備忘録(2025/10/22)
●企業
サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車販売店に融資を行うプライマレンド・キャピタル・パートナーズが、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。低所得層向けにサービスを提供する米経済の一角で、信用リスクがくすぶっていることを改めて浮き彫りにした。
同社は低所得層向けに車の販売と融資を一括して提供する「バイ・ヒア・ペイ・ヒア」型のディーラーに資金を供給している。債務利払いを履行できず、数カ月にわたり債権者と交渉を続けてきたが、今回の破産申請に至った。
プライマレンドは発表文で、破産法の管理下で事業売却を進める方針を示す一方、自社の借り手に対する融資およびローン管理を継続すると説明した。また既存の貸し手から破産手続き中のつなぎ融資の提供を受ける確約を得たとしている。
テキサス州の裁判所に提出された書類によると、同社の資産と負債はいずれも推定約5億ドル(約760億円)。
数週間前には、サブプライム自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスが突如として経営破綻に追い込まれ、投資家に衝撃が走った。
トライカラーは現在、詐欺や不正行為の疑いで調査を受けているが、同社もまた、消費者を直撃している金融的な痛みのあおりを受けている。米国ではサブプライム自動車ローンの返済に苦戦する借り手が増えており、延滞率が記録的な高水準に達している。
ドイツ高級車大手メルセデス・ベンツ(MBGn.DE), opens new tabは21日、オランダに本社を置く中国系半導体メーカー、ネクスペリアの動向を注意深く監視するとの見解を示した。短期的な供給は確保したという。
オランダ政府は9月、経済安全保障上のリスクを理由に、中国企業傘下のネクスペリアの経営権を掌握。中国側は国内で製造した半導体の輸出を規制する形で応戦し、同社製半導体に依存する欧州自動車メーカーに警告した。
ベンツは供給ギャップを回避するため、パートナー企業と協業してきたが、「複雑性と変動性の高さ」から、信頼性のある見通しを立てることが困難だと説明した。
米プライベートエクイティ(PE)大手のブラックストーン(BX.N), opens new tabとTPG(TPG.O), opens new tabは21日、医療診断機器メーカーのホロジック(HOLX.O), opens new tab を、負債を含めて183億ドルで買収すると発表した。規制当局の承認が条件となり、2026年前半の買収完了を予定している。
医療機器メーカーの買収としては、06年にボストン・サイエンティフィックがガイダントを270億ドルで買収して以来、約20年ぶりの大型案件となる。
買収が成立すれば、ホロジック株は米ナスダック証券取引所への上場が廃止される。ホロジックは乳がんと子宮頸(けい)がんの検診を含む女性用の診断機器を専門としている。
米市場では企業価値評価の「分断」が起きており、人工知能(AI)関連企業が高く評価される一方、医療・産業・消費財分野は過小評価される傾向がある。これによりPE企業が上場している大企業を丸ごと買収するチャンスが生まれていることをホロジックの買収は浮き彫りにした。
ブラックストーンとTPGは、ホロジックの発行済み株式を1株当たり76ドルで買い取る。これは直近の終値に約6%上乗せした価格。買収企業には、アラブ首長国連邦(UAE)最大の政府系ファンドのアブダビ投資庁(ADIA)の傘下企業と、 シンガポール政府系ファンドのシンガポール政府投資公社(GIC)の関連会社も含まれる。
ホロジックの株価は21日の取引時間中に約3%上昇した。
●マクロ
22日の取引で、金価格は上下に振れる展開ながら下げを広げている。前日は、歴史的上昇で価格が過大評価されているとの懸念から投資家の利益確定売りが広がり、約12年ぶりの大幅な下落を記録していた。
ロンドン時間正午で金スポット価格は前日比2.3%安の1オンス=4032ドル近辺に下落。アジア時間には一時3%近く下落した後、下げを解消して上げに転じる場面もあった。銀のスポット価格は1.4%安の48.0294ドル近辺。
金は前日、一時6.3%下落した。銀も前日、一時8.7%下落。金も銀もこれまでの急激な上昇でテクニカル指標に過熱感が表れていた。
スタンダードチャータードのコモディティー調査責任者、スキ・クーパー氏は「テクニカル的な売りが主な犯人だ」と指摘。「価格は9月始め以降、買われ過ぎの領域にあった」とし、金価格は来年に勢いを取り戻すとの見方を示した。
今回の急落で、数カ月にわたる急ピッチな上昇相場は急停止した。年内に米連邦準備制度理事会(FRB)が少なくとも1回の大幅利下げを実施するとの思惑や、拡大する財政赤字から資産を守るため国債や通貨を避ける「ディベースメント取引(通貨価値切り下げトレード)」を追い風に、金価格は年初来でなお55%近く上昇している。
金相場上昇の初期の大半で様子見を続けていた個人投資家も、ディベースメント取引に熱心になり始めたこともあり、ここ数カ月は動きが目立っている。個人が金への大型投資を行う際に利用することが多い、金の現物を裏付け資産とする上場投資信託(ETF)や先物のオプション取引量は急増している。
シティグループは21日の急落を受け、過剰なポジション形成への懸念を理由に金の「オーバーウエート」推奨を引き下げた。同行のコモディティー調査チームはリポートで、今後数週間は1オンス=4000ドル前後でのもちあいが続くとの見通しを示した。
リポートは「米ドル離れを目的とした中央銀行の金購入という従来からの強気要因がいずれ再燃する可能性はあるが、現時点では急いでポジションを取る理由はない」と指摘。金価格は「ディベースメントのテーマを先取りし過ぎた」と付け加えた。
MKSパンプSAの金属戦略責任者、ニッキー・シールズ氏は21日のリポートで、金と銀の現在の価格は「良い買い場」に近づいていると指摘。短期的に金価格は1オンス=4000-4500ドル、銀価格が45-50ドルの範囲で推移する期間が見込まれるとした。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、ウォール街の大手銀行に課す資本要件を大幅に緩和する修正案をまとめており、その概要を他の米金融監督当局に示した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
同関係者が匿名で語ったところによれば、一部当局者の試算で、大半の大手行の資本要件は全体で約3-7%の引き上げにとどまる見通し。概要に具体的な数値見通しは示されていないが、バイデン政権時の2023年に示された19%の増額案、および昨年の修正案である9%の増強案を下回る。
関係者の数人によれば、トレーディングのポートフォリオがより大きな銀行については、新たな要件に伴う資本引き上げが小幅にとどまる、ないし減少する可能性もある。
計画は初期段階だが、いわゆる「バーゼルIII最終化」案の米国版に強く反対してきたウォール街の銀行は歓迎する公算が大きい。
米国版を批判的に見てきた人たちは、資本要件を大幅に引き上げれば貸し出しコストが上昇するほか、海外の競合行に比べて米銀の立場が不利になる恐れがあると主張してきた。一方、支持派は金融安定にとって重要だと訴えている。
新たな計画はまだ最終的なものではないが、FRBは2026年1-3月(第1四半期)にも公表することを目指している。トランプ大統領に今年指名されたボウマンFRB副議長(銀行監督担当)が新たな措置の策定を主導している。
修正案の概要では中規模の銀行について、他の資本規制を受け入れる場合、新要件の適用を除外する可能性も検討されているという。
米金融規制当局の間ではまだ合意に至っていないが、方向性についてはおおむね一致していると関係者は語った。ボウマン副議長は連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)それぞれのトップと議論をしているという。計画実施にはこの両機関の承認が必要となる。
OCCの報道官はコメント要請に応じなかった。FDICとFRBはコメント要請を拒否した。
イングランド銀行(英中央銀行)は、1兆7000億ドル(約258兆円)規模に膨らんだプライベートクレジット市場について、サブプライム債危機との類似点を警告した。英当局はこの市場をストレステスト(健全性審査)の対象とする方針を確認した。
ベイリー総裁は21日、英議会の委員会で、この分野で「警鐘」が鳴っていると述べリスクを強調した。ベイリー氏によると、業界関係者との対話では「全て順調」との説明を受けたという。これは約20年前のサブプライム債の証券化をめぐる混乱を想起させる発言だ。
ベイリー氏は上院の金融サービス規制委員会の公聴会で、サブプライム危機再来に言及し「金融危機の前後に関与していた人であれば、この段階で警鐘が鳴り始めるはずだ」と語った。
ブリーデン副総裁(金融安定担当)も、不透明性や高いレバレッジ、銀行との結び付きなどをリスク要因として指摘した。
最近のファースト・ブランズとトライカラー・ホールディングスの破綻を受けて、プライベートクレジット分野や、より広範なレバレッジドクレジット市場で生じた問題が、銀行や実体経済に急速に波及する可能性があるとの懸念が強まっている。
プライベートクレジット業界の経営者らは、問題は銀行が主導した融資案件にあったもので、プライベートクレジット台頭の結果としてリスクが拡大しているわけではないと主張している。
それでもベイリー氏は、ファースト・ブランズのような事例が「炭鉱のカナリア」なのかどうかの答えはまだ「出ていない」と述べた。
ベイリー氏とブリーデン氏は、中央銀行が「広範なプライベートクレジット市場の脆弱(ぜいじゃく)性を探るための全システム的ストレステスト(SWES=system-wide exploratory scenario)実施を企業と協議している」というブルームバーグ・ニュースの報道を認めた。
今年のストレステストは、英国の中核的金融市場のリスクを評価した前年のSWESと同様の手法を用いる見通しだ。
ブリーデン氏は「世界金融危機(GFC)との類似点が見て取れる」と述べた上で、「その問題がマクロ経済的にどの程度重要なのかはまだ分からない」と語った。
業界団体のドイツ自動車工業会(VDA)は21日、自動車や家電業界向けチップを製造する半導体企業ネクスペリアを巡る中国とオランダの対立について、自動車生産に大きな混乱をもたらす恐れがあると警告した。
VDAのヒルデガルト・ミュラー会長は声明で、「この状況は近い将来、大幅な生産制限につながる可能性があり、ネクスペリア製半導体の供給中断が短期間で解消されなければ生産停止に至る恐れもある」と述べた。
VDAは、影響を受けている企業、ドイツ政府、欧州委員会と連絡を取っていると説明した。
ミュラー氏は「現時点では迅速かつ現実的な解決策を見いだすことに焦点を当てるべきだ」と述べた。
オランダ政府は先月、ネクスペリアの親会社である中国企業が重要技術を移転している可能性があるとして、ネクスペリアを管理下に置くと発表。中国政府はこれを受け、同社の完成品輸出を禁止した。
ネクスペリアは高性能チップを生産していないが、自動車や家電製品に広く使用されている。
コンサルティング会社アリックスパートナーズが水曜日に発表した新しいレポートによると、ファッション業界全体で価格が上昇しており、ジャケットとアウターウェアの前年比上昇率が最も大きいという。
同社は、水着からドレスまで9つのカテゴリーにおいて、2024年から2025年にかけて価格がどれだけ上昇したかを分析した。追跡対象となった全てのカテゴリーにおいて、価格は前年比で平均17ドル上昇した。
最も大きな値上がりが見られたのがジャケットとアウターウェアで、平均価格は24%上昇した。一方、水着は平均2%の値上がりで最も小さかった。
アメリカが寒くなり始め、冬が近づくにつれ、新しいコートやジャケットを探している消費者は、レジでより多くの金額を使うことになるかもしれない。ただし、実際に購入するかどうかは別として。このカテゴリーの足を引っ張っている要因の一つは、秋の到来が遅れていることで、これは通常アウターウェアの需要低迷につながる。価格上昇と相まって、秋冬にアウターウェアに力を入れている小売業者は商品の売れ行きが悪くなり、春には在庫問題に発展する可能性があると、アリックスパートナーズのグローバルファッションプラクティス責任者でレポートの著者でもあるソニア・ラピンスキー氏は述べている。
「[小売業者]は通常、11月下旬から12月上旬までには商品をセールや割引価格で販売し始めるという値引きサイクルをとっており、その時点では消費者はそれについて考えもしないかもしれない」とラピンスキー氏は語った。
「小売業者と季節全体の流れについて何度も話し合いを重ねてきましたが、秋が晩夏のように感じ始めているため、一部の小売業者は一部の商品の販売時期を延期することを決定しました」と彼女は付け加えた。「すべての小売業者が迅速に対応しているわけではありません。ですから、もし小売業者が何の調整も行っていないのであれば、それは間違いなく懸念すべきことです。」
ファッション業界におけるカテゴリー別の価格上昇額は以下のとおりです。
コンサルティング会社アリックスパートナーズが水曜日に発表した新しいレポートによると、ファッション業界全体で絶え間なく行われるプロモーションにより、ブラックフライデーとサイバーマンデーを前に消費者は「割引疲れ」に悩まされているという。
同社は、140の小売業者と9つのファッション業界における9,000人以上の米国消費者の嗜好と優先順位について調査しました。調査によると、消費者は価格上昇を「避けられないもの」と捉えており、新しい服やアクセサリーを購入する際にコストはそれほど重要ではなくなってきていることがわかりました。
調査によると、回答者が価格に割り当てた重要度は平均して昨年比13%低下し、高級品と美容品を除くすべてのセクターで低下しました。一方、セールやお買い得品探しを「非常に重要」と回答した消費者は昨年比で30%減少しました。これは、お買い得品探しが回答者の考慮する要因のトップから19位に落ちたオフプライスセクターにおいても同様です。
4月にドナルド・トランプ大統領が数十カ国に対する関税引き上げを決定した後、小売業者は貿易政策による価格上昇への消費者の懸念を和らげるため、値引きやプロモーションに頼ってきたと、アリックスパートナーズのグローバルファッションプラクティス責任者で本レポートの著者でもあるソニア・ラピンスキー氏は述べた。しかし今、プロモーションに対する「疲れ」が生じており、消費者は単なる割引以上のものを求めていると彼女は述べた。
実店舗とオンラインストアの価格の一貫性、価格に見合った価値、そして品質は、買い物客が支出の際に最も重視する点だと彼女は述べた。彼らはまた、より良い実店舗体験を求めている。調査対象となった買い物客の60%以上が、今年のホリデーシーズンにファッションアイテムの購入の半分以上を実店舗で行う予定である一方で、過去2年間で買い物客が実店舗で過ごす時間は3%減少し、買い物カゴの金額は5%減少していることがレポートで明らかになった。
「実店舗への来店客数は増えているのに、購入金額は減少しています。何かが欠けているからこそ、コンバージョンにつながっていないのです」とラピンスキー氏は言います。「では、店舗での体験の何が、コンバージョンにつながっていないのでしょうか?」
この調査結果は、小売業界が、消費者心理の低迷、不透明な雇用市場、そして持続的なインフレにより、例年よりも低調になる可能性のあるホリデーショッピングシーズンに向けて準備を進めている中で発表された。ホリデーシーズンを彩る厳しい経済状況は、特に多くの小売業者が関税コストを相殺するために値上げを行っていることから、実行力、品質、そしてブランド力への新たな注目を呼んでいる。
ラピンスキー氏は、この調査結果は小売業者にとって、今年のホリデーシーズンの需要喚起には値引きだけでは不十分だという「警告」だと述べた。
「彼らはこれまでも、客足を増やして店に人を集めるための割引という手段を持っていました。しかし、そこに関税と値上げの必要性が加われば、彼らにとってその手段はさらにリスクを伴います」とラピンスキー氏は述べた。「この疲弊のせいで、これまでと同じようには機能しないでしょう。」
消費者にとって価格が支出の決定要因として重要性を増した高級品セクターは、小売業界にとって教訓となる事例だと報告書は指摘している。同社は、ここ数年、ブランド各社は「劇的に価格を引き上げてきた」と述べ、シャネルが2019年から2025年にかけてバッグの価格を5,800ドルから11,300ドルに値上げする決定を下したことを例に挙げた。
報告書によると、この突然の高騰により、消費者は同セクターから撤退し、「より合理的な価格だと感じる」高級ブランドへと買い替えたという。
「他の業界でも同様のことが起こっている」と報告書は述べている。「品質を落として価格維持を試みる小売業者は、信頼を失うリスクがある。」
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米OpenAIは、対話型生成AI(人工知能)ChatGPTを搭載した同社初のウェブブラウザー(閲覧ソフト)を発表した。アルファベット傘下のグーグルと検索分野で競争が激化すると予想される。
新ブラウザー「ChatGPT Atlas(アトラス)」は、個々のユーザーにより最適化したウェブ体験を提供し、航空券予約や文書編集の作業もこなす。ユーザーがサイトを開くと画面に「Ask ChatGPT(ChatGPTに聞く)」が表示され、サイドバーで閲覧ページについてやり取りする仕組みだ。
例えば映画レビューを開いた際に要約を求めたり、レシピを見つけた後に必要な食材をオンライン注文する手伝いを依頼したりできる。
ブラウザーをAIで刷新しようとする企業が増え、OpenAIも本格的に参入した。AI検索エンジンの米新興企業パープレキシティは、ユーザーの作業を自動化するアシスタント機能を持つAIブラウザー、Comet(コメット)をリリースし、Opera(オペラ)やザ・ブラウザー・カンパニーも自社ブラウザーへのAI機能の統合を進めている。
OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は21日のライブ配信イベントで、「これはChatGPTを中心に開発されたAI搭載のウェブブラウザーだ」と述べ、AIはブラウザーという概念を見直す「10年に一度のチャンス」との認識を示した。
AtlasはまずアップルのmacOS向けに全世界でリリースされ、マイクロソフトの基本ソフト(OS)ウィンドウズ、アップルのスマホ向け基本ソフトiOS、グーグルのアンドロイドにも順次対応する。高度なAIエージェント機能は当面、有料版ChatGPT(プラスおよびプロ)ユーザーのみに提供される。
グーグルは今年9月、生成AI「Gemini(ジェミニ)」をクロームブラウザーに統合すると発表。閲覧中のウェブページの解説や複数タブを横断する情報要約、閉じたサイトの復元などを可能にした。
21日の米株市場で、アルファベットの株価は一時4.8%急落し、前日比2.4%安で取引を終えた。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(Pimco)は、メタ・プラットフォームズのデータセンター建設のために発行された270億ドル(約4兆1000億円)の債券への投資から、既に利益を得ている。ピムコは発行時に180億ドル分を引き受けた。
価格報告プラットフォームのTraceおよび事情に詳しい関係者によると、メタのデータセンター債はここ数日で価格が急上昇し、ピムコは約20億ドルの含み益を抱えているという。この債券は先週、額面価格で発行されたが、その後、額面1ドル当たり110セント超まで上昇した。
事情を知る関係者によれば、ピムコは既に10億ドル超を売却した。関係者は非公開情報であることを理由に匿名を条件に語った。
ピムコはコメントを控えた。
複数のディーラーがメタ債売却のマーケットメークを務め、5億ドル規模のブロック取引を仲介していると関係者は述べた。
ケン・グリフィン氏率いるシタデル・セキュリティーズも、ピムコによる売却の一部でマーケットメークを担ったという。関係者によると、同社は自社のバランスシートを活用して価格を提示した。
シタデル・セキュリティーズは昨年、投資適格債市場での流動性供給を開始し、大手米銀から市場シェアを奪うことを狙っている。
シタデル・セキュリティーズもコメントを控えた。
人工知能(AI)の急速な拡大を支えるコンピューティングおよび電力インフラ整備に向けた資金提供に前向きなクレジット投資家は、メタの案件を注視してきた。
今回のメタの資金調達は異例の構造を取っており、データセンター開発のための巨額資金を集める際に今後同様の手法が取られる可能性がある。
ルイジアナ州で建設されるデータセンター「ハイペリオン」開発の資金調達は、モルガン・スタンレーが取りまとめた。
開発を担う特別目的会社(SPV)が270億ドルを借り入れ、メタは自社バランスシート外で資金を調達する仕組みとなる。約25億ドルのプロジェクトの株式部分にはブルー・アウル・キャピタルが出資し、約8割を所有。残る2割をメタが保有する。
KDDIは22日、英ロンドンにデータセンター(DC)を新設すると発表した。約600億円を投じ、2027年度の開業を目指す。ロンドンでのDC市場は急拡大する生成AI(人工知能)へのニーズで成長すると見込み、需要に対応する。
新設DCは地上10階建てで、ロンドンのドックランズ地区に建設予定。規模を示す総受電容量は最大22.4メガ(メガは100万)ワット。KDDIが同地区で運用するDCは6棟目となり、地区全体の総受電容量は57.1メガワットとなる。
用途には生成AIの開発などを想定する。高性能な画像処理半導体(GPU)の放出熱でも冷却可能な「水冷方式」にも対応し、電力は再生可能エネルギーを100%使用する。
KDDIは10カ国以上でDCを運営しており、成長領域の一つに位置づける。国内では堺市で最新のGPUを導入したDCの開設を進めているほか、東京都多摩市でもDCを新設して27年秋の稼働を目指している。25年3月期に1300億円だった売上高を31年3月期までに2000億円にする目標を掲げている。
●その他
備忘録(2025/10/21)
●企業
●マクロ
米OpenAIが、金融モデルの構築手法を人工知能(AI)に学習させるため、元投資銀バンカー100人余りを起用したことが、ブルームバーグの入手した文書で明らかになった。業界全体で若手バンカーが担ってきた膨大な作業時間の代替を狙う。
文書によると、JPモルガン・チェースやモルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス・グループの元従業員らは、OpenAIの非公開プロジェクト「マーキュリー」に外部契約者として参画している。
事情に詳しい関係者によれば、契約者はプロンプトの作成に加え、企業再編や新規株式公開(IPO)など、さまざまな取引に対応する金融モデルの構築を担当する。報酬は時給150ドル(約2万2800円)。OpenAIはまた、投資銀行のエントリー業務の代替を目指して開発中のAIの先行利用も認めている。
このプロジェクトは、コンサルティングや金融、法務、テクノロジーなど幅広い分野でAIの実用性を高めようとするOpenAIの姿勢を示している。今月にはバリュエーションが5000億ドルに達したが、同社はいまだ黒字化していない。
OpenAIの広報担当者は「当社のモデルの能力を異なる分野で評価・改善するため、幅広い専門家と協力している」と説明。「専門家は第三者のサプライヤーによって採用・管理・報酬が支払われる」と述べた。
投資銀行のアナリストは通常、実際の案件に取り組む際、週80時間以上をデスクで過ごし、米マイクロソフトの表計算ソフト「エクセル」を使って合併やレバレッジド・バイアウト(LBO)などの詳細なモデルを構築する。上司からの資料の修正依頼が絶えず、修正に次ぐ修正が繰り返される。
非公開情報を話しているとして匿名を条件に語った関係者によると、マーキュリーの応募プロセスでは、人間とのやり取りはほとんどない。
最初のステップは、応募者の履歴書に基づいて質問を行うAIチャットボットによる約20分間の面接。第二段階では財務諸表に関する知識を問うテストがあり、最終段階はモデリングテストになる。
この仕事は柔軟な働き方が可能で、外部契約者は毎週1件のモデルを提出することが求められている。指示には、平易な条件でプロンプトを作成し、モデルを実行することが含まれる。参加者はレビュー担当者からフィードバックを受け、修正を加えたうえで、最終的にOpenAIのシステムに統合されると関係者は述べた。
世界最大級の資産運用会社が運用する一部の債券ファンドが、フランス国債の売却を強いられることを回避するために投資ルールを変更している。
ステート・ストリートの10億ユーロ(約1800億円)規模のファンドと、ブラックロックの2億8900万ユーロ規模のファンドは最近、ダブルA格付けを厳格に求める指数をベンチマークとして使用しなくなった。
その結果、フランスが格下げでその基準を下回っても、両ファンドは同国債へのエクスポージャーを維持できると、事情に詳しい関係者が話した。
こうした対応には先見の明があった。S&Pグローバル・レーティングは17日、フランスの格付けを「AA-」から「A+」に引き下げ。主要3社による格付けの平均がダブルAを割り込んだ。厳格な投資基準を持つファンドにフランス債の売却を迫る展開だ。
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの広報担当者は「今回行った基準となる指数の変更は、明確な顧客の要望に対応したものだ」と述べた。ブラックロックの広報担当者はコメントを控えた。
ムーディーズ・レーティングスは24日にフランスの格付けを見直す予定だ。現在の格付けはAa3で、ダブルA格の中では最も低い水準にある。見通しは「安定的」としている。フィッチ・レーティングスは9月にフランスの格付けを「A+」に引き下げている。
ベルギーの教訓
ブラックロックは、フランスの格下げによる影響を受ける前に指数の変更を間に合わせた。フィッチが6月にベルギーの格付けをA+に引き下げた際に売却を強いられた経験を踏まえた行動だった。
ブラックロックの上場投資信託(ETF)はS&Pグローバルの指数をベンチマークとしているが、指数は主要格付け機関のいずれかがA+以下の評価を付与した債券を「次回のリバランス時に指数から除外する」ことを定めていたため、ブラックロックのファンドはベルギー長期債の保有を減らさざるを得なかった。
フランス債はさらに大きなリスクとなる。同ファンドのポートフォリオの約3分の1を占めているためだ。ベルギー債が指数から除外された後の数週間に、ブラックロックは対応策を考えた。
それに基づき、S&Pの指数部門は7月18日に指数構成銘柄の最低格付け要件をBBBに引き下げることを提案。提案は承認され、9月末のリバランスに間に合う形で施行された。これにより、今後さらに格下げがあってもフランス国債は指数にとどまる見通しで、ベルギー債もファンドに再び組み入れられている。
ブラックロックはETF投資家向けの書簡で、指数の基準変更により「指数構成銘柄の入れ替え頻度の増加や指数の分散度低下を回避できる」と説明した。
カスタム対応
ステート・ストリートでは、IUTユーロ・コア・トレジャリー10年超債券インデックス・ファンドがICE BofA 10年超AAA-AA ユーロ圏国債指数をベンチマークとしていたが、ファンド資料によると6月にインターコンチネンタル取引所(ICE)が提供する「カスタム」指数に変更した。
カスタム指数は、汎用の一般向けベンチマークと異なり、顧客の要望に基づいて特定のルールや基準を設計したものだ。ステート・ストリートのこのファンドは、9月末時点で運用資産の39%をフランス国債が占めていた。
投資家心理の変化
フランスのさらなる格下げがもたらすより重大な影響は、世界の投資家心理に対するものかもしれない。
海外投資家は長年、ドイツよりも高い利回りが得られる一方で、ボラティリティーが相対的に低く信用力も高いという理由からフランス国債を選好してきた。
ブルームバーグ・エコノミクスのリサーチャー、ジャン・ダルバール氏は「フランスは他のユーロ圏諸国に後れを取り、長年維持してきた、投資家にとって魅力的なユーロ圏国債としての地位を失いつつある」と指摘。「その結果起こるのは、構造的に高い利回りだ」と述べた。
明治安田生命保険は2025年度下期の金利上昇局面で円建て債券への投資を積極化する計画だ。上期に円債残高を7600億円削減しており、年度末時点の残高は減少する。北村乾一郎執行役員・運用企画部長が21日の運用説明会で明らかにした。
北村氏は、下期は20年債と30年債の買い入れを考えていると説明。「来年1月と見込んでいる日本銀行の利上げを踏まえ、金利が上昇したところで拾っていきたい」と述べた。年度を通じた円債残高は前年度(3900億円の減少)並みの減少になるとした。
自民党と日本維新の会が連立政権樹立で合意し、自民の高市早苗総裁が首相に選出されることが確実な情勢だ。生命保険会社の主な投資対象である超長期の利回りは財政拡張懸念から上昇基調をたどってきたが、政局の安定に伴い金利先高観は一服している。こうした中、巨額の資産を運用する生保の投資判断は世界市場を動かす可能性があり、市場の関心は高い。
北村氏は円債投資について「金利がさほど上がらなければ26年度に持ち越してもよい」とも話す。日銀は26年度にも2度利上げすると予想し、30年債利回りは3.5%超までの上昇を見込む。「金利のピークが近いなら買っていくが、年度内はそこまでいかないだろう」との見方を示した。
国内株式は上期に残高を増やした一方で、下期は減らす。北村氏は日経平均株価が5万円に近づいていることについて、株価収益率(PER)がバブル期の水準や米国株を下回っているため、「まだ健全だ」と指摘。「バブルのように熱狂した状況ではなく、成長を伴った上昇だ」と評価した。
欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストであるレーン専務理事は21日、米ドル資金の調達難が起きた場合、ユーロ圏の銀行は実体経済への貸し出し抑制を迫られる可能性があると指摘した。
理事は「多額の米ドル建てオフバランス(簿外)エクスポージャーと不安定な資金調達の組み合わせは、ネットのエクスポージャーが突如変化する可能性が否定できないことを意味する」と指摘。
「このようなリスク事象が発生する可能性が高まれば、銀行のバランスシート(貸借対照表)の両側が圧迫され、実体経済への貸し出しのようなオンバランスシートのエクスポージャーに下方圧力がかかる可能性がある」と述べた。
レーン氏は、ユーロ圏の銀行が米ドル建て現金バッファーを積み上げており、2021年末に85%程度だった流動性カバレッジ比率(LCR)は現在110%を大きく上回っていると指摘。LCRが100%超えると、銀行がストレス期間30日の純現金流出をカバーするのに十分な品質の高い売却が容易な資産を保有していることを意味する。
「米ドル建てLCR引き上げでユーロ圏の銀行は近年、進展を見せており、4月初めに為替変動がピークに達したときでも、大きな流動性逼迫はなかった。ただし今年残りの期間の流動性管理の計算法を変えた可能性もある」と語った。
21日に発足する高市早苗内閣で、財務相に片山さつき元地方創生担当相を起用することが決まった。女性の財務相は初で、高市政権の目玉人事と言える。旧大蔵省出身で、財務省の考えや政策決定プロセスに精通する「能吏」との見方もあり、「責任ある積極財政」を掲げる高市内閣の経済・財政政策をどう舵取りするのか注目が集まる。高市トレードで強まる円の先安観への対処も求められる。
<初仕事は補正編成>
片山財務相の初仕事は、経済対策を裏付ける2025年度補正予算案の編成となる。賃上げや所得向上に向けた環境整備に加え、豪雨被害などへの災害対応では課題が残る。
経済対策の策定指示のタイミングに関し、高市首相は「(就任後)すぐに」と述べた。きょうにも関係閣僚に策定を指示し、年内の補正予算成立を視野に入れる。
今月下旬の来日を調整するトランプ米大統領とは、関税合意に伴う投資案件の選定を急ぐ構えだ。米側から防衛費のさらなる増額を求められる可能性も取りざたされており、財源面から経済成長と財政健全化をいかに両立させるか、片山氏の手腕が問われる。
<根強い円先安観>
賃上げを起点とする経済成長の実現に向けては、円の先安観にどう対処するかも課題となる。財政スタンスに中立とみられる片山氏の起用で「過度な円安をかわす狙いがあるのではないか」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミスト)との声がある。
米国が利下げに向かう一方、日本は利上げサイクルを止めておらず、日米金利差の縮小観測を受けた円安反転の流れは物価の上昇圧力を和らげそうだが、高市氏の経済政策「サナエノミクス」への期待感から党総裁選出以降、市場では円安圧力がくすぶる。
デフレからの完全脱却を巡り、政府からは次年度以降も5%以上の賃上げを期待する声が強い。円安が追い風となり11月にかけ公表される業績見通しが好転し、今後の労使交渉に弾みがつくことも期待される。
半面、円安に伴う物価高が家計を直撃するのは必至で、政府内では「(円安を)放置すれば物価高対策が無駄になる」(関係者)との声も強い。物価高に負けない賃上げ定着を巡っては、依然として課題が残る。
片山氏は自民党の金融調査会長を務めていた今年3月、ロイターとのインタビューで、「ドル/円は120円台の時期が長かったので、120円から130円、120円台が実力との見方が多い」と述べ、物価高の沈静化に向け円高進行が望ましいとの考えを表明した もっと見る 。
片山氏は円高を実現するための手段として金融政策については明言を避け、間接的な誘導策の一つとして、日本株の長期保有に対して相続税の一部免除などを実現したいとの意向を示した。
<玉木案から一転>
片山氏は1982年に大蔵省(現財務省)に入省した。在職中は、女性初のG7(主要7カ国)政府代表団員や主計局主計官(防衛担当)を歴任し、話題になった。「財務省出身で同省を知り尽くした能史」(SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト)との受け止めが聞かれる。
2018年には第4次安倍改造内閣で入閣した。地方創生や女性活躍に奔走。21年には自民党の金融調査会長に就いた過去を持つ。
複数の政府、与党関係者によると、新政権発足に先立つ野党との連立協議では、国民民主党との連立も視野に玉木雄一郎代表を「財務相兼副総理」に起用する案があった。
ただ、日本維新の会からの閣外協力にこぎ着け、女性閣僚の登用方針に傾いた。省内からは「直前までノーマークだった」(幹部)との声が漏れる。
高市早苗政権の発足を受け、政府と日銀の「距離感」に変化が生じるとの見方が出ている。これまで金融政策は「日銀の専権事項」として日銀に委ねる姿勢を続けた石破茂政権に比べ、高市氏側からの発信トーンが強まる可能性がある。高市政権がどこまで踏み込み、どこで一線を引くのか。市場は新首相の次の言葉を固唾をのんで見守っている。
<前政権より強めのメッセージ>
「財政政策にしても、金融政策にしても責任を持たなければならないのは政府」――。自民党総裁選で選出後、マクロ経済運営スタンスについてこう語った高市氏。市場では、この発言を日銀の追加利上げに対する「けん制」と受け止める向きがある。
石破政権は金融政策の運営を「日銀の専権事項」として尊重しつつ、物価情勢などの認識共有にとどめてきた。植田和男総裁の下でマイナス金利解除と政策正常化が進んで以降も、政府側は利上げ判断など「箸の上げ下げには関与しない」スタンスを貫いていた。
一方、高市氏の経済ブレーンには、本田悦朗・元内閣官房参与や若田部昌澄・前日銀副総裁など、いわゆるリフレ派の論客が名を連ねる。いずれも、金融政策を景気政策の一部として積極的に用いるべきだとの立場だ。
高市氏と個人的な付き合いがあるという経済官庁の関係者は「(高市氏は利上げに関して)箸の上げ下げまで言わないが、食べこぼしせずにきれいに食べてくださいね、というスタンス」と表現。植田日銀に直接指図はしないまでも、物価が2%前後で安定することを重視し、強めのメッセージを送る可能性があるという。
連立パートナーの日本維新の会も、高市ラインにブレーキをかける気配は薄い。同党はこれまで金融政策に強いこだわりをみせず、ニュートラルな立場との見方が多い。藤田文武共同代表はテレビ番組のインタビューで、政府が一定の責任を持つ高市氏の考え方に「近しい」との認識を示したものの、両党が20日に交わした12項目の政策合意書には「金融政策」の文言はみられなかった。
内閣官房幹部は「維新は社会保障改革や統治機構改革が優先事項。金融政策で足並みを乱すことはないだろう」と指摘。実質的には「首相の考え方が通る」構造になるとみる。
<物価高、米政権が促す現実路線>
もっとも、実際の政策運営は現実路線になるとの見方もある。
岸田文雄政権時の官邸幹部は「リフレ派の方たちと考え方を共有していても、総理になったら現実的に判断をせざるを得ない」と指摘する。過度な金融緩和は円安を通じて輸入物価を押し上げ、物価高対策を相殺しかねない。「トランプ政権が円安是正を求めることなども考えて対応するということになれば、それほど大きく岸田政権、石破政権と変わらないかもしれない」と話す。
党総裁選で高市氏の推薦人となった議員らが参加する「責任ある積極財政を推進する議員連盟」のアドバイザーを務めるクレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストも「来年1月までに利上げを実施することは容認される」と予想。日銀は利上げ継続姿勢を急に転換できないため、新政権には政策金利を0.75%に引き上げてもまだ十分緩和的だと説明して利上げに踏み切るとの見方を示す。
市場では、植田総裁との初会談の時期にも注目が集まる。石破氏は日銀総裁と官邸で会談後、「追加利上げをするような環境にはない」と発言して市場を動かした経緯がある。首相の発言ひとつが円相場を揺らすリスクを示した。
高市氏も近く、経済・物価情勢の認識共有を目的に総裁と面談すると予想されている。市場では高市氏が「どこまで金融政策に踏み込むか」に関心が高まる。為替・金利・物価、そして米政権。日銀の自主性を保ちつつ、政治の意向を反映させる「距離の取り方」が、当面の高市政権の試金石となりそうだ。
米銀の不良債権を巡る不安から、銀行間の合併・買収(M&A)が増えるとの観測が広がっている。業界筋4人は、これを機に大手銀が中小銀の吸収に動く可能性があると指摘した。
米地銀シリコン・バレー銀行の破綻が業界を揺さぶってから2年余り。足元では自動車関連企業の経営破綻と不良債権問題が銀行株を圧迫している。KBW地銀指数(.KRX), opens new tabは16日に6%余り下落した後、17日にやや反発した。年初に比べると約5%の下落だ。
ナッターの弁護士ダン・ハートマン氏は「株式市場の動きとバリュエーションはこれまで常にM&A協議を引っ張ってきた。従って現在の市場の動きがそうした協議を加速させる可能性はある」と予想。トランプ米政権がM&A推進の姿勢であるため、銀行はただでさえM&Aに前向きになっていたと語った。「銀行の規模が大きければ大きいほど、多額の貸し倒れ損失を吸収しやすい」という。
足元では、米修理・交換用自動車部品メーカーのファースト・ブランズと米サブプライム自動車ローン会社のトライカラー・ホールディングスが9月に相次いで経営破綻し、信用市場に波紋を広げた。続いて16日には米銀ザイオンズ・バンコープ(ZION.O), opens new tabが商業・産業向け融資2件に絡む損失を公表した上、ウエスタン・アライアンス・バンコープ(WAL.N), opens new tabが詐欺行為でキャンター・グループへの訴訟に着手したと発表した。
ただ業界幹部は、2023年の地銀危機と現在とでは重要な違いがあると指摘する。23年の地銀破綻につながったような保有証券と負債のミスマッチは株主に開示されているが、貸し倒れ損失は特定の閾値(しきいち)に達するまで開示されないため、不安が誇張されやすいという。
業界筋2人は、小規模銀行を巡る懸念が拡大するなら、M&Aが活発化する可能性があると話す。問題が続くと銀行の取締役会は経営陣に身売りを迫る公算が高まるからだ。
とはいえ、問題行の買収に伴うリスクは高く、買い手は立ち止まって考える可能性もあると業界筋2人は語った。
<標的となる銀行>
投資銀行筋は今月、買収の魅力的な標的になり得る銀行としてザイオンズ、フラッグスター(FLG.N), opens new tab、ファースト・ホライズン(FHN.N), opens new tab、イースト・ウエスト(EWBC.O), opens new tabなどを挙げた。
米銀のM&Aは増えており、S&Pグローバル・インテリジェンスによると、第3・四半期には51件と、四半期として過去4年間で最多の案件が発表された。
もっとも、株価が激しく変動していると買収価格を巡る合意が難しくなるため、現在のような環境は一般にM&Aに適さないと考えられている。初期のM&A協議は、今後数日から数週間で市場全体が落ち着くまで棚上げになるかもしれない。
これに対してあるバンカーは、不透明な環境だからこそ市場・信用面のショックを吸収する上で銀行の規模の重要性が増すと指摘した。
米住宅の値下げが相次いでいる。8月に値下げされた物件は販売件数全体の16.7%で、8月の単月では集計開始した2012年以来最高となった。住宅ローン金利の高止まりなどによる販売低迷が響いている。
ネット不動産仲介のレッドフィンがまとめた。値下げの割合は3カ月連続で17%前後となった。戸建て住宅は全体の18%が値下げされた。コンドミニアムでは13%、タウンハウスでは12%だった。
値下げの主因は販売不振だ。8月の米中古住宅販売件数は400万戸(季節調整済み、年率換算)と足元のピークだった約4年半前の21年1月(660万戸)と比べると4割減った。
高い住宅ローン金利に加えて、在庫不足や資材高騰に伴って販売価格も高止まりしている影響が大きい。住宅の購入希望者は減り続け、8月は販売中の住宅数が買い手を51万件上回るなど、買い手優位が鮮明になっている。
買い手側は強気に転じている。8月に交渉中だった住宅売買契約のうち5万6000件(15%)が破談に追い込まれた。単月では2017年の集計開始以来の高水準だ。
2028年の米国大統領選挙まであと3年ちょっとだが、賭け市場ではすでに、現米国大統領のドナルド・トランプ氏やイーロン・マスク氏のような無資格の候補者も含め、候補者の勝算を見積もっている。
Visual Capitalist の Niccolo Conte によるこの視覚化では、 2025 年 10 月 14 日時点のPolymarketデータに基づいて、2028 年米国大統領選挙の候補者の現在の暗黙の確率を示しています 。
2028年米国大統領最有力候補:J・D・ヴァンス vs. ギャビン・ニューサム
現アメリカ副大統領のJD・ヴァンスが2028年のアメリカ大統領に選出される確率は現在28%で最も高く、次いでカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサムが23%となっている。
以下のデータ表は、2025年10月14日時点のPolymarketの取引データに基づく各候補者の勝利の確率を示しています。3%未満の確率のすべての候補者がデータ表と視覚化に含まれているわけではありません。
2人の有力候補に続くのは、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員で7%のオッズ。次にオッズが高い政治家は、現米国務長官のマルコ・ルビオで3.5%となっている。
マルコ・ルビオよりもオッズが高い意外なアウトサイダーは、ドウェイン・「ザ・ロック」・ジョンソンで、オッズは4.3%。これは、米国が政界の有名人アウトサイダーに強い関心を持っていることを物語っている。
外れ値と不適格な候補者
「ザ・ロック」のような予想外の異例の人物の他に、賭け市場では、現在資格がない他の候補者も検討されている。
ドナルド・トランプ氏は、2028年までにすでに2期大統領を務めているが、依然として3.3%のオッズを獲得しており、共和党支持者に対する彼の影響力が持続していることを反映している。
ドナルド・トランプ氏の子供のうちドナルド・トランプ・ジュニア氏とイヴァンカ・トランプ氏は、それぞれ1.3%と1.9%というわずかな確率で当選資格のある候補者の中にいる。
イーロン・マスクも外国生まれで米国大統領になることが禁じられているにもかかわらず、1.1%の確率で当選するようだ。
アメリカの防災専門家の間では、アメリカは多くの危機を乗り越える能力を持っているが、フードスタンプが停止したら全てが台無しになるという言い伝えが古くからある。つまり、無料サービス軍団が援助を失えば、地獄の門が開くということだ。
米国政府は毎年1,000億ドル以上をSNAPプログラムに支出しており、これは世界最大の単一食料福祉プロジェクトです。SNAPの終了がどのようなものになるかを予測するのは困難です。
最悪の事態を想定し、怒り狂った暴徒が跋扈する「ウォーキング・デッド」のような惨事に備えることもできる。あるいは、緊張がくすぶり続ける可能性もある。多くの人々がただ仕事に就くことを余儀なくされ、福祉受給者層は適応を決意するかもしれない。しかし、おそらくそうはならないだろう。
フードバンクは短期的な救済策を提供しますが、EBT が広範囲にキャンセルされた場合、これらのプログラムは簡単に圧倒される可能性があります。
2025年には、連邦SNAP(フードスタンプ)の給付金受給者数は約4,200万人に達し、これは人口の12%に相当します。もし政治的な武器として利用されれば、混乱を引き起こすには十分な人数です。しかし、フードスタンプが実際に廃止される可能性はどれほどあるのでしょうか?
史上最長の連邦政府閉鎖は2018年から2019年にかけて発生しました。閉鎖は35日間続きましたが、フードスタンプは政治的膠着状態が続く間も引き続き利用可能でした。しかしながら、USDA職員の約半数が一時帰休となり、新規申請や更新手続きに遅延が生じました。SNAP(フードスタンプ)の給付が完全になくなるには、閉鎖が記録よりも相当長い期間続く必要があるのではないでしょうか?
