備忘録(2025/11/14-16)
●企業
米連邦準備制度理事会(FRB)は来月、米銀大手の最高財務責任者(CFO)らと会合を開き、国際的な資本基準であるバーゼル規制履行の最新計画について、詳細を説明する見通しだ。JPモルガン・チェースのダニエル・ピント副会長が明らかにした。
ピント氏はドイツのフランクフルトで14日に開かれたイベントで、いわゆる「バーゼルIII最終化」米国版の従来案には、JPモルガンを含め各行が「驚かされた」と発言。その計画通りであれば、資本要件が大幅に引き上げられることになると指摘した。
ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)と大手銀CFOとの同会合で、内容が見直される可能性がある。
ピント氏は「より明確になるだろう」とし、新たな計画は欧州によるバーゼル規制基準の実施方針と「かなり整合的な内容」になるとの情報を得ていると述べた。
ブルームバーグは先月、FRBがウォール街の大手銀行に課す資本要件を大幅に緩和する修正案をまとめており、その概要を他の米金融監督当局に示したと報じた。
ボウマン副議長は今月初旬、バーゼルIII関連の計画公表は優先事項だが、新たな提案は銀行に対する資本規制全体の枠組みに整合するものでなければならないと強調した。
ピント氏は「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)」に関するルールの一部再調整と併せて考えると、新たな計画は、現行ルールと比べても「資本水準をおおむね横ばいに維持するものになる」との見通しを示した。
格安ディスカウントストアのダラー・ツリー<DLTR>が下落。アナリストが投資判断を「売り」に2段階引き下げた。目標株価は103ドルに設定。これ以上の上昇余地を見出すのは難しくなっていると指摘。
「長期的には利益改善の余地があるものの、好転したファンダメンタルズはすでに株価に織り込まれている」と分析。また、低所得層の消費動向への懸念や、価格・バリュー両面での消費者評価の低下も指摘している。
同アナリストは、バリュー・プロポジション(顧客へお価値提案)が改善している小売企業や、商品訴求力の高い企業をより好ましい銘柄として挙げている。
●マクロ
英国のリーブス財務相が、26日に発表される予算案に所得税率引き上げを盛り込む計画を撤回した。予算責任局(OBR)が広く見込まれていたよりも良好な財政見通しを示したためだと関係者は説明したが、財政ショックが将来発生するリスクを英国に残したと、エコノミストらは指摘した。
慎重な取り扱いが求められる内容を話しているとして匿名を要請した関係者によると、従来は最大で350億ポンド(約7兆1000億円)にも達するとみられていた財政不足は、OBRの最新の予測では200億ポンドに近い数字で収まるとされている。従って、財政を好転させるとともに財政のゆとりを拡大するという2つの目標の達成に向けてリーブス氏が調達する必要のある額は、300億ポンド前後となる。
OBRの予測はなおも大幅な増税が必要であることを意味するが、所得税増税を行わないとした労働党の公約をリーブス氏は破らずに済む見通しになったという。同氏は公約を破る必要性を最近まで唱えていたが、党内の強い反対に直面していた。
だが、この方針の急転換は英国債の売りを招いた。一貫しないメッセージには投資家や政治家、アナリストらから不満の声が上がった。
元イングランド銀行金融政策委員のマイケル・ソーンダース氏は、政府の情報発信は信頼性を損ねていると論じ、「戦略を定めたら、それを貫く必要がある。ころころ方針を変えるようでは、政治的な弱さを印象づけるだけだ」と発言。「所得税を引き上げる意思はないと示したことで、財政問題が将来発生した際に対処できる余地は狭まった」と述べた。
リーヴス氏は公約破りとなる増税が受け入れられるよう国民に理解を求めることに先週の多くの時間を費やしていた。今回の方針転換は、労働党の支持率が低下している中で、公約破りをすれば党への打撃が大き過ぎるとの危機感も表していそうだ。
OBRは今週、最新の予測を提出した。関係者によると、賃金の上昇が生産性低下の一部を打ち消すほか、政府の借り入れコスト計算に国債利回りが急低下した期間を使うことを認めたOBRの決定も、財政見通しを好転させた。ブルームバーグ・エコノミクスはこの影響を約20億ポンドと算出している。
英財務省は書面で、「正式な発表機会を除き、税制変更に関する臆測にわれわれはコメントしない」と回答。「財務相が発表する新予算では、英国の将来を確かなものとするための強固な基盤を築く公正な選択が示される」と続けた。
予算案を巡って政権内では数日前、上級閣僚がスターマー首相の追い落としを図ろうとしているとの疑惑が浮上し、政権がどれだけ存続できるのか疑問が生じていた。ブルームバーグは13日、この件に詳しい関係者の話として、リーブス氏が予算案について最終決定を下せないでいるのは、疑惑への対応策について、閣内で議論が続いていることが一因だと報じた。
所得税増税を回避するとしても、英国が歳入の不足分をどのように補うのか投資家の間には疑問が広がり、英国債は急落している。
14日の取引で英10年債利回りは13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.57%。ポンドは対ドルで0.2%安。英国株の指標であるFTSE100指数は一時2%安と、4月以来の大幅下落となった。
昨年の総選挙戦で労働党は、「勤労者」が支払う主要な税金である所得税、国民保険料、付加価値税(VAT)の3つを引き上げることはないと公約していた。事情に詳しい関係者によると、財務相は公約を破る用意をしていたが、財政見通しの改善でそれがもはや不要になった。
リーブス氏は所得税の基本税率や高額税率の適用額を据え置くことで従来の見通し以上の税収が上げられ、従業員が給与の一部を非現金性の給付に振り替える「給与犠牲プログラム」への課税を強化する方針だと、関係者は説明。リーブス氏は一段階上の税率が適用される基準額を引き下げることも検討したが、実行しないことに決めたと、関係者は付け加えた。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、リーブス氏が所得税率引き上げを断念すると先んじて報道し、代わりに、所得税の税率が変わる基準額を引き下げる可能性があると伝えていた。
また、富裕層が英国から他国に移住する際に課す「清算税」の導入可否もリーブス氏は検討している。さらに、有限責任事業組合(LLP)を活用する個人からの税収増を狙う案についても、内容を緩和する可能性があるという。
自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスの自動車ローン数百億ドルを債券化した、ウェアハウスファシリティーと呼ばれる与信枠は、世界有数の名門投資銀行であるJPモルガン・チェースが運営していた。JPモルガンは数十年にわたり、さまざまな企業が発行する資産担保債務のための枠組みを構築・管理してきた実績を持つ。
ブルームバーグ・ニュースによると、トライカラーの7億7000万ドル(約1200億円)の与信枠を支援していたウォーターフォール・アセット・マネジメントのジュニアアナリストが、トライカラーの担保の扱いに問題があることを最初に発見した。この指摘を受け、再調査したJPモルガンのバンカーが即座に融資を打ち切り、トライカラーは破綻した。
経験豊富なプロが見落とした問題を、新鮮な視点を持つ第三者が発見した事例は、ここ数週間だけで他にもある。あらゆる職場から初級職が減り、人工知能(AI)の擁護者がジュニア銀行員を代替するソフトウエアを開発できると考える時代に、こうした事例は、組織に常に新たな人材を確保し続けることの重要性と、変化のないプロセスが慢心を生む危険性を改めて想起させる。
ロスチャイルド・アンド・カンパニー・レッドバーンに勤めるドミニク・ボール氏(26)は今年数か月にわたり、フィンテック企業のファイサーブに売り評価を下していた唯一の株式アナリストだ。その後、同社は10月下旬に業績予想の大幅な下方修正を発表し、株価が44%急落した。下落は今も続いている。
当時、ファイサーブはボール氏の売り推奨に反論。データに疑問を呈し、誤りを指摘しようとした。筆者はファイサーブに対する唯一の売り推奨について、同氏が自身の判断を疑ったことはあるか尋ねた。ボール氏は、ファイサーブ株が20%下落した時点で、同社が「再建に長い時間を要する大企業」のような存在になるのか、「迅速に方向転換できる新興フィンテック企業」のようになれるのか自問したという。そして、「明らかに前者だと判断し、さらに賭けを倍増させた」と振り返った。
生産的な無知
