備忘録(2025/6/30)
●企業
経営再建中の日産自動車(7201.T), opens new tabが、手元資金の確保へ一部サプライヤーに代金の支払い延期を求めていたことが分かった。電子メールのやりとりや日産の社内文書をロイターが確認するとともに、事情を知る関係者が明らかにした。
日産が延期を要請した対象は、英国と欧州連合(EU)域内の一部サプライヤー。最近では6月にメールを送付した。サプライヤーが延期に応じれば、日産は4─6月期の手元資金減少を抑えることができる。1─3月期末が近づく3月末にも同様のメールを送っていた。
日産はロイターの取材に対し、より柔軟な支払い条件による協力を一部サプライヤーに依頼していると説明。フリーキャッシュフローを下支えするためで、サプライヤーに負担は求めていないとした。「サプライヤーは即座に支払いを受けるか、利息付きで後日の支払いを選ぶか選択できる」とした。
企業が手元資金を厚くするため、取引先に支払い延期を求めることは珍しくない。ボストン・コンサルティング・グループは昨年、支払い期限の延長は企業がキャッシュフローと運転資金を創出・維持する有効な手段だと指摘するリポートをまとめた。適切なキャッシュの水準を維持することは、企業が信用格付けを損なうリスクを回避する上でも役立つとしている。
それでも今回明らかになったメールのやり取りや社内文書は、将来的に支払額が増えたとしても目の前の資金確保を優先する日産の動きを浮き彫りにしている。
メールは、英国とEU域内の日産従業員の間で交わされていた。交流サイトのリンクトインでプロフィールを確認したところ、購買や財務部門の従業員も含まれていた。
今月やり取りされた複数のメールは、サプライヤーに「再び」支払い延期を求めたと説明。6月の支払いが8月15日に延びる可能性があるとし、一部の支払いが9月に後ろ倒しされる可能性にも言及している。「CEOからのトップダウンの要請」であるフリーキャッシュフローの改善が目的で、取引先が支払い延期の受け入れを強制されることはないとしている。
日産の自動車事業のフリーキャッシュフローは、第1・四半期(4─6月期)がマイナス5500億円と前年同期のマイナス3028億円から悪化する見通し。
日産はロイターの取材に、社内の議論や具体的な目標についてはコメントしないとする一方、業績回復と筋肉質な構造への転換を目指すとともに「再生計画に伴うコストに対処し、社債償還に対応するのに十分な流動性の確保を目指している」とした。
東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは、「日産は足元の現金流出をできるだけ先送りしたいのだろう」と指摘。「資金調達での厳しさを物語っている」と話す。
<資金の「調達タスク」>
財務部門のディレクターが、1億5000万ユーロ(約240億円)の資金調達目標に触れるメールもあった。同ディレクターが5月に送ったメールでは「1億5000万ユーロの調達タスク」の達成が必要だとし、同じ時期の別のメールでは「調達タスク」の1億5000万ユーロを達成するため、サプライヤーへの支払いを(第2・四半期が始まる)7月まで延期する選択肢があるとした。
ロイターが閲覧したメールによると、日産は2つの支払い延期案を検討。1つは支払いを遅らせる代わりに額を増やすというもので、もう1つは英金融機関のHSBCが期日までに支払いを代行し、日産が後日利息を付けて銀行に返済するというものだった。
日産が3月に英規制当局へ提出した書類によると、HSBCは取引銀行の1つ。HSBCはロイターの取材に対し、顧客に関する事項はコメントを控えるとした。
ロイターは日産が延期を要請したサプライヤーの数や、要請した延期の期間を確認できていない。メールの1つは、45日間の延期に言及していた。北米や日本のサプライヤーにも同様の依頼をしたかどうかも確認できていない。
昨年10月の社内文書によると、日産は英国とEUの10社を超える企業との支払い条件を延長することでフリーキャッシュフローを最大5900万ユーロを増やせると推定していた。この対象企業には、英国に拠点を置く人材派遣会社マンパワーグループ(MAN.N), opens new tabの傘下企業や海運大手の商船三井(9104.T), opens new tabが含まれていた。
マンパワーグループと商船三井はロイターの取材にコメントを控えた。
4月に就任した日産のイバン・エスピノーサ最高経営責任者(CEO)は、今後2年間で5000億円のコスト削減を図る一環として7つの工場閉鎖と約2万人を削減する計画を打ち出している。車のラインアップが刷新されず米国や中国での販売不振などが響き、2025年3月期は6708億円の最終赤字を計上した。不透明な米国関税の影響も重なり、26年3月期の業績予想は公表していない。
日産の3月末時点の手元資金は2兆2000億円。26年3月期に総額約7000億円の社債償還を迎える。日産の社債は主要格付機関3社が「ジャンク級」に格下げしている。日産は今月提出した書類に、さらなる格下げが今後の資金調達計画を複雑化する可能性があると記している。
計測器のフォーティブ<FTV>が下落。経営陣が第2四半期の見通しを公表し、売上が価格圧力と需要減速の影響を受けるとの認識を示した。第2四半期の売上高および既存事業売上高は横ばいから微減を見込んでいる。
ソロイ新CEOは「前回の決算発表以降、関税関連の価格設定や顧客需要に対する圧力が高まっており、これは主に、貿易、医療、政府支出政策に関する不確実性の高まりによるものだ」と述べた。「こうした要因により、第2四半期後半にかけて売上高と既存事業売上高の成長に逆風が生じた」としている。
これに対してアナリストは「今回の発表は決算を前にしたある程度の地ならしとなった」とコメントしている。
●マクロ
欧州中央銀行(ECB)は30日、戦略見直しの結果を発表した。2021-22年のインフレ急上昇の教訓を生かすと共に、今後はこうした衝撃がより頻繁に起きる可能性が高いことを反映させ、金融政策の運用方法を微調整する。
ポルトガルのシントラで開かれる年次会合にあわせて公表された新たな戦略の下で、ECBは以下のような方針を示した。
2%を中心に上下対称の中期的インフレ目標を確認
インフレ率が目標から大きくかつ持続的に乖離(かいり)した場合には方向にかかわらず、適切に強力または持続的な政策対応を取る
保有するあらゆる政策手段を維持し、それらの選択・設計・実施を通じて新たなショックに迅速に対応する
政策手段の使用は、今後も常に包括的な比例性評価に基づいて判断
地政学的・経済的な分断や人工知能(AI)の活用拡大といった構造変化がインフレ環境を一層不確実にしていると認識
インフレおよび経済見通しに対するリスクと不確実性を把握へ。適切なシナリオ分析や感度分析も活用
ラガルドECB総裁は記者会見で「この見直しの意義」は、「あらゆる状況に対応できる戦略になった点だ」と語った。前回の戦略見直しについては、将来を見据えたものというより、ECBの過去の経験により強く影響されていたと認めた。
昨年夏に開始された今回の戦略見直しは、4年前に終了した前回見直しの結果を精査することに重点が置かれた。21-22年の異例のインフレ高進から教訓を引き出すことを目指した。高インフレはECBが出遅れたとの批判も招いた。
約20年ぶりに行われた前回の見直しは新型コロナウイルス禍前の極めて低い消費者物価の伸びという状況を背景に策定された。
しかしその直後、コロナ禍やウクライナ戦争の影響でインフレ率が2桁台に達し、戦略は早々に試練にさらされた。ECBが利上げを開始したのは22年7月で、既に消費者物価上昇率は8%を超えていた。
ECBはまた、脱グローバル化や脱炭素化、人口動態の変化といった要因によって、より頻繁かつ混乱を伴う経済ショックが生じると予想。そうした環境への備えを強化する方針だ。
ラガルド氏は声明で「今回の見直しは、われわれの考え方を検証し、政策手段を点検し、戦略を微調整する貴重な機会だった」と説明。その上で「不確実性が高まる環境で、金融政策を運営し、物価安定という使命を果たすための、より強固な基盤が得られた」との認識を示した。
チーフエコノミストのレーン理事は記者団に「金融政策対応の規模は、問題の規模に左右される」と述べた。その上で、将来の決定は、経済が想定される道筋をたどった場合だけでなく、リスクが顕在化し始めた場合にも適切なものとなるよう、ECBは常に努めていくと強調した。
ECBによると、次回の戦略見直しは30年に行われる可能性が高い。
香港の不安定な不動産市場を危機に突き落とす銀行には、誰もなりたくはなかった。
香港の不動産大手、新世界発展は30日、総額875億香港ドル(約1兆6000億円)に上る過去最大の借り換えを数カ月にわたる交渉の末ついにまとめた。銀行団が借り換えに同意したのは、合意しなければどうなるのかという不安が大きかった。
一部の銀行員は社内の融資部門に説明する際、新世界の財務力ではなく同社が破綻した場合の影響を強調し、合意の重要性を説いて回った。バークレイズによれば、新世界が香港に持つ資産は約400億ドル(約5兆7700億円)と、香港の年間の域内総生産(GDP)の約10%に相当する。つまり、借り換えに失敗すれば、香港経済に痛みを伴う衝撃が及ぶ恐れがあった。その場合、今年だけで香港の住宅価格は最大7%下落した可能性があったと、S&Pグローバル・レーティングは分析した。
合意成立に取り組んだ銀行員らは、同業他社からの圧力や規制当局との連絡や会合、債権者のいら立ち、当初は借り換え計画を拒否した中小銀行の支持獲得に向けた土壇場での努力が実った結果だと説明した。
借り換え合意により、同社と香港はひと息つけた格好だ。だが、合意への切迫感と乗り越えなければならなかったさまざまな障害は、香港不動産市場がいかに悪化したかを物語る。香港の不動産価格は4年連続で下落し、オフィス空室率は過去最高に近い水準にある。
プライベートエクイティー(未公開株、PE)投資会社、開源資本のマネジングディレクター、ブロック・シルバーズ氏は「新世界は命脈を保ったかもしれないが、香港経済はなお大きなリスクを抱えている」と指摘。「不動産開発会社の債務は依然として過剰で、再編を迫られる企業は今後増えるだろう」と述べた。
銀行団は新世界の次の対応に注意を向けている。同社には約80億ドルに及ぶ発行済み社債があり、その一部について何らかの提案があるか、返済期限の猶予を近く要請してくるだろうと、投資家は見込んでいる。約20億ドル相当を借り入れ、その資金を債務の返済に充てる計画もある。また、銀行団への返済用資金を調達するため資産売却を進めるよう圧力を受けてもいる。
新世界はブルームバーグ・ニュースのコメント要請に応じなかったが、黄少媚最高経営責任者(CEO)は、借り換え合意後の発表文で、今回の借り換えは「当社事業への信頼の証だ」と述べ、同社の最優先事項は債務削減とキャッシュフローの改善だと強調した。
金融庁は30日、地方銀行でも取り組みが広がる買収ファイナンスについて、リスク管理などで専門人材の育成・確保に課題があるとした報告書を公表した。
地銀業界では収益力強化への一環として近年、大手行以外にもストラクチャードファイナンス(仕組み金融)を注力分野として挙げる銀行が増えており、金融庁はリスク管理や経営陣の関与などについて検証を進めてきた。
今回公表した「国内LBOローンに係るモニタリングレポート」では、買収先企業の資産などを担保とするレバレッジドバイアウト(LBO)融資の取り組みにおいて、地銀の専門人材確保は営業などのフロント部門に偏っていると指摘。トレーニーの派遣や中途採用を含め、審査やリスク管理、内部監査においても専門人材の配置が必要だとしている。
金融庁は「企業のニーズに応じたLBO融資の積極的な供与は、地元経済にとっても望ましい」としつつも、実効性のあるリスク管理体制の整備が前提と強調してきた。
検証では外部コンサルティング会社を使って規定やマニュアルを作成したものの、自行の融資先の特性を反映したものになっておらず、「リスク管理上の実効性が乏しい内容になっている」とした事例もあった。
【リポートで指摘された主な課題事例】
スポンサーが策定した債務者の事業計画について、自行で妥当性や実現可能性等を検討することなく採用している
自行の対象先の大部分は中小企業であるが、規模が大きく異なる上場企業のEBITDA倍率を比較することのみで買収価格の妥当性を検証している
本部のアレンジ担当部署による期中サポート態勢を構築せず、LBOのノウハウがない管理店に債務者の業績やコベナンツ管理等のモニタリングを任せている
国際会計基準で作成された債務者の財務諸表をフロント部門、審査部門ともに、同基準を理解していなかったため、債務償還能力を過大に評価している
官民ファンドINCJ(旧産業革新機構)は30日、今年3月末に終了した投資活動の報告を行い、2009年の発足以降の投資収益が1兆円を超えたと明らかにした。
活動期間中に144件の投資を実施し1件を除いて全てイグジット(出口)に到達。投資件数の8割が起業したばかりのスタートアップを含むベンチャー企業が対象だった。累積支援金額は1兆3603億円で、ベンチャー企業対象が約2割で、企業の再編に関する投資が過半に上った。
投資元本1兆2823億円に対して回収額は2兆3260億円で、1兆円超の収益を達成したという。半導体大手ルネサスエレクトロニクス(6723.T), opens new tabの再建による貢献が大きかった。
累計の売上高は2兆2079億円で税引前利益は9356億円だった。
志賀俊之会長はこれまでの投資実績について、ルネサス、液晶パネルメーカーのジャパンディスプレイ(JDI)(6740.T), opens new tab、有機ELパネルのJOLED(東京・千代田)の3社への「投資に偏りがあったことは反省している」とし「官民ファンドとしては社会的な必要性がある以上、簡単には(会社を)つぶせず、結果として追加投資が増える場面もあった」と説明。ルネサス株の売却が全体のリターンに大きく貢献したことを挙げ、最終的には国民の財産を損なわずに一定の成果を上げたと評価してもらいたいと述べた。
INCJは公の資金を原資に民間の資金も活用して民間の判断で投資活動を行う組織として設立された。18年の再編を経て新設された産業革新投資機構(JIC)のファンドに、INCJのミッションや機能が継承された。JICの運用期限は2050年までで、実質的に期限が延長されたことになる。
INCJの現経営陣は同日付けで退任し、現経営体制では最後の会見となった。今後は最低限の機能を維持していく。
志賀氏は官民ファンドの存在意義について「常に議論はある」としつつも、「バブル崩壊後の『失われた30年』を経て、民間企業がリスクを取りにくくなった。事業会社からのリスクマネーの供給が乏しいからこそ、政府系ファンドが存在する意義がある」と指摘した。
カナダ政府は、米国との互恵的な包括的貿易取り決め締結に向け、メタ<META>やアルファベット<GOOG><GOOGL>など、大手テクノロジー企業を対象とするデジタルサービス課税(DST)を撤回すると発表した。
カナダのカーニー首相とトランプ大統領は、7月21日までの合意を目指し、貿易交渉を再開することで一致した。カナダ政府が声明で明らかにした。
トランプ大統領は27日、カナダのDST導入を理由に同国との貿易協議を全て打ち切ると表明。1週間以内に新たな関税率を設定すると警告していた。
カナダの輸出は約4分の3が米国向けで、そこには石油や他の多くの商品、同国製の自動車・トラックの大部分が含まれており、米国との貿易協議で生じる経済的利害は非常に大きい。カナダは米国産品の最大の買い手でもある。
カナダのDSTは、昨年成立した法律に基づき、カナダのユーザーから得るデジタルサービス収入のうち、年間2000万カナダ・ドルを超える部分に3%課税するもので、最初の支払期限が30日に設定されていた。大手テクノロジー企業は数十億ドルの負担を余儀なくされる恐れがあった。
カナダのシャンパーニュ・イノベーション科学産業相は「DSTの撤回は交渉に不可欠な進展をもたらし、全てのカナダ人の雇用創出と繁栄実現に向けた取り組みを後押しする」と投稿した。
米国とカナダとの2国間貿易は世界有数の規模で、昨年の財・サービスの取引総額は9000億ドルを上回る。
ハーバード大学が分析した米国国勢調査データによれば、米国の全世帯の3分の1は 、住宅購入か賃貸かを問わず、推奨される収入の3分の1を超える金額を住宅費や光熱費に費やしており、そのためコスト負担が重いとされている。
StatistaのKatharina Buchholz氏が以下のグラフで示しているように、米国で住宅費の負担を負っている世帯の全体的な割合は2023年に32.7パーセントでしたが、いくつかの州では平均負担がさらに高くなっていました。
生活費が高いことで知られるカリフォルニア州は、負担を抱える世帯の割合が41.7%で、ハワイ州が39.5%、フロリダ州が38.6%、ニューヨーク州が38.2%と続いた。
全般的に、西海岸諸州と国内で人口の多い北東部諸州が最も大きな負担を示しており、これに日照地域のフロリダとハワイが加わった。
最も負担が少ない世帯は内陸部のウェストバージニア州、ノースダコタ州、アイオワ州で、住宅費による過大な経済的負担を感じている世帯は4分の1未満でした。コロラド州とテキサス州はそれぞれ11位と12位でした。
今週発表された報告書 によると、賃貸住宅の居住者は住宅所有者よりも費用面で負担が大きすぎることが多いが、近年その差は縮まりつつあるという。
大不況の前後、国内では住宅所有者は賃借者よりも依然として負担が大きかったが、2012年にこの均衡は変化し、賃借者は 家賃の上昇による負担が大きくなり 、一方で住宅所有者はゼロ金利の恩恵を受けるようになった。
2022年に無利子時代が終了したことで住宅所有者の負担は急増し、インフレ危機による経済的困難が両方の世帯に影響を及ぼしました。
研究者らはまた、住宅所有者にとって保険料や固定資産税の上昇が問題であると指摘する一方、米国の100大都市圏のうち50都市圏では、賃貸居住者の半数以上が世帯収入の50%以上を賃貸に費やしていると指摘した。
イランの最高指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ師は 40年近くにわたり、国内の反対運動、経済危機、戦争を乗り越えてきたが、イスラエルと米国によるイランへの前例のない攻撃は、彼にとってこれまでで最大の試練となる。
彼が次に何を決断するかは、イランと中東の他の国々にとって極めて重要な意味を持つだろう。しかし、今回の攻撃の代償はあまりにも大きいため、彼に残された選択肢は限られている。後継者も指名されていない、健康状態が悪化しつつある86歳の彼にとって、これは大きな試練となる。
ハメネイ政権にどれほどの損害がもたらされたかは 不明だが、政権の権力の中枢を直撃したことは間違いない。イスラム革命の理想を掲げる主要軍事力であるイスラム革命防衛隊は、ベテラン指揮官を次々と失った。兵器級ウランの濃縮が行われていたイランの核施設は深刻な被害を受け、計画の推進を担っていた主要な科学者たちが暗殺された。
ハメネイ師の地域的代理武装集団はイスラエルの攻撃によってすでに深刻な弱体化を余儀なくされており、同政権の核開発計画に費やされた数十億ドルは12日間で失われた。これは制裁とインフレ高騰の時期にさらなる経済的痛手となった。
イスラエルの攻撃はあまりにも強烈だったため、ハメネイ師は紛争中、場所を明かさずに演説を行い、自身の安全に対する懸念が消えないことを示唆した。土曜日に暗殺された軍司令官や核科学者の葬儀に全国で数十万人が参列したが、ハメネイ師は参列しなかった。
停戦が発効してから数日後、最高指導者は イラン国民に反抗的なビデオメッセージを送った。
「この大統領(ドナルド・トランプ)はその真実を暴露した。アメリカはイランの完全な降伏以外には満足しないということを明確にしたのだ」とハメネイ師は述べた。また、予想通り、イスラエルとアメリカに対する勝利宣言も行った。このメッセージはトランプ大統領の無遠慮な反応を引き起こした。
「いいか、君は偉大な信仰の持ち主であり、祖国で非常に尊敬されている人物だ」とトランプ氏は言った。「真実を語らなければならない。君はひどく打ちのめされたのだ」
かつては機敏な指導者として政治・経済戦略を駆使し、政権の存続を確実なものにしたハメネイ師だが、高齢化が進む現在、体制は崩壊し硬直化している。後継者問題、核開発計画の現状、そして代理組織の勢力といった不透明要素を抱えるハメネイ師は、重大な選択を迫られている。体制を立て直すか、それとも権力基盤を脅かすような形での開放か。
降伏なし
ハメネイ師は数十年にわたり、容赦なく続く一連の課題に直面し、それらが相まって彼の政権を形成してきた。
1989年のイラク戦争によって荒廃し孤立した国を継承した彼は、分裂した経済と社会を再建するという困難な課題に直面しました。複雑なイラン聖職者層における内部対立や対立を整理し、容赦ない国際経済圧力に立ち向かいながら、主権と独立という革命的理想を守り抜かなければなりませんでした。
国民の支持が弱まる中、大統領は厳しい国内弾圧を強行してきた。特に、女性の権利を訴える抗議者が「道徳警察」の手による女性の死亡を数週間にわたって抗議デモで訴えた際や、2009年に選挙不正疑惑をめぐって大規模な抗議デモが勃発した際には、弾圧が顕著だった。
亡命したイラン人グループは、反体制プロパガンダを24時間体制で発信するメディアを設立し、分離主義グループは彼の核開発計画の機密を漏洩した。イスラエルの諜報機関はイランに深く浸透し、核科学者を暗殺し、イランのインフラに対してサイバー攻撃を仕掛けているようだ。
しかし、これまで一度も、世界最強の軍隊が彼の国を攻撃したことはなく、米国大統領がソーシャルメディアの投稿で彼の暗殺の可能性について言及したこともない。
イスラエルとアメリカによるイランへの攻撃は、長らく予想されていたものの、その実行には広く疑問の声が上がっていたが、1979年のイスラム革命以来、外国がイランを直接攻撃したのは、1980年代のサダム・フセイン政権下のイラク侵攻以来、わずか二度目となる。
ハメネイ師の主な対外的影響力の源泉である高度な核開発計画とイスラエルを包囲する代理組織のネットワークは、現在麻痺状態にある。
国内的には、ハメネイ師は忠実な支持基盤と権威を守るために構築された機関に支えられ、依然としてイランで最も影響力のある人物である。しかし、イランが最近の攻撃で混乱し、ハメネイ師が身を隠している状況では、高齢の指導者は革命の保守的な理想を守るために弾圧を強める可能性がある。
「イランのドクトリンは、地域における力の投射と敵対勢力の抑止力を中心に構築されてきたが、前者は衰退し、後者は失敗した。生き残るという最低限の目標を前に、政権は再び戦うために生き延びているが、弱体化していることは間違いない」と、国際危機グループのイラン・プロジェクト・ディレクター、アリ・バエズ氏は述べた。
混乱の中、イラン政権は今、こうした内外の問題に対処しなければならないとヴァエズ氏は述べ、これには「ハメネイ師が考えるよりも根本的な再考」が必要だと語った。
「たとえ軍の戦線が静かだとしても、体制内部では清算が行われ、舞台裏では相当な責任追及が行われるだろう。諜報活動の失敗は甚大で、軍の上層部は壊滅状態にある。イランは依然として、戦争以前から抱えてきた深刻な課題、すなわち困難な経済状況、根深い社会的・政治的不満に対処しなければならない」とヴァエズ氏は述べた。
深い不信
前例のない圧力と選択肢の減少に直面しているハメネイ師は、核兵器開発を断念するファトワ(宗教弾圧)を発布した経験があり、イランの核開発計画を最善の防衛手段として兵器化することを検討するかもしれない。議会は先週、国連の核監視機関との協力を停止する意向を示した。
核爆弾の開発は、イランの公式見解の大きな転換となるだろう。イスラエルは今回の攻撃はイランの核兵器取得を阻止することが目的だと主張しているが、テヘランは一貫して、核開発計画は平和的なものだと言い張っている。
情報機関の報告書で、テヘランが懸念すべきレベルまでウランを濃縮できると結論づけられた場合、イランへの再爆撃を検討するかとの質問に対し、トランプ氏は「もちろん、間違いなく、絶対に」と答えた。
しかし、トランプ大統領は、イランが「最も考えていないのは核兵器だ」と主張した。
ハメネイ師にとって一つの可能性は、例えば更なる改革を導入することで、イスラエルの攻撃に対抗するためにイラン国内で稀有な結束力を発揮する機会を捉えることだ。演説の中で、彼はこの瞬間を集団の力の瞬間と捉えた。
「神の恩寵により、9000万人近い国民が声と目的を一つにし、肩を並べて、要求や意図に分裂することなく、一つになった」と彼は語った。
しかし、ヴァエズ氏が主張するように、ハメネイ師は根本的な政治経済の見直しにあまり乗り気ではないかもしれない。その保守主義は、温暖化が進む近隣地域を受け入れ、ワシントンとの新たな合意を追求するという別の選択肢を阻む可能性もある。
イランのアラブ近隣諸国は歴史的にイランの拡張主義政策を 脅威とみなしてきたが、最近ではテヘランとの関係修復を選択し、費用のかかる紛争を避けるために協力したいという希望を表明している。
しかし、トランプ大統領が最初の任期中に核条約を一方的に破棄したことや、今月イスラエルが前例のない攻撃(イラン代表団が米国と新たな協議を行う予定の2日前に開始された)によって、ハメネイ師の西側諸国に対する不信感は深まり、今後の交渉にどう臨むかについては不透明感が漂っている。
トランプ政権は、イランを交渉のテーブルに復帰させるための取り組みを強化する中で、民生用エネルギー生産核開発計画のためにイランが最大300億ドルの資金を調達できるよう支援すること、制裁を緩和すること、そしてイランの制限下にある数十億ドル規模の資金を解放することを検討していると、CNNが今週、事情に詳しい4人の関係筋を引用して報じた。トランプ大統領はこの報道を否定した。
しかし、トランプ大統領がイランとの合意を望むなら、暗に暗殺を脅迫するなどハメネイ師への型破りなメッセージは、最終的に協議を頓挫させる可能性があるとイラン当局者は述べた。
「トランプ大統領が本気で合意を望んでいるのであれば、イランの最高指導者、大アヤトラ・ハメネイ師に対する無礼で容認できない口調をやめ、何百万人もの彼の心からの支持者を傷つけるのをやめるべきだ」とイランのアラグチ外相は金曜日、Xに投稿した。
最高指導者は最新の演説で、揺るぎない回復力のイメージを描き出し、核保有国である米国とイスラエルに対し、軍事行動だけでは、傷つきながらも依然として強固な共和国を崩壊させることはできないと示唆した。しかし、統治の継承が不透明で、強力な影響力を失った今、彼は受け継いだイスラム共和国の存続を確かなものにするという課題に直面している。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tabは、米国内に人工知能(AI)用データセンターを建設する資金として、プライベートクレジットを通じて290億ドルを調達することを目指している。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が27日、事情に詳しい関係者の話として伝えた。
報道によると、メタは株式で30億ドル、債券で260億ドルを調達する意向で、債券の具体的な構造について協議中。アポロ・グローバル・マネジメント(APO.N), opens new tabやKKR(KKR.N), opens new tab、ブルックフィールド(BAM.TO), opens new tab、カーライル、パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)といった投資会社と話し合いを進めている。
またメタはモルガン・スタンレーをアドバイザーに起用し、債券が発行後に取引をしやすくなる方法を検討しているという。
メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は今年1月、年内に最大650億ドルを投じてAIインフラを拡大する方針を打ち出した。AI関連投資に関しては、既に新興企業スケールAIへの148億ドル出資を含め、確約ベースの規模を倍増させている。
ネクステラ・エナジー<NEE>が下落。米上院が発表した歳出法案の最新版で、米国の風力・太陽光発電プロジェクトに対する主要な税優遇措置の段階的廃止が、より積極的な形で盛り込まれた。
今回の修正案は、トランプ大統領によるインフレ抑制法(IRA)の税優遇に対する反発を受けたもので、太陽光・風力発電のインセンティブ対象となるプロジェクト数を大幅に制限する内容となっている。
金曜日遅くに発表された4.2兆ドル規模の歳出・税制パッケージの最新案では、風力および太陽光プロジェクトは2027年末までに稼働を開始していなければ、クリーンエネルギー生産に関する有利な2つのインセンティブを受けられないとされている。以前の案では2025年末までに着工していればインセンティブの全額適用対象となっていた。
アナリストは「現時点での内容は、特に風力発電にとって段階的にネガティブなものになっている」と述べている。
なお、法案は今後数日間に修正される可能性がある。
公益事業会社、エネルギーシステムアナリスト、そしてERCOTは、今後数年間でテキサス州におけるデータセンターやその他の大規模負荷が飛躍的に増加すると予測しています。ERCOTは、 2030年までにテキサス州の電力網における大規模負荷が今年の87GWから138GWに増加すると予測しています。
オーロラ・エナジー・リサーチは今月初め、提案されているデータセンターのほんの一部しか建設されなかったとしても、春と秋の時期には多くの火力発電機が定期メンテナンスのために停止するため、電力網の信頼性が脅かされる可能性があると指摘した。信頼性は既にERCOTの一部地域で懸念されている。その中には、ERCOTが400MWを超える移動式発電ユニットを導入し、老朽化した400MWのガス発電所と高額な「信頼性維持」契約を締結しているサンアントニオ地域も含まれる。
オーロラのモデルは、データセンターがテキサス州の信頼性リスクを軽減するための最大の負荷柔軟性源となることを示唆しています。オーロラによると、2030年までに、ERCOTのデータセンター容量(予想35GW)の最大50%が、ある程度の緊急時の信頼性サポートを提供できる可能性があるとのことです。
SB 6 は、テキサス州公益事業委員会に、テキサス州のデータ センターやその他の重要でない大規模な負荷が信頼性を妨げるのではなく、向上させることを保証するために、必須と任意の 2 つの需要管理プログラムを開発する権限を与えます。
この法律の目的は、「(大規模負荷が)システムへの信頼性リスクを可能な限り少なくし、他のテキサス州の電力顧客全員のミルクセーキを飲んでいないことを確認すること」だとNRGの規制問題担当副社長、トラビス・カヴラ氏はインタビューで語った。
SB 6は、2021年2月に数日間続いた寒波で数百万の住宅顧客が電力網から遮断された一方で、近くの工業用負荷は順調に推移した冬の嵐「ウリ」のような将来のシナリオを回避できる可能性があるとカヴラ氏は付け加えた。
強制需要管理プログラムは、1月以降にERCOTに連系する75MW以上の負荷に適用されます。このプログラムにより、電力会社は、固定負荷制限時に対象となる負荷を切断することができ、系統連系条件として遮断装置の設置が義務付けられます。
この自主プログラムは、年間の特定の時期に実施される競争入札による信頼性サービスであり、最低24時間の通知期間が必要であり、「電力の卸売価格に応じて削減する、または別の信頼性サービスや補助サービスに参加している」大口需要家は対象外と法律で定められている。
カヴラ氏は、この種の自主的なプログラム、特に数十億ドル相当の機密IT機器を備えた超大規模データセンターの参加を期待するプログラムでは、事前警告期間が重要だと語った。
「これは、予告なしに呼び出してすぐに顧客の供給を削減するような種類の需要対応であってはならない」と彼は語った。
カヴラ氏は、この義務化プログラムは異常気象時のERCOT電力網への負担を軽減するだろうと確信しているが、自主的なプログラムに対する顧客の受け入れ状況についてはまだ結論が出ていないと述べた。一部のデータセンター事業者は、必要に応じて自主的に負荷を削減したり、オンサイトのバックアップ発電に切り替えたりすることに前向きな姿勢を示している一方で、抵抗を示す事業者もいると指摘した。
しかしながら、カヴラ氏はテキサス州の議員たちが「疑問を投げかけた」と評価した。
「彼らは市場を創り出し、(顧客の)参加意欲を試すことにしたのです」と彼は言った。「お金を提供することほど人々の思考を刺激するものはありません。」
カヴラ氏とテキサスブロックチェーン協議会のリー・ブラッチャー会長は、大口需要家に対する最低10万ドルの初期相互接続料金や、そのような顧客がテキサス州内の他の場所で重複する可能性のある相互接続リクエストを公益企業に開示することを義務付けるなどのSB6のその他の条項を高く評価した。
ブラッチャー氏は電子メールで、両条項により、テキサス州やその他の地域で電力会社や送電網運営者の予測を混乱させている「架空負荷」を軽減できる可能性があると述べた。
「テキサスブロックチェーン協議会と会員企業は、上院法案6号が相互接続キューに関連するファントムロードの課題に取り組み、ERCOTに将来の負荷増加のより正確な見通しを与えてくれることを嬉しく思います」とブラッチャー氏は述べた。
専門家の中には、米国の相互接続待ちのデータセンターの提案のうち、80%から90%は他の電力会社管轄区域での要求と重複することもあり、決して建設されないだろうと言う人もいる。
ERCOTとその大陸のカウンターパートである北米電力信頼性協会の次のステップは、「モデリングの目的で非固定負荷カテゴリーを開発することだ。これにより、送電インフラの効率的な利用が大幅に向上し、送電/配電サービスプロバイダーに負荷挙動の予測が適切に伝えられるようになるだろう」とブラッチャー氏は述べた。
テキサス州の州内電力市場は特殊なケースだが、SB6の中核規定の一部は再編された東部市場では他の州にも転用可能であるとカヴラ氏は述べた。
例えば、PJM相互接続に参加している州は「需要反応に参加する意思に基づいて、大規模負荷の相互接続を確実に前提条件付けたり、加速したりできる」と彼は述べた。
●その他
備忘録(2025/6/26-29)
●企業
米スポーツ用品大手ナイキ(NKE.N), opens new tabは26日、米国の輸入関税により約10億ドルのコスト増が見込まれると明らかにした。その上で、米国向け製品について、中国での生産への依存を減らし、影響の軽減を目指す方針について説明した。(訂正)
また、併せて公表した第1・四半期(6─8月)の売上高見通しは予想より小幅な落ち込みにとどまり、株価は引け後の時間外取引で11%上昇した。
マシュー・フレンド最高財務責任者(CFO)によると、最大の関税引き上げの対象となった中国は、ナイキが米国に輸入するシューズの約16%を占めている。
同社は生産を他国にシフトすることで、2026年5月末までにこの数字を「1桁台後半」まで削減することを目指している。
フレンド氏は関税の影響に対処するためコスト削減を検討するとも述べた。ナイキは米国で既に一部商品の値上げを発表している。
モーニングスター・リサーチのアナリスト、デービッド・スワーツ氏は「関税の影響は大きい。しかし、他のスポーツウェア企業も値上げするとみられるため、ナイキは米国でそれほどシェアを失わない可能性がある」と述べた。
同社はこの日、第1・四半期の売上高が1桁台半ばの減少になるという見通しを示した。市場予想(7.3%減)よりも小幅な落ち込みにとどまる見込みだ。
第4・四半期決算でも売上高が市場予想より小幅な減少にとどまり、利益は市場予想を上回った。スポーツ分野に製品開発とマーケティングの焦点を絞るエリオット・ヒル最高経営責任者(CEO)の戦略が成果を上げ始めている。
第4・四半期の売上高は前年比12%減の111億ドル。LSEGがまとめたアナリスト予想は14.9%減の107億2000万ドルだった。マーケティング支出は前年比15%増加した。
住友生命保険は7月に開催する総代会で、総代の立候補制度の導入を諮る。決議されれば、2027年にも立候補制が導入される見込みだ。かねて総代の選定過程は透明性が不十分との指摘があった。株式会社の株主総会と比較して規律が緩い総代会の改革が進む。それでも経営監視という面ではなお弱い。
保険契約者を社員とみなす相互会社では、総代会で剰余金の処分や取締役の選任などの重要事項を審議し決議する。総代会に参加する総代は契約者の中から選ばれ、契約者全体の居住地や職業、年齢を反映するように選出される。
住友生命は総代の定員を増やす定款変更をした04年以来、21年ぶりに総代に関する定款を変更する。総代の立候補制度は総代になることを希望する社員(契約者)を募り、180人の定数うち最大20人を立候補者のなかから選ぶ。任期は4年で、通算2期まで就任できる。
従来は社員で構成する総代候補者選考委員会が候補者を選んでいた。委員候補者は会社側が選定し、契約者が候補を承認するという仕組みで、監視される側が監視する側を選んでいる面があった。
総代の年齢や職業には偏りがある。住友生命では30代以下の契約者が全体の15%を占めるものの、総代では7%にとどまる。最大手の日本生命保険では自営業者や会社役員が総代の7割弱を占めるなど、総代の偏りは業界共通の課題だ。大手生保の幹部は「総代の多様性の確保には頭を悩ませてきた」と打ち明ける。
改革に向けた取り組みがなかったわけではない。住友生命は23年に総代の自薦制度の導入を表明し、7月の総代会には初めて自薦者8人が出席する。
自薦者は選考委員会によって審査されるため、委員会のバイアスがかかる懸念は拭いきれない。新たな制度では、立候補者は選考委員による審査を受けずに直接契約者の信任投票にかけられる。住友生命の関係者は「選考委員会の恣意性を抑え、より幅広い候補者を集めることができる」と期待する。
とはいえ、総代が経営に対して厳しい意見をぶつけ、経営改善につなげることはできるのか。機関投資家やアクティビスト(物言う株主)からのエンゲージメントを受ける株式会社では、株主が経営改革を要求することも多い。上場生保のT&Dホールディングス(HD)に対しては、26日の株主総会で米運用会社のファラロン・キャピタル・マネジメントが株主提案に動いた。
ある上場生保の幹部は「相互会社に株式会社と同じ緊張感があるとは思えない」と話す。株式の保有比率で議決権が決まる株主総会と異なり総代会は1人1票が原則で、特定の総代が一定の議決権を持ち経営改革を迫るといった事態はそもそも起きない。立候補制はガバナンス向上への一歩とは言えるものの、株主の圧力を受けて経営改革に取り組む上場会社に比べると歩みは遅い。
トランプ政権は、連邦支出の無駄を削減する広範な取り組みの一環として、連邦政府契約の妥当性を説明するようコンサルティング会社に求めている。ブルームバーグ・ニュースが確認した書簡で明らかになった。
一般調達局(GSA)は26日付の書簡で、契約内容について各社に情報提供を求めた。その目的は「どの業務が米納税者にとって真に価値を生み、明確な成果を上げているかを精査した上で、外部委託に値するのか、それとも税金の適切な管理責任を果たすため内部で担うべきかを見極める」ことにあると説明した。
事情に詳しい関係者によると、書簡はアリックスパートナーズ、マッキンゼー・アンド・カンパニー、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、アルバレス・アンド・マルサル、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、FTIコンサルティングなどに送付された。
GSAは書簡で、「全てではないにせよ、これら契約業務の大半が各政府機関の主要任務に当たらないというのが大前提だ」と指摘した。
情報の提出期限は7月11日。この書簡については、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が最初に報じた。
●マクロ
ロシア経済の見通しは公に認められているよりも悪化が深刻で、向こう1年間にシステム的な銀行危機が発生する確かなリスクがあると、同国の銀行当局者が明らかにした。
当局者の証言やブルームバーグ・ニュースが確認した文書によれば、ロシアの銀行はそれぞれが抱える不良債権の水準にますます懸念を強めている。高金利に苦しみ、融資の返済が滞るようになった法人や個人の顧客の数について、各行は内々に警鐘を鳴らしていると当局者は語った。
ロシアの現・元銀行当局者は同国の状況を危険だと内々に話し、状況が改善しなければ、来年には債務危機が金融セクターに広がるリスクが膨らんでいると指摘した。金融業界の不安を公に話す権限がないとして、当局者らはいずれも匿名を要請した。
銀行システムのきしみは、既に4年目に入ったウクライナ侵攻をプーチン大統領が継続する能力への疑問を強めそうだ。米国や欧州などウクライナ支援国はロシアの金融セクターを制裁強化の標的とし、欧州連合(EU)は現在、ロシアの銀行に対して一段と対象を拡大した新たな制裁を協議中だ。
ウクライナの支援国はまた、トランプ米大統領に対ロシア制裁の大幅な強化を求めている。プーチン氏が停戦の呼び掛けに応じないためだが、トランプ氏は今のところ制裁強化を控えている。
一部の現・元当局者によると、公式統計は債務危機の本当の深刻さを覆い隠している可能性がある。ある大手銀行は内部報告で、支払い遅延に関する公式データに深刻な問題はまだ表れていないが、借り手は返済を延ばし、現実的には期日通り返済されていない融資がさらに増えていると指摘。この報告書をブルームバーグは確認した。
銀行の内部分析に詳しい関係者によると、複数の銀行は不良債権が数兆ルーブル規模に達しているとみており、リスク管理の措置を講じ始めた。リスクは増大し、信用収縮の初期的な兆しが見られているという。ある推計では、今年最初の2カ月でロシアの銀行が抱える法人向け貸出残高は1兆5000億ルーブル(約2兆7600億円)減少し、その後安定したとされる。
緊張が表面化
サンクトペテルブルクで先週開かれた国際経済フォーラムでは、ロシア経済のリスクを巡る政権幹部の緊張が表面化した。
パネル討論で、ロシア経済は必要な減速を経験しつつあると主張するナビウリナ中銀総裁に対し、レシェトニコフ経済発展相は「リセッション(景気後退)に陥る瀬戸際にある」と発言。シルアノフ財務相も「これから厳しい時期に入る」と認めた。
プーチン氏はこの翌日の講演で、「専門家の一部はスタグフレーション、リセッションのリスクすら指摘しているが、いかなる状況下でもそのような事態は許容されるべきではない」と述べ、自身の立場を明確にした。
もっとも、プーチン氏が2022年にウクライナ侵攻に踏み切って以来、米国や主要7カ国(G7)は前例のない厳しい制裁を科してきたが、ロシア経済は持ちこたえている。ロシア政府は防衛産業に巨額の支出を行うとともに制裁対象企業を支援し、制裁に対処してきた。
中銀のデータによると、ロシアの銀行は24年に合計で3兆8000億ルーブルの利益を上げ、過去最高の業績を記録した。
だが、兵士需要で労働力不足は深刻化。これが多くの市民の所得を増やしたが、インフレ加速も後押しし、公式統計でピーク時のインフレ率は10%を超えた。景気の過熱感は鮮明だ。
ロシアはいわゆる「二速経済」に陥り、その問題も膨らむ。軍産複合体が巨額の軍事支出の恩恵を受ける一方で、民間企業の多くは需要後退とコスト上昇、輸出価格の低下に悩む。
銀行は政府の戦争努力を資金面で支えるため有利な条件での融資を提供してきた。だが、資金の回収という問題に直面し、緊張が高まっている。
関係者や文書によると、建設業や鉱工業で減速が特に激しく、軍需産業でも停滞が始まりつつある恐れがある。
不良債権の水準に対する懸念については、既に一部が公に示されている。
ロシア中銀は5月に発表した報告書で「金融セクターのぜい弱性」を警告し、「法人融資における信用リスクとリスクの集中」、個人向け融資の「状況悪化」を挙げた。ロシアの大手企業78社のうち13社前後が返済不能に陥り、この数は前年の2倍に上ると指摘した。
ただ、中銀は「国内銀行セクター全体としては引き続き強じん」だとの見解を示し、個人向け融資の不良債権比率は一方的なクリミア併合後の2014-16年に見られた水準を「大きく下回る」と主張した。
ロシアの格付け会社ACRAも5月、「融資の質の悪化」を報告した。この報告によると、銀行業界全体の資本の約20%は、金利上昇で信用力が著しく低下する恐れのある借り手に関連しているという。
さらに同月には、ロシア大統領府と近い関係を持つシンクタンク、マクロ経済分析・短期予測センターが、2026年4月までにシステム的な銀行危機が発生する「中程度の可能性」があると分析。新規融資の減少と不良債権の一段の増加が続けば、リスクは増すだろうと警告した。
26日に発表された調査によると、中国が低所得国への融資で、コモディティー(商品)輸出収入と、制限付きエスクロー口座に保管されている現金を担保にしている慣行が、これらの国の効果的な財政管理能力を阻害している。
中国は発展途上国のインフラ整備などに数千億ドルを融資してきた。そうした担保慣行は借り手国が経済的に苦境に陥っている時に行われることもあり、批判されている。
エイドデータ、キール世界経済研究所、ジョージタウン大学が他のパートナーと共同でまとめた報告書によると、中国の低・中所得国に対する公的融資および公的保証付き融資の総額は9110億ドルに上る。
このうちほぼ半分(57カ国にわたる4180億ドル)は、中国の銀行口座に保管されている現金預金で担保されているという。
調査によると、中国の融資機関が管理する口座の預金は、平均して、低所得資源輸出国の年間対外債務返済額の5分の1以上に相当する可能性がある。
報告書は「これらの歳入の一部は、借入国政府の管理が及ばないまま何年も海外にとどまっている」と指摘。アクセスや透明性の欠如により、債務国政府が財政を監視し運営する能力が損なわれているとしている。
トランプ米大統領は25日、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を「ひどい」と評し、次期FRB議長について、自身が候補者と見なす「3─4人の中から」選ぶ考えを示した。パウエル氏の後任候補と面接しているかという記者団からの質問に応じた。
これまでに、ウォーシュ元FRB理事、ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)のハセット委員長、ウォラーFRB理事、ベセント財務長官らが有力候補と目されている。
ハセット委員長は25日にホワイトハウスで、パウエル氏の後任についてトランプ大統領と話し合ったかについて言及を避けつつ、「(トランプ)大統領は自分が気に入った人物を選ぶだろう。それはパウエル氏ではない」と述べた。
一部のアナリストは、パウエル氏が来年5月に退任する前から「影の」FRB議長となる次期候補を示唆することで、金融政策に影響を与えようとする試みだと見ている。
トランプ大統領は、これまでパウエル議長が利下げに動かないことを繰り返し批判。近く議長を解任するか後任を指名する考えを示唆してきた一方で、今月12日にはホワイトハウスで「私は彼を解任するつもりはない」とも述べた。
法律事務所ワイル・ゴッチェル・アンド・マンジスがまとめた5月末までの3カ月間の欧州企業の苦境ぶりを示すワイル欧州ディストレス指数(WEDI)は4.1となり、9カ月ぶりの高水準となった。トランプ米大統領による輸入関税引き上げや地政学的リスクに阻害され、企業がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高まったことを示した。前の3カ月は3.8だった。
指数上昇の要因として、欧州の経済成長見通しの下振れや、地政学的な不確実性の高まりなどが挙げられた。WEDIは欧州の上場企業3750社超のデータを用い、流動性や収益性、リスク、企業価値評価などを考慮に入れた16の指標で企業の苦境状況を評価している。
中でも小売り・消費財企業の指数は2009年9月以来、15年8カ月ぶりの高水準を付けた。逼迫した信用状況や、消費者需要の後退などが足を引っ張った。
ドイツの指数は新型コロナウイルス禍の20年5月以来、5年ぶりの高水準となり、欧州諸国で最も高かった。政府の大規模な財政刺激策が追い風となるものの、24年の国内総生産(GDP)は2年連続でマイナス成長となった。
ドバイ:イランの最高指導者、アリ・ハメネイ師は木曜日、イスラエルに対する勝利を宣言し、自国が「アメリカの顔に平手打ちを食らわせた」と述べた。これは、両国間の戦争で停戦が宣言されて以来、ハメネイ師が初めて公の場で発言したものだ。
ハメネイ師はイラン国営テレビで放送された動画で発言し、6月19日以来の公の場に姿を見せ、1週間前よりも疲れた様子だった。
彼は視聴者に対し、「米国が戦争に介入したのは介入しなければ、シオニスト政権が完全に破壊されると思ったからだ」と述べた。
しかし、米国は「この戦争から何の利益も得られなかった」と付け加えた。
「イスラム共和国は勝利を収め、報復としてアメリカの顔に平手打ちを食らわせた」と述べた。これは、月曜日にカタールにあるアメリカ軍基地に対してイランがミサイル攻撃を行い、死傷者は出なかったことを明らかに指している。
86歳のハメネイ師は、6月13日にイスラエルがイランの核施設と軍の上層部および科学者を攻撃して戦争が勃発して以来、秘密の場所に避難して以来、公の場に姿を見せていなかった。
6 月 22 日、アメリカが核施設をバンカーバスター爆弾で攻撃した後、ドナルド・トランプ米大統領は、火曜日に発効した停戦の交渉を支援した。
木曜日の演説では、6 月 19 日のメッセージと同様、無地の茶色のカーテンの前に座って演説を行った。
湾岸協力理事会の外相は火曜日、ドーハで会合を開き、カタールがイランから攻撃を受けた翌日に連帯を表明した。ミサイル攻撃による死傷者や物的損害はなかったものの、前例のないことだった。イランによるカタールへの初の軍事攻撃であり、カタールが攻撃されたのは最近の記憶ではおそらく初めてのことだろう。
外相会合は、この数週間で2回目の緊急会合だった。GCCのルールでは、外相会合の正式名称である閣僚理事会は年に4回、定例会合を開くが、緊急会合であればいつでも開くことができる。
前回6月16日の会合は、イスラエルによるイラン攻撃を議論するために招集された。その会合でGCCの閣僚たちはイランへの支持を表明し、イスラエルの攻撃を徹底的に非難した。数十年にわたり、ドーハはテヘランと緊密な関係を築いてきたが、一方でテヘランに最大級の軍事基地を置くアメリカとも良好な関係を維持してきた。
カタールはイランとアメリカの仲介をたびたび行ってきたため、月曜日のイランのミサイル攻撃には驚かされた。外相はテヘランの行動を明確に非難し、その正当性を否定した。2000年に締結された相互防衛条約に基づき、GCC諸国は外部からの侵略を受けた加盟国に最大限の支援を提供することを約束しており、この約束は火曜日にも更新された。また、カタールが攻撃を阻止し、イランが自国に対して発射したミサイルをほぼすべて排除したことを称賛した。
ドナルド・トランプ米大統領は、12日間のイラン・イスラエル戦争の停止を手配したことで、GCC閣僚から高い評価を受けた。この紛争に対するアメリカのアプローチの突然の転換は、驚きであると同時に決定的なものであった。トランプ大統領は、ネタニヤフ首相が停戦に違反した後、イスラエル首相を公の場で叱責した。停戦は、6月13日のイスラエルのイラン攻撃によって中断された、オマーンが主催し進行していたイランとアメリカの核協議に戻る機会を提供する。
米国がこの戦争を止めることに成功したのは、この地域で絶大な影響力を持っていることと、トランプ大統領とそのチーム、特にスティーブ・ウィトコフ中東特使の外交手腕の証である。大統領は繊細な外交で賞賛されることはめったにないが、この紛争に対する彼の強硬な対処は効果的だった。
核交渉が再開されれば、この勢いとアメリカの新たな決断力を土台にすることができる。また、6月12日に国際原子力機関(IAEA)が発表した、イランによるIAEAと核不拡散体制に対する約束違反に関する調査結果も助けになるだろう。IAEAがイランの不遵守を認定したのはこの20年で初めてのことであり、テヘランが過去に同様の告発を退けたように、敵対国の告発ではなく、独立した国連機関による検証された事実が会談を支えることになる。米国はおそらく、軍事行動ではイランの核野望を終わらせることはできないと再認識しているため、協議は成功する可能性が高まった。
この機会を逃してはならない。非公式休戦は依然として脆弱であり、核外交に進展がなければ、さらにその傾向が強まるだろう。イスラエルが引き起こした戦争に戻ることは、イランの核開発計画の終結を達成する上で無益であり、GCCが近年イランとともに歩んできた外交に向けた地域的な道筋を破壊することになる。
同様に、イランが(軍事的な)核保有に踏み切れば、この地域の他の国も同じことをする可能性があり、地域と国際の平和と安全の両方を脅かす核軍拡競争が始まるかもしれない。また、北朝鮮と同じようにイランをさらに孤立させ、発展のための資金が軍事費に流用され、国民が困窮する可能性もある。制裁は残り、イランが国際経済に復帰することは難しくなるだろう。同様に重要なのは、イランとGCC諸国との間の地域統合の提案も、おそらく棚上げせざるを得ないということだ。
イランとイスラエルの停戦を取り持ったトランプ大統領の成功に基づき、GCCの閣僚たちは、ガザでの戦争を終わらせるために影響力を行使するようトランプ大統領に求めた。米国は、イスラエルによって目の前にぶら下げられた食べ物の切れ端を求める無力なガザ住民の包囲、飢餓、大量処刑というそのサディスティックな政策を支持すべきではない。罪のない女性や子どもたちを意図的に抹殺するこの行為は、イスラエルとそれを支持する人々、あるいはそれを止められない人々にとって、永遠に汚点となるだろう。
持続的な停戦を確保するためには、これ以上高い賭けはない。GCCの閣僚たちは、紛争が続けばサプライチェーンが寸断される可能性を指摘し、通路や水路を保護し、世界の石油供給の約半分とガス供給の4分の1を保有するこの地域からのエネルギー供給を確保する必要性を強調した。
核問題での成功は、ガザやイスラエル・パレスチナ紛争など、他の外交努力の加速にもつながるだろう。また、GCCとイランの協議は、二国間でも集団でも、より早く進み、この地域を平和と安定、そして繁栄の共有に近づけるだろう。
米国の親しい友人として、GCCの閣僚たちはトランプ大統領の停戦合意に喝采を送り、さらなる成功を期待した。トランプ大統領と彼のチームが地域紛争の調停を成功させるというこの道を歩み続ければ、間違いなくノーベル平和賞受賞という目標に近づくだろう。
さようならマーストリヒト:債務国家へのドイツの進撃
福祉国家における政治的失敗は、ほぼ即座に社会支出の増加へと繋がる。その不均衡な増加は、一つのことを如実に示している。ドイツは困難な時代に向かっているのだ。
「予算政策は議会の主権である」―これは、議員たちが毎年の予算審議に集まる際によく使われる決まり文句だ。もしこの言葉がかつて真実であったとしたら、今日、主権者は無防備な状態にある。王は裸なのだ。
ドイツ連邦内閣が本日最終決定し、明日採択される予定の2025年度予算案は、財政政策の屈服を意味する。中核予算の新規純借入額は818億ユーロと見込まれ、さらに600億ユーロがいわゆる「特別基金」として帳簿外に積み立てられ、これも債務で賄われる。連邦予算総額は約5030億ユーロに増加し、前年比6.1%増となる。クリスティアン・リンドナー財務大臣は、2026年度については既に5195億ユーロへのさらなる拡大を計画している。
こうした帳簿外支出を差し引くと、実質純借入額はGDPの3.2%に達し、長らく放棄されてきたマーストリヒト条約の3%という基準を上回っている。ユーロ圏のかつての象徴的存在でさえルールを遵守しなくなった今、一つのことが明らかになる。それは、ルールはそもそも紙切れ一枚の価値もなかったということだ。そして、こうした過剰支出に対する唯一の自然な歯止めである自由資本市場は、欧州中央銀行(ECB)の絶え間ない介入によって長らく機能不全に陥っている。
道筋は今や明確だ。いや、むしろ堰を切ったように開け放たれた。債務による景気刺激策は、再び景気後退への対策として最適な武器となっている。
ドイツが大いに称賛する「債務ブレーキ」(均衡財政を義務付ける憲法条項)については、それは常に政治的な戯言であり、政策とは無縁だった。崩壊寸前の法的虚構であり、もはやベルリンでは誰もそれを尊重するふりすらしていないため、憲法への信頼を脅かしている。
高価な社交の絆
予算政策が優先順位の問題だとすれば、この政策は多くのことを物語っている。これはドイツの福祉制度をさらに拡大するという、疑わしい機能を果たしている。2025年には社会保障費は6%増加し、驚異的な2100億ユーロに達する。この増加は連立政権の政治的志向を示すだけでなく、ドイツの統治の構造的な欠陥を露呈している。
特に注目すべきは、市民給付( Bürgergeld )の増額で、今年は9億ユーロ増の162億ユーロに達する。一方、ドイツに不法滞在する移民への支援には、州や自治体が年間100億ユーロ以上の費用を負担している。福祉国家は、もはや抑制されない移送装置と化している。もはやセーフティネットではなく、移民を引き寄せる磁石として機能し、ドイツ社会に内からますます大きな圧力をかけている。
制限のない戦争準備
福祉部門と拡大し続ける官僚機構に加え、ドイツの軍需産業も相当な財政的余裕を期待できる。来年の国防予算は3.5%増となる。これは、NATOが新たに設定したGDPの5%を国防・安全保障支出に充てるという目標に向けた第一歩となる。ドイツは2029年までに1528億ユーロを国防予算に充てる計画だ。そのうち3.5%は従来型兵器に、残りはサイバーセキュリティ、兵站、軍事インフラに充てられる。当然のことながら、この追加予算は「特別基金」に積み立てられる。というのも、ドイツは今や、評判の悪い商人の従兄弟のように帳簿を管理しているからだ。真実は隠され、信用力は見せかけに過ぎない。
これらの特別基金の設立により、ベルリンはパンドラの箱を開けてしまった。今後12年間で、インフラ、デジタル化、そして失敗に終わったグリーントランジションへの5,000億ユーロの支出を、これらの基金の中に埋め込む計画だ。こうした費用の組織的な隠蔽、そしてそれに伴うインフレの影響により、公的債務は少なくとも12%増加するだろう。まるで子供がキャンディー棚の鍵を渡されたかのようだ。結果として、財政規律の見せかけは終わりを迎えることになる。
策略、煙幕、そして否認 ドイツの予算政策は茶番劇と化している。私たちが目撃しているのは、巧妙に演出された会計トリック、メディアによる情報操作、そして福祉国家の構造改革をどんな犠牲を払ってでも先送りしようとする必死の試みだ。
疲弊したドイツ経済は、予期せぬ経済奇跡によって、同様に疲弊した状態に新たな活力を与えることはできないだろう。現在の傾向が続けば(そしてあらゆる兆候がそれを示唆している)、ドイツの公的債務は今後10年以内にGDPの100%を超えるだろう。
そうなれば、財政の罠から抜け出す術はなくなる。欧州中央銀行(ECB)による人為的な抑制を受けていない債券市場の一部が、ドイツの財政隠蔽工作を織り込み始めるのは時間の問題だ。拡張的な財政政策と金融操作という不吉な組み合わせは、債券購入を通じて金利を抑制しつつも、金融面でのダメージを他の分野に転嫁することになるだろう。
結局、この不健全な財政政策はインフレという一つの結果をもたらす。購買力の低下は政治家たちによって承知の上である。これは実際には再分配メカニズムの欠陥ではなく、一つの特徴なのである。
フィガロ紙によると、フランスでは移民は長らく約束されてきた経済的利益をもたらしておらず、むしろ国の経済を圧迫している可能性があると移民・人口統計観測所(OID)の報告書で指摘されている。
同シンクタンクは、移民が納める税金と彼らが消費するサービスの間に大きな不一致があるため、成長を促進するどころか、移民はフランスのGDPの3.4%に相当する損失をもたらしていると主張している。
ル・フィガロ紙は、OIDによると、移民から徴収した税金は財政コストのわずか86%しかカバーしておらず、「財政赤字」を生み出していると報じています。この不均衡は、移民の就労率の低さに大きく起因しています。フランスでは、就労年齢の移民のうち就労しているのはわずか62.4%で、これはEU加盟国の中でもベルギーに次いで低い水準です。一方、フランス国民の就労率は69.5%です。
OIDは、移民が現地生まれの国民と同じ割合で雇用されれば、フランスのGDPは3.4%上昇し、課税所得は1.5%ポイント上昇すると主張している。
「移民は雇用とフランス経済に悪影響を及ぼす悪循環を維持している。フランスの雇用の構造的な問題を悪化させ、公的会計を悪化させ、間接的に経済の脆弱な部門に打撃を与えている」と、監視団のニコラ・プヴロー=モンティ所長は述べた。
彼は、公共の議論がホスピタリティ、建設、食品サービスといった業界における短期的な労働力不足に焦点を当てていることを認めつつも、これは視野が狭いと警告した。「短期的な視点にとらわれていると、これらの職業を求職者にとってより魅力的なものにするための最善の方法を考えることが難しくなります」と彼は述べた。
プヴロー=モンティ氏はまた、この制度がイノベーションを牽引できる高技能移民ではなく、主に低技能労働者を輸入していると批判した。このモデルが生み出す経済的な足かせによって、政府は企業への増税を余儀なくされ、経済的な負担がさらに増大すると警告した。
「言い換えれば、緊張状態にある特定の部門での人材不足を避けるために移民を奨励することは、少数の企業の利益のために戦略的部門の成長を犠牲にするに等しい」と彼は述べた。
報告書によると、フランスへの移民パターンの主な要因は、家族の再統合、あるいは連鎖移民であり、これは職業スキルよりも家族の絆を優先する。プーヴロー=モンティ氏が述べたように、「フランスへの移住の決定の根底に職業統合がない場合は、移民にとって仕事を見つけるのはより困難になる」。
懸念されるのは、こうした経済活動の停滞が次世代にも波及しているように見えることです。OECDのデータに基づき、OIDは、フランスで移民の両親のもとに生まれた若者の24%が、2020~2021年に就労、就学、職業訓練のいずれにも参加していない(ニート)状態にあると指摘しました。これは、欧州および西側諸国全体でベルギーに次いで2番目に高いニート率です。
