2021年5月4日火曜日

備忘録(21/5)

備忘録(5/31)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
AIRDO(エア・ドゥ、札幌市)と九州を拠点にするソラシドエア(宮崎市)は31日、共同持ち株会社を設立すると正式発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で、旅客需要の低迷が長引く。苦境の航空会社は再編による経営効率化に活路を見いだす構えだ。
2022年10月をメドに両社を傘下に持つ持ち株会社を設立する。両社はいずれも筆頭株主の日本政策投資銀行などを引受先とする第三者割当増資による優先株の発行も発表した。7月にAIRDOは70億円、ソラシドは25億円を調達する。両社ともに減資もする。政投銀は「地域路線の維持に注力する」と出資の狙いを説明する。
今回、合併などに踏み込まないのは地域を地盤とする独自性が薄れるほか、新興航空会社に競争促進のために優先配分されている羽田の発着枠が減る恐れがあるからだ。ANAHDの出資比率が20%を超えた場合でも発着枠の優遇対象から外れる。こうした事情からANAHDも追加の支援に踏み込みにくい。政投銀が支援するのもこうした構図があると見られる。
6月にも普通社債で100億円を調達する。期間は5年で金利は0.6%前後になる見通し。資金使途は未定としているが、運転資金や投資、有利子負債の借り換えなどへの活用を検討しているもようだ。大和証券などが主幹事を務める。
新型コロナウイルスの影響を含まない2019年4月との比較では57%減となっており、依然として利用動向は低水準の状態が続いている。
●その他産業
強みを持つプライベート・エクイティ(PE=未公開株投資)や不動産など、専門性の高い金融商品に地域金融機関や個人でも投資できるようにする。世界的な機関投資家だが、業績は市場環境で振れやすく長引く低金利で資金を預かる農協への還元も重荷だ。外部資金を呼び込み投資効率を高めると同時に手数料による安定的な収益の確保をめざす。
CEOは31日、世界的な半導体不足の解消には「あとまだ数年かかる可能性がある」との認識を示した。同氏は「業界は今、目先の対応に追われている。サプライチェーン(供給網)全体で今後、課題解決のため、立ち向かう姿勢が必要だ」と語った。
インテルは今後、半導体不足の解消に向け、世界各国で生産能力の拡大に力を注ぐ方針を示した。既に3月、米西部アリゾナ州に200億ドル(約2兆2千億円)を投じて新工場を建設する計画を発表したが、「今後は欧州でも拡大する」(ゲルシンガー氏)とした。さらに「台湾企業とも緊密に協力し、集中的に投資をする」(同)と語った。
輸出は62.7%増の1493億円だった。機種別にみると油圧ショベルが75.9%増の601億円、トラクタが82.6%増の166億円だった。北米を中心に住宅向けやインフラ関連の需要が旺盛なのが寄与した。欧州やオセアニアなど北米以外の地域も好調だった。
国内向けは1.7%減の575億円と4カ月連続で前年を下回った。油圧ショベルが0.6%減の172億円、建設用クレーンが23.2%減の66億円、道路機械が13.2%減の19億円だった。「公共工事の需要はあるものの、民間の建設需要が回復しておらず建設関連の引き合いが弱い状況が続いている」(建機工担当者)という。
格安スマートフォン事業者が携帯大手から借りる通話回線の貸出料について、引き下げに向けた制度を整備する方針を示した。大手は、自社の消費者には家族間の通話無料やかけ放題オプションなどで通話料を実質的に下げてきた。それでも総務省は貸出料の高止まりが競争を阻んできたと問題視している。格安スマホのコストを軽くして競争を促進させ、通話料の引き下げにつなげる。
アマゾン・ドット・コムが支援する電気自動車(EV)メーカー、リビアン・オートモーティブは年内にも実施する可能性のある新規株式公開(IPO)に向け担当銀行を選定した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。同社はIPOで約700億ドル(約7兆6800億円)の価値評価を目指すこともあり得るという。ブルームバーグ・ニュースは以前、約500億ドルを目指す可能性を報じていた。
●決算関連
●マクロ・その他
400億リンギ(約1兆600億円)のうち、50億リンギが直接の財政投入を伴う「真水」となる。企業が従業員に支払う給与の一部を1か月間補助して、失業者が増えるのを防ぐほか、低所得者には300~500リンギを給付して家計を支援する。集中治療室(ICU)の増設など医療体制の拡充にも10億リンギを配分する。
1~3月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期に比べ1.6%増だったと発表した。インドで新型コロナウイルスの感染が拡大する前にあたり、2四半期連続でプラスになった。
教育費や生活コストは高騰している。都市部の家庭で根付く「子どもは1人で十分」という考えを覆すのは簡単ではなく、産児制限緩和の効果は見通しにくい。
1人の子どもが高校を卒業するまでにかかるコストは北京や上海など大都市で250万元(約4250万円)前後に及ぶとの試算もある。
都市部の1人当たり可処分所得は20年時点で4万4000元弱だ。新型コロナウイルス下で所得持ち直しが緩やかなペースにとどまるなか、マンション価格の高騰もローン返済を通じ家計の負担となっている。北京市在住で3歳の子を育てる白さん(35)は「2人目ですら育てるのは難しい」と語る。
新型コロナウイルス禍のなか、在宅勤務や巣ごもりで世界的に通信機器や家電製品の消費が伸び、部品に使うすずや銅などが高騰。自動車生産など製造業の復調も背景にした資源や素材高がけん引した。
市中銀行から強制的に預かる外貨の預金準備率を引き上げると発表した。これまで5%だった比率を6月15日から7%に高める。引き上げは14年ぶり。外貨の流動性を下げることで、金融機関に手持ちの人民元を外貨に両替するよう促す。元高圧力を緩める狙いだ。
外貨の預金準備率を引き上げるのは、2007年に4%から5%に高めて以来、14年ぶりだ。当時は、05年の人民元切り上げと管理変動相場制の導入で元高傾向が続いていた。
貯金に当たる財政調整基金の残高が2021年度末時点で21億円になる見通しだ。20年度末の残高見込みと比べると99%減で、底をつきかけている。20年度決算の状況をみて、使わなかった財源を今後の新型コロナウイルス対策などに充てる方針だ。
1~3月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比7%増だった。ロックダウン(都市封鎖)中も操業を続けた製造業が12%増だった。輸出事業者組合によると、1年前より対ドルで2割安い通貨リラの恩恵を受けた輸出がドル建てで17%増になるなど需要が拡大した。サービス業は5.9%増だった。
エルドアン大統領は26日、米企業経営者らとのビデオ会議で「20カ国・地域(G20)の中で中国に次ぐ高成長を達成した」と誇り、2021年の先行きにも自信を示した。
一方、国民の経済への不満は強い。シンクタンク、イスタンブール経済研究所の5月の世論調査によると、経済が「非常に悪い」とした人は50%、「悪い」は19%だった。「非常に良い」と「良い」は計12%だった。5月の与党支持率は26%と、1年前から13ポイント下落した。飲食店などは約半年にわたり閉鎖状態で、一時帰休の人などを含む広義の失業率は28%に達する。前年同月比で17%台の消費者物価指数(CPI)も生活を圧迫する。
28日に対ドル史上最安値を更新したリラ安も「実感なき成長」の理由の一つだ。ドル名目GDPは16年以降、減少が続いている。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの土田陽介氏は「経済成長すれば通常、通貨は上昇する。大幅な通貨安を伴う成長は経済の発展に必要な富の蓄積をもたらさず意味がない」と指摘する。
2021年の新興国の株式と債券への資金流入額は5月までの過去20年間で最も大きくなった。米実質金利のマイナスが長期化したことで、利回りを求めてリスクの高い新興国に資金が流れ込む構図だ。ただ、米国の金融緩和の縮小に伴い米金利が急上昇すれば資金の流れが逆転し、市場が混乱する恐れも高まる。
北海原油代表油種ブレント先物相場が1バレル=70ドル近くまで上昇する現状でも石油各社は増産を急いでおらず、このようなことは過去数十年なかった。米国のシェールオイルブームの中心であるパーミアン盆地でも、掘削業者は好不況の循環に合わせて支出する伝統的なパターンに抵抗している。
石油業界は窮地に追い込まれている。ウォール街の投資家は掘削への支出を減らし、株主への還元を増やすよう要求しており、気候変動問題の活動家は化石燃料に反対する動きを強めている。
OPECプラスは6月1日の閣僚級会合で、協調減産の縮小を継続し、原油供給をさらに増やす可能性が高い。
OPECプラス以外の産油量は今年日量62万バレル増える見込みだが、これは2020年の減少分(同130万バレル)の半分にも満たない。来年以降の原油生産は米国とブラジル、カナダを含む一部少数の国で増える一方、英国やコロンビア、マレーシア、アルゼンチンでは減る見通しだ。
OPECプラス以外の原油生産の増加ペースが世界の原油需要に追い付かない状況では、OPECプラスが市場の支配権を握ることになると石油会社幹部やトレーダーは予想している。
ドイツの5月のインフレ率は、前年同月比2.4%と、ブルームバーグがまとめた予想中央値の2.3%を上回り、2018年10月以来の高水準に達した。新型コロナウイルス感染拡大阻止でレストランや店舗、文化施設に課してきた制限を当局が解除し始めたことが背景にある。
OECDの新たな経済見通しによると、アルゼンチンやスペインなどの国では、危機の始まりから1人当たり国内総生産(GDP)が回復するまでに3年余り要すると見られる一方、米国では1年半、中国では1年弱にとどまる。
チーフエコノミスト、ローレンス・ブーン氏は「経済見通しが明るさを増しているのは多少安心できるが、極めてまだらな形である点は幾分不安だ。パンデミック後の十分な成長が達せられないか、広く共有されないリスクが高まっている」と付け加えた。
●市況
日経先物(大証)28940、ダウ先34473、債先151.48、米1.581、独▲0.1905、仏0.167、西0.464、伊0.913、原油66.97、ドル円109.52、墨ペソ19.92、トルコリラ8.4932、墨CDS93
6/1 8時20分頃

備忘録(5/27)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
米連邦航空局(FAA)が同機の安全点検に必要な追加情報の提供を求めたため。787は日本の重工企業が主翼など主要構造部を手掛けており、停止が長引けば日本の部品メーカーにも影響が及ぶ。ボーイングの広報担当者は、FAAが求めている情報について「安全性に関わる技術的な内容ではない」と説明し、出荷の遅れは短期ですむとの見通しを示した。
787は昨年、エンジンへの異物混入や構造部の組み付けの不備など複数の品質問題が発覚し、同11月に出荷を停止した。ボーイングはサウスカロライナ州の組み立て工場の管理強化などをFAAに報告し、今年3月に出荷を再開したばかりだった。
拘束力を持つ株主からの負託として「脱炭素」の取り組みが強化される。
可決された議案は、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の目標に沿った脱炭素戦略の策定と履行を求めるものだ。石炭火力発電と発電用石炭開発の関連融資について、欧州連合(EU)と経済協力開発機構(OECD)加盟国では2030年まで、その他の地域では40年までにそれぞれ終える具体策が盛り込まれた。
4月の世界生産は、前年同月比で2.2倍の205万8千台だった。2020年4月に新型コロナウイルスの感染拡大により世界各地の工場が稼働停止した反動で大幅に増えた。ただ、世界的な半導体不足などが影響し、コロナ前の19年4月に比べると11%少ない。
政府が2050年に目標を掲げるカーボンニュートラル政策について、「電力コストは世界的に高く、(カーボンニュートラルに向け)再生エネルギーの導入が増えればさらに高くなる。コストアップなどをどう補うかを考えれば、原子力しかない」「安全が確認された原子力発電設備などを最大限活用する必要がある」と述べた。現在検討中のエネルギー基本計画を念頭に、電力の安定供給やコストダウンの観点から、改めて原子力の必要性を訴えた。
●その他産業
投資額は従来の年1000億~1500億円から倍増となる2500億円規模にする。需要が拡大する物流施設やデータセンターのほか、企業が売却する不動産への投資を見込む。大口の投資家の一角にゴールドマンが加わり、不動産価格の下支え要因になりそうだ。
2021年3月期の連結決算は、最終損益が1051億円の赤字(前の期は16億円の黒字)となった。新型コロナウイルス感染の長期化で旅行需要が急減し、赤字額は過去最大となった。山北栄二郎社長は同日、700人規模の追加リストラや今夏冬の賞与ゼロなどを発表したが、オンライン旅行予約が台頭する中で収益環境は厳しく、抜本的な構造改革が急務となっている。
店舗を持たず少人数で運営できるOTA(オンライン専業旅行会社)に比べて、店舗型の固定費の高さという構造的課題を浮き彫りにした。
すでに欧米では旧来型の旅行会社はOTAにおされて追い込まれていた。団体旅行の元祖とされる英旅行会社のトーマス・クックは業績悪化で19年に破産。オンライン予約の普及に対抗できなかったことが最大の原因とされる。独大手TUIも20年5月、新型コロナの影響でグループ全体で8000人規模の人員削減を決めた。
トーマス・クックはその後、経営再建に向けてOTAに転身。20年9月からオンライン上で旅行取り扱いを再開した。ただ、旅行業界に詳しい日本大学の矢嶋敏朗准教授は「JTBがOTAに転身しても収益化は難しい」と指摘する。国内市場で米エクスペディアなど海外大手を含めたOTAがすでに存在感を増しているためだ。
世界的な半導体不足によるコスト増などが要因だ。半導体不足は21年中は続くとみており、さらなる値上げも検討する。価格競争が激しいHDDの値上げは珍しい。半導体不足の影響が広がっている。
●決算関連
●マクロ・その他
新型コロナウイルスの感染拡大による失業で2020年は急減が見込まれていたが、出稼ぎ労働者などの新興国への送金が微減にとどまったのは米国など主要受け入れ先の失業給付が支えになったとみられる。先進国経済の復調により21年は中米などで過去最高のペースを記録しており、送金が新興国の経済回復を助けそうだ。
世界銀行によると、20年の新興国(低・中所得国)への送金額は5395億2600万㌦と、前年比1.6%減だった。世銀は20年4月時点では、新型コロナ感染拡大が出稼ぎ労働者の雇用減少につながり、同19.7%減になると見込んでいた。
しかし、送金受取額で世界3位のメキシコに至っては10%増の約429億ドルとなり、過去最高を記録した。21年に入っても1~3月累計では106億2327万ドルと、前年同期を13%上回るペースだ。メキシコ同様、中米各国でも過去最高となり、増加基調は途切れていない。
送金の大きな支えとなったのが、トランプ前米政権が実施した失業給付の上乗せ策などだ。海外からの出稼ぎ労働者でも正規の就労ビザを保有していれば受給する資格がある。通常時の給与より多く給付を受け取り、苦境にあえぐ本国の家族に送金した移民も多いという。
新興国にとって海外送金は貴重な外貨収入だ。メキシコの20年の送金受取額は国内総生産(GDP)比で4%、パキスタン、エジプトなどは10%弱を占める。低所得国では20~30%程度を占めることもある。出稼ぎ労働者の送金が本国の家族の食費や日用品、教育分野などの生計を支え、消費行動を促進する。
世銀は21年の新興国への海外送金額を前年比2.6%増の約5530億ドルと見込む。コロナの感染が拡大する前の19年(5480億ドル)を上回る水準だ。経済回復により雇用や給与額が回復することが送金額を押し上げる。
政府は米国で広がった特別買収目的会社「SPAC」の解禁を検討する。6月に閣議決定する成長戦略に明記する。未公開企業を短期間で上場する仕組みを整え、新興企業を育成する。伝統的な企業の事業再編で活用する狙いもある。米国では投資家の保護が課題で、上場時のチェックなどを強化する方向だ。
歳出規模は新型コロナウイルス危機前を3割上回る6兆110億ドル(約660兆円)を連邦議会に求めた。コロナ対策で後から膨らんだ21年度より減るものの、当初の予算教書で示された歳出としては戦後最大の規模となる。コロナ対策が積み上がった21年度に比べれば22年度の歳出規模は17%減るが、危機前の19年度(4兆4000億ドル程度)から水準を大きく引き上げることを求める。
今後8~10年かけて2兆ドル規模をインフラなどに投じる「米国雇用計画」、1.8兆ドル規模を育児や教育などの支援に回す「米国家族計画」を反映し、例えば交通インフラの整備に今後10年で約5500億ドルを追加で支出する。国防費も増勢が続く。22年度は1.6%増の7530億ドルを要求した。伸び率は物価上昇並みといえるが、台頭する中国との競争など安全保障環境の変化を意識している。GDP比で3%程度と、トランプ前政権の想定と変わらない規模を今後も保つ。
こうした歳出拡大は連邦法人税率を21%から28%に上げるなど企業と個人富裕層への増税を充て「15年間かけて財源を賄う」(政府高官)としている。22年度の財政赤字は約1兆8000億ドルで、GDP比7.8%とリーマン・ショック後の水準に並ぶ。23年以降も5%前後で高止まりする見通しだ。政府債務のGDP比は戦後1946年の水準(119%)を大きく上回り、140%前後が続く。政権は2030年代に財政赤字や債務が徐々に減っていくと説明している。
5月のミシガン大消費者態度指数(確報値)は82.9で前月から5.4ポイント低下した。低下は3カ月ぶり。速報値(82.8)とほぼ変わらず、市場予測(83.0程度)とほぼ一致。「現在の景況感」が89.4で7.8ポイント低下したほか、「今後の見通し」も78.8で3.9ポイント下がった。
