2022年8月1日月曜日

備忘録(22/8)

備忘録(8/30
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
全日本空輸(ANA)は30日、一部路線を除く2022年度冬期(22年10月30日~23年3月25日)の国際線の運航計画を発表した。政府による水際対策の緩和を受け、北米路線は新型コロナウイルスの影響を織り込んでいない20年度計画比で約9割まで便数を回復させる。国際線全体の20年度計画(全75路線)に対する運航便数(36路線)の割合は、2022年度冬期の各月比で32~33%となっている。欧州線などの運航計画を決定すれば上昇する見通しだという。
新型コロナウイルス禍直前の2019年末と比較すると、主要航空会社の株価は平均で2割安い。原油価格の高騰が利益を圧迫すると懸念される。コロナ禍以降、借入金を増やし手元資金を確保してきたため、利上げも警戒される。欧米では需要減に対応するため実施した人員削減が供給面の制約になっている。
●その他産業
トヨタ自動車など国内の乗用車メーカー8社が30日まとめた7月の世界生産は、前年同月比3%増の201万5000台だった。前年同月を上回るのは2カ月連続となる。中国のロックダウン(都市封鎖)影響の緩和で海外生産が増えたが、国内生産は低水準が続く。災害などのリスクも残るなか、秋以降に生産台数を順調に増やせるかは不透明だ。
中国向けは主に江蘇省蘇州市の拠点で生産している。上海のロックダウン(都市封鎖)などを受け、安定供給の確保に向けて複数拠点で生産する体制に改める。
●決算関連
●マクロ・その他
値上がりが続いたことで、周辺地域に需要が分散したとみられる。
南太平洋の島しょ国、ソロモン諸島は、外国軍艦の入港認可手続きなどを見直すため、各国に軍艦の寄港を見合わせるよう求めた。ソガバレ首相が30日の声明で明らかにした。ソロモンは4月、中国と安全保障協定を締結した。経済面を含め、親中姿勢を強めている。
ソガバレ氏は声明で「ソロモン政府は軍艦の寄港の認可要件や手続きを見直す必要がある」と主張。修正されるまで「すべてのパートナー国に軍艦などの寄港延期を要請している」と説明した。
個人データの取り扱いに重大な欠点があったと内部告発が最近なされたことを買収中止の理由として新たに挙げた。
ツイッターでセキュリティー責任者だった元社員ぺーター・ザトコ氏は、同社のハッカーからの防御には「甚だしい欠陥」があり、その他のセキュリティー対策もずさんだと主張する告発を行った。
ジャン・ハッチウス氏らエコノミストは30日の調査リポートで、住宅需要の低迷により需給の不均衡が縮小しており、今後数四半期で価格の上昇が急激に鈍化する可能性が高いと指摘した。
リポートによれば、住宅値上がりは「完全に失速」する見通しで、2023年の上昇率は「平均0%」となる見込み。ただ「全米の住宅価格が下落する可能性はあり、幾つかの地域では大いにありそうだが、大幅な値下がりの可能性は低いとみられる」という。
魏氏はテクノロジー関連のシンポジウムで、50セントから10ドルの安価な半導体が慢性的に不足しており、サプライチェーンの重要な部分で生産が妨げられていると説明した。
同氏によると、オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングは極端紫外線(EUV)露光装置向けに10ドルの半導体を確保するのに苦慮しているという。また、詳細には触れずに、5万ドルする自動車の生産で障害となっているのは50セントの無線チップだとも話した。
TSMCは現行の生産体制ではもはや低価格帯の半導体需要を満たすことができず、新たに工場を建設していると魏CEOは語り、今後数カ月は成熟半導体コストでさえも膨らむ可能性があることを示唆した。
自動車メーカーが乗用車にさまざまな機能を加え、使用する半導体を毎年15%増やしているほか、スマートフォンは5年前と比べ2、3倍のパワーマネジメント半導体を必要としているため、結果として半導体不足が生じているとの見方も示した。
バークシャーのBYD持ち株比率は24日に20.04%から19.92%に低下した。取引所への届け出で分かった。総額で約4700万米ドル(約65億円)相当の約133万株が1株平均277.10香港ドルで売られたもよう。
エネルギー不足で生産が打撃を受け、価格上昇が需要を抑制する中、鉱工業とサービス業の景況感はいずれも悪化した。
欧州の河川・運河を使った貿易による地域経済への貢献は約800億ドル(約11兆円)に上る。
中国では、アジア最長の大河、長江が猛暑で大きな打撃を受けた。水位低下により多くの主要水力発電所の電力供給が減少。上海などの大都市は節電のために照明を消し、米テスラは上海工場のサプライチェーンの混乱を警告した。
米国のデンバーからロサンゼルスに至る地域住民4000万人の水源であるコロラド川の渇水は極めて深刻で、アリゾナ州やネバダ州などで2回目の厳しい取水制限が実施されている。コロラド川とその支流は約450万エーカーの土地をかんがいし、年間約1兆4000億ドルの農業・経済的利益を生み出している。
世界の水路が干上がった理由は複雑だ。天候にさまざまな影響を及ぼすラニーニャナ現象や多くの地域で長期化する干ばつ、あるいは単なる不運のせいもあるが、こうした変化をもたらした最大の要因は気候変動だ。
米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した8月の米消費者信頼感指数は、103.2に上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は98だった。前月は95.3(速報値95.7)に下方修正された。


備忘録(8/29
●中国・ロシア・東欧
わずか半年前には中国の不動産セクターを危機から救うかもしれないと期待されていた不良資産の受け皿会社が、今や問題の一部に転じている。
事情に詳しい関係者によると、業界好況時に不動産開発会社に積極的に融資した総額7300億ドル(約101兆円)規模のこうした「バッドバンク」は巨額の貸し倒れを抱えている。受け皿会社が発行した社債の価格が急落し、各社が自社の財務を立て直すまで政府は暫定的な救済計画の検討を強いられている。
不動産危機の深刻化に伴い、バッドバンクのトラブルは悪化。このことは、自社のバランスシートが健全化するまでバットバンクが不動産セクターを救う可能性は低いことを意味している。
中国が20年余り前のアジア金融危機をきっかけに設立した不良債権の処理を手掛ける大手4社の中で最大手の中国華融資産管理は昨年、420億元(約8400億円)規模の救済策を受け入れた。同社の元会長は収賄などの罪で死刑となった。
中国の金融問題に関する著書のあるビクター・シー氏はこうしたバッドバンクについて、「今回は中国の不動産市場を救済し続けることはできない」と指摘。「自社の財務諸表にすでに不良債権を抱えている」と話す。
中国金融当局は2月、華融や中国信達資産管理など国有の不良資産受け皿会社に対し、財務が脆弱(ぜいじゃく)な不動産開発企業の再編への関与や行き詰まった不動産プロジェクトの取得、不良債権の購入を求めた。
中国で長年にわたり不動産開発会社上位50社の大半に資金を貸してきたのが華融と信達、中国長城資産管理、中国東方資産管理の4社だ。届け出によれば、信達と華融だけで2000億元超のエクスポージャーがあり、両社では買収・リストラ事業の50%近くを不動産が占める。
バッドバンクは「不良債権を一掃するという使命を果たすのではなく、資金調達と構造化においてますます冒険的になり、処分すべき不良債権を悪化させた」と習近平政権についての著書を執筆したジョージ・マグナス氏は語る。
これら受け皿会社にとって、最も有利な取引の1つが、不動産会社への間接貸し付けだった。投資に詳しい関係者によると、受け皿会社は開発会社が10-12%のプレミアムを上乗せし返済することを前提に、ローンと社債の債務を引き継いでいる。開発各社は確保した資金でより多くの土地を購入し、住宅を販売することで収入を得ていた。不動産が値上がりサイクルにあった時代に機能したやり方だ。
中国メディアの財新が3月に初めて報じたように、中国政府は今、受け皿会社の体制見直しを検討している。事情に詳しい関係者によれば、複数の政府系事業体が4社のうち3社を引き継ぐ可能性がある。こうした案の検討は初期段階で、変更や中止もあり得るという。非公開情報だとして匿名を条件に語った。
国有の不動産開発会社、中国恒大集団に長城と東方、信達を買収させ、統合することも解決策の一つとして視野に入っているという。
エコノミストは中国経済について一段と弱気になりつつあり、2022年の成長率予測をさらに引き下げたほか、不動産市場の混乱と新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、来年に入ってもリスクは残るとみている。
ブルームバーグの最新のエコノミスト調査によると、今年の経済成長率は3.5%と見込まれている。従来予測は3.9%。23年に関しては最初の3四半期の予測が0.1-0.4ポイント引き下げられたが、通年の予想中央値は5.2%に据え置かれた。
見通し下方修正は、主にインフラプロジェクト向けの1兆元(約20兆円)相当の措置や中国人民銀行(中央銀行)の利下げといった中国政府による最近の景気刺激策が景気減速に対抗できるとエコノミストが確信していないことを示唆する。
ウェルズ・ファーゴの国際エコノミスト、ブレンダン・マッケナ氏は「不動産セクターはなお苦境にあり、コロナ関連の制限措置が新たに設けられる中」、成長予測には下振れリスクがあると指摘。今年の成長率は3%を若干上回るというのが同氏の基本シナリオだが、経済活動の鈍化が続く場合はその水準に届かないリスクがあると予想している。
欧州連合(EU)がロシア人向けの観光ビザ発給を制限する方向で検討していると報じた。ビザ申請の優遇措置を一時停止する案が有力という。ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対する経済制裁の一環となる。30、31日にプラハで開くEU外相会合で協議する方針だ。
ポーランドなど既にロシア人観光客へのビザ発給を制限している一部のEU加盟国は、EU全体で同様の制限に踏み切るよう求めていた。EU加盟国のほとんどは域内移動の自由を保障する「シェンゲン協定」に加わっており、ロシア人観光客が規制のない国から入域すれば自由に行き来することができるためだ。
一方、ロシアからのインバウンド需要が経済を支えていた国などからは、ロシア人観光客を完全に締め出すことに対する反発も出ていた。
問題は、そうした経済への決定的な打撃が現実になっていないことだ。国際通貨基金(IMF)は、ロシアの国内総生産(GDP)が22年に6%縮小すると見込む。3月時点で大方が予想した15%の縮小にもならなければ、ベネズエラの経済ほども縮小しなかった。22年のロシアの経常黒字はエネルギーの輸出に支えられて2650億ドルに達し、中国に次ぐ世界2位の規模となる見通しだ。
一時的に逼迫した金融システムは落ち着きを取り戻し、一部の輸入品については中国など新しい供給元を確保した。一方、欧州ではエネルギー危機が景気後退(リセッション)の引き金を引きかねない状況だ。ロシアが天然ガスの供給を絞る中、欧州のガス価格は一時さらに20%上昇した。
制裁という武器には欠点があることも判明した。1つはタイムラグがあることだ。欧米が独占する技術の禁輸措置は効果が出るまでには数年かかる。しかも独裁国家は資源を総動員できるため、禁輸の打撃が出始めてもそれをうまく吸収できる。
2つ目は、制裁によって科す側が被る反動だ。欧米に比べればロシアの経済規模は小さいが、プーチン氏が支配するガスへの依存から脱却したいとの願いは通じない。制裁の最大の欠点は、全面的・部分的な禁輸を実施していない国が100カ国以上に上り、世界のGDPの4割を占めていることだ。
このため欧米は、制裁という軍事力に頼らなくてすむ割安な手段をロシア以上に大きな独裁国家である中国に対し行使しても、報復を招かずして効果を上げられるという幻想は捨て去るべきだ。中国の台湾侵攻を事前に食い止めたり、事後に罰したりするために、欧米は中国の3兆ドル規模の外貨準備を凍結し、中国の銀行を国際決済システムから排除することは可能だろう。
だが、ロシアと同様、中国経済は崩壊することはないだろう。それどころか中国政府は報復として、電気製品や電池、医薬品の輸出を禁じ、米小売り大手ウォルマート店頭の棚を空にして欧米を大混乱に陥れることもできそうだ。最大の貿易相手国は米国ではなく中国という国の方が既に多いことを踏まえれば、全世界で対中制裁を実施することは対ロ制裁以上に難しい。
ウクライナ紛争から学ぶ教訓があるとすれば、それはむしろ、好戦的な独裁国家と対立するには多面的に行動しなければならないということだ。ハードパワーは欠かせない。民主主義諸国は、敵対国が優位にある資源といった死活分野での依存を引き下げねばならない
●中東
政治混乱の続くイラクで29日、議会の解散などを求めていたイスラム教シーア派のポピュリスト指導者、サドル師が政治活動からの引退を表明した。支持者らは政府に反発を強め、首相府などに押し入った。軍は治安回復のため、首都バグダッドで外出禁止令を発した。
サドル師は父親が高名なシーア派指導者で、低所得者層を中心に熱狂的な支持者がいる。反米ながら隣国イランとも距離を取るため、同じシーア派の親イラン系勢力と激しく対立している。
●感染症
欧州では感染に落ち着きの傾向がみられるほか、米国でも感染拡大の勢いが弱まっている。サル痘は天然痘ワクチンでも発症予防などの効果があるとされており、米欧などはワクチンの接種などの対策を強化している。
15~21日の1週間の感染数は5929件で、前の1週間に比べて21%減った。欧州地域では同期間の感染数が970件で64%減った。米州地域は4919件で4%増だったが、増加幅は縮小してきている。
米メディアによると、米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長は26日、感染者数について「依然として増えているが、そのペースは緩やかになっている」と指摘。感染動向を慎重に見極める姿勢を続けながらも、ワクチン供給の効果などが出てくることに期待を示した。
サル痘は天然痘に似た感染症だが、病原性は天然痘ほど高くないとされる。発熱やリンパ節の腫れなどの症状が出るものの、今回の流行では多くが軽症で数週間ほどで自然回復している。感染経路は男性同士の性交渉によるものが多く、新型コロナウイルスなどのように急拡大していない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
英国の製薬大手アストラゼネカ製の新型コロナウイルス治療薬について特例承認を了承した。軽症から中等症の患者向けの治療薬となる。一部の患者には発症予防の効果も期待される。国内で初めて予防薬が登場する。
●その他産業
工業用顕微鏡などを手がける科学事業を米ベインキャピタルに4276億円で売却すると発表した。同日開催した取締役会で決議した。売却で得た資金をテコに、主力の消化器内視鏡をはじめとした医療機器分野に経営資源を集中する。
今後、焦点となるのが科学事業の売却で得た資金の使い道だ。
主力の内視鏡事業は同社の収益をけん引している。23年3月期の連結営業利益の約75%を稼ぐ見通しで、営業キャッシュフローを過去最大の約2000億円に引き上げる見込みだ。本業で稼いだキャッシュと事業売却で得た資金を医療機器関連のM&A(合併・買収)などに投じるとみられる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の山崎みえアナリストは「内視鏡を消化器向けだけではなく、泌尿器や呼吸器など他の分野でも強化するのではないか」とみる。
内視鏡に取り付ける治療機器や、人工知能(AI)を使った診断支援、予防医療など、買収候補となる企業の幅は広い。祖業との決別を新たな成長へのステップにできるかが問われている。
米国の旅客便で、遅延やキャンセルといった混乱が続いている。米運輸省のデータでは、利用者の航空会社に対する苦情件数は2022年6月に5862件となり、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年6月に比べ3倍になった。混乱の理由は人材不足だ。航空便の需要回復を受け、旅客各社はコロナ下で減らした従業員の再雇用に動くが、新たな職員の教育が遅れている。
●決算関連
鉄鉱石生産で世界4位、オーストラリアのフォーテスキュー・メタルズ・グループが29日に発表した2022年6月期決算は、純利益が前の期比40%減の約62億ドル(約8580億円)だった。最大市場の中国が新型コロナウイルス封じ込めを狙う厳しい規制を導入し、需要が弱含むとの思惑が広がって、値下がりしたことが響いた。
売上高は同22%減の約174億ドルだった。鉄鉱石の出荷量は1億8900万トンと過去最高を記録したが、鉄鉱石1トン当たりの平均販売価格は99.8ドルと前の期から26%下落した。またディーゼル燃料や労働コストの上昇を受けて1トン当たりの生産コストが14%増の15.91ドルとなったことも利益を押し下げた。
売上高は66%増の1506億元だった。事業別では自動車・関連部品が2.3倍の1092億元だった。1~6月のEVなどの新車販売台数は前年同期比2.6倍の64万台に急増した。幅広い車種を投入したほか、半導体などを内製化してきたことも部品不足の悪影響の抑制につながった。一方、スマートフォンの部品・組み立て関連事業は5%減の410億元にとどまった。世界的なスマホの需要減少の影響を受けた。
BYDは22年後半の見通しについて、中国国内では政府の減税策やサプライチェーン(供給網)の回復に支えられて「(EVを中心とする)新エネルギー車の販売拡大が続く」と説明。国外では10月にフランスで開かれるパリ自動車ショーへの出展を通じて知名度を高め、欧州などでの販売拡大につなげるとしている。
●マクロ・その他
鉄鉱石や石炭を輸送する大型ばら積み船の用船料が直近高値の5月から9割超下がり、およそ2年3カ月ぶりの安値圏にある。鉄鉱石の最大輸入国である中国で粗鋼生産が減り、輸送が振るわない。荷役の混乱に伴う積み下ろしの遅延も緩んだ。中国の不動産市況の停滞は長引くとの観測もあり、上値が重い展開が続きそうだ。
アフリカ開発銀行のアデシナ総裁は28日、中国がアフリカ諸国の債務再編や減免に応じる姿勢を示していることについて「前進だ」と述べた。世界的な金利上昇がアフリカの債務国に「深刻な課題」だとも指摘した。第8回アフリカ開発会議(TICAD8)が開かれたチュニスで日本経済新聞の取材に答えた。
トラス外相は、首相に就任した場合、法人税引き上げなど現政権が決めた財政再建を棚上げする方針だ。インフレ率10%を超える物価高への対応を優先する。巻き返しを狙う対抗馬のスナク前財務相は「賢明でない」と批判している。
アナリストらは29日のリポートで、欧州以外での1年以内のリセッション(景気後退)リスクは「比較的低い」と同社のエコノミストはみていると説明。「今はコモディティーを購入し、リセッションは後で心配すればよい」との見解を示した。
コモディティー価格は他のどの資産よりも景気後退を織り込んでいるが、物理的なファンダメンタルズは過去数十年であまり例のない市場の逼迫(ひっぱく)を示唆している。
ゴールドマンは「マクロ環境は引き続き厳しく、米ドルは目先さらなる上昇もあり得る」との認識も示した。
ゴールドマンによれば、コモディティーの中でも石油製品が次の値上がりを主導する可能性が高いという。
フォンデアライエン氏はスロベニアでの講演で、「急騰している電力価格はさまざまな理由において、現行電力市場の仕組みに限界があることを露呈している」とし、「この仕組みは全く異なる環境と目的の下で開発されたものだ」と説明した。
「われわれが現在、緊急介入と電力市場の構造改革に取り組んでいるのはそのためだ」と述べた。
マスク氏は29日、ノルウェーで開かれたエネルギー関連会議で「現時点では、石油とガスを減らすのではなく、逆に増やす必要がある」と指摘。自身は化石燃料を「悪」だと決めつけるような人間ではないと付け加えた。一方、「持続可能なエネルギーの未来に向けた明確な道筋を描く必要がある」とも述べた。
マスク氏はこのほか、洋上風力に「極めて大きな潜在能力」があるとしたほか、原子力エネルギーを支持する考えを示した。
マスク氏は「しっかりと設計された原子力発電所があれば、特に現時点において稼働を停止するべきではない」と語った。
いまは最高裁判事9人のうち、野党・共和党の考えに近い保守派が6人いる。6月に人工妊娠中絶を合衆国憲法が認める権利と位置づけた判決を覆した。発電所の温暖化ガス排出について、連邦政府の規制を制限した。ともに与党・民主党を支持するリベラル派の理念に反し、激しい反発を招いた。
定数100議席の上院は民主党と共和党が50議席ずつを握る。仮に最高裁判事をめぐる採決で賛否が50対50になれば、民主党は上院議長を兼ねるハリス副大統領が1票を投じて承認に持ち込める。11月の中間選挙で民主党は1議席でも減らすと、最高裁判事に欠員が生じても後任の承認は難しくなる。

備忘録(8/26-28
●中国・ロシア・東欧
中国の1-7月の工業セクターの企業利益は減少に転じた。新型コロナウイルス感染再拡大に対応する経済の混乱や不動産セクターの不況が影響した。
国家統計局が27日発表した1-7月の工業利益は前年同期比1.1%減少した。6月の工業利益は前年同月比0.8%、今年1-6月(上期)では前年同期比1%それぞれ増加していた。
中国の4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比0.4%と急減速しており、ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値によれば、今年の成長率は4%を下回り、政府目標の5.5%前後に届きそうにない。
BBCによると、フィンランドとの国境に近いポルトバヤにある液化天然ガス(LNG)プラントでは、推定434万立方メートルのガスが毎日燃やされているという。ポルトバヤにはロシアとドイツを結ぶガス輸送パイプライン「ノルドストリーム」の関連施設がある。
●中東
イランがサウジアラビアを軸とする湾岸アラブ諸国との関係改善に前向きだ。クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)からの大使受け入れを決め、サウジとも正常化を巡る協議を重ねる。背景にはイラン核合意の再建を目指す米国との間接協議の進展がある。イランは同国への制裁の解除を警戒するサウジとの融和を演出し、妥結への地ならしを進める。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米モデルナは米ファイザーとドイツのビオンテックを提訴した。両社が新型コロナウイルスワクチン開発で使用した技術はモデルナの特許を侵害していると主張しており、ワクチン有力企業による大規模な法廷闘争に発展しそうだ。
モデルナはファイザーとビオンテックが新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」の開発で、メッセンジャーRNA(mRNA)テクノロジーの主要な要素に関するモデルナの知的財産権を侵害したと指摘。モデルナは2010年から16年に保持していたmRNAテクノロジーに関する特許でコロナワクチンの開発が可能になったが、2社はこの技術を無許可で複製したという。
米マサチューセッツ州の連邦地裁にモデルナが26日提出した訴状によると、ファイザーとビオンテックは「異なる4つの候補を治験にかけ、その中には非修飾mRNAを使いモデルナの革新的な手法を避ける選択肢もあった。だが、2社は最終的にこれらの選択肢を選ばず、モデルナが特許を持つ技術を複製した」という。
モデルナはドイツでも提訴する意向。ただ、ファイザー側のワクチンを市場から引き揚げることや今後の販売差し止めは求めていない。今年3月8日に始まる期間の損害賠償を求めるが、ファイザーによる低・中所得国92カ国への販売については賠償請求をしないとしている。
モデルナの主張を速やかに検証することはできなかった。ファイザーとビオンテックは米国の訴状を完全には精査していないが、訴訟は「寝耳に水」で、「強力に抗弁」していくと、電子メールで配布した発表文で説明した。
●その他産業
欧州最大の自動車メーカー、独フォルクスワーゲン(VW)傘下のポルシェが計画する新規株式公開(IPO)を巡り、潜在的な投資家から企業価値が最大850億ドル(約11兆6382億円)となる規模の関心を集めたことが、事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。市場環境に逆風が吹く中でも欧州最大級のIPOが前進する可能性を示唆する。
関係者らによると、ポルシェは公開予定の株式数を上回る事前注文を確保した。企業価値は600億-850億ユーロに相当するという。交渉が非公開だとして関係者らは匿名を条件に話した。ポルシェはフランクフルト市場での上場について、想定外の市場ショックがなければ、監査役会終了後の9月第一週に発表する予定という。
関係者らによると、Tロウ・プライス・グループやカタール投資庁などの大手機関投資家が、今回示されたレンジ内での参加に関心を示している。ポルシェはまた、エナジードリンクのレッドブルを創業したディートリヒ・マテシッツ氏やフランスの高級ブランド、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン会長のバーナード・アルノー氏ら富豪による参加の可能性も探っていると関係者らは明かした。
ロシアのガス大手ノバテクと手掛けてきたロシアでの石油・ガス生産の合弁事業を解消すると発表した。合弁会社テルネフテガスの株式49%を9月にノバテクへ売却する。ロシアのウクライナ侵攻を受けて現地事業の縮小を進める。
トタルエナジーズは7月18日に合弁を解消することで合意し、ロシア当局に承認を求めていた。8月25日に認可が下りたことから株式譲渡契約へ正式調印した。売却金額は明らかにしていないが「投資残高を回収できる条件」で合意したという。
7月にはロシア北極圏のハリャガ油田からの撤退を表明し、保有する権益20%のロシア石油会社ザルベジネフチへの譲渡を8月3日付で終えている。
デルはロシアのウクライナ侵攻を受けて2月にロシアでの製品の販売を停止し、状況に応じて次の措置を検討するとしていた。ロシアでサーバーを提供する主な企業であり、全事業の停止により影響が出る可能性がある。
●決算関連
●マクロ・その他
約40年半ぶりのインフレが猛威を振るう米国で、数々の「ステルス値上げ」が目撃されている。長期デフレに陥った日本と異なり、もともとインフレが定着している米国でも企業にとって値上げは難しい判断だ。あの手この手を繰り出す企業の姿は、裏側にある消費者の痛みの深刻さを映している。
成長率低下などのリスクを冒してでもインフレを抑える「『決断の道』が支持されている」と述べた。欧州では景気後退の懸念が強まるものの、ECBとして目先の景気より利上げによるインフレ阻止を重視する可能性を示唆した。
シュナーベル氏は「高インフレが定着する可能性とコストは不快なほど高い」とした上で「中央銀行は力強く行動する必要がある」と訴えた。インフレが高止まりするほど中央銀行に対する「国民の信頼を失うリスクが高まる」と危機感を示した。
英国のエネルギー規制当局は26日、家庭の電気・ガス料金水準の大幅な引き上げを発表した。年間の光熱費は標準世帯のモデルケースで10月から3549ポンド(約57万円)と、現在の1971ポンドから80%高まる。天然ガスや卸電力などの価格高騰を受けた改定で、2023年には一段の上昇が見込まれインフレ加速につながりそうだ。
英国ではガス電力市場監督局(Ofgem)が供給事業者の調達コストや利潤などを考慮して、電気・ガスの販売単価に上限を設定している。急激な値上がりから消費者を守る「エネルギー・プライス・キャップ」と呼ぶ制度で、これまで半年ごとに見直されてきた。
10月の大幅な増額改定は、ロシアのウクライナ侵攻後にエネルギー価格が跳ね上がった影響が反映された。英天然ガス価格は翌月渡しの取引で1サーム(約29.3キロワット時に相当)あたり6ポンド前後と、1年前の5倍強になっている。ロシアが欧州向けのガス輸出量を減らして需給逼迫の懸念が高まるなか、値上がりに歯止めがかからない。
販売単価の上限は23年以降、市場価格の動きをより早く反映するため四半期ごとに見直され、さらなる大幅増額が想定されている。英調査会社コーンウォール・インサイトは23年1月に5387ポンド、同4月には6616ポンドと予測しており、月平均で約9万円という異常な水準になる可能性がある。政府は困窮世帯への現金給付などを決めているが、家計の負担軽減策のさらなる拡充が急務だ。
米カリフォルニア州の環境当局は25日、2026~35年にかけてガソリン車の販売を段階的に禁止する新たな規制案を決定した。規制案ではまず、26年に各メーカーは新車販売台数の35%を電気自動車(EV)などにする必要がある。規制案は、各自動車メーカーに州内の販売台数の一定割合を環境負荷の少ないゼロエミッション車(ZEV)にするよう義務付けるものだ。規制値は26年式の35%から始まり、30年式は68%、35年式については100%に達する。車メーカーは段階的にガソリン車の販売比率を引き下げなければならない。
規制案ではEVのほか、燃料電池車(FCV)や電池だけで約80キロメートル以上走れるプラグインハイブリッド車(PHV)がZEVとして認められた。日本車メーカーが得意とするHVは含まれず、35年には州内での新車販売が禁止されることになる。
CARBは原則として排ガスを出さない車の普及を目指しており、PHVを算入する場合でも規制案が要求するZEV販売台数の20%以下に抑えるよう条件を付けた。規制値を満たさなかった車メーカーには未達成分について1台あたり最大2万ドル(約270万円)の罰金を科すという。
ガソリン車やHVを含めた新車販売台数に目を転じると現時点ではトヨタが断トツの首位。ホンダなども上位に入り日本車が優勢だ。一方、ZEVに絞るとテスラが圧倒的なトップとなり、韓国の現代自動車や起亜が上位でトヨタは4位だ。ZEVが新車の前提になると勢力図が塗り替わる可能性がある。
CARBが25日に可決した規制案はすでに州議会の支持を受けており、年内にも正式決定する見通しだ。テスラなどのEVメーカーが一段と力を増すなど、州内の新車市場の勢力図への影響が見込まれる。EVで存在感を高める中国や、ベトナムのEVメーカーには米国進出の好機と捉える向きも一部である。
ただインフレの影響で米国内のEVの平均単価は上昇傾向で、充電インフラも不足したままだ。「非現実的な目標だ」などと規制案に対する批判も根強い。施行までにはなお曲折がありそうだ。
8月の米ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は、市場の予想以上に上昇した。1年先のインフレ期待が和らいでおり、ガソリン価格が低下する中で米消費者が先行きへの楽観を強めていることを示唆する。
ミシガン大消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は「消費者心理は年齢や学歴、所得水準、地域、支持政党にかかわらず改善が見られ、ここ最近のインフレ鈍化に起因する可能性がありそうだ」と発表文で指摘した。
現況指数は58.6と、3カ月ぶりの高水準に上昇した。期待指数は単月で2003年以来の急速な改善を示し、4月以来の高さとなった。個人の経済的期待を示す指数は前月から12%上昇した。
ただ、ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は、ガソリン価格の持続的な下落にもかかわらず、8月確定値では長期的なインフレ期待がわずかにしか下がらなかったと指摘。米金融当局は積極的な利上げ路線を続け、景気抑制的な政策が控えていることを示唆するだろうと、同氏は分析した。
米国民は過去40年で最も強い物価上昇圧力に直面してきた。賃金上昇よりペースが速く、借り入れコストの上昇にもつながっている。ガソリン価格の下落が短期的な安心感をもたらしているものの、食品価格や家賃はなお高止まりし、生活費の高騰を浮き彫りにしている。
政策委員のタカ派の1人とされるクノット総裁はオランダ放送協会(NOS)とのインタビューで、「今の欧州のインフレの問題は非常に重大であり、インフレ率の状況が2%近辺で安定するまで、6週間ごとに利上げを決定することがわれわれの責務だと思う。インフレに集中し、しばらくの間は経済活動にとっての結果を引き受けることが本当に必要だ」と発言した。
高インフレに対応し、ECBの政策担当者らが利上げペースを加速させることを検討しているとクノット氏は説明。9月の政策委会合で政策金利を少なくとも0.5ポイント引き上げることを求め、ECB政策委員会メンバー、オーストリア中銀のホルツマン総裁の見解に同調した。
●市況
日経先物(大証)28125、ダウ先32165、債先149.58、米3.030、独1.3995、仏2.030、西2.628、伊3.729、波6.252、原油92.97、ドル円137.54、墨ペソ20.03、トルコリラ18.1649、墨CDS145
※8/26 NY引け値

