備忘録(2025/9/30)
●企業
ファイザー<PFE>が上昇。トランプ大統領が同社と合意を発表する予定だと伝わった。ワシントン・ポストが報じた。同社は、米国での処方薬価格の全面的な引き下げを含む計画をトランプ大統領と共にイベントで発表する予定。
米国の公的医療保険プログラム「メディケイド」に加入している国民は、一部の同社薬について「最恵国待遇」の価格で提供を受けられることになる。同社はまた、トランプ政権下で構想されている医薬品政策・プラットフォーム案の1つ「トランプRx」を通じて、処方薬を大幅割引で消費者に直接販売する取り組みを開始する。
さらに、同社は700億ドル規模の研究開発および国内製造強化に向けた投資計画を発表する予定だという。
ドナルド・トランプ大統領は火曜日にファイザーとの合意を発表する。
同政権が米国の医薬品価格を海外のより安い価格に連動させることを推進する中、製薬会社は自主的に医薬品を安く販売するよう求めている。
ホワイトハウス関係者はCNBCのイーモン・ジャバース記者に対し、トランプ大統領は東部時間午前11時にファイザー社との薬価合意を発表する予定だと述べた。関係者によると、ファイザー社のアルバート・ブーラCEOも出席する予定だ。
CNBCのアンジェリカ・ピーブルズ記者が情報筋に聞いたところによると、この合意には、同社が米国内に製造工場を建設している限り、メディケイドでの価格割引と、計画されていた医薬品関税の3年間の猶予が含まれているという。
この合意は、トランプ大統領の書簡で示された通り、ファイザーと他の製薬会社16社が薬価引き下げ措置を講じるという月曜日の期限に直面している中で成立した。
ファイザーは火曜日の声明で、トランプ大統領と合意に達したことを確認した。このニュースはワシントン・ポスト紙が火曜日に最初に報じた。
報道を受けて、ファイザーの株価は火曜日に3%以上上昇した。
トランプ大統領は5月、米国内の一部の医薬品の価格を海外の大幅に安い価格と連動させることで医薬品コストを大幅に削減することを目指す、物議を醸している計画「最恵国待遇」政策を 復活させる大統領令に署名した。
この合意は、トランプ大統領が計画している米国への医薬品輸入に対する関税賦課に製薬会社が備えを固める中で成立した。
●マクロ
米政府でまた閉鎖危機、常態化の理由と社会的インパクト-QuickTakeBloomberg
連邦政府の一部閉鎖の危機は、今や米国で常態化しつつある。3月には部分的閉鎖まで数日に迫ったが、土壇場で暫定的な歳出合意にこぎ着けた。先送りされてきた難題がぎりぎりで処理された一例だ。
現在、10月1日の期限を目前に控え、議会は再び政府資金を巡る対立に直面している。共和党が主導する下院は、11月21日までのつなぎ予算案を可決したが、上院で成立させるには民主党議員少なくとも8人の支持が必要となる。
民主党指導部は、共和党主導の法案に欠けている医療関連の条項を盛り込むよう求めている。具体的には、年末に失効予定となっている医療保険制度改革法(オバマケア)の保険料補助の延長、今年初めに実施されたメディケイド(低所得者向け公的医療保険)予算削減の撤回が挙げられる。さらに、議会が承認した資金を大統領が執行しない権限を制限する新たな規定も要求している。
議会指導部は9月29日にトランプ大統領と会談したが、短期的な歳出法案を巡る合意に向けた進展の兆しは見られなかった。トランプ氏は民主党に譲歩する意向を示さず、政府閉鎖の場合に連邦職員の大量解雇を行う可能性を示唆している。
なぜ政府は閉鎖されるのか
米政府は、議会が毎年可決し大統領が署名する12本の歳出法案に基づいて運営されている。新会計年度の開始日である10月1日までに12本すべてが成立しない場合、議会と大統領は暫定的に現行水準の歳出を延長する短期つなぎ予算で政府機能を維持する。今回、現時点で成立はゼロ本だ。
継続決議(CR)と呼ばれるつなぎ予算が合意されない場合、米政府は資金の空白(funding gap)に陥り、連邦機関は閉鎖に備えることになる。2025会計年度については、議会がこれまでに3回の暫定予算を可決しており、最後のものは3月に成立した。
米国で政府閉鎖は何回発生しているか
1981年以降これまでに、米政府閉鎖は14回発生している。期間は1日だけのものから、2018-19年にかけての35日間に及んだものまでさまざまだ。1981年以前は、資金の空白が生じても連邦機関はおおむね通常通り業務を続け、合意成立後にさかのぼって費用が補填(ほてん)されていた。
歳出を巡る対立に起因する政府閉鎖は、債務上限を突破して一部の債務を履行できなくなる事態とは異なり、深刻度も低い。米国がデフォルト(債務不履行)に陥ったことはこれまで一度もないが、2023年には危機的状況に近づいた。
政府閉鎖とは何を意味するのか
政府が閉鎖されると、多くの連邦政府の機能が停止し、多数の連邦職員が一時帰休となる。ただ、法執行や公共安全など「不可欠」とされる業務は継続される。
これらを担当する職員は閉鎖期間中は無給で勤務し、閉鎖が解除されるまで給料は支払われない。19年には、閉鎖時に一時帰休となった職員が政府資金が復活した時点でさかのぼって給与を受け取れることを保証する法律が成立した。
誰が「不可欠」な職員か
閉鎖を回避できなかった場合、誰が「不可欠」な職員かはトランプ氏が任命した政治任用者やホワイトハウスが判断する。各省庁とそのトップにあたる政治任用者が、誰が出勤し誰が自宅待機となるかを決める。
政府閉鎖で停止するサービスは何か
最も目立つ影響は、国立公園施設やワシントンにあるスミソニアン博物館の閉鎖、そしてパスポート(旅券)やビザ(査証)申請処理の遅延などだ。金融スワップ市場の監督や職場での公民権侵害に関する調査も停止するとみられる。
労働省や商務省の経済統計の公表も、閉鎖期間の長さによっては遅れる可能性がある。財務省は、政府閉鎖が起きた場合には大半の基幹的な税務機能が停止するとしている。
影響を受けない政府機関はどこか
軍事作戦や航空管制、退役軍人の医療、連邦犯罪の捜査といった不可欠業務は継続される。米郵政公社(USPS)や米連邦準備制度理事会(FRB)は独自の財源を持つため、ほとんど影響を受けない。
連邦契約はどうなるか
イーロン・マスク氏のスペースXから連邦庁舎の清掃業者に至るまで、連邦契約に依存する民間企業は一時的に収入が途絶える。歴史的に、サービス契約の従業員は閉鎖時に一時帰休とされ、政府の業務再開後もさかのぼって給与を受け取ってこなかった。
政府からの給付金はどうなるか
社会保障やメディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)といった給付制度は強制的支出に分類され、継続的に資金が配分されるため、毎年の歳出法案を必要としない。
ただし完全に影響を免れるとは限らない。米シンクタンクの責任ある連邦予算委員会によると、1996年の閉鎖時には社会保障給付は継続されたものの、新規加入の手続きや住所変更、新しい社会保障カードの発行といった業務を担う職員は当初一時帰休となった。
米消費者信頼感、5カ月ぶり低水準-労働市場減速への懸念色濃くBloomberg
9月の米消費者信頼感は低下し、5カ月ぶりの水準に落ち込んだ。労働市場の減速や景気全般への懸念が背景にある。
キーポイント
消費者信頼感指数は3.6ポイント低下して94.2
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は96
前月は97.8(速報値97.4)に上方修正
民間調査機関のコンファレンスボードが発表
現況指数は7ポイント下がり、約1年ぶりの低水準。今後6カ月の見通しを示す期待指数も低下した。
信頼感指数は過去数カ月間、方向感のない推移が続いている。雇用の減速や根強いインフレに加え、株価の最高値更新といった相反する要因が交錯し、消費者が対応を迫られているためだ。
年初と比べて消費者心理は抑制されているものの、消費支出は底堅さを示し、景気を前進させている。今月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では利下げが決定。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で労働市場について「解雇も採用も少ない環境だ」との見方を示した。
9月のコンファレンスボード調査では、「仕事は豊富にある」と答えた人の比率が2021年2月以来の低水準となった。「職探しが困難」と答えた人の割合は前月から横ばいで、約4年ぶりの高水準が続いた。労働市場の動向を示す重要指標としてエコノミストが注目している両者の差は、2021年序盤以来の水準に縮小した。
コンファレンスボードのシニアエコノミスト、ステファニー・ギシャール氏は「消費者の景況感はここ数カ月と比べて大幅に弱含んだ。また、現在の雇用機会に対する見方は9カ月連続で下がり、数年来の低水準となった」と発表文に記した。
この日発表された別の統計では、8月求人件数は前月からほぼ変わらずとなる一方、自発的離職者は昨年11月以来の低水準となった。
パウエル議長はFOMC会合後の会見で、関税引き上げが持続的なインフレにつながる可能性に引き続き注意を払う必要があるとも指摘していた。ギシャール氏は「関税に関する言及は今月減少したが、依然として高水準にあり、物価上昇への懸念と結びついたままだ」と述べた。
ミレニアム、米自動車部品メーカー破たんで推定1億ドルの損失Bloomberg
米自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループによる突然の破産申請で損失を被ったウォール街大手の中に、ミレニアム・マネジメントが含まれていることが分かった。
ミレニアムのショーン・オサリバン氏率いる投資チームは、ファースト・ブランズ関連取引で評価損を計上したと、事情を知る複数の関係者が明らかにした。損失額は合計で推定約1億ドル(約148億円)だという。
ファースト・ブランズは28日夜、テキサス州で連邦破産法11条の適用を申請。同社はエアフィルターやワイパーブレードなどの自動車部品ブランド網を管理するため、資金調達に不透明な簿外の手法を用い、数週間前から懸念が深まっていた。
報告済みと未報告を問わず、同社とその山積する債務には著名なウォール街の企業名が次々と浮かび上がってきている。一方でアポロ・グローバル・マネジメントとダイアメター・キャピタル・パートナーズは、ファースト・ブランズの空売りに成功した勝ち組の一角だ。28日に裁判所に提出された文書には、ファースト・ブランズの報告済み債務は総額100億-500億ドル、資産は10億-100億ドルと記載されている。
ファクタリング
ミレニアムの損失はファースト・ブランズの在庫調達資金として提供した短期融資に関連していると、関係者の1人は述べた。ファースト・ブランズは売掛金を担保に資金を借り入れる「ファクタリング」と呼ばれる会計手法を積極的に用いていた。関係者によれば、売上高の約70%がこのファクタリングを通じたものだった。
ミレニアムの広報担当者はコメントを控えた。
ファクタリングおよびそれに類似する金融手法は、輸出入に伴うキャッシュフロー問題を緩和するために利用されることが多い。昨年末に起きた貿易金融専門会社ステン・テクノロジーズの破綻や、2021年のグリーンシル・キャピタルの破たんを受けて、このニッチな金融手法に対する疑問は深まっている。
貿易金融は通常、ミレニアムが関与する戦略ではない。ミレニアムは790億ドル余りを運用するマルチストラテジー企業として、多様な資産クラスを対象に多数の投資チームを抱えている。関係者の1人によれば、同社が貿易金融分野に関与し始めたのは最近のことだ。
今回の件に先立ち、ファースト・ブランズが資金調達に利用していた関連企業が先週、破産申請を行っていた。ファースト・ブランズ本体の破たんによって、米国の複数州だけでなく、ブラジルやルクセンブルクなど十数カ国にまたがる広範な企業ネットワークが浮き彫りになった。
ファースト・ブランズは事業継続のために債権者から11億ドルのDIPファイナンス(つなぎ融資)を受ける見込みであると、29日の声明で発表した。
米求人件数ほぼ変わらず、採用は抑制-労働需要緩やかな減退示唆Bloomberg
米国では8月の求人件数がほぼ変わらずとなる一方、採用は低調だった。労働需要が徐々に減退していることを示唆している。
キーポイント
8月の米求人件数は722万7000件にやや増加
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は720万件
前月は720万8000件(速報値718万1000件)に上方修正
米労働省の労働統計局(BLS)が発表
求人件数は2022年初頭のピークから徐々に減少し、過去1年間は狭いレンジで推移している。
エコノミストは労働市場の一段の軟化を示す兆候を注視している。背景には、雇用主が採用を抑制し、失業者が新たな職を見つけるのに時間を要していることがある。
採用率は3.2%に小幅低下し、2024年6月以来の低水準となった、一方、レイオフ数は低水準で横ばい。
さらに、自ら退職した人の数は今年の最低水準に落ち込んだ。これは新たな職を見つける能力に対する自信が失われていることを示している。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は利下げを決めた今月の会合で、労働市場の弱さに言及した。他の当局者も同様の懸念を示しているが、インフレ率が依然として目標を大きく上回っていることから、多くの当局者は追加利下げに慎重な姿勢を崩していない。
求人件数の増加は宿泊・飲食サービス業がけん引。半面、建設や連邦政府は落ち込みが目立った。
労働需給のバランスを示す目安として金融当局が注視する失業者1人当たりの求人件数は1件で変わらず。22年のピーク時には2件に達していた。
失業者数が求人件数をわずかに上回るのはこれで2カ月連続。こうした状況は経済が新型コロナウイルス禍からの回復途上にあった21年初頭以来だ。
回答率の低さや時に大幅な改定を伴うことから、エコノミストの一部は米労働省雇用動態調査(JOLTS)データの信頼性に疑問を呈している。求人情報サイトのインディードが日次で公表する別の指数によると、8月の求人はほぼ横ばい。9月は一段と顕著に減少していることが示された。
米住宅価格指数、6カ月連続で鈍化-買い手有利な状況にBloomberg
中国の製造業活動が9月も節目割れ-6カ月連続、2019年以来の長さにBloomberg
中国の製造業活動は9月も活動拡大・縮小の境目を下回った。6カ月連続の節目割れとなり、これは2019年以来の長さ。今年堅調なスタートを切っていた中国経済は減速に転じている。
国家統計局が30日発表した9月の製造業購買担当者指数(PMI)は49.8。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値が49.6、8月は49.4だった。活動拡大・縮小の境目は50。
建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは50。エコノミスト予想は50.2、8月は50.3だった。
今回のPMIは、中国経済の弱さが7-9月(第3四半期)にわたって続いたことを示す最初のデータとなる。内需の低迷で製造業の見通しが圧迫される一方、米国の関税措置を巡る不透明感が輸出企業にとってリスク要因となっている。
トランプ米政権の関税を見越し、企業が出荷を急いだことで輸出が急増していたが、それも落ち着きつつある。中国経済は25年上期に5.3%成長したが、年末にかけて成長が鈍ると多くのエコノミストや投資家が予想している。
今後の焦点は、政府が景気支援に向けた追加の刺激策に踏み切るかどうかだ。共産党は10月に党の重要会議である第20期中央委員会第4回総会(4中総会)を開き、来年から始まる新たな5カ年計画を討議する。
一方、民間調査会社レーティングドッグが30日発表した9月の中国製造業PMIは51.2と、8月の50.5から予想外に上昇した。
輸出が底堅く推移する中、ここ1年は民間調査の結果が政府データよりも強く出る傾向にある。対象とする企業の規模や地域、業種構成が異なり、民間調査は中小や輸出系企業を中心に実施されている。
中国経済の足かせとなっているのが、21年に始まった危機後も不動産市場の低迷が続いている点だ。国内の2大都市が追加の刺激策を打ち出したにもかかわらず、住宅販売は8月も振るわなかった。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏は「不動産市場に持ち直しの兆しが見えない」と指摘。「これは19-20年の状況とは異なる。市場の期待自体が変化しており、今回の減速は循環的というより構造的なものだ」と述べた。
トランプ米大統領(共和党)はホワイトハウスで9月に開かれたイベントで「現在、非常に多くの自動車工場が建設中、あるいは設計中だ。それらは中国やメキシコからやって来る」と吹聴した。その数日後には米国での自動車生産が長年にわたって失われてきたと嘆き、「自動車工場が戻ってくる」と宣言した。
しかしながら、米国に新しい自動車工場が建設ラッシュを迎えているという証拠はほとんどない。自動車メーカーは代わりに、第2次トランプ政権の2本柱である輸入品への関税引き上げと電気自動車(EV)への敵対的な政策に適応するために既存工場で戦略的な動きを見せている。
トランプ関税を回避するため、一部自動車メーカーは米国内の工場の遊休スペースを改造し、これまでは輸入していて、このほど関税強化の対象となっていた車両の組み立てを開始している。
例えば日産自動車(7201.T), opens new tabは、米南部テネシー州とミシシッピ州の工場でスポーツタイプ多目的車(SUV)「ローグ」などの生産を増やし、日本からの輸入台数を減らす計画を発表した。
調査会社オートフォーキャスト・ソリューションズのサム・フィオラニ副社長は「稼働率が低い工場が、従来輸入していた製品で埋まりつつある状況だ。新工場の建設ブームは起きていない」と指摘した。
<EVからガソリン車へ>
一方、多くの自動車メーカーは2020年代前半に掲げたEV生産のための設備投資を後退させ、ガソリンを燃料とする内燃機関車の生産に傾斜している。各社がこの数カ月間で宣伝している設備投資の多くは、バイデン前政権(民主党)時代に誇らしげに発表したEV事業の縮小に他ならない。
例えば米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N), opens new tabは今年6月、中西部ミシガン州デトロイトの郊外の工場を改修し、ガソリン駆動のピックアップトラックと高級車ブランド「キャデラック」のSUV「エスカレード」を生産すると発表した。すなわち、この工場をEVピックアップトラックの生産拠点とするために数十億ドル規模を投資すると22年に発表した計画を一部撤回することにほかならない。
コンサルティング会社アリックスパートナーズによると、10年代後半に始まった自動車業界のEVへの大規模な賭けは、バイデン前政権下で工場への設備投資が急増した。GM、米フォード・モーター(F.N), opens new tab、「クライスラー」ブランドを抱える欧州ステランティス(STLAM.MI), opens new tabのデトロイトの伝統的な3社、米EV専業メーカーのテスラ(TSLA.O), opens new tab、リビアン(RIVN.O), opens new tab、ルーシッド・グループ(LCID.O), opens new tabを調査したところ、これらの企業は17年から第1次トランプ政権末期の20年にかけて年間平均約210億ドルを投じていた。バイデン前政権下の21―24年には年間平均約380億ドルに増加し、うち大部分がEVとバッテリーの生産関連だったという
トランプ氏が24年大統領選に勝利する前から、自動車メーカーは予想を下回る需要を理由にEV事業の計画を縮小していた。自動車業界幹部らは、トランプ政権の政策がEVへの関心をさらに冷やすと予想している。
<トランプ政権は自動車輸出に期待>
ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官は、トランプ政権の貿易・エネルギー政策が既に米国の自動車産業への歴史的投資を促進し、規制によるコストを数十億ドル削減したと主張。「これらの政策と、トランプ氏が欧州連合(EU)や日本などと結んだ前例のない貿易協定が発効するにつれ、間もなくデトロイトの組み立てラインで生産された自動車が東京、ドイツ・フランクフルト、パリのショールームに並ぶだろう」と期待を込めた。
ホワイトハウスは、米国の自動車・エンジン・部品の輸入額は2025年第1・四半期の後に約10%減少し、4214億ドルとなったと表明している。
米連邦準備理事会(FRB)のデータによると、今年に入ってからの米国での自動車生産台数は約4%増加したものの、過去10年間の平均を下回っている。
カナダ国際自動車製造者協会(GAC)のデビッド・アダムズ会長は「カナダから米国へ軒並み生産拠点を移すという主張は、現地の実情とは合致しない」と話し、自動車メーカーの工場がカナダから米国へ流出しているとしたトランプ氏の主張に反論。カナダの自動車工場の雇用は安定していると強調した。
アダムズ氏は、強硬なトランプ関税が北米での自動車生産の構造を最終的に変える可能性はあるとしながらも「現時点ではその段階には至っていない」と話した。
米ニューヨーク連銀で金融調節に関する市場動向の監視・分析作業を統括するジュリー・リマッシュ氏は29日、資金需給が引き締まる四半期末を控えた短期金融市場について、流動性は依然として潤沢だと述べた。また当局には市場の一時的な混乱を収める手段が整っており、ある程度の金利変動は市場にとって健全な現象だと強調した。
リマッシュ氏は、米連邦準備理事会(FRB)としては短期市場に多少の混乱が起きても驚きはないと説明。FRBの金利調節は機能し、全般的な金利形成に強い影響力を発揮しているが、四半期末など銀行がバランスシート最適化を図る局面では短期金利は上昇しがちだと指摘した。
その上で四半期末前後のこのような金利上昇は「一定限度内にある限りは正常な状況で懸念要素ではない。われわれがバランスシートの正常化を続ける中でまさに期待している事象だ」と明言した。
<SRFに金利上昇圧力抑制効果>
リマッシュ氏は、短期市場の安定を目的としてFRBが導入した常設の資金供給制度「スタンディング・レポ・ファシリティー(SRF)」について、放置しておくと金利調節機能を脅かしかねない金利上昇圧力を初期段階で抑えることができると自信を示した。
2021年に創設されたSRFはこれまで本格的な利用がなかったが、ライトソンICAPの試算では30日に残高が500億ドル前後まで急増する見込みだ。
ただSRFがFRBの期待通りの働きをしてくれるかどうかは分からないとの声も聞かれる。
キュアバチュア・セキュリティーズのスコット・スカーム氏は、現在のレポGC取引(担保債券の銘柄を特定しない取引)レートはSRFの適用金利より4.25ポイントも高いので、本来なら金融機関からのSRF利用が既に殺到しているはずなのに、実際はそれが起きていない点から、市場はSRFの有効性を信頼していないことを意味するとの見方を示した。
またFRBはSRFを積極的に利用するよう呼びかけているものの、一部の金融機関は資金調達力が弱いとみなされるのではないかと懸念するかもしれない。
<QT打ち切り論に冷や水>
一方、足元で短期市場の流動性が潤沢と強調したリマッシュ氏の発言からは、FRBが進めるバランスシート縮小(量的引き締め=QT)の近く打ち切る必要がないと同氏が考えている様子もうかがえる。
FRBはコロナ禍とその後の金融システムを落ち着かせ、景気を刺激するための金融緩和措置によって一時9兆ドルに膨らんだ保有資産の圧縮を続け、現在の資産規模は6兆7000億ドルとなっている。
これまでのQTは、短期市場の余剰資金を吸収する側面が強かったが、今後は基調的な流動性水準を減らす取り組みになるため、市場には予想外の圧力が発生する機会が増大するとみられている。
アメリカのドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は29日、米ホワイトハウスで会談し、パレスチナ・ガザ地区をめぐる新たな和平計画で合意したと発表した。両首脳はこの和平計画を受け入れるようハマスに迫った。一方、ヨーロッパや中東の国々の指導者らは、アメリカの和平計画を歓迎している。
この計画には、軍事作戦を即時停止することや、生存している20人のイスラエル人人質とすでに死亡しているとみられる人質20人以上の遺体をハマスが引き渡すこと、その見返りとしてイスラエルが拘束しているガザ住民数百人を解放することなどが含まれる。
停戦交渉に詳しいパレスチナ関係筋がBBCに語ったところによると、イスラム組織ハマスの当局者にはすでに、20項目からなるホワイトハウスの提案内容が伝えられているという。
米国案は、ハマスが戦後のガザ統治に関与しないことを求めており、将来的なパレスチナ国家樹立の可能性も残されている。
ホワイトハウスでの会談後の記者会見で、トランプ氏はこの計画を「和平のための歴史的な日」と形容した。
ただし、ハマスが計画に同意しない場合には、ネタニヤフ氏が必要な対応を取れるようアメリカは支援することになるとも述べた。
ネタニヤフ氏は、ハマスがこの計画を拒否あるいは最後まで履行しない場合、イスラエルは「任務を完遂する」と述べた。
同氏はまた、その後に公開したビデオ声明で、パレスチナ国家を認めないとする従前からの立場を強調。「(パレスチナ国家については)合意には書かれていない。私たちはパレスチナ国家に強く反対すると述べた」とした。
ビデオ声明ではさらに、今回の和平案はイスラエル国防軍(IDF)のガザ駐留を認めるものだと述べた。これは、ホワイトハウスが公表した和平案の文言とは一致しない。
パレスチナ自治政府や各国は前向きに評価
イスラエル占領下のパレスチナ・ヨルダン川西岸地区の一部を統治するパレスチナ自治政府は、トランプ氏の試みは「誠実かつ断固たるもの」だと述べた。
パレスチナ自治政府はパレスチナの通信社WAFAを通じた声明で、ガザでの戦争が終わり、ガザに十分な人道援助が届けられ、人質と拘束者が解放されるために、「アメリカや周辺地域の国々、パートナー国と、改めて共同で取り組んでいく」とした。
アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、カタール、エジプト、ヨルダン、トルコ、インドネシア、パキスタンの各国外相は共同声明を発表。トランプ氏の「ガザでの戦争を終わらせるためのリーダーシップと誠実な努力」を歓迎すると述べた。
また、今回の合意は、「ガザが、ヨルダン川西岸と完全に統合されたパレスチナ国家となる2国家解決」につながるものだと評価。これをまとめ、実行するために、アメリカと協力する準備があるとした。
イギリスのキア・スターマー首相もこの計画を歓迎し、「米政府と連携してこの合意をまとめ、実現させるよう、すべての側に求める」と述べた。「ハマスはこの計画に合意し、武器を捨て、残りの人質全員を解放し、この悲惨な状況を終わらせるべきだ」。
欧州理事会のアントニオ・コスタ議長は、ネタニヤフ氏がアメリカ案に「前向きな反応を示したことに勇気づけられた」とし、「すべての当事者は、真の平和の可能性に向けてこの機会をいかすべきだ」と述べた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、アメリカの提案を称賛するとともに、フランスは戦争終結と人質解放に向けた取り組みへの「一助になる用意がある」と述べた。
「これらの要素は、同地域で2国家解決策に基づいた永続的な平和を築くために、すべての関係国との徹底的な議論の道を開くはずだ」と、マクロン氏は述べた。
イタリアのジョルジャ・メローニ首相は声明で、今回の案を「現在のプロセスの転換点となりうる」と評価。「すべての当事者に、この機会を生かし、計画を受け入れるよう強く求める」とした。
米国案の内容
この提案が実行されれば、軍事作戦は即時停止される。現在の「戦線」は、段階的撤退の条件が整うまで維持される。
また、ハマスは武器を放棄し、ガザの地下トンネルや兵器製造施設は破壊されることになる。
イスラエル人1人の遺体につき、ガザ住民15人の遺体をイスラエルは引き渡すという。
イスラエルとハマスがアメリカ案に合意すれば、「ガザ地区への全面的な援助の流入が即時に」実現するという。
アメリカは将来的なガザ統治計画についても提案している。
「専門的かつ政治と無関係なパレスチナ委員会」が暫定的にガザ統治を担い、トランプ氏が率いる「新たな国際移行機関『平和評議会』が監督する」としている。
イギリスのトニー・ブレア元首相や、「後日発表予定の」ほかの指導者たちも、この統治機関に加わる見込み。ブレア氏はこの計画を「大胆かつ賢明」と評した。
計画には、ハマスがガザ統治に「直接的にも間接的にも、いかなるかたちでも」関与してはならないと記されている。
計画の大部分は、アメリカが「経済開発計画」と呼ぶガザ再建に焦点を当てた内容になっている。「イスラエルはガザを占領・併合せず」、イスラエル部隊は段階的に撤退するとの方針も示されている。
計画は、パレスチナ人がガザから強制的に退去させられることはなく、「我々は人々が(ガザに)とどまることを奨励し、より良いガザを築く機会を提供する」としている。これは、パレスチナ人をガザの域外に移住させるとするトランプ氏の従来の発言転換となる。
また、将来的なパレスチナ国家樹立の可能性を残す内容となっている。
停戦交渉に詳しいパレスチナ関係筋は、「ホワイトハウスが提案したガザ戦争終結に向けた計画を、カタールとエジプトの当局者が、カタール・ドーハにいるハマス当局者に手渡した」とBBCに語った。
ハマス幹部は以前、BBCに対し、ガザ戦争を終わらせる可能性のある提案については前向きに検討するつもりだとしつつ、いかなる合意も、パレスチナの利益を守り、イスラエル軍の完全撤退を保証し、戦争を終結させるものでなければならないと強調していた。
ハマスが保有する武器について問われると、この幹部は次のように答えた。「占領が続く限り、抵抗のための武器(の放棄)は越えてはならない一線だ」。
「武装をめぐる問題は、1967年時点の境界線に基づく、独立したパレスチナ国家の樹立を保証する政治的解決の枠組みの中でのみ議論されるべきだ」と、ハマス幹部は述べた。
「パレスチナ国家承認」、イスラエルは反発
和平計画の発表の3日前には、ネタニヤフ氏が国連総会で、複数の西側諸国によるパレスチナ国家の承認を非難していた。
ネタニヤフ氏は国連演説で、パレスチナ国家を承認する動きを「恥の証」と呼び、「ユダヤ人を殺せば報われるというメッセージを送っている」と述べた。
ネタニヤフ氏が演壇に立つと、数十人の政府関係者や外交官が退席し、会場の大部分が空席となった。
トランプ氏は今年1月にホワイトハウスに復帰してから、ネタニヤフ氏を強力に支持してきた。しかし最近では、ネタニヤフ氏に対する不満を強めている。
今月9日に、イスラエルがアメリカの重要な友好国カタールでハマス幹部を攻撃した際には、トランプ氏は不快感を示した。
29日の記者会見に先立ち、ネタニヤフ氏はホワイトハウスからカタールのムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アル・サニ首相に電話をかけ、イスラエルのミサイル攻撃でカタールの軍人が誤って殺害されたことに深い遺憾の意を表明した。
ハマスは2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質として拘束した。これを受けたイスラエルの攻撃により、ガザではこれまでに少なくとも6万6055人が殺害されていると、ハマス運営のガザ保健省は発表している。
国連が支援する総合的食料安全保障レベル分類(IPC)は8月、ガザ市とその周辺地域で飢饉(ききん)が起きているとの報告書を公表。今月初めには、国連人権理事会の調査委員会が、イスラエルがガザのパレスチナ人に対してジェノサイド(集団殺害)を行っていると認定した。イスラエルは事実ではないと強く否定している。
大学幹部たちが今秋キャンパスに戻ると 、長らく積み重なってきた金融危機がついに限界点に達しつつあるという新たな兆候が見られた。
アメリカ教育評議会のテッド・ミッチェル会長は、大学の閉鎖や合併が「大不況以来見たことのないペースで」迫っていると語った。
警告灯は何年も前から点灯していました。高校卒業生の大学進学率は低下し、大学進学年齢の学生人口全体も減少しています。専門家はこの傾向を「人口の崖」と呼んでいます。
フィラデルフィア連邦準備銀行の2024年調査によると、運営コストの上昇と授業料の値上げ制限により、高等教育機関の収益向上能力が制限されている。報告書は、高等教育全体が「深刻な財政的逆風に直面している」と指摘している。
そして現在、トランプ政権のビザ規則の厳格化と反移民政策により、留学生の入学者数は減少傾向にあり、数十億ドルの授業料の損失となり、高等教育の最も頼りになる財政的生命線の一つが失われようとしている。
連邦政府による大幅な資金削減も加わり、この分野はアメリカ大学教授協会のトッド・ウルフソン会長が言うところの「最悪の状況」に直面している。
全体として、生徒数と収入が減ると、教師、プログラム、そして最も重要な財政援助のためのリソースも減少します。多くの学校は、開校を維持するのに十分な資金さえない可能性があります。
留学生の入学者数は減少している
米国土安全保障省の最新データによると、昨年9月に米国は海外から120万人以上の留学生を受け入れたが、これは過去最高数である。
しかし、2025年には、米国の多くの大学のキャンパスで留学生の数が急激に減少します。
国際教育者協会(NAFSA)の予備予測によると、トランプ政権による学生ビザ政策の最近の変更(数千人の学生の移民ステータスを無効化した後、再度有効化し、新規ビザ申請を一時停止)が主な原因で、2025~2026年度の留学生登録者数は15万人も減少する可能性があるという。
国務省のデータに一部基づく 調査結果によると、これは海外からの新規留学生が30~40%減少し、留学生総数も15%減少したことを意味し、経済効果は70億ドル近くの損失に上るという。
「留学生の入学者数は大幅に減少している」とウルフソン氏は語った。
ボストン大学の教授で高等教育の専門家であるクリス・グラス氏は、NAFSAの分析は、春のF-1学生ビザの申請数に基づく自身の予測と一致していると述べた。同ビザの申請数は、新規申請の一時停止以前から減少傾向にあった。
しかし、政府の最新データによると、留学生総数はNAFSAの予測ほど減少していない可能性がある。「まだ分からないだけです」とグラス氏は述べた。
ニュージャージー州マディソンのドリュー大学では、ビザの拒否や任命の不履行により、海外からの新入生の約3分の1が今学期入学を辞退、または入学を延期したと、ドリュー大学のヒラリー・リンク学長が明らかにした。
「ドリュー大学のような小規模な大学では、確かに効果はありました」とリンク氏は述べた。同大学によると、世界58カ国から集まる留学生は、ドリュー大学の総学生数約2,200人のうち14%を占めている。
学生数が減れば収入も減る
国際教育研究所によると、米国の留学生の学部生と大学院生は米国の高等教育を受ける全人口の6%弱を占めるが、 彼らは学校にとって重要な収入源となっている。
ミッチェル氏は、米国の大学は、教室やキャンパスにおける視点の多様性を高めることに加え、通常は授業料を全額支払う外国人学生の集団を必要としていると語った。
個人金融からさらに:
トランプ政権は学生ローンのリスクについて家族に警告する
大学の学費が10万ドルに近づくにつれて、これらの学校は無料になる
これらの大学の専攻は最も就職の見込みが高い
NAFSAの最新データによると、授業料収入や高等教育をはるかに超える学生の支出など、米国で学んだ留学生は2024~25年度に合計 461億ドルを米国経済に貢献した。
これらの資金は、大学が財政援助を提供する能力を支えるものだとミッチェル氏は述べた。「授業料を全額納付している留学生が、国内学生の奨学金を支払う。まさに1対1の関係です。」
危機に瀕する大学
どの大学が最も大きな打撃を受けるかという点について、「これは二つの世界の話だ」と、大学コンサルティング会社クリムゾン・エデュケーションの共同創業者兼CEO、ジェイミー・ビートン氏は述べた。「一方では、トップクラスの大学はまさに無敵だ」
実際、留学生ビザをめぐる激化する戦いの最前線にいた ハーバード大学は、最近ホワイトハウスに勝利し、 22億ドル の助成金を獲得した。
アイビーリーグを含む全米屈指の名門大学は、巨額の基金、多様な学生構成、そして優秀な志願者パイプラインを有しており、突発的な混乱からほぼ確実に守られている。「彼らは何度も何度も、定員いっぱいの学生を受け入れることができるのです」とビートン氏は述べた。
「これらの上位校にもリスクがないわけではありませんが、リスクヘッジを数多く講じているため、混乱の影響は比較的受けにくいのです」とボストン・カレッジのグラス氏は述べた。「これらの上位校は、最も回復力のある大学となるでしょう。」
一方で、「実質的に月々、あるいは給料日ギリギリの生活を送っている大学がかなりの割合で存在します」とグラス氏は述べた。競争力が低く、授業料重視の大学は「極めて脆弱です」と彼は述べた。「留学生は、大学の入学戦略と存続にとって不可欠な要素となっています。」
中堅校は、他の生徒を容易に募集できる立場にないかもしれないと彼は付け加えた。「パイプラインが狭く、リスクにさらされているのです。」
一部の企業は「すぐに痛みを感じるだろう」と彼は述べた。他の企業は「資金を流出させ、再配分し、生き残れるかどうか試すことになるだろう」
「留学生数と国内学生数が減少すれば、小規模で資金力の弱い教育機関にとっては大きな課題となるだろう」とドリューズ・リンク氏は述べた。
「我々は皆、今この瞬間に米国の教育機関で取得する学位の価値について、またどうすれば高等教育をよりアクセスしやすく魅力的なものにできるかについて、より熱心に、より創造的に考える必要がある」とリンク氏は述べた。
数十年にわたる研究により、大学の学位取得は 利益をもたらすことが示されています。大学卒業生は高校卒業者よりも大幅に高い収入を得ています。しかし、より高い収入とより良い就職の可能性に加えて、学位取得は社会的な流動性への切符であり、多様な背景を持つ卒業生が経済的に高い地位を登ることを可能にします。これは他に類を見ない機会です。
しかし、今日の圧力は、アメリカ人が大学に進学する人が少なくなり、大学が運営される数も減少している時代を示唆している。
「留学生数の減少は、高等教育の財政健全性を損なう大きな問題の一片です」とAAUPのウルフソン氏は述べた。「今後、プログラムの廃止、キャンパスの閉鎖、小規模な公立・私立の教育機関の閉鎖や合併、そして学生の機会の縮小が進むでしょう。」
ミッチェル氏は、今のところ「大学は収入の回復を期待して息をひそめて待っているわけではない」と述べ、「コスト削減に全力を尽くす必要がある」と語った。
「私たちはすべての経費を注意深く監視していますが、今後数年間は厳しい状況になることも認識しています」と、テキサス州ジョージタウンにあるサウスウェスタン大学のローラ・トロンブリー学長は述べた。同校の1,434人の学生のうち、海外からの留学生は約7%に過ぎないため、今のところ影響は最小限にとどまっているとトロンブリー学長は述べた。
トロンブリー氏は、財政難の際には、まず施設予算が削減され、続いて入学希望者の少ない学術プログラム(多くの場合、人文科学分野)が削減され、その後、教員と職員の数が削減されると述べた。
「引くレバーはありますが、それほど多くはありません」とトロンブリー氏は語った。
プライベートクレジットは次の金融危機で、危機を伝播(でんぱ)させる重要な経路となり得る。その結果、システミックな衝撃を増幅させ、幅広い投資家層に負の影響を及ぼす可能性があると、フィッチ・レーティングスが警鐘を鳴らした。
急成長するプライベートクレジット市場は既に、金融イノベーションの進展、競争激化、個人投資家の参入増加、レバレッジ拡大など「バブル的」な特徴を示していると、29日のリポートで指摘した。
フィッチのアナリストは「プライベートセクターは引き続き注視が必要であり、透明性向上が望まれる」とした上で、「より一貫した情報開示があれば、市場参加者はリスクや耐性を把握しやすくなる」と説明している。
フィッチは現時点でプライベートクレジット関連のリスクがシステミックな水準にあるとはみていない。市場規模が1兆7000億ドル(約253兆円)と金融システム全体の中では小さいためだ。貸し手が通常コミット済み資金に依存しレバレッジは中程度にとどまることも懸念を和らげている。
信用市場では、過度のリスクテイクに対する懸念が高まっている。レバレッジドバイアウト(LBO)の大型案件復活や、過去最小に縮小した社債スプレッドの水準が旺盛なリスク意欲を示している。自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループとサブプライム自動車ローンのトライカラー・ホールディングスの突然の破綻もリスクの表れだ。
アナリストや規制当局も、プライベート市場に潜む脆弱(ぜいじゃく)性について警鐘を鳴らしている。
フィッチによれば、マージンコール(追証)の増加や金利変動といったシステミックな衝撃が、大規模損失や大量解約を引き起こす恐れがある。融資審査基準の甘さや資産と負債のミスマッチが危機の伝播力を強める可能性がある。
そのような衝撃は金融業界全体に波及し、政府系ファンドや保険会社、大学基金、さらには個人投資家などが影響を受けるだろうとフィッチは指摘している。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
●その他
備忘録(2025/9/29)
●企業
●マクロ
野口日銀委員、利上げの必要性「高まりつつある」-早期実施に前向きBloomberg
日本銀行の野口旭審議委員は29日、金融政策運営について、経済・物価の上方リスクに言及した上で、利上げの必要性が高まりつつあるとの認識を示した。札幌市で行った講演内容を日銀がホームページに公開した。
講演を受けて、東京外国為替市場の円相場は上げ幅を拡大し、対ドルで一時ニューヨーク終値比0.5%高の148円71銭まで上昇した。債券市場では先物相場が上げ幅を縮小。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、10月末の次回の日銀金融政策決定会合で利上げが実施される確率が6割台に上昇した。
野口氏は、国内の各種経済指標を確認すると、「2%の物価安定目標の達成は着実に近づいている」と指摘。それは、「政策金利調整の必要性がこれまで以上に高まりつつあることを意味している」と語った。
現状の日本経済・物価においては「下方リスクはありつつも、政策判断における上方リスクの重みがより増している」と説明。その意味で「わが国の金融政策は今、状況の見極めが必要な局面に差し掛かっている」とも述べた。
日銀は19日の決定会合で、政策金利を0.5%程度に据え置く一方、上場投資信託(ETF)の売却を決めた。政策維持には高田創、田村直樹の審議委員2人が反対し、0.75%程度への利上げを提案した。政策委員の中で利上げに慎重なハト派と位置づけられている野口氏の前向きな発言を受け、早期実施の可能性が一段と増している。
下方リスク
野口氏は、日本経済が「ゼロノルムから2%ノルムへの移行の最中にある」中で、「現状の金融緩和度合いを適切なタイミングで調整していくことがより重要になる」と主張。一方で、米関税政策に伴う下方リスクに直面しているとし、「当面は、物価の基調を可能な限り慎重に見極める必要がある」とも語った。
野口氏は、金融緩和や財政出動に積極的なリフレ派として知られている。昨年は3月のマイナス金利解除と7月の0.25%程度への利上げに反対した。今年5月の講演では、政策金利の調整は「ほふく前進的なアプローチが重要」と述べた。
米商務長官、台湾に半導体の米国需要の半数を国内生産するよう求めるBloomberg
金が3800ドル突破、米政府閉鎖懸念で資金流入-利下げ観測も追い風にBloomberg
金相場は29日、1オンス=3800ドルを突破し、過去最高値を更新した。米国で政府閉鎖の可能性が高まる中、ドル安を背景に貴金属に資金が流入した。
金は一時1.6%上昇して3819.81ドルに達し、23日の記録を上回った。週ベースでは、金価格は6週連続上昇していた。銀も一時2.4%上昇したほか、プラチナとパラジウムも大幅高となった。需給逼迫(ひっぱく)と、貴金属を裏付けとする上場投資信託(ETF)への資金流入が相場を支えた。
投資家の関心は、29日に予定される米議会指導部とトランプ大統領の会談に集まっている。合意がまとまらなければ、翌30日から政府資金が途絶えるとの懸念から、ドル安が進んだ。ドル安が進めば、多くの買い手には貴金属が割安となる。
米国が政府閉鎖に追い込まれると、10月3日発表予定の9月雇用統計など重要な経済指標が、予定通りに公表されない可能性がある。9月の雇用増は鈍化が予想されている。雇用統計が弱い内容になれば、米金融当局が10月の次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げに動く根拠が強まり、利息を生まない貴金属にとって一段と追い風となる。
ただし、利下げの先行きについては不透明感が大きい。金融政策を巡って当局者の見解が分かれているうえ、一部の経済指標は予想を上回る強さを示しているためだ。
金は年初来で45%上昇している。各国・地域の中央銀行の需要とFRBによる利下げ再開を背景に繰り返し最高値を更新し、3四半期連続の上昇に向かっている。金を裏付けとするETFの保有残高は2022年以来の高水準に達し、ゴールドマン・サックス・グループやドイツ銀行など、大手金融機関は上昇が続くと予想している。
他の貴金属も今年は前例のない需給逼迫に見舞われている。複数年にわたる供給不足を背景に、ロンドン市場で利用可能な銀・プラチナ・パラジウムの在庫が減少している。これに伴い、通常はゼロ近辺で推移するこれら金属のリースレート(短期貸借コスト)が大幅に上昇している。
ロンドン時間29日午前10時56分時点で、金スポット価格は1.3%高の3807.62ドル。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.2%安となっている。
スターマー英首相は28日、与党・労働党の党大会開幕に当たり、急速に支持を拡大する右派ポピュリスト政党「リフォームUK」に対抗するため、党内の結束を呼びかけた。
スターマー氏は、リフォームUKが政権を掌握すれば大量送還という「人種差別的な政策」を導入する計画だと非難。
世論調査によると、労働党の支持率はリフォームUKを大幅に下回っている。
同氏はBBCニュースに「われわれにはこれから人生最大の戦いが待っている。リフォームUKを打ち負かさなければならない。だからこそ、今は内省や自己中心的な議論をしている場合ではない」と語った。
次期総選挙は2029年まで予定されていないが、リフォームUKは、有権者の関心が高い移民制限を政策の柱としている。
スターマー氏は「不法移民の排除には賛成する。だが、合法的に居住している人々を対象にするのは全く別の話だ。それは人種差別的な政策であり、非道徳的だと考える」と述べた。
調査会社イプソスによると、スターマー氏に「満足している」と回答した有権者はわずか13%。「不満」との回答は79%に上り、1977年の調査開始以降、歴代首相で最も低い支持率となった。
スターマー氏は、批判を無視しているわけではないとし、有権者は「生活水準の改善」「公共サービスの向上」「治安の維持」という3点で評価を下すだろうと語った。
米議会共和党は28日、政府閉鎖回避のための法案可決期限が迫る中、協議が行き詰まっているのは民主党の責任だと非難し、時間を確保するためつなぎ予算案に同意するよう求めた。
つなぎ予算案が可決されなければ、新年度初日の10月1日から一部政府機関が閉鎖されることになる。
共和党は議会上下院で過半数を握るが、政府閉鎖を回避するつなぎ予算可決には上院(定数100)で少なくとも60票が必要で、民主党の票が必要になる。
ただ、上院民主党はこれまで、つなぎ予算案への支持を拒否し、共和党が最近実施した医療費削減の撤回を盛り込むよう要求している。
トランプ大統領は29日に与野党の議会指導部と会談する。
トランプ氏は28日、ロイターのインタビューで「合意に至らなければ国は閉鎖される」とし、「だから(民主党は)対応したいと思っているという印象を受ける」と述べ、民主党が合意を望んでいるとの見方を示した。
共和党指導部は政府閉鎖を回避したいと強調。ジョンソン下院議長は、歳出法案策定を続ける間、11月21日までの財政資金を手当てするつなぎ予算案を支持するよう民主党に呼びかけた。
民主党の要求については「言語道断」とし、政府機関が閉鎖されれば職員や政府サービスに依存する人々が苦しむことになると述べた。
銀行間の国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」と世界の30行以上の大手銀行は29日、国際決済の即時実行と、新たなデジタル通貨に対応可能なシステムの構築に向けて「迅速に」取り組んでいると発表した。
国際銀行取引の近代化に不可欠とされるブロックチェーン(分散型台帳)を用いた「共有デジタル台帳」の構築に各行が協力していると述べた。
具体的なスケジュールは未定だが、現在は完了まで数日を要することもある国際決済を24時間体制で即時に実行可能にすることに重点を置く。
またステーブルコイン、トークン化された銀行預金、中央銀行デジタル通貨(CBDC)といった新しいデジタル資産向けのシステムと、SWIFTの既存システムを「相互運用可能」にすることも計画している。
SWIFTは銀行間取引を安全かつリアルタイムで記録する共有デジタル台帳について、「取引を記録・順序付け・検証を行い、スマートコントラクトを通じてルールを自動適用する仕組み」と想定していると説明した。
この台帳の設計・構築には、JPモルガン、HSBC、ドイツ銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、BNPパリバ、サンタンデール、OCBCに加え、中東・アフリカの複数行など、世界の大手金融機関30行超が参画している。
東欧モルドヴァで28日に総選挙が行われ、マイア・サンドゥ大統領の親欧州政党が過半数議席を獲得する見込みとなった。この選挙は、同国の欧州連合(EU)加盟に向けて極めて重要とされている。
サンドゥ大統領は投票後、選挙に「大規模なロシアの干渉」があったと警告。この選挙にウクライナとルーマニアに挟まれたモルドヴァの将来が懸かっていると述べた。
有効票160万票のうち96%が開票された時点で、サンドゥ氏の「行動と連帯(PAS)」は得票率50%に迫っており、親ロシア派の愛国者選挙ブロックを大きく上回っている。同ブロックの得票率は25%未満にとどまっている。投票率は52%を超え、近年の他の選挙よりも高かった。
主要野党・社会党のイーゴリ・ドドン党首は、開票が始まる前から勝利を主張し、29日に議会前で抗議するよう呼びかけていた。
モルドヴァでは近年、選挙が接戦となることが多かったが、今回は最終的には、PASが定数101の議会で再び過半数を獲得する見込みだ。
PASは4年前の前回選挙では得票率52.8%だった。今回は54議席を確保する見通しとなっている。
そのため、政権を樹立するにあたり、オルタナティヴァ連合やポピュリズム政党「我らの党」など、他の政党の支援に依存する必要はない。
モルドヴァは2022年、ロシアのウクライナ侵攻開始から4カ月後に、ウクライナと共にEU加盟候補国となった。
在外投票所で爆弾騒ぎも
この選挙をめぐる緊張の度合いを示すものとして、イタリア、ルーマニア、スペイン、アメリカの在外投票所で爆弾騒ぎが報告された。
同様の騒ぎはモルドヴァ国内でも報告されており、投票翌日に騒乱を計画した疑いで3人が逮捕されている。PASのイーゴリ・グロス党首は、28日の一連の事件について、ロシア政府の支援を受けた犯罪組織の関与を非難し、「選挙プロセスを継続させるために、忍耐と冷静さを保ってほしい」と訴えた。
モルドヴァにはまた、ウクライナとの国境沿いに、ロシア軍が駐留する親ロシア派の分離地域トランスニストリアが存在する。
この細長い地域に住む住民はモルドヴァのパスポートを所持しており、多くは強い親ロシア派だ。社会党のドドン党首は、「あらゆる種類の嫌がらせがあり、彼らが投票するのを妨げられた」と述べた。
モルドヴァ国民は、隣国ウクライナで続くロシアによる全面侵攻の影響を受けてきたが、同時に、急騰する物価や高水準の汚職にも直面している。
昨年11月に2期目の当選を果たしたサンドゥ大統領は国民に対し、自国の民主主義の将来は自分たちの手に委ねられていると警告。「票を軽んじれば、すべてを失うことになる」と訴えた。
一方、サンドゥ氏の主要な政敵の一人であるドドン氏は、投票が締め切られると直ちに国営テレビに出演。出口調査もなく、早期開票結果も発表されていない段階で、親ロシア派の愛国者選挙ブロックが選挙に勝利したと主張した。
ドドン氏は、「記録的な数の投票」に感謝たうえで、政権与党PASに退陣を求め、すべての野党支持者に対して、29日の正午に議会前で「自らの票を守る」ために集まるよう呼びかけた。
「我々は不安定化を許さない」とドドン氏は約束し、「市民は投票した。その票は、たとえ気に入らなくても尊重されなければならない」と、サンドゥ氏とその政党に向けて発言した。
ドドン氏の選挙ブロックに属する1党は、違法な資金提供の疑いのため、投票の2日前に立候補を禁じられていた。
モルドヴァの警察は選挙前、ロシアによる前例のない情報操作と買収工作の証拠があったと報告した。また、セルビアに渡航して銃器訓練を受け、騒乱を共謀した疑いで、数十人が逮捕された。BBCの調査報道では、親ロシア的なプロパガンダや偽情報を投稿すれば報酬を支払うとするネットワークの存在が明らかになっている。
ロシア寄りの政党は、警察主張を偽りで演出だと否定。政府が人々を脅して支持を得るために仕組んだものだと非難した。イギリスにあるロシア大使館はBBCの報道を否定し、モルドヴァとその「西側の支援者たち」が、モルドヴァ政府の「内部問題」から世間の目をそらそうとしていると主張した。
BBCが訪れたすべての投票所内には、透明な投票箱を見下ろす位置に三脚に設置された小型カメラが置かれていた。
選挙監視員らは、違反の報告があった場合に確認できるよう、すべてを記録していると説明した。
幼い娘を連れて首都キシナウの投票所を訪れていたダン・スパタル氏は、ロシアとの過去ではなく、ヨーロッパとしての未来を選ぶとBBCに話した。
「私たちは4年前にもそれを選んで投票したし、このまま続ける権利がある。ウクライナで毎日起きていることを見ていて、心配している」とスパタル氏は述べた。
投票所に来ていたマリナ氏は「モルドヴァの平和のため、より良い生活のため、経済成長のために投票する」として、親ロシア派政権の下では、ヨーロッパへの道を進み続けるのはとても難しいはずだと話した。
トランスニストリアの有権者は
モルドヴァ政府の施政権が及ばないトランスニストリア地域の境界付近では28日、行政境界を越えて設置された12カ所の投票所へ向かう車の長い列ができていた。20キロ以上続く車列もあった。
トランスニストリアの有権者は投票所へ長距離を移動しなければならず、住民が直面する厳しい状況を反映してか、投票者数は近年より減って1万2000人強にとどまった。
モルドヴァ警察は通過前に書類と車のトランクを確認した。多くの車には複数人が乗っており、一家総出で移動している人たちもいた。
午後に入っても、車列は伸び続けた。道端には、ソ連式の鎌とつちのエンブレムの下に、トランスニストリアの緑と赤のしま模様の旗を掲げた売店が見えた。
運転する人たちに話を聞くと、多くは不便さを気にしておらず、現場の雰囲気は比較的穏やかだった。
男性の一人はBBCにロシア語で、PAS政権は「楽園を約束したが、何も実現しなかった」と述べ、自分は変化を求めて投票すると話した。しかし、取材に対してそれ以上具体的に話す人はいなかった。多くの人が、投票先は「秘密」だと強調した。
モルドヴァ南東部アネニイ・ノイの町では、トランスニストリアから来た有権者の一団が、レーニン像の近くでBBCの取材に応じた。爆弾騒ぎで投票所が閉鎖されたため、最初に案内された町から別の町へ移動させられたと、この人たちは口々に不満をあらわにした。投票所をたらいまわしにされたのは、自分たちに投票させないためだったはずだと、この人たちは話した。
このグループの男性の一人は、トランスニストリアで「ロシア系のビジネス」を営んでいると語り、親ロシア派の政権復帰を希望するとはっきり述べた。
リヤド:サウジアラビアの元駐米・駐英大使トゥルキー・アルファイサル王子は日曜日、イスラエルによる最近のカタール攻撃を受けて、湾岸諸国の安全保障が「亡国」の脅威にさらされていると警告した。
トゥルキ王子は、イスラエルが9月9日に行った攻撃について、イスラエルのガザ戦争を終結させる停戦合意について話し合っていたカタールのハマス指導者を標的にしたものであり、「裏切り行為」であるとし、湾岸諸国はその結果、安全保障へのアプローチを再考するよう呼びかけた。
リヤドの外交地区にある文化宮殿で開催されたアラブニュースの創刊50周年を記念するガラディナーで、トゥルキ王子は次のように述べた:「湾岸地域は今、イスラエルによるカタールの主権に対する攻撃的な裏切り行為の目撃者となっています。この攻撃は、湾岸のすべての国々に、国際関係を支配するいかなる法律もルールも顧みない亡国によって、共通の安全保障が脅かされていることを思い起こさせるものです」
「この攻撃は、イスラエルから脅威がもたらされた場合、同盟の信頼性と信用性に疑問を抱かせるものだ。このことは、わが国が脅威の本質を再考し、そのような脅威に立ち向かうためにあらゆる手段を使って自国の安全を守る戦略的政策を再構築することを指示するものである。イスラエルにフリーハンドを許してはならない」
トゥルキ王子は日曜日のイベントで挨拶しながら、1975年に創設に関わったアラブニュースの設立を回想し、50周年を迎えたアラブニュースのスタッフに祝辞を述べた。
また、イスラエルとパレスチナの和平プロセスや、国際社会、特にアメリカの役割についても言及した。
「中東地域ほど国際情勢が不安定な地域はないと思います。「このような状況が続いていることについて、誰が責任を負うべきかは未解決の問題である。しかし、この地域の国々や指導者たちにも責任はあるが、アメリカが最も大きな責任を負っている」
「米国が誠実な仲介者の役割から、イスラエルの盟友の役割に転落しているのを我々は見ている。イスラエルによるパレスチナの占領と、ガザとヨルダン川西岸地区に対する最近の大量虐殺戦争への対応において、米国が実践している露骨なダブルスタンダードは、アラブ人だけでなく、世界中のすべての人々によって明白に目撃されている」
「(ドナルド・)トランプ大統領が望むような平和構築者となるためには、米国が友人や同盟国の平和と安全に対して犯した過去の過ちを正すべきである」
トゥルキ王子は、サウジアラビアとフランスによる外交的働きかけにより、先週の国連総会で西側諸国がパレスチナ国家を承認したことを受け、2国家間解決の実現に向けた最近の進展を歓迎した。そして、イスラエル政府とその支持者による、承認はハマスと10月7日の攻撃への報いだという非難に反撃した。
「王国とフランス、そしてパレスチナを国家として承認したすべての国々が直面している多くの言い分の中に、これはハマスへの報酬だというものがある。パレスチナの人々が自分たちの国家を持つ譲れない権利を否定するとは、なんと欺瞞に満ちた邪悪な主張だろう」
「イスラエルによる80年にわたるパレスチナの植民地支配と、パレスチナ人の自決権の否定こそが、ハマスやそれに類するグループへの報酬なのだ。占領がなければ、それに対する抵抗もない」
トランプ、中東で「われわれはやり遂げる」と発言アラブニュース
ワシントン: ドナルド・トランプ米大統領は日曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との月曜日の会談を前に、ガザでの戦争を終結させるための合意に達することに楽観的な見方を示し、「中東で偉大なことを成し遂げる真のチャンス」があると述べた。
トランプ大統領は、ガザにおける人質停戦合意の具体的な内容については明らかにしなかったが、JDバンス副大統領は『フォックス・ニュース・サンデー』に対し、米政府高官がイスラエルやアラブの指導者たちとの「非常に複雑な」交渉に没頭していると語った。
「われわれは中東で偉大なことを成し遂げる真のチャンスを手にしている。われわれはそれを成し遂げるだろう」と、トランプ氏はヴァージニア郊外のゴルフクラブに向かう車列に乗りながら、トゥルース・ソーシャルに投稿した。
政権当局者によれば、トランプは月曜日にホワイトハウスでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談し、取引の枠組みに達することを目指すという。
トランプ大統領は金曜日に、中東諸国とのガザに関する協議は激しく、イスラエルとパレスチナのハマス過激派はその協議を承知しており、必要な限り続けると述べた。
バンス氏は、合意成立について「慎重に期待している」と述べた。
「しかし、現実的に考えて、このようなことは土壇場で頓挫する可能性がある」
彼は、この計画には3つの主要な要素があると述べた:すべての人質を返すこと、ハマスによるイスラエルへの脅威をなくすこと、そしてガザでの人道支援を強化することだ。
「この3つの目的はすべて達成に近づいていると思う」とバンス氏は語った。
今週、ニューヨークの国連に国際的な指導者たちが集まったとき、アメリカはイスラエルとハマスの間で2年近く続いているガザでの戦争を終結させるための21項目の中東和平計画を発表した。
その計画では、生死を問わずすべての人質の返還、イスラエルによるカタールへの攻撃停止、そしてイスラエルとパレスチナの「平和的共存」のための新たな対話を求めている、とホワイトハウス当局者は述べた。
イスラエルは9月9日、首都ドーハにあるハマスの標的に対して空爆を開始し、カタールを怒らせた。ハマスの代表は土曜日に、同グループはアメリカの計画を見ていないと述べた。
デトロイト — 自動車メーカーと投資家は今週から、米国における新型電気自動車に対する「自然な需要」がどの程度なのかを調べ始める。
EV販売台数が過去最高を記録し、第3四半期の販売台数も過去最高を記録するなど、今年はEV販売が記録的な年になると見込まれている中、EV需要は減少すると予想されています。これは、プラグインハイブリッド車(PHV)購入に対する最大7,500ドルの連邦政府による補助金が火曜日をもって廃止されるためです。
多くの自動車メーカーは、 EVに対する消費者の需要を高めるためにインセンティブに頼っており、EVがほとんど利益を生まないにもかかわらず、開発に数十億ドルを費やしてきた。
業界アナリストや幹部らは、EVの販売は今後も伸び続ける可能性があると信じているものの、新たな常態が確立される前に、電気自動車の需要に関しては好不況の状況がすぐに訪れるだろうと述べている。
「10月と11月には多少の騒ぎが見られるだろうし、EVの需要は急激に落ち込むと予想している」とゼネラルモーターズは述べた。
CFOのポール・ジェイコブソン氏は、今月初めの投資家向けイベントで次のように述べました。「状況が落ち着くまで待ち、この自然な需要がどこに向かうのか、そしてどのようにその自然な需要に応え、最終的にはお客様を電気自動車へと誘導していくのかを理解する必要がありました。それには少し時間がかかるでしょう。」
ジェイコブソン氏の発言は、ヒュンダイ自動車のホセ・ムニョスCEOやテスラなどの他の業界リーダーの発言と一致する。
CEOイーロン・マスク。
「私たちは新たな状況に適応しており、バッテリーの供給構成は当初考えていたほどには増えないだろうと予想しています」とムニョス氏は今月初め、記者団に語った。「短期的には減少するでしょうが、中長期的には成長を続けると予想しています。」
マスク氏は7月に同社の第2四半期決算について議論した際、連邦政府の補助金が終了し、テスラの自動化計画がまだ初期段階にあることから、EVメーカーは「今後数四半期は厳しい状況」に直面する可能性があると述べた。
しかし、すぐに実現するとは限りません。連邦政府のEVプログラム終了に先立ち、多くの自動車メーカーが消費者に新車の購入またはリースを促しました。米国のEVリーダーであるテスラも、ウェブサイトで連邦政府の優遇措置終了までのカウントダウンを表示しています。同社はこれまで、この優遇措置を利用して自社サイトで車両価格の引き下げを宣伝してきました。
消費者による電気自動車の購入を奨励する連邦政府の優遇措置は、2008年から様々な形で実施されています。共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領時代に初めて導入され、民主党のバラク・オバマ前大統領時代に拡大されました。
これらの優遇措置は、トランプ政権の「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」の一環として終了する。この法律では従来の優遇措置は廃止されたが、EVかどうかに関わらず、米国で組み立てられた車両を購入した場合の特典がいくつか含まれていた。
「政策は本当に重要で、こうしたすべての手段を放棄すれば、成長は以前の軌道に比べて鈍化するだろう」と、ハーバード大学上級研究員で元GMチーフエコノミスト、エレイン・バックバーグ氏は水曜日、デトロイトで行われたムーブ・アメリカ会議で述べた。
EVジェットコースター
法案が可決されると、特に一部の自動車メーカーが旧型モデルの販売を中止するためにさらなる値引きを行ったことから、EVの販売は急速に伸びた。
コックス・オートモーティブは、第3四半期のEV販売台数が前年同期比21%増の41万台に達すると予測している。これは、米国における四半期あたりのEV販売台数としては過去最高となり、市場シェアも10%という記録的な数字となる。
「連邦税額控除はEV普及の重要な触媒であり、その期限切れは重要な転換点となります。この変化は、電気自動車市場が自立的な基盤で成長できるほど成熟しているのか、それともさらなる拡大のために支援が必要なのかを試すことになるでしょう」と、コックス・オートモーティブの業界インサイト担当ディレクター、ステファニー・バルデス・ストレアティ氏は述べています。
コックス氏は、多くの購入者が連邦政府の優遇措置が終了する前にEV購入計画を前倒ししたと予想している。ニュージャージー州のパース・シャルマ氏もまさにその例だ。
「2~6週間前からこの市場に参入しています」と、キア・ニロEVをリースしているシャルマ氏はCNBCに語った。「ドナルド・トランプ大統領の9月30日の大統領令とEVリベートの廃止により、市場は急激に活性化しました」
売上増加は、EVに対する自動車メーカーのインセンティブの顕著な増加と連動しており、オファーの対象となる購入者が殺到して購入に走ったことが要因です。Cox Automotiveによると、EVへのインセンティブ支出額は平均9,000ドルを超え、業界平均の2倍以上となっています。
「今四半期はEVの販売と市場シェアが過去最高を記録したが、IRA税制優遇措置の影響が薄れ始めるにつれて、第4四半期以降は販売ペースが鈍化するだろう」とバルデス・ストレアティ氏は述べた。
次は何?