金融業界で企業に誤りを認めさせたり、人事や製品、慣行の変更を迫ったりするのは、往々にして調査型空売り業者や外部アクティビスト投資家だ。彼らの登場が歓迎されるのはまれで、暴かれる事実が痛みを伴うことも多い。
より広く見れば、私たちは、成功した破壊者や異端者を称賛する。米アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏は、人物としては厄介者だったという話もあるが、個人用コンピューティングの世界を2度も塗り替えた。劇作家ジョージ・バーナード・ショーが「人間と超人」で述べた通り、進歩は理不尽な人間に依存するのだ。
学術誌「MITスローン・マネジメント・レビュー」に今年寄稿したシモーネ・フェリアーニ氏とジーノ・カッタニ氏によれば、この現象を表す「集中的な純真さ」という用語がある。専門家が取るに足らない、または解決不能と見なす問題に対して、既成概念にとらわれない外部者が「生産的な無知」で解決する構図を指す。
企業や個人が例外的な細部の重要性を把握するのは、多くの場合困難だ。ウェアハウスファシリティーで類似した大量の短期担保付ローンを絶え間なく処理していれば、いとも簡単に注意を払わなくなるだろう。ランダムな品質監査は役には立つが、悪い兆候を必ず捉えられる保証はない。
AIがこの問題を解決できるかは不明だ。従来のAIは、決済詐欺対策などには優れている。膨大なデータセットを監視し、資金が循環したり複数の口座を急速に移動したりする既知の不正パターンを識別できるからだ。だが、新たな手口や未見の犯罪を判断する能力は、必ずしも備わっていない。
では貸し手や企業は何ができるのか。MITスローン誌に寄稿したフェリアーニ氏らは、成功したイノベーションの多くは、創造的な外部者のアイデアと、内部者の知見を組み合わせた時に生まれると指摘した。集団思考を最小限に抑える厳格な取り組みも推奨している。
ボール氏がファイサーブを評価した際も、最も重視したのは足で稼ぐことだった。顧客と話し、自らも潜在顧客を装って話を聞いた。ボール氏は「顧客の現場で何が起きているか、投資家層がどう考えているかを知るのが好きだ。両者の間に大きな隔たりがある時、私の頭の中でひらめきが生まれる」と語った。
運営上の問題を発見したい企業にとっては、管理職やスタッフを定期的に異動させ、「集中的な純真さ」の視点を業務に取り入れることが一つの手段となる。だが、何よりも効果的なのは、変化に乏しい長年の業務で視野が狭まっていない、新しく賢い若者を採用し続けることだ。
ノルウェーは、2兆ドルを運用する世界最大の政府系ファンドの投資倫理指針を見直し、20年以上にわたり禁止してきた大手防衛企業への投資を2027年から解禁する可能性がある。背景にあるのはウクライナ戦争や、欧州諸国に防衛支出拡大を迫るトランプ米大統領の姿勢など、安全保障情勢の変化だ。
議会は4日、2004年に設けた倫理指針の見直しに着手することを可決した。核兵器の部品を製造していることを理由に禁止している14社への投資が解禁される可能性がある。これら企業の時価総額は約1兆ドル。
14社にはロッキード・マーチン(LMT.N), opens new tab、ボーイング(BA.N), opens new tab、エアバス(AIR.PA), opens new tab、BAEシステムズ(BAES.L), opens new tab、サフラン(SAF.PA), opens new tab、タレス(TCFP.PA), opens new tab、BWXテクノロジーズ(BWXT.N), opens new tab、ノースロップ・グラマン(NOC.N), opens new tabなどが含まれる。
ノルウェー政府年金基金はESG(環境・社会・企業統治)を重視し、防衛株を敬遠してきた。しかし安全保障情勢の変化により、防衛株は投資リターンの面からも魅力が増している。
1998年から2007年にかけて基金の最高経営責任者(CEO)を務めたクヌート・シェール氏はロイターに対し、「ESGよりも自由の方が重要だ。欧州はロシアの侵略から自らを守らねばならない。兵器に投資しない理由はない」と語り、基金が投資を禁じられているのと同じ企業から、ノルウェー政府が武器を買っているという矛盾点を指摘した。
<投資トレンドを作る基金>
同基金の指針変更は、ESGを志向する他の投資家にも追随を促す可能性がある。基金が2016年、収入の30%を石炭に依存する企業への投資を避ける決定を下したことは、他の投資家に影響を及ぼした。
ノルウェー財務省は7日、指針見直しを担う委員会を設置した。同委員会は2026年10月に提言を行い、提言は27年6月に議会採決にかけられる予定だ。
<ジレンマ>
北大西洋条約機構(NATO)前事務総長であるストルテンベルグ財務相は10月24日の議会で、「そのような(防衛)企業への多額の支払いは倫理的に許容できると考える一方で、同じ企業からずっと少額のリターンを受け取ることは非倫理的だと考える」ことの矛盾を指摘した。
ノルウェーはロッキードから戦闘機を、BAEシステムズからフリゲート艦を購入しているが、政府系基金による両社への投資は20年前に禁じた。指針見直し委員会への負託書において財務省はこの「ジレンマ」を強調し、「以来、両社の武器生産への関与も、安全保障政策の状況も変化した。核兵器は、ノルウェーも加盟しているNATOの抑止戦略の基盤だ」と続けた。
少数与党の労働党政権は、指針変更に対して他の政党から十分な支持を得られそうな情勢だ。
ただ、将来のノルウェー国民を守ることを目的とする基金が、人類の存続を脅かす大量破壊兵器の生産を支援する企業に投資することに反対する声もある。
<倫理的判断に基づく売却を停止>
人口560万人のノルウェーは欧州連合(EU)に加盟しておらず、北極圏でロシアと国境を接する。
2010年から14年まで政府系基金の倫理評議会議長を務めたオラ・メスタッド氏はロイターに対し「倫理指針を再構築し、『われわれは戦前、あるいは戦間期にあるため、これらの兵器(企業への投資)除外について考え方を変えなければならない』と明記できるようにすべきだ」と述べた。
アナリストらは、指針を見直せばノルウェーは倫理的理由に基づきグローバル企業の株売却を決める際、以前よりも慎重になる必要が出てくると指摘する。従来に比べて反発が強まる恐れがあるからだ。議会は先週、そうした売却を一時停止した。
米国務省は9月、パレスチナ自治区ガザやヨルダン川西岸地区でイスラエルが米建機大手キャタピラーの製品を使用していることを理由に、基金が同社株を売却した決定に憂慮を表明した。
ノルウェー政府系基金の資産の約52.4%(1兆ドル)は、米国の株や債券、不動産に投資している。
中国の鉄鋼生産は10月も減少した。国内需要の減退や製鉄所の減産拡大が背景にある。
国家統計局が14日発表したデータによると、10月の粗鋼生産量は前年同月比12%減の7200万トン。5カ月連続の減少となり、年初からの累計生産量は前年同期比4%減となった。
経済規模でアジア最大の中国の内需低迷と利益率低下を受け、製鉄所は生産の縮小を余儀なくされている。長引く不動産不況や製造業活動の鈍化も鉄鋼需要の減退につながっており、持続的な過剰生産能力が価格を押し下げている。
さらに、政策当局が生産抑制を促すシグナルを発していたことも慎重姿勢を後押しし、製鉄所の減産を招いた。
10月としては2021年以来の弱い数字となった。当時は新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めるための規制措置で経済が停滞していた。
コンサルティング会社マイスティール(我的鋼鉄)の高頻度データによると、調査対象247社の製鉄所の収益性は先週、再び小幅低下した。マイスティールによれば、黒字の製鉄所の割合は前年比19ポイント下がった。
上海先物取引所では現地時間午前11時48分(日本時間午後0時48分)時点で、建設用の主要鋼材である鉄筋の先物が0.2%下落。熱延コイルも下げた。シンガポール市場の鉄鉱石先物は一時0.6%安となった。
中国の住宅価格は10月に下落ペースがさらに加速した。一部の大都市で住宅購入規制が緩和されたものの、低迷する不動産市場を立て直すには至らなかった。
国家統計局が14日発表した10月の新築住宅価格(主要70都市、政府支援住宅を除く)は前月比0.45%下落と、1年ぶりの大幅な下げ。中古住宅価格は0.66%下落し、この1年1カ月で最大の落ち込みとなった。
中国では、4年に及ぶ不動産不況が経済全体の足を引っ張っている。住宅価格の低迷が続いていることで資産保全手段としての不動産を巡る懸念が広がり、買い控えにつながっている。
パンテオン・マクロエコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ケルビン・ラム氏は今週のリポートで、「不動産セクターは依然として低迷している」と指摘。「在庫が需給バランスの取れた妥当な水準を回復するには約1年半を要する」との見通しを示した。