備忘録(8/25
●中国・ロシア・東欧
井物産と三菱商事は25日までに、ロシア極東の資源開発事業「サハリン2」の新たな運営会社に参画する通知を月内にも出す方針を決めた。ロシア側がサハリン2の運営を移管した新会社への出資を続けるかどうか、両社に判断を迫っていた。ロシア側が両社の意向を承諾するかは不透明で難しい局面が続く。
中国国防省の譚克非報道官は25日、インドと領有権を争う国境地帯付近で米国とインドが10月に予定している合同軍事演習に触れ、インドとの領土問題に第三者が介入することに中国は反対すると述べた。
譚報道官は北京での定例記者会見で、「国境を巡る争いは中国とインドの間にある問題だ」と主張し、「双方はあらゆるレベルで有効な意思疎通を維持しており、2国間対話を通じて関連する問題を解決することに合意している。中国とインドの領土問題への介入は、いかなる第三者であれ断固として反対する」と語った。
台湾行政院(内閣)は25日、2023年の防衛費を全体で5863億台湾ドル(約2兆6500億円)に増やし、過去最大とする案を提示した。前年から13.9%増額し、中国の軍事活動の活発化に対して防衛力強化を目指す。
行政院は同日開いた週次会議で来年の支出計画を承認。当局者は台北での記者会見で、年間の防衛予算を3974億台湾ドルに増額するほか、軍事装備品の購入を手当てするための追加特別予算を盛り込む案も示した。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
25日の発表文によれば、シティは閉鎖に伴い1億7000万ドル(約232億円)の費用計上を見込んでいる。主にリストラ費用や業者との契約解消に伴う手数料だ。同行は引き続きロシアのリテールバンキング事業資産の一部については売却を試みる。
●決算関連
カンタス航空が25日発表した2022年6月期決算は最終損益が8億6000万豪ドル(約810億円)の赤字だった。赤字額は前の期(16億9200万豪ドルの赤字)から縮小した。豪政府が新型コロナウイルスに関する規制を緩和し、渡航者の往来が活発になったことが奏功した。
売上高は前の期比54%増の91億800万豪ドルだった。国際線が同2.3倍の37億600万豪ドル、国内線は26%増の34億4800万豪ドル。傘下の格安航空会社(LCC)、ジェットスターが26%増の14億4000万豪ドルといずれも回復した。
電話で記者会見したアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は新型コロナの変異型「オミクロン型」などを受け、前期は「非常に困難な時期だった」と振り返った。
足元で出張などのビジネス需要は新型コロナ前の9割にとどまる。ただレジャー旅行は1.25倍程度になっていると指摘し、「状況は我々が予測したよりも速いペースで改善している」と述べた。
カンタスは新型コロナの感染拡大に伴う規制で経営が大きく傾き、大規模な人員削減に踏み切った。22年2月に豪政府が海外からの渡航者受け入れを全面再開したことで、旅客需要は急回復した。
ただ、従業員の新型コロナ感染による欠勤も加わり、人手不足が顕在化。チェックイン窓口に長蛇の列ができ、離陸時間が遅れるなどの混乱が起きている。
ジョイス氏は「4月以降1500人以上を雇用し、今後数カ月でさらに採用を進める」と述べ、近く混乱は解消されるとの見通しを示した。
●マクロ・その他
社債市場に「秋の陣」が迫っている。9月に東北電力が発行を予定する1000億円規模の劣後債だ。国債利回りの落ち着きで社債のスプレッド(上乗せ金利)はようやく拡大が止まり、市況悪化に歯止めがかかってきた。発行が減ったことで需給も引き締まり、投資家は買いのタイミングをうかがう。起債の成否は、年度後半の企業の資金調達環境の試金石となる。
米国で23日、11月8日の中間選挙に向けた予備選が南部フロリダ州などで開かれ、主要州の日程が終わった。野党・共和党ではトランプ前大統領の支持する候補の勝率が現職を含めて9割を超えた。共和党が「トランプ党」の様相を強めるほど、上院多数派を逃す副作用への懸念も広がる。
韓国銀行(中央銀行)は25日の金融通貨委員会で、政策金利を0.25%引き上げて年2.50%とした。4会合連続で利上げを実施したものの、利上げ幅は7月の0.50%から縮小した。韓国の消費者物価指数(CPI)は上昇を続け、対ドルでの通貨安も歯止めがかからないが、景気減速リスクを意識して利上げ幅を縮小した。
利上げは4月、5月、7月の通貨委員会に続いて4会合連続。韓銀は2021年8月に利上げに転じ、1年間で政策金利を0.50%から2.50%に段階的に引き上げた。同日記者会見した李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「当分は0.25%の利上げ基調が続く」と言及した。
現状は、韓銀の思惑通りにインフレは収まっていない。21年に2~3%程度の上昇率で推移していた韓国CPIは3月以降に急上昇。7月のCPI上昇率は6.3%に達し、アジア通貨危機の混乱以来となる24年ぶりの上げ幅となった。
さらに米連邦準備理事会(FRB)の急ピッチな利上げを受けて韓国ウォンは対ドルで13年ぶりの安値水準が続く。日本同様にエネルギー資源や原材料を輸入に頼る韓国は、自国通貨安によって輸入物価が上昇する構図となっている。
その中でも利上げ幅を縮小したのは、不動産の高騰を背景に家計負債が急増しているためだ。韓国では変動金利で住宅ローンを組む例が多く、政策金利を引き上げれば家計への利子負担が重くなり消費減速に直結する。米韓金利差を意識しながらも国内消費への配慮もにじむ0.25%の利上げとなった。
中期的な物価見通しは「明確に上向きに傾いている」として、インフレの加速に警戒を強めていたことが分かった。景気後退の局面でも、天然ガスなどの供給不安に起因する場合はインフレのリスクが「必ずしも低下しない」との指摘もあった。
議事要旨によると、利上げ幅をめぐり意見が分かれたことも分かった。多くの理事会メンバーは0.5%の大幅利上げを支持したものの、一部は0.25%に賛成した。0.5%の利上げについては「政策金利の経路が上方にシフトしたものではなく、政策正常化の前倒しであると強調するのが重要だ」という説明もあった。
通貨ユーロの下落に対する警戒も出ている。議事要旨では、ユーロ安が輸入コストの上昇を通じて「インフレ圧力を高める」との指摘もあった。足元では1ユーロ=1ドルの「パリティ(等価)」を下回るなど約20年ぶりの安値圏で推移する。
米投資運用会社グッゲンハイム・パートナーズで最高投資責任者(CIO)を務めるスコット・マイナード氏は、経済成長の減速と金利上昇に伴いリスク市場でより大きな損失が生じる可能性が高い見通しを理由に挙げ、ジャンク(投機的格付け)債と株式に近づかないよう投資家に警告した。
マイナード氏は「CCCとB格付けのクレジットは、景気下降で最も脆弱(ぜいじゃく)だ。私はそこに資金を投じたくない。高利回り債に対する人々の見方はあまりに楽観的であり、株式と同様だ」と電話取材で発言。割安水準で取引されている投資適格債の方に関心があると明らかにした。
「企業利益見通しの下方修正や引き下げ方向の格付け変更、新規の資金調達難、ディストレスト発行体の増加は、クレジット市場にとって『死刑宣告』のように響くのではないか」と24日付の顧客宛ての書簡では指摘していた。
S&P500種株価指数は年初来で一時20%下げたが、6月半ば以降の相場回復で下落率は13%余りに縮小。ジャンク債相場もある程度戻した。米経済のリセッション(景気後退)入りを回避するため、米連邦準備制度が利上げを停止するとの観測に楽観論は基づく部分が大きい。
マイナード氏は電話取材で、「われわれは今リセッションを経験している可能性が非常に高い。連邦準備制度が利上げを停止し、利上げしないでいられる機会が予定されていれば、クレジットを支える要因となり、利上げを続ける場合ほど景気下降は厳しいものとならないだろう。彼らは次回の会合で利上げを決定しようとしている」と語った。
「われわれが向かう最終地点ついて明確に伝えることが非常に重要だ。需要を減速させ、インフレ率を目標に戻すため、金利をさらに引き上げる必要がある」と発言した。
どこまで金利を引き上げるべきかとの質問に対し、ジョージ総裁は、来年利下げに動き始めるとの金融市場の観測をけん制し、「まだ進む余地がある。4%を超えることもあり得ると思う。問題外とは考えていない」と答えた。
同総裁は需要の熱が冷める兆しが若干うかがえるとしながらも、「インフレ統計には十分反映されていない。なお大きく広がりを見せており、さらなる対応の必要性を物語る。政策を動かす方向に沿って金融環境が引き締まることを望んでいる」と述べた。
ユーロ圏は既に「浅い」リセッション(景気後退)に入っていると、UBSのエコノミストが指摘した。エネルギー価格高騰によって引き起こされたこのリセッションは年末まで続くとしている。
ユーロ圏経済は7-9月(第3四半期)に0.1%、10-12月(第4四半期)に0.2%いずれも縮小すると、同エコノミストは25日の顧客向けリポートで予想した。ただし、4-6月(第2四半期)が堅調だったことを受けて、2022年通年の成長見通しは引き上げた。23年の成長率予測は0.8%と、従来の1.2%から下方修正した。
ラインハルト・クルース氏率いるエコノミストは「さらなる著しいエネルギー価格上昇を踏まえると、ユーロ圏はテクニカルなリセッションに見舞われると想定する。エネルギー価格上昇は、消費や設備投資が一段と圧迫されることを示唆する」と分析した。
モルガン・スタンレーのエコノミストも悲観的な見方を強めており、ユーロ圏経済について今年10-12月以降、従来見通しよりも大幅なマイナス成長を予想している。
イェンス・アイゼンシュミット氏率いるアナリストは「今回のエネルギー危機の影響は来年もさらに長く続くとみている。価格上昇、およびエネルギー供給を巡る不確実性は23ー24年の冬季まで根強く続くと見込んでいる」と説明。「ただし、全てが真っ暗というわけではない。この弱い局面の後には、民間と公共の投資持ち直しに後押しされた景気回復が到来するとなお考える」と続けた。
Ifo経済研究所が25日発表した8月の独企業期待指数は80.3と、7月改定値の80.4から低下した。エコノミスト予想は79.0への悪化だった。8月は企業景況感指数と現況指数も低下した。
Ifoのクレメンス・フュースト所長は今後数カ月の見通しについて、「明らかに悲観的」だと述べ、「企業の不確実性が高止まりしている」と指摘。国内総生産(GDP)は7-9月(第3四半期)に縮小する可能性が高いとの見方を示した。
石油輸出国機構(OPEC)議長を務めるコンゴ共和国のイトア石油相が、サウジアラビアが示唆した原油の減産を支持したと伝えた。イラン核合意の再建協議が進展して制裁下のイラン産原油が市場に戻れば、需給が緩みかねないことも意識しているとみられる。
セントルイス連銀のブラード総裁は迅速に利上げを推し進め、年末までにフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを3.75-4%に引き上げるべきだとし、「前倒しが望ましいと思う。遅めよりは早めの利上げを支持する」とCNBCとのインタビューで発言。
「インフレと本気で闘い、下押し圧力を加える水準まで利上げを進めたいという当局の意向を表明することだ。現在の2.33%はまだ十分に高くない」と語った。
利益マージン総額の指標である非金融企業の粗付加価値(GVA)に占める税引き後利益の比率は、4-6月(第2四半期))に15.5%に改善した。これは1950年以来の高水準。1-3月(第1四半期)は14%だった。米商務省が25日公表した統計で明らかになった。
今回のデータは、企業が全般的に原材料や労働力のコスト上昇分を消費者に問題なく価格転嫁できていることを示している。
調整後ベースの税引き前企業利益は4-6月に前四半期比6.1%増加と、1年ぶりの高い伸びとなった。1-3月は2.2%減少していた。前年同期比では8.1%増。
●市況
日経先物(大証)28703、ダウ先33220、債先149.66、米3.041、独1.3065、仏1.916、西2.468、伊3.520、波6.186、原油93.16、ドル円136.65、墨ペソ19.95、トルコリラ18.1751、墨CDS148
※8/26 9時25分頃

備忘録(8/24
●中国・ロシア・東欧
地方政府のインフラ債を最大5000億元(約10兆円)超上積みする。投資効果や債務の返済能力を考慮し、沿岸部など経済規模が大きい地域を主な対象として想定する。
インフラ債はその年の新規発行枠のほか、発行残高の上限額も決める。22年の上限は21兆8185億元と定めた。これに対して、すでに発行した残高は6月末時点で20兆2645億元だった。
地方経済の疲弊が目立つ地域でインフラ債を過剰に発行すると、地方財政の破綻リスクまで高めかねない。一方で、沿岸部などのインフラ開発がさらに進めば、地域間の成長率格差が広がる可能性も否定できない。
インフラ投資の拡充は成長率を底上げする要因になるが、工事受注などの恩恵は地方政府に近い国有企業などに偏りかねない。1~7月の固定資産投資を主体別にみると、国有企業は前年同期比9.6%増えたが、民間企業は同2.7%増にとどまった。
新型コロナが初めて中国経済に打撃を与えた20年もインフラ債の発行を前年の1.7倍に増やして景気をテコ入れした。国有企業の投資は前年比5.3%伸びたが、民間投資は同1.0%増にとどまった。インフラ債の追加発行で官依存が強まると、国有企業への優遇が目立ち民間企業の苦境が長引く「国進民退」が進む恐れもある。
中国国務院(政府)は19項目の政策パッケージを準備したと、李克強首相が主宰した定例会合を引用して、国営中央テレビ(CCTV)が24日に報じた。このパッケージには既に導入されている政策とのシナジー効果を生み出し、景気の安定化および好転につながると見込まれる政策ツールなどに3000億元(約6兆600億円)余りを割り当てることが含まれる。
発表文によると、政府は妥当な政策の規模を維持するため、「道具箱に入っている利用可能なツール」をタイムリーかつ断固たるやり方で活用することを確約すると言明。同国経済が過剰な刺激策などであふれることはないと表明した。当局はこのスタンスを長きにわたって維持している。
インドネシアのサンディアガ観光相は先週末、ロシアが「国際市場価格よりも約30%安い価格で」石油を販売すると提案してきたと、インスタグラムに投稿。ジョコ大統領が提案を検討しているが、「相違がある。米国の通商制限にインドネシアが抵触する不安もある」と説明した。
●中東
イラン外務省は24日、核合意再建に向けた「最終文書」についてイラン側が示した追加意見に対する回答を、米国側から受け取ったと明らかにした。国営イラン通信が伝えた。米国務省も同日、仲介役の欧州連合(EU)に回答を伝えたことを認めた。内容は明らかにしていない。
米国務省のパテル副報道官は「イランの追加意見への検討は終了した。非公開で回答を伝えたので詳細は説明しない」と語った。イラン外務省のカナニ報道官は、EUを通じて米国から回答を受け取ったと指摘。内容を検討した後に、EUにイラン側の立場を伝えるとしている。
核合意再建を巡ってはEUが8日、妥結に向けた「最終文書」をイランや米国などの当事国に示していた。EUは「これ以上交渉したり、変更したりすることはない」としていたが、イラン側は文書の内容に「解決すべき課題がある」(アブドラヒアン外相)として、追加意見を米国に伝えていた。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ヘガー氏は声明で、「ESG(環境、社会、企業統治)のムーブメントは不透明で屈折したシステムを生み出した。一部の金融機関はもはや株主や顧客の最大利益にかなう判断をせず、秘密に覆われた社会・政治的アジェンダの推進のために金融での影響力を活用している」と記した。
テキサス州のリストに掲載された金融機関は他にBNPパリバ、クレディ・スイス・グループ、ダンスケ銀行、ジュピター・ファンド・マネジメント、ノルデア銀行、シュローダー、スベンスカ・ハンデルスバンケン、スウェドバンク。ヘガー会計監査官のオフィスはさらに、350近くのファンドも同様の投資禁止措置の対象に指定した。
世界最大の資産運用会社であるブラックロックは、同社は化石燃料を排除しておらず、ヘガー氏の判断は事実に基づいていないと、電子メールの声明で異議を唱えた。
●その他産業
●決算関連
2022年8〜10月期の売上高が57億8200万~60億1800万ドル(約7900億~8250億円)になりそうだと発表した。前年同期と比べて15~19%低い水準となる。減収になれば、19年8〜10月期以来3年ぶり。個人消費の停滞や暗号資産(仮想通貨)の採掘需要の落ち込みで膨らんだ製品在庫の処分を優先し、出荷を抑えるのが響く。
クラウドベースの顧客管理(CRM)ソフトウエアを手掛ける米セールスフォースの8-10月(第3四半期)売上高見通しはアナリストの予想に届かなかった。不安定な経済を背景に一部顧客によるビジネスソフトウエア向け支出が鈍化している可能性を示唆した。発表を受け、同社の株価は時間外取引で下落した。
同社は100億ドルの自社株買いプログラムも発表した。
●マクロ・その他
8月前半の消費者物価指数は、前年同期と比べて8.62%上昇した。食料品を中心に物価が上昇した。8月前半は食料品と飲み物、たばこの価格が前年同期と比べて12.73%上がった。野菜と果物の価格は14.27%上昇した。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は7.97%だった。品目別ではタマネギの上昇率が前期比で37.66%と他の食料品に比べて大きかった。
中銀は8月11日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.75%引き上げて8.5%にすると発表した。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めとインフレの加速を受け、10会合連続で利上げを決めた。0.75%の利上げ幅は2会合連続だった。インフレ率が歴史的な高水準で推移する中、中銀は今後も大幅な利上げを続ける見通しだ。
メキシコ政府は減税を通じてガソリン価格を抑えてきた。ガソリンにかかる税金を免除するほか、石油業界の企業の所得税や消費税に対する追加の税控除を打ち出している。メキシコではガソリンなどのエネルギーよりも、食料品の物価上昇が国民生活への打撃となっている。
免除は年収12万5000ドル以下の人を対象とする。一部の低所得層向け奨学金の借り手については、2万ドルを免除する。ホワイトハウスによると、約4300万人いる学生ローンの債務者のうち、2000万人は債務が全額免除になるという。8月末としていた返済猶予措置の期限を12月末まで延長し、23年1月から返済プロセスを再開する。
7月の工作機械受注額(確報値)は、中国向けが前年同月比7.7%減の279億円だった。前年実績を下回るのは2カ月ぶりで、中国向けとしては8カ月ぶりの低水準となった。移動制限などによる景気減速を受け、パソコンやスマートフォン向けを中心に工作機械の需要も一服している。
日工会の稲葉善治会長(ファナック会長)は同日の記者会見で「(スマホなどの)IT産業の需要の増減には波があり、一段落する季節だ。時期がくれば再び投資が始まるとみている」と語った。5月まで続いた上海市のロックダウン(都市封鎖)による部品不足の影響も10月ごろまで続くとの見方を示した。現地の電力需給の逼迫による設備投資への悪影響は現時点ではみられていないという。
世界鉄鋼協会が24日までにまとめた世界64カ国・地域の7月の粗鋼生産量(速報値)は、前年同月比6.5%減の1億4930万トンだった。前年割れは12カ月連続となる。最大生産国である中国で鋼材需要が落ち込んでいることが響いた。
粗鋼は主原料の鉄鉱石などを溶かして成分を調整したもので、経済活動の代表指標として知られている。中国の7月の生産量は前年同月比6.4%減の8140万トンだった。建築向け需要などが振るわず、鋼材市況の悪化で鉄鋼メーカーが減産を進めているとみられる。
その他の主要生産国では、インドが1010万トンと前年同月比3.2%増えた。日本は同8.5%減の730万トンだった。半導体不足などを背景にした自動車の減産が鋼材需要を押し下げた。
7月の米耐久財受注統計では、設備投資の先行指標となる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注が市場予想を上回る伸びとなった。金利上昇や景気軟化に対する懸念をよそに、機器の需要が継続していることが示唆された。
久財受注全体は前月から変わらず、市場予想(0.8%増)を下回った。国防関連の受注が大きく減ったことが背景にある。国防関連の航空機受注は7月、50%近く急減した。輸送機器は月ごとの変動が大きい。民間航空機は14.5%増加。輸送機器を除く耐久財受注は前月比0.3%増えた。
今回の統計は、企業が耐久性のあるテクノロジーと機器への投資を続けていることを示唆している。ただ今後に関しては、借り入れコストの増大や米経済見通しに対する不透明感の強まりといった状況の中で、耐久財受注は軟化する恐れもある。
7月はコンピューターや通信機器、加工金属、機械の受注が増えた。一方、一次金属と電子機器の受注は減少した。
JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル外為戦略責任者、サム・ジーフ氏は 「金利は特にここ1カ月、為替相場を動かす主な要因ではなくなっている。動かしているのは世界の成長ダイナミクスだ」とし、「インフレ期待を抑えるために成長見通しを悪化させるような大幅利上げは、為替相場の支えにはならない」と話した。
S&Pグローバルの23日の発表によれば、ユーロ圏の経済活動は2カ月連続で縮小した。ユーロは今週、ドルに対して20年ぶりの安値を記録した。
こうした厳しい環境の中、前例のない0.75ポイント利上げすらユーロを大きく押し上げることはないだろうと、ナティクシスのエコノミスト、ディルク・シューマッハー氏は話す。
「50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ではなく75bp利上げを選択しても、大きな差はないだろう。金利の動きだけで為替レートに大きな影響を与えるには、少なくとも前向きな経済見通しが必要だ」と同氏は述べた。
不動産市場への打撃は先駆けとしてシドニーで見られており、ここ3カ月で住宅価格は5%近く下落。9兆9000億豪ドル(約935兆円)規模の豪州市場全体では2%の落ち込みとなっている。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は9月6日に次回政策決定会合を開くが、約30年ぶりの速いペースで利上げを推し進めており、一段の下落は不可避の情勢だ。
インフレ高進を受けた各国・地域中銀の金融引き締めにより住宅価格は世界中で軟化傾向にあるが、豪州では家計の所得に対する債務の比率が記録的高水準にあるため利上げに伴うリスクが高い。
S&Pグローバル・レーティングのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ルイス・クイジス氏は、豪州は住宅ローンなど家計が抱える債務の国内総生産(GDP)に対する比率が極めて高いという意味で大きく影響を受けやすい市場だと指摘した。
現在、豪州では不動産価格が低下傾向にあるものの、依然として新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を十分上回っており、値ごろ感には圧力がかかった状況が続き、さらに大幅な下落余地を示唆している。
利上げの終着点を来年時点での2.75%と見ており、これは豪中銀が想定する中立金利をわずかに上回る水準で経済のソフトランディング(軟着陸)の可能性が開かれている。ただ、家計には試練が待ち受けると見込む。
ブルームバーグのエコノミスト、ジェームズ・マッキンタイア氏は、「利上げで家計の借り入れ能力は2023年上期までに20%低下する公算が大きいとわれわれは推測する。支払い能力の低下が向こう数カ月、住宅価格に大きく重しとなる」と分析した。
ニューヨーク連銀の分析によると、2019-21年にみられたインフレの約60%は需要サイドの要因で引き起こされ、残りは供給問題から生じた。
「この内訳の要点は、需要増加によるインフレへの影響を供給の制約が強めたということだ」と、同連銀の調査・統計グループで気候リスク調査の責任者を務めるジュリアン・ディジョバニ氏は24日に公表された連銀の公式ブログで説明した。
ディジョバニ氏は米国の大半のセクター(66セクター中58セクター)が新型コロナ禍の期間に労働者不足や物流ボトルネックといった供給制約の影響を受けたことを見いだした。こうした問題が存在しなかった場合、年間のインフレ率は2021年末時点で9%ではなく、6%になっていただろうと推計した。
ただし、需要サイドの要因の方が価格押し上げに大きく影響した。財政・金融政策からの支援が全体的な需要拡大につながったほか、「消費がサービスから財に移ったことで、需要の構成も変化した」と同氏は分析。それが供給制約の影響を増幅したと論じた。
需要期の冬に向けてロシアからの供給不安が根強いうえ、米国の液化天然ガス(LNG)プラントの再稼働遅れに対する懸念も買いを誘った。
米テキサス州でLNGプラントを運営するフリーポートLNGは23日、6月に火災事故が起きた生産設備の再稼働が11月半ばになりそうだと発表した。当初想定されていた10月からずれ込む見通しとなり、天然ガス需給の引き締まりが長引くとの見方から米欧で値上がりに拍車がかかった。
金利上昇と価格の高止まりが新築・中古住宅の販売低迷につながっている。MBAで経済・産業予測を担当するジョエル・カン氏は「高級住宅の購入需要の低下で、購入ローンの平均額は引き続き下落傾向にある」と指摘した。
一方、住宅を初めて購入する人が増えた兆しも見られる。初回購入者の利用が多い政府保証型ローンの申請件数を示す指数は前週比で4.2%上昇した。
インベスコで債券・オルタナティブ上場投資信託(ETF)プロダクト戦略責任者を務める同氏は、多くの逆風が商品相場を押し上げる中で市場は秋に「突如ショックを受ける」と予想する。10月の米戦略石油備蓄(SPR)放出終了は、エネルギー需要が高まる冬季を控え原油供給を圧迫する見通しだ。
ブルーム氏は、高水準の欧州天然ガス価格が変動性の高い市場にもたらす波及効果も想定している。精錬所閉鎖や産業用金属の不足などだ。一方、ロシアの輸出が減少し干ばつが米穀物のリスクとなる中、ウクライナでの戦争で同国の秋の収穫は減るため食品価格は押し上げられる。
「原油価格上昇が一服したため、向こう1年間の商品価格横ばいを織り込むと誰もが語っている。戦争勃発後のピークから下げたというだけで、何を根拠に商品価格の横ばいを想定しているのだろうか」と疑問を呈した。
●市況
日経先物(大証)28362、ダウ先32944、債先149.40、米3.109、独1.3665、仏1.978、西2.813、伊4.604、波6.346、原油95.35、ドル円136.99、墨ペソ19.91、トルコリラ18.1540、墨CDS148
※8/25 9時25分頃

