備忘録(2025/9/12-15)
●企業
スイス金融大手UBS(UBSG.S), opens new tabが、同国政府による新資本規制への対応として、米国へ拠点を移すことを検討している。米紙ニューヨーク・ポストが14日報じた。
同紙によると、UBS幹部がトランプ米政権高官と面会し、米金融機関の買収や合併を含む戦略の転換を準備している。
UBSのセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は11日、米ブルームバーグTVのインタビューで「われわれはスイスに拠点を置く成功したグローバル銀行として業務を継続したい」と強調。スイスや世界中の顧客に多くを提供できると説明した。
一方、エルモッティ氏は政府による新規本規制は懲罰的でやり過ぎだと批判し、株主やステークホルダーの利益をどう保護するかを考える必要があると述べた。「だが、いかなるシナリオやわれわれの対応についてもコメントするには時期尚早だ」とも語った。
スイス政府は6月、UBSによるクレディ・スイス買収を受け、新規制を提示。UBSは、260億ドル超の中核的資本を上乗せする必要が生じる可能性がある。ロイターは7月、関係者の話として、資本規制への対応でUBSがスイスからの本社移転を検討する必要性が高まっていると報じた。 別の関係者は、ロンドンも候補地だとしている。
解熱鎮痛剤「タイレノール」の製造元である米コンシューマーヘルスケア大手ケンビューのカーク・ペリー暫定最高経営責任者(CEO)は今週、ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官と緊急で非公開会合を開き、「タイレノールと自閉症の間に明確な関連性はない」というメッセージを伝えた。
事情に詳しいある関係者によると、ペリー氏は、厚生省が近く公表する報告書でタイレノールを自閉症の考え得る原因の一つに挙げないようケネディ氏に働きかけた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先週、ケネディ氏が子どもの自閉症を引き起こし得る原因に、タイレノールの有効成分アセトアミノフェンの妊娠中の服用を挙げる予定だと報じた。厚生省は今月中に自閉症の原因についての報告書を公表する見通しだ。
WSJの報道後、ケンビューの株価は1日で9%下落し、幹部らの間に懸念が広がった。
関係者によると、ケネディ氏との会合で、ペリー氏とキャロライン・ティレット最高科学責任者(CSO)はアセトアミノフェンと自閉症に明確な関連性はないと主張。妊婦用の解熱剤としてアセトアミノフェンに代わる安全な選択肢はほとんどないと訴えたという。
中国の市場監督当局、国家市場監督管理総局(SAMR)は15日、予備調査の結果、米半導体メーカーのエヌビディア(NVDA.O), opens new tabが独占禁止法に違反していることが判明したと発表した。
中国は昨年12月、独禁法違反の疑いがあるとして、エヌビディアの調査を開始した。
国家市場監督管理総局は、エヌビディアがどのように独禁法に違反したかは明らかにしていない。一方で、エヌビディアによるイスラエルの半導体設計会社メラノックステクノロジーズ買収を2020年に条件付きで承認した際にエヌビディアが約束した内容に関し違反があった疑いがあると指摘した。買収承認では、エヌビディアが画像処置半導体(GPU)アクセラレータを中国市場に引き続き供給することが条件の一つになっていたが、バイデン前米政権時の輸出規制により、最先端アクセラレータの販売が中止に追い込まれている。
同局は調査を継続するとした。エヌビディアのコメントは得られていない。
中国の独占禁止法によると、違反した企業は前年の年間売上高の1─10%の制裁金を科される可能性がある。エヌビディアの最新の年次報告書(1月26日までの1年)によると、中国売上高は170億ドルで全体の13%を占めた。
予備調査の結果は、米中が貿易摩擦や中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を巡るスペインでの閣僚協議の2日目を開始したタイミングで発表された。アナリストからは、中国が交渉を優位に立とうという意図が透けるとの指摘が出ている。
戦略コンサルティング会社グリーンポイントのマネジングディレクター、アルフレド・モンチュファル・ヘル氏は「米中は、より有利な立場で交渉するためのレバレッジをかけているようだ。ただ双方とも利害を理解しており、非常に計算した行動を取っている」と述べた。
中国が最先端の人工知能(AI)半導体チップにどの程度アクセスできるかは、技術覇権をめぐる米中戦争における最大の争点の一つだ。
罰金以外に中国当局の決定の影響は現時点ではっきりしないが、ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が、米規制を順守する形で改良した先端半中国に供給し続けるという戦略が試練に直面する可能性がある。
●マクロ
米ミシガン大学が発表した9月の消費者マインド指数(速報値)は5月以来の低水準となった。一方で5-10年先のインフレ期待は2カ月連続で上昇。労働市場と物価に関する懸念が景気見通しを圧迫する格好となった。
9月のミシガン大消費者マインド指数(速報値)は55.4
エコノミスト予想の中央値は58.0
8月は58.2
1年先のインフレ期待は4.8%
予想と一致
8月も4.8%
5-10年先のインフレ期待は3.9%
予想は3.4%
8月は3.5%
今回の統計では、雇用の先行きや家計の状況に対する消費者の不安が浮き彫りになった。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は「消費者が想定する自身の失業確率は今年に入って急上昇し、9月もさらに上昇した。労働市場でマイナスの動きがあれば、自分自身が影響を受けかねないと消費者が懸念していることを示す」と発表文で指摘。「さらに消費者は物価の高止まりにも負担を感じている」と付け加えた。
最近公表された経済指標は、労働市場の減速と根強いインフレを示した。8月雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが大きく鈍化し、失業率は2021年以来の高水準に上昇した。8月消費者物価指数(CPI)では総合指数が前月比0.4%上昇と再び加速した。
関税への根強い懸念もセンチメントを押し下げる要因となっている。調査対象の消費者の約6割が関税に関するコメントを自発的に寄せた。
現況指数は8月の61.7から61.2に低下。期待指数も55.9から51.8に下がった。
支持政党別では、共和党支持層と無党派層の消費者マインドが4カ月ぶりの低水準に落ち込んだ一方、民主党支持層ではわずかに改善した。
調査は8月26日から9月8日にかけて実施された。
9月のニューヨーク連銀製造業景況指数は急低下した。需要の落ち込みが原因。新規受注や出荷の減少がこれを裏付けている。
製造業景況指数はマイナス8.7に低下
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値はプラス5
全ての予想を下回る
前月はプラス11.9
指数はゼロが活動の拡大と縮小の境目
新規受注と出荷の指数はいずれも2024年4月以来の低水準となった。
トランプ大統領による不安定な通商政策や移民取り締まりの影響が続く中、製造業は依然として苦戦し、同部門の雇用は4カ月連続で減少している。全米供給管理協会(ISM)の製造業指数も8月に6カ月連続で縮小を示した。
ニューヨーク連銀の製造業景況指数は、8月に9カ月ぶりの高水準に上昇したが、それ以前はマイナス圏に落ち込む局面が目立った。
一方、仕入れ価格と販売価格の指数はやや低下したものの、依然として高止まりした。
雇用指数は5月以来初めて縮小を示し、週平均就業時間に関する指数もマイナス圏に落ち込んだ。
6カ月先の製造業活動を示す見通し指数は、足元の状況と比べてやや明るさを見せているが、ニューヨーク連銀は「楽観的な見方は依然として抑制されている」と指摘した。
今回の調査は2日から9日にかけて実施された。
中国の経済活動が8月も減速し、指標は軒並み予想を下回った。投資も急速に伸び悩んでおり、当局が成長率目標の達成に向けて刺激策を強化する可能性が高まっている。
国家統計局が15日発表した8月の小売売上高は前年同月比3.4%増加。ブルームバーグ調査の予想中央値は3.8%増だった。7月は3.7%増加していた。8月の工業生産は前年同月比5.2%増と、昨年8月以来の小さな伸びにとどまった。予想は5.6%増加だった。7月は5.7%増えていた。
1-8月の固定資産投資は前年同期比0.5%増と、2020年の新型コロナウイルス禍を除けば、同期間としては最も悪い数字となった。
みずほセキュリティーズアジアの中国担当シニアエコノミスト、周雪氏は「7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)成長率は著しく減速する公算が大きい」と指摘。「10-12月(第4四半期)も比較対象となる前年同期の水準が高く、成長率は恐らくさらに大きく鈍化するとみられ、大規模な景気刺激策が講じられなければ、政府が掲げる5%前後の成長目標の達成が脅かされることを示唆している」と分析した。
輸出の勢いが鈍る中、多くのアナリストや投資家は上期(1-6月)に5.3%成長を記録した中国経済が年末にかけて減速すると予想している。中国の景気減速がどの程度になるかは、トランプ米政権の関税措置による影響で圧迫される脆弱(ぜいじゃく)な世界経済にとって、大きな意味を持つ。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは「10月に7-9月のGDP統計が発表された後、当局は政策を微調整する可能性がある」と述べた上で、「5%の成長目標達成が困難にならない限り、大型の刺激策が打ち出されるとは見込んでいない」とコメントした。
トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席と19日に話すと述べた。米中は今週、高官による貿易協議を実施。協議では、字節跳動(バイトダンス)が展開するTikTokの米国内での運営を維持するための枠組みで合意した。
トランプ氏は15日、ソーシャルメディアに「習国家主席と金曜日に話す。米中関係は依然として非常に強固だ!!!」と投稿した。
ベッセント米財務長官は、マドリードでの協議終了後、記者団に対し、TikTokを米国内で運営し続けるための枠組みに合意したと説明。トランプ大統領と習主席が会談し、合意を完了させると述べた。具体的な条件については明らかになっていない。
「トランプ大統領と習主席は金曜日に会談し、合意を完了させる。だがTikTokに関する合意の枠組みは既に存在する」とベッセント氏。「TikTokを米国の管理下に置かれた所有形態に切り替える枠組みだと考えている」と述べた。
TikTokは、米国での事業売却の猶予期間締め切りが今週に迫っている。トランプ氏は既にこの期限を複数回延長し、TikTokの継続を認めてきた。
関税の停止
米中の高官協議は9月に入り活発化。10月末に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)にはトランプ氏と習氏が共に出席する見通しで、直接会談の可能性がある。先週には、ルビオ国務長官とヘグセス国防長官が中国側のカウンターパートと会談した。
両国は互いに課した高関税措置を一時停止しており、最新の期限は11月中旬となっている。
米通商代表部(USTR)のグリア代表は15日に記者団に対し、11月の期限到来時に関税停止措置をさらに延長する可能性を示唆した。
「協議が今後も前向きに進めば、さらなる措置を検討する用意がある」とグリア氏は述べた。
次のラウンド
ベッセント氏とグリア氏はマドリードでの協議について、焦点はTikTokに絞られ、他の議題は事実上先送りされたことを明らかにした。ただ中国側は、米国による輸出規制への懸念を提起したという。
14日の協議を前に、中国は米国の半導体分野を対象に2件の調査に着手した。それより先に米国は、半導体メーカーを含む中国企業23社を、「米国の国家安全保障や外交政策上の利益に反する活動に携わっている」と見なされた企業のリストに追加していた。