調査担当者は、インフレ懸念が景況感を押し下げたと分析した。価格上昇を指摘する消費者の割合が、住宅は1950年代以来の高さ、自動車や耐久財は80年代以来の高さとなった。消費者は1年後のインフレを4.6%と見込んでおり、調査担当者は「インフレ心理が広がる可能性は低いものの、完全には否定できない」と指摘した。
2021年4~6月期のモノの貿易指数は109.7と1~3月期から5・8ポイント上昇した。航空貨物など幅広く回復しており、WTOは「貿易拡大のペースが加速している」と指摘した。貿易指数は100を上回ればモノの貿易が拡大、下回れば縮小を示し、世界貿易の実態をいち早く把握できるとされる。100を上回るのは3四半期連続となる。
5月の景気指数(PMI、季節調整済み)は前月から3.1ポイント上昇の75.2となり、1973年11月以来47年6カ月ぶりの高さとなった。強い需要が指数を押し上げ、市場予測(68.0程度)を大きく上回った。
「新規受注」が7.7ポイント上昇し、約37年ぶりの高さとなったほか、「受注残」も7.5ポイント上昇し、約70年ぶりの高さとなった。物流や人手不足で受注残が増えた。
一方、雇用は6.5ポイント低下し3カ月ぶりに50を下回り、縮小圏となった。企業は新規労働者の採用が難しいと報告した。
仕入れ価格は3.1ポイント低下し、41年ぶりの高さとなった前月からわずかに下がった。
厚生労働省によると2020年度の1人当たり現金給与総額(月平均)は前年度比1.5%減の31万8081円となり、8年ぶりに減少した。経団連の集計では21年の春季労使交渉の賃上げ率も8年ぶりに2%を割り込んだ。足元では緊急事態宣言が延長され、雇用環境の改善は遅れている。賃金の下押し圧力は長引く懸念がある。
国際銅加工業者協議会(IWCC)は、2021年の銅需要が前年比4.9%増の2445万8千トンとなり、同2.7%減だった20年から大きく回復するとの見通しを示した。新型コロナウイルス禍で停滞した世界経済が立ち直り、製造業の活動が上向いている。主要な工業用金属である銅も需要の伸びを見込む。
豪西部で開発を進めている鉄鉱石鉱山「アイロンブリッジ」の総費用の見通しを当初想定の費用は26億ドルから33億~35億ドル(約3600億~3800億円)に上方修正すると発表した。資材の高騰や人件費が上昇しているためで、「為替変動や労働力の制約といった要因が資材や設備設置の費用に影響を与えた」と説明した。
金融当局が公式にインフレ目標の基準としているPCE総合価格指数は、前月比0.6%上昇で市場予想と一致。3月も0.6%上昇だった。前年同月比では3.6%上昇した。コア価格指数は前月比0.7%上昇。市場予想の0.6%上昇を上回り、2001年10月以来の大きな上昇率となった。前年同月比では3.1%上昇と、1992年7月以来の大きな伸びを記録した。ただ、前年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期で物価上昇圧力が非常に弱かったため、前年比の数字にはゆがみが生じている。
●市況
日経先物(大証)29020、ダウ先34537、債先151.51、米1.581、独▲0.1835、仏0.175、西0.476、伊0.913、原油66.66、ドル円109.86、墨ペソ19.92、トルコリラ8.5570、墨CDS94
※5/28NY引け値

備忘録(5/27)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
主力小型機「A320」の生産規模について、2023年6月までに新型コロナウイルス禍前を上回る水準に拡大する方針を発表。A320はコロナ禍前に月60機を作っていたが、現在は40機に落としている。同社は2021年10~12月に45機、23年4~6月に64機を作る計画。64機は過去最大の生産規模となる。航空需要の伸び次第でさらに24年1~3月に70機、25年に75機に引き上げる。また、小型機「A220」、中型機「A350」も22年までに生産規模を現状から引き上げる。
CEO)は「航空業界はコロナ禍から回復しつつある」との声明を発表した。
6月の運航率(2020年度事業計画比)は51%と、13日に発表した前回計画から4ポイント低下する。
リトアニアで液化した二酸化炭素(CO2)の輸出に向けた出荷設備や船舶整備などのインフラ開発を検討すると発表した。
リトアニアなどバルト3国の工場から排出されるCO2を回収し、欧州域内で検討されている埋蔵地などに運ぶことを想定する。事業化に至れば、そこで得たノウハウを、将来的に日本やアジアでの液化CO2輸送にも生かすことを狙う。21年中に技術的に実現可能かどうか結論を出す。
社債は3本建てで、5年債が350億円、7年債が300億円、10年債が350億円。それぞれの利率など詳細な条件は28日の決定を予定している。
羽田空港や成田空港を発着するバス「エアポートリムジン」を運行する東京空港交通(東京・中央)が、金融機関に支援を要請したことが27日わかった。借入金の返済猶予や数十億円規模の融資を求めているもようだ。
2021年3月期の連結最終損益が714億円の赤字だったと発表した。04年に民営化してから赤字は初めて。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な航空需要の低迷が打撃となった。旅客数が引き続き低調なことから22年3月期も赤字を予想しており、厳しい経営が続く。
2021年3月末時点の借入先トップはみずほ銀の約8501億円。他の国内メガバンクでは三井住友銀行の約4771億円、三菱UFJ銀行の約2777億円と続き、それぞれ昨年3月末時点の9123億円、6606億円、4258億円から減少。一方、海外金融機関からの借り入れはJPモルガンが8293億円と前年の2273億円から大幅に増加。ドイツ銀行も1年前の2580億円から3761億円、シティバンクが1985億円から2629億円、クレディ・アグリコルも2468億円から4721億円に増えた。また、BNPパリバとゴールドマンが今年の主要借入先10社の中に入り、3月末時点の借入額はそれぞれ6015億円、5932億円と三井住友と三菱UFJを上回った。
半導体不足によりここ数カ月操業を停止していたメキシコの2工場、米国とカナダ、韓国のそれぞれ1工場について、生産を再開すると発表した。カナダの工場とメキシコの1工場では小型SUV(スポーツタイプ多目的車)の「GMCテレイン」と「シボレー・エクイノックス」を生産しており、再開の意義は大きい。これら2車種は自家用車として人気が高いほか、レンタカー会社による購入も多い。
●その他産業
HSBCは1980年の米マリーン・ミッドランド銀行の買収を足掛かりに、90年代にかけて米国で事業基盤を拡張。米国では148支店を展開しているが、地元の金融機関との競争が激しく収益面で苦戦が続いていた。譲渡するリテール事業の規模は顧客数が85万人、預金残高が約102億ドル(約1兆1100億円)で、2022年3月までに完了する計画だ。
米国では富裕層向け事業に軸足を移し、大規模法人向けのホールセール部門は維持する。米リテール撤退に伴い1億ドルの費用計上を見込んでいる。
米ガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」の買収が難航し、2022年2月期の連結業績予想と26年2月期までの中期経営計画を公表できない中での異例の総会となった。問題が長期化すればセブンは中計を根本から練り直す恐れがある。一部株主からは「成長戦略が見えない」との声が出た。
新中計では米国の成長が柱になり、スピードウェイ問題が解決しないと示せない苦しい事情がある。FTCと4月に合意したとされる反トラスト法(独占禁止法)に抵触しないための措置として、スピードウェイとセブンイレブンの合計293店の売却を発表済みだが、追加の売却を迫られる可能性があるなど、先行きは不透明だ。セブン&アイ幹部は「スピードウェイは想像以上に長期化する可能性がある」と懸念しており、中計を練り直すリスクを抱えている。
債務を含む買収総額は84億5000万ドル。人気スパイ映画「007」シリーズや「ロッキー」や「ロボコップ」などの製作で知られるMGMを傘下に収め、2億人を超える有料サービス「プライム」会員向けの動画コンテンツを拡充する。
MGMは過去にはソニーが出資し業務提携していたが、2010年の経営破綻を経て現在は米ヘッジファンドのアンカレジ・キャピタル・グループなどが株式を保有している。
MGMの買収に成功すれば、アマゾンにとって2017年に137億ドルで買収した米食品スーパー、ホールフーズ・マーケットに次ぐ、過去2番目に大きなM&A(合併・買収)となる。ただ、米議会や独禁当局は近年、米IT(情報技術)大手によるM&Aが競争を阻害していないかどうかに関心を強めている。アマゾンにとっては独禁当局による審査が今後のハードルとなりそうだ。
MGMの筆頭株主である投資会社アンカレッジ・キャピタル・グループは、アマゾン・ドット・コムへのMGM売却で約20億ドル(約2200億円)の利益を得る見込みだ。アンカレッジが保有するMGM株式約30%は今回の売却で約25億ドル相当の評価となったと関係者は匿名を条件に話した。ケビン・ウルリッチ氏率いるアンカレッジは10年前にMGMに約5億ドルを投資し、MGMの経営再建を支援していた。
インドでデジタル決済サービスを展開するペイティーエム(Paytm)は、今年後半に計画している新規株式公開(IPO)を約2180億ルピー(約3300億円)規模としたい考えだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。実現すれば、コール・インディアが2010年に行ったIPOを抜きインド最大となる。
●決算関連
売上高は同36%増の116億3700万ドル、純利益が前年同期比約3.7倍の5億9500万ドル(約650億円)だった。
在宅勤務や遠隔教育に関連した商品に加え、家屋改修の改修に伴う需要や取り付けサービスの利用が堅調だったという。コリー・バリー最高経営責任者(CEO)は「政府からの給付金と住宅市況の好調さが家電需要をさらに押し上げた」と指摘した。
2021年通年の既存店売上高見通しを従来の2%減~1%増から3%~6%増に上方修正した。バリーCEOは、21年後半に消費者の外出機会が増え、外食や旅行など家電購入以外の消費が相対的に増えるとして、今後の家電需要には不透明感があると語った。
26日発表した米エヌビディアなど大手10社の2021年1~3月期決算(一部は直近業績)は、合計の純利益が5四半期連続で増えた。1~3月期では18年以来、3年ぶりの高水準だ。高速通信規格「5G」向け需要が増え、世界の上場企業全体(2四半期連続増益)と比べても好調さが目立つ。一方、膨らむ投資や競争環境の激化という好調業種ならではのリスクもある。
1~3月期決算は、最終損益が7億7000万リンギ(約200億円)の赤字となった。赤字は新型コロナウイルスの感染拡大前の19年7~9月期以来、7四半期連続となる。債務超過額も約42億リンギに膨らんだ。
ネット広告など買収したIT(情報技術)関連の事業が低迷し、27日に発表した2021年3月期決算では12億1000万シンガポールドル(約1000億円)の減損損失を計上した。競合する米IT大手企業などに歯が立たず、新たな事業の柱を育てられずにいる。
2021年2~4月期決算は、純利益が前年同期比2.1倍の19億1200万ドル(約2090億円)だった。ゲームとデータセンター向けの半導体の需要がともに旺盛で、売上高は84%増の56億6100万ドルとなった。売上高・利益ともに過去最高を更新した。
ゲーム部門の売上高は2.1倍の27億6000万ドル、データセンター部門の売上高は79%増の20億4800万ドル、映画スタジオなどプロの動画編集事業者向けの販売額は21%増の3億7200万ドルだった一方、自動運転技術の開発に使う半導体など、自動車部門の売上高は1%減の1億5400万ドルにとどまった。
5~7月期は63億ドル前後の売り上げを予想する。半導体業界で続く供給の逼迫について、コレット・クレス最高財務責任者(CFO)は「21年後半まで続く」との見通しを述べた。
2-4月期売上高は27%増の159億ドル、市場予想上回る
消費者によるリモート勤務用のパソコン(PC)やプリンター向け支出の持続と、オフィス再開を控えた企業のハードウエアのアップグレードを示唆した。
2~4月期決算は売上高が前年同期比89%増の39億9100万、最終損益が1億6600万ドルの黒字(前年同期は9億3200万ドルの赤字)だった。新型コロナウイルスの感染の落ち着きや行動制限の緩和で顧客の外出機会が増え、衣料品販売が伸びた。
好調な業績を受け2021年通期の見通しを上方修正した。売上高は従来、10%台半ばから後半の伸びを見込んでいたが、20%台前半から半ばに引き上げた。
●マクロ・その他
個人消費、設備投資、住宅投資が上方修正されたが、輸出、在庫投資、政府支出が下方修正され、前期比年率換算で6.4%増と4月末発表の速報値と変わらなかった。
4~6月期の成長率についてアトランタ連銀はプラス10.1%とみている。
米物価連動債の利回りから算出する予想インフレ率は、2年先より10年先が低くなる異例の逆転現象が生じた。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ加速を警戒して早期の緩和縮小に動くとの見方が後退し、米長期金利はじわりと低下。ドル高が進みにくくなっている。
好調な米経済の恩恵で製造業は持ち直しているが、政府による新型コロナウイルス対策の財政出動は限られて内需が弱い。インフレ加速で一段の金融緩和による下支えも見込みにくい。同様に米経済に依存するカナダとも差が出ている。
中国金融市場の秩序を保つ闘いが一段と厳しくなりつつある。商品から住宅、株式に至るあらゆる市場に資金が流れ込んでいるためだ。
5月だけでも、政府は金属絡みの投機に対応すると表明し、不動産税構想を復活させた。一部の都市では住宅ローン金利が引き上げられ、仮想通貨のマイニング(採掘)は禁止となっている。
中国の的を絞ったアプローチである程度の成功を収めている。商品先物はここ数週間で記録的高値から値下がりし、仮想通貨もまた大きく下げた。
ただ「もぐらたたき」のような手法だ。金融市場で一部の相場を抑制すれば、他の資産が値上がりする。中国株の指標CSI300指数は25日、香港との株式市場接続を経由した資金流入と、中国で2番目に大きな上場投資信託(ETF)が前例のないほど買われたことで3%余り上昇。対ドルで約3年ぶりの高値となっている人民元の魅力を高めている。
あるいは、こうした全てが共産党による大戦略の一部かもしれない。本土株上昇は商品市場から熱を奪う可能性があり、元高は輸入原材料コストを押し下げる公算が大きい。そうなればインフレ圧力は弱まり、中国人民銀行(中央銀行)は緩和スタンスを維持することが可能となる。建党100年を控える中で、共産党と習近平総書記(国家主席)には「強い」金融市場が必要だ。
ただ相場上昇が止まらず、政府のコントロールの及ばない力が市場を動かすようになるリスクもある。そうなれば、人民銀は流動性吸収や利上げといったより強力な手段に訴えざるを得なくなるかもしれない。
当局はまた、マクロではなくミクロのレベルで積極的な対策を講じることを一段と好むようになっているようだ。ロイター通信は26日、銀行保険監督管理委員会(銀保監会)が商品先物に関連した投資商品の小口客への販売をやめるよう各金融機関に求めたと関係者を引用して報じた。
JPモルガンのウルフ氏は「中国のように資本勘定を閉じたまま与信経路を介して政策を緩めれば、資金は国内にとどまり封じ込められる。マネーは行き場を必要としており、それは住宅かもしれず株式かもしれず、金融システム内を移動することになる。これが政策が抱える最大級の制約であり、中国が今年、刺激策の引き揚げを急いでいる理由だ」と語った。
新型コロナウイルス禍に伴う一時帰休労働者向け支援策が終了した後の労働市場の回復が順調ならば、来年の早い時期の利上げも可能になるだろうとの見方を示した。発言を受けてポンドは上昇した。
そのようなシナリオは急速な景気回復が条件になるとし、この回復局面では失業率が低下する一方で賃金上昇圧力が弱い可能性があるとの見方を示した。一時帰休支援策が終了した後の労働市場の動向が引き続き、「大きな不確実要素だ」と述べた。
バイデン大統領が28日公表する予定の2022会計年度(21年10月-22年9月)予算案では、連邦政府の歳出が6兆ドル(約660兆円)に増加するもようだ。年間の財政赤字は今後10年間にわたって1兆3000億ドルを超える見通し。ニューヨーク・タイムズが関連文書に基づいて報じた。歳出は31年度までに8兆2000億ドルに拡大するほか、連邦債務の対国内総生産(GDP)比率は向こう10年間で117%に上昇するもよう。
●市況
日経先物(大証)28900、ダウ先34552、債先151.53、米1.606、独▲0.1770、仏0.181、西0.476、伊0.933、原油67.26、ドル円109.86、墨ペソ19.96、トルコリラ8.5057、墨CDS96
※5/28 8時25分頃


備忘録(5/14-16)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
債務超過に陥ったグループの旅行会社、KNT-CTホールディングスの救済へ150億円の優先株式の引き受けを決めるなど、資金の確保に迫られた。
資金捻出のため身売り候補になったのがホテル。昨年夏から売り先を探すなか、雇用の維持などを提案して有力候補に挙がったのがブラックストーンだ。売却額は600億円規模とみられる。「こんなええ話ない」。「渡りに船」だった近鉄GHDにとり社内から強い反論は出なかった。
ある役員は「できるなら売りたくなかった」とつぶやく。建て替えて19年に開業したばかりの都ホテル博多(福岡市)、「世界一の朝食」で知られる神戸北野ホテル(神戸市)――。いずれも訪日外国人が戻れば収入の回復が見込める。収入が戻るメドが立たないなか、「虎の子」の資産を売ってしのぐしかない。
「聖域なしで売却や流動化を検討する」。5月13日、西武ホールディングス(HD)の新たな中期経営計画を発表した取締役、高橋薫は会見でこう強調した。子会社のプリンスホテルはホテルを手放し運営に特化する。主力の「ザ・プリンス パークタワー東京」(東京・港)なども含め売却候補は21年中に選ぶ。