備忘録(8/23
●中国・ロシア・東欧
中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は大規模な金融刺激策を控えてきたが、この戦略を今後も堅持できるか、中国の不動産市場危機が試そうとしている。
易総裁はこの数週間で、中期貸出制度(MLF)の1年物金利を引き下げたほか、資金繰り難にある不動産開発業者に対して政策銀行経由の特別融資を発表。国有銀行には与信拡大を求めた。また、預金準備率の引き下げ観測も広がっている。
こうした矢継ぎ早の措置でも軸足を置くのはなおリスクの抑制で、李克強首相と国務院(政府)の慎重な政策方針と整合的だ。
人民銀に関する共著もあるグリフィス大学のフイ・フォン上級講師は、「人民銀が通らなければならないギリギリのラインだ」と指摘。「景気は低調に推移しているが、金融刺激策を講じても中国経済のレバレッジを高めるだけで、コストが利益を上回るのではないかと人民銀は懸念している」と話す。
共産党の習近平総書記(国家主席)が慣例破りの党トップ3期目を決める見通しとなっている党大会が近づく中、不動産市場の低迷や新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策による消費への影響など、経済面の課題が山積している。
易総裁は最近、景気下支えのため金融政策を今後も「緩和的」とする方針を示したが、これにも自ずと限界がある。同総裁は過去に量的緩和に反対する主張を展開したほか、大幅な利下げも避けており、より的を絞った手段を選好している。
習氏は制限なき経済成長よりも国家安全保障の確保や格差是正、社会の安定維持などが優先される「新たな発展段階」に中国が入ったと主張しており、易総裁の慎重姿勢も同一線上にある。
習氏の新たな方針を踏まえると、2008年の世界金融危機時などのように、人民銀が大規模な刺激策に乗り出す公算は小さい。そのような措置を講じれば、不動産業界や地方財政、シャドーバンキング(影の銀行)、家計部門、大手コングロマリットなどに広がっていた債務問題への対処を巡るこの5年間の進展を台無しにしてしまう恐れもある。
そもそも易総裁が大型の緩和策を講じたかったとしても習氏が認めなければ実現しない。人民銀はマネーサプライや金利に関して大きな決定を下す前に国務院の承認も必要だ。また、人民銀の党トップである党委員会書記は銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の郭樹清主席が務めており、党委副書記の易総裁が担当するのは日常の業務だ。
●中東
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの不動産開発会社が、長らく休眠状態にある開発プロジェクトの再開に動いている。富裕層の入国が相次ぎ、高級不動産の需要が急増しているためだ。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
電池の原材料高の影響を受けたもの、主力の中国市場で電気自動車(EV)などの販売が急増し、電池の出荷も伸びたことで増益を確保した。
米百貨店大手メーシーズは23日、2023年1月期通期の業績予想を下方修正したと発表した。売上高は前期比0.5%減の243億4000万ドル(約3.3兆円)から同0.5%増の245億8000万ドルの範囲を見込む。従来は横ばいから1%増と予想していた。衣料品などへの消費支出減退が理由で、年末までにさらなる値引きによる在庫処分を予定する。
[FT]世界の河川、干ばつで水位低下 電力不足や航行困難
工場は操業を停止し、農作物の収穫は壊滅的な打撃を受けている。貨物船は積載量を減らして運航せざるを得ず、停電のリスクに直面する住民は数百万人にのぼる――。米国、欧州、そして中国が干ばつに見舞われ、河川の水位が記録的水準にまで低下した結果、各地で深刻な影響が出ている。
●マクロ・その他
7月の消費者物価指数(CPI)の「刈り込み平均値」は前年同月比1.8%上昇し、データが遡れる2001年以降の約20年間で過去最高となった。CPIの上昇率と下落率の上位品目を除いた基本的な方向性を示すことから、値上げ品目の広がりを映している。足元の物価上昇が長引くとの予想が消費者の間でも強まってきており、日銀もインフレの評価の修正に動きつつある。
総務省が19日に発表した生鮮食品を除くコアCPIは2.4%上昇し、日銀の物価目標2%を4カ月連続で超えた。日銀は物価の基調を正確につかむため、コアCPIのほかに刈り込み平均値や加重中央値、最頻値といった指標を独自に算出して政策判断の材料にしている。
7月の最頻値の上昇率は0.7%と過去最高だった。加重中央値は0.3%と6月(0.5%)からやや減速したが、6月に過去最高だった。
商品別の売上高は衣料品が12.7%増と5カ月連続のプラスだった。各店舗でクリアランスセールが始まり、夏物商品の販売が伸びた。
高額品の販売も引き続き堅調で、美術・宝飾・貴金属が22.0%増、ラグジュアリーブランドを含む身のまわり品は21.8%増となり、ともにコロナ禍前の19年実績も上回った。一部ブランドは値上げ前の駆け込み需要もあった。
7月の国内粗鋼生産量が前年同月比8.5%減の732万6000トンだったと発表した。前年同月比で減るのは7カ月連続となる。部品供給網の混乱などを背景に自動車の減産が相次ぎ、鋼材需要に響いた。
炉別に見ると、高炉でつくる「転炉鋼」が前年同月比11.5%減の535万2000トンだった。高炉メーカーは自動車用の生産量が多く、自動車の減産が需要を押し下げた。転炉鋼の前年割れは7カ月連続。建築用などが堅調な電炉鋼は197万4000トンと同0.9%増加した。
自動車向け需要は明るい兆しも出てきた。日本製鉄は名古屋製鉄所(愛知県東海市)の高炉1基を8月末に再稼働すると発表。半導体不足の緩和などを見越して再稼働を決めた。ただ新型コロナウイルスの感染状況やウクライナ問題などによっては需要が落ち込む懸念もある。
政策金利(7日物リバースレポ金利)を0.25%引き上げ、3.75%にすることを決めた。利上げは2018年11月以来、3年9カ月ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んだ景気を回復させるため低金利政策を続けていたが、金融引き締めで足元の物価高を抑制する。
7月の消費者物価指数は前年同月比で4.94%上昇した。伸び率は15年10月以来の高水準で、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な資源や食料の高騰のあおりを受けている。
「インドネシアのインフレ率は4.9%の近辺で、東南アジア諸国連合(ASEAN)平均の約7%や、途上国平均の約9%に比べて、かなり低い」。ジョコ大統領は16日の年次教書演説で現行の経済政策が奏功して相対的にインフレを抑制できていると訴えた。
インドネシア政府は補助金をつぎ込んでガソリンなどの燃料価格を抑制しているほか、食料も備蓄を市場に投入し需給を調整している。ただ資源や食料の高騰がいつ沈静化するか見通せないなか、市場統制には限界があり、政府内でも早晩値上げせざるを得ないとの見方がある。
一方、石炭など豊富な天然資源に支えられた輸出がけん引し、景気回復の足取りは力強い。中央統計局が5日発表した22年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期に比べて5.44%増えた。ペリー中銀総裁は記者会見で「国内経済の改善は続いている」と利上げの影響は小さいとの見方を示した。
同中銀は7日物リバースレポ金利を0.25ポイント引き上げ3.75%に設定。ブルームバーグが調査したエコノミスト31人のうち7人の予想通りとなったが、大方は金利据え置きを想定していた。
前月から減るのは今年に入り6回目。高い借り入れコストと需要後退による米住宅市場の環境悪化が続いている。
需要減の中で在庫は急増しており、今後数カ月は住宅価格に下押し圧力がかかるとみられる。7月末時点で売りに出されていた物件は46万4000件と、08年以来の高水準。ただ、このうち建設中あるいは未着工は90%に上った。
新築住宅販売価格の中央値は前年同月比8.2%上昇し、43万9400ドル(約5970万円)。2020年後半以降で最も低い伸びとなった。
販売されたが未着工の物件は16万5000件と、5カ月ぶりの高水準だった。販売に対する在庫比率は10.9カ月と、09年以来の高水準で、1月と比べて約2倍に伸びた。
米天然ガス先物相場が上昇し、2008年以来となる100万BTU(英国熱量単位)当たり10ドル台を付けた。世界的な天然ガスの備蓄は冬場の需要を満たすのに不十分との懸念が根強い。
ロシアによるウクライナ侵攻の影響で世界的にエネルギー不足が強まり、各国が液化天然ガス(LNG)の購入を急いだ結果、天然ガス価格は世界で高騰している。異例の猛暑に見舞われている欧州ではガス供給が懸念されており、不足分を埋めるべく米国などからの輸入への依存を強めている。
米国でも猛暑で電力需要が高まり、在庫が例年を大きく下回る一方、シェールガス田からの生産の伸びは小幅にとどまっている。
8月の米国の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は、総合が45.0と前月から2.7ポイント低下した。新型コロナウイルス禍で経済活動が停滞した2020年5月以来、2年3カ月ぶりの低水準になり、好不況の分かれ目となる50を2カ月連続で下回った。高インフレによる需要の減退や採算の悪化で企業心理は冷え込んでいる。
業種別ではサービス業が3.2ポイント低下の44.1となった。総合と同じく5カ月連続の低下で、2年3カ月ぶり低水準になった。企業からは物価高や金利上昇の影響で可処分所得が減り、消費者が支出を絞っているとの声が上がった。製造業は0.9ポイント下がり、51.3と4カ月続けて悪化した。2年1カ月ぶりの低水準になった。
多くの企業が原材料価格や輸送費の上昇、従業員のつなぎ留めに向けた賃金上昇といったコスト負担の拡大を指摘した。一方、需要と新規受注の減少を踏まえ、採用活動を縮小する企業も増えており、労働需給の逼迫が和らぐ兆しもある。S&Pグローバルのエコノミスト、シアン・ジョーンズ氏は「コストは依然として歴史的な高水準だが、インフレ圧力が弱まっているのは企業にとって救いだ」と指摘した。

備忘録(8/19-22
●中国・ロシア・東欧
今年3回目の利下げに踏み切った。今春に悪化した景気の回復が鈍いためだ。金融緩和で資金需要を刺激する狙いだが、新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策が経済活動の正常化を阻む。潤沢な資金を市場に供給しても消費や投資が増えない「流動性のワナ」に陥りつつあるとの見方もある。
前回利下げした5月は、期間5年超の金利のみ0.15%下げた。期間が異なる2つのLPRを同時に下げるのは1月以来、7カ月ぶりとなる。
追加利下げは中国政府が停滞から抜け出せない経済に抱く危機感を映し出している。7月の工業生産や小売売上高は市場予想に反して、6月と比べて減速した。資金需要も冷え込んだ。企業や家計向けの中長期融資の純増額も前年同月より5割近く減った。
新型コロナの感染が一部の都市で再び広がり、移動制限が厳しくなったためだ。8月に入っても景気回復はもたつき、中国政府が描く「年後半の回復シナリオ」は揺らいでいる。
中国の証券会社、広発証券によると、8月前半のトラック輸送量は7月平均を3%下回った。厳しい移動制限が全国に広がる前の3月上旬と比べると2割近く少ない。
もっとも利下げ効果が経済に波及するかは見通せない。壁となるのが、習近平(シー・ジンピン)指導部が堅持するゼロコロナ政策だ。
人民銀行の預金者向けアンケート調査が所得不安の強まりを示している。次の四半期の所得見通しを聞くと、新型コロナがまん延した20年以降、「減少」が「増加」を上回るようになった。
最新の4~6月調査では、所得見通しを示す指数が遡れる2001年以降で最低を更新した。家計が将来への不安を拭えず、根強い貯蓄志向が常態化している。
地方経済が依存してきた不動産市場が持ち直すかも読めない。人民銀行は住宅購入の需要を刺激しようと、今年3回の利下げで期間5年超のLPRを計0.35%下げた。新型コロナが初めて中国経済を直撃した20年の累計下げ幅(0.15%)の2倍以上だ。
中国の消費者物価指数(CPI)も7月に前年同月比2.7%上昇し、政府の抑制目標である「3%前後」に近づいた。ただ値上がり幅が大きいのは豚肉などの食品や燃料のみだ。家計の購買力を映すとされる「食品とエネルギーを除くコア指数」の伸びは0.8%と、21年4月以来の低さだ。需要けん引型の物価上昇圧力が弱いことも、追加利下げへ人民銀行の背中を押したとみられる。
中国当局は不動産開発会社の資金不足で建設が止まっている住宅プロジェクトについて、物件を買い手に確実に引き渡すため特別融資2000億元(約4兆円)を提供する。事情に詳しい関係者が明らかにした。苦境に陥っている不動産セクター向けの財政支援を強化する。
情報の非公開を理由に匿名を条件に述べた関係者によると、人民銀と財政省が国家開発銀行や中国農業発展銀行といった政策銀行を通じて融資資金を融通する。特別融資の対象となるのは、未完成の売却済み住宅のみだという。
中国内陸部の四川省政府は25日まで工場の稼働停止を延長する通知を出した。計画停電の延長に伴う措置で、トヨタ自動車と米アップル製品の工場の稼働停止が続く見通し。上海市に工場を持つ米テスラも同省に部品調達先を抱えており、部品調達への支障は避けられず、同社の世界展開に悪影響が及ぶ可能性もある。
バルト3国のラトビアのリンケービッチ外相はこのほど日本経済新聞の取材に応じ、中東欧など16カ国と中国でつくる「16+1」から脱退表明したのは、対中経済関係より西側諸国の経済枠組みを優先することが「最良と判断した」ためと明らかにした。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
クレディ・スイスの十数人のディールメーカーやトレーダー、財務担当者、ウェルスアドバイザーらが匿名を条件に語ったところでは、投資銀部門は来たるべき再編に身構えている。シニアバンカーらによれば、最も極端なケースでは、同部門の最大3分の2が最終的に身売りとなる可能性がある。
他の内部関係者によると、投資銀はいずれ独立部門でなくなり、資産運用やウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)が必要部分を統合することも選択肢の一つという。米ファースト・ボストン買収によりウォール街で実質的な影響力を確保してから30年余りを経て、クレディ・スイスにとって、それは歴史的な後退を意味する。
ファースト・ボストン買収にそのルーツをさかのぼる合併・買収(M&A)アドバイザリーチームだけは比較的安泰と思われるが、債券トレーディングやレバレッジドファイナンス、デットキャピタルマーケッツ、エクイティーキャピタルマーケッツの将来は疑問だ。
独スポーツ用品大手のアディダスは22日、カスパー・ローステッド社長が2023年中に退任すると発表した。後任は未定。アディダスは7月、中国事業の販売不振から22年12月期の業績見通しを下方修正していた。ローステッド氏は26年までの任期を残し、途中解任されることになった。
米自動車大手フォード・モーターは米国などで3000人規模の人員削減に踏み切る。22日、社員向けにメールで計画を通達した。事務職を中心に人件費を削減し、電気自動車(EV)事業での投資余力を高める。
人員削減の対象は主に米国で、カナダとインドでも一部の従業員が対象となる。本社を置く米ミシガン州ディアボーンでは正社員2000人を削減するほか、契約社員1000人程度を削減する。
●決算関連
●マクロ・その他
政府は2023~25年の3年間でアフリカのインフラ開発などに最大50億ドル(約6800億円)を拠出する方針だ。20~22年の35億ドルから4割増の規模とする。アフリカに投じる資金を増やす米欧や中国などに対応する。
英最大のコンテナ港で21日、賃上げを求めるストライキが始まった。8日間の予定で、サプライチェーン(供給網)に影響を及ぼす可能性がある。インフレ率が10%に達する英国では労働者の不満が高まっており、鉄道など幅広い業種でストが相次いでいる。
英東部のフェリクストウ港は、英国のコンテナの半分近くを扱う。英BBCなどによると、従業員の75%にあたる約1900人が賃上げを求めてストを実施した。会社側は7%の賃上げと500ポンド(約8万円)の一時金を提示したが、一部の労働組合以外はこれを拒否した。労働者側は10%程度の賃上げを求めている。
歴史的なインフレの勢いが止まらず、米連邦準備理事会(FRB)など米欧の中央銀行は想定を超える急ピッチな利上げを迫られている。深刻な影響を受けるのは膨大な債務を抱える新興国だ。世界経済見通しの作成を統括し、インフレと景気後退が同時に起こる「グローバル・スタグフレーション」に警鐘を鳴らす世界銀行のアイハン・コーゼ開発見通し局長に聞いた。
マレーシア下院議員の任期満了まで1年を切り、与野党が下院解散と総選挙の準備を急ぎ始めた。汚職事件の有罪判決で自身が出馬できない可能性のあるナジブ元首相は息子による議席継承に動く。野党側のマハティール元首相は新たな政治集団を立ち上げた。与党優位の情勢で、年内解散の観測が高まる。
同行のミスラブ・マテイカ氏らストラテジストは22日のリポートで、「9月に連邦準備制度がまた大幅利上げを行うと予想しているが、再びタカ派姿勢で市場を驚かせることはないと見込んでいる」と説明。経済成長と金融政策の間のトレードオフが今後改善され、「市場全体が回復を続けるのに寄与する」と指摘した。
グローバル化の進展期においては、安い商品と低水準の労働コストがインフレ抑制に寄与していたが、今ではそれが反転しつつある。ウクライナで戦争を始めたロシアとの関係を断とうとする動きが広がる中で、原油・ガス価格は高止まり。企業は政治的緊張を考慮しながら、混乱したサプライチェーンの立て直しを図っている。労働需給の逼迫(ひっぱく)は賃上げを求める労働者側の力を高めている。
PIMCOの北米エコノミスト、ティファニー・ウィルディング氏は極めて不安定なインフレの時代を想定。「数年にわたる価格水準調整を招く全般的な仕入れコスト上昇」につながる変化に世界が適応する中で、「過去20年の『グレートモデレーション』は完全に過ぎ去った」と話す。
ユニオン・インベストメントのマクロ・戦略責任者マイケル・ヘルズム氏は、米金融当局の利上げ停止が早過ぎ、結局はインフレ率が再加速して利上げを再び始めるリスクもあると説明する。
キャピタル・グループの投資ディレクター、フラビオ・カーペンザノ氏(ロンドン在勤)は世界的にタイトな労働市場に言及。連邦準備制度がインフレを急速に鈍化させるには、大規模なリセッションと失業率上昇を容認する必要があることを意味しているとの見方を示す。
「インフレ鈍化ペースは市場の期待よりずっと遅い」とカーペンザノ氏は分析。23年半ばの米利下げを見込む市場は誤っている可能性があり、「インフレは決して解かれたパズルではない。米連邦準備制度は警戒を続けるだろう」と話した。
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)のホークスビー副総裁は22日、インフレ制御の回復に金融引き締めがどの程度必要かは不確実であり、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を4.25%まで引き上げるリスクが存在すると語った。
NZ中銀は17日、4会合連続の0.5ポイント利上げ決定後に発表した声明で、OCRが2023年4-6月(第2四半期)に4.1%でピークに達するとの見通しを示していた。
ホークスビー副総裁はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「終着点を巡る不確実性を反映し、われわれは意図的に曖昧にしている。4%も 4.25%もあり得る。その近辺のバランスの取れたレンジになると考えられる」と発言。NZ中銀はOCRが中立の設定を大きく上回ることを望んでいるが、中立水準は以前の推定(2%)より高い可能性があると認識しているという。
ドイツは労働市場ひっ迫と労働者の購買力低下継続で、4-6月(第2四半期)に比べて賃金上昇圧力は増すことが見込まれると、独連邦銀行(中央銀行)が月報で指摘した。
連銀によると、4-6月に一部の賃金妥結額は上昇傾向を示したものの、上昇率は依然としてインフレ率を著しく下回った。政府の景気支援措置が期限切れとなる秋には、インフレ率は10%前後に達するだろうとの見方も示した。
インフレリスクが上振れ方向に傾いているため、欧州中央銀行(ECB)の金利正常化の継続は適切だとも連銀は主張。一方、ガス市場の動向により冬にマイナス成長に陥る可能性は著しく上昇したと警告した。
シティの英国担当エコノミスト、ベンジャミン・ナバロ氏は、家庭用電気・ガス上限価格の予測に基づき、来年1月に同国のインフレ率は18.6%でピークに達するとの見通しをリポートで示した。標準的な家庭の年間エネルギー価格上限は現在の1971ポンド(約31万9000円)から、来年4月には6000ポンド近くに上昇するとアナリストらは見込んでいる。
英国のインフレ率が前回、18.6%を上回ったのは1976年。当時はオイルショックで世界経済が混乱し、英国は国際通貨基金(IMF)に救済を求める事態となった。ブルームバーグの記録によれば、1980年にもインフレ率は18%近辺を付けた。
ナバロ氏は「リスクは引き続き上振れ方向に傾いている」と警戒感を示し、「一層のインフレ定着の兆しが表れるなら」、イングランド銀行(英中央銀行)は6-7%へと政策金利を引き上げる必要があるかもしれないと指摘した。
米カリフォルニア大学バークリー校ハース・スクール・オブ・ビジネスのナンシー・ウォレス教授は「ノンバンクは資本が十分ではない」とし、「住宅ローン市場が崩れると彼らは困ったことになる」と述べた。
2004年時点では、借り換え向け融資業者の上位20社のうち、独立系は3分の1程度だった。業界動向の分析を手がけるレンディングパターンズ・ドット・コムによると、それが昨年は上位20社の3分の2がノンバンクになっていた。情報・データプロバイダーのインサイド・モーゲージ・ファイナンスによれば、16年以降、銀行の市場シェアは5割程度から3分の1ほどに縮小したという。
いわゆるシャドーレンダーの多くは比較的無傷で今回の後退局面を脱するとみられている。一方、スプラウト・モーゲージやファースト・ギャランティー・モーゲージなど一部の業者はすでに営業をやめたり、規模を大幅縮小したりしている。両社とも政府支援対象外でリスクのより高い部分の貸し出しに特化していた。
ファースト・ギャランティーは、今年実施したローンの価値が下がったのに対処できなくなったとして破産を申請した。裁判書類によると、同社はパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)が株式の過半数を保有している。ファースト・ギャランティーは、まとめて債券化し投資家に販売できる規模に達するまでこうしたローンを組成していた。
裁判書類によれば、金利が上昇し始めると、貸出の規模は業界全体で縮小。ファースト・ギャランティーのアーロン・サンプルズ最高経営責任者(CEO)は、債券として束ねられるだけの新規融資を見つけられず、事業を続けるための資金も確保できなくなったと説明した。
銀行と異なり、独立系の融資会社は事業環境が悪化した際に頼れる緊急支援プログラムや、預金による安定した資金といったものがない。クレジットラインに依存することになるが、それらはたいてい短期間でローン価格に連動する。不良資産を持っているとクレジットラインの出し手からマージンコールを求められ、時には破綻も免れない状況に陥る。
米シカゴ連邦準備銀行が22日発表した7月の全米活動指数は0.27となった。前月から上昇したものの水準は低く、米経済成長の実態により即しているとされる3カ月移動平均はマイナス0.09と前月から横ばいだった。
米ブルームバーグは22日、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相が原油価格の下落を背景に産油国が原油の減産に動く可能性を示唆したと報じた。同氏は、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどで構成する「OPECプラス」が今後「減産を迫られる可能性がある」とした。
欧州の電力指標であるドイツの1年物電力先物価格が22日に25%余り急伸し、初めてメガワット時当たり700ユーロを上回った。この時期としては過去5年間の平均の約14倍となる。
パイプライン「ノルドストリーム」を通じたロシアからの天然ガス供給を巡り新たな懸念が生じたことで、電力相場の上昇圧力が高まった。
●市況
日経先物(大証)28498、ダウ先33117、債先149.57、米3.026、独1.3015、仏1.888、西2.489、伊3.622、波6.107、原油90.78、ドル円137.54、墨ペソ20.14、トルコリラ18.0972、墨CDS153
※8/23 8時45分頃

備忘録(8/18
●中国・ロシア・東欧
猛暑による電力需要の急増で中国の現地政府が計画停電を実施し、進出する日本企業が相次ぎ工場の稼働を停止している。内陸部の四川省成都市でトヨタ自動車が完成車生産を止めたほか、重慶市ではパナソニックやデンソーも工場の稼働を休止した。小売業も時短営業や照明を落とすなど節電対応に追われた。
ゴールドマンは予想を下回る7月の経済指標や当面のエネルギー制約を踏まえ、今年のGDP成長率見通しを3%に下方修正した。従来は3.3%だった。野村は通年の成長率予想を3.3%から2.8%に引き下げた。
閃輝氏率いるゴールドマンのエコノミストチームは17日の顧客向けリポートで、7月の統計や抑制されたインフレ、与信の伸び悩みが「内需不足」を裏付けたと指摘。新型コロナウイルス感染が拡大しているほか、猛暑で電力供給も圧迫され、新たな大型刺激策が講じられる公算も小さいと分析した。
また、野村のエコノミストらはコロナ感染状況が最近悪化しているほか、ロックダウン(都市封鎖)の拡大で8月の活動データは前月をさらに下回る恐れがあると想定。現在の猛暑も景気に打撃となる可能性があるとした。
野村の陸挺氏らは18日のリポートで、「中国当局は景気減速を食い止めるため追加策を講じるだろうが、政府の顔ぶれが変わる年に包括的な刺激策に踏み切る可能性は低く、ゼロコロナ政策を維持する必要性から従来の刺激策の効果もかなり落ちる」と分析した。
中国が、アフリカのインフラ整備に向けた巨額融資が軸の経済協力の見直しに着手した。官民協力で高速道路を建設し、債務再編の交渉に応じる。成長鈍化で「大盤振る舞い」が難しくなり、融資先の「焦げ付きリスク」も警戒する。返済能力を超える貸し付けを巡る国際社会の批判をかわす狙いもある。中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」は曲がり角を迎えた。
アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁は日本経済新聞のインタビューに答え、中国への新規融資を終える検討を2023年に始めることを明らかにした。世界2位の経済大国になった中国は所得水準が向上した。アジア向け融資も主導し、支援を受ける立場ではないとの見方がある。ADBは中国が借り手でなくなれば、低所得国の支援に注力しやすくなる。
●中東
トルコとイスラエルが17日、4年ぶりに互いに大使を復帰させると表明した。パレスチナ問題で対立してきたが、外交関係を正常化する。貿易や投資、観光が活発になることへの期待に加えて、トルコには東地中海の天然ガス開発で孤立している状況から脱却したいとの思惑がある。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
ルネサスエレクトロニクスは軍事アプリケーションの半導体を製造する米国部門の売却を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、売却で最大10億ドル(約1350億円)を調達できる可能性がある。
同部門は「Rad Hard」と呼ばれる耐放射線特性を備えたチップを製造している。ルネサスは2017年に米インターシルを買収した際、この事業を取得した。
18日の発表資料によると、通期の純売上高は前期比5-6%の減少を見込む。従来は横ばいから1%増収を予想していた。
以前から売り上げ成長に厳しさが見られていたものの、ここにきて物価上昇でコストが増加し、消費者の予算も圧迫されて苦しい状況に追い込まれている。18日の決算発表では、中所得層が一段と価格に敏感になっているとし、買い物客は1回当たりの購入額や購入頻度を減らしたり、品質感と値ごろ感を提供するバリューブランドにシフトしたりしていると説明した。
ミシェル・ガス最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「需要の軟化見通しに対応すべく、在庫を減らし費用も下げるための取り組みを実行し、計画を調整してきた」とコメントした。
●マクロ・その他
主要政策金利の1週間物レポ金利を年14%から13%に引き下げると決めた。利下げは2021年12月以来8会合ぶり。足元のインフレ率は80%近いが、景気の減速を懸念したとみられる。
通貨リラは発表後に対ドルで一時、前日比1%超下落し、1ドル=18リラ台の年初来安値を付けた。
中銀は声明で「7~9月期の指標は経済の勢いがいくらか弱まっていることを示している」と指摘し、製造業や雇用の成長を支える考えを示した。高インフレや欧州の減速懸念から、製造業購買担当者景気指数(PMI)は7月まで5カ月連続で基準の50を下回った。
政策金利を0.5%引き上げて年1.75%にすると発表した。6月の前回に続いて、通常の0.25%より大きい幅での利上げを決めた。物価上昇率の想定を上回る拡大に懸念を示し、インフレを抑えるため「9月に政策金利をさらに引き上げる可能性が高い」と予告した。
ノルウェーでも食料品などの値上がりでインフレが進んでいる。エネルギーや税率変更の影響を除く消費者物価指数(CPI)は7月、前年同月比の上昇率が4.5%と6月より0.9ポイント拡大した。ノルウェー銀行は政策目標を2%としている。
ノルウェー銀行は声明で「ここ数カ月の値上がりは広範囲に及び、インフレ率が想定よりも長く高止まりする恐れがある」と指摘した。経済活動や雇用情勢は堅調で余剰生産能力は乏しく、インフレ加速のリスクがあるとみて大幅な金融引き締めが妥当と判断した。
フィリピン中央銀行は18日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利を0.5%引き上げ、年3.75%にすると発表した。物価高やドル高ペソ安の抑制につなげる狙いがある。5月以降で計1.75%と急ピッチで利上げを実施している。
マルコス大統領の新政権で中銀総裁に就任したメダラ氏は同日の記者会見で「価格上昇圧力が引き続きリスクとなっている」と語った。
フィリピンでは7月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同期比6.4%と、6月(6.1%)からさらに上昇し、政府目標値(2~4%)を上回っている。フィリピン中銀は2022年通年のインフレ率予想を5.4%と、6月に公表した前回予想(5%)から上方修正した。利上げを通じて国民の生活に直結する食品やエネルギー価格の上昇を抑える狙いがある。為替も1ドル=56ペソに迫る安値圏にあり、燃料などを輸入に頼る同国では対応が迫られている。
一方でメダラ氏は「雇用環境の改善により内需は底堅い」とも指摘した。22年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比7.4%増となり、景気が回復していることも利上げを後押しした。
日本企業の海外ビジネスのリスクに対応する保険事業を手がける政府全額出資の日本貿易保険は18日、ケニアに本店がある同業の「アフリカ貿易保険機構(ATI)」に出資する方針を明らかにした。出資規模は20億~30億円になる見込み。現地の政治情勢などのリスク情報を入手しやすくして、企業のアフリカ進出を後押しする。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト21人の調査では全員が据え置きを予想していた。リラは対ドルで一時約1%下落。その後、下げ幅を縮小した。
全米不動産業者協会(NAR)が発表した7月の米中古住宅販売件数は、6カ月連続で前の月から減少した。借り入れコスト上昇と需要減退で住宅市場が急速に悪化していることを示す最新の指標となった。
販売件数は1月以降で26%近く減った。6カ月間の減少率としては1999年以降で最大で、住宅ローン金利と価格の上昇が住宅市場を揺るがしている現状を浮き彫りにした。米国では建設業者の景況感が悪化し、住宅購入契約のキャンセルも増えている。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は発表資料で、「販売と建設の減少という点で、住宅市場はリセッションに陥っている」と指摘した。「ただし、住宅価格についてはそうではない。在庫はなおタイトで、全国的に住宅価格は上昇を続けている」とも付け加えた。
7月の中古住宅販売在庫は131万戸と、6月からわずかに増加。販売に対する在庫比率は3.3カ月となり、6カ月連続で上昇した。同比率は5カ月を下回る場合に在庫がタイトだとみなされる。
中古住宅価格(季節調整前、中央値)は前年同月比10.8%上昇し、40万3800ドル(約5460万円)だった。過去最高を更新した6月からやや下がったものの、ユン氏によるとこの時期の典型だという。
8月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数は3カ月ぶりにプラスとなった。ただ、見通しは暗い状態が続いている。
景況指数は6.2に上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値はマイナス5だった。前月はマイナス12.3。6カ月先の景況指数は3カ月連続でマイナスとなった。
出荷が大きく上昇。新規受注はマイナス5.1と約20ポイント持ち直し、活動縮小ペースの鈍化を示した。入荷遅延はプラスに転じ、サプライチェーンの正常化を示唆した。
今回の統計は他の地区連銀が今週発表した製造業景況指数とは違う動向を示した。ニューヨーク連銀製造業景況指数は、データでさかのぼれる2001年以降で2番目に大幅な低下となった。特に受注と出荷の指数の下げが目立ち、需要の急激な落ち込みが示唆された。
仕入価格指数は2020年12月以来の水準に低下。エネルギーコストの低下を反映している可能性が高い。販売価格は昨年2月以来の低水準。
消費者物価の見通しに関する質問では、今後1年の上昇率は6%と、前回同じ質問がされた5月の6.5%から低下。今後10年の予想は3%に低下した。
見通しの景況指数は新規受注が弱く、低下が続いているが、雇用と設備投資の見通しは改善した。
市場が示唆する見通しによると、1年から3年先の英中銀の主要金利は米当局の金利を上回る。英中銀は引き締めサイクルを加速して金利は来年3月にも3.75%前後でピークに達し、数カ月にわたり同水準を維持した後で緩やかに低下に向かうとみられている。
英中銀の金利見通しは、予想を上回った17日の英インフレ統計で押し上げられた。冬季のエネルギー需給ひっ迫で、インフレがさらに加速する見通しもある。3年程度先の英フォワード金利が米国を上回るのは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で2020年前半に市場が混乱して以来初めてだ。
「長期的な金利の水準は米国の方が高くなるはずで、例えば3年など長期のフォワード金利で英国の方が米国よりも高い状況が正当化されるとは思わない」と、INGグループのシニア金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブベ氏は主張。「これは英中銀が向き合っている問題が小さいということではない。エネルギー危機は米国よりも深刻で、インフレ抑制に明らかに苦戦を強いられている。英国にはエネルギー価格に上限を設定する制度があるため、インフレへの影響は遅れて表れる」と述べた。
「私は現時点では0.75%に傾いている」と述べた。インフレの勢いがピークを越えた確証はないとして、利上げの減速観測をけん制した。
格付け会社フィッチ・レーティングスは16日発表のリポートで、米住宅市場が一層冷え込んだ場合のシナリオとして、住宅市場が今後数年間で30%縮小するとの予測を示した。販売価格が毎年10~15%下がる可能性があるという。
米証券ジェフリーズのアネタ・マルコウスカ氏は18日、7~9月期の住宅投資が前期比で減少し「国内総生産(GDP)を1ポイント近く押し下げるだろう」との予測を示した。
●市況
日経先物(大証)28995、ダウ先33950、債先150.30、米2.891、独1.1085、仏1.684、西2.279、伊3.321、波5.806、原油90.69、ドル円136.30、墨ペソ20.15、トルコリラ18.0741、墨CDS145
※8/19 10時10分頃