ベッセント氏は15日、記者団に対し、「約1カ月後に別の場所で再び貿易協議を行う」と述べた。ベッセント氏はこれまで5月にジュネーブで、6月にはロンドンで中国の何立峰副首相と協議している。韓国でのAPEC前に米中間で貿易合意に至ることができるかは「まだ不透明だ」と、ベッセント氏は語った。
「われわれはTikTokに非常に注力し、中国側にとって公正であると同時に米国の国家安全保障上の懸念を完全に尊重する合意であることを確実にすることに重点を置いた。その点は確実に合意に達した」とベッセント氏は説明した。
過去最多のプライベートエクイティー(PE)ファンドが今年、いわゆるゾンビファンド化する見通しだ。新規の投資家資金の調達が難航しているためだと、アークトス・パートナーズの共同創業者でマネジングパートナーのイアン・チャールズ氏が語った。同氏はゾンビファンドを「7年間にわたり機関投資家から資金を調達できていないファンド」と定義している。
チャールズ氏は11日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「資金調達環境は非常に厳しい」と述べ、今年は新たに設立されるPEファンドの数も減少するとの見方を示した。「現在、各社は成長軌道を維持するのに本当に苦労している」と指摘した。
アークトス・パートナーズの共同創業者でマネジングパートナーのイアン・チャールズ氏Source: Bloomberg
プライベートエクイティー業界はM&A(企業の合併・買収)や新規株式公開(IPO)の低調が3年目に入り、その結果、ファンド運用会社や投資家の利益が圧迫され、新規ファンドの資金調達も冷え込んでいる。
ベイン・アンド・カンパニーのリポートによると、世界で1万8000本以上のプライベートキャピタルファンドが投資家から資金を集めようとしており、需給関係は1ドルの供給に対して3ドルの需要がある状況だという。
買収ファンドが破綻することはほとんどないが、人員を減らして既存投資を少額の資金で運用するだけで新規投資を行えないゾンビファンドとなるリスクを抱えている。
チャールズ氏は「成長を失い始めると、優秀な人材も失い始める」と指摘し、新規資金を集められずゾンビ化するファンドが「今後2年の間に現れてくるだろう」と述べた。
他の大手買収ファンドからも同様の懸念が示されている。業界が直面する課題を幹部が率直に語っている。
アポロ・グローバル・マネジメントのジム・ゼルター社長は今週ブルームバーグテレビジョンに対し「PE業界でダーウィン的な進化が起こるだろう」と述べ、つまり淘汰の時代に入るとの見方を示した。
KKRのロバート・ルーウィン最高財務責任者(CFO)も最近、取引低迷が長引くなかでPEファンドが消滅し始めるとの見通しを示した。
世界の国債市場で利回りが上昇しているのは、金利が高止まりするとの見方を反映しているのであり、財政危機への懸念ではないと、ブラックロックは指摘した。
米国や英国からフランス、日本に至るまで、今年は長期国債の利回りが急上昇。利回り曲線は数年ぶりの水準までスティープ化が進んでいる。こうしたリプライシングの動きは、政府の巨額借り入れや財政赤字に起因するとされることが多いが、ブラックロックの投資・ポートフォリオソリューション責任者、アレックス・ブラジエ氏は異なる見解を示している。
「この世界的な動きは財政状況への懸念を反映したものではないと思う」と同氏は指摘。「むしろ、市場が考える金利の中立水準を反映している。さらに、短期ではなく長期債の購入を促すためのプレミアムも織り込まれている」と続けた。ブラジエ氏はブルームバーグのロンドンオフィスでインタビューに応じた。
中立金利は、景気を刺激も抑制もしない金融政策を指す。ブラックロックはこの中立金利が過去よりも高くなっているとみており、その背景には緩和的な財政政策に加え、特に人工知能(AI)分野での旺盛な投資支出などがあるとしている。
「これらの要因すべてが、経済を安定的に維持するために必要な金利水準を押し上げている」とブラジエ氏は説明した。
債券市場は長らく続いた低金利時代を経て、依然として新たな均衡点を模索している。ドイツの30年国債利回りはわずか4年前にはマイナス圏にあったが、現在は3.25%近辺で推移。英国の同年限利回りは最近、1990年代後半以来の高水準に達した。
2022年に当時のトラス英首相が打ち出した大型減税案に対する反応など、一時的に変動が生じた局面はあったが、利回り調整はおおむね秩序立って進んでいる。さらに、新規発行債には数十億ドル規模の需要が集まり、投資家の関心の強さを裏付けている。
財政改革への支持を得られず今週初めに首相が辞任したフランスでさえ、国債消化に苦労していない。長年にわたる放漫財政の結果、フランスの財政赤字はユーロ圏で最大となり、債務残高は1秒当たり5000ユーロ(約86万円)のペースで増え続けている。
それでも、フランスで先週実施された国債入札では、国民議会(下院)での信任投票を控えていたにもかかわらず旺盛な需要が確認された。ドイツ国債との10年物利回りスプレッドは、1月以来の高水準だった直近ピークの83ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から78bpに縮小した。
ブラジエ氏はこうした動きについて、投資家が「最終的にはフランスが財政状況を立て直す」と見込んでいることの表れだと語った。
ロシア人の妻の殺害犯アザマト・イスカリエフ受刑者(37)にとって、戦争は刑務所を脱出するための片道切符だった。
この男は2021年夏、離婚を望んだ妻を自分が所有する車内で刺殺し、殺人罪で9年の刑を受けた。刑期のまだ3分の1も服役していなかったが、ウクライナで戦うという見返りに釈放されて恩赦を受けた。
6カ月の戦場経験でも、自分を拒絶した女性たちに対する暴力的復讐心は和らげられず、民間生活に戻った後の昨年10月、口説いたのを拒んだ元恋人の女性を勤務先の店内で60回以上ナイフで刺した。そして7月、この残虐な殺人の罪で19年以上の刑を言い渡された。
イスカリエフ受刑者の事件を、サラトフ市の裁判記録と公判を追った地元報道を突き合わせて考えると、ロシアが今後直面しうる深刻な社会問題が見えてくる。戦争が終われば、恩赦を受けた受刑者を含む数十万の兵士が帰還するからだ。
国際組織犯罪対策グローバル・イニシアチブ報告書でロシア政府の動員解除後の難題について書いた英国のロシア専門家マーク・ガレオッティ氏は「25年初めの時点で合計して、おそらく150万人以上のロシア人の男性と女性が戦争に参加していた」と述べた。
「ますます多くの動員解除が始まるにつれて、ロシアは戦争の心理的影響を抱えた帰還兵の波に直面するだろう」と述べた。
クレムリンの消息筋3人によれば、この懸念は最高指導部にも届いている。プーチン大統領は、軍の一斉復員を潜在的なリスクと見なし、社会と自らが築いた政治体制を不安定にしないよう、慎重な対応を探っている。
ある消息筋は、狙いはソ連のアフガニスタン侵攻終結後に起きた社会的混乱の再現を避けることだと明かす。当時、帰還兵は組織犯罪の拡大を助長し、1990年代のソ連を荒廃させた。
同じ消息筋は続ける。民間生活に戻った兵士の多くは、いま受け取っている高額の給与のようには稼げず、不満が高まるだろう。たとえば、モスクワ出身の新兵はウクライナ戦争に参加した最初の年に、少なくとも520万ルーブル(約960万円)を得られる。うち、契約一時金は190万ルーブルで、モスクワの平均年収にほぼ匹敵する額だ。
大統領府、国防省、司法省はいずれも、ウクライナから帰還する部隊がもたらすリスクについてコメントの要請に応じなかった。
イスカリエフ受刑者は2件の殺人を認めて現在は重警備刑務所で服役しており、ロイターは接触できなかった。
帰還兵の管理は、ロシアだけの課題ではない。米退役軍人省によれば、ベトナム戦争に出征した米国人約270万人のうち、「かなりの少数派」が心理的・社会適応の問題に苦しんだという。
ウクライナ戦争には、他の多くの紛争と決定的に異なる点がある。両陣営が受刑者を前線に送っていることだ。
ロシア矯正当局とウクライナ情報機関のデータによれば、ロシアは2022年の侵攻開始以降、12万ー18万人の受刑者を兵士として採用した。
これまでに帰還した兵士の中心は、受刑者、重傷者、そして戦うには年齢が高いと見なされた人々だ。一方で、プーチン大統領は約70万人がウクライナで戦闘中だと述べる。大多数はなお前線にいる。
国防省は23年の規則改定で、イスカリエフのような受刑者をもはやウクライナから6カ月で動員解除して社会に戻さないようにした。政府当局者は犯罪者が一般の志願兵よりも有利な条件を受けているのは不公平だと述べる。現在は受刑者出身の兵士も通常の契約兵と同様に、戦争終結まで従軍を続ける必要がある。
<帰還兵が殺害した民間人>
ロシアの独立系メディア「ベルストカ」によると、昨年10月時点で約500人の民間人がウクライナ戦争の帰還兵の被害者となった。
ベルストカは報道やロシアの裁判記録を基にした軍事犯罪に関する公開情報を活用した。その結果、少なくとも242人が殺害され、227人が重傷を負ったと計算した。ロイターはこれらの数字を独自に確認できなかった。
ロシア当局は23年12月、プラハに拠点を置く出版社のベルストカを外国のエージェントに指定。ベルストカがウクライナでの軍事作戦に反対し、ロシアの政策について信憑性のない情報を流布しているとの見解を示した。ベルストカはこうした主張に対し、報道内容については、事実を徹底的に確認しており、100%確証のない情報は掲載しないと述べた。
消息筋の別の1人によると、ロシア政府は大量の兵士の帰還が厳しく統制された政治体制に及ぼす影響を恐れているという。
プーチン氏は既に、自らがウクライナで解き放った軍事勢力が国内で引き起こすかもしれない混乱の危険を経験している。23年6月、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者の故プリゴジン氏が、陸軍首脳に対し反乱を起こした事件だ。
別の情報筋によると、クレムリンはプーチン大統領の指示のもと、潜在的な問題を抑え込むため、複数の政策やプログラム、人事を総動員してきた。具体的には、昨年の地域選挙で退役軍人の参加を後押しし、来年の連邦議会選挙では彼らを候補として擁立する方針を進めているという。
プーチン氏は、ウクライナで戦った「戦士」を「真のエリート」の一員と呼び、彼らに栄誉ある職を約束した。またプーチン氏は民間部門の指導者を育てるための「英雄の時代」と呼ばれる指導者養成プログラムに個人的な関心を示している。
プーチン氏は6月の会合で「祖国に奉仕しようと意識的に決断し、その結果として個人的成功を収めた人々は徐々に一定の地位を占めていくべきだ」と述べた。
<アフガン帰還兵との相違>
1990年代の「アフガン帰還兵(アフガンツィ)」と呼ばれる帰還兵たちとの比較については意見が分かれる。彼らの多くは心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、一部は薬物やアルコールに対する依存に苦しみ、犯罪を増加させる一因となった。
息子をウクライナで失ったあるロシア人は、現在「ウクライナ帰還兵(ウクラインツィ)」と呼ばれる帰還兵たちは、国家の支援があるためアフガン帰還兵のような問題を避けられるだろうと語っている。
同様の見解を示す政府筋は、1989年のアフガン戦争終結が2年後のソ連崩壊につながり、権力と治安の空白が混乱を招いたと振り返る。ただ、今は事情が異なるという。政治体制も治安組織も強固になっているからだ。ただ、受刑者は特別なカテゴリーであり、リスクは当然ながら一段と高いとは認めた。
一方で、ウクライナ帰還兵はアフガン帰還兵よりも深刻化な問題をもたらす可能性があると主張する人たちもいる。
ソ連のアフガン侵攻を扱った著書「大いなる賭け」の著者、グレゴリー・ファイファー氏はロイターに対し、ウクライナ戦争は、ソ連の公式戦死者数が約1万5000人だったアフガニスタンより、はるかに多くの犠牲者を出した紛争になったと語った。
動員解除の難題を論じた報告書を執筆したガレオッティ氏も懸念を示す。帰還兵問題は「1990年代のような混乱の度合い」には達しないだろうとしつつ、「ウクライナ帰還兵は人口比でアフガン帰還兵よりもはるかに多い。深刻な問題が顕在化する恐れがある」と警告した。
トランプ米大統領が財政赤字を抑え込むために打ち出した最も具体的な措置である大規模な関税引き上げが、法的に覆されるリスクに直面している。米国の財政基盤が一段と不安定になりかねない。
トランプ氏とベッセント財務長官ら政権幹部は、共和党による減税、規制緩和、企業や海外からの大型投資が経済成長を押し上げて歳入を増やすことで、今後数年で連邦政府の借り入れ需要が縮小すると主張している。