大都市を中心に比較的経営が安定していた鉄道業界が、コロナ禍で未曽有の苦境にあえいでいる。危機を乗り切ろうともがく現場を追う。
厚生労働省は米モデルナ製と英アストラゼネカ製の承認の可否を近く判断する方向だ。国内では米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンが最初に承認されて接種が進む。有効性などに大きな差は無く、接種を急ぐ必要がある。
●その他産業
米連邦取引委員会(FTC)の一部の委員が、セブン&アイ・ホールディングスによる米コンビニエンスストア大手のスピードウェイの買収を巡り、反トラスト法(独占禁止法)違反の懸念があると声明を出した。セブン&アイは今後、事業の分離を求める訴訟などのリスクを抱える可能性もある。
スピードウェイをめぐっては、セブン&アイが日本時間15日未明、米石油精製会社マラソン・ペトロリアムから買収する手続きが完了したと発表したばかりだった。
買収が「独占につながる懸念がある違法なものだ」と指摘し、全米のガソリンスタンドやコンビニでの価格高騰を招くと非難した。声明は買収の審査を進めていたFTCの民主党系のレベッカ・ケリー・スローター臨時委員長、ロヒット・チョプラ委員が連名で公表した。声明自体に買収撤回の法的拘束力はないが、司法当局と連携して調査を継続し、反競争的な弊害に対処するため「適切な道筋を決める」としている。セブン&アイは今後、事業の分離を求める訴訟などのリスクを抱える可能性もある。
民主党系2人、共和党系2人で構成される委員会では対処方針をめぐり意見が分かれた。FTCとセブン&アイが取り決めていた買収完了期限の14日までに、過半数の合意が必要となる買収の阻止や訴訟などの強制措置には至らなかった。スローター氏らは、競争上の懸念を払拭する対策がまとまらないなかでの契約締結は「極めて異例で困惑している」と述べた。「両社は自己責任で契約を進めた」と強調した。
バイデン政権は5人目のFTC委員として、米コロンビア大法科大学院のリナ・カーン准教授を指名した。民主党系が過半数を占めるようになることで、FTCが今後強制力のある措置にカジを切る可能性も出てくる。
水ビジネス世界大手仏ヴェオリアは14日、同業仏スエズを買収することで最終合意したと発表した。買収総額は約260億ユーロ(約3兆4千億円)。売上高約370億ユーロの巨大企業が誕生する。スエズ経営陣は約8カ月にわたって抵抗を続けてきたが、受け入れた。ヴァエリオは水ビジネスでもともと世界首位だったが、買収で世界シェア約5%になるという。
米鉄道大手カンザスシティー・サザン(KCサザン)は13日、同業のカナディアン・ナショナル鉄道からの買収提案を受け入れると発表した。債務を含む買収総額は336億ドル(約3兆6760億円)。カナディアン・ナショナルに先んじて合意したカナディアン・パシフィック鉄道には買収契約の破談を通知した。カナダ2社の買収合戦は競合を上回る価格を提示したカナディアン・ナショナルに軍配が上がった。
カナディアン・ナショナルはKCサザンを傘下に収めることで、米国、メキシコ、カナダの鉄道網を一体運営する初の企業となる。KCサザンは米中西部やメキシコを結ぶ輸送網を持ち、自動車などの工業製品や農産品の貿易に重要な役割を持つ。
デジタルBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やマーケティングのDXを強化する。環境に配慮したサステナブル包材の開発・販売強化を通じ、グローバル展開も加速する。新規事業として、ヘルスケア関連やロボティクス関連など幅広い分野で新事業の創出を狙う。
米ウォルト・ディズニーが13日発表した2021年1~3月期の「ディズニー+(プラス)」の会員増加数は870万人と、巣ごもり需要で1600万人を上回る伸びが続いた過去3四半期と比べ、大幅な減速だ。「Hulu」なども含めた動画配信事業の1~3月期の売上高は前年同期比59%増の39億9900万ドルだった。
ディズニーによれば、1~3月の減速は目立った新規参入国がなかったためだという。ボブ・チャペック最高経営責任者(CEO)は6月にマレーシアやタイに進出する計画を明かし、24年に2億3000万~2億6000万人という会員目標に対し「順調に進んでいる」と強調した。米国で実施した値上げについても「解約率の大幅な上昇はない」と言う。
ただ、動画配信サービスでは競合の米ネットフリックスも会員の増加ペースが落ちている。同社は「コロナ下で(会員獲得の)先食いがあった」とし、4~6月期は増加数が過去5年で最低の100万人にとどまると予想する。
21年1~3月期決算は、売上高が前年同期比13%減の156億1300万ドル(約1兆7010億円)、純利益は96%増の9億100万ドルとなった。新型コロナによる映画館やテーマパークの営業制限が緩み、業績改善は進みつつある。経済活動の正常化はディズニーにとって好材料だが、動画配信に限れば成長の重荷となる可能性がある。
●決算関連
アサヒグループホールディングス(GHD)の純利益は前年同期の4倍の331億円。オーストラリアのビール会社が連結対象になったことや国内飲料事業の収益性の改善が寄与した。飲料事業が振るわなかったキリンホールディングス(HD)は減益、サッポロホールディングスは最終赤字となった。
アサヒは買収効果に加え、国内飲料事業の貢献も大きい。売上収益は横ばいの753億円だったが、利益率の高い炭酸飲料や缶コーヒーなどが好調だったほか、販促費の減少などで事業利益が4.2倍の45億円と大幅に増えた。国内飲料事業の増収増益は3社で唯一だ。
一方、キリンが強い「生茶」や「午後の紅茶」などの茶系飲料が自宅で茶葉から抽出する手いれ需要の拡大で苦戦。サッポロHDの食品飲料事業は赤字が続く。
国内ビール事業は家庭用の強さで違いが現れた。家庭用の比率が相対的に高いキリンHDの国内酒類事業は「一番搾り 糖質ゼロ」や缶チューハイなどが好調で、売上収益が5%増の1407億円、事業利益は11%増の124億円。これに対して業務用が強いアサヒGHDは飲食店向けの出荷が減り、国内の酒類事業は17%減の1361億円、事業利益も37%減の88億円となった。
2021年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が278億円の黒字(前年同期は2億5800万円の赤字)と、同期間で最高益だった。市販用タイヤや農機用タイヤの販売が好調だったほか、本社ビル(東京・港)の売却益約200億円の計上が寄与した。売上高にあたる売上収益も過去最高で、1496億円と前年同期比16%増えた。市販用タイヤでは冬用など採算性の高い商品が好調だった。農機用タイヤの需要も旺盛だ。売上収益から売上原価と販管費を差し引いた事業利益は、8倍の145億円だった。
21年12月期見通しについて、タイヤ需要が好調に推移していることもあり、売上収益の予想は12%増の6400億円と、従来予想(6200億円)から200億円引き上げた。また、純利益が前期比2.1倍の560億円と従来予想(490億円)を70億円上回りそうだと発表した。
金融や法人など非通信分野がけん引する。政府の要請で実施した携帯電話の値下げ影響は吸収できると見込むが、競争の進展次第で収益に影響を及ぼしかねない。
5割が前の期よりも純利益が減ったか赤字に転落。赤字に転落したのは3行。上場地銀の7割が減益や赤字を見込んだ1年前より改善傾向だが、地銀の経営は厳しい。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う地上波テレビの広告収入や、イベント関連の収益減が響いた。
前年同期にあった部品調達停滞に伴う一時的な減産影響がなくなったことに加え、欧州ではコロナ感染拡大で停止していたディーラーの営業が再開したことで、トラクターと建機販売が回復した。タイでも政府の農産物の価格安定政策などで販売が増えた。国内では消費増税後の販売低迷からの回復や、国の補助金などで農家の投資意欲が高まったことが寄与し、国内外での建機や農機販売が伸びた。
全社が最終赤字となり合計赤字額は1兆5000億円を超えた。新型コロナウイルス感染を防ぐための移動自粛で鉄道収入が急減した。22年3月期はコスト削減などを進め多くが黒字転換を見込むものの、足元では緊急事態宣言が延長され取り巻く環境は厳しい。
JR西日本は機械化により検査コストを減らし、近鉄グループホールディングス(GHD)は7月に終電を早める。
2021年3月期通期決算で12億1000万シンガポールドル(約990億円)の特別損失を計上すると発表した。不振のデジタル広告やサイバーセキュリティー事業で減損処理を実施するためだ。
デジタル広告の「アモビー」は新型コロナウイルスの感染拡大後、旅行業界などからの受注が減り、回復の見通しも立っていない。サイバーセキュリティーの「トラストウェーブ」は商品のコモディティー(汎用品)化によって収益が悪化した。
今後は、アジア太平洋地域に事業をより集中する方向となる見通しで、今後非中核事業の売却などを発表する可能性がある。
シングテルは本業の通信事業も海外旅行の減少によるローミング収入の低迷に苦しんでおり、事業の再構築が急務となっている。20年4~12月期決算は営業収入が前年同期比8%減の116億シンガポールドル、EBIT(利払い・税引き前利益)が42%減の9億2300万シンガポールドルだった。
2021年1~3月期の単独売上高のうち航空貨物事業が77%を占めた。旅客の落ち込みを補い、営業利益は1245億ウォン(約120億円)と4四半期連続で黒字を確保した。
貨物事業は欧米向けの長距離路線が好調だった。アメリカ西海岸の港湾施設の混雑によるコンテナ船の滞留や、スエズ運河での座礁事故を背景に「緊急性物資の空輸需要が発生した」(大韓航空)としている。景気回復に伴う需要増によって、貨物運賃が上昇したことも業績を押し上げた。
2021年1~3月期決算は、売上高が前年同期比45%増の1兆3471億台湾ドル(約5兆2000億円)だった。新型コロナウイルスの感染拡大で生産が混乱した20年春から回復した。
国内の貸し出しが中小企業向けで増えた。本業のもうけを示す実質業務純益は21%増の7977億円だった。企業の社債発行に伴う手数料も堅調だった。世界的な株高で、個人向けの運用商品の販売も好調だった。
融資先の貸し倒れや焦げ付きなどに備える与信費用は約2000億円を計上した。このうち、コロナ影響の長期化を見据えた予防的な引き当てに723億円をあてた。
本業のもうけを示す業務純益は1兆840億円と横ばいだった。緊急事態宣言や外出自粛に伴う消費の減少で、クレジットカードや消費者金融が苦戦した。一方、国内を中心とした法人向けの貸し出しが伸びた。
融資先の倒産などに備える与信費用は3605億円と、前の期の2倍強に膨らんだ。「コロナの影響がどこまで残るか、予断を許さない」(太田純社長)として、債権の焦げ付きに備える引当金410億円を予防的に計上した。
21年1~3月は中国や米国などが回復し、店舗売上高は前年同期に比べて32%増えた。
●マクロ・その他
グリーンシル・キャピタルの大口融資先だった、英GFGアライアンスを捜査していると発表した。グリーンシルとの金融取引などで不正がなかったかどうか調べる。
英メディアによると破綻直前にはGFGアライアンス向けに50億ドル(約5450億円)規模の融資があった。
製造業は前月比0.4%上昇した。半導体不足で自動車・同部品が4.3%低下したが、これを除くと0.7%上昇した。主に寒波で打撃を受けていた化学工場などが回復した。ただ、産業間のばらつきが目立ち、FRBは供給面での制約が生産の支障となった可能性を指摘した。
4月の米小売売上高(季節調整済み)は6199億ドル(約68兆円)と、過去最高だった3月の6197億ドルをわずかに上回った。3月に始まった現金給付が消費意欲を押し上げている。
外食が前月比3.0%増と伸びが目立った。全米各地で飲食店の営業時間や客数の規制が緩和され、客足が戻っている。自動車・部品は2.9%増えた。経済再開に伴い、買い替えの需要が高まっている。衣服店は前月比で5.1%減となったが、2月と比べると16.4%増と好調だ。
昨年はネット通販を利用したモノの購入が伸びていたが、経済再開に伴いサービス業の売り上げも伸びている。外食やレジャーは人手が必要で、年明け以降、再雇用が活発化している。マクドナルドは13日、米国の直営店で働く従業員の時給を今後数カ月で平均10%引き上げると発表した。米経済はこれまで経済対策で支えられてきたが、今後は民間の自律的な成長に戻っていけるかが焦点となる。
イスラエル国内でアラブ系とユダヤ人の市民の間の衝突が多発している。現地報道によると中部ロッドで11日、アラブ系がシナゴーグ(ユダヤ教会堂)や車に放火。北部ハイファでユダヤ人極右の集団が路上で「アラブ人に死を」と叫び、中部の商都テルアビブ近郊ではアラブ系商店が襲われた。パレスチナ自治区ガザへの空爆が以前からくすぶっていた対立感情に火をつけ、暴力行為が相次ぐ。政府はガザでの作戦に加え、国内の混乱の抑え込みに苦慮している。
ロウハニ大統領の任期満了に伴う6月18日投票のイラン大統領選は16日、立候補を届け出た人物が候補者としてふさわしいかを判断する護憲評議会による審査が始まった。優勢とされる保守強硬派は出馬を届け出たライシ司法府代表に支持を一本化する流れだ。穏健派が期待したザリフ外相は出馬を見送ったとみられる。
ライシ師はハメネイ最高指導者の後継としても名前が浮上する有力者。前回選挙はロウハニ師に大差で敗れたが、今回は反汚職を訴えるなど大衆迎合的な政治手法によって支持を広げている。穏健派で国際協調路線を掲げたロウハニ師と対照的に欧米との対話に否定的な立場だ。
穏健派が期待したザリフ外相の出馬見送りは、直前に流出した音声テープで革命防衛隊を批判していたことが明らかになった事件が響いたとみられる。ハメネイ師による批判を受け、発言について謝罪に追い込まれた。
護憲評議会は27日までに資格審査をクリアした候補者を公表する見込み。審査では改革派や穏健派の候補の多くが「失格」となる見込み。欧米はこのプロセスが「民主的でない」とイランの選挙制度を批判してきた。護憲評議会のメンバーの半数は、強硬派寄りのハメネイ師によって任命されている。護憲評議会は立候補の届け出が始まる直前に、年齢など新たな資格要件を発表し、穏健派議員らの批判を招いた。
前日に付けていた約6年ぶり高水準から2.4%低下した。過去最高値を付けていた銅が下がったほか、原油や穀物も下落。米長期金利の上昇に伴い外国為替市場でドル高が進み、ドル建てで取引する商品全般の下げ圧力となった。
2020年3月以来およそ1年2カ月ぶりの高値圏で推移した。新型コロナウイルスの感染減少に伴う経済活動の再開に加え、中央銀行による利下げ観測が後退してきたことがペソ相場を支えている。
4月の消費者物価指数は前年同月比で6%を超え、中銀の政策目標の上限(4%)を上回った。市場では当面政策金利を据え置くとの見方が出ている。
中国の需要増で鉄鉱石のスポット(随時契約)価格は高騰が続く。指標となる米調査会社S&Pグローバル・プラッツが算出する国際価格指数(中国行き・鉄分62%粉鉱、運賃込み)は6日に1トン202.65ドルと、初めて200ドルの大台に乗せた。直近12日時点では同233.10ドルまで上昇し、前年同期比2.6倍の高水準にある。
資産家ジョージ・ソロス氏の投資会社は、アルケゴス・キャピタル・マネジメントのポジションが崩壊しバイアコムCBSやディスカバリー、百度(バイドゥ)の株式がブロック取引で大量に売却された際、これら銘柄を買い入れていた。
四半期ごとの株式保有報告書「フォーム13F」によると、ソロス・ファンドは1-3月期にアマゾン・ドット・コムや住宅建設DRホートンの株式保有を増やした。同四半期に最も売却したのはビッグデータ解析を手掛ける米パランティア・テクノロジーズで、1850万株を約4億3500万ドル相当で手放した。
1年先のインフレ期待は4.6%、10年ぶり高水準-前月は3.4%
●市況
日経先物(大証)28300、ダウ先34350、債先151.37、米1.635、独▲0.1335、仏0.257、西0.579、伊1.072、原油65.36、ドル円109.35、墨ペソ19.86、トルコリラ8.4343、墨CDS94
※5/14 NY引け値

備忘録(5/13)
●雑感
SBGは調整かな。ボラタイルな事業。発射台が高い以上、当面厳しいんだろうな。
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
クラウド企業がデータセンター向けに再生可能エネルギー電力の調達を増やしている。米アマゾン・ドット・コムは日本で専用の再生エネ発電所の設置を検討している。富士通もクラウド用電力を2023年3月末までにすべて再生エネに切り替える。大型設備は原子力発電所0.1基分の電力を使う。電力消費でのテック企業の存在感が高まるなか、社会的な責任も増している。
孫正義会長兼社長は13日、日本経済新聞の単独取材に応じ、手元資金など資金力をファンドに集中すると表明した。224社と昨年から倍増した投資先は「400社、500社と増やしていく」と話し、投資するスタートアップ企業を倍々で増やす考えを示した。一方で英金融会社グリーンシル・キャピタルなどへの投資失敗は「反省している」と述べ「一歩間違えば奈落の底」と危機感を示した。
孫正義社長は12日の決算会見で、追加の自社株買いの可能性について適切な時に判断し、発表することはあるかもしれないとしたが、「今現在何かを決定しているということはない」と述べた。
ユナイテッド・ファースト・パートナーズのアジア調査責任者を務めるジャスティン・タン氏は、「ビジョン・ファンドのピークを見てしまったのかもしれず、市場はその先を見ている」と指摘。きょうの株価下落は「自社株買いが終了したことも一部にはあるが、米国のハイテク市場での衝撃が特に顕著」との見方を示した。
原告側は日本製鉄と韓国鉄鋼大手ポスコとの合弁会社「PNR」の株式を差し押さえた。関係者によると、地裁は鑑定人に株式の評価を依頼し、1月15日に鑑定書が提出された。その後、日本製鉄側からも鑑定結果に対する意見書が2月と3月に提出され、それを踏まえて地裁が検討を進めているという。
売却命令が出たとしても、日本製鉄側は即時抗告などの異議申し立てが可能。一審で退けられても、三審まで争うことができる。抗告棄却が確定するまでは売却命令の効力が発生しないため、実際に資産が売却されるまでにはさらに時間がかかる見通しだ。