備忘録(8/17
●中国・ロシア・東欧
●中東
イスラエルのラピド首相とトルコのエルドアン大統領は電話会談を行い、外交関係を全面的に再開することで合意した。
ラピド首相は記者団へのテキストメッセージで、「トルコとの関係再開は地域の安定にとって重要な資産であり、イスラエル国民にとって非常に重要な経済ニュースだ」と表明した。両国はそれぞれ相手国に大使を復帰させるという。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
手術、放射線、抗がん剤に次ぐ「第4のがん治療法」で、2つのがん免疫治療薬を組み合わせる研究開発が広がる。米ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)は今春、新たな標的への免疫薬で世界初の承認を受けた。標的が違うオプジーボと併用し、効果を高めた。がん免疫薬は併用が潮流になり、2028年の世界市場は3倍に拡大し、治療機会と医療費抑制の両立が課題となる。
●その他産業
ブランド力の高さが消費者を引き付けており、電子商取引も好調。中長期的な成長期待が高まっている。
●決算関連
ターゲットは今年度下期の営業利益率について、約6%との従来予想を据え置いた。第2四半期は在庫削減に向け積極的に動いたことが影響し、調整後利益が1株当たり39セントに急減。ブルームバーグが実施したアナリスト調査での最も低い予想にも届かなかった。市場予想の平均は72セント。同四半期の営業利益率は1.2%に低下し、ターゲットが6月に示した予想(2%)を下回った。
ターゲットの決算は、予想を上回ったウォルマートとは極めて対照的な内容となった。これは、ターゲットが顧客需要の変化に対応すべく動いたことを反映している。米国ではインフレ高進を受けて、消費者が食品への支出を増やさざるを得ない状況となっている。ターゲットは生活必需品の取り扱いを増やす一方、台所用家電などの耐久財を値下げしてきている。ターゲットは、売上高全体のうち裁量余地のある商品の占める割合がウォルマートよりも大きい。
2022年5~7月期決算は純利益が1億8300万ドル(約247億円)で、前年同期比90%の大幅減となった。衣料品や家電などの在庫処分のための値下げで利益率が下落し、市場予想を下回った。売上高は3.5%増の260億3700万ドルだった。インフレによる価格上昇が貢献した。
既存店売上高は3%増えた。食品と飲料が2桁台前半の伸びとなった。店舗内に米化粧品小売りのアルタ・ビューティーの販売コーナー併設を進めた美容部門も1桁台後半の成長となった。衣料品や電子機器、家庭用品などは減少した。
営業利益率は1.2%にとどまった。在庫削減のための値下げに加え、輸送費や物流センターで働く人件費などのコスト上昇が収益を圧迫した。同社は6月の下方修正で5~7月期の営業利益率が従来予想の5.3%から2%程度に低下するとの見通しを示していたが、さらに予想を下回った。
ブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は「在庫処分は短期的な収益性を大きく圧迫したが、長期的に正しい決断だったと確信している」と述べた。同社は食料品など生活必需品への支出に傾斜しているとして、秋に向けて必需品以外の商品発注を15億ドル分以上キャンセルしたと明らかにした。
5~7月期の棚卸し資産は前年同期から36%増となお高水準だが、同社は在庫水準の正常化と年末商戦に向けた商品確保の前倒しが並行して進んだと説明した。23年1月期通期は売上高成長率が1桁台前半から半ば、下半期の営業利益率が6%前後とする見通しを維持した。同社の株価は17日、一時3%超下落した。
ドイツのエネルギー大手、ユニパーは17日、1-6月(上期)の純損益が120億ユーロ(約1兆6500億円)を超える赤字になったと発表した。独企業として史上最大級の純損失を計上したことで、欧州エネルギー市場を取り巻く前例のない危機の影響があらためて浮き彫りとなった。
国際会計基準(IFRS)に基づくユニパーの赤字には、将来のガス不足に絡む65億ユーロの損失などが含まれていると同社は説明。ロシアとドイツを結ぶガス輸送パイプライン「ノルドストリーム2」の融資と、ユニパー・グローバル・コモディティーズ、ロシアン・パワー・ジェネレーション両部門ののれん代に関係する評価損27億ユーロも反映しているという。
ビンセント・ロウチ最高経営責任者(CEO)は決算の発表資料で、「経済的な不確実性が受注に影響し始めているが、需要は引き続き供給を上回るペースとなっている」と指摘した。
同社は記録的な年を予測し、同業他社の多くよりも明るい見通しを示したが、今回のコメントは業界に対する懸念が一層深まるものとなった。この1カ月間でインテルやエヌビディア、マイクロン・テクノロジーが低調な見通しを発表し、半導体市場が周期的な低迷期に向かっていることを示唆した。
発表資料によれば、8-10月期の売上高は前年同期比で2-4%増加する見通し。前年同期は129億ドル(現在のレートで約1兆7400億円)で、アナリストらはほぼ横ばいと予想していた。2023会計年度通期についてシスコは最大6%の増収を見込む。
シスコの業績見通しは、部品供給へのアクセス改善よって不安定な経済状況や技術支出の減速を乗り越えられる可能性を示した。経営陣は以前、新型コロナウイルス禍によるロックダウン(都市封鎖)の影響で生じた部品不足を理由に、注文に完全には対応できていないと投資家やアナリストに説明していたが、今はそうした障害が取り除かれ、より多くの需要を売り上げに結び付けられている。
スコット・ヘレン最高財務責任者(CFO)は発表資料で、「総売上高は5-7月(第4四半期)期に当社予想を上回った。世界的な供給状況の影響を低減するためにわれわれが講じた多数のイニシアチブや力強い業務執行の結果だ」と述べた。
●マクロ・その他
ガソリン価格の大幅低下でセンチメントが改善した消費者は、他のカテゴリーでの消費に現金を回せるようになったようだ。それでもインフレの高止まりで賃金が目減りし、クレジットカードに頼るか貯蓄を取り崩す生活を余儀なくされている消費者は多い。こうした状況は向こう数カ月、消費の回復に向かい風となり続ける。
13の項目のうち、建設資材や無店舗小売り、電気製品など9項目が増加。全体の小売売上高は今年に入り6月まで、毎月増加していた。
食品・飲料は0.2%増加したが、消費活動が著しく上向いたというより、食品価格の高騰を反映した可能性が高い。唯一のサービス項目である飲食店は0.1%増加し、1月以来の弱い数字となった。
オンラインを含む無店舗小売りは2.7%増加した。アマゾン・ドット・コムの「プライムデー」セールが影響した可能性が高い。
国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は、予想を上回る0.8%増。1月(3%増)以来の大幅増となった5月の数値と並んだ。
7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で10.1%上げ、伸び率が6月より0.7ポイント拡大した。食品やサービスなど幅広い分野で値上がりが進んだ。
電気・ガスの大幅値上げが見込まれる10月にはインフレがさらに加速しそうで、ピークアウトが意識され始めた米国とは一線を画している。
全体を大きく押し上げたのは暮らしに密接な食料品だ。「食品・非アルコール飲料」は前年同月比の伸び率が12.6%と6月より2.8ポイント広がった。パン、魚類、肉類など多くの品目で2~4ポイントほど高まり、2ケタの上昇率だった。原材料や輸送コストを転嫁する動きが続いた。ガソリンなどの輸送用燃料は43.7%と1.4ポイント拡大した。
労働需給など国内要因をより反映しやすいサービス価格の上昇も進んだ。前年同月比の伸び率は5.7%と0.5ポイント高まり、1992年8月以来ほぼ30年ぶりの大きさになった。エネルギーや食品などを除くコア指数の上昇率は6.2%(6月は5.8%)と再び拡大した。
英国では10月、規制当局が定める家庭の電気・ガス料金の上限が大きく引き上げられる見通しだ。英調査会社コーンウォール・インサイトは一般家庭の標準モデルで約8割増額され、年3582ポンド(約58万円)になると予測している。イングランド銀行(中央銀行)は4日公表の金融政策報告書で、同月のCPI上昇率が13%程度に達するとの想定を示した。
CNNテレビによると、チェイニー氏の得票率は28.9%(開票率99%時点)にとどまり、ライバル候補の弁護士ハリエット・ヘイグマン氏の66.3%を大幅に下回った。チェイニー氏は16日、ワイオミング州ジャクソンで演説して敗北を認めた。
NZ中銀の金融政策委員会(MPC)は、OCRが年末時点で3.69%となった後、2023年4-6月(第2四半期)に4.1%でピークに達するとの見通しを示した。5月時点では23年7-9月(第3四半期)の3.95%がピークと想定していた。
「MPCは5月以降に国内のインフレ圧力が高まったとの認識で一致し、OCR引き上げのタイミングをさらに前倒しすることで合意した」と中銀は声明で説明した。
オア中銀総裁は「4%のオフィシャル・キャッシュレート水準前後の位置にいれば、われわれの責務の要件にインフレ率を戻すために十分な対応を行ったはずだというかなりの安心感を現時点でMPCが得られるのではないか」と政策決定後の記者会見で発言した。
ASB銀行のチーフエコノミスト、ニック・タフリー氏は今回の声明について、「中身を見るとかなりタカ派的だ」と指摘し、10月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、11月と来年2月にそれぞれ25bpの追加利上げを予測した。
12日までの1週間の申請件数を示す総合指数(季節調整済み)は273.3と前の週から2.3%下がった。低下は3週ぶりで、2000年以来22年ぶりの低水準を再び記録した。住宅ローン金利の高止まりで借り換え需要が落ち込み、新規購入の動きも鈍っている。
特に借り換え用のローン申請を示す指数の低下が目立ち、落ち込み幅は前週比で5.4%、1年前との比較では82%となった。総合指数と同様に22年ぶりの低い水準に沈む。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年固定の住宅ローン金利(週平均)は足元で5.22%と1年前より2.35ポイント高い。返済負担を軽くするため、低い金利でローンを借り換える動きは止まっている。
新規購入向けの指数は前週比で0.8%下がり、1年前からは18.4%低下した。金利上昇と住宅価格の高止まりで、米国の住宅販売は新築・中古ともに減速しており、住宅ローンの需要も細っている。
米住宅市場では需要の冷え込みが高止まりする住宅価格にも波及するかが大きな焦点になっている。MBAで経済・産業予測を担当するジョエル・カン氏は「住宅価格の伸びがさらに大きく鈍化し、住宅ローン金利が低下すれば、年後半には購入意欲が戻ってくるかもしれない」と指摘する。
●市況
日経先物(大証)28928、ダウ先33923、債先150.26、米2.900、独1.0810、仏1.654、西2.225、伊3.309、波5.695、原油87.70、ドル円135.03、墨ペソ19.99、トルコリラ17.9490、墨CDS134
※8/18 8時45分頃

備忘録(8/16
●中国・ロシア・東欧
人民銀系の金融時報は16日の1面で中国民生銀行の温彬チーフエコノミストを引用し、中国当局は成長率を合理的な範囲内に維持するため、新たな景気支援策を適時導入すべきだと主張。また、証券時報はこれとは別に、予想外の利下げは景気安定化に向けた一連の政策の第一歩となる可能性があると伝えた。
野村ホールディングスの陸挺氏は0.1ポイントのMLF金利下げについて、「あまりにも小さく遅過ぎる」と指摘。来週発表される事実上の貸出基準金利であるローンプライムレート(LPR)が引き下げられたとしても、信用需要の押し上げには力不足だろうと話す。
平安証券の鍾正生氏は金融政策の支援が2020年の緩和時と同等になったと分析しながらも、当時と比べて回復ぶりが弱いことを踏まえると、追加策が必要だと主張。スタンダードチャータードの丁爽氏は、10月末までに0.1ポイントの追加利下げがあると予想している。
UBSの中国担当チーフエコノミスト、汪涛氏はリポートで、「長引くコロナ制限措置や脆弱(ぜいじゃく)な景気回復を考えると、政府は政策支援の強化を年内は続けるとわれわれは見込んでいる」と説明した。
四川省政府は20日まで大半の工場に生産の一時停止を命じる通知を出した。猛暑で需要が急増した家庭用電力を確保するため計画停電を実施する。米アップル製品やトヨタ自動車の工場も含まれ、世界的なサプライチェーン(供給網)に悪影響が出そうだ。重慶市や浙江省、江蘇省でも電力制限は広がっており、経済を下押しするのは避けられない。
●中東
新たなポジションにはアマゾン・ドット・コムやグーグルの親会社アルファベット、ブラックロック、JPモルガン・チェースが含まれる。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
新たな歳出・歳入法が成立した。柱の一つが薬価制度の改革だ。処方薬の価格引き下げについて、公的医療保険の運営者が製薬会社と直接交渉できる仕組みを取り入れた。2026年から一部の製品で交渉が始まり、製薬業界に値下げ圧力が強まりそうだ。ただ各社の反発は強く、曲折も予想される。
新法は高齢者向け公的医療保険「メディケア」が製薬会社と薬価を交渉できる新ルールを導入した。薬価がインフレ率を超えて値上がりすれば、製薬会社は差額をメディケアに支払う義務も生じる。
米国では民間保険会社の多くがメディケアの設定価格を参考にしており、事実上の標準薬価になっている。メディケアの発言力が強まれば、全面的な薬価引き下げにつながる可能性がある。
米国で薬の価格は高騰している。ロイター通信が8月15日に発表した調査によると、米食品医薬品局(FDA)が22年に承認した13種類の新薬の価格中央値は25万7000ドル(1年使用した場合)と過去最高にのぼった。
新法の対象となる薬は当面10種類とし、2026年から交渉が可能になる。メディケアにとって費用負担の重い糖尿病薬やがん治療薬などが選ばれる可能性が高い。27年と28年には交渉できる薬をそれぞれ15種類追加し、29年以降は毎年20種類の処方薬について値下げ交渉ができるようになる。
一方、製薬大手からは批判が相次いでいる。ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は7月28日のアナリスト向け説明会で「価格交渉ではなく、政府による(上からの)値決めにつながる」と反発した。新型コロナウイルスの大流行で「製薬業界は公衆衛生と世界経済に対する価値を証明した。それにもかかわらず、この業界を標的としたのは残念だ」と述べた。
製薬各社にとって、開発費が回収できなくなるとの懸念も強い。業界団体の米国研究製薬工業協会(PhRMA)のユーブル理事長は「(新法は)イノベーションを妨げないと主張するが、がんや認知症などの新しい治療薬が減りかねない」と批判した。
テバファーマスーティカル・インダストリーズやペリゴなどのジェネリック医薬品(後発薬)メーカーは、消化性潰瘍や胃炎の治療薬「ザンタック」が原因でがんになったとして訴訟を提起していた男性と和解で合意した。合意に詳しい複数の関係者が明らかにした。
原告のジョセフ・バイヤーさんは、ザンタックの服用が食道がんを引き起こしたとして提訴していた。同関係者によると、総額50万ドル(約6700万円)余りを支払うことで和解に同意した企業にはサン・ファーマシューティカル・インダストリーズとドクター・レディーズ・ラボラトリーズも含まれる。
●その他産業
1~6月に改修をしていたが、自動車向け鋼材需要の落ち込みなどで再稼働の時期が未定だった。今後の半導体不足の緩和や製造業の回復などを考慮して決めた。
再稼働するのは名古屋製鉄所の「第3高炉」。同高炉は容積から単純に試算すると、日鉄全体の国内生産量の約8%を占める。名古屋製鉄所は自動車向け鋼材の主要生産拠点。
足元では建設や造船、産業機械向けの鋼材需要が好調に推移している。自動車向け鋼材も先行きは不透明だが、半導体不足が徐々に解消し生産量が増えることが見込まれている。
●決算関連
2022年5~7月期決算は、売上高が前年同期比8%増の1528億5900万ドル(約20.5兆円)だった。インフレ下で食料品の売り上げが伸びた。営業利益は7%減の68億5400万ドルだった。売上高に占める食料品や消耗品の割合が増える一方、衣料品などの過剰在庫解消へ値引きを進めたことが利益率を押し下げた。
純利益は20%増の51億4900万ドルだった。中国のネット通販大手、京東集団(JDドットコム)への出資に伴う特別配当による収入1億8200万ドルと、チリでの保険金1億7300万ドルの計上が含まれる。
売上高、純利益ともに市場予想を上回った。23年1月期通期の調整後1株当たり利益の予想を前期比9~11%減に上方修正した。7月下旬には衣料品の不振などを理由に、それまで1%減としていた予想を11~13%減に下方修正していた。
ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「インフレの時代に、ウォルマートを選ぶ消費者が増えている」と述べ、節約志向を高めて食料品への支出に重点を置く消費者を取り込んだ結果だと説明した。プライベートブランド(PB)の売上高の伸び率が2~4月期から倍増したほか、中所得・高所得層の消費者の店舗利用が増えているという。
値引きや数十億ドル分の注文キャンセルによる在庫削減で、米国における在庫の増加率は26%と2~4月期の水準から7.8ポイント縮小した。夏の季節商品の在庫をほぼ一掃した一方、電子機器や家庭用品、スポーツ用品などの在庫削減を継続している。輸送用コンテナ数を2~4月期から半減させるなど、物流コストの低減も進める。
2022年5~7月期決算は、純利益が前年同期比8%増の51 億7300万ドル(約6950億円)だった。売上高は6%増の437億9200万ドルで、四半期として過去最高となった。事業者向けを中心に需要が堅調だった。
売上高、純利益とも市場予想を上回った。テッド・デッカー最高経営責任者(CEO)は「引き続き堅調なホームセンターの需要を反映した結果だ」と指摘。インフレや巣ごもり需要の反動など「困難な環境を切り抜けて顧客に貢献してきた」と述べた。23年1月期通期の売上高予想は3%増に据え置いた。
既存店売上高は6%増え、平均購入単価は9%増の90.02ドルとなった。1回あたりの決済額が大きい専門業者の売り上げが増えた。銅板や建材、ゴム製品などの素材高によるコスト上昇を吸収するための値上げも奏功したとみられる。
中国市場の軟化で主力の鉄鉱石事業は減収となった。サプライチェーン(供給網)の混乱やロシアのウクライナ侵攻を受けて石炭価格が上昇し、業績全体を押し上げた。
部門別にみると、鉄鉱石事業の売上高は11%減の307億ドル、EBIT(利払い・税引き前損益)は20%減の194億ドルの黒字だった。一方で石炭は平均販売価格が3倍以上に跳ね上がり、売上高は同3倍の155億ドル、EBITは87億ドルの黒字と前の期(5億ドルの赤字)から回復した。
ただ、BHPは豪国内に保有する発電用石炭の炭鉱について、30年までに閉鎖することをすでに決定。製鉄に使う原料炭も一部を売却した。今後も脱炭素をにらみ資産構成の見直しを進める見通しだ。
BHPは5日、銅・ニッケル鉱山を保有する豪OZミネラルズに買収を提案したが「企業価値を過小評価している」として拒否された。ヘンリー氏は再提案について問われると「M&A(合併・買収)は成長に向けた一つの手段だが、我々は財務規律を保つ必要がある」と述べ、慎重な姿勢を示した。
●マクロ・その他
チェイニー氏は20年の予備選で7割以上の支持を得て本選に進んだ。今年は一転して劣勢に立ち、事前の世論調査ではヘイグマン氏がチェイニー氏を20~30ポイント差でリードする。ヘイグマン氏が勝てば共和党でトランプ氏の求心力が依然として強いことを示す。
トランプ氏の弾劾決議に賛成した共和党下院議員10人のうち3人がすでに予備選で敗退し、4人が引退を表明。本選に生き残ったのはこれまで2人だけだ。チェイニー氏の勝敗は共和党でトランプ氏と距離を置く伝統的な保守主流派の将来の試金石となる。
2003年から2期8年大統領を務めた左派のルラ氏と、元軍人で現職の右派ボルソナロ大統領の一騎打ちの様相が強い。
調査会社FSBが15日に発表した世論調査によると、支持率が最も高いのはルラ元大統領で45%だった。ボルソナロ氏が34%で続いた。
ルラ氏は低所得者層や労働組合が支持基盤で、社会保障の拡充を訴えている。ボルソナロ氏は国営企業の民営化を一段と進める考えで、キリスト教福音派などの保守派や軍人に人気がある。
7月の米住宅着工件数は市場の予想以上に減少し、昨年2月以来の低水準となった。住宅建設業者は需要の低迷と在庫増加に見舞われている。
キーポイント
米住宅着工件数は9.6%減の年率換算144万6000戸
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は152万7000戸
前月は159万9000戸(速報値155万9000戸)に上方修正
着工件数の先行指標となる住宅建設許可件数は1.3%減の167万4000戸
一戸建て住宅の着工件数は約2年ぶりの低水準となった。新型コロナウイルス禍に関連した住宅活況を背景に、建設業者は需要を満たすのに十分な住宅を建築してきた。だが現在は高い住宅ローン金利やインフレ、経済状況の悪化で販売が落ち込んでおり、建設業者が大量の売れ残り物件を抱える事態となっている。
一戸建て住宅の着工件数は10.1%減の年率換算91万6000戸と、2020年6月以来の低い水準。着工許可件数は4.3%減って、2年ぶり低水準となった。変動の大きい集合住宅の着工件数は53万戸に減少した。
自動車の生産指数は7月に前月比6.6%上昇し、過去4カ月で最大の上昇率になった。半導体不足が和らぎ、自動車メーカーに増産余地が生まれた。
自動車を除いた製造業生産指数は0.3%上昇した。前月までは2カ月連続で低下していた。組立金属や木材製品、航空宇宙機器が伸びた一方、電子機器や家電、一次金属、家具は低下した。
製造業の設備稼働率は79.8%と、前月の79.3%から上昇した。
公益事業の生産指数は前月比0.8%低下。鉱業は0.7%上昇し、3カ月連続で前の月から上昇した。石油・ガス掘削は3.3%上昇した。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が16日発表した8月の独景気期待指数はマイナス55.3と、前月のマイナス53.8から低下。エコノミスト予想はマイナス52.7への改善だった。8月の現状指数も前月比で悪化した。
ZEWのミヒャエル・シュレーダー氏は「依然として高いインフレ率と暖房・エネルギーコスト増大見通しが個人消費セクターの利益予想下振れにつながっている」と資料でコメントした。
エネルギー価格の高騰や円安で輸入額は前年同月比47.2%増の10兆1895億円で、5カ月連続で過去最大を更新した。輸出額は19.0%増の8兆7528億円で過去最大だった。貿易赤字は12カ月連続となる。
●市況
日経先物(大証)29095、ダウ先34143、債先150.50、米2.820、独0.9645、仏1.530、西2.093、伊3.132、波5.478、原油86.86、ドル円134.32、墨ペソ19.91、トルコリラ17.9360、墨CDS134
※8/17 9時25分頃

