2023年7月4日火曜日

備忘録(23/7)

備忘録(2023/7/31
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
ブルームバーグ・セカンド・メジャーによれば、米消費者による国内主要航空会社からの直接購入は4-6月(第2四半期)に総じて減少。約2年ぶりに落ち込んだ。ただし、これは一般的なクレジットおよびデビットカードを利用した直接購入に基づく購入データで、旅行予約サイトでの購入や法人販売は除いていることから、全体像を描いているとは言えない。 
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う制限措置が解除され、米国で空の旅はここ1年大幅に増加。航空券が大幅に値上がりしても需要が落ちることはなかった。しかし数十年ぶりの高インフレに見舞われて消費者は衣服や電化製品、外食などあらゆる選択的消費を抑えており、ここにきて空の旅も節約の対象に入ったようだ。
航空業界全体の業績を押し上げてきた需要回復は腰折れする可能性がある。
デルタ航空とユナイテッド航空は最近、国際線予約が引き続き良好だとして通期利益見通しを上方修正した。また、今夏は業界全体で記録的な旅客数が見込まれている。
一方、米国内および北米に特化するアラスカ航空は、価格低下と国内旅行需要の軟化を背景に7ー9月(第3四半期)の業績が打撃を受けるとみている。
サウスウエスト航空が先週発表した4-6月売上高は市場予想を上回ったが、年後半の需要への懸念などを受けて株価は下落。米大手航空会社5社の株価は7月、いずれも月間ベースで下落した。格安航空ジェットブルー・エアウェイズが8月1日に発表する4-6月決算で、業界の状況はさらに明らかになるとみられる。 
2023年4〜6月期の企業向け融資基準は20年春の新型コロナウイルスの感染拡大初期以来、3年ぶりの厳しさになった。資金繰り不安が米景気の軟着陸期待に影を落としている。
融資基準を「厳しくした」と答えた割合から「緩めた」を引いて算出する指数は、大企業・中堅企業向けが50.8と前回調査から4.8ポイント上昇した。数値が高いほど融資に慎重な様子を示し、コロナ禍初期の20年4〜6月期(71.2)以来の高水準になった。
中小企業向けの融資基準を示す指数も49.2と2.5ポイント上昇し、3年ぶりの高水準になった。不良債権の増加が懸念されている商業用不動産向けは、建設・土地開発用が71.7と2.1ポイント下がったが、水準はコロナ禍初期並みの高さにとどまった。消費者向けではクレジットカードへの与信が一段と厳しくなった。
企業向け融資を厳格にした理由では、経済見通しが良好でないことや不確実性が高まったとの回答が最も多かった。リスク許容度の低下や流動性の悪化を指摘する声も上がった。3月以降に相次いだ地銀破綻の余波で多くの銀行が預金の流出や資金調達コストの上昇に見舞われ、貸し出し余力が細っている現状を映した。
調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのイアン・シェファードソン氏はリポートで「銀行は(融資拡大による)成長よりも安全性を追求している」と指摘した。
23年後半の見通しについても、企業向けと消費者向けのすべての分野で融資基準を一段と厳しくするとの回答が多かった。景気の先行き不透明感に加え、不動産などの担保価値の低下や貸し倒れリスクの高まりに対する警戒感が強まっている。
借り手の資金需要も低調なままだ。ローン需要が「強まった」という回答の割合から「弱まった」を引いた指数は、大企業・中堅企業向けがマイナス51.6だった。前回調査からは4ポイント上向いたものの、なおリーマン危機時並みの低水準にとどまる。FRBの利上げで借り入れコストが上がっていることが背景にある。
米銀は第2・四半期に融資基準を引き締めたほか、企業および消費者からの融資需要が減退したことが分かった。FRBによる利上げが、意図した通りに融資を抑制していることを示した。また、年内にさらなる引き締めが予想されることも分かった。
FRBは「貸出基準の引き締めを予想する理由として最も多く挙げられたのは、経済見通しの悪化や不確実性の増大、担保の減価予想、CRE(商業用不動産)ローンなどの信用の質の悪化だった」と指摘した。
英金融行為監督機構(FCA)は31日、最も低い預金金利を設定している銀行に対して、設定の根拠について説明を求めると発表した。8月末までに説明が不十分な場合は改善を求めて引き上げを促す。利上げが続く中でも銀行側の利息の支払いが乏しく、インフレに苦しむ国民の負担が増しているとの批判に対応する。
英国の大手銀9行への調査によると、22年1月から23年5月までの政策金利の上昇に対して、普通預金の利息の引き上げは平均で28%分しか反映されなかったことが明らかになった。定期預金では51%分だった。また大手銀の預金金利は小規模の銀行に比べて、平均で低水準となったという。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
4〜6月期の実質域内総生産(GDP)は速報値で前期比0.3%増だった。プラス圏への浮上は3四半期期ぶりで、成長率は年率換算で1.1%だ。物価高や急激な利上げが重荷となり、米国経済より持ち直しの鈍さが目立った。
クーデターが起きたニジェール情勢の解決を目指す西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の取り組みに支持を表明した。「ECOWASや地域の指導者と共に、バズム大統領の即時解放と民政への国の権限返還を要求する」と訴えた。
ブリンケン氏はECOWASが事態打開に向けて議長特使をニジェールに派遣したことを評価し、平和的で速やかな解決に向けてECOWASと協力するよう関係者に呼びかけた。
米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は31日、連邦準備理事会(FRB)は景気後退(リセッション)を引き起こすことなくインフレを引き下げることについて、かなりうまくバランスを取って政策を運営しているとの見方を示し、9月の次回決定会合に向け、一段の金融引き締めが適切か判断するためにデータを注視していくと語った。
グールズビー総裁はヤフー・ファイナンスのインタビューに対し、9月の会合について「何も排除されていない。何も特定の議案もない」とし、「手を縛るようなことはしたくない。FRBはこれまでのところ景気後退を引き起こさず、失業率を上昇させることなく、インフレ率を引き下げてきた。これは多くのエコノミストが不可能と言ってきたことだ」と述べた。
3日に開かれる英中銀金融政策委員会(MPC)は、まちまちなデータのバランスを取る必要がある。
6月のインフレ率は1年3カ月ぶりに8%を下回り、他の指標も後退しているものの、英中銀目標である2%を依然大幅に上回っている。
英経済は今のところ金利の急上昇にゆっくりと反応しているようだ。経済成長は予想以上に持ちこたえ、小売売上高は今年に入って驚くほど好調で、人手不足が賃金を押し上げ、消費者の懐を潤している。
豪中銀ウオッチャー、利上げと据え置きで見解割れる-1日に決定会合トレーダーは、8月1日の政策決定会合で政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標が4.1%と2会合連続で据え置かれると見込む。4-6月(第2四半期)の消費者物価指数(CPI)上昇率が予想よりも鈍化し、6月の小売売上高が市場予想に反して減少したことを考慮している。
一方、過半数のエコノミストは0.25ポイントの利上げを想定。物価上昇率が豪中銀の目標水準の2倍で推移する中、労働市場の引き締まりが賃金上昇につながらないようにするためだとしている。
豪中銀の課題は適切なバランスを見つけることだ。つまり、拙速な利上げ停止で物価上昇を再燃させないようにするとともに、過度の引き締めでリセッション(景気後退)を招かないことだ。
オーストラリア・コモンウェルス銀行のシニアエコノミスト、ベリンダ・アレン氏は今回の会合は「またぎりぎりの判断になるだろう」と指摘。0.25ポイントの利上げが最も後悔の少ない道筋とみている。「インフレと賃金の見通しについてリスクが残っているとすれば、それを相殺するものになるだろう」と予想した。
主要各国・地域の中央銀行の先週の決定に振り回されたトレーダーは、金融政策の新たな局面が現出しつつある兆しの下で、さらなるボラティリティーに備えている。
週明け31日の外国為替市場では米ドル、ユーロ、円がいずれも注目されている。日本銀行がイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の柔軟化を打ち出す状況にあって、米連邦準備制度と欧州中央銀行(ECB)の先週の利上げが現行の引き締めサイクルの終了を画するのかどうか、投資家は検証を続けている。
8月1日と3日にそれぞれオーストラリア準備銀行とイングランド銀行の政策決定の発表を控えており、豪ドルとポンドも関心の的だ。米国では製造業関連の指標や7月の雇用統計が発表の予定で、トレーディング環境はさらに複雑化する。
米ドルは早い段階の取引で他のG10通貨の大半に対して下げ、先週末に大幅な相場変動に見舞われた円は上昇している。
アムンディ・アセット・マネジメントの為替戦略担当ディレクター、パレシュ・ウパダヤ氏はユーロと円に関し、「中銀の金利決定に絡む相場の動きがボラティリティーの急上昇につながった」と指摘した。
その上で、大きな動きは「データ次第および会合ごとの姿勢へのフォワードガイダンスの変更」の結果だとし、「豪中銀とイングランド銀もこの道筋をたどると見込まれる」と話した。
ブルームバーグのマクロストラテジスト、サイモン・ホワイト氏は「引き締めが始まった。この変化は円をさらに支えることになるだろうが、資金の流れと構造的な過小評価を背景に既にそうした方向に向いている」との分析を示した。
米国と欧州の当局者らは、中国が旧世代半導体の生産を加速させていることについて懸念を強めており、中国の拡大を抑制する新たな戦略を議論している。
バイデン米大統領は、人工知能(AI)モデルや軍事用に応用される先端半導体について、中国の調達能力を広範に制御する措置を導入した。しかし中国は、輸出禁止の対象ではない旧型の「レガシー半導体」製造工場に巨額の資金を投じることで、これに対抗した。こうした半導体は世界経済全体にとって依然不可欠で、スマートフォンから電気自動車(EV)、軍装備品に至るあらゆる製品において重要な部品となっている。
こうした中国の潜在的な影響力を巡り新たな懸念が浮上しており、同国の動きをさらに抑制しようという議論が持ち上がったと、協議が非公開であることを理由に、事情に詳しい複数の関係者が匿名を条件に明らかにした。中国が半導体を使って自国に優位な展開に持ち込むことを米国は警戒しており、なんとしても阻止する構えだという。
レモンド米商務長官は先週、保守系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)で開かれたパネル討論でこの問題に言及。「中国が巨額の資金をつぎ込んでいることで成熟半導体やレガシー半導体の余剰能力につながる恐れがある。これは考慮すべき問題であり、同盟国と先手を打って取り組む必要がある」と話していた。
景気抑制的な金融政策と銀行セクターの動揺のおかげで、小規模経営のビジネスから優良企業に至るまで、世界中の借り手が頭を痛めている。欧州では4-6月(第2四半期)の法人向け融資需要が過去最も大きく落ち込み、予想上回る急ピッチの減退が示された。
米国の新たな規制の下で、上位銀が資本バッファーの数十億ドルの上積みを迫られる見込みであることを考え併せると、かねて予想されていた貸し付け条件の厳格化が実際に起きつつあると言える状況だ。
商工融資の需要鈍化を指摘し、シティグループなどは、クレジットサイクルの変化に伴い、米国と欧州のインフレ調整後の国内総生産(GDP)が来年末までに1-2%前後押し下げられる恐れがあるとみている。
債券投資家は今のところ落ち着いているように見える。投資適格社債の国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は、資金運用主体が安全資産への逃避に動いた米地方銀行危機が起きる直前以降で最も縮小した水準に近い。
こうした楽観的な市場のトーンは、プライベートクレジットのようなオルタナティブ金融業者が貸し付けにさらに力を入れる一方、リセッション(景気後退)観測が1年にわたり不発に終わった現実を反映している。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
メキシコ国家統計地理情報局(INEGI)が31日発表した2023年第2・四半期国内総生産(GDP)速報値は前期比0.9%増で、ロイターがまとめた市場予想と一致した。第1・四半期の1.0%増から鈍化したものの、7期連続でプラス成長を確保した。
カサ・デ・ボルサ・フィナメックスはアナリストノートで「この成長は第1・四半期に見られた非常に力強い拡大から和らいだことを反映しているものの、引き続き大きいものだ」と記した。
パンテオン・マクロエコノミクスのチーフ中南米エコノミスト、アンドレス・アバディア氏は、全般的に今年の上半期は堅調で「小売売上高や建設業、鉱業・石油生産高は四半期を通じて堅調で、他の弱さを相殺した」ことを示したと説明。さらに今回のデータは「高水準の外国からの送金、堅調な労働市場、インフレ率の段階的な低下」がメキシコの成長を支えたことも示したと指摘した。
●市況
ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は4%下落。ベビーパウダーの健康被害を巡る訴訟関連の負債を本社から切り離すための申し立てを裁判所が
再度退けた。
<米原油先物> 需給逼迫観測が広がり、3営業日続伸した。米国産標準油種WTの中心限月9月物の清算値(終値に相当)は前週末比1.22ドル(1.51%)高の1バレル=81.80ドルと、中心限月の清算値ベースで4月中旬以来約3カ月半ぶりの高値水準を付けた。10月物は1.14ドル高の81.32ドル。
ロイターのアナリスト調査では、有力産油国のサウジアラビアは、7月に開始した日量100万バレルの自主減産を9月まで延長するとみられている。
一方、世界的な石油需要が上向くとの見方が一部で台頭している。米金融大手ゴールドマン・サックスのアナリストは30日、7月の世界の石油需要は過去最大の日量1億0280万バレルになるとの推計を示した。またインドと米国の経済が堅調であることなどを受け、2023年の石油需要予測を日量約55万バレル上方修正した。市場では需給引き締まり観測が強まり、原油相場が買い進まれた。米政府が戦略石油備蓄(SPR)の補充を開始したことに伴い、米国内の原油在庫が減少傾向にあるとの報も相場の支援材料。
中南米金融市場では、域内主要国で初めて利下げに踏み切ったチリの通貨ペソが下落率トップとなった。中銀が金利を据え置いたコロンビアの通貨ペソも下落した。
ヘルスケア株指数はこの日1.25%上昇。デンマークの製薬会社ノボノルディスクが3.4%上げた。肥満症治療薬「ウゴービ」をドイツで売り出したことが材料視された。
STOXXユーロ圏銀行株指数は0.22%高。EUの欧州銀行監督機構(EBA)が28日発表した銀行のストレステスト(健全性審査)の結果で、資本要件を満たせないと判定したのは審査対象70行のうち3行だった。
オランダのビール大手ハイネケンは8.0%下げた。ベトナムの景気減速が23年上半期決算の利益を押し下げ、通期の増益幅予想を下方修正したことが嫌気された。
日経先物33295、ダウ先35687、債先146.77、米3.964、独2.4615、仏3.016、西3.506、伊4.083、英4.3365、波5.415、原油81.75、銅8,840、ドル円142.34、ユーロドル1.0999
※8/1 8時15分頃

備忘録(2023/7/28-30
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
理論上、資本バッファーが総額4960億ユーロ(5460億ドル)減少するシナリオの下で3行が資本要件を満たせないと判定された。銀行名は明らかにされていない。
審査対象は70行。資産ベースでEUの銀行の約75%を占める。
このうちドイツの銀行は、14行中8行で普通株等Tier1比率(CET1)とレバレッジ比率がEUの平均を下回った。平均を上回ったのは6行で、ゴールドマン・サックスやJPモルガンなど米銀の子会社やフォルクスワーゲン・バンクなど事業会社の金融部門が中心だった。
厳しいシナリオの下で資本がほぼ全額毀損したフランスの郵便貯金銀行は、市場のショックの影響を和らげる新たな会計ルール変更の影響が反映されていないと主張した。
EBAによると、今回のシナリオはこれまでで最も厳しく、信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクが2025年までの3年間に銀行の義務的なコア資本バッファーにどのような影響を及ぼすかを審査した。経済成長率が累計6%落ち込み、不動産価格が大幅に下落するシナリオを想定した。
このシナリオでは、銀行に総額4960億ユーロの損失が発生し、CET1が459ベーシスポイント(bp)低下、25年末に平均10.4%となる。
低下幅は前回2021年に比べて小幅にとどまった。収益性の向上、世界的な金融危機後の規制改革、資産の質の改善などが背景という。
欧州銀行連盟は、今回の審査でEU銀行部門の強靭性が再確認されたと表明した。
審査は合格・不合格を判定するものではないが、銀行が義務的なコア資本バッファーに上乗せする追加の資本を保有しているか判断するために利用される。
米バイオ医薬大手のバイオジェンは28日、同業の米リアタ・ファーマシューティカルズを約73億ドル(約1兆円)で買収すると発表した。リアタの希少疾患薬を取り込み、同分野での品ぞろえ強化につなげる。
リアタが開発した神経系の希少疾患「フリードライヒ運動失調症」治療薬は2月に米国で販売承認を受け、欧州でも審査過程にある。バイオジェンのクリストファー・ヴィーバッハー最高経営責任者(CEO)は、リアタの買収で「バイオジェンの実績を生かし新薬を世界に届けることができる」とコメントした。
バイオジェンは主力の多発性硬化症(MS)治療薬が売り上げの5割を占め、収入源の多角化が経営課題となっている。エーザイと共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム(一般名アデュカヌマブ)」は商用化に失敗したが、7月に同じくエーザイと共同開発した別のアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が米食品医薬品局(FDA)から正式承認された。
米連邦預金保険公社(FDIC)は、経営破綻したシグネチャー・バンクのローン債権ポートフォリオ185億ドル(約2兆6000億円)相当の入札プロセスを先週7月25日に開始した。事情に詳しい関係者が明らかにした。
非公開情報を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、米不動産投資会社スターウッド・キャピタル・グループやカーライル・グループ、ブラックストーン、トーマ・ブラボー、ブルックフィールド・アセット・マネジメントを含む企業に関係するキャピタルコールローンの正常債権で構成される。
●その他産業
●決算関連
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比11%増の33億8400万ドル(約4760億円)だった。前の四半期に続き、値上げをした結果、増収増益を確保した。
売上高は前年同期比5%増の205億5300万ドル、1株利益は1.37ドルと、ともに市場予想を上回った。全体の販売数量は1%減ったものの、平均7%の値上げが増収につながった。
全部門で売上高が増加した。最も伸びたのは高級化粧品「SK―Ⅱ」などのスキンケア商品を手掛けるビューティー部門で8%増だった。主力の洗剤・家庭用品部門も5%増収で、6%の値上げをしても大きく落ち込まなかった。一方、ひげそり「ジレット」などを国内外で展開するグルーミング部門は値上げとドル高の影響で3%増にとどまった。
粗利益率は48.4%と前年同期に比べ3.8ポイント改善した。値上げの効果に加え、原材料費の上昇ペースが弱まった。
今後の見通しについて、アンドレ・シュルテン最高財務責任者(CFO)は28日の投資家向け説明会で「販売数量は緩やかな成長に戻り、徐々に値上げが収益のけん引役ではなくなる」と指摘した。その一方で「今後は経済的、地政学的にも不安定になることが見込まれ、消費や家計を圧迫する」と警告した。
2023年4〜6月期の純利益は前年同期比56%減の78億8000万ドル(約1兆1100億円)だった。原油相場の下落で石油・天然ガス事業の利幅が縮小した。
前年同期はロシアのウクライナ侵攻の直後で原油価格が平均で1バレル約110ドルに上昇し、同社の利益も急増した。中国の景気減速懸念などで23年4〜6月期は平均1バレル約80ドルに下落した。
ダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は同日、「今と同じような商品市況だった5年前に比べて2倍稼いでいる」とコメントし、ここ数年取り組んでいる構造改革の効果が出ていると強調した。同社は23年末まで19年比で90億ドルのコスト削減を目指しており、これまで83億ドル分を達成したという。
有望鉱区のテキサス州西部パーミアンや南米ガイアナでは原油を増産したという。同社の23年4〜6月期の生産量は日量約361万バレル(原油換算)だった。約80億ドルの株主還元も実施した。
米シェブロンが同日発表した23年4〜6月期決算は純利益が前年同期比48%減の60億1000万ドルだった。マイケル・ワースCEOは「記録的な株主還元をした」と述べ、前年同期比37%増の72億ドルを配当や自社株買いに充てたことを明らかにした。
特段大きな与信費用の発生を見込んでいないこと、メガバンクでは円安が恩恵になることから、多くの会社で良好な決算になると見込む
●先進国、グローバル、金融市場
7月の消費者信頼感指数(確報値)は71.6となり、2021年10月以来、約2年ぶりの高水準となった。
速報値(72.6)からは若干低下したものの、先月の64.4からは上昇。インフレ率の低下が消費者心理の改善に影響した。
1年先のインフレ期待は6月の3.3%から3.4%に上昇した。5年先のインフレ期待は3.0%で横ばいとなった。
6月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で3.0%上昇し、伸び率は2021年3月以来、2年3カ月ぶりの低水準だった。5月は3.8%上昇していた。
PCE価格指数の伸びが大きく鈍化したことで、米連邦準備理事会(FRB)が1980年以来の急ピッチで進めてきた今回の利上げ局面が終了に近づくとみられる。
6月は基調的な物価圧力も緩和。労働省が発表した第2・四半期の雇用コスト指数(ECI)の伸びも鈍化しており、FRBが想定する経済の「ソフトランディング(軟着陸)」に対する慎重ながらも楽観的な見方が高まった。
ブリーン・キャピタル(ニューヨーク)のシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「一段の進展が必要ではあるものの、インフレは鈍化しており、FRBが9月に再利上げを決定する公算が小さくなっている」と述べた。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年同月比で4.1%上昇し、伸び率は21年9月以来の低水準。ロイターがまとめた市場予想は4.2%上昇だった。5月は4.6%上昇していた。
日本銀行が28日の金融政策決定会合で決めたイールドカーブコントロール(長短金利操作、)政策の柔軟化措置は、日銀の想定を上回って推移する消費者物価の上昇に対応した実質的な緩和修正といえる。約7年にわたって続く長期金利を抑制する異例の緩和策の形骸化が進みそうだ。
日銀は会合後に公表した声明で、「上下双方向のリスクに機動的に対応していくことで、この枠組みによる金融緩和の持続性を高める」のが狙いとしたが、植田和男総裁は記者会見で上振れリスクを繰り返し強調した。経済・物価情勢が上振れた場合、それを反映する形で長期金利が「0.5%と1%の間に上昇していくことを容認しようという姿だ」と語った。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、植田総裁の発言について「相当に物価の上振れリスクを気にしている。だからこそ今回の措置をとったことを示唆している」と解説する。就任以降にハト派トーンを強めていた植田氏が「勝負に出た感がある」とし、今後は「YCCが形骸化することは十分にあり得る」とみる。
日銀は今回の運用柔軟化で、長期金利の上下0.5%程度の許容変動幅を「めど」と位置付けた上で、上昇抑制を目的に国債を買い入れる指し値オペの水準を従来の0.5%から1.0%に引き上げた。ブルームバーグのエコノミスト調査では、7月会合でYCCの修正または撤廃を決めるとの予想は18%にとどまっていた。
植田総裁は、運用の柔軟化について「政策の正常化へ歩み出す動きではなく、YCCの持続性を高める動き」と説明した。しかし、市場では大規模な金融緩和からの出口戦略の一環との受け止め方が少なくない。
UBS証券の足立正道チーフエコノミストは、長期金利の上下0.5%を参照値とした上で指し値オペの金利を1%としたことは「少なくとも当面の間、YCCの事実上の廃止を意味する」と指摘する。政策金利ガイダンスの導入がなかったことに関しては、「日銀が近い将来の政策金利引き上げの選択肢を残した」との見方を示した。
日銀はYCC政策について、長期金利の上昇を抑えつけることが市場機能の低下など副作用の拡大につながりやすい一方、それ自体が実質金利の低下を通じて緩和効果を強めると説明してきた。長期金利の上昇容認で、市場機能の改善と引き換えに、YCCという枠組みの存在意義が問われそうだ。
総裁は声明で2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていないとした根拠として、新たに示した物価見通しで2024年度と25年度が2%に達していない点を挙げた。足元の物価見通しは上方修正が続いており、今回のサプライズ的なYCC修正を踏まえれば、日銀が早期の政策正常化に踏み出すことへの警戒感が市場で強まりそうだ。
ブルームバーグ・エコノミクスの見方
「柔軟性が多少増すことになり、債券市場が一段と円滑に機能するのにも役立つだろう。ただ、現時点でこうした措置に差し迫った必要性があるとみていない」「総裁の動きは今や予測不可能と受け止められて、タカ派的とさえ見なされる可能性もある。この結果、総裁のメッセージ発信が先行き一段と困難になる」
BNYメロン・インベストメント・マネジメントのアジア・マクロ&投資戦略責任者のアニンダ・ミトラ氏は、日本の金利上昇は、フランスやオーストラリアの債券など、日本債券の保有比率が大きい他の主要債券市場にも波及する可能性があると指摘した。ミトラ氏はまた、この動きによって今年いっぱいは円高が進むだろうと述べた。
メローニ首相の側近の1人であるクロゼット国防相は30日の同国紙コリエレ・デラ・セラとのインタビューで、イタリアは「大惨事を引き起こすことなく」一帯一路から離脱しなければならないと述べた。
イタリアは一帯一路に主要7カ国(G7)で唯一参加しており、同国が異議を申し立てない限り一帯一路推進の覚書は期限に際して自動的に更新される。
イタリア当局者が米国側に対し、一帯一路からの離脱方針を伝えたとブル-ムバーグは先に報じたが、メローニ首相は先週の訪米の際、公式の表明を控えた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ポーランドのモラウィエツキ首相は29日、隣国ベラルーシを新たな拠点とするロシアの民間軍事会社ワグネルの戦闘員100人以上がポーランド・リトアニア国境近くに移動したと明らかにした。「状況はさらに危険になってきた」との認識も示した。ポーランド・メディアが伝えた。
モラウィエツキ首相は「ベラルーシ(西部)のグロドノ付近、スバウキ回廊の方面にワグネルの雇い兵100人以上が移動したとの情報がある」と語った。「ポーランド領へのさらなる(軍事力と非軍事力を組み合わせた)ハイブリッド攻撃につながる」と警戒を強めた。
同首相によると、西進したワグネルの戦闘員には中東やアフリカからの不法移民がベラルーシからポーランドに侵入するのを助ける目的がある。戦闘員が不法移民を装って国境を越え、ポーランド情勢を混乱させる懸念もあるという。
スバウキ回廊はポーランドとリトアニアの間にある長さ約100キロメートルの国境地帯で、ロシアの飛び地カリーニングラードとも隣り合う軍事的要衝だ。有事にはロシアが北大西洋条約機構(NATO)に加盟するバルト諸国とポーランドを分断するために攻撃する可能性が指摘されている。
ワグネルは6月下旬にプーチン政権に対する武装蜂起が失敗した後、約1万人の戦闘員をベラルーシに向かわせたと報じられた。ウクライナとポーランド両国の国境に接する西部ブレスト州などでベラルーシ軍との共同訓練を実施し、威嚇を強めている。
ロシアは現ウクライナ領の支配権を巡りポーランドと歴史的に対立してきた。プーチン大統領は29日、記者団に「ポーランドとリトアニア、ウクライナの合同部隊」がベラルーシとの国境地域に投入される計画があると述べた。ポーランドによるウクライナ西部奪取の始まりになるなどと主張した。
ロシアのプーチン大統領は28日、北西部サンクトペテルブルクで開催中の「ロシア・アフリカ首脳会議」でアフリカ諸国首脳と協議した。ロシアはウクライナ産穀物の輸出合意の履行停止に踏み切り、依存度の高いアフリカ諸国は懸念を強めている。プーチン政権は穀物の無償供与などを提示して懐柔を図る。
プーチン大統領は首脳会議の本会議の冒頭で、アフリカへの穀物の供給について「無償のものも含めて確実に提供する」と強調した。アフリカ諸国が提唱しているウクライナとの和平案については「提案を尊重し、慎重に検討している」と述べた。
プーチン氏は本会議に先立ち27日に開いた経済フォーラムで「アフリカ諸国への食料安定供給の重要性を理解している」とも語った。ソマリアやジンバブエなど6カ国に今後3、4カ月で穀物を無償供与する用意があると強調した。食料不足への懸念を緩和し、穀物合意停止への批判をかわす狙いとみられる。
アフリカ諸国は経済の悪化や社会不安につながりかねない穀物不足に神経をとがらせる。エジプト政府系メディアによると、シシ大統領は28日に「穀物高を終わらせる穀物輸出合意について一致に至ることを期待する」と述べ、ロシアに合意への復帰を促した。
ロシアを正面から非難する声は目立たず、ロシアから見返りを求める狙いが透ける。ジンバブエのムナンガグワ大統領は27日、穀物供与を表明したプーチン氏に謝意を述べた。プーチン大統領は28日、アフリカ諸国の要請に応え、債務を9000万ドル(約125億円)以上削減する予定だと言及した。
アフリカの一部の国は中立を掲げ、ウクライナとの停戦仲介を探る。6月には7カ国の首脳らがロシアを訪問し、調停案として緊張緩和や国家主権の保障、捕虜交換などを提唱した。
各国には軍事支援を頼るロシアとの関係を損ねるわけにいかないとの判断もある。ストックホルム国際平和研究所によると、2018〜22年のアフリカの兵器輸入の4割はロシアからで、米国や中国を上回った。
政情が不安定な中央アフリカやマリの政権はロシアの民間軍事会社ワグネルに治安維持を依存している。ワグネルの活動を巡り首脳間で個別に話し合う可能性もある。
中国人民銀行(中央銀行)が28日発表した6月末の住宅ローン残高は38兆6000億元(約750兆円)と、1年前から0.7%減った。前年同月末からの伸び率を比較できる2008年以降で初めて減少した。金利の低下などをうけ家計が預金や投資で稼ぐ収益が減り、ローンを前倒し返済する動きが広がった。
工業情報省を含む3つの政府機関が28日に発表した計画によると、政府は家庭用品や食品のほか、紙やプラスチック製品、皮革、電池などを含む軽工業の成長を加速させたい意向。
計画発表に付随する声明で工業情報省は、軽工業セクターの付加価値の伸び率を来年末まで平均4%程度に引き上げを目指す方針を示した。今年上期は0.4%に鈍化していた。
また、中国証券監督管理委員会(証監会)は28日、北京証券取引所のマーケットメーカーに対する制限の緩和案を発表した。証監会は市場が「合理的なレベルで流動性を維持する」ことを支援する狙いがあると説明した。同取引所は2021年に、中小企業やテクノロジー新興企業の資金調達手段を広げるために設立された。
会合は8月5─6日にジェッダで行われ、最大30カ国の高官が集まると外交筋が述べた。インドネシア、エジプト、メキシコ、チリ、ザンビアなども招かれているが、ロシアは除外されているもよう。
ウクライナと西側の政府関係者はウクライナに有利な和平条件の国際的な支持につながることを望んでいると述べた。
招待されている国のうち何カ国が参加するかはまだ明確でない。6月にコペンハーゲンで開催された同様の会合に参加した国々は、今回も出席する見込み。
英国、南アフリカ、ポーランド、欧州連合(EU)は参加を表明しており、米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)も出席する予定という。
中国で若年層の雇用悪化に歯止めがかからない。16〜24歳に限った6月の失業率は政府統計でみても2割を超え、過去最悪の更新が続く。実態はより深刻だ。職探しをしていないため統計に含まれないニートを含めると5割近くに達するとの試算もある。若者が長く失業したままだと技術の蓄積が遅れて労働生産性の伸びが鈍り、経済成長を阻みかねない。
●中東
●中南米・アフリカ
南米チリの中央銀行は28日、金融政策決定会合を開き、政策金利を1%引き下げて10.25%にすると発表した。新型コロナウイルス禍後の物価上昇を抑えるために進めてきた金融引き締めからの転換を決めた。インフレの鈍化が進んだのに加えて、景気低迷に対応する狙いがある。
国際通貨基金(IMF)は28日、経済危機に直面するアルゼンチンに対し、総額約75億ドル(約1兆円)の金融支援を供与することで事務レベルで合意した。期間は30カ月。IMF理事会が8月後半にも正式承認する見通し。
有力な穀物産地であるアルゼンチンは深刻な干ばつに見舞われ、輸出や財政が大きな打撃を被った。インフレも高進し、消費者物価指数(CPI)は年100%超で推移している。
アルゼンチン当局は、融資を受けるのと引き換えに、金融引き締め継続や財政支出の抑制、外貨準備の積み増しなどを行うことに同意した。
西アフリカ・ニジェールで28日、クーデターに参加する軍将校が国営テレビを通じ、クーデター指導者で大統領警護隊トップ、チアニ将軍の国家元首就任を発表した。憲法停止と政府の解体も宣言した。ロイター通信が伝えた。
ニジェールは西側諸国の同盟国だが、チアニ氏が権力を掌握すればロシアに接近しかねないとの見方がある。クーデターを支持するデモ隊がロシアの国旗を掲げていたとも伝えられ、米欧は警戒している。
国連安全保障理事会は28日、ニジェールでのクーデターを「強く非難」し、バズム氏の無条件での即時解放を要求する報道声明を発表した。
声明はクーデターが地域を不安定化させる恐れがあると懸念を示し、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)やアフリカ連合(AU)による事態打開への努力に支持を表明した。
隣国マリやブルキナファソのように軍が政変で実権を握りロシアに接近するとの見方があり、米欧が警戒を強めている。
チアニ氏は同日のテレビ演説で、バズム政権がイスラム過激派への対テロ作戦でマリやブルキナファソとの協力が不足していたと批判した。ニジェールはバズム政権下で米欧と良好な関係を築いてきた。
現地からの報道によると、クーデター支持者はロシア国旗を掲げてデモに加わった。30日には首都ニアメーでデモ隊がフランス大使館前に押し寄せ「ロシア万歳」「プーチン万歳」などと叫んだ。
西アフリカのマリとブルキナファソでは2020年以降に相次いだクーデターで発足した軍事政権がロシア寄りの姿勢を強めた。マリではロシアの民間軍事会社ワグネルが活動している。ブルキナファソの軍政トップは5月、ロシアが「戦略的同盟国」だと述べた。
ニジェールやマリは広大なサハラ砂漠の南縁のサヘル地域に当たる。イスラム過激派が台頭した地域で住民の虐殺などが相次ぎ、マリやブルキナファソで政府による治安回復の失敗を口実に軍事クーデターが起きた。
過激派掃討の部隊を派遣してきたフランスは22年11月、サヘル地域での対テロ作戦の終了を公式に宣言した。駐留仏軍と入れ替わるようにサヘル地域で存在感を増してきたのが、ロシアだ。
ロシアは27、28日に北西部サンクトペテルブルクにアフリカ諸国の首脳を招き「ロシア・アフリカ首脳会議」を開いた。穀物の無償供与を提示するなど懐柔を図る姿勢を示した。ロシアは食糧の供給や軍事支援で浸透してきた経緯がある。アフリカにはロシアのウクライナ侵攻を表だって非難せず、制裁に加わらない国が多い。
ニジェールのクーデター部隊は26日にバズム大統領の追放を宣言し、欧米など国際社会は即時釈放を求めている。マクロン仏大統領は28日「完全に非合法であり、地域全体にとって非常に危険だ」と述べ、バズム氏の解放を求めた。仏メディアが伝えた。
米国務省は28日、ブリンケン国務長官がバズム氏と電話協議し、秩序回復へ外交努力を続けると表明した。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は同日の記者会見で、米国がニジェールに対し「軍事やその他の協力を停止する可能性がある」と警告した。同国には約1100人の米軍が駐留しているという。
欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は29日、ニジェールへのEUの財政支援や安保分野の協力を即時停止したと明らかにした。チアニ氏らについて「承認しないし、今後も承認するつもりはない」と強調した。
アフリカ連合(AU)も声明で、クーデターを企てた部隊に「即刻無条件で兵舎に戻り、憲法に基づく体制を回復させるよう要求する」とした。
●市況
日銀はこれまで10年金利の変動幅の上限を0.5%で厳格に抑制してきたが、連続指し値オペの利回りを1%へ引き上げて機動的に対応することを決めた。
トレーダーがこの決定を理解するにつれ、ドル/円は1.13%円安に振れ、午後には1ドル=141.05円となった。
コーペイ(トロント)のチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「日本の金利が上昇するという見通しは、日本の投資家が海外の国債市場に資金を配分せず国内に資金を留保する可能性を示唆し、世界の利回りを圧迫している」と指摘した。
四半期利益が予想を上回ったアストラゼネカは3.3%上昇し、FTSE350種製薬・バイオテクノロジー株指数は1.76%上げた。
日銀の決定が長年の超緩和的な金融政策からの転換と受け止められたことで英10年物国債利回りが上昇。金利に敏感な不動産株指数は1.33%下げた。
英大手銀行スタンダード・チャータード(スタンチャート)は4.0%と大幅上昇。通期決算の利益見通しを上方修正したことや、10億ドル規模の新たな自社株買いを発表したことが好感された。
英銀のナットウエストは2.3%高。上半期の利益が予想を上回り、旧ブレグジット党党首のナイジェル・ファラージ氏の口座閉鎖を巡ってアリソン・ローズ最高経営責任者(CEO)が突然辞任したのを受けた下落から回復した。
日本の投資家は多額の外国債を保有しており、国内資産の魅力が増せば、欧州へのエクスポージャーを減らす可能性があるとの見方も出ている。
コメルツ銀行のアナリストによると、日本の投資家が保有する外国長期債は2兆ドルを超えており、内訳は55%がドル建て、18%がユーロ建てとなっている。ユーロ圏国債で最も保有が多いのがフランス国債で、独連邦債の保有規模はオランダ国債と同程度という。
ダンスケ・バンクのエコノミスト、ピエト・ヘインズ・クリスチャンセン氏は、日銀の今回の決定による世界市場への影響は、日銀が日本の10年債利回りの上昇をどの程度許容するかによると指摘。ただ、日本の利回りがまだ1%に近づいていないことに言及し、「(厳格に上昇を抑える)ハードキャップなら、日本でもっと大きな反応が見られるはずだ」と述べた。
日経先物33130、ダウ先35592、債先147.12、米3.957、独2.4625、仏3.029、西3.514、伊4.111、英4.3735、波5.485、原油80.67、銅8,677、ドル円141.17、ユーロドル1.1016
※7/27 NY引け値

