者が匿名で語ったところでは、トライカラーが実行した約7万件のローン債権のうち約40%(2万9000件以上)は、VINを含む属性が少なくとも他の1件のローンと一致したという。
ウォール街の金融機関やABS保有者は、トライカラーへのエクスポージャー(リスク債権)が過去数年で合計20億ドル(約3000億円)を上回る。同社が米連邦破産法に基づく清算手続きを先月申請して以降、財務実態の把握を銀行などは急いでいる。
トライカラーのローンにひも付けられたVINを入念に調査する金融機関や管財人など当事者の一部は、番号の偽造や重複の可能性を懸念し、不良債権を隠すか、ポートフォリオの価値を水増しする目的で利用された疑惑が浮上した。
異なる債権者に同一の担保が設定されていなかったか連邦当局も調べを進めている。
トライカラーの創業者ダニエル・チュー氏と同社の代理人、清算手続きを監督する管財人の法務担当にコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。 トライカラー向けにウェアハウスファシリティーと呼ばれる与信枠を設定していた米銀JPモルガン・チェースとフィフス・サード・バンコープの担当者はコメントを控えた。
ニコンは6日、「レイバン」などを手がける眼鏡世界大手の仏エシロール・ルックスオティカが筆頭株主になったと発表した。同社は議決権べースで10.75%を握った。10%超えは外資企業による投資を規制する外為法の審査を通過したことを意味し、今後2割まで高める見通しだ。すでに協力関係にある両社が、今後さらに関係を深める可能性もある。
●マクロ
高市早苗氏の自民党総裁選勝利を受け長期の日本国債のボラティリティーが上昇している。米国や英国の市場にも影響する可能性があると、ゴールドマン・サックス・グループが指摘した。
ビル・ズー氏らストラテジストはリポートで、高市氏が財政出動などの景気刺激策を重視する姿勢を示していることから財政拡張観測が強まり、長期の日本国債利回りが一段と上昇するリスクがあると分析した。
「日本国債に固有のショック」で利回りが10ベーシスポイント(bp)上昇するたびに、米国、ドイツ、英国の長期国債利回り対しておおむね2-3bpの上昇圧力がかかるとの見方を示した。
日本の40年物国債利回りは6日一時、17ベーシスポイント(bp)急上昇した。高市氏の景気刺激策重視の姿勢を受け、当局が家計向け減税や景気下支えのために国債増発に踏み切るとの見方が市場で広がった。
世界的にも長期債への売り圧力が強まり、英国と米国の30年物国債利回りは最大7bpと6bp上昇し、それぞれ5.57%と4.77%となった。
ストラテジストは5日のリポートで「日本は今年、世界の長期金利に対して弱気方向のショックを純輸出してきた」と指摘。「高市氏の自民党総裁選勝利のニュースは、長期ゾーンの日本国債利回り上昇とイールドカーブのスティープ化につながるとみている」と記している。
今年は主要国の債券市場が日本国債と連動する局面がたびたび見られた。日本での超長期国債利回り急上昇が、世界的な財政赤字拡大への懸念による混乱を増幅する構図だ。
ゴールドマンのリポートは、各国政府が借り入れを拡大し、インフレが予想以上に根強い中で注視されている長期債に一段と焦点を当てる。
ここ数週間には、一部の国の債務管理当局や中央銀行が長期債を支える措置を相次いで打ち出している。日本の財務省も、今後の入札で超長期国債の発行を減らす案を提示した。
ゴールドマンのストラテジストはリポートで、長期ゾーンで再燃した日本国債売り圧力が持続するかどうかは今後の政治情勢の展開に左右されるとの見方を示した。
野党側が減税を求める中、債券投資家の間では高市氏の勝利前から、財政支出拡大への警戒感がくすぶっていた。
7日に予定されている30年物国債の入札は、日本国債に対する需要を占う重要な試金石となりそうだ。
ストラテジストは「長期ゾーンの日本国債はここしばらく、通常の景気循環要因との連動が弱まっている。不確実性の高まりは当面は長期ゾーンのリスクプレミアムを高止まりさせるだろう」と指摘した。
フランスのルコルニュ首相が6日、辞任した。マクロン大統領が新内閣を指名してからわずか1日後の辞任となった。
新内閣は前内閣の重要閣僚の大半を留任させる陣容だったため、変化を期待していた野党は猛反発していた。再任されたルタイヨー内相すらも、過去と「決別」できていない人事だと批判していた。
支持勢力が議会過半数に満たないルコルニュ氏が苦戦している様子は明らかだったが、辞任は予想外だった。マクロン氏が指名した新内閣は、野党の意向を無視して、盟友のルメール元経済・財務相を国防相に、レスキュール元産業担当相を経済・財務相に復帰させるなど自身に忠実な中道派で固める陣容だったが、すぐさま裏目に出た。
ルコルニュ氏は6日、パリで記者団に対し、「首相として職務を果たせる状況ではもはやなくなった。わたしには妥協する用意があったが、各政党がそれぞれ、自らの政策を丸のみするよう要求した」と説明した。ユーロ圏最大の財政赤字を抑制するため、歳出削減や増税など不人気な措置を盛り込んだ予算案を、分裂した議会で通過させるという難題を前に、これまでの2人の首相同様、ルコルニュ氏も倒れた。
急落
首相辞任の発表を受け、フランスの資産は急落した。フランス10年債利回りは一時11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、3.6%となった。これにより、ドイツ国債との利回り差(スプレッド)は89bpに拡大し、2024年後半以来の高水準となった。
フランスのCAC40種株価指数は一時2.1%下落し、銀行株が最も大きな打撃を受けた。ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコル、BNPパリバはいずれも5%以上下落した。ユーロは対ドルで一時0.7%下落した。
ブリュッセルを拠点とするINGの投資戦略責任者、ビンセント・ユビンス氏はルコルニュ氏辞任前のインタビューで、「現状は新たな選挙に近づいている。このシナリオでは、独仏債のスプレッドは拡大し、100bpを試すとみている」と述べていた。
選択肢
ルコルニュ氏の辞任で、マクロン氏には3つの選択肢が残る。新首相の指名、議会の解散・総選挙、自らの辞任だ。自らの辞任について、マクロン氏はこれまで否定している。
通常の予算案の提出期限は13日に迫っており、政府はつなぎ予算に頼らざるを得なくなりそうだ。
極右・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン氏は、改めて国民議会(下院)の選挙を求めた。同党は、2022年の解散総選挙で得た議席をさらに伸ばす好機と見ている。ルペン氏は「もはや行き詰まっている。国民のもとに立ち返る必要がある。決めるのは有権者だ」と強調した。
フランスの歴史学者で政治専門家のジャン・ガリグ氏は、6日の「理解不能な政治的茶番」により、「マクロン氏自身は望んでいなくても、再び解散に踏み切らざるを得なくなる可能性がある」と語った。
自民党総裁選で高市早苗前経済安全保障担当相が予想外の勝利を収めたことを受け、為替・株式・債券の各市場で「高市トレード」と呼ばれる動きが再び注目を集めている。
株式では景気刺激策への期待から上昇が見込まれる一方、円安と超長期金利の上昇(価格は下落)が同時に進むとの警戒も広がり、さっそく6日の日本市場で動きが見られた。ただ、「高市トレード」は必ずしも円安・株高・債券安の3点セットだとは限らない。いったい何を意味し、どのような投資心理が背後で働いているのだろうか。
なぜ市場が反応したのか
総裁選前の市場では、報道各社や海外予測市場の情報を材料に小泉進次郎農林水産相の勝利が有力視されていた。小泉氏は財政規律を重視し、日本銀行の政策正常化を後押しするとみられており、投資家の間では利上げを意識したポジションが広がっていた。
一方で、高市氏は安倍晋三元首相の「アベノミクス」路線を継承し、財政支出や減税などを通じた景気刺激を重視、利上げには慎重な立場を取る。このため、金融緩和を志向する高市氏が予想外に勝利したことは、市場にとって織り込みの反動を伴うサプライズとなった。
「高市トレード」とは
「高市トレード」とは、高市氏の政策スタンスを手がかりに、為替・株式・債券が連動して動く市場の反応を指す。 典型的な形は、円安・株高・債券安(長期金利上昇)の3点セットだ。
同氏が掲げる緩和的な金融・財政政策が意識されると、景気刺激策への期待から株式が上昇し、国債は増発懸念で超長期債が売られ、日銀の利上げ観測が後退して円安が進むという構図が描かれる。
明確な定義はあるのか
高市氏の政策スタンスが変化すれば、市場の反応も変わるため、実は明確なルールや数値基準はない。「アベノミクス相場」などと同様に、市場参加者が高市氏の政策スタンスを手がかりに相場を語る際の略称的な表現として使われているにすぎない。
そのため、時期や状況によっては円高や株安など、異なる反応を含めて語られる場合もある。つまり「高市トレード」という言葉自体が円安・株高・債券安を意味するのではなく、市場心理を映す柔軟な概念といえる。
どんな市場の反応があったのか
6日の東京外国為替市場では円が約2カ月ぶりの安値となる150円台に下落した。日経平均など主要株価指数は史上最高値を更新し、景気刺激的な政策への期待が株式相場を支えた。
一方で、債券市場では財政拡張への思惑が強まり、超長期国債に売り圧力がかかった。短期金利との差が広がり、利回り曲線(イールドカーブ)がより急になる「金利スティープ化」が進んだ。スワップ市場が織り込む10月利上げ確率は5割強から2割程度に急低下している。
今後の焦点は
高市氏の政策がどこまで実行されるか、また誰が財務相に就任するかなど、政権運営次第で市場の反応は変わる可能性がある。財政規律を重視する人事が行われれば債券市場は落ち着くが、積極財政が進めば超長期金利が一段と上昇する展開もあり得る。
「高市トレード」は、政策への期待と警戒のバランスの上に成り立つ。高市氏の政策スタンスや日銀の対応が変われば、相場の方向は逆転する可能性もある。アベノミクスを想起させる政策と、財政拡張への懸念が交錯するもろはの市場現象として、各種政策への思惑や期待の持続性、実現可能性を含めて当面の市場の衆目を集めることになりそうだ。
日本銀行が6日に開いた10月の支店長会議で、政策判断のポイントになる今後の賃上げ動向について引き続き高めの賃上げが必要とする企業の声が多く聞かれた。会議での報告をまとめた「各地域から見た景気の現状」を公表した。
企業からは理由として、人手不足感の強さのほか、最低賃金の引き上げ、最近の食料品を中心とする物価上昇などが指摘された。一方、関税政策の影響や海外経済の減速などで企業収益が大きく下振れた場合には、賃上げを抑制せざるを得ないとの声もあった。
記者会見した正木一博理事・大阪支店長は、人手不足の中で企業経営者は引き続き賃上げが必要と認識していると語った。一方で、賃上げ率に関しては、米関税政策の影響が企業の売り上げや収益にこれから具体的に出てくるとし、「来年の賃上げの程度を申し上げるには、情報が十分ではない」との認識を示した。
植田和男総裁は3日の講演で、賃金と物価が「緩やかに上昇していくメカニズムは、今後も維持される」とし、見通しに沿って経済・物価が推移すれば利上げを続けていく方針を改めて示した。今回の支店長会議での報告は、日銀の政策正常化路線を支える材料となり得る。
米関税
価格設定面では、仕入れコストや人件費、物流費などの上昇を転嫁する動きが続いているとの報告が多かった。ただ、米などの食料品価格の上昇を背景に消費者の節約志向がやや強まる下で、値上げの抑制や低価格商品の品ぞろえ強化などの動きも見られるとの報告があった
輸出・生産については、一部の地域のサプライヤーから、関税の影響によって収益が下押しされている国内納入先で、取引価格の交渉スタンスが厳格化しているとの声が聞かれた。ただ、現時点では人件費の価格転嫁の流れを阻害するまでには至っていないとの報告が多かったとしている。
自動車産業が集積する東海地区の上口洋司名古屋支店長は会見で、北米向けの自動車輸出について、「これまでのところ堅調な需要が見られている」と指摘。先行きの不確実性は高いものの、駆け込み需要の反動もそれほど大きく出ないとの声が聞かれているという。
さくらリポート
会議に合わせて公表した地域経済報告(さくらリポート)では、全9地域のうち北海道が景気の総括判断を引き下げ、残る8地域は据え置いた。一部に弱めの動きも見られるが、全ての地域で景気は「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」としている。
市場では、日銀の利上げ時期を巡って予想が揺れ動いている。9月の金融政策決定会合で政策委員9人のうち2人が政策維持に反対したことなどを受けて、10月の利上げ予想が一時70%近くまで上昇。しかし、4日の自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことで、足元では2割台に急低下している。
チェコで3─4日に実施された下院(定数200)総選挙は、バビシュ前首相率いる野党のポピュリスト政党「ANO」が勝利した。反移民などを掲げる欧州のポピュリスト勢力を後押しし、ウクライナへの支援を縮小する政権が誕生する可能性が高まった。
開票率99%の段階で得票率はANOが34.7%で首位、フィアラ首相の中道右派の与党連合「SPOLU」が23.2%で2位。ANOは約80議席を獲得する見通し。
フィアラ氏はバビシュ氏に祝意を伝え、敗北を認めた。
バビシュ氏はANO単独内閣を目指すとしつつ、単独過半数には届かないため、極右「自由と直接民主主義」(SPD)を含む2つの小政党と協議すると支持者に述べた。SPDは反欧州連合(EU)、反北大西洋条約機構(NATO)を掲げる。
バビシュ氏は記者団に対し「われわれは明らかに親欧州、親NATOだ」と強調した。
ANOは選挙選で成長加速や賃金・年金引き上げ、減税、学生や若年世帯への税額控除などを公約。近年の物価高騰で実質所得が急減した多くの国民の共感を呼んだ。
次期首相を任命するパベル大統領5日に各党党首との協議を開始するとみられている。
2017─21年に中道左派政権を率いた富豪のバビシュ氏はかつて単一通貨ユーロ導入などを支持したが、その後ユーロ懐疑派に転じ、トランプ米大統領の支持者となった。
ハンガリーのオルバン首相と盟友関係にあり、欧州議会で極右グループ「欧州の愛国者」の複数の政党と連携し、脱炭素化など欧州の主流の政策に異議を唱えている。
EUとNATOからの離脱を問う国民投票を求めるSPDの要求は拒否しているが、ウクライナ向けに砲弾を購入する取り組み「チェコ・イニシアチブ」を終わらせると表明している。
銀行関係者や投資家によると、中国を除く新興国市場の債券発行額が今年、過去最高を更新しそうな勢いだ。サウジアラビアやメキシコの発行体が活発に起債しており、年末にはフロンティア市場からの起債も回復する可能性がある。
今年の新興国市場はドル安と着実な経済成長を追い風に、予想以上にアウトパフォームし、地政学的リスクが目白押しであるにもかかわらず魅力的なリターンを提供。起債が急増しても、利回りに飢えた投資家が楽々と吸収している状態だ。
JPモルガンのCEEMEA債券資本市場責任者、ステファン・ワイラー氏は、サウジの発行体による起債が今年600億ドル程度に上る可能性があると指摘した。
メキシコの発行体による起債は今年、既に過去最高の414億ドルに達している。シティグループのまとめでは、今年に入って新興国市場の起債総額は6549億ドルと、2020年に記録した通年の最高額7630億ドルに迫っている。
JPモルガンは、新興国市場の今年のソブリン債発行額が計2400億ドルと、コロナ禍対策資金の調達で急増した2020年の2330億ドルを上回ると予想している。ワイラー氏は「社債もソブリン債も過去最高を更新するだろう」と述べた。
シティ幹部は、金利が現在のペースで低下し続けるなら、年末には来年分の前倒し発行が始まるかもしれないと述べた。
格付けの低いフロンティア市場の発行体は、利回りスプレッドが2桁に達しているためこれまで概ね起債を控えていたが、夏場にスプレッドが縮小し、起債再開の道が開けた。ワイラー氏は、年末までにアフリカのソブリン債が2、3本発行されると予想した。
ナイジェリアは年内に最大23億ドルの起債を行う可能性を示している。
一方、ESG(環境・社会・企業統治)債への需要は後退しており、シティ幹部によると、かつてのように有利な価格・利回りで発行することはできなくなっている。
アドビ・アナリティクスが月曜日に発表したレポートによると、消費者が割引を求め、さらには人工知能を搭載したチャットボットの助けを借りることにより、米国のホリデーシーズンのオンライン支出は前年比5.3%増の2,534億ドルに達すると予想されている。
しかし、同社によると、この成長率は、オンライン売上高が11月1日から12月31日までに8.7%増加した前年のホリデーシーズンに比べると依然として鈍化する見込みだ。アドビのデータは、米国の小売ウェブサイトへの1兆回以上の訪問、1億点以上の商品、18の異なる製品カテゴリーを追跡している。
この成長率は、過去10年間の平均である年間約13%を下回っています。この数字は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に消費者が小売業者のオンライン販売に頼った2020年の前年比32%の成長によって部分的に歪められています。
アドビのデジタルインサイト担当ディレクター、ヴィヴェック・パンディア氏は、装飾品やギフトで季節を祝い、また販促期間中に低価格を利用したいという顧客の願望が、米国経済が不透明な時期であっても支出を支えるだろうと述べた。
「ホリデーシーズンは、消費者が必要なものを手に入れるための責任感と意欲を特に強く感じる時期の一つです」と彼は述べた。「消費者はこうしたセールの時期に積極的にお金を使い、利益を得ようとしているのが分かります。」
さらに、消費者は価格が変動する可能性があると感じた場合、商品を買いだめする習慣を身につけており、これが支出の安定につながる可能性があると彼は述べた。
同氏は、ホリデーシーズンの支出は昨年より鈍化すると予想されるものの、「消費者が直面しているすべての状況を考慮すると、依然として顕著な成長が見られる」と述べた。