備忘録(8/15
●中国・ロシア・東欧
中国人民銀行(中央銀行)は15日、中期貸出制度(MLF)の1年物金利を予想に反して2.75%に引き下げた。利下げは1月以来。新型コロナウイルス感染対策のロックダウン(都市封鎖)や不動産低迷の深刻化による影響を受ける経済への支援を強化する。
従来のMLF金利は2.85%だった。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想では20人全員が据え置きを見込んでいた。
人民銀はまた、7日物リバースレポ金利を2.1%から2%に引き下げた。
追加刺激策の必要性は、MLF金利の引き下げ発表後間もなく公表された7月の経済指標で裏付けられた。同月の小売売上高と工業生産、1-7月の固定資産投資の伸び率は軒並み予想を下回った。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当エコノミスト、楊宇霆氏は「7月の経済指標は非常に気掛かりだ」と指摘。「ゼロコロナ政策が引き続きサービス業への打撃となり、家計消費の足を引っ張っている」と述べた。
中国の10年物国債利回りは2.675%と5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。2020年5月以来の低水準を付けた。オフショア人民元は0.3%安の1ドル=6.7607元と下げを広げている。
中国はコロナ感染を徹底的に抑え込むゼロコロナ政策を堅持しており、制限措置の導入と解除を何度も繰り返す恐れは拭えず、経済の回復を持続させることが難しくなっている。
今月もリゾート地として有名な海南省で感染が急増しており、地元当局は感染を抑えるため旅客便の運航停止や企業の休業に踏み切り、観光客も現地で足止めを余儀なくされている。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは今回の利下げが小幅だった一方、当局に行動の用意があるという「シグナル効果の意味合いが強い」と分析した。
「今回の利下げ幅に関しては非常に限定的だ。市場の見通しを好転させ、下方スパイラルを打開するには追加策をもっと講じる必要がある」と張氏は話した。
中国の雇用改善がもたついている。2022年7月の失業率は5.4%と前年同月を上回り、若年層に限ると過去最高を更新した。新型コロナウイルスの感染が一部都市で再拡大したことで移動制限が強まり、内需の回復が遅れている。企業や家計は先行き不安を拭えず、年後半の景気復調というシナリオに狂いが生じかねない。
中国国家統計局が15日、7月の主要統計を発表した。前年同月と比べた増加率は工業生産が3.8%、小売売上高が2.7%だった。いずれも市場予想に反して、6月の伸びより縮まった。
これは新型コロナ対応の移動制限が一部都市で再び強まったためだ。外食や娯楽など接触型消費を下押しした。6月は1.3%だったサービス業生産指数の上昇率は0.6%にとどまった。南部を中心に7月は高温多雨が続き、経済活動が停滞したことも響いた。
雇用もさえない。失業率は5.4%と前月より0.1ポイント下がったが、21年7月より0.3ポイント高い。5カ月連続で前年同月の水準を上回る。なかでも16~24歳の失業率は19.9%に達し、4カ月連続で過去最高を更新した。6月に卒業した大学卒業生が労働市場に参入し、若年層の就職難は深刻さを増している。
先行き不安から企業や家計の資金需要は弱い。中国人民銀行(中央銀行)によると、中長期融資の純増額は7月、前年同月より45%少なかった。6月は上海市のロックダウン(都市封鎖)解除で21年5月以来の増加を記録したが、再び落ち込んだ。
中長期融資のなかでも住宅ローンが大半を占める個人向けは63%減った。7月の住宅販売面積は3割減少した。マンション市場の低迷で家具などの販売も伸び悩んでいる。
中国南部のリゾート地、海南省の海南島では8月初旬、感染拡大をうけ地元政府が公共交通機関の一時停止などに踏み切った。このあおりで8万人の観光客が足止めを受けた。今なお多くが「脱出」できずにいる。
秋の共産党大会を控えて「感染封じ込めのための移動制限がまた厳しくなるのではないか」との声も多い。今春、ゼロコロナ政策で景気が悪化した記憶は新しく、移動制限の強化は家計や企業の心理を冷やし、内需の復調に水を差す恐れがある。
シンガポールの次期首相就任が有力視されるローレンス・ウォン副首相は15日、米中両国が相互に関与し、台湾海峡を巡って高まる緊張の緩和に努めなければ、「無意識のうちに衝突に突入する」危険があると警告した。ブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューで発言した。
ウォン副首相は「われわれは世界をますます危険な領域に導く一連の決定を米中両国が行う状況を経験し始めている」と述べ、台湾海峡や南シナ海で米中間のニアミスが発生するリスクに懸念を表明。米中対立が長期化するとの見解を示した。
●中東
イランは2015年に結んだ核合意の再建草案について、公式の立場を15日夜までに欧州連合(EU)に伝えると表明した。米国との合意に近づいている可能性を示唆したもので、まとまればイランの石油輸出解禁につながり得る。
イランのアブドラヒアン外相は「米国が現実的なアプローチと柔軟性を示すなら、向こう数日以内に合意に達することが可能だ」と述べた。
中国の需要を巡る懸念がある中でイランの供給が増えるとの見通しも台頭し、原油価格は下げを拡大。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は一時4.3%安の1バレル=88ドル近辺まで下落した。
アブドラヒアン外相はテヘランで記者会見し、「イランは最終的な項目が満たされれば合意を発表する段階に入る用意があり、最終的な詰めに関してウィーンで外相会合を開く準備もしていると、米国側に明確に伝えた」と語った。
米国とイランの核合意再建交渉で主要な仲介役として機能しているEUは、「最終的な」草案を提示。草案は合意再建の残る最後の望みを表していると説明した。
イランのアブドラヒアン外相は15日、核合意再建に向けて欧州連合(EU)が示した「最終文書」について「解決すべき3つの課題がある」との認識を示した。具体的な内容には言及しなかったものの、妥結に向けて米側が柔軟性を示す必要があるとした。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
米国など先進国の投資家はこの40年で初めて、高インフレとリセッション(景気後退)の両方に同時に通用するポートフォリオ戦略を模索している。
そうしたスタグフレーション戦略がどのようなものになるかは誰にも分からないが、確かなのは一部の新興国資産が絡むということだ。
米金融引き締めと消費者物価高騰で、新興国の株式・債券相場は今年に入り下落しており、世界経済が失速すれば一段安となりかねない。しかし、スタグフレーションに対抗する秘策は新興国市場にあり、高成長と緩和的政策、インフレ調整後のリターンがインド株やブラジル通貨、中国債券を含むあらゆる新興国資産に好機をもたらす可能性がある。
ナティクシスのシニアエコノミスト、トリン・グエン氏は「スタグフレーションを背景に、投資家は世界の成長地域を探さざるを得なくなり、特に世界的な需要鈍化の影響を受けにくい新興国市場がその最有力候補だろう。成長を遂げる巨大な国内市場を持ち、世界的なリセッションから守られるだけでなく、その恩恵を受ける国が特に有望だ」と語った。
米国のリセッション入りの確率は2008年の金融危機以来となる50%に上昇。米インフレ率はピークに達した兆しがあるが、少なくとも24年までは連邦準備制度の目標の2%をはるかに上回る水準を維持すると予想されている。英国や欧州では消費者物価がなお上昇しており、エネルギー危機で景気後退の可能性が高まっている。
ある世代のトレーダーにとっては未知の領域だ。1982年以来、成長とインフレのリスクは密接に関係しており、不況期には物価も低下していた。しかし現在はインフレ高進と成長鈍化が同時に起きており、トレーディングの全く新しいパラダイムが求められている。
みずほ銀行の経済・戦略責任者、ビシュヌ・バラサン氏は「新興国市場が世界的なスタグフレーションショックの影響を免れる可能性は低いが、スタグフレーション型のリスクが一部にとどまる限り、新興国市場での好機が先進国市場のリスクヘッジに役立ち得る」と述べた。
英住宅市場で売却希望価格が約2年半ぶりの大幅な下落となった。例年の夏の販売鈍化に加えて、景気の先行きについて一段と慎重な見方が背景にある。
英最大の不動産ポータルサイト、ライトムーブの15日の発表によると、新築物件の希望価格は8月に前月比で1.3%低下。前年同月比では8.2%上昇と、前月の9.3%上昇から上げ幅が縮小した。特に最高級物件の価格が大幅に落ち込み、地域別ではロンドンが最も値下がりした。
ライトムーブによれば、8月は住宅購入者が夏季休暇に出かけたり、子供たちの新学期に備えるなどで価格は通常下落する。同時に、イングランド銀行(英中央銀行)やその他住宅ローンを提供する金融機関のリポートは、金利上昇や生活費高騰への不安が不動産市場の逆風となり始めていることを示唆している。
ライトムーブのプロパティーサイエンス担当ディレクター、ティム・バニスター氏は、「幾つかの指標から、不動産市場は絶好調だった過去2年から引き続き冷めつつあることが示された」と指摘、「金利上昇の影響は年内に徐々に浸透していく可能性が高い」との見方を示した。
今のところ強力な需要に対して物件が不足していることから価格急落はないとみられる。ライトムーブによれば、新型コロナウイルス禍前の2019年以降、買い手の需要は20%伸びた。
ライトムーブによると、住宅価格は過去20年で134%上昇し36万5173ポンド(約5885万円)となった。この期間の平均賃金は76%増、インフレ指標となる小売価格指数は93%の上昇にとどまった。
サクソ銀行の大中華圏担当市場ストラテジスト、レドモンド・ウォン氏は、中国東方航空と中国南方航空も同様の方針を「近く」発表する可能性があると予想した。
両社を監督する国務院国有資産監督管理委員会(国資委)は、米市場撤退計画を先週明らかにした企業のうち4社の監督機関でもあるとウォン氏は指摘。両社は米証券取引委員会(SEC)の上場廃止警告リストにも掲載されていると付け加えた。
中国東方航空は1997年に米市場で2億2700万ドル(約300億円)規模の新規株式公開(IPO)を実施。中国南方航空の同年のIPOは6億3200万ドル規模だった。両社は香港と中国本土市場にも上場している。
高炉の鉄鋼メーカーの主原料となる製鉄用石炭(原料炭)の取引価格が一段と下落した。指標のスポット(随時契約)価格は7月下旬に1トン200ドルを割り込み、約1年ぶりの安値をつけた。中国では都市封鎖(ロックダウン)の影響で経済活動が停滞し、鋼材需要が低迷。原料価格の国際相場が下落した。
中国の7月の小売売上高がふるわなかったほか、工業生産高も市場予想を下回った。ロイター通信によると、同国の7月の原油処理量は20年3月以来の低い水準だった。国営の製油所が計画外の停止をしたほか、独立系も生産量を減らした。新型コロナウイルス禍でロックダウン(都市封鎖)したことなどで景気が減速。世界最大の原油輸入国である中国の需要の弱さが意識された。
米国経済の先行きにも慎重な見方が台頭している。15日発表のニューヨーク連銀の製造業景況指数が大きく悪化し、事前予想を下回った。落ち込み幅は新型コロナウイルス禍が景気を直撃した2020年4月に次ぐ規模だった。
供給は底堅いとの観測が強まったことも下落圧力につながった。
イラン核開発問題を巡っては、交渉の停滞を打開するために欧州連合(EU)がイランに新たな提案をしており、イランが15日にもEUに回答すると報じられた。交渉が進展すれば供給が増えるとの思惑で原油先物が売られやすくなっている。
ロシア産原油の生産は大きく減っていない。国際エネルギー機関(IEA)によると、ウクライナ侵攻後に一時減ったロシアの原油生産量は底入れしたもようだ。西側諸国がロシア産原油からの脱却を探るなか、アジア向けの輸出がけん引した。
熱波の多発などにより、夏季に体感温度がカ氏125度(セ氏51.7度)を超える地域が今後30年間で国土の4分の1にまで広がる見通しだ。穀倉地帯を中心に甚大な影響が及びかねない。
8月の住宅市場指数は49となり、前月から6ポイント低下した。低下は8カ月連続。新型コロナウイルス禍に入った直後の2020年5月以来、2年3カ月ぶりに好不況の分かれ目となる50を割り込んだ。住宅ローン金利が高止まりしていることで、住宅市場の見通しが悪化した。
8月の内訳は「現在の販売状況」が57で前月から7ポイント、「今後6カ月の販売見通し」は47と同2ポイントそれぞれ低下した。「客足」も32と5ポイント落ち込んだ。NAHBは建設コストの増加と、住宅ローン金利の上昇で市場が冷え込んでいることを景況感悪化の理由に挙げた。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げで住宅ローン金利は上昇した。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、7月下旬から8月にかけての30年固定金利はおおむね5%台と高止まりしている。インフレが落ち着くとの見方が広がれば「今後数カ月の需要は安定してくるだろう」(NAHB)との認識も示した。
米銀JPモルガン・チェースのダニエル・シルバー氏は結果を受け、「7~9月期の住宅投資が(前期比で)減少することを示唆している」と指摘した。
アクセレレート・ファイナンシャル・テクノロジーズのジュリアン・クリモチコ最高経営責任者(CEO)は、「市場環境が影響しSPACを通じた合併の完了は困難になっている。質の高い取引は望むべくもない」と述べ、「今は無数のスポンサーが、失敗していそうな多くのSPAC取引に目を付けている」と述べた。
景況の悪化を報告した製造業者の割合は43.6%と、前月のほぼ2倍に増加。新規受注と出荷に関しても同様の割合で悪化の回答が増えた。
今後数週間にわたり複数の地区連銀の製造業景況指数が発表される。NY連銀の製造業景況指数は変動が大きくなる傾向はあるものの、今回の低下度合いからは製造業が従来の想定以上に厳しい低迷期を迎える可能性も示唆される。
ピクテ・ウェルス・マネジメントの米国担当シニアエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は今回の統計について、「各業界が新型コロナウイルス禍だった時の状況から注文量を推計し、結局注文し過ぎた」ことを示している可能性が高いと指摘。「この破壊的ともいえるような急激な悪化トレンドは、業者が注文について真剣に精査し直し、多くのケースでは単にキャンセルしている状況ではないかと考えられる」と分析した。
新規受注の指数はマイナス29.6と、前月(プラス6.2)から大きく低下。出荷もマイナス24.2と、前月(プラス25.3)から急激に下げた。両指数と全体の景況指数は、2020年5月以来の低水準となった。
6カ月先の景況見通しはプラス2.1と、前月のマイナス6.2から改善したものの、わずかなプラスにとどまった。
結果公表の直前に7人の選管委員のうち4人が結果を認めないと表明し、混乱が生じる事態となった。銃声が響く中でオディンガ氏支持者らが委員が集まった演壇に殺到し、票の集計と検証のプロセスを非難した。
オディンガ氏自身は結果にまだ反応していないが、同氏陣営の一部は拒否したことを明らかにした。同氏が今回の選挙結果を認めない場合、7日以内に最高裁判所に申し立てをする必要がある。2017年のように結果が無効とされれば、その後60日以内に新たな選挙が実施されることになる。裁判所への申し立てがなされなければ、ルト氏は月内に大統領に宣誓就任する。
●市況
日経先物(大証)28835、ダウ先33832、債先150.49、米2.782、独0.9075、仏1.472、西2.034、伊2.974、波5.360、原油88.19、ドル円133.11、墨ペソ19.83、トルコリラ17.9600、墨CDS134
※8/16 8時40分頃

備忘録(8/12-14
●中国・ロシア・東欧
中国で不動産開発企業の経営難を起点に、金融と財政が同時に悪化している。銀行では不動産融資の焦げ付きが増え、工事が止まった物件で住宅ローンの返済拒否が広がる。地方政府が国有地の使用権売却で得る「土地収入」も落ち込む。7月のマンション販売は前年同月比3割減と低迷が続き、苦境の出口は遠い。
不動産の苦境は政府の規制強化が発端だ。バブル抑制のため2021年に開発企業向け融資や住宅ローンを絞った。新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で景気も悪化し、22年1~6月の住宅販売面積は前年同期比27%減った。調査会社の中国指数研究院によると、7月も主要100都市で前年同月比27%減、前月比も13%減った。
中国の調査会社Windによると、返済の先送りを含む債務不履行(国内債のみ)は8月8日までの1年間で99件あった。その前の1年間の2.2倍に膨らんだ。米S&Pグローバルは、格付け対象となっている開発企業の少なくとも2割が破産危機に直面していると警告する。
銀行融資にも影響が出始めた。中国の不動産融資残高は全体の26%を占める。21~22%台だった日本のバブル期より高い。国有大手4行の不動産業向け不良債権比率は21年末時点で3.8%と、1年で1ポイント以上悪化した。
開発企業の資金繰り難で、マンション建設が中断する未完成の物件が相次いだ。不動産シンクタンク、易居不動産研究院の厳躍進氏は、22年6月までの4年間に販売された新築物件の4%近くが問題物件だと試算する。
中国では竣工前に売買や住宅ローンの契約を済ませる例が多い。未完成物件の家主が抗議のため、住宅ローンの返済拒否という強硬手段に打って出始めた。7月に拡大し、全国で300カ所超の開発案件に広がった。厳氏は不動産融資残高の1.7%にあたる9000億元(18兆円弱)に影響が及ぶと試算する。
中国政府は金融不安の芽を摘もうと銀行の資本増強を急ぐ。地方政府がインフラ債券発行で調達した資金を転用し、中小銀行に公的資金を注入させる。22年の新規注入額は3200億元に上る。
手元資金が枯渇した開発企業は、新たな住宅開発に必要な土地の確保に動けなくなった。22年1~6月の土地収入は前年同期より31%少なく、通年でも7年ぶりに前年割れとなる公算だ。不動産取得税など関連の税収も減少する。
歳入の柱が崩れ、地方財政の悪化が進んだ。S&Pグローバルは最大3割の地方政府が22年末に、歳出削減など早期是正措置を求められる水準まで財政が悪化するとはじく。
ロイター通信によると、中国政府は最大3000億元の不動産基金をつくる検討に入った。開発企業の資金繰りを支援する狙いだが、共産党関係者は「あきらかに規模が小さい」とつぶやく。
中国は過去20年間、不動産投資で経済を押し上げてきた。米ハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏らの分析によると、不動産関連の国内総生産(GDP)に占める比率は29%に及ぶ。1990年代末の10%未満から存在感を高めてきた。20%以下の日米欧と比べて、不動産依存が際立つ。
ロゴフ氏らは広義の不動産関連の投資が20%減少すると、中国のGDPは5~10%減るとはじく。都市部雇用の15%超を占める不動産業と建設業の不振は、雇用不安を増幅させかねない。
「チャイナ・ショック」と呼ばれた15年の景気減速期は、力強い個人消費がその後の景気回復をけん引した。足元では雇用の悪化が長引いて貯蓄志向が強まり、個人消費に力強さはない。
ロシアが2月24日にウクライナへの侵攻を始め、欧米諸国などから受けた制裁が響いた。22年1~3月期は3.5%増で、21年10~12月期の5%増から減速基調に転じていた。
小売りや製造業などの幅広い業種で減速が目立った。ロシア経済発展省によると、4~6月期の小売り売り上げは9.8%減で、1~3月期(3.5%増)からマイナスに転じた。ウクライナ侵攻に伴って欧米企業撤退の動きが加速したほか、ブランド品などの購入が難しくなり、消費者の購買意欲が落ち込んだ。侵攻直後に比べると物価上昇は落ち着きつつあるものの、インフレ率は前年比で15%を超えている。
製造業では自動車が63.1%減と大幅に落ち込んだ。外資系自動車メーカーのロシア事業の停止や撤退の動きに加え、ロシアの自動車メーカーが欧米諸国からの経済制裁に伴って海外からの部品輸入がなくなり生産が停滞した。タバコは24.4%減で、木材加工製品は9.8%減だった。
経済制裁の影響で、22年下半期はロシアのGDPの減少幅が拡大する見通し。22年通年のGDP見通しについて、ロシア中央銀行は4~6%減少するとみている。ロシアの連邦政府歳入の4割程度を占める石油と天然ガスについて、欧米諸国の制裁の影響は出ているものの、輸出の減少が想定よりも緩やかなことなどから、7月に従来見通しを上方修正した。
S&Pは発表文で、ウクライナが債権者と債務返済の凍結で合意したことについて、「デフォルトと同等」とみなすと説明。「ウクライナは、戦争によって生じる多大なマクロ経済面での圧力と外圧、そして財政面での圧迫の中で債務再編を進めることになる」と記した。
12日に中国人民銀行(中央銀行)が発表したデータによると、7月の経済全体のファイナンス規模は急減速した。新規融資と社債発行が弱まった。
一方、マネーサプライ(通貨供給量)統計によると、7月のM2の伸びは、予想を上回る12%に加速した。これらのデータは、銀行に資金がだぶつき、弱い経済成長や不動産市場の混乱を背景に顧客向けの融資拡大につなげられずにいる状況を示している。
パンテオン・マクロエコノミクスの中国担当チーフエコノミスト、クレイグ・ボサム氏は一連のデータについて、「流動性のわなの典型的な兆候」だと指摘。「流動性は十二分にあるが、誰もそれを望んでいない」こうした状況では、「金融政策が経済の支援にできることはほとんどない」と付け加えた。
中国人民銀行は1月に政策金利を引き下げて以来、利下げを見送っており、銀行に融資を促進させることに集中。特に中小企業などを対象とする融資を重視している。しかし、不動産セクターのデフォルト(債務不履行)や景気の低迷で銀行は融資に消極的だ。
流動性と銀行融資のミスマッチは金融リスクも高めており、市場金利は人民銀が設定した政策金利を大きく下回っている。中信証券の明明チーフエコノミストは、「過剰な流動性が銀行間市場に蓄積されており、資金が実体経済から流出し市場に向かうリスクさえある」と指摘。「金融政策運営に当たって市場のレバレッジの変化をもっと監視し、実体経済への資金の流入を促進する必要がある」と述べた。
●中東
サウジアラビアの富豪アルワリード・ビンタラール王子が、2月24日のロシアのウクライナ侵攻に近い時期にロシア企業に5億ドル(現在の為替レートで約666億円)余り投資していた。
アルワリード王子の投資会社キングダム・ホールディングは、ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムのほか、石油会社ルクオイルとロスネフチの預託証券(DR)を2月に取得したことが証券取引所への届け出で明らかになった。
投資が行われた具体的な日時は不明。それらDRを引き続き保有しているかどうかキングダムに問い合わせたが、これまでのところ返答はない。ロシアのウクライナ侵攻後にモスクワでの取引が停止し、西側諸国がロシアに制裁を科す中で、DRの価値は急落した。
届け出によれば、キングダムは2020年以降、世界の株式やDRに34億ドルを投じた。●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
欧州の主要空港が人手不足で混乱する中、トルコの航空業界が好調だ。国営企業を中心とし、ほとんどが自国民の従業員を新型コロナウイルス禍の最中も解雇しなかったことで需要の急回復に応えている。航空当局は国外への人材流出に備え、パイロットの転職に規制を設けた。
●その他産業
ベネデット・ビーニャ最高経営責任者(CEO)は2日の業績発表に関する会見で、来年1-3月(第1四半期)に値上げする方針を明らかにした。
21万5000 ユーロ (約2900万円)の「ポルトフィーノ」や160万ユーロの「モンツァ」 などを手掛けるフェラーリは通期売上高と調整後利益、フリーキャッシュフローの見通しを上方修正。需要が好調でコスト高の影響を相殺しているとした。ビーニャCEOは、同社が来年より後に納車の注文を顧客から受けているが、2023年に納車の伸びは鈍化する見込みだとした。
家電製品の需要減退や消費者のオンラインへの移行を背景に、店舗運営のコストを抑制する。人数の規模は明らかにしていないが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は店舗での人員削減が過去一週間で数百人に上ったと報じた。
同社は7月下旬、2023年1月期通期の既存店売上高が前期比約11%減になる見通しだと発表した。インフレ下での需要減退を受け、3~6%減としていた従来予想を引き下げた。売上高営業利益率も約4%と、従来の5.2~5.4%から下方修正した。コリー・バリー最高経営責任者(CEO)は「高いインフレ率が続き、消費者心理が悪化したことで家電業界の顧客需要がさらに軟化した」と説明していた。
オンライン会議やチャットに使うビジネス向け連絡ツールの値上げが広がっている。米マイクロソフトの「Teams(チームズ)」や国内向けの「チャットワーク」に続き、米企業の「Slack(スラック)」も最安の有料プランの1割値上げを発表。ビデオ会議の「Zoom(ズーム)」は無料版で一律の時間制限を設けた。
計画について知る複数の関係者によると、経営陣は同事業で業界首位の座にもはやコミットしておらず、縮小準備の手始めとして外部の住宅ローン会社と提携する公算が大きい。戦略転換の背景には経営幹部の交代や、規制当局の調査の回避に苦戦し銀行の評価に痛手を受けたことがある。
多くの詳細はまだ細かく検討されていないものの、同行と既に取引関係のある顧客向けの融資などに重点を置く方針。上級幹部は、ウェルズ・ファーゴの住宅ローン事業が最終的に今のJPモルガン・チェースと同規模になれば驚きだと話した。
同行は発表文で、「住宅融資事業を通じて顧客と地域社会を支援することに尽力している」とした上で、 「同業他社と同様、当行は融資の組成の激的な縮小に対応するため、住宅ローン事業の規模を見直している。顧客に幅広くサービスを提供できるよう優先順位を付け、最適な立場を取るため行内全体を引き続き見渡している」と説明した。
●決算関連
米航空機大手ボーイングが品質問題で中型機「787」の出荷を止めていた影響で、部品を納入できなかったことが響いた。原材料や物流費の高騰も利益を押し下げた。
2022年1~6月期の売上高が前年同期比6%減の3016億元(約6兆円)だったと発表した。同期間としては2期連続の減収だった。米政府による制裁の影響でスマートフォンの生産や販売が低迷。法人向け事業に注力したが、スマホの落ち込みを補えなかった。
●マクロ・その他
米国の共和党が大統領選挙のルールを決める権限は州議会にあると主張し、実現に動き出した。州議会の決定は裁判所の介入を受けないとの考えで、連邦最高裁が来夏までに合憲性を判断する。合憲になれば、郵便投票の大幅な制限などに道を開くとされ激戦州で議会多数派を握る共和党に追い風となる。連邦制の隙を突いた主張は三権分立を揺るがしかねない。
ルール変更を巡る共和党の主張は「独立州議会理論(ISLT)」と呼ばれる。合衆国憲法は「各州は立法府(legislature)が指示することができる方法で大統領選挙人を指名する」などと規定する。これを文字通りに解釈し、大統領選の方法を決める権限は州の立法府である州議会にあり、州の裁判所を含むいかなる介入も受けないと唱える。
南部ノースカロライナ州の選挙区割りをめぐる案件を審理するもので、共和党主導の州議会が決めた区割りについて、州最高裁は選挙は公正で自由でなくてはならないと指摘。恣意的に共和党優位になるとして却下した。
州議会はこれを違憲として連邦最高裁に提訴した。州議会に軍配が上がれば大統領選をめぐるルールについても州議会が自由に決められる可能性が出てくる。
24年の大統領選で激戦が予想される東部ペンシルベニアや中西部ミシガン、ウィスコンシン、南部ジョージア、西部アリゾナの各州はいずれも州議会で共和党が上下両院の多数派を占めている。
20年国勢調査によると、米国の白人人口(中南米系のヒスパニックを除く)は1790年の調査開始以来初めて減少した。白人有権者の支持が多い共和党の劣勢が固定化されていく可能性があることも、同党が制度見直しを探る理由だ。
イリノイ大のビクラム・アマル法学部長はISLTをめぐり「民主主義の主要素である三権分立のチェック・アンド・バランスを否定するものだ」と警鐘を鳴らす。
歳出は再生可能エネルギーへの設備投資や低中所得者がエコカーを購入する際の税額控除など気候変動対策が中心だ。期限を迎えるはずだった医療保険の補助を2025年まで3年延長することも盛り込んだ。
法案全体でみれば財政支出を大きく上回る歳入増が見込まれ、財政健全化への効果が大きい。米議会は法案修正後の予算規模を明らかにしていないが、ペンシルベニア大の試算によると10年間で政府債務が2640億ドル削減される。
実効税率を低く抑えている巨大IT(情報技術)企業などに対する法人税に15%の最低税率を課すことで2000億ドル規模の歳入増を見込む。日本の国税庁にあたる米内国歳入庁(IRS)も機能を強化する。企業の自社株買いにも1%課税する。
高齢者向け公的医療保険「メディケア」の運営者が製薬会社と価格交渉を行うよう改革する。製薬会社の立場が相対的に弱くなり、薬価を引き下げる効果を見込む。議会へのロビー活動で影響力の強かった製薬業界には打撃となる。業界団体の米国研究製薬工業協会(PhRMA)は「新たな薬を生み出す力がそがれる」と反発している。
8月の消費者態度指数(速報値)は55.1と前月から3.6ポイント上がった。過去最低を更新した6月から2カ月連続で上昇した。ガソリン価格の下落などで高インフレへの警戒感が和らぎつつあり、消費者心理がやや改善した。
1年先の物価の見通しを示す予想インフレ率は5.0%と7月から0.2ポイント下がり、今年2月以来の低水準となった。一方で5年先の予想インフレ率は3.0%と7月から0.1ポイント上昇した。
同大の調査分析担当のジョアン・シュー氏は「特にインフレによる影響を大きく受ける低・中所得者の間で見通しが改善した」と指摘する。一方で、インフレが生活水準を低下させたとする消費者の割合は全体の半分近くを占めたという。
最も大きな要因はガソリン価格の急落だ。全米自動車協会(AAA)によると、11日に全米平均で1ガロン(3.8リットル)あたり3.99ドル(約530円)となり、約5カ月ぶりに4ドルを割り込んだ。
8月の穀物需給見通しで、2022~23穀物年度の世界の小麦生産見通しを7億7960万トンに引き上げた。前月の見通しから800万トン増え、過去最高となる。ロシアの生産は8800万トンと過去最高を見込み、輸出の予想も増やした。一方、期末在庫は飼料などの消費が増え、2億6734万トンと6年ぶりの低水準を想定する。
今回の発表を受けて、市場ではトウモロコシの需給逼迫を警戒する声が聞かれた。「ウクライナのトウモロコシ輸出は再開したものの、本格的な回復にはほど遠い。世界の在庫水準は昨年より低く、供給不足が深刻化する可能性がある」(米穀物調査会社アグリソースのベン・バックナー氏)という。
ブルームバーグが実施した最新の月間調査でエコノミストらは、インフレ予測を2023年の各四半期で引き上げた。物価見通しの安定維持に努める米金融当局にとって気がかりな兆候となり得る。
米金融当局がインフレ目標の基準値としている個人消費支出(PCE)総合価格指数は、来年末に平均で年率2.5%上昇と予想されている。7月時点の予想(2.3%上昇)から上方修正となる。
広範なインフレ圧力を示すさらに気がかりな兆候となり得るのは、変動の大きい食品とエネルギーコストを除いたコアPCE価格指数の見通し。エコノミストは来年10-12月(第4四半期)に前年比で平均2.9%上昇と予想。前月時点の予想(2.6%上昇)から引き上げられた。
経済苦境に陥る低所得国が増えている。株・債券・通貨が同時に売られる「トリプル安」が目立ち、長期金利が10%を超えた国が15カ国となった。国際通貨基金(IMF)による7月末の支援残高は2019年末比で約5割増と過去最大。08年のリーマン・ショック後の金融危機の水準を上回る。新興国危機が世界経済の波乱要因になる可能性が一段と高まっている。
●市況
日経先物(大証)28755、ダウ先33718、債先150.19、米2.842、独0.9785、仏1.531、西2.080、伊3.060、波5.346、原油91.88、ドル円133.46、墨ペソ19.85、トルコリラ17.8485、墨CDS139
※8/12NY引け値