それは民主党次第です。多くのエコノミストは、国内最大の「飢餓対策プログラム」であるSNAPには約60億ドルの予備費があるものの、11月の給付金は約80億ドルになると予想されていると警告しています。農務省の閉鎖計画では、資金が失効した場合でも利用できるとされていますが、現状が続けば、SNAPは11月初旬に資金が枯渇する可能性が高いでしょう。
現時点で政府閉鎖は18日間続いており、過去最長を大幅に下回っています。しかし、閉鎖の長期化を招く条件はかつてないほど整っており、国はまもなくホリデーシーズンを迎え、その影響が顕著に感じられるでしょう。
トランプ政権は、妥協の意思を全く持たない、激しく敵対的な民主党に直面している。上院は、共和党と足並みを揃えて60人の議員による過半数を確保するために、予算案に複数の民主党議員が賛成票を投じることを求めているが、その可能性はますます低くなっている。民主党は暫定的な予算措置に7回も反対票を投じていることに留意すべきである。
対立の核心はACAの給付金をめぐるものだ。民主党は、バイデン政権下で亡命を宣言した限りACAの対象となる数百万人の不法移民に対し、トランプ大統領が引き続き医療費の補助を継続するよう要求している。トランプ大統領と共和党はこれに反対している。民主党は、トランプ大統領が数百万人のアメリカ市民に対する給付金の廃止を企てているという構図を作り上げているが、現実には保守派は非市民を登録簿から削除することを望んでいる。
賭けサイト「ポリマーケット」は、政府閉鎖が11月中旬まで続く確率を38%と予測しており、1週間前の10%から上昇している。 進歩派はここ1年で例年以上に暴走しており、外交的合意は不可能になっている。民主党の指導者と既成メディアは真実をフィルターとして機能し、左派の人々を暗闇に閉じ込めている。彼らが見ている世界は、他のアメリカ人が見ている世界とは驚くほど異なっている。
さらに、民主党は政府閉鎖の継続を、自分たちに有利な危機と捉えているかもしれない。彼らはこれまで、予算難航のほぼ全てにおいて、たとえ民主党が明らかに責任を負っていたとしても、保守派をスケープゴートにすることに成功してきた。
民主党は政府閉鎖が長引くことを望んでいるかもしれない。それは、もし何らかの悪影響があればホワイトハウスのせいにできると期待しているからだ。もしトランプ氏が交渉で彼らに一歩でも譲れば、左派は勝利を宣言し、政権を弱腰だと非難するだろう。もしトランプ氏が譲歩を拒否すれば、彼らは彼を幼い赤ん坊を飢えさせた怪物だと非難するだろう。
つまり、フードスタンプの崩壊の可能性は、ポリマーケットが現在予測しているよりもはるかに高い可能性がある。
金融サービス会社バンクレートの最新 調査によると、現在、アメリカ人の3人に1人は緊急時の貯蓄よりもクレジットカードの負債の方が多い。
Statistaのアンナ・フレックス氏が以下のグラフで示しているように、 これは同社がこの質問を初めて調査し始めた2011年と比べて10パーセントポイント上昇している。
一方、回答者の約53%は、現在貯蓄がクレジットカードの負債を上回っていると答えた。
これは昨年の同時期より 2 パーセントポイント減少していますが、2011 年よりわずかに増加しています。
2025年には、アメリカ人の約10人に1人が借金もせず貯金もせず、給料日前に生活している 。
過去12カ月間に緊急時の貯蓄を利用したと答えた割合が最も高かったのはミレニアル世代だった。
すべてのグループにおいて、緊急貯蓄の最も一般的な用途は、車の修理や医療費などの予期しない緊急出費であり、次に家賃や 住宅ローンなどの月々の支払い、そして食費などの日々の出費でした。
大手石油会社は再び東テキサスで掘削を行っているが、今回は石油ではなく、バッテリー用のリチウムやその他の希少元素を狙っている。
シェブロンとハリバートンは今夏、東テキサスでのプロジェクトを発表した。エクソンモービルは国境を越えたアーカンソー州にも鉱区を保有している。ノルウェーの石油大手とカナダの鉱業会社による合弁会社であるスマックオーバー・リチウムは9月下旬、テキサス州の鉱区の深部にあるスマックオーバー層と呼ばれる巨大な塩水鉱床で、北米でこれまでに報告された中で最もリチウム含有量の多い流体を発見したと発表した。
「開発の機は熟している」と、元ウォール街の銀行家で、ヒューストンに拠点を置くリチウム関連スタートアップ企業テラボルタの創業者ジェイミー・リャン氏は述べた。同社は連邦政府の支援を受けてスマックオーバーにリチウム精錬所を開発している。「途方もない成長の可能性を秘めている」
リチウム採掘は、バッテリーや太陽電池から風力タービン、マイクロチップ、巡航ミサイルまで、先進的な製造業に必要な素材の米国生産を緊急に確立するという連邦政府の広範な取り組みの一環として、テキサス州で台頭しているいくつかの鉱業産業の一つである。
この取り組みには中国との競争が影を落としている。今年に入ってから、世界の二大経済大国は貿易摩擦に見舞われており、その怒りの多くはテクノロジーに利用される鉱物に関連している。今月、中国はリチウム電池部品を含む重要な鉱物製品に対する新たな輸出規制を発表した。トランプ大統領はソーシャルメディアへの投稿で、中国を「非常に敵対的」と評し、重要なソフトウェアに対する輸出規制を課し、中国からの輸入品に100%の関税を課すと警告した。
テクサーカナ近郊では、リチウム資源開発は連邦政府の強力な支援に支えられています。リアン氏のテラボルタは、リチウム精製施設建設のため、2024年に米国エネルギー省から2億2500万ドルの融資を受ける予定です。今年、このプロジェクトは迅速な許可審査の対象に選ばれました。
このプロジェクトは、スマックオーバー層から天然の金属を多く含み、塩分濃度の高い流体を汲み上げ、リチウムなどの鉱物を抽出した後、残った液体を地下に再注入するものです。この地域には少なくとも2つのリチウム精製所の建設が計画されており、企業は掘削のために数万エーカーの土地を借りています。リチウム価格が堅調に推移する限り、さらに多くの精製所が建設される可能性が高いでしょう。
「非常に大規模なインフラ整備が必要になるだろう」とリアン氏は述べた。「井戸を掘ることになるだろう。サービス会社も必要になるだろうし、パイプラインも必要になるだろう」
テキサス州の別の地域では、エルパソ近郊に電気モーターの磁石に使用される希少金属の鉱山建設が計画されている。メキシコ湾岸の田園地帯では、国防総省がジェットエンジン、誘導兵器、ステルス技術に使用されるサマリウムなどの希少金属を加工するプロジェクトに約3億ドルを投資している。ヒューストンの石油化学コンプレックスからパーミアン盆地に至るまで、新興企業、石油大手、鉱業大手が相次いで、石炭灰、廃棄電子機器、鉱山廃石、油田廃水などの産業廃棄物から鉱物を回収し、米国の鉱物供給の加速を目指している。
現在、米国は原材料のごく一部しか生産していません。中国は数十年にわたる投資と優位性の確立により、世界の生産ラインをほぼ独占しており、国家安全保障上の懸念と金融リスクを引き起こしています。
米国で稼働中のリチウム鉱山はネバダ州のみで、同州では政府の支援を受けた2つ目の鉱山が2027年に生産を開始する予定だ。国内で稼働しているリチウム精錬所はテキサス州のメキシコ湾岸に1つだけある。
「中国へのエクスポージャーは容認できない」と、エネルギー省高等研究計画局の元プログラムディレクター、ダグラス・ウィックス氏は述べた。紛争の勃発により、米国が重要なサプライチェーンから切り離される恐れがある。
ウィックス氏は、連邦政府機関が米国の鉱業振興と追い上げに躍起になっている最大の理由はまさにこれだと述べた。地政学的緊張がグローバル化した商業の流れを圧迫する中、ワシントンは採掘をめぐる争いで中国の独占企業に挑戦したいと考えているのだ。
「アメリカの産業界は彼らを上回る生産力を持っていると思う」と、今年引退したウィックス氏は述べた。アメリカには「そのための鉱床」がある。
しかし、米国は、国が主要産業を所有し、補助金、優遇金融制度、その他の市場支援を提供している中国の巨大な経済と対峙しなければならない。それでもウィックス氏は、米国は迅速に行動する方法を知っていると述べた。米国の石油とガスの近年の発展を考えてみよう。シェール革命における技術革新と環境基準の緩和により、米国はわずか10年余りで世界最大の石油・ガス輸入国から主要輸出国へと変貌を遂げた。ウィックス氏は、米国は再び変革できると信じている。
2023年、バイデン政権下で国防総省は中国に依存しない鉱物サプライチェーンの構築を命じられました。それ以来、数十億ドル規模の資金が全米の採掘・精錬プロジェクトに流れ込み、連邦政府の補助金を狙う探鉱者や起業家が殺到しています。
ウィスク氏は、「現在、テキサスでは『石油とガスの他に、地中に何かあるのではないか』という問いが大きく取り上げられている」と語った。
小さな集中、大きな鉱山
テキサス州西部の砂漠地帯にある、テキサス・ミネラル・リソーシズ・コーポレーション(TMRC)という企業が、ラウンドトップ・マウンテンにある950エーカーの土地で希土類元素の採掘を計画していました。同社は2015年に国防総省から初の契約を獲得しました。1月には、半導体や電気自動車のモーターに使用される高純度ジスプロシウムのサンプルを生産するという「画期的な成果」を報告しました。
これらの希少元素は、実際には見つけるのが難しいわけではありません。世界中に存在していますが、その濃度は微量であるため、大量に抽出するには途方もない労力が必要です。また、その過程で大量の廃棄物も発生します。
TMRCは、1日あたり2万トンの岩石を破砕すると発表していた。破砕された岩石は、希釈された酸のプールに1ヶ月間浸漬され、一連の電磁気的処理を経て、必要な鉱物を分離・選別される。TMRCによると、これらの岩石には、リチウム、ガリウム、ハフニウム、ジルコニウム、ベリリウムなど、15種類の希土類元素やその他の金属が含まれている。
TMRCによる2019年の経済評価によると、加工された副産物の中には「有害廃棄物の特性を示すことが予想される」ものや、「廃棄物には天然放射性物質が含まれている可能性がある」ものがある。また、鉱山操業と鉱山廃棄物の保管に伴う水質への潜在的な影響についても言及されている。最新の国勢調査によると、鉱山操業はハドスペス郡で行われており、人口は約3,400人となっている。
しかし、金融アナリストは、赤字の拡大と収益不足の報道を受け、TMRCの存続可能性について警告を発している。アナリストレポートによると、7月にはTMRCは「深刻な流動性危機」に陥っていたという。
ラウンドトップ鉱山は例外的なものではなく、TMRCが苦戦する中で、他の鉱山会社が参入する可能性があると、テキサス州の公式地質調査機関であるテキサス大学オースティン校経済地質局の地質学者ブレント・エリオット氏は述べている。「テキサス州西部には、ラウンドトップのような探査可能な火成岩が数多くある」とエリオット氏は述べ、最近のこの地域の調査で「私が実際に調査に赴く有望なターゲットがいくつか見つかった」と付け加えた。
テキサス大学で博士課程に在籍する22歳のホリデー・オブライアンさんは、鉱業分野でのキャリアを計画している。オースティンで最近開かれた鉱業に関する会議で、彼女は、新技術に関連する鉱業のほとんどは、環境基準や法規制が緩いことが多い遠方の国で行われていると指摘した。アメリカの採掘への投資急増は、今後支援されるクリーンなイノベーションという文脈で捉えられるべきだ。特にトランプ政権が連邦政府所有地の規制を削減する中で、鉱業は環境を大きく変えるだろう。レアアースをめぐる競争が要求する妥協に誰も驚くべきではないと彼女は述べた。
「これらの技術が機能するには、抽出が必要です」と彼女は言った。「グリーンエネルギーへの移行の時代に、環境保護を目指す人にとって、それはあまり好ましいことではありません。」
米国の鉱業損失
1990年以前、米国は世界の鉱物市場を支配していました。しかし、国内の環境保護意識の高まりと、低コストの海外生産の可能性の高まりにより、その10年間で国内生産量は減少しました。2010年代半ばに出現した新たな産業や製品(スマートフォンやテスラ車など)は、米国経済と将来のニーズに対する再考を促しました。鉱業は失われた機会と化しました。
「電気自動車のようなものを作るために実際に何が必要なのか、人々は考え始めました」と、ライス大学ベイカー公共政策研究所のエネルギー・鉱物・素材研究員、ミシェル・ミショー・フォス氏は述べた。「私たちは、なんと、自分たちではこれらのものを何も生産していないことに気づき始めたのです」
近年、中国が戦略的市場に投資し、発展させてきたことが明らかになったと彼女は述べた。トランプ政権は、就任1年目にして、鉱物生産を国家安全保障上の問題として評価した。
2017年のトランプ大統領の大統領令「重要鉱物の安全かつ確実な供給を確保するための連邦戦略」において、連邦政府の義務が規定されました。 2018年には、脆弱なサプライチェーンと重要な経済機能にとって35種類の鉱物が「重要」と指定されました。
バイデン政権下では、鉱業への連邦政府資金が急速に拡大しました。2021年の超党派インフラ法案と2022年のインフレ抑制法により、全国のプロジェクトに数十億ドルが投入されました。特に注目すべきは、2023年の国防権限法が軍に対し、4年以内に中国産鉱物をプロセスから排除し、代替品に置き換えるよう命じたことで、複雑なサプライチェーンの再構築に向けた競争が激化しました。
2024年に貿易摩擦が激化する中、中国は米国へのいくつかの主要鉱物の輸出を禁止した。
第2次トランプ政権はこれまでに、鉱物産業に数十億ドルの追加予算を割り当て、連邦政府所有地を鉱業探査に開放し、特定のプロジェクトに対する許可手続きを迅速化し、90カ国以上からの輸入品に関税を課しました。中国はこれに対し、軍事製造に使用される17種類の鉱物の輸出規制を発動しました。
ウェストポイント陸軍士官学校の現代戦争研究所はこれを「米国の防衛産業基盤への警告射撃」 と呼んだ。
アメリカはこのギャップを埋めることができるだろうか? ライス大学のフォス氏は「容易ではないだろう」と述べた。米国の鉱業部門が衰退するにつれ、人材、専門知識、そして人材パイプラインも衰退した。
「誰もこのことについて何も知らない」とフォス氏は言った。「USGSの奥深くにいる人を除いて、各機関の中にさえ優秀な冶金学者はもういない」
米国が世界の鉱物市場での地位を確保するには、鉱山開発だけでは不十分だ。採掘された鉱石を加工処理する中流・下流産業が不可欠だ。そうでなければ、原料は優れた加工能力を持つ中国に輸送せざるを得なくなるだろう。
希土類元素は、電気モーターや発電機に使用される先進的な磁石の重要な構成要素です。米国エネルギー省国立再生可能エネルギー研究所の 2023年報告書によると、風力タービン1基あたり、発電容量1メガワットあたり、ネオジム180キログラム、ジスプロシウム17キログラム、テルビウム7キログラムが必要です。
注目すべきは、米国初の大規模リチウム精錬所は電気自動車メーカーのテスラが所有しており、テキサス州コーパスクリスティ近郊にあることだ。
12月に稼働を開始したテスラの工場は、カナダ唯一のリチウム鉱山から鉱石を輸入し、バッテリーグレードの材料に加工しています。最終的には1日あたり800万ガロンの水を使用する予定ですが、現地の水不足を考えると、これは難しいかもしれません。
テスラの精油所の北約70マイルには、オーストラリアの鉱山会社ライナスと国防総省の共同プロジェクトである別の希土類処理工場も計画されている。
国防総省は2021年以降、サンアントニオ湾岸の小さな町シードリフト近郊に建設予定のライナス・レアアース・リミテッド社に2億8800万ドルを投資してきた。完成すれば、この鉱業会社は、宇宙船、衛星、ミサイル誘導システム、ステルス機、電子戦技術に用いられる超高温磁石 に使用されるサマリウムなどの元素を加工する米国初の加工施設を監督することになる。
しかし、水問題に関連した問題が再び浮上している。 2023年11月付けの環境影響評価書案によると、ライナス社は近隣のダウ・ケミカル工場の既存の処理システムを利用して廃水を排出する予定だ。同月、テキサス州の環境規制当局はダウ社に対し、廃水処理許可の修正案を公表した。この修正案では、ダウ社の排水口の一つにおける1日あたりの排水制限量が1,700万ガロンから4,200万ガロンに引き上げられることになっている。 許可修正案では、リナスや毎日の排出量の急増の理由については触れられていなかった。
シードリフト在住の78歳の環境活動家ダイアン・ウィルソン氏は、数十年にわたりダウ社と闘ってきたが、許可の修正に異議を唱え、ダウ社の必要性を疑問視した。ダウ社の既存の許可では、廃水中に約80種類の有害化学物質と金属が含まれることが認められている。
驚いたことに、州の規制当局がウィルソン氏の要請を検討する よう勧告した直後、ダウ社は今年2月に申請を取り下げた。
「彼らは明らかに我々が公聴会に行くことを望んでいなかった」とウィルソン氏はダウと鉱山会社について語った。「ここには真の秘密組織がある」
業界報道によると、2か月後、ライナス社は「廃水問題」によりプロジェクトコストが上昇すると発表した。8月の年次決算発表では、「テキサス州シードリフトの重希土類処理施設の建設が進められるかどうか、また進められる場合、どのような形態になるかについて、大きな不確実性がある」と指摘されている。
ウィルソン氏はその時、許可申請の背後にはライナス鉱山プロジェクトがあると推測したと述べた。
ライナスとダウはコメントの要請に応じなかった。
廃棄物からの鉱物
ヒューストンの工業団地の中心にある別のオーストラリア企業、メタリウムは8月、産業廃棄物や電子廃棄物から鉱物を回収する初めての施設のために、完全に許可された土地を借りたと発表した。
中国で採掘・精錬された多くの重要な鉱物は、最終的には廃棄された家電製品としてアメリカの埋め立て地に捨てられています。メタリウムは、ライス大学で開発されたフラッシュ加熱技術を用いて、これらの廃棄鉱物を回収し、様々な元素を抽出することを目指しています。同施設は2026年の稼働開始を予定しています。
他の企業は、石炭灰、鉱山廃石、沿岸のアルミナ処理施設に数十年にわたって埋もれていた赤泥残留物など、古い産業廃棄物から重要な鉱物を抽出する方法を模索しています。サンアントニオでは、メタンガスからグラファイト鉱物を抽出するパイロットプロジェクトが進められています。
石油井戸から出てくる大量のミネラル豊富で有毒な廃水を扱う小規模なスタートアップ企業も現れている。
「基本的に油井をミニ鉱山に変えることができる」とサンアントニオを拠点とする新興企業マーベリック・メタルズの共同創業者ジェシー・エバンズ氏は語った。
マーベリック社は今年、水圧破砕法の過程で新しい油井に高圧で注入し、「生産水」として知られる茶色の泡状の塩水で地表に浮かび上がる金属含有岩石を溶解する独自の化学物質の製造を開始した。
マーベリック社は、廃水から金属を抽出するためのプロセス、設備、そして化学薬品を保有しています。この分野のスタートアップ企業の多くはリチウムに特化しているとエバンズ氏は言います。しかし、油田廃水にはプラチナ、パラジウム、金といった微量の金属も含まれており、これらは収益性の高い事業だとエバンズ氏は言います。
「リチウム業界を本当に難しくしているのは中国との競争だ」と彼は語った。
世界最大の電池メーカーであるContemporary Amperex Technology Co., Limitedなど、一部の中国企業は鉱山から工場まで垂直統合されています。また、中国企業は環境規制が緩く、人件費が低く、メディアの監視も少ないという状況に直面しています。重要なのは、中国の国営経済は、価格を下げて競争を圧倒するために、生産量を迅速に急増させることができるということです。そして、国営企業は数ヶ月、場合によっては数年も赤字経営を続ける可能性があります。
「われわれは資本主義のルールに従っているが、彼らには異なるルールが適用される」と、重要鉱物に関する年次会議を主催するテキサス大学オースティン校の准教授マレク・ロクメリス氏は語った。
リチウムの希望
リチウム採掘は、膨大な水資源を必要とするだけでなく、環境面および技術面でも課題に直面しています。テキサス州では、企業が計画しているリチウム採掘方法は、世界でもまだ大規模に商業的に利用された例がありません。
従来の硬岩鉱山では石を砕いて粉砕する必要があるのに対し、スマックオーバー層には金属を豊富に含む塩水が含まれているため、より迅速な採掘が可能です。
「塩水から直接抽出すれば、基本的にエネルギーを大量に消費する鉱物処理のステップを省略できる」とロクメリス氏は言う。
ネバダ州にある米国唯一の稼働中のリチウム鉱山、シルバーピークを含む既存のリチウム塩水事業では、18ヶ月かけて液体を池で蒸発させ、鉱物を濃縮しています。しかし、テキサス州のプロジェクトでは、数日間で金属を抽出できる新しい方法を採用する予定です。
これらの方法は、硬岩鉱山や蒸発鉱山に比べて必要な淡水量ははるかに少ないものの、それでも浅い帯水層から相当量の水を汲み上げます。東テキサスは水が豊富であるように見えるかもしれませんが、リチウム生産の影響を受ける地域には、汲み上げ量を管理・追跡するための地下水保全地区が不足していると、非営利団体環境防衛基金のテキサス州水プログラムディレクター、ヴァネッサ・プイグ=ウィリアムズ氏は述べています。
「淡水地下水の生産を管理している機関が存在しない」と彼女は述べた。「監督機関がないので、心配だ」
オースティンを拠点とするリチウム関連の新興企業であるEnergyXは、「独自のリチウム選択吸着剤、膜、抽出剤」を使ったプロセスを使用して、「より速く、よりクリーンで、コスト効率の良いリチウム抽出を可能にする」と創業者のティーグ・イーガン氏は語った。
イーガン氏によると、このプロセスでは生産されるリチウム1トンあたり約6,600ガロンの淡水が使用されるが、これは従来の蒸発法に比べるとほんの一部に過ぎない。
エナジーXは9月、テキサカーナに実証プラントの建設予定地を発表した。来年初頭の稼働開始を目指している。ゼネラルモーターズ(GM)の支援を受ける同社は、隣接する330エーカーの土地を所有しており、そこに商業規模の製油所を建設する予定だ。2030年までに4基のユニットが稼働し、年間5万トンの生産能力を達成する予定だ。
「テキサス州、特にスマックオーバー地域は、米国のリチウム産業の中心地の一つとして急速に台頭しています」とイーガン氏は述べた。「10年後には、スマックオーバー地域が国内最大のリチウム生産地になると確信しています。」
彼のビジョンはリチウム価格の高騰に対する大きな期待にかかっているが、それについては不確実性も残っている。
中国との貿易戦争は、アメリカの産業に壊滅的な打撃を与える可能性があります。技術の進歩により、リチウム含有量の少ないバッテリーが小型化され、需要が減退する可能性があります。リサイクル技術の急速な進歩も、リチウム生産の必要性を低下させる可能性があります。科学者たちは、エネルギー貯蔵のための新たな設計を開発しており、最終的にはリチウムバッテリーがCDプレーヤーやUSBメモリと同様に陳腐化の道を辿ることになるかもしれません。
イーガン氏はひるんでいない。彼は、北東テキサスが「上流の塩水生産から下流の精製まで直接統合された、本格的なリチウム拠点へと発展する」と確信している。
「この地域は世界のベンチマークとなる可能性を秘めています」と彼は述べた。「石油・ガス産業がこの地域の過去を形作ってきたように、リチウムはこの地域の未来を形作る力となるでしょう。」
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
440億ドルのアラスカLNGの推進派は、輸出プロジェクトに使われる全長800マイルのパイプラインの重要なエンジニアリングとコストの調査を年末までに完了する予定だと、米国内務長官ダグ・バーグム氏が語った。
「アラスカLNGプロジェクトについては大きな楽観論があり、基本設計調査は今年12月に発表される予定で、このプロジェクトには大きな関心が集まると思う」とバーグム氏はロイター通信が伝えた米国石油協会(API)主催のイベントで語った。
アラスカLNGプロジェクトは、ノーススロープ産天然ガスをアラスカ州民に供給し、太平洋を越えた米国の同盟国にLNGを輸出することを目的としています。 ノーススロープ産天然ガスの生産拠点からアラスカ中南部まで800マイル(約1300キロメートル)のパイプラインを敷設し、輸出に供する予定です。さらに、複数のガス接続地点を設けることで、州内のガス需要を確実に満たすことができます。
アラスカLNGプロジェクトは、米国のエネルギー開発会社グレンファーン・グループとアラスカ州が所有するアラスカ・ガスライン開発公社との合弁事業である。
グレンファーンは6月、ドナルド・トランプ大統領のお気に入りのエネルギープロジェクトが完成すれば、エネルギー会社はアラスカから1150億ドル相当のLNGを購入する用意がある と述べ、50社もの企業が正式に関心を示していると指摘した。
米国当局は今年初め、 LNGプロジェクトへのアジアの潜在的投資家を探すためアジアを視察した。このLNG輸出施設はトランプ政権から強く支持されており、同政権はアジア同盟国に対する米国の貿易赤字削減策として、日本と韓国に対しLNG購入拡大を強く求めている。
日本や他のアジア企業は 440億ドルのアラスカLNGプロジェクトへの投資を検討しているが、これまでのところ、アラスカの寒さやプロジェクトを稼働させるために必要なパイプラインの規模を考えると、コストが高すぎるのではないかと懸念しているようだ。
●その他
備忘録(2025/10/20)
●企業
半導体メーカーNexperiaの中国子会社は、オランダ本社からの指示を無視するよう従業員に指示した。これにより、同社の支配権をめぐる国境を越えた対立がさらに激化し、世界の自動車・電子機器サプライチェーン全体に警鐘が鳴らされている。
ネクスペリア中国は10月19日、週末にかけて公式WeChatアカウントで公開した社内メモの中で、従業員に対し、中国に拠点を置く法定代理人の承認がない限り、国内経営陣からの指示にのみ従い、たとえOutlookやMicrosoft Teamsなどの公式企業コミュニケーションプラットフォームを通じて伝えられたとしても、外部からの指示の「実行を拒否する権利」を有すると伝えた。
複数の中国子会社が署名したこの通知では、ネクスペリア社の中国事業は中国企業法に基づき法的に独立しており、引き続き「中国企業として」事業運営を行い、完全な意思決定権は中国国内に留まると述べられている。また、すべての給与、ボーナス、福利厚生は、オランダに拠点を置く親会社ではなく、ネクスペリア中国が単独で支払うことも明記されている。
この覚書は、オランダ政府による異例の介入を受けて発表された。政府は今月初め、 「深刻なガバナンス上の欠陥」と、重要な半導体製造能力が中国の所有下に移管される可能性への懸念を理由に、ネクスペリア社のグローバル経営に対する直接的な監督を実施した。この措置は、冷戦時代に制定され、ほとんど適用されなかった物品供給法(GAL法)に基づいて行われたもので、オランダの産業史における初の措置となった。
オランダ当局は、この措置の一環として、ネクスペリア社のCEOである張学正氏(ネクスペリア社を所有する中国企業、ウィングテック・テクノロジーの創業者)を停職処分とし、暫定的な欧州指導部を設置した。この決定は中国政府とウィングテック社から直ちに非難を浴び、ハーグの「差別的待遇」と「地政学的な偏見に基づく過剰な介入」を非難した。
同時に、中国商務省はネクスペリア社の完成品およびサブアセンブリの中国工場からの出荷を禁止し、欧州への輸出を事実上停止した。ネクスペリア社の最終梱包および組立の最大80%が中国本土で行われているため、このブロックにより企業間の指揮権の分断が深刻化している。
ネクスペリア・オランダは複数のメディアへの声明で中国のメモを非難し、解任されたCEOがオランダ本社が中国事業を放棄したか経営権を譲渡したという「虚偽」を広めたと非難した。
「一部の人々がこうした虚偽を広める必要があると考えていることを遺憾に思います。ネクスペリア社が顧客やパートナーにサービスを提供し続けられる、そして従業員に安定をもたらす解決策が見つかることを期待しています」と同社は述べた。
大紀元タイムズはネクスペリア社にコメントと中国支社からのメモに対する対応の詳細を求めて連絡を取ったが、記事掲載時までに回答は得られなかった。
欧州と米国の業界団体は、この紛争が数週間以内にサプライチェーンに衝撃波を引き起こす可能性があると警告している。ネクスペリア社は、ほとんどの最新自動車に搭載されている成熟ノードの半導体を製造している。これらの部品は、高度な技術ではないものの、数千万個単位で生産されている。
欧州自動車工業会は10月16日付の報告書で、「これらのチップがなければ、欧州の自動車部品サプライヤーは自動車メーカーに供給するために必要な部品やコンポーネントを製造できない」と述べた。
ワシントンでは、自動車イノベーション連盟も同様の警告を発した。
「車載用半導体の出荷が早急に再開されなければ、米国をはじめとする多くの国の自動車生産に混乱が生じ、他の産業にも波及効果をもたらすだろう」と、同グループのCEO、ジョン・ボゼラ氏は述べた。「それほど重大な事態なのだ」
フォルクスワーゲンとBMWは、緊急時対応計画を策定中であることを確認した。両社ともまだ生産ラインを停止していないものの、現在の半導体在庫は限られた期間しかカバーできないと述べている。
オランダのヴィンセント・カレマンス経済大臣は、この紛争について協議するため、今後数日中に中国の経済大臣および欧州委員会と会談する予定だ。
「欧州は、この種のチップに関する知識、専門技術、能力を、外国に100%依存していただろう」とカレマンス氏は10月19日、オランダのテレビ番組「ブイテンホフ」のインタビューで語り、オランダ政府がネクスペリア社の経営権を握る決断をした背景にある必要性について言及した。
この紛争は、中国と西側諸国間の半導体をめぐる広範な争いを反映している。米国はネクスペリアの親会社であるウィングテックをブラックリストに載せ、オランダなどの同盟国に輸出規制の強化を迫った。一方、中国も独自の規制で対抗しており、半導体企業は地政学的な戦場と化している。
デトロイト — 「多大なコストと混乱」フォードモーターはこう語る
CEOのジム・ファーリー氏は、地政学的緊張、関税、インフレ、その他の混乱の中、今年初めに自動車業界の現状を説明した。
これらすべての要因が米国の自動車業界に大きな不確実性をもたらし、2025年の同業界の見通しは比較的弱気なものとなりました。懸念の一部は現実のものとなりましたが、業界は多くの人が予想していたよりもはるかに回復力があることが証明されました。
「関税発動から6カ月が経過したが、業界が予想以上に持ちこたえていることに我々はポジティブに驚いている」とバークレイズのアナリスト、ダン・レビー氏は先月、米国の自動車・モビリティセクターの見通しをネガティブからニュートラルに引き上げた投資家向けメモで述べた。
自動車業界の幹部、業界関係者、アナリストらによると、バークレイズの中立格付けは、現在の自動車業界の状況を雄弁に物語っており、状況はかつて懸念されていたほど悪くはないものの、まだそれほど楽観的でも確実でもないという。
S&Pグローバルは先週、関税負担がどのように軽減されたかを説明した新たなレポートを発表した。しかし、可処分所得の伸び鈍化、消費者の悲観論、そして流動的な貿易政策を背景に、需要の逆風は依然として続いていると指摘した。同社は、政府閉鎖も経済見通しの不確実性を高めていると指摘した。
この慎重な姿勢は、S&Pが米国の軽自動車販売台数の予想を2025年に約2%上方修正し1610万台、2026年には20万台増の1530万台と予想したことを受けてのものだ。
予想外の楽観論を牽引した要因の一つは、消費者支出が比較的安定しているなど、マクロ経済全般が安定していることに加え、業界の売上と生産が予想以上に好調に推移していることである。
「(経済の)見通しは改善しつつあり、その理由の一つは関税が世界を滅ぼしたわけではないという認識が広まっていることであり、これは自動車市場にも当てはまります」と、コックス・オートモーティブのチーフエコノミスト、ジョナサン・スモーク氏はCNBCに語った。「私たちはこの状況を乗り越えられると信じており、この楽観的な見通しを維持しています。」
こうした楽観論は、ゼネラルモーターズなどの大手自動車メーカーが今週から第3四半期の業績発表が始まります。
LSEGがまとめたアナリストの予測によると、米国の自動車メーカー各社は調整後1株当たり利益が2桁減少するものの、調整後ベースでは黒字を維持すると予想されている。
「第3四半期の利益は概ね予想通り、あるいは若干上回ると予想しています。業界の生産は予想を上回りました」と、ウルフ・リサーチのアナリスト、エマニュエル・ロスナー氏は10月10日付の投資家向けメモで述べています。「しかし、いつものように、考慮すべき微妙な点があります。」
バランスをとる
自動車業界は、今、綱渡りの時期を迎えている。
関税により自動車メーカーは今年、数十億ドルの損失を被ったが、燃費規制の緩和やトランプ政権の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」に基づく企業利益が、こうしたコストを相殺するのに役立つとフォードのファーリー氏らは述べている。
一方、サブプライム自動車ローン会社トリコロールの最近の倒産など、信用度の低い購入者に対する自動車ローンの緊張を示す危険信号はあるものの、第3四半期までの新車の販売と価格は多くの人々の予想をはるかに上回った。
「来年にはプラス材料もあるが、関税をめぐる騒動や消費者の不満が爆発したり、その他諸々の事態になれば、非常に深刻なマイナス材料も出てくる可能性がある」と、モーニングスターのアナリスト、デビッド・ウィストン氏はCNBCに語った。「しかし、完全な暴落を予想する人はいない」
GM、フォード、そして複数の自動車小売業者やサプライヤーを担当するウィストン氏は、業界の大きな懸念は他の強気な状況によって相殺されているとして、自身の見通しを「慎重に楽観的」と表現した。
UBSのアナリスト、ジョセフ・スパック氏もこれに同意し、関税や電気自動車の損失など自動車メーカーにとっての多くの課題は「すでに2025年/2026年の予測に織り込まれている」と先月の投資家向けメモで述べた。
経済的、政治的な懸念に加え、自動車業界は完全電気自動車の普及における大きな変化に直面しており、GMは先週、電気自動車からの撤退に関連して四半期中に16億ドルの特別費用を事前報告した。
今年の「混乱」に、特にフォードにとって追い打ちをかけているのは、先月発生したアルミサプライヤーのノベリス社での火災で、自動車生産に悪影響を及ぼしている。ウォール街のアナリストは、この火災によりフォードの営業利益は5億ドルから10億ドルの損失になると推定している。
「自動車業界は大きな変動期にあり、様々な課題に直面しています」と、ハーバード大学シニアフェローで 元GMチーフエコノミスト、エレイン・バックバーグ氏は関税、EV、その他の問題について述べた。「ここ7年ほど、自動車業界が直面してきたボラティリティのレベルは、かつてないほどです。」
サプライヤー
今年初めと同様に、自動車メーカーにとって、より広範なサプライヤー業界は依然として大きな潜在的な懸念事項となっている。
自動車部品業界は、数十億ドル規模の上場企業から、部品を1つか2つ作る「家族経営の店」まで、数千の企業で構成されており、業界の専門家は、追加コストの増加はほとんど、あるいは全く耐えられないと指摘する。
「市場は圧力にさらされており、脆弱です」と、自動車部品サプライヤー協会MEMAの戦略・調査担当エグゼクティブディレクター、マイク・ジャクソン氏は述べた。「柔軟性と機敏性を備えたサプライヤーは、変化や転換にもめげず、自らのポジショニングを再構築し、成功を収めてきました。」
全ての企業が競争に勝てたわけではない。9月下旬に米国自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループが破綻したことで、ウォール街ではプライベート・クレジット市場の健全性に対する懸念が高まった。ファースト・ブランズは、世界中の多数の金融機関や投資ファンドと複雑な債務契約を結んでいた。
JPモルガン・チェース ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は 先週、ファースト・ブランズとトリコロール・ホールディングスの破産を企業融資過剰の「初期兆候」と呼んだが、ウォール街の一部アナリストはこれらを特異な事態として片付けている。
幹部らは、OEM(相手先商標製造会社)とも呼ばれる自動車メーカーはこれまで、必要に応じてサプライヤーを支援するために最善を尽くしており、そうした企業に追加関税の負担を転嫁していないと述べたが、それがどれだけ長く続くかは不明だ。
「サプライヤーは顧客と協力して影響を軽減しようと全力を尽くしており、これは解決すべき重要な問題だと認識しています」とジャクソン氏は述べた。「とはいえ、関税以外にも様々なコスト圧力がかかっています。…顧客やOEMによって状況は異なります。」
アプティブ、ボルグワーナーなど、多くの大手上場サプライヤーの株式ダナおよびアディエントは今年に入ってから2桁の伸びを見せている。カナダに拠点を置くマグナ・インターナショナルでさえ
一時は関税の影響を最も受ける企業の一つと予想されていた同社の株価は、およそ7%上昇している。
今月初めに発表されたMEMAの最新「車両サプライヤーバロメーター」によると、北米の自動車サプライヤー幹部の間で悲観的な見方が14四半期連続で高まっている第3四半期にもかかわらず、こうした増加が達成されたという。
サプライヤーの懸念に加わっているのは、米国とメキシコ、カナダの間の関税問題が続いていること、および自動車に使用されるものも含め多くの希土類材料が加工・調達されている中国とトランプ政権の進行中の貿易戦争である。
K字型の懸念
また、自動車産業は米国において富裕層が利益を上げ続ける一方で低所得層が苦戦する「K字型」経済の一例であるという懸念も続いている。
経済学者たちは、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて米国経済は ますますK字型に なっており、消費者は所得水準に応じて異なる現実を経験していると警告している。
中古車販売店カーマックス
同社は先月末、消費者に警鐘を鳴らした最初の大手自動車関連企業となった。
「消費者はしばらく前から落ち込んでいる。不安が広がっていると思う」と、カーマックスのビル・ナッシュCEOは今月初めにアナリストらに語った。また、中古車販売業者の自動車ローン担当幹部は、こうした「亀裂」は「業界の問題」だと警告した。
しかし、その「問題」は、低所得の消費者やサブプライムクレジットを持つ人々だけに当てはまるようで、彼らの多くは新車を購入しない。
裕福なアメリカ人は住宅価格の上昇、株式市場の有利なリターン、有利な信用に助けられてきたが、低・中所得層の購入者は予算の厳しさに直面し、インフレ上昇による大きな打撃を受けている。
フィッチ・レーティングスによると、8月のサブプライム自動車ローンの6.43%が60日以上延滞しており、これは1月に記録した過去最高の6.45%とほぼ同水準です。より高いスコアを持つ借り手の延滞率は比較的安定しています。
「消費者に関する懸念は明らかです。『K』の上位層に属さなければ、確かにストレスはあります」とコックス・オートモーティブのスモーク氏は述べた。「しかし、これは中間所得層以下の世帯に関する人口統計的な話であることが多いのです。」
バックバーグ氏によると、新車購入者の約3分の2は、世帯収入が中央値を上回る人々によって購入されている。 米国国勢調査局の推計によると、昨年の米国の世帯収入の中央値は83,730ドルだった。
関税コストが新車購入者に転嫁され始めたり、激しい規制の混乱が自動車業界にさらに影響を及ぼしたりすれば、この割合は増加し続け、売上に影響を及ぼす可能性がある。
「2026年に向けての大きな疑問はまさにこれです。業界関係者は皆、消費者が自動車関税の転嫁を受け始めるだろうと想定しているようですが、実際にはまだそうなっていません」とウィストン氏は述べた。「消費者はそれにどう反応するでしょうか? 冷静に受け止め、料金を支払って乗り続けるのでしょうか? それとも、大騒ぎになるのでしょうか? その答えはまだ誰にも分かりません。」
●マクロ
米投資会社カーライル・グループのハーヴィー・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は、最近の信用市場で見られるボラティリティーが自身の「懸念リスト」に入っていると述べた。ただ、現時点では状況が悪化している兆しは見られないと語った。
オルタナティブ資産4650億ドル(約70兆円)を運用する同社のポートフォリオ企業を見る限り「データから示唆されるのは企業の成長と、安定した雇用、やや根強いインフレだが、近い将来に崩壊を示唆するような兆候は見当たらない」と19日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで述べた。「とはいえ、今は景気サイクルの後期であり、(信用市場の変動は)懸念リストに入って当然だ」と続けた。
シュワルツ氏はF1のUSグランプリ会場で、オラクル・レッドブル・レーシングのチーム代表ローラン・メキーズ氏とともにインタビューに応じた。カーライルは先月、同F1チームとの複数年にわたるパートナーシップを結んだと発表している。
米自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスと自動車部品サプライヤーのファースト・ブランズ・グループが破たんして以降、信用市場では不安定な状況が続いている。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは「ゴキブリは1匹だけではない」可能性を警告している。16日には米地銀2行が融資に関する詐欺の被害に遭ったと発表し、株価が下落した。
オルタナティブ資産運用業界は伝統的な機関投資家以外にリーチを拡大しようと、スポーツチームやアスリートとのパートナーシップを積極的に進めている。トランプ大統領による今夏の大統領令を受けてプライベートエクイティ(PE)会社は年金市場に進出しており、金融商品の購入が期待できる個人投資家への浸透を目指している。
オラクル・レッドブル・レーシングのジャケットを着たシュワルツ氏とメキーズ氏は、両者のパートナーシップをアピールした。メキース氏によれば、カーライルもF1も消費者へのリーチ拡大を目指している。
さらにメキース氏は、レッドブルのトップドライバー、マックス・フェルスタッペンとともに走る「セカンドシート」について、「約2レース後にも」判断を下せそうだと述べた。
関税の影響で、企業にとって資金調達手段の重要性が一段と高まっている。自動車部品メーカーのファースト・ブランズ破綻が示す教訓と、サプライチェーンファイナンスに注目が集まる。
売掛金の回収が遅れる中で給与や仕入れ代金の支払い期日が迫った場合、最高財務責任者(CFO)たちはどう対処するのか。その答えの一つがサプライチェーンファイナンスだ。これは、企業が未回収の売掛金を第三者に売却したり、担保に借り入れたりして資金を確保する仕組みで、これは広義のトレードファイナンスに含まれる。
こうした手法は、企業が手元資金を極力効率化しようとする中で欠かせない。特に、世界的な貿易摩擦がサプライチェーンを混乱させる状況では重要性が増している。
通常は目立たない日常的な資金調達手段だが、問題が起きたときには一気に注目を集める。
破産した自動車部品サプライヤー、ファースト・ブランズ・グループが典型的な例だ。同社はウォルマートやオートゾーンなど向けの売掛債権を担保に借り入れを行い、ウォール街の大手金融機関などからの債務を総額100億ドル(約1兆5000億円)超に膨らませた。詳細はまだ整理途上にあり、米連邦検察当局も破綻の経緯を調べている。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、最近の信用関連の損失を「ゴキブリ」にたとえ「1匹見つかれば他にもいる」ものだと指摘した。
市場と専門家の見方
一方、取材に応じた複数の財務担当幹部は、ファースト・ブランズ破綻を個別要因による事例とみている。ただ、銀行など資金提供者が取引先との関係を見直したり、一部の取引を縮小する可能性はあるという。それでも大方の見方は、サプライチェーンファイナンスは依然として有用で、合理的な仕組みだというものだ。
テンサーの社長で、運転資本の最適化を助言するイゴール・ザックス氏は「正しく使われ、開示が行われている限り、この商品に本質的な問題はない」と述べた上で、「問題は、関係者が十分なデューデリジェンスを行っていないことだ」と指摘した。
財務アドバイザリー会社ニューグループ創業者のジョセフ・ニュー氏も同調する。2021年に破綻した英国のサプライチェーン金融会社グリーンシルの例を挙げ、「不正行為を行うプレーヤーが市場全体の信用を損なう」と語った。
ニュー氏はサプライチェーンファイナンスの一種であるリバースファクタリングについて、優良企業はこのサプライヤー向け金融プログラムを継続しており、ファースト・ブランズの件で方針を変えることはないと話した。
銀行と仕入れ企業が連携してサプライヤーへの早期支払いを可能にするリバースファクタリングの利用は新型コロナウイルスのパンデミック以降、拡大している。データ会社BCRによると、2024年の世界取扱高は2兆5000億ドルと、19年の9710億ドルから大幅に増加していた。
サプライチェーンファイナンスへの需要は続く見通しだ。世界最大級の提供会社の1社であるHSBCの米法人でグローバルトレードソリューション事業を統括するアジット・メノン氏は、現在の通商摩擦が需要を一段と押し上げると予想している。
一方、格付け会社はサプライチェーンファイナンスへの過度な依存は企業の財務状況を実態より健全に見せる恐れがあると警告する。S&Pグローバル・レーティングのマネジングディレクター、シュリパド・ジョシ氏は「この種の取引は、企業の基礎的な財務健全性を誤って見せる面がある」と指摘した。
もっとも、こうした資金調達の多くは企業活動を支えるものであり、リスクよりもむしろ実務的な利点が大きいとみられている。
米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)はリバースファクタリングを提供している。仕入れ先への支払いを通常90日後に行うが、その間、取引先は「J&Jの信用格付けを活用し、低金利で資金を調達することができる」とジョー・ウォークCFOは説明した。
T&Dホールディングス(8795.T), opens new tab傘下の大同生命保険は17日、2025年度下期の一般勘定資産運用計画で、国内債券は超長期債を中心に1500億円程度を積み増す考えを示した。上期と同程度のペースを想定している。このうち、超長期債は1000億円程度を想定する。
運用企画部長の佐藤孝明氏がロイターなどに対し語った。年度内の10年金利は、追加利上げや積極的な財政政策への警戒感から緩やかな上昇を見込んでいる。超長期債の運用では「もちろん、少しでも(金利が)高い水準で買いたい」としたが、負債と資産のデュレーションマッチの観点から「あまり大きくタイミングのリスクは取りたくない」と話した。
債券市場では超長期債を中心に財政拡張的な政策への思惑が金利上昇圧力となった経緯がある。足元では政権の枠組みが明確になっておらず「(財政拡張的政策の)リスクがないとは言えない。(金利の)水準としてはいいところだが、引き続き警戒してみていく」と話した。
同社は年度内の20年金利のレンジを2.4─3.1%、30年金利を2.9─3.7%とみている。年度末はそれぞれ2.9%、3.4%と予想している。
日銀の金融政策は、インフレ率が依然、目標値を超えていることや為替の円安などで年度内の追加利上げを予想。ターミナルレートは1%程度を想定する。インフレ率は、政府補助によるエネルギー価格低下やコメ不足対策によって目標の2%に向けて緩やかな低下を予想。実質賃金の上昇や政府の経済対策を背景に、国内経済は内需主導で潜在成長率並みの成長が続くとみている。
一方、残高削減を進めてきた外国債券は横ばいを見込む。金利や為替、ヘッジコストなどに応じてヘッジ付きとオープンの間で残高調整をする。「米国債でヘッジ付きで1%を下回るリターンしか出せない」として、相対的な魅力は円債の方にあるとの見方を示した。米連邦準備理事会(FRB)による利下げは、同社が3%程度と見積もる中立金利に向けて段階的に継続実施するとみている。
国内外の株式は、市場変動リスクの低減を図るため、残高削減を継続する一方、貸し付けは海外のプロジェクトファイナンスを中心に残高を積み増す。オルタナティブ投資は、中長期的収益拡大に向けたリスク分散や収益獲得機会の拡大などのため増加を見込んでいる。
足元で政策の不透明感もあって為替は円安となっているが、次第に日米の金融政策の違いに目が向かうとみており、円高推移を見込む。
◎25年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 1.40―2.00%(年度末1.80%)
米10年債利回り 3.60─4.40%(同3.90%)
日経平均 4万2000円─5万2000円(同4万6000円)
米ダウ 4万2000ドル─5万0000ドル(同4万6500ドル)
ドル/円 139―158円(同145円)
ユーロ/円 162―185円(同171円)
中古高級品の世界市場が急成長するにつれ、認証は信頼できるプラットフォームとそれ以外のプラットフォームを区別する決定的な要素となっています。
ボストン コンサルティング グループと高級品再販プラットフォームのヴェスティエール コレクティブが10月9日に発表したレポートによると、ファッションや高級品の再販市場は年間10%のペースで拡大しており、これは正規品市場の3倍の速さだという。
報告書は、世界の再販市場が現在の約2,100億ドルから2030年までに最大3,600億ドルに達する可能性があると予測している。
中古デザイナーブランドを購入する消費者が増えるにつれ、信頼が何よりも重要になっています。「偽造品の製造がますます巧妙化しているため、高級ブランド自身でさえ偽造品を見抜けないこともあり、場合によっては、知らず知らずのうちに偽造品を修理しているケースもあります」と、韓国のオンラインマーケットプレイス「Bunjang」のCEO、チェ・ジェファ氏は述べています。
偽物のエルメスのバッグや、部品がすり替えられたロレックスのオイスターパーペチュアルに何千ドルも支払ったという恐ろしい話が、ネット上に溢れています。中には、本物そっくりな「スーパーフェイク」と呼ばれる偽物もあり、本物と同じ革のサプライヤーから素材を調達して作られていると報じられています。
買い手は注意
しかし、再販市場の拡大に伴い、真贋判定への懸念が高まっています。中古品業界は長らく「買い手は用心せよ」の原則に基づいて運営されてきました。
ますますリアルになる「スーパーフェイク」に対抗するため、転売プラットフォームは検証にリソースを投入している。シンガポールを拠点とするオンラインマーケットプレイス「Carousell」は今年、シンガポール中心部に高級品を扱う初の実店舗をオープンした。これにより、出品者は転売前に同社の鑑定士による鑑定を受けることができる。
検証チームはバッグの素材だけでなく、ステッチや刻印などの細部も検査すると、カルーセル・ラグジュアリーの営業・マーケティング・顧客関係担当ディレクターのトレゾール・タン氏はCNBCに語った。
「結局のところ、私たちの評判も危機に瀕しているのです」とタン氏は述べた。「だからこそ、私たちは購入者に真正品に対する返金保証も提供しています。」
同社は約500種類の商品スタイルを網羅した独自のデータベースを構築しており、高額商品は複数回のチェックを経ている。真贋が疑わしい場合は、出品されないとタン氏は述べた。
韓国のブンジャンも同じような流れに乗り、従来の目視検査と科学的機器、そして「数十万のデータポイントで訓練された」人工知能を組み合わせた独自の認証システムを開発したとチェイ氏はCNBCに語った。
ブンジャンは、本物商品を識別する際の認証精度が99.9%であると主張しており、その検証システムはAIを活用して偽造手法を継続的に学習し、適応することができる。
信頼が売上を牽引
カルーセル社とブンジャン社はともに、認証によってビジネスが促進されたと述べた。
ブンジャンによると、高級品は現在、同社のプラットフォームの年間総流通額11億ドルのうち4分の1以上を占めている。チェイ氏によると、高級品の取引量と総流通額は2025年上半期に前年比30%増加した。
カルーセルのタン氏は具体的な数字は明らかにしなかったが、高級品部門は「非常に強い関心」を集めており、「大きな成長」を記録していると述べた。
Carousell が 2012 年にオンライン プラットフォームとして立ち上げられてから始まったこの成長は、最終的に最初の実店舗のオープンにつながりました。
「誰かがプラットフォーム上で10万ドルの腕時計を売買しているとなれば、間違いなく私たちの注目を引く」と彼女は語り、ユーザーは高額取引におけるカルーセルの監視を望んでいると語った。
店舗では、商品の検証プロセスに加え、返金保証も提供しています。タン氏は、価格が必ずしも市場最安値ではないかもしれないが、「適正価格」を提供することを目指していると述べています。
「例えば、他社が提供している価格より200ドル高いかもしれませんが、それでも(消費者は)最終的には200ドルの節約のために様々な選択肢を比較検討するでしょう」と彼女は言いました。「少し安心した方が得策なのでしょうか?」
