備忘録(10/31)
●中国・ロシア・東欧
2022年10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2だった。9月より0.9ポイント下落し、好調・不調の境目である50を2カ月ぶりに下回った。新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ」政策に伴う厳しい行動制限などが需要を抑圧した。
内訳をみると、柱の新規受注は9月より1.7ポイント低い48.1だった。上海市のロックダウン(都市封鎖)で経済が急激に悪化した4月以来の低さとなった。生産は49.6と9月より1.9ポイント下がり、2カ月ぶりに50を割り込んだ。
企業の規模別では大企業、中堅企業、中小零細企業のいずれも指数が低下した。とりわけ中小零細企業は昨年5月から50未満にとどまっており、先行き不安が根強く残っている。
同時に発表した10月の非製造業のビジネス活動指数は48.7だった。9月から1.9ポイント低下し、5月以来の50割れとなった。
ゼロコロナ政策のあおりで、外食や宿泊などサービス業が2カ月連続で節目の50を割り込んだ。一方、建設業は58.2と高めの水準で推移している。地方でインフラ投資が加速しているためだ。
国務院発展研究センターの張立群研究員は「新型コロナのまん延が製造業PMIが低下した主な理由だ」と語る。移動制限で需要が抑えられた。製造業PMIのうち新規受注を示す指数は、上海封鎖で景気が悪化した4月以来の低さとなった。
首都の北京市では10月16~22日の共産党大会をはじめ重要な政治イベントが続いた。政府関係者が10月中は職場と自宅を寄り道せずに通勤するよう指示を受けるなど、新型コロナ対応の規制も強まった。丸紅中国の鈴木貴元・経済調査総監は「党大会に伴う移動制限は非製造業の景況感を押し下げた」と指摘する。
野村の陸挺・中国首席エコノミストは「ゼロコロナ政策は少なくとも2023年3月まで続く」と予想する。22年10~12月の実質GDPは輸出の減速や住宅不況も重なり、前期比でマイナスになる可能性もあると分析する。
景気の停滞は民間企業に重くのしかかっている。調査対象に民間企業が多く中小企業の動向を反映しやすい長江商学院の経営状況指数は10月、42.5と2カ月連続で低下した。4月以降、節目の50を割り込んだままだ。売り上げの見通しが改善せず、資金繰り環境も悪化している。
●中東
湾岸協力会議(GCC)に加盟するサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)など6産油国の2023年の実質成長率の予想を3.6%と発表した。原油高を映して6.5%と予測する22年から鈍化するが、23年の世界全体の見通しである2.7%に比べれば堅調だ。
22年の産油国は、ロシアのウクライナ侵攻による原油価格の上昇で潤った。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要な産油国で構成する枠組みのOPECプラスは原油価格の高値安定を目指して生産を抑制している。
各国の物価高騰や利上げの影響で23年は世界経済が減速する見通しで、IMFは「原油価格が下落する」局面があるとみている。この影響でGCC加盟6カ国の経常黒字の国内総生産(GDP)比は23年が13.7%と、前年の16.7%から縮小すると予想する。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
米産業用機器大手エマソン・エレクトリックからコンプレッサーなど冷蔵に関わる製品やサービスを手掛ける事業を買収すると発表した。買収額は140億ドル(約2兆円)。ブラックストーンが同事業の55%の株式を握り、エマソンが残りの45%を保有する。
●決算関連
2023年3月期の連結純利益が前期比8%減の2350億円になる見通しだと発表した。従来予想(2%増の2600億円)から一転、2期ぶりの減益となる。昨年買収した米ソフトウエア企業ブルーヨンダーの構造改革費用を計上するほか、自動車やスマートフォン向け部品などの低迷も響く。
2022年4~9月期の連結事業利益(国際会計基準)は、前年同期に比べて15%減の600億円とする会社予想を下回り、2割前後減少の500億円台後半になった公算が大きい。中国のロックダウン(都市封鎖)の影響を受け、家電や自動車向けの樹脂製品が落ち込むほか、電子部品材料も低迷した。円安は追い風となったが補えなかった。
2023年3月期の連結最終損益が400億円の黒字(前期は1436億円の赤字)になる見通しだと発表した。従来予想(210億円)から黒字幅が拡大する。黒字は3年ぶりだ。政府の入国制限緩和で国際線の旅客需要が増え、国内線の下振れを補う。今後は燃料高や円安による日本から海外への旅行需要の悪化リスクが焦点になる。
売上高は前期比67%増の1兆7000億円、営業損益は650億円の黒字(同1731億円の赤字)を見込む。それぞれ従来予想から400億円、150億円の上方修正となる。売上高は新型コロナウイルス禍前の19年3月期の8割強に回復する。営業利益は同4割となお低い。
売上高を事業別にみると、国際線の旅客収入(ANAブランドのみ)が980億円の上振れ要因だ。国際線の旅客数は7~9月期に19年同期の35%の水準と従来想定の30%を上回った。23年1~3月期も19年同期の40%という従来想定を55%に上方修正した。日本発着のビジネス需要や訪日外国人の観光需要が回復している。
貨物郵便収入も半導体製造装置や完成車など高単価な商材を取り込み、260億円上振れする。
一方、国内線の旅客収入は640億円下方修正した。7~9月の旅客数は19年同期の66%(従来想定は80%)にとどまった。23年1~3月も85%(同90%)の見通しで、芝田浩二社長は決算会見で「(新型コロナの)第7波で7~9月期の伸びが鈍化したことを引きずった形だ」と説明した。
燃料高も旅客需要に逆風だ。原油価格の高騰や円安で燃油費は従来予想から300億円上振れする。燃油価格を料金に転嫁する燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上昇などにつながり「日本人の海外旅行需要が鈍化する懸念がある」(中堀公博グループ最高財務責任者)。欧州路線ではロシア上空の迂回を続けていることがコスト増要因だ。
2023年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比32%増の2980億円になる見通しだと発表した。従来予想を720億円上回り、4期ぶりの最高益となる。年間配当も128円と前期比32円増やす。主要建機の世界需要が前期並みにとどまる中、コマツの得意とする北米や東南アジア市場の拡大や為替の円安、値上げ効果が最高益更新の原動力となる。
2023年3月期の連結純利益が前期比11%増の7900億円になるとの見通しを発表した。7000億円とした従来予想を900億円上回り、2期連続で最高益を更新する。上期(4~9月期)のコンテナ船事業が好調だったほか、円安も利益の押し上げ要因となる。欧米の利上げや景気後退の懸念が強まっており、業績の先行きには不透明感もある。
上方修正は今期で2度目となる。売上高は26%増の1兆6000億円、純利益は期初予想の5000億円から58%上振れする。けん引役は国内海運大手3社で共同出資するコンテナ船事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」だ。
ドル収入が大半とされる国際海運業界では円安は業績にプラスに働く。商船三井は125円としていた通期の想定為替レートを132.99円に引き上げた。経常利益への感応度は1円の円安で42億円の増益としている。
上期は供給網の混乱の長期化による在庫積み増しなどを背景に、好調な事業環境が続いた。コンテナ船事業では短期のスポット(随時契約)運賃に加え、1年単位の長期契約運賃の引き上げが進み、利益水準が大きく引き上げられた。
ただ、足元では欧米のインフレや利上げによる景気減速を受けて、コンテナ船運賃が急激に下落している。国際指標である上海航運交易所の10月末時点のスポット運賃は、4月初旬比で上海発米西海岸向けが76%安、上海発欧州向けが67%も下落し、新型コロナウイルス禍前の水準に近づいている。
記者会見した橋本剛社長は来期以降のコンテナ船事業について「極端に悲観的な見方はしていない。ただ、世界経済全体が調整色を強めており、下期に比べてもう一段軟調なマーケットになるとみている」と語った。
●マクロ・その他
中長期の世界石油見通しで、2045年の世界の石油需要が21年に比べ13%増えると予測した。需要に応えるため、45年までの累積で12.1兆ドル(約1800兆円)の石油関連投資が必要だと強調した。
45年の需要予測は日量1億980万バレルと、昨年時点の見通しから160万バレル上方修正した。先進国が中心の経済協力開発機構(OECD)諸国は24%減の3410万バレルとなるのに対し、それ以外の地域が45%増の7570万バレルに膨らむとした。インドやアフリカなどが需要をけん引するとみる。
電気自動車(EV)が急速に普及しても、ガソリン車など内燃機関車が「乗用、商用とも道路交通で最有力の技術」だと予測した。世界の1次エネルギー需要は45年に21年に比べ23%膨らむとし、このうち石油は29%を占める「ナンバーワンの燃料であり続ける」と強調した。
他の機関に比べOPECの需要見通しは強気だ。国際エネルギー機関(IEA)は27日、世界の化石燃料の総需要が20年代半ばから減少に転じるとの分析を盛り込んだ報告書を公表している。
OPECのガイス事務局長は31日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビでの国際石油会議で「将来の需要増加に応える投資が大幅に不足している」と警告した。新型コロナ禍や脱化石燃料の流れで「慢性的な過小投資」に陥っているとした。UAEのマズルーイ・エネルギー相は同会議で、エネルギー転換は進むとしつつ「ベースロードである石油とガスの確かな供給が必要だ」と訴えた。
供給を巡っては米国のシェールオイル生産が「30年ごろに日量1600万バレル強でピークに達する」とし、OPEC以外の産油国の合計も「30年代の初めから減少する」とした。OPEC加盟国の供給は、45年に日量4240万バレルと21年に比べ34%増を見込んでいる。
左派のルラ元大統領(77)が当選を決めた。2023年1月に就任する。任期は4年。16年8月以来、約6年半ぶりの左派政権となる。
ルラ氏は30日夜の勝利演説で「唯一の勝者は国民だ」と述べ、国内の融和に取り組む考えを示した。03年から2期8年の任期中、資源高の恩恵を取り込んで高成長を実現した実績があり、国民の期待が集まった。支持基盤である低所得者向けの減税に動く考えで、外交面では新興国との連携強化に取り組んでいく。
10月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比10.7%上昇した。統計で遡れる1997年以降で過去最高を6カ月連続で更新した。ウクライナ危機に伴う供給不安で資源価格が高騰し、食品やサービスなど幅広い品目が値上がりしている。
7~9月期のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)速報値は前期比0.2%増だった。成長率は0.6ポイント低下し、年率換算で0.7%にとどまった。ウクライナ危機で拍車がかかった物価高が重くのしかかり、新型コロナウイルス禍からの景気の持ち直しに急ブレーキがかかっている。
2022年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は、前四半期比で1.0%増(速報値)だった。自動車や農産物など米国向けの輸出が堅調に推移しているほか、観光業などサービス業が回復している。
実質経済成長率がプラスになるのは4四半期連続。22年4~6月期は前四半期比で0.9%増だった。22年7~9月期の分野別は、前四半期比で農業や石油などの第1次産業が1.8%増、製造業や鉱業などの第2次産業が0.9%増だった。金融・サービス業などの第3次産業も1.2%増えた。
メキシコ大手銀バノルテは10月31日、外国からの送金額の拡大など好調な経済環境について「インフレ圧力が家計に及ぼす影響や世界の中央銀行による金融引き締め、23年に向けて高まる景気後退のリスクといった逆風を緩和できる」と指摘した。
メキシコ銀行(中央銀行)が民間銀行など37機関の予測をまとめて10月3日に公表した調査では、22年通年の実質経済成長率の見通し(中央値)は2%だった。9月公表時点の予測(1.9%)から上方修正した。一方で23年通年の予測は1.2%と1.36%から下方修正した。
メキシコ経済は米国経済の影響を受けやすい。米商務省が10月27日に発表した7~9月のGDP(季節調整済み)は、前期比の年率換算で2.6%と3四半期ぶりにプラス成長だった。ただインフレ率が高止まりする中で個人消費の伸びは前四半期から減速しており、今後米国の景気が冷え込めばメキシコ経済の下押し圧力になりかねない。
大統領はその上で、生産に再投資していることを示さない企業の場合、「超過利潤に対して納める税は増え、他の規制にも直面するだろう」と述べ、「議会と共に活用可能な選択肢を検討する」つもりだと語った。
民主党議員の多くはいわゆる超過利潤税を10年余り前から提唱しているが、導入には至っていない。与野党会派が議席を分け合う上院を通過する可能性は低い上、来週の中間選挙で民主党が予想外に議席数を伸ばさない限り、同税に反対する共和党と民主党中道派は当分の間実現を阻止することができると見込まれる。
●市況
※11/1 8時30分頃
備忘録(10/28-30)
●中国・ロシア・東欧
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は3期目の抱負として向こう10年で中等レベルの先進国入りする目標を掲げる。これを実現するためには、年5%前後の経済成長率が必要となる。だが、人口動態の悪化、重債務、生産性の低下といったマイナス要因があるなかで、中国が達成できる成長率はその半分程度にとどまると考えられる。
ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、中国の成長率は24年まで毎年5%を下回る見通し。今年の予想(中央値)は3.3%と、前回調査の3.4%から下方修正された。また、来年の予想は5.1%から4.9%、24年の予想は5%から4.8%にそれぞれ引き下げられた。
ブルームバーグの調査ではエコノミスト18人のうち11人が、中国が来年前半に国境を再開すると予想。残りのエコノミストは国境再開が来年後半から24年1-3月(第1四半期)になると予測している。マーク・モビアス氏ら一部の海外投資家は、中国がゼロコロナ政策を年末までに緩和すると予想しているが、多くの専門家はそれほど楽観的ではない。
ABNアムロ銀行のシニアエコノミスト、アリエン・ファンダイクハウゼン氏は「中国共産党大会を受け、われわれは新型コロナ政策の迅速な転換を予想していないほか、不動産セクターがなお低迷している上に、世界の成長が急速に減速しているため、成長見通しを引き下げた」と説明した。
ショイグ国防相はプーチン氏に「設定された30万人動員の課題は完了した。追加の課題は計画されていない」と報告した。さらに「訓練終了後、8万2千人が特別軍事作戦の地域に派遣された」と述べ、戦地への投入が進んでいると指摘した。
ショイグ氏によると、1300人以上の行政職員や2万7千人以上の企業家が動員された。約1万3千人が招集を待たずに、自ら志願して義勇兵となったという。動員された予備役の平均年齢は35歳だった。
ドイツのショルツ政権は28日までに、中国の国有海運大手によるハンブルク港のターミナルへの出資を認めると決めた。独メディアが伝えた。同港はドイツ最大の港湾で、重要インフラへの中国の関与強化に安全保障面から懸念の声も出ている。
出資するのは中国の国有海運大手「中国遠洋運輸(COSCO)」。当初は35%の出資を計画していたものの、25%未満に制限する。出資は認めるものの上限を設けることで、人事などの重要な決定事項に関与できなくなるという。
ドイツにとって中国は最大の貿易相手国で、自動車の販売などを通じて経済的な結びつきが強い。ハンブルク港は独最大の港湾で、中国側も欧州の貿易拠点として重視しているとみられる。独メディアによると、中国は欧州にある複数の港湾で独自にターミナルを持ったり、港湾運営会社に出資したりしている。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
2026年3月期に連結営業利益2千億円の達成を目指す方針を固めた。旅客需要の回復とマイルなど非航空事業の収入拡大で収益力と財務基盤を修復し、新型コロナウイルス禍前の最高益を上回る目標を掲げる。ただ、景気減速でビジネス需要の回復が鈍る懸念が高まるなど、達成への不透明材料も多い。
●その他産業
米銀大手シティグループは28日、ロシアの個人向け(リテール)金融事業からの撤退に向け、貸出債権を同国の商業銀行ウラルシブに売却することで合意したと発表した。シティの現地子会社が抱えるルーブル建ての分割払い形式のローンやクレジットカードの債権を譲渡する。売却額は明らかにしていない。
7-9月(第3四半期)決算の中で、クラウド部門アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の業績に最も失望したとの見解を示した。自身が「成長エンジン」と呼ぶAWSは、前年比の伸びが2014年に同社がAWSの業績を発表し始めて以降で最も低い伸びにとどまったと指摘した。
スロウィンスキー氏はブルームバーグ・ニュースとの電話インタビューで、「AWSはアマゾン株の下値を支えてきたが、現在は懸念事項になりつつある」と発言。AWSの数値は消費者部門に関する懸念を強めていると続けた。
実際、同社が示した10-12月(第4四半期)売上高見通しはわずか2ー8%の伸びにとどまっている。アマゾンは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に最高益を上げたが、10ー12月期は景気の行方を巡る不透明感から買い手が支出を抑制するとみられている。
米国経済をけん引してきた米巨大テクノロジー企業の成長に黄信号がともっている。2022年7~9月期は大手5社のうちアップルを除く4社が減益となり、景気減速や競争激化の影響が色濃くなってきた。株式市場では失望売りが広がり、5社の時価総額の合計は1週間足らずで約4300億ドル(約63兆円)減った。足踏みが長引くとの見方が広がっている。
オンライン記者会見に臨んだ幹部からは、急速な円安を懸念する声が相次いだ。足元で進む円安は各社に追い風だが、鉄やアルミなどの原材料の調達コストの上昇は続いている。さらに、人件費の高騰や部品不足での自動車メーカーの減産も各社の業績に影響しそうだ。
●決算関連
原油高を受けて欧米の石油メジャーの利益が歴史的な高水準に達している。金融情報会社S&PキャピタルIQによると、米エクソンモービルなど28日までに決算を発表した4社の2022年7~9月期の合計純利益は約443億ドル(約6兆5000億円)で、四半期として過去2番目の高水準となった。
米石油大手エクソンモービルが28日発表した2022年7~9月期決算は、純利益が前年同期の約3倍の196億6000万ドル(約2兆9000億円)と、四半期として過去最高となった。ロシアのウクライナ侵攻を受けた原油相場の上昇などで利益が一段と伸びた。
本業で稼ぎ出す現金である営業キャッシュフローは244億2500万ドルとなり、米メディアによるとアップルを上回り主要企業でトップになった。
液化天然ガス(LNG)や米国のシェール開発、南米ガイアナの海底油田といった競争力のある案件に大型投資してきた戦略が奏功した。ダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は同日のアナリスト向け説明会で「(脱炭素や新型コロナウイルス禍で)他社が歴史的な不透明感に直面して撤退するなか、当社は投資を続けて前進した」と話した。
同業のシェブロンが同日発表した決算は、純利益が84%増の112億3100万ドルとなり、過去2番目に高い水準となった。
大幅な増益を確保する石油メジャー各社は増配や自社株買いを強化している。バイデン米大統領は同日、自身のツイッターで「利益を株主に還元するのは米国の家庭のために(ガソリン)価格を下げることと同じではない」と批判した。石油会社への課税強化を巡る議論が盛り上がる可能性もある。
2022年7~9月期決算は、売上高が前年同期の3倍近い73億2900万ユーロ(約1兆円)だった。新型コロナウイルスが流行する前の19年の同期間を1%近く上回った。多くの国で行動規制が解除・緩和されて旅客需要が戻った。
22年7~9月期の純利益は8億5300万ユーロだった。前年同期は5億7400万ユーロの赤字だった。英ヒースロー空港では今夏、コロナ後の需要回復にスタッフの確保が追いつかず、航空各社は減便を迫られた。IAGの7~9月の旅客輸送能力は19年の同期間の81%にとどまった。10~12月には87%まで回復するとみている。
●マクロ・その他
自治体が独自に課す税金「法定外税」が増えている。2023年度の課税は57自治体で67件と、現行制度になった00年度以降で最多となる見通しだ。財源を生み出そうと苦慮する自治体と、税負担が増す企業の間であつれきが起きている。
ロシア国防省は29日、ウクライナとロシアが7月に国連とトルコの仲介で合意した黒海経由でのウクライナ産穀物の輸出再開について、一方的に合意への参加を停止したと発表した。29日早朝にロシアが占領する南部クリミア半島セバストポリの軍港が、多数の無人機により攻撃されたとして反発している。
働く人の賃金への分配が滞っている。財務省の法人企業統計をもとにした民間試算で、2021年度の労働分配率は62.6%と前年度から5.7ポイント低下した。バブル景気で企業の利益が伸びた1990年度以来の低水準だった。利益を内部留保や配当に回す企業の姿勢が影響している。物価高が続く中、賃金への十分な還元がなければ個人消費を下振れさせかねない。
トランプ前大統領が26日、南部フロリダ州マイアミで11月6日に支持者集会を開くと発表すると驚きが広がった。
連邦議会選に合わせて実施するフロリダ州知事選で再選を目指すロン・デサンティス知事が招かれなかったからだ。特別ゲストは同州選出で中間選挙を戦うマルコ・ルビオ上院議員だ。
デサンティス氏を招かないのは、大統領選に向けた駆け引きとの見方が出ている。同氏は10月下旬、州知事選をめぐる討論会で再選した場合に4年間の任期を全うすると明言しなかった。大統領選に意欲を示したとの受け止めが目立った。
米バージニア大のカイル・コンディク氏は大統領選をめぐり「現時点でトランプ氏のライバルはデサンティス氏だろう」と指摘する。保守派として「反エリート」を掲げる政治姿勢はトランプ氏と重なる。
民主党側は、中間選挙での党の顔といえる存在が見当たらない。
バイデン大統領はペンシルベニアを除いて激戦州入りに慎重になっている。敗北した場合の責任論を警戒しているとみられる。資金調達のイベントには積極的に参加し、民主党候補の側面支援に注力している。
バイデン氏が再出馬に意欲を示しており、党内で大統領選に向けた動きは乏しい。
ハリス副大統領も全米を回っているが、激戦州の候補者の集会に参加するケースは少ない。同氏は黒人やヒスパニックなどのマイノリティーや女性などからの支持集めを期待されていたが、不法移民対策で批判を浴び、支持率が低迷している。
民主党の内情を知る関係者は、党内の一部でバイデン氏が出馬を取りやめた場合にハリス氏の出馬をどのように阻止するかが議論になっていると打ち明ける。
日米欧などで構成するパリクラブ(主要債権国会議)は28日、アルゼンチン政府と19億7200万ドル(約2900億円)の債務の再編で合意したと発表した。ロイター通信によると、金利が従来の9%から4.5%に下がるという。
アルゼンチンのマサ経済相は「我々の国と企業が、会議参加国との関係を正常化できる」と合意を喜んだ。アルゼンチン側は2022年12月に支払いを始めて、28年9月に完了する予定だ。
政策金利を1%引き上げて11%にすると決めた。利上げは10会合連続。政策金利は2001年8月の水準に並んだ。食料品の高騰などでインフレが一段と加速しているのに対応した。
9月の消費者物価指数は前年同月比11.44%上昇した。8月(10.84%)から加速して、1999年3月以来の高い上昇率となった。中銀目標の上限(4%)を上回るのは14カ月連続となった。肥料高を受けた食料品の価格上昇が目立っている。
中銀は22年の実質経済成長率を7.9%と見込んでいる。コロンビアの経済は、原油価格の上昇や活発な消費に支えられて堅調に推移している。
高インフレが長期化する米国で人々の老後の見通しが厳しくなっている。米民間調査によると、退職予定年齢は64歳と2021年の調査より1.4歳上昇した。退職時期を遅らせる理由として、貯蓄の必要性や医療費の上昇への懸念が上位にあがった。
快適な老後のために必要と考える資金が増える一方で、退職時の貯蓄は減少していることもわかった。快適な老後を過ごすために必要な蓄えは125万ドル(約1億8000万円)と21年に比べ20%増えた。一方で退職時の平均貯蓄額は11%減の8万6869ドルと乖離(かいり)が目立つ。
同社は「インフレの高まりや金融市場の変動により、多くの人にとって先行きが不透明な時期が続いている」と指摘。さらに新型コロナウイルス禍から日常が戻るにつれて家計の支出が増えていることも老後の見通しに影響しているとみている。
英国のトラス首相が就任からわずか49日後に退陣した。経済対策の目玉としてぶち上げた大規模減税策で通貨ポンドや国債相場が急落し、金融市場から「NO」を突きつけられ政権を維持できなくなった。財政規律を重視するスナク元財務相が新首相に就くと市場はひとまず落ち着きをみせたが、すでに景気後退入りが濃厚な英経済は財政出動の手を縛られ険しい状況が続く。
防衛産業の市場規模は約3兆円と、家庭用電気機器(約2兆円)や航空宇宙産業(約1.2兆円)を上回る。装備品産業の営業利益率は20年度に7.07%と全産業平均(3.06%)より高い。防衛省が確実に調達できるように配慮し、事業を支えている。
例えば価格は水道光熱費も含めた事業者のコストに利益を上乗せして算定し、試作や生産初年度に必要な専用機械、設計に関わる経費は全額国費負担となっている。複数年度の予算枠の確保を約束する「国庫債務負担行為」は公共事業などでは5年以内が原則とされるが、防衛調達では特例法で最長10年先まで契約できる。
ただ21年に住友重機械工業が新規の機関銃生産から撤退するなど企業の退出が相次いでいる。装備品によっては「収益性や利益率が低く、事業継続が厳しい」との声も上がる。
防衛産業の生産・技術基盤は「防衛力そのもの」だと強調。自律的な成長産業へと発展させるために、コストの適正評価や価格への反映の徹底と、防衛装備移転による市場の拡大を求めた。
財制審は装備品移転については、国を挙げて輸出振興を図った韓国を参考例として提示した。政府が交渉の前面に立ち、企業再編で製造を効率化したほか、相手国のニーズに合わせて現地生産も進めた戦略を教訓とすべきだとした。
世界的な金融引き締めを受け、逆風の債券投資家はどこに投資しているのか。米債券運用大手ピムコのグループ最高投資責任者(CIO)のダニエル・アイバシン氏は「金利が高くなり、魅力的な状況になりつつある」と話し、高格付けの社債など低リスクの債券に選別投資している。世界で膨張する債務については「持続不可能な水準にみえる」と指摘し、市場からの圧力が続くとみる。
英通貨ポンドの値動きが落ち着くとの観測が強まっている。対ドルの予想変動率は約1カ月ぶりの低水準で推移している。スナク新政権の発足で英政府の財政不安が後退。英イングランド銀行(中央銀行)が大幅な利上げを続けるとの見方も弱まり、ポンド相場の安定を見込む市場参加者が増えている。
ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは米金融当局が政策金利を5%まで引き上げるだろうとの予想を明らかにした。従来予想より0.25ポイント引き上げた。
ヤン・ハッチウス氏らエコノミストはリポートで、政策金利が来年3月に4.75-5%のレンジに引き上げられると予想した。今週の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75ポイント利上げの後、12月0.5ポイント、来年2月と3月にそれぞれ0.25ポイントの利上げが実施されると予想している。
同社エコノミストは2月以降の利上げ予想の理由として、不快なほどの高インフレや景気沈静化の必要性、金融情勢を性急に緩和させることを回避するという3つを挙げた。
足元では利回りの高いマネー・マーケット・ファンド(MMF)や米国債などに預金が流出。景気後退に備えるため、中小の銀行が流動性の確保に走っている。貸出金利も同じように上がらないと、いずれ銀行の収益に響く懸念もある。
●市況
※10/28 NY引け値
備忘録(10/26-27)
備忘録(10/24-25)
重点的な監視対象として私募ファンドやMMF(マネー・マーケット・ファンド)などを例示した。インフレ抑制と並んで金融システムの潜在的なリスクを警戒することが優先課題だと強調した。
米証券業金融市場協会(SIFMA)の年次総会で講演したイエレン氏は「世界的に深刻な逆風が吹いている」と急ピッチの利上げを続けても米国内外で高インフレが収まらない現状に危機感を示した。「市場のボラティリティー(変動率)が高まっているため金融セクターを注意深く監視している」と説明した。
具体的には私募ファンドが(負債をてこに投融資を膨らませる)レバレッジを過度に高めていないか注意してきたと指摘した。2020年3月の市場混乱で資金流出が問題になったMMFや「オープンエンド型」と呼ばれる債券ファンドも監視対象として重視していると例に挙げた。
オープンエンド型は投資家が常時売買できる金融商品。特に流動性の低い金融商品で運用している場合は値下がり時のペースが早いため、市場混乱時に資産売却が殺到するリスクがあると国際通貨基金(IMF)も警鐘を鳴らしている。イエレン氏は最初に売り抜けようとする投資家の利益を抑えることで市場の暴走を抑える政策を進めてきたと説明した。
備忘録(10/20)
●中国・ロシア・東欧
プーチン氏にとって、核戦争へのエスカレートは窮地から勝利をつかむ手段ではない。政治的な生き残りをつかみ取り、生存そのものを図る手段だろう。民主的なリーダーとは異なり、これだけの被害を引き起こしたプーチン氏が体裁良く引退する道は残されていない。同氏の終わりは混乱に満ちたものになり得ることを、自身が承知している。
それもあって、プーチン氏は西側アナリストの言う「エスカレーション抑止」というロシアの古いドクトリンを持ち出してきたのかもしれない。これは意図的に事態をエスカレートさせることで相手に妥協を迫る戦術で、つまり核兵器を使用しない通常戦力での戦争に負けることを防ぐため核に訴えるということだ。そうなれば、プーチン氏は一発かそれ以上の戦術核(戦略核ではない)を使うだろう。戦術核は一つの都市全体を消し去るには「小さ過ぎる」が、ある陣地にいるウクライナ軍を全滅させたり兵たん拠点を破壊したりするには十分だ。
核を使用してもプーチン氏に対し特段の対応がとられないようなら、核を保有する他のならず者国家はこれが前例になると思うだろう。またウクライナが1990年代にそうしたように、核不拡散の名の下に核兵器を手放した国々は、軍備増強を強いられる。軍縮は死語になる。意図的であれ偶発的であれ、東アジアを含めた世界各地で核戦争は頻繁に起こるようになる公算が大きい。
バイデン氏の対応はより強力でなくてはならない。軍事的な選択肢は2つだ。一つは北極海やシベリアの辺境などで、見せしめのため小型の戦術核をロシアに対して同様に使用する。そこで発生するきのこ雲は、プーチン氏に対する「止まれ」のシグナルになることが期待される。ウクライナと世界に対し、米国はエスカレートには相応の報復をすると安心させることにもなる。
だが、これは世界滅亡に至るような核の応酬へと発展しかねない。ロシアは戦略核で米国とほぼ互角、戦術核では米国の約10倍多い弾頭を保有する。こうしたシナリオでは、特に人的ミスが発生する可能性を考慮すると、不測の事態が起こり得る。人類が滅亡するリスクもあるだろう。
このため通常戦力によるロシア軍への攻撃という選択肢の方が賢明かもしれない。核ミサイルを発射した基地、あるいはウクライナのロシア軍が標的になる可能性がある。