イランの首都テヘランの通りは活気に満ち、変化の兆しがはっきりと感じられる。女性たちはベールを着けずにジーンズとスニーカー姿で歩き、男性も女性も西側の音楽が静かに流れるカフェでくつろぎ、カップルは手をつないで散策している―。イスラム共和国イランを長らく形作ってきた厳格な社会規範にほころびが生じている。
しかし水面下では、暗い現実が進行している。イラン指導者は、恐怖を植え付け、騒乱を防ぐために反体制派への弾圧を強めていると、イラン国内の反体制活動家4人がロイターに証言した。
人権擁護団体や活動家によると、この数カ月でジャーナリストや弁護士、学生、作家、人権擁擁護団体のメンバーなど数百人が嫌がらせや当局からの呼び出し、拘束など懲罰的措置を受けた。
イラン当局者3人と元改革派幹部1人によると、経済的孤立が深まる中で、国民の世論をなだめるために目に見える規制を緩めつつ、一方で反体制派への弾圧を密かに強化するというのが当局の戦略で、こうした取り組みは計算づくで進められているという。
ワシントンにある中東研究所のイラン・プログラム・ディレクター、アレックス・バタンカ氏は、この戦略は「戦術的な管理」を示しているが、政府の「越えてはならない一線」は揺るぎないと指摘。「こうしたアメとムチの使い分けは意図的なもので、一般市民にはガス抜きの機会を与える一方、腰の据わった反体制活動には固い天井を設けている」と述べた。
イランの指導者は、1979年のイスラム革命以来最大級の試練に直面している。イスラエルとの衝突でイランの軍事・核関連施設は6月に深刻な損害を受け、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスやレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラ、イラクの民兵組織など地域の同盟ネットワークも崩壊した。国内では、通貨リアルの暴落、インフレの急騰、深刻なエネルギーと水の不足により経済が打撃を受けている。
「イランは未踏の領域にあり、政権の現在のアプローチは、一貫した戦略というよりも変動の激しい局面を生き延びるための短期的な試行錯誤の連続に過ぎない」とバタンカ氏は言う。
女性の頭髪を隠すスカーフ「ヘジャブ」着用を巡っては、マフサ・アミニさんが法に違反した疑いで拘束されて2022年に死亡した事件をきっかけに抗議デモが起きたが、現在は必ずしも取り締まられていない。
国民の不満が高まる中で全国規模の抗議が再燃することを懸念し、ペゼシュキアン大統領は、昨年末に承認された、強硬派が支持する「ヘジャブと純潔」法の施行を拒否している。
オンラインでは、イランを活気があり友好的な場所として描く華やかな動画が流れ続けている。海外の旅行系インフルエンサーは――中には政府に招かれ、政府の支援を受けているケースもある――古代遺跡、にぎやかなバザール、豪華な料理に驚嘆する様子を投稿。イランは誤解され、不当に悪く言われているというメッセージも発信する。こうしたコンテンツは、安全で魅力的な旅行先としてイランのブランドを再構築する体制派の取り組みの一環だ。
最近のストリートコンサートの動画では、ヘジャブをまとわない若者が踊り、ポップなバラードに合わせて歌う姿が映し出されている。2年前には想像もできなかった光景だ。
<弾圧を隠蔽>
しかしこうした映像は念入りに演出されており、開放を装いつつ、深化する弾圧を隠蔽するのが狙いだと反体制派は指摘する。
イランの死刑執行件数は1989年以来最多だ。国連人権高等弁務官事務所によると、年初来の死刑執行は10月21日時点で少なくとも1176人で、1日平均4人に上る。
2019年のデモで投獄された活動家は「家族への脅迫から活動家、学生、ジャーナリストの逮捕に至るまで、圧力は高まっている。反対派を完全に押しつぶそうとしている」と話した。
イランは政治的にも財政的にも孤立し、イランの支配層は国内の不満と、米国との核協議の行き詰まりという板挟み状態にある。9月に核合意が成立せず、イラン経済への圧迫は一段と強まる可能性がある。
さらに関係当局者によると、イランの権力中枢では、対米外交が崩壊した場合にイスラエルがイランへの攻撃を再開する可能性への懸念が高まっているという。
バタンカ氏は「大規模な抗議が再発するリスクは現実的なものだ。イラン社会は依然として怒り、幻滅し、経済的にも外交的にも行き詰まりが解消されないと確信している」と指摘。イランの最高指導者ハメネイ師については、イスラエルや米国との戦争を避けるために狭いながらも外交の道を維持しつつ、国内的には慎重な譲歩を試行しているように見えるとした。
<高まる弾圧>
6月のイスラエルとの12日間の戦争後に反政府派への弾圧は激化しており、活動家は、社会的規制の緩和はデモを起こさせないための手段だと述べた。「しかし、それは単なる応急処置にすぎない。6月の戦争終結以降に治安当局から呼び出しを受け、脅迫されている。政治活動に関わったら、弟を逮捕すると脅された」という。
戦争後の混乱の中、当局は国家安全保障を理由に広範な弾圧を正当化している。イランの司法は、イスラエルと協力したとされる者に対し迅速な裁判を命じ、議会はスパイ行為に対する死刑の適用範囲を拡大する法案を可決。新法はオンライン活動も対象とし、「虚偽情報」を拡散すると見なされる投稿を犯罪と規定している。イラン司法当局によると、逮捕者は2万1000人以上に上る。
元改革派幹部は「国際的な圧力は高まっており、体制派は権力の喪失を恐れている。だからこそ国内で反体制派への締め付けを強めるのだ」と話した。
低所得の消費者や若者が借金や住宅ローン返済の困難に悩まされているというテーマを踏まえると、自動車ローン分野のサブプライム層全体にストレスの兆候が現れ続けている。
ブルームバーグが水曜日に発表した新たなレポートは、フィッチ・レーティングスのデータに基づき、サブプライム自動車ローンの延滞率が1994年以来の最高水準に急上昇し、10月にはサブプライムローン借り手の6.65%が60日以上支払いを延滞していたと報じた。
ブルームバーグレポートの主要データ:
サブプライムローンへのエクスポージャーが増加:現在、消費者の14.4%が最もリスクの高い信用度区分に該当し、これは2019年以来の最高値である(トランスユニオン)。
マイナス資産の急増:自動車価格が 50,000 ドルを超え、ローン残高が車両価値を上回ったため、第 3 四半期には下取り車の 28% 以上がマイナス資産となりました。
金利の急騰:ディープサブプライムローンの借り手は、平均16%(新車)、21.6%(中古車)の金利に直面しています。一部のローンでは、30%を超える略奪的な金利水準に達しています。
こうしたストレスは、9月にサブプライムローンの自動車ローン会社トリコロールと自動車部品メーカーのファースト・ブランズが破綻したことで初めて表面化した。その後、ザイオンズ銀行とウェスタン・アライアンス銀行に亀裂が生じ、両行は不良商業用不動産への投資資金に関連した融資詐欺の被害に遭っていたことが明らかになった。
これに加えて、低所得の消費者と若者が消費に暴動を起こしました。これを受け、ゴールドマン・サックスの消費者部門は、数十年ぶりの最悪の消費者心理を警告し、内破する消費者に対して「デフコン1」を発動しました。UBSの報告書では、消費者動向の弱体化が低所得世帯から中所得世帯に広がっていると説明されています。さらに、Z世代とミレニアル世代を揺るがす「デフォルトの崖」が、返済不可能なほどの学生ローン債務を抱えています。
S&Pグローバルが13日に発表したデータによると、米主要企業の倒産件数は過去15年間で最多を記録する勢いとなっている。
今年1─10月の倒産申請件数は655件。10月だけで68件と、月間で少なくとも2020年以降最多を記録した8月の76件に続く水準となり、通年で24年の687件を上回る勢いだ。
トランプ米大統領による関税政策の全体的な影響は依然として不透明だが、企業はすでに投入コスト上昇による負担を感じており、インフレと労働市場低迷に直面する低所得層の消費者をさらに圧迫している。
今年の倒産申請は部門別では産業部門が98件と、関税による潜在的なサプライチェーン混乱へのエクスポージャーを反映し、最多となっている。一般消費財企業が80件で、これに続く。
最近の信用懸念の高まりにより、数兆ドル規模の世界的な信用市場が注目を浴びており、そのリスクはウォール街の銀行大手や地銀を含む複数の著名金融機関にまで及んでいる。
自動車部品メーカーのファースト・ブランズは100億ドルを超える負債を開示し、9月に破産法の適用を申請。急速に悪化した財務が債券投資家に衝撃を与えた。