多くのエコノミストはこうした見通しに懐疑的だが、関税引き上げが実際に財務省に新たな資金流入をもたらしている点については異論が少ない。
米財務省が12日発表した統計によると、2025会計年度(24年10月-25年9月)の米関税収入は1カ月を残した時点で1650億ドル(約24兆4000億円)に達した。前年度からおよそ950億ドル増加したことになる。
増加分の大半は、トランプ氏が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動した関税によるものだと、ブルームバーグ・エコノミクスの分析は示している。しかし、8月29日の連邦控訴裁判所判決は、この措置の合法性に疑義を投げかけた。
トランプ氏は最高裁に上告しているが、有利な判断が示されなければ、政府が巨額の資金を返還する必要が生じる可能性があるとベッセント氏は警告している。同氏は最高裁がホワイトハウスの主張を支持すると確信を示している。
関税収入は年間ベースで3000億ドル以上に上るとベッセント財務長官は予測しおり、これは米国内総生産(GDP)の実質1%に相当する。
この水準の収入は、GDP比6%を超える財政赤字を10年間で3%程度に減らすというベッセント氏の目標に寄与するはずだ。それが失われれば、米国の借り入れ需要を和らげる根拠は、経済成長や生産性向上への期待だけなると債券投資家やエコノミストはみている。
ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は「裁判で財務省側が敗れた場合、赤字拡大を望まない政権は何らかの政策対応を取るだろうが、それが何かは分からない」と語った。
不透明感は企業や経済全体のコストを重くするだろう。景気減速や労働市場の軟化が進めば歳出増と歳入減を招き、財政赤字を一段と拡大させかねない。
エール・バジェット・ラボの推計によると、問題となっているIEEPAに基づく関税が無効と判断されれば、今後10年間で約1兆5000億ドルの歳入が失われ、残る関税収入は4960億ドルにとどまる見込みだ。
多くのエコノミストは長期的に米国の関税収入が従来想定を大きく上回るとみているものの、最高裁が一部関税を無効とし、大規模な返還を命じれば、債券投資家に米財政全体の進路を改めて意識させるリスクがある。
関税は借り入れ増の抑制要因と受け止められている。S&Pグローバル・レーティングは先月、米国のソブリン格付けAA+を維持した際、新たな関税収入の推移を考慮に入れたと明らかにした。
ジェナディー・ゴールドバーグ氏らTDセキュリティーズのストラテジストは今月のリポートで「市場は、多額の関税返還が財務省の財政を圧迫する可能性に神経質になるかもしれない。特に、関税収入が長期的な米政府債務の改善につながると複数の格付け会社が最近指摘していることを踏まえればなおさらだ」と記した。
保守派活動家チャーリー・カーク氏は、JD・バンス氏に大きな期待を寄せていた。
「私はJDが素晴らしい大統領になると考えていることに何の疑いも抱いていない」。カーク氏は4月、これまで未公開だったインタビューでウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)にこう語った。
2人は10歳の年齢差を越えて友情を育み、それがバンス氏を副大統領の座へと押し上げる一助となった。カーク氏はいずれはバンス氏に大統領になってもらいたいと考えていた。
2人の関係は2017年に始まった。バンス氏がFOXニュースの番組に出演した後、カーク氏がソーシャルメディアでバンス氏にメッセージを送ったことがきっかけだった。その後数年間、カーク氏は自らの持つ大きな影響力を駆使してバンス氏の上院議員就任という新たな野望を後押しし、ドナルド・トランプ氏の副大統領候補としての地位を確固たるものにした。
その過程で、カーク氏とバンス氏は強い絆を築いた。2人は定期的に連絡を取り合い、家族について話したり、グループチャットで冗談を言い合ったりした。
2021年、バンス氏が激戦が予想されていたオハイオ州上院予備選への出馬を検討していた際、最初に連絡を取った人物の1人がカーク氏だった。
カーク氏は自らが設立した政治団体が主催したイベントで、バンス氏を献金者らに紹介した。「彼には私にそんなことをする理由もなければ、私が成功するとの期待があったわけでもない」とバンス氏はXへの投稿で振り返った。「彼がそうしたのは、私たちが友人だったからであり、彼が善良な人物だったからだ」
カーク氏は、バンス氏の支持率が1桁だった時期に支持を表明した最初の著名人の1人だった。これが上院予備選の流れを変え、バンス氏の当選につながった。
カーク氏はバンス氏を、共和党員と無所属層に効果的に語りかけることができ、従来は民主党に投票してきた労働者階級の有権者の心をつかむことができる人物だとみていた。「彼は普通で地に足がついているのに、才能があり知的なんだ」とカーク氏は4月のインタビューで語った。
昨年、トランプ氏の副大統領候補の最終候補者の名前が取りざたされ始めると、カーク氏はバンス氏を援護した。トランプ一族との個人的な会話でバンス氏を推し、公の場でも支持を表明したと、元選挙運動スタッフは語った。
10日、銃撃事件の報道が流れると、バンス氏のグループチャットはカーク氏の無事を祈るメッセージであふれた。ホワイトハウスで会議中だったバンス氏は、そこで事件を知ったという。
午後3時少し前、トランプ氏がカーク氏の死去を発表した。
「友よ、よく頑張った」とバンス氏は述べた。「ここからは私たちの番だ」
スウェーデンのクラーナ
欧州で最も価値の高いフィンテック企業の一つである同社は、大規模な新規株式公開(IPO)の基盤を築き、欧州の取引所に目を向けず、ニューヨークに目を向けた。
クラーナの動きは、株式公開で見られる乖離を象徴しており、急成長する米国とアジアが、分裂した欧州を置き去りにしている。
ファクトセットのデータによると、今年これまでに北米での新規株式公開は153件で177億ドルを調達したが、欧州では57件の上場からわずか55億ドルしか調達していない。
この乖離は世界的な現象でもあります。「アジアは今年、非常に活発な動きを見せ、当社の強みとリーダーシップの原動力となっています」と、UBSの株式資本市場(ECM)グローバル共同責任者であるトミー・ルーガー氏は述べています。「欧州にも活況を呈する地域があり、今年後半から2026年にかけて活動が加速すると予想していますが、年初来では北米とアジア太平洋地域の新規発行が牽引しています。」
JPモルガンのグローバル・キャピタル・マーケット責任者ケビン・フォーリー氏も同様の見解を示しており、同氏は年内に米国で30件を超える取引の強力なパイプラインを予測する一方で、欧州市場は「低調」と述べている。
なぜヨーロッパは遅れをとってしまったのでしょうか?
欧州のIPO市場の健全性は、同地域の証券取引所、投資銀行、アドバイザー、金融報道機関、そして株式公開市場への参入を検討している企業の幹部にとって懸念材料となっている。
不安定な市場における上場までの道のりの長さと予測不可能性こそが、大きな不満の原因となっている。
「IPOのプロセスはかなり長く、その過程で市場リスクを負う可能性がある」と、みずほ証券のEMEA地域ECM共同責任者で、欧州企業とアジアの投資家をつなぐ役割を担う東京での講演で語ったジョナサン・マレー氏は述べた。
上場プロセスは、企業の上場準備状況に応じて、3ヶ月から12ヶ月かかる場合が多い。この長期にわたる期間中、市場全体の変動や、同業他社の株価急落によって取引が頓挫する可能性があり、投資家を動揺させ、評価指標を一夜にして変える可能性がある。
例えば、MSCIフランス指数は今年、わずか4.5%しか上昇していません。他の主要な欧州指数は、春に急落した後、8月以降ようやく回復したばかりです。「米国、中国、日本が高値を更新する中、欧州はAI支援の不在と地政学的な懸念から、レンジ相場で推移しています」と、バークレイズの株式ストラテジスト、エマニュエル・コー氏は指摘しています。
みずほ証券のマレー氏によると、欧州企業の上場に大きく貢献するプライベートエクイティファームにとって、M&A取引の確実性は、土壇場で失敗する可能性のある上場のリスクを負うよりもはるかに魅力的であることが多いという。これは特に、IPOで完全に撤退せず、そのため株式のアフターマーケットでのパフォーマンスを非常に懸念しているスポンサーにとって当てはまる。
しかし、一部の銀行家は、欧州での新規株式公開(IPO)の不足は、公の精査に耐えうる適切な企業の不足が原因かもしれないと考えている。
ジェフリーズのEMEA地域ECM共同責任者、ルカ・エルピチ氏によると、市場は2021年の活況期に比べ、上場できる企業を「引き続き厳選している」という。
「市場は秩序ある状態にあると考えています」とエルピチ氏は述べた。「市場に出てくるものに対して、質の高いフィルターをかけることが重要です。ハードルは依然として高いものの、(第4四半期には)大型案件がいくつか出てくるでしょう。2026年と(2027年)に向けて、強力なパイプラインが構築されつつあります。」
この「品質フィルター」こそが、PE支援によるIPOのパイプラインが停滞している主な理由です。エルピチ氏によると、PEポートフォリオに含まれる多くの企業は、上場市場には適していません。上場市場は「上場市場が求めるリターンの一貫性」を求めているからです。四半期ごとに安定したリターンを得られなかった企業は、非上場市場の方が適していると言えるでしょう。
例えば、ヨーロッパ最大のPEファームの一つであるEQTは、スキンケア会社ガルデルマの2024年上場を成功させ、この傾向に逆らった。
株価はIPO以来125%以上上昇しており、EQTは今年さらに53億スイスフラン(66億ドル)相当の株式を売却することができ、高品質資産が依然として成長可能であることを証明した。
今後については、取引データルームプラットフォーム「データサイト」によると、今年上半期のIPO予定取引数は世界全体で昨年同時期比2%増加しており、今後6~9カ月間に発表される可能性のある取引量が示されている。
しかし企業と資本は米国に流れている
最近デジタル資産会社イーサ・マシンを買収したSPACスポンサーのアンドレイカ・ベルナトヴァ
25億ドルの取引で株式を公開した同氏は、米国市場の優位性は「厚みと流動性」に支えられている、と述べた。
「流動性が鍵です」とベルナトヴァ氏は述べた。「取引の流動性がなければ、上場しても意味がありません。」
一方、欧州は規制の断片化に悩まされています。米国にはニューヨーク証券取引所やナスダックなど複数の取引所がありますが、それらはすべて証券取引委員会( SEC)の監督下にある単一のシームレスな規制枠組みの下で運営されています。欧州では、各国の規制当局がバラバラに存在しているため、複雑さと摩擦が生じ、投資家と企業の足かせとなっています。
ベルナトバ氏は、AIやエネルギー転換など将来の資本集約型産業は、成長に必要な「数百億から数千億」の資金を調達するために米国市場を活用する以外に選択肢がないと示唆した。
ジェフリーズのエルピチ氏も概ね同意したが、クラーナのような強力な企業は自国市場を含めどこでもIPOを成功させることができると述べた。
同氏は、スウェーデン企業のニューヨーク上場は、欧州で上場できないものの代替案というよりも、長期的な成果を最適化するためのものだと述べた。「自国で成功できない企業にとって、米国は解決策ではない」
先週は、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、そして雇用者数の年次修正という、市場を動かす3つの経済指標が発表され、来週のFOMC会合に向けた投資家の期待形成に影響を与えました。全体として、データは引き続き経済環境の弱まりを示唆しています。総合CPIは前月比0.4%上昇し、年率では2.9%に上昇しましたが、その上昇は主にサービス業に留まりました。食品とガソリンが上昇に大きく寄与し、住宅費は堅調に推移しましたが、前月と比べると若干減速しました。住宅費はCPIの42%を占めることから、住宅市場全体の弱さが続く中で、インフレ率が現在の水準から上昇するリスクは低いと考えられます。