この選択肢の欠点は明らかに、ロシアとNATOの直接対決へと至り、第3次世界大戦勃発のリスクを冒すことだ。行き着く先は人類滅亡という可能性も依然ある。プーチン氏は米国が核で報復する用意はないと判断し、さらに核を使用する恐れもある。
別の可能性もある。プーチン氏は核を使用したいとは考えていないが、自身の生き残りが脅かされていると感じる場合には使う。米国は核戦争へとエスカレートすればプーチン氏とその側近らを排除する体制転換を計画する。その場合、最善なのは曖昧にではなく具体的に、公にではなく秘密裏にプーチン氏に伝えることだろう。
この暗い時代に一筋の光明があるとすれば、それはウズベキスタンで先週見られた。非同盟のインド、そして通常はプーチン氏の側に立つ中国がいずれもプーチン氏に対し、戦争への「懸念」を表明したのだ。両国は核保有国でもある。
米中間にどのような憎しみがあっても、他にどのような対立があるとしても、核戦争の脅威に対して世界は団結しなければならず、それは可能だろう。バイデン、習両氏と他の世界の指導者は互いの相違を慎重に脇に置き、プーチン氏に核兵器を使用すれば確実に締め出すとのメッセージを伝えることができるはずだ。
事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の1年物を年3.65%で据え置いた。住宅ローン金利の目安となる期間5年超のLPRも年4.30%と横ばい。いずれも2カ月連続で据え置いた。
元安が追加利下げを難しくする。元は中国本土外のオフショア市場で20日、一時1ドル=7.27元台まで下げた。データを遡れる2010年以降で最安値を記録した。海外投資家主導の元売り・ドル買いが続いている。
一方、9月は銀行の企業向けの新規融資が大幅に伸びた。設備投資などに充てる中長期資金は前年同月を94%上回った。21年2月以来の高い伸びとなった。
中国国家開発銀行、中国輸出入銀行、中国農業発展銀行の政策金融機関が貸し出しを増やしているからだ。3行は7月以降、インフラ投資基金を設立し、計6700億元(約13兆8000億円)超を投じた。政府は地方のインフラ投資を景気回復の柱に位置づける。
不動産向けでは計2000億元の融資枠を設けた。不動産開発企業の資金不足で工事が中断したマンションの完成を促す。これらの物件では今夏、購入者が抗議のため住宅ローンの返済拒否を表明する動きが広がった。政府は金融不安への発展を警戒する。
政策金融を通じて政府が重視する分野への融資は増えた。ただ、新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策などで景気の先行きは不透明で、経済全体でみた資金調達の需要はなお低調だ。
人民銀行が約3200の銀行を対象にしたアンケート調査をみると、企業や家計の借り入れ需要を示す指数は4~6月、過去最大の悪化幅だった。水準も5年9カ月ぶりの低さとなった。最新の7~9月も戻りは鈍い。
なかでも個人向けの融資はマイナスが続く。住宅ローンが大半を占める中長期資金の新規融資は9月、前年同月を26%下回った。21年5月から減少傾向が続いている。
人民銀行は9月末、マンションの販売不振が続く一部都市で住宅ローン金利の下限撤廃も容認した。公的住宅ローンの金利も下げた。それでも住宅販売の書き入れ時である、10月の国慶節(建国記念日)休暇の新築マンションの販売面積は前年同期比で4割減った。
多くの国は設備資金など企業向け融資が伸びているときは景気が良いが、中国では一般的に企業向け融資が増えるときは景気が良くない。国有企業向け融資が多く、政府が国有銀行を動員して景気をてこ入れしていることを示すからだ。景気が本格回復するかどうかは個人向け融資の伸びに注目する必要がある。
●中東
制裁の対象は3個人と1団体で、さらなる拡大を準備している。ドローンをつくる企業に加え、イランの軍関係者とみられる。発動されればEU内の資産は凍結され、EUへの渡航は禁止される。ロイター通信によると、イランはロシアへのドローンの提供を否定している。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
7-9月(第3四半期)決算は、利益と無線通信の契約者数の伸びが市場予想を上回った。家計はタイトになっているものの、携帯電話サービス会社はその影響を引き続き免れていることが示唆された。
同社はインフレの影響の大半を回避したかもしれないが、キャッシュフローを巡る懸念は残る。7-9月のフリーキャッシュフローは38億ドル(約5700億円)で、アナリスト予想平均の42億8000万ドルを下回った。ただし、通期の目標である140億ドルは達成すると同社ではなお見込んでいる。
無線通信の契約者数は7-9月に96万4000人の純増。アナリスト予想の91万3000人を上回った。
アメリカンが20日発表した7~9月期決算は売上高が134億ドル(約2兆円)と前年同期比で50%増えた。なかでも国際線の売り上げが倍増し、全体をけん引した。純利益は2.9倍の4億8300万ドルになった。「世界各地で(新型コロナウイルスに対応した)渡航制限や検査要件の解除に伴い、さらなる改善が期待される」という。
7~9月期の業績回復の背景にあるのが夏の航空需要だ。米国で9月の祝日であるレイバーデー(労働の日)にかかる週末などに航空機を利用した人は累計876万人で、コロナ禍前の19年の水準を上回った。ユナイテッド航空の売上高は128億ドルと前年同期比66%増、デルタ航空の売上高は140億ドルと同53%増えた。
好調な需要を背景にした料金の値上げも浸透した。米投資銀行のカウエンによると、大手3社の航空運賃の平均は10日時点で前年から16.5%上昇している。
3社は22年10~12月期も需要が堅調に推移すると見込む。ドル高を背景に欧州便など国際線の需要が伸びる。先行して業績の回復していたデルタは7~9月に減益となったが、10~12月期は増益を予想している。
米国内の旅行需要も堅調に推移しそうだ。旅行予約サイト「ホッパー」は9月、新型コロナの感染拡大で旅行を控えていた個人の需要が高まるとの予測を公表した。11月末の感謝祭と12月のクリスマスを含めた休暇で旅行者が増え、航空運賃は過去5年で最も高額になるとみている。
ただ、運賃を過度に引き上げれば需要を冷やす懸念もある。ユナイテッドのスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は19日の決算説明会で「来年以降は運賃を下げて顧客の手に届きやすくする」と話した。インフレで消費者の負担が高まる中、需要と価格のバランスをどう取るかが課題になる。
●マクロ・その他
バイデン米大統領は20日に発表した声明で「米英は強固な同盟国であり、古くからの友人だ。ウクライナ問題を含む幅広い問題でのトラス氏の協力に感謝する」と記した。「両国が直面するグローバルな課題にともに取り組むため、英国政府との緊密な協力を続けていく」と強調した。
トラス氏は外相時代から主要7カ国(G7)諸国に台湾の防衛力の強化を呼びかけ、対中国で強硬姿勢を貫いてきた。ただ保守党内には中国との経済関係の維持を求める議員も多く、見解は大きく割れている。アジア情勢にも影響を与える英国の対中姿勢は、次期首相次第で微妙に変化する可能性もある。
「1922年委員会」のブレイディ委員長は新首相となる党首を28日までに選出すると語った。
トラス氏は新党首選出までは首相の職にとどまる。英紙タイムズはジョンソン前首相が党首選に立候補する可能性があると伝えた。スナク元財務相も候補に挙がっている。減税策の修正を担うハント財務相は出馬しないと表明した。
20日のロンドン市場では、英国債とポンドが買い戻された。30年物国債の利回りは一時、前日比約0・2%下落(価格は上昇)の約3・8%と、約2週間ぶりの低水準となった。外国為替市場では一時1ポンド=約1・13ドルと、前日末の1ポンド=1・12ドル付近から上昇して推移している。
ただ株式市場では政治的な不安への懸念から、代表的な株価指数の英FTSE100は上昇から下落に転じた。
「英国はリーダー不在となったが、市場は安堵しているようにみえる。もっとも、新首相は金融市場の信頼を完全に取り戻すためにさらなる施策が必要だ。31日に発表される中期財政計画で、財政の穴がどのように埋められるかが明らかになるかが焦点となる」と英キャピタル・エコノミクスのポール・デールズ・チーフ英国エコノミストは指摘する。
与党・保守党は10月28日までの後任選出を目指しており、それまで同氏は首相職にとどまる意向を示した。
後任候補とみられているのは、今夏の保守党党首選でトラス氏との決選投票に臨んだスナク元財務相や、同じく同党首選に立候補していたモーダント前通商政策担当相(元国防相)、シャップス新内相、バデノック国際貿易相ら。前日に内相を解任されたブレーバーマン氏も出馬する可能性がある。ハント財務相は党首選に立候補しないと、同相の報道官が明らかにした。ハント氏は前任のクワーテング氏が更迭された後に就任した。
保守党の一般議員を代表する1922年委員会のグラハム・ブレイディ委員長によると、政府は予定通り今月31日に財政計画を発表できる見通しだ。
同氏の辞任は保守党にとって大きな痛手となる。世論調査によれば、政党支持率で保守党は最大野党・労働党に30ポイント以上の差を付けられている。2016年に行われた欧州連合(EU)離脱を巡る国民投票以後、英国の政局は混乱が続いており、トラス氏の後任は過去7年弱で5人目となる。
英タイムズ紙は、ジョンソン前英首相が保守党党首選に立候補する見通しだと、情報源を明らかにせずに報じた。ジョンソン氏は、自らの立候補が「国家の利益」になると考えているという。
「1922年委員会」は20日、党首選への立候補に議会下院の同党所属議員357人のうち100人の推薦を必要とするルールを決めた。短期間で選出できるよう、立候補のハードルを高めた。
保守党は28日までに新党首を選ぶ。トラス氏を選んだ7~9月の前回の党首選では必要な推薦人の議員は20人だったため8人が立候補した。党員による決選投票に残った2人は1カ月近く英各地の討論会に参加して支持を訴えた。今回はこうした日程を大幅に縮小した。1922年委員会のブレイディ委員長は推薦人の条件について「見込みのある真剣な候補者であればクリアできる」と語った。
立候補は英時間24日の午後2時に締め切る。この時点で候補者が1人の場合は自動的に新首相が決まる。3人立候補した場合には24日に党下院議員の投票を実施し、2人に絞り込む。その後、保守党員を対象としたオンライン投票を実施して勝者を決める。
ジョンソン前首相が立候補する可能性があると報じた。独特のキャラクターで党員に人気があるものの、党内に反ジョンソン派の議員も多く100人の推薦人が集まるかが課題になる。
前回の党首選で100人以上の議員票を集めているスナク元財務相やモーダント下院院内総務も後任候補として有力視される。スナク氏は前回、決選投票でトラス氏に敗れた。大規模減税策の修正を担っているハント財務相は出馬しないと表明した。
「英国はリーダー不在となったが、市場は安堵しているようだ」と英キャピタル・エコノミクスのポール・デールズ・チーフ英国エコノミストは指摘する。ただ夕方には国債と通貨が売り戻される動きも出た。28日までに新首相となる保守党の党首選出、31日に中期財政計画が発表予定と当面の政治的な不透明さが拭えないためだ。
①スナク元財務相:今夏の保守党党首選でトラス氏とともに上位2人に残ったスナク氏は、トラス氏の計画は市場の混乱を引き起こすと正しく予測し、経済政策に関する自身の信頼を高めた。ただ、ジョンソン前首相辞任の引き金を引いた存在と多くに見なされていることが、引き続き同氏への支持拡大を阻んでいる。一般市民が高インフレ下のやりくりに苦労する中で、莫大(ばくだい)な個人資産を持っていることもマイナスに働いている。
②モーダント下院院内総務:今夏の党首選で3位だったモーダント氏は、保守党の一般党員に人気がある。通商政策担当相や国防相を歴任した。18日の議会では野党の追及を手際よくさばき、存在をアピールした。経済でも信頼できることを党内に示す必要はあるだろう。
③ジョンソン前首相:前首相の返り咲きがあるのだろうか。英国で首相経験者が再登板した例は、1960年代から70年代にかけて首相を2回務めた労働党のハロルド・ウィルソン氏にさかのぼる必要がある。だが、ジョンソン氏は常に政治的力学の法則に逆らってきた。数カ月前まで首相だったジョンソン氏には、依然として党所属議員と一般党員から一定の支持がある。首相在任中の行動について近く調査が始まる見通しで、それが支持者の離反を招く恐れもある。
④ウォレス国防相:高水準の防衛支出が必要だと考える党の一角にアピールできる、安定感のある人材だとみられている。ただ、党首選への出馬を繰り返し否定し、国防相の職を続けたい意向を示している。
⑤ブレーバーマン前内相:規定違反で19日に内相を解任されたブレーバーマン氏は、首相就任の夢を捨てる用意はないかもしれず、出馬となれば党内右派に支持を呼び掛けそうだ。解任は個人の電子メールから公的文書を送付したことが理由で、同氏は重大な件ではないと主張している。
⑥バデノック国際貿易相:今夏の党首選に出馬した1人で、再び出馬を考えるかもしれない。一般党員に人気で、党首選が一般党員の投票までもつれ込めば勝機が出てくる可能性もある。
講演原稿によると、同副総裁はインフレが高進する中で「政策引き締めの根拠は明らか」だとしつつ、価格が上昇すればいずれにしても需要はある程度鈍化すると指摘した。現在の軌道のままに金利が上昇すれば、国内総生産(GDP)に5ポイントの打撃を与え得ると付け加えた。
英経済が既にリセッション(景気後退)入りしている可能性が高まる中で、引き締めペースに関する中銀の慎重姿勢がうかがわれる。投資家は最近まで次回の政策会合で1ポイント余りの利上げが決定されることを織り込んでいたが、利上げ幅の見通しはやや低下し、その動きはブロードベント氏の発言後に加速した。
投資家は現在、政策金利が2023年に5%超に上昇すると想定している。現在は2.25%。ブロードベント氏の発言後、短期金融市場は中銀のピーク金利の見通しを約15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下させた。来月の会合では0.75ポイント利上げの可能性が高いと見込まれている。
ブロードベント氏は「政策金利が現在市場が織り込んでいるほど上昇する必要があるかはまだ分からない。本当に5%に達するとなれば、合理的な推計に基づき、利上げサイクル全体のGDPに対する累積の影響は5ポイント弱になる。サイクルはまだ1四半期程度しか過ぎていない」と話した。
政府の減税・経済対策が景気への打撃を和らげれば、金融政策は「もう少し」踏み込まなければならなくなるだろうとし、中銀は31日に公表される政府の財政計画を11月3日に発表する政策判断と景気予測に織り込むと述べた。「金融政策委員会(MPC)は財政政策に関するニュースに比較的迅速に反応する公算が大きい」とも語った。
スペイン北東部バルセロナとフランス南部マルセイユを結ぶ海底パイプラインの新設などのエネルギー網強化で合意した。パイプラインは水素の輸送を主目的とし、天然ガスの輸送は限定的とする方針。
20日の金融政策決定会合で、主要政策金利の1週間物レポ金利を1.5%下げ、年10.5%にすると決めた。利下げは3会合連続。足元のインフレ率は80%を超すが、2023年に選挙を控えるエルドアン大統領は景気浮揚を優先している。
市場は1%程度の利下げを予想していた。エルドアン氏は「年内に金利を1桁にする」と述べており、年内にあと2回ある決定会合でも利下げが予想される。金融政策の発表後、トルコの通貨リラは対ドルで前日比0.1%下落した。
トルコの物価上昇は2021年末ごろから加速した。今後は前年同月比でみれば物価上昇率が縮小していくことも、エルドアン氏が中央銀行に利下げを求める根拠になっているとみられる。23年6月までに実施する大統領選と議会選までは金融緩和と財政拡大が続くとの見方が多い。
政策金利(7日物リバースレポ金利)を0.5%引き上げ、4.75%にすると決めた。政府が9月に燃料を値上げしたことでインフレが強まり、3カ月連続の利上げで対応する。
インドネシアの9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月に比べて5.95%上昇し、2022年に入って初めて前年同月比で5%を超えた。政府は9月上旬、一部のガソリンや軽油に投入していた補助金を削減し、それぞれ約3割値上げした。
通貨ルピアの下落傾向も利上げ材料になった。インフレ抑制のため米国が金融引き締めを加速しており、ルピアは対米ドルで2年半ぶりの安値圏で推移する。通貨安は輸入物価を押し上げ、さらなるインフレを招く。
1970年代と異なり民間部門の負債水準が高いことが、物価上昇への耐性を弱めるだろうと指摘した。
また、中央銀行は金融市場で何かが壊れ始めた時点で方向を変えるだろうと予想した。
ブルームバーグのデータによれば、イタリアからオランダに至るまで、政府機関が国家戦略備蓄として直接管理するガスは、備蓄施設の容量全体のわずか10%程度に過ぎない。 残りのガスは国際貿易会社や公益企業、産業団体の手に委ねられており、最も高い価格を提示した買い手に自由に売却できる。たとえ買い手が自国以外であってもそれは可能だ。つまりドイツが突然の寒波に襲われた場合、隣国でパニック的なガス購入を引き起こし、欧州の連帯はきしむ恐れがある。
欧州のガスネットワークは国境をまたぐ供給を可能することで機能するよう設計されている。供給網に十分な燃料がある限りこのシステムは上手く働く。しかし現在の危機的な状況は、これまでに経験したことがない。
9月の中古住宅販売件数は、前月比1.5%減の471万戸、8カ月連続で減少した。住宅ローン金利の急上昇が市場に打撃を与えている様子が浮き彫りとなった。
8カ月連続の減少は、米住宅市場が崩壊し経済が「グレート・リセッション(大不況)」に陥った2007年以降で最長。今年はインフレ抑制に向けて金融当局が大幅利上げに踏み切ったのに伴い、住宅販売が急速に冷え込んでいる。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は発表資料で「まだ底は打っていない」と指摘。手元のデータは住宅ローン金利の現行水準を反映していないことから、今後も数値の悪化が続く見通しだと述べた。
9月の中古住宅価格(季節調整前、中央値)は前年同月比8.4%上昇し、38万4800ドル(約5760万円)。それでも今年3月以来の低水準となった。
中古住宅販売在庫は125万戸と前月から減少。販売に対する在庫比率は3.2カ月。1年前は2.4カ月だった。
9月は全米4地域のうち3地域で販売が減少した。南部は1.9%減少。ユン氏によると、ハリケーン「イアン」が襲来したフロリダ州の一部地域で落ち込みが目立った。西部は前月比で横ばいだったものの、前年同月比では約31%減少した。
農林中央金庫は、CVCクレジット・パートナーズが最近数週間のうちに募集開始した新発のローン担保証券 (CLO)への投資から手を引いた。かつて「CLOの鯨」として知られた農林中金が、市場から素早く後退する様子がうかがえる。
20日に辞任表明したトラス首相が財源の裏付けのない大型減税案を示したことに伴い国債相場が急落し、年金基金がマージンコール(追加の担保・保証金請求)への対応やCLOを含む資産の処分売りを強いられる中で、シティグループが仲介するCLOの募集は開始された。
こうした金融市場の混乱を受け、農林中金が米国と欧州で新発CLOの買い入れを当面停止したとブルームバーグが今週伝えていた。
●市況
日経先物(大証)26902、ダウ先30294、債先147.86、米4.224、独2.4200、仏2.972、西3.583、伊4.760、波8.603、原油84.56、ドル円150.19、墨ペソ20.04、トルコリラ18.5842、墨CDS184※10/21 9時30分頃
備忘録(10/19)
●中国・ロシア・東欧
居住者の移動の自由などを制限し、ロシア軍による統治体制を強化する。ウクライナの攻撃激化に伴い、戦時体制への備えを進める狙いとみられる。
戒厳令は20日からウクライナのドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、ヘルソンの4州で導入する。タス通信によると、1991年のソ連崩壊後、ロシアが支配を主張する地域で戒厳令が導入されるのは初めて。
ロシア軍のセルゲイ・スロビキン総司令官は18日、一方的に併合を宣言したウクライナ南部ヘルソン州について「非常に困難な状況にある」と述べ、ウクライナ軍の反転攻勢に苦戦していることを初めて認めた。ロシア国営テレビのインタビューで語った。戦況の悪化から同州住民に退避を命じており、1週間で5万~6万人に上る見通しだ。
首都キーウ(キエフ)でも爆発が相次ぐ。18日には市内の発電所が攻撃を受け、3人が死亡した。17日にも中心部でロシアの自爆型ドローン(無人機)による複数の攻撃があり、5人が死亡した。
ドローンをめぐってはイランがロシアに供与している疑惑が浮上している。ロイター通信によると、米国と英国、フランスが19日の国連安全保障理事会の非公開会合で、この問題を取り上げる見通しだ。
ウクライナのクレバ外相は18日の記者会見で「厳しい制裁を科すことが重要だ」と話し、ゼレンスキー氏にイランとの国交断絶を提案する考えを明らかにした。
今回の警戒態勢は3段階ある。まず、ウクライナと隣接するロシア南部の各州に「中レベル対応」と呼ぶかなり強い警戒態勢を敷いた。さらに南部連邦管区と首都モスクワを含む中央連邦管区に「高度準備態勢」を、全国のその他の地域には「基本準備態勢」をそれぞれ導入した。
「中レベル対応」では、地域防衛のために経済や行政組織を動員し、軍部隊の物資補給など全面的支援を各地域に強制する。「準備態勢」では「高度」と「基本」の程度の差はあるが、交通機関など重要な施設の安全確保や社会秩序維持への警備、取り締まりの強化が求められる。
プーチン氏は全土の警戒態勢で2つのリスクを抑え込もうとしている。ひとつは10月8日にクリミア半島とロシア南部を結ぶ「クリミア大橋」で起きた爆破事件のような、ウクライナによるとされる後方かく乱工作、もう一つは部分動員令をきっかけに広がったプーチン政権への国民の反発だ。
カディロフ氏らロシアの保守強硬派には、プーチン氏のやり方を「生ぬるい」とみなす人々が少なからずいる。保守系の政治家や思想家、治安組織や軍幹部ら保守強硬派は政権を支える中核であり、苦境に立たされたプーチン氏が彼らの主張を無視できず、いずれ小型核の使用や総動員令など危険な賭けに出る可能性は否定できない。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ジェットブルーが38億ドル(約5660億円)でスピリットを買収し、完全子会社化する。独調査会社のスタティスタによると、2021年の米国内線における市場シェアでジェットブルーは6位、スピリットは7位だった。2社の合併が実現すれば、ユナイテッド航空に次ぐ業界5位に躍り出ることになる。
今後は規制当局から合併の承認を得られるかが課題だ。バイデン政権は価格上昇など消費者の不利につながりかねない企業統合に対し、厳しい姿勢を強めている。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は9月、ブティジェッジ米運輸長官に書簡で「米航空業界の競争力は低下している」と伝え、法的権限を行使して両社の合併を阻止すべきだとの見解を示した。
●その他産業
●決算関連
2022年7~9月期の決算は、売上高が1%増の206億1200万ドル、純利益が前年同期比4%減の39億3900万ドル。海外事業が為替変動の影響を受けたほか、需要減で販売数量も3%減った。値上げにより増収を確保したが、高インフレに伴う買い控えや急速なドル高で為替差損が膨らみ、純利益は減益となった。
23年6月期通期については、売上高見通しを下方修正した。急速に進むドル高が6%の減収要因となり、全体の売上高は前期比1~3%減となる見通しだ。従来予想は0~2%増だった。6月期通期はドル高が13億ドル、原材料費や運送費の上昇が26億ドルの減益要因になるとも指摘した。
食品最大手、スイスのネスレは19日、今年の通期増収率は8%との見通しを示した。これは従来予想レンジの上限。同社は数十年ぶりの大幅な値上げに踏み切り、販売量の落ち込みを補っている。
7-9月(第3四半期)の販売量は0.2%減。同社は9.5%の値上げを実施した。
これまでのところ消費者はコスト高の吸収を受け入れている。ただ消費者の節約によって、ブランド商品が割安なプライベートブランド商品に市場シェアを奪われるとの懸念は高まっている。
ネスレは19日、米スターバックスから「シアトルズベストコーヒー」ブランドを買い取る計画だと発表した。買収価格は示していない。
メインフレーム(大型汎用機)の新製品の販売が好調だった。アービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は、22年12月期通期の売上高の伸び率予想を「1桁台半ばを上回る水準」に引き上げると表明した。
19年に買収したソフトウエア大手のレッドハットを含むソフトウエア部門は7%増の58億1100万ドルだった。コンサルティング部門は5%増の47億ドルだった。いずれも市場予想を上回った。
最終損益は31億9600万ドルの赤字(前年同期は11億3000万ドルの黒字)だった。外部の保険会社への年金債務の一部と資産の移管に伴う関連費用がかさんだ。システム運用などを手がけるサービス部門の新会社「Kyndryl(キンドリル)」の分社化を考慮した継続事業からの最終損益は32億1400万ドルの赤字だった。
●マクロ・その他
9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で10.1%上がった。伸び率は8月より0.2ポイント上昇し、2カ月ぶりに拡大した。食料品など幅広い分野での値上げが進んだ。英トラス政権はエネルギー価格高騰の負担軽減策の見直しを進めており、高インフレが続く可能性が出ている。
全体を大きく押し上げたのは食料品だ。「食料品・非アルコール飲料」は前年同月比の伸び率が14.5%と8月より1.4ポイント広がった。「衣服・履物」も0.9ポイント増の8.5%、「家具類」も0.6ポイント増の10.7%となった。
燃料価格の低下を反映して「輸送」は8月の12%から10.6%に縮んだ。英トラス政権は国債市場の混乱の原因となった大規模減税策の撤回を進めている。エネルギー価格急騰による家計と企業の負担軽減策も23年4月までは続けるが、以降は見直すとしていて先行きの物価に上昇圧力がかかりそうだ。
エネルギーや食品などを除くコア指数の上昇率は6.5%と、8月(6.3%)から拡大した。
ハント財務相は31日に中期財政計画の内容を発表する。約400億ポンド(約6兆7700億円)の欠損を増税と歳出削減で埋め、想定される2027~28年の期限までに余裕を持って新しい財政ルールに対応できるようにすることを目指している。
ハント氏は17日、公的債務の対国内総生産(GDP)比率を下げたいとし、税収は日々の支出を上回るべきとの考えを示した。これらの目標を達成するには5年かかる見通しだという。以下に、増税と歳出削減に向けて同氏が取り得る選択肢を5つ挙げる。
①個人・法人増税
21年にスナク財務相(当時)が発表した、個人所得税の控除額と課税基準を4年間据え置く措置を延長することで、大幅な「ステルス」増税が可能になる。
高インフレ下では、この「フィスカルドラッグ(注、インフレ下で名目所得が伸び、所得税率が上がって実質増税が起きる)」効果によって、毎年何百万人もの人々が初めて所得税の対象者になったり、適用税率が高くなったりすることになる。据え置きを延長すれば、政府は27~28年までに年間約50億ポンドを調達できる。
②年金・福祉給付の削減
9月のインフレ率が通常、翌年4月からの年金と福祉給付の伸び率を決定づける。
それだけで、来年の公的支出は3月の予算案を50億ポンド上回ることになる。ハント氏は、年金や他の給付をいずれも縮小して支出を節減すべきかというジレンマに陥るだろう。
ハント氏は17日、インフレ率に応じた来年4月以降の給付の引き上げを保証はせず、国民年金に関する「トリプルロック」を順守するか明言を避けた。トリプルロックとは、年金支給額の伸び率をインフレ率、賃金上昇率、2.5%の3つのうち最も高い指標に合わせる仕組みだ。
給付金を1%削減するごとに、政府は年間30億ポンドを節減できる。
③政府部門の支出削減
支出が実質ベースで増え続けるにもかかわらず、この数字は1ポイント引き下げられる可能性がある。こうした削減を3年間実施すれば、27~28年までに年間130億ポンドを節減できる。
だが、政府の支出部門を担当する閣僚は、いかなる引き締めにも抵抗する可能性が高い。例えば、ウォレス国防相は、トラス首相が軍事費増額の約束をほごにした場合、辞任する可能性があると示唆している。
④公共投資の引き締め
公共投資の削減に関しては、ハント氏が17日にそれを否定するような発言をした経緯があり、問題になりかねない。「投資の死活的重要性を認識することなく、長期的で信頼できる経済成長戦略を立てることはできないと考えている」と発言したのだ。
⑤対外援助予算の削減
ハント氏に実現可能な歳出削減のうち、単一かつ最大で、おそらく保守党議員との政治的あつれきが最も少ないのは、英国の対外援助予算を年間50億ポンド削減することだろう。
9月の米住宅着工件数は前月比8.1%減の年率換算143万9000戸(エコノミスト予想の中央値は146万1000戸、前月は156万6000戸(速報値157万5000戸)に下方修正)と市場予想を下回った。着工件数の先行指標となる住宅建設許可件数も一戸建て住宅が前月に比べて減少。約20年ぶりの高水準にある住宅ローン金利が需要を減退させ、住宅着工に影響を及ぼしている状況があらためて示された。
アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「住宅市場の底が近づきつつあるとは、とても思えない」とし、「さらなる痛みはこれからやってくる。その可能性が最も高い」とリポートに記した。
K2アセット・マネジメントは異例のボラティリティーを理由に英マクロ資産のアンダーウエートを維持する考えだ。「英資産はある意味でソロス氏の時代以来の無秩序状態だ」と、調査責任者のジョージ・ブーブラス氏が1992年のジョージ・ソロス氏のポンド空売りを念頭に述べた。「ヘッジファンドは特に英国債市場にさらなる混乱をもたらすだろう。英国債は債券自警団の間で世紀の空売りの標的になっている」と話した。
財政基盤の強化を探る英政府が銀行に課している税率を引き上げるのではとの懸念が、ロンドン金融街のシティーで広がっている。
ハント新財務相は、超過利潤税について検討する際にはいかなる可能性も「排除しない」と発言。銀行に警戒感が強まった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は18日、ハント氏が銀行とエネルギー企業に対する増税を検討していると報じた。
トラス英首相はブレーバーマン内相を解任した。事情に詳しい関係者が明らかにした。国家安全保障の規定に違反する行為があったためだといい、窮地に立たされている首相に圧力がさらに強まる事態は避けられそうにない。
表向きの理由とは別に「政府の仕事は間違いの責任を受け入れることで成り立っている」と記した。英政界では経済失政で市場を混乱させたトラス氏にも退陣を促す辞任だとみられている。
書簡で「この政府の方向性に懸念を持っている」と政権への批判もにじませた。さらに「間違いが起きていないふりをして、魔法のようにやり過ごせることを期待するのは真剣な政治ではない。私は間違ったので、責任をとって辞任する」と書きつづった。
英BBCはブレーバーマン氏の書簡は「トラス氏に激怒していることを示している」と分析した。トラス氏は政権の経済失政について「過ちに責任を負い、謝罪する」としつつも、首相続投の意思を示している。
後任の内相のシャップス氏は、トラス氏を首相に選んだ党首選で対抗馬のスナク元財務相を支持していた。新財務相に起用されたハント氏もスナク支持派からの起用だった。トラス氏は自身の求心力回復のために党内の幅広い人材の登用に傾いているとみられる。
多くの保守党議員は、トラス首相の即時退陣を今や望んでいる。金融市場を落ち着かせるため、少なくとも中期財政計画が31日に発表されるまで政権交代を待つべきだという見方がこれまで広く支持されていたが、情勢が急変した。