サブプライム自動車ローン会社のトライカラーも9月に破産法の適用を申請し、JPモルガン・チェース(JPM.N), opens new tabは1億7000万ドルの損失を計上した。
S&Pのデータによると、インフレが数十年ぶり高水準となり米連邦準備理事会(FRB)が利上げを余儀なくされた22年以降、全米で破産申請が毎年増加している。
同国の最高住宅規制当局は、トランプ政権が米国の住宅価格高騰の課題に対処できる新たな手段を検討していると述べた。
「われわれはポータブル住宅ローンを積極的に評価している」と連邦住宅金融局のビル・パルテ局長は11月12日のXへの投稿で述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。
これは、ファニーメイとフレディマックが「引き継ぎ可能な住宅ローンやポータブル住宅ローンを安全かつ健全な方法で実施する方法を評価している」と同氏が示唆してから数日後のことだ。
ポータブル住宅ローンにより、住宅所有者は既存の住宅ローン(金利、条件、償却スケジュール)を新しい住宅物件に移行できるようになります。
このコンセプトは、理論的には、借り手が罰金を回避し、利息を節約するのに役立つ可能性がある。
米国では利用できませんが、カナダ、英国、および欧州連合の一部の国ではオプションとして利用できます。
引き継ぎ可能な住宅ローンとは、住宅購入者が、金利、残高、返済条件などを含め、売り手の既存の住宅ローンを引き継ぐことを指します。
黄金の手錠を解く
過去数年間、既存住宅の供給は不動産市場にとって課題となってきました。
緩やかな増加が続いた1年にもかかわらず、住宅在庫は歴史的な低水準にとどまり、合計で約155万戸となり、1982年から2025年までの長期平均である220万戸を大きく下回っています。
供給月数は現在の住宅在庫を使い果たすのに必要な月数である4.6か月であり、市場は依然として売り手に有利であり、市場の供給制約が依然として続いていることを強調している。
米国は長年、住宅不足に悩まされてきたが、大きな要因となっているのは、新型コロナウイルスのパンデミック中に連邦準備制度理事会が国の閉鎖による経済的打撃を和らげるために金利をゼロ%に引き下げたことで生じたロックイン効果である。
その後まもなく、30年住宅ローン金利は急落し、2021年1月には史上最低の2.65%に達した。
初めて住宅を購入する人や住宅所有者は、住宅価格が現在よりも低かったときに、この一生に一度あるかないかのチャンスを利用しました。
フィラデルフィア連邦準備銀行の調査によると、現在、米国の住宅ローンの約半数がCOVID-19パンデミック中に発生したことが分かりました。さらに、多くの住宅所有者が低金利の住宅ローンを借り換えました。
しかし、これにより、公的政策立案者が黄金の手錠を解くことが困難になっている。
米国の世帯の約53%は4%未満の住宅ローン金利を享受しているため、住宅を売りに出すことに消極的であり、事実上、供給が制限されている。
連邦住宅金融局は 2024年の論文で、ロックイン効果により2022年から2024年の間に約172万件の住宅販売が阻止され、住宅価格が7%上昇したと推定した。
メリーランド州エルクリッジで2024年9月27日に売りに出されていたタウンハウス。マダリナ・ヴァシリウ/エポックタイムズ
30年住宅ローンの平均契約金利は6.34%です。
これは、住宅購入の困難さの問題を悪化させるだけでなく、生産性に影響を及ぼし、世帯形成を制限する労働力の移動の制限など、より広範な経済問題も引き起こします。
「これらの要因が組み合わさって借り手の効用を低下させる可能性があり、借り手がどの程度拘束されているかを理解することの重要性を強調する」と論文は述べている。
住宅の手頃な価格は現政権と前政権にとって最優先事項の一つとなった。
ドナルド・トランプ大統領は最近、住宅価格の高騰により住宅を購入できていないアメリカ人が住宅購入の道に踏み出せるよう支援することを目的とした、50年住宅ローンの創設を提案した。
トランプ氏はその後、フォックス・ニュースの司会者ローラ・イングラム氏に対し、50年住宅ローンは「大したことではない」と語った。
プルテ氏はこれを「ゲームチェンジャー」と呼んだ。しかし、ソーシャルメディア上で反発が出たため、プルテ氏は50年住宅ローンの選択肢は「連邦住宅金融庁が現在開発中の幅広い解決策の中の、潜在的な武器の一つに過ぎない」と述べた。
11月10日のフォックスニュースのインタビューで、国家経済会議のケビン・ハセット委員長は、この提案は中流階級のアメリカ人の月々の支払いを減らす可能性があると述べ、この提案を擁護した。
「この制度は、中西部の典型的な住宅の月々の支払いを数百ドル軽減します」とハセット氏は述べた。「人々が再び住宅に住めるよう支援する必要があるのです。」
レッドフィンのデータによると、10月26日までの4週間における米国の住宅ローンの月額支払額の中央値は2,530ドルだった。これは前年比1.4%の減少であり、2024年11月以来の大幅な減少となった。
世界の半導体需要が2026年に急拡大するとの見方が強まっている。半導体製造装置大手が7〜9月期(一部は8〜10月期)決算を発表し、各社のトップが強気の見通しを示した。人工知能(AI)向けデータセンター投資の過熱への懸念もあるなか、装置業界は需要の急拡大期を意味する「スーパーサイクル」に入るとの声が出ている。
製造装置大手の日米欧10社の決算が14日、出そろった。全社の純利益は前年同期比19%増の93億ドル(約1兆4000億円)となり、6四半期連続で増益だった。8社が増収となり、主にデータセンターで使われるAI半導体の製造に必要な最先端装置を手掛ける企業が好調だった。
顧客となる半導体メーカーの投資計画や受注状況を踏まえ、装置各社では前向きな見通しが広がっている。国内最大手の東京エレクトロンの河合利樹社長は、10月末の決算説明会で26年の世界の前工程向け装置市場が「過去最高になるだろう」と明言した。
AIサーバーでのデータ処理に欠かせない先端メモリ半導体である「広帯域メモリー(HBM)」の需要が逼迫し、半導体メーカーが増産に動いている。装置への引き合いも強く、河合社長は「長期的なスーパーサイクルに入る可能性もある」と話した。
半導体検査装置大手のアドバンテストは、中期経営計画の最終年度である来期(27年3月期)までの目標を上方修正した。3年間の平均売上高を最大9300億円と最大2750億円引き上げた。米エヌビディアを主要顧客に抱え、高性能な検査装置の販売が伸びるとみる。
世界最大手のオランダASMLホールディングの市場見通しが楽観的になったことも大きい。ASMLはAI半導体の製造に必要な極紫外線(EUV)露光装置の供給を独占し、その動向がAI需要の先行指標として注目されている。
クリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は「26年の売上高が25年を下回ることはない」とした。26年の成長を「確約できない」としていた3カ月前から転じた。
好況の背景にあるのは、米テック大手による大型投資だ。生成AI市場での覇権を巡ってデータセンターの新設計画が相次ぎ、各社がAI半導体の確保を急いでいる。
半導体は好不況を3〜5年で繰り返す「シリコンサイクル」を超えて、巨大なAI需要が市場全体をけん引して伸びる構図が続く。装置ではAIの演算を担うロジック半導体向けに加え、メモリー向けにも需要が波及している。
26年は世界で半導体工場の新設が増え、年後半に装置納入が本格化する。洗浄装置を手掛けるSCREENホールディングスの後藤正人社長は「メモリーのスーパーサイクルが効いてくるのは来年後半」と期待を示した。
株価はすでに26年以降の好況を織り込んで上昇している。アドバンテストは決算発表後に株価が2割超と急騰し、時価総額が15兆円に達した。10月末にかけて、東京エレクトロンなど装置関連銘柄が軒並み上昇した。
短期的な過熱感から、市場では「AIバブル」との懸念もある。岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは「テック大手同士の競争で業績が悪化すれば投資計画が一気に減速する可能性はある。対中規制の影響度などで装置メーカーのなかでも勝敗が分かれそうだ」と指摘する。
米政府は9月に対中輸出規制の強化で、装置輸出を制限する中国企業のリストを拡大した。中国は最大の装置輸入国で、7〜9月期売上高に占める中国比率は10社平均で35%だった。対中規制を見込んだ駆け込み需要から一時反動減が出ていたが、依存度が高い状態が続く。
足元ではスマートフォンやパソコン向け、電気自動車(EV)向けパワー半導体の回復は依然として鈍い。先端半導体ではない成熟品向けの需要低迷もあり、25年下期は端境期となりそうだ。