オンラインでの支出増加が、必ずしもホリデーシーズン全体の売上増加につながるとは限らない。アドビのデータはeコマースのみを追跡しており、同社はホリデーシーズンの売上の約4分の1がオンラインで消費されると推定しているとパンディア氏は述べた。
米国の小売売上高は今年、堅調に推移しているものの、関税による価格上昇への懸念と消費者心理の低下が、重要なショッピングシーズンの見通しを複雑化させている。実店舗とオンラインの両方の支出を計上した一部のホリデーシーズン予測では、近年よりも緩やかな成長、あるいは減少さえも予測している。
コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの予測によると、実店舗とオンラインでのホリデーシーズンの支出は前年比4%増と予想されているが、これは10年間の平均である5.2%増より低い数字だ。
コンサルティング会社PwCが6月下旬から7月上旬にかけて実施した調査によると、消費者はホリデーシーズンのギフト、旅行、娯楽への支出を前年比で約5%(平均1,552ドル)減らす予定だと回答した。この調査は、米国の消費者4,000人を代表サンプルとして実施された。特に、 Z世代が前年比23%減の支出を計画していると回答したことが、この支出予測を押し下げた。
Adobe社は、感謝祭から感謝祭翌日の月曜日(サイバーマンデー)まで続くサイバーウィークにホリデーシーズンの支出がピークを迎えると予想しています 。Adobe社によると、この5日間の期間は、ホリデーシーズンのオンライン支出全体の17.2%、つまり437億ドルを占めると予想されており、これは前年のホリデーシーズンにおけるこの期間の17%とほぼ同水準です。
アドビは、割引率は前年のホリデーシーズンとほぼ同程度になると予測していますが、一部のカテゴリーでは割引率が若干低下する見込みです。例えば、家電製品の割引率は、前年同期の30.1%から28%にピークを迎える見込みです。また、玩具の割引率は前年同期の28%から27%にピークを迎える見込みです。
Adobe社は、モバイルデバイスがオンラインショッピングの主な牽引役になると予測しており、ホリデーシーズンのモバイルデバイスでのショッピングは、デスクトップと比較してオンライン支出の56.1%を占めると予想しています。これは、2020年のホリデーシーズンにおけるモバイルデバイスによるオンライン支出が40%だったことを考えると、大きな伸びです。
買い物客がギフトを探すにつれ、おもちゃ、ジュエリー、衣類、その他の購入品を探すために、生成型AIを活用したチャットサービスやブラウザを利用する人が増えると予想されます。Adobeは、AIトラフィックが前年比520%増加すると予測しており、感謝祭前のトラフィックが最も増加する時期は2020年初頭と見込まれています。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とOpenAIは6日、人工知能(AI)インフラ構築に関する契約を締結したと発表した。AMDによると、この契約により数百億ドル規模の新たな収益が見込まれる。
発表によると、OpenAIは、今後数年にわたり合計6ギガワット規模のAMD製画像処理半導体(GPU)を導入する最終契約を締結した。AMDはオープンAIに対し、一定の成果目標の達成に応じて権利が確定する最大1億6000万株分の新株予約権を付与した。この目標にはAMD株価の上昇も含まれており、将来的な権利行使の一部には、1株当たり600ドルとなることに連動する条件もある。AMD株は、3日の終値時点で164.67ドルだった。
発表を受け、AMD株は6日の時間外取引で一時28%高の211.18ドルに達した。
OpenAIは大規模データセンターを構築し、計算能力の拡充を進めている。テック業界は、膨大な電力を消費するAIツールへの急激な需要が今後も衰えないとみて、かつてない規模の賭けに出ている。エヌビディアは9月、最大1000億ドル(約15兆円)を投じ、OpenAIのために少なくとも10ギガワットの電力供給能力を持つAIインフラと新たなデータセンターを構築すると発表した。これはニューヨーク市のピーク時の電力需要に匹敵する規模だ。
OpenAIがより高度なAIシステムの構築・運用に必要となる半導体やデータセンターの膨大な費用をどのように賄うのか、現時点では明らかになっていない。サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は2カ月ほど前に、AIサービスに必要だと自身が考えるコンピューティング資源を確保するために、「兆単位」のインフラ投資を行う意向を示唆。この実現に向け、「新しいタイプの」金融手法の開発に同社として取り組んでいるとアルトマン氏は説明したが、詳細には触れなかった。
AMDは、OpenAIや大規模データセンターを運営する他の企業がAI能力拡張に数十億ドルを投じる中、アクセラレーター・チップ市場でエヌビディアに大きく後れを取っている。AMDの今年のAI向けGPU収益は、65億5000万ドルに達する見込みだ。同社は、今回のOpenAIとの提携が来年からの有力な収益源となり、2027年にはさらに勢いが加速すると予想している。
AMDの経営陣は、今回の提携が、AMDの技術の採用拡大の足がかりにもなる見通しで、この分野での売上高を将来的に1000億ドル超に押し上げる可能性があるとしている。ただし、その達成時期については明らかにしていない。
ペンシルベニア州ハリスバーグ郊外にあるスリーマイル島原子力発電所は、米国史上最悪の商業用原子力事故の現場です。1979年のこの事故では放射性物質が環境に放出され、原子力エネルギーは危険な事業として認識され、ほとんどの組織が参入しませんでした。しかし、数年にわたる原子力発電所の閉鎖を経て、今、原子力エネルギーはルネッサンス期を迎えています。
スリーマイル島原子力発電所は、マイクロソフトとの電力購入契約に基づき、2027年にクレーン・クリーン・エネルギー・センターとして再稼働し、データセンターへの電力供給の一部に充てられる予定です。また、メタ社は1.1GWの契約を締結したことで閉鎖の危機に瀕していたイリノイ州の原子力発電所を救済しました。これら2つの大型契約は、ハイパースケーラーが原子力発電を導入し、新たな成長を推し進めるというトレンドの拡大を示しています。
原子力は炭素排出量が少なく安定した電力を提供するが、エネルギー市場を真に再編し、復興の約束を果たすには、複雑な運用、財務、労働力の課題を克服する必要がある。
需要を牽引するデータセンター
トランプ政権による最近の政策支援は、原子力開発を新たなスピードで加速させているが、投資の増加は長年にわたり懸念されていた。バイデン政権下での2023年、米国は20カ国以上と連携し、気候変動対策目標の達成に向け、2050年までに世界の原子力発電容量を3倍にするという誓約を表明した。各国は、環境への負荷をかけずに世界中で急増するエネルギー需要を満たす方法を模索しており、そのニーズを満たすために原子力発電に目を向けている。
しかし、現在見られる電力需要の急増の特徴は、企業がこれらの発電所を急速に再稼働させようとしている点です。企業は、人工知能(AI)とクラウドコンピューティングの爆発的な成長を支えるデータセンターへの電力供給需要に応えようとしています。ゴールドマン・サックスによると、AIだけでも今後5年間でデータセンターの電力需要が165%増加すると予測されています。
この電力需要は、長年停止していた原子力施設の改修に数億ドル規模の投資を惜しまず、長期電力購入契約を締結するという、特異な力学を生み出しました。従来の電力会社顧客とは異なり、これらの企業は老朽化した原子力施設の再稼働に必要な多額の先行投資を正当化する、数十年にわたる契約を締結することができます。
工場の稼働再開の現実
米国には稼働中の原子炉が94基あり、うち18基は廃止済みまたは廃止手続き中です。廃止済みまたは廃止手続き中の原子炉のほぼ半数が、現在、原子力規制委員会による再稼働審査を受けています。残りの原子炉は老朽化しており、再稼働には費用がかかりすぎます。しかし、再稼働可能な原子炉であっても、何年もの間休止状態にあり、再稼働には数億ドル規模の改修と長期にわたるプロジェクト期間が必要です。
少なくとも5年間板で覆われた建物を想像してみてください。状態にかかわらず、修理、改修、点検は必要です。原子力発電所のような高度に特殊で機密性の高い建物では、その必要性はさらに高まります。廃止された施設は、運転免許を回復し、規制遵守基準を満たし、そして大きな脆弱性である最新のサイバーセキュリティ基準の欠如を修復する必要があります。
高度なサイバー脅威に晒される現在の環境は、これらの古い原子力発電所が最後に稼働していた頃とは全く異なる世界です。米国の電力会社に対するサイバー攻撃は昨年70%増加したと報告されています。発電所が悪意のある攻撃者に対して脆弱な状態にならないよう、大規模な改修が必要です。
もう一つのボトルネックはサプライチェーンです。原子力発電の衰退に伴いウラン棒の生産能力は縮小されており、製造インフラの再構築には時間がかかります。ウラン棒は既存の在庫からすぐに調達できる部品ではなく、特殊な設備と厳格な品質管理が必要です。
同様に困難な課題は人的資本です。過去10年間の原子力発電所の閉鎖に伴い、経験豊富な運転員の大半が退職し、組織として蓄積してきた知識もすべて持ち去ってしまいました。新しい運転員の育成は一朝一夕で完了するものではありません。彼らは高度な資格と複雑な安全プロトコルに関する経験を必要とする高度な専門職です。原子力技術者に対してより有利なインセンティブを提供する他セクターとの競争によって状況はさらに複雑化し、電力会社にとって優秀な人材の確保と維持が困難になっています。
より幅広いエネルギーミックスが依然として重要な理由
業界がこれらの障害を乗り越えたとしても、原子力発電の最も楽観的なシナリオでさえ、多様なエネルギーポートフォリオの必要性を排除することはできません。この間、天然ガス発電や再生可能エネルギー発電のプロジェクトの一部は縮小しましたが、継続的な成長も見られました。テキサス州では、州のエネルギー基金が122メガワットの天然ガス発電所への最初の融資を承認したばかりで、この発電所は2027年の稼働開始が予定されています。
原子力発電への投資が急増したからといって、他のすべての電源が原子力に取って代わられるわけではありません。送電網の運用においては、様々な技術がそれぞれ異なる目的を果たします。原子力発電は優れたベースロード電源を提供しますが、電力網には需要変動に合わせて迅速に増減できる柔軟な発電も必要です。太陽光と風力は、間欠性という課題はあるものの、多くの用途において依然として費用対効果が高く、エネルギーミックスにおいて引き続き重要な役割を果たすでしょう。
原子力開発が実現可能であっても、原子力発電所の稼働開始までに長い時間がかかるため、数年にわたる移行期間中は他の技術でそのギャップを埋める必要があります。エネルギー安全保障のためには、単一の技術にすべてを賭けるのではなく、複数のエネルギー源を協調して運用することが不可欠です。
エネルギー市場と将来の資金調達の再構築
データセンターは、原子力発電にこれまでほとんどなかったものをもたらしました。それは、長期にわたって保証された電力に対して前払い金を支払う意思のある顧客です。企業は補助金の継続を期待するのではなく、安定した電力へのニーズに資金を投入しています。これは、真の市場需要に基づいた資金調達モデルを生み出します。これが成功すれば、テクノロジー企業以外の業界のプロジェクトに対する将来の資金調達を形作る可能性があります。
こうした需要が業界を活性化させていることから、原子力発電所の再稼働プロジェクトが追い風を受けて加速するのではないかと懸念されています。しかし、急ぐことはできません。成功には、政策支援、人材育成への継続的な投資、サプライチェーンの強化、そして大規模インフラプロジェクトにつきものの避けられない遅延やコスト超過への忍耐が必要です。
真の試練は、これらの野心的なプロジェクトが発表から実際の建設・運転へと移行する次の10年で訪れるだろう。原子力の能力は依然として有望だが、非現実的なスケジュールを急ぐことは、原子力が目指すルネサンスそのものを損ないかねない。
●その他
備忘録(2025/10/3-5)
●企業
JERAは3日、米国で保有する大型ガス火力発電所の権益を現地の投資会社に売却すると発表した。対象はオハイオ州のキャロルカウンティ発電所で、発電出力は約70万キロワット。米国はデータセンターの新設で電力需要が急増しており、安定して発電できるガス火力の重要性が増している。発電所買収の引き合いも強くなっており、資産の入れ替えを進める。
2025年度にも事業権益の20%全てを米投資会社ストラテジック・バリュー・パートナーに売却する。売却額は非公表。JERAは9月にも伊藤忠商事と折半出資する大型ガス火力3基で、保有権益の全てを伊藤忠や現地エネルギー企業に売却していた。
JERAは米国で今回売却する分を除くと9基の発電所を保有する。今後も発電所の収益性や事業環境に合わせて、資産売却や再投資を進める方針だ。
●マクロ
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は3日、銀行規制の水準を引き下げることに警鐘を鳴らし、むしろノンバンクへの監督強化が必要だと主張した。
同総裁は訪問先のアムステルダムで、世界金融危機以降、監督を強化してきたが、今は金融機関に課しているルールを検証し、一部を簡素化できるかどうか見直す時期だと述べた。ノンバンクの台頭は不公平な競争条件を生みかねない現象だとして、対応の緊急性が増しているとみている。
「政策当局はこの厳しい環境に対応するため、規制と監督を適応させることが不可欠だ」と述べ、「銀行を対象とした基準を引き下げるのではなく、銀行に似た活動に関与する、あるいは銀行セクターと強い結び付きを持つノンバンクに対して基準を引き上げるべきだ」と語った。
米英では、当局が一部の銀行規制の見直しに動いている。欧州当局も2008年の金融危機後に導入された一連の規制を合理化し、ユーロ圏の銀行が競合に対して不利にならないようにすることを目指している。
クノット・オランダ中銀前総裁の退任記念シンポジウムに出席したラガルド総裁は、「政策当局は規制疲れに屈せず」、銀行に類似するノンバンクに対して「より強力なグローバルルールを拡大適用する取り組みを強化することが不可欠だ」と語った。
同総裁はまた、フィンランドの放送局MTVとのインタビュー(3日放送)で、ユーロ圏のインフレ率がおおむね安定していることを踏まえ、現行の政策運営に満足しているとの認識を示した。
ラガルド総裁は「良い状況にあり、この状況を維持し続けることが必要だ」と述べた上で、あらためて「あらかじめ決められたペースはない」と説明した。
同総裁は「インフレに関して上下の大きな動きは予想していない」とし、「目標達成に向け必要な対応を取る必要がある」が「すでに多くを行っている」と語った。
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェファーソン副議長は、インフレ率が依然として目標を上回る一方で労働市場は軟化しているとし、FRBが2つの課題を同時に抱えていることへの懸念を改めて示した。
ジェファーソン氏は3日、自身の見通しを巡る不確実性は特に高いと指摘。ただホワイトハウスの政策が最終的に決定されれば、そうした不確実性は和らぐとの見通しも示した。この日の講演は、9月30日の会合での発言とほぼ同内容だった。
ジェファーソン副議長は、フィラデルフィアのドレクセル経済フォーラムで講演。事前に配布された原稿によれば、「そうした政策の変更が最終決定され、それらの経済への影響を判断する時間が増えるにつれ、米経済を巡る広範な不確実性の一部は和らぐと予想している」と述べた。
また「今後の政策金利の道筋に関しては、入手するデータや変化する見通し、そしてリスクバランスに基づき、金融政策の適切なスタンスについて評価を続けていく」と発言。「政府の政策や経済への影響に関する情報も考慮し、精査する」と付け加えた。
講演後の質疑応答では、現在の政府機関閉鎖とそれに伴う経済統計発表への影響が、FRBの判断を大きく妨げることはないとの認識を示した。
ジェファーソン氏によれば、当局者らは民間部門のデータや企業・家計調査など幅広い情報源を活用でき、それらによって経済の全体像を把握できるという。政府機関閉鎖の影響で、3日に予定されていた雇用統計の発表は行われなかった。
「私は職務を遂行するのに十分な情報を得られていると感じており、10月会合に臨む前には十分な情報を把握できていると期待している」とジェファーソン氏は述べた。
人工知能(AI)がバブル局面にあるのかという議論が改めて強まっているが、ドットコムバブル崩壊後にインターネットが残ったように、たとえバブルであってもAIが変革的存在であることは変わらないだろう。
AIバブル論の浮沈
9月には少なくとも2本の分析リポートが発表され、AIを巡る動きがバブルに類似しているとの見方が示された。アジーム・アザー(Azeem Azhar)氏の「Is AI a Bubble?(AIはバブルか)」、GQGパートナーズの「Dotcom on Steroids(ドットコムとステロイド)」だ。こうした真剣な診断は、皮肉にも「バブル懸念」が世間でやや沈静化した直後に出てきた。
ブルームバーグの機能、Bloomberg News Trends(ブルームバーグ・ニュース・トレンズ)の分析では、AIバブルに関する報道件数は波を描き、最大の山は2025年1月末の「DeepSeekショック」直後に訪れ、その後は減少傾向にある。
ドットコム時代との比較
四半世紀前のドットコムバブルとの比較は避けられないが、今回の状況は当時とは心理的に異なるように感じられる。2000年当時の米国は世界的に無敵感が強く、楽観と熱狂が至る所にあふれていた。これに対し、現在のAIを巡る熱狂は、むしろ集団で救いを求めるような感覚に見える。
ただ、ドットコムバブルは史上最も過剰な株式投機だった。AIバブルはそこまで極端ではないにせよ、株価の過熱感は共通している。2000年のピーク後に株価は約70%下落した。今回は60%の下落で済めば投資家がハッピーかといえば、そんなはずはない。
バブルの症状
経済史家チャールズ・キンドルバーガーが示した典型的なバブルのプロセスは以下の通り。
金融緩和がバブルの土台を作る
借り入れ拡大が投機を加速させる
資産価格が割高になる
説得力のある「物語」が高値を正当化する