生産者物価指数はより微妙な様相を呈した。8月の生産者物価指数(PPI)はわずかに下落したものの、 食品、エネルギー、貿易を除いた「コア」 PPIは依然として0.3%上昇し、年率換算で2.8%の上昇となった。このデータは、特定の財や貿易マージンにおける需要の弱まりが顕著である中、生産者が関税を吸収し続けていることを反映している。さらに、両指標ともインフレが正常化を続けており、懸念されていた水準よりは改善しているものの、政策当局が望む水準にはまだ達していないことを示している。
労働市場データは、さらに大きな影響力を持っていました。先週の #BullBearReportで指摘したように、8月の非農業部門雇用者数はわずか2万2000人増で予想を大きく下回り、失業率は4.3%に上昇しました。しかし、今週のレポートでより重要なのは、暫定的な基準改定であり、 過去12ヶ月間で 91万1000人の雇用が減ったことです。この改定は、雇用増加数が月平均約7万1000人となり、以前の推定約14万7000人から減少したことを意味します。 雇用は消費者の経済需要の増加を可能にするため、このデータは見逃すべきではありません。企業利益率と経済成長率の現在のギャップを考えると、今後数ヶ月で投資家が失望するリスクが高まっています。
見通し:やや強気/慎重に建設的 – インフレ率は依然として理想よりも堅調だが、労働市場の脆弱性がFRBの政策判断を歪めている。国債利回りの急低下は、債券トレーダーが経済成長の鈍化を予想していることを裏付けており、株式市場には短期的な安心材料となるものの、長期的には経済の持続性に関する懸念が高まっている。
📈技術的な背景
前述の通り、市場は、堅調ながらも鈍化しているインフレと雇用の軟化を、9月のFOMCでの利下げを支持する材料と捉えました。株式市場は夏の上昇を持続し、S&P 500は過去最高値付近で推移しました。カーソン・リサーチの調査によると、市場は4月の安値から30%の上昇を記録しており、これは史上最速水準の一つであり、今後数ヶ月間のさらなる上昇を示唆しています。
しかし、最も劇的な反応は米国債市場からのものだった。利回りは全般的に急落し、特に 連邦準備制度理事会(FRB)の政策変更に先行する傾向がある2年国債は、 9月17日の25ベーシスポイントの利下げだけでなく、年末にかけての追加緩和の可能性の高まりも織り込んだため、週ベースで20ベーシスポイント 近く下落した。2年国債の利回りは、FRBが約80ベーシスポイントの利下げで出遅れていることを示唆している。
投資家が今後の成長鈍化を予想する中、 10 年債利回り も低下し、逆イールドカーブのフラット化が進んだ。このハト派的な利上げは、労働市場の状況が悪化した際にFRBの期待がいかに急速に変化するかを示すものであり、マクロ経済指標の弱まりに対する最初の反応者としての債券市場の役割を浮き彫りにしている。
テクニカル的には、株式市場は持ちこたえているものの、株価疲労の兆候が強まっている。S&P 500は、最近の抵抗線に接近し、それを突破した後、20日、50日、200日といった主要移動平均線を上回って推移している。例えば、50日移動平均線は着実に上昇しており、反落を支えている。また、200日移動平均線は長期トレンドを支え続けている。短期的には、ここ数日のローソク足は小幅な値動きと日中の反転の増加を示唆しており、高値圏での強気派の攻勢が弱まっていることを示唆している。
先週、市場が史上最高値を更新する中、モメンタム指標は引き続きマイナスの乖離を示しています。過去数週間にわたりこうした乖離は確認されていますが、市場トレンドは概ね強気です。ストキャスティクス・オシレーターは短期的には買われ過ぎの状況を示し、時折反落も見られますが、まだ大きな 「売りシグナル」は 見られません。一方、幅の広さは依然として懸念材料です。52週高値の更新数は全銘柄と比較して少なく、多くの中小型株は引き続きリードする大型株/メガキャップ銘柄に後れを取っています。言い換えれば、市場は上昇をますます少数の銘柄 (多くの場合、グロース株/AI関連またはテクノロジー関連銘柄)に依存している状況です 。
サポートとレジスタンスレベル: S&P 500の短期的なサポートは20日移動平均線(約6,500)にあります。 50日移動平均線はおおよそ約 6,400付近ですが、前回の反落と関連して、約6,200 付近にはより深いサポートがあります 。レジスタンスは直近の高値である 6,600~ 6,700 付近 (50日移動平均線から2~3標準偏差上)にあります。注目すべきは、 VIXで測定されるボラティリティが 比較的低調に推移していることです。
見通し:中立/やや強気(ガードレール付き) – トレンドは依然として上昇傾向にあり、テクニカル面でも健全です。しかし、モメンタムは減速しつつあり、幅は依然として脆弱な状況です。トレーダーは反落や値固めの可能性を想定する必要があります。引き続きリスク管理を徹底してください。
💰 カバードコール戦略の暴走
2021年以降、コールオプションの投機は爆発的に増加しました。景気刺激策に沸き立ち、手数料無料のプラットフォームを利用する個人投資家は、短期オプションに殺到しました。ゲームストップやAMCといったミーム銘柄は、レバレッジをかけた取引の場となりました。2022年までに、週次コール取引量は過去最高を記録しました。トレーダーはもはや株式を買うのではなく、上昇局面の買いに転じました。投資の考え方はギャンブルへと変わり、ゼロデイオプションの大量取引や、短期的な動きを狙った3倍のレバレッジ取引が行われました。最近の #BullBearReportでは、これがオプションの爆発的な増加であると指摘されています 。
さらに、ミーム関連銘柄のオプション取引量は過去最高を記録しており、短期の0DTE(満期日ゼロ日)契約がS&P500オプションの1日あたりの取引量の61%以上を占めています。そのうちの半分から60%は、個人投資家による「ミーム市場」の取引量です。この感覚は、投資というよりギャンブルに近いと感じます。
この行動は市場を歪めました。コール取引量の多い銘柄は、ディーラーがエクスポージャーをヘッジしたため、不自然な上昇を見せました。ボラティリティは急上昇しましたが、それは恐怖からではなく、貪欲からでした。この力学は今日でも市場に影響を与えており、コールオプションは依然として投機の手段として好まれています。しかし、注目すべきは、0-DTEオプションだけでなく、コールオプション全般に当てはまるということです。
しかし、これらのコールオプションの多くは投機家が上昇リターンに賭けているのに対し、カバードコールの売りは今や 投資家にとって「人気のスポーツ」となっています 。何が起こっているのかをより深く理解するには、まずコールオプションとは何か、そしてどのように機能するかを理解する必要があります。
コールオプションは、特定の期日までに特定の価格(権利行使価格)で株式を購入する権利(義務ではありません)を購入者に与えます。購入者はその権利に対してプレミアムを支払います。株価が権利行使価格を上回れば、購入者は利益を得ます。そうでなければ、オプションは無価値となり、失効します。購入者にとってのリスクはプレミアム(つまり、投資額全額)を失うことですが、その一方で、リターンはコストを差し引いた無制限の利益となります。
この取引のもう一方の側は、「カバードコール」と呼ばれるものです 。
この場合、投資家は(売り手が)既に保有している株式のコールオプションを売却します。「売り手」が原資産となる株式を保有している場合、そのポジションは「カバードコール」状態となり、これが「カバードコール」と呼ばれます。この場合、売り手はカバードコールの売却プレミアムを受け取りますが、株式は合意された特定の権利行使価格で売却することに同意します。
実質的に、カバードコールはポートフォリオの保有資産を収益化します。このオプション戦略を採用する投資家は、原資産となる株式を保有し続け、それに対するコールオプション契約の売却からインカムを得ます。言い換えれば、投資家は現在のインカムと引き換えに、キャップドゲインを受け入れることになります。この戦略のリスクは、原資産となる株式が急騰した場合、プレミアムを受け取ることで上昇余地を放棄してしまうことです。しかし、株価が下落した場合、プレミアムは下落を若干緩和しますが、元本を完全に保護することはできません。
アウトライト・コールの買いとは対照的に、カバード・コールは、既存の株式エクスポージャーから利回りを引き出すことを目的とした、構造化されたルールベースのツールであるため、より保守的であると考えられています。これは通常、長期投資家、インカムゲインを求める人、そして未実現利益を抱え、売却せずにリスク管理する方法を探している人に適しています。投機がニュースの見出しを独占する今日の市場において、カバード・コールは、オプションを実際の投資計画の一部としてより冷静に活用する方法を提供します。
しかし、よくあることですが、ウォール街は人気が出た戦略を喜んで収益化します。問題は、提供される商品が、期待されるほど収益性が高くない可能性があることです。
カバードコールETFの登場
歴史的に、カバードコールのポートフォリオと戦略は投資の世界においてニッチな存在でした。どの市場においても、希少性は価値を生み出し、普及は投資成果を希薄化させます。2021年以降、コールオプションの急増に伴い、投資家は市場から利益を得るためのあらゆる方法を模索し始めました。高バリュエーション市場における利回り追求は、オプションベースの戦略への巨額の資金流入を促しました。ウォール街はこれらの戦略への需要増加を目の当たりにし、 「チャンスを逃したくない」という思いから 、様々なデリバティブ・インカムETFを市場に投入し、現在では運用資産残高(AUM)は1,500億ドルを超えています。これらのカバードコールに特化したETFとSMAは、今年2兆7,500億ドルから3兆1,500億ドルに増加すると予測されています。
当然のことながら、個人投資家や機関投資家がこの戦略を採用しています。特に、ハイテク株の旧来の保有者、企業内部関係者、さらにはヘッジファンドが、即時のキャピタルゲイン税を課すことなく株式ポジションを収益化するためにカバードコールを活用していることが挙げられます。この戦略によって得られるインカムは、ポートフォリオのボラティリティを低下させ、レンジ相場におけるリターンの向上に貢献します。
しかし、個人投資家にとっての魅力は、税効率やカバードコールのインカム創出ではなく、高利回りの代替投資への関心にある。JEPI、QYLD、XYLDといったETFは爆発的な成長を遂げている。JEPIのポートフォリオは、株式へのエクスポージャーと株式連動債を活用し、10%近くのインカムを分配している。QYLDはナスダック100の月次コールオプションを販売しており、利回りは12%を超えている。SPYIも同様の構造でS&P 500をターゲットとしている。こうした利回りを考えると、債券利回りが停滞し、株式市場が過去最高値に達する中で、投資家がこれらのファンドに資金を投入するのは当然のことだ。
しかし、S&P500指数を購入するよりも良いリターンを得ているのでしょうか?下のチャートは、JEPI、QYLD、XYLDをS&P500指数の純パフォーマンスと比較したものです。この場合、パフォーマンス・リターンには配当 (配当再投資)が含まれています。
次のグラフは同じ分析ですが、配当金を除外して、基礎となる保有資産の生のパフォーマンス (配当金は再投資されません)を示しています。
古い諺にもあるように、 「ウォール街にタダのランチはない」。
投資家は、 S&P 500のカバードコール戦略でS&P 500のパフォーマンスと10~12%の配当利回りの両方を得られると 「考えている」 はずです。しかし、実際にはそうではなく、投資家はS&P 500指数のみに投資した方が得策だったでしょう。
言い換えれば、カバードコールETFの問題点は、 「高利回り」を売り文句に販売されていることであり、健全な投資というよりはむしろ「心理的」な投資 となっている 。当然のことながら、市場の上昇は高バリュエーションへの不安を煽り、投資継続を望む投資家を利回り追求へと駆り立てた。しかし、彼らはこれらの商品によって、認識していた以上に大きなリスクを負っている可能性が高い。
常にそうであるように、 「リスク」 とは単に元本の損失だけでなく、長期的な機会損失も意味します。カバードコールは、完全なエクスポージャーなしで利回りが得られる中間的な選択肢のように思えるかもしれませんが、結果とパフォーマンスの差は大きく開く可能性があります。 重要なのは、これらの商品は、安定したボラティリティと低いドローダウンを前提としているため、市場が安定していることを前提としている点です 。どちらかが変化すれば、インカムは蒸発し、価格は急落する可能性があります。これでは投資元本の減少を防ぐことはできません。むしろ、プラスになるどころか、足かせになりかねません。