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は13日、6月の国内線の減便計画を発表した。同月の運航率はANAが55%、JALが68%。5月からは5~6ポイント上昇するが、新型コロナウイルス禍の長期化を受けて大幅な減便を続ける。需要の回復が遅れれば追加減便などを実施する可能性もある。
高級車大手ボルボ・カー(スウェーデン)は12日、2021年中に新規株式公開(IPO)することを検討していると発表した。上場後も親会社である中国民営自動車大手の浙江吉利控股集団は主要株主として残る。上場で得た資金で電気自動車(EV)への移行などを加速する。
ソフトバンクグループ(SBG)の投資事業「ビジョン・ファンド」が自前主義への転換を急いでいる。2017年設定の1号ファンドでは出資者のサウジアラビア政府系ファンドなどに毎年7%の固定利回りを約束するなど、外部の資金流出が課題になっていた。投資環境の好転で自己資金の運用にシフトするが、相場が大きく調整した際の損失リスクはかえって高まることになる。
2号ファンドの運用規模は5月11日時点で300億ドルに増えた。その全額がSBGから出ている。孫正義会長兼社長は12日の決算会見で「今はこれでいいんじゃないか。(外部投資家の出資を)無理してお願いはしない」と語った。
浮き沈みの激しい投資事業の比重が高まるなかで、財務規律をどう保つかがSBGの経営上の課題になっている。同社が財務面で重視しているのは、純有利子負債をSBGが保有する中国のアリババ集団やビジョン・ファンドの投資先企業の株式価値の総額で割って算出する「負債カバー率(LTV)」だ。
3月末時点の単体の純有利子負債は3兆7000億円なのに対して保有株の価値は29兆8000億円。LTVは約12%にとどまる。平時で25%未満、異常時でも35%未満に抑えるとしており、現状は財務面で「非常に健全な範囲にある」(孫氏)。
ただし、保有株のうちアリババ集団が4割強を占めるなど偏りはなお残る。仮に保有するテクノロジー株が短期間で半値になるITバブル崩壊のような危機に見舞われた場合、LTVの比率は単純計算で約25%まで上がる。SBGはビジョン・ファンドでの急ピッチの投資を続ける構えだが、市場環境次第では再び守りを強いられる可能性もある。
●その他産業
一部機体に電気系統に不具合が見つかり出荷を止めていた小型機「737MAX」について「米連邦航空局(FAA)からの改修の最終承認を得たことを航空会社に通達し、出荷再開の準備を整えた」と改修手続きが完了したと明らかにした。4月に問題が発覚し、航空会社に運航停止を勧告していた。
自動車向け部材の販売好調に加え、石油化学関連の市況が高い水準で推移することが追い風となるなか、22/3期は大幅な改善が見込まれる。旭化成や三井化学など、今期予想を開示した増益や黒字転換見通しの大手4社の合計純利益額は、前期比2.4倍の4310億円を見込む。
●決算関連
中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)は13日、2021年1~3月期の純利益は前年同期実績の約2.5倍の1億5800万ドル(約170億円)だったと発表した。半導体の旺盛な需要を受けて、米国の制裁の影響は顕在化していない。
2021年1~3月期の売上高は64%増の1873億元、最終損益が54億元(約910億円)の赤字(前年同期は31億元の黒字)に転落したと発表した。四半期ベースでの赤字は14年の上場以来初めて。独占禁止法違反で当局から科された制裁金182億2800万元を計上したことが重荷となった。罰金の影響を除けば18%増益だったとしている。
21年3月期通期では純利益が1503億元で過去最高。売上高は41%増の7172億元だった。
2021年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は、18%増収なるも最終損益が251億円の赤字(前年同期は353億円の赤字)となった。新規参入した携帯通信事業で顧客獲得のための販促費や基地局設置などの投資がかさんでいる。最終赤字は3四半期連続で、今後も高水準の投資が続く中で資金の確保が課題となってくる。
2022年3月期からの3カ年の中期経営計画で、子会社のプリンスホテルについてホテルの運営に専念する方針を示した。同社が所有する土地や建物などの資産は外部への売却やグループ内の企業へ移管する。「ザ・プリンス パークタワー東京」(東京・港)や都心のホテルを中心に建物を売却したうえで運営を受託する方法を検討しており、21年内に物件の選定を行う。21年3月期に過去最大の連結最終赤字となっており、業績改善につなげたい考えだ。
同日発表した21年3月期連結決算は、39%減収/最終損益が723億円の赤字(前の期は46億円の黒字)で、過去最大の赤字幅となった。新型コロナの影響で鉄道収入が落ち込んだほかホテルも稼働率が低迷した。ホテルなどで202億円の減損損失を計上したことも響いた。
22年3月期の売上高は前期比35%増の4560億円、営業利益は90億円を見込む。最終損益は50億円の赤字と2期連続での赤字想定で、高橋取締役は「コロナの影響は一進一退で完璧に脱却できるとは考えていない。赤字計画だがコスト削減もやり黒字にしていきたい」と話した。
2021年3月期の連結決算は、23%減収/最終損益が32億円の赤字(前期は6億2900万円の黒字)だった。新型コロナウイルスの影響で乗客が大幅に減少、運輸業が32%減収で大幅赤字になった。
22年3月期は運輸業が新型コロナ以前の8割まで回復するとみているが、最終損益は6億9000万円の赤字を見込んでおり、2期連続の最終赤字になる見通しだ。
●マクロ・その他
2~8日の週間の新規申請件数は47万3000件で、前週の改定値から3万4000件減少、市場予測(50万件程度)を下回った。2週連続の減少で、2020年3月中旬に新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動の制限が始まって以来の低水準を更新した。ワクチン普及と経済再開による労働市場の回復を映して、解雇は減ってきている。ただし、申請件数は、依然としてコロナ危機前の約20万件の2倍以上となっている。
失業保険の総受給者数は、4月25~5月1日の週は365万5000人で、その前の週の改定値から4万5000人減った。
4月の卸売物価指数はy/y+6.2%、m/m+0.6%。y/yは10年11月以来10年5カ月ぶりの大きな伸びとなった。20年4月が新型コロナウイルスの感染拡大で1.5%低下していたために、伸び率が大きくなった。エネルギーと食品を除いたコア指数はy/y+4.1%、m/m+0.7%だった。
サービス価格が0.6%伸び、全体をけん引した。資産運用管理や、航空旅客サービス、食品小売りなどが値上がりした。
製品価格も0.6%上昇した。鉄鋼製品が18.4%上昇し全体を押し上げたほか、プラスチック樹脂なども値上がりした。牛肉などの値上がりで食品は2.1%上昇した。一方、エネルギーはガソリンの値下がりで2.4%低下し、20年9月以来7カ月ぶりのマイナスとなった。
日銀内外では、FRBが株式や低格付け債などリスク資産市場の過熱ぶりに対する警戒モードを引き上げたと話題になっている。
FRBの報告書では、投資家のリスク選好の強まりが経済の実態や過去に照らして高い資産価格を生み出し、その反動で価格の急落を招きうると警鐘を鳴らした。米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引で大手金融機関に巨額の損失が生じた経緯にも言及。「海外当局の報告書でここまで個別の話に触れるのは異例」(日銀幹部)という。
日銀内には、市場の現状を「フロッシー(泡立っている)」と表現する海外当局者が増えていると気にする向きもある。かつての苦い記憶を呼び覚ますからだ。
もともとフロスという言葉はFRBのグリーンスパン元議長が2000年代半ばに活況を呈した米住宅市場を言い表す際に使ったことで知られる。やがて巨大な住宅バブルがはじけ、リーマン・ショックに至って世界の金融市場を凍り付かせた。バブルではなくフロスという言葉の広がりが、かえって「同じ轍(てつ)を踏んでいないか」という不安を生む。
悩ましいのは、市場の過熱を警戒する局面に入っても金融政策を引き締める選択肢は取りづらい点にある。
FRBは足元で過熱感の出てきた物価上昇は一時的とみて、雇用の最大化のため金融緩和を続ける姿勢を崩していない。日本はなおデフレ懸念がくすぶり、日銀はなおさら緩和をやめられない状況にある。
高い物価の伸びが経済再開と供給ボトルネックによるものだとすれば、物価圧力は数カ月で解消し得るとエコノミストはみている。
ドイツ銀行のエコノミスト、ブレット・ライアン氏は「金融当局は少なくとも秋になるまで、何が新たなノーマルなのかを把握することはできないだろう」と述べた。学校の新学期を巡る状況を評価する必要があるためだ。「全てを考えると、インフレ圧力が一時的なものかどうかを当局がつかむまでに少なくとも6カ月を要し、確固たる結論を出すには12カ月かかる可能性が高いと思う」と語った。
410億ドル(約4兆5000億円)規模の「iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF」(ティッカー:LQD)は空売り比率が発行済み口数の21.5%に達した。IHSマークイットのデータによると、これは過去最高。
投資家は既にLQDから資金を引き揚げつつあり、今年はこれまでに113億ドルが流出。2020年には150億ドル近くが流入していた。
LQDや同種のファンドはデュレーション(平均回収期間)が比較的長いため、金利上昇に対して脆弱(ぜいじゃく)だ。米国債イールドカーブのスティープ化が見込まれる中では厳しいとアカデミー・セキュリティーズは指摘する。
マクロ戦略責任者のピーター・チア氏は、「金利リスクへの懸念は債券、特にLQDにとって重しになるだろう。私に言わせれば、利回りリスクはスプレッドリスクよりも重大だ」と語った。
台湾の株式相場は13日も下落。4月27日の直近高値からの下落率は11%に達し、テクニカル上の調整局面に入った。急ピッチの信用取引手じまいの引き金となった株安が続いた。
個別銘柄からS&P500種やVIXを含む指数までさまざまな投資対象に関連するオプションの売買高を追跡するCBOEプット・コール・コンポジット・レシオは今週0.99と、昨年11月以来の高水準に達した。S&P500種連動型ETFで最大の「SPDR・S&P500ETFトラスト」やハイテク株に集中投資するETF「インベスコQQQトラスト・シリーズ1」の空売りも急増している
米労働統計局によると、セダンやピックアップトラック、スポーツタイプ多目的車(SUV)など中古車の価格は4月に10%上昇。1953年までさかのぼるデータで最大の伸びとなり、4月の消費者物価指数(CPI)の前月比上昇率(0.8%)への寄与の3分の1余りを占めた。CPI上昇率はエコノミスト予想の4倍の水準だった。
●市況
日経先物(大証)27620、ダウ先33959、債先151.28、米1.663、独▲0.1225、仏0.266、西0.581、伊1.011、原油63.59、ドル円109.55、墨ペソ20.01、トルコリラ8.5058、墨CDS93
※5/14 1時20分頃

備忘録(5/12)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
連結の投資成果を示す投資損益は7兆5290億円の黒字(前の期は1兆4101億円の赤字)と大きく改善した。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)に係る投資利益は6兆2920億円だった。
ビジョンファンドの個別の投資案件では3月に上場した韓国のネット通販大手クーパンで未実現評価益を2兆5978億円計上。米料理宅配のドアダッシュでも6611億円の利益計上につながった。
純利益が4兆9879億円だった。過去最大の赤字だった20年3月期から一転し、国内企業の純利益では過去最大を記録した。
通信子会社ソフトバンクの事業別利益は8479億円だった。世界の有望スタートアップに投資する「ビジョン・ファンド」事業の利益は4兆268億円で、全体の利益の7割を占める。SBGの利益のほとんどはファンド投資先の含み益で、株高の恩恵を受けた。収益の振れ幅が大きいことが浮き彫りになった。
前期決算では複数の投資先企業の含み益が拡大した。代表例は3月に上場した韓国の電子商取引(EC)大手クーパンだ。SBGによると、クーパンは投資した当初の価値の10倍になった。米料理宅配のドアダッシュや米ライドシェアのウーバーテクノロジーズなどの利益貢献も大きかった。
最近は新規投資を加速し「1日1社ずつくらい投資を決めている」という。SBGは12年ある運用期間の最初の2年ほどで投資枠を使い切った。米ブラックストーンやKKRといった大手投資ファンドと比べると、投資のスピードは格段に速い。
SBGは急成長も倒産も起こり得るベンチャー企業に対し、1社あたり推定で数百億~1000億円程度を投じている。投資先の査定が甘くなれば「第2のウィーワーク」のような事例が出てくる懸念は拭えない。
投資の回収にも課題がある。前期は株売却に伴う実現益が4196億円だった半面、含み益は5兆8970億円に膨らんだ。17年に運用を始めたファンドの投資先92社のうち、資金回収したのは3月末時点で11社だ。
米国で急拡大する「特別買収目的会社(SPAC)」を用いた上場については、孫氏は「二百数十社の投資先のうち、SPACはやるとしても年間数社だろう」と指摘した。
前期の利益を押し上げたクーパンのここ最近の株価はさえず、3月末比では3割下落した。インフレ懸念からハイテク株が世界的に軟調に転じている。株高の追い風がやめば、再び業績が悪化する恐れがある。
2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は売上高が前期比24%減の7兆6580億円、営業損益は2541億円の黒字(同1130億円の赤字)、最終損益が1139億円の黒字(前の期は1879億円の赤字)だった。銅などの資源価格の上昇や国内の石油製品の利益率改善が寄与した。石炭の権益から撤退することも合わせて発表した。
2021年12月期の連結最終損益が355億円の黒字(前期は116億円の赤字)になりそうだと発表した。2月に115億円の黒字予想を発表したが、ヘアケア商品「TSUBAKI」を含む日用品事業を7月以降、欧州系大手投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに売却する。これに伴う特別利益が870億円を織り込み、上方修正した。
売上高にあたる売上収益は3%減の2697億円。主力の日本は1342億円と9%減少した。欧州も5%減少した。エナジードリンクや茶飲料が好調なオセアニアやアジアは増収増益を確保したが落ち込みを補えなかった。これらの結果、純利益が前年同期比16%減の106億円。
21年12月期の連結売上収益は7%増の1兆2600億円、純利益は16%増の605億円と従来見通しを据え置いた。
2022年3月期の連結純利益が前期比で7.1倍の165億円になりそうだと発表した。クレジットカードの利用増で手数料収入の拡大を見込む。新型コロナウイルスの感染拡大による店舗の休業や金融事業での特別損失を計上した前期に比べて回復するが、20年3月期の水準には届かない見通し。
小売事業はコロナ前の8割程度の状況が続く想定。実店舗は都心店を中心に低迷するが、自社のネット通販の利用を促す。コロナ前水準の回復は24年3月期になりそうとの見方を示した。
2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比55%減の670億円になりそうだと発表した。開発費など成長に向けた費用を積み増す。同日発表した中期経営計画では次世代通信網の構築や海外事業の拡大などに積極投資する。利益率の高い成長事業に注力するが、他社と比べ収益力の改善に課題も残る。
2021年3月期の連結最終損益が317億円の赤字(前の期は121億円の黒字)になったようだと発表した。従来予想は500億円の赤字で、赤字幅が縮小した。新型コロナウイルス禍で自動車の出荷台数は減少したものの、外国為替市場で想定よりも円安が進行し採算が改善したほか、コストの削減が寄与した。
2021年3月期の連結決算は、売上高が前期比32%減の2939億円、最終損益が189億円の赤字(前の期は314億円の黒字)になった。新型コロナウイルス禍による外出自粛で鉄道・バスの利用客が大幅に減少したことが響いた。赤字は16年に上場して以来初となる。
20年9月時点で公表した売上高予想や利益予想は上回った。鉄道で一部の車両導入や工事を先送りし、単体で180億円、グループ各社で40~50億円、当初計画よりコストを削減。雇用調整助成金や時短協力金といった国の支援制度も下支えとなった。
22年3月期の連結売上高は前期比17%増の3442億円、純利益は129億円の黒字を見込む。鉄道利用が「22年1~3月期でコロナ前の7~8割まで回復する」(森亨弘常務)との前提で運輸サービスは営業赤字を253億円縮減する。コスト削減にも引き続き取り組む。仕事のやり方などを抜本的に見直すプロジェクトを立ち上げ、単体で140億円程度の「永続的なコスト削減」の見通しを立てた。グループ各社でも数十億円単位のコスト減を見込んでいる。
一方でポストコロナを見据え、前期は手控えていた投資を再開する。21年3月期の設備投資額は1240億円を計画。このうち成長投資に799億円を充てる。西九州新幹線の車両投資や長崎駅や鹿児島中央駅での再開発を予定し、投資額は過去最大となる。
21年3月期決算は、営業収益は前の期比ほぼ横ばいの11兆9439億円、純利益は7%増の9161億円。コロナ下でテレワーク需要の拡大により光通信サービスの契約が伸びた。海外事業再編による重複部門の人員整理やマーケティングなどのコスト削減も利益を押し上げた。