これに照らすと、現在のAI市場にも多くが当てはまる。資金調達環境は依然として緩く、AIの将来性を裏付ける物語は強固に見える。しかしGQGは、かつて無敵と見なされていた企業が、利益が伸び続けているにもかかわらず着実なバリュエーション低下に直面していると指摘し、アドビ(Adobe)の例を挙げている。
データセンターなどの設備投資に投じられている資金の規模も、多くの企業が既に極端なリスクを取っていることを示唆している。アザー氏はシティグループのデータを用い、超大規模クラウド事業者(ハイパースケーラー)の支出を示すこのチャートを提示している。
GQGによれば、ハイパースケーラーの設備投資はEbitda(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)の50-70%に達しており、2000年の通信バブル期のAT&T(72%)や14年のエネルギーバブル期のエクソン(65%)と同水準にある。
投資家への示唆
マイクロソフト、アップル、オラクル、アマゾンといった大手テクノロジー企業はドットコムバブル崩壊後、ピークから65-94%の株価下落を経験し、元の株価水準を回復するのに最大16年を要した。
今回もAIブームが崩壊すれば株主は大きな痛みを味わうだろう。ただ、08年の金融危機の時とは異なり、資金調達の大半が株式によっている点は救いだ。債務不履行を引き金とした深刻な景気後退というよりむしろ、ドットコムバブル崩壊に近い形で、影響は市場に限定される可能性が高い。
結論
結論として、AIは確実に社会と経済を変革するだろう。ただし、いわゆる創造的破壊というものの常として、その成果をわれわれが享受する前に幾分の痛みを伴うことは避けられない。
アジアでは非上場企業に融資や出資を行うプライベート市場が活況だが、上場市場での投資回収ルートが脆弱で信用サイクルに直面した経験も乏しいことから、やがて真価が問われる局面を迎える――。シンガポールで開かれた会議で、資産運用大手の幹部2人がこうした見方を示した。
デロイトのデータによると、アジア太平洋地域のプライベート市場は過去10年間で拡大し、2024年にはプライベートエクイティ(PE)企業による企業買収が1380億ドルと過去10年間で2番目に高い水準に達した。またプレキンによると、同地域で運用されているプライベートクレジット資産は14年以降で6倍強に急増し、23年9月時点で約930億ドルに達した。
プリンシパル・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)兼債券グローバルヘッドのマイケル・グーセー氏はシンガポールの会議で1日、プライベート資産への資金流入により上場市場からのリスク移転が進んだが、借り手が景気後退局面をしのげるかはまだ検証されていないとし、「プライベート市場について懸念を抱いている」と述べた。「われわれはまだ本格的なサイクルを経験していない。PEやプライベートクレジット関連の商品が約束するリターンを追い求め、莫大な資金が流れ込んでいる」と危惧を示した。
また、上場市場から大量の資金が引き揚げられてプライベート市場に流入し、よりリスクの高い発行体がプライベート市場のバランスシートに紛れ込んでいると指摘。「こうした企業は景気が悪化したときに問題を抱えることになる」と述べた。
シンガポールの政府系ファンドGICのアドバイザー、ジェフリー・ジェーンサブハキジ氏も同じ会議で2日、インドを除くとアジアの上場市場は信頼できるバリュエーションや流動性を提供していないため、アジアのPEは依然として投資回収に苦労していると述べた。
一方で「日本は非常に成功しており、付加価値のあるコーポレートガバナンス改革を進めている。韓国も非常に力を入れている。こうした取り組みは上場市場のパフォーマンスを改善し、出口(投資回収)を可能にし、PEも追随できる」とも述べた。
パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスは3日、約2年前に始まった同地区での戦争を終結させるためアメリカが示した和平案の一部を受け入れ、残るイスラエル人の人質を全員解放すると発表した。ドナルド・トランプ米大統領は5日を回答期限としていた。ハマスは声明で、提案についてさらに交渉を求めた。トランプ氏はハマスの反応を歓迎し、イスラエルにガザへの爆撃を停止するよう求めた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は声明で、イスラエルは「トランプの計画」の第1段階を直ちに履行する準備をしており、トランプ氏との「全面協力」を続けると述べた。またイスラエル軍は、和平案の実施準備に入ったと発表。イスラエル軍の公式メディアの記者は、イスラエル軍がガザでの部隊活動を「最小限」に縮小するとソーシャルメディアに投稿した。
ハマスは声明で、「トランプ大統領の提案に含まれる交換の方式に従い、イスラエル人の人質を、生存者も死者も全員、解放する」ことに同意すると述べた。ただし、「交換のための現場条件が満たされることが前提」だとしている。
さらにハマスは、「パレスチナの民意およびアラブ・イスラム諸国の支援に基づき」、「ガザ地区の統治を独立したパレスチナ人組織に引き渡すことに改めて同意する」と表明した。
ガザの将来とパレスチナ人の権利については、「関連する国際法および決議に基づく包括的なパレスチナの民の立場に結びつき、全体的な民意の枠組みの中で検討されている」もので、ハマスもその枠組みに参加するとしている。
ただし、トランプ氏の計画に含まれる、ハマスが武装解除に合意し、今後のガザ統治にはかかわらないという項目には言及しなかった。
ハマスの政治部門のタヘル・アル・ヌヌ幹部はBBCに対し、トランプ大統領の発言は「心強いものだ」と述べた。報道官は、ハマスには「(人質と収監者の)交換、戦争の終結、占領軍の撤退を達成するための交渉を直ちに開始する準備ができている」とも話した。
カタールも、ハマスの声明を歓迎。これまでガザ和平協議の仲介で核心的な役割を担ってきたカタール政府は、「我々は、(トランプ)大統領が発表した即時停戦の呼びかけを支持することを改めて表明する。これは人質の安全かつ迅速な解放を促進し、ガザ地区におけるパレスチナ人の流血を終わらせるための迅速な成果を達成することを目的としている」と述べた。
また、共に仲介役を担ってきたエジプトおよびアメリカと協力し、停戦の実施に向けた交渉を再開したと述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相は声明で、「ハマスの反応を受けて、イスラエルはすべての人質の即時解放に向けたトランプ案の第1段階を直ちに実施する準備を進めている」と述べた。
「我々は、トランプ大統領の構想と一致する形でイスラエルが提示した原則に基づき、戦争を終結させるため、大統領およびそのチームと引き続き全面的に協力していく」と、首相は表明した。
トランプ氏「中東和平実現に近づいている」
トランプ氏はまず、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で声明を発表。「ハマスが発表した声明に基づき、彼らに持続的な平和の準備ができていると私は考える。イスラエルはガザへの爆撃を直ちに停止しなくてはならない。そうすれば、人質を安全かつ迅速に救出することができる!」と書いた(太字は原文で大文字)。
トランプ氏はさらに、「それを実施するには、今はあまりに危険すぎる。我々はすでに詳細についての協議を開始している。これはガザだけの問題ではなく、中東で長年の求められてきた平和に関するものだ」と書いた。
トランプ氏は自分とイスラエルが示した和平案について、3日の早い時点でハマスに対して、5日夕を回答期限とすると「トゥルース・ソーシャル」で通告。和平案を受け入れないならガザは「誰もみたことのないような、地獄のような」事態になると警告していた。
トランプ氏は続けて、ホワイトハウスの執務室で撮影した動画をソーシャルメディアに投稿した。カタール、トルコ、サウジアラビア、ヨルダン、エジプトの各国政府が和平案の交渉に協力したと感謝したほか、「今日は大きな日だ。これからどうなるか様子を見よう。最終的な文言と具体的な内容を確定しなくてはならない」と述べ、人質が「親のもとに帰ることを楽しみにしている」と付け加えた。
さらに、「我々は(中東における)平和の実現にとても近づいている」と、トランプ氏は述べた。
ガザでは現在、ハマスに拉致された48人が人質となっており、そのうち生存しているのは20人だけと考えられている。
イスラエル軍、ガザでの活動縮小か
ハマスの声明を受け、イスラエル国防軍(IDF)は声明で、イスラエル軍の最高司令官と軍および情報機関の幹部らが集まり夜通し話し合ったと発表。
声明によると、イスラエル軍参謀総長は「今回の情勢変化を受け、特別な状況評価会議を招集した」。この会議には人質・行方不明者対策本部の関係者も含まれていたという。
IDFによると、政府関係者の指示に基づき、参謀総長は「トランプ案の第1段階の実施に向けた準備を進めるよう指示した」という。
IDFはさらに、イスラエル軍兵士の安全が「最優先事項」だと強調。「IDFのすべての能力は南部司令部に配備される」と述べた。南部司令部はガザでの作戦を管轄している。
声明には、ガザでの軍事活動の縮小に関する具体的な計画は記されていないが、必要に応じて再び戦闘に備えるよう部隊に呼びかけている。
「参謀総長は、作戦の難しさを踏まえ、すべての部隊が高度な警戒態勢と注意力を維持する必要があると指摘した。また、あらゆる脅威を無効化する迅速な対応の必要性も強調した」と声明は付け加えている。
イスラエル軍の対応について、イスラエルの公式軍事ラジオ局「ガラツ」のドロン・カドシュ記者は、イスラエル軍がガザでの部隊活動を「最小限」に縮小するとソーシャルメディアに投稿した。
「トランプの発表を受けて、政治指導部はIDFに対し、ガザ占領作戦を停止するよう指示した」とカドシュ記者はXに書いた。
カドシュ記者の投稿によると、軍は防衛的な作戦のみを実施するよう指示されたという。
スターマー英首相も支援誓う
イギリスのキア・スターマー首相は、イスラエル人とパレスチナ人の持続可能な平和実現に向けた今後の交渉と作業を支援すると誓った。
スターマー首相は、ハマスが和平案の少なくとも一部を受け入れたことが、戦闘を終わらせ、人質を帰還させ、人道支援を「切実に必要としている人々」に届ける機会をもたらすと述べた。
「我々はすべての当事者に対し、合意を遅滞なく実行するよう求める」と、スターマー氏は強調した。
トランプ氏の計画とは
トランプ氏が和平へ向けて提示した20項目の計画の概要は次の通り。
第1段階では、ガザを「過激思想のない、テロのない地域とし、近隣諸国に脅威を与えない状態にする」。
第2段階では、ガザが「ガザの人々の利益のために再開発される」。
第3段階では、上記の2段階の実現を受けて「戦争は直ちに終結する」。イスラエル軍は「合意されたラインまで撤退」し、両者が人質と収監者を交換する準備を進める中で、すべての敵対行為が停止される。
ハマスが生存者・遺体を含むすべてのイスラエル人の人質を解放した後、イスラエルは約2000人のパレスチナ人囚人を釈放する。
トランプ氏は3日のハマス声明を受けてソーシャルメディアで、自分の計画の第3段階に言及し、「イスラエルはガザへの爆撃を直ちに停止しなくてはならない。そうすれば、人質を安全かつ迅速に救出することができる!」と書いた。
ホワイトハウスは9月29日の時点で、トランプ氏の計画が実現した場合のイスラエル軍の撤退範囲を示した概略図を公表していた。
BBCヴェリファイ(検証チーム)のマーリン・トマス、ベネディクト・ガーマン両記者によると、単純化された地図は正確ではないものの(たとえばガザとエジプトの境界は実際には直線ではない)、和平案でイスラエル軍がどう後退するのかが、うかがえる。
イスラエル軍の現在の位置を青い線で示したこの図によると、ハマスによる人質解放を受けたイスラエル軍の後退(地図の黄色線まで)で、占領下にあるガザ地区の面積は約55%となる。
計画に沿って国際安定化部隊(ISF)が動員された時点で、イスラエル軍はさらに図の赤線まで後退し、占領されている面積は約40%になる。
さらに、「安全保障緩衝地帯」が設置された時点でイスラエル軍はまた後退し、同軍による占領はガザ地区の約15%になる。
ガザの死者少なくとも6万6288人
ハマスは2023年10月7日にイスラエル南部への奇襲攻撃を主導。この攻撃で約1200人が殺害され、251人が人質にされた。一方、ハマス運営のガザ保健省によると、直ちに反撃を開始したイスラエル軍の攻撃により、少なくとも6万6288人が殺害された。
同保健省によると、現地時間3日正午までの24時間で、住民63人がイスラエル軍に殺害されたという。
イスラエルは北部ガザ市で地上侵攻作戦を続けている。イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は1日、イスラエル軍が「市の包囲を強めている」と述べた。
イスラエル軍はガザ市の住民に、南部に指定した「人道地域」への避難を命じている。これまでに数十万人が避難を余儀なくされたが、さらに数十万人が市内にとどまっているとみられている。
北京 — 中国の経済減速は、米国や欧州のブランドが中国の買い物客にアプローチするための戦略を刷新するのを阻んではいない。
むしろ、世界第2位の消費者市場の魅力は、地元ブランドとの競争激化に直面し、企業に適応を迫っている。
クラフト・ハインツの場合
今年、中国でより多くの人々にケチャップを購入してもらうには、地元の代理店を雇って目を引くキャンペーンを制作することも必要だった。地下鉄の駅の柱をケチャップの瓶に似せて飾り、人気料理である卵とトマトの炒め物に新しいアレンジを加えた調味料として宣伝したのだ。
上海に拠点を置くマーケティング会社Good Idea Growth Network(GGN)にとっても、これは難しい市場だ。創業者のStephy Liu氏は、CNBCが翻訳した中国語で、「GGNは14年の歴史の中で、少なくとも5つの消費者トレンドの波を経験してきました。ゲームプレイは常に変化し続けています」と語った。
しかし、GGNは英国の広告大手WPPからの買収提案を拒否した後も成功を収めているとリュー氏は述べ、顧客の約半数が外国ブランドであると指摘した。
クラフト・ハインツは中国でのケチャップキャンペーンをまだ終わらせていないが、同社は新興市場での第2四半期の純売上高が前年同期比4.2%増加し、北米での減少を相殺したと発表した。
協議に詳しい人物によると、WPPはGGNの買収の可能性を検討したが、結局は進展しなかったという。
クラフト・ハインツはコメント要請に直ちには応じなかった。
ローカライズされたソーシャルメディア
スターバックスの苦戦からルルレモンの中国での成功まで、適切なローカリゼーションの組み合わせが不可欠であることが明らかになりました。
「中国で成功を収めている国際ブランドは、収益の40%以上をマーケティング、特にコンテンツとプラットフォーム重視のマーケティングに充てていることが多い。同時に、市場データに基づいて現地で製品を改良している」と、中国で外国ブランドの販売を支援するWPICマーケティング+テクノロジーズの共同創業者兼CEO、ジェイコブ・クック氏は述べた。
今年、クック氏はアンダーアーマー
同社は、オンラインで大量の購入者を引き付けるために100元(14ドル)以下の製品を開発し、熱心なユーザーとのライブストリームを利用してフィットネスコミュニティを構築し、オフラインでより高級な製品を販売している。
バイトダンス傘下のDouyinは、パンデミック中に著名人や企業がライブ配信で販売を開始して以来、ここ数年でeコマースの勢力を拡大してきました。そして、数字を見れば、小紅書とDouyinの世界に参入することが企業にとって価値があることは疑いようがありません。
GGNのリュー氏は、この新しいソーシャルコマースのエコシステムへの適応が、過去2年間でブランドにとって最大の課題となっていると述べた。「海外ブランドは『これってTikTokと同じじゃないの?』と思うだろう」
彼女は、成功するにはチーム構成から販売する製品の種類まで、あらゆるものを変える複雑な戦略が必要だと警告した。しかし、その見返りは大きい。
「半年で、アリババで売った以上の売り上げが達成できるでしょう。
「2年以内に『Tmall』を買収する」と劉氏は語った。
データは力である
多くの企業にとって、ソーシャルメディアに加え、中国の消費者が何を購入しているかに関する膨大なデータへのアクセスが戦略の重要な要素となっている。
アリババのTmallを含む中国の電子商取引プラットフォームは、 Amazon.comよりもはるかに多くの人気商品に関するデータを共有している。
WPICのクック氏は、「中国では、競合他社が何を販売しているのか、そしていくらで販売しているのか、人々は一般的に知っています」と述べた。
クック氏は、中国の化粧品ブランド「パーフェクト・ダイアリー」が、その詳細なデータを活用して市場の弱点を特定し、その低価格帯をターゲットにした口紅を開発することで成功を収めたと述べた。同氏は、このことが海外ブランドにも中国向け製品の開発を迫る圧力となり、過去5年間で大きな変化が起きたと指摘した。
中国の電子商取引プラットフォームでは、商品ごとの注文数の大まかな数字が表示されることも多く、Syntunなどのサードパーティ企業は、大量の商品ランキングやその他のオンライン販売データを無料で提供しています。
アップルの場合
9月19日のiPhone 17発売に合わせて、中国のeコマース企業JD.comが中国本土の販売データを発表しました。電子機器に特化したこのプラットフォームは、iPhone 17シリーズの予約注文が発売開始から1分間で、昨年のiPhone 16シリーズの初日予約注文数を上回ったと発表しました。
Appleの事例は、国内の競合他社に市場シェアを奪われているにもかかわらず、いかにして地元での関心を再び呼び起こすことができるかを示している。北京の一部の顧客はCNBCに対し、iPhoneの新色「コズミックオレンジ」が気に入ったと語り、大容量ストレージなどの魅力的な新機能について聞いたため、今年初めてiPhoneを購入する地元住民が増えていると語った。
中国の工場はすぐにこのトレンドに乗り、17モデルが発売される前に同様のオレンジ色のiPhoneケースを発売した。