OIDは、この傾向を民族的自己分離の高まりと結びつけ、他のヨーロッパ諸国とは対照的に、経済的統合の失敗がフランスとベルギーにおける宗派主義の増大につながっていると主張している。
この報告書は、大量移民が経済的利益をもたらすという考えに対する、ヨーロッパ全土での懐疑的な見方をさらに強めている。英国労働党のサー・キア・スターマー首相でさえ最近、移民が自動的に経済成長につながるという仮説は「検証済み」であり、「成り立たない」と述べた。スターマー首相はさらに、移民政策が見直されなければ、英国は「異邦人の島」になってしまう危険性があると、厳しい警告を発した。
テキサス州は、9月1日に発効予定の法律に基づき、中国共産党(CCP)とつながりのある個人や企業による州内の土地購入を禁止する。
グレッグ・アボット知事は6月23日、テキサス州全域の住宅地、農地、鉱床、水利権の外国人所有を制限する上院法案17に署名し、法律として発効したと発表した。
この法案は、国家情報長官が国家安全保障上の脅威と指定した国を対象としています。現在のリストには、共産主義国家の中国に加え、ロシア、イラン、北朝鮮が含まれています。また、この法案は、州知事に、制限対象国をリストに追加する権限を与えています。
この新法により、テキサス州は、外国人による土地所有を規制する州の増加に加わることになります。 2024年8月に発表された議会調査局の報告書によると、2023年1月から2024年7月までに、合計22の州が外国人による土地所有を制限または禁止する同様の法律を制定しました。
2024年初めにSB17を再提出した州上院議員ロイス・コルクホスト氏は、テキサス州の措置を「この国がこれまでにどの州からも出した中でも最も強力な国家安全保障法案」と称賛した。
「心の底から、私たちは自分たちの土地と鉱物を守っていると信じている」と共和党上院議員は、テキサス州議会で法案が可決された後の5月31日の記者会見で述べた。
「これらはすべて私たちの資源であり、決して敵対国の手に渡ってはならないものです。」
2022年11月、コルクホルスト議員は初めてこの法案を提出したが、当時、同州下院で否決された。
間もなく施行されるこの法律によれば、米国に合法的に居住する指定国の人々は、その不動産が主な居住地である場合に限り、住宅用不動産を購入することが認められる。
この法律は、これらの国々の「与党または与党の下部組織」のメンバーによる州の土地購入を制限しています。つまり、例えば中国共産党員はテキサス州の土地を購入できないということです。
「指定された国の代理人または代表として」行動する個人も土地購入禁止の対象となる。
法律では、土地の取得を禁止し、不動産の賃貸借を1年未満に制限している。
この法案は、下院で85対57の投票で承認された翌日の5月30日に、州上院で25対6の投票で可決された。
米国農務省の最新報告書によると、対象となった4カ国は合わせて外国所有農地全体の1%未満しか保有していないが、その中で最も多くの面積を所有しているのは中国の投資家で、その面積は277,336エーカーに上る。
テキサス州だけで123,708エーカーの土地を所有しており、中国人の土地保有面積が最も大きい州となっている。次いでノースカロライナ州が44,263エーカー、ミズーリ州が42,905エーカーとなっている。
2023年12月に発表された報告書によると、全国的にイランとロシアの投資家はそれぞれ3,030エーカーと11エーカーを所有していると報告している一方、北朝鮮が保有する土地は報告されていない。
下院で法案17号を提出した共和党の州議会議員コール・ヘフナー氏は、この新法は「敵対的な外国がテキサスの土地を買い占め、テキサスを重大かつ増大する脅威にさらすことを防ぐ」と述べた。
「我々に危害を加えようと積極的に企む抑圧的な政権が、我々の経済、サプライチェーン、日常生活、重要なインフラ、あるいは食糧供給を支配し、自分たちの条件を押し付けることを、我々は許すことはできないし、許さない」とヘフナー氏は5月31日の記者会見で述べた。
ブライアン・ヒューズ州上院議員は記者団に対し、この法案は外国人に関するものではなく、敵対的な外国からの脅威に対抗するテキサス州の取り組みの一環だと語った。
同氏は国境を越えた弾圧による脅威を指摘し、外国の敵対勢力の工作員がテキサスで活動し、反体制活動家や彼らに反対する米国人を狙っていると述べた。
「私たちはすべての人々を愛しています」とヒューズ氏は述べた。「私たちに対する計画を公然と示している敵対的な外国政府を支持しません。そして、彼らがテキサスに干渉することを許しません。」
ワシントンが財政破滅マシンの口の中にいるとは思わないなら、もう一度考え直した方がいい。まずはCBOの30年予測から始めよう。これは、現在の29兆ドルの米国債残高からドル換算で表されている。
ワシントンが現在の税制、支出、構造的赤字政策(つまり基本政策)をそのまま維持する以外何もしなければ、公的債務は 今後30年間で102兆ドル増加し 、2054年までにGDP85兆ドルの154%という驚異的な額に達することになる。
さらに、この結果は、バラ色のシナリオが今世紀半ばまで一瞬たりとも揺らがないことを前提としています。言い換えれば、CBOの予測は、2020年から2054年までの34年間に景気後退は発生せず、実際には今後4%程度の完全雇用が永続的に続くと想定しています。
もちろん、過去30年間に3回の景気後退(網掛け部分)があり、そのような完全雇用は到底達成されていませんでした。実際、失業率が4%以下になる短期的な期間はほとんどなく、これは2054年まで毎年4%の失業率を想定しているCBOのベースラインとは著しく対照的です。
月間失業率、1994年から2024年
CBOの予測では、インフレ率が今後30年間、FRBが定めた2.0%前後の軌道に厳密に沿うと想定されています。しかし、過去30年間、インフレ率は17年間にわたり2.0%を超えており、しかもその上昇幅は頻繁に大きく、このような状況は一度も起こりませんでした。
1994年から2024年までの消費者物価指数(CPI)の前年比変化
同様に、債券市場は今後30年間で平均わずか3.6%の利回りで、100兆ドルを超える新規国債の資金調達に何の問題もないと想定しています 。もちろん、現在の国債市場の実際の加重平均利回りは 4.2% であり、基準となる10年債は4.4%前後で推移しています が、現時点では将来の債務の氾濫はまだ始まったばかりです。
また、過去 30 年間の歴史から判断すると、金利が 3% 台半ばに引き下げられ、30 年間その水準に留まる可能性もそれほど高くないように思われます。
実際、下のグラフに示されている過去30年間、債券市場はFRBの強力な追い風を受けていました。FRBは2022年のピークまでに8兆5000億ドル以上の米国債と政府系機関債をマネタイズしたのです。それでも、利回りはCBOの想定する3.6%を半分の期間で大きく上回り、2008年から2022年にかけての大規模な紙幣増刷によってのみ低下しました。しかし、このような偉業は、既に起こっているインフレと投機をさらに煽ることなく、再び再現できる可能性は低いでしょう。
10年米国債利回り、1994年から2024年
言うまでもなく、まさにバラ色のシナリオを背景に102兆ドルの新規債務がベースライン予測で積み上がっている現状では、ワシントンは沈みゆく財政船を救済するために財政バケツリレーを組織するのではないかと誰もが思うだろう。そして何よりも、そのリーダーはかつて均衡予算と財政健全化を掲げた共和党だろう。
しかし、トランプ化共和党はそうではない。昨日も示したように、ドナルドのOBBBA(オバマ前大統領の政策)は、たとえ2028年の選挙年に新たな減税や優遇措置を打ち切り、標準的な10年間の予算期間でコストを低く見せるという、とんでもない予算策を講じたとしても、公的債務を莫大に増加させるだろう。
現実逃避的な共和党指導部とホワイトハウスの経済政策推進派は、10年間で書類上はわずか3兆ドルの追加債務に過ぎず、その大半は「成長」の促進によって吸収できるはずだから心配する必要はないと述べている。
実際、歳入成長を牽引するのは名目GDPであり、CBOのベースラインは2054年までの30年間全体で年平均3.7%の 成長を想定している。2020年第1四半期までの20年間、つまりFRBの紙幣増刷が猛烈に稼働していた期間の名目GDP成長率がちょうど3.9%だったことを考えると、実質的に 既存の税制 (つまり、期限切れとなる2017年のトランプ減税)を今後30年間、巨額の債務負担が増大する期間に延長しても、名目GDP成長率にさらなる効果は期待できないだろう。
いずれにせよ、30年ベースで、OBBBA(現行のOBBBA)は 公的債務を117兆ドル増加させると予想され、会計上のトリックを除いたOBBBAの計算ではさらに133兆ドルにまで増加する 。では、今後30年間で公的債務を29兆ドルから162兆ドルへと5倍に増やすことが、繁栄の黄金時代への現実的な道筋だと誰が考えるのか、それは私たちの想像をはるかに超える。
それでも、真実ははるかに悪いのは間違いない。バラ色のシナリオ、つまり永続的な低金利という建物からレンガを一つ取り外すだけで、財政の竜が財政の深淵から真に湧き出る。つまり、今後30年間の米国債の加重平均利回りが3.5%ではなく4.25%になると仮定すると、OBBBAの恒久的な延長によって増加する債務は 156兆ドルに達することになる。
そうです。CBOの現在のベースラインに体現された、まさに財政破綻マシンに直面して、トランプ化共和党は、 21世紀半ばまでに185兆ドルの公的債務を抱えるという財政路線を実質的に受け入れました。これはGDPの218%という圧倒的な数字です。一言で言えば、共和党は財政破綻に完全に屈服したのです。
しかし、問題はそれだけではありません。共和党の税金アレルギー、給付金への臆病さ、そして永遠の戦争と巨大な戦争国家への渇望を考えると、共和党側が国の膨れ上がる債務問題に取り組むことは到底不可能です。念のため言っておきますが、今後10年間で9.7兆ドルの国防費、4.1兆ドルの退役軍人医療費、それぞれ15.3兆ドルと20.6兆ドルのメディケアと社会保障費、そして13.9兆ドルの利子を除けば、これらの共和党の聖域は 今後10年間で63.4兆ドルにも 上ります。
これは89兆ドルのベースライン支出総額の71%に相当し、さらに連邦メディケイドの7兆ドル(共和党はまだわずかな削減に合意していない)を加えると、残りはわずか18兆ドルに過ぎない。しかも、これはNIHから高速道路、国立公園、農業プログラム、学校給食、インディアン事務局、BLM、連邦司法、沿岸警備隊、ワシントン記念塔に至るまで、連邦政府全体の支出であり、その他にも数え切れないほどの事業が含まれている。
つまり、予算のベースラインに組み込まれた89兆ドルの支出は、これらの項目に関する数十年にわたる民主党の扇動政策の後、共和党も降参したため、予算のナイフの影響を実質的に受けないということだ。
共和党の聖域である2026年度から2035年度までの連邦支出の基準額
同時に、ユニパーティーは歳入面をめぐって膠着状態に陥っている。国庫消費税や付加価値税といった新たな歳入源の可能性については、民主党はこれらの税制が逆進的すぎるとして断固反対している一方、共和党は税制であるという理由で原則的に反対している。
同時に、所得税は経済的観点から実質的に限界に達しています。現在、連邦所得税の58.7%は上位5%の世帯によって、86%は上位20%の世帯によって負担されています。つまり、全米の1億6000万人の所得税申告者の大部分は、全く税金を支払っていないか(約4500万人の申告者は税金を支払っていません)、大幅に拡大された標準控除と児童税控除の増額後でも、連邦税は所得の1桁パーセント程度しか支払っていません。
実際、以下に示すように、2022年には納税者の下位80%が支払った所得税はわずか2,920億ドルで、これは総徴収額のわずか13.7%に相当します。AGIに対する実効税率はわずか 5.6%でした。
結局のところ、 共和党と民主党は、80%の世帯にとって事実上の所得税免除をめぐって競争を繰り広げてきました 。そして、共和党が経済階層の最上層にさらなる所得税負担を転嫁することに断固反対する十分な理由を持っていることを認識しながら、この競争的な環境の中で、どのようにして彼らの税金を引き上げるつもりなのか、私たちには理解できません。
2022年の連邦所得税の所得レベル別配分
給与税の引き上げや、法人税を2017年以前の35%に戻す可能性は常に存在する。しかし、この厳しい状況下では、労働組合が前者を容認したり、財界ロビー団体の巨大な陣営が後者を容認したりする可能性は、雪だるま式にゼロだ。
要するに、増税は大抵の場合、悪い考えだ。特に、7兆ドルに上る連邦予算が、大幅に削減されるべき戦争国家と福祉国家への支出で重荷を背負っている状況ではなおさらだ。しかし、ユニパーティー体制下において、増税を少しでも実現可能にするような政治派閥の連携は見当たらない。次善の策である歳入増加は、政治的に実現不可能な範囲を超えている。
つまり、今や国の統治プロセスそのものをしっかりと巻き込んでいる財政破滅マシンからは、逃れる術はないのだ。
イランとイスラエルは、ほとんどの観測者が両国の戦争が制御不能に陥ると予想していたまさにその時点で停戦に合意し、世界を驚かせた 。
トランプ大統領が イランの核施設数カ所を爆撃すると決定し 、その後同国の政権交代をほのめかしたことで、イラン側が地域の米軍基地に報復しようと、イスラエルがこれを正当化するために偽旗挑発行為をしようと、トランプ大統領が紛争へのアメリカの関与をエスカレートさせようとしていると米国は確信した。
彼ら全員が停戦に同意した理由は次の通りです。
1. イランとイスラエルは互いに容認できない損害を与えた
これまで主流メディアはイスラエルがイランに甚大な損害を与えたと主張し、 オルタナティブメディアは イランがイスラエルに甚大な損害を与えたと主張してきた。そして今回、両者は互いの主張を不誠実に否定したにもかかわらず、正しかったと言える。しかし現実は、イランとイスラエルはわずか2週間にも満たない攻撃で、互いに容認できないほどの損害を与えたのだ。そのため、どちらも長くは持ちこたえられず、深刻なエスカレーションか停戦に発展せざるを得なかった。
2. トランプ政権は新たな地域戦争を望んでいなかった
エスカレーションのシナリオが回避されたのは、トランプ政権が西アジアにおける新たな大規模な地域戦争を望まなかったからに他ならない。そうなれば、米国の覇権的衰退が加速するだけでなく、中国をより強力に封じ込めるために「(東)アジアへの回帰」を阻む可能性もあった。そのため、トランプ政権はイスラエルに対し、そのような事態が発生した場合にはイスラエルを支援しないと通告する一方で、イランに対し、近隣の基地が攻撃された場合の大規模な(核?)報復を警告し、双方のエスカレーションを抑止し、停戦を可能にしたと考えられる。
3. トランプはイスラエル・ロビーとネオコンに予想外に反抗した
多くの識者は、トランプ氏のイラン爆撃決定はイスラエル・ロビーとネオコンへの完全な屈服を意味すると結論づけたが、それは全くの誤りだった。地上軍や核兵器さえも含む可能性もあった「ショックと畏怖」による政権転覆戦争という彼らの要求に屈するどころか、トランプ氏は紛争がエスカレートした場合、イスラエルは手をこまねくと脅迫することで、何とかしてイラン爆撃を停止させた。その後、イランもこれに従い、停戦が発効した。
4. 米国はイラン爆撃を戦略的成功として宣伝した
米国による複数の核施設への爆撃が、イランの核開発計画を破壊、あるいは少なくとも何年も先送りし、イランを地政学的なゲームから締め出すという目標を達成したかどうかについては、賛否両論ある。しかし、米国は依然としてこれを戦略的成功として宣伝することに成功した。これにより、トランプ氏はイスラエルに爆撃作戦の停止を暗に迫り、イランにも同調させることで、自らが懸念する大規模な地域戦争を回避するという「面目を保つ」出口戦略を打開できた。
5. トランプはノーベル平和賞受賞に執着している
そして最後に、トランプ氏のエゴが、イランとイスラエルを(それぞれ異なる方法で)停戦に同意させるという決断に大きく影響した可能性が高い。彼は ノーベル平和賞の受賞にすっかり夢中で あり、その結果として受賞できると期待しているからだ。彼は、新たな核合意締結期限の60日のうち61日目にイスラエルによるイラン爆撃を許したことで紛争の火種を作ったが、停戦が維持され、恒久的な平和につながるならば、委員会は都合よくこれらを忘れ去ることができるだろう。
しかし、停戦は維持されない可能性があり、その場合、西エルサレムに責任があるとすれば、米国はイスラエルの爆撃作戦の再開を全面的に支持しないかもしれない。
停戦が維持されたとしても、米国は間接的な手段でイランの政権交代を追求するかもしれない。
最良のシナリオでは、停戦は 新たな 核協定を通じて永続的な平和につながる可能性があるが、それにはロシアの関与(イランからの余剰核燃料の除去など)が必要になるだろう。
もしそうなれば、プーチン大統領もノーベル平和賞に値するだろう。
中国人民銀行(中央銀行)は、国内の需要不足やデフレ圧力といった課題が依然あるものの、中国経済には前向きな兆しが見られ、自信も高まりつつあるとの見解を示した。
四半期ごとの金融政策委員会会合後に発表した声明で、内外の経済情勢を踏まえつつ、柔軟な政策運営を行う方針を明らかにした。金融政策については「適度に緩和的な」状態を維持し、経済成長と物価の安定を合理的な範囲内で確保することを目指すという。
消費者心理は弱いものの、5月の小売売上高が予想を上回ったことは一定の安心材料となった。中国の李強首相は25日、天津市で開催された世界経済フォーラム(WEF)の夏季会合で演説し、中国は消費主導型経済への転換を図るとともに、急激に変化する国際貿易体制の中で安定をもたらす役割を担うと強調した。
米大手銀行は連邦準備制度理事会(FRB)による今年のストレステスト(健全性審査)を問題なく通過した。これで自社株買いや配当を増やす可能性が開けた。
審査の対象となった22行は全て、仮定のリセッション(景気後退)においても最小限の資本要件を上回った。5500億ドル(約79兆5600億円)余りの損失に耐えられることが示され、「大手銀行は深刻なリセッションに耐えられる態勢にある」と判断された。
FRBの推計では、これら銀行の普通株等ティア1(CET1)比率は1.8ポイント下がるものの、なお最低基準である4.5%の2倍を上回る。CET1は銀行の自己資本のうち、最も質の高い指標と見なされる。
年次ストレステストは2008年に起きた世界的な金融危機後に導入された。銀行が損失に備えて利益を留保せず、配当や自社株買いにどれだけ回せるかを判断する材料になる。大手銀行は近年、このテストをおおむね問題なく通過しているが、2022年には厳しいテストを受けた後に資本還元計画を縮小する銀行があった。
今年のテストでは、失業率が最高10%に達し、株価が50%下落、商業用不動産の価格が30%下がるシナリオが想定された。昨年のテストでは、失業率は同程度だが資産価格の下げがより大幅に設定された。
FRBは2024年の米経済が緩やかに減速したことなどを要因として、今年のテストでは比較的厳しくないシナリオでの貸倒損失が少なかったと指摘した。プライベートエクイティー(PE、未公開株)損失の減少と、純収入の増加も結果に影響したという。
キャピタル・アルファ・パートナーズ(ワシントン)のマネジングディレクター、イアン・カッツ氏は今回のテストが比較的穏やかなシナリオだったことを受け、銀行に求められる資本水準が下がり、配当と自社株買いを拡大する余地が生じるだろうと述べた。
各行は7月1日に自社株買いの計画を発表する見通しだと、FRB当局者は述べた。
ラグジュアリー(高級品)業界にとって中東は、富裕層消費が期待できる重要地域だ。中東は空の便が再開し、米国仲介のイスラエルとイランの停戦は維持されているとみられるため現時点では同業界にとって従来通り頼みになる存在で、主力市場である米国と中国での販売低迷を補ってくれると依然、期待がかかっている。
中東の高級品市場は、観光客の大幅増加と地域の旺盛な購買力に支えられ、世界的な減速傾向とは一線を画してきた。同業界は今年、世界的に販売不振が深刻化すると懸念しているものの、ブランドの中には中東販売が2ケタ成長のケースもある。
小売コンサルタントのシャルーブ・グループによると、高級品の市場規模が2024年は前年比2%減の約4000億ドルだった。一方で、中東湾岸諸国は6%増の128億ドルと成長。高級ファッションや宝飾品、化粧品需要の堅調が要因だ。
ただ、中東高級品市場の活況は急増する観光客の需要に大きく依存しているのが実態。コンサルティング会社のベインは、中東での高級品販売の約50―60%を観光客需要が占めると推定している。
ベインのシニアパートナー、フェデリカ・ロバト氏は「現時点では、この地域には依然大きな可能性があると考えており、長期成長見通しは修正していない」と話した。ただ、足かせとして地政学的リスクに目配りし「中東情勢はここ数週間で不安定さを増しており、今後の展開次第ではそうした不安定さが続きかねない」と述べた。
中東地域は旅行支出の重要拠点で、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)やアジアの富裕層が大挙してやって来る。また、高級ブランド事業ではインドの富裕層をたぐり寄せる玄関口の役割も果たしている。インドは輸入関税率が高いためで、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)(LVMH.PA), opens new tabなどの企業はインド店舗網の拡大を控えている。
旅行者向け小売事業を展開するゲブル・ハイネマンは最近、サウジアラビアに進出した。紅海沿岸都市ジッダの空港では高級品ブランドを扱うファッション小売店を営業している。マックス・ハイネマン共同最高経営責任者(CEO)は、中東地域の旅行市場は不安定な情勢にもかかわらず、長期的には底堅いと話し、「(販売が)落ち込む時期はあるかもしれないが成長は続くだろう」と今も楽観的だ。
高級ファッションや宝飾品ブランドは相次いで中東で新店舗を構え、華やかなイベントを開催してきた。イスラエルとイランが直接攻撃の応酬を繰り返した今回の武力衝突以前の企業業績では、プラダ(1913.F), opens new tabの第1・四半期決算は中東地域売上高が前年同期比26%増、エルメス(HRMS.PA), opens new tabは14%増と堅調だった。
ただ、この先も高級品業界にとって買い物客を店舗に呼び込むには、中東訪問者数の維持が不可欠だ。高級旅行代理店グローバル・トラベル・モーメンツによれば、イスラエルとイランの武力衝突があったにもかかわらず、現時点では中東向けの長期的な旅行需要には影響が出ていない。
ただ、最近の情勢を受けて「中東地域への旅行を最終決定する前に、以前より慎重になる傾向は確かに見られる」と説明している。
ドイツの信用調査会社クレジットリフォームは26日、欧州経済首位の同国で企業倒産件数が今年上半期に前年同期比9.4%増の約1万1900件に上り、過去10年で最高水準を記録したと発表した。
需要の低迷に加え、コスト上昇や経営環境の先行き不透明感が要因だった。
チーフエコノミストのパトリック・ルートヴィヒ・ハンチュ氏によると、企業は徐々に財務に余裕がなくなっており、融資継続を断られるケースも出ている状況で、経営は厳しさを増している。
マクロ面で見てもドイツ経済は過去2年間景気後退が続き、今後も大幅改善が見込めないという。こうしたことから、年内は倒産リスクが引き続き高いと指摘。「ドイツは依然、景気が深刻で構造危機の最中にある」と厳しい見方を示した。
企業の不調の影響は個人を直撃しており、勤め先の倒産で影響を受けた労働者数は6%増の約14万1000人に及んだ。産業分野での失業が目立った。生活費高騰も直撃し、個人破産件数は6.6%増の約3万7700件に達した。
最高裁の6対3の判決は、たとえ出生地主義に基づく市民権付与命令が執行されないとしても、トランプ大統領の第二期目に広範な影響を及ぼす可能性がある。なぜなら、この判決は将来、裁判所が他の政策を無効化する権限を制限することになるからだ。
両党の大統領は長年にわたり、全国規模の差し止め命令について不満を表明しており、トランプ大統領自身も、過去の大統領よりもはるかに多くの差し止め命令が出されていると正しく指摘している。例えば、下級裁判所はこれらの命令を用いて、外国人敵国法に基づく移民の国外追放や、トランスジェンダーの軍人入隊禁止といったトランプ大統領の試みを一時的に阻止した。
「これは大きな決断だった」とトランプ大統領は判決が下された直後、ホワイトハウスで述べた。大統領はこの判決を「素晴らしい決断であり、非常に喜ばしい」と述べた。
しかし、今後の訴訟がどのような結果になるかはまだ分からない。民間人(出生地主義市民権訴訟では、妊婦グループが提訴した)は、集団訴訟を通じて裁判所に政策の一時停止を求めることができるかもしれない。
そして、短期的には各州が依然として政権の政策を掌握できる可能性もある。
最高裁の時間はトランプ氏の時間だ
保守派の最高裁はトランプ大統領の側に立ったことで、2年連続でトランプ大統領に有利な画期的な判決を下して任期を終えた。
昨年、6対3の多数決により、トランプ大統領をはじめとする歴代大統領は、少なくとも推定上、在任中の行為に対する刑事訴追を免れるとの判決が下された。この判決により、トランプ大統領は 係争中の 連邦選挙妨害罪の裁判を回避できた。
1月に大統領に再就任して以来、トランプ大統領は最高裁の緊急案件で次々と勝訴している。今週初めに下された、トランプ大統領による特定の移民の母国以外の国への強制送還を認める判決は、最高裁が緊急案件でトランプ大統領の要請を認めた10回目のケースとなった。ただし、これらのケースの中には、 政権にとって 勝敗が分かれる結果となったものもあった。
裁判所はトランプ大統領が独立機関の理事を解雇し、トランスジェンダーのアメリカ人を軍務から外し、合法的に国内にいる移民も含めた移民に対するその他の保護を終了することを認めた。
トランプ大統領が非公開で軽蔑してきた エイミー・コニー・バレット判事による金曜日の判決は、トランプ大統領にとってこれまでで最大の勝利となる。
ジャクソン:「行政の無法行為は蔓延するだろう」
最高裁のリベラル派判事3人は、保守派の同僚らによる画期的な判決に激しく反対し、今回の判決によってトランプ大統領や将来の大統領が、法廷闘争が続く中でも違法な政策を実施することが許されることになるとして警鐘を鳴らした。
リベラル派の意見書を執筆したソニア・ソトマイヨール判事は、多数派がこの件で政権の「駆け引き」に「恥ずべきことに」同調したと述べ、この政策を最高裁に承認を求めず、代わりに全国の連邦判事の権限を制限することで「明らかに違憲」な政策を強制しようとする試みだと述べた。
「今回の判決は、政府による憲法無視を公然と招き入れるに等しい。行政府は今や、確立された法律を無視し、無数の個人の憲法上の権利を侵害する政策を強制することができ、連邦裁判所は行政府の行動を完全に阻止する能力を奪われることになるだろう」と彼女は記した。
最高裁のリベラル派の上級判事は、金曜日に約20分間、異議意見の一部を判事席から読み上げるという異例の措置を取った。その際、彼女は反対意見書には含まれていなかった一文を追加し、トランプ大統領に刑事訴追からの広範な免責を認めた昨年の画期的な判決を援用した。
「行政上の免責特権にもう一つの災いが降りかかった」とソトマイヨール判事は裁判官席から宣言した。
一方、金曜日にケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事は単独で痛烈な反対意見を述べ、保守派の同僚らがトランプ大統領の「憲法違反」を許すことで「法の支配に対する実存的脅威」を生み出していると非難し、差し止め訴訟の重要性をさらに高めたようだ。
「本日の最高裁の結論のように、裁判官が状況によっては行政府の違法行為を容認せざるを得ない場合、行政府の無法行為が蔓延し、そこからすべてがどう終わるのかを予測するのは難しくないだろう」と彼女は記した。「最終的には、行政府の権力は完全に制御不能となり、私たちが愛する立憲共和国はもはや存在しなくなるだろう」
集団訴訟への移行
最高裁は、トランプ大統領の法律上の敵対者が、大統領による全国的なさまざまな政策の施行を阻止または遅らせるような裁判所命令を得る能力を大幅に制限したが、保守派判事らは、政策によって影響を受ける可能性のあるすべての人々のために救済を得るために、同様の状況にある大規模な個人集団を代表して訴訟を起こす集団訴訟という重要な法的手段をテーブルに残した。
金曜日、いくつかのグループがまさにそれを実行するために迅速に行動した。
メリーランド州でトランプ大統領の命令に異議を唱える移民権利団体や妊婦らは、以前この政策を阻止した連邦判事に対し、集団訴訟を通じて再度阻止するよう圧力をかけた。
こうした集団訴訟は、全国規模の差止命令と同様の結果につながる可能性があり、本件の審理において、複数の判事が集団訴訟に重点を移すことの意義を疑問視しました。唯一の違いは、裁判官は一般的に、差止命令の対象となるべき人物について、より詳細な検討を行う必要があることです。
5月のこの訴訟の弁論で、ブレット・カバノー判事は、その違いは「技術的な問題」に過ぎないかもしれないと述べた。
「我々は技術的な問題を気にしている」と彼は当時語った。「そして、これはすべて技術的な問題なのかもしれない」
メリーランド州の原告側の弁護士は、デボラ・ボードマン連邦地方裁判所判事に対し、2025年2月19日以降に生まれた、または生まれる予定で、トランプ大統領の命令の影響を受けるすべての子供を含む全国規模の集団を認定するよう求めた。彼らは、集団を構成する可能性のあるすべてのメンバーを代表して、トランプ大統領の命令に異議を唱える新たな訴訟を起こした。
彼らはまた、ジョー・バイデン前大統領によって任命されたボードマン氏に対し、この政策の影響を受ける「想定される層」の個人にトランプ大統領の大統領令が適用されることを一時的に阻止する緊急命令を求めた。
「最高裁の最新の指示に従い、裁判所は、違法な大統領令がもたらす恐れのある回復不能な損害から、想定されるクラスのすべてのメンバーを保護することができる」と訴訟は述べている。
トランプ大統領の大統領令をめぐる別の訴訟で原告団を代理しているアメリカ自由人権協会は金曜日、トランプ大統領の大統領令を標的とした新たな集団訴訟を起こした。
「これは、出生地主義を廃止しようとするトランプ大統領の取り組みによって全国で被害を受けた人々が、この基本的なアメリカの権利のために裁判所から保護を受けられるようになる方法の一つだ」とACLUの全国法務ディレクター、セシリア・ワン氏はCNNに語った。
各国は戦い続けるだろう
バレット判事は、政党が自らの損害に対処するために必要であれば、政策の一時停止を求める全国的な救済措置を求めることは依然として可能であると慎重に述べた。これはまさに、出生地主義政策に異議を唱えた20州近くの民主党州が主張した主張であり、最高裁は直接この問題を扱わなかったものの、州が再び同様の主張を行う余地を大きく残した。
各州は、ペンシルベニア州に留まるよりも、ニュージャージー州で子供を産むために州境を越えることがあまりに容易であり、子供は市民権を取得できるため、トランプ大統領の出生地主義政策を全国的に阻止する必要があると主張していた。ペンシルベニア州では、出生地主義は容易に取得できるからである。
現在、各州は下級裁判所に戻り、裁判所が合憲性を判断するまで出生権政策は保留のままにしておくべきだと主張する可能性が高い。
「我々は勝訴できると確信しているし、既に訴えを起こしている。下級裁判所が米最高裁の指示の下で再審理を行う際には、原告各州に救済を与えるため全国規模の差し止め命令を確保するつもりだ」とカリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官(民主党)は記者団に語った。
「この命令に異議を唱えて訴訟を起こした司法長官がいる州に完全な救済を与えるために、全国的な差し止め命令が適切かつ必要であるかどうかを再検討するのは下級裁判所の責任だ」と彼は述べた。
この訴訟は最終的に最高裁判所に持ち込まれる可能性がある。
パム・ボンディ司法長官は、最高裁が最終的にトランプ大統領の大統領令の正当性について政権に有利な判決を下すだろうと政権は「非常に自信を持っている」と述べた。
「出生地主義に基づく市民権は10月に最高裁判所の次の審理で決定されるだろう」とボンディ氏はホワイトハウスで予測した。
ボンディ氏の予測したタイミングは楽観的かもしれないが、裁判所の通常の進行ペースを考えると、この問題が最終的に最高裁判所の前に持ち込まれる可能性は高い。
毎年、Visual Capitalistの編集チームは 何百ものレポートや記事を精査し、 専門家が今後 1 年間について予測するすべての内容を集約した予測コンセンサスを作成します。
2025年も半ばを過ぎ、これらの予測がどれほど的中しているかを見極める時が来ました。トランプ大統領の交友関係や確執から、地政学的な不確実性や市場のボラティリティまで、多くの専門家の予測はすでに現実のものとなっています。
トランプ大統領は大統領就任後6か月間、かなり予測不可能な行動をとってきたが、イーロン・マスク氏や連邦準備制度理事会議長のジェローム・パウエル氏との関係に関しては、多くの専門家が彼の予測を正しく読み取った。
米国では大きな経済問題がないにもかかわらず、大統領は執拗にパウエル議長に利下げを要求しており、すでに同議長には「遅すぎた」ジェローム・パウエルというあだ名がつけられている。
まだ現れていない景気後退についてパウエル議長を責めるのではなく、金利が引き下げられれば確かに下がるであろう米国の短期債務の利払いに焦点が当てられている。
DOGEが支出を削減できないこと、そして 2025年から2034年の間に連邦政府の赤字が2.4兆ドル増えると推定されるトランプ大統領の「One Big Beautiful Bill」には支出抑制が欠けていることを考えると、これらの削減は予算にとってさらに必要だ 。
イーロン・マスクのDOGE支出削減目標を見ると、2025年度の支出予測7兆ドルと比べて組織が削減できた額がいかに少ないかが分かる。
DOGE が支出削減を進展させることができず、またテスラがマスク氏の政治介入に苦しんでいたため、マスク氏は 5 月 30 日に政権を離れることとなった。
わずか数日後、マスク氏はXにトランプ大統領の法案への不満を投稿し、「忌まわしい忌まわしい行為」と呼び、さらにトランプ大統領とジェフリー・エプスタインの関与を主張する投稿を続けた。トランプ大統領は、連邦政府との契約を破棄すると脅し、マスク氏を精神的に不安定だと非難する形で報復した。
しかし、翌週までにマスク氏は自身の発言について謝罪し後悔を表明し、トランプ氏は最終的にこの件について「恨みはない」と述べた。
市場に関して言えば、専門家は欧州株の収益が改善すると予測していたものの、これほど急速に好成績を上げるとは予想していなかっただろう。
2025年の最初の2か月だけで、ドイツのDAX 40指数は13.2%上昇し、イタリアのミラノ・イタリア証券取引所は12.5%、英国のFTSE 100は7.8%上昇しました。
欧州の株価指数は2025年に入ってからこれまでのところ最も好調なパフォーマンスを示しており、米国の大型株指数と小型株指数の両方を大きく上回っています。
米国株のパフォーマンスが低迷する中、マグニフィセント・セブン銘柄のリターンはまちまちで、7つのテクノロジー企業間で大きな乖離が見られます。
2025年に入ってから、アップルとテスラはこれまでのところ最も大きな打撃を受けている。マスク氏の政治介入は、非共和党支持層や米国外の顧客層におけるテスラのブランドイメージに打撃を与えた。一方、関税に加え、AI導入の遅れと不十分な実行がアップルの収益を圧迫している。
Alphabetにとって、GoogleのAIインフラへの巨額の設備投資は、フリーキャッシュフローの足かせとなり、採算が取れない可能性があると見られています。この利益率への打撃に加え、ChatGPTの人気の高まりによる検索利用の減少、そしてGeminiをはじめとするGoogleの他のAI機能に対する明確な収益化計画の欠如が、収益への懸念を招いています。
下のグラフでNvidiaの2019年以降の年間収益を見ると、2023年と2024年の素晴らしい3桁の収益に2025年も追いつくのはほぼ不可能だったことがわかります。
Nvidiaの成長は、過去数年間の猛烈な勢いから正常化しつつあるものの、チップ設計においては依然として圧倒的な市場シェアを維持しています。これに加え、AI推論モデルの出現とエージェントの開発により、 トークン スループットと必要となるコンピューティング能力の予測はますます高まっています。
世界最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカーは、国際展開に全力を注いでおり、その過程でバッテリー交換技術の展開によりEV市場に大きな衝撃を与える可能性がある。
中国のContemporary Amperex Technology Co. Ltd.
CATLは、EV分野で約38%の市場シェアを持ち、より持続可能な輸送手段への世界的な移行における主要プレーヤーです。CATLの顧客には、テスラなどの世界的な企業が含まれています。フォルクスワーゲン、そしてBMW
同社は欧米の競合他社よりもはるかに優れた 技術を誇っている。
EV業界に計り知れないほどの影響を与えているにもかかわらず、同社は今年5月に香港で2025年史上最大規模の新規株式公開(IPO)を実施するまで、ほとんど注目を浴びてこなかった。
CATLの株価が急騰し、オーバーアロットメントオプションが全額行使されたことを受けて、IPOでは410億香港ドル(52億米ドル)が調達された。
CATL が IPO 後に計画している内容は次のとおりです。
グローバル展開
CATLは株式公開に先立ち、上場によって調達した資金の90%を、特に建設中のハンガリー工場を中心とした欧州への事業拡大に充てると発表した。
同社によるデブレツェンのバッテリー工場への76億ユーロ(82億ドル)の投資は2022年8月に初めて発表され、今年中に 生産が開始される予定となっている。
バッテリーメーカーはすでにドイツに完全所有の製造拠点を設立しており、2023年に最初の拠点を開設した。また、ステランティスとの合弁事業を通じてスペインにバッテリー工場を建設する計画も発表している。
投資顧問会社オートモビリティの創業者兼CEOビル・ルッソ氏は、国内市場での成長の勢いが限られており競争が激化していることを理由に、CATLの事業拡大計画は世界的なリーダーシップと規模を維持するために考案されたようだと述べた。
「CATLの先行者利益は長期契約の締結に役立ち、価格決定力は欧州でより強く、中国に比べて高い利益率を支えている」とルッソ氏はCNBCに電子メールで語った。
「ハンガリー工場はEU市場への戦略的なゲートウェイです」と彼は付け加えた。「ハンガリーは大手OEMへの近接性、政府の優遇措置、そして低い人件費といった利点があり、欧州への足掛かりを求める中国のEVおよびバッテリーメーカーにとって魅力的な拠点となっています」と彼は付け加えた。
CATLの世界的な投資は、国内市場での激しい競争と価格競争の中、自動車大手BYDを含む多くの中国のEV企業が欧州に拠点を移している傾向に沿ったものだ。
中国・天津で木曜日に開かれた世界経済フォーラムで講演したCATLの最高製造責任者である倪軍氏は、北京の介入なしにこの残酷な値引き戦争は終わらないだろうと語った。
同氏はさらに、大手企業が価格引き下げを続けると、他の競合他社が市場から駆逐され、独占状態が生まれる可能性があると付け加えた。CATLのジュン氏は具体的な企業名を挙げなかったが、CATLの主要競合企業であるBYDは5月下旬に 価格引き下げを発表した。
中国における厳しい利益率と過剰生産能力がCATLの欧州進出の原動力となっていると、シノ・オート・インサイツの創業者兼マネージングディレクターのトゥ・レ氏は語り、同社はすでに中国の「事実上すべての」EVメーカーに供給しており、国内での成長機会が制限されていると付け加えた。
しかし、欧州ではすべてが順調だったわけではない。欧州連合は昨年、米国での さらに厳しい取り締まりを受けて、中国製EVに懲罰的関税を課した。
レ氏は、ハンガリーの施設は同社の現地化計画に向けたもう一つの大きな一歩であり、ドイツに比べて労働コストが低く、地政学的に友好的な環境につながるだろうと述べた。
CATLはインドネシアでも統合型電気自動車用バッテリープロジェクトに携わっています。地元メディアの報道によると、インドネシア政府当局は2026年3月に生産開始を見込んでおり、成長著しい東南アジアの EV市場においてCATLの存在感を高める可能性があります。
バッテリー交換技術
CATLは最近、フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、バッテリー交換・リサイクル技術を欧州にも展開する計画を明らかにした。この動きは、欧州市場に大きな影響を与える可能性がある。CNBCはCATLに詳細を問い合わせた。
最新のバッテリー交換技術は中国では普及していますが、ヨーロッパではまだ普及していません。中国のEVメーカーであり、バッテリー交換のパイオニアであるNIOは例外です。同社はドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、デンマークに60か所のバッテリー交換ステーションを設置しています。
一方、ジープやダッジのメーカーであるステランティスは最近、米国を拠点とするアンプルと提携し、スペインのマドリードにあるフィアット500のEV100台にバッテリー交換技術を統合した。
バッテリー交換ステーションの利用方法は、自動洗車機の利用方法と非常に似ていると考えられます。EVのドライバーは、統合システムを備えたプラットフォームに車を駐車します。すると、車両の下から消耗したバッテリーが取り外され、新しいフル充電のバッテリーと交換されます。このプロセス全体は約5分かかります。
スワッピングステーションによるバッテリー充電の支持者たちは、この技術が、特に急速充電と長期にわたる性能という、EVの普及における2つの大きな問題点に関連する多くの問題を解決すると主張している。
アナリストらは、交換のもう一つの重要な利点は、自動車メーカーがバッテリーの所有権を維持できるため、車両の初期価格が下がり、OEMに定期的な収入源が生まれることだと述べている。
ただし、初期のインフラコストが高いことや、自動車メーカー間で標準化が進んでいないことなどが欠点として挙げられます。
コンサルティング会社ファストマーケッツの電池原材料アナリスト、コナー・ワッツ氏は、中国のOEMと数多くの提携関係にあるCATLは、顧客ベース全体に必要なレベルの製品標準化を実施する上で有利な立場にあると述べた。
「特に最近の香港上場による資金流入により、欧州市場内でインフラを開発するために必要な資本を確保した」とワッツ氏はCNBCに電子メールで語った。
「欧州のバッテリー交換産業の発展に成功できる企業の中で、市場での地位を考えるとCATLほど有利な立場にある企業はない」と彼は付け加えた。
キャンペーン団体「トランスポート・アンド・エンバイロメント」の車両およびeモビリティサプライチェーン担当シニアディレクターのジュリア・ポリスカノバ氏は、欧州で大規模に機能させるためには、大手自動車メーカーがバッテリー交換技術の標準化されたセル設計に同意する必要があると述べた。
「バッテリー交換は充電分野にとって良い追加であり、市場の一部では理にかなっているが、我々の問題を解決する特効薬ではない」とポリスカノバ氏はCNBCの電話インタビューで語った。
「交換するにしても、車内に恒久的に搭載するにしても、バッテリーとそのための材料は依然として必要だ」と彼女は付け加えた。
ガーディアン・サービスによると、全米各地で、アメリカ人は物価上昇、高金利、そして続く経済の不確実性に直面し、大きな財政上の決断を再考せざるを得なくなっている。
1,000人を対象とした最近の調査では、35%が今年大きな買い物を延期またはキャンセルしたと回答しており、最も多かったのは住宅(22%)と自動車(8%)でした。特にミレニアル世代(40%)とZ世代(32%)は、計画を延期する傾向が強かったです。主な原因は、経済への不安の広がり(63%)、高金利(57%)、そして手の届かない価格(55%)です。
中には完全に期待を変えている人もいます。12% が「夢のマイホーム」の目標を縮小し、4 人に 1 人近くが 2025 年には購入よりも賃貸のほうが経済的に有利だと考えています。
こうした優先順位の変化は、高額な商品だけでなく、保険のような日常的な保障にも及んでいます。予算が逼迫すると、必要不可欠な保障でさえも無駄に感じられることがあります。アメリカ人の4人に1人近く(24%)が、節約のために住宅や自動車の保障を減らしたと回答し、29%が過去1年間に少なくとも1種類の保険をダウングレードまたは解約したと回答しています。
自動車保険では最大の削減が見られ、15%が規模を縮小し、8%が全額補償から賠償責任のみに切り替えた。こうした動きはコストを削減する一方で、財務リスクも増大させる。
こうした変更の背後にある決定は、長期的な安心を犠牲にしてでも短期的な経済的負担を軽減したいという願望から生まれる場合が多い。「アメリカ人の3分の1は、生活必需品の費用を賄うために一時的に保険に加入しなくてもよいと回答」しており、5人に1人は保険料が上昇し続けた場合、保険の完全な解約を検討すると回答している。
ガーディアン・サービスによると、保険は依然として広く重視されており、77%が自動車保険は必須だと回答し、57%が賃貸住宅保険や住宅所有者保険についても同様に回答しています。しかし、信頼は依然として課題であり、何か問題が発生した場合に保険会社が完全に対応してくれると信頼していると回答したのはわずか37%でした。
調査結果は明確だ。アメリカ人は予算を調整し、厳しいトレードオフを検討する中で、長期計画よりも目先のニーズを優先する明確な意思を示している。
ヘイマン・キャピタル・マネジメントの創業者兼最高投資責任者カイル・バス氏によると、中国共産党は同国史上最も深刻な経済危機に直面しており、政権はそこから立ち直れないだろうという。
「中国を経済スパイラルから救い出すものは何もありません。不動産危機、銀行危機、若者の失業危機に直面しており、今や経常収支を心配する必要があるのです」とバス氏は、6月26日に放送されたエポックTVの番組「アメリカン・ソート・リーダーズ」のインタビューで述べた
バス氏は、米国の関税と貿易の減少が、対米貿易黒字という中国の経済的優位性を脅かしていると述べた。
中国税関のデータによると、中国の対米輸出は5月に前年同月比35%減少した。
「かつての中国の明るい兆しは今や疑問視されている」とバス氏は述べた。「実際、もっと下落していないのが驚きだ」
中国も資本逃避によって大きな打撃を受けている。
バス氏は、2024年に中国は外国直接投資(FDI)と証券投資の双方で総額約5000億ドルの大規模な流出を経験し、貿易黒字約9800億ドルと経常収支黒字約4200億ドルの差が開くと指摘した。
中国はまた、持続不可能な債務に直面している。中国の国家債務と地方政府の財政債務を合わせると、中国の債務対GDP比は約350%になるとバス氏は推定したが、様々な経済課題を考慮すると、この比率を管理するのは困難だと述べた。
バス氏は、中国の金融危機を示すもう一つの指標は中国債券市場の動きだと述べた。6月27日現在、中国の10年国債利回りは約1.64%で、米国の10年国債利回りは4.26%となっている。
「中国政府は嘘をつきたいことに関してはかなり上手だが、債券市場はある意味真実を語っており、中国が経済の冬にあることを債券市場は伝えている」とバス氏は語った。
中国の経済問題は数年にわたって続いており、2021年に現在の不動産危機の始まりとなった大手不動産開発業者の恒大集団と碧桂園集団の破綻がその一因となっている。
2月の全国失業率は5.7%と2年ぶりの高水準に達し、若者の失業率は16.9%を超えた。
懸念をさらに強めるのは、消費者物価が5月に4カ月連続で下落し、工業収益が前年比9.1%減少したことだ。これは世界第2位の経済大国におけるデフレ圧力の深刻化を浮き彫りにしている。
台湾
中国の経済的苦境にもかかわらず、米国は特に希土類元素や医薬品原料など、特定の輸入品については中国に依存し続けている。
米国地質調査所のデータによると、米国は2020年から2023年の間に希土類元素の70%を中国から輸入した。
バス氏は、これらの品目に対する中国の影響力に対し、米国は世界のドルシステムを支配することで究極の「切り札」を保持していると述べた。
「信用できない通貨や取引されていない通貨を誰も受け入れないので、世界中で人民元や人民元で物を買うことができない」とバス氏は語った。
バス氏は、中国が台湾に対して軍事行動を開始した瞬間に、米国は中国に対し、中国のドルシステムへのアクセスを遮断する意図を伝えるべきだと述べた。
「中国が台湾に対して軍事的に好戦的になるのを阻止するために、私たち全員が抑止力を発揮すべきだ」とバス氏は語った。
「これは、中国との物理的な衝突で我が国の勇敢な男女からなる空母打撃群を台湾海峡に送り込むよりも、我々にとってより良い最初の動きだ。もしそうなれば、何万人もの我々の男女が命を落とすことになるだろう。」
中国共産党(CCP)は台湾を反逆の省であると主張し、併合を企んでいるが、政権は台湾で権力を行使したことはない。台湾は事実上、民主的に選出された政府、軍隊、憲法、通貨を有する独立国家である。
5月、シンガポールでのシャングリラ対話での演説で、ピート・ヘグゼス米国防長官は、中国共産党の指導者、習近平が台湾に対して行動を起こす予定について警告した。
「習近平主席が2027年までに台湾侵攻能力を備えるよう軍に命じたことは公然の事実だ」とヘゲセス氏は当時述べた。
「中国共産党が武力で台湾を征服しようとするいかなる試みも、インド太平洋地域と世界に壊滅的な結果をもたらすだろう。」
ドナルド・トランプ大統領が最近、イランの核施設3カ所を爆撃することを決定したことは「中国の注目を集めた」とバス氏は語った。
「中国の戦争観は揺るがされたに違いない」と彼は付け加えた
バス氏は、イラン情勢は「中国が台湾に対して軍事面でより好戦的になることを再考させるだろう」との見方を示した。
バス氏は、中国政府は最終的に第一列島線と第二列島線を突破し、「サンフランシスコまで勢力を拡大する」ことを目指していると語った。
台湾は、日本の南部九州からフィリピン、マレー半島に至る第一列島線の中心に位置しています。第二列島線は、日本からグアムを経てミクロネシアまで伸びています。
バス氏は「中国が台湾を占領することを許すことは、米国にとって国家安全保障上の存亡に関わる危機だ」と警告した。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
ジョージア州からオレゴン州、ニューイングランド州からニューメキシコ州に至るまで、データセンター計画は地方自治体の公聴会で、電力、水道の消費量の増加、騒音への懸念を抱く住民の反対に直面している。批評家たちはまた、データセンターは他の土地利用が生み出すような雇用を生み出さないと主張している。
テキサス州では、急速な農村工業化という広い文脈の中で、小さな町の住民がデータセンター開発に疑問を抱いています。
ペンシルベニア州では、データセンターが近くの天然ガス田を利用し、水圧破砕の頻度を増やし、水供給を圧迫していると、特別グループが主張している。
インディアナ州、ミネソタ州、カンザス州、ネブラスカ州、そして全米各地の住民は、こうしたハイテクキャンパスの規模と近接性が近隣地域の品位を下げ、不動産価値を下げていると訴えている。
反対意見は提案や場所によって様々ですが、州政府や地方自治体がデータセンター プロジェクトに税制優遇措置を提供しているものの、秘密保持契約によってそれが世間の監視から保護されているという点がよくある不満です。
企業は、こうした協定が企業独自の機密情報を守ると主張しているが、住民が、まるで契約が成立したかのように見えるまでほとんど何も知らなかった提案を地元の計画担当者が承認しようとしていることに気付くと、透明性の欠如が疑念と怒りを生むことになる。
「私たちの経験から言うと、大きな懸念の一つは、確かに地域への働きかけがないことです」と、パブリック・シチズンのテキサス州気候・クリーンエネルギー担当アソシエイト、カミル・クック氏はエポックタイムズに語った。「地域住民に情報を提供し、彼らの声が尊重され、これらの問題に関して選択肢があるという実感を与える手段がないのです。」
こうした地元住民の反対の多くは、「そもそも知らされておらず、ある時点で無視された」という不満に根ざしているようだと、HostingAdvice.comが2月に実施した調査の共同執筆者であるジョー・ワーニモント氏は述べた。16州の800人を対象としたこの調査では、93%が「最先端のAIデータセンターは米国にとって不可欠」と回答したが、自分の町にデータセンターを設置したいと答えたのはわずか35%だった。
「主な洞察は、地元住民が経験していることと、開発業者がこれらのコミュニティに売り込んでいるものとの間に明らかに乖離があるということです」とワーニモント氏はエポックタイムズに語った。
プロテクトPT事務局長のジリアン・グラバー氏は、ペンシルベニア州西部の非営利団体は、地元の新聞記事を読むまで、ウェストモアランド郡アッパー・バレル郡区の計画担当者らが、アルコアの旧敷地にデータセンターを建設するというTECフュージョンズの入札を検討していたことを知らなかったと語った。
「私たちは『これは一体何なの?何が起こっているの?アッパー・バレルのコミュニティにとって何を意味するの?』と思いました」と彼女はエポックタイムズに語った。
住民がプロジェクトの詳細を知るために「早い段階で」地元の計画担当者や当局に連絡を取ったとき、彼らは具体的なことについては話そうとしなかった、あるいは「彼らはそれについてあまりよく知らないようだった」とグレーバー氏は語った。
「Protect Penn-Teller」の略称である「Protect PT」は、10年前にグレイバーさんのハリソンシティの自宅のリビングルームで設立され、その目的は、一部の住民が地域の環境を悪化させていると主張する水圧破砕法やその他の産業開発に対抗することだと彼女は語った。
彼らは多くの戦いに勝ったわけではないが、それでも戦い続けている。
「私たちが取り組んでいることすべてにおいて、大企業や巨大産業が地方にやって来て、何でも好きなようにできると考えているのはいつものことです」とグレーバー氏は述べた。「二度とあんなことが起きてほしくはありませんが…歴史は何度も何度も繰り返されるのを私は見ています。」
Facebook でざっと検索してみると、同様の主張が表明されているページを持つ、数十の臨時の地域グループが見つかる。
グランベリーのテキサス住民 は、「巨大で騒音が大きく、環境破壊的なデータセンターの隣に暮らす労働者階級の住民こそが、テキサスの仮想通貨ブームのツケを払っている」と訴えている。ミネソタ州民は、「こうした開発が私たちのコミュニティを大きく変えている」として、州議会に対し、さらなる規制を課すよう求めている。
インディアナ州のFacebookグループ「Stop Duneland and Valpo/Wheeler Data Centers」の3,500人のメンバーは、計画委員会が提案されているデータセンター計画に関する公聴会を放棄すると脅したことに憤慨している。ページには、「もう声を上げられないのか?まるで独裁政治みたいだ」といったコメントが溢れている。
税収の恩恵
メタ、AWS、マイクロソフトなどの企業を含む36の「ハイパースケーラー」と、エクイニクスなど事業者にリースしているデータセンターを所有するコロケーション企業を代表するデータセンター連合は、データセンタープロジェクトが一部で抵抗を受けていることを認めたが、ほとんどの批判はあらゆる開発提案に共通するものだと述べた。
「メディアの報道では、この点が忘れられがちだと思います」と、ワシントンを拠点とする連合の広報ディレクター、ジョン・ハキル氏は大紀元に語った。「データセンターは良き隣人でありたいと考えています。許可手続きの前後、そして手続き中も、HOA(住宅所有者協会)や住民、地方自治体、州政府とコミュニケーションをとっています。」
「データセンター業界は一枚岩ではありません。多種多様な企業が存在します」とハキル氏は述べた。
データセンターは建設費用が高額で、コミュニティ内で何年も運用される予定なので、開発者や運営者は法律やゾーニング、土地利用規制を厳守していると彼は述べた。
先進国の電力会社は、データセンターや人工知能(AI)の検索による需要にいかに対応するかに頭を悩ませている。しかし世界的に見れば、人々を涼しく保つことの方が、電力網にとってより大きな負担となり、電力セクターにとってより差し迫った課題となりそうだ。
世界のデータセンターとエアコンの消費電力は、今後10年間でともに3倍に増加すると予測されており、老朽化した電力網や新規電源の整備遅れに直面する電力会社にとって大きな試練となるだろう。
国際エネルギー機関(IEA)によると、データセンターの電力需要は2024年の約416テラワット時(TWh)から、35年までにさらに約800TWh増加すると予測されている。これは、米エネルギー情報局(EIA)の試算によれば、米国内の約7500万世帯が1年間に消費する電力量に相当する。
一方で、シンクタンク「エンバー」によれば、冷房設備の世界的な電力需要は35年までに約1200TWh増加する見込みだ。これは中東地域全体が年間に消費する電力にほぼ匹敵する。
重要なのは、この2つの需要増の発生地域が異なり、需要増に対応できない場合の影響も大きく違ってくるという点だ。
データセンターの増設は主に電力網が整備された先進国で進んでおり、企業やSNSなどによる検索処理の増加が主な需要拡大要因となる見込みだ。
これとは対照的に、エアコン需要の増加はその大部分が新興国で起こる見込みであり、すでに熱中症による死亡や疾病のリスクにさらされている地域の脆弱な電力網に大きな負担をかける。
発展途上国において電力供給が不足した場合、人命や健康への影響は、データセンター向け電力供給が滞った場合の検索速度低下や経済的損失といった影響とは桁違いに深刻なものとなるだろう。
<建設ブームで冷房需要が拡大>
気候変動によって世界各地で熱波が頻発し、特に高湿度により暑さが一層厳しくなる南アジアや東南アジアなどの新興国では、熱ストレスによる被害が深刻化している。
インドの「科学環境センター」が今年4月に発表した報告書によれば、「インドではわずか数日間の熱波でも数万人単位で超過死亡が発生している」という。
こうした状況への対策として、温暖地域では住宅やオフィスで冷房設備の導入が急ピッチで進んでいる。これらの地域では建設ブームが続いており、冷房設備の需要をさらに押し上げている。
IEAによると、22年時点で世界の全世帯のうち約36%が何らかのエアコンを所有していたが、35年にはその割合が50%に達し、50年には60%にまで拡大すると予測されている。
こうした冷房設備の普及拡大に伴い、世界の冷房設備の総設備容量は22年の約850ギガワット(GW)から35年には1750GW、50年には2700GWへと大幅に増加するとIEAは見込んでいる。
<インドが需要をけん引>
すでに世界最多の人口を抱え、35年には世界第3位の経済規模になると予想されるインドが、今後数十年間の冷房需要を主導することになるとみられる。
現在、世界のエアコン設備の約5%(約1億1000万台)がインドに設置されている。これは世界全体の約24億台のうちの一部にすぎない。
しかし、35年にはインドのエアコン設置台数は世界の13%(約5億台)に達し、50年には11億台を超えると予測されている。
暑く湿気が多い気候で、人口増加が続くインドネシアも、35年までにエアコン設置台数が3倍になると見込まれており、ブラジル、メキシコ、中東地域でもエアコン台数は倍以上に増える見通しだ。
<供給拡大の課題>
データセンターおよび冷房設備による電力需要の増加に対して、電力会社は地域を問わず供給拡大を迫られることになる。
しかし、この2つの需要増は電力需要が発生する地域ごとに課題が異なる。米国や欧州では、データセンターの多くが既存の発電設備に近い場所に設置されており、安定した電力を容易に得ることが可能だ。
一方、新興国の冷房設備は多くが新築の集合住宅や未開発地で稼働するため、電力会社は地理的にも広範囲に及ぶ新たな電力網を構築しつつ、供給量も大幅に増やさなければならない。
そのため、インドやインドネシアなどでは短期間で大量の電力を確保するため石炭火力発電の利用が拡大し、大気汚染の悪化を招き、さらなる温暖化につながる可能性が高い。
しかし、エネルギー需要の膨大さを考えれば、化石燃料だけでは供給をまかないきれず、多様な電源を利用することが不可欠になる。
「あらゆる電源を総動員する」戦略により、長期的には再生可能エネルギーなどクリーンエネルギーが発電構成比の大きな部分を占めるようになり、高汚染の燃料を押しのける可能性もある。
しかし短期的には、気温上昇から人命と健康を守るための化石燃料の消費は増える一方で、電力網への負担がさらに深刻化することは避けられないだろう。
米テキサス州のエネルギー企業ファーミ・アメリカは26日、同州アマリロに世界最大級の人工知能(AI)用データセンターとエネルギーの複合施設を建設すると発表した。原子力、天然ガス、太陽光をエネルギー源とする計画だ。
リック・ペリー元エネルギー長官らが創業したファーミ・アメリカは、「ハイパーグリッド」と称するこのプロジェクトをテキサス工科大学と提携して7月4日に開始する。
ペリー氏は、中国が原子炉22基の建設を進めているのに対し、米国では建設中の原子炉は皆無だと指摘。「われわれは後手に回っている。この競争は極めて重要なので、競争に打ち勝つためにあらゆる手を尽くす必要がある」と述べた。
ファーミ・アメリカによると、同プロジェクトは原子力、天然ガス、太陽光により最大11ギガワット(GW)を発電する可能性があり、2026年終盤までに1GW相当が稼働する見通し。