これらのETF戦略への追随は、かつては保守的だった投資戦略をリスク商品へと変貌させました。今日のリスクは、現在の行動を駆り立てている高い自己満足感が、何も問題が起きないという前提に立つことで、投資家にとってより投機的な結果を生み出していることです。
残念ながら、歴史的に見て、こうした仮定は常に間違っています。
あまり語られていないカバードコールETFのリスク
高バリュエーション市場における利回りへの需要は、単純なインカム戦略を全く別のものに変貌させました。当初は保守的な増分リターン獲得戦略として始まったものが、今では市場への参入は望んでいるものの下落リスクを懸念する投資家向けに、高利回り商品としてパッケージ化され販売されています。
しかし、前述の通り、投資家がカバードコールETFに期待するパフォーマンスと、実際に期待されるパフォーマンスの間には乖離があります。さらに重要なのは、これらのETFは回復期に出遅れるだけでなく、下落期には大きく下落する傾向があることです。下のチャートは、2022年の弱気相場におけるJEPIとSPYの推移を示しています。ETFは下落期には市場をわずかに上回りましたが、回復期の大幅な出遅れにより、近年では30%のパフォーマンス格差が生じています。
投資家は、こうしたカバードコール戦略が投資の「聖杯」 であると信じ込まされてきた 。しかし、時が経つにつれ、純粋な株式エクスポージャーに追いつかなくなり、強気相場ではアンダーパフォームし、急回復局面でも出遅れる。さらに重要なのは、弱気相場では下落してしまうことだ。
それでも投資家は買い続ける。バランスや分散投資のためではなく、利回りを追い求めているからだ。もはやリスク管理ではなく、投機の仮面を被った行為だ。
ボラティリティは低く、インカムは安定しているというこの慢心こそが真の危険です。それが変化した瞬間、これらの戦略はインカムを生み出すものからポートフォリオの足かせへと変貌します。その仕組みは以下のとおりです。
市場の調整によりNAVは下落します。カバードコールETFは株式のロングポジションを維持します。市場が下落すれば、ETFも下落します。
プレミアムは消え去ります。実際の景気後退では、オプション価格は混乱をきたします。誤った理由でボラティリティが急上昇しても、高い利回りは得られません。
コールは反発を抑制します。市場が急回復した場合、反発の機会を逃し、保有株はコールされ、傍観者となることになります。
流動性が問題となります。資金の流れが逆転すると、ファンドマネージャーはプレッシャーを受けてオプションをロールオーバーするか、ポジションを売却せざるを得なくなります。これにより摩擦が増し、強制売却につながる可能性があります。
行動上の罠が出現する。投資家はこれらの商品を債券のように扱い、損失が発生するとパニックに陥る。そして、間違ったタイミングで売却し、悪い結果を確定させてしまう。
防御戦略が高利回りの売り文句に変わると、このような事態が発生します。構造やリスクを理解せずに収益を追い求めると、ヘッジではなく、何も壊れないことに賭けていることになります。
しかし、市場は崩壊する。これまでもそうだったし、これからもそうだろう。
ここでの真のリスクは、元本損失だけではありません。機会損失です。 もう一度読んでみてください。時間の経過とともに、上昇余地が制限されると、市場の複利効果は低下します。したがって、最悪のドローダウンを回避できたとしても、依然として出遅れてしまいます。上昇局面を逃すことによる複利効果は、急落と同じくらい大きなダメージを与える可能性があります。
カバードコールETFの台頭は、利回りによる安全感という心理的錯覚を生み出しました。 しかし、安全とは保証ではなく、保全に関するものです。
これらの商品は、実際のボラティリティでのパフォーマンスではなく、価格に基づいて販売されています。 この乖離は次の景気後退期に顕著になるでしょう。そうなると、カバードコールに安心感を求めていた投資家は、もはや必要のない、そして完全に理解していなかった商品を保有していることに気づくかもしれません。
ウォール街は 「タダ飯」を売りつけてきた。 しかし、請求書が届いた時、利回りではそれをカバーできないだろう。
🔑 来週の重要な触媒
市場はFRBの利下げを改めて織り込み始めており、今週は影響力の大きい経済指標とFOMCの決定に注目が集まります。市場は非常に楽観的で、今週のFRB利下げ期待から上昇傾向にありますが、FOMCがよりタカ派的な姿勢に傾けば、価格は下落する可能性があります。
見通し: 短期間で高レバレッジイベントが多数発生しているため、ボラティリティリスクが高まっています。FRB (水曜日)のイベントが今後の動向の 支点となります。リスク市場は、 9月の「ドットプロット」が据え置きまたは下方修正される 「十分にハト派的な」利下げを歓迎するはずです。 しかし、インフレ率 (特にコアインフレ率) が低迷を続ける場合、または雇用統計が予想外の上振れとなる場合、レジスタンスゾーンは維持される可能性があり、サポートライン(6,500 / 6,350~6,400)への反落が予想されます 。トレーダーは、利回り曲線、幅、そしてオプション市場構造全体にわたるシグナルに注意する必要があります。防衛筋が、大幅な変動を織り込み始める可能性があります。
両陣営の一部の評論家は、これが第三次世界大戦につながる可能性があると考えています...
NATO軍は、今週初めにロシアの無人機の一部がポーランドに進路を変えた後、特別 作戦 開始以来初めてロシアの無人機を直接迎撃したが 、この前例のない事件は、ここで説明されているように、NATOの妨害によるものであると主張されている 。
両陣営の一部のコメンテーターは、これが第三次世界大戦につながる可能性があると指摘しているが、NATOがロシア(カリーニングラードだけでも)やベラルーシへの爆撃といった物理的な対応をするとは考えられていないため、これは非現実的なシナリオだ。最も可能性の高い5つの結果は以下の通りだ。
* 「EU防衛線」が「ドローンの壁」に
新たな鉄のカーテンとして機能する「 EU防衛線」として総称される「バルト防衛線」とポーランドの「東の盾」は、欧州 委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長の示唆通り、近々最先端の対ドローン能力を備える可能性がある。フォン・デア・ライエン委員長は、 バルト諸国が長年望んでいた「ドローンの壁」ともなる「東方側面監視」の構築について語り、この計画をポーランドとフィンランド の双方に拡大することは理にかなっていると述べた 。
* ポーランドはバルト諸国における軍事的影響力を拡大している
中央ヨーロッパで最も人口が多く、繁栄した旧共産主義国であり、 NATO加盟国で既に第3位の軍隊を擁するポーランドは、「対ロシア防衛」を口実に、この地域における軍事的影響力を容易に拡大することができる。カロル・ナヴロツキ新大統領は 今夏、「三海構想」がその実現手段となることを 示唆し、 最近のリトアニア訪問の際には「我々はバルト諸国を含む中央ヨーロッパ全域に責任を負っている」と明言した。
* 米国はポーランドでの軍事プレゼンスを拡大
ポーランドは長年にわたり米軍の増派を求めており、トランプ大統領は 先月のナヴロツキ外相のポーランド訪問時に「彼らが望むなら、もっと派遣する」と 発言し、この要請に応じる意向を示した。水曜日に「さあ、始めよう!」とツイートした のも、まさにこのことを念頭に置いていたのかもしれない。今年初めに「ポーランドは再び米国の最大のパートナーになるだろう」と「トランプ大統領が中央ヨーロッパから米軍を全軍撤退させたり、NATO第5条を放棄したりする可能性は低い」と評価されたように、これは可能性としてあり得る。
* ポーランドがNATOのスカイシールドの一部をホスト…
可能性は低いものの、ポーランドがNATOのスカイシールドの一部を担う可能性も依然として残されている。これは、 NATOの東側を守るため 、あるいは この傘をウクライナ西部にまで拡大するためであり、後者は 提案されている安全保障上の保証と整合する。 ポーランドに駐留する1万人の米軍は、 ロシアがこれらの資産を意図的に標的にすることを抑止するだろうという安心感を与えるかもしれない。ましてや、さらに増派されればなおさらだ。しかし、 世論は 、このシールドをウクライナと共有するのではなく、ポーランドに集中させ続けるかもしれない。
* …しかし、対応はここまでだ
前述のシナリオがどうなろうとも、ポーランドはウクライナへの派兵といった更なる措置を取るつもりはない。ナヴロツキ氏はこれを 否定している 。 時折憶測が飛び交うものの、ポーランドは復讐心を抱いていない。数百万人に及ぶ超国家主義的なウクライナ人がポーランド軍に対してテロ攻撃を仕掛ける可能性もあるため、ポーランドはそうした事態への責任を負いたくないからだ。ポーランドは既に、 援助資金の回収 、ひいては利益を得るために土地や港湾の賃貸を検討しており 、ロシアとの熱戦を含め、そのようなリスクを冒す必要はない。
全体的に見て、ポーランドは先週の事件の後、任務拡大の罠を回避すると予想されている。ウクライナ紛争への関与を今以上 にエスカレートさせることで得られる潜在的利益は リスクに見合わないと、かなり以前に結論づけているからだ。
ポーランドが期待していたのはせいぜいNATOのスカイシールドの一部を受け入れることくらいだが、戦時中あるいは戦後にウクライナへの拡大は米国がポーランドに安全保障の保証を与えた場合にのみ実現する可能性が高く、トランプ大統領はそれに興味がないようだ。
米国国勢調査局が火曜日に発表した新たなデータによると、米国の高齢者の貧困率は2024年に上昇する見込みだ 。
アンナ・フレックが下のグラフで示しているように、昨年、米国の65歳以上の成人の9.9%が貧困を経験しており、2023年の9.7%から増加しています。
インフォグラフィック:2024年、米国の高齢者の貧困率は上昇傾向 | Statista
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貧困 率は18歳未満が最も高かったが、このグループの状況は2023年の15.3%から2024年には14.3%にわずかに改善し、18歳から64歳の間でもこの期間に10%から9.6%に減少した。
このグラフは、税引き前の現金収入に基づいており、長期にわたる広範な国家経済の動向を追跡するためのベンチマークとして引き続き使用されている公式の貧困指標を示しています。
2009年には、補足的貧困指標(SPM)と呼ばれる追加指標が導入されました。公式指標とは異なり、税引き後のSPMは、食料や住宅の補助金、医療費の自己負担額といった要素を考慮し、実際の支出を反映した貧困ラインと比較します。また、住宅費の地域差も考慮に入れます。2024年には、高齢者のSPM率は、過去2年間の14%から15%に上昇しました。この指標によると、65歳以上の高齢者は全年齢層の中で最も高い貧困レベルを示しました。
この増加は、パンデミックの終息に伴う支援プログラムとインフレが一因となっている。
人権団体の全米高齢者評議会(NCOA)は火曜日の統計を見て、削減が続けば米国の高齢者に深刻な悪影響が出るだろうと警告する声明を発表した。
「パンデミックの間、個人や家族を支援した結果 、高齢者の貧困率は9.5%まで低下しました。しかし、支援がなくなると貧困率は上昇しました」と、同団体のラムジー・アルウィン会長は述べた。
補足栄養支援プログラム(SNAP)、メディケア貯蓄プログラム(MSP)、メディケイドといったプログラムは、切実に必要とされる支援を提供しており、今後も継続していく必要があります。しかし、最近施行されたSNAPの削減は、高齢者の飢餓を増大させ、またメディケイドの削減は、高齢者の病状悪化につながるでしょう。
NCOAは、メディケアの低所得受給者が医療費や処方薬を買えるようにする「患者と医療提供者のためのメディケア改善法(MIPPA)」を再認可し、全額資金を提供するよう議会に求めている。