高級品消費者の次の波
BCGのレポートによると、中古の高級品を購入する最大の理由は「手頃な価格」であり、回答者の80%がその理由を挙げている。
しかし、これは単にお金を節約するためだけではありません。ヴェスティエール・コレクティブの最高マーケティング責任者兼米国CEOであるサミナ・ヴィルク氏はCNBCに対し、店舗ではもう手に入らない希少なコレクションや廃盤コレクションに消費者がますます惹かれていると語った。
「こうした動機は、過去の調査と比べて全体的に強まっており、古着ショッピングが現代の人々のファッションとの関わり方に深く根付いていることを示しています」とヴィルク氏は述べた。
ブンジャンのチェイ氏は、購買力が限られている若い世代の買い物客は、商品を購入し、楽しんですぐに転売することを好むと述べた。
「この目覚ましい成長は、高級品消費者の次世代であるミレニアル世代とZ世代が高級品をどのように認識し、関わるのかという根本的な変化を反映しています。」
ザイオンズ・バンコーポレーションは、返済の見込みがない6000万ドル相当の融資を行ったことを木曜日に明らかにした後、1日で評価額が10億ドル下落した。
そこに至るまでには、ザイオンズが抱えていた複雑に絡み合った融資の網が絡み合っていた。
担保が事実上消滅する一方で、借り手によって密かに劣後化されたとされている。
木曜日、地方銀行の株価は、融資事業の健全性に対する懸念が高まり、急落した。ザイオンズの株価が13%急落したことで、地方銀行セクターの融資に関するより広範な問題への懸念が高まり、木曜日の米国株式市場全体が下落し、ダウ工業株30種平均は300ポイント下落して取引を終えた。
ザイオンズの子会社、カリフォルニア・バンク・アンド・トラストは、これまで「カンター・グループ」の名称を使用して複数のファンドを運用してきた比較的無名のアンドリュー・スタピン氏とジェラルド・マーシル氏、およびその仲間のデバ・シャム氏を訴えている。
水曜日にロサンゼルス郡で提起されたこの訴訟は、「CB&Tの信頼を悪用し、私腹を肥やすために融資構造を操作し、銀行の融資を保証するはずの担保保護を組織的に排除した、経験豊富な金融借り手による全面的な信頼の裏切り」を主張している。
ザイオンズと被告側弁護士は、CNBCからの複数回のコメント要請に応じなかった。問題となっている関係は、ザイオンズのCB&Tが2016年と2017年に、カンター・グループIIとカンター・グループIVという2つの関連投資会社に約6,000万ドルの資金提供を行ったことに端を発している。
この信用枠は、ファンドが不良住宅ローンや商業用住宅ローンを購入するために利用される予定だった。
ザイオンズは、第一順位の利子を保証する引受契約を結んでいると述べた。つまり、債務不履行が発生した場合、同銀行の担保権は他の債権者の権利よりも優先されるということだ。
しかし、ローンを担保としていた証書は最終的にCB&Tの知らないうちに劣後化されたとザイオンズは訴訟で述べた。
これらの担保物件は他の事業体に譲渡されたか、差し押さえられていたため、担保は「回復不能なほど失われた」とザイオンズは主張した。
訴状によると、CB&Tに代わる新たなシニアレンダーは、カンター・ファンドの運用者、あるいは同グループと関係のある人物と同一人物だった。「事実上、CB&Tの損失は被告の利益となった」とザイオンズ氏は訴状で述べた。「関連会社のネットワークを通じて、借り手と保証人は、CB&Tから担保を剥奪しながら自らを肥やす計画を画策し、同時にCB&Tの証券権益の真の状況を長年にわたり隠蔽していた…」
シオンズがこのことを知ったのは、同じ指導者によって運営されている関連カンター基金がウェスタン・アライアンスによって詐欺で訴えられた後だった。
これを受け、CB&Tは独自の調査を開始しました。その後、ザイオンズは水曜日に8-K報告書を発表し、「現在入手可能な情報に基づき」6,000万ドルの未払いローンに対する引当金を計上し、5,000万ドルを償却することを決定しました。この償却は、月曜日に発表される第3四半期決算に反映される予定です。
ウェスタン・アライアンスは、ザイオンズの報告書に続く別の8-K報告書で、カンター社に対し、借り手が「そもそも担保融資を提供しなかったことなど、様々な理由で詐欺行為を行った」として、独自に訴訟を起こしたと発表した。しかし、ウェスタン・アライアンスは、既存の担保で債務をカバーできると考えていると述べ、ガイダンスを据え置いた。ウェスタン・アライアンスは火曜日に決算を発表する。
中国経済は第3四半期に1年ぶりの低成長に減速した。国内需要が脆弱なため、輸出工場の生産に大きく依存する状況となっている。海外で市場シェアを獲得しようと、中国が過酷な値下げで従来の中国顧客の間に怒りを巻き起こし、世界的なデフレの衝撃波を引き起こしている。また、構造的不均衡の深刻化に対する懸念も高まっている。
第3四半期のGDP成長率は4.8%と予想をわずかに上回り、中国は今年の目標である約5%の達成に向けて順調に推移しているものの、米国との貿易摩擦が激化する中で、経済が外需に依存していることから、この成長ペースが持続可能かどうかは疑問視されている。アナリストは、この安定した軌道を維持し、国内需要を改善するためには、更なる政策支援が緊急に必要だと指摘している。
一晩で発表された中国のデータのうち、残りの部分はまちまちだった。
小売売上高は前年比3.0%増(予想3.0%増)と予想通りとなった。
工業生産は予想を上回り、前年比6.5%増(予想5.0%増)となった。
固定投資は予想を下回り、1~9月期は0.5%減(予想0.1%減)となった。
ゴールドマンからのメモ:
工業生産(IP):9月は前年比+6.5%(コンセンサス予想:前年比+5.0%)、8月は前年比+5.2%。前月比は季節調整方法に大きく左右される点に留意してください(NBS推計:9月前月比非年率+0.6%、8月前月比非年率+0.4%、GS推計:9月前月比非年率+1.4%、8月前月比非年率0%)。
固定資産投資(FAI): 9月は前月比-0.5%(コンセンサス予想:前月比+0.1%)、8月は前月比+0.5%。GS推定による9月単月成長率:前月比-6.7%、8月は前月比-6.8%(GS推定による前月比成長率:9月は前月比非年率-0.5%、8月は前月比非年率-1.3%)。
小売売上高: 9 月は前年比 +3.0% (コンセンサス: 前年比 +3.0%)、8 月は前年比 +3.4% (GS 推定による前月比成長率: 9 月は前月比非年率 +0.2%、8 月は前月比非年率 -0.3%)。
サービス産業生産指数: 9 月は前年比 +5.6%、 8 月は前年比 +5.6% (GS 推定による前月比成長率: 9 月は前月比非年率 +0.7%、8 月は前月比非年率 +0.4%)。
要点:
1. 中国国家統計局(NBS)の推計によると、中国の実質GDP成長率は、第2四半期の前年同期比5.2%から第3四半期には前年同期比4.8%に鈍化し、市場コンセンサス(前年同期比4.7%)をわずかに上回った。これは、米国の関税の影響が徐々に現れ始めたこと、既存の緩和策(政府補助金付きの消費財下取りプログラムなど)の効果低下、そして例年よりも厳しい天候(主に7月~8月)が要因となっている。前期比では、NBSは第3四半期の実質GDP成長率(前期比年率換算1.1%)が、第2四半期(前期比年率換算1.0%)から下方修正され、わずかに上昇したと推計している。 NBSは、2024年第3四半期のGDP前期比非年率換算成長率予想をわずかに上方修正(前四半期比非年率換算1.3%から1.5%へ)しましたが、2024年第4四半期のGDP前期比非年率換算成長率予想をわずかに下方修正(前四半期比非年率換算1.6%から1.5%へ)しました。公式発表のGDP前期比非年率換算成長率4.5%(前四半期比非年率換算1.1%から示唆)は、ゴールドマン・サックスが追跡している第3四半期の経常活動指標(CAI)の年率換算成長率約5.2%をわずかに下回っています。名目GDPの前年比成長率は、第2四半期の3.9%から第3四半期は3.7%に低下し、GDPデフレーターは10四半期連続でマイナスとなっています。
2. 工業生産(IP)は、予想を上回る輸出や自動車生産の伸びの加速を受け、8月の前年同月比5.2%から9月には6.5%に上昇した。季節調整後の前月比では、9月のIPは前月比1.4%増(8月は前月比0%増、図表1)。業種別では、8月から9月にかけての前年同月比IP成長率の加速は、自動車、コンピューター、化学産業の生産高の伸びの加速が牽引し、鉄金属製錬業の生産高の伸びの鈍化を相殺して余りある結果となった(図表2)。主要工業製品(業種別内訳とは異なる)のうち、自動車の生産高の伸びは、8月の前年同月比10.5%増から9月には前年同月比13.7%増に上昇した。 9月のコンピューターと産業用ロボットの生産量は、それぞれ前年同月比-5.8%、+28.3%と、8月の-13.1%、+14.4%から上昇した。一方、発電量とセメント生産量の前年同月比の伸びは、それぞれ8月の+1.6%、-6.2%から、9月には+1.5%、-8.6%に鈍化した。粗鋼生産量は、8月の-0.7%から-4.6%に低下し、スマートフォン生産量も前年同月比+3.2%から+0.1%に鈍化した。
3. 固定資産投資(FAI)は、9月単月で前年同月比-6.7%(8月は前年同月比-6.8%)と低迷が続きました。不動産市場の長期低迷と、製造業投資を抑制するはずの継続中の「反内紛」政策が引き続き足かせとなっています。一方、インフラ投資は、7~8月期よりも天候が良好で政府支出が加速したことを反映し、前月比+6.4%(非年率換算)で前月比で改善しました(図表3)。具体的には、製造業、インフラ投資、不動産投資の前年同月比は、それぞれ-1.8%、-8.2%、-21.1%となり、8月の-2.0%、-8.3%、-19.4%から減少しました。「その他」投資(サービス投資および農業関連投資)の前年同月比減少率は、ベースラインの低迷により、8月の-3.1%から-1.9%に縮小しました。
4. 名目小売売上高の伸びは、8月の前年同月比3.4%から9月には3.0%に鈍化した。これは主に、オフラインの商品販売とレストランの売上高の伸びが低迷したことが影響しており、オフラインの商品販売とレストランの売上高の伸びはそれぞれ8月の2.3%と2.1%から9月には1.8%と0.9%に低下した。一方、オンラインの商品販売の伸びは、8月の7.2%から9月には7.3%に小幅上昇した。家電製品の販売額の前年同月比伸びは、8月の14.3%から9月には3.3%に大幅に低下した。これは、ベースラインが高いことと、継続中の消費財下取りプログラムの効果が薄れつつあることを反映している。しかし、自動車と通信機器の販売額の前年同月比伸びは、それぞれ8月の0.8%と7.3%から9月には1.6%と16.2%に上昇した(図表4)。前四半期比で見ると、9月の小売売上高は前月比非年率換算で0.2%増加したと推定されます(8月は前月比非年率換算で-0.3%)。
5. サービス産業生産指数(実質ベースで、第3次産業GDP(2024年時点で中国経済の57%を占める)の成長率と密接に連動)の前年比成長率は、小売売上高の伸び率を上回り、9月は前年比5.6%と8月から横ばいとなった。前月比では、9月のサービス産業生産指数は前月比0.7%上昇(8月は前月比0.4%上昇)した。
6. 不動産市場の低迷は9月も続き、ほとんどの不動産活動指標が前年同月比で縮小しました。具体的には、9月の新築住宅着工戸数と建設中の住宅戸数の前年同月比伸び率はそれぞれ-14.4%、-9.4%(8月は-20.3%、-9.3%)と低迷が続きましたが、新築住宅完成戸数の伸び率は前年同月比-21.5%から+1.5%に改善しました。9月の不動産販売戸数(床面積ベース)は前年同月比10.5%減、金額ベースでは前年同月比11.8%減(8月はそれぞれ-10.3%、-13.8%)でした。当社の高頻度トラッカーによると、大都市の住宅取引は10月中旬時点で低調に推移しています。一方、NBS(国家統計局)と民間セクターのデータは共に、9月の住宅価格に引き続き下押し圧力がかかっていることを示しました。
7. 労働市場については、全国失業率と31都市失業率(季節調整なし)はともに、8月の5.3%から9月は5.2%に小幅低下した。季節調整後、これら2つの失業率指標は9月も小幅上昇を続けた。出稼ぎ労働者(地方戸籍なし)の失業率は、季節調整後で8月から9月にかけて5.1%で横ばいだった。2024年1月の国家統計局の定義改訂(在校生を除く)に伴い、若年失業率データの発表は一般労働市場統計より約3日遅れている。入手可能な最新データによると、16~24歳の失業率は7月の17.8%から8月には18.9%に上昇し、今年の大学卒業者数が1,220万人(2024年は1,180万人)となることを考えると、直近のピークである昨年8月の18.8%をわずかに上回った。ゴールドマンは、季節要因により今後数カ月で若年層の失業率は低下すると予想しているが、国内需要の低迷により前年の水準よりも高くなる可能性があると警告している。
ゴールドマンによると、米中関係の緊張が最近高まっているにもかかわらず、今年の第1四半期から第3四半期までの実質GDPが前年比5.2%増加し、輸出(関税前倒しによる)が引き続き堅調であることを踏まえると、中国の通年成長目標は概ね軌道に乗っているとみています。また、ゴールドマンは、政策当局が短期的に広範囲かつ大規模な景気刺激策を直ちに開始する必要があるとは考えていませんが、来年にかけて安定した成長と雇用を確保するためには、今後数四半期にわたり段階的かつ的を絞った緩和策が必要となると考えられます。全国規模の出産手当、5,000億人民元規模の政策銀行による新たな融資手段、そして過去数年にわたって積み立てられた5,000億人民元の地方政府債発行枠の活用など、最近の緩和策による成長刺激の大部分は、2025年後半または2026年初頭に集中する可能性が高いでしょう。
これは楽観的な見方だ。より現実的な見方はロイター通信によるもので、中国政府は今後数日中にマレーシアで予定されている何立峰副首相とスコット・ベセント財務長官との会談、そしてその後韓国で予定されているドナルド・トランプ大統領と習近平国家主席の会談において、成長の「回復力」という見出しを力強いアピールとして利用しようとしている可能性があると報じている。
この悲観的な見方は、ブルームバーグ経済チームが昨夜発表した中国の投資7%減は深刻な需要の弱さを示しているという最新の見解によって裏付けられています。ブルームバーグが昨夜発表したレポートによると、中国の最新データは短期的な成長を安心させる一方で、長期的な課題を浮き彫りにしています。第3四半期のGDP成長率は4.8%であり、生産の急増に支えられ、通年目標の5%を達成するには、第4四半期に4.5%という低い水準をクリアするだけで十分です。
しかし、需要と供給の不均衡は悪化している。消費は依然として低迷しており、公共投資を含む投資が最も弱い要因となっている。ブルームバーグ・エコノミクスの試算によると、固定資産投資は4ヶ月連続で減少し、9月には最大7%減少した。
前月比でも同様の需給不均衡が顕著です。鉱工業生産は0.64%増と7ヶ月ぶりの高水準となり、パンデミック前の傾向と一致しました。一方、小売売上高は0.18%減と、4ヶ月連続で3ヶ月連続の減少となりました。
以下に示すように、政府主導の投資が勢いを失っているため、固定資産投資の急落が経済の最大の足かせとなっている。民間部門と公共部門の両方で、投資は全面的に悪化している。特に公共部門は、過去数年間、政府主導の投資が投資の主な牽引役であったため、懸念される。BBGの推計によると、政府主導の投資は第3四半期まで前年同期比で減少しており、9月には8%の減少を記録した。
消費の減速も経済の足かせとなっている。BBGは、政府が2024年9月に景気刺激策を強化して以来初めて、9月の小売売上高の伸びが景気刺激策前の水準を下回ったと 推計している。9月の飲食売上高は前年同月比わずか0.9%増で、6月と同じ2023年以来の最低成長率となった。これは、家計が不要な品物への支出を減らし、消費を慎重にしていることを反映している。さらに、家電製品の販売が急速に減速しており、政府補助金による押し上げ効果が薄れつつあることを示している。9月の売上高は前年同月比3.3%増で、8月(14.3%増)や7月(28.7%増)を大きく下回った。
一方、唯一の明るい材料は、貿易戦争の結果である継続的な輸出の好調であるが 、国内では需要低迷によりメーカーが海外市場で価格競争を繰り広げ、収益性を妥協せざるを得ない状況にあり、その弱さを隠している。
中国のアルミニウム製品メーカーで営業担当を務めるジェレミー・ファン氏は、中南米、アフリカ、東南アジア、トルコ、中東での売上増加が、米国での受注の80~90%減を相殺しきれず、売上高が20%減少したと述べた。ファン氏は、米国以外の市場への進出を急ぐ中国の競合他社に先んじるため、スペイン語を学習しており、海外出張の頻度は昨年の2倍に増えていると述べた。
しかし、その余分な努力だけでは十分ではありません。
「価格に関しては容赦なく競争しなければなりません」とファン氏は語った。「もし100ドルの値段で、お客さんが値切り始めたら、10ドルから20ドル値下げして注文を受けた方が良いでしょう。ためらってはいけません」
これは、関税が急上昇しているにもかかわらず、米国の輸入品の増加が非常に穏やかにとどまっている理由も説明している。
中国輸出企業間の熾烈な競争は国内経済のさらなる弱体化を招き、多くの企業が競争力維持のために賃金削減、さらには雇用削減を余儀なくされている。前述の通り、9月の鉱工業生産は前年比6.5%増と3カ月ぶりの高水準に達し、予想を上回った一方、小売売上高は3.0%増と10カ月ぶりの低水準に減速した。
消費者の富裕度低下というさらなる打撃として、9月の新築住宅価格が過去11ヶ月で最大の下落率を記録したデータも発表された。危機に見舞われた不動産セクターへの投資は、第1四半期から第3四半期にかけて前年同期比13.9%減少した。これは、世界有数の高水準にある世帯純資産の約55%を不動産が占める国にとって壊滅的な打撃である。
キャピタル・エコノミクスのアナリスト、ジュリアン・エバンス=プリチャード氏は「中国の経済成長は輸出への依存度が高まっており、それが国内需要の減速を相殺している」と述べた。
「こうした発展パターンは持続可能ではないため、当局が消費者支出を支援するためより積極的な措置を取らない限り、中期的には成長がさらに鈍化するリスクがある。」
中国経済を家計消費への依存度を高める構造的措置を求める声は、今週開催される中国共産党の主要会議を前にして高まっている。この会議では党幹部らが、国の次の5カ年開発計画について議論することになる(「月曜から始まる中国最大の政治会議に関するトレーダー向けガイド」を参照)。
しかし、今回の会合では内需拡大の公約が表明される可能性が高い一方で、国家安全保障上の優先事項として、技術革新の推進と国内の広大な工業団地の高度化も強調されるだろう。これにより、経済資源の流れは家計を犠牲にして、主に製造業に集中する可能性がある。
中国は成長モデルの転換によって世界需要への貢献度を高め、貿易摩擦の緩和に寄与する可能性がある。しかし、米国との競争が激化する中、中国が産業面で手を緩める兆候は見られない。これまでのところ、中国は米国市場からの多様化に成功している。先月の米国向け輸出売上高は前年同月比27%減だったが、欧州連合(EU)、東南アジア、アフリカへの輸出はそれぞれ14%、15.6%、56.4%増加した。
中国はレアアース生産におけるほぼ独占的な立場を武器に、米国から更なる譲歩を引き出そうとしている。これを受け、トランプ大統領は中国からの輸入関税をさらに100%引き上げると改めて警告したが、米国側も両国が緊張緩和に前向きであることを示すメッセージを送っていた。
3桁の関税は事実上、世界最大の2つの経済大国に痛みを伴う貿易禁輸措置を課すことになるが、北京はもっと長く痛みに耐えられると感じるかもしれない。
「相対的に言えば、中国は米国よりも良い状況にある」と、ウォーター・ウィズダム・アセット・マネジメントのヘッジファンド・マネージャー、袁宇偉氏は述べた。「最悪の場合、一般の人々は生活を切り詰め、一部の労働者は失業状態に陥るかもしれない。しかし、米国では、労働者の給与を10~20%削減すれば、人々は街頭に出て抗議する。中国は米国よりも長く苦しむ可能性がある」
政策当局が第4四半期の経済が目標から外れていると感じている場合、2026年の国債発行を前倒ししている現状を踏まえると、インフラ投資を加速させるという選択肢もある。実際、1~9月の固定資産投資は前年同期比0.5%減少しており、この分野には改善の余地があることを示唆している。
一部のアナリストは、中国政府は今年、さらなる景気刺激策を必要としていないと考えている。しかし、業績不振セクターへの支援は依然として必要だと考えるアナリストもいる。
INGのグレーターチャイナ担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「中国は今年の成長目標を達成する軌道に乗っており、政策の緊急性は低下する可能性がある」と述べた。
しかし、消費や投資の低迷、不動産価格の下落の悪化につながる弱い信頼感には、依然として対処する必要がある。
案の定、中国の消費者信頼感はコロナショック後、回復することはなかった。これは、明るい言葉の裏で中国の現場の雰囲気が悲惨であることを示唆しており、また、短い発言とは裏腹に、トランプ大統領が進行中の貿易戦争で中国を圧力をかけ続けるなら、彼が望むことが実現するかもしれないということだ。
ゴールドマンは、今後の見通しについて、需給の乖離が顕著なことから、たとえ第4四半期に経済が追加的な刺激を必要としないとしても、政府が成長を支える効果的な手段を見出す必要があると指摘しています。ゴールドマンは、第4四半期の金融緩和は縮小すると予想しており、政策金利または預金準備率の引き下げは、当初の予想とは異なり、いずれか1回のみとしています。財政面では、債券発行の前倒しやプロジェクトへの資金確保など、2026年に向けた施策の実施と早期の基盤整備に焦点が当てられるでしょう。政府投資の急激な減少は、消費を促進するためのより実行可能な投資プロジェクトや社会保障プログラムの特定が急務であることを浮き彫りにしています。
木曜日に公開した「ProSecは新たなESGか?」という記事を見逃した方は、ぜひ読んでみてください。実は、この記事を皆さんに見ていただくために、今日はもう書くのをやめようかと思ったほどです。この記事をきっかけに多くの興味深い議論が交わされたので、ぜひ読んでみてください。私たちは、セキュリティのための生産(ProSec)が、今後何年にもわたって政府、企業、そして投資判断に影響を与えると考えています。
これは、中国との貿易交渉に関して「今回は違う」と主張する「They're Back...」とよく一致しています。
アカデミーが2021年2月に「レアアース ― 国家安全保障上の脅威」と題したTレポート/SITREP/サステナビリティ共同報告書を発表したという事実を、多くの点で実感するのは困難(そして辛い)です。それから約5年が経ち、私たちはようやく、その脅威と機会、つまりProSec™に目覚めつつあるようです。
本当はここで止めたいんです。メッセージを薄めたくないという理由もありますが、10月中旬に良い天気を「盗んで」しまったので、他にもっとやるべきことがたくさんあるのに、今こうして文章を書いているのはもったいない気がします。でも…
債務不履行よりも強制売却による信用損失のほうが大きい
デフォルト、デフォルト。銀行や信用に関するニュースの見出しは、デフォルトばかりです。その気持ちは分かります。分かりやすく、恐ろしいものです(前回の世界金融危機以来、次の世界金融危機の引き金となる信用問題を探す、いわゆる「家内工業」が台頭しています)。
その魅力は分かります。
しかし、私はいつも次の 2 つの主なテーマに戻ってきます。
信用による金融危機は、「安全」な資産が劣化した場合にのみ発生します。
リスク資産はそれに応じて価格設定され、配分されます。ハイイールド市場がシステミックリスクを引き起こしたことはありません。「安全」な資産が悪化した場合にのみ、真の問題が生じます。
S&L危機は金利リスクのヘッジミスによるものだった。
ロシア/LTCM危機は、国家が実際に債務不履行に陥り、スワップスプレッドのような難解な金融商品に巨額の賭けをしたことによるものだった。
エンロンとワールドコムという詐欺事件があり、本来は安全だったIG市場に恐怖と損失をもたらしました。
AAA 住宅ローン担保債券。
強制売却は債務不履行よりもはるかに大きな信用損失を生み出します。
シリコンバレー銀行が国債を売却しなければならなかったかどうかさえ定かではないが、銀行への取り付け騒ぎを引き起こしたのは時価評価による損失だった。
「ヘアカット」に基づいて高格付けの債券を購入したSIVは、損失が組み込まれたバッファーを突破したため、世界金融危機で清算しなければなりませんでした。
AIG FPが保有するスーパーシニア債のクレジットサイドの最低価格は分かりませんが、「破格の」安値で、損失は一度も出ませんでした。住宅ローンサイドの「スーパーシニア債」は損失が完全に回復することはありませんでしたが、強制売却の影響がなくなると、クレジットサイドは驚くほど好調に推移しました。
私にとっての「おもしろい」事実は、CDX IGの3%~7%トランシェ(「メズ」トランシェ)は、10年取引でも一度も損失を出していないということです。時価評価ベースのCLOの中には、投資適格トランシェで損失を出したものもあったと思いますが、どのCLOのIGトランシェでも、信用リスクによる損失は一度もなかったと思います(だからこそ、AAA CLOトランシェを割るのは、完璧なNCAAブラケットを手に入れるよりも難しいという考えを、私は定期的に持ち出しているのです)。
したがって、ここでのポイントは、デフォルトリスクについてあまり心配せず、強制売却の可能性についてもっと心配することです。
強制販売はリスクですか?
「マズローの信用バブル段階説」の図に戻りましょう。最近マズローを使いすぎているかもしれませんが、この図とキューブラー・ロスの悲嘆段階説は本当に役に立ちます。
私の見解では、レバレッジ(強制的な売りを生む)がより頻繁に使用される「Esteem(評価)」段階に突入していますが、小さな問題が売り圧力を生み出し、より多くの問題が露呈するような取引からは程遠いと考えています。
賢い投資家がこれまでに失った最大のお金
これは少々冗談めいたもので、実証的な裏付けはありませんが、言及する価値はあると思います。「賢い」投資家が企業に賭けて巨額の損失を出したと思われる2つの事例は次のとおりです。
ラジオシャック。彼らのビジネスモデルは2000年代初頭頃に終焉を迎えたように思えた。ブランド、店舗、そして製品、どれも人々の心に響かなかったようだ。それでも、2015年頃までは倒産しなかったと思う(AIで正確な日付を調べることもできるが、それは問題ではない。この会社は、“賢い”投資家たちが倒産するだろうと予想していた時代を何年も生き延びてきたのだ)。
ブランズウィック。世界金融危機以前から苦戦を強いられていた会社です。そして世界金融危機のさなか、主力製品の一つであるボートがどこでも売れるほど売れました。一体どうやって生き残ったのでしょうか?ブルームバーグによる同社の信用格付け履歴をご覧ください。
この回復力をご覧ください!投資適格水準まで回復しました!
同社は国内で船舶を製造しているため、ProSecリストへの企業リストへの掲載を検討しています。「ドローン」が注目を集める一方で、海上戦闘と防衛のための「水上ドローン」の開発も盛んに進められています。海軍は、中国による台湾攻撃への抑止力として「ヘルスケープ(地獄の風景)」の活用を検討しています。この構想は、それをはるかに超える可能性があります。時価総額が40億ドル強のこの企業は、私たちの「ナショナル・チャンピオンズ」の枠組みにふさわしいのでしょうか?
重要な点は、債務不履行は誰もが考えていたよりもはるかに長い時間がかかり、企業が適応しビジネス環境が変化するにつれて、実現しないこともあるということです。
民間信用は1990年代の銀行融資によく似ている
この点については詳しく述べませんが、名誉というのは常に、ある種、プライベートなものでした。
CDS市場がもたらした最悪の事態の一つは、スプレッドの拡大を容易にし、より多くの売り手を強制的に生み出したことです。確かに時価評価は良いことですが、クレジットは本当に市場が時としてもたらすほどボラティリティが高いのでしょうか?
最悪の場合、少人数の貸し手が「見せかけの延長」環境を作り出してしまう可能性があります。損失計上を避けるために企業を存続させようとするのです。最良の場合、同様の行動は企業に自力で立ち直るための時間を与えることになります。
信用取引の時価評価は、最も厄介な問題の一つです。生計を立てるために取引を行い、小口取引で日中取引を行いTRACEプリントを作成する「TRACEバンディット」を見つけたことがある人なら誰でも、人々がいかに「強制売却」に追い込まれるかをよく知っています。反対に、信用取引上の問題が発生していることを否定することも同様に間違っています。
このサイクルのどこにいるのかは分かりませんが、あらゆる状況から見て、「プライベート」という名称は「プライベート・エクイティ」とうまく結びついて運用資産残高(AUM)の増加に役立ち、クレジットは常にある意味でプライベートであったにもかかわらず、現在では業界に悪影響を与えていることが分かります。
リスクを軽視しないように努めますが、条件についてパニックになりすぎないようにしましょう。
結論
強制売却が心配な場合は、あらゆる種類のクレジットを売却してください。
入札を獲得できない民間クレジットの売り手がいる場合、彼らはまずハイイールド債(ETFを含む)から始めて「流動性のある」クレジットを売却し、そこから先に進むため、何も悪いことをしていない企業にも影響が及ぶでしょう。
強制的な売りは見当たらず、信用リスクはシステミックなものではないと考えています。そのため、信用リスクについては引き続き安心しています。
それから離れて:
あらゆる資産クラス(商品、株式、債券)で ProSec を所有します。
中国が米国よりもこの状況を牽引しているため、「今回は違う」と中国が判断した場合に苦戦する企業からは遠ざかるべきだ。(実際、中国は米国よりもこの状況を牽引していると考えている。)
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
OpenAIのデータセンターとインフラ投資の積極的な拡大、そしてAIベンダーへの資金調達におけるいわゆる「サークルジャーク」によって推進されている将来のプロジェクトの膨大なパイプラインに対し、 Microsoft幹部は、サム・アルトマン氏のインフラ需要をすべて満たすとデータセンターの過剰容量リスクが生じる可能性があると警告したとThe Informationは報じている。一方、 TechCrunchの別のレポートによると、ChatGPTのモバイルアプリの成長は既にピークに達している可能性があるという。
OpenAIの従業員はThe Informationに対し、チャットボットのスタートアップ企業(評価額5000億ドル)は2030年までに約4500億ドルのサーバー費用を予算化しており、さらにマイクロソフトとオラクルからサーバーを借りる計画もあると語った。
OpenAIはMicrosoftに対し、コンピューティング能力の増強を要請しており、両社間の内部摩擦を引き起こしている。Microsoft は130億ドルの投資により、OpenAIへのデータセンター容量供給の「優先権」を保持しているものの、建設制限や電力市場の混乱といった現実的な制約により、拡張能力は鈍化している。
最高財務責任者(CFO)のエイミー・フッド氏を含むマイクロソフト幹部は、利益を生まない可能性のあるサーバーの過剰構築に対して警告した一方、OpenAIのCEOであるアルトマン氏はより迅速な拡張を求めた。
情報は次のように続く。
夫婦間の不和には、たいてい二つの側面がある。OpenAIにとって、その不満は、スタートアップ企業の底なしとも思えるコンピューティング需要が月ごとに増大していることを物語っている。過去1年間、OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は、マイクロソフトに対し、こうした需要を満たすためのキャパシティ増強をより迅速に進めるよう、頻繁に圧力をかけてきた。
一方、マイクロソフトの幹部はアルトマン氏に対し、新データセンターへの電力供給など、建設プロセスにおける根本的な制約のため、同氏が望むほどの速さでその容量を供給することは不可能だと伝えた。協議に関わった関係者によると、最高財務責任者(CFO)のエイミー・フッド氏とそのスタッフは同僚に対し、OpenAIの要求に応えることで、利益を生まない可能性のあるサーバーを過剰に構築するリスクをマイクロソフトに負わせる可能性があると伝えたという。
最終的に、両社は合意に至った。2024年夏、アルトマン氏とマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏は、OpenAIの近年の成長を考えると、マイクロソフトが同社の唯一のクラウドプロバイダーになることは不可能だと合意したと、関係者は述べている。その結果、マイクロソフトはOpenAIに対し、他のクラウドプロバイダーとの契約締結にあたり、例外を認めるようになった。
TechCrunchによると、フッド氏の過剰サーバー構築リスクは、サードパーティのアプリ情報会社Apptopiaの新しい全世界の1日当たりアクティブユーザー数(DAU)データで「ChatGPTのモバイルアプリの成長はピークに達した可能性がある」と示された時期に発生した。
データセンターバブルに油を注ぎ、巨大な「サークルジャーク」の仕組みを分析しながら、私たちは今月初めに無限のお金の不具合を暴露しました。
そして次のように提供されます:
AIも今や債務バブルであり、静かに銀行を上回り、市場最大のセクターとなっている
イングランド銀行は今月初め、AI関連の評価は「行き過ぎている」と警告した。皮肉なことに、中央銀行が正しい判断を下すことは極めて稀だ。
この物語は次の内容に基づいています:
ChatGPTの「引用が大幅に減少」したことを示唆する新たなトラフィックデータを受けて、Redditが急落
ゴールドマンは「Redditのピーク」に気づいたのか?
より大きな問題は、AI製品に対するユーザー疲労が今になってようやく表面化し始めたのかどうかだ。もしそうだとすれば、OpenAIの積極的な事業拡大に対するフッド氏の懸念は正当化されるかもしれない。ゴールドマンのジェームズ・シュナイダー氏は顧客に対し、「当社のモデルアップデートの影響により、データセンターのピーク時の稼働期間は(従来は2025年末だったが)2026年まで延長される見込みだ。その後、2027年には需給バランスが緩やかながらも徐々に緩和していくと予測している」と述べている。
シュナイダー氏はさらに色を付け加えた。
修正された需給動向を踏まえ、2025年の供給充足率のベースライン予測は92%でほぼ横ばいですが、2026年には平均2%増加して92%、2027年には平均2%増加して92%となります。長期的な予測では、2030年までに供給充足率は89%となり、以前の需給モデルから1%増加しています。その結果、データセンターの供給充足率のピークは、以前の予測の2025年末から2026年にずれ込む可能性が高いと考えています。データセンター市場の現在の需給逼迫はより長期化すると予想しており、当社のモデルは引き続き、市場占有率が過去18か月間の平均水準付近で安定することを示唆しています。まとめると、データセンターの供給、需要、そしてそれらから推測される供給充足率の見通しは、今のところ比較的健全であると考えています。当社は、期待の変化を引き起こす可能性のある増分データポイントを引き続き監視しています。また、中期的な需給バランスに大きな影響を与える可能性のある変更(GPU 需要、AI モデルの効率、Stargate などの発表された増分供給の追加)を注意深く監視しています。
●その他
備忘録(2025/10/17-19)
●企業
コンシューマーヘルス製品のケンビュー<KVUE>が下落。アナリストが重大な英国でのベビーパウダー訴訟を指摘している。同社はジョンソン&ジョンソン(J&J)<JNJ>のコンシューマーヘルス部門が分離独立して誕生。この訴訟は同社に重大な財務の影響を及ぼす可能性のあると指摘している。
3000人が原告となる訴訟が英国で、J&Jを相手取り提起されたという。訴えでは、J&Jおよび当時の子会社ケンビューがアスベストに汚染されたベビーパウダーを販売していたことを認識していたと主張している。
J&Jは声明で「ケンビューは米国およびカナダ以外でのタルク関連訴訟に関する責任および潜在的な賠償義務を引き継いでいる」と述べたと指摘している。
同アナリストは、今回の英国での訴訟はJ&Jが米国で数十億ドル規模の賠償命令を受けた多数の訴訟と同様の構造を持つとし、最終的な損害額は不明ながら、米国での法的前例を踏まえると、ケンビューへの財務的影響を懸念していると述べた。
アナリストは同社株の投資判断「中立」を維持し、目標株価を17ドルとした。
仏高級品ブランドグループのケリングは、ビューティー事業を化粧品大手ロレアルに売却する協議を行っている。事情に詳しい複数の関係者によると、取引規模は約40億ドル(約6000億円)だという。
関係者らによると、この取引は早ければ来週にも発表される可能性がある。ケリングでは数週間前、ルカ・デメオ氏が新たに最高経営責任者(CEO)に就任していた。
幅広いビューティー製品を展開するロレアルは、ケリングの事業を買収することで、フレグランスブランド「クリード」を傘下に加えることになる。
また、同関係者らによると、ロレアルはこの取引で、ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、マックイーンなどケリングのファッションブランドを軸とした新たな製品を開発する機会を得ることになる。
●マクロ
中国経済は7-9月(第3四半期)に輸出の急増にもかかわらず、1年ぶりの低成長となったもようだ。共産党は20-23日に開催される党の重要会議「第20期中央委員会第4回総会(4中総会)」で、このずれを是正する方針を打ち出す可能性がある。
米国との貿易摩擦が激化する中、投資や工業生産、小売売上高の低迷が、過去最高の輸出による景気の勢いを相殺している。ブルームバーグがまとめた予想中央値によると、中国国家統計局が20日に発表する国内総生産(GDP)は前年同期比4.7%増となる見通しで、4-6月の5.2%増から鈍化する見込みだ。
9月の小売売上高は3%増、工業生産は5%増と予想されており、いずれも年内で最も弱い伸びとなる見通し。
一方、1-9月の固定資産投資は前年同期比横ばいと再び鈍化することが見込まれている。地方政府の支出能力を下支えするため、政府債務を大幅に拡大させてきたものの、インフラへの公的支出だけでは住宅投資の急減や製造業向け投資の鈍化を補いきれていない。
また、海外企業による投資も減少している。新たな海外直接投資(FDI)は1-8月で前年同期比約13%減と、3年連続の減少が見込まれている。
一方、明るい材料は輸出で、税関総署が13日に発表した9月の輸出はドルベースで前年同月比8.3%増と、エコノミスト予想中央値の6.6%増を上回り、伸び率は半年ぶりの大きさとなった。
こうした経済の脆弱(ぜいじゃく)さを背景に、北京で開かれる4中総会では、2026-30年に向けた政策の優先課題が議論される見通しだ。各国政府や投資家からは、経済の重心を外需から国内消費へと再均衡させるよう求める声が強まっている。
国際通貨基金(IMF)は、中国の25年の成長率見通しを4.8%に据え置いたが、来年は4.2%に減速すると予測している。この見通しはブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値と一致している。
IMFは世界経済見通しで「中国の見通しは依然として弱い」とし、「不動産投資が縮小する中で、経済は債務デフレサイクルの瀬戸際に立っている」と警告。「財政措置を通じて社会保障や不動産分野に重点を置き、家計消費へのリバランスを進めること、さらに産業政策を縮小することが、対外黒字の縮小と国内のデフレ圧力緩和につながる」と指摘した。
このほか、日本や英国のインフレデータ、主要経済国・地域の購買担当者指数(PMI)などが注目される。米政府機関の閉鎖を受けて公表が延期されていた9月の米消費者物価指数(CPI)が24日に発表される。
決算シーズンの幕開けとともに、株式市場の土台に亀裂が生じる可能性が出ている。一部地方銀行によるリスクの高い融資が、その要因として浮上しつつある。
ザイオンズ・バンコープとウェスタン・アライアンス・バンコープの株価は16日に急落。両行とも、商業用不動産ローン投資ファンド向け融資で不正の被害を受けたと明らかにした。この開示を受け、KBW銀行株は関税政策に伴う4月の混乱以来最大の下げとなった。
これに先立ち、米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は14日の決算会見で、信用市場には「ゴキブリ」がいると警告していた。米自動車ローン会社のトライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの破綻を念頭に置いた発言だった。
ウォール街では既に神経質なムードが広がっており、信用不安が強まれば3年にわたる株式の強気相場が崩れかねないとの懸念がくすぶっている。
BMOグローバル・アセット・マネジメントのサディク・アダティア最高投資責任者(CIO)は「市場はややパニックに陥った」と述べた。
7-9月(第3四半期)決算シーズンの最初の週は、金融業界の一角は好調さを維持していることが示された。バンク・オブ・アメリカ(BofA)、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス・グループなどの大手は予想を上回る決算を発表した。だが来週は様相が異なる。ザイオンズやウェスタン・アライアンス、イースト・ウェスト・バンコープといった地銀の決算発表が控えているためだ。
ホライズン・インベストメンツのポートフォリオ運用責任者ザカリー・ヒル氏は「投資家はややひるんでおり、とりあえず売ってから理由を考えるという状況だ」と語った。
金融業界は現在、二極化の様相を呈している。大規模な銀行やウォール街の金融機関は、好調なトレーディングと投資銀行業務を背景に前進しており、多少の不良債権があっても規模の大きさが緩衝材となる。一方、規模の小さい銀行はそうしたクッションが乏しく、リスクがより深刻だ。
投資家は既にその違いを目の当たりにしている。KBW地方銀行株指数は16日、4月以来最大の下げとなり、年初来の上昇分が帳消しとなった。一方、全米の大規模銀行やウォール街の大手金融機関が含まれるKBW銀行株指数は2025年に入り14%上昇している。
「銀行セクターでの不透明感や信用の質を巡る疑念が続くのであれば、大手行の方が地銀よりも安全な避難先であることは確かだ」とヒル氏は述べた。
一部地銀の問題が大手行や経済全般に波及するリスクも当然ある。ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は、たとえ「軽度」の信用不安でも、「割高な株式市場にとっては好ましくない」と指摘。テクノロジーセクターは「非常に注意深く」見ていく必要があると付け加えた。
トライバリエート創業者アダム・パーカー氏は、今年前半は格付けが低めの企業や人工知能(AI)関連銘柄に「大きな動き」が見られたと指摘。一方で現在は投資家が、ポートフォリオに組み込む「バラスト(安定資産)」を探していると分析。質の高い金融株やヘルスケア株、金属株といった例を挙げた。
それでも、大手金融株や金融セクター全般に対する投資家心理は明るい。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「特にシステム上重要な銀行が健全である限り、一部機関の問題が個別要因にとどまるようであれば、業界は問題を乗り越えられるだろう」と分析した。
17日に発表された決算は一部の懸念を和らげた。トゥルイスト・ファイナンシャル、リージョンズ・ファイナンシャル、フィフス・サード・バンコープはいずれも、信用損失引当金がアナリスト予想を下回った。
17日に決算を発表した米地銀の幹部からは、信用不安の高まりを受けて投資家の懸念払拭に努める発言が相次いだ。
トゥルイスト・ファイナンシャルのビル・ロジャース最高経営責任者(CEO)は電話会見で「全体として信用の質は健全だ」と指摘。「市場で見られるいくつかの事例は、やや特異で相関のない事象だと言える」と述べ、信用リスクに対して同社は「厳重に警戒している」と説明した。複数の地銀が発表した7-9月(第3四半期)決算では、貸倒引当金がアナリスト予想を下回ったことを受けて、トゥルーイストなどの地銀株が上昇した。
米自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの経営破綻を受けて、信用市場にひびが入り始めれば、銀行が多額の損失に直面するとの懸念が出ていた。
前日には、ザイオンズ・バンコープが完全子会社のカリフォルニア・バンク・アンド・トラストを通じて5000万ドル(約75億円)の損失を計上したと発表して株価が13%下落。さらにウェスタン・アライアンス・バンコープも同じ借り手に融資していたことを明らかにし、株価が約11%下落した。
こうした中、17日に発表された地銀決算が良好な内容となり、過度な信用不安が和らいだ。これまでトライカラーへのエクスポージャーを開示していたフィフス・サード・バンコープは、引当金が1億9700万ドルと、アナリスト予想の2億3900万ドルを下回った。
フィフス・サードの最高信用責任者、グレッグ・シュロック氏はトライカラー関連のエクスポージャーについて「ポートフォリオ全体の包括的な見直しの一環として厳格に精査された」と説明。「今回の見直しを踏まえ、このカテゴリーに属する顧客に関して信用の質には非常に強い自信を持っている」と語った。
フィフス・サードのティム・スペンスCEOは「ファースト・ブランズとは過去に取引していたが、担保審査の過程でいくつかの問題が判明したため、数年前に関係を解消した」と述べた。同行の株価は午前の取引で一時4.6%上昇した。
トゥルイストの引当金は前年同期比2.7%減の4億3600万ドルで、予想の4億8490万ドルを下回った。貸倒償却額は3億8500万ドルと、アナリスト予想の4億5060万ドルを大きく下回った。
同社はトライカラーへのエクスポージャーはなかったが、ファースト・ブランズには一部エクスポージャーを抱えていると説明した。同社株は一時4%余り上昇した。
トライカラーの破綻を受けて、自動車ローンを手掛けるアライ・ファイナンシャルの決算にも注目が集まっていた。引当金は4億1500万ドルと、市場予想の4億5500万ドルを下回った。同社株は一時7%余り上昇した。
リージョンズ・ファイナシャルも引当金が予想を下回ったが、純金利収入(NII)が予想に届かず、株価は下落した。
サブプライム(信用力の低い個人)層向けの自動車販売店に融資を行うプライマレンドの債権者らは、数カ月にわたり支払いが滞っている状況を受けて同社の破産申し立てを検討している。業界では、トライカラー・ホールディングスの経営破綻に伴う動揺が続いている。
計画に詳しい複数の関係者によると、2028年償還の7500万ドル(約113億円)相当の社債を保有する債権者は、法律事務所ホワイト・アンド・ケースと協力し、状況把握と今後の対応を検討している。一方、プライマレンド側はアドバイザーとしてフーリハン・ローキーを起用したという。関係者らは、計画が非公開だとして匿名を条件に語った。
プライマレンドの広報担当は電子メールで、同社は通常通り業務を行っており、販売代理店網を支援していると説明。また販売パートナーの融資や契約条件に影響はないという。
この担当者は「プライムレンドは資本構造を強化し、長期的な成功に向けて体制を整えるため、貸し手との建設的な協議を積極的に進めている」と述べた。
フーリハン・ローキーとホワイト・アンド・ケースの担当者はコメントを控えた。
プライマレンドは、低所得者層向けに車の販売と融資を一括して提供する「バイ・ヒア・ペイ・ヒア」型の自動車販売店向けにサービスを提供している。同社のウェブサイトによれば、取扱商品には売掛債権を担保とした融資や不動産向け融資などがある。
サブプライム自動車ローン会社のトライカラーは9月に経営破綻し、市場には衝撃が広がった。詐欺や不正行為の疑いで調査が進む中、破産裁判所で清算手続きが行われている。
S&Pグローバル・レーティングは17日、フランスを格下げした。少数与党が債務拡大への対応に苦慮する中、同国の信認に新たな打撃が加わった。
同社は、フランスの格付けを「AA-」から「A+」に引き下げた。2025年予算案が提出されたものの財政の不確実性が「依然として高い」と指摘した。
今回の格下げにより、フランスは1カ月余りの間に主要格付け会社3社のうち2社でダブルA格を失った形となる。フィッチ・レーティングスは9月にフランスを格下げした。厳格な投資基準を設ける一部ファンドが、フランス国債を売却せざるを得なくなる可能性もある。
S&Pは、フランスの格付け見通しを「安定的」としている。ムーディーズ・レーティングスは24日にフランスについて格付け評価を行う予定だ。
2カ月にわたる市場の楽観ムードを経て、ウォール街はまどろみから目を覚ましつつある。
まずファースト・ブランズ・グループとトライカラー・ホールディングスの破綻が、長らく忘れられていた信用損失への不安を呼び起こした。続いて、ザイオンズ・バンコープとウェスタン・アライアンスでの不正疑惑に絡む減損処理を受けて、融資問題の悪化が広範に及ぶとの懸念が強まった。16日には米主要銀行の時価総額が計1000億ドル(約15兆円)余り失われた。
これまで投資家は、政府閉鎖や過熱した株価バリュエーションなどを意に介さず、人工知能(AI)ブームや堅調な消費データを支えにリスクを取り続けてきた。その結果、ポジションは非常に積極的な水準に達している。ソシエテ・ジェネラルによると、株式やクレジットといったリスク資産への配分は8月末時点で追跡ポートフォリオの67%に達し、過去最高水準に接近した。
S&P500種株価指数は17日に上昇。トランプ米大統領の発言で貿易摩擦を巡る懸念が和らいだ。強気相場は継続しているが、6営業日にわたり資産クラス全体でボラティリティーが上昇しており、これは信用面の脆弱(ぜいじゃく)性というより深い不安を浮き彫りにしている。EPFRグローバルによると、15日までの1週間でハイイールド債ファンドから30億ドル超が流出した。かつて無敵とみられた暗号資産(仮想通貨)などリスク志向のモメンタム取引も勢いを失いつつある。
クオンツ系ポートフォリオでは、信用リスクを遮断する戦略が再び人気を集めている。エバコアISIによると、高レバレッジ企業を売り、借り入れの低い企業を買うペアトレードが再び高成績を上げている。これは、ドットコム・バブルのピーク前に見られた動きと似ているという。
こうした動きが直ちに長期的な弱気相場への転換を意味するわけではない。だが市場のトーンは確実に変わりつつある。信用基準の緩みや高レバレッジ企業離れ、ファンダメンタルズから乖離(かいり)した投機資金の流れが過去に見られた転換点を思い起こさせ、大手機関投資家の間では慎重姿勢が強まっている。
リーガル・アンド・ジェネラル(運用資産1兆5000億ドル)のマルチアセット運用責任者ジョン・ロウ氏は、自身のチームがリスクを低減させる対応を取ったとし、投資家のポジションとファンダメンタルズとの乖離が拡大しているためだとその理由を説明した。
ロウ氏は「ここ数週間、投資家心理は過熱とまではいかないまでも非常に高い水準にあり、その裏で過小評価されるリスクがあるとわれわれは見ていた」とし、「その認識が、15日にリスクを抑えて株式をショートにする決定の重要な一因となった」と述べた。
同社は既にクレジットを「アンダーウエート」としており、その理由としてタイトなスプレッドと上値余地が限られていることを挙げた。トライカラーとファースト・ブランズの破綻は特異な事例だと広く考えられているが、ロウ氏のチームは、特に低所得層の借り手を中心に、より広範なストレスの警戒信号になり得るとみている。
同様の見方を持つ市場関係者は他にもいる。
ベレンバーグのマルチアセット戦略・調査責任者、ウルリッヒ・ウルバーン氏は「われわれは典型的な信用サイクルの下向き局面に入りつつあると考えられる」と指摘。「壊滅的な状況ではないが、市場環境全体の転換点となるリスクは高まっている」と述べた。
ウルバーン氏は過去2週間に株式のヘッジを強化したほか、株式エクスポージャーを約10ポイント縮小させて「アンダーウエート」に転じたという。またS&P500種のコールオプションを売却してヘッジ資金を確保し、過熱感が強まっていた金と銀のポジションも縮小した。
「年初来の好調な成績を守りたいという動機が非常に強い」とウルバーン氏は述べた。
米金融業界で「ゴキブリの目撃」が増えている。自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスと自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループの相次ぐ経営破綻にくわえ、融資基準の甘さを批判する業界幹部の発言で投資家の警戒感が強まるなか、今度は地銀2行が不正の疑いがある融資の問題を明らかにした。