事情に詳しい関係者2人によれば、19日遅くに閣僚らは首相が辞任すべきかどうか非公式に協議した。トラス政権が夜を乗り切れるかとの質問に対し、ある保守党下院議員は「そうならないといいのだが」と答えた。
19日の下院では、フラッキング(水圧破砕法)によるシェールガスの掘削解禁を巡る採決に向け、与党議員の造反をうまくかわすことを政府は目指していた。だが、採決の数時間前にブレーバーマン内相が解任され、ジョンソン前政権で運輸相を務め、トラス首相の追い落としに公然と動いていたグラント・シャップス氏が後任に起用された。
カシュカリ総裁はコアとサービスのインフレが向こう数カ月で横ばいになれば、来年に利上げを一時停止できる状況になる可能性はあるとの見解を示した。その上で、食品とエネルギーを除いたコア物価が落ち着きつつあるという「安心」材料は現時点で見られないと強調。「それについて非常に憂慮している」と語った。
その上で同氏は、金融当局がインフレに過剰反応することに伴うリスクよりも、インフレ抑制に向けた行動が少な過ぎるリスクの方が大きいと指摘。「インフレに取り組まないことのコストは、私の考えでは受け入れがたいコストだ」と話した。
●市況
日経先物(大証)27005、ダウ先30453、債先147.95、米4.142、独2.3760、仏2.959、西3.557、伊4.763、波8.314、原油84.83、ドル円149.86、墨ペソ20.12、トルコリラ18.5975、墨CDS185※10/20 9時20分頃
備忘録(10/18)
●中国・ロシア・東欧
●中東
競技にはスカーフをかぶって臨むというイラン当局が定めた義務に反しており、反スカーフデモに連帯を示したとみられる。帰国後に逮捕される恐れがある。
イランでは服装を街頭で監視する風紀警察に拘束されたマフサ・アミニさん(22)が急死した事件に抗議するデモが続いている。治安当局は、抗議デモを支持した俳優のパスポートを没収したり、サッカー選手を逮捕したりして弾圧。イランに加え欧米やトルコでも女性が断髪で抗議する動きが広がっている。
2023年半ばの大統領選挙をにらみ、歳出の拡大に動いている。17日、議会に提出した23年の予算案は光熱費の補助金拡大などを盛り込み、歳出を7割増やす。高インフレで国民の不満が高まるなか、家計支援の拡充で再選を狙う。
23年予算案は、補正予算を含む22年予算比で70%増となる4兆4700億リラ(約36兆円、名目値)の歳出を計上した。22年の当初予算比では2.6倍となる。6000億リラを占める家庭向け光熱費補助は、22年見込みの2倍に増やした。23年初めに予定される賃上げにあわせて、企業向けの補助金も盛り込んだ。
高インフレで落ち込んでいた支持率は足元で回復の兆しを見せている。シンクタンクのイスタンブール経済研究所が10月に実施した世論調査によると、次回の選挙でエルドアン氏が率いる与党連合に投票すると答えた人は計30.8%で、野党連合(30%)に並んだ。
23年予算案では財政赤字を国内総生産(GDP)比で3.5%と、21年から0.9ポイントの悪化を見込む。ピリレイス大のエルハン・アスランオール教授(経済学)は予算案が「楽観的」だとしたうえで「現在の金融緩和と歳出拡大を継続するのは困難だ」と述べ、選挙後には政策転換を迫られると見通した。
豪州では22年5月の総選挙で労働党が勝利し9年ぶりに政権が交代した。前政権で18年から首相を務めたモリソン氏は同年10月、米国に追随する形でテルアビブにある豪大使館のエルサレム移転を検討すると表明した。ただ12月に西エルサレムを首都と認定した際、大使館のエルサレム移転は当面見送る方針を示した。
ウォン氏は声明でエルサレムについて「その最終的な地位は、イスラエルとパレスチナの人々の和平交渉の中で解決されるべき問題だという、豪州の長年の立場を政府は再確認した」と述べた。豪州の大使館は「テルアビブにとどまる」と強調した。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
クレディ・スイスが増資を決定した場合、規模は少なくとも20億ドル(約3000億円)となる公算が大きく、それを上回る可能性もあると関係者らは述べた。事業転換に伴い今後2年程度に見込まれる営業損失と再建費用をカバーするためだという。
期末の会員数は3四半期ぶりにプラスに転じた。ただドル高が逆風となり、売上高は前の四半期(22年4~6月期)の水準を下回った。
金利上昇は融資業務の採算改善を通じて一定の下支え要因になった。ただ一段の金利高は経済の落ち込みを深くして商業銀行にも逆風になりかねず、収益環境が好転する道筋は見えてこない。
●決算関連
2022年7~9月期決算で、純営業収益は前年同期比12%減の119億7500万ドル、純利益は前年同期比43%減の30億6900万ドルとなった。
部門別で最も減収幅が大きかったのが投資銀行部門で、同57%減の15億7600万ドルだった。期中に実現したM&A(合併・買収)の件数が減り、金融助言収入は4割減った。株安が進んだことから新規株式公開(IPO)や公募増資は低調で、新株の引受手数料は8割減。金利上昇に伴う資金調達コストの増加で社債発行の動きも鈍く、債券の引受手数料は5割減った。資産運用部門も2割減収と不振だったが、グローバルマーケッツ部門は11%増収と堅調だった。
デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、インフレ高止まりや各国・地域の中央銀行による大幅利上げ、地政学リスクやエネルギーの供給混乱など数々のリスク要因を挙げ「世界経済は強い逆風にさらされている」と述べた。その逆風は「四半期末にかけて加速した」とも説明した。
ゴールドマンは決算発表にあわせて、大規模な組織再編も公表した。投資銀行部門とグローバルマーケッツ部門を統合し、資産運用部門と富裕層向け部門も統合する。法人顧客向けの資金管理・決済サービス事業や外部企業との金融事業提携を手掛ける事業は、まとめて独立した部門として切り出す。
2022年7~9月期決算は、1.9%増収、純利益が前年同期比21.6%増の44億5800万ドル。主力の「処方薬」部門でがん治療薬が堅調だった。
部門別の売上高では、がん治療薬などが伸びた「処方薬」が2.6%増だった。手術用医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」は2.1%増だった。一方、同社が23年半ば以降に会社分割を予定する日用品や市販薬などの「消費者向け」部門は0.4%減だった。
同社の海外売上高比率は約半分に上り、為替変動の影響を受けやすい。製品全般に販売が増えたが、急速に進んだドル高が6.2%の減収要因となり、全体では微増収にとどまった。ドル高の影響で7月に続けて通期売上高見通しを下方修正し、前期比1.8%~2.3%増の930億~935億ドルを見込む。従来予想は前期比2.1~3.1%増の933億~943億ドルだった。
ジョセフ・ウォーク最高財務責任者(CFO)は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで「他の業界と同様に経済的な下押し圧力が強まっている」として小規模な人員削減に踏み切る考えを表明した。
2022年7~9月期の決算は、純利益が前年同期の2倍となる9億4200万ドル(約1400億円)だった。売上高は128億7700万ドルと66%増えた。燃料コストなど運営費が増すなかで、夏場の強い旅行需要と運賃の引き上げが増収増益に貢献した。
夏の強い旅行需要を受け、搭乗者数は前年同期に比べ21%増の約3900万人だった。燃料費は37億5500万ドルと倍以上に上昇し、その他を含めた運営コストは114億1900万ドルと70%増えたが、運賃引き上げなどで採算の悪化を補った。
国際線の売上高は前年同期で2.6倍の約46億ドルとなった。欧州各国が渡航規制を緩和したことで旅行需要が高まった。
10~12月期も堅調な需要が続くとし、減損などを除いた調整後の営業利益率は19年同期(9.1%)を超すと予想する。四半期ベースで新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の実績を上回るのは初めてとなる。
●マクロ・その他
米住宅市場指数は8ポイント低下の38
住宅市場指数は今年に入って毎月低下しており、データでさかのぼれる1985年以降で最長の連続低下をさらに更新した。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は「住宅市場は現在、バランスが取れてきたと示唆するアナリストもいるが、住宅保有率は今後数四半期に低下するだろう。金利上昇と高止まりする建設コストが多くの潜在的な買い手を引き続き遠ざけるとみられるためだ」と発表文で指摘した。
一戸建て住宅販売の見通し指数は11ポイント低下の35と、2012年以来の低水準となった。現況指数と購買見込み客足指数は20年5月以来の低水準。
地域別では北東部以外の3地域で低下。西部は10年ぶりの水準に落ち込んだ。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が18日発表した10月の独景気期待指数はマイナス59.2と、前月のマイナス61.9からは若干上昇。エコノミスト予想ほどは落ち込まなかった。ただ、現状指数は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以来の低い水準となった。
9月の米鉱工業生産統計では製造業の生産指数が上昇し、これで3カ月連続でのプラスとなった。堅調な設備投資と消費財需要に支えられる形で、製造業者の活動が着実に拡大していることが示唆された。
財務管理ソフトウエア企業のキリバによれば、為替変動によって北米企業の利益は4ー6月に343億ドル(約5兆700億円)押し下げられた。これはデータが残る2013年以降で最大だ。
ドル高が続くとみられ、世界的な景気減速のリスクがより明確になる中で、第3四半期の決算発表シーズンは業績がさらに悪化する兆しが既に表れている。ブルームバーグ・ドル指数は先月、過去最高値を更新した。
特に国外での売り上げが大きく、世界的な消費低迷のあおりを受けている米国企業へのドル高の影響は最も顕著だ。ドミノ・ピザやペプシコは既に為替レートの影響で予想以上に利益が押し下げられる可能性を示している。
コメリカ銀行のチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「極めて強いドルに加えて欧州や中国の不景気が国外からの米国製品への需要を押し下げている」と指摘した。欧州天然ガスの指標価格であるオランダTTFに一時的に価格上限を設けられるよう提案。
TTFに価格上限を設けるのは、極端な価格変動が企業や家庭に混乱を及ぼすのを防ぐためだ。
中長期的には2023年春までにTTFにかわる新しい指標を開発するが、短期的にはTTFの価格に一時的に上限を設けられるようにすることを提案した。過度に高い価格になった際は、欧州委が価格制限の発動を加盟国からなる理事会に提案して承認を得る。市場への介入になるため、欧州委はこれを一時的な措置で「最後の手段」と説明している。
学生ローン返済の一部免除を申請できるホームページを試験的に公開してから2日間で800万人以上の申請があったと発表した。申請の締め切りは2023年12月31日だが、およそ4300万人いるローン免除の対象者の2割近くが申請したことになる。
返済免除は連邦政府が提供するものに限り、民間の学生ローンは対象に含めない。
米超党派の調査機関「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は8月、およそ5000億ドルかかる学生ローンの返済免除が23年度のインフレ率を0.15~0.27ポイントほど押し上げると試算した。
英中銀、保有国債売却を11月1日に開始へ-当初は長期債除外
長期債は当初の売却には含まれない。英政府の経済政策の発表後に、長期債の相場が大混乱に陥った。政府は結局、大半の政策撤回を余儀なくされた。10-12月(第4四半期)の売りは短期物と中期物に限られ、この全年限で均等に実施される。開始延期が理由で売却できない分が生じる場合には、次の四半期に繰り越されると、英中銀は発表した。
年金負債対応投資(LDI)戦略で運用するファンドがこれまでに数十億ポンドの資金を確保したことを明らかにし、その資本基盤は持続可能性を増したと述べた。LDIファンドが露呈した脆弱(ぜいじゃく)性は、先月の英資産暴落の一因となっていた。
カンリフ副総裁は議会財務委員会に宛てた書簡で、イングランド銀による英国債の緊急購入はその大半がLDIファンドからだったことを明らかにした。この結果、こうしたファンドは「従来よりかなり大幅の利回り上昇にも対応できる十分な資金を確保した」と報告したという。
同副総裁は「総体的に見て、現在のLDIファンドは今後こうしたショックが生じても対応できる準備が著しく改善された」と指摘した。
ただ、英資産の危機によってイングランド銀には市場にストレスがかかった際の危機対応ツールが欠けていることが浮き彫りになったとも指摘した。
カンリフ氏は「新しいツールが求められている。民間セクターはこうした事態に対応するため、より手厚い流動性保証を提供する必要があり、イングランド銀は新たなツールを開発しなければならない」と論じた。
●市況
日経先物(大証)27247、ダウ先30756、債先148.18、米4.015、独2.2805、仏2.843、西3.440、伊4.674、波8.149、原油82.93、ドル円149.20、墨ペソ20.02、トルコリラ18.5861、墨CDS199
日経先物(大証)27247、ダウ先30756、債先148.18、米4.015、独2.2805、仏2.843、西3.440、伊4.674、波8.149、原油82.93、ドル円149.20、墨ペソ20.02、トルコリラ18.5861、墨CDS199
※10/19 9時15分頃
備忘録(10/17)
●中国・ロシア・東欧
アップル「iPhone」の主要組み立て拠点がある中国河南省鄭州市は、新型コロナウイルス感染拡大を抑えるため人口の多い地区の1つでロックダウン(都市封鎖)を実施した。
iPhoneを受託生産するフォックスコン・テクノロジー・グループの工場は同地区内にはない。同社の担当者にコメントを求めたが、すぐには返答がなかった。
台湾紙の経済日報は17日、フォックスコンが鄭州市での生産は通常通りだと明らかにしたと報じた。ロックダウンの影響は大きくないとも伝えた。
中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は16日に開いた第20回党大会で3期目政権をにらんだ活動報告を読み上げた。内容からは自らを毛沢東を超える「革命指導者」に位置づける思惑がにじむ。
ロシアの金融市場で、株式・通貨・国債の3資産が下落するトリプル安が起きている。ウクライナへの軍事侵攻は部分動員令を敷くほど泥沼化の様相を呈し、孤立を深める経済も混迷が長引くとの警戒感が根強いからだ。外国投資家の株式売買の制限を続けるなど統制された市場での下値模索は、同国経済のさらなる悪化に「身内」からも懸念が広がっているさまを映す。
●中東
欧州連合(EU)はルクセンブルクで開いた17日の外相理事会で、イランへの制裁を科すことで合意した。スカーフのかぶり方を巡って当局に拘束されたマフサ・アミニさん(22)が急死した事件に加え、この事件を機に広がった抗議活動への当局の弾圧を問題視した。
制裁対象は11の個人と4つの団体。国民の服装を街頭で取り締まる風紀警察や同警察の幹部のほか、インターネットの遮断に関与したとしてザレプール情報通信技術相らを対象にした。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ロシアのウクライナ侵攻を受けた供給不安や円安によって燃料費がかさみ、JALのサーチャージは10~11月発券分で過去最高となっていた。ただ世界的な景気減退への懸念などから原油価格が下落しており、燃油サーチャージを引き下げる。
●その他産業
アブダビはムバダラ・インベストメント、サウジはパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)など、いずれも政府系ファンドを通じ、別々に投資の可能性を探っている。関係者は協議内容が非公開であることを理由に匿名を条件に語った。アブダビとサウジがそれぞれ有意な出資を行っている他の投資主体を通じた取引となる可能性もあるという。
クレディ・スイスの上位株主には長年にわたって、カタール投資庁(QIA)やサウジのオラヤン・グループなど中東の投資家が名を連ねてきた。
クレディ・スイスは「包括的な戦略見直しの進展状況については、第3四半期の決算発表時に最新情報を明らかにすると説明している」とし、「その前に起こり得る結果についてコメントするのは尚早だ」と発表資料に記した。アブダビの報道担当部門とサウジPIFはいずれも現時点でコメントせず、ムバダラはコメントを控えた。
クレディ・スイスの上位株主には長年にわたって、カタール投資庁(QIA)やサウジのオラヤン・グループなど中東の投資家が名を連ねてきた。
クレディ・スイスは「包括的な戦略見直しの進展状況については、第3四半期の決算発表時に最新情報を明らかにすると説明している」とし、「その前に起こり得る結果についてコメントするのは尚早だ」と発表資料に記した。アブダビの報道担当部門とサウジPIFはいずれも現時点でコメントせず、ムバダラはコメントを控えた。
ドイツの高級車メーカー、メルセデス・ベンツは、電気自動車(EV)の車種展開をスポーツタイプ多目的車(SUV)にも広げ、米テスラの「モデルY」に対抗する。2030年までに販売台数の全てをEVとする目標に向け、また一歩前進する。
パリ自動車ショーの開幕に先駆けてメルセデスが公表した新型EV「EQE SUV」は、1回当たりの航続距離が590キロに達し、モデルYの安価なモデルを上回る。価格は7万ユーロ(約1000万円)前後で、年内に販売を開始する。高級セダン「EQS」などに使われているEV用に特別開発したプラットフォームを、EQEにも利用する。
●決算関連
2022年7~9月期決算は、純利益が前年同期比8%減の70億8200万ドル(約1兆500億円)だった。景気の先行き不透明感を踏まえ、不良債権処理などに充てる与信費用を積み増したことが利益を圧迫した。投資銀行業務の手数料の大幅減も響いた。
与信費用は約9億ドルと4~6月期より約7割増えた。21年7~9月期は景気回復に伴い6億ドル以上の戻り益が発生しており、前年同期と比べた際の減益要因になった。投資銀業務は株・債券の引き受けやM&A(合併・買収)助言などが振るわなかった。
事業会社の売上高にあたる純営業収益は245億200万ドルと8%増えた。融資の拡大や米連邦準備理事会(FRB)の大幅利上げを受けた貸出金利の上昇を追い風に、純金利収入が24%増えた。金融市場の変動が大きくなるなか、債券・為替などのトレーディング収益が伸び、業績を下支えした。
●マクロ・その他
英国のハント財務相は17日、トラス政権が9月に打ち出した「大規模減税策のほぼ全てを撤回する」と動画による声明で表明した。年450億ポンド(約7.5兆円)の大規模減税策は財政悪化の懸念から市場の混乱につながっていた。財務省は同日、中期財政計画の一部を前倒しで公表することも発表した。
ハント氏は、来年4月から所得税の基本税率を19%に引き下げるとしていた計画を、20%に据え置くと発言した。大規模減税策とともに経済対策の柱となっていたエネルギー価格急騰による家計や企業への支援策についても「来年4月までは継続するが、それ以降は見直す」とした。
ハント氏は「英国にとって今もっとも重要な目標は安定性だ。市場の変動は住宅ローンの負担や年金基金の価値に影響を与える」として、財政不安による国債市場の変調に配慮する姿勢を示した。
大規模減税策の見直しを市場は好感し、英通貨ポンドや英国債が買われている。17日のロンドン為替市場ではポンドが上昇し、一時1ポンド=1.13ドル台前半を付けた。
英中銀、国債購入策の終了発表 予定通り14日に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1774P0X11C22A0000000/
債券を担保として金融機関へ現金を貸し出す新たな枠組みは11月10日まで続ける。投資適格債の中では比較的信用力の低いトリプルBマイナスの社債も担保として受け入れる。年金基金が損失を出した分の補塡をする際に、現金を捻出するための保有資産の投げ売りを防ぐ狙いがある。
英国のハント財務相は17日、トラス政権が打ち出した年450億ポンド(約7.5兆円)の「大規模減税策のほぼ全てを撤回する」と表明した。減税の財源が不透明だとして国債が売られるなど、金融市場混乱の原因となっていた。政権の肝煎り政策が1カ月たらずで撤回される異例の「Uターン」で、トラス首相の退任を求める圧力も強まっている。
英国のハント新財務相は減税計画を撤回し、光熱費支援策の期間も来年4月までに短縮する。財政に秩序を取り戻す政策パッケージを発表した。
発表によると、計画されていた所得税減税は無期限に棚上げされる。配当税の税率引き下げと酒税凍結の計画も撤回する。
ハント氏によれば、今回の方向転換で合計320億ポンド(約5兆4000億円)が節約できる。ただ、投資家の信頼回復に必要な財源としてエコノミストらが挙げる700億ポンドには届いていない。前財務相の下で発表済みの所得税最高税率の引き下げ撤回を含め、首相が先に打ち出した450億ポンド規模の減税案および支援策はほぼ全て撤回されたことになる。ハント氏は今後数週間に支出削減について追加発表する公算が大きいことを示唆した。
英国のトラス首相は17日、年450億ポンド(約7.5兆円)規模の大規模減税策のほぼ全てを撤回したことについて「間違いがあったことを完全に認める」と語った。与党・保守党の一部で高まる辞任論には「(2025年1月までにある)次の総選挙を私は率いるだろう」と否定した。
低所得国が借り入れた対外公的債務の支払額が増え続けている。世界銀行によると、2022年の支払額は505億ドル(約7兆5000億円、推計値)と前年比13%増え、過去最高になる見通しだ。米国などはインフレ抑制に向けて金融引き締めを加速しており、金利上昇とドル高が相まって低所得国の債務危機が深刻化する恐れがある。
10月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス9.1だった。前月から7.6ポイント低下し3カ月連続でマイナス圏内にとどまった。今後の見通しを示す指標も3カ月ぶりにマイナスに転じ、先行き不透明感が強まったことを示した。
3日から11日にかけて調査した。個別項目では「新規受注」は3.7で前月から横ばいだった一方、「在庫」(4.6)は4.8ポイント、「出荷」(マイナス0.3)は19.9ポイントそれぞれ低下した。調査対象となった企業の32%が10月に業況が悪化したと回答し、前月よりも改善したと答えた企業(23%)を上回った。
6カ月先の景況見通しはマイナス1.8で、前月比で10ポイント低下した。今後6カ月間の業況の見通しが不透明であることを示した。
新型コロナウイルス対策の資金繰り支援策もあり低水準の状況が続いているが、この時期の金額が前年を上回ったのはリーマン・ショック直後の2009年以来13年ぶりとなる。金額を業種別にみると、建設業が同2.1倍の39億円、サービス業が同1.6倍の50億円と増加率が顕著だった。
エコノミストのアナ・ウォン、イライザ・ウィンガー両氏が最新の予測モデルでリセッション確率をはじき出したところ、2023年10月まで(向こう1年間)に景気が落ち込む確率は100%となった。前回の分析では65%だった。
ブルームバーグ・エコノミクスの予測モデルはマクロ経済と金融に関する13の指標を用い、1カ月から2年の期間におけるリセッションの確率を予想する。
このモデルでは向こう1年間のリセッション確率が100%に達しただけでなく、もっと短い期間の確率も上昇した。11カ月以内の確率は73%と、前回分析の30%から上昇。10カ月以内の確率は前回ゼロだったのが、25%に上がった。
見通しを悪化させたのは、モデルに用いられた経済・金融の指標で幅広い悪化がみられたためだと、ブルームバーグ・エコノミクスは指摘している。
9月の議会選で第3党になった穏健党(中道右派)のクリステション党首が新首相に就くことを承認した。3党による少数連立政権になる。反移民などを訴える第2党の極右スウェーデン民主党は閣外協力で政権を支える。
極右の民主党は減税や警察の権限拡大、犯罪増加の主因となっているギャングの取り締まり強化などでクリステション政権と協力する見通し。閣外協力とはいえ、政権運営に一定の影響力を持つことになる。
インフレの高止まりがバイデン政権に逆風となり、女性らの「民主離れ」を招いた。
これまで女性有権者は民主支持の傾向が強かった。9月の調査で女性の53%が民主、40%が共和に投票すると回答していたが、10月は両党とも47%で並んだ。
現在、米国が直面する最も重要な問題については、トップの「経済(雇用・株式市場を含む)」が26%、2位の「インフレ・生活費」が18%だった。3位は中絶と移民の5%で、社会問題より経済への関心が高まっている現状が浮かび上がる。
バイデン大統領の10月の支持率は39%で、9月の41%から2ポイント低下し、不支持率は53%から58%に上昇した。タイムズ紙は「無党派層、特に女性が共和に傾いている。バイデン氏への不支持が民主を苦しめているようだ」と分析した。
●市況
※10/18 9時40分頃
備忘録(10/14-16)
●中国・ロシア・東欧
台湾統一について「必ず実現しなければならないし、実現できる」と語った。5年前の報告より大幅に表現を強めた。党大会では異例の3期目続投を決める見通し。習氏は超長期政権を視野に、台湾統一を事実上の「公約」に掲げたかたちだ。
約1時間45分の報告で人民大会堂にひときわ大きな拍手が起きたのが台湾統一の部分だった。習氏は「決して武力行使の放棄を約束しない」とも語り、台湾に軍事圧力をかけた。「中華全体の男女の共通の願い」とした5年前の報告にはなかった。
習氏の念頭には2つのことがあったとみられる。1つは8月にペロシ米下院議長が台湾を訪問するなど西側諸国と台湾の交流が活発になったこと。「外部勢力の干渉に断固反対する」と強調し、「台湾問題の解決は中国人自らのこと。中国人が決める」と米国の介入を強くけん制した。
もう1つは人民解放軍の一部にある台湾統一を求める声だ。党トップは2期10年までとの慣例を破って続投するならば、3期目以降に何をなし遂げるかを示す必要がある。その一つとして台湾統一への強い意欲を示した可能性がある。
16日の報告は経済成長の具体的な数値目標を見送った。胡錦濤(フー・ジンタオ)前総書記は2012年の党大会で20年の国内総生産(GDP)を10年比2倍にする目標を掲げた。新型コロナウイルスもあり、習氏はこの目標を達成できなかった。
代わりに掲げたのは「35年に1人あたりGDPを中進国並みにする」との曖昧な目標だ。数値目標は達成したかどうかが厳しく問われ、政権批判にもつながりかねないことを懸念した可能性がある。
一方で、35年までに「社会主義現代化」、50年ごろまでに「社会主義現代化強国」をそれぞれ実現するという長期目標を掲げた。35年に中国人の生活水準を大幅に引き上げ、50年に経済、軍事、文化でも米国に肩を並べる目標とされる。
今後は人口減少と高齢化による内需縮小と社会保障負担がのしかかる。23年にはインドに人口で抜かれる見込み。公式統計より中国の人口問題ははるかに深刻とされるが、習氏は「人口高齢化の国家戦略を積極的に実施する」と述べただけだ。
習近平(シー・ジンピン)総書記は過去5年間の成果と今後の方針を示す活動報告で台湾統一方針を巡り、「決して武力行使の放棄を約束しない。必要なあらゆる措置をとる選択肢を持ち続ける」と強調した。
習氏は「台湾問題は中国人自身のことであり、中国人が自分で決めなくてはいけない」と主張。「祖国の完全な統一は必ず実現しなくてはならず、また必ず実現できる」と訴えた。「平和統一の見通しを得るために最大限の努力をする」とも述べた。
会期は7日間。党大会は中国共産党の指導体制や基本方針を決める最高意思決定機関だ。北京で5年に1度開き、党序列上位200位以内の中央委員らを選出し、党の憲法といわれる党規約の改正案や重要な政策課題を議論する。
今回、習氏が異例の3期目を決めるとの見方が大勢だ。党大会の報道官は15日に記者会見し、活動報告の起草グループ長を習氏自身が務めていると明かした。党大会では、次の指導者が起草の責任者を担うのが慣例だ。習氏が3期目入りを確実にしたとの受け止めが広がっている。
会期中には、党規約の改正案も審議する。習氏の党の核心としての地位と、習氏の政治思想の指導的な地位を確固たるものとする「二つの確立」を軸に、習氏の権威を高めるキーワードを盛り込む見通しだ。
党大会の最大の焦点は最高指導部である政治局常務委員の人選だ。正式には党大会閉幕後の23日に開く中央委員会第1回全体会議(1中全会)で決める。
現状で7人いるメンバーに、習氏の側近がどれだけ入るかが関心を集める。丁薛祥・共産党中央弁公庁主任などの名前が挙がる。習氏は側近らを幹部に引き上げ、「1強体制」を盤石にしようとしている。
習氏は「内需拡大戦略の実施と供給側構造改革の深化を結びつける」と発言。消費拡大を後押しするとともに、イノベーション(技術革新)を根本的な原動力に質の高い発展を目指す考えを強調した。
習氏は「国内大循環の原動力と信頼性を強化し、国際循環の質を水準を高める」とも述べた。習指導部は内需に軸足を置きつつ、外需と好循環させて質の高い新たな成長につなげる「双循環」構想を掲げている。今回、この構想を推進する方針を改めて強調した。
習近平氏、「共同富裕」推進を強調 党大会で発言
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM161100W2A011C2000000/
「機会の公平を進め、低所得者の所得を増やし、中間層を拡大し、所得分配機能をルール化し、富の蓄積メカニズムを作る」と述べた。
習氏は政治スローガンとして「(ともに豊かになる)共同富裕」を掲げる。習氏はこの発言を通じて共同富裕の重要性を訴え、推進する考えを示した。
「覇権主義と強権主義に反対し、いかなる一国主義や保護主義にも反対する」と強調した。米国との長期対立を見据えた発言だ。
習氏は新型コロナウイルスのワクチン供与を中心とした海外との協力が「国際的な称賛を勝ち取った」とも主張した。「中国の国際的影響力が著しく向上した」と成果を誇示した。
人事などでかつて影響力を持った江沢民(ジアン・ズォーミン)元総書記、朱鎔基・元首相はともに90歳を超えて健康上の理由からか姿を見せなかった。引退した元最高指導部メンバーを指す長老の存在感低下を指摘する声も上がる。
厳しい住宅不況はこれ以上悪化せず、当局が打ち出した刺激策が年内もしくは来年には効果を発揮すると想定するエコノミストは多いものの、エコーさんのような住宅の売り手は、はるかに厳しい現実に直面している。
新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策と景気鈍化の中、住宅の販売も価格も低迷し続けている。消費者信頼感は記録的な低水準に近く、中国人民銀行(中央銀行)が最近実施した調査によると、家計の73%が不動産価格は横ばいか近く下落すると見込む。10月1日に始まった国慶節(建国記念日)の大型連休は、例年なら不動産市場にとって絶好の売り時だが、チャイナ・インデックス・ホールディングスによれば、今年は主要20都市での販売が1年前から38%落ち込んだ。
中国の住宅と不動産開発会社の在庫は19年時点で52兆ドル(約7634兆円)との試算もある。
不動産は中国GDP(国内総生産)の約4分の1を、家計資産の4割近くを占める。金融危機を引き起こさずにこの規模のバブルを退治することは、どの国にとっても困難であり、1989年からの日本と2007-08年の米国でのそれぞれの試みが悲惨さを証明している。
2年目に入った住宅不況はすでに記録を塗り替え、1990年代に個人の住宅所有が始まって以来、最も急激かつ長期の低迷となっている。北京や上海、深圳などの大都市での販売は9月上旬にわずかに増加したが、不動産開発会社大手100社による同月の新築住宅販売額は前年同月比25.4%減少した。
一部のエコノミストは、政策支援と新型コロナ規制の段階的な緩和により、住宅市場が年内に底を打ち、23年にかけて横ばいで推移する可能性があるとみているが、急回復を予想する向きはほとんどない。