自動車メーカーはEVの提供を継続するとしているが、多くの企業はすでに従業員の解雇、EV生産の削減、あるいはEVの完全廃止など、販売への予想される影響に備えるための措置を講じている。
本田技研工業
GMは水曜日、市場の状況を理由に、テネシー州で生産されていたアキュラZDX電気クロスオーバーの米国での生産を終了する計画を確認した。
アキュラEVとは別に、GMはEVの生産計画にいくつかの変更を加えており、工場の休止期間の実施、今後の生産シフトの削減、いくつかのモデルの展開の遅延などが含まれている。
フォルクスワーゲンなど、ポルシェ、リビアン・オートモーティブ
EV計画の変更やEV関連の人員削減を発表している。
「EVはなくなることはないが、ここ数年見てきたような短期的な落ち込みのような直線的な増加にはならないだろう」と、メマ・オリジナル・エクイップメント・サプライヤーズのスティーブ・ホラニー上級副社長は水曜日のムーブ・アメリカのイベントで語った。
しかし、一部の計画はすでに進行しすぎていて、後戻りはできません。近々、新型車が登場します。例えば、2010年の発売当時、米国で初めて販売された主流のEVと言える日産リーフのデザインを一新したモデルなどです。
新モデルを宣伝するイベントで日産の役員らは、税額控除の終了時期が新型リーフの秋の発売と重なるのは「厳しい」が、税額控除がなくても、約3万ドルから始まる車両価格は購入者を引き付けるはずだと述べた。
バルデス・ストレアティ氏によると、税額控除が廃止された後、こうした低価格の車両はEVの顧客や企業にとってさらに重要になると予想される。
「本当に手頃な価格のモデルの登場は非常に重要だ」と彼女は述べ、GMやフォード・モーターなどの今後発売予定のEVを例に挙げた。
「彼らは市場を再編する可能性がある。」
韓国は人口減少という貨物列車の危機に直面している。戦後の貧困から急速な経済発展を遂げ、「アジア四大虎」の一つとして知られる韓国は、20年以内に経済成長が停滞する恐れのある「人口の崖」に直面していると、研究が警告している。
韓国銀行は2024年に、同国の最低の出生率が2040年代までに長期の不況に陥る要因の一つになると予測した。
韓国開発研究院が5月に発表した別の調査では、人口動態の変化が潜在成長率を引き続き抑制し、2040年代にはほぼゼロに落ち込む可能性があると指摘されている。同研究院の予測によると、韓国経済は中立シナリオでは2047年までに、悲観シナリオでは早ければ2041年までに縮小する可能性がある。
韓国の出生率は2024年には0.748となり、過去最低の2023年の0.721からわずかに上昇する見込みです。これは、経済協力開発機構(OECD)の2023年平均1.43と比較すると低い数値です。各国が人口減少を防ぐために一般的に推奨される「人口置換率」は2.1です。
韓国にとって、出生率0.72は、現在の水準で100人の韓国人が約36人の子供を産むことを意味し、世代を超えて労働力の減少につながる。専門家によると、これは生産性を低下させ、成長を鈍化させるという。
「漢江の奇跡」の奇跡?
技術革新がこの減少を相殺できない場合、韓国は「持続的な経済減速」に見舞われるだろうと、朝鮮半島未来人口研究所のイ・インシル所長はCNBCに語った。
そして、それは努力が足りないからではない。韓国は、出産手当や現金給付など、新婚夫婦が子供を持つことを支援するための支援策を次々と打ち出してきた。2024年に医学倫理ジャーナルに掲載された論文によると、韓国は過去16年間で出産促進のためのインセンティブに2,700億ドル以上を費やしてきた。
2023年には、ソウルは、30歳までに3人以上の子供を産んだ男性の兵役義務を免除するという案さえ提案した。
しかし、戦後の急速な発展により「漢江の奇跡」と称えられた韓国では、こうした取り組みはほとんど効果を上げていない。「人口政策によって韓国の出生率を目に見える形で効果的に引き上げる方法はないと思う」と、アメリカン・エンタープライズ研究所の政治経済学者ニコラス・エバースタット氏はCNBCに語った。
韓国の合計特殊出生率は2024年にわずかに上昇したものの、「シャンパンの栓を開ける必要はない」とエバースタット氏は述べた。依然として人口置換率2.1を大きく下回っているからだ。同氏は、韓国で望ましい家族規模は依然として人口置換率2.1を下回っており、合計特殊出生率は今後上昇する可能性はあるものの、2.1には到達しないだろうと指摘した。
年金への影響
労働力の減少は年金制度にも大きな負担をかけることになる。韓国は3月、 18年ぶりとなる年金基金改革法案を可決し、公的年金基金の枯渇期限を15年延長し、2071年までとする。
韓国の4大年金制度(軍人、私立学校職員、公務員、国民年金)のうち、軍人年金と公務員年金はすでに枯渇しているとイ氏は語った。
現在の改革では、若い世代ほど高い保険料を払い、給付額が低くなる構造となり、将来世代に負担を転嫁しているとの批判が避けられないと付け加えた。
徴兵対象者の減少は防衛にも影響を及ぼしている。韓国の現役兵力は2019年の69万人から20%減少し、約45万人となっている。韓国軍は2万8500人の米軍部隊によって増強されており、韓国は米国と相互防衛条約を締結している。
1953年の朝鮮戦争は平和条約ではなく停戦で終結したため、韓国は依然として北朝鮮と正式に交戦状態にあります。北朝鮮は約123万人の兵力を擁し、世界最大級の常備軍を誇っています。
悲観する理由はない
アジア第4位の経済大国の見通しは暗いものの、一部のアナリストは絶望しないように警告している。
国家統計局の元局長でもあるリー氏は、経済は適応する方法を見つけることができると語った。
「経済が不況に直面すると、通常、技術革新、移民政策、その他のさらなる衰退を防ぐ措置を通じて生産性を高めるさまざまな取り組みで対応する」と彼女は述べた。
AEIのエバースタット氏は、韓国は高齢化と人口減少にもかかわらず、繁栄を維持し、さらには拡大させることができると指摘した。彼は、世界人口の急増に伴い資源不足への懸念が高まり、食糧供給のあり方に対する疑問が生じた1970年代を例に挙げた。
1968年、元スタンフォード大学教授ポール・エーリッヒと研究者アン・エーリッヒが共著した書籍『人口爆発』は、人口増加に伴う世界的な飢餓と死亡率の上昇を予測した。
しかし、50年後の世界は「世界が小さかった頃よりも豊かになり、教育水準も上がり、食料や住居もより豊かになり、繁栄し、絶対的貧困は大幅に減少している」とエバースタット氏は語った。
KPPIFのイ氏は、韓国政府の急速な政策変更と近年の国民意識の変化を考慮すると、画期的な解決策が生まれると確信していると述べた。
1953年に朝鮮戦争が終結したとき、韓国が今日のような成果を達成できると予想した人はほとんどいなかっただろうとエバースタット氏は語った。
「人間は他に類を見ないほどの適応力を持っています」と彼は付け加えた。「これは全く異なる種類の課題ですが、直近の記録を見る限り、韓国の人口増加に賭けるのは賢明な選択とは言えません。」
10月の市場暴落の可能性について知っておくべきこと、そして無視できるものMarket Watch
10月の株式市場のボラティリティは、動機探しの犯罪と言えるでしょう。なぜなら、米国株式市場が9月よりも10月にボラティリティが高くなる明確な理由がないからです。そのような説明がなければ、10月の株式市場のボラティリティは月平均と同程度になると予想されます。
以下のチャートは、ダウ・ジョーンズ工業株平均に基づく月次データをまとめたものである。
1896 年以来。ご覧のとおり、10 月のダウ平均株価の日々の変化の標準偏差は大幅に高く、実際、他の 11 か月の平均よりも 21% 高くなっています。
確かに、10月の平均を上回るボラティリティの一部は、1929年と1987年の2度の米国市場暴落が10月に発生したことに起因しています。そのため、このグラフでは、これらの2年をサンプルから除外した場合の10月の相対的なボラティリティも示しています(さらに、世界金融危機のどん底にあって10月が異常にボラティリティが高かった2008年も除外しています)。10月は依然として最もボラティリティの高い月ですが、その差は縮小しています。21%ではなく、11%です。
しかし、統計学者がパターンの真偽を判断する際によく用いる95%の信頼度水準では、この小さな差でさえも有意です。もし統計的有意性だけで、パターンが持続すると確信するのに十分な根拠となるのであれば、私たちは確固たる立場に立つでしょう。
今月のミステリー
しかし、統計的有意性だけでは十分な理由にはなりません。明らかに無意味な相関関係であっても、統計的に有意な結果を示す例は無数にあります。もし疑問に思うなら、デイビッド・ラインウェーバー氏が何年も前に「ジャーナル・オブ・インベスティング」誌に掲載した「愚かなデータマイナーの策略:S&P 500の過剰適合」という記事を読んでみてください。ラインウェーバー氏は、ローレンス・バークレー国立研究所の革新的金融技術センターの元所長です。
あるパターンが持続すると賭ける前に、それが統計的に有意であるだけでなく、理論的にも納得できるものでなければなりません。10月の場合、なぜその月に株式市場が他の月よりも変動が激しいのか、納得のいく説明があるかどうかを問う必要があります。
そのような説明はまだ見つかっていない。10月のボラティリティについて、おそらく最も広く語られている説明を考えてみよう。それは、1986年税制改革法における税制改正である。この法律により、すべての投資信託は10月31日を課税年度末とし、その課税年度中に実現した純キャピタルゲインの少なくとも98%を株主に分配することが義務付けられた。10月の過剰なボラティリティは、この税制改正がもたらしたポートフォリオの大幅な入れ替えに起因するという仮説が多く立てられている。
しかし、この説明が正しければ、10月の相対的なボラティリティは1986年以降の方がそれ以前よりも高くなるはずです。しかし、データはそうではありません。実際、10月のボラティリティを裏付ける統計的根拠は、1986年以降の方がそれ以前の期間よりもわずかに弱いのです。
一部の人々が提唱するもう一つの仮説は、10月には経済の不確実性が高まるというものです。もしそうだとすれば、株式市場のボラティリティが高まる可能性は十分にあります。例えば、10月は年内最後の決算シーズンが始まる時期であり、多くのウォール街のアナリストは、企業の通期業績の方向性を決定づける10月の決算発表に特に注目しています。
この説明はもっともらしく思えるかもしれないが、裏付けとなる証拠はほとんどない。ノースウェスタン大学のスコット・ベイカー、スタンフォード大学のニコラス・ブルーム、シカゴ大学のスティーブン・デイビスが作成した米国経済の不確実性指数を考えてみよう。1900年以降、彼らの経済政策不確実性指数は平均して10月が他の11ヶ月よりも3%低い。
結論は? 10月が特にボラティリティが高い理由については、まだ説得力のある理論的説明があるかもしれない。しかし、それが見つかるまでは、10月のボラティリティに関する議論は、単なる噂話に過ぎない。
景気後退は遠いようだ。それは朗報だ。しかし、経済は問題のない状態からは程遠い。Market Watch
先週、米国経済には連邦準備制度理事会が金利を引き下げざるを得ないほどの問題点が浮上したが、ニュースはそれほど悪いものではないことが判明した。
最近の多くの報告は、家計支出が依然として経済成長を支え、景気後退を回避するのに十分な水準にあることを示している。また、インフレ率は上昇しているものの、今年初めに貿易戦争が勃発した際にエコノミストが予測したほどの急速な上昇には至っていない。
まず、米国経済の主力である個人消費から見ていきましょう。家計支出は8月に再び増加し、3年連続の堅調な増加となりました。
さらに、春の支出は、数十年ぶりの最悪の貿易戦争の真っ只中であったにもかかわらず、当初の報告よりもはるかに力強いものとなった。4月から6月にかけて支出は年率2.5%と力強い伸びを示し、暫定予測の1.4%を大きく上回った。
ドナルド・トランプ大統領の2期目の混乱した1年目に、なぜ支出はこれほど堅調に推移したのだろうか?
第一に、所得はインフレ率を上回るペースで上昇しています。これにより、家庭の経済的負担が軽減され、家計のやりくりが容易になりました。
注目すべきは、株価の大幅な上昇を背景に、裕福なアメリカ人が特に好調であることだ。支出の大部分は、経済学者が「富裕効果」と呼ぶものにより、高所得世帯で行われている。
それでも、大半の労働者の収入は増加している。これは、経済学者が「完全雇用」と呼ぶ、仕事を望む人の大半が仕事に就いている状況に大きく依存している。
確かに、今年の雇用は劇的に減速しています。これが、FRBが先週借入コストを引き下げた主な理由です。
米国では5月から8月までの新規雇用は月平均わずか2万7000件で、パンデミック時代を除けば2010年以来最悪の4カ月連続となった。
しかし、大きな希望の光もあります。企業は欠員を埋めたり、新規雇用を増やしたりしているわけではないものの、大量の人員削減も行っていないのです。
失業した人は失業後すぐに失業手当を申請しますが、いわゆる失業保険の申請件数は歴史的に見ても非常に少なく、週あたり20万件台前半です。景気が悪化すると、30万件以上に増加する傾向があります。
一方、失業率は今年4.3%まで上昇しましたが、それでも依然として非常に低い水準です。米国では、5%を下回る低失業率がこれほど長く続くことは稀です。
安定した「低採用・低解雇」の労働市場は、消費者支出が好調である理由を大いに説明しています。仕事に安定を感じている人は、通常通り支出を続けるでしょう。
もちろん、先行きは完全に明るいわけではない。関税の影響でインフレ率は予想ほど上昇していないが、それでもアメリカ国民にとって大きな懸念材料となっている。
インフレ率は今年初めにFRBの目標値2%にほぼ達した後、再び3%に向けて上昇している。
インフレ率の上昇も、支出増加の一因となっています。アメリカ人は家賃、医療費、新車・中古車、自動車保険・修理といった生活必需品への支出を増やしています。
だからこそ、消費者信頼感の調査では、依然としてアメリカ人が不安を抱えていることが示されているのだ。
「消費者は物価高騰の持続に引き続き不満を表明している」と、ミシガン大学が毎月実施している消費者調査のディレクター、ジョアン・スー氏は述べた。「消費者は、インフレ率上昇の見通しと労働市場の弱体化リスクの両方からプレッシャーを感じている。」
しかしながら、こうした不満によって彼らの消費習慣が抑制されたわけではない。
アメリカ人は、支出を支払った後も、頻繁に外食したり、休暇を取ったり、娯楽用の商品やサービスを購入したりするのに十分なお金が残っていました。8月はこうした自由裁量で使えるものに多額のお金が費やされました。
「人々は近い将来の経済について悲観的になると、支出を抑制し始めることが多いが、これまでのところはそうではない」とナードウォレットのシニアエコノミスト、エリザベス・レンター氏は述べた。
消費者支出の回復力から、インフレの持続を考慮すれば連邦準備制度理事会が来年金利を大幅に引き下げるべきかどうか疑問視するアナリストもいる。
「経済を過剰に刺激し、インフレのドラゴンを再び刺激するリスクがある」とアリアンツ・トレード・アメリカのシニアエコノミスト、ダン・ノース氏は語った。
全国の経済学者は、FRBが利下げ計画を縮小する可能性はあるが、労働市場の健全性が鍵となるだろうと述べた。
ネーションワイドは「来週発表される9月の雇用統計の結果が重要な決定要因となるだろう」と述べた。
それは、もしそうなると仮定した場合だ。共和党と民主党の予算をめぐる対立により、来週連邦政府機関が部分的に閉鎖される可能性があり、雇用統計の発表が遅れる可能性がある。
住宅ローン金利の低下を背景に住宅市場は急激な回復を見せているMarket Watch
住宅ローン金利の大幅な低下を背景に一部の買い手が市場に戻ったため、8月の住宅売買契約保留件数は5カ月ぶりの高水準に急増した。
全米不動産業者協会が月曜日に発表した月次指数によると、米国の8月の契約締結件数は前月比4%増加した。
住宅販売保留件数は2025年3月以来の高水準に上昇した。前年同月比でも3.8%増加した。
住宅販売保留件数は、既存住宅の売買契約は締結されたものの、まだ売買が完了していない取引を反映しています。エコノミストは、これを今後数ヶ月間の既存住宅販売の方向性を示す指標と見ています。
住宅販売保留件数はウォール街の予想を上回った。ダウ・ジョーンズ・ニュースワイヤーズとウォール・ストリート・ジャーナルがエコノミストを対象に実施した調査によると、8月の住宅販売保留件数の中央値予想は横ばいだった。
30年固定金利住宅ローンは8月初めに急激に下落し始め、連邦準備制度理事会による25ベーシスポイントの利下げ前の9月16日に6.13%という直近の最低水準に達した。
住宅ローン金利の低下を受けて、NARデータは住宅購入需要が増加したことを示している。
全米不動産協会(NAR)のチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は声明で「住宅ローン金利の低下により、より多くの住宅購入者が契約を結ぶことが可能になっている」と述べた。
彼はまた、中西部の住宅販売が他の地域よりも好調であると指摘した。8月、中西部の住宅販売保留件数は前月比8.7%増加し、全地域の中で最も高かった。
「中西部では、住宅ローン金利の低さと住宅購入のしやすさの高さが他の地域に比べて多くの購入者を惹きつけている」とユン氏は語った。
MarketWatchは以前、中西部での販売の好調なペースについて報じている。
しかしながら、全国の住宅市場は依然として低迷しており、力強く持続的な回復の見込みは立っていない。
住宅価格の高騰や不安定な雇用市場、そして現在の住宅ローンの金利が低い住宅所有者の移転を妨げるいわゆるロックイン効果などの理由で、買い手は依然として住宅購入を控えている。
「買い手が住宅購入の決断に自信を持ちたいと思うのは当然だが、現時点では多くの人がそうではない」と、サンフランシスコを拠点とするレッドフィンの不動産エージェント、ジョシュ・フェルダー氏はブログ投稿で述べた。
同証券会社は、9月時点の住宅販売保留件数が需要の弱さを示していると指摘した報告書を発表した。
「多くの購入者は、職を失う可能性や株式ポートフォリオの損失、そして経済全体の悪化を懸念して躊躇している」とフェルダー氏は語った。
購入者が住宅の契約書に署名したからといって、最終的にその住宅を所有することになるわけではないと彼は指摘した。「購入手続きを進めている購入者の多くは、条件付きでオファーを出しており、希望する条件が得られなければ検査期間中に契約を破棄する用意がある」
米軍の空中給油機がヨーロッパに展開Zero Hedge
OSINT(情報技術情報)に重点を置くXアカウントは、飛行追跡データに基づき、米国の空中給油機がヨーロッパに次々と展開している様子を引用している。このタイミングは、トランプ大統領が火曜日にバージニア州北部で予定していた軍高官との土壇場での会談と重なる。歴史的な前例は非常に注目に値する。前回の同様の大規模給油機の展開(レポートを読む)は、米国によるイランの核施設への攻撃の5日前だった。
最も有名かつ信頼できるXアカウントは、米国の空中タンカーがヨーロッパに即時に派遣されたと報告している。
「現在、アメリカ空軍のKC-135R/T「ストラトタンカー」空中給油機約12機が全米各地の空軍基地から北東へ向けて離陸し、大西洋を横断してヨーロッパへ向かう準備を進めている。そのうち数機はイギリスのミルデンホール空軍基地へ向かっている模様だ」とXアカウントOSINTdefenderは述べた。Xユーザーはフライト・ニュースの情報源として、
他の OSINT に焦点を当てた X アカウントも、同様の米国の空中タンカーのヨーロッパへの移動を報告しており、これは通常、米国または NATO が緊急の軍事ニーズに対応していることを示唆しています。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
熱帯暴風雨イメルダは勢力を強めており、南東海岸沖に進み、フロリダ州からカロライナ州にかけて危険な高波、離岸流、沿岸の洪水、海岸浸食を引き起こす中で、火曜日までにハリケーンになると予想されている。
同時に、ハリケーン・ウンベルトは、土曜日に時速160マイル(約260キロ)の風を伴う稀有なカテゴリー5の嵐に一時的に激化し、現在は大型のカテゴリー4のハリケーンに成長しています。イメルダの東数百マイルに位置するウンベルトの巨大な勢力は、今週、米国の海岸の危険をさらに増大させ、東海岸沿いのイメルダ単独よりも北の地域に致命的な離岸流と高波をもたらすでしょう。
イメルダの中心はアメリカ沿岸からかなり沖合にとどまると予想されており、これは週末の予報とは大きく異なる。しかし、広範囲に及ぶ嵐の影響で、依然として一部地域では雨が降る見込みだ。カロライナ州沿岸部では火曜日まで局地的な鉄砲水が発生する可能性があるものの、予想降水量はほとんどの地域で1インチ(約2.5cm)以下に大幅に減少している。
フロリダ州スペースコーストからノースカロライナ州アウターバンクスにかけての沿岸部でも洪水が発生する可能性があり、満潮時には陸からの風により、通常は乾いている地面より1~2フィート高い位置まで水が押し上げられる可能性がある。
バハマ諸島は週末に浸水したイメルダの強風と豪雨に未だ耐えています。島々の一部では熱帯暴風雨警報が発令されており、4~8インチ(約10~20cm)の降雨により鉄砲水が発生すると予想されています。また、高さ30~90cmの高潮が発生する可能性もあり、キューバ東部ではさらに5~100cm(約5~10cm)の降雨量と、高地での局地的な土砂崩れが発生する恐れがあります。
国立ハリケーンセンターによると、月曜日早朝の時点で、イメルダは時速60マイル(約97キロ)の風を吹き、フロリダ州ケープカナベラルの東南東240マイル(約380キロ)の地点を中心としていた。この嵐は火曜日早朝、フロリダ州大西洋岸に平行に進みながらハリケーンへと発達し、その後急激に東へ進路を変えて開水域に入ると予想されている。
この方向転換はウンベルトのおかげです。イメルダの北上速度は予想よりも遅いため、ウンベルトは熱帯の綱引きに勝ち、イメルダを海岸線から引き離すことになります。この2つの嵐の予想される相互作用こそが、週末に懸念されていたよりも、米国における洪水を伴う雨や強風の脅威が減少している主な理由です。
南東部の当局は、予報がより脅威的なものになる中、嵐への対応準備を進めていた。サウスカロライナ州のヘンリー・マクマスター知事は金曜日に非常事態宣言を発令し、州全体の対応計画を発動した。一方、チャールストン市は土曜日に地域非常事態を宣言し、土嚢の配布や雨水溝の清掃を開始した。ノースカロライナ州のジョシュ・スタイン知事も土曜日に非常事態宣言を発令し、資源動員に努めた。
イメルダの進路変更により、バミューダ諸島は不利な状況に陥り、稀に見るダブルパンチに見舞われることになるでしょう。ウンベルトは月曜日から火曜日にかけてカテゴリー4の嵐として島の西側を通過し、雨雲、突風、そして危険な波をもたらすと予想されています。バミューダ気象局は、同諸島に熱帯低気圧注意報を発令しました。
ウンベルトに続き、イメルダはバミューダ諸島にさらに接近する可能性があり、水曜日から木曜日にかけて直撃する可能性がある。1週間に2つのハリケーンが発生すれば、嵐の被害を経験したバミューダ諸島でさえ、甚大な被害を受ける可能性がある。
今年に入ってから、アメリカはハリケーンの直撃を回避しています。 7月には熱帯暴風雨「シャンタル」がサウスカロライナ州に上陸しましたが、2025年にはハリケーン並みの強さで沿岸部に到達した例はありません。この記録が続けば、10年ぶりにハリケーンが上陸しないシーズンとなります。
それでも、今シーズンは別の意味で特筆すべき出来事でした。エリン、ガブリエル、ウンベルトと、これまでに発生したハリケーンはすべて、1935年以来、これほど早く大規模な勢力に達しました。大型ハリケーンはカテゴリー3、4、5に分類されます。化石燃料による汚染で地球温暖化が進むにつれ、近年、 急速な勢力の増大ははるかに頻繁に見られるようになりました。
●その他
備忘録(2025/9/26-28)
●企業
NY時間の終盤に入って、ゲーム開発のエレクトロニック・アーツ<EA>が大幅高となっている。レバレッジド・バイアウト(LBO)による非公開化に向けて最終段階にあると報じられたことが材料視。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係者の話として伝えた。
報道によると、シルバー・レイクを含む投資家グループやサウジアラビアの公共投資ファンド(PIF)が早ければ来週にも買収を発表する可能性があるという。価格交渉は継続中だが、同社の企業価値を最大500億ドルで評価する可能性があるという。
【企業概要】
デジタルインタラクティブエンターテイメントを手掛け、ネットに接続されたコンソール、モバイル機器、PC向けに、ゲーム、コンテンツ、オンラインサービスを開発・提供する。スポーツ・レース・シューティング・アクション・ロールプレイングなど、様々なジャンルのゲームやサービスを開発・公開する。
テクノロジーコンサルティング会社アクセンチュア
同社は、AIへの取り組みを優先する広範な再編戦略の一環として、人工知能に関するスキルを再習得できない従業員を解雇する計画を打ち出した。
アクセンチュアのジュリー・スウィートCEOは木曜日の電話会議で、高度なAIが「当社のあらゆる業務の一部」となり、世界的なプロフェッショナルサービス企業である同社がこの分野に多額の投資を続けるにつれ、従業員が大規模に「再訓練と刷新」されることが予想されると述べた。
「私たちは、改革者(Reinventor)のスキルアップに投資しており、これが私たちの主要戦略です」とスウィート氏は述べた。彼女は、スキルアップが「現実的な道筋」ではない人材を「圧縮タイムラインに沿って撤退させている」と説明した。
スウィート氏は、アクセンチュアはすでに55万人の従業員に生成AIの基礎スキルを再教育し、6か月間の8億6500万ドルの事業最適化プログラムの概要を示し、退職金や人員削減に関連するコストを詳細に説明したと述べた。
「当社は事業最適化プログラムにより10億ドル以上の節約を見込んでおり、この節約分は当社の将来の成長にとって非常に重要な事業と人材に再投資する予定です。そのため、適度な利益率の拡大を実現しながらも再投資できると見込んでいます」とアクセンチュア最高財務責任者のアンジー・パーク氏は述べた。
人員削減と並行して、同社は採用を継続しており、AI人材の増強を図っており、2023年の4万人から2025年には7万7000人のAI・データ専門家を雇用する予定だ。スウィート氏は、米国や欧州を含む市場全体で来年度も従業員数を増やす予定だと述べた。
「当社の一番の戦略はスキルアップです。必要なスキルを考慮し、スキルアップの経験は豊富です。非常に短い期間で、スキルアップのための実行可能な道筋がない中で、必要なスキルをさらに獲得できるよう、人材を退職させようとしています」とスウィート氏は付け加えた。
同社は今年、売上高が697億ドルとなり、前年比7%増となったと報告した。CNBCの番組「Squawk on the Street」のインタビューで、スウィート氏はこの成長の要因として、組織全体への人工知能導入に対する顧客の旺盛な需要を挙げた。
「AIへの初期投資は実を結びつつあります」とスウィート氏はCNBCに語った。「アクセンチュアが、高度なAIの活用を確実に実現する真のパートナー企業であることに支えられ、事業は勢いを増しており、2026年度を迎えるにあたり、非常に期待しています。」
「すべてのCEO、取締役会、そして経営幹部は、高度なAIが未来にとって不可欠であることを認識しています。彼らが現在直面している課題は、AI技術に非常に期待している一方で、ほとんどの企業ではまだAI導入の準備が整っていないことです」と彼女は付け加えました。
ユタ州に拠点を置く飲料チェーンSwigは2010年に「ダーティーソーダ」という言葉を生み出した。15年後、このトレンドはペプシコをはじめとするあらゆるところでイノベーションを促している。
マクドナルドへ
低迷する飲料部門に新たな活力を与えています。
「ダーティーソーダ」は、炭酸飲料をベースに、フレーバーシロップ、クリーム、その他の材料を加えて作られるドリンクです。スウィッグ社はダーティーソーダの発明と商標権を主張していますが、TikTok動画やリアリティ番組「モルモン教徒の妻たちの秘密の生活」が、このトレンドを一気に広め、スウィッグ社の急速な拡大をも上回りました。
今では、消費者は食料品店の売り場からファーストフードチェーンまで、ほぼどこでもそれを見つけることができます。
ペプシは数週間後、シカゴで開催される全米コンビニエンスストア協会(NACSE)の展示会で、ダーティーソーダ風の2種類のレディ・トゥ・ドリンク(そのまま飲める)飲料を発表する予定です。新商品の「ダーティーデュー」と「マグフロート バニラハウラー」は、今年初めに発売された「ペプシ ワイルドチェリー&クリーム」に続くものです。
「これは、ペプシコのような我々のような人々、そして消費者にとって、ソーダを新しい方法で、そしてある意味、昔ながらの方法で体験する素晴らしい機会だと思います」と、ペプシ・ビバレッジズ・ノース・アメリカ最高マーケティング責任者のマーク・カークハム氏はCNBCに対し、ダーティーソーダの台頭をルートビアフロートや昔のソーダショップと比較しながら語った。
ダーティーソーダは、飲料業界以外にも新たな関心を集めています。Datassentialによると、米国の飲食店のうち、クリームまたはミルク入りの炭酸飲料を提供している割合は2.7%で、10年前の1.5%から増加しています。
このトレンドに新たに参入したTGIフライデーズは、今夏、アルコール入りのダーティーソーダを期間限定メニューとして発売した。マクドナルドは、 6月にドリンク専門のスピンオフ企業CosMc’sの営業を縮小した後、「スプライト・ルナ・スプラッシュ」のようなフレーバーソーダを500店舗以上で試験的に販売している。ヤム・ブランズの
タコベルは、ダーティー・マウンテン・デュー・バハ・ブラストなどの期間限定メニューも提供している。
Swigがトレンドを作る
スウィッグは現在、16州に140店舗以上を展開するまでに成長しました。非上場企業である同社によると、今年に入ってからの既存店売上高は8.2%増加しています。元ユタ・ジャズのオーナーが設立した投資会社ラリー・H・ミラー・カンパニーは、2022年にスウィッグの過半数株式を非公開の金額で取得しました。
「スターバックスがコーヒーでやったことと同じことを、我々はソーダでやっていると思う」とスウィッグのCEO、アレックス・ダン氏は語った。
Swigの成長に伴い、その成功に追随しようとするチェーン店の数も増えています。Sodalicious、Fiiz、Cool Sipsといった競合のソーダショップもこのトレンドの恩恵を受けています。Dutch Brosのようなコーヒーショップもそうです。
など、多くのレストランがメニューに加えており、今ではファストフードチェーンもこの流れに乗っています。
「これはカテゴリーとして確立されたことを証明するものです。マクドナルドやタコベルが参入するのは、何千もの場所でどこでも販売できるような幅広い訴求力を持つものでなければ、なかったでしょう」とダン氏は述べた。「私たちが作ったカテゴリーを、今では誰もが真似しているというのは、ある意味光栄なことです。」
レストランにとって、ダーティーソーダをメニューに加えることは、思っているよりも簡単です。
「これはカスタムドリンクの提供です。まず、ブランドは既に持っているもの、つまりソーダマシンを活用できます」と、レストランに食品・飲料のイノベーションに関するアドバイスを提供するザ・カリナリー・エッジの料理ディレクター、エリカ・ホランド=トール氏は述べた。「次に、ワンタッチで使える材料を組み込んでいます。あるいは、既に朝食営業をしているお店であれば、クリーマーを常備している可能性が高いです。」
一方、カスタマイズ可能なコーヒードリンクを提供することは通常はるかに困難であり、これがスターバックスの苦戦の一因となっている。
「エスプレッソの世界は、はるかに複雑です」とホランド・トール氏は言う。
ダーティーソーダは幅広い層から人気を集めています。コーヒーよりもカフェインが少ないため、一日中飲むことができます。さらに、ホランド・トール社によると、エスプレッソトニックのようなコーヒーハウスのトレンドよりも「はるかに手軽」です。多くのダーティーソーダは鮮やかな色をしており、TikTok動画でこのトレンドを知った消費者にとって魅力的です。
しかし、おそらく何よりも、ダーティーソーダは、レストランが倹約家な顧客を引き付けるのに役立つ可能性がある。
「これはお手頃価格で楽しめるご褒美です。外出して30ドルや50ドルも使うなんて考えられませんよね?」と、サーカナの消費財・食品サービス部門チーフアドバイザー、サリー・ライオンズ・ワット氏は語る。「『わあ、おいしかった』とか『これを食べたおかげで気分が良くなった』と言って帰れるようなものなんです。」
消費者にとっての「楽しいご褒美」は飲料会社にとってプラスとなり、米国における数十年にわたるソーダ消費の減少傾向を逆転させるのに貢献している。
健康への懸念が高まり、飲料の選択肢が広がるにつれ、アメリカ人は約20年間、炭酸飲料の消費量を減らしてきました。Beverage Marketingによると、炭酸飲料の消費量は2004年に153億ガロンでピークに達しましたが、2024年には118.7億ガロンに減少しました。しかし、炭酸飲料の消費量は過去2年間で増加傾向にあり、2025年には118.8億ガロンに達すると予測されています。ダーティソーダの増加とプレバイオティクスソーダの人気の高まりが、このセグメントの減少傾向に歯止めをかけていると考えられます。
長年にわたり、アイスコーヒーは飲料業界が「喉のシェア」と呼ぶものをソーダから奪ってきました。ダーティーソーダは、冷たい飲み物を自分好みにカスタマイズしたいという消費者の好みと、カフェイン含有量の低さとソーダの味わいを両立させています。
「炭酸のおかげで、例えばコーヒーよりも口当たりが軽く感じられます」とホランド・トール氏は言う。
ダーティーソーダは、これまでペプシやドクターペッパーをあまり飲まなかった若い消費者も惹きつけています。ダン氏によると、スウィッグの主要顧客層は18歳から35歳までの若い女性です。
アイオワ州ダベンポート在住の31歳の人事担当者、ホリー・ガルビンさんもその一人です。彼女はCNBCの取材に対し、昨年「モルモン教徒の妻たちの秘密の生活」でダーティーソーダが注目を集めるまで、ほとんどソーダを飲まなかったと語りました。今では週に1、2回、自宅でダーティーソーダを作っています。秋が深まるにつれ、彼女の最近の定番レシピは、ダイエット・ドクターペッパーをベースに、パンプキンスパイスクリーマーを加え、パンプキンパイスパイスを振りかけるというものです。
一般的に、若い世代の消費者は、年配の世代に比べて新しい飲み物を求める傾向が強いです。キューリグ・ドクターペッパーの2025年トレンドレポートによると、Z世代の約4分の3が平均して毎月新しい飲み物を試しています。
飲料会社は、このトレンドの結果として、ソーダ飲料のハロー効果が拡大していると述べている。
「私たちにとって、これは商標に新しいユーザーを呼び込むための採用ツールとして機能します」と、キューリグ・ドクターペッパーのイノベーションと変革担当副社長、ケイティ・ウェッブ氏は述べた。
「これにより、お客様はベースブランドに引き戻され、後々私たちにとって非常に大きな影響を与えることになります。」
クラフトカクテル文化が缶入りカクテルの隆盛をもたらしたように、ダーティーソーダの人気は、飲料大手各社がこのトレンドを捉えたRTD(すぐに飲める)バージョンで利益を上げている状況を招いています。ウェッブ氏によると、ドクターペッパー クリーミーココナッツは、小売売上高で見ると、同社にとってこれまでで最も成功した期間限定炭酸飲料でした。また、カーカム氏によると、ペプシ ワイルドチェリー&クリームは、同社にとって最も急成長しているフレーバーセグメントの一つです。
「小売業から始まって外食産業へ移行するトレンドもあります」とサーカナのライオンズ・ワイアット氏は述べた。「今回のトレンドは、外食産業から小売業へ移行したものでした。」
ペプシ ワイルドチェリー&クリームと来年発売予定のダーティデュー、マグフロート バニラ ハウラーにより、消費者は飲み物の調合にさらに創造性を発揮するようになるだろうとカーカム氏は期待している。
「実際、消費者にはさらに多くの実験やカスタマイズの機会が与えられていると思います」と彼は語った。「これで全く新しい顧客基盤ができたのです。」
●マクロ
格付け会社のムーディーズ・レーティングスとフィッチ・レーティングスは26日、スペインの格付けをそれぞれ引き上げた。ユーロ圏の中で際立つ成長実績が評価された。
両社は共に格付けを1段階ずつ引き上げ、ムーディーズは「A3」、フィッチは「A」とした。いずれも2012年以来の高水準となる。
ムーディーズは26日の発表文で「スペインの経済力は一段と均衡の取れた成長モデルや労働市場の改善、銀行部門の強化によって高まっており、経済の耐性を強めている」との分析を示した。
フィッチもスペインの「経済実績は予想を上回り、他の主要ユーロ圏経済を大きくしのいでいる」と、同様の見解を示している。
スペインを巡っては、S&Pグローバル・レーティングも12日に格付けを1段階引き上げていた。ユーロ圏債務危機の最も厳しい局面で、投機的水準の1段階手前まで引き下げられていたスペインの信用力が、着実に回復していることを示している。
今では状況が一変し、ギリシャやイタリアなど債務危機を経験した他の南欧諸国と共に、スペインは着実な上昇軌道にある。一方で、フランスは政治的不安定や財政問題が重なり、市場の思惑の焦点となっている。
多くの指標に基づけば、米市場は引き続き堅調だ。経済指標は上振れが続き、連邦準備制度は利下げでウォール街に新たな支援材料を提供した。株価も直近の高値圏にある。
しかし、その表面下では変化の兆しも顕在化しつつある。
リスク志向のデイトレーダーは、市場の過熱感が最も強かった領域から撤退しつつある。夏場に主に勢いと話題性で急上昇した投資が対象だ。ここ数日では、最先端技術に特化した上場投資信託(ETF)や大手ハイテク株に連動する高レバレッジの取引から資金が流出している。長期にわたりリスク選好のバロメーターとされてきた暗号資産(仮想通貨)さえも勢いを失っている。
株価指数や個別株の日々の値動きを2倍、もしくは3倍にまで拡大させる金融手法を用いるレバレッジ型ETFは、機敏な個人投資家に人気の高いツールとなってきた。だが、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、個人投資家に人気だったこうした商品からは今月に入り約70億ドル(約1兆500億円)が流出し、2019年以降のデータで最大となっている。
資金流出は決してパニックを示すものではなく、ポジション調整の一環だ。リスクを顧みない投資でも利益を得られた数カ月間を経て、投資家は利益を確定させる一方、今後の変動リスクに備えていると見受けられる。
半導体業界への投資で3倍の運用成果を目指すETF「ディレクション・デイリー・セミコンダクター・ブル3Xシェアーズ(SOXL)」では、この変化が顕著だ。今月は31%上昇しているにもかかわらず、投資家は23億ドル超を引き揚げた。利益が出ているうちに撤退する動きが一部で生じていることを示している。
電気自動車(EV)大手の米テスラの株式エクスポージャーを増幅させる「ディレクション・デイリー・TSLA・ブル2Xシェアーズ(TSLL)」でも同様の動きが見られ、同社株が持ち直す中で既に約15億ドルが流出し、月間では過去最大の資金流出ペースとなっている。
こうした慎重姿勢の一因は、今後の不確実性にありそうだ。米連邦政府機関の一部閉鎖が現実となれば、経済指標の発表が滞り、投資家心理を冷やしかねない。また、多くの市場関係者は今回の調整を健全な動きと受け止めている。株式や信用市場は過去20年で最も熱狂的な局面を除けばほとんど見られない水準にまで上昇している。
注目すべきなのは最初に動いているのが誰かという点だ。しばしば「愚かな資金」とやゆされ、行動が遅く反応が過剰だとみられがちな個人投資家が、今回のサイクルでは繰り返し先手を打ってきた。
今年前半にかけての継続的な買いは先見性があり、専門家の多くが半信半疑だった上昇相場をけん引した。4月に米関税措置をきっかけとする調整が入った後も、リスク資産にいち早く戻ったのは個人投資家だった。これらの投資家が過熱感の強い市場の一角から退きつつあることは、再び注目に値するシグナルとなる可能性がある。
26日までの週間ベースで、S&P500種株価指数は0.3%下落し、1カ月ぶりの下げとなった。ハイテク株比率の高いナスダック100指数も0.5%下落し、週間ベースで8月末以来の下げを記録した。一方、iシェアーズ米国債20年超ETF(TLT)も2週連続の下落となった。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「活発な投資家は動きの速い銘柄を引き続き追いかけている。特に人工知能(AI)や量子コンピューター、暗号資産関連株といった好みの分野だ。ただ、押し目買いや急伸局面を追随する意欲は確かに弱まっている」と話す。
さらに、「まだ消化不良とまでは言えないかもしれないが、ビュッフェで食べ過ぎた後に、動けなくなった状態といったところかもしれない」とも語った。
投資家心理の冷え込みに拍車をかけたのは暗号資産だ。今週はレバレッジ取引の解消を契機に強制的な清算が相次ぎ、ビットコインやイーサリアムが急落。一時は時価総額が約3000億ドル目減りし、夏以降で最も変動の激しい局面の一つとなった。
相場は26日に安定を取り戻したものの、急激な巻き戻しの規模や、企業需要が弱まっているのではないかという疑念は、今年大きな利益を積み上げてきた個人投資家の心理に重しとなりかねない。
本能によるものか疲労感によるものかは別として、こうした後退はリスクに対する一段と広範な見直しの兆しを示している可能性がある。それでも現在のように相場水準が高い局面では、小さな判断ミスやタイミングを誤った退出でも大きなコストを伴う恐れがある。
TCWグループのシニア・ポートフォリオマネジャー、イーライ・ホートン氏は「今年を通じ、個人投資家のポジションの取り方が機関投資家と比較して興味深い」と指摘。その上で、「4月に相場が安値を更新した局面を振り返れば、個人投資家は実際に押し目買いしていた。それはウォール街主導の相場ではなく、メインストリート主導の上昇と言えるだろう」と語った。
広範な下落が差し迫っている兆候はない。だが、市場環境は以前より脆弱(ぜいじゃく)になっている。キャッシュ同等のETFや金ファンド、ボラティリティー関連商品など安全資産への資金流入は過去数カ月で最速のペースとなっている。これらの動きを総合すると、市場は静かな再調整の過程にあると考えられる。中核は維持されているものの、投機的な色彩は後退しつつある。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アンドリュー・スリモン氏は「市場は買われ過ぎの状態にあり、特に超投機的な銘柄が買われ過ぎていた」とコメント。「そうした銘柄はバブル領域に達しており、非常に危険なサインだ」と述べた。
米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社、トライカラー・ホールディングスの本社オフィス。従業員は一斉解雇され、人気のないフロアにはナンバープレートや書類の山だけが残されていた。ローンのサービシング(債権回収)機能は崩壊していた。
これは9月16日の光景だ。トライカラーの命運を決定付けた衝撃的な詐欺疑惑が浮上してからわずか1週間後のことだ。サービサー(債権回収業者)であるヴァーヴェントの危機管理担当マネジャーらが急きょダラス入りし、調査を開始した。同社のコンプライアンス責任者デレク・ギャンブル氏は後に破産裁判所で「まるで竜巻が通り抜けたようだった」と証言した。だが関係者によれば、まもなく調査員を名乗る団体が姿を現し、ヴァーヴェントのチームは退去を命じられ、債権回収作業はほとんど手つかずのままとなった。
トライカラーは20%を超える高金利のサブプライムローン会社であり、その破たんはあまりに突然で、混乱を巻き起こした。破産申請から2週間たった現在も、財務状況や担保資産の実態はほとんど明らかになっていない。債券受託者のウィルミントン・トラストは先週、受託を突如辞退し、状況は混迷を深めた。債権者への利払い金がカストディアン(資金管理)銀行から支払われたものの、直後に異例の取り消しとなった。格付け会社S&Pグローバル・レーティングはこれを受けて、トライカラーの資産担保証券(ABS)に付与していた格付けを撤回した。
不法移民が大半を占める同社顧客も困惑している。実体がなくなった会社にローン返済を続けるか、自動車を失うリスクを覚悟で支払いをやめるべきかで悩んでいる。
これ以上の悪夢はない
ヴァーヴェントのチームは顧客に接触を試みているが、本社ビルへのアクセスが許されない状況では限界があると関係者は述べた。リームズ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ニール・アガルワル氏は「回収業者からの情報は乏しく、受託者は離脱し、利払いは取り消されている。債権者にとって、これ以上の悪夢はない」と語った。
トライカラー創業者ダニエル・チュウ氏の弁護団にコメントを求めたが、現時点で返答はない。ヴァーヴェントのデービッド・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は「消費者に公正で透明なプロセスが提供されるべきであり、当社はそのために尽力する決意だ」と述べたが、それ以上のコメントは控えた。
回収業者に退去を命じた捜査員の素性も、当初は確かではなかった。この件で調査を開始した米司法省と連携している連邦捜査局(FBI)の捜査官だという臆測もあった。現在分かっているのは、破産管財人のアン・バーンズ氏が率いる法務チームが、トライカラーの財務を精査し資産を集計しているということだ。ヴァーヴェントのチームは来週初めにもオフィス入室を許可される可能性があると、通知を受けた。バーンズ氏にコメントを求めたが、返答はない。
トライカラーは2007年に創業。米南西部を中心に低所得のヒスパニック系住民を対象にローンを提供してきた。2024年には年間の貸出額が約10億ドル(約1500億円)に達するほど、急成長していた。問題が表面化したのは今年の8月下旬。JPモルガン・チェースが担保の価値に対する懸念を理由に、ウェアハウスファシリティーと呼ばれる与信枠のサービサー役を降りた。フィフス・サード・バンコープはトライカラー関連会社から得た財務データに「重大かつ潜在的に詐欺的な虚偽記載」があったと、後の裁判所提出文書で主張している。トライカラーは9月10日、連邦破産法第7条に基づく会社清算を申請した。銀行側はなおも担保の真正性を検証している。
状況に詳しい複数の関係者によれば、車両識別番号(VIN)を巡る疑惑が捜査の中心になっている。番号がねつ造、あるいは重複使用され、トライカラーの不良債権隠しと資産価値水増しに利用されていた疑いも持たれている。オレンジ・インベストメント・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、ボリス・ペレセチェンスキー氏は「混乱だらけだ」と語る。債券保有者が甚大な損失を抱えることは避けられないかもしれないと述べた。
JPモルガン・チェースとフィフス・サード・バンコープの担当者はいずれもコメントを控えた。
格付け会社は直ちにトライカラー債券の格下げに動いた。クロール・ボンド・レーティング・エージェンシー(KBRA)は、一部証券の格付けを最大19段階下げて、「CC」に指定した。S&P は全ての格付けを停止。ムーディーズは23日、トライカラーの「デフォルト事由」を認定した。6月にトライカラーが発行したABS価格も急落している。
借り手からの資金回収役を担うヴァーヴェントは、自動車修理の完了処理や、返済済みの顧客への差し押さえ車両返却対応といった業務にほとんど手を付けられない状況だ。
3月にダッジ「ジャーニー」の2018年モデルを購入したアブリシャ・ジョーンズさん。ラジエーターの故障に続いて、温度計も壊れたため、8月末にフォートワースのトライカラー整備センターに預けた。しかし1週間後に受け取りに行くと、同センターは閉鎖されていた。
「まったく連絡が取れない。電話もメールも通じない」とジョーンズさんは語る。「何が起きているのか調べるため、グーグルで検索するしかなかった」という。
国際金融協会(IIF)は25日公表した四半期報告で、世界の債務残高が今年上半期に21兆ドル余り増加し、6月末時点で337兆7000億ドルに上ったと明らかにした。世界全体で緩和的だった金融環境やドル安が債務を膨らませた主な要因だ。
ドル建ての債務水準を見ると、中国、フランス、米国、ドイツ、日本が過去最大の増加幅を記録し、やはりドル安が影響した面があった。
主要通貨に対するドル指数は年初から足元までに9.75%下落している。
IIFは「これだけの債務の増加幅は、コロナ禍の政策対応で世界的に未曾有の借り入れ拡大が起きた2020年下半期に比肩する」と指摘した。
返済能力の目安となる債務の国内総生産(GDP)比率は、カナダと中国、サウジアラビア、ポーランドで急上昇した一方、アイルランド、日本、ノルウェーで低下した。
世界全体ではやや下がって324%超となったが、新興国は242.2%と過去最高水準に達した。
新興国の債務は第2・四半期に3兆4000億ドル増加し、6月末の残高は109兆ドル強と過去最高となった。年内に返済期限を迎える借り入れも3兆2000億ドルとこれまでで最も多い。
IIFのサステナブル調査ディレクター、エムレ・ティフティク氏は、債務増加は政府の借り入れが主体で、主要7カ国(G7)と中国は政府債務が急増したと指摘。G7の10年国債利回りが2011年以来の高水準に近づいており、先進国で市場の反応が厳しさを増していると付け加えた。
日本、ドイツ、フランスなどでは、持続不能とみなす財政運営に対して債券売りで警告する投資家の「債券自警団」によって財政を巡る緊張が高まる恐れもあるとしている。
またIIFは、米国の債務全体の約20%、国債残高の80%を短期債が占めている点に言及し、こうした傾向は中央銀行に対する政治圧力を高め、金融政策の独立性が脅かされると強調した。
フランス・パリの裁判所は25日、2007年の大統領選で勝利したサルコジ元大統領(70)がリビアから不正に選挙資金を調達するよう側近に働きかけたとして、サルコジ氏に禁錮5年の判決を言い渡した。サルコジ氏は判決を不服として控訴する意向だが、1カ月以内に収監される見通し。
サルコジ氏は2007─12年に大統領を務めた。フランスの大統領経験者が収監されるのは初めてとなる。判決後、自身が無実だと改めて主張した上で「自分がしていないことについて謝罪はしない」と述べた。
裁判所は、07年の大統領選に向け、故カダフィ大佐が支配するリビアから側近らが資金調達を図ったとして、サルコジ氏について共謀罪で有罪を認定した。汚職や不正な選挙資金受領といったその他の罪状については無罪とした。
当時内相だったサルコジ氏は05年にカダフィ氏と取引を行い、当時孤立していたリビア政府を支援する見返りに選挙資金を得たとして訴えられていた。
裁判所は、カダフィ氏とそうした取引をした証拠がないとした上で、時期が「符合」し、資金の流れが「極めて不透明」だとしても、リビアからサルコジ氏の選挙資金として送金されたことは証明できないと指摘した。
サルコジ氏は大統領退任後、複数の法廷闘争に直面。昨年はフランスの最高裁判所から汚職や利益誘導を巡って有罪判決などを受けており、今年6月にはフランスの「レジオン・ドヌール勲章」を剥奪された。
バーキン米リッチモンド地区連銀総裁は26日、多数の人が職を失い始めない限り、米国の消費者支出は持ちこたえるとの見方を示した。ピーターソン国際経済研究所でコメントした。
バーキン氏は「低所得層と高所得層の支出はどちらも依然としてかなり健全だ。人々には仕事があり、実質賃金は上昇し、消費レバレッジは特に圧迫されていない。真の問題は、人々が職を維持できるかどうかだ。消費者支出が減少するとすれば、それは失業した時、あるいは失業を懸念した時に起こる、予防的な消費手控えによるものだ」と述べた。
その上で、現在の失業率水準は懸念すべきものではないが、今後は間違った方向に向かう可能性があるとの警戒感も示した。
米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げを行うべきかどうかは、今後発表されるデータで決まるとした。FRBの政策目標の水準については「2%目標は世界中で成功しており、支持されている」とした上で、水準の議論は2%の目標を達成してからだとした。
対話型人工知能(AI)「チャットGPT」の公開から間もなく3年を迎える中、少なくとも10人に1人の個人投資家が株式投資の銘柄選びにチャットボットを利用するようになり、AIが資産運用の方針を提案する「ロボアドバイザー(ロボアド)」市場ブームが加速している。ただ、ロボアドを巡っては熱心な支持者ですら、リスクが高く、まだ従来型アドバイザーに取って代わることはできないと見ている。
AIのおかげで誰もが銘柄を選び、値動きを追い、かつては大手銀行や機関投資家だけが手にしていた投資分析を使えるようになった。
データ分析会社リサーチ・アンド・マーケッツによると、ロボアド市場の規模は昨年の617億5000万ドル(約9兆2460億円)から、2029年には約600%増の4709億1000万ドルに拡大する見通しだ。ロボアド市場にはフィンテックや銀行、資産運用会社など、自動化されたアルゴリズム駆動型金融アドバイスを提供する全企業が含まれる。
<ペイウォールに隠れたデータも>
スイスの金融大手UBSで約20年間にわたり企業分析を手掛けたジェレミー・ルン氏は昨年末の退職以来、自身のマルチアセット・ポートフォリオの銘柄選びにチャットGPTを使っている。
「ブルームバーグ(端末)のような、非常に高額な市場データサービスはもう使えない。チャットGPTのシンプルなツールでも多くのことができるし、私がかつて行っていた作業の多くを再現できる」と話す一方、こうしたツールではペイウォール(課金の壁)の背後にあるデータにはアクセスできず、重要な分析を見落とす可能性があると注意を促した。
ロボアド市場は今、急拡大している。
証券会社イートロが世界各地の小口投資家1万1000人を対象に行った調査によると、全体の約半数がポートフォリオの銘柄選定や入れ替えにチャットGPTやジェミニのようなAIツールを活用したいと考えており、13%はすでにこうしたツールを使っているという。
調査会社ファインダーによると、英国では個人の金融アドバイザーとしてチャットボットやAIを使っているとの回答が40%に達した。
チャットGPT側は、利用者が専門的な金融アドバイスをチャットGPTに頼るべきではないと警告している。運営元のオープンAIは投資選択のためにチャットGPTを利用しているユーザー数を公表していない。
イートロの英マネージングディレクター、ダン・モチュルスキ氏は「AIモデルは素晴らしいものになり得る」と評価しつつ、「人々がチャットGPTやジェミニのような生成AIを水晶玉のように扱えばリスクが生じる」と指摘した。
最適なのは市場分析に特化するように訓練された生成AIプラットフォームを利用することであり、「汎用AIモデルは数値や日付を誤ったり、既成のストーリーに頼りすぎたり、過去の価格変動に過度に依存して将来を予測したりしようとする」危険性があると話す。