一見すると、こうした事案は共通点の乏しい個別事例に映るかもしれない。だが、過熱した融資の波に乗って資金を調達してきた企業で詐欺疑惑が相次ぐなか、共通する構図が次第に浮かび上がりつつある。
これが投資家の不安をかき立てている。新たな不正が発覚するたびに、地銀やノンバンクを通じ、一見健全な融資にも連鎖的な影響が及び、損失が金融システムの核心部へとドミノ倒しのように広がっていくことが懸念されるからだ。
16日には、マイアミ拠点の資産運用会社777パートナーズの共同創業者ジョシュ・ワンダー氏が、5億ドル(約750億円)規模の詐欺容疑で起訴された。本人は容疑を否認しているが、同社の元最高財務責任者(CFO)は罪を認め、検察当局に協力している。
米銀最大手JPモルガン・チェースは、トライカラーの破綻に関連して1億7000万ドルの貸倒損失を計上した。同行のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は近年、警戒心の強いウォール街の古参戦士としての役割を担い、同行が特段の損失を出していない局面でも、市場の潜在的なリスクに繰り返し警鐘を鳴らしている。
14日の決算説明会でトライカラーとファースト・ブランズについて質問を受けた際も、歯に衣着せなかった。「ゴキブリを1匹見たら、恐らく他にもいる。この件は誰もが警戒すべきだ」と語った。
その2日後には、地方銀行のザイオンズ・バンコープとウェスタン・アライアンス・バンコープに関するニュースが市場を動揺させた。両行のケースでは、疑惑の中心はいずれも同じ人物たちだった。アンドリュー・ステューピン、ジェラルド・マーシル両氏らが関係する投資ファンドが、商業用不動産ローンの不良債権を購入する資金として融資を受けていた。トライカラーやファースト・ブランズの場合と同様に、関係者は不正の疑いを否定している。両行の損失額は他の事例に比べればはるかに小さい。しかし、「ゴキブリ」の存在が意識されるなかでは、規模の大小は問題ではなくなる。
そもそも、最初から不正を働くつもりで経済活動を始める人はほとんどいない。多くの場合、資金繰りに行き詰まったり、欲が出たり、あるいは小さな問題を抱えたときに、つい「小さな嘘」でその場をつくろってしまう。こうして生じたバランスシートの穴は次第に広がり、やがて埋めようのない深い裂け目へと変わっていく。また現在の金融環境は、人々を不正や逸脱行為に走らせやすい状況にある。今年の市場は、インフレ率や金利の先行きに対する不透明感を背景に激しい変動を繰り返している。 米国が次にどの国や地域を関税の標的にするのか見通せない状況では、市場の視界が晴れることもないだろう。
新型コロナ禍に対応するための公的資金の洪水が資産価格ブームをもたらしていなければ、状況はこれほど危険にはならなかったはずだ。潤沢な資金供給が続いた結果、一部の投資家や企業は過剰なリスクを抱え、わずかな誤算や小さな衝撃にも脆弱になっている。それでも多くの投資家や企業は、こうした混乱をいずれ乗り切れると期待している。 過去10年余り、中央銀行が市場の動揺のたびに資金を投入して下支えすることが常態化していたためだ。
今週は金融市場の緊張が高まるなか、銀行に代わって企業に資金を供給するプライベートクレジット業界に批判の目が向けられた。JPモルガンのダイモン氏は同業界のリスク審査能力に懸念を示し、これに対し、オルタナティブ資産運用会社ブルー・アウル・キャピタルのマーク・リップシュルツCEOは、銀行は自らの帳簿に「ゴキブリ」がいないか確認した方がいいかもしれないと述べた。
しかし最も重要なのは、こうした両者のあいだでリスクが伝播する可能性だ。その主な経路となり得るのがノンバンク向け融資で、近年急拡大している。大手銀行にとって最も資本効率の高い融資手段の一つであることが背景にある。この分野には多様な借り手が含まれており、必ずしもリスクの高い先ばかりではない。
JPモルガンのアナリストによると、プライベートクレジット運用会社向けの融資規模は比較的小さい。2024年末時点では、ノンバンク向けの総融資残高(約1兆ドル超)のうち1000億ドル未満にとどまっている。
だからといって安心できるわけではない――。JPモルガンで投資銀行業界を担当するアナリスト、キアン・アブホセイン氏はそう警鐘を鳴らす。ノンバンク向け融資は近年、極めて急速に拡大しており、融資基準の緩みを招きやすい。さらに問題なのは、こうした機関は監督が及びにくく、規制の抜け道を利用しやすい点だ。アブホセイン氏は今週のリポートで、「2023年には、ファースト・リパブリック銀行やシリコンバレー銀行(SVB)でも同様のリスクが見られた。監督不備と規制の抜け道が原因で見過ごされた」と指摘している。
貸し手、投資家、預金者の間にも透明性の欠如がある。こうした不透明さは、事態が悪化し始めたときに混乱や不安をさらに増幅させる。
これらの問題の一部は新たなものであり、世界金融危機以降の金融システムの構造変化に関連している。しかし、いくつかの問題は古くからの構造的な課題でもある。19世紀の経済学者ウォルター・バジョットは、「どの金融危機も、それまで誰も気づかなかった過剰な投機を暴き出す」と1870年代に記している。「物価が高く景気のよい時期には不正が生まれやすい」、「そうした時期は巧妙な嘘をつくには格好の機会になる」とも同氏は書いている。
現時点では、これら事例のいずれも不正が立証されたわけではない。 しかし、「ゴキブリの影」がちらつく不穏な気配は看過できない。
フランスの政治的行き詰まりは、欧州各国の政府が高齢化が進む有権者の要求と財政支出抑制の必要性の間で板挟みとなり、年金制度の財源不足をなかなか埋められずに苦戦している状況を示している。
年金を受け取る権利は長年にわたり欧州の社会契約の中核的な政策となってきた。しかし、多くの国では寿命の延びと出生率の低下によって、かつて標準的だった60代前半で定年退職して年金を満額受け取るモデルに必要な財源の余裕がなくなっているのだ。
しかし、過去数年にわたって多数の大規模な抗議行動や連立政権内の対立が示したように、こうした現実を有権者に理解させて議会の同意を得るのは非常にむずかしい状態が続いている。
フランス政府は今週、欧州連合(EU)の中で現在62歳と最も低い国の部類に入る年金受給開始年齢の引き上げ計画が延期に追い込まれた。
しかし、こうした事例はフランスに限らず、ドイツ、スペイン、イタリアも年金受給開始年齢の引き上げや給付額の上限設定を巡る取り組みが失敗したり、撤回されたりしている。
理由は単純だ。欧州の有権者の年齢中央値は現在40代半ばで、政府が高齢世代を犠牲にして若年世代を優遇しようとすれば政治的な代償が大きすぎる。
IESEビジネススクールの経済学教授で、貯蓄と年金を専門とするハビエル・ディアス・ヒメネス氏はインタビューで、こうした事情を「民主主義が人口学的に乗っ取られた状態」と表現した。「高齢者は常に自分たちに約束された年金を全て受け取れるのだと保証されなければ、どのような改革も完全に阻止するだろう」と語った。
しかしながら、オランダが綿密に組み立てて議論に時間をかけた結果として制度改革を実現したように、改革を成し遂げるのは可能だ。
<改革は常に圧力下でしか成立しない>
この10年間のギリシャ、ポルトガル、イタリア、スペインや1990年代のスウェーデンように年金制度改革が実現した国々は、金融市場や国際的な貸し手からしばしば強い圧力を受けた。
イタリアのエルサ・フォルネロ労働大臣は2011年、最低退職年齢の引き上げと多くの年金受給者に対する年間物価調整の廃止した際、記者会見で涙を流した。こうした制度改革の困難さを物語る光景だった。
フォルネロ氏は当時を振り返って、イタリア国債がユーロ圏を崩壊させかねないほどの大規模な債務危機の一環として急激に売り込まれていた状況からすれば、他に選択肢はなかったと話す。「誰かを処罰するために改革を実行したのではなく、イタリアが依存していた金融業界が真剣で即効性のある改革を求めていたからだ」とロイターに語った。
実際に、2006―15年にEUで実施された主要な年金制度改革を分析した学術研究によると、政府は市場圧力にさらされてようやく年金制度の改革に踏み切る覚悟を決める傾向にあるという。
フランスはこうした圧力がまだ存在せず、国債の利回りは安全資産とされるドイツ国債に比べて80ベーシスポイント(bp)高い程度だ。イタリアはユーロ危機の絶頂期に500bp程度まで達していた。
イタリア・シエナ大学の教授のマッティア・グイディ氏は「フランスに対する市場圧力が小さければ、改革はそれほど厳しくならないだろう」と述べた。
<骨抜きという次の脅威>
危機時に実施されたギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインの年金制度改革は、各国の財政をより持続可能な軌道に乗せたと評価されている。
しかしながら、そうした状況であっても改革が完全に、あるいは少なくとも完全でなくても、今後そのままの姿で存続できる保証はない。
イタリアとスペインは危機が終わった後で、段階的に改革の一部を凍結し、あるいは骨抜きにしてきた。
ポルトガルとギリシャでさえも、この10年間で救済措置と引き換えに年金給付額を大幅削減したのに、その後給付水準を引き上げ、さらなる増額も検討している。
非営利団体「欧州ユース・パーラメント」で年金に関する報告書を共同編集したジョアオ・シルバ氏は「政治的そして経済的な合意が広く形成できなければ、改革は長続きしない」と述べた。
改革の勢いはドイツ、アイルランド、英国でも弱まっている。英国は年金給付額の引き上げを算定する仕組みである「トリプルロック制度」に手をつけることすらできていない。
しかしながら、いくつかの国は突破口を見いだしたように思われる。
オランダは従来の確定給付型から在職期間中の積立額に応じて給付額が決まる確定拠出型に移行する改革が、10年に及ぶ交渉を経て幅広い支持を受けて承認された。
深刻な金融危機に見舞われたスウェーデンは1990年代に同様の改革を成立させた。改革は当時不人気だったが、今では国の経済的な安定のために不可欠だったと評価されている。
アルフレッド・カマー国際通貨基金(IMF)欧州局長は、フランスの政界は公的財政の強化の必要性で一致しており、2024年半ば以来の政治的不安定にもかかわらず、金融市場が平静を保っている理由だと分析した。ロイターに述べた。
ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は健全で流動性に問題はなく、独国債とのスプレッドは抑制されている上に、予算案では26年の財政赤字削減が盛り込まれていると指摘した。
「短期的なリスクは特に懸念すべき水準には達していない」とした上で「われわれが楽観視しているのは、26年予算が欧州の財政ルールに基づくフランスのコミットメントに沿った内容であり、財政赤字を対国内総生産(GDP)比4.7%近くに引き下げると想定していることだ」と述べた。
仏公的債務は24年末の対GDP比113.2%から今年第1・四半期には114.1%に上昇。ユーロ圏全体の88%を上回り、ギリシャとイタリアに次ぎ欧州連合(EU)で3番目の高債務国となった。
「市場が比較的落ち着いている理由の一つは、政治家や議員らが、これ(財政赤字)は自分たちが取り組むべき問題と明確に理解していることだ」と述べた。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
米国の銀行による融資の質への警戒感が金融市場で募っている。16日には有力地銀2行による不良債権開示が引き金となり地銀株が軒並み売られ、17日は反発したものの前日の下げを取り戻すにはほど遠かった。融資債権の証券化商品で運用する上場ファンドからも資金流出が見られる。
地銀株、下落分は取り戻せず
ザイオンズ・バンコーポレーションの米証券取引委員会(SEC)提出資料によると、子会社の銀行の融資に関して不正を発見したとして借り手を提訴した。ザイオンズは約6000万ドル(約90億円)を貸倒引当金として計上した。ウエスタン・アライアンス・バンコーポレーション(WAL)も同様の提訴に踏み切ったという開示を出した。
裁判資料によると、両行の融資先は同一の不動産投資ファンド。ザイオンズ株は16日に13%安、WAL株は11%安と急落。売りは幅広い地銀に及んだ。17日にはそれぞれザイオンズは6%高、WALも3%高と反発したが、前日下げた分を取り戻せていない。
幅広い地銀株の動向を示す「SPDR S&P地銀ETF(上場投資信託)」は2%高と、前日の6%安に比べて小幅な反発にとどまった。
9月には米中古車販売・ローン事業者トライカラー・ホールディングスと米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループ(FBG)が相次いで経営破綻した。いずれも不正や複雑な資金調達手法が債務の実態を不透明にしていたと指摘されていた。
ザイオンズやWALによる不動産ファンドへの融資も含め、それぞれが独立した事案ではあるが、相次ぐ問題の発生は銀行の融資債権の健全性に対する疑念を生じさせた。米景気の底堅さや良好な金融環境、融資規模を拡大するプライベートクレジット(ノンバンク融資)との競争もあり、銀行による与信の目が曇ったという見方がある。
米格付け大手ムーディーズ・レーティングスのプライベートクレジット担当グローバル責任者、マーク・ピント氏は17日、米CNBCの番組で「全体として融資債権の質の悪化はみられない」と説明する一方「(ノンバンク融資の主要な形態である)直接融資も銀行の協調融資も融資条件は緩くなっている」と指摘した。
ファンドからも資金流出
銀行の協調融資を証券化したローン担保証券(CLO)の需要動向にも影響が出始めた。CLOは原資産である融資債権が生むキャッシュフローをリスクに応じて束ねなおした金融商品だ。
QUICK・ファクトセットによると、格付け最上級トリプルA格のCLOで運用する上場投資信託(ETF)「ジャナス・ヘンダーソンAAA CLO ETF」からは16日、3億1400万ドルの資金が流出した。1日の資金流出額としては5月1日以来、約5カ月半ぶりの大きさを記録した。BBB格のCLOで運用する別のETFも資産流出に見舞われている。
米企業の2025年7〜9月期の決算発表は本格化している。17日発表したフィフス・サード・バンコープはトライカラー融資に関する貸倒損失1億7800万ドルを計上した。ザイオンズは20日、WALは21日に決算発表を予定する。
23年春にシリコンバレーバンク(SVB)など複数の米地銀が相次ぎ破綻した際は、決算発表の内容によって信用不安が増幅され、株価が急変動するケースが見られた。いつも以上に決算に注目が集まりそうだ。
ザイオンズ・バンコーポレーションは、返済の見込みがない6000万ドル相当の融資を行ったことを木曜日に明らかにした後、1日で評価額が10億ドル下落した。
そこに至るまでには、ザイオンズが抱えていた複雑に絡み合った融資の網が絡み合っていた。
担保が事実上消滅する一方で、借り手によって密かに劣後化されたとされている。
木曜日、地方銀行の株価は、融資事業の健全性に対する懸念が高まり、急落した。ザイオンズの株価が13%急落したことで、地方銀行セクターの融資に関するより広範な問題への懸念が高まり、木曜日の米国株式市場全体が下落し、ダウ工業株30種平均は300ポイント下落して取引を終えた。
ザイオンズの子会社、カリフォルニア・バンク・アンド・トラストは、これまで「カンター・グループ」の名称を使用して複数のファンドを運用してきた比較的無名のアンドリュー・スタピン氏とジェラルド・マーシル氏、およびその仲間のデバ・シャム氏を訴えている。
水曜日にロサンゼルス郡で提起されたこの訴訟は、「CB&Tの信頼を悪用し、私腹を肥やすために融資構造を操作し、銀行の融資を保証するはずの担保保護を組織的に排除した、経験豊富な金融借り手による全面的な信頼の裏切り」を主張している。
ザイオンズと被告側弁護士は、CNBCからの複数回のコメント要請に応じなかった。問題となっている関係は、ザイオンズのCB&Tが2016年と2017年に、カンター・グループIIとカンター・グループIVという2つの関連投資会社に約6,000万ドルの資金提供を行ったことに端を発している。
この信用枠は、ファンドが不良住宅ローンや商業用住宅ローンを購入するために利用される予定だった。
ザイオンズは、第一順位の利子を保証する引受契約を結んでいると述べた。つまり、債務不履行が発生した場合、同銀行の担保権は他の債権者の権利よりも優先されるということだ。
しかし、ローンを担保としていた証書は、CB&Tが知らないうちに最終的に劣後化されたとザイオンズは訴状の中で述べた。
これらの担保物件は他の事業体に譲渡されたか、差し押さえられていたため、担保は「回復不能なほど失われた」とザイオンズは主張した。
訴状によると、CB&Tに代わる新たなシニアレンダーは、カンター・ファンドの運用者、あるいは同グループと関係のある人物と同一人物だった。「事実上、CB&Tの損失は被告の利益となった」とザイオンズ氏は訴状で述べた。「関連会社のネットワークを通じて、借り手と保証人は、CB&Tから担保を剥奪しながら自らを肥やす計画を画策し、同時にCB&Tの証券権益の真の状況を長年にわたり隠蔽していた…」
シオンズがこのことを知ったのは、同じ指導者によって運営されている関連カンター基金がウェスタン・アライアンスによって詐欺で訴えられた後だった。
これを受け、CB&Tは独自の調査を開始しました。その後、ザイオンズは水曜日に8-K報告書を発表し、「現在入手可能な情報に基づき」6,000万ドルの未払いローンに対する引当金を計上し、5,000万ドルを償却することを決定しました。この償却は、月曜日に発表される第3四半期決算に反映される予定です。
ウェスタン・アライアンスは、ザイオンズの報告書に続く別の8-K報告書で、カンター社に対し、借り手が「そもそも担保融資を提供しなかったことなど、様々な理由で詐欺行為を行った」として、独自に訴訟を起こしたと発表した。しかし、ウェスタン・アライアンスは、既存の担保で債務をカバーできると考えていると述べ、ガイダンスを据え置いた。ウェスタン・アライアンスは火曜日に決算を発表する。
米国市場の融資基準をめぐる懸念が大西洋を越えて広がったため、欧州の大手プライベートマーケット企業の一部は金曜日に株式を売った。
5.5%安で取引を終えたが、CVCキャピタル・パートナーズは
ジャージー島に本社を置く同社は約6.6%下落した。スイスのプライベートマーケット会社、パートナーズ・グループ
スウェーデンのEQTが4.6%下落したため、3.4%下落した。
こうした動きは、民間信用市場から銀行業界全体にリスクの高い融資慣行が波及する恐れがあるとして懸念が高まっていることから、今週、米国の地方銀行の間で広範囲にわたる株売りが起きたことを受けたものだ。
ICGは300億ドル以上のプライベートデット資産を運用しており、これは6月末時点で運用資産総額の約25%に相当します。パートナーズ・グループは380億ドルのプライベートクレジットを運用しており、CVCのプライベートクレジット事業は直接融資に特化しており、約170億ユーロ(199億ドル)を運用しています。
米国の自動車部品メーカー、ファースト・ブランズの破綻とサブプライムローンの自動車ローン会社トリコロールの破綻を受け、信用力はここ数週間でより鮮明になっている。投資銀行ジェフリーズ
ファースト・ブランズへのエクスポージャーを持つ同社は、木曜日に11%下落して取引を終えたが、金曜日に反発した。
ファースト・ブランズの破綻は主にサプライチェーン・ファイナンスと売掛金分野での複雑な借入契約に起因するが、この大失敗はレバレッジの増大と信用基準の緩みの可能性に対するより広範な懸念を浮き彫りにした。
ジェイミー・ダイモンCEOは、信用システム内にさらなる潜在的なストレスが潜んでいる可能性があると述べた。「ゴキブリを1匹見かけたら、おそらく他にもたくさんいる」と、ダイモンCEOは水曜日に行われたJPモルガンの第3四半期決算発表で述べた。「誰もがこの点について事前に警告を受けるべきだ」
ドイツ連邦銀行総裁で欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのヨアヒム・ナーゲル氏は今週、CNBCとの独占インタビューで、民間信用市場からの「波及効果」について警告し、それを「規制リスク」と呼んだ。
「民間信用、民間融資に関しては懸念している」とネーゲル総裁は水曜日、ワシントンで開かれたIMF・世界銀行年次総会でCNBCのカレン・ツォ氏に語った。
「この市場は今や非常に大きく、私の知る限り1兆ドルを超えています。規制の緩い市場参加者から、規制の厳しい市場参加者への波及効果も生じていることは承知しています。規制当局として、私たちはこれを注意深く監視する必要があります。」
一方、IMFの通貨資本市場局長トビアス・エイドリアン氏は、IMFは現在、特に民間信用分野での非銀行系金融仲介機関を厳しく監視していると述べた。
「このレバレッジはおそらく回復力があるだろうが、もちろん、われわれは引受基準を非常に注意深く監視している」とエイドリアン氏はCNBCのツォ氏に語った。
地方銀行の破綻に関するまとめ記事で指摘したように、昨日大打撃を受けた2つの銀行、ZIONとWALには共通点がありました。それは、両行の不良債権化につながった、単一の取引相手が破綻したことです。ブルームバーグのおかげで、その取引相手が誰だったのかを特定できるようになりました。
BBGによると、ザイオンズ・バンコープとウェスタン・アライアンス・バンコープが報告した不良債権は、今年初めに南カリフォルニアの商業用不動産投資会社が破産したことに端を発している。水曜日に提出された訴訟(これも投資家を動揺させ、株価を急落させた)において、ザイオンズは投資家グループに6000万ドル以上を融資した際の担保物件16件の住所を記載していた。また、カリフォルニア州ニューポートビーチに拠点を置く不動産会社 MOM CA Investco LLCが 2月に破産を申請した際には、これらの物件のうち6件が投資物件として記載されていた。
それで、ローンはどうなったのですか?
ブルームバーグが報じているように、2016年と2017年にザイオンズの子会社カリフォルニア・バンク&トラストの銀行家がローンを引き受けた際、貸し手を保護するための通常の緩衝材が契約に含まれていることを確認した。ロサンゼルス郡上級裁判所にジェラルド・マーシル、アンドリュー・スタピン、デバ・シャムを含む被告らを相手取って今週提出された訴状によると、借り手が債務不履行となり資産を清算した場合、ザイオンズが最初に返済を受けるべきであるという。しかし、二つの問題が同時に発生しました。まず、MOM CA Investcoが破産保護を申請し、保有不動産の一部売却が計画されました。次に、ザイオンズが融資した融資の担保となっていた建物については、ソルトレイクシティに拠点を置く銀行よりも先に、他の企業が支払いを受けることになっていたことが判明しました。
同様の事態がウエスタン・アライアンスにも発生しました。フェニックスに拠点を置く同行は、マーシル氏とスタピン氏を含む投資家グループを提訴しました。同グループは、融資構造を不正に操作し、ウエスタン・アライアンスが他の誰よりも先に債務返済を受け取れないようにしたと主張しました。
ウエスタン・アライアンスによると、投資家グループは依然として9,860万ドル以上の債務を抱えている。これらの融資はスタピン氏とマーシル氏の投資ファンドが保有する不動産を担保としていたが、8月にロサンゼルスで提出された訴状によると、当該不動産は既に差し押さえられており、銀行にはその旨が通知されていなかったという。
これに対し、マルシル氏とスタピン氏の弁護士は声明で、「依頼人は不正行為の申し立てを全て強く否定します。これらの主張は根拠がなく、事実を歪曲しています。全ての証拠が提出されれば、依頼人の無罪が完全に証明されると確信しています」と述べた。
さらに詳しく調べてみると、MOM CA Investcoの破産の背後には、法廷で敵対する以前は友人だった南カリフォルニアの商業用不動産投資家グループの存在が分かります。2月の破産申請書によると、同社のポートフォリオには、ラグナビーチの高級住宅街にあるホテルや、レッドランズにある6,500万ドル相当のアパート複合施設が含まれていました。
MOMのカリフォルニア州連邦破産法第11章は8月に却下されました。却下の数週間前、この事件を担当していた連邦判事は、不動産投資家に対し、取引が成立しないことは投資家の利益にならないと警告していました。そして、連邦破産裁判所のブレンダン・シャノン判事は、この事件を破産手続きから除外することは最善の選択肢ではないと述べました。
なぜなら、訴訟が終結すれば、債権者は州裁判所に訴訟を提起し、様々な不動産を差し押さえ、安値で売却できるようになるからだ。不動産帝国の二大勢力が依然として対立する中で、数回の法廷審問を経て、シャノン氏は連邦破産法第11章の適用を却下した。
モハマド・ホナルカー氏とマヘンダー・マキジャニ氏は、 2021年に合弁会社としてMOM CA Investcoを設立しました。当時、ホナルカー氏は携帯電話販売事業も営んでおり、マキジャニ氏はContinuum Analyticsという企業を通じて投資家向けに不良不動産の取得・管理を行っていました。Continuumの主要投資家にはマーシル氏とスタピン氏がおり、同社の法的所有者はシャム氏です。
しかし、パートナーシップはすぐに破綻し、ホナーカー氏は会社を支配していたパートナーたちを詐欺で告発した。裁判資料によると、この争いの最中、マキジャニ氏は武装警備員を使って一部の不動産を占拠し、ラグナビーチ周辺を巡回する移動看板を雇い、ホナーカー氏の写真を掲載して彼と市職員2名を汚職で告発した。
さらに奇妙なことに、ザイオンズとウェスタン・アライアンスが訴えた投資家、マルシル、スタピン、シャムは、マキジャニ氏と関係のある様々な投資ビークルとも関係があることが裁判所の書類で明らかになった。この3人はナノバンクの創設投資家の一人であり、マキジャニ氏はナノバンクにとって最大の紹介元の一つとなっている。
3月の仲裁申立書によると、ナノバンクは創業者に1億ドル以上を融資していた。また、ザイオンズは、ラグナビーチにある建物に第一順位の担保権を設定していたが、その権利証書がナノバンクに譲渡されていたことを突き止めた。
そして、最大の見どころは、別の資産であるベルフラワーのアパート複合施設の権利証が、投資家を訴えている別の銀行、ウェスタン・アライアンスに譲渡されていたことだ。
一言で言えば、前例のない混乱…しかし、これは単に破綻した破産と、いかがわしい投資家グループによる潜在的な詐欺行為だけではなかった。誰の債権が劣後債権で誰の債権が優先債権なのか誰も分からず、結果として、担保権の行使が自由に行える「フリー・フォー・コール」方式の担保取得に至った。これは、担保権の再利用とまではいかないまでも、非常に近い状況だった。そして、担保権者であるザイオンズとウェスタン・アライアンスは、融資の担保として提供した資産を法廷で追及する羽目になった。サウスパークのアニメでよく表現されているように、資産は「すべて」失われたのだ。
幸いなことに、この特定のケースで何が起こったのかは明らかになりました。問題は、なぜ銀行が事前にこれらすべてを予測できなかったのか、そしてさらに重要なのは、このような管理された絶対優先権ルールの事例が他にどれだけあるかということです。
昔々、ある博識な男が、貿易に革命を起こすと約束した企業に投資し、友人たちが富を築いていくのを見ていました。彼は簡単に金持ちになれるという期待に惹かれ、その仲間入りをしましたが、最初は慎重になり、少額しか投資しませんでした。株価がもはや合理的に正当化できないと感じた時、彼は持ち株を売却し、かなりの利益を得ました。
しかし、熱狂が高まり、株価が上がり続けるにつれて、彼は抵抗できなくなり、今度はより多くの資金、より多くの確信、そしてより多くの自信を持って買い戻しました。
バブルは崩壊し、彼は莫大な財産を失った。彼はひどく動揺し、「天体の運行は計算できるが、人間の狂気は計算できない」と断言した。
アイザック・ニュートン卿と 1720 年の南海泡沫事件に関するこの物語は、最も優れた頭脳を持つ人々の間でも投機が過剰になることに対する警告の物語です。
しかし、史上最も賢い人物の一人であっても、金融バブルの誘惑に抵抗するのはなぜそれほど難しいのでしょうか?
人間の本性が誇大宣伝を煽る
市場が活況を呈している時期には、評価だけでなく理性も重力に逆らいます。ケインズの有名な言葉にもあるように、「型破りな成功よりも、型通りに失敗する方が評判にとっては良い」のです。言い換えれば、一人で立ち向かって早々に正しい判断を下すよりも、群衆に加わって皆で間違える方が楽なのです。
たとえば、ドットコム ブームのときには、金融ニュース チャンネルが IPO を大々的に報道し、当時の興奮を反映しました。評価額に疑問を呈したアナリストは、「現実離れしている」とレッテルを貼られました。
ファンドマネージャーやアナリストも人間です。同じ見出しを読み、同じ会話を聞けば、多くの人が同じレベルの「取り残される恐怖(FOMO)」を感じるでしょう。誰もがロケットに乗っている時に、懐疑的な表情でクリップボードを手に発射台に座っているのは、孤独なだけでなく、キャリアを脅かす可能性があります。
バブルは単なる金融現象ではなく、社会現象となる。
バブルに賭けるのは構造的に難しい
たとえファンドマネージャーが逆風に立ち向かう勇気を持っていたとしても、そのためのツールは使い勝手が悪い。ロングポジションを取るのは簡単だ。買って、保有して、利益を得るだけだ。しかし、ショートポジションを取るとなると、話は別だ。
株式の空売りは、株式を借り入れ、証拠金を差し入れ、貸し手に配当を支払うことを意味します。株価が上昇し続ければ、マージンコールが積み重なります。債券市場では、空売りは債券のクーポンを自腹で支払うことを伴うことが多く、まさにネガティブキャリーの典型です。その間、バブルは拡大し続け、他の人々は思いがけない利益を享受することになるかもしれません。
ケインズが(再び)警告したように、「市場が非合理的な状態を維持できる期間は、あなたが債務不履行状態を維持できる期間よりも長い」。そして、非合理的な市場は、非常に債務不履行状態になりやすい傾向がある。
ミーム株の事件で空売り筋は大きな困難に直面し、不安定な市場における逆張りポジションのリスクを浮き彫りにした。ゲームストップ株に賭けていたヘッジファンドは、Redditのスレッドと景気刺激策の小切手を武器にした個人投資家に圧迫された。株価は急騰し、損失は膨らみ、一部のファンドは目もくらむような損失でポジションを解消せざるを得なかった。これは、早すぎる判断がどれほど高くつくかを示す見本のような事例であり、市場が必ずしも合理性を報いるわけではないことを改めて認識させるものだった。
反対派には聖人のような忍耐(そして忍耐強い聖人)が必要だ
バブルを生き残るには、逆張り投資家は信念だけでなく、長期的な哲学に共感し、逆張り戦略の本質を理解している投資家も必要です。1990年代後半のウォーレン・バフェットを例に挙げましょう。ドットコム株が急騰する中、バフェットは自分の信念を貫きました。テクノロジーや誇大広告に頼らず、ファンダメンタルズだけを重視したのです。批評家は彼が「理解していない」と批判しました。彼のリターンは低迷しましたが、投資家は彼の投資に忠実であり続けました。
2000年のバブル崩壊後、バフェットは無傷で、潔白を証明され、より裕福になった。彼の物語は、忍耐強い株主がいれば、カメがウサギに勝つこともあるということを改めて思い出させてくれる。
バフェットの成功は、彼の投資哲学だけでなく、数十年にわたって投資家と築き上げてきた信頼関係によるものでした。市場が長期的な視点を持っていなかったとしても、投資家たちはバフェットのアプローチが長期的なものであることを理解していました。短期的なパフォーマンスに反応する投資家とは異なり、バフェットの投資家は顧客というよりパートナーのような存在でした。こうした長期的な視点は、逆風に逆らって行動する際に非常に貴重です。
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バブルの危機:逆張り投資家の呪い…そしてチャンス
昔々、ある博識な男が、貿易に革命を起こすと約束した企業に投資し、友人たちが富を築いていくのを見ていました。彼は簡単に金持ちになれるという期待に惹かれ、その仲間入りをしましたが、最初は慎重になり、少額しか投資しませんでした。株価がもはや合理的に正当化できないと感じた時、彼は持ち株を売却し、かなりの利益を得ました。
しかし、熱狂が高まり、株価が上がり続けるにつれて、彼は抵抗できなくなり、今度はより多くの資金、より多くの確信、そしてより多くの自信を持って買い戻しました。
バブルは崩壊し、彼は莫大な財産を失った。彼はひどく動揺し、「天体の運行は計算できるが、人間の狂気は計算できない」と断言した。
アイザック・ニュートン卿と 1720 年の南海泡沫事件に関するこの物語は、最も優れた頭脳を持つ人々の間でも投機が過剰になることに対する警告の物語です。
しかし、史上最も賢い人物の一人であっても、金融バブルの誘惑に抵抗するのはなぜそれほど難しいのでしょうか?
人間の本性が誇大宣伝を煽る
市場が活況を呈している時期には、評価だけでなく理性も重力に逆らいます。ケインズの有名な言葉にもあるように、「型破りな成功よりも、型通りに失敗する方が評判にとっては良い」のです。言い換えれば、一人で立ち向かって早々に正しい判断を下すよりも、群衆に加わって皆で間違える方が楽なのです。
たとえば、ドットコム ブームのときには、金融ニュース チャンネルが IPO を大々的に報道し、当時の興奮を反映しました。評価額に疑問を呈したアナリストは、「現実離れしている」とレッテルを貼られました。
ファンドマネージャーやアナリストも人間です。同じ見出しを読み、同じ会話を聞けば、多くの人が同じレベルの「取り残される恐怖(FOMO)」を感じるでしょう。誰もがロケットに乗っている時に、懐疑的な表情でクリップボードを手に発射台に座っているのは、孤独なだけでなく、キャリアを脅かす可能性があります。
バブルは単なる金融現象ではなく、社会現象となる。
バブルに賭けるのは構造的に難しい
たとえファンドマネージャーが逆風に立ち向かう勇気を持っていたとしても、そのためのツールは使い勝手が悪い。ロングポジションを取るのは簡単だ。買って、保有して、利益を得るだけだ。しかし、ショートポジションを取るとなると、話は別だ。
株式の空売りは、株式を借り入れ、証拠金を差し入れ、貸し手に配当を支払うことを意味します。株価が上昇し続ければ、マージンコールが積み重なります。債券市場では、空売りは債券のクーポンを自腹で支払うことを伴うことが多く、まさにネガティブキャリーの典型です。その間、バブルは拡大し続け、他の人々は思いがけない利益を享受することになるかもしれません。
ケインズが(再び)警告したように、「市場が非合理的な状態を維持できる期間は、あなたが債務不履行状態を維持できる期間よりも長い」。そして、非合理的な市場は、非常に債務不履行状態になりやすい傾向がある。
ミーム株の事件で空売り筋は大きな困難に直面し、不安定な市場における逆張りポジションのリスクを浮き彫りにした。ゲームストップ株に賭けていたヘッジファンドは、Redditのスレッドと景気刺激策の小切手を武器にした個人投資家に圧迫された。株価は急騰し、損失は膨らみ、一部のファンドは目もくらむような損失でポジションを解消せざるを得なかった。これは、早すぎる判断がどれほど高くつくかを示す見本のような事例であり、市場が必ずしも合理性を報いるわけではないことを改めて認識させるものだった。
反対派には聖人のような忍耐(そして忍耐強い聖人)が必要だ
バブルを生き残るには、逆張り投資家は信念だけでなく、長期的な哲学に共感し、逆張り戦略の本質を理解している投資家も必要です。1990年代後半のウォーレン・バフェットを例に挙げましょう。ドットコム株が急騰する中、バフェットは自分の信念を貫きました。テクノロジーや誇大広告に頼らず、ファンダメンタルズだけを重視したのです。批評家は彼が「理解していない」と批判しました。彼のリターンは低迷しましたが、投資家は彼の投資に忠実であり続けました。
2000年のバブル崩壊後、バフェットは無傷で、潔白を証明され、より裕福になった。彼の物語は、忍耐強い株主がいれば、カメがウサギに勝つこともあるということを改めて思い出させてくれる。
バフェットの成功は、彼の投資哲学だけでなく、数十年にわたって投資家と築き上げてきた信頼関係によるものでした。市場が長期的な視点を持っていなかったとしても、投資家たちはバフェットのアプローチが長期的なものであることを理解していました。短期的なパフォーマンスに反応する投資家とは異なり、バフェットの投資家は顧客というよりパートナーのような存在でした。こうした長期的な視点は、逆風に逆らって行動する際に非常に貴重です。
結局のところ、逆張り投資の道は孤独で、しばしば懐疑的な見方に晒される。最終局面を正しく予測するだけでなく、それを楽しむのに十分な期間、投資を継続する必要がある。あるマーケットの達人が皮肉を込めて言ったように、逆張り投資は「迫り来る列車の前に立ち、『きっと止まるだろう…』と呟いているようなものだ」
歴史は、過熱した市場は冷めていく(バブルは崩壊する傾向がある)ことを示しています。しかし、多くの場合、市場心理に異議を唱える者の決意が試される前には冷めてしまうのです。しかし、上昇局面に耐え、適切なツールを活用し、辛抱強く資金を運用できるファンドマネージャーにとって、逆張りの勇気は大きな見返りをもたらす可能性があります。
バブルの中で群衆に逆らうことは単なる信念の試練ではなく、最終的に騒ぎが収まったときに輝く機会なのです。
サブプライム自動車ローン会社トリコロールと自動車部品メーカーのファースト・ブランズの破綻から1か月後、米国の信用市場に新たな亀裂が生じました。今週、ザイオンズとウェスタン・アライアンスは、不良債権化した商業用不動産に投資するファンドに関連した融資詐欺の被害に遭っていたことを明らかにしました。これらの発覚は、より広範な信用問題が渦巻く中で起こりました。焦点を自動車業界に戻すと、今朝、最もリスクの高い消費者に関連する信用商品の延滞率が50%増加したという新たなデータが発表されました。
ブルームバーグは信用スコア会社ヴァンテージスコアのデータを引用し、低所得層の消費者の住宅滞納が2010年以降50%急増していることを明らかにした。滞納の増加を助長しているのは、記録的な自動車価格の高騰、金利の上昇、ローン期間の長期化、そして一部の人にとっては平均して家賃とほぼ同額になる月々の返済額という悪循環である。
2019年以降、新車価格は25%以上高騰し、5万ドルに達しました。一方、平均月々の支払額は767ドルに達し、借り手の20%が月々1,000ドル以上を支払っています。ローン金利は現在9%を超えており、住宅購入の危機は深刻化しています。
報告書によると、特にプライムおよびニアプライムの借り手は、信用度が最も低い層に対する基準を金融機関が厳しくしたため、サブプライムの消費者よりも債務不履行に陥る割合が高まっている。自動車ローンの平均残高は2010年以降57%増加しており、多くの借り手が自動車の価値を上回る債務を抱える「アップサイド・ダウン」状態に陥っている。
「自動車の価格、そして自動車の所有に関連する費用が飛躍的に上昇している」と、ヴァンテージスコアのチーフエコノミスト、リカード・バンデボ氏はインタビューで述べた。「過去5年間で、その上昇ペースはさらに加速している」
バンデボ氏は続けた。「それは二重の打撃だ…車の価格上昇と車の融資コストの増加が打撃となったのだ。」
「消費者は今、前回の不況以来、最も不安定な状況に陥っています」とバンデボ氏は述べた。「ここ数年、ますます多くの消費者が生活に困窮するという傾向が見られており、この傾向は来年も続くと思われます。」
UBSのアナリスト、ジョリー・ホー氏は信用市場の崩壊について次のようにコメントした。
米国の地方銀行2行、ザイオンズとウエスタン・アライアンスは、不良商業用不動産ローンに投資するファンドへの融資で詐欺の被害に遭ったと発表し、信用市場にさらなる亀裂が生じているとの懸念が高まっている。ザイオンズの株価は、全額出資子会社が引き受けた融資の5000万ドルの償却を公表したことを受け、木曜日に13%下落した。ウエスタン・アライアンスも同じ借り手に融資したと発表し、ほぼ11%下落した。ブルームバーグは、これらの開示が、サブプライム自動車ローン会社トリコロールや自動車部品サプライヤーのファースト・ブランズの破綻など、最近の融資破綻にさらに加わると報じた。JPモルガンとフィフス・サードはトリコロールに関連した損失を合わせて数億ドルと発表し、ジェフリーズはファースト・ブランズへのエクスポージャーを明らかにした。これらの打撃は米国の大手銀行であれば容易に吸収できるが、地方の貸し手にとっては総額が懸念される。米国の信用リスク指標は木曜日に悪化し、マークイットCDX北米投資適格指数のスプレッドは報道通り最大1.69bp拡大し、54.47となった。信用リスクの上昇に伴い低下するジャンク債の同様の指標は、最大0.49ポイント下落し、106.87となった。
一方、金利トレーダーは年末までに25bpsの利下げを2回実施すると織り込んでいる。
政府閉鎖のことも忘れてはいけません...すべてが心配です。
昨日、JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏と様々な民間信用会社が互いに信用「ゴキブリ」をかくまっていると非難し合った後、市場はようやく(1か月遅れで)トリコロールとファースト・ブランズの破産にパニックになり始めたところだったが、今朝は、米国の地方銀行2行が、詐欺疑惑(トリコロールやファースト・ブランズとは全く無関係)を含む融資問題を明らかにした後、破綻したため、信用パニックは11度にまで達し、借り手の信用力にさらに多くのゴキブリが実際に出現しているという懸念が高まった。
こうした打撃は米国の大手銀行であれば容易に吸収できるが、その総額は地域の金融機関にとってはより心配なものだ。
ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏はインタビューで「JPモルガンがトリコロールとの融資問題を抱えているとしても、それは取るに足らないものだ」と語った。
「しかし、小規模銀行がこうした融資に問題を抱えれば、打撃はさらに大きくなるだろう。」
ザイオンズ・バンコープの株価は、サンディエゴの完全子会社カリフォルニア・バンク・アンド・トラストが引き受けた融資の5000万ドルの償却を明らかにした後、12%急落した。
ブルームバーグは、ザイオンズ氏が訴訟の中で、カリフォルニア・バンク・アンド・トラストはアンドリュー・スタピン氏とジェラルド・マーシル氏らと関係のある2つの投資ファンドから金銭を受け取る権利があると主張したと報じている。
訴状によると、カリフォルニア・バンク・アンド・トラストは、不良商業用住宅ローンの購入資金を調達するため、2016年と2017年に借り手に総額6000万ドルを超える2件の回転信用枠を提供した。
条件により、銀行は投資ファンドが購入した各住宅ローンを含むすべての担保に対して「最優先の完全な担保権」を取得することになった。
しかし、調査の結果、貸し手は債券とその裏付けとなる不動産の多くが他の団体に譲渡されていたことを発見した。
訴訟によれば、これらの不動産はすでに差し押さえられているか、差し押さえられようとしていたという。
しかし、ブルームバーグが指摘するように、 ウエスタン・アライアンス銀行は同じ投資家グループに住宅ローンの組成または購入のために融資を行っていたことが事態をさらに悪化させている。これは、同銀行が8月に起こした訴訟で明らかになった。この融資の未払い残高は9,860万ドルに上る。
ウエスタン・アライアンスは、担保は第一順位の担保権によって裏付けられているはずであったが、実際はそうではなかったことを発見した。
借り手が優先担保権を省略して偽の所有権保険を作成したと主張した。
訴状によると、同時に借り手は追加担保として機能していた口座から資金を引き出したという。
訴状によると、8月18日時点で、借り手はウエスタン・アライアンスの銀行口座に1,000ドル強を保有していたが、要求された月平均返済額は200万ドルだった。
さらにウエスタン・アライアンスは、自動車部品サプライヤーのファースト・ブランズ・グループの破綻の影響も受けていると述べた。
しかし、誰も信じていないようですが、この問題が2025年の見通しを変えるとは考えていません。そうですよね…
告白後、株価は11%も下落した。
WAL が 2023 年の銀行危機を辛うじて乗り越えたにもかかわらず、数年後に顧客に対するデューデリジェンスを怠ったために破滅するとしたら、皮肉なことだ。
スティーブンス社のアナリスト、テリー・マケボイ氏はインタビューで、「四半期に入る前に多くの銀行が予測していた『一回限りの』信用リスク事象がいくつかあった」と語った。
「銀行投資家の注目も集めている。」
このニュースは地域全体の指数に大打撃を与えた。
ブルームバーグが指摘するように、たとえ個々の信用リスクが個別的なものであったとしても、過去2ヶ月間、不良債権による損失を被った銀行が頻繁にニュースの見出しを飾っています。先月、サブプライム自動車ローン会社トリコロール・ホールディングスが破綻した後、JPモルガンは1億7000万ドル、フィフス・サード・バンコープは最大2億ドルの減損処理を行いました。
一方、ファースト・ブランズ事件の中心にある投資銀行ジェフリーズは打撃を受け続け、最後に確認した時点では10%以上下落していた。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米コンサルティング大手マッキンゼーの新たなリポートによると、電力需要が再生可能エネルギーへのシフトを上回るペースで急増することから、石油、ガス、石炭が2050年以降も世界のエネルギーミックスの大きな割合を占めることになるという。
化石燃料の継続的な使用は、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする世界的な目標の達成にとって大きな課題となる。
リポートによると、電力需要は主に産業および建築部門で50年までに20─40%増加すると予測されており、北米のデータセンターが急増の最大の要因とみられている。
発電用の天然ガス使用量は大幅に増加する見通しで、石炭の使用もより高い水準で継続する可能性がある。
マッキンゼーは50年に世界のエネルギー消費に占める化石燃料の割合が41─55%になると予想している。現在の64%から低下するものの、以前の予測よりは高い。
米国のデータセンター関連の電力需要は30年まで年約25%の増加が見込まれる。一方、世界のデータセンターの電力需要は22年から30年にかけて、経済協力開発機構(OECD)諸国を中心に年平均17%増加する見通しだ。
代替燃料は義務化されない限り、40年までに広く普及する可能性は低いものの、再生可能エネルギーが50年の世界の電力構成の61─67%を供給する可能性はあるという。
米金融大手ゴールドマン・サックスは、データセンターをはじめとするインフラへの融資という注目市場への取り組みを拡大する。人工知能(AI)ブームのより大きなパイを獲得したい考えだ。
事情に詳しい複数の関係者によると、ゴールドマンは世界のインフラ融資に特化したチームをグローバル・バンキング・アンド・マーケッツ部門内に創設する。この分野の融資を増やすとともに、債務を買い取る投資家の発掘に取り組む。
新たなチームは先進国と新興国で有料道路から空港まで、さまざまな従来型インフラの建設・改修にも焦点を当てる。そのほか、世界的に需要が拡大している再生可能エネルギーと、特定の液化天然ガス(LNG)生産への資金調達を手配する。多くの国で防衛費が増加する中、軍事装備・関連機器への融資も担う。
今年に入り設立したキャピタル・ソリューションズ・グループは、金融取引の機会発掘や仲介・支援に取り組んでいる。
ゴールドマンは17日、インフラ・不動産金融グループの創設も含めた同部門の組織変更を従業員に伝えた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認したメモによると、他にも三つのチームへの言及がある。ゴールドマンは政府と企業からの借り入れ需要が急増しているとしており、一連の変更はほぼ全て、この状況に関連したものだ。
事情に詳しい複数の関係者によると、ゴールドマンは融資業務による収入の拡大に加えて、資産・ウェルスマネジメントの顧客向けの投資商品の組成を増やすことを目指している。
デンマークの風力タービンメーカー、ヴェスタスは、欧州での需要が予想より弱いことを理由に、ポーランドに同社最大の工場を開設する計画を棚上げにしたと、土曜日にロイター通信に送った電子メールによる声明で明らかにした。
ヴェスタスは昨年、ポーランドに2番目の洋上風力タービン工場を建設する計画を発表した。この工場は1,000人以上の雇用を創出すると予想されており、ブレードを生産し、2026年に稼働を開始する予定だ。
しかし、同社は「欧州の洋上風力発電の需要が予想より低かったため」開発計画は現在一時停止しているとし、「洋上風力発電市場の規模と確実性が許す限り、引き続き現地の製造拠点への投資を行っていく」と付け加えた。
計画の中止はフィナンシャル・タイムズ紙が最初に報じた。
8月、ポーランドのカロル・ナヴロツキ大統領は、陸上風力発電所の建設規制を緩和する法案を拒否権発動した。1週間後、ドナルド・トゥスク首相は記者団に対し、ポーランドは「陸上風力発電容量を大幅に増強する」と述べ、既存の風力発電所にさらに効率的な風力タービンを設置できるよう、政府が解決策を検討中であると付け加えた。
ポーランドでは、石炭火力発電が依然として主流ではあるものの、再生可能エネルギーの生産量は石炭火力発電を減少させながら増加している。2024年には、ポーランドの電力の約30%が再生可能エネルギーで発電されることになる。
ChatGPTのような最先端のAIモデルを訓練・展開するために、OpenAIは複数の数十億ドル規模の組織、複雑な契約、そして莫大な資本コミットメントを含む広大なインフラネットワークに依存しています。Made Visual Dailyの新しいビジュアライゼーション は、コンピューティング、 キャッシュ、 契約という 3つのフローを用いてこのインフラパイプラインをマッピングし、 AI開発資金の循環性がますます高まっていることを浮き彫りにしています。
VisualCapitalist.com が作成したこの地図は、公開された財務報告書、メディア開示、提出書類からのデータを統合し、誰が何を構築し、誰が誰に支払いをし、システムのどこに潜在的なリスクが蓄積されている可能性があるかを示すことを目的としています。
図の最大のノードは、よく知られた名前です。Nvidia ( 4.6 兆ドル)、 Microsoft (3.8兆ドル)、 TSMC (1.5兆ドル)、 Oracle (0.8兆ドル)です。
OpenAI自体は、 直近のセカンダリーセールで約5,000億ドルの評価額を獲得し 、チャートの中央に位置しています。特にMicrosoftは、Azure経由でコンピューティングを提供するとともに、OpenAIに資本とGPUクレジットを注入するという二重の役割を果たしています。
GPUサプライチェーン:希少性、優位性、そして依存性
OpenAI、そして今日の生成 AI の多くを支えるエンジンは、Nvidia GPU です。
しかし、これらのチップはどこからともなく現れるわけではありません。GPUのサプライチェーンは世界規模で、しかも脆弱です。
設計: Nvidia はチップを社内で設計します。
製造: TSMC (台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー) は、高度な 5nm および 4nm ノードでチップを製造しています。
組み立て: その後、チップはQuantaやFoxconnなどの企業によってパッケージ化され、テストされます。
導入: Supermicro などのサーバーメーカーは、これらを AI に最適化されたラックやクラスターに統合します。
配信: これらのクラスターは、Microsoft Azure や CoreWeave などのクラウド プロバイダーに発送されます。
このサプライチェーンにおけるあらゆる混乱(地政学的、経済的、あるいは物流上のもの)は、AIセクター全体に衝撃波を及ぼす可能性があります。だからこそ、米国はAIチップに厳しい輸出規制を設けており、中国などの国々は国産代替品の開発に躍起になっています。
H100の需要は非常に高まっており、クラウド企業やスタートアップ企業は数ヶ月、あるいは数年先まで容量を確保しています。稀に、GPUを担保に資金調達を行う企業もあり、新たな戦略的コモディティとしての役割を強化しています。
クローズドループ資本とAIバブルのリスク
現代の AI エコシステムが注目に値するのは、関与するプレーヤーの数だけではありません。財務と運用の関係がいかに深く絡み合っているかが重要です。
例えば、マイクロソフトは OpenAIに130億ドル以上を投資しており 、Azureを通じて同社の主要クラウドおよびコンピューティングパートナーとしても機能しています。OpenAIのモデルトレーニングの多くは、マイクロソフトのクラウドインフラストラクチャを通じて調達されたNVIDIA GPUを搭載したクラスター上で実行されています。
同時に、マイクロソフトは、急成長中のクラウドプロバイダーである CoreWeave の主要顧客であり、同社は民間投資家やファンドとの信用契約を通じて資金調達を行い、大量の Nvidia ハードウェアも購入している。