アメリカの大都市はかつて繁栄と文化の象徴でした。しかし今、多くの都市が犯罪の急増と企業の撤退によって、大きな経済的代償を払っています。ある論説記事の一節はこう述べています。「犯罪にはバランスシートがある。しかし、リーダーシップが欠如している都市では、そのバランスシートは日々赤字を垂れ流している。」
フォックスニュースのテッド・ジェンキン氏の論説によると、小売業が最も大きな打撃を受けている。全米小売業協会(NRF)は、米国の小売業者が窃盗で2022年に1120億ドルの損失を被ると報告した。これは2021年の940億ドルから増加している。2019年から2023年の間に、万引き事件は93%増加し、損失額は90%上昇した。大手チェーンは撤退している。ターゲットは今年の追加損失を5億ドルと予測し、ウォルグリーンはサンフランシスコ全域の店舗を閉鎖し、ノードストロームはダウンタウンから完全に撤退した。
「これほど多くの小売店が、逮捕される心配がないと知りながら、商品の多くを施錠して保管しなければならないのは、正気の沙汰ではないと思えますか?」と記事は問いかけている。その影響は、空き店舗と市の予算削減に如実に表れている。サンフランシスコのダウンタウンの空き店舗率は34.8%に達し、雇用、税収、そして歩行者数が減少している。
被害は小売業だけにとどまりません。シカゴでは、暴力犯罪と露天の麻薬市場が高級マンションの価格を下落させ、学校やインフラ整備の財源となる固定資産税収入を減少させています。ニューヨークでは、収監費用は受刑者1人あたり1日925ドル、年間33万7000ドルに上り、ニューヨーク市警の残業代は急増しています。しかし、批判的な人々は、経営陣がコストのかかる「逮捕、釈放、そしてその繰り返し」という悪循環を繰り返していると批判しています。
コラムによると、観光業も低迷している。今年のニューヨークへの海外からの観光客は約200万人減少すると予想されており、この減少により2025年にはニューヨーク市は40億ドルの損失を被る可能性がある。コンベンションや観光客は安全ではないとされる目的地を避けており、ホテル、レストラン、そして地域経済の疲弊につながっている。
結局のところ、犯罪のコストは棚から盗まれたものよりもはるかに大きい。それは失業、不動産価値の下落、増税、そして評判の低下といった形で現れる。記事は「真の犯罪は街頭で起こっているだけではない。リーダーシップの欠けた民主党支持の都市の予算の中にあり、混乱のコストは数十億ドル規模に上る」と結論づけている。
フランスのフランソワ・バイルー首相は議会の信任投票で否決され、政権は終焉を迎えた。市場は概ね落ち着いた状態を保っているものの、これはフランスの債務危機が先送りになったことを意味するものではない。
エマニュエル・マクロン大統領の第4次政権は、就任からわずか9ヶ月で崩壊した。フランソワ・バイルー首相は、月曜日夜に行われた緊縮予算に対する信任投票で、364対194の僅差で敗北した。バイルー首相は火曜日に辞任を発表した。
バイルー氏は事態の深刻さを認めた
バイルー首相はフランスの財政状況の深刻さを責任転嫁し、財政再建策の実施を試みた。公的債務がGDPの114%に達し、今年の純借入額が5.4%と予測される中、計画には440億ユーロの歳出削減、年金凍結、そして2つの祝日の短縮が含まれており、苦境に立たされた経済の救済策として意図された。
議会の大多数とフランス社会の広範な層は、改革プログラムに根本的に反対しており、新たなゼネストがすでに迫っている。
バイルー氏の辞任により、動揺するエマニュエル・マクロン大統領は、2年後に5人目の首相を任命するという難題に直面している。2027年4月の選挙までは、構成に関わらず、どの政権でも同じ問題に直面することになるだろう。いかなる財政再建策も、既得権益を持つ派閥によって阻まれるだろう。フランスは政治的行き詰まりに陥っており、債務整理は不可能に思える。
破滅への道
この奇妙な状況は、フランスの政治エリート層、そして債務圧力に晒されているEU加盟国全体が、もはや経済的必要性をイデオロギー対立よりも優先できないことを示している。信任投票の失墜はEUの棺に打ち込まれた新たな釘であり、投資家がフランスの政治的無力さに気付くにつれ、まもなくユーロ圏全体の問題として市場に顕在化するだろう。
最近、バイルー氏はフランスのライフスタイルを公然と批判し、福祉国家こそが根本的な問題だと指摘した。彼は今、無秩序に広がる福祉制度の数々の特権に異議を唱える者は、政治的に容赦なく処罰されるという現実を身をもって体験している。フランスは、この姿勢が財政破綻に直結するにもかかわらず、給付型社会を国家の聖域として擁護している。
ヨーロッパの感染リスク
金融市場にとって、パリでの出来事は良いニュースではない。フランスのOAT(財務省債)は、政府の崩壊に対してすぐにはほとんど反応を示さなかった。しかし、ソブリン危機の深刻化を受け、ここ数週間は圧力が高まっていた。利回りは上昇し、欧州の指標国債であるドイツ国債とのスプレッドは最大90ベーシスポイントまで拡大し、リスクを示唆した。
フランス国債は現在、英国債と同様に、大幅なリスクプレミアムを伴って取引されています。市場がスペイン、イタリア、ギリシャといった他の高債務国に流れれば、ユーロ圏に波及リスクが迫り、過去のソブリン債務危機を彷彿とさせる連鎖反応を引き起こす可能性があります。
フランスは依然として混乱状態にある。金曜日には、もう一つの重要な試練が待ち受けている。フィッチが信用格付けを発表するのだ。
出典
フランスは既にAA-(ネガティブな見通し)であるため、即時の格下げは考えにくいものの、シングルA格への格下げは現実的な可能性となっている。そうなれば、機関投資家はフランス国債の売却を余儀なくされ、借り換えコストがさらに上昇し、フランスの債務スパイラルが深刻化するだろう。フランスは、ユーロ圏の「準リスクフリー」ベンチマークとしての地位を徐々に失っていくだろう。
リスクを価格に織り込む
為替市場でも同様の傾向が見られ、ユーロは対米ドルでわずかに上昇しました。国家債務危機の兆候は貴金属からも現れている可能性があります。金と銀は月曜日の夜に一時史上最高値を更新し、世界中の中央銀行の需要に支えられた着実な上昇傾向を裏付けました。
個人投資家と機関投資家は留意すべきです。18ヶ月前の深刻な市場ショック以来、差し迫った国家危機への意識が高まっています。金はカウンターパーティリスクのない安全な避難先を提供します。
ECBは難しい綱渡りを強いられている。新たな介入を行う場合、インフレ抑制と金融安定を天秤にかけなければならない。スプレッドの拡大は金融政策の波及効果を歪め、金融引き締め政策を完全に放棄することなく、的を絞った流動性供給策を講じざるを得なくなる可能性がある。市場コメンテーターは、ユーロ圏のスプレッドにとって「不安定な秋
」となることを警告している。 出典
対決は避けられない
ユーロ圏のパニック的な国債売りに対する最後のバックストップである欧州中央銀行(ECB)は、月曜日も姿を現さなかった。信任投票否決後の落ち着いた取引と、フランス国債およびユーロの利回りの安定は、ECBが選択的な支援策として密かに介入した可能性を示唆している。中央銀行の取引内容を明らかにする次のTCIレポートで、数週間以内に確認されるだろう。
それまでは、リークが時期尚早に表面化しない限り、憶測は続く。
懐疑的な人は、市場はフランスのドラマに慣れきっており、流動性問題を含む可能性のある次の局面を待っているだけだと主張するかもしれない。全体として、世界市場における長期国債の緩やかな売りは続いている。フランスは、進行中の政治的混乱と未解決の財政問題により、依然として厳しい監視下に置かれています。
債券市場の大混乱は暗雲のように立ち込め、公的債務の容赦ない蓄積は遅かれ早かれ深刻な嵐を巻き起こすだろう。世界の金融構造は脆弱な基盤、すなわちインフレ的に流通する国債を基盤とする不換紙幣制度の上に成り立っている。
シンガポールの鉄鉱石先物は、ピークシーズンの在庫補充を促す中国の需要回復の兆候や、製鉄所の供給削減、来週の米国の25ベーシスポイントの利下げ期待などの他の要因に支えられ、6か月ぶりの高値近辺で週を終えた。
UBSのアナリスト、キャサリン・ゴードン氏は今週初め、顧客に対し、「この熱狂的な相場のさなか、UBSゴールドマイナーズバスケット{UBXXGOLD}への需要が堅調であるとチームは認識している。鉄鉱石は、傍観者の投資家の間で最も議論されていない」と述べた。
鉄鉱石価格が1年以上1トンあたり100ドル前後で推移しており、ウォール街の金融デスクでは鉄鉱石市場は忘れ去られ、忘れ去られたままになっているのだろうか?
可能性はある。UBSのアナリスト、マイルズ・オールソップ氏は、鉄鉱石のボラティリティが15年ぶりの低水準にまで低下したと指摘した。今後のトレンドが見通せず、価格が100ドル前後で推移しているため、鉄鉱石はUBSの顧客の間で最も話題に上らない商品の一つとなっている。まあ、今のところは。
オールソップ氏はこのボラティリティの急落についてさらに詳しく説明した。
鉄鉱石価格: ボラティリティが過去 15 年間で最低レベルにあるのはなぜでしょうか?
鉄鉱石価格の変動性は、業界が2008/09年にスポット価格設定に移行して以来最低水準にあり、価格は2024年半ば以降狭いレンジで取引されています(平均約100ドル/トン、最安値90ドル/トン、最高110ドル/トン)。当社の見解では、この安定性の主な要因の1つは、広範な不確実性とバランスの取れた市場ファンダメンタルズに支えられた、中国における購買行動の変化です。中国政府は、需要の集中、価格交渉、戦略的な在庫管理を通じて鉄鉱石市場の安定化を図ることを目的として、2022年7月に中国鉱産資源集団(CMRG)を設立しました。現在、CMRGは世界のサプライヤーとの交渉において中国の鉄鋼メーカーの50%以上を代表しており、交渉の影響力は鉱山会社から中国の製鉄所へと根本的に移行し、鉄鉱石市場のダイナミクスを変えています。また、大規模な戦略的在庫保有を構築することで、市場における投機的な活動を抑制しています。今後は、価格変動の低さが新たな常態になると予想しており、これはコスト予測の改善を通じて鉄鋼メーカーに利益をもたらす一方で、金融参加者の取引機会は減少するでしょう。また、CMRG の購買力が集中することでマージンが圧迫される可能性が高いものの、需給ファンダメンタルズが引き続き市場価格の動向全般を左右すると予想しています。
鉄鉱石価格は需給バランスと在庫の安定により持ちこたえている
鉄鉱石価格は先週、軍事パレード後の経済活動の回復とセンチメントの改善(中国事業計画とFRBの利下げ期待による)を背景に、約$105/tまで上昇した。注目すべき重要なシグナルは以下のとおり。1) 中国の港湾(図24)および製鉄所(図26)の鉄鉱石在庫は前週比で概ね安定している。2) 従来市場からの鉄鉱石出荷量(図2)は回復を続け、ブラジルは年初来+3%(> Access Dataset)となっている。3) CISAデータによると、中国の鉄鋼生産は8月上旬に加速したが(図10)、MySteel稼働率データは概ね横ばい(図14)。4) 中国からの鉄鋼輸出は、貿易制限の強化にもかかわらず、8月に約106Mtpaと堅調に推移している(図19)。宝鋼は、中国の鉄鋼輸出は2025年には100Mtを超え続けると予想しているが、第4四半期は減少する5) 大連油田のポジションは徐々にマイナスに転じ、現在ネット契約数は-200万トンとなっています(図37)。Vale、RIO、BHPのレーティングは中立、FMGとKIOのレーティングは売りです。2026年のスポットFCF利回りは、BHPが4%、RIOが8%、Valeが15%と推定しています(インタラクティブモデル)。
一方、ゴールドマンのアナリスト、ジェームズ・マギオック氏は、鉄鋼原料の価格がここ数週間で6か月ぶりの高値に急騰した理由について、さらに詳しく説明した。
ゴールデンウィーク前の在庫補充(10月1日のゴールデンウィーク)に入り、国内の反応は良好です。8月の輸入量は1億500万トンと好調です。トレーダーは依然として100~105ドルのレンジを予想しており、消費者は100ドルで買い、生産者は105ドルでヘッジしています。注目すべきは、金曜日にCMRG(中国グループ)が価格を落ち着かせるために売却したというニュースです。価格は今後も下落する見込みです…
鉄鉱石市場の圧縮が長引けば長引くほど、最終的な変動は大きくなります。大きな疑問は、上昇へのブレイクアウトのきっかけとなるのは何かということです。中国の景気刺激策、米国の利下げ、それとも中国政府による製鉄所への生産抑制圧力でしょうか?