<「信頼できる情報源のみ使用せよ」>
ファインダーは23年3月、チャットGPTに対し、負債水準、持続的成長性、競合他社に対する優位性を生み出す資産などの基準を用いて、優良株からバスケットを選ぶよう指示した。
チャットGPTが選んだ半導体大手エヌビディア(NVDA.O), opens new tabやインターネット通販大手アマゾン(AMZN.O), opens new tab、日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル、小売り大手ウォルマート(WMT.N), opens new tabなど38銘柄は、これまでに約55%値上がりし、バンガードやフィデリティ、HSBC、ファンドスミスなど大手が手掛ける、英国で最も人気の高い投資信託10本の平均上昇率を19パーセントポイントほど上回っている。
確かに米国株は史上最高値付近で推移しており、今のところ米国の不安定な政策や振れの大きい経済データにも市場は動じないように見える。しかしチャットGPTを使った銘柄選びには一定の金融知識が欠かせず、利用者は「正解にたどり着く前に間違えるリスクが高い」と認めている。
ルン氏は「あなたが空売りのアナリストだと仮定して、この銘柄に対する空売りの根拠を示せ」とか、「米証券取引委員会(SEC)への提出書類など信頼できる情報源のみを使用せよ」とチャットGPTに指示している。「与える文脈が多いほど回答の質が向上する」という。
ロボアドには大きなリスクが伴う。AIブームにより誰もが投資にアクセスできるようになった一方、市場が反転した際の損失を適切に軽減するために個人投資家がリスク管理ツールを用いているかは分からない。
欧州STOXX600種指数(.STOXX), opens new tabは年初来で10%近く上昇しており、昨年23%急騰したS&P総合500種指数(.SPX), opens new tabは今年も13%上昇している。
ルン氏は「もし人々がAI投資に慣れ、利益を出しているなら、危機や景気後退時に対応できない恐れがある」と危惧を示した。
連邦準備制度理事会(FRB)による歴史的な利上げサイクル、2年間の根強いインフレ、そして世界貿易の緊張の兆候にもかかわらず、ウォール街では現在、 「ソフトランディング」「ノーランディング」 、さらには 「再加速」といった奇妙な混合説が主流となっている。 例えば、経済成長の影響を最も受けやすい企業、すなわち中小型株の今後の利益見通しを見てみよう。過去2年間、大規模な財政・金融刺激策によって経済が「好景気」にあったにもかかわらず、利益の伸びはわずかだった。しかし、2026年に向けて、ウォール街は企業利益の急激な増加を予想している。これは経済が再加速した場合にのみ実現する。
市場は現在のバリュエーション水準を支えるために経済回復に賭けている一方で、実体経済は減速を示唆している。 注目すべきは、その証拠が目立たない場所からもたらされているわけではないということだ。それは、嵐が来る前に私たちに警告を与えるために設計された指標に現れている。
GDPや主要雇用者数といった遅行するデータとは異なり、経済動向を先行させる指標は、勢いの転換点を示唆するものです。歴史的に、これらの指標は経済成長から減速への変化を的確に予測してきました。しかし、2020年以降、大規模な景気刺激策が実施されたことで、先行指標は 「不在」状態となっています。 そのため、これらの指標が何を警告しているのかに目を向ける人はほとんどおらず、現在の楽観的な見方は、あらゆる経済サイクルの終盤に見られる状況と不気味なほど似ています。市場が上昇しているとき、投資家はリスクを無視し、ファンダメンタルズを軽視します。しかし、どこを見ればよいか分かっていれば、警告はそこにあり、強気のエコーチェンバーから抜け出す覚悟が必要です。
経済減速にはおなじみのリズムがあり、今またそれを耳にしています。まず、経済指標は静かに軟化し、次に修正が下方修正され、信用が引き締められ始め、消費者行動は慎重になり、そして最終的に労働市場は崩壊します。 誰もがようやく現状を認めた時には、市場はすでにそのダメージを織り込んでいます。だからこそ、事後ではなく、今、シグナルが何を示しているかを理解することが重要なのです。
それでは、経済ダッシュボードを詳しく見てみましょう。私の見方では、経済は加速しているのではなく、むしろ減速しているように見えます。
経済シグナル
景気減速の最も明確な兆候は、コンファレンス・ボードの景気先行指数(LEI)で、17ヶ月連続で下落しています。これは単なる四捨五入の誤差ではなく、2008年の金融危機以来の最長下落です。LEIには、新規受注、失業保険申請件数、建設許可件数、消費者期待といった将来予測の要素が含まれています。歴史的に見て、指数がこれほど長期間下落した場合、景気後退は 「もし」 ではなく 「いつ」の問題です。 コンファレンス・ボードでさえ、2024年後半または2025年初頭の景気後退を公式に予測していましたが、経済全体に循環する財政刺激策のおかげで、これは実現しませんでした。しかし、その刺激策は終了しました。LEIは再び低下に転じ、景気の弱さが再び高まっていることを示しています。S&P500指数が上昇を続けているため、市場はこの警告をほとんど無視していますが、これは投資家が考慮すべき危険な乖離です。
債券市場も警告を発している。利回り曲線、特に2年債と10年債の利回り差は1年以上にわたって逆転していた。しかし、景気後退の兆候となるのは逆イールドカーブではなく、 逆イールドカーブである。戦後の景気後退はすべて 、逆イールドカーブ、それも逆イールドカーブである。 多くの人は、逆イールドカーブ自体が景気後退そのものではなく、警告であるという事実を見落としている。本当の問題は、カーブが 再びスティープ化した時に始まる 。多くの場合、これはFRBがパニックに陥って利下げを余儀なくされたためだ。そして、どうだろう?本稿執筆時点で、市場は年末までに少なくとも50ベーシスポイントの利下げを織り込んでいる。これは 「再加速」する 経済では起こり得ないことだ。
次に労働市場について見てみましょう。表面的には依然として健全に見えます。しかし、深く掘り下げてみると、亀裂は広がっています。労働統計局は最近、雇用者数の増加数を91万1000人以上上方修正しました。派遣サービスは引き続き減少しており、求人数はピーク時から約30%減少しています。 しかし、真に注目すべき数値はフルタイム雇用の割合です。 フルタイム雇用は経済成長を支えるものなので、この指標とGDPの間に一定の相関関係があるのは当然のことです。これらはランダムなデータポイントではなく、雇用増加がピークに達したことを示す典型的な初期兆候です。
信用市場は全面的に逼迫しています。FRBのシニアローンオフィサー調査によると、銀行は消費者ローンや商業ローンの取得を困難にしています。特に、信用は経済成長の酸素であり、借り入れが困難になると、消費者の消費意欲が冷え込み、企業は雇用や設備投資を遅らせます。さらに、新型コロナウイルス感染症後の景気刺激策のバッファーが枯渇するにつれ、特に低所得世帯において、クレジットカードや自動車ローンの延滞率が上昇しています。
消費者心理も悪化し続けています。ミシガン大学の最新調査では、特に物価高騰、学生ローン返済、家賃上昇に苦しむ低所得層において、楽観的な見方が再び低下していることが示されています。確かに支出は急減していませんが、それは主に消費者が貯蓄を取り崩しながらクレジット残高を増やしているためです。弱いセンチメントと持続的な支出の間のこの乖離は持続可能ではなく、最終的には計算が破綻するでしょう。
消費が収益を牽引するという事実を考慮すると、 個人消費支出(PCE)の減速は、より強気なアナリストの予測に対する警告となるはずだ。
景気減速の兆候があるときの投資
これらのシグナルはそれぞれ個別に見ればノイズとして無視されるかもしれない。しかし、これらを総合的に見ると、米国経済は減速しており、伝統的な循環的な景気後退のリスクが着実に高まっているという一貫した状況が浮かび上がってくる。問題は、投資家が株式市場の短期的な回復力とパンデミック期の政策対応の記憶によって油断していることである。しかしながら、これらの政策手段を今、容易に引き出せるとは限らない。
LEI(低金利指標)の低下、逆イールドカーブ、信用状況の引き締め、労働統計の軟化、消費者信頼感の低下、そして企業利益率の縮小といった状況は、ソフトランディングを示唆するものではありません。むしろ、着地ゾーンが急速に縮小しており、FRB(連邦準備制度理事会)は既に事態の収拾に乗り遅れている可能性が高いことを示しています。重要なのは、先行指標は、その性質上、ダメージが顕在化する前に警告を発することを忘れてはならないということです。こうした傾向がGDPや公式の景気後退宣言に現れた時点では、調整するには遅すぎる場合が多いのです。
この景気循環段階における投資家の最大の過ちの一つは、時代遅れの言説に固執することです。彼らは低い失業率と堅調な個人消費を掲げ、最悪の局面は過ぎ去ったと主張します。しかし、これらは 時系列 データです。失業率は常に低水準を維持し、急上昇します。消費は常に好調に見えますが、信用が枯渇してしまいます。景気減速を裏付けるニュースを待っていたら、市場は既に動いてしまっていたでしょう。
投資家にとって、今後の道筋はパニックに陥るのではなく、むしろ備えをすることにあります。リスクは 顕在化する前に管理するのが最善であり 、現状では、ポートフォリオのポジショニングを見直し、品質、流動性、そして回復力に重点を置くことを意味します。
より質の高い株式、つまり強固なバランスシート、プラスのキャッシュフロー、そして安定した収益を持つ企業への投資にシフトしましょう。景気循環の後期においては、利益率を維持し、過剰なレバレッジを回避できる企業がアウトパフォームする傾向があります。ヘルスケア、公益事業、生活必需品といったディフェンシブセクターは、歴史的に景気減速局面でも好調なパフォーマンスを示しています。これらのセクターはモメンタム投資には適していませんが、成長が停滞した際には、より持ちこたえる傾向があります。
現金はもはや足かせではありません。 マネー・マーケット・ファンド(MMF)や国債の利回りが5%を超える今、現金を保有することでインカムと柔軟性が得られます。ボラティリティが高まる可能性のある市場において、損切りせずに取引できる能力は競争上の優位性となります。「取り逃し」を恐れて、後でより良い価格で購入できる機会を逃さないでください。
ヘッジを検討しましょう。 過去1年間で大きな利益を得たのであれば、今こそその利益の一部を守るタイミングです。具体的には、リスクの高い保有銘柄を減らしたり、インバースETFを利用してセクターエクスポージャーをヘッジしたり、オプション銘柄を選択して下落リスクを軽減したりするなどです。目標は、オールインやオールアウトではなく、マクロ経済の不確実性の高まりをしっかりと把握しながら、エクスポージャーを管理することです。
景気循環の影響を受けやすいセクターへのエクスポージャーを減らす。 裁量的支出、不動産、製造業といった業種は、景気後退期にはパフォーマンスが低迷する傾向がある。景気減速が深刻化すれば、これらのセクターは利益修正や株価倍率の低下に見舞われる可能性が高い。
戦術的な戦略を堅持しましょう。 今は「一度設定して放っておく」戦略に適した環境ではありません。移行期には柔軟性が不可欠です。市場は将来を見据えており、景気後退がデータに現れる頃には資産価格はすでに調整されているでしょう。この時期を活用して、運用プロセスを強化し、厳選した資金を調達し、マクロ経済の嵐を乗り切ることができる分野に投資をシフトしましょう。
過去の景気減速を緩和するのに役立った財政・金融バッファーは、今はもはや利用できないかもしれない。連邦政府は既に巨額の赤字を抱えており、債務の利払いは今や予算項目の中で最も急速に増加している。金融面では、FRBは二つの使命の間で板挟みになっている。インフレは完全に抑制されていないが、成長は減速している。利下げを急ぐと物価上昇圧力が再燃するリスクがあり、一方、利下げを遅らせすぎると景気後退が深刻化する。
そのため、S&P は今のところ上昇を続け、市場心理も明るいままかもしれないが、将来予測データは、注意を払う方がより賢明なアプローチである可能性を示唆している。
中国は台頭する大国なのか、それとも落ち目の大国なのか?答えは両方だ。今日の世界における最も重要な地政学的問題は、どちらの潮流が支配的になるか、ということだ。中国は、先進的な経済、高付加価値の製造業、そして米国と互角の軍事力を持つ真の大国へと躍進するのか?それとも、長い文明の歴史の中で幾度となく繰り返されてきたように、政治的混乱に陥るのか?どちらかの結果になる可能性は高いが、どちらの結果になるかは不確実だ。世界の地政学的秩序の構成は、まさに不安定な状況にある。
アメリカとロシアは確固たる超大国であり、それはすぐには変わらないでしょう。中国はアメリカとロシアと並んで大国として当然数えられますが、その弱点により、やや低いランクに位置しています。ロシアは5,549個の核弾頭を保有しています。アメリカは5,277個です。中国は600個の核弾頭を保有していますが、その数は増加傾向にあります。
もちろん、地球上の生命を滅ぼすには、おそらく50回かそれ以下の核爆発で済むでしょう。大陸間弾道ミサイル(ICMB)、中距離弾道ミサイル(IRBM)、爆撃機、潜水艦、巡洋艦、移動式発射台に分散配備された大規模な核兵器の重要性は、敵による先制攻撃に耐え、第二撃攻撃を行えることです。これが抑止力の本質であり、1945年以来、核による平和を維持してきたのです。
ロシアと米国は抑止力を有している。中国にはそれがない。核兵器の保有量が少なければ、弱小国が先制攻撃を仕掛ける誘惑が強くなるため、かえって不安定化を招く可能性がある。中国は今、まさにその状況にある。
米国は巨大な消費経済、テクノロジーにおける優位性、そして経済成長を促進する高度に発達した金融セクターを有しています。ロシアは消費セクターが米国ほど発達していませんが、必要に応じて自給自足(自給自足さえも)できる能力がロシアより高くなっています。ウクライナ戦争に関連する米国の制裁をロシアが耐え抜いたことが、その証拠です。
中国は違います。
中国は輸出と、その輸出を支える製造業の雇用に大きく依存しており、自給自足には程遠い。米国が高関税やその他の制裁措置を通じて中国からの輸出を遮断すれば、中国の生産、雇用、そして外貨準備への悪影響は現実のものとなる。
未検証の軍隊
中国の軍事力は、ある程度まで目を見張るものがあります。巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、強襲揚陸艦を含む3つの空母戦闘群を保有しています。中国は極超音速ミサイル(ロシア製ほど高性能ではないものの)を開発しましたが、米国は極超音速ミサイルの能力を持っていません。中国は204万人の兵力を擁し、世界最大の軍事力を有しています。ロシアは110万人、米国は130万人です。
中国の軍事的最大の欠陥は、兵士たちが実戦経験不足である。米国は1991年以降、イラク、アフガニスタン、クウェートで大規模な戦争を繰り広げ、シリア北部でも20年間戦闘を続けている。ロシアは2000年以降、チェチェン、ジョージア、シリア、ウクライナで大規模な戦争を繰り広げてきた。中国は1950年以降、大規模な戦争を経験しておらず、ベトナムやインドとの小競り合いを経験したのみである。
プロイセン陸軍元帥ヘルムート・フォン・モルトケは、「敵との最初の接触を耐え抜いた計画など存在しない」と述べた。中国は75年間、いかなる敵とも接触していない。実戦において中国軍がどのように機能するかを評価する術は全くない。
中国は南シナ海全域を自国の領海であると主張し、フィリピンの漁船や沿岸警備隊の船舶に対して威圧的な態度をとるなど、攻撃的な行動をとっています。中国の主張は、南シナ海周辺の他の国々や国連によって拒否されています。米国はフィリピンの条約同盟国です。
中国は、浚渫や軍事基地、滑走路の建設によって、一部のサンゴ礁を巨大な島に変えてしまった。米国は航行の自由を主張し、南シナ海における中国の領有権を認めていない。これまでのところ、両国はエスカレーションを回避しているが、最近、フィリピン沖で中国の駆逐艦が中国海警局の船舶の船首を切り落とすという事件が発生し、中国側は恥をかいた。
中国の戦闘機は、空母から発艦する際にスキージャンプ方式を採用しているため、燃料と兵装の搭載量が少なくなっています。一方、米国の航空機は蒸気動力カタパルト技術を採用しており、燃料と兵装を満載に搭載できます。ミサイル防衛システムなどの他の技術を考慮すると、米中海軍間の海戦は米国に大きく有利なものとなるでしょう。
経済崩壊寸前の状態
中国のGDP成長率(年率5%)は幻想だ。この数字には、ゴーストタウンや、どんな標準的な会計基準でも即座に減額されるような、使われていない高級プロジェクトを含む固定資産への投資が含まれている。
不良債権は無視されている。銀行は中央銀行からのドル建て融資で支えられており、これが中国の外貨準備高を減少させている。中国の債務負担は米国債よりも深刻で、更なる成長を阻害している。いわゆる「景気刺激策」は繰り返し失敗している。中国の株式市場(特にハイテクセクター)はバブル状態にある。人民元は人民元買いのためのドル介入によって支えられており、一人当たりGDPは13,687ドル(中所得の罠に完全に陥っている)と報告されているが、これは少数の超富裕層に大きく偏った所得分配によって歪められている。その結果、一般の中国国民の一人当たり所得ははるかに低い。
要するに、中国経済はおそらく景気後退に陥っている。若者の失業率は30%に迫っており、システム全体が崩壊寸前だ。
習近平のクーデター
さらに悪いことに、中国の政治体制は軍事クーデターに見舞われた。習近平国家主席は人民解放軍最高指導者が率いる新委員会の傘下へと降格された。胡錦濤前国家主席と江沢民前国家主席に忠誠を誓う派閥は、潜伏状態から脱し、再び政治活動を活発化させている。これは、中国の王朝が権力を握り、そして崩壊していく中で、極端な中央集権化とそれに続く地方分権化、そして派閥抗争という、千年来のパターンを踏襲している。
習近平は2018年、国家主席の5年任期2期という制限が撤廃され、「終身国家主席」の地位を獲得し、中央集権化の頂点に達した。習近平は毛沢東以来、最も強力な中国指導者となった。そこから(そして紀元前2070年の夏王朝にまで遡る中国の歴史を深く理解していれば)、習近平の失脚と中国共産党に代表される農民王朝の崩壊は容易に予測できた。その崩壊は今、ゆっくりと進行している。それが加速するかどうかは、今日の重要な政治課題の一つである。
台湾侵攻?ダメだ
最後に、アナリストたちは中国共産党による台湾侵攻の問題について膨大な時間を費やしている。しかし、それは起こり得ない。中国の艦船が衝突し、米国が台湾側に立っている状況で、実戦経験のない部隊が100万人規模の上陸作戦でDデイのような台湾侵攻を行うなど、全く馬鹿げている。中国は深刻な国内問題を抱えている。海峡両岸侵攻でさらに大きな問題を作り出しても、これらの問題は解決しないだろう。
中国共産党の崩壊
中国は豊かで強力か?答えはイエス。安定し成長しているか?答えはノー。台湾や米国にとって、中国は確かな軍事的脅威か?その冒険主義のために受け入れ難いほど高い代償を払う覚悟がない限り、脅威にはならない。
中国の技術のほとんどは盗作か、米国、さらには欧州やロシアの技術と比べて劣っている。米国の投資は中国から完全に撤退している。米国市場は急速に中国製品に閉ざされつつある。
中国には「最後の買い手」となる選択肢がほとんどない。失業率は急上昇し、不良債権は表面化しつつある。中国はいずれ大国として台頭するかもしれない。しかし、共産党の崩壊と、世界中に波及効果をもたらす深刻な不安定期を迎えるまでは、それはあり得ない。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
韓国中部・大田広域市にある国立データセンターで26日夜に発生した大規模火災により、行政デジタルシステムや内部ネットワークが一部まひ状態に陥り、復旧作業が進められている。
当局者らによると、メンテナンス中の車載電池大手LGエナジー・ソリューション(LGES)(373220.KS), opens new tab製バッテリーが爆発したことが火災の原因とみられる。爆発原因は不明で、当局が捜査している。負傷者が1人いたが軽傷という。
火災は現地時間26日午後8時20分に発生。27日早朝に鎮火されたものの、一部サーバーが損傷したほか、消防隊員が安全策としてバッテリー約400個を撤去する間にサーバー600台以上が強制停止を余儀なくされたという。
一部省庁や郵便サービス、法律データベースなどのウェブサイトが閲覧できない状態が続いている。また、一部の省庁では現在も電子メールが使用できていないという。
消防当局は会見で、火災による熱暴走が発生したため消火作業に支障が出たと発表した。
金民錫首相は27日、大田広域市と世宗特別自治市で行政デジタルシステムが「まひ状態」に陥っていると述べた。「重要な行政システムが一カ所に集中していたために、消火作業は困難を極めている」とした上で、迅速な復旧作業に取り組んでいると述べた。
●その他
備忘録(2025/9/25)
●企業
米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社、トライカラー・ホールディングスの資産担保証券(ABS)保有者に先週、利息分が支払われたが、この一部がここ数日に取り消された。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。トライカラーは今月、連邦破産法第7条に基づく会社清算を申請。突然の破産に、債権者の資金回収計画は宙に浮いた。
公に話す権限がないため匿名で話した関係者によれば、投資家への暫定的な利払いを担ったカストディアン(資金管理)銀行の少なくとも1行は、この債券の受託者から必要な資金が配分されなかったため、利払いを取り消した。
このような取り消しは異例で、突然のトライカラー破産による混乱と業務面での難題が浮き彫りになった。トライカラーによる不正疑惑が渦巻く中で、債権銀行は担保が複数の貸し手に差し出された可能性を調査している。企業の格付け情報などを提供するクロール・ボンド・レーティング・エージェンシー(KBRA)は22日、トライカラーの証券を最大19段階格下げし、「CCC」以下に指定した。
トライカラーで自動車ローンを組んだ顧客から、元本と利子分を回収する責務を引き継いだ回収業者のヴァーヴェントは、顧客口座の完全掌握に依然苦労していると、同社のコンプライアンス責任者は先週述べていた。債券の受託者であるウィルミントン・トラストは、回収業者からの入金がない限り、カストディアン銀行口座への振り込みを実行できない。
ヴァーヴェントの担当者にコメントを求めたが、22日のプレスリリース以外に新たな情報はないと述べた。ウィルミントン・トラストはコメントを控えた。
トライカラーは主に不法移民向けに中古車を販売し、ローンを提供していた。米連邦地検は同社を詐欺の疑いで調べている。
同社は2022年からこれまでに20億ドル(約3000億円)近いABSを発行。このうち2億1700万ドル相当はつい6月に販売された。債券価格はこの数週間に急落し、トレースが調べた価格によれば、格付けの低いトランシェでは額面1ドルに対しわずか12セントで取引されているものもある。
レンタカーのハーツ・グローバル<HTZ>が下落。完全子会社ハーツ・コーポレーションが、2030年満期の交換可能シニア債25億ドルを私募で発行する意向を発表した。
調達した資金は、返済期限を迎える負債の返済の一部に充てられる予定。発表によると、ハーツ・コーポレーションは今回のシニア債発行による手取りの一部を、2026年満期の既存シニア債の一部償還または買い戻しに充当する予定で、実施時期は2025年12月31日までとされている。
交換可能とは、発行企業自身の株式ではなく、別の会社の株式と交換できる権利。
●マクロ
トランプ米大統領が4月に発表した「解放の日」の相互関税は、安全通貨としてのドルの地位を脅かしたが、その後、関税率を引き下げたことで、現状では地位を維持できている可能性が高いとの研究結果が示された。
研究はボストン大学のタレク・ハッサン教授、サンフランシスコ地区連銀のトーマス・マーテンス副総裁、中国人民大学のJingye Wang氏らがまとめた。
この研究によると、ドルがリスクフリー資産として米国への投資を呼び込み、相対的に低金利で資金を借り入れられる米国の「法外な特権」は、開かれた貿易と密接に結びついている。この関係性により、他国の経済が米国の動向に強く影響される。
保護主義はこうした結びつきと、それに伴う恩恵を弱めることになる。今回の研究によると、関税率は26%が分岐点となり、この水準に達すると、ユーロなど競合通貨が世界経済でドルよりも中心的な役割を担うようになる。
トランプ大統領が実際に課した平均関税率は、現在およそ17─18%と推定されており、ドルの役割が低下する可能性はあるものの、完全に損なわれる水準ではないという。
「米国に衝撃が及ぶと、世界の需要の大きな部分に影響が出るため、ドルは世界一安全な通貨として浮上する」とし、為替などのリスクに対するヘッジとしてドルの需要が高まると指摘。
「この安全資産としてのドルの特徴が重要な力となって、米国の金利が下がり、米国が世界の投資先と為替安定化の対象となる」としている。
また「持続的な貿易戦争はこの均衡を脅かすだろう」と指摘。
「ドルの安全通貨としての地位は、相対的に自由な貿易に決定的に依存している。米経済を世界の貿易フローから切り離せば、ドルを世界一安全な通貨にしている力が弱まる」と分析した。
ウクライナはロシアから全ての領土を取り戻せるとトランプ米大統領が発言したことが、安堵(あんど)と疑念が入り交じった反応を引き起こしている。米大統領がウクライナ支援に関して、欧州による独自の対応余地を広げようとするつもりではないかとの疑念がくすぶるからだ。
トランプ氏は交流サイト(SNS)に投稿し、大きな方向転換を示した。これまではウクライナに領土問題で譲歩し、ロシアの侵攻を終わらせるべきだと圧力をかけ、先月はアラスカでロシアのプーチン大統領を厚くもてなしていた。
しかし、トランプ氏の発言が米国の政策変更によって実効性を持つようになるかどうかはすぐに分からない。そうしたあいまいな状況のために、欧州は米国の役割が後退する中でウクライナの武器や資金のニーズのより多くを満たす上で負担を引き受ける可能性があるだろう。
英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のニール・メルビン国際安全保障部長は「トランプ氏のウクライナの戦争に対する理解が変わったことを示している。人々は勇気づけられていると思う」と話す。「トランプ氏は戦争の背景事情が複雑だと認識し、プーチン氏に明らかにいら立ちを覚えている。これはウクライナと欧州の外交努力の成果だろう」と語る。
しかし、メルビン氏はトランプ氏が依然として戦争に関して戦略的なあいまいさを維持しており、ウクライナを励ましつつも米国の支援を約束していないと指摘。「言い方は変わったが、米国が主導的立場から距離を置こうとしているように思われる。常に欧州に(主役を)押し戻そうとしている」と分析する。
<役割拡大は険しい道>
ドイツのワーデフール外相はトランプ氏の発言を歓迎したが、欧州がさらに力を入れるべき時だと述べた。
同外相はドイツの公共ラジオで「欧州諸国の全てがウクライナに約束したことを実行したわけでなく、われわれはもっと多くを達成できる」と語った。「さらなる財政的・軍事的な選択肢を検討しなければならない」としつつ、欧州が安全保障上の努力を強化するのは容易でないと付け加えた。
匿名を条件に語った2人の当局者もまた、トランプ氏が今後は欧州が支援するべきだと示唆しているのではないかと警告した。
西欧のある当局者は「トランプ氏は別れを告げようとしているように見えるだろう。しかし、明日になると変わるかもしれない。いずれにしても、われわれにとって状況ははっきりしている。何をするべきなのか分かっている」と述べた。
東欧のある高官はトランプ氏の発言について「ウクライナ問題が欧州の課題だというメッセージを送ることで関与を弱めようとし始めている」と推察する。
ポーランドのナブロツキ大統領はトランプ氏のウクライナに対する姿勢について根本的な変化と見ておらず、「公的な変化」であって「心の奥底からの急進的な変化」でないと描写した。
トランプ氏の発言を受けた24日の午前の金融市場は、欧州防衛関連株が上昇した。一方、ウクライナ政府が海外の投資家向けに発行したユーロ建て債などは下落した。
ウクライナ国債に投資するアバディーン・インベストメンツのポートフォリオマネージャー、ビクトル・サボ氏は、トランプ氏の発言について常に懐疑的に見る必要があり、債券スプレッドはウクライナ経済の見通しを巡る楽観的な見方が後退している状況を示していると語った。
<欧州の取り組み>
トランプ氏は1月の大統領復帰前に「再選されれば24時間以内にウクライナ戦争を終わらせることができる」と豪語していた。2月にホワイトハウスで行われたウクライナのゼレンスキー大統領との会談がさんざんな結果に終わった後、欧州の首脳らはトランプ氏を引き込むために一段と努力してきた。
欧州はまた、戦争が2022年2月24日のロシアのウクライナ全面侵攻から始まっており、ロシアだけが責任を負うのだとトランプ氏を説得しようとしている。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のウクライナフォーラムの研究員ヤロスラバ・バルビエリ氏は「プーチン氏がトランプ氏をずっと翻弄(ほんろう)してきたという事実が、トランプ氏にようやく分かり始めている」と語った。
「トランプ氏はまた責任をロシアや欧州に押し付けることで、自らを有能な和平仲介者としてのイメージを維持するために出口戦略を模索している。ウクライナの戦争をずっと終結させることができなくても自分のせいではないのだ」と説明する。
米国は長年にわたりウクライナ最大の支援国かつ兵器供給国だったが、トランプ氏は大統領に就任以来「欧州がより多くの防衛負担を担うべきだ」と主張。そうした動きは既にある程度進んでいる。
北大西洋条約機構(NATO)に加盟する欧州諸国は防衛支出を増やし、また新制度の下でNATO諸国の資金を活用して米国の備蓄からウクライナに防空兵器を供与した。
それでもメルビン氏はトランプ氏の言い方が再び変わり得ると予想する。
「プーチン氏に電話をたった1本かければ再び態度を変えると思う。だからこそ、欧州はこの8カ月間でトランプ政権の対応に信頼を失ったのであり、今回の発言でも信頼は回復していない」と話した。
ガザ戦争をめぐる米国に対する国際的な不満が今週、国連総会で表面化した。米国の同盟国がパレスチナ国家を承認し、トランプ米大統領の中東政策は大きな試練に直面している。
トランプ氏は2期目の大統領に就任する際にイスラエルとハマスの戦争を早期に終結させると約束したが、イスラエル軍がパレスチナ自治区で攻勢を強めるのを傍観しているようにますます見える。そしてトランプ氏は中東で米国の最も親密な同盟国であるイスラエルを押しとどめるのをためらったままでいるのだ。
イスラエルのネタニヤフ首相は今月初め、カタールでのハマス指導者に対して攻撃を仕掛けてトランプ氏に不意打ちを食らわせた。この攻撃はトランプ政権が進めていたガザ停戦と人質解放交渉を実現させようとしたこれまでの試みの失敗をほぼ決定的にした。
イスラエルはその後ガザ市で地上攻撃を開始し、世界中から人道危機の拡大に対する非難が高まっている状況で、米国は地上攻撃に異議を唱えずに容認した。
そして「ハマスへの贈り物になる」というトランプの警告を無視し、英国、フランス、カナダ、オーストラリアなどの米国の同盟国は、国連総会の開催前や開催中にパレスチナの国家承認を発表し劇的な外交政策の転換を示した。
ワシントンのシンクタンク「中東研究所」の上級研究員ブライアン・カトゥリス氏は「トランプ氏は中東地域で、とりわけイスラエル・パレスチナ問題に関して主立った何の進展も成果も挙げられていない。実際は彼の就任時よりも事態が悪化している」と語った。
2年近く続いている紛争の終結が一段と遠のいている状況で、ノーベル平和賞に値する偉大な和平仲介者だとするトランプ氏が返り咲いて以来繰り返してきた主張に対して懐疑的な見方が出ている。
フランスのマクロン大統領は23日、もしもトランプ氏が本当にノーベル賞の受賞を望んでいるのならばガザの戦争を止めさせるべきだと述べた。フランスのテレビ局の取材に「行動できるのは米大統領だけだ。なぜなら、われわれはガザで戦争継続を許している武器を供給していないからだ。」と述べた。
ある専門家たちによると、トランプ氏がネタニヤフ氏に対して積極的に米国の影響力を行使しようとしないのは、この紛争がロシアのウクライナ侵攻と同様に、トランプ氏が考えたよりもはるかに複雑で解決が難しいと理解したからだという。
別の専門家たちによると、ネタニヤフ氏は自らの利益とイスラエルの国益だと考える状況に沿って行動することが暗黙に認められていると受け止めており、米大統領が事態を変えられるためにできることがほとんどないという。
さらに別の観測によると、トランプ氏は盟友である保守派活動家チャーリー・カーク氏の殺害事件、ジェフリー・エプスタイン氏のスキャンダルの余波、大統領が治安対策任務として民主党主導の都市に州兵を派遣したことのような国内問題に目を向けていて中東から注意をそらされている可能性がある。
ホワイトハウスはコメント要請にすぐに応じなかった。
<トランプ氏は影響されず>
トランプ氏は最近ガザにあまり関与していないように見えるが、23日に国連の傍らでサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、エジプト、ヨルダン、トルコ、インドネシア、パキスタンの首脳らと会談した。
アクシオスによると、トランプ氏はハマスを関与させない戦後のガザ統治案を提示し、治安維持のためにアラブ・イスラム諸国に対して軍隊派遣に同意するよう求める予定だと見込まれるという。
トランプ氏は時としてネタニヤフ氏の戦争遂行対応に不満を示したが、23日の国連演説でイスラエルに対する強力な支持を後退させたり、他国のパレスチナ国家承認に影響されたりすることはないと明確に述べた。
フランス、英国、カナダ、オーストラリアやその他の国はパレスチナの国家承認が「二国家解決」の可能性を維持し、ガザ戦争の終結に役立つと主張している。
国連で演説した各国首脳はトランプ氏を直接的に非難しなかったが、専門家の一部は米大統領への明確なメッセージがあったと見ている。
米国はイスラエルの主要な武器供給国であり、歴史的に国連やその他の国際機関で外交的な盾となってきた。米国は先週、ガザの即時・無条件・恒久的停戦を求める安保理の決議案に拒否権を行使した。
どれだけ多くの国がパレスチナの独立を承認しても、国連に完全に加盟するために安保理の承認が必要であり、米国が拒否権を持っているのだ。
<アブラハム合意は危機に直面か>
それでも一部の専門家はネタニヤフ氏が29日、トランプ氏の大統領再就任後で4度目となる訪米をする際、トランプ氏の忍耐が尽きる可能性を排除していない。
イスラエルのドーハ攻撃は「アブラハム合意」に湾岸諸国がさらに参加してほしいというトランプ氏の期待を打ち砕いた。「アブラハム合意」はトランプ氏が第1次政権時の2020年に主導し、イスラエルとUAEやバーレーンと国交正常化を実現した。
イスラエルは現在、国際社会のパレスチナ国家承認の動きに対する怒りにあおられたかのように、ヨルダン川西岸占領地の一部併合を検討している。
イスラエル史上最も右派的なネタニヤフ政権は「パレスチナ国家などは存在しない」と宣言し、23年10月7日のハマスのイスラエル攻撃に対する戦闘を継続している。イスラエル側の死者は約1200人で、地元保健当局によると、ガザはこれまでに6万5000人以上が死亡したという。
UAEはもしイスラエルがヨルダン川西岸の併合を進めれば、アブラハム合意から脱退すると警告している。
中東の多くの専門家によると、こうした動きはサウジアラビアが参加する道も閉ざすだろうという。ネタニヤフ氏が前進するためにトランプ氏の承認が不可欠と思われるが、トランプ氏はこれまで態度を明確にしていない。
米国で段ボール箱に対する需要が低迷している。ピザからオーブンまで、さまざまな商品が段ボール箱で運ばれることを考えると、これは消費の変調を示唆する警告サインかもしれない。
ボール紙工場の歴史的な閉鎖ラッシュはまた、段ボール箱を製造する企業や、それらの企業に木材を販売する森林地所有者とっても人ごとではないことを示している。
米国最大の段ボール箱メーカーであるインターナショナル・ペーパーは8月、国内のボール紙工場2カ所を閉鎖すると発表した。
ジョージア州のサバンナとライスボロにある工場が9月末に完全閉鎖されると、米国は約8カ月間でボール紙生産能力の約9%を失うことになる。これは2009年の景気後退時に失われた能力の約2倍だ。
「これほどの規模の閉鎖は見たことがない」。包装業界アナリストを長年務め、現在は経済ニュースレターを執筆するアダム・ジョセフソン氏はそう語る。
段ボール箱の出荷量は、新型コロナウイルス流行時に記録的な高水準に達したが、足元では2016年以来の低水準まで落ち込んでいる。国民1人当たりベースでは落ち込みがさらに激しく、1999年のピークから20%以上減少したとジョセフソン氏は言う。
インターナショナル・ペーパーのアンディ・シルバーネイル最高経営責任者(CEO)は今月、同社では今年の需要を約1%増と予測していたが、現在は2%減を見込んでいると投資家に語った。
現在のような電子商取引(EC)全盛時代にこうした反転が見られたのは驚きだ。小売業者に一括配送されていた商品の宅配が増えることで、これまで以上にボール紙が必要になると予想されていたからだ。
この論理はコロナ流行時に実現したように見えた。米国人が巣ごもりを余儀なくされ、経済刺激策がモノへの支出を大幅に押し上げた際、段ボール箱への需要は記録的水準まで上昇した。
ボール紙生産者は、前例のない需要の高まりだけでなく、天然ガスや化学品などのコスト急増を理由に、価格を大幅に引き上げた。段ボール箱の需要が減少し始めた後も、生産者はインフレと利益率への圧力に対抗するため値上げを続けている。
データ会社ファストマーケッツが発行する業界誌で、買い手と売り手を調査し指標価格を設定している「PPIパルプ&ペーパー・ウィーク」によると、最も一般的なライナー(波状の中芯を挟むボール紙)の価格は1トン当たり約945ドル(約14万円)で、2019年末の約725ドルから上昇している。
同誌の調査によると、今年、生産者が1トン当たり70ドルの値上げを求めた際、買い手は40ドル分の値上げにしか応じなかった。ファストマーケッツの地域担当編集長、グレッグ・ラダー氏はそう話す。
「これは市場での激しい攻防を示している」とラダー氏は述べた。それでも、生産者が値上げ要求を控えたり、工場停止による供給抑制をやめたりすることはないだろうと言う。
昨年、アイルランドのスマーフィット・カッパ・グループと米ウエストロックが合併し、企業価値200億ドルの包装材メーカーが誕生した。これをきっかけに始まった業界再編の波により、米国の生産上位3社がさらなる市場シェアと価格決定力を握った。
インターナショナル・ペーパーは今年1月、英DSスミスを72億ドルで買収した。そして8月には、米パッケージング・コープ・オブ・アメリカ(PCA)が米グライフのボール紙事業を18億ドルで買収した。
株式アナリストらは、需要が引き続き弱まったとしても、生産能力削減により来年は値上げを推進できるはずだと述べている。
段ボール箱メーカーとアナリストによると、需要は現在、ドナルド・トランプ米大統領の関税政策に伴う米企業経営と輸出市場の不確実性に加え、個人消費の減速が重荷となっている。住宅市場の低迷も打撃で、引っ越し用や建築・家電製品用の段ボール需要がさえない。
アナリストによると、アマゾン・ドット・コムなどのEC企業が段ボール消費を減らしていることも逆風だ。EC企業は、紙製やビニール製の封筒で配送する商品を増やしたり、オーダーメードの箱を使用したり、箱の中に箱を入れるような包装を減らしたりしているという。
インターナショナル・ペーパーは今年4月、ルイジアナ州キャンプティの大型工場を閉鎖した。それに続くジョージア州の工場閉鎖は、需要動向に応じた措置というより、127年の歴史を持つ同社の再建計画の一環という面が強いと、シルバーネイル氏は述べた。同氏は、多くの利益を生み出す少数の顧客に焦点を当て、赤字拠点を排除したいと考えている。
同氏は今月、ニューヨークで開催された会議で投資家に対し、89年の歴史を持つサバンナ工場は投資不足に陥り、約3億ドルの維持費が必要だったと説明した。
「大規模な修理を行う必要があった。基本的に経済価値を生まないにもかかわらず、稼働を続けるなら不可避の修理を、だ」と同氏は述べた。さらに悪いことに、同工場の生産品の一部は輸出向けで、国内販売よりも収益性が低かった。
インターナショナル・ペーパーは同工場を閉鎖する代わりに、2億5000万ドルを投じてアラバマ州セルマのコピー用紙工場を軽量ボール紙工場に転換する。軽量ボール紙は、燃料消費を抑えたい荷主の間で人気が高い。
一方、非公開企業のフッド・コンテナとグリーン・ベイ・パッケージングがそれぞれルイジアナ州とアーカンソー州のボール紙工場に投資し、生産能力を高める計画を発表済みだ。この結果、セルマの工場転換も踏まえると、米国は最近の工場閉鎖で失った生産能力の約4分の1を取り戻す見通しだ。
ポーランドのカロル・ナヴロツキ大統領は パリ訪問中にフランスメディアに対し、「ポーランドは核兵器共有プログラムに参加すべきだと考えています。エネルギー面でも軍事面でも、独自の核能力を持つべきです。これこそがポーランドとフランスのパートナーシップの真髄です。(しかし)ポーランド独自の核兵器開発について議論するのは時期尚早かもしれません」と述べた。
これは、ポーランドのリベラル・グローバリストのライバルであるドナルド・トゥスク首相が議会で、 核兵器受け入れについて「フランスと真剣に協議している」と発言してから半年後のことだ 。
ポーランドの外交政策は 大統領、首相、そして外務大臣(外務大臣は現在、トゥスク氏の側近であるラデク・シコルスキ氏)の協力によって策定されているため 、今回の合意は進展の可能性を高めるものとなった。3人とも、トランプ大統領がプーチン大統領を脅かしてウクライナ問題交渉を中止させるような行動は避け、ましてやNATOとロシア間の緊張を大幅に高めるような行動は避けようとしていることから、 米国が核兵器の一部をポーランドに移転する可能性は低いと判断したようだ。
歴史的な理由から、ナヴロツキ率いる(確かに不完全ではあるが)保守的ナショナリストとトゥスク率いるリベラル・グローバリストに代表されるポーランドの二大支配体制は、国民の大多数と同様に、ロシアを病的なまでに恐れている。したがって、ポーランドがロシア攻撃という非現実的なシナリオにおいて、他国に頼ることなく「抑止」し「自国を守る」ことができなければ、エリート層も国民も、彼らが考える「安全」を実感することはできないだろう。第5条は神聖なものとみなされているが、米国が実際にこの条項を遵守しているかどうかについては、非公式に疑問が投げかけられている。
ポーランドにとって、フランスの核兵器保有、そして将来的には自国独自の核兵器開発は、まさにこの目的を達成するための手段と捉えられている。この協定におけるフランスの利益(おそらく核拡散防止条約に違反する第二の要素も含む)は、 地域における影響力を巡ってドイツと競争することにある。結局のところ、この動機こそが、エマニュエル・マクロン大統領が 今年初めに自国の核の傘を ヨーロッパに広げることを検討した動機だった。ポーランドに核兵器を配備することが、それを実現する最も近道なのだ。
米国の観点からすれば、EUとロシア間の緊張の激化は、米国の分断統治戦略をさらに推し進めることになる。同時に、かつてパキスタンが行ったように、ポーランドが独自の核兵器開発計画を黙認することで、地域の力関係が米国に有利になるだろう。ポーランドは米国の核兵器条約第5条へのコミットメントを懸念しているものの、1981年にイスラエルがイラクに対して行ったのと同様の予防的攻撃をロシアがポーランドの核施設に対して行った場合、米国は手を引かないとみられる。
米国の「背後からリードする」戦略を欧州が応用するということは、ポーランドの大国としての復活を支援することであり、ポーランドは広大な地域における「三海構想」の主導を通じて、中央・東欧におけるロシア封じ込めの負担をさらに担うことになる。これにより、米国は欧州に駐留する部隊の一部をアジアに再配置し、中国をより強力に封じ込めることが可能となる。したがって、米国はこれらの壮大な戦略的目標の達成に向けて、ポーランドの核兵器計画を暗黙のうちに支持すると予想される。
ロシアは、他国が同様の計画を報じていることに反対しており、最近では米国がこの口実でイランの核施設を爆撃したことから、偽善的だという非難が相次ぐだろう。しかし、ロシアはおそらくこのことでNATOと戦争するリスクを冒さないだろうから、否定的なメディア報道だけが結果的に生じるだろう。
それでも、フランスがポーランドに核兵器を配備し、ポーランドが将来独自の核兵器を開発する可能性というシナリオは、誤算によって第三次世界大戦のリスクを急上昇させるが、フランスと米国はそれほど気にしていないようだ。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
カタールの政府系ファンド、カタール投資庁(QIA)はブルー・アウル・キャピタルと提携し、データセンター向け資金調達と投資に乗り出す。人工知能(AI)分野の急成長をにらんだ最新の取り組みとなる。
両社が25日に発表したところによると、新たなデジタルインフラプラットフォームは30億ドル(約4500億円)余りのデータセンター資産で始動し、コンピューティング能力やデータ保管需要の拡大に応じて拡張する計画だ。事情に詳しい関係者によれば、QIAはこの事業に約10億ドルの新規出資を約束している。非公開の情報だとして関係者は匿名を条件に語った。
資産規模5240億ドルのQIAによる今回の初期出資は、世界的にデータセンター投資を拡大するための恒久的な投資スキームの基盤になると、ブルー・アウルのマーク・リップシュルツ共同最高経営責任者(CEO)は述べた。
同氏はインタビューで「数十億ドル規模ではあるが、これは一種のシード資金と考えてほしい」と、規模拡大の余地を示唆した。
QIAの広報担当者は、出資規模についてのコメントを控えた。
エヌビディアやメタ・プラットフォームズ、イーロン・マスク氏のxAIなどは、AIブームを支えるためデータセンターや関連インフラに数十億ドル規模の投資を行っている。モルガン・スタンレーは、こうした支出が今後3年間で3兆ドルを超える可能性があると試算している。
2017年からデータセンター投資を行ってきたQIAは、AI分野への投資を継続的に拡大している。今月初めには、評価額1830億ドルとなったスタートアップ、アンソロピックの130億ドルの資金調達ラウンドに参加した。データブリックスやxAIにも出資している。
ブルー・アウルとの提携について、QIAのモハメド・アルスワイディCEOは声明で「世界的に高まるデータセンター需要に対応する大手企業と連携するというQIAの戦略に沿うものだ」と説明した。
リップシュルツ氏によると、この提携は排他的なものではない。「他の企業がプラットフォームに参加する可能性についても協議しているが、われわれとQIAが先駆けて取り組んでいる」と同氏は語った。
米エネルギー省は24日、バイデン前政権が風力、太陽光、蓄電池、電気自動車(EV)の分野で拠出を表明していた130億ドル超の補助金を取り消す方針を明らかにした。具体的な対象は明らかにしていない。
同省は「これらの資金を米国の納税者に返還することで、トランプ政権はより安価で信頼性が高く安全な米国産エネルギーを促進し、納税者の資金のより責任ある管理を推進する」としている。
トランプ大統領は前日の国連総会での演説で気候変動を「史上最大の詐欺行為」と断じ、地球環境問題への取り組みへの懐疑的な見方を改めて示していた。
エネルギー省の発表について、ニューサム・カリフォルニア州知事は米紙ニューヨーク・タイムズ主催のイベントで、「(中国の)習近平国家主席はトランプ氏を抱きしめるだろう」と述べ、クリーンエネルギー分野で中国に主導権を譲ることになると批判した。米国で最も人口の多い同州は、世界でも野心的なクリーンエネルギーと温室効果ガスの排出削減目標を掲げている。
●その他
備忘録(2025/9/24)
●企業
オラクル<ORCL>が続落。投資適格債市場で150億ドルの調達を目指すと伝わった。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。起債は7本立てで、40年債も含まれるという。40年債については、同年限の米国債利回りに対する上乗せ幅の参考条件が約1.65%ポイントだという。その後、6本立てで発行されると伝わった。
英国のフィンテック企業レボリュートは23日、今後5年で世界全体で130億ドルを投資する方針を示した。米銀の買収も検討する。英国では消費者信用を提供する準備を進めている。
伝統的な銀行業務への進出を加速する。
ロンドンに拠点を置く同社は、欧州のフィンテック企業で最も価値のある企業に成長しており、株式売り出しで企業価値750億ドルを目指している。
顧客数は6500万人と、欧州の一部の主要行を上回るが、収入や顧客1人当たりの預金額は主要行を大幅に下回っている。
レボリュートは23日、ロンドンの金融街カナリー・ワーフに新設された本社を公開した。幹部によると、創業から10年を迎える同社は海外拠点を大幅に拡大する一方、世界全体で予定している130億ドルの投資のうち40億ドルを英国に投じ、1000人を雇用する。
創業者のニク・ストロンスキー最高経営責任者(CEO)は「故郷として英国にコミットしている」と発言。これに先立ち、リーブズ英財務相はレボリュートと英国のフィンテック業界を称賛した。
レボリュートの米国部門CEOであるシド・ジャジョディア氏はロイターに対し、米国の銀行を買収するか、米国で独自に銀行免許を申請するか「積極的に検討している」と述べた。
ストロンスキーCEOは、最優先事項は英国での銀行免許取得だと発言。同社の顧客1200万人を新銀行に移し、信用を供与する方針を示した。幹部らは年内に最終的な免許を取得したいと述べている。
同社の2024年の世界全体の収入は31億ポンド(42億ドル)、税引前利益は11億ポンド。仮想通貨(暗号資産)関連の利益などが寄与した。
同社は、以前公表した顧客目標1億人を27年半ばまでに達成する方針を示した。
30年までに中南米、アジア、中東など30の新しい市場に参入するとも表明した。
寝具大手のパラマウントベッドホールディングス(HD)は24日、MBO(経営陣が参加する買収)を実施すると発表した。創業家がTOB(株式公開買い付け)などを実施し、全株式を取得する。買収総額は1384億円となる見通しで、東証プライムへの上場は廃止となる。中長期の視点で売り切り型の事業モデルからサービスなど継続的に稼ぐビジネスモデルへの転換を図る。
TOB価格は1株3530円で、24日終値(2671円)より32%の上乗せ幅(プレミアム)となる。買い付け期間は25日から11月17日まで。創業家の資産運用会社傘下のTMKR(東京・江東)がTOBを手掛け、創業家出身の木村友彦社長が引き続き経営に関わる。パラマウントベッドはTOBに賛同し、株主に応募を推奨することを表明した。
同社の創業家は合計で38.05%の株式を保有している。TOBで新たに約37%以上の株式を取得し、保有比率を4分の3以上に引き上げる。TOB成立後に少数株主の株をスクイーズアウト(強制買い取り)するなどして全株を取得する。
パラマウントベッドは医療・介護施設向けのベッドが主力で、介護用ベッドのレンタルや介護の見守り支援システムなどの利用料によって収益を継続して得るリカーリング事業を重点施策に掲げる。
主要顧客の医療・高齢者施設は人手不足や光熱費・資材価格の高騰を受けて設備投資を絞っており、ベッドの販売数が落ち込んでいる。中国やインドネシアなど海外向けの医療事業の案件も低迷する。
従来の売り切り型の事業モデルからの転換には、「短期的な利益確保に左右されない経営判断が求められる」(同社)と判断。株式を非公開化することで、中長期的な視点での先行投資や構造改革などを実施する考えだ。株式の非公開化後はM&A(合併・買収)を通じ、患者や入居者の情報を自動的に記録するソフトウエアの開発などを進める。
パラマウントベッドは1947年に創業し、病院向けベッドの製造販売を始めた。62年に電動ベッドの販売を開始し、現在も医療、介護用ベッドを主力製品とする。93年に東京証券取引所市場第二部に上場し、現在はプライム市場銘柄となっている。
デトロイト —フォード・モーター
同社は、信用格付けが完璧ではない消費者に特別融資を提供することで、第3四半期末までに主力商品であるF-150ピックアップトラックの売上を伸ばそうとしている。
この措置には、サブプライムクレジット(FICOスコアが620未満の消費者)に対して、通常は優良スコアの消費者に提供されるより低い金利を提供することも含まれると、フォード・クレジットの金融部門が水曜日に確認した。
このようなプロモーションは前例がなく、より多くの購入者にとってより手頃な価格で車を購入できるようにし、在庫レベルを下げるための取り組みです。しかし、信用スコアが低い借り手は、特に景気後退時には債務不履行や支払い遅延に陥る可能性が高くなると考えられています。
ピックアップトラックはフォードなどのデトロイトの自動車メーカーのバランスシートにとって重要な車両であることに加え、その売上は熟練労働者と中小企業の需要の兆候として注目されている。
フォード・クレジットの広報担当者は、プロモーション金利は同社が消費者に対して実際に行う「信用判断」には影響しないと述べた。具体的な金利は契約条件に基づいて変動すると付け加えた。
このプログラムを最初に報じたウォール・ストリート・ジャーナル紙は、フォードは借り手の信用力を評価するために、FICO信用スコアを超える独自のスコアリング・モデルを使用していると報じた。
「当社は、信用力があり、支払い能力があると判断されたお客様にのみ融資を行っています。過去にもこのような全国規模のプログラムを実施し、当社の信用基準を満たすお客様には優遇金利を適用してきました」と、フォード・クレジットはCNBC宛ての電子メールでの声明で述べています。
コックス・オートモーティブのディーラートラックによると、7月の最新データによると、新規自動車ローンの平均金利は約9%でした。これには、サブプライムまたは「ディープ・サブプライム」の消費者向けの約18%から20%の金利が含まれています。
フォードなどの自動車メーカーはこれまで、自社の金融融資部門を通じてサブプライム層への融資を制限しようとしてきたが、近年その重要性は著しく高まっている。
フォード・クレジットは、2024年以降、同社のクレジット部門が融資した融資のうち、「高リスク」消費者向けはわずか3~4%にとどまったと報告している。 最近の公開書類によると、フォード・クレジットの顧客の平均FICOスコアは、今年上半期で757から748に低下した。
F-150を含むフォードFシリーズ・トラックの販売台数は、 9月までの1年間で12.7%増加しましたが、8月単月では前年比3.4%減少しました。2025年型F-150の価格は、モデルやオプションによって約3万9000ドルから10万ドル以上までと幅が広くなっています。
コックス氏によると、金利が高止まりし、平均的な自動車購入価格が約5万ドルに上昇しているため、自動車業界では購入のしやすさが長年の懸念事項となっている。