これにより、資本、コンピューティング、契約の相互依存的なネットワークが形成され、AIのサプライチェーンを支配する少数の企業間で、同じ資金とチップが循環することになります。アナリストは、このような緊密な連携により、需要や資金調達条件が急激に変化した場合、ショックが拡大する可能性があると指摘しています。
●その他
備忘録(2025/10/16)
●企業
半導体の受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)は16日、2025年の増収率見通しを30%台半ばに引き上げた。世界的な人工知能(AI)投資ブームの持続性に対する期待をさらに高めた。
TSMCは25年の設備投資計画レンジの下限も引き上げ。少なくとも400億米ドル(約6兆円)を投じる方向だ。従来の下限は380億米ドルだった。
同日発表された7-9月(第3四半期)の純利益は前年同期比39%増の4523億台湾ドル(約2兆2300億円)。アナリスト予想平均は4055億台湾ドルだった。
今回の決算は、TSMCが今後1兆ドルを超えると見込まれるAIインフラ投資の恩恵を最も強く受ける企業の一角であることを改めて示した。米OpenAIやオラクルなどテクノロジー企業はポストChatGPT時代を支えるデータセンターの構築を急いでいる。
AIのメガトレンド
TSMCの魏哲家最高経営責任者(CEO)は16日、半導体業界が地政学的な不確実性に直面しているとの認識を改めて示し、米国による制裁措置が中国へのアクセスを次第に遮断しつつある状況を認めた。
中国政府が多くのテクノロジー製品に不可欠なレアアース輸出を制限し、これに対して米国が対中追加関税やソフトウエア輸出規制の発表で応じたことで、世界の半導体サプライチェーンに関わる企業は今後の混乱に備えている。
だが、魏CEOは旺盛なAI需要がこうして失われた市場を穴埋めするとの見方を示した。「AIのメガトレンドに対する確信は強まっている」と、決算説明後にアナリストらに語り、「AI需要は引き続き非常に強く、3カ月前に想定していたよりさらに強まっている」と述べた。
主流となるAIサービスやアプリがなお乏しい中で、こうした投資ラッシュにテクノロジー銘柄のバリュエーション急上昇が重なり、一部ではドットコム・バブルとの類似性も指摘されるようになっている。
TSMCは7月に売上高見通しを引き上げたばかりだ。当時は30%前後の伸びを予想していると説明していたが、今回は30%台半ばの伸びを見込んでいるとした。
TSMCに半導体製造装置を供給する主要企業、ASMLホールディングは15日、AIブームを背景に先端装置の需要が拡大していると明らかにしていた。
TSMCが16日示した10-12月(第4四半期)の売上高見通しは322億-334億米ドル。市場予想は312億3000万米ドルだった。
●マクロ
米住宅建設業者の業況感は10月に上昇し、市場予想を上回った。住宅ローン金利低下を背景に、前月からの伸びは2024年1月以来の大きさとなった。
キーポイント
NAHB住宅市場指数は前月比5ポイント上昇して37
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は33
同指数は50を上回ると、事業環境を悪いとみるよりも良いとみる住宅建設業者が多いことを示す
全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表
指数は4月以来の高水準となった。
NAHBのバディー・ヒューズ会長は「このところの住宅ローン金利低下は住宅の取得しやすさという面で前向きな兆しではあるが、市場環境は依然厳しい」と発表資料で指摘。「住宅購入を考えている人の大半はなお様子見姿勢で、ローン金利が一段と低下するのを待っている」と述べた。
6カ月先の販売見通し指数は1月以来の高水準。販売の現況指数と購買見込み客足指数はいずれも4月以来の高水準となった。
住宅ローン金利は9月には約1年ぶりの低水準となった。
今のところ住宅建設業者は建設ペースを落としつつ、価格引き下げと販売奨励策を組み合わせて買い手を引き付けようとしている。
値下げを行ったと報告した住宅建設業者は全体の38%で、ここ数カ月とほぼ同水準。販売奨励策を活用したと報告した業者は65%で、前月と同じだった。
地域別では全米4地域全てで上昇。特に北東部と南部での伸びが大きかった。
富国生命保険は2025年度の国債の残高積み増し予定額を当初計画の300億円から6100億円に上方修正した。金利の上昇を受けて利回りが高い超長期債の保有を増やし、収益力を強化する。
森実潤也財務企画部長は15日の運用説明会で、超長期金利と同水準程度の外貨建て公社債を売却し、その資金を円建ての超長期債に振り向けると述べた。
外債から円債へのシフトは金利が「上がれば上がるほど規模が拡大する状況になっている」とし、30年債や40年債の利回りが3%台後半まで上昇すれば、円債残高をさらに1000億円程度積み増すことも「一つの戦略」だとの考えを示した。
富国生命を皮切りに、今週から大手生命保険会社の25年度下期運用説明会が始まる。巨額の資産を運用する生保の投資判断は世界市場を動かす可能性があり、市場の関心は高い。
4日の自民党総裁選で高市早苗氏が大方の予想に反して勝利し、同氏が主張する積極財政への警戒から30年債利回りは過去最高を更新した。財政拡大懸念を背景に世界的に超長期債利回りが急騰する中、他の生保でも国内債券への資金シフトが確認されれば、日本国債市場に安定感をもたらす可能性がある。
森実氏は超長期金利について、「自民党総裁候補の中で最も財政拡大派だった高市氏の首相就任を織り込み早めに上昇したことに加え、日本の成長率や物価上昇率を考えるとそれほど上がらない」とみている。
自公の連立解消により「これだけ政治勢力が分散すると、どのような政権になっても大規模な財政拡大には動けなくなったのではないか」と話す。日本銀行の利上げについても「政局がこれだけ混沌(こんとん)としていると10月に動くのは難しい」として、12月を見込んでいる。
含み損
今年に入ってからの急激な金利上昇(債券価格下落)により、投資家が抱える国債の含み損は大幅に拡大している。生保各社は基本的に満期まで保有することを前提に購入しているが、保有債券の時価が取得価格を50%以上下回るなど回復の見込みがない場合は、評価差額を損失として計上することが現状の会計基準で定められている。
大手4社の国内債券含み損は6月末時点で計9兆8300億円超まで拡大した。国内債で1兆7103億円の含み損を抱える住友生命保険は一部国債について、簿価の水準に回復するまで保有する「保有継続」の措置を取ることを決めた。
富国生命では、保有国債の含み損は「株の含み益でカバーできる水準にとどまっているため、有価証券全体で見れば十分な含み益を確保できている」と森実氏は説明。「他社と比べてそれほど気にしていない」とした。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
スイスのエンジニアリング大手ABB(ABBN.S), opens new tabが16日、顧客の需要が力強いと表明した。米国で人工知能(AI)向けデータセンターの建設が急増していることが背景という。
米国の輸入関税による顧客への影響はほとんど見られないとも述べた。
第3・四半期の米国での新規受注は27%急増。
連結売上高に占めるデータセンター関連収入は、1年前の6%から7%に増加した。同社はサーバールームのオンライン状態を維持する無停電電源装置(UPS)などの製品を提供している。
データセンター関連の受注は2桁の伸びを記録した。
利払い・税・無形固定資産償却前利益(EBITA)は12%増の17億4000万ドルと、アナリスト予想をわずかに上回った。
売上高は11%増の90億8000万ドル。予想の88億8000万ドルを上回った。受注は12%増だった。
東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について議論を続ける新潟県議会は16日、資源エネルギー庁の村瀬佳史長官からの申し出を受けて政府関係者や東電首脳らを参考人招致した。参考人として出席したのは村瀬長官のほか、東電の小早川智明社長、内閣府の福島健彦官房審議官らで、再稼働に向けた地域支援策や廃炉への見通し、安全対策について説明した。主なやりとりは以下の通り。
――東電の支援策は。
東電・小早川社長「事業者として地域とともに歩むため1000億円規模の資金の拠出を想定している。再稼働によって火力発電などの代替電源の調達費用が削減されることから、削減実績に応じて資金を拠出する。年間1000億円程度の削減実績が継続的に見込まれる場合は、拠出期間は10年程度を見込む。運用方法は今後県と相談する。除排雪体制の強化では、県が計画している除雪車両8台の追加配備、消融雪施設6カ所、監視カメラ6カ所の増設について資金を拠出する」
「安全運転を期すため1、2号機に関して廃炉の方向で具体的に検討する。廃炉にかかる費用の総見積もりは23年度時点で1号機で823億円、2号機で735億円で、作業は30年から40年をかけて段階的に進めていくことになる。中長期的な電源構成や経営に与える影響について検討が必要で、廃炉号機の判断は6号機再稼働から1年半程度の期間がかかる」
――国としての支援策はどう考えるか。
エネ庁・村瀬長官「特別措置法の指定地域の拡大の方針に基づき、年内をメドに内閣府において必要な通達改正を実施し、地域拡大や地域振興計画の承認プロセスに速やかに取り組む。2026年度中にも活用できるようにする」
内閣府・福島官房審議官「30キロメートル圏内の体育館の気密化は、1000平方メートルの施設の場合2億円程度かかる。5年間で50カ所を整備すると計100億円と試算する。放射線対策や非常用発電機、循環式トイレの設置は内閣府、空調設備に対する財政支援は文部科学省、残る地方負担分は東電がそれぞれ負担する。全国でも初めての取り組みで、県や関係市町村と相談しながら詳細を詰めている」
――原発事故時の対応は。
内閣府・福島官房審議官「緊急時対応のQA集を見直し充実させた。自治体担当者、住民に関心が高いポイントを『能登半島地震の経験/複合災害への対応』『最新の議論の結果の取り込み』『原子力防災体制の充実・強化への取り組み』の3点にまとめて新規追加した。このほか積雪量が多く直ちに避難が困難な場合の対応として、生活道路の除雪が完了していない場合には実働組織の支援により除雪を行うことなどを明記した」
●その他
備忘録(2025/10/15)
●企業
パリのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンSEの株価は、世界最大の高級品グループである同社の第3四半期の売上高が予想外に成長に転じたことから、ドットコム時代以来最大の急騰となり、株価を半減させた数年来の高級品不況に終止符が打たれる可能性を示唆した。
第3四半期決算は、オーガニック収益が1%増加し、 2四半期連続の減少から回復し、拡大路線に回帰しました。この回復は、セレクティブ・リテーリングとワイン&スピリッツを牽引役とする幅広い分野に及び、世界的な高級品需要の安定化の兆しを示しています。ファッション&レザーグッズは引き続き縮小傾向にありますが、減少ペースは前四半期と比べて大幅に縮小しており、勢いが変わり始め、底入れの可能性を示唆しています。
LVMH第3四半期の業績概要(ブルームバーグ提供)
有機的収益: +1% (予想の -0.7% を上回る)、2 四半期の減少後に成長に復帰しました。
総収益:182.8億ユーロ(前年比-4.2%)、予想(181.7億ユーロ)をわずかに上回る。
部門別(有機的成長と推定成長):
ファッション&皮革製品:-2%(-3.5%より改善)
ワイン&スピリッツ: +1% (-3.2%を上回った)
香水・化粧品:+2%(同水準)
時計・宝飾品: +2% (+1%を上回る)
セレクティブ・リテーリング(セフォラ、DFS):+7%(+4.6%を上回る)
地域別(有機的成長と推定成長):
米国: +3% (+1.9%を上回る)
アジア(日本を除く):+2%(-3.6%を上回る)
日本:-13%(-4%の失敗)
ヨーロッパ: -2% (+1.5%を下回る)
UBSのアナリスト、エヴァ・キント氏は以前、顧客に「デスクは一般消費財部門でも活況だ。LVMHの発表を受け、高級品部門の活動は相当活発化しており、銘柄間の買いの流れは双方向で改善している。ただし、リシュモンやフェラーリといった高級品部門全体で供給を確保している」と述べた。
UBSのアナリスト、ピラール・ロカフォート氏は別のメモで、「LVMHの株価は先月9%上昇と好調だったものの、第3四半期の業績に対する期待は高まった。しかし、UBSのアナリスト、ズザンナ・プス氏は、グループ全体の大幅な成長は市場に好感されるはずだと考えている。特に、最大のファッション&レザーグループ部門(OSG)の有機的売上高は2%減と予想を上回った(ズザンナ氏が投資家と行った話し合いによると、買収側は3%または4%の減少を予想していた)。OSGは前期比で前年同期比で上昇し、前年同期を上回った。ロイター通信によると、LVMHの株価は水曜日の寄り付き時に12%上昇した。」と述べた。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ピラル・ダダニア氏は「われわれはこれらの結果を正しい方向への一歩と見ている」と述べた。
パリの株価は14%急騰し、2001年9月24日の16.9%急騰以来最大の日中上昇を記録した。
LVMHは高級品業界の先駆者であり、グッチを所有するケリングSAとエルメス・インターナショナルがパリで上昇する中、現在、高級品および消費財株に追い風となっている。
オッド社のアナリスト、ジャン・ダンジュー氏は顧客に対し、「第3四半期にグループ全体がプラス成長に戻ったことは、業界全体と比較した相対的な立場の改善を示唆している」と語った。
JPモルガンのアナリストは「全地域における回復のペースは心強いもので、来年以降も成長が回復する兆しだ」と述べた。
●マクロ
オルタナティブ資産運用会社ブルー・アウル・キャピタルのマーク・リップシュルツ共同最高経営責任者(CEO)は14日、銀行は自らの帳簿に「ゴキブリ」がいないか確認した方がいいかもしれないと述べた。プライベートクレジットを強く擁護した。
同氏はカリフォルニア州ビバリーヒルズで開催されたCAISオルタナティブ・インベストメント・サミットで、トライカラー・ホールディングスとファースト・ブランズ・グループの破綻をプライベートクレジットと結びつけるのは「恐怖をあおる奇妙な行為だ」と述べた。プライベートクレジット業界では「デフォルト(債務不履行)の増加も、企業が苦境に陥っている兆候も見られない」と語った。
同氏の発言の数時間前に、米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOが、これらの破綻を信用市場への警鐘とすべきだと述べていた。
ダイモン氏は14日の決算説明会で「こういうことは言うべきではないだろうが、ゴキブリは1匹見たら、恐らくほかにもいる」と語った。
リップシュルツ氏らは、両社の破綻はプライベートクレジット市場の問題を示すものではなく、むしろシンジケートローン市場の問題を示唆していると主張している。
リップシュルツ氏は「ダイモン氏はJPモルガンの中にもっとたくさんのゴキブリがいるかもしれないと言っているのだと思うが、何を言いたいのかよく分からない」と述べ、「これはプライベートクレジットの問題ではなく、流動性のあるクレジット市場の問題だ」と続けた。
トライカラーはサブプライム自動車ローンの債権を裏付けとする証券を発行。また、JPモルガンなどの銀行から数十億ドル規模の融資枠を得ていた。一方、自動車部品メーカーのファースト・ブランズは主にシンジケートローンやオフバランスシートの資金調達に依存していたが、今年初めに2億5000万ドル(約380億円)のプライベート借り入れ契約を結んでいた。
両社の破綻による損失を主に負うのは、広く販売されたシンジケートローンと資産担保証券(ABS)の投資家、および銀行だ。JPモルガンはトライカラー関連で1億7000万ドルの貸倒償却を第3四半期に計上した。
リップシュルツ氏は「今回の2件の破綻はいずれもシンジケート市場で発生しており、プライベートクレジット市場以外に問題があることを示しているように見える」と述べた上で、「誰もが自分のビジネスを運営しており、特定の資産クラスを批判的に見る人もいる」と語った。
ダイモン氏はJPモルガンの決算説明会で、プライベート融資に焦点を当てた。景気が悪化した場合、特定の分野で「通常より高い水準の信用損失が発生する可能性がある」と述べ、プライベートクレジットを組み入れる代表的なファンド形態であるビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC)を挙げた。
上場BDCファンドの多くは年初以降株価が下落しており、ブルーアウルもそこに含まれる。同社株は年初来で約15%下落している。
別のオルタナティブ資産運用会社アレス・マネジメントのキップ・デヴィア共同社長も14日CAISサミットの別のパネル討論で「ファースト・ブランズとトライカラーをめぐる売りと騒ぎには少し驚いている。というのも、われわれのクレジットポートフォリオを見る限り、あらゆる指標から見てかなり健全な状態にあるからだ」と述べた。
オルタナティブ資産運用会社の米オークツリー・キャピタル・マネジメントは、経営破綻した自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループへの投資で利益を上げたと、共同創業者のハワード・マークス氏が明らかにした。破綻を巡って損失を抱えた他の債権者に逆行する展開だ。
マークス氏は15日台北で開催されたキャセイ・アセット・マネジメント・サミットでビデオを通じ、「数カ月前からファースト・ブランズに懸念の兆候を感じ取り、保有ポジションを手じまったことを誇りに思う」と述べた上で、「全体としてファースト・ブランズで利益を得ることができた。優れたクレジット運用者であれば多くの落とし穴を避けられる」と語った。
同氏はまた、全般的に多くの貸し手が十分なデューデリジェンス(適正評価)を行わずに低金利で融資を行っていると指摘し、ファースト・ブランズの事例を引き合いに「投資家は常に警戒を怠らない姿勢が必要だ」と指摘した。
破綻したファースト・ブランズの債権者らは、数十億ドル規模に上るとみられる評価損の算定と被害の把握を進めている。事情に詳しい関係者によると、米連邦検察当局も破綻の経緯を調査しているという。
マークス氏は「最悪の融資は最も景気が良い時期に行われる。過去16年の間に懸念が薄れ、その結果スプレッドが縮小した」と述べ、「懸念が少ない時ほどデューデリジェンスが不十分になり、リスク回避姿勢が弱まり、質の悪い取引が成立しやすくなる。それを見極めるのがわれわれの仕事だ」と語った。
ノーベル平和賞受賞を目指してきた自称「和平仲介者」のトランプ米大統領は13日、ついに報道陣のカメラの前で外交的勝利を収めた。各国の首脳がエジプトに集まり、トランプ氏が仲介したイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦および人質解放の合意について署名式が実施されたのだ。
しかし、持続的な和平を定着させるには、和平案の次の段階にその支持が必要な人物、つまりイスラエルのネタニヤフ首相に対して圧力を維持しなければならないだろうと、外交官や専門家は指摘する。
米歴代大統領はビル・クリントン氏からジョー・バイデン氏に至るまで、強固な意志の持ち主であるこのイスラエル指導者と協調するのに苦労してきた。トランプ政権内からさえも、イスラエル軍の一部の攻撃が米国の政策を損なうとみて不満が出ていた。
だが、トランプ氏は今月、ネタニヤフ氏に自身が提示した包括的和平の枠組みをやっとのことで受け入れさせた。一方でその他の中東諸国を説得し、ハマスに戦争の主要な交渉カードであるイスラエル人質全員の返還を認めさせた。
しかしながら、取り組みはここからさらに難しくなり得る。
<トランプ和平案を巡る溝は残る>
イスラエルとハマスは、トランプ氏の「20項目和平案」の多くの点で意見が対立している。イスラエルは来年に選挙を控えており、ネタニヤフ氏の態度は右派連立の結束を維持するために変わるかもしれない。
ネタニヤフ氏の連立政権の有力者であるベングビール国家治安相とスモトリッチ財務相はいずれもハマスとの停戦合意を批判した。ベングビール氏は合意に対する抗議として政権離脱も辞さない姿勢を示している。
イスラエルの外交政策シンクタンクであるイスラエル地域外交政策研究所(ミトヴィム)のニムロド・ゴレン所長は「政治的な年に突入しつつあり、来年は全てが選挙運動がらみになる。ネタニヤフ氏は打算的に考えて、圧力に屈する態度から自らが政治的に生き残ろうとする方向に転じるかもしれない」と語った。
外交官や専門家によれば、トランプ和平案の強みは同時に弱点でもあるという。
合意の核心である文書は曖昧な部分が多く残され、イスラエルとハマスがともにいずれの条項の詳細な点について合意したわけではない。この曖昧さが双方に署名を実現させる上で重要だったが、最も困難な外交交渉の一部はこれから始まることになる。
トランプ和平案の争点の一つとなる可能性があるのは、ハマスが武装解除し、将来のガザ統治に一切関与しないという条項だ。ハマスはトランプ和平案を大枠で受け入れたが正式な声明でこの点に全く触れておらず、幹部らは戦後ガザの統治に事実上関与するとの意向を示している。
戦略国際問題研究所(CSIS)の中東専門家で元国務省高官のジョン・アルターマン氏は「この合意が失敗する可能性はいくらでもある」とし、「これほど多くの作業を後回しにした国際合意は記憶にないくらいだ」と指摘する。
米政府高官によると、トランプ氏はネタニヤフ氏に対して他の重要問題で強くイスラエルを支持することで影響力を得たという。
第1次トランプ政権はエルサレムをイスラエルの首都と、また係争地ゴラン高原をイスラエル領とそれぞれ公式に認めた。いずれもイスラエル政府が長年求めてきた措置だった。
この高官は「トランプ大統領がイスラエルに対して成し遂げたのは、中立的な立場を取ろうとしなかったことだ」とし、「トランプ氏は基本的にイスラエルと100%肩を並べてきた。だからこそ、イスラエルを望ましい方向に導くように手助けできるのだ」と述べた。
1990年代にネタニヤフ氏に仕えたイスラエルの世論調査会社ミッチェル・バラク氏は、トランプ氏がホワイトハウスにいる限り、米国と「共同歩調をとる」しかないと語った。
<より厳しい姿勢のトランプ氏>
トランプ氏はネタニヤフ氏に対する政治的圧力をかけることに関して、これまで態度一貫していなかった。
イスラエルは7月、米国がシリア新政権と関係強化を進めようとしていたにも関わらず、首都ダマスカスの国防省を爆撃した。トランプ氏は欧州・アラブ諸国の人道的懸念が高まる状況で数カ月間、ネタニヤフ氏に政治的な後ろ盾を提供していた。
しかし、トランプ氏はここ数週間、これまでよりも厳しい姿勢を示した。イスラエルが9月にハマス幹部を狙ってカタールを空爆し失敗に終わった件について、トランプ氏はネタニヤフ氏にカタールの首長に対して謝罪の電話をさせた。トランプ氏は最終的に、ネタニヤフ氏が懸念を表明しているにもかかわらず20項目の和平案に署名させた。
アルターマン氏は「トランプ氏はイスラエル国内で非常に人気が高く、ネタニヤフ氏に対してその影響力を行使できると思われる」と述べた。
トランプ氏は13日、イスラエル国会で演説し、ネタニヤフ氏に冗談交じりの言葉を投げかけ、特別扱いしない姿勢を見せた。
「もう戦争は終わったのだから、少しは優しくできるだろう」と語り、場内の笑いを誘った。
もっとも、来年の選挙はネタニヤフ氏の政治的な打算を予測不能な方向に変える可能性がある。
ハマスが武装解除を渋れば、連立内の強硬派がネタニヤフ氏にガザで軍事行動を再開するよう圧力をかけ、トランプ合意を事実上頓挫させる可能性がある。
さらに厄介な問題となる可能性があるのは、将来のパレスチナ国家創設の可能性が和平案の条項に含まれている点だ。ハマスによる2023年10月の攻撃を踏まえれば、多くのイスラエル人にとってこれは受け入れがたい内容だとアナリストは話す。
元駐イスラエル米国大使のダン・シャピロ氏は、イスラエルの与野党がパレスチナ国家の創設に激しく反対する運動をすれば、アラブ諸国がハマスにトランプ和平案の義務を履行させようとする熱意を損なう可能性があるとの見方を示した。
シャピロ氏は「将来のパレスチナ国家構想を含めたのはアラブ諸国の協力を得る上で非常に重要だった」とし、「イスラエルがパレスチナ国家を絶対的に拒否するという方向に振れれば、アラブ諸国の協力に影響しかねないだろう」と話した。
ドイツ経済界が主導する「サハラ以南アフリカ経済イニシアチブ(SAFRI)」は、ドイツの経済政策を決定的に「アフリカにシフト」する必要があるとの報告書をまとめた。
地政学的緊張や資源への依存度が高まっていることが背景。
SAFRIのトーマス・シェーファー会長は「アフリカは将来の市場であるだけでなく、われわれの経済レジリエンスのパートナーでもある」とし「多角化、資源の安定確保、新たな成長分野を本気で追求するなら、今すぐ行動を起こす必要がある」と訴えた。
リチウム、銅、コバルトなどの鉱物資源は経済の転換に不可欠とみられており、SAFRIはアフリカ諸国との間で法的拘束力を持つ戦略的資源協定を締結すべきだと主張。特定国への依存を減らすことが狙いだ。
報告書は「中国による輸出停止は、すでにドイツの生産減少につながっており、産業の拠点としての欧州を脅かしている」と指摘した。
ドイツは2014年にリチウム電池の18%を中国から輸入していたが、この比率はその後10年で約50%に上昇している。
SAFRIは、アフリカへの投資促進に向けて、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の強化や欧州連合(EU)との経済連携協定の実施を要請。
シェーファー氏は「アフリカをリスクや開発援助の対象としてのみ捉える時代は終わった。双方にとって機会をもたらすパートナーシップに基づくアプローチが必要だ」と述べた。
欧州ガス送電事業者ネットワーク(ENTSOG)の報告書によると、EUは2025~26年の冬に向けて十分な準備を整えているものの、域内全体の天然ガス貯蔵量は昨年の同時期と比べて大幅に減少しており、過去10年間の平均を大きく下回っている。ヨーロッパは冬の暖房需要を満たすために、貯蔵済みの天然ガスに大きく依存している。貯蔵量が減少した状態で寒い季節を迎えると、今後の寒冷化に伴い消費量が着実に増加する見込みであり、価格が上昇する可能性がある。
ENTSOGの報告書の要点:
EUのガス供給システムは10月1日に83%の貯蔵レベルに達し、ロシアからのガス供給がさらに途絶し、LNG供給が制限される状況下でも耐性があることを示しました。このレベルは、エネルギー危機以前の数年間に観測された範囲内です。
ロシアからのパイプラインガス輸入がなくても、EUの貯蔵施設は35%の充填率で冬を終えることができます。これは、来夏のガス貯蔵施設の補充にとって良い基盤となります。
供給にさらなる大きな混乱が生じるシナリオにおいても、EUのガスシステムはLNG輸入量を増加させ、供給喪失を補うだけの回復力を備えています。この回復力は、極端な気象条件下においてもガス需要の削減の必要性を限定的なものにすることができます。
しかし、ENTSOGほど自信を持っている人は皆ではない。NatGas の研究員トマシュ・ウォロデック氏はXで、「EUの天然ガス貯蔵率は83%で、昨年(95%)を大幅に下回り、過去数年間の平均(89.4%)も下回っている」と指摘した。
ヴウォデック氏は続けて、「予備的な天気予報を考慮すると、最大貯水レベルが85%を超える可能性は低い」と述べた。
2025年の欧州連合における地下ガス貯蔵所の充填レベル(2024年および2011~2023年の範囲との比較)、%
ヨーロッパは、冬季の暖房と電力需要の急増に対応するため、天然ガス貯蔵に大きく依存しています。貯蔵は、満杯になるとショックアブソーバーとして機能し、不足するとパニック買いを引き起こします。
特にウクライナ・ロシア戦争後、ヨーロッパの天然ガスシステムはスペイン、フランス、オランダのLNG再ガス化ターミナルに大きく依存するようになりました。
アナリストやトレーダーは、ヨーロッパのガス取引、電力価格、炭素契約のベンチマークであるオランダのTTF天然ガス先物に大きな影響を与える毎週の貯蔵レポートを監視しています。
TTF先物は火曜遅くに1メガワット時あたり31.750で取引されており、夏以来30~35メガワット時の範囲内で推移している。
ファースト・ブランズ・グループとトリコロール・ホールディングスの破綻で信用市場が揺らいだことを受け、米国の大手金融機関は融資基準の低下を警告している。
アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)は、両社の破綻は、貸し手がよりリスクの高い借り手を求めてきた数年間に続いた結果だと述べた。
「景気循環の終盤に事故が起きているのは驚くことではない」とローワン氏は火曜日に述べた。「競争の激しい市場で勝ちたいという欲求が、時に近道につながるのだと思う」
先月のファースト・ブランズとサブプライム自動車ローン会社トリコロールの破綻は、信用市場全体に波及し、ブラックストーンやPGIMなどの投資家、そしてジェフリーズを含む大手銀行は巨額の損失を被った。
また、銀行融資、民間債務市場、そして債務残高が高額になりがちな借り手に関する透明性の欠如に対する監視が強化された。
「こうしたレバレッジの高い融資の中には、手抜きを厭わない姿勢が見られたものもあります」と、ローワン氏はロンドンで開催されたフィナンシャル・タイムズ紙のプライベート・キャピタル・サミットで述べた。
ローワン氏とブラックストーン社長のジョナサン・グレイ氏はともに、ファースト・ブランズとトリコロールへのエクスポージャーを積み上げた銀行を非難したが、破綻はシステミックな問題の兆候ではないと述べた。「興味深いのは、どちらも銀行主導のプロセスだったということです」とグレイ氏は同じフィナンシャル・タイムズ紙のカンファレンスで述べ、「炭鉱のカナリア」やシステミックな問題だという考えを「100%」否定した。
アポロはファースト・ブランズを擁護するどころか、破綻前に同グループ関連の債務の空売りポジションを積み上げ、同社が融資を返済できなければ利益を得るという状況にまで至った。「公表されているリスク保有者のほとんどは、実際には金融機関です」とローワン氏は述べた。
近年、企業が資金調達のために民間融資を利用するケースが増えているため、銀行と民間資本会社は対立している。伝統的な金融機関は、この規制緩和を「規制裁定取引」と呼び、非銀行金融機関の規制が緩すぎると不満を漏らしている。
しかし、ファースト・ブランズとトリコロールの破綻は、銀行が市場シェア維持を目指す中で、引受リスクの所在を曖昧にする複雑な金融構造を通じて、両者がいかに複雑に絡み合っているかを明らかにした。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは火曜日、好業績を発表したものの、トリコロールの破綻による1億7000万ドルの損失に見舞われたことを受け、こうした懸念の一部に同調した。
「こういうことが起こると、私はアンテナを張り巡らせます。こう言うべきではないかもしれませんが、ゴキブリを1匹見れば、おそらくもっとたくさんいるでしょう」とダイモンCEOは述べた。「私の見解では、これらの多くの事例には明らかに詐欺が関与していましたが、だからといって手続きを改善できないわけではありません」と付け加え、トリコロールの破綻は「私たちにとって最良の時期ではなかった」と認めた。
一方、IMFは火曜日、「銀行は民間信用ファンドへの融資を増やしている。こうした融資は、従来の商業・産業融資よりも自己資本利益率が高いことが多いからだ」と指摘し、規制当局に対し、銀行のこのセクターへのエクスポージャーに焦点を当てるよう求めた。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
ブラックロック傘下のグローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)が主導する投資家グループは、アラインド・データ・センターズを買収することで合意した。同取引では、アラインドの企業価値を負債を含めて400億ドル(約6兆円)と評価している。
15日発表の文書によると、アブダビの政府系ファンド(SWF)ムバダラ・インベストメントが設立した人工知能(AI)投資会社のMGXも、GIPとともに出資する方針。これについてはブルームバーグ・ニュースが先に報じていた。GIP率いる投資家グループは、アラインドをマッコーリー・アセット・マネジメントから買収する。マッコーリーは2018年4月にアラインドに最初の投資を行っていた。
GIPとそのパートナー企業(マイクロソフトやエヌビディアも含む)は、AI関連投資の恩恵を取り込む狙いで、過去最大規模となるデータセンター買収に踏み切った。テキサス州に本拠を置くアラインドは、米国および南米で事業を展開しており、同社サイトによると、運営中および開発予定を含め50のキャンパスと78のデータセンターを保有している。
GIP主導の今回の取引は来年前半に完了する見通しだ。同日発表された別の発表文書によれば、「人工知能インフラストラクチャー・パートナーシップ(AIIP)」と名付けられた買収コンソーシアムには、クウェート投資庁やシンガポールのテマセク・ホールディングスも参加している。
今回の買収は、オープンAIの対話型AI「ChatGPT」の登場以降に相次ぐ大型取引の最新例となった。産業や経済の構造を変える可能性を秘めた技術の最前線に立つ企業をめぐり、投資家の競争は一段と激しさを増している。
人工知能(AI)に特化したデータセンターの開発を手掛ける英スタートアップ企業エヌスケールは、マイクロソフト向けにテキサス州で新たなデータセンターを建設することで同社と合意した。両社による契約締結はここ2カ月で4件目となる。
エヌスケールの15日発表によると、新施設の電力供給能力は最大240メガワットに達する見込み。
エヌスケールは、2026年7-9月(第3四半期)に稼働開始予定の施設に、エヌビディアの新型チップ「GB300」を約10万4000基導入すると説明。テキサス州内の具体的な場所については明らかにしていない。
2024年に暗号資産(仮想通貨)マイニング企業から分離して設立されたエヌスケールは、AI向け半導体を貸し出す新興企業の中でも特に活発な企業として浮上している。コンピューティング資源の需要急増を背景に、エヌスケールを含むこうした企業は、AIモデルやサービスを支えるための大規模な世界的インフラ拡張の一環として、ここ数カ月に相次いで新施設を発表している。
マイクロソフトは9月、ノルウェーでのセータセンターに関して、エヌスケールと62億ドル(約9400億円)規模の5年契約で合意した。
14日には、マイクロソフトとエヌスケールはポルトガルでの新たなデータセンターに関する計画を発表している。それより先には、英国で将来建設する施設について同様の合意を結んだ。
マイクロソフトは、自社サーバーファームにおけるコンピューティング能力不足を補うため、新興クラウド事業者(ネオクラウド)と複数の契約を結んでいる。
米ニューヨーク市のオフィス市場はこの20年近くで最大の活況を呈しており、米国の他の地域を大きく引き離している。
不動産サービス会社CBREグループによると、2025年1-9月期に企業が新たに賃貸したマンハッタンのオフィススペースは2320万平方フィート(約216万平方メートル)に上った。これは1-9月期の新規のオフィススペース賃貸面積としては、ここ19年で最大だ。
定期的に出社する勤務態勢に戻るニューヨークの労働者の増加から、金融業界でより現代的なオフィススペースに対する需要が高まっていることまで、さまざまな要因が重なり、オフィス市場の回復に拍車が掛かっている。会計・コンサルティング会社デロイトは、マンハッタンのウエストサイドにあるハドソンヤード地区で開発中の新しい超高層ビルの約4分の3を賃借する契約を結んだ。これは今年最大規模の賃貸借契約だ。
ハイテク、メディア、広告業界の企業も今年、オフィススペースを大幅に拡大しており、このところの勢いを継続させている。一例を挙げると、アマゾン・ドット・コムは、五番街のビルを購入したのに加え、33万平方フィートのスペースを新たに賃貸することで、ニューヨークでの同社の存在感を高めた。
ニューヨークは米国内の他地域をリードしている。25年のマンハッタンの賃貸活動は18~19年の水準を上回っている。CBREによれば、全米のオフィス賃貸は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の平均をなお11%ほど下回っている。
マンハッタンの一等地を巡る競争があまりに激化しているため、大口テナントの多くは優れた立地と最高品質のビルのどちらを取るかの選択を迫られている。
CBREのニューヨーク地域担当リサーチディレクターを務めるマイケル・スラッタリー氏は「他の大半の都市では、家主たちがそうした問題を抱えてみたいものだと話している」と述べた。
マンハッタンの開発業者は、新たなオフィスプロジェクトを6件以上進めている。この数はパンデミック以降のどの時点よりも多い。CBREによると、25年1月以降に締結された1平方フィート当たり100ドル(約1万5100円)を超える賃貸借契約が過去最高の143件に達し、24年にこの水準で契約された総数を既に超えている。これを受けて業者は勢いづいているという。
ニューヨーク市のオフィス市場の復活は、同市の経済の中核を担う金融サービス業界が引き続き堅調であることに大きく支えられている。より広範な米経済は減速の兆しを見せているものの、主要銀行はM&A(合併・買収)などのディールメーキングや新規株式公開(IPO)の動きが回復しているのに合わせ、それを担当する従業員を増やしている。
ニューヨークにはまた、戦略的な強みもある。フィナンシャル・ディストリクトからグランド・セントラル駅近くのパーク街にまで広がるビジネス街は、郊外に住む労働者が電車で比較的容易に通える場所であり、同市のオフィス回帰率は全米で最も高い。
7月のニューヨークのオフィス出社率は、19年7月の水準を1.3%上回った。これは、イスラエルの位置情報分析会社プレイサー・エイアイ(Placer.ai)が追跡した11のビジネス街の中で最も高い部類に入る。同社によると、全米のオフィス回帰率は依然、19年の水準を22%下回っていた。
ニューヨーク市は特に、多くの企業が欲しがっている若い人材にとって特に魅力的な場所になっている。JLLの報告書によれば同市は今年、米国の大都市エリアの中で大学新卒者が最も多く採用された都市となった。同報告書はオフィス職に就く約150万人の新卒者を分析した。
JLLで米オフィス調査部門のシニアマネジャーを務めるジェーコブ・ローデン氏は「パンデミックの初期では、ニューヨークは主要市場の中で後れを取っているグループに入っていた。しかし、21年終盤から22年初めにかけて状況は変わり始めた」と述べた。
ニューヨークのオフィス市場はまだ、完全に回復したとはとても言えない状況にある。不動産情報分析会社コスターによれば、現在のマンハッタンのオフィス空室率は14.8%と、19年第4四半期の8.2%の倍近くになっている。ニューヨークの古くて特徴のないビルの多くは、時代遅れとなり、収益面で苦境に直面している。
来月のニューヨーク市長選では民主党候補の民主社会主義者ゾーラン・マムダニ氏の当選が予想されており、同市のオフィスビルのオーナーたちは、マムダニ氏の政策の影響を懸念して身構えている。マムダニ氏は、家賃安定型アパートの家賃凍結を提案しているほか、富裕層への増税を計画しており、不動産分野の多くの経営幹部は、これらの政策が不動産業界にとって打撃になることを懸念している。
不動産開発会社幹部のゲーリー・バーネット氏は「企業と起業家にとって好ましくない状況が生じれば、(ニューヨークの)回復は損なわれる可能性がある」と述べている。
それでもバーネット氏は、グランドセントラル駅に隣接するオフィスビルの開発を進めている。既にイケアが同ビルの主要小売りテナントとして入居する予定になっている。
近隣では、JPモルガン・チェースがパーク街に最近開設した本社ビルが近年で最も話題のオフィスタワーだ。この総工費30億ドルの60階建て超高層ビルには、19の飲食店が入り、屋外庭園、瞑想(めいそう)ルームなどがある。
オフィス不動産開発を手掛けるBXPのオーウェン・トーマス最高経営責任者(CEO)は「他の企業やその顧客、従業員も同等の体験を求めるようになる」と述べ、「このビルの出現で、オフィスに期待される水準が引き上げられている」と指摘した。
事情に詳しい関係者によれば、BXPは保険・投資のグローバル企業C・V・スターと、ミッドタウンで開発を進めているオフィス物件の3分の1を賃貸する仮契約を結んだ。トーマス氏はこの件ではコメント要請に応じていない。
こうしたきらびやかな新タワーの他に、ニューヨークではそれより低品質のオフィス物件の回復が進んでいる。コスターによると、いわゆる「Bクラス」ビルの入居面積は、パンデミック中に失われた2500万平方フィートのうちの約10%が戻ってきている。この回復率は、同種の物件では全米平均の5倍だ。
入居が低迷し、廃れたオフィスビルの多くが住宅として生まれ変わっている。マンハッタンでは、ニューヨーク市および州の新たな政策という支援要因もあって、オフィスから住宅へのコンバージョン(用途変更)が第2次世界大戦後で最も活発になっている。
開発業者のマーティ・バーガー氏は「ニューヨークのあらゆる地区が複合用途地区になりつつある」と語った。同氏が主導するグループは、エンパイアステートビル近くのミッドブロック(角地ではなく街区の中ほどにある)タワーのコンバージョンを手掛けている。
ZeroHedgeのProサブスクリプション会員は、AIバブルを牽引する「無限の資金」を巡る円滑な取引について既によくご存知でしょう。それは、終わりのないチップ発表からベンダーファイナンススキーム、そして全米を席巻する巨大データセンター建設の波まで、多岐にわたります。私たちは、このブームの背後にあるメカニズムを詳細に解説し、最新のバンク・オブ・アメリカのファンドマネージャー調査結果を共有することで、過大評価を排し、機関投資家がAIについて真に何を語っているかを明らかにしました。
ニュースの見出しは次々と出ている。水曜日の朝に報じられた最新のニュースは、ブラックロック、NVIDIA、xAI、マイクロソフトが参加する新たな投資コンソーシアムが、世界最大級のデータセンター運営会社を買収するとの報道だ。
フィナンシャル・タイムズ紙によると、投資コンソーシアムは マッコーリー・アセット・マネジメントからアラインド・データセンターズを400億ドルで買収する。これは、「AIインフラストラクチャ・パートナーシップ」と呼ばれる1,000億ドル規模のファンドによる初の大型取引となる。
このパートナーシップには、グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ(GIP)、アブダビのMGX、テマセク、クウェート投資庁も参加しており、このブームを支えるインフラの引受と拡張を目指しています。土地、エネルギー、資材、半導体の調達を迅速化する大手テクノロジー企業と、有力投資家が連携しています。この連携により、OpenAI、Google、Metaなどのクライアントの構築時間が大幅に短縮されるとともに、アメリカが中国などの海外のライバル国とのAI競争で優位に立つことが確実になります。
以下は FT のレポートより抜粋:
この投資グループは、データセンター企業の買収と建設のために、300億ドルの株式投資と700億ドルの負債調達を予定している。アラインド・データセンターの買収計画は、この分野における一連の大規模買収・建設プロジェクトの第一歩となる可能性がある。
同コンソーシアムは、今後数年間でAlignedを急速に拡大し、米国とラテンアメリカにある50のデータセンターキャンパスを2倍以上に増やす計画だ。
ブラックロックのCEO、ラリー・フィンク氏はフィナンシャルタイムズに対し、AIインフラストラクチャ・パートナーシップにより、テクノロジー大手はハイパースケール施設を所有するのではなくリースすることができ、データセンターをバランスシートから外すことで、企業価値の上昇につながると語った。さらに、機関投資家や政府系ファンドもこれらのプロジェクトに資金を提供していると付け加えた。
「私たちは協力することで、重要な課題に取り組むことができます。適切なデータセンターをどう設計するか、水とエネルギーの課題をどう解決するか、そして顧客のニーズにどう応えるか。それがこのパートナーシップのユニークな点です。他に類を見ないものです」と、GIPの共同創業者であるアデバヨ・オグンレシ氏はフィナンシャルタイムズのインタビューで語った。
MGXの最高経営責任者(CEO)であるアハメド・ヤヒア・アル・イドリッシ氏は、「クラウドとAIの両方の観点から、世界的な容量増強の要件は非常に大きいと考えています。世界では年間約20ギガワットが必要となり、その約半分が米国で発生します」と述べた。」と述べた。
AI投資サイクルについては、二つの相反する見解があります。一方はこれを「バブル」と呼び、もう一方はまだ始まったばかりだと主張しています。AIインフラストラクチャ・パートナーシップのメンバー、そしてBlue Owlのような企業は、このサイクルには何年も勢いが残っていると確信しています。一方、最新のバンク・オブ・アメリカのファンドマネージャー調査(こちらを参照)では、)では、機関投資家が市場における最大のテールリスクとして「AIバブル」を挙げています。
どちらの説が優勢になるかは依然として1兆ドル規模の問題だが、トランプ政権は、このAI投資サイクルが2期目も継続するようにあらゆる手段を講じるだろうと我々は考えている。
OpenAIは、世界をリードする人工知能(AI)の開発に1兆ドル以上の投資を約束した5カ年計画の一環として、新たな収益源の開拓、融資提携、さらなる資金調達に取り組んでいる。
OpenAIは、政府や企業向けに、より特注の製品を提供する契約、新しいショッピングツールによる収益拡大、動画制作サービスSoraとAIエージェントによる新規販売を計画していると、このスタートアップ企業の取り組みに詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者によると、OpenAIはAIインフラの構築を支援する新たな融資調達のための「独創的な」計画を模索しており、データセンター事業「Stargate」を通じてコンピューティングリソースのサプライヤーになることも検討している。
また、新たなAIインフラの開発、オンライン広告への進出、そして元Appleのスターデザイナー、ジョニー・アイブ氏と共同で開発したAI搭載パーソナルアシスタントデバイスを含む消費者向けハードウェア製品の発売計画など、知的財産の活用方法も検討している。
OpenAIが債務を履行するためには、これらの野心的な計画を実現させる必要がある。同グループは収入をはるかに上回る資金拠出を約束しているからだ。過去1ヶ月、CEOのサム・アルトマン氏は、オラクル、エヌビディア、AMD、ブロードコムから26ギガワット以上の電力容量を取得することを表明した。フィナンシャルタイムズの試算によると、その費用は今後10年間で概算1兆ドルをはるかに超える。
これらの費用を賄えるかどうかは、経済全体にとってますます懸念材料となっている。米国で最も時価総額の高い企業の一部は、現在、主要契約の履行と需要の支えとしてOpenAIに依存しており、AIを背景とした金融バブルへの懸念が高まっている。
OpenAIのある上級幹部は、「(投資家は)5年計画を期待している」と述べたものの、「今のところは、まだ多くの憶測が飛び交っているが、それが近づくにつれて、具体的な形が見えてくるだろう」と付け加えた。
OpenAIの財務に詳しい関係者によると、同社は年間約130億ドルの経常収益を上げており、その70%はChatGPTの利用者によるものだ。ChatGPTの標準サブスクリプションは20ドルだ。
ChatGPTの定期利用者は8億人以上だが、そのうち有料会員はわずか5%で、OpenAIはこの数を倍増させる計画だと幹部は述べた。同社はインドのユーザー向けに低価格のアクセスサービスも展開しており、フィリピン、ブラジルなど他の地域でも同様のサービスを展開する予定だという。
また、ChatGPTの新しいチェックアウト機能を通じて購入された商品の売上の一部を受け取っており、AI製品への広告導入も検討している。
アルトマン氏は先週、Instagramのパーソナライズ広告へのアプローチを高く評価し、「そこに何かできることがあるかもしれないが、広告には細心の注意を払っている」と述べた。
AMDおよびNVIDIAとの最近の提携には、チップやデータセンターの設計を含むAIハードウェアの改良に向けた「技術的専門知識」の共有計画も含まれている。同社の幹部の一人は、これらの計画を、ジェフ・ベゾス氏が自身のeコマース事業Amazonの運営で培った専門知識を活かし、クラウドコンピューティング・プラットフォームAWSを立ち上げた計画に例えた。
事情に詳しい関係者によると、OpenAIの上半期の営業損失は約80億ドルだったが、売上高は前年比で2倍以上に増加したという。
オラクルなどのパートナー企業はインフラへの先行投資を引き受けており、OpenAIは将来的にこれらのパートナーへの運用費用として債務を履行できるよう成長していくことを期待している。幹部によると、このアプローチは「他社のバランスシートを活用する」ことでOpenAIに「事業構築のための時間」を与えるというものだった。
同社社長のグレッグ・ブロックマン氏は先週、最近の支出計画は採算が取れると述べ、「もし我々のコンピューティング能力が10倍になれば、売上高が10倍になるかどうかは分からないが、そこまでには至らないだろう」と語った。
OpenAIが今後も驚異的な成長を続ければ、経営陣は投資家からの資金調達を継続できると確信している。あるいは、損益分岐点達成を優先する可能性もあるが、アルトマン氏は先週、黒字化は「私の10大懸念事項には含まれていない」と述べた。
OpenAIはまた、サプライヤー間の競争と技術進歩により、コンピューティングコストが急激に低下すると予想している。
OpenAIはAMDおよびNvidiaとの契約を段階的に締結しており、新規容量の開発に応じて支払いを行う。しかし、20GWの容量には原子炉20基分の電力に相当する電力が必要であり、アナリストたちは、この需要を1社で賄うことが現実的かどうか疑問視している。
新規コンピューティング能力の開発コストの3分の2は半導体に充てられている。OpenAIは、膨大な需要を喚起し、NvidiaやAMDとの契約のような斬新な契約を結ぶことで、新興のチップファイナンス市場を活性化させることを目指している。
これらの取引は循環性があると批判されてきた。例えば、ChatGPTメーカーはNVIDIAからの投資の大部分を同社のプロセッサに充てると予想されている。しかし、これらの取引は、投資適格ではないOpenAIがインフラ事業の実現に必要な負債を調達するのに役立つだろう。
●その他
備忘録(2025/10/14)
●企業
欧米自動車大手ステランティスは10日、第3・四半期の世界販売台数が前年同期比13%増の130万台との推計を示した。新型車の投入と北米需要の回復がけん引した。世界販売台数の増加は2023年第4・四半期以来、7四半期ぶり。
北米販売台数は同35%増の40万3000台に急増。新型ピックアップトラック「ラム1500」の投入や、昨年の生産削減後の在庫水準正常化などが寄与した。
ステランティスは7月、米関税による今年の影響が15億ユーロ(17億ドル)に達する警告。6月に就任したアントニオ・フィローザ最高経営責任者(CEO)が2024年の不振からの回復を目指し、新型車を投入する方針を示していた。
欧州販売台数は同8%増の53万4000台。新型小型車4種「シトロエンC3」、「シトロエンC3エアクロス」、「オペル・フロンテラ」、「フィアット・グランデパンダ」の生産拡大が寄与した。
ステランティスは10月30日に第3・四半期販売台数と売上高の最終データを発表する予定。
欧州連合(EU)欧州委員会は14日、EU競争法(日本の独占禁止法に相当)に違反したとして、イタリアの高級ブランド「グッチ」の運営会社など3社に計約1億5700万ユーロ(約270億円)の制裁金を科したと発表した。小売店の値引き販売を制限し、競争を妨げたと判断。商品価格を上昇させ、消費者の選択肢を狭めたと指摘した。
制裁金の内訳はグッチが約1億1900万ユーロ、フランスの「クロエ」が約1900万ユーロ、スペインの「ロエベ」が約1800万ユーロとした。3社は違反を認め調査に協力したため、制裁金を当初の金額から減額したという。
欧州委のリベラ上級副委員長(競争政策)は「欧州の消費者は、何を購入するにしても真の価格競争の恩恵を受ける権利がある」と強調した。
●マクロ
中国は14日、韓国造船大手の米子会社への制裁を発表した。米国による中国海運・造船業界の調査への対抗措置だとしており、同日から実施する。追加の報復措置も講じる構えをみせており、今後予定されている通商協議を前に、米中両国による応酬が激しさを増している。
中国商務省の発表によると、制裁対象となるのはハンファオーシャンの米関連企業5社。個人・法人ともにこれら企業との取引が禁じられる。ハンファオーシャンは、韓国の造船会社として初めて米国の造船所を買収しており、米国への技術移転を目指している。