備忘録(2023/7/27
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米金融当局は27日、銀行に求める自己資本要件を引き上げる規制強化案を公表した。資産規模1000億ドル(約14兆円)以上の大手・中堅行が対象で、規制上必要な資本は合計で16%増える見込み。地銀の相次ぐ破綻で揺らいだ銀行システムの安定性を高めるねらいだ。
資本規制の見直しはFRBと米連邦預金保険公社(FDIC)、米通貨監督庁(OCC)の連名で提案した。意見公募を11月末まで受け付け、最終的なルールを固める。2025年7月から段階的に導入し、28年7月の完全適用をめざす。
今回は貸し倒れなどの信用リスクや、事務のミスや事故、不祥事などで損失が生じる運営リスクの計算方法について、銀行独自のモデルではなく標準的な枠組みの適用を求める。市場変動に伴う損失リスクも見直す。より厳しい基準を課すことで分母のリスク加重資産が増え、必要な自己資本も引き上げられることになる。
規制対象の銀行の規模は従来の資産7000億ドル以上から1000億ドル以上に広げる。FRBの3月末時点のデータでは、1000億ドル以上の銀行は30行ある。
例えば現在、「売却可能」という区分で保有する債券の含み損を自己資本比率の算定で含める必要があるのは一部の大手行のみだ。この会計処理を中堅行にも求める。米地銀シリコンバレーバンクの破綻時は債券の含み損が財務に与える影響が見えにくく、債券の売却時に資本不足が露呈した。こうした事態の再来を防ぐ。
米金融大手モルガン・スタンレーの推計によると、米国の大手銀行が新たな資本規制要件を満たすための資本を確保するまで、最長4年を要する可能性がある。
米連邦準備理事会(FRB)と米連邦預金保険公社(FDIC)は27日、国際金融規則「バーゼル3」の最終化として知られる資本規制強化案を公表するとみられる。2008年の金融危機後に打ち出された国際ルールの下、大手銀の安定を確保する目的がある。
モルガン・スタンレーによると、強化案では大手銀の保有リスク資産(RWA)の算定比率が20%に引き上げられる見通し。当初想定されていた12%を上回る水準となる。リスク資産が多ければ、新規制でより多くの資本を確保することが必要になる。
モルガン・スタンレーのアナリストは、シティグループやゴールドマン・サックスについて、新たな資本要件を満たすまで3─4年と、ほかの大手銀より長くかかると見込んだ。
JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカについては2年未満で達成可能だと見通した。
バーFRB副議長(金融規制担当)は今月の講演で、銀行は新たな要件を満たすため2年の内部留保が必要だろうとの見方を示していた。
当局の試算では、一連の規制強化で対象行の普通株などの中核的自己資本の必要額は合計で1700億ドル(16%)増えるという。影響が大きいのは「G-SIB」と呼ぶ世界の金融システム上で重要とみなされる銀行やそれに次ぐ資産規模の銀行で、同19%増になる。
実際の影響額は各行で異なり、大半の銀行は既に新しい規制要件を満たす資本を現時点で持っているという。現状で未達の銀行は利益の蓄積を通じて資本を積み増すことになり、自社株買いや増配などの株主還元で制約を受ける可能性がある。
銀行業界は資本の上積み要求に反発している。
米銀大手のロビー団体、金融サービスフォーラムのケビン・フロマー最高経営責任者(CEO)は27日に出した声明で「今回の提案は消費者や企業への融資のコストを増やし、利用可能性を低下させるものだ」と訴えた。資本負担増を回避したい銀行は融資を絞ることでリスク資産を減らそうとする可能性が高いためだ。
FRBのパウエル議長はこうした規制強化の副作用にも理解を示す。FRBが同日開いた公開形式の理事会では「(銀行などに)必要以上の負担を強いることなく金融システムを強固に保ち、経済を保護する効果的かつ効率的な規制を実現したい」と述べた。
今回の取引で決定的に重要だったのは、バンク・オブ・カリフォルニアの助言役も務めたJPモルガンが同行とパックウエストの合併を後押しするために一戸建て住宅のローン債権最大18億ドル相当の買い入れに合意したことだ。バンク・オブ・カリフォルニアとパックウエストはこのローン債権について、合併後に売却する必要があるとの結論に至っていた。
●その他産業
ヴァレンティノの親会社でカタールの投資法人メイフーラから2023年末までに17億ユーロ(約2640億円)で買い取る。
ケリングは2028年までにヴァレンティノ株の100%買い取りを選択することもできる。ケリングによると今回の取引は「より幅広い戦略的パートナーシップの一環」で、メイフーラは今後ケリングの株式取得も検討するとしている。
●決算関連
2023年4〜6月期(国際会計基準)の連結決算は、営業利益が前年同期比12%増の1685億円だった。消化器系疾患向けをはじめ主力薬の販売が堅調だった。円安も寄与した。持ち分法を適用していた会社を連結子会社化したことによる投資の評価益がなくなり、純利益は893億円と15%減った。
売上高にあたる売上収益は9%増の1兆586億円だった。潰瘍性大腸炎・クローン病の治療薬「エンティビオ」が米国などで伸び、消化器系疾患分野の売上収益は9%増の2935億円だった。血漿(けっしょう)分画製剤も好調で、同分野の売上収益は31%増の1865億円となった。
フォルクスワーゲン(VW)が27日発表した2023年1〜6月期決算は、営業利益が前年同期比12%減の113億4700万ユーロ(約1兆7600億円)だった。新車販売台数は13%伸びたが、原材料価格の上昇が響いた。消費者の購買力低下などを見込み、23年12月期通期の販売台数の見通しは下方修正した。
2023年1〜6月期決算は最終損益が20億ユーロ(約3250億円)の黒字だった。ロシア事業撤退の損失を計上した前年同期(13億ユーロの赤字)から一転、黒字に転換した。欧州で電気自動車(EV)販売が好調で、売り上げ、利益率ともに改善している。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比14%増の36億4100万ユーロ(約5700億円)だった。最上級車種と電気自動車(EV)の販売が伸び、23年通年では営業利益に相当するEBIT(利払い・税引き前利益)の予想を従来の「前期をわずかに下回る」から「前期並み」へと引き上げた。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比24%増の13億2800万ポンド(約2400億円)だった。中央銀行の金融引き締めによる利ざやの改善で金利収入が増加したほか、前年同期に計上した訴訟関連の費用がなくなったことが利益を押し上げた。
純金利収入は35%増の32億7000万ポンドだった。英イングランド銀行(中央銀行)の利上げが追い風となり、主力の英国を中心に伸びた。前年同期に有価証券の過剰発行に対する米証券取引委員会(SEC)の罰金などで13億ポンド超を計上した訴訟関連損失がなくなったことも大きかった。
手数料収入は30%減の30億1500万ポンドとなった。市場や投資銀行部門の顧客取引が低調だった。融資の焦げ付きに備える与信費用は86%増の3億7200万ポンドだった。融資残高は3374億ポンドとほぼ横ばいだった。
C・S・ベンカタクリシュナン最高経営責任者(CEO)は「混迷したマクロ環境に対して慎重に対処し、多様な収益源やコスト抑制によって安定した業績を達成できた」とコメントした。
米国内では、メニューに工夫を凝らしたり、従業員のレベル向上でシェアを拡大。Placer.aiのデータによると、第2・四半期の来店客は8.4%増加し、業界全体の1.2%増を上回った。
世界既存店売上高は11.7%増加。リフィニティブIBESが集計したアナリストの平均予想(8.88%増)を上回った。
鶏肉やチーズなどの主要食材コスト低下も寄与し、米国での利益率は改善した。
米国の既存店売上高は10.3%増で予想の8.6%増を上回った。
純利益はほぼ倍増の23億1000万ドル。
2023年4〜6月期決算は純利益が前年同期比28%減の40億8800万ドル(約5700億円)だった。原油や天然ガスの価格が前年に比べて下落したことが響いた。業績に陰りは出ているが、通期での株主還元の方針は維持する。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比で約3倍の19億ドル(約2600億円)だった。主力の北米市場を中心に、商用車事業が好調だった。一方、赤字が続くEV事業は採算が悪化しており、23年12月期の損益見通しを引き下げ、赤字が拡大するとした。
2023年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比15%減の129億4900万ドル(約1兆8000億円)、最終損益が14億8100万ドルの黒字(前年同期は4億5400万ドルの赤字)だった。パソコン向け半導体などは苦戦が続いているが、コスト削減や税負担の軽減により3四半期ぶりに最終黒字に転換した。
PC市場は新型コロナウイルス流行に伴う需要急増の反動でここ1年は低迷が続いたが、調査会社カナリスによると4─6月のPC出荷台数は11.5%減と、前2四半期の30%減から落ち込みが和らいだ。
PC向けを含む中核部門の売上高は4四半期連続で大きく落ち込んでいたが、第2・四半期は前年同期比12%減の68億ドルだった。
データセンター・人工知能(AI)部門の売上高は15%減の40億ドル。市場予想を上回ったものの、マイクロソフトなどクラウド大手によるデータセンター向け支出拡大の恩恵がエヌビディアなどAI半導体を手掛けるメーカー中心になっていることを示した。
第3・四半期の調整後1株利益見通しは0.20ドル。リフィニティブがまとめた市場予想は0.16ドルだった。
●先進国、グローバル、金融市場
4〜6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比の年率換算で2.4%増だった。2.0%増との予測を上回った。利上げ開始から1年が経過しても景気の失速は回避されている。
27日の理事会で、初の9会合連続の利上げを決めた。利上げ幅は5月、6月と同じ0.25%とし、政策金利(中銀預金金利)は2000〜01年の最高水準に並ぶ。欧州ではインフレ率が高止まりしており、一段の金融引き締めが必要だと判断した。
ECBは主要政策金利を4.25%、銀行が中央銀行に預ける際の中銀預金金利を3.75%に引き上げる。中銀預金金利は1999年に単一通貨ユーロが誕生してから最も高い2000年10月〜01年5月の水準に並ぶ。22年7月の利上げ開始から累計の引き上げ幅は4.25%で過去最速ペースだ。
国際エネルギー機関(IEA)は27日、昨年の世界の石炭消費が3.3%増の83億トンと、過去最高を更新したとの報告書をまとめた。
今年の石炭消費も昨年に近い水準で推移する見通し。米欧で減少したが、アジアで大幅に増加しているという。
報告書によると、今年と来年は石炭火力発電が小幅に減少するものの、石炭の工業利用増加で相殺される可能性が高い。
今年上半期は、米国と欧州連合(EU)の石炭需要がそれぞれ24%減、16%減と、予想以上に減少したが、二大消費国である中国とインドの需要が5%以上増加し、他の地域の減少分が完全に相殺された。
今年上半期の世界の石炭需要は約1.5%増の約47億トン。発電が1%増、発電以外の工業利用が2%増。
今年の石炭消費は中国とインドが世界全体の70%近くを占め、米国とEUは10%程度にとどまる可能性があるという。
IEAの幹部は「石炭はエネルギー部門で最大の炭素排出源だ。欧米ではクリーンエネルギーの拡大で石炭の利用が構造的に減少している」と指摘。「だが、アジアでは、多くの国が再生可能エネルギー源を大幅に強化しているものの、(石炭)需要は高止まりしている」と述べた。
2025年後半までに予定される総選挙を前に今回が最後の改造となる可能性がある。トルドー政権は、住宅不足やインフレ高進で批判されており、世論調査では野党保守党にリードを許している。
トルドー首相は、新閣僚発表後の会見で「新メンバーと新たなチャレンジでフレッシュなエネルギーを取り入れることは、特に経済チームにとって重要だった。われわれは、住宅、生活費インフレ、金利といった大きな経済的課題に直面している」と述べた。
世論調査会社エコスのフランク・グレイブズ社長は「今回の改造は政府が有権者との関係が健全でないことを認識しているという明確なメッセージを送っている」と指摘した。
英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)が27日公表した調査によると、イングランド銀行(英中央銀行)の利上げで信用状況が厳しくなる中、不動産鑑定士の間で商業用不動産市場が低迷しているとの見方が3分の2に上った。
産業用不動産、学生向け住宅、一等地のオフィスなど一部セクターは堅調であるものの、会員の68%が市場全体は低迷していると回答した。
RICSのエコノミスト、タラント・パーソンズ氏は「借入コスト上昇は投資家の需要を圧迫し、資本価値に新たな圧力をかけるため、商業用不動産市場のセンチメントにほぼ必然的に影響を与えている」と述べた。
資金調達環境は2014年終盤にこの項目の調査が開始されて以降で最も厳しい見方が示された。
ドイツの市場調査グループGfKが27日発表した8月の独消費者信頼感指数はマイナス24.4となり、前月のマイナス25.2(改定値)から上昇した。市場予想のマイナス24.7も小幅ながら上回った。インフレ率低下への期待感から、所得に対する期待値が大幅に上向いた。
所得に関する期待値は7月は5.5ポイント上昇しマイナス5.1となり、ウクライナで戦争が始まって以来の高水準に達した。
GfKの消費専門家ロルフ・ビュルクル氏は「悲観ムードが後退した理由は主にインフレ率低下への期待感だ」と指摘。「消費者心理の回復が再開する可能性がやや高まったことを意味する」が、向こう数カ月は低水準にとどまり、民間消費が経済にプラスに寄与することは目先はないとの見方を示した。
ハント英財務相の経済顧問らは、イングランド銀行(英中央銀行)が今後数カ月間に過度な利上げを実施し、同国経済を不必要なリセッション(景気後退)へと追い込む恐れがあるとの懸念を強めている。
7人で構成される経済諮問委員会のメンバーのうち過半数は30年ぶりの急ピッチで進めている英中銀の利上げは減速の必要があると強く考えていると、事情に詳しい関係者が明らかにした。インフレ統計やその他データが総じて価格上昇ペースの減速を示唆する中で、財務省幹部もこの見解を深刻に受け止めているという。内部協議を話しているとして匿名を条件に同関係者が語った。
同関係者によれば、経済諮問委はハント氏に米国などに続き、英国のインフレ率も年末までに急低下するとの予測を伝えている。
経済諮問委の一部メンバーは、2021年12月に始めたインフレ退治は遅過ぎたとの批判を受け、英中銀が引き締め継続に対する世論の圧力を感じているのではないかと懸念している。
レジャー・接客業の雇用者数は依然としてパンデミック(世界的な大流行)前の水準を下回っている。
15日までの1週間の継続受給件数は5万9000人減の169万人となった。2022年から今年初めにかけてテクノロジーと金融セクターで行われた大規模なレイオフにもかかわらず、過去の水準から見れば低水準を保っており、レイオフされた労働者の一部が速やかに再就職していることを示唆している。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の債務残高は国内総生産(GDP)に対し4-6月(第2四半期)に過去最大となった。ただ、消費者や企業の借り入れ意欲は低調で、経済成長に打撃を与えている信頼感の低下を裏付けている。
中国人民銀行(中央銀行)と国家統計局のデータに基にしたブルームバーグの算出によれば、家計と企業、政府部門を合わせた4-6月の債務総額は対GDP比281.5%に上昇。1-3月(第1四半期)は279.7%だった。
債務残高の対GDP比上昇は、企業や家計のレバレッジ(借り入れ)縮小が引き起こすとされる「バランスシート不況」に中国が陥っていないことを示唆しているが、エコノミストらは借り入れの伸び鈍化がGDPの成長率を圧迫するとみている。
北京にある政府系シンクタンク、国家金融・発展実験室(NIFD)は25日公表したリポートで、4-6月のマクロレバレッジ比率(総債務の対GDP比)が283.9%に上昇したと推計。
ただ、家計債務の伸び率は過去20年平均の半分で、経済成長の将来見通しが立たないため企業は「様子見モード」に入ったと指摘した。
国家統計局が27日発表したデータによると、6月の工業利益は前年同月比8.3%減少。5月は12.6%減っていた。1-6月(上期)では前年同期比16.8%減少と、1-5月(18.8%減)に比べてマイナス幅は縮小した。
不動産市場の低迷や輸出の縮小、小売売上高の鈍化で中国の景気回復は4-6月(第2四半期)に失速していた。
国有企業の利益は1-6月に前年同期比21%減少。1-5月は17.7%減だった。民間企業と外資系工業企業の利益はそれぞれ13.5%減、12.8%減と、1-5月から改善した。
ユーラシア・グループの中国・北東アジアコンサルタント、ジェレミー・チャン氏は「ここ数カ月、習氏がとりわけ慎重なアプローチを強めているのは明らかだ。昨年秋の行動から想定されたゴリラのボスのようにはなっていない」と話した。
●中東
トルコ中央銀行のエルカン総裁は27日の記者会見で、足元で38%のインフレが加速し、2023年末時点で58%になるとの見通しを示した。金融政策の引き締めを継続し、高インフレに対応する決意を示した。
エルカン氏は会見で「段階的な利上げと量的な引き締め、選択的な与信の引き締めによって物価の安定を達成する」と述べた。自身が就任する前の中銀が22%としていた年末時点のインフレ予想を58%に引き上げ、本格的な安定は25年以降になるとの見方を示した。
市場ではこれまでの見通しが楽観的すぎるとの見方が強かったため、会見に参加した民間エコノミストらからは「久しぶりに現実的な予想だ」などと評価する声が上がった。
中銀は為替介入などでリラのさらなる急落を抑えてきたが、5月に純外貨準備がマイナスに転じ限界を迎えた。エルドアン氏は同月の再選後、財務省や中銀のトップを一新。中銀は6〜7月の2会合で計9%の利上げを実施し、政策金利を年17.5%とした。
ただ、中銀は「段階的」な利上げを掲げ、利上げ幅はいずれも事前の市場予想に届かなかった。インフレ率を考慮した実質金利はマイナスのままで、6月の決定会合後もリラは対ドルで7%下落した。これに対し、エルカン氏は量的緩和の縮小などと合わせた「包括的な手法」が重要だと強調した。
トルコではエルドアン氏がたびたび中銀総裁を更迭するなどして、金融政策を事実上決定してきた。エルカン氏は「データと科学に基づき、独立した政策決定を行う」と断言した。エルドアン氏の金融政策について問われた際は「政治的な問題にはコメントしない」と述べて回答を避けた。
●中南米・アフリカ
西アフリカ・ニジェールの治安部隊は26日、バズム大統領を拘束し、権力を掌握したと発表した。
治安部隊のアマドゥ・アブラマヌ大佐が国営放送を通じて声明を発表し、「経済社会的ガバナンスの劣悪さと治安悪化が続いた」ために「政権に終止符を打った」と説明した。
全ての機関が停止され、議会も解散となった。また午後10時から午前5時までの夜間外出禁止令も出された。
●市況
ドルが対ユーロで上昇した。 一連の米経済指標が予想を上回ったことで、インフレ対応のために利上げを継続してきた米連邦準備理事会(FRB)がハト派化す
るとの観測が後退した。   
円は対ドルで0.77%高の139.14円。日経新聞電子版は、日銀が28日に開く金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正案を議論する方針と報道。長期金利操作の上限は0.5%で据え置くものの、市場動向に応じて超過を容認する案が浮上していると報じた。
日銀は超緩和的な政策スタンスを維持するとみられているが、政策に微調整を加える可能性は残っている。クレディ・スイス(ニューヨーク)のマクロ・ストラテジスト、アルビーズ・マリノ氏は「市場は日銀のタカ派的な動きを示す可能性に備えている」としている。    
国債利回りが低下した。欧州中央銀行(ECB)が27日の理事会で、主要政策金利を0.25%ポイント引き上げ、中銀預金金利は2000年以来の高水準となる3.75%となった。
債券利回りは利上げ決定後とラガルド総裁の記者会見中に急低下したが、その後戻し、利上げ決定前よりわずかに低い水準となった。
ドイツの2年国債利回りはECB発表前の3.241%から一時3.171%に低下した。終盤は4bp低下の3.229%だった。
多くのアナリストが、ECBとラガルド総裁からハト派的なトーンが感じられたと指摘する。SEBの欧州金利戦略責任者ユッシ・ヒルヤネン氏は「ラガルド総裁は記者会見で、追加利上げの明確なシグナルを出さず、今後のデータ次第であることを強く強調した。以前の会合ではさらなる利上げが予想されることを明確に示唆していた」と述べた。
ラガルド総裁は会見で「カバーすべきことはまだあるのか。現時点ではそうとは言えない。これまでも述べた通り、9月やそれ以降の理事会でカバーしなければならない範囲がどの程度あるのかは、データやデータの評価によって判明する」と述べた。
独10年債利回りは一時2.374%まで低下した。ECBの決定前は2.431%だった。その後はほぼ横ばいの2.454%まで戻した。
デリバティブ市場では、ECB政策金利のピークは今年12月で約3.92%とみられている。9月に0.25%ポイントの利上げが実施される可能性は約44%から40%弱に低下した。
日経先物32502、ダウ先35444、債先147.54、米4.012、独2.4410、仏3.006、西3.533、伊4.075、英4.3555、波5.439、原油79.65、銅8,551、ドル円138.99、ユーロドル1.0982
※7/28 8時40分頃