「成功するブランドは、現地に研究開発センターと製品チームを設立したブランドです」と、中国マーケティングコンサルティング会社ChoZanの創業者アシュリー・ドゥダレノク氏は述べています。「これにより、トレンドを早期に把握し、現地のニーズに合わせた製品を開発し、数年ではなく数ヶ月で発売することができます。これは、グローバル製品を中国市場に単純に展開することが多かった過去とは大きく異なる点です。」
文化的なつながり
適切なデータとソーシャルメディアプラットフォームがあっても、特に中国ブランドが同国独自の職人技の歴史を活用することに成功しているため、文化の統合はますます重要になっています。
「ブランドは中国文化への表面的な賛辞にとどまらず、さらに進化しつつあります」とドゥダレノク氏は述べた。彼女は、ロエベが翡翠彫刻の職人と提携し、バーバリーが竹編みの職人と提携したことを指摘した。
そして、中国の高級品市場での売上が減少しているにもかかわらず、LVMHは
同社はこの夏、上海に目を引く船型の店舗をオープンし、たちまち地元で大きな話題を呼んだ。
マンハッタンにあるLVMHのスーツケース型の店舗とは対照的に、上海の店舗は、およそ1世紀前にアジアへの海外旅行者の入国港であったこの中国の都市の歴史を活かしている。
また、新店舗は、手作りの旅行用トランクというヨーロッパブランドのルーツをとらえている。これは、中国ブランドが同じような感情的な訴求力を提供できないことと対照的だと、マッキンゼーのグレーターチャイナ会長ジョー・ンガイ氏はリンクトインの投稿で指摘した。
「中国の顧客が地元の要素への信頼と欲求を強めている中で、西洋と東洋の融合をさらに生み出すことは、中国における多国籍企業にとってまたとないチャンスの一つだ」と彼は語った。
シンガポール — 数十年にわたり、プライベート市場は年金基金、基金、そして巨大政府系ファンドの独占領域となってきました。今、その独占性は薄れつつあります。
かつては長期投資のためだけに開かれていた大規模な機関投資家のクラブに、より多くの富裕層が招待されるようになり、それが波紋を呼んでいる。
専門家はこの傾向をプライベート市場の民主化と表現している。つまり、資格要件の緩和、小規模投資家からの資金をプールして大規模ファンドに流すフィーダーファンド、ミューチュアルファンドを模倣しながらも民間資産に投資する商品などだ。
米国では、ドナルド・トランプ大統領の2025年8月の大統領令により、退職金ソリューションプロバイダーがプライベートエクイティやその他の代替資産に投資できるようになり、一般の貯蓄者が民間市場にアクセスしやすくなった。
さらに、 KKR 、ブラックストーン、アポロといった大手民間市場資産運用会社は、年金基金、基金、保険会社といった従来の投資家からの平均投資額800万ドル超に比べて、より少額の投資を可能にする投資手段を展開している。
「この傾向は強まっています。プライベート市場は今後、ますますコモディティ化と民主化が進むと考えています」と、シンガポールの政府系ファンドGICのグループ最高投資責任者、ブライアン・ヨー氏は、シンガポールで開催されたミルケン・インスティテュート・アジア・サミットで述べた。米国では、個人投資家とは、純資産100万ドル未満(居住地を除く)かつ所得20万ドル未満の投資家を指す。
機関投資家は豊富な資金、デューデリジェンスチーム、そして数年間の資金確保能力を有しています。彼らはこれまでプライベートマーケットの最大の支援者でしたが、今や個人投資家の参入によって懸念を抱いています。
「今後12~18ヶ月の間に大量の資金が流入するとすれば、それは問題となる可能性があります。なぜなら、それは限られた優良投資機会に多額の資金が投入されることを意味し、引受基準の低下につながる可能性があるからです」とヨー氏は述べた。「それはリターンの低下につながる可能性があり、将来的にはより大きな問題につながる可能性があります。」
高まる懸念
ミルケン研究所アジアサミットでは、他の専門家らが、個人投資家の流入によって価格が歪められ、収益が損なわれ、長期投資や忍耐強い資本向けに設計されたファンド構造が不安定になる可能性があると警告した。
「伝統的な金融機関は、プライベート・ウェルス・マネーの流入と、プライベート・マーケットを通じたプライベート・ウェルス・マネーの調達について非常に懸念している」と、LP向けコンサルティング会社アルボーンのパートナーでアジア地域責任者のデブラ・ン氏は述べた。
「整合性についての懸念が高まっている」とン氏はミルケンのパネルディスカッションで述べ、個人投資家、ファンドマネジャー、LPの間でインセンティブや流動性への期待が異なる可能性があることに言及した。
フォーダム大学の最高投資責任者、ギータ・カパディア氏も同様の懸念を示し、大量の小売資金の流れが民間市場の機能に大混乱をもたらす可能性があると警告した。
「機関投資家として投資するメリットの一つは、流動性リスクや時間リスクを負うことができ、その見返りが得られることです。そして、個人投資家の流入が今後影響を与えるのではないかと懸念しています」と、彼女は別のミルケン・パネルで述べた。
伝統的に、PEファンドは数十年にわたるコミットメントと不定期なキャッシュフローを前提に設計されてきたが、個人投資家は一般的に、より迅速なリターンと高い流動性を求めている。「両者がうまく噛み合わないこともある」とカパディア氏は述べた。
機関投資家と個人投資家の目標が乖離した場合、プライベート市場は長期的な視点を失う可能性があります。運用会社は、個人投資家の流動性需要を満たすために、より多くの現金を保有したり、取引期間を短縮したりする可能性があると、講演者たちは一致して述べました。
ストレス時には、突然の個人投資家の償還により、割引価格での資産売却を余儀なくされ、通常は安定していた市場で流動性危機と価格ショックを引き起こす可能性がある。
テキサス市営退職年金制度の最高投資責任者であるヤップ・キム氏は、個人投資家は機関投資家よりも「リターンへの欲求が強く」、マージンへの敏感度が低い可能性があると指摘し、両者の整合性の違いを強調した。マージンへの敏感度とは、手数料と純コスト効率を重視することを指す。年金基金や基金などの機関投資家は、運用手数料、パフォーマンス手数料、取引条件について厳しい交渉を行うことが多い。
「多くの機関投資家が懸念している」と彼は語った。
「半流動性」の代替品
プライベート・エクイティ・マネージャーは、従来の投資家が個人投資家の参加に懸念を抱いていることを認識しています。彼らの解決策は、半流動性ファンドです。
「私たちが目にしているのは、半流動性ビークルの急増です。これらのビークルは、投資家が月次または四半期ごとに投資したり売却したりすることを可能にします」と、マーサー・オルタナティブズのアジアにおけるプライベート・エクイティ責任者であるウェン・ティン・ジオック氏は述べています。「完全に流動性があるわけではありませんが、一般的にプライベート・エクイティに偏っている資産クラスへのエクスポージャーを投資家に提供します」と、彼女はCNBCに語りました。
デロイトによれば、半流動性ファンドの数は2020年の238から2024年には455にほぼ倍増した。
ステートストリートが最近実施した世界規模の調査では、機関投資家の56%が近い将来、プライベート市場への資金流入の半分以上が小売り型または半流動性の手段を通じてもたらされると予想していることが明らかになりました。
カパディア氏は、セミリキッドファンドが流動性ギャップを埋めようとしていることを認めつつも、投資家が現金化を希望しても全額を引き出せない可能性があると警告した。「ストレスイベントが発生した場合、流動性は思ったほど高くない可能性があります」と彼女は述べた。
ミルケン会議の出席者の間で挙げられたもう一つの懸念は、強制的な購入とそれが資産価格を押し上げる可能性だった。
「こうした小売り企業は、資本を迅速に投入せざるを得ない場合もある」とテキサス市営退職年金制度のキム氏は語った。
だからこそ、プライベートマーケットで売り手になるには「絶好のタイミング」なのだとキム氏は述べた。なぜなら、個人投資家向けのプライベートマーケットファンドは、購入意欲から、はるかに高い価格を支払う用意があるからだ。「長期的なリスク、アドレス、リターンを考えると、これが最良の引受基準かどうかは分かりません。」
パイを拡大する
専門家は、プライベート市場の民主化は今後も続くと指摘している。機関投資家による投資配分が成熟し、成長が鈍化する中、プライベート・エクイティ会社は新たな資金プールを探している。
ここ数年、プライベート・エクイティの資金調達は持続的な低迷に見舞われています。2025年上半期のプライベート・エクイティ・ファンドの世界全体の資金調達額は約3,840億ドルで、前年同期比17%減となりました。これは、パンデミックが始まった2020年以降、上半期としては最も低い額です。
こうした環境下では、従来の機関投資家のパイプラインが弱まる中でも、個人向けファンドの拡大が新たな資金へのアクセスを提供する魅力的な手段となる、とプライベートエクイティの投資家らはCNBCに語った。
「市場が進化するにつれ、民主化を慎重に進めれば、単に分配するのではなく、利益を拡大できると考えています」と、プライベートマーケットのインデックス運用会社ニューベストのパートナー、アリエル・エズラヒ氏は述べています。「より深く、より流動性が高く、より透明性の高いプライベートマーケットのエコシステムは、運用会社、投資家、そして業界全体に利益をもたらします。」
ホストプラスのCEO、デイビッド・エリア氏のような幹部は、解決策は個人投資家を締め出すことではなく、安全策を洗練させることだと主張している。「いわゆる一般投資家向けの規制と、適切な投資機会を効果的に見極めるだけの高度な知識と理解力を持つ機関投資家向けの規制との間には、明確な区別が必要だ」と彼は述べた。
ブラックロックによると、プライベート市場は現在の推定13兆ドルから2030年までに20兆ドル以上に成長すると予想されています。そして、個人投資家の資金流入は、その成長において重要な役割を果たすでしょう。
デロイトの予測によれば、個人投資家による民間資本への貢献は、米国では現在の推定800億ドルから2030年までに2兆4000億ドルに急増する可能性があるほか、欧州連合では9240億ユーロから3倍以上の3兆3000億ユーロ(3兆9000億ドル)にまで増加する可能性がある。
GICのアジア・プライベート・エクイティ・ファンド&共同投資部門責任者、アンクル・ミートル氏は、「個人投資家の普及、民主化は確かに深まるだろうと感じています。この資産クラスの普及と受容は、機関投資家と比較すると、個人投資家の潜在的可能性という点でまだ限られています。しかし、今後5年、10年かけて、大きく広がっていくでしょう」と述べた。
2020年のFTとのランチインタビューで、 ジム・チャノスは金融市場は「詐欺の黄金時代」にあると語った。
同氏は木曜日、この発言以来、 この現象は「さらに加速するばかりだ」と述べた。
そして今、私たちが最近強調してきたように、ドミノ倒しが始まっているかもしれない...
驚くほど回復力のある米国経済の表面下では、消費者信用の世界で起きた一連の小さなショックが重なり、経済的に弱い米国人にサービスを提供する企業を揺さぶり、万能であるはずの消費者の健全性の真の強さについて大きな疑問が生じている。
サブプライム自動車ローン会社トリコロール・ ホールディングスの破綻とカーマックスの第2四半期の業績不振を 受けて、自動車部品サプライヤーのファースト・ブランズ・グループが…
...投資家をさらに困惑させており、決済会社Klarnaと後払い決済会社Sezzleも、「オルタナティブ」市場と民間信用とともに下落に見舞われている...
そして、代替資産運用会社が破綻するなか、FT紙は、67歳のチャノス氏が、ウォール街の融資ブームを支えた2兆ドル近い民間信用システムを、2008年の金融危機に先立つサブプライム住宅ローンのパッケージ化に例え、その理由として「資金の源泉と資金の使い道の間に介在する何層もの人たち」を挙げたと報じている。
「民間信用の出現により、機関投資家は、シニア債への投資に対して株式利回りを提供するこの魔法の機械に資金を投入している」と同氏は述べ、一見安全に見える投資に対するこうした高利回りは「最初の危険信号であるはずだ」と付け加えた。
トリコロール社とファースト・ブランズ社のケースでは、オフバランス融資の大幅な使用と請求書の再担保(担保を複数回差し入れること)の可能性について疑問が提起されている(公式な申し立てはないが)。
チャノス氏はこう語った。
「ソーセージがどのように作られるかを見る機会はめったにありません。」
確かに、一切れ切ると内臓が飛び出る
「不透明性はプロセスの一部だ」とチャノス氏は語った。
「それはバグではなく機能です。」
以前詳しく述べたように、その「不透明性」は多くの人を驚かせた。
しかしながら、トレーダーらが「アルトコイン」の下落の原因を突き止められない一方で、数億ドル相当の自動車ローンの損失にさらされているJPモルガン・チェースやフィフス・サードなど、複数の大手銀行もこの崩壊に巻き込まれているとFTは結論付けている。
その後、パッケージ化されたトリコロールのローンの持ち分を売却した2人目の投資家は、債券発行を引き受けた銀行の1つであるJPモルガン・チェースが、潜在的な財務上の不正に気付かなかった理由が全く分からないと語った。
「それが一番衝撃的な点だ」と投資家は言った。「JPモルガンは世界で最も洗練された金融機関の一つだ。一体どうしてこんなことに気づかなかったんだ?」
JPモルガンはコメントを控えた。
アルバータ州は、アジア市場に輸出するために、1日最大100万バレルの原油を輸送できる新たな石油パイプラインをブリティッシュコロンビア州沿岸に建設することを提案した。
カルガリー・ヘラルド紙は、州政府がプロジェクトの初期計画に1400万カナダドルを投入する用意があり、ダニエル・スミス州首相は早ければ来月にもプロジェクトが連邦政府の承認を得られることを期待していると述べたと報じた。
しかし、反対はすぐに起こりました。ブリティッシュコロンビア州首相は、「我々が抱える問題は、スミス氏が、納税者の資金で賄われ、民間からの支持も得られず、真のプロジェクトではない、ブリティッシュコロンビア州民、特に沿岸部の先住民にとって非常に不安なプロジェクトを推進し続けていることです」と述べ、グローバルニュースが報じました。
実際、CBCニュースの報道によると、沿岸部の先住民族の代表者数名は、新たなパイプライン計画を「今も、そしてこれからも」支持しないと表明した。「これは私たちが決して支持するものではありません」と、マリリン・スレット氏は同紙に語った。
「我々がモラトリアムの解除を支持するようなプロジェクトはない」と、ブリティッシュコロンビア州北部の港湾への石油タンカーの入港禁止に言及した。
アルバータ州のスミス氏は「沿岸諸州には寛大な心で、すべての産品が港にアクセスできるようにする特別な義務があると思う」と語った。
アルバータ州政府は、カナダの石油の国際市場へのアクセスを拡大するために、しばらく前から新たな石油パイプラインの容量を推進してきたが、ブリティッシュコロンビア州政府は当初からこれに反対していた。
「北部を横断するパイプラインが建設される唯一の方法は、アルバータ州政府と連邦政府が建設費として数百億ドルの税金を負担することだ」と、ブリティッシュコロンビア州のデイビッド・エビー首相は9月にブルームバーグの報道によると述べ、そのようなインフラプロジェクトの潜在的費用は約600億カナダドル(約430億ドル)と見積もった。
倒れつつあるドミノ倒しの列は経済の隅々まで広がっている。
誰もが知っているように、陶酔感の問題は、現実との必然的な衝突と、それに伴う幻滅感です。 しかし、待ってください。事態はさらに悪化します。
あなたの人生の新しい恋人、すべてを元通りにしてくれる救世主は、ただとんでもない欠点ばかりではありません。詐欺師です。 本当に辛いです。彼らはあなたの心を奪っただけでなく、お金も奪ったのです。
これがAIブーム/バブルの始まりです。 その熱狂は文字通り計り知れませんが、現実との乖離は容易に目に見え、測定可能な要素に分解することができます。
1. AIの収益は、投資額(設備投資、つまり資本支出)に比べて桁違いに少ない 。この熱狂は収益が追いつくという考えに基づいているが、2回目のデートでは、プリンス・チャーミングの実際の収益と見通しに疑問が生じている。
この報告書は眉をひそめさせている。 そして真の疑問は、仮に売上高が50%過小評価されているとしよう。つまり、設備投資を正当化するために必要な売上高の2%ではなく3%に達しているということだ。もしかしたら、チャーミング王子が恋人を薄暗いビストロに誘うのは、まさにこのためなのかもしれない。彼は、ええと、整形手術を受けたため 、 明るい照明を警戒しているのだ。
AIの拡大トレンドを支えるには2兆ドルの新たな収益が必要 (ベイン・アンド・カンパニー)
2. AIツールは本質的に信頼性が低く、「形式的な」無駄な成果物を生み出しがちです。表面的には価値 があるように見えます が、実際には 不完全で誤解を招きやすく、一貫性もないため、価値が損なわ れます。AIは表面的な美辞麗句を生み出すのが得意なので、良いものと悪いものを選別するのに実際にはより多くの時間がかかります。言い換えれば、AIは 生産性よりも時間の無駄を生み出しているのです。
AIが生み出す「ワークスロップ」が生産性を破壊している (ハーバード・ビジネス・レビュー)
人々は、精度が低いにもかかわらず、AI が生成した医療アドバイスを過度に信頼しています。
さらに、AI の雑多なコンテンツは本物の研究と似ており、AI ツールは AI が生成したコンテンツ (つまり AI の雑多なコンテンツ) を明らかに好むという点も加わり、信頼できない出力の有害なカクテルができあがっています。
3. 大手企業によるAI導入のペースは鈍化しつつあります。 このグラフは、AI導入に最も多くのリソースを持つ企業がAI導入に熱狂し、その導入がピークに達していること、そしてAIツールの実用性はまだ未知数であることを示しています。
巷で広まっている主張は、チャーミング王子が恋人を失望させたのは王子のせいではなく、彼女が貧弱なPCに非現実的な要求をしているからだ、というものだ。言い換えれば、AIの性能が期待外れなのは企業のせいだ、ということになる。 詐欺師ではなく標的を責めるのが、AIの大きな約束なのだろうか?