備忘録(8/10-11
●中国・ロシア・東欧
7月は前年同月比2.7%上昇し、2年ぶりの高さを記録した。1~2月の0.9%を底に伸びが拡大している。中国人の食卓に欠かせない豚肉などの値上がりで、「3%前後」とした政府の抑制目標に近づく。必需品の価格高騰は家計を圧迫し、庶民が不満を募らせかねない。政府も物価動向への警戒を強めている。
7月の食品は6.3%上昇し、伸びは6月の2.9%から大きくなった。なかでも食肉消費の6割を占める豚肉は20%上がった。前月からの上昇率は26%に達し、遡れる2005年以降で最大を記録した。
豚肉は19年にアフリカ豚熱(ASF)が流行すると、供給が大幅に落ち込んだ。19年末から20年初めにかけて豚肉価格は前年同月の2倍を上回るほど跳ね上がった。養豚数が回復すると、20年10月から下落し、マイナス幅も拡大した。
養豚企業は採算の改善に向けて出荷を絞り込んだ。22年の豚の出荷価格は3月を底に上昇し、7月初旬には3月の2倍近い値を付けた。
豚肉のほか、生鮮野菜と果物が前年同月より13%、17%それぞれ高くなった。ロシアがウクライナに侵攻した影響で肥料価格は高くなっており、野菜や果物は値上がりが続く可能性がある。
燃料価格の上昇率も大きい。7月のガソリンは25%、軽油は27%上がった。原油価格はウクライナ問題で高騰した後、最近では世界経済の減速懸念から下落しているが、前年同月と比べた燃料の伸びはなお大きい。
食品や燃料を除けば、CPIはむしろ伸び悩んでいる。主要国の中央銀行が物価の趨勢を見極めるうえで重視する7月の「食品とエネルギーを除くコア指数」は前年同月比0.8%上昇した。6月より0.2ポイント縮まり、21年4月以来の低さとなった。
消費者が将来の所得不安から節約志向を強めている様子がうかがえる。中国人民銀行(中央銀行)が4~6月に実施した預金者向けアンケート調査によると、所得の見通しを示す指数は01年以降で最低を更新した。
中国政府は「ゼロコロナ」政策を堅持している。感染者が見つかると厳しい行動制限を課す地元政府も多く、娯楽や外食などサービス需要を下押ししている。7月は夏休みシーズンに入ったが、旅行価格は前年同月比0.5%の上昇にとどまった。6月の4.1%から伸び率が鈍化した。
ロシアはウクライナを経由する中欧向けの原油供給を再開した。トランジット輸送料金で問題が発生し、石油パイプラインは一時操業を停止していたが、ハンガリーの製油業者が料金を支払うことで解決した。
ハンガリーのMOLの発表によれば同社は10日、スロバキアにロシア産原油が到着し始めたことを確認した。ハンガリーへは11日に到着するという。支払いで合意したトランジット輸送料金は、チェコへの輸送を対象としていない。
同原発は3月にロシア軍が制圧し、ウクライナ側の職員によって稼働している。8月5、6日に続き11日にも砲撃を受けており、ロシアとウクライナは互いに相手側の攻撃だと非難している。グロッシ氏によると、配電盤付近での爆発で緊急用の保護システムが作動し、原子炉1基が停止した状態にあるという。
グロッシ氏は「専門家は直ちに安全を脅かすものではないと評価しているが、状況はいつ変化してもおかしくない」と述べ、ロシア、ウクライナ両国に専門家による調査を受け入れるよう呼びかけた。グテレス国連事務総長は会合に先立つ声明で「原発周辺での全ての軍事活動を直ちに停止し、施設やその周辺を標的にしないよう求める」と訴えた。
●中東
●感染症
新型コロナウイルスの世界の感染者数統計が、流行の実態を表さなくなっている。欧米などで患者が風邪と同様に扱うようになり、セルフ式の検査で陽性反応が出ても保健当局に申告しない人が増えているためだ。日本は全てのケースについて保健所への報告を求める「全数報告」の体制をとっており、欧米との対応の差は数字にも鮮明にあらわれている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ボーイングは「規制当局の基準を満たした上で787の出荷を再開した。高品質の飛行機の提供を続けるために当局や顧客、サプライヤーと引き続き対話していく」とコメントした。商用機部門トップのスタン・ディール氏は社内向けのメッセージで「すべての行動と判断が顧客の信頼に影響する」として製造問題の収束を目指す考えを示した。
787は胴体部品の接合工程などの問題が発覚して2020年11月に出荷を停止した。21年春に再開したが、数カ月後に再び納入停止に追い込まれた。受注残は400機以上ある上、三菱重工業など日本のメーカーが機体の約3割の部品を供給しており、関連産業への影響は大きい。
出資比率が20%を下回ることで、アリババはSBGの持ち分法適用会社から外れる。会計ルールでは一般的な保有株と同じ扱いに変わるため、アリババ株を再評価する。簿価と時価の差額は約2.4兆円に達する見通しで、決済益なども含め税引き前段階で約4.6兆円を計上する見通し。
サノフィは一時13%安。前日と合わせた下げは20%に達し、2日間としては過去最大の下落。GSKは一時12%安。GSKから最近スピンオフしたハレオンは一時13%安に沈んだ。
GSKは株価の動きや、ザンタックを巡る継続中の訴訟についてコメントを控えた。ハレオンは訴訟手続きの当事者ではなく、ハレオンとしても前身のGSKコンシューマー・ヘルスケアとしてもいかなる形であれザンタックを米国で販売したことはないと説明した。サノフィからのコメントは今のところ得られていない。
ザンタックはかつて多く使用された制酸薬だが、がんを引き起こす疑いがあるとされる。被害を受けたとする米国の個人は店頭薬であるザンタックのリスクについて適切な注意がなかったとしてサノフィやGSK、独ベーリンガーインゲルハイム、その他のジェネリック(後発医薬品)メーカーを相手に一連の訴訟を起こしている。
●その他産業
「ディズニー+(プラス)」の会員数が4〜6月期に1440万人増えたと明らかにした。スター・ウォーズやマーベルスタジオの新作配信に合わせて欧州などで展開地域を広げ、世界の会員数は1億5000万人を超えた。12月に米国で広告付きのプランを始め、同時に従来プランを38%値上げする方針も示した。
4〜6月期の決算に合わせ、動画配信サービスの状況を開示した。「Hulu」やスポーツ配信の「ESPNプラス」も含めた動画配信事業の売上高は前年同期比19%増の50億5800万ドル(約6700億円)。すべての動画配信の会員数を合わせると2億2100万人で、ネットフリックス(6月末で2億2067万人)をわずかに超えた。
一方で、24年に2億3000万~2億6000万人としていた会員目標を2億1500万~2億4500万人に見直した。1500万人の引き下げとなる。インドで人気が高いクリケットのプロリーグ「インディアン・プレミアリーグ(IPL)」の配信権獲得を見送ったことで、既存の権利が切れる23年以降に同国の会員数が伸び悩むのが主な理由だ。
クリスティン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)は説明会で、24年までに動画配信事業を「黒字化する」と明言した。4~6月期は10億6100万ドルの営業赤字だったが、収益を生みにくいクリケットの配信見送りや広告付きプランの導入に伴う値上げが寄与するとみる。足元の業績が予想を上回ったことや収益重視の姿勢を好感し、10日の米株式市場でディズニー株は終値を約7%上回って推移している。
運輸収入は前年同期に大阪など3府県で緊急事態宣言が発令されていた西日本で回復が顕著だった。ただ、全体では新型コロナウイルスの感染拡大前の7割程度の水準だ。首都圏は西日本に比べてテレワークが浸透し、足元の感染拡大で遠方からの移動需要も伸び悩み、今後の回復力で地域差が出る可能性もある。
18社の運輸収入合計は1兆164億円と、まだ19年同期の72%の水準だ。回復率が最も高い阪急阪神ホールディングスで85%(阪急電鉄と阪神電気鉄道の合計)。新幹線への依存度が高いJR東海は67%にとどまる。「地方から首都圏に向かう足取りが慎重だ」(JR東の深沢祐二社長)との声もあり、都市間の移動需要はまだ弱い。
今後の回復はテレワークの浸透も左右しそうだ。国土交通省の調査によると、21年度は首都圏でテレワークをしたことがある人は42%に対し、近畿圏では28%と低い。首都圏はコロナがある程度収束した22年4~6月期もテレワークが浸透し、定期収入をみると、JR西がコロナ前88%の水準に対し、JR東は77%と停滞が目立つ。
世界の自動車大手の業績が悪化している。10日出そろったホンダや独BMWなど日米独13社の2022年4~6月期の純利益の合計は前年同期比30%減った。収益の悪化は8四半期ぶり。部品不足で新車の生産調整が続き、米テスラなどを除いて原料高も転嫁し切れていない。景気は減速しつつあり、値上げが進まないうちに需要が落ち込む可能性も出てきた。
フランス電力(EDF)は電力の値引き販売を巡り、筆頭株主である国を相手取り、損失の補償を求めて訴えを起こした。EDFはインフレ高進から消費者を守りたい政府の指示で割安な価格で電力を販売した結果、83億4000万ユーロ(約1兆1500億円)の損失が生じたとしている。
EDFが9日発表した資料によれば、同社は「詳細な法務分析および発生した損失に鑑み」、行政裁判所の終審である国務院に割引販売命令の撤回を求めた。
こうした見通しは、アップルがスマートフォンなどの機器への支出減少を乗り越える自信を示唆するものだ。IDCによれば、世界の携帯電話市場は4-6月(第2四半期)に9%落ち込んでおり、22年通期で3.5%の縮小が見込まれている。
アンドロイド端末の販売が苦戦する中、アップルの新製品に対する需要が比較的堅調な背景には、高価格端末への支出を依然としていとわない顧客基盤がある。また、米国の制裁の打撃を受けた華為技術(ファーウェイ)の販売落ち込みで、高級スマホ市場の競争は損なわれている。
●決算関連
1~6月期の売上高は前年同期比17%増の185億香港ドルだった。1~4月は新型コロナの流行に伴う入境規制で旅客需要が低迷したものの、5、6月に持ち直した。1日あたりの旅客数は1853人と、前年同期の2倍を超えた。
年末までに旅客便は感染拡大前の25%、貨物便は65%まで運航能力を回復させる方針だ。海外に駐機していた航空機を香港に戻し始めたほか、今後1年半から2年間で元従業員の再雇用を含めて4000人超を採用する。うちパイロットは700人、客室乗務員は2000人を予定している。
香港は海外からの到着時に義務付けているホテルでの隔離期間を12日から、7日間から3日間に短縮する。ヒーリー氏は政府の決定について「旅客需要の増大につながる」と歓迎する一方で、乗務員に課される検疫などの規制が運航容量拡大の妨げになっていると強調した。「政府はコロナ規制全廃に向けた明確なロードマップを示してほしい」と述べた。
三木谷浩史社長は同日の決算会見で、6月をピークに「足元の解約数は減少傾向にある」と説明。契約者1人当たりの平均収入(ARPU)は無料終了により9月以降、さらにポイントバック終了後の11月以降に上昇していくとの見通しを示した。
楽天Gがこの日発表した4-6月期のモバイルセグメントの営業損失は1243億円と、前年同期と比べ25%赤字が拡大。ただ、1-3月期(第1四半期)の1350億円からは損失が減った。新料金プランによるARPUの上昇効果に加え、パートナー回線地域での自社回線への切り替えに伴うローミング費用の削減が改善要因だとしている。
ドイツのエンジニアリング会社シーメンスの4-6月(第3四半期)は赤字となった。減損処理に加え、現在も続く部品不足や中国のロックダウン(都市封鎖)が重しとなった。
11日の発表文によると、4-6月期純損益は17億ユーロ(約2300億円)の赤字。ブルームバーグ集計のアナリスト予想(6億3400万ユーロ)を超える赤字幅だった。
同社は6月、傘下のタービンメーカー、シーメンス・エナジーの保有株価値を27億ユーロ引き下げた。この日、ロシアからの事業撤退に関連する減損処理が12億ユーロに膨らんだと明らかにした。
●マクロ・その他
SECのゲンスラー委員長は声明で「プライベートファンドのビジネス手法はより複雑になっており、資産額も増加している」との認識を示した。規則変更によって「受け取る情報の質が改善され、秩序ある市場を維持するのに役立つだろう」と述べた。
7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.5%上昇した。ガソリン価格が前月から下がり、伸び率は約40年半ぶりの大きさだった6月の9.1%から縮小した。米経済は4~6月まで2四半期続けてマイナス成長となったが、賃金の上昇などを背景に値上がりは広がっている。インフレ圧力は根強く残る可能性がある。
ガソリン価格は前月比7.7%低下。下げ幅は2020年4月以来の大きさだった。前月は11.2%上昇していた。公益サービスの価格は3.6%低下し、09年5月以来の大幅な下げ。
一方、食品コストは前年同月比で10.9%上昇と、1979年以来の高い伸び。中古車の価格は低下した。
サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の1を占める住居費は、前月から0.5%上昇。前年同月比では5.7%上昇と、1991年以来の大幅な伸びを示した。家賃が0.7%上昇したことを反映した。一方、ホテル宿泊のコストは3.2%低下した。
航空運賃は前月比で7.8%低下し、ほぼ1年ぶりの大きな下げとなった。
別の統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は前年同月比3%減少した。前年同月比での減少は2021年4月から続いている。
ニューヨーク連銀が8日発表した7月の月次調査ではガソリンの値下がりを反映して、消費者が予想する1年先と3年先の物価上昇率が低下した。前年同月比でみた物価上昇率はピーク越えが近いとの見方がある。
ただ、物価上昇率が米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%まで下がるペースは鈍くなりそうだ。「粘着性のある家賃が上昇している」。2日、シカゴ連銀で朝食会を開いたエバンス総裁はこう言って表情を曇らせた。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は10日に参加したイベントで、自身の政策金利見通しを2022年末に3.9%、23年末に4.4%と明らかにした。同日発表された7月の消費者物価上昇率が予想を下回ったことを歓迎しつつ「勝利宣言にはほど遠い」と強調。市場で浮上した23年の利下げ転換を否定した。
7月の平均募集賃料は、2020年7月の直近高値に比べて12%安い。新型コロナウイルス禍を受けた拠点の見直しや、リモートワークの定着で、オフィスの縮小移転や集約が続いている。
20年以降のコロナ禍は、観光やサービスといった一部の業種に大きな打撃を与えた。特に初期は厳しい行動制限によって消費者の外食や旅行が大きく減ったため、店舗を閉じたり、オフィス集約のために移転したりする動きが強まった。
感染拡大を抑えるためのリモートワークが定着したのも大きい。在宅勤務やオフィス以外の拠点での勤務、地方に生活の拠点を置いた勤務が広がり、情報通信企業を中心にオフィス縮小や本社機能の集約が進んだ。
23年には床面積の合計で計82万平方メートルと、新たなオフィスの大量供給が予定されている。オフィス仲介大手、三幸エステート(東京・中央)の今関豊和チーフアナリストは「入居テナントの獲得競争激化を見据え、賃料を下げても空室を早めに埋めたいというオーナーが多い」と指摘する。
2022年と23年の世界の石油需要見通しを上方修正した。天然ガス価格の高騰や発電需要の伸びを背景に、代替エネルギー源としての引き合いが強まるとみている。欧州連合(EU)による天然ガスの消費抑制方針も石油需要の上振れ要因として織り込んだ。
最新の予測では、22年の世界需要を前年比211万バレル(2.2%)増の日量9970万バレル、23年は同211万バレル(2.1%)増の1億181万バレルとした。それぞれ前回の7月時点より約50万バレル上積みした。
産油国の増産で供給の伸びも続く見込み。7月の世界生産量は推計で日量1億50万バレルと前月比135万バレル増え、新型コロナウイルス感染拡大後で最大になった。北海やカナダ、カザフスタンでの生産設備の回復や、サウジアラビアの増産が寄与した。IEAは世界供給が年内に追加で日量100万バレル増えると想定している。
一方、石油輸出国機構(OPEC)は11日発表した月報で、22年の世界の需要見通しを日量1億3万バレルと7月時点から26万バレル引き下げた。前年比では310万バレル(3.2%)増えるとみている。「新型コロナ関連の規制が復活するとの見方や地政学的な不確実性」を理由に挙げた。
23年の需要予測も26万バレル下げ、1億272万バレルとした。22年比の増加幅は270万バレルと前回予測を据え置いた。
財の価格低下の約80%は、ガソリンの16.7%安によるものだという。ディーゼル油や鉄・鉄鋼スクラップ、穀物の価格も下げた。
生産過程におけるインフレ圧力が和らぎ始めた兆候が示された。向こう数カ月の消費者物価指数(CPI)の上昇ペースが抑えられる可能性がある。石油を含む商品価格はここ数カ月で大きく下げており、サプライチェーンの状態が改善しつつあるとの示唆もある。
しかしながらリスクは残る。サプライチェーンの正常化が始まったものの、ウクライナでの戦争や米西海岸港湾の労働争議、中国のゼロコロナ政策が米製品や部材の輸送スピードを落とす要因になりかねない。
シティグループのエコノミスト、アンドルー・ホレンホースト、ベロニカ・クラーク両氏は「今年下期に財の価格上昇が鈍化するのはしばらく前から広く予想されていた。サービス価格の詳細には予想外に強い部分も見受けられる」とリポートで指摘。「従って当社としては、物価圧力が依然として基本的に強いことに今後も焦点を絞る。特にタイトな労働市場に関連したサービスに注目している」と説明した。
サービス価格はわずか0.1%の上昇にとどまった。燃料マージンや輸送、倉庫の上昇が寄与。一方でポートフォリオ管理や食品・アルコール小売り、長距離トラック運送などは低下した。
食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.2%の上昇。前年同月比では5.8%上昇した。
7月31日~8月6日の週間の新規失業保険申請件数は26万2000件だった。下方修正された前週(7月24~30日)の改定値から1万4000件増えた。新規申請件数は2020年の4月から減少傾向にあったが、今年の3月を底に増加基調に転じた。
7月24~30日の総受給者数は142万8000人だった。4000人上方修正された前週の改定値から8000人増えた。130万人程度だった5月から徐々に増加している。ただ、総受給者数の伸びは比較的緩やかで、失業者が次の職に就きやすい環境が続いている可能性がある。
11日の全米平均は1ガロン(3.8リットル)あたり3.99ドル(約530円)となった。4ドルを割り込むのは約5カ月ぶりだ。原油相場の高騰が一服したほか、それまでの急ピッチな価格上昇で需要が抑制された。日常的に消費するガソリン価格の低下で、将来の期待インフレ率が落ち着くかどうかが焦点になる。
全米不動産業者協会(NAR)が11日発表した2022年4~6月期の都市圏一戸建て中古住宅の販売価格(中央値)は前年同期より14.2%上がって41万3500ドル(約5500万円)となり、比較可能な1989年以降で最高額となった。この調査で40万ドルの大台を超えたのは初めて。
上昇率が最大だったのは南部アーカンソー州フェイエットビルなどの地区で、31.9%上がって35万ドル。最高額は西部カリフォルニア州のIT産業の集積地にあるサンノゼなどの地区の190万ドルで、11.8%上がった。
米連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げによる住宅ローン金利上昇が響き、6月の米中古住宅販売戸数は年率換算で512万戸と前年同月より14.2%減った。だが、都市圏の比較的高額の物件は「需要が堅調なのに対して供給が限られているため価格が高止まりしている」(不動産業界関係者)とされる。
政策金利を0.75%引き上げて8.5%にすると発表した。利上げは10会合連続。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めとインフレの加速を受け、2会合連続で0.75%という大幅な利上げに踏み切った。
トラス政権が誕生した場合に懸念されるのは、過去30年にわたりインフレ対策が主軸だった英中銀の政策がひっくり返され、1980年代に失敗した政策手段を再び活用するよう指示が出るような展開だ。そうなれば、経済と公的財政の健全性に対する疑問を背景に、既に売られているポンドや英国債の見通しへの警戒感は強まることになる。
トウェンティフォー・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネジャー、ゴードン・シャノン氏は、英中銀の責務が変更されるなら「英国債とポンドの急落を目の当たりにすることになるだろう」と警告。「余り深刻には捉えていないが、こうした事柄について市場は無頓着かもしれない」と述べた。
決選投票の選挙戦でトラス氏と側近らは英中銀を繰り返し批判。40年ぶりの高インフレを巡り、ベイリー総裁ら政策委員にも責任の一端があると主張している。トラス氏は経済問題の解決策の一部として、英中銀の責務見直しにも言及。インフレ目標を撤廃するとは明言していないが、マネーサプライ措置または名目国内総生産(GDP)を英中銀の目標に含めるようにする可能性は示唆した。
●市況
日経先物(大証)28410、ダウ先33336、債先150.20、米2.895、独0.9775、仏1.541、西2.057、伊3.016、波5.382、原油94.02、ドル円133.37、墨ペソ19.97、トルコリラ17.9502、墨CDS139
※8/12 9時30分頃

備忘録(8/8-9
●中国・ロシア・東欧
●中東
第1のリスクは指導力不足が指摘されるバイデン政権が逆風を押しのけて再選を果たし、サウジへの厳しい政策を続ける可能性だ。今回の訪問でバイデン氏のサウジへの不信感は一段と膨らんだ。人権状況などでサウジへの圧力をふたたび強める可能性は否定できない。
第2のリスクは、トランプ氏が大統領に復帰したり、トランプ流のポピュリズム(大衆迎合主義)をまねたリーダーが登場したりしたとしても、必ずしもその政策が親サウジ路線になるとは限らないことだ。
サウジと対立するイランで保守強硬派に近い政治評論家は「イラン核合意にトランプ氏が不満だったのは、米抜きで欧州がイランビジネスを進めようとした点にある」と指摘する。米国にビジネスの利益がもたらされる形であれば、米国はイランとの「ディール」に傾くだろうとの説だ。サウジは置き去りにされるおそれがある。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
血液疾患の治療薬を開発する米グローバル・ブラッド・セラピューティクスを買収すると発表した。買収額は負債を含めて54億ドル(約7200億円)。新型コロナウイルスのワクチンや治療薬は販売の減速が見込まれており、幅広い分野での買収を通じ収益力を高める。
ファイザーはグローバル・ブラッド社の株式1株について現金68.5ドルを支払う。米サンフランシスコに本社を置く同社は、遺伝性の血液疾患「鎌状赤血球貧血」の治療薬などの開発で強みを持つ。治療薬「オクスブライタ」の2021年の売上高は約1億9500万ドルだった。
ファイザーによると、鎌状赤血球貧血の患者は世界に数百万人おり、アフリカや中東、南アジア系の人に多い。
「私の報酬はどの役員よりも少ない。グループ合わせて1億円くらい。私の年俸を直接減らしても、会社全体からみるとあまり大きな影響はない。経営責任は感じているが、意欲はますます高まっている。いまはやる気いっぱいで、志やビジョンについても一切変わっていない」
●その他産業
豪英資源大手BHPグループが、銅やニッケル鉱山を保有・運営するオーストラリアのOZミネラルズに買収を提案したことが8日わかった。両社が明らかにした。OZは提案について「企業価値を過小評価している」と拒否する姿勢を示しており、買収が成立するかは不透明な情勢だ。
●決算関連
日本製鉄など鉄鋼大手3社の2022年4~6月期決算が9日、出そろった。収益環境が厳しいなか原材料高による在庫評価益などが寄与し、3社とも前年同期と比べ最終増益となった。一方、23年3月期通期の業績見通しは円安による原材料の輸入価格高騰で各社とも最終減益を見込む。自動車向け鋼材需要の減少懸念がつきまとうなか、構造改革などを背景に各社の収益格差が広がりそうだ。
●マクロ・その他
ロシア産天然ガスの供給不安に直面するドイツで、原子力発電所の稼働延長を求める世論が高まっている。直近の世論調査では延長支持が8割を超えた。ショルツ政権は8月中をメドに延長の是非の判断材料にするストレステストの結果をまとめる。2022年末までの「原発全廃」を目指していた同政権は難しい判断を迫られる。
7月の消費者物価指数は、前年同月と比べて8.15%上昇した。2000年12月以来の高水準だった。食料品を中心に価格が上昇した。メキシコ銀行(中央銀行)は11日に開く金融政策決定会合で0.75%の利上げを続ける見通しだ。
2022年上期(1~6月)の速報値は前年同期比63%減の3兆5057億円だった。14年上期以来8年ぶりの低水準だ。化石燃料依存が改まらずきたところに資源高が直撃した。国内経済の停滞による円安が輸入を膨らます半面、円安でも輸出が伸びない構造変化も進んでいる。
海外子会社からの配当などの第1次所得収支は過去最高の12兆8728億円の黒字だった。貿易収支の赤字を海外投資による稼ぎで補う構図が鮮明になっている。
輸入額を押し上げているのは原油と石炭、液化天然ガス(LNG)だ。ロシアのウクライナ侵攻による国際相場の高騰と円安が相まって原油の輸入価格は1キロリットルあたり前年同期比83%高い7万5506円に上がった。値段が高くても輸入せざるをえないのは、化石燃料に依存するエネルギー構造が変わっていないためだ。
円安による輸出促進の効果は薄れてきている。海外への生産移転が進んでいるほか、輸出競争力のある付加価値の高い製品を国内で生み出しにくくなっている可能性がある。貿易統計をみると、中国経済の減速や半導体不足もあってモノの動きを示す輸出数量指数は6月まで4カ月続けて前年同月を下回った。
インバウンド(訪日外国人)の減少も経常黒字を縮める。訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた上期の旅行収支は828億円の黒字にとどまった。訪日客が多かった新型コロナウイルス禍前は半期で1兆円を超えていた。政府は6月に観光客の受け入れを再開したが、ツアー客に限ったうえで入国者数の上限も設けている。