米原子力規制委員会(NRC)はファーミ・アメリカからの申請を審査しており、結果を近く公表すると明らかにした。
米紙ワシントン・ポストは同プロジェクトについて、発電量1GWの原子炉4基が申請してあると報じた。
ファーミ・アメリカはプロジェクトの総工費や資金調達方法について公表していない。
ほんの数ヶ月前まで、世界の多くの国々は、気候カルトの祭壇にひざまずく政府によって、納税者から補助金が支給される信頼性の低い「再生可能エネルギー」が家庭や企業に押し付けられ、暗いエネルギーの未来に運命づけられているように見えました。その結果、過激な環境保護運動から称賛を浴びる国々が次々と現れましたが、21世紀のエネルギー需要を満たす能力はますます低下していきました。
2024年の大統領選挙でアメリカ国民の支持を得たことで、世界を代表する超大国は方針転換を果たしました。アメリカが先導すれば、世界はそれに追随する傾向があります。今日、アメリカのエネルギー資源が将来の需要を満たすという楽観的な見方が再び高まっています。特に、従来のエネルギー源の中で最も手頃な価格で信頼性が高く、クリーンな選択肢である天然ガスに関してはその傾向が顕著です。
場合によっては、国内消費用のガス生産量増加という形で好転が見られる。しかし、米国のプロジェクトが他国へガスを輸送する場合でも、新たなインフラ、雇用創出、そして税基盤の拡大が相まって、州や地域社会に利益をもたらす。
これまでこの欄で取り上げてきたペンシルベニアからニューヨークへの新しいガスパイプラインや、増え続ける他のプロジェクトに加え、最近発表された 3 つの開発プロジェクトが天然ガスの復活を浮き彫りにしています。
1. アラスカLNGプロジェクト。かつては失われた機会と考えられていたアラスカ州ノーススロープのプロジェクトに、再び関心が集まっている。「このプロジェクトは、800マイルのパイプラインで大量の天然ガスを輸送し、アラスカ中南部で超冷却し、液化天然ガスを日本、韓国、台湾などの国に輸送する」というもの 。アンカレッジ・デイリー・ニュース紙によると。
トランプ大統領の関税脅迫がアジアの注目を集める一因となったとの報道もある。いずれ にせよ、これらの国々の代表団は6月初旬にアラスカを訪れ、「このプロジェクトへの関心を示し、より深く理解しようと努めた」という。デイリー・ニュース紙によると、台湾の当局者は、このプロジェクトが実現すれば、アラスカLNGは将来的に台湾の主要なエネルギー源になる可能性があるとさえ述べたという。
プロジェクトの費用を懸念する声もある一方で、楽観的な見方もある。州議会議員チャック・コップ氏(共和党)は、アジア諸国からの関心の高さや、その他の好ましい状況から「今後2、3年以内に建設が開始されるだろうという自信が湧いた」と述べた。
報告書によると、このプロジェクトは海外への供給に加え、アラスカ州内での天然ガス供給量の増加も見込まれ、2028年か2029年までにフェアバンクスで利用可能となる。
2. ルイジアナ州LNGプロジェクト。280億ドル規模のLNG輸出プロジェクトが最近ルイジアナ州で着工し、雇用と地方税基盤の拡大をもたらすことが期待されています。
業界ニュースサイト「オフショア・エナジー」によると、「完成すれば、ベンチャー・グローバルは米国最大、世界第2位のLNG輸出業者となる見込みです 。CP2は最近、連邦エネルギー規制委員会(FERC)から最終承認と着工通知を受けました。」
このプロジェクトは、世界中の顧客に米国産天然ガスを供給することに加え、操業中に40億ドル以上の地方固定資産税の減収をもたらし、州内で400人の直接雇用の常勤従業員を含む3,000人の雇用を支えることが期待されている。
報告書によると、このプロジェクトの影響はルイジアナ州の境界をはるかに越え、約7,500人の直接的な建設雇用と「30州以上で数万の間接的な下請け、パートタイム、フルタイムの雇用」を生み出すことになる。
3. テキサス州のデータセンターのガス発電所。テキサス州は、需要に応えるために次々と建設される重要なAIデータセンターの拠点となっています。以前は、これらのサーバーファームは風力または太陽光発電で稼働すると想定されており、センターが稼働するまでに長い待ち時間が発生していました。しかし、実績のある従来型エネルギー源に配慮した政府の政策により、これらの計画は変わりつつあります。
テキサス・トリビューン紙によると、テキサス州全域で「エネルギーを大量に消費するデータセンターの立ち上げをめぐる激しい競争により、多くの開発業者が州の公共送電網への接続を待つのではなく、独自のガス火力発電所の建設を計画している。政府の支援政策に後押しされ、こうした建設は今後1世代にわたり旺盛なガス需要を固定化すると期待されている」 という。
「風力発電所や太陽光発電所だけでは、データセンターを運営することはできない」と記事は指摘する。「バッテリー技術は、データセンターに必要な24時間、安定した途切れのない電力供給に必要な時間、これほどの大量のエネルギーを蓄えることがまだできない。」
新たなAIプロジェクトの「大波」に直面し、企業は「新しい需要の時代を刺激する」ために天然ガス会社と提携することが増えています。
トリビューン紙の記事には、お決まりの気候変動カルトの悲嘆が散りばめられている。しかし、記事は「タービンの設置に何年もかかることが、(AI)業界にとって、明るい見通しの中で最大の制約となっている」という現実を突きつけ、あるエネルギー経済専門家の言葉を引用して、「5年もかかるリードタイムは、今のAlexaやSiriの助けにはならないだろう」と述べている。
近年の急進的な政策のおかげで、米国や世界の多くの国々は、天然ガスやその他の信頼できるエネルギー源を段階的に廃止することに固執しているように見え、代わりに不十分な「代替手段」によって引き起こされる電圧低下、停電、そして完全な送電網の停止の無限のサイクルに向かって突き進んでいるように見えた。
間一髪で、トランプ大統領と他の先見の明のある指導者たちのおかげで、好転が始まり、天然ガスがその先頭に立っています。
●その他
デジタル時代の幕開けです。反復的な作業は自動化され、人工知能や自動運転車といったテクノロジーが私たちの日常生活を一変させています。金融セクターもまさにデジタル化による大きな変革の真っ只中にあります。実店舗の銀行支店が徐々に姿を消しつつあることは、この大変革を如実に物語っています。
ドイツの都市中心部の荒廃は、この新たな時代の兆候の一つです。家賃の高騰、消費者力の縮小、そして特に地方における人口減少が、eコマースと急速にデジタル化する経済の波と衝突しています。私たちの消費習慣はますますオンラインへと移行しており、長らく実店舗に支えられてきた銀行業界も例外ではありません。
長期的な傾向
ドイツの銀行支店網の静かな終焉は、何年も前から進行していました。これは、オンラインバンキング、投資ポートフォリオへの分散型アクセス、その他のデジタル金融サービスの利用が進む顧客によって引き起こされた世界的な現象です。欧州中央銀行(ECB)の委託を受けてBarkow Consultingが発表した最新データは、この傾向を裏付けています。2023年だけで、ドイツの銀行は約560の支店を閉鎖し、これは2.8%の減少に相当します。
これは穏健な統合のように聞こえるかもしれないが、文脈から見れば、これは数十年にわたる構造変化の一環だ。10年前、ドイツの銀行は3万5000以上の支店を運営していた。四半世紀前にはその数は6万近くだった。そして今日、残っているのはわずか1万8933支店だ。
ドイツ銀行が先頭に立つ
3月、業界大手のドイツ銀行は年次記者会見で大規模な人員削減を発表し、業界内の変化を踏まえ、コスト効率を高める必要性を理由に挙げました。「ドイツの銀行業界は根本的な変革を目の当たりにしています」と、ドイツ銀行のクリスティアン・ゼーヴィングCEOは述べています。ゼーヴィング銀行だけでも、今年中に約2,000人の人員削減と「相当数の」支店閉鎖を計画しています。
顧客との面談は、今後ますますビデオや電話で行われるようになるだろうと彼は説明した。これはコスト削減につながるだけでなく、従来対面での銀行取引で築かれてきた個人的な信頼を損なう恐れのあるパラダイムシフトでもある。ビジネスはよりスリムで効率的になる一方で、個人的要素は薄れ、信頼性も低下する可能性がある。
多面的な圧力
商業銀行は長年、技術革新、取引プロセスのデジタル化、オンラインバンキングの台頭、そして何よりも金融政策といった複雑な圧力の中で事業を展開してきました。マージン圧力は、銀行全般にコスト削減を迫っています。商業銀行セクターの縮小の主な理由の一つは、ECBの超緩和的な金融政策です。10年以上にわたるゼロ金利およびマイナス金利は、金利差で利益を上げるという伝統的な銀行モデルを崩壊させました。
貯蓄銀行、信用組合、そして大手民間銀行でさえ、人為的に歪められた利回り曲線の下では収益性の高い事業運営が不可能になった。預金はもはや収益を生まなくなり、規制コストと延滞金利は増加した。ECBの金融政策は顧客貯蓄を減少させただけでなく、銀行部門からその本質的な機能を奪った。支店閉鎖、人員削減、そしてデジタル化への転換は、主に一つの目標、すなわちユーロ圏の大部分の過剰債務を抱えた財政の安定化を目的とした政策の直接的な結果である。
スペイン、イタリア、フランスといった国は、債務対GDP比が120%を超えており、もはや市場金利で債務を返済できなくなっています。ECBによる金利抑制と資産購入を通じた継続的な介入は、これらの政府に時間稼ぎをもたらす一方で、負担を民間銀行と貯蓄者に転嫁することになります。
デジタルユーロとステーブルコイン
今、次の大きな波が迫っています。米ドルなどの法定通貨に連動するデジタル通貨「ステーブルコイン」の台頭は、ダイレクトバンキングの新たなレベルを予感させます。ステーブルコインは、従来の銀行のような仲介業者を介さずに、迅速で低コスト、そして24時間体制のグローバル取引を可能にします。
分散型金融(DeFi)の普及に伴い、従来の銀行は決済処理や信用仲介の役割を失いつつあります。デジタルウォレットやスマートコントラクトを利用する人が増えるにつれ、当座預金口座、実店舗、あるいは個人向けの銀行アドバイスの必要性は低下します。ステーブルコインは、従来の銀行業務との乖離を加速させ、デジタル時代に不向きなアナログインフラ上に構築された金融機関のコントロールを徐々に失わせることになります。
銀行支店にとっての決定打は、デジタルユーロの導入となるかもしれない。ECBがブロックチェーンプラットフォーム上で開発するこのプログラム可能な通貨は、デジタルウォレットや分散型金融サービスの普及を急速に促進するだろう。商業銀行を経由する迂回路は時代遅れとなるだろう。
銀行セクターが仲介役としての役割を失うにつれ、特に小規模な個人顧客が、従来の当座預金口座から中央銀行が支援する代替手段へと真っ先に切り替えていくことになるだろう。かつて顧客ロイヤルティと現金へのアクセスの柱であった支店は、もはや不要となるだろう。デジタルユーロは、既に脆弱な個人向け銀行インフラをさらに強化する役割を果たす。
私たちはそれに慣れる必要がある。かつてはあらゆる繁華街の必需品だった地元の銀行支店は、すぐに過去の遺物になるかもしれない。
備忘録(2025/6/25)
●企業
大和証券グループ本社は、シンガポール系の投資ファンドなどと連携し、1000億円規模の不動産私募ファンドを新たに組成する方針だ。株式市場などの動向に業績が左右されにくい不動産アセットマネジメント部門の強化につなげる。
アセットマネジメント戦略部長の大石理嗣氏が、ブルームバーグの取材に対して明らかにした。大和証Gが37%を出資する不動産会社のサムティホールディングスと同社筆頭株主でプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドのヒルハウスと連携し、組成する。
国内外の機関投資家から早期に1000億円超の資金調達を目指し、インフレに強い国内の賃貸住宅やホテルを投資対象とする。運用期間に柔軟性があり、投資対象が明確な私募ファンドは、投資家からの関心が高い。
大和証Gは大手証券会社の中でも不動産アセマネ部門で先行する。これまで取り組んできた上場不動産投資信託(REIT)や私募REITに加え、私募ファンドの拡大を図る。運用資産残高を積み上げ、運用報酬などの安定収益の比率を高める。
三井住友トラスト基礎研究所の前田清能私募投資顧問部長は「1000億円の国内外の投資資金を不動産ファンド市場に呼び込めることは、不動産私募ファンドへの国内外投資家からの関心が集まるため、市場全体にはポジティブ」とコメントした。
大和証Gは2030年度までに不動産の運用資産残高を24年度末比25%増の2兆円までの拡大を目指す。今年4月にはアセットマネジメント戦略室を部に格上げし、事業全体を統括する担当役員も置いた。大石氏は「残高を拡大すれば、収益性を上げることができ、企業価値向上にもつながる」と述べた。
賃貸マンションなどを手がけるサムティHDは今年1月、ヒルハウスが株式公開買い付け(TOB)を実施し、非上場化した。筆頭株主だった大和証Gは非上場化後も株式の保有を継続。ヒルハウスの資金調達能力や国際的な投資家ネットワークを活用するなどして、サムティHDのアセマネ事業の強化で3社が連携する意向を示していた。
ヒルハウスは米イエール大学基金から出資を受けて05年に設立された世界最大級のオルタナティブ投資運用会社の一つ。欧米やアジア、中東の大学基金、政府系投資ファンドなどの資産を運用している。20年に不動産を軸とした投資戦略を打ち出し、アジア地域で16社を超える不動産会社に対して35億ドル(約5000億円)以上を投資している。
米物流大手フェデックス(FDX.N), opens new tabは24日、米関税を巡る世界的な需要の不安定化を理由に今四半期の利益が市場予想を下回るとの見通しを示した。これを受け、株価は時間外取引で5%超下落した。
一方、この日発表した第4・四半期(3─5月期)決算は予想を上回り、コスト削減などで営業利益率が上昇した。
調整後利益は14億6000万ドル(1株当たり6.07ドル)で、前年同期の同5.41ドルを上回った。売上高は222億ドルに微増。LSEGのアナリスト平均予想は売上高218億ドル、1株利益5.81ドルだった。
世界各国の企業を顧客に持つフェデックスと米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)(UPS.N), opens new tabの業績は、世界のビジネストレンドの先行データとみられている。
フェデックスのラジ・スブラマニアム最高経営責任者(CEO)は「世界的な需要環境はなお不安定だ」と指摘。不透明な米貿易政策を理由に、通期の業績・売上高見通しを発表しなかった。
第1・四半期(6─8月期)の調整後利益については、1株3.40─4ドルと予想。LSEGがまとめたアナリスト予想(4.06ドル)を下回った。
●マクロ
イスラエルのネタニヤフ首相は数カ月にわたる政治的混乱と戦争、支持率の急落などに翻弄されてきたが、今回の対イラン攻撃の成功で国内での評価が塗り替えられる可能性が高いと見られている。
ネタニヤフ氏の命令で実行された12日間にわたる空爆作戦で、イスラエルはイラン国内の深部にある核施設を爆撃。イランの主だった軍司令官や科学者を多数殺害し、複数のミサイル施設を狙い撃ちした。
両国は24日に停戦に合意。その直後は互いに相手が合意に違反したと非難の応酬を繰り広げたものの、ネタニヤフ氏は即座に「完全勝利」を宣言し、イスラエル政府は「わが国は歴史的偉業を達成し、世界の超大国と肩を並べる存在となった」とする声明を出した。 もっと見る
声明の高揚したトーンは、2023年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル襲撃当時と対照的だ。ハマスの奇襲はイスラエル史上最悪の安全保障上の失態となり、ネタニヤフ氏は綿密に築き上げてきた国家の守護者としてのイメージが打ち砕かれ、支持率が急落した。
ヘブライ大学の政治学者、ガイル・タルシール博士はネタニヤフの最近の発言について「(23年)10月7日は跡形もない。彼の関心は今やイランで占められている」と話す。
しかしガザにおける対ハマス戦は今も続き、23年の失態を思い起こさせる要因となっている。そのためネタニヤフ氏には、ガザでの戦闘終結と、残る全人質の解放につながる合意を早急に成立させるように求める圧力が強まりそうだ。
今もガザで生存していると見られる約20人の人質の1人の母親であるエイナブ・ザンゴウケルさんは「全ての人質を取り戻す包括的な合意こそが、今まさに求められている」と訴える。「歴史の記録は今綴られており、その中にまだ埋まっていない章がある。それが『10月7日』だ。ネタニヤフ首相、それをどう書くかはあなた次第だ」とX(旧ツイッター)に投稿した。
<塗り替わる中東の勢力>
ガザを巡る問題が依然として影を落としているとはいえ、イラン攻撃による政治的な効果はすでに現れ始めている。先週発表された世論調査によるとユダヤ系イスラエル人の83%が対イラン攻撃を支持しており、長らく選挙での敗北が予想されていた、ネタニヤフ氏率いる与党「リクード」が今後は支持を伸ばすと見られている。
イスラエルはこの20カ月でめまぐるしく変化した中東地域における立場が、今回の対イラン攻撃で特に劇的な転換点を迎えたと受け止められている。イスラエル軍はこの間にレバノンの親イラン武装勢力ヒズボラを著しく弱体化させ、ガザでハマスに大きな損害を与え、シリアの防空網を壊滅させた。そして今回、かつてはリスクが大きすぎると考えられていたイラン本土を直接攻撃するに至った。
しかもネタニヤフ氏はトランプ米大統領を説得して作戦に参加させ、米空軍しか保有していない地中貫通爆弾でイランの核施設を攻撃させることに成功した。これは長年にわたり米国にイラン空爆を働きかけ続けてきたものの、実現できなかったネタニヤフ氏にとって、まさに大きな外交的勝利だ。
ネタニヤフ氏の側近からは、2023年10月7日のハマスによる襲撃を「失敗」ではなく、「国家を目覚めさせた必要な警鐘」だったと捉えるよう求める声も出ている。ネタニヤフ氏と連立を組む右派政党の政治家、アリエ・デリ氏はテレビ番組で「10月7日はイスラエル国民を救ったのだ」と主張した。
<ガザ戦争終結への圧力>
ネタニヤフ氏は今後、ガザ戦争の終結に向けた交渉を進めるよう圧力を受けるだろう。野党などはネタニヤフ氏が政治的責任を問われるのを避けるために戦争を長引かせていると非難してきた。こうした先延ばしはもう許されないという声が高まっている。
野党指導者ヤイル・ラピド氏は24日、Xへの投稿で「次はガザだ。今こそあそこも決着をつけるときだ。人質を取り戻し、戦争を終わらせ、イスラエルは再建を始めるべきだ」と訴えた。
ガザでの振る舞いによってイスラエルは国際社会から次第に孤立を深めている。イスラエルは数週間にわたり人道支援を遮断。飢餓発生の警告を無視し、ガザの大部分をがれきの山にした。昨年の米大統領選で「中東の平和」を公約に掲げたトランプ氏もここ数週間、イスラエルに戦闘の終結を求めている。
しかしネタニヤフ政権内部には今のところ妥協や交渉に応じる気配はほとんど見られない。極右政党を率いるスモトリッチ財務相は24日、Xに「今こそ全力でガザに向かうべきときだ。仕事を完遂し、ハマスを壊滅させ、われわれの人質を連れ戻すのだ」と投稿。同氏をはじめとする閣内強硬派は、ガザ地区の長期的な軍事占領やユダヤ人入植地の再建を推進しており、こうした動きはパレスチナ人や欧米諸国から激しい反発を受けそうだ。
ヘブライ大学のタルシール氏は、今後のガザ停戦交渉をめぐる展開について、スモトリッチ氏とトランプ氏のどちらがネタニヤフ氏に対してより強い影響力を持つかにかかっているとの認識を示した。
かつてカジノ経営者だったトランプ米大統領は就任以来リスクをいとわない姿勢を示してきた。だが、イラン空爆はトランプ氏にとってこれまでで最大の賭けとなるかもしれない。
今回の行動は政治的な見返りが大きいものの、イランとイスラエル間の和平維持の成否に大きく左右され、事態がトランプ氏の制御を離れて悪化する危険性もはらんでいると専門家は指摘する。
現時点ではトランプ氏は米国の関与を限定し、イスラエルとイランに停戦を強いるという賭けに勝ったように見える。ユーラシア・グループで中東・北アフリカ部門を統括するフィラス・マクサド氏は「トランプ氏は賭けに打って出た。そして事態は思い通りに進んだ」と語った。
ただ、停戦が維持されるかどうかはまだ分からない。トランプ氏は24日朝、自身が停戦を宣言した数時間後にイスラエルがテヘランへの攻撃を開始したことに不満をあらわにした。
合意が守られなかったり、イランが軍事的あるいは経済的に報復したりすれば、トランプ氏を再び大統領の座に押し上げた「米国第一主義」連合が分裂する恐れがある。トランプ氏が掲げる運動の理念がますますあいまいになり、その定義も不明瞭になるからだ。
保守系シンクタンクのアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の政治アナリスト、クリス・スタイアウォルト氏は「6カ月後もイランが引き続き問題なら『MAGA(米国を再び偉大に)』連合は弱体化するだろう」と予測する。
同氏はトランプ氏が米国を中東での新たな紛争に巻き込むことはしないと公約していたことに言及し、ある意味ではすでにMAGAブランドを希薄化させていると指摘した。
<MAGA連合に亀裂>
トランプ氏の発するメッセージはすでに、同氏の支持層から支持を得ることが難しくなっている可能性を示唆している。
トランプ氏は19日、米国が参戦するかどうかの判断には最大2週間かかると発言した。ところが、その2日後に爆撃機の飛行を承認した。これはイランだけでなく、多くの米国人にも同様に不意打ちとなった。
イラン攻撃という選択は2028年大統領選でトランプ氏の支持基盤を継承しようとする共和党候補にとっても問題となる可能性がある。スタイアウォルト氏は「28年には外国への介入の問題が分岐点となるだろう。人々がMAGAの意味を模索する中で、その立場を見極める踏み絵になるはずだ」と語った。
ホワイトハウスは22日のニュース番組で、政権内で最も孤立主義的な考えを持つ人物の一人であるバンス副大統領にイラン攻撃を擁護する役割をほぼ任せきりにした。バンス氏はトランプ氏退任後のMAGA運動の継承者とみられており、今回の攻撃への支持と自身の政治的立場を両立させる必要に迫られるだろう。
<大きな賭け>
トランプ氏が大きな賭けに出たものの、その見返りがまだ見いだせていない問題はイランに限らない。同氏の関税政策は市場に不確実性をもたらし、インフレ懸念をあおった。政府の官僚機構を削減しようとする取り組みは、実業家イーロン・マスク氏が離脱したことで勢いを失った。また、強硬な移民政策は全米で抗議活動を引き起こした。
しかし、もしトランプ氏がイランに核兵器開発を放棄させることができれば、過去何十年にもわたって米国大統領を悩ませ、イラクやアフガニスタンでの戦争に米国を巻き込んだこの地域において歴史的な偉業となるだろう。
トランプ氏は「永遠の戦争」を終わらせることを公約に掲げていたが、これが同氏のイランに対する攻撃的な行動に米国民が不安を抱いている理由の一つかもしれない。
停戦発表前に実施され23日に発表されたロイター/イプソス世論調査によると、回答者の36%しかイラン核施設への攻撃を支持していなかった。全体としてトランプ氏の支持率は41%に低下し、2期目としては最低を更新した。外交政策に対する評価はさらに低かった。
ボストン大学で米国政治を専門とするデーブ・ホプキンス氏は、トランプ氏がイランへの攻撃開始という国民から見れば唐突な行動に出たことで、それが国益にかなうものであることを事前に国民に説明し、理解を得ることを怠ったとの見方を示した。
同氏は「イランが米国の主要な敵国、あるいは脅威であるという議論は見られない」と述べた。
<果たせぬ約束>
ホプキンス氏はトランプ氏が停戦を強制したと豪語するのはよくあるパターンの一つだと指摘する。トランプ氏は選挙戦でウクライナとパレスチナ自治区ガザでの戦争を終わらせることができると公約していたが、その後、ロシアとイスラエルを自分の思い通りに動かすことはできないと悟った。実際、イラン攻撃においてトランプ氏はイスラエルの先導に従ったのであり、その逆ではない。
今回の攻撃はトランプ氏が2期目で取っている政治姿勢、すなわち広範で大ざっぱな方針に基づき、国民の広い支持を得ていなくても構わず大胆に行動するという姿勢と合致する。
そうした流れに沿ってトランプ氏は最初の数カ月間で数千人の政府職員を解雇し、移民の一斉摘発や強制送還にゴーサインを出して抗議活動を引き起こし、貿易障壁を築き、そして今度は中東の国を爆撃するといった行動に出た。
ミドルベリー大学の政治学者アリソン・スタンガー氏は、政治的な代償はすぐには起きないかもしれないが、国内で社会不安が続いたり、来年の中間選挙で民主党が躍進したりする形で表れる可能性があると分析する。
「トランプ氏にとっての政治的リスクは事態が急激に悪化することではなく、国内外のさまざまな局面で積み上げられてきた反発感情がじわじわと高まっていくことにある」と語った。
フランス首都パリを拠点に活動するイランの反体制派組織、国民抵抗評議会(NCRI)指導者のマリアム・ラジャビ氏は24日、イラン国民に対して最高指導者ハメネイ師が率いる体制の打倒を呼びかけた。
トランプ米大統領がイスラエルとイランの停戦を発表後、ラジャビ氏は「戦争終結の提案は、戦争でも融和でもない第三の選択肢に向かう一歩だ。イラン国民自身が運命の闘いに身を置き、ハメネイ師とその独裁体制を打ち倒そうではないか」と訴えた。さらに「われわれは民主的で核を持たず、政教分離とジェンダー平等、国民の自治が備わった共和国を求めている」と付け加えた。
NCRIはペルシャ語でムジャヒディン・ハルク(MEK)とも呼ばれ、イラン国内で活動を禁じられている。2012年までは米国と欧州連合(EU)からテロ組織に指定されていた。
NCRIに対してはイラン国内の支持基盤や運営方法に疑念が出ている一方で、反体制派の幅広い結集が可能な数少ない団体の1つとの見方も根強くある。
今月23日には1979年のイラン革命前の王制で皇太子だったレザ・パーレビ氏が、永続的な平和と中東地域安定のためにはイランが「体制変更」を受け入れることが必要だと強調していた。
ただ、現時点ではイラン反体制派はさまざまな組織が混在しており、統一された明確な指導者は存在していない。
米軍が実施したイランの核施設に対する攻撃について、 米情報機関の初期的な分析で、 イランの核開発計画の中核部分は破壊されず、計画を数カ月遅らせる程度にとどまった可能性が高いことが分かった。 事情に詳しい3人の関係筋がロイターに語った。
初期の報告書は国防総省の主要情報機関である国防情報局(DIA)がまとめた。DIAは米国内18の情報機関の一つ。イランは数カ月で核開発計画を再開できる可能性があり、関係筋の1人は最短で1─2カ月以内と見込んでいる。
この機密扱いの評価は、地中貫通弾(バンカーバスター)と通常兵器を併用した週末の攻撃によってイランの核開発計画が実質的に消滅したとするトランプ大統領やヘグセス国防長官ら米高官の発言と食い違っている。トランプ氏は21日、米軍がナタンズ、イスファハン、フォルドゥの3カ所にあるイランの核施設を攻撃し、「大成功」だったと表明した。
トランプ政権は24日、国連安全保障理事会に対し、イランの核施設に対する週末の攻撃は同国の核開発計画を「弱体化」させたと報告し、消滅したというトランプ氏のこれまでの主張から語気を弱めた。
コメントを求められたホワイトハウスは、この評価を最初に報じたCNNに対しレビット報道官が出した声明に言及した。レビット氏はその中で、「こうした分析は完全な間違いだ」と指摘。「重量3万ポンドの爆弾14発を標的に完璧に投下したらどうなるか誰もが知っている」と述べた。
報告書に目を通した米政府関係者は、評価には多くの注意書きや「仮定」が含まれていると指摘し、今後数日から数週間のうちに、より詳細な報告書がまとめられるとの見方を示した。
またアナリストは、評価が衛星画像に基づいている場合、地中深くにあるフォルドゥのウラン濃縮施設がどの程度の被害を受けたかは必ずしも明らかになるわけではないと指摘する。
核施設3カ所の被害状況を評価するのは困難な作業になる見通しで、この任務を負っている機関はDIAだけではない。関係筋によると、この評価は広く受け入れられておらず、大きな意見の相違が生じているという。
<与えた被害軽微との見方にヘグセス氏反発>
国防総省は、DIAの評価が存在することを否定しなかったものの、与えた被害が軽微だったとの見方には異議を唱えた。
ヘグセス 国防長官はロイターに宛てた声明で「われわれが見てきた全て、そして私が見てきた全てに基づくと、われわれの爆撃作戦はイランの核兵器製造能力を消滅させた」と主張。「われわれの大規模な爆弾は各ターゲットに的確に命中し、完璧に機能した。爆弾の効果はイランのがれきの山の下に埋もれている。だから、爆弾が壊滅的でなかったと言う人は大統領と成功した任務をおとしめようとしているだけだ」とした。
元国連核査察官で現在は科学国際安全保障研究所の所長を務めるデビッド・オルブライト氏は、攻撃後の商業衛星画像を基に、米国の攻撃はイランのウラン濃縮プログラムをとりあえず効果的に破壊したが、より長期的な脅威を排除することはできなかったとの見方を示した。Xに「イランは兵器級ウランを生産する能力を保持している」と投稿した。
ルビオ国務長官は25日、米政治専門サイト「ポリティコ」に対し、「トランプ氏が今回の大胆な行動を取る前と比べて、イランは核兵器保有からはるかに遠のいている」と述べた。
「それが最も重要な点だ。さまざまな核関連施設に甚大な損害を与えた。われわれはそれについてさらに詳しい情報を入手しつつある」と語った。
ポリティコによると、ルビオ氏は一部のメディアの報道を「誤りだ」と一蹴し、報道が全体像を捉えていないと主張した。
イスラエルとイランの12日間にわたる紛争は、トランプ米大統領の圧力のもと、不安定ながらも停戦が効力を発揮し始めた。両国の過去最大の軍事衝突の終結に向けた期待は高まりつつある。ただ、双方が停戦違反を巡り非難し合うなど、永続的な和平実現への難路は続く。
イスラエル軍は現地時間午後8時(日本時間25日午前2時)に全土での活動制限を解除し、テルアビブ近郊の主要空港であるベングリオン空港の再開を発表した。イランの空域も同様に再開されると、ヌールニュースが報じた。
イランメディアによると、ペゼシュキアン大統領は、同国が戦争を「偉大な勝利」で終結させたと表明。さらにサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子に対し、イランは米国との対立を解決する用意があると伝えたという。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエルは何世代にもわたって記録される歴史的勝利を収めたと表明。同時に、イランに対する軍事作戦を完了させ、イスラム組織ハマスを打倒しなければならないとも語った。
こうした中、トランプ大統領は24日, opens new tab、オランダ・ハーグで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に向けて出発する前に記者団に対し、数時間前に発表した停戦にイスラエル、イラン両国が違反したと指摘した。双方を非難したが、特にテヘランへの新たな攻撃を発表したイスラエルに不満だと述べた。
イラン・イスラエルの紛争緩和に向けた停戦の発効に向け、不安定な状況が続いていた。双方は停戦合意の受け入れを認めるまでに数時間を要し、停戦違反を巡り非難を応酬。停戦の脆弱性と、両国間の永続的な和平実現の難しさを浮き彫りにした。
イスラエルとイラン間の不信感の深さを考えると、停戦維持を巡り大きな疑問符が投げかけられる。ただ、トランプ大統領が停戦を仲介した能力は、不安定な中東地域において米国が一定の影響力を維持していることを示唆した。
イスラエルのエヤル・ザミール参謀総長は、紛争の「重要な一章」は終結したが、イランに対する作戦はまだ終わっていないと指摘。同軍はパレスチナ自治区ガザ地区においてイランが支援するハマスとの戦闘に再び焦点を当てると述べた。
ドナルド・トランプ米大統領は、イランとイスラエルの戦争が迅速に終結したことを喜び、米国の攻撃による被害は不透明であるものの、イランの核開発計画の再始動を阻止する関係構築を期待していると述べた。
両国にとってかつてない激しい対立を経て、疲れ果てたイラン人とイスラエル人はともに通常の生活を取り戻そうとしている中、イラン大統領は、この戦争が国内改革につながる可能性を示唆した。
トランプ大統領は、水曜日にハーグで開催された NATO 首脳会議に出席し、イランの核施設を巨大なバンカーバスター爆弾で攻撃するイスラエルの攻撃に参加した決定が戦争を終わらせたと述べ、これを「皆の勝利」と表現した。
彼は、米国防総省情報局の初期評価で、イランの核兵器開発の道が数ヶ月遅れた可能性があるとされたことを一蹴し、その調査結果は「不確実」であり、施設は破壊されたと述べた。
「非常に深刻だった。完全に破壊された」と彼は述べた。
彼は、テヘランが核施設の再建を試みないだろうと確信し、代わりに和解に向けた外交的道筋を追求すると述べた。
「正直に言うと、彼らが今最も望んでいないのは核燃料の濃縮だ。彼らは回復を望んでいる」と述べた。
イランが核プログラムの再建を試みた場合、「私たちはそれを許さない。第一に、軍事的に許さない」と述べ、問題解決のため「イランとの何らかの関係構築に至るだろう」と付け加えた。
イスラエルが6月13日に突然攻撃を開始した空爆キャンペーンは、イランの軍事指導部のトップ層を抹殺し、主要な核科学者を殺害した。
イランはミサイルで反撃し、初めてイスラエルの防空網を大量に突破した。
イラン当局は、イランで610人が死亡、約5,000人が負傷したと発表した。メディアの厳しい制限のため、被害の程度は独立して確認できない。イスラエルでは28人が死亡した。
イランとイスラエルはともに勝利を宣言した。イスラエルはイランの核施設とミサイルの破壊という目標を達成したと主張し、イランは報復攻撃でイスラエルの防空網を突破し、戦争の終結を強要したと主張した。
しかし、イスラエルがイランの指導部要人を自由に標的とできることを示したことは、最高指導者アリ・ハメネイ(86歳、36年間権力を握る)の後継者選定という重大な局面にあるイランの宗教指導者層にとって、おそらく史上最大の挑戦となる。
強硬派が長年支配してきたイランで、昨年、比較的穏健派として選出されたマソウド・ペゼシュキアン大統領は、イスラエルの攻撃中に見られた国民の一体感は、国内改革のきっかけになると述べた。
同大統領は国営メディアが伝えた声明で、「今回の戦争と、それによって国民と政府当局者の間に生まれた共感は、政府当局者の経営方針と行動を変え、国民の一体感を醸成するチャンスだ」と述べた。
それでも、イラン当局は迅速に支配力を示した。司法当局は水曜日、イスラエルの諜報機関モサドとの協力と暗殺に使用された機器の密輸の罪で有罪判決を受けた3人の男性を処刑したと発表した。国営のヌールニュースは、紛争中にイスラエルとのつながりを疑われた700人が逮捕されたと報じた。
戦争中、ネタニヤフとトランプは公に、1979年の革命で確立されたイランの宗教指導者支配体制の崩壊で戦争が終結する可能性を示唆していた。
しかし停戦後、トランプはイランでの「体制変更」を望まないとし、状況の安定を望むこの時期に混乱をもたらすとの理由を挙げた。
イランとイスラエルの両国で、住民は戦闘の終結に安堵感を示したが、未来への不安も抱えていた。
「停戦が発表されて戻ってきた。戦争が止んだことに人々は安堵しているが、今後どうなるか不確実性が多い」と、首都近郊のラヴァサンからイスラエルの空爆を逃れてテヘランに戻った67歳のファラ氏は語った。
彼女は電話で「当局が服装規定の厳格な執行や社会的自由の制限を強化する可能性があると、孫たちは心配している」と語った。「世界は戦争を忘れ去るだろう——だが、その影響と向き合わなければならないのは私たちだ」
テルアビブの38歳、ロニー・ホター・イシャイ・メイヤーは、戦争の終結は複雑な感情をもたらしたと述べた。子どもたちが学校に戻り、日常が再開されることへの安堵感と、ストレスによる疲労感だ。
「過去2週間はイスラエルにとって破滅的だった。私たちは非常に疲れており、通常のエネルギーを取り戻す必要がある」
テヘランと西側の関係改善には、イランの長期的な核開発計画を規制する合意と引き換えに、米国と国際社会の制裁解除が必要だ。イランは常に原子力兵器の保有を否定しているが、西側諸国は数十年にわたりその開発を非難してきた。
国連国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシー事務局長は、国際査察官がイランの核施設に戻れるよう確保することが最優先課題であると述べ、イランの再建に要する月数で被害を評価しようとする「砂時計アプローチ」を否定した。
「いずれにせよ、技術的知識は存在し、産業能力も存在する。それは誰も否定できない。したがって、彼らと協力して取り組む必要がある」と述べた。
トランプ大統領の中東特使、スティーブ・ウィットコフ氏は火曜日遅く、米国とイランの協議は「有望」であり、ワシントンは「イランを復活させる長期的な和平合意」に期待を寄せていると述べた。
イランの議会は水曜日、IAEA との協力を停止する法案を可決したと、国営報道機関 Nournews が報じたが、同法案はイランの最高治安機関による承認が必要になると述べた。
1989年6月4日にホメイニ師の後を継いだイランの最高指導者アリ・ハメネイは、パワーバランスとヒエラルキー構造において、平凡な人物とはほど遠い。したがって、イスラエルが彼を暗殺すると脅すことは、中東全体の安全保障にとって極めて深刻な結果をもたらす。特に、イランの核施設を標的にし、広範囲に破壊をもたらしたアメリカの軍事作戦の後ではなおさらである。
その後、イランはイスラエル国内の標的を攻撃する弾道ミサイルを数発発射し、それに続いてイランのシュラ評議会は、最高国家安全保障会議の承認を待って、ホルムズ海峡の閉鎖を承認すると発表した。この措置が実行された場合、紛争はより複雑なエスカレーションに突入することになる。石油タンカーへの攻撃や石油タンカーの混乱を伴う可能性があり、世界のエネルギー価格とサプライチェーンに直接影響を与えることになる。
特に、イスラエルの指導者は以前、ヒズボラのハッサン・ナスララ議長、後継者のハシェム・サフエディン、同党の最も著名な軍事指導者、さらにイスマイル・ハニエやヤヒヤ・シンワルといったハマス幹部の暗殺に成功している。
イスラエルのターゲットバンクでは、その多くが達成されているが、ネタニヤフ首相は、イランの最高指導者を昨年殺害されたナスララと同列に扱うことはできないということを考慮していない。象徴的な重みの差は非常に大きく、誤算がもたらす結果は重大である、とアブドゥルラフマン・アル=ラシュド氏は6月20日付の『アシャルク・アル=アウサト』紙に書いている。アル=ラシュド氏は、「指導者を標的にするのは狂気の沙汰だ」とし、「この問題は、単なる軍事目的よりもはるかに深刻だ:イデオロギーの問題となり、深く危険な復讐の連鎖を引き起こしかねない」
アラブで最も著名な作家の一人であり、中東におけるイランの政策を政治的に批判しているアル・ラシュド氏は、このテーマへのアプローチにおいて、長期的かつ現実的な政治的視点を提供しようと努めた。彼は、ハメネイが暗殺されれば、「イスラエルやアメリカが戦場でどれほど決定的な勝利を収めようとも、決して癒えることのない傷」が生じると考えた。
このような状況の中、シーア派イスラム教徒の宗教的最高権威であるアリ・アル・シスターニ師などの著名人が、イスラエルの対イラン戦争開始以来2度目となる声明を発表し、「イランの宗教的・政治的最高指導者を標的にするいかなる脅威」に対しても警告を発した。彼は、「このような犯罪的措置は、明確な宗教的・道徳的基準に違反し、国際法と規範のあからさまな違反を構成することに加え、地域全体に悲惨な結果をもたらす」と考え、「制御不能に陥り、広範な混乱につながる」可能性があるとした。
アル=シスターニは古典的な宗教指導者であり、政治的関与は避けたいと考えていることが多いが、この声明は彼の深い懸念を示しており、中東でのさらなるエスカレートに警告を発している。
ハメネイは単にイラン革命の指導者と見なされているだけでなく、世界中の何百万人ものシーア派イスラム教徒にとっての宗教的権威者でもある。彼の法学的裁定を信奉する信者の数という点では、シーア派の宗教家としては世界最高位とされるアル=シスターニー師に次ぐ2位か3位であろう。
この観点からすれば、ハメネイ暗殺は、すでに宗教的要素を含んでいる紛争に、より大きなイデオロギー的側面を与えることになる。宗教間の対立を煽るのではなく、宗教間の対話と宗教とその信者の共存に力を注ぐべき時に、イスラム教徒とユダヤ教徒の間に過激主義、憎悪、敵意というレトリックをさらに放つことになる。
政治的な面でも、ハメネイはイスラム共和国において大胆な戦略的決断を下せる唯一の指導者であり、イランが現在の危機を終わらせる可能性のある米国との協定に将来署名することになれば、強硬派、穏健派を問わず、すべての人を拘束することになる。
イランに対するイスラエルとアメリカの軍事攻撃と、その指導部、ミサイル計画、核施設における深刻な損失は、国家に深い傷を与え、国民の目から見たイスラム共和国の威信を傷つけ、最も重要なことは、自国民の目から見たイスラム共和国の威信を傷つけ、国家が効果的に対応する能力が低下しているように見えることである。イスラエルのいくつかの都市に多大な損害を与えたにもかかわらず、その防空は効果がない。
このイランの国家的プライドへの打撃は、大胆な決断なしには乗り越えられないものであり、そのような決断を下せる経験、正当性、権限を持つのはハメネイだけである。それゆえ、彼が存続し続けることが極めて重要なのである。それがなければ、イランの指導者は、いかに人気があろうとも、ワシントンとテヘランの間で将来結ばれるいかなる合意にも署名する勇気はないだろう。
中東の安全保障という点では、ハメネイ暗殺は混乱と暴力の波を引き起こすだろう。特に、「抵抗の枢軸」に属する武装勢力が脅しを実行に移せばなおさらだ。これらの派閥は多大な損失を被ったにもかかわらず、広範囲に破壊を引き起こし、石油精製所や軍事目標を標的にする能力を保持している。そのような行為は、イラクの派閥、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派を通じて行われる可能性がある。
サウジアラビア外務省が6月22日の声明で強調したように、最善の行動は、「この極めて微妙な状況において、危機の終息を確実にし、地域の安全と安定を達成するための扉を開く政治的解決に到達するための努力を強化すること」である。同声明は、「自制と冷静さを行使し、エスカレートを避けるためにあらゆる努力を払う必要性」を強調している。その代替案は、戦争に関わる当事者の無計画な拡大につながる可能性のあるさらなる対立であり、罪のない一般市民の犠牲を招くことになるからだ。
就職活動中の若い卒業生にとって今年は厳しい年です。
セントルイス連邦準備銀行によると、雇用ペースは過去10年間で最も鈍化している。また、人材紹介会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、人員削減は前年比47%増加している。グラスドアによると、新入社員の信頼感も過去最低水準にある。
21歳のキャサリン・ディープさんは、1年近くも職探しを続けてきたにもかかわらず、その状況に落ち込んではいない。ディープさんは6月にカリフォルニア大学アーバイン校で経営経済学の学位を取得し、秋以降「200~300件以上の求人に応募した」と語る。
その間、5つの仕事の面接を受けたにもかかわらず、まだ採用には至っていないと彼女は言います。彼女の就職活動の道のり、そして数々の失望の中でもどのように前向きでいられたのか、ここで詳しくお話します。
「対面イベントはAIでは実現できない」
ディープは現在、サンフランシスコ・ベイエリアでイベントマーケティングの仕事を探しています。また、中西部に拠点を置く企業でリモートイベントマーケティングの仕事も探しています。
「最近は、少しだけ幸運に恵まれています」と彼女は言う。
競争は彼女を苦しめている。リクルーターから聞いた話では、労働市場は就職活動中の新卒者と修士課程の学生で溢れているという。そして、AIによって労働者が代替される可能性も同様に懸念されている。
応募プロセスの初期段階では、「ブランディング、特にバックエンドマーケティングに携わろうと思っていました」と彼女は言います。「でも、AIが頭に浮かんできたので、イベントに方向転換しました。対面式のイベントではAIでは到底実現できないと感じたからです。」
「私の性格は間違っているのでしょうか?」
ディエップは自分が何をしたいのかをはっきりさせているが、それは感情的な旅でもある。
面接プロセスの最初の頃は、彼女は自信に満ち溢れていました。「私ならきっとうまくできる。すぐに採用されるはず」と彼女は感じていたそうです。しかし、不採用が積み重なるにつれ、仕事に就ける自信が薄れていきました。特に面接後に不採用が続くようになると、その自信は強くなっていきました。
その時点で「彼らは私の人間性、そして性格をすでに理解している」と彼女は言う。彼女は自問自答する。「私の性格は間違っているのだろうか?」
一番大変なのは、常に他の人の成功を目にすることです。「LinkedInをスクロールしていると、応募先なので、他の人が自分の成功や新しい仕事について話しているのを見るのは避けられないんです」と彼女は言います。そして、それが彼女に、自分がまだその過程のどこにいるのかを思い出させるのです。
「たぶん、1日に1回くらい断られると思う」
ディープは楽観的な姿勢を保っている。それは、日々の苦労に慣れてきたからでもある。「今でも、たぶん1日に1回くらいは断られると思う」と彼女は言う。以前ほど気にしなくなった。「それが普通のことなの」
彼女は最近、マーケティング職の二次面接を受け、採用が進むことを願っています。その間、「忙しく過ごして、スキルを磨くように努めます」と彼女は言います。
ディープは現在、女性がリーダーシップを発揮できるよう支援する非営利団体Emboldlyでボランティア活動を行っています。また、共同設立したスタートアップ企業Lynneのマーケティングも担当しています。Lynneは、女性の避妊スケジュール管理を支援するアプリを提供しています。
彼女は「企業が私の価値を認めてくれるまで」応募書類を送り続けるつもりだと語る。
大きな物語
先週末、米国がイスラエルとイランの紛争に介入したことがメディアの見出しを飾ったが、今週、中国・天津で開かれた「サマー・ダボス」会議での騒動は、むしろワシントンとの関わりが少ない未来をどう切り開いていくかということに関するものだった。
経営コンサルタント会社オリバー・ワイマンの香港在住パートナー、ベン・シンプフェンドルファー氏は、10年前は商品、資本、技術、人材がいわゆる東西間で流れていたが、現在は南半球諸国間の流れが重要だと語った。
「(天津の)雰囲気は世界秩序の変化を反映しています。グローバル・サウスはかつてないほど繋がりを強めています。」
グローバル・サウスとは、大まかに言って発展途上国、特に米国や欧州の勢力圏外にある国々を指します。東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、中東など、中国が貿易と政治関係の発展を目指してきた地域はすべてこれに該当します。
「地政学的な亀裂を越えてビジネスを行う意欲があり、ビジネスの機会を探している中立国は130カ国あり、その多くは比較的国際主義的な指導者によって運営されている。私はグローバル・サウスでの機会に期待している」と、WEFのパネルでグローバル・アドバンテージ・プラクティスのマネージング・ディレクター、アパルナ・バラドワジ氏は述べた。
南半球諸国との関係を深めてきた中国の李強首相は、水曜日の世界経済フォーラムのフォーラムで、世界秩序を「再形成」するために貿易拡大を訴えた。
「アジアと中東が、欧州や米国とある程度統合しつつも、その統合度合いは変動しながらも、新たな魅力的な経済圏として台頭する世界へと移行しつつある可能性がある」とシンプフェンドルファー氏は述べた。
新たな関心
スイスを拠点とする世界経済フォーラムは2007年以来、中国北部の天津と大連で交互にダボス会議の夏季版を開催している。
しかし、中国の地方政府が独自の会議を活発化し、経済全体が減速したため、中国に関心を持つ外国企業は、夏のダボス会議での仲介にそれほど頼る必要がなくなった。パンデミックによる混乱や米中対立も、大きな打撃を与えている。
しかし今年は、普段は静かな参加者のグループでさえ、人工知能や経済見通しに関する講演など、特定のイベントの席を確保しようとやや攻撃的な集団に変わった。
WEFの年次報告書「新興テクノロジー トップ10 」の発表は、あっという間に満席となりました。この報告書は、ドバイ未来財団との共同作業で3年目を迎えます。以前は、WEFとScientific Americanが共同で作成していました。
著名な指導者たちがこの機会を利用して中国を訪問した。シンガポールのローレンス・ウォン首相、ベトナムのファム・ミン・チン首相、エクアドルのダニエル・ノボア・アジン大統領など、今年出席した主要な政治指導者の中には、他にも多くの人物がいた。
「米国の関税ショックは、南半球全体にとって、多様化の必要性について警鐘を鳴らすものとなった」とシンプフェンドルファー氏は、マレーシアとベトナムの企業との最近の会話を引用しながら語った。
しかし彼は、1つの米国市場をターゲットから複数の南半球市場へと移行するのは容易ではないと指摘した。
貿易相手国を引き付けるために、エジプトからベトナム、中国に至るまで各国は経済競争力を高めようとしている。
「これは中国の多国籍企業にとって、真に国際的なビジネスを構築するための警鐘だ」とシンプフェンドルファー氏は述べ、人工知能がもたらす変革的影響を考慮すると、過去20年間の教訓は今後20年間の良い指針にはならないだろうと付け加えた。
エジプトのハッサン・エル・ハティーブ投資貿易大臣は火曜日、フォーラムの傍らでCNBCのチェリー・カン記者に対し、 昨年開始した民間セクターの発展促進を目的とした大規模な改革プログラムを受け、2030年までにビジネス競争力で世界トップ20入りを目指すと述べた。ハティーブ大臣は、エジプトの労働力と優秀なエンジニアの能力を強調し、世界中から投資家を誘致していると述べた。
米中間の緊張が解決には程遠い中、世界を作り変えるという中国首相の誘いに応じる国が増えるかもしれない。
「アメリカ史上最も象徴的な都市を破壊する可能性のある、共産主義の巨大な悪夢のような問題は、すべて偽装された好機である」と言ったのはマーク・トウェインだったと思う。もしかしたらミルトン・フリードマンだったかもしれない。あるいはキム・カーダシアンだったかもしれない。
思い出せない。
しかし重要なのは、今夜のニューヨーク市長選民主党予備選挙でゾーラン・マムダニ氏が勝利したことが、民主党にとって全国的な正念場となる可能性があるということだ。
2024年の大統領選で民主党が痛恨の敗北を喫し、極左に傾きすぎた政策で穏健派や無党派層を遠ざけたと広く批判された後、民主党は今、再び岐路に立たされている。
アナ・カスパリアン、ビル・アックマン、ジョイ・リード、イーロン・マスク、元下院議員のジャレッド・ゴールデンといった著名な(元)民主党員の多くが、党から完全に離脱したわけではないにしても、距離を置いています。今後、さらに多くの議員が追随するでしょう。
今回のニューヨーク市長選挙はもはや地域の問題ではなく、民主党が最近の敗北から何かを学んだのか、それともイデオロギーの純粋さを追求するために中道を失い続けることに満足するのかを問う象徴的な国民投票である。
2024年は民主党が勝てるはずだった。共和党は賛否両論の候補者を立て、経済は比較的安定していたにもかかわらず、全国の有権者は民主党のあり方を恐れて、選挙に背を向けた。
かつて民主党に傾倒していた中道派の有権者たちは、そのメッセージ、優先事項、行き過ぎた政策 、社会主義、活動主義、急進的な政策スタンスを見て 、ただ「もうたくさんだ」と言った。
米国の最も重要な都市で、民主党員は、まるでエバーグリーン大学の中庭で行われた炉辺のドラムサークルで書かれたかのような政策綱領に投票している。
無料の住宅。無料の交通機関。 無料の食料品(政府運営の店舗による)。警官をカウンセラーに、官僚をバッジに置き換えるような警察戦略。歳入を生み出すためではなく、罰するために設計されたように見える増税。そして、ニューヨークからの巨額の資本流出につながることは間違いないだろう。これは政策ではなく、世界で最も重要な地理的拠点の一つであるニューヨークで効果を発揮する見込みのない、くだらないパフォーマンスアートだ。そして、2024年の選挙で中道派の民主党支持者を失望させたのも、まさにこれだ。
だからこそ、ここにチャンスがある。民主党は、ニューヨークだけでなく、全米に向けて、自分たちは依然として合理的な統治と常識を重んじる政党であり、自らを正すことができる、そして、肝心な時に自らの最悪の部分と決別できるというメッセージを送ることができるのだ。
そしてそれは今重要なのです。
これは民主党にとって一つのことを意味する。 11月の選挙で、マムダニ氏に勝てる中道派の無所属候補を支持するという ことだ。抗議活動の候補者でも、単なる予備選の候補者でもない。混乱よりも実力を求める疲弊した大多数の人々の心に響く、真に真剣な候補者だ。
確かに、それは自党の候補者を無視することを意味します。確かに、それは伝統を破る、混乱した、型破りな行為を意味します。しかし、それはまた、国全体への強力なメッセージとなるでしょう。「 私たちは皆さんの声に耳を傾けました」。多様で分断された国で選挙に勝つには、幅広い層に訴えかける必要があることを私たちは理解しています。活動家や寄付者だけでなく、住宅所有者、労働者階級の有権者、中小企業の経営者、家庭、そして無党派層にも訴えかける必要があるのです。
民主党には今こそ、自らの過ちから学んだことを示すチャンスがある。ホワイトハウス、下院議席、そして有権者の信頼を失ったのと同じ戦略を繰り返すつもりはないのだ。
はっきりさせよう。前進できる唯一の道は、党首、大口献金者、国会議員、そしてこれが行き過ぎであることを静かに知っている一般党員からの全面的な支持を得て、独立候補となることだ。
メディアは、これを、勇敢なアウトサイダーが体制を揺るがす心温まる物語のように扱うのをやめなければならない。これは単なる心温まる物語ではない。まさに、統治の危機が起こりつつある様子をスローモーションで捉えたものだ。もし民主党がこれを黙認すれば、彼らは共犯者となるだろう。マムダニ市長選だけでなく、この州という国家ブランドを、不真面目で、根拠がなく、選挙に勝てない存在としてさらに印象づけることに。
マムダニ氏が勝利すれば、それは単なる地方実験の失敗に終わるどころか、民主党が自らの行き過ぎを規制する能力、あるいはその意志がないことを裏付けるものと見なされるだろう。
そして、そのメッセージはハドソン川に留まらない。あらゆる激戦地区、あらゆる郊外選挙区、そして有権者が静かに問いかける全国的な議論に波及するだろう。「 もはや誰が中間層のことを考えているのか?」
これは民主党が答えるチャンスです。こんなことを言うなんて信じられませんが、この機会を無駄にしないでほしいと思います。
不動産と建設は経済全体の先駆者とみなされています。しかし、最近は状況が芳しくありません。これは単なる例外的な問題ではありません。経済全体に波及する可能性のある危機の兆候と言えるでしょう。
住宅市場は 米国経済全体の 大きな部分(約6分の1!)を占めています。アメリカの世帯の約3分の2が住宅を所有しており、ほとんどの世帯にとって住宅は最大の金融資産(そして寝る場所)です。住宅資産は世帯純資産の非常に大きな割合を占めており 、一般的な世帯では約半分を占めています。国の富の大部分は、 他のどの資産クラスよりも住宅にかかっています。
ですから、 不動産市場における 異例の 、あるいは予想外の展開は注目されます。なぜなら、それらは大多数のアメリカ人にとって極めて重要で あり、GDPや失業率といった抽象的な指標よりもはるかに重要だからです。
そのため、住宅市場の状況に関する最近の最新情報は…
住宅購入のしやすさは過去最低水準に近づいている
悪い知らせを伝えるつもりはありませんが、現状の真実を知っていただくことが重要です。今日、典型的なアメリカの家庭は、 一般的な住宅を購入する余裕がありません 。MoneyTalkNewsの記事より :
全米不動産協会によると、住宅価格が上昇し続ける中、驚くべきことに米国の世帯の70%が、中間価格の約40万ドルの住宅を購入できない状態にあるという。
これは、アメリカの世帯の 3分の2以上が 、中間価格帯の住宅を購入できないことを意味します。ここで言っているのは、マクマンションのことではなく、かつて「スターターホーム」と呼ばれていた、はるかに安価な住宅のことです。
これらの数字をより確実に把握するために、次のことを行います。
約9,400万世帯は、中間価格の住宅を購入する余裕がありません。
実際、アメリカで「中間価格」の住宅を購入するには、世帯収入が少なくとも年間11万ドル必要です。中間価格の半分以下の住宅を購入するには、世帯収入が約6万1000ドル必要です。
多くのアメリカ人は、世帯全体で見ても、そのような収入を得ていません。さらに悪いことに、 頭金を貯めるには、家族でかなりの 時間がかかります。
比較のため:
1970年から1985年:典型的な家庭は5年間 収入の10%を貯蓄し 、20%の頭金を貯めることができた。
2023年:収入の10%を貯蓄する典型的な家庭は、 20%の頭金を集めるのに8年かかる。
これらの数字は場所によって大きく変わることに注意してください (不動産ではすべてが変わるのではないですか)。ニューヨーク市に住むことを余儀なくされた平均的な家族は、 頭金を貯めるのに19 年 かかりますが、タルサなどの中西部の都市では、はるかに手頃です (4 ~ 5 年)。
住宅価格の高騰は 今、 大きな課題 となっています。これは、どれほど多くの人々が経済的に苦しんでいるかを如実に示しています。特に、 数年にわたる厳しいインフレ、そしてもちろん、住宅価格へのインフレの影響を考えるとなおさらです。
そして、価格が私たちの支払い能力を上回る速さで上昇するとどうなるでしょうか?供給が増加し始めます…
住宅建設業者と不動産業者は不況に直面している
数字だけを見てもそれが事実だと分かります 。
5月、建設業者は 5年間で最も遅いペースで新築住宅の着工を行った。
建築許可の発行数 も5年ぶりの低水準となった。
6月、住宅建設業者の景況感はパンデミックによるロックダウン以来最低レベルに落ち込みました。
マイク・シェドロックは、 建設業者が着工する新築住宅の数が いかに減少しているかについての 統計を持っています。
合計:2022年9月から-19.6%
集合住宅:2023年8月から25.8%減少
一戸建て住宅:2022年6月から24.9%減
それを客観的に見ると、 建設中だった 住宅の5軒に1軒近くが…もう建設されていないのです。もうそんなことはありません。
家を買う余裕がなくなると、供給が滞り、価格が下落します。大手住宅建設会社の収益性は深刻な懸念事項となります
なぜ物価は急騰したのでしょうか?先ほどパンデミック時代のインフレについて触れましたが、これは大きな要因の一つです。しかし、唯一の要因ではありません。
7%の住宅ローン金利 はパンデミック前の3%の金利よりも手頃ではない
消費者心理が低いという ことは、家族がお金を使う可能性が低いことを意味する
世界的なドル安の推進 により、外国人投資家がアメリカの住宅ローン会社に融資する可能性は低下している。関税により、 現在の高すぎる住宅価格が最大9.3%上昇する可能性がある。
逸話的に、 ICEの襲撃に対する恐怖から 建設現場が荒廃した という話もある (報告によると、建設労働者の約20~50%が不法移民である)。
ブラウン氏によると、住宅市場に影響を与えている他の要因としては、「関税や国外追放など、建設を抑制し供給を制限しているトランプ時代の新たな要因」がある。
公平に言えば、この状況全体の責任をトランプ大統領に負わせることはできないが、 トランプ大統領が語ったように 、前政権の経済政策の失敗からトランプ大統領が約束した経済回復への移行期にあることは明らかだ。
彼も約束したように、この移行はスムーズで痛みのないものとは程遠いものである。
住宅、賃金、購買力
家計所得が現状維持であれば、インフレ(つまりドルの購買力の低下)だけがそれほど深刻な問題にはならないはずです。しかし残念ながら、現状はそうではありません。以下に、 あまり楽観的とは言えない詳細を挙げます。
数十年にわたり、住宅価格の上昇は所得の伸びを上回ってきました。 過去25年間で、住宅価格は3倍以上に上昇しました。最も急激な上昇は2020年から2022年にかけて見られ、パンデミックによる住宅移転と超低金利の住宅ローンが全国的な住宅購入ブームを巻き起こしました。
一方、2000年から2023年までの中央値所得は、 2倍には達しませんでした。
だからこそ、このような手頃な価格の格差が生まれているのです。
さて、私はこのような経済問題の原因を連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ政策のせいだと真っ先に非難します。しかし残念ながら、FRBが 自ら生み出したインフレを抑制しよ うとする現在の取り組みは、住宅販売にも悪影響を及ぼしています。
近年、住宅市場はいわゆる「金利固定効果」によって停滞しています。実勢金利が7%近くまで上昇している時代に、4%未満の住宅ローン金利を持つ幸運な人は、その低金利を手放して転居することに躊躇します。この影響により、売り出し中の住宅在庫は低迷を続けています。
住宅建設業者が現在の住宅購入市場に楽観的ではないのも無理はありません。高すぎる住宅価格とゼロ金利の間で、住宅購入者は板挟み状態にあります。
しかし、これは住宅建設セクターだけに限った話ではありません。住宅市場の低迷は、経済の低迷を示す早期警告サインです。これは単なる憶測ではありません。 2007年から2009年にかけての世界的な金融危機を覚えていますか?