2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比18%増の1兆850億円になる見通しだと発表した。2期連続で過去最高を更新し、初の1兆円超えを見込む。完全子会社化したNTTドコモの非通信事業が好調を維持する。決済事業では加盟店の開拓が順調に進み、決済サービスの取扱高が拡大し手数料収入が増える。ドコモの完全子会社化による少数株主利益の取り込みとして純利益ベースで約1600億円押し上げる。
ミャンマーの国軍系企業ミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)との合弁企業はクーデターなど政情不安が逆風となり47%の減収となった。国内は新型コロナウイルス禍で自動販売機経由の売り上げが落ち込み、飲料事業が振るわなかった。
●マクロ・その他
米国の物価上昇に弾みがついている。前年の低迷の反動だけでなく、経済再開で需要が増えた局面に人手や原材料の供給制約が重なり、上昇圧力が一気に高まった。米労働省が12日発表した4月の消費者物価指数は前年同月比で12年7カ月ぶりの高い伸びである4.2%となった。
米共和党は12日、トランプ前大統領と対立している下院ナンバー3のリズ・チェイニー党会議議長の役職を解任した。チェイニー氏はトランプ氏が訴える大統領選での不正を「大ウソ」と否定し、トランプ氏が排除を求めていた。解任は下院議員の非公開会合で発声投票で決めた。共和党の下院指導部は2022年秋の中間選挙に向けて党支持層に根強い人気を誇るトランプ氏の協力が不可欠と判断、チェイニー氏の追放に踏み切った。
チェイニー氏はブッシュ政権(第43代)で副大統領を務めたディック・チェイニー氏の長女で、現在は下院議員3期目。当選回数は少ないながらもその家柄や知名度から将来の有望株とみられていた。1月のトランプ氏への弾劾決議の採決で民主党とともに賛成に回り、反トランプ派の急先鋒(せんぽう)となっている。
米国ではマージンデット(証拠金債務)が3月末にまでに8220億米ドル(約89兆7000億円)を超え前年同期比72%増えていた。台湾も規模は小さいながら同様で、証拠金債務は2週間前に約2740億台湾ドル(約1兆1000億円)と年初から46%増え2011年以来の水準となっていた。
加権指数が3.8%安で引けた11日には証拠金債務が126億台湾ドル減少し、投資家がマージンコールに直面したことが示唆される。12日の記録的株安では一段と規模が縮小したとみられる。
元富証券投顧のポール・チェン社長は「証拠金取引が過去数カ月、加権指数を押し上げてきた。投資家がマージンコールに直面すれば下げが加速する可能性がある」と述べた。
個人投資家が取引の約6割を占める台湾市場では、一段安への恐怖が鮮明だった。12日には加権指数に基づくオプション175万枚以上が取引され、16年以降で3番目の規模となった。7757%値上がりしたプットオプションもあった。
4月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.8%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.2%上昇だった。前月は0.6%上昇。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.9%上昇。市場予想は0.3%上昇だった。前月は0.3%上昇。
IEAは12日発表した月報で、先進国の余剰原油在庫は需要が急速に冷え込んだ昨年と比べ、今やわずかでしかなくなったと指摘。石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」の減産が寄与したという。ただ、インドでコロナ感染が拡大しているため世界の石油消費は一時的に後退するだろうとし、年後半に再び回復すると予測した。
コロナで需要が崩壊した昨年に積み上がった世界の原油在庫のだぶつきは、より平時の水準に戻った」とIEAは説明。「だが、インドのコロナ危機は石油需要の見通しに依然不透明性があることを思い起こさせる。パンデミックが収束するまで、市場のボラティリティーは続く公算が大きい」と論じた。
米労働省が12日発表した4月の消費者物価指数(CPI、1982~84年=100)は前年同月比の上昇率が4.2%と2008年9月以来、12年7カ月ぶりの高い伸びとなった。前月比でみても、変動の激しいエネルギーと食品を除く上昇率は0.9%と3月を上回り、1982年4月以来39年ぶりの高水準に達した。
インフレ警戒からダウ工業株30種平均の前日からの下げ幅は一時360㌦(1%強)を超えた。ハイテク株主体のナスダック総合指数も一時2%安に。円相場も一時109円台半ばまで1円近く円安が進んだ。
●市況
日経先物(大証)28000、ダウ先33768、債先151.27、米1.681、独▲0.1205、仏0.265、西0.565、伊0.981、原油66.28、ドル円109.59、墨ペソ20.11、トルコリラ8.4309、墨CDS98
※5/13  2時20分頃

備忘録(5/11)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
2021年3月期の純利益が4兆9000億円強になったことが分かった。世界の有望ベンチャーに投資する「ビジョン・ファンド」事業が株高の恩恵を受け、投資先企業の評価が上がった。
純利益は4兆9000億円強となり、20年度決算では世界3位になった公算が大きい。もっとも、時価総額などで見れば世界大手企業の背中は遠く、今後は安定して利益を出す体制の構築が求められる。同日の決算会見で、孫正義会長兼社長がどう将来の戦略を語るのかが注目される。
資本関係は解消しても業務提携は続ける。近鉄は今夏にも大阪―名古屋間を走る特急列車を使い貨物を輸送するサービスを予定しており、集荷や配送は福山通運のスタッフが担う。
自動車向けなどの需要の回復ペースが鉄鋼メーカーの供給能力を上回っており、需給が引き締まっている。
国内では薄鋼板の品不足が続いており、在庫を生産量で割った在庫率は3月末時点で1.94カ月と、過去5年間で最低水準となった。
5月の運航率は65.6%となり、4月の98%から低下する。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の延長などで需要が落ち込んでいることに対応する。
ドイツのグリーンボンド発行利回りは同年限の名目債を2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回った。環境に配慮した債券の方が借り入れコストが低くなる「グリーニアム(グリーン債のプレミアム)」と呼ばれる現象だ。30年物の起債はグリーン債のイールドカーブ完成に寄与する。ドイツは昨年11月には5年債、同9月には10年債を起債している。
米住宅ローン・不動産の新興企業ベター・ホールドコは、ブランクチェック(白地小切手)会社と呼ばれる特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じた上場で合意した。この上場はソフトバンクグループも支援する。この取引ではベター・ホールドコのインプライド株式価値を約69億ドル(約7500億円)と評価している。
ベター・ホールドコは、オンライン上のプラットフォームを通じて住宅ローンや不動産、住宅所有者向け保険商品を手数料なしで提供している。同社はSPACのオーロラ・アクイジションとの合併を通じて上場する。同SPACは、3月に新規株式公開(IPO)を完了した。
ソフトバンクグループ傘下のSBマネジメントは、取引が完了した時点でPIPE(上場企業の私募増資引き受け)を通じ15億ドルを出資する。
●その他産業
以前の計画では既存工場を拡張し、米国を含むより多くの市場への輸出拠点とする考えだったが、米中対立が長引いたことで中国生産比率を制限する方針に転じたという。
バイデン米政権の誕生後もトランプ前政権時代に課された中国製自動車に対する制裁関税は残っており、中国から米国へのEVの輸出は難しい局面が続いている。ロイターは3人の関係者の話として、テスラが3月に行われた用地取得の入札への参加を見送ったとしている。
テスラの上海工場は市場開放を印象づけたい中国政府が外資による単独出資を初めて認めた自動車工場だ。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は建設当初は中国政府との良好な関係をアピールしていたが、21年に入ってからは品質問題への対応などをめぐって中国規制当局からの批判にさらされるようになっている。バイデン政権との対立を強める中国政府が米側に圧力をかける手段として、知名度の高いテスラを標的にしているとの見方もある。
シティのアナリストはノート型パソコンの出荷台数が4月に前月比13%減と、「予想を大幅に下回った」と指摘した。シティはパソコンの好調が終わりつつあるとは見ていないものの、「これは危険信号だ」とし、インテルやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の両社にとって先行き厳しい流れだと述べた。
●決算関連
21/3期は10%減収/98%最終減益。新型コロナウイルス禍で自動車や工作機械向けのベアリング(軸受け)の販売が落ち込んだが、コスト削減や期末にかけての自動車生産の回復により最終黒字を確保した。
21/3期は25%減収/1003億円の営業黒字/349億円の最終黒字(前期は229億円の赤字)。原油価格が回復したことで、在庫評価損が膨らんだ20年3月期から改善した。
21/3期は3%減収/前期比8.5倍の3760億円の最終黒字。前期は21年3月末に武田コンシューマーヘルスケア(現アリナミン製薬)を売却したことに伴う譲渡益1395億円を計上した。
同社は19年のシャイアー買収後に100億ドルの事業売却を目標に掲げている。21年3月末の有利子負債残高は前の期末比13%減の4兆2202億円だった。
22/3期は連結純利益が前期比34%減の2500億円になる見通しだと発表した。主力の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」は好調に推移するほか、神経疾患治療薬「ビバンセ」も伸びる。4月に帝人への譲渡が完了した糖尿病治療剤事業の売却収入も計上する。一方で今期の研究開発費は前期比15%増の5220億円と、過去最高を見込む。前期に大衆薬事業の売却益を計上した反動も出る。
21/3期は6%増収/26%最終増益。
22/3期は13%増収/10%最終増益を見込む。3期連続で最高益を更新する見込み。主力のがん免疫薬「オプジーボ」の使用を肺がんや食道がんなどで増やし、ロイヤルティー収入も増えるほか、糖尿病と慢性心不全の治療薬「フォシーガ」も販売を伸ばす。
また、慢性すい炎などの治療薬「フオイパン」について、新型コロナウイルスの治療に用いるため、最終段階の臨床試験(治験)を実施している。同日のオンライン記者会見で相良暁社長は「上期中には結論を出したい」と述べ、治験の結果が良好なら9月末までに厚生労働省に承認申請する方針を明らかにした。
21/3期は7%増収/6%営業増益/4%最終増益となった。電子商取引(EC)やテレワークやクラウド関連サービスなど法人事業が伸び最高益だった。通信料金の収入比率は低下傾向にあり事業の多角化が進む。
通信料金が売上高に占める割合は年々下がっている。18年3月期は38%あったが、21年3月期は20%台後半だった。グループの「ワイモバイル」と「LINEモバイル」を含むスマートフォンの通信プランの累計契約数は7%増の2592万件と堅調に推移した。
22年3月期見通しついては売上高が前期比6%増の5兆5000億円、営業利益が微増の9750億円、純利益が2%増の5000億円とした。営業利益は3月に開始したオンライン手続き専用プラン「LINEMO(ラインモ)」新設など携帯料金の値下げに伴う約700億円の減益を織り込んだ。21年3月期は料金値下げによるマイナス影響はなかったという。
21/3期は2%増収/2%最終増益。
22/3期は2%増収/38%最終増益を見込む。前期に実施した構造改革の効果で海外事業の収益性が向上する。
2022年3月期の連結純利益が前期比13%増の1770億円になる見通しだと発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で業務用は引き続き苦戦するが、住宅用エアコンが全地域で伸びる。
新型コロナウイルス禍の長期化を見すえ、融資先の経営悪化に備えた与信費用を予防的に積み増したことが響いた。投資信託やファンドラップの販売は好調だったが補えなかった。
日産自動車は11日、2022年3月期の連結最終損益が600億円の赤字(前期は4486億円の赤字)になると発表した。赤字は3期連続になる。コスト削減を進め、コロナ禍で落ち込んだ販売も回復するが補えない。北米などで新型車の販売が想定より伸びず、トヨタ自動車などの回復力とも差が開く。内田誠氏がトップに就き改革を始めて2年目だが、黒字化はなお遠い。
21/3期は7%増収/61%営業増益/純利益が前の期比3.9倍の532億円。白物家電は、消費者が自宅にいる時間が増え冷蔵庫や洗濯機、「ヘルシオホットクック」などの調理家電が好調だった。液晶ディスプレーは車載向けが落ち込んだもののパソコンやタブレット端末向けが好調だった。
22年3月期の売上高は5%増の2兆5500億円、純利益は43%増の760億円を見込む。ディスプレーで好調な市況が続きそうなほか、複合機なども回復する。ヘルスケアや業務用ディスプレーなど新分野も伸ばす。
21年3月期の連結決算は売上高が前の期比36%減の1兆4554億円、最終損益が3123億円の赤字(前の期は257億円の赤字)となった。工場閉鎖に伴う減損損失で1967億円の特別損失を計上し、赤字幅はリコール隠し問題があった05年3月期に次ぐ大きさとなった。
2022年3月期の連結最終損益が100億円の黒字(前期は3123億円の赤字)になりそうだと発表した。黒字転換は3期ぶり。構造改革に伴う特別損失がなくなり、東南アジアを中心に新型コロナウイルス禍で大幅に落ち込んだ販売の回復を見込む。売上高は前期比42%増の2兆600億円、世界販売台数は19%増の95万7千台を計画。
半導体不足については、上期に卸売台数で8万台の販売に影響すると見込む。半導体が確保できる仕様の生産を増やすほか、下期に4万台分の生産を挽回することで、通期では販売への影響を4万台に抑える。
21年3月期の連結決算は営業収益が前期比23%減の4816億円、287億円の最終赤字だった。新型コロナを避けるため外出自粛やテレワークが広まり、鉄道の利用者数はのべ2億9623万人と前期より25%減り、旅客収入は34%減の595億円だった。
2022年3月期の連結最終損益が110億円の黒字(前期は287億円の赤字)になる見通しと発表した。前期は新型コロナウイルスが流行して16期ぶりの最終赤字だったが、今期はワクチンが普及して鉄道やタクシーなどの「交通事業」の売り上げは20年3月期の8割の水準に回復すると見込んでいる。
交通事業の営業収益は1328億円と20年3月期比19%減にとどまる計画だ。ホテルや観光施設の集客は20年3月期の7~8割の水準に戻ると想定している。
21年3月期の連結決算は、売上収益が前の期比15%減の2兆8302億円、純利益が50%減の765億円、年間配当は前の期比44円減の56円だった。
2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比83%増の1400億円になりそうだと発表した。米国を中心に販売が回復し、新型コロナウイルスのまん延が本格化する前の20年3月期(1525億円)に近付く。世界的な半導体の供給不足による販売影響も通期での増産で取り戻す計画だ。
●マクロ・その他
2020年度の家計調査では、特別定額給付金の支給により可処分所得は前年度に比べ実質4.0%増えた一方、消費支出は4.7%減った。所得に対する貯蓄の増加の割合を示す平均貯蓄率は35.2%と前年度比3.2ポイント上昇した。新型コロナウイルスの影響で外出自粛が余儀なくされ、お金が貯蓄に向かっている。
2020年の国勢調査では、65歳以上の人口は全体の13.5%だった。21年にも14%を超え、国際基準でみた「高齢社会」に突入する。出生数は前年比2割減と過去最大の落ち込みとなった。働き手が減少し社会保障負担は増大する。人口増加を背景にした経済成長は限界に近づきつつある。
フライデンバーグ財務相が11日示した来年度(2021年7月-22年6月)予算案は、財政赤字を1066億豪ドル(約9兆1000億円)と想定。エコノミスト予想の800億豪ドルを上回った。インフラや高齢者ケアへの支出増、減税で赤字が膨らむ。豪州は22年またはそれ以前に総選挙を予定する。
米バイオ新興企業のギンコ・バイオワークスは、特別買収目的会社(SPAC)と175億ドル(約1兆9000億円)規模の合併を通じて、株式を上場することで合意した。
ドイツ経済が新型コロナウイルス禍の打撃から回復するのに伴い、同国ではインフレ率が3%を突破する可能性があると述べた。その上で同氏は、高インフレが持続することはないとの見方を示し、ECBはそうしたボラティリティーの先を見ていると話した。
「見通しは明るいがリスクは残っており、われわれの目標からは程遠い」「ガイダンスに盛り込まれた最大限の雇用とインフレの目標達成に今後も辛抱強く集中することが重要になる」と述べた。
また、「経済の道筋を巡っては通常より大きな不透明感が存在する」とし、予想ではなく結果に基づいた政策を進めることで連邦公開市場委員会(FOMC)は前向きな成果を上げるとの見解を示した。一方で、これまで増えてきた家計の貯蓄がどの程度速いペースで消費に回されるかについては疑問が残るとしたほか、半導体といった原材料のボトルネックにより自動車など一部業界で採用と生産が限定的になっていると指摘した。
雇用情勢については「4月雇用統計では調査期間の終わり時点において、18歳から64歳でワクチン接種を完全に済ませていたのは4分の1未満だったことを踏まえると、健康と安全への懸念は人と接する仕事や公共交通機関を利用しなければならない人々にとって依然重大で、育児は多くの親にとってなお厳しいものになっているといえる」と語った。
インフレを巡っては、労働市場とモノ・サービスの市場の両方における摩擦は時間とともに解消されるだろうと述べたほか、「インフレ高進が持続するためには、経済活動の再開後に賃金と物価の上昇が一定期間続くだけでなく、より速いペースで根強く上昇し続けるという幅広い期待も必要だ」と指摘。「パンデミックに関連した限定された期間の物価上昇がインフレのダイナミクスを恒久的に変化させる可能性は低い」と語った。