4. AIデータセンターは、電力、水、そして資本を巡って他のユーザーと競争している。AI データセンターの擁護者たちは、AIデータセンターは電力網全体のエネルギーを少しずつ消費する小さなストローに過ぎないと主張しているが、これは 価格が限界利益に基づいて決定され 、無制限の銀行口座を持つ人々の電力と水の需要が、AIデータセンターの追加消費量をはるかに上回るペースで価格を押し上げるという点を見落としている。
この現実は、光熱費が月々250ドルから800ドルに急騰したという家庭からの苦情に端的に表れています。 確かに、送電網のアップグレードへの投資の必要性や、壊滅的な気象現象に対する保険料の値上げなど、他にも要因はありますが、AIデータセンターの水と電力に対する飽くなき需要を無視するのは、まるでチャーミング王子があなたの財布を掌で掴み、言い訳をするようなものです。
AIの飽くなきコンピューティング能力への需要にどう応えるか? (ベイン・アンド・カンパニー)
サンタクララの電力の60%がAIデータセンターに使われているという事実をぜひ検証してください。私も検証しました。事実です。
これは、AIの活用事例がないと言っているわけではありません。ここで重要なのは、AIへの熱狂に駆られて無分別に投じられた過剰な資本と資源が経済を崩壊させるということです。 何兆ドルも投じられるお金が無限にあるように思えるかもしれませんが、現実世界では資本は無限ではありません。実質的なリターンがほとんど、あるいは全くない不適切な投資に浪費された資本は、他のより生産的な投資に回すことができたはずの資本なのです。
水や電気・エネルギーについても同様です。 これらの資源は無限ではなく、底なしの銀行口座を持つ人が市場に参入すると価格が上昇します。つまり、消費者は限られた収入を公共料金に充てることになり、他の商品やサービスに使えるお金が少なくなるのです。
AIに乏しい資本を投じている企業は、実際の財務コストと投資収益率を評価せざるを得なくなり、撤退するでしょう。 この削減は、AIへの支出の急激な増加を反転させ、株式市場全体を膨張させ、25年前に崩壊したドットコム時代の極度の熱狂を凌駕するほどの熱狂的なAIバブルを縮小させるでしょう。
では、AIは経済を崩壊させるのだろうか? 前例のない規模の不適切な投資、期待外れの収益、消費者の自由裁量権を奪う公共料金の高騰、そして投資熱の必然的な反転と株式市場のバブル崩壊。これらは経済発展の原動力とはなり得ない。
株式市場の熱狂が崩壊すると、 富裕効果が 逆転し、人々はより貧しくなったと感じ(そして実際により貧しくなった)、借入と支出を削減する。限度額に達した人々には選択肢がない。光熱費を賄うために、自動車ローンや家賃の支払いを止めるしかないのだ。
ドミノ倒しが一つなら、まあ、大したことではない。だが今回は違う。倒されるドミノの列は経済の隅々まで走っている。これまで触れられなかったものが、ハンマーで触れられるのだ。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米公営電力会社の最高経営責任者(CEO)や投資家は、ニューヨークで今週開催された会合で、データセンターの電力需要が爆発的に伸びており、全顧客が使用するエネルギーの合計を上回るほどだと指摘した。
データセンターの電力需要は長らく停滞していた電力業界の収益と投資を拡大する機会を生み出したが、リスクも伴うとの声が聞かれた。
オクラホマ州のグランド・リバー・ダム公社のダン・サリバンCEOは「(需要の)すさまじい伸びを目の当たりにしている」と述べた。同氏によると、現在の需要はほとんどがデータセンターからのもので、同公社の供給能力の2000メガワット程度に匹敵する水準だという。
データセンターは米中等都市と同等の電力を消費する例もあるとされ、急増は電力不足や電力会社の設備過剰建設への懸念を高めている。
また、公営電力会社は税制上の理由から、データセンターと長期ではなく短期間の契約を結ばざるを得ず、長期的なインフラ計画と整合しにくいという問題があるとされ、制度の見直しを求める声も上がった。
世界最大の運用会社、米ブラックロックが米大手データセンター事業者や電力大手の買収を検討していることが明らかになった。米英メディア報道によると、買収規模は合計800億ドル(約11兆8000億円)に及ぶ可能性がある。人工知能(AI)需要を担うデジタルとエネルギーのインフラへの投資を加速する。
米ブルームバーグ通信は2日夜、ブラックロック傘下のインフラ専門投資会社グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)が米データセンター事業者、アラインド・データセンターズの買収で最終合意が近いと報じた。数日中にも正式発表がある可能性があるという。
アラインドはテキサス州に本拠地を構え、米国や中南米で、開発中含め78カ所のデータセンターを運営している。オーストラリアのインフラ投資大手マッコーリー系のファンドから投資を受けている。GIPのほか、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のテクノロジー特化型投資会社MGXも買収に参画し、企業価値評価は400億ドル程度になる見通しという。
並行して英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、GIPによる米電力大手AESの買収交渉が最終段階にあると伝えた。企業価値評価は負債を含めて380億ドル程度となる見通しという。ニューヨーク証券取引所に上場するAES株は、報道が伝わった翌日の10月1日に前日比17%高に急伸した。
AESは米国内外で発電所を所有・運営しており、2月時点の発電能力は合計約32ギガ(ギガは10億)ワット。半分を再生可能エネルギー、天然ガスが3割、石炭が2割弱という電源構成となっている。FTによると、AESは米テック大手のマイクロソフトやメタ、アルファベットなどが保有するデータセンターに電力供給している。
ブラックロックやGIP、MGXは2024年9月、マイクロソフトと組み、AIインフラ整備のための投資パートナーシップを形成した。25年3月には米半導体大手エヌビディアや米AI開発スタートアップxAIも参画した。アラインドやAESの買収案件はパートナーシップ発足後、事実上初の大型案件となりそうだ。
大手投資会社の間でAI関連インフラ取得・整備に巨額を投じる事例が相次いでいる。米ブラックストーンは24年9月、カナダの公的年金と共同で、オーストラリアのデータセンター運営大手エアトランクの買収を発表した。
●その他
ウォール・ストリート・ジャーナルの新しいレポートによると、ハリウッドの中流階級は崩壊しつつある。
生産は歴史的な低水準に落ち込み、雇用は消滅し、長年勤めていた労働者が大挙してロサンゼルスを去っている。
かつてチャック・ジョーンズと仕事をし、『ムーラン』などのディズニー映画にも出演したアニメーター、ブライアン・マイノルフィ氏は、2024年以降、安定した仕事に就いていない。彼の唯一の収入は、3時間離れた場所で教師として週350ドルを稼ぐことだ。「年末までに仕事が見つからなければ、大型店かスーパーマーケットに就職するしかない」と、貯金を取り崩している54歳のマイノルフィ氏は語る。
『ナイト・コート』を含む36のショーに携わってきた制作マネージャー、ピクシー・ウェスピザーさん(62歳)は、「1989年以来、ショーに携わっていないのは初めてです。周りを見渡すと、深刻な苦しみを抱えている人が本当にたくさんいます」と語った。
オスカー受賞歴のあるサウンドミキサー、トーマス・カーリー氏は、2024年4月以来、仕事をしていない。彼が最も恋しいのはチームワークだ。「何百万人もの人々に喜びを与えられるものを作るチームの一員であるという感覚…あのレベルの目的意識は、手放すのが本当に難しいものです。」
2023年の脚本家と俳優のストライキ以降、不況が始まりました。かつてコンテンツ競争を繰り広げていたストリーマーは、収益性向上のために支出を削減しました。2024年に開始された大規模予算作品は2022年と比べて約30%減少し、今年はさらに13%減少しています。
FilmLAによると、この地域の映画製作はパンデミック以外では少なくとも1995年以来最低水準に落ち込んだ。ロサンゼルス郡の映画製作関連雇用は、2022年の14万2000人から2024年末には約10万人に減少した。ロサンゼルスの失業率は州平均および全国平均を上回っており、山火事と住宅不足の影響でさらに悪化している。海外での安価な選択肢や、AIがアーティストに取って代わるのではないかという新たな懸念もあり、回復の見込みは遠い。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、この崩壊は映画の撮影現場をはるかに超えて波及していると報じている。かつてはエンターテイメント業界の労働者を頼りにしていた地元企業が次々と廃業に追い込まれている。かつてスタジオからの注文で繁盛していたミルクジャークッキーのクッキーショップオーナー、コートニー・コーワン氏は、2024年初頭に閉店し、破産を申請した。「結果として、個人の経済的破綻に至ったと言っても過言ではありません」と彼女は語った。
業界のベテランの中には、完全に街を去る者もいる。『アントラージュ』などの番組に携わった元助監督のスーザン・ヘルマンは、何ヶ月も仕事がなかった後、ベニスの自宅を売却してフロリダに移住した。『ボージャック・ホースマン』などのシリーズでキャリアを築いたアニメーターのレイチェル・ロングは、採血技師として再教育を受けた。「採血から採血に変わったのよ」と彼女は冗談を言うが、新しい仕事の給料は以前のほんの一部だ。
カリフォルニア州は映画税控除を拡大しており、一部のプロデューサーは連邦政府による控除の導入をロビー活動で訴えている。しかし、スタジオはカナダ、ヨーロッパ、そしてその他の地域でのコスト削減策を模索し続けている。ロサンゼルスで『ラスト・ファイアーファイター』を撮影しているプロデューサーのスティーブン・ポールは、海外での撮影よりもはるかに費用がかかったことを認めつつも、「もし製作をアメリカに戻したいと言うなら、私が世界中のあらゆる場所で撮影することはできない」と主張した。しかし、何千人もの労働者にとって、この闘いは遅すぎるかもしれない。
ある作家はこう表現した。「まるで床が抜け落ちたようだった。」
備忘録(2025/10/2)
●企業
ウォーレン・バフェット氏率いる米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイは2日、オクシデンタル・ペトロリアムの石油化学部門オキシケムを、約97億ドル(約1兆4200億円)の現金で買収することで合意したと発表した。長年にわたり大型買収を控え、アップルなどの大口保有株を段階的に手放してきたバフェット氏が、再び買収活動に乗り出したことを示している。
バークシャーの発表によると、買収は10-12月期(第4四半期)に完了する見通しだ。オクシデンタル株は、ニューヨーク市場の時間外取引で一時1.4%上昇した一方、バークシャーのクラスB株は0.3%下落した。
ブルームバーグのまとめによると、オキシケムはバークシャーにとって、2022年に137億ドルで保険会社アレガニーを買収して以来、最大の案件となる見込みだ。バフェット氏の手元資金は6月末時点で3440億ドルと、過去最高に近い水準に達していた。
オキシケムは、塩素や水酸化ナトリウムといった基礎化学品を製造している。米国最大のシェールガス産地のテキサス西部とニューメキシコ州のパーミアン盆地で、最良の鉱区がすでに掘削され生産成長が鈍化する中、石油各社は効率改善を模索している。
欧州のステランティス<STLA>(旧クライスラー)がNY市場で上昇。ジープSUVメーカーの同社は、第3四半期の米国での販売増を報告。グループの再建期待が高まった。同社の米国販売は第3四半期に6%増加し、特にジープの販売が11%増加。2年超ぶりの四半期での販売増となった。
これを受けてアナリストは投資判断を「買い」に引き上げ、目標株価を11%引き上げている。第3四半期の米国販売実績に加え、ジープ、RAM、ダッジ各ブランドの堅調な業績を評価。同アナリストは「今回のデータにより2026-2027年の見通しに対する自信が強まった」とも指摘している。
●マクロ
米政府機関の一時閉鎖は2日目に入ったが、トランプ政権と民主党の対立は激化している。政権批判の急先鋒(せんぽう)に立つ民主党議員2人の地盤であるニューヨークのインフラ支出を政権側は止め、連邦職員数千人の解雇もちらつかせた。ただ、こうした戦略は逆効果になりかねないと懸念する声も共和党内から上がっている。
政府機関の閉鎖が始まった1日未明、米行政管理予算局(OMB)のボート局長は突然、ニューヨーク市のセカンド・アベニュー地下鉄計画やハドソン川トンネル計画など180億ドル(約2兆6400億円)のインフラ支出を凍結するとソーシャルメディアで発表。
さらにボート氏は、政府機関閉鎖のため自宅待機となった連邦職員の一部について、完全に解雇することもいとわないとのトランプ大統領の警告にあらためて言及した
こうした政権側の姿勢硬化は、政府機関を再開させるにはいずれか一方の大幅な譲歩が必要な可能性を示す。トランプ氏は政府機関閉鎖で非難されるのは民主党だと、公にも私的にも自信を見せているが、やり過ぎのリスクがあると一部の共和党議員は認めている。
クレーマー上院議員(共和、ノースダコタ州)は「長期で見て、われわれにとって政治的に逆効果になるのではないかとやや懸念している」と表明。大半の法案や将来の優先的な政策課題を遅滞なく進めるためには、上院で60人の賛成が必要なことに触れた。
また、数十万人の連邦職員に給与が支給されない状態が続き、経済的な影響が膨らみ始めれば、政権に跳ね返る恐れもある。
米議会予算局(CBO)の試算によると、今回の閉鎖で約75万人の職員が自宅待機となり、その結果、1日当たり4億ドルの給与が失われる。ただし、過去の政府機関閉鎖では再開後に閉鎖期間中の給与を請求できたため、経済的な影響は抑えられた。
RSM USのチーフエコノミスト、ジョー・ブルスエラス氏は、閉鎖が数日間にとどまり、閉鎖期間中の給与が補償されるのなら、経済への影響は一時的かつ軽微にとどまるだろうと指摘。閉鎖が1週間続くごとに、米国内総生産(GDP)を0.1ポイント押し下げると予想した。
だが、トランプ政権が政府職員の大量解雇を強行すれば、企業の信頼感は落ち込み、今後数カ月にわたり設備投資の低下が見込まれるため、経済的な影響は優に2倍以上になるとの見方を示した。
現時点で、事態打開の兆しはほとんど見られない。ホワイトハウスのレビット報道官は、大量解雇は「2日以内だ。差し迫っており、非常に近い」うちに起こると記者団に述べ、ボート氏と同様の強硬な姿勢を示した。
一方で、バンス副大統領は、やや慎重な言い回しを使い、「特定の職員について、どうするか最終決定にはまだ至っていない。だが、この閉鎖が長引けば、異例の措置を取らざるを得なくなる可能性があるということだ」とホワイトハウスで記者団に語った。
2025年はプライベート市場にとって試練の年だ。
流動性の逼迫(ひっぱく)、高値つかみの影響、出口難が重なり、投資家は旧来の投資戦術を見直さざるを得ない。これまでのように容易な高リターンは期待できず、世界の投資家は難しい環境に直面している。
高リターン時代の終わり
シンガポールで開催されたミルケン研究所アジア・サミットでは、こうした危機感が相次いで表明された。
米テキサス退職年金基金(TMRS)の最高投資責任者(CIO)、ヤップ・キム氏はこの15年間は高水準のリターンが続いたが、今後の道のりははるかに複雑になるだろうとし、「昨日のプレイブック(戦術)は明日には通用しない」と強調した。
閉ざされた出口と流動性不足
年金基金や政府系ファンド(SWF)、ファミリーオフィスなどはこれまで、リミテッドパートナー(LP)としてプライベート資産ファンドに投資してきた。しかし現在は、投資した資金を回収しにくい状況にある。
シンガポールSWF、GICの顧問ジェフリー・ジェンスバキジ氏は、公開市場が堅調でなければ、プライベートエクイティー(PE)ファンドは投資先企業を高値で売却できず、新規投資余力も生まれないと解説。
同じくシンガポールのSWFであるテマセクのディルハン・ピライCEOも、「非公開企業はより長く非公開のままでいる」と述べた。
TMRSのキム氏は、流動性が潤沢だった2021年設定のファンドについて、過度のリスクと高値買収が目立ったと指摘。資金はこうした過去の案件に縛られ出口を見つけられずにいる。
投資家の対応
テマセクは公開株投資を増やすことでバランスを取っている。ピライ氏は、21年にCEOに就任して以来、長期的リターンを狙ってプライベート市場への投資を積極化してきたが、ここ1年半で公開株投資を従来以上に増やしたと明らかにした。
一方、セカンダリー(流通)市場はLPにとって出口戦略の一つとなりつつある。オールバーン・パートナーズのデブラ・ン氏は「セカンダリーは退出手段として非常に有効であることが証明された」と指摘した。
ただ、マーサー・オルタナティブスのウェン・ティン・ギョック氏によれば、プライベートクレジットやインフラファンドは5-10%、ベンチャーファンドは約20%、不動産ファンドは約30%のディスカウントで取引されるケースが多いという。
一筋の光明
厳しい見方が多い中で、楽観論もある。GICアジア・プライベートエクイティー責任者のアンクル・ミートル氏は「来年はより前向きな雰囲気になり、出口が増えて機関投資家が本格参入し、リターンも高まるだろう」と期待を示した。
AIの変革
サミットでは人工知能(AI)も主要な議題となった。米クオンツヘッジファンド、ワールドクオント創業者で会長のイーゴリ・トゥルチンスキー氏は、自社が今後3-4年で100万体のAIエージェントを活用し、効率を100倍向上させることを目指していると述べた。
同氏は1日のパネル討論で「われわれはAIや言語モデル、エージェント、エージェント型システムを全ての業務に組み込み、1000人を支援している」と語った。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は2日公表した半期に一度の金融安定報告で、高騰した資産価格の急激な反転や債務水準の上昇による国債市場のストレスが世界の金融システムのリスクだと警告した。
国内銀行は十分な資本を有し、インフレと借り入れコストの低下により家計の負担も和らいでいることから、国内金融システムは世界的な景気低迷を乗り切ることができるとした。
ジョーンズ総裁補は「最大のリスクは海外から来るとみている」とし、「主要国の高い債務水準、資産価格の高騰、世界市場におけるレバレッジの上昇を注視している」と述べた。
中銀は長引く中国の不動産不況も同国金融システムへの脅威だとし、近く緩和される兆候は見られないと指摘した。
報告書は国内銀行に対し、サイバーリスクや地政学リスクへの耐性を強化するよう求めるとともに、住宅ローンの融資基準緩和に注意を促した。
ジョーンズ氏は「豪国内の家計、企業、銀行は、大半の危機を乗り切ることができる状態にある」とし、「ほとんどの家計は住宅ローン返済を滞りなく続け、生活費上昇の圧力にもかかわらず貯蓄のバッファーを積み上げている」と述べた。
中銀は今年、3回の利下げを実施したが、一部セクターでインフレが粘着的になっていることから、さらなる緩和は不透明だ。
ローン金利低下により住宅市場の需要が再燃し、住宅価格は9月に過去最高を記録。バブルの可能性に対する懸念が高まっている。
中銀は所得に対する債務の比率が高い融資や投資家向け融資、当初利息のみを返済するインタレスト・オンリー(IO)ローンの制限など、マクロプルーデンス政策の緩和に警鐘を鳴らした。
格付け会社フィッチは1日、同日始まった米連邦政府機関の一部閉鎖が短期的に米ソブリン格付けに影響を与えることはなく、経済成長への影響は閉鎖の規模と期間次第という見方を示した。
米国では同日、党派対立で議会とホワイトハウスがつなぎ予算案で合意できなかったことを受け、政府機関の一部閉鎖が始まった。連邦政府職員75万人が一時帰休となる見通し。
フィッチは、ソブリン信用分析の一環として、「米国の規制環境、法の支配、制度的チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)を巡る動向を引き続き評価する」とした上で、「米政策を巡る不確実性が高まり、チェック・アンド・バランスが損なわれる可能性があるにもかかわらず、予見可能な将来において米ドルの基軸通貨としての優位な地位は続く見通し」とした。
2025年の一般政府赤字は関税収入の急増などで約3000億ドルとなり、対国内総生産(GDP)比6.8%と昨年の7.7%から縮小するとも予想した。