PER(株価収益率)はアドバンテストが54倍、東京エレクトロンが31倍と高水準で推移する。市場の期待が集中するなか、それに応じた成長が実現できるかが問われる。
クリスティン・チョー率いるゴールドマン・サックスのアナリストは、今週初めにラスベガスで開催されたレストラン・ファイナンス&デベロップメント・カンファレンス(RFDC)に出席しました。カンファレンスには、レストラン経営者や創業者、フランチャイジーや複数店舗の経営者、プライベート・エクイティ投資家や融資機関、業界コンサルタント、そしてレストラン・エコシステム全体に関わる様々な関係者が集まりました。
チョー氏と彼女のチームは、こうしたレストラン業界関係者の多くと面会し、非常に憂慮すべき一貫したメッセージを聞いた。それは、特に低・中所得層の消費者の間で経営環境が悪化しており、ブランドは市場シェアを守るために値引きキャンペーンを実施せざるを得なくなっているというものだ。
また、AI導入の加速化についても議論が高まっており、通信事業者はコスト削減とサービス向上のために人間とAIのハイブリッドモデルに賭けているとも述べた。
チョー氏がRFDCから得た知見は広範で、外食産業、ひいては消費者の健全性について新たな視点を提供しています。ZeroHedge Proの購読者は、いつもの場所ですべての知見のリストをご覧いただけます。
このレポートでは、注目すべき点を2つだけ取り上げます。1つ目は、低所得層および中所得層の消費者の間で、外食を控え、食料品を購入して自宅で食事をする傾向が強まっているという、憂慮すべき変化です。
また、レストラン以外の業態、特に食料品店やコンビニエンスストアが、レストランの客足の足を引っ張っていることも指摘されました。データと調査を組み合わせると、消費者がファストフードやファストカジュアルレストランから離れ、食料品店(特にシェアを奪っているのはアルディとトレーダージョーズ)、生鮮食料品店(例えばホールフーズのホットフードバー)、コンビニエンスストアの食品(特に朝食)の組み合わせで食事をするようになっているという証拠が増えていることが分かります。
私たちの注目を集めた2つ目のポイントは、レストラン業界を席巻しようとしている自動化の波です。
2年連続で、 AIはカンファレンスの中心に据えられ、AIの現在の応用とレストラン業界全体における将来の発展の可能性に焦点が当てられました。
AIの現在の応用に関する議論の中心は、テクノロジーを活用して顧客体験を強化することに焦点を当てていた。飲食業界とテクノロジー業界の両方の専門家は、ロボットが人間に完全に取って代わるのではなく、人間がAIを活用して効率性を高め、顧客にとってより重要な他のタスクに時間と労力を向け直すというハイブリッドアプローチであると考えている。レストランのゼネラルマネージャーの観点から見ると、AIは、労働スケジュール、在庫管理、料理の準備のタイミングに関する重要な決定を情報提供して迅速化するのに役立ち、また、従業員のトレーニングにも活用できる(離職率の高い業界であるため、特に重要と見なされている)。ドライブスルーでの音声AIも強力なユースケースとして強調され、オペレーターはテストで良好なパフォーマンスを示していると指摘した。
これらの調査結果を踏まえて、昨日のUBSアナリスト、ジョナサン・ピングル氏のレポートを基に、2つの消費者の世界について考察してみましょう。
そして事態はさらに悪化します。
低所得層消費者とZ世代の感情が急激に悪化していることを示唆する早期警告指標
低所得層、ミレニアル世代、Z世代の消費者の間で経済的緊張が高まっており、トランプ政権は、マルクス主義のDSA(社会主義ドイツ支持者)が掌握した、来年の中間選挙に向けて「無料のもの」をちらつかせている新しい狂った民主党に若年層や低所得層の有権者が流れないように、住宅価格高騰対策を急ピッチで推進する可能性が高いことを示唆している。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米アルファベット傘下のグーグルは14日、テキサス州で新たに3カ所のデータセンターを建設し、総額400億ドル(約6兆1800億円)を投じる計画を明らかにした。
発表によると、投資は2027年までに実施される予定で、1カ所はテキサス州のアームストロング郡、残る2カ所はハスケル郡に建設される。ハスケル郡の施設のうち1カ所は、新たな太陽光発電および蓄電設備と併設され、電力網への負荷軽減を目指す。
アルファベットのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)はダラス近郊でのイベントで、「この投資は数千人の雇用を生み出し、学生や電気技術者見習いへの技術訓練を提供するとともに、テキサス全域でエネルギー価格の引き下げを促進する取り組みを加速させる」と述べた。グーグルはすでにダラス周辺に2つのデータセンターを運営している。
テキサス州では現在、人工知能(AI)ブームを背景に、国内最大規模のデータセンター開発が進んでおり、一大集積地となっている。今週初めにはアンソロピックが、ニューヨーク州やテキサス州を含む全米各地で計500億ドルを投じてデータセンターを建設する計画を発表している。
チャットGPTの開発元オープンAIとオラクル、ソフトバンクグループが共同で進める「スターゲート」による最初のデータセンターは、テキサス州アビリーンに建設されている。
メタ・プラットフォームズも、テキサス州で出力規模が1ギガワット級となる新たなデータセンターを建設している。1ギガワットの電力はおよそ75万世帯分の電力需要をまかなう規模に相当する。
中国の人工知能(AI)スタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)は、国際的影響力が非常に大きいにもかかわらず、あまり情報を発信しない。長い「提言」マニフェストを発表したり、国際会議で幹部を前面に出したりしない。梁文鋒最高経営責任者(CEO)が最後に公の場に姿を見せたのは、2月の習近平国家主席との会談時だった。それ以来、同社は主要な業界会合のほとんどを欠席している。
それだけに、杭州を拠点とする同社の研究者が表舞台に立ち、AIの「危険な」社会的影響に警鐘を鳴らしたことは、耳を傾けるに値する。中国政府が長年葬り去ろうとしてきた話題に踏み込むなら、なおさらだ。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によれば、上級研究員のチェン・デリ氏は先週の世界インターネット会議で、自動化が大半の仕事を消滅させ深刻な労働市場危機が到来し、「社会の根幹が揺らぐ」と警告。同氏は今はまだ「蜜月期」だと述べた上で、AI企業自身が最初に消える職種を公に知らせる「内部告発者」としての役割を果たすべきだと呼びかけた。
欧米諸国では以前から、AIがエントリーレベルのホワイトカラー職を中心に「ジョブポカリプス(雇用消滅)」をもたらすとの懸念が指摘されてきた。だが中国では、新卒者を中心とする雇用危機が既に現実のものとなっている。
数年前から、若年層の就職難を背景に、出勤を装う行為や、高学歴にふさわしくない仕事に就くより親元にとどまる「専業子供」といった社会現象も生まれている。こうした状況で新たな衝撃が加われば、脆弱(ぜいじゃく)な経済成長をさらに危うくしかねない。
新型コロナウイルス禍以降、中国の若年層失業率は高止まりしている。2023年半ばに一時21.3%と過去最高を記録すると、中国国家統計局は同指標の公表を一時停止。数カ月後に新たな算定方法で再開したが、8月には18.9%に上昇し、9月も17.7%にとどまった。
国民の不満
もっとも、この公式統計が実態をどこまで反映しているかは不明だ。4月には、中国核工業集団(CNNC)が1730人の採用に対し約120万件の応募があったと発表し、意図せずSNS上で炎上した。また、政府が発表した外国人向けKビザ(査証)制度(米国のH-1Bに相当)にも、外国人材優遇との批判が噴出した。 記録的な数の学卒者が労働市場に流入する中で、こうした事例は雇用の不安定さを浮き彫りにしている。
ディープシークの異例の警鐘が注目を集めたのは、社会の安定と経済的正当性が密接に結びついている中国において、AIによる雇用崩壊が極めて政治的な問題となるためだ。中国政府は自国の技術革新モデルが広範な繁栄をもたらし得ることを証明しようと試みる中で、この問題にどう対応するか注目される。
「AIプラス」構想と消費喚起の矛盾
中国政府がAIを推進する背景には、少子高齢化による将来的な労働力不足への対応がある。「AIプラス」構想の下、新たな成長の促進を目指す政府は、AIを電子商取引や娯楽、家電などの分野に広く導入し、消費喚起を図ることを柱の一つとしている。