さらにインフレを巡るリスクには2つの面があるとし、過去数十年に定着した低インフレのダイナミクスが再び台頭する可能性もあると指摘。「経済活動の再開後は、当局のフォワードガイダンスにある目標の達成のため力強い基調的なモメンタムが必要になる」と述べた。
ライン5は、カナダのオンタリオ州とケベック州から米国のミシガン州、ウィスコンシン州などを結ぶ全長1038キロメートルのパイプラインだ。1日約54万バレルの原油やその他の石油製品をカナダ西部から米国を経由してオンタリオ州の製油所に運んでおり、オンタリオ州とケベック州における原油や天然ガス供給量の約半分の輸送を担う。
同パイプラインでは流出事故の例はないが、18年に船のいかりとの接触で損傷したほか、10年に同社の別のパイプラインがミシガン州の河川に320万リットルの石油を流出させる事故を起こしたことがある。
ミシガン州のホイットマー知事は2020年11月、石油流出のリスクを理由にエンブリッジの地役権を取り消し、稼働停止を求める閉鎖命令を出した。一方、エンブリッジは安全性を高める対策を取っている上、同州には管轄権がないとして連邦裁に提訴した。裁判所の命令がない限りパイプラインを停止しない方針で、両者の間で調停が続けられている。
カナダのオリーガン天然資源相は声明で、閉鎖はカナダ経済に深刻な打撃を与えると強調した。
ライン5を閉鎖した場合、燃料費が高騰し、カナダの製油所で数千人の雇用が失われる可能性があるという。米国内にも影響が及ぶ。
●市況
日経先物(大証)28580、ダウ先34170、債先151.41、米1.625、独▲0.1575、仏0.227、西0.520、伊0.943、原油65.49、ドル円108.67、墨ペソ19.96、トルコリラ8.2935、墨CDS98
※5/12 8時45分頃

備忘録(5/10)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
●その他産業
米アマゾン・ドット・コムは債務の借り換えと自社株買いの資金を調達するため、社債を発行する。起債はほぼ1年ぶりとなる。
●決算関連
新型コロナウイルスのワクチンを米製薬大手ファイザーと共同開発する独ビオンテックの21年1~3月期の決算は、最終損益が11億2800万ユーロの黒字だった。前年同期は5300万ユーロの赤字だった。売上高は20億4800万ユーロと前年同期の74倍に急増した。
コロナワクチンの2021年12月期通期の売上高見通しを124億ユーロ(1兆6400億円)と発表した。3月時点の予想(98億ユーロ)から引き上げた。
2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比2・2倍の900億円になる見通しと発表した。ジェット旅客機「三菱スペースジェット(MSJ)」の開発を事実上凍結したことに伴う費用減が利益を押し上げるほか、自動車部品などの回復も追い風となる。一方で、世界で脱炭素の動きが広がる中、主力のエナジー事業は構造改革が急務となっている。
今期の経常利益見通しは郵船が前期比35%減の1400億円、川崎汽船が50%減の450億円、商船三井が25%減の1000億円と、そろって利益が落ち込む。巣ごもり消費の拡大によるコンテナ運賃の高騰が前期業績の追い風となったが、今期は各社とも好況が一巡すると見込む。
コンテナ船の追い風は弱まるが、前期は低調だったばら積み船や自動車運搬船の収益は改善する見込みだ。ばら積み船市況を映すバルチック海運指数は足元で10年以来の高水準にある。市況次第では期初想定よりも利益が上向く可能性はある。
前期好調だった土木事業の反動に加え、新型コロナウイルス禍で前期の受注高が落ち込んだことが響く。
2021年3月期の連結業績は、売上高が6兆6980億円となり25年ぶりに7兆円を割り込んだ。純利益は前期比27%減の1650億円。家電や黒字転換したテスラ向け車載電池などが堅調だったが、新型コロナウイルス禍の影響で航空機向けが苦戦した。
営業利益率は21年3月期通期では4%弱だったが、10~12月期には7%に達するなど、下期に回復の動きが見られた。収益を下支えしているのはコスト削減や赤字事業の縮小・撤退という身を縮める改革だ。展示会への出展抑制や労務費の削減などを積み重ねた。事業の入れ替えも進めてきた。半導体は台湾企業に売却し、液晶パネルや太陽電池は22年3月期に生産撤退する。同社の「顔」だったテレビも、中国家電大手TCLに低価格機種の生産を委託する方向で調整中で、テレビの国内生産も事実上終了した。
22年3月期の連結業績は、売上高が前期比11%増の4000億円、営業利益は27%増の490億円、純利益は税負担の関係で8%減の340億円を見込む。
21年3月期の連結決算は10%減収/23%最終減益。コロナ禍で学校向けの管楽器や対面販売が中心のピアノの販売が落ち込んだ。インドネシア工場での生産遅延に伴う供給不足も響いた。
2022年3月期が7%増収/48%営業増益/54%最終増益になりそうだと発表した。巣ごもり需要で電子ピアノやギターなどの販売が伸びる。前期は楽器の供給不足や対面販売の制限などが重荷となったが、今期は緩和に向かう見通し。
米マリオット21年1~3月期、約12億円の赤字
1-3月期は、前年同期比51%減収/1100万ドルの最終赤字。収益力の基準となる「1部屋あたりの売上高」は45.68ドルで46.3%減。
直近ではワクチン普及が進む米国などでレジャー需要が急速に改善している。米国内のスキーやビーチリゾートでは、好調な需要を受けて客室価格も上昇傾向にあるという。コロナ封じ込めで先行する中国では、3月の客室稼働率がコロナ禍前の19年同月の水準まで回復した。
●マクロ・その他
9企業と25人の個人に対して総額230億ドル(約2兆5千億円)超の賠償を求める民事訴訟を起こしたと発表した。地元紙ザ・エッジなどによると、訴訟対象には米JPモルガン・チェースやドイツ銀行、マレーシアのナジブ元首相などが含まれる。
1MDB事件では総額45億ドル超の資産が不正に流出したとされており、マレーシア政府はこれまで、不正な債券発行に関わった米金融大手ゴールドマン・サックスから計39億ドルの支払いを受けることで合意している。その他の回収分も含めると、政府の回収額は既に45億ドル近くに達しているとみられ、今回の民事訴訟でさらなる上積みを目指す。1MDB事件では汚職が実行された時期に首相だったナジブ氏が禁錮12年の一審判決を受けている。
供給の混乱を避けるため、タンクローリーの運転手の労働時間規制を一時的に緩めることや燃料輸送にあたり外国籍の船にも輸送を認めるなど規制緩和を実施、ガソリンなど燃料の自動車輸送を円滑にする緊急措置を導入した。
現時点では燃料不足は起きていない。ロイター通信によると、南部ノースカロライナ州の大都市シャーロットの空港は、航空機燃料の備えがあるほか、ほかのパイプラインから燃料供給を受けているという。
専門家からは、パイプラインの停止が数日間以上つづけば、南東部の燃料供給に大きな影響が出て、価格の上昇につながるとの見方が出ている。
21/3期はアルケゴスなかりせば、税引き前利益は4764億円だった計算になる。当時は単独決算のため単純比較できないが、トヨタ自動車を抜き利益日本一になった1987年9月期の経常最高益(4937億円)や90年3月期(4888億円)に迫るバブル期並みの水準だ。
固定手数料時代のバブル期の稼ぎ頭は国内営業。今回は米国事業だ。中でも米株市場ではオプションなど商品によっては米欧大手に劣らないシェアを獲得しつつある。
アルケゴス関連の損失は「非常に個別性の強い特殊な取引」と野村はみるが、同様の説明が説明は、クレディ・スイスやモルガン・スタンレーの決算発表でも聞かれた。
「虚偽説明など犯罪行為だったのならまだしも、過剰なリスクテークを分かった上でそろって手を貸していたのなら特殊事例といえないだろう」。大手証券アナリストは話す。
ある野村関係者は「バブル期の尾上縫事件をほうふつとさせる」と自嘲気味に話す。旧日本興業銀行をはじめ銀行は大阪の料亭の女将を「北浜の天才相場師」とはやし、その株式投機に延べ2兆円超を貸し込んだ。これも特殊事例かもしれないが、尾上縫事件が「氷山の一角」だったのはその後の歴史が示す通りだ。
過去をみても1980年代のバブル時は円高不況に対応した利下げが過剰投資を招いた。今回も金融緩和・財政政策でカネ余りが際立つ。
1匹いたら30匹いると疑えという「ゴキブリ理論」を持ち出す気はないが、過剰なレバレッジが招く投機の失敗が、今度はアルケゴスとは場所を変えて噴き出す可能性は否定できない。野村の「バブル期並みの利益水準」をみて米国株への警戒モードを強めるのは、ちょっと神経質すぎるだろうか。
ドイツの連立与党、キリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)の支持率は過去最低に落ち込んだ。緑の党も支持率を下げたものの1位を維持した。
CDU・CSUの支持率は前回の24%から23%に低下。緑の党は1ポイント下げて26%になったものの、全国レベルでなお約2年ぶりの最高水準近くを維持している。
これまでは16歳以上にしか接種が認められていなかった。子どものワクチン接種が広がることで幅広い年齢層の免疫獲得につながるほか、学校再開に向けた後押しとなる。
パイプラインの運営会社の操業再開方針や犯罪集団の声明を受けて、市場は比較的落ち着いた反応となった。一方、投資家の間では、雇用統計「失望」の背景と今後のインフレ見通しについて活発な議論が続いている。
ガソリン先物価格は先週末と大きく変わらない水準で取引された。7日に米最大の石油パイプラインがサイバー攻撃で稼働を停止したが、今週末に再稼働する見通しとなった。現時点ではガソリンスタンドなどでも混乱は起きていない。
経済再開やドライブシーズンの到来を控え、上昇基調は続くとの見方は多いが、パイプラインの停止によるガソリン価格への直接的な影響は限られている。
9日の新規感染者数は2万4080人と、2020年6月以来の低水準。ワクチン接種が広がっており、感染の抑制につながっている。
ワクチン接種の広がりや感染者数の減少を受けて、各州は経済再開に向けて動いている。東部のニューヨーク、ニュージャージー、コネティカットの3州は19日から飲食店の収容人数などの制限措置を撤廃する見通し。CDCが、ワクチン接種を完了した人は屋外でマスクを着けなくてもよいとする指針を発表したこともあり、マスク着用のルール緩和に動く州も増えている。
もっとも、足元でワクチンの接種ペースは鈍化している。4月中旬につけたピークの338万回から4割ほど減少している。希望者のワクチン接種が一巡しており、副作用への懸念や不信感などから消極的な「拒否層」の接種が進んでいないためだ。
ヘッジファンド・リサーチのデータによると、合併や買収、その他の企業取引に賭けるイベントドリブン戦略のファンドは、1-3月(第1四半期)に平均で7.6%のプラスリターンを上げ、1993年以来の好調な滑り出しとなった。成績は他のヘッジファンド戦略を上回った。
「世界的な合併の増加や、規制面での不確実性の高まり、クオンツファンドを中心とした2020年3月の資本引き揚げ、特別買収目的会社(SPAC)の存在などが全てM&Aスプレッドの拡大に寄与している」と述べた。
米国の主要パイプラインがサイバー攻撃を受けて操業停止となり、石油製品価格が上昇したことが影響した。成長見通しの改善やインフラ投資計画、新型コロナウイルス対策に伴う刺激策などで長期的なインフレ期待はすでに押し上げられていた。
ただ、比較的落ち着いている名目利回りを巡る環境はインフレ期待が現実となるかどうか、また景気の勢いがどれほど持続するかについて、一部の投資家になお迷いがあることを示唆している。
何カ月にもわたる金融緩和や財政出動で物価の伸びが加速する状況の中、ブラジルや中国、インドなどが今週、インフレ指標を発表する。シティグループの新興国市場インフレ・サプライズ指数は先月、2008年以来の高水準に上昇しており、投資家がインフレ再燃の度合いを過小評価している可能性を示唆している。
ブラジルとロシアの中央銀行は既に政策金利引き上げを余儀なくされている。チェコ中銀は先週、年央に追随する可能性があると示唆したほか、トルコ中銀は物価の伸びが大きく鈍化するまで金利を高水準に維持すると表明した。
新興国での金融引き締めの可能性にもかかわらず、多くの投資家は全体的な戦略をまだ変更していない。
PIMCOやブラックロックなどは代わりに成長ストーリーを重視。新興国のインフレ率は過去最低付近にあるほか、経済回復で資産は「一段と興味深く」見えると述べている。
●市況
日経先物(大証)29220、ダウ先34703、債先151.41、米1.600、独▲0.2060、仏0.172、西0.474、伊0.887、原油64.94、ドル円108.81、墨ペソ19.91、トルコリラ8.2764、墨CDS98
※5/11 8時55分頃

備忘録(5/7−9)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
2022年度に「トヨタ」「レクサス」両ブランドで計1040万台の世界生産を計画していることが8日分かった。ワクチン接種の広がりによる需要増や半導体不足の解消を織り込み、初めて1000万台の大台に乗せる。自動車大手による生産拡大は新型コロナ後の製造業の回復のけん引役となる。
トヨタ自動車は8日、4月の中国での新車販売台数が前年同月比12.2%増の16万300台だったと発表した。同日に4月実績を発表したホンダも31.7%増の14万9423台、日産自動車は4.4%増の12万8297台だった。3社そろって前年実績を上回るのは8カ月連続になった。
政府が打ち出した温暖化ガス排出量を2030年度に13年度比で46%削減する目標について「電力も産業も家庭も全て一律で46%減とは承知していない」との認識を示した。
同社は30年度の二酸化炭素(CO2)排出量を13年度比で31%減らす目標を打ち出している。鉄鋼業はCO2排出量で国内製造業の4割超を占める。鉄の生産工程で石炭を使うためだ。各社は抜本的な生産プロセスの転換に向けた研究開発を進めるが、現状では30年度時点で大きく削減できるかは未知数だ。日本製鉄は今後、脱炭素関連の設備投資が4兆~5兆円に上ると試算しており、巨額の費用も必要となる。「前倒しのためにも、政府には研究開発に対する助成をお願いしたい」と橋本社長は要望した。
値引き原資となる米国のインセンティブ(販売奨励金)は3月に前年同月比3割減り、約3年ぶりに業界平均を下回った。日産は業界でも奨励金が高く課題だったが量を追わない戦略を加速。1~3月期も2割減だ。奨励金減は販売費抑制につながるため前期業績の押し上げ要因になっている。
最初の緊急事態宣言下にあった2020年のGWの2.1倍となったが、新型コロナ禍前の19年と比べると5社合計で60%減った。
日本経済新聞のインタビューに応じ、ホテルやレジャー施設などグループの保有資産について、外部企業への売却など資産の流動化を加速する方針を示した。新型コロナウイルス禍による生活様式の変化に合わせ、リゾートホテルの改装などで「需要を先取りしたビジネスモデルを追求する」方針だ。
企業価値が10億ドルを超える未上場企業「ユニコーン」は現在、650社を超える。
現在のユニコーンへの投資社数に基づくユニコーン投資家上位10社は以下の通りだ。
1.タイガー・グローバル・マネジメント(米)
2.ソフトバンクグループ(日本)
3.騰訊控股(テンセント・ホールディングス、中国)
4.セコイア・キャピタル・チャイナ(中国)
5.コーチュー・マネジメント(米)
6.セコイア・キャピタル(米)
7.DSTグローバル(香港)
8.アクセル(米)
9.アンドリーセン・ホロウィッツ(米)
10.ゴールドマン・サックス(米)
最も多くのユニコーンに投資しているのはニューヨークに拠点を置くタイガー・グローバル・マネジメントで、100社以上に資金を投じている。同社はユニコーンへの出資件数も180件と最も多い。2位は69社のソフトバンクグループ、3位は58社のテンセントだった。5社以上のユニコーンに投資している機関投資家は200社を超える。
ユニコーン投資家上位10社の最も多くから出資を受けているのは、米宅配代行サービス大手のインスタカート(Instacart)と、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールなどを手掛ける米ユーアイパス(UiPath)だ。ともに5社から出資を受けている。
現在のユニコーンの過半数(52%)は米国に拠点があり、中国が21%で続く。
投資各社の目利き力を測る一つの方法は、ユニコーン投資件数全体に対する創業初期段階での投資件数の割合に注目することだ。
ユニコーン投資家上位10社で投資効率が最も高いのはアクセルだ。同社が投資しているユニコーンのうち、初期段階(シードまたはシリーズAの資金調達)で出資したユニコーンは52%に上る。2位にはセコイア・キャピタル・チャイナが37%、3位にはアンドリーセン・ホロウィッツが35%で続いた。
●その他産業
●決算関連
21年3月期は65%減収/2866億円の最終赤字(前期:480億円の黒字)と12年の再上場後で初の赤字。前期通期の旅客数は国内線が前の期比67%減、国際線が96%減だった。
逆風下で策定した5年間の新中計は、前半の3年間でコロナ禍以前の利益水準に戻す計画とした。24年3月期にEBIT(利払い・税引き前損益)を1700億円、最終年の26年3月期に約1850億円に引き上げる目標を掲げる。
ビジネス需要の減退を、観光客などに強いLCCの強化で補う。テレワークやリモート会議の拡大を受けて出張などのビジネス需要は減速する見通しで、「JAL」ブランドのフルサービスキャリア事業の売上高は26年3月期時点でコロナ前の19年1~12月と比べ微減になる計画だ。少額出資する中国系の春秋航空日本(千葉県成田市)は6月をメドに連結子会社化し、中国からの訪日客需要の取り込みを強化。国際線を手がける完全子会社のジップエア・トーキョー(同)はアジアや米西海岸などに路線網を広げ、国内では豪カンタス航空と共同出資するジェットスター・ジャパン(同)で需要を取り込む。また、マイル会員に対する金融サービスのほか、観光振興や商品開発など地域を活性化する支援事業を強化する。これらを通じて、24年3月期の利益計画(EBITベース)とコロナ影響前の20年3月期実績を比べると、LCCを100億円、非航空事業を160億円の増益要因とする計画。