より最近の記憶では、アメリカの住宅市場の崩壊に端を発した深刻な経済不況、いわゆる「大不況」が挙げられます。大恐慌ほど長期化したり深刻化したりはしませんでしたが、それでも深刻な経済的困難をもたらし、失業率は10%近くに達しました。
私たちが住宅市場を注視しているのは まさに このためです。住宅市場は、アメリカ経済の炭鉱のカナリアのようなものなのです。
カナリアが鳴かなくなったら私たちにできること
確かに、こういう数字を見ると悲観的な考えに陥りがちです。友人の中には、私が悪いニュースばかり気にしていると思っている人もいますが…実際は違います。私は、 主流メディアでは取り上げられないかもしれない重要な 経済ニュースを取り上げ、それがなぜ、そしてどのように重要なのかを皆さんにお伝えすることに全力を尽くしています。
皆さんに覚えておいていただきたいことが一つあります。それは、国家経済に大きな変化をもたらすことはできないとしても、 私たち自身の経済はコントロールできるということです。
成功者たちは長年この考えを語り続けてきました。 変えられないこと を心配するのではなく、変えられることに意識を集中しましょう。
住宅価格が引き起こす景気後退は、 差し迫っ ているかどうか分かりません。貯蓄をうまく分散していれば(特に住宅所有者であれば!)、経済全体 の好不況に関わらず、全体的な財務の安定性を維持できます。そのような分散投資に最適な選択肢の一つは、現物の貴金属だと私は考えています。不動産と同様に、金や銀は、直接所有できる数少ない金融資産の一つです。
輸入品に対する関税は、特にサプライチェーンが世界規模で複雑であり、コストの変化に非常に敏感な自動車業界において、価格に広範囲に波及効果をもたらす可能性があります。
このグラフでは、Visual Capitalist の Marcus Lu が、北米以外から輸入された自動車に一律 25% の関税が課されると仮定して、関税が米国の自動車価格にどのような影響を与えるかを示しています。
この視覚化のデータは Insurifyから取得したもので、海外での製造と部品へのエクスポージャーに基づいて、さまざまな自動車ブランドの価格上昇を予測しました。
北米で組み立てられるモデルについては、モデルに含まれる米国産以外の原材料に25%の関税が課され、メーカー希望小売価格から最大15%の関税割引が適用されます。 詳細は、ホワイトハウスの公式ファクトシートをご覧ください。
分析によれば 、テスラ、 ジープ、 ホンダは トランプ大統領の自動車関税の影響が最も少なく、一方 ビュイック、 ヒュンダイ、 起亜は 最も大幅な値上げに直面することになる。
ビュイックのアジア中心の生産
ビュイックはアメリカのブランドですが 、多くのモデルを中国と韓国で生産しています。そのため、ビュイックは 22%の 値上げを見込んでおり、このリストのトップにランクインしています。これは調査対象の全ブランドの中で最も高い数値です。
これは、グローバル化がアメリカの伝統的なブランドでさえもその影響力を変えてきたことを如実に物語っています。実際、ビュイックは中国で非常に大きな人気を博しており、独自の サブブランドも展開しています。
現代自動車と起亜自動車は高い関税リスクに直面
ヒュンダイ と 起亜も、その他の脆弱なブランドであり 、それぞれ車両価格が21~22%上昇すると予測されています 。両ブランドとも米国で生産拠点を置いていますが、モデルと部品の大部分は依然として韓国から輸入されています。
2024年後半、 ヒュンダイ・モーター・グループのメタプラント・アメリカが ジョージア州に開設されました。同社はこの工場で 米国で販売される電気自動車を生産する予定です。この工場は年間最大50万台の生産能力を備えています。
テスラは最も影響を受けていない
テスラの垂直統合型サプライチェーンと国内生産は、関税リスクからの保護に役立っています。生産の大部分が米国、特にフリーモント工場とオースティン工場で行われているため、新たな関税規則の下でもテスラの車両価格はわずか3%しか上昇しないと予測されています。
この影響は最小限に抑えられており、他社が価格引き上げを余儀なくされた場合、テスラは競争上の優位性を獲得できる可能性がある。 フォーチュン誌は 最近、テスラが4月の売上高が前年同月比16%減少したものの、依然としてアメリカのEVリーダーであると報じた。
何十年もの間、世界最大の問題は人口過多だと言われ続けてきました。18世紀のマルサスから1960年代の「人口爆発」に至るまで、その警告は悲惨なものでした。人口増加は飢餓、貧困、環境破壊の悪化を意味する、と。しかし、予想外のことが起こりました。人口統計の計算方法が変わったのです。そして、人口予測において世界で最も引用される権威である国連も、この変化に注目したのです。
最近まで、国連のモデルは世界人口が21世紀を通して増加し続け、2100年までに約110億人でピークに達すると予測していました。しかし、2022年と2024年の改訂において、国連はひそかに世界人口予測を引き下げました。 最新の推計 では、ピークはわずか103億人で、しかも20年近くも前の2084年頃とされています。
それでもまだ大きな数字に聞こえるかもしれない。しかし、多くの政策立案者、投資家、そして機関が依然として意思決定の指針としている「無限成長」という前提からは大きく逸脱している。重要なのは、国連が人口減少を予測しているというだけではない。多くの人口統計学者が、これらの数字でさえまだ高すぎると考えているのだ。
出生率の崩壊
予測の変化は、人々の死亡率が上昇しているから起きているわけではありません。実際、世界のほとんどの地域では、平均寿命は緩やかではあるものの、伸び続けています。大きな変化は、人々が子供を産む数が減っていることです。それも、はるかに少ないのです。
1970年頃、世界の出生率(女性が生涯に産む子どもの平均数)は、女性1人あたり約5人でした。今日では2.25人にまで低下し、さらに低下しています。世界の約70%の国では、出生率がいわゆる「人口置換率」、つまり安定した人口を維持するために必要な水準を既に下回っています。先進国では、一般的に女性1人あたり約2.1人とされています。死亡率の高い国では、この数値はわずかに高くなります。
世界的な出生率の低下は、ほとんどの専門家の予想よりも速いペースで進んでいます。だからこそ、国連は過去5年間でモデルを2度も改訂しました。しかし、国連の取り組みが十分だと考えている人は皆ではありません。
過去10年間で、複数の独立した研究チームが代替的な人口予測を立ててきました。そのほとんどは、出生率が国連の予測よりも速いペースで低下することを示しています。例えば、ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)のチームは、2020年に世界人口が2064年頃に90億人強でピークを迎え、2100年までに約88億人に減少すると予測し、大きな注目を集めました。
世界で最も尊敬される人口統計学者の一人、ヴォルフガング・ルッツ氏も、人口ピークの早期化とそれに伴う人口減少の減少を示す予測を発表している。ルッツ氏の率いるウィトゲンシュタイン人口統計・グローバル人的資本センターのグループは、出生行動と密接に関連する教育と都市化の動向に基づいたモデルを構築している。サハラ以南アフリカの100万人以上の女性を対象とした2024年までの調査分析において、ルッツ氏と共著者らは、特に女性の教育水準の向上に伴い、同地域の出生率は予想よりも急速に低下していると結論付けた。
カナダ人ジャーナリストのダレル・ブリッカーとジョン・イビットソンは、 2019年に出版した著書『Empty Planet』の中で、予測値の低下が現実味を帯びている理由をまとめています。彼らは人口統計の専門家ではありませんが、約12カ国で広範なインタビューやフォーカスグループを実施し、女性たちに家族と出産に関する考えを尋ねました。その結果、出生率の低下は経済的な要因だけでなく文化的な要因も大きく影響しており、文化的要因は過去よりも急速に、そしてより深刻な出生率の低下をもたらすだろうという結論に至りました。
「予測するのは難しい。特に未来については。」
アメリカの有名な哲学者、ヨギ・ベアラはそう言いました。結果として、あらゆるモデルは、幅広い未来の可能性を組み込んだ確率的変動を用いています。
例えば、国連の予測中央値では2084年に103億人でピークを迎えるとされているが、国連のモデルには低出生率シナリオも含まれており、その場合、人口は2060年頃に95億人でピークを迎え、そこから減少していく。
その低い経路は学術的予測とより一致しています。
すべてはアフリカについて
世界人口の約4分の3が居住する国では、出生率がすでに人口置換率以下まで低下しています。さらに15%の国では、出生率は人口置換率をわずかに上回る程度で、急速に低下しています。
しかし、サハラ以南のアフリカと南西アジアの一部には、依然として出生率が非常に高い国が約24カ国あります。これらの国は世界人口の約11%を占めるに過ぎませんが、現在から人口がピークを迎えるまでの人口増加のほぼ全てをこれらの国が担うことになります。出生率を高く維持してきた国々に共通する特徴は、宗教的原理主義(特にイスラム原理主義)、限られた国際的関与、そして国家能力の弱さです。
とはいえ、これらの国々の出生率は、程度の差こそあれ低下している。世界人口の将来的な推移に関する議論の多くは、これらの国々が過去50年間に世界の他の地域で見られた出生率の低下を、どの程度、そしてどの程度まで辿るのかという点に集約される。
これがなぜ重要なのか
私たちが頼りにしている人口予測は、都市計画から年金財政に至るまで、あらゆるものを形作ります。移民政策、学校建設、軍隊の募集、そして長期的な経済成長の想定にも影響を与えます。もしこれらの予測が10億人、あるいは20年も外れていたとしても、それは単なる誤差ではありません。未来の根底にある計算に大きな変化をもたらすのです。
しかし、ほとんどの機関は、人口増加(労働者、消費者、納税者の増加を含む)が永続する自然な秩序であると想定し、自動操縦で業務を続けています。しかし、データは、この時代が急速に終わりに近づき、人口増加の時代が終焉を迎えていることを明確に示しています。実際、一部の地域では既にそれが始まっています。中国は過去3年間、人口減少を報告しています。これから起こること、そして私たちがそれにどう反応するかは、現代における最も重大でありながら、最も理解されていない物語の一つです。
ゴールドマン・サックスのマネージング・ディレクター、ケイト・マクシェーン氏は火曜日、消費者セクター全体にわたる一連の注目すべき格付け変更を発表しました。最も注目すべきものは以下のとおりです。
ダラー・ジェネラルは買い推奨から中立推奨に引き下げられた。
RH(旧レストレーション・ハードウェア)は中立から売りに格下げされた。
アドバンス・オート・パーツも中立から売りに転じた。
対照的に、ファイブ・ビロウは買い推奨に格上げされた。
まずはダラー・ゼネラル(DG)から見ていきましょう。マクシェーン氏は、1月中旬の安値70ドル前後から66%上昇したことを受けて、同社の投資判断を買いから中立に引き下げました。同氏の見解は、サプライチェーンの改善、労働効率、店舗の在庫補充の改善による利益率と既存店売上高の最近の上昇は、現在では株価にほぼ織り込まれているということです。
彼女は、長期的には利益率の拡大の余地がまだあると指摘したが、以下の点を考慮すると、短期的な株価上昇は限られているようだ。
既存店売上高に圧力をかける可能性のある、競争の激しい小売業界、そして
店舗とサプライチェーンのインフラへの継続的な投資の必要性。
DGの12か月価格は116ドルで、上昇の余地は最小限だと彼女は見ている。
次に、RH(旧レストレーション・ハードウェア)の投資判断が「中立」から「売り」に引き下げられました。マクシェーン氏は、この高級家具メーカーにとっての逆風として、以下の点を挙げました。
2025 年後半の住宅市場は依然として圧迫されており、前年比で比較すると厳しい状況が予想されます。
主要ブランド拡張が2025年下半期から2026年春に延期され、短期的な成長が制限される。
消費者心理が弱まり、RH の NPS および NPI スコアは同業他社に遅れをとり、NPS は 2 月以来減速しています。
RH の過去の戦略とは反対に、プロモーション強化へとシフトしており、利益率を圧迫し、ブランド価値を低下させる可能性があります。
年初来、RH株は半減し、火曜日の午後にはアナリストの12か月目標価格をわずかに下回る179ドル近辺で取引されている。
アドバンス・オート・パーツ(AAP)について見てみましょう。マクシェーン氏は同社の投資判断を「中立」から「売り」に引き下げ、12ヶ月後の目標株価を46ドルに設定しました。これは11%の下落幅を示唆しています。マクシェーン氏は、AAPが短期的にはオライリー・オート・パーツやオートゾーンといった同業他社を下回ると予想しており、その理由として以下の点を挙げています。
交通量と調査データは市場シェアの喪失の可能性を示唆している
マージン回復に対するより慎重な姿勢
NTM株価収益率19.5倍という割高な評価は、明確な回復の兆候がない限り不当とみなされる。
アナリストは、「しかし、格下げにもかかわらず、我々は引き続き同社の現在の事業再生戦略が正しいアプローチであると信じており、長期的には同社の見通しについても好意的な見方をしている」と述べた。
消費者セクターの格下げの連続とは別に、マクシェーン氏は、基礎的条件の改善とブランドの勢いを理由に、小売業者ファイブ・ビロウ(FIVE)の投資判断を買い推奨に引き上げ、目標株価を135ドルに引き上げた。
彼女のメモの要点は次のとおりです。
中国からの関税リスクは依然として残るが、経営陣のガイダンスに基づくと、価格に織り込まれている可能性が高い。
過去平均と比較して、現在の株価収益率(PER)は 25.7 倍であり、評価は引き続き魅力的です。
HundredXのデータによれば、ブランド認知度は向上しており、強気な見方を裏付けている。
利益予想は引き上げられ、第2四半期のEPSは0.59ドル(0.54ドルから)、2025年度EPSは4.73ドル(0.01ドル増)となった。
利益率の拡大と商品戦略の改善により、引き続き業績が好調に推移すると予想されます。
本日早朝、マクシェーン社が3つの格下げと1つの格上げを発表したことは、消費者業界全体に大きな衝撃を与えた。
私は「2025年後半の最新の予測」を発表します。
*6月25日 - 連邦地方裁判所の単独判事が、トランプ大統領はフロリダとメキシコの間の広大な海域を「メキシコ湾」と改名しなければならないと判決を下した。
*6月26日 - 2015年にバラク・オバマ大統領によって任命された唯一の連邦地方裁判所判事が、すべてのアフリカ系アメリカ人に1人あたり200万ドルの賠償金と 1,000ドル分のIHOPギフトカードを与えるべきだとの判決を下した。
6月27日、イルハン・オマル下院議員(民主党、ミネソタ州選出)が議会演壇に立ち、「我々の民主主義を守る」ためには、不法移民の投票権は直ちに成文化され、法律で保障されなければならない、一方で白人「およびその他の異教徒」には投票権を与えてはならないと強く主張した。
*6月28日 - はい、シカゴ ホワイトソックス は 数学的にプレーオフ出場がなくなりました。
*7月7日 - ミネソタ州知事ティム・ウォルツとカナダ首相マーク・カーニーが共同で衝撃的な発表を行いました。ミネソタ州は8月1日付けでカナダの11番目の州になります。
*7月24日 ― 連邦地方裁判所の単独判事が、トランプ大統領は「ホワイトハウスを、 バイデン大統領が2025年1月20日に退任したまさに その 瞬間の姿と全く同じ状態に直ちに復元しなければなら ない」との判決を下した。
*8月12日 ― カナダの山火事が4ヶ月を経てなお猛威を振るう中、トランプ大統領は国家安全保障と健康への懸念を理由に、カナダを併合し、山火事を鎮圧することを決定した。これにより、ミネソタ州はアメリカ合衆国と再び統合されることになる。ある意味、そう言える。トランプ大統領は「アメリカ国民が屋外に出てゴルフをし、最終的には死に至る可能性のある有毒な煙を吸い込まされることなく呼吸する権利を守らなければならない」と述べた。
*8月30日 - 連邦地方裁判所の単独判事が、トランプ大統領はカナダの併合を解除し 、カナダの山火事を再開しなければならないと判決を下した。
9月10日――トランプ大統領との和解を模索するイーロン・マスク氏は、自身のツイートでトランプ氏がエプスタイン島を訪れたと示唆したのは誤りだったと述べた。マスク氏は、トランプ氏がかつて ギリガン島を訪れたことがあるとツイートしたかっただけだと主張した。「申し訳ありませんでした」とマスク氏は述べた。
*9月23日 - 連邦地方裁判所の単独判事が、トランプ政権の最近の指示に反して、2027年1月1日までに米国軍は少なくとも50%がLGBTQコミュニティのメンバーで構成されなければならないとの判決を下した。
*9月30日--広範囲にわたる新たな研究により、COVID-19ワクチンによって、当初考えられていたよりもはるかに多くの人が負傷または死亡したことが判明しました…主流メディアは直ちに「1月6日暴動」を再検証する一連の番組を開始しました。
*10月12日 - カマラ・ハリスがサンフランシスコの路上で意識を失っているのが発見される。彼女の横には空のワイン箱が置かれている。
*10月29日 - ナンシー・ペロシがサンフランシスコの路上で意識を失っているのが発見された。彼女の傍らにはハーゲンダッツの空の容器とウォッカの瓶が置かれていた。
*11月18日 ― CNNがケーブルニュース局として初めて、週を通して視聴率シェアがマイナスになったことが明らかになりました 。Lifesitenewsは、11月9日から15日までのCNNの好成績を「奇跡」と評しました。
*11月20日 ― 民主党議員は、黒人への賠償金支払いを義務付け 、 南西部諸州をメキシコに、中部をフランスに、東海岸をイギリスに返還することを義務付ける法案を提出した。法案修正案では、その後、すべての英語話者がイギリスに帰還することが規定されており、事実上、かつてのアメリカ合衆国は先住民族の手に返還されることになる。
*12月10日 - 連邦地方裁判所の単独判事の判決により、トランプ大統領はブリーフではなくボクサーパンツのみを着用しなければならないと宣言された。
*12月31日 - そう、CNNのアンダーソン・クーパーは、ワイルドターキーとクロロックス漂白剤を混ぜたものをグラスに注いで飲み干し、新年を祝うためにボングを数回長時間吸った後、 誤っ て放送中に嘔吐した。
2026年のプレビュー:
*1月9日 - アル・ゴア氏は、地球上のすべての人間の活動を直ちに停止しない限り、地球は年末までに自然発火するだろうと述べた。
1月27日 - 米国は、アル・ゴア氏が「抜本的な対策」を取らなければ、10年以内に「後戻りできない地点」に達するだろうと発言してから10年を迎える。
1月29日――連邦地方裁判所の判事が2024年大統領選挙を無効とし、「アメリカ国民は、我々の貴重な民主主義を推進し、支える形で投票する能力がない」と判断した。判事は、カマラ・ハリス氏を大統領に、ティム・ウォルツ氏を副大統領に即時就任させる判決を下した。さらに、「 この 国 に 王はいない。私はそう言ったのだ!」と付け加えた。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米東部で24日、気温が38度を超える中、各地の送電事業者は輪番停電の回避に奔走した。
ニューヨーク市では夕方のピーク需要時に卸電力価格が1メガワット時(MWh)当たり2400ドル近くに上昇。ロングアイランドでは1MWh当たり7000ドルを超えた。
同州の送電事業者ニューヨークISOは、運転余力が減少したため緊急措置を開始する可能性があると警告した。
米国人5人に1人をカバーする国内最大の電力網運営会社PJMインターコネクションは管轄区域内の電力会社に対し、顧客への電力供給を自主的に削減するよう求めた。
ボストンを含む地域を管轄するISOニューイングランドでは、午後5時30分ごろのピーク需要時にスポット卸売電力価格が1MWh当たり1500ドルを超え、熱波が始まった23日のピーク時の3倍以上に達した。
米国立気象局によると、ボストンの気温は24日午後に38度を超えた。
シンガポールの国営企業を母体とするデータセンター運営会社、STT GDCが千葉県印西市にデータセンター「STT Tokyo1」を開業、25日にオープニングセレモニーが開かれた。セキュリティーなどを認証する米国のデータセンター規格「TIA-942」を国内で初めて取得した。27年に開業予定の2号棟と合計して電力容量約70メガワット規模で稼働を予定する。
新たなデータセンターは振り子の原理で半径70センチメートルの揺れを吸収する高い耐震構造を持つ。省エネ設計などにより自社排出分の「スコープ1」と間接排出分の「スコープ2」で脱炭素を実現する。運営は委託せず、100%正社員のエンジニアが行う。
AI(人工知能)の普及などを背景にデータセンター需要の増加が続く。STT Tokyo1はハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)を中心に12部屋のデータホールが予約ベースで既にほぼ満床という。
印西市の藤代健吾市長は同日のセレモニーで「データセンターは日本や印西市にとって大事な産業。可能なサポートをしていきたい」と述べた。STTは12カ国でデータセンターを運営しており、今回が日本初進出となる。日本法人の前田潔社長は「印西の次として、全国に進出の可能性をみている」と述べた。
千代田化工建設は25日、米国で受注した液化天然ガス(LNG)設備建設について、発注した米ゴールデンパスLNGターミナルと契約の見直しで基本合意したと発表した。共同でプロジェクトを進めていた米企業が経営破綻したため、新しい価格と条件でEPC(設計、調達、建設)契約を結ぶ。詳細は今後詰める。
千代田化工と共同でプロジェクトを進める米プラント建設大手のマクダーモット、米ゴールデンパスLNGターミナルの3社で合意した。ゴールデンパスLNGプロジェクトは天然ガス液化設備第1〜3系列で構成する。今回は第2と第3系列のコスト負担について顧客との分担を見直す。第1系列は2024年11月にEPC契約を結び直している。
同プロジェクトを巡っては、24年5月に建設のための共同企業体(JV)に参加していた米プラント建設大手ザクリ・インダストリアルが日本の民事再生法にあたる米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請し、プロジェクトから離脱していた。千代田化工は24年3月期にザクリが担う予定だった工事の費用負担などで370億円の引当金を計上し、158億円の最終赤字となった。
千代田化工は「詳細ついてはコメントを控える」としたうえで、「引当金の見直し、採算改善への影響については決算に適宜反映する」と説明した。
●その他
備忘録(2025/6/24)
●企業
●マクロ
トランプ米大統領は24日、数時間前に発表した停戦にイスラエル、イラン両国が違反したと指摘した。双方を非難したが、特にテヘランへの新たな攻撃を発表したイスラエルに不満だと述べた。オランダ・ハーグで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に向けて出発する前に記者団に語った。
大統領はホワイトハウスを出発した直後に「イスラエルよ、爆弾を投下するな。もし投下すれば重大な違反だ。パイロットを今すぐ戻せ!」とSNSに投稿した。
ホワイトハウスを去る際に記者団に対し、停戦協定に違反したどちらの側にも、特にイスラエルに対して「不満だ」と述べた。
「今すぐイスラエルを落ち着かせなければならない」と指摘。「イスラエルは、合意に至った途端に爆弾を投下した」として不満を表明。両国は「あまりに長く、あまりに激しく争っているので、自分たちが一体何をしているのか分からない」と述べ、カメラから背を向けてヘリコプターに向かった。広告 - スクロール後に記事が続きます
大統領はイランの核開発能力はなくなったとも指摘した。
イスラエルのカッツ国防相はこれに先立ち、イランによる停戦違反があったとし、強硬な対応を軍に命じたと述べていた。イラン側はミサイル発射を否定している。 もっと見る
トランプ氏はその後SNSに投稿し、イスラエルはイランを攻撃せず全ての航空機は引き返して帰還するとし、「停戦は発効している!」と述べた。
また、イランの体制転換を望むかという記者団からの質問に対し、トランプ氏は「望んでいない。一刻も早く、全てが落ち着くことを確認したい」とし、「体制転換は混乱を伴う。理想的には、これほどの混乱は望んでいない」と述べた。
トランプ米大統領と与党・共和党は、上院での可決を目指している包括的な税制・歳出法案を巡り、収拾のつかない党内の大論争に巻き込まれている。共和党指導部は数日中に採決手続きに入りたい意向だが、さまざまな勢力からの抵抗が激しくなっている状況だ。
共和党のスーン上院院内総務、ジョンソン下院議長と政権幹部らは党所属議員に対して、トランプ氏が7月4日の独立記念日前にこの「大きく美しい法案」に署名できるよう、可決に向けた協力を促している。
しかし、議会予算局(CBO)が税制・歳出法案によって財政赤字が少なくとも2兆8000億ドル増加するとの試算を公表した後、共和党保守強硬派は一段の歳出削減を要求する姿勢を強めた。別の議員は低所得者向け公的医療保険「メディケイド」など社会福祉関連予算削減の影響を最小限にとどめることを狙って、法案の内容に反対の声を上げている。
現在の米議会の勢力図は、上院が共和党53議席、野党・民主党47議席、下院は共和党220議席、民主党212議席。両院とも債務問題を理由として1人ずつの共和党議員が当初から法案に反対してきた。
スーン氏は今週半ばまでに税制・歳出法案の採決手続きを開始し、週末に可決して下院に最終承認のために送り返す計画を立てている。
トランプ氏を「火消し役」と期待する共和党議員の間からは、同氏が党内の意見集約に向けた働きかけを強めるとの見方も聞かれる。
同氏は22日にソーシャルメディアで「共和党の偉大な結束、恐らく過去にないほどの結束。さあ偉大な大きく美しい法案を通そう」と呼びかけた。
税制・歳出法案については、民主党の議事妨害を回避して51票の単純過半数で可決する手続きが可能かどうかを審査する「上院議会助言者」の判断も待たれている。
<財政タカ派の抵抗>
共和党議員の一部は、より多額の予算節約につなげる協議の時間を増やしたいとの思惑から、スーン氏が掲げる手続き日程を受け入れていない。
財政タカ派のリーダーとされ、歳出規模をコロナ禍前の水準に戻したいと考えているロン・ジョンソン上院議員は、今週税制・歳出法案に賛成票を投じることができるかと聞かれると「全くあり得ない」と一蹴した。
ジョンソン議員は同志のマイク・リー、リック・スコット両上院議員と共同歩調を取っている。2人が希望しているのは、グリーン税額控除やメディケイドといった分野での予算節約だ。
スコット議員は記者団に、手元に十分な財政資金があるなら何も予算を変更する必要などないが、米国は2兆ドルもの赤字を抱えていると強調した。
CBOは先週、既に下院が可決した税制・歳出法案の内容ならば、向こう10年で連邦政府の財政赤字が2兆8000億ドル上積みされかねないとの見通しを示した。
また膨らむ借金の利払い負担増大も考慮に入れると、赤字拡大規模は3兆4000億ドルに達するという。
これに対して共和党は、減税による景気浮揚効果が企業活動を上向かせ、歳入が増えて財源不足を穴埋めすると主張している。
スーン氏は先週の上院本会議で、大統領経済諮問委員会の試算を引用し、税制・歳出法案は歳入を4兆1000億ドル増やすので、CBOの財政赤字見通しを補って余りあると説明した。
<議論収束も>
税制・歳出法案の上院修正版では、医療制度改革法の下で健常者向けプログラムを拡大した州におけるメディケイド提供者への税率は2031年までに6%から3.5%に引き下げられる。一部の共和党上院議員は、これは農村地域の病院への支援が削られるとして反対している。
ただ党内における話し合いの時間は間もなく終わりを迎え、態度が揺れている議員も最終的には法案支持に回る可能性もある。
ジョン・ケネディ上院議員は「何人か(の議員)はハムの入っていないハムエッグサンドウィッチで満足しなければならなくなる。それが現実だ」と言い切った。
世界の中央銀行は、貿易問題を巡る対立や地政学的な大変動により資金フローの見直しが迫られる中、準備資産をドルから金、ユーロ、中国人民元へ移行することを検討している。英シンクタンクの公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)が24日に公表する報告書で分かった。
3─5月にかけて75の中銀を対象に実施されたこの調査によると、今後1─2年に金資産を増やそうと計画している中銀は正味3分の1に上り、少なくとも過去5年間で最も高い割合となった。今後10年間では正味40%が金保有を増やす方針だ。
昨年の調査で最も人気がある通貨だったドルは、今年は7位に落ちた。調査対象の70%が米国の政治環境がドル投資をためらわせていると答えており、これは1年前の2倍以上となる。
トランプ米大統領が4月2日に「相互関税」を発表したことで市場が大混乱に陥り、安全資産とされてきたドルと米国債が下落した影響が浮き彫りになった。
通貨に関してはユーロと元がドルからの分散投資によって最も恩恵を受ける。正味16%が今後12─24カ月間にユーロ保有を増やす計画があると回答。前年の7%から上昇し、元がそれに続いた。
しかし、今後10年間では元がより好まれ、正味30%が保有を増やす見込みで、世界の準備に占める元の割合は3倍の6%に上昇しそうだ。
2035年の世界の外貨準備に占めるドルシェアの平均予想は52%で、引き続き首位ではあるものの、現在の58%よりは低下すると見込まれている。
OMFIF調査の回答者は、10年後にはユーロが世界の準備資産の約22%を占めるようになると予想した。
HSBCの中銀担当グローバル責任者バーナード・アルトシュラー氏はユーロについて、「現時点では、準備資産の水準に大きな変化をもたらす唯一の真の代替通貨だ」と述べた。
シンクタンク、ブリューゲルのシニアフェロー、フランチェスコ・パパディア氏は、準備資産に占めるユーロの割合は早ければ2年以内に欧州債務危機前の25%まで回復する可能性があると予測した。
債務危機中にECBの市場操作を指揮したパパディア氏は、準備資産の運用担当者らが以前よりもユーロに対して前向きな姿勢を見せていると語った。
国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストでハーバード大教授のケネス・ロゴフ氏はロイターに宛てた電子メールで「世界の準備資産に占めるユーロの割合は今後数年間でほぼ確実に上昇するだろう。それは欧州がより好意的に見られるようになったからというよりも、ドルの地位が低下しているからだ」と指摘した。
イスラエルとイランの停戦合意で、外為市場はいったん落ち着きを取り戻した。今回の中東有事で見逃せないのは「リスク回避の円買い」のセオリーとは逆の動きとなったことだ。原動力は投機筋の円買いの反転で、投機筋による「有事の円売り」は、今後も中東情勢が再び悪化する場面で円安を加速させる可能性がある。
<「有事のドル買い」、対円以外は低調>
24日の外為市場では、トランプ米大統領がイスラエルとイランの停戦合意を明らかにした直後から、ドルが全面的に下落した。いわゆる「有事のドル買い」が反転した形だが、そもそも今回の中東危機で、ドル高が目立ったのは対円だけだった。
イスラエルの攻撃開始前夜、今月12日にドルは対ユーロで3年8カ月ぶり、対英ポンドで3年4カ月ぶり安値を更新し、その後の反発は最大で1%前後にとどまった。一方、対円では一時148円台まで3%超、上昇した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドル指数は、13日に3年3カ月ぶり低水準となる97半ばをつけた後、24日午前も98前半と、安値圏でほぼ横ばいのままとなっている。
有事のドル買いとされる動きは「ニュースに瞬時に反応して、超短期で売買する一部参加者の影響」(みずほ証券チーフ為替ストラテジストの⼭本雅⽂氏)という局所的な現象だった可能性がある。
<投機の円買い反転、中東有事以前から兆候>
一方、この2週間あまり、米国の軍事介入、イランの報復攻撃と泥沼化が差し迫っていたにも関わらず、外為市場でこれまで危機発生時に逃避通貨として買われてきた円は、対ドル以外も含めて大きく下落し「有事の円売り」の動きとなった。
現実味がありそうな見方のひとつは、投機筋が積み上げた巨額円買いの反転シナリオだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物非商業部門の取り組み状況によると、最新の今月17日時点で円の買い持ちは、差し引きで約13万枚強となっている。過去最大を記録した4月下旬のピーク時から8週連続で減少し、およそ3割弱減った。
リスク回避の円買い機運が高まってもおかしくなかった環境下で、こうした「海外投機筋の持ち高圧縮、円買いポジションの巻き戻しが円安につながった」(トレイダーズ証券市場部長の井口喜雄氏)と見る参加者は少なくない。
「もし投機の円売りがなければ、ドルは現時点で140円台を割り込んでいたかもしれない」(大手金融機関の幹部)ほどの勢いだった、との証言もある。
4月下旬はちょうどドルが7カ月ぶり安値となる140円割れを付けた時期に当たる。ドルはその後、米国の財政懸念などを受けて、ユーロなどに対して数年ぶり安値を更新したが、対円では投機の円買い縮小とともに5月には148円台へ切り返しており、ドルは対円でのみ異なる動きを見せていた。
<原油急騰が貿易赤字拡大懸念を惹起>
円安の手掛かりとして、原油高が再び注目を集めてきたことも見逃せない。この日の米原油先物は4%超反落したが、中東情勢が安定を取り戻すまでは、投機の持ち高解消と相まって、円安が加速度的に進みかねないリスクはくすぶる。
専門家の間で最も懸念されているのは、世界の石油・ガス輸送の2割を占めるホルムズ海峡の封鎖だ。もし実現すれば「原油の需給バランスは、1日当たり2000万バレルの供給不足となる。これを過去の価格推移に当てはめて試算すると、米原油先物は140ドル程度まで急騰する」(日本総研調査部研究員の栂野裕貴氏)おそれがあるという。
経済産業省によると、日本の原油輸入量に占める中東諸国の比率は、最新の4月時点 で93.7%。輸入量が一定のまま、価格が現在の2倍近くになれば当然、輸入額は2倍に膨らむ。停戦合意でそのリスクは後退しているが、もし再び原油高が進むような展開となれば「貿易赤字拡大懸念による円売りが強まることになる」(栂野氏)。
トレイダーズの井口氏は、中東情勢が沈静化しても、米国の関税政策や財政懸念、景気減速に利下げ観測の高まり、日本の利上げ観測後退など、多数の不透明要因があるとみている。井口氏は「投機の円買いはまだ高水準でもあり、円相場は不安定になりやすい」と話している。
イスラエルおよび米国のイラン攻撃とイラン側の報復を受け、中東地域・ペルシャ湾の海上保険の戦争リスクに関するプレミアム(上乗せ保険料率)が過去1週間で2倍に跳ね上がった。複数の保険関係者が23日明らかにした。
関係者の話では、海上交通の要衝であるホルムズ海峡の危険度が高まったため、1週間前に0.2-0.3%前後だったペルシャ湾のリスクプレミアムが0.5%に高まった。
保険ブローカーのマクギル・アンド・パートナーズの海上保険責任者を務めるデービッド・スミス氏は「(料率の)状況は常に変化にさらされている」と指摘した。
200万バレルの石油を輸送できるスーパータンカーの輸送料金も1週間で倍増して1日当たり6万ドルを超えたことがデータから分かる。
一方ここ数日はイスラエルの港湾に適用されるリスクプレミアムも最大で1%に上昇したとされる。
2024年には親イラン武装組織フーシ派による商船襲撃が相次いだ紅海の保険リスクプレミアムが1%に達する場面があった。
日本百貨店協会は24日、5月の免税売上高が前年同月比41%減だったと発表した。3カ月連続の前年割れとなる。訪日客(インバウンド)数自体は好調だが、円高傾向が続く中で客の財布のひもが堅くなっており、各社は原因の究明と対策を急いでいる
調査対象となった全国87店舗での免税購買客数は同5.4%減の53万6000人と38カ月ぶりで前年同月実績を下回った。1人あたりの購買単価も同37%減の約7万9000円と大幅に減少した。百貨店売上高の総額は同7%減だったが国内顧客向けの売り上げは0.8%の減少にとどまっており、インバウンドが足を引っ張ったかたちだ。同協会は発表資料で「継続する円高傾向」が免税売り上げに影響したとの見方を示した。
足元の為替相場は昨年より円高傾向で推移しているが、5月訪日外客数は同月として過去最高を更新するなど、インバウンドの勢い自体に衰えは見られない。それでも百貨店の免税売り上げが落ち込む背景にはさまざまな要因がある。日本百貨店協会の西阪義晴専務理事は、多様化で訪日客の買い物への価値観や消費志向が変わった面もあると述べ、免税売り上げは当面厳しい状況が続くとの見方を示した。
インバウンドを巡ってはオーバーツーリズムの弊害なども指摘されており、政府・自民党が訪日外国人への課税を強化する案も浮上していると日本経済新聞が今月報道、購入品にかかる消費税の免税廃止や国際観光旅客税の引き上げ案が出ているという。かつては「爆買い」で注目されたインバウンド消費の先行きが怪しくなっている。
6月以降の販売について高島屋によると、15日までの状況では免税売上高が前年同月比約35%減だという。5月は42%減だった。 三越伊勢丹ホールディングスも同期間、首都圏を中心に国内顧客の売上高が堅調に推移しているものの海外顧客分は前年実績に届いていない。
三越伊勢丹HDはインバウンド客の関心が高級バッグなどから化粧品や食品などに広がることで、単価が下がっていると説明した。同社は3月に海外顧客をターゲットとした アプリを立ち上げた。外国人に興味を持たれそうなイベント情報や割引クーポンなどを提供し、売り上げを支える訪日客とのつながりの確立を目指している。
J.フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店は、昨年はラグジュアリーブランド価格改定前の駆け込み需要があったことに加え、春節以降から円高の進行に伴い高額品消費は落ちついてきていると説明した。同社の24年のインバウンド売上額は約1208億円で、百貨店売り上げ全体の約16%を占めるという。
第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、5月のリポートで、今後もインバウンド需要は高水準を保つことが予想される一方で、増加ペースは鈍化する可能性が高いと指摘。「これまでインバウンド需要が景気の下支え要因として大きな役割を果たしてきただけに、今後の景気に与える影響が懸念される」とした。
岩井コスモ証券の菅原拓アナリストは、前年同時期の免税売り上げが異例の好調でハードルが高かった面もあり、弱めの数字が出ることは百貨店各社ともある程度計画に織り込んでいると指摘。各社は外国人向けの施策に取り組んでおり、投資家としては下期に施策の効果や免税売り上げの回復を見極めたいのではないかと述べた。
住宅市場における供給の増加と需要の減速により、ようやく価格が落ち着き始めており、弱さが加速している。
S&Pコアロジック・ケース・シラー指数が火曜日に発表したところによると、4月の全国住宅価格は前年比わずか2.7%上昇にとどまった。これは3月の前年比3.4%上昇から鈍化し、約2年ぶりの低水準となった。
このレポートは4月までの3ヶ月間の価格移動平均であるため、若干遡及的です。Parcl Labsなどのより最近の市場データによると、全国的に価格は1年前と比較して横ばいとなっています。
S&Pケース・シラーは、同指数の算出対象となる10都市および20都市の複合指数全体で価格の減速が定着しつつあることを明らかにした。両指数とも現在、直近のピークを大幅に下回っている。さらに、4月の指数の前年比上昇率の大部分は過去6ヶ月間で発生したため、価格は年間を通じて上昇したのではなく、春の市場価格の上昇によって押し上げられたことを意味している。
「特に印象的なのは、このサイクルによって地域主導の市場が入れ替わったことです。パンデミックの寵児だった市場が今や低迷し、一方で中西部と北東部の歴史的に安定したパフォーマンスを誇ってきた市場が市場を牽引しています。この変化は、投機筋の熱狂ではなく、ファンダメンタルズが市場を牽引する成熟化を示唆しています」と、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの債券部門責任者、ニコラス・ゴデック氏はリリースで述べています。
ニューヨークは前年比7.9%増と最も大きな価格上昇を記録し、シカゴが6%、デトロイトが5.5%と続いた。これは、パンデミック初期の数年間、サンベルト地域で旺盛な需要と大幅な価格上昇が見られた状況とは大きく異なる。
かつて好調だった市場の価格は下落傾向にあります。タンパとダラスはそれぞれ2.2%と0.2%の下落に転じました。サンフランシスコの価格はほぼ横ばい、フェニックスとマイアミはともに1%強の上昇にとどまりました。
4月に7%を超え、その後は7%をわずかに下回る水準で落ち着いている住宅ローン金利の上昇により、月々の支払額は過去最高水準に迫り、特に初めて住宅を購入する層を中心に、多くの購入者層が購入をためらっています。全米不動産業者協会(NAR)によると、5月の住宅販売件数における初回購入者の割合はわずか30%にまで低下しました。歴史的には、初回購入者は住宅市場の40%を占めています。
売り出し中の住宅供給は急増していますが、パンデミック前の水準には依然として達していません。レッドフィンの最新レポートによると、損失を出して売却するリスクのある売主はわずか6%です。これは1年前よりわずかに増加していますが、依然として歴史的に低い水準です。
価格は確かに下落しているものの、10年以上前のサブプライム住宅ローン危機と大不況後に見られたような大幅な下落のリスクにはまったく近づいていない。
「住宅供給は依然として厳しく制限されており、既存の住宅所有者はパンデミック期の4%を下回る金利を手放すことに消極的であり、新築住宅の建設は需要を満たせていません。この需給不均衡が引き続き価格の下限となり、一部で懸念されていた急激な調整を防いでいます」とゴデック氏は述べています。
上院共和党は、債務上限を5兆ドル引き上げる予算案を支持している。これは米国史上最大の引き上げ額であり、その経済への影響について疑問が生じている。
この提案はドナルド・トランプ大統領の「One Big Beautiful Bill Act」の一部であり、政府にさらなる支出の余地を与えることになる。
どうやら彼らはそれを必要とするようだ。この法案は、 2025年以降に期限が切れる予定の減税措置を継続・拡大するものであり、議会予算局によると、下院版の法案にある同様の条項により、今後10年間で赤字が約3.8兆ドル増加すると推定されている。
この法案は、連邦政府の借入が加速し、財政赤字が拡大し続ける中で成立した。政府は2001年以来、毎年財政赤字を抱えており、国家債務は着実に増加している。
これが経済、そしてあなたの財布にどのような影響を与えるかをご紹介します。
債務は2020年以降50%増加しており、依然として増加中
議会は政府の資金を確保するために定期的に債務上限を引き上げており、新たな期限が急速に近づいている。
財務省と独立系アナリストの推計によると、対策を講じなければ、早ければ8月にも米国は借入余地が枯渇する可能性がある。これは、政府閉鎖を回避するためのより広範な期限と重なる。
調整法案を通じて上限を延長すれば、政府は社会保障給付金、退役軍人給付金、税金還付金など、予定通りの支払いを続けることができ、経済全体に悪影響を与えかねない金融市場の混乱を回避するのに役立つだろう。
同時に、5兆ドルの新規借り入れを承認すれば、すでに急速に増加している債務負担がさらに増大する可能性があります。国家債務は、パンデミック救済、金利上昇、そして拡大する予算不足により、 2020年初頭の約23兆ドルから現在では36兆ドル以上に増加しています。
ウォール街は反発し始めている
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは最近、財政赤字の拡大が最終的に投資家を動揺させる可能性があると警告した。「いつか債券市場は厳しい状況に陥るだろう」と、 6月16日のFOXビジネスのインタビューで述べた。「それが6ヶ月後なのか、6年後なのかは分からない」
億万長者の投資家レイ・ダリオ氏も指摘する懸念は、政府の債務が増加するにつれて、投資家が長期的な財政見通しに不安を抱くようになる可能性があるというものだ。そのリスクを相殺するため、投資家は米国債の購入を継続するために、より高い利回りを要求する可能性がある。そうなれば、住宅ローン、クレジットカード、自動車ローンなどの金利に影響を与える米国債利回りが上昇することになる。
住宅ローン金利や貸出金利の重要な指標である10年国債利回りは、借入コストの引き下げを目的としたFRBによる複数回の利下げにもかかわらず、1年前とほぼ横ばいとなっている。ジェフリーズの米国チーフエコノミスト、トーマス・シモンズ氏は、これは市場がまだ大きな警告サインを出していないことを示唆していると述べている。
「財務省が新たな債券を発行する際に、消化問題の兆候は見られない」とシモンズ氏はCNBC Make Itに語った。
あなたの財布にとって何を意味するか
今のところ、消費者は日常的な借入コストに大きな変化を感じないかもしれない。
「短期的には、これが今後金利を大幅に押し上げるような問題だとは思わない」とシモンズ氏は言う。
しかし、債務上限の引き上げは現時点では借入コストの上昇につながらないかもしれないが、「長期的には債務の軌道が重要だ」とニューヨーク市の公認ファイナンシャルプランナー、クリストファー・ヘイ氏は言う。
「慢性的な過剰支出の長期的なコストを無視するのは、橋の錆を無視するようなものです。今は問題にならないかもしれませんが、いつかは問題になるでしょう。」
欧州の再軍備拡大の動きにより同地域に新たな資本が流入する中、ドイツ銀行は防衛投資を倍増させている。
ドイツ銀行のクリスティアン・ゼービングCEOは月曜日、ベルリンで開催された防衛産業会議でCNBCのアネット・ヴァイスバッハ記者に対し、同行が防衛産業へのエクスポージャーを「数十億」ユーロ規模にまで拡大したと語った。
「当社は実際に、ポートフォリオへの投資意欲だけでなく、顧客にアドバイスするために投入するリソースも強化しました」と同氏は語った。
業界全体についてより広く語ったゼービング氏は、「特に欧州側では明らかに投資が不足している」と指摘し、「防衛は国家にとって中核的な課題の一つであり、防衛費のプラスの影響を常に過小評価していると思う」と強調した。
彼の発言は、NATO首脳会議が開催される週に行われた。この会議では、加盟国が防衛費分担金の目標を5%に引き上げることに合意する可能性を探っている。NATO加盟国は、今週開催される年次首脳会議を前に、この引き上げに原則的に同意したと報じられているが、スペインは例外となっている。
ドナルド・トランプ米大統領は1月にこの考えを提唱し、同盟国に対し自国の安全保障にもっと責任を持つよう呼びかけていた。
それ以来、EUは加盟国の「防衛費の大幅増額」を支援するため8000億ユーロ(9280億ドル)を動員することを約束し、英国も自国の支出を増やすことを誓約し、ドイツ議会は国家安全保障への投資拡大への道を開いた歴史的な改革を可決した。
資金調達
ゼービング氏は、ドイツ銀行は今後、政府資金をいかに活用するかを検討するために公的機関と協力する必要があると述べた。
「結局のところ、資金は中堅企業とサプライヤー企業に流れ込む必要がある」と彼は述べた。「そして、この点では(開発銀行の)ドイツ復興金融公社(KfW)や欧州投資銀行(EIB)のような機関と賢明に連携する必要がある」
ゼービング氏は、EUが資本市場同盟(投資と貯蓄が域内で自由に流れるようにする資本の単一市場を創設する計画)に「最終的に取り組む」のであれば、ドイツ銀行とそのパートナーは防衛費を「十分に融資する準備が整う」だろうと述べた。
ドイツ銀行の最高責任者は、欧州の雰囲気がこの地域の防衛系新興企業の勢いを加速させたことに同意し、EUの防衛費増額の決意が技術革新の刺激策として働く可能性があると指摘した。
同氏は、カリフォルニア州シリコンバレーを支える創意工夫は、米国が長年防衛に投資してきた姿勢の結果でもあると主張した。
欧州の防衛関連株は、広範な支出拡大を背景に今年大半にわたり強気相場が続いており、多くの市場関係者は今後さらなる上昇が見込まれるとみている。
ストックス欧州航空宇宙防衛指数は年初来で約50%上昇しており、同セクターの一部の企業の価値はほぼ2倍になっている。
月曜日の決算時点で、ドイツの戦車部品メーカーであるレンクの株価は年初来259%上昇している。その間、ドイツの防衛大手ラインメタルは
の株価は183%上昇し、ドイツのヘンゾルトは168%上昇した。
ドイツ銀行のストラテジストは火曜日のメモでエアバスの目標株価を引き上げた。
同社はこの銘柄に「買い」の推奨を与え、NATO加盟5%目標は間もなく「防衛企業に利益をもたらす」動きになると宣伝した。
「米国はインド太平洋地域への重点移行を進めており、輸送機、タンカー機、ヘリコプターの分野で欧州に能力ギャップが生じています。エアバス・ディフェンス・アンド・スペース(ADS)は、このギャップを埋める上で有利な立場にあります」と彼らは述べています。「ADSの成長と収益性は、エアバス・コマーシャルが頭打ちになるであろう2028年以降に顕在化すると予想されます。さらに、エアバスは民間航空機および防衛航空機の両分野において、依然として価格競争力を維持しています。」
一方、6月10日の報告書では、同行のアナリストらは、欧州には「変化する世界情勢から利益を得るまれな機会」があると述べた。
「インフレ圧力が緩和し、新たな防衛・産業刺激策が勢いを増すにつれ、経済の勢いは徐々に戻りつつある」と彼らは述べた。
今月初めにブリュッセルで開催された欧州防衛安全保障サミットにおいて、EIB(欧州投資銀行)は、EUの安全保障・防衛サプライチェーンに携わる中小企業への融資を促進するため、ドイツ銀行に5億ユーロを融資すると発表した。この資金は、訓練施設などの軍事・警察インフラにも利用可能となる。
ペンシルベニア州上院議員クリスティン・フィリップス=ヒル氏(共和党、ヨーク郡選出)は月曜日遅くのフェイスブック投稿で、気温が華氏100度(摂氏約38度)に迫った月曜日のピーク需要の急増時に、州の余剰電力がメリーランド州に輸出されたと記した。彼女は、ペンシルベニア州の安定した電力網のおかげで「私たちの『グリーンエネルギー』の隣人、メリーランド州」の停電危機を防げたと述べた。私たちが何度か報じてきたように、メリーランド州を統治する極左の気候変動マルクス主義者たちは電力網の管理を誤った。今や、外部からのエネルギー輸入が確保されなければ、メリーランド州はスペインのような大停電の危機に瀕している。
「『グリーンエネルギー』の隣国メリーランド州への単なる友好的なメッセージです。どういたしまして」と フィリップス=ヒル上院議員は投稿に記した。
彼女は「この猛暑の間、メリーランド州の消費者は発電量よりもはるかに多くのエネルギーを消費しています。もしペンシルベニア州がなかったら、電気もエアコンも止められていたでしょう」と述べ、「これは、メリーランド州がベースロード発電の支援に取り組むべきであり、停止すべきではないことを改めて認識させてくれるものです。ヨーク郡南部の農家に、送電線を増設するために手つかずの農地を手放すよう強いるのではなく」と付け加えた。
わずか2週間前、130万人の電力顧客と70万人の天然ガス顧客を抱える地元の公益企業、ボルチモア・ガス・アンド・エレクトリック(BGE)のトップは、 電力網全体の電力容量と急増する需要の不一致が急速に深刻化しているため、州内で 計画停電がまもなく常態化する可能性があると警告した。
ボルチモア・サンによれば :
ボルチモア・ガス・アンド・エレクトリック社の電気事業担当副社長スティーブン・シン氏は、電力網への電力供給不足が放置されれば、 ボルチモア地域の住民にとって定期的な計画停電が現実のものとなる可能性があると警告した。
シン氏は、BGEは過去20年間、短期的な負荷遮断イベントの件数を減らすよう取り組んできた が、電力需要が供給を上回り続ける場合には、計画停電(送電網が稼働しているときにコミュニティの一部の区域から電力を遮断する)を実施する可能性があると述べた。
「これは大きな懸念事項だ」とシン氏は述べた。「これは明白かつ現実的な問題だ」
メリーランド大学で最近行われた円卓会議で… 需要と供給の問題がある。」
シン氏はまた、 石炭火力発電所からのエネルギー転換が進み、電気自動車の保有台数が増えるにつれて、エネルギー不足が生じる可能性についても、より大きな懸念を表明した。同氏は、この地域に影響を与える要因の一つとして、巨大で電力を大量に消費するサーバーインフラに依存するデータセンターの増加を挙げた。
私たちは、2024年8月にゴールドマン・サックスが機関投資家に配布したメモを引用し、メリーランド州の 深刻化する電力危機を初めて取り上げました。
ゴールドマンは、中部大西洋岸地域の電力価格が「AIデータセンターの負荷増加のストーリーにようやく追いついた」と述べている
また、次の点にも留意してください。
メリーランド州は州内発電の増強が急務である中、「エネルギー危機から自力で抜け出すことはできない」
この危機の中心にいるのは 、州の民主党指導部です。彼らは効率的な管理者を装っていますが、実際には 極左の気候マルクス主義者です。 破滅的な「グリーン」政策は、州を新たな危機に陥れています。
メリーランド州は、地方選挙が重要であるという現実に目を覚ます必要がある。州内の民主党は、納税者から搾取するためのマルクス主義的な賠償金制度、住民への過剰な課税、不法移民とのマルガリータ、移民への公的資金流用、過激な「目覚めた」政策の推進、小学校へのコンドーム自販機の設置の試み、そして脱成長の環境政策の推進に注力しているため、電気料金は制御不能に陥っている。
民主党が将来の大統領候補として注目している極左のウェス・ムーア知事は、メリーランド州を幾度となく危機に陥れてきた。忘れてはならないのは、管理職に就く活動家は往々にして効果的な統治の経験に乏しく、自らのイデオロギー的政策の推進にばかり注力してしまうということだ。その結果、州は急速に衰退の一途を辿り、政策の不手際、経費の高騰、住民の不満の高まりといった事態に陥っている。メリーランド州民が荷物をまとめて、より統治の行き届いた共和党支持の州へと移住していくのも無理はない。
フランス当局は、フランスの毎年恒例の世界音楽の日であるフェット・ドゥ・ラ・ミュージックで145人が注射器で刺されたとの通報を受け、12人の容疑者を拘束した。このフェスティバルが30年でいかに劇的に変化したかを知るには、1994年のイベントの雰囲気と先週末の混乱を比べてみると良いだろう。
土曜日、フランス各地の街路には何百万人もの人々が集まり、野外コンサート、ポップアップパフォーマンス、コミュニティオーケストラ、DJセットなどを通して、世界共通の言語である音楽の祭典を祝いました。当日の映像では秩序ある雰囲気が映し出されていましたが、夜はたちまち騒乱へと変わりました。
国営国際ニューステレビ局「フランス24」は刺傷事件についてさらに詳しい情報を伝えた。
パーティー前にはスナップチャットやその他のソーシャルメディアに、祝賀行事中に女性をターゲットにするよう呼びかける投稿がされていた。
内務省は、全国で145人が針で刺される被害に遭ったと報告し、パリ警察は首都で13件の事件を報告したと述べた。
当局は、これらの事件が、ロヒプノールやGHBなどのデートレイプドラッグを注射するいわゆる「注射針」によるものであったかどうかについては明らかにしなかった。デートレイプドラッグは、被害者を混乱させたり、意識を失わせたりして性的暴行を受けやすくするために犯人が使用するものだ。
同省は「被害者の一部は毒物検査のため病院に搬送された」と述べた。
検察によると、パリでは15歳の少女と18歳の男性を含む3人がパリ市内の3か所で刺されたとの通報を受け捜査が開始された。
社会の何が間違っていたのかを理解するには、1994年のフェット・ドゥ・ラ・ミュージックの映像を改めて見直す必要がある。その違いは歴然としており、その責任の多くは、数十年にわたる進歩主義政策の失敗にあると考えられる。これらの政策は社会を蝕み、混沌と無法状態を助長してきた。大規模な移民は、これらの問題を加速させた可能性が高い。
不動産分析会社ATTOMは6月20日の声明で、「深刻な水没」住宅ローン(ローン残高が市場価格を25%以上上回る不動産)の割合が最も高い州のリストで、ルイジアナ、ケンタッキー、ミシシッピの各州が上位にランクされたと述べた。
2025年第1四半期には、全国の住宅ローンの2.8%が深刻な担保超過状態にあると分類され、2024年第4四半期の2.5%から増加しました。
「ルイジアナ州は深刻な住宅ローン担保証券化商品の割合が最も高い州のままだが、その割合は2024年第1四半期と2025年第1四半期から11.3%から10.5%に改善した」と声明は述べた。
「ルイジアナ州では、住宅ローンの10件に1件が深刻な水没状態にある」とATTOMは付け加えた。「深刻な水没状態にある住宅ローンの割合が最も高い郡は、バーノン、セント・マーティン、アイバービル、ウェブスターの各郡だ。」
ケンタッキー州とミシシッピ州における同様の住宅ローンの利率はそれぞれ 7.3 パーセントと 6.6 パーセントであった。
ルイジアナ州と同様に、この2つの州でも毎年率は低下しました。
最も低かったのはバージニア州で、住宅ローン51件のうち1件のみが担保超過とみなされています。これにアラスカ州とバーモント州が続きました。
ローン残高が水面下にある住宅ローンは、売却の困難さなど住宅所有者にさまざまな課題をもたらすと、ロケット・モーゲージが4月25日に発表した報告書で述べた。
通常、現在の不動産の売却益は次の家の頭金に充てられます。しかし、住宅ローンが住宅ローン残高を下回る住宅の場合、既存の住宅ローンを完済するのに十分な資金がありません。所有者は残額を補填するために追加の資金を準備しなければなりません。
これは、次の住宅の頭金を支払う能力に影響を与えます。さらに、住宅ローンの借り換えは非常に困難になる可能性があると報告書は述べています。
ATTOMは5月8日の声明で、「深刻な水没」住宅ローンの割合が第1四半期に上昇した一方で、「自己資本が豊富」とみなされる住宅物件の割合は四半期ごとに減少したと述べた。述べた。
自己資本比率の高い住宅の場合、ローンの額は、その不動産の推定市場価値の最大半分にしか相当しません。
第1四半期では、米国の住宅ローン付き住宅物件の46.2%が自己資本比率が高いとみなされ、2024年第4四半期の47.7%から減少しました。
ATTOMのCEO、ロブ・バーバー氏は、この減少にもかかわらず、自己資本比率の高い住宅の割合の低下は「あまり心配する必要はない」と述べた。
「住宅資産価値は近年の最高水準に近づいています」と彼は述べた。「過去2年間は、いずれも第1四半期が年間最低水準となり、第2四半期には資産価値の高い住宅の割合が急上昇しました。」
水面下の住宅ローンへの対処
金融サービス会社Lending Treeの2024年6月の投稿によると、住宅ローンの返済額が住宅ローン残高を下回っている人には、状況に対処するための選択肢がいくつかあるという。
まず、ローン条件の変更や月々の支払いの一時的な猶予など、債務再編を提供している金融機関があるかどうかを確認します。これにより、住宅ローンの管理が容易になる可能性があります。
もう一つの選択肢は、債務を返済できる資産を売却するために破産を申請することです。この選択肢の欠点は、破産が信用スコアに悪影響を与えることです。
住宅ローンの残債が住宅ローンの返済額を上回る住宅は、差し押さえのリスクも高まります。住宅所有者が一定期間にわたって返済を停止すると、貸し手は住宅を差し押さえ、売却してローン残高を回収します。
ATTOMの4月11日の発表によると、第1四半期の差し押さえ申請件数は前四半期に比べて11パーセント増加した。
住宅価格が今年下落するとの予想がある中、住宅ローン残高超過と差し押さえが増加している。
不動産市場のジローは6月12日の声明で、住宅価格が1.4%下落すると予測し、下落の主因は住宅在庫の増加だと述べた。
「住宅ローン金利の上昇と労働市場の弱体化への懸念は、引き続き一部の購入者の足を引っ張ると予想されます。売り手は今年住宅市場に戻ってくるものの、販売は低迷すると予想され、価格に下押し圧力がかかるでしょう」とZillowは述べています。
連邦準備制度理事会(FRB)は6月23日、銀行検査において「風評リスク」を考慮しなくなると発表した。これは、共和党議員とトランプ政権による、政治的動機による金融差別、特に銀行離れと闘う取り組みと足並みを揃えた動きだ。
中央銀行は声明で、監督資料の見直しと改訂を開始し、風評リスクへの言及を削除し、適切な場合には金融リスクに関するより具体的な議論に置き換えると述べた。
6月23日の発表で、FRBは監督資料における風評リスクへの言及を見直し、適切な場合には金融リスクに関するより具体的な議論に置き換えるプロセスを開始したと述べた。
「今回の変更によって、銀行が安全性と健全性、法令遵守を確保するために強力なリスク管理を維持するという理事会の期待が変わることはない」とFRBは声明で述べた。
この決定は、規制当局が銀行を評価する方法に大きな変化をもたらすものであり、特に、一部の金融機関が評判の毀損に関する主観的な懸念に基づいて、暗号通貨会社、宗教団体、政治団体などの合法的な企業へのサービスを拒否したという主張に対する監視が強化される中で、大きな変化となる。
銀行は一般的に口座関係に関して広範な裁量権を有していますが、風評リスクを盾にすることで差別的な判断が隠蔽される可能性があると批判する声もあります。こうした懸念から、金融サービスへの公平なアクセスを確保するよう求める声が超党派で高まっています。
「これが銀行閉鎖のやり方です」と、アライアンス・ディフェンディング・フリーダム(ADF)の上級顧問ジェレミー・テデスコ氏は2023年の大紀元とのインタビューで語った。「銀行は口座を閉鎖し、明確な理由を示さず、何らかのリスク許容度ポリシーを理由に拒否する。その状況は、宗教的または政治的見解が原因であると非常に疑わしいものになるのです。」
議員たちは金融差別撲滅を目的とした法案を策定し、これに応えてきました。例えば、3月にはティム・スコット上院議員(サウスカロライナ州選出)が、連邦規制当局が風評リスクを理由に金融機関に罰則や圧力をかけることを禁じる「公正な銀行アクセス法(FIRM法)」を提出しました。翌月には、アンディ・バー下院議員(共和党、ケンタッキー州選出)とリッチー・トレス下院議員(民主党、ニューヨーク州選出)が超党派の法案を提出しました。
「選挙で選ばれていない規制当局は、あまりにも長い間、曖昧で主観的なレピュテーションリスクという概念を利用して、銀行監督を装いながら政治的イデオロギーを押し付けてきました」とバー氏は声明で述べた。「FIRM法は、我が国の金融規制制度の中立性と誠実性を回復し、すべてのアメリカ国民が違法な差別を恐れることなく銀行サービスを利用する権利を保護します。」
FRBの今回の措置は、最近同様の措置を講じた他の銀行規制当局の動向に追随するものである。通貨監督庁(OCC)は3月、マニュアルおよびガイダンス文書から風評リスクに関する記述を削除すると発表した。
OCCは声明で、「OCCは、監督措置の包括的な正当化として風評リスクを用いたことは一度もありません」と述べた。「しかしながら、OCCは、風評リスクへの言及を削除することで、監督プロセスの透明性と信頼性が向上すると考えています。」
数日後、連邦預金保険公社(FDIC)のトラビス・ヒル暫定委員長は 議会に対し、風評リスクを単独の要素として排除する意向を伝え、風評リスクは「過去に悪用された」概念であり、「安全性と健全性の観点から何の価値も付加しない」と述べた。
ヒル氏は4月に行われた全米銀行協会サミットでの講演で、FDICが、特に顧客の政治的、宗教的、または社会的見解に関連する場合の評判リスクを理由に銀行を批判したり、措置を取ったりすることを明確に禁止する規則を起草中であると述べた。
「我々は、銀行離れを全面的に終わらせるための追加的なアイデアも検討している」とヒル氏は述べた。「全体として、我々は規制アプローチが活気に満ちた成長する経済を促進すると同時に、安全で健全かつ回復力のある銀行システムを促進することを優先している」
連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長も、この問題の深刻さを認めている。今年初め、パウエル議長は議会公聴会で議員らに対し、FRBは銀行離れに関する報道を「改めて検討」していると述べ、個人や企業が金融サービスの提供を拒否されたとされる事例の増加に「衝撃を受けている」と指摘した。
パウエル議長は、規制の行き過ぎとリスク回避の高まりが一因となっている可能性があると示唆し、この問題はより綿密に調査する必要があると述べた。
最近の米ドル安は、世界金融におけるドルの優位性の持続性をめぐる議論を再燃させている。今年上半期、 ブルームバーグ・ドル指数は8.5%近く下落し、1980年代半ば以来の大幅な下落率の一つとなった。
しかし、このドル安によって脱ドル化に関する論評が広まった一方で、よく知られた循環的な現象であるドル安と、世界の主要な準備通貨および国際交換手段としてのドルの地位に関わる、はるかに重大かつ複雑な脱ドル化の問題とを区別することが重要である。
現在のドル安は、いくつかの要因が重なり合って発生している。ドナルド・トランプ大統領がホワイトハウスに復帰して以来、積極的な貿易政策、関税紛争の激化、長年の外交・経済規範の急激な逆転が国際投資家を不安にさせている。ドル指数は 就任以来9%近く下落しており、これは米国がドルと金の兌換性を断絶した1971年のニクソン・ショック以来最悪の下落率だ。バンク・オブ・アメリカのファンドマネジャー調査によると、ドルに対する弱気な見方は2006年以来の高水準にある一方、米国資産、特に国債と株式に対する外国人の投資意欲は大幅に低下し、 2024年末時点で外国人による国債保有率は32.9%に低下している。
同時に、米国の財政状況は著しく悪化している。トランプ政権による大幅な減税と給付義務の拡大は、財政赤字を警戒すべき水準に押し上げる恐れがあり、政府債務の金利上昇は長期的な財政安定を脅かしている。こうした状況は今、市場の価格形成と投資家の期待感に影響を与えている。世界の資本が従来の条件で米国の財政赤字を賄うことにますます消極的になっているため、ドル建て資産への海外からの資金流入は鈍化している。多くの海外投資家、特に欧州からの投資家は、米国資産に対する「買いストライキ」を継続的に行っており、ドルの下落圧力をさらに強めている。