フォード氏の昇進は、連邦準備制度 理事会が先週 0.25ポイントの利下げを承認し、 2025年にさらに2回の利下げを行う可能性を示唆したことを受けて行われた。
ピックアップトラックの割引を実施している自動車メーカーはフォードだけではない。ステランティス
ラム・トラックのウェブサイトによると、同社は現在、ラインナップから選ばれた車種について「資格要件の充実した購入者」に0%の融資を提供している。
ゼネラルモーターズのシボレーとGMCの両ブランドも、同社の金融部門を通じて融資を受ける場合、今月末まで資格要件を満たす購入者に最低0%の低金利融資を提供する予定であると、各社のウェブサイトで発表している。
ラグジュアリーという稀有な世界では、ブランドの成功と失敗は才能にかかっています。他の業界では利益と損失が成功の鍵となるのに対し、これらのメゾンはシフォンと直感で成功しているように見えます。それでもなお、ルノーの元CEO、ルカ・デ・メオ氏の財務手腕は、グッチを所有するケリングの立て直しに大きく貢献するでしょう。
高級ブランド複合企業の苦境の根本的な原因は、親会社の売上高の約半分を占めるグッチの売上高が急落したことにある。ドイツ銀行の統計によると、グッチの売上高は2022年のピーク時と比べて今年は40%以上減少すると予想されている。
この不振は、主に流行の移り変わりと、グッチがそれらの潮流にうまく乗れなかったことに起因するとされている。ブランドはこれを覆そうと試みてきたが、今のところ失敗に終わっている。クリエイティブ・ディレクターのサバト・デ・サルノによる控えめなエレガンスはわずか2年しか続かなかった。ケリングは現在、より華やかなデザイナー、デムナ・ヴァザリアを起用している。彼の最初のルックは月曜日にメゾンのインスタグラムアカウントで公開されたが、彼が顧客に受け入れられるかどうかは今後数ヶ月は不明だ。
ファッションの流行を捉えるのは、自動車業界のベテランではなく、カシミアを身にまとったラグジュアリーブランドのベテランの仕事のように思えるかもしれない。しかし、それは問題の本質を見誤っている。売上低下の原因は主に創造性にあるとされるかもしれないが、売上回復は、適切なデザイナーを選んだり、今シーズンのマストハブプリントを見極めたりする難解な作業の一部に過ぎない。企業のビジョンを支えるリソースの確保が、その大きな部分を占める。在庫の購入、マーケティング、そして新しい時代精神を反映した店舗の改装は、どれも必要不可欠であり、すべて費用がかかる。
問題は、現状ではケリングに余裕資金がほとんどないことだ。販売商品を除く事業運営コストは既に売上高の60%近くにまで上昇しており、これはLVMHの3分の1に相当します。グッチの部門営業利益率は、2022年の35%から今年上半期には16%へと半減しました。一方、ケリングはブランドや店舗の買収を無謀に進めており、自社の基準によると、純負債は調整後EBITDAの3.4倍という高水準に達しています。
そして、まさにここでデ・メオ氏の経験が役に立つだろう。彼は既に、カタールの支援を受けるファンド「メイフーラ」がケリングにヴァレンティノの残り70%の株式買収を迫る期限を延期している。ミラノのモンテナポレオーネ通りにある13億ユーロのビルを含むケリングの不動産ポートフォリオの株式売却を加速させる可能性もある。合理化のためのコストも発生するだろう。
確かに、高級車業界では、ハサミを振るうことが自動車業界ほど大きな影響を与えるわけではない。ある場所でグッチの店舗を閉鎖しても、他の店舗の生産性が向上するわけではない。しかし、デ・メオ氏のような自動車の専門家は、狭い場所からバックで脱出する際に、わずかなスペースも貴重であることを理解している。
●マクロ
中国は世界貿易機関(WTO)で途上国としての特別な待遇を放棄すると表明した。トランプ米大統領は、中国が世界第2位の経済規模でありながら途上国の地位を主張し続けていることに批判的で、WTO改革を妨げていた争点の一つが取り除かれることになる。
中国の李強首相は23日にニューヨークで、現行および今後のWTO交渉において、「新たに特別かつ異なる」待遇(S&D)を求めないと発表した。国営の新華社通信による報道とWTO事務局長によるX(旧ツイッター)への投稿で明らかになった。現在、李首相は国連総会に出席するため米国を訪問している。
WTOのオコンジョイウェアラ事務局長はXで「長年の努力の集大成であり、中国のリーダーシップを称賛したい」と述べた。
今回の決定は、関税交渉で合意を目指す中国がトランプ氏の歓心を買うことを狙っている可能性がある。
トランプ氏はかねてより中国の途上国地位に批判的で、大統領1期目には「米国は中国の途上国地位の主張を受け入れたことは一度もない。ほとんど全ての経済指標が中国の主張の偽りを示している」と主張していた。
WTOで途上国の地位は各加盟国が自ら宣言でき、合意の履行に向けた猶予期間の延長など優遇を受けることができる。中国は長年、自国を世界最大の発展途上国と位置づけ、他の途上国を代表していると主張してきた。
中国は世界最大の貿易国でありかつ製造国だが、国連は依然として発展途上国に分類している。国際通貨基金(IMF)のデータによれば、中国は1人当たり国内総生産(GDP)で世界の上位50カ国に入っていない。セルビアを下回り、モンテネグロやトルクメニスタンをわずかに上回る水準だ。
アジア・ソサエティー政策研究所上級副所長で米国の元通商交渉官であるウェンディ・カトラー氏は、中国の決定について遅すぎると指摘。「発表は喜ばしいことだが、WTOに現在、交渉アジェンダが存在せず、改革の進展も遅い中では実質的な影響はほとんどないだろう」と述べた。
中国商務省は声明で、今回の判断について「多国間貿易体制を維持・強化する重要な措置」であり、「主要な発展途上国としての中国の役割」を際立たせると強調。中国が近年、世界情勢の改革に向けて打ち出した「グローバル発展イニシアチブ」および「グローバルガバナンスイニシアチブ」を実行するための「重要な行動だ」とした。
今回の発表について、米通商代表部(USTR)およびホワイトハウスからはコメントが得られていない。
欧州とアジアで、防衛関連株が上昇している。米国のトランプ大統領が、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は領空を侵犯するロシア機を撃墜すべきだと発言し、さらに、ウクライナの勝利の可能性に対し、より共感的な態度を示したことを受けた動きだ。
ゴールドマン・サックス・グループがまとめた欧州防衛企業のバスケット指数は、一時2.8%上昇した。業界大手のラインメタルは1.4%高、英国のBAEシステムズは1.6%高となった。スウェーデンのサーブは一時5.8%上昇し、過去最高値を更新した。
アジアでは、韓国株が上昇を主導した。国内最大の防衛請負企業であるハンファ・エアロスペースは最大5.9%高となり、史上最高値を付けた。同社は欧州西部のいくつかの国と、防衛産業の生産能力拡大に向けた協議を行っている。韓国航空宇宙産業と現代ロテムもそれぞれ4%以上上昇した。
日本ではIHIが約10%急伸し、TOPIX構成銘柄の中でも上位の上昇率を記録した。三菱重工業も5%超上昇した。オーストラリアのドローンシールドは、7%超高となった。
地政学的緊張の高まりと軍事予算拡大への期待を背景に、防衛関連株は世界的に有力な投資テーマとなっている。MSCI世界航空宇宙・防衛指数は今年51%上昇しており、世界株式全体の伸び率約17%を大きく上回っている。
フィボナッチ・アセット・マネジメント・グローバルのユン・ジュンイン最高経営責任者(CEO)は「緊張が収束する兆しが見えない中、防衛企業の受注残は、今後数年間にわたり埋まるとの期待が広がっている」と指摘した。
フランスや英国、カナダ、オーストラリアは、23日に始まった国連総会の一般討論演説に先立ち、パレスチナを正式に国家承認することを発表した。この動きに追随する国は増えると見込まれている。
約150カ国がすでにパレスチナを国家として承認している。だが、それはパレスチナの人々が完全な意味で自らの国家を持っているということを意味するわけではない。
実際のところ、完全な自治の実現はこれまで以上に遠のいているように見える。それでも、今回の承認表明はパレスチナにとって象徴的な意味を持ち、パレスチナ国家樹立に反対するイスラエル政府を外交的に孤立させる効果がある。
国家とは何か
1933年のモンテビデオ条約によると、国家となるには四つの要件を満たさなければならない。ヨルダン川西岸とガザは、恒久的住民という最初の要件は満たしているが、政府と明確な領域、他国との関係を取り結ぶ能力という残り三つの要件についてはいずれも十分に満たしていない。
パレスチナ人にとって国家樹立は現時点で現実的か
90年代前半のイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)による一連の和平合意により、限定的な自治を目的としたパレスチナ自治政府が設けられた。同政府はヨルダン川西岸の一部のみを統治しており、他の地域はイスラエルの支配下にある。2005年にイスラエル軍と民間人入植者が撤退したガザは、07年にイスラム組織ハマスが支配権を掌握し、パレスチナの統治主体は実質的に二分されている。
90年代の合意では、イスラエルとパレスチナが恒久的な紛争解決に向けた交渉を行うことが取り決められた。これはイスラエルと共存するパレスチナ国家の樹立を意味すると広く理解されていた。領土の境界については相互合意によって定められることになっていた。一方、パレスチナ側が他国と合意できる範囲は経済・文化・科学・教育の分野に限定された。
パレスチナ人が望んでいるのは自らの運命を自身で決めることであり、それを実現するには承認表明以上のものが必要となる。それは、イスラエルが少なくともガザとヨルダン川西岸の大部分に対する支配を断念しなければならないことを意味するが、事態は逆の方向に動いている。23年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃を受けて、イスラエル軍はガザに再侵攻した。
今回の国家承認はパレスチナ人にとって何を意味するのか
一連の承認はパレスチナ国家樹立という大義に正当性を与えるものだ。全パレスチナ人を代表すると主張するPLOは、88年に初めてパレスチナ国家の樹立を宣言。その後、国家として承認を表明する国が次第に増えていった。
2012年には、国連総会がパレスチナに非加盟国オブザーバーの地位を付与する決議を採択。投票権はないものの、パレスチナ代表団は国連の主要機関で議論に参加できるようになった。
正式な国連加盟国となるには、15カ国で構成される国連安全保障理事会で少なくとも9カ国の承認が必要だが、常任理事国である中国とフランス、ロシア、英国、米国には拒否権がある。米国はこれまで、イスラエルとの和平合意を経ずにパレスチナ国家を承認することに反対の立場を取っている。
この問題の歴史的背景とは
1517年にオスマン帝国の一部となったパレスチナ地域は、第1次大戦後に英国の委任統治下に置かれた。最初のいわゆる二国家案は1937年のピール委員会によるもので、アラブ人とユダヤ人の衝突を防ぐために当時、英委任統治領パレスチナと呼ばれていた地域の分割が提案された。
国連は47年に別の分割案を採択したが、アラブ側はいずれの案も拒否。48年にイスラエルが独立を宣言し、第1次中東戦争が起きた。これで推定約70万人のパレスチナ人が難民となった。
67年の戦争では、イスラエルは他のアラブ領土に加え、ガザやヨルダン川西岸、東エルサレムを占領。住民は軍事占領下に置かれ、パレスチナ民族主義が高まった。87年に始まった第1次インティファーダ(対イスラエル民衆蜂起)では、パレスチナ側で1200人余り、イスラエル側で約200人が命を落とした。93年にオスロ合意が成立し、パレスチナ人は限定的な自治権を獲得したが、暫定的な措置と位置付けられていた。
なぜ和平合意は頓挫したのか
最終合意の妨げとなっていた諸問題の解決に繰り返し失敗する中、軍事占領やイスラエルによる入植活動、暴力行為は続いた。
2000-05年の第2次インティファーダは、特に流血の多い時期だった。イスラエルは05年にガザから軍と入植者を撤退させ、境界の大部分を封鎖した。その後、ハマスがパレスチナ自治政府から同地域の支配権を奪取すると封鎖を強化。ガザはその後、ロケット弾や迫撃砲、パレスチナ人戦闘員をイスラエルに向けるための拠点となった。
イスラエル人とパレスチナ人は2国家解決をどう考えているのか
世論調査によると、ユダヤ系イスラエル人とパレスチナ人の大多数はもはや2国家解決という構想を支持していない。5月調査では、パレスチナ人の57%が同構想に反対と回答。24年前半の調査では、イスラエル人の55%が、非武装化されても独立したパレスチナ国家の樹立に反対すると答えた。
代替案は何か
多くのイスラエル人は、ヨルダン川西岸の少なくとも一部に同国の主権を広げる案を支持している。この地域ではイスラエルによる入植活動が続いている。併合を支持する人々は、イスラエル人には恒久的に同地域にとどまる権利があると主張している。
イスラエルが最終的にヨルダン川西岸に住むより多くのパレスチナ人を完全に支配した場合、市民権を与えてユダヤ人の人口的優位を弱めるか、あるいは無国籍のままにとどめてアパルトヘイトとの批判を強めるか、いずれかの選択を迫られるだろう。
スカンジナビアモデルは、しばしば人道的で効率的な社会主義として誤解されている。しかし実際には、それは明らかに強制的で寡頭制的な国家主義である。
このシステムは、人権、正義、私有財産などの文明的概念の形式的な合法性を維持しているが、実際にはマルクス・ファシズムの基盤の上で機能している。つまり、課税、規制、官僚機構による罠を通して個人を組織的に侵害し、政治的につながりのある少数の階級だけが、国家が認可した狭い形態の商業に従事することを許されているのである。
19世紀後半までに、スカンジナビア諸国は、生産と商業の仕組みを自国だけで運営することはできないと悟り始めていた。少なくとも、大陸諸国のような野心的な国家社会主義的な新しい形態では不可能だった。より妥当な見方としては、より根深い構造的制約に直面していた。彼らは、自らの基盤となる中産階級を欠いていたにもかかわらず、未開発の膨大な天然資源の上に座していたのだ。
その結果は現実的なものとなった。国内外を問わず、政治的に優遇された主体に生産を委託し、貢物、忠誠心、そして服従と引き換えに資源を採掘・商業化させるというものだ。つまり、国家は行政特権と法的独占を通じて、政治的にコネのある産業家や資源搾取者階級に歳入創出をアウトソーシングしたのである。
この構造は、西洋の社会主義的妥協、つまり平和的な暴力という神話によって築かれたものではない。マルクス主義の再分配とファシストの偏愛主義が融合して築かれたシステムであり、国家は正式には民間企業を完全に廃止するのではなく、選択的に認可を与え、服従を奨励し、独立性を抑制することで、実際には民間企業を廃止するシステムである。
残された唯一の課題は、このシステムを秩序があり、安定し、社会的に正当化されたものといかに提示するかだった。そして、この神話を迅速に構築しなければならないというプレッシャーがあった。貧困と硬直した階級構造から逃れ、海外で機会を求める人々が押し寄せ、移民の波が地方から労働力と才能を奪い去っていたのだ。この流血を食い止めるため、スカンジナビア諸国は経済的インセンティブだけでなく、イデオロギー的な物語を提示した。それは、強制と静かな服従に基づくシステムに人々を惹きつけ続ける、安定、安全、平等の約束だった。こうして、スカンジナビア社会主義という神話が生まれた。
スカンジナビアの平均的な市民は資本を所有しておらず、自主的に生産するものも何もなく、この巨大で衰退しつつある官僚機構の中で保守技術者として働いている。その報酬は利益でも所有権でも自律性でもなく、国家年金、福祉給付、そして国営保険の約束だけだ。その代わりに、市民はこの機構の中での役割を受け入れている――そこから逃れる手段も動機もない。
はっきりさせておきたいのは、スカンジナビアは自由な人々が自由に協力する社会ではないということだ。
これは、19世紀の課税によって資金が賄われ、従順な国民を鎮圧するために設計され、定着した寡頭政治の権力を維持するように構造化されたハイブリッドを装った指令経済である。
良いニュースは、今日、このシステムは機能不全に陥っているということだ。
基盤となる戦利品は減少し、競争力は低下し、人口は高齢化が進み、機械は自らの重みで軋んでいる。
悪い知らせは、収入の崩壊と持続不可能な債務に直面して、スカンジナビア諸国はまもなく最後の手段に訴えるだろうということだ。それは、富の国有化、民間資本の没収、そして彼らが常に抱いてきたマルクス主義的衝動の完全な実現である。
なぜ彼らは幸せと評価されないのでしょうか?
ドイツの左派は長年、「ドイツのための選択肢(AfD)」は民主主義への脅威であると主張しており、この主張に基づき、AfDは完全に禁止されるべきだと主張している。政党の禁止は典型的には権威主義体制下でのみ行われるものだが、ドイツではこうした結果が現実に起こり得る可能性は依然として高く、ルートヴィヒスハーフェン市で行われた地方選挙は、実際にそのような結果がどのようなものになり得るかを示した。
信じられないことに、AfDの主要候補者であるヨアヒム・パウル氏は、市長選挙への出馬を禁じられました。彼を出馬させなかったこの手法は、今後広く浸透し、左派の主張に反して、今やドイツ民主主義に対する真の脅威となる可能性があります。
社会民主党(SPD)が率いるラインラント=プファルツ州内務大臣の委託を受け、国内の強力な諜報機関である連邦憲法擁護庁(BfV)の専門家意見に基づき、ポール氏は裁判所を通じて出馬を禁じられた。これはAfDの弁護士による度重なる上訴の後、3つの別々の裁判所が支持した裏口捜査だった。
「青いバーのない選挙の夜。そして代替案もなし!驚くべきことに、投票率は低く、無効票が比較的多かった。この6週間、私を支えてくださった皆様に感謝します!心から感謝します!」とポールはXページに書いた。
注目すべきは、ポール氏が投票用紙から完全に除外される前は世論調査で首位に立っていたことです。彼に代わって投票用紙に載る人物もいなかったため、AfDは選挙で誰からも代表されなかったことになります。
現在、市長選挙の投票率は過去最低の29.3%に落ち込んでいます。2017年のルートヴィヒスハーフェン市長選挙では、当時SPDから出馬したユッタ・シュタインルック氏が60.2%の投票率で勝利しました。
つまり、その選挙では投票率が半分に減ったことになる。
それだけではありません。投票した人の多くが「無効票」を提出したようです。無効と判断された投票数は過去最高の9.2%に達しました。8年前はわずか2.6%でした。
ポール氏が出馬を禁じられた今回の選挙の最終結果では、クラウス・ブレットナー氏(CDU)とイェンス・ペーター・ゴッター氏(SPD)が決選投票に進出しました。ブレットナー氏は41.2%、ゴッター氏は35.5%の得票率でした。SPDのもう一人の候補者、マルティン・ヴェグナー氏は15.7%、ボルトの候補者、ミヒャエラ・シュナイダー=ヴェットシュタイン氏は7.6%の得票率でした。
しかし、第2回投票で誰が勝利しても、公正な民主的な選挙で国民からの「負託」を得たと主張するのは、まったくもって笑止千万ではないにせよ、疑問である。
それでも、有権者の70パーセントが単に投票しないことを選択し、投票した多くの人が無効票で抗議したにもかかわらず、リベラルメディアと体制側の政治家はルートヴィヒスハーフェンで起きたことについて沈黙するか、公然とそれを応援するかのいずれかを行うだろう。
この作戦全体は「民主主義」の真の勝利と言えるが、最初から最後までAfDのライバル政党によって画策された。退任するシュタインルック市長は選挙委員会の委員長を務めていたが、この追放を主導した。選挙委員会にはAfDを除く市内の全政党が代表として参加している。
委員会でこの動きに反対したのは自由民主党(FDP)だけだった。他の政党は皆、この前例のない動きを支持した。結局のところ、これは彼らの選挙の利益になるからだ。官僚的な裏取引によって民主的な競争を排除することは、今やドイツでは事実上の現実となっている。
ポール氏は諦めていないと述べ、有権者が投票所に向かったまさにその日に、さらなる法的措置を開始したとメディアに語った。
「私たちは選挙に挑む決意です。第1回投票の後か決選投票の後かは私の弁護士次第です」とポール氏はドイツ通信社に語った。
他の裁判所はすでに、ポール氏が選挙前に投票用紙に載る権利を獲得しようとした試みを却下しており、これらすべての裁判所は、投票がすでに終了した後に法的措置を取る必要があると彼に告げている。
党共同代表のアリス・ヴァイデル氏も市長選を批判した。
「ルートヴィヒスハーフェン市長選挙への投票率はわずか29.3%で、AfD候補のヨアヒム・パウル氏は選挙から排除された。民主主義は選択の自由の上に成り立つものだが、市民にはそれさえも与えられていない」とヴァイデル氏は記した。
しかし、彼女と彼女の党の抗議活動は、この新たな武器がどのように使用されるかにほとんど影響を与えないだろう。実際、唯一の救済策は裁判所を通じたものになるかもしれない。そして、そこにはAfDに積極的に敵対する裁判官が多数いる。
一方、退任するシュタインルック市長は、これまで一度も用いられたことのない官僚的な手続きを通じて候補者を立候補禁止にすることは、まさに「法の支配」だと述べている。
「ルールは存在します。選挙管理委員会として、私たちは当然これらのルールを遵守してきました。それを裏付ける判決が3件あります」とシュタインルック市長は述べ、人々が法の支配に「疑問を呈している」という事実は「悲しい」と付け加えた。
「私たちは皆、今後もこの問題に取り組み続けなければなりません」とシュタインルック市長は付け加えた。
AfDは過去最高を維持
この動きは、AfD全体の禁止をめぐる議論が激化する中で行われた。AfDは現在、全国世論調査で26~27%の支持率を維持しており、今後1年以内に30%に達する可能性もある。
もちろん、この党の支持率はこの高い水準から下がる可能性もある。しかし、連邦政府の不人気は依然として根強く、低迷する経済、急増する移民、犯罪の急増、学校運営の混乱、高騰する債務水準、そして破滅的なエネルギー政策といった根本的な問題は、依然として解消されていない。
AfDが競争力のある政党であり続けるための土壌は整っている。
党の人気が高まるにつれ、全面禁止を求める圧力は強まるだろうが、それが達成されなければ、ポール氏を排除したのと同じ方法で、さらに多くのAfD候補者が選挙への参加を完全に排除されることになるかもしれない。
先週、借り換え需要が週当たり58%と大幅に増加した後、金利がさらに低下したにもかかわらず、住宅ローン需要は先週再び停滞した。
抵当銀行協会の季節調整済み指数によると、先週の総申請件数は前週より0.6%増加した。
30年固定金利住宅ローンの平均契約金利は、ローン残高が80万6500ドル以下の基準金利で、6.39%から6.34%に低下しました。20%の頭金の場合、手数料を含めたポイントは0.54から0.57に上昇しました。これは2024年9月以来の最低水準です。ただし、これは週平均であり、先週は特に変動が激しかったです。連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを行う前の週初めには、10年国債利回りにほぼ連動する住宅ローン金利は3年ぶりの低水準に低下しました。しかし、FRBの利下げ後数日間では、金利は約0.25%上昇しました。
前週に劇的に上昇した借り換え需要は、今週はわずか1%の増加にとどまったが、1年前の同じ週と比較すると42%増加した。
「先週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後、金利は概ね上昇しましたが、引き続き借り換えの増加につながるレンジに留まっています。借り換え件数は先週さらに増加し、4週間前と比べて80%増加し、申請件数全体の60%以上を占めています」と、MBAのシニアバイスプレジデント兼チーフエコノミストであるマイク・フラタントーニ氏はリリースで述べています。「先週の借り換え増加は政府系機関からの申請によるもので、VA(退役軍人省)の借り換え件数は約15%増加しました。」
住宅購入のための住宅ローン申請はほぼ横ばいで、週ではわずか0.3%増、1年前の同じ週からは18%増加した。
「秋には住宅購入の需要が減少する傾向にあるが、購入申請活動は今のところ比較的堅調に推移している」とフラタントーニ氏は付け加えた。
変動金利型住宅ローンの需要が急増した後、先週はこうしたリスクの高いローンの需要が落ち込みました。借り手は月々の返済額を少しでも節約したいと考えており、変動金利型ローンの金利は固定金利型ローンよりもはるかに低いからです。
モーゲージ・ニュース・デイリーの別の調査によると、今週初めの住宅ローン金利はほとんど変動しなかった。これは、債券市場に影響を与えるような主要な経済指標がなかったためだ。連邦準備制度理事会(FRB)の理事やジェローム・パウエル議長による講演もあったが、いずれも以前の政策声明から逸脱するものではなかった。
「FRBの講演は確かに影響力を持つ可能性があるが、それは具体的な内容次第だ。(火曜日の)最も重要な発言はパウエルFRB議長によるものだったが、先週のFRB発表後の記者会見から大きな変更はなかった」と、モーゲージ・ニュース・デイリーの最高執行責任者(COO)であるマシュー・グラハム氏は記している。「それでも、一部のトレーダーは、議長が先週の金利上昇につながったいくつかの話題をこの機会に繰り返し述べなかったことに安堵したようだ。」
皆さんもきっと店頭で牛肉の値段をご覧になったことがあるでしょう。本当に衝撃的で、とんでもないことです。毎週のように値上がりし続けています。4年前にこの事態が始まったとき、多くの人が危機が終われば価格は落ち着くだろうと考えていました。しかし、そうはなりませんでした。問題は改善するどころか、悪化の一途を辿っています。
牛ひき肉の消費者物価指数(CPI)を調べてみたら、二桁のインフレ率に驚きました。牛肉ステーキの価格は5年間で50%も上昇し、今も上昇を続けています。
現在、牛肉のインフレ率は驚異の12.4%に達しています。
牛ひき肉の価格は10年で2倍になった。
これは政府のデータだけではありません。業界筋によると、牛肉の価格は他の食料品よりもはるかに高いことが示されています。
これは、牛肉が人間の健康に不可欠であることを示す科学的研究がますます増えている中で起きています。牛肉は唯一良い肉というわけではありませんが、健康、体重管理、エネルギー、筋肉の増強、臓器の強化に必要な栄養素を最も多く含んでいます。牛ひき肉からステーキまで、あらゆる食品の市場需要が高まっています。
需要の増加は、50年間にわたる畜牛群の減少と時を同じくしています。フィードロットの報告によると、「米国農務省国立農業統計局(NASS)は1月31日に畜牛に関する報告書を発表しました。2025年1月1日時点の畜牛と子牛の総数は8,666万2千頭と推定され、前年より約50万頭減少しました。これは、肉用牛と乳用牛の総在庫の減少が6年連続で、現在の畜牛サイクル(全国の畜牛群の長期的な拡大と縮小の周期)全体では11年目となります。このサイクルは、畜牛価格、母子生産者の収益性を左右する投入コスト、畜牛の妊娠期間、子牛を市場に出荷できる体重まで育てるのに必要な時間、そして気候条件といった複合的な要因の影響を受けます。」
これはトランプ政権にとって大きな問題となる可能性があります。食品価格、特に牛肉価格のインフレがこのまま続けば、大統領職と共和党全体にとって真のリスクとなります。政治にあまり関心のない人は、スーパーでどれだけお金を使えるかで政権党を判断する傾向があります。牛肉ではなく米や豆に切り替えたとしても、いずれにしても与党を責めるでしょう。
今のところ、ブルック・ロリンズ農務長官にとって、この深刻な問題への対処は現状維持以上の優先事項ではないようです。これは変えなければなりません。
トランプ政権には3点の政策課題を提案します。この問題が制御不能に陥らないよう、直ちに実行に移す必要があります。
まず、農家やその他の中間供給者が製品を店舗に届けるのを妨げている既存の障壁を緊急に規制緩和する必要がある。
この問題に対処する主な規制機関は二つあります。米国農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)と動植物検疫局(APHIS)です。調達を追跡するだけでも膨大な書類と技術が必要であり、各州が保管などに関する規則を定めています。まるでソ連時代の中央計画を彷彿とさせるシステムです。こうしたことがサプライチェーンを停滞させ、各段階で多くの官僚が介入する事態となっています。
こうした規制は、業界を、そのノウハウを熟知し、官僚機構を巧みに操れる最大手企業のみに集約させています。販売業者が卸売業者と直接連携し、安全で良質な製品を保証できるよう、これらの規制はすべて緩和される必要があります。この問題の解決には、立法府に裏付けられた迅速な大統領令が必要になるかもしれません。
第二に、USDA(米国農務省)による食肉加工における厳格な独占の問題に焦点を当てる必要があります。これは時間と費用を大幅に増大させ、しかも無意味です。農家には、現場での加工とそれに続くあらゆる種類の販売に対する絶対的な権利が与えられなければなりません。USDAのシステム全体を解体し、食肉加工における競争を認めなければなりません。独占は終結しなければなりません。
PRIME法は早急に成立させる必要があります。これは、「加工復興および州内食肉免除法(Processing Revival and Intrastate Meat Exemption Act)」の略称です。この法律は、以下のことを実現します。州が、これらの施設で屠殺された牛肉、豚肉、羊肉などの食肉を、消費者、レストラン、食料品店、ホテル、その他の食品サービス店に州内(州境内)で販売することを許可できるようにします。州内取引において、食肉はUSDA(米国農務省)による連邦検査を一切受ける必要がなくなります。これにより、真の農場から食卓へという食肉の提供が可能になり、コストを大幅に削減し、店頭への供給量を即座に増加させることができます。
さらに、これにより屠殺コストが削減され、畜群の増強が促進され、既存の価格圧力が緩和されるだろう。
第三に、海外から輸入されるすべての食肉は、現在卸売価格と小売価格を押し上げている関税と割当制から免除されるべきです。これは、アメリカの食生活を守るため、ひいてはトランプ大統領の政権を守るためにも行われるべきです。トランプ大統領が関税はアメリカ産業を守るために必要だと考えていることは理解できますが、現状ではアメリカ消費者を略奪するリスクがあります。危機の時に、このような関税を食肉に適用すべきではありません。
この国の食肉に関する法律は古く、1906年に制定されました。業界の安全性と清潔さに深刻な疑問が投げかけられていた時代に、大手業界関係者を支援するために制定されました。しかし、業界はこうした規制が業界の統合と消費者の信頼回復につながると確信していたため、通説とは裏腹に全面的に支持しました。しかし残念ながら、この新しい規制は地元の農家を苦しめ、コスト増加をもたらしました。それから何年も経った今でも、これらの法律は依然として施行されていますが、実際には何の機能も果たしていません。
この国に残る独立系牛肉農家には、店舗やレストラン、そして顧客に直接販売する自由が必要です。人々は、支援している農家や牧場主を正確に知りながら、直接購入できる機会を切望するでしょう。しかし、既存のシステムではそれが不可能です。
トランプ政権は、2021年に設立された「食品の地域密着性、冗長性、安全性の向上」を目的とした「ビーフ・イニシアチブ」に緊急の働きかけを行う必要がある。「私たちは、食品の完全性の重要性を理解している生産者と消費者に市場へのアクセスを提供することで、地域社会に貢献しています。」
そのような組織や知識豊富な農家は数多く存在します。ポリフェイスのジョエル・サラティン氏は、ホワイトハウスを導く最高のコンサルタントであるに違いありません。
このような取り組みはMAHAの課題と完全に一致しています。現在、これを優先することは議題に上がっていませんが、いずれは優先事項にしなければなりません。価格統制や、本物の牛肉を買えなくなった国民の怒りは、私たちにとって最も避けるべきものです。
「培養肉」や「インポッシブルバーガー」を支持する人々が押し付ける偽物製品など、誰も望んでいない。ましてや、牛や鶏、豚の代わりに虫を食べようという主張など、誰も望んでいない。今のところ、牛肉価格の高騰は一般家庭にとって耐え難いほど深刻ではない。しかし、状況は急速に変化しつつある。
トランプ政権は、供給量を増やし、鶏の屠殺を停止することで、卵危機にうまく対処しました。卵の価格は大幅に下落しました。今こそ、牛にも同じことが起こる必要があります。
米国の債券投資家は、数週間前までは健全とみなされていた2社の破綻を受けて、信用市場の融資基準の緩さに警鐘を鳴らしている。
今月初めのサブプライム自動車ローン会社トリコロール・ホールディングスの破綻と、それに続く自動車部品サプライヤーのファースト・ブランズ・グループの破産手続きの検討は、投資家を不安にさせた。
トリコロールは信用市場で借り入れを行い、完璧なトリプルA格付けを獲得していたが、ファースト・ブランズは負債とオフバランスシートの資金調達で100億ドルもの資金を蓄積しており、先月はさらなる資金調達に近づいていた。
投資家らはそれぞれを一時的な出来事として片付けようとしていたが、この2つの事件を合わせると、金融危機以降、伝統的な銀行が撤退するなか、消費者や企業にとって重要な資金調達源となっている信用市場に亀裂が生じている兆候を示している。
トレーダーや投資家はフィナンシャル・タイムズに対し、トリコロールとファースト・ブランズがこれほど早く破綻に追い込まれた原因となった規制について疑問を呈していると語った。
先週トリコロール社の債券を売却したある投資家は、同社の破綻とそれに続く市場の混乱は「資産担保証券市場でこれまで見てきた最悪の事態の一つ」だと語った。
両社は資産担保債務を活用し、トリコロールはサブプライム自動車ローンを債券にまとめ、ファースト・ブランズは請求書に対する信用供与を行うために専門ファンドを活用した。
本質的に、資産担保金融とは、消費者のクレジットカード残高、鉄道車両や太陽光パネルのリース、航空機、音楽著作権料など、特定の資産またはローンを担保に融資を行う能力です。
一部の投資家は、融資した他の企業が同様の問題に直面していないことを確認するため最近ポートフォリオを精査し、新たな取引を引き受ける前にさらに詳細な質問をしていると述べた。
米国の投資会社は近年、資産担保債務への取り組みを強化しており、主力商品であるジャンク債格付け企業への融資よりも安全な商品だと売り込むことも多い。
しかし、トリコロールは現在、米国司法省による詐欺容疑で捜査を受けており、一方で一部の投資家はファースト・ブランズの財務報告や請求書ファクタリングの利用について長らく疑問を抱いており、貸し手側はオフバランス融資の規模に関する可視性が欠如していることを懸念している。
ファースト・ブランズはこの記事に対するコメントを拒否し、トリコロールもコメント要請に応じなかった。
トリコロールとファースト・ブランズの破綻をめぐる懸念は、金融業界で最も活気のある分野の一つの輝きを失わせかねない。資産担保型融資は新しい商品ではないが、アポロ・グローバル・マネジメントやKKRといったウォール街の巨人が新たな融資手法を考案するにつれ、急速に進化している。
この展開は、自動車ローン担保債券の需要を利用して融資を急増させたトリコロールなどの非銀行系融資会社にとって恩恵となっていた。
トリコロールが組成した自動車ローンのポートフォリオに対し、約20億ドルの融資を行っていた金融機関は、現在、困難な状況に陥っている。事情に詳しい2人の関係者によると、同社は9月の利息の支払いを滞納しており、一部の金融機関は車両の差し押さえを試みていると報じられている。
数億ドル相当の自動車ローンの損失に晒されているJPモルガン・チェースやフィフス・サードなど、複数の大手銀行も破綻に巻き込まれている。
その後、パッケージ化されたトリコロールのローンの持ち分を売却した2人目の投資家は、債券発行を引き受けた銀行の1つであるJPモルガン・チェースが、潜在的な財務上の不正行為に気付かなかった理由が全く分からないと語った。
「それが一番衝撃的な点だ」と投資家は言った。「JPモルガンは世界で最も洗練された金融機関の一つだ。一体どうしてこんなことに気づかなかったんだ?」
JPモルガンはコメントを控えた。
世界の政策立案者は金融危機以降、規制対象の銀行から金融システムの他の部分への借り入れを移すなどして、銀行システムの強化に努めてきた。
欧州中央銀行の当局者は先週、トリコロールなどの非銀行系融資業者の台頭と同社の破綻について説明を受けた。
コロンビア大学ビジネススクールのトマシュ・ピスコルスキ教授は、トリコロール社の破綻は投資家らに「より慎重になる」よう促す可能性があると述べた。
「格付け機関は取引をより厳しく精査するだろう。それは信用供与の可用性がいくらか低下する可能性があることを意味する」と彼は述べた。
ファースト・ブランズでは、ジェフリーズの銀行員らが数週間前に60億ドルの新規融資案件を売り込み、3月時点でグループのバランスシート上に10億ドル近くを保有していたと投資家らを安心させていた。
現在、ファースト・ブランズは緊急の流動性不足を補うため、金融機関と緊急救済融資の交渉を行っており、この手続きには破産申請が必要になる可能性がある。
今週、ジュニア債が1ドルあたりわずか数セントで取引されるなど、ローン価値が急落したことで、1.5兆ドル規模の米国レバレッジローン市場の投資家は動揺した。
ファースト・ブランズが行っていた、通常は専門ファンドの領域であり、完全に非公開ベースで実行される、より不透明な請求書担保融資については、貸し手側は十分な把握ができていなかった。
フィナンシャルタイムズは以前、ヘッジファンド大手のミレニアム・マネジメントやジェフリーズの投資部門を含む投資家らがファースト・ブランズに資金の一部を提供したと報じている。
複数の売掛金ファイナンス専門家は、担保付きとされる債券に提示された高利回りを考慮して、請求書貸し手はファースト・ブランズの資金調達に関する危険信号を無視したと述べた。
「多くの人が売掛金専用のファンドを立ち上げてきましたが、資金が底をつくと、どうしても手を出してしまいます」と、あるファンドマネージャーは語った。「この会社は常に最高の利回りを提供し、さらに投資する余力も常に持っていました。限界などありませんでした。」
ファースト・ブランズの債務が急落し、トリコロールが破綻したにもかかわらず、資産運用会社は新たな資産担保型取引への投資を続けている。
事情に詳しい関係者によると、ゴールドマン・サックスは今週、金融テクノロジー企業ミッション・レーンからサブプライム・クレジットカード債権3億ドルのポートフォリオを売却する準備を進めている。
資産運用会社TCWの資産担保金融チーム責任者、ディラン・ロス氏は、取引に対する市場の受容度の高さは、証券化融資に対する安心感が続いていることを示していると述べた。
「金融危機以降、投資適格のストラクチャード・プロダクトで減損処理されたケースはごくわずかだ」と、資産運用会社TCWの資産担保金融チーム責任者、ディラン・ロス氏は述べた。「証券化が問題なのではない」
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米投資会社大手のKKRとブラックストーンは23日、米電力・ガス大手センプラの液化天然ガス(LNG)事業に合計170億ドル(約2兆5000億円)を投資すると発表した。人工知能(AI)普及などによる電力需要の急拡大を見据え、LNGインフラへの投資を加速する。
KKRはカナダの公的年金であるカナダ年金制度投資委員会(CPPIB)と共同で100億ドルを投じ、センプラのインフラ子会社であるセンプラ・インフラストラクチャー・パートナーズ(SIP)の発行済み株式の45%相当を取得する。既存持ち株と合わせて65%の株式を握り、SIPはセンプラの連結から外れる。
SIPは米国やメキシコでLNG輸出基地プロジェクトを運営している。ブラックストーンが主導する投資家陣営は、SIPが米南部テキサス州で進める「ポートアーサーLNGフェーズ2」に70億ドルを投じて49.9%出資すると発表した。投資家陣営にはKKRやアポロ・グローバル・マネジメント、ゴールドマン・サックスなどが参画する。
ポートアーサーLNGフェーズ2からは、東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAも年150万トンのLNGを調達する予定で、6月に基本合意を交わした。
世界のエネルギー需要は、AI推進やデータセンターの建設ラッシュに伴い増加していく見通し。石炭などに比べて二酸化炭素排出量の少ない天然ガスは需要拡大を支える大きな柱の1つだ。トランプ米政権も米国のLNG輸出促進に積極的だ。
インフラ投資は株式相場などとの相関性が低く、稼働して軌道に乗れば長期にわたる安定したキャッシュフローが見込めるとして機関投資家の関心を集めてきた。
ファンドを運用する投資会社もインフラ投資を成長分野と定めて経営資源を傾斜している。米ブラックロック傘下のインフラ投資会社グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズは今年、第5号ファンドで252億ドルの資金を調達した。
●その他
備忘録(2025/9/22-23)
●企業
米自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループは、60億ドル(約8900億円)の債務再編を目指し、米連邦破産法11条の適用を申請する可能性も含め、債権団と選択肢を協議している。同社の財務状況や業績報告に対する疑念が深まっている。
事情に詳しい関係者によれば、ファースト・ブランズの助言会社は11条適用後の事業継続を資金面で支えるDIPファイナンス(つなぎ融資)を視野に、貸し手と新規融資について調整している。協議が非公開であることを理由に、関係者は匿名で話した。
ファースト・ブランズの広報担当者にコメントを求めたが、現時点で返答はない。計画は最終決定されたものではなく、変更の可能性がある。
8月のブルームバーグ報道によれば、ファースト・ブランズは債務借り換えを目的とした60億ドルの調達を停止。同社の業績や、ファクタリングという会計上の仕組みに対し、投資家から説明の要求を受けていた。
同社への懸念が広がる中、先週には2027年返済のローン債務20億ドルが額面1ドルにつき50セントを割り込んだ。22日のローン市場ではわずかに反発した。
借り換えをとりまとめていたジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは、その取り組みを一時停止。ブルームバーグの報道によれば、ファースト・ブランズから情報を取得するのに苦労しているとジェフリーズは投資家に語っていた。ジェフリーズはコメントを控えている。
ファースト・ブランズはワイパーやウォーターポンプ、フィルターなどの自動車部品を販売。オーナーのパトリック・ジェームズ氏に関する公的な情報は限定的だ。ムーディーズによれば、ファースト・ブランズは借り入れによって製品を仕入れ、それをウォルマートやオライリー・オート・パーツなど大手小売店を通じて販売することで成長してきた。借り入れは主にレバレッジドローン市場で行われていた。
米国のトランプ大統領が、解熱鎮痛薬「タイレノール」の有効成分と自閉症を関連付け、服用を避けるよう呼びかけたことに対し、研究者らから厳しい批判が寄せられている。トランプ氏の「アドバイス」は、数十年にもわたる科学的調査を無視し、母親と乳児を危険にさらす恐れがあるとしている。
トランプ氏はホワイトハウスでのイベントで、タイレノールの有効成分アセトアミノフェンを自閉症と関連付け、女性に発熱に耐えるよう促した。主流の医学を長年にわたり批判してきたケネディ厚生長官も同席しており、発言は医師や製薬会社を動揺させた。
自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)の妊娠関連リスク要因を25年間研究してきたニューヨークの医師で科学者、マディ・ホーニグ氏は、ホワイトハウスの発表は、欧州などでパラセタモールとして知られるアセトアミノフェンに関する科学的知見を、誤って伝えていると述べた。
米産科婦人科学会は、トランプ氏の発言を「無責任だ」と批判した。米国小児科学会も、科学的知見を歪めることは自閉症の人々に対する「不利益」になると指摘した。
英国の医薬品・医療製品規制庁は、パラセタモールが自閉症を引き起こす根拠はないとし、妊娠中に服用しても安全だと表明した。
ボツワナのボコ大統領は、英資源・鉱山会社アングロ・アメリカン傘下のダイヤモンド大手デビアスの株式売却計画を巡り、政府が過半数株を取得する取引を来月末までにまとめたい意向を示した。
アングロは1年4カ月前に始めたリストラの一環として、デビアス株85%の売却を進めている。デビアスは産出するダイヤモンドの大半をボツワナ国内で採掘しているが、人工ダイヤとの競合激化で天然石市場の低迷が長引いており、アングロは売却のタイミングを見計らってきた。他の買い手候補からも関心が寄せられており、ボツワナとの合意はまだ成立していない。
アングロは2月にデビアスの企業評価額を49億ドル(約7200億円)に引き下げており、同社の広報担当者は「パートナーであるボツワナと引き続き協議を行っている」と述べた。ボツワナ政府は残る15%を既に保有している。
ボコ大統領は、オマーンの政府系ファンドなどと協議し、買収資金の調達を進めていることを明らかにした。これにより政府の持ち株比率を50%超に引き上げる方針。
ニューヨークでのインタビューでボコ氏は「取引に向け万全の準備が整っている。10月末までに取引は完了させなければならない」と述べ、「これはボツワナの経済主権に関わる問題だ」と強調した。
ダイヤモンドはボツワナの輸出収入の80%、政府歳入の約3分の1を占め、同国経済の基盤となってきた。しかし価格下落で、S&Pグローバル・レーティングは今月、同国の長期ソブリン格付けを引き下げ、経済が2025年に2年連続でマイナス成長になると予測している。
トランプ米大統領は22日、解熱鎮痛剤「タイレノール」の成分であるアセトアミノフェンについて、妊娠中の使用と自閉症発症に関連性があるとして、妊婦に服用しないことを勧告するよう食品医薬品局(FDA)が医師に指示する方針だと述べた。
多くの医療従事者はトランプ大統領の見解に懐疑的な見方を示し、アセトアミノフェンが妊婦の健康に安全であることを示す多くの研究データがあるとしている。
トランプ氏はホワイトハウスで行った記者会見で、妊婦にタイレノールを服用しないよう繰り返し促した。
トランプ政権は葉酸の一種であるロイコボリンを自閉症症状の治療薬として提案。FDAはこれに先立ち、ロイコボリンを承認すると発表した。
米産科婦人科学会や小児科学会など数十の医療団体や自閉症擁護団体はトランプ氏の発表を非難。自閉症科学者連合は声明で「データはタイレノールが自閉症を引き起こし、ロイコボリンが治療薬だという主張を支持していない」とし、「単純な答えがないにもかかわらず、恐怖をあおり、誤った希望を与えるだけだ」と批判した。
タイレノールの製造を手がけるケンビュー(KVUE.N), opens new tabは声明で「独立した堅実な科学はアセトアミノフェンの服用が自閉症を引き起こさないことを明確に示していると考えている」とし、「それ以外のいかなる主張にも強く反対し、それが妊婦に及ぼす健康リスクを深く懸念している」と述べた。同社の株価は22日の取引で7%超下落した。
トランプ氏はまた、幼少期のワクチン接種も自閉症と関連があると主張。乳児にワクチンを投与させないよう呼びかけ、研究によって繰り返し否定されてきたワクチンと自閉症との関連性を再検討するよう求めた。
フランスから米国へやって来たフルール・アルベルさん(24)とクリストフ・ケルーズさん(24)は最近、ニューヨークのルイ・ヴィトン旗艦店の入り口にしつらえられた、色彩豊かなキリンとダチョウの彫像にひかれて店内へと足を踏み入れた。彫像には「L」と「V」の文字などをモチーフとする有名な「モノグラム」柄があしらわれている。しかし2人がこの店舗で買い物をすることはないだろう。自社のロゴを前面に押し出したデザインはもう時代遅れだと感じているからだ。
「ルイ・ヴィトンはラグジュアリーなイメージを保てていない」と語るケルーズさん。「もっと斬新でオリジナリティーのある商品を作らなければ」と手厳しい。
アルベルさんとケルーズさんは、1998―2012年に生まれた「Z世代」に属しており、この世代は高級ブランド業界にとって新たな開拓市場だ。ボストン・コンサルティング・グループによると、Z世代が世界の高級ブランド品市場に占める割合は新型コロナ禍前には4%だったが、30年までに25%に上昇する見通しだ。
経営者やコンサルタント、アナリストによると、Z世代は従来の消費層よりも特徴を把握しづらい。地球規模のソーシャルメディア環境の影響を受け、大手ブランドの商品とトレンド性の高いブランドを自由に組み合わせ、商品の購入先も動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」から古着屋まで多岐にわたる傾向がある。老舗ブランドはZ世代をひきつけようと、インフルエンサーの起用、期間限定のポップアップストア、バッグチャームのような手頃なアイテムの提供など試行錯誤している。
「上海、ロサンゼルス、ロンドンのZ世代には大きな共通点がある」と話すのはコーチの親会社タペストリーのスコット・ロー最高財務責任者(CFO)兼最高執行責任者(COO)だ。
コーチやラルフローレンのような、比較的手ごろな価格の高級ブランドは、こうした世代の波に乗っている。ラルフローレン(RL.N), opens new tabの売上高は3月までの1年間に6.8%増加。専門家によると、コーチはインフルエンサーの活用、顧客1人1人に合わせた「パーソナライズ」サービスの提供、サステナビリティ(持続可能性)などに注力することでZ世代から支持を得ている。コーチは6月までの1年間の総売上高が9.9%増の約56億ドルとなった。
タペストリーのロー氏は、Z世代は他の世代に比べてブランドに対する忠誠心が低いわけではないが、選択肢が増えているため、ブランド側がZ世代に手を届かせるのが難しいと指摘。「この状態を突破するには強い存在感を示す必要がある」と述べた。
存在感を高めるにはコストがかかる。タペストリーは、コロナ禍前に3%だった対売上高マーケティング費比率を今年は10%に引き上げたと、5月の決算説明会で明らかにした。ただ、そのうちどの程度をZ世代に振り向けたかには言及しなかった。
高級ブランド各社は「コリーナ・ストラーダ」や、メアリー・ケイト・オルセンとアシュレー・オルセンのオルセン姉妹が立ち上げた「ザ・ロウ」など、規模の小さい新興ブランドとの競合にも直面している。ザ・ロウは、最新のブランドランキング「リスト・インデックス」で順位を2つ上げて6位につけた。
コリーナ・ストラーダのクリエイティブディレクター、ヒラリー・テイモア氏は、2020年にデジタル広告を使ってZ世代をターゲットにし始めたと明かした。今ではZ世代とミレニアル世代が事業の58%を占めている。「サステナビリティを、遊び心あふれるミーム的な美学と組み合わせている」と説明。自社のブランドについて「インクルーシブ(包摂的)なキャスティングや多様性のあるファッションショー」が若い観客にコミュニティの一員であると感じさせていると話した。
<手ごろなアイテムが鍵>
全てのブランド大手が置き去りにされているわけではない。ケリング傘下のボッテガ・ヴェネタ、プラダ・グループのミュウミュウ、モヘ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)傘下のロエベといった高級ブランドは、いずれもZ世代向けの販売で健闘している。現在、ミュウミュウはリスト・インデックスで首位に立ち、ロエベは2位だ。
ミュウミュウの売上高は今年上半期に前年同期比49%増加。240ドルから1250ドルの価格帯のレザー製バッグチャームによって、初めて高級ブランドを購入する顧客を取り込んでいる。
安価な商品は、年長の世代よりも価格に対する視線が厳しい、若い年齢層の消費者をひきつける要因となっている。バンク・オブ・アメリカによると、24年8月から25年8月までにZ世代とミレニアル世代(1978年以降生まれ)の支出増加率が0.5%にとどまったのに対し、ベビーブーマー世代は2.4%増加した。
ロサンゼルス出身のケンドール・スティルさん(26)は「高級ブランドを買うときは長く使えるかどうかを考える。高いお金を払うのだから、5年や10年で飽きてしまわないものが欲しい」と話す。
一方で苦戦するブランドもある。ケリング(PRTP.PA), opens new tab傘下のグッチは第2・四半期の売上高が25%減少。就任からわずか9カ月のステファノ・カンティーノCEOが今月17日に解任された。
Z世代を対象にリサーチするdcdx社のデータによると、グッチは過去1年間にソーシャルメディア上で主要な高級ブランドとしての存在感が最も急激に低下した。ケリングの株価が過去2年間で43%下落した一方、タペストリーは3倍余りに上昇した。
ベイン・アンド・カンパニーのシニアパートナー、フレデリカ・レヴァート氏は「老舗ブランドは明確に勝者と敗者に分かれつつある」と指摘する。
次に世界で台頭する可能性があるのは「ウマ・ワン」や「シュシュ/トング」など中国のブランドだ。アジアにおいて中国の新興ブランドはデジタルに精通し、中国製という利点を中国人消費者への売り込みに使えることから若い購買層の支持を集めていると、シャネルのリーナ・ネアCEOは指摘する。
ネア氏は「ブランドの永続を当然視することはできない。人々の意識に残り、アイコニックであり続けるためには、常に時流に即し、モダンであることが欠かせない」と述べた。
ドイツの高級スポーツ車メーカーのポルシェ(PSHG_p.DE), opens new tab(P911_p.DE), opens new tabは19日、電気自動車(EV)の投入計画を後退させた。需要減退、主要市場の中国での圧力、トランプ米政権による輸入品への関税引き上げを理由に挙げた。これを受け、同社と親会社フォルクスワーゲン(VW)(VOWG.DE), opens new tabは2025年通期利益見通しを下方修正した。
併せてVWは、ハイブリッド車と内燃機関車に重点を移すのに伴って一部のEV発売を延期する広範な製品見直しを実施し、51億ユーロ(60億ドル)の損失が発生すると説明した。
この変更はポルシェにとって大きな転換となり、2025年決算の営業利益で最大18億ユーロの損失を計上する見通しだ。
ポルシェとVWの最高経営責任者(CEO)を兼任するオリバー・ブルーメ氏はアナリストと記者向けの合同電話会議で「自動車業界では大規模な変化が起きている」と述べ、高級EVの需要が明らかに落ち込んでいると指摘した。
方針転換により、ポルシェは25年の利益率見通しを従来の5─7%から最大2%へ引き下げた。中期利益率見通しも15─17%から最大15%へ下げた。VWは利益率見通しを従来の4─5%から2─3%へ下方修正した。
ブルーメ氏は、ポルシェの現在販売中の内燃機関車およびハイブリッド車の生産期間を30年代まで延ばす方針も明らかにした。
●マクロ
19日に5会合連続で政策を据え置いた日銀にとって、利上げ再開への最大の障害は米国経済の下振れ懸念だ。植田和男総裁は会見で、米国の関税影響の見極めにどれくらいの時間が掛かるかは「不確実性が高い」と述べたが、日銀では11月末から始まる米国のクリスマス商戦が見極めのヤマ場になるとの見方が出ている。国内の情勢次第では、クリスマス商戦のハードデータまで確認せず、10月会合や12月会合で利上げに踏み切る可能性も意識されている。