設備投資に関しては、5年間で約8500億円の投資を計画するが、大型機のボーイング777型機は削減し、787型機など中・小型機の比率を引き上げる。グループ全体で使用する航空機は24年3月期末で229機と、20年3月末から12機減らし資産のスリム化も進める。
3月末時点で4083億円の現預金を保有し、当面の運転資金は確保している。JALの前期の営業キャッシュフロー(CF)は2195億円の赤字。4~6月は1カ月あたり100億~150億円規模の資金流出を見込んでおり、資金流入に転じるのは7~9月期以降としている。有利子負債は5151億円とこの1年で86%増えたが、昨年の公募増資で約1800億円を調達したことで自己資本比率は45%と世界の航空大手の中では高水準を保っている。菊山英樹最高財務責任者(CFO)は「健全な財務体質を維持できている」と話す。
子会社ローソンの買収資産に関する減損損失836億円の計上や資源価格の低迷などが収益を圧迫、2021年3月期連結決算の純利益は前期比68%減の1725億円となり、従来の会社予想(2000億円)を下回った。
保有資産を身軽にしてデジタルやエネルギーなど非資源への投資を強め、資源に依存しない収益構造の構築を急ぐ。
1-3月期は6%増収/産業部門の調整後EBITAは31%増/純利益が前年同期の3.5倍の22億6500万ユーロ。地域別では中国が44%増収。
2021年9月期通期の業績見通しを再び上方修正した。純利益が57億~62億ユーロ(約7500億~8200億円)と、前の年度から最大54%増える見通しだ。同社は2月にも上方修正を発表したが、再び修正となった。再修正の主因は工場の自動化システムなどの「デジタルインダストリーズ」部門だ。落ち込んでいた自動車や機械などの業界向けの回復が想定以上で、工場のデジタル化需要も強いことが寄与している。
2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が1530億円の赤字(前の期は1713億円の黒字)だった。赤字額は過去最大。資源や自動車関連、鋼材などが低迷した。ニッケル鉱山に加え、鋼管やインフラなどの事業でも損失が発生した。同日、40年代後半に石炭火力発電から撤退する方針を示した。
1-3月期は15%増収/純利益が前年同期の5.1倍の28億1100万ユーロとなった。中国の新車販売が98%増えたことが貢献。米国も20%増と好調だった。電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の合計販売台数は2.3倍の7万台になった。
経営の指標とする自動車部門の売上高EBIT比率は9.8%と8.5ポイント改善した。6~8%としていた通期予想は据え置いた。新型コロナの影響が見通せないうえ鉄鋼などの原材料価格の上昇による影響を懸念しているためという。
2021年3月期の連結決算は最終損益が45億円の赤字(前の期は201億円の黒字)だった。
2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は売上収益が微増/純利益が前の期比14%増の383億円だった。新型コロナウイルス禍で主力の自動車関連部品の供給が20年4~6月期に落ち込んだものの、データセンター向け半導体の需要の伸びを背景に製造装置部品などが好調だった。
22年3月期は15%増収/3%の最終減益を見込む。前期に売掛債権に伴う収益が膨らんだ反動が表れるものの、自動車向け高効率プラグやセンサーの供給が伸びる。
2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比51%減の245億円だった。衣料品の需要が落ち込んだため工業用ミシンが低調でカラオケ関連機器も落ち込んだ。一方で新型コロナウイルス禍で在宅勤務や在宅学習が広がり、家庭用の小型複合機やプリンターの底堅い需要が続いたうえ家庭用ミシンも大きく伸びた。業務用の印刷機器事業でのれんの減損損失として272億円を計上した。
22年3月期は連結売上収益を前期比1%減の6260億円、純利益は73%増の425億円を目指す。複合機やプリンターの需要が減る見通しだが、工業用ミシンや工作機械が回復するとみている。
採算の良い高級腕時計「グランドセイコー」や「セイコープロスペックス」の販売が富裕層の需要を捉え好調に推移した。
2021年3月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前の期比16%減の387億円だった。航空機部品や自動車部品の販売減少が響いた。今期はデータセンターなど向けの小型ベアリングを中心に販売が伸び、売上高と純利益ともに過去最高を見込む。
2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)が過去最高の890億円になると発表した。新型コロナウイルスまん延で延期されていた病院での検査や治療が本格的に再開し、内視鏡や治療機器の販売が急回復する。
従来予想(370億円の赤字)からは85億円縮小した。
不良債権処理費用の減少に加え、資産運用などの手数料収入が業績を押し上げた。
●マクロ・その他
世界全体の外貨準備に占めるドル建て資産の比率は2020年末に59%と5年連続で下がり、25年ぶりの低水準になった。外貨準備で通貨別の比較が可能な残高(11.8兆ドル)に占めるドルの割合をみると、20年末は59%と1年前から1.7ポイント下がった。6割を切るのは1995年以来、25年ぶりだ。ドルの比率は2001年末には7割を超えていたが、その後は低下傾向にある。20年はドル安の進行がドル建て資産のシェア低下を招いたが、IMFはより長期的にみて「中銀がドルから(他の資産に外貨準備を)徐々にシフトしている」と分析する。
中国やロシア、トルコやブラジルなどの新興国が米国債の保有を減らし、金やユーロなど通貨建て資産を買い増している。金の国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、世界の中銀は過去10年間にわたり金の買い越し基調をけてきた。ユーロは20年末時点で21%と6年前と同水準まで高まったほか、円の比率も20年ぶりに6%台まで上昇した。人民元の比率も上がり、足元では2%を超えた。
4月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から26万6000人増えた。3月(77万人)から縮小、市場予測(100万人程度)を大きく下回り、失業率も6.1%と0.1㌽悪化した。経済回復で人手不足感がある半面、経済対策で現金給付や手厚い失業保険給付を手にした人がいまだ感染リスクのある仕事に戻るのを控えているのに加え、学校再開の遅れで子育て中の親が働きに出ることが難しくなっている。
ミスマッチはコスト増も招く。1~3月期の雇用コスト指数は前期比0.9%上昇と約14年ぶりの大きな伸びとなった。アマゾン・ドット・コムは4月末、50万人超の従業員を対象に時給を最大3ドル引き上げると発表。バイデン政権は連邦政府と契約する企業で働く人の最低賃金を時給15ドルに上げると決めた。上昇幅は4割近くにのぼる。
米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和と金融安定の両立という難題に直面している。6日の報告書でリスク投資の過熱ぶりと相場急落への備えがもろいことに警鐘を鳴らした。雇用回復を優先するパウエル議長は金融緩和を続けつつ、必要に応じて監督や規制を強める構えだが、金融緩和が市場混乱の芽を膨らませてきた面は否めない。経済の過熱を容認する「高圧経済」政策のひずみがあらわになりつつある。
2021年4月の輸入額は前年同月を43%上回った。10年3カ月ぶりの高い伸びだ。国際商品市況が回復し、資源や食糧の調達が全体の金額を押し上げた。工作機械や半導体、消費品の輸入も増えているが、輸入コストの上昇は企業収益を圧迫し消費回復の重荷になりかねない。
原油の輸入量はほぼ横ばいだったが、金額ベースでは前年同月の1.7倍となった。鉄鉱石は9割、米中貿易協議の第1段階合意で関心が集まった大豆は5割それぞれ増えた。数量の伸びはそれぞれ3%、11%にとどまったが、金額ベースでの増加率は大きくなっている。
中国経済の正常化をうけ、生産設備や部材も海外からの調達が増えている。半導体は金額、数量ともに2割超増えた。米商務省が華為技術(ファーウェイ)向け禁輸を厳格化した最先端の製品以外で輸入が拡大しているとの指摘は多い。民間設備投資の回復を反映し、工作機械も金額ベースで28%伸びた。
輸入を支える家計の所得環境は全く異なる。11年の1人あたり名目可処分所得の伸びは都市部で前年比14%に達したが、20年は3.5%にとどまった。新型コロナ前でも8%を割り込んでいた。
輸入コストが上昇した分の価格転嫁が進めば、消費者に近い川下の企業収益を圧迫したり家計の購買力を損なったりする恐れもある。企業部門に比べて回復が遅れている家計部門にとって新たな重荷になりかねない。
ヒューストンからノースカロライナ州に伸びるコロニアルのパイプラインは、米東海岸にガソリンやディーゼル燃料、ジェット燃料を輸送する重要な動脈であり、輸送能力は日量約250万バレル。さらにニューヨーク州にも日量90万バレルを供給する。サイバー攻撃による操業停止は、エネルギー供給と市場を揺るがしかねない。
運営会社のコロニアル・パイプラインは9日、パイプラインの復旧計画を依然として策定中だとし、安全性を確保し連邦規制を全面的に順守した上でのみ再稼働すると説明。コロニアルのシステムの主要部分は全てまだ操業停止の状態にあるとした。このパイプラインはニューヨーク地域にとって極めて重要な供給源。ガソリン先物価格は9日の電子取引で一時4.2%高となった。
今回のサイバー攻撃は米国のエネルギー産業が夏の旅行シーズンの燃料需要増加に備える中で発生した。パイプライン操業停止に伴う混乱が長期化すれば、全米ガソリン平均価格は2014年10月以来の1ガロン=3ドル突破となる恐れがある。
市場関係者によると、システム再開時期がほとんど見通せない中、燃料取引会社は既に、本来ならコロニアルのパイプラインで送られていたはずのガソリンを輸送するための船舶を探しており、操業停止が長引く場合に備えガソリンを一時的に貯蔵するためのタンカーを一部確保しているという。関係者は部外秘情報だとして匿名を条件に話した。
供給の混乱を避けるために一時的に規制を緩和し、ガソリンなどの輸送を支援する。
石油ターミナルと輸送拠点を結ぶ小規模ラインの一部を再稼働したと発表した。主要な4本のパイプラインはオフラインに切り替えたままだ。
英銀スタンダードチャータードは先週、インドのスタッフ2万人のうち約800人が感染したと発表。UBSの一部チームでは従業員の25%が欠勤していると、同社幹部1人が失職の恐れがあるとして匿名で語った。米ウェルズ・ファーゴの幹部1人によれば、共同ブランドのクレジットカードや送金、リワード・プログラムなどの業務に支障が出ているという。ウェルズ・ファーゴの従業員1人によれば、一部の業務はフィリピンに移され、遅れを取り戻すため深夜シフトの作業も行っているという。同行のインド従業員は約3万5000人で、自動車、住宅、個人ローンの処理や集金のほか、口座の開設・閉鎖などで顧客サポートを担当している。
商品商社トラフィグラ・グループは、脱炭素が銅消費をけん引し、銅価格は今後10年以内に1万5000ドルに達すると予想。また新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が短期取引動向を混乱させたほか、鉱山投資の欠如で需要を満たすのに十分な供給が不足する方向となっている。
●市況
日経先物(大証)29410、ダウ先34713、債先151.49、米1.579、独▲0.2175、仏0.171、西0.487、伊0.915、原油64.84、ドル円108.59、墨ペソ19.92、トルコリラ8.2399、墨CDS96
※5/7 NY引け値

備忘録(5/6)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
型コロナ前の2019年実績と比較すると、期間中の旅客数は両社とも国内線で6割、国際線で9割以上の減少。
販売店では「除菌や換気など対策が進み、今はお客が心配せず来店している」(都内の販売店)という。実際、4月の新車販売は19年4月比でも9割強の水準だ。
今後の懸念は半導体不足の販売への影響だ。乗用車7社が前年同月比で2桁のプラスとなるなかで、半導体不足の影響が相対的に大きいホンダは4月の新車販売が前年同月比6.3%増にとどまった。4~5月も各社で減産の動きが相次いでおり、21年度上半期の販売に響きそうだ。
4月28日~5月5日の新幹線や特急指定席などの輸送人員が295万8千人で、2019年と比べて74%減少。新型コロナウイルスが流行する前の水準と比べると、6社すべてがそれぞれ2~3割程度の利用にとどまった。
「成田エクスプレス」が走る総武・成田線は空港利用者数の減少を反映し、同97%減で最もマイナス幅が大きかった。一方で東海道本線は東京と静岡・伊豆間を結ぶ特急「サフィール踊り子」の個室席などの予約が比較的好調で、同56%減と各線区の中では減少幅が最も小さかった。東海道新幹線の利用が91万5千人で、一日当たりの平均利用者数は19年比で73%減。山陽新幹線の利用者は19年比78%減の37万9千人。
日産自動車は半導体不足のため、通常なら搭載するナビゲーションシステムを何千台もの車両で搭載の対象外としている。ステランティスのピックアップトラック「ラム1500」には、死角をモニターする「インテリジェント」バックミラーが標準装備されなくなった。仏ルノーがスポーツタイプ多目的車(SUV)「アルカナ」に大型デジタルスクリーンを搭載するのをやめたのも、半導体を節約するためだ。
こうした状況は、業界が直面する問題の深刻さを浮き彫りにしている。ホンダとドイツのBMW、米フォード・モーターは先週、いずれも半導体不足に伴う問題が深刻化しつつあると注意喚起した。重要な部品の供給を確保できないことは短期的に大きなマイナス要因になるだけでなく、テクノロジーに精通したインターネット企業や家電メーカーとの競争が激化する中で将来的な見通しも暗くする。
車載用半導体最大手、オランダのNXPセミコンダクターズのカート・シーバーズ最高経営責任者(CEO)は、EVへのシフトは予想以上のペースで進んでおり、それが自動車向け半導体の需要をさらに押し上げていると分析した。
半導体受託生産を手掛ける台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音会長は、危機は終息には程遠いと警告。CBSとのインタビューで、自動車向け半導体不足は2022年初めまで続く可能性があるとの見通しを示した。
●その他産業
●決算関連
1−3月期は13%増収/3244MMユーロの最終利益(前年同期:405MMの黒字)を計上。期中の出荷台数は243万台と21%増えた。中国が61%増とけん引し、5%減だった西欧を除くすべての主要地域で前年同期を上回った。ブランド別の営業利益では、中国販売が1~3月として過去最高だったアウディが14億ユーロを稼いだ。ポルシェも11億ユーロで、9億ユーロだった主力のVW乗用車ブランドを上回った。こうした状況を踏まえ、通期の利益率見通しを上方修正した。
CFOは「半導体不足の自動車業界への影響は4~6月にさらに大きくなる。それでも通年での事業の進展については自信を持てる」と述べた。
2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比2%増の2300億円になる見通しだと発表した。原油など資源価格の上昇で、エネルギー事業や金属事業の採算が改善する。低迷していた紙パルプ市況の改善も追い風となり、前期好調だったアグリ事業などの反動減分を補う。
1-3月期は57%減収/1481MMユーロの最終赤字(前年同期:1801MMユーロの赤字)。コロナワクチン接種が進んだ米国では国内需要を中心に回復するものの、主力の欧州では悪影響が続いている。1~3月の座席提供数は19年比48%という水準だったが、4~6月に50%、7~9月に55~65%と緩やかに回復するとの見通しを示した。
CEOは「外出制限が事業に悪影響を与え続けているが、厳しいコスト管理などで乗り切っている」とのコメントを発表。
1-3月期は9%増収/2285MMドルの最終黒字(前年同期:1120MMの最終赤字)と業績は改善。鋼材価格の上昇で利幅が拡大したほか、インドや米国での日本製鉄との合弁も好調だった。期中の粗鋼生産量は米国事業の一部を売却したため17%減の1760万トンだったものの、鋼材平均価格は北米で19%、欧州で27%上昇した。
CEOは決算会見で「サプライチェーンを通じて在庫水準は低く、注文の量は異常に多い」
19年末に日鉄と共同で買収したAM/NSインディアのEBITDAは4億300万ドルと前年同期の2.9倍に達した。すでに通年の現金需要をまかなえるという。既存拠点の生産能力を中期的に現在の約2倍の年間1400万㌧規模に引き上げるほか、東部オディシャ州のケンドラパラ地区に年産能力1200万トンの一貫製鉄所の建設を検討している。
●マクロ・その他
金融政策報告書で、2021年の英経済の実質成長率について7.25%との予測を示し、2月時点の5%から大きく上方修正した。人口の多くを占めるイングランドでは今年3月下旬から、感染状況の改善を受けて行動規制の段階的緩和に動き出した。イングランド銀は経済活動の再開で4~6月期から景気が急浮上するとみている。ベイリー総裁は同日の記者会見で「新規感染者数の減少が続いてワクチン接種が迅速に進み、経済活動の規制が緩和に向かっている」と述べた。
金融政策委員会では、政策金利を過去最低の年0.1%に維持することを9委員の全会一致で決めた。量的緩和策は、国債と社債の買い入れ枠を総額8950億ポンド(約136兆円)で据え置くことを8対1の賛成多数で決めた。経済の余剰能力解消や物価上昇率2%の安定的な達成が確実に見込めるまで、金融引き締めには動かない方針を再確認した。一方、チーフエコノミストのハルデーン委員は「景気急回復の明確な証拠がある」として、国債購入枠の500億ポンド減額を主張した。