近年のドル下落の背景にある最も注目すべき変化の一つは、世界的なキャリートレードの資金調達通貨としての役割が台頭していることである。世界経済は安定的ながらも緩やかに成長し、ボラティリティは抑制され、各国間の金利格差が拡大する中で、投資家はブラジルレアル、メキシコペソ、チリペソ、南アフリカランドといった高利回りの新興国通貨のロングポジションを調達するため、ドルを売却する動きが強まっている。こうした動きは、構造的に新たなドル売り勢力を生み出し、下落圧力とボラティリティの上昇の両方を加速させている。日本円やスイスフランが長らく担ってきた役割が、資金調達通貨として好まれるようになったことは、かつてドルのプレミアム評価を支えてきた米国経済成長例外主義への信頼低下を反映している。
循環的な弱気論を支持する声が増えているにもかかわらず、より広範な疑問は残る。ドル安は脱ドル化を意味するのか? 端的に言えば、答えは「ノー」、少なくとも今のところはそうではない。ドルは依然として世界の外貨準備高の約60%、世界の貿易請求額の50%以上、世界の外国為替取引の約90%を占めている。中央銀行、商品取引業者、多国籍企業などによる短期的な市場回避にもかかわらず、ドルは依然として不可欠な存在である。その流動性、米国資本市場の厚み、そして米国社債、米国債、ドルペッグ金融商品といったドル建て商品の幅広さは、ドルを依然として世界のデフォルト通貨にしている。
特にアジア諸国やBRICS拡大諸国において、脱ドル化の兆しが徐々に現れ始めています。東南アジア諸国連合(ASEAN)は、ドルの変動性と地政学的レバレッジへのエクスポージャーを軽減することを目指し、域内貿易における現地通貨の利用拡大に積極的に取り組んでいます。中国、インド、韓国といった国々は、通貨スワップ協定の締結数を増やし、自国通貨建ての二国間貿易決済を促進し、海外保有資産の一部を本国に送金しています。日本と台湾の生命保険会社や年金基金を含むアジアの機関投資家は、ドル建てエクスポージャーに対するヘッジ比率を引き上げ、ポートフォリオ残高を徐々に現地通貨にシフトさせています。
近年、イラン、エジプト、UAE、インドネシアなどの加盟国が加わり拡大したBRICS同盟は、脱ドル化に向けた政治的な取り組みを強化している。BRICSは依然として経済的に多様で地政学的に分断されているものの、世界のエネルギー生産、貿易フロー、金融アーキテクチャにおけるBRICSの比重が高まっていることは、ドルへの依存度を下げるという戦略的野心を反映している。共同流動性プール、越境決済イニシアチブ、代替商品取引プラットフォームの構築などは、BRICSの長期的目標をさらに明確に示している。しかしながら、BRICS内部の摩擦、特に中国とインド間の摩擦や、真に統一された金融インフラの欠如により、ドルの優位性を揺るがす望みは限定的となっている。
脱ドル化をめぐる動きにおける重要な展開は、公的部門による金購入の急増である。中央銀行、特に中国やロシアと連携あるいは近接する中央銀行は、 3年連続で年間1,000トンを超える金を蓄積しており、 これは2010年代の購入ペースの2倍である。欧州中央銀行は、現在、金が世界の準備金の20%を占めており、以前のレベルから大幅に増加して ユーロ自体の保有量を上回ると報告している。一方、世界の準備金に占めるドルの割合は、 2000年の70%超から2024年には57.8%に低下している。金は政治的に中立な価値保存手段としての役割を担っており、特に金融制裁や準備資産の兵器化がより一般的になっている環境においては、インフレと地政学的リスクの両方に対する魅力的なヘッジとなっている。
それでも、金の構造的な限界を考えると、金がドルの準備通貨としての機能を完全に代替することは難しいでしょう。近年の混乱の中でも、世界的なドル化は多くの点で続いており、特にドルを基盤とするノンバンク金融仲介の急速な拡大、ドル建て債券の発行、そしてドルに連動するステーブルコインの技術的普及が顕著です。
要するに、ドル安と脱ドル化は同義ではない。最近のドルの他通貨に対する下落は、貿易摩擦、財政過剰、循環的な資本フロー、そしてリスクセンチメントの変化といった複雑な相互作用を反映している。
一方、真の脱ドル化には、ドルの流動性、法的保護、そして制度の厚みに匹敵する実行可能な代替手段の持続的な発展が不可欠である。これはまだ遠い未来の成果ではあるものの、長期的には想像できないわけではない。政策立案者や市場参加者は、限界で起こっている緩やかで骨の折れる調整を軽視すべきではないが、それでもドルは依然として世界金融の中心的な柱として確固たる地位を築いている。
より厳粛な真実は、ドルの優位性維持に対する最大の脅威は、 外部の挑戦者ではなく、内部から来るということだ。財政規律の根強い不備、対GDP債務比率の上昇、不安定な政策転換、そして通貨・金融機関の政治化は、準備通貨としての地位を支える信頼を総合的に損なう。
この浸食が続けば、ドルは最終的に地位を失ってしまうかもしれない。突然の崩壊ではなく、自ら招いた傷が徐々に蓄積していくことで。その間、世界は慎重に代替手段を模索しながらも、依然としてドルという王様との繋がりを保っている。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
●その他
備忘録(2025/6/23)
●企業
●マクロ
米国が今後数カ月にスタグフレーションに陥るリスクはわずかだと、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の世界経済アドバイザーを務めるリチャード・クラリダ氏は述べ、米国は1970年代のオイルショックのような状況からは程遠いと続けた。
クラリダ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、米国の対イラン攻撃はインフレリスクを高めるだろうかとの質問に対し、「スタグフレーションの気配は生じるだろう」と回答。「そうなるとしても、10%のインフレ率や12%の失業率といった1970年代のオイルショック不況のようにはならない」と論じた。
クラリダ氏は、今のところインフレの数値は「予想以上に良好」で、雇用のデータも「うれしい誤算」だと指摘。米国のイラン攻撃に対する市場の反応は「極めて」抑制されていると語った。
米国債入札について、国債への世界的な需要や米国の財政状況を巡る懸念が高まっているにもかかわらず、過去1カ月は「実際、かなり順調だった」との見方を示した。
「入札が散々な結果となるリスクは常に存在するが、不調に終わることはないだろう。米財務省は債券を発行できる。望むような価格ではないかもしれないが、売れないということは起こらない」と述べた。
米国の「財政軌道は持続不可能」だが、「政府は恐らく、次の10年まで問題への対応を先送りし続けるだろう」と語った。クラリダ氏は元連邦準備制度理事会(FRB)副議長でもある。
トランプ米大統領は米軍の攻撃によりイランの主要核施設が「壊滅」したと表明したが、今回の攻撃でイランの核開発計画に遅れが生じたとしても、核兵器の保有に向けた動きを阻止することは困難との指摘が専門家かからでている。
イランの核開発は過去20年にわたって強化されており、物理的なインフラを破壊できても、同国が蓄積した知識やノウハウを消し去ることは難しいという。
米シンクタンク・軍備管理協会は、米軍の地下貫通弾(バンカーバスター)によるイラン攻撃後、「軍事攻撃だけでは、核に関するイランの広範な知識を破壊することはできない」と指摘。「今回の攻撃でイランの核開発は遅れるだろうが、その代わり、イランは核開発の仕切り直しを強く決意するだろう。核拡散防止条約(NPT)脱退を検討したり、核兵器の製造に踏み切るリスクもある」との見方を示した。
イスラエルはイランの核科学者を殺害したと主張しているが、複数の当局者は、短期的に核開発に遅れが生じることはあっても、イランの核に関する知識に深刻な打撃が及ぶとは考えにくいと指摘。
国際原子力機関(IAEA)の5月末の報告書によると、イランが保有する濃縮度60%の高濃縮ウランは、濃縮度をさらに高めれば、核爆弾9個を製造できる量に相当する。
イスラエルと米国の攻撃でイランの核施設がどのような影響を受けたかは現時点で不明。大きな問題の1つは、攻撃後にイランがどの程度の高濃縮ウランを保有しているかだ。
イラン高官筋は22日、フォルドウの核施設に保管されていた濃縮度60%のウランの大部分が米国の攻撃前に非公開の場所に搬送されたとロイターに述べた。
イランのガリババディ外務次官は先週末、国営テレビに対し、イランは核物質と核関連装置を守るため、対策を講じるが、IAEAには報告せず、今後は従来のようにIAEAと協力することはないと発言した。
<北朝鮮の二の舞>
IAEAは、イスラエルが9日前にイランへの攻撃開始して以降、イラン国内で査察を実施できていないが、イラン当局とは連絡を取り合っているという。
イランが核開発計画について今後どのような措置を講じるかも不明だ。
ある欧州の当局者は「最大のリスクは北朝鮮の二の舞になることだ。今回の攻撃を受け『体制を維持するには核兵器を保有するしかない』とイランが確信するというシナリオだ」と指摘。
北朝鮮は2003年にNPT脱退を表明。IAEAの査察官を追放し、核実験を実施している。
外交官などの間では、今回の攻撃を受け、イランが遠心分離機を使って極秘の濃縮施設を設置するのではないかとの懸念がすでに浮上している。濃縮施設は倉庫のような比較的小さく目立たない建物にも設置できるためだ。
ある西側当局者は「われわれが知らない濃縮施設が存在する可能性は十分にある。イランは大きな国だ」と指摘した。
約1カ月前、イスラエルのネタニヤフ首相は窮地に立ったかに見えた。トランプ米大統領は中東歴訪で昔からの同盟国であるはずのイスラエルを素通りし、シリアへの制裁を解除した。さらには、イランの核問題で合意締結の見込みまで示したのだ。最大野党を率いるヤイル・ラピド氏は、ネタニヤフ氏が米国との関係を破壊していると非難した。
しかし米国は現地時間22日未明、イランの主要な核施設を空爆した。イランの核兵器開発を阻止するため、全軍事力を投入するよう米政府を説得するという数十年越しのネタニヤフ氏の願いがかなったのだ。歴代の米大統領との関係がいかに険悪であろうと、最終的には望むものを手に入れる、というネタニヤフ氏の真骨頂だ。
ネタニヤフ氏は30年以上にわたり、米大統領としばしば激しく対立してきた。彼は米国の指導者を相手に説教し、反抗し、公私にわたって当惑させてきた。それでも民主党政権であれ共和党政権であれ、米国の軍事援助はイスラエルにほぼ絶え間なく流れ込み、米国はイスラエルの主要な武器供給国であり外交の盾であり続けてきた。
ある国連高官はエルサレムで「ネタニヤフ氏はおそらく、常に乗り切れると考えているのだろう」と語った。
<米支援は当然>
自身の政策課題を推進するネタニヤフ氏のしたたかさ、米国の圧力にも耐える粘り強さや強靭性は筋金入りだ。
1996年、初めて首相に就任してからわずか1カ月後、同氏はワシントンを訪問し、会談したクリントン大統領(当時)の神経を逆なでした。
「彼は一体自分を何様だと思っているのか。一体どちらが超大国なんだ」。会談後、クリントン氏は側近らに尋ねたと当時の米外交官は振り返る。
ネタニヤフ氏は99年に退陣した。首相に復帰したのは10年後。当時の米大統領はクリントン氏と同じ民主党のオバマ氏だった。
ネタニヤフ氏は、オバマ氏と公然とぶつかった。当初は、ヨルダン川西岸でのイスラエル人入植地問題などが懸案だったが、イランと核問題を巡る交渉に入ると事態はさらに悪化した。同氏は15年に米議会で演説し、イラン核合意(JCPOA)に向けた動きを非難した。オバマ氏はこれに激怒したとされる。
このように米大統領の怒りを買っても、米国の軍事支援は止まらなかった。米議会でイラン核合意を激しく非難した翌年、オバマ政権は10年間で380億ドルという米国史上最大の対イスラエル軍事支援パッケージを発表した。
政治アナリストは、ネタニヤフ氏が米国の支援を当然のことと捉えていると指摘する。いかにホワイトハウスを敵に回そうとも、福音派キリスト教徒とユダヤ系コミュニティーからの支持が後ろ盾だと確信しているという。
<トランプ氏を動かす>
23年10月、イスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けると、バイデン大統領(民主党)はイスラエルとの連帯を示すため同国を訪問した。対イスラエル軍事支援も承認した。
しかし、パレスチナ自治区ガザでイスラエルの攻撃による民間人の犠牲が急増し、人道危機が懸念されるようになるに伴い、ネタニヤフ氏とバイデン氏の関係は急速に悪化した。バイデン氏は、イスラエルへの一部兵器の提供を凍結し、暴力的なイスラエル人入植者に制裁を科した。
24年11月の米大統領選挙でトランプ氏が返り咲きを果たしたことは、ネタニヤフ氏にとって朗報だった。しかし「これでうまく事が運ぶ」という同氏のもくろみは外れる。
前任者のバイデン氏と同様、トランプ氏もガザでの長引く紛争に不満を持っていた。今年4月、訪米したネタニヤフ氏と会談したトランプ氏は、イランと直接交渉を開始すると述べた。
トランプ氏が自らを和平推進者と称する一方で、ネタニヤフ氏は一貫して軍事介入を主張した。6月13日未明、イスラエルはイランへの空爆を開始するとともに、米国に参戦を求めた。攻撃計画について、ネタニヤフ氏がトランプ政権に「イエス」と言わせたかどうかは定かでないが、少なくとも「ノー」ではなかったと両国の高官筋は述べている。
米東部時間21日、トランプ氏はイランの核施設3カ所に対して攻撃を実施し「大成功」だったと表明。「イランの主要な核濃縮施設は完全かつ全面的に消滅した」と述べた。
ネタニヤフ氏は、「おめでとう、トランプ大統領。イランの核施設を、米国の凄まじく正しい力で攻撃するというあなたの大胆な決断は、歴史を変えるだろう。歴史は、トランプ大統領が世界で最も危険な政権に世界で最も危険な武器を持たせないために行動したことを記録するだろう」と述べた。
それはトランプ氏の決断を称えるとともに、「最後は自分の思い通りにする」を果たしたという意味も込められていると言える。
トランプ米大統領は22日、なぜイランで体制転換が起きないのかと疑問を呈する投稿を行った。
自身のソーシャルメディアに「『体制転換』という言葉を使うのは政治的に正しくないが、もし現在のイランの体制が『イランを再び偉大に(MAKE IRAN GREAT AGAIN)』することができないのであれば、なぜ体制転換が起きないのだろうか???MIGA!!!」と書き込んだ。
ドバイ:憶測が飛び交う中、米国は土曜日、イランの3つの核施設に対して空爆を実施した。
アシャルク・ニュースによると、この作戦は、6 月 13 日から続いているイスラエルとイランの戦争を支援し、テヘランのウラン濃縮能力を破壊することを目的としたものだという。
ドナルド・トランプ米大統領はその後、イランのウラン濃縮能力は破壊されたと発表し、テヘランに対して「報復措置」を警告した。しかし、テヘランは被害は「限定的」と表現し、放射能漏れはまったくないと否定している。
米国の攻撃には、14発のバンカーバスター爆弾、24発以上のトマホークミサイル、125機以上の軍用機が含まれ、米国最高司令官のダン・ケイン将軍は、この作戦を「ミッドナイト作戦」と名付けたと述べた。
アシャルク・ニュースは、この攻撃は、イランの核燃料サイクルに重要な役割を果たしている3つの重要な核施設、フォルドゥ、ナタンズ、イスファハン核施設を標的としたと報じた。
これらの施設は、未加工のウランの転換から濃縮、研究用原子炉用の燃料や技術部品の製造に至るまで、燃料濃縮のチェーン全体を網羅している。
フォルドゥ施設
場所と構造:フォルドゥはコムの北東 30 キロメートル、標高約 1,750 メートルの山中にあり、80 メートル以上の岩と火山による防護壁で囲まれているため、イランで最も要塞化された施設のひとつだ。
技術的役割:地下に2つのホールを擁し、約3,000基のIR-1遠心分離機を収容可能で、ウランを60%まで濃縮できる。これは兵器級に近づくレベルだ。
戦略的重要性:高い能力と防護性能から、イランの核軍事能力阻止を目的とした軍事作戦における主要な標的となっている。
ナタンツ原子炉
場所と構造:イラン中部のカシャン近郊に位置し、厚さ 220 メートルのコンクリート屋根で覆われ、約 8 メートルの土に部分的に埋設されており、周囲の山岳地帯によって自然に保護されている。
技術的役割:14,000基を超える遠心分離機(IR-1、IR-2m、IR-4、IR-6)を保有する主要な実験施設を収容し、イランの主要な核燃料濃縮拠点となっている。
戦略的重要性:イランの低濃縮ウランの大部分を生産し、遠心分離機の開発において重要な役割を果たしている。
イスファハン核施設
位置と構造:イスファハンの南、人口密集地から離れた乾燥した高原に位置し、地下に埋設も、厳重な要塞化もされていない。
技術的役割:ウラン転換施設(UCF)、研究用原子炉燃料製造工場、金属燃料ペレット製造工場、3基の研究用原子炉がある。
戦略的重要性:イランの核研究・生産インフラのバックボーンとして機能し、ナタンズとフォルドゥに燃料を供給している。
米国防総省は、土曜日の攻撃に世界最先端の航空機の一部を使用した。B-2 スピリットは、通常兵器と核兵器の両方を搭載可能な多目的爆撃機だ。
この爆撃機は、米国の爆撃機近代化プログラムにおける重要なマイルストーンだ。B-2 は、一見突破不可能な防衛線を突破し、地球上のあらゆる場所に圧倒的な火力を投下することができる。
米国当局者によると、イランを攻撃した爆撃機は、ミズーリ州の基地から 37 時間近く連続飛行し、日曜日の早朝に攻撃を行うまでに、空中で何度も給油を行ったとのことだ。
B-2 爆撃機は、主にステルス性能と世界規模での活動能力により、いくつかの重要な利点がある。
• 給油なしで11,000kmを超える航続距離を有し、遠方の米軍基地から世界規模の攻撃が可能。
• 飛行翼設計やレーダー波を吸収する素材など、防空網を回避するステルス能力。
• 核兵器と通常兵器の両方を搭載可能で、GBU-57バンカーバスター爆弾を含む。
アシャルクニュース が引用した最初の報道によると、フォルドゥは、地下 90 メートルの深さに埋設されたフォルドゥのような深い目標を破壊するために設計された、米国で最も強力な通常型バンカーバスターである GBU‑57 で攻撃されたとのことです。Foxニュースは、ナタンズとイスファハンに約 30 発のトマホーク巡航ミサイルが発射されたほか、6 発のバンカーバスター爆弾がフォルドゥに投下されたと報じている。
GBU-57『マッシブ・オルダンンス・ペネトレーター』は、アメリカ軍技術者によって放射性降下物なしに深く埋設されたバンカーを破壊するために設計された。これはイランの最も堅固な目標に到達できる唯一の非核兵器だった。
• 重量:約13,600kg
• 長さ:6.2メートル。
• 直径:0.8メートル。
• 爆発物搭載量:2,400 kgの高爆発性爆薬。
• 誘導方式:GPS + 慣性航法。
* 貫通力:強化コンクリートまたは密な岩盤を最大60メートル貫通。
トマホーク巡航ミサイルは、艦船、潜水艦、地上発射装置から発射され、高度に防御された空域でも遠距離から目標を正確に攻撃できる精密兵器だ。
• 射程:機種により1,250~2,500km。
• 速度:亜音速(約880km/h)。
• 誘導方式:慣性航法、GPS。一部の機種は終端誘導(TERCOM、DSMAC)を採用。
• 弾頭:約450kgの通常爆薬。
• 発射プラットフォーム:艦船と潜水艦。
アシャルク・ニュースは、米国のイランに対する動きに対して、さまざまな反応が殺到していると報じている。トランプ大統領は、この作戦は成功し、フォルドゥ施設は「消滅」し、イランの主要な核濃縮施設は「完全かつ徹底的に破壊」されたと宣言した。日曜日の後半、ピート・ヘグセス米国防長官は、この攻撃は「テヘランの核開発野望を完全に打ち砕いた」、驚くべき大成功だったと述べた。
一方、イランのタスニム通信は、核施設は事前に避難しており、被害は「修復不可能なものではない」と当局者の発言を伝えた。イラン原子力機構は、「放射能漏れの危険はない」と述べた。イランは、核開発は停止しないことを強調した。
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官は22日、世界で最も重要な海路の一つであるホルムズ海峡をイランに封鎖させないよう、中国に対応を呼びかけた。
ホルムズ海峡をめぐっては、イランの議会が封鎖計画を承認したと、同国国営のプレスTVが報じている。ただし、最終決定権は国家安全保障最高評議会にあると伝えている。
石油の輸送路が封鎖され、供給が途絶えれば、経済に深刻な影響が及ぶとみられる。とりわけ中国は、イランの石油の世界最大の買い手で、同国との関係も密接なことから、影響は大きいと考えられる。
アメリカがイランの核関連施設を攻撃したことで、原油価格は急騰している。指標となるブレント原油価格は、過去5カ月で最高値となっている。
アメリカ軍がイラン3カ所の核関連施設を攻撃した事態を受けて、ドナルド・トランプ米大統領は22日夜、自分のソーシャルメディアで「なぜイランに体制転換があってはならないのか??? イランを再び偉大にしろ!!!」と書いた。これに先立ちトランプ政権幹部は、会見や米メディアへのインタビューなどで、目的はイランの体制転換ではないと繰り返していた。
同日には国連安全保障理事会で緊急会合が開かれ、イランの国連大使がアメリカを非難すると、イスラエル大使が「国際社会はアメリカに感謝すべきだ」と反論した。
他方、国際原子力機関(IAEA)は同日、フォルド核施設の損害規模について、「確定的には判断できない」との見方を示した。
アメリカによる攻撃後も、イスラエルとイランは23日未明までに、交戦を続けている。
トランプ大統領は、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、「『体制転換』という言葉は政治的に正しくないとされているが、現在のイラン政権が『イランを再び偉大にする(MAKE IRAN GREAT AGAIN)』ことができないなら、なぜ体制転換があってはならない??? MIGA!!!」と投稿した。
米国が土曜日にイランの核施設に爆弾とミサイルの雨を降らせ、イスラエルとイランの戦争に突入する中、中国は長年の同盟国であるイランの支援を断固として行っているようだ。
しかし、専門家らは、中国が地域における和平仲介者として持つ影響力が限られていることや、石油の難所が中国政府に打撃を与えるよりも米国に圧力をかける可能性が大きいことから、中国の支持は和らげられる可能性が高いと指摘する。
中国は近年イランとの関係を緊密化させており、両国は定期的に軍事演習で協力し、2021年には経済、軍事、安全保障面での25年間の戦略的パートナーシップに署名している。
イランの人口は9100万人近くで、イスラエルの980万人をはるかに上回り、豊富な原油埋蔵量も相まって、イランは中国の一帯一路構想の自然なパートナーとなった。北京政府の代弁機関紙、環球時報は、この構想を「米国の覇権に対抗する」手段と評した。
しかし、中国の主な経済的利益は、イランの石油と、世界の原油輸送の最も重要なルートの一つであるホルムズ海峡へのアクセスにある。
米国エネルギー情報局(EIA)によると、2024年には日量約2,000万バレルの原油が海峡を通過した。これは世界消費量の5分の1に相当する。中国の原油輸入の約半分は、この主要ルートを経由していた。制裁を回避するため、西側諸国の銀行、船舶サービス、人民元建て取引を迂回する様々な迂回路が利用されていた。
とはいえ、中国はイスラエルに対する影響力が限られていることと、この紛争へのワシントンの関与に関する戦略的な計算があるため、いずれにせよ「イランに手を出さない」可能性が高いと、エバーコアISIの中国担当主任エコノミスト兼ストラテジストのネオ・ワン氏は述べた。
米国との貿易戦争に巻き込まれている中国は、中東のいかなる混乱も「ワシントンにとってより大きな妨害」となるため価値を見出すかもしれないと王氏は付け加えた。
中国は、 6月12日のイスラエルによる攻撃の直後、イランへの支援を約束していた。同攻撃は「イランの主権、安全保障、領土保全の侵害」だと北京は非難した。
しかし、当初イランへの支持を示していたにもかかわらず、北京の発言はより慎重なものへと変化し、イスラエルの軍事行動を非難するどころか、対話と停戦の仲介に重点を置くようになった。
中国の王毅外相は イスラエル外相と の電話会談で、イスラエルの攻撃は「受け入れられない」と述べたが、電話の中で攻撃を「非難する」発言は控えた。
政治リスクコンサルティング会社ユーラシア・グループのアナリストらは、中国政府は「イランとの外交的連携を維持しながら、イスラエルを直接非難する」ことを概ね避けているとし、「緊張を抑制し、自国の経済的・戦略的利益に影響を及ぼす可能性のある、紛争のより広い地域への波及を防止」しようとしていると述べた。
チャイナ・ベージュブックのマネージングディレクター、シェザド・カジ氏は、米国のイラン攻撃は「中国に重要な論点を与えた。世界の秩序と平和を脅かすのは中国ではなく米国だ、というものだ」と述べた。
持久力の戦い?
マルコ・ルビオ米国務長官は日曜日、中国に対し、イランにホルムズ海峡を封鎖しないよう説得するよう求めた。
多くの人が北京がそうすることを期待している一方で、中国は米国や欧州連合よりも打撃を吸収する準備が整っており、容易に他の代替石油源に目を向けることができるため、ボトルネックの封鎖は中国にとって有利になるかもしれないと示唆する者もいる。
中国エネルギー情報局によれば、中国の主な石油供給源はロシア、サウジアラビア、マレーシア、イラク、オマーンだが、マレーシアの輸出のかなりの部分は実際にはイランから再ラベルまたは移送されたものである。
ブルッキングス研究所の上級研究員ロビン・ブルックス氏は「原油価格の急騰が米国と欧州の不安定化につながるなら、中国は喜ぶだろう」と語った。
シグナム・グローバル・アドバイザーズの政策調査グローバル責任者アンドリュー・ビショップ氏もこの見解に同調し、「米国がさらに損害を被ることになるなら、中国は他国からの原油購入に高い代金を支払うことにそれほど激怒しないかもしれない」と述べた。
中国外務省報道官は月曜日の定例記者会見で、イランによる海峡封鎖の可能性に関する質問に答え、ペルシャ湾と周辺水路の安定を維持することは国際社会の共通の利益であると述べた。
イラン議会は日曜、国家安全保障会議の最終承認を待って海峡を封鎖する決定を支持した。
危機の中の機会
中国は、2023年にイランとサウジアラビアの和平合意を仲介した実績を基に、和平仲介役としての役割を果たすことを期待しているのかもしれない。しかし、中国とイランの緊密な関係やトランプ政権を刺激することへの懸念を理由に、イスラエルは中国の仲介者としての中立性に懐疑的になる可能性が高いとアナリストらは指摘している。
中国の曾富国連大使は日曜日の国連安全保障理事会会合で米国を厳しく非難し 、米国によるイランへの攻撃と核施設への爆撃を「強く非難する」と述べた。
傅氏はイスラエルを名指しし、敵対行為の終結に向けた努力を求めた。発表によると、傅氏は「紛争当事者、特にイスラエルは、事態の悪化を防ぐため、即時停戦に達するべきだ」と述べた。
コンサルティング会社シノロジーLLCの創設者アンディ・ロスマン氏は、中国が米国とイランの和平交渉を仲介するとは考えにくいが、それでも「イランが米国に対して軍事的に報復することを思いとどまらせている」可能性があると述べた。
「そうすれば、地域が不安定化し、世界経済が弱体化するだろう。どちらも中国の利益にはならない」と彼は付け加えた。
ドナルド・トランプ大統領は月曜日、米国のイラン攻撃を受けて中東紛争が激化する中、「全員」が原油価格を抑制しなければ「敵の思う壺」になると要求した。
「皆さん、原油価格を下げてください。私は見ています!あなたたちは敵の思う壺です。やめてください!」と大統領は自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルースソーシャル」への投稿で訴えた。
米国原油
トランプ大統領の投稿を受けて、原油価格は75セント(1.02%)下落し、1バレル73.09ドルとなった。世界の指標であるブレント
73セント(0.95%)下落し、1バレル76.28ドルとなった。
トランプ大統領のメッセージは、米国が週末にイランの主要な核施設を爆撃したことを受けて発せられたもので、同国が中東のエネルギー供給を標的にし、世界の原油価格の急騰を引き起こすのではないかと世界が不安を抱いている。
トランプ大統領が投稿で具体的に誰に語りかけていたのかは不明だが、おそらく米国の石油業界に言及していたのだろう。一部の石油会社は今年初め、トランプ大統領の関税措置とOPECプラスによる供給拡大で原油価格が数年ぶりの安値に下落したことを受け、減産を余儀なくされる可能性があると警告していた。
「エネルギー省へ:掘れ、掘れ、掘れ!!!今すぐだ!!!」とトランプ大統領は月曜日の投稿で述べた。米国における石油生産の決定は、市場の動向に応じて民間企業が行っている。エネルギー省は石油の掘削を行っていない。
原油市場は、米国によるイランの核施設への攻撃にほとんど動揺しておらず、先物価格は月曜午前中を通してほぼ横ばいで推移した。ブレント原油は日曜夜に5%以上上昇し、81ドルを突破した後、下落した。WTI原油も1月以来の高値を付けた後、反落した。
過去24時間は、イスラエルとイランの紛争において極めて重要な時間であり、米国が戦争に参戦したことで、投資家や世界の指導者たちは神経をとがらせている。
土曜日の夜、アメリカのB-2スピリットステルス爆撃機と潜水艦がイランの最も重要な核施設3か所、フォルド、ナタンズ、エスファハーンを攻撃した。
この攻撃は、6月初めにイランがイスラエルの攻撃を受けて以来、米国がイランに対して行った初の直接行動となった。
イスラエルとイランは、イスラエルが6月13日に先制攻撃を行い、イランの軍の要人や核科学者を殺害して以来、攻撃を交わしてきた。
それ以来、世界はこれらの攻撃に対して世界中から反応を示しており、イラン自身も攻撃を「言語道断」と呼び、「永続的な影響」をもたらすと警告している。イラン議会は重要なホルムズ海峡の封鎖を決議し、エネルギー供給を危険にさらしている。
ここでは、米国の攻撃が起こってからの出来事と、次に何が起こる可能性があるかをまとめます。
米国がイスラエル・イラン戦争に参戦
東部時間午後7時50分、ドナルド・トランプ米大統領はトゥルース・ソーシャルで、米国が3つの核施設に対して「非常に成功した攻撃」を実施したと発表し、「今こそ平和の時だ!」と語った。
約1時間後、米国当局者はロイター通信に対し、B-2スピリットが爆撃に関与したと述べた。これらの爆撃機は、フォルドの地下施設を貫通するのに十分な威力を持つ兵器を搭載できる唯一の航空機と考えられて
いる。国際原子力機関(IAEA)は後に、 3つの施設すべてが攻撃を受けたことを確認した。
空爆後、世界の指導者から反応が相次ぎ、イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ大統領の空爆に感謝の意を表し、「大胆な決断」と評した。
IAEAは攻撃後、2つの最新情報を発表し、ラファエル・グロッシ事務局長が決定について議論するためIAEA理事会の緊急会議を招集する予定であると述べた。
同庁は、イランの規制当局からも攻撃後、施設外の放射線レベルは上昇していないとの報告を受けたと述べた。
国連安全保障理事会も日曜に会合を開き、この攻撃について議論した。ロシア、中国、パキスタンは、国連安全保障理事会が中東での即時無条件停戦を求める決議を採択するよう提案した。
中国は米国によるイランおよびIAEAが監視する核施設への攻撃を強く非難すると、中国の傅聡国連大使が 日曜日の国連安全保障理事会会合で述べた。
J・D・バンス副大統領やピート・ヘグゼス国防長官を含む米国当局者は、今回の攻撃はイスラム共和国の政権交代を意図したものではないと述べたが、トランプ大統領自身は政権交代が起こる可能性を示唆した。
米国大統領はTruth Socialに、「『政権交代』という言葉を使うのは政治的に正しくないが、もし現在のイラン政権がイランを再び偉大にすることができないのなら、なぜ政権交代が起こらないのか?MIGA!!!」と投稿した。
ホルムズ海峡閉鎖のニュースで原油価格が上昇
原油価格は日曜夜に2%以上急騰し、ブレント原油は1バレルあたり80ドル弱、ウェスト・テキサス・インターミディエイト原油は75ドル弱まで上昇を続けた。
この上昇は、イラン議会が世界の原油輸送の約20%を占める重要なホルムズ海峡の閉鎖を支持したことを受けて起きた。米国エネルギー情報局は、ホルムズ 海峡を「世界で最も重要な原油輸送のボトルネック」と表現している。
しかし、報告書によれば、海峡を閉鎖するかどうかの最終決定権はイランの国家安全保障会議にある。
同海峡は現在も開放されているが、アナリストらはCNBCに対し、イランが同海峡を封鎖し、西側諸国が武力で再開を試みた場合、原油価格は1バレル100ドルを試す可能性があると語っている。
米国のマルコ・ルビオ国務長官 も 日曜、中国に対しイランによる海峡封鎖を阻止するよう求めた。
中国はイランの最大の石油顧客であり、イランの石油輸出の大半を占めており、同国との友好関係を維持している。
イランの反応に備える
イランのアラグチ外相がXに関する声明で、同国は今回の攻撃への対応について「あらゆる選択肢を留保する」と述べたことを受け、世界はイランの対応を待っている。
「今朝の出来事は言語道断であり、永遠に残る影響を及ぼすだろう」とアラグチ氏は述べた。
ロイター通信がイランメディア「タスニム・ニュース」を引用して報じたところによると、イランのマジド・タフト・ラヴァンチ外務次官はドイツメディアに対し、同国はウラン濃縮計画を継続するとし、「誰も我々に指図することはできない」と語った。
オーストラリアの銀行AMPのチーフエコノミスト兼投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏は月曜日のメモで、もしイラン側がトランプ大統領の要求通り「いくつかの象徴的な行動」を取り「無条件降伏」するだけであれば、「原油価格はすぐに落ち着き、株価は上昇するだろう」と述べた。
オリバー氏は、これは基本的に、米国主導の連合軍が第一次および第二次湾岸戦争に参戦した際に起こったことだと指摘した。
しかし、イランが同地域の米軍基地を攻撃するなどの行動を取れば、米国は報復する可能性が高く、市場は緊張したままになるだろうと付け加えた。
エネルギー情報会社ヴァンダ・インサイツの創業者ヴァンダナ・ハリ氏は月曜日、CNBCの「スクワーク・ボックス・アジア」で、閉鎖のリスクは「極めて最小限」にとどまっていると語った。
米エネルギー情報局によると、イランがこれを実行すると、イランの原油輸出の大半を占める中国を含む近隣の産油国や顧客との関係を悪化させるリスクがあるためだ。
ハリ氏は、イランが海峡を封鎖しても「達成できることは非常に少なく、イランが自ら招く損害は大きい」と語った。
米国が週末にテヘランの核施設を爆撃したことを受けて、ロシアがイランの救援要請に月曜日にどう反応するかが注目されているが、モスクワは同盟国にすぐには援助を申し出ないかもしれない。
ドナルド・トランプ大統領が「壊滅」と表現したイランの核施設への攻撃を受け、イランは国際舞台における数少ない友好国からの支援を急いで求めている。イランのアッバス・アラグチ外相は月曜日、攻撃への対応についてロシアのウラジーミル・プーチン大統領と「真剣な協議」を行うため、モスクワに向かった。
イランはウクライナ戦争の間ずっと軍用ドローンでロシアを支援してきたが、アナリストらは現在、モスクワが報復できること、あるいはそうする意志はほとんどないかもしれないと指摘している。
「イランは武器と技術でプーチン大統領のウクライナ戦争を大規模に支援してきた。モスクワ訪問の際、イランのアラグチ外相はモスクワに対し、同様の支援を求めるかもしれない」と、ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は月曜日のメモで述べた。
「しかし、プーチン大統領は言葉以上のものを提示することはできないだろう。ウクライナへの侵略を継続するためには、彼自身が武器を必要としているのだ」と彼は指摘した。
ロシアはまた、ドナルド・トランプ氏のロシア寄りの政権との関係再構築を目指す中で、同盟国イランを宥め支援することと、米国を喜ばせることの間で微妙なバランスを取らなければならない。
「もしプーチン大統領がイラン問題でトランプ大統領を何らかの重大な形で刺激すれば、トランプ大統領は方針を変えてロシアに新たな厳しい制裁を課したり、他の方法でプーチン大統領の立場を弱めたりする可能性がある」とシュミーディング氏は述べた。
これまでのところ、深刻化する危機に対するモスクワの反応は控えめで、ロシアはイランとイスラエルに対し、危機の平和的終結に向けて交渉するよう呼びかけている。
勝ったり負けたり
アナリストらは、イラン紛争は西側諸国の関心、ひいては資源をウクライナから逸らすことになり、ロシアのウクライナにおける立場をやや強化する可能性があると指摘する。原油価格の上昇は、産油国ロシアの軍事財源にとって輸出収入の増加を意味する可能性もある。
同時に、ロシアは中東の同盟国が弱体化し、その過程で自国の地域における足場が揺らいでいるのを傍観している。ロシアは既に、昨年のシリアにおけるバッシャール・アル・アサド政権の崩壊によって、重要な同盟の一つが崩壊し、同国におけるモスクワの空軍基地と海軍基地の将来が危ぶまれているのを目の当たりにしている。
イラン情勢が深刻に不安定化した場合、ロシアは潜在的に利益をもたらす投資やインフラ整備事業の機会をさらに失うことになる。ロシアにとって今、課題となっているのは、イランを支援するか見捨てるかで、どれだけの利益と損失を被るかを見極めることだ。
「モスクワ自身も中東での新たな戦争をどう受け止めるべきか決めかねているようだ」とカーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのイラン外交・国内政策専門家ニキータ・スマギン氏は分析の中で述べた。
「一方で、ロシアは過去3年間、イランにおける様々なプロジェクトに多額の投資を行ってきましたが、今やそのすべてが無駄になる可能性を秘めています。同時に、モスクワは原油価格の上昇とウクライナへの関心の低下を通じて、中東の不安定化から利益を得ようともくろんでいます。」
スマギン氏は、ロシアがイランに軍事支援を与える可能性を否定し、モスクワにとってより大きな問題は、石油・ガスプロジェクト、インフラ、輸送ルートなど、最近積極的に投資しているイランの事業すべてに対する脅威だと述べた。
「イスラエルの作戦開始の数日前、駐モスクワ・イラン大使は、 ロシアが2024年にイランにとって最大の外国投資家になると述べた 。大使は具体的な投資額は明らかにしなかったが、ロシアの投資額は 前年比で27億6000万ドルと推定されて いた。モスクワは石油・ガスプロジェクトだけで約80億ドルの投資を計画している」とスマギン氏は述べた。
「今、これらのプロジェクトの将来は疑問視されています。」
イスラエルとイランの戦争に米国が参戦するということは、市場を暴落させる地政学的な一大火事のように思えるかもしれない。しかし、投資家は概ねこのエスカレーションを軽視しており、多くのストラテジストは紛争は収束すると見ており、一部のリスク資産には強気材料さえある。
月曜日ロンドン時間午前9時半の時点で、23の先進国市場の1000社を超える大中型企業を追跡するMSCI世界指数はわずか0.1%下落した。
欧州株は序盤の下げ幅を縮小し、堅調な推移を見せた。欧州株指数のストックス600は寄り付き時の売り圧力を受け、小幅上昇した。米国株先物も上昇し、S&P500に連動する先物は0.2%上昇した。
安全資産への反応も鈍かった。指標となる10年債の利回りは
2ベーシスポイント上昇し、スポット金は0.2%下落して1オンスあたり3,359ドルで取引された。安全資産とされるスイスフランは
米ドルに対しては最後に横ばいだった
月曜日の朝、複数の通貨に対して上昇した。
全般的に、米国の攻撃後の市場の反応はそれほど激しくなく、特にイスラエルがイランに対して空爆を開始した約1週間前と比較するとその傾向は顕著だ。
「市場はイランへの攻撃を、地域から核の脅威がなくなったことによる安堵と見ている」とウェドブッシュのマネージングディレクター、ダン・アイブス氏は述べ、イラン・イスラエル紛争が地域の他地域に広がり、結果としてより「孤立化」するリスクは最小限だと付け加えた。
他の業界専門家も、最近の出来事の重大さを軽視すべきではないが、それが世界市場に対するシステムリスクであるとは考えられていないと同調した。
ドナルド・トランプ米大統領は土曜日、米国がイランの核施設を攻撃したと述べた。トレーダーたちは現在、米国の核施設攻撃を受けてイランがどのような対抗措置を講じるかを注視している。
イランによる海峡封鎖の可能性
イラン外相は、自国が主権を守るために「あらゆる選択肢」を留保していると警告した。イラン国営メディアによると、同国議会はホルムズ海峡の閉鎖も承認した。ホルムズ海峡は世界の石油取引にとって極めて重要な水路であり、毎日約2,000万バレルの石油と石油製品が通過している。
「すべてはイランの反応次第だ」と、ブリークリー・ファイナンシャル・グループの最高投資責任者、ピーター・ブックバー氏は述べた。「もしイランが軍事的な核兵器開発への欲求の終焉を受け入れれば…紛争は終結し、市場は安定するだろう」と同氏はCNBCに語った。ブックバー氏は、イランが世界の石油供給を混乱させるとは考えていない。
ジオマクロ・ストラテジーのチーフストラテジスト、マルコ・パピック氏は、市場にとって最悪のシナリオはイランが海峡を閉鎖することだが、その可能性は低いと述べた。
「そうなれば、原油価格は100ドルを超え、恐怖とパニックが広がり、株価は最低でも10%下落し、投資家は安全資産に殺到するだろう」と彼は語った。
しかし、テヘランが報復のために利用できる「手段が限られている」ことから、市場は現在、低迷しているとパピッチ氏は付け加えた。
ホルムズ海路を閉鎖するという考えはイランから繰り返し提起されてきたが、実際に実行されたことはなく、専門家はそれが実現しそうにないことを指摘している。
2018年、米国が核合意から離脱し制裁を復活させた後、イランはホルムズ海峡を封鎖する可能性があると警告した。同様の脅しは2011年と2012年にも同様に行われており、当時副大統領だったモハンマド=レザ・ラヒミ氏を含むイラン高官は、西側諸国がイランの核活動を理由にイランの原油輸出に対する制裁を強化した場合、ホルムズ海峡を封鎖する可能性があると述べていた。
「テヘランは、もし海峡を封鎖すれば、米国からの報復は迅速かつ懲罰的で残忍なものになることを理解している」とパピッチ氏は付け加えた。
同様に、ヤルデニ・リサーチの創業者エド・ヤルデニ氏も、最近の出来事は米国の強気相場に対する自身の確信を揺るがしていないと述べた。
「地政学的に見ると、トランプ大統領はアメリカの軍事的抑止力を再構築し、『力による平和』という彼のスローガンの信憑性を高めたと考えています」と述べ、2025年末までにS&P500指数を6,500に引き上げることを目標としていると付け加えた。
中東の地政学的展開を予測するのは「危険な作業」だが、ヤルデニ氏は、イランの核施設が破壊された今、この地域は「根本的な変革」を迎えるだろうと考えている。
ホワイトハウスのカロリン・リービット報道官は、新たなインタビューで、米国政府は土曜日にイランの主要核施設3カ所を爆撃したことで、テヘランの核開発の野望を解体する成果を達成したと「確信している」と述べた。また、トランプ大統領は「自身の直感と米国の情報機関の見解に基づいて」この決断を下したと述べた。
「土曜日の攻撃は、イランの核爆弾製造能力を奪い、我が国をより安全にしました。イランは『アメリカに死を』『イスラエルに死を』と脅迫する政権ですが、もはや核兵器を製造し、世界を脅かす能力は残っていません」と、彼女は 月曜日朝、メディア巡回中にABCニュースに語った 。
ホワイトハウス当局者が、これはイランの政権交代をめぐる紛争だということを軽視しようとしている中、リービット氏は、米国は「この信じられないほど暴力的な政権の権力を奪うこと」を目指していると述べた。
週末、フォルドゥ、エスファハーン、ナタンズは巨大なバンカーバスター爆弾の攻撃を受け、トランプ大統領は日曜夜遅くにTruth Socialで「衛星画像が示すように、イランのすべての核施設に甚大な被害が及んだ。壊滅という言葉がぴったりだ!」と宣言した。
しかし、IAEAの国連査察官は現在、フォルドゥ、エスファハーン、ナタンズといった被災地へのアクセスができず、イランが米軍基地や資産に対して反撃する可能性に備え、同国は事実上戦場と化しており、空域も閉鎖されている。そして当然のことながら、衛星は核濃縮施設や核備蓄庫がある地下の被害状況を評価できない。
FOXの報道官: 「なぜイラン国民はこの信じられないほど暴力的な政権の権力を奪うべきではないのか?」
また興味深いのは、トランプ大統領に提供されたイランに関する情報はイランが核兵器を保有するまであと「数週間」であることを明確に示しているという米国政府の主張をリーヴィット氏が繰り返したことだ。
結局、アメリカ国民は、この政権の「私たちを信頼してください!」という発言と、WMDに関する漠然とした「諜報報告」を根拠に、サダム・フセインに対するブッシュ・チェイニーの誤った主張と疑わしいほど似ている中東での新たな戦争と泥沼状態を支持するよう誘導されているという状況が残っている。
それでも、ホワイトハウスの公式見解は、トランプ大統領は イランの完全な政権交代を求めていない というもので、これはイスラエルのメディアも最近の見出しで伝えている内容でもある。
「大統領の姿勢とわが国の軍の姿勢は変わっていない」とホワイトハウス報道官のキャロライン・リービット氏は記者団に語った。
「大統領は、世界中の多くの人々が抱いている疑問を提起したに過ぎない。もしイラン政権が核開発計画の放棄や協議に応じることを拒否するなら…もし彼らが外交交渉の前進を拒否するなら、なぜイラン国民はこの残忍なテロ政権に抵抗すべきではないのか?」
つまり、この戦争は既に「イラン国民は立ち上がるべきだ」という段階に入っているのです 。
イスラエルとイランの最新ハイライト
トランプ米大統領は、フォルドゥ、ナタンズ、エスファハーンにあるイランの核施設を標的とした攻撃 を含む「ミッドナイト・ハンマー作戦」の開始を確認した 。 作戦にはB-2爆撃機7機を含む125機の航空機と、潜水艦発射型トマホーク巡航ミサイルが投入された。 フォルドゥをはじめとする深く埋まった標的を貫通するため、GBU-57大型貫通兵器(バンカーバスター)14発が投入された。
衛星画像では、全ての施設で甚大な被害が見られた。トランプ大統領は、これはイスラエルとの共同作業によるものだと述べた。
IAEAは被害状況の評価がまだ終わっていないが、放射能漏れの兆候はないと発表した。
米国がイランの核施設への攻撃を開始したことを受け、イラン議会は報復措置として ホルムズ海峡の封鎖を承認した。 国営テレビによると、イランの安全保障機関がこの計画を実行するかどうかの最終決定を下す予定だ。
イランはイスラエルへのミサイル攻撃で報復した。今後の行動は20以上の米軍基地または海軍資産を標的とする可能性があると述べている。イラン中央軍司令部は、米国にとって重大な影響を及ぼす強力な作戦が予想されると述べている。 米国の紛争介入により、イランにとって正当な攻撃対象のリストが拡大する。
ヨーロッパの午前中は、地政学的な最新情報が次々と発表されました(下記セクション参照)。 米ドルがさらに上昇した 要因としては、 イランの地方当局者がタスニム通信を通じて、イスラエルがフォルドゥの核施設を標的にしていると述べたことが挙げられます。 ジャーナリストのスタイン氏によると、イスラエルはフォルドゥへのアクセス道路を攻撃し、特定勢力の同地域への接近を阻止しました。
イラン中央軍司令部は、米国にとって重大な影響を及ぼす強力な作戦が予想されると述べている。米国の紛争介入により、イランにとっての正当な攻撃対象が拡大する。
イラン陸軍司令官はイラン通信(IRNA)を通じて、現在米国の利益に反する行動をとる自由があると述べた。
ファルス通信によると、イランの都市カラジがイスラエルのミサイルの標的となり、テヘランでは大きな爆発音が聞こえたという。
ロシアのクレムリンは、プーチン大統領が本日遅くにイラン外相と会談すると発表した。 米国との連絡チャネルは維持されており、トランプ米大統領とプーチン大統領の電話会談は「必要であれば速やかに調整できる」が、 現時点では予定されていない。イランは本日遅くに提案を発表する可能性がある。
イスラエル・イラン週末ニュース
米国の攻撃作戦
トランプ米大統領は、フォルドゥ、ナタンズ、エスファハーンにあるイランの核施設を標的とした攻撃を含む「ミッドナイトハンマー作戦」の開始を確認した。 この作戦には、B-2爆撃機7機を含む125機の航空機と、潜水艦発射型トマホーク巡航ミサイルが投入された。
14 個の GBU-57 大型貫通兵器 (「バンカーバスター」) が、特にフォードウなどの深く埋まった目標を貫通するために配備されました。
衛星画像により、3つの核施設すべてで重大なインフラ被害が確認され、フォードウでは6つの新しいクレーターが見つかった。
すべての標的への攻撃は、英国夏時間(土曜日)23時40分から日曜日0時05分の間に行われたと報じられている。 イランの防空システムは、攻撃を検知または迎撃できなかった。
トランプ大統領は、この攻撃はイスラエルとの共同作戦であるとし、「おそらくこれまでどのチームもやったことのないようなチームとして働いた」と述べた。
アクシオスは当局者の発言を引用し、作戦中、ウィトコフ大佐がアラクチ大佐に対し「攻撃は一度きりだ」と語ったと報じた。同大佐は、ワシントンが依然として外交的解決を模索しており、テヘランが交渉に戻ることを望んでいると認めた。
スカイニュースアラビアがアクシオスの情報として報じたところによると、トランプ米大統領はイランへの攻撃継続を望んでいなかったが、米軍基地が攻撃対象となった場合には攻撃を行うだろうという。
CNNの情報筋によると、トランプ米大統領は、イラン攻撃の計画を隠蔽するため、スタッフに2週間の猶予期間を発表するよう指示したという。
損害評価と原子力リスク
IAEAのグロッシ事務局長は、フォルドゥにはクレーターが確認でき、ナタンズは直撃を受け、エスファハーンのトンネル入口も被災したと述べた。地下の被害状況の完全な調査はまだ行われていない。IAEAの特別理事会は月曜日に予定されている。
ダン・ケイン統合参謀本部議長は、イランの核能力が完全に無力化されたかどうかを評価するのは「時期尚早」だと述べた。
米国の諜報当局は、イランが濃縮ウランの備蓄を事前に移転させた可能性があると懸念を表明している。
ルビオ米国務長官は、イランに対し濃縮ウランの備蓄を引き渡すよう求め、それらはエスファハーンの地下に埋まっており、攻撃前に移動された可能性は低いと主張した。
IAEAは放射能漏れの兆候はないと報告した。 サウジアラビア原子力放射線規制庁は、湾岸諸国で放射能の影響は検出されていないことを確認した。
ホルムズ海峡と原油流出の脅威
イラン議会は、米国による同国の核施設への攻撃を受け、ホルムズ海峡の封鎖を承認した。国営テレビによると、イランの安全保障機関がこの計画を実行するかどうかの最終決定を下す予定だ。
ルビオ米国務長官は、そのような動きは イランにとって「経済的自殺」となるだろうと警告したが、依然として緊張を高める確実な手段であることに変わりはない。
注:市場関係者によると、OPEC+は電話会議を行っておらず、供給途絶の兆候がまだ見られない中、緊急会議の協議も行われていないという。
イラン軍の対応
イランはイスラエルのテルアビブとハイファに報復ミサイル攻撃を開始し、少なくとも86人が負傷したと報告されている。
イラン当局は、今後の行動では同地域にある米軍基地や海軍資産20カ所以上が標的になる可能性があると警告している。
ロイター通信によると、イランは軍が対応の時期、性質、規模を決定すると述べた。
スカイニュースアラビアがニューヨークタイムズ紙を引用して報じたところによると、イランが支援する民兵がイラクとシリアの米軍基地への攻撃を準備している兆候が現れている。
イランの防空システムがエスファハーンで作動し、敵対的なイスラエルの航空機を標的にしていると報じられている。
イラン軍は、イスラエル軍の空爆により ヤズド県で革命防衛隊7人と徴兵兵2人の計9人が死亡したと報告した。
イランのメッセージ
CNNによると、イランは対応を検討しており、ワシントンが「彼らは脅迫と武力の言葉しか理解していない」と証明したことを受けて、イラン外相は「あらゆる選択肢」が検討対象になっていると述べた。
最高指導者ハメネイ師は、米国の攻撃は米国に「回復不能な損害をもたらす」と警告した。
イランのペゼシュキアン大統領は、イスラエルの爆撃作戦が続けば「より壊滅的な」報復措置を取ると警告した。
イラン政権筋は、攻撃による核物質の大規模な損失を否定し、施設からは事前に避難が行われていたことを示唆した。
イランの危機管理本部は、フォルドゥ付近の民間人には「危険はない」と述べ、国営メディアは現場から「すでに避難している」と報じた。
ハメネイ師の顧問は、施設の被害にもかかわらず、イランは依然として濃縮ウラン、独自の核に関する知識、政治的意志を保持していると主張した。
イラン外務大臣は、この攻撃は国際法と核拡散防止条約に違反するものだとして非難した。
イラン原子力庁は、 この攻撃を国際法に違反する「野蛮な行為」と呼んだ。
国際的な反応
国連安全保障理事会は、攻撃を受けて日曜日の20時(英国夏時間)に緊急会合を開いた。 ドロシー・シア米国大使は作戦を擁護したが、中国、ロシア、パキスタンは即時停戦を求め、米国を国連憲章違反で非難した。
国連とEUは緊張緩和を求め、アントニオ・グテーレス事務総長は「危険な緊張拡大」を警告した。
E3(英国、フランス、ドイツ)は共同声明を発表し、イランに対し核交渉に復帰するよう促し、さらなる不安定化行動に警告した。
カタール、サウジアラビア、クウェートを含む湾岸アラブ諸国は米国の攻撃を非難し、自制と外交的解決を求めた。
英国のキール・スターマー首相は米国の攻撃を支持し、「重大な脅威」への対応だと述べた。
イスラエルのネタニヤフ首相は米国の行動を称賛し、これは「歴史を変える」可能性のある「畏敬すべき正義の力」の発揮だと述べた。
サウジアラビア、オマーン、インドは懸念を表明し 、すべての関係者に外交的解決を追求するよう求めた。
米国の政治的および法的影響
議会の空爆に対する反応は様々だった。 共和党議員の大半は支持を表明し、テッド・クルーズ上院議員は作戦を称賛した。しかし、党内には反対意見も現れ、特にマージョリー・テイラー・グリーン下院議員は「これは我々の戦いではない」と発言した。民主党はこの動きを強く批判し、バーニー・サンダース上院議員はこれを「甚だしい違憲」と非難し、トランプ大統領が議会を迂回していると非難した。
CNNによると、米国司法省は、トランプ大統領は憲法第2条に基づき議会の承認なしにイラン攻撃を命じる権限を持っていると述べたが、紛争が長期化した場合は議会の関与が必要になるかもしれないという。
ブルームバーグによると、トランプ米大統領は月曜日の東部夏時間13:00/英国夏時間18:00に国家安全保障チームと会談する予定。
トランプ氏、Truth Socialで発言
トランプ米大統領は日曜日、 「イランの核施設への被害は『甚大』だと言われている。攻撃は強力かつ正確だった。我が国の軍隊は素晴らしい技術を示した」と投稿した。 さらに 、「現在のイラン政権がイランを再び偉大にすることができないのであれば、なぜ政権交代をしないのか」と述べ、「偉大なB-2パイロットたちがミズーリ州に無事着陸した」と付け加えた。
トランプ大統領はその後、 「衛星画像が示すように、イランのすべての核施設に甚大な被害が出た。壊滅という言葉がぴったりだ!…最大の被害は地表よりはるかに下で発生した。まさに的中だ!!!」と投稿した。
米国の国土安全保障と国内の脅威
米国は、特に攻撃後48時間以内のイラン支援によるテロ攻撃に対し、厳重な警戒態勢を敷いている。FBI 、国土安全保障省、そして地元の法執行機関は、ニューヨークやワシントンD.C.を含む主要都市の礼拝所における警備体制を強化している。
DHSは、サイバー攻撃や宗教的判決に触発された単独犯による事件の可能性など、国内の脅威環境が高まっていると警告した。
ホワイトハウスは米国内の潜在的なイラン潜伏細胞を監視している。
ヴァンス副大統領は、政権は バイデン政権時代にテロ監視リストに入った既知の人物を監視していると述べた。
地域軸の反応/見出し
イランのアラグチ外相はプーチン大統領と協議するためモスクワに到着した。 ロシアは米国の攻撃を「国際法の明白な違反」と非難した。
イランの通信社SNNによると、イランのアラクチ外相は、ロシアのプーチン大統領と共通の課題と脅威への対処について協議すると述べた。
ヒズボラは米国の攻撃を国際法および人道法違反だとして非難し、紛争が世界的に拡大する恐れがあると警告した。
イエメンのフーシ派当局者は、米国の攻撃に対する報復は「時間の問題だ」と警告した。
政府が常識的な政策を犠牲にして極左の政治目標を追求するために権力を乱用すると、州や地域全体が被害を受けることが多い。
近年 、 環境過激派が政府の権力を利用して次々と障害物を設置し、従来型エネルギーを中心とした多くのプロジェクトが頓挫した事例がまさにその例です。最も有名なのは、バイデン政権が 2021年にキーストーンXLプロジェクトを中止したこと です。このプロジェクトは、アルバータ州からネブラスカ州へ日量83万バレルのオイルサンド原油を輸送することを目的としていました。
不公平な状況で負け続けるよりは、苛立ちを募らせたエネルギー会社は次々とプロジェクトを中止し始め、企業や家庭に損害を与えました。一方、政府は風力発電や太陽光発電のプロジェクトを人為的に支援し、従来のエネルギー源よりも高価で信頼性と効率性が低い、納税者の財布を蝕むエネルギー源を推進しました。
停止に追い込まれた天然ガスパイプライン計画の中には、コンスティチューション・パイプラインと北東供給強化(NESE)パイプラインがあり、どちらもニューヨークへの天然ガス輸送を目的としていました。活動家たちはこれらの計画に反対を唱え、しばしば 清浄水への懸念や水圧破砕の危険性を主張し ました。水圧破砕はペンシルベニア州で行われており、計画は連邦エネルギー規制委員会(FERC)の承認を得ていたにもかかわらず、ニューヨーク州当局は最終的に極左勢力の圧力に屈し、許可を却下しました。
ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ氏(民主党)は、パイプライン反対派のリーダー的存在でした。NPR が以前報じたように、クオモ氏は2019年に「2050年までに炭素排出量を実質ゼロにする」という州の目標を法制化しました。パイプライン計画については、「あらゆる方法で対抗できるなら、必ず対抗する」と誓いました。
数年にわたる費用のかかる戦いの後、そしてニューヨークの規制当局と政治家が彼らの邪魔をしようと決意していたにもかかわらず、同社の役員らは2020年にお手上げ状態でコンスティチューション・プロジェクトを断念し、 わずか1年前には NESEパイプラインに関しても同じことをした。
環境団体は大喜びした。コンスティチューション・プロジェクトが中止された際、アースジャスティスの専属弁護士 モニーン・ナスミス氏は、「気候にとってこの重大な時期に、水圧破砕を促進し、気候危機を悪化させるような不必要な化石燃料プロジェクトを許容することはできない」と述べた。
停電の頻発や電力網の不具合が示すように、自称「環境団体」が推奨するいわゆる「代替エネルギー」は、手頃な価格で信頼性の高い従来のエネルギー源の代替としては不十分であることが証明されています。これらのエネルギー源の中で、天然ガスは費用対効果とクリーンさの両面でリードしています。天然ガスは、他の化石燃料と比較して炭素排出量が少なく、ますます「グリーン」なエネルギー源として注目されています。
天然ガスパイプラインプロジェクトの停止は、予想通りの結果をもたらしました。 ニューヨークとニューイングランドではガス不足が発生し、安定したエネルギー供給の維持に対する当然の懸念が生じました。 4月下旬にスペイン、ポルトガル、フランスの一部を襲った停電が示すように 、天然ガスは電力生産に不可欠であり、風力や太陽光発電の弱点によって引き起こされる電力網の混乱から住民を救うために不可欠です。
しかし、ニューヨークとその周辺地域には新たな希望が生まれている。トランプ政権が従来のエネルギー源を優遇する姿勢をとっているため、コンスティチューション・パイプラインとNESEパイプラインのプロジェクトを所有するウィリアムズ・カンパニーズは5月下旬、両プロジェクトの復活に向けて政府当局と協力すると発表した。
このニュースは、ダグ・バーグム内務長官の巧みな駆け引きと、現職の民主党知事キャシー・ホークル氏の穏健な姿勢を受けて報じられた。バーグム長官はニューヨーク近郊の洋上風力発電プロジェクトに作業停止命令を出していた。ロイター通信によると、バーグム長官は先月、ホークル知事が「新たなガスパイプラインの建設を前進させるだろう」と期待を寄せ、この命令を解除した。これはホークル知事の要請による ものだった。
一方、ホークル氏は「ガス管建設を具体的に支持したわけではないが、ニューヨーク州は州法の法的要件を満たすプロジェクトについて、米国政府および民間企業と協力する」と声明で述べたとロイター通信は報じている。ホークル氏の立場は、全面的な支持表明ではないにしても、クオモ知事が以前「いかなる形であれ異議を唱える」と公約していたプロジェクトとは大きく異なる。
ウィリアムズ社の関係者は 、同社は事業再開のため連邦規制当局に請願書を提出したと述べ、「ニュージャージー州、ペンシルベニア州、ニューヨーク州の環境規制当局と州の許可問題に関する協議を開始しており、NESEパイプラインとコンスティチューション・パイプラインの両プロジェクトを進めるために必要な許可を取得するため、速やかにこれらの機関に申請書を提出する予定だ」と語った。
従来型エネルギーへの反対は、幾度となく厳しい現実と衝突してきた。しかも、多くの場合、災害が発生し、当局が実績のある資源に頼らざるを得なくなった後に初めて衝突するのだ。トランプ政権による積極的な対策と、現実を認める左派の一部当局者による穏健な対応は、米国をはじめとする各国が直面する差し迫ったエネルギー危機を回避するのにちょうど良いタイミングで現れているのかもしれない。
ニューヨークのパイプライン計画は、気候変動カルトの誤った優先順位によって、アメリカが直面する課題を象徴する縮図となっている。全米各地の地方自治体関係者は、ニューヨーク当局が認識しているであろう事実を認識するのが賢明だろう。天然ガス供給システムの構築は、すべての人々に手頃な価格で安定したエネルギーを提供するという約束を果たすことになるのだ。
ちょうど2か月ほど前、ランド研究所は、カリフォルニア州、コロラド州、テキサス州の3州における集合住宅建設のコストに関する調査を発表しました。
結果は逆説的に衝撃的ではあったが、完全に予想通りのものだった。
カリフォルニアは、とんでもない場所で、とんでもない人たちが運営し、とんでもない規制が敷かれています。ランド研究所の研究者の言葉を借りれば、「カリフォルニアの平均的な市場価格のアパートは、平方フィート単位で見ると、テキサスで建設された同様のアパートの約2.5倍の費用がかかります。カリフォルニア内でも地域差があり、サンフランシスコ・ベイエリアの費用はサンディエゴの費用より約50%高くなっています」。さらに、「カリフォルニアでプロジェクトを完了させるのにかかる時間は、テキサスの平均所要時間よりも22ヶ月以上長くなっています」。ランド研究所によると、こうした途方もない格差の原因は、誰もが驚くことではないが、テキサスとカリフォルニア、そして(いわゆる)ゴールデンステート内の各管轄区域間の規制負担の違いにあるという。
今月初め、ショーン・ダフィー運輸長官はカリフォルニア州政府に対し、連邦政府が高速鉄道計画の無駄遣いに対する将来の資金提供の撤回を検討していると警告し、脅迫せざるを得なくなった。運輸省の報告書によると、連邦政府は過去数年間にわたり、カリフォルニア州に対しこのプロジェクトのために70億ドル以上を支出してきたが、当然のことながらカリフォルニア州はその全額を使い果たしたにもかかわらず、どういうわけか線路を1フィートも敷設できていない。当時ニューヨーク・ポスト紙が指摘したように、「800マイルの鉄道路線は、2期に分けて330億ドルの予算で2020年までに完成する予定だった」。しかし、提案された路線は現在、わずか119マイルに短縮されている。その予算は1300億ドル近くに膨れ上がり、新たな期限である2033年に完成する可能性は非常に低いと思われる。
一方、ムンバイ・アーメダバード高速鉄道プロジェクト(なんとインドで)は2014年に計画が開始され、順調に進んでいます。ニューズウィーク誌によると、インド鉄道は「2025年6月時点で300キロメートル以上の高架橋が完成したと報告している。(中略)河川橋14本、鋼橋7本、プレストレストコンクリート橋5本が完成済み」とのことです。さらに重要なのは、全長約600キロメートルに及ぶこのプロジェクトは、わずか150億ドルの費用で2030年までに完成する予定だということです。
結局のところ、建築物に関しては、カリフォルニアはテキサスに太刀打ちできないだけでなく、現実の第三世界であるインドにも太刀打ちできない。かつてはアメリカ経済を牽引するエンジンだったカリフォルニアは、今や錨となり、あらゆるものごとを泥沼に引きずり込んでいる。
とはいえ、ここでカリフォルニアだけを取り上げるのはおそらく公平ではないでしょう。今日、アメリカのどの州も、どの市も、どの郡も、連邦政府でさえも、予算とスケジュール通りに高速鉄道を建設することはできません。連邦政府は巨額の軍事予算を抱えながらも、船舶の建造に苦労しています。それどころか、保有する船舶の維持管理さえも困難です。アメリカはもはや物作りも、大規模で複雑なプロジェクトも完成させていません。少なくとも、それらをうまく、効果的に行うことができません。かつては物を作っていましたが、今はもうしていません。かつて、それほど遠くない昔に、私たちは人類史上最大の道路網を築き上げました。それは大陸全体を東西南北に横断するものでした。今では、州間高速道路網は完成どころか、着工すらされていません。どういうわけか、いつの間にか、アメリカのあらゆるレベルの政府は、ほとんど何もできない、あるいは何も建設できない能力を失ってしまったのです。
ここでの問題の最大部分は、一言で言い表すことができます。「官僚主義」です。ちょうど2週間前、まさにこのページで、「官僚主義は批判を受けながらも、大規模システムを効果的かつ効率的に運用する上で、人類が知る最も合理的かつ効果的な組織構造であり続けている」と書きました。これは紛れもなく真実ですが、アメリカ政府の官僚主義は全く機能していないように見えます。非合理的で、非効率的で、時には完全に機能不全に陥っているように見えます。しかし、なぜでしょうか?