<根強い米経済下振れ懸念>
足元の日本経済は日銀の想定に沿ったものだが、米経済の動向に振らされやすいことが、様子見姿勢の一因になっている。2008年のリーマンショックでは、震源地となった米国より日本の方が大幅なマイナス成長になった。高水準の企業収益は円安傾向が支えており、大幅に円高に振れれば、関税の直接的な影響が及ぶ輸出企業の収益に影を落としかねない。
現時点で、こうした懸念は現実のものとなっていない。17日に終わった米連邦公開市場委員会(FOMC)は市場が想定した範囲の結果となり、外為市場での円高進行は限られた。米国の経済指標では雇用の減速傾向こそ鮮明だが、小売売上高が堅調に推移するなど他の指標への影響は今のところ限定的だ。
しかし、日銀は、高い関税をどこかの企業が負担しなければならない以上、現状は収益で吸収している企業にも限界が訪れ、影響が顕在化するとみている。現時点で影響が限定的だからと言ってこのまま影響が出ないとは言い切れないという考え方だ。
植田総裁は会見で、関税の物価への転嫁が進んだ時にどういう姿になるか、まだ必ずしも見えていないと指摘。「標準的な見方では今後(影響が)出て、それに伴って消費へのマイナスの影響もあるだろう」と述べた。
<米クリスマス商戦、見極めのタイミング>
焦点は米国の経済・物価動向をいつまで注視するかだ。日銀では、11月末から始まる米国のクリスマス商戦の動向が関税の影響を見極める上でのヤマ場になるとの見方が出ている。個人消費が盛り上がるクリスマス商戦でも小売売上高が強ければ、米国の関税影響は限定的と判断していいのではないかとの考えだ。
12月の米国の消費動向をハードデータで確認するなら、年明けを待つ必要がある。しかし、クリスマス商戦について、米国で事前に発表される業界団体の小売売上高の予想や日銀自身による調査などを確認することで足り、ハードデータを見る必要は必ずしもないとの声が出ている。
日銀短観、日銀支店長会議、自民党の新総裁選出、新政権発足と10月の決定会合に向けて重要イベントが相次ぐが、米国のクリスマス商戦についても、昨年通りなら米国の業界団体によるクリスマス商戦での売上高の事前予想が10月半ばに出てくる。
植田総裁は会見でデータや情報の見極めについて「最後まで見なければわからないのではなく、逐次入ってくる情報に基づいて全体を予想し、その予想に確度が持てれば政策の判断をしていける」と話した。クリスマス商戦の動向についても、例えば「日本からの船便の荷動きでもある程度分かる」とも述べた。
<物価警戒に広がり>
米経済の動向を見極めている間も、インフレ上振れリスクへの警戒感が日銀で後退しているわけではない。19日の決定会合では、高田創審議委員、田村直樹審議委員の2人が0.75%への利上げを提案。田村委員は物価上振れリスクを指摘、高田委員は「物価安定目標」の実現は概ね達成されたとしている。
日銀では米経済を巡る不透明感が続く中でも、新米価格の動向や新政権が打ち出す財政政策の方向性などほかに考慮すべき要素があるとの声もある。日銀はこれまで基調的な物価上昇率について、関税の影響による経済下押しで「伸び悩む」と想定してきたが、特に伸び悩むことなくすでに2%近傍に到達しているとの指摘も出ており、10月会合での利上げの可能性も意識される。
トランプ米大統領が外国人専門技術者向け就労ビザ「H-1Bビザ」の新規申請に10万ドル(約1480万円)の手数料を課すと発表したことを受け、ウォール街の銀行はインドの業務支援拠点への依存を強める見通しだ。
シティグループ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループなど米大手銀行は、インドの「グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)」の最大の雇用主に数えられる。GCCは取引サポートやリスク管理、技術支援まで幅広い業務を担い、ソフトウエア技術者やクオンツ、会計の専門家らが在籍する。低コストでサービスを提供できるだけでなく、本国では確保が難しい人材へのアクセス手段ともなっている。
トランプ氏は移民抑制で米国の雇用を守ろうとしているが、新ルールは逆に、銀行がムンバイやベンガルール、ハイデラバードといったインドのテック拠点で存在感を高める契機となる可能性がある。これら都市ではすでに190万人以上が雇用されているとアナリストは指摘する。
人材紹介会社アンラジ・インフォテック創業者で、20年以上にわたり米銀と取引してきたウメシュ・チャゼド氏は「オフショアリングへの新たな制約が課されない限り、外銀はインド拠点にさらに依存するだろう」と述べた。
H-1Bビザは、米国やインドのテクノロジー業界で高度技能労働者を呼び込むために多用されており、金融やコンサルティング業界も利用している。米国の2023年会計年度におけるH-1Bビザ取得者のうち、インド出身者は新規・継続雇用を含めて72.3%を占めた。
EYのデータによると、GCCの市場規模は640億ドルで、19-24年に年率で約9.8%拡大した。現在1700カ所ある拠点は、30年までに最大2500カ所に増え、市場規模は1100億ドルに達する見通しだという。
米銀は同市場の大口の雇用主であり、新たなビザ規制を回避するために業務をインドに移す可能性がある。シティは同国に約3万3000人、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は2万7000人超、JPモルガンは5万5000人を雇用している。
金融アドバイザリー会社ネオスタート・アドバイザーズ創業者のアビゼル・ディワンジ氏は「銀行はGCC向けに新戦略を練るだろう。インドへの業務シフトで新しい職務を加える可能性がある」と指摘。「ただ、状況が流動的な中で誰も拙速な判断はせず、さらなる明確化を待つだろう」と付け加えた。
JPモルガンは今回の新手数料が既存のH-1B保持者に適用されないことに安堵(あんど)していると、同行アジア太平洋地域の責任者、シュアード・レーナート氏が22日、ムンバイでブルームバーグテレビジョンのインタビューに答えた。変更に伴う影響を全て判断するには時期尚早だとも述べた。
中国の習近平国家主席による輸出攻勢は、トランプ米大統領の関税措置が5カ月間にわたり続く中でも衰えていない。中国の貿易黒字は過去最大となる1兆2000億ドルに達しようとしている。
米国市場へのアクセスが制限される中でも、中国の製造業は後退していない。8月にはインド向け輸出が過去最高を記録し、アフリカ向けでは年間ベースで過去最高に達する見通しとなっている。東南アジア向けも新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)時のピークを越えた。
こうした広範な輸出急増は各国に警戒感を広げている。各国政府は、自国産業への打撃と中国を敵に回すリスクとの間で対応を迫られている。中国はすでに世界の半数以上の国にとって最大の貿易相手国となっている。
今年に入り、自動車や自動車部品、鉄鋼などの中国製品に最大50%の関税賦課する方針を明らかにしたなど、公に対抗措置を示したのはメキシコのみだが、他の国々への対応を求める圧力は高まっている。非公開情報を理由に事情に詳しい関係者が匿名で明かしたところによると、インド当局はここ数週間、中国やベトナムなどからダンピング(不当廉売)に関する調査の申請を50件受理したという。
それでも各国が本格的な措置に踏み切る可能性は限定的だ。すでにトランプ政権との関税交渉で手一杯の国々は、中国との新たな貿易戦争に乗り出すことを避ける傾向にある。これにより中国は、かつてエコノミストらが年間成長率を半分に押し下げると懸念していた米国の関税措置に対して、ある程度の猶予を得ている形だ。
調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの中国調査担当副ディレクター、クリストファー・ベドー氏は「(各国の)抑制された反応は、米国との貿易交渉の影響を受けている可能性が高い。世界貿易システムの崩壊に加担するように見られたくない国もあるし、自国の貿易交渉において米国への譲歩として提示するために、対中関税を控えている国もあるかもしれない」と述べた。
中国は各国の対抗措置を抑え込むため、外交的な懐柔と経済的脅威の双方を駆使している。今月には習氏が主要新興国「BRICS」の首脳会議で反保護主義を訴えたほか、中国商務省の当局者はメキシコに対し、行動を起こす前に「よく考える」よう警告し、こうした措置には非難が伴うことを明確にした。
一方、トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)諸国に対し、ロシアへの支援を理由に最大100%の対中関税を課すよう圧力をかけている。
ブルームバーグ・エコノミクスの舒暢氏らは、もし米国が他国を取り込んで中国包囲網を築けば、不動産不況や高齢化といった国内課題への対応は一層難しくなると指摘。「中国は即座に報復関税を課すだろうが、同盟国を必要としている時に、パートナー国との関係を悪化させるリスクがある」との見方を示した。
ドイツ銀行の見通しによれば、ドル軟調の展開が続き、年末までに1ドル=140円を下回る可能性がある。
同行で外国為替調査責任者、ジョージ・サラベロス氏はリポートで「ここ数カ月で、貿易戦争が融和的になり、外国投資家が米国資産に戻るなど、ドルにとってある程度前向きな動きが見られた」と指摘。そのうえで「しかし本質的には弱気の見方を維持している」と述べた。
サラベロス氏は、日本でインフレ対応の必要性が高まっているとし、米金融当局が利下げを進める一方で日本銀行が利上げに踏み切れば、円高要因になるとの見方を示した。さらに「非常に割安な水準から始まっているため、この後の自民党総裁選後に政治的な環境が整えば、円には長い上昇余地がある」との見方を示した。
トランプ米大統領が掲げる移民受け入れ削減の公約は、製造業や投資を呼び込み米経済を活性化させるというもう一つの目標と完全に矛盾している。両立は不可能なのだが、大統領はその点を理解していないように見える。
ここ数カ月、トランプ氏は移民を萎縮させる容赦ない強制送還と、影響を受ける産業に対する曖昧な例外措置の約束との間で揺れ動いてきた。明確な計画は一度も示されていない。政権が発する矛盾したシグナルは、企業と労働者の双方に耐え難い混乱をもたらし、米経済に悪影響を及ぼしている。
宿泊業、建設業、農業、製造業のいずれであっても、経済には豊富な労働力が不可欠だ。米国は高齢化が進む国であり、移民を締め出せば立ち行かなくなる。
この矛盾が鮮明になったのが、9月4日にジョージア州の現代自動車とLGエナジー・ソリューションの合弁電池工場で行われた摘発だ。約500人が拘束され、その中には数百人の韓国人技術者が含まれていた。この事案は外交問題に発展し、韓国側では「国辱」との声も上がった。韓国政府は人権侵害の可能性について独自調査に着手し、大統領は今後の投資を継続すべきか疑問を呈している。
これを受け、トランプ氏や政権幹部はようやく強い衝撃を受けたようだ。トランプ氏は最近のトゥルース・ソーシャルへの投稿で懇願にも近い調子となり、「外国や外国企業による対米投資を追い払ったり、やる気をそいだりしたくはない。彼らもその従業員も歓迎するし、そこから学ぶ用意があると誇りを持って言える」と述べた。その後、ランドー国務副長官がソウルを訪問し、このメッセージを直接伝えた。
ジョージア州での摘発は、政権が相反する政策を同時に進めていることを示す実例に他ならない。疑問なのは、移民税関捜査局(ICE)が企業関係者や従業員と協力し、特定目的で一時的に滞在していた就労者のビザ問題を解決する道はなかったのかという点だ。あえて「揚げ足取り」のような摘発に踏み切る必要はなかったはずだ。ジョージア州と韓国は数十年にわたりビジネス上のパートナー関係を築いており、電池工場は双方にとって戦略的に重要なプロジェクトだ。これまでの歴代米政権であれば、大げさな騒動にせず問題を解決していただろう。しかし、トランプ政権にはそうした発想がなかったようだ。
問題は対米投資にとどまらない。移民労働力に依存する米国企業は、深刻な人手不足に直面している。
トランプ氏は6月の時点で、農場やホテルなど特定業種で移民が働けるようになる「一時パス」の導入を示唆していた。その際、同氏は臆面もなく「私は両方の立場にある。史上最強の移民規制派であると同時に、史上最強の農業支持者でもある」と語った(ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズの報道によれば、トランプ・オーガニゼーションは過去にホテル、ゴルフ場、ワイナリーなど十数カ所の施設で不法移民を雇用していた)。
19日にトランプ氏が突如発表したH-1Bビザに対する新たな措置で、混乱はさらに拡大した。専門技術を持つ外国人向けの同制度を見直し、申請に10万ドル(約1480万円)の手数料を課すというものだ。H-1Bビザを取得した就労者はITやエンジニアリングをはじめ多くの業界で活躍しており、企業側には激震が走った。いつものようにトランプ政権は週末を費やし、釈明や修正に追われた。
大量送還やその他の規制は萎縮効果をもたらし、景気減速の一因となっている。米労働省の非農業部門雇用データを分析したピーターソン国際経済研究所は、2025年の建設業、ホテル、外食、在宅介護分野での雇用増加が横ばいにとどまっていると指摘した。それまで非正規移民に依存してきた業種の雇用は、民間部門全体と同じ歩調で増加していた。
同研究所はさらに、トランプ氏が掲げた「不法移民を取り締まれば米国人労働者の雇用が増える」との公約は、いまだ実現していないと結論づけた。移民の減少は、米国生まれの労働者の雇用を押し上げることにはつながっていない。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、トランプ氏による移民制限と景気の減速を直接結び付けた。雇用が低迷した理由を問われたパウエル氏は「主に移民の変化によるものだ。労働供給の伸びはほとんど、あるいは全くない」と答えた。米議会予算局(CBO)は、2029年までに29万人の移民が国外退去となり、労働力人口が縮小し、国内総生産(GDP)成長に影響を及ぼすと試算している。
トランプ氏が取れる現実的な手段はいくつかある。まずは、これまで一貫して避けてきた議会との交渉に踏み出し、米国が必要とする移民の合法的な受け入れの枠組みを整備することだ。また、4月の閣議で言及したように、国土安全保障省に指示を出し、一時的な就労ビザを拡充・改善させることも可能だろう。移民論議を過激化させてきたスティーブン・ミラー大統領次席補佐官ら、政権内の強硬派の声を抑えることも選択肢となろう。
先週、トランプ氏は新たに市民権を取得した人々に向け、異例ともいえる歓迎と融和のメッセージを発した。「米国との神聖な絆を築いた」と称賛し、「我々の歴史はいまやあなた方の歴史だ」と強調。さらに、合衆国憲法は「あなた方が守り、尊び、敬うべきものだ」と呼びかけた。
立派で心を打つ言葉だ。しかし、具体的な行動と明確な方針を伴わなければ意味がない。移民はこれまでも、そして今も米国の生命線である。この国へ入るための合法的で尊厳ある手段を彼らに与え、企業には自社の労働者が正当に滞在できるという安心を与えるべきだ。
ベルリン、ロンドン、ブリュッセルの各空港では22日も混乱が続いた。主要航空会社のチェックインシステムがサイバー攻撃を受け、職員が手作業で対応せざるを得なくなったためだ。遅延や欠航など影響は広範囲に及んでいる。
今回の障害は、米コリンズ・エアロスペースが提供するシステム「MUSE」が19日遅くにサイバー攻撃で停止したことに端を発する。このシステムは世界の航空会社のチェックイン、搭乗、手荷物システムを支える基盤となっており、各空港は手作業に切り替えざるを得なくなり、乗客の流れが滞っている。
ドイツのベルリン・ブランデンブルク空港は遅延の継続を報告。英ヒースロー空港は「大多数の便は運航している」と説明しつつ、出発前に運航状況を確認するよう旅行者に呼びかけた。欧州の他の空港にも影響は及び、ダブリン空港では現地時間正午時点で13便の欠航が報告された。
今回の混乱は、基幹システムの提供元で障害が発生した際に航空会社や空港が受ける打撃の大きさを浮き彫りにした。コリンズのシステムが全面復旧するまでは、不安定な状況は続くとみられる。
今年はインフラや航空分野に対するサイバー攻撃の脅威が高まっている。仏タレスが6月に公表した報告書によれば、航空業界におけるランサムウエア攻撃は前年比で600%増加し、航空会社や空港、航行システムや関連サービスで数十件の被害が確認された。
フランスの長引く政治危機が同国をユーロ圏の財政問題の震源地に押し上げ、長らくその立場にあったイタリアとの位置が逆転しつつある。
この構図が鮮明になったのは20日だ。フランスが1週間で2回目のソブリン債格下げに見舞われた一方、イタリアはフィッチ・レーティングスから2021年以来となる格上げを得た。両国の格付けの差は3段階となった。フィッチによると両国の評価の差は縮小している。
短期的な懸念材料はフランスに集中している。昨年の解散総選挙以来の不安定な政局、財政赤字目標の未達成、財政再建に向けた明確な道筋の欠如だ。議会は対立する派閥に分断され、首相はこの2年足らずで5人目となっている。
一方のイタリアでは、メローニ首相率いる現政権が3年近く政権を維持している。異例の長期政権の下で、赤字削減ペースを加速させることにも成功している。
債券市場も両国の差の縮小を示す。イタリア国債とフランス国債の利回りは現在、ほぼ同水準だ。
フランスはもともとイタリアより大きな財政赤字を抱え、欧州連合(EU)が定める国内総生産(GDP)比3%の基準を守ることはまれだった。イタリアは早ければ来年にもこの基準を下回る見通しだ。
イタリアより大きな歳出を抱えるフランスは、常により多くの税収を必要としてきた。税収の動きは長らく似通っていたが、2017年のマクロン大統領就任以降、両国の差は縮まってきた。
近年、イタリア政府は税務手続きのデジタル化や電子的に記録が残る決済の普及を進めたことで、歳入が押し上げられている。
一方のフランスでは、マクロン大統領が企業向けの大幅減税を含む積極的な企業優遇策を推し進めてきた。
経済規模ではフランスが依然として優位に立つ。国際通貨基金(IMF)のデータによれば、フランスのGDPは23年に3兆ドル(約445兆円)を突破した。一方、イタリアは直近の四半期で成長が減速し、今年の成長率見通しは0.6%に下方修正された。
結局のところ、両国に共通するのは政府債務の重さだ。依然としてイタリアの負担の方が大きいが、フランスが財政再建が行き詰まる中、その差は急速に縮小している。
イタリアは財政健全化を進め、小幅ながら基礎的財政収支を黒字に戻し、その余力を借り入れ金削減に充てている。
ただ、巨額債務と高金利が重なり、両国とも政府の利払い負担は一段と膨らむ見通しだ。
フランスの年間利払い費は会計検査院によれば、20年の約300億ユーロ(約5兆2000億円)から、29年には1000億ユーロ超へと拡大する見込み。
イランと英仏独の欧州3カ国は、イランに対する国連制裁復活の回避に向けて瀬戸際の協議を行っている。複数のイラン高官や西側外交筋が22日、ロイターに明らかにした。
関係筋によると、イランと英仏独の外相は23日、国連総会に合わせて会談する。
欧州3カ国は8月28日、イランが2015年核合意に違反しているとして国連制裁の復活に向けた手続きを開始し、30日間の検討期間に入った。
イラン高官は「イランは今朝から国連で欧州3カ国や欧州連合(EU)の関係者、グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長に接触している。さまざまな案が提示され、議論されている」とし、イラン外相が23日に欧州3カ国外相およびEUのカラス外交安全保障上級代表と会談し、協議を継続すると述べた。
欧州外交官2人も23日の会談を確認した。
ただ、別の欧州外交官はイランが今のところ欧州3カ国が設定した条件を満たしていないと指摘。「ボールはイラン側にある。今後数日内に『スナップバック』(制裁復活)回避に向けた具体的な措置を迅速に講じるのはイランの責任だ。さもなければ制裁は再発動される」と述べた。
さらに別の欧州外交官も、合意に達する可能性は低いと述べた。
自民党総裁選は23日午前、党本部で候補者5人による共同記者会見を開き、財政規律や物価高対策などについてそれぞれ主張を繰り広げた。高市早苗前経済安全保障担当相が国債増発の可能性に言及する一方、林芳正官房長官は「金利のある世界」での財政規律の重要性を強調した。小泉進次郎農林水産相と小林鷹之元経済安保相は消費税減税に含みを持たせた。
「責任ある積極財政」を掲げる高市氏は、「金利上昇リスクに目配り必要だが、政府の保有資産価格も上がる」と指摘。「名目成長率が金利を上回る形を作って財政再建をしていく」とした上で、「財政規律として大事なのは国債発行額でなく財政の継続性」と語った。
また、物価高対策として減税や交付金を実施する場合の財源について、税収の余剰分を使うとしつつ、「どうしてもという時には国債の発行もやむを得ない」と述べた。
一方、林官房長官は「国債増発は原則として慎まなければならない」と語り、「金利のある世界に戻ってきたので注意して運営する必要がある」と強調した。
報道陣の質問が消費税減税に及ぶと、小泉農相は「あらゆる選択肢を排除することなく与野党で向き合う必要がある」と述べた。小林元経済安保相も、消費減税は簡単でないとしつつ、「日本・世界経済が極めて不透明になったときに内需喚起の1つの選択肢として俎上に乗ってくるのではないか」と話した。
今回の総裁選で消費減税を公約に盛り込まなかった高市前経済安保相は、「党内で練り直しが必要」と語った。
5候補とも、首相就任後にトランプ米大統領との早期会談実現に意欲を示した。前党幹事長の茂木敏充氏は、石破茂政権による関税交渉を評価しつつ「難しいのは理解しているが更なる関税引き下げを求めたい」と述べた。
選択的夫婦別姓については、候補者全員が慎重な姿勢を示した。
トランプ米政権は、射殺された保守系活動家チャーリー・カーク氏が築いた強力な「若年有権者動員マシン」の維持に躍起になっている。事情に詳しい関係者2人が語った。
カーク氏の死去により、最も影響力のある右派政治組織の1つ、「ターニング・ポイントUSA」の指導部に空白が生じた。別の関係者によると、ホワイトハウスは水面下で、今後はバンス副大統領が若い有権者と直接関わっていく案について「予備的な議論」を行っている。
ターニング・ポイントUSAの創設者であるカーク氏は昨年の大統領選挙で、特に若い男性有権者のトランプ氏支持率の押し上げに貢献したとして、同氏から高い評価を受けた。この層の支持率は2020年から7%ポイント上昇し、46%に達していた。
来年の中間選挙で議会過半数維持を目指す共和党にとって、若年層の投票率は鍵を握るとみられている。
ターニング・ポイントは18日、カーク氏の妻エリカ氏が新たな最高経営責任者(CEO)に就任すると発表した。亡き夫と同じキリスト教の信仰と保守的な信念を持つ実業家のエリカ氏は、夫の死直後のビデオメッセージで、若い米国民を保守的な大義に呼び込むという夫の使命遂行に一層力を入れると誓った。
とはいえカーク氏の死はターニング・ポイントが、最も強い影響力とカリスマ性を持つスポークスマンを失ったことを意味する。全米の大学キャンパスで大勢の聴衆を集める類まれな能力も失われた。
<親友、バンス副大統領>
ホワイトハウスは、カーク氏の死によって生じた空白を埋めようと急いでいるという印象を与えないよう気を配っている。ケリー報道官は「チャーリー(・カーク氏)は、歴史的な若年有権者層の支持獲得において重要な役割を果たし、11月のトランプ氏(の大統領選)圧勝に貢献した」と語った。
トランプ、バンス両氏は、21日にアリゾナ州で行われたカーク氏の追悼式で弔辞を述べた。ホワイトハウス当局者は書面で、バンス氏の「チャーリーの死に対する反応は政治的なものではなく、個人的なものだ」と強調する。
3人目の関係者によると、バンス氏自身を含む政権幹部の間で、次世代の保守派を積極的に動員することによってカーク氏が築いた勢いに弾みを付ける必要がある、との認識が強まっている様子だ。
バンス氏が担う正式な役割はまだ決まっていないが、今年から始まる大学のキャンパスツアーが含まれる可能性があると、この関係者は語った。
ロイターは、こうした議論がホワイトハウス内に限られたものか、あるいは若い保守運動指導者らにも広く共有されているのかを確認できなかった。
ターニング・ポイントの広報担当者、アンドルー・コルベット氏は、若年有権者の動員におけるバンス氏の役割についての話し合いに自分は加わっていないと説明した上で「JD(・バンス氏)はその役割にぴったりだ」と指摘。「彼はミレニアル世代であるだけでなく、史上最も若い副大統領の1人でもある。チャーリー・カーク氏の親友であり、チャーリーもJDが大好きだった」と述べた。
ターニング・ポイントの現メンバーおよび元メンバー、そして共和党の若い有権者グループの指導者ら十数人に取材したところ、多くが41歳のバンス氏がより重要な役割を担うことを歓迎すると答えた。
3人目の関係者によると、ホワイトハウスは、バンス氏の親しみやすさ、デジタルへの精通ぶり、そして個人的な経歴――アパラチア地方の貧しい家庭で育ち、海兵隊員を経てエール大法科大学院に進学――が、若い有権者とつながるのに適しているとみている。
同情報筋は、バンス氏はZ世代が信頼するプラットフォームで、Z世代に響く口調で話せるのも唯一無二の特徴だと言い添えた。
全米青年共和党連盟のヘイデン・パジェット会長は「バンス氏は素晴らしい資産になるだろう。我々と年齢が近いのも強みだ」と語った。
<タイラー・ボウヤー氏>
ロイターが取材した人々の大半は、ターニング・ポイントの最高執行責任者(COO)であるタイラー・ボウヤー氏の重要性も強調した。同氏は、若い有権者を投票所に呼び込むという草の根活動の立案者だ。
共和党支持の大学生の団体「カレッジ・リパブリカンズ・オブ・アメリカ」のウィル・ドナヒュー会長は「チャーリー(・カーク氏)はターニング・ポイントのフロントマンであり、資金調達マシンであり、組織の設計者だった。タイラー氏は(政治部門である)ターニング・ポイント・アクションの現場における成功を支えた頭脳だ」と説明した。
この活動は1億ドルの資金と数千のキャンパス支部に支えられており、カーク氏亡き後も続くと支持者らは言う。ボウヤー氏らは既にペンシルベニア、ウィスコンシン、アリゾナなど激戦州の下院選挙区に狙いを定めて計画を立案しつつある。
ターニング・ポイントが長年かけて構築してきた約900の大学支部と約1200の高校支部からなるネットワークは、カーク氏の死を受けてさらに強化される可能性すらあると情報筋らは言う。
ターニング・ポイントのコルベット氏は、カーク氏の死後、大学や高校から4万件の新支部設立の要請があったと語った。
<カーク氏の再現は困難>
ただZ世代有権者を専門とする世論調査専門家、ジョン・デラ・ボルペ氏は、バンス氏にせよほかの誰かにせよ、カーク氏が2012年のターニング・ポイント設立以来、若年保守派層から勝ち取ってきたレベルの信頼を得られるかどうかは疑問だと語る。
「カーク氏は、自身の理念を反映した組織を構築するのに何年もかかった。そのような文化的基盤は、容易に再現できない」と分析する。
一部の若い保守派の指導者らは、若いリベラル派らとの討論で「バズる」場面を作り出したり、トランプの政策を若者に分かる言葉に「翻訳」したりする能力は、再現が難しいだろうと話す。
ターニング・ポイントのノースカロライナ大チャペルヒル校支部代表のプレストン・ヒル氏は、1人の人物ではなく、複数の保守派が力を合わせて空白を埋める必要があると指摘。「今回の事件を機に、小さな地域密着型チャーリー・カークが何百人も誕生するだろう」と語った。
欧州の一部主要空港は19日に自動チェックインのシステムがサイバー攻撃を受けて障害が発生した影響で運航が乱れ、21日も影響が続く中で正常化に向けた取り組みが続いた。問題が続いているブリュッセルの空港当局は航空各社に対し、22日に同空港を出発する便の半分を欠航とするよう要請した。
サイバー攻撃を受けたのは世界各地の空港にチェックインや搭乗手続きのシステムを提供するコリンズ・エアロスペースのシステム。このシステムの障害によってロンドンのヒースロー空港やベルリン、ブリュッセルの空港で混乱が生じた。
これらの空港では20日、旅客の手続きのため長い列ができたほか、搭乗予定の便が欠航になったり、出発が遅れたりした。空港当局と運航データによると、ベルリンとヒースローでは21日には混乱がかなり解消されたが、運航の遅れと欠航は続いている。
欧州の主要空港、21日も運航の混乱続く サイバー攻撃の影響
欧州の一部主要空港は19日に自動チェックインのシステムがサイバー攻撃を受けて障害が発生した影響で運航が乱れ、21日も影響が続く中で正常化に向けた取り組みが続いた。写真は3月22日、英ロンドンで撮影(2025年 ロイター/Isabel Infantes)
コリンズは22日の声明で、影響を受けた空港および航空各社と協力しており、完全な機能を回復するために必要な更新を完了する最終段階にあると述べた。
ブリュッセル空港の広報は、コリンズがシステムを全面復旧させるのに必要なソフトウエアの更新を完了していないため、22日も航空会社に一部便の欠航を要請することになったと説明した。
ブリュッセル空港では21日に同空港を出発する予定だった257便のうち50便が欠航になった。20日は234便中25便の運航が取りやめになった。
コリンズ・エアロスペースの親会社であるRTX(RTX.N), opens new tabは20日、問題を可及的速やかに解消する作業を進めていると説明。混乱はチェックイン手続きを人手で実施することにより、影響が和らぐ可能性があると言及した。
トランプ米大統領は21日、アリゾナ州グレンデールで開かれた保守派政治活動家チャーリー・カーク氏の追悼式に出席し、「米国の自由のための殉教者」とたたえ、同氏が殺害された責任は「極左」にあると改めて主張した。
演説で「暴力は主に左翼からもたらされている」と根拠を示さずに述べ、他の出席者のスピーチとは対照的に党派的な言及もしばしばあった。
カーク氏が創設した保守派の学生団体「ターニング・ポイントUSA」が主催する追悼式は、会場となったフットボールスタジアムに数万人の弔問客が詰めかけた。カーク氏の妻エリカさんは「彼は後悔なくこの世を去った。毎日、自分にできることを100%やっていた」などと述べ、亡き夫をしのんだ。
また、カーク氏を殺害した疑いで訴追された容疑者については「私は彼を許します」と、涙ながらに述べた。
バンス副大統領は、カーク氏が若者の集票という点でトランプ氏の大統領復帰に貢献したと評価。「われわれの政権がここにいるのは、単にチャーリーを友人として愛しているからではなく、彼がいなければここにいないことを知っているからだ」と語った。
一方、カーク氏の死が保守運動において極めて重要な瞬間だとし、同氏の運動をやり遂げるよう、時に攻撃的な言葉で支持者に呼びかける政治家も見られた。
格付け会社ムーディーズは19日、ポーランドの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。
理由については「財政・債務関連指標が従来の想定に比べて大幅に悪化していることの反映」としている。
フィッチも今月、格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に修正し、予想以上の財政赤字拡大や2027年の総選挙を控えて、信頼性のある財政再建措置が講じられる余地が限られる点に警鐘を鳴らした。
ポーランド経済は内需や欧州連合(EU)の支援金を支えに底堅さを維持し、実質国内総生産(GDP)のトレンド成長率は3%近くで推移している。ただ親EUのトゥスク首相が率いる政府とナショナリストのナブロツキ大統領の対立関係のせいで、改革が遅れ、EUの資金受け取りが進まない恐れが出てきている。
政府は8月、社会保障費や債務返済費用、防衛費の増大が影響し、来年の財政赤字は小幅の縮小にとどまるとの見通しを示した。
一方ムーディーズは、ポーランドの格付け「A2」を据え置いた。
ロシアのウクライナ侵攻や欧州の安全保障を巡る米国の関与低下に伴う地政学リスクがあるものの、そうしたリスクはポーランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟国という立場と独自の防衛力の大幅な強化で和らげられているとの見解を示した。
経済協力開発機構(OECD)は23日発表した経済見通しで、2025年の世界成長率を3.2%とし、前回6月の予測の2.9%から上方修正した。24年の3.3%からわずかな鈍化を見込む。26年の予想は2.9%で据え置いた。世界経済は予想以上に持ちこたえているものの、米関税措置の本格的な影響がでてくるのはこれからだと指摘した。
OECDは、米国の関税引き上げの影響はまだ完全には出ておらず、企業はこれまでのところ利益率の縮小や在庫バッファーを通じて影響の大部分を吸収していると述べた。26年の世界成長率予想を据え置いたのは、在庫積み増しによる効果が薄れ、関税引き上げが投資と貿易の伸びを抑えるとの見方に立ったものだ。
米国の成長率は、25年を1.6%から1.8%に引き上げ、26年は1.5%に据え置いた。人工知能(AI)投資ブーム、財政的支援、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが関税の影響を相殺するのに役立つと予想した。
中国については、米国向けの駆け込み輸出が一巡し、財政支援が後退するに伴い今年後半には成長鈍化を見込むものの、25年の成長率は4.9%、26年は4.4%にそれぞれ上方修正した。
ユーロ圏については、利下げの効果が貿易摩擦や地政学的緊張によって帳消しになると予想。25年の成長率を1.0%から1.2%に上方修正する一方、26年は1.2%から1.0%に引き下げた。
日本については、今年は好調な企業収益、投資回復の恩恵を享受するとして成長率を0.7%から1.1%に上方修正した。26年は勢いが鈍り0.5%への減速を見込んだが、6月予測の0.4%から若干引き上げた。
英国の成長率は、25年を1.3%から1.4%に引き上げ、26年は1.0%に据え置いた。
世界の投資家が欧州株に再び注目している。市場関係者によると、底堅いリターンと割安なバリュエーションを背景に分散投資先として魅力が高まっている。
アムンディやM&Gインベストメンツといった運用会社は資金を欧州に振り向けている。
アムンディは2024年後半以降、欧州・日本・新興市場への長期株式ポジションのリバランスを進めている。M&Gは欧州株を「オーバーウエート」、米国株を「アンダーウエート」としている。
アムンディのマルチアセットソリューション担当グローバル責任者ジョン・オトゥール氏はロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで「リスクオンを維持しながら分散化する手段」として欧州株は魅力的だと語った。
欧州市場では、ドイツの5000億ユーロ規模のインフラ基金や、北大西洋条約機構(NATO)の新目標でユーロ圏諸国が防衛費増額を表明したことが、好感されている。
オトゥール氏は、こうした財政政策を「ゲームチェンジャー」と表現。中央銀行も実体経済の支援を継続していると指摘した。
欧州株の指標となるSTOXX600指数(.STOXX), opens new tabは今年9.2%上昇。航空宇宙・防衛株(.SXPARO), opens new tabが62%急伸した。米S&P500種指数(.SPX), opens new tabは13.3%の上昇だ。
一方、LSEGのデータによると、STOXX600指数の予想株価収益率(PER)は15.6倍。S&P500種指数の25.3倍を下回っている。
JPモルガン・プライベート・バンクのグローバル投資戦略共同責任者、スティーブン・パーカー氏は、欧州の財政見通しが改善しているとした上で「米国に比べて大幅に割安な水準で取引されており、米国より高い配当も提供してくれる市場だ」と指摘。
M&Gインベストメンツのファビアナ・フェデリ最高投資責任者(株式・マルチアセット・サステナビリティー)も、バリュエーションの格差がチャンスになるとし、テクノロジー、ヘルスケア、エネルギーインフラや金融が注目セクターだと指摘した。
ただ、リスクも残っており、米国の自動車・鉄鋼関税、通貨変動に伴う価格競争力の低下、景気減速、投資上の課題、財政政策を巡る不透明感などがリスク要因として指摘されている。
インドは世界的な半導体大国になりたいと願っているが、その可能性は高い。競争は激しく、インドは最先端の半導体を製造する競争に後発で参入している。
2022年、米国が最先端技術への北京のアクセスを抑制するために高度なAIチップの中国への輸出を制限したとき、半導体の自立を目指す世界的な競争が始まった。
インドにとって、これはチャンスだった。同国は輸入への依存を減らし、戦略的分野向けの半導体を確保し、中国から離れつつある世界の電子機器市場でより大きなシェアを獲得したいと考えている。
インドは世界有数の電子機器消費国ですが、国内に半導体産業はなく、グローバルサプライチェーンにおける役割は限定的です。ニューデリーの「半導体ミッション」は、この状況を変えることを目指しています。
その野望は大胆だ。設計から製造、試験、梱包に至るまで、完全なサプライチェーンをインド国内に構築したいのだ。
今月時点で、インドは10件の半導体プロジェクトを承認しており、総投資額は1兆6000億ルピー(182億ドル)に上る。これらには、2つの半導体製造工場と複数の試験・梱包工場が含まれる。
インドには、すでに世界的なチップ設計企業に雇用されている優秀なエンジニアのプールもあります。
しかし、これまでの進歩は不均一であり、投資も人材もインドの半導体産業の野望を現実のものにするのに十分ではないと専門家らは指摘する。
「インドに必要なのは、少数のファブやATP施設(つまり、少数の『光り輝く物体』)ではない。ダイナミックで奥深く、長期的なエコシステムが必要だ」と、科学技術政策シンクタンク、情報技術イノベーション財団のグローバルイノベーション政策担当副社長、スティーブン・エゼル氏は述べた。
エゼル氏によると、大手半導体メーカーは数十億ドル規模のファブ投資を行う前に「500もの個別要因」を考慮しているという。これには人材、税制、貿易、技術政策、労働賃金、法律、関税政策などが含まれており、これらはすべてインドが取り組むべき課題だ。
ニューデリーの政策推進
インド政府は5月、半導体産業の野望に新たな要素を加えた。それは、重大なボトルネックに対処する電子部品製造を支援する計画だ。
これまで、インドには携帯電話カメラ会社などの電子部品製造会社がほとんど存在しなかったため、チップメーカーの製品に対する現地での需要はなかった。
しかし、この新しい政策は能動型および受動型の電子部品を生産する企業に財政支援を提供し、チップメーカーが参入できる潜在的な国内の買い手と供給者の基盤を作り出す。
2022年には、中国は28nm以下のチップを製造する製造拠点に優遇措置を与えるという戦略を転換しました。チップに関しては、サイズが小さいほど性能が向上し、エネルギー効率も向上します。これらのチップは、より多くのトランジスタを同じスペースに詰め込むことで、高度なAIや量子コンピューティングなどの新技術に活用できます。
しかし、このアプローチはインドの新興半導体産業の発展には役立たなかったため、ニューデリーは現在、チップのサイズに関係なくすべての製造ユニットとチップのテストおよび梱包ユニットのプロジェクト費用の50%を負担している。
台湾と英国の製造企業、および米国と韓国の半導体パッケージング企業はいずれも、インドの半導体産業への野望を支援することに関心を示している。
「インド政府は半導体メーカーをインドに誘致するために手厚い優遇措置を講じてきた」とエゼル氏は述べたが、「こうした投資は永遠に続くものではない」と強調した。
長い道のり
現在インド最大の半導体プロジェクトは、タタ・エレクトロニクスが台湾のパワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング・コーポレーションと提携し、ナレンドラ・モディ首相の地元グジャラート州に建設中の9100億ルピー(110億ドル)規模の半導体製造工場だ。
タタ・エレクトロニクスによると、この部門は、AI、自動車、コンピューティング、データストレージ業界で使用できる電力管理集積回路、ディスプレイドライバ、マイクロコントローラ、高性能コンピューティングロジック用のチップを製造するという。
英国のClas-SiC Wafer FabもインドのSiCSemと提携し、インド東部の州オリッサに同国初の商用複合工場を設立した。
政府のプレスリリースによると、これらの化合物半導体はミサイル、防衛機器、電気自動車、家電製品、太陽光発電インバーターなどに利用できる。
「今後3~4年はインドの半導体目標の推進にとって極めて重要になる」とPwCインドの半導体担当マネージングディレクター、スジェイ・シェティ氏は語った。
シェティ氏によると、運用可能なシリコン製造施設を確立し、インセンティブを超えた技術的およびインフラ的なハードルを克服することが重要なマイルストーンとなるだろう。
ファブを超えた機会
製造現場は、洪水や振動のない地域であること、信頼性の高い道路接続があることなど、厳しい要件を満たす必要があり、一部の地域では継続的な物流上の考慮が必要になる場合があります。
シェティ氏はさらに、インドは「先進的な半導体製造に不可欠な超高純度基準」を満たす特殊化学品サプライヤーも必要としている、と付け加えた。
インドでは、チップ製造工場以外にも、多くの中規模企業がチップのテストおよびパッケージングユニットの設置に関心を示しています。ファブに比べて利益率が高く、資本集約度が低いことから、複数のインド企業もこの分野に参入しています。
「アウトソーシングされた半導体組立・試験(OSAT)はインドにとって大きなチャンスとなるが、持続的な成長には市場アクセスと需要チャネルの明確化が重要になるだろう」とシェティ氏は言う。
この分野で成功すればインドは世界のチップ産業に参入することになるが、ニューデリーが最先端のチップ技術である2nm半導体を国内で開発・製造するにはまだ遠い。
これらの2nmチップは、トランジスタサイズが小さいため、優れた性能と電力効率を実現します。FTの報道によると、台湾積体電路製造(TSMC)は今年後半に最先端の2nmチップの量産を開始する予定です。
先週、半導体設計会社ARMの新オフィス開設式典のためバンガロールを訪れたインドのアシュウィニ・ヴァイシュナウ大臣は、英国企業が南インドのこの都市で「AIサーバー、ドローン、2nmの携帯電話チップに使用される最先端のチップ」を設計すると語った。
しかし専門家は、チップ設計の中核となる知的財産は、確立された知的財産制度がそのような活動をサポートしている米国やシンガポールなどの場所に保管されていることが多いため、地元の人材の役割は非中核設計のテストと検証に限定される可能性が高いと指摘している。
「インドには設計分野で十分な人材がいる。なぜなら、過去2年間で登場した半導体製造やテストとは異なり、設計は1990年代から存在していたからだ」と、インドで世界的な半導体企業の採用に15年以上携わった経験を持つリクルーターのジャヤンス・BR氏は語った。
同氏によると、グローバル企業は通常、「ブロックレベル」の設計検証作業をインドに外注しているという。
インド政府が半導体分野での野望を実現したいのであれば、これを超える問題を解決しなければならないだろう。
「インドは、デジタルコンテンツやソフトウェアといった新たな形態の知的財産に対応するため、知的財産法の改正を検討するかもしれません。もちろん、執行メカニズムの改善は知的財産権の保護に大きく貢献するでしょう」と、ムンバイに拠点を置くJSAアドボケーツ・アンド・ソリシターズのパートナー、サジャイ・シン氏は述べています。
「私たちの競争相手は、米国、欧州、台湾といった国々です。これらの国々は、強力な知的財産法を持っているだけでなく、チップ設計のエコシステムもより確立されています。」
過去60年間で世界の出生率は急落しており、専門家らは下降傾向が続くと悲惨な結果を招くと警告している。
人口研究所のスティーブン・モッシャー所長は、人口抑制、人口統計、そして中国の専門家であり、低出生率が続くと「人口の高齢化と死亡に伴い、世界経済は徐々に崩壊するだろう」と大紀元にメールで述べた。
「もちろん、これは一夜にして起こるものではないが、一旦それが本格化してしまうと、方向転換するのは不可能ではないにせよ困難になるだろう」と彼は語った。
出生率(女性が生涯に産む子どもの平均数)と出生率(一定期間における人口 1,000 人あたりの出生数)は関連があり、しばしば互換的に使用されますが、異なる用語です。
出生率が低い国では出生率も低くなる可能性が高い。
マクロ経済学者のヘスス・フェルナンデス・ビジャベルデ氏は、アメリカンエンタープライズ研究所の2月の報告書の中で、低出生率を「現代の真の経済的課題」と呼んだ。
1960年には、平均的な女性は生涯で4~5人の子供を産んでいました。2023年までにその数は2.2人に半減し、人口置換水準(ある世代から次の世代へと人口が入れ替わる水準)である2.1人に近づいています。
7月、米国国勢調査局は、世界人口が今年81億人に達すると予測しました。専門家は、この数字は1960年の30億人から増加しているものの、注目すべきは人口増加のペースだと指摘しています。
同局は、「成長率は数十年前の1960年代にピークに達し、それ以降は低下しており、今後も低下し続けると予測されている」と述べた。
フェルナンデス=ビジャベルデ氏は、成長率の低下はすぐには影響を及ぼさないかもしれないが、半世紀も経たないうちに出生率の低下が世界経済に影響を及ぼすだろうと警告した。出生率が低い、あるいは出生率がマイナスの国は、労働力の減少と高齢化に伴うコストの増大に直面することになるだろう。
世界の出生率
国勢調査局によると、世界人口のわずか約4%が、女性1人あたり5人以上の子どもを持つ高出生率の国に住んでおり、これらの国はすべてアフリカにある。これらの国でも、出生率は概して以前より低下している。
同局は、世界の人口のほぼ4分の3が出生率が人口置換水準以下である国に住んでいると報告した。
世界で最も人口の多い国であるインドの出生率は、過去60年間で着実に低下している。国連人口基金は6月、インドの出生率が女性1人あたり1.9人となり、1960年の5~6人から減少していると報告した。
1990年、中国の出生率は一人っ子政策にもかかわらず2.51だった。国連人口部によると、2023年までに女性1人当たりの出生率は1人未満にまで低下した。
アメリカ合衆国では、出生率が持続的に低下しています。1972年には人口置換水準を下回り、2023年には1.62と史上最低を記録しました。
アジアとヨーロッパの国々の出生率は世界で最も低く、韓国(0.72)、シンガポール(0.97)、ウクライナ(0.977)、中国(0.999)ではいずれも出生率が1を下回っています。
ヨーロッパ、北米、東アジアの多くの地域で出生率が人口置換水準を下回っています。
60年代を振り返る
西洋世界では、1960年代に始まった出生率の低下は、経口避妊薬の登場、中絶の合法化、無過失離婚の広範な採用と同時に起こった。
アメリカ合衆国では、1960年に食品医薬品局(FDA)が最初の経口避妊薬を承認しました。全米出生率調査(National Fertility Study)の報告書によると、5年以内にアメリカの出生率は「大幅に」低下しました。1976年には、アメリカの出生率は過去最低の1.7にまで低下しました。
1973年、ロー対ウェイド事件の最高裁判決を受け、アメリカ合衆国では中絶が合法化されました。当時、イギリス、ノルウェー、シンガポールなど、他のいくつかの国でも中絶が合法化されていました。
アメリカの決定に続いて、デンマーク、韓国、フランス、西ドイツ、ニュージーランド、イタリア、オランダなど、多くの国が中絶を禁止しました。現在、中絶を完全に禁止しているのはわずか22カ国です。
トランプ政権は、2019年以降は新たな化石燃料事業への資金提供を停止するというこれまでの方針を転換し、世界銀行に対し、石油・ガスプロジェクトへの融資を増やすよう提唱している。
この取り組みは、特に上流のガス開発におけるエネルギー安全保障を優先するものであり、化石燃料プロジェクトへの融資を行う他の開発銀行にも広がっています。
記事では、トランプ大統領の当選後、北米の銀行や資産運用会社がネットゼロ提携から撤退する傾向にあると指摘しており、一部のセクターで気候重視の融資から方向転換していることを示唆している。
トランプ政権は世界銀行に対し、石油と天然ガスへの資金提供を増やすよう圧力をかけており、これは新たな化石燃料プロジェクトに資金を提供しないという世界銀行の方針の転換となるだろう。
2017年、世界銀行グループは 2019年以降、石油・ガスの上流開発への融資を停止すると発表しました。しかし、同グループは「例外的な状況においては、貧困層のエネルギーアクセスに明確なメリットがあり、かつ当該プロジェクトが各国のパリ協定のコミットメントに適合している場合、最貧国におけるガスの上流開発への融資を検討する」と指摘しました。
米政権は現在、気候変動への懸念よりもエネルギー安全保障を優先し、特に天然ガス開発を中心にさらなる開発を推進していると開発当局者が フィナンシャル・タイムズに語った。
FTの情報筋によると、米国は他の開発銀行にも、ガスパイプラインプロジェクトを含む化石燃料への融資を促している。
近年、世界銀行と多くの商業銀行は、石炭、オイルサンド、北極圏の石油・ガスを含む一部の化石燃料への融資から撤退しました。銀行は、化石燃料へのエクスポージャーを削減し、融資ポートフォリオをパリ協定の目標に合わせるよう、株主や利害関係者から強い圧力を受けていました。
しかし、米国政権が化石燃料と石油・ガス輸出における米国の優位性を強力に推進したことで、状況は一変した。
「上流ガスへの融資を規定する包括的なエネルギー戦略は、世界銀行や他のすべての多国間開発銀行を経済成長と貧困削減という中核的使命に再び結び付けるための前向きな一歩となるだろう」と米財務省の報道官はフィナンシャルタイムズに語った。
米国の共和党州による長年の監視とブラックリスト掲載、共和党の司法長官による訴訟を経て、北米の銀行や資産運用会社は トランプ大統領の選挙勝利を受けて ネットゼロ同盟から一斉に脱退し始めた。
米国の大手銀行とカナダの大手銀行4行は、2050年までに融資、投資、資本市場活動を温室効果ガスのネットゼロ排出に合わせることを約束している世界有数の銀行グループであるネットゼロバンキングアライアンス(NZBA)から脱退した。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米半導体大手エヌビディアは、対話型人工知能(AI)のChatGPTを展開する米OpenAIに最大1000億ドル(約14兆7900億円)を投資し、新たなデータセンターやAIインフラの整備を支援する。今回の大型合意は、ChatGPTのようなAIツールとこれを稼働させるために必要な計算能力への需要が急拡大していることを改めて浮き彫りにする。
両社が22日、戦略的提携に向けた意向表明書(LOI)に署名したと発表した。エヌビディアの先端AIチップを用いてOpenAIのモデルを訓練・展開するため、OpenAIによる少なくとも10ギガワット(GW)規模のデータセンター構築を後押しする。
事情に詳しい関係者によると、投資は段階的に行われ、合意署名時に最初の100億ドルが提供される。エヌビディアは現金を出資し、その対価としてOpenAIの株式を取得。以降は、1GW分のコンピューティング能力が追加導入されるごとに資金が提供される。関係者は部外秘の情報だとして匿名を条件に語った。
合意を受け、エヌビディアの株価は22日の米国株式市場で3.9%上昇した。年初来では約37%高を記録し、時価総額で世界トップの企業としての地位を維持している。
ブルームバーグ・ニュースは先月、OpenAIが従業員や元社員が保有している同社株の売り出しを行うため、自社の評価額を約5000億ドルとする方向で協議を始めたと報じた。
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は発表資料で「この投資とインフラに関するパートナーシップは次の飛躍を意味する。10GWを展開し、次のインテリジェンスの時代を切り開く」と述べた。
10GWはニューヨーク市のピーク時の電力需要に相当する規模で、両社の構想がいかに巨大であるかが示されている。
エヌビディアは資金力を生かし、AIシステムの構築における自社製品の覇権を維持したい考えだ。独自のチップを含むハードウエア開発に取り組むOpenAIを主要顧客としてつなぎ留めれば、ライバル各社の製品が台頭する中でも、地位固めに役立つ可能性がある。
OpenAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「われわれはエヌビディアと構築するものを活用し、AIの新たな躍進を生み出すと同時に、それを人々や企業が大規模に利用できるようにする」と強調した。
OpenAIのChatGPTは週間で約7億人が利用しており、製品の開発や運用には膨大な計算能力が必要となる。同社はこれまで、顧客需要に応える上で、特に新製品リリース時に計算能力の制約に直面してきた。
エヌビディアとOpenAIは、投資の詳細や実施時期について明らかにしていない。エヌビディアの広報担当者はコメントを控えた。
両社は声明で「向こう数週間に、この新たな戦略的パートナーシップの詳細について最終的な取りまとめを行うことを楽しみにしている」と述べた。
フアン氏によると、今回のプロジェクトにはエヌビディアの半導体が最大500万個投入される見込みで、これは同社が今年出荷する総数に相当するという。
バーンスタイン・リサーチのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は、OpenAIとのパートナーシップによる収益規模は投資額そのものを上回る可能性が高いと指摘。1GW分のデータセンター電力は数百億ドル規模のエヌビディア製品を伴うとの見方を示した。
世界の原子力発電量は2024年に過去最高を記録したが、投資不足や設備の老朽化などを背景に、発電量の維持は難しいとみられている。
さまざまな研究機関が連携してまとめる「世界原子力産業現状報告書」で22日明らかになった。
報告書によると、24年の世界の原子力発電量は2677テラワット時と、3年ぶりに増加。主に中国の発電拡大が寄与した。
ただ、この水準を30年まで維持するには、すでに計画されている原発に加え、新たに44基の稼働が必要となる。
非水力再生可能エネルギーや蓄電池との競争も激化している。23年の再生エネ分野への投資は原子力の21倍。発電容量の増設は原子力の純増分の100倍を超えた。
蓄電池のコストは24年に約40%下落したが、原発のコストは上昇が続いている。
原子力プロジェクトは世界中で遅れが生じている。また、20年から25年半ばまでに着工した世界の原発45基のうち、44基は中国かロシアの国営企業がエジプトやトルコなどで手がけた。
報告書は、世界的に原発の新設が急増している証拠はないと指摘。世界の発電量に占める原子力の比率は24年時点で9%だったが、経済性やプロジェクトの進捗状況が大きく改善しない限り、今後さらに低下するとの見通しを示した。
小型モジュール炉(SMR)は、官民の投資が増加しているが、まだ大部分が構想段階にとどまっているという。
●その他
備忘録(2025/9/19-21)
●企業