モルガン・スタンレーのアナリスト、スティーブン・チャン、クロエ・リュー両氏らは今月9日のリポートで、「政府の措置は住宅市場を刺激するのではなく、不動産市場の問題が経済全体に波及するのを防ぐことを目的としている」と指摘し、来年4-6月(第2四半期)までの回復はないとの見通しを示した。ドイツ銀行は今年8月に市場が底を打った可能性があるとしている。
中国で急拡大しているミドルクラス(中間所得者層)が新たなレベルの支出を促進するというのが楽観主義者の見立てだ。ただ、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は中国の人口の約65%が既に都市部に住んでおり、これまでの流れは鈍化しているとみている。BEのアジア担当チーフエコノミスト、舒暢氏は31年に想定されるファンダメンタル需要に沿えば住宅供給を約25%減らす必要があると分析。この需要は投機的な買いを除外している。
中国の不動産に対し弱気な見方をしている調査会社Jキャピタル・リサーチの共同創業者アン・スティーブンソンヤン氏は「いつものように中国は国としては不動産の低迷を乗り切るだろう」が、「国民は損失を被り、銀行は債務減免を求められるだろう」と語った。
ウクライナへの大規模なミサイル攻撃について「現時点ではさらなる大規模攻撃の必要はない」と述べ、一定の目標を達したとの見方を示した。ウクライナはロシア軍が侵攻で精密誘導ミサイルの3分の2を使い果たしたと指摘した。
同氏は14日の記者会見で、計画した攻撃をおよそ7割終え、残りも徐々に達成すると説明した。「いまは他に課題がある」と述べ、当面は新たな大規模攻撃は行わないと表明した。
米戦争研究所は14日、ロシアが兵器を消耗し、集中的なミサイル攻撃を長期間続けられないことをプーチン氏が認識していると指摘した。
ロシア軍は苦戦を強いられている。プーチン氏は会見で現状を「控えめに言っても気持ちのいいものではない」と認めた。一方、ウクライナ侵攻を後悔していないとも答えた。
旧ソ連諸国で構成する地域協力機構「独立国家共同体(CIS)(CIS)」は14日、首脳会議をカザフスタンの首都アスタナで開催した。出席したロシアのプーチン大統領は外交・経済面での連携など、統合の強化を訴えた。足元ではウクライナ侵攻を受け、ロシアと距離を置く動きが目立っており、求心力の低下が鮮明になっている。
会議に出席した国の中でも、ロシアに対する温度差が浮き彫りになった。カザフスタンメディアによると、トカエフ大統領は「地政学的な緊張の中で、相互信頼の強化や地域安定などに向け、CISは一段の努力が求められる」と述べるにとどめた。
同氏は7月にEUのミシェル大統領と会談し、「世界と欧州の市場を安定させる」ために石油やガスを提供する用意があると述べた。
カザフは輸出する原油の大半をカスピ海を迂回するパイプラインで黒海に面したロシアの港に輸送、出荷している。ただ、今春以降は悪天候による設備破損や、ロシアが安全面を理由に出荷を一時見合わせるなど断続的に停止する状況が続いている。
キルギスは同国内で10月開催予定だったCSTOとの軍事演習を突如中止。ジャパロフ大統領は7日のプーチン氏の誕生日に合わせてサンクトペテルブルクで開催された旧ソ連諸国首脳の非公式会合に多忙を理由に出席しなかった。ロシアへの不信感が増しているとの見方も出ている。
CIS諸国の大半はロシアによるウクライナ東・南部4州の一方的な併合を認めていない。12日の国連総会で併合が「違法で無効」とする決議に反対票を投じたのは、CISの中では当事国のロシアを除けば、ウクライナ侵攻に開戦当初から協力する同盟国のベラルーシだけだった。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
今回の事業売却に伴う減損処理は10億ユーロ(約1400億円)に上る可能性がある。売却先などの詳細は明らかにしていない。仏経済紙レゼコーによると、ロシアにあるダノンの13工場のうち乳幼児用ミルクの工場以外の12工場を譲渡する。ロシアでは7200人の従業員を雇用しているが、ここ数カ月は原材料の不足で事業継続が困難になっていたという。
オーストラリアの鉄鉱石王、アンドリュー・フォレスト氏が自身の運営するファンド傘下の「ワイルー・メタルズ」を通じ、中堅資源企業への出資を進めている。フォーテスキュー・メタルズ・グループを一代で鉄鉱石世界4位に育てたフォレスト氏は、ワイルーを通じて豪英資源メジャーBHPグループと買収合戦を演じるなど、資源企業M&A(合併・買収)の台風の目となりつつある。
米食品スーパー2位のクローガーは14日、同4位のアルバートソンズを買収すると発表した。負債を含む買収額は246億ドル(約3兆6400億円)。規制当局の承認を経て買収が実現すれば、首位のウォルマートの店舗数に迫る大型買収となる。
クローガーはアルバートソンズを1株当たり34.10ドルで取得する。クローガーは米国内35州に約2800店を展開し年間売上高は約1380億ドル。コストコに次ぐ4位のアルバートソンズは約2200店を抱え売上高は約720億ドルだ。買収後の売上高の規模は単純合算で2000億ドル超とウォルマートの約3分の1にとどまるが、店舗数は計4996店とウォルマート(5300店超)に迫る。
クローガーのロドニー・マクマレン会長兼最高経営責任者(CEO)は両社の店舗は地域的な重複が少ないとした上で、「(ウォルマートのような)大規模で組合を持たない競合他社に代わる有力な選択肢としての地位を加速させる」と説明した。
クローガーはインフレ下で低価格のプライベートブランド(PB)商品の売り上げを伸ばしており、5~7月期の営業利益は前年同期比14%増えた。
買収によりコスト削減を進めると同時に、アルバートソンズの店舗に13億ドルを投資したり約5億ドル分を販売価格の引き下げにあてたりする戦略を示した。買収完了後には賃上げなどの待遇改善に10億ドルを投じ人材の確保を急ぐ。
今後の焦点は規制当局の承認が得られるかだ。調査会社ニューメレイターによると、米食品市場における足元のシェアはクローガーが9.9%、アルバートソンズが5.7%。米モルガン・スタンレーの小売りアナリスト、シメオン・ガットマン氏は13日、カリフォルニア州南部やコロラド州などで両社の市場が大きく重なっていると指摘。「規制当局による審査が長引き、店舗売却が必要になる可能性もある」との見方を示した。
●決算関連
2022年7~9月期の決算は、純利益が前年同期比17%減の97億3700万ドル(約1兆4400億円)だった。人件費などの費用が増えたのに加え、景気の先行き不透明感を受けて融資の焦げ付きに備える貸倒引当金を積み増した。同日決算を発表したモルガン・スタンレー、シティグループ、ウェルズ・ファーゴもそろって減益だった。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は米景気について「目の前に強い逆風が吹いている」と述べた。世界的な金利上昇をもたらす高インフレやロシアのウクライナ侵攻などを理由に挙げた。消費者や企業の財務状況については「健全で求人も十分にある」としつつ、「23年のある時点で消費者は余剰貯蓄を使い果たす可能性がある」との見方を示した。
貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)は15億ドル計上した。計上は3四半期連続。4~6月期に比べて貸倒損失は横ばいだったが、景気悪化に備えて引当金を約8億ドルと2倍に増やした。シティは4~6月期より7%多い13億6500万ドルの信用コストを計上した。
事業会社の売上高に当たる純営業収益はJPモルガンで10%増の327億ドルだった。金利上昇による利ざや(貸出金利と預金金利の差)の改善で純金利収入は34%増の175億ドルとなり、ファクトセットで遡れる09年以降、四半期ベースで最高だった。7~9月期の利ざやは2.09%となり、4~6月期から0.29ポイント上昇した。利ざやの改善は他行でも顕著で、ウェルズ・ファーゴは2.83%と4~6月期から0.44ポイント拡大した。
一方でJPモルガンでは人件費が16%増えるなど金利以外の費用も12%増加し、収益を圧迫した。米国債と住宅ローン担保証券(MBS)では価格下落を受けて9億5900万ドルの売却損を計上した。
企業の資金調達需要やM&A(合併・買収)の低迷から、4~6月期に続き各社とも投資銀行業務が振るわなかった。JPモルガンの7~9月期の収入は43%減で、M&Aの助言や株式・社債の引受手数料がいずれも落ちた。モルガン・スタンレーでは55%減だった。
一方、債券のトレーディングは好調で、JPモルガンの市場業務は8%の増収だった。消費者・中小企業部門ではカード事業や融資・預金の手数料収入の増加が住宅ローンの低調を補い、14%増収だった。モルガン・スタンレーでは富裕層向け運用部門が好調だった。
JPモルガンのダイモン氏は自己資本拡充のため停止していた自社株買いについて「23年の早い時期に再開することを期待している」と述べた。23年1~3月期には普通株など中核的自己資本(CET1)比率で13%を見込み、同行に課される要求水準(12.5%)を0.5ポイント上回るとしている。9月末時点では12.5%だった。
2022年7~9月期の決算で、過去の不正に関連した補償や訴訟、当局対応費用として20億ドル(約2970億円)の営業損失を計上すると発表した。7~9月期の純利益は前年同期比31%減の35億2800万ドルだった。
事業会社の売上高に当たる純営業収益は7~9月期に前年同期比4%増の195億ドルだった。金利上昇を受けて、利ざや(貸出金利と預金金利の差)は2.83%となり、4~6月期と比べ0.44ポイント拡大した。
ウェルズは米銀大手のなかでも住宅ローンの収益依存度が大きい。金利上昇で消費者の借り入れ需要が低迷し、住宅ローンによる収入は前年同期比52%減だった。サントマッシモ氏は「10~12月期にかけてさらに収益が減少するだろう」と指摘した。
2022年7~9月期決算は、純利益が前年同期比29%減の26億3200万ドル(約3900億円)だった。企業の株式・社債発行の引き受けなど投資銀行部門の収益が大幅に鈍った。金融市場の動揺を受けて資産運用部門も振るわなかった。
2022年7~9月期決算は、純利益が34億7900万ドル(約5150億円)と前年同期比25%減少した。4~6月期に続き、融資の焦げ付きに備えて貸倒引当金を積み増した。融資や市場関連は好調だったが、投資銀行業務の収入が大きく減少した。同日、ロシアでの企業や機関投資家向け事業から来年3月末までに撤退すると明らかにした。
7~9月期の貸倒引当金は3億7000万ドル計上した。貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)は13億6500万ドル計上した。前年同期は景気見通しの改善を背景に引当金を11億ドル戻し入れていた。
投資銀行部門の収入は前年同期比64%減少した。株安や景気減速懸念で企業の資金調達やM&A(合併・買収)が停滞した。一方、金利上昇を追い風に利ざやが改善し、純金利収入は増えた。証券売買も増収を確保した。
●マクロ・その他
イタリアの右派連合内で早くも不協和音が生じている。第1党の極右「イタリアの同胞」(FDI)のメローニ党首が首相に就任する方向だが、組閣人事を巡ってベルルスコーニ元首相らとの連立内の駆け引きが激化しており、野党の一部を含めた連立の再編成の兆しも出てきた。
バイデン氏は「ドルの強さについて懸念していない」と述べ、ドル高を容認する姿勢を示した。「問題は他国の経済成長や健全な政策の欠如だ」とも述べた。自国内の物価高を抑えるために米連邦準備理事会(FRB)が続ける大幅な利上げを追認したかたちだ。
米国は11月8日に中間選挙を控え、物価高対策が争点になっている。ドル高は輸入物価を抑える効果があり、政権として軌道修正に動きにくい事情もある。
イエレン米財務長官は14日の記者会見で「市場で決定される為替レートがドルにとって最良の体制であり、それを支持する」と語り、ドル高を是正する意思がないと示唆した。
目玉政策だった法人減税を14日に撤回したトラス英政権への風当たりが一段と強まっている。同日の記者会見でトラス首相は政策変更の理由や自らの進退について十分な説明をせず、市場は先行きになお懐疑的だ。財源確保のメドなど今後の道筋を示せなければ金融市場の混乱を広げる可能性もある。
メキシコ政府が軍の役割を強化している。軍が治安維持活動に関与できる期限を2024年から28年に延長する憲法改正案が13日に議会を通過した。9月には国家警備隊を軍の傘下に置く法改正が施行した。野党や国民からは警察よりも強力な武器を持つ軍の存在感の高まりを懸念する声があがっている。
メキシコでは18年に発足したロペスオブラドール政権下で、治安対策のために主に元連邦警察で構成する「国家警備隊」が創設された。メキシコ政府は国家警備隊の体制が整うまでの期間限定で、軍の構成員が国家警備隊に加わったり軍自体が治安維持活動を補助したりできる制度を設けた。この期限を憲法改正で4年延長し、28年までとする。
メキシコ大統領は国内の治安が脅かされる非常事態や災害時に例外的に軍を派遣できる。一方で普段の治安維持活動に軍が関与するのは原則として認められていなかった。ロペスオブラドール氏は治安を改善するため、犯罪が多い地域に国家警備隊が駐留する仕組みを導入した。
ロペスオブラドール氏は18年の就任以来、軍を重用してきた。大統領の肝煎り政策であるメキシコシティ近郊の新空港やユカタン半島の観光鉄道の建設の一部は軍に任せている。ロペスオブラドール氏は過去の政権下で広がった汚職を糾弾する一方、自身が指揮権を持つ軍に対する信頼を示してきた。
メキシコでは軍の市民に対する暴力が疑われる事件が発生している。9月中旬には、メキシコ南部ゲレロ州で14年に教員養成学校の学生43人が失踪した事件をめぐり、当時の司令官ら軍の関係者3人が逮捕された。軍の権限強化は治安維持を名目とした武器の乱用や人権侵害につながりかねないという見方がある。
米ミシガン大が14日に発表した10月の消費者態度指数(速報値)は59.8と、前月の確報値である58.6から1.2ポイント上昇した。4カ月連続で改善し、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(59.0)を上回った。過去最低を記録した6月から9.8ポイント上向いたが、依然として低水準にとどまっている。インフレに対する中長期的な見通しは前月から上昇した。1年先の物価の見通しを示す予想インフレ率は5.1%と、2021年9月以来の低水準となった前月から0.4ポイント上がった。上昇するのは7カ月ぶり。5年先の予想は2.9%と前月から0.2ポイント上昇し、4カ月ぶりに前月を上回った。前月はガソリン価格の下落などを受けて一時的に下げたが、消費者のインフレへの不安は続いていることを示した。
9月の米小売売上高(季節調整済み)は前月比横ばいの6839億7400万ドル(約101兆円)だった。インフレ下で値上がりする食品への支出が増える一方、節約志向を高める消費者が必需品以外の裁量消費や高額商品への支出を絞っている。
ハント新英財務相は逼迫(ひっぱく)した同国財政を安定化させる計画を巡り、イングランド銀行(英中央銀行)からの重要な支持を取り付けた。この結果、トラス首相の存在感がますます低下するのは必至な情勢だ。
就任1日足らずのハント財務相(55)は、経済成長を強力に推進するというトラス首相が掲げた戦略を実質的に放棄する方針を表明するとともに、ベイリー総裁の支持を確保するため意見交換を行った。
国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会が開かれているワシントンでのパネル討論会で、ベイリー総裁はハント財務相との対話に関し、「持続可能性の重要性について直ちに明確な意見の一致がある」と語った。
ベイリー総裁はさらに、以前に想定していたかもしれないよりも一段と引き締め気味の金融政策にハント財務相が対応しなければならない可能性が最も大きいことを明確にした。
総裁は「インフレ目標達成のための利上げをわれわれはためらわない」とし、「インフレ圧力を踏まえれば、恐らく8月時点の想定よりも一層強力な対応が必要になるというのが最も有力な予測だ」と話した。
半導体需要に関してマイクロン・テクノロジーやサムスン電子などが発した一連の警告を受け、アナリストらは2008年以来の急ピッチで利益見通しを下方修正している。
わずか1年足らずで活況から不況に転じた半導体業界は、メモリーチップから半導体製造装置、コンピュータープロセッサーに至る全ての分野に嵐が吹き荒れると身構えている。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は今年に入り42%下落。需要の急低下を伴い、年間ベースで14年ぶりの悪い成績となりそうだ。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、半導体企業の利益見通しはこの3カ月に16%引き下げられた。シティグループのアナリストらは苦しいのはまだこれからだと予想、危機が深まるにつれSOXは一段と下げるとみている。
シティのアナリスト、クリストファー・デーンリー氏は「ヘルメットが必要だ。もっと荒れる可能性は高い」と警告する。NXPセミコンダクターズとテキサス・インスツルメンツから、受注の弱さが示されると同氏はみている。「低迷はまだ始まったばかりだ。あらゆる企業、あらゆるエンドマーケットがいずれ実感するだろう」と述べた。
首相は記者会見で、先月発表した大型減税を含む経済対策案について「一部は市場が想定していたよりも過度で、急速だったことは明らか」だと説明。「従って、現時点で目標を実現する方法を変更する必要がある」と語った。
この決定により、ジョンソン前首相とスナク元財務相が計画していた通り、法人税率は来年に現在の19%から25%に引き上げられる。
トラス首相はまた記者会見で、ハント新財務相が今月末に財政計画を公表するとし、支出の伸びは従来の計画に比べ緩やかになると語った。
首相によると、この方向転換で財政には年180億ポンド(約3兆円)のプラスになる。ハント氏の指名と併せ、これで市場が落ち着くことを期待している。
だが首相の会見後、ポンドは下げを拡大。英10年債は上昇から下落へと転じた。
事情に詳しい関係者によると、当初発表した減税などの経済対策案のうち2つで撤回を迫られた首相は、ハント氏がこれ以上の撤回を行わないことを約束すると期待している。同関係者は非公開情報であることを理由に匿名で語った。財務省は今のところコメントの要請に応じていない。この報道後にポンドは一段安となった。
与党・保守党議員から公に突き上げを受け、就任から間もない首相の立場は早くも危うい。会見で首相が見せた神経質な様子は政権存続の可能性を低下させたと、匿名を要請した保守党議員3人が語った。
1人は首相が減税案の詳細に言及しなかったことを指摘。もう1人は、財務相更迭の決定を説明する記者会見がわずか8分だったことに驚きを示した。3人目は、数日でなくとも数週間で首相が辞任することになるだろうと予測した。
英国債市場を最終的に落ち着けるにはトラス首相の辞任が必要かもしれないと、ジェイミー・サール氏らシティグループのストラテジストは指摘した。
●市況
日経先物(大証)26615、ダウ先29708、債先148.17、米4.023、独2.3360、仏2.927、西3.523、伊4.786、波7.706、原油84.65、ドル円148.75、墨ペソ20.09、トルコリラ18.5772、墨CDS191※10/14NY引け値
備忘録(10/13)
●中国・ロシア・東欧
中国共産党を目前に控えた北京市内で、異例の習近平総書記(国家主席)批判が行われた。抗議の横断幕を捉えた写真や動画がオンライン上で拡散し、13日は20人余りの警察官が交差点などで警戒に当たった。
北京北西部の四通橋に掲げられた2枚の横断幕を撮影したのは、ソーシャルメディアに投稿された少なくとも6つの写真・動画だ。異なるアングルから横断幕が映し出され、火が燃やされ煙が上がっている様子もカメラに収められていた。
抗議対象は習氏で、横断幕は厳格なロックダウン(都市封鎖)や大規模な集団検査で徹底的に新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策を批判。16日に開幕する党大会で3期目入りが決まると見込まれる習氏が堅持している肝いりの政策がゼロコロナだ。
一枚の横断幕には「PCR検査ではなく食べ物を、ロックダウンや管理ではなく自由を、うそではなく敬意を、文革ではなく改革を、領袖ではなく選挙を求めている」などと記されていた。文革は毛沢東初代国家主席が主導した「文化大革命」、領袖は共産党が毛氏に用いていた呼称だ。もう一枚の横断幕では、学校のボイコットとストライキが呼び掛けられていた。
中国国営メディアは習氏を「人民の領袖」と表現することがあり、習氏がこの呼称を正式なものにしようとするのではないかとの観測が広がっている。
四通橋の周辺には13日、十数台のパトカー・警察車両が駐車。オンライン上で見た横断幕を撮影しようと自転車で現場を訪れた人もいた。ブルームバーグは動画が映していた火が燃えていた場所に残っていた橋の上の焼け跡や、写真に写っていた道路標識を確認した。
白昼堂々と行われたこうした抗議活動を監視カメラが捉えており、習氏に対する市民の強い不満が噴出した格好だ。中国当局は13日、四通橋のオンライン検索を検閲したもようで、ソーシャルメディアの微博(ウェイボ)ではこの橋に関する検索結果が2件しか表示されず、どちらも政府のアカウントからのものだった。北京の他の橋に関しては大量の投稿があった。
現場には2枚の横断幕が掲げられ、「封鎖は要らない、自由が欲しい」「領袖(りょうしゅう)は要らない、投票が欲しい」などと書かれていた。
中国内でも画像がSNSなどで広まったが、削除され閲覧できない状態になっている。習氏の権威を高める動きが活発になる中、習氏への批判が公然と行われた形で、当局は徹底的に封じ込めを図っているもようだ。
●中東
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は13日、米政府が検討しているサウジアラビアとの関係見直しをめぐり、武器売却の縮小が選択肢になると表明した。米国にとってサウジは最大の武器売却先で、両国の関係悪化は中国やロシアとの接近を促すリスクもはらむ。
カービー氏は13日、米フォックステレビのインタビューで与党・民主党内にサウジへの武器売却を凍結すべきだとの意見が出ていることへの対応を問われ「武器売却(の扱い)はバイデン大統領が検討する選択肢の1つになる」と明言した。「量や規模、プログラム全体だ」とも語った。
上院外交委員会のメネンデス委員長(民主党)は10日の声明で、米政府が「絶対に必要な場合を除き」サウジへの武器売却や安全保障協力を含めたあらゆる協力関係を直ちに凍結するよう要請。別の議員は11日に武器売却を即時停止する法案を共同提出すると発表した。
カービー氏は「バイデン氏はOPECの決定への懸念を表明している多くの議員の意見も考慮したいと考えている」と指摘。決断の時期に関しては「未定だ。サウジとの関係が国家安全保障上の利益に合っているか厳しく見極める必要がある」と話した。
米国は世界最大の武器売却国で、2017~21年の輸出先のトップはサウジだった。2位だったオーストラリアの2倍以上の規模に相当する。カービー氏は米国が武器売却を減らせばロシアや中国からの調達が増えるのではないかと聞かれ「それはサウジ自身が決めることだ」と突き放した。
米国とサウジの関係が再び悪化すれば、両国と敵対するイランの増長を招いて中東の不安定化につながるおそれがある。
イラク議会は13日、象徴的な元首である大統領にラシード元水資源相を選出した。ラシード氏は行政の実権を握る首相候補としてスダニ元人権相を指名した。
今回はサドル師派が去った後の議会で親イランのシーア派、クルド系、スンニ派などが大統領の選出にこぎ着けた。ただ、それぞれ内部でも対立しており、スダニ氏の組閣が成功するかは予断を許さない。サドル師派の反発も予想され、組閣できても政権が安定するかは不透明だ。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
米食料品チェーンのクローガーが米同業アルバートソンズとの統合について協議を進めていることが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。実現すれば米業界で巨大企業が誕生する。
非公開情報だとして匿名で語った関係者の1人によると、アルバートソンズは約250億ドルと評価され、現金支払いと株式交換で取引が行われる可能性がある。合意は13日夜にも成立する公算がある。ただ最終決定には至っておらず、協議が遅れたり頓挫したりする可能性もあるという
具体的な構成や取引の金額も分かっていない。合意に達しても、反トラスト当局の審査を受け資産売却が必要となる可能性もある。
●決算関連
2022年7~12月期上半期の税引き前利益が12億~13億豪ドル(約1100億~1200億円)になりそうだと発表した。前年同期は12億7000万豪ドルの赤字だった。新型コロナウイルス禍を経て足元で旅行需要が回復し、国内線の収入はコロナ前を超えて推移する。
足元では国内線が好調だ。ビジネス需要はコロナ前を超え、レジャー客はさらに伸びている。国際線の輸送能力は22年7~12月期にコロナ前の61%、23年1~6月期は同77%を見込む。
燃料費の高騰に加え、高止まりするインフレ率や利上げによる住宅ローン負担の増加を受け、消費低迷リスクなど先行きには不透明感も漂う。カンタスは「堅調な需要は、消費者が旅行への支出を優先していることを示している」と強調した。
2022年7~9月期の決算は、純利益が前年同期比43%減の6億9500万ドル(約1000億円)だった。売上高は約140億ドルと53%増えたものの、燃料価格や人件費の増加が利益を圧迫した。
夏の旅行需要が回復したことを受け国内線が81億5000万ドルと42%増えた。国際線は大西洋路線が約23億ドルと3倍に増えた。欧州各国が渡航規制を緩和したことで需要が高まった。デルタ航空は「韓国とオーストラリアでも需要が堅調だ。日本もこれから増えるだろう」と太平洋路線の回復に期待を示した。
旅客需要が堅調な一方、インフレの進行や人件費の高騰など経営環境は厳しい。燃料費は1ガロンあたり3.57ドルと前年同期比で8割増え、人件費を含む運用コストも125億ドルと8割増えた。1株利益は予想の1.53ドルに対し、1.51ドルと下回った。
CEOは決算説明会でパイロット不足について「完全に回復するのは早くても24~25年になる」と話した。
10~12月期の見通しについては「法人需要は新型コロナ拡大前の9割近くまで回復するだろう」と述べた。
●マクロ・その他
撤回が検討されている一つは、来年の法人税率引き上げ凍結案。保守党の前政権が打ち出した戦略の下、法人税率は来年4月に25%と現行の19%から上昇することになっていたが、この引き上げを凍結するのがクワーテング財務相が9月23日に発表した財政パッケージの一つの柱だった。
クワーテング英財務相は12日、購入プログラム終了後に市場で新たな混乱が生じれば、それは「ベイリー総裁の問題だ」と発言。総裁をスケープゴートにする意向をうかがわせた。
懸念されるのは、ベイリー総裁の警告にもかかわらず年金基金が14日までにポジションを解消して十分な現金を確保しないケースだ。
この期限は、来週に市場が新たな混乱に見舞われるリスクを高める。年金基金が採用している年金負債対応投資(LDI)戦略の一部が破綻する恐れもある。
その場合、中銀に方向転換を迫る、またはトラス首相とクワーテング財務相に解決策を見いだすよう求める圧力が増すだろう。どちらが節を曲げるにしても、信頼性に傷がつくことになる。
首相と財務相は既に、与党保守党の議員から減税と公的支出削減を撤回するよう圧力を受けている。クワーテング氏が財源の裏付けのない大型景気対策案を発表した後、英資産は急落した。
一方、ベイリー総裁は今週、14日の購入終了をあらためて明言。インフレ鎮静化の取り組みに逆行する政策についてのけじめを示すとともに、年金基金にポジション解消を急がせる狙いがある。
トレーダーは、英中銀による13日の長期国債緊急購入プログラムの応札状況を心配しながら見守ることになりそうだ。12日の英国債買い入れ額は44億ポンド(約7280億円)と、9月28日のプログラム開始以降で最大となり、市場環境は劇的に改善した。
13、14両日にさらに多額の購入があれば、年金基金がプログラム終了に備えて早急にポジションを解消していることが示唆される。英中銀は1日当たり最大100億ポンドを購入すると表明している。
今後数日の展開について資産運用者と監督当局、銀行関係者の見方は分かれる。
選択肢の一つはベイリー総裁が自身の評判と中銀の独立性にリスクを冒すことになるが、前言を撤回することだ。別の選択肢は、政府が年金業界の問題に対処する方法を自ら編み出すか、財政計画を反転させるかだ。
英当局者らがトラス首相の大型減税計画の方向転換について選択肢を協議していると、事情に詳しい関係者が13日明らかにした。
米住宅ローン金利が6.92%に上昇、20年ぶり高水準-フレディマック
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-10-13/RJP35MDWLU6801?srnd=cojp-v2
フレディマックのチーフエコノミスト、サム・ケイター氏は「データでは、経済における2つの側面が引き続き見られる。雇用と賃金の力強い伸びにより消費者のバランスシートはプラスを維持している一方、根強いインフレとリセッション(景気後退)懸念、住宅取得能力を背景に住宅需要は急速に落ち込んでいる」と分析。「経済と住宅市場にとって今後数カ月が重要となることに疑いの余地はない」と指摘した。
IEAは月報で、「OPECプラスが石油供給の大幅な削減を決めたことは世界中でエネルギーの安全保障リスクを高める」と指摘。「市場のボラティリティーを悪化させる水準への石油高」を招く結果になると予想し、石油価格が「すでにリセッションの瀬戸際にある世界経済」を一段と悪化させる「転機になり得る」と、異例の強さで産油国の決定を批判した。
英トラス政権の大規模減税策などをきっかけとした金利上昇による英年金基金の損失は、最大1500億ポンドになったとみられることが明らかとなった。米JPモルガンが13日のリポートで試算した。年金基金は損失に伴う支払いのために、債券や海外株式を売却したという。
金利上昇による打撃を受けたのは「ライアビリティー・ドリブン・インベストメント(LDI=債務主導投資)」という運用戦略をとる年金基金だ。デリバティブによる損失が、8月上旬からの累計で1250億ポンドから1500億ポンドに上るとした。
年金基金がファンドを通してLDIの運用戦略をとる場合、2~4倍のレバレッジをかけるのが一般的とされる。損失がかさんで取引相手方の金融機関からマージンコールを突きつけられた。支払いのための現金を捻出するために、保有資産の多くを占める物価連動国債を含めた国債、社債や海外株式の売りに動いたとしている。
英投資協会によると英国でのLDIの運用規模は2020年時点で約1・5兆ポンド(約250兆円)と、11年の0・4兆ポンドと比べて4倍近くまで膨らんだ。英国の機関投資家全体の運用資産の4割を占めるまでに広がった。
9月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.2%上昇し、市場予想を上回った。CPIの3割強を占める家賃など住居費の強い伸びがけん引した。一方、民間調査では住宅市場の減速が鮮明で、家賃の伸びも鈍化している。住宅市場の動向がCPIに反映されるには数カ月の時間差があるとされ、市場参加者は住居費の見極めに苦慮している。
米リアルページによると、アパートなどの集合住宅では22年7~9月期に退去者が入居者数を大幅に上回った。米国では7~9月期は季節的に転居が多く、退去者と入居者がいずれも増加する傾向がある。7~9月期に差し引きの入居者数が減少するのは30年余りの調査で初めてという。
リアルタイムで市場動向を探る民間調査では、家賃の伸びはすでにピークアウトしている。物件情報を提供するリアルター・ドット・コムが全米50都市を対象にした調査によると、家主が提示した家賃の上昇率は9月に前年同月比で7.8%だった。伸び率は7月まで12%前後で推移していたが、2カ月連続で一桁台に鈍化した。他の調査でも家賃の伸び鈍化を示す指標が相次ぐ。