また、「米政策の不透明性が増し、制度的な抑制と均衡が損なわれる恐れがあるものの、基軸通貨としての米ドルの優位性は当面続くとみられる」と述べた。
S&Pグローバル・レーティングスも、政府機関閉鎖は一般的に経済全体への影響がわずかで、米ソブリン格付けの信用イベントとは見なさないとの見解を示した。ただ、一時帰休の労働者が支出を減らしたり、重要経済指標の遅延により米連邦準備理事会(FRB)の政策の不透明感が増すなど、時間とともに影響が蓄積されると警告。政府閉鎖が1週間続くごとに成長率が0.1─0.2%押し下げられると試算した。
米国政府は水曜日に閉鎖され、何十万人もの連邦職員が給与を失う危険にさらされている。
米議会予算局によると、連邦政府職員約75万人が毎日一時帰休となる見込みだ。連邦政府機関の推計によると、航空管制官や国境警備隊員といった重要職員を含む数十万人が、予算が再開されるまで無給で働き続ける必要がある。
政府閉鎖は、上院が短期資金調達法案を可決できなかったことを受けて、水曜日早朝に発動された。11月20日まで政府機関の運営を維持するはずだったこの法案は、55対45の採決で否決され、必要な60票を下回った。
民主党上院議員のうち2名を除く全員がこの法案に反対した。上院少数党院内総務のチャック・シューマー氏(ニューヨーク州選出、民主党)を筆頭に、民主党は期限切れを迎えるオバマケア(Affordable Care Act)補助金の延長と、ドナルド・トランプ大統領の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル」に含まれる約1兆ドルのメディケイド削減の撤回を強く求めてきた。
これに対し、トランプ大統領とJ・D・ヴァンス副大統領は恒久的な人員削減をちらつかせている。PBSが公開したメモによると、先週、行政管理予算局は連邦政府機関に対し、資金が途絶えた場合に「大統領の優先事項に合致しない」プログラムの人員削減計画を策定するよう指示するメモを送付した。
労働組合はすでにこの措置は連邦法に違反しているとして訴訟を起こしている。
シャットダウンの意味と影響を受ける人々
議会は毎年、10月1日に始まる政府の新会計年度の予算を承認しなければなりません。議員がこの期限を守れなかった場合、政府閉鎖が発生します。前回閉鎖が発生したのは、トランプ大統領の最初の任期中だった2018年の34日間の閉鎖でした。
閉鎖時には、政府機関は多くの業務を一時停止し、労働者を次の 2 つのカテゴリに分けます。
例外的に無給で働き続けなければならない従業員。通常は安全と国家安全保障に関わる職務に就いている。
例外とならない従業員は無給休暇を与えられ、出勤しないように指示されます。
連邦政府職員は閉鎖が終われば未払い賃金の支払が保証されているが、請負業者には保証されていない。
政府機関閉鎖の影響は、政府最大の機関で最も顕著に現れるだろう。国土安全保障省では、緊急時対応計画によると、国境警備官や運輸保安局(TSA)職員を含む25万人以上の職員が無給で勤務を続けることを余儀なくされている。
ロイター通信によると、保健福祉省は約3万2,460人、つまり職員の41%を一時帰休させる予定だ。また、連邦航空局(FAA)では1万1,000人以上の職員が一時帰休となり、約1万3,000人の航空管制官が無給で勤務を続けている。
ほとんどの社会福祉プログラムは、年間予算プロセスの外で資金が調達されるため、継続されます。社会保障とメディケアの給付は引き続き支給され、郵便局は運営を継続し、退役軍人医療保険と障害者給付も継続されます。SNAP(緊急食料支援プログラム)の食料支援は直ちに影響を受けることはないと予想されますが、閉鎖が長期化すればUSDAの積立金が逼迫する可能性があるとAARPは報告しています。
連邦政府職員向けガイダンス
政府機関の閉鎖は、特に給与状況が不明確になりがちな連邦職員にとって大きな混乱を招きます。こうした職員を支援するため、人事管理局はすべての連邦職員に適用される政府全体の閉鎖ガイダンスを維持しています。
連邦政府機関はまた、誰が一時帰休となり、誰が無給で勤務を継続しなければならないか、そして業務縮小中に職員が従うべき手順を概説した緊急時対応計画を公表しています。以下は、最も多くの職員が影響を受ける機関からのガイダンスです。
国防総省の緊急時対応計画
退役軍人省の緊急時対応計画
国土安全保障省の閉鎖手続き
司法省の緊急時対応計画
保健福祉省の緊急人員配置計画
運輸省の閉鎖ガイダンス
国務省のガイダンス
給料が支払われるかどうか心配している契約労働者のために、National Law Review は契約状況の確認と補償の請求方法についてアドバイスを提供しています。
さらに、失業中の連邦政府職員や請負業者は州の失業保険の受給資格がある場合があります。一時帰休中の連邦政府職員は、連邦政府職員向け失業給付プログラムを通じて失業保険を受け取ることができます。
残念ながら、例外となった従業員は選択肢が少なく、閉鎖が終了するまで個人貯蓄に頼らなければならない場合が多い。
PIMCO社長のクリスチャン・ストラッケ氏は、民間信用市場の資産担保金融部門については楽観的だが、同部門の大部分を占める企業直接融資には「亀裂」が生じていると警告している。
水曜日にシンガポールで開かれた毎年恒例のミルケンアジアサミットでCNBCのチェリー・カン氏と対談したストラッケ氏は、2つの融資分野間の格差が広がっていることを強調した。
「(企業の民間融資において)問題となっているのは、借り手が貸し手に対し、『今は現金で利息を支払うのではなく、基本的に利息を借りて後で支払うことはできますか?』と申し出ることです。これはペイメント・イン・カインド(PIK)と呼ばれ、現在かなり蔓延しています」とストラッケ氏は述べた。
バランスシートの乖離
同氏は、資産担保型融資は「はるかに健全な」信用環境であると述べた。
同氏はさらに、「資産担保型融資(住宅ローン、消費者ローン、学生ローン、自動車ローン)においては、経済は好調で、家計も消費者も好調であり、その点で亀裂は見られない」と付け加えた。
この格差の拡大は、2008年の世界金融危機の余波に起因しています。この危機では、消費者の借り手が借入額を縮小し、家計のバランスシートのレバレッジを解消したことで、資産担保型融資(ABL)活動が活発化しました。一方、法人の借り手はレバレッジを積み上げ、バランスシートの「クリーンさ」が低下しています。
昨年10月、PIMCOはプライベートクレジットへの継続的な取り組みの一環として、資産ベースの特殊融資戦略のために20億ドル以上を調達した。
ストラッケ氏によると、企業の借り手は公的債務市場と民間債務市場におけるトレードオフにも直面している。
民間市場では貸し手の数が少ないため、コストは高くなるものの、融資圧力がかかった場合に借り手が融資条件を再交渉しやすくなる可能性がある。
広がる機会
一方、より流動性の高い銀行融資は、借り換えのプロセスがより複雑になる可能性があるものの、コストがはるかに低くなります。
「広範囲にシンジケートされた銀行融資や債券の場合は、より困難です」とストラッケ氏は述べた。「信用市場では深刻な問題が発生しています。信用市場、特に公開市場では、注目を集める債務不履行がいくつか発生しており、企業が債権者と交渉して企業価値を維持するのは非常に困難です。」
ストラッケ氏は、今後について、連邦準備制度理事会が利下げ路線を継続し、特に住宅ローン金利において借入にかかる総コストが下がるにつれ、PIMCOが信用需要を活かす機会が増えるだろうと述べた。
一方、オーストラリアの年金基金ホストプラスのCEO、デビッド・エリア氏は、ポートフォリオの多様化を求める機関投資家がプライベートマーケット分野にますます惹かれていると述べたが、規制は個人向け資産運用分野に重点を置くべきだと述べた。
エリア氏はミルケンアジアサミットでCNBCに対し、プライベート市場の規制強化を求めるいかなる動きも、洗練された機関投資家ではなく、資産クラスの多様化による利益に惹かれる「一般投資家」を中心にすべきだと語った。
「世界市場に上場している企業はおそらく約1万9000社ある。米国で1億ドルを超える収益を上げている非上場企業は14万社ある」とエリア氏は述べた。
「長期機関投資家として、分散投資を真剣に考えるなら、上場市場ではこれほどの集中度は見られないはずです。そのため、非上場セクター、特にプライベートエクイティ型の投資へと向かうことになるのです。」
同氏はまた、今後数カ月以内にさらなるIPOが行われると予測した。
需要の低迷が今年末まで続くと予想される中、海運会社が空船を増やしているため、東行き太平洋横断コンテナ料金は引き続き下落している。
10月1日のSONAR海上輸入TEU量指数は前週比1%未満の減少となったが、前年比では14.58%減少した 。
中国のゴールデンウィーク休暇を前に前倒しで需要が若干押し上げられたが、下落する金利を支えるほどのものではない。
予測では、価格上昇、関税懸念、貿易の変化に対する消費者の懸念により、年末までの見通しは低調になるとしている。
トランプ政権が8月に発表した対中報復関税の2度目の一時停止は、これまでのところ、最も活発なアジア・米国間貿易ルートにおける持続的な改善には繋がっていない。米通商代表部(USTR)のジェイミーソン・グリア代表は火曜日、両国が互恵的な貿易協定の実現を目指し続ける中、対中関税が約55%であることは「良好な現状」であると述べた。
しかし、合意や新たな一時停止がない限り、11月14日に課される関税は、今年初めに両国間の貿易を事実上停止させた中国製品への関税が約145%、米国から中国への貨物への関税が125%に跳ね返ることになる。
さらに事態を複雑にしているのは、中国が今週、10月14日に発効予定の米国による中国関連船舶への懲罰的告発に対する報復として、高額の港湾使用料を課し、一部の船舶の入港を禁止する可能性があると表明したことである。
Freightos Baltic Indexによると、アジア・米国西海岸間の料金は先週、フォートフィート換算単位当たり15%下落して1,853ドルとなった一方、アジア・米国東海岸間の料金は16%上昇して、FEU当たり3,967ドルとなった。
西海岸の価格がこれほど低かったのは、スポットレートが FEU あたり約 1,744 ドルまで下落した 2023 年 12 月頃が最後です。
シー・インテリジェンスによると、10月5日現在、航空会社は太平洋横断航路の約13%の定期便を欠航、または撤退させている。しかし、これは1年前のゴールデンウィーク期間中に西海岸で15.4%、東海岸で11.9%の輸送能力削減が見られたのに対し、2025年にはそれぞれ3.8%と4.8%の削減が予定されている。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
●その他
備忘録(2025/10/1)
●企業
自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループが9月29日に破産申請した際、提出書類の中で繰り返し浮上したのがレイストーンという社名だった。
あまり知られていないこの会社は、企業が支払いを先送りしながらも、仕入先には早く資金を届けられるようにする短期資金調達を仲介する。現在、ファースト・ブランズが利用した同社の取引が精査対象となっている。
開示されていた負債総額60億ドル(約8900億円)を上回る借り入れを、ファースト・ブランズが複雑で不透明な金融商品を通じて膨らませた課程を投資家は把握しようとしている。
ファースト・ブランズの破綻は、貿易金融(トレードファイナンス)と呼ばれる分野で、レイストーンのような企業が一見リスクの低い取引を仲介しながら、結果的に企業や金融機関に問題を引き起こした最新例だ。
昨年末には同業のステン・テクノロジーズも破綻しており、法人向け融資商品が見かけ以上にリスクを抱えていたことが露呈した。
業界最大の事件は2021年に起きたグリーンシル・キャピタルの破綻だ。同社は銀行預金や保険会社の資金をリスクの高い企業向け短期融資に回した結果、最終的にクレディ・スイス・グループの崩壊を招いた。
レイストーンはこうした過去の問題に一定の関わりを持っている。ステンの顧客が宙に浮いた際に引き受けを提案した。また、創業者のデーブ・スキルゼンスキ氏は過去にグリーンシルで勤務していた経歴を持つ。
ファースト・ブランズの破綻とグリーンシルやステンの事例に直接のつながりはないが、共通点を見ると、将来の収益を担保に企業が容易に短期資金を調達できる仕組みとプラットフォームを巡る懸念が改めて浮上する。
レイストーンやグリーンシルのような仲介業者の目的は、市場の効率性を高め、より幅広い企業に資金調達手段を提供することだ。しかし同時に、借り手と貸し手、さらにはプラットフォーム自身にとってリスクを見えにくくしてしまうことがある。
カリフォルニア大学アーバイン校ビジネススクールの会計学教授ベン・ローリー氏は「貿易金融における革新は本来、良いものであるはずだが、多くの場合その金融イノベーションが悪用され、企業が情報を隠したりより大きなリスクを抱え込んだりしてしまう」と指摘。
「時にはそのリスクが爆発することもある」と付け加えた。
レイストーンとファースト・ブランズはともにコメントを控えた。
規制当局や会計専門家は、企業が短期の資金繰りを財務諸表に載せず処理するオフバランス手法の拡大に、警鐘を鳴らしてきた。
格付けの高い企業と金融機関との取引はリスクが低いものの、財務基盤の弱い企業では亀裂が生じやすい。こうした取引の資金は、従来の担い手だった銀行ではなく、主に資産運用会社や保険会社から提供されるようになっており、投資家や規制当局にとって透明性の問題をさらに悪化させている。
21年のグリーンシル破綻を受け、米国の会計基準策定者は22年、サプライチェーンファイナンスのような取引について、規模や主要条件の開示を企業に義務付けた。しかし、新ルールが導入されてもなお、ファースト・ブランズの破産に至る過程で、多くの債権者は十分な情報を得られなかったと感じている。
今週の裁判所提出書類は、多くの貸し手にとってファースト・ブランズで何が起きたのかを初めて明らかにするものとなった。不正行為の兆候は示されていないものの、新たに設置された取締役会委員会は、同社が利用した約23億ドルのオフバランス資金調達について調査しているという。
提出書類によると、23億ドルの負債は未収入金など将来の収益を即座の現金に変える「ファクタリング」という手法に関連していた。こうした取引の多くはレイストーンを通じて行われていた。
新たに公開された文書によると、タイレノールの製造会社は、この薬と自閉症などの神経発達の問題に関する研究を監視しており、2018年に両者の関連性を示す証拠が重要になりつつあると結論付けた。
大紀元が入手した2018年2月8日付の電子メールで、ジョンソン・エンド・ジョンソン傘下のヤンセンの疫学ディレクター、レイチェル・ワインスタイン氏は、「証拠の重みが私にとって重く感じ始めている」と記している。
ワインスタイン氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の疫学部門グローバル責任者ジェシー・ベルリン氏に、9件の研究で、妊婦によるアセトアミノフェン(タイレノールの有効成分)の使用が、その女性の子どもの自閉症やその他の神経発達障害に関係していることが示唆されているという結論に達したというレビューについて電子メールを送っていた。
ワインスタイン氏は、ヤンセン氏がアセトアミノフェンの有効性について神経科医と話し合っていたと述べた。
「しかし今回、出生前曝露と神経発達の結果に関する研究も加えました」と彼女は語った。
バーリン氏はレビューを読み、「関連性にはある程度の特異性があるようだ」と記した。一部の論文が他の薬剤を分析していないことには異論を唱えつつも、「少なくとも1つの研究では特定の適応症を個別に検討しており、関連性は消えていない」と述べた。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは長年にわたりタイレノールを製造していました。2023年、ケンビューという新会社がタイレノールブランドとその他の消費者ブランドを引き継ぎました。
「これらの文書は、我々がまさに正しいことをしていたことを示しています」と、ケンビュー社の広報担当者は大紀元に宛てたメールで述べた。「私たちは継続的に科学的根拠を評価してきましたが、アセトアミノフェンの服用が自閉症を引き起こすという信頼できる証拠は存在しません。」
「難しい選択肢」
デンマークのオーフス大学のヨーン・オルセン博士と他の研究者らは、妊娠中の母親のアセトアミノフェンの使用が、子どもの注意欠陥・多動性障害のような行動障害や多動性障害のリスク増加に関連しているとする観察研究を2014年に発表した。
ワインスタイン氏はオルセン氏へのメールで、この研究には優れた点があるとしつつも、研究者らがアスピリンなど妊婦が服用する他の薬剤とこれらの疾患との関連性を評価したかどうかを尋ねた。オルセン氏は簡潔な返信で、研究者らは今後の研究でこれらの薬剤についても検討する予定だと述べた。
ワインスタイン氏はこの電子メールを同社の消費者医療安全部門に転送した。
「データベースの規模が十分でないため、他の既存のデータベースではデンマークの研究で発見されたのと同じ効果を検出する力が不足しているため、独自のデータベース研究を実施する可能性を排除したことを思い出してください」と彼女は電子メールに記した。
彼女は、企業にとっての問題は、オルセン氏を「研究者が最終決定権を持ち、スポンサーは論文を発表前に審査しコメントできるという条件で、妥当な額まで」支援する意思があるかどうかなのか、と尋ねた。
ワインスタイン氏はベルリンに対し、オルセン氏への資金提供を含め、いくつかの選択肢があると述べた。また、デンマークで行われたオルセン氏の研究を、ノルウェーの処方箋と診断に関するデータを用いて再現し、他の薬剤も含めることも可能だと述べた。
「そのような研究の結果は未知数です。例えば、デンマークの研究結果を裏付けることになるかもしれません」と彼女は述べた。
その後、ワインスタインはオルセン宛てのメモを草稿し、ジョンソン・エンド・ジョンソンは追加調査でオルセンと協力することに喜んで応じると当初は述べていた。バーリンはこれに対し修正を提案した。しかし、ワインスタインはバーリンに対し、オルセンとの契約を再考していると伝えた。
「本当にわざわざ危険を冒してこの提案をする必要があるのでしょうか?新たな分析結果が既存の研究結果を裏付ける結果になったとしても、裏付けがなかったとしても、私たちは驚くでしょうか?」と彼女は問いかけた。
ベルリン氏はこう返答した。「得られた知見に基づいて、どう対応すべきかじっくり考えようとしているところです。話し合った結果、最終的にこの案を放棄することに大きな問題はないと思います。」
ワインスタイン氏(現在は引退)にコメントを求めたが、連絡が取れなかった。バーリン氏(現在はラトガース大学教授)もコメント要請に応じなかった。
大紀元が入手した、メールが届いた頃の社内スライドには、同社がデンマークの研究者との共同研究を断った理由として、幹部らが「妊娠中の消費者にとっての価値」に確信を持てなかったことを挙げている。妊娠中の消費者には、 「熱があるときは何も使用しない」といった「難しい選択肢」が提示される可能性があるからだ。
弁護士「無責任だ」
このメールは、アセトアミノフェン製品に関連する神経発達障害のリスクについてジョンソン・エンド・ジョンソン社と小売業者から警告を受けるべきだったと主張する女性らが起こした訴訟で明るみに出た。
女性たちは、妊娠中にアセトアミノフェンを使用した女性から生まれた子どものADHDリスクが上昇したとするカナダの2020年の前向き研究などの論文を指摘している。
「製薬会社には、自社製品の安全性を継続的に調査する法的および倫理的義務があります。しかし、何年も前に科学的証拠の重要性を認識していたにもかかわらず、ケンビューの科学者たちは、さらなる研究を委託するために『首を突っ込まない』という意図的な決断を下しました」と、複数の訴訟で女性たちを代理している法律事務所ケラー・ポストマンのシニアパートナー、アシュリー・ケラー氏は大紀元にメールで述べた。
この無責任な選択の理由は明白です。会社は、納得できない答えが出ることを恐れて、その問題について調査ませんでした。しかし、妊婦には答えを聞く権利があり、数十億ドル規模の医薬品フランチャイズを守ることは、ダチョウのような企業の不正行為の言い訳にはなりません。
この電子メールはデイリー・コーラーによって最初に報じられ、ホワイトハウスと保健福祉省の注目を集めた。
政府当局は最近、妊娠中のタイレノールの使用が母親から生まれた子供の自閉症に関係する可能性があると国民に警告した。