同省は今回の決定について、米国による通商法301条に基づく調査への対抗措置だと説明した。301条は外国による不公正な貿易慣行に対し報復措置を講じる権限を定めたもので、米通商代表部(USTR)はこれに基づき、中国の海事・物流・造船業界を調査している。
金融市場では米中緊張緩和への期待が後退する中、世界的に株安が進行している。ハンファオーシャンの株価は韓国市場で一時8%安と約2カ月ぶりの下げ幅となり、6.2%安で取引を終えた。一方、中国の造船株は上昇した。
今回の措置で、海上覇権を巡る米中の対立が一段と先鋭化した。両国はすでに互いの船舶に特別港湾料金を課しており、米国はとりわけ韓国を含む同盟国に協力を呼びかけ、低迷する自国の造船業復興を目指している。世界貿易の8割以上は船舶輸送に依存していることから、米中の対立激化は世界経済全体にも影響を及ぼす恐れがある。
ヒンリッチ財団(シンガポール)の通商政策責任者、デボラ・エルムズ氏は「もはや関税や輸出規制だけの問題ではなく、どの企業がどの市場で事業を行えるのかという点にまで及んでいる」と指摘。「この状況が続けば、さらに多くの経済活動が危険にさらされるだろう」と語った。
米中の当局者は対話を継続していると強調しているものの、トランプ米大統領と習近平国家主席の首脳会談を前に両国が「休戦」で合意できるかは不透明だ。中国によるレアアース(希土類)や海運分野での新たな対抗措置を受けて、韓国などの国々が米国側について中国への圧力を強める展開となれば、習氏にとってはリスクとなる。
ベッセント米財務長官は、中国が「自由世界全体のサプライチェーンと産業基盤に向けてバズーカ砲を突きつけている」と非難。米国の同盟国に対し、結束して中国の政策に反対するよう呼びかけた。
中国側には今週、緊張緩和を探る機会がある。通商交渉チームの重要メンバー、財政省の廖岷次官は今週、ワシントンを訪問中だ。事情に詳しい関係者は、廖氏が米財務省のカウンターパートと会談したと明らかにした。向こう数週間に一段と広範な通商協議が行われる見通しだという。
中国の交通運輸省もこの日、USTRによる調査が中国の海運業などに与えている影響について調べると表明した。その結果に基づき、適時に相応の措置を講じる方針だ。ハンファオーシャンの米国子会社が米政府の調査を支援・協力した結果、中国の国家主権、安全保障および発展上の利益を脅かしたとしている。
トランプ米大統領は10日、中国によるレアアース(希土類)輸出規制の強化を理由に、11月1日から100%の対中追加関税を課すと警告。両国の緊張は一段と高まっていた。
今週からは米国船舶が中国の港に寄港する際に特別料金を課す対抗措置も始まっており、世界の海運業界に懸念が広がっている。
ソウルのハンファオーシャンの広報は、「中国政府の発表は承知しており、事業への潜在的な影響を精査している」とコメントした。
中国の造船企業は過去10年間で日韓勢を抜き、世界最大の船舶メーカーへと成長した。対照的に、米国の造船業は衰退が進んだ。トランプ政権が掲げる米造船業の復興は、韓国にとっては影響力拡大の好機となり、韓国政府は米造船業界の支援に向けて専門技術と投資などを通じ1500億ドル(約22兆7900億円)を拠出する方針を表明している。
米政府が中国の造船業界への対抗措置について最終的な取りまとめを行っていた3月、ハンファシッピングは、グリアUSTR代表宛てに、調査を支持する旨のパブリックコメントを提出していた。
フィボナッチ・アセット・マネジメント・グローバルのユン・ジュンイン最高経営責任者(CEO)は、今回の中国の措置が、韓国に対し中国か米国のどちらかを選ぶよう迫る圧力となるとの見方を示した。同氏は「ハンファに対する制裁は、北京からの明確なメッセージだ」として、韓国企業が米国との協力を続けるなら「中国での事業を犠牲にせざるを得なくなる」と述べた。
今後10年、米国経済は2つの大きな試練に直面する。ひとつは金利上昇、もうひとつは人工知能(AI)による産業構造の変化だ。いずれの課題にも共通して浮かび上がる処方箋が、「本来の市場水準を下回る金利を維持すること」だろう。
いわゆる「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)」と呼ばれるこの戦略は魅力的に映る。短期的には景気を押し上げる効果も期待できるだろう。だが、金利に人為的に手を加えるのは誤りだ。日本の経験が示すように、低金利を人工的に維持する政策は、短期的な恩恵を上回る長期的な代償を伴う。
金利の上昇がもたらす痛みは明白だ。米国では、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)以降、長期債の利回りが上昇傾向にある。これにより、消費者は住宅ローンなどの債務負担が増し、企業は借入コストの上昇に直面する。政府にとっても、債務の利払い負担が一段と重くのしかかる。歴史的な低金利を前提に築かれた米国経済は、金利が高止まりするほど、その構造にひずみが生じる。
AIもまた、別の難題を突きつける。最良のシナリオでは、AIが経済を変革し、所得と生産性を高める可能性がある。だが、その過程では避けがたい混乱も伴う。職を失う人が出る一方、新たな雇用が生まれにくい分野もある。一部の企業は破綻し、起業の芽が摘まれる恐れもある。しかも金利上昇局面では、経営をかろうじて維持している企業ほど資本コストの上昇に苦しみ、雇用維持が一段と難しくなる。
こうした中で、政府はあらゆる手段を講じて長期金利を引き下げようとするだろう。通常、金融政策の効果が及ぶのは短期金利であり、長期金利は市場が決める。
政府が長期金利に影響を及ぼす手段としては、中央銀行による長期国債の買い入れ、いわゆる「量的緩和(QE)」がある。また、年金基金や銀行に大量の国債を保有させることで、金利を抑えることもできる。ただし、こうした政策はいずれもリスクを伴う。
日本が歩んだ道が、その教訓となる。1980年代のバブル経済が崩壊した後、日本は金融抑圧と量的緩和を組み合わせ、長期金利を低位に保とうとした。確かに、一定の効果はあった。低成長と高債務の時代を迎えながらも、生活水準と雇用の安定を維持し、混乱を最小限にとどめることに成功した。その結果、日本は「国家は借金をいくら積み上げても問題ない」とする見方の象徴とされた。
しかし、低金利政策の長期化には代償を伴う。日本では、いわゆる「ゾンビ企業」が数多く生まれた。採算の取れない企業や持続可能な事業モデルを欠く企業が、低金利を背景に延命してきたためだ。だが、世界的にインフレが再燃し、金利が上昇局面に転じるなか、日本もついに利上げに踏み切らざるを得なくなった。
こうしたゾンビ企業はいま、相次いで市場から姿を消しつつある。家族経営の中小企業を中心に、倒産も多い。社会的に見れば痛ましい過程であり、日本経済全体にも打撃を与えている。ゾンビ企業の存在は経済の効率性と成長力を削ぎ、採算の取れない企業で人々が働き続ける構造を世代を超えて固定化してきた。
今後、米国や欧州では、さまざまな手段を使って金利を人為的に押し下げようとする「金融抑圧」の誘惑が高まるだろう。そうすれば、米国の債務依存が一見、制御可能に映るだけでなく、AI経済への移行も緩やかに進むだろう。しかし、低金利の資金が容易に得られる環境は、本来なら技術革新とともに市場から退出すべきゾンビ企業の延命を許すことになる。
トランプ政権には、すでにそうした兆しが見え始めている。トランプ氏は短期金利の引き下げを強く求めており、ベッセント財務長官も長期金利の低下を目指す姿勢を隠していない。しかし、それをどう実現したいのかは定かではない。ベッセント氏自身、追加的なQEには懐疑的な立場を取っている。
ベッセント氏の慎重な姿勢は妥当だ。日本の経験が十分な警鐘とならないとしても、米国自身の現状からも学ぶべき点は多い。現在の米経済が抱える課題の一部は、過去に試みたイールドカーブ・コントロール的な政策の副作用に起因している。パンデミック期に米連邦準備制度理事会(FRB)が行った量的緩和(QE)は、いまも住宅市場に影響を残している。QEは住宅ローン金利を人工的に押し下げたが、インフレ再燃で金利が急上昇した。その結果、財務省は保有債券の含み損を抱えることになった。さらに、FRBがパンデミック後に巨額の資産を縮小する過程で、債券市場の流動性にもゆがみが生じている。
これらの混乱は、わずか数年の金利抑制策がもたらしたものにすぎない。もしこうした政策が恒常化すれば、市場のゆがみはいっそう深刻化し、FRBの独立性も脅かされかねない。日本では、長期にわたり低金利と金融抑圧的な政策を続けた結果、多くのゾンビ企業が生まれた。米国にとっての最大のリスクは、大規模な金融抑圧に踏み込むことで、日本と同じように「ゾンビ経済」を自ら招き寄せることだ。
トランプ米大統領は13日、イスラエル国会で行った演説で、イランの準備ができ次第、米国はイランと「ディール(取引)」を行う用意があると述べた。
トランプ氏は「イランの準備ができれば応じる。友好と協力の手は差し伸べられている」とし、「この地域にとってイラン指導部がテロリストを放棄し、イスラエルが存在する権利を認めることほど有益なことはない」と述べた。
イランのアラグチ外相は11日、 国営テレビで「米国から合理的でバランスのとれた公正な提案が得られれば、イランは検討する」と表明。イランは米国と仲介者を通して対話を続けていると述べていた。
国際通貨基金(IMF)は14日公表した半期に1度の国際金融安定性報告書で、世界の市場が貿易戦争や地政学的緊張、巨額の財政赤字といったリスクに対し、あまりにも楽観的になっていると警告、すでに割高な資産価格と相まって、市場の「無秩序な」調整が起きる可能性が高まっていると述べた。
「穏やかな表面の下で、金融システムの複数の部分で地盤が変化しており、脆弱性が生じている」と指摘。「バリュエーションモデルによれば、リスク資産の価格はファンダメンタルズを大幅に上回っており、マイナスのショックが生じた場合に、無秩序な調整が起きる確率が高まっている」と述べた。
一部のネガティブな経済指標にもかかわらず、株式と社債のバリュエーションは「かなり割高」な状態にあるとし、AI関連の大型株への熱狂が歴史的な株式市場の集中を引き起こしているとの見方を示した。
高いバリュエーションを予想されるリターンで正当化できなければ「突然の急激な調整」が起きるリスクがあるとしている。
<資産価格、危険なバブル領域を示唆>
国債市場の分析でも、財政赤字の拡大が市場の機能に圧力をかけていることが示されている。
これまでのところ、債券市場はおおむね安定しているものの、利回りが急騰すれば、銀行のバランスシートに負担をかけ、投資信託のようなオープンエンド型ファンドに圧力をかける可能性があるとの見方を示した。
また、中央銀行は関税に伴うインフレリスクに警戒を怠ってはならず、リスク資産の一段のバリュエーション急騰を最小限に抑えるため、金融緩和には慎重な姿勢で臨むべきだと主張した。
中央銀行の独立性は、市場の期待の安定と中銀の責務履行に「極めて重要」だとも指摘。財政赤字を抑制し、強靱な債券市場を維持するため「緊急の財政調整」が必要だとも呼びかけた。
<ノンバンク金融機関による伝染リスク>
銀行と、相対的に規制の緩いノンバンク金融機関との相互連関性が高まっており、プライベートクレジットや暗号資産(仮想通貨)などのセクターに起因するショックが生じた場合、ショックが増幅されるとの見方も示した。
IMFは長年にわたり、保険会社、年金基金、ヘッジファンドといったノンバンク金融機関の監督にむらがあると警鐘を鳴らしてきたが、今回の報告書では、ノンバンク金融機関が拡大を続け、現在では世界の金融資産の約半分を保有していると警告。米国と欧州では、多くの銀行が、高水準の損失吸収資本を上回るノンバンク金融機関向けエクスポージャーを抱えていると指摘した。
IMFの分析によると、ノンバンク金融機関が全てのクレジットラインを引き出した場合、米国の銀行の約10%、欧州の銀行の約30%で自己資本に相当な打撃が及ぶとみられる。
「ノンバンク部門の脆弱性は相互に関連している」とし「中核的な銀行システムに素早く伝播し、ショックが増幅され、危機管理が複雑になる可能性がある」としている。
また、各国政府に対し、ステーブルコインを含め、暗号資産に対する包括的な政策対応が必要と呼びかけた。暗号資産の導入で、政府による自国通貨の管理が弱まり、伝統的な銀行システムが混乱する恐れがあるという。
国際通貨基金(IMF)は14日、国際金融安定性報告書(GFSR)を公表した。ステーブルコインなど民間発行の暗号資産(仮想通貨)市場が2025年に2300億ドル(34兆5000億円)規模に達し、過去6年で70倍超に膨張したと指摘した。金融システムに与えるリスクに警鐘を鳴らし、規制や監督制度の整備を唱えた。
法定通貨に価値が連動するステーブルコイン市場は米テザー社の「USDT」や米サークル社の「USDC」を中心に急速に成長している。IMFは既にこれらの暗号資産が伝統的な安全資産や銀行預金に代わる選択肢になっているとの見方を示した。
ステーブルコイン市場の拡大には主に、①新興国の政策影響力の低下②信用仲介機能への影響③裏付け資産の強制売却に伴う取り付け騒ぎ――の3つリスクが潜んでいるとIMFは指摘する。
1つ目は、新興国などを念頭に通貨代替がもたらすリスクだ。ステーブルコインは北米から各国へと送金されており、米国以外の地域におけるドル需要の強さを映しているとされる。
こうした国でドル建ての仮想通貨が急速に普及すると、物価安定を目的に中央銀行が実施する金融政策の影響力が弱まりやすくなるとみる。広く国内で使われるお金が実物の通貨からステーブルコインに移行すると、「通貨発行益」と呼ばれる中銀が銀行券の発行で得た資金を国債などで運用して得る利息収入が減少するリスクもある。
2つ目のリスクは、銀行預金がステーブルコインに急速に置き換わる際、裏付け資産となる短期国債への需要が高まることに伴うものだ。こうした状況下では従来、預金でまかなわれていた長期債や融資への資金が目減りする可能性がある。銀行は家計や企業に貸し出すための資金を集めにくくなり、金融機関の信用仲介機能が弱まる懸念があるという。
銀行の「取り付け騒ぎ」のような状況が起きてステーブルコインの保有者が一斉に換金しようとした場合には、発行体は自らがもつ銀行預金などの準備資産を急いで売る必要に迫られる。その影響が預金や国債市場やレポ市場に波及する恐れがあるというのがIMFが警戒する3つ目のリスクだ。
IMFはGFSRで、ステーブルコインが金融システムにおいて過剰なリスクテイクなどの懸念を招いていると結論付けた。同市場の世界的な成長が国境を越えた資本移動にも影響を与えるとも指摘した。足元で差し迫った金融安定へのリスクとしては顕在化していないとしつつも、規制と監督制度の整備を求めた。
金曜日、 トランプ大統領がソーシャルメディアに中国に100%の関税を課すと脅す投稿をした後、仮想通貨市場史上最大の市場清算が発生した。
大統領がソーシャルメディアでリスクを軽視する投稿をして方針を転換する前に、一部の投資家はポートフォリオのすべてを失った。
新たな仮想通貨の惨劇で老後の蓄えを失った人々はトランプ大統領を責めるかもしれませんし、部分的には正しいかもしれません。しかし、この数字こそが、私たちがここにいる最大の理由なのです。
グラフを更新する気はもうありませんが、連邦準備制度理事会(FRB)の資産売却により、この割合はおそらく多少低下していると思われます( 主要中央銀行すべてを含む割合を参照)。これもここでの重要な点ではありませんが、2021年以前に何が起こったかが重要です。
長らく、中央銀行が保有する資産(証券)は緩やかに増加していました。危機がない限り、その資産は通常GDPの10%を下回っていました。しかし、今はそうではありません。
世界金融危機後の中央銀行による金融介入は、流通通貨の大幅な増加につながりました。これは、世界で流通しているM2マネー(「広義通貨」)に関する最新のデータです。1グラフが伝えるメッセージを明確にするために、いくつ かの主要な政策措置を追加しました。
1971年から1976年にかけて、通貨が金に連動する米ドルに固定されていたブレトンウッズ体制が崩壊した後、貨幣量は急速に増加しました。図の最初の「FRBによる金融緩和」とは、1980年代の石油ショックを契機としたインフレの暴走を抑制するために、ポール・ボルカーFRB議長のショックを受けてFRBが利下げを決定したことを指します。米国の金利は1981年6月に20%前後でピークに達し、その後2年間で10%を下回りました。
ドットコムバブルとその崩壊、そしてFRB議長アラン・グリーンスパンによるわずか1年での6.5%から2%未満への金利引き下げは、マネーサプライに新たな刺激を与えました。しかし、大きな転換点は、世界金融危機と その後開始された量的緩和 (証券購入プログラム)でした。これらの政策により、中央銀行は、伝統的に商業銀行の役割に限定されていたマネー創造だけでなく、 市場においても積極的な参加者へと変貌を遂げました。これらの政策の(有害な)影響については、エポックタイムズの2つの記事(こちら と こちら)で詳しく述べています。
しかし、最も大きな衝撃は2020年の春に起こりました。 エポックタイムズの記事より:
2020年3月、新型コロナウイルス感染症の流行は市場を混乱に陥れ、3月16日には株価が暴落しました。ボラティリティ指数は82.69と過去最高を記録しました。ダウ工業株30種平均は2997ポイント(12.9%)下落し、過去最悪の下落率となりました。
16日、ニューヨーク連銀はレポ市場への翌日物融資を5,000億ドル追加すると発表した。17日には、1兆ドルを投じて発行体から社債を買い集めると発表した。18日には、欧州中央銀行(ECB)が7,500億ユーロ相当の債券・証券を購入すると発表した。19日には、マネーマーケット・ミューチュアルファンドへの融資枠を創設すると発表した。2020年3月25日には、短期社債の金利がFRBの翌日物貸出金利であるフェデラルファンド金利を2.43%上回る水準まで急上昇し、FRBは企業市場向けのプログラムを発表した。
2020年5月末、FRBは「レポ」市場と米国債市場をバックアップし、社債市場、地方債市場、短期金融市場に介入し、投機的格付け(いわゆる「ジャンク債」)を含む社債ETFを買い入れた。また、「メインストリート・レンディング」プログラムを開始し、中堅企業への融資を提供した。しかし、2020年6月には、FRBが米国の金融市場を牛耳る存在となってしまった。グリーンスパン議長が実施した救済措置は、FRBの設立が経済を「社会化」させるという懸念が現実化するまでに至った。
つまり、確かにあなたはお金を失いました。それはトランプ大統領の無謀なツイートのせいもありますが、主に中央銀行が経済において積極的な役割を担うようになり、大量の紙幣を印刷してリスクと報酬の関係を破壊したせいです。
このようにして巨大な泡が形成され、最終的には破裂します。
上記から得られる主な教訓は、中央銀行は、おそらくどんな手段を使ってでもバブルを維持するだろうということである。そうしなければ、中央銀行の信頼性は打ち砕かれることになるからだ。
多くの市場コメンテーターは現在(まだ)株価上昇を祝っているが、この「熱狂」の背後にいる真の犯人、つまり中央銀行を特定するのにそれほど時間はかからないだろう。
その結果は(再び)現代の中央銀行の終焉となる可能性が高く、私は そのような展開を歓迎する一方で、多くの人はそれが意味するものを非常に恐れています
サウジアラビア王国(KSA)の金融システムにおける流動性逼迫の深刻化は、しばらくの間、激しい議論を引き起こしてきた。
経済成長と進行中の大規模プロジェクトの資金需要により、国内システムの供給能力を上回るペースで資金が流入している。参考までに、最近の報道によると、新都市NEOMの建設費用は8兆8000億ドルに達する可能性があるとされており、これはサウジアラビアの年間予算の約25倍に相当する。
サウジアラビアのビジネス界は最近まで、主に銀行融資や、強力な国内投資家基盤(多くの場合、富裕層の資産を運用する民間銀行)へのスクーク(イスラム国債)発行を通じて、国内での資金調達によって資金ニーズを満たしてきました。しかし、このシステムは限界に達しています。ここ数年、信用の伸びが預金の伸びを上回っており、金融資産を購入する国内投資家は、そのために銀行口座から資金を引き出さなければなりません。つまり、金融投資は国内資金の食い合いとなり、銀行の預金残高を減少させるのです。
さらに、計画的な石油生産削減と原油価格の下落により、石油収入は2022年の8,570億サウジアラビア・リヤルから2025年には6,080億サウジアラビア・リヤルに減少すると予測されており、国家予算はGDPの2.2%の黒字から同期間内に4%の赤字に転落すると予測されています(IMFのデータを使用)。したがって、石油からの脱却を目指す意図的な多様化の試みは、少なくとも現時点では予算上の負担を伴い、国はより多くの外部資金を調達する必要があることを意味します。
国内流動性が脅かされる場合、高格付け国が取るべき論理的なステップは海外からの資金調達であり、まさにそれが現実となっています。サウジアラビアとその大手銀行・企業による国際債の発行は近年急増しています。サウジアラビアのソブリン債および準ソブリン債の発行は、最も広く利用されている新興国ソブリン債指数(JPM EMBI)の5.1%を占めており、同指数における最大の発行体となっています。また、同指数の企業債版(JPM CEMBI)における社債の発行は4.3%を占め、構成銘柄としては4番目に大きくなっています。これは、サウジアラビアの国際市場におけるプレゼンスの驚くべき変化を示しています。
金融セクターのバランスシートを一目見れば、国際資金調達の必要性は構造的なものであり、今後も続くことが分かる。銀行融資全体は2019年以降、年平均成長率(CAGR)14%で伸びている一方、預金は同期間にわずか8%の増加にとどまっている。現金ベースで見ると、融資は2019年の1.5兆サウジアラビア・リヤルから2024年末には3.0兆サウジアラビア・リヤルへと倍増している一方、預金は1.8兆サウジアラビア・リヤルから2.7兆サウジアラビア・リヤルへと大幅に減少している。したがって、2019年には金融システムは経済の信用需要を満たすのに十分な預金を保有していたが、2024年までにこれは明らかに当てはまらなくなっている。実際、この期間に金融システムの貸出/預金比率は86%から110%に低下している。結論は単純明快である。現在の信用成長率を維持するためには、銀行はホールセール資金調達に依存することになるのである。
過去数年間に急増した国際債券の発行額の変化の規模が見て取れる。2023年にはKSAの銀行が20億ドルの債券を発行し、サウジ全体の発行額全体の約6%を占めた。2024年にはこれが68億ドル(全体の14%)に増加し、今年これまでに銀行が発行した債券はすでに149億ドルで、サウジ全体の発行額の27.4%を占めている。また、国際的に債券を発行しているのは銀行だけではない。KSAの資金調達ニーズは、資金が豊富なアラムコやその政府系ファンド(PIF)など、利用可能なすべての手段を通じて債券を発行していることを意味する。サウジの債券発行総額は、2023年の360億ドル(月間約30億ドル)から、年初来540億ドル(月間約64億ドル)に膨れ上がった。
これらすべてがどこへ向かうのかは明白です。サウジアラビア王国(KSA)は構造的に国際債券市場への依存を高めています。銀行がサウジアラビアの債券発行に占める割合はますます大きくなっており、これもまた持続的な傾向のようです。したがって、KSAは国内の優先課題への資金調達において国際投資への依存度を高めています。一方で、供給過剰と価格に敏感な外国人投資家が投資家層に多く存在することから、サウジアラビア国債はしばらくの間、パフォーマンスに苦戦する可能性があります。以前、スクーク市場のテクニカル要因は概してタイトなスプレッドと堅調なパフォーマンスを保証すると書きました( こちらを参照)。時代は変わりつつあり、そのモデルはもはや通用しません。
スコット・ベセント財務長官は、中国が技術に不可欠な資源に輸出規制を課すことで世界経済を弱体化させようとしていると非難した。
ベセント氏はフィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、レアアースや鉱物をめぐる動きは中国が「他国を巻き込もうとする」試みだと述べた。
「もし世界経済を減速させたいのであれば、彼ら自身が最も打撃を受けることになるだろう」と彼は語った。
中国によるこの動きは、ドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談が予定されている直前に起こった。
中国政府は10月9日の発表で、軍事用途向けの希土類材料の輸出を禁止すると発表した。これは、特定の用途を対象とする初めての措置である。米国は、F-35戦闘機、トマホークミサイル、スマート爆弾など、多くの重要な兵器システムに希土類磁石を使用している。
トランプ大統領は11月1日から中国製品に100%の関税を課すことで対抗し、習近平国家主席との会談を中止すると警告した。この対立が激化して以来、市場は不安定な動きを見せており、ウォール街の株価は火曜日の取引開始とともに急落した。
「彼らは不況の真っ只中にあり、輸出でそこから抜け出そうとしている。問題は、彼らが世界における自らの立場を悪化させていることだ」とベセント氏はフィナンシャルタイムズに語った。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は火曜日、米国自動車市場の破産は過去10年以上にわたり企業融資基準が緩くなりすぎたことの兆候だと述べた。
資産規模で米国最大の銀行のトップを長年務めるダイモン氏は、自動車部品メーカーのファースト・ブランズとサブプライムローンの自動車金融会社トリコロール・ホールディングスの最近の破綻について語った。
「信用市場の強気相場は2010年か2012年以来、ほぼずっと続いている。約14年だ」とダイモン氏は記者団との電話会見でCNBCに語った。
「これは、この影響で市場に余剰が生じている可能性を示す初期兆候だ」とダイモン氏は述べた。「景気後退が起これば、信用問題がかなり増えるだろう」
ディモン氏は火曜日の午後、トリコロールの失敗についてより色彩豊かな言葉を使った。
「ゴキブリが一匹いたら、おそらくもっとたくさんいるだろう」と、ダイモン氏は銀行の決算説明会でアナリストのマイク・メイヨー氏に語った。「この件については、誰もが事前に警告を受けるべきだ」
この2件の破産は、JPモルガン、ジェフリーズなどの銀行が抱える隠れたリスクに対する懸念を引き起こした。
そしてフィフスサード
民間企業への融資を提供する。JPモルガンは機関投資家の取引が活況を呈したことで、予想を大きく上回る業績を達成した四半期となったが、信用損失に関する記者やアナリストからの質問が焦点となった。
「最高の瞬間ではなかった」
JPモルガンはファースト・ブランズからの損失を回避したものの、トリコロールへの融資は行っており、四半期で1億7000万ドルの貸倒償却が発生したと、最高財務責任者(CFO)のジェレミー・バーナム氏は述べた。貸倒償却とは、銀行が融資の返済が見込めないと判断した場合に発生する。
「私たちにとって最良の瞬間ではありません」とダイモン氏はトリコロール事件について述べた。「このようなことが起こると、あらゆる問題を徹底的に調査すると思われるかもしれません。…こうした事態を完全に避けることはできませんが、冷静に見つめ、あらゆる些細なことを一つ一つ精査することが私たちの規律です。」
バーナム氏は、JPモルガンが注視している信用指標は、初期段階の延滞を含め安定しており、予想よりも良好だと述べた。同社は労働市場の弱体化の兆候を注視しており、それが消費者信用に波及する可能性もあるが、今のところそのような兆候は見られないと述べた。
ドナルド・トランプ大統領による関税引き上げなどにより国際的なサプライチェーンに圧力がかかる中で起きた自動車会社の破綻は、多くの銀行を巻き込んだ。
投資銀行ジェフリーズは今月、同社が運用するファンドがファースト・ブランドの在庫を購入した企業から7億1500万ドルの債務を負っていると発表し、一方UBSはファンドが約5億ドルのエクスポージャーを抱えていると発表した。
先月、地方銀行のフィフス・サードは、借り手側の不正行為の疑いで最大2億ドルの損失が発生すると予想していることを明らかにした。その顧客とはトリコロールだったとブルームバーグは報じている。
今年はクリスマスではないかもしれないが、中東での戦争は終わった ― 少なくともドナルド・トランプ米大統領によれば。
トランプ大統領は月曜日、イスラエル国会(クネセト)で、「イスラエルとパレスチナ双方にとって長く苦しい悪夢」がついに終わったと宣言した。ロイター通信によると、トランプ大統領は記者団から中東戦争は終結したかと問われた際、はっきりと「イエス」と答えた。
市場も同様に楽観的なムードに包まれていたが、理由は異なっていた。金曜日に中国に100%の追加関税を課し、株価急落を引き起こした後、トランプ大統領はTruth Socialへの投稿で「中国とは大丈夫だ」と述べ、これまでの姿勢を撤回したようだ。
こうしてTACOはトレーダーのメニューに戻った。主要米国株価指数は反発し、テクノロジー株が牽引した。JPモルガン・チェースの株価上昇を受け、量子コンピューティング関連銘柄が急伸した。
国益に重要な分野に100億ドルを投資すると発表した。
一方、ブロードコムは、カスタムチップの開発と展開でOpenAIと提携することを共同発表した後、株価は10%近く上昇した。しかし、この提携によってNVIDIAはどうなるのだろうか?
OpenAI のもう一つの大切な存在である 、そして ChatGPT メーカーがどのチップに依存しているかは、依然として疑問のままです。
クリスマスはまだ到来していないが、OpenAIはテクノロジー業界のサンタクロースのように見え始めている。オラクルによると、サンタクロースは袋いっぱいのプレゼントと、さらに重要なことに現金を持っているという。
今日知っておくべきこと
ブロードコムがOpenAIに加わる。両社は月曜日、来年末からOpenAIが設計した10ギガワット相当のチップの開発・導入を計画していると発表した。ブロードコムの株価
このニュースを受けて株価は10%近く上昇した。
中国が韓国企業への締め付けを強化している。ハンファ・オーシャンの米国子会社5社が火曜日に北京の制裁対象リストに追加され、同社の株価は急落した。これらの子会社は、米国による中国海運業界への調査に関与しているとされている。
タタ・グループの傘下企業がiPhoneサプライヤーを買収。フォックスコンに設備を供給する中国の産業企業、ジャステック・プレシジョンのインド法人が、 タタ・グループのタイタン・エンジニアリング・アンド・オートメーションに約1億ドルで買収されたと、2つの情報筋が報じた。
米国株は反発した。月曜日、米国では主要株価指数が金曜日の下落分を一部取り戻した。アジア太平洋市場は火曜日、まちまちだった。LGエレクトロニクス・インドの株価は上場初日に45%以上急騰し、親会社の時価総額を上回った。
[PRO] 欧州セクターは貿易戦争の影響を比較的受けにくい。欧州はトランプ大統領の最新の関税の対象ではないものの、米ドル安は欧州の輸出に影響を及ぼす可能性がある。UBS
注目すべきセクターを除いた、その影響からより保護されている 3 つのセクターを選択します。
米国はアルゼンチンに対し、異例の救済策を講じた。その意味とは?
スコット・ベセント財務長官が木曜日にソーシャルメディアサイトXで発表した動きによると 、米国はアルゼンチン中央銀行と200億ドルの通貨スワップラインを提供する。これは実質的に、安定した米ドルと変動の激しいペソを交換するものである。
この動きは、アルゼンチンが重要な中間選挙を控え、流動性不安が国の安定を脅かす中で行われた。この事業には経済的利害と政治的利害が等しく絡んでおり、1995年のメキシコ救済以来、米国によるこの種の介入は初めてとなる。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
人工知能インフラへの支出急増はGDPを押し上げ、市場の楽観論を牽引しているが、一部の専門家は、このブームが根本的な経済の弱さを隠している可能性があると警告している。
UBSによると、世界のAI投資は2025年に3,750億ドルに達し、2026年には5,000億ドルを超えると予測されています。この資本の急増は、経済全体における資金の流れ方と場所を変革しています。
「これは第4次産業革命の構築に何兆ドルも費やされる始まりだ」とウェドブッシュ・セキュリティーズのマネージング・ディレクター、ダン・アイブス氏は語った。
「大手テック企業は今、1950年代に砂だけだった場所にラスベガスを建設したのと同じようなことをしています。30年前のドバイも同様です。チップからデータセンター、そして送電網に至るまで、AIインフラの構築はまさにそれです。まさに消費者と企業のための未来の経済を構築しているのです」と彼は付け加えた。
しかし、AI主導の勢いが持続可能かどうかについては懐疑的な専門家もいる。
ドイツ銀行の2025年9月の分析では、AI関連の投資がなければ、米国経済はすでに不況に陥っている可能性があると主張した。
「GDPはこうした投資によって牽引されている」と、アイアンサイド・マクロエコノミクスのマネージングパートナー、バリー・ナップ氏は述べた。「利益成長もこうした投資によって牽引されている。S&P500指数は…現在、かなりアンバランスな状態にある。そして、政府支出が前例のないレベルにまで膨れ上がった今、投資破綻の脆弱性が生じているのだ。」
多くの人が、この状況を90年代後半のドットコムバブルに例えています。企業の収益がほとんどなかったドットコムバブルとは異なり、今日のAI大手企業の多くは多額の資金を調達しています。しかし、一部の専門家は、高水準の支出を維持するには不十分ではないかと懸念しています。一部の企業は、インフラ拡張の資金調達のため、債券市場に目を向け、後で返済する予定の債券を発行しています。オラクル、Meta、CoreWeaveは、それぞれ数十億ドル規模の負債または民間融資によって、新しいデータセンターインフラの資金調達に成功しています。
「このインフラを構築し、国民の電気料金が上がり続けるのを避けるためには、どれだけの資本が必要になるかという信じられないほどの見積もりの残りを検討していくと、長期的には多額の負債が必要になるだろう」とナップ氏は語った。
「労働市場は非常に弱く見える」と彼は付け加えた。「より顕著な落ち込みの瀬戸際にある」
リスクがあるにもかかわらず、多くの人は現在の投資サイクルから長期的な上昇を期待しており、強気な投資家は楽観的な見方を保っている。
「道のりに困難はあるだろうか? ああ、そうだ。だが、テクノロジーに支えられていることを考えると、破綻しないほど巨大だとは思わない。バランスシートには数兆ドルもの資産があり、年間3000億ドルから4000億ドルのキャッシュを生み出している」とアイブズ氏は述べた。
「現実は、米国と中国の間で軍拡競争が繰り広げられているようなものです」とアイブス氏は付け加えた。「中国も同様に加速しているため、米国には減速する時間がありません。これは、私がAIスーパーサイクルと捉えている設備投資サイクルの観点から見て、強気な兆候だと思います。」
アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、オラクルが来年、AMDの次世代チップ「MI450」を導入すると明らかにした。AMDは、人工知能(AI)向け半導体でエヌビディアの最大のライバル。
14日の発表によると、オラクルは2026年7-9月(第3四半期)から、データセンター向けコンピューターにMI450を5万基搭載する。このシステムには、AMD製のプロセッサーとネットワーク部品が組み込まれる。
大手テクノロジー企業やAI関連企業は、インフラ拡充を目指して大型投資を進めている。各社とも、急増するAIサービス需要への対応を競い合っている状況だ。
同社は、AIプロセッサー分野で支配的地位を占めるエヌビディアに代わる有力な選択肢となることを目指している。
オラクルとAMDは搭載完了の時期については明示していないが、27年以降も拡張が続く見込みだとしている。またAMDの総供給量のうち、オラクル向けがどの程度を占めるのかについても説明していない。
AMDは先に、オープンAIとAIインフラ構築に関する契約を締結。発表によれば、オープンAIは、今後数年にわたり合計6ギガワット規模のAMD製画像処理半導体(GPU)を導入する計画だ。
Google CloudのCEO、トーマス・クリアン氏は火曜日のイベントで、同社はインド南部に新たな人工知能ハブのためのデータセンター建設に150億ドルを投資すると発表した。
この投資は今後5年間にわたって展開され、米国以外ではグーグル最大のAIハブとなるだろうとクリアン氏は付け加えた。
月曜日早朝、インドのアーンドラ・プラデーシュ州の人材開発大臣ナラ・ロケシュ氏は、1ギガワットのプロジェクトの費用を100億ドルと見積もった。
ロケシュ氏はソーシャルメディアプラットフォームXへの 投稿で、この契約は「1年間の熱心な議論とたゆまぬ努力」の末に成立したものであり、「これは始まりに過ぎない」と述べた。
インドのメディア「エコノミック・タイムズ」は以前、この投資はグーグルのインド子会社ライデン・インフォテックが行う予定で、同社はヴィシャーカパトナム市内に3つのキャンパスを開発する予定だと報じていた。
ETが火曜日に報じた別の報道によると、州当局は今後3年間でこうしたプロジェクトへの注力を強化し、州のコンピューティング能力を大幅に拡大する計画だという。
AIサービスの人気が高まるにつれ、企業はクラウドサービスに対する世界的な需要の高まりに対応するため、インフラへの投資を強化している。
グーグルは7月の第2四半期決算で 、2025年の設備投資予想額を2月の750億ドルから850億ドルに引き上げた。これは「当社のクラウド製品とサービスに対する強い需要と成長」によるものだ。
同月、同社はまた、今後2年間で米国最大の電力網を持つ州において、データセンターと人工知能インフラに250億ドルを投資する計画を発表した。
インドは、国内のクラウドおよび AI インフラへの投資に、マイクロソフトやAWSなどの多国籍企業をますます誘致している。
●その他
備忘録(2025/10/13)
●企業
自動運転技術に特化した英国の人工知能(AI)スタートアップ企業、ウェイブ・テクノロジーズが、最大20億ドル(約3040億円)の資金調達をめぐり米マイクロソフトとソフトバンクグループと協議中だと、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。
FTは事情に詳しい匿名の関係者の話を基に、今回の資金調達でウェイブの評価額は約80億ドルに達する可能性があると伝えた。
ウェイブは英国を代表するAIスタートアップの一つで、2024年にはマイクロソフトやソフトバンクを含む投資家グループから10億ドル超を調達している。現在はウーバー・テクノロジーズと共同で、ロンドンでのロボタクシーの試験運行を準備中だ。
ウェイブ、マイクロソフト、ソフトバンクの担当者は、ブルームバーグのコメント要請に対し、現時点で応じていない。
オランダ政府は、世界的な貿易摩擦が高まる中、欧州で十分な半導体供給が確保されるよう異例の措置として、オランダに拠点を置く中国系半導体メーカー、ネクスペリア社の経営権を掌握した。
中国のウィングテック・テクノロジーの子会社であるネクスペリア
は、自動車、家電製品、その他の業界で使用されるチップの大量生産を専門としており、欧州の技術サプライチェーンの維持に不可欠です。
オランダ経済大臣は日曜の夜、「緊急時にネクスペリア社が生産する商品(完成品および半製品)が入手不能となる事態を防ぐため」、9月に同社に対して「商品供給法」を発動したことを明らかにした。
ハーグからの発表を受けて、ウィングテックの株価は上海証券取引所で一日の制限値である10%下落した。
物品入手可能性法は、緊急事態に備えて重要な物品の入手可能性を確保するためハーグが民間企業に介入することを認めており、同法の適用は米中貿易戦争の激化の中で行われている。
政府の声明では、この「極めて異例な」措置は、同省がネクスペリア社内で「深刻なガバナンスの欠陥と行動に関する最近の深刻な兆候」を観察したことを受けて行われたとしている。
「これらのシグナルは、オランダと欧州の領土における重要な技術的知識と能力の継続と保護に対する脅威となった。これらの能力の喪失は、オランダと欧州の経済安全保障にリスクをもたらす可能性がある」と報告書は述べ、自動車産業が特に脆弱であると指摘した。
ガバナンスの変化
グーグル翻訳によると、ウィングテックは上海証券取引所に提出した10月13日付の企業文書の中で、ネクスペリアが一時的に外部管理下に置かれ、同社の資産、事業、人員に対する変更を最大1年間停止するよう求められたことを確認した。
提出書類によると、ウィングテックの張学正会長は、大臣の命令を受けて、ネクスペリア・ホールディングスの執行取締役とネクスペリアの社外取締役の役職を直ちに停止された。
提出書類には、ネクスペリア社の日常業務は継続されるが、措置の影響はまだ定量化できないと付け加えられている。
「オランダ政府が『国家安全保障』を口実にネクスペリア社の世界的な事業を凍結するという決定は、事実に基づくリスク評価ではなく、地政学的な偏りによる過剰な介入に当たる」とウィングテックは削除されたウィーチャットの投稿で述べた。この投稿は中国の政策ブログ「ペキンノロジー」によってアーカイブされ、翻訳された。
同社はさらに、2019年にネクスペリアを買収して以来、ウィングテックは「事業を展開するすべての管轄区域の法律と規制を厳格に遵守し、透明性のある事業運営と健全なガバナンスを維持している」と述べ、オランダ、ドイツ、英国の研究開発および製造拠点を通じて「数千人の現地スタッフ」を雇用しているとした。
ネクスペリア社の広報担当者はCNBCに対し、同社はそれ以上のコメントはないが、「既存のすべての法律や規制、輸出管理、制裁制度を遵守している」と述べ、関係当局と定期的に連絡を取り合っていると語った。
オランダの動きは、中国政府が木曜日に希土類元素と磁石の輸出規制 を強化したことを受けてのもので、欧州の自動車産業に影響を及ぼす可能性がある。
また、オランダ企業ASMLによる高度な半導体製造装置の中国への輸出が何年も制限されてきたことを受けて、今回の動きは中国とオランダの貿易関係をさらに緊張させる可能性もある。
2023年、オランダはネクスペリアによる半導体スタートアップ企業ノウィの買収提案も調査していたが、取引は後に承認された。
●マクロ
中国の輸出が9月に増加し、伸び率は半年ぶりの大きさとなった。米国との新たな貿易戦争の中、中国政府には追い風となる底堅さを示した。
税関総署が13日発表した9月の輸出はドルベースで前年同月比8.3%増と、エコノミスト予想中央値の6.6%増を上回った。
対米輸出は前年同月比27%減少。これで6カ月連続の2桁減となった。
一方、輸入は前年同月比7.4%増加。予想は1.8%増だった。貿易黒字は905億ドル(約13兆7500億円)となった。
ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏は「米関税にもかかわらず、中国の輸出は底堅さを維持している。これは輸出先の分散と強い競争力によるものだ」と指摘。「これまでのところ、米関税の貿易全般への影響は限定的で、これが中国に対米貿易交渉でより強硬な姿勢を取る後押しとなっている可能性がある」と述べた。
中国企業は米関税の引き上げに対応し、代替市場を開拓したり、間接的に米国へ製品を送ったりしている。
9月の欧州連合(EU)向け輸出は14%を超える伸びとなり、ここ3年余りで最も大きくなった。対アフリカ輸出は56%増、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けが約16%増だった。
トランプ米大統領は対中追加関税を示唆しているが、米国以外の市場で需要が強く、中国企業への影響はその分小さくなる可能性がある。輸出の拡大はデフレ圧力にさらされ、不動産の需要と価格の低迷に苦しむ中国の国内経済にも追い風となっている。
オランダ政府は、同国を拠点とするが中国企業の傘下にある半導体メーカー、ネクスペリアを接収した。欧州がネクスペリアの技術への自由なアクセスを確実に維持できるよう冷戦時代の緊急事態条項を活用したが、中国政府の報復を招く恐れがある。
ネクスペリアは自動車や家電業界向けの主要なサプライヤー。中国の電子通信機器メーカー、聞泰科技(ウィングテック・テクノロジー)が保有している。
だが、オランダの裁判所が9月30日付で、非常時に重要な物資へのアクセスを確保するため定められた物資利用法を発動したため、政府は今回の措置をとった。物資利用法の一部は70年余り前の冷戦時代に制定された。
オランダ政府は12日遅くに発表した声明で、「ネクスペリアの製品が非常時に利用できなくなる事態を防ぐための決定だ」と接収について説明した。声明では触れていないものの、中国と米国およびその同盟国との間で、貿易摩擦が強まっていることも背景にありそうだ。
米国は9月、ブラックリスト掲載企業の子会社にも制裁を科し、重要産業における中国系企業に対する締め付けを強めていた。一方、中国は先週、レアアース(希土類)に関する輸出規制を強化した。
ウィングテックはオランダの対応を過剰で、地政学的な偏見に基づいていると非難。「中国企業を標的にした差別的な扱いに、強く抗議する」と中国のソーシャルメディア、微信(ウィーチャット)に13日発表文を掲載。オランダ政府に決定を取り消すよう求める一方で、あらゆる法的・外交的手段に既に着手したと明らかにした。
ウィングテックは米アップルなどの電子機器メーカーに部品を供給しているが、昨年12月に当時のバイデン政権によって事実上の禁輸リストである「エンティティーリスト」に加えられた。
オランダ政府の接収を受け、ウィングテック株価は13日の上海市場で値幅制限下限の10%安に沈んだ。
北京 — 週末の米国と中国の間の緊張の高まりは、世界の二大経済大国を隔てる不信感の深まりを浮き彫りにしている。
中国は水曜日にゴールデンウィークの連休を終えてから2日間で、希土類元素の輸出を制限する新たな枠組みを発表し、さらに多くの米国企業をブラックリストに掲載し、米国関連の船舶に中国の港での入港料を課した。
その後、ドナルド・トランプ米大統領は中国製品への関税を100%引き上げると警告し、北京はレアアース規制は「正当な」措置だと主張した。
マッコーリー銀行の中国担当チーフエコノミスト、ラリー・フー氏は月曜日のメモで「緊張の根本的な原因は相互信頼の欠如だ」と述べた。
「6月のロンドン協議で、両国は『レアアースとテクノロジーの交換』を盛り込んだ取引に合意しました」と彼は述べた。「当然のことながら、相手が誠意を持って行動していると認識すると、両国とも裏切られたと感じてしまうのです。」
胡氏は、貿易摩擦の激化は双方の「誤解」の結果だと述べた。胡氏と他のアナリストは、双方が物事を異なる視点で見ているとどのように述べているか、以下にまとめた。
中国政府は、9月29日に発表された米国の新規則に対応する必要があると感じているのかもしれない。この規則は、輸出規制の対象範囲を米国のリストに載る企業の過半数所有子会社にまで拡大するものだ。一方、ワシントンはこの変更を技術的な調整と捉えた可能性が高い。
その一方で、北京はレアアース規制を、ハイエンド技術への中国のアクセスを制限しようとするワシントンの広範囲にわたる取り組みを模倣したものと見ているかもしれない。一方、米国は、この規制は両国大統領の潜在的な会談を前に交渉に有利な立場を築くことを目的とした交渉戦略であると認識している。
米国の半導体メーカーが危機に瀕している
金曜日の株式市場の急落に一部反映されているように、企業には明らかな影響がある。
「新たな規制案には、製品価格の少なくとも0.1%相当の中国産レアアースを含む製品を世界中に輸出する場合、企業は中国商務省からライセンスを取得する必要があるという規則があります」と、テネオのマネージングディレクター、ガブリエル・ウィルダウ氏は土曜日のメモで述べた。「理論上、この規則により、NVIDIA、TSMC、Intelなどの企業は、米国内で製品を販売するために中国の規制当局から許可を取得することを余儀なくされる可能性があります。」
ウィルダウ氏は、「この中国の規則は、米国商務省の『外国直接製品規則』をモデルにしており、製品がどこで生産されたかに関係なく、米国起源の技術で作られたすべての製品にライセンス要件を課す」と指摘した。
中国株は月曜日、米国株市場の下落を受けて下落したが、緊張が当初懸念されていたほど悪くなかったとの期待から米国株先物は反発した。
「市場が注目している特定の出来事に関しては、双方が短期的な解決策を見つけるために交渉のテーブルに戻る可能性は依然としてある。しかし、それは永続的な解決策にはならないだろう」と、ナティクシスのグレーターチャイナ担当シニアエコノミスト、ジャンウェイ・シュー氏は述べた。「両者間の信頼は既に失われている」
トランプ大統領は、10月末に韓国で開催されるAPEC首脳会議で中国の習近平国家主席と会談する意向を示している。中国側は、この計画についてまだ確認も否定もしていない。
中国社会科学院アメリカ研究所の研究員、劉衛東氏は、両国首脳の会談が予定されているにもかかわらず、米国は中国への圧力を維持するだろうというのが中国国内の見方だと述べた。
「歴史は米国の圧力が効果がなく、米中間の対立関係をさらに深めるだけだということを示している」と劉氏はCNBCが翻訳したコメントで述べた。
同氏は、最新の希土類元素規制は、中国が「非友好的」な外国企業には警告する一方で他の企業を歓迎する努力の表れであり、「適度で制御された対抗措置」を通じて二国間の安定を維持しようとする試みであると述べた。
トランプ大統領と習近平国家主席は先月電話で会談したが、1月に大統領が就任して以来、直接会談したことはない。トランプ大統領は来年中国を訪問する可能性を示唆しており、その後習近平国家主席が米国を訪問するだろう。
野村の中国担当チーフエコノミスト、ティン・ルー氏は、発表された措置の一部発効日は韓国でのAPEC首脳会議後に設定されており、両国はまだ交渉中だと述べた。
「緊張が高まるにもかかわらず、タイムラインが戦略的な緩衝材となるため、外交的解決の機会は残っている。トランプ大統領が11月1日に予定している関税発動は、北京の希土類輸出制限期限である12月1日よりも1か月も早い。」
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
平将明デジタル相は12日のTBS番組で、米オープンAIの動画生成AI(人工知能)サービス「Sora2」に対して著作権侵害の懸念が出ていることへの対応を説明した。同社に対し、事前に同意を得る「オプトイン」の方式をとるよう要請していると明らかにした。
現在は著作権者がキャラクターなどの無断使用を拒否しない限り表示を続ける「オプトアウト」の方式となっている。
Soraは文章で指示すると簡単に動画を作成できる。最新版のSora2をめぐっては「ポケットモンスター」など日本のアニメキャラクターに酷似した動画が作成されていることが問題視されていた。
オープンAIは3日、著作権に配慮した修正を施す方針を表明した。
平氏は7日の記者会見で、オープンAIと直接やりとりしているとしたうえで「(同社に)自主的な対応を強く求め、改善されない場合は政府としての対応を検討する」と述べていた。
NTTデータグループがイタリア・ミラノで整備するデータセンター(DC)の投資規模が、2000億円規模に達するとみられることがわかった。イタリア政府などが管轄する「イタリア館」が13日の大阪・関西万博閉幕に伴い、日本企業による対イタリア投資の具体例として示した。
NTTデータGは傘下のDC運営会社を通じて、ミラノ地域に約21万平方メートルの用地を取得済みだ。拠点の規模は電力容量ベースで128メガ(メガは100万)ワットを想定している。同社はミラノのDCを、南欧州地域に向けた生成AI(人工知能)サービスやクラウドサービスの提供拠点と位置付ける。大手テック企業などの利用を狙う。
イタリアのデータG関連企業の幹部によると、欧州におけるDC投資は電力容量1メガワット当たり約1000万ユーロ(約18億円)が一般的にかかるとされる。イタリア館はNTTデータGによるミラノのDC投資額を約12億8000万ユーロと見積もった。
NTTデータGはDC事業で米国のエクイニクスとデジタル・リアルティ・トラストに次ぐ世界3位に付ける。生成AIの普及に伴う需要急増を受け、2027年までにDC関連に100億ドル(約1兆5000億円)以上を投じる方針を掲げている。ミラノへの投資もその一環となる。
NTTデータGは日本経済新聞の取材に「地域や拠点ごとの投資額はかねて明らかにしていない」としている。
●その他
備忘録(2025/10/10-12)
●企業
●マクロ
トランプ米大統領が政府機関閉鎖中の10日に打ち出した恒久的な人員削減の命令は、民主党の根深い不信感を一層強める結果となり、すでに米国史上4番目の長さとなっている今回の政府機関閉鎖が長期化するリスクをさらに高めている。
民主党の重鎮マリー上院議員は、行政管理予算局(OMB)のボート局長が発表した今回の解雇について、違法だと非難。1月にトランプ氏が政権復帰して以来、予算法を無視してきた政権にとっては「何ら目新しいことではない」と批判した。