地球は今世紀末までに「人口ピーク」を迎えるだろう。
25年以内に、世界の先進国のほとんどが急激な人口減少に直面することになり、高齢化が進む人口を支える若者の労働人口は減少するだろう。
原因は飢饉でも戦争でも疫病でもありません。私たちは、 存在すらしない問題に対して、一連の過酷な解決策を作り出し、自らこの事態を引き起こしたのです。
恐怖は常に社会統制のための最良の手段であり 、人類に対する恐怖は、 統制に執着する左派の「思想家」たちによって何世代にもわたって利用されてきた。
最も明白なのは、ポール・エーリッヒが 1968年に著書『人口爆発』の中で、驚くほど恐ろしく、そして完全に 誤った予測をしたことだ。
「全人類を養う戦いは終わった。1970年代には世界は飢饉に見舞われるだろう。今どんな緊急対策を講じても、何億人もの人々が餓死するだろう。今となっては、世界の死亡率の大幅な上昇を阻止できるものは何もない…」
「あと数年はインド全土に飢饉が広がるのを防げるかもしれない。しかし、1980年までにさらに2億人を養うことは不可能だ。1970年代にインドで数千万人が亡くなったことを防ぐことは不可能だ…」
「ではイングランドはどうか?もし私がギャンブラーなら、2000年にはイングランドは存在しないだろうと賭けるだろう。」
PJオルークは1994年の著書『All the Trouble in the World』の中で、何が起こっていたのかを次のように説明している 。
「ドレッドと喧嘩による市民へのいじめは旧石器時代から続いています。地球温暖化を題材にしたグリーンピースの募金活動は、月食を題材にした部族の魔法使いたちの活動と大差ありません。『ああ、ナイトウルフが月の聖母を食べている。銀をくれれば、吐き出させてやる』」
家族計画と国家の介入
しかし、ここでは騙されやすい人を騙す以上のことが起こっている。1960年代と70年代の人口過剰ヒステリーは世界を変えるほどの結果をもたらしたが、その影響は今になってようやく明らかになりつつある。エーリッヒを責めるのは(面白いことではあるが)公平ではない。真実は、人口増加は繁栄への脅威だという疑似科学から、本格的な家族規模のパニックが生まれたということだ。影響力のある組織は、非常に懸念を抱く人々によって設立された。 人口評議会 と 国際家族計画連盟は どちらも1952年という早い時期に設立された。発展途上国は、西側諸国の政府や国際機関からの多大な支援、時には強制的な圧力を受けながら、積極的な家族計画を推進し始めた。
国連、世界銀行、および二国間援助国、特に米国はUSAIDを通じて、 人口管理を対外援助プログラムにますます組み込んでいった。アジア、アフリカ、ラテンアメリカで特に高い出生率は、単なる人口動態の傾向としてではなく、 マルサスの考えに基づく 近代化、貧困削減、世界安全保障の障害とみなされた。 中国は1979年に悪名高い「一人っ子政策」を実施し、強制不妊手術 や中絶 などの強制的な手段を 講じた。インドは、特に非常事態期(1975~1977年)に、配給カードの差し押さえなど、武力や極端な社会的圧力を用いることが多い 大規模な不妊手術キャンペーンを実施した。 東アジアの 多くの国では、 人口増加を迅速かつ恒久的に抑制するために、疑問の残る強制的な方法を用いようとする、 積極的な国家統制プログラムが実施され、その多くは世界銀行 の資金提供を受けた 。
もちろん、 避妊が利用可能であることは、実際には女性が子供を少なく産む という選択を自由に行える手段であったケース も少なくありません。しかし、この選択が国家による強制と結びついたことで、より多くの子供を望んでいた女性、あるいは社会的な圧力がもっと賢明に活用されていればもっと多くの子供を望んでいたであろう女性でさえ、複数の子供を持つという個人的な夢を諦めざるを得なくなってしまったのです。
もしそれが物語の終わりなら、それは十分に悪いでしょう。しかし、それは始まりに過ぎません。科学主義の聖域は、 現実の人口危機を生み出し、それは今後数十年にわたって世界に影響を与えるでしょう。一部の国は、少なくとも現状のままでは、決して回復できないかもしれません。その危機とは、人口爆発です。
縮小する地球:どの国がいつピークを迎えるのか?
入手可能なデータを用いて、ざっと計算してみました。私が計算しようとしたのは、データが十分に信頼できる26カ国について、人口がピークを迎える予測年です。この予測は、合計特殊出生率、移民、そして死亡率(平均寿命)の動向に基づいています。これらの推定値は、厳密に比較できないデータもあるため、せいぜい近似値に過ぎません。しかし、私が入手したデータは、 国連の世界人口予測、 OECD統計報告書、そして 各国の人口動態データに基づいています。
人口ピークの年は、国連世界人口予測(PDF)の 中位推計 に基づいており 、欧州・北米諸国のほとんどが2030年代後半にピークを迎えると指摘する地域別報告書によって裏付けられています。日本は既に2008年頃にピークを迎えており、韓国 は2025年頃にピークを迎えています。また、イスラエル(合計特殊出生率 3.0近く)は 今世紀にはピークを迎えない可能性があります 。
表の最後の行に示されているように、平均寿命の傾向を考慮し、純移民がないと仮定すると、合計出生率の置換率は約 2.10 になり ます 。
ここで疑問が浮かび上がります。もしこれらの国々全てでTFRが人口置換水準を下回っているとしたら、世界の人口は実際にはどうなっているのでしょうか?答えは簡単ですが、これまであまり議論されてきませんでした。世界人口はピークを迎え、その後減少に転じます。地球上の総人口は近い将来に減少し始めるでしょう。ピークの正確な時期は、 特定の仮定に基づいているため推測の域を出ませんが、 推定では2060年(現在のTFRが一定と仮定)から2080年(TFRがわずかに上昇し、寿命が延びた場合)の間とされてい ます。
皆さん、こんなことが起こる必要は全くありませんでした。オーストラリア、カナダ、あるいはアメリカを夜間に飛行したことがある方ならご存知の通り、地球には十分な空間があります。空き地がたくさんあるのです。
思考実験をしてみましょう。現在、地球上には81億人の人々がいます。もし全員がアメリカ合衆国テキサス州に住んでいたとしたらどうでしょう(これを読んでいるテキサスの皆さん、私たちはまさにその方向に進んでいるように思われるかもしれませんね。ダラスの交通渋滞は驚くべきものです!)。テキサス州の面積は676,600平方キロメートルです。では、現在の傾向が続き、文字通り全世界がテキサス州に移住したとしたら、どうなるでしょうか?
81億人÷67万6600人というのは、1平方キロメートルあたり約1万2000人ということに なります。これはニューヨークの5つの行政区 (1平方キロメートルあたり約1万1300人)よりわずかに人口密度が高いですが、パリ(2万人)よりははるかに少なく、マニラ(約4万4000人)と比べると大幅に少ないです。ニューヨークとパリはかなり混雑していますが、そこに住んでいて、時には自発的に訪れる人もいます。たとえ現在の世界人口全員がテキサスに移住したとしても、ラッシュアワーのマンハッタンよりわずかに迷惑な程度でしょう。
つまり、過去数十年間の人口ヒステリーには、何の根拠もなかったということです。以前の記事でも述べたように 、当時の予測は当時からして馬鹿げていました。そして、「人口爆弾」の再来を心配する必要はありません。たとえ人口が再び増加し始め、私たち全員がテキサスに移住せざるを得なくなったとしても、まだ十分な余地があるからです。
人口減少の影響は、 韓国や日本などの国ですでに感じられ始めています。平均年齢が上昇するにつれ、40歳未満の人口の絶対数が減少し始めます。何かが変わらない限り、世界人口全体、そして多くの特定の国々は、これまでは壊滅的な疫病や残忍な戦争の際にしか見られなかった状況、すなわち空き家だらけの家々、廃墟となった都市、そして自活能力のない高齢者の大群に直面することになります。しかし、今回の場合の違いは、私たちが飢餓や戦争に苦しんでいるわけではないということです。 アントニー・デイビスが指摘したように、現在の世界文明の崩壊は、人間が私たち が持つ最も貴重な 資源であるという認識を著しく失った結果です。
過去1世紀の大半、アメリカ合衆国のみならず他の国々においても、人々が地方や町からますます大都市、特にニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、シアトルといった活気ある中心街を持つ大都市へと移住するという避けられない流れがありました。多くの未来像は、依然として都市中心部が生産、消費、文化の揺るぎない中心地であり、地方、小都市、郊外は近代化の僻地とみなされています。
RealClearInvestigationsの分析によると、私たちは新たな時代の瀬戸際にいる可能性がある。都市中心部は縮小を始め、まず郊外に、そしてさらにその先の準郊外に、そして今や小さな町や地方にまでその座を奪われつつある。19世紀以来初めて、アメリカの成長パターンは、かつては不人気と思われていたオレゴン州ポートランドではなく、ノースダコタ州ファーゴのような小規模都市圏に有利となっている。
この変化は、人口統計学者が都市中心部を中核とする大都市圏について論じることが多いため、検知が難しい場合がある。しかし、この分類方法では、成長の多くがこれらの地域の周縁部で起きているという傾向が見えにくくなる。最も急速に成長している大都市のほぼすべてにおいて、拡大の大半を経験してきたのは、最近まで農村地帯であった郊外のさらに外れた地域である。歴史の大半を静かな州都であったノースカロライナ州ローリーは、引き続き全米から移住者を引き付けているが、最も爆発的な成長は都市中心部ではなく、土地と落ち着いた田舎の環境に加え、近代的なアメニティも利用できる周辺の「田舎町」である アペックス、 フキー・バリナ 、 ゼブロンで起きている 。
2010年から2020年の間に、主要都市圏の郊外と準郊外地域では200万人の国内移住者が純増した一方、都市中心部の郡では270万人の移住者が減少した。 パンデミックにより リモートワークが常態化し 、人々が距離を置くことが奨励されたことで、より小規模で混雑が少なく、より安価な住宅市場への移住者の動きが加速した。この10年間の最初の4年間で、主要都市圏の都市中心部の郡(人口100万人以上)では325万9000人の国内移住者が純減しており、これは過去10年間の減少率の3倍に相当します。一方、主要都市圏外への国内移住者は230万人に上ります。
メディアはこうした変化を軽視し、あるいはほぼ全面的にパンデミックのせいにしてきた。その結果、小さな町や田舎には、病気や犯罪から逃れられる安全な避難場所以外に、ほとんど何も提供できないという印象が植え付けられている。パンデミック前の2018年、「アメリカの田舎は救えるか?」という記事で、ニューヨーク・タイムズは 、特に中央部にある小さな都市や町が「高齢化」し、「容赦ない経済衰退」に直面していると報じた。
データは正反対のことを示唆している。つまり、アメリカ人は 土地への回帰に向かっている ということだ。都市部の住宅価格の高騰と、誰もがどこでもほぼ何でも手に入れられるアマゾン経済は、プライバシー、空間、そしてマイホームへの根深い欲求を再び燃え上がらせている。
新しい人口統計
地理的再編の第一段階は2000年までに形を整え始めました。労働者は、サンベルト地帯や中西部の低コスト州への進出を加速させていた米国企業と外資系企業の両方に追随しました。それ以来、最も都市化が進んだ2つの大州、カリフォルニア州とニューヨーク州は、それぞれ400万人以上の国内移民の純減を経験しました。さらに、移民の減少 と、特に大都市に住む人々の出生率の低下という 2つの傾向が、これらの州の都市人口の再補充を困難にしています。
ダウンタウンを再活性化させる多くの取り組みは 、少なくとも一時的には新規参入者を誘致するのに役立った ものの 、ほとんどの人々は周辺部に移動しました。 2010年から2020年までの米国の都市部全体の増加の約90%を郊外が占めており、最も増加したのは遠方の準郊外です。最も顕著な拡大は、ニューヨーク市やシカゴのような巨大都市の周辺ではなく、より小さな都市圏とその周辺で発生しています。2015年から2023年の間に、国内の人口増加の2倍を超える成長を記録した地域には、テキサス州のキリーンとシャーマン、ジョージア州のサバンナとジェファーソン、サウスカロライナ州のスパルタンバーグ、アラバマ州のダフニ、フロリダ州ネイプルズ、サウスダコタ州のスーフォールズ、メリーランド州のヘイガーズタウン、テネシー州のクラークスビルが含まれます。
このプロセスはまだ初期段階にあるのかもしれない。ミレニアル世代と移民の急増が原動力となっている。都市アナリストで中西部出身のアーロン・レン氏は、これまで 中西部の都市成長の多くは沿岸部ではなく、地域内の小規模な町からの移住によるものだと指摘する。例えばインディアナポリスやコロンバスといった都市の人口動態は、主に周辺の大都市圏や地方からの流入によるものだ。