良いニュースは、アメリカの官僚主義の問題は実はかなり簡単に診断できるということです。悪いニュースは、この「問題」がアメリカの行政慣行に深く根付いており、協調的で長期的な努力なしには解決できない可能性が高いということです。
1948年、アメリカの政治学者ドワイト・ウォルドは、彼の最高傑作となる著書『行政国家』を執筆しました。ウォルドの主目的は、アメリカ官僚制の「中立性」を揺るがし、ウッドロウ・ウィルソンが行政の理想的な特徴を論じた有名な著書以来、アメリカ行政の特徴となってきたウィルソン流の「政治と行政の二分法」を覆すことでした。この二分法は、アメリカの官僚制をウェーバー理論と結びつけ、アメリカの行政国家を他のすべてのものと同じようなものにしました。控えめに言っても、それは主に非民主的であったため不完全でしたが、少なくとも機能していました。ウォルドが登場するまでは。
問題は、ワルドが政治と行政の二分法に主に反対した理由が、それが非民主的であるという事実に基づいていなかったことにある。むしろ、行政が中立的、あるいは「科学的」であり得るという考えに対する反対だった。彼は、行政の適用において「価値」と「事実」を区別することは不可能だと考えていた。これは実際には、「効果的な」行政官は、ワルドの考えでは、他のあらゆる場面でそうであったように中立的に行動することができないということを意味していた。彼らはむしろ、官僚的な意思決定に自らの「価値観」を適用せざるを得なくなる。これは行政官たち、そしてより重要な点として、行政官たちに価値観の擁護者、つまり国家の行政に主に左派的な価値観を適用することを支持するよう指導した者たちによって、いわば免許証のように受け止められた。
2018年、『行政国家』出版70周年、ウォルドの有名なミノーブルック会議50周年を記念して、シラキュース大学マクスウェル市民公共政策大学院はウォルドとその貢献を偲び、「1948年に出版されたウォルドの著書は、行政は価値中立で、冷静でほとんど機械的に行われるという考え方に異議を唱えた。彼は、公務員は積極的で情報に精通し、政治的に賢明な変革の担い手になるべきだと主張した」[強調追加]。カンザス大学の行政学教授で、1988年の「ミノーブルックII」会議を主催したジョージ・フレデリクソンは、マクスウェル・スクール誌に対し、ウォルドの貢献には「ペンシルベニア州における3つの永続的なテーマ、すなわち社会的公平性、民主的な行政、そして積極的で擁護的な非中立的な行政」が含まれると語った。
1960年代後半には、公務員が自らを価値観の擁護者、社会正義の戦士とみなすことが、米国においてのみ容認される慣行となっていた。そして10年ほどのうちに、この姿勢は全米のあらゆるレベルの政府官僚機構に深く根付いた。当然のことながら、それから間もなく、アメリカ政府はほとんど何もできなくなってしまった。
ワルド革命は、本来は行政に依存し、価値中立で効率的な官僚機構を、左派の社会正義を掲げる機関へと変貌させた。これはアメリカの官僚機構全体の機能不全を説明するだけでなく、カリフォルニア州のような政治的に左派寄りの地域が、他の多くの地域よりもさらにひどい状況にある理由も説明する。政治家と同様に、官僚たちは異なる価値観に固執し、あるいは同じ価値観にさらに強固かつ執拗に固執し、あらゆるものを機能不全に陥らせ、崩壊寸前にまで追い込んでいるのだ。
結局のところ、アメリカ合衆国が21世紀に競争力を維持したいのであれば、官僚機構をどうにかしなければならない。行政国家は確かに巨大で肥大化しているが、それ以上に、独自の価値観に支配されており、それが絶望的に非効率で、皮肉なことに、根本的に非民主的になっている。あらゆるレベルでの行政の削減は始まりにはなるが、それで終わりではない。行政という概念全体を徹底的に改革し、「社会的公平」などの極めて主観的な価値観を実践と理論の両面から排除する必要がある。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
進歩的な億万長者エリート層、彼らの闇資金で運営されるNGO、極左議員、そして老舗企業メディアが、近年で最も手の込んだプロパガンダキャンペーンの一つを画策したことは周知の事実です。差し迫った「気候危機」というナラティブを武器に、連邦議会で環境関連法案を強引に成立させたのです。その結果は?地球を救うという高潔な名の下に、 財務省から巨額の資金が盗まれました。
まるで、民主党が環境保護法案を連邦議会で可決するために政治的な援護を必要としたときだけ、 「気候危機」が見出しを飾ったかのようだ...
今、グリーン詐欺の暗い側面が明らかになりつつある。ロイター通信は今週初め、 上院財政委員会のマイク・クラポ委員長(共和党、アイダホ州選出)が発表した税制法案草案が、バイデン・ハリス政権の2022年インフレ抑制法に基づいて導入された クリーンエネルギー補助金の段階的廃止を加速させる提案をしていると報じた。具体的には、この法案は太陽光と風力への税額控除を2026年から当初の60%に大幅に削減し、2028年までに完全に廃止する。現行法では、これらの税額控除は2032年から段階的に廃止される予定であるため、この提案は実質的に補助金の支給期間を短縮することになる。
クラポ氏はプレスリリースで、この法案草案は「グリーン・ニューディール支出を削減し、支出プログラムの無駄、詐欺、乱用を標的にしながら、最も弱い立場の人々のためにそれらを維持・保護することで、大幅な節約を実現する」と述べた。
グリーンエネルギー産業の生命線とも言えるクリーンエネルギー税額控除を削減すれば、業界全体に倒産の津波が押し寄せることになるだろう。 2011年にオバマ政権下で起きたソリンドラの破綻は、世間を驚かせたが、その規模は倍増していた。
「最終版ではないが、非常にネガティブな内容だ」と、再生可能エネルギーを専門とするFTIコンサルティングのマネージングディレクター、カーター・アトラマゾグルー氏は、上院の最新の税法案草案に言及して語った。
アトラマゾグルー氏はフィナンシャル・タイムズ紙に「住宅用太陽光発電を検討している人は、住宅所有者から金融業者まで、多くの大きな不確実性に直面しており、基本的に次に何が起こるか待つしかない」と語った。
「企業は流動性圧力にさらされており、業界は深刻な苦境に陥っている」と同氏は警告し、「事態は頂点に達しつつある」と指摘した。
フィナンシャルタイムズは、クリーンエネルギー企業の倒産件数が2022年から急増し、2024年までに大幅に加速することを示す破産データを引用した。連邦税額控除に大きく依存していたこれらの企業の多くは、補助金が枯渇する中で倒産しつつある。
今年、大規模な人員整理とレイオフが業界を悩ませると予想されます。これらの税額控除が廃止されれば、この傾向は加速するでしょう。
「需要は50~60%減少するだろう。多くの太陽光発電会社に大打撃を与えるだろう」とソーラー・インシュアのCEO、アラ・アゴピアン氏は警告した。
アゴピアン氏は「税額控除なしでは事業を継続できないため、多くの店が閉店するだろう」と語った。
上院の草案が発表されて以来、太陽光発電関連株は暴落している。サンランは36%、ソーラーエッジは30%、エンフェーズは21%、ファーストソーラーは19%下落している。
ソリンドラの没落はクリーンエネルギー業界における教訓として今も残っている...
「我々は6ヶ月間の崖に直面しており、数千の企業がわずか数か月の間にビジネスモデルを完全に作り直さなければならない」とソーラー・ホラーのCEO、ダン・コナント氏は警告した。「そんなことは不可能だ」
巨大な熱ドームにより、平原から中部大西洋岸、ニューイングランドに至る30州以上で気温が90度台後半、あるいは100度を超える高温となり、週半ばまで国内最大の電力網に負担がかかる恐れがある。
13州とワシントンD.C.の6,500万人に電力を供給する米国最大の電力網の運営会社であるPJMインターコネクションは、月曜日に「最大発電警報」を発令し、逼迫する状況下でピーク時の電力需要を満たすため、利用可能なすべての発電設備をフル稼働させるよう命じた。
なぜ警告が出るのですか?
PJM の 13 州にわたる継続的な暑さにより、需要は夏の最高水準に達しています。
PJM の取り組み:
6 月 23 日に最大発電警報と NERC EEA-1 が発令されました。これは、利用可能なすべての発電機がフル出力で稼働するよう要求される可能性があることを警告するものです。
同時に負荷管理アラートを発行し、需要応答リソース (非緊急および緊急の両方) を準備しました。
誰が行動を起こす必要があるでしょうか?
発電会社/送電会社の所有者 – 定期的なメンテナンスやテストを延期してユニットがオンライン状態を維持するようにします。輸出の削減に備えます。
近隣の送電網 – PJM の輸出が制限される可能性があると警告。
小売顧客 – 正式な需要応答イベントが後で宣言されない限り、アクションは必要ありません。
「この警報は、6月23日午後に電力需要が160ギガワットを超え、 2011年7月以来の最高値となる見込みで、13州の電力系統が逼迫することを予想して発令された」とブルームバーグはメモに記し、「米国東部の送電網運営者は、供給を支えるために『最大発電緊急事態』も宣言した」と付け加えた。
NOAA の気候予測センターは、6~10 日間の気温予想図で、月末にかけて米国東半分の多くの地域で気温が平均を上回ると予測しています。
ワシントンDC、ボルチモア、フィラデルフィア、ニューヨークでは、火曜日までの数日間、気温が華氏100度を超える可能性がある。
読者にとって、これは驚くべきことではない。我々はPJMの繰り返しの警告を広範囲に報道してきた。を詳しく取り上げ、電力網が「極めて逼迫している」と強調したゴールドマン・サックスのメモを紹介し、危険にさらされている人々に自宅でのバックアップ発電の追加を検討するよう促した。
●その他
備忘録(2025/6/20-22)
●企業
シェルは、イスラエルとイランの紛争が拡大し、重要な海上要衝であるホルムズ海峡を 通る石油とガスの流れが阻害された場合に備えて緊急時対応計画を準備している。
ワエル・サワン最高経営責任者(CEO)は木曜日、東京で開催された日本エネルギーサミット&展示会でブルームバーグのシェリー・アン記者に対し、 「もしこの動脈が何らかの理由で遮断されれば、世界貿易に甚大な影響が出る」と述べ、「事態が悪化した場合に備えて計画はある」と付け加えた。
世界の石油取引の約20%を占めるこの重要な水路を通るエネルギーの流れは(今のところ)途切れていないものの、この地域でGPS妨害が広範囲に及ぶ中、トレーダーたちは今週ずっと警戒を強めている。この妨害によって航行の認識が低下し、大規模な生態学的災害に発展する恐れがある。
水曜日、イランの元経済大臣エフサン・カンドゥージ氏はXについて発言し、 警告した...
カンドゥージ氏は「明日から100日間、イランの許可がなければ石油タンカーやLNG貨物は海峡を通過できなくなる」と述べた。
彼は、「この政策は、タイムリーに実施されれば決定的な効果を発揮する。実施が遅れれば、国内でさらなる戦争を強いられることになる。トランプ氏の戦いは、経済と安全保障の両立によって終結させなければならない」と述べた。
このようなメッセージは、特にこの地域におけるイスラム革命防衛隊(IRGC)の海軍活動と相まって、 IRGCが海峡の 商船航路を標的とした行動をとる可能性を高めています。このエスカレーションは、 JPモルガンによるブレント原油価格の1バレル120~130ドルという予測を、単なるシナリオから市場の現実へと変えるきっかけとなる可能性があります。
シェルのCEOに戻ると、彼はブルームバーグのシェリー・アン氏に対し、「現在特に困難なのは、一部の妨害行為が発生していることだ」と語り、「シェルは、この地域の主要海上ルートで非常に注意を払っている」と付け加えた。
ホルムズ海峡封鎖という最も差し迫った脅威は、早ければ今週末にも発生する可能性がある。ブルームバーグは昨夜、次のように報じた。
事情に詳しい関係者によると、イスラエルとイランが砲撃戦を続ける中、米国高官らは近日中にイランを攻撃する可能性に備えている。
彼らの中には、週末の攻撃計画の可能性を指摘する者もいた。ある関係者によると、いくつかの連邦機関のトップリーダーは攻撃の準備を始めているという。
シンガポールに拠点を置くストレーツ・インベストメントのCEO、マニッシュ・バルガヴァ氏は、この深刻な状況について、「米国がイラン攻撃に直接関与すれば、ほぼ確実に原油価格の大幅な高騰を引き起こすだろう」と警告した。「この高騰は世界的なインフレを悪化させ、FRBのような中央銀行によるインフレ抑制の取り組みを困難にし、利下げを遅らせる可能性もある」と同氏は述べた。
●マクロ
トランプ米大統領が推し進める不法移民の強制送還が、全米各地に影響をもたらしている。
ロサンゼルスのアパレル卸問屋街「ファッションディストリクト」からは人影が消えた。テキサス州の酪農家は、牛の搾乳を担当する労働者が仕事に現れず困窮している。作物収穫の人員確保にすでに苦慮していたアイダホ州のタマネギ農家は、人手不足がさらに悪化していると話す。
合法的な就労資格を持つ労働者でさえ、拘束や尋問を受けるのではないかとの不安から職場に現れないケースもあるようだ。
カリフォルニア州ベンチュラのダグ・ハルター副市長は、近隣のホームセンター大手ホーム・デポ周辺で移民当局が日雇い労働者を狙った一斉摘発を実施した後、 同店舗から中南米系の労働者が姿を消したようだと話す。最近その店舗を訪れると、白人だけしかいなかったという。「この地域を知っている人なら、これが異常な光景だと一目で分かるはずだ」と同氏は語った。
トランプ大統領が進める不法移民の強制送還で労働市場に衝撃が走っている。武装した移民・税関捜査局(ICE)職員による一斉摘発により、仕事場から不法滞在者が消えた。雇用主は不法移民抜きで経営を維持できるのか不安を隠せない。不法移民は米労働人口の推定約5%を占め、建設業や食品加工業など慢性的な人手不足に悩む分野では特に比率が高い。
「飢え死にする」
トランプ氏が公約に掲げていた史上最大規模の強制送還作戦の実現を目指す中、経済への影響も懸念されている。5月の米労働人口は減少しており、外国生まれの労働者の落ち込みが一因とみられている。
今週発表されたベイエリア経済研究所とカリフォルニア大学マーセド校の報告書によれば、移民が占める比率がとりわけ高いカリフォルニア州で移民の大量送還が実施された場合、同州の経済損失は2750億ドル(約40兆1000億円)に上る見通しだ。年間税収も最大230億ドル落ち込むと見込まれており、建設や農業などの主要産業にも甚大な混乱をもたらす恐れがある。
アイダホ州を拠点とする大手タマネギ農場「オワイヒー・プロデュース」を運営するシェイ・マイヤーズ氏は「畑で働く不法就労者をすべて送還したら、われわれは飢え死にする」と語る。
同氏の農場では毎年、農業就労を目的とする「H-2A」ビザを取得した労働者およそ90人をメキシコなどから確保し、アイダホおよびオレゴン州の1万エーカー(約40平方キロ)の農地を管理している。だが近年は人員確保が難航しており、作物栽培を一部断念せざるを得ない状況だという。
「こうした労働者なしには、米国民に食料を届けることはできない。それは単純明快な事実だ」と同氏は述べる。
政策混迷も重し
米農家は大量の人手が必要で、農務省は労働者の4割以上が不法滞在者と推定している。農場主も労働者も、トランプ政権の方針を測りかねている状況だ。トランプ氏は先週、人手不足に対応するため、移民政策に変更を加え、農場や食品工場、ホテル、レストランを摘発の対象から除外する可能性を示唆した。だがその数日後、国土安全保障省は職種にかかわらず、すべての不法滞在者を摘発対象にすることを再確認。トランプ政権は一転して、立場を急変させた。
政策の二転三転はトランプ政権で常態化しており、関税政策でも同様の揺れが見られた。背景には、ホワイトハウス内部の見解が割れていることがある。ミラー大統領次席補佐官は1日当たり3000人以上の逮捕を目標とする強硬的な移民送還政策を推進する一方で、ロリンズ農務長官は労働力不足を懸念する産業界の声に理解を示していると、事情に詳しい関係者は述べている。
ロサンゼルスで発生した抗議デモは、市内中心部のファッションディストリクトでICEによる強制捜査が行われたことが引き金となった。通常はミシン音が鳴り響いている同地区の製造工場は今や静まり返り、人手不足により店舗も閉鎖されている。卸売りの顧客を相手とするショールームは施錠されたままだ。
同地区の不動産所有者が運営する非営利法人によると、6月6日の大規模な取り締まり以降、同地区の訪問者数は4割減少。従業員の出勤率も24%近く落ち込んだ。
米労働力人口に加わった移民は2020年以降で550万人に上り、雇用創出の大部分を支えてきた。だが、トランプ氏は、移民取り締まりを治安回復と米国人の雇用保護の問題として位置づけている。
一部の手法については批判があるものの、不法移民摘発に対する国民の支持は根強い。米ピュー・リサーチ・センターが3月に実施した世論調査によると、少なくとも一部の不法滞在者、特に犯罪歴のある場合には強制送還すべきだとの回答が8割以上に上った。
イスラエルによるイラン空爆は同国の弾道ミサイル能力と軍事指揮系統に壊滅的な打撃を与えた。だが、最高指導者ハメネイ師は戦闘停止を拒否。米国が介入すれば「取り返しのつかない損害」を与えると強く警告した。
これを受け、イランが敵を圧迫する別の手段として、ホルムズ海峡の航行を遮断ないし事実上封鎖する可能性もあるとの観測が浮上している。ペルシャ湾入り口に位置するこの狭い水路は、世界原油貿易の約4分の1が通過する要衝。中国や欧州などの主要エネルギー消費地域に石油や天然ガスを輸送する巨大タンカーの通行をイランが阻止できれば、原油価格が急騰し、世界経済を不安定化させる恐れがある。
イランは過去にも商船を標的とし、海峡封鎖も辞さない構えを示していた。英当局はイスラエルの対イラン空爆直前に、地域情勢の緊張で海運に影響が及ぶ恐れがあると異例の警告を発した。世界有数の石油タンカー運航会社フロントラインもペルシャ湾からの貨物輸送に用いる船舶の運航には一段と慎重になる方針を示した。
ホルムズ海峡の場所は?
ホルムズ海峡はペルシャ湾とインド洋を結び、北岸にイラン、南岸にアラブ首長国連邦(UAE)、オマーンが位置する。
全長約100マイル(161キロメートル)で、最も狭い部分の幅は21マイル、双方向の航路の幅はわずか2マイル。
水深が浅く機雷の脅威を受けやすい。特にイランに近い位置にあるため、沿岸からの地対艦ミサイル攻撃や、巡視船、ヘリコプターによる妨害を受けるリスクが高い。
この海峡は世界の石油貿易に不可欠だ。ブルームバーグの集計データによると、2024年にはサウジアラビア、イラク、クウェート、UAE、イランから、日量約1650万バレルの原油とコンデンセートがタンカーでこの海峡を通過した。液化天然ガス(LNG)の輸送にも極めて重要で、同期間中に世界供給量の2割余り(主にカタール産)が通過している
本当に海峡を封鎖できるのか?
イランはホルムズ海峡の航行停止を命じる法的権限を持たないため、実行には武力または武力行使の威嚇に訴えることになる。
イラン海軍が海峡への進入を阻止しようとした場合、周辺をパトロールする米海軍第5艦隊などから強力な反撃を受ける可能性が高い。
しかし、イランの軍艦が1隻も出港しなくても、深刻な混乱を引き起こす可能性はある。小型の高速巡視艇で船舶を妨害したり、沿岸や内陸の拠点からドローン(無人機)を飛ばし船舶に向けてミサイルを発射したりする可能性もある。
ホルムズ海峡を封鎖すれば、イランは石油輸出が不可能になり、自国経済に深刻な打撃を与えるだろう。
また、イラン産石油の最大の買い手であり、国連安全保障理事会で拒否権を行使して西側主導の制裁や決議からイランを保護してきた重要なパートナーである中国を刺激することにもなる。
過去の海運妨害事例は?
イランは、自国への制裁に対する不満を表明したり紛争で圧力をかけたりする手段として、ペルシャ湾での船舶への妨害行為を数十年にわたり行ってきた。
24年4月:イスラエル攻撃直前にイラン革命防衛隊がイスラエル系コンテナ船を拿捕(だほ)。乗組員は後に解放された。
23年4月:米国に向かうタンカーを拿捕。これは、米側が制裁違反としてイラン産原油を積載した船を押収した対応の報復とみられる。
22年5月:イランはギリシャのタンカー2隻を拿捕し、半年間拘束。これは、ギリシャと米国当局が別の船舶のイラン産原油を没収した措置への対応とみられる。
イランはホルムズ海峡を封鎖したことがあるか?
これまでのところはない。1980年から88年のイラク・イラン戦争中、イラク軍はホルムズ海峡の北西にあるカーグ島にある石油輸出ターミナルを攻撃し、イランの報復を誘発して米国を戦争に引きずり込もうとした。その後、いわゆるタンカー戦争で、両国は合計451隻の船舶を攻撃した。これによりタンカーの保険コストが大幅に上昇し、原油価格の上昇につながった。2011年にイランに制裁が課せられた際、同国はホルムズ海峡を封鎖すると脅したが、最終的には撤回した。
過去の米国と同盟国の反応は?
タンカー戦争時には、ペルシャ湾を通過する船舶を米海軍が護衛した。19年には米国が空母やB-52爆撃機を派遣。同年に米国は、イランの海上交通妨害に対抗して「センチネル作戦」を開始した。英国やサウジ、UAE、バーレーンなどが参加した。
ホルムズ海峡に最も依存している国は?
サウジはホルムズ海峡経由で最も多くの石油を輸出しているが、国内を横断するパイプラインを利用して紅海沿岸のターミナルに輸送することで、ホルムズ海峡と紅海南部を回避できる。UAEはホルムズ海峡に依存せずに原油の一部を輸出できる。同国は、ホルムズ海峡の南にあるオマーン湾のフジャイラ港まで、自国の油田からパイプラインで日量150万バレルの原油を輸送している。
イラクの石油輸出は地中海への石油パイプラインが閉鎖されているため、全てバスラ港からホルムズ海峡を通過して海上輸送されており、自由な通行に極めて依存している。クウェート、カタール、バーレーンは、石油をこの水路を通過して輸送する以外の選択肢はない。ホルムズ海峡を通過する石油の大部分はアジア向けだ。
イランも、石油輸出をホルムズ海峡の通過に依存している。イランは海峡の東端にあるジャースク港に輸出ターミナルを21年7月に正式に開設しており、この施設は、同国が海路を使用せずに少量の石油を世界に出荷する手段となる。
日本の企業社会は変革を求めていた。そして今、その変化は良くも悪くもすでに起きている。
日本が「コーポレートガバナンス(企業統治)コード」を導入してから10年。今や企業の合併・買収(M&A)が相次ぎ、把握しきれないほどの活況を呈している。
プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社やアクティビスト(物言う株主)による提案や、次は自社が標的になるのではと恐れる企業同士の統合まで、もはやどんな買収も想定外ではなくなっている。
ここ数週間だけでも例は多い。台湾の電子部品大手ヤゲオが芝浦電子に対して異例の一方的な買収を仕掛けている。
ニデックからの買収提案を退けた牧野フライス製作所は、投資ファンドのMBKパートナーズに身売りする。
アクティビストが出資している日本企業はT&Dホールディングスやワコム、「ファイナルファンタジー」の開発元スクウェア・エニックス・ホールディングスなど多岐にわたる。
NTTは、人工知能(AI)事業を手がける傘下のNTTデータグループを2兆3700億円で完全子会社化。NTTのモバイル子会社のNTTドコモは、住信SBIネット銀行を買収する。
トヨタ自動車を中心とするトヨタグループによる傘下の豊田自動織機に対する株式公開買い付け(TOB)を通じた買収計画もある。カナダのアリマンタシォン・クシュタールは「セブン-イレブン」のセブン&アイ・ホールディングスの買収を目指している。
日本がガバナンスコードを採用したのは2015年6月。長らく軽視されてきた株主の利益を、経営陣に優先させることを促した。
変化はすぐには表れなかったが、その後数年で企業の経営陣に浸透し、円安と相まって、出遅れを恐れる海外投資家の動きを加速させた。かつて日本企業は、株式の持ち合いや安定株主に頼って不本意な買収提案を無視することができたが、いまや取締役会は対応を迫られている。
しかし、日本企業が売りに出されているかのような今の状況に懸念を示す声もある。例えば、ヤゲオが目指す芝浦電子買収に対し、「ホワイトナイト(白馬の騎士)」として名乗りを上げたミネベアミツミの貝沼由久会長兼最高経営責任者(CEO)は、芝浦の技術は日本の手にとどめるべきだと考えている。
貝沼氏は最近、誰でも日本企業を買えるようになったが、高値でどんどん外国に売られれば、最後に日本には何が残るのかと英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に語っている。
真の再編
ガバナンスコードがM&Aを後押ししたのは間違いない。しかし、こうした動きは当初の目的通りの成果を上げているのだろうか。導入から10年が経過した今は、検証のタイミングかもしれない。
日本の経営に関する報道では、出遅れや刷新が必要といった言葉が定番だ。しかし、欧米型の取締役会を手本とすることが、必ずしも良いとは限らない。
著名経営者のイーロン・マスク氏はかつて、「MBA(経営学修士)が牛耳る米国」に警鐘を鳴らしていた。取締役会に金融界出身者が多く、エンジニアが少ないことを問題視していた。日本の取締役会はガバナンスコード導入以降、たしかに改善されたが、同じ轍(てつ)を踏まぬよう警戒すべきだ。
私が以前から指摘しているように、日本の代表的企業の多くは、周囲に流されず独自の道を歩んだからこそ成功してきた。
社外取締役を多数起用したとしても、取締役の9割超が社外だというワーナー・ブラザース・ディスカバリーのように「HBO Max」の名称変更を繰り返し、CEOに5000万ドル(約73億円)を超える報酬を支払うような愚策は防げない。合併と分割を繰り返す同社のような企業活動は、社会的意義に乏しく、短期志向の表れと言える。
ただ、ガバナンスコードによって企業が手元資金の活用を真剣に考えるようになったのも事実だ。これはアクティビストが注目するポイントでもある。
彼らは、株主還元として自社株買いや配当を求めて取締役会に働きかけている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の本間靖健アナリストによれば、日本でのアクティビストによるキャンペーンはこの5年で約3倍に増加し、24年は151件と米国を除けば最多だった。
25年も5月末までに87件が始まっている。18年に財務相だった麻生太郎氏はガバナンスコードの主な目的は、企業の投資と賃上げ、株主還元を促すことだと述べていた。
このうち、株主還元は進んでいる。しかし、他の2つはどうだろうか。確かに企業に眠っている資金は多く存在する。しかし、こうした潤沢な内部留保があったからこそ、日本は11年の震災や新型コロナといった危機を乗り越えられた面もある。
だからこそ日本では、マレリホールディングスのような例は珍しい。同社はPE投資会社の米KKRがカルソニックカンセイとイタリアのマニエッティ・マレリを19年に統合し設立した自動車部品会社だ。だが、19年時点で多額の債務抱えていたこともあり、今月破産申請に至った。4万5000人もの雇用が脅かされている。
日本に本当に必要なのは、真の再編を後押しすることではないか。上場自動車メーカーが7社も必要だろうか。ビール会社も上場企業が3社もいるのか、多くの人が疑問を抱いている(米カーライル・グループ傘下のオリオンビールも上場を目指しているという)。
ガバナンスコードは、日本株の魅力を高める上で大きな役割を果たしてきた。しかし、日本企業はもともと、ちまたで認識されているよりもはるかに健全な経営をしていたところが多い。新たな時代は派手な見出しを生むが、日本の「たたき売り」になってはならない。
イランがイスラエル国内の防犯カメラに不正アクセスし、リアルタイムの情報収集を行っていることが分かった。こうした事例は、世界の紛争地でも繰り返し問題となっており、機器の脆弱(ぜいじゃく)性が改めて浮き彫りになっている。
「自宅の監視カメラをオフにするか、パスワードを変更してください」。イスラエルの元サイバー防衛当局者、ラファエル・フランコ氏は今週初め、イランの弾道ミサイルがテルアビブの高層ビルを直撃した後、公共ラジオで市民にこう警告した。
フランコ氏は現在、サイバー危機対応会社コードブルーを率いている。「ミサイルの命中精度を高めるため、イランがここ数日、カメラへの接続を試み、どこにミサイルが着弾したか、何が起きたのか把握しようとしていることが分かっている」という。
イスラエル国家サイバー総局(INCD)の報道官も、イランがインターネット接続型カメラを標的にする事例が増えている事実を認めた。「戦争の最中、こうした試みが継続的に確認されており、現在も再び活発化している」と、同報道官は16日に述べた。イスラエル国内の着弾地点の写真はSNS上で出回っているが、公式には投稿規制が敷かれている。
イスラエルの敵対勢力が防犯カメラをスパイ目的で使用したのは今回が初めてではない。最近までINCD局長を務めていたガビー・ポートノイ氏によれば、2023年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲する前にも、民間の防犯カメラがハッキングされていた。
ポートノイ氏は「パレスチナ自治区ガザ周辺でハマスが民間カメラを使って情報収集したことは、大きな失態だった」と述べ、「長年にわたり公共・民間両方のカメラ数千台がハッキングされ、情報収集に使われていた」と明らかにした。
世界で問題に
同様の手口はロシアによるウクライナ侵攻でも確認されている。米国家安全保障局(NSA)など西側諸国の情報機関が5月に公表した共同勧告によれば、ロシアは国境検問所や軍事施設、鉄道駅周辺などで民間の監視カメラに不正アクセスし、物資の移動を追跡していたとされる。また「交通監視カメラなど、正規の自治体サービスも悪用された」と報告されている。
ウクライナは2022年、ロシアが空爆計画にカメラを利用しているとの警告を受け、監視カメラの使用を禁止。翌年には、街頭ウェブカメラの所有者に対してインターネット配信の停止を要請した。当時の政府声明では、「ロシアはミサイル攻撃を行う上で、現代型ウェブカメラの脆弱性を突き、リアルタイムで調整している」と指摘していた。
米国では2022年、米連邦通信委員会(FCC)が国家安全保障上の懸念を理由に、中国製監視機器の使用を禁止した。
民間の監視カメラ市場は世界的に拡大を続けており、調査会社マーケッツアンドマーケッツ・リサーチでは、同市場の規模が2024年の540億ドル(約7兆8800億円)から2030年には890億ドルに達すると分析している。
比較的安価で普及している民間の防犯カメラは、外部からの不正アクセスやハッキングを受けやすく、軍の動向を探る手段や爆撃対象を選定する手段として悪用されるリスクが指摘されている。
イラン国内の各種反体制グループは、同国とイスラエルとの軍事衝突を受け、自分たちが希望する瞬間の到来が近づいてきたかもしれない、と考えている。しかし現体制を憎みつつも、祖国が攻撃にさらされているこのタイミングで大規模な騒乱を起こそうとは考えていない。
分派が激しいイランの反体制亡命勢力からは、街頭での抗議行動を呼びかける声が聞かれる。イスラエルがイランの治安機構を叩く中、国境地帯では少数民族であるクルド人やバルーチ人の分離主義グループも蜂起の構えを見せている。
イランは1979年の革命直後以来で最も弱体化したように見えるが、46年にわたる現在の支配体制を転換するには、何らかの大衆蜂起が必要となる公算が大きい。しかし、こうした事態が実際に起きるか、差し迫っているかについては議論が分かれている。
米国に亡命中のイラン元皇太子、レザ・パーレビ氏は今週のインタビューで、自身が体制移行を主導したいと語り、「今は過去40年間でイラン・イスラム共和国を打倒する最大のチャンスであり、われわれにとって歴史的瞬間だ」と強調した。
イスラエルにとってイランの体制転覆が攻撃目的の1つであるのは間違いなく、イスラエルのネタニヤフ首相はイラン国民に向けて「われわれもまた、皆さんが自由を手に入れるための道を切り開いている」と語りかけた。
イランの現体制は長年にわたり大衆の反体制抗議行動を抑え込んでおり、今回も抗議への備えを整えている兆しが見られる。抗議行動に対して動員されることが多い民兵組織「バスィージ」のメンバー、モハンマド・アミン氏は、自分の部隊が「イスラエルのスパイを摘発し、イラン・イスラム共和国を守るため」に警戒態勢に入ったと証言した。
しかし、今回のイスラエルによる軍事攻撃はイランの治安組織を標的とする一方、一般市民の間にも大きな恐怖と混乱を引き起こしており、イラン当局だけでなくイスラエルに対しても怒りが生まれていると活動家たちは話している。
現在はイランを離れている著名な活動家、アテナ・ダーエミ氏は「こんな恐ろしい状況でどうして抗議デモができるだろうか。今は誰もが、自分自身や家族、同胞、さらにはペットを守ることだけに必死だ」と述べた。
<イスラエルにも憤り>
イランで最も名の知れた活動家で、2023年のノーベル平和賞を受賞したジャーナリストのナルゲス・モハンマディ氏も、イスラエルがテヘランの一部地域からの避難を人々に求めたことに対し、「私の街を破壊しないで」とソーシャルメディアに投稿。祖国への思いをにじませた。
2年前に女性が頭髪を覆う布「ヒジャブ(ヘジャブ)」のかぶり方が不適切だとして逮捕され、その後拘束中に急死したマフサ・アミニさんの事件を受けて行われた大規模な抗議に参加した活動家2人も、ロイターがイラン国内で行った取材で、現時点では抗議を行う予定はないと明かした。
南部シーラーズの大学生は「攻撃が終わった後に声を上げる。現政権が戦争の責任を負っているからだ」と述べた。もう1人の活動家も、政権交代を信じているが「今は街頭に出るべき時ではない」と語った。集会を開いたり、参加したりする計画はなく、国外からの抗議の呼びかけについては「イスラエルも、いわゆる国外の反体制指導者たちも、自分たちの利益しか考えていない」と断じた。
パーレビ王政派以外のイラン国外における主な反体制勢力がムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MOK)だ。ただ、多くのイラン国民はMOKが1980─88年のイラン・イラク戦争の際にイラク側に与したことをいまだに許していない。
国外の反体制派グループがイラン国内でどれだけ支持を得ているかは不明だ。革命前の時代に対しては懐古の感情が一部で残るものの、多くの国民にとっては既に記憶が薄れている。
イラン国内の過去の全国的な抗議運動はそれぞれテーマが異なっていた。2009年は「盗まれた」とされる大統領選挙、2017年は生活水準の低下、そして2022年は女性の権利がきっかけだった。
イラン国内の反体制勢力にとっては、イスラエルの空爆が続く中、いつ抗議に動くべきか、どのような目的を掲げるべきか、誰の指導に従うべきかといった答えのない問いが、ますます切実さを帯びている。
イタリアのジョルジェッティ経済財務相は19日、欧州連合(EU)の財政規則は「愚かで無意味」だと批判し、加盟国が欧州委員会の勧告通り国防費を増額できるよう変更する必要があると述べた。
欧州委は安全保障への投資拡大を可能にするため財政ルールに柔軟性を持たせる条項を導入したが、ジョルジェッティ氏は現在の形では、EUの財政ルールに違反し過剰な赤字を減らす手続きの対象となっているイタリアなどに不利だと指摘。
「われわれが経験している危機に合わせてこれらの規則を最新のものにする方法を見いだし、愚かで無意味でないものにすることが不可欠だ」と声明で述べた。
欧州委は、通常なら財政赤字が対国内総生産(GDP)比3%を超えた場合に適用される違反措置を取らずに、加盟国が4年にわたり毎年GDP比1.5%ずつ国防費を増額することを認める提案をしている。
イタリアは今年、北大西洋条約機構(NATO)の目標であるGDP比2%の国防費を達成する見通しだが、来週のNATO首脳会議では5%への目標引き上げが見込まれている。
米南部オクラホマ州のウィチタ山脈のふもとにある2階建ての建物には、現在は中国が供給を独占しているニッケルを精製できる米国唯一の機械がある。
施設を所有する新興企業のウェストウィン・エレメンツは、オクラホマ州が米国の重要鉱物加工の主要拠点になることを目指している。米国は数十年前にこの分野の施設の大部分を停止していた。
オクラホマ州は主な重要鉱物の鉱床の不足、脆弱な教育制度、国際航路から遠く離れた米国の中心部にある立地など、いくつかの障害を克服しなければならない。しかし、中国が重要鉱物の輸出規制を進める中で、オクラホマ州は予想外の動きを示している。
共和党のトランプ米大統領は、産業向け鉱物の米国での生産を強化したい考えを示している。オクラホマ州では国内唯一のニッケル精錬所、国内最大のリチウム精錬所、2つのリチウムイオン電池リサイクル工場、レアアース磁石生産施設、さらに複数の電子機器廃棄物回収施設が建設中または稼働中で、これらの数は米国の州で最多だ。
他にユミコア(UMI.BR), opens new tabは太陽光発電パネル用のゲルマニウム結晶の生産拠点を抱えており、アーカンソー川支流の沿岸ではアルミニウム製錬所が来年着工する予定だ。アルミ精錬所が新設されるのは1980年以降で初めてとなる。
共和党のケビン・スティット知事はロイターに対し、「私は戦略的に、極めて重要になり得ると思われた新産業を意識的に狙ってきた」とし、「重要鉱物には投資資金が振り向けられているため、オクラホマ州に進出することになるのかもしれない」と語った。
オクラホマ州には立地、鉱脈の欠如といったマイナス要因があるものの、投資家や企業幹部はプラス要因が上回っていると話す。それらはオクラホマ州には大西洋、トランプ氏が「アメリカ湾」への改称を宣言したメキシコ湾、太平洋という米国の3つの海岸に向かう鉄道や高速道路が州を縦断していることや、エネルギー産業に精通した労働力の存在、州からの補助金や金融面での優遇措置、ミシシッピ川流域にアクセスできる大きな内陸港があること、そして当局の産業規制が緩いことなどだ。
オクラホマ州政府関係者はソーシャルメディア(SNS)で「電話を1本入れれば進出できる州」だと自慢しているが、これは規制のプロセスが合理化されていることを連想させる表現だ。
オーストラリアに本拠を置く新興企業MLBインダストリアルが今年早期にオクラホマ州へ進出したのは、まさにそれが理由だ。同社は機関車向けのリチウムイオン電池を供給している。
家族をオクラホマ州へ引っ越しさせたネイサン・リーチ最高経営責任者(CEO)は「他の州は成長性のある企業ではなく、確立された大企業が投資することを求めていた」とし、「私たちはオクラホマ州で成長するつもりだ」と訴えた。
トランプ政権の鉱物政策に詳しい情報筋は、米政府は特にニッケル精製工場の開設を長年求めていたものの、中国製品による価格競争激化が参入希望企業を遠ざけていたと指摘する。
カリー・ロング氏が創業したニッケル精製企業のウエストウィンは、中国から輸入する重要鉱物に米国が依存しているのを脱却することを願って「西側が勝つ」という意味の社名を付けた。同社は州都オクラホマシティーの南85マイル(約137キロ)の場所に実証施設を建設し、年間200トンのニッケルを精製できると説明する。30年までに精製量を年間3万4000トンへ引き上げる予定だ。
ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスの需要予測に基づくと、ウエストウィンの計画が実現した場合には米国のニッケルの年間需要の10%を精製できることになる。施設ではトルコとインドネシアの鉱山から採取した岩石と、リサイクルされた米国の電池を利用する。
ウエストウィンは、バイデン前政権(民主党)で導入されたグリーンエネルギーへの補助金や、共和党が猛反対している製造業への連邦税控除を廃止しないよう連邦政府に働きかけている。
ウエストウィンは、軍事用ドローンや他の機器の電池を製造するための金属を米国内で確保することを目指す国防総省とニッケル供給契約の締結に向けて交渉中だ。
<再生可能エネルギー>
北東約220マイル(約354キロ)ではスターダスト・パワー(SDST.O), opens new tabがリチウム精製工場を建設しており、2030年までに米国で必要とされる量の約5分の1に当たる年間5万トンの電池用金属の生産を目指している。住友商事(8053.T), opens new tabは今年2月、この工場の生産量の最大で半分を購入する予備契約を結んだ。
スターダストは、商業規模ではまだ実現していない塩水からリチウムをろ過する工場を目指しており、米電気自動車(EV)メーカーのテスラ(TSLA.O), opens new tabが南部テキサス州に建設中の工場とほぼ同じ生産能力を持つ予定だ。
工場で使う電気の一部は再生可能エネルギーでまかない、オクラホマ州の発電量の半分弱は風力発電が占めている。スターダストのローシャン・プジャリCEOは「これは大きな魅力だった」と話す。
今年早い時期に株式を公開したUSAレアアース(USAR.O), opens new tabは、EVに使うレアアース(希土類)磁石の工場をオクラホマ州に建設することを決めた。
ジョシュ・バラードCEOは来年早期に稼働を始め、当初は40万台を超えるEVに使うのに十分な年間1200トンを生産すると説明した。中国が4月にレアアースの輸出規制を始めたため、米国での引き合いが非常に強い。
バラード氏は、4月以降に潜在顧客から「多くの電話」を受けていると語った。同社は17日、人工知能(AI)向けデータセンターで使うレアアース磁石を供給することでムーグと予備供給契約を結んだ。
バラード氏は「私たちは迅速にできる。どのようにするのかと、政府の支援を触媒にできるかどうかだ」と言及。オクラホマ州選出のマークウェイン・マリン上院議員(共和党)ら3人の上院議員は今月、レアアースから磁石を製造するコストの約30%を税額控除する法案を提出した。
また、グリーン・リチウムイオンとブルー・ホエール・マテリアルズがそれぞれ手がけるオクラホマ州の2つの電池処理施設では、リチウムイオン電池を分解し、銅や新しい電池の部材に使えるようにする予定だ。オクラホマ州でリサイクルされた電池の大部分は、電池の細断部品として中国に輸出されている。
シンガポールに本拠を置くグリーン・リチウムイオンは、オクラホマ州では石油と天然ガスを潤沢に産出し、電池の細断部品の技術を持つエンジニアがいることに目を付けて米国の拠点を同州に移した。
グリーン・リチウムイオンのケビン・ホビー執行担当上席副社長は「オクラホマ州には多くの化学エンジニアがいる」と指摘した。
米連邦準備理事会(FRB)は20日、議会に提出する金融政策報告書で、トランプ大統領が表明した関税の影響はまだ出始めたばかりとし、行動を起こす前に状況の明確化を待つことができるとした。米国のインフレ率はやや上昇しており、労働市場は堅調であるとも指摘した。
FRBの報告書は「貿易政策が変化を続ける中、輸入関税引き上げが米消費者物価に及ぼす影響は非常に不透明で、消費者や企業の反応を評価するのはまだ時期尚早だ」と述べている。
その上で、「関税の影響は公式の消費者物価統計では直接観察できないが、今年の商品カテゴリー間の価格変動のパターンは、関税が最近の商品インフレの上昇に寄与した可能性があることを示唆している」と言及した。
例えば、家電製品や一部の消費者向け電子機器の価格は上昇している。一方、自動車も関税引き上げの影響を受けているものの、これまでのところ自動車価格の上昇はそれほど大きくないと指摘している。
住宅サービス関連のインフレ率は高いが、家賃相場がパンデミック(世界的な大流行)以前の平均に向かうに連れて低下傾向にあると指摘。旅行、飲食、その他の住宅関連以外のサービスのインフレ率は労働需要の軟化を反映して緩和していると述べた。
また、調査では家計が短期的にインフレ率の急上昇を予想していることが示されているものの、長期的なインフレ期待はFRBの2%目標と一致しているとした。
一方で、関税が家計と企業の景況感に重くのしかかっているとも指摘。消費者支出は景況感指標が示唆するよりも堅調だが、家計のバランスシートは概ね通常の水準まで縮小しており、家計は「数年前に比べて悪影響への対応力が低下している」可能性を示唆しているという。
ただ、こうした不確実性にもかかわらず、金融システムは「耐性」を示しているとも述べ、FRBは「インフレと経済活動の見通しがより明確になるまで待ち、潜在的な経済動向にタイムリーに対応する態勢が整っている」とした。
報告書は、来週行われるパウエルFRB議長の議会証言を前に発表された。
トランプ米大統領は、パウエル連邦準備理事会議長(FRB)の任期が終了するまであとほぼ1年あるにもかかわらず、間もなくパウエル氏の後任を指名すると述べている。投資家たちは、金融市場にとって危険な状況が生じる可能性があると語った。
トランプ氏は1月の2期目就任以降、政策金利を引き下げないという理由でパウエル議長とFRBに対する不満をあらわにしてきた。大統領はパウエル氏を解任しようと思えば実行できるとした今年初めの発言を撤回したが、今月初めになって後任議長をやがて選ぶだろうと述べた。
「影の」FRB議長が存在することになれば、現職議長と金融政策を巡って見解が対立する可能性が浮上し、そうすれば市場に混乱を引き起こし得るだろう。FRBが適正に機能する上でその独立性が欠かせないとの見方が広まっている以上、トランプ氏の意のままになる人選となれば、ウオール街を警戒させる面もあるだろう。
「誰が議長後任の指名を受けるにしても、監視するべき重要な点は政治的な配慮に基づいた人選と見なされるかどうかということだ」とアライアンスバーンスタインのエリック・ウィノグラード主席米国エコノミストは述べた。「つまり(要注意を)意味するのは大統領の気まぐれで見解を改めるような人物だ」
FRBはクーグラー理事の任期が来年1月に終わるまで、トランプ氏が当面指名できる空きポストがない。
オンライン予測市場ポリマーケットによると、国家経済会議(NEC)のハセット委員長、FRBのウォーシュ元理事、トランプ氏が1期目で指名した後で後任のバイデン大統領(当時)が人事案を取り下げたジュディ・シェルトン氏、ベセント財務長官が後任議長として有力候補とされる。
<影の議長>
投資家はFRBの後任議長が早い時期に指名されれば、金融政策について混乱したメッセージを伝えることになる可能性があると懸念している。
トランプ氏はここ数カ月間、FRBが今年に入ってから利下げしていないことについて、自らが2018年に指名したパウエル議長の批判を続けている。
FRBは昨年、政策金利を1%引き下げたが、直近の利下げは昨年の12月だ。FRBは、政策金利を現行水準の4.25─4.5%に維持する理由として、インフレ高進と失業率上昇の両面でリスクを挙げている。
トランプ氏はつい先週もパウエル氏が利下げをしないことについてばか者だと批判したが「解任はしない」と述べた。
投資家によると、FRB議長は米上院で承認される必要があり、トランプ氏が指名してから手続き上数カ月間を要する可能性がある。
トランプ氏がパウエル氏の後任を近く指名するとは思わず、その代わりにパウエル氏の任期終了の間際になるまで様子見するのではないかと考える投資家もいる。
複数の投資家からは、最終的に指名されるのは現時点で最も幅広く取り沙汰されていたり予測されていたりする人物でないかもしれない、との声も聞かれる。
ウィノグラード氏は「私が賭けるなら(浮上している人々とは)別の候補に賭ける」と述べた。
世界銀行は20日公表した報告書で、将来の危機を回避するため途上国と債権国の徹底的な債務の透明性確保が必要だと指摘した。新規融資について各国により詳細な開示を求めたい考えだ。
世銀のトロッツェンバーグ上級専務理事は声明で「隠れた債務が表面化すると融資は枯渇し、条件は悪化する」と指摘。「迅速で信頼できる情報へのアクセスを可能にする債務の徹底的な透明性が、この悪循環を断ち切るための基本だ」とした。
世銀は各国に対し、新たな融資契約を締結する際に透明性確保を義務付ける法規制の改革を実施し、より詳細な債務情報を共有することを求めている。
また、より定期的な監査、債務再編条件の公表、債権者による融資・保証台帳の開示、国際金融機関が誤った報告を発見するためのツール改善なども必要だとした。
イスラエルがイランに対して前例のない攻撃を開始した13日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はイラン国民に直接語りかけた。「邪悪で抑圧的な政権」に対して立ち上がるときが来たと、英語で呼びかけたのだった。
ネタニヤフ氏は、イスラエルの軍事作戦が「あなたたちの自由実現の道を切り開く」とした。
現在、イランとイスラエルの軍事対立は激しさを増し、攻撃の範囲も広がっている。そうした状況で、多くの人が知りたいと思っているのが、「イスラエルの真の最終目的は何なのか」だ。
ネタニヤフ氏が攻撃初日の13日未明に宣言したように、「現在のイスラム政権の核と弾道ミサイルの脅威」を終わらせることが、最終目的なのだろうか。
それとも、アメリカとイランの協議を終わらせることも含まれているのだろうか。この協議では、アメリカが厳しい制裁を解除するのと引き換えに、イランは核開発計画を抑制するという、新たな合意が検討されてきた。
ネタニヤフ氏がイランの人々に向けた発した「自由実現の道を切り開く」というメッセージは、イランにおける宗教指導者の支配を終わらせるという、さらに大きな目的を暗示したものなのだろうか。
誰の言葉に耳を傾けるのか
イスラエルで最も長く首相を務めているネタニヤフ氏の政治的キャリアを特徴づけているのが、イランがもたらす危険性を世界に警告するという、彼個人の使命感だ。爆弾の漫画を国連で見せたり、中東で戦争が続くこの20カ月間、イランは最大の脅威だと繰り返し発言したりするなど、さまざまなことをしてきた。
ここ何年かで、ネタニヤフ氏がイランの核関連施設への軍事攻撃を命じようとし、アメリカの何人かの大統領やイスラエル軍の将軍たちがそれを思いとどまらせたことが、一度ならずあったことも知られている。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、イスラエルの攻撃に青信号を出さなかったと述べている。だがネタニヤフ氏には、少なくとも黄色信号と思われるもので十分だったようだ。
「今や彼は入り込んでいる、完全に没入している」。西側政府当局者の1人は、ネタニヤフ氏についてそう話した。この当局者はまた、イスラエルの主な目標は、イランの核開発計画をだめにすることだとの見方を強調した。
イスラエルのそうした決意は、中東各国や国際原子力機関(IAEA)から非難されている。IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、「核関連施設は決して攻撃されてはならないと、私は繰り返し訴えてきた。いかなる文脈や状況であってもだ」と強調した。法学者らも、核施設への攻撃は国際法に照らして違法だとしている。
多くの人はいま、ネタニヤフ氏が側近や支持者らと同じ目標を追求しているのか、疑問に思っている。
「ネタニヤフが個人的に体制転換に賭けている一方で、イスラエルの政治と軍事の有力層はイランの核開発計画を大きく後退させることに力を入れている」。英シンクタンク「チャタムハウス(王立国際問題研究所)」で中東・北アフリカプログラムのディレクターを務めるサナム・ヴァキル博士はそう説明し、次のように続けた。
「後者は、難しいかもしれないが、ある程度は実現可能だ」、「前者は、短期の激しい紛争で実現するのは難しそうだ」。
イランの核計画を破壊
ネタニヤフ氏は、イスラエルの今回の作戦を、同国の存亡の危機を打開するための先制攻撃だと位置づけた。そして、イランによる核爆弾開発は「目前」に迫っているとした。
イランに一線を越えさせてはならないという同氏の思いは、西側の友好国も共鳴するものだ。ただ、同氏の切迫感を疑問視する人も多い。
イランは繰り返し、核爆弾の製造を決定してはいないと主張している。アメリカのタルシ・ギャバード国家情報長官も3月、「(米情報機関は)イランが核兵器を製造していないとの見方を維持している」と証言した。
国際原子力機関(IAEA)は最新の四半期報告書で、イランが純度60%まで濃縮したウランを、核爆弾9個分保有しているとした。この純度は兵器級(90%)の一歩手前だ。
イランの膨大な核関連プログラムで重要な役割を担う3施設(ナタンズ、イスファハン、フォルド)は、イスラエルの攻撃の最初の数日間で標的にされた。IAEAは、ナタンズの地上にあるパイロット燃料濃縮プラントが破壊されたとしている。
IAEAはまた、イスファハンで「重要な建物」4棟が被害を受けたと報告している。イスラエルは、イランの施設に「重大」なダメージを与えたと主張。これに対しイランは、被害は限定的だとしている。
イスラエルは「知識の源」を攻撃するとして、これまでに少なくとも9人のイランの核科学者と、何人かの軍トップ級の司令官らを殺害している。攻撃対象の施設は、軍事基地、ミサイル発射台、工場だったが、今では経済や石油関連の施設にまで広がっている。
イランもまた、標的を拡大しながら反撃している。民間人の犠牲者が、両方の国で増えている。
イランの膨大な核開発計画に決定的な打撃を与えようとすれば、同国で2番目に大きく、最も厳重に守られているフォルドの核関連施設に大きなダメージを加えなければならない。一部の専門家は、山の地下深くにあるこの複合施設に、兵器級に近い濃縮ウランの多くが備蓄されているとみている。
イスラエルのメディアは、この施設へのアクセスを遮断することが、イスラエルの現在の目標だと報じている。
山岳部の岩を大規模に粉砕するには大型貫通爆弾(MOP)が必要だが、イスラエルはそれを保有していない。一方、米空軍は持っている。MOPは精密誘導式の3万ポンド(1万3600キロ)級の大型爆弾だ。それでも、大きなダメージを与えるには、何日もかけ何度も攻撃する必要があるだろう。
「シナリオとして最も可能性が高いのは、ネタニヤフがトランプに電話し、『他のことは全部やって、B-2爆撃機や米軍への脅威がないことは確認したが、それでも核兵器開発計画を終わらせることができない』と訴える、というものだと思う」。元米政府高官で、米コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターのイラン専門家のリチャード・ネフュー氏は、BBCの番組「ニュースアワー」でそう述べた。
ある西側政府関係者は私の取材に、「トランプ大統領がどちらに飛ぶのか、まだわからない」と言った。
交渉の頓挫狙いタイミングを計った?