備忘録(2023/7/26
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
ブルームバーグインテリジェンス(BI)によると、米銀大手6行のJPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス・グループには現在、余剰資本である普通株等ティア1(CET1)が推計1180億ドルある。しかし、バーFRB副議長が提案する資本の2ポイント上積みが実行されれば、このクッションはほぼ完全に消失することになるとBIではみている。
BIのアナリスト、アーノルド・カクダ氏は「追加のペナルティーを受けるのはウォール街の銀行だ」とインタビューで発言。トレーディング事業が「特に大きな打撃を受けるだろう」と話した。
●その他産業
ドイツの自動車大手BMWの日本法人は26日、エンジンの不具合で火災の恐れがあるとして、「BMW 320d」や同社の小型車ブランド「MINI」の「MINI Cooper SD」など計27車種16万9782台(2012年6月〜22年12月製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。
●決算関連
2023年4〜6月期決算は、最終損益が1億4900万ドル(約210億円)の赤字(前年同期は1億6000万ドルの黒字)に転落した。防衛宇宙部門の損失計上などで4四半期連続の最終赤字となった。
開発中の新型宇宙船「スターライナー」の打ち上げ延期で2億5700万ドル、米空軍向けの次期練習機「T-7A」の製造コスト上昇で1億8900万ドルの損失をそれぞれ計上した。
商用機部門も中型機「787」の製造品質問題などで特別損失を計上したことで赤字が続く。一方、4〜6月の納入機数は前年同期比12%増の136機に改善した。「787」の足元の製造ペースは月産4機で、23年末に同5機に増やす。通年の納入目標70〜80機は維持した。
小型機「737」は月産31機から同38機に増やす。通年の納入目標400〜450機は据え置いた。
旅行需要の回復などを受け、商用機部門は持ち直し傾向が続く。全体のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は25億7900万ドルの黒字(前年同期は1億8200万ドルの赤字)に転換した。
最終赤字も4億2500万ドルだった1〜3月より縮小しており、デビッド・カルフーン最高経営責任者(CEO)は「納入は改善しており、フリーキャッシュフローは力強い」と強調した。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比34%増の25億4700万ドル(約3580億円)だった。上半期が好調だったことから、23年12月期通期の業績予想を上方修正した。
ジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は同日の投資家向け説明会で「サプライチェーン(供給網)の圧力が和らぎ、銀行をめぐる懸念もなくなり、燃料価格も低下を続けている」と経済環境に前向きな姿勢を示した。
今後の値上げについては「高インフレが続く国を除けば、値上げのペースは普通の年と同じ水準だ」と説明した。
23年12月期通期については、通貨変動や買収などの影響を差し引いた実質売上高で前期比8〜9%増(従来予想は7〜8%増)、1株利益は5〜6%増(従来予想は4〜5%増)を見込む。引き続き米ドル高が3〜4%の減益要因になると予想している。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比14%増の26億7000万ユーロ(約4200億円)だった。金利上昇による利ざやの改善で欧州を中心に稼いだことで、米国での貸倒引当金の増加を補った。
純金利収入は10%増の105億2400万ユーロだった。欧州中央銀行(ECB)による利上げが追い風となり、スペインやポルトガルで大きく増えた。純手数料収入は1%増の30億6000万ユーロだった。デジタル決済システムや自動車金融の好調で南米を中心に伸びた。
貸倒引当金は11%増の29億3600万ユーロと増えた。米国での景気悪化や、ポーランドでのスイスフラン建ての不動産ローンの損失に備えた。
サンタンデール銀行のアナ・ボティン会長は「グローバル・ネットワークの活用と事業の簡素化という戦略目標の進展によって、業績を改善することができた」とコメントしている。
4〜6月期決算は、純利益が7億6300万ユーロ(約1100億円)と前年同期比で27%の減益だった。主力の商業銀行部門は金利上昇を追い風に伸びたものの、投資銀行部門が振るわなかった。8月から年内に最大4億5000万ユーロ規模の自社株買いを実施する。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比15%増の23億1000万ユーロ(約3600億円)だった。世界的な金融引き締めで利ざやが拡大して金利収入が増加し、23年通期の業績予想も上方修正した。
純金利収入は41%増の34億9700万ユーロだった。欧州中央銀行(ECB)の利上げによる市場金利の上昇が追い風となり、イタリアや中欧で大きく伸びた。純手数料収入は1%減の19億500万ユーロだった。イタリアでの預金手数料の引き下げや運用残高の減少による投資手数料の下落が影響した。
23年通期の業績予想では純利益が72.5億ユーロ以上と、1〜3月期の決算発表時点の65億ユーロを上回るとの見通しから引き上げた。純金利収入も132億ユーロ以上と、前回の126億ユーロ超から伸びるとした。
アンドレア・オーセル最高経営責任者(CEO)は「高インフレにもかかわらず一層のコスト削減を実現し、純金利収入が堅調に推移した結果だ」とコメントした。
米通信大手AT&Tの4-6月(第2四半期)決算では、利益とフリーキャッシュフローがアナリスト予想を上回った。
同社の26日発表によれば、一部項目を除いた利益は1株当たり63セント、フリーキャッシュフローは42億ドル(約5900億円)だった。売上高は約1%増の299億ドル。
ブルームバーグがまとめたデータによると、アナリストの平均予想は、1株当たり利益が60セント、フリーキャッシュフローが37億7000万ドル、売上高が300億ドルだった。
AT&Tは通期のフリーキャッシュフローについては従来通り160億ドルもしくはそれ以上を見込んでいる。同社は1-3月(第1四半期)のフリーキャッシュフローが市場予想を大幅に下回る10億ドルとなったことで、配当支払い能力が疑問視されていた。
2023年のEBIT(利払い・税引き前利益)が前年並みの205億ユーロ(227億ドル)になるとの見通しを示した。これまで小幅な減益を予想していたが、上方修正した。販売価格の上昇により、原材料コスト高や為替レートの悪影響を相殺できるようになったため。
第2・四半期のEBITは50億ユーロと、市場予想の47億ユーロを上回った。
2023年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比11%増の319億9900万ドル(約4兆4900億円)、純利益が16%増の77億8800万ドルだった。景気減速の逆風を受けてきたインターネット広告事業が復調してきたほか、コスト削減も寄与し、7四半期ぶりに最終増益を確保した。
●先進国、グローバル、金融市場
最近の指標は経済活動が穏やかな(moderate)ペースで拡大していることを示している。ここ数カ月、雇用の増加は堅調で、失業率は低水準にとどまっている。インフレ率は依然として高い水準にある。
米国の銀行システムは健全で回復力がある。家計や企業の信用状況の引き締まりは、経済活動や雇用、インフレに影響を及ぼすとみられる。これらの影響の度合いは依然として不透明だ。FOMCはインフレリスクを引き続き注視している。
FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。これらの目標を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25〜5.5%に引き上げることを決めた。今後入ってくる情報と、金融政策への影響を注視する。
インフレ率を長期的に2%に戻すのにどの程度の追加の政策が適切であるかを決める際、FOMCは金融政策の累積的な引き締めや、経済活動やインフレに影響を与える時間差、経済・金融情勢を考慮する。さらに、以前発表した計画に示されているように、国債、機関債、住宅ローン担保証券の保有量の削減を継続する予定だ。FOMCはインフレを2%目標に戻すことに強く注力している。
金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。
決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む11人のメンバーの賛成による。
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏:
FOMCの声明はあくびが出るような内容であるものの、当局は今後の金融政策会合が毎回、開催してみないと結果が分からない「ライブ」なものと考えていることが大まかなシグナルだ。
インフレ鈍化と労働市場の逼迫(ひっぱく)という紛らわしいシグナルを考えれば、あらゆる選択肢を残しておくことが賢明なアプローチと思われる。
◎キー・プライベート・バンクの債券担当マネジングディレクター、ラジーブ・シャルマ氏:
われわれの見解では、利上げサイクルは終了し、米金融当局は年内利上げを休止する。イールドカーブのフロントエンドで利回りが若干低下していることから、直近の市場の反応もこの見方を支持している。
◎マニュライフ・インベストメント・マネジメントのグローバル・チーフエコノミスト、フランシス・ドナルド氏:
われわれの基本シナリオでは、米金融当局の次の動きは恐らく利下げになるだろうが、それを目にするには2024年までかかるだろう。
ただ、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、市場が利下げを早計に織り込みインフレ期待を再燃させることのないよう、利上げする構えを維持し続けるしかない。
◎オアンダのシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏:
米金融当局は将来の追加利上げの選択肢を維持しているが、恐らくその必要性はない。景気が軟化して企業は信用状況引き締まりの影響を感じ始め、ディスインフレのプロセスは続くだろう。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合終了後の記者会見で、「この先、適切と考えられる追加政策引き締めの程度を決定する上では、引き続きデータ重視のアプローチで臨む」と述べた。
声明では、「委員会は追加情報とその金融政策への含意を引き続き見極めていく」と記述。「インフレ率を時間とともに2%に戻すために適切となり得る追加的な政策引き締めの程度を決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅効性、経済や金融の情勢を考慮する」と記された。今回の声明は前回とほぼ同内容だった。
次回9月の会合で政策金利を据え置くのか、それとも追加利上げに動くのかは、データが正当化し得るとパウエル議長は説明。FOMCは1会合置きの利上げに傾斜しているのかどうかも含め、将来の政策行動について何も決定していないと発言。「会合ごとに判断していく」と述べた。
議長は「データが正当化すれば、9月会合で再び利上げする可能性は当然あると言えよう。そして、同会合で金利据え置きを選択する可能性もあると言っておく」と語った。
インフレに関しては、FOMCによる沈静化の取り組み奏功という明るい兆候が見られるとしながらも、「政策は期待された効果を完全に得られるほど十分に抑制的でなく、期間も不十分だとわれわれは認識している」と指摘。
「改めてわれわれは、インフレ率が2%目標へと持続的に低下していると確信するまで政策を抑制的なものに維持する意向であり、適切だと判断されれば追加引き締めに動く用意がある」と表明。「このプロセスには恐らくまだ長い道のりが残っていると思われる」と付け加えた。
米経済についてパウエル氏は、FRBのスタッフエコノミストはもはやリセッション(景気後退)を予想していないと説明した。
「スタッフは現在、成長の顕著な減速が年内に始まると予想しているが、最近の経済に見られる強靱(きょうじん)性から、もはやリセッションは見込んでいない」と語った。
イタリア当局者は米国に対し、メローニ氏が同協定から離脱することを内々に伝えているが、同氏は短い訪米期間中に離脱を公に表明することはまだ予定していないと、首相の考えをよく知る関係者が明らかにした。関係者は匿名を条件に述べた。
ドイツ銀のシニア・エコノミスト、サンジェイ・ラジャ氏は「消費者物価指数(CPI)伸び率が予想を大幅に下回り、サービス部門CPIも予想を下回ったため、8月の会合で0.25%の利上げが決定される可能性が高まった」と述べた。
ドイツ銀は11月までの全ての会合で0.25%の利上げが決定されると予想。このため、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)見通しは5.75%から変わっていない。従来は8月に0.50%、9月に0.25%の利上げが実施されると予想していた。
タイ財務省は2023年の経済成長率見通しを3.6%から3.5%に引き下げた。同省高官は26日明らかにした。観光業は好調だが世界的な需要の低迷で輸出が伸び悩む見込み。
ポーンチャイ財政政策局長はブリーフィングで、輸出の見通しを0.5%減から0.8%減へ下方修正したと明らかにした。
第1・四半期の成長率は前年同期比2.7%増と予想を上回った。昨年は2.6%だった。
今年の外国人観光客数は2950万人の予想を据え置いた。新型コロナウイルス流行前の19年には4000万人近い外国人観光客が同国を訪れた。
今年の総合インフレ率予想は1.7%。昨年は6.08%と24年ぶりの高水準を記録した。
オーストラリア統計局が26日発表した第2・四半期の消費者物価指数(CPI)上昇率は予想以上に減速し、追加利上げ圧力が弱まる可能性を示唆した。休暇関連やガソリンの価格が下落した。
前期比上昇率は0.8%と、2021年第3・四半期以来の小幅な伸びにとどまり、市場予想の1.0%を下回った。
前年比の伸びも7.0%から6.0%に鈍化し、市場予想の6.2%を下回った。
コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は前期比0.9%上昇。前年比上昇率は5.9%で、市場予想の6.0%をやや下回った。
6月単月のCPIは前年同月比5.4%上昇。5月の5.5%から伸びが鈍化した。
豪ドルは下落。先物市場では8月1日の理事会での0.25%利上げの確率が50%から31%に低下した。政策金利の予想最終到達水準も4.42%から4.32%に低下した。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのマクロ経済予測部門代表のショーン・ラングケーキ氏は「労働コストの見通しには懸念が残るものの、これらのデータは中銀が時間稼ぎをして金利を現行水準に維持することを可能にするものだ」と指摘した。
ANZのシニアエコノミスト、アデレード・ティンブレル氏は「4.1%という現行の政策金利がインフレを押し下げるのに十分制約的であるということがCPI統計で鮮明になった」と述べた。ANZは政策金利がピークに達したとみている。
一方、INGのアジア太平洋調査責任者ロバート・カーネル氏は、7月のCPIも鈍化が予想されるものの、それ以降も鈍化が続くかは不透明で、9月利上げはあり得るとの見方を示した。
ナショナル・オーストラリア銀行は8月の利上げは見送られると予想した。ただ賃金上昇圧力、エネルギーコストやサービス価格の上昇により、今四半期は物価が上昇する恐れがあるとした。
同行のエコノミストは「数カ月以内に一段の引き締めが行われるリスクが残るが、同時に金利のピークが近いことをインフレの状況が示している」と述べた。
ゴールドマン・サックスは豪中銀があと2回利上げすると予想した。政策金利のピークは4.6%とし、従来予想の4.85%から引き下げた。
野村は8月の利上げ休止の確率を従来の3分の1から3分の2に引き上げた。
インフレ率は引き続き中銀目標の2─3%を上回っている。また第2・四半期は、財インフレ率が7.6%から5.8%に低下する一方、当局が高止まりを懸念するサービス部門のインフレ率は6.3%と22年ぶり高水準に加速した。旺盛な住宅需要を背景とした空室率の低下により、家賃上昇率は四半期ベースで1988年以来最も高い伸びとなった。
中銀はこれまで金利を400ベーシスポイント(bp)引き上げた。中銀は25年半ばにインフレ率が目標レンジの上限に戻ると予想するが、6月の雇用者数は予想以上に増加、失業率は約50年ぶり低水準にとどまり、労働市場は依然逼迫している。
●中国・アジア・ロシア・東欧
3氏のアプローチは、世界金融における最大のジレンマの一端を浮き彫りにしている。つまり、無視できないほど巨大でありながら、中国の一部大企業を屈服させた共産党の予測不可能な意思決定や、米国との対立の影響を受けやすい市場にいかに投資するかということだ。
習近平指導部は数兆ドル規模の市場を世界に開放する一方で、国内の「無秩序な資本拡大」を抑制しようとしている。人工知能(AI)から軍事技術、台湾問題に至るあらゆる事案を巡る米中間の緊張の高まりが、このジレンマに拍車をかけている。
竹井氏は目先のパフォーマンスより、顧客の長期的な利益を守る方が重要だと考えている。同氏が特に警戒しているのは、「ゾンビ企業」と債務不履行がまん延する中国の不動産市場だ。
中国の堅調な経済がどこから来るのか、特に債務との関係で想像するのは極めて難しいと、同氏は語った。
●中東
●中南米・アフリカ
ニジェールは世界有数のウランの産地。1960年の独立後、クーデターが繰り返し起きた。イスラム過激派の活動も続いている。
フィッチ・レーティングスは26日、ブラジルの長期外貨建て債務の格付けを「ダブルBマイナス」から「ダブルB」に1段階引き上げた。「経済や財政の課題に対処するために重要な改革で進展を遂げた」と指摘し、税制の簡素化への取り組みなどを評価した。
フィッチは2018年2月、当時のテメル政権下で、財政悪化の懸念が高まったとして格付けを「ダブルBマイナス」に引き下げていた。
ブラジルの長期債務格付けを巡っては、米S&Pグローバルは6月、「ダブルBマイナス」に据え置く一方で、見通しを「安定的」から「ポジティブ(強含み)」に引き上げている。
23年1月に就任した左派のルラ大統領を巡っては、支持基盤の低所得者層向け現金給付の大幅な拡大などが心配されていた。実際には財政への信任を考慮した政策展開で、金融市場での懸念はやわらいでいる。
●市況

主要通貨に対するドル指数が下落した。米連邦準備理事会(FRB)がこの日まで開いた政策決定会合で0.25%ポイントの利上げを決定。市場ではパウエルFRB議長が過度にタカ派的でなかったことがドル相場の動きに反映されているとの見方が出ている。
アナリストの間で、パウエル議長の会合後の記者会見での今後の見通しに関する発言は、タカ派とハト派の「ほぼ中央」を行く路線だったとの見方が出ている。
国債利回りが不安定な取引の中を低下した。FRBはこの日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想通り25ベーシスポイント(bp)の利上げに踏み切った。
パウエルFRB議長は会見で、連続利上げを否定していないと述べ、インフレ率が依然として高いことを理由に再利上げの可能性を残した。ただ、市場はそれに納得していない。
リフィニティブのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物はFRBが9月会合でさらに25bp利上げする可能性を22%程度織り込んでいる。FOMCの結果発表前は約19%だった。
11月の25bp利上げの可能性は32%で、25日遅くの34.1%から低下した。
日経先物32535、ダウ先35627、債先148.25、米3.882、独2.4465、仏2.994、西3.485、伊4.108、英4.3245、波5.446、原油78.97、銅8,604、ドル円140.44、ユーロドル1.1083
※7/27 8時30*分頃

備忘録(2023/7/25)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
RTXの2023年のキャッシュフロー(純現金収支)を5億ドル(約700億円)押し下げるという。
対象となるのはエアバスの主力小型機「A320neo」シリーズに搭載するエンジン「PW1100G-JM」。同エンジンを搭載したA320neoは16年に商用飛行を開始した。15〜21年に生産された製品のうち1200台について点検が必要とし、9〜12カ月かかるという。
高圧タービンディスクの製造で使用する金属が原因という。エンジンを解体して点検し、場合によっては部品を交換する。現在生産中のエンジンの出荷には影響はないとしている。
米西部カリフォルニア州の銀行持ち株会社パックウエスト・バンコープは25日、同州を地盤とする別の中堅銀行バンク・オブ・カリフォルニア(BANC)と合併することで合意したと発表した。投資ファンドの資本も受け入れる。コスト削減や資本増強策により経営不安の払拭を狙う。
パックウエストは3月末時点の預金が22年末比で17%減少するなど経営が不安視されていた。6月末時点の預金も3月末比1%減だった。
米連邦準備理事会(FRB)によると、3月末時点の米銀の総資産順位でパックウエストは49位、BANCは135位だった。パックウエストの株主はパックウエスト普通株1株につきBANC普通株を約0.66株受け取る。
統合後の持ち株会社と銀行はBANCの名前を引き継ぐ。規制当局や株主の承認を経て、合併完了は2023年末から24年初頭となる見込みだ。合併と同じ時期に、統合会社は新株発行により米投資ファンド運営のウォーバーグ・ピンカスとセンターブリッジ・パートナーズから総額4億ドル(約560億円)の増資を受ける計画だ。
清潔な水の不足はかつて主に途上国に関わる問題だったが、今や豊かな世界でも常態化している。そうした脆弱(ぜいじゃく)性の多くが老朽化し管理が不十分な水道施設に絡むもので、機能不全となった最近の事例としては、英国が注目を浴びている。約1500万人にサービスを提供するテムズ・ウォーターは、河川への汚水の漏出を防げず、スキャンダルとなった。
ジェフリーズのESGストラテジスト、ルーク・スサムス氏は水不足について食品・飲料や農業、発電、繊維、半導体など多様なセクターに影響すると考えている。このほど開催された「オックスフォード・サステナブル・ファイナンス・サミット」で述べた。
同氏は「水不足や水問題は、間違いなくこれらのセクターにとって財務上、重要だ」と指摘。それにもかかわらず金融業界は「この議論に参加していない」と話す。
国際機関「アライアンス・フォー・ウォーター・スチュワードシップ」のチーフ・ストラテジー・オフィサー、スコット・マクレディ氏は今月、水関連リスクの理解に努める商業銀行からの問い合わせを初めて受けたと同サミットで言及。それとは対照的にコカ・コーラやダノンなどの大企業は、10年以上前から水リスクに注目してきたと言う。
●その他産業
組合は当初、全面ストライキも辞さない構えを示し、過去最大となる約1兆円の経済損失が発生するとの懸念があったが、当面回避される見通しだ。
●決算関連
2023年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比7%増の746億400万ドル(約10兆5200億円)、純利益は15%増の183億6800万ドルだった。最終増益は6四半期ぶり。主力のインターネット広告事業の持ち直したことが寄与した。
2023年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比8%増の561億8900万ドル(約7兆9000億円)、純利益は同20%増の200億8100万ドルだった。売上高は市場予測を上回ったが、伸び率は3四半期連続で10%を下回った。主力のクラウドコンピューティング事業が鈍化している。
高成長をけん引してきた主力のクラウド基盤「Azure(アジュール)」などの売上高の伸び率は前年同期比26%と1〜3月期から1ポイント減少した。企業がIT(情報技術)投資を抑制する動きが続く。
マイクロソフトは生成人工知能(AI)「ChatGPT」を開発した米新興企業オープンAIと提携し、クラウド基盤にAI機能を組み込んだ「アジュール・オープンAI・サービス」を提供している。AI技術を成長の柱に据えるが、収益への寄与はまだ時間がかかっている。
企業向けの業務ソフトをまとめた「マイクロソフト365」は15%の増収だった。基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の売上高は12%減少し、新型コロナウイルス感染拡大期のパソコン買い替えからの反動減が続いている。
1株利益は2.69ドルと市場予測を上回った。25日の時間外取引でマイクロソフトの株価は一時終値から約3%下落したのち、約1%安で推移している。
マイクロソフトは生成AIをクラウドサービスだけでなく、業務ソフトの「365」、OSの「ウィンドウズ」、検索エンジン「Bing(ビング)」といったあらゆる事業に組み込む戦略を描いている。
18日には「365」で資料作成やメールの返信といった作業をAIで支援する機能を月30ドルで提供を始めると発表し、収益化を急いでいる。
需要が堅調なほか、これまでの値上げやコスト削減策が功を奏している。
バイオジェンは2025年までに従業員の11%強に相当する1000人を削減し、営業費用を追加で7億ドル(約1000億円)削減すると発表した。
4-6月(第2四半期)売上高は24億6000万ドルと、アナリスト予想の23億7000万ドルを上回った。多発性硬化症(MS)治療薬の売り上げが前年比15%減となったものの、受託製造やその他の非製品売上高が倍増した。調整後1株利益は4.02ドル。アナリスト予想の平均は3.76ドルだった。
2023年通期の調整後1株利益を2.10─2.30ドルと予想し、従来の1.70─2.00ドルから引き上げた。ジェットエンジンの予備部品や航空会社向けサービスの需要が堅調で、第2・四半期利益が市場予想を上回ったことを受けた。
ラリー・カルプ最高経営責任者(CEO)はインタビューで、金利上昇にもかかわらず需要が軟化する兆候は見られないと述べた。
航空業界ではパンデミックからの回復が予想以上に早く、エンジンメーカーの業績を押し上げている。航空機不足により、航空会社は古いジェット機を長く使用せざるを得ず、アフターマーケットサービス需要も堅調だ。
ジェット機エンジンを製造するGEの航空宇宙部門は、受注、売上高、営業利益が前年比2桁増となった。サービス収入は前年比31%増。昨年の同部門売り上げの70%はサービスが占めていた。
仏サフランとの合弁会社で生産しているLEAPエンジンの納入も拡大した。カルプ氏によると、航空宇宙部門は8月に部品の値上げを実施する。
航空宇宙部門の通年営業利益は56億─59億ドルとなる見込み。従来予想は53億─57億ドルだった。
再生可能エネルギー部門については、売り上げが従来予想を上回り、23年の営業利益が「大幅に」改善する見込みという。
米複合企業スリーエム(3M)が25日、通期の1株利益見通しを8.50―9.00ドルから8.60―9.10ドルに引き上げた。
3Mは原材料価格や人件費の増大による影響を相殺するため値上げに動いた。また今年に入り、消費家電需要の減退を受けて世界全体で従業員の10%を減らした。4月には、電気自動車(EV)関連などの高成長分野に事業を集中し、2025年までに最大9億ドルの経費を節減するとの見通しを示している。
第4・四半期の純損益は、前年同期の黒字から赤字に転じた。自然界で分解されにくい「永遠の化学物質」による水質汚染を巡る責任を問われた訴訟で、米公共水道事業者に103億ドルの和解金を支払うことになったため。
●先進国、グローバル、金融市場
5月のS&Pコアロジック・ケース・シラー指数では、全米の住宅価格(季節調整済み)が前月比で0.7%上昇した。前月比でプラスとなるのは4カ月連続。高金利にもかかわらず、住宅価格が底入れしていることを示唆している。
市場予想(前月比0.6%程度上昇)を上回る伸び率となった。主要20都市でみた上昇率は1.0%だった。ニューヨークの上昇率が1.8%と最も高く、中西部オハイオ州クリーブランド(1.7%)や同ミシガン州デトロイト(1.6%)が続いた。下落したのは南部アリゾナ州フェニックス(0.1%下落)のみだった。
前年同月比でみた全米の価格指数は0.5%下落した。4月に11年ぶりの下落に転じており、2カ月連続での下落となったが、価格水準は過去最高レベルを維持したままだ。
米連邦住宅金融庁(FHFA)が同日発表した5月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は、前月比で0.7%上昇した。前年同月比でも2.8%の上昇だ。エバコアISIのスタン・シプレー氏は「7〜9月期の経済成長のモメンタム(勢い)が予想より強いことを示している」と述べた。
既存の住宅保有者は、低金利時に組成したローンの借り換えを避けたがる。家を売らないため全米の住宅の9割を占める中古市場に物件が出回らず、在庫が低迷している。6月の中古住宅の販売件数は416万戸と前年同月比で19%減ったが、在庫も同14%少なく、市場が低迷しても価格が下がらない状況となっている。
ECBの銀行貸し出し調査によると、落ち込みは金融機関の予想を「大幅に上回る」ものだった。住宅ローンやその他の消費者向け融資への需要も一段と減少したという。
四半期に一度行われるこの調査によって、ECBの前例のないインフレ退治の取り組みが貸し出しにどのような影響を及ぼしているかを垣間見ることができる。既に減速している経済を失速させることなく物価上昇率を目標の2%に戻そうとするECBにとって、融資は政策効果を波及させる主要な経路だ。
需要の軟化に加え、ユーロ圏の銀行が企業と家計向け融資の基準を厳格化したことも分かった。景気低迷と資金調達コストの上昇が背景にある。
ECBは「2022年初頭から引き締めが続き、その累積は相当な規模になった」とした上で、金融機関は7-9月(第3四半期)にも一段のタイト化を予想していると指摘した。
前回の調査結果は、クレディ・スイスの実質破綻が業界全体に拡大する懸念の中で注目されたが、今回の調査も政策決定における重要な材料になる。ECBは27日に中銀預金金利を0.25ポイント引き上げ3.75%とする構えだが、その後さらに1回の利上げを実施する可能性を排除していない。
銀行は経済への資金供給において中心的な役割を担っているため、金利上昇に対して銀行がどのように反応するかを見極めることは「ECBにとって最重要課題だ」とチーフエコノミストのレーン理事は12日に述べた。
与信基準厳格化の影響は過去と同じではないかもしれない。住宅ローンの固定金利期間の長期化などによって、影響が家計に伝わるのが遅れている可能性がある。
当局者また、こうした信用基準の厳格化が経済全体やインフレに及ぼす影響がどの程度かを判断する必要がある。デギンドスECB副総裁は今月、「実体経済の一部に影響が出始めている」と指摘した。
国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ピエール・オリヴィエ・グランシャ氏は25日、ロシアによる黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)履行停止によって、世界の穀物価格が10━15%上昇する可能性があるというには「妥当な試算」という認識を示した。
同時に「状況がどのように展開するかなお精査している」とも述べた。
IMFは先週、ロシアの黒海穀物合意停止で、世界の食料安全保障の見通しが悪化し、特に低所得国にとっては食料インフレを助長するリスクがあるという見方を示していた。
7月の米消費者信頼感指数は117と6月の110.1から上昇し、2021年7月以来2年ぶりの高水準となった。景気後退への懸念は根強いものの、労働市場に対する楽観的な見方が続いている。市場予想は111.8だった。
CBのチーフ・エコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は「信頼感指数は昨年の大半を占めた横ばい傾向から脱したようだ。全ての年齢層で信頼感が高まったほか、所得が5万ドル未満の消費者と10万ドル以上の消費者の両方でも信頼感が上昇した」と述べた。
今後12カ月間の景気後退の可能性が「幾分ある」または「非常に高い」と答えた消費者の割合は70.6%と6月の69.9%から上昇したが、年初のピークは引き続き下回った。
現況指数は160.0と、前月の155.3から上昇。期待指数は88.3と、80.0から上昇した。
雇用情勢については、職が「十分」と「就職困難」の回答から算出する労働市場格差が37.2と、前月の32.8から上昇。雇用創出のペースが鈍化しているにもかかわらず、労働市場がなお引き締まっていることが示された。
向こう1年間の期待インフレ率は5.7%と、前月の5.8%から低下し、20年11月以来の低水準を付けた。
ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオン(ヴァージニア州)のコーポレート・エコノミスト、ロバート・フリック氏は「消費者信頼感の上昇の理由としてインフレ低下が挙げられる」と指摘。ただ「米国の消費者は慎重になっており、景気後退に備え支出を手控え、貯蓄を増加させている」との見方も示した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
翌日物預金金利を1%ポイント引き下げ15%とした。引き下げは3会合連続。中銀はインフレ率は年末までに10%を下回る水準に低下するとの見通しを示し、一段の利下げを示唆した。
基準金利は予想通りに13%に据え置かれた。
ハンガリーではインフレ率が第1・四半期に25%を超えたが、6月には20.1%に低下。今後さらに急速に緩和すると予想されている。
こうした中、中銀は翌日物預金金利の引き下げの継続は可能との見方を表明。ただ、ビラグ副総裁は、ディスインフレが現在の見通しより速く進行したとしても、金利引き下げペースは加速させない姿勢を示した。
●中東
●中南米・アフリカ
7月中旬の消費者物価指数が予想を下回った。このためエコノミストの間では、中央銀行が8月1―2日に開く次回会合で50ベーシスポイント(bp)の利下げに踏み切る道が開かれたとの見方が広がっている。
7月中旬の消費者物価指数は前月比0.07%下落し、ロイターがまとめたエコノミスト予想の0.01%下落よりも大幅な落ち込みを記録。前年比上昇率も3.19%と、予想の3.26%に比べて下振れた。
消費者物価はこの先、前年比ベースの押し下げ効果が剥落していくと予想されているが、今のところ政府が今年定めた目標の3.25%よりも低い。
こうした中で2021年3月から昨年8月までインフレを抑え込むために計1175bpもの利上げを実施してきた中銀は、8月から利下げを開始するとみられている。
●市況
国債利回りが上昇した。経済指標が全般的に良好に推移していることで、米経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性が低下し、FRBは年内にあと2回の利上げを実施するとの観測が裏付けられている。
CMEのフェドウオッチによると、市場が見込む11月に追加利上げが決定される確率は約33%と、1週間前の約26%から上昇した。
レイモンド・ジェームズ(テネシー州メンフィス)の債券資本市場担当マネジング・ディレクター、エリス・ファイファー氏は「FRBが予想よりもややタカ派的になる可能性があると、市場は神経を尖らせている」と述べた。
中南米金融市場では域内通貨が下落。ブラジルレアルは約1年ぶりの高値水準から下げ、対ドルで0.5%安。7月中旬までの1カ月間の消費者物価が予想以上に下落し、来週の中銀政策決定会合でより大幅な利下げが決定されるとの観測が高まった。
メキシコペソは0.5%下落。5月の経済活動が前月比でほぼ横ばいとなり、予想を下回ったことを受けた。
チリペソは0.2%安。インフレ圧力緩和を背景に週内に緩和サイクルに入るとの見方が強まった。ロイターがまとめた調査では0.75%ポイントの利下げが予想されている。
MSCI中南米通貨指数は0.4%安。主要中銀の政策決定会合を控えドル指数が安定的に推移した。
日経先物32595、ダウ先35555、債先148.18、米3.897、独2.3920、仏2.956、西3.448、伊4.062、英4.3155、波5.410、原油79.25、銅8,663、ドル円140.94、ユーロドル1.1053
※7/21 8時10分頃

備忘録(2023/7/24)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
「製造エリアの大きな被害はなかった」と明らかにした。破損した大部分は原材料や包装資材、出荷前の
医薬品などを保管する倉庫施設だったという。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
7月の米国購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合で52.0と前月比1.2ポイント下がった。5カ月ぶりの低水準となる。これまで上昇をけん引してきたサービス業が前月と比べて落ち込んだ。企業は景気見通しに対する慎重な姿勢を保っている。
サービス業は生産や新規販売件数の伸びが6月と比べ鈍化した。雇用者数の伸びも過去半年で最も小さかった。S&Pグローバルによると、回答企業からは賃金コストの上昇で、従業員の確保の難しさを指摘する声があがったという。新規輸出受注は堅調に推移した。
製造業は新規受注が依然として縮小傾向にあるものの、前月と比べると上向いたほか、雇用も増えた。生産水準は6月と比べほぼ横ばいだった。
S&Pグローバルのエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「7月の成長の大部分はサービス部門の海外顧客による需要増によるもので、米国内の需要は低迷しており、製造業も落ち込んだままだ」と述べた。「年内にも米国が景気後退に陥るという懸念は消えない」と指摘した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
イスラエル国会は24日、裁判所の権限を弱める「司法制度改革」関連法を与党の賛成多数で可決した。ネタニヤフ政権が推進し、反対する市民の抗議デモが激化するなか採決を強行した。自制を求めてきたバイデン米政権の反発は必至だ。
可決したのは、最高裁が「合理性」を基準に、政府の決定を無効にする権限をなくす内容だ。野党は投票をボイコットした。
国内では三権分立を脅かし、民主主義が後退するとして反発が広がっていた。地元メディアによると、数万人が国会があるエルサレムまで抗議の行進を実施。軍の予備役1万人以上が任務を拒むと表明した。主要企業の一部は24日にストライキを実行した。
国会周辺では同日、採決強行に反対する市民が抗議デモを実施した。警察は放水で鎮圧を試み、約20人が逮捕されたと報じられた。
同法の可決は、政権が狙う司法「改革」の第一歩となる。ネタニヤフ首相は2022年12月の政権復帰後、国会が最高裁の判断を覆せるようにする案を提起した。
裁判官の任命でも政府の関与拡大を目指した。3月に抗議活動の激化でいったん停止したが、今後こうした司法の力をそぐ立法手続きが段階的に進むと反対派は警戒している。
米欧もかねて懸念を示していた。イスラエル紙ハーレツによると、バイデン米大統領は23日、改革が「いっそう対立を招いている」としてネタニヤフ政権に自制を求めた。バイデン氏は3月に改革の「撤回を望んでいる」と明言した経緯がある。
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物32705、ダウ先35587、債先148.12、米3.875、独2.3855、仏2.954、西3.447、伊4.039、英4.2825、波5.397、原油78.87、銅8,525、ドル円141.56、ユーロドル1.1062
※7/25 8時50分頃