高インフレの継続を踏まえて米連邦準備理事会(FRB)の利上げの到達点が「4.5%より高くなるかもしれない」と語った。「穏やかな不況でインフレを沈静化するほうがスタグフレーション(物価高と景気後退の併存)に陥るよりはるかにましだ」とも述べ、強力な金融引き締めに理解を示した。
ダイモン氏はFRBが保有資産を減らす量的引き締め(QT)を急いでいることに加え、ガソリン・食品価格の上昇、サプライチェーン(供給網)の脆弱さなども挙げ、それらの要因が「簡単に景気後退を引き起こす可能性がある」と指摘。足元の消費の強さを踏まえて「しばらくの間は強い経済が続く」としつつ、インフレが消費を減退させる目安を「9カ月間」とも指摘し、2023年後半以降の景気の失速を示唆した。
「FRBにとって最も困難な課題は、実は米経済がかなり良好な状態にあることだ」。12日にIIFのイベントに参加したバンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOはこう語った。米家計の貯蓄の多さや信用力の改善などを指摘。7~9月期の消費支出は前年同期より10%多く、10月に入っても同様のペースが続いているという。
非公開の協議だとして関係者が匿名を条件に述べたところによると、英当局者らは内部でトラス首相の大型減税計画をどのように方向転換すべきか協議。首相府と財務省の当局者らは首相に提示する選択肢の草案を作成している。
最終決定はなされておらず、クワーテング氏がワシントンから戻るのを待っていると、関係者は語った。同氏の大型減税案には財源の裏付けがなく、金融市場と与党保守党内から経済的信頼性の回復を求める圧力が高まっていた。
●市況
※10/14 9時40分頃
備忘録(10/12)
●中国・ロシア・東欧
2002年の江沢民総書記(当時)以後、党指導部は5年に一度開催される党大会で党の「最優先課題」は経済発展だと確認してきたが、3期目入りが確実視されている習氏はこうした文言を外し、代わりに「発展と安全保障のバランス」を取るよう求めるスローガンを支持しそうだとアナリストらはみている。
米ランド研究所の中国政策専門家ハワード・ワン氏によると、安全保障に重点を置くスローガンへの変更は、中国政府が経済成長鈍化に対して「リスク許容度を高め」、成長に関する懸念が政策を制約する要因となることが減ることを示唆している。
同氏は大手テクノロジー企業に対する締め付けや新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」といった最近の政策について、「安全保障の重視を確実にするため経済的コストを受け入れるという今や極めて大きくなった意欲を示すもので、とりわけ党指導部の政治的安全保障ということもこれに含まれる」との見方を示した。
NATOは12~13日にベルギーの首都ブリュッセルで国防相理事会を開催。合わせて米政府が主催するウクライナ支援国会合には50カ国ほどが参加した。NATOに加盟申請しているフィンランドやスウェーデンも加わった。
ロシアがウクライナ各地にミサイル攻撃をしかけたことを踏まえ、両会合の優先議題はウクライナへの防空システムの提供となった。
オースティン米国防長官は12日、「安全保障支援や訓練の取り組みは不可欠だ。我々は最も差し迫った自衛力の向上にリアルタイムで応え続け、今後数カ月、数年にわたり、有効な能力を提供していく」と表明した。
オランダ国防省は12日、ウクライナの防空支援のため、1500万ユーロ(約21億円)相当のミサイルを援助すると発表した。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は11日、7月に譲渡を決めた中距離の地対空ミサイルシステム「NASAMS」2基が近くウクライナに届くメドが立ったと明かした。
米国はさらに6基のNASAMSを送る計画だ。ウクライナは旧ソ連製の地対空ミサイルシステムを運用する。米政府高官によるとシステムの維持・管理が難しくなる公算が大きく、米欧製への切り替えが課題になっている。
ドイツメディアによると、同国のミサイル防衛システム「IRIS-T SLM」が引き渡された。ゼレンスキー氏はフランスとイタリアに両国企業が共同開発した「SAMP-T」の支援を呼びかけた。
ウクライナへの兵器供与を続けるNATOは、加盟国が在庫を積み増したり、補充したりする必要に迫られている。戦争が長引くほど、在庫の補充が重要になるとして、産業界と生産拡大に向けた議論に入っている。
12日からの国防相理事会ではどういった兵器がどのくらい必要かを話し合い、産業界が投資しやすくなるように一定の目安を示すことを視野に入れる。共同購入にも踏み込む見通しだ。共同で調達すれば、価格交渉力が増す一方、加盟国間の運用性も高まる。
米英や日本など143カ国が賛成し、中印など35カ国が棄権した。ロシアや北朝鮮など5カ国が反対した。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
両社の共同開発で先に発売された別のアルツハイマー治療薬「アデュヘルム」については、同社にとって苦い経験となった。FDAが21年6月に有効性の再検証を条件に迅速承認したものの、米厚生省のメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)が、高齢者・障害者向け医療保険制度の適用対象を大幅に制限したことで販売は苦戦している。
アデュヘルムの1人当たりの治療費は販売当初、年間で5万6000ドル(約820万円)だった。現在は半額に引き下げられたがそれでも高額だ。このため、レカネマブについては保険適用になるようCMSとの議論を進めていく予定だ。
●その他産業
インテルの主力事業であるパソコン用プロセッサーの需要は急激に落ち込んでいる。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)など競合企業に奪われた市場シェアの奪還にも苦戦している。インテルは7月、2022年の売上高が4月時点の見通しを最大110億ドル(約1兆6000億円)下回る見込みであることを明らかにしていた。アナリストは同社の7-9月期が約15%減収となると予想している。かつては羨望(せんぼう)の的だった利益率も縮小している。
同社が大幅な人員整理を前回実施したのは16年。全従業員の11%に相当する約1万2000人削減した。それ以降は小規模な削減を実施しており、ドローンなど一部部門を閉鎖している。今年に入り市場環境が悪化しリセッション(景気後退)懸念が強まったことから、インテルは他の多くのテクノロジー企業と同様に採用を凍結している。
カナダのウラン採掘大手カメコは11日、資産運営会社のブルックフィールド・リニューアブル・パートナーズと組み、投資ファンドのブルックフィールド・アセット・マネジメントから米原子力発電大手ウエスチングハウス(WH)を 買収すると発表した。負債引き受けを含めた支払総額は約79億ドル(約1兆1600億円)。
ロシアによるウクライナ侵攻がエネルギー供給問題や価格高騰に波及する中、代替エネルギーとして原発を再評価する動きが各国で相次ぐ。原発の燃料となるウランも今年に入って取引価格が上昇している。カメコとブルックフィールドは原発の建設や保守サービスに実績を持つWH買収で成長機会取り込みを目指す。
負債を除いたWHの買収額は45億ドル。カメコが出資比率49%で最大株主となり、ブルックフィールドと他の機関投資家が合計で残る51%を取得する。2023年後半の手続き完了を見込む。
●決算関連
7~9月の売上高は前年同期比9%増の219億7100万ドルだった。販売数量は事業全体で1%減少したものの、商品を平均17%値上げしたことで増収を確保した。地域別では北米事業は12~20%の値上げをした一方、販売数量は微減にとどまった。欧州事業では24%値上げし、販売数量が10%減った。
純利益は前年同期比21%増の27億200万ドルだった。スナックや飲料の販売数量はやや減少したが、原材料などコスト上昇分を販売価格に転嫁して増収につなげた。
22年12月期通期の売上高は前期比12%増と従来予想(10%増)を引き上げた。8%増を見込んでいた1株利益は10%増に上方修正した。
ラモン・ラグアルタ最高経営責任者(CEO)は同日のアナリスト向け説明会で「高インフレ環境が続き、サプライチェーン(供給網)の課題も残っている。高い価格でも消費者が買い続けてくれるよう価値の高いブランドをつくるのに専念する」と当面は値上げを続ける方針を明らかにした。
米アップルなど世界のIT(情報技術)大手に多くの製品や半導体を供給する台湾メーカーの9月の売上高は好調を維持した。同月から順次発売された新型iPhone向けなどの販売を支えに、主要19社の売上高合計は前年同月比で21.3%増だった。今後は世界的なインフレや中国景気の減速を受け、需要がどこまで続くかが焦点となる。
株主と市場参加者が特に注目するのは、銀行が問題のあるローンに関してどの程度の引当金を積んだかと、米家計の状況や企業経営者の拡大計画についての発言だ。ブルームバーグがまとめたデータによれば、米銀大手6行の不良債権引当金合計は恐らく45億6000万ドル(約6700億円)に上る見込み。
米連邦準備制度の積極的な利上げは銀行の重要な収入源である純金利収入を押し上げる。ブルームバーグがまとめたデータによれば、第3四半期の同収入は大手6行の合計で約584億ドルと、前年同期の471億ドルから増えたもようだ。ただ、急激な利上げで借り入れコストが上昇したことで個人や企業が返済に行き詰まることへの懸念もある。
大半の大手銀で預金金利はまだ大きく上昇してはいない。金融当局の利上げ分のどの程度を銀行が預金金利に反映させているかを示す「デポジットベータ」が注目される。個人や企業が資金をより高利回りの商品に移したかどうかの指標となる預金残高ももう一つの注目点だ。
金利上昇が住宅ローン事業と関連資産にどう影響しているかも注目に値する。高い金利によって住宅ブームがしぼみローン需要が減退する中で、JPモルガンは住宅ローン担当者数百人を解雇し、さらに数百人を配置転換していると、ブルームバーグが6月に報じていた。
インフレを巡る不透明感と利上げ、リセッション(景気後退)の可能性で顧客が取引を控え合併案件は減少。このため投資銀行業務の収入は減る見込み。ブルームバーグがまとめたデータによれば、同事業の第3四半期収入は67億3000万ドルと前年同期の138億ドルから減少が見込まれる。
シティのマーク・メーソン最高財務責任者(CFO)は先月、合併助言と資本市場のオリジネーションによる手数料は50%減るとの見通しを示し、JPモルガンも投資銀行業務の手数料が半分になる見込みだとしていた。
市場混乱は債券引き受け業務に影響し、大手6行は4-6月(第2四半期)に、主にレバレッジドバイアウトのための融資で13億ドルの未実現損失を抱えた。第3四半期の損失の規模は明らかでないが、良くはないことが想定される。
●マクロ・その他
緊急措置として導入した国債購入策について、予定通りとなる14日までの期限で終了するとの声明を発表した。市場の一部で求められていた期限延長を改めて否定した。
イングランド銀行のベイリー総裁は11日、米ワシントンでの講演で週内終了を強調した。12日の広報担当者のコメントでは「総裁が昨日確認した通りで、銀行幹部の間でも明確に共有されている」とした。
10日に導入した、債券を担保として現金を投資家へ貸し出す新たな枠組みは予定通りに14日以降も続けるとした。投資適格債の中では比較的信用力の低い、トリプルBマイナスの社債も担保として受け入れる。
12日アジア時間の外国為替市場で英ポンドは対ドルで上昇した。英中銀が国債購入策を14日から延長する可能性があると英フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版が12日に報じ、1ポンド=1.09ドル台前半から1.10ドル台半ばまで上昇。その後、若干下落したが、中銀が期限延長を改めて否定し、政策の不透明感が解消されたことで、1.11ドル程度まで上昇した。
英国債市場も不安定で、12日に30年物の利回りが一時9月28日以来、約2週間ぶりに5%の大台を超える(債券価格は下落)など、投資家の動揺は収まっていない。
厳密な期限が確認されたことで、世界の投資家は総額1兆8000億ポンド(約292兆円)の確定給付プランを運用している年金基金の一部が、再び英国債市場に波乱をもたらす可能性を意識した。
英国債利回り急騰で追い証が発生し資産の強制売りが相次ぐ恐れのある年金業界は、中銀に支援の延長を求めていた。だが、ベイリー総裁は支援を迅速に終わらせることに自身の信頼性を賭けた。
総裁は深刻な板挟みに遭っている。発言通りに購入を終了させれば、英国債利回りが再び急上昇し経済にさらに打撃を与えかねず、発言を翻せば総裁の評判は地に落ちる。
中銀の責務はインフレを抑え込むことだが、市場の安定維持も担っている。インフレは40年ぶりの高水準付近で、市場は政府の減税案発表以来、混乱が続く。相反する圧力に直面する中で、総裁は危機回避のため当面は市場に注意を向けざるを得ないと投資家らはみている。
発表を受けて英国債は急落し、中銀が先月に介入に入った当時の歴史的な水準に戻りつつある。
年金基金が選好し最近の相場混乱の震源となっている30年物英国債の利回りは、中銀報道官が予定通りの購入終了を確認した後に一時26ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の5.06%に達した。10年債と20年債の利回りも2008年のリーマン危機以来の高水準。
また、トラス首相が一部の減税を延期し超過利潤税を課す可能性があるとポリティコが報じ、ポンドは一時1%超上昇の1.1099ドルを付けた。
チーフエコノミストのヒュー・ピル氏は、11月に決定する利上げは大幅になる公算が大きいと示唆した。インフレを抑制し、政府の減税・財政計画による内需刺激に対応する必要性を指摘した。
クワーテング財務相が発表した財政措置は恐らく景気を押し上げるだろうと、ピル氏は指摘。インフレ期待を目標の2%に抑えることについて英中銀が「勝利を宣言」するのは時期尚早だと語った。
英中銀金融行政委員会(FPC)は12日発表した四半期報告で、「生活必需品の値上がり見込みと金利上昇で、一部の世帯はやり繰りが厳しくなるだろう」との認識を示した。
家計全体としては2008年以前よりも強固な状態だとしつつ、住宅ローンの費用が上昇を続ければ、金融危機以前の水準に近い住宅ローンやその他費用の支払いに一部は圧迫される可能性があると、中銀は指摘した。
また資金コストの上昇で、企業利益も下押し圧力を受けるだろうと中銀は分析。コスト高と需要後退で、エネルギーや燃料価格へのエクスポージャーが大きい企業を中心に、多くの企業で利益が圧迫されるとの見方を示した。
安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略」を発表した。ウクライナへの侵攻を続けるロシアについて「今日の国際社会の平和と安定に対する差し迫った持続的な脅威だ」と指摘。中国を米国主導の国際秩序を作り替えようとする「唯一の競争相手」と位置づけ「最も重大な地政学的な挑戦だ」と記した。
バイデン米大統領は戦略で中ロを念頭に「独裁者は民主主義を弱体化させ、国内での抑圧と国外での強制による統治モデルを広げようとしている」と強調。「我々はルールに基づく秩序が世界の平和と繁栄の基礎であり続けなければならないという基本的な信念を共有するいかなる国とも協力する」とうたった。
戦略ではロシアを足元での直接的な脅威とする一方、中国を中長期的な競争相手と定める姿勢を明確にした。中国による挑戦が最も顕著なのはインド太平洋地域で「世界的に重要な側面がある」と記した。国際秩序を再構築する目標を進めるため「経済力、外交力、軍事力、技術力をますます高めている」と警戒感をあらわにした。
ロシアは「欧州の安全保障秩序への差し迫った脅威を与え、世界的な混乱と不安の要因になっている」としつつ「中国のような全般的な能力を備えていない」との認識を示した。ウクライナ侵攻で「中国やインド、日本といったアジアの大国へのロシアの地位を著しく低下させた」と言及した。
台湾にも言及した。「台湾海峡の平和と安定の維持に対する関心は不変であり、地域と世界の安全と繁栄にとって重要だ」と表明。「いかなる一方的な現状変更にも反対し、台湾の独立を支持しない」と訴えた。「一つの中国」政策を堅持し、台湾関係法に基づく台湾の自衛力維持を支援すると唱えた。
9月の卸売物価指数(最終需要向け製品・サービス、季節調整済み)は前月比で0.4%上がった。3カ月ぶりにプラスに転じ、市場予想(0.2%上昇)も上回った。サービスの価格上昇が目立った。前年同月比の上昇率は8.5%と8月の8.7%から伸びが鈍った。
食品とエネルギーを除くコア指数は前月比で0.4%上昇し、上げ幅は5月(0.5%)以来の大きさとなった。前年同月比では8月に続き5.6%上がった。前年比の伸び率は2021年9月~2022年6月に6%以上の高水準で推移していたが、3カ月連続で6%を割り込んだ。
品目別にみると製品の価格が前月比0.4%増加した。食品が1.2%上昇し、全体をけん引した。エネルギーの価格は0.7%上昇した。食品とエネルギーを除いた製品価格指数は前月から横ばいだった。
サービスの価格は前月比0.4%上昇した。旅行や宿泊サービスが6.4%上がったほか、食品・酒類の小売りサービスが2.6%、機械・車両卸売サービスが1.5%それぞれ上昇した。
月報は22年の需要について前年比264万バレル増の9967万バレルとした。9月の前回予測では310万バレル増とみていた。23年は234万バレル増の1億202万バレルとし、前月時点の270万バレル増から引き下げた。
22年の下方修正の理由に、中国の新型コロナウイルス関連の行動制限や欧州経済への逆風を挙げた。「高インフレ、主な中央銀行による金融引き締め、高水準の公的債務や供給問題の最中にあり、世界経済は不確実性が増している」と指摘した。
NATOへの新規加盟には既存の全加盟国の賛成が必要だ。6月のNATO首脳会議では北欧2国の加盟手続きを正式に始めることで合意し、各加盟国では手続きが進む。残るのはトルコとハンガリーだ。
トルコは北欧2国が加盟申請した際、2国による「クルド系テロ組織への支援」やトルコへの武器輸出制限を理由に拒否権をちらつかせた。2国がトルコの懸念に応える内容の覚書を結んだことを受け、首脳会議で反対を取り下げた経緯がある。
焦点となっているスウェーデンは9月末までに武器輸出の制限を撤廃し、過去にトルコで詐欺罪が確定していた1人も自国から引き渡した。10月にはスウェーデン側がトルコを訪れ、政府代表団同士の協議が開かれたが、トルコ側は合意の履行が「不十分だ」と不満を表明している。
ニューヨークでは8月に貸し手側の希望賃料が前年同月比で19%上昇し、全米の12%上昇を上回る伸びとなった。ランダー氏が不動産サイトのジローの賃貸に関する指数(ZORI)を基に指摘した。ニューヨークでの賃料上昇はマンハッタンに限ったものではなく、ジローが追跡する150の郵便番号エリアのうち83で2020年2月時点との比較で2割以上の値上がりが見られた。
この問題は一因は物件不足だ。ランダー氏のリポートによれば、ニューヨークは人口1人当たりの住宅建設許可の発行件数が他のほぼ全ての大都市に比べて少ない。
バイデン米政権はロシア産アルミニウムの完全禁輸を検討している。自動車や高層ビル、スマートフォンなど幅広い用途で重要なアルミはこれまで制裁を免れているが、ウクライナでのロシアによる軍事行動のエスカレートに対応する。
こうした措置がとられれば世界のアルミ市場に広範な影響が及びそうで、米国などでの需要が代替金属に向かわざるを得なくなる恐れがある。
ロシアはアルミ生産で中国に次ぐ世界2位。これまで米国のアルミ輸入全体の約10%をロシアが占め、今年8月の時点でも3番目の供給国だった。
日本の年金基金・生命保険会社、外国政府、米商業銀行などはかつて米国債を手に入れようと待ち構えていたが、今やその大半は身を引いている。そして忘れてならないのはパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局だ。9月からバランスシート圧縮を本格化し、米国債のランオフ(償還に伴う保有証券の減少)額を月間最大600億ドルに引き上げたばかりだ。
米国債相場が今年に入り、少なくとも1970年代初め以来の大幅下落に見舞われているとはいえ、途切れることのない新たな需要が登場するまで、さらなる痛みが待ち構えているというのが、複数の市場ウオッチャーが指摘する結論だ。借り入れコスト上昇を負担しなければならない米国の納税者にとっても、これは悪いニュースだ。
クレディ・スイス・グループのゾルタン・ポジャール氏はブルームバーグのポッドキャスト「オッド・ロッツ」で、「00年以降、大量の米国債を購入する一つの中銀の姿が常にあった」とした上で、今では「インフレ動向がかつてなく不確実な情勢で、公的部門の代わりに民間部門が登場するのを基本的に期待している」と指摘した。
ヘッジコストが急上昇したことで、日本の巨大な年金基金・生命保険会社も米国債市場から実質的に閉め出された。米10年債利回りが4%を上回ったとしても、リターンから為替ヘッジ費用を差し引かなければならない日本の買い手にとって、実質利回りはマイナスとなってしまう。
ヘッジ費用の上昇はドル高と並行している。ドルは今年、対円で25%余り上昇し、1972年にさかのぼるブルームバーグのデータで過去最大の上昇率となっている。
米金融当局が8%を上回るインフレ率の押し下げのため利上げを続ける現状にあって、日本政府・日本銀行は9月に98年以来となる円買い・ドル売り介入を実施。さらなる円買い支えのため、日本が実際に米国債売却に着手しなければならなくなるとの観測も浮上した。
こうした状況は日本だけではない。世界各地の当局はこの数カ月間、自国通貨防衛のため外貨準備を取り崩している。国際通貨基金(IMF)のデータによると、新興市場国の中銀は今年に入り、外貨準備を3000億ドル相当減らした。
こうした結果、従来から準備金の60%程度もしくはそれ以上をドル建て投資に回してきたような、価格動向にあまり敏感ではない投資家グループからせいぜい限られた需要が予想されるだけだ。
ブリークリー・ファイナンシャル・グループの最高投資責任者(CIO)、ピーター・ブックバー氏は10日、連邦準備制度や外国勢、銀行に代わって米国債の買い手が「最終的には見つかる」と想定するのは危険だとの考えを示した。
政策金利を0.5%引き上げて11.25%にすると発表した。高インフレ抑制のためで、利上げは11会合連続となった。ただ経済鈍化の兆しが出ていることを受けて、前回9月会合での上げ幅(1%)からは縮小した。
9月の消費者物価指数は前年同月比で13.7%上昇した。食料品や輸送費の値上がりが目立つ。中銀目標の中心値は3%で、18カ月連続で上回っている。ただ9月の上昇率は、8月(14.1%)の水準を下回り、インフレ鈍化の兆しも出始めている。
2023年の実質成長率はマイナス0.4%と、従来のプラス2.5%から大幅に下方修正した。ウクライナ危機に伴う供給不安でエネルギー価格が高騰し、23年のインフレ率は7.0%と高止まりが続く想定だ。23年にマイナス成長に転じた後、24年は2.3%のプラス成長を見込む。
インフレ率は22年に8.0%と想定し、23年も7.0%と高止まりが続く。24年は2.4%とした。
ドイツの経済指標は急激に悪化している。独Ifo経済研究所がまとめた9月の企業景況感指数は20年5月以来、2年4カ月ぶりの低水準に沈んだ。ドイツ経済は新型コロナ対応の行動規制が段階的に緩和されたことで個人消費をけん引役に持ち直していたが、ウクライナ危機に伴う資源高で景気回復に急ブレーキがかかった。
12日の英債券市場は激しい変動に見舞われた。期間が長めの英国債はマイナス圏で始まり、午後も下げ幅を拡大。30年債の利回りは一時5%を上回った。イングランド銀行(中央銀行)報道官が予定通りの債券購入プログラム終了を確認したことを受け、トレーダーが保有債券を売却した。
ところがその数時間後、英中銀は先月の介入開始以来最大規模の緊急債券購入ラウンドを実施。投資家が提示した従来型債券を全て買い入れ、購入額は45億6000万ポンド(約7400億円)に達した。30年債は一時の下げをおおむね打ち消し、利回りは4.8%と前日比ほぼ横ばいで終了した。
この日の混乱は英政府の大型減税案発表以来、英債券市場がいかに予測不可能かつ無秩序になっているかを浮き彫りにした。年金ファンドのマージンコールも、期間が長めでインフレ連動型債券を中心に英国債の無秩序な取引に拍車を掛けている。
●市況
※10/13 9時35分頃
備忘録(10/11)
●中国・ロシア・東欧
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は11日、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」による大幅減産決定を受け、バイデン大統領が米国とサウジアラビアとの関係の見直しを検討する考えだと明らかにした。米議会ではサウジへの武器売却を含む協力凍結を要求する声が上がっている。
カービー氏は米CNNテレビのインタビューで「大統領は(サウジとの)関係は継続して再評価する必要があると明確にしてきた」と指摘。「OPECの決定を踏まえ、大統領はその立場にある」と述べた。バイデン氏はサウジとの関係の在り方について議会と協議する意志があると説明した。
議会の民主党はサウジとの関係を見直すよう政権への圧力を強めている。上院外交委員会のメネンデス委員長(民主党)は10日の声明で「サウジ政府はOPECプラスを通してプーチン(ロシア大統領)の戦争の費用負担を決定した」と非難。米政府が「米国の人員と利益の防衛に絶対に必要な場合を除き」サウジへの武器売却や安全保障協力を含めたあらゆる協力関係を直ちに凍結するよう求めた。
民主党のブルメンソール上院議員とカンナ下院議員は11日、サウジへの武器売却を即時停止する法案を共同提出すると発表した。
カービー氏は記者団に対し、イランがミサイル開発を続ける中、中東地域のミサイル防衛強化が米国や同盟国、パートナー諸国の利益になるとの米政府の見解に「変更はない」と強調。関係再評価がサウジや湾岸諸国とのミサイル防衛での協力に影響を与えることはないとの見方を示唆した。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
国際航空が脱炭素へ動き出した。国連の専門組織、国際民間航空機関(ICAO)はこのほど、国際線の航空機が排出する二酸化炭素(CO2)を2050年に実質ゼロとする目標を採択した。航空会社は24年以降、CO2排出量を19年の85%に抑える従来より厳しい目標の達成も求められる。新型コロナウイルス禍からの利用回復が進む一方、各社の収益改善は道半ば。環境対応への投資負担と両立できるのかが課題となる。
●その他産業
ロシア事業を手がける子会社の株式を自動車・エンジン中央科学研究所(NAMI)に1ユーロで売却する。売却にともない約1000億円の特別損失がでる見通し。
日産と企業連合を組む三菱自動車なども撤退の検討に入った。国内車大手ではトヨタ自動車が撤退方針を発表している。ロシアのウクライナ侵攻を受けた日本車の事業撤退の動きが広がっている。
●決算関連
2022年7~9月期決算は、売上高が前年同期比19%増の198億ユーロ(約2兆8千億円)だった。市場予想を上回る伸び率で、新型コロナウイルスの行動制限の解除後に回復した欧米や日本の高級品需要を取り込んだ。
香水・化粧品など柱となる5つの事業はすべて増収となった。主力ブランドの「ルイ・ヴィトン」など売上高の半分を稼ぐファッション・皮革部門は前年同期比22%増で、全体をけん引した。時計・宝飾品部門は同16%増だった。
●マクロ・その他
ベイリー総裁は11日、米ワシントンでの講演で、緊急措置の国債購入策を予定通りに14日までの期限で終了することを強調した。市場の一部で求められた期限延長が否定されたことが嫌気されて、通貨ポンドが対ドルで一時、約2週間ぶりの安値まで下落した。
緊急措置として導入した国債購入策の対象を物価連動国債に拡大すると発表した。10日に買い入れ上限の倍増を発表した後も、英国債の金利は上昇(価格は下落)が続いた。週内の購入期限終了を前に金融市場の混乱が懸念され、追加対応を迫られた。
ニューヨーク連銀が11日発表した9月の消費者調査によると、1年先の予想物価上昇率(中央値)は5.4%と前月から0.3ポイント下がった。2021年9月以来の低水準を記録し、3カ月連続で鈍化傾向が続いた。これまで高騰が続いてきた住宅価格に一服感が出始めたとの見方が広がっている。
これまで予想物価上昇率の下げ要因となっていたガソリン価格の1年先の予想は前月から0.4ポイント上昇した。食品は前月から1.0ポイント、家賃は0.1ポイントそれぞれ上昇した。
住宅価格の予想上昇率は2.0%と前月から0.1ポイント低下し、20年6月以来、2年3カ月ぶりの低水準となった。インフレ抑制に向けた米連邦準備理事会(FRB)の急ピッチの利上げで販売が急減したことを反映した。
住宅価格の予想上昇率は2.0%と前月から0.1ポイント低下し、20年6月以来、2年3カ月ぶりの低水準となった。インフレ抑制に向けた米連邦準備理事会(FRB)の急ピッチの利上げで販売が急減したことを反映した。
IMFは23年の世界の実質成長率予測を2.7%と、前回7月から0.2ポイント下げた。この時期に公表する翌年の見通しで3%割れを見込むのは00年以降では初めて。この半年での下方修正の幅はリーマン危機時を上回る。新型コロナウイルス禍からの回復局面が暗転し、世界経済の3分の1が景気後退に陥ると見る。
先進国の成長率は0.3ポイント下げて1.1%とした。コロナ禍とリーマン危機の時期を除くと41年ぶりの低水準だ。特に厳しいのがユーロ圏で、23年は0.5%と0.7ポイント下げた。米国は22年が1.6%と0.7ポイントの下方修正になり、23年も1.0%へ減速する。中国は22年に3.2%とコロナ禍を除けば過去40年で最も低くなり、23年も4.4%にとどまる。
失速の見方の背景には急速な利上げがある。JPモルガン・チェース銀行が経済規模で加重平均して算出した世界の政策金利は3%を超え、リーマン危機が発生した08年以来の水準になった。
今後の大きな問題は、世界的にインフレ圧力が強く、景気刺激のための利下げには簡単に転換できないことにある。
世界の高いインフレ率は長引き、IMFは24年も4.1%と高い水準になると予想する。インフレ抑制の利上げが続けば信用力の低い企業は資金調達が難しくなる。低格付け債の信用不安を起点に、クレジット市場などで混乱が起きかねない。
危機の芽は途上国にもある。「あまりにも多くの低所得国が債務危機に陥るか、それに近い状態にある」。IMFはこう警鐘を鳴らす。米利上げは途上国の通貨安につながり、ドル建て債務の返済負担が増す。
結果として、経済はさらに下振れするリスクがある。IMFは23年の世界成長率が2%を割り込む確率を25%程度とみている。懸念材料の一つが、ドル高にともなう世界的な金融引き締めの連鎖だ。ブラジルやポーランドなど一部の国は効果を見極めるために利上げを停止したが、輸入品の値上がりによる物価高が続けば、利上げが止まらなくなる。
4月の前回報告書の公表後に世界全体で金融環境が大幅に引き締まり「世界の金融安定リスクも高まった」と指摘した。特にここ数週間で「ドル資金の調達コスト上昇など(危機が市場全体に広がる)システミックリスクの指標が悪化した」と言及。世界で無秩序な金融引き締めが進めば、リスクがさらに高まると注意を促した。
新興国では「マクロ経済の基礎的条件が弱い多くの国で資本流出が生じている」と指摘した。スリランカやレバノンなど6カ国がデフォルト状態か債務再編の段階にあり、14カ国の債券はデフォルトとみなされる水準で取引されているという。
新興国で今後生じうるリスクとして住宅市場の調整を挙げた。今後3年間で5%の確率で起こる悪いシナリオでは、新興国の住宅価格の下落率は25%近くに達する一方、先進国では10%超にとどまると試算した。新興国では1年前の試算より落ち込み幅が大きくなり、景気悪化や金利の急上昇で人々の住宅購入余力が細るとみる。
景気後退と物価高が併存するスタグフレーション発生を想定した銀行のストレステスト(健全性審査)でも新興国の苦境が浮かんだ。現状と比べた中核的な自己資本比率の低下幅は新興国の銀行が4.3ポイントと、先進国の銀行(2.6ポイント)より大きい。新興国で規制上の自己資本比率を満たせない銀行が増え、投融資が制限されて経済を支える力が弱まるリスクがある。
8月の速報値は589億円で、8月として過去最小だった。円安や資源高による輸入額の増加に加え、経済が減速する中国や欧州への輸出の鈍化も響いた。