しかし、中国政府は安定した労働市場なくして国内消費の持続的拡大は不可能だと認識する必要がある。ディープシークのチェン氏は「AI革命が成功した証しは、人間の仕事の大半を代替することだと言っても過言ではない」と指摘する。つまり、AIによる消費喚起を目指す中国政府の目標は、始動前に崩壊することを意味しかねない。政策当局者は自動化で雇用危機が深刻化する前に、緊急にこの問題を優先課題とすべきだ。
テック企業にも責任
中国の大手テック企業にも責任がある。配送ドライバーの賃金削減や中小EC業者への圧迫を続けながらAIによる繁栄を約束するのは難しい。実体経済でコスト削減を図りながら、AI投資に多額を注ぎ込むことは、国民の不満をさらに深めるだけだ。
米スタンフォード大学が発表した「2025年AIインデックス報告書」によれば、中国の国民はAIに対して世界で最も楽観的だ。だがそうした好意は永遠には続かない。蜜月期が終われば、国民の信頼は急速に逆転する可能性があり、それに伴いAI導入競争で勝利する政府の野心的計画も頓挫しかねない。
習主席が若年層の失業者に対して「苦に耐えよ」と助言したことは、既に反発を招いた。歴史的にも、失業の増大は社会不安の高まりと連動してきた。中国でも、抗議活動は今年、増加傾向にある。
中国政府は雇用の創出と上昇志向の希望を原動力に経済的な奇跡を起こした。その逆をもたらすようなAI革命を中国は許容できない。
米IT大手オラクルのデフォルト(債務不履行)リスクを反映するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッド(保険料率)が、2022年11月以来で最も高くなった。人工知能(AI)分野への巨額投資を進める同社に対し、投資家や貸し手がリスクヘッジを急ぐ様子がうかがえる。
ICEデータサービスによると、オラクルの社債の5年物CDSスプレッドは14日、一時4.36ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、106bp前後に達した。スプレッドの上昇は通常、企業の信用力に対する投資家の信頼が低下していることを示す。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のロバート・シフマン氏は、オラクルのレバレッジ(負債比率)拡大で信用格付けが投機的水準(ジャンク級)に引き下げられるとの懸念や、AI関連の巨額資金調達に伴うヘッジ需要が、CDS上昇の背景にあるようだと説明。「短期的に支出が増加する一方、関連収益の実現は数年先になるため、懸念は正当だ」と電子メールでコメントを寄せた。
オラクルは、米OpenAIおよびソフトバンクグループとともに、AIインフラ構築に総額5000億ドル(約77兆2000億円)を投資する「スターゲート構想」を主導している。その一環として、約20行から成る銀行団が約180億ドルの融資を供与し、米ニューメキシコ州にデータセンターキャンパスを建設中だ。完成後はオラクルがテナントとして運営を引き継ぐ予定となっている。
同社はAI需要に対応するため支出を拡大し、9月には投資適格級社債180億ドル相当を発行した。
AIインフラ投資が増加する中で、将来の収入とキャッシュフロー生成を巡る疑念が、株価と債券価格に広く影響しているとシフマン氏らは14日のリポートで分析した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は13日、米半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabの中国向け半導体輸出をさらに制限することを目指す法案をアマゾン (AMZN.O), opens new tabが支持していると報じた。
「GAIN AI法」は国防権限法に盛り込まれ、AI半導体メーカーに対し、高度なプロセッサーの国内向け発注を海外の顧客よりも優先することを義務付けている。
マイクロソフト(MSFT.O), opens new tabはすでに同法案への賛意を示しており、アマゾンもクラウド部門の関係者が非公式に上院スタッフに支持を伝えたという。
AI新興企業アンソロピックも支持に回っているが、メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tabとアルファベット(GOOGL.O), opens new tab傘下のグーグルは見解は示しておらず、トランプ米大統領も同様に立場を明らかにしていないという。
ニューヨーク市長に選出されたゾーラン・マムダニ氏の発言は、企業や資本がニューヨークから流出するのではないかという懸念を引き起こしている。しかし、ニューヨーク市のトップ商業不動産幹部2人は、賃貸活動や新規建設投資の現状、そしてマムダニ氏の勝利が確実となって以来、そして民主社会主義者である同氏の正式な選挙を通して、計画が後退していないことを踏まえると、それは全くの事実ではないと述べている。
「ニューヨーク市は戻ってきた」と、RXRのCEO、スコット・レヒラー氏は木曜日、ニューヨークで開催されたCNBC主催の「Delivering Alpha」カンファレンスで述べた。「ここで働き、ここで暮らす人々は、この街のエネルギーを感じ、信念を持ち、そしてあらゆる権利を持っている」と彼は語った。
「現在、私たちの業界では、CEOが次々とこの都市にコミットしているのを目にしています」とレヒラー氏は述べた。「オフィスビルの賃貸契約は記録的な水準に達しています。これは来年だけでなく、2028年、2030年、2032年まで続くのです」と彼は付け加えた。
「今年末までに商業用オフィスの賃貸契約は4,000万平方フィートを超える見込みです」と、ルーディン・マネジメントの共同会長ビル・ルーディン氏は述べた。「企業はここで成長しています」と彼は言った。「証券会社との打ち合わせも減っていません」と、マムダニ氏の当選以来の活動について語った。「『何か影響は?』と人々は言い続けていますが、誰も仕事を手放していません。引っ越し業者を呼ぶ人もいません。企業は事業を拡大し、スペースを確保しています」とルーディン氏は語った。
好例を挙げると、シタデル・セキュリティーズのヘッジファンド億万長者ケン・グリフィン氏は、保守的な政治的見解を率直に表明することで知られている。ルーディン氏は、スティーブ・ロス氏とヴォルネード・リアルティと共に
とグリフィンは、パークアベニュー350番地に200万平方フィートの新オフィスビルを建設中です。「ケンは熱意を持っており、パークアベニュー350番地にはマイアミよりも多くの従業員を雇用する予定です」とルーディン氏は述べました。計画はマムダニ氏の台頭以前からありましたが、ルーディン氏によると、最近建築許可を申請し、グリフィン氏もプロジェクトのパートナーです。「彼は計画を着実に進めており、非常に意欲的で、プロジェクトの設計と開発に深く関わっています。…どうですか?」とルーディン氏は付け加えました。
RXRは、2029年に移転予定の法律事務所と30万平方フィートの賃貸契約を締結したばかりです。レヒラー氏によると、同事務所は先週、選挙後にオフィスに戻り、さらに20万平方フィートの拡張が必要だと訴えたとのことです。JPモルガンの新ビルは、既に1万人収容可能な従業員に加え、さらに5,000人の座席を必要としています。
レヒラー氏は、2031年から2032年にかけてハイアットホテルの跡地に建設予定の280万平方フィート規模のプロジェクトに、既に主要テナントが内定していると述べた。「人々はニューヨークを信じています」と彼は述べた。RXRは70億ドルのプロジェクト資金を調達しており、「人々がニューヨークの未来を信じなければ、この資金は得られません」と付け加えた。ただし、実現には「もう少し長期的な視点」が必要になるかもしれないとも述べた。
しかし、マムダニ氏の当選を受けて、高品質オフィススペース市場においてテナントに適切な言葉は契約締結の「緊急性」だと彼は述べた。通常であれば1年かかる賃貸契約を、企業がわずか21日以内に締結しているという報告を耳にしているからだ。「それが市場の現状です。…オフィススペースの膨大なパイプラインは、私のキャリアを通して見たことがありません。今ほどテナント需要が旺盛な状況は見たことがありません」とレヒラー氏は述べた。
「昨日と今日の時点で、私たちがリアルタイムで得ている情報では、テナントは依然として市場にいて、良質なスペースを探しているということです」とルディン氏は語った。
ニューヨークの不動産市場に対する強気の見通しの理由の一つは、若い専門的才能を引きつけ、維持する必要性だ。
「企業で働いてほしい人材はニューヨーク市にいる」とルーディン氏は語った。