しかし今、国内外の巡礼者がこれらの小さな町にますます惹きつけられていることで、状況は変わりつつあります。私たちは、前世紀の現実とは一変した世界を目の当たりにしています。20世紀の成長の最大の典型であったロサンゼルス郡でさえ、現在では人口が減少傾向にあり、州の推計によると、2070年までにさらに 100万人が減少する と見込まれています。一方、多くのロサンゼルス市民(とその両親)が元々出身地である南部や中西部など、比較的小規模な地域では、人口動態の回復が見られるようになっています。
住宅費が大都市圏からの大規模な流出を促進
この変化は、何よりも住宅費の高騰を反映しており、 高価な大都市圏と全国平均の生活費の 差の約88%を占めています 。RCIが以前に報告したように、この追加コストの多くは、多くの大都市圏で価格を押し上げてきた厳格な周辺の土地規制に起因しています。住宅価格の高騰は当初、カリフォルニアからオレゴン、ワシントン、コロラドなどの場所への移住者を後押ししました 。しかし現在、これらの州は同じ規制スキームを採用し始めており、 雇用の伸び悩み、住宅建設率の低迷、景気の悪化、国内からの移住の急増という同じ結果を招いています。これが、 大都市を悩ませている 住宅所有率の低下と国内からの移住の急増の主な要因です 。より小規模な都市圏への人口移動には、より安価な住居を求めて移住した 高齢アメリカ人 や、多くのアフリカ系アメリカ人の南部回帰など、様々な要因があるが、おそらくより重要なのは若い世帯の移動だろう 。ここで鍵となるのは、富を築き中流階級入りするための伝統的な手段である住宅所有である 。しかし、住宅所有は半世紀にわたって減少傾向にある 。それは、住宅所有への欲求という点ではなく、住宅所有の可能性という点においてである。
パンデミック以降、米国の住宅価格は大幅に上昇し、住宅購入のしやすさが著しく低下しています。「手頃な価格」と定義される市場では、「中央値倍数」(住宅価格の中央値を所得の中央値で割った値)が3以下となります。現在、全米平均は4を超えていますが、 一部の市場ではさらに高く 、サンノゼ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンディエゴでは10以上、サンディエゴ、マイアミ、ニューヨーク、シアトルでは7以上となっています。
当然のことながら、住宅は通常、小規模市場や地方の方が手頃です。アメリカン・コミュニティ・サーベイのデータによると、米国には住宅価格の中央値が3.0以下の大都市圏が約120あります。2024年には、ピッツバーグ(3.2)、クリーブランド(3.3)、セントルイス(3.5)、ロチェスター(3.6)といったかつての工業地帯に、より手頃な大都市圏が多く見られるでしょう。Zillow によると、初めて住宅を購入する人にとって最もお得なのは、ウィスコンシン州ウォーソー、メリーランド州カンバーランド、インディアナ州テレホート、イリノイ州ブルーミントンなど、住宅価格の中央値が3.0以下の小規模市場です。
この動きは、アラバマ州、オクラホマ州、アーカンソー州、メイン州、ニューハンプシャー州、サウスダコタ州などの州における国内純移民数の大幅な増加につながりました。米国経済分析局によると、ニューハンプシャー州を除くこれらの州は、いずれも生活費が全国平均よりも低くなっています。
小規模な場所の急増
最も都市化が進んだ地域や州からの人口移動は、 雇用増加によっても促進されている。近年、雇用増加はアイダホ州、ユタ州、テキサス州、ノースカロライナ州、モンタナ州といった、都市化が進んでおらず人口密度の低い州へと決定的に移行している。対照的に、ニューヨーク州、カリフォルニア州、イリノイ州、マサチューセッツ州といった大都市圏は、雇用増加率の低い地域に位置している。この傾向は、 アーカンソー州フェイエットビル、サウスカロライナ州グリーンビル、ノースダコタ州グランドフォークス、ユタ州オグデンといった比較的小規模な都市圏にも当てはまり、これらの地域では雇用増加率が最も急激に伸びている。
同時に、シアトル、デンバー、ポートランドといったかつて活況を呈していた大都市圏では、物価 上昇と経済機会の変化に伴い 、国内からの純移住が減少しています。国内からの移住者は、より小規模な大都市圏へと向かう傾向が強まっています。かつて「人気」だったこれらの大都市圏では、ワシントン州のスポケーン、セントラリア、シェルトン、コロラド州のグリーリー、グランドジャンクションといった小規模な市場への移住が、国勢調査局のデータに基づく当社の分析で明らかになっています。
これは、大都市圏への国内純移住が最も増加しているという、1世紀にわたる力強い傾向の逆転を示しています。RCIによる国勢調査局データの分析では、2010年から2015年の期間と比べて、劇的な変化が見られました。この期間には、人口25万人未満のコミュニティのすべてのカテゴリーにおいて、移住者数が移住者数を上回っていました。
2024年までの新たなデータは、この以前の傾向の大きな逆転、つまり少なくとも1世紀にわたって存在してきたパターンからの転換を反映しています。人口100万人以上の各カテゴリーでは2015年以降、国内純移民が減少しましたが、それより人口の少ないカテゴリーでは国内純移民が増加しました。
ミレニアル世代は 小さな場所へ移住する
家賃の支払いさえも困難で、ましてや家を買うとなると、人々の住む場所の選択は大きく変わってきています。特に、家族を持ったり、中流階級のライフスタイルを実現したいと考えている人々にとって、その傾向は顕著です。「(ニューヨークでは)素晴らしい仕事と素敵なアパートに住んでいましたが、それが将来、家を持つことやワークライフバランスの実現につながるとは思えませんでした」と、 イースト・ナッシュビルにあるバー「ウォルデン」の共同オーナー、ケイティ・マクラクランは説明します 。「億万長者でもない限り、ニューヨークにはそういった選択肢がないように感じていました。」
これは、ミレニアル世代は必然的に沿岸部の大都市に集まり、中小都市は 時代遅れで退屈で偏見に満ちているとする主流メディアの信念からの劇的な逆転を示している。しかし、ミームを繰り返したところで真実にはならない。ニューヨークなどのより大きな中核都市は、2020年以降、25歳から39歳の若者を含め、実際には両方の人々を失っている。全国メディアで広く宣言された、エリートによる沿岸部の大都市の優位と 中小都市の衰退の時代は、すでに賞味期限が過ぎているのかもしれない。実際、過去半世紀の大半で25歳から44歳までの移住者の大部分を引き付けてきた 大都市圏の割合は 、2010年以降減少している。一方、特に人口25万人未満の地域などの中小都市圏の魅力が急上昇している。
これらの移民たちは、移住によって生活環境が改善されたことを実感しています。ブルッキングス研究所の研究員 マーク・ムロ氏 が指摘しているように、19州からなるアメリカのハートランド地域の賃金は、生活費調整後で 全国平均を上回っています。別の調査によると、生活費調整後の所得が最も高い10地域のうち8地域がハートランドにあります。対照的に、 調整後の所得が最も低い地域は すべて沿岸地域でした。
全体的に見て、給与の高い都市圏の多くは、中高年や家族にとって魅力がはるかに低いようです。人口25万人以上の全米185都市圏のうち、生活費調整後の給与が最も高いのは、テキサス州ブラウンズビル・ハーリンジェン、アーカンソー州フォートスミス、そしてウェストバージニア州、ケンタッキー州、オハイオ州の3州にまたがるハンティントン・アッシュランド地域です。平均給与が最も高い10都市圏はすべて 中小規模の市場であり 、人口が100万人を超える都市はありません。そのほとんどはアメリカの中心部に位置しており、物価の高い州にあるのは、カリフォルニア州セントラルバレーにあるバイセリア・ポータービルとモデストの2都市のみで、州内の高価な海岸部からは遠く離れています。
この変化は、ミレニアル世代の成熟とも一致しています。若者は家庭を持ったりマイホームを持ちたがらないというメディア報道があるにもかかわらず、ほとんどの調査では、 30代のアメリカ人の大多数が 中流階級の生活の基盤 を築きたいと考えている ことが示されています。毎年約 100万人のミレニアル世代 が母親になっています。多くの人が、昔ながらのメインストリートの近くに住み、新鮮な農産物を提供する農場からもそれほど遠くない、より小規模な都市部に惹かれているようです。こうしたライフスタイルは「アーバリズム」と呼ばれ、大都市圏や空港に近い環境にありながら、依然として大部分が田舎暮らしであるという特徴を併せ持っています。
全国的に、住宅所有者の平均年齢は上昇傾向に あり、1980年の30代前半から現在は56歳だ。しかし、35歳未満の人が新規住宅所有者の最大の割合を占める場所は 、圧倒的に中西部、ユタ州プロボ、コロラドスプリングス、カリフォルニア州ベーカーズフィールドだ。全米不動産業者協会の最近の調査を執筆したナディア・エヴァンジェロウ氏は、「データを見れば、彼らは(大都市圏を)離れていることがわかります」と話す。「彼らには住宅を買う余裕がないので、おそらくその理由で離れているのでしょう」。ある調査による と、新興テクノロジーセンターであるサウスダコタ州スーフォールズなどの場所では、35歳未満の人の20%が持ち家を所有しているのに対し、サンノゼでは同じ割合はわずか3.5%だ。
移民がパレードに参加
国内からの移民が前世紀初頭に大都市圏から流出するにつれ、海外からの移民がその損失を補った。ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴの各都市圏では、国際移民の純流入は継続したものの、2020年以降は現住民の流出がそれを上回った。しかし今、開拓時代以来初めて、コロンバス、インディアナポリス、デモインといった中規模都市圏は、 ロサンゼルス、サンフランシスコ・ベイエリア、ニューヨークといった伝統的な中心地よりも高い割合 の外国人移民を受け入れている。
例えば、ネブラスカ州オマハは人口100万人の大台を突破したばかりです。オマハは民族的に多様化が著しく、2010年から2019年にかけて外国生まれの人口が28%と急増しました。これは国勢調査局のデータによると、全国平均の13%の2倍以上です。ネブラスカ州民のわずか7%が外国生まれですが 、オマハ地域には外国生まれの人口が20%を超える地域が広く存在し、多くの人が自宅で外国語を話しています。世紀の変わり目のローワー・イースト・サイドの復活とまでは言えないかもしれませんが、これはほとんどの人が予想していなかった民族的変化を象徴しています。
アメリカの新しい保育園
高齢者の避難所ではなく、今やアメリカの主要な子育て地域となっているのは、小規模都市圏と農村部です。ノースダコタ州、オクラホマ州、カンザス州、ネブラスカ州、アイオワ州、アーカンソー州、サウスダコタ州など、中西部と南部の州は、2000年から2023年にかけて高齢化の進行が最も緩やかな10地域のうち7地域を占めています。かつては絶望的な高齢化地域と見られていたノースダコタ州は、2000年以降、全州の中で最も高齢化が進んでいません。
こうした傾向の多くは出生率と関連しています。全体的に見て、低密度地域(手頃な価格の住宅、安全な道路、そして強いコミュニティ文化を持つ地域)は、人口密度の高い都市部よりも家族にとって住みやすい環境です。最も若い10大都市圏のうち8つは、特に郊外や、南部、中西部、山岳地帯の国勢調査地域にある小規模都市圏に位置しています。これらの低密度地域は、人口が減少・高齢化していく運命にある地域ではなく、国の子育ての場となりつつあります。
出生率が最も高かった6州のうち4州は、ノースダコタ州、サウスダコタ州、カンザス州、ネブラスカ州でした。一方、出生率が最も低かった15州のうち14州は、北東部と西海岸に位置していました。
大都市圏で平均より出生率が低かったのは、ロサンゼルス、ニューヨーク、ポートランド、シアトル、ボストン、ミルウォーキー、シカゴ、デンバー、サンフランシスコ、オーランド、プロビデンスなどです。対照的に、 出生率が最も高かった のは人口25万人未満の都市で、人口5万人から10万人の都市ではピークに達しました。上位には、ウェストバージニア州ホイーリング、ワイオミング州シャイアン、カリフォルニア州クリアレイク、ノースカロライナ州ジャクソンビル、イリノイ州ディケーター、ニューメキシコ州ホッブズといった小規模な都市が名を連ねています。
未来は分散している
こうした家族形態の変化は、未来について多くのことを物語っている。出生率の低い社会――現在、ヨーロッパ、東アジア、そしてサハラ以南のアフリカを除くほぼすべての地域で見られるように――は、必然的に一種の文化的停滞に陥る。住宅などの製品だけでなく、アイデアに対する需要も低下する傾向がある。 経済学者ゲイリー・ベッカーは、若者は革新的な経済にとって不可欠であり、米国では、若者の多くが内陸部から来る可能性が高いと指摘している。
この動きをアメリカンドリームの否定と捉えるのではなく、むしろアメリカンドリームの強化、つまりこの広大な大陸全体に機会を広げてきた大移動の反響と捉えるべきです。この新たな分散は、国家の衰退や大都市の終焉を意味するものではありません。しかし、全体的な小規模化と大都市圏の復活は、アメリカ人がより良い生活を求めて飽くなき探求を続ける原動力となっている「幸福の追求」の、常に変化する性質を浮き彫りにしています。
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