備忘録(10/7-10)
●中国・ロシア・東欧
10月の中国共産党大会後に発足する新たな指導部で、マクロ経済政策の司令塔に国家発展改革委員会(発改委)の何立峰(ハァ・リーファン)主任が就くとの見方が浮上している。3期目入りを固めた習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)の側近だ。金融行政や米国との貿易交渉を含めて今後5年間のマクロ経済運営のかじ取りを担うとみられる。
中国では伝統的に党総書記が政治、首相が経済運営をそれぞれ担う。習指導部が発足した当初は李克強(リー・クォーチャン)首相が経済運営を仕切っていたが、習氏は2016年ごろから側近の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相を通じて経済政策にも関与を強めてきた。
何氏は広東省出身で、アモイ大学卒業の経済学博士。習氏が副市長として福建省アモイ市に赴任していた頃、習氏と仕事の合間にバスケットボールを楽しんだ。
赴任当初、福建になじめなかった習氏と親しく交流し、習氏の信頼を得たとされる。党高官の執務室が集まる中南海に長く勤務した関係者は何氏について「習氏が心を許せる『弟分』のような存在」と評する。
福建省での勤務が長かったが、習指導部が発足した後、14年に発改委副主任に抜てきされ、17年からは主任として組織を率いてきた。習氏が北京を離れて国内や海外に出張する場合、ほぼすべて同行してきた。
発改委は、計画経済時代の1952年に発足した国家計画委員会を前身とする国務院の中核組織だ。エネルギー政策や各産業の管理監督も手掛け、インフラなど公共事業の許認可など経済政策全体に強い権限を持つ。旧ソ連など社会主義体制の国では同様の組織があることが多い。
習氏より2歳年下の何氏が同1歳年上の劉氏の職務を引き継げば、マクロ経済運営でも格差是正をめざす「共同富裕(共に豊かになる)」の推進など習氏のカラーがさらに強まる可能性がある。
市場重視の姿勢が後退するとの懸念を映すように、中国で「人民経済」という言葉が話題を呼んでいる。
提唱者とされる中国人民大学の温鉄軍教授によると、人民経済の概念は財産を全ての人民で所有する。企業は自己利益の最大化でなく、社会全体の発展を追求する存在という。改革開放前の計画経済時代をほうふつとさせる内容で、中国国内でも経済の専門家らから反発の声があがるほどだ。
党関係者は「極端な内容だが、党大会を直前に控えているだけに(人民経済という言葉に)指導部の意向が反映されていると考えることもできる」と語る。
マクロ経済運営をめぐる幹部人事では、中国人民銀行(中央銀行)の総裁人事も焦点の一つだ。現在の易綱総裁を高く評価してきた劉氏とともに、易氏も退くとの見方もある。後任には潘功勝副総裁や中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席のほか、人民銀行副総裁を務めた経歴がある殷勇・北京市委副書記らの名前が挙がる。
国慶節(建国記念日)を祝う1~7日の連休の観光収入が2872億1000万元(約5兆8000億円)と、前年同期比で26.2%減だったと発表した。中国では重要イベントの共産党大会が16日に開幕する。新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒が一層強まるなか、遠出を避ける傾向が強まった。
国内旅行者数は延べ4億2200万人と前年同期比で18.2%減った。観光収入はコロナ禍前の2019年実績と比べても半分程度の水準にとどまった。
旅行予約サイト大手の携程集団(トリップドットコムグループ)が7日にまとめたデータによると、今年は国慶節の連休中、予約の65%を地元周辺での旅行が占めた。高速鉄道を利用した人の平均所要時間は片道2時間16分となり、長距離移動を避ける傾向が浮き彫りとなった。
中国人民銀行(中央銀行)が9日発表した7~9月の預金者向けアンケート調査によると、「今後3カ月で住宅価格が上昇する」との回答が14.8%にとどまった。中国メディアによると、遡れる2009年以降で最低となった。値上がり期待の縮小で購入を思いとどまる人が増え、住宅市場の調整が長引きかねない。
中国の2022年の国内総生産(GDP)伸び率の予測平均値は実質で3.2%だった。不動産市場の停滞や新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ」政策で景気の下押し圧力が強まり、政策ミスとの声も出始めた。
中国汽車工業協会の予測によると、中国全体では21%増の251万台になった見込み。4カ月連続で前年を上回ったとみられ、販売の回復が続いている。
中国人民銀行(中央銀行)が9日公表した報告書によれば、預金者の雇用見通しを基に人民銀がまとめた就業センチメント指数は7-9月(第3四半期)に35.4と、2010年の統計開始後で最低を記録した。同指数は50を下回ると縮小を意味する。
中国のサービス業活動が9月は4カ月ぶりに縮小した。成都など主要都市で新型コロナウイルス感染拡大抑制のロックダウン(都市封鎖)が講じられ、個人消費を鈍らせた。
8日発表された9月の財新中国サービス業購買担当者指数(PMI) は49.3と、8月の55から低下。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は54.4だった。活動拡大・縮小の分かれ目は50。
この結果は、徹底的な新型コロナ抑え込みを図る中国の「ゼロコロナ」政策が個人消費や景気にいかに犠牲を強いているかを改めて示すものだ。同国では今週、国慶節(建国記念日)連休中の人の移動が影響して新規感染者が約1カ月ぶり高水準に達し、状況改善の兆しが見えない。国家統計局が先週発表したPMIも5月以来の低水準を示していた。
ロシアのプーチン大統領は9日、ウクライナ南部のクリミア半島とロシア本土を結ぶクリミア橋での爆発について「ウクライナの特殊部隊によって実行された」と語った。「民間インフラの破壊を目的としたテロ行為」とも述べ、ウクライナによるテロと断定。ウクライナ側は関与について明言していないが、ロシアが報復に及ぶ恐れが高まっている。
ロシア大統領府によると、バストリキン氏は爆発が起きたトラックの走行ルートを割り出し、爆発に関わった人物などを特定したとプーチン氏に報告。初期段階の調査結果を踏まえ、「ウクライナの特殊部隊によるテロ攻撃だと明確な結論を導き出すことができる」と述べた。
ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は爆発後、「これが始まりだ。違法なものはすべて壊されなければならない」とツイッターに投稿した。ただウクライナ側は公式に爆発への関与は認めていない。
ベラルーシのルカシェンコ大統領は10日、ロシアのウクライナ侵攻を背景とした北大西洋条約機構(NATO)との緊張に鑑み、ロシアと合同の地域部隊を展開することで合意したと明らかにした。軍・治安機関との会合での発言として、国営ベルタ通信が伝えた。具体的な活動地域は不明。
ルカシェンコ氏はこの中で「非公式チャンネルで、ウクライナ領からベラルーシに攻撃があるという警告を受けた」と主張。「クリミア橋(の爆発)を再現する」という内容だったとして、対応の必要性を訴えた。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
仏自動車大手のルノーが、日産自動車の出資比率を引き下げる検討を始めた。仏経済紙レゼコーが9日報じた。ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)はこのほど来日し、日産の内田誠社長と会談。現在43%の出資比率を、日産によるルノー株保有比率と同等の15%に引き下げる可能性もあるという。
●決算関連
●マクロ・その他
マレーシアのイスマイルサブリ首相は10日、連邦議会下院(定数222、任期5年)を同日付で解散したと発表した。憲法は解散から60日以内に総選挙を実施すると定めており、11月中の投票が有力視されている。直近の州議会選挙で首相が属する国民戦線が連勝しているほか、足元の景気は堅調で、首相は解散の好機だと判断した。野党勢力は一枚岩になれておらず、選挙戦は与党優位の展開が見込まれる。
今回の総選挙は5つ以上の与野党勢力が争う激戦となる。連立政権を構成する主要政党のうち、ムヒディン前首相のマレーシア統一プリブミ党が国民戦線とたもとを分かち、独自候補を擁立する方針だ。
野党側はアンワル元副首相が率いる希望連盟と、マハティール元首相が結成した新グループ、祖国運動がそれぞれ候補者を出す。若い世代に人気のあるサイド・サディク元青年・スポーツ相のマレーシア連合民主同盟も加わり、多くの小選挙区で多数の立候補者が争うことになる見通しだ。
野党票が割れる構図は国民戦線に有利な展開となる。国民戦線は約40議席にとどまる議席数を大幅に増やし、協力政党も併せて辛うじて下院の過半数を確保する状況を改善したい考えだ。一方、野党はマハティール氏とアンワル氏が互いに距離を置くなど連携できておらず、現状は有権者からの支持も広がりを欠く。
未知数なのが有権者数が一気に増える影響だ。2019年の憲法改正によって選挙権年齢が21歳以上から18歳以上に引き下げられ、有権者を自動的に名簿登録する制度改正も実現した。地元メディアによると、有権者数は18年の前回総選挙から5割以上増え2200万人に達する見通し。マレーシアは国民の年齢の中央値が30歳と若く、若い世代の投票動向次第で事前の予想を覆す結果となる可能性がある。
ドイツ北西部ニーダーザクセン州で9日投開票された州議会選挙で、ショルツ首相が率いてきた中道左派のドイツ社会民主党(SPD)は第1党を維持し勝利した。一方、前回2017年の選挙から得票率は低下し、代わりに緑の党や極右政党が伸びた。地方選での敗北は阻止したものの、インフレ対策などへの国民の不満が反映されたとみられる。
暫定の開票結果によると、得票率はSPDが33.4%と、最大野党で中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)の28.1%を上回った。前回選挙との比較では、SPDは3ポイントあまり、CDUは5ポイントあまり落ち込んだ。
代わりに大きく躍進したのが環境政党の緑の党だ。得票率は14.5%と6ポイント近く支持を伸ばした。ベーアボック外相など同党を率いてきた政治家の人気が高いなか、気候変動対応などの政策に支持が集まった可能性がある。
極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」も10.9%と5ポイント近く伸ばした。自由民主党(FDP)は4.7%に沈み、議席の獲得に必要な5%の水準に達しなかった。
英イングランド銀行(中央銀行)は10日、緊急措置として導入した国債購入策の1日当たりの買い入れ上限を50億ポンド(約0.8兆円)から100億ポンド(約1.6兆円)に倍増すると発表した。14日の国債購入策が予定通りの期限終了を迎えるのを前に、金利急騰による金融市場の混乱を防ぐ狙いだ。
列車の運行に必要な通信システムで障害が発生した。独DPA通信によると、ベルリン郊外と西部のノルトライン・ウェストファーレン州で通信ケーブルの損傷が確認されたという。ウィッシング運輸・デジタル相は記者会見で「通信ケーブルが2カ所の異なる地点で故意に切断された」として、破壊工作だった可能性を示している。
ブエンロストロ氏は7日付で経済相に就任した。ロペスオブラドール氏は7日、ブエンロストロ氏を任命した理由について「税収は減っておらず、彼女は(国税庁長官として)良い仕事をしてきた。模範的な公僕だ」と述べた。ブエンロストロ氏は2020年1月に国税庁長官に就任し、現政権の方針に従って大企業からの徴税を強化してきた。
ブエンロストロ氏は1995年にメキシコ国立自治大学(UNAM)の数学科を卒業し、メキシコ大学院大学で経済学の修士号を取得した。観光省や財務公債省などで要職を務めた。メキシコシティ政府の財務部門で働いた経験もあり、同じ時期にメキシコシティの市長を務めていたロペスオブラドール氏とは関係が近いとされる。
メキシコの代表的な経済団体である企業家調整評議会(CCE)は7日、「メキシコの経済復興に尽力してくれると信頼している」とブエンロストロ氏の就任を歓迎する声明を出した。
メキシコのロペスオブラドール政権は保護主義的な政策をめぐって米政府から反発を受けてきた。その中で6日に経済相を辞任したクルティエル氏は経済界に近く、外国とも積極的に経済連携を進める考えを示してきた。今後はブエンロストロ氏が外国の政府や企業との経済連携についてどういった方針を示すかが焦点となる。
9月の消費者物価指数は、前年同月と比べて8.7%上昇した。約22年ぶりの高水準だった8月から横ばいだった。食料品を中心に物価が上昇しており、市場ではメキシコ銀行(中央銀行)が11月の金融政策決定会合で利上げを続けるとの見方が強まっている。
9月は食料品と飲み物、たばこの価格が前年同月と比べて13.38%上がった。果物と野菜の価格は同14.18%上昇した。農産物とエネルギー価格を除くコアインフレ率は同8.28%だった。商品別ではトマトが前月比で11.63%、タマネギが同11.37%と大幅に上昇した。
コロナ禍で在宅勤務とオフィスワークを組み合わせた働き方が広がり、オフィス需要は一時低迷したものの、感染が落ち着き、経済活動が活発化すると賃料は回復した。従業員が対面で業務をこなすなど「オフィスの重要性を企業が認識したことの表れだ」(JLL)という。JLLは22年通年のオフィス賃料の上昇率を10%と予想。21年の4.3%を大幅に上回るとみる。
ただ23年の上昇率は5%以下に鈍ると予想する。懸念材料は世界的な景気減速で、オフィス需要にも影響を及ぼす可能性がある。
新興国市場債の指標はドル建て、現地通貨建てのいずれも10月に入り上昇。1-9月は8カ月で下落だった。新興国株の指標、MSCI新興市場指数は9月に月間ベースで2020年3月以来の大幅安となった後、持ち直しつつある。一方、MSCI新興国通貨指数は19年以後の長期下落から反発している。
こうした回復の背景には、弱い経済指標を受け、米連邦準備制度を含む各中銀がハト派に転じるとの期待が今月初めに高まったことがある。政策担当者がインフレ抑制をあらためて表明したほか、米労働市場が強さを維持していることで、そうした期待は打ち砕かれたものの、少なくとも来年には引き締めが停止される可能性が引き続き下支えとなっている。
フィディリティ・インターナショナルのマネーマネジャー、ポール・グリア氏(ロンドン在勤)は「中銀の積極的な介入や金利市場での顕著な安堵(あんど)感、極めて厚いドルのロングポジションを受けて短期市場のシナリオが若干変わった。それが新興国市場に一定の戦術的好機をもたらしている」と分析した。
ナーゲル総裁は南ドイツ新聞とのインタビューで「インフレ率が10%であるのに、金利はわずか1.25%だ。私にとって行動を起こす必要性は明らかだ」と発言。「金利は引き続き、大幅に上昇しなければならない」と述べた。インタビューは7日に掲載された。
ナーゲル氏は、物価高が定着し始めるのを防ぐため「われわれはインフレよりもしつこくなり、決然と行動しなければならない」とし、「それには十分に強力で迅速な対応が求められる。次回の政策委員会会合では明確なシグナルを発する必要がある」と語った。
ECBによる利上げが景気後退を深刻化させる可能性を問われると、短期的には経済生産への重しになり得るとした上で、「高インフレが経済成長に対する最大の抑制要因だ」と述べた。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストによれば、6四半期連続の上昇に向かうドル相場が、海外収益依存度の高い企業の大きな頭痛の種を生み出している。デービッド・コスティン氏らストラテジストはリポートで、ドル高は従来、予想を上回る売上高の発表の減少と関連していると指摘。先週、通貨高などが響き予想を下回る決算を発表したリーバイ・ストラウスに言及した。
ストラテジストらはさらに、ドル高の持続が「海外売上高比率が高い銘柄よりも、売上高の国内比率が100%の銘柄のパフォーマンスを支えるだろう」と予想した。ゴールドマンが算出する国内売上高100%の企業の株価バスケットのパフォーマンスは、海外売上高比率が高い企業のバスケットを9月までの10カ月のうち9カ月で上回った。
「米国や世界は今から6~9カ月後にある種の景気後退に追い込まれる可能性がある」と語った。止まらぬインフレや世界的な金利の急上昇、ウクライナ危機などが重なる現状を「非常に深刻な事態だ」と指摘し、市場のさらなる混乱にも警戒を呼びかけた。
ダイモン氏は米国の消費者や企業の財務状態はなお健全との見方を示し「米経済はまだうまくいっている」と指摘した。そのうえで将来的に起こりうる景気後退については「非常に穏やかなものからかなり厳しいものまで考えられる」として、ロシアのウクライナ侵攻の行方次第で経済のシナリオも大きく変わるとの認識を示した。
急速利上げに動く米連邦準備理事会(FRB)の金融政策については「(金融緩和から引き締めに転じるまで)あまりに長く待ちすぎ、量的引き締め(QT)も早く始めるべきだった」と指摘した。「ただFRBは明らかに(インフレ退治の政策対応が)追いついてきている」とも述べ、「経済を十分に減速させることに成功するよう祈り、見守るしかない」と語った。
経済の冷え込みがどの程度進むのか読み切れないなか、「一つ保証できるのは市場が不安定になることだ」と述べた。すでに新規株式公開(IPO)や低格付け高利回りのハイイールド債の取引が停滞していると指摘したうえで「より大きな亀裂が入り、パニックに陥るかもしれないのはクレジット市場だ」とみる。
米株相場についても慎重な見通しを示した。すでに昨年末から2割以上下落しているS&P500種株価指数がまだ底値をつけていない可能性を示唆し、景気シナリオ次第で「さらに20%下がりうる」と指摘した。●市況
日経先物(大証)26700、ダウ先29297、債先148.32、米3.951、独2.3450、仏2.884、西3.501、伊4.596、波7.482、原油90.88、ドル円145.68、墨ペソ19.96、トルコリラ18.5865、墨CDS181
日経先物(大証)26700、ダウ先29297、債先148.32、米3.951、独2.3450、仏2.884、西3.501、伊4.596、波7.482、原油90.88、ドル円145.68、墨ペソ19.96、トルコリラ18.5865、墨CDS181
※10/11 8時50分頃
備忘録(10/6)
●中国・ロシア・東欧
習総書記にとって勝敗を分ける6つの材料を以下に挙げる。
1.政治局常務委員会
習氏(69)が党大会時に68歳以上なら引退、67歳以下なら留任という「七上八下」と呼ばれる慣例を自身については例外として適用するなら、政治局常務委員7人のうち少なくとも2人が退任する。
勝利:丁薛祥・党中央弁公庁主任や北京市の蔡奇党委員会書記、重慶市の陳敏爾党委書記、上海市の李強党委書記ら側近を政治局常務委に送り込めれば、習総書記にとって勝利だ。
敗北:現首相の李克強氏(67)や汪洋人民政治協商会議主席が政治局常務委員に留任し、胡春華副首相が常務委員に昇格するなら敗北と見なされるかもしれない。3氏はいずれも胡錦濤前総書記の出身母体である共産主義青年団(共青団)系で、「小胡(リトル・フー)」と呼ばれることもある胡副首相は59歳と、習氏の有力な後継候補としてまだ十分若い。
2.次期首相
李首相が序列2位の政治局常務委員にとどまるのか、退任するのかは不明だが、首相職を退くことは表明済み。首相はこれまで序列2位か3位の人物が務めてきた。
勝利:上海市トップの李強党委書記ら側近が首相になれば、習氏は党内の抵抗にほとんど直面していないことを示す明確な兆しとなる。李強氏は約2カ月に及ぶ上海のロックダウン(都市封鎖)で異例の社会不安を招いていた経緯もあるだけになおさらだ。
敗北:汪洋氏や胡副首相は習氏に近いと見なされておらず、いずれかが首相となれば習総書記の権力との釣り合いを取ることに一定の支持があることを示唆する。
3.政治局員
共産党中央政治局員25人から常務委員7人を除いた18人のうち、9人が今年退任する方向だが、「党の指導に関する」問題で曖昧な態度を取る党幹部の降格を容易にするルールが新たに定められ、交代が増えることもあり得る。
勝利:習氏は政治局員を相次いで早期引退に追い込み、自身の側近で空席を埋める可能性がある。シンガポール国立大学東アジア研究所のアシスタントディレクター兼シニアリサーチフェロー、チェン・ガン氏は政治局員の最大3分の2が一新されるかもしれないと推定。ユーラシア・グループの中国担当アナリスト、ニール・トーマス氏は、習氏の政治的盟友が全体の80%を占める可能性があるとみている。
敗北:圧倒的過半数に届かなかったり、習氏と特に接点がない幹部が昇格したりすれば、譲歩を求める幾分の圧力が生じたことを示すことになるかもしれない。
4.「人民の領袖」
中国国営メディアは習総書記を「人民の領袖」と表現することがあり、習氏がこの呼称を正式なものにしようとするのではないかとの観測が広がっている。以前には建国の父である毛沢東氏も領袖とされていた。
勝利:領袖の称号を得ることができれば毛氏と肩を並べる歴史的人物として、さらに別格の存在となる。習氏に挑戦することは人民の意思に挑むことと同等ということになる。
敗北:習氏がこの称号を得られなければ、鄧小平氏による改革で禁じられた個人崇拝に対する抵抗が幾分でもあったことを意味するかもしれない。
5.公式のポスト
習氏が党中央委員会総書記と国家主席、中央軍事委員会主席という公式の肩書を維持するかどうかは、党大会中に公表される声明が手掛かりになるだろう。
勝利:毛氏が就いていた党主席のポストが復活し、習氏が就任すれば優位性が確認されることになる。
敗北:習氏が肩書の一つでも手放せば、後継者候補と権力を共有する考えがあることを示唆する兆候になる。
6.党規約改正
党規約の改正によって、習氏のスローガンや政策が党内からどの程度の支持を得ているのかが分かるだろう。5年前の党大会では、「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」が党規約に盛り込まれていた。
勝利:「習近平思想」と名称を短縮し、毛沢東思想に並ぶ地位を獲得する可能性がある。実現すれば、「終身統治に向けた習氏の意思をさらに示唆するだけでなく、犠牲を払っても自身の政策課題を前に進める権限も持つことを示す」ことになるとトーマス氏は分析する。
敗北:党規約改正で習総書記の思想を高められなければ、一部の党指導部が習氏の理念の継続性に疑念を持っていることを示すことになるかもしれない。
中国中央結算公司などのデータによると、外国人投資家の中国債保有額は8月末に3兆4756億元(約70兆円)となり、7カ月連続で前月を下回った。この間の資金流出額は5940億元(12兆円)にのぼった。
外国人の債券保有は香港を通じて取引できる「ボンドコネクト」が導入された2017年からほぼ一貫して増えてきた。19年以降は機関投資家が参照する債券指数に相次いで組み入れられたのも追い風になっていた。足元の売りはデータを遡れる15年以降で最大だ。
みずほセキュリティーズアジア債券調査ヘッドのマーク・リード氏は「債券売りは中国経済の逆風や、米中利回り差の変化を受けたものだ」と指摘し、「地政学的な懸念から投資家が中国資産の保有を減らしている可能性もある」と付け加える。
地政学リスクを巡る警戒感もにじむ。債券で売りが目立つのが中国国家開発銀行や中国農業発展銀行などが発行する「政策銀行債」だ。外国人の債券保有はピークだった1月末との比較で25%減り、国債が8%減だったのに比べて資金流出の大きさが目立つ。
政策銀行は国策に沿った融資を手掛ける金融機関で、国債並みの信用力を持つと考えられている。元建て債上場投資信託(ETF)が積極的に投資しており、足元の主な売り手は資産運用会社とされる。政策銀行はエネルギー関連のロシア向け融資を抱えるため、欧米諸国による制裁を懸念した売りとの見方も出ている。
市場では外貨準備を凍結されたロシア中央銀行が現金を確保するため元建て資産を売ったとの観測も出ていた。ただ国際金融協会(IIF)は1~3月の債券売越額のうち中銀の売りが占める割合は10%程度と推計する。「大きな資金流出は中銀による外貨準備の調整が原因ではない」とし、地政学リスクを懸念した投資家の売りが大きいとの見方を示した。
香港を通じた中国株取引からも、外国人投資家の変化が見て取れる。9月は112億元の売り越しを記録した。単月での売り越しは今年に入り3、7月に続き3度目。1~9月を通じてみると合計では522億元の買い越しだったが、買越額は前年同期比82%減った。1~9月の買越額としては16年以来、6年ぶりの低水準だ。
英調査会社ウィズ・インテリジェンスによると、中華圏投資に特化するヘッジファンドからの資金流出額は1~7月で計36億ドル(約5200億円)と、08年以降で最大だった。
外国為替市場では、外国人投資家が売買できるオフショア人民元の売り圧力が根強い。対ドル相場は9月、データを遡れる10年以降で最安値を記録した。米ムーディーズ・アナリティクスのシャオチュン・シュ氏は「中国のゼロコロナ政策は海外からの直接投資に水を差し、(投資家の)安全資産への逃避が一段の元安につながる」と分析している。
●中東
サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は5日、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」が閣僚級会合で11月の日量200万バレルの減産を決めたことについて、米国が主導するロシア産石油の取引価格への上限設定の動きが、不透明感をあおったことも一因だと指摘した。
アブドルアジズ・エネルギー相は、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ロシア産石油価格への上限設定の実施方法が「詳細と明確さを欠く」ことにより、今後2カ月が「不確実な時期」になる感覚が強まっていると発言。「市場やその参加者からの反応がどのようなものになるか分からない」と語った。
バイデン米大統領は今年7月にサウジを訪問し、人権問題などで距離を置いてきたムハンマド・ビン・サルマン皇太子と、メンツを捨ててフィストバンプ(グータッチ)を行った。サウジが数週間以内に原油供給拡大で対応すると大統領は楽観的見方を表明した。
それから3カ月弱を経て、サウジが主導するOPECプラスは、新型コロナウイルス禍の下での2020年の協調減産以来となる日量200万バレルの大幅減産で合意し、バイデン大統領の期待とは逆の結果をもたらした。
過去数日にわたり、サウジや他のOPECプラス参加国に方針転換を求める懸命な働き掛けを行ってきた米当局者にとって、今回の減産決定は、ますます厳しさを増す西側諸国とロシアとの「エネルギー戦争」で、バイデン大統領の期待を裏切り、ロシアのプーチン大統領を助ける意図がサウジにあることをはっきり意味する。
ホワイトハウスのジャンピエール米大統領報道官は「きょうの発表で、OPECプラスがロシアと協調していることは明らかだ」と記者団に述べた。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
ソシエテの中国エクスポージャーは世界的な銀行としては比較的小規模だが、同行の動きは長年にわたって中国事業を拡大してきた企業の間でリスク回避が強まっていることを反映している。
台湾を巡る米中の最近の舌戦が不安をあおっている。米議員らは最近、中国が台湾に侵攻した場合に中国から撤退するかとの問いに回答するよう銀行に迫った。
中国はまた、厳格な新型コロナウイルス対策や不動産市場の動揺、政府の民間企業への締め付けによる景気鈍化にも直面。これに加え、中国の経済と産業に対して、米国はいっそう圧力を強めようとしている。
●決算関連
●マクロ・その他
英国の長期金利に再び上昇圧力がかかっている。5日の欧州債券市場で30年物国債利回りは一時4.3%台まで上昇(債券価格は下落)し、1週間ぶりの高水準をつけた。10年債利回りも4%台に乗せた。英イングランド銀行(中央銀行)が国債の買い入れを減らし、債券需給が緩むことへの警戒感が浮上した。
住宅の壁などに使う北米産木材の値下がり幅が広がった。米国の住宅ローン金利の上昇やDIY需要の後退などで、現地で住宅向け需要が減り供給がだぶつく。指標品種の10~12月期の日本向け価格は、前四半期(7~9月)に比べ約32%安い。国内の木材消費は持ち家着工の不振などで低調だ。円安で輸入価格の下落幅は抑えられ、需要喚起に至っていない。
5日の外国為替市場でトルコの通貨リラが一時1ドル=18リラ台後半をつけ、過去最安値を更新した。6日のアジア時間も前日とほぼ同水準だった。インフレ率が高止まりするなかで中央銀行は利下げを進めており、リラの下落に歯止めがかからない。
日本にも液化天然ガス(LNG)を供給するマレーシアのLNGプラント「マレーシアLNG」が、災害などによって販売先への供給義務を免れる「不可抗力(フォースマジュール)」条項を宣言したことが分かった。同社に出資する三菱商事が明らかにした。マレーシアLNGにガスを供給するパイプラインの一部が地滑りで破損したためで、三菱商事は「日本の顧客への影響は精査中。
各国・地域の中央銀行のインフレ抑制に向けた取り組みによって世界的に資産が動揺する中、英国への信頼が揺らいでいる。トラス政権の減税案を巡る懸念を受けた9月の相場下落で、ポンドは対ドルで過去最安値を更新し、イングランド銀行(英中銀)が介入したほか、信頼を巡る疑念の広がりを踏まえ政府は減税案を一部撤回した。
リベラム・キャピタルのストラテジスト、ヨアヒム・クレメント氏は「政府のこうした混乱がある限り英国には投資不可能だと考えるというのが、投資家から受け取っている反応だ」と述べた。
一方、今がポジションを構築する機会だと考える投資家もいる。アバディーンのリテール取引部門インタラクティブ・インベスターの投資責任者、ビクトリア・スコラー氏は電子メールで「株式が極めて割安に見え始めているとの見方があり、一部の日和見的な投資家を市場に呼び戻している」と分析した。
シュカリ氏はブレマー・ファイナンシャルが主催したイベントで、「まだやるべき仕事がある」と発言。「基調的なインフレがしっかりとピークを付け、できれば再び下向きになる幾らかの兆候が見られるまで、私には休止を宣言する用意はない。休止はかなり遠い先になると考える」と述べた。
「金利上昇の環境に移行するのに伴い、世界経済を巡ってある程度の喪失や不具合が生じるのは十分想定している。それは資本主義の本質だ」と同氏は言明。「米経済を全体として不安定化させ得るリスクには留意し続ける必要がある。しかし、政策スタンスを実際に変更するハードルは非常に高い」と話した。
さらに、「コモディティー価格は上下するが、賃金やサービスといった基調的なインフレは比較的定着する傾向がある」とし、「これらが正しい方向に動いていると示唆する証左はまだ見られない」と続けた。
英国のトラス首相は5日、与党保守党の党大会で演説し、自らの経済政策を「最後までやり抜く」と表明した。肝いりの減税案は撤回を余儀なくされ、閣僚からも政策に疑問の声が上がるなど就任早々からつまずいている首相が、党勢の回復を図った。
バーミンガムで開かれた党大会を締めくくる演説で、「変化に混乱はつきものだ」とトラス首相は主張。「英国を動かし、嵐を切り抜けて英国の基盤をいっそう強固にすると決心している」と述べた。
トラス政権は発足からまだわずか1カ月程度だが、最高所得税率引き下げ案の屈辱的な撤回が既に影を落としている。財源の裏付けがなかったため同案の発表後にポンドと英国債は急落、撤回に対しては閣僚2人から批判が上がった。
一方、別の閣僚は社会福祉手当をインフレ率と同じだけ引き上げるよう要求。首相はこれを拒んでいる。
党大会は党員を結束させ、これまでの政治的業績を祝福し、今後の政策を紹介する場であるはずだが、今回の保守党大会は2年以内に総選挙が迫る中で深い亀裂を露呈しただけだった。
トラス首相は「堅実な資金とスリムな国家」を信奉しているとし、国民所得に対する政府債務比率を引き下げると約束、財政を「しっかり管理」すると表明。市場の懸念を和らげようとした。だが、首相の演説後にポンドは下げを拡大、一時2.1%安の1ポンド=1.1241ドルまで落ち込んだ。
米政府が南米ベネズエラへの経済制裁を緩和し、同国からの輸入再開に向け協議していることがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。バイデン米大統領は6日、記者団に原油高の緩和策としてベネズエラ産の輸入も選択肢かと問われ「代替策はたくさんある」と述べた。