備忘録(2023/7/21-23
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
今週は決算発表が相次いだ米銀行株に強い追い風が吹いた。決算は当初懸念されていたほど悪い内容ではなく、売り込まれていた銘柄を中心に買いが戻った。
ザイオンズ・バンコープやキーコープがけん引する格好で、KBW銀行株指数は週初から約7%上昇。上昇率はS&P500種株価指数の約0.8%を上回り、昨年5月以来の大幅高となる勢いだ。
第2四半期(4-6月)決算では概して預金コスト上昇による影響が目立ったが、市場はむしろ、3月の地銀破たん連鎖に伴う混乱後に、各行の業績が安定してきた点に注目した。
ただ、金融規制の強化や商業用不動産の損失リスクなど、多くの疑問が残っているのも確かだ。それでも、今回の決算発表を受けて、これまで売り込まれてきた銀行セクターは、年初からの下げを5月の29%から13%まで縮めた。
モルガン・スタンレー幹部は「四半期末にかけて(事業全般で)トーンや活動が上向いた」と指摘。ゴールドマン・サックス・グループは減益となったが、決算発表前に切り下がっていた市場予想はクリアし、株価は上昇した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)は債券と株式のトレーディング収入が予想を上回り、収益が改善した。
キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(KBW)のアナリスト、デービッド・コンラッド氏は「ソフトランディング(軟着陸)の可能性に加え、銀行が想定をやや上回るペースで資本を再び増強しているとの見方が加わり、リスク選好ムードが高まっている」と指摘。これが割安な銘柄の一角を押し上げたと述べた。
銀行株はここ数カ月にわたり割安な水準にあったが、足元の値上がりと利益見通し引き下げによって、予想株価収益率(PER)は押し上げられている。ブルームバーグのデータに基づくKBW銀行株指数の予想PERは、3月にシリコンバレー銀行が破綻する前の水準をほぼ回復した。
ウェルズ・ファーゴのマイク・メイヨー氏は今週、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、危機が迫っていない状況での「銀行危機ディスカウント」によって妙味が高まっていると語った。危機やリセッション(景気後退)の状況を除き、銀行セクターは自身のキャリアの中でも特に割安なバリュエーションで取引されているという。
もっとも、業界の先行きに不透明感があることを踏まえると、この水準で飛びつくことに慎重な向きもいるだろう。
さらに、KBW銀行株指数の14日相対力指数(RSI)は今週70を突破。足元の大幅な値上がりで「買われ過ぎ」の領域に入ったことも懸念材料だ。
第2・四半期決算は、顧客のクレジットカード利用が4266億ドルと過去最高となった。ただ、通期の利益見通しを据え置いたことが失望され、株価は5%安となった。
スティーブ・スクエリ最高経営責任者(CEO)は、ミレニアル世代とZ世代の米国内の消費が前年同期比21%急増するなど同社の顧客基盤が変化しつつあるとしたほか、「景気が良くなるにつれ消費も上向く」と述べた。
一方、借り入れコストの上昇を背景に債務不履行の可能性に備え、信用損失引当金を12億ドル計上。前年同期は4億1000万ドル計上していた。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
20日に行われた英議会下院(定数650)の補欠選挙の結果が21日判明し、与党・保守党が全3議席のうち2議席を失った。補選はジョンソン元首相の議員辞職などに伴うもの。スナク政権に打撃となり、2024年に想定される次期総選挙で、最大野党・労働党に政権交代するシナリオが現実味を帯びる。
スペインで23日、下院(比例代表制、定数350)総選挙の投票が進んでいる。野党の中道右派、国民党(PP)が与党で穏健左派の社会労働党(PSOE)を抑え、第1党となる可能性がある。現地時間23日深夜(日本時間24日午前)にも大勢が判明する見通しだ。
2023年の米実質国内総生産(GDP)の平均成長率予想を1.3%と従来予想の0.6%から引き上げた。
20日付けのメモで「入手されるデータは、インフラへの公共投資と非住居用の建設投資がけん引し、予想以上に快適なソフトランディングを示唆している」と指摘。非住居用の建設投資は第4・四半期までに12.9%、州および地方の投資は4%増加すると見込んだ。
 オーストラリア政府は、外国投資審査委員会(FIRB)の勧告を受け、中国関連企業によるリチウム鉱山会社アリタ・リソーシズの買収を阻止した。チャーマーズ財務相の報道官が21日明らかにした。
オーストラリアは世界のリチウムの約半分と、電気自動車や防衛関連品に使用されるレアアースなどを多く輸出。サプライチェーンの中国依存を減らし多様化を図る世界的な流れを受け、米国や同盟国との取引拡大を目指している。
FIRBが重要鉱物を巡り中国関連資本の投資を認めなかったのは今年2例目。
日本銀行は現時点でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策の副作用に緊急に対応する必要性は乏しいとみている。今月に開く金融政決定会合では見直しの是非が議論の対象になるとみられるという。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。
関係者によると、イールドカーブ(利回り曲線)の形状に目立ったゆがみは見られず、債券市場の機能に大きな問題は生じていないとの見方は変わっていない。高水準の賃上げ実現など日本経済に前向きな動きが見られる中、YCC修正で金融緩和の持続性を一段と高める必要性も薄く、政策正常化の第一歩と誤解されるリスクを懸念する声もある。
関係者によると、日銀は来年の賃上げが鍵を握るとみており、金融緩和の継続によって経済を下支えすることが非常に重要と判断している。企業の積極的な価格転嫁や人手不足などを背景に賃金と物価の好循環への期待は強まっているが、持続的・安定的な2%の物価目標の実現に自信が持てない状況に大きな変化はないという。
関係者によると、日銀は米国を中心に不確実性が大きい海外経済を最大のリスク要因と位置付けている。米経済は大幅な利上げにもかかわらず、底堅さを維持しているが、先行き不透明感は依然として大きい。来年の賃上げに向けて日本経済が重要な局面にある中で、今年後半から来年にかけての米経済の動向が焦点になる。
企業は早急にレバレッジドローンの借り換えに着手すべきだと、米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社カーライル・グループのローレン・バスマジアン氏は促した。大口投資家の一部が以前ほど大きな受け皿にはなれないからだという。
2025年末までに大量のローンが期限を迎える中で、企業は借り換えや返済期限の延長交渉などの対応を十分に迅速なペースで行っていないと同氏は指摘。ローンの最大の買い手であるローン担保証券(CLO)は4割が再投資期間を終えるため、ローンを大量に購入したり、返済期限を延長したりできないなど、かつて経験したことのない状況にあると述べた。
四半期が経過するにつれて再投資期間を終えるCLOが増えるため、銀行側は企業に対して「今やらなければ借り換えの機会を一生逃す」と通知する必要があるとの見方を示した。
1年前であれば、企業はCLO債権の約9割でローン期限を延長できた可能性があるが、今はせいぜい6~7割で、しかも四半期ごとに減少する公算が大きいという。
ボールズ氏は「こうした日銀の動きは非常にうまく伝えられていると考える向きがあり、私もこの陣営に入る」として、混乱が引き起こされる公算は比較的小さいと分析。「日銀は時間をかけてYCCから手を引いていくと見込まれる」と述べた。
一方で、世界の市場に対してより広範囲な影響が及ぶと予想する向きもあるとし、「これはヘッジファンド側で従事する人々であることが多く、こうした日銀の動きからの波及的影響に実際に敏感だ」と話した。
世界の社債リターンが今年これまでで最高の水準に達している。支えているのはインフレ危機が終わりつつあるとの見方だが、7-12月(下期)のクレジット市場に潜むリスクを踏まえれば今が限界かもしれないとみる投資家もいる。
ブルームバーグの算出によれば、世界の投資適格債と高利回り債のリターンは5.47%に上昇。2月に記録した今年の最高を上回った。米国のインフレ指標が社債相場にポジティブな結果を与えて米利上げは打ち止めになるとの観測が高まり、国債の値上がりに拍車がかかった。
同時に、国債に対する社債のスプレッド(上乗せ利回り)は3月上旬以来の小ささに縮んだ。ただ、世界経済の回復がまだら模様で、借り換えを必要とする低格付けの借り手が大規模な償還を控えているなどのリスクを考えると、スプレッドに対する疑問も生じる。
エリック・スターザ・インベストメンツの債券責任者でクレジット市場で32年働いているベテラン、エリック・バンラエス氏は「この強気トレンドを今年後半も維持するのは難しいだろう」と述べた。
同じ道をたどるのではないかとの不安も問題かもしれない。UBSグループなどは今年初め、社債に「10年に一度の好機」があるとうたっていた。しかし3月までにはインフレが予想以上に根強いと分かり、リターンがほぼゼロに落ち込んだ。その後の銀行セクター混乱も、市場の一部で相場を低迷させた。
一部の投資家にとって、解決策は一段と選り好みをすることだ。ジュリアス・ベアの債券アナリスト、ダリオ・メッシ氏はジャンク(投機的格付け)債に関しては選別しつつ、金利の影響にセンシティブな投資適格債に集中することを勧める。
「デフォルト(債務不履行)サイクルが進行していることを考えると、リスクの高いセグメントはまだあまり魅力的ではない」と19日のリポートで指摘。「リスクが高めのセグメントの中なら、より格付けの高い債券を選ぶ」とコメントした。
バンク・オブ・アメリカのクレジットストラテジスト、イオアニス・アンゲラキス、バーナビー・マーティン両氏は20日のリポートで、最近の値上がり後では高利回り債のポジションを正当化するのは難しいとし、「この局面では警戒が必要」と分析。
7-12月期のリスクとしては、欧州のマクロ経済への逆風や9月の社債供給などを挙げた。高水準の国債利回りも社債需要を抑制するとしている。
●中国・アジア・ロシア・東欧
プーチン氏は会談でウクライナの反転攻勢について「反攻はあったが、失敗している」と語り、欧米諸国がウクライナに供与した戦車などの撃退の動きが進んでいると強調した。ウクライナ側の戦術に課題があり、外国人の傭兵(ようへい)部隊にも損失が出ていると指摘した。
ベラルーシ大統領府系の通信アプリチャンネルは、ルカシェンコ氏がベラルーシ入りしたワグネルの部隊について「西側に行きたがっている」と述べたと伝えた。ベラルーシと国境を接するポーランドなどをけん制する狙いとみられる。
ワグネル戦闘員がベラルーシ西部で共同訓練を開始したことに伴い、ポーランド政府は軍部隊をベラルーシと国境を接する東部に移動させる方針を決めていた。
ポーランド政府は21日、ロシアの民間軍事会社ワグネルが隣国ベラルーシに駐留していることを受け、ポーランド軍部隊をベラルーシと国境を接する東部に移動させると決定した。地元メディアが報じた。
●中東
●中南米・アフリカ
ブラジル南東部ミナスジェライス州のロメウ・ゼマ知事が、左派のルラ政権に対抗するため右派中心の7州知事で結束する考えを示した。同氏は右派の有力政治家で、前大統領のボルソナロ氏が出馬できない可能性のある2026年の大統領選で有力候補の一人として注目されている。
●市況
円が対ドルで下落した。日銀が27―28日に開く金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決める公算というロイターのニュースに反応した。日銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)の枠組みも維持し、10年金利の変動幅も上下0.5%で据え置かれる可能性が高いという。
市場ではこれまで、27━28日の会合で日銀がYYCを微調整する可能性があるという観測もくすぶっていた。総務省によると、6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は前年同月比プラス3.3%と、予想と一致したものの、日銀の目標である2%を上回った。
ドル/円は一時、7月10日以来の高値となる141.95円を付けた後、終盤は1.24%高の141.81円。週間では2.22%高と、昨年10月以来の高い伸びを記録する勢い。
中南米金融市場では、ドル高を反映し大部分の中南米通貨が下落した。市場では世界の主要中央銀行が来週に開く政策決定会合が注目されている。
チリペソは0.7%安。銅価格の下落が重しになった。
反政府抗議活動の影響を見極めようとする動きが続く中、ペルーソルは0.1%安。
日経先物32745、ダウ先35398、債先148.39、米3.837、独2.4395、仏2.990、西3.468、伊4.067、英4.3125、波5.419、原油76.83、銅8,443、ドル円141.82、ユーロドル1.1125
※7/21 NY引け値

備忘録(2023/7/20
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米国では7月20日時点、およそ1億2300万人以上が猛暑警報の対象となっている。南部フロリダ州周辺の海面水温も7月に入りセ氏32度以上となった。シュミット氏は「世界中で前例のない変化が生じている」と警鐘を鳴らし、「(平均気温が上がるにつれ)降雨量も増えるだろう」と分析した。
ファイザーのノースカロライナ州「ロッキー・マウント」工場は米国の病院で使われる注射器型の薬の約25%を製造する世界最大級の工場だ。麻酔薬や鎮痛剤、抗感染症薬など幅広い種類の薬を作っており、製造停止が長く続けば薬不足につながるリスクが懸念されている。
●その他産業
●決算関連
第2四半期(4-6月)決算によると、運用資産がプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンド業界として初めて1兆ドルを突破した。ただ、ディール案件の低迷で利益が大きく落ち込み、偉業達成はかすむ格好となった。
株主帰属利益を示す分配可能利益は39%減の12億ドルとなり、ここ2年で最低となった。1株当たり利益は93セントで、ブルームバーグが調査したアナリスト予想を1セント上回った。運用資産は前年同期の9408億ドルから1兆10億ドルに伸び、1兆ドルの大台に乗せた。
ブラックストーンは、プライベート(非公開)資産の評価で買い手と売り手がなかなか合意できない状況を受けて、新規取引および既存取引の換金ペースを落としている。こうした現状は、オルタナティブ投資の巨人であるブラックストーンですら、業界全体に広がるディール低迷の逆風から無傷ではいられないことを浮き彫りにする。
分配可能利益は大きく落ち込んだが、収益性を測る別の指標は改善した。手数料関連の利益(資産運用から得られる経常利益)は前年同期比12%増加した。新規ファンドの手数料収入に加え、株式相場の上昇により資産価値が上昇したことが寄与した。
だが、新規案件に向けた資金調達環境は厳しさを増している。第2四半期の純資金流入額は170億ドルと、前年同期から77%急減した。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比7%増の51億4400万ドル(約7210億円)だった。風邪薬の売り上げが増えたほか、心臓用カテーテルなどの医療器具が好調だった。
売上高は6%増の255億3000万ドルだった。部門別では手術用の医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」部門が好調で13%の増収だった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に停止されていた緊急ではない膝などの手術が本格的に再開したことも手術用の医療器具の好調な売り上げにつながった。
同社最大の部門の「処方薬」は風邪薬の売り上げで3%増だったが、新型コロナワクチンを差し引いた場合は6%増だった。5月に別会社化として上場した日用品や市販薬などの消費者向け部門「ケンビュー」の売上高は5%増えた。
23年12月期通期の売上高は上方修正し、前期比6.5〜7.5%増の988億〜998億ドルを見込む。通期予想にはケンビューの売上高の一部も含まれる。ケンビューの株式はJ&Jがまだ9割を保有している。
一方、ベビーパウダーの健康被害をめぐる集団訴訟の問題は継続中だ。西部カリフォルニア州の裁判所は18日、子供の時からJ&Jの製品を利用した結果、ガンになったと主張する24歳の男性に対し1800万ドルの支払いをするよう命じた。
2023年通期の調整後1株利益見通しは従来の2.50―3.50ドルから3.00―3.75ドルに引き上げられたが、株価は下落した。市場では、年後半の利益の伸びが鈍化すると受け止められた。
シティのアナリスト、スティーブン・トレント氏は「なぜこれまで利益の予想対比上振れ幅と同じだけ通期見通しが上方修正されなかったのか、投資家は懸念している」と述べた。
アナリストの間では、アメリカン航空のパイロットとの労働協定更新交渉再開により、非燃料コストが増大するのではないかとの不安も広がっている。ロバート・アイソム最高経営責任者(CEO)は、ライバルのユナイテッド航空が提示している賃金と同等の水準を支払うと表明しており、現時点で80億ドル強と推定される協定のコストがさらに大きくなるとみられている。
また第3・四半期の有効座席マイル当たり売上高見通しが前年比約4.5―6.5%減少するとの予想も嫌気された。
第2・四半期の調整後1株利益は1.92ドルで、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の1.59ドルを上回った。
●先進国、グローバル、金融市場
半導体不況が長期化してきた。業界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の2023年4〜6月期は約4年ぶりの減収減益となった。中国の景気減速や米国の金利上昇でパソコンなどの個人消費や設備投資が振るわず、同業大手の業績も大きく落ち込む。市場の本格回復は24年春以降にずれ込む見通しだ。
1-3月(第1四半期)のユーロ圏域内総生産(GDP)を改定し、前期比横ばいとした。これまでは前期比0.1%減としていた。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は発表文で「単純に物件が足りていない」と指摘。「在庫が倍に増えても市場は簡単に吸収できる」と述べた。
6月の米景気先行指数は前月比0.7%低下の106.1となった。消費者見通しの悪化と失業保険申請件数の増加が響いた。低下は15カ月連続で、2007─09年の景気後退期以来最長となった。
CBの景気循環指標担当シニアマネジャー、ジャスティナ・ザビンスカ・ラ・モニカ氏は「6月のデータを総合すると、経済活動は今後数カ月で減速し続ける」と指摘。「物価の上昇、金融政策引き締め、信用収縮、政府支出の減少が経済成長をさらに鈍らせる」とした。
7月の製造業6カ月業況予測は6月の12.7から29.1に上昇し、2021年8月以来約2年ぶりの高水準となった。仕入れ価格指数も半年ぶりの高水準に上昇した。
一方、現在の活動水準を示す業況指数はマイナス13.5と6月のマイナス13.7からほぼ変わらず、11カ月連続でマイナスとなった。ロイターがまとめたエコノミスト予想中央値はマイナス10だった。
調査対象となった生産者の約3分の1が、商品の仕入れ価格が上昇したと報告。仕入れ価格指数は1月以来の高水準を付けた。一方、支払い価格指数は小幅に低下した。
23日投開票のスペイン総選挙で、極右政党「ボックス(VOX)」が連立政権入りする可能性が浮上している。同党のアバスカル党首は欧州統合に懐疑的な主張から「スペインのトランプ」とも呼ばれ、LGBTの権利拡大や地方の独立運動にも強硬に反対する。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国・上海市政府系の不動産開発会社、緑地控股集団は米ドル債をデフォルト(債務不履行)した。元本の5%分を部分償還する予定だったが、期日までに支払いがなかった。中国では不動産会社の信用問題が再び浮上している。
ゴールドマンのアナリストが中国の銀行で配当資金の不足が生じる可能性があると指摘した数日後、地方政府の不良債権や手数料収入の減少といった圧迫に中国の銀行は配当を減らすことなく耐えられるとシティグループとUBSグループ、大和キャピタル・マーケッツが主張した。
ゴールドマンは7月4日付リポートで中国銀行セクターの目標株価と投資判断を引き下げ、中国国営メディアから非難を浴びたが、投資銀行として唯一、中国工商銀行と中国農業銀行の投資判断を「売り」に維持している。
中国の銀行株は5月上旬から大きく下げ、ほぼ記録的な安値水準近くで取引されている。株価動向はゴールドマンの懸念を裏付けているものの、他社のアナリストは中国の銀行について、バランスシートは強固で、中国政府が支出を賄うために国有銀行からの配当を必要としていることから配当は確保されるとみている。
大和キャピタルの銀行アナリスト、マイケル・ゼン氏は「中国財政省には配当性向を安定的に維持させるインセンティブがある」と説明。同省はほとんどの国有銀行の支配株主であるため、現金配当は政府にとって「重要な収入源」だと語った。
中国の銀行監督当局で働いた経歴のある楊碩氏らゴールドマンのアナリストはリポートで、金融機関が地方政府の債務にエクスポージャーを持つリスクを強調。潜在的な損失は利益の伸びを弱め、資本蓄積を損ね、その結果、配当水準に影響を与える可能性があると論じた。
UBSで大中華圏金融株リサーチ責任者を務める顔湄之氏によれば、中国の大手国有行は「配当額を維持するため最善を尽くす」見込み。
中国当局は5兆4000億ドル(約753兆円)規模に上る住宅ローンの借り換えコストを引き下げるよう金融機関に求めているが、シティグループのアナリストらは先週、中国の銀行はこうした圧力に耐えられるとの分析を示した。
「中国の銀行は過去10年間、景気循環に対処するため引当金を大きく積み上げてきた。この引当金は配当性向の引き下げを必要とせず、利益の伸びと資本形成のバッファーとして活用し得る」とジュディ・チャン氏らアナリストはリポートに記した。
●中東
トルコ中央銀行は20日、金融政策決定会合を開き、主要金利の1週間物レポ金利を2.5%引き上げ、年17.5%とした。トルコは5月の選挙後、従来の低金利路線から引き締めに転換し、利上げは2会合連続。ただインフレを考慮した実質金利はなおマイナスで、金融政策正常化への道は険しい。
●中南米・アフリカ
●市況
国債利回りが上昇した。この日発表の経済指標は強弱混交。市場ではFRBの利上げサイクルが終了に近づいているか見極めようとする動きが続いている。
労働省発表の週間新規失業保険申請件数は予想外に減少。フィラデルフィア地区連銀発表の7月の製造業6カ月業況予測は約2年ぶりの高水準となった。
一方、コンファレンス・ボード(CB)発表の6月の米景気先行指数は15カ月連続で低下。2007─09年の景気後退期以来最長となった。また、全米リアルター協会(NAR)発表の6月の米中古住宅販売戸数は5カ月ぶりの低水準となった。
S&P総合500種とナスダック総合が下落して取引を終えた。四半期決算を受けたテスラとネットフリックスの下げが重しとなった。一方、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が好調な通期見通しを背景に買われ、ダウ工業株30種は9連騰を記録した。
石油需要の先行きに楽観的な見方が台頭する中を、小反発した。
英資源大手アングロ・アメリカンの好調な生産量や、中国の新たな景気刺激策への期待感を背景に鉱業株が買われた。
アングロ・アメリカンは3.3%上昇。ペルーのケジャベコ鉱山の事業強化に支えられて上半期の銅生産量が42%急増したと報告したことが好感された。
イングランド銀行(英中央銀行)による積極的な利上げ観測を後退させ、政策金利が6%を超えることはないと見ている。短期金利先物市場は、8月の会合で25ベーシスポイント(bp)の利上げが決まる確率は約70%と見込んでいる。
域内国債利回りが上昇した。米経済指標を受け、連邦準備理事会(FRB)の引き締めサイクルが近く終了するとの観測が後退した。
日経先物32302、ダウ先35421、債先147.66、米3.856、独2.4490、仏3.013、西3.484、伊4.115、英4.3060、波5.475、原油75.82、銅8,463、ドル円139.97、ユーロドル1.1135
※7/21 8時30分頃

備忘録(2023/7/19
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
米通信大手のAT&Tは全米に張り巡らせた銅線通信網のうち、有害な鉛で覆われたケーブルはその10%に満たないと明らかにした。投資家は大規模な環境汚染と浄化作業でコストが生じる可能性を懸念している。
AT&Tは18日、カリフォルニア州東部地区の米連邦地裁に詳細を提出。約200万マイル(322万キロメートル)に及ぶケーブルのうち、鉛被(えんぴ)ケーブルは「小さな部分」に過ぎず、そのうちの3分の2は「土中に埋まっているか、導管に入っており」、あとは電柱を経由して頭上に張られていると報告。水中にあるのは「非常にわずか」だという。
この問題は先週、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報道。子どもの遊び場やバス停、ニュージャージー州のパサイック川や西部タホ湖などの水路で鉛が検出され、2000本を超える通信ケーブルが鉛で覆われていると明らかにした。AT&Tはこの報道に「強く異議を唱える」としている。
●決算関連
2023年4〜6月期決算は純利益が前年同期比58%減の12億ドル(約1680億円)だった。主力のM&A(合併・買収)助言などの投資銀行やトレーディング業務の不振が続いた。リテール(個人向け)事業の縮小や不動産市況の悪化に伴う損失も重荷になった。
純営業収益は8%減の108億ドルだった。米地銀の相次ぐ破綻や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続などで資本市場を通じた企業の活動が停滞し、投資銀行業務の手数料収入が14億ドルと20%減った。
特にM&A助言の手数料が46%減と大きく落ち込んだ。株式の引受業務は持ち直したが、補いきれなかった。デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「投資銀ビジネスは持続的なインフレや地政学的な緊張、成長鈍化に直面し、顧客はこの四半期にリスク回避の姿勢を維持した」と述べた。
市場運用では「FICC」と呼ぶ債券・為替・商品(コモディティー)分野の収益が26%減った。資産運用・富裕層向け事業はオフィスなど商業用不動産への投資に関連した損失処理が響き、4%の減収になった。
営業経費は85億ドルと12%増え、利益の圧迫要因になった。住宅修繕向けオンライン融資を手がけるグリーンスカイの売却手続きを踏まえ、消費者向けプラットフォーム事業で約5億ドルの減損処理を実施した。
2023年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比でほぼ横ばいの154億7500万ドル(約2兆1600億円)となった。世界的な景気減速懸念から顧客企業がIT(情報技術)分野への大型投資を控える姿勢を強めたことが響いた。ドル高も重荷となった。
売上高は市場予想(155億8000万ドル程度)を下回った。一方で、純利益は15億8300万ドルと約14%増の増益だった。特殊要因を除いた1株利益は2.18ドルと、市場予想(2.01ドル程度)を上回った。コスト削減努力が奏功し、粗利益率が大幅に向上した。
部門別にみると、19年に買収したソフトウエア大手のレッドハットを含むソフトウエア部門の売上高が7%増の66億800万ドル、コンサルティング部門が4%増の50億1300万ドルだった。企業の基幹業務で使うメインフレーム(大型汎用機)の販売などを手掛けるインフラ部門は15%減の36億1800万ドルとなった。
第2・四半期の調整後1株利益は0.71ドルで、リフィニティブIBESデータに基づくアナリスト予想の0.66ドルを上回った。投資関連商品のほか、金融犯罪対策ソフトなど資本市場ソリューションに対する着実な需要が支えになった。
純売上高は前年同期比4%増の9億2500万ドル。ソリューション事業の収入が6%増の6億7400万ドルだったのに対して、トレーディングサービス事業は1%減の2億5000万ドル。
ナスダックは近年、新規株式公開(IPO)やトレーディングの手数料から、フィンテック関連サービスにビジネスモデルの主軸を移し、金利上昇などに伴うIPO市場の冷え込みにも打たれ強くなっている。
アデナ・フリードマン最高経営責任者(CEO)は「ナスダックの顧客中心文化と多様化したビジネスモデルが、さまざまな市場環境において常に好業績を残せる安定性をもたらしている。そのことは第2・四半期決算で証明されている」と強調した。
第2・四半期調整後1株利益は5.03ドルで、リフィニティブのデータに基づくアナリスト予想の4.03ドルを大きく上回った。海外旅行需要の強さが追い風になった。
これに伴い同社は、通期の調整後1株利益見通しについてレンジの下限を10ドルから11ドルに引き上げた。上限は12ドルのまま。アナリスト予想は9.77ドル。
消費者の支出がモノからサービスに移行しているため、物価高騰による生活費増大にもかかわらず、米国では航空券の売れ行きが急速に伸びている。特に新型コロナウイルス関連の行動規制解除後は、国際線の予約が好調だ。
ユナイテッドの場合、パンデミック前で既に38%だった旅客収入に占める国際線の比率は第2・四半期に約41%まで切り上がっており、その重要性が一層高まった。
第3・四半期に関しては、収入が前年比10―13%増、旅客輸送能力が16%増、調整後1株利益は3.85―4.35ドル(アナリスト予想は3.70ドル)と見込んでいる。
●先進国、グローバル、金融市場
2023年6月の消費者物価指数は前年同月比7.9%上昇した。伸び率は2か月ぶりに鈍化し、前月比0.8ポイント下がった。ガソリン代や食料品といったモノの価格が抑えられた。賃金とサービス価格の上昇によるしつこいインフレへの懸念は根強く残っている。
22年3月(7.0%)以来、1年3カ月ぶりの低水準となった。部門別にみると、エネルギー価格の下落の影響が大きい。輸送が前月比3ポイント下がって1.8%の下落と、20年8月以来のマイナスに転じた。住宅・水道・電気・ガスは12.0%の上昇と、0.1ポイント下がった。
食品・非アルコール飲料は17.3%と1ポイント下落した。衣類・履物は0.1ポイント増の7.2%上昇、通信は0.4ポイント増の9.5%上昇となった。
リフィニティブが集計した市場予想(8.2%)を下回ったため、債券市場では英国債に買いが入った。英2年物国債の利回りは前日の5.1%から、一時4.8%まで下落(価格は上昇)した。ただ英HSBCのクリス・ヘア・シニアエコノミストは「人件費の伸びは力強く、基調的なインフレの勢いは依然として上振れている」と指摘する。
実際、エネルギーや食品などを除くコア指数の上昇率は6.9%上昇と、約31年ぶりの高水準だった5月の7.1%からの鈍化幅は小さかった。5月の平均賃金の上昇率は6.9%と伸び幅が再拡大し、1年9カ月ぶりの高水準となった。医師や教師、鉄道や空港職員など幅広い業種でのストライキが頻発している。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のシニア英国担当エコノミスト、ダン・ハンソン氏らは「予想外の6月のコアインフレ鈍化は、イングランド銀行(英中央銀行)が8月の会合で25bpの利上げを選好する十分な理由になる可能性が高いが、微妙なバランスの決定になりそうだ。基調的な物価圧力は年内はゆっくりしたペースでの緩和が見込まれ、9月と11月も利上げを継続する方向とわれわれは考えている」と説明した。
6月の生鮮食品を除くコアCPIは前年同月比3.3%上昇と、電気料金値上げの影響を主因に前月の3.2%上昇から伸び率が拡大すると予想されている。エネルギーも除いたコアコアCPIは同4.2%上昇と、伸び率は2022年1月以来初めて前月から縮小するものの、40年余りぶりの高水準付近にとどまると予想されている。
いずれの指標も既に日銀が掲げる物価目標2%を大きく上回っている。日銀は物価上昇率が今年度後半には同水準を下回る見通しを示しているが、市場参加者はまだ確信を持てないようだ。
SOMPOインスティチュート・プラスの小池理人主任研究員は、「今回のCPIの焦点は日銀が予想するように物価の減速を示す内容になるのかどうかだ」と指摘。「もし市場のコンセンサスより強ければ、7月会合でのYCC修正の期待を高めるだろう」と述べた。
UBSやBNPパリバなどのエコノミストらは、日銀が27、28日の会合で今年度の物価見通しを従来の1.8%から引き上げるとの予想が広がっていることを踏まえ、同会合で政策修正が行われる可能性が最も高いとみている。
経済指標は引き続きインフレを支えるサイクル(循環)が生まれつつある兆候を示している。市場が織り込む期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は今月、2014年以来の水準に上昇。5月の毎月勤労統計調査(速報)では所定内給与が1990年代以来の高い伸びとなった。
一方、植田和男日銀総裁は慎重な姿勢を崩していない。18日には、インドで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議終了後の記者会見で、日銀が目指す持続的・安定的な2%の物価目標までに距離があるとの認識に変化がなければ、粘り強く金融緩和を続ける姿勢も変わらないとの見解を示した。
日銀が7月の会合で政策修正に動いた場合、それは単に金融刺激策をより持続可能なものにすることが狙いで、市場の動きとはあまり関係がないと主張するかもしれない。
アナリストの中には日銀の政策修正観測が既に過度に高まっていると指摘する向きもいる。
JPモルガン・アセット・マネジメントのアジア債券スペシャリスト、ジョナサン・リアン氏は、「日銀にはメディアや投資家コミュニティーから攻撃されるのを好まない伝統がある」と指摘。ただ、現行政策が適切ではないということを示す圧力が高まる中で、「何かせざるを得ない」状況になるため、今後4四半期内に政策修正が行われる可能性は高いとの見方を示した。
借り入れコストは高止まりしているものの、中古住宅の在庫不足と建設業者の販売促進策が相まって、新築住宅物件への需要は高まっている。6月は減少したが、それでも新型コロナウイルス流行前のトレンドを上回るペースだ。
6月の改定値が速報値から上方修正された。広く予想されているECBの来週の利上げはこれでより確実になった。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が19日発表した6月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)改定値によれば、食料品やエネルギーなど変動の大きな項目を除くコアCPIは前年同月比で5.5%上昇した。速報値は5.4%上昇、5月は5.3%上昇だった。
総合インフレ率は昨年10月に記録した10.6%のピークからほぼ半減した。当局者はより根強いことが示されつつあるコアインフレ率に焦点を移している。今回の上方修正は秋に入っても利上げの継続を主張するECBのタカ派にとって弾みとなる可能性がある一方で、当局者の一部は最近トーンを弱めている。
5月の住宅価格は前年同月比1.9%上昇し、2020年半ば以来の小幅な伸びとなった。
ロンドンでは上昇率が0.8%と地域別で2番目に低かった。イングランド東部は横ばいだった。
6月の民間賃貸住宅の家賃は前年比5.1%上昇し、16年の統計開始以来の高い伸びを記録した。
19日のシカゴ穀物市場で小麦先物相場が急伸した。9月物の清算値は前日比8.5%高の1ブッシェル7.27ドル台に上昇した。ウクライナの穀物輸出拠点である同国南部のオデッサ港がロシア軍の攻撃を受け、輸出が停滞するとの懸念が浮上した。
ロシア軍は18、19日と2日連続で、ミサイルやドローン(無人機)でオデッサ港を攻撃した。ウクライナ南部のクリミア半島とロシアを結ぶクリミア橋への攻撃に対する報復としている。ロシアは14年にクリミアを併合し、占領下においている。
ウクライナ産穀物の黒海輸送を巡る合意停止も小麦高につながっている。22年7月に国連とトルコの仲介で成立した合意はロシアの延長反対で18日に停止した。米欧からの金融制裁の緩和を復帰の条件としており、穀物回廊の再開に不透明感が漂う。
報告書で、2022年のドルの急上昇で新興国は資本流出や輸入物価高、金融引き締めに直面し、先進国よりも大きな打撃を受けたとの見方を示した。
IMFによると、ドル相場が10%上昇するごとに新興国の国内総生産(GDP)は1年後に1.9%縮小し、その影響は2年半続く。
一方、先進国ではGDPの縮小は1四半期後の0.6%がピークで、影響は1年以内にほぼなくなるという。
昨年のドルの実効為替レートは8.3%上昇。20年ぶりの高水準になったと指摘した。
「高インフレや対外ポジションの不均衡といった既存の脆弱性を抱える新興国や途上国の経済は、より大きな減価圧力に見舞われた。その中で、商品輸出国はその値上がりにより恩恵を受けた」と説明した。
ブルームバーグがエコノミスト50人を対象に12日から18日まで実施した調査によると、27日、28日の決定会合でYCCの修正または撤廃が決まると予想するエコノミストは9人で、比率は18%だった。6月会合前の前回調査では7月の政策修正を35%が見込んでいた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
英ポンドが急落。英インフレ鈍化を示す指標が材料視された。また、ポンドはここ数週間上昇していたことから、利益を確定する動きが出たことも指摘された。一方、ドルは上昇した。
米10年債利回りは低下。6月の米住宅着工件数が減少したことを受けた。
上昇して終了した。企業決算が注目される中、ダウ工業株30種は8連騰。ただマイクロソフトが下落したことでナスダック総合の上値は重かった。
銀行株は続伸し、S&P500銀行株指数は1.70%高となった。
ゴールドマン・サックスは0.97%上昇。第2・四半期の利益は3年ぶり低水準となったが、デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は投資銀行部門の回復について楽観的な見方を示した。
他の金融株では、シチズンズ・ファイナンシャルが6.39%、M&Tバンクが2.48%、それぞれ上昇した。第2・四半利益が市場予想を上回ったことが支援材料だった。
USバンコープも第2・四半期の金利収入が大幅増加し、6.46%上昇した。
KBW地銀指数は2.90%高。3日連続で上昇し、3月10日以来の高値で終了した。
米エネルギー情報局(EIA)が公表した原油在庫の減少幅が市場予想を下回ったことを受けて売りが優勢となり、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物は前日清算値(終値に相当)比0.40ドル(0.53%)安の1バレル=75.35ドルだった。9月物は0.37ドル安の75.29ドル。
EIAが発表した週間在庫統計では、原油在庫が前週比70万バレル減と、減少幅は市場予想(ロイター調べ)の240万バレル減を下回った。ガソリン在庫も110万バレル減(同予想160万バレル減)だった。需給が思ったほど引き締まっていないとの見 方から、中盤以降は売りに押された。
中国国家発展改革委員会(NDRC)が18日、景気刺激策を導入すると示唆。同国のエネルギー需要が拡大するとの期待感から、原油は一時プラス圏で推移する場面もあった。EIAが発表した在庫統計で米戦略石油備蓄(SPR)が増加したことが判明、これが原油相場を支えたとの見方もあった。
ペルーソルは、ボルアルテ大統領の辞任を要求する抗議活動が始まったことを受け、引き続き圧迫された。
ペルーソルは0.2%安。ペルーの首都リマでは治安対策が強化され、主要な公共施設の前には防護柵が設置されている。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。インフレ鈍化の兆しを背景に利回りが直近で急低下したことを受け、一段の低下に対する警戒感が広がった。
日経先物32757、ダウ先35219、債先147.86、米3.754、独2.4000、仏2.941、西3.412、伊4.063、英4.2305、波5.410、原油75.19、銅8,431、ドル円139.63、ユーロドル1.1205
※7/20 8時55分頃