「私たちはそれを見てきました」
ワインスタイン氏は2023年の証言録取書で、子宮内アセトアミノフェン曝露と神経発達障害との関連性を明らかにするためのランダム化比較試験を実施することは倫理に反すると述べた。「より厳密に管理された」観察研究、あるいは医療保険請求データベースなどの情報源を活用した研究を行うことが望ましいと彼女は述べた。
ワインスタイン氏はまた、ジョンソン・エンド・ジョンソン社が疫学、安全性、前臨床研究を含むこの問題に関する文献を10年近く追跡してきたとも述べた。
彼女は、同社は本質的に「体系的なレビュー」、つまりこの件に関する強力な研究の分析を行ったと述べた。
同社はレビューを公表する予定だが、それがいつになるかは分からないと彼女は述べた。
大紀元が入手した2018年の内部スライドには、アセトアミノフェンの胎児期暴露と神経発達障害に関する16件の研究を同社が分析した結果が記載されていた。
スライドには、個々の観察研究において「神経発達アウトカムの発生頻度の増加と出生前曝露との間に、ある程度一貫した関連性が示されている」と記載されており、その強みとして、一部の研究が前向き研究であることが挙げられる。限界としては、研究者が18ヶ月と7歳など、異なる年齢の子どもを測定していることが挙げられる。
2022年のKenvue社内用スライド資料によると、臨床的に診断されたエンドポイントを特徴とする12件の研究が分析された。これらの研究は「方法論的または分析的デザインが限定的であるため、出生前のアセトアミノフェン使用と小児の神経発達への悪影響との因果関係について結論を導くことはできない」ため、アセトアミノフェンを指示通りに使用すれば、妊娠中に使用しても安全であるとスライド資料には記されていた。
Kenvue の科学者らが共同執筆し、Kenvue が資金提供したレビューが、2 月に Critical Reviews in Toxicology に掲載されました。
このレビューの著者らは、前臨床研究をレビューした結果、データは「治療用量および/または非全身毒性用量でのアセトアミノフェンの発達期曝露後の神経解剖学的、神経伝達、行動エンドポイントを含む神経系の構造と機能への悪影響を示す一貫した証拠を示さない」と判断したと述べています。
ラベルの変更
他の文書では、この問題を調査する取り組みを「プロジェクト・コクーン」と名付け、ワインスタインが関与していたと述べ、プロジェクトの使命として「アセトアミノフェンを守ること」を挙げていた。
あるスライドには、「勇気:ラベルの変更は必要ありません。」と書かれていました。
タイレノールのラベルには以前から「妊娠中または授乳中の場合は、使用前に医療専門家に相談してください」と記載されています。
2017年、ある文書には、同社が社内ラベルを変更し、「母親への治療の潜在的利益が胎児/授乳中の乳児への潜在的リスクを上回らない限り、この製品は妊娠中または授乳中に使用しないでください」と追加されたことが記載されていた。
2023年の証言で、この変更により医師が患者に発達結果の潜在的リスクに関するガイダンスを提供できるようになったかについて尋ねられたとき、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品安全性監視担当ディレクターのレスリー・シュアは、「発熱の場合、治療しないリスクもあります」と答えた。
米食品医薬品局は9月22日、「妊婦によるアセトアミノフェンの使用が、子供の自閉症やADHDなどの神経疾患のリスク増加と関連している可能性を示唆する証拠を反映させるため」 、タイレノールなどのアセトアミノフェン含有製品のラベルを変更する手続きを開始したと発表した。
規制当局は因果関係は確立されていないとし、アセトアミノフェンは妊娠中の発熱治療に使用できる唯一の市販薬であると指摘した。
FDAは2014年、審査官の助言を受け、規制措置を取らないことを決定しました。2016年、FDAの審査官は「因果関係の証拠がない場合でも、子宮内アセトアミノフェン曝露が神経発達への悪影響と関連しているという証拠が増えていることから、FDAが利用可能なコミュニケーション手段の一つを通じて、この問題を消費者と医療提供者に周知することが適切である」と述べました。
2019年のレビュー担当者は、データから、出生前のアセトアミノフェンへの曝露は「胎児にとって必ずしも完全に無害ではない」ことが示されているとし、「アセトアミノフェンは妊娠中の女性に非常に一般的に使用され、多くの人がアセトアミノフェンはリスクがないと認識していることを考えると、当局がこのメッセージを医療従事者と妊婦に伝えることが望ましい」と述べた。
裁判例
米連邦地方裁判所のデニス・コート判事は、原告側が提出した専門家が研究結果を誤って伝えたと判断し、 2024年にアセトアミノフェンをめぐる連邦多地区訴訟を棄却した。
この 訴訟は控訴され、10月初旬の予定から延期され、11月17日に控訴裁判所で口頭弁論が行われる予定となっている。
ケラー氏と他の弁護士は最近の訴状で、政府によるタイレノールの添付文書改訂の動きについて裁判所に警告した。訴状によると、政府当局は原告側の証人であるハーバード大学THチャン公衆衛生大学院の学部長、アンドレア・バッカレッリ博士の言葉を引用し、同博士は専門家意見として、胎児期のアセトアミノフェン曝露と神経発達障害の間には「因果関係がある」と述べた。
「上院の承認を受けた連邦の科学者全員を納得させるほど説得力のある専門家の意見は、訴訟における専門家証人に関する規則702条(d)の要件を容易にクリアする」と彼らは述べている。ケンビュー氏の弁護士は裁判所に対し、政府とバッカレッリ氏の声明は「既存の証拠が因果関係を裏付けていないことを裏付けている」と述べた。
カリフォルニア州では、5月に州裁判所判事が同様の訴訟を却下し、胎児期のアセトアミノフェン曝露と自閉症の関連性に関する証拠は「極めて不確実で矛盾している」との結論を下した。
判事はまた、スライドやその他の内部文書には「率直な社内討論」が示されており、それを「前向きな企業行動」と評したと記した。
この事件の控訴は継続中だ。
●マクロ
米国が、ユーロ圏の大手銀行に対する資本要件の緩和につながった最近の国際ルール改正を撤回させようとしており、欧州の銀行監督当局との衝突が避けられない見込みだ。
フランスのBNPパリバなど欧州大手銀行は、2022年にバーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)が承認したグローバルなシステム上重要な銀行(GSIB)の資本サーチャージ算定ルールの変更から恩恵を受けた。
ルール変更は、銀行の越境エクスポージャーを算定する際にユーロ圏全体を単一の国内市場と見なすものだった。
銀行がどれだけ国際的に活動しているかは、世界で最も複雑な金融機関に課される追加的な資本サーチャージの水準に影響する。
事情に詳しい関係者によると、米国はこのルール変更を無効にし、ユーロ圏内の取引を再び「越境」として扱うよう働きかけを強めているという。
米国の意向通りになれば欧州の大手行のリスクスコアが上昇し、GSIB枠組みに基づく資本サーチャージが増加する可能性がある。
米国の提案は、1日に予定されているバーゼル委の会合で協議される見通しだ。
これに対し、22年の合意に向けて激しく交渉したユーロ圏の監督当局から早くも反発が出ていると、関係者2人が明らかにした。いずれも非公開情報を理由に関係者は匿名を条件に語った。
欧州当局は当時、ユーロ圏の銀行同盟の存在を理由に国際規制上も一つの市場と見なすべきだと主張した。
バーゼル委と欧州中央銀行(ECB)の担当者はコメントを控えた。米国を代表してこの問題を働きかけている米連邦準備制度理事会(FRB)も同様にコメントを避けた。
欧州側では米国の要求に対し、ECBのクラウディア・ブッフ単一監督メカニズム(SSM)銀行監督委員長が現行制度の維持を働きかけていると、関係者の1人は述べた。
欧州の銀行は、現行の取り扱いが無効化されることに対して強い懸念を抱いており、監督当局に抵抗を促すだろうと、2人の業界ロビイストがブルームバーグに語った。
高リスクの銀行債であるその他ティア1(AT1)債が、記録的な上昇を演じている。市場の過熱感を懸念する声が一部で出ているものの、勢いが弱まる兆候はない。
ブルームバーグの指数によると、AT1債は2023年にクレディ・スイス債が無価値となった後に付けた安値から57%以上上昇している。この資産クラス史上で最大の上昇局面は、20年の新型コロナウイルス流行後の上昇をも超えた。
2680億ドル(約40兆円)規模のその他ティア1(AT1)債市場に資金が流れ込んでいるのは、高利回りが理由だ。ブルームバーグの指数によれば、今年のリターンはドルヘッジありのベースで2桁台が見込まれ、投資適格債やハイイールド債をしのぐ見通し。
欧州の銀行部門に対する前向きな見方も市場を支えている。欧州の銀行株指数は米国の銀行株だけでなく、米大手ハイテク株7銘柄のマグニフィセント・セブンをも上回るパフォーマンスを示している。
ケプラー・シュヴルーのクレジット調査責任者、セバスチャン・バルテレミ氏は「AT1債は堅調な需給要因、低下する金利ボラティリティー、欧州銀行セクターの健全なファンダメンタルズに支えられ、引き続きアウトパフォームする好位置にある」と述べた。
旺盛な需要を背景に、AT1債のスプレッドは記録的な低水準で推移している。利回り重視の投資家が殺到した結果、国際的な大手銀行と地域の小規模行の間のスプレッドの差も縮小した状態にある。
古くからのAT1債投資家からは、市場の過熱を指摘し投資家は選別姿勢を強めるべきだと説く声も出ている。
一方で、新発債には依然として募集高を上回る需要がある。仏ルノーの自動車金融子会社RCIバンクが発行した4億ユーロ(約690億円)のAT1債には、18倍超の注文が集まった。
AT1債の人気は、欧州の銀行の業績改善に支えられている。銀行は今年、手数料収入やトレーディング収益の増加で利益が急伸し、自己資本比率も堅調を維持している。
金融危機後、納税者ではなく銀行投資家に損失を負担させる仕組みとして導入されたAT1債だが、当時と比べ銀行を取り巻く環境は大きく変化している。
トランプ米政権の早期退職制度に応じた15万人以上の職員が今週、連邦政府を去る。単年度として過去80年近くで最多の離職であり、専門知識の流出による損害が懸念されている。
9月まで給与を受け取れるプログラムを選択した職員の退職が、9月30日に正式に始まった。この早期退職制度は、トランプ大統領による連邦職員削減政策の柱。応じた職員には金銭的インセンティブを与える一方で、拒否した職員に解雇をちらつかせる仕組みになっている。
連邦政府人事局によると、多くの職員は数カ月前に所属機関を離れ、事実上、有給休暇を取っていた。
ミシガン大学フォード公共政策大学院のドン・モイニハン教授は、今週の大規模離職による最大の影響は多くの経験豊富な公務員の頭脳流出であり、取り戻すのが難しいと言う。「これらの人々が運営する政府プログラムを遂行するための深い知識と専門性を身につけるには何年もかかる。今、その知識の多くが失われようとしている」
政府の現職員と元職員、労働組合関係者ら12人への取材によると、専門知識の喪失により多くの機関で業務遂行や国民へのサービス提供が困難になっている。
ロイターの取材に応じた関係者によれば、悪影響を被っている政府活動は気象予報、食品安全、保健プログラム、宇宙プロジェクトなど広範囲に及ぶ。国立気象局では約200人が早期退職制度を利用し、予報関連設備の保守技術者や多くの経験豊富な気象学者が去った。同局職員組織のトム・フェイ法務ディレクターは「全国の事務所で大規模な混乱を引き起こしている」と語った。
これに対し、気象局を管轄する海洋大気庁(NOAA)のジャスミン・ブラックウェル報道官は、必要に応じて職を提供していると述べた。
民主党のクリントン元大統領は、第2次世界大戦後の政権として最多となる43万人以上(約20%)の政府職員削減を行ったが、これは8年間にわたる2期の任期全体での数字だ。
<NASAの人材流出>
航空宇宙局(NASA)職員約800人を代表する労組「国際専門技術者連盟」のマット・ビッグス会長によると、トランプ政権が1月と4月に提示した2回の早期退職制度に応じたNASA職員は4000人に上る。
ビッグス氏は「NASAは世界で最も優秀な技術者や航空宇宙科学者を失っており、その補充はなされていない」と述べた。
トランプ政権は早期退職制度、解雇、その他の退職奨励策を組み合わせて、今年末までに約30万人の職員を削減する見通しだ。政権の人事責任者が8月に発表した。これは連邦政府職員の12.5%に相当する。
<保健機関への打撃>
農務省の農業研究サービス(ARS)では、職員全体の約17%に当たる約1200人が早期退職制度に応じた。
ARS職員の一部を代表する労組「米政府職員ローカル3247」のイーサン・ロバーツ会長によると、退職した1人は穀物エレベーター内の真菌毒素の迅速検出を専門とする科学者であり、作物が汚染されているかどうかを見極めるのに貢献していたが、この仕事を受け継げる者はいない。世界保健機関(WHO)によれば、汚染された穀物は人や家畜に深刻な健康被害を与え、死に至らせることもある。
早期退職制度は疾病対策センター(CDC)や食品医薬品局(FDA)にも影響は及んでいる。
ケネディ厚生長官は3月、職員1万人を削減する計画で、うちFDA職員が3500人、CDC職員が2400人になると発表した。ある連邦政府職員は、CDCのタバコ予防・管理部門における職員の退職が影響し、FDAは中高生の喫煙データの更新に苦労していると明かした。
「日本人ファースト」を掲げて7月の参議院選挙で躍進した参政党が、トランプ米大統領の元側近スティーブ・バノン氏や、欧州の右派政党などとの関係構築に乗り出している。
神谷宗幣代表ら党幹部4人と米国の開示文書によると、参政党は「反グローバリズム」を掲げる海外の保守層らとの連携を深めることで、停滞した日本の政治に変革をもたらすことを目指している。主要選挙で大敗を喫した与党・自民党が党立て直しのために新たな総裁を選ぶ選挙に臨む中、参政党は国内政治での影響力を拡大するため、国際的な知名度を高めようとしている。
神谷氏はロイターとのインタビューで、「日本だけでどうこうという時代ではない。日本にもこういう政党があるということを内外のインフルエンサーや政治家、メディアに取り上げてもらい、認知してもらう」と話した。
こうした取り組みを進めるため、参政党は9月に東京に国際渉外の部署を設置した。米国の大学を卒業し、証券会社勤務を経て7月の参院選で初当選した山中泉氏が部門を率いる。
日本には「出る杭は打たれる」ということわざがある。規範を乱す者は批判されたり、大勢に従うよう圧力をかけられたりすることを意味する。山中氏はロイターの取材に、国際的な認知度の高まりは神谷氏がそうした事態に直面するのを避けるのに役立つと話した。
参政党が9月上旬に東京で開いたイベントに、トランプ大統領の支持者で保守系政治活動家のチャーリー・カーク氏を招いたのはその一環だ。カーク氏はそれから数日後にユタ州の大学で銃撃され死亡した。アリゾナ州で行われたカーク氏の追悼式には参政党を代表して山中氏が出席した
その山中氏によると、カーク氏は参政党のイベントに神谷氏と並んで登壇。西側諸国を破壊している大量移民の受け入れを日本が回避するにはまだ遅くないと話したという。また、参政党は2024年にトランプ氏がメインスピーカーを務めたカーク氏の年末イベントに神谷氏が出演できないか協議していた。ロイターはカーク氏が設立した団体「ターニング・ポイントUSA」にコメントを求めたが、回答を得られなかった。
神谷氏が2024年、トランプ氏の元側近のバノン氏や元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏が司会を務めるポッドキャスト番組に出演できないか模索したことも、外国代理人登録法に基づいて提出された米国の開示文書で分かった。
開示文書によると、トランプ陣営のスタッフだったマシュー・ブレイナード氏が神谷氏に代わって要請を届け出た。ブレイナード氏はロイターの取材に対し、参政党を自発的に支援しており、報酬は受け取っていないとコメントした。
より最近では、7月の参院選後にバノン氏の番組が神谷氏へのインタビューを依頼した。神谷氏によると、都合が合わず実現しなかったという。
バノン氏はロイターの取材に、「神谷代表を番組に出演させるよう取り組んでいる」とし、「日本の政治における革命的な勢力になり得る」と語った。カールソン氏は、日本文化を守るために移民を制限しようとする参政党の取り組みを支持していると話した。
8月には東京でドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)の共同党首と神谷氏が会談した。神谷氏によると、参政党の政策を応援するメッセージを受け取ったという。ロイターはAfDにコメントを求めたが、回答を得られなかった。
神田外語大学の講師で、日本政治を専門とするジェフリー・ホール氏は参政党の戦略について、日本で孤立しがちな極右政治の大きな変化を示しており、党の持続性を高める可能性があるとみる。「参政党が語ることの多くは、移民が各国をどう破壊したかについてだ。欧米で同じような話をする人物と会い、彼らから認められることで神谷氏が目立つことになる」とホール氏は言う。
日本の在留外国人は2024年末時点で約380万人。過去最高を更新したものの、人口の3%であり、米国や西欧よりもはるかに少ない。それでも参政党が発する「静かな侵略」という警告は、7月の参院選で物価上昇にいら立つ一部の有権者の共感を呼び、同党の議席を1から15へ急増させた。
神谷氏はロイターとのインタビューで「いずれは連立与党の一角を担うことを考えている。その時に国際的な理解がないと、日本の極右政党が勃興してきて危ない政権になったとなりかねない」と語った。「軍国主義にしたいわけではないし、極右の政策を取りたいわけではない。今の段階からしっかり認識してもらうことで、参政党が大きくなったときに海外の政党や政治家とも話ができる状態を作っておきたい」と述べた。
米政府機関の閉鎖が開始したが、ウォール街ではどのコントラクターが最もリスクにさらされ、どの企業が合意成立後に反発する可能性が高いかを分析している。
アナリストによると、典型的な数週間の閉鎖であれば政府サービス企業に長期的なダメージを与える可能性は低いが、長引けば受注残の消化が滞り、契約授与が遅れ、キャッシュフローが圧迫される恐れがあると述べている。
同アナリストは関連株として、ブーズ・アレン・ハミルトン<BAH>とサイエンス・アプリケーションズ<SAIC>、そしてCACI<CACI>、レイドス<LDOS>、パーソンズ<PSN>を挙げている
ブーズ・アレン・ハミルトン<BAH>とサイエンス・アプリケーションズ<SAIC>は基礎的条件は厳しいが、閉鎖終了の見通しが立てば、株価回復の可能性はより大きいと指摘。ブーズ・アレン・ハミルトンは資金の裏付けのある受注残が比較的少なく、閉鎖が長期化した場合には脆弱とされる。サイエンス・アプリケーションズは受注残のカバー率は高いものの、民間機関への依存度が高く、2027年度目標達成には新規契約獲得が必要なため、やはりリスクが大きい。
ただし、両社の株価はすでに過去1カ月で大きく売られている点を強調。閉鎖解消が見えてくれば回復余地が大きいと指摘した。
一方、CACI<CACI>、レイドス<LDOS>、パーソンズ<PSN>は十分な資金バッファを確保しており、大きな混乱は回避できると評価。特にパーソンズは海外事業の比率が大きく、影響はさらに緩和されるとした。
約75万人の連邦政府職員が無給で一時帰休となり、「必須」職員は今のところ無給で働き続けざるを得ない状況にある。この行き詰まりが長引けば、現役軍人もまもなく給与の支給停止に直面する可能性があり、連邦議会をはるかに超える現実的な問題が浮上する。
どれくらい持ちますか? Polymarketによると、ほとんどの人が2週間以上は持つと考えています 。
歴史は、政府閉鎖が滅多に成功しないことを示している。共和党が2013年にオバマケア撤廃を画策したが失敗に終わった。民主党は2018年にDACAをめぐる対立を解消したが、結局は頓挫した。トランプ大統領の下で2018年から2019年にかけて長引いた政府閉鎖でさえ、人々の不満と給与減額以上の成果は得られなかった。
今回も同様だ。議員たちは、対立する暫定法案で合意に至らなかった。共和党は「クリーン」な継続決議案を11月に持ち越し、民主党はオバマケアの補助金延長とメディケイド (不法移民を含む)削減阻止に資金拠出を結びつけた。どちらの法案も火曜日に上院で否決され、政府閉鎖に追い込まれた。
激怒する民主党員