トランプ氏は行ったり来たりを繰り返している。先週初めの時点では、イスラエルに対し、イランを軍事的に脅すのをやめるよう求めた。攻撃すれば、イランとの核交渉が「台無しになる」というのが理由だった。トランプ氏は常に、交渉のほうが望ましいと公言していた。
ところが、いったんイスラエルが攻撃を始めると、トランプ氏は「素晴らしい」と称賛。「まだ続く、まだまだだ」と警告した。一方で、イランを合意に向かわせることができるかもしれないともつぶやいた。
そして15日には、自身のプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に、「イスラエルとイランの間に、まもなく平和が訪れるだろう! 多くの電話や会議がいま行われている」と書き込んだ。
イランの交渉担当者らは現在、オマーンの首都マスカットで15日に再開されることになっていたアメリカとの核協議について、緊張が高まっていた中で、イスラエルの攻撃は差し迫ってはいないとイランに思い込ませるための策略だったのではないかと疑っている。イスラエルの13日未明の激しい攻撃に、イランは不意を突かれた格好になった。
このタイミングに大きな意味を見いだす人は他にもいる。「イスラエルのこれまでなかった規模の攻撃は、トランプ大統領がイランの核開発計画の封じ込めで合意に至る可能性をつぶすために行われた」と話すのは、欧州外交問題評議会の中東・北アフリカプログラムのエリー・ゲランマイヤ副代表だ。
「イスラエル政府関係者の一部は、これらの攻撃はアメリカの外交における影響力を強めることが目的だったと主張するが、そのタイミングと規模の大きさからは、交渉を完全に頓挫させるのが狙いだったのは明らかだ」
これらの交渉に詳しい関係者らは先週、「合意は手の届くところにある」と私に言っていた。だがそれは、すべてのウラン濃縮を終わらせるようイランに求める最大限の要求から、アメリカが離れるかにかかっていた。アメリカは、民生プログラムで利用されるウランと同等の、1桁台という非常に低純度のウラン濃縮も認めない立場だった。イランはこれを「レッドライン(越えられない一線)」と見ていた。
トランプ氏は大統領1期目に、ネタニヤフ氏から度重なる働きかけもあって、画期的な2015年の核合意からアメリカが離脱することを決めた。その後、イランは、ウラン濃縮を純度3.67%(商業用原子力発電所の燃料生産に使われるレベル)に制限する決まりを守らなくなり、備蓄も始めた。
トランプ氏は今回、合意までに「60日間」の猶予をイランに与えた。この分野における経験と知識を持つ調停者らは、このような複雑な問題における猶予としは短すぎると見ていた。
そしてイスラエルは、61日目に攻撃を実施した。
「オマーンのチャンネルは当分の間、使えなくなった」と、前出のチャタムハウスのヴァキル博士は言う。「だが、事態がエスカレートするのを緩和し、出口を見つけようという地域的な努力はなされている」。
ネタニヤフ氏の「チャーチル的なムード」
イランから見れば、事態のエスカレーションは、備蓄や遠心分離機、超音速ミサイルだけが問題なのではない。
「イランはイスラエルが、イランの国家としての能力や軍の機構を徹底的に低下させ、イランとイスラエルのパワーバランスを決定的な形で変え、できればイランを総体的に転覆させたいと望んでいると考えている」。米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院の教授(中東研究・国際問題)で、著書「Iran's Grand Strategy」(イランの大戦略)を今年出したヴァリ・ナスル氏は、そう主張する。
イラン国民がどう反応するかは不明だ。
人口9000万人のこの国は、長年にわたり、国際的な厳しい制裁と組織的な腐敗に苦しんできた。 毎年抗議デモが起きており、内容は高いインフレ、低い就労率、水や電力の不足、女性の生活を制限する道徳警察などさまざまだ。2022年には自由の拡大を求めて、かつてない規模の抗議デモの波が起こり、厳しい弾圧にあった。
ナスル氏は、現在のイラン社会の雰囲気について、「非常に不人気だった将軍4、5人が殺された当初は、人々はほっとしたかもしれない。だが今では、自分たちの集合住宅が攻撃され、民間人が殺され、国のエネルギーと電気のインフラが攻撃を受けている」と言い、こう続ける。
「イラン国民の大半が、自分たちの国を爆撃している侵略者を支持し、それを解放とみなすようになる、などといったシナリオは考えられない」
ネタニヤフ氏の発言は、より広範な標的をほのめかし続けている。
ネタニヤフ氏は14日、「アヤトラ政権のあらゆる場所、あらゆる標的」をイスラエルは攻撃すると警告した。
15日に米FOXニュースに出演した際には、イスラエルの軍事努力の一環としてイランの体制転換もあるのかと具体的に問われると、ネタニヤフ氏は「もちろんそういう結果にはなり得る。イランの政権は非常に弱いからだ」と答えた。
英誌エコノミストのイスラエル特派員で、ネタニヤフ氏の伝記を著したアンシェル・フェファー氏は、「イスラエルは心理戦の一環として、イランの体制の、権力を失うことへの恐怖をあおろうとしている」と話す。
「イスラエル情報機関の一致した考えは、イランの体制崩壊の予測や工作は無意味だということだ。それはすぐに起こるかもしれないし、20年後に起こるかもしれない」
ただ、ネタニヤフ氏の考えは違うのではないかと、フェファー氏はみている。「スパイの長官らとは違い、ネタニヤフはこのメッセージを実際に信じている可能性が高いと思う。彼はいま、チャーチル的なムードの中にいる」。
アメリカのメディアは15日夜までに、それぞれの情報源からの話を基に、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師を殺害するというイスラエルの計画に、トランプ氏が反対したと報じた。ロイター通信が匿名の米政府関係者2人の話から、このニュースを最初に報じると、大きな話題となった。
イスラエルのギデオン・サール外相やツァヒ・ハネグビ国家安全保障顧問ら同国の要人は、イランの政治指導者に特に注目しているわけではないと強調。ハネグビ氏は、「だが『現時点では』という概念は、限られた期間だけ有効だ」と付け加えた。
結局のところ、この最終局面の輪郭は、危険で予測不可能な対立の行方と、予測不可能なアメリカ大統領によって形作られることになる。
「成功か失敗かは、アメリカを引きずり込めるかどうかで圧倒的に決まる」と、アメリカ中東プロジェクトの代表で元イスラエル政府顧問のダニエル・レヴィ氏はみている。「アメリカだけが、結末と着地点を決定することで、近い将来、これをタイムリーに終結に導くことができる」。
「作られる銃、進水する軍艦、発射されるロケット弾はすべて、結局のところ、飢えているのに食べ物を与えられていない人々、寒さに震えているのに着る物のない人々からの窃盗を意味する。」
- ドワイト・D・アイゼンハワー大統領(1953年4月16日)
ドワイト・D・アイゼンハワー大統領が軍産複合体のコストについて警告してから70年経った今でも、アメリカは世界帝国の資金を得るために自国民から盗み続けている。
2025年だけでも、米国は イエメンで空爆 (ラフ・ライダー作戦)を開始し、フーシ派支配下の港やレーダー施設を爆撃(多数の民間人を殺害)、中東にさらに多くの軍隊と複数の航空母艦を派遣し、 イスラエルの紛争激化を支援するためイランとの直接戦争に一歩近づいた。
これらの「新たな」戦線はいずれも、国民に国防として売り込まれている。しかし実際には、これらは数十年にわたる帝国維持キャンペーンにおける最新の前哨基地に過ぎない。学校が崩壊し、橋が崩落し、退役軍人が故郷で路上で眠る一方で、防衛請負業者の懐は肥え太っているのだ。
これは国防の問題ではありません。帝国の維持の問題です。
それは、国のインフラが腐敗し国民が無視されている一方で、終わりのない戦争、世界規模の警察活動、外国の占領から利益を得る軍産複合体を維持することです。
米国は過去半世紀の大半を、世界の警備、他国の占領、そして終わりのない戦争の遂行に費やしてきた。
ほとんどのアメリカ人が認識していないのは、現在進行中の戦争は国家の安全を守ることとはほとんど関係がなく、世界制覇を狙う軍産複合体を支えることにのみ関係しているということだ。
戦争は巨額の金儲けの手段となり、広大な軍事帝国を持つ米国政府はその最良の買い手であり売り手でもある。
ロシア・ウクライナ紛争におけるアメリカの役割により、納税者はすでに1120億ドル 以上の負担を強いられている 。
そして今、帝国の価格は再び上昇している。
明らかに、米国政府が世界を監視するのをやめるべき時が来ている。
米軍には 130万人以上の 男女が現役で勤務しており、 そのうち20万人以上が 世界のほぼすべての国に駐留していると伝えられている。
アメリカ軍はソマリア、イラク、シリアに駐留している。ドイツ、韓国、日本にも駐留している。 サウジアラビア、ヨルダン、オマーンにも駐留している。ニジェール、チャド、マリにも駐留している。トルコ、フィリピン、そしてオーストラリア北部にも駐留している。
これらの数字は、作戦上の安全確保と敵の不利を防ぐため、部隊の配置場所と数を完全には公表しないという国防総省の方針に沿って、おそらくはるかに高いものとなるだろう。調査ジャーナリストのデビッド・ヴァイン氏は、「ほとんどのアメリカ人が気づいていないが、米国は 歴史上、他のどの民族、国家、帝国よりも多くの基地を外国に保有している可能性が高い」と説明している。
信じられないことに、アメリカ軍は国内の自由を守るために海外に派遣されているわけではありません。むしろ、油田の警備、海外のインフラ整備、そして企業エリートの経済的利益を守るために使われているのです。実際、アメリカ軍は 世界中の石油供給を守るためだけに年間約810億ドルを費やしています。
アメリカの 軍事帝国は160カ国に 約 800の基地を擁し、年間1560億ドル以上の費用をかけて運営されています。Vine誌が報じているように、「バイエルンアルプスや韓国ソウルといった場所にある米軍のリゾートやレクリエーションエリアも、一種の基地です。世界中で、 軍は170以上のゴルフコースを運営しています。」
これが軍事帝国が地球を占領するやり方です。
20年間、アメリカの軍事力はアフガニスタンを 数兆ドルもの費用と数千人の命の犠牲を伴って支えてきました。軍隊がアフガニスタンから撤退すると、軍産複合体は単に戦場を移し、イエメン、イラン、そして紅海を新たな前線へと変えました。
新たな紛争はどれも国防目的と謳われている。しかし実際には、国防総省の世界的な活動は日常茶飯事であり、アメリカ兵は政府の果てしない世界市場の支配、外国政権の支援、石油、データ、戦略港湾の確保といった飽くなき追求の駒として利用されている。しかも、それは自由のためだと謳われているのだ。
このようにして、ドナルド・トランプ、ジョー・バイデン、バラク・オバマ、ジョージ・W・ブッシュ、ビル・クリントンなどの支援と幇助を受けた軍産複合体は、納税者の費用で富を築き続けているのだ。
しかし、アメリカ軍が世界各地を警備している理由は変わり続けるかもしれないが 、海外での戦争はアメリカ、あるいは世界の他の国々を少しも安全にしておらず、アメリカを再び偉大にすることは決してなく、むしろアメリカを間違いなく負債の深みに陥れている。
戦争費はアメリカを破産させている。
米国は世界人口のわずか5%を占めるにすぎないが、 世界の軍事費総額のほぼ50%を誇り、軍事費に充てている金額は 次に支出額の多い 19カ国の合計額を上回っている。
実際、 国防総省が戦争に費やしている金額は、全50州が 健康、教育、福祉、安全に費やす金額の合計よりも多い。
アメリカの軍産複合体は、その広さと規模において歴史上比類のない帝国を築き上げ、地球全体で永続的な戦争を行うことに専念してきた。
2001年以来、米国政府は終わりのない戦争を遂行するために10兆ドル以上を費やしてきたが 、その多くは借金であり、多くは無駄であり、そのすべてが血と納税者のお金で支払われた。
2025年のイエメンと中東情勢の激化を加えると、世界中で今後行われる戦争と軍事演習の最終的な費用は数十兆ドルに達するだろう。
貪欲な防衛請負業者、腐敗した政治家、無能な政府当局者によって取り込まれた、拡大を続けるアメリカの軍事帝国は、 1時間当たり3,200万ドル 以上の速度で国を枯渇させている 。
実際、米国政府が イラクで5秒ごとに支出した金額は、 平均的なアメリカ人が1年間に稼ぐ金額を上回っていた。
財政的に無責任な話だ。米国政府は、余裕のない軍事帝国に、持っていないお金を費やしているのだ。
たとえ今日、政府の軍事介入を終わらせ、すべての軍隊を帰国させたとしても、これらの戦争の代償を支払い、政府の債権者から借金を免除されるまでには何十年もかかるだろう。
調査ジャーナリストのユリ・フリードマン氏は、米国は15年以上もの間、 クレジットカードを使ってテロと戦っており、「基本的に、米国を拠点とする年金基金や州政府、地方政府などの団体、および中国や日本などの国が米国債を購入するという形で、借金で戦争資金を調達している」と述べている。
戦争は決して安くはないが、政府の無能さ、詐欺、そして強欲な請負業者の存在を考慮すると、途方もないコストがかかる 。実際、大手会計事務所は、国防総省最大の機関の一つが「数億ドル相当の支出を説明できない」と結論付けている。
残念ながら、追跡可能な支出に関しては見通しはそれほど良くありません。
政府の監査により、防衛関連企業ボーイングが 日常的な部品に対して納税者に多額の過剰請求を行っており 、その結果、数千万ドルの超過支出が発生していたことが判明しました。報告書が指摘しているように、 アメリカの納税者は以下の金額を支払っています。
たった 4 セントの金属ピンが 71 ドル。10 セント硬貨よりも小さい小さな歯車が 12.51 ドルで売られているのが 644.75 ドル。これは 5,100 パーセント以上の値上がりです。国防総省内で 7.71 ドルで購入できた、これも 10 セント硬貨よりも小さい別の小さな部品が 1,678.61 ドル。これは 21,000 パーセントの値上がりです。国防総省が手元に持っていて、何万個も使われていない真っ直ぐで細い金属ピンが 4 セントで 71.01 ドル。これは 177,000 パーセント以上の値上がりです。
こうした価格つり上げが、アメリカの軍事帝国内で腐敗の容認された形になっているという事実は 、暴走する私たちの政府に対して「我々国民」がいかに制御不能であるかを示す悲しい事実である。
念のため言っておきますが、これは単なる腐敗行為ではありません。これは致命的で、まさに不道徳な行為です。
これまでのところ、アメリカ人は戦争推進のプロパガンダを絶えず与えられ、愛国的な熱意を持って国旗を振ることに満足し、増え続ける死者数、破壊された人生、荒廃した国々、外国での無分別なドローンによる標的殺害や爆撃作戦から生じる反動、あるいは私たち自身の祖国が戦場と化していることをあまり注意深く見ようとはしていない。
米軍によるイエメンのラス・イサ港の爆撃で民間人80人以上が死亡した事件は、国益を理由に正当化された戦争犯罪の最新例にすぎない。
それは変える必要がある。
アメリカ政府は世界をより安全にしているどころか、 より危険なものにしている。米軍は 12分ごとに世界のどこかに爆弾を投下していると推定されている。9.11以降、アメリカ政府は約50万人の死に直接寄与してきた。その死のすべては、納税者の税金で賄われたものだ。
2025 年のエスカレーションにより、これらの数字はさらに増加するでしょう。
アメリカ政府はアメリカをより安全にしているどころか、むしろ アメリカ国民を深刻なレベルの「ブローバック」にさらしている。「ブローバック」とは、 CIA用語で、アメリカ政府の国際活動がもたらす予期せぬ結果を指す。元CIAコンサルタントのチャールマーズ・ジョンソンは、 アメリカが軍事力を用いて世界経済を支配することは、壊滅的な「ブローバック」をもたらすと繰り返し警告していた。
9/11同時多発 テロはブローバックでした。 ボストンマラソン爆破事件もブローバックでした。 タイムズスクエア爆破未遂事件も ブローバックでした。 フォートフッド銃乱射事件の犯人(アメリカ陸軍少佐)もブローバックでした。
米軍の進行中の無人機攻撃は、アメリカ国民に対するさらなる反発を招くのではないかと私は懸念している。
戦争タカ派によるアメリカの軍事化、つまり戦利品(軍用戦車、擲弾発射器、ケブラーヘルメット、突撃銃、ガスマスク、弾薬、破城槌、暗視双眼鏡など)を本国に持ち帰り、地元警察に引き渡し、それによってアメリカを戦場に変えることも、ブローバックである。
ジェームズ・マディソンは正しかった。「いかなる国家も、絶え間ない戦争の中で自由を守ることはできない」。マディソンはこう説明した。「公共の自由に対するあらゆる敵の中で、戦争はおそらく最も恐ろしいものである。なぜなら、戦争は他のあらゆるものの萌芽を包含し、発展させるからである。戦争は軍隊の母であり、そこから負債と税金が生じる…多数を少数の支配下に置くための周知の手段である。」
私たちは目の前でこの現象を目撃しています。
政府は経済を不安定にし、 怠慢と資源不足により国家のインフラを破壊し、終わりのない戦争、ドローン攻撃、増加する死者数により納税者のお金を血の資金に変えている。
国のインフラは壊滅状態だ。公立学校は資金不足に陥り、メンタルヘルスケアは崩壊寸前だ。住宅、交通、清潔な水といった基本的なニーズは満たされていない。一方、政府の請負業者は第三世界の村々に爆弾を投下し、それを戦略と称している。
これは単なる予算の不備ではありません。道徳的な破綻です。自国民の面倒も見られない国が、世界の治安維持に携わる資格などありません。
橋が崩壊し、水道システムが機能しなくなり、学生が借金に溺れ、退役軍人が路上で寝ている一方で、国防総省は砂漠に滑走路を建設し、誰も説明できない代理戦争に資金を提供している。
明らかに、我が国の優先事項は抜本的に見直す必要が ある。
私たちは自らの崩壊に資金を提供している。軍の車列が進む間、道路は腐り、ドローンが飛び交う間、電力網は機能不全に陥る。私たちの国力は、死と負債と機能不全しか生み出さない戦争機械に注ぎ込まれている。
新たな戦争は必要ない。共和国の復活が必要なのだ。
世界の警備をやめる時が来た。軍隊を本国に帰還させ、軍事基地を閉鎖し、秘密戦争を終わらせ、国防総省の予算を削減せよ。平和への道は帝国からの完全撤退から始まる。
強大なローマ帝国でさえ、その絶頂期においてさえ、崩壊する経済と急成長する軍事力に立ち向かうことはできなかった。長引く戦争と偽りの経済的繁栄が、帝国の衰退に大きく寄与した。歴史家チャールマーズ・ジョンソンは次のように予測している。
過去の民主主義帝国の運命は、このような紛争が持続不可能であり、二つの方法のいずれかで解決されることを示唆している。 ローマは帝国を維持しようとしたが、民主主義を失った。 イギリスは民主主義を維持することを選び、その過程で帝国を手放した。意図的か否かに関わらず、アメリカ合衆国の人々は既に非民主主義帝国への道を歩み始めている
これは、ドワイト・アイゼンハワー大統領が私たちの自由や民主的なプロセスを危険にさらさないように警告した「軍産複合体による、意図的か否かを問わず不当な影響」です。
第二次世界大戦中、ヨーロッパで連合国軍最高司令官を務めたアイゼンハワーは、戦後に出現した利益主導の戦争機構の台頭に警戒していた。この戦争機構は、存続するためには戦争を続けなければならないだろう。
我々は彼の警告に従わなかった。
私の著書『 Battlefield America: The War on the American People』 とそのフィクション作品 『The Erik Blair Diaries』で明らかにしているように、戦争は自由の敵です。
アメリカの政治家たちが、国家を破産させ、軍人を危険にさらし、国内でのテロや反動の可能性を高め、国家を最終的な崩壊にさらに近づけるような戦争に我々を巻き込み続ける限り、「我々国民」は永続的な圧政状態に陥ることになるだろう。
結局、帝国が崩壊するだけではありません。その過程で共和国も空洞化しました。
これは極めて深刻な事態です。チェス盤をミクロからマクロまで見てみましょう…
葬送の踊りの中で泣く影、
悲嘆に暮れるキメラの大声の嘆き。
イスラエルによるイランへの衝撃と畏怖の念は、米国のトレードマークである戦略そのものだが、当初はスピード、綿密な軍事計画、奇襲の要素を組み合わせたにもかかわらず、基本的に失敗した。奇襲には、軍のネットワーク内でのイランの電子通信のハッキング、革命防衛隊の垂直型ノメンクラトゥーラの斬首、蜘蛛の巣状のドローン攻撃戦略、そしてイランの核インフラの主要拠点への爆撃(最終的には効果なし)などが含まれていた。
イランのトップ技術者が電力網を復旧させるのに数時間かかりました。そしてそれが実現すると、形勢は逆転し始めました。日曜日の深夜、精密ミサイルの一斉射撃の後、IRGCは「強化された情報技術」を用いてイスラエルの指揮統制システムを深刻に混乱させ、鉄のドーム、あるいは紙のドームを突破する能力があると発表しました。
テルアビブとハイファの極めて重要なインフラ拠点が破壊されました。ラファエル兵器施設(ミサイル、ドローン、サイバー兵器、アイアンドームの部品を専門とする施設)からハイファの発電所や石油精製所まで、あらゆるものが破壊されました。これはあらゆる意味で歴史的な出来事です。
イスラム全土に広がる歓喜の叫びに加え、イスラエルに降りかかった甚大な精神的トラウマも重なり、イスラエルの無敵神話は完全に打ち砕かれた。上空から地獄を解き放ち、女性や子供を殺し、明日がないかのように振り回しても、真の敵との戦争に勝利することはできない。
急遽刷新された指導部によって修正されたIRGCの戦略は、計算され尽くした手術のように、日々微調整されている。IRGCにとって、イスラエル経済を完全に麻痺させることはそれほど難しいことではない。イスラエルには石油精製所が1つ(既に爆撃済み)、港が3つ(うち1つは既に破産状態(エイラート)、もう1つは火災発生中(ハイファ)、そして空港が1つ(既に深刻な状況)しかない。
テルアビブの必死の、まさに自殺行為とも言える行動(チェスとは無関係)に対する反動が始まっている。テヘランは、数時間でイランを血を抜かせることができるというシオニスト枢軸の計算、そして実際にそうなった計算が、予想通り誤りであったことを証明している。
一方、大統領は貪欲な罠に陥った。彼のMAGA支持基盤は既に深く分裂しており、非シオニストMAGAが圧倒的多数を占めている。彼は驚くべき幼児主義的な投稿で、イスラエルの「ショックと畏怖」について最初から全て知っていたことを認めた。
10日も経たないうちに、ニューヨークで億万長者の常連たちが詰めかけた会議で、トランプのタレーランことスティーブ・ウィトコフ氏本人が、イランの弾道ミサイルは「アメリカにとって脅威」だと明言した。過去48時間のイランの動向を鑑みると、ワシントンが事実上「熱い戦争」に突入していることは明らかだ。
テヘランの外交筋は、指導部がこのシナリオを想定して行動していると指摘している。だからこそ、彼らは実質的に依然として能力を温存し、エスカレーションの次の大きなステップを慎重に調整しているのだ。ここでも、イランの戦略的忍耐力が発揮されていると言えるだろう。
そこで疑問となるのは、米国が事実上戦争に突入したというシナリオにおいて、ロシアと中国が協調して自らの戦略的忍耐力を失うには何が必要なのか、ということだ。
ペルシャ人は、先月イランで私が目撃したように、自国の能力に対する誇りと信頼から、米国を含むシオニスト枢軸に打ち勝つために必要な資源をすべて保有していると考えている。結局のところ、彼らはヘイバル・シェカン2、ファッターハ1、ハジ・カセムといった最新鋭のミサイルを使い始めたばかりなのだ。
本当の戦争:BRICSに対する戦争
つまり、一言で言えば、イランの対応はチェス盤を完全にひっくり返したのだ。ワシントンで情けない軍事パレードを主催するなど、サーカス団長は裸だ。そしてマスクも着けていない。
彼は今や、一つどころか二つの代理戦争を掌握している。ロシアに対する戦争と、キエフのネオナチとテルアビブの大量虐殺者たちを最前線に置いたイランに対する戦争だ。これらはすべて、BRICS諸国に対する大局的な戦争の一部である。
もはや、聾唖者、口がきけない者、目が見えない者でさえ、これがイランの核開発計画やトランプ主導の包括的共同行動計画(JCPOA)2.0構築の「努力」とは全く関係ないことは明白だ。これはシオニスト枢軸の長年の執念、つまりテヘランの政権転覆に関するものだ。
それは、1990年代後半から夢見てきた聖杯であり、深刻な問題を抱えるイランの混沌の帝国に、エネルギーから希土類鉱床に至るまでの膨大な天然資源の扉を開き、数兆ドルの負債を抱えるこの帝国の寿命を延ばすことができる可能性がある。
さらなるボーナスはさらに魅力的だ。中国を国家安全保障上の問題(エネルギー輸入)と、重要な新シルクロードの連結回廊から切り離し、同時にロシアの腹に巨大な膿瘍を生じさせるのだ。これは、BRICS主要3カ国(イラン、ロシア、中国)、ユーラシア統合、そして多極的・多結節的 ( 強調は筆者)な国際関係システムへの推進力に、決定的な三重苦を一気に与えることになる。文明国が混沌の帝国とその支配者たちによる第三次世界大戦勃発への衝動に打ち勝つために奮闘している一方で、このシナリオに立ち向かうには、挑発に単に応じるのではなく(これがウクライナ代理戦争におけるロシアの主な戦略であった)、極めて狡猾な手段を用いて非対称的に行動することが不可欠であるという幻想をモスクワと北京は抱いていない。
一方、ロシアの情報機関は、イスラエル自身の「スパイダーウェブ作戦」の鏡効果についてすでに計算している 。この作戦では、ウクライナのSBU(諜報機関MI6とモサドのフロント企業)が核三本柱の一部であるロシアの戦略爆撃機に対して行ったのと全く同じ手法が採用されていた。
テルアビブがモスクワへの妨害工作に直接関与しているという深刻な疑問が投げかけられている。ウクライナの動向についても深刻な疑問が浮上しているのと同様だ。モスクワの情報機関は、トランプの「停戦」プロセスは、ロシアにしばらく後退を強いるための粗雑なカモフラージュに過ぎないと考えている。ディープステートの言いなりになっているNATOのチワワどもが(少なくとも彼らの歪んだ夢の中では)先制攻撃を準備しているのだ。
そのため、遅かれ早かれ、ロシアがイランの現在の戦略、つまり大規模なインフラ戦争を拡大し、ハイファの発電所の爆撃で同市が完全な停電に陥ったのと同じように、ウクライナを比喩的にも実際的にも完全な停電に陥れるのを目にすることになるかもしれない。
イランが失敗してはならない理由
もちろん、もしトランプが、後にイスラエルに暗殺されたアリ・シャムハーニの提案を受け入れるだけの成熟度を備えていたなら、現在の非常識なエスカレーションの階段は存在しなかっただろう。制裁が解除されれば、イランは高濃縮ウランを処分し、新たな核合意に署名できる。そうすれば、テヘランは民生用プログラムのために低レベルのウラン濃縮のみを行うことになる。
同時に、テヘランは米国の投資に加え、サウジアラビアとUAEによる共同核濃縮プロジェクトも提案していた。イランのアッバス・アラグチ外相は、協議が決裂する前に、オマーンで米国のスティーブ・ウィトコフ特使に直接この計画の概要を伝えていた。
一方、南半球諸国は、イスラエルとイランの間で繰り広げられる恐ろしく致命的なピンポンを注視している。追い詰められた西側諸国が平和の仮面の下で全面戦争を仕掛け、日増しに危険な存在となっているという認識が高まっている。
テルアビブの炎上は新たな時代の幕開けだ。彼らは怒りに燃え、今や「ベイルート」モデルをテヘランに押し付けようとしている。つまり、民間人の居住地区を無差別に破壊するのだ。そして再び、彼らが最も得意とするテロリズムに手を染める。
しかし、ジェノサイド的なシステムに対する免責はもはや存在しなくなるだろう。その帰結は、今週開催されるサンクトペテルブルク経済フォーラム、そして金曜日の総会におけるプーチン大統領の演説、そして7月初旬にリオデジャネイロで開催されるBRICS首脳会議に至るまで、必然的に議論されることになるだろう。
グローバル・サウスの脈を測ると、イランは事実上、西アジア全域において、ペルシア帝国が何世紀にもわたって行使してきた倫理観と地政学的権威を回復しつつあるように感じられる。文明国家が行うことはまさにこれであり、自らの勢力圏の特権的な守護者としての役割は常に不可欠である。
ブラジルの議長国の下では、それはありそうにない。しかしBRICSは遅かれ早かれ、非常に丁寧な宣言機関から、真の、堅固で、壊れることのないグローバル・サウスとグローバル抵抗軸の背骨となるための戦略的転換をしなくてはならないだろう。
激怒し混乱に陥った西側諸国は、もはやハイブリッド戦争モードではなく、まさに 「全力戦」モードに突入している 。つまり、南半球はポストハイブリッド、大義ある反逆者モードに切り替えなければならないのだ。
ナイジェリアからインドネシア、ベトナムに至るまで、BRICS加盟国とBRICSパートナー国の間で、イランの衰退を許してはならないというコンセンサスが高まっている。それほど深刻な事態だ。西側諸国による無制限の独裁の呪縛はついに解けた。残るのは「悲嘆に暮れるキメラの大声の嘆き」だけだ。ラクダの背骨を折るには、失敗に終わったが、衝撃と畏怖が必要だ。
中東からの矛盾した報告。追跡中の方へ:
アンチウォーのスコット・ホートン氏は、情報筋が早ければ先週の月曜日にも米国の攻撃を予測していたと語った(ホートン氏はそれが間違っていることを望んでいたが)。
シーモア・ハーシュは現在、イランの最高指導者が排除されるまで、米国による「激しい」攻撃が行われるだろうと報じている。
トランプ大統領は、イランへの攻撃を「承認した」とするウォール・ストリート・ジャーナルの記事を軽視し、実質的にはフェイクニュースだと述べた。
ホワイトハウス報道官レビット氏:「トランプ氏は2週間以内に決断を下すだろう」
一方、イスラエルは米国の支援なしに攻撃を開始すると脅しており、全面的な「政権交代」を求める声がいつもの容疑者から頻繁に聞かれるようになっている。
そのため、昨夜、ZeroHedgeは討論会を主催しました。「トランプは中東での政権転覆戦争をさらに支持すべきか?」
元下院議員マット・ゲーツ氏の司会のもと、リバタリアンのデイブ・スミス氏と作家のロバート・スペンサー氏が白熱した討論を繰り広げました。時間のない方のために、ハイライトをご紹介します。
1995年以来、核兵器が出現するまでに何ヶ月もかかっている…
ネタニヤフ首相が何十年も主張してきた、イランは核兵器取得に近づいているという主張に対する討論者たちの反応を見てみよう。
「目を覚ませ人々」
スミス氏は政権交代賛成派の議論をその根源から分析し、まず諜報機関が核兵器開発の証拠をほとんど示していないという事実から始め、もし核兵器開発を進めていたとしても適切な政策を論じ、最後に秘密核兵器に関するイスラエルのあからさまな偽善で締めくくった。
イランが核兵器の開発を進めているという主張は証明されていない。
「情報筋によると、彼らはいずれにせよ核兵器を手に入れようとはしていないようです。彼らが実際に核兵器を手に入れようとしていることを証明しなければ、そう判断することはできません。」
歴史的前例は、敵対的な核開発であっても抑制が可能であることを示している。
「偉大なスコット・ホートンが言ったように…トルーマンはソ連が核兵器を開発していたから戦争を始めたわけではなく、ジョンソンは中国共産党が核兵器を開発していたから戦争を始めたわけではない。」
核開発をめぐって戦争を起こすことは不当であり、侵略戦争である。
「他の国が核兵器を開発しているからといって、侵略戦争を起こしても構わないという考えは…」
イスラエル自身の秘密の核兵器庫は、その立場を偽善的なものにしている。
「中東には秘密裏に核兵器を開発しており、核拡散防止条約に加盟していない国が一つあり、それはイスラエルだ。」
「イランは核拡散防止条約に加盟しており、核兵器を開発していない。イスラエルは開発しており、世界に嘘をついている。」
「これが、アメリカを巻き込む戦争を起こすための大義名分?みんな、目を覚ませ!」
「アメリカに死を」
支援には直接的な戦争は不要(歴史的アナロジー):
スペンサー氏は、現在の状況を第二次世界大戦前の英国への米国の援助と比較する。
「レンドリース計画があった。プロパガンダ戦もあった。真珠湾攻撃以前には、ルーズベルト大統領はナチスに対抗する自由の側をあらゆる方法で支援していた」。
彼は、米国はイスラエルに対しても同様に、軍事的直接介入なしに、物質的、戦略的、外交的支援を提供できたことを示唆している。
政権交代への支持はトランプ氏の主義と合致:
スペンサー氏は、イランが核保有国になるのを防ぐことは「アメリカ第一主義」あるいはMAGA(アメリカ・ファースト)政策と一貫していると主張する。
「トランプ氏は、2015年に大統領選に出馬すると発表した最初の政治演説で、『イランが核兵器を持つことを許さない』と発言した。」
イランの反米敵意は単なる修辞的なものではない:
彼は、イランの敵意は空虚なスローガンではないことを強調する。
「アヤトラ・ハメネイ師はつい最近、『アメリカに死を!』と叫ぶのは、単なるスローガンではなく、政策だ」と実際に述べた。
スペンサー氏はさらに、イランが支援する数十年にわたる攻撃を列挙する。
1979年:大使館占拠と人質事件。
1980年代: CIAエージェントのウィリアム・バックリーの拷問と殺害。
1983年:ベイルートの海兵隊兵舎爆破。
近年:
「トム・コットンはロイド・オースティン国防長官に、イランはアメリカの国益を攻撃したことがあるかと尋ねた…オースティンは83回と答えた…そして[米国は]4回と答えた。」
対応の失敗は弱さを露呈する:
度重なるイランの攻撃に報復しないことで、
「もしそれが起こり続けるのを放っておいて、決して対応しないのであれば、それは弱さを露呈することになる。」
金は歴史の始まりから富を蓄えるために使われてきましたが、主流派の専門家の多くは、新たに発明されたほぼあらゆる投資機会を支持して、いまだに金を軽蔑しています...
ファイナンシャルアドバイザーは、個人のポートフォリオにおける金の比率を10%未満に抑えるべきだ と提言するにとどまっている 。個人投資家、ダークマネー、そして政府が近年の金投資の急増に貢献しているものの、主流派のファイナンシャルアドバイザーは依然として、金を合理的な水準よりもはるかに低い割合でしか利用していない。彼らは、不当に低いリスクではるかに高いリターンを求めるように条件付けされた顧客層を満足させているため、金の長期的な安定性から遠ざかっている。また、彼らは電子資産の高い利便性を投資価値と混同している。さらに、彼らは現在の社会経済システムが無期限に持続可能であるという前提に固執している。
現代人は、想像を絶する量の情報にアクセスできる一方で、いくつかの特殊な状況の結果として、現実に対して偏見を持っています。
人類の進歩と株式市場が永遠に一緒に急上昇するという考えは、多くの先祖が笑いものにしたであろう信念です。私たちは、何千年も人類を悩ませてきたあらゆる問題が根絶対象と見なされる特異な時代に生きています。今日直面している問題は、長くても数十年以内に根絶できると私たちは信じています。これを明確に信じていなくても、この思い込みが私たちの心に忍び寄っています。このような世界では、私たちはすべてを手に入れる権利があると感じており、平凡なリターンで妥協することはありません。高い リターンが保証されており、リスクが非常に低いと私たちは信じています。アドバイザーが顧客にこの過度に楽観的な状況について警告した場合、非常に不人気になり、顧客を傷つけているとさえ見なされる可能性があります。より低いリターンの資産を購入するよう提案することは、多くの場合好意的に受け止められないため、アドバイザーは簡単な方法を選択します。
電子決済プラットフォームの柔軟性と有用性により、金銭のやり取りは極めて便利になりましたが、 同時に電子資産は物理的資産よりも優れているという知的偏見も生じました。
電子資産には、正当な所有者以外には決して触れられない世界に連れて行かれるような安心感がある。もちろんこれは真実ではない。ハッキングや技術的エラーにより多くの資産損失が発生しているからだ。金は物理的に盗難される可能性があり、多くの電子資産よりも流動性が低いが、アドバイザーはこれらの理由を理由に顧客を金から遠ざけるべきではない。ハッカーが高度化するにつれて、インターネットの世界で安全を保つにはこれまで以上に警戒が必要になり、中にはその戦いを避けたいと考える人もいるだろう。金の流動性の低さは、ほとんどの投資家にとって問題にはならないはずだ。たった1時間金を売却するだけでは、長年かけて築き上げた富の移行に何の障害にもならないはずだからだ。金が物理的に存在するという事実は、 アドバイザーがより現代的で不透明な資産よりも金を心から推奨することを妨げるものではない。
資産運用の専門家が犯す最後の間違いは、現在の経済システムが安定したままであると想定することです。
現在の高度成長環境が永続すると保証されているならば、投機性の高い投資が平均的に最良の戦略となるでしょう。過去200年間の経済成長は、歴史的な例外に過ぎないのかもしれません。人類史上の特異性に加え、 極めて脆弱な要因が数多く存在し、このような状況が生まれています。自然災害や世界大戦は、現在私たちが享受している高速システムを支える通信構造を破壊する可能性があります。新型コロナウイルス感染症などの状況は、現在の世界が大きなショックに対して非常に耐性があることを示していますが、長期的な成長を損なう可能性のある、より微妙な別の危険が存在します。官僚主義の拡大と政府の不適切な投資は、非効率性を助長し、イノベーションを阻害します。これらの要因は既に多くの問題を引き起こしており、特に中小企業経営者にとって大きな問題となっています。官僚が小さな問題を解決しようとする欲求は、しばしばより大きな問題を生み出すことにつながります。過剰規制への緩やかな傾斜は、我が国の建国以来、繰り返し発生している問題であり、このような急激な経済成長の存続を危うくしています。
ファイナンシャルアドバイザーは、プレッパーズ(備えをする人)にとっての資産として金を軽視するかもしれないが、金に有利に傾くより広範な状況を理解していない。常に存在する世界の不確実性は 、投資家に不安定な成長ではなく、実績のある資産の安全性を求めるよう呼びかけているのだ。
トランプ大統領は米国における産業の好況を望み、5月にそれが実現した。
ブルームバーグの分析によると、先月、米国の自動車工場でのトラックの組み立ては、連邦準備制度のデータで1967年以来最も速いペースで増加した。
3月と4月の自動車販売総数が2か月連続で好調だったのに続き、トラックの組立台数は年率984万台に上昇し、その増加は小型ピックアップトラックの伸びによるものだった。
別のデータによれば、自動車販売店の在庫は4月まで6か月連続で減少しており、これは米国の消費者がこれほど多くの新車に散財する資金をどこから調達したかを説明するものではないとしても、自動車生産台数の増加を説明する一助となるかもしれない(実際はこれは誇張表現で、すべて自動車ローンによるもので、今後の消費者信用レポートで確認されるだろう)。
自動車組立は、火曜日に発表された連銀の工業生産報告の中で、数少ない明るい材料の一つだった。
インディアナ州のピックアップトラック工場の生産量を増やしたゼネラル・モーターズは、ドナルド・トランプ大統領の関税措置に対応して、今後2年間で米国事業に40億ドルを投資する計画だと発表した。
ガーディアン紙によると、国防総省の国防脅威削減局(DTRA)は、イランの厳重に警備されたフォルドゥ核施設を破壊するには核兵器の使用が必要になるかもしれないとアメリカ当局に伝えたと報じられて いる。
3万ポンドの通常型バンカーバスター爆弾であるGBU-57の限界について説明を受けた当局者は、トランプ大統領が命令を出したとしても、深く埋まった施設に到達して破壊するほどの威力がないかもしれないと懸念している。
報告書では、地形を軟化させるために通常爆弾を使用し、続いてB-2ステルス爆撃機から戦術核兵器を投下する必要があるかもしれないと述べられている。
最新の報道では、トランプ大統領が核兵器オプションを検討しておらず、ピート・ヘグゼス国防長官からも正式に提示されていないことを明確にしようと試みられている。しかし、ホワイトハウスが新たに発表した「匿名」の声明には矛盾する情報が含まれている。
さて、核爆弾の「可能性」、あるいは最終的には「必要性」について、世間では活発な議論が交わされています。クインシー研究所のイーライ・クリフトン氏は次のように述べています。
行政機関のコミュニケーション機構全体が、一夜にして全面戦争ヒステリーモードに切り替わるというのは不安ではあるが、驚くべきことではない。
イスラエルは、そのような攻撃を実行する能力がないことを踏まえ、トランプ政権下の米国に対し、あらゆる手段を使ってフォルドウを攻撃するよう求めている。
しかし、少なくとも今のところは、戦術核兵器が検討されていないのは「安心」できることだ...いや、ちょっと待って:
「どの選択肢も検討対象となっている」 とFOXの最新報道はホワイトハウス高官の発言を引用して主張している。
これらすべては、イランが実際に核兵器の開発を進めているというイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の主張を前提としている。
危険なことに、ホワイトハウスは、ホワイトハウスのシチュエーションルームの議論ですでに排除されている可能性のあるDNIトゥルシ・ギャバードによる米国の諜報機関の評価に関して、イスラエルの諜報機関の側に立っているようだ。
一方、原子科学者の出版物 速報では、フォードウの濃縮施設が破壊されてもイランの核の脅威がなくなるわけではない可能性があると警告している...
6月13日に開始されたイスラエルによるイランの核開発計画への攻撃が、イランの核兵器開発を阻止することに成功した場合、フォードウ燃料濃縮工場の除去は必要だが十分ではない措置となるだろう。
ゴム市近郊にあるフォルドゥ工場には、イランは 核兵器を複数製造できるほどの遠心分離機(最新型の IR-6を含む)と六フッ化ウランガスを保有している。彼らはおそらく5~6日で、核兵器1発分に相当する兵器級(90%)の濃縮ウランを製造できるだろう。おそらくさらに重要なのは、フォルドゥ自体が山岳地帯に建設され、様々な攻撃から守られた堅牢な施設であるという点だ。理論上は、国内の他の核施設が破壊された後も稼働を継続し、そこで得られた物質を秘密裏に核兵器製造の燃料として利用することができる。
イスラエルがイランの核開発計画に対して軍事的手段を継続すると決断するならば、フォルドウの濃縮施設がもはや脅威とならないようにする以外に選択肢はない。
レースベイターのアル・シャープトンのキャリア全体は、タワナ・ブローリー詐欺に関する虚偽の上に成り立っていた。
トレイボン・マーティンの喧嘩について左翼が語ったことのほぼ全ては嘘だった。
「手を上げろ、撃つな」というファーガソンの伝説とコヴィントンキッズの神話はすぐに暴露された。
デューク・ラクロスとジャシー・スモレットのメロドラマは笑えるものだった。
ロシアの「共謀」、「ラップトップ」の偽情報、そしてジョー・バイデンの「無能」なガスライティングはまったくの嘘だった。
しかし最近では、極左派は正気を失い、多くの暴力的で不快な人物を擁護するようになった。
不法移民でエルサルバドル国籍のキルマー・アブレゴ・ガルシア氏は、左派による国境開放を求める大規模で敗北を喫した戦いにおいて、不当な国外追放の犠牲者として描かれた。
ガルシアは「メリーランドの男」、つまりトランプの行き過ぎた権力行使の哀れな犠牲者になった。
彼は、家族を養うために建設業に従事していた家族持ちの男だったが、どういうわけか「書類」を取得することを忘れて国外追放された。
実のところ、ガルシアは現在、人身売買の重罪で起訴されている。彼はMS-13ギャングのメンバーだったと思われ、暴力的で女性を虐待し、建設業でまともな仕事に就くことはほとんどなかった。
ルイージ・マンジョーネは、ジャコバン派の政治にかかわった裕福で甘やかされた子供でした。
マンジョーネは革命家を装い、ユナイテッドヘルスケアのCEO、ブライアン・トンプソンを待ち伏せし、ニューヨークのホテル近くで冷酷に殺害した。
即座に、左派の一部はマンジョーネを、強欲とされる企業資本家に正義をもたらした革命の英雄として迎え入れた。
モハメド・ソリマンはガルシアと同じく、暴力的な不法移民だった。彼はユダヤ人全般、特にイスラエルへの憎悪を自慢していた。
そこでソリマンは火炎瓶を作り、ハマスに拘束されているイスラエル人人質の権利を主張するユダヤ人デモ参加者を焼き殺そうとした。
ソリマン氏が暴力的なジハードへの献身を説明するビデオを撮影した相手であるソリマン氏の妻と5人の子供も不法移民だった。
ソリマンは、ホロコーストの炉の火を思い出させるために、ユダヤ人を焼き殺すことを好んだのかもしれない。
主流リベラルメディアの考えでは、ソリマン一家は、不法移民を中東の故郷に送還することを検討していた邪悪なトランプ政権によって残酷に拘留されたのだ。
しかし最近のロサンゼルス暴動では、民主党全体とカリフォルニア州当局が暴力的な抗議者と不法移民の味方をしたため、左翼は完全に狂ってしまった。
国境開放を求める暴徒たちはすぐに、カリフォルニア州の左派当局が自分たちの味方だというメッセージを受け取った。
そこで群衆は車を燃やし始めました。不法移民はメキシコ国旗を振り、アメリカ国旗を燃やしました。
抗議者たちは警官たちにつばを吐きかけ、石や爆竹、コンクリートブロックを投げつけた。
商店は略奪され、重要な高速道路は人で溢れかえり、閉鎖された。
そして何のために?
バイデン政権による4年間の移民法破壊の間に米国に不法に流入した約1,000万から1,200万人の不法移民のうち数百人に強制送還令状を執行しようとするICEの法的取り組みに抗議するため。
カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサム氏は連邦政府の移民政策を「無秩序」かつ「無謀」だと非難し、トランプ大統領だけに執着しているように見えた。
そしてニューサム氏はICEに彼を逮捕するよう挑発した。
ニューサム氏は、南北戦争以前の、新南部連合の、州の権利を主張する活動家のように、カリフォルニア州の連邦所得税を連邦政府から差し押さえると脅したが、これは重罪となる可能性がある。
最近、パシフィック・パリセーズの火災時にガーナで遊興旅行をしていたことで悪名高いロサンゼルス市長カレン・バス氏は、ICEに対し「我々はこのようなことは容認しない」と警告した。
彼女の脅迫は何を意味していたのでしょうか? 街の暴漢たちを支援するために、アメリカ人警官の同僚たちを武力で攻撃するつもりだったのでしょうか?
カリフォルニア州民主党下院議員ノーマ・トレス氏は、逮捕状を発行しようとして対応に追われるICE捜査官に対し、「ロサンゼルスから出て行け」と卑猥な脅迫で叫んだ。
暴徒の暴力が激化し、国民の怒りが高まるにつれ、絶望し、今や恥ずかしさも募るニューサム氏は、ドナルド・トランプに対する執着を強めるしかなかった。
ニューサム氏の「トランプ狂乱症候群」の原因は何なのか?
それは、左翼の役人とメディアが宥めていた暴力を止めるために、トランプ大統領が、圧倒されているロサンゼルス市警察を支援するために州兵と海兵隊を召集したからだろうか?
要するに、左派は再び政治的自殺をしようとしているのでしょうか?