「若いプロフェッショナルは皆、ニューヨークで働きたいと思っています」とレヒラー氏は付け加え、ニューヨークの集合住宅不動産市場の空室率が1.5%であることを挙げた。「皆、ここに住みたいと思っているのです」と彼は言った。彼らの市長に対する見方(両不動産会社の幹部は市長と面会したことがある)には、疑問がないわけではない。
「マムダニ氏は必ずしも資本主義の資本主義に合致しているわけではない」とレヒラー氏は述べた。「それが最大のリスクだ。彼はキャラクターではなく、戯画のような人物だ」と彼は述べ、マムダニ氏はソーシャルメディアの巧妙さに乗じて行動する、経験のない社会主義者だと簡単に決めつけられる可能性があると付け加えた。
レヒラー氏は、特に海外の機関投資家の間でこのリスクが顕在化しており、ニューヨークの集合住宅プロジェクトへの投資に影響を与える可能性があると指摘する。「ニューヨークを離れて世界を旅すると、皆が大きな不安を抱えています」とレヒラー氏は語り、「『家賃凍結』という言葉を聞くだけで、もしかしたら金利が下がるかもしれない」と付け加えた。レヒラー氏は、市長がこれらの政策を監督する委員会の役員を任命する権限を持っているという事実を指摘した。
レヒラー氏は、RXRがニューヨーク市への大規模投資について話し合っている一部の機関投資家は「それがどのように展開するかを見守りたい」と述べ、こうした投資家の間では「資本の流れが冷え込む」可能性があると付け加えた。
「中東とヨーロッパに行ったことがありますが、皆が真っ先に話したがるのはマムダニのことです」と彼は言った。レヒラー氏はニューヨーク連銀の理事も務めており、話題は同じだと彼は言う。「ニューヨーク連銀の役員室では皆、マムダニについて話したがっていますし、世界中を飛び回っている職員にも、出張中に質問が飛んでくるんです」
不動産業界のCEOたちは、新型コロナウイルス、金融危機、9.11、そしてビル・デブラシオ政権を乗り越え、繁栄してきたニューヨークにとって、こうした懸念は大げさすぎると強調した。また、マイケル・ブルームバーグ市長時代のニューヨークの予算は600億ドルだったが、現在は1160億ドルにまで膨れ上がっていることにも言及し、マムダニ市長は選挙公約で示唆されているよりも現実的な経営方針を採る可能性があると見ている。
ルディン氏は、住宅価格や入手可能性など次期市長が提起した問題は正当な問題であり、「われわれは次期市長と協力して取り組むよう努める」と述べた。
「彼が最初に出馬した時、住宅分野における民間セクターへの言及は全くありませんでした」とルーディン氏は述べた。しかし、彼は「非常にリベラルなグリニッチ・ビレッジ選出の下院議員エド・コッホ」が市長就任時に、物事をうまく進めるためには中心部へ移行する必要があると認識したと付け加えた。「マムダニ次期市長には、1160億ドルの予算を管理・運用する必要があることを理解していただければ幸いです」と彼は述べた。
ルディン氏は、マムダニ氏が以前の選挙運動以来、住宅を政府に全面的に指示させる立場を撤回し、民間部門と協力する意向を表明していると指摘し、「必要な住宅をどうやって作るかという道筋をマムダニ氏に示すのは、今や我々の義務だ」と付け加えた。
「マムダニ氏の成功の原動力は、トランプ氏の成功の原動力と同じだ」とレヒラー氏は述べ、特に若い世代を中心に、経済の権利を奪われた層が、以前の世代と同じような経済的機会を得られないと感じていることを指摘した。「大企業にも政府にも不満があり、彼らは解決策を求めている」とレヒラー氏は述べた。「大統領も次期市長も、彼らに簡単な答えを与えたが、率直に言って、現状のままでは実現不可能だ。なぜなら、これは複雑な問題だからだ」と、ニューヨークにおける手頃な価格の住宅問題に特に言及して述べた。
住宅価格高騰の危機は、簡単に解決できるものではないだろう。 ルーディン氏は、エリック・アダムス市長政権が昨年、行政区全体のゾーニング法を改正し、マムダニ氏の成功を後押ししたと指摘した。しかし、不動産業界の幹部たちは、賃金、労働組合、持続可能な開発政策、そして100戸を超える住宅建設の経済的魅力を低下させる税制改正など、いずれも障害となっていると述べた。「ですから、労働者、知事、市議会、そして市長が団結して取り組むべき時が来なければなりません…彼らが住宅を欲しがっているのであれば、そして私たちがそれを必要としているのであれば」とルーディン氏は述べた。
「選挙前に彼と話をしました。私の感覚では、彼は非常に聡明な若者で、人々の意見に耳を傾け、問題解決に積極的に取り組む人物です」とルディン氏は付け加えた。
不動産会社の幹部らは、コロナ禍で創設された税制優遇措置で古いオフィスビルを住宅物件に転用できるようになったことを、手頃な価格の住宅建設で協力できるもう一つの分野として挙げ、こうした優遇措置は、建物の25%のユニットを市場価格ではなく手頃な家賃で維持することに結びついているとした。
レヒラー氏は、マムダニ氏が富裕層への課税を謳っているにもかかわらず、実際にはニューヨーク州知事が1970年代の金融危機以来、市に対して大きな財政権限を握っていると指摘した。「結局のところ、税金に対する拒否権は知事が持っているのです」とレヒラー氏は述べた。「昨日、知事と朝食を共にしましたが、彼女は自分の監督下では所得税は引き上げないとおっしゃっていました」
同氏は、キャシー・ホークル知事自身の選挙の必要性を考えると、同知事には政治的な圧力がかかるだろうとも付け加えた。
「1年後に知事選があり、彼女はその防火壁として機能しなければなりません。もしそうしなければ、1年後には知事にはなれないでしょう」とレヒラー氏は述べた。「知事選はマムダニ氏を軸に展開されるでしょう。」
レヒラー氏は、今のところ、マムダニ氏との交流について最も物語るのは、ビル・デブラシオ前ニューヨーク市長が人気上昇中のころにビジネスリーダーたちとどのように交流していたかとの比較かもしれないと述べた。
「私はマムダニ氏と1時間だけ2人きりで会いました。彼は準備万端で、選挙活動から統治への意識転換を図り、的確な発言をしてくれました」と、レヒラー氏は9月の会合を振り返ります。当時、選挙結果は確実だと確信していたからです。「結果は試してみなければ分かりませんが、彼は官民連携に頼る必要があることを理解しています。それが、彼が望むタイプの住宅を建設する唯一の方法なのです。」
「デブラシオ氏と会った時のことと比較したい」とレヒラー氏は付け加えた。12人のビジネスリーダーが集まった会議で、元市長のデブラシオ氏は「テーブルに座るビジネスパーソンを見回し、『誰も私を選ばなかったし、私は皆さんに仕えるためにここにいるわけではない』と言った。そして私たちは8年間、その言葉に翻弄された。この男は少なくとも、『成功するにはビジネスパーソンと一緒に仕事をする必要があることは分かっている』と切り出す」
米国の中間選挙が近づく中、電気料金は高騰し、有権者の怒りは高まり、人工知能業界のデータセンターはますます非難の的となっている。
米エネルギー情報局によると、8月の住宅用公共料金は前年同期比で全国平均6%上昇した。
値上げの理由は複雑で、地域によって異なります。しかし、データセンターが集中している少なくとも3つの州では、この期間の電気料金が全国平均よりもはるかに高いペースで上昇しました。例えば、バージニア州では13%、イリノイ州では16%、オハイオ州では12%も急騰しました。
ハイテク企業やAI研究所は、場合によっては1ギガワット以上の電力を消費するデータセンターを建設している。これは実質的に都市の規模に相当する80万世帯以上に相当している。
バージニア州は、世界で最もデータセンターが集中している州です。民主党のアビゲイル・スパンバーガー氏は、生活費の削減を訴えて、先日の州知事選で圧勝しました。スパンバーガー氏は、電気料金高騰の少なくとも一部の責任はデータセンターにあると述べ、テクノロジー企業に対し、高騰する電気料金を「自力で負担し、公平な負担を」負わせると約束しました。
州知事選は、中間選挙まであと1年という状況で、民主党がデータセンター建設費用の負担軽減を主要課題としていることから、AI業界のデータセンター建設にとって政治的な逆風となる前兆となる可能性がある。ワシントンでは、一部の民主党上院議員が、ドナルド・トランプ大統領が大手テクノロジー企業やAI研究所のリーダーたちと築いてきた緊密な関係を批判している。
コネチカット州選出のリチャード・ブルーメンソール上院議員とバーモント州選出のバーニー・サンダース上院議員は今週、ホワイトハウスの「大手IT企業との甘い取引」と称するものを批判し、政権は消費者を「データセンターの費用を補助せざるを得ない状況」から守ることができていないと非難した。
「テックラッシュは現実だ」と、2019年から2023年まで、民主党のフィル・マーフィー知事の下でニュージャージー州公益事業委員会の顧問弁護士を務めたアブラハム・シルバーマン氏は語った。