建設大手レナー 第4四半期の新規受注見通しが予想下回り軟調=米国株個別
建設大手レナー<LEN>は決算を受けて時間外から軟調。NY市場に入って一時下げ幅を広げたが、その後少し買戻しが入っている。同社第3四半期営業利益は予想をわずかに下回るも、大きな乖離ではなかった。EPSは2ドルで、市場予想2.1ドルに小幅届かず。ただ第4四半期新規受注は大手金融機関のアナリスト予想を下回ったものとなり、失望売りが出ていた。新規受注は20000~21000予想、市場コンセンサスは21000を小幅越える見込みとなっていた。引き渡し件数は22000-23000予想、市場予想は25000を超えていた。
ドナルド・トランプ米大統領の英国公式訪問中に米国企業による英国への投資パッケージが発表され、ブラックストーンの不可解な取り組みが今や疑問を呼んでいる。
英国に総額2020億ドルを投入することを約束したブラックストーンは、個別投資としては過去最大規模となった。水曜日の夜、英国政府は同社が900億ポンド(1215億ドル)の先行投資を約束したと発表した。これは、データセンター支援に充当すると既に発表されている100億ポンドに上乗せされる。
ドル換算すると、ブラックストーンの総額は現在の為替レートで1,350億ドル弱となる。
ブラックストーンの広報担当者は金曜日、CNBCに対しメールで「今後10年間で1000億ポンドを超える英国資産に投資する予定です。これには企業、不動産、インフラ、民間信用への投資が含まれます」と述べた。
英国市場への「波及効果」
ブラックストーンが具体的にどのような企業やプロジェクトをポートフォリオに加えるかは不明だが、モーニングスター・ウェルスのシニア・ポートフォリオ・マネージャー、マーク・プレスケット氏はCNBCに対し、世界中の投資家はブラックストーンの英国に対する大きな関心に注目するだろうと語った。
プレスケット氏は、モーニングスターは英国を投資資金にとって「より魅力的な投資先」の一つとみていると述べたものの、市場参加者の間でこれがコンセンサスではないことに同意した。
「英国に対する市場のセンチメントを投資家の資金フローで判断すると、これは非常に逆張りの取引だ」と同氏は金曜日の電子メールで説明した。
「ブラックストーンの誓約は英国市場への大きな信頼の表明であり、不動産、民間信用、インフラなどの分野への投資は波及効果を生み出し、さらなる資金流入を促し、英国が魅力的な投資先として位置づけられる可能性を浮き彫りにするだろう。」
英国に対する投資家の感情は近年、EU離脱、経済の停滞、政治的混乱、そして国の財政に関する長年の疑問によって冷え込んでいる。
英国政府が5月に発表した統計によると、2023年の英国への外国直接投資は前年の229億ポンドから13億ポンドへと大幅に減少した。ロンドン市場におけるIPOによる資金調達は今年上半期に30年ぶりの低水準に落ち込み、英国の首都にとって新たな打撃となった。
AJベルの投資アナリスト、ダン・コートワース氏は金曜日、CNBCに対し、ブラックストーンの英国への投資は英国へのさらなる資本流入を誘引する可能性があると語った。
「ブラックストーンは英国に大きなチャンスを見出しており、それはより広範なビジネス界に前向きなシグナルを送っている」と彼はメールで述べた。「大規模な投資はハブ創出の基盤を築き、同様の関心を持つ企業を引き寄せる磁石のような役割を果たすことができる」
注意の言葉
しかし、AJベルのコートワース氏はまた、投資家はブラックストーンの資本拠出によって英国の見通しが急速に変化することを期待すべきではないと示唆した。
「ブラックストーンは多額の資金を投資するつもりだが、その資金がどこに投入されるのかは不明だ」と彼はCNBCに語った。「1000億ポンドの投資計画は10年間にわたって行われるため、突然の活況は見られないだろう」
ブリティッシュ・アメリカン・ビジネスのダンカン・エドワーズ最高経営責任者(CEO)は木曜日、CNBCの番組「スクワーク・ボックス・ヨーロッパ」で、寄付金のうち実際にどれだけの金額が英国に届いたかはまだ正確には分からないと語った。
「英国政府の観点から言えば、非常に完璧な24時間だった。過去3日間でこれ以上ないほど素晴らしい発表が相次いだ」と、同氏はブラックストーンの1000億ポンドの拠出を含む包括的パッケージに言及して語った。
「(しかし)数字については少し注意が必要です。ご存知の通り、約束された金額は実際の金額とは異なります。ですから、今後数ヶ月、数年の間に何が起こるかを見守り、発表された内容が実際に実現するかどうかを見極める必要があります。」
●マクロ
自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が19日、党総裁選(22日告示、10月4日投開票)に向けた政策発表会見を開いた。「強い経済」の重要性を強調。「財政健全化は目的ではない」とも言い切った。積極財政による市場への好影響を期待する専門家がいる一方で、高市氏が新総裁に選ばれるには大きく二つのハードルが立ちふさがっている。
<財務省に名指しで注文>
「私は財政健全化を一度も否定したことはないが、大切なのは経済成長だ。財政健全化そのものは目的ではない」。記者会見で高市氏はこう強調した。財務省を名指しし「これをやったら成長するというマスタープランを示してほしい。財務省には本気を出してほしい」と注文を付ける場面もあった。
実際、この日示された高市氏の政策には「積極投資」「集中投資」などの文言が躍った。昨年の総裁選期間中には、日銀の利上げについて「はっきり言うと早い。まだ金融緩和を続けるべきときだ」とも断言していた。
こうした姿勢に期待する専門家もいる。
クレディ・アグリコル証券チーフエコノミストの会田卓司氏は「世界の経済政策の潮流は、市場万能自由主義から政府が供給サイドのみならず需要サイドにも関与する官民連携経済にシフトしつつある」と指摘。「総裁選もこの潮流に乗り遅れない候補の勝利が望ましい」とした上で「政府が需要創造にも積極関与するためには財政の大規模出動は不可避で、プライマリーバランスの黒字化にこだわるべきではない」と話す。その意味でふさわしい総裁候補は高市氏、小林鷹之元経済安保担当相、茂木敏充前幹事長だ、とした。
<立ちはだかる二つのハードル>
ただ、高市氏の新総裁就任にはハードルもある。一つは野党との連携戦略だ。会見では野党が主張する給付付き税額控除やガソリン税の暫定税率廃止、「年収の壁」の引き上げなどを掲げ歩み寄る姿勢を示したものの、日本維新の会と関係が良好とされる小泉進次郎農林水産相と比べると「思想的に連携できる野党が限られてしまう」(党関係者)との意見も少なくないのが実情だ。
また、勝利のカギを握る国会議員票をどう広げるかもハードルの一つだ。昨年の総裁選で高市氏を支援した麻生太郎党最高顧問は今月、消費減税に否定的な意見を表明した。高市氏は今回の総裁選に向けた政策で、持論だった食料品に限った消費減税を「封印」。会見では「食料品の軽減税率をゼロにできないかと考えたが、時間がかかるという説明を受けた」などとした。
それでも、ある参院議員は「高市氏にはどうしても裏金議員の影がちらつく。党の再生がテーマの一つになる中で議員票の広がりは限定的だろう」と話す。
ある党関係者は早くも1回目の投票でどの候補も過半数に達しない場合を想定し、「前回の総裁選は石破茂氏(現・総裁)を嫌う票が高市氏に流れたが、石破氏がいない中で高市氏に投票する議員は減るだろう」と指摘。参院幹部は「勝つのは決選投票に残った『高市氏以外の候補』だ」と語った。
今年の米年末商戦(11月1日―12月24日)の小売売上高は前年同期比で3.6%増となり、伸び率は前年同期の4.1%を下回るとの予測をマスターカード経済研究所が報告書で明らかにした。インフレが生活を圧迫し、マクロ経済で不確実性が生じていることを背景に、消費者がセールでの値引きの拡大を求めていることが売り上げを押し下げる。
うちオンライン売上高は前年同期比で7.9%増、実店舗販売は2.3%増となり、伸び率が前年同期のそれぞれ8.6%、2.8%を下回ると予想している。
年末商戦は、小売業にとって書き入れ時となっている。トランプ米大統領が輸入品に課した関税が商品コストを押し上げ、需要を抑制している今年は重要性が一段と高まっている。
報告書は、今年は感謝祭からクリスマスまでの期間が短いことや、セール開始を前倒しする動きが12月初旬のオンライン売上高を押し上げる可能性があると指摘した。
マスターカード経済研のチーフエコノミスト、ミシェル・マイヤー氏は「昨年との大きな違いは支出総額ではなく、支出の内訳にある」とし、「(トランプ)関税が導入された中で、今年は価格設定がより重要な意味を持つ年となるだろう」との見方を示した。
マスターカードが算出した予測は、自動車販売以外のあらゆる決済形態の実店舗とオンラインの小売売上高を計算する「スペンディングパルス」の分析に基づく。
今回の予測は、セールスフォースやニュースストーリーが最近、年末商戦が低調になると予想したのと一致している。
年末商戦の見方は小売企業によって二極化しており、米ディスカウントストア大手ターゲット(TGT.N), opens new tabと家電量販店大手ベスト・バイ(BBY.N), opens new tabが年間業績予想を維持した一方、小売業大手ウォルマート(WMT.N), opens new tabと百貨店メーシーズ(M.N), opens new tabは見通しを引き上げた。一方、玩具メーカーのマテル(MAT.O), opens new tabは予想を下方修正した。
フィッチ・レーティングスは19日、イタリアの格付けを引き上げた。フィッチによる格上げは2021年以来で、メローニ政権による赤字削減の取り組みが評価された。
19日の発表資料によると、フィッチはイタリアの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を1段階引き上げ、「BBB+」とした。格付け見通しは「安定的」としている。
フィッチは「格上げはイタリアの財政軌道に対する信頼感の高まりを反映するものだ。欧州連合(EU)の新たな財政枠組みの下での財政規律の実績拡大と、短・中期の財政目標達成への強いコミットメントによって裏付けられている」と評価。「安定した政治環境、継続的な改革の勢い、対外不均衡の縮小がイタリアの信用指標をさらに強くしている」とした。
フィッチは12日にフランスの格付けを引き下げており、欧州の主要借入国の間で形勢が逆転しつつある。財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑える取り組みをめぐってフランスが政治的混乱に直面しているのに対し、イタリアは来年にもこのEU財政基準を達成できる見通しであり、メローニ政権下で安定を享受している。
かつてユーロ圏の主要国で最も脆弱(ぜいじゃく)と見なされ、頻繁に政権交代を繰り返してきた過去からは大きな変化だ。
ジョルジェッティ経済財務相はフィッチの発表後、「われわれはイタリアを正しい道に戻した」とコメント。「多くの研究、そして真剣かつ地道な努力」の成果だとした。
フィッチの格上げは、赤字削減の公約を守るとしたイタリア政府の計画が成功するとの前提に基づいている。当局者は現在、来年の目標を盛り込んだ予算案を準備中であり、月末までにメローニ首相の内閣から承認を得ることを目指している。
イタリアに対する投資家の見方も大きく変わりつつある。イタリア10年国債と同年限のドイツ国債の利回り格差は80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を下回り、メローニ首相が就任した22年当時の3分の1未満となっている。
米民主党のシューマー上院院内総務とジェフリーズ下院院内総務は20日、2025会計年度末を今月30日に控え、政府閉鎖の回避に向けトランプ大統領との協議を要請した。
議会上院は19日、11月21日までのつなぎ予算案を否決した。医療保険補助の延長などを求める民主党のほぼ全議員が反対した。上院は採決後1週間の休暇に入った。
シューマー、ジェフリーズ両氏は、トランプ大統領宛ての書簡で、共和党の議会指導部が、大統領の指示で、政府機能を維持するための超党派協議への参加を何度も拒否したと指摘。
「9月30日の期限が迫る中、共和党は、民主党との協議すら拒否した議会指導部のせいで、再び痛みを伴う政府閉鎖の責任を負うことになる」と指摘し、「その結果、今やわれわれと協議することがあなた(トランプ氏)の義務だ」とした。
「民主党の立場は明確で一貫している。米国人家庭の生活を向上させ、共和党による医療危機に対処する超党派の歳出合意に向け努力する用意がある」とした。一方で、「共和党のヘルスケアに対する攻撃を継続するような汚い歳出法案は支持しない」と述べた。
自民党の小泉進次郎農林水産相は20日、都内で開いた総裁選への立候補表明会見で、当選した場合は「直ちに物価高対策を中心とする経済対策を検討し、その裏付けとなる補正予算を臨時国会に提出する」と表明した。金融政策は日銀の専権事項としつつ、政府の経済政策の方向性は「しっかりご理解いただきたい」と語った。
物価高への対応として所得税制の見直しを進め、物価や賃金の上昇に合わせて基礎控除などを調整する仕組みを導入すると述べた。与党が7月の参院選で掲げた現金給付については、現実的には「難しい」との認識を示した。
小泉氏は「私の役割はデフレ時代の経済運営の常識の壁を打ち破り、インフレ時代の新たな経済運営を構築することだ」と強調。「財政規律を意識しつつもインフレ下で伸びる税収を適切に活用することで、経済成長と国民生活の安定を実現する」と説明した。2030年度までに国内投資135兆円、平均賃金100万円増を目指す方針を示した。
少数与党の状況下、総裁選では今後の国会運営における野党との連携スタンスが論点の一つになる。小泉氏は「物価高対策や社会保障など、国民に関心の高い政策について野党に幅広く政策協議を呼びかけ、与野党合意を模索する。その中で政策や理念の一致を見極めながら、政権の枠組みのあり方についても議論を深める」と述べた。
金融政策については「一義的に日銀の専権事項」とし、具体的なコメントは控えた。一方で、「アベノミクス以降、日銀と政府で方向性を共有しながら、物価の安定、日本経済の成長に歩調を合わせながら進めていく重要性があることも事実。仮に私が総理・総裁になったら、やはりこの経済政策の方向性はしっかりとご理解いただきたい」と語った。
<外国人問題に対処、解雇規制の見直しは盛り込まず>
外交・防衛面の政策では、防衛費の対実質国内総生産(GDP)比2%を着実に実現すると表明。日米同盟は日本外交の基軸であり、トランプ大統領との信頼関係の構築を進める考えを示した。
このほか会見で配布した政策集には、治安・防災対策として、外国人問題への対応で首相が主導する態勢を構築して年内に行動計画を策定することや、石破茂政権が取り組んできた防災庁の設置を進めることなどを盛り込んだ。
前回の総裁選で政策に掲げた、労働市場改革の一環としての解雇規制の見直しについては「国民に不安を与えてしまった」と述べ、ジョブ型雇用の推進やリスキリングの拡充への支援を強化していく考えを示した。
小泉氏の総裁選への出馬は昨年9月に続いて2度目。前回は首相候補の1人とされながら1回目の投票で9候補中3位となり、上位2人による決選投票には進めなかった。
自民党の総裁選は22日に告示、10月4日に開票する。小泉氏のほか、茂木敏充前党幹事長、小林鷹之元経済安全保障担当相、林芳正官房長官、高市早苗前経済安保障相が立候補を表明している。
米上院は19日、予算切れによる政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算案を否決した。医療予算の増額を求める民主党議員らのほぼ全面的な反対に直面した。
採決結果は44対48。賛成票を投じたのは共和党議員43人と民主党のジョン・フェッターマン議員のみで、上院通過に必要な60票には遠く及ばなかった。9月30日深夜に現在の予算が失効する前に共和・民主両党間で合意が得られない場合、連邦政府機関が閉鎖される可能性が高まった。
上院は採決後、1週間の休会に入った。共和党関係者は、予算が失効する前日、議員らが休暇から戻る9月29日に再度投票する可能性があると述べた。
スーン上院院内総務(共和党)は、政府閉鎖の可能性を高めたのは民主党だと非難。「最終的には、政府機関を閉鎖しないかどうかの賛否が問われることになるだろう」と述べた。
下院はつなぎ予算案を可決していた。上院で否決された同案には、保守活動家チャーリー・カーク氏の射殺事件を受け、政治的暴力の脅威から議員らを守るための予算も盛り込まれていた。
トランプ米大統領が四半期決算報告の義務付けを廃止するよう呼びかけたことに対し、意外な方面から「慎重な支持」が寄せられている。それは企業に長期的な持続可能性の取り組み強化を求めている国際投資家であり、その多くはトランプ氏から激しい非難を浴びてきた。
トランプ氏は15日、企業の決算発表頻度を四半期ではなく半年ごとにするよう求めた。バークシャー・ハサウェイ(BRKa.N), opens new tabのウォーレン・バフェット会長やJPモルガン(JPM.N), opens new tabのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)など経済界の重鎮も以前、短期主義が経済に悪影響を及ぼすとして同様の主張をしていた。
四半期決算を廃止すれば、世界最大の米国経済と世界で最も深みのある米資本市場が、世界的な潮流に加わる形になる。そうなれば、気候変動問題などへの取り組みを企業取締役会に求めている投資家に追い風となるかもしれない。
ケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネス・スクールのコーポレートガバナンス専門家、デービッド・ピットワトソン氏は「責任投資を掲げる人々は、決して四半期決算を支持してこなかった。四半期決算は株式トレーディングに注目を集中させ、良い株式所有のあり方という問題から目をそらさせる傾向があるからだ」と述べた。
しかし持続可能性問題は、トランプ氏が今年1月に2期目の大統領に就任して以来、攻撃の対象となっている。その一環として、企業に気候関連データの開示を義務付ける規則を廃止する動きもみられる。欧州などの多くの投資家が開示を求めているデータだ。
投資会社アバディーンの持続可能投資ディレクター、ニック・ダンカン氏は「企業には長期的な視点で自社の戦略が及ぼす重大な影響を考慮し、持続可能性関連リスクを軽減する計画を立ててほしい。四半期決算の廃止によって、透明性や開示に影響を及ぼすことなくその目的を達成できるなら、それは明るい話だ」と述べた。
「四半期決算の負担が軽減されることで、企業が現在の持続可能性報告の水準を維持、向上しやすくなるなら、なおさら良い」という。
ダンカン氏によると、四半期決算の廃止には他にも明白な利点がある。決算発表前の「クローズド期間」が減ることだ。通常1カ月間設けられるこの期間中は、投資家による企業への接触が禁じられている。
数十年続いてきた証券法を改正し、四半期決算を廃止することは、世界最大の米資本市場にとって大変革となるだろう。
多くの欧州連合(EU)加盟国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、香港では企業の決算発表が半年ごとに行われるため、海外投資家は何年も前からこうした慣習になじんでいる。
米国以外で四半期決算を法律で義務付けている最大の株式市場は中国本土だ。ただ、日本やドイツなどの国々も、上場全般やプレミアム市場への上場の条件として四半期決算を要求している。
英投資協会のステュワードシップ・リスク・税務担当ディレクター、アンドルー・ニニアン氏によると、10年以上前にEUとともに半年ごとの決算報告に移行した英国では、この変更が持続可能性への取り組み強化に役立った。
「四半期ごとの報告義務がなくなったことで、企業は短期的な目標の管理よりも、長期的な投資判断、戦略、報告に注力できる柔軟性を得た」
ただ一部の投資家は、投資家保護を強化するための措置が必要だとくぎを刺している。
英投資会社、エデントゥリー・インベストメント・マネジメントのシニア持続可能投資アナリスト、ヘイリー・グラフトン氏は「英国やオーストラリアなど一部の国では半年ごとの報告が機能しているが、米国は構造的な違いがあるため、状況はより困難だ」と語った。
例えば英国では、企業が業績予想を下方修正した場合、それを発表することが規制で義務付けられているが、米国では規制要件ではなく、開示を差し控えることも可能だと同氏は言う。
またオーストラリアでは企業が重要情報を継続的に開示する義務があり、業績がガイダンスから乖離(かいり)した場合には更新情報を発表することが求められるが、米国には同等の制度が存在しない。
それでもピットワトソン氏は、四半期決算報告の廃止が持続可能性を重視する投資家の追い風になり得るとみている。
「トランプ氏が言うように、四半期決算は経営陣の注意をそらすような連鎖反応を引き起こす。従って半年ごとの報告への移行は、長期的で付加価値を生み出す経営を支えるかもしれない。多くの業界関係者は良いことだと考えていると思う」と同氏は語った。
19日に5会合連続で政策を据え置いた日銀にとって、利上げ再開への最大の障害は米国経済の下振れ懸念だ。植田和男総裁は会見で、米国の関税影響の見極めにどれくらいの時間が掛かるかは「不確実性が高い」と述べたが、日銀では11月末から始まる米国のクリスマス商戦が見極めのヤマ場になるとの見方が出ている。国内の情勢次第では、クリスマス商戦のハードデータまで確認せず、10月会合や12月会合で利上げに踏み切る可能性も意識されている。
<根強い米経済下振れ懸念>
足元の日本経済は日銀の想定に沿ったものだが、米経済の動向に振らされやすいことが、様子見姿勢の一因になっている。2008年のリーマンショックでは、震源地となった米国より日本の方が大幅なマイナス成長になった。高水準の企業収益は円安傾向が支えており、大幅に円高に振れれば、関税の直接的な影響が及ぶ輸出企業の収益に影を落としかねない。
現時点で、こうした懸念は現実のものとなっていない。17日に終わった米連邦公開市場委員会(FOMC)は市場が想定した範囲の結果となり、外為市場での円高進行は限られた。米国の経済指標では雇用の減速傾向こそ鮮明だが、小売売上高が堅調に推移するなど他の指標への影響は今のところ限定的だ。
しかし、日銀は、高い関税をどこかの企業が負担しなければならない以上、現状は収益で吸収している企業にも限界が訪れ、影響が顕在化するとみている。現時点で影響が限定的だからと言ってこのまま影響が出ないとは言い切れないという考え方だ。
植田総裁は会見で、関税の物価への転嫁が進んだ時にどういう姿になるか、まだ必ずしも見えていないと指摘。「標準的な見方では今後(影響が)出て、それに伴って消費へのマイナスの影響もあるだろう」と述べた。
<米クリスマス商戦、見極めのタイミング>
焦点は米国の経済・物価動向をいつまで注視するかだ。日銀では、11月末から始まる米国のクリスマス商戦の動向が関税の影響を見極める上でのヤマ場になるとの見方が出ている。個人消費が盛り上がるクリスマス商戦でも小売売上高が強ければ、米国の関税影響は限定的と判断していいのではないかとの考えだ。
12月の米国の消費動向をハードデータで確認するなら、年明けを待つ必要がある。しかし、クリスマス商戦について、米国で事前に発表される業界団体の小売売上高の予想や日銀自身による調査などを確認することで足り、ハードデータを見る必要は必ずしもないとの声が出ている。
日銀短観、日銀支店長会議、自民党の新総裁選出、新政権発足と10月の決定会合に向けて重要イベントが相次ぐが、米国のクリスマス商戦についても、昨年通りなら米国の業界団体によるクリスマス商戦での売上高の事前予想が10月半ばに出てくる。
植田総裁は会見でデータや情報の見極めについて「最後まで見なければわからないのではなく、逐次入ってくる情報に基づいて全体を予想し、その予想に確度が持てれば政策の判断をしていける」と話した。クリスマス商戦の動向についても、例えば「日本からの船便の荷動きでもある程度分かる」とも述べた。
<物価警戒に広がり>
米経済の動向を見極めている間も、インフレ上振れリスクへの警戒感が日銀で後退しているわけではない。19日の決定会合では、高田創審議委員、田村直樹審議委員の2人が0.75%への利上げを提案。田村委員は物価上振れリスクを指摘、高田委員は「物価安定目標」の実現は概ね達成されたとしている。
日銀では米経済を巡る不透明感が続く中でも、新米価格の動向や新政権が打ち出す財政政策の方向性などほかに考慮すべき要素があるとの声もある。日銀はこれまで基調的な物価上昇率について、関税の影響による経済下押しで「伸び悩む」と想定してきたが、特に伸び悩むことなくすでに2%近傍に到達しているとの指摘も出ており、10月会合での利上げの可能性も意識される。
ドナルド・トランプ大統領が金曜遅くにH-1Bビザに10万ドルの手数料を課す計画を発表し、米国の技術系労働力を支えるプログラムを覆す恐れが出たことを受け、大手テクノロジー企業や外国政府は対応を急いでいる。
ホワイトハウス関係者によると、この手数料はH-1Bビザの新規申請者に適用され、更新申請者や既存のビザ保有者には適用されない。関係者によると、この手数料は次回の抽選サイクルで初めて適用され、2025年の当選者には適用されないという。ホワイトハウスはまた、複数のメディアが報じたように、この新たな10万ドルの手数料は年間のものではないことを明確にした。
この動きは、特にインドや中国からの高度な技能を持つ移民に大きく依存している、主にテクノロジーや金融分野の企業に大きな打撃を与える可能性がある。
この発表は、国内大手のテクノロジー企業や金融企業の一部に衝撃を与えた。
アマゾンのCNBCが閲覧した内部メッセージによると、移民チームはH-1BビザとH-4ビザ保有者には米国に留まるよう、海外在住者には9月21日午前0時1分(東部標準時)までに帰国するよう勧告した。
JPモルガン・チェースの
事情に詳しい関係者によると、同法律事務所は、同社のH-1Bビザ保有者に対し、さらなる指示があるまで米国に留まり、海外旅行を避けるよう求めるメモを送った。
ゴールドマン・サックス
ロイターが入手した社内メモによると、同社は移民サービス会社フラゴメンの指導に基づき、H-1Bビザを保有する従業員に対し、海外旅行の際は注意するよう指示した。
マイクロソフト
ロイターが確認した電子メールによると、同長官はH-1Bビザ保有者には米国に留まるよう、海外に居住する者には帰国するよう勧告し、海外旅行は移民資格を危険にさらす可能性があると警告したという。
この罰金は、政権による合法移民制限措置としてはこれまでで最も積極的なものとなる。トランプ大統領は1月の就任以来、米国への不法入国と合法入国の両方を幅広く取り締まってきたが、金曜日の発表は就労ビザの取り締まりにおいて最も重大な試みとなる。
アマゾンはH-1Bビザ保有者を最も多く雇用しており、6月末時点で1万4000人以上を雇用しています。マイクロソフト、メタ、アップル、グーグルはそれぞれ4000人以上のH-1Bビザ保有者を保有しており、2025年度の上位10社に入っています。
CNBCは、H-1Bビザ取得者上位10社に名を連ねる上場企業すべてにコメントを求めました。ホワイトハウスはコメントを求めるメールにすぐには返答しませんでした。
「トランプ大統領はアメリカの労働者を第一に考えると約束しました。この常識的な措置は、企業による制度への不正アクセスや賃金引き下げを抑止することで、まさにその約束を果たします」と、ホワイトハウス報道官のテイラー・ロジャーズ氏はCNBCに語った。「また、この措置は、高技能労働者をこの偉大な国に呼び込みたいと強く願っているものの、制度の濫用によって踏みにじられてきたアメリカ企業に、確かな道筋を与えるものです。」
「人道的影響」
この発表は海外でも現状を混乱させ、各国政府は新規則が自国に及ぼす影響を評価するのに躍起になった。
インド外務省は、ビザ制限とその影響について調査中であると述べ、インドと米国の産業界はイノベーションにおける競争力の維持に共通の関心を持っていると強調した。また、個々の家庭に混乱が生じる可能性についても指摘した。
「この措置は、家族に混乱をもたらすことで人道的な影響を及ぼす可能性が高い。政府は、米国当局がこれらの混乱に適切に対処してくれることを期待する」とインド外務省は声明で述べた。
韓国外務省も、韓国企業と熟練労働者への影響を評価中だと述べた。
多くのアメリカ人は、世界経済のどれだけが、合法・違法を問わず移民を通してアメリカから資金と雇用を吸い上げることで成り立っているかを、全く認識していない。もし彼らが知っていたら、H-1Bビザの門戸をもっと早く閉ざすべきだと要求していただろう。
インド当局は土曜日、米国がH-1Bビザに10万ドルの手数料を課す決定の影響を調査していると述べたが、この措置は「家族に混乱をもたらすことで人道的結果をもたらす可能性がある」と強調した。
外務省は声明で、「政府は、米国のH1Bビザプログラムに対する規制案に関する報告を確認している。この措置の影響については、関係者全員、特にインドの産業界が検討中である。産業界はすでに、H1Bプログラムに関する認識を明確化する初期分析を発表している」と述べた。
インド政府がトランプ大統領の決定になぜこれほど動揺しているのかを理解するには、送金や海外での米ドル需要など、全体像を把握する必要がある。
まず、H-1Bビザに課される10万ドルの手数料は、このプログラムを台無しにするでしょう。 これは事実上、1990年移民法の正式な撤回という長いプロセスを経ることなく、H-1Bビザの渡航を禁止するようなものです 。この手数料は外国人労働者を雇用する企業が負担しますが、10万ドルの値上げは、最も価値のある従業員だけがその費用に見合うことになることを意味します。国境開放政策に批判的な多くの人々は、これは良いことだと主張しています。アメリカ企業は外国人労働者を必要としているという主張は、長年続いてきました。その理由は以下の通りです。
1) アメリカ人は外国人が喜んでやる仕事には就きません。
2) 特定の職種を担うのに必要なスキルを備えたアメリカ人労働者が不足している。
これらの言い訳は、真の理由から目を逸らすものです。第三世界の移民は、アメリカ人よりも最大30%低い賃金でも喜んで働くのです。なぜでしょうか?第三世界の経済圏における米ドルの購買力は、賃金の30%の減少を補って余りあるからです。例えば、インドでは月収2,000米ドルは「上流階級の生活」に相当します。
言い換えれば、これは三方良し、負ける、というシナリオだ。企業は人件費の削減で利益を得る、第三世界の移民は賃金を母国に送金してより多くのものを購入することで利益を得る、そして平均的なアメリカ人労働者は雇用機会を失う。
H-1Bビザ保有者の71%をインドが占めており、新料金導入による影響が最も大きいと予想されています。現在、約30万人の「高技能」インド人労働者が、主にテクノロジー業界でH-1Bビザで米国に滞在しています。「高技能」という言葉は解釈に委ねられており、多くの移民労働者は渡米前に自身の技能について虚偽の申告をしており、同分野の平均的な米国人労働者と比べて低い技能しか提供していません。
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このゲームにおけるもう一つの間接的な勝者はインド経済である。
インドは、米国からの送金(米国からインドに移住してきた人々が送金する現金)の受取国として世界最大です。米国からの送金がなければ、インドは1400億ドル以上(年間税収の約30%)を失うことになります。この現金がなければ、インド経済は崩壊するでしょう。
さらに、インドルピーは今月、対ドルで過去最安値を記録しました。インドは石油輸入に大きく依存しており、石油は主にドルで購入されています。米国からの移民によるドルのインド経済への流入は、これまで以上に重要になっています。米国に居住する30万人以上のインド人労働者からドルが失われれば、壊滅的な打撃となる可能性があります。
とはいえ、インド経済を維持するためにアメリカ人の雇用を犠牲にするのは、米国の責任ではない。企業が実際にアメリカ人労働者をまず適正な賃金で訓練または雇用しようと試み、必要なポジションを埋めるのに十分な人材を確保できなかった場合、外国人ビザの問題は異なるものになるかもしれない。しかしながら、これまでのところ、企業にはそうするインセンティブがなかった。
ホワイトハウス報道官のキャロライン・リービット氏は、今週合意に至った中国によるプラットフォームの分離により、ティックトックの米国事業は米国人が過半数の株式を所有し、管理することになると述べた。
リーヴィット氏は土曜日、FOXニュースに出演し、TikTokの取締役7人のうち6人 が米国人であり、さらに重要なのは、同アプリの中毒性のあるアルゴリズムが米国によって管理されることだと述べた。また、最終合意は近日中に締結される予定だと付け加えた。
ホワイトハウス高官によると、アメリカ人取締役は国家安全保障とサイバーセキュリティの資格を持ち、現オーナーのバイトダンスが選出する残りの取締役は安全保障委員会から除外される。
「ですから、これらの詳細はすべて既に合意済みです。あとは合意に署名するだけです。署名は数日中に行われると予想しています」とリーヴィット氏は述べた。トランプ大統領と中国の習近平国家主席は金曜日の電話会談で合意をまとめた。
今週初め、スコット・ベッセント米財務長官と中国の賀立峰副首相がマドリードで会談し、バイトダンスの米国におけるTikTok事業の分社化に関する漠然とした枠組み合意に至ったが、その枠組みの詳細は未だ公表されていなかった。本日、初めて具体的な合意内容が明らかになった。一方、トランプ大統領はTikTok売却の期限を12月16日まで延長した。議会は、バイトダンスに対し2025年1月までにTikTokを売却することを義務付ける超党派法案を可決した。
すでに報じられているように、TikTokの取り決めでは、現在の所有者であるByteDanceが20%未満を保有し、オラクル、アンドリーセン・ホロウィッツ、プライベートエクイティ会社のシルバーレイク・マネジメントなどの新しい投資家が残りを管理することになる。
実際、オラクルはこの取引の最大の勝者となりつつある。リード投資家となることに加え、このテクノロジー大手は自社のクラウドインフラを介して米国ユーザーデータをホスティング・管理し、TikTokのセキュリティプロバイダーとして米国政府と協力しながらアプリの安全性を監視する。その結果、米国人のデータは中国がアクセスできない米国内に保管されることになり、ホワイトハウス関係者によると、米国ユーザーは引き続きこの人気アプリを「安全かつ安心に」使い続けることができるという。
「データとプライバシーはアメリカ最大のテクノロジー企業の一つであるオラクルが主導し、アルゴリズムもまたアメリカが管理することになる」とリーヴィット氏は語った。
トランプ氏はかつてTikTokを批判していたが、昨年の選挙で若い有権者の支持を獲得するのにこのアプリが役立ったと評価し、同アプリに対する見方を変えている。
英国の財政茶番劇は今朝、政府の借入額が8月の予想よりも大幅に増加したことで、さらに悪化した。
英国国家統計局が金曜日に発表した数字によると、秋の厳しい予算を前に、レイチェル・リーブス財務大臣にとってさらなる打撃となる、財政赤字が180億ポンド(244億ドル)に上った。これは予算責任局が予測していた125億ポンドを大きく上回り、この月の借入額としては過去5年間で最高額となる...
ブルームバーグの報道によると、この結果、会計年度開始から5か月後の赤字は838億ポンドとなり、OBRの予測を114億ポンド上回り、2020年のパンデミック後の1993年に記録が始まって以来、2番目に高い水準となった。前年の赤字は676億ポンドだった。
8月の数字は期待外れだったが、過去4か月間の数値の一連の修正によりさらに悪化し、赤字は59億ポンド増加した。その多くは、前回の推定より低いVAT収入と地方自治体の支出と借入の増加によるものだ。
リーブス首相は今年、税収増で支出増を相殺し、順調に進んでいるように見えたが、最新の数字は大きな後退であり、国家財政の危機的状況を浮き彫りにし、首相の主な財政方針に対して確保されたわずか99億ポンドの余裕をさらに減らす可能性がある。
ポンドと英国債は下落した。
10年債利回りは2ベーシスポイント上昇して4.70%、30年債利回りは3ベーシスポイント上昇して5.54%となった。
ポンドは一時0.5%下落し、9月8日以来の安値となる1.3483ドルとなった。
「財務大臣は国家財政のコントロールを失った」と野党保守党の影の財務大臣メル・ストライド氏は述べた。
リーブス知事は11月26日にすでに厳しい予算に直面しており、高まる借入コスト、政策の方向転換、そしてOBRによる予想される成長率下方修正を相殺するために、成長を阻害する数十億ポンドの増税を発表すると予想されている。
ジェームズ・マレー財務次官は「納税者のお金は債務利息ではなく国の優先事項に使われるべきなので、政府は借入金を減らす計画がある」と述べた。
ブルームバーグ・エコノミクスは、3月の春季声明以降に生じた借入ギャップを埋めるには350億ポンドが必要だと見積もっている。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
データセンターと電力網は、アメリカの次なる 「ルネサンス」となるのでしょうか? アメリカの国家債務が37兆ドルを超え、利払いが国防費を上回る中、 「債務終末の日」 が迫っているという記事が数多く書かれています。これは、私たちが「債務と赤字問題」で指摘した点です 。
「ここ数ヶ月、米国における債務の増加と財政赤字の拡大について多くの議論がなされてきました。例えば、CNBCの最近の見出しは次のとおりです。」
記事の著者は、減税、大規模な景気刺激策、そして社会保障支出の複合的な影響により、米国の連邦財政赤字が膨張し、支出が急増していると示唆している。もちろん、イェール大学、ウォートン大学、そしてCBOといった機関は、この傾向により金利コストがかつてないほど高騰し、今や国防費を超えていると警告しており、国内の債務返済能力に対する懸念が高まっている。ラリー・サマーズ氏からレイ・ダリオ氏に至るまで、メディアの著名人でさえ、抜本的な対策が緊急に必要であり、さもなければ新たな「金融危機」が差し迫っていると主張している。
この記事で論じたように、 「悲観論者」たち は過去20年間ずっと同じことを言い続けていますが、アメリカの経済成長エンジンは依然として力強く動き続けています。特に、レイ・ダリオとラリー・サマーズは 「支出削減」という一つの解決策にのみ焦点を当てており、 これは経済に深刻な悪影響を及ぼしています。
さらに、投資家は重要な会計概念を理解する必要があります。それは、政府の債務は家計の資産であるという概念です。会計上、借方があれば必ず貸方があり、その貸方は常にゼロでなければなりません。つまり、政府が債務(借方)を発行すると、それはインフラ、防衛、社会福祉などのために経済に投入されます。そのお金は家計や企業の銀行口座に「入金」されます。したがって、財政赤字が増加すると、そのお金は経済活動に流れ込み、逆もまた同様です。 言い換えれば、財政赤字の大幅な削減を叫ぶ人々は、深刻な景気後退をも望んでいるのです。 - 『 財政赤字物語』
支出削減に伴うその他の課題としては、それが政治的に有害であり、増税が成長を阻害するという点が挙げられる。
しかし、主流派の 「悲観論者」が 見落としている 解決策が一つあります。それは、民間部門の資本投資を通じて生産性とGDPを向上させることです。 言い換えれば、第二次世界大戦後のアメリカが行ったように、 「成長によって債務問題から脱却する」ことは可能なのです。
ここで、AI データ センターの急成長と膨大な電力需要が発生します。
設備投資の経済エンジン
データセンターと電力網の整備は、持続的な成長を生み出すための最良の機会となる可能性があります。投資規模は大きく、経済効果も大きく、タイムラインは財政圧力がピークを迎える時期と一致しています。
データセンターはデジタル経済の基盤です。AIモデル、クラウドプラットフォーム、そして自動化はデータセンターに依存しており、大規模なAIモデル1つにつき、専用施設に設置された数千基のGPUが必要です。これらは小規模なサーバールームではなく、10億ドル以上の産業複合施設です。しかし、 「データファクトリー」の構築 が経済成長に影響を与えるには、30兆ドル(名目値)の米国経済に影響を与えるほどの巨額の投資が必要です。
一体どれくらいの規模なのでしょうか?データセンター需要に関する前回の記事で述べたように、マッキンゼーは2030年までに世界のデータセンター投資額が7兆ドルに達すると予測しています。そのうち40%以上は米国だけで発生します。さらに、NVIDIAの最新の四半期レポートでは、Apple、Meta、Microsoft、Alphabetのデータセンター設備投資額が2030年までに4兆ドル、つまり年間約1兆ドルに達すると予測されています。
しかし、電力がなければデータセンターを構築することはできません。
データセンターには電力が必要
米国エネルギー省によると、米国のデータセンターの電力消費量は2028年までに2倍から3倍に増加する可能性がある。デロイトは、AI関連のデータセンターの電力消費量が2035年までに30倍に増加し、123ギガワットに達すると予測している。これはカリフォルニア州の住宅用電力需要の総量を上回る。これは、新たな変電所、送電線、発電所の建設を意味する。したがって、 エジソン電気協会が指摘しているように、投資家所有の米国の電力会社は、この需要を満たすために2025年から2029年の間に1兆1000億ドル以上を投資することになる。
このインフラブームは避けられないでしょう。AI 開発には低レイテンシーが求められ、そのためには現地のキャパシティと信頼性の高い電力供給が不可欠です。データセンターは資本集約型かつミッションクリティカルであるため、米国経済は年間1兆2500億ドルから1兆5000億ドルの設備投資を見込む可能性があります。
なぜこれが 「債務対GDP比」の 懸念にとって重要なのでしょうか?大規模な設備投資は、長期的な成長を確実に押し上げる数少ない経済要因の一つです。景気刺激策や税額控除とは異なり、インフラ投資は持続的な生産性向上をもたらします。私たちはすでにこの影響を実感しています。
PwCがデータセンター連合のために行った調査によると、2017年から2021年にかけて、米国のデータセンターはGDPに2.1兆ドルの付加価値をもたらしました。これはAIの加速が始まる前のことです。
ロイターによれば、2025年第2四半期にはAI関連の設備投資が実質GDP成長の3分の1以上を占め、四半期GDPを約0.4パーセントポイント押し上げました。
乗数効果
しかし、これは1兆ドルの設備投資だけではありません。 これらのプロジェクトは、建設、発電設備、半導体、冷却システム、そして熟練労働者といった上流工程の需要を創出します。エンジニアリング、不動産、物流、そして公共サービスを支えるものです。そして何より、持続的な生産性向上の基盤を築くという点が特筆すべき点です。AIシステムは運用開始後、コスト削減、意思決定の改善、そして医療から製造業に至るまでの様々な産業におけるスケールアップを実現します。つまり、 これらのプロジェクトには「乗数効果」があるということです 。 アメリカ土木学会(ASCE)は、インフラ投資10億ドルごとに13,000人の雇用が創出され、10年間でGDPが30億ドル増加すると推定しています。
したがって、2030年までにAIデータセンターと発電への合計5兆ドルの投資が実現すれば、 米国経済はさらに15兆ドルの成長を遂げることになります。 下のグラフは、名目GDPの5年間平均成長率と予測成長率を示しています。
下のグラフは、2021年以降、四半期平均ペースで国債発行を継続すると想定しています。しかし、無駄遣いをするのではなく、現在の支出計画と義務を維持しながら、生産的な投資に注力します。これらの投資による成長見通しをある程度保守的に想定すると、 「債務対GDP 比」は2026年に低下し始め、2030年までにより持続可能な水準に戻るでしょう。
しかし、これは保証ではないが、 米国を経済不況に陥れる「債務危機」よりも、潜在的に現実的であることは確かだ。
リスクと制約
成長機会は大きいが、リスクがないわけではない。弱気派は現在の債務と財政赤字の水準について常に警鐘を鳴らしているが、彼らが予測するより深刻な経済的影響は、実際には実現しない可能性がある。
ゴールドマン・サックスは次のように指摘している。
生成型人工知能(GAI)は、多くの業務を自動化し、最終的には世界経済の成長を加速させる可能性を秘めています。AIは2027年に米国のGDPに目に見える影響を与え始め、その後数年間で世界の他の経済圏の成長にも影響を与え始めるでしょう。この予測の根拠は、AIが最終的に先進国では労働タスクの約25%、新興国では10~20%を自動化できるという知見です。
彼らは現在、米国ではAIによってGDPが0.4パーセントポイント増加すると見積もっている。
生産性の向上、生産資本投資、インフラ整備のための労働需要の増加 (賃金上昇にもつながる) が、必要な経済促進をもたらすはずだ。
結論
米国が直面している現在の社会経済的問題をすべて解決できるでしょうか?いいえ。しかし、1970年代以来見られなかった米国の経済成長と繁栄を活性化させるために必要な成長促進効果をもたらす可能性はあります。しかし、この見通しにはリスクが伴います。
支出規模は電気料金の上昇につながる可能性がある。ノースカロライナ州立大学の調査によると、2030年までに全国の電気料金は8%上昇する可能性があり、一部の地域では20~25%の上昇が見込まれる。この状況が適切に管理されなければ、産業競争力が損なわれる可能性がある。
投資額1ドルあたりの雇用数は少ない。データセンターは自動化されており、一度建設すれば必要な労働者はごくわずかだ。10億ドル規模の施設でも、フルタイムで雇用できるのはわずか100人程度かもしれない。
地元では反発が起きています。プロジェクトには土地、水、そしてエネルギーが必要です。地域社会は税制優遇措置と環境コストに抵抗しており、いくつかの郡ではモラトリアム(一時的停止)が課されています。
許可取得の遅延と規制上のハードルは依然として高く、新規電力プロジェクトの相互接続開始までの平均所要時間は3年以上です。改革が行われなければ、多くのAI投資が遅延または方向転換を余儀なくされるでしょう。
経済効果を最大限に引き出すには、政府の関与が必要となる。
公共政策は、環境審査、送電網の相互接続、土地利用などの許可手続きを合理化する必要があります。
インフラと国家安全保障が危機に瀕していることを考えると、官民パートナーシップが関与する必要がある。
税制は歪みを生じさせないようにすべきです。多くの補助金は、すでに経済的に実行可能なプロジェクトに充てられています。
重点を置くべきは、伝送線、地域データハブ、信頼性の向上などの共有インフラストラクチャです。
公益事業には規制の明確化が必要です。従来のサービスコストモデルは、AI需要の急速な増加に対応できない可能性があるため、成果に基づく料金体系や自己資本利益率(ROE)の仕組みが必要になる可能性があります。
エネルギー政策は電源の多様化を支援する必要があります。太陽光や風力は効率が悪く、AIの需要に応えるには、安定した天然ガス、原子力、そして高度な貯蔵能力が必要です。
目標はエネルギーの豊富さです。高い信頼性、低価格、そして拡張可能なインフラは、民間AI投資を誘致し、成長を促進するでしょう。
それはまた、近い将来に米国の崩壊が起こるのを防ぐのに十分かもしれない。
多くの都市では賃金と住宅価格の差が拡大し、住宅が「到底手が届かない」状態になっている。
それだけでなく、米国の住宅価格は2008年の世界金融危機以前よりもさらに高騰しています。この住宅価格高騰の要因は、金利上昇とパンデミック後の好景気による 住宅価格の高騰です が、一部の市場ではここ数ヶ月で成長が鈍化しています。
このグラフは、Visual Capitalist の Dorothy Neufeld 氏によるもので、Hanif Bayat 氏経由の Globe and Mail のデータに基づき、北米の住宅市場の手頃さを示しています 。
2025年の住宅価格高騰
以下では、2025 年 7 月時点のベンチマーク住宅価格と北米の主要都市圏の世帯収入の中央値を比較します。
入手可能な最新データである、2023 年時点の世帯総収入の中央値。
住宅価格と収入の比率が 13.5 であるカナダのバンクーバーの住宅市場は、ほとんどの住民にとって非常に手の届かないものとなっています。
現在、トロントの戸建て住宅の平均価格は、2000年の約25万ドルから140万ドルを超えることが多く、アメリカの他の主要都市をすべて上回っています。同様に、トロントの住宅価格は、世帯収入の中央値の10倍以上です。
一方、ロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコといった西海岸の大都市圏は、需要の高さ、供給不足、そしてサンフランシスコの場合はシリコンバレーに近いことから、米国で最も住みにくい地域となっている。
マイアミは中位に位置し、住宅価格は世帯収入の中央値の6.4倍です。住宅価格は過去1年間緩やかに下落しましたが、2020年7月以降は61%上昇しており、住宅購入への懸念が高まっています。
●その他
備忘録(2025/9/18)
●企業
半導体大手の米エヌビディアは18日、インテルに50億ドル(約7400億円)を出資し、PCやデータセンター向けの半導体を共同開発すると発表した。長年のライバルを支援する予想外の動きだ。
両社の発表によると、エヌビディアはインテル普通株を1株23.28ドルで購入する。前日終値より6.5%割安な水準だ。インテルは今後のPC向けチップにエヌビディアのグラフィックス技術を採用するほか、エヌビディアのハードウエアを中心とするデータセンター製品向けにプロセッサーを提供する。
両社は協力の上で最初に生産される製品の販売時期については明らかにせず、今回の発表はそれぞれの将来の計画に影響しないと説明した。
発表後、エヌビディア株は時間外取引で一時3.4%上昇した。
勢力図
米国政府は8月、インテルの株式約10%を取得した。その後、米国の半導体チップ製造とクラウドインフラに数百億ドルの投資を約束しているソフトバンクグループが、20億ドルの投資を決定した。インテルも、投資家に資産を売却して資金を調達している。市場シェアの低下に苦しむ現状では、インテルは最先端半導体の開発に伴う多額の支出の負担を背負うことができない。
共にカリフォルニア州サンタクララに拠点を置くインテルとエヌビディアの提携は、コンピュータ業界における勢力図の変化を如実に物語っている。インテルは、かつては業界の隅に追いやっていたエヌビディアから、資金面の支援と市場をリードする技術へのアクセスを得ることになった。
エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、声明で「両社は協力してエコシステムを拡大し、次世代コンピューティングの基盤を築く」と強調した。
●マクロ
米南部ミシシッピ州の大学構内で15日、黒人の大学生が木につるされた状態で死亡しているのが見つかった。当局は他殺の証拠はないとしているものの、公民権活動家らは徹底した捜査を求めている。
死亡が確認されたのはデマートラビオン・リードさん(21)。ミシシッピ州クリーブランドにあるデルタ州立大学の構内で15日早朝に発見された。
警察は今回の死亡について「単独の事案」とし、学生や教職員に対する脅威はないと述べた。
大学によると、複数の当局が捜査に協力している。連邦捜査局(FBI)は声明で、地元当局の捜査で連邦法違反の可能性が浮上すれば、捜査に乗り出す用意があると表明した。
地元の検視当局は、リードさんが生前に暴行などを受けたことを示す証拠はないとしている。遺体は州の犯罪研究所に搬送されており、正式な検視が行われる予定。
ミシシッピ州では19ー20世紀にかけてリンチや人種差別的暴力の歴史があることから、活動家らは捜査の透明性を求めている。
民主党のトンプソン下院議員は、「真相解明に向けて、あらゆる手段を尽くすべきだ。ミシシッピ州の黒人が経験してきた痛ましい歴史を無視することはできない」と述べ、連邦レベルでの捜査を求めた。
リードさんの遺族から依頼を受けた公民権弁護士のベン・クランプ氏は、遺族が独立した検視を求めていることを明らかにした。同氏は、警官による黒人殺害事件を複数担当した実績で知られる。
デルタ州立大の昨年の学生数は2600人超で、4割以上が黒人だった。
フランスでは18日、バイル前内閣の財政緊縮計画の撤回と社会保障支出の拡大を求めて教職員、鉄道、医療関係者がストライキに入った。
パリでは地下鉄の多くの路線が朝夕のラッシュ時間を除いてほぼ終日運休になる予定。高速鉄道(TGV)はおおむね予定通りだが、国内の鉄道の運行には深刻な影響が出ている。
小学校教師の3人に1人がストに参加。一部学校では生徒が校門に集まり学校を封鎖した。
内務省関係者によると、80万人もの人がストライキに参加する見通し。
ルタイヨ内相は18日未明、首都圏の複数カ所の封鎖を警察が排除したと記者団に述べた。8000人ものトラブルメーカーが「無秩序の種」をまき、警察と衝突すると予想した。
警察と憲兵隊約8万人が配備され、機動隊、ドローン(無人機)、装甲車も出動する。警察は、さまざまな場所ですでに20人以上が逮捕されたと述べた。
クレジットカード大手の米アメリカン・エキスプレスは、個人向けプラチナカードの年会費を895ドル(約13万円)とし、200ドル引き上げる。同時にカード保有者が受けられる特典を約1500ドル相当追加する。
新たに加わる特典には、レストラン予約プラットフォームのレジーを通じた年間400ドル相当のダイニングクレジットと、スポーツウエア大手ルルレモン・アスレティカでのショッピングクレジット300ドル相当、オーラ・ヘルスのスマートリング購入クレジット200ドルが含まれる。アメックスが18日に文書で発表した。
このほか、ファイン・ホテルズ&リゾーツを通じたホテル予約で使える年間クレジットを、従来の3倍に相当する600ドルに引き上げる。動画配信サービスなどのデジタルエンターテインメントのクレジットを月間25ドルに増額。ウーバーの定額サブスクリプションサービス、ウーバー・ワンの自動更新メンバーシップに年間120ドルのクレジットを提供する。年間200ドルのウーバー・キャッシュも継続して提供される。
これまで最も年会費が高かったのは、JPモルガン・チェースのサファイア・リザーブ・カードで795ドルだった。
米国の個人消費は、富裕層の支出が占める割合が拡大を続けている。ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏の分析によると、所得分布上位10%の消費者による支出は4-6月(第2四半期)に消費全体の49.2%を占めた。
すでにアメックス・プラチナカードを持っている会員は、2025年1月2日から後の更新から新会費が適用される。ビジネス用プラチナカードの新会費は12月2日より後に変更される。
アメックスはプラチナカード保有者が受けられる特典は3500ドル相当を超えると、声明で述べた。
中国の華為技術(ファーウェイ)は計算能力を高めた新しい人工知能(AI)半導体技術を発表した。米エヌビディアに挑む構えだ。
18日の発表資料によると、新たに開発した「SuperPod」技術により、ファーウェイ製AIチップ「Ascend」を搭載したグラフィックスカードが最大1万5488枚、相互接続できるようになる。また同社は現在、約100万枚のグラフィックスカードを束ねた大規模クラスターを運用していると説明した。