備忘録(8/5-7
●中国・ロシア・東欧
輸出は前年同月比18.0%増の3329億ドル(約45兆円)だった。伸び率は6月とほぼ同じだった。景気の減速懸念が強まる米国向けは伸び悩んだが、ウクライナ侵攻で米欧の経済制裁を受けるロシア向けは5カ月ぶりの増加に転じた。
品目別では、マスクなど織物が前年同月を16%上回った。労働集約的な玩具は3割、衣類は2割それぞれ増えた。上海市のロックダウン(都市封鎖)などで遅れていた分の出荷が押し上げた可能性がある。一方、携帯電話は10%減り、パソコンなども伸びが鈍った。
輸出先の国・地域別にみると、最大の輸出先である米国向けは11%増だった。増加率は4月を底に6月に19%まで拡大したが、7月は鈍化した。米国経済が2四半期連続のマイナス成長になり、需要の停滞が中国からの輸出の重荷となった可能性がある。
米国に次ぐ相手先である欧州連合(EU)向けや東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは2~3割増で、6月から伸びが拡大した。
輸入は2.3%増の2317億ドルだった。国際商品相場の高騰で原油の輸入額が4割膨らんだ影響が大きい。最大の輸入品目である半導体は3%減った。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は1012億ドルだった。輸出の伸びが輸入の伸びを大きく上回ったため、前年同月より81.5%拡大した。
7月のロシアとの貿易は輸出が22%、輸入が49%それぞれ増えた。同国のウクライナ侵攻で米欧日などが金融制裁を強化した。対ロ輸出は3月から前年同月比で減少が続いたが、7月は5カ月ぶりに増加した。21年の実績ベースで対ロ輸出の6割を占めた自動車など機械類が伸びた可能性がある。
●中東
イスラエルのラピド首相は「ガザのテロ組織がイスラエル市民を脅すことは許さない」との声明を出した。イスラエル軍は6日、ヨルダン川西岸でイスラム聖戦のメンバー19人を拘束。事態沈静化のためエジプトが仲介に乗り出した。
イスラム聖戦はハマスより小規模で過激なイスラム組織。イランに近いとされ、ハマスとの協力を強めているという。昨年5月の大規模戦闘ではイスラエル、ハマス双方にパイプを持つエジプトが仲介を主導して停戦が発効したが、ガザの復興は進んでいない。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米国でバイオ燃料の生産に二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)を組み合わせる動きが浮上している。化石燃料による電気で充電した電気自動車(EV)並みの排出量になる場合もあると試算され、経済構造の脱炭素化に向けた重要な役割を果たしそうだ。
2021年に日本企業として過去最高の四半期利益をたたき出すなど、その方法は追い風が吹いている時期には非常にうまく機能していた。しかし、北京字節跳動科技(バイトダンス)など出資先の非公開企業の評価額下落により、このサイクルはリスクにさらされている可能性がある。
テクナリシス・リサーチの社長兼チーフアナリスト、ボブ・オドネル氏は、ソフトバンクGが投資先の非公開企業の「評価額を下げるであろうことに何ら疑問はない」と指摘。その上で「ソフトバンクGは比較的不透明であり、それが懸念を生んでいる」と述べた。
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営するバイトダンスの評価額は、昨年から少なくとも25%余り減少した。後払い決済サービスを手掛けるスウェーデンのフィンテック新興企業クラーナ・バンクは、最近の資金調達ラウンドでの評価額が昨年6月時点と比べて85%下がった。
さらに、ソフトバンクGのポートフォリオ企業の多くにとって、中国当局による業界締め付けや部品コストの上昇も打撃だ。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、こうした状況からソフトバンクGはより新しい市場への投資に加え、新興企業への支援は早めの段階で行うことにする可能性がある。
BIのアナリスト、マービン・ロー氏は最近の混乱でベンチャーキャピタルファンドはスタートアップへの投資を減らし、こうした企業がソフトバンクGに新規資金を求めて接近することもあり得ると話す。
「ソフトバンクGはスタートアップを存続させるため、あるいは将来的にIPOを目指し得る成功した企業へと転換させるため、新たな資金を注入する必要があるかもしれない」とロー氏は指摘した。
ソフトバンクGは昨年11月、株価がディスカウントされているとの判断から今年11月8日までを期間とする1兆円の自社株買い計画を発表。7月末時点の累計取得額は約7048億円で、進捗(しんちょく)率は7割となっている。
●その他産業
米国で格安小売店の「1ドルショップ」に人気が集まっている。消費者の位置情報データの分析会社によると、1ドルショップの来店者数は2022年4~6月に1~3月から1割超増えた。ガソリンなど物価高が家計を圧迫し、中間所得層や高所得層の来客も増えている。インフレ下で販売拡大に悩む小売店のなかで、格安店は好調な集客が続きそうだ。
自動車や家電に使う薄鋼板の在庫が高止まりしている。6月末時点で452万トンと、需給均衡の目安とされる400万トンを大幅に上回る。半導体や部品不足で、主な供給先である自動車メーカーの減産が続く。ウクライナ危機による資源高をうけメーカーは値上げを進めるが、流通価格には天井感も見え始めた。
米国で住宅関連株の下落が目立つ。住宅関連株で構成される主要ETF(上場投資信託)の1~7月の下落幅は3割弱と市場平均を大きく上回る。住宅ローン金利が急上昇し、購入契約のキャンセル率も上昇。新型コロナウイルス禍による郊外の戸建て需要に沸いた住宅市況の悪化を懸念しているからだ。今後、住宅販売の減少傾向が続けば、さらなる景気の下押し要因になりかねない。
●決算関連
足元では一部の資源で価格が下げ始め、世界景気の減速やウクライナ情勢など不透明感がじわじわ強まる。各社は23年3月期通期の業績見通しへの慎重姿勢を崩さない。
2022年4~6月期決算は、最終損益が437億5500万ドル(約5兆9000億円)の赤字となった。四半期の赤字額としては過去2番目の大きさとなる。株式相場低迷の影響で、アップルやバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)など投資目的で保有する上場株に評価損が発生した。新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した20年1~3月期、株価急落の影響で497億ドルの最終赤字を計上した。今回の赤字額はこれに続く規模となった。
バークシャーは22年に入り、攻めの投資姿勢に転換した。1~3月期に511億ドルの株式を新規に購入した。4~6月期も61億ドル分の新規投資を実施したとみられる。上場株の買い入れペースは減速したものの、年初からの購入総額は依然として売却額を上回っている。
バークシャーは米石油・ガス大手オキシデンタル・ペトロリアム株を市場で継続的に買い集めている。米証券取引委員会(SEC)に提出した資料によると、保有比率は発行済み株式数の19.4%に達した。20%を超えれば、持ち分法適用会社として利益の一部を連結業績に取り込める可能性がある。市場では最終的にオキシデンタルを丸ごと買収するとの見方が浮上する。
ウクライナ侵攻や原材料高などを受けて広告主が出稿を一部見送るといった影響があり、広告収入が苦戦した。番組のネット配信における広告収入やコンテンツ販売は伸びた。
石油化学(石化)市況の急騰を追い風に5社が最高益だった前年同期から一転、市況が弱含み原燃料価格の上昇に値上げが追いつかない。需要が旺盛な半導体の材料やシェアの高い高機能製品など収益のけん引役に欠ける企業の不調が目立った。
●マクロ・その他
ボウマン理事は6日、7月に実施した0.75%の利上げについて、今後も「物価上昇率の持続的な低下が確認できるまで同程度の利上げを検討すべきだ」と述べた。パウエル議長らが示唆した利上げペースの減速に慎重な見方を示した。
コロラド州のイベントで講演したボウマン氏は「食料、住宅、燃料、自動車などの必需品は来年まで高インフレが続く」と指摘。家賃も「近い将来に下がることはない」と述べた。「物価上昇率を2%に戻すまで金融政策の手段を使い続けることが絶対に重要だ」と強調した。
5日に公表された7月の雇用統計について労働力人口が回復できていないことを問題視した。新型コロナウイルス禍で労働市場から出て職探しをしていない人が400万人に上るとの分析を示した。労働市場の逼迫で過剰なインフレが続くことのリスクを強調して「さらなる景気の減速を招き、1970年代に経験したような高インフレと景気低迷の長期化が懸念される」と危機感を示した。
仕事を探そうとしないため失業者に数えない非労働力人口の増加など好ましくない兆しも浮かぶ。
内訳は「台湾向け輸出の停止」が最も大きく0.90%。「台湾製半導体の輸入停止」が0.48%、「円高10%進行」(仮定)が0.46%だった。
木内氏は日本の潜在成長率が0%台前半から半ば程度とみられることから「経済を一気に景気後退に陥れるのに十分な規模」と指摘。試算では貿易中断による打撃という限定したリスクを前提にしており、日中貿易や他国経済の波及効果などを考慮に入れると、「打撃は文字通り計り知れないものとなるだろう」と分析した。
●市況
日経先物(大証)28113、ダウ先32757、債先150.51、米2.827、独0.9415、仏1.484、西2.032、伊3.019、波5.487、原油88.53、ドル円134.99、墨ペソ20.42、トルコリラ17.9122、墨CDS156
※8/5 NY引け値

備忘録(8/4
●中国・ロシア・東欧
国有企業を中心とする10社余りのトレーダーは今週、秦皇島市に集まった。借り手の財務を巡り懸念が生じていたところ、同市の商品倉庫で保管している銅コンセントレートが3分の1程度に減っていることが判明したためだという。公に話す権限がないとして関係者は匿名を条件に語った。
企業グループは銅コンセントレート30万トン、約50億元(約990億円)相当の権利を主張しているが、倉庫には10万トンしかないという。なくなったのは約4億9000万ドル(約660億円)相当ということになる。
国内の精製事業者に供給するため年80万-100万トンの輸入銅コンセントレートを購入している中堅商社、葫芦島瑞升商貿がこの問題の鍵を握ると関係者らは説明。同社は一般的に大手の取引相手に商品仕入れの資金を頼っており、取引が完了した後に利息と手数料を加えローンを返済する。
●中東
EUの外相にあたるボレル外交安全保障上級代表は7月、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)への寄稿で、妥結に向けた草案を関係者に示したと明かした。草案の詳細は不明だが、米国とイランの双方に歩み寄りを促す内容だとみられる。
イランは米国復帰の条件として、二度と離脱しないとの確約を求めている。さらに復帰前の制裁解除、イラン最高指導者に直属する軍事組織、革命防衛隊へのテロ組織指定の取り消しを米国に要求している。だが、いずれも米国は拒否している。
米国のマレー・イラン担当特使は3日「(協議に向けた)私たちの期待は(低く)抑えられている」とツイートし、難航するとの見通しを示した。
●感染症
米疾病対策センター(CDC)によると、3日時点で米国内のサル痘感染者は6617件確認された。世界で最も多い。東部ニューヨーク州や西部カリフォルニア州などで広がっている。
政権は非常事態を宣言することで対策を強化するが、ワクチンの供給を増やすまでには時間がかかる。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
通信コングロマリットだった同社を5年前に投資持ち株会社に転換し始めて以来、孫氏は幹部のつなぎ留めるのに苦慮している。17年に1000億ドル(現行レートで約13兆3000億円)規模で当初のビジョン・ファンドを設立した際、ベンチャーキャピタル(VC)企業が通常パートナーに利益分配として取引案件ごとに支払っているような成功報酬(キャリー)の提供を控えた。同ファンドの近年の損失はそうした問題を悪化させ、優秀な人材を引きつけるほどの利益が残らない。
最初のビジョン・ファンドではリミテットパートナーの今年3月末までの内部収益率(IRR)は11%で、投資データ会社プレキンによれば、業界平均は約38%。ビジョン・ファンド2のIRRは0%で、平均は45%。
ソフトバンクG自体の株価も停滞しており、過去5年間の平均リターンは5.2%と、日経平均株価の9%やナスダックの16%を大幅に下回る。
●その他産業
キャッシュフロー減少と株価下落を背景に100億ドル(約1兆3300億円)規模の起債を実施した。S&P500種株価指数構成企業の中で債務を抱えていない数少ない1社である同社にとって、初の起債となる。
応募額はニューヨーク時間4日午後早くのピーク時に300億ドルを超えた。
社債発行での調達資金は設備投資や自社株買い、買収・投資などに充てられる可能性がある。
●決算関連
2023年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比6%減の6000億円になりそうだと発表した。統合後最高益だった前期に次ぐ高水準の利益を維持する。製造業などの鉄鋼需要が落ち込むものの、コスト抑制など構造改革の効果がでる。景気の減速懸念が増す中で、自動車など大口顧客への価格交渉力を維持できるかが焦点だ。
「数量に頼らない体質への転換が進んできた」。オンライン記者会見で森高弘副社長は構造改革の成果を強調した。
日鉄は23年3月期の単独粗鋼生産量を、前期比1割減の3500万トン以上と見込む。自動車の減産などで、製造業向け鉄鋼需要は弱含む。数量差は前期比で1100億円事業利益を押し下げると見込む。
その一方で生産設備の集約などの効果が出る。日鉄は26年3月期までに国内の高炉を15基から10基に集約し、粗鋼生産能力を2割減らす。23年3月期は生産設備の構造対策を含め500億円分のコスト改善を見込む。
大口顧客向けひも付き価格など鋼材値上げも進める。22年4~9月期の鋼材平均価格は前年同期比38%増の14万7000円程度となる見通しだ。
ただ原料はドル建ての輸入が多く、円安で利ざやは悪化が見込まれる。森副社長は「コスト増を販売価格へ適切に転嫁する」と語るが、鋼材需要の減速懸念が増す局面で、どこまで実現できるかが課題となる。
業績低迷の主因は、ネット通販など「中国コマース事業」が1%の減収と伸び悩んだことだ。同事業は売上高全体の7割を占める。
中国政府はコロナの感染拡大を受け、上海市を2カ月間にわたってロックダウン(都市封鎖)に追い込み、北京市でも行動制限を敷いた。これが配達員などの人手不足や配達遅延といった混乱を招き、減収減益へとつながった。
追い打ちをかけたのが、競合の存在だ。配達員が個々の家を回ることが難しいなか、騰訊控股(テンセント)や拼多多(ピンドゥオドゥオ)などはマンション単位でまとめて注文を受け、一括配送する「共同購買」と呼ばれる手法で顧客を獲得。アリババは配送業務の多くを委託しているとされる。他社に比べた物流基盤の弱さが対応の遅れにつながったようだ。
こうしたEC頼みの事業構造を立て直そうと、アリババはかねて他の事業の拡大を急いできた。特に「クラウド」と傘下のアント・グループが手掛けるネット決済などの「金融」に注力してきた。
そこに立ちはだかったのが中国当局だ。
中国では7月に10億人の個人情報が流出したとされる問題が明らかになった。個人情報のデータはアリババの提供するクラウドシステムに保管されていた可能性があり、当局はアリババ幹部を呼び出した。クラウド事業は「あらゆるビジネスや産業のデジタル化への転換を進めるために必要となる」(張CEO)とみて先行投資を進め、22年1~3月期は営業黒字に転換したばかりだった。
金融事業も同様だ。20年10月、創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が「良いイノベーションは(当局の)監督を恐れない」などと、政府批判と受けとれる発言を口にした。これを機に当局がアリババを問題視したとされ、アントは上場延期を迫られたほか、融資などの事業縮小に追い込まれた。
最終黒字は同期間として3年ぶり。新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和され、鉄道やレジャー需要が回復した。ただ足元では新型コロナが再拡大しており先行きはなお不透明だ。
営業損益は76億円の黒字(59億円の赤字)で、全事業部門が黒字化した。都市交通・沿線事業は24億円の黒字(6億7800万円の赤字)に転換した。西武鉄道の運輸収入はコロナ前の19年4~6月期に比べて83%の水準となった。21年4~6月期(74%)から回復した。
ホテル・レジャー事業の営業損益は1000万円の黒字(117億円の営業赤字)に転じた。国内ホテルの稼働率は39%と低調だったが米国・ハワイの施設で稼働率が回復したほか、一部施設で修繕工事を遅らせるなどして費用を72億円削減した。
モバイルなどを含む主力のコンシューマ事業の落ち込みが大きい。割安ブランド「ワイモバイル」「ラインモ」の契約が増えたことで全体の通信料が下がり、事業別営業利益は16%減の1549億円だった。通信料引き下げの影響は23年3月期にピークを迎え、今期通期では900億円の減益要因になる見通しだ。
ヤフー・LINE事業の営業利益も497億円と3%減った。増収だったが、成長に向けた採用強化で投資が膨らんだ。10月にZホールディングスと共同で連結子会社化する予定のスマートフォン決済「PayPay(ペイペイ)」については、子会社化に伴いペイペイの簿価を再測定し10~12月期に評価益を計上する予定だ。
通期の営業利益は据え置いた一方、増減益の要因については見直した。前期と比べると円安効果は年間で8650億円の増益要因と、期初見通しより6700億円引き上げた。トヨタは1ドル=1円の円安で、ドルだけで約450億円利益を押し上げるとしている。
一方、原材料高の影響は1兆7千億円と、期初の予想にくらべて費用が2500億円増えると想定した。鉄やアルミ、貴金属といった原材料費の高騰が重荷となる上、輸送費やエネルギー代もかさむ。この中には普段ならサプライヤーが自ら負担する原材料費や輸送コストなどの一部をトヨタが支援する分も含む。
このほかトヨタは「今後のリスクを織り込んだ」として、2千億円の費用を加えた。この中には将来的な供給網の混乱の可能性や、子会社の日野自動車の排ガスデータや燃費の不正に伴う追加費用も含めた。
22年4~6月期は原材料の高騰が重荷となった。半導体不足や中国のロックダウン(都市封鎖)により、「トヨタ・レクサス」ブランドの四半期の生産台数が前年同期比6%減の212万台だった点も利益を下押しした。
世界各地のシェアでみると、米国では15.0%と前年同期より0.6ポイント下がり、GMに米国販売首位の座を5四半期ぶりに譲り渡した。トヨタの現地生産や日本からの輸出が鈍ったため。同様に日本でも31.1%と3ポイント下がった。半面、中国や欧州では上昇した。欧州ではハイブリッド車の売れ行きが良かった。
リウマチ治療薬「エンブレル」、骨粗しょう症治療薬「プロリア」「Xgeva」、乾癬(かんせん)治療薬「オテズラ」の主力4製品はいずれも市場予想を上回る増収となった。
アムジェンは通期売上高見通しを255億-264億ドルと、従来の254億-265億ドルからレンジを縮小。一部項目を除いた1株利益見通しは17-18ドルに据え置いた。
中国のゼロコロナ政策や景気低迷など、アリババを取り巻く環境は依然厳しい。増収ペースでは競合相手のJDドットコム(京東)に追い抜かれつつある。北京字節跳動科技(バイトダンス)や拼多多(ピンドゥオドゥオ)といった後発組へのユーザー流出も増えている。
しかしアリババの張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は、消費の回復が6月に始まり、7月に入るとペースが上がったと指摘する。「特に過去数カ月に受けた打撃が大きかったファッションやエレクトロニクスなど、7月のビジネスは6月に比べると徐々に持ち直している」と述べた。
●マクロ・その他
マレーシアのマハティール元首相(97)は4日、新たな政治集団「祖国運動」を立ち上げたと発表した。年内にも実施される次の総選挙(下院選)で100人以上の候補者の擁立を目指す。だが、2020年に首相を辞任した後、マハティール氏の政界での存在感は低下しており、勝算は乏しいとの見方が目立つ。
マハティール氏は4日の声明で、新集団は「政治家だけでなく、非政府組織(NGO)、地域のリーダー、教育者ら(国民の多数派である)マレー系の連合体だ」と説明。「マレー系の国民は現在、汚職で腐敗した政党以外の選択肢がない」ことから、与党の統一マレー国民組織(UMNO)の対抗軸になる狙いだと訴えた。
政策金利を0.5%引き上げて年1.75%にした。利上げは6会合連続で、変更幅をこれまでの0.25%から2倍に広げた。量的金融緩和策として買い入れた国債について、市場での売却を早ければ9月中に始めることも確認した。想定を超すインフレへの懸念を強め、金融引き締めを加速する。
ベイリー総裁は政策発表後の記者会見で「インフレ圧力がより持続する兆候に注意し、必要なら強力に対応する」と語った。次回9月以降の会合について「あらゆる選択肢を排除しない」と強調し、物価の動向次第では大幅な利上げが続く可能性を示唆した。
金利だけでなく量も引き締めを急ぐ。保有資産の圧縮に向けて、過去に買い入れた英国債の市場での売却開始を、9月中旬の次回会合で決議することを確認した。市場環境をみながら早ければ同月から売り始める。すでに3月から満期を迎えた債券の再投資を止めることで残高を減らしているが、インフレ退治へより積極的な量的引き締め(QT)に踏み込む。
国債の保有残高は20年春以降にコロナ危機対応で約2倍に膨らみ、足元では約8440億ポンド(約137兆円)ある。売却のペースは四半期あたり100億ポンド程度とし、償還分と合わせて最初の1年間で約800億ポンドの残高減を見込む。英国では量的緩和策で購入した債券に損失が出れば政府が補償する仕組みになっている。
併せて発表した四半期ごとの金融政策報告書では、英経済予測を大幅に引き下げて「22年10~12月期から景気後退に入る」との見通しを掲げた。インフレが個人消費や企業の投資などを圧迫し、23年を通してマイナス成長をたどるとみている。23年通年の英実質国内総生産(GDP)は前年比1.5%減を見込み、前回5月の0.25%減から下方修正した。インフレ抑制を最優先に、景気後退を覚悟で引き締めを加速する厳しい政策運営を迫られる。
JPモルガンのストラテジスト、ニコラオス・パニギリツオグル氏は「株式市場は6月の段階でリセッションリスクの織り込みという点でかなり先行していたが、今はクレジットや金利など他の市場との間で収れんが進んだ」と指摘した。
S&P500種指数が反映するリセッション確率は2カ月前の91%から51%に低下した。米国のジャンク(投機的格付け)債が織り込む確率も6月の33%から24%に下がり、ジャンク債のスプレッドもおおよそリセッション入りしていない時期の中央値水準という。
7月24~30日の週間の新規失業保険申請件数は26万件だった。下方修正された前週(7月17~23日)の改定値から6000件増えた。歴史的低水準だった3月を底に増加傾向が続いている。
7月17~23日の週の失業保険の総受給者数は上方修正された前週の改定値から4万8000人増加し141万6000人となった。130万人程度だった5月を底におおむね増加傾向にある。企業の解雇動向を映す新規申請件数に比べて総受給者の伸びは鈍く、失業者がすぐに次の職を見つけられている可能性がある。
「新規申請件数の増加は(過熱状態だった)労働市場が多少落ち着き始めたことを示している」(米ムーディーズ・アナリティクス)との指摘がある。5日公表される7月の米雇用統計の市場予想は非農業部門の就業者数の前月比の伸びが鈍る一方、失業率は3.6%と前月から横ばいになっている。
●市況
日経先物(大証)27968、ダウ先32723、債先150.67、米2.677、独0.8025、仏1.349、西1.899、伊2.944、波5.589、原油88.48、ドル円132.90、墨ペソ20.34、トルコリラ17.9505、墨CDS163
※8/5 9時30分頃

備忘録(8/3
●中国・ロシア・東欧
インフラ債で調達した資金を使う。中国では新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で景気が悪化し、地方経済の柱である不動産業も低迷する。政府は資本増強で不良債権リスクに対応させる方針だ。
米ピーターソン国際経済研究所は20年1~6月に中国全体の6%にあたる約230万社が倒産したと分析した。銀行の不良債権も膨らんだ。20年6月末時点で19年末より13%増えた。
21年末までに計2100億元を約300行に資本注入し、中小銀行の経営体力はいくぶん持ち直した。21年末時点の自己資本比率は、日本の地方銀行に相当する都市商業銀行が13.1%、農協に相当する農村商業銀行が12.6%だ。20年末と比べて0.1ポイント、0.2ポイントそれぞれ上がった。
それでも同じ期間に0.8ポイント改善して17.3%となった大手行との差はむしろ広がった。経営体力が劣る中小銀行は、公的資本の注入以外には資本調達のチャネルも限られる。
22年春には、ゼロコロナ政策などで景気が悪化した。中小銀行が顧客とする中小零細企業の経営も落ち込んだ。地方経済の柱である不動産業も、政府による金融規制の強化で低迷している。
不動産開発会社が資金不足に直面し、各地で工事が止まり竣工が遅れる事例が増えた。7月に入ると、未完成物件の持ち主が住宅ローンの返済を拒否する動きが広がった。銀行貸し出しの2割を占める住宅ローンの焦げ付きリスクへの警戒も強まっている。
こうしたなか、銀保監会は銀行に不良債権処理を促している。22年1~6月の処理額は前年同期比18%増となった。なかでも中小銀行は1~5月で同37%増と、処理の多さが目立つ。3200億元に及ぶ新たな公的資金の注入は不良債権処理の加速に備えた措置といえる。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
東南アジアの航空会社に復調の兆しが出てきた。各国政府の新型コロナウイルス対策の緩和に伴う観光再開で、タイ国際航空やフィリピン航空は旅客数が増加している。ガルーダ・インドネシア航空は財務再建にメドをつけつつある。もっとも、主力の中国路線はゼロコロナ政策もあり顧客は戻っていない。燃料高も利益を圧迫するなか、業績の本格回復はまだ先になりそうだ。
ソフトバンクグループは、デリバティブ(金融派生商品)の一種である「先渡売買契約」と呼ばれる取引を通じたアリババグループの株式売却で最大220億ドル(約2兆9500億円)の現金を調達した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が内容を確認した届出書からの情報を基に伝えた。
FTによると、ソフトバンクグループは今年に入ってから先渡売買契約を通じてアリババ持ち分の約3分の1の売却を実施。同契約は持ち分を保持し続ける可能性を残しながら、現金を直ちに得ることを可能にする。ソフトバンクグループはこれを利用し、保有するアリババ株の半分余りをこれまでに売ったという。
持ち分を取締役会のポスト維持に必要な水準を下回る比率まで下げ、自社の財務諸表にアリババ利益を計上できないようにする可能性もあるという。
●その他産業
インフレ下での消費減速を受け、人員配置を見直す。削減の規模や詳細な対象部門は明らかにしていないが、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は関係者の話として、商品や技術、不動産部門など合計で約200人を削減すると報じた。
同社は米国内の従業員が160万人に上る全米最大の雇用主だ。広報担当者は日本経済新聞の取材に「消費者の変化を受け、いくつかの再編を進めている」と人員削減を認めた上で「強い未来に向けて会社をより良く位置づける」ためだと説明した。物流や電子商取引(EC)、ヘルスケアや広告など成長する事業分野では引き続き雇用を続けているという。
●決算関連
主力の鉄鋼事業は原料高による鋼材価格の引き上げでマージン(利ざや)が改善するが、円安が1000億円の減益要因となる。23年3月期の為替前提は1ドル=133円程度で、対ドルで1円の円安が48億円の減益になる。海外の鋼材市況の悪化で海外グループ会社の利益も減る。
鋼材需要自体は造船向けなどを中心に堅調の見通しだ。傘下のJFEスチールの22年度における単独粗鋼生産量は2600万トン弱と前年度並み(2588万トン)を見込む。
ただ自動車向けは6月に入り需要減が顕著になっている。JFEホールディングスの寺畑雅史副社長は今後の自動車向けの鋼材需要について「(自動車メーカーの生産予想よりは)少し弱含みで見ている」とした。半導体不足の影響が長引けば鋼材需要が落ち込む可能性もある。
2022年1~6月期決算は、19%増収/純利益が132億3200万ユーロ(前年同期比1.7倍増)。サプライチェーン(供給網)の混乱や部品不足から乗用車全体の販売台数は減ったが、EVは2倍に拡大するなど、1台あたりの収益性が高まった。また、中国の合弁会社を完全子会社化したことが寄与した。EBTは同期間で過去最高の161億5600ユーロで、1.7倍に増えた。
販売台数は116万台。同期間で過去最高だった前年同期の133万台から13%減った。オリバー・ツィプセ社長は同日の決算会見で「今年後半にかけて部品の供給不足が改善し、販売台数も伸びるとみているが、原料高などの逆風は当面続く」と語った。
部門別の税前利益は、運用と投資関連を管轄するインベストメント・マネジメント部門が117億円の赤字(前年同期は449億円の黒字)に転落。ACI株の評価損185億円を計上したほか、野村キャピタル・パートナーズの投資先企業の評価損もあり、投資損失は計231億円に上った。同部門の赤字は2四半期連続で、前四半期の損失もACI株の評価損失(188億円)が主因。
リテールを担う営業部門が前年同期比74%減の49億円、ホールセール部門は253億円の黒字(同284億円の赤字)だった。
●マクロ・その他
アフリカ南部のザンビアの債務問題で、中国が主導する債権国グループが債務再編の交渉入りに合意した。国際通貨基金(IMF)によるザンビアへの資金支援に道を開く。債務危機に直面する低所得国の救済で、中国が他の債権国と協調する先例になる可能性がある。
中国とフランスが共同議長国を務める債権者委員会は「債権の再編の条件をザンビアと交渉することを確約する」とこのほど表明した。20カ国・地域(G20)が用意した債務軽減の枠組みを活用する意向を示した。G20議長国のインドネシアが7月30日に声明を公表した。同委員会は7月中旬にIMF、世界銀行を交えて協議していた。
ザンビアは20年、ドル建て国債の利払いができず、新型コロナウイルス禍による債務不履行(デフォルト)にアフリカで初めて陥った。財務省の資料によると21年末時点で対外債務残高は約170億ドルにのぼる。最大の貸し手が中国で、対中債務は計60億ドルとの推計がある。
ザンビアでは21年8月、空港や道路などのインフラ整備に熱心で債務を膨らませてきたルング前大統領に代わり、野党の指導者だったヒチレマ大統領が就任した。ヒチレマ氏はIMFから支援を引き出す交渉を精力的に進めたほか、中国の債権者を欧米の債権者より優遇することはないとの方針を明らかにしていた。
2021年7月に発足したカスティジョ政権は不安定な状況が続いている。トレス氏は4人目の首相で、今後は5人目となる首相を選任することになる。
7月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比79.6%だったと発表した。物価上昇率は6月の78.6%から加速し、1998年9月以来の高水準となった。項目別では「交通費」が119.1%、「食料品」が94.7%となった。通貨安に加え、ロシアのウクライナ侵攻を機にエネルギーや穀物の価格が高止まりする影響を受けた。住宅関連の費用の高騰も目立つ。家賃や光熱費を含む「住居費」は前年同月比70.0%上昇した。
「2.5倍の家賃でも受け入れるしかなかった」。最大都市のイスタンブールで運転手として働く男性(50)は肩を落とす。更新月を迎えた7月、自宅アパートの賃料は2500リラ(約1万9000円)から6200リラに跳ね上がった。引っ越しを考えたが、周辺の物件はそれ以上の水準だったという。
インフレ高進で資産防衛に迫られた富裕層が不動産に資金を集中させた結果、トルコの不動産価格は急伸している。中央銀行によると5月の住宅(販売)価格指数は前年同月比2.5倍、イスタンブールに限れば同2.7倍に及んだ。不動産価格の上昇が賃料の上昇につながり、インフレ率をさらに押し上げるという悪循環になり、中間層を直撃している。
来年6月までに実施する大統領選・議会選を控えて、エルドアン政権の支持率は危機的な水準に落ち込んでいる。調査会社メトロポールの7月世論調査では支持が41.5%、不支持は53.7%だった。
同調査では、出馬が取り沙汰される野党5候補の誰がエルドアン氏とともに決選投票に進んだ場合でも、エルドアン氏が劣勢という結果が出た。
エルドアン氏率いる与党連合も下野のリスクがある。シンクタンクのイスタンブール経済研究所の7月世論調査では「今週末に選挙があったらどの党に投票するか」という問いに対し、エルドアン氏が率いる与党連合を挙げた人は計27.8%。野党連合は計33.1%となった。
原子力発電で欧州最大手のフランス電力(EDF)は、猛暑によって川の水温が上昇し、発電施設の冷却機能が制限されるとして、発電量を削減する可能性が高いことを明らかにした。フランスのエネルギー危機が強く注視される。
EDFは通常、年間の大半を通して電力の輸出が輸入を上回るが、現在は輸入に頼っている。発電所の問題はフランスだけでなく隣国のドイツなどにとっても重大だ。
EDFは2日夜、ローヌ川とガロンヌ川沿いの発電所で今後数日間の発電量が減少する可能性が高いことを明らかにした上で、安定した送電のために必要な最低限の発電量は維持すると説明した。
発電量が削減されれば、フランスとドイツで既に記録的な高値圏にある電力料金はさらに押し上げられる恐れがある。
その後の共同記者会見でペロシ氏は、蔡総統と関係強化の方法について協議したことを明らかにし、米国と台湾の貿易協定締結が近く実現する可能性があると述べた。一方、中国を巡っては、「一国二制度」は香港で実現しなかったとした上で、中国は台湾を訪れる人を妨害できないと述べた。
7月の非製造業総合景況指数は、市場予想に反して3カ月ぶりの高水準に上昇した。業況と受注の指数が堅調さを増し、景気減速への懸念が和らいだ。
7月のISM製造業指数は約2年ぶりの低水準で、非製造業指数の上昇はそれと対照的な結果になった。新型コロナウイルス感染状況とその対応措置の変化を背景に、消費者はサービス支出を拡大し、モノへの需要が減少している。
7月は鉱業と不動産を中心に、サービスの13業種が活動拡大を報告した。
入荷遅延指数は2021年1月以来の水準に低下したものの、納品までの期間長期化が続いていることを示唆。6月に急上昇した受注残の指数は鈍化した。
仕入れ価格指数は72.3に低下。前月の80.1から7.8ポイント低下し、昨年2月以来の低水準となった。7月の製造業指数でも仕入れ価格指数は前月比18.5ポイント下げており、燃料コストが低下する中でインフレ圧力が緩和していることが示唆された。
非製造業の在庫指数は昨年10月以来の低水準となり、在庫減少ペースが加速していることを示した。
3日の声明では「世界で最も自由で開かれた民主主義を築いた台湾への支持を表明するために訪れた」と強調した。「米議会代表団の訪問は米国が台湾とともにあることを強く示すものだ」と記した。
今回の狙いについては「安全保障、繁栄、統治に焦点を当てたインド太平洋地域への訪問の一環で、台湾はこの点で世界のリーダーだ」と主張。「我々がこの地域と世界で権威主義に対抗する民主主義を守る支援を続けるためには、米国と台湾の人たちとの連帯がこれまで以上に重要になっている」と訴えた。
政策金利を0.5%引き上げて13.75%にすると決めた。利上げは12会合連続。金利水準は2017年1月に並んだ。食料品を中心に高インフレは続いており、通貨レアルも下落しているのに対応した。
7月前半の消費者物価指数は前年同期比で11.39%上昇した。2桁の上昇率が続き、中銀目標の上限(5%)を大幅に上回っている。食料品や航空運賃の高騰が目立つ。通貨レアルが対ドルで下落したことで輸入物価が上がっている。
有力ニュースサイトG1は朝食の値上がりを報じた。22年1~7月にコーヒーの値段は15.28%、フランスパンは14.68%、牛乳は40.75%上昇した。ロシアによるウクライナ侵攻や干ばつの影響で、小麦や穀物が値上がりしている。
●市況
日経先物(大証)27960、ダウ先32773、債先150.62、米2.710、独0.8675、仏1.429、西1.936、伊3.020、波5.758、原油91.22、ドル円133.63、墨ペソ20.47、トルコリラ17.9315、墨CDS163
※8/4 10時00分頃