備忘録(2023/7/18)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
民間調査によると、2023年4〜6月の販売台数は29万6100台となり、前年同期比で49%伸びた。メーカー別では、最大手の米テスラが35%増で市場シェアは6割近くを占めた。韓国の現代自動車グループが米ゼネラル・モーターズ(GM)や同フォード・モーターを抑え2位だった。
自動車に搭載される半導体が非常に多様化したため、過去2年間は「至るところで複数の問題に見舞われ、1つの課題を解決すると新たな課題が出てきた」と説明。ステランティスでは一段と複雑なチップと共通プラットフォームを必要とするEVにシフトしており、供給不足となれば「1つや2つの工場ではなく、5-7カ所の生産拠点に影響する恐れがある」と語った。
自動車生産に大きな打撃を与えた新型コロナ禍後の半導体危機は脱したかもしれないが、中国が半導体などに使われる金属2種類の輸出規制を打ち出すなど地政学的リスクが高まる中、供給は依然として制約を受けている。
カーマン氏は、中国によるガリウムとゲルマニウムの輸出制限は対処可能だとした上で、中国との緊張の高まりは「間違いなく課題だ」と指摘。同社では半導体での中国および台湾への依存度を下げる取り組みを進めている述べた。
小売業界の決算が好調だ。インフレ率が数十年来の水準に上昇する過程で価格転嫁を着実に進め、業績見通しは改善基調にある。さらに、小売業の好調ぶりは消費者がインフレを受け入れ始めているサインとも取られ、市場参加者の間では内需株にシフトする動きも出ている。
●決算関連
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比19%増の74億800万ドル(約1兆200億円)だった。金利上昇により貸出業務などから得られる金利収入が増えた。
事業会社の売上高に当たる純営業収益は11%増の251億ドルだった。純金利収入が前年同期比14%増の141億ドルとなり、全体の収益を押し上げた。米連邦準備理事会(FRB)の急ピッチな利上げが追い風となった。
貸出金利と預金金利の差である利ざや(NIM)は2.06%と1〜3月(2.20%)より縮小したが、前年同期(1.86%)よりは大きかった。
アラステア・ボースウィック最高財務責任者(CFO)は記者向けの電話説明会で米景気について「減速してきているが、弱いわけではない。消費者は良好な(財務)状態にある」と述べた。
融資の焦げ付きに備えて計上する貸倒引当金や貸倒損失を合算した与信費用は前年同期の2.2倍となる11億ドルを計上した。1〜3月(9億ドル)と比べても増やした。消費者向けクレジットカードの利用残高がのびたことで、引当金を積み増した。
6月末時点の預金残高は1兆8772億ドルとなり、3月末時点と比べて2%減った。MMF(マネー・マーケット・ファンド)など利回りの高い金融商品に預金を移す流れが緩やかに続いた。
融資残高は1兆512億ドルと3月末時点と比べて0.5%増えた。クレジットカード利用や企業向け貸し出しが増えた。
バンク・オブ・アメリカは金利上昇に伴い、保有債券の含み損を他の大手銀より多く抱えていることが市場で懸念されている。6月末時点の満期保有目的の債券含み損は1057億ドルとなった。金利が上がったことで3月末時点(990億ドル)より増えた。
JPモルガン・チェースの6月末時点の含み損は約336億ドルだった。バンカメはこの3倍程度に達する。これらの債券は売却しない限り実現損となって資本を毀損することはないが、抱え続ければ収益の圧迫要因となりかねない。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比13%減の21億8200万ドル(約3000億円)だった。株式などのトレーディング収入が低調だった。富裕層向け資産運用は利ざや拡大の恩恵を受けて好調だった。市場予想を上回り、株価は急伸した。
事業会社の売上高に相当する純営業収益は2%増の134億5700万ドルだった。人員削減に伴う退職費用3億800万ドルを計上し、1株利益は1.24ドルとなった。
ジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で米地銀の相次ぐ破綻などに触れ「逆風下で始まった第2四半期を、全体としてよい状況で終えることができた」と述べた。
投資銀行部門とトレーディング部門を含む「法人・機関投資家向け証券業務」の利益は32%減の7億5900万ドルだった。株式や債券などのトレーディングは、顧客の取引量低下や相場の変動率低下で苦戦した。投資銀行部門ではM&A(合併・買収)案件の減少で助言収入が減った。
ただ、決算発表後に米CNBCのインタビューに応じたゴーマン氏は投資銀行部門やトレーディング部門の状況について「すでに底入れした」との認識を示した。「年内にどれだけ回復するかは不明だが、来年は間違いなく上向く」と述べた。
富裕層向けの資産運用を手掛ける「ウェルス・マネジメント業務」の利益は10%増の13億800万ドルだった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げに伴い、純金利収入が21億5600万ドルと前年同期比23%増えた影響が大きい。新規の資金純流入額は895億ドルと前年同期から7割増となった。
年金基金や事業法人向けの「資産運用業務」の利益は32%減の1億2700万ドルだった。運用成績連動の手数料収入減などが響いた。
●先進国、グローバル、金融市場
TD証券(ニューヨーク)の米国金利戦略担当責任者、ゲンナディ・ゴールドバーグ氏は「日本と中国の大幅な売りが目立ち、海外投資家の売りを主導した。5月下旬にかけて金利が上昇したことを踏まえると売りは妥当だった」と述べた。
国別の米国債保有で、日本は首位を維持。保有額は1兆0970億ドルで4月の1兆1270億ドルから減少した。
保有額2位は中国で、8467億ドルと、前月の8689億ドルから減少し、2010年5月以来の低水準を付けた。
6月の消費者物価指数(CPI)前月比上昇率は2.8%と、5月の3.4%から鈍化して、2年3カ月ぶりの低い伸びになった。ロイターがまとめた市場予想の3.0%も下回った。
前年同月の上昇率が40年ぶりの高さだった反動が大きく、品目別ではエネルギー価格の下落が全体を押し下げた。これで2021年3月以降初めて、カナダ銀行(中央銀行)の許容レンジ(1―3%)内に収まった形だ。
フランクリン・テンプルトン・インベストメント・ソリューションズのシニア・バイスプレジデント兼ポートフォリオマネジャー、マイケル・グリーンバーグ氏は「物価情勢が適切な方向に進んでいるのは間違いない」と指摘しつつも、コア指数はまだ相対的に下方硬直性が強く、高止まり傾向になるとの見方を示した。
デジャルダン・グループのマクロ戦略責任者ロイス・メンデス氏も「カナダ銀行が重視するコア指数を見ると、基調的な物価上昇圧力はしつこく残っている」と述べ、コアCPIの加重中央値が3.6%となり、トリム平均値は5月の3.9%から4.0%に加速したと解説した。
7月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は前月から1ポイント上昇の56と2022年6月以来、1年1カ月ぶりの高水準となった。上がったのは7カ月連続。
潜在的な住宅購入者に関する指数も40と、1年1カ月ぶりの高水準だった。
米連邦準備理事会(FRB)による利上げで住宅ローン金利が高止まりしているものの、新築住宅への需要が底堅いことが示された。住宅所有者が売却に消極的で中古住宅の在庫が抑えられている中で、新築住宅への需要が強まっている。
ただ、住宅建設業者指数の上昇幅は1ポイントと、6月まで2カ月連続の5ポイント上昇から減速した。建設資金の調達に対する懸念の高まりも示された。
NAHBのチーフ・エコノミスト、ロバート・ディーツ氏は「建設業者は市場の状況について慎重ながらも楽観的な見方を続けているが、過去1カ月間に住宅ローン金利が0.25%ポイント上昇したことは、FRBの金融引き締め局面が終了に近づくにつれて市場が経験する一進一退のプロセスを思わせる」と指摘した。
今回の発表では、今後数カ月間の住宅価格の不透明感も浮き彫りとなった。7月に住宅価格を引き下げたと回答した建設業者は22%にとどまり、6月の25%、5月の27%から下がった。ピークだった昨年11月の36%と比べると、14%ポイントも低下した。
6月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.2%増加した。市場予想を下回ったものの、インフレ鈍化を背景に消費者の購買力は徐々に回復しているようだ。
ロイターがまとめたエコノミストの予想は0.5%だった。ガソリンスタンドや建材店での売上高が減少したたことで伸びは予想を下回ったものの、他の部門の売上高は増加、もしくは横ばい。米経済は第2・四半期も好調さを維持した公算が大きい。
5月分は0.3%増から0.5%増に上方改定された。
自動車、ガソリン、建築資材、外食を除くコア小売売上高は0.6%増。5月分は0.2%増から0.3%増に上方改定された。
トレードステーションのマーケット・インテリジェンス担当バイス・プレジデント、デビッド・ラッセル氏は「米経済は過熱することなく順調に推移している」とし、「ガソリン価格の下落に加え、消費財に対する過剰な需要がみられていないことは、7月以降の利上げ継続を懸念する投資家にとって、ささやかではあるがプラスのニュースだった」と述べた。
FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のマクロ・ストラテジスト、ウィル・コンパーノール氏は「FRBの1年4カ月に及ぶ金融引き締めにもかかわらず消費は有意義に減速していない」とし、「消費が底堅く推移していることは、FRBが過度な引き締めを実施したと考える理由がほとんどないことを示している」と述べた。
部門別では、自動車が0.3%増。前月は1.5%増加していた。
衣料品は0.6%、オンライン小売は1.9%、家具は1.4%、家電・電化製品は1.1%、それぞれ増加した。
一方、建設資材・園芸用品は1.2%減。スポーツ用品や楽器などを含む趣味用品も減少。生鮮食品のほか、百貨店の売上高も減少した。
ガソリンスタンドの売上高は、ガソリン価格の下落を反映し、1.4%減少した。
サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.1%増。前月は1.2%増加した。
IMFのゲオルギエワ専務理事は、世界の経済活動、特に製造業における活動が鈍化しており、中期的な成長見通しは依然として弱いと述べた。
インフレ率はようやく低下傾向にあるが、「大幅な金融引き締めにもかかわらず、総合インフレ率はなお高すぎる水準にあり、コアインフレ率はなお粘着性がある」と指摘。高インフレが長期化する可能性があり、一段の金融引き締めが必要と警告した。
またインフレ率の低下は各国の最優先課題であり、財政バッファーの再構築や成長促進改革などの取り組みも必要と言及。IMFのクオータ(出資割当額)改革を含め世界金融のセーフティネット強化の必要性を強調した。
「企業側の雇用需要の強さは後退した」と述べ、「労働市場は実質的な苦痛を伴うことなく冷めつつある」と続けた。
同氏は労働市場の変化に加え、住宅費と自動車価格も引き続きコスト圧力を押し下げる要因になる可能性が高いと指摘。企業利益による影響もあり得るとし、複数の要因がインフレを下押ししているとの見方を示した。その一方で、6月の米消費者物価指数(CPI)のデータだけを引用し、過度な楽観を抱かないよう求めた。
インタビューの中で同氏は6月のデータは「単月の数字」だとして、深読みしすぎないよう注意を促した。
イエレン氏は一貫して、失業率を急上昇させることなくインフレ率を米金融当局の目標である2%に戻すことは可能との見解を示してきた。楽観的過ぎるように見られた時期もあったが、米国の労働市場は極めて力強く推移しており、6月の失業率は3.6%と、半世紀ぶりの低水準近辺にとどまっている。
同氏は「テクノロジー産業など大きな打撃を受けた幾つかのセクターを除いて、企業の積極的な人員削減は見られていない」と指摘。「労働力を増やそうとする意欲がいくらか後退したように見えるだけだ」と続けた。
ゴールドマンのチーフエコノミスト、ヤン・ハッチウス氏は17日のリポートで、「逆イールドを巡る広範な懸念にわれわれはくみしない」と指摘。先週発表の米インフレ統計が予想よりも低い伸びとなったことを受け、リセッション確率を20%と従来の25%から引き下げた。
ハッチウス氏の見解は、逆イールドには景気悪化を予告するほぼ完璧な実績があるとみる大多数の投資家とは対照的だ。過去7回の米リセッション入り前はいずれも、米財務省短期証券(TB)3カ月物と米10年債との間で逆イールドとなっていた。現時点では150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余りと、40年ぶりの大幅長短逆転に近づいている。
利回り曲線は通常、タームプレミアムを織り込んで右肩上がりだが、逆イールドが生じている場合、タームプレミアムを上回るほどの大幅利下げの可能性を投資家が織り込んでいることを意味する。ハッチウス氏はこうした現象が生じるのはリセッションリスクが「はっきりと顕在化」した場合だけだと話す。
現状では、タームプレミアムが長期的な平均を「大きく下回って」おり、逆イールドに絡んで推計される利下げは小幅だとして、今回は事情がことなるとハッチウス氏は分析。さらに、インフレ鈍化に伴い、米金融当局が利上げキャンペーンの手を緩め、リセッション入りが回避される可能性が開かれるとしている。
ハッチウス氏は、景気予測が過度に悲観的となる場合、期間が長めの金利には理にかなうよりも一層強めの下押し圧力がかかるとし、「控えめに言っても、逆イールドがリセッションのコンセンサス予想の論拠となるという議論は循環論だ」とコメントした。
AIは「大規模かつ低コスト」にデータを活用することで、「これまで与信を得られなかったであろう人々にも与信を拡大することが可能になる」と同氏は指摘。その上で、「こうしたテクノロジーは、多大なる可能性を秘めている一方で、公正な融資に関する法律に違反したり、対処できる可能性があるにもかかわらず、まさに格差を拡大させるリスクをはらんでいる」と指摘した。
さらに機械学習やその他AIはデータの偏りや誤りを増幅させたり、誤った予測をしたりする可能性があるとも述べた。
米国は、先月合意したザンビアの債務救済枠組みを他国に適用する上での3つの原則について、今回のG20で基本合意を目指した。原則の一つは、多国籍の開発銀行は融資の減免を要求されないことだが、途上国への公的融資で世界トップの中国は、この長年の前例に反発している。
中国政府の発表文によると、劉昆財政相はG20会合で、多国籍債権者は共同行動と公平な負担という原則の下、債務救済の取り組みに参加を促されるべきだと主張した。
イエレン米財務長官は18日、「中国とは一定の進展があった」と発言。インド出発前に応じたインタビューで同長官は、「中国はザンビアの債務再編を受け入れた。ガーナとスリランカのケースではさらに協力的だった」と語った。
一方で「共同声明の債務救済に関する部分に関して、中国がかなり難色を示していたと理解している」とも述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
合意を停止させたロシアの責任を回避し、ウクライナへの軍事侵攻で中立を保つアフリカ諸国の支持を維持する思惑がある。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
ドルが主要通貨バスケットに対し小幅高。一時15カ月ぶり安値に沈んでいたものの、米小売売上高統計が底堅い内容となったことで切り返した。
CIBCキャピタル・マーケッツの北米FX戦略責任者、ビパン・ライ氏は、小売売上高の前月比の伸びが予想を下回ったことは、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制で「進展している」兆候を示唆していると指摘。同時に、総合的には「FRBが7月終盤の会合で追加利上げを実施する必要があることを支える内容」という見方を示した。
金融市場ではフェデラル・ファンド(FF)金利が11月時点で5.40%を付け、ピークを迎えるという見方が織り込まれている。
豪ドル/米ドルも0.07%安の0.6813米ドル。オーストラリア準備銀行(中央銀行)が18日公表した今月の理事会の議事要旨からは、金利見通しを巡り目立ったサプライズは示されなかった。
<債券> 6月の米小売売上高を受け国債利回りは当初低下したものの、内容が消化されるに従い上昇した。
FRBは25─26日の会合で0.25%ポイントの利上げを決定するとの見方が大勢。FRB当局者はその後は年内に少なくともあと1回の利上げが決定される可能性を示唆しているが、20日に発表される週間新規失業保険申請件数を前に、市場の予想は揺れている。
<株式> 上昇して取引を終えた。堅調な銀行決算が追い風となり、ダウ工業株30種の続伸記録は2年超ぶりの長さとなった。
S&P500銀行指数は1.90%高となり、3月8日以来の高値となった。KBW地域銀行指数も4.10%上昇し、3月21日以来の高値を記録した。
チャールズ・シュワブは12.57%上昇し、S&P500構成銘柄の中で上げが目立った。四半期利益が予想ほど落ち込まなかったことが支援材料となった。
<米原油先物> 米国内の需給逼迫(ひっぱく)懸念を背景に買われ、3営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.60ドル(2.16%)高の1バレル=75.75ドル。9月物は1.58ドル高の75.66ドル。
低調な中国の経済指標発表に伴う需要減速懸念を受けた原油売りの流れは一巡。米石油協会(API)、米エネルギー情報局(EIA)がとりまとめたエネルギー在庫週報の公表を18日夕、19日午前に控え、需給引き締まり観測から買いが広がった。市場予想 (ロイター調査)では、14日までの1週間の原油在庫は前週比230万バレルの取り崩しとなったとみられている。相場は一時76ドル目前まで上昇した。
EIAが17日公表した石油掘削に関する報告も引き続き買い要因。EIAによると、米主要シェール層全体の8月の産油量は前月比日量1万8000バレル減の939万7000バレルとなる見込み。これは昨年12月以来の落ち込み。
中南米金融市場では、域内通貨の大半が下落した。ドル高を受けた。ただコロンビアペソは原油高を背景に1年ぶりの高値を維持した。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。スイスの製薬大手ノバルティスの上昇を受け、スイス主要株が上げたのが相場を下支えした。一方、スウェーデンの通信会社テレ・ツー(Tele2)の大幅下落で通信株は下げた。
ノバルティスは4.6%高。通期決算の業績見通しを上方修正し、ジェネリック(後発薬)事業部門サンドのスピンオフ(分離・独立)を10月とする方針を打ち出したことが材料視された。スイスの主要株式指数SMIは1.16%上げた。
STOXX欧州600種ヘルスケア株指数も1.19%高。四半期決算内容が好感されたスウェーデンの製薬会社スウェディッシュ・オーファン・バイオビトラム(SOBI)が3.4%上げたのも追い風となった。
<ユーロ圏債券> ユーロ圏国債の指標となる独連邦債の利回りが6月下旬以来の低水準を付けた。このところの経済指標や欧州中央銀行(ECB)当局者の発言を受け、ECBの利上げサイクルはまもなく終了するとの観測が出ている。
日経先物32837、ダウ先35142、債先147.77、米3.794、独2.3480、仏2.914、西3.402、伊4.016、英4.3765、波5.337、原油75.72、銅8,466、ドル円139.11、ユーロドル1.1227
※7/19 8時45分頃

備忘録(2023/7/17)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
同社はオランダのアムステルダムで開かれた国際アルツハイマー病学会で最新の治験データを発表した。発表によると、アルツハイマー病初期段階の患者1700人以上を対象とした治験で、効果のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて、認知機能の低下を1年半で35%遅らせる効果があった。
一方、認知症薬で懸念される副作用については、ドナネマブを投与した患者の約24%に脳の腫れ、31.4%に脳出血が見られた。同社は治験に参加した3人が副作用の影響で死亡したとも明らかにした。
JPモルガン・チェースのクリス・ショット氏は認知症薬の市場の6割がドナネマブ、残り4割はレカネマブが占めると予想している。「ドナネマブ」はアルツハイマー病患者の脳内に蓄積する「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質を除去する速度が早いことが好まれると予想する。
モルガン・スタンレーのアナリスト、マナン・ゴザリア氏はインタビューで、決算シーズンが本格化する中で、注目は預金残高から預金コストや純金利収入(NII)に戻るとの見方を示し、「これらは間違った方向に向かっている」と述べた。
銀行が支払う利息は増加傾向にある。米金融当局による利上げを預金金利に反映するよう求める顧客をつなぎ止めておくためだ。シティグループのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は決算発表後、支払額を増やしていると発言。ウェルズ・ファーゴとJPモルガン・チェースでは、第2四半期の支払利息がそれぞれ465%増という驚異的な伸びを示した。
空室率の高さと金利上昇で大きな打撃を受けている商業用不動産に対する地銀のエクスポージャーも懸念材料だ。フィッチ・レーティングスは5月、資産規模が1000億ドル(約13兆9000億円)未満の銀行は、資産と総資本に占めるエクスポージャーの割合が高いため、こうした逆風に一段と脆弱(ぜいじゃく)だと指摘した。
●その他産業
●決算関連
2021年12月期と22年12月期連結決算は、2年間の最終損益合計が単純合算で約5800億元(約11兆2000億円)の赤字となり、債務超過に転落した。住宅用地など開発用不動産の評価額を大幅に引き下げた。外貨建て債務の債権者と交渉中の債務再編案は未決着で、再建に向けた道筋は不透明感が強まっている。
計5800億元の最終赤字の主因は、1兆元を超える規模に膨らんでいた開発用不動産の評価減だ。引き渡し不能を恐れる顧客の買い控えで、20年12月期には5000億元を超えていた売上高が22年12月期には約2300億元に急減。販売回復の可能性が後退していた。
同社は3月下旬、最長12年の債券や関連会社の電気自動車(EV)メーカーなどの株式への転換を盛り込んだ外貨建て債務の再編案を公表していた。合計約191億ドル(約2兆5千億円)のドル建て債を対象にしたものだが、合意契約を結んだのは一部の債権者グループに限られており、なお成立のメドがたっていない。恒大は近く債権者を招集し、債権者会議を行うと明らかにした。
●先進国、グローバル、金融市場
過去1年間で融資などの申請者が審査に落ちた割合は6月調査で21.8%と前回の2月調査から4.5ポイント上がり、2018年6月以来5年ぶりの高水準になった。
与信を断られた割合は「40歳以下」「41〜59歳」「60歳以上」と各年代でそろって前回調査から上昇した。借り手の信用度合いを測る「クレジットスコア」別でみると、680以下と相対的に低い人で断られる割合が目立って上昇した。
金融商品別では、自動車ローンを断られる人が14.2%と前回から5.1ポイント上がり、データの遡れる13年以降で最も高くなった。住宅ローンの新規借り入れや借り換え審査に落ちる人の割合も高まった。クレジットカードの申請や限度額の引き上げも通りにくくなっている。
ラックロックは17日、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)を同日付で独立取締役として迎えたと発表した。ブラックロックは、長期戦略の一環として中東を重視していることの現れと説明している。
ブラックロックのラリー・フィンクCEOは「ナセル氏のリーダーシップ経験、世界のエネルギー産業と低炭素経済への推進力に関する理解、中東地域に関する知識は、すべてブラックロックの取締役会における対話に貢献する」とコメントした。
気候変動の旗振り役として積極的に発信してきたフィンク氏は、エネルギー業界の支持を受ける保守強硬派から強い反発を受けていた。世界最大の石油会社の経営トップを自社の経営陣に迎えることは、様々なステークホルダーに配慮している姿勢を示すことにもつながる。
ゴールドマン・サックス・グループのG10通貨ストラテジスト、マイケル・ケーヒル氏は、米経済の底堅さを踏まえ、ドル安に転じても過去の局面ほどは下げないとみている。ただ、欧州中央銀行(ECB)が利上げ長期化を余儀なくされる中でも、米金融当局がインフレとの闘いは終わったと宣言すれば、ドルは下支えを失いかねないという。
ケーヒル氏は「ドル売りにつながる最大のリスクはインフレの構図が乖離(かいり)することだ」と指摘する。同行ではドルが現在の1ユーロ=1.12ドル前後から2024年には1.15ドルまで下落すると予想。対円では現在の1ドル=139円前後から125円までドル安・円高が進むとみている。
ハッチウス氏は17日発表のリポートで、「当社は米国のリセッションが今後12カ月に始まる確率を従来の25%から20%に引き下げる」と記述。「引き下げの主な理由は、インフレを容認できる水準に押し下げるのにリセッションを必要としないという当社の確信が最近のデータで強まったことだ」と続けた。
ハッチウス氏は「当社では今後数四半期に一定の減速を見込んでいる。特に10月の学生ローン返済再開を踏まえて調整すると、実質可処分所得の伸びが連続的に鈍化することや、銀行融資の減少による足かせが主な理由だ」と説明。
「しかし金融状況の緩和、住宅市場の持ち直し、工場建設のブーム継続は全て米経済成長が潜在成長率を下回るペースながらも続くことを示唆している」と記した。
北海ブレント原油先物は先週、2カ月ぶりに1バレル=80ドルを突破した。その背景には、需要の拡大と石油輸出国機構(OPEC)にロシアなどを加えた「OPECプラス」による減産が原油市場をようやく引き締めつつあるとの見方がある。
しかし、需給の引き締まりはうわべだけだとシティグループは指摘する。サウジなどの生産抑制が中国需要回復の不在を見えなくしているというのが理由だ。
モース氏は「強気派は完全に間違っている」と指摘。「世界はまだ中国の本格的回復を待っており、欧州はリセッション(景気後退)にある。そして、米国がハードランディングを回避できるかもまだ分からない」と語った。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ロシアの措置を受け米シカゴ市場の小麦先物価格は17日に一時前日比で4%ほど上昇した。市場では合意延長を巡る不透明感を受けて上昇基調が続いており、その後は利益確定の売りが出て下げに転じた。
国連食糧農業機関(FAO)によると、ロシアは小麦輸出量で世界1位、ウクライナは5位だ。米金融情報サービス会社、ストーンXグループのチーフ商品エコノミスト、アーラン・スーダマン氏は17日、ロシアが安価な小麦を市場に供給していることを踏まえ「まだ小麦の供給不足が差し迫っているわけではない」と述べた。
一方で交渉が難航し、合意停止が長期にわたれば「他の主要産地で生産問題が発生した場合のリスクが残る」として、相場が不安定になる可能性を指摘した。
●中東
バイデン氏は17日、ネタニヤフ氏と電話協議した。ホワイトハウスの声明によると、バイデン氏は「イスラエルの安全保障への鉄壁かつ揺るぎない関与」を重ねて明言した。イランの核武装を防ぐうえで米国とイスラエルの協力が土台だと確認した。
ネタニヤフ氏のホワイトハウス訪問が実現すれば2022年12月に首相へ復帰してから初めて。バイデン氏は18日、ホワイトハウスでイスラエルのヘルツォグ大統領と会談する。ネタニヤフ氏の訪米がテーマの一つになるとみられる。
バイデン氏は電話協議で、ネタニヤフ氏が国内で推進する司法改革をめぐり「可能な限り幅広い同意を得る必要があり、民主主義という共通の価値観が常に米国とイスラエル関係の特徴であるべきだ」と伝えた。強引な改革にクギを刺す意図がある。
バイデン氏は3月、司法改革に関し「撤回を望んでいる」と明言した。ネタニヤフ氏をホワイトハウスに近く招待する考えはないとも言及した。
これに対し、ネタニヤフ氏はツイッターで「イスラエルは親友を含む外国の圧力ではなく、国民の意思に基づいて決断をする主権国家だ」と断言した。バイデン氏に公然と反発し、個人的な関係が悪化した。
●中南米・アフリカ
●市況
米債利回りが安定的に推移した。市場では来週の連邦公開市場委員会(FOMC)が注視されている。
指標10年債利回りは3.810%と小幅に低下。7日には4.094%と8カ月ぶりの高水準を付けていた。
2年債利回りは4.750%で推移。6日には5.12%と2007年6月以来の高水準を付けていた。
ニューヨーク連銀が17日発表した7月のニューヨーク州製造業業況指数はプラス1.1と、前月のプラス6.6から低下した。ただ、ロイターがまとめたエコノミスト予想のマイナス4.3は上回った。
中国の経済指標が予想を下回ったことを受けて需要減退懸念が強まり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前週末比1.27ドル(1.68%)安の1バレル=74.15ドル。9月物は1.24ドル安の74.08ドルだった。
中南米金融市場では、中国の経済指標が軟調だったことで世界的に「リスクオフ」となる中、大部分の中南米通貨が弱含んだ。
「カルティエ」などのブランドを擁するスイスの高級ブランド、リシュモンは2023年第1・四半期の自社事業売上高の伸びが予想を下回ったことが嫌気されて急落。世界第2の経済大国、中国の23年第2・四半期の国内総生産(GDP)の伸びが冴えなかったことから需要への懸念も高まったことも、高級ブランドの売りを促した。
<ユーロ圏債券> 中国の経済指標が軟調だったことを受け、国債利回りが低下した。インフレは低下しているとの楽観的な見方が継続していることも利回りが低下する要因になっている。
日経先物32380、ダウ先34749、債先147.34、米3.807、独2.4420、仏3.003、西3.503、伊4.147、英4.4875、波5.437、原油74.03、銅8,493、ドル円138.74、ユーロドル1.1239
※7/18 8時45分頃

備忘録(2023/7/14-16
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
ダイモン氏はウェルズ・ファーゴーのアナリスト、マイク・メイヨー氏からの質問をきっかけにノンバンクについて語った。メイヨー氏は、JPモルガンや他の銀行が規制強化に直面した場合、どのようにビジネスモデルを見直すのかと質問。米連邦準備制度理事会(FRB)の銀行監督トップであるバー副議長が、大手銀行の資本要件引き上げの計画を示した後に、貸金業者であるが厳密には銀行ないアポロ・グローバル・マネジメントの株価が最高値を更新したことを指摘した。
ダイモン氏は「これは、ヘッジファンド、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社、プライベートクレジット業者、アポロ、ブラックストーンにとって素晴らしいニュースだ」と述べた。
ダイモン氏にとってこのテーマは目新しいものではなく、同氏は最近の株主宛て書簡で「議論は規制の多寡についてばかりでなく、どのような規制の組み合わせが米国の銀行システムを世界一に保つのかについてであるべきだ」とし、シャドーバンクへの規制の可能性に言及していた。
●その他産業
●決算関連
米銀大手シティグループが14日発表した2023年4〜6月期決算は純利益が前年同期比36%減の29億ドル(約4000億円)だった。投資銀行や株式・債券のトレーディング事業の不振が響いた。不良債権処理などの与信費用やリストラ費用を含む経費の増加も重荷になった。
事業会社の売上高に相当する純営業収益は1%減の194億ドルだった。金利上昇に伴う預貸利ざやの改善が続き、純金利収入は139億ドルと16%増えた一方、非金利収入が55億ドルと28%減った。
M&A(合併・買収)助言などが低調で投資銀の手数料収入は約3割減った。市場部門の収益も株・債券ともに振るわず13%減になった。
シティのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、米政府の債務上限引き上げ問題で顧客の投資家が積極的な市場取引を控えたと説明。「待ち望まれている投資銀の回復もいまだ実現せず、残念な四半期になった」と述べた。
クレジットカードなどの貸倒損失が増え、与信費用は43%増の18億ドルを計上した。ただ貸倒引当金は縮小傾向にあり、与信費用全体も1〜3月期に比べると8%減った。営業経費は前年同期比9%増の135億ドルだった。投資銀などの人員削減に伴う退職関連費用を盛り込んだ。
2023年4〜6月期決算は純利益が前年同期比67%増の144億ドル(約1兆9900億円)だった。金利上昇で貸出業務などから得られる金利収入が大幅に増えた。5月に米地銀を買収したことも利益を押し上げ、四半期ベースで過去最高益となった。
事業会社の売上高に相当する純営業収益は前年同期比34%増の413億ドルとなった。5月に買収したファースト・リパブリック・バンク(FRC)の分を除くと、純利益は同40%増、純営業収益は21%増となる。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は米経済について「底堅く推移している」と指摘した。当面の見通しには「まだ重大なリスクがある」とつづったが、4月時点の「嵐を呼ぶ雲がとどまる」との表現は削除した。
消費者については「余剰貯蓄を徐々に使い果たしている」との認識を示した。食品やエネルギーを除くコアのインフレ率が「しつこく高止まりしている」と言及した。
景気見通しの悪化を考慮し、融資の焦げ付きに備える貸倒引当金は4億ドルを計上した。1〜3月期(11億ドル)よりは減った。貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)は前年同期の2.6倍となる28億ドルだった。主に消費者向けカードローンで延滞率が増加し、貸倒損失が増加した。
6月末時点の預金残高は2兆3989億ドルと、前年同期から3%減った。買収したFRCの寄与もあり、3月末と比べると1%増加した。貸出残高は1兆3000億ドルと前年同期比で18%増、3月末比では15%増だった。
預金金利と貸出金利の差である利ざやは4〜6月期に2.62%と1〜3月期(2.63%)から減った。前の四半期から減少するのは21年4〜6月期以来2年ぶり。利上げ局面で拡大基調にあった利ざやはピークアウトの兆しを見せた。
4〜6月期の純金利収入は前年同期比44%増の217億ドルだった。23年通期の見通しは870億ドルとし、4月時点の810億ドルから上方修正した。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は発表資料で「米経済は引き続き底堅い」とし、「消費者のバランスシートは引き続き健全で、若干減速したものの消費支出は続いている。労働市場も幾分軟化したが、雇用増は依然として力強い」と説明した。
ダイモンCEOはバーゼル3最終案や流動性規則変更の可能性に触れ、大きな変化を予想していると述べたものの、「われわれは乗り切る」と述べた。第2四半期には18億ドル相当の自社株買いを実施した。 
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比57%増の49億3800万ドル(約6800億円)だった。米国の利上げにより貸出金利と預金金利の差である利ざやが広がった。商業用不動産市況の低迷や景気減速を背景に与信費用は積み増した。
純金利収入は29%増の131億6300万ドルだった。米連邦準備理事会(FRB)が22年春に始めた利上げに伴い、融資総額の平均利回りは5.99%と、前年同期から2.47%上昇した。預貸利ざやは0.70ポイント拡大して3.09%となった。
ただ、四半期ごとの推移で見ると利ざや拡大は既にピークを越えた。1〜3月期に比べると0.11ポイント縮小した。預金者がMMF(マネー・マーケット・ファンド)など利回り商品に資金を移す動きに対抗して、預金金利を徐々に引き上げてきたためだ。それでも6月末時点の預金総額は1年前に比べて6%減、3月末時点対比では1%減となった。
貸倒引当金と貸倒損失を合算した与信費用は17億1300万ドルと、前年同期の約3倍に膨らんだ。オフィスビル向けローンやクレジットカードローンの貸倒引当金の増加が主因だ。都市部のオフィスは在宅勤務の定着や主要テナントの退出などで事業環境が冷え込んでいる。
チャールズ・シャーフ最高経営責任者(CEO)はオフィス向けローンについて「現時点で大きな損失は発生していない」と説明する一方で「多くのストレスシナリオを検討した結果、今回の引き当てに至った」とも語った。
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比27%増の13億6600万ドル(約1900億円)となった。株式相場の回復や新規資金の流入などで運用資産総額は22年6月末に比べて1割以上増えた。
営業収益は前年同期比1%減の44億6300万ドルだった。運用手数料収入が3%減った影響が大きい。運用資産は増えたが、主たる資金流入は手数料が少ない指数連動型のファンドだった。一方、前年同期に計上していた事業投資に関わる損失などが減り営業外損益は改善。最終増益につながった。
6月末時点の運用資産総額は9兆4252億ドルで、1年前に比べて9378億ドル(11%)増えた。4〜6月の3カ月間でみた資金純流入額は801億ドルだった。このうち上場投資信託(ETF)向けの流入が479億ドルあった。
「債券ETFに対する継続的な需要が、業界トップクラスの資金流入をけん引した」。ラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は決算説明会で述べた。金利水準の上昇を受けて、低リスクで利回りを追求できる商品に対するニーズが高まった。
●先進国、グローバル、金融市場
米ミシガン大が14日発表した7月の消費者態度指数(速報値)は72.6と、前月の確報値から8.2ポイント上昇した。ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(65.5)を上回り、2021年9月以来、1年10カ月ぶりの高水準となった。インフレ率の鈍化や米労働市場の強さが消費者心理の改善につながった可能性がある。
消費者態度指数は22年6月に過去最低を記録してから上昇傾向にある。今回の調査では短期と長期の景況がいずれも大幅に上向いた。低所得層を除くすべての階層で消費者の心理が改善した。
1年先と5年先の物価見通しを示す予想インフレ率は前月からわずかに上昇した。短期的な物価見通しを示す1年先の予想インフレ率は3.4%、長期的な物価見通しを示す5年先の予想インフレ率は3.1%と、いずれも前月から0.1ポイント上昇した。
同大の調査分析担当のジョアン・シュー氏は「消費者態度指数は現在、過去最低の22年6月(50.0)と新型コロナウイルス禍直前の20年2月(101.0)の中間にある」と説明した。
米教育省は14日、世帯所得に基づいた連邦学生ローンの返済計画(IDR)を見直した結果、およそ80万人がローンの一部を免除されると発表した。計390億ドル(約5兆4000億円)分の学生ローンを免除する。
米連邦最高裁は6月30日、4000万人以上を対象とするバイデン政権による学生ローン返済の一部免除措置を認めない判断を下した。バイデン米大統領はこの判断を受け、「次の道を探る。我々は(学生ローンの借り手のために)戦い続ける」と語っていた。
今回のローン免除は、世帯所得を基準とした返済計画を組み、必要以上の返済を求められていた借り手が対象になる。具体的には、1965年の高等教育法と教育省の方針に基づき、20年または25年分の支払いをすでに終えていた場合に限り残りのローンが免除される。
カルドナ教育長官は7月14日、声明で「(学生ローン返済の)壊れた仕組みは長らく借り手の返済を不正確に記録してきた」と訴えた。教育省はすでに学生ローンを完済しているはずの借り手が貸し付け側のずさんな記録管理により不当な支払いを強いられていたと主張した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
人民銀貨幣政策局の鄒瀾局長は、今年上期の経済統計に関するブリーフィングで、不動産政策が都市に合わせて「調整」されると説明。また、市場が過熱していた際に実施された政策は「若干最適化される」可能性があると付け加えた。
同氏は「中国の住宅市場の需給は大きな変化を示している」とし、住宅の一次取得や改修の需要を一段と支援していくと付け加えた。
中国では不動産開発会社のデフォルト(債務不履行)を巡る懸念が高まっている。しかし鄒氏は不動産開発会社の不良債権が融資全体に占める割合は小さい上に、リスクのある住宅ローンが占める割合も低いと述べた。
一部の不動産開発会社に関連するリスクを「徐々に消化」するにはまだ時間が必要であるものの、不動産市場は今年に入り安定していると同氏は指摘。また、不動産セクターの債務のうち、金融機関に返済すべき債務の割合は31%に過ぎず、その半分未満が銀行ローンだと説明した。
国家統計局の15日の発表によると、主要70都市の新築住宅価格(政府支援住宅を除く)は前月比0.06%下落。中古住宅も0.44%値下がりした。5月の新築住宅価格は0.1%上昇だった。
中国の不動産不況は同国の景気回復を阻害しており、需要回復のため政府がさらなる措置を講じるとの観測につながっている。住宅販売は今年初めの一時的な回復後、6月に再び減少に転じた。負債を抱えたデベロッパーへの圧力となり、鉄鉱石など資源への投資意欲を抑える要因となっている。
市場の再活性化のためのさらなる措置を当局が打ち出すと期待されている。事情に詳しい関係者が6月に語ったところによると、政府は大都市の一部の非中核地区で頭金の減額、取引仲介手数料の引き下げ、住宅購入に関する制限のさらなる緩和などの措置を検討しているという。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
インフレ緩和を背景に連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルは終了に近づいているとの観測が強まる中、ドルの軌道はなお下向きに傾いている。
終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.2%高の99.923。一時は99.574と、15カ月ぶり低水準を付けていた。週初からは2.3%下落。週間ベースの下落としては昨年11月以来の大きさとなる。
予想を上回る好決算を発表した米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループが7.2%上昇。これが寄与しダウ工業株30種はプラス圏となった。他のヘルスケア株も買われ、ヒューマナが2.5%、シグナが4.7%それぞれ上昇した。
中南米金融市場では域内通貨がまちまち。ただ、米利上げサイクルが予想よりも早期に終了するという期待が強まりドルが下落する中、MSCI中南米通貨指数は週間で1.9%上昇と、3月終盤以来の高い伸びを記録した。
日経先物32275、ダウ先34678、債先147.32、米3.830、独2.4775、仏3.032、西3.526、伊4.158、英4.4870、波5.524、原油75.32、銅8,672、ドル円138.82、ユーロドル1.1228
※7/14 NY引け値