ファーウェイを創業した任正非氏は今年、中国共産党機関紙の人民日報とのインタビューで、半導体単体の性能では依然として米国勢に後れを取っているが、「クラスターの計算能力で補えば、望むような成果が得られる」と述べていた。
同社はこうしたアプローチで半導体の性能を高めており、エヌビディアの最先端製品を調達できない国内企業がAIサービスの学習・運用でファーウェイ製半導体を活用している。
中国当局は最近、国内のテクノロジー大手に対し、AI用途に転用可能なNvidia製のワークステーション向け半導体「RTX Pro 6000D」の購入停止を指示した。AIワークロード処理用に設計された半導体「H20」についても、企業に使用も控えるよう促している。
ファーウェイのSuperPodは、サーバー内の主要チップ間で高速通信を可能にするエヌビディアの「NVLink」に対抗する取り組みを強化したものとみられる。
中国当局がテクノロジー業界に対する締め付けを続けていたとき、アリババグループの社内掲示板には「MAGA(Make Alibaba Great Again=アリババを再び偉大に)」という合言葉が掲げられた。
その目標を実現するための切り札は、創業者の馬雲(ジャック・マー)氏かもしれない。馬氏は中国で最も有名な起業家だ。
中国当局が2020年終盤に独占禁止法違反の疑いでアリババの調査を始めたころから表舞台に出なくなっていた馬氏だが、再び同社のキャンパスに姿を現している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
馬氏は今、ここ5年で最も積極的にアリババに関与しているという。その存在感は、人工知能(AI)分野への転換や、電子商取引(EC)分野でのJDドットコム(京東)や美団への「宣戦布告」とも言える動きに特に表れている。
関係者の1人によれば、JDによる予想外のフードデリバリー市場参入に対抗するため、アリババが最大500億元(約1兆円)を「補助金」として消費者および加盟店向けに投入する決定に馬氏が深く関与した。
アリババは23年以降、馬氏の古くからの側近、蔡崇信会長と呉泳銘CEO(最高経営責任者)が率いている。馬氏が正式に復帰したかどうかは公表されておらず、アリババも詳細なコメント要請に応じていない。
しかし社内事情に詳しい複数の関係者によると、61歳の馬氏は19年の会長退任後で最も深く現場に関与している。巨額の投資戦略に加え、AI事業全般についても頻繁に最新状況を確認しており、ある幹部には1日のうちに3度もメッセージを送って報告を求めたことがあったという。
中国で最も裕福で影響力の大きいテクノロジー業界リーダーの復帰は、長く待ち望まれてきた。これはまた、中国政府がかつて自由奔放だったテクノロジー業界を再び重視し始めた兆しと受け止められている。
政府が馬氏の復帰を明示的に承認したかどうかは不明だ。だが、中国共産党の習近平総書記(国家主席)が今年2月に座談会で馬氏と握手を交わした場面は、共産党政権がAIを成長の原動力に据えようとする局面での馬氏「復権」として解釈された。
ただし、馬氏の社外活動は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)のパネル討論会などに参加していた規制強化前に比べれば限定的にとどまるとみられる。
北京のインターネット系シンクタンク、海豚を創設した李成東氏は「馬氏はアリババ最大のPR役、最大のカリスマ、最大のアイドルだ。ビッグボスが戻ってきたということは、もはや馬氏がリスクではなくなったということだ。それが皆を奮い立たせている」と述べた。
受難の象徴
馬氏は現在、競争激化が続く中国EC市場の新たな現実を受け入れつつある。消費者は食事や食料品、家電を1時間以内に届けるサービスを求め、企業間で顧客争奪戦が過熱している。
関係者の1人によれば、経営幹部らは、アリババがかつて市場シェア85%を握っていた時代はすでに遠い過去となった現実を馬氏に理解させようとしている。
それでも馬氏は、アリババの主力ショッピングプラットフォーム「淘宝」が再びシェアを取り戻せると見込んでいる。ゴールドマン・サックスによると、中国フードデリバリー市場でのアリババのシェアは7月時点で43%と、美団の47%に迫っている。
ただ、この価格競争は当局との衝突を招きかねない。政府は「悪意ある補助金」と見なされる販売促進を抑制しようとしており、馬氏はアリババの支援戦略を巡り再び反発を買うリスクを負っている。
馬氏が表舞台から退いたきっかけは、今ではよく知られるようになった20年の講演だ。馬氏が中国の金融機関を「質屋」と公然と批判すると、それから程なくし、アリババ傘下のフィンテック企業アント・グループの新規株式公開(IPO)計画に当局から待ったがかかった。
政府はその後、富裕層を統制下に置くべく大規模な規制キャンペーンを開始。配車サービスの滴滴グローバルから教育関連に至る大手各社が締め付けられ、現代中国で最大規模の資産価値喪失が生じた。
アリババの時価総額は7000億ドル(約103兆円)近く失われた。これは、現在のテンセント・ホールディングス(騰訊)の企業価値に匹敵する規模だ。こうした受難を象徴する存在となった馬氏は中国本土を離れ、東京や香港で多くの時間を過ごし、社内の士気は低下した。
馬氏が公の場で20年以来となるスピーチを行うため、昨年12月にアントに戻った際には、涙を流す社員もいたという。
今年4月にアリババのクラウド部門本部を訪れた馬氏は、同氏の不在中に会社が直面した困難をつづった古参社員の感情的なメッセージが壁一面に貼られているのを目にした。
階段にマットを敷いて腰掛ける社員に囲まれ、東京や香港の社員も中継で耳を傾ける中、馬氏は持ち前の雄弁さを披露したという。事情を知る出席者が匿名を条件に述べた。
ブルームバーグ・ニュースが確認した発言記録によれば、馬氏は「テクノロジーとは星や大海を征服するためだけのものではない。われわれ一人一人の心にある火花を守ることだ」と語りかけた。
そして、同社のクラウド基盤や自社開発の「T-Head」半導体、日々報告を受けているとするAIモデル「通義千問(Qwen)」が果たす重要な役割を強調した。イベント後、出席者の一部は、まるで創業初日のスタートアップ文化を目撃したかのように、奮い立ち、鼓舞されたと打ち明けた。
「現場復帰」
馬氏は1999年、8万ドルを80人の投資家から集め、オンライン市場を立ち上げた。2014年には当時史上最大の250億ドル規模のIPOをニューヨークで実施し、時価総額は8000億ドルを突破した。しかし、中国当局との対立や新型コロナウイルス禍で株価は急落した。
アリババは呉氏の主導で汎用AI(AGI)の開発を最優先に掲げ、今年2月に今後3年で3800億元余りをAIとクラウドインフラに投資すると表明した。
8月にはクラウド収入が予想を上回る増加になったと報告し、株価も年初来で88%上昇した。ただし、時価総額は3800億ドルとピーク時の半分以下にとどまっている。
アリババにかつての輝きを取り戻したい馬氏は、呉、蔡両氏に加え、蒋凡氏にも期待している。蒋氏は、今やシンガポールからイスタンブールにまで広がる新たな体制となったEC事業の運営を担っている。
ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のマネジングディレクター、ベイサーン・リン氏はアリババについて、「テクノロジーと本業に集中し、規律ある投資を進めており、収穫期に入ろうとしている」と指摘した。
馬氏の復帰は社内に自信をもたらす一方、指揮系統を複雑にしている。正式な肩書はない馬氏を最終決定者と見なす社員もいるという。正式復帰が見込まれていない馬氏だが最近、社内で常に社員証を着けて歩いている。従業員が「現場復帰」の象徴と受け止め得る行動だ。
馬氏は19年、当時の張勇(ダニエル・チャン)CEOにアリババを託し、会長職を退いた際、「引退は私がアリババを去ることを意味しない。アリババが呼べば、いつでも戻る」と国営メディアに語っていた。
自動車価格は依然として史上最高値付近で推移しているが、その主な理由の一つは自動車メーカーが高級車のラインナップを強化していることにある。
コックス・オートモーティブによると、8月時点で販売された5万ドル以上の新車の割合は、2019年のほぼ2倍に増加した。メーカー希望小売価格(MSRP)が10万ドルを超えるモデルは約33車種、3万ドルを下回るモデルは18車種あった。
住宅価格の上昇、株式市場の収益、信用の好調によって富裕層の顧客は追い風を受けているが、低・中所得層の購入者は締め出されている。
「もっと実現可能で低コストの代替品が必要か、金融市場で何かが起きて、購入者の購入意欲が本当に低下するかのどちらかだ」と、コックス・オートモーティブのエグゼクティブアナリスト、エリン・キーティング氏は述べた。
一方、企業は売り上げを、より少数の消費者にますます依存するようになっている。
「もしこのバブルが崩壊すれば、経済全体にかなり劇的な影響が及ぶだろう」と、モーニング・コンサルトのチーフエコノミスト、ジョン・リーア氏は述べた。「多くの企業が、高所得層の消費者の需要に応えることに集中しすぎている」
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
●その他
備忘録(2025/9/17)
●企業
ムーディーズ・ジャパンは17日、ソフトバンクグループのコーポレート・ファミリー・レーティング(CFR)を「Ba3」から「Ba2」に引き上げ、見通しを「ポジティブ」から「安定的」に変更した。
ムーディーズは発表で、資産売却や有担保債務削減を通じたレバレッジ低下などが背景と説明。上場株を中心とする投資資産が格付けを支えるとした。
ソフトバンクGは、ムーディーズと自社の発行体格付けを巡って論争を繰り広げてきた。同社は2020年にムーディーズへの格付け依頼を取り下げ、その後もいわゆる「勝手格付け」の状態が続いている。
ソフトバンクGは発表文で、ムーディーズから格付けの取得はしておらず、同社に情報提供も行っていないと説明。そのため、今回の見解は「合理的な根拠のない主観的な想定および仮定に基づくもの」と指摘した。
ソフトバンクGの25年4-6月期(第1四半期)純利益は4218億円と、2四半期連続の黒字。ビジョン・ファンド事業が韓国クーパンや米エヌビディアの株価上昇で大幅に改善し、業績回復が鮮明となった。
UBPインベストメンツのファンドマネジャー、ズヘール・カーン氏は、格付け会社の仕組みは「利益相反が多い」と指摘。その上で「今回のケースは、格付け費用を誰がどのように負担するのかという問題を浮き彫りにしており、格付け会社のビジネスモデルを根本から見直す必要性を示す良い事例だ」と述べた。
●マクロ
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストが、ブルームバーグとのインタビューで、ドイツが約束する抜本的な財政改革の実現を待つ中、世界の投資家は、欧州株の上昇に疑問を抱きつつあると指摘した。
ゴールドマンのストラテジスト、シャロン・ベル氏とクリスチャン・ミュラーグリスマーン氏は、人工知能(AI)への関心の高まりが米国株を押し上げ、中国が新興市場で好調なパフォーマンスを示す中、世界の運用マネジャーは欧州の後れを懸念していると述べた。
ミュラーグリスマーン氏は「他の地域の勢いが良いため、欧州は買いリストの最下位に追いやられた」と指摘した。ベル氏は、欧州各国が実際に支出を増すかどうか、懐疑的な見方が広がっていると述べた。
ストックス欧州600指数は1-3月期(第1四半期)、ドル建てベースで米国株を上回る過去最高のパフォーマンスだった。欧州最大の経済大国ドイツが防衛・インフラ投資に数千億ユーロを投入すると表明し、政府の借り入れの厳格な管理で知られてきた同国の方針が大きく転換したためだ。
だが、ここ数週間、経済成長の兆しや利下げへの期待を受け、投資家が米国資産に再び殺到しているため、ストックス欧州600のリードは消失した。AIへの熱狂の再燃も、テック大手株を押し上げている。S&P500種株価指数は今年12%上昇して過去最高値を更新した一方、ストックス欧州600は8.6%上昇にとどまり、3月のピークを下回っている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の最近の調査では、欧州株への資金配分が9月に減少したことが判明した。ただし、ファンドマネジャーが完全に悲観的というわけでもなく、5%超の下落を予想している調査対象者はいなかった。ベル氏らは、ドイツの支出計画に対する懐疑論はある一方で、この計画が支えとなり、投資家が欧州の「極端な下落シナリオを懸念しにくくしている」と指摘した。
ベル氏は、経済成長率の改善を背景に、企業利益が2026年に4%、27年に6%増加し、今後12ヶ月でストックス欧州600指数が約5%上昇すると予測している。同氏は「欧州が公約の4分の3を果たせば、市場は非常に好調になるだろう」と述べた。
RBCブルーベイ・アセット・マネジメントは円のロングポジションを取っている。日本の首相交代や日本銀行による10月利上げの可能性が円高を一段と後押しすると見込んでいる。
最高投資責任者(CIO)のマーク・ダウディング氏はインタビューで「ドル・円が150円をわずかに下回る水準」でドルのショート(売り持ち)ポジションを構築したと明らかにした。「10月の利上げは起こり得る、あるいは起こる可能性が高いとみている。そのため、自民党総裁選で小泉氏が勝利するとすれば、今が円ロング(買い持ち)の魅力の高い時期だと考えている」と話した。
投資家は、自民党総裁選への立候補を正式に表明した小泉進次郎農相について、金融引き締めに前向きな姿勢を持つと見なしている。これに対し、有力な対抗馬とされる高市早苗氏は金融緩和や財政拡張を支持するとみられている。自民党は7月の選挙で大敗し、石破茂首相の退陣表明を受けて10月4日に総裁選が実施されることになっている。
ブルーベイはドル・円が短期的に140円に向かうとみている。また、中期的な適正水準は135円に近いと予想している。過去3カ月間で円はG10通貨の中で対ドルで最も弱く、0.8%下落した。17日午前10時19分時点では146円51銭と小幅に上昇していた。
ブルーベイとは対照的に、ヘッジファンドは9月2日まで4週連続で円の売り持ちを積み増した。バンク・オブ・アメリカ(BofA)やHSBCホールディングスのストラテジストも円の対ドル下落が続くと予想している。
ロンドンに拠点を置くブルーベイはこの1カ月にポジションを積み増した。日銀の植田和男総裁や他の当局者の発言から、政治リスクが障害とならなければ政策正常化は継続するとの見方が示されたことから円買いに動いた。
政治的混乱にかかわらず日銀が年内に追加利上げする可能性があるとブルームバーグ・ニュースが報じた後、トレーダーは追加引き締めへの期待を強めた。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は年内利上げ確率を約60%織り込んでいる。日銀は今週の金融政策決定会合で、政策金利(0.5%)を据え置く見通しだ。
日本の政治的不透明感や財政リスクを背景に超長期国債の利回りは上昇し、30年債利回りは9月初めに過去最高の3.285%に達した。ダウディング氏はこの水準を「絶対水準として」魅力的と評価している。
同社は現在、30年物日本国債を10年債に対してロングにしている。長く維持していたショートポジションは今年これまでに手じまった。ダウディング氏は、自民党総裁選で小泉氏が勝利し日銀が利上げを実施すれば、「デュレーション(債券の金利感応度)を長くする」ことを検討すると述べた。そのような展開となればインフレ抑制に向けて「政策当局が正しい対応をしていると信頼できる」と説明した。
米国のファイナンシャルアドバイザーは富裕層顧客に仕組み金融商品を売り込むことが増えており、富裕層投資家はこれらの商品を熱烈に支持している。
債券とデリバティブ(金融派生商品)の特性を併せ持つこのハイブリッド商品の米国の市場は昨年、過去最高の1940億ドル(約28兆5000億円)に急成長した。2025年にはこの規模を上回る見込みだ。
米国の仕組み商品業界はリーマン・ブラザーズの破綻後長年にわたり停滞に陥った。リーマン破綻では数十億ドル相当の証券の価値が失われた。
しかし、 米国の投資家はようやくこの事件を乗り越えて、新たなブームを起こそうとしているようだ。
仕組み商品は、債券のような証券で、そのパフォーマンスは原資産である株価指数や個別銘柄の動きに左右される。債券が提供するような元本保証と、ほとんどの債券よりも高いリターンを組み合わせることを目指している。オプションを利用して投資を保護する商品の一角だ。
退職前後の個人にとって魅力的なことから「ブーマー・キャンディー」と呼ばれるこうした商品が増殖している。
投資助言会社インテグレーテッド・ウェルス・ソリューションズ創業者のゲイリー・ガーランド氏(58)は、45万ドル相当の仕組み商品を購入したが、自身の資金の大部分を顧客と並行して投資している。
自身の資金を3つの商品に分散投資しており、そのうち2つは米国株が上がっても下がっても利益が得られる商品だ。例えば、バークレイズが提供している商品は、株価が上昇した場合の潜在的な利益は約9%までに制限されるが、下落しても下落率が20%以内ならば、最高で20%の利益が得られる。
下落率が20%を超えるという最悪のシナリオでも、損失は20%を超えた部分に制限される。例えば30%下落した場合、投資家の損失は10%になる。
ガーランド氏は「ほとんどの人が見たこともなく、聞いたことはあっても何なのかを知らないような商品だ。しかし、実際に見た人は総じてこの商品が気に入る」と語った。
米国の仕組み商品市場は21年以降、規模がほぼ倍増した。仕組み商品に関するデータを提供するストラクチャード・プロダクツ・インテリジェンスによると、9月10日までの1年間の発行額は前年同期比8.4%増の1385億ドルに達した。
世界の多くの資産クラスにおけるバリュエーションの上昇と、関税や地政学的緊張といった予測不可能なマクロ要因の組み合わせがこうした商品への関心を高めた。
指数、仕組み商品、年金の分析・格付けを行うプラットフォーム、インデックス・スタンダードの創業者、ローレンス・ブラック氏は「投資家は、明確なリターンと、真に相関のない資産を求めている」と言う。
「人々はプライベートエクイティーに多額の投資をしてきたが、この資産クラスのブームは終焉(しゅうえん)を迎えたように見える。その結果、他の選択肢を求めている。仕組み商品や年金のような保険商品は、人々の資産を守り、ポートフォリオに安定をもたらす要素となり得る」と語った。
オートコール型
発行済みの仕組み商品の半分以上は、オートコール型と呼ばれるもので、原資産のパフォーマンスによっては早期償還となる定期型投資商品だ。厳密には完全な元本保証ではないが、それを補うために高いクーポンを提供している。
マレックス・ファイナンシャル・プロダクツの責任者、ヨースト・バーガーハウト氏によると、オートコール型債券は、上昇相場では定期的に早期償還され、その現金が再投資されることが多いため、仕組み証券ブームの重要な原動力となっている。
需要が非常に高いため、上場投資信託(ETF)の世界では、安価で手軽に投資できる手段が提供されている。6月には、カラモス・インベストメンツが初のオートコール型ETFを設定し、50種類以上の商品を一つのバスケットで連動させている。このETFは上場以来約11%のリターンを上げており、S&P500指数の8.4%を上回っている。
「オートコールオプションはETF業界の次の大きなトレンドになるだろう」とカラモスのETF責任者マット・カウフマン氏は述べた。
波乱の歴史
しかし、仕組み商品には波乱に満ちた歴史があり、投資家や発行銀行の双方に大きな痛みをもたらしてきたことも忘れられない。
23年には、中国の主要株価指数の急落により「スノーボール」と呼ばれる商品で投資家が多大な損失を被った。類似の商品を発行したナティクシスなどのフランスの銀行は、18年と20年に多額の損失を計上した。
08年のリーマン破綻の際には数十億ドルが消失した。同社の商品の多くは個人向けに販売されており、多くの場合、投資家が当初投資額を回収できるという保証付きだったが、実際には保有者は何年も訴訟に明け暮れ、投資額の一部しか回収できなかった。
米アップルの中国スマートフォン販売は「iPhone17」発売を控えた数週間で前年同期比6%減少した。新型フラッグシップ機発表前としては例年よりも深い落ち込みとなった。
アップルだけでなく、小米(シャオミ)やビボ(Vivo)、オナー(栄耀終端)といった中国のスマホメーカーも夏場の販売不振に直面した。
調査会社カウンターポイント・リサーチによると、7-9月(第3四半期)最初の8週間における販売は軒並み減少。政府による消費喚起策としての手厚い補助金があったにもかかわらず、中国のスマホ市場全体が2%縮小した。
アップルは中国市場での首位奪還に向け、なお巻き返しが必要だ。カウンターポイントによれば、アップルのシェアは12%にとどまり、6位。小米とオッポ(Oppo)、華為技術(ファーウェイ)がそれぞれ16%。首位のビボは19%。
自民党総裁選(22日告示、10月4日投開票)で、各候補が描く野党との連携戦略に注目が集まっている。自民、公明両党が衆参で過半数を割り込む中、多数派を構成できなければいくら政策を掲げても実現が見通せないからだ。
連携相手として本命視されるのは日本維新の会だが、小泉進次郎農林水産相、林芳正官房長官、高市早苗前経済安全保障担当相ら有力と目される候補と維新との距離感にはばらつきも見え隠れする。選挙期間中にどこまで具体的な連携戦略を示せるかが勝敗を左右しそうだ。
<小泉氏は蜜月アピール、林氏も接近強める>
維新の藤田文武共同代表は17日の記者会見で副首都構想や憲法改正、スパイ防止法などを例示し、「連立するか否かにかかわらず、我々は信念をもって政策を掲げている」と述べた。こうした政策への賛否が連立入りを判断する際の検討材料になるか問われ「当然なる」とも述べた。
総裁選で有力視される候補は、それぞれ野党との連携を模索している。
維新との距離が最も近いとみられているのは小泉氏だ。8月には維新代表の吉村洋文大阪府知事とともに大阪・関西万博を視察。小泉氏が吉村氏を「改革の魂をもった政治家だ」と持ち上げると、吉村氏が小泉氏を「改革を進めていく稀有な政治家の一人だ」と称賛するなど蜜月をアピールして見せた。経済官庁幹部は「小泉氏が総裁になれば秋の臨時国会中にも維新との連立が実現するのでは」と語る。
林氏も維新の馬場伸幸前代表との会食が報じられるなど接近を強めているとみられる。もともと石破茂総裁の下、森山裕幹事長と維新の関係は良好と言われた。石破政権を支えた林氏だけに、自民内には「林氏は経験も豊富。問題なく維新との連携交渉に臨めるだろう」(衆院議員)との声がある。
<高市氏は「パイプない」指摘も>
一方、高市氏と維新の関係は現時点では未知数だ。2023年、高市氏の地元・奈良県知事選で維新公認の新顔が当選。県連会長として指揮を執った高市氏が苦杯をなめた経緯もある。陣営の一人は「自民の意志がよくわからないうちは連立相手を決められない」。参院幹部は「高市氏に野党とのパイプはないのでは」と話す。
維新に加え、国民民主党も連携の候補になり得る。玉木雄一郎代表は16日の記者会見で、昨年12月に自公と結んだガソリンの暫定税率廃止と「103万円の壁」の178万円への引き上げに関する幹事長合意を引き合いに、「この約束をしっかり引き継ぎ、誠実に実現に向けて努力していただける方」の新総裁就任を求めた上で、「合意を守ってくれるかどうか、その中で信頼が生まれてくる」と含みをもたせた。
すでに立候補会見を開いている茂木敏充前幹事長は、維新と国民民主を名指しし早急に連立の拡大を目指す考えを表明した。小林鷹之元経済安保担当相は「政策の連携の先に連立の姿が見えてくる」と述べたものの、「自民のスタンスが固まる前の数合わせの連立は本末転倒だ」とした。
自民は昨年の衆院選と今年の参院選で連敗。衆参ともに自公過半数割れの状況だ。目下の経済対策はもちろん、来年度当初予算の編成を見据えても野党との連携は欠かせない。そもそも、仮に野党が結束すれば国会での首班指名で首相に選ばれない可能性すらある。
党総裁選管理委員会は17日、告示後に候補者による複数の討論会や東京・名古屋・大阪で演説会を開く方針を決めた。政策実現の前提となる野党との連携について、各候補がどこまで具体的な見通しをアピールできるかが焦点となりそうだ。
<「野党の政策との共通点に注目」と専門家>
野党との連携の見通しや組み合わせによる経済政策への影響について専門家はどうみているのか。
SMBC日興証券シニアエコノミストの宮前耕也氏は「今回の総裁選は1年前とは大きく意味合いが異なる。衆参ともに少数与党となり、野党の協力なしには予算案や法案が一つも通らない状況だからだ。総裁選でも各候補の政策がどの野党の政策と共通しているのかが注目される」とみる。
高市氏や小林氏が総裁になった場合、「積極財政路線で国民民主党との連携に向けて調整する余地があるように思われる。市場が財政拡張路線と見れば長期金利が上がり、株も短期的には上昇トレンドになるだろう」と指摘。ただ、「金利が急騰すれば財政懸念から株も下落に転じる可能性がある」とも話す。
小泉氏だった場合は「維新との連立も見えてくる。政権が安定すれば市場はポジティブに捉えるだろう」とする一方、「政策的に財政健全化と規制改革のどちらに注力するのかは見通せない。株の反応は現時点では不透明だ」と語る。
林氏は「維新、国民民主に加えて立憲民主党とも話ができるので、政権は安定しそうだ。政策的には石破政権の路線をある程度引き継ぐと思われるので、どちらかと言えば財政健全化路線を進めるのではないか」とし、茂木氏の場合は「維新と国民民主の両方を連立交渉相手に名指ししている。討論会で掲げる主張などがどちらの党により近いか注目したい」と述べた。
先週の住宅ローン金利は昨年10月以来の低水準まで低下した。これを受けて借換需要が急増し、不確実な経済環境の中で消費者がより多くの節約を求める動きが広がっている。
モーゲージ・バンカーズ協会(MBA)が発表した指数によると、住宅ローンの借換申請件数は前週比で58%増加し、前年比では70%増となった。また、借換が住宅ローン申請全体に占める割合は、前週の48.8%から59.8%に上昇。
これは、30年物固定金利の平均契約金利が前週の6.49%から6.39%に低下したことが背景。手数料(融資手数料を含む)は0.56から0.54%へ減少しており、これは20%の頭金を条件としている。
MBAのエコノミストは「平均借換ローン額はわれわれの35年に渡る調査の中で過去最高水準に達した。大型ローンを抱える住宅所有者が真っ先に動いたようだ」と述べている。
借換申請は特に変動金利型住宅ローンで強い伸びを見せた。その申請シェアは全体の12.9%に達し、2008年以来の最高水準となった。
同エコノミストは「注目すべきは、変動金利型住宅ローンには通常5年・7年・10年の初期固定期間があるため、2008年以前のように早期の返済負担が急増するリスクはない。変動を選んだ借り手は、30年固定ローンよりも約0.75%ポイント低い金利を享受している」と述べている。
一方、住宅購入希望者の動きはそれほど活発ではない。住宅購入ローンの申請件数は週次で3%増に留まり、前年比では20%増となった。
さらに週初には、本日のFRBの利下げ観測を前に、住宅ローン金利は一段と低下。30年物固定ローンの平均金利は6.13%となり、2022年末以来の低水準に達したと別の調査で報告されている。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
マイクロソフト<MSFT>はAIインフラの拡充策の一環として英国に300億ドルを投資し、同国最大のスーパーコンピュータを建設する計画を発表した。同社のスミス社長によると、この計画は2025年から2028年にかけて実施され、英国における最大規模の資金コミットメントとなる。
投資のうち150億ドルはクラウドとAIインフラ構築への設備投資に充てられ、スーパーコンピュータには2万3000基以上の先端GPUが搭載される予定。開発は英国スタートアップのNスケール社と協業して進められる。
●その他
備忘録(2025/9/16)
●企業
ソフトバンクグループを率いる孫正義氏が大きな賭けに出る時、新たな時代の幕開け、もしくはテクノロジーサイクルのたそがれを告げる合図となる。
孫氏はこれまで幾度も華々しい勝利を収めてきた。中国の電子商取引大手アリババグループが成功すると早期に見抜いたことで、アリババが10年余り前に上場した際にソフトバンクGに580億ドル(現在の為替レートで約8兆5300億円)の利益をもたらした。
2016年には英半導体設計会社アーム・ホールディングスを320億ドルで買収し、23年に人工知能(AI)ブームの追い風を受けてタイミング良く上場させ、再び巨額の利益を得た。アームは現在、ソフトバンクGのポートフォリオ価値の約半分を占めている。
ソフトバンクGの投資には、ぎょっとするような敗北もあった。シェアオフィス大手、米ウィーワークの上場失敗とその後の破産申請により、孫氏は115億ドルを失った。
英金融ベンチャー、グリーンシルの崩壊では、ソフトバンクGは法廷に立たされた。インドのオヨホテルズは、孫氏がより強い収益力を確認したいとの意向から、新規株式公開(IPO)を3度延期。23年3月までの2年間で、ソフトバンクGのベンチャー投資部門ビジョン・ファンドは約700億ドルの損失を計上した。
対話型AIのChatGPTを展開している米OpenAIはどうだろうか。孫氏が今、サム・アルトマン氏率いるOpenAIに「全賭け」していることを、どう読み解けばいいのか。
ソフトバンクGは今年4月、OpenAIの資金調達ラウンドを主導した。同社の評価額を3000億ドルとし、年末までに最大300億ドルを投じると約束した。
心配し過ぎたと言われるかもしれないが、ソフトバンクG創業者の新たな熱中ぶりは、ウィーワーク出資を連想させる。孫氏の資金投入パターンやウィーワークとOpenAIのビジネスモデルに内在する収益と負債のミスマッチなど多くの類似点がある。
両社ともソフトバンクGの出資が遅れ、孫氏は大金を支払わなければ席に着けなかった。ウィーワークは11年から資金調達を続けていたが、ソフトバンクGが参入したのは17年。1000億ドル規模のビジョン・ファンド1号を創設した後だった。
同様に、今年のOpenAIの資金調達も遅い段階で行われ、ベンチャーキャピタルは利益余地が限られるのが一般的だ。
この取引はソフトバンクGにとって集中リスクも伴う。孫氏が全額投資すれば、アームに次ぐ2番目に大きな資産となる。すでに孫氏は6月末までに97億ドルを投じている。
朗報なのか
企業評価額が短期間で大きく膨らんでいるのも共通点だ。ソフトバンクGがウィーワークに初めて出資した17年8月、評価額は210億ドルだった。その約1年後には30億ドルを追加投資し、評価額は450億ドルと倍以上となった。
ソフトバンクGは新株でないOpenAI株の取得を進めているが、企業評価額は5000億ドルとされ、わずか半年前にソフトバンクGが主導した資金調達ラウンド時のほぼ倍だ。孫氏は買い過ぎではないのか。
結局のところ、OpenAIはウィーワークと同じように景気下振れサイクルを経験せずに楽観的な成長見通しを示している。
ウィーワークは、新型コロナウイルスの流行によって働き方や働く場所が変化し、オフィス需要が減退したことが一因で挫折した。電力不足やエネルギー危機といった外部要因で生成AIが妨げられないことを祈るしかない。
OpenAIの極端に高い評価額は、完璧な運営を前提としているためだ。同社の最新予測では、売上高が今年の130億ドルから30年には2000億ドルに急増するとしている。
資金の消耗もある。19年後半、ウィーワークの資金枯渇を恐れ、約3分の1を保有していたソフトバンクGは救済パッケージを提供せざるを得なかった。
25年の今、OpenAIのキャッシュフローを巡る懸念は根強い。同社は29年末までに1150億ドルを使い果たす見通しを示している。さらに、OpenAIが米オラクルと結んだ3000億ドル規模のクラウド契約は、どのように支払いがなされるのか誰にも分からない。これは27年からの5年契約だ。
ウィーワークとOpenAIはいずれも固定費を抱えながら、収入源は不確実という点でも似ている。長期のリース契約を結んでいたウィーワークだが、入居者側にコミットメントを求めなかった。
OpenAIも今後10年間で数千億ドルの支払い義務を負う一方、移ろいやすい消費者はいつでも定額サービスを解約できる。こうしたビジネスモデルでは、ベンチャーキャピタルから資金流入が続かなければ、資金繰りに窮する。
現時点で孫氏は順風満帆に見える。ソフトバンクGの株価は先週、上場来最高値を更新した。AI分野での重要な提携先であるオラクルが、将来に向けた契約が総額5000億ドル近くあると開示し、その相当部分がOpenAIとの取引によるものだったからだ。
だが、これは本当にソフトバンクGにとって朗報なのか。OpenAIはこの巨額支出の下でフリーキャッシュフローを黒字化できる
米プライベートエクイティ(PE)投資会社アポロ・グローバル・マネジメントは、インターネット普及当初の花形企業だったAOLの売却を検討している。関係者が明らかにした。買収の打診が複数あるという。
AOLの売却が成立した場合、評価額は15億ドル(約2200億円)前後になる可能性がある。合意が成立する保証はない。
デンマークのノボノルディスクの肥満治療薬「ウゴービ」は、患者が食べ物について考えるのをやめるのに役立つ可能性があることが、新たな研究で示された。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えた。
オーストリアで開かれた医学会議で発表されたこの研究結果によると、減量目的でウゴービを使用した患者は、食べ物のことばかり考えてしまう状態、いわゆるフードノイズが大幅に減少し、精神的な健康や生活習慣も改善したという。
ノボノルディスクによると、1日中、常に食べ物のことを考えていると答えた人の割合は、ウゴービによる治療開始後に46%減少。また、回答者の64%が精神的健康が改善し、80%がより健康的な生活習慣が身についたと報告した。
ノボノルディスクのクノップ次期最高医療責任者(CMO)は「ウゴービを使用する人たちからこうした新たなデータが得られたことは非常に励みになる。減量効果に加え、ウゴービは食べ物のことが気になって仕方がない状態を改善し、精神的健康を支え、人々がより健康的な生活を送るのを支援する可能性がある」と述べた。
この研究は減量目的でウゴービを使用している550人を対象に米国で実施され、フードノイズに関連する精神的健康や食習慣への影響を調べた。
●マクロ
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストによると、債券トレーダーにとっての次の痛手は、5年物国債で発生する可能性がある。
ストラテジストのジョージ・コール氏とウィリアム・マーシャル氏は15日付のリポートで、より持続的な引き締めサイクルに向かう日本と経済見通しが改善しているドイツで、5年物国債が特に脆弱(ぜいじゃく)だと指摘した。
期間短めの国債は金融政策の見通しに大きく左右される一方、10年以上の長期債はインフレや財政赤字懸念により影響を受けやすい。このため、双方のリスクに比較的耐性があるとされてきた5年物は、世界の債券市場で「スイートスポット」と位置付けられてきた。
期間長めの国債の多くは今年に入り、財政赤字懸念から売り込まれており、日本やドイツの国債リターンが他の先進国に比べて出遅れていることが、ブルームバーグの分析で示されている。こうした中、日本やユーロ圏で金融引き締めや景気回復の方向に転じつつあることは、5年物国債を一段と脆弱にしかねない。
ドイツの5年物国債利回りは3月のピークから30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り低下しており、低下幅は10年物の約25bpを上回っている。日本では先週実施された5年物国債入札が6月以降で最も堅調な需要を集めた。
ゴールドマンのストラテジストは、ドイツと日本では売り圧力が続く可能性があると指摘。「弱気な圧力は長期債から中期債に移行し、5年物がアンダーパフォームすると予想している」と述べた。
スペインの歯科医療提供企業ドンテ・グループの買収を進めるカナダのオンタリオ州教職員年金基金(OTPP)に対し、約5億ユーロ(約866億円)の債務ファイナンス提供を主導する銀行団に、JPモルガン・チェースと野村ホールディングスが加わっていることがわかった。
事情に詳しい関係者によると、UBSグループやBNPパリバもこの融資団に加わっており、近く、より幅広い投資家へのシンジケーションが見込まれている。関係者らは、協議が非公開であるとして匿名を希望した。
JPモルガン、野村、OTPP、UBS、BNPパリバは、コメントを控えた。
合併・買収(M&A)の動きは回復しつつあり、投資銀行業務の中でも最も高収益とされる引き受け業務が、再び活況になってきた。
M&A市場は、米国の通商問題により今年は低調なスタートだったが、ここ数カ月で活動が回復し始めている。ゴールドマン・サックス・グループは、今年後半から来年にかけ、M&Aの動きが大幅に加速すると予測している。
OTPPは7月、アドベント・インターナショナルと共同でドンテを買収する方針を発表しており、この取引での企業評価額は約10億ユーロとされる。ドンテは現在、直営型の歯科センターや矯正歯科サービスを提供する歯科クリニックを426拠点以上展開している。
グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の時代から今のパウエル議長の時代に至るまで、ウォール街では何世代にもわたり、米連邦準備制度のデュアルマンデート(二つの責務)、すなわち物価安定と最大限の雇用が米金利設定の指針になるという事実が、幾度となく引き合いに出されてきた。
トランプ米大統領がFRB理事に指名し、上院が人事を承認したマイラン経済諮問委員会(CEA)委員長が「長期金利の抑制」というサードマンデート(第3の責務)に言及した際、それが一体何を意味するのかアナリストの間で議論を呼び、債券トレーディングデスクの話題となった。
多くの人々を驚かせたのは、マイラン氏が単に長い間忘れられていた連邦準備制度の規定の一部を引用したに過ぎないという事実だ。しかしアンドリュー・ブレンナー氏のような金融市場のベテランにとって、その重要性は明らかであり、ポートフォリオを一変させかねない警戒すべきサインと受け止められた。
ブレンナー氏の見解によれば、ドル安誘導の多国間取り決め「マールアラーゴ合意」のアイデアを提唱したマイラン氏が、上院の指名公聴会でサードマンデートに言及したことは、トランプ政権が連邦準備制度の規則を隠れみのに金融政策を行使し、長期債利回りに影響を及ぼそうとする意図を示す最も明確な兆候の一つだ。
それはトランプ氏が自らの目標達成のため、何十年も続く制度的規範を覆し、連邦準備制度の長年の独立性を損なうことにいかに意欲的かも浮き彫りにする。
ナットアライアンス・セキュリティーズのバイスチェアマン、ブレンナー氏は「明確に定義されたものではないが、(トランプ政権は)連邦準備制度の長期金利への影響力を大幅に強化できる条項を原本で発見した。これは今のトレードではないが、間違いなく考慮すべきだ」と9月5日のリポートで指摘した。
そのような政策は現時点で実施されておらず、最近は必要とされてもいない。労働市場の悪化が連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ再開に道を開く状況で、米国債利回りは全ての年限で年初来の最低水準に向け低下しつつある。さらにサードマンデートはここ数年、むしろインフレ制御の当然の副産物と見なされていた。
カリフォルニア大学アーバイン校のゲーリー・リチャードソン教授(経済学)によると、トランプ氏が試みようとしていることを確かに連邦準備制度は過去に実行し、議会もこれを認めてきたが、それは主に戦時か経済危機の時期だった。「今は大規模な戦争状態になく、深刻な恐慌にも陥っておらず、そうした事情は当てはまらない」と同教授は説明した。
米国では富裕層の支出が個人消費全体に占める割合が拡大を続けている。雇用の伸びが鈍り、他の所得層の慎重姿勢で景気減速懸念が強まる中、経済の強さに偏りが目立ってきた。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏の分析によると、所得分布上位10%の消費者による支出は4-6月(第2四半期)に消費全体の49.2%を占めた。1-3月(第1四半期)の48.5%から上昇し、1989年以降で最高水準となった。
こうした状況は、雇用の大幅な減速、債務返済の延滞増加、多くの世帯を圧迫する根強いインフレといった逆風下でも、米経済が持ちこたえてきた背景を物語る。先週公表された雇用統計の年次改定では、今年3月までの1年間の雇用増加が従来発表の半分程度に下方修正された。
一部のエコノミストは、米経済の屋台骨である消費の重心が富裕層に偏り続けている傾向に警戒を強めている。他のリスクが高まるなか、景気拡大の持続性を揺るがしかねないとの見方だ。
ザンディ氏は「米経済の行方は富裕層の資産と消費に結びついている」と指摘。「彼らが何らかの理由で支出に慎重になれば、経済はリセッション(景気後退)に陥るだろう」と述べた。
その引き金の一つとして、同氏は株価下落を挙げた。株式市場は過去最高値圏にあり、不動産価格も高止まりしている。富裕層の純資産は増加しており、こうした資産効果が消費意欲を下支えしている。
一方で雇用の悪化で労働市場が分岐点に近づき、一段の悪化に向かうとの懸念が市場では広がっている。16-17日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では0.25ポイントの利下げが確実視されている。
米国で金融機関の審査に使用される信用スコアを提供するフェア・アイザック・コーポレーション(FICO)(FICO.N), opens new tabは16日、インフレや金利の上昇で住宅購入能力が弱まるなど、消費者のストレスが強まりつつあると指摘した。
消費者信用リスクの指標FICOスコアは全国で約2ポイント低下した。600─749の中間スコアは、2021年は人口の約38.1%を占めたが、25年は33.8%に低下した。
スコアの低下が著しいのは10代と20代の「Z世代」。学生ローンの負担が影響した。
FICOの報告書によると、今年の学生ローンの延滞率は過去最高を記録した。FICOがモニターする2100万人の10%以上が学生ローンの返済期限を迎え、そのうち10%以上が返済が滞っている。
雇用市場の冷え込みを示すデータが出ているが、一部国内大手銀行は、消費者の財務状況は依然として良好で信用の質が悪化する兆候はほとんどないと指摘している。
FICOは「平均信用スコア715は依然として過去最高水準にあり、多くの消費者の信用状況はおおむね良好」としたが「しかし平均スコアは信用状況の遅行指標であり、将来の平均信用スコアには多くのリスクが伴う」と指摘した。
14日実施されたドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州の市町村選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進した。複数の市長選で同党の候補が初めて決選投票に進出した。
AfDの得票率は14.5%と、5年前の約3倍。
メルツ首相率いる与党・キリスト教民主同盟(CDU)は最大勢力を維持したものの、得票率は33.3%で、5年前と比べて約1ポイント低下した。
CDUの連立相手である社会民主党(SPD)の得票率は24.3%から22.1%に低下した。
ゲルゼンキルヒェン、デュイスブルク、ハーゲンの市長選では、AfDの候補が初めて決選投票に進んだ。
NRW州はドイツで人口が最も多い。AfDのワイデル共同党首は「NRWでは、もはやAfDを無視することはできない」と表明した。
今回の選挙は、メルツ首相率いる連立政権にとって初の試練となった。連立政権を巡っては、低迷する経済や移民に対する有権者の懸念にうまく対処できていないとの批判が出ている。
AfDは移民対策を優先課題に掲げ、2月の連邦議会選挙では第2党に躍進した。米起業家のイーロン・マスク氏もAfDを支持している。
米商務省がこの日発表した8月の米小売売上高は前月比0.6%増と、3カ月連続の増加となった。自動車を除く売上高も0.7%増となった。
13カテゴリーのうち9つが増加し、ネット通販、衣料品店、スポーツ用品店が主導し、新学期需要が寄与したとみられる。一方、最大カテゴリーである自動車販売の伸びは鈍化したものの、全体への押し下げ効果は予想ほど大きくなかった。
消費者心理は依然として慎重で、労働市場にも減速の兆しがある一方、株高や賃金の実質的な伸びに支えられ、米個人消費は底堅さを保っている。
エコノミストは「消費者は経済見通しに悲観的だと答えているが、実際には財布のひもを緩め、自分や家族に小さな贅沢をしている。今後、解雇が増えた場合にこの傾向がどこまで続くかが大きな焦点」と指摘した。
GDP算出に反映される外食、自動車、建材、ガソリンを除く、いわゆるコントロール・グループの売上高も0.7%増となり、第3四半期の経済活動が健全であることを示唆した。ただし、小売売上高は物価上昇の影響も反映しており、販売数量の増加を必ずしも意味しない。
エコノミストからは「見かけ上は非常に強い数字だが、一部は価格上昇によるもので実際の販売量の伸びとは限らない」との指摘も出ている。
一方、外食・飲食店の売上高は0.7%増と前月の減少から回復。インフレ指標によれば、多くの企業は値上げを控えており、顧客離れを避けようとする姿勢がうかがえる。
ストラテジストは、FRBが利下げを再開すると米株式市場は短期的に不安定な動きを見せる可能性があると指摘している。1970年まで遡ってデータを分析。利下げサイクル入り直後は株価が調整する傾向がある一方、長期的なパフォーマンスには一貫性が見られないという。「FRBが利下げを始めると、いずれの場合も短期的には株が荒い値動きになる」と述べている。
過去のデータでは、S&P500は利下げサイクル開始後30日間で平均1.3%下落し、ナスダック100は平均1.8%下落しているという。同ストラテジストは過去の利下げの種類を「できるから利下げ」と「下げざるを得ない利下げ」の2つに分類。これが12カ月後の株式リターンの差につながると指摘した。
◆できるから利下げ
景気後退など深刻な経済悪化を伴わずに借入コストを下げるケース。この場合、株式の12カ月リターンは堅調と表現。今回のサイクルはこのケースに当たると見ている。
◆下げざるを得ない利下げ
不況や類似の経済危機に対応するケース。この場合は株式の12カ月リターンは低調に留まる傾向にある。
その上で同ストラテジストは、S&P500は2026年末に7750ポイントに達する見通しを維持。これは金曜日の終値から17%超の上昇余地を示す。今後は通信サービス、IT、一般消費財のAI関連セクターが市場を牽引すると予想しているという。
スコット・ベセント米財務長官は、ドナルド・トランプ大統領が企業に半期ごとの報告を提案したことは投資家にとって朗報となるだろうと述べた。
トランプ大統領は月曜日のトゥルース・ソーシャルへの投稿で四半期決算報告の廃止を提案し、これにより企業幹部は短期的な指標に固執するのではなく長期的な目標に集中できるようになると述べた。
「トランプ大統領は、英国であれ米国であれ、我々の株式市場が衰退しつつあることを認識しており、これは投資家に損害を与えることなく上場企業の株式市場を復活させ、コストを削減する一つの方法かもしれない」とベセント氏は火曜日、ロンドンでCNBCに語った。
多くの企業が、四半期ごとに増加する監査とコンプライアンスコストを一因として、上場ではなく非公開企業のままでいることを選択している。米国の上場企業数は、1996年の7,000社以上から2020年には4,000社未満に減少している。
トランプ氏はまた、四半期ごとの報告を廃止すれば、すでに半年ごとの報告制度を採用している多くの外国の管轄区域に米国も同調することになるだろうと示唆した。
「『中国は企業経営を50年から100年の視点で考えているが、われわれは四半期ごとに経営している』という話を聞いたことがありますか?良くないですよ!」とトランプ氏は語った。
中国で上場している企業は四半期ごとに報告しますが、香港証券取引所の株式は6か月ごとに報告する必要があります。
英国と欧州連合でも、企業は半年ごとに報告書を提出しますが、希望すれば四半期ごとに報告書を発行することもできます。
しかし、一部の投資家は以前から、四半期決算報告は企業の財務をより透明かつ定期的にすることで自らの利益を守るのに役立つと警告していた。
株式に投資する年金基金を代表する団体、機関投資家協議会(CII)は、四半期報告がないことで投資家を「十分に」保護できない可能性があると示唆した。
アームのような外国民間発行体制度に基づいて米国に上場している外国企業
そしてSpotify
も四半期報告義務が免除されていますが、中には自主的に四半期報告を行っているところもあります。
CIIは、現在米国で外国企業が享受している免除の多くは、効果的な企業統治を「弱める」可能性があると述べている。
それは米国をより魅力的にする可能性がありますか?
欧州の証券取引所では、過去10年間、米国の同業他社が達成した高い評価水準や規制上の優遇措置に惹かれ、多くの有名企業が自国の市場を離れ、米国で上場するケースが見られた。
四半期報告からの移行により、移行を検討している企業のコンプライアンスコストが下がるため、米国市場は欧州企業にとってさらに魅力的になる可能性がある。
「これが施行されたとしても、画期的な展開になるとは思わないが、米国で上場するかどうか、またどのように上場するかを考えている企業にとっては、間違いなく検討材料となるだろう」と、法律事務所リンクレーターズでSECコンプライアンスを専門とする弁護士マイク・ビーネンフェルド氏は述べた。
この措置により、米国は欧州企業にとってさらに魅力的な投資先となるかとの質問に対し、財務長官は「人気を得るのは難しい」と答えた。
金融機関に最も広く利用されている信用スコアの一つを開発するFICOの新しい報告書によると、10年以上着実に上昇していた全国平均信用スコアは2年連続で低下した 。
平均スコアは現在 715 で、2024 年の 717 および 2023 年の 718 から減少しています。FICO スコアの範囲は 300 から 850 です。
高金利と物価上昇は、多くのアメリカ人の財政状況を悪化させています。FICOの調査によると、消費者は全体として 負債を抱え込み、 クレジットカードの残高 と支払い遅延が増加しています。これが平均スコアの低下につながっています。
「信用スコアが低下しているのには驚きません」と、レンディングツリーのチーフ・クレジット・アナリスト、マット・シュルツ氏は述べた。「何百万人ものアメリカ人が、根強いインフレ、高金利、厳しい雇用市場、そして経済全体の不確実性に直面し、苦境に立たされています。そして、厳しい時代はしばしば難しい決断を迫るのです。」
学生ローンの滞納が重要な要因
FICOによると、消費者の信用に関する連邦学生ローンの延滞報告の再開は 、スコアの低下に寄与したもう一つの大きな要因だった。
ニューヨーク連邦準備銀行は 3月の報告書で 、 返済が遅れている学生ローン借り手の信用スコアが「大幅に低下」するだろうと警告した。
当初、これらの借り手は、パンデミック中の連邦学生ローン返済猶予措置の恩恵を受けており、この措置により、滞納しているすべてのローンが現在返済中とみなされました。FRBの研究者によると、学生ローン借り手の信用スコアの中央値は、2019年末から2020年末の間に11ポイント上昇しました。しかし、この猶予期間は 2024年9月30日に正式に終了しました。
個人金融からのその他の情報:
家賃の支払いを利用して信用スコアを上げる消費者が増えている
一部の職業は「チップ非課税」政策の対象外となる可能性がある
トランプ政権は学生ローンのリスクについて家族に警告
FICOの報告によると、学生ローンの延滞報告の再開により、最近の深刻な延滞率が急上昇した。
さらに、FICOのスコアおよび予測分析担当シニアディレクターのトミー・リー氏によると、所得連動型返済プランの利用可能性の変化が主な原因で、今後数カ月間、学生ローンの延滞が増加し続ける可能性 があるという。
すべての借り手が苦労しているわけではない
近年の「K」字型の景気回復は一部の借り手に経済的なストレスをもたらしましたが、一方で他の借り手は財務状況を強化しました。FICOの調査によると、現在、最高スコアと最低スコアの範囲に入る消費者が増えています。
「平均スコアは低下しているものの、史上最高値の株式市場と住宅価格の上昇の恩恵を受けている消費者もいる」とリー氏は述べた。「彼らは株式市場と不動産市場の動向によってより裕福になっているのだ。」
より良いクレジットスコアを取得する方法
信用スコアの低下によって、信用限度額の削減、新規ローンの金利上昇、全般的な信用アクセスの制限などの影響を受けている人々にとって、スコアをほぼ即座に上げる方法があると専門家は言う。
「知っておくべき重要なことの一つは、FICOスコアは動的であるということだ」とリー氏は語った。
リー氏は、クレジットスコアを上げる最も良い方法は、 毎月請求書を期日までに支払うこと、必要な場合にのみクレジットを申請すること、利用率、つまり総クレジットに対する負債の比率を 30%未満に 保ち、高い残高が及ぼす影響を抑えることだと述べている。
レンディングツリーが今年初めに行った分析に よると、クレジットスコアを「普通」(580~669)から「とても良い」(740~799)に上げると、残高が残っている間は39,000ドル以上節約できる可能性があるという。最も大きな影響は住宅ローンコストの低下で、次いでクレジットカード、自動車ローン、個人ローンの優遇金利となっている。
「信用情報が悪いほど高くつくものは人生にほとんどありません」とレンディングツリーのシュルツ氏は言う。「何年もかけて手数料と利息で何万ドルもかかることもあります。」
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
デンマークの風力発電大手オルステッド社の株価は、欧州市場で下落した。同社は株主割当増資を実施し、金曜日の終値から大幅に値下がりした。この動きは、グリーンエネルギー業界全体の景気低迷と、トランプ政権による米国東海岸のプロジェクト凍結による不確実性の高まりを受け、バランスシートの安定化を図るため、緊急資本に相当する資金を調達することを目的としている。
株主割当増資の内訳は次のとおりです(ドキュメントを表示)。
オーステッドは新株を1株66.6クローネで発行する予定だ。これは金曜日の終値200.3クローネから約67%の割引となり、600億デンマーククローネ(94億ドル)を調達する。これは欧州のエネルギー企業による株主割当発行としては過去10年以上で最大規模となる。
米国の洋上風力発電事業に関連した巨額の損失を受けて、株主割当増資は信頼回復のために活用されるだろう。これにより、投資家が洋上風力発電の長期的な収益性を依然として信じているかどうかが決まるだろう。
CEOラスマス・エルボー氏は、資金はサンライズ・ウィンド・プロジェクトの完全所有権の維持や米国の規制リスクの管理など、当面の資金調達ニーズをカバーすると述べた。
「当社は、サンライズ・ウィンドの完全所有権の保持による当面の資金ニーズを賄い、米国における規制の不確実性から生じるリスクを管理し、成長パイプラインと長期的な価値創造を実現できるようオーステッドの資本構造を強化するために資本を調達している」とオーステッドのCEO、ラスムス・エルボー氏は声明で述べた。
株主割当に関する重要な日程: 株主割当の申込期間は 9 月 19 日に開始され、10 月 2 日に終了します。
ここ数ヶ月で何が起こったのでしょうか?