備忘録(8/2
●中国・ロシア・東欧
●中東
イランで保守強硬派のイブラヒム・ライシ大統領が国会で就任を宣誓してから5日で1年となる。優先課題の物価高対策は足元の消費者物価上昇率がなお40%ほどで、失業率は高止まりする。経済不振の主因は米国の制裁だが、解除に必要な核合意の再建協議はロシアのウクライナ侵攻に水を差され、見通しが立たない。
EUのボレル外交安全保障上級代表は7月26日、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)への寄稿で、事態打開を目指して新たな妥結の草案を関係者に示したと明らかにした。イランの交渉担当者は同月31日「協議を終わらせる用意はできている」とツイートし、草案に何らかの回答をした可能性を示唆した。
一方、イランの米国への不信は根深い。イラン政府は6月、核合意の履行を監視するため国際原子力機関(IAEA)が同国の核関連施設に設けた監視カメラの機能の停止を表明したが、イランメディアは25日、これが再建協議が妥結するまで続く見通しだと報じた。ライシ師は大統領就任時の演説で「制裁解除に向けてあらゆる手段を講じる」と強調していたが、その公約は果たせていない。
ライシ政権が接近するのはロシアと中国だ。7月19日にはプーチン氏をテヘランに招き、トルコのエルドアン大統領を交えて会談した。同月29日には中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と電話で協議し、協力強化で一致した。中国もイラン核合意の当事国だが、米国と激しく対立しており、ロシアと協調する姿勢をみせる。
テルアビブ大学(イスラエル)の国家安全保障研究所に所属するラズ・ジムト博士は「保守派にも経済面でのライシ師の『失政』を指摘する声はある」と話す。だが、大統領を監督するイランの最高指導者、ハメネイ師のライシ師への信頼は厚い。ライシ師は次の最高指導者の候補としても取り沙汰されている。
ハメネイ師に直属する軍事組織、革命防衛隊もライシ師を支持している。革命防衛隊は政治だけでなく、建設などイランの多くの企業も支配している。米欧との急な関係改善で既得権益が奪われる事態を警戒し、対外強硬姿勢を崩さない。核開発は原子力発電所を軸とするエネルギー確保と医療目的だと主張しており、核兵器の開発を一貫して否定している。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
半導体は、スマートフォンやパソコン向けでは不足感がやわらいでいるが、自動車向けではなお逼迫が続いている。年末に向けて不足が続くとの見方が多い。
●決算関連
大手電力10社の2022年4~6月期決算が2日出そろった。火力発電に使う燃料費の高騰が収まらず、東京電力ホールディングスや関西電力など7社が最終赤字となった。想定外の燃料高により、燃料費の上昇分を料金に転嫁できる制度の上限を超えたのも響く。東電などは一部の契約で値上げの検討に入った。燃料費の影響を小さくして値上げ圧力を和らげるには原子力発電所の再稼働がカギになる。
JR西日本など上場4社の2022年4~6月期連結決算が出そろい、新型コロナウイルス禍以降で初めて全社で最終黒字となった。行動制限の緩和で都市部の鉄道需要が回復。商業施設などの売り上げも伸びた。ただ、在来線に比べて新幹線など長距離輸送はコロナ前比で回復が鈍く、足元の感染再拡大で不透明感が再び強まっている。
世界的な金融引き締めによる市場の混乱が大手銀行の収益に逆風となっている。金利上昇による債券価格の下落で、日本の3メガバンクが6月末時点で抱える外国債券の含み損は3月末の計1.7兆円から2.6兆円強に膨らんだ。株式や社債の引き受けなど投資銀行部門が失速し、日米欧の大手16行のうち10行が4~6月期決算で減益か赤字となった。全体の純利益は3割減った。
日米欧の大手行は大半が減益か赤字となった。「ボラティリティー(市場の変動率)の高まりで顧客は戦略的な取り組みや新規発行の延期を余儀なくされた」。投資銀収益が前年同期比で55%減った米モルガン・スタンレーのシャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)は決算説明会でこう説明した。特別買収目的会社「SPAC」を通じた上場ブームが去り、反動が大きく出た。
三菱商事が2日発表した2022年4〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が5339億円だった。前年同期比で2.8倍となり、四半期ベースで過去最高となった。原料炭価格の上昇などで金属資源事業の利益が拡大した。三井物産の純利益も44%増の2750億円となり、資源高が両社の業績を押し上げている。
ダイキン工業は2日、2023年3月期の連結営業利益が前期比11%増の3500億円になりそうだと発表した。最高益を見込んでいた従来予想(7%増の3400億円)から上積みする。
上海のロックダウンにより、営業利益率が20%を超える中国事業で影響が出たほか、日本や欧州向けの部品・製品供給の一部が停滞した。販売会社などの買収効果や工場の安定稼働で採算が上向いている米国や、省エネ性能の高い暖房が好調な欧州、行動制限の緩和で需要の回復したアジアなどで補う。
中国では6月以降、工場のフル稼働が続く。6月の販売は前年同月比1割以上のプラスで、通期では前期を上回る売上高を目指す。
ダイキンは物流費や原材料価格の高騰などが年1500億円の減益要因になるとみて、グローバルで4~5%値上げする。「想定通りに価格改定できている」(幹部)という。エネルギー価格の上昇を受け部品価格も高騰し始めた。今期の減益要因が想定を上回る可能性もあり、コスト削減の徹底に加え「追加の価格改定も検討する」(幹部)としている。
4-6月(第2四半期)決算によると、建設機器の売上高はアジア太平洋地域で減少した。中国のエンドユーザーからの収入減を理由に挙げた。機械とエネルギー、輸送事業の売上高は135億ドル(約1兆7700億円)で、アナリスト予想に届かなかった。同社の業績は景気動向を映す先行指標とみられることが多い。
キャタピラーは中国について、同社売上高全体の約5-10%を占めるとこれまでに明らかにしている。
同社は「主に原材料や輸送のコスト上昇を反映した製造コストが不利に働いた」とも言及した。
平均注文数や来店客数が伸びた米国が9%増と全体をけん引した。一方、北米市場の営業利益率は前年同期の22%から24.3%に低下した。商品や物流コストの上昇に加え、賃金や従業員教育のための費用がかさんだ。米国の店舗で労組結成を求める動きが急拡大するなか、22年9月期通期には従業員教育や賃金の引き上げなどに総額10億ドルを投じる計画だ。
ハワード・シュルツCEOは「インフレと経済の不確実性の影響を注視しているが、ブランド力や価格決定力を背景に顧客の支出は減少しておらず、買い控えの兆候もみられない」と指摘。
同社は新型コロナウイルスの感染が広がった影響で20年に業績が大幅に悪化したが、直近では旅行需要の回復が追い風になっている。4~6月期は予約件数が四半期として過去最高を更新し、国内旅行に比べて回復が遅れていた海外旅行の復調も鮮明になった。同四半期の海外旅行に伴う予約件数は前年同期の2倍に増え、コロナ流行前の水準を上回った。
同社によると、米国の独立記念日で祝日だった7月4日に1日当たりの売上高が過去最高を更新した。「夏休み期間の旅行需要が強いことを示している」という。一方、4~6月期の1泊当たりの単価は前年同期比1%増の163.74ドルで、増加率は前の四半期の5%から低下した。
景気減速の色彩が濃くなるなか、消費者が旅行など娯楽への支出を絞り込むことが懸念材料になっている。説明会でデイブ・スティーブンソン最高財務責任者(CFO)は景気減速の影響について、「先行きは分からないが、当社は(08年の)金融危機の時期に設立され、コロナ禍も乗り切った。多用な宿泊先を提供しており、景気変動への適応力が高い」と説明した。
自動運転技術分野で資本業務提携する米オーロラ・イノベーションなどの保有株の評価損を計上し、2四半期連続で最終赤字となった。
コンピューター用プロセッサーメーカー2位の米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は7-9月(第3四半期)についてさえない見通しを示した。インテルとのシェア争いで前進してもパソコン(PC)需要急減の影響を補い切れないことが示唆された。
リサ・スー最高経営責任者(CEO)の下でAMDはインテルからシェアを奪い、強力なサーバー用新型半導体需要の追い風を受けてきた。ただこの日の見通しは、AMD製品にとってなお最大の市場であるPC業界鈍化の影響を免れないことを示した。
半導体メーカーを巡っては発注の枯渇で未使用品の在庫が積み上がるとの見通しも市場で懸念されている。AMDの4-6月期在庫は昨年末から3分の1増えて26億ドルに達した。
●マクロ・その他
利上げは4会合連続。中銀のロウ総裁は声明で「経済を安定させながらインフレ率を(政策目標である)2~3%に抑える」方策を重視していると指摘した。当面は引き締め政策を維持する見通しだ。22年の実質成長率の予想は3.25%で、5月時点の4.25%から引き下げた。
豪統計局が7月下旬に発表した4~6月期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比で6.1%上昇した。21年ぶりの高水準だ。1~3月期の上昇率は5.1%だった。一方、人手不足で失業率は約50年ぶりの低水準となり、賃金上昇の圧力が強まっている。
ロウ氏はインフレの要因として、世界共通のサプライチェーン(供給網)混乱に加え、22年前半に豪東部で起きた洪水もあげた。22年のインフレ率は7.75%前後になると予想した。
中国は即座に対抗措置に動いた。中国人民解放軍東部戦区は2日夜から、台湾周辺での実弾射撃を含む軍事演習を開始したと発表した。「米国を震え上がらせる」としている。中国メディアによると、ペロシ氏の到着に合わせて空軍の戦闘機スホイ35が台湾海峡を横断した。
中国外務省は声明で「断固とした反対と強烈な抗議を申し入れた」と表明し、台湾当局と米国を非難した。
ペロシ氏は到着後に発表した声明で、「訪台は台湾の民主主義を支援する米国の揺るぎない関与を示すものだ」と強調した。中国を念頭に「米国は一方的な現状変更の試みに反対し続ける」と記した。
台湾の外交部(外務省)は「訪問を心から歓迎する。米国の台湾に対する揺るぎない支持が再確認された」との声明を発表した。呉釗燮・外交部長(外相)が空港でペロシ氏を出迎えた。
米連邦準備理事会(FRB)は6月、7月の会合で通常の3倍となる0.75%の利上げを連続実施した。エバンス氏はシカゴ連銀で開いた朝食会で9月に0.5%、その後の11月、12月会合に0.25%と利上げ幅を圧縮するシナリオを示した。インフレ指標が上振れすれば9月は「0.75%の利上げになる可能性もある」とも言及した。
米経済については「景気後退が来ると言っておきながら、そうならないことはよくある」と指摘。景気後退は「何かをきっかけとして予想外の形で来るものだ」と強調した。経済に対して均衡する失業率が現在の3.6%より高くなっているという認識を示して「4.25%になっても驚くことではない」と話した。
一方、クリーブランド連銀のメスター総裁は同日、米ワシントン・ポスト紙のインタビューに応じ、米国の物価上昇率がまだピークを越えたか確認できていないとしたうえで「我々にはさらにやることがある」と発言した。「米経済が景気後退に入ったとは考えていない」という認識も示した。
欧州中央銀行(ECB)当局者は、投機的な動きを抑制すべく1カ月前に発動した域内市場の分断化を阻止する第一弾措置を通じ、イタリアなど南欧諸国を防衛するため数十億ユーロを投じたとみられる。ECBが2日公表したデータで明らかになった。
このデータは、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下で購入した債券の満期償還金のうち相当な規模が活用されていたことを示唆。政策当局者は市場に混乱が生じた際の当初の対応として、PEPPで購入した資産の満期償還金を柔軟に再投資する方策を立てていた。
6-7月までの2カ月分の債券保有データによれば、ドイツ、フランス、オランダ債の純保有額は7月末までに189億ユーロ(約2兆5490億円)減少。一方、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ債の純購入は計173億ユーロに上った。
コメルツ銀行の債券ストラテジー責任者、クリストフ・リーガー氏は「ECBが量的緩和を開始して以降、ドイツ債保有額の減少としては間違いなく最大で、その規模は予想以上だった」と述べた。
●市況
日経先物(大証)27750、ダウ先323954、債先150.44、米2.741、独0.8065、仏1.402、西1.964、伊3.027、波5.607、原油93.78、ドル円133.79、墨ペソ20.81、トルコリラ17.9582、墨CDS161
※8/3 9時30分頃

備忘録(8/1
●中国・ロシア・東欧
中国不動産セクター苦境続く-遠洋はジャンク級に格下げ、関連株下落
ムーディーズが1日発表した資料によれば、同社は遠洋に「Ba1」のコーポレートファミリー格付け(CFR)を付与。これまでの「Baa3」発行体格付けは取り下げた。格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」。遠洋は成約販売で中国20位の不動産開発会社で、筆頭株主は国有の中国人寿保険。
ムーディーズのアナリスト、セドリック・ライ氏は遠洋の格下げについて、人寿保険からの支援がやがて減るとの見通しを反映させたと説明。「中国不動産市場の悪化により、人寿保険にとっての遠洋集団の経済的および戦略的重要性は低下する」と予想した。
中国の不動産開発会社株で構成するブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の指数は1日の取引で一時2.3%下げ、3月16日以来の安値を付けた。不動産開発企業として世界最大級の負債を抱える中国恒大集団は、約束していた「暫定再編計画」を7月末までに提出しなかった。
中国住宅販売、7月も低迷続く-ローン返済拒否の動きも影響か
不動産調査会社の中国房産信息集団(CRIC)の暫定データによれば、不動産開発上位100社の契約販売総額は前年同月比39.7%減の5231億元(約10兆2700億円)。政府による購入促進の取り組みにもかかわらず景気下降に伴い需要は引き続き低調だった。
7月の減少率は前月の43%より小幅だったが、1-7月の販売総額は49%減と、前年同期に比べかなり減ったとCRICはリポートで分析した。
7月の暫定データは、物件の未完成を理由に住宅購入者がローン返済を拒否する動きが全国に広がって以降公表される初めての数字となる。中国恒大集団など多額の負債を抱える不動産開発会社がキャッシュフローを生み、銀行や経済への重圧を取り除くには、住宅販売の回復が不可欠だ。
CRICはリポートで、「業界の信頼感も低水準にある状況で、全体的な市場の需要と購買力が誇張されてきた。不動産開発会社は短期的に大きな在庫調整圧力に引き続き直面している」と指摘した。
中国恒大の複雑に絡み合う借入金 1400億円の担保執行へ
グループ会社が借入金を返済できず、恒大傘下の他の事業会社が間接的に差し入れていた約73億元(約1400億円)の担保が執行されると発表した。この借入金を巡ってはグループ外の第三者も保証関係に介在しており、恒大が抱える債務の複雑さが浮き彫りになった格好だ。
グループ会社の借り入れは、第三者が保証し、この第三者には恒大傘下の南昌市の事業会社が地方銀行、盛京銀行の株式を担保として差し入れていた。今回、このグループ会社が借入金を返済できなくなり、巡り巡ってこの事業会社が差し入れていた担保が執行されることが決まった。
中国経済、7月はさらに悪化-楽観は見当違いと中国版ベージュブック
中国経済は7月に新型コロナウイルス感染の再燃でさらに悪化した。チャイナ・ベージュブック・インターナショナル(CBBI)が最新調査結果を基に指摘した。景気回復への市場の楽観は見当違いだと警告した。
最新調査によると、工場生産と新規受注は2020年半ば以来のペースに減速。小売りセクターの雇用は過去2年余りで最悪だった。製造業や小売業の売上高の伸びは悪化し、利益は抑制された。
6月は上海などの都市でコロナ対策の行動制限が緩和されたが、その後、複数の地域で感染者数が再び増加し、脆弱(ぜいじゃく)な景気回復を脅かした。7月31日に公表された7月の中国製造業購買担当者指数(PMI)は、予想外の活動縮小を示した。
CBBIのリーランド・ミラー最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「7月の回復説には注意すべきだ。市場はロックダウン(都市封鎖)緩和が最悪の事態の終了を意味すると確信しているが、7月のデータでは企業が依然として投資や借り入れ、特に採用を大部分拒否していることが示されている」と指摘。 「企業が『ゼロコロナ政策』の悪夢が終わったとは考えていないためだろう」と分析した。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
アップル、4本立ての社債発行開始-自社株買いと配当の資金調達
●決算関連
ANAHDとJAL、4-6月の損益水準が改善-旅客需要回復
ANAHDの第1四半期営業損益は13億円の赤字(前年同期は646億円の赤字)で純損益は前年同期の512億円の赤字から10億円の黒字に転換した。
JALの同四半期の純損益は196億円の赤字(前年同期は579億円の赤字)だった。両社とも黒字転換を見込む今期(2023年3月期)の利益予想額はそれぞれ据え置いた。
ANAHDの中堀公博グループ最高財務責任者(CFO)は同日の決算会見で、純損益では19年度の第3四半期(19年10-12月期)以来の黒字となったが「元々はコロナ禍からの需要回復局面であったので赤字を想定していた」と明らかにした。これまでの事業構造改革の成果などが寄与したとした上で、「通期の業績予想の達成に向けて非常に順調なスタートが切れた」と語った。
JALの菊山英樹専務は会見で、合理的・科学的な感染対策を行うことを前提とした上で、「経済活動の活性化は先進国並みに実施していくよう従来から要望している」として、入国者数の上限引き上げといった水際対策の緩和が重要との考えを示した。足元の円安はインバウンド需要獲得に向け「間違いなくチャンス」としたものの、そういった需要取り込みにはビザ要件の緩和が必要とした。
ANAHDの中堀氏によると、同社の7-8月の旅客見通しは国際線がコロナ前の水準の3割強と想定をやや上回る見通しとなっている。一方、同期間の国内旅客はコロナ前との比較で70%前後まで回復するが、同80%としていた想定を下回る見込みだという。
米では旅客需要が急速に回復しており、米国航空大手3社の4-6月期営業損益は黒字転換している。国際航空運送協会 (IATA)の6月の予測によると、業界全体では22年は97億ドル(約1兆2800億円)の赤字になるものの、来年には黒字回復する見通しとなっている。
英HSBC、1~6月純利益14%増 金利収入増や税負担減で
2022年1~6月期決算は、純利益が前年同期比14%増の82億8900万ドル(約1兆1000億円)だった。世界的な市場金利の上昇で貸出金の利ざやが拡大した。収益見通しの改善を受けて繰り延べ税金資産を積み、会計上の税負担が減ったことも利益を押し上げた。
中国不動産エクスポージャー、3分の1が不良化-HSBC
英銀HSBCホールディングスは中国の不動産関連エクスポージャー約120億ドル(約1兆6000億円)相当の約3分の1が劣化、または不良化していると、イーウェン・スティーブンソン最高財務責任者(CFO)が1日明らかにした。
「当行が細心の注意を払っているポートフォリオは、オフショアブックにある中国の商業用不動産エクスポージャーだ」と同CFOがブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。 「最悪期が過ぎたと言えるのは数四半期先だ」という。
同行は4-6月(第2四半期)に中国の商業用不動産セクター関連貸し倒れを想定し1億4200万ドルを償却。1-3月(第1四半期)の1億6000万ドルに上乗せした。
中国の深刻化する不動産危機は国内の銀行ばかりでなく、HSBCやスタンダードチャータードなどの外国銀行にも影響を及ぼしている。
ANAの22年4~6月期、最終黒字転換 JALは赤字縮小
●マクロ・その他
成田空港の旅客数、6月も100万人超 日本人の渡航回復
成田国際空港会社(NAA)の6月の旅客数は前年同月の3.9倍の117万8870人で、2カ月連続で100万人を上回った。旅客数は5月に2020年3月以来、2年2カ月ぶりに100万人を上回った。新型コロナウイルスの感染が拡大する前の19年6月比では約3割の水準にとどまるが、国際線で日本人のビジネスやレジャー目的の渡航が回復基調にある。
[FT]新興国、空前の資本流出 景気後退観測と米利上げで
国際金融協会(IIF)がまとめた速報値によると、新興国の株式・債券市場からの海外資金の流出額は7月、105億ドル(約1兆4000億円)に達した。この5カ月間の総流出額は380億ドル超。統計が始まった2005年以降で最も長期間の流出超過となった。
[FT]再選目指すブラジル大統領、3男がトランプ氏に接近
EU加盟、条件厳しく トルコは交渉17年続く
世界の企業358社、資金調達計画を棚上げ-総額約34兆円
新規株式公開(IPO)や起債、ローン、買収を含むこれら棚上げされた取引は、総額で2540億ドル(約33兆6700億円)を超える。延期もしくは棚上げされた取引の数は米州が184件と最も多く、他地域合計の2倍余りとなっている。
米州で件数が多いのは株式相場の減速によるもので、1月以降に棚上げとなったIPOは136件に上り、世界全体の3分の2を占めている。
資金調達を目指す借り手にとって、債券市場は引き続き試練の場で、今年に入り世界で103件の取引(総額で少なくとも640億ドル相当)が延期もしくは中止されている。
延期された債券発行の件数は既に、昨年全体の合計や新型コロナウイルス禍のピーク時を上回っている。
ペロシ米下院議長、2日夜に台湾入りし3日に議員と会合-自由時報
イタリア10年債利回り低下、一時5月来の3%割れ-政局巡る懸念緩和
ブルームバーグ・ニュースは7月29日、来月予定されている総選挙の世論調査で高い支持率を集める極右政党「イタリアの同胞(FDI)」のジョルジャ・メローニ党首は選挙で勝利したらEUの財政規律に従う意向だと、事情に詳しい当局者の情報を基に報じた。この報道を受け、投資家の間で不安が和らいだ。
10年債利回りは一時4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.98%となった。同年限のドイツ債とのスプレッドは216bpと、7月20日以降で最も小幅となった。
米ISM製造業総合景況指数、7月は52.8に低下-予想52
生産指数も約2年ぶりの水準に低下。新規受注は前月に続き縮小圏にとどまった。経済が勢いを得るのに苦慮する中、製品需要が軟化していることが浮き彫りとなった。
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は発表文で「委員の間では、経済の軟化を巡り懸念の声が出ている。サプライチェーンの過剰在庫に対する不安が強まる中で、新規受注の指数が2カ月連続での活動縮小を示したためだ」と記した。
在庫指数は57.3に上昇し、1984年以来の高水準。在庫が積み上がっている製造業者が増えていることを示唆している。サプライチェーンが一段と混乱した場合に備えて在庫を積み増している製造業者も多いが、この指数上昇は一部に意図しない在庫増が含まれていることを示唆している可能性もある。 
7月は製造業の11分野で活動が拡大。特にアパレル、鉱物、石油・石炭製品で伸びた。一方で木材製品や家具、紙類など7分野では活動が縮小した。
仕入れ価格指数は60で、前月から18.5ポイント低下。ほぼ2年ぶり低水準となった。需給の不均衡が続く中、同指数は過去1年半の大半において極めて高い水準で推移してきた。
18.5ポイントという低下幅は2010年以来の大幅で、これは原油と金属の価格下落を反映している。回答者のうち22%近くが7月の支払い価格低下を指摘。この割合は前月に8.3%だった。
英中銀、27年ぶり大幅利上げへ-保有資産も売却し緩和から転換
 HSBCバンクのシニアエコノミスト、リズ・マーティンズ氏(ロンドン在勤)は「インフレ状況は大幅に悪化しており、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)が議論されているというベイリー総裁からのメッセージは中銀が強力な措置を講じる用意があることを示している」と話した。
6月の独小売売上高、8.8%低下 物価高で落ち込み最大
6月の小売売上高指数は実質ベースで前年同月比8.8%低下した。統計で遡れる1994年以降で最大の落ち込みになった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う供給不安でエネルギーや食料品など幅広い品目が値上がりし、個人消費が冷え込みつつある。
メキシコへの送金、6月は15.6%増 堅調な米雇用で
前年同月比15.6%増の51億5300万ドル(約6800億円)になったと発表した。主な出稼ぎ先である米国の雇用環境は堅調さを維持しており、母国のメキシコに住む家族への送金が増えた。
前年同月を上回るのは26カ月連続だった。6月の送金回数は1万2636回と前年同月比で11%増えた。6月は1人当たりの送金額も408ドルと前年同月比で4%増加した。1~6月の送金額は275億6500万ドルと前年同期比で16.6%増加し、半期として過去最高を更新した。
世界的な債券市場の混乱、インフレとの闘いにおける危険な副作用
消費者物価の抑制を急ぐ金融当局は速いペースで金利を引き上げ、米国や欧州、オーストラリアといった各国・地域で自らが国債の有力な買い手となってきたプログラムを終了させている。投資家はそれを補うことがまだできていないため、流動性の枯渇が生じ、過去数カ月の歴史的な利回り変動につながっている。
●市況
日経先物(大証)27868、ダウ先32754、債先150.66、米2.588、独0.7745、仏1.345、西1.854、伊2.985、波5.363、原油93.69、ドル円131.56、墨ペソ20.39、トルコリラ17.8823、墨CDS161
※8/2 8時30分頃


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