備忘録(2023/7/13)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
2023年4〜6月期決算は、純利益が前年同期の2.5倍の18億2700万ドル(約2500億円)だった。旺盛な旅行需要を背景に、売上高は155億7800万ドルと13%増えた。売上高と純利益がいずれも四半期ベースで過去最高を更新した。
売上高の内訳は、主力の旅客収入が21%増の132億500万ドルだった。特に国際線の伸びが大きく、大西洋路線は65%増の28億ドル、太平洋路線は2.7倍の5億ドルだった。
コスト面では全体の約2割を占める燃料費が22%減少するなど採算が改善した。同社は23年1〜3月期に3億6000万ドルの最終赤字を計上したが、黒字に転換した。デルタのエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「旅行需要は旺盛だ。特に我々がターゲットとする高価格帯チケットの顧客層の消費意欲は強い」と述べた。
23年7〜9月期の予約も堅調で、23年12月期通期の業績見通しを上方修正した。6月下旬時点では1株利益6ドルを予想していたが、6〜7ドルに引き上げた。
バスティアンCEOは航空業界の共通課題として、航空機の納入に遅れがでていることや、パイロットの訓練に時間がかかっていることにも言及。需要が高まる一方、供給面の制約が続いていると強調した。
2023年4〜6月期決算は、売上高が前年同期比10%増の223億2200万ドル(約3兆850億円)だった。販売数量は全体で2.5%減ったが、15%の値上げで増収増益を確保した。売上高と1株利益はいずれも市場予想を上回った。
純利益は27億4800万ドルと92%増えた。22年4〜6月期にロシアでの販売停止などに伴う評価損14億ドルを計上したため、反動で純利益が増加した。
主力の北米スナック菓子事業の販売量は1%増だった。値上げで北米の朝食シリアル事業の販売数量は5%減、飲料事業は4.5%減だった。20%値上げした欧州ではスナック菓子が2%増、飲料が1%減だった。
ラモン・ラグアルタ最高経営責任者(CEO)は13日の投資家向け説明会で「値上げしても消費者はペプシコ製品を買い続けている」と指摘した。消費者は「ダラーストア(1ドルショップ)で買い物をしたり、まとめ買いをしたりするなど工夫しているが、全体でみると多くの国で失業率が低いことがプラスになっている」と話した。
23年12月期通期の業績予想を上方修正した。為替変動や買収などの影響を差し引いた実質売上高は前期比10%増を見込む。従来予想は同8%増だった。実質1株利益は12%増と従来予想の9%増から引き上げた。
●先進国、グローバル、金融市場
6月14〜15日の理事会の議事要旨で「必要ならば7月を過ぎても利上げを検討できる」との見解が出ていたことが分かった。高インフレが定着するリスクへの懸念から、0.5%の大幅利上げを求める意見もあった。
向こう1カ月間は顧問として残るが、連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策を巡る役割やその他の関連職務からは身を引き、講演なども全て中止したとセントルイス連銀は説明している。
LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏は「ブラード氏はFOMCの知的権威の一人だった。ハト派であると同時に、最近はインフレの問題を克服するため力強い理論的アピールでタカ派の代表格を務めた」と指摘。「同氏がいなくなるとタカ派の会話力は低下」し、シカゴ連銀のグールズビー総裁のように「同じく論客だがハト派の当局者」の影響力が増すだろうと述べた。
セントルイス連銀のナンバー2であるキャスリーン・オニール・パエゼ氏が総裁代理に就いた。同連銀の理事会は「透明性が高く公平かつ包摂的で徹底した」次期総裁の人選を開始すると説明した。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「ブラード氏は長年、FOMCの最も思慮深いメンバーの一人だった」と述べた上で、「ブラード氏の見解は簡単に特定のカテゴリーには分類できない。タカ派的にもハト派的にもなるが、常に刺激的だ。FOMCに惜しまれることだろう」と指摘した。
ネーションワイド・ライフ・インシュアランスのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は、ブラード氏の辞任が23年の金利の道筋に及ぼす影響は「ごくわずか」で、「2回目の追加利上げの可能性が少しだけ低下する」との見方を示した。
LHマイヤーのタン氏も、金融当局としてインフレ抑制に確信が持てるようになるまで、高金利を維持するとパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長がコミットしている点を踏まえれば、ブラード氏辞任で見通しに変更があるとは予想していないと話した。
さらにタン氏によれば、セントルイス連銀の理事会は12の地区連銀の中でもタカ派寄りの傾向がある。5月22日から6月14日までの期間をカバーしたFRBの公定歩合議事要旨によると、6月に公定歩合の0.25ポイント引き上げを求めた4行の一つだった。
グリーンエネルギーと自動車セクターの需要鈍化や、中国からの供給増加が理由だ。
足元では需要は弱い。また中国は市場支配力を強化しようとして潤沢な供給に動いている。
バレンジョイのアナリスト、ダン・モーガン氏は「需要サイドは主として風力タービン装置の分野が軟調だ」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
米国のモノの輸入に占める割合で中国が2023年1〜6月に15年ぶりに首位から陥落する見通しとなった。1〜5月の輸入額は前年から25%減少し、メキシコとカナダに抜かれた。世界経済の4割を占める米中は政策主導で分断が進み、国際貿易の構造が変わりつつある。
中国経済には警戒すべき兆しが見られている。不動産市場のきしみは大きくなり、インフラ投資は頭打ち、輸出は縮小している。若者の失業率は過去最高で、デフレリスクが近づきつつある。こうしたあらゆる問題が、企業と消費者の信頼感を圧迫する。
①政府借り入れの増額
中国政府は3月に3兆8800億元(約75兆円、地方政府に発行が認められた特別債の額を除く)に設定された今年度財政赤字を拡大することが可能だ。だが、政府は二の足を踏むかもしれない。2008年の後に見られたように、赤字急増に伴う長期的なリスクが発生するからだ。
それでも短期的な財政出動は経済をなお支えることができ、迅速に行動すればコストを比較的低く抑えることができると、楼継偉元財政相は主張する。
楼氏は国務院系の新聞、経済日報が9日の一面に掲載した記事で、「できるだけ早く経済を通常の状態に戻すため、可及的速やかに財政赤字を拡大させるべきだ」と論じた。
楼氏は今年の財政赤字を最大2兆元増やすよう政府に求めた。公式データに基づきブルームバーグが試算したところでは、この増額が実施されれば財政赤字は国内総生産(GDP)比4.6%まで上昇することになる。中国政府の目標は同3%だ。
政府はまた、資金難で高リスクの地域が隠れ債務の返済資金に充てるため地方債の追加発行を認める計画を検討していると、ブルームバーグは事情に詳しい関係者の情報として今月報じた。
②中央政府債
新規債務の大半は中央政府の債券発行で賄い、中小企業支援に活用されるべきだと楼氏は提唱。この資金の一部は地方に分配し、資金難の地方政府が市民に過剰な罰金を科すなど極端な動きに出るのを防ぐこともできると述べた。
中国財政科学研究院の劉尚希院長は、地方政府に比べて中央政府はなお借り入れを増やす余地があると示唆。劉氏は政府紙、中国新聞週刊とのインタビューで、人民銀行(中央銀行)は独立性を保つという「教条的な」主張を捨て、経済成長を促進する目的で中央政府債の直接購入を開始するべきだと論じた。
人民銀は長きにわたり、政府債の直接購入を求める声に抵抗している。
③金利引き下げ
人民銀行は利下げを継続することで資金調達コストを低く維持し、新規債務で政府が背負う負担を緩和することもできる。銀行システムに対して流動性を追加注入すれば、増発する債券の吸収に役立つ。
ブルームバーグのエコノミスト調査によると、人民銀行は年内の残り期間を通じて政策金利を緩やかに引き下げる公算が大きい。だが、中国の政策アドバイザーや政府系エコノミストの一部は、大幅な利下げを最近示唆し始めた。
習近平国家主席を含む最高幹部に政策を助言した経験を持つ著名エコノミスト、劉元春氏は、人民銀が金利を1ポイント引き下げれば中国全体で節約できる資金調達コストは3兆1000億元に及び、この額は今年1-5月の鉱工業企業の合計利益よりも大きいと指摘した。
人民銀の元貨幣政策委員、余永定氏は今月、利下げが「極めて必要」で、その余地は「かなり大きい」と述べた。
④預金準備率
大幅な利下げよりも、はるかに可能性が高いのが市中銀行の預金準備率引き下げだ。人民銀が預金準備率を最後に引き下げたのは3月だが、中期貸出制度(MLF)の融資の返済期限を次々と迎える今年下期に流動性の逼迫(ひっぱく)を防ぐため、再度引き下げざるを得なくなるかもしれない。
経済全体の信用の伸びが弱いことを踏まえ、人民銀が市中銀行に融資を増やすよう促す可能性もある。次期総裁就任が有力視される人民銀の潘功勝・新共産党委員会書記は6月、信用の伸びが上向く余地はあると発言していた。
⑤税制優遇
米中貿易戦争と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響を企業が乗り切るのを後押しするため、李克強前首相は大型減税の導入を指揮した。この減税規模は大きく、GDPに対する税収額は2018年の17%から、昨年は14%近くに低下した。
不動産市場が冷え込み、政府の主な収入源である土地売却収入が落ち込むなど歳入が縮小している中では、さらなる大幅減税の余地は小さいように見える。
代わって政府が注目すべきなのは既存の税制優遇措置の有効性を改善することだと、粤開証券の羅志恒チーフエコノミストが人民銀行系の雑誌「中国金融」への寄稿で指摘した。羅氏は先週、李強首相主宰の会議に出席したが、この会議で首相は、政府は「時間を浪費することなく」的を絞った景気刺激策を実施していくと述べていた。
⑥現金給付
羅氏はまた、政府が消費者にクーポン券や現金を給付し、家計消費を支援することも提案。貧しい地域の財政負担を軽くするようコストを中央政府と地方政府で分担することも可能だと、中国金融への寄稿記事で論じた。
だが、これは可能性が低いかもしれない。パンデミック期に日本や米国などでは実施されたが、中国は消費者への大規模な現金給付を控え、雇用市場の回復が消費者の支出増加につながることに賭けた。ただ、景気の厳しさはいまだ和らがず、限定的な刺激策はこの改善にほとんど寄与していない。
背景には、ゼロコロナ解除後の景気回復が失速していることがある。中国の不動産市場は低迷し、輸出は縮小。デフレリスクも迫っている。ロンドンを拠点とする中国専門の調査会社エノド・エコノミクスのチーフエコノミスト、ダイアナ・チョイレバ氏は「急成長する経済の魅力」がなければ、中国が西側諸国の企業を誘致するのは容易ではないと指摘。その上で「中国が米国に対抗する上で、デフレの兆候は景気悪化の印象を与え、外資誘致をさらに難しくしている」と述べた。
中国政府の民間セクターに対する姿勢の変化を最も顕著に示すのがハイテク企業の扱いだろう。
中国の李強首相は12日、アリババグループやJDドットコム(京東)などの幹部らと協議。インターネット企業を「時代の先駆者」と持ち上げた。一方、国家発展改革委員会は、ネットプラットフォーム大手が国家の技術革新を支えていると称賛した。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
ドルが下落し、2022年4月以来の安値に沈んだ。米指標がインフレ緩和の兆候を示す中、年内の米利上げはあと1回にとどまるという見方が強まっている。
労働省が朝方発表した6月PPIは前年比0.1%上昇し、2020年8月以来約3年ぶりの低い伸びにとどまった。
前日発表の6月CPIは前年比3.0%上昇。5月の4.0%から鈍化し、2021年3月以来約2年ぶりの小幅な伸びとなった。
ジャニー・モントゴメリー・スコット(フィラデルフィア)のチーフ債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏は、生産者物価指数にはFRBがインフレ指標として注目する個人消費支出(PCE)に含まれる部分もあるため、生産者物価指数が低水準ならコアPCEも低下する可能性が高いと指摘。このことは、FRBがあと1回の利上げを行った後は利上げを停止するとの見方を裏付けていると述べた。
日経先物3280.、ダウ先34546、債先147.50、米3.776、独2.4375、仏2.996、西3.481、伊4.122、英4.4900、波5.557、原油77.23、銅8,700、ドル円138.07、ユーロドル1.122時3
※7/14 9時00分頃

備忘録(2023/7/12)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
カナダ銀のマックレム総裁は同日の記者会見で「基調的なインフレ圧力は予想以上に目強い」と述べ、利上げ継続の理由を説明した。
マックレム氏は、利上げ継続を決めるにあたり「より多くの情報を得られるまで金利を据え置くことも議論した」と明らかにした。そのうえで「行動を遅らせることの代償は、待つことのメリットよりも大きいと判断した」と述べた。
英キャピタル・エコノミクスのスティーブン・ブラウン氏はマックレム氏の発言を受け「声明文で示したほど、政策決定のメンバーが『タカ派』的ではないことを示唆している」と述べた。
5月のカナダのCPIは前年同月比3.4%上昇した。4月(4.4%)より鈍化し、21年6月以来の低い伸び率となった。主因はガソリン価格の下落で、食品やエネルギーを除いたコア指数でみると4.0%だ。声明文では「基調的なインフレの緩和はまだ小さい」と記し、企業が通常よりも頻繁に値上げしていると指摘した。
インフレが根強く残る背景には、カナダ経済の底堅さがある。カナダ銀は同日公表した経済見通しで、23年の経済成長率見通しを4月時点の1.4%から1.8%へと引き上げた。23年のCPI予測は同3.5%から3.7%へ上方修正した。
カナダ銀は声明文で、個人消費について「驚くほど力強い。需要超過が続いている」とつづった。金利上昇で冷え込んでいた住宅市場も「若干の回復がみられる」とした。3月に利上げを停止して以降、「ここ2〜3カ月で経済に過剰な需要が存在することを示すデータが蓄積された」(マックレム氏)。
9月に開かれる次回会合の見通しについてマックレム氏は「金融政策は機能しているが、もう少し強く働く必要がある。インフレ圧力を和らげるにはしばらく時間がかかりそうだ」と述べ、継続利上げに含みを持たせた。
ウォレス英国防相は12日、ウクライナに武器の供与を続ける西側諸国について「(配送サービスの米)アマゾン(・ドット・コム)ではない」と記者団に述べた。感謝を示すようウクライナに求める発言もし、米国などでウクライナへの「支援疲れ」が広がることに懸念を示した。
リッチモンド連銀のバーキン総裁は、米CPI上昇率は6月に鈍化したとはいえ、まだ高過ぎると指摘。インフレ率を目標の2%まで戻すという米金融当局のコミットメントをあらためて強調した。
同総裁はメリーランド州アーノルドでの講演で、「手を引くのが早過ぎればインフレが再び強まり、そうなれば米金融当局はさらなる行動が必要になる」と語った。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は12日に発表した論考で、銀行に対して、根強いインフレを抑制するために追加利上げが必要となる事態に備えるべきだと警鐘を鳴らした。
市場は現在、インフレと金利がともに下がると見込んでおり、その通りの展開になれば、銀行のバランスシートに対する圧力も和らぐ可能性が高いと同総裁は指摘する。
「だが、インフレが想定よりも定着していると判明した場合、追加利上げが必要になり、資産価格は一段と下落して、銀行への圧力が増す可能性がある」とし、「そのようなシナリオでは、政策担当者は積極的なインフレ退治か、銀行安定の支援かの二者択一を余儀なくされる」と説明した。
オックスフォード・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ライアン・スイート氏は今回のインフレ統計について、「今月の後の追加利上げが必要かどうかについてFOMCで議論する理由になり得る」と指摘。「米当局が進めてきた現在の引き締めサイクルは終わりに近付いている可能性が高い」と述べた。 
ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏はリポートで「6月CPIは米金融当局が利上げサイクルを終了しようとしている重要な局面で発表された。インフレ低下に有利に働くのはベース効果だけではなく、経済の減速も寄与している。FOMCは7月25、26両日の会合で利上げに踏み切る可能性が極めて高いが、その後、さらなる利上げの必要性に懐疑的になる当局者が増えるかもしれない」と論じた。
ただ、単月のCPI統計だけで米金融当局者の姿勢にすぐ大きな影響が及ぶ可能性は低いとみられる。
米リッチモンド連銀のバーキン総裁はCPI発表後に行われた講演で「インフレ率は高過ぎる。われわれの目標は2%だ」と言明。「手を引くのが早過ぎればインフレが再び強まり、そうなれば米金融当局はさらなる行動が必要になる」と語った。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
マネックス・ヨーロッパのFX分析責任者サイモン・ハーベイ氏はコアインフレ指数の鈍化について、「今回の米利上げサイクルにおいて追加利上げはあと1回というわれわれのベースシナリオを支える内容」と指摘。また、CPIを受け「ドルは先週末に発表された米雇用統計後の下げ幅を拡大し、ノルウェークローネやスウェーデンクローナ、円など、米債利回りの動向に敏感で過小評価されている通貨に対する下げが目立った」と述べた。
金融市場では、FRBが今月25━26日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げに踏み切るとの見方が依然強い一方、その後、年内に再び追加利上げが決定される確率が低下した。
MSCI中南米通貨指数が1.6%上昇し2013年4月以来の高値を付けた。米インフレ統計で連邦準備理事会(FRB)の年内利上げがあと1回にとどまることが示唆され、ドルが下落した。
米CPIを受けて投資家が英中銀の利上げ見通しを引き下げたため、英国債利回りは低下した。短期金融市場では、英中銀が政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げる確率は58%と見込み、前日の約80%から低下した。
ユーロ圏債券
域内国債利回りが低下した。米消費者物価指数(CPI)の伸びが予想以上に鈍化したことを受け、世界的なインフレ圧力に終止符が打たれ、中銀の政策金利が近くピークに達するとの見方が広がった。
日経先物32140、ダウ先34580、債先147.55、米3.858、独2.5410、仏3.102、西3.604、伊4.255、英4.5705、波5.606、原油75.84、銅8,515、ドル円138.38、ユーロドル1.1140
※7/13 8時50分頃

備忘録(2023/7/11
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
サンフランシスコ連邦地裁のジャクリーン・スコット・コーリー判事が下した判断により、マイクロソフトは7月18日の期限より前に、英国を除く世界で買収手続きの完了を目指すことが可能になる。英競争・市場庁(CMA)は4月26日、買収計画を認めないと発表していた。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
2023年3月期の運用利回りがマイナス5.07%だったと発表した。マイナスは20年3月期以来、3年ぶり。運用資産も3820億シンガポールドル(約40兆円)と5%減少した。
石油輸出国機構(OPEC)のガイス事務局長は11日、ナイジェリア石油・ガス会議で、世界のエネルギー需要は2045年までに23%増加するとの予測を示した。
「炭素の回収・利用・貯蔵や水素プロジェクトといった革新的なソリューションに加え、G20(20カ国・地域)から前向きな支持を受けている循環型炭素経済が必要となる」と述べた。
また、世界の石油産業は同時期に12兆1000億ドルの投資が必要だが、まだその軌道には乗っていないと指摘した。
ウィリアムズ氏は「われわれはインフレ率を2%にするため政策を十分に制約的なスタンスにするのにまだいくつかの方法があると考えていることを、予測やコミュニケーションを通じて示してきた。これらは全て、10年を超えてではなく、数年で物価を安定させるというコミットメントを反映している」と語った。
また、「これまでに実施した制約的な政策の効果がまだ十分に発揮されていない」とし、「一部の金利に敏感な部門では既に効果が出ているが、(全体的に)効果が出るのはまだ先だ」と指摘した。
ウィリアムズ氏は「労働市場は明らかに引き続き非常に力強く、雇用の伸びも非常に堅調だ」と表明。労働参加率に弱さは見られないとした上で、「労働需要の方向性という点で減速の兆しがあるのは間違いない」と言及した。
経済見通しについては「私の予測では景気後退はない。かなり緩やかな経済成長になる」と予想した。
高官は対英経済審査を終えて、「金融引き締めのペースと規模について継続的な見直しが必要だ」と指摘し、「インフレ圧力がさらに持続する兆しが見えた場合、政策金利をさらに引き上げ、より長期にわたり高水準を維持してインフレを持続的に低下させ、インフレ期待を固定させる必要があるだろう」と述べた。
IMFは、英国が年内は景気後退を回避し、経済成長率は0.4%になるとの5月の予想を改めて示した。
インフレ率は年末までに「5.25%前後」まで鈍化するとした。5月の予想では年末のインフレ率は「5%前後」だった。どちらの予想も2025年半ばにはインフレ率が中銀目標の2%を下回ることを示唆している。
24人のエコノミストを対象に6月28日から7月6日にかけて実施した調査では、20人が中銀は12日に政策金利を25bp引き上げると予想。これにより2022年3月以降の利上げ幅は合計で475bpに上り、政策金利は22年ぶりの高水準となる。
CIBCキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏は「金利はすでに、より正常な利上げサイクルの下での水準か、それを上回っている。ここからの動きは政策の微調整と直近データへの対応になるはずだ」と語った。
米国のオンライン価格は先月、約3年ぶりの速いペースで下落した。新型コロナウイルス禍に伴うインフレが鈍化しつつあることを示す新たな兆候となった。
11日公表されたアドビのデータによると、6月にオンラインで販売されたモノの価格は前年同月比で2.6%下落。2020年5月以来の大幅な下げとなり、前年同月比ベースでは10カ月連続のマイナスとなった。アドビが追跡する18の主要カテゴリーのうち、半数以上が年間ベースで値下がりした。
家電製品は8.3%下落と、2014年までさかのぼるデータで最大の下げ。電子機器やコンピューターの下げ幅はさらに大きく、12.9%と16.9%それぞれ下落した。
オンラインの食料品価格は6月に7.6%上昇と、前月の8.2%から伸びが鈍化。3月時点では10.3%上昇だった。
ロンドンでの会議で、ドルには「かつてのような引力はない」と指摘。中国人民元建ての貿易が拡大しているほか、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や新開発銀行など中国に本部を置く開発銀行による安価な融資などドルが回避されている事例があるとし、「ドルは今後も世界の主要通貨であり続けるだろうが、もはや世界の支配的な通貨ではなくなるだろう」とした。
ゲオルギエワ専務理事は11日、今後5年間の世界経済の成長率は年率3%程度と、過去平均の3.8%程度を大幅に下回るとの見通しを示した。
講演の冒頭で、特に新興国の政府は債務やインフレを抑制するために財政政策を引き締める必要があると指摘。インフレが続けば金融情勢が一段と引き締まり、「資本フローに影響が及ぶかもしれない」とした。
NIQのカーマン・アリソン氏は「消費者が疲弊しているのだから、企業は価格以外でビジネスを成長させる新たな方法を見つける必要がある」と指摘。「給料ぎりぎりの暮らしをする人は増えている」と語った。
●中国・アジア・ロシア・東欧
1〜6月の新車販売台数(輸出を含む)は前年同期比9.8%増の1323万9000台だった。国内販売分は微増で力強さを欠いたが、急拡大した輸出が補った。国内市場は年後半にかけて昨年にあった税優遇の反動減が予想され、厳しい状況が続く可能性がある。
輸出を引いて計算した国内販売は全体の8割強を占め、伸び率は2.4%にとどまった。2022年前半は経済都市の上海や深圳でロックダウン(都市封鎖)が実施されて車販売が滞った時期で、比較対象の水準は高くない。23年に入っても市民の所得や雇用への先行き不安は根深く販売が伸び悩んだ。
「消費ニーズは依然として不十分で、業界は大きな圧力を受けている」。オンラインで記者会見した汽車工業協会の許海東・副総工程師は市場についてこう表現した。
内需の弱さには、前年にあった政策による販売押し上げ効果の反動もある。中国政府は22年6月から12月末まで一部の内燃機関車を対象に、自動車取得税を半減させる措置を取った。23年6月単月の実績は前年同月比4.8%増だが、内燃機関の乗用車に限ると14.7%減だった。
一方で輸出は1〜6月に前年同期比75.7%増と急伸し、新車販売全体における比率は16.2%と6.1ポイント上昇した。ロシアなどで中国ブランド車の販売が伸びている。また電気自動車(EV)など新エネルギー車の輸出は2.6倍に急拡大した。
汽車工業協会は22年12月、23年の新車販売台数は22年比3%増の2760万台とする予測を公表し、現時点で修正していない。税優遇の反動減などを受け、23年後半は前半と比べて失速するとの認識だ。
業界にとってはこれまで普及が拡大してきた新エネ車の市場動向も気がかりだ。1〜6月の新エネ車販売台数は44.1%増の374万7000台で、全体に対する比率は28.3%と前年同期から6.7ポイント上昇した。EVに限ると31.9%増の271万9000台だった。
市場が拡大するなか、ガソリン車の生産を終了して新エネ車に特化する比亜迪(BYD)は需要の取り込みに成功し、販売規模を2倍に膨らませた。他方、EV新興の上海蔚来汽車(NIO)が大幅値下げに踏み切るなど競争は激しくなっている。
有力自動車情報サイト「汽車之家」で新エネ車関連を担当する範鑫氏は「勝者総取りの傾向が出ている」と指摘する。一定以上のシェアを獲得したメーカーがコスト低減などで先行し、他社を圧倒する局面に入りつつある。
中国政府は6月、従来実施してきた新エネ車に対する自動車取得税の減免措置について、期限を23年末から27年末に延長するが、24年以降は段階的に税優遇の規模を縮小する方針を打ち出した。市場のけん引役となってきた新エネ車の産業振興策も転換点を迎えている。
主要7カ国(G7)の一部は、ウクライナと二国間で安全保障を確約する交渉に入ることで合意に近づいている。事情に詳しい関係者が明らかにした。二国間の確約を重ねることでウクライナの国防能力を強化し、将来のロシア侵攻を防ぐ狙いがある。
関係者によれば、この内容はリトアニアの首都ビリニュスで開かれている北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に合わせ、G7首脳が発表する宣言に盛り込まれる見通しだ。宣言はウクライナに長期的な安全保障を提供することが目的でG7の大半が加わる見通しだが、まだ協議中で、発表までに内容や参加国が変わる可能性もあるという。
米国および他の参加国はそれぞれ、陸海空の近代的な軍装備品の提供を通じて、ウクライナに対する具体的な長期の安全保障確保に取り組むことになる。関係者によると、提供される装備は防空システムと弾薬、長射程弾、装甲車両が優先される。協議が非公開だとして関係者は匿名を要請した。
ウクライナ支援国はまた、同国軍とNATO軍の相互運用性も促していくと、関係者は述べた。ウクライナ防衛産業の発展を支援するとともに兵士の訓練や情報共有、サイバー防衛強化を行っていく。
安全保障の確約はウクライナが現在受けている支援をほぼなぞる内容だが、その規模を拡大し、ウクライナの持続的な基盤構築を支援して将来の攻撃を抑止する狙いがある。
G7首脳はまた、ロシアが将来攻撃してきた際にはウクライナと直ちに対応を協議することを約束する意向だと、関係者の1人は明らかにした。当面はウクライナに金融支援を継続し、復興の取り組みを後押しするとあらためて表明する。
一方、ウクライナは安全保障や国防部門、法執行、司法、経済など一連の改革を続けることを約束するという。
外交筋の1人によると、ウクライナの将来的な加盟に関する宣言の最終的な文言では「加盟国が同意し、条件が整えば、NATOが加盟への招待を行う立場になる」ことが示されているという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は11日、同日開幕した北大西洋条約機構(NATO)首脳会議でウクライナの加盟を巡り明確な時間軸が示されなければ「ばかげている」という認識を示し、NATOがウクライナに門戸を開く用意ができていないとけん制した。
ストルテンベルグNATO事務総長は、首脳会議ではウクライナの加盟に向けた道筋について「明確かつポジティブなメッセージ」を送ると発言した。しかし、外交官らは声明の文言はまだ決定していないと述べており、ウクライナの加盟時期や招待を巡り加盟国間で溝があることが浮き彫りとなった。
ゼレンスキー大統領は首脳会議出席前、テレグラムへの投稿で、NATO加盟に向けた「時期も設定されず、招待もなければ、前代未聞でばかげている」と反発。さらに「ウクライナの招待に関しても『条件』という曖昧な文言が加えられている」と述べた。
さらに、ウクライナのNATO加盟を巡る長引く不確実性は、ロシアに「テロ行為を続ける動機」を与えるとけん制した。
ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は11日、北大西洋条約機構(NATO)がロシアを「敵」のように扱っていると非難した上で、NATO首脳会議で下されるいかなる決定も注意深く監視し、ロシアの安全保障を守るために何らかの措置で対応すると述べた。
定例記者会見で「ロシアは(NATO首脳から)敵や敵対国として認識されている。(ビリニュスでの)話し合いはこのような流れで行われるだろう」と指摘。「われわれは非常に注意深くこれを監視している。なぜなら、発言の多くはわれわれ自身の安全保障確保に向けた措置を講じるための詳細な分析の対象となるからだ」とした。
また、ロシアのラブロフ外相はNATOのさらなる拡大を見越してロシアは「適切な」措置をとると述べた。ただ、詳細は語らなかった。
ペスコフ氏は、ウクライナのNATO加盟は「潜在的に欧州の安全保障にとって非常に危険だ。決断を下す者はこのことを認識する必要がある」とし、欧州の指導者はNATOの軍事インフラをロシアの国境に向けて移動させることが間違いであることを理解していないようだとした。
スウェーデンのNATO加盟についてはロシアの安全保障にとって「否定的な意味合い」を持ち、ロシアは対応せざるを得ないと強調。一方、10日にスウェーデンのNATO加盟に向けた批准手続きを進めることに同意したトルコについては、トルコはNATO加盟国としての義務を果たす必要があるとしたほか、ロシアはトルコとの関係を発展させ続けるとした。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
JPモルガン・チェースは1.6%上昇。14日の決算発表を前にジェフリーズは投資判断を「バイ」に引き上げた。
JPモルガンなど銀行大手を皮切りに決算発表シーズンが実質始まる。S&P銀行株指数は1.5%高となった。米銀行の第2・四半期決算は金利収入の増加がM&A(合併・買収)の減少を補い、増益になる見込み。
日経先物32330、ダウ先34428、債先147.69、米3.964、独2.6430、仏3.198、西3.704、伊4.398、英4.6990、波5.718、原油74.82、銅8,336、ドル円140.13、ユーロドル1.1013
※7/12 8時50分頃