コロナ危機対応で増強された資産購入枠は、21年末ごろに残高が上限に達する見通し。足元では週44億ポンドのペースで国債を買い入れている。イングランド銀は6日、10日以降は週34億ポンドに減らすと通知した。ベイリー氏は「テーパリング(量的緩和の縮小)ではない」と強調したが、事実上、危機モードからの脱却に歩み始めることになる。
社債など信用リスクを伴うクレジット投資と、未公開企業株式などオルタナティブ(代替資産)と呼ばれる投資が運用残高の増加分の過半を占める。低金利環境の長期化でより踏み込んで運用リスクを取る必要があるためで、日本生命保険やかんぽ生命保険は運用態勢の見直しに動いている。
インフレ率は4月に7カ月連続の上昇で17.1%となったが、カブジュオール総裁はこれをピークに低下し始め、年末には12.2%になるとの見通しを示している。
中銀は声明で「高水準のインフレ率とインフレ期待に鑑み、4月のインフレ報告が示した見通しに沿って大幅に低下するまでは、現行の金融政策姿勢が維持されるだろう」と説明した。
FRB金融安定委員会の委員長を務めるブレイナードFRB理事は同報告に付随する声明で、「リスク選好の高まりに関連した脆弱性が高まっている」と分析。「バリュエーションの伸長と極めて高水準の企業債務が重なり、価格調整イベントの影響を増幅する可能性があるため注視が必要だ」と説明。こうした状況下でリスク選好が低下すれば、資産価格の「大幅下落」が起こりかねないと指摘した。
アルケゴス・キャピタル・マネジメントのポジション破綻に端を発する銀行の損失にも言及。同理事は「よりきめ細かい、高頻度の開示」を求めるとともに、「アルケゴスの問題は、ヘッジファンドのエクスポージャーの限定的な透明性を如実に示すとともに、ヘッジファンドのレバレッジの現在の目安が重要なリスクを捉えていない可能性があると気付かせてくれる」との見方を示した。
SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は6日、アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引で日米欧の金融機関が巨額損失を計上した問題を巡り、開示拡充を検討すると表明した。テクノロジーの進化に対応した監督体制の整備も進める。
アルケゴスはTRSを「隠れみの」にして、特定の銘柄で集中的に持ち高を積み上げていた。同社が運用に行き詰まるまで、取引金融機関や当局はリスクを正確に把握できておらず、結果的に金融機関の損失も大きくなった。
現行ルールでは、株式保有額1億ドル(約109億円)以上の投資会社が四半期ごとに株式保有報告書「フォーム13F」をSECに提出しなければならない。さらに、投資先企業への出資比率が5%を超えたファンドは、「フォーム13D」と呼ばれる書類を出す必要がある。
ゲンスラー委員長は公聴会で「TRSの透明性を高める施策について提言をまとめるよう、SECのスタッフに指示した」と明かした。デリバティブを使った実質的な保有者にも株式保有者と同様、開示義務を課すかどうか検討する。
仮想通貨規制にも前向きな姿勢を示した。ゲンスラー委員長は「現時点で詐欺や価格操作から投資家を守る規制がない」と持論を述べたうえで、交換所の規制強化に向けて「議会と協力したい」と表明した。
●市況
日経先物(大証)29280、ダウ先34412、債先151.44、米1.566、独▲0.2285、仏0.144、西0.453、伊0.869、原油64.83、ドル円109.00、墨ペソ20.09、トルコリラ8.2842、墨CDS98
※5/7 9時05分頃
 
備忘録(5/4−5)
●雑感
・徐々に緩和縮小の足音
・中国の華融資産管理の動向はどうなるのか
・ESGを巡っては目標引き上げの動きが相次ぐが、自分の首を締めることにならないか
・半導体不足が深刻化(外交カードにもなりつつあるように見える)
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
ドイツ、温暖化ガスの削減目標引き上げ 30年に65%減
これまでは2030年までに1990年比で55%削減する目標だったが、65%削減に引き上げる。温暖化ガスの排出を実質ゼロとする時期も50年から45年へ前倒しする。地球温暖化への危機感が高まるなか、より野心的な目標を掲げる動きが広がりつつある。
発電用石炭、脱炭素でもアジアで根強い需要
二酸化炭素(CO2)排出量が特に多い石炭は、鉱山開発への投融資縮小が相次ぐ。一方で安価な燃料としてアジアの需要は根強い。短期的には需要よりも供給が早く減り、国際価格が不安定になるリスクをはらむ。
日産、ダイムラー株1500億円で売却へ 業務提携は継続
約1.5%分を保有する独ダイムラーの株式を全て売却すると発表した。6月末までに機関投資家に売る。売却額は11億4900万ユーロ(約1500億円)になる。仏ルノーも3月にダイムラー株を手放しており、日仏連合が保有するダイムラー株はなくなる。
1株当たり69.85ユーロで機関投資家に売却する。売却益は2021年4~6月期決算に計上する。売却で得た資金は電気自動車(EV)など電動化の研究開発に充てる。メキシコでの合弁工場の運営など業務提携は続ける。
米商務長官「台湾半導体供給、米自動車向け優先を」
レモンド米商務長官は4日、世界的に不足する半導体で、台湾半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)に対し、米自動車メーカー向けを優先するよう働き掛けていると明らかにした。米国が優先されれば、生産を委託している各国の企業にしわ寄せが及びかねない。
欧州自動車ステランティス、4-6月に半導体不足さらに悪化と警告
1-3月の生産台数は半導体不足が原因で計画を11%下回ったと説明。4-6月(第2四半期)に状況はいっそう悪化し、下期になって改善の兆しがやや表れるだろうとの見通しを示した。
●その他産業
FTが関係者の話として報じたところでは、損失を被った金融機関は弁護士を雇い、アルケゴスに対して訴訟を起こす構えをみせている。融資契約やスワップ取引の取り決めにおける損失補償が焦点になりそうだ。
●決算関連
米リフトの1~3月、売上高36%減 配車需要は回復傾向
売上高が6億900万ドル(前年同期比では36%減)、ライドシェアの利用者数は前年同期比36%減の1349万人だったが、直近の20年10~12月期に比べると7%増え、業績は最悪期を抜け出しつつある。最終損益は4億2700万ドルの赤字(前年同期は3億9800万㌦の赤字)となり、業績が確認できる18年1~3月期以降、赤字が続いた。最終損益の赤字幅は事前の市場予想よりも小さかったことから、4日の米国市場の時間外取引でリフト株は買いが優勢となっている。
CEOはアナリスト向けの説明会で「ワクチンの展開などによって業界全体で(ライドシェア)ネットワークの需要が高まっている」と述べた。3月単月では需要が供給を上回り、単価が上昇したという。
米CVSヘルス、1~3月期11%増益 コロナ検査など 
1-3月期は4%増収/11%最終増益。米国内の小売店で提供する新型コロナウイルスの検査や、米政府の協力要請を受けたワクチン接種サービスなどが収益増に貢献した。
特殊要因を除いた1株利益は2.04ドルで、前年同期の1.91ドルおよび市場予想(1.72ドル程度)を上回った。21年12月期通期の業績見通しは、特殊要因を除いた1株利益で7.56~7.68ドルとし、前回予想(7.39~7.55ドル)から引き上げた。
米ファイザー、21年のワクチン売上見通し2.8兆円に
1-3月期は45%増収/45%増益。新型コロナワクチンの売上高は34億6200万ドルにのぼり、売上高全体の24%を占めた。特殊要因を除いた1株利益は0.93ドルで、市場の予想(0.77ドル程度)を上回った。
2021年12月期通期の売上高見通しを約260億ドル(約2兆8000億円)と発表した。2月時点の予想(約150億ドル)から約7割引き上げた。
ファイザー製のワクチンは、昨年12月に米食品医薬品局(FDA)が緊急使用を承認し、すでに世界50カ国以上が緊急使用などを認めている。売上高見通しの引き上げは、各国・地域から大口の追加発注が相次いでいることを反映した。
サウジアラムコ、純利益30%増 原油価格持ち直しで
2021年1~3月期の純利益は前年同期に比べ30%増の217億ドル。原油価格は米国や中国経済の回復期待から持ち直し基調にあることが背景だ。
20年、国内石油化学大手のサウジ基礎産業公社(SABIC)を買収。効率化で下流部門の利益も拡大した。自己資本に対する負債比率(ギアリング比率)は23%に達した。四半期ベースで188億ドルの巨額配当も継続した。
CEOからは「経済回復にともなうエネルギー需要増に応える好位置にある」、経済のデジタル化が加速し、気候変動問題を背景に消費国はクリーンエネルギー利用へと急速にかじを切るが、当面の石油需要は底堅いとの見方が示された。
GMの1-3月利益予想上回る、通期見通し維持-半導体問題は継続も
1-3月の売上高は324億7000万ドルで、市場予想平均の327億7000万ドルをわずかに下回ったものの、調整後利益は1株当たり2.25ドル。市場予想平均の1.08ドルを上回った。利益率が高いフルサイズのスポーツタイプ多目的車(SUV)やピックアップトラックの販売が好調だったと同社は説明した。
半導体の調達問題が業界を悩ませているが、GMは2021年通期の利益見通しを据え置いた。調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は従来予想の100億-110億ドル(約1兆900億-1兆2000億円、1株当たり4.50-5.25ドル)の「上限」になると見込む。
半導体不足で複数の工場が稼働停止を強いられており、4-6月(第2四半期)も引き続き生産が圧迫されるとGMは指摘。ただし、この問題による打撃は15億-20億ドルとの従来予想を維持した。
1-3月期は31%増収/総決済額は50%増/純利益は13倍の10億9000万ドル。総決済額は過去最高。新型コロナウイルス禍で現金を介さない決済の普及が追い風になった。
CFOは「再開が進んでいる国や市場でもEC消費はパンデミック(世界的大流行)前の水準を上回っている」と強調
1-3月期は11%減収/1億800万ドルの最終赤字(前年同期は29億3600万ドルの赤字)。同社が収益指標として重視する調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は3億5900万ドルの赤字となり、前年同期(6億1200万ドルの赤字)に比べ改善した。
料理宅配を含む配達サービス部門の売上高は3.3倍に伸びたがライドシェアの落ち込みを補えず、4四半期連続で前年実績を下回った。売上高が事前の市場予想(32億7000万ドル前後)に届かなかったことから、5日の米国市場の時間外取引でウーバー株は売りが優勢で取引されている。
事業別の売上高の内訳はライドシェアなど移動サービス部門が65%減の8億5300万ドルだった。英国で約7万人のウーバー運転手を同国の雇用法に基づく「労働者」として扱い、最低賃金を保障することなどを求めた英最高裁判決を受け、従来の慣行を見直したことで同部門の売上高が想定よりも6億ドル減少したという。
整後1株利益は2.20ドル(前年同期は1.58ドル)。ブルームバーグがまとめたアナリスト14人の予想中央値は1.50ドルだった。調整後の純投資利益は前年同期比23%増の53億ドル(約5800億円)となった。PE投資の好調が、新型コロナウイルス禍による打撃を打ち消した。
CEOは発表資料で、「コロナに伴う当社業績への悪影響の最たる部分は過ぎたと考えており、将来において株主にさらなる価値を生み出す態勢は整っている」と指摘
●マクロ・その他
4月の米雇用74万人増 民間調査、娯楽・飲食で大幅増
ADP雇用統計は、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は前月から74万2000人増加。サービス業(63万6000人増)が牽引した。製造業、建設業、鉱業も堅調で、合計10万6000人増加した。雇用増は前月(改定値、56万5000人)から加速し、2020年9月以来7カ月ぶりの大きさとなった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(80万人程度)は下回ったが、労働市場の急速な回復を示す内容。
労働省が7日発表する4月の雇用統計について、市場は非農業部門の雇用数が100万人程度増加すると予想している。
米、20年の出生数4%減 1979年以来の低水準
2020年の米国の出生数が前年比4%減ったとの暫定値を発表した。6年連続の減少で、1979年以来、約40年ぶりの低水準。20年の出生数は360万5201人。金融危機で景気が低迷する前の2007年を境におおむね下がり続けてきた。出生数は14年に増えたものの、その後20年まで減少が続いた。1人の女性が生涯に産む子供の数を示す合計特殊出生率は1.64と過去最低を更新した。人口の維持に必要とされる2.1を下回る。
生まれた子供が減った背景には、女性の晩婚化や高学歴化を指摘する声がある。若年層の所得が減ったり、学費返済の負担が増えたりして結婚や出産をためらう傾向もある。
新型コロナウイルスの流行を受けて、夫婦が病気や金銭面への不安から出産を見送った影響も一部表れたようだ。20年12月の出生数は前年同月に比べて8%減った。コロナ禍の影響が本格的に表れる21年は出生数が一段と減る可能性がある。
新型コロナウイルスの影響で出生数が一段と減り、世界経済をけん引する米国の経済成長に響く可能性がある。
コロナ規制反対の右派勝利、スペイン・首都の州議会選
スペインの首都を含むマドリード自治州で4日、州議会(136議席)の前倒し選挙の投票が行われ、イサベル・ディアス・アジュソ州首相率いる中道右派、国民党が議席を65(前回2019年は30)へ倍増させる見通しとなり、第1党の座を確保して勝利した。アジュソ氏は新型コロナウイルスに対する国の規制策に反対する姿勢で人気を集めた。
国政与党の穏健左派、社会労働党は議席を24(同37)へ減らす見込み。国の政権運営には直ちに影響しないが、同党のサンチェス首相に打撃だ。
国民党は過半数には達せず、13議席を得る見込みの極右政党ボックスに前回に続いて協力を仰いで、同州で1995年から続く右派政権を再び発足させる見通し。国政で野党のカサド国民党党首はアジュソ氏の人気をばねに党勢回復を図る。
中国の国策会社、信用不安続く 政府「支援」明言せず
中国財政省が6割出資する国策の不良債権処理会社、中国華融資産管理が信用不安に陥っている。4月にはシンガポールドル建て債を償還したが、一部ドル建て債は利回りが20%台で高止まりしたままだ。政府は信用不安でも支援を明言せず、市場は「暗黙の政府保証」の履行を懸念している。
ゴールドマン、米英で全従業員のオフィス復帰 6月メド
豪中銀、21年の成長率4.75%と予測
ロウ総裁は豪景気の回復が予想よりも力強いと指摘し、2021年の経済成長率が4.75%になるとの見通し(今年2月時点では3.5%と予測)を示した。
今後の利上げについては「インフレ率が持続的に政策目標である2~3%内に収まるまでは行わない」と述べた。賃上げなど物価上昇に向けた条件がそろうのは「早くても24年になる」と従来の見方を維持した。
メキシコへの3月の送金、過去最高
3月の送金額が41億5187万ドル(約4500億円)だったと発表した。前年同月比3%増えた。2020年3月(40億4482万ドル)を上回り、過去最高を更新した。米国で働くメキシコ人就労者から、新型コロナウイルスで厳しい生活環境の親族への送金が堅調に推移した。
米ISM非製造業総合景況指数、4月は62.7に低下-市場予想64.1
英中銀は金融緩和縮小の検討開始か、6日に政策発表-景気回復が進展
エコノミスト調査によれば、英中銀金融政策委員会(MPC)は今年の債券買い入れ目標額を1500億ポンド(約22兆7000億円)で維持する見通し。債券買い入れプログラムを11月に突然終了させずに年内いっぱい継続できるよう、ペースを減速させると見込む投資家もいる。
HSBCホールディングスのシニアエコノミスト、エリザベス・マーティンス氏(ロンドン在勤)は、英中銀の動きについて「小規模なテーパリングを決定する公算は大きいと考えている。市場はその用意が十分にできている」と述べ、「購入ペースの縮小が大規模であれば、タカ派的と捉えられるだろう」と指摘した。
政策金利を0.75%引き上げて年3.5%にすると発表した。中銀は声明で「インフレ目標の達成を確実にするため、金融政策は調整される」として、物価上昇を抑えるために金融引き締めが必要だとの見方を示した。物価の上昇が続くなか、3月の前回会合に続き2会合連続での同幅の利上げで金融引き締めを進める。
旺盛な住宅建設需要を受け、建設業者が木材確保に躍起となっていることが背景にある。製材所も在庫積み増しに苦労し、トラック運転手や建設労働者らの不足が状況をさらに深刻にしている。
米シカゴ連銀のエバンス総裁は5日、債券購入プログラムのテーパリング(段階的縮小)開始時期を巡る米金融当局内部の議論に言及し、「そのような対話が行われる時期について私には確かに十分な目算がない」と語った。
労働力不足が生じつつあるとの報告を巡っては、「この点で『過熱』という言葉があまり有用とは思わない。失業率が低くなり過ぎることを懸念していない」と述べた。
さらに「米経済が力強さを増すと確信を強める多くの理由が存在する」としながら、「新型コロナウイルスの感染再拡大のリスクがある。変異株が海外で勢いを増す可能性があり、そうしたリスクを十分排除できる状況と判断していない」との見解を明らかにした。
●市況
日経先物(大証)29190、ダウ先34125、債先151.44、米1.584、独▲0.2365、仏0.129、西0.441、伊0.851、原油65.06、ドル円109.24、墨ペソ20.25、トルコリラ8.3288、墨CDS97
※5/6 9時30分頃

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