エネルギーや食料の価格高騰や中央銀行による金融引き締めが経済減速を招くと指摘した。世界経済が2026年までに失う国内総生産(GDP)が4兆ドル(約580兆円)と「ドイツ経済に相当する規模になる」と話した。
各国が取り組むべき対策として、インフレの抑制を第一にあげた。金融引き締めを徹底すると同時に、低所得層に対象を絞った支援が必要だと指摘。規模の大きな財政出動はインフレの長期化につながるため避けるべきだと戒めた。
9月の自動車生産台数は27万3329台と前年同月比で31%増えた。5カ月連続で前年の水準を上回った。世界的な半導体不足や新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいた生産台数が回復しつつある。
SLCマネジメントの米国トータルリターン・フィクストインカム担当最高投資責任者(CIO)、リチャード・ファミレッティ氏は「1980年代初頭など大幅な逆イールドの時期を振り返ると、それはつかの間のことであることが示されており、われわれは金利のピーク形成の終わりに近づいている」と指摘した。
インフレは「自然には消失しない」と同氏は指摘。「簡潔に言えば、さらにすべきことがある」とし、「一段の利上げが正当化されることが明確に示唆される」と語った。発言は講演原稿に基づく。
今年の乗用車販売見通しを1%減の960万台に下方修正したと発表した。2月時点では欧州連合(EU)で7.9%の販売増を予想していた。
今年1-8月の新車登録台数は前年同期比約12%減少し、年初の予測を下向き修正せざるを得なくなった。
手元資金を増強しようとそれぞれの個人年金基金が数千万ないし数億ポンドの単位で流動性資産を処分している。業界全体の資産売却額は数百億ポンドに上ると関係者は語る。
英年金規制機構(TPR)によると、英国には確定給付型年金のプログラムが約5500ある。その全てが売りを強いられているわけではないが、多数が売っていると、複数のコンサルタントが明らかにした。
●市況
※10/7 9時35分頃
備忘録(10/5)
●中国・ロシア・東欧
中国本土の新型コロナウイルス新規感染者が4日に909人と、約2週間ぶりの高水準を記録した。国慶節(建国記念日)連休中の感染拡大を受け、コロナを抑え込んで5年に一度の共産党大会の開幕を迎えるとの期待が後退している。
新規感染者909人のうち、273人が内モンゴル自治区で報告された。区都フフホトの一部などの住民は自宅、または居住区内にとどまるよう命じられた。同自治区では、それぞれ感染者1人が見つかった満州里市と林西県にロックダウン(都市封鎖)が講じられた。
1日から始まった国慶節連休中のコロナ感染拡大を受け、習近平総書記が3期目続投を決めると見込まれる16日開幕の共産党大会を前に厳格なコロナ規制が拡大するのではないかとの懸念が強まっている。
当局は連休中の旅行を自粛するよう求めていたが、今回の感染拡大は多くの人々が耳を傾けなかったことも示唆しており、旅先からウイルスを持ち込んでしまうリスクも高まる。
中国の多くの場所では感染リスクを最小限に抑えるための措置が強化されており、移動を巡る混乱も生じている。
主要7カ国(G7)の合意に基づき、ロシア産の原油価格に上限を設けてロシアの収入を減らすほか、貿易制限も拡大する。
ほかには、ロシアからの輸入を禁止する品目を拡大し、木材パルプや化学品、プラスチック、タバコなども対象とする。ロシア企業へのIT(情報技術)、エンジニアリング、法律サービスの提供を禁じ、輸出禁止品目も広げる。
非公開の協議だとして関係者が匿名を条件に述べたところによると、合意にはギリシャやキプロス、マルタなど大規模な海運業を抱える国への制裁の影響を和らげる措置も盛り込まれた。
新たな制裁は、上限を上回る価格で販売されたロシア産石油を第三国に海上輸送することを禁じると、EU議長国のチェコがツイッターで説明した。ロシア産品の輸入禁止対象を鉄鋼などにも拡大する上、ITやエンジニアリング、法的サービスをロシアの団体に提供することも禁止。これらの制裁は6日に発効するという。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
供給制約の解消へ好転の兆しが見え始めた米自動車メーカーだが、ローン金利の上昇やガソリン価格の先行き懸念、環境対応に伴う業界変化という三重苦がのしかかる。
●決算関連
●マクロ・その他
ADPが5日発表した9月の全米雇用リポートによると、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は20万8000人増えた。雇用者数の伸びは前月改定値の18万5000人を上回り、3カ月ぶりに増加幅が拡大した。ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(20万人程度)とほぼ一致した。
雇用者数は1月から4カ月連続でプラス幅を広げていたが、5月から8月にかけて減少基調に転じていた。9月は業種別で物流サービスの雇用数が14万7000人増えた。ビジネス・専門サービスも5万7000人増えた。一方、情報サービスの雇用者数が1万9000人、天然資源生産・鉱業が1万6000人、製造業が1万3000人それぞれ減った。
ADPのエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「雇用者数は暫定的に増え続けるだろう。労働需要は高く、供給も改善している」と分析した。
10月7日発表の9月の雇用統計で、市場は非農業部門の雇用者数が27万5000人程度増えると予測している。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」が日量200万バレルの大幅減産を決めたのは、産油国にとって財政収支の悪化を招く原油価格の下落に歯止めをかけるためだ。会合前の原油価格は収支が均衡する「防衛ライン」の1バレル80ドル前後で推移していた。このまま放置すれば、一段の財政悪化を招くと危機感を強めていた。
OPECプラスは新型コロナウイルス禍の2020年5月、世界需要の1割に当たる日量970万バレルの協調減産に踏み切った。その後段階的に生産を増やしてきたが、欧米の景気減速などで需要が減るとの見方が強まり、前回の9月会合で10月に日量10万バレル減産することを決めた。今回の200万バレル減産は世界需要の2%に当たり、20年以来の規模感になる。
WTI原油先物は5日、一時1バレル87ドル台に上昇した。ロシアのウクライナ侵攻直後の3月に130ドル超と13年8カ月ぶりの高値をつけたが、中国の都市封鎖(ロックダウン)の影響などで9月にいったん80ドルを割り込んでいた。
サウジアラビアは極端な価格変動をけん制し、8月から減産を示唆してきた。ロシアとともに生産量を調整する姿勢は変わっていない。OPECプラスは次回の閣僚級会合を12月4日に開く。
30年固定の住宅ローン金利(週平均)は6.75%と前週比で0.23%上昇した。2006年7月以来、16年ぶりの高水準となった。金利上昇に伴い、住宅ローン申請件数を示す総合指数(季節調整済み)は前週から14.2%下がった。20年4月以来の落ち込み幅を記録した。
国際通貨基金(IMF)は流動性が低い資産に投資する投資信託からの資金流出が市場のショックを増幅する恐れがあると警告した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ以降、社債などに投資する投資信託からの資金流出が顕著になっており、運用資産の流動性の監視・管理が重要と指摘している。
投資家がいつでも解約できる「オープンエンド型」の投信の運用額は世界全体で41兆ドル(約5900兆円)にのぼり、銀行以外の金融セクターが保有する資産の5分の1の規模に成長した。多くは株や国債などに投資されているが、社債や不動産、新興国資産など売却しにくい資産に投資する投信も増えている。
流動性の低い資産で運用している投信は、投資家が売却してから実際に資産を売却できるまでに時間がかかる。その間に膨らんだ損失は投信を保有する投資家が被るので売却を急ぐ理由になる。投資家が売却に殺到することで「金融システムの安定性が損なわれる可能性がある」とIMFは指摘する。
2020年のコロナショックのような流動性の枯渇があれば、オープンエンド型投信が投資する社債などの変動率は20%増加する可能性がある。足元でも債券で運用する投信からの資金流出が増えており、解約時の価格を調整できる緩和措置の拡充や、流動性の監視強化など対策を促した。
「減税は道徳的にも経済的にも正しい」と述べ、9月下旬に発表した大規模減税策の骨格を維持すると強調した。減税策が市場の動揺を引き起こしたことに配慮し、財政規律を守るとも明言した。
トラス氏は演説で「私たちの経済には3つの優先事項がある。成長、成長そして成長だ」と語り、減税を呼び水にした経済成長を目指すと改めて表明した。減税策に含まれる所得税の基本税率の引き下げや、法人税率の19%から25%への引き上げの凍結は維持する方針も示した。
財政規律に関しては「国民所得に対する政府の累積債務の比率を引き下げる」と明言した。ただ減税策に充てる財源や、財政再建の具体的な計画については触れなかった。ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援を続け、英国の国防費を2030年までに国内総生産(GDP)比3%に高めることも改めて訴えた。
ポーランドは米国に核兵器の共有を打診したと、ドゥダ大統領が語った。ロシアがウクライナに対する核使用をちらつかせる中で、強まるロシアの脅威に対抗することが狙い。
北大西洋条約機構(NATO)に加盟する東欧諸国の中で規模が最大のポーランドは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて軍事費を拡大させている。それでも、抑止力として核共有を同盟国に打診したと同国当局者がこれまでに明らかにしたことはなかった。
米国の核兵器がかつて東側陣営に属していたNATO加盟国に配備されたことはなく、ドゥダ氏の発言は議論を呼びそうだ。ロシアのプーチン大統領はNATOが東方で軍事力を増強すれば対応すると警告していたが、これを無視する格好になる。
ドゥダ氏は現地紙ガゼータ・ポルスカが5日掲載したインタビューで、「結局のところ、核兵器を保有していないことが問題なのだ。核共有に参加する可能性は常にある」と述べた。
軍備管理不拡散センターによると、ドイツやベルギー、オランダ、イタリア、トルコなどのNATO加盟国は米国の核兵器を自国内に配備している。
マネーファクツ・グループによると、2年固定型の住宅ローン平均金利は5日に6.07%と、2008年11月以来の高水準に達した。5年固定型の平均金利も6%に迫った。6%となれば、10年2月以来の水準となる。
ブルームバーグ・エコノミクスが先週試算したところによると、この金利上昇で2年固定型住宅ローンの平均的な月当たり返済負担は1325ポンド(約21万7000円)に増加する。昨年は725ポンドでしかなかった。
米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業総合景況指数は前月から若干低下したものの、堅調な水準を維持した。業況と受注が底堅く推移した一方、仕入れ価格の指数は2021年1月以来の低水準となった。
雇用指数は前月の50.2から53に上昇し、6カ月ぶりの高水準。賃金上昇とインフレ高進に寄与してきたタイトな労働環境の緩和傾向を示した。
仕入れ価格指数は前月の71.5から68.7に低下。5カ月連続の低下と、コスト圧力の緩和が続いている状況を反映した。
受注残は4カ月ぶり低水準となり、サプライチェーンの正常化継続を示唆。在庫指数は昨年10月以来の低水準と、サービス業が在庫削減を進めている状況が示された。テベチ氏の得票率は4.16%。4日には約3%で4位だったゴメス元財務相もルラ氏を支持する考えを示しており、ルラ氏による多数派工作が奏功した形だ。
落選した大統領選の主要候補がルラ氏の支持に動いた一方で、南東部の主要州であるサンパウロ州やミナスジェライス州の知事はボルソナロ大統領への支持を表明している。
2日の1回目の投票ではルラ氏の得票率は約48%、ボルソナロ氏は約43%だった。決選投票は30日に予定している。有力調査会社Ipecが5日発表した世論調査ではルラ氏の支持率は51%、ボルソナロ氏は43%だった。
各種の節約策の動員で国内のエネルギー消費量の1割削減を目指す。
コロナ禍前から貧困人口の減少幅は年々縮小していた。20年の増加は脱貧困に向けた進捗が逆行したことを示す。世銀は30年度までに極度の貧困率を抑えるために「大幅な軌道修正が必要だ」と指摘し、国際的な協力の必要性を訴えた。
世銀のマルパス総裁は5日の声明で「脱貧困への歩みが国際的な経済成長の鈍化を受けて停滞している」と述べた。「高インフレや現地通貨安、そして多発する国際的な危機により我々の(30年度までに極度の貧困率を3%に抑える)目標達成が難航している」と懸念を示した。
コロナ禍による世界的な景気後退は中低所得国に大きな打撃を与えた。バイデン米大統領が9月、「パンデミック(世界的な流行)は終わった」と発言するなど先進国ではコロナ禍が収束しつつある。一方、過去20年で縮小を続けていた世界全体の所得格差は19~20年に、第2次世界大戦が終結して以来で最も拡大した。世銀は所得格差が各国内ではなく各国間でも拡大していると分析した。
米農務省などがつくる干ばつモニターによると、9月末時点で「極度の干ばつ」か「例外的に深刻な干ばつ」に直面しているカリフォルニア州の地域は40%以上にのぼる。こうした地域では農業用水や都市部の飲料水が不足するリスクがある。牧草地がほとんど残らなかったり火災が起きたりする危険性も高まる。
米農業局連盟(AFBF)が6~7月末にかけて実施した調査によると、干ばつに見舞われた15州にある650以上の農家のうち、74%が収穫量の減少を実感していると回答した。
干ばつは電力の安定供給にも影を落とす。コロラド川は西部ネバダ州やカリフォルニア州に水力で電力を供給している。干ばつで川の水位が低下し発電ができなくなる可能性がある。
トラス政権が成長プランの一環として公表した財源措置を伴わない大型経済対策が、中期的に財政赤字の著しい増大につながる恐れを理由に挙げた。
フィッチは「マクロ経済と財政への影響に関する独自の評価や補償措置を伴わず発表された大型財政出動、強いインフレ圧力の下での財政政策と金融政策スタンスの不一致は、金融市場の信頼と政策枠組みへの信認、主要な長期格付けの強さに悪影響を及ぼした」との見解を示した。
日本やインド、チェコなどの当局が自国通貨防衛のため外国為替市場で介入を行っているためだ。さらに、ドルが円やユーロなど他の準備通貨に対し20年以上目にすることのなかった高水準に上昇し、こうした通貨のドル建ての価値が目減りしたことも一因。
外貨準備高が急速に枯渇しつつある中銀も存在する。ブルームバーグの集計データによれば、パキスタンの外貨準備高は今年これまでに42%減って140億ドルとなり、3カ月分の輸入をカバーするにも不十分だ。
日経先物(大証)27322、ダウ先30428、債先148.81、米3.739、独2.0170、仏2.618、西3.205、伊4.452、波7.077、原油88.25、ドル円144.48、墨ペソ20.03、トルコリラ18.5891、墨CDS180
※10/6 9時20分頃
備忘録(10/4)
●中国・ロシア・東欧
人口統計学者の予測では、世界最多の中国の人口は2022年から減り始める。国の先行きに深い影響をもたらす転換点だ。
法案によると、2023年1月から4州の占領地域の通貨をロシアルーブルに切り替え、ウクライナの通貨フリブナは使用できなくなる。同年上半期に年金や社会・医療保険の基金を設立し、連邦行政機関の地方組織を設ける。各州の親ロ派武装組織はロシア軍に統合される。
●中東
サウジのサルマン国王は9月27日、閣僚評議会(内閣)を改造し、息子のムハンマド皇太子を首相に起用。弁護側は裁判所に提出した文書で米国が過去に他国の元首の免責を認めた事例を引用し、首相就任で「免責を受ける権利を持つことは疑いない」と述べた。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ドル高が航空会社の脆弱なバランスシートに新たな圧力を加えている。航空機の燃料から機体そのものに至るまで、あらゆるコストが押し上げられている。
2022年はドル高の波が押し寄せ、ポンドや円などの通貨が暴落している。主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す「ドル指数」は最近、20年ぶりの高値近辺で推移している。
●その他産業
ツイッターの関係者は裁判の即時停止を条件とする内容が法的な策略を示すものであるかどうかをなお疑っているという。
仮にマスク氏による買収手続きが前進するとしても、ツイッターとの間には強いわだかまりが残ったままだ。同社の従業員の間ではマスク氏を公然と批判する声もある。マスク氏の経営の下で働くことを不服とする従業員らが今後、大量離職する可能性もある。
●決算関連
●マクロ・その他
ペトロ氏はコロンビア初の左派大統領で、米国との2国間関係に変化が生じるかどうかに関心が集まっていた。会談ではコロンビア政府と左翼ゲリラの内戦が2016年に事実上終結したことを踏まえ、和平合意の履行プロセスに関しても意見交換した。
右派系の既存支配層による統治が常態化していたコロンビアは、歴史的に中南米で随一の親米国だった。元左翼ゲリラの経歴を持つペトロ氏は大統領就任後、反米左翼政権のベネズエラと国交を回復した。
気候変動や不法移民、麻薬対策などについて協議し、ブリンケン氏は会談後の共同記者会見で「大変建設的だった」と評価。今後も連携を深めていく姿勢を強調した。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は5日の閣僚級会合で大規模な減産を検討する。インフレに伴う各国中央銀行の金融引き締めで世界景気が後退に向かい、原油需要が落ち込むとの見方が強まるためだ。原油相場下落で中東産油国の財政は圧迫されつつあり、大幅減産への転換で需給と価格の安定を狙う。
政策金利を0.25%引き上げて2.6%にすると決定した。利上げは6会合連続だが、上げ幅は9月の0.5%から縮小した。中銀のロウ総裁は声明で「短期間で大幅に金利が上昇した」と指摘、「インフレと豪州の経済成長見通しを勘案した」と説明した。
今後については「さらなる利上げを予測している」と述べた。豪統計局によると、8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.8%上昇した。ガソリン価格の上昇率が鈍化したことなどで7月(7%)を下回ったが、中銀の政策目標(2~3%)を大きく上回る。
ロウ氏は「今後数カ月はさらなるインフレが見込まれる」との見通しを示した。そのうえで、インフレ率は2022年に7.75%、23年に4%強、24年に約3%になるとした。今後の不確実性として国内の個人消費に加え「最近悪化した世界経済の見通し」を挙げた。
クワーテング英財務相は英国債相場が先週急落した際、イングランド銀行(英中央銀行)に1000億ポンド(約16兆4000億円)の国債購入を承認していた。英中銀が発表した購入計画の規模よりも大きく、相場の急変動に対して当局者が大きく懸念していたことがうかがわれる。
英中銀は年金基金の問題が国債市場の広範な崩壊につながることを防ぐため、緊急に市場に介入。残存20年超の国債を総額で650億ポンド購入する用意があると示唆していた。
クワーテング財務相が議会財務委員会のストライド委員長に宛てた書簡によると、英中銀は介入開始に際して最大1000億ポンドの購入を承認するよう要請し、財務相はこれに同意した。この書簡は先週公表された。
英中銀は購入プログラムの開始時に、規模が最大で1000億ポンドになるとは説明していなかった。購入は中銀の資産購入ファシリティー(APF)を通じて行われ、APFの規模を拡大する場合には財務省が購入額の補償に動く必要がある。
シュローダーの「UKリアルエステート」ファンドは10月初めが期日の支払いを、最も遅い場合2023年7月まで延期した。これにより投資家への支払い額を確保する時間的余裕を得ると、同社がウェブサイトで説明。ブラックロックも同様の措置を取った。
数カ月にわたる市場の大きな変動で不動産へのエクスポージャーが過剰になった年金基金やその他の投資家が、現金など流動性の高い資産へとポートフォリオをリバランスしようとしている。政府が先月に財政計画を発表した後の英国債の売りも、問題を悪化させる見込みだ。
シュローダーは電子メールで、解約が請求されたのは先週の英国債急落の前だったが、年金基金の流動性問題を考慮するとこの傾向は強まる公算が大きいと説明。今回の決定は「十分な流動性の維持」に寄与すると広報担当者が述べた。約6000万ポンド(約99億円)の支払いを延期し、800万ポンドを月末に向けて支払うという。
4日の取引では、10年債の利回りが大きく低下。低下幅は30年債よりも一時18ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)大きくなり、これにより30年債利回りを8bp下回った。中銀の3日の購入額は2200万ポンド(約36億2000万円)にとどまった。先週の平均は12億ポンド前後だった。
逆イールドは英中銀が先週、残存20年超の国債を購入すると発表して以来続いており、一時は33bp逆転していた。
中銀は国債相場の急落加速を阻止するために介入に踏み切ったが、3日の購入額が少なかったことで、常に大量に購入するわけではないとの認識が投資家に広がった。4位だったシロ・ゴメス元財務相は4日、決選投票で左派のルラ元大統領を支持する意向を示した。ゴメス氏の得票率は3.04%。所属する中道左派の民主労働党(PDT)がルラ氏の支持を決めて、ゴメス氏も「党の決定に従う」との意向を示した。
ウィーンでの講演の準備原稿によると、エンリア氏は経済リスクを巡る「協議への真剣な関与にやや消極的な姿勢が銀行側に」あると指摘。そのような姿勢は受け入れられないとして、「ロシアのウクライナ侵攻は持続的かつ本格的なマクロ経済ショックに発展」しつつあり、監督当局は「細心の注意を払う」必要があると説明した。
その上で、資本計画の基礎となる前提として、「過去2年の異常に低いデフォルト(債務不履行)率が今後も続くとやみくもに想定しない」よう銀行に呼び掛けた。
ECBの利上げで収入が押し上げられ、ウニクレディトやコメルツ銀行など複数の欧州の銀行が今年の利益について上向きな見通しを示している。激しいインフレとエネルギー危機悪化で企業は廃業に追い込まれる恐れがあり、消費者は請求書の支払いが一段と困難になっているにもかかわらず、多くの銀行は貸倒引当金を現状維持としている。
ECB政策委員会メンバー、スペイン銀行(中銀)のデコス総裁も同日、銀行の引当金と資本計画について、エンリア委員長と同様に「細心の注意」との表現を用い、現状では株主への大規模還元にECBが難色を示す公算が大きいことを示唆した。
●市況
日経先物(大証)27115、ダウ先30275、債先148.99、米3.625、独1.8710、仏2.469、西3.045、伊4.168、波6.850、原油86.53、ドル円143.74、墨ペソ19.97、トルコリラ18.6111、墨CDS180
日経先物(大証)27115、ダウ先30275、債先148.99、米3.625、独1.8710、仏2.469、西3.045、伊4.168、波6.850、原油86.53、ドル円143.74、墨ペソ19.97、トルコリラ18.6111、墨CDS180
※10/5 9時25分頃
備忘録(10/3)
●中国・ロシア・東欧
10月16日に開幕する中国共産党大会で、「党主席」の肩書が復活するかに内外が注目している。習近平(シー・ジンピン)党総書記(国家主席)が就けば、「終身制」につながる可能性がある。過度の権力集中への懸念から党内で慎重論が強く、議論は最後までもつれそうだ。
●中東
サウジアラビアが率いるアラブ有志連合とイスラム教シーア派武装勢力フーシによるイエメン内戦の停戦が2日、期限切れを迎えた。仲介役の国連は停戦再開へ交渉を続ける構えだが、フーシはサウジの石油施設に対する攻撃の再開を示唆している。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
ICEデータ・サービシズによれば、クレディ・スイス債の5年間の保証コストを反映するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドは約293ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で過去最高に達し、年初の約55bpから大きく上昇した。株価は3日のチューリヒ株式市場で一時12%安となり上場来安値を更新した。年初来では約60%下落。
半導体不足が続くものの改善傾向にあり、販売台数の減少幅は4~6月の3割から縮小した。米ゼネラル・モーターズ(GM)は24%増と改善が目立った。
半導体が不足して生産が滞り、需要に見合う販売ができない状況は続いているが、足元で改善しているとの声が多い。ある日本メーカー幹部は「数カ月前よりはしっかり調達できるようになった」と話す。
トヨタの9月単月は前年同月比17%増とプラスに転じた。ホンダも4~8月はおおむね4~6割の減少幅だったのが9月は17%減に縮小した。
一方、GMが3日発表した7~9月の米国販売は約55万5000台で、前年同期比で24%増えた。プラスは5四半期ぶりで、半導体不足の緩和が寄与したという。7~9月の販売台数は首位を争うトヨタを2四半期連続で上回った。
実現すれば、英BTグループ傘下の最大手EEを上回る規模の携帯会社が誕生する。
ボーダフォンが、スリーの親会社である香港の複合企業、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)と交渉中であると認めた。ボーダフォンが新会社の株式の51%、CKハチソンが49%を持つ案が想定されている。英BBCによると、統合すれば顧客数は計2700万となり、最大手EEを上回る。
英国の携帯市場は最大手のEE、2位のO2と合わせた大手4社体制で、今回の統合が実現すれば3社体制になる。情報通信庁(オフコム)はこれまで事業者が減ることには反対の立場だったが、2月には「特定の合併が実質的な競争の減少につながるかどうかは競合企業の数よりもむしろ、合併後に市場で期待される競争の有効性にかかっている」と指摘するなど、態度を変化させている。
●決算関連
●マクロ・その他
欧州のエネルギー危機は来春で終わりそうもない点だ。米金融大手ゴールドマン・サックスがこのほど発表した予測では、23年夏のガス価格は1メガワット時(MWh)当たり235ユーロ前後と現在の水準を上回る見通しだ(編集注、天然ガス価格の指標であるオランダTTFの9月30日の11月渡しの取引の終値は、同188ユーロと8月のピーク時の半値近くに下がっている)。新型コロナウイルス禍前は同20ユーロ前後だった。
ドイツの電力先物価格は、22年10~12月物より23年10~12月物のほうが高くなっている。フランスは現在、国内の多くの原発が技術的な問題に見舞われ、保守点検や修理のために運転を停止している。政策担当者らは23年には運転を再開できると見込んでいるが、そのフランスでさえ本当に懸念しているのはこの冬ではなく23~24年にかけての冬だ、とあるエネルギー企業の経営者は漏らす。
ガス価格が高止まりしそうな理由は複数ある。もしこの冬が厳冬になれば、欧州のガス貯蔵施設は23年3月までにほぼ底を突く。
今年は、ロシアが西側諸国による制裁を受けてこの夏に供給を停止するまで、ロシアからのガスによってガス在庫を積み増すことができた。ロシアが23年に供給を再開しない限り、欧州は貯蔵施設にガスを補充するにはロシア以外の代替供給源を確保しなければならない。
9月26日と27日にロシア産天然ガスを欧州に供給する海底パイプライン「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」に損傷がみつかった(おそらくロシアによる破壊工作があったと思われる)ことも、来年の需給が逼迫しそうな理由の一つだ。また、大手ガス供給国であるノルウェーの複数のガス施設が点検のために停止が長引いていることも需給が逼迫する一因となっている。
明るい材料は、輸入ガスの処理能力が高まりつつある点だ。オランダ北東部のエームスハーベン港に新設した浮体式の液化天然ガス(LNG)ターミナルがこのほど稼働を開始したのに加え、ドイツも年内に2つのLNGターミナルが新たに稼働する。
また、完成が待ち望まれてきたノルウェーからデンマーク経由でポーランドにガスを運ぶパイプラインも10月に稼働を開始する。同パイプラインは、将来的には年間最大100億立方メートルを輸送できるようになる見込みだ。
ポーランドはすでにドイツへの電力輸出を制限している。表向きは自国の電力の安定供給のためとしているが、実際には国内電力料金の抑制と石炭の過剰消費を避けるのが狙いだ。スウェーデン政府も、電力価格の高騰を防ぐため電力輸出を減らすよう国民から圧力を受けている。
ティッシュペーパーなど家庭紙の原料となる北米産パルプの日本向け輸出価格が、10カ月ぶりに下落した。世界最大のパルプ輸入国である中国の需要の落ち込みが影響した。中国はゼロコロナ政策による景気不振で紙の需要が減少。工場の操業率が低下し、パルプの需給が緩んだ。円安の進行が一服すれば需給の緩みを反映し、輸入コストの先安観が強まりそうだ。
減税策全体の規模は年450億ポンド(7.3兆円)だが、撤回する高所得者向け減税の財政負担は数十億ポンドほどにすぎない。トラス政権の経済対策に対する市場の懸念が払拭されるかどうかは不透明だ。
撤回するのは、年収15万ポンドを超える部分にかかる所得税率を45%から40%に引き下げる計画だ。物価高に苦しむ一般市民からの「金持ち優遇」との批判は強く、与党・保守党の閣僚経験者の下院議員が採決で反対する可能性を示唆していた
トラス政権は9月6日に発足した。クワーテング氏が23日に発表した対策は大規模な減税策だけでなく、向こう半年で600億ポンドを投じる企業・家計向けの光熱費高騰対策も盛り込んでいる。政府は当面、国債発行で財源を賄う方針で、現段階では中期的な財源確保の計画も示していない。
英国の鉄鋼2位ブリティッシュ・スチールの親会社である中国の鉄鋼メーカー敬業集団が英政府に対し、最大5億ポンド(約800億円)に上る救済支援を要請した。東部リンカンシャーにある大規模製鉄所で数千人の雇用が失われる恐れが再燃し、英国最後の高炉の一部が閉鎖される可能性が高まっている。
された大統領選挙で、当選に必要な有効投票の50%超の票を獲得した候補者はいなかった。左派のルラ元大統領(76)と右派の現職ボルソナロ大統領(67)が30日の決選投票に進む。両候補の得票率はともに4割強で拮抗しており、決選投票も激しい争いとなりそうだ。
選管当局の発表(開票率99%強)によると、ルラ氏の支持率は48.42%、ボルソナロ氏は43.20%となった。
事前の世論調査では10~15%ほどルラ氏がボルソナロ氏を上回っているとの結果が多かった。ボルソナロ氏は過激な言動で知られるだけに、調査で支持を表明するのをためらった有権者もいたとみられる。
不動産関連の持ち株会社ブラック・ナイトが3日発表したリポートによると、8月の中央価格は前月比0.98%下落。7月は同1.05%下落だった。この2カ月の値下がりは09年1月以来で最大。
ブラック・ナイト・データ・アンド・アナリティクスのベン・グラボスキ社長は「2年余りにわたる記録的な値上がりは、2カ月連続での大幅な下落に転じた」と指摘した。
住宅ローン金利の急上昇で国民の住宅取得能力は1980年代以来の低さとなっている。米金融当局のインフレ抑制政策は、不動産ブームを急速に冷ました。
住宅価格は前月比で下落しているものの、ブームさなかの前年同月に比べてはまだ大幅に高く、8月の価格は前年同月を12.1%上回っていた。
8月に最も大きい調整が入ったのはカリフォルニア州サンノゼで、今年のピークから13%下げた。次がサンフランシスコで11%、シアトルが9.9%下落したという。
急速に冷え込み始めた市場から距離を置くようになったのは、買い手だけではない。住宅を売ろうとしていた人も金利が倍に跳ね上がったことで、過去最低水準にある現契約金利を手放したくなくなっている。住宅在庫は5月から7月にかけて増加したが、8月になって失速しているとブラック・ナイトは指摘した。