上院民主党は、11月21日まで政府に現在の資金を供給するという共和党の暫定措置を拒否し、強化された医療費負担適正化法の補助金(不法移民を含むすべて)の延長と、連邦政府の資金を差し控える政権の慣行に対する制限を主張した。
「彼らは責任を負っている。交渉を招集しなければならない。しかし、彼らはそれをしていない」と、クリス・マーフィー上院議員(コネチカット州選出、民主党)は火曜日に述べた。「下院に彼らが出席していないという事実は、彼らが真剣に取り組んでいないことの証拠だ」
「トランプ氏は実際に交渉し、合意に至る意志を示さなければならない」と、ジェームズ・ウォーキンショー下院議員(民主党、バージニア州)も同調した。「彼は合意形成に関する本を執筆し、テレビ番組では人々に合意形成の方法を教える役を演じた。大統領としては実際にはそうしたことはしていないが、今回はそうするチャンスだ」
共和党は、民主党が政府を人質に取っていると反論する。「連邦政府を人質に取っている限り、議論も交渉もするつもりはない」と、ジョン・スーン上院多数党院内総務(共和党、サウスダコタ州選出)は火曜日の朝、CNBCで述べた。「人質を解放すれば、こうした取引所をいかに維持していくかについて話し合うことになるだろう」
一方、トランプ大統領とラス・ボートOMB長官は、政府閉鎖を、レイオフから予算削減に至るまで、議会を通過させないような抜本的な政府改革の手段として利用すると公然と警告している。「閉鎖から多くの良いことが生まれる」とトランプ大統領は火曜日に語った。
民主党はこれを脅迫だと非難している。しかし、トランプ氏がこの方針を実行に移せば、上院穏健派への圧力は急速に高まる可能性がある。既にキャサリン・コルテス・マスト上院議員、アンガス・キング上院議員、ジョン・フェッターマン上院議員の3人の民主党議員が離党し、共和党の予算措置を支持している。
上院多数党院内総務のチャック・シューマー氏は今のところ党員集会をまとめているものの、離党者が出ていることで、より深刻な脆弱性が示唆されている。トゥーン氏は、閉鎖が長引けば長引くほど中道派民主党の離脱が進むと見込んでいる。60票に達するには、少なくとも8人の離党者が必要だ。
シューマー氏は火曜夜の記者会見で強硬路線を避け、「(米国民の)医療保険制度のためにできる限り戦う」とだけ約束した。これは無期限延期を約束するよりも柔軟な姿勢だ。
政府機関全体への閉鎖の影響
連邦政府職員:数百万人が一時解雇または無給で働いている。食品検査官や公園管理官も影響を受けている。請負業者は未払い賃金を受け取れない可能性が高い。
国立公園と旅行: 公園は技術的には開園しているが、ほとんどが無人。法執行と消火活動は継続。FAA と TSA は不可欠とみなされているが無給。
学生ローンと教育: ローン請求書、ペル グラント、FAFSA 処理は継続されます。
防衛および軍事:100 万人以上の兵士が無給で勤務、新規契約は停止、軍事施設での選択的治療は延期、海外作戦は継続。
税金: IRS は特別準備金で短期的に資金を調達しています。現時点ではほぼすべての従業員が報告しています。
ヘルスケア: メディケアとメディケイドの支払いは継続されるが、HHS、NIH、CDC はスタッフの大部分を一時解雇。バイオメディカル研究および予防プログラムは縮小。FDA はリコールを維持するが、検査を縮小。
退役軍人省: 給付金および医療予約は継続されますが、ホットライン、地域事務所、カウンセリング プログラムは一時停止されます。
エネルギーと環境: 掘削と採掘の許可は継続中。EPA の執行検査は大部分で一時停止。
食品安全と栄養: USDA の肉検査官は勤務中だが無給。FDA の検査は遅れている。WIC の栄養プログラムは数日以内に資金が枯渇する可能性がある。
金融規制: SEC と CFTC は最小限の人員に縮小され、規則制定とほとんどの執行作業が停止。
テクノロジー規制:FTC訴訟および消費者苦情センターが停止。
サイバー防衛:DHS の CISA がスタッフの 3 分の 2 を一時解雇。重要なサイバーセキュリティ業務のみが引き続き稼働中。
これについては、ここでさらに詳しく説明します。
国民の忍耐は薄れつつある
ワシントンD.C.以外でも、アメリカ国民はすでにその痛手を感じ始めている。国立公園は閉鎖され、社会保障とメディケアのサービスが遅延し、許可申請の遅延、連邦政府機関への電話応答がないなどだ。労働統計局は今週の雇用統計を保留することを確認した。このデータは市場を動かす可能性がある。
歴史的に見て、国民の怒りは閉鎖を終わらせる最も強力な力の一つであることが証明されています。株価の下落や有権者の反発の波は、交渉のみよりも早く事態を好転させる可能性があります。
見通し:長期にわたる膠着状態
連邦政府の給与支払いは来週に迫っており、軍人への給与支払いは10月15日に予定されている。国防総省当局者は、1500億ドルの「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」の資金を軍人給与に充てることを提案しているが、これは民主党を激怒させる動きとなるだろう。
最も現実的な解決策は、トランプ大統領が合意に至る決断を下すことだろう。しかし、現時点では、その可能性は低いように思える。 パンチボウル・ニュースは 、トランプ大統領が方針を転換し、予算回復のための合意を支持することを意味すると見ている。今のところ、ワシントンはお馴染みの膠着状態に陥っている。家族にとっての大きなリスク、穏健派の決意の試練、そして閉鎖が誰もが予想するよりもはるかに長引くという差し迫ったリスクだ。
アメリカンドリームは法外な値段になってしまい、住宅購入の容易さは史上最低となり、伝統的な中流階級のライフスタイルは今やほとんどの一般人にとって手の届かないものとなっている。
しかし、アメリカの若者ほどこの状況に苦しんでいる層はいない。
今週のグラフを見れば、そのことが如実に分かります。戦後、アメリカでは30歳で家族とマイホームを持つ人の割合が急落し、1950年には約52%でしたが、2025年にはわずか13%にまで落ち込んでいます。これは75年間で75%という驚異的な減少です。
よく考えてみてください。1950年には、30歳の半数以上が、多くの人が成人の安定の基本的な指標と考えるもの、つまり結婚とマイホームの所有を達成していました。今日では、その割合はわずか8人に1人です。
グラフをよく見ると、2つの明確な衰退期が見られます。1950年から1990年にかけては、着実ではあるものの、管理可能な減少が見られました。30歳で家族と住宅の両方を持つ人の割合は、この40年間で52%から約43%に減少しました。
それは、私たち全員がよく知っている、労働力に加わる女性の増加、結婚の年齢の上昇、結婚に対する文化的態度の変化といった、徐々に起こる社会の変化を表しています。
そして2000年頃に劇的な出来事が起こりました。人口減少は急激に加速し、1990年から2025年の間に43%から13%にまで急落しました。わずか30年余りで70%もの減少です。
それを説明するものは何ですか?
もちろん、これは文化的な嗜好の変化、つまり若者が家族よりもキャリアを選び、安定よりも経験を重視するようになったことに起因すると言えるでしょう。確かに、それも一因でしょう。今日の若者の優先順位は、半世紀以上前の若者とは大きく異なっています。
しかし、これには別の側面もあります。それは、若者の経済状況が悪化しているということです。今日の家族が1959年の1世帯の住宅購入可能水準に匹敵するには、3世帯分の収入を合わせた金額が必要になることを覚えておいてください。
若者を圧迫する借金負担を考慮すると、状況はさらに悪化します。若者を経済的成功へと導くはずの大学という教育機関が、富の破壊者と化しています。2006年から2024年の間だけでも、学生ローンの平均負債額は17,297ドルから37,850ドルへと2倍以上に増加しました(未払い学生ローンの総額は5,000億ドルから1.8兆ドルへと急増しています)。
今日の 30 歳の人たちが直面している過酷な数学について考えてみましょう。
平均3万8000ドルの学生ローンを抱えて卒業しますが、実際には6万ドル、8万ドル、あるいは6桁の借金を抱えて卒業する学生も少なくありません。平均的な住宅を購入するには年間13万ドル以上の収入が必要であり、賃金が住宅費に追い付いていない労働市場で競争しなければなりません。
言い換えれば、彼らはすでに経済的に困窮した状態で、家族を築くピークの年齢を迎えているのです。
結婚率や住宅所有率が急落したのも不思議ではない。
残酷な皮肉なのは、私たち(いや、アメリカの政治家たち)が、中流階級の成功に必要だとされる資格そのものが、若者を中流階級の生活から締め出すようなシステムを作り上げてしまったことだ。
予測市場のトレーダーらは、米国の政府閉鎖が2週間近く続く可能性があると予想しており、議会が少なくとも10月中旬までは合意に達しない可能性が高まっている。
連邦政府が管理する予測市場であるカルシでは、現在の予測ではストライキは11.1日間続くとされており、連邦議会での交渉が行き詰まっているため、この予測はここ数日で急上昇している。
Polymarketでは、トレーダーは政府が10月15日以降に再開する可能性が最も高く、その確率は約38%と見ています。一方、10月6日から9日の間に合意に至る可能性は23%、10月10日から14日の間に合意に至る可能性は22%です。議員たちが10月3日から5日の間に合意に達すると予想するトレーダーはわずか14%です。
ドナルド・トランプ大統領を含む民主党と共和党の有力議員が、政府予算を維持するための短期的な合意に至らなかったため、水曜日の早朝、 連邦政府の完全閉鎖が始まった。これにより、数十万人の連邦政府職員の一時帰休 と、多数の主要プログラムやサービスの閉鎖が予想される。
政府閉鎖の長さは重要だ。通常より長い閉鎖は、すでに脆弱な経済に重くのしかかり、過去最高値に近い株価に圧力をかける可能性があるからだ。
バンク・オブ・アメリカの1990年まで遡るデータによると、政府閉鎖は平均で約14日間続く。 こうした事態の際、 S&P500は平均1%上昇し ているが 、今回の閉鎖が長引けば市場は混乱する恐れがある。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
Redditの株価はニューヨーク市場前取引で下落しており、この下落が現金取引まで続くと、6ヶ月ぶりの大幅な下落となる。この下落は、Similarwebの最新データによる、ChatGPTが回答生成のソースとしてRedditの利用を縮小、あるいは完全に停止したことを受けてのものだ。チャットボットの回答生成にRedditの投稿を利用するというアイデアが、これほどまでに素晴らしいものだったとは、誰が想像しただろうか?
複数のXユーザーが、Redditのウェブトラフィックが急激に減少していることを示すSimilarwebのデータを引用しています。その中には、「 Bert Tian 」という名前のXユーザーがおり、彼は次のように述べています。
ChatGPTがRedditの引用を大幅に削減した後、$RDDTの米国ウェブサイトDAU(出典:@Similarweb)は急激に減少しましたが、トラフィックは現在、年初レベルに近づいています。
複数のデータベンダーが、ChatGPTの引用パターンの変化を捉えています。理由はまだ不明ですが、収益化を促進するためのコスト削減策として、ChatGPTが無料アカウントのウェブ検索を制限している可能性が考えられます。
ティアン氏は、Redditの米国の1日あたりのアクティブユーザー数を30日間平均で示す画像を投稿し、ChatGPTが引用したRedditの情報源によると、9月11日頃に急激に減少したことを示唆した。
Tian 氏は、「 Andrea Bosoni」という名前の別の X ユーザーの次の指摘を引用していました。
ChatGPTは回答のためにRedditをあまり使わなくなったようです。結局、無作為の人の発言は信頼できる情報源とは言えないと悟ったのでしょう。偽ブランドメンションでRedditをスパムするのはもうやめてください。
TryProfoundブログは、2024年8月から2025年6月までのデータセットを引用し、最も引用されている上位10のソースの中で、ChatGPTの引用の11.3%をRedditが占めていることを示しました。
レディット株は市場前取引で最大13%下落した。現金取引でも下落が続いた場合、3月初旬以来最大の下落となる。
ChatGPTはWikipediaとRedditに大きく依存している…もう言うまでもない。だからこそ、イーロン・マスクは火曜日に「Grokpedia」を立ち上げる計画を明らかにしたのだ。
マイクロソフトは今後、データセンターで主に自社製のチップを使いたいと、このテック大手の最高技術責任者が水曜日に述べた。これにより、NVIDIAのような大手企業への依存を減らすことができるかもしれない。
半導体とデータセンター内にあるサーバーは、人工知能モデルとアプリケーションの開発を支えてきました。
これまで、テクノロジー大手のNvidiaがグラフィックス処理装置(GPU)でこの分野を独占してきたが、ライバルのAMDのシェアは小さい。
しかし、マイクロソフトを含む大手クラウドコンピューティング企業も、データセンター専用の独自のカスタムチップを設計している。
マイクロソフトの最高技術責任者ケビン・スコット氏は、CNBCが司会を務めたイタリア・テック・ウィークでの談話の中で、AI向けチップに関する同社の戦略を説明した。
マイクロソフトは自社のデータセンターで主にNVIDIAとAMDのチップを使用しています。チップあたりの「最高の価格性能比」を提供する適切なシリコン(半導体の略称)を選ぶことに重点を置いてきました。
「私たちはチップの種類にこだわりはありません。そのため、長年にわたり、最高の価格性能比のソリューションはNVIDIAでした」とスコット氏は述べた。「この需要に応えるだけの十分な能力を確保するためなら、文字通りどんな選択肢でも検討します。」
同時に、マイクロソフトは独自のチップもいくつか使用してきました。
マイクロソフトは2023年に、AIワークロード向けに設計されたAzure Maia AIアクセラレータとCobalt CPUをリリースしました。さらに、同社は次世代半導体製品の開発にも取り組んでいると報じられています。先週、この米国のテクノロジー大手は、チップの過熱問題を解決するために「マイクロ流体」を用いた新しい冷却技術を発表しました。
長期的な計画として、自社のデータセンターに主にマイクロソフトのチップを導入する予定かとの質問に対し、スコット氏は「もちろんです」と答え、現在、同社は「大量のマイクロソフト」のシリコンを使用していると付け加えた。
スコット氏は、チップに重点を置くのは、最終的にはデータセンターに組み込まれるシステム全体を設計するという戦略の一環であると述べた。
「これはシステム全体の設計に関わることです。ネットワークや冷却など、ワークロードに合わせてコンピューティングを真に最適化するために必要な決定を自由に行えるようにする必要があります」とスコット氏は述べた。
マイクロソフトとそのライバルであるグーグル
そしてアマゾン
NVIDIA や AMD への依存を減らすだけでなく、自社の特定の要件に合わせて製品の効率を高めるために、独自のチップを設計しています。
コンピューティング能力の不足
Meta、Amazon、Alphabet、Microsoftなどのテクノロジー大手は今年、3,000億ドルを超える設備投資を約束しており、その多くはAIへの需要の急増を満たすためのAI投資に重点が置かれている。
スコット氏は、依然としてコンピューティング能力が不足していると指摘した。
「(コンピューティングにおける)大規模な逼迫というのは、おそらく控えめな表現でしょう」とスコット氏は述べた。「ChatGPTの立ち上げ以来、十分な速さでキャパシティを構築することがほぼ不可能な状況に陥っていたと思います。」
マイクロソフトはデータセンターを通じて容量を構築しているが、需要を満たすにはまだ不十分だとCTOは警告した。
「私たちが立てた最も野心的な予測でさえ、日々不十分であることが判明しています。そのため、過去1年間で信じられないほどの規模の設備を導入し、今後数年間でさらに増加させる予定です」とスコット氏は述べた。
数十年にわたり、世界の不動産は、目に見えるもの、つまり輝くオフィスビル、ショッピングモール、高級ホテルを中心に展開してきましたが、クラウドやデータセンターといった「目に見えない」資産へと移行しつつあります。
「不動産の世界は、いわゆる『目に見えるもの』から『目に見えないもの』へと変化しつつある」とキャピタランド・インベストメントのオルタナティブ投資・プライベートファンドチームのCEO、キショア・ムアジャニ氏は語った。
「目に見えないけれど、私たちが使っているものすべてです。私たちが好んでクラウドと呼ぶものは、データセンターの中にあります」と、シンガポールで開催されたミルケン・インスティテュート・アジア・サミットのパネルディスカッションで彼は指摘した。「それが価値観の転換を促しているのです。」
不動産サービス会社CBREが最近実施した2025年のデータセンター投資家の関心調査によると、世界の主要投資家の95%がデータセンターへの投資を増やす計画です。調査対象となった主要投資家92社のうち、41%が2025年にデータセンターセクターに5億ドル以上の資本を割り当てる予定であると回答しました。これは昨年の30%から増加しています。
データセンターの需要は近年急増しており、その主な要因はAIワークロードの爆発的な増加です。AIワークロードは膨大な計算能力、電力、冷却、そしてネットワークインフラを必要とします。ゴールドマン・サックスは、データセンターからの世界の電力需要は2027年までに50%、2030年までに最大165%増加すると予測しています。
世界的な不動産会社JLLのアジア太平洋資本市場CEO、スチュアート・クロウ氏は、投資家がポートフォリオを伝統的なセクターからオルタナティブセクターへと再配分していると述べた。
「その大きな部分はデータセンターであり、現在はバッテリーストレージとそれに関連するインフラだ」と彼は同じパネルで述べた。
もう一人のパネリストであるガウ・キャピタル・パートナーズのマネージング・プリンシパル、グッドウィン・ガウ氏は、自社が中国のデータセンターに投資していると付け加えた。
資本の制約?
しかし、資金ギャップが生じているとパネリストらは指摘した。世界的なデータセンター需要は旺盛であるものの、これらのプロジェクトのペースと規模が従来の金融機関に負担をかけているとパネリストらは述べた。
「現在建設中のデータセンターの規模と規模の大きさ、そしてその設備を整備するのにどれだけの費用がかかるかを考えると、銀行はデータセンター関連のリスクを負うことは間違いない」とキャピタランド・インベストメントのムアジャニ氏は述べた。
コロンビア大学ビジネススクールによると、ハイパースケール施設(巨大なデータセンター)の建設には1メガワットあたり1,200万ドルの費用がかかり、現代のハイパースケールデータセンターの容量は150メガワットから300メガワットに及びます。1ギガワットを超えるAI中心の施設には、数十億ドル規模の投資が必要になります。
1 ギガワットは 1,000 メガワットの電力であり、1 メガワットは 100 万ワットです。
「銀行はますます少し緊張を感じ始めていると思う」とムールジャニ氏は付け加えた。
ボストン コンサルティング グループは、ハイパースケーラーが AI とクラウドの需要を満たすために、2024 年から 2030 年の間に約 1.8 兆ドルを投資する必要があると見積もっています。
「不動産業界にとって最大の疑問は、現時点で十分な資本があるかどうかだ」とJLLのクロウ氏は語った。
パネリストらはまた、企業が人員を削減し、オフィス面積のニーズを調整するにつれて、人工知能の台頭により物理的な不動産、特にオフィススペースが変化する可能性があると指摘した。
不動産コンサルタント会社サヴィルズは9月に発表したレポートで、今年の世界の不動産投資の回復は緩やかになると予測した。世界の商業用不動産投資は2025年に前年比8%増と予想されており、これは同社が以前予測していた27%増を大きく下回る。
レポートによると、多くの開発業者は、建設コストの上昇、資金調達の制約、労働力不足、規制の複雑さといった課題に直面しています。しかしながら、依然として未活用の資金が大量に存在し、大手機関投資家は不動産を中核資産クラスとして放棄する兆候はほとんど見られません。
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