マリー議員は10日、「こんな不正直な者たちに脅されるべきではない」と語気を強め、「政府機関を再開させるには妥協が必要。それはすべての米国人が理解している単純な概念であり、どれだけ脅してもそれを変えることはできない」と断じた。
今回の政府機関閉鎖は、党派間の協調がすっかり失われた現在の連邦議会の雰囲気を最も端的に表している。1月にトランプ氏が政権に復帰して以来、大統領令を通じて大量解雇の命令や数十億ドル規模の歳出削減などを強行し、民主党とその優先課題を踏みにじってきた。
議会共和党も民主党をほとんど無視しており、超党派協議を経ずに一方的な歳出・減税法案を可決。政府予算の協議に関しても、期限の前日になるまで民主党指導部との協議に応じてこなかった。
民主党は今回の予算協議を、政権奪還に向けた初の本格的な交渉の場と捉えており、来年の中間選挙に向けて有権者の関心が高い家計直結の課題、すなわち医療費の抑制を最優先事項に据えている。
今年すでに、トランプ氏とボート局長は数百億ドル規模の民主党優先支出を削減しており、3月の政府閉鎖回避の際にシューマー院内総務を含む民主党上院議員が協力票を投じたにもかかわらず、その結果がこれだと不満を強めている。
フィリバスター
上院民主党は、政府再開を妨げているフィリバスター(議事妨害)について、将来的な協議の約束だけで解除するつもりはないと断言。医療保険制度改革に関する具体的な交渉、特に来年1月で期限切れとなる医療保険補助金の延長を、前提条件として求めている。
すでに上院では、民主党によるフィリバスターを打破しようとする試みが7回失敗に終わっており、次の採決は14日に予定されている。
一方、ジョンソン下院議長が下院を無期限休会にした判断は、民主党の反発をさらに強めた。これは民主党に譲歩を迫る圧力とみられているが、その間にも連邦職員は給与を受け取れず、軍人も15日の支給日に間に合わない恐れが出ている。
トランプ氏は11日、政府閉鎖中であっても15日に軍人への給与を支給するための予算を確保したと表明したが、すべての軍人に対して十分な資金があるのか、あるいは法的権限があるのかは明らかになっていない。
ジョンソン下院議長やスーン上院院内総務ら共和党指導部は、低所得の女性や子どもを支援するプログラムの資金が底を尽きかけており、重要な政府機能が危機にひんしていると警告。こうした事態の責任は、民主党の議事妨害にあると主張している。
民主党は、数百万人の医療保険を守るよりも政府閉鎖を続けることを優先しているのは共和党とトランプ氏の方だと反論している。
実際、医療保険補助金の受給者の多くはトランプ氏が勝利した州に住んでおり、数百万人が保険料急増の通知を受け取っている。月額で数千ドル増加するケースもあるという。
さらに、トランプ氏とボート局長は、議会の承認を得ずに大規模な歳出削減を行えると主張しており、現行法と矛盾するその姿勢が、民主党の不信感を一層強めている。
過去の政府閉鎖の例を見れば、最終的に民主党が折れる可能性は高い。それでも今回は、民主党が医療政策を前面に押し出し、来年の中間選挙での争点に据える構えを見せており、さらに共和党内の足並みの乱れも浮き彫りになっている。特にグリーン下院議員が党指導部と一線を画し、医療制度改革を求めたことは象徴的だ。
一方で、グリーン氏を含む一部の共和党議員は、議事妨害を終わらせる60票ルールの撤廃、いわゆる「核オプション」の検討に言及し始めている。このルールを撤廃すれば、民主党の協力なしに政府再開が可能となる。
共和党は数週間前、トランプ氏の指名人事を迅速に承認するため、すでに一部の手続きを変更したばかりだが、立法手続きでフィリバスターを撤廃すれば、米国の政治制度の根底を揺るがす可能性がある。共和党内でも、こうした動きが将来的に自らに跳ね返ってくることを懸念する声は多い。
ジョンソン下院議長も9日、フィリバスター撤廃について、いずれ社会主義者に権限を与える結果になりかねないと懸念を表明した。ただ、この案について話し合いが行われていることを認め、「この政府閉鎖問題はもはや手に負えなくなっている」と述べた。
1996年に金融市場が「根拠なき熱狂」に支配されているかどうかいかに判断するかを世間に問いかけたのは、当時の米連邦準備理事会(FRB)議長だったアラン・グリーンスパン氏だ。この発言をきっかけにその後多くの人は、グリーンスパン氏がITバブルの発生と崩壊を予言した賢者と評価するようになった。
そして今、人工知能(AI)の将来性を巡る期待がエヌビディア(NVDA.O), opens new tab、マイクロソフト(MSFT.O), opens new tab、オラクル(ORCL.N), opens new tabといった巨大IT銘柄のバリュエーションを押し上げ、米国株は何度も最高値を更新する中で、同じような警戒信号が点滅しつつある。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は8日、割高化した株価が大きく調整する可能性が世界経済にもたらすリスクに警鐘を鳴らした。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)も、今後半年から2年以内に米国株の大幅調整が起きるリスクが高まっているとの見方を示した。
シーバート・ファイナンシャルのマーク・マレク最高投資責任者は「ダイモン氏は現代のグリーンスパン氏のようだ」と評する。
1996年12月に開かれた夕食会でグリーンスパン氏は、一見無害に思える修辞的な問いかけとして「資産価値が不当に高騰している際に、われわれはどうやって『根拠なき熱狂』を把握できるのだろうか」と語った。
市場は即時に反応し、アジア株が3%下落したのを皮切りに、欧州株も下げ、翌朝のS&P総合500種の下落率は2%となった。
ところが数日のうちにこれらの値下がりは帳消しにされ、数週間が経過すると株価は完全に戻しただけでなく、グリーンスパン氏の発言時点より10%も高い水準で推移。結局ITバブルがはじけ、グリーンスパン氏が不気味なほど鋭い予知能力を持つとの評判を得るまでに3年余りがかかった。もっともこの間、グリーンスパン氏の警告を真剣に受け止めた投資家は、100%を超えるリターンを逃したことになる。
<1972年と1999年のブレンド>
LSEGデータストリームによると、足元のS&P総合500種(.SPX), opens new tab銘柄の12カ月予想利益に基づく株価収益率(PER)は約23倍と、ここ5年の最高水準に近く、過去10年平均の18.7倍を大きく上回っている。これに対して1999年と2000年のPERは25倍前後だった。
S&Pの情報技術株(.SPLRCT), opens new tabのPERは30倍で、やはり長期平均の21.4倍より高いが、ITバブル当時は一時48倍まで跳ね上がった。
サーマヤ・パートナーズのワシフ・ラティフ最高投資責任者は、足元のバリュエーションについて、ITバブル破裂直前の1990年代後半の状況と、投資家が特定の大型成長株50銘柄(ニフティー・フィフティー)を追い求めた1970年代前半の状況が混ざり合っているとの見方を示した。
ラティフ氏は、超大型7銘柄「マグニフィセント7」とS&P総合500種の時価総額上位10銘柄は「今の市場において同じようなオーラをまとっているように見える」と述べ、1972年の市場が1999年のように浮かれているようなものだと説明した。
現在のオプション市場では、強気取引の大半は高成長のテック銘柄、とりわけAI投資に関連する銘柄に集中している。
BNPパリバの米国株・デリバティブ戦略責任者を務めるグレッグ・ブートル氏は「この話の核心は、市場参加者がテック銘柄の上値を追っているということだ」と言い切った。
マレク氏は「(1996年の)われわれは市場で起きている現実が全く見えなくなっていた。一部の人は、今われわれが同じ状態に置かれていると主張している」と不安を口にする。
ただ楽観的な見通しを崩さない投資家もいる。ゴールドマン・サックスのアナリストチームは、過去を振り返るとバブルは革新的な技術を巡って醸成される熱狂に主導されるが、現在の株高は事情が違うと分析。その理由として「根拠のない思惑ではなく基調的な成長」に後押しされ、既に足場がしっかりしている幾つかの既存企業がAI分野を牛耳っている点を挙げた。
ネーションワイドのチーフ市場ストラテジスト、マーク・ハケット氏は、機関投資家の株式保有は拡大しているとはいえまだ中立的な水準だし、個人投資家は現金よりも債券や短期市場により多くの資金を振り向けているという事実も、根拠なき熱狂の妥当性を弱める要因だと言及した。
ハケット氏は「われわれは(投資家に)慢心の兆しがないか注視しているが見当たらず、今回は歴史上最も愛されていない強気相場との考えを強めつつある」と述べた。
B・ライリー・ウエルスの市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は、今を1996年になぞらえるのは複数の点で的を射ていないと強調。「現在の『革命』をけん引する企業はAIが市場の話題を独占する前から存在し、相当な事業と成長の実績があった。これらのバリュエーションが常軌を逸しているわけではない」と話した。
96年当時テック株を専門とするトレーダーとして、ITバブルが爆発的に広がっていく様子を目にしていたのがホーガン氏だった。
フランスの極右政党、国民連合(RN)が昨年の国民議会(下院)選挙で過半数議席獲得に失敗した後、指導者のマリーヌ・ルペン氏は、RNが勝利する時期が単に先送りされただけだと豪語した。
それから1年3カ月が経過してフランス政治が慢性的な危機状態に陥り、マクロン大統領が何とかして再選挙を避けようと苦闘する中で、ルペン氏とRNはいよいよ「その時」が近づいてきたと感じている。
主流政党から排除され続けているRNは、政局の混乱がもたらす弊害による最大の受益者。危機が進んでいくのを傍観できるため、不満を抱える有権者を取り込むことが可能だ。
<世論調査で優勢>
右派のニュース専門チャンネル「CNEWS」のためにオピニオンウェイが8日行った世論調査によると、再び国民議会選挙が実施された際に第1回投票でRNに入れると答えた人は全体の約35%と、再結成を想定した場合の左派連合の10%を大きく上回った。
RNの支持率は昨年の選挙前よりわずかに高いだけで、有権者の動きが劇的に変わったとは言いがたい。それでもRNは、マクロン氏が解散総選挙を宣言すれば、過半数か過半数近くの議席を得られると信じている。
その理由は、昨年主要政党がRNの政権獲得を阻止するために結んだ選挙協力協定が、党派間の激しい対立を経て、もはや効力を失おうとしていることにある。社会党と極左政党「不屈のフランス」による左派連合は崩壊し、中道派と保守派の「共通基盤」も風前の灯火になった。
マクロン氏は次期首相を今週中に任命する方針だが、次期内閣が無事存続できる保証は乏しい。複数の専門家の話では、ルペン氏が繰り返し求めている数週間中の解散総選挙が実現する可能性は決して排除できないという。
ルペン氏は、RNが過半数に程遠い議席にとどまれば政権を目指さないが、過半数に迫ればほかの政党から議員を引き抜く多数派工作に乗り出す構え。最も「草刈場」になりそうなのは、保守派の共和党とみられる。
RNは何カ月もかけて候補者選定も入念に進めている。昨年の選挙で党勢を失速させた反ユダヤ主義やイスラム恐怖主義、人種差別主義などの候補者を擁立するのを避けたいからだ。
所属議員のジュリアン・オドゥール氏はロイターに「目標は過半数を確保し、国民に納得してもらい、われわれの政策が早急な成果を生み出すとともに(極右アレルギーは)解毒が可能だと証明することだ」と語った。
<政権担う準備整う>
かつて反ユダヤ主義や人種差別主義の代名詞だったRNは、2017年以降、フランス社会で移民への反感が強まるのに伴って、またルペン氏が組織のてこ入れを図る中で着実に勢力を伸ばしてきた。多くの国民はなおRNにアレルギーを持っているが、RN自体は政権を担う体制が整ったとみている。
ただRNの政権が誕生したとしても、ルペン氏がそこでどのような役割を果たすかはまだ分からない。ルペン氏は今年3月、公金不正流用罪に問われた裁判で公職立候補の権利(被選挙権)の5年間停止を命じられ、2027年大統領選への出馬を事実上禁止された。ルペン氏側が不服として控訴しており、来年夏までには裁判所の判断が示される見通し。
そのためマクロン氏が解散総選挙に動いても、ルペン氏が国民議会に再出馬できないのはほぼ確実だ。ただ議席を得られなくても、政治的影響力が衰える公算は乏しい。
<バルデラ氏でイメージ刷新できるか>
控訴審でもルペン氏の有罪が認定され、27年大統領選に出馬できなくなれば、代わりに30歳の若さで党首を務めるジョルダン・バルデラ氏が大統領候補になる、とルペン氏は明言している。
この展開はRNにとって悪い話ではないかもしれない。ルペン氏の場合はどうしても父親、故ジャン・マリー氏の印象がつきまとう。ジャン・マリー氏はRNの前身、国民戦線の創設者で、人種差別発言などで複数回有罪判決を受けた。
こうした「負の遺産」が響き、過去2回の大統領選決選投票でRNが敗北する結果につながったと言える。
トルーナの世論調査では、大統領選第1回投票でバルデラ氏に入れると答えた有権者の割合は35%、ルペン氏との回答は34%で、5月の前回調査からバルデラ氏が5ポイント上昇したのに対して、ルペン氏は3ポイント上昇にとどまった。
イタリア移民の息子でパリ近郊の貧しい地域で育ったバルデラ氏は、RNの人気を高めている。従来は高齢層や中間層、岩盤保守層が支持していたRNに、インフレで痛めつけられ、雇用不安を抱える若者やブルーカラー層も呼び込んでいる。
9日に米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループの経営破綻を巡って、米司法省が調査を始めたことが9日、分かった。事情に詳しい情報筋がロイターに明らかにした。
この関係者によると、司法省はファースト・ブランズと債権者との取引について調査しており、ファースト・ブランズに対して照会状を送った。調査は初期段階にあり、米当局が多くの投資家に影響を与える損失を公表した企業を調査するのは一般的であり、現時点で不正行為の証拠は確認されていないと説明した。
また、本格的な調査に発展して立件するとは限らないとしている。
ファースト・ブランズは自動車向けのフィルターやブレーキ、照明システムを製造しており、同社の財務報告の不正について調査を始めたことを受けて破産法第11条の適用を申請した。裁判所に提出された種類によると、負債総額は116億ドルに上る。
ファースト・ブランズ関連の債権保有者には、傘下ファンド「ルーカディア・アセット・マネジメント」を通じて約7億1500万ドルを抱える米投資銀行ジェフリーズ(JEF.N), opens new tab、5億ドル超と推計しているスイスの金融大手UBS(UBSG.S), opens new tabなどが含まれる。
トランプ米大統領は9日、北大西洋条約機構(NATO)がスペインを加盟国から除名することを検討すべきという考えを示唆した。
NATOは6月、トランプ大統領の要求を受け、加盟国の国防支出目標を国内総生産(GDP)の5%に大幅に引き上げることで合意。しかしスペインのサンチェス首相は、GDPの2%という現在の国防費目標が「十分かつ現実的」と主張した。
トランプ大統領は、訪米中のフィンランドのストゥブ大統領との会談冒頭、欧州の首脳らはNATOへのコミットメント強化に向け、スペインを説得する必要があると述べた。
その上で「スペインには国防支出を引き上げられない言い訳の余地はないが、それならそれで構わない。率直に言って、NATOから排除すべきかもしれない」と述べた。
トランプ米大統領は10日、中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げることを検討していると警告し、月内に予定していた中国の習近平国家主席と会談する「理由はない」と述べた。
トランプ大統領は、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に、中国がレアアース(希土類)に関連するあらゆる生産要素に輸出規制を課す計画という書簡を世界各国に送っているとし、中国が世界経済を「人質」に取ろうとしていると反発した。
トランプ氏は「中国が敵対的な『命令』について示す内容によって、私は米大統領として、経済的な対抗措置を取らざるを得なくなるだろう」とし、「現在検討中の政策の一つは、米国に入ってくる中国製品に対する関税の大幅な引き上げだ」と述べた。
その上で、韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ予定されていた習氏との首脳会談について、「今はそうする理由はないようだ」と述べた。
中国は9日、レアアースの輸出管理強化を発表。レアアース関連の加工技術への規制を拡大し、無許可で海外企業と協力することを禁止する。また海外の防衛・半導体関連企業への輸出を制限する方針を明確にした。
トランプ氏の発言を受け、不安定化を招く報復的な貿易戦争が再開する可能性への懸念から、米株式市場では売りが優勢となり、ダウ工業株30種とS&P総合500種は約1%、ナスダック総合は約2%それぞれ下落した。主要通貨に対するドル指数は下落し、安全資産とされる金や米債の買いが膨らんだ。
米シンクタンク「民主主義防衛財団」の中国専門家クレイグ・シングルトン氏は「トランプ氏の投稿は、関税休戦終了の始まりとなる可能性がある」とし、「中国は行き過ぎたようだ」という認識を示した。
中国商務省は12日、同国のレアアース(希土類)輸出規制を巡りトランプ米大統領が中国製品に高水準の追加関税を課すと表明したことを受け、偽善的だと非難した。規制の正当性を主張したが、米国製品への新たな関税導入は見送った。
その上で、「高関税を課すと軽々しく脅すのは中国への正しい対応ではない。関税戦争に関する中国の立場は一貫しており、われわれは戦いたくないが、戦うことを恐れてはいない」と述べ、米国が方針を改めない場合、中国は相応の措置を取ると表明した。
同省は、レアアース輸出規制はスペインのマドリードで先月行われた米中貿易協議以降の一連の米国の措置に沿ったものだと説明。米国の貿易制限リストに中国企業が追加されたことや、中国船に対する入港手数料の徴収を例に挙げ、「これらの行動は中国の利益を著しく損ない、二国間の経済貿易協議の雰囲気を悪化させた。中国はこれらに断固反対する」と述べた。
ただ、米国のこうした行動を重要鉱物の輸出規制と明確に結び付けることは避け、「軍事紛争が頻発している」時期にこれらの金属が軍事用途に利用されることへの懸念が規制の動機となっていると述べた。
世界の産業チェーンとサプライチェーンの安全と安定の確保を強化するため、全ての国と輸出規制に関する対話を深める用意があるとした。
中国は9日、レアアースの輸出管理強化を発表。トランプ氏は10日、中国の措置について「衝撃的だった。貿易で極めて攻撃的な姿勢を取った」と批判し、対抗措置として11月1日付で中国からの輸入品に100%の追加関税を課すと表明した。
各国・地域の中央銀行当局者は既に貿易摩擦や公的債務の拡大を不安視しているが、来週には新たな懸念に直面することになる。市場急落のリスクだ。
人工知能(AI)関連の株式バブルが近く崩壊しかねないとの警告が相次ぐ中、世界の政策当局者と財務相は、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会が開かれるワシントンに集まる。
IMFのゲオルギエワ専務理事は8日の講演で、今後数日間の議論のテーマを先取りする形で金融安定を巡るリスクを認めた。
「バリュエーション(株価評価)は25年前のインターネット熱狂期の水準に向かっている」とし、「もし急激な調整が起きれば、金融環境の引き締まりが世界の成長を押し下げ、脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにし、特に新興国にとって厳しい状況をもたらしかねない」と警告した。
この発言は、2000年10月のIMFの見解よりも踏み込んだ内容と言える。当時、世界経済見通し(WEO)は株価評価が「依然として高水準にある」とし、「無秩序な形で」不均衡が解消に向かう可能性に言及していた。その数カ月後に売りが加速し、米連邦準備制度は0.5ポイントの利下げを余儀なくされた。
トランプ米大統領が再び中国に対する追加関税賦課を表明して株価が下落する以前から、当局者の間では不穏な類似点が指摘されていた。
イングランド銀行(英中央銀行)は「市場で急激な調整」が起きるリスクを警告し、欧州中央銀行(ECB)当局者も懸念を表明した。オーストラリア準備銀行(中央銀行)も今月、脆弱性に言及した。
こうした懸念は既に膨らんでいた。ECB当局者は約1カ月前の政策委員会会合で「突然かつ急激な価格調整」のリスクに関する報告を受けた。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長も9月に市場が「高く評価されている」と述べていた。
10月14日にはIMFの国際金融安定性報告書(GFSR)が公表される。2000年にはなかった報告書だが、今回は例年以上に注目を集めそうだ。WEOの最新版も発表される。
また、IMF会合に出席する主要7カ国(G7)および主要20カ国・地域(G20)の財務相の声明にも目が向けられる見通しだ。各国・地域の政策当局者の発言も注視されるだろう。
このほか、中国とインドの貿易と消費者物価データ、英国の賃金と国内総生産(GDP)統計、さらにストックホルムで13日に予定されるノーベル経済学賞の発表なども注目材料となる。米国ではパウエル議長が14日、経済と金融政策の見通しについて講演する。
世界の半導体サプライチェーンに関わる企業が、米中貿易摩擦の激化による混乱に備えている。中国がレアアース(希土類)輸出規制を強化し、トランプ米大統領が100%の対中追加関税とソフトウエア輸出規制を発表したためだ。
中国のレアアース規制は、半導体産業を直接標的とする初の本格的措置で、AIブームを支える半導体供給が滞る恐れがある。関係者によると、最先端半導体製造装置を手がけるASMLホールディングは数週間の出荷遅延が発生する可能性があるという。
中国は自国産レアアースを微量でも含む素材の輸出に政府承認を義務付け、特定の半導体部品や軍事用途を含むAI研究用部品も対象に含めた。戦略国際問題研究所(CSIS)で重要鉱物を専門とするグレーセリン・バスカラン氏は「これまでで最も厳しい輸出規制だ。中国は世界の企業を従わせる力を持つことを示した」と指摘した。
ASMLやアプライド・マテリアルズの装置は精密レーザーや磁石などレアアースを多く使用しており、影響が懸念される。ジョージタウン大学のジェイコブ・フェルドゴイス氏は、製造工程でレアアース化学品を使う半導体メーカーや装置メーカーが最も打撃を受けるとの見方を示した。
今回の規制を政治的な駆け引きとみる向きもあるが、中国の動きはむしろ米中対立を深めた。トランプ氏は関税を来月から130%に引き上げる方針を示し、レアアース規制を「敵対的な行動」と非難。習近平国家主席との会談中止の可能性にも言及した。
トランプ氏はSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で「中国が世界を人質に取ることは許されない」と主張した。両国は今年春、一時的に関税を緩和し、レアアース輸出を再開することで休戦していたが、対立は再び激化している。
米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスの創業者ダニエル・チュー氏は、投資家に事業を説明する際、中古車販売会社として「エンド・ツー・エンド」モデルを売りとして強調していた。自社で車を販売し、購入者に融資を行い、返済が滞れば即座に車を差し押さえて再び販売するという仕組みだ。
この迅速さと効率性は、高リスク融資に対する投資家の不安を和らげた。こうして同社は長年にわたり、低所得者層向けに車の販売と融資を一括して提供する「バイ・ヒア・ペイ・ヒア」業界の模範とみなされる存在となった。政府もコミュニティーに密着した同社の事業を評価し、トライカラーの融資を裏付けとする債券の多くは格付け機関から高い評価を受けていた。
しかし、その表向きの姿は先月、瞬く間に崩れ去った。トライカラーが突如、破産法の適用を申請したことで、債権者はこれまで健全と信じていた事業モデルの見直しを迫られている。大手金融機関は数十億ドルに上るとみられる債権の回収を急いでいるほか、当局は不正の疑いについて調査を進めている。トライカラーの顧客は宙に浮いた状態に置かれている。
破綻に至った経緯の一部はトライカラー特有の事情によるものだが、透明性や監督が欠如する業界全体の問題も一因で、トライカラーの実態を覆い隠していた可能性がある。格付け会社によると、サブプライム自動車ローンへの旺盛な需要がバイ・ヒア・ペイ・ヒア業者への資金流入を支え続けてきた。トライカラーの同業には、ドライブタイム、バイライダー、アメリカズ・カーマートなどがある。
全米消費者法センターの上級弁護士ジョン・ファン・アルスト氏は「社内ですべて完結している場合、誰かがやり方を監視したり、本気で関心を持ったりする動機が著しく乏しくなる」と話す。
チュー氏は法外な金利で批判の的になりがちな自動車市場の一角において、トライカラーを「良識ある企業」として投資家にアピールしていた。多くの自動車販売店は販売と融資業務を分けているのに対し、トライカラーや同業他社は車の販売と支払いプランの設定を一体で手掛けていた。金利は20%以上に達することも多いが、信用履歴が乏しい、あるいは全くない購入者にとっては、より低い金利の選択肢がほとんどないのが実情だ。
トライカラーはJPモルガン・チェース、バークレイズ、フィフス・サード・バンコープといった銀行大手からの多額の信用枠で融資資金を確保。その後、これらの融資をまとめて証券化し、投資家に販売していた。債券投資家にとっては、トライカラーの統合モデルにより、借り手の返済が滞った場合には迅速な対応が可能だとみられる点は魅力だった。車を差し押さえて再販売することで、不良債権を健全な新たなローンに置き換えることができると受け止められていた。
緩い法規制
米国では、自動車ローン会社が自社のディーラー網を通じて車を差し押さえ、再販売することが認められている。州によって規制の厳しさは異なるが、トライカラーが事業を展開していた地域では比較的緩やかだった。例えば、同社のディーラー店舗が多く集まっていたテキサス州では、車の差し押さえ後に再販売先を明らかにする義務がなく、所有者が車を取り戻そうとしても難しい場合が多い。
差し押さえの時期に関する規則も州によって異なる。テキサス州では、トライカラーは裁判所の命令なしに車を差し押さえることが可能で、その分だけ再販売までの期間を短縮できた。一方、同社が事業を展開していたカリフォルニア州では、差し押さえの前に借り手に15日間の猶予を与え、滞納分の支払いを行う機会を設けることが義務付けられている。
ジョージア大学ロースクールのパメラ・フーヒー教授(破産法)は「自動車販売や自動車ローンの市場には法規制がほとんど存在しない」と指摘。その上で「その両者が交わる部分ではさらに規制が乏しい」と話した。
一方、全米で違法とされている行為もある。例えば、車の所有者が破産手続きを申請し、車の保有を続けようとする場合、貸し手は差し押さえや再販売を行うことはできない。差し押さえた車に対して新たなローンを組む場合は、古いローン契約を完全に清算しなければならない。また、同じローンを複数の債権者への担保に使うことも違法行為だ。
当局や債権者は現在、トライカラーが1台の車に複数のローンを紐付けていた可能性について調査を進めている。初期調査によると、少なくとも2万9000件のローンが、すでに他の債務の担保となっている車に関連していたとみられることが分かった。
破産管財人に任命されたアン・バーンズ氏が裁判所に提出した文書によれば、トライカラーの事業に関する初期調査では「異常な規模」の「広範な不正」が示唆されている。
チュー氏およびバーンズ氏の弁護人は、コメントの要請に応じなかった。
見えない実態
ブルームバーグの取材に応じた会計士や弁護士によると、トライカラーの破綻以前から、監督当局や貸し手が同社の財務状況を把握する手段は限られていた。トライカラーは消費者への融資を行うために、少なくとも3行からオープン型の信用枠を利用していた。この仕組みは一般的かつ効率的であり、トライカラーにとっては銀行に担保資産を毎回精査してもらうことなく、自動車販売の資金を調達できた。
その代償として、銀行側はどの資産が実際にローンの裏付けになっているかをリアルタイムで把握できなかった。専門家によれば、銀行は資金を提供した後、自らのデューデリジェンスの一環として任意のタイミングで監査を実施する権利を持つが、通常は年1-2回程度であり、一律の基準は存在しないという。さらに、銀行側は他の信用枠に担保として差し出された資産の詳細を把握することもできなかった。
自動車販売と融資を一括して手掛けるトライカラーのような企業は、融資をまとめて証券化することが主要な収益源だ。こうした取引を手がける銀行は、証券の担保を確認するために企業に対して一般的なチェックを求めるが、実際に検証されるのは融資全体のごく一部にすぎない。
例えば、デロイト・アンド・トウシュが2024年1月に実施したトライカラーのローン簿の限定的な調査では、約1万4000件のファイルの中から150件を無作為に抽出したのみだった。デロイトはまた、車両および借り手の情報がトライカラーの融資管理データと一致するかを確認する上で、同社の内部資料に依拠していた。
デロイトは米証券取引委員会(SEC)に提出した投資家向け開示資料の中で、トライカラーの資料の正確性または完全性についていかなる表明も行っていないと述べている。
高い格付け
格付け機関も、トライカラーの事業慣行に対して特段の警鐘を鳴らしていなかった。これらの機関は債券の裏付けとなる担保、つまりトライカラーが融資した自動車ローンを分析し、デフォルト(債務不履行)が発生した場合に投資家がどの程度資金を回収できるかを評価している。
S&Pグローバル・レーティングは6月、トライカラーの総額2億1700万ドル(約330億円)の債券ディールを評価し、そのうち少なくとも60%に「AA」の格付けを付与した。これは、S&Pが担当したアメリカズ・カーマートなど、トライカラーの同業他社よりも高い格付けだった。
S&Pのアナリストは当時のレポートで、「契約の有効性や債権回収の慣行が争われた場合、リスクが高まる可能性がある」と指摘。その上でトライカラーが各ローンについて「すべての法律に準拠している」と表明したと述べた。また、同社にコンプライアンス部門が存在していた点をリスクの抑制要因として挙げていた。
トライカラーの破綻や延滞率上昇への懸念を背景に、投資家がリスクを一段と注視し始めている兆しが出ている。9月第1週から10月3日にかけて、自動車ローン証券化商品のスプレッドは約30ベーシスポイント(bp)拡大。一方、信用力の高い借り手向けのプライムローンや学生ローンを裏付けとする証券では、過去10週間にわたりスプレッドはほぼ横ばいとなっている。
農林中央金庫が間接出資する米売掛債権買い取り(ファクタリング)会社が、米自動車部品メーカーの破綻に関連して多額の債権を抱えていることが分かった。経営立て直し中の農林中金にとって新たな試練となる可能性がある。
農林中金と三井物産が大株主であるJA三井リースの完全子会社カツミ・グローバルが、17億5000万ドル(約2700億円)のファースト・ブランズに関連した債権を保有していたことがブルームバーグの報道で明らかになった。同社は先月、米連邦破産法第11条の適用を申請していた。
現時点でJA三井リースやその株主である農林中金などに損失が生じるかは不明だ。農林中金は、金利上昇により収益性の悪化した外国債券の売却で農林中金は前期(2025年3月期)に1兆8000億円に上る純損失を計上。リスク管理体制の再構築に取り組んでいる最中、新たな懸案が持ち上がった格好だ。
政府の有識者会議は1月、農林中金に対し、市場に精通した社外取締役の登用などを通じてリスク管理体制を強化するよう提言した。4月に新理事長に就任した北林太郎氏の下、同金庫は4-6月(第1四半期)決算で黒字転換を果たしており、通期での黒字確保を目指している。
モーニングスターのマイケル・マクダッド氏は、「JA三井リースが損失を出せば親会社にも影響する」と指摘。そのため、農林中金や三井物産にはリスクを管理できる経営陣を選ぶ責任があるとの見解を示した。
株主として注視
JA三井リースは10日夕、保有する売掛債権の表面残高は17億5000万ドルだが、一部は投資家に売却しており実態は14億3000万ドルであると発表した。その上で適切に審査・リスク管理していると説明。同売掛債権の回収先はアマゾン・ドット・コムやゼネラル・モーターズ、フォード・モーターなどが占めているという。
農林中金は、JA三井リースは重要なグループ会社の1社であり、株主として引き続き状況を注視し適切に対応していくとコメントした。三井物も同様にコメントした。
ファースト・ブランズが先月、破産法適用を申請した時点で、カツミは約17億5000万ドル相当の債権を保有していた。公聴会の記録によると、カツミの弁護士チャールズ・ケリー氏は、10月1日にテキサス州の破産裁判所で、「この手続きが迅速に進み、回収が実現することを期待している」と語っていた。
23年に買収
JA三井リースは農林中金と三井物がそれぞれのリース会社を統合して08年に設立された。約2000人の従業員を抱え、幅広い業種にリース・金融サービスを提供している。23年にカツミを買収した。
JA三井リースの大株主は農林中金の43.42%と三井物の42.26%で、三井住友銀行や三井住友信託銀行、三井住友海上火災保険などもそれぞれ1%強を出資している。25年3月期(前期)決算によると、総資産は約3兆4000億円、純利益は374億円だった。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の伴英康シニアアナリストはファースト・ブランズの件は、必ずしも農林中金が過度にリスクを取ったというような事例ではなく、リスク管理について評判が「大きく毀損(きそん)するものではない」と指摘。債券投資の巨額損失を踏まえると、今回、「まとまった金額のエクスポージャー」が明らかになったのは不運だったと述べた。
イスラエルがカタールにいたイスラム組織ハマスの交渉団を空爆したことは、その当時は、和平を一段と遠ざける、またしても状況悪化の事態だと思われた。
9月9日のこの攻撃は、アメリカの同盟国カタールの主権を侵害し、紛争を中東全域に広げかねないものだった。
外交は崩壊しているように見えた。
ところがこの出来事こそ、ドナルド・トランプ米大統領が打ち出した、人質全員解放に至る和平案の合意へとつながる核心的なものとなった。
人質の全員解放こそ、トランプ氏とジョー・バイデン前大統領が、2年近く追っていた目標だ。
ただし、永続的な和平という点では、これは最初の一歩でしかない。ハマスの武装解除、ガザの統治、イスラエルの完全撤退をめぐって、まだ詰めの交渉が残っている。
それでも、もしこの合意が持続すれば、トランプ氏の大統領2期目を象徴する業績になるかもしれない。バイデン氏と彼の外交チームが求めながらもついぞ実現できなかった業績だ。
今回の状況打破は、トランプ氏ならではのやり方と、イスラエルやアラブ各国との重要な関係があってこそ、実現したとみられる。
しかし、多くの外交的な業績がそうであるように、ガザをめぐってはトランプ氏にもバイデン氏にもコントロールしきれない要素があった。
バイデン氏は築けなかった親密な関係
トランプ氏とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、公の場では満面の笑顔を見せてきた。
トランプ氏は、イスラエルに自分たち以上の友人はいないとよく言う。一方、ネタニヤフ氏も、トランプはイスラエルにとって「ホワイトハウスにいる過去最高の支援者」だとしている。こうした温かい言葉は、行動と一致している。
トランプ氏は大統領1期目に、イスラエルのアメリカ大使館の所在地をテルアヴィヴからエルサレムに移した。そして、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区でのイスラエル人の入植は違法だとする、国際法にのっとった長年のアメリカの立場を転換した。
イスラエルが今年6月にイラン空爆を開始したときには、トランプ氏は軍に対し、イランの核濃縮施設を、最も強力な通常爆弾を使って爆撃機で攻撃するよう命じた。
このようにイスラエル支持の姿勢を表立って示していたからこそ、トランプ氏は裏でイスラエルに圧力をかける余地を手にしたのかもしれない。報道によると、トランプ氏の側近スティーヴ・ウィトコフ中東担当特使は2024年後半、ネタニヤフ氏を脅し、人質の一部解放と引き換えに一時停戦する案を飲ませたとされる。
イスラエルが今年7月、シリア軍を攻撃し、シリア国内のキリスト教会も爆撃したときには、トランプ氏はネタニヤフ氏に方針転換を迫った。
トランプ氏は過去に例のないほど強い意志と圧力をネタニヤフ氏に示したのだと、米カーネギー国際平和財団のアーロン・デイヴィッド・ミラー氏は言う。「アメリカの大統領がイスラエルの首相に向かって、従わなければ大変なことになるぞと、文字通り言った例はなかった」。
一方、バイデン氏とネタニヤフ氏の関係は常に希薄だった。
バイデン政権の「ベアハグ(がっしり抱きしめる)」戦略は、舞台裏でイスラエルの戦争行為を穏健なものに変えるために、アメリカは表向き、イスラエルを受け入れなくてはならないというものだった。
その背景には、バイデン氏が半世紀近くにわたりイスラエルを支持してきたことと、ガザでの戦争をめぐる民主党内の鋭い対立があった。バイデン氏の対応の一つひとつが、国内の自らの支持層を分断するリスクをはらんでいた。一方、トランプ氏は、共和党の支持基盤が強固なおかげで、思うような行動を取りやすかった。
ただ結局のところ、国内政治や個人的な関係よりも、バイデン氏の大統領在任中にはイスラエルは和平の準備ができていなかったという単純な事実のほうが大きかったかもしれない。
中東では、イランが懲らしめられ、イスラエルのすぐ北のレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは大きく勢力を弱め、ガザは廃墟と化した。
トランプ氏の2期目が始まって8カ月が経過した時点で、イスラエルにとっての主要な戦略目標は、すべて達成されていたのだった。
ビジネス経歴で湾岸諸国の支持を確保
イスラエルがカタールの首都ドーハに向けてミサイルを発射し、カタール市民を殺害した一方でハマス幹部に死者が出なかったことを受け、トランプ氏はネタニヤフ氏に最後通告を発した。戦争を止めなければならないと。
トランプ氏はイスラエルを、ガザで比較的自由にさせてきた。イスラエルがイランで軍事作戦に出たときも、トランプ氏は米軍の力を貸した。しかし、イスラエルがカタール国内を攻撃したのは、まったく別の話だった。これを機にトランプ氏は、アラブにとって最善の、戦争の終わらせ方へと近づいたのだ。
トランプ政権の複数の関係者はBBCが提携する米CBSに、トランプ氏はイスラエルのカタール攻撃をきっかけに、和平合意実現に向けて最大限の圧力をかけるようになったのだと話している。
トランプ氏と湾岸諸国との密接な関係はよく知られている。同氏はカタールやアラブ首長国連邦(UAE)と、ビジネス上の取引をしてきた。大統領になると、1期目も2期目もスタート早々にサウジアラビアを公式訪問した。今年はドーハとアブダビにも立ち寄った。
イスラエルとUAEなどイスラム諸国との関係を正常化させたアブラハム合意は、トランプ氏の1期目最大の外交成果となっている。
米外交問題評議会のエド・フセイン氏は、トランプ氏が今年、アラビア半島の首都を次々と訪れたことが、その考えを変える一助になったとみている。中東歴訪の際にトランプ氏はイスラエルには寄らず、UAEとサウジアラビア、カタールを訪問。そこで、ガザでの戦争終結を求める声を繰り返し聞いた。
イスラエルによるドーハ空爆をめぐっては、発生から1カ月以内に、ネタニヤフ氏は自らカタールに電話して謝罪した。トランプ氏はその様子を、横で見ていた。そしてその日のうちに、ネタニヤフ氏はトランプ氏が示した20項目からなるガザ和平案に署名したのだった(この和平案は中東の主要なイスラム諸国も支持した)。
トランプ氏とネタニヤフ氏との関係があればこそ、トランプ氏はイスラエルに合意への圧力をかけることが可能になった。それと同様に、トランプ氏とイスラム諸国の首脳らとの間に過去の関係があったからこそ、イスラム各国はトランプ氏を支持し、和平案に合意するようハマスを説得することに乗り出したのかもしれない。
「明らかに起きたことが一つある。それは、トランプ大統領がイスラエルに対し、そして間接的にハマスに対しても、影響力をもつようになったことだ」。米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・アルターマン氏はそう言う。
「それが違いを生んだ。多くの歴代大統領にとって、ハマス側の求めに屈せず、かつ自分のタイミングで行動するのは難問だった。しかし、(トランプ氏は)それを比較的うまくやっているようにみえる」
アルターマン氏はまた、イスラエルではトランプ氏のほうがネタニヤフ氏よりずっと人気が高く、トランプ氏はこのことも自分のためになるよううまく利用したと話す。
イスラエルは今回、同国の刑務所に収監しているパレスチナ人1000人以上を釈放すると約束し、ガザからの部分撤退にも同意している。
一方、ハマスは、残りの人質全員を生死に関係なく解放するとしている。人質は、ハマスが2023年10月7日にイスラエルを襲撃し、イスラエル人1200人以上の死を招いた際に、ガザへと連れ去られた人たちだ。
ガザでの戦争は、一帯を荒廃させ、6万7000人以上のパレスチナ人を死に至らしめた。いま、その終結が見えてきている。
ヨーロッパが影響力を行使
イスラエルのガザでの行動に対する世界的な非難も、トランプ氏の考えに影響を与えた。
ガザの状況は、パレスチナ人にとってかつてない破壊と人道的大惨事となっている。そうしたなか、ネタニヤフ政権はここ数カ月、国際的な孤立を深めていた。
イスラエルがパレスチナ人への食料供給を軍を使って管理し、さらにガザ市を攻撃する計画を発表すると、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はじめとする欧州主要数カ国の首脳らは、イスラエルを明確に支持し続けるアメリカと足並みをそろえることはできないと判断した。
イスラエルとパレスチナの紛争をめぐっては、外交の重要要素と先行きについて、アメリカとヨーロッパの同盟諸国の間で歴史的な分裂が起こった。
トランプ政権は、パレスチナ国家を承認すると表明したフランスを非難した。しかし、イギリスもフランスに続いた。仏英両国は、「2国家解決」の構想を救おうとした。だが、より根本的には、双方の極端な勢力を脇へと追いやり、イスラエルとパレスチナが共有する未来へと向かう、外交的な道筋を復活させようとしたのだった。
マクロン氏はその抜け目なさで、自分の和平計画にサウジアラビアを引き入れた。
トランプ氏は最終的に、ガザの長期的な将来像をめぐり、「ヨーロッパ・アラブ連合」対「イスラエルのナショナリストおよび極右」という対立構図に向き合うことになった。そして彼は、湾岸地域の友人側を選んだのだった。
フランスとサウジアラビアの和平計画に基づき、アラブ諸国は2023年10月7日のハマスによる攻撃について、前例のない非難を発表した。また、ハマスに対し、ガザ支配をやめ、独立国家としてのパレスチナ自治政府に武器を引き渡すよう求めた。
これはアラブとヨーロッパの国々にとって、外交的勝利だった。20項目からなるトランプ氏の和平案は、重要部分でフランスとサウジアラビアの計画を基にしていた。その一つには、あいまいで多くの留保条件がついてはいるものの、将来のパレスチナ「国家」についての言及も含まれている。
トランプ氏は、トルコ、カタール、エジプトに対し、ハマスへの圧力を維持するよう求めた。その一方で、ネタニヤフ氏を追い込み、戦争を終わらせるよう、過去になかったほどの圧力をかけた。
誰も、トランプ氏に「ノー」と言う側になるわけにはいかなかったのだ。
独特のスタイルが行き詰まりを打開
トランプ氏の型破りな手法は、今でも周囲に衝撃を与えられる。最初は威勢がよく大げさだが、やがて型にはまったものへと変化していく。
1期目では、対北朝鮮で最高指導者・金正恩氏を「小さなロケットマン」と侮辱し、「炎と激怒」で対抗すると警告。戦争の瀬戸際にあると思わせたが、その後、同氏と首脳会談に臨んだ。
2期目の開始当初は、ガザをめぐって、目玉が飛び出るような提案をした。ガザを国際的な臨海リゾートにするため、パレスチナ人の移住を義務づけるべきだというものだった。
イスラム教の指導者らは激怒した。中東のベテラン外交官らはがくぜんとした。
しかし、トランプ氏の20項目からなる和平案は、バイデン氏が合意させたかもしれないものや、アメリカの同盟諸国が長い間支持してきたものと、さほど変わらない。「ガザ・リヴィエラ」の青写真ではなかった。
トランプ氏は、型通りの結果を得るために、非常に型破りな道を選んできた。それは取っ散らかったものだし、米名門アイヴィーリーグの大学で教える外交とは違うかもしれない。しかし、少なくともこのケースとこの瞬間においては、効果を生んでいる。
ノーベル委員会は10日、今年の平和賞の受賞者を発表する。トランプ氏が受賞する可能性は低い。それでも、数週間前ほど低くはない。
不動産分析会社ATTOMは10月9日の声明で、2025年第3四半期に全米で差し押さえ申請のあった物件は10万1513件で、前年同期比17%増加したと発表した。
同社によると、第3四半期には全米で1,402戸に1戸の住宅が差し押さえ申請を受けた。差し押さえ率が最も高かったのはフロリダ州で、814戸に1戸が差し押さえ申請された。これにネバダ州、サウスカロライナ州、イリノイ州、デラウェア州が続いた。
人口20万人以上の225の都市統計地域のうち、差し押さえ率が最も高かったのはフロリダ州レイクランドで、次いでサウスカロライナ州コロンビア、フロリダ州ケープコーラル、オハイオ州クリーブランド、フロリダ州オカラとなっている。
ナビーン・アスラップリー氏がエポックタイムズに報じているように、ATTOMによると、2025年上半期に差し押さえ申請は合計187,659件あり、前年比5.8パーセント増となっている。
「2025年には、着工件数と完了件数の両方が四半期連続で前年比増加を記録し、差し押さえ件数が一貫して増加傾向にあることが確認されました」とATTOMのCEO、ロブ・バーバー氏は述べた。
「これらの数字は歴史的に見て妥当な範囲内にとどまっているが、この傾向の持続は、一部地域で借り手の緊張が生じていることの初期兆候である可能性がある。」
ATTOMによると、第3四半期には差し押さえ申請件数の急増に加え、不動産の差し押さえまでの平均時間も前年比で25%減少しており、これは2020年半ばからの減少傾向が続いているという。
信用スコアリングモデル会社ヴァンテージスコアは6月26日の声明で、5月の住宅ローンの延滞が前月より増加したと報告し、これが住宅部門の借り手の間での経済的ストレスの初期兆候である可能性を示唆した。
「消費者行動は、特に若い借り手の間では概ね好調を維持しているが、住宅ローンは信用ストレスの増大に注意すべき分野かもしれない。特に、バンテージスコア660以上の信用スコアを持つ、従来リスクの低い層ではそうだろう」と、バンテージスコアの最高デジタル責任者スーザン・フェイ氏は当時述べた。
ニューヨーク連邦準備銀行も8月5日の声明で同様の傾向を報告し、 2025年第2四半期の住宅ローン債務の1.29%が深刻な延滞(90日以上)状態にあり、2024年第2四半期の0.95%から増加していることを強調した。
しかし、ニューヨーク連銀の経済政策アドバイザー、ジョエル・スカリ氏は、住宅ローンの滞納が増加しているにもかかわらず、住宅ローン全体のパフォーマンスは「歴史的基準からすると依然として好調である」と述べた。
一方、議員らは、米国民が直面している差し押さえの脅威に対処するためにさまざまな措置を講じてきた。
3月、デリック・ヴァン・オーデン下院議員(ウィスコンシン州共和党)がVA住宅ローンプログラム改革法案を提出しました。この法案は最終的に上下両院を通過し、7月30日にドナルド・トランプ大統領によって署名され、法律として発効しました。
この法案は、住宅ローン金利が高騰する環境下で退役軍人の住宅ローン返済を経済的に支援し、差し押さえを回避することを目的としている。
「VA住宅ローンプログラムは、何百万人もの退役軍人がアメリカンドリームであるマイホームの実現を支援してきました。しかし、退役軍人も他のアメリカ国民と同様に困難な状況に陥る可能性があり、住宅差し押さえを回避するためのセーフティネットが必要になる場合があることを私たちは理解しています」と、下院退役軍人問題委員会の委員長であるマイク・ボスト下院議員(イリノイ州選出、共和党)は7月16日の声明で述べた。
「VA住宅ローンプログラム改革法は、そのニーズに真正面から取り組みます。」
今週、ブライアン・シャッツ上院議員(民主党、ハワイ州)は、上院議員グループを率いて、連邦政府職員と請負業者の従業員、およびその家族を、現在進行中の政府閉鎖中に差し押さえや立ち退きなどの困難から守るための連邦職員民間救済法案を提出したと、議員事務所が10月8日の声明で述べた。
この保護措置は閉鎖期間中および閉鎖後30日間継続され、「労働者に支払いを続ける機会を与える」と同社は述べた。
政府閉鎖の場合、法執行官、航空管制官、軍人など、不可欠な業務を行っているとみなされる特定の職員は、無給で働き続ける必要があります。
データは、今週ずっとほとんどの人が認めたくないシグナルを発していた。投機筋の動きは極限に達し、バリュエーションは割高になり、ポジションは一方的になった。個人投資家は、2021年と同じような無謀さで、オプションやミーム銘柄の追撃に回帰した。以前指摘したように、投機筋の動きは様々なレベルで記録的な水準に達していた。
ゴールドマン・サックスは最近次のように指摘した。
「実際、単一銘柄のボラティリティと指数のボラティリティの差を見ると、これまでで最も広いレベルの一つになっています。」
さらに、システマティックな資金流入によって株式エクスポージャーが増加し、価格上昇とボラティリティ低下のフィードバックループが強化されました。多くのアルゴリズム取引戦略はボラティリティに敏感であるため、市場が上昇傾向にありボラティリティが低い場合、これらの戦略はエクスポージャーを増加させます。これにより、価格変動がさらなる買いを促すフィードバックループが形成されます。
しかし、ボラティリティが急上昇したり価格が下落したりすると、同じモデルが方向転換して売りに転じ、下落を加速させる可能性があります。これが、金曜日の市場の急落が非常に深刻になった理由です。実際、私たちは金曜日の朝の #DailyMarketCommentaryで、この事象の可能性について警告していました。具体的には、
現時点では市場に対して弱気な見方はしていないものの、調整局面を迎えるリスクは高まっています。残念ながら、市場の油断とオフサイドポジションの高まりを考えると、売り圧力は多くの人が予想するよりも急激になる可能性があります。さらに、投資家心理が高水準にあることを考えると、10%の下落は実際よりもはるかに深刻に「感じられる」でしょう。投資家が最もミスを犯すのは、このような環境下です。
最後に、レバレッジETFとミーム銘柄を中心に、個人投資家の取引量が大幅に増加しました。多くの取引は、バランスシートの健全性や収益予測ではなく、ソーシャルメディアの話題に基づいて行われています。歴史的に見て、ファンダメンタルズが弱く、ボラティリティの高い銘柄を追いかけるという行動の変化は、底値ではなくピークを示してきました。
状況は典型的なものでした。過信、レバレッジ、集中、そしてきっかけさえあれば事足りたのです。トランプ大統領の関税発言がきっかけとなりましたが、脆弱性は既に根付いていました。高成長株、半導体、そしてテーマ型ETFが大きな痛手を負いました。ディフェンシブセクターは買い注文を受け、トレーダーが安全資産に殺到したため利回りは低下しました。
これは暴落ではなく、皆が同じ船に乗っている時に起こる市場の亀裂です。金曜日には、それまで容赦なく価格を押し上げていた同じ人々が、反対方向に動いたのです。市場の亀裂がこれほど深刻になった理由は、 「売り手は高く、買い手は安く」という私たちの以前の発言を反映しています。
「株式市場は常に買い手と売り手によって成り立っており、それぞれが取引を成立させるために交渉しています。 売り手には必ず買い手がいますが、常に問われるのは「いくらで?」ということです。
現在の強気相場では、売却を望む人はほとんどいないため、買い手は売り手に取引を成立させるために価格をつり上げ続けなければなりません。この状況が続き、熱狂が論理を上回っている限り、買い手は欲しいポジションを手に入れるために高い価格を支払い続けるでしょう。 まさにこれが「より大きな愚か者」理論の定義です。
しかし、ある時点で、何らかの理由で、この力学は変化します。 買い手は高値での購入を拒むため、ますます希少になります。 売り手はこの変化に気づき、減少する買い手に向けて売り込みを始めます。 そして最終的に、買い手が蒸発し、価格が暴落するにつれて、売り手は「パニック売り」を始めるでしょう。
この反転が深まるかどうかは、今後の展開次第です。企業業績、マクロ経済指標 (もし発表されれば)、 そして流動性は、貿易摩擦激化への懸念を相殺する可能性があります。しかし、重要なポイントは明らかです。市場の急落は、短期的なサポートが機能しなくなった場合、投資家に深刻な調整サイクルのリスクをもたらします。
これは終わりの始まりだったのか?