高価なProモデルの需要が高い限り、アップルはほとんど何も心配する必要がない。米国では昨年から値上げをしなかったが、最も高額なモデルの需要が特に高ければ、大幅な増収を記録するだろう。
望ましい兆候が見られる。売上高の4分の1近くが経常収入をもたらすサブスクリクション(定額課金型)のサービスによるものだ。
問題は海外の売上高がドルに換算されたときにどうなるかだ。アップルウオッチャーはスマホの需要動向よりドル高を気にする必要がある。
9月の米製造業景況感指数は50.9と前月から1.9ポイント低下。市場予想(52.2)を下回った。
新規受注の指数は47.1と前月から4.2ポイント低下した。家具製品、木材製品などの業種で受注悪化が目立つ。米国の住宅販売が急減したあおりを受けた。
雇用指数は48.7と5.5ポイント低下した。機械や食品関連では引き続き人手不足感が強いものの、印刷業や紙製品、木材製品などの業界では余剰感が出始めた。新規採用を取りやめ引退や自発的辞職を通じて人員数を減らす企業が増えているという。
一方、米経済の足かせとなっていたサプライチェーンの目詰まりが解消に向かっている様子も見られた。受注残の指数は50.9と前月比2.1ポイント低下したほか、サプライヤーの納期に関する指数も52.4と同2.7ポイント低下した。
経済の減速傾向は世界全体に共通する。3日発表のJPモルガンとS&Pグローバルが算出する世界の製造業購買担当者景気指数(PMI)は9月に49.8と前月比0.5ポイント低下した。好不況の境目50を割り込むのは20年6月以来となった。
JPモルガンのグローバル・エコノミスト、ベネット・パリッシュ氏は「世界の工業生産活動が後退期に差し掛かっている」と指摘した。国別では、中国やドイツ、日本などの指数が低下した。
●市況
※10/4 9時45分頃
備忘録(9/30-10/2)
●中国・ロシア・東欧
習近平氏、異例の3期目へ 中国共産党大会16日開幕
中国の権力体制を固める第20回共産党大会が10月16日から開かれる。3期目を確実にしようとしている習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が米国との対立をにらみどのような布陣を敷くのか。注目点を紹介する。
[FT]習近平氏、中国軍トップを継続へ 16日に共産党大会
中国の製造業景況感3カ月ぶり50超え 9月、電力不足緩和
2022年9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1だった。8月より0.7ポイント改善し、好調・不調の境目である50を3カ月ぶりに上回った。8月の工場稼働を抑制した電力不足が和らぎ、生産が持ち直した。
内訳をみると、柱の生産は8月より1.7ポイント高い51.5だった。3カ月ぶりに節目の50を上回った。一方、新規受注は49.8となった。0.6ポイント改善したが、3カ月連続で50を割り込んだ。需要の回復がもたついている。
企業の規模別でみると、いずれも8月から改善したが、中堅企業と中小零細企業はなお50を下回ったままだ。
同時に発表した9月の非製造業のビジネス活動指数は50.6だった。境目の50は超えたが、8月から2.0ポイント低下した。
新型コロナウイルスのまん延を防ぐ移動制限の厳格化で、外食や宿泊などサービス業が4カ月ぶりに節目の50を割り込んだ。一方、建設業は60.2で、21年8月以来の高さとなった。地方政府によるインフラ投資の加速が建設業の景況感を押し上げた。
ウクライナ、NATO加盟を正式申請-戦時中の承認は困難か
NATOのストルテンベルグ事務総長は30日遅く、ブリュッセルで記者団に対し、欧州の全ての民主的な国に対して門戸をなお開いていると発言。ウクライナには自身の将来を選択する権利があるとしたが、現在はウクライナ政府への支援に注力していると述べた。
ウクライナが現在、ロシアと緊張状態にあることから、加盟手続きを進めることさえ、NATOが合意しない可能性もある。ロシアのプーチン大統領はNATO拡大がロシアの脅威になっていると繰り返し主張している。
プーチン氏、ウクライナ領の併合文書に署名-「恒久的」と主張
プーチン氏はロシア大統領府で開いた併合式典で、4州に住む市民は「恒久的にロシア市民になる」と宣言。併合した領土についてウクライナと交渉はしないが、ウクライナは戦闘をやめて交渉を始めるべきだと主張した。
ロシアの併合は違法だとして、国連や多くの国が糾弾している。ウクライナのゼレンスキー大統領は反攻を進めると表明し、対話は「このロシア大統領とでは不可能だ」と述べた。
演説の前にペスコフ大統領府報道官は、核戦争へのエスカレートに言及するのは「無責任」だとし、併合した領土が攻撃を受けた場合にロシアの軍事ドクトリンで定める核兵器使用の条件を満たすのかについて回答を避けた。
プーチン氏が併合を主張する領土は、ウクライナ国土の約15%に当たる。エストニアのカラス首相は「これはオーストリアとベルギーを合わせた土地、またはデンマークとベルギー、オランダを合わせた広さに相当する。ドイツ国土の30%だ」と指摘。「ロシアは欧州の地図を書き換えようとしている」と述べた。
●中東
[FT]サウジ皇太子の巨大ファンド、初の起債へ情報開示
サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は初の債券発行に向けて財務内容を初めて開示した。2021年の株主収益率が25%だったことが明らかになった。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
オピオイド薬禍、米社会に影 10万人犠牲で損失1兆ドル
米国で麻薬鎮痛剤「オピオイド」乱用による死者の増加が止まらない。2021年の犠牲者は約10万人に達し、過去の薬物問題をはるかに上回る。当初は処方薬による被害が広がり、処方規制後は致死性の高い違法オピオイドが麻薬としてまん延する悪循環に陥った。命を守るには医療的支援が欠かせないが、米社会の偏見や価値観が対応を遅らせている。
●その他産業
インテル傘下モービルアイ、IPOを申請-4.3兆円規模目指す
米インテル傘下で運転支援のための画像処理半導体や自動運転技術を手掛けるモービルアイ・グローバルは9月30日、米ナスダック市場での新規株式公開(IPO)を申請した。
米証券取引委員会(SEC)への届け出によれば、IPO実施後もインテルがモービルアイの経営権を引き続き掌握する。IPOの条件は開示していない。
インテルは当初の希望を下回る最大300億ドル(約4兆3400億円)のIPO規模を想定しているとブルームバーグ・ニュースが今月伝えた。
●決算関連
●マクロ・その他
貿易保険、最低格付け国が最多 コロナや侵攻リスク映す
国際的なビジネスのリスクが高まっている実態が浮き彫りになっている。
NEXIは相手国・地域を信用度の高い順に、AからHまで8段階で格付けしている。現在、格付けする225の国・地域のうち、73カ国・地域が最もリスクの高いH評価になった。NEXIが株式会社となった2017年以降では過去最多だ。
19年10月時点と比較すると、12カ国が北朝鮮やパキスタンと同じHに引き下げられた。ウクライナに侵攻したロシアと友好国のベラルーシも含まれる。各国が発動した経済制裁でデフォルト(債務不履行)の可能性が高まったためだ。
モンゴルやトルクメニスタン、エクアドル、モルディブもこの2年間ほどで評価を落とし、直近では7月にチュニジアとケニアも最低レベルとなった。コロナ禍の影響で経済の成長率が低下し、財政や国際収支が悪化したことなどが要因となった。コロナ対策の財政出動で債務が膨らんだことも新興・途上国に影響した。
世界的な食料不足やエネルギー価格高騰が長引けば今後も途上国向けの保険の格付けが上がらず、日本企業などからの投資が滞って経済成長の足をさらに引っ張りかねない。
信用評価は「カントリーリスク」とも呼ばれ、経済協力開発機構(OECD)の専門家会合が基準を作っている。国ごとの債務支払い状況や経済・金融情勢などの要素から評価する。
日本貿易保険のような各国の政府系の輸出信用機関がOECDで決めた基準に基づき相手国・地域の信用度を格付けしており、世界で貿易保険の格付けは全体的に下がる傾向にある。
FRB副議長「金融の脆弱性に注意」 世界的な引き締めで
物価の先行きを巡っては、ウクライナ危機や中国の厳格な新型コロナウイルス対策などで生じている供給制約が「長期化したり一段と悪化したりするリスクがある」と指摘。「需要を抑える金融引き締めの効果が各部門に浸透し、インフレを抑制するまで時間がかかる」とも述べ、「しばらくは引き締め的な金融政策が必要だ」と語った。「時期尚早な(緩和方向への)転換は避ける」姿勢も改めて訴えた。
一方、米国だけでなく世界で金融引き締めが進む状況を踏まえ「国境を越えた政策の波及効果が金融の脆弱性にどのように作用するかを考慮することも重要だ」と語った。例えば急速な米利上げを背景に進んだドル高が米国の輸入物価を抑制する半面、他国では通貨安によるインフレ圧力が高まり追加的な引き締めを迫られる可能性があることに触れた。
「政府や企業の債務が積み上がっている国では金利上昇で債務の返済負担が増し、通貨安も重なることで債務の持続可能性に対する懸念が高まる」と警鐘を鳴らした。新興国では債券価格の下落や投資家の需要減退で資本流出の圧力が強まり、ドル建ての資産よりも債務が多い国は特に厳しい状況に追い込まれるとも指摘した。
FRBの政策の討議では、米国の動きが世界の金融システムに与える影響や、海外の動きが米経済見通しと金融システム面のリスクにどう影響するかも分析しているという。「各国の金融政策担当者と頻繁かつ透明性のあるコミュニケーションを取っている」とも語り、政策運営でリスクに広く目配りする姿勢を強調した。
英与党、経済混乱で支持率21%に急落 トラス政権正念場
英国のトラス新政権の経済対策を巡る市場の混乱を受け、与党・保守党の支持率が急落している。英調査会社ユーガブが29日発表した世論調査では、保守党の支持率は21%にとどまった。最大野党・労働党は54%で、同党のリードは33ポイントとなり、1990年代後半以降で最大に広がった。
インド中銀0.5%利上げ 22年度GDP予想は下方修正
政策金利(レポ金利)を0.5%引き上げて5.9%にすると発表した。利上げは4会合連続。インドでは中銀の許容上限を超える物価上昇が続いており、インフレ抑制に向けて一段の引き締めを決めた。2022年度(22年4月~23年3月)の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しは下方修正した。
インドの消費者物価指数(CPI)上昇率は直近、インド中銀が中期目標として定める2~6%を超える水準で推移している。8月の速報値は前年同月比7%だった。インド中銀は22年度のインフレ率について従来予想の6.7%を維持しつつ、ウクライナ危機など地政学上の状況を踏まえ「見通しは不確実性をはらんでいる」と声明で指摘した。
インド中銀のダス総裁は30日の演説で「厳しい世界情勢のなかでも、インドの経済活動は安定している」と述べた。一方で地政学的な緊張や世界的な金融引き締め動向が「成長の下振れリスクになり得る」と指摘し、これまで7.2%としていた22年度のGDP成長率の予想を7%に引き下げた。
ラトビア総選挙、対ロシア強硬の現政権続投へ
一院制議会(定数100)の総選挙が実施された。選挙管理委員会の開票率91%時点の発表によると中道右派の連立政権を率いるカリンシュ首相の「新統一」が約19%の得票を得て第1党に躍進し、同首相が続投する見通しとなった。ウクライナ侵攻を続けるロシアへの強硬姿勢が評価されたとみられる。
米住宅市場、金利上昇で販売急減 23年に価格下落も
米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)の最新の予測では、2023年の住宅販売は12年ぶりの低水準に落ち込む。新型コロナウイルス下で大幅に上がった価格も11年ぶりに下落に転じる見通しだ。カネ余りが追い風となってきた米住宅市場は転機を迎えつつある。
市場揺らした「英中銀ショック」って何?
世界の債券・株の価値、44兆ドル減 4~9月で減少幅最大
トルコを格下げ、極端な緩和政策でさらに深いジャンク級に-S&P
格付けは「B+」から「B」に引き下げられ、モンゴルやエジプトと並んだ。格付け見通しは「安定的」。
S&Pは30日の米株式市場引け後に発表した声明で、トルコが来年の総選挙や大統領選挙を控えて金融の安定より成長を優先していると指摘。「極めて緩和的な財政および金融の環境は、世界的な金融環境の引き締まりを背景に、価値を保存する手段としての通貨リラの信認を一段と損なうリスクがある」と説明した。
英国の格付け見通しネガティブに変更、格付けは据え置き-S&P
英国の長期外貨建ておよび自国通貨建てソブリン格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に変更したと発表した。格付け自体は「AA」に据え置いた。財政健全性へのリスクが今後2年で高まるとの見通しを理由に挙げた。
S&Pはトラス英政権が示した大型減税を柱とする補正予算案について、政府の借り入れコストを押し上げるだけでなく、8月時点で前年同月比9.9%と高止まりする物価上昇を抑制する取り組みを難しくし、財政不均衡を著しく拡大させる危険があるとの認識を示した。
S&Pは「ネガティブな格付け見通しは、英国の財政状況へのリスクが今後2年で増大するという当社の見解を主に反映している」と説明した。
英政府の大型減税案は財政不安を招き、ポンドの対ドル相場が一時過去最安値を更新したほか、英国債利回りも急上昇した。英国債相場のクラッシュ(暴落)を防ぐため、イングランド銀行(英中央銀行)は長期国債を無制限に買い入れる市場介入に踏み切らざるを得なくなった。
OPECプラス、日量100万バレル超の減産を検討へ-参加国代表
減産を予想より大幅な規模で検討しているのは、各国で加速する金融引き締めを背景にした世界経済の急減速への懸念の大きさを映している。ドル高も価格を圧迫している。減産規模は閣僚級会合まで最終決定されないと代表らは話した。
OPEC事務局は1日の声明で、OPECプラスがウィーンにあるOPEC本部で閣僚級会合を5日に開く予定を明らかにした。OPECプラスは毎月オンライン会合を開いてきたが、対面会合の開催は少なくとも今年末までは想定されていなかった。
JPモルガン・チェースを含む金融機関は、OPECプラスが原油価格安定のため少なくとも日量50万バレルの減産が必要になりそうだと予想。RBCキャピタル・マーケッツのチーフ商品ストラテジスト、ヘリマ・クロフト氏は、同量の2回の減産を決めることもあり得ると述べていた。
ガスプロムがイタリア向けガス供給停止-欧州エネルギー危機悪化
ロシア国営の天然ガス企業ガスプロムは1日、イタリア向けのガス供給を停止した。オーストリアの9月末の規制変更を巡る問題を理由とする。欧州のエネルギー危機はエスカレートした。
供給停止の対象はイタリアだけのもよう。イタリアはオーストリアを通るパイプライン経由でガスプロムから供給を受けている。オーストリアにロシア産ガスを輸入するOMVの広報担当によれば、ロシア産ガスの配分は最近よりも多かったという。
イタリアはロシア産ガスの依存を減らしているものの、ロシアのプーチン大統領が欧州大陸へのエネルギー供給を遮断する動きに対して欧州諸国がいかに脆弱(ぜいじゃく)かを1日の供給停止は浮き彫りにした。これに先立ち、欧州向けの主要パイプライン「ノルドストリーム」で大規模なガス漏れが発生し、一部の国は「破壊工作」だと非難している。
ガスプロムはイタリアのガス購入者と問題解決に向けて協議中だと説明。イタリアのエネルギー会社ENIは供給停止を確認し、ガスプロムと連絡を取っていることを明らかにした。
オーストリアのエネルギー省は、年度初めに通常行う技術的ルール調整を反映した契約上の変更をガスプロムが承認していないと説明。同国政府は技術面でこの問題に取り組んでいるとしている。
トラス英首相、大型減税計画を堅持へ-有権者の不満の高まりでも
英国のトラス首相と与党保守党に対して有権者の不満が高まっていると世論調査が示している中でも、トラス首相は財政計画全てを堅持する意向を明らかにした。
トラス首相は1日遅くに報じられた英紙テレグラフとのインタビューで、英国には変化が必要だと述べ、大型減税が国のさらなる成功につながるとの考えから同計画をやり抜く決意だと語った。
英日曜紙オブザーバーの最新世論調査では、英国の有権者の約4分の3がトラス首相とクワーテング財務相が英経済を「制御できなくなった」と回答した。
オブザーバーによれば、保守党党大会を前に、最大野党の労働党は支持率で保守党に対するリードを19ポイントに拡大。トラス氏の支持率は現在、「パーティーゲート」疑惑のさなかにあったジョンソン前首相の支持率さえ下回っていると同紙は付け加えた。
●市況
日経先物(大証)25940、ダウ先28801、債先148.56、米3.829、独2.1145、仏2.730、西3.286、伊4.503、波7.115、原油79.74、ドル円144.79、墨ペソ20.15、トルコリラ18.5020、墨CDS188
※9/30NY引け値
●中国・ロシア・東欧
習近平氏、異例の3期目へ 中国共産党大会16日開幕
中国の権力体制を固める第20回共産党大会が10月16日から開かれる。3期目を確実にしようとしている習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が米国との対立をにらみどのような布陣を敷くのか。注目点を紹介する。
[FT]習近平氏、中国軍トップを継続へ 16日に共産党大会
中国の製造業景況感3カ月ぶり50超え 9月、電力不足緩和
2022年9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1だった。8月より0.7ポイント改善し、好調・不調の境目である50を3カ月ぶりに上回った。8月の工場稼働を抑制した電力不足が和らぎ、生産が持ち直した。
内訳をみると、柱の生産は8月より1.7ポイント高い51.5だった。3カ月ぶりに節目の50を上回った。一方、新規受注は49.8となった。0.6ポイント改善したが、3カ月連続で50を割り込んだ。需要の回復がもたついている。
企業の規模別でみると、いずれも8月から改善したが、中堅企業と中小零細企業はなお50を下回ったままだ。
同時に発表した9月の非製造業のビジネス活動指数は50.6だった。境目の50は超えたが、8月から2.0ポイント低下した。
新型コロナウイルスのまん延を防ぐ移動制限の厳格化で、外食や宿泊などサービス業が4カ月ぶりに節目の50を割り込んだ。一方、建設業は60.2で、21年8月以来の高さとなった。地方政府によるインフラ投資の加速が建設業の景況感を押し上げた。
ウクライナ、NATO加盟を正式申請-戦時中の承認は困難か
NATOのストルテンベルグ事務総長は30日遅く、ブリュッセルで記者団に対し、欧州の全ての民主的な国に対して門戸をなお開いていると発言。ウクライナには自身の将来を選択する権利があるとしたが、現在はウクライナ政府への支援に注力していると述べた。
ウクライナが現在、ロシアと緊張状態にあることから、加盟手続きを進めることさえ、NATOが合意しない可能性もある。ロシアのプーチン大統領はNATO拡大がロシアの脅威になっていると繰り返し主張している。
プーチン氏、ウクライナ領の併合文書に署名-「恒久的」と主張
プーチン氏はロシア大統領府で開いた併合式典で、4州に住む市民は「恒久的にロシア市民になる」と宣言。併合した領土についてウクライナと交渉はしないが、ウクライナは戦闘をやめて交渉を始めるべきだと主張した。
ロシアの併合は違法だとして、国連や多くの国が糾弾している。ウクライナのゼレンスキー大統領は反攻を進めると表明し、対話は「このロシア大統領とでは不可能だ」と述べた。
演説の前にペスコフ大統領府報道官は、核戦争へのエスカレートに言及するのは「無責任」だとし、併合した領土が攻撃を受けた場合にロシアの軍事ドクトリンで定める核兵器使用の条件を満たすのかについて回答を避けた。
プーチン氏が併合を主張する領土は、ウクライナ国土の約15%に当たる。エストニアのカラス首相は「これはオーストリアとベルギーを合わせた土地、またはデンマークとベルギー、オランダを合わせた広さに相当する。ドイツ国土の30%だ」と指摘。「ロシアは欧州の地図を書き換えようとしている」と述べた。
●中東
[FT]サウジ皇太子の巨大ファンド、初の起債へ情報開示
サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は初の債券発行に向けて財務内容を初めて開示した。2021年の株主収益率が25%だったことが明らかになった。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
オピオイド薬禍、米社会に影 10万人犠牲で損失1兆ドル
米国で麻薬鎮痛剤「オピオイド」乱用による死者の増加が止まらない。2021年の犠牲者は約10万人に達し、過去の薬物問題をはるかに上回る。当初は処方薬による被害が広がり、処方規制後は致死性の高い違法オピオイドが麻薬としてまん延する悪循環に陥った。命を守るには医療的支援が欠かせないが、米社会の偏見や価値観が対応を遅らせている。
●その他産業
インテル傘下モービルアイ、IPOを申請-4.3兆円規模目指す
米インテル傘下で運転支援のための画像処理半導体や自動運転技術を手掛けるモービルアイ・グローバルは9月30日、米ナスダック市場での新規株式公開(IPO)を申請した。
米証券取引委員会(SEC)への届け出によれば、IPO実施後もインテルがモービルアイの経営権を引き続き掌握する。IPOの条件は開示していない。
インテルは当初の希望を下回る最大300億ドル(約4兆3400億円)のIPO規模を想定しているとブルームバーグ・ニュースが今月伝えた。
●決算関連
●マクロ・その他
貿易保険、最低格付け国が最多 コロナや侵攻リスク映す
国際的なビジネスのリスクが高まっている実態が浮き彫りになっている。
NEXIは相手国・地域を信用度の高い順に、AからHまで8段階で格付けしている。現在、格付けする225の国・地域のうち、73カ国・地域が最もリスクの高いH評価になった。NEXIが株式会社となった2017年以降では過去最多だ。
19年10月時点と比較すると、12カ国が北朝鮮やパキスタンと同じHに引き下げられた。ウクライナに侵攻したロシアと友好国のベラルーシも含まれる。各国が発動した経済制裁でデフォルト(債務不履行)の可能性が高まったためだ。
モンゴルやトルクメニスタン、エクアドル、モルディブもこの2年間ほどで評価を落とし、直近では7月にチュニジアとケニアも最低レベルとなった。コロナ禍の影響で経済の成長率が低下し、財政や国際収支が悪化したことなどが要因となった。コロナ対策の財政出動で債務が膨らんだことも新興・途上国に影響した。
世界的な食料不足やエネルギー価格高騰が長引けば今後も途上国向けの保険の格付けが上がらず、日本企業などからの投資が滞って経済成長の足をさらに引っ張りかねない。
信用評価は「カントリーリスク」とも呼ばれ、経済協力開発機構(OECD)の専門家会合が基準を作っている。国ごとの債務支払い状況や経済・金融情勢などの要素から評価する。
日本貿易保険のような各国の政府系の輸出信用機関がOECDで決めた基準に基づき相手国・地域の信用度を格付けしており、世界で貿易保険の格付けは全体的に下がる傾向にある。
FRB副議長「金融の脆弱性に注意」 世界的な引き締めで
物価の先行きを巡っては、ウクライナ危機や中国の厳格な新型コロナウイルス対策などで生じている供給制約が「長期化したり一段と悪化したりするリスクがある」と指摘。「需要を抑える金融引き締めの効果が各部門に浸透し、インフレを抑制するまで時間がかかる」とも述べ、「しばらくは引き締め的な金融政策が必要だ」と語った。「時期尚早な(緩和方向への)転換は避ける」姿勢も改めて訴えた。
一方、米国だけでなく世界で金融引き締めが進む状況を踏まえ「国境を越えた政策の波及効果が金融の脆弱性にどのように作用するかを考慮することも重要だ」と語った。例えば急速な米利上げを背景に進んだドル高が米国の輸入物価を抑制する半面、他国では通貨安によるインフレ圧力が高まり追加的な引き締めを迫られる可能性があることに触れた。
「政府や企業の債務が積み上がっている国では金利上昇で債務の返済負担が増し、通貨安も重なることで債務の持続可能性に対する懸念が高まる」と警鐘を鳴らした。新興国では債券価格の下落や投資家の需要減退で資本流出の圧力が強まり、ドル建ての資産よりも債務が多い国は特に厳しい状況に追い込まれるとも指摘した。
FRBの政策の討議では、米国の動きが世界の金融システムに与える影響や、海外の動きが米経済見通しと金融システム面のリスクにどう影響するかも分析しているという。「各国の金融政策担当者と頻繁かつ透明性のあるコミュニケーションを取っている」とも語り、政策運営でリスクに広く目配りする姿勢を強調した。
英与党、経済混乱で支持率21%に急落 トラス政権正念場
英国のトラス新政権の経済対策を巡る市場の混乱を受け、与党・保守党の支持率が急落している。英調査会社ユーガブが29日発表した世論調査では、保守党の支持率は21%にとどまった。最大野党・労働党は54%で、同党のリードは33ポイントとなり、1990年代後半以降で最大に広がった。
インド中銀0.5%利上げ 22年度GDP予想は下方修正
政策金利(レポ金利)を0.5%引き上げて5.9%にすると発表した。利上げは4会合連続。インドでは中銀の許容上限を超える物価上昇が続いており、インフレ抑制に向けて一段の引き締めを決めた。2022年度(22年4月~23年3月)の実質国内総生産(GDP)成長率の見通しは下方修正した。
インドの消費者物価指数(CPI)上昇率は直近、インド中銀が中期目標として定める2~6%を超える水準で推移している。8月の速報値は前年同月比7%だった。インド中銀は22年度のインフレ率について従来予想の6.7%を維持しつつ、ウクライナ危機など地政学上の状況を踏まえ「見通しは不確実性をはらんでいる」と声明で指摘した。
インド中銀のダス総裁は30日の演説で「厳しい世界情勢のなかでも、インドの経済活動は安定している」と述べた。一方で地政学的な緊張や世界的な金融引き締め動向が「成長の下振れリスクになり得る」と指摘し、これまで7.2%としていた22年度のGDP成長率の予想を7%に引き下げた。
ラトビア総選挙、対ロシア強硬の現政権続投へ
一院制議会(定数100)の総選挙が実施された。選挙管理委員会の開票率91%時点の発表によると中道右派の連立政権を率いるカリンシュ首相の「新統一」が約19%の得票を得て第1党に躍進し、同首相が続投する見通しとなった。ウクライナ侵攻を続けるロシアへの強硬姿勢が評価されたとみられる。
米住宅市場、金利上昇で販売急減 23年に価格下落も
米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)の最新の予測では、2023年の住宅販売は12年ぶりの低水準に落ち込む。新型コロナウイルス下で大幅に上がった価格も11年ぶりに下落に転じる見通しだ。カネ余りが追い風となってきた米住宅市場は転機を迎えつつある。
市場揺らした「英中銀ショック」って何?
世界の債券・株の価値、44兆ドル減 4~9月で減少幅最大
トルコを格下げ、極端な緩和政策でさらに深いジャンク級に-S&P
格付けは「B+」から「B」に引き下げられ、モンゴルやエジプトと並んだ。格付け見通しは「安定的」。
S&Pは30日の米株式市場引け後に発表した声明で、トルコが来年の総選挙や大統領選挙を控えて金融の安定より成長を優先していると指摘。「極めて緩和的な財政および金融の環境は、世界的な金融環境の引き締まりを背景に、価値を保存する手段としての通貨リラの信認を一段と損なうリスクがある」と説明した。
英国の格付け見通しネガティブに変更、格付けは据え置き-S&P
英国の長期外貨建ておよび自国通貨建てソブリン格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に変更したと発表した。格付け自体は「AA」に据え置いた。財政健全性へのリスクが今後2年で高まるとの見通しを理由に挙げた。
S&Pはトラス英政権が示した大型減税を柱とする補正予算案について、政府の借り入れコストを押し上げるだけでなく、8月時点で前年同月比9.9%と高止まりする物価上昇を抑制する取り組みを難しくし、財政不均衡を著しく拡大させる危険があるとの認識を示した。
S&Pは「ネガティブな格付け見通しは、英国の財政状況へのリスクが今後2年で増大するという当社の見解を主に反映している」と説明した。
英政府の大型減税案は財政不安を招き、ポンドの対ドル相場が一時過去最安値を更新したほか、英国債利回りも急上昇した。英国債相場のクラッシュ(暴落)を防ぐため、イングランド銀行(英中央銀行)は長期国債を無制限に買い入れる市場介入に踏み切らざるを得なくなった。
OPECプラス、日量100万バレル超の減産を検討へ-参加国代表
減産を予想より大幅な規模で検討しているのは、各国で加速する金融引き締めを背景にした世界経済の急減速への懸念の大きさを映している。ドル高も価格を圧迫している。減産規模は閣僚級会合まで最終決定されないと代表らは話した。
OPEC事務局は1日の声明で、OPECプラスがウィーンにあるOPEC本部で閣僚級会合を5日に開く予定を明らかにした。OPECプラスは毎月オンライン会合を開いてきたが、対面会合の開催は少なくとも今年末までは想定されていなかった。
JPモルガン・チェースを含む金融機関は、OPECプラスが原油価格安定のため少なくとも日量50万バレルの減産が必要になりそうだと予想。RBCキャピタル・マーケッツのチーフ商品ストラテジスト、ヘリマ・クロフト氏は、同量の2回の減産を決めることもあり得ると述べていた。
ガスプロムがイタリア向けガス供給停止-欧州エネルギー危機悪化
ロシア国営の天然ガス企業ガスプロムは1日、イタリア向けのガス供給を停止した。オーストリアの9月末の規制変更を巡る問題を理由とする。欧州のエネルギー危機はエスカレートした。
供給停止の対象はイタリアだけのもよう。イタリアはオーストリアを通るパイプライン経由でガスプロムから供給を受けている。オーストリアにロシア産ガスを輸入するOMVの広報担当によれば、ロシア産ガスの配分は最近よりも多かったという。
イタリアはロシア産ガスの依存を減らしているものの、ロシアのプーチン大統領が欧州大陸へのエネルギー供給を遮断する動きに対して欧州諸国がいかに脆弱(ぜいじゃく)かを1日の供給停止は浮き彫りにした。これに先立ち、欧州向けの主要パイプライン「ノルドストリーム」で大規模なガス漏れが発生し、一部の国は「破壊工作」だと非難している。
ガスプロムはイタリアのガス購入者と問題解決に向けて協議中だと説明。イタリアのエネルギー会社ENIは供給停止を確認し、ガスプロムと連絡を取っていることを明らかにした。
オーストリアのエネルギー省は、年度初めに通常行う技術的ルール調整を反映した契約上の変更をガスプロムが承認していないと説明。同国政府は技術面でこの問題に取り組んでいるとしている。
トラス英首相、大型減税計画を堅持へ-有権者の不満の高まりでも
英国のトラス首相と与党保守党に対して有権者の不満が高まっていると世論調査が示している中でも、トラス首相は財政計画全てを堅持する意向を明らかにした。
トラス首相は1日遅くに報じられた英紙テレグラフとのインタビューで、英国には変化が必要だと述べ、大型減税が国のさらなる成功につながるとの考えから同計画をやり抜く決意だと語った。
英日曜紙オブザーバーの最新世論調査では、英国の有権者の約4分の3がトラス首相とクワーテング財務相が英経済を「制御できなくなった」と回答した。
オブザーバーによれば、保守党党大会を前に、最大野党の労働党は支持率で保守党に対するリードを19ポイントに拡大。トラス氏の支持率は現在、「パーティーゲート」疑惑のさなかにあったジョンソン前首相の支持率さえ下回っていると同紙は付け加えた。
●市況
日経先物(大証)25940、ダウ先28801、債先148.56、米3.829、独2.1145、仏2.730、西3.286、伊4.503、波7.115、原油79.74、ドル円144.79、墨ペソ20.15、トルコリラ18.5020、墨CDS188
※9/30NY引け値
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