世論調査では、米国に不法入国し居住している人々、特に約50万人とみられる犯罪者を国外追放することに国民が圧倒的に支持を表明した。
最近の世論調査でトランプ氏を最も支持しているのはヒスパニック系の人々だ。他のアメリカ人と同様に、彼らは暴力的な暴漢や不法移民がメキシコ国旗を振り回し、メキシコに帰国する意思もなくアメリカ国旗を燃やしてアメリカに不法滞在を主張していることに憤慨している。
支離滅裂な左翼が抗議活動は「平和的」だと主張し、支援を送ったトランプ政権を非難すればするほど、暴力は続いた。
そして、トランプ大統領が暴動を止めようとしていることに国民はますます安堵した。
民主党には現在、健全かつ有能な指導者が欠けている。
しかし、それは、メキシコ国旗を振りながら、不気味なギャングや、甘やかされて育った暗殺者、反ユダヤ主義でユダヤ人を焼き殺す者、法律を破ってアメリカを非難する不法移民に気絶していい理由にはならない。
2021年、暗号通貨産業のアメリカは低迷していた。エリザベス・ウォーレン上院議員と、彼女に忠実な証券取引委員会(SEC)の執行官、ゲーリー・ゲンスラーは、暗号通貨に対する電撃的な攻撃を開始し、プラットフォームを次々と訴訟で攻撃し、あまりにも高圧的な法案を推進したため、多くの人が、アメリカの急成長する暗号通貨産業を麻痺させるのではないかと懸念した。
規制の不条理の極みは、2021年インフラ投資・雇用法(IIJA)のポイズンピル、悪名高い「DeFi ブローカー規則」として現れた。この条項の下、プロトコルとノードオペレーターは、ブロックチェーン上のすべてのウォレット保有者の氏名とアドレスを収集するという、カフカ的な要件を課せられた。
上院の議論では、遵守の不可能性が公然と認められており、この規則を議会特有のテクノロジー恐怖症や老齢性疾患のせいにするのは困難だ。ゲンスラー氏の空想的な運動が本格化する中、アメリカの暗号通貨コミュニティは不意打ちを食らったと感じ、無能というよりは意図的な妨害行為とも思える行為から逃れるため、多くの人が海外に避難先を求めた。
GENIUS法
DeFiブローカールールは、ゲンスラー氏のより広範な運動と同様に、 その範囲が最後の手段として面目を保つためにウォレット保有者を識別できる「能力のある」組織に遅ればせながら絞り込まれ た後も、今年初めに頓挫した。
その消滅により、世界中のノード運営者が間違いなく何百万ものウォレット所有者の名前と住所を収集するために懸命に取り組んだ骨の折れる努力が無駄になり、新たに作成された IRS フォーム 1099-DA は一瞬にして会計愛好家の収集品となり、決して提出されることはありません。
しかし、ウォーレン氏と彼女の仲間の制度主義者たちは、次の目標であるGENIUS法案にしっかりと目を向け、動揺することなく前進し続けた 。
ウォーレン氏は、元銀行法教授であり、この法案の起草に責任を持つ上院銀行委員会の上級メンバーで、72の個別の修正案を通じてこの法案を阻止するために、考え得るあらゆる規制脅迫戦術を駆使した。
一つの失敗した試みは、特に脅威的で、DeFiブローカー規則の論理を不気味に反映していました。この改正案は、ステーブルコイン発行者に、下流で発生するすべての違法取引を永久に監視・報告するという、シシュフォスの石のような義務を課すことを目指していました。
表面的には、このような要求は、当初のIIJA DeFiブローカー規則の不可能な要求とは異なり、単に複雑に見えるかもしれません。しかし、ここでの真の問題は複雑さではなく、不合理性です。銀行に顧客の身元確認や不審な活動の報告を求めるのは一つのことですが、通貨発行者に、そのトークンが関与するあらゆる犯罪について永続的な説明責任を負わせるのは全く別の話です。現金で支払われるすべての麻薬取引の追跡を米国財務省に義務付けることを想像してみてください。
ステーブルコイン対決
ウォーレン氏が、元の銀行秘密法のように、ステーブルコインの発行者が将来の使用をすべて監視するのではなく、ステーブルコインの最初のブロックを受け取る第三者を特定することを単純に主張していたなら、彼女の提案は超党派の上院銀行委員会に受け入れられ、天才法に盛り込まれたかもしれない。
このような慎重なアプローチは、テザーやサークルのような有力なステーブルコイン発行者であれば容易に実現できたはずだ。実際、テザーは先週、ウォーレン氏が称賛した司法省の訴訟で大きく名指しされた。この訴訟は、ロシア国民がステーブルコインを使って制裁を回避した事件に関するもので、ウォール・ストリート・ジャーナルなどのメディアは、この展開がウォーレン氏の立場を強固にするものとして強調した。
ウォーレン氏は、従来の銀行業務や国際送金監視を通じた制裁執行はステーブルコインよりも強力であると正しく指摘したが、彼女の立場は技術革新の必然性を見落としていた。同じ民主党議員のキルステン・ギリブランド氏はこの現実を認識し、ウォーレン氏の修正案を拒否し、GENIUS法案が推進するドル覇権を優先した。ギリブランド氏は特に、暗号資産エコシステムは人民元や人民元ではなく、ドル建てのステーブルコインで運営されるべきだったと主張した。
ウォーレン氏の過剰な介入によって最も利益を得るのは誰だろうか? JPモルガンの期待外れだったJPMコイン、そしてシティグループが2015年に社内で実施した「シティコイン」実験に続き、最近独自のステーブルコインを発表したバンク・オブ・アメリカのような大手銀行だ。多数のコンプライアンス専門弁護士を擁するこれらの動きの鈍い金融大手は、小規模で機敏な仮想通貨ネイティブの競合企業が規制の重圧に押しつぶされそうになっているまさにその時にこそ、繁栄する。ウォーレン氏は自らを銀行界の巨人と戦うダビデと位置づけているにもかかわらず、特に仮想通貨に関しては、規制上の武器や都合の良い論拠で彼らを武装させてしまうことが多い。
ウォーレン氏の努力は完全に無駄になったわけではなかった。ステーブルコインに関連する行政府の汚職リスクを軽減するための修正案を部分的に成立させたのだ。彼女は特に、アブダビで成立した20億ドル規模のステーブルコイン取引に注目した。この取引では、アラブ首長国連邦が支援するMGXがトランプ一家に関連するステーブルコインを用いてバイナンスに投資した。
他の上院議員は、既存の倫理法がすでに彼らをカバーしていると主張して、ウォーレン氏の修正案に大統領と副大統領が明示的に含まれることを阻止したが、ウォーレン氏がドナルド・トランプ大統領がカタールから4億ドルのボーイング747を受け取ったこととMGXの取引を結び付けたことは、民主党が政権を取り戻した場合の将来の選挙運動の論調、法戦、あるいは議会の調査を暗示している。
アメリカの仮想通貨コミュニティは、ウォーレン氏の高圧的な規制が単なるテクノロジー恐怖症的な行為ではなく、言論統制と権力維持を目的とした意図的な制度的策略であることを認識すべきだ。制度主義者たちはステーブルコイン法案を廃案にするのではなく、自らの手の内を露呈させ、意図せずして仮想通貨の次の大一番への布石を敷いてしまったのだ。
イスラエルがイランを攻撃する前日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はクネセト(国会)でアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領を温かく迎えた。「アルゼンチンは何千人ものユダヤ人にとって安全な避難場所となった」とミレイ大統領は イスラエルの政治家たちに語った 。「彼らは経済的困難と反ユダヤ主義の迫害から逃れるために避難してきた。東欧だけでなく、オスマン帝国にも」と彼は語った。「たとえ私に反対する人がいるとしても、オスマン帝国はすぐには復活しないだろう」
この発言は明らかにトルコとその長年の大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンに向けられたものであり、アンカラの政府関係者もその衝撃を見逃さなかった。急成長を遂げる地域大国であるトルコは、 2010年代のいわゆる「アラブの春」以降、中東で並外れた役割を果たしてきた。
地域に新たな力関係が形成される中、トルコは西側主要国の首都における評価を高めている。その台頭は目覚ましく、木曜日には、 イスラエルがイラン攻撃を開始すると事前に通知された米国の同盟国のうち、トルコを含む少数の国が含まれた 。
数時間後の金曜日早朝、イスラエルはイランの軍事施設と核施設への攻撃を開始し、著名な治安当局、情報機関、軍の司令官、そして核科学者の暗殺を開始した。住宅地や民間インフラも標的となったこの攻撃により、これまでに500人以上が死亡、少なくとも1,300人が負傷しており、その多くは民間人である。
これに応じて、イランはハイファ、テルアビブ、その他のイスラエルの主要都市に向けてミサイルの集中砲火を浴びせた。
トルコは、特に米国の情報機関 がイランが核兵器開発を積極的に進めていないと示唆していた時期において、イスラエルの攻撃は挑発 行為ではないと述べ、エスカレーションを嘆いている。エスカレーションは突発的なものとされ、多くの地域諸国を驚かせたが、トルコはかねてからイスラエルによるイラン攻撃に備えていた。
9月、 イスラエルが ヒズボラのハッサン・ナスララ議長を殺害した際、トルコ当局はイスラエルによる大規模な攻撃や、より広範な地域紛争の勃発といった事態を想定し、想定されるシナリオを検討した。彼らは、難民の波への対応策を含む緊急時対応計画を策定した。
10月、トルコ政府はまた、クルド労働者党(PKK)がイランやイスラエルの代理組織として利用されるのを防ぐため、投獄されているPKK指導者アブドラ・オジャランとの交渉を開始した。
イスラエルとトルコの関係
トルコは歴史的にイスラエルと良好な関係を維持してきたが、イスラエルと地域諸国との戦争による浮き沈みはあった。 トルコは1949年にイスラエルを承認した最初のイスラム教国であり、1990年代には国内情勢が不安定な時期にトルコの治安機関がPKKに対抗するために支援を必要としたため、徐々にテルアビブの同盟国となった。
2003年にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が権力を握って以来、両国の関係は戦略的パートナーシップから、ガザ地区やその他の地域でのパレスチナ人の苦しみをめぐって頻繁に対立する隣国関係へと 徐々に悪化 してきた。
2010年にイスラエルがマヴィ・マルマラ号を襲撃し、国際水域でトルコ人活動家10人を殺害したことで両国の関係は悪化したが 、その後改善した。しかし、2023年後半、トルコ当局がジェノサイドに当たると考え ているガザ紛争を理由にトルコ政府が和解を撤回すると 、緊張は再び高まった。
昨年イスラエルがヒズボラを弱体化させる作戦を展開し、シリアのアサド王朝が崩壊して以来、ネタニヤフ首相の行動によってこの地域は様変わりした。かつてイランが優勢だったこの地域において、イスラエルは今やますます重要な地域大国となっている。
イスラエル当局は、彼らが対峙する大きな資源を持つ唯一の他のプレーヤーはトルコであると公に述べ始めている。
トルコのハカン・フィダン外相は12月以降、この地域はトルコ自身を含め、いかなる単一の勢力にも支配されるべきではないと繰り返し主張してきた。トルコとイスラエルの間の最初の大きな課題はシリアであった。ネタニヤフ政権は、シリア南部におけるトルコのレーダー施設や防空施設の設置に断固として反対した。
アメリカの当局者は事件の可能性を懸念し、 両国に協議を 促し、その結果 4月にトルコとイスラエルの間に ホットラインが開設された。
協議は進展し、トルコ当局はシリア領土へのイスラエルの攻撃を阻止するための妥協点を見出そうと、シリア代表をイスラエルとの協議に含めた。主要な争点はシリア領空支配であった。トルコはイスラエルとの衝突回避協議が完了するまで、基地の早期制圧計画を延期した。これは事実上、後にイスラエルにイラン攻撃の機会を与えた。
トルコにとって、これはトルコ領空に関わる問題ではなかった。トルコ当局はイスラエルに対し、領空問題に関する懸念をアンカラではなくシリアと直接交渉するよう助言した。
ミサイル計画の加速
トルコは数十年にわたり、イランを不安定化させる勢力と見なし、核兵器取得を目指すテヘランの野望に反対してきた。しかし、イスラエルによる イランへの一方的な攻撃は、テヘランが核兵器開発に近づいているという説得力のある証拠を提示することができず、トルコ国民は、NATO加盟国であるトルコが将来、西側諸国の安全保障体制に深く組み込まれていることを示唆する兆候だと受け止めた。
この脅威感は、エルドアン大統領の主要同盟者であるトルコ民族運動党(MHP)のデヴレト・バフチェリ党首からも同様に表明された。
バフチェリ外相は火曜日、イスラエルによるイランへの軍事作戦は、トルコを包囲し、その地域的野心を損なわせようとするより広範な戦略の一環だと警告した。「イスラエルの政治的・戦略的目的は明白だ」とバフチェリ外相は述べた。「アナトリアを包囲し、トルコの主権者のためにテロのない未来への道を妨害することだ」
トルコ国民を安心させるため、当局はメディアに特定の情報をリークし始めた。あるトルコ人コラムニストは、最初の攻撃の夜、トルコのレーダーがイスラエルのF-35戦闘機を検知し、トルコはイスラエルの作戦を追跡するためにF-16戦闘機とAWACS早期警戒機を緊急発進させたと主張した。
別のコラムニスト は 、攻撃のために離陸したイスラエル軍機の一部が同夜、意図せずトルコ領空を侵犯し、トルコがF-16戦闘機を緊急発進させ、無線で警告した後、急いで撤退したと主張した。「これはトルコの戦争ではない」と、トルコ政府に近いアンカラの関係者は述べた。
「しかし、今回の攻撃を深く研究し、将来起こり得るあらゆるリスクと選択肢に備えるために適切な措置を講じる必要があることを示している」トルコ高官は、更なる緊急時対応策を議論するため、2回の安全保障会議を開催した。トルコ軍はまた、イスラエルの戦術についても綿密に研究している。
エルドアン大統領自身も、この攻撃に対し、地域の指導者、ドナルド・トランプ米大統領、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領に電話をかけ、対応した。また、トルコの隣国であるシリアのアハメド・アル・シャラー大統領とイラクのモハメド・シーア・アル・スーダニ首相にも電話をかけた。
トルコの発表によると、エルドアン大統領はトルコに対し、最近のイスラエルとイランの間の緊張激化に関与しないよう特に助言したようだ。
エルドアン大統領は月曜日、トルコは中距離・長距離弾道ミサイル計画を加速させ、抑止力を強化し、誰も敢えて反抗できない国にしようとしていると述べた。 水曜日には、トルコは防衛産業を完全に独立させると誓った。
その後、エルドアン大統領は、ネタニヤフ首相が先週言及したように、オスマン帝国の紋章をあしらったXに関する演説を披露した 。「オスマン帝国の勝利軍には理念があった」とエルドアン大統領は述べた。
「独立を望むなら、自由を望むなら、名誉、尊厳、誠実さをもってこの地に住みたいなら、経済的繁栄を望むなら、豊かさ、富、調和を望むなら、平和を望むなら、常に戦争の準備をしなければならない。」
欧州のディーゼル価格は5営業日連続で上昇した。これは、中東の重要な航路が遮断されるのではないかという懸念の高まりが背景にある。イスラエルとイランの紛争はEU全体に警鐘を鳴らしている。EUはロシアからの燃料供給を失って以来、 ホルムズ海峡を通過する燃料輸送への依存度をますます高めている。
「供給不安が欧州のディーゼル価格高騰を引き起こしている」と、エネルギーコンサルタント会社FGEネクサントECAの精製製品責任者、ユージン・リンデル氏はブルームバーグに語った。「ホルムズ海峡封鎖による長期的な混乱に備え、多くの輸入業者が現在、在庫補充を急いでいる」とリンデル氏は付け加えた。
ホルムズ海峡封鎖の懸念により、欧州ディーゼル市場が堅調な主なポイントは以下のとおりです。
ディーゼルの原油価格に対するプレミアムは1バレル25ドルを超え、2024年3月以来の高値となった。
バックワーデーションは急激に拡大し、7月ディーゼルは8月より1トンあたり21.25ドル高く、2024年12月は2025年12月より1トンあたり45.25ドル高く取引されている(6月9日のわずか0.50ドルから上昇)。
トレーダーらは弱気な賭けを解消しようと急ぎ、 10万件以上のガソリン先物契約を決済した。これは2021年以来の4日間で最多の取引数だ。
ブルームバーグの推計によると、 ヨーロッパは昨年、ホルムズ海峡を経由して1日あたり約85万バレルのディーゼルを輸入しました。この重要な海上難所は、ヨーロッパを地域の不安定化や供給途絶の可能性に対して非常に脆弱な状態に置きます。
欧州は、構造的な依存度の高まり、現地の精製能力の限界、そしてロシア離脱後の供給再編といった要因により、ホルムズ海峡の混乱の影響を受けやすくなっている。
欧州はウクライナ侵攻を受けてロシアからのディーゼル燃料の輸入を禁止し、ロシアにとって最大かつ最も信頼できる供給国を断った。
その結果、欧州は不足分を補うため中東、特にUAEとサウジアラビアに重点的に軸足を移した。その供給の多くはホルムズ海峡を通過する。
ブリュッセル、素晴らしい仕事ぶりです。ホルムズ海峡は巨大な単一障害点となっており、この重要な難所で何らかの混乱が生じれば、欧州のエネルギー市場に衝撃波が広がる恐れがあります。最新のデータによると、ホルムズ海峡を通過する船舶の交通量は既に減少していま
中東での衝突のエスカレートは、ドルが安全資産として役割を保つ助けになる可能性が高いが、信認は辛うじて維持される格好になりそうだ。最新のブルームバーグ・パルス調査の結果、こうした見方が示された。
イスラエルとイランによる攻撃の応酬が続く中で、米ドルが安全資産としての信認を回復するとの回答は、調査対象251人の半分強にとどまった。その一方で、ブルームバーグ・ドル・スポット指数が今後1カ月で下落すると回答者らは予測した。6月13日から18日にかけ調査は実施された。
ゴールドマン・サックス・インターナショナルのストラテジスト、クリスチャン・ミューラーグリスマン氏らは「一層のドル安をわれわれは見込むが、より双方向のリスクを今や投資家は意識している。特に米国資産の底堅いリターンを考えると、ドル安は行き過ぎかもしれないと主張する向きもある」と顧客向けリポートで指摘した。
こうした見解の相違は、トランプ米大統領の政策にグローバル投資家が警戒を強め、ドルに対する認識が変化する現状を浮き彫りにする。過去1週間の地政学的緊張がドルの下落を制限しているが、市場のセンチメントは引き続き圧倒的に弱気だ。
ブルームバーグ・パルス調査によれば、ドル指数が今後1カ月で下落すると予想する回答者の割合は2月以降で最も少ない。同指数は5月以来で初めて週間ベースで上昇しそうだ。
今月17、18日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合では、政策金利のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標(4.25-4.5%)の据え置きが4会合連続で決まった。安全資産需要の回復に加え、FOMCの利下げ見送りもドルの支援材料となった。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、FOMC会合後の会見で、トランプ政権の高関税のインフレ誘発効果に警戒感を示し、政策担当者らの間で政策金利の低下見通しに強い確信がないことを示唆した。
それでもドルが今週の相場回復は、年初来の下げを縮小するには程遠い。今年に入りドルは対ユーロで11%余り、対円でも約8%値下がりした。
インベスコのシニアポートフォリオマネジャー、クリスティーナ・キャンプメニー氏は今月、ブルームバーグのマネー&マクロで、ドル安は今後も続き、最近の米政策の大転換は、今やドル保有にリスクプレミアムが生じる状況を意味すると語った。
米国債については、中東での衝突に伴う原油高が相場の上昇を抑えると49%が回答する一方、約3分の1が原油高騰の影響はないと予測した。
混乱期における米国債の魅力は明らかだ。今後1カ月のボラティリティー調整後のリターンがより高い資産について尋ねたところ、54%が米株より債券を選好した。
英国は、米国によるイランの主要核施設への攻撃には直接関与しておらず、事態の解決には外交努力が必要だとしている。
スターマー英首相は22日、トランプ米大統領の行動を事実上支持する姿勢を示し、イランの核開発計画は「国際的な安全保障に対する重大な脅威だ」と表明。
電子メールで配布した声明で、「イランが核兵器を開発することは決して許されない。米国はその脅威を軽減するため行動を起こした」と指摘した。
スターマー氏はその上で、「中東情勢は依然として不安定であり、地域の安定が優先課題だ。われわれはイランに対し、交渉の場に戻り、この危機を終わらせる外交的な解決策を見いだすよう求める」とコメントした。
レイノルズ英ビジネス貿易相はスカイニューズの番組で、米国は今回のイラン攻撃に際し、英国に支援を求めず、インド洋のディエゴガルシア基地の使用もなかったと述べた。米英軍の基地があるディエゴガルシア島は戦略的要衝。
同基地がイランへの攻撃に使われる可能性があるとの見方は、国際法に照らして適法かどうかを巡り、英政府内で懸念を呼んでいた。
レイノルズ氏によれば、米国は作戦の実行前に英国に事前通告を行っていたという。同氏は「イランが核兵器を保有することできない。ただし、これを食い止めるために外交的なプロセスが必要だ」と語った。
米国が軍事行動に踏み切ったことは、欧州各国による緊張緩和の取り組みが失敗に終わったことを示している。英国とフランス、ドイツの外相は20日、イランの外相と会談したが、トランプ氏に行動を思いとどまらせることはできなかった。
ヒーリー英国防相は「英国の要員と基地の安全が私の最優先事項だ。現在、基地の防衛態勢は最高レベルに引き上げられており、追加のジェット機も配備した」と述べた。
トランプ米大統領が米軍機によるイランの主要核施設3カ所への攻撃を発表したことを受け、暗号資産(仮想通貨)のイーサがアジア時間22日に急落した。一方、ビットコインはほぼ変わらず。
仮想通貨の時価総額で2位のイーサは、22日午前に一時7.7%下落し約2200ドルと、5月9日以来の日中安値をつけた。その後は一部下げ幅を縮小している。時価総額最大のビットコインは一時10万1000ドルを下回ったが、シンガポール時間午後1時10分(日本時間同2時10分)時点ではほぼ変わらず。週末で伝統的な金融市場が休場となる中、暗号資産が唯一反応を示した資産クラスとなった。
暗号資産デリバティブの流動性提供を手がけるオービット・マーケッツの共同創業者キャロライン・モーロン氏は、「市場は地政学的な展開を神経質に注視している」と指摘。注目される節目として、ビットコインは10万ドル、イーサは2000ドルとした上で、伝統的市場の再開後は原油に特に注目が集まるとの見方を示した。
米国がイランの核施設を攻撃したことを受けて、週明けの世界市場ではまず原油価格が上昇し、安全資産への資金逃避が強まるとみられている。投資家は中東情勢の悪化が世界経済にどう波及するか見極める構えだ。
投資家は株式が売られドルなどの安全資産が買われる可能性が高いと予想した。ただ、紛争の行方には依然として多くの不確実性が残るとの指摘も出ている。
トランプ米大統領は攻撃が「成功した」と述べたが、詳細はほとんど明らかにされていない。
ポトマック・リバー・キャピタルのマーク・スピンデル最高投資責任者(CIO)は「市場は当初警戒感を示し、原油価格は上昇して始まるだろう」と予想した。
同氏は核施設の被害状況の調査は行われておらず、時間がかかるとの見方を示した。また、トランプ氏が作戦完了を宣言したにもかかわらず、米国はもはや戦闘に関与しており、今後どうなるかが問題だと指摘した。
さらに、「今や米国全土の人々が影響を受けることになるため、不確実性が市場を覆うだろう。特に原油市場で不確実性と変動性が高まる」との見方を示した。
<原油価格とインフレへの影響>
市場の主な懸念は中東情勢の展開が原油価格、さらにインフレに与える影響だ。インフレ率が上昇すれば消費者心理は冷え込み、短期的な利下げの可能性も低下する可能性がある。
クレセット・キャピタルのジャック・アブリンCIOは、「これは新たな複雑なリスク要因となる。間違いなくエネルギー価格に影響を与える上、インフレにも波及する可能性がある」と述べた。
北海ブレント先物 は10日以降最大18%上昇しており、19日には約5カ月ぶり高値の1バレル=79.04ドルを記録した。一方、イスラエルが13日にイラン攻撃を開始した際にS&P500種株価指数(.SPX), opens new tabは一時下落したものの、その後は小動きとなっている。
今回の米国の攻撃に先立ち公表されたオックスフォード・エコノミクスのメモによると、1)紛争の鎮静化、2)イランの石油生産の全面停止、3)ホルムズ海峡の封鎖――という3つのシナリオを想定していた。それぞれが原油価格に影響を及ぼすが、シナリオが進むごとに影響が大きくなると分析した。
最も深刻なケースでは世界の原油価格が1バレル=130ドルに急上昇し、年末までに米国のインフレ率が6%近くまで上昇すると予測した。「原油価格ショックは実質所得を圧迫し、必然的に消費者支出を冷え込ませるだろう。しかし、インフレ上昇やそれに続く2次的インフレの影響懸念から、年内の米利下げの可能性は完全になくなる公算が大きい」との見方を示した。
ハリス・ファイナンシャル・グループのマネジングパートナー、ジェイミー・コックス氏は、攻撃発表後のコメントで、原油価格は一時的に急騰する可能性が高いとしながらも、米軍が力を見せつけイランの核開発能力が完全に失われたことにより、イランは交渉上の優位性を全て失ったと指摘。イランが和平交渉を模索する可能性が高いとして、原油価格は数日中に安定すると予想した。
エコノミストらは、すでにトランプ大統領の関税政策で圧迫されている世界経済に原油価格の急騰がさらなる打撃を与える恐れがあると懸念している。
一方で、歴史的に見れば株価の下落は一時的なものに過ぎないかもしれない。2003年のイラク侵攻や19年のサウジアラビア石油施設への攻撃など、中東情勢の緊張が高まった際には株価は当初低迷したものの、数カ月後にはすぐに回復し上昇に転じた。
ウェドブッシュ証券とキャップIQプロが過去の紛争事例を分析したデータによると、S&P500は紛争開始後3週間で平均0.3%下落したが、紛争から2カ月後には平均2.3%上昇していた。
<ドルへの影響は複雑>
「米国例外主義」が色あせつつあるとの懸念からドルは今年に入って下落しているが、紛争の激化は複雑な影響をもたらす可能性がある。
アナリストらは、米国によるイラン・イスラエル紛争への直接介入により、ドルは当初安全資産として買われる可能性があると指摘する。
IBKRのチーフ市場ストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は、安全資産への逃避が見られれば、米国債利回りは低下しドルは上昇することになるだろうと述べた。
「株価がマイナスに反応しないのは想像し難いが、問題はどの程度マイナスに反応するかだ。それはイランの反応と原油価格が急騰するかどうかにかかっている」と語った。
トランプ米大統領は21日、イランの核施設3カ所に空爆を行い、イスラエルによるイランへの攻撃に直接参加する前代未聞の決断を下した。かねてから回避すると公言してきた大規模な対外戦争への介入に踏み切ったことになるが、1期目も含めた外交政策上で最大の賭けとなり、リスクと未知の結果を招く恐れもある。
アナリストらは、米国の攻撃参加を受けてイランが取り得る報復措置として、世界で最も重要な原油の大動脈であるホルムズ海峡の封鎖、中東地域の米国や同盟国の軍事基地攻撃、イスラエルへのミサイル攻撃強化、世界各地の米国やイスラエルの関連機関に対する親イラン組織の攻撃などを挙げる。
こうした動きは、トランプ氏の想定よりも広範囲で長期的な紛争へエスカレートする恐れがあり、米国がイラクとアフガニスタンで続けた「永遠の戦争」を想起させる。
民主党政権と共和党政権で中東交渉を担当したアーロン・デービッド・ミラー氏は、イランの軍事力はかなり弱体化したが、「彼らにはあらゆる非対称的な手段で対抗できる。これはすぐには終わらないだろう」と懸念する。
ホワイトハウス高官によると、トランプ氏はイランが核合意をまとめる気がないと確信し、核施設への攻撃が「正しいこと」だと判断し、「成功の可能性が高い」と確信した上でゴーサインを出したという。
<残る核の脅威>
今回の攻撃ではナタンズ、イスファハン、フォルドゥの3施設に地中貫通弾(バンカーバスター)を投下。トランプ氏は「大成功」を収めたと表明した。それでも一部の専門家は、イランの核開発計画が何年も後退した可能性はあるが、脅威は依然として解消されていない可能性があると指摘する。
イランは核兵器開発を否定し、計画は純粋に平和的な目的であると主張している。
超党派団体、米軍備管理協会は今回の軍事行動を受け、イランが核兵器は抑止力として必要で、米国は外交に関心がないと判断する可能性が高いと指摘。「軍事攻撃だけでは、イランの幅広い核に関する知見を破壊できない。攻撃はイランの核開発計画を後退させるだろうが、その代償として核活動を再開するというイランの決意を強めることになる」と述べた。
フロリダ国際大学のエリック・ロブ助教は、イランの次の動きはなお未知数だと述べ、報復措置の一つとして、地域内外における米国とイスラエルの「ソフトターゲット」への攻撃も考えられると予想。一方で、弱い立場に追い込まれるが、イランが交渉のテーブルに復帰する可能性もあると述べた。
イラン外務省は22日未明に声明を発表し、「米国の軍事的侵略に全力で抵抗することは権利であると考える」と警告した。
カーネギー国際平和財団のアナリスト、カリム・サジャドプール氏は「トランプ氏は今こそ平和の時だと述べた。イランが同じように見るかどうかは不明で、可能性も低い。これは46年にわたる米国とイランの戦争を終わらせるというより、新たな章を開く可能性が高い」とXに投稿した。
<体制転換>
一部のアナリストによると、これまでイラン指導部を排除するという狙いを否定してきたトランプ政権だが、イランが大規模な報復攻撃を行ったり、核兵器製造の動きを見せれば、「レジーム・チェンジ(体制転換)」を求めざるを得なくなる可能性もある。ただ、さらなるリスクをもたらす恐れがある。
ワシントンのジョンズ・ホプキンス高等国際問題研究大学院の中東アナリスト、ローラ・ブルーメンフェルド氏は、「体制転換や民主化運動を狙ったミッションの拡大には注意する必要がある」とし、米国はこれまで中東でそうした取り組みに失敗を重ねてきたと指摘する。
米国家情報会議の中東担当副国家情報官を務めたジョナサン・パニコフ氏は、イラン指導部は体制存続が危うくなれば、直ちに「不均衡な攻撃」に出るだろうと予想するが、その結果も留意する必要があると述べた。
ホルムズ海峡の封鎖は、結果として生じる原油価格上昇や米国のインフレ高進によってトランプ氏に問題をもたらすが、イランの数少ない同盟国の中国にも打撃を与える。
また、トランプ氏はすでに議会民主党からイラン攻撃を巡り強い反発に直面しているほか、他国への介入を好まない岩盤支持層の米国第一主義運動「MAGA」派からの反発にも対処する必要がある。
トランプ氏が米軍の関与を限定的なものにしようとしても、こうした紛争の歴史はしばしば米大統領にとって意図しない結果をもたらしてきた。
特に、ウクライナやガザでの戦争を速やかに終結させるという公約を果たせなかったトランプ氏が、新たな戦線を切り開いたことで、「力による平和」というスローガンが最大の試練を迎えているのは間違いない。
シンクタンク「国際危機グループ」のリチャード・ゴーワン氏は「トランプ氏は戦争ビジネスに手を出した」とし「モスクワでも、テヘランでも、北京でも、トランプ氏が平和主義者だと言うのを信じた人はいないだろう。それはいつも、戦略というより選挙キャンペーンのように見えた」と語った。
霧が立ち込めたある5月の朝、オクラホマ州北部の小麦畑では、デニス・ショーンハルスさん(68)が作物の生育状況を調べるための年1回の巡回調査を行っていた。しかし既に、自身を含めた農家は一部の畑で販売用の小麦の収穫を断念していた。価格が5年ぶりの安値に下落したためだ。
テキサス州からモンタナ州に及ぶ小麦の生産地帯の農家は今年、早々に「損切り」を決断し、小麦を干し草に加工したり、プラウで畑をの土を反転させたり、家畜に開放して放牧地にするといった道を選んだ。ネブラスカ州では、小麦の作付面積が2005年の半分未満に減っている。
穀物保険に加入していれば収入を維持できる可能性もあるが、多くの農家は保険金の支払いを当てにするのが最良のビジネスモデルではないと認める。
米国の大平原地帯(グレートプレーンズ)は、有名な愛国歌「アメリカ・ザ・ビューティフル」で「琥珀色の麦の波」と称賛されてきた。この地域の州は、パン製造で好まれる米国産ハード・レッド・ウィンター小麦の大半を生産している。
しかし価格が1ブッシェル当たり5ドル前後に落ち込んだことで、米国の小麦農家は岐路に立っている。多くは損失を被るか、さもなければ小麦を家畜の飼料に回したり作物を廃棄したりするしかない。
カンザス、ネブラスカ、オクラホマ3州の農業従事者とアナリスト10人以上へのインタビューのほか、米農務省データの分析により、小麦の利益は他の作物と比べて大幅に少なくなっていることが明らかになった。
地域の一部では近年、長びく干ばつにより収穫量が減った。また降水量が十分な年でも、世界的な供給過剰により価格が圧迫されており、農家の収入は落ち込んでいる。代々小麦だけを栽培してきた農家が多いが、今ではトウモロコシや大豆の栽培、畜産への転換を余儀なくされている。
「(小麦栽培は)続けられない」とショーンハルスさん。「最終的に、可能な場合は他の作物に切り替え、そうでなければ廃業することになる」という。
米国の農家は2年前、深刻な干ばつにより小麦の約3分の1を放棄した。今年は、ひび割れた土地から健康な緑の茎が伸び、1エーカー当たりの収穫量が2016年以来の最高を記録すると期待されていた。ところが小麦価格は5月、5年ぶりの安値に沈んだ。
米農務省のデータによると、2020年以降、農家は毎年、冬小麦の作付面積の5分の1から3分の1を放棄してきた。
全国的に見ると、作付面積の大部分を占めるのはトウモロコシと大豆で、小麦は大差の3位だ。
2024年は干ばつと外国産小麦の価格低下によって米国産小麦の競争力が圧迫され、ハード・レッド・ウィンター小麦の輸出量が過去最低水準に落ち込んだ。
レイクフロント・フューチャーズのアナリスト、ダリン・フェスラー氏は「農家は採算割れだ」と指摘。多くの農家は「自腹を切り、運転資金を燃焼してきた。銀行は『利益を出せ、さもなければ農地を売ってもらうことになる』と言ってくるだろう」と語った。
<遺産だが利益はない>
小麦栽培は開拓者らが切り開いてきたもので、グレートプレンズの歴史に深く根を下ろしている。
黄金色の茎の写真はホテルのロビーや道路標識を飾り、町の名前にも小麦に関する言葉が含まれている。ネブラスカ州出身のピューリッツァー賞受賞作家、ウィラ・キャザーは有名な詩で「耕されたばかりの広大な土壌、重く黒く、力強さと厳しさに満ちて」と、この土地を称えた。
しかし現在、米国の小麦栽培は一貫して減少しており、農家はトウモロコシや大豆の生産や、牛の飼育の方が確実な利益を得られるようになった。
「小麦栽培は遺産だが、利益は出ない」と語るのは、カンザス州コルビーで4万エーカー(1万6000ヘクタール)の農場を経営するフラーム・ファームランドのロン・フラーム最高経営責任者(CEO)だ。この郡の周辺には現在、風力発電所が点在している。農家はかつて小麦栽培専業だったが、干ばつの頻発と世界的な競争による価格下落を受け、多角経営に乗り出している。
フラム氏自身は現在、主にトウモロコシを栽培しており、小麦の生産量は全体の5%にとどまることもある。「トウモロコシは確かに利益が出る」とフラム氏は語った。
中国の不動産セクターは長年、深刻化する不況に苦しんできた。そして今、人口減少が停滞する不動産市場に新たな影を落としている。
ゴールドマン・サックスは、今後数年間、中国の都市部の新築住宅需要は年間500万戸未満に抑制されたままになると予測している。これは、ピークだった2017年の2000万戸の4分の1にあたる。
ゴールドマン・サックスのエコノミストらは月曜日のメモで、「人口減少と都市化の鈍化は、今後数年間の住宅に対する人口動態の需要の減少を示唆している」と述べた。
世界銀行の最新データによると、同国の人口は2035年までに14億1000万人から13億9000万人以下に減少すると予測されている、とエコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、ティエンチェン・シュー氏は述べ、新生児数の減少と高齢化による死亡者数の増加を理由に挙げた。
中国の人口は過去3年間減少傾向にあり、2024年の最新政府データでは 出生率の低下により前年より139万人減少したことが示されている。
ゴールドマン・サックスは、人口減少により住宅需要は2020年代には毎年50万戸ずつ減少し、2030年代にはさらに毎年140万戸減少すると推計している。これは、人口が着実に増加していた2010年代の年間150万戸のプラス寄与と比べると大きい。
中国では、2016年に一人っ子政策が緩和され、現金給付による出産奨励策も講じられたにもかかわらず、出生率は低下し続けています。所得の停滞、雇用の不安定さ、そして不十分な社会保障制度が、中国の若者の出産意欲を削いでいます。
徐氏は、北京の出生促進政策は、出産にかかる高い経済的コストや、キャリアアップや「個性の尊重」のために結婚を延期する傾向など、根深い問題に対処していないため、「効果が限定的」になる可能性が高いと述べた。
出生率の低下を裏付けるように、過去2年間で全国で約3万6000の幼稚園が閉鎖され、就学前児童数は1000万人以上減少しました。これは、 教育省が発表した公式データに基づきCNBCが算出したものです。同様に、 小学校の数も 2022年から2024年の間に約1万3000校減少しました。
かつては公立学校の質向上への強い需要を背景に価格が高騰していた学校近隣の住宅市場にも、この影響が波及している。
かつては高額なプレミアムが付いていたのは、名門校へのアクセスと不動産価格上昇への期待によるものでした。しかし、人口減少と地方自治体による地区単位の就学支援策の縮小により、こうした住宅の付加価値は低下し始めていると、大和キャピタル・マーケッツの中国不動産アナリスト、ウィリアム・ウー氏は述べています。
北京に住む7歳の息子を持つ母親はCNBCに対し、2年以上前に購入したアパートの価格が約20%下落したと語った。息子を良い小学校に通わせるため、彼女は市内のアパートの平均価格の約2倍を支払ったという。
ウィンド・インフォメーションによれば、2023年に小学校に入学する児童の数は過去20年間で最高レベルに達したが、彼女の息子が入学した2024年には減少した。
より深刻な不況
こうした人口動態の変化は、2020年後半から痛みを伴う低迷から抜け出せずに苦戦している不動産市場にとって、さらなる重荷となっている。昨年9月以降、中央政府と地方政府が一連の対策を講じてきたにもかかわらず、不動産市場の低迷は収まる兆しがほとんど見られない。
マッコーリー銀行の中国担当チーフエコノミスト、ラリー・フー氏によると、新築住宅価格は5月に7カ月ぶりの急速なペースで下落し、下落抑制に向けた政府の取り組みにもかかわらず、2年にわたる停滞が続いている。
胡氏は、今月前半の主要30都市の新築住宅販売は前年同月比11%減少し、5月の3%減からさらに悪化したと述べた。
ゴールドマン・サックスは、住宅価格が引き続き下落するとの見通しから、「投資用不動産の保有者は、近い将来、(自宅居住者に対して)純売却者となる可能性が高い」と推計している。
ゴールドマンは、中国の都市化率の上昇が今後数年間で和らぎ、都市部の住宅需要に悪影響を与えると予想しているが、ウー氏は、不動産市場に対する人口動態の悪影響はまだ「差し迫っている」わけではなく、影響が出るまでには数十年かかる可能性があると述べた。
ウー氏は、短期的には「この減少の一部は、都市化の継続と住宅のアップグレード需要によって相殺されるだろう」とし、後者が中国の住宅需要全体に占める割合が増加すると予想している。
J・D・ヴァンス副大統領は日曜、米国がイランと戦争しているのではなく、「イランの核計画」と戦争しているのだと述べた。これは米国がイランの核施設3カ所を深夜に攻撃した数時間後のことだ。
ヴァンス氏の発言は、トランプ政権によるフォルド、ナタンズ、エスファハーンの施設への攻撃を受けて、ピート・ヘグゼス国防長官が「イランの核開発の野望は消滅した」と述べた 直後に出されたものだ。
ヴァンス氏はNBCニュースの「ミート・ザ・プレス」に出演し、米国は「イランと戦争状態にあるわけではない」と述べた。
「我々はイランの核計画と戦争状態にある」と彼は続けた。
NBCニュースのクリステン・ウェルカー記者からイランの報復に米国はどう対応するのかと問われると、ヴァンス氏は「我々はイランとの戦争を望んでいるのではなく、むしろ平和を望んでいる。ただし、彼らが核兵器計画を持たないという状況での平和を望んでいる。そして、まさにそれが大統領が昨夜成し遂げたことである」と繰り返した。
イランのアバス・アラグチ外相は日曜、米国の攻撃を受けてイランは自国を防衛するためのあらゆる選択肢を留保していると述べた。
副大統領は、米国が攻撃した3つの核施設にまだ能力が残っているかどうかについては言及しなかった。
「イランの現地で我々が目撃した機密情報については触れないが、我々は多くのことを目撃しており、彼らの核兵器開発を大幅に遅らせることができたと確信している。それが今回の攻撃の目的でした」とバンス氏は語った。
アグリパルスのオリバー・ワード氏は 、「中東で紛争が再燃し、イランの尿素生産が停止したことで、世界の肥料市場に波紋が広がり、ロシアと中国からの供給をめぐる既存の不確実性が高まったとアナリストがアグリパルスに語った」と報告している。
「金曜日、イスラエルがイランの核開発計画と軍事指導部を標的とした先制ミサイル攻撃を開始したことで、イランとイスラエルの間の緊張が高まった。4日後、両国は肥料業界を含む主要インフラや産業の閉鎖に動揺している」とAgriPulseは指摘している。「『イランは尿素とアンモニアの工場7つを閉鎖した』と、独立系商品情報サービス(ICI)の肥料担当シニアエディター、マーク・ミラム氏は述べた。これらの工場がイスラエルの標的となる可能性への懸念からだ」
「商品分析会社ストーンXの肥料担当副社長、ジョシュ・リンビル氏は、尿素生産に使われる同国の天然ガスインフラへの攻撃によって、操業も停止していると語った」とウォード氏は報告した。
StoneXによると、イランは2024年に尿素輸出量で世界第3位となり、輸出量は約450万トンで中国とほぼ同規模だった。ミラム氏はさらに、イランの生産能力は年間約890万トンで、トルコ、ブラジル、アルゼンチンなどの市場に供給していると付け加えた。イランはアンモニアの輸出国でもある。
「今回の攻撃は、イランの尿素生産を停止させただけでなく、エジプトの操業も停止させた」とワード氏は報告した。「イスラエルは金曜日に同国への天然ガス供給を削減し、エジプトは生産を停止した。」
AgWebのマージー・エッケルカンプ記者は、「リンビル氏の同僚であるストーンXのアーラン・スダーマン氏は、両国の生産に懸念がないにもかかわらず、なぜこの紛争がこれほど注意深く監視されているのかを詳しく説明している。『中東には他にも多くの肥料生産国があり、その多くがホルムズ海峡を通過しているため、今後ホルムズ海峡は危険にさらされるだろう』とスダーマン氏は述べている。世界的な供給の観点から、スダーマン氏はまた、2週間前にウクライナがロシア最大の窒素肥料工場の一つを攻撃したことを指摘している。」と報じている。
主要な肥料生産地域で紛争やストライキが継続中または新たに発生しているため、リンビル氏はその潜在的な影響に注目する必要があると予測しています」とエッケルカンプ氏は報告しました。「現時点では、両国の肥料生産に大きな影響はないと考えていますが、考慮しないのは少々愚かなことですので、非常に注意深く見守っています」と彼は述べています。
それまでは、ブラジル国内でのEV製造が長い間約束されてきた利益が多くのブラジル人労働者にとって手の届かないものとなっているにもかかわらず、BYDとそのライバル企業は太平洋の向こう側からブラジルのグリーンカー運動を支配し続けるかもしれない。
ワード氏はまた、 「アナリストらによると、中国が肥料輸出を継続的に縮小していることが、供給と価格への懸念をさらに悪化させている。中国のリン酸塩と尿素の輸出はいずれも過去の水準を下回っている。中国は通常、年間約550万トンの尿素を輸出しているが、リンビル氏によると、今年は北京が輸出を許可する量は約200万トンにとどまる見込みだ」と報告した。
「『様々な要素が絡んでいる』とリンビル氏は述べ、尿素供給の不確実性を高めている」とウォード氏は報告した。「米国の農家は、多くの農家が肥料を本格的に購入するのは今年後半になるだろうため、短期的な価格ショックの影響はある程度受けない。しかし、ミラム氏は、供給の不確実性が続けば、米国の買い手にとって『あらゆる複雑な問題』が生じる可能性があると述べた。」
ウォードの報道によると、ミラム氏は「『それが起こるかどうかは断言できない』と述べた。リンビル氏は、2026年の価格安定を期待する農家にとって、中国市場の後退は『相当な懸念事項』になるはずだ」と述べた。
国連は、イランとイスラエルの戦争が中東で新たな難民危機を引き起こす可能性があると警告し、事態が悪化し続け人々が逃げ出せば、母国にすぐに帰る方法はないと述べた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、報復攻撃の激化によりすでに両国で人口移動が引き起こされており、これは簡単にさらに悪い危機に陥る可能性があると述べている。
イランではすでに多くの国民が他国へ渡航しており、イラン西部の空域を制圧しているイスラエルの戦闘機への恐怖から、テヘランの街路の多くは現在、ほぼ無人となっている。
そして、イランによるイスラエルへの弾道ミサイルと極超音速ミサイルの攻撃により、人々は空、海、陸の国境を越えて国外脱出の道を模索するようになった。
「この地域は既に、戦争、損失、避難といった、甚大な被害を受けてきました。新たな難民危機を根付かせることは許されません」と、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は土曜日に発表した声明で述べた。
「緊張緩和の時は今だ。一度避難を余儀なくされたら、すぐに戻ることはできない。そして、その影響は何世代にもわたって続くことがあまりにも多い」とグランディ高等弁務官は付け加えた。
新たに発表された国連声明によると、
先週発表した「グローバル・トレンド2024」レポートで強調したように 、イランは世界最大の難民受け入れ国であり、主にアフガニスタンから来た約350万人の難民を受け入れています。紛争が継続すれば、既存の難民たちも新たな不確実性とさらなる困難に直面することになります。
UNHCRはイラン、イスラエル、そして多くの近隣諸国に駐在し、さまざまな場所で緊急人道支援物資の手配を行い、必要に応じて対応できるよう準備している。
2015年の欧州危機が繰り返されるかもしれないという懸念がある中、イラン国内にこれほど多くのアフガニスタン難民がいるという事実は、深い懸念を引き起こしている。
当時、シリア代理戦争は死と破壊のピークに達し、リビア政府は数年前に倒されていました。それでも、米国と欧州の当局者は、中東における政権転覆政策が、ヨーロッパへの難民流入の波を次々と生み出してきたことについて、あまり自省しようとしません。
エコノミスト誌によれば、ある程度はすでにそれが起こっているという。
数千人もの人々が恐怖に怯え、攻撃を受けているテヘランなどの都市から逃げ出しており、街はゴーストタウンと化している。空港が閉鎖されているため、唯一の出口は道路のみとなっている。ソーシャルメディアの投稿には、深刻な交通渋滞の様子が映し出されている。隣国は、人々の流出がイラン国境を越えて広がった場合の対応を検討している。シリア内戦による危機では、600万人の難民が流出したことを多くの人が覚えている。これまでのところ、イランからの脱出は小規模だが、状況は変わる可能性がある。
現在、イランの北部国境では、大規模な人々の移動が集中している。
テヘランから逃れる人々の多くは、北へ、約100キロ離れたカスピ海に近い都市化の進んでいない地域へと向かっています。しかし、その道のりさえも困難を極めます。パニック買いと、おそらくイスラエルによる石油施設への攻撃の影響で、道路は渋滞し、ガソリンは不足しています。携帯電話の電波も不安定です。国外に住むある人物は、家族で海沿いの山岳地帯ギリアン地区に着くまで、通常は4時間かかるところ、12時間以上かかったと話します。彼は車を運転しながら、「空には砲撃、背後には火の手」が見えたと言います。彼らはイランに留まるつもりです。「彼らはイランを離れたくありません。ここは彼らにとって故郷なのですから。」
イスラエルとイランの紛争が悪化した場合、戦争はイラン寄りの民兵が多数派を占めるイラクに拡大する可能性がある。彼らは、米国が介入した場合、地域基地に駐留する米軍が報復攻撃を受ける可能性があると警告している。
基本的なロジックをいくつか見てみましょう。
1. すべての信用資産バブルが崩壊する。
2. 米国の住宅市場は信用資産バブルである。
3. 米国の住宅バブルは崩壊する。
唯一の変数は、第2次住宅バブルがどのように、いつ崩壊するかです。 それが今日の話題です。
私は2005年、第1次住宅バブルが膨らみ始めた頃から住宅について書き続けています。1970年代後半から1980年代後半にかけて住宅価格が急騰し、その後デフレと停滞に陥るのを目の当たりにし、また実際に目撃してきました。 第1次住宅バブル(2003年から2008年頃)は、典型的な住宅バブルの兆候をすべて備えていました。
1. 参加者はバブルではないと否定した。 貪欲が慎重さを凌駕する時、これは破裂する運命にあるバブルではなく、 ニューノーマルなのだ。
2. 詐欺、不正行為、虚偽表示、投機、レバレッジが横行していた。 高騰する株価に陶酔する中で、なぜ収益、リスク管理、信用格付けといった些細なことに、さらなる利益獲得の妨げをさせていたのだろうか?
第2次住宅バブルは下降局面に移行したが、 住宅ローン金利の上昇が市場を圧迫したというコンセンサスによってこれは考慮されていない。金利が少し下がれば、住宅価格は再び上昇し、これまで以上に高い評価額に達するだろう。
私は、異なる一連の力学が作用していると考えています。
1. 40年以上続いた金利/債券利回りのサイクルは転換しました。金利はゼロに戻ることはなく、今後何年も横ばい状態が続くでしょう。リスクとインフレの要因は変化しており、 「大いなる安定」 に戻ることはありません 。
2. 2009年の 世界金融危機後、連邦準備制度理事会(FRB)と連邦政府は 、住宅価格の下落を食い止め、超低金利の住宅ローンによって住宅価格を再び上昇させる手段として、住宅ローン業界を事実上国有化した。FRBは2009年から2010年にかけて、当初ゼロだった住宅ローン担保証券を1兆2000億ドルも買い入れた。これは住宅ローン市場に対する大規模な操作であり、その額はすぐに1兆6000億ドルを超えた。
2009 年以前に連邦準備制度理事会による国有化なしに住宅・住宅ローン市場がどうやって生き残ることができたのかは謎のままです。
一方、連邦政府は、準政府系住宅ローン機関(ファニーメイ、フレディマック)を事実上国有化し、これらの機関を利用して米国のほとんどの住宅ローンを保証した。
3. 投資家ではなく自宅居住者であると主張することで詐欺を働くインセンティブ(住宅ローン金利の低下) により、住宅ローン詐欺は連邦準備制度の研究者が「蔓延」と宣言するレベルにまで押し上げられています。 自宅居住者詐欺と住宅ローンの実績 (46ページのPDFレポートはこちらのリンクからご覧いただけます。)
調査の著者らは、 「ほとんどの年において、詐欺的な投資家は投資家全体の約3分の1を占めている」と結論付けました。 一部の州では、詐欺率が13%を超えています。
パンデミック後の「リベンジ旅行」ブームの中で、住宅を購入し短期バケーションレンタル(STVR)に転用する熱狂が巻き起こりました。 企業による住宅の賃貸物件としての購入は、2009年以降の大量差し押さえの時代に急増し、プライベートエクイティが新たな市場を模索する中で、この傾向は加速しました。
企業やプライベートエクイティの買い手と、STVRに殺到する小口投資家、そしてパンデミック後のパニック買いの熱狂を合わせると、投資家(公認投資家も詐欺投資家も、大規模投資家も小規模投資家も)が現在、米国で広大な住宅を所有しているのも不思議ではない。
第4四半期に投資家は国内で最も手頃な価格の住宅の26%を購入した。これは過去最高の割合である。
フォートワース市の発表によると、一戸建て住宅の約26%が企業所有となっている。
(はい、家族信託や世帯は LLC として住宅を所有できますが、上記のリンク先の調査では所有権の種類は考慮されていません。考慮されているのは、A) 所有者が複数の第一抵当権を持っているかどうか、および B) 新規購入住宅ローンの組入れ後に引っ越したかどうかです。)
4. 投資家による所有権の過半数化によって生じるリスクは大きい。 連邦準備制度の研究者は、不正な投資家は、申告投資家や実際の所有者よりも債務不履行のリスクがはるかに高いことを明らかにした。
「リベンジ旅行」が縮小し、固定資産税と保険料が上昇し、インフレが家計を圧迫する中、STVRは収益を生み出す資産から損失を生み出す負債へと急速に移行している。投資家は、損失が膨らむ前に売却するか、そうでなければデフォルトリスクが高まるかのどちらかだ。
賃料が下落し空室率が上昇するにつれ、専門的に経営されている企業やプライベートエクイティのオーナーは物件の売却を開始するだろう。潮目が変わったことに気づいたSTVRのオーナーも、価格下落が勢いづく前に売却を急ぐだろう。
背景を理解するために、いくつかのグラフを見てみましょう。 こちらは住宅総戸数のグラフです。従来の「住宅不足」という見方を覆し、米国では2020年から2025年の5年間で760万戸の住宅が追加されました。これは、2010年から2020年の10年間で追加された860万戸をはるかに上回るペースです。
こちらは持ち家住宅のグラフです。 持ち家住宅の数は2005年から2016年までの12年間横ばいだったことに注目してください。その後数年で7,600万世帯から8,600万世帯へと、1,000万世帯も急増しています。1,000万世帯全員が宝くじに当たったのでしょうか?それとも、この驚異的な増加の大部分は、持ち家購入者を装った詐欺的な投資家によるものなのでしょうか?
この地図は投資家の住宅ローン詐欺の範囲を示しています。
連邦準備制度理事会(FRB)による住宅ローン担保証券(MBS)の保有状況を示すこのチャートは、バリュエーションの急上昇と見事に重なり合っています。 金融システムに「無償資金」を投入し、金利を史上最低水準に維持すれば、あっという間に永遠にバブルを膨らませることができるのです。
パンデミック後の買い占め熱により、売りに出されている住宅の1平方フィート当たりのコストは57%上昇した。
当然のことながら、このバブルにより住宅の購入しやすさは記録的な低水準にまで低下した。
ケース・シラー指数は、バブル崩壊後に株価がどの程度下落する可能性があるかを長期的に予測する指標です。40 %の下落は標準的な水準であり、50%の下落はバブル崩壊の典型的な範囲に十分収まります。
2010年にFRBが住宅ローン金利を大規模に操作したことで、第1次バブルは自由市場での展開から「救われた」が、住宅ローン市場はすでに国有化されており、FRBはすでに2兆1000億ドルという莫大なMBSを保有しているため、FRBは今回、同等の「救済」を行うことはできないだろう。
企業投資家、プライベートエクイティ投資家、STVR投資家は皆、好機を狙って住宅を保有しています。 利益が減少するか、損失に転じると、投資家は「売り」ボタンを押します。住宅価格は限界価格に基づいて価格設定されているため、売却を狙った売却が数回あれば、評価額は10%、20%、30%と下落し、最終的には40%から50%の底値に達します。
バリュエーション崩壊に対するこの脆弱性は、過去16年間にわたるFRBによる金利と住宅ローン操作の苦い果実です。 急速な信用拡大がバブルを膨らませている時は「自由市場」を歓迎しますが、もしバブルが崩壊したら、ああ、なんてことだ、その「自由市場」の活動を止めなければなりません。
第 2 次住宅バブルは、次のようにして崩壊します。過大評価され、赤字が続く物件の購入者は姿を消し、 待つ時間が長すぎた購入者は水没し (販売価格が購入価格より低くなります)、限界投資家は債務不履行に陥り、職を失った自宅所有者は売却または債務不履行に陥り、プライベート エクイティは、売却を遅らせるほど損失が大きくなることに気づき、売り手の数が買い手の数をはるかに上回る勢いが連鎖的に広がります。
貪欲は恐怖に変わり、そして損失を出さずに撤退するには遅すぎるという認識に変わる。こうしてバブルは崩壊する。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
ハリケーン・エリックは木曜日の朝、危険なカテゴリー3の嵐となってメキシコのオアハカ州を襲い、沿岸部で強風と大雨をもたらし、同地域で致命的な洪水を引き起こした。
NOAA(アメリカ海洋大気庁)の国立ハリケーンセンターによると、ハリケーンは木曜日の午前6時(中部夏時間)過ぎ、メキシコのプンタ・マルドナドの東約32キロに上陸した。上陸時には、中心付近で時速125マイル(約200キロ)の強風が吹き荒れていた。
嵐は、2023年10月に ハリケーン・オーティスによって壊滅的な被害を受けたアカプルコの東約100マイルの海上に上陸した。
ハリケーンによる豪雨でオアハカ州と隣接するゲレロ州では木曜日に川が氾濫し、サンマルコスで少なくとも1人が死亡した。アカプルコの東約48キロに位置するサンマルコスで、1歳の男の子が母親に抱かれて増水した川を渡ろうとした際に溺死したと、サンマルコス市の市民保護局長兼消防士のディエゴ・アルマンド・バレンテ・ピネダ氏が明らかにした。
オアハカ州サン・ペドロ・ポチュトラ市で嵐による2人目の死亡者が報告され、アマド・ロドリゲス・ヒホン市長によると、男性が感電死した。
エリックは、7月以前にメキシコを襲った記録上初のカテゴリー3以上の大型ハリケーンです。木曜日の早朝、沿岸部で時速145マイル(約220キロ)の強風を伴う猛烈なカテゴリー4の嵐にまで発達しました。
火曜日の夜から水曜日の夜にかけて、ハリケーンは急速に勢力を強め、わずか24時間で熱帯低気圧からカテゴリー4のハリケーンへと勢力を強めました。化石燃料による汚染が進む地球温暖化の中で、 急激な勢力の強まりはますます頻繁になっています。
エリックはメキシコの険しい山々を進むにつれて急速に勢力を強め、木曜日の夜には消滅しました。上陸から数時間後にはカテゴリー1のハリケーンとなり、午後には熱帯低気圧となり、その後完全に分裂しました。それでも、短期間で心配な量の雨を降らせ、残った水分が金曜日にかけてさらに雨を降らせると予想されています。
東太平洋のハリケーンシーズンは、5月中旬に始まって以来、非常に活発な動きを見せています。エリックは今シーズン5番目の命名された嵐(少なくとも熱帯低気圧の強さに達した嵐に命名されます)であり、2番目のハリケーンです。NOAAによると、この流域で2番目のハリケーンが発生するのは通常7月中旬です。
大西洋のハリケーンシーズンも始まっているが、まだ最初の命名された嵐は発生しておらず、今後数日中に発生する見込みはほとんどない。
メキシコのクラウディア・シャインバウム大統領は木曜日の朝、ゲレロ州とオアハカ州の沿岸部で激しい雨と強風が発生したと述べ、被害状況の報告はまだ保留中だと付け加えた。AP通信によると、同大統領は木曜日の午後、「住民の反応は今のところ非常に良好だ」と述べた。
AP通信によると、メキシコの国家民間防衛調整官であるラウラ・ベラスケス氏は、ハリケーン「エリック」がゲレロ州、オアハカ州、チアパス州に「集中豪雨」をもたらすと予測していると述べた。南部沿岸の山岳地帯は特に土砂崩れが発生しやすく、多くの河川が洪水の危険にさらされている。
NHCによると、ゲレロ州の山岳地帯の一部では、金曜日にかけて約40センチの雨が降る可能性がある。これにより、命を脅かす洪水や土砂崩れが発生する恐れがある。
オアハカ州とゲレロ州の沿岸地域では、同時期に最大20cmの降雨が予想されます。アカプルコでは、エリックの影響で最大15cmの降雨が記録される可能性があります。
AP通信に よると、水曜日の夜のハリケーンを前に大統領は、エリックの進路にある地域でのすべての活動は停止されると述べた。
アカプルコの港は火曜夜に閉鎖された。ゲレロ州のエブリン・サルガド知事は、Xへの投稿で、アカプルコを含む他の海岸地域のすべての移動を水曜午後8時から停止し、州内の学校は木曜まで閉鎖を継続すると述べた。
サルガド氏は、ゲレロ州全域で自宅から避難する可能性のある人々を受け入れるために582の避難所が準備されていると述べた。
AP通信によると、水曜日のアカプルコでは、通りには州兵と警察が多数配置されていたが、最も目立ったのは国営電力会社のトラックだった。作業員たちは排水路や雑草の除去作業を行っていた。
ハリケーン・オーティスの記憶は、エリックへの備えをしていた住民たちを苦しめていた。オーティスは記録上最も急激な勢力の拡大を見せ、上陸直前にカテゴリー5にまで勢力を強めた。
カルロス・オズナ・ロメロさん(51歳)は、オーティス台風が壊滅的な強風でアカプルコのビーチ沿いのリゾートを襲った際、レストランを失ったとAP通信に語った。水曜日、彼は作業員たちにテーブルと椅子の撤去を指示した。
「当局の警告は私たちに恐怖を与え、これまで経験してきたことをすべて思い出させる」とオズナ・ロメロ氏はオーティスさんについて語った。
スペインの大規模停電は、政府の公式調査によると、送電システムの過電圧と、国内の発電機が無効電力を吸収して補償できなかったことが原因で発生した。
捜査官らは、サイバー攻撃が全国的な停電の一因となったという証拠は見つからず、再生可能エネルギー発電の割合が高いことがネットワーク全体に連鎖的な障害を引き起こした直接の責任ではないとしている。
しかし、調査官らは、電圧を許容範囲内に維持するためにネットワークに接続された同期発電機が十分でなかったため、それらの発電機が期待通りに動作しなかったと指摘した。
追加の熱発電機を接続する取り組みは、不安定性の悪化と過電圧の繰り返しによるシステムの崩壊を防ぐには遅すぎた。
調査官らは、安定性を向上させるために、同期発電機に対する既存の電圧制御義務をより厳格に施行するとともに、ネットワーク全体に同期補償装置を導入することを勧告した。
報告書はまた、非同期発電機(風力発電機や太陽光発電機を含む)が将来的に電圧制御に貢献するよう奨励されるべきだと結論付けた。
この不安定さは、イベリア半島からウクライナ、トルコまで広がるヨーロッパ全域の送電網からもたらされたものではなく、スペイン国内で発生したものと思われる。
それでも、調査員らは、スペインが大陸全土に広がる送電システムから比較的孤立していることが不安定さを悪化させた可能性があると指摘した。
フランス経由のスペインの相互接続は、同国のネットワーク容量のわずか3%を占めており、EU規制で推奨されている15%を大きく下回っています。
欧州の送電網の残りの部分との相互接続を増やしても、停電は避けられなかっただろうが、それは長年追い求められてきた目標であり、調査員らも繰り返し述べていた。
過電圧
4月28日朝の電力需要は比較的低く、それが同国の送電網で度々過電圧が発生する一因となった。
停電前のスペイン半島電力網の総需要はわずか25,184メガワットで、過去最大の44,876メガワットを大きく下回っていた。
天候(気温は穏やか)、時間帯(正午)、曜日(月曜日)のすべてが、需要が比較的低かった要因です。
しかし、需要が低いと、システムによって設定された安全な動作制限を超えて電圧が変動する可能性があるため、電力網の安定性が脅かされる可能性があります。
スペインの主要送電システムでは目標は400キロボルトで、規制により電圧は380kVから435kVの範囲に維持しなければならないと定められている。
4月28日の朝、電圧は400kVをはるかに超える急上昇を繰り返したが、停電直前まで最大閾値を下回っていた。
繰り返し発生する急上昇は問題の兆候でした。急上昇はすぐに収まりましたが、調査員たちはこの不安定さを「異例かつ異常」と表現しました。
グリッドコントローラーは、システム全体の電圧を下げるために、ネットワークにいくつかの追加の送電回路を接続することで対応しました。
しかし、安定性が悪化したため、コントローラーは電圧制御を改善するために国内の火力発電機の1つに連絡し、起動して電力網と同期するよう要請した。
要請は12時26分に行われました。正体不明の火力発電所は14時にできるだけ早く接続する予定でした。しかし、わずか7分後の12時33分に送電網全体がダウンしました。
連鎖的なグリッド障害
報告書で示されたタイムラインによれば、12:05 と 12:20 に電圧が急上昇し、制御室は次に利用可能な熱発電機に連絡して、14:00 にオンラインになるように要求した。
しかし、電圧は再び上昇し始め、12時32分にはスペイン中部と南部の一部地域で最大運用限度の435kVを超えた。
複数の小型発電機が過剰電圧に反応してネットワークから切断され、周波数が突然低下しました。
それに応じて、電圧が高すぎたか、周波数が低すぎたために、さらに多くの発電機が切断されました。
わずか20秒の間に非常に多くの発電機が切断され、システムは完全な機能停止へと向かいました。
電圧と同様に、発電機や顧客が操作する高価な機械に損傷を与えないように、周波数も目標に近い値に保つ必要があります。
欧州では、目標周波数は 50 サイクル/秒 (ヘルツ) であり、周波数が 49.0、48.8、48.6、48.4、48.2、48.0 Hz に低下すると、リレーは段階的に負荷を自動的に軽減するように設定されています。
負荷制限は、ユーザーを切断し、利用可能な発電量に合わせて需要を減らすことで、電力網の安定性を保護することを目的としています。この事例では、周波数の急激な低下により、1.5 秒未満で周波数不足負荷制限の 6 段階すべてがトリガーされ、ネットワークを安定させるための最後の手段としてユーザーの接続が切断されました。
1秒も経たないうちに、周波数は緊急下限値の47.5Hzを急激に下回り、46.1Hzをわずかに超えるまで低下し続けました。この時点で電圧は470kVまで上昇していました。
調査報告によると、負荷制限は不安定性を軽減するどころか、過電圧の問題を悪化させた可能性がある。
深刻な過電圧と極度の低周波数に直面し、残りの発電機はすべてネットワークから切断され、電力網は崩壊した。
電力網への安定した外部接続が失われると、原子力発電機は安全対策として自動的に停止し、制御棒を原子炉の炉心に挿入して反応を停止します。
周波数と慣性
停電後、私を含め多くの評論家が、この故障はインバーターベースの再生可能エネルギーへの過度の依存と、同期した熱発電機の回転慣性の不足によって引き起こされたのではないかと疑問を呈した。
しかし調査官らは、事故以前に送電システムは計画要件を満たし、合理的に予見可能な大規模な発電喪失を乗り切るのに十分な慣性を持っていたとの結論を下した。
調査官らは停電の根本原因として周波数制御の問題ではなく電圧制御の問題を特定した。
午前中の周波数の偏差は比較的小さく、連鎖的な障害がかなり進行するまで周波数は目標値に近いままでした。
電圧と周波数はどちらも電力品質の側面であり、本質的に関連していますが、通常、送電システムの設計と運用では別々に考慮されます。
この例では、過電圧によって最初の切断が引き起こされ、その後、周波数不足とさらなる切断の問題が発生しました。
調査官らは、連鎖的な故障を引き起こした最初のショックの原因は、過電圧に反応して発電側が切断されたことによるものだと断定した。
停電の直前には、十分な慣性があり、十分以上の余剰電力が蓄えられていた。
調査官らは、いかなる追加の慣性でも、過電圧によって最初に引き起こされた連鎖的な故障をシステムが回避することはできなかったと結論付けた。
熱発電機
停電直前、スペイン半島の電力システムにおける発電の大部分は再生可能エネルギー(82%)によるもので、原子力(10%)、ガス(3%)、石炭(1%)、熱電併給および廃棄物(4%)によるものがわずかに含まれていた。
電圧調整に協力する特別な義務を負って系統に接続された火力発電所はわずか 11 ヶ所でした (ガス火力発電所 6 ヶ所、原子力発電所 4 ヶ所、石炭火力発電所 1 ヶ所)。
技術的な観点から言えば、太陽光発電や風力発電機も電圧調整に貢献できるが、そうする義務はない。
報告書は、送電網に接続された火力発電機の数(わずか11基)が今年これまでで最低だったと指摘している。
これまで、送電網に接続された発電機の最低数は12台(2025年初めの13日間)であり、通常はもっと多かった。
ネットワークに接続するための追加の熱ユニットを注文するという決定は、電圧の不安定性の悪化を回避するには遅すぎました。
しかし調査官らは、すでに接続されていたいくつかの熱発電機が過電圧に対して予想通りに反応しなかったことも指摘した。
必要以上に無効電力を吸収したり(電圧制御を低下させたり)、場合によっては実際に無効電力を生成したり(過電圧を悪化させたり)していました。
報告書は、南部地域の無名の発電機1台が「当時接続されていた他の発電所とは明らかに異なる動作をした」と指摘し、「電圧制御に不適切な動作」を示したと結論付けている。
調査員らはまた、送電網に直接接続している141の主要電力消費者のうち20が電圧制御をサポートする義務を果たしていないことも発見した。
地域配電網が高電圧システムに接続するノードの 9% ~ 21% も、電圧制御をサポートするために期待どおりに動作しませんでした。
報告書は、幅広いネットワーク参加者が「電圧の上昇に寄与したか、いずれにしても送電システム運用者が期待するほど状況の改善には寄与しなかった」と結論付けている。
再生可能エネルギー vs 火力発電
停電の原因に関する当初のコメントは、インバータベースの再生可能エネルギー発電(特に太陽光発電)の非常に高い割合が停電の根本原因であるかどうかという問題を中心に二極化した。
この議論のもう一方の側面は、回転慣性を提供することでネットワークを安定させるために接続された同期熱発電が少なすぎるかどうかでした。
報告書は、4月28日には再生可能エネルギーの発電量が多すぎ、慣性が少なすぎたという主張を否定している。
しかし、電圧制御の主たる責任を担っていたのは火力発電機であったが、その数が少なすぎて期待したほど効果的ではなかったと指摘している。
バックドアを通じて、発電ミックスにおけるインバータベースの再生可能エネルギーの割合が非常に高くなった場合の電力網の安定性に関する問題が再び浮上しました。
この報告書では、再生可能エネルギーの周波数制御への貢献ではなく、電圧安定性への貢献に焦点を当てています。
報告書では、「電圧の安定性と太陽光発電量、あるいは連成同期発電量の間には一定の相関関係があるが、この相関関係はすべての場所で同じように強いわけではない」と指摘している。
再生可能エネルギー発電事業者が、周波数制御と同様に電圧調整に貢献することを金銭的に奨励されたり、法的に義務付けられたりできないという本質的な理由は存在しない。
報告書では、同期コンデンサ、静的同期補償装置(STATCOM)、柔軟な交流送電システム(FACTS)はすべて電圧調整に貢献できると指摘しています。
これらのシステムの一部はすでにスペインの電力システムに組み込まれています。
報告書は、既存の電圧管理義務を遵守しない火力発電所に対して金銭的な罰則を課すことを勧告している。
この提案は、技術に中立で、火力発電事業者だけでなくネットワークのあらゆる参加者に開かれた、電圧制御のための新しい補助サービス市場の創設を促しています。
また、半島全域に同期補償装置を導入し、電圧操作をさらに抑制するために FACTS システムを更新することを強く求めています。
スペインの再生可能エネルギー優先の姿勢を反映して、再生可能エネルギーの割合が増加し、火力発電が減少する中でも電圧制御を改善することが全体的な目標となっている。
報告書の著者らは、コストの削減、排出量の削減、再生可能エネルギー発電の抑制の減少、そして種類を問わずすべての発電事業者にとっての新たな収入源という4つのメリットがあると主張している。
最終的な考え
政府の報告書は、4月28日に半島全域で発生した停電の原因となった要因について、包括的な時系列と説明を提供している。
調査官らは、連鎖停電の根本原因は周波数調整ではなく電圧制御の問題にあるとしている。
報告書は、失敗の責任を特定の機関に帰することは慎重に避け、議会や裁判所で何年も議論される可能性のある政治的および法的責任に関する難しい決断を避けている。
むしろ、送電事業者、火力発電所、主要な電力消費者、地域配電会社の間で責任が広く分散されていることを意味します。
責められるべき組織は一つもなく、システムが正常に機能しなかった集団的失敗に全員が加担した。
報告書は、周波数ではなく電圧が根本原因であると特定し、システムに十分な回転慣性があるかどうかについての議論を提起し、感情的な再生可能エネルギー対熱エネルギー論争でどちらか一方に肩入れすることを避けた。
しかし、このことは、再生可能エネルギーの割合が増加し火力発電が減少する中で、システムの電圧制御が十分であったかどうか、また電圧変動をどう管理するかという密接に関連した疑問を浮き彫りにした。
予想通り、提案された解決策の多くは非常に似ており、新しい補助サービスを作成し、それに対して料金を支払ったり、電力網のバランスをとるためにテクノロジーをより多く活用したりしています。
この報告書は、再生可能エネルギーを広く支持する視点を採用しており、停電の責任の大部分を再生可能エネルギー発電業者から免除し、低下する電圧調整を火力発電業者からどのように補うかに焦点を当てている。
報告書は、発電構成における再生可能エネルギーの割合を逆転させるのではなく、高めるために、根本的な変更ではなく、運用の小さな修正を推奨している。
●その他