金曜日の市場の崩壊は、メルトアップ局面の終わりの始まりだったのでしょうか?
その答えはおそらく 「いいえ」でしょう。
ポール・チューダー・ジョーンズ氏は最近、現在の市場環境の二面性を強調しました。彼は今後力強い上昇を予想する一方で、市場の急騰が続く中で強気相場の最終段階に入りつつあると警告しました。彼の見解では、上昇は前倒しで起こるものの、その後は激しい反転が訪れるとされていました。もちろん、これは驚くべきことではありません。なぜなら、投機的な市場局面や急騰は、最終的にはこのように終わるからです。
しかし、だからといって、市場が途中で多少のボラティリティを経験するわけではありません。ジョーンズ氏が指摘したように、市場が急騰した最終年には、しばしば最も大きな利益が生まれます。しかし、そうした利益でさえ、ボラティリティの上昇を伴う傾向があります。これは、先週議論した1999年との類似点からも明らかです。 具体的には、
あらゆるバブルには、その核となる物語があります。1999年、その物語はインターネットでした。商業、通信、そして文化を一変させる変革をもたらすテクノロジーでした。投資家は未来を見据え、価格を天文学的な額にまで引き上げ、利益は必然的についてくると考えました。2025年、その物語は人工知能です。人工知能は、産業を一変させ、生産性を飛躍的に向上させ、新たなフロンティアを切り開くという、同じように魅力的な可能性を秘めています。現在の価格動向と並んで、この2つの類似点は見逃せません。
ドットコム時代と同様に、今日の市場は息を呑むような成長への期待に突き動かされています。当時、シスコは「インターネットのバックボーン」を売っているという信念の下、株価は100倍以上で取引されていました。Pets.comとWebvanは数億ドルを調達したものの、ビジネスモデルの持続不可能性が証明され、破綻しました。 当時も今も、投資家の心理は「取り残される恐怖」によって動かされています。 投資家が殺到するのは、そのストーリーがあまりにも強力で無視できないからです。 「しかしながら、AIがすべてを変えるなら、それを保有しないわけにはいかない」のです。
流動性が依然として潤沢であるため、市場の亀裂は強気相場の重要な追い風を断ち切ることはなかった可能性が高い。財政赤字は大きく、FRBはハト派的な姿勢を維持し、世界の中央銀行は利下げを実施している。これらはすべて価格上昇の継続を支えているが、メルトアップの要因と同じものが不安定性も生み出している。その不安定性は、金曜日の市場の亀裂で明らかになった。
金曜日の反転はまだ強気トレンドを崩していません。投資家にとってリスクとなるのは、方向性を間違えることではなく、タイミングです。だからこそ、ここ数週間、私たちは市場のネガティブな乖離、モメンタムを追いかけるリスク、そして投資家全般のオフサイドポジションについて繰り返し議論してきました。いつものことですが、モメンタム市場は参加すれば報われるものですが、報われなくなるまでです。皆が同じようなポジションを取っている場合、反転にはバッファーがなく、出口は狭くなり、市場の亀裂は大きくなります。これは特に、大型株から国際市場、新興国市場、金、ビットコインに至るまで、ほぼすべての資産クラスが史上最高値を更新している状況に当てはまります。
誰もが、 自分が選んだ特定の資産がなぜ上昇しているのかという「物語」を持っています 。しかし、それらが全て正しいとは限らないのです。さらに、すべての資産クラスの相関性が高まると、最終的な反転も相関関係を持つようになります。
物語のリスク
ご存知のとおり、誰もが自分のお気に入りの資産クラスが上昇している理由について独自の見解を持っています。レオン・クーパーマン氏は最近、ウォーレン・バフェット氏が最も恐れていた強気相場の局面に突入したと警告しました。彼はバフェット氏の警告を引用し、次のように述べています。
「市場が戦略に関係なく誰もが利益を上げる地点に達すると、群衆は合理的な投資から逃すことへの恐怖へと移行します。」
クーパーマン氏の見解では、企業収益や金利の動向はもはや株価上昇を支えておらず、価格変動そのものが支えている。 投資家は価格が上昇しているという理由だけで株を購入している。 こうした行動は決して良い結果にはならない。彼が述べたように、バフェット指標のようなバリュエーションや群衆行動が懸念材料となっている。バフェット指標、すなわち時価総額対GDP比は200%を超えている。この水準は歴史的に見ても極めて高く、株式と実体経済の結びつきが断ち切られたことを示唆している。
さらに、ブルームバーグのサイモン・ホワイト氏は最近、われわれは「悪いニュースは良いニュース」 体制に入ったと指摘した 。
「株式市場の上昇局面の終盤、つまり調整局面や調整局面に入る直前には、市場が悪材料に好意的に反応する時期が典型的に存在します。まさに今、まさにその局面に入ったのです。」
正確な天井を予測するのは至難の業です が、市場が天井形成過程にある時は、多くの場合、極めて明白です。今日、そう考えられる理由はいくつかありますが、今回、さらに一つ加わりました。上昇トレンドの終盤になると、株価は悪い経済ニュースに対しても好意的に反応し始めるのが一般的です。これは一般的に、連邦準備制度理事会(FRB)の反応機能によるものです。市場は、景気が弱まるにつれて金融緩和の可能性が高くなると想定するため、やや皮肉なことに、株式市場は景気減速を無視し、金融緩和への期待から上昇するのです。
彼は次のように結論づけている。
過去3回の主要市場のピーク時には、このレジームが機能していました。その 前には「良いニュースは良いニュース」レジーム(チャートの白線)がしばしば存在し、経済が好転しそうな局面では株価が直感的に上昇します。チャートをさらに遡ると、2011年と2015年のピーク前にも「悪いニュースは良いニュース」レジームが機能していたことがわかります。
しかし、いくつか注意点があります。まず、上で述べたように、 「悪いニュースは良いニュース」という状況は、市場が調整するまで数ヶ月続く可能性があります。 今回も例外ではありません。次に、2000年代と2010年代には、「悪いニュースは良いニュース」という状況がサイクルの途中、つまり上昇局面の真っ只中に現れた時期が何度かありました。
今はそうなのかもしれないが、AI分野への潜在的に莫大な過剰投資、史上最高の評価額、そして投機的なバブルの兆候の増加を考えると、 それに賭けるのは避けたいだろう。」
金曜日に見られたように、ファンダメンタルズが価格の支えではなくなったこのような環境では、小さなショックでも大きな価格変動を引き起こす可能性があります。ボブ・ファレルはかつて、群衆の行動は本来的に不安定であり、 「すべての専門家が同意すると、何か別のことが起こる傾向がある」と指摘しました。 すべての 「専門家」 と投資家は、あらゆるものの価格上昇を予想しています。
この一方的な偏見、そして最も重要なのは、 資産に高額を支払うことを正当化するための「合理化された物語」 により、小さな失望でさえも過大な反応を引き起こす可能性が高まります。
これは恐怖の問題ではありません。リスク計算の問題です。期待リターンは低下し、ボラティリティは上昇しており、非対称性は今や慎重さを促しています。
🔑 来週の重要な触媒
来週の経済カレンダーは、インフレと賃金上昇に関する重要な最新情報を提供すると予想されていました。しかし、政府機関の閉鎖が続いているため、労働統計局と国勢調査局からの主要指標の発表は不透明です。来週初めまでに状況が改善しない場合、消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)を含むほとんどの連邦経済指標の発表が遅れることになります。投資家のポジショニングがソフトランディングシナリオに大きく依存している時期に、これは重要な指標を失うことを意味します。
以下は、現在のスケジュールとシャットダウンの偶発的な事態に基づいて更新されたカレンダーです。
市場は週初め、政府閉鎖の解決状況を注視するだろう。今週は政府閉鎖が解決する見込みは薄いため、トレーダーはマクロ経済情勢の解釈においてFRBのガイダンスと企業業績に頼らざるを得なくなるだろう。企業業績に関しては、通常よりも大きな影響力を持つとみられる。マクロ経済指標の発表が一時停止されているため、大手テクノロジー企業、半導体企業、銀行のフォワードガイダンスと利益率に関するコメントがセンチメントを形成するだろう。ガイダンスが軟化したり利益率が低下したりすれば、特にAIや高ベータ成長株への投資が集中している株式市場は、圧力にさらされる可能性がある。
インフレデータがなければ、投資家の期待がより投機的になり、ボラティリティが高まる可能性があります。金利の想定は政策声明とますます乖離しています。発表後、消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)がデフレーションから乖離すれば、この乖離は急速に縮まる可能性があります。それまでは、市場は限られた可視性の中で取引されることになります。
NATOによるロシア封じ込めについて議論する人が最初に思い浮かべる国は通常、英国、フランス、ドイツ、 ポーランド だが、オランダとベルギーも急速に重要になってきている。
ロッテルダム港の最高経営責任者(CEO)は 真夏、フィナンシャル・タイムズ紙に対し 、NATOの要請により軍事物資を輸送する船舶用のスペースが確保され、「1隻以上の船舶が年に4、5回、数週間、埠頭に停泊することになる」と述べた。これもアントワープ港と調整される予定だ。
ロッテルダムとアントワープはヨーロッパの二大港なので、これは決して小さな動きではない。
さらに、オランダは、2024年初頭にドイツおよびポーランドと合意した「軍事シェンゲン協定」の創設メンバーであり、軍隊と装備の移動を円滑化することを目的としている。したがって、これらの動きは、危機発生時に米軍と装備をロシア国境まで移動させることを明確に意図しており、オランダとベルギーが危機封じ込めにおいて重要な役割を果たすことになる。
7月初旬には、「ウクライナの平和は西側諸国のロシアに対するハイブリッド戦争を終わらせない」との評価がなされ、挙げられた3つの理由の1つは、前述の4つの欧州諸国が米国の「背後から主導する」封じ込め策の一環として、ウクライナ国境沿いに勢力圏を築いていることであった。
しかし、彼らの軍隊、その経験、全体的な質は、米国に比べると小さい。そのため、激しい紛争はもちろんのこと、ロシアとの危機が発生した場合にも、彼らは依然として米国の援助を必要とするだろう。
米国がヨーロッパを放置してロシアに大陸を明け渡すつもりがないことを考えると、そのようなシナリオで米軍と装備の移動を容易にするために、ロッテルダム港とアントワープ港を「軍事シェンゲン協定」に組み込む計画が現在進行中であることは理にかなっている。
前述の物資をヨーロッパに大規模に輸送するには、現実的には海軍の力しかなく、だからこそこの2つの港が極めて重要なのです。米国はこれらの港なしではロシアを確実に封じ込め、「抑止」することはできません。
より大局的に見ると、関係諸国(英国、ベルギー、オランダ、ドイツ、ポーランド、そしておそらくフランスも)は当然のことながら軍事政策をより緊密に連携させると予想され、NATO内で米国主導で強硬な反ロシア姿勢を見せる「有志連合」が形成されることになる。ポーランド、バルト諸国、 フィンランド はNATOの兵士と物資の受け入れを拡大すると予想され、その他の国々はこの封じ込め政策において、後方支援と財政面での補助的な役割を果たすことになるだろう。
唯一の例外はトルキエである。トルキエは東方への急速な影響力拡大によって、 ここで説明されているように、NATOがロシアを南方全域で封じ込めることに成功すれば、その可能性もある。しかし、独立心旺盛で悪名高いエルドアンは、他の国々のように自国を米国に従属させることはないだろう。だからこそ、上記の国々はロシア封じ込めのための米国の代理勢力と言えるのに対し、トルキエはこの計画において代理勢力ではなく、米国とほぼ同等のパートナーとして捉えるべきである。
ロッテルダム港とアントワープ港に関するこのニュースから得られる教訓は、現在ウクライナにおける代理戦争の文脈で展開されているロシアとNATO間の「兵站競争」が、紛争終結後も継続し、米国主導によるロシア封じ込めがより強固なものとなるだろうということです。これは必ずしもNATOがロシアに対して優位に立つことを意味するわけではありません。代理戦争が終結した後も緊張が続くということであり、ひいては 新冷戦のヨーロッパ戦線が 活発に活動し続けることになるでしょう。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米マイクロソフトのデータセンターのひっ迫が従来の説明よりも長引く見通しであることが分かった。クラウド需要の急拡大に対応しきれていない状況が浮き彫りとなっている。
事情に詳しい関係者によると、米国内にあるマイクロソフトのデータセンター地域の多くで、物理的なスペースやサーバーの不足が発生している。社内の見通しによれば、バージニア州北部やテキサス州など主要サーバーファーム拠点の一部では、主力のクラウドサービス「アジュール」の新規契約を来年前半まで制限しているという。非公開の情報だとして匿名を条件に関係者が明らかにした。
これはマイクロソフトがこれまで示していた期間よりも長い。エイミー・フッド最高財務責任者(CFO)は7月、現在のひっ迫状況は2025年末まで続くとの見通しを示していた。関係者によると、能力不足の影響は人工知能(AI)向けに使われるグラフィックス処理装置(GPU)を搭載したサーバーに加え、従来型クラウドサービスを支えてきた中央演算処理装置(CPU)中心のデータセンターにも及んでいる。
クラウド事業者にとって、顧客に貸し出すサーバーの不足は近年、繰り返し懸念されてきた問題だ。マイクロソフトは過去6四半期の決算発表で、顧客のクラウド需要に全て対応し切れていないと説明している。アマゾンやグーグルも同様の制約があると述べている。
マイクロソフトの広報担当者は、米国内におけるアジュールのサービスおよび地域の大半において「既存顧客が稼働中のワークロードを拡大できるだけの利用可能な能力が確保されている」と説明。その上で、想定外の需要急増が生じた場合には、全データセンターネットワークで顧客需要のバランスを取るために能力の温存策を導入することがあると述べた。
私たちのエネルギーの将来について言えば、左派の多くが賢明な長期的展望だと考えているものが、実は彼らの行動の完全な結果を反映していない近視眼的なものであることがよくある。
リベラルメディアがワイオミング州の共和党知事を「オルタナティブ」政策の支持者として称賛しているのもその一例だ。昨年、CBSの 「60ミニッツ」で 風力タービン推進を称賛する記事が掲載されたのもその一例だ。「ワイオミング州のマーク・ゴードン知事は、全米で最も共和党支持が強い州の一つで、環境に優しく、カーボン・ネガティブな政策を推進している」と、記事のオンライン版は大々的に宣伝した。
ワイオミング州民の多くは、ゴードン氏の党員も含めて、この計画に賛同していない。州共和党は、 ハーバード大学での気候変動に関する発言を受け、2023年にゴードン氏に対する 不信任決議を可決した。また、ワイオミング州のエネルギー情勢に関するニューヨーク・タイムズの記事 (2021年に執筆、2023年に更新)では、多くの住民が狩猟地を占拠する風力タービン、夜空を汚す照明、州外への電力送電について頻繁に苦情を訴えていると指摘されている。この論争は 2025年まで続いている 。
ゴードン氏をはじめとする関係者にとって、「ワイオミング州は風が強い」というのは、景観を損ねる風力タービンをあちこちに建てるための、安易な言い訳に思える。しかし、共和党の役人が風力や太陽光発電を擁護していることが懸念されるのは、エネルギー源の(疑わしい)有効性を信じていることよりも、納税者の実際の負担を軽視しているように見える点だ。
アメリカ全土には、風力発電所と太陽光発電所がいくつ建設されているでしょうか?推定によると、実用規模の 風力発電所は約1,400カ所、太陽光発電所は 6,700カ所以上 あります。これらの発電所は、7万基以上の 風力タービンと2億枚以上の太陽光パネルで構成されています(推定容量データと個々のパネルのワット数 に関する入手可能な情報に基づくAI計算による )。
風力発電と太陽光発電の膨大な数の個々の部品について理解することが重要です。なぜなら、近い将来、それらはいずれ個別に摩耗してしまうからです。そうなったらどうなるのでしょうか?
政府の推計によると 、 多くの風力タービンはすでに耐用年数の終わりに近づいており、「再発電」または廃止が必要となる。政府のガイドラインによると、「風力タービンの部品および風力発電プロジェクト関連インフラの解体、撤去、および復旧作業には、タービンの規模とプロジェクトに含まれるタービンの数に応じて、6~24か月かかる可能性がある」とのことだ。
太陽光発電設備にとって、この問題はさらに切迫しています。リサイクル業界の推計によると、「2030年までに、米国は約100万トンの太陽光パネル廃棄物を処理する必要があります 。この数字は2050年までに1,000万トンに増加すると予想されており、米国は世界第2位の太陽光パネル廃棄物排出国となります。現在、銀、シリコン、アルミニウムなどの貴重な材料が含まれているにもかかわらず、廃棄されたパネルのうち適切にリサイクルされているのはわずか約10%に過ぎません。」
「代替案」の支持者たちは、風力発電や太陽光発電設備の廃止費用は通常、建設時に交渉された契約に基づき企業が負担すると主張している。しかし、近年、住宅用、コミュニティソーラープロジェクト、そして大規模発電設備を含む100社以上の太陽光発電関連企業が倒産していることを考えると、これはわずかな慰めにしかならない。ある業界調査会社によると、2024年には「これら3つのサブカテゴリーのそれぞれにおいて倒産申請件数が増加する」とされている 。
そうなると、企業が倒産に備えて債券やその他の保証人を確保する義務があったとしても、当然ながら納税者がそのツケを払うことになる。各州でルールが異なり、説明責任のレベルも異なるという事実が状況を複雑にしている。そして、バイデン政権の「再生可能エネルギー」に対する寛容な姿勢は、納税者に真の懸念を抱かせる。
機能的政府イニシアチブ( FGI ) は最近、「2021年、バイデン内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)が、マサチューセッツ州沖のヴィンヤード・ウィンド・プロジェクトのリース契約における廃止措置に関する慣例的な財政保証を放棄した」ことを明らかにした。その後、「FGIが最近入手した文書によると、ヴィンヤード・ウィンドが廃止措置に資金を投じることができない場合、納税者が負担することになる金額は1億9,100万ドルに上る」と付け加えた。
ゴードン知事は、エネルギーに関して「あらゆる面で」のアプローチをとっていると主張している。確かに、ワイオミング州は依然として全米最大の石炭生産地であり、石油と天然ガスの主要供給地でもある。しかし、風力発電や太陽光発電プロジェクトが主に納税者の寛大な支援によって成り立っていることを考えると、「あらゆる面で」というアプローチは魅力的ではなくなる。
ある調査 によると、2010年から2023年にかけて、太陽光発電は米国の納税者から760億ドルの補助金を受け、風力発電は約650億ドルの補助金を受けています。これは、バイデン政権が 「再生可能エネルギー」への補助金 支給を開始する前の話です。再生可能エネルギーは2024年に314億ドルの費用を負担し、2025年から2034年にかけて4210億ドル以上の費用がかかると予測されていました。その後、トランプ政権は可能な限り多くのプロジェクトを縮小し始めました。「代替エネルギー」に関しては、納税者は建設に数十億ドルの補助金を支払わざるを得ず、解体にも莫大な費用を負担することになるでしょう。
これから訪れる太陽光と風力の墓場が、アメリカにとって次なるスーパーファンドの浄化の重荷となるかもしれないという懸念は、決して不合理ではない。主流メディアの「再生可能エネルギー」運動への支持という一時的な称賛に浸る左右両派の政治家たちは、太陽光経済が終焉を迎え、私たちの税金が風と共に消え去った時、最終的に責任を問われることになるだろう。
データセンターの設計・開発を行うアプライド・デジタル<APLD>が大幅高。前日引け後に6-8月期決算(第1四半期)を発表し、売上高が予想を上回ったほか、1株損益の赤字も予想ほど膨らまなかった。テナント向け設備工事サービスによる一時的な売上で予想を大幅に上回ったと述べている。
同社はまた、ノースダコタ州にある第2データセンターキャンパスについて、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)との交渉が最終段階に入っていると発表した。
「ハイパースケーラーと主要なリース条件の多くで合意し、最終交渉段階にある。このリースが締結されれば、顧客は最大1ギガワット(GW)の容量全体に対する優先購入権を有することになり、これは追加の電力確保を条件とする」と述べた。
アナリストは「大規模リース契約の正式発表はなかったが、データセンター開発の進行ペースが想定より速いことを示唆している。今後数カ月から来年初めにかけて、同サイトでのテナント契約締結が近づいている可能性がある」と述べた。「9-11月期までにプロジェクト融資と新規リースの両方が完了する現実的な見通しだ」とも語った。
アメリカは絶望的に分断されていると、私たちは日々聞かされています。あらゆる問題が赤対青、左対右に分かれ、もはや共通の基盤は存在しない、と。しかし先月、インディアナ州フランクリン・タウンシップで、そうした状況とは相容れない出来事が起こりました。それは、単なる区画整理の争いよりもはるかに大きな教訓を示唆しているのかもしれません。
2024年7月17日、バージニア州ストーンリッジの一戸建て住宅近くにあるデータセンター。ネイサン・ハワード/ゲッティイメージズ
グーグルは、約500エーカーの土地を巨大なハイパースケールデータセンターキャンパス建設のため区画整理する計画を立てていた。関係者によると、この計画は1日あたり約数百万ガロンの水を消費し、電力インフラに大きな負担をかけ、騒音と照明で閑静な住宅街を混乱させ、潤沢な税制優遇措置を受ける一方で、地元での恒久的な雇用は最小限しか生み出さないとされていた。これは避けられないと思われていた。企業の弁護士は書類を提出し、地元当局は投票の日程を予定し、住民は既にその結果を覚悟していた。
しかし、投票までの数週間で、フランクリン・タウンシップの住民たちは組織化を始めました。農家、住宅所有者、親、退職者など、あらゆる背景を持つ住民たちが、政治的な垣根を越えて組織化しました。彼らは庭に看板を立て、Facebookグループを立ち上げました。するとすぐに数百人の会員が集まり、住民による嘆願書も提出され、7,600人以上の署名が集まりました。彼らは市議会議員に手紙や電話を送り、教会、学校、地域集会などを通じて情報が広まりました。最終公聴会の頃には、議場は住民で壁一面を埋め尽くし、肩を並べて反対の立場を表明しました。市庁舎も満員で、議場は立ち見が出るほどでした。
地区議会議員のマイケル=ポール・ハート氏は、投票当日の夜に出席していたMore Perfect Unionの記者団に対し、「議会議員として6年間務めてきましたが、ロビーで待機する人々で全ての部屋が満員になっているのを見たことはありません。これほど多くの地域住民から支援が寄せられたことを大変嬉しく思います」と述べた。ある地域住民は、「これは生きるか死ぬかの分かれ道でした。私たちはこのデータセンターに全力で立ち向かう覚悟で来ました」と語った。「何かが私たちを一つにしてくれることを期待していました」と、ある地域活動家は語った。「そして、データセンターがまさにそうしているようです」
投票の数分前、Googleは突如として請願を取り下げた。会場は歓声に包まれた。かつてないほど、世界的な権力が地域的な権力に屈したのだ。
計画中のデータセンターによって水不足や水質汚染が引き起こされる可能性を懸念していた地元の企業経営者兼農場主は、勝利後、次のようにコメントしました。「常に分断されているこの世界で、今夜、皆が共通の目標を持って集まり、勝利を収めました。長い間、まるで4人で段ボールの剣を手に怪物と戦っているような気分でしたが、今夜は人々の力がまだ生きていることを証明しました。」
これはインディアナ州のある町にとって、単なる喜ばしい出来事ではありませんでした。全国的に広がりつつある傾向の一部でした。
ミズーリ州ペキュリアーでは、1,000人以上の住民が「ペキュリアーにデータを投げ込むな」というFacebookグループに参加しました。彼らは庭に看板を立て、市議会に出席しました。多くの人が計画地で祈りを捧げました。最終的に、市当局は以前のゾーニング承認を覆しました。
インディアナ州チェスタートンでは、住民と市当局者からの組織的な反対に直面した後、プロビデント・リアルティ・アドバイザーズが13億ドル規模のデータセンター建設計画を撤回した。テキサス州カレッジステーションでは、数千人が署名した請願書と、水、騒音、地域への影響に関する懸念の表明を受け、市議会が600メガワットの電力を必要とするデータセンター用公有地の売却を全会一致で否決した。テキサス州サンマルコスでは、水とエネルギーの使用に関する世論の圧力を受け、施設の計画が中止された。アリゾナ州ツーソンでは、干ばつに見舞われている地域での水消費量に関する住民の懸念が高まったため、市議会がデータセンター建設計画を全会一致で否決した。
彼らの戦いはまだ終わっていないが、これらの町はそれぞれ早期に行動を起こした。バージニア州ラウドン郡で何が起きたかを目の当たりにしていたのだ。同郡は今や世界のデータセンターの中心地となった。ラウドン郡は今や、郡歳入の30%以上をデータセンター産業に依存している。しかし、その収入には代償が伴う。終わりのない建設工事、高圧送電線の増設、増加する騒音苦情、そしてさらなる拡張を阻止できないと感じている住民たちだ。フランクリン・タウンシップをはじめとする町は、ラウドン郡のような結末を迎えたくないと決意した。コンクリートが流し込まれる前に戦い、そして勝利したのだ。
データセンター反対の草の根運動を追跡している調査グループ「データセンター・ウォッチ」の報告書によると、住民や活動家グループの反対により、過去2年間で180億ドル相当のデータセンター計画が阻止され、さらに460億ドル相当の計画が遅延したという。
データセンターはなぜこれほど抵抗を引き起こしているのか。表面的には水の消費や騒音公害など多くのことが挙げられますが、最大の不満は透明性の欠如です。透明性の欠如は、住民と、ほとんどの場合、住民の目に触れない形で隠されている計画との間に不信感を生んでいます。住民は、自らの町での「雇用と投資」の約束と、他の町の実際の結果を比較することで、独自の調査を行うために多大な労力を費やしています。他の町では、住民は土地が食いつぶされ、過剰な水が消費され、税金が流用され、建設後に残る正規の仕事はほんのわずかしか残っていないという経験をしています。近隣住民が裏庭で何が計画されているかを知る前に、多国籍企業が弁護士を連れてやってくることもよくあります。時には、地方当局と企業の間に利益相反や未公開の金銭的インセンティブがあることも判明します。このような秘密主義は信頼を生みません。住民は、全国各地で口コミで調査結果を共有しています。
この取り組みはテクノロジーへの反対ではなく、信頼の欠如と使い捨てのように扱われているという感覚に対するものです。地域社会は「進歩」のために平和、土地、そして資源を犠牲にするよう言われています。そして、その負担は小さくありません。建設作業員が去れば、数十億ドル規模の施設は数十人の常勤雇用しか残らないかもしれません。プロジェクトを誘致した税制優遇措置は前払いであることが多い一方で、公共料金の値上げ、産業交通、騒音といったコストは何年も残り、不動産価格は下落します。住民はこの不均衡を目の当たりにしています。地域社会は混乱を被り、利益は他の場所に流れているのです。ですから、彼らが疑問を抱くのは当然です。「誰のための進歩なのか?」利益が世界規模で、負担が地域限定であり、そして巨大データ企業の隣に住む人々から事実が隠されているとき、人々が反発し、自らの財産、隣人、地元企業、そして地域社会のために立ち上がるのは当然のことです。
この不均衡こそが、データセンターをアメリカの新たな火種にしているのです。かつては、プロジェクトに対する地域住民の反対はしばしば「NIMBY」(Not In My Backyard、私の裏庭にいたくないという意味)というレッテルで片付けられていました。この言葉は1980年代に、新しい高速道路、埋立地、刑務所、工場の建設に抵抗する市民を表現するために造られ、彼らはしばしば偽善的または利己的であるとしてレッテルを貼られました。時が経つにつれ、この言葉は狭量な抵抗、つまり市民の義務とは正反対のものを象徴するようになりました。この言葉の根底には、私有財産を排除し、進歩と定義されることが多いものの、市民に開かれたコミュニケーションなしに押し付けられる行為に抵抗しようとする人々に影を落とすことを狙う共産主義および社会主義のイデオロギーがあります。建国の父たちは、正反対のものを思い描いていました。それは、人々が自らの財産を所有し、守り、自らの土地を管理し、政府の行き過ぎに抵抗する権利です。自分の裏庭を守ることは利己的なことではありません。それはアメリカの最も深い本能の一つであり、コミュニティ自体の可能性を維持する独立の擁護である。
そして、直視すべき厳しい真実があります。現在の世界的なAI軍拡競争の軌跡を考えると、データセンターは私たちが望むと望まざるとに関わらず建設されるでしょう。データセンターはAI時代のインフラであり、私たちが逃れることのできない存在です。あらゆるAIモデル、あらゆるクラウドサービス、あらゆるビデオストリームは、これらの施設内のサーバー上で稼働しています。
しかし、だからといって、秘密裏に計画したり、人々の家のすぐそばに建設したりしなければいけないということではありません。密集した住宅街から離れた、もっと離れた場所に建設することも可能です。確かに、送電線を敷設し、インフラを遠くまで建設するには費用がかかります。しかし、調和のために払うコストはそれだけの価値があります。地元住民が、自らが決して選ばなかった世界的な競争の重荷を背負うべきではないのです。
教訓は明白だ。住民が地域社会を守りたいのであれば、再区画化によって抵抗がほぼ不可能になる前に、早期に行動を起こさなければならない。ソーシャルメディアは、悲観的なニュースをスクロールするためではなく、繋がり、学び、組織化するために活用すべきだ。厳しい問いを投げかけ、実際の数字を要求し、そして何よりも、互いに話し合う必要がある。そして、私たちを分断する物語を乗り越えなければならない。フランクリン、ペキュリアー、チェスタートン、カレッジステーション、そしてサンマルコスは、地域社会が分断の物語を拒否し、代わりに手を携えるとどうなるかを示している。アメリカでは、地域の声が依然として力を持っていることを証明しているのだ。
不可能と思われた勝利をもたらしたものは、金銭や弁護士ではなく、分断を拒む隣人たちの努力でした。農民、親、退職者、そして若い家族たちが、自分たちの足元の土地を守るために結束しました。フランクリン・タウンシップでの勝利は、インディアナ州のあるコミュニティの勝利にとどまりませんでした。それは、私たちが市民としての義務を果たし、隣人と共に立ち、秘密と分断ではなく調和と開かれたコミュニケーションを選ぶとき、アメリカがまだどのような存在であり得るかを示す事例研究でした。
新しいデータ センター容量の急速な増加のほとんどは、バージニア州、テキサス州、オレゴン州、オハイオ州、アイオワ州などの確立された(「既存」)市場で発生しています。一方、新しい州やより小規模な州(「新興市場」)では、今のところ規模は小さいものの、データ センター開発を誘致し始めています。
ゴールドマン・サックスのアナリスト、ホンチェン・ウェイ氏率いるアナリストは、アテリオのデータに基づく最新のプロジェクトスケジュールを引用し、米国のデータセンター容量は2025年10月までに46GWに達し、前年比37%増となると予測していると述べた。ウェイ氏は、この増加の大部分は既存市場によるものだと指摘した。
レポートからの主なポイントは次のとおりです。
上位州(バージニア州、テキサス州、オレゴン州、オハイオ州、アイオワ州)は、今年これまでに追加された12.4GWのうち7.6GWを占めています。
バージニア州は前年比33%増で引き続き優位に立っており、テキサス州とジョージア州はそれぞれ前年比57%増と加速でリードしている。
2025年には31州が容量を追加し(2024年には22州)、より広範な全国的拡大が強調されるものの、新規参入者の大半は規模が依然として控えめです。
PJM(中部大西洋岸)、ERCOT(テキサス州)、南東部(主にジョージア州)を合わせると、米国の新規容量の64%を占めます。
TVA(テネシー川流域開発公社)は、電力制約のため、最も競争力が低い地域です。
今後の展望:
2025年末までに、主に主要市場からさらに4GWの容量が追加されると予想されています。
さらに、今後数年間で63GWの新しいプロジェクトが発表されています。
データセンターの急速な成長により、今後数年間で米国の主要電力市場(CAISO、MISO、PJM)の供給が危機的な逼迫状態になると予想されます。
データ センターの構築は急成長 (「サークル ジャーク」と読みます) に入ります。
データセンター開発が最も急増している上位 5 州。また、これらの州では、電力網が脆弱であれば、既に上がっているとしても電気料金が上がる可能性があり、中間選挙を前にした地方当局にとっては悲惨な事態となるでしょう。
データセンターに最適な地域グリッドは何ですか?
魏氏は8月に、 「米国の13地域電力市場のうち9地域はすでに今夏に危機的な逼迫状態に達しており、1地域を除くすべての市場が2030年までに危機的な逼迫状態に達すると予想されている」と警告した。
そして、AIバブルを頓挫させる可能性があるのは、イングランド銀行が水曜日に「電力、データ、または商品のサプライチェーン」が「AIの進歩に対する重大なボトルネック」になると警告したことだ。
●その他
先週、私たちは、現在の世代(どの世代にもそういう世代はあります。Global Crossingに聞いてみてください )の「無限のお金」の循環的な循環取引について詳細に議論した長い記事を公開しました。これは AI バブルの定番 となっており、簡単に言えば次のようになります...
または、Bloomberg の少し洗練されたバリエーションを使用すると、次のようになります...
JPMのマイケル・チェンバレスト氏は簡潔に次のように説明しました...
オラクルの株価は、オラクルがまだ構築していないクラウドコンピューティング施設(フーバーダム2.25基または原子力発電所4基に相当)を提供するために、年間600億ドルをOpenAIから約束されたことと、負債対資本比率が既に500%であるオラクルの借入金増加(Amazonの50%、Microsoftの30%、MetaとGoogleではそれ以下)を受けて、25%上昇した。OpenAIはまだその金額を稼いでいない。
オラクルにはキャッシュフローでこれを支払う術はない。野望を実現するための資金は、株式または借入金で調達する必要がある。これまで、AIインフラブームは、少数のハイパースケーラーのキャッシュフローによってほぼ全額が賄われてきた。オラクルはこのパターンを打破した。シェア獲得のため、最大数千億ドルものレバレッジをかける覚悟だ。安定した寡占状態は崩壊しつつある…その影響は甚大だ。アマゾン、マイクロソフト、グーグルはもはやAIインフラを裁量投資として扱うことはできない。彼らは自らの縄張りを守らなければならない。かつては規律あるキャッシュフローを原資とした競争が、今や借金に支えられた軍拡競争へと転じる可能性がある。
...そして、莫大な投資資本をどこからともなく呼び起こしたが、ジェンセン・フアン氏が本日CNBCで親切にも認めたように、実際にはそのような資本は存在さえしていない...
…しかし、将来のある時点で、将来の事業活動によるキャッシュフロー、株式増資(現在の投資家には内緒にしてください)、あるいは負債のいずれかの形で発生するでしょう。まあ、実際には負債だけですが。
負債は山ほどある。企業への浸透がごくわずかで、これまでのところ最大の利用例は、エッセイの執筆をチャットボットにアウトソーシングしている怠け者の大学生が月額 19.99 ドルで利用しているだけなので、年間 5,000 億ドルの設備投資を誰かが支払わなければならない。
その誰かについては、既に詳しく議論しましたが、新世代の債権者となるでしょう。7月に「衝撃の計算:AI設備投資の費用を賄うには2028年までに1兆ドル以上の新規債務が必要」で説明したように、民間債権者も含まれるでしょう。その記事では、モルガン・スタンレーの驚くべき数字を引用しています。
2028 年までに世界のデータセンター支出は約 2.9 兆ドルになると予測しており、そのうち 1.6 兆ドルはハードウェア (チップ/サーバー)、1.3 兆ドルは不動産、建設コスト、メンテナンスを含むデータセンター インフラストラクチャの構築に費やされると見込まれます。
これは、2028年には9,000億ドルを超える投資が必要になることを意味します。ちなみに、S&P 500指数に含まれるすべての企業による2024年の設備投資支出総額は約9,500億ドルでした。
このような巨額の潜在的支出は、マクロ経済にも大きな影響を及ぼします。当社のエコノミストは、データセンター建設と発電に関連する投資支出が、2025年から2026年にかけて米国の実質GDP成長率を最大40bp押し上げると予測しています。
これは良いニュースです…多くの人が既に織り込み済みだと口にするでしょう。悪いニュースは、繰り返しますが、これらすべてを誰が負担するのかということです。モルガン・スタンレーもそれを認めています。
いかなる基準で見ても、このレベルの投資を支えるために必要な資本は膨大であり、効率的かつ拡張性の高い資本の動員がますます重要になっています。私たちは数日前に発表した共同レポートで、このテーマを深く掘り下げ、この支出を賄うための代替的な資金調達手段を探りました。レポートの重要なポイントは、信用市場(公募市場と私募市場の両方における担保付き、担保なし、証券化商品)が、データセンターの資金調達においてますます重要な役割を果たすようになるということです。
明確に申し上げますと、AIとデータセンター関連の設備投資はここ数年で活発化しています。ハイパースケーラーによる支出だけでも、2年前の約1,250億ドルから2024年には約2,000億ドルに増加しており、2025年には3,000億ドルを超えるとコンセンサス予想となっています。
ハイパースケーラーからの内部営業キャッシュフローが、この支出の源泉となってきました。しかし、当社の株式アナリストは、今後数年間でデータセンターへの投資ニーズが急増すると予測しています。ハイパースケーラーからのキャッシュフローは、引き続きデータセンター関連支出を賄うための重要な資金源となりますが、キャッシュフローの増加と株主還元を考慮すると、それだけではもはや十分ではありません。当社の株式アナリストの予測に基づくと、ハイパースケーラーの設備投資のうち1.4兆ドルはキャッシュフローで自己調達される可能性があり、1.5兆ドルもの資金調達ギャップが生じると推定されます。
クレジット市場(様々な種類の公的市場と私的市場の両方を包含する広義の定義)は、このギャップを埋めるより効率的な資本供給源として、今後ますます注目を集めると考えています。クレジット市場全体では、潤沢かつ増加しているドライパウダー(手元資金)が好調に推移しており、魅力的な実質利回りは、分散効果をもたらす拡張性の高い高品質な資産を求める、粘り強い最終投資家層(保険会社、政府系ファンド、年金基金、基金、富裕層個人投資家など)にとって魅力的です。こうした資本と投資のニーズの一致が、1.5兆ドルの資金調達ギャップを埋める道を開くと考えています。
様々な資金調達チャネルの規模は、テクノロジーセクターの発行体による無担保社債発行(約2,000億ドル)、データセンターABSおよびCMBSといった証券化市場(約1,500億ドル)、資産担保型ファイナンス(ABS)といったプライベートクレジット市場(約8,000億ドル)、そしてソブリン、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、銀行融資といったその他の資金源(約3,500億ドル)と推定しています。これらのうち、プライベートキャピタル、特にクレジットは、高金利環境における運用資産残高(AUM)の大幅な拡大と、AI構築に伴う複雑かつグローバルでカスタマイズされた資金調達ニーズの交差点に位置するため、残りの資金調達ギャップの大部分を埋める上で重要な役割を果たすと考えています。
MS は、「私たちが強調したいのは、AI 主導のテクノロジーの普及を可能にする上で信用市場が重要な役割を果たすということ」だと結論付けており、利用可能なすべての信用源の中で、民間の信用によって埋めなければならない債務の穴がいかに大きいかを示すのが下のグラフです。
2か月後、ベインによる調査でもほぼ同じ結論が出ました。
ベインの調査によると、予想される需要を満たすために必要なコンピューティング能力を備えたデータセンターを構築するには、年間約5,000億ドルの設備投資が必要になるとされています。これは、想定される、あるいは想像される政府補助金をはるかに超える莫大な金額です。これは、民間部門が電力供給の増強に必要な資金を調達するために十分な新たな収益を生み出す必要があることを示唆しています。その額はいくらでしょうか?ベインのクラウドサービスプロバイダーの持続可能な設備投資対収益比率の分析によると、年間5,000億ドルの設備投資は、年間収益2兆ドルに相当することが示されています。
この2兆ドルを毎年賄うにはどうすればいいのでしょうか?企業がオンプレミスのIT予算をすべてクラウドに移行し、さらに営業、マーケティング、顧客サポート、研究開発にAIを導入することで見込まれる節約額(これらの予算の約20%と推定)を新規データセンターへの設備投資に再投資したとしても、その額は投資全額を賄うために必要な収益には8,000億ドル足りません。
そして視覚的に:
先週詳述したように、問題は民間信用部門が米国消費者に対する莫大なエクスポージャーの重圧に耐えかねて崩壊し始めていることである(トリコロールやファースト・ブランズの破産のような目立った破綻はほんの始まりに過ぎない)。
幸いなことに、公的信用セクターも存在し、ここでも本格的な債務バブルが醸成されています。そして、もちろん、すべてテクノロジー関連です。
JPモルガンのエリック・ベインスタイン氏とネイト・ローゼンバウム氏(全文はこちら)によると、 AI関連企業は現在、1.2兆ドルの負債を抱え、投資適格指数の14%を占めています。驚くべきことに、AI関連企業は今や銀行を上回り、投資適格指数の中で最大のセクターとなっています。
さらに、このセクターの株価は約 74 bps で取引されており、これはより広範な JULI インデックスよりも 10 bps タイトです (これらの企業は、JPM の Delta-One バスケット JPAMAIDE を介して BBG で追跡できます)。
Beinstein は次のように問題を要約しました。
AI関連銘柄の急騰は、クレジット投資家に、潜在的な下落が信用リスクに影響を及ぼすのではないかとの不安を抱かせています。しかし、ファンダメンタルズの観点から見ると、これらの企業は現金が潤沢であるかレバレッジ比率が高くないか(テクノロジーおよび設備投資)、あるいは規制が厳しい(公益事業)ため、こうした懸念は根拠がないと考えています。とはいえ、AI関連銘柄の株式売却はクレジットリスクにも影響を与える可能性が高く、これらの企業の株価は市場全体とほぼ同水準であることを考えると、単一銘柄CDSのショートバスケットは、クロスアセット投資家にとって効果的なテールヘッジとなる可能性があります。
JPMのHG Creditテクノロジー、公益事業、キャップグッズのアナリストと協力し、AI革命と最も密接に結びついている投資適格企業群を特定しました。これらの企業の負債額は急速に増加し、現在1.2兆ドルに達しています。そのため、私たちが定義するAI企業は投資適格指数の14.0%を占めており、これを「セクター」と見なすと、最大の投資適格セクター(米国銀行)よりも大きな規模となっています。
JPモルガンの結論:「JPAMAIDE株式バスケットの時価総額はS&P500の時価総額の39%にまで成長しており、価格改定はより広範な市場にとって重大な影響を及ぼす可能性がある」
単一銘柄レベルでは、AAPL、DUK、ORCLが最大の債券発行体ですが、現金豊富で純負債が少ないタイプの企業です。これらの中で、最後のORCLが最も懸念されるのは、JPMのCembalest氏が「The Data Center Blob」で書いたように、 Oracleの負債対資本比率は500%であるのに対し、Amazonは50%、Microsoftは30%、MetaとGoogleはさらに低いからです。つまり、AI関連の信用バブルが崩壊すれば、Oracleが真っ先に破綻するでしょう。
もっと大きな問題があります。AIパラダイムシフトが起こった場合、市場がAI投資に対して単なる金儲けではなく、具体的なリターンを求めるようになったり、中国がNVIDIAの1000倍も安いAIチップを開発したり、サム・アルトマンの「非営利団体」が発表できるものよりも優れた法学修士号(LLM)をリバースエンジニアリングしたりすることで、AIセクターの株式投資家は莫大な損失を被るでしょう。しかし、少なくともその損失は株式市場に限定されるでしょう。しかし、年間5000億ドルの設備投資に充てられ、経済全体の足場として機能し、決して実現しない将来のキャッシュフローによって「保証」されているAIクレジットこそが、AIバブルが崩壊した際に経済を破壊する真の時限爆弾となるでしょう。
あるいはそうではないかもしれない。
AIバブルが直面する莫大な資金不足を計算し、時間が経てばほぼ確実に崩壊するとした悲観的なレポート(上記参照)の中で、コンサルタント会社はAIの経済性が実際に機能する可能性があるケースを提示した。
技術革新は状況を変えます。歴史は計算能力の予期せぬ飛躍的進歩に満ちています。半導体におけるムーアの法則の60年間の進歩により、1970年代の最も強力なコンピュータをはるかに凌駕する性能を持つ携帯型デバイスが実現しました。例えば量子コンピューティングは、今日の半導体の好ましい軌道に取って代わり、将来のシステムの計算および電力需要を削減する可能性があると多くの人が推測しています。ベインの調査では、生成AIのトレーニングと推論のワークロードを置き換えるのに十分な安定性を持つ量子コンピュータが実現するまでには、少なくとも10年から15年かかることが示唆されています。その他の技術革新としては、汎用グラフィックス処理装置(GPU)よりも効率的である可能性のある特別に設計されたトレーニングおよび推論用特定用途向け集積回路(ASIC)、または電力効率を改善するための新しい形式のメモリや高度なパッケージングなどが挙げられます。
言い換えれば、AIバブルが崩壊して世界市場と経済を巻き込むことはなく、AIセクターがいつか自立できるという希望があるということです。必要なのは奇跡だけです。