備忘録(2023/7/10
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(銀行監督担当)は10日、信用や業務、トレーディングのリスクについて、銀行が自主的に試算するのではなく、標準化されたアプローチを採用し始めるのが望ましいと述べた。銀行に起こり得る危険をより正確に把握できるよう、毎年のストレステスト(健全性審査)を見直すべきだとの見方も示した。
バー副議長が説明した計画は、数カ月に及んだ銀行の資本要件見直しを踏まえて策定された。今年に入り複数の銀行が破綻し、銀行の資本要件は政治的に難しい問題となっている。バー氏はこの日、現在の銀行システムは全般に健全ではあるが、複数の変更が必要であることが精査の結果で分かったと指摘。変更により、銀行は将来に発生し得る損失に備えた緩衝材として、より多くの資本を確保しておくことを義務付けられるという。
バー副議長はワシントンのシンクタンク、バイパーティザン・ポリシー・センターで講演。事前テキストによると「こうした変更は全般的な資本要件引き上げにつながるが、ここで強調しておきたいのは規模が最大級で極めて複雑な銀行がその主な対象になるということだ」と話した。「寄せられるコメントを慎重に検討し、変更すべき点があれば適切に段階的に導入していく」と述べ、大半の銀行は既に新たな要件を満たせる十分な資本を有していると続けた。
バー氏によれば、この案が発効するには、まず案が提起され、連邦準備制度理事会(FRB)と連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)が承認する必要がある。計画の第1案は今月にも公表される可能性があるが、実際に発効するのは数カ月、数年先になる可能性が高く、銀行業界には検討する機会が与えられるという。
「それぞれの銀行が独自に自行のリスクを試算する慣行をやめ、透明性が高く首尾一貫したアプローチを採用する」とバー副議長は提案について説明した。
この計画で「改善された資本ルール」が適用されるのは、資産が1000億ドル(約14兆2300億円)を超える銀行および銀行持ち株会社だという。現行では、そうした規制が適用されるのは国際的に事業を展開している、もしくは資産が7000億ドル以上の企業が対象。
バー氏は資本要件の変更によって、銀行の業務慣行や金融サービスの提供手法が変わる可能性があるとの懸念があることを認識。しかし大半の銀行はすでに、新たな要件を満たせる十分な資本を有していると指摘した。そうではない銀行も「配当を維持しながら」、利益の内部留保によって十分な資本を確保するのに2年もかからないはずだと、同氏は発言。この数年と同ペースでの収益が可能だという見方を示した。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
貿易収支は1兆1867億円の赤字と、前年同月から赤字幅は7514億円縮小した。輸出額は2.8%減の7兆2412億円と、27カ月ぶりに減少に転じた。景気回復の勢いが鈍化する中国など海外経済の減速が響いた。
輸入額は10.2%減の8兆4279億円だった。商品別にみると原油を含む原粗油が21.7%減、液化天然ガス(LNG)が31.6%減だった。
第1次所得収支の黒字は17%増の3兆6319億円だった。5月としては比較可能な1985年以降で最大だった。製薬や自動車といった産業で海外子会社からの配当金といった直接投資収益が伸びた。海外の金利上昇を受けて債券利子の受け取りも増えた。
サービス収支の赤字は2409億円と赤字幅が590億円拡大した。インターネット広告などのマーケティング費用の支払い増加などにより「その他サービス収支」の赤字幅が拡大した。訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支は2744億円の黒字と前年同月の8.5倍に達した。
米国の6月の中古車価格は前月比4.2%下落し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以来最大の下げとなった。前年同月比では10.3%下落した。
自動車オークション会社のマンハイムが集計した中古車価格指数によると、前月比での下落率は6月としては過去最大。11.4%下落した2020年4月以来の急激な落ち込みだった。
米国のインフレ率は6月も引き続き軟化した可能性が高いが、基調的な物価圧力を反映する重要指標は落ち着かない上昇ペースが続き、米連邦準備制度は25、26日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げ再開に引き続き傾くことになりそうだ。
ガソリン小売価格の下落が主に影響し、12日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比3.1%と、2021年3月以降で最も低い伸びが予想される。ヘッドラインCPIの上昇率はわずか2カ月で2ポイント近く減速することになる。
これに対し、変動の激しい食料品とエネルギーを除くコアCPIは同5%と、2021年後半以来の小幅な上昇が見込まれるが、別のインフレ指標に基づく連邦準備制度の物価目標と比較するとなお倍余りの水準だ。
英年金の株式への投資不足が英国企業の存在感低下を招いたとの危機感が背景にある。英国の株式時価総額は23年にフランスに抜かれ、欧州首位から陥落した。英ブレア元首相が会長を務めるシンクタンクや英金融街シティーのロードメイヤー(市長)による、年金基金に株式投資を促す私案の発表が相次いでいた。
ハント財務相は「英国の機関投資家は現在、海外の機関投資家に比べて英国の高成長企業に投資していないという逆説的な状況にある。この年金改革でリスクをとって長期的な価値を生み出す起業家への支援を増やすことができる」と話す。
英国での新規株式公開(IPO)を増やすため、投資家に渡す目論見書を簡素化する方針も出した。2024年までに未上場企業の資金調達を支援する「取引所」の提供も目指すとした。
英国のハント財務相は10日、インフレ率を2%の目標に戻すため政府とイングランド銀行(英中央銀行)は「必要なことを必要な限り実施する」と表明した。金利が当面、高水準にとどまる可能性を示唆した。
ハント財務相はロンドンの金融街シティーで開かれた金融業界幹部との夕食会で講演し、「健全なマネーの供給がわれわれの最優先事項」と強調。中銀のベイリー総裁も、インフレ抑制の「任務を全うする」と言明した。
ハント氏はまた、企業の利益幅が回復しても「インフレを助長するなら誰の得にもならない」として、企業は利益幅について自制心を持つべきだと訴えた。
自身が所属する保守党の多くの議員が来年にも実施される総選挙を前に減税を求める中、ハント氏は減税よりインフレとの戦いを優先するべきとの立場を改めて示した。
インフレ抑制は「公的部門の給与を含め財政について責任ある意思決定を必要とする。借り入れが増えること自体がインフレ圧力になるからだ」と指摘した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国人民銀行(中央銀行)と国家金融監督管理総局の共同発表文によると、金融機関は不動産企業の未返済ローンに関して延長の交渉に応じるよう奨励される。仕掛かり物件を完成させ、引き渡しのペースを加速する狙いがある。2024年より前に期限を迎える信託融資など、ローン残高の一部については1年の返済猶予が与えられるという。
中国の景気回復は2年にわたる不動産危機が足かせとなっており、政府が一段の需要喚起策を打ち出すとの観測が高まっていた。住宅販売は今年に入っていったんは持ち直したものの、6月には再び減少に転じており、負債を膨らませた開発業者を圧迫している。
足元では、不動産開発業者の遠洋集団の債券が債務負担への懸念から急落。デフォルト(債務不履行)に陥った世茂集団は18億ドル(約2550億円)規模のプロジェクトが強制競売にかけられたものの買い手がつかないなど、不動産業界の苦境が鮮明になっている。
●中東
トルコのエルドアン大統領とスウェーデンのクリステション首相は10日、リトアニアで会談した。トルコが難色を示すスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟が主要テーマとなる。エルドアン氏は会談に先立ち、加盟承認の見返りに自国の欧州連合(EU)への加盟を進展させるよう求めた。
エルドアン氏は10日、リトアニアへ出発する前の記者会見で「まずトルコのEU(加盟)への道を開いてほしい。そうすれば、我々はスウェーデンの道も開く」と強調した。トルコは1999年にEU加盟候補国となったが、2005年に始まった加盟交渉は近年、事実上の凍結状態にある。
●中南米・アフリカ
●市況
ドルが3週間ぶりの安値を付けた。米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言を受け、FRBによる引き締めサイクルが終わりに近づいているとの市場の見方が強まった。
複数のFRB当局者は10日、高止まりしているインフレの抑制には追加利上げが必要だが、現在の金融引き締めサイクルは終わりが近づいているとの認識を示した。
中南米金融市場では大半の域内通貨が弱含み。金属の輸入大国である中国の低調な指標が重しとなり、チリペソは約6週間ぶりの安値に沈んだ。
負債に苦しむ水道会社テムズ・ウォーターは、投資家が同社に7億5000万ポンド(9億6000万ドル)を投入することに同意したと発表。これを受けて同業のユナイテッド・ユーティリティーズ、セバーン・トレントはそれぞれ1.0%、1.6%上昇した。
デンマークの製薬会社ノボノルディスクは1.1%安。欧州医薬品庁(EMA)が糖尿病治療薬オゼンピックと抗肥満薬サクセンダの調査に入ったことが嫌気された。アイスランド当局が、患者が自殺や自傷を考えたケースが3件あったと警告していた。
ドイツの製薬・化学大手バイエルは1.6%上昇。農薬関連のクロップサイエンス事業を分離し、株式を上場させる可能性があるとの報道が材料視された。
日経先物32325、ダウ先34143、債先147.67、米4.000、独2.6270、仏3.180、西3.670、伊4.361、英4.6900、波5.723、原油73.14、銅8,380、ドル円141.26、ユーロドル1.1003
※7/11 8時35分頃

備忘録(2023/7/7-9
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
普及には課題がある。一つが検査体制だ。レカネマブを投与するためには事前に陽電子放出断層撮影(PET)か脳脊髄液(CSF)の検査で、脳内にアミロイドの蓄積があるかどうかを調べる必要がある。
日本ではアミロイドの蓄積を調べるPET検査に対応可能な施設は全国で50カ所程度に限られる。現時点では医療保険の適用外のため、自己負担の場合は1回数十万円かかる。
また副作用も報告されている。治験では緊急的な処置が必要として投与が中止になった参加者が出た。脳出血や脳の腫れを引き起こす可能性があり注意が必要だ。
最大のライバルは米イーライ・リリーだ。同社が開発する「ドナネマブ」はレカネマブと同じくアミロイドに結合するバイオ医薬品で、認知症の進行スピードを35%低下させるという治験の結果を公表している。脳出血や脳の腫れといった副作用はレカネマブより高い確率で発生しているが、有効性はレカネマブを大きく上回っている。
世界ではアルツハイマー病の治療薬の治験が140以上進行中で、うち半数以上が新薬としての承認を前提とした製薬会社による治験だ。アミロイドとは別のたんぱく質「タウ」を標的とした治療薬の開発も進んでいる。エーザイとバイオジェンのほか、イーライ・リリー、スイスのロシュといった製薬大手が手掛けている。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
オランダからの報道によると同国のルッテ首相の連立政権は7日、難民流入抑制策を巡る与党間の協議が決裂したことを受け崩壊した。ルッテ氏は8日、ウィレムアレクサンダー国王と会談し今後の対応を協議。総選挙は11月中旬以降とみられ、ルッテ政権は新内閣が発足するまで暫定政権となる。
ルッテ氏は7日に「移民政策を巡る与党間の意見の相違は克服不能になった。国王に辞表を提出する」と述べ、総選挙を実施する考えを示した。
戦争を逃れオランダに滞在する難民の子の入国を制限し、家族の合流まで最低2年間待たせるとのルッテ氏の提案への支持を、4党連立政権に加わる2党が拒否した。
オランダへの難民申請は昨年4万6千件超と急増。今年は既に7万件を超え、難民政策が課題となっていた。
中道右派の自由民主党(VVD)を率いるルッテ氏は2010年に首相に就任し、在任期間はオランダ史上最長。昨年1月にVVDと中道リベラル政党の民主66、キリスト教民主勢力、キリスト教連合の第4次政権が発足したばかりだった。
米国内の石油・天然ガスの掘削リグ稼働数は前週比6基増の680基で、10週ぶりに増加に転じた。天然ガスのリグ稼働数は2016年10月以来の大幅な増加となった。
ただ前年同期の水準は依然として72基(10%)下回っている。
石油リグの稼働数は5基減の540基で、22年4月以来の低水準。天然ガスは11基増の135基と6月上旬以来の高水準となった。
米原油先物は今年に入っておよそ9%下落している。昨年は約7%上昇していた。昨年は約20%上昇した米天然ガス先物も、今年は年初来で約43%下げている。
天然ガス価格の大幅な下落を背景に、一部企業はリグを削減し生産を減らしている。こうした中で週間のリグ稼働数が増加するのは異例。
バンガード・グローバル・グループのチーフエコノミスト、ジョセフ・デイビス氏とシニアインターナショナル・エコノミスト、アンドリュー・パターソン氏は、インフレをFRBの目標である2%に回帰させる上で、賃金の伸びは「引き続きFRBが快適と感じられる水準をはるかに上回っている」と指摘した。
インフレーション・インサイトのオメール・シャリフ氏は、4・5月分の米雇用者数の伸びが計11万人下方改定されたことで、過去3カ月の月間平均の伸びは24万4000人と、1年前の40万人超を下回ったという点で、6月の雇用統計は弱めの内容と指摘。ただ、一段と均衡の取れた労働市場に向けた進展は緩慢なペースという見方を示した。
雇用統計を受け、市場ではFRBが今月のFOMCでフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25─5.50%に引き上げるとの見方がほぼ織り込まれた。
労働統計局によると、FRBが利上げを開始した2022年3月以降、失業率は3.4─3.7%のレンジを推移している。FRB当局者は失業率約4%を、インフレを低下させるために十分な緩みが存在する水準とみなしている。
パウエルFRB議長は6月FOMC後の会見で「労働市場は引き続き非常にタイト」という見解を示しつつも、労働市場の需給バランス改善を示す「一定の兆候」があると述べていた。
米金融大手ゴールドマン・サックスは7日、イングランド銀行(英中央銀行)のターミナルレート(政策金利の最終到達点)見通しを25ベーシスポイント(bp)引き上げ6%とした。
住宅ローン市場を通じた利上げの経済への伝達ペースが遅いため、一段と積極的な金融引き締めが必要になるとした。
英中銀は6月の会合で50bpの利上げを決定し、政策金利を5.0%とした。政策金利は2008年以来の高水準となったが、金融市場では英中銀は2024年に政策金利を6.5%まで引き上げると予想されている。
6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は予想以上に伸びが鈍化し、2020年12月以来2年半ぶりの小幅増にとどまった。ただ、賃金は堅調な伸びを維持し、労働市場の強さが示されたことで、米連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で利上げに踏み切ることはほぼ確実とみられる。
非農業部門雇用者数は20万9000人増で、市場予想の22万5000人増を下回った。雇用者数の伸びが市場予想を下回ったのは15カ月ぶり。
今年前半の雇用者数の伸びは月平均27万8000人。労働年齢人口の増加に追いつくためには毎月7万─10万人の雇用創出が必要となる。
4・5月分の雇用者数の伸びは計11万人下方改定され、企業が金利上昇を踏まえ、採用の拡大に消極的となりつつある兆候を示唆した。経済的な理由でパートタイムで働く人も45万2000人増加し、420万人に達した。しかし、雇用の伸びは引き続き底堅く、米経済が景気後退に陥るには程遠い状況を示している。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「労働市場は減速しているように見える」としつつも、FRBが25━26日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で再度ブレーキを踏まざるを得ないほどの減速ペースではないと述べた。
また、セントラルフロリダ大学経済予測研究所のショーン・スナイス所長は「雇用統計は景気後退の匂いを漂わせたが、労働市場は依然として堅調だ」と指摘。「決してFRBの仕事が終わったわけではない。インフレとの戦いは長期化している」と述べた。
業種別では、政府が6万人増加した。しかし依然としてコロナ禍前の水準を16万1000人下回っている。
民間部門雇用者数は14万9000人増と20年12月以来の最小の伸びとなった。
ヘルスケア関連は4万1000人増、建設は2万3000人増、専門職・ビジネスサービスも増加した。
レジャー・接客は2万1000人増加した。しかし、コロナ禍前の水準を36万9000人下回っている。
時間当たり平均賃金は前月比0.4%上昇、前年同月比4.4%上昇でともに5月と同水準だった。
平均週間労働時間は34.4時間。5月の34.3時間から増加したものの、1月の34.6時間を下回った。
コンファレンス・ボードのシニア・エコノミスト、セルク・エレン氏は「企業は労働力の維持・拡大を継続しているが、週間労働時間は増加傾向にはない。これは景気減速下で将来的な採用難を恐れ、解雇ではなく労働時間を短縮してでも雇用を維持することを選択する経営陣の姿勢と一致している」と述べた。
家計調査に基づく雇用は27万3000人増と5月の31万人減から回復した。
その結果、失業率は3.6%と7カ月ぶりの高水準だった5月の3.7%から低下。失業率は22年3月以来、3.4─3.7%の範囲で推移している。
労働参加率は4カ月連続で62.6%。ただ、25歳から54歳までの働き盛りの世代の労働参加率は83.5%と5月の83.4%から上昇し、02年5月以来の高水準に達した。
アップキャストで労働市場を分析する主席エコノミスト、アンドリュー・フラワーズ氏は「労働力需要は依然としてマッチしていないが、1年超前に雇用主を落胆させていた労働力不足は確実に幾分改善している」と指摘。「この力強い労働市場は、働き手を市場に引き戻した」と述べた。
グールズビー総裁はCNBCのインタビューに対し、この見通しが誤っていると示すものは何もないとし、「リセッション(景気後退)を引き起こさずにインフレ率を2%に引き下げるための王道だ」と指摘。これには年内あと2、3回の利上げを伴うと語った。
また、FRBが昨年3月以来実施してきた合計5.00%ポイントもの利上げの効果が完全に表れるのはこれからだと言及。インフレ率はなお高すぎるとした上で、「FRBの目下の最優先目標はインフレ低下だ」とし、失業率がリセッションを意味する水準まで上昇することなくインフレを低下させることは可能と確信していると述べた。
7月のFOMC時における判断については、会合前に重要な6月のインフレ指標が発表されるため、まだ何も決めていないとした。
労働省が朝方発表した6月の雇用統計については、雇用市場は堅調ではあるものの、冷え込みつつあるのは明らかだと指摘。ただ、1回の雇用統計を深読みしすぎてはならないとの考えも示した。
イエレン米財務長官は9日、4日間にわたる北京訪問を締めくくる記者会見を行い、「不公正」な経済慣行について中国側に迫ったことを明らかにした上で、今後の米中関係を巡り現実的かつ前向きな姿勢を示した。
ここ数年、台湾からテクノロジーへのアクセスに至るさまざまな問題で米中間の摩擦が大きく増えている。そうした中で、同長官が今回の中国滞在中に行った協議は計10時間に及んだ。
イエレン長官は「直接的で実質的」な会談ができ、米中関係を「より確かな基盤」に近づけたと語った。
同長官は特に何立峰副首相と5時間にわたり話し合い、中国の新たな経済チーム発足後、2人の政策責任者の間で初めて集中的な意見交換が行われた。李強首相との会談では、米中関係についてより広範に意見が交わされた。
中国を経済的に抑え込むことなく、米国の国家安全保障を守るという、イエレン長官が4月に概要をまとめた政策の最初の大きな試練となったのが今回の訪中だ。
同長官は中国の経済政策に対する懸念を表明する一方、特に気候変動や貧困国の債務問題といった世界的な課題に関して、米中間の協力と関与の拡大を求めた。
中国の「非市場的」慣行や、米企業に対する中国側の「威圧的行動」増加などといった問題もイエレン長官は提起。また、ウクライナを侵略しているロシアに中国企業が物資支援を行わないよう警告した。
ただ、こうした主張にもかかわらず、同長官が中国側に発した全体的なメッセージは、世界1、2位の経済大国である米中の競争は「勝者総取り」ではなく、双方が公平なルールで競争関係を管理すべきだというものだった。
イエレン長官は「バイデン大統領と私は、米中関係を大国間の対立という枠で捉えてはいない」と説明。「世界は米中が繁栄するのに十分大きいとわれわれは考えている」と話した。
米国債の逆イールドが今後、債券ポートフォリオをわなに陥れると懸念しているのなら、心配無用だ。
米ボストンを本拠とするNDVRのクオンツリサーチャーは、世界最大の債券市場における約100年の歴史を分析した結果、こう結論付けた。
同社のロニ・イスラエロフ最高投資責任者(CIO)らは米国債市場の混乱、つまり長短利回りが逆転し、それが解消される過程を研究。その結果分かったのは、10年債利回りの上昇ではなく、短期債利回りの低下が米国債市場を正常化させることだという。
米国債市場の重要な一角は最近、1980年代初め以来の大きさとなる逆イールドを記録。このため、米国債の相場急落(利回り急上昇)で、米国債の長短利回り逆転が解消されるのではないかと懸念するウォール街のトレーダーらもいる。
だが、少なくとも歴史的に見れば、逆転に転じた後、1年後の10年債の超過リターン(ER)は、通常時よりも低いとはいえ、まだプラスであるのが一般的だ。
クオンツ運用を手掛けるAQRキャピタル・マネジメントでプリンシパルを務めていたイスラエロフ氏は電話インタビューで、「10年債投資を検討している人たちは、10年債の利回り上昇によってイールドカーブが正常化し、債券ポートフォリオに損失が発生することを懸念している」と指摘。
その上で「われわれが過去のデータを分析した中で最も印象的だったのは、利回り曲線の正常化が進む間、10年債利回りにほとんど変化がなかったことだ」と語った。
イエレン長官は9日放送のCBSの番組「フェース・ザ・ネーション」のインタビューで、リセッションのリスクが「完全になくなった訳ではない」と指摘。雇用者数の前月比の伸びは「高水準」を維持した後、予想通り鈍化しているとの見方を示した。イエレン氏は「健全な労働市場という状況下でインフレを抑制する道筋があることを望んでいるし、そう信じている。データは我々がその道を進んでいることを示唆している」と語った。
●中国・アジア・ロシア・東欧
フランスの自動車メーカー、ルノーのジャンドミニク・スナール会長は、中国が原材料供給を停止するというリスクに欧州はまだ目覚めていないと警告した。
同会長は半導体・通信・電気自動車(EV)産業にとって重要な2つの金属、ガリウムとゲルマニウムの輸出を制限・管理するとの中国の発表に触れ、「もちろん、私は夜も眠れない。戦略上の大問題だ。一夜にして非常識な状況になり得る。このことは誰も予期していなかった」と語った。
会議参加のため仏南部エクサンプロバンスを訪れた同会長は、欧州連合(EU)は中国産の金属に欧州が依存している現状にもたらす影響を見極めていないとも指摘。
「中国は鉱山と、特にバッテリー製造に使用される金属に手をかけており、誰もそのことで中国を責めることはできない」と会議のパネルで述べ、「将来の戦争は金属戦争になる」との見方も示した。
テクノロジーを巡り欧米と中国の通商対立が激化する中で、中国は量子コンピューターから人工知能(AI)、半導体製造に至るあらゆる分野で技術的な優位を得るとの野心を抱いており、3日に発表した金属輸出規制の理由として国家安全保障上の懸念を挙げた。
●中東
●中南米・アフリカ
6月の生産台数は通常の生産規模の目安とされる30万台を上回った。メキシコではコロナ禍で自動車の生産台数が急減し、サプライチェーン(供給網)の混乱で回復が遅れていた。23年に入ってからは19年に迫る水準まで生産体制が回復している。
6月の消費者物価指数は、前年同月と比べて5.06%上昇した。2カ月連続で6%を下回った。インフレの減速が続くなか、市場ではメキシコ銀行(中央銀行)が8月の次回の金融政策決定会合で政策金利の据え置きを続けるという見方が出ている。
農畜産物とエネルギー価格を除くコアインフレ率は6.89%だった。コアインフレ率に含む「(農畜産物を除く)食料品と飲み物、たばこ」は前年同月比で10.49%上昇した。コアインフレ率に含まない「果物と野菜」は同3.98%上昇した。
米シティグループ系のバナメックスも23年末時点の政策金利は11%になるとの予想を示している。バナメックスは5日公表のリポートで、中銀が利下げに転じるのは早くても9月の会合になるというアナリストの見方を紹介した。
●市況
BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ベン・ジェフェリー氏は「今週発表されたデータを受け、市場はおそらく非農業部門雇用者数について少なくともコンセンサスかそれ以上の内容を見込んでいたが、実際発表された内容はやや弱いもので、(過去分の)大幅な下方修正も伴っていた」と指摘。「7月の連邦公開市場委員会(FOMC)におけるFRBの見通しを大きく変えるほどのものではなかったと思うが、7月のFOMCでの判断を巡り来週12日発表のCPIの重要度が増した。また現時点では9月のFOMCがより大きな不確定要素になる」と述べた。
日経先物32385、ダウ先33937、債先147.78、米4.066、独2.6355、仏3.183、西3.684、伊4.339、英4.6980、波5.786、原油73.71、銅8,369、ドル円142.09、ユーロドル1.0969
※7/7 NY引け値