「データセンターは必ずしも良い隣人とは言えません」と、現在ジョンズ・ホプキンス大学の研究者であるシルバーマン氏は語る。「騒音が大きく、汚い場合もあり、特にデータセンターが集中している地域では、これ以上データセンターを増やしたくないというコミュニティも少なくありません。」
バージニア州、オハイオ州、イリノイ州
データセンターの上位 5 州を見ると、データセンターの政治的側面と実際の電気料金の状況を整理するのに役立ちます。
バージニア州、イリノイ州、オハイオ州もこれらの州に含まれており、そのほとんどは同じ送電網運営会社であるPJMインターコネクションによって供給されている。PJMは米国最大の送電網であり、シルバーマン氏が州公益事業委員会に助言を行っているニュージャージー州を含む13州の6,500万人以上に電力を供給している。
PJM電力系統は、需要と供給の大きな不均衡に直面しています。系統の信頼性を確保するため、発電所から電力容量を確保するための入札を実施しています。2024年から2025年までの入札では、請求額は22億ドルに達しました。その後、2025年から2026年までの入札額は500%以上増加し、147億ドルとなりました。
PJMのオークションを監視する独立監視機関によると、データセンターの需要は、実績と予測を合わせて93億ドル、つまり2025年から2026年の総電力容量請求額の63%を占めた。最新のオークションでは、価格はさらに10%上昇し、161億ドルとなった。
モニタリング・アナリティクス社は6月の独立市場モニター報告書で、「データセンターの負荷増加が、総負荷増加予測、需給逼迫、高価格など、最近のそして予想される容量市場の状況の主な原因である」と述べた。
シルバーマン氏によると、これらの容量料金は消費者の公共料金に転嫁されるという。PJMのデータセンターの負荷は、ニュージャージー州など、業界をリードしていない州の料金にも影響を与えており、同州では電気料金が前年比で約20%上昇した。民主党のミッキー・シェリル氏は、電気料金の値上げ凍結を公約に掲げ、ガーデンステートの知事選で勝利した。
シルバーマン氏は、データセンターが容量価格に与える影響について、「これは現在われわれが経験している価格高騰の危機の極めて大きな要素だ」と語った。
シルバーマン氏は、電気料金の上昇には他にも理由があると指摘した。インフレが蔓延する中、老朽化した電力網の改修が必要となり、新たな送電線の建設コストが2桁も上昇しているという。
電力会社はまた、国内製造業の拡大や、電気自動車や一部地域での電気ヒートポンプの導入など、経済のより広範な電化による需要の増加も指摘している。
一部の民主党員はホワイトハウスを非難しているが、PJM地域で電気料金の上昇を招いた状況は第2次トランプ政権が発足する前から始まっていた。
PJMの新規電力供給開始プロセスは「大失敗に終わった」とシルバーマン氏は述べた。インフレ抑制法に基づく税制優遇措置により、送電網への接続を待つ再生可能エネルギープロジェクトが急増した。PJMは承認手続きに追われており、場合によっては5年かかることもあるとシルバーマン氏は述べた。
PJMの監視機関は、データセンターがなければ電力供給が逼迫していた可能性はあるが、需要の伸びは鈍化し、市場が対応するための時間が増えたはずだと述べた。
「容量市場の結果は単に需要と供給を反映しているだけだと主張するのは誤解を招く」と監視機関は述べ、データセンターからの急速な負荷増加は「前例のない」ものだと述べた。
トランプ大統領は就任1年目に電気料金を半減させると約束した。しかし、需給逼迫により、実現には至っておらず、今後数年間も実現する可能性は低い。
電力部門コンサルティング会社グリッド・ストラテジーズの社長、ロブ・グラムリッチ氏は「この10年間で公共料金が下がるとは考えにくい」と語った。
テキサス州とカリフォルニア州
しかし、他の州では、電気料金の上昇とデータセンターの関係は明確ではありません。例えば、テキサス州は400以上のデータセンターを有し、バージニア州に次いで2番目に多い州です。しかし、このローンスター州の電気料金は8月に前年比約4%上昇しましたが、これは全国平均よりも低い水準です。
ブラットル・グループの2024年2月の報告書によると、テキサス州は独自の送電網であるERCOTを運営しており、比較的迅速なプロセスにより、約3年で新たな電力供給を送電網に接続できるという。
一方、カリフォルニア州はデータセンター数が全米で3番目に多く、住宅用電気料金も全米平均を80%近く上回る2番目に高い州です。しかし、カリフォルニア州の電気料金は2024年8月に前年比で約1%上昇し、全米平均の上昇幅をはるかに下回りました。
カリフォルニア州の電気料金が国内のほとんどの州よりも非常に高い理由の1つは、山火事の防止に関連する費用だ。同州最大の電力会社PG&Eは3月、山火事防止に関連する費用が顧客の料金から差し引かれるため、今年の料金は安定すると予想していると述べた。
●その他
米テキサス州ダラス近郊に住む非営利団体幹部のイアン・パターソンさんは、約7年間保持していた「グローバルエントリー」の資格をこの夏、取り消された。グローバルエントリーは、税関・国境警備局(CBP)による「低リスク渡航者」向けの入国審査の迅速化プログラムだ。パターソンさんは7月に旅行した後、1カ月ほどして、グローバルエントリーのステータスが変更されたとのメールを受け取った。CBPのポータルにログインすると、そこには斜線の入った丸のマークが表示されていたという。
「『情報が正しくありません』と表示されていた」とパターソンさん。「意味が分からなかった」と語った。
ブルームバーグ・ニュースが情報公開請求を通じて入手したCBPのデータによると、2024年初め以降、グローバルエントリーの資格取り消しが急増しており、その数は合計で数万人規模に上る。CBPは24年に1万7281件の登録を取り消しており、前年比47%の増加となった。この傾向は25年に入っても続いている。だが取り消し理由を知らされないケースが多く、「SHEIN(シーイン)で購入した物品が税関で引っかかった」、「政治的報復ではないか」などさまざまな臆測が飛び交っている。
グローバルエントリーの資格を失っても、米国への入国自体が禁止されるわけではない。資格取り消しの動きは、旅行者に対する検査強化の一環とみられる。CBPは、携帯電話の検査やビザ申請者に対するSNS調査の頻度も増やしている。
グローバルエントリーは、米政府が運営する「トラスティド・トラベラー・プログラム(TPP)」の一つで、「信頼できる渡航者」と認められた人に特典を与える制度だ。グローバルエントリーに付随する「TSAプレチェック」では、空港の保安検査場で専用レーンを利用できる。グローバルエントリーの資格を取り消されると、TSAプレチェックの資格も同時に失われる。
CBPの発表によると、グローバルエントリーの登録者は今年5月時点で「1300万人近く」と、過去最高を更新。20年比で83%増加した。だが一方で、資格取り消し件数の増加率は同期間に144%に上っている。
CBPは既存の登録者に対し定期的に審査を行い、資格要件を満たしているか確認している。これまでは登録取り消しはまれで、ブルームバーグがCBPのデータや発表資料を分析したところでは、過去には毎年約1000人に1人程度しか資格を失っていなかった。主な理由は刑事事件での訴追や保安検査場への銃持ち込み、またグローバルエントリーの場合は未申告の果物や野菜の持ち込みといった農産物に関する違反などだ(ただCBPのオンブズマン事務局は、一定の条件下で例外を認めることができる)。
CBPは本来、資格取り消しの理由を通知する義務がある。だが政府監査院(GAO)の23年の報告書によると、18年にCBPが通知手続きの書式を変更した際、理由の説明文をテンプレートから「不注意で削除」してしまったという。理由が記載された場合でも、その内容は曖昧なことが多い。
CBPにはコメントを求めて連絡を取ったが、これまで返答を得られていない。
アトランタ在住のコンサルタント、ローレンス・エリスさんは22年にグローバルエントリーの資格を取得したが、今年3月に取り消された。「なぜ取り消されたのか正確な理由は分からなかった」とエリスさん。「こんなにも唐突に、理由もなく起きるものだとは思いもしなかった。今でも理由は知らされていない」と述べた。
資格を取り消された人はCBPオンブズマンに異議申し立てを行うことができるが、認められるには取り消しが誤りだったということを証明しなければならない。だが理由が明示されない中で証明するのは容易ではない。それでもGAOの調査によると、20年から23年の間にグローバルエントリーの申請却下または資格取り消しに関する異議申し立てのうち、39%は覆されたという。