そうですね、これは先月の株主割当増資のニュースを受けてコペンハーゲンでオーステッド株が暴落したこと、トランプ政権がロードアイランド州の洋上風力発電プロジェクトの建設を凍結したこと、そしてグローバリスト/民主党のグリーンエネルギーバブルがより広範囲に崩壊したことが組み合わさったものです。
オーステッドの株価は「予想外の」株主割当増資によりIPO価格を下回る暴落
風力発電大手オルステッド、グリーンエネルギーの衰退が加速する中、過去最悪の週を経験
トランプ大統領がロードアイランド州の洋上風力発電プロジェクトを中止したことを受け、オーステッドの株価は過去最安値に急落した。
UBS:オーステッド訴訟は、トランプ政権とのウィンド協議が「うまくいっていない」ことを示している
本日のコペンハーゲン市場の反応は鈍かった。年初来で株価は39%下落し、現在はIPO価格を下回って取引されている。
The Informationは最近、ChatGPTの開発元であるOpenAIが株主に対し、Microsoftに支払う収益の割合を現在の約20%から2030年までにわずか8%に削減する予定であると通知したと報じた。この変更により、高騰するコンピューティングコストとデータセンターの建設加速に苦戦するこのチャットボットスタートアップは、今後5年間で数百億ドルを節約できる可能性がある。
OpenAIとMicrosoftの協業契約の修正案で議論されている条件案では、OpenAIがMicrosoftに支払う金額に大きな変化が生じる可能性があると報じている。この変更により、記録的なコンピューティングコストが相殺され、スタートアップ企業は500億ドルの節約を実現できる可能性がある。
当初の提携契約では、マイクロソフトは2030年までこのスタートアップ企業の収益の20%を受け取る権利があった。しかし、OpenAIは、今年の20%弱から、2020年末までに収益の約8%を商業パートナー(つまりマイクロソフト)に分配することを計画している。この差額は、OpenAIが2030年まで自社で保有できる追加収益の500億ドル以上に相当し、同社はその前にコンピューティングパワーに関する記録的な費用を予測しているため、この金額は必要不可欠となる。
両社はまた、OpenAIがいわゆる汎用人工知能(AI)、つまり人間と同等の知能を持つAIを実現した場合の対応についても交渉している。両社の既存の契約では、OpenAIが自社の技術で一定の財務目標を達成した時点で、マイクロソフトは同社の技術への独占的アクセスを失うと規定されているが、マイクロソフトは契約からこのAGI条項の修正または削除を求めている。
協議について説明を受けた別の人物によると、両社はOpenAIがマイクロソフトからサーバーを借りるのにいくら支払うかについても交渉中だという。
以前の条件を考慮すると、OpenAI が Microsoft と収益の 20% 未満を共有することを計画している理由は明らかではないが、OpenAI の一部のリーダーは、月額 2 万ドルの PhD レベルのエージェントなど、まだリリースされていない将来の OpenAI 製品については、Microsoft が既存の収益分配契約から除外することを望んでいる。
取引の多くの側面はまだ未確定だが、協議に詳しい関係者によると、合意の一部はほぼ合意に至っている。具体的には、OpenAIの非営利団体とマイクロソフトがそれぞれ約3分の1ずつ新会社の株式を取得する。新会社は現在、従業員に対し5,000億ドルの評価額で株式を売却することを許可しているという。
ここ数週間、OpenAIとMicrosoftのチームは、収益分配やその他の組織再編の詳細について協議するために会合を重ねてきました。OpenAIからMicrosoftへの支払いが少しでも削減されれば、AIインフラに酔っぱらいのように資金を浪費しているスタートアップ企業にとって、救いとなるでしょう。しかし今のところ、非営利団体によって運営されているこの企業は、終わりの見えない金食い虫状態のままです。
●その他
備忘録(2025/9/12-15)
●企業
スイス金融大手UBS(UBSG.S), opens new tabが、同国政府による新資本規制への対応として、米国へ拠点を移すことを検討している。米紙ニューヨーク・ポストが14日報じた。
同紙によると、UBS幹部がトランプ米政権高官と面会し、米金融機関の買収や合併を含む戦略の転換を準備している。
UBSのセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は11日、米ブルームバーグTVのインタビューで「われわれはスイスに拠点を置く成功したグローバル銀行として業務を継続したい」と強調。スイスや世界中の顧客に多くを提供できると説明した。
一方、エルモッティ氏は政府による新規本規制は懲罰的でやり過ぎだと批判し、株主やステークホルダーの利益をどう保護するかを考える必要があると述べた。「だが、いかなるシナリオやわれわれの対応についてもコメントするには時期尚早だ」とも語った。
スイス政府は6月、UBSによるクレディ・スイス買収を受け、新規制を提示。UBSは、260億ドル超の中核的資本を上乗せする必要が生じる可能性がある。ロイターは7月、関係者の話として、資本規制への対応でUBSがスイスからの本社移転を検討する必要性が高まっていると報じた。 別の関係者は、ロンドンも候補地だとしている。
解熱鎮痛剤「タイレノール」の製造元である米コンシューマーヘルスケア大手ケンビューのカーク・ペリー暫定最高経営責任者(CEO)は今週、ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官と緊急で非公開会合を開き、「タイレノールと自閉症の間に明確な関連性はない」というメッセージを伝えた。
事情に詳しいある関係者によると、ペリー氏は、厚生省が近く公表する報告書でタイレノールを自閉症の考え得る原因の一つに挙げないようケネディ氏に働きかけた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先週、ケネディ氏が子どもの自閉症を引き起こし得る原因に、タイレノールの有効成分アセトアミノフェンの妊娠中の服用を挙げる予定だと報じた。厚生省は今月中に自閉症の原因についての報告書を公表する見通しだ。
WSJの報道後、ケンビューの株価は1日で9%下落し、幹部らの間に懸念が広がった。
関係者によると、ケネディ氏との会合で、ペリー氏とキャロライン・ティレット最高科学責任者(CSO)はアセトアミノフェンと自閉症に明確な関連性はないと主張。妊婦用の解熱剤としてアセトアミノフェンに代わる安全な選択肢はほとんどないと訴えたという。
中国の市場監督当局、国家市場監督管理総局(SAMR)は15日、予備調査の結果、米半導体メーカーのエヌビディア(NVDA.O), opens new tabが独占禁止法に違反していることが判明したと発表した。
中国は昨年12月、独禁法違反の疑いがあるとして、エヌビディアの調査を開始した。
国家市場監督管理総局は、エヌビディアがどのように独禁法に違反したかは明らかにしていない。一方で、エヌビディアによるイスラエルの半導体設計会社メラノックステクノロジーズ買収を2020年に条件付きで承認した際にエヌビディアが約束した内容に関し違反があった疑いがあると指摘した。買収承認では、エヌビディアが画像処置半導体(GPU)アクセラレータを中国市場に引き続き供給することが条件の一つになっていたが、バイデン前米政権時の輸出規制により、最先端アクセラレータの販売が中止に追い込まれている。
同局は調査を継続するとした。エヌビディアのコメントは得られていない。
中国の独占禁止法によると、違反した企業は前年の年間売上高の1─10%の制裁金を科される可能性がある。エヌビディアの最新の年次報告書(1月26日までの1年)によると、中国売上高は170億ドルで全体の13%を占めた。
予備調査の結果は、米中が貿易摩擦や中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を巡るスペインでの閣僚協議の2日目を開始したタイミングで発表された。アナリストからは、中国が交渉を優位に立とうという意図が透けるとの指摘が出ている。
戦略コンサルティング会社グリーンポイントのマネジングディレクター、アルフレド・モンチュファル・ヘル氏は「米中は、より有利な立場で交渉するためのレバレッジをかけているようだ。ただ双方とも利害を理解しており、非常に計算した行動を取っている」と述べた。
中国が最先端の人工知能(AI)半導体チップにどの程度アクセスできるかは、技術覇権をめぐる米中戦争における最大の争点の一つだ。
罰金以外に中国当局の決定の影響は現時点ではっきりしないが、ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が、米規制を順守する形で改良した先端半中国に供給し続けるという戦略が試練に直面する可能性がある。
●マクロ
米ミシガン大学が発表した9月の消費者マインド指数(速報値)は5月以来の低水準となった。一方で5-10年先のインフレ期待は2カ月連続で上昇。労働市場と物価に関する懸念が景気見通しを圧迫する格好となった。
9月のミシガン大消費者マインド指数(速報値)は55.4
エコノミスト予想の中央値は58.0
8月は58.2
1年先のインフレ期待は4.8%
予想と一致
8月も4.8%
5-10年先のインフレ期待は3.9%
予想は3.4%
8月は3.5%
今回の統計では、雇用の先行きや家計の状況に対する消費者の不安が浮き彫りになった。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は「消費者が想定する自身の失業確率は今年に入って急上昇し、9月もさらに上昇した。労働市場でマイナスの動きがあれば、自分自身が影響を受けかねないと消費者が懸念していることを示す」と発表文で指摘。「さらに消費者は物価の高止まりにも負担を感じている」と付け加えた。
最近公表された経済指標は、労働市場の減速と根強いインフレを示した。8月雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが大きく鈍化し、失業率は2021年以来の高水準に上昇した。8月消費者物価指数(CPI)では総合指数が前月比0.4%上昇と再び加速した。
関税への根強い懸念もセンチメントを押し下げる要因となっている。調査対象の消費者の約6割が関税に関するコメントを自発的に寄せた。
現況指数は8月の61.7から61.2に低下。期待指数も55.9から51.8に下がった。
支持政党別では、共和党支持層と無党派層の消費者マインドが4カ月ぶりの低水準に落ち込んだ一方、民主党支持層ではわずかに改善した。
調査は8月26日から9月8日にかけて実施された。
9月のニューヨーク連銀製造業景況指数は急低下した。需要の落ち込みが原因。新規受注や出荷の減少がこれを裏付けている。
製造業景況指数はマイナス8.7に低下
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値はプラス5
全ての予想を下回る
前月はプラス11.9
指数はゼロが活動の拡大と縮小の境目
新規受注と出荷の指数はいずれも2024年4月以来の低水準となった。
トランプ大統領による不安定な通商政策や移民取り締まりの影響が続く中、製造業は依然として苦戦し、同部門の雇用は4カ月連続で減少している。全米供給管理協会(ISM)の製造業指数も8月に6カ月連続で縮小を示した。
ニューヨーク連銀の製造業景況指数は、8月に9カ月ぶりの高水準に上昇したが、それ以前はマイナス圏に落ち込む局面が目立った。
一方、仕入れ価格と販売価格の指数はやや低下したものの、依然として高止まりした。
雇用指数は5月以来初めて縮小を示し、週平均就業時間に関する指数もマイナス圏に落ち込んだ。
6カ月先の製造業活動を示す見通し指数は、足元の状況と比べてやや明るさを見せているが、ニューヨーク連銀は「楽観的な見方は依然として抑制されている」と指摘した。
今回の調査は2日から9日にかけて実施された。
中国の経済活動が8月も減速し、指標は軒並み予想を下回った。投資も急速に伸び悩んでおり、当局が成長率目標の達成に向けて刺激策を強化する可能性が高まっている。
国家統計局が15日発表した8月の小売売上高は前年同月比3.4%増加。ブルームバーグ調査の予想中央値は3.8%増だった。7月は3.7%増加していた。8月の工業生産は前年同月比5.2%増と、昨年8月以来の小さな伸びにとどまった。予想は5.6%増加だった。7月は5.7%増えていた。
1-8月の固定資産投資は前年同期比0.5%増と、2020年の新型コロナウイルス禍を除けば、同期間としては最も悪い数字となった。
みずほセキュリティーズアジアの中国担当シニアエコノミスト、周雪氏は「7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)成長率は著しく減速する公算が大きい」と指摘。「10-12月(第4四半期)も比較対象となる前年同期の水準が高く、成長率は恐らくさらに大きく鈍化するとみられ、大規模な景気刺激策が講じられなければ、政府が掲げる5%前後の成長目標の達成が脅かされることを示唆している」と分析した。
輸出の勢いが鈍る中、多くのアナリストや投資家は上期(1-6月)に5.3%成長を記録した中国経済が年末にかけて減速すると予想している。中国の景気減速がどの程度になるかは、トランプ米政権の関税措置による影響で圧迫される脆弱(ぜいじゃく)な世界経済にとって、大きな意味を持つ。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは「10月に7-9月のGDP統計が発表された後、当局は政策を微調整する可能性がある」と述べた上で、「5%の成長目標達成が困難にならない限り、大型の刺激策が打ち出されるとは見込んでいない」とコメントした。
トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席と19日に話すと述べた。米中は今週、高官による貿易協議を実施。協議では、字節跳動(バイトダンス)が展開するTikTokの米国内での運営を維持するための枠組みで合意した。
トランプ氏は15日、ソーシャルメディアに「習国家主席と金曜日に話す。米中関係は依然として非常に強固だ!!!」と投稿した。
ベッセント米財務長官は、マドリードでの協議終了後、記者団に対し、TikTokを米国内で運営し続けるための枠組みに合意したと説明。トランプ大統領と習主席が会談し、合意を完了させると述べた。具体的な条件については明らかになっていない。
「トランプ大統領と習主席は金曜日に会談し、合意を完了させる。だがTikTokに関する合意の枠組みは既に存在する」とベッセント氏。「TikTokを米国の管理下に置かれた所有形態に切り替える枠組みだと考えている」と述べた。
TikTokは、米国での事業売却の猶予期間締め切りが今週に迫っている。トランプ氏は既にこの期限を複数回延長し、TikTokの継続を認めてきた。
関税の停止
米中の高官協議は9月に入り活発化。10月末に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)にはトランプ氏と習氏が共に出席する見通しで、直接会談の可能性がある。先週には、ルビオ国務長官とヘグセス国防長官が中国側のカウンターパートと会談した。
両国は互いに課した高関税措置を一時停止しており、最新の期限は11月中旬となっている。
米通商代表部(USTR)のグリア代表は15日に記者団に対し、11月の期限到来時に関税停止措置をさらに延長する可能性を示唆した。
「協議が今後も前向きに進めば、さらなる措置を検討する用意がある」とグリア氏は述べた。
次のラウンド
ベッセント氏とグリア氏はマドリードでの協議について、焦点はTikTokに絞られ、他の議題は事実上先送りされたことを明らかにした。ただ中国側は、米国による輸出規制への懸念を提起したという。
14日の協議を前に、中国は米国の半導体分野を対象に2件の調査に着手した。それより先に米国は、半導体メーカーを含む中国企業23社を、「米国の国家安全保障や外交政策上の利益に反する活動に携わっている」と見なされた企業のリストに追加していた。
ベッセント氏は15日、記者団に対し、「約1カ月後に別の場所で再び貿易協議を行う」と述べた。ベッセント氏はこれまで5月にジュネーブで、6月にはロンドンで中国の何立峰副首相と協議している。韓国でのAPEC前に米中間で貿易合意に至ることができるかは「まだ不透明だ」と、ベッセント氏は語った。
「われわれはTikTokに非常に注力し、中国側にとって公正であると同時に米国の国家安全保障上の懸念を完全に尊重する合意であることを確実にすることに重点を置いた。その点は確実に合意に達した」とベッセント氏は説明した。
過去最多のプライベートエクイティー(PE)ファンドが今年、いわゆるゾンビファンド化する見通しだ。新規の投資家資金の調達が難航しているためだと、アークトス・パートナーズの共同創業者でマネジングパートナーのイアン・チャールズ氏が語った。同氏はゾンビファンドを「7年間にわたり機関投資家から資金を調達できていないファンド」と定義している。
チャールズ氏は11日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「資金調達環境は非常に厳しい」と述べ、今年は新たに設立されるPEファンドの数も減少するとの見方を示した。「現在、各社は成長軌道を維持するのに本当に苦労している」と指摘した。
アークトス・パートナーズの共同創業者でマネジングパートナーのイアン・チャールズ氏Source: Bloomberg
プライベートエクイティー業界はM&A(企業の合併・買収)や新規株式公開(IPO)の低調が3年目に入り、その結果、ファンド運用会社や投資家の利益が圧迫され、新規ファンドの資金調達も冷え込んでいる。
ベイン・アンド・カンパニーのリポートによると、世界で1万8000本以上のプライベートキャピタルファンドが投資家から資金を集めようとしており、需給関係は1ドルの供給に対して3ドルの需要がある状況だという。
買収ファンドが破綻することはほとんどないが、人員を減らして既存投資を少額の資金で運用するだけで新規投資を行えないゾンビファンドとなるリスクを抱えている。
チャールズ氏は「成長を失い始めると、優秀な人材も失い始める」と指摘し、新規資金を集められずゾンビ化するファンドが「今後2年の間に現れてくるだろう」と述べた。
他の大手買収ファンドからも同様の懸念が示されている。業界が直面する課題を幹部が率直に語っている。
アポロ・グローバル・マネジメントのジム・ゼルター社長は今週ブルームバーグテレビジョンに対し「PE業界でダーウィン的な進化が起こるだろう」と述べ、つまり淘汰の時代に入るとの見方を示した。
KKRのロバート・ルーウィン最高財務責任者(CFO)も最近、取引低迷が長引くなかでPEファンドが消滅し始めるとの見通しを示した。
世界の国債市場で利回りが上昇しているのは、金利が高止まりするとの見方を反映しているのであり、財政危機への懸念ではないと、ブラックロックは指摘した。
米国や英国からフランス、日本に至るまで、今年は長期国債の利回りが急上昇。利回り曲線は数年ぶりの水準までスティープ化が進んでいる。こうしたリプライシングの動きは、政府の巨額借り入れや財政赤字に起因するとされることが多いが、ブラックロックの投資・ポートフォリオソリューション責任者、アレックス・ブラジエ氏は異なる見解を示している。
「この世界的な動きは財政状況への懸念を反映したものではないと思う」と同氏は指摘。「むしろ、市場が考える金利の中立水準を反映している。さらに、短期ではなく長期債の購入を促すためのプレミアムも織り込まれている」と続けた。ブラジエ氏はブルームバーグのロンドンオフィスでインタビューに応じた。
中立金利は、景気を刺激も抑制もしない金融政策を指す。ブラックロックはこの中立金利が過去よりも高くなっているとみており、その背景には緩和的な財政政策に加え、特に人工知能(AI)分野での旺盛な投資支出などがあるとしている。
「これらの要因すべてが、経済を安定的に維持するために必要な金利水準を押し上げている」とブラジエ氏は説明した。
債券市場は長らく続いた低金利時代を経て、依然として新たな均衡点を模索している。ドイツの30年国債利回りはわずか4年前にはマイナス圏にあったが、現在は3.25%近辺で推移。英国の同年限利回りは最近、1990年代後半以来の高水準に達した。
2022年に当時のトラス英首相が打ち出した大型減税案に対する反応など、一時的に変動が生じた局面はあったが、利回り調整はおおむね秩序立って進んでいる。さらに、新規発行債には数十億ドル規模の需要が集まり、投資家の関心の強さを裏付けている。
財政改革への支持を得られず今週初めに首相が辞任したフランスでさえ、国債消化に苦労していない。長年にわたる放漫財政の結果、フランスの財政赤字はユーロ圏で最大となり、債務残高は1秒当たり5000ユーロ(約86万円)のペースで増え続けている。
それでも、フランスで先週実施された国債入札では、国民議会(下院)での信任投票を控えていたにもかかわらず旺盛な需要が確認された。ドイツ国債との10年物利回りスプレッドは、1月以来の高水準だった直近ピークの83ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から78bpに縮小した。
ブラジエ氏はこうした動きについて、投資家が「最終的にはフランスが財政状況を立て直す」と見込んでいることの表れだと語った。
ロシア人の妻の殺害犯アザマト・イスカリエフ受刑者(37)にとって、戦争は刑務所を脱出するための片道切符だった。
この男は2021年夏、離婚を望んだ妻を自分が所有する車内で刺殺し、殺人罪で9年の刑を受けた。刑期のまだ3分の1も服役していなかったが、ウクライナで戦うという見返りに釈放されて恩赦を受けた。
6カ月の戦場経験でも、自分を拒絶した女性たちに対する暴力的復讐心は和らげられず、民間生活に戻った後の昨年10月、口説いたのを拒んだ元恋人の女性を勤務先の店内で60回以上ナイフで刺した。そして7月、この残虐な殺人の罪で19年以上の刑を言い渡された。
イスカリエフ受刑者の事件を、サラトフ市の裁判記録と公判を追った地元報道を突き合わせて考えると、ロシアが今後直面しうる深刻な社会問題が見えてくる。戦争が終われば、恩赦を受けた受刑者を含む数十万の兵士が帰還するからだ。
国際組織犯罪対策グローバル・イニシアチブ報告書でロシア政府の動員解除後の難題について書いた英国のロシア専門家マーク・ガレオッティ氏は「25年初めの時点で合計して、おそらく150万人以上のロシア人の男性と女性が戦争に参加していた」と述べた。
「ますます多くの動員解除が始まるにつれて、ロシアは戦争の心理的影響を抱えた帰還兵の波に直面するだろう」と述べた。
クレムリンの消息筋3人によれば、この懸念は最高指導部にも届いている。プーチン大統領は、軍の一斉復員を潜在的なリスクと見なし、社会と自らが築いた政治体制を不安定にしないよう、慎重な対応を探っている。
ある消息筋は、狙いはソ連のアフガニスタン侵攻終結後に起きた社会的混乱の再現を避けることだと明かす。当時、帰還兵は組織犯罪の拡大を助長し、1990年代のソ連を荒廃させた。
同じ消息筋は続ける。民間生活に戻った兵士の多くは、いま受け取っている高額の給与のようには稼げず、不満が高まるだろう。たとえば、モスクワ出身の新兵はウクライナ戦争に参加した最初の年に、少なくとも520万ルーブル(約960万円)を得られる。うち、契約一時金は190万ルーブルで、モスクワの平均年収にほぼ匹敵する額だ。
大統領府、国防省、司法省はいずれも、ウクライナから帰還する部隊がもたらすリスクについてコメントの要請に応じなかった。
イスカリエフ受刑者は2件の殺人を認めて現在は重警備刑務所で服役しており、ロイターは接触できなかった。
帰還兵の管理は、ロシアだけの課題ではない。米退役軍人省によれば、ベトナム戦争に出征した米国人約270万人のうち、「かなりの少数派」が心理的・社会適応の問題に苦しんだという。
ウクライナ戦争には、他の多くの紛争と決定的に異なる点がある。両陣営が受刑者を前線に送っていることだ。
ロシア矯正当局とウクライナ情報機関のデータによれば、ロシアは2022年の侵攻開始以降、12万ー18万人の受刑者を兵士として採用した。
これまでに帰還した兵士の中心は、受刑者、重傷者、そして戦うには年齢が高いと見なされた人々だ。一方で、プーチン大統領は約70万人がウクライナで戦闘中だと述べる。大多数はなお前線にいる。
国防省は23年の規則改定で、イスカリエフのような受刑者をもはやウクライナから6カ月で動員解除して社会に戻さないようにした。政府当局者は犯罪者が一般の志願兵よりも有利な条件を受けているのは不公平だと述べる。現在は受刑者出身の兵士も通常の契約兵と同様に、戦争終結まで従軍を続ける必要がある。
<帰還兵が殺害した民間人>
ロシアの独立系メディア「ベルストカ」によると、昨年10月時点で約500人の民間人がウクライナ戦争の帰還兵の被害者となった。
ベルストカは報道やロシアの裁判記録を基にした軍事犯罪に関する公開情報を活用した。その結果、少なくとも242人が殺害され、227人が重傷を負ったと計算した。ロイターはこれらの数字を独自に確認できなかった。
ロシア当局は23年12月、プラハに拠点を置く出版社のベルストカを外国のエージェントに指定。ベルストカがウクライナでの軍事作戦に反対し、ロシアの政策について信憑性のない情報を流布しているとの見解を示した。ベルストカはこうした主張に対し、報道内容については、事実を徹底的に確認しており、100%確証のない情報は掲載しないと述べた。
消息筋の別の1人によると、ロシア政府は大量の兵士の帰還が厳しく統制された政治体制に及ぼす影響を恐れているという。
プーチン氏は既に、自らがウクライナで解き放った軍事勢力が国内で引き起こすかもしれない混乱の危険を経験している。23年6月、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者の故プリゴジン氏が、陸軍首脳に対し反乱を起こした事件だ。
別の情報筋によると、クレムリンはプーチン大統領の指示のもと、潜在的な問題を抑え込むため、複数の政策やプログラム、人事を総動員してきた。具体的には、昨年の地域選挙で退役軍人の参加を後押しし、来年の連邦議会選挙では彼らを候補として擁立する方針を進めているという。
プーチン氏は、ウクライナで戦った「戦士」を「真のエリート」の一員と呼び、彼らに栄誉ある職を約束した。またプーチン氏は民間部門の指導者を育てるための「英雄の時代」と呼ばれる指導者養成プログラムに個人的な関心を示している。
プーチン氏は6月の会合で「祖国に奉仕しようと意識的に決断し、その結果として個人的成功を収めた人々は徐々に一定の地位を占めていくべきだ」と述べた。
<アフガン帰還兵との相違>
1990年代の「アフガン帰還兵(アフガンツィ)」と呼ばれる帰還兵たちとの比較については意見が分かれる。彼らの多くは心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、一部は薬物やアルコールに対する依存に苦しみ、犯罪を増加させる一因となった。
息子をウクライナで失ったあるロシア人は、現在「ウクライナ帰還兵(ウクラインツィ)」と呼ばれる帰還兵たちは、国家の支援があるためアフガン帰還兵のような問題を避けられるだろうと語っている。
同様の見解を示す政府筋は、1989年のアフガン戦争終結が2年後のソ連崩壊につながり、権力と治安の空白が混乱を招いたと振り返る。ただ、今は事情が異なるという。政治体制も治安組織も強固になっているからだ。ただ、受刑者は特別なカテゴリーであり、リスクは当然ながら一段と高いとは認めた。
一方で、ウクライナ帰還兵はアフガン帰還兵よりも深刻化な問題をもたらす可能性があると主張する人たちもいる。
ソ連のアフガン侵攻を扱った著書「大いなる賭け」の著者、グレゴリー・ファイファー氏はロイターに対し、ウクライナ戦争は、ソ連の公式戦死者数が約1万5000人だったアフガニスタンより、はるかに多くの犠牲者を出した紛争になったと語った。
動員解除の難題を論じた報告書を執筆したガレオッティ氏も懸念を示す。帰還兵問題は「1990年代のような混乱の度合い」には達しないだろうとしつつ、「ウクライナ帰還兵は人口比でアフガン帰還兵よりもはるかに多い。深刻な問題が顕在化する恐れがある」と警告した。
トランプ米大統領が財政赤字を抑え込むために打ち出した最も具体的な措置である大規模な関税引き上げが、法的に覆されるリスクに直面している。米国の財政基盤が一段と不安定になりかねない。
トランプ氏とベッセント財務長官ら政権幹部は、共和党による減税、規制緩和、企業や海外からの大型投資が経済成長を押し上げて歳入を増やすことで、今後数年で連邦政府の借り入れ需要が縮小すると主張している。
多くのエコノミストはこうした見通しに懐疑的だが、関税引き上げが実際に財務省に新たな資金流入をもたらしている点については異論が少ない。
米財務省が12日発表した統計によると、2025会計年度(24年10月-25年9月)の米関税収入は1カ月を残した時点で1650億ドル(約24兆4000億円)に達した。前年度からおよそ950億ドル増加したことになる。
増加分の大半は、トランプ氏が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動した関税によるものだと、ブルームバーグ・エコノミクスの分析は示している。しかし、8月29日の連邦控訴裁判所判決は、この措置の合法性に疑義を投げかけた。
トランプ氏は最高裁に上告しているが、有利な判断が示されなければ、政府が巨額の資金を返還する必要が生じる可能性があるとベッセント氏は警告している。同氏は最高裁がホワイトハウスの主張を支持すると確信を示している。
関税収入は年間ベースで3000億ドル以上に上るとベッセント財務長官は予測しおり、これは米国内総生産(GDP)の実質1%に相当する。
この水準の収入は、GDP比6%を超える財政赤字を10年間で3%程度に減らすというベッセント氏の目標に寄与するはずだ。それが失われれば、米国の借り入れ需要を和らげる根拠は、経済成長や生産性向上への期待だけなると債券投資家やエコノミストはみている。
ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は「裁判で財務省側が敗れた場合、赤字拡大を望まない政権は何らかの政策対応を取るだろうが、それが何かは分からない」と語った。
不透明感は企業や経済全体のコストを重くするだろう。景気減速や労働市場の軟化が進めば歳出増と歳入減を招き、財政赤字を一段と拡大させかねない。
エール・バジェット・ラボの推計によると、問題となっているIEEPAに基づく関税が無効と判断されれば、今後10年間で約1兆5000億ドルの歳入が失われ、残る関税収入は4960億ドルにとどまる見込みだ。
多くのエコノミストは長期的に米国の関税収入が従来想定を大きく上回るとみているものの、最高裁が一部関税を無効とし、大規模な返還を命じれば、債券投資家に米財政全体の進路を改めて意識させるリスクがある。
関税は借り入れ増の抑制要因と受け止められている。S&Pグローバル・レーティングは先月、米国のソブリン格付けAA+を維持した際、新たな関税収入の推移を考慮に入れたと明らかにした。
ジェナディー・ゴールドバーグ氏らTDセキュリティーズのストラテジストは今月のリポートで「市場は、多額の関税返還が財務省の財政を圧迫する可能性に神経質になるかもしれない。特に、関税収入が長期的な米政府債務の改善につながると複数の格付け会社が最近指摘していることを踏まえればなおさらだ」と記した。
保守派活動家チャーリー・カーク氏は、JD・バンス氏に大きな期待を寄せていた。
「私はJDが素晴らしい大統領になると考えていることに何の疑いも抱いていない」。カーク氏は4月、これまで未公開だったインタビューでウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)にこう語った。
2人は10歳の年齢差を越えて友情を育み、それがバンス氏を副大統領の座へと押し上げる一助となった。カーク氏はいずれはバンス氏に大統領になってもらいたいと考えていた。
2人の関係は2017年に始まった。バンス氏がFOXニュースの番組に出演した後、カーク氏がソーシャルメディアでバンス氏にメッセージを送ったことがきっかけだった。その後数年間、カーク氏は自らの持つ大きな影響力を駆使してバンス氏の上院議員就任という新たな野望を後押しし、ドナルド・トランプ氏の副大統領候補としての地位を確固たるものにした。
その過程で、カーク氏とバンス氏は強い絆を築いた。2人は定期的に連絡を取り合い、家族について話したり、グループチャットで冗談を言い合ったりした。
2021年、バンス氏が激戦が予想されていたオハイオ州上院予備選への出馬を検討していた際、最初に連絡を取った人物の1人がカーク氏だった。
カーク氏は自らが設立した政治団体が主催したイベントで、バンス氏を献金者らに紹介した。「彼には私にそんなことをする理由もなければ、私が成功するとの期待があったわけでもない」とバンス氏はXへの投稿で振り返った。「彼がそうしたのは、私たちが友人だったからであり、彼が善良な人物だったからだ」
カーク氏は、バンス氏の支持率が1桁だった時期に支持を表明した最初の著名人の1人だった。これが上院予備選の流れを変え、バンス氏の当選につながった。
カーク氏はバンス氏を、共和党員と無所属層に効果的に語りかけることができ、従来は民主党に投票してきた労働者階級の有権者の心をつかむことができる人物だとみていた。「彼は普通で地に足がついているのに、才能があり知的なんだ」とカーク氏は4月のインタビューで語った。
昨年、トランプ氏の副大統領候補の最終候補者の名前が取りざたされ始めると、カーク氏はバンス氏を援護した。トランプ一族との個人的な会話でバンス氏を推し、公の場でも支持を表明したと、元選挙運動スタッフは語った。
10日、銃撃事件の報道が流れると、バンス氏のグループチャットはカーク氏の無事を祈るメッセージであふれた。ホワイトハウスで会議中だったバンス氏は、そこで事件を知ったという。
午後3時少し前、トランプ氏がカーク氏の死去を発表した。
「友よ、よく頑張った」とバンス氏は述べた。「ここからは私たちの番だ」
スウェーデンのクラーナ
欧州で最も価値の高いフィンテック企業の一つである同社は、大規模な新規株式公開(IPO)の基盤を築き、欧州の取引所に目を向けず、ニューヨークに目を向けた。
クラーナの動きは、株式公開で見られる乖離を象徴しており、急成長する米国とアジアが、分裂した欧州を置き去りにしている。
ファクトセットのデータによると、今年これまでに北米での新規株式公開は153件で177億ドルを調達したが、欧州では57件の上場からわずか55億ドルしか調達していない。
この乖離は世界的な現象でもあります。「アジアは今年、非常に活発な動きを見せ、当社の強みとリーダーシップの原動力となっています」と、UBSの株式資本市場(ECM)グローバル共同責任者であるトミー・ルーガー氏は述べています。「欧州にも活況を呈する地域があり、今年後半から2026年にかけて活動が加速すると予想していますが、年初来では北米とアジア太平洋地域の新規発行が牽引しています。」
JPモルガンのグローバル・キャピタル・マーケット責任者ケビン・フォーリー氏も同様の見解を示しており、同氏は年内に米国で30件を超える取引の強力なパイプラインを予測する一方で、欧州市場は「低調」と述べている。
なぜヨーロッパは遅れをとってしまったのでしょうか?
欧州のIPO市場の健全性は、同地域の証券取引所、投資銀行、アドバイザー、金融報道機関、そして株式公開市場への参入を検討している企業の幹部にとって懸念材料となっている。
不安定な市場における上場までの道のりの長さと予測不可能性こそが、大きな不満の原因となっている。
「IPOのプロセスはかなり長く、その過程で市場リスクを負う可能性がある」と、みずほ証券のEMEA地域ECM共同責任者で、欧州企業とアジアの投資家をつなぐ役割を担う東京での講演で語ったジョナサン・マレー氏は述べた。
上場プロセスは、企業の上場準備状況に応じて、3ヶ月から12ヶ月かかる場合が多い。この長期にわたる期間中、市場全体の変動や、同業他社の株価急落によって取引が頓挫する可能性があり、投資家を動揺させ、評価指標を一夜にして変える可能性がある。
例えば、MSCIフランス指数は今年、わずか4.5%しか上昇していません。他の主要な欧州指数は、春に急落した後、8月以降ようやく回復したばかりです。「米国、中国、日本が高値を更新する中、欧州はAI支援の不在と地政学的な懸念から、レンジ相場で推移しています」と、バークレイズの株式ストラテジスト、エマニュエル・コー氏は指摘しています。
みずほ証券のマレー氏によると、欧州企業の上場に大きく貢献するプライベートエクイティファームにとって、M&A取引の確実性は、土壇場で失敗する可能性のある上場のリスクを負うよりもはるかに魅力的であることが多いという。これは特に、IPOで完全に撤退せず、そのため株式のアフターマーケットでのパフォーマンスを非常に懸念しているスポンサーにとって当てはまる。
しかし、一部の銀行家は、欧州での新規株式公開(IPO)の不足は、公の精査に耐えうる適切な企業の不足が原因かもしれないと考えている。
ジェフリーズのEMEA地域ECM共同責任者、ルカ・エルピチ氏によると、市場は2021年の活況期に比べ、上場できる企業を「引き続き厳選している」という。
「市場は秩序ある状態にあると考えています」とエルピチ氏は述べた。「市場に出てくるものに対して、質の高いフィルターをかけることが重要です。ハードルは依然として高いものの、(第4四半期には)大型案件がいくつか出てくるでしょう。2026年と(2027年)に向けて、強力なパイプラインが構築されつつあります。」
この「品質フィルター」こそが、PE支援によるIPOのパイプラインが停滞している主な理由です。エルピチ氏によると、PEポートフォリオに含まれる多くの企業は、上場市場には適していません。上場市場は「上場市場が求めるリターンの一貫性」を求めているからです。四半期ごとに安定したリターンを得られなかった企業は、非上場市場の方が適していると言えるでしょう。
例えば、ヨーロッパ最大のPEファームの一つであるEQTは、スキンケア会社ガルデルマの2024年上場を成功させ、この傾向に逆らった。
株価はIPO以来125%以上上昇しており、EQTは今年さらに53億スイスフラン(66億ドル)相当の株式を売却することができ、高品質資産が依然として成長可能であることを証明した。
今後については、取引データルームプラットフォーム「データサイト」によると、今年上半期のIPO予定取引数は世界全体で昨年同時期比2%増加しており、今後6~9カ月間に発表される可能性のある取引量が示されている。
しかし企業と資本は米国に流れている
最近デジタル資産会社イーサ・マシンを買収したSPACスポンサーのアンドレイカ・ベルナトヴァ
25億ドルの取引で株式を公開した同氏は、米国市場の優位性は「厚みと流動性」に支えられている、と述べた。
「流動性が鍵です」とベルナトヴァ氏は述べた。「取引の流動性がなければ、上場しても意味がありません。」
一方、欧州は規制の断片化に悩まされています。米国にはニューヨーク証券取引所やナスダックなど複数の取引所がありますが、それらはすべて証券取引委員会( SEC)の監督下にある単一のシームレスな規制枠組みの下で運営されています。欧州では、各国の規制当局がバラバラに存在しているため、複雑さと摩擦が生じ、投資家と企業の足かせとなっています。
ベルナトバ氏は、AIやエネルギー転換など将来の資本集約型産業は、成長に必要な「数百億から数千億」の資金を調達するために米国市場を活用する以外に選択肢がないと示唆した。
ジェフリーズのエルピチ氏も概ね同意したが、クラーナのような強力な企業は自国市場を含めどこでもIPOを成功させることができると述べた。
同氏は、スウェーデン企業のニューヨーク上場は、欧州で上場できないものの代替案というよりも、長期的な成果を最適化するためのものだと述べた。「自国で成功できない企業にとって、米国は解決策ではない」
先週は、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、そして雇用者数の年次修正という、市場を動かす3つの経済指標が発表され、来週のFOMC会合に向けた投資家の期待形成に影響を与えました。全体として、データは引き続き経済環境の弱まりを示唆しています。総合CPIは前月比0.4%上昇し、年率では2.9%に上昇しましたが、その上昇は主にサービス業に留まりました。食品とガソリンが上昇に大きく寄与し、住宅費は堅調に推移しましたが、前月と比べると若干減速しました。住宅費はCPIの42%を占めることから、住宅市場全体の弱さが続く中で、インフレ率が現在の水準から上昇するリスクは低いと考えられます。
生産者物価指数はより微妙な様相を呈した。8月の生産者物価指数(PPI)はわずかに下落したものの、 食品、エネルギー、貿易を除いた「コア」 PPIは依然として0.3%上昇し、年率換算で2.8%の上昇となった。このデータは、特定の財や貿易マージンにおける需要の弱まりが顕著である中、生産者が関税を吸収し続けていることを反映している。さらに、両指標ともインフレが正常化を続けており、懸念されていた水準よりは改善しているものの、政策当局が望む水準にはまだ達していないことを示している。
労働市場データは、さらに大きな影響力を持っていました。先週の #BullBearReportで指摘したように、8月の非農業部門雇用者数はわずか2万2000人増で予想を大きく下回り、失業率は4.3%に上昇しました。しかし、今週のレポートでより重要なのは、暫定的な基準改定であり、 過去12ヶ月間で 91万1000人の雇用が減ったことです。この改定は、雇用増加数が月平均約7万1000人となり、以前の推定約14万7000人から減少したことを意味します。 雇用は消費者の経済需要の増加を可能にするため、このデータは見逃すべきではありません。企業利益率と経済成長率の現在のギャップを考えると、今後数ヶ月で投資家が失望するリスクが高まっています。
見通し:やや強気/慎重に建設的 – インフレ率は依然として理想よりも堅調だが、労働市場の脆弱性がFRBの政策判断を歪めている。国債利回りの急低下は、債券トレーダーが経済成長の鈍化を予想していることを裏付けており、株式市場には短期的な安心材料となるものの、長期的には経済の持続性に関する懸念が高まっている。
📈技術的な背景
前述の通り、市場は、堅調ながらも鈍化しているインフレと雇用の軟化を、9月のFOMCでの利下げを支持する材料と捉えました。株式市場は夏の上昇を持続し、S&P 500は過去最高値付近で推移しました。カーソン・リサーチの調査によると、市場は4月の安値から30%の上昇を記録しており、これは史上最速水準の一つであり、今後数ヶ月間のさらなる上昇を示唆しています。
しかし、最も劇的な反応は米国債市場からのものだった。利回りは全般的に急落し、特に 連邦準備制度理事会(FRB)の政策変更に先行する傾向がある2年国債は、 9月17日の25ベーシスポイントの利下げだけでなく、年末にかけての追加緩和の可能性の高まりも織り込んだため、週ベースで20ベーシスポイント 近く下落した。2年国債の利回りは、FRBが約80ベーシスポイントの利下げで出遅れていることを示唆している。
投資家が今後の成長鈍化を予想する中、 10 年債利回り も低下し、逆イールドカーブのフラット化が進んだ。このハト派的な利上げは、労働市場の状況が悪化した際にFRBの期待がいかに急速に変化するかを示すものであり、マクロ経済指標の弱まりに対する最初の反応者としての債券市場の役割を浮き彫りにしている。
テクニカル的には、株式市場は持ちこたえているものの、株価疲労の兆候が強まっている。S&P 500は、最近の抵抗線に接近し、それを突破した後、20日、50日、200日といった主要移動平均線を上回って推移している。例えば、50日移動平均線は着実に上昇しており、反落を支えている。また、200日移動平均線は長期トレンドを支え続けている。短期的には、ここ数日のローソク足は小幅な値動きと日中の反転の増加を示唆しており、高値圏での強気派の攻勢が弱まっていることを示唆している。
先週、市場が史上最高値を更新する中、モメンタム指標は引き続きマイナスの乖離を示しています。過去数週間にわたりこうした乖離は確認されていますが、市場トレンドは概ね強気です。ストキャスティクス・オシレーターは短期的には買われ過ぎの状況を示し、時折反落も見られますが、まだ大きな 「売りシグナル」は 見られません。一方、幅の広さは依然として懸念材料です。52週高値の更新数は全銘柄と比較して少なく、多くの中小型株は引き続きリードする大型株/メガキャップ銘柄に後れを取っています。言い換えれば、市場は上昇をますます少数の銘柄 (多くの場合、グロース株/AI関連またはテクノロジー関連銘柄)に依存している状況です 。
サポートとレジスタンスレベル: S&P 500の短期的なサポートは20日移動平均線(約6,500)にあります。 50日移動平均線はおおよそ約 6,400付近ですが、前回の反落と関連して、約6,200 付近にはより深いサポートがあります 。レジスタンスは直近の高値である 6,600~ 6,700 付近 (50日移動平均線から2~3標準偏差上)にあります。注目すべきは、 VIXで測定されるボラティリティが 比較的低調に推移していることです。
見通し:中立/やや強気(ガードレール付き) – トレンドは依然として上昇傾向にあり、テクニカル面でも健全です。しかし、モメンタムは減速しつつあり、幅は依然として脆弱な状況です。トレーダーは反落や値固めの可能性を想定する必要があります。引き続きリスク管理を徹底してください。
💰 カバードコール戦略の暴走
2021年以降、コールオプションの投機は爆発的に増加しました。景気刺激策に沸き立ち、手数料無料のプラットフォームを利用する個人投資家は、短期オプションに殺到しました。ゲームストップやAMCといったミーム銘柄は、レバレッジをかけた取引の場となりました。2022年までに、週次コール取引量は過去最高を記録しました。トレーダーはもはや株式を買うのではなく、上昇局面の買いに転じました。投資の考え方はギャンブルへと変わり、ゼロデイオプションの大量取引や、短期的な動きを狙った3倍のレバレッジ取引が行われました。最近の #BullBearReportでは、これがオプションの爆発的な増加であると指摘されています 。
さらに、ミーム関連銘柄のオプション取引量は過去最高を記録しており、短期の0DTE(満期日ゼロ日)契約がS&P500オプションの1日あたりの取引量の61%以上を占めています。そのうちの半分から60%は、個人投資家による「ミーム市場」の取引量です。この感覚は、投資というよりギャンブルに近いと感じます。
この行動は市場を歪めました。コール取引量の多い銘柄は、ディーラーがエクスポージャーをヘッジしたため、不自然な上昇を見せました。ボラティリティは急上昇しましたが、それは恐怖からではなく、貪欲からでした。この力学は今日でも市場に影響を与えており、コールオプションは依然として投機の手段として好まれています。しかし、注目すべきは、0-DTEオプションだけでなく、コールオプション全般に当てはまるということです。
しかし、これらのコールオプションの多くは投機家が上昇リターンに賭けているのに対し、カバードコールの売りは今や 投資家にとって「人気のスポーツ」となっています 。何が起こっているのかをより深く理解するには、まずコールオプションとは何か、そしてどのように機能するかを理解する必要があります。
コールオプションは、特定の期日までに特定の価格(権利行使価格)で株式を購入する権利(義務ではありません)を購入者に与えます。購入者はその権利に対してプレミアムを支払います。株価が権利行使価格を上回れば、購入者は利益を得ます。そうでなければ、オプションは無価値となり、失効します。購入者にとってのリスクはプレミアム(つまり、投資額全額)を失うことですが、その一方で、リターンはコストを差し引いた無制限の利益となります。
この取引のもう一方の側は、「カバードコール」と呼ばれるものです 。
この場合、投資家は(売り手が)既に保有している株式のコールオプションを売却します。「売り手」が原資産となる株式を保有している場合、そのポジションは「カバードコール」状態となり、これが「カバードコール」と呼ばれます。この場合、売り手はカバードコールの売却プレミアムを受け取りますが、株式は合意された特定の権利行使価格で売却することに同意します。
実質的に、カバードコールはポートフォリオの保有資産を収益化します。このオプション戦略を採用する投資家は、原資産となる株式を保有し続け、それに対するコールオプション契約の売却からインカムを得ます。言い換えれば、投資家は現在のインカムと引き換えに、キャップドゲインを受け入れることになります。この戦略のリスクは、原資産となる株式が急騰した場合、プレミアムを受け取ることで上昇余地を放棄してしまうことです。しかし、株価が下落した場合、プレミアムは下落を若干緩和しますが、元本を完全に保護することはできません。
アウトライト・コールの買いとは対照的に、カバード・コールは、既存の株式エクスポージャーから利回りを引き出すことを目的とした、構造化されたルールベースのツールであるため、より保守的であると考えられています。これは通常、長期投資家、インカムゲインを求める人、そして未実現利益を抱え、売却せずにリスク管理する方法を探している人に適しています。投機がニュースの見出しを独占する今日の市場において、カバード・コールは、オプションを実際の投資計画の一部としてより冷静に活用する方法を提供します。
しかし、よくあることですが、ウォール街は人気が出た戦略を喜んで収益化します。問題は、提供される商品が、期待されるほど収益性が高くない可能性があることです。
カバードコールETFの登場
歴史的に、カバードコールのポートフォリオと戦略は投資の世界においてニッチな存在でした。どの市場においても、希少性は価値を生み出し、普及は投資成果を希薄化させます。2021年以降、コールオプションの急増に伴い、投資家は市場から利益を得るためのあらゆる方法を模索し始めました。高バリュエーション市場における利回り追求は、オプションベースの戦略への巨額の資金流入を促しました。ウォール街はこれらの戦略への需要増加を目の当たりにし、 「チャンスを逃したくない」という思いから 、様々なデリバティブ・インカムETFを市場に投入し、現在では運用資産残高(AUM)は1,500億ドルを超えています。これらのカバードコールに特化したETFとSMAは、今年2兆7,500億ドルから3兆1,500億ドルに増加すると予測されています。
当然のことながら、個人投資家や機関投資家がこの戦略を採用しています。特に、ハイテク株の旧来の保有者、企業内部関係者、さらにはヘッジファンドが、即時のキャピタルゲイン税を課すことなく株式ポジションを収益化するためにカバードコールを活用していることが挙げられます。この戦略によって得られるインカムは、ポートフォリオのボラティリティを低下させ、レンジ相場におけるリターンの向上に貢献します。
しかし、個人投資家にとっての魅力は、税効率やカバードコールのインカム創出ではなく、高利回りの代替投資への関心にある。JEPI、QYLD、XYLDといったETFは爆発的な成長を遂げている。JEPIのポートフォリオは、株式へのエクスポージャーと株式連動債を活用し、10%近くのインカムを分配している。QYLDはナスダック100の月次コールオプションを販売しており、利回りは12%を超えている。SPYIも同様の構造でS&P 500をターゲットとしている。こうした利回りを考えると、債券利回りが停滞し、株式市場が過去最高値に達する中で、投資家がこれらのファンドに資金を投入するのは当然のことだ。
しかし、S&P500指数を購入するよりも良いリターンを得ているのでしょうか?下のチャートは、JEPI、QYLD、XYLDをS&P500指数の純パフォーマンスと比較したものです。この場合、パフォーマンス・リターンには配当 (配当再投資)が含まれています。
次のグラフは同じ分析ですが、配当金を除外して、基礎となる保有資産の生のパフォーマンス (配当金は再投資されません)を示しています。
古い諺にもあるように、 「ウォール街にタダのランチはない」。
投資家は、 S&P 500のカバードコール戦略でS&P 500のパフォーマンスと10~12%の配当利回りの両方を得られると 「考えている」 はずです。しかし、実際にはそうではなく、投資家はS&P 500指数のみに投資した方が得策だったでしょう。
言い換えれば、カバードコールETFの問題点は、 「高利回り」を売り文句に販売されていることであり、健全な投資というよりはむしろ「心理的」な投資 となっている 。当然のことながら、市場の上昇は高バリュエーションへの不安を煽り、投資継続を望む投資家を利回り追求へと駆り立てた。しかし、彼らはこれらの商品によって、認識していた以上に大きなリスクを負っている可能性が高い。
常にそうであるように、 「リスク」 とは単に元本の損失だけでなく、長期的な機会損失も意味します。カバードコールは、完全なエクスポージャーなしで利回りが得られる中間的な選択肢のように思えるかもしれませんが、結果とパフォーマンスの差は大きく開く可能性があります。 重要なのは、これらの商品は、安定したボラティリティと低いドローダウンを前提としているため、市場が安定していることを前提としている点です 。どちらかが変化すれば、インカムは蒸発し、価格は急落する可能性があります。これでは投資元本の減少を防ぐことはできません。むしろ、プラスになるどころか、足かせになりかねません。
これらのETF戦略への追随は、かつては保守的だった投資戦略をリスク商品へと変貌させました。今日のリスクは、現在の行動を駆り立てている高い自己満足感が、何も問題が起きないという前提に立つことで、投資家にとってより投機的な結果を生み出していることです。
残念ながら、歴史的に見て、こうした仮定は常に間違っています。
あまり語られていないカバードコールETFのリスク
高バリュエーション市場における利回りへの需要は、単純なインカム戦略を全く別のものに変貌させました。当初は保守的な増分リターン獲得戦略として始まったものが、今では市場への参入は望んでいるものの下落リスクを懸念する投資家向けに、高利回り商品としてパッケージ化され販売されています。
しかし、前述の通り、投資家がカバードコールETFに期待するパフォーマンスと、実際に期待されるパフォーマンスの間には乖離があります。さらに重要なのは、これらのETFは回復期に出遅れるだけでなく、下落期には大きく下落する傾向があることです。下のチャートは、2022年の弱気相場におけるJEPIとSPYの推移を示しています。ETFは下落期には市場をわずかに上回りましたが、回復期の大幅な出遅れにより、近年では30%のパフォーマンス格差が生じています。
投資家は、こうしたカバードコール戦略が投資の「聖杯」 であると信じ込まされてきた 。しかし、時が経つにつれ、純粋な株式エクスポージャーに追いつかなくなり、強気相場ではアンダーパフォームし、急回復局面でも出遅れる。さらに重要なのは、弱気相場では下落してしまうことだ。
それでも投資家は買い続ける。バランスや分散投資のためではなく、利回りを追い求めているからだ。もはやリスク管理ではなく、投機の仮面を被った行為だ。
ボラティリティは低く、インカムは安定しているというこの慢心こそが真の危険です。それが変化した瞬間、これらの戦略はインカムを生み出すものからポートフォリオの足かせへと変貌します。その仕組みは以下のとおりです。
市場の調整によりNAVは下落します。カバードコールETFは株式のロングポジションを維持します。市場が下落すれば、ETFも下落します。
プレミアムは消え去ります。実際の景気後退では、オプション価格は混乱をきたします。誤った理由でボラティリティが急上昇しても、高い利回りは得られません。
コールは反発を抑制します。市場が急回復した場合、反発の機会を逃し、保有株はコールされ、傍観者となることになります。
流動性が問題となります。資金の流れが逆転すると、ファンドマネージャーはプレッシャーを受けてオプションをロールオーバーするか、ポジションを売却せざるを得なくなります。これにより摩擦が増し、強制売却につながる可能性があります。
行動上の罠が出現する。投資家はこれらの商品を債券のように扱い、損失が発生するとパニックに陥る。そして、間違ったタイミングで売却し、悪い結果を確定させてしまう。
防御戦略が高利回りの売り文句に変わると、このような事態が発生します。構造やリスクを理解せずに収益を追い求めると、ヘッジではなく、何も壊れないことに賭けていることになります。
しかし、市場は崩壊する。これまでもそうだったし、これからもそうだろう。
ここでの真のリスクは、元本損失だけではありません。機会損失です。 もう一度読んでみてください。時間の経過とともに、上昇余地が制限されると、市場の複利効果は低下します。したがって、最悪のドローダウンを回避できたとしても、依然として出遅れてしまいます。上昇局面を逃すことによる複利効果は、急落と同じくらい大きなダメージを与える可能性があります。
カバードコールETFの台頭は、利回りによる安全感という心理的錯覚を生み出しました。 しかし、安全とは保証ではなく、保全に関するものです。
これらの商品は、実際のボラティリティでのパフォーマンスではなく、価格に基づいて販売されています。 この乖離は次の景気後退期に顕著になるでしょう。そうなると、カバードコールに安心感を求めていた投資家は、もはや必要のない、そして完全に理解していなかった商品を保有していることに気づくかもしれません。
ウォール街は 「タダ飯」を売りつけてきた。 しかし、請求書が届いた時、利回りではそれをカバーできないだろう。
🔑 来週の重要な触媒
市場はFRBの利下げを改めて織り込み始めており、今週は影響力の大きい経済指標とFOMCの決定に注目が集まります。市場は非常に楽観的で、今週のFRB利下げ期待から上昇傾向にありますが、FOMCがよりタカ派的な姿勢に傾けば、価格は下落する可能性があります。
見通し: 短期間で高レバレッジイベントが多数発生しているため、ボラティリティリスクが高まっています。FRB (水曜日)のイベントが今後の動向の 支点となります。リスク市場は、 9月の「ドットプロット」が据え置きまたは下方修正される 「十分にハト派的な」利下げを歓迎するはずです。 しかし、インフレ率 (特にコアインフレ率) が低迷を続ける場合、または雇用統計が予想外の上振れとなる場合、レジスタンスゾーンは維持される可能性があり、サポートライン(6,500 / 6,350~6,400)への反落が予想されます 。トレーダーは、利回り曲線、幅、そしてオプション市場構造全体にわたるシグナルに注意する必要があります。防衛筋が、大幅な変動を織り込み始める可能性があります。
両陣営の一部の評論家は、これが第三次世界大戦につながる可能性があると考えています...
NATO軍は、今週初めにロシアの無人機の一部がポーランドに進路を変えた後、特別 作戦 開始以来初めてロシアの無人機を直接迎撃したが 、この前例のない事件は、ここで説明されているように、NATOの妨害によるものであると主張されている 。
両陣営の一部のコメンテーターは、これが第三次世界大戦につながる可能性があると指摘しているが、NATOがロシア(カリーニングラードだけでも)やベラルーシへの爆撃といった物理的な対応をするとは考えられていないため、これは非現実的なシナリオだ。最も可能性の高い5つの結果は以下の通りだ。
* 「EU防衛線」が「ドローンの壁」に
新たな鉄のカーテンとして機能する「 EU防衛線」として総称される「バルト防衛線」とポーランドの「東の盾」は、欧州 委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長の示唆通り、近々最先端の対ドローン能力を備える可能性がある。フォン・デア・ライエン委員長は、 バルト諸国が長年望んでいた「ドローンの壁」ともなる「東方側面監視」の構築について語り、この計画をポーランドとフィンランド の双方に拡大することは理にかなっていると述べた 。
* ポーランドはバルト諸国における軍事的影響力を拡大している
中央ヨーロッパで最も人口が多く、繁栄した旧共産主義国であり、 NATO加盟国で既に第3位の軍隊を擁するポーランドは、「対ロシア防衛」を口実に、この地域における軍事的影響力を容易に拡大することができる。カロル・ナヴロツキ新大統領は 今夏、「三海構想」がその実現手段となることを 示唆し、 最近のリトアニア訪問の際には「我々はバルト諸国を含む中央ヨーロッパ全域に責任を負っている」と明言した。
* 米国はポーランドでの軍事プレゼンスを拡大
ポーランドは長年にわたり米軍の増派を求めており、トランプ大統領は 先月のナヴロツキ外相のポーランド訪問時に「彼らが望むなら、もっと派遣する」と 発言し、この要請に応じる意向を示した。水曜日に「さあ、始めよう!」とツイートした のも、まさにこのことを念頭に置いていたのかもしれない。今年初めに「ポーランドは再び米国の最大のパートナーになるだろう」と「トランプ大統領が中央ヨーロッパから米軍を全軍撤退させたり、NATO第5条を放棄したりする可能性は低い」と評価されたように、これは可能性としてあり得る。
* ポーランドがNATOのスカイシールドの一部をホスト…
可能性は低いものの、ポーランドがNATOのスカイシールドの一部を担う可能性も依然として残されている。これは、 NATOの東側を守るため 、あるいは この傘をウクライナ西部にまで拡大するためであり、後者は 提案されている安全保障上の保証と整合する。 ポーランドに駐留する1万人の米軍は、 ロシアがこれらの資産を意図的に標的にすることを抑止するだろうという安心感を与えるかもしれない。ましてや、さらに増派されればなおさらだ。しかし、 世論は 、このシールドをウクライナと共有するのではなく、ポーランドに集中させ続けるかもしれない。
* …しかし、対応はここまでだ
前述のシナリオがどうなろうとも、ポーランドはウクライナへの派兵といった更なる措置を取るつもりはない。ナヴロツキ氏はこれを 否定している 。 時折憶測が飛び交うものの、ポーランドは復讐心を抱いていない。数百万人に及ぶ超国家主義的なウクライナ人がポーランド軍に対してテロ攻撃を仕掛ける可能性もあるため、ポーランドはそうした事態への責任を負いたくないからだ。ポーランドは既に、 援助資金の回収 、ひいては利益を得るために土地や港湾の賃貸を検討しており 、ロシアとの熱戦を含め、そのようなリスクを冒す必要はない。
全体的に見て、ポーランドは先週の事件の後、任務拡大の罠を回避すると予想されている。ウクライナ紛争への関与を今以上 にエスカレートさせることで得られる潜在的利益は リスクに見合わないと、かなり以前に結論づけているからだ。
ポーランドが期待していたのはせいぜいNATOのスカイシールドの一部を受け入れることくらいだが、戦時中あるいは戦後にウクライナへの拡大は米国がポーランドに安全保障の保証を与えた場合にのみ実現する可能性が高く、トランプ大統領はそれに興味がないようだ。
米国国勢調査局が火曜日に発表した新たなデータによると、米国の高齢者の貧困率は2024年に上昇する見込みだ 。
アンナ・フレックが下のグラフで示しているように、昨年、米国の65歳以上の成人の9.9%が貧困を経験しており、2023年の9.7%から増加しています。
インフォグラフィック:2024年、米国の高齢者の貧困率は上昇傾向 | Statista
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貧困 率は18歳未満が最も高かったが、このグループの状況は2023年の15.3%から2024年には14.3%にわずかに改善し、18歳から64歳の間でもこの期間に10%から9.6%に減少した。
このグラフは、税引き前の現金収入に基づいており、長期にわたる広範な国家経済の動向を追跡するためのベンチマークとして引き続き使用されている公式の貧困指標を示しています。
2009年には、補足的貧困指標(SPM)と呼ばれる追加指標が導入されました。公式指標とは異なり、税引き後のSPMは、食料や住宅の補助金、医療費の自己負担額といった要素を考慮し、実際の支出を反映した貧困ラインと比較します。また、住宅費の地域差も考慮に入れます。2024年には、高齢者のSPM率は、過去2年間の14%から15%に上昇しました。この指標によると、65歳以上の高齢者は全年齢層の中で最も高い貧困レベルを示しました。
この増加は、パンデミックの終息に伴う支援プログラムとインフレが一因となっている。
人権団体の全米高齢者評議会(NCOA)は火曜日の統計を見て、削減が続けば米国の高齢者に深刻な悪影響が出るだろうと警告する声明を発表した。
「パンデミックの間、個人や家族を支援した結果 、高齢者の貧困率は9.5%まで低下しました。しかし、支援がなくなると貧困率は上昇しました」と、同団体のラムジー・アルウィン会長は述べた。
補足栄養支援プログラム(SNAP)、メディケア貯蓄プログラム(MSP)、メディケイドといったプログラムは、切実に必要とされる支援を提供しており、今後も継続していく必要があります。しかし、最近施行されたSNAPの削減は、高齢者の飢餓を増大させ、またメディケイドの削減は、高齢者の病状悪化につながるでしょう