備忘録(2023/7/6
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
6月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.32ポイント高い6.48%だった。港区の大規模再開発ビルが空室を残して竣工したようだ。外資系IT(情報技術)企業など大型テナントがオフィス拡張の判断を保留しているとみられる。
空室率の上昇は2カ月連続で、2022年9月(6.49%)以来の高水準。供給過剰の目安とされる5%を29カ月連続で上回った。
三鬼商事の集計では都心5区の空室面積は6月に2万9千坪(約9万6千平方メートル)増えた。市場では麻布台ヒルズで「大きな空室が残っている」との見方が多い。米欧で景気不安が強まるなか、外資系IT企業、金融機関のオフィス移転について本国の決裁が下りない例があるとされる。
三鬼商事によると竣工1年未満の新築ビルの空室率は6.81ポイント高い34.42%にまで上昇した。
既存ビルの空室率は渋谷や神田などの中規模ビルで増床や拡張移転などの動きがあり、5.78%と0.01ポイント低下した。「国内企業では支店機能を拡充するなど、コロナ後のオフィス戦略を再考する動きから需要は旺盛」(業界関係者)との声があった。
都心5区では7月に森ビルの「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」、11月に東急不動産の「渋谷サクラステージ」など大規模な供給が続く。オフィス仲介大手、三幸エステート(東京・中央)の今関豊和チーフアナリストは「テナントが抜ける既存ビルの『2次空室』はこれから顕在化する」と指摘。オフィス空室率は高い水準が続きそうだ。
米民間調査会社ADPが6日発表した6月の全米雇用リポートによると、非農業部門の就業者数(政府部門は除く)は前月から49万7000人増えた。ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(22万人)を大きく上回った。
米債券市場では長期金利の指標である10年債利回りが一時、前日比0.12%高い(価格は安い)4.05%と3月以来の高水準に上昇した。金融政策の影響を受けやすい2年債利回りは5.12%と2007年以来の高水準を付ける場面があった。
金利上昇が消費の逆風になるとして、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスなど消費関連銘柄の下げが目立つ。金利上昇で相対的な割高感が強まる高PER(株価収益率)のハイテク株も全般に売られ、ダウ平均では顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルが安い。
ローガン総裁はコロンビア大学で行う講演の原稿で「6月のFOMCでフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げることは、ここ数カ月のデータのほか、FRBが担う二重の責務の目標に合致しており、完全に適切だった」と指摘。ただ「困難で不確実な環境」を踏まえると「1回の会合で(利上げを)見送り、より緩やかに進めていくことは理にかなう」と述べた。
その上で、6月のFOMCでFRBが公表した最新の金利・経済見通しでは、さらなる利上げが予想されていたと指摘。「FOMC参加者の3分の2は年内にあと少なくとも2回の利上げを予想している」とし、「FOMCが6月に出したシグナルを実行に移すことは重要だ」と述べた。
物価情勢については「インフレ率が持続可能、かつタイムリーに目標に戻るか、なお大きく懸念している」とし、「インフレ率が目標を上回り、労働市場は予想以上に力強いとの見通しを踏まえると、一段と制約的な金融政策が必要になる」と語った。
米経済については、雇用市場やインフレ率に示されるように上半期は予想以上に強かったとし、「労働市場の指標は緩和しているものの、全体的なリバランスのペースは依然としてこれまでの予想よりも遅い」と述べた。
その上で、これまでの政策措置の影響が経済に表れるのを待つとの考えに疑問を呈し、「大きな追加的な効果が出る可能性については懐疑感を持っている」と語った。
商業用不動産については、注視しているものの、特に脅威とは見ていないと指摘。住宅市場は底を打ったように見えるとした。
また、FRBのバランスシート縮小がFRBの金融政策の選択肢に影響を及ぼすとは現時点では考えていないと指摘。FRBはインフレ低下に合わせて利下げを行っても、保有債券を売却し続ける可能性があるとの見方も示した。
米国の銀行システムについては「強固で、流動性も高い」とし、銀行システムは良好な状態にあると指摘。この春に見られた銀行部門のストレスは、多くの銀行がFRBの重要な緊急融資を利用する準備を完全に整えていなかったことを示していると述べた。
米供給管理協会(ISM)が6日発表した6月の非製造業総合指数は53.9と、前月の50.3から上昇し、市場予想の51.0も上回った。新規受注が伸びた一方で、支払い価格が3年ぶりの低水準となり、サービス部門のインフレ低下が継続することが示唆された。
新規受注指数は55.5と、前月の52.9から上昇。輸出が底堅く増加した。
価格指数は54.1と、前月の56.2から低下し、2020年3月以来の低水準となった。
雇用指数は53.1。前月は49.2だった。
金融市場は6日時点で、イングランド銀行(英中央銀行)が2024年に政策金利を6.5%まで引き上げ、25年ぶりの高水準になると予想している。従来予想していたピークの6.25%を上回る。このような見通しにより、短期国債利回りが2008年半ば以来の高水準となっている。
金利先物市場は、英中銀が24年2月の会合までに金利を現在の5%から6.5%以上に引き上げる確率が約3分の2なのを示している。
ドイツ銀行のストラテジストは顧客向けメモで「英中銀の今後の利上げに対する投資家の予想は、ここ数日でより上振れている」と記した。
ベイリー氏は6日、一部の小売企業による過剰な価格引き上げがインフレを助長しているという証拠がいくつかあると指摘した。英中銀は以前、このような動きは広がっていないとの見方を示していた。
CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む11月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は48%と、前日の約36%から上昇した。
今月のFOMCでの0.25%ポイント利上げの確率も95%と、前日の90.5%から上昇した。
米国の民間企業は6月に50万人近く雇用を増やした。この1年余りで最速の増加ペースで、労働市場の力強さが続いていることが鮮明になった。ADPリサーチ・インスティテュートがスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボとの協力でまとめた統計で6日、明らかになった。
雇用は建設や貿易・運輸、娯楽・ホスピタリティーといった比較的広い範囲で増加した。地域別では南部を除いた全地域で増加。特に従業員250人未満の企業で大幅に増えた。
一方で賃金の伸びは減速した。同じ職にとどまった労働者の6月賃金は、前年同月比で6.4%増加。転職した労働者の場合、年間報酬の増加率は中央値で11.2%で、いずれも2021年以来の鈍いペースだった。
ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は発表文で「消費者と対面するサービス業では6月に雇用が力強く伸び、予想を上回る雇用増の流れと整合する動きだった」と指摘。「同時にこれらの業界では賃金の伸びが鈍化を続けており、雇用はサイクル終盤の急増局面を終えて頭打ちになっている可能性が高い」と分析した。
ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は発表文で、「過半数の回答者はビジネス環境が依然として落ち着いていると示唆しているが、インフレと将来の経済見通しに対して慎重だ」と指摘した。
6月は宿泊・食品サービスや娯楽・レクリエーションなど15業種が拡大を報告した。
ISM統計はサービスに対して健全で底堅い需要があることを示唆した。米国民は商品の選択的購入は抑制しているが、体験に対する支出を選好している。この傾向はISMの2つの統計に開きが生じている一因となっている。
プライマリーディーラー調査では、米連邦準備理事会(FRB)の現在の利上げサイクルにおける政策金利の最終到達点(ターミナルレート)の予想は5.38%と、6月連邦公開市場委員会(FOMC)で示された、あと2回の追加利上げを想定した5.6%より低かった。
主に大手資産運用会社を対象とした別の市場参加者への調査も、プライマリーディーラーと同様の予想となっている。
いずれの調査も6月FOMCに先立って実施された。
プライマリーディーラーは来年第1・四半期中に利下げが開始され、来年全体で計100ベーシスポイント(bp)の政策金利引き下げがあると見込んでいる。一方、市場参加者調査で予想された来年末の政策金利は4.25%。FOMCの見通しは4.6%だ。
FRBによるバランスシート縮小の取り組みについてプライマリーディーラーは、来年第2・四半期に国債の保有圧縮が停止されるが、住宅ローン担保証券(MBS)は少なくとも2025年第4・四半期まで圧縮が続くとみている。
プライマリーディーラーの間では、バランスシート縮小をやめる理由に関しては意見が分かれ、「利下げに伴っての措置」「景気後退がありそうだとFRBが判断する場合」といった声が聞かれた。
需要の伸びは今年予想される日量235万バレル(2.4%)より減速するものの、なおパンデミック期を除いた過去10年間の年平均を上回ると予想する見込みだ。
一方、国際エネルギー機関(IEA)は来年に大幅な需要減を見込んでいる。
OPECとIEAは、最近たびたび対立している。OPECは先進国に助言を与えるIEAについて、無責任な予測をして後からデータを修正しているとして批判している。
OPEC関係筋3人は、来年の石油需要の伸びは鈍化するだろうが、IEAが予測するほど深刻ではなく、伸びは日量100万─200万バレル程度になると述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
マレーシア経済の先行き不透明感が出ている。通貨リンギ安や、アンワル政権の議会運営に懸念が強まっているためだ。投資家の投資意欲も冷え込んでおり、同国の株式相場も低迷している。
中国の習近平国家主席は6日、対台湾作戦などを担う東部戦区の施設を訪れ、将兵らに「戦争に備えた任務の新局面を切り開くよう努めなければならない」と指示した。東部戦区は江蘇省南京市に拠点を置き、台湾周辺での大規模演習などを行っている。
習主席は、米国と台湾の接近を念頭に「わが国の安全を巡る情勢は不安定性、不確定性が増している」と指摘。危機感を強め、全力で作戦遂行能力を高めるよう命じた。実戦に備えた軍事訓練を通じ、勝利する能力の向上が重要だとしている。
東部戦区は今年4月、台湾の蔡英文総統とマッカーシー米下院議長の会談への対抗措置として、3日間にわたり、台湾を取り囲んだ演習を実施。着々と台湾侵攻能力を高めているとされる。
ロイター調査ではエコノミスト25人中22人が据え置きを予想していた。年内は金利が据え置かれるとの見方が多い。
前回5月の金融政策委員会では予想外の利上げを決定。内需が力強く、根強いインフレを管理する必要があると説明していた。
ただ、最近は総合インフレ率が鈍化しており、5月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.8%上昇と、今年最低の伸びを記録した。
中銀は声明で「金融政策スタンスはやや緩和的で引き続き経済を支援している」とし「金融政策委員会は金融政策スタンスが物価安定下で持続可能な経済成長に引き続き寄与することを確実にする」と述べた。
ルカシェンコ氏は記者団に対し、ロシアの戦術核兵器の使用にはプーチン氏が最終的な決定権を持っているものの、ベラルーシはいかなる使用にも拒否権を持つと表明。「管理はベラルーシとロシアが共同で完璧に行っている。ロシアが使用を決めた場合、最も近い同盟国であるべラルーシに相談すると確信している」とし、「私自身のほか、ベラルーシ国民、ベラルーシ政府が望まなければ、(核兵器の使用は)起こらない」と述べた。
その上で、米国や欧州の大国を核兵器で攻撃したいとは誰も思っていないとし、核兵器は防衛のためにのみ存在しているとの考えを表明。ただ、ベラルーシに対するいかなる攻撃にも直ちに対応すると警告した。
ルカシェンコ氏はまた、ロシア国防省の管理下にある多くの核弾頭がベラルーシ国内にすでに運び込まれていると表明。陸路で運搬されなかったため、米中央情報局(CIA)や英秘密情報局(MI6)のほか、ドイツの情報機関に察知されていないと述べた。
ホワイトハウスは、ウクライナへのクラスター弾供与を「積極的に検討している」としつつも、現時点で発表することはないとした。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは6日公表の報告書で、ウクライナ国内でロシア、ウクライナ双方の軍がクラスター爆弾を使用し、民間人の死者を出していると指摘。両国に使用の中止を訴え、米国にはクラスター爆弾を供与しないよう求めた。
クラスター弾は国際条約で製造や使用、保有が禁止され、約120カ国で採択されているが、米、ロシア、ウクライナは署名してない。
バイデン政権は7日に発表する新たな包括的軍事支援の一部として、デュアルパーパス改良型通常弾(DPICM、クラスター爆弾)の供与を表明する。事情を知る関係者2人が、内部で協議されている情報であることを理由に匿名で明らかにした。
決定は論争の的になると予想される。フランスやドイツ、英国をはじめ、多数の北大西洋条約機構(NATO)加盟国を含む約100カ国が、2010年に発効したクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)に署名しているからだ。同条約はクラスター弾の使用や移譲などを禁止している。米国とロシア、ウクライナはこの条約に署名していないが、米国は過去にロシアを含む他国によるクラスター爆弾使用を非難している。
同首相は研究者とのセミナーで、中国が経済の回復と産業アップグレードの重大な段階にあると指摘。リスクを防止しながら成長と雇用を安定させるために、的を絞った包括的でうまく調整された対策を迅速に実施しなければならないと語った。対策の詳細は明らかにしなかった。
この発言は民間エコノミストの予想と一致している。彼らは数週間前から、中国が景気減速に対処するための全面的な景気刺激策には至らないだろうと予測していた。地方政府が過剰債務を抱えるため、エコノミストたちは借入コストの引き下げや的を絞った税額控除などの対策を予測している。
●中東
ロイター通信によると、レバノンから6日、イスラエルに向けてロケット弾2発が発射された。複数のレバノン治安筋の話として、1発がレバノン領内に、もう1発はレバノンとイスラエルが領有権を争う係争地に着弾したと伝えた。
イスラエル軍は同日、「ロケット弾がイスラエル領内に着弾した」と発表。レバノン領内のロケット弾発射地点を報復攻撃した。レバノン国営通信によると、イスラエル側から15発の砲撃が確認された。死傷者は伝えられていない。
イスラエル軍がヨルダン川西岸ジェニンのパレスチナ武装勢力に対する軍事作戦を行ったばかりで、在レバノンのパレスチナ武装勢力による攻撃との見方がある。
また、レバノン南部に影響力を持つイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエルとの間で最近、国境線を巡り緊張が高まっており、ヒズボラによる攻撃の可能性も指摘されている。
●中南米・アフリカ
議事要旨によると、中銀は「インフレ見通しは複雑かつ不確実で、上昇リスクがある」と指摘。「総合インフレ率を3%の目標に秩序正しく持続的に収束させるためには、政策金利を現行水準で長期間維持する必要がある」と説明した。
ムーディーズ・アナリティクスのアルフレド・クティーノ氏は議事要旨について、年末までの金利据え置きを意味する可能性があると指摘。メキシコ経済は現在、生産能力を超えて拡大しており、インフレ率が目標の3%に戻ることを妨げているかもしれないとの見方を示した。
●市況
<株式> 続落。米労働市場が堅調を維持している様子を示す指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを続けるという観測が強まり、幅広い銘柄に売りが出た。
格安航空会社(LCC)大手ジェットブルー航空は7.2%安となった。スピリット航空の買収計画を進めるため、アメリカン航空との提携解消を求めた米裁判所の命令に従うと発表した。
中南米金融市場では、通貨が総じて下落した。米国の政策金利が長期にわたり高止まりするとの観測から、リスク資産から資金が流出する動きが出ている。
日経先物32357、ダウ先34130、債先148.29、米4.036、独2.6315、仏3.182、西3.681、伊4.369、英4.6965、波5.857、原油71.84、銅8,279、ドル円143.95、ユーロドル1.0891
※7/7 8時50分頃

備忘録(2023/7/5)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
世界の平均気温が連日、過去最高を更新している。3日にセ氏17.01度に達し、2016年8月に記録した16.9度を上回った。4日には17.18度まで上昇した。専門家は南米ペルー沖の海水温が上がる「エルニーニョ現象」によって、今夏の平均気温がさらに高まる可能性を指摘している。
世界的な気温上昇は各地に影響を及ぼしている。米南部テキサス州では厳しい熱波で死者が相次いでいる。カナダでは高温や乾燥した気候により、山火事の焼失面積が例年の10倍強に達した。中国やインド各地も猛暑や熱波に見舞われている。
最高気温の記録は今後更新される可能性がある。世界気象機関(WMO)は4日、エルニーニョ現象が7年ぶりに発生したと発表した。WMOのペッテリ・ターラス事務局長は声明で「エルニーニョの発生が猛暑を引き起こす可能性を大幅に高めるだろう」とコメントした。
イングランド銀行は海外銀行に対して、支店ではなく子会社の設立を要求する条件を厳しくする方針だ。現在は個人や中小企業から1億ポンド(約180億円)以上の預金を受け入れていることなどを要件にしている。オランダのABNアムロやスペインのカイシャバンク、韓国産業銀行などが対象になるとみられている。
海外銀行が経営破綻した際に、英国に子会社があれば迅速に介入できるとみるためだ。英金融大手HSBCホールディングスは3月、SVBの英国子会社を1ポンドで買収した。リーマン・ショック後にできた銀行法の特別決議制度によって、イングランド銀行がSVBの株主らの同意によらずに承認した経緯がある。
海外銀行にとって子会社は支店よりも維持コストがかかり、負担は増すことになりそうだ。
BofAは3日、先週発表された米連邦準備理事会(FRB)による銀行ストレステスト(健全性審査)結果が、金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づく自社の分析結果と異なることについて理解するため、FRBと協議を開始したと発表。
5日時点でも協議は継続中だとした。
●その他産業

●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
6月13〜14日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公開した。この会合は政策金利の据え置きを決めたが、複数の参加者が利上げの継続を支持していたことが明らかになった。
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は5日、米連邦準備理事会(FRB)が6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置いたのは妥当な措置だったとしながらも、景気が堅調に推移する中、いずれ追加利上げが必要になる可能性を示唆した。
同連銀のイベントで、需給のバランスを取りインフレ率を低下させるために「まだやるべきことがある」と指摘。金融政策を巡る判断はデータ次第としながらも、いずれ追加利上げが必要な可能性があるとの見方は、データによって裏付けられているとした。
7月の利上げが必要かどうかについては明言を避けた。
物価上昇圧力は弱まっていると認めつつ、インフレ率はまだ高すぎるとし、現在の水準に「満足していない」と述べた。また、労働需要は依然として高く、経済は利上げに「比較的うまく」対応してきたとの認識を示した。
米自動車ディーラー2社の経営破綻や返済延滞となっている自動車ローンの急増は、これまで平穏だったウォール街の一角に損失をもたらす恐れがある。資産担保証券(ABS)市場がそれだ。今年破綻した中古車ディーラーのU.S.オート・セールスとアメリカン・カー・センター両社が発行した自動車ローンを担保とする債券は、ここ数週間にディストレスに転じつつある。借り手の返済が滞っており、シティグループは3種の異なる資産担保取引のうち、最もリスクが高い部分の一部は投資家への元本返済を履行できない可能性があるとみている。
FOMCスタッフが6月会合向けに準備した経済予測は、金融環境が既に逼迫(ひっぱく)している中で銀行の信用状況が一段と引き締まる見込みであり、その影響が年内に経済を浅いリセッション(景気後退)に導くと引き続き想定。その後の景気回復は緩やかになるとみている。
その上で議事要旨では、「労働市場環境の強さと消費支出の堅調さが続いていることを踏まえると、緩やかなリセッションという基本シナリオとほぼ同程度の確率で、経済はゆっくりと成長を続け、景気下降を回避する可能性があるとスタッフはみている」と記された。
英経済のハードランディングは「ますます可能性が高まっているようだ」と同氏は顧客リポートで指摘。インフレの「期待値が上昇し始める、あるいは高止まりする場合、金利に上昇余地が生じる可能性がある」と警告した。ただ、この見通しに「注意点は多数あり」、同氏自身の中心的な予測はもっと緩やかで、金利は11月に5.75%で天井を打つとみているとした。
英経済では予想を大きく上回る賃金とインフレ統計を受けて、夏季を通して利上げが続くとの見方が広がり、景気の見通しを暗くしている。JPモルガン・チェースの警告はこれに追い打ちをかける格好。金融市場は、年末までに金利が25年ぶり高水準の6.25%をつけるとの見通しを織り込みつつある。
米労働省の家計調査と国勢調査報告を含む他の雇用指標や連邦準備制度理事会(FRB)スタッフの独自の計算は、「雇用統計が示すより雇用の伸びが弱かった可能性をうかがわせる」とのFOMC参加者が会合で言及したという。
ヒギンズ氏は機会は時間をかけて徐々に現れると話す。新型コロナウイルス流行時の景気刺激策でなお厚めの手元資金を抱える企業や消費者だが、金融環境がじわり引き締まってくるとみるためだ。
「この市場はスローモーションで起こる自動車事故だ」と語る同氏。「新規融資の機会は存在する。『走るな、歩け』だ」という。
●中国・アジア・ロシア・東欧
論説は具体的な政策手段として、外貨リスク準備金率と市中銀行の外貨預金準備率、人民元中心レート決定に使われる反循環的要因、国境を越えるファイナンシング向けマクロプルデンシャル要因の調整を挙げた。
その上で、5月半ばからの元下落について、中国経済の回復が市場の期待を下回っていることに関連した短期要因によるものだと説明した。
米金融当局が利上げを推し進め、追加利上げを示唆する中で人民銀が利下げを実施したことから、元はこの3カ月でドルに対し5%超下落した。
同紙は政策支援に加え、全体的に健全な経済回復傾向など、元相場が安定化、さらには上昇する根拠が存在すると主張。中国の外国為替市場に対する期待は引き続き安定しており、国際資本移動も依然として基本的に均衡しているとし、中国の人民元市場は強靱(きょうじん)だと指摘した。
●中東
リヤド銀行のチーフ・エコノミスト、ナイーフ・アル・ガイス氏は「サウジの非石油民間部門は、建設業と観光業を中心とした新規事業の増加により第2・四半期の終わりまで急成長軌道を維持した」と説明。「ただ、この好景気は人件費や建設資材のコスト高でインフレ圧力を高める可能性がある」と指摘した。
新規受注指数は前月の67.3から69.5に上昇し、14年9月以来の高水準を記録した。
ガイス氏は「政府が支援する投資、特に建設やインフラ事業が企業活動に不可欠であることに変わりはない」と述べ、今後の経済活動に対するセンチメントは依然として前向きだと指摘した。
●中南米・アフリカ
●市況
中国政府による半導体素材の輸出規制を受け、半導体株が下落した。フィラデルフィア半導体株指数は2.2%安、半導体大手インテルは3.3%安、テキサス・インスツルメンツ(TI)は1.8%安。
FOMC議事要旨を受けドルが上昇する中でも、域内通貨の大半が小幅高を維持した。原油高を背景にメキシコとコロンビアの通貨が上昇をけん引した。
原油輸出国であるコロンビアの通貨ペソは0.3%高を維持し、2週間ぶりの高値を付けた。メキシコペソも2015年12月以来の高値水準で推移。1ドル=17ペソを突破した。
ユーロ圏と中国の経済指標が低迷したのが嫌気さ
れ、世界経済への打撃が懸念された。
世界的な成長懸念が金属価格に打撃を与え、資源株指数は1.13%下落。
中国での動向に業績が左右されやすいフランスの高級ブランド品のLVMH(モエ・ヘネ
シー・ルイ・ヴィトン)は1.1%下げた。
S&Pグローバルがまとめた6月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(P
MI)改定値は49.9と、好不況の分かれ目となる50を昨年12月以来初めて下回っ
た。製造業が低迷する中でサービス業も広範囲にわたって減速した。
    SEBのチーフストラテジスト、ユッシ・ヒルヤネン氏は「ユーロ圏の減速を示すシ
グナルが増えつつある」と指摘。「これが欧州中央銀行(ECB)にどのように作用する
かはまだわからない。夏季のデータが金利の上昇幅を決めるだろう」と述べた。
    23年12月のESTR先物は3.87%近辺で、ECBの預
金ファシリティー金利が4%弱でピークに達することを示唆した。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は、世界経済減速や米欧の追加利上げを巡る懸念がくすぶり、原油価格が再び圧迫されたと指摘。しばらくは一進一退の攻防が続き、中国の経済指標や各国中央銀行の金融政策が注目される見込みとし、北海ブレントは75ドル前後で推移すると予想した。
サウジは3日、日量100万バレルの自主減産を1カ月延長し8月も実施すると明らかにした。また、ロシアは8月の石油輸出を日量50万バレル削減し、アルジェリアは同月に2万バレルの減産を行うとそれぞれ発表した。
ただ、これを受けた原油価格の上昇は長続きしなかった。サウジとロシアの決定は需要の伸びに対する楽観的な見方が後退していることを裏付けるもので、原油相場にとって弱気シグナルと見なされる可能性がある。
日経先物32845、ダウ先34461、債先148.63、米3.936、独2.4785、仏3.033、西3.547、伊4.175、英4.5320、波5.710、原油71.96、銅8,313、ドル円144.40、ユーロドル1.0853
※7/6 9時5分頃

備忘録(2023/7/4)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ロイターのデータによると、最も取引量が多い10通貨を監督する9行の中銀のうち、7行が6月に開催した政策決定会合で利上げを決定。残り2行は利上げを見送った。
6月に利上げを決定した中銀のうち、ノルウェー中央銀行とイングランド銀行(英中央銀行)の利上げ幅が50ベーシスポイント(bp)と予想を上回ったほか、カナダ銀行(中央銀行)と オーストラリア準備銀行(中央銀行)は利上げサイクルを再開。スウェーデン中央銀行、 スイス国立銀行(中央銀行)、欧州中央銀行(ECB)も利上げを決定した。これらの中銀の合計の利上げ幅は225bpになる。
米大手債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のエコノミスト、ティファニー・ワイルディング氏は「一部ではインフレ低下の初期の進展が見られているが、中銀は全体として難しい舵取りを迫られている」とし、「財政政策という救いの手が差し伸べられなければ、経済成長を巡る環境は一段と不透明になり、シクリカル(景気循環)の視野の中で下振れリスクが高まる」との見方を示した。
バンガードのアナリストは「中銀にはまだやるべきことが残っている」とし、「インフレ率を中銀目標値まで引き下げる最後の一歩が最も困難になると予想される」としている。
新興国を見ると、ロイターがサンプルとして抽出した途上国18カ国のうち13カ国が6月に政策決定決定会合を開き、このうち11中銀が政策据え置きを決定。引き締めサイクルが息切れしつつあることが示唆された。
新興国全体の年初からの合計の利上げ幅は1375bp。2022年は7425bpだった。
経済協力開発機構(OECD)の4日発表によれば、OECD加盟国の総合インフレ率は5月に6.5%に低下。食品とエネルギーを除くコアインフレ率は6.9%だった。
OECDによれば、オランダとノルウェー、英国を除く加盟国全てでインフレが鈍化している。主要7カ国(G7)のインフレ率は4.6%と、21年9月以来の低水準となった。
データからは、金融政策当局によるインフレ抑制の取り組みが一定の効果を上げていることが総合インフレ率で示唆された一方、コアインフレの根強さが浮き彫りになった。
先進国各国の金融政策当局はなお引き締め局面を維持しており、米連邦公開市場委員会(FOMC)と欧州中央銀行(ECB)では今月の追加利上げが見込まれている。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は4日、政策金利を据え置いたが利上げ再開に含みを持たせた。
中銀が長期にわたり過度に引き締めを維持した場合、その誤りがもたらすリスクが顕現化する可能性があると、スブラン氏はみる。
ECBが先週開催した年次フォーラムでの当局者発言に言及し、同氏は「ECBが金融政策の完全な伝達を見届けようと、あと数回利上げした後で2024年いっぱい高水準の金利を維持したらどうなるだろうか」と問いかけ、「私にとってそうした事態は政策ミスに匹敵するだろう。なぜなら根強い引き締めによる実体経済への影響が表れ始めるだろうし、そうなってから中銀が政策転換しても時既に遅しと言えるからだ」との考えを示した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国地方政府が設立した投資会社「地方融資平台」に一部の大手国有銀行が期間25年の超長期融資を提供しているとブルームバーグが4日報じた。債務リスクへの懸念が高まっており、信用収縮を避ける狙いがあるという。
地方融資平台はインフラ整備で重要な役割を果たした。だが土地使用権の売却収入が急減し新たな資金調達手段の選択肢も限られるため、債務返済が困難になり銀行セクターや市場に打撃を与えるリスクが懸念されている。
中国主導で創設された地域協力の枠組み、上海協力機構(SCO)にイランが加盟した。4日にオンライン開催されたSCO首脳会議の議長を務めるインドのモディ首相が発表した。
「新規の加盟国はこのグループの重要性を浮き彫りにしている」と同首相は会議冒頭で発言し、地域の安全保障や経済、食料安全保障、気候変動、アフガニスタン情勢が議題だとも述べた。
イランは外交的孤立から徐々に脱しつつあり、サウジアラビアとの外交関係を正常化したほか、ロシアとの軍事協力を進めている。
中国の習近平国家主席はこの日の首脳会議でビデオリンクを通じスピーチし、中国はデカップリング(切り離し)やサプライチェーンの分断、一方的な制裁、保護主義に反対し、対話を通じ国家間の相違を解決することを求めると述べた。国営の新華社通信が報じた。
習主席はまた、SCO加盟国に対し、経済の回復を加速させるため「実務的な協力」を重視するよう促した。
●中東
エジプトでは2013年にイスラム組織「ムスリム同胞団」出身の当時のモルシ大統領がクーデターで追放された。14年にシシ氏が就任し、同胞団を支援するエルドアン政権と対立が続いた。ただ今年、双方の外相が相手国を訪れるなど関係修復が進んでいた。
サウジアラビアは日量100万バレルの自主減産を1カ月延長し8月も実施すると国営サウジ通信(SPA)が3日に報道。サウジの発表直後、ロシアのノバク副首相は、ロシアは8月に石油輸出を日量50万バレル削減すると表明した。
リポウ・オイル・アソシエイツ(ヒューストン)のプレジデント、アンドリュー・リポウ氏は「サウジは原油価格の安定を図るとともに、国内予算を維持するために1バレル=80ドルを目指す積極的かつ先制的な措置を取っている」と述べた。
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物33172、ダウ先34598、債先148.66、米3.846、独2.4495、仏2.989、西3.454、伊4.200、英4.4645、波5.700、原油71.05、銅8,362、ドル円144.46、ユーロドル1.0882
※7/5 8時45分頃

備忘録(2023/7/3)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
バンク・オブ・アメリカ(BofA)とシティグループは3日、米連邦準備理事会(FRB)による銀行ストレステスト(健全性審査)結果が、金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づく自社の分析結果と異なることについて理解するため、FRBと協議を開始したと発表した。
BofAは、ストレステストで評価された9四半期の「その他の包括利益」と呼ばれるカテゴリーでの相違を理解したいと発表文で述べた。
パイパー・サンドラーのアナリスト、R・スコット・シーファーズ氏は3日に公表したリサーチノートで、BofAの分析はFRBの審査よりも悪いことを示唆していると指摘。結果を巡る不透明感がやや増したが、最終的な結果に影響がないことを期待すると述べた。
●その他産業
オーチス、日本でも新型エレベーター 常時接続で監視
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
6月の米製造業景況感指数は前月から0.9ポイント低い46.0となった。生産や雇用環境が落ち込んだ。2020年に新型コロナウイルス禍に入った時期を除き、リーマン・ショック後となる09年5月以来、14年ぶり低水準だ。製造業は不況への懸念を強めている。
2023年上期の米連邦破産法第11条の申請件数は2973件となり、前年同期比68%増加した。
個人の連邦破産法第13条の申請件数も前年同期比23%増加した。また、中小企業の申請件数は55%増加した。
米国破産協会のエイミー・クワッケンボス氏は「申請件数の増加は、金利の上昇やインフレ、借入コストの増加を背景に家計や企業の債務負担が急拡大していることを示している」と説明した。
6月の製造業景気指数は46.0と、前月の46.9から悪化し、2020年5月以来の低水準となった。拡大・縮小の分岐点となる50を下回るのは8カ月連続で、2008年のグレート・リセッション(大不況)以来最長。ロイターがまとめたエコノミスト予想の47も下回った。
ただ、製造業部門の価格圧力の低下のほか、輸送機器、機械、電気機器、家電製品・部品などの堅調な需要を反映し、一部の業種が力強さを保っていることも示された。
先行指標となる新規受注指数が45.6と、前月の42.6から改善した。
価格指数は41.8と、前月の44.2から低下。供給網の逼迫の大幅な緩和のほか、借入コストの上昇を受けた需要減退を反映した。
雇用指数は48.1と、51.4から悪化した。
ISM製造業調査責任者ティモシー・フィオーレ氏は、製造業では人員管理に向けたレイオフが見られると指摘。その程度はこれまでの数カ月よりも大きくなっているほか、「大幅な」伸びがいつ戻るかに関する見解もまちまちとした。
キャピタル・エコノミクスの米国担当副主席エコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「リセッション(景気後退)が差し迫っていると疑う理由がさらに増えた」と述べた。
世界経済の基調的な金利の長期的な低下トレンドが再開するのか、それとも他の要因が金利を押し上げるのかは不明と指摘。「しかし、インフレ率や金利が自動的にパンデミック前の低水準に戻るとの見解に中銀当局者が安堵するのは誤りであり、これが将来的な課題だ」とした。
また、中立金利(Rスター)がすでに上昇し中銀当局者が想定しているほど金融政策が引き締まっていない可能性や、グリーンテクノロジーへのシフトがイノベーションや生産性の追い風になっている可能性などの要因により将来的に中立金利が上昇するかもしれないと言及。「人工知能(AI)や機械学習の発展は指数関数的に進展する可能性が高く、生産性と成長への影響は予想よりも早く訪れるかもしれない。これら全てが潜在的な成長を押し上げ、Rスターを上昇させる可能性がある」とした。
英国最大の水供給業者テムズ・ウォーターは、140 億ポンド(約2兆5700億円)超の債務についての選択肢を政府関係者と協議している。同社の優先債の半分以上がインフレ連動債になっていることが、英インフレが高止まりする中で負担を重くした。
中銀がインフレ抑制のために利上げを行う中、企業は少なくとも2つの方法で打撃に直面している。変動利付債の利回り上昇またはインフレ連動債による打撃だ。世界の資本市場で販売されたこの種の債務の残高は1兆8000億ドル(約260兆円)余りに上る。そのほとんどはレバレッジドローンだが、企業の変動利付社債やインフレ連動証券もある。
こうした債務の大部分の見通しは悪化しており、格付け会社フィッチ・レーティングスはインフレの不確実性を一因に米国のレバレッジドローンの今年のデフォルト率予想を最大4.5%と1月予想の2.5%から引き上げた。BNPパリバのアナリストは「Bー」級の米レバレッジドローンを売却するよう顧客に助言している。一部の企業の支払利息が持続不可能な水準だと指摘した。
英国の水道事業の業界規制当局オフワットによると、イングランドとウェールズの水会社が発行した606億ポンドの負債のうち半分以上はインフレに連動している。英企業は世界のインフレ連動社債の約3分の1を占めており、この分野でより大規模な借り手はブラジル企業だけだ。
こうした企業はデリバティブ(金融派生商品)を利用してインフレ高進に対してヘッジすることで影響を和らげることができたはずだが、そうしなかった企業もある。多くのプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社も、過去10年のほとんどの期間にごくわずかな費用で購入できた金利ヘッジを怠ったことで打撃を受けている。
ゼネラリ・インベストメンツのシニアクレジットストラテジスト、エリサ・ベルガセム氏は「金利上昇の局面では、プライベートクレジットやローンはパブリッククレジットよりも脆弱(ぜいじゃく)だとみている。変動金利の契約が多いことに加え、代替の資金調達の選択肢が少ないからだ」とコメントした。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国商務省と税関総署は3日、半導体などの素材になるガリウム関連の製品を輸出規制の対象にすると発表した。ゲルマニウム関連も許可制とする。8月1日から中国の輸出業者は当局の許可がない限り輸出できなくなる。米国が主導して先端半導体の輸出など対中規制を強めてきたことへの対抗措置とみられる。
中国人民大学系のシンクタンク、中国宏観経済論壇(CMF)が先週公表した共同報告書で、「若者の失業問題は今後10年間は続くとみられ、短期的にはさらに悪化するだろう」と劉氏は指摘。
「適切に対応しなければ、経済の領域にとどまらず、他の社会問題にも飛び火し、政治的な問題の引き金にさえなりかねない」と主張した。同氏は昨年4月、党中央政治局向けに講義を行った。
110ページに及ぶ報告書のスクリーンショットは、ソーシャルメディアの微博(ウェイボ)で共有され、ユーザーは政治的リスクに対する劉氏の警告に強く反応している。
中国では16-24歳の失業率が5月に過去最悪の20.8%に達した。景気減速と大卒者の増加が重なり、当局は容易に解決できない難題に直面している。
報告書は「補助金政策だけでは、民間投資不足の問題を根本的に解決することはできない」とし、新型コロナウイルス禍以降は「法治に対する人々の信頼感が失われており、それを回復させるには法治を改善させ、私有財産権の保護を向上させることが重要だ」と論じた。 失業中の若者に対する圧迫を和らげる明確な方法として、「より強固な景気回復と労働市場の持ち直しが必要だ」とも指摘した。
中国は昨年末まで、世界でも厳しいコロナ対策を講じていた。上海市では、当局が市民2500万人を対象にロックダウン(都市封鎖)を2カ月近く続け、市中感染を防ぐとして住宅地の周りに金属製のフェンスを設置したほか、防疫担当者が住民の家に立ち入り、衣服や家具を消毒する例もあった。こうした行為の合法性や科学的意味に異論を唱える住民もいた。
●中東
サウジアラビアは3日、7月に始めた日量100万バレルの原油の自主減産を8月も続けると表明した。国営通信がエネルギー省関係者の話として伝えた。ロシアも同日、8月に50万バレル減産すると発表した。そろって原油価格を下支えする姿勢を改めて示した。
メキシコの通貨ペソは6月末時点で1ドル=17.1ペソ台と年初に比べて2.3ペソのドル安・ペソ高だった。ドルで稼いだ送金はペソ換算では減っている。家族がペソ換算でも同じ金額を受け取れるように、外国在住者が送金額を増やしている可能性がある。
メキシコでは送金が主要な外貨獲得手段として国内消費を支えている。今後も大幅なドル安・ペソ高が進めば、送金の受取額がペソ換算で目減りしてメキシコの貧困層の購買力が低下する可能性がある。
●市況
米供給管理協会(ISM)が3日発表した6月の製造業景気指数は46.0と、前月
の46.9から悪化し、2020年5月以来の低水準となった。拡大・縮小の分岐点とな
る50を下回るのは8カ月連続で、2008年のグレート・リセッション(大不況)以来
最長。ロイターがまとめたエコノミスト予想の47も下回った。
米10年債利回りは一時的に低下したもののすぐに切り返し、3.9ベ
ーシスポイント(bp)上昇の3.858%となった。
米2・10年債の利回り格差はマイナス107.9bp。3日午前の取
引では1981年以来の大きさに拡大した。
世界最大の銅消費国である中国の景気刺激策への期待が高まる中、銅価格が上昇し、チリペソが約1週間ぶりの高値を付けた。銅生産トップであるチリの通貨ペソは銅価格の上昇を背景に0.5%上昇した。
6月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が低下したことで、中国が景気浮揚に向けてより断固とした政策措置を打ち出すとの期待から金属価格が上昇。鉱業株指数は2.98%上げた。
また、英資源大手アングロ・アメリカンが4.3%上昇したことも、鉱業株指数を押し上げた。傘下のデビアス・グループとボツワナ政府が新たなダイヤモンド販売契約で合意したことが材料視された。
主要産油国のサウジアラビアとロシアが供給削減を発表したことから原油価格が値上がりし、石油・ガス株指数も1.97%上昇した。
欧州中央銀行(ECB)による利上げ観測を背景にドイツでは2年債利回りが10年債利回りよりも大きく上昇し、独連邦債の「逆イールド」の幅は約30年ぶりの大きさに拡大した。
独10年債利回りは2.5ベーシスポイント(bp)上昇の2.387%。独2年債利回りは5bp上昇の3.32%。独2年債と10年債の利回りはすでに逆転していたが、この日の取引でマイナス90.8bpと、約30年ぶりの水準に拡大した。
日経先物33490、ダウ先34635、債先148.49、米3.853、独2.4345、仏2.974、西3.438、伊4.131、英4.4825、波5.713、原油70.09、銅8,378、ドル円144.68、ユーロドル1.0913
※7/4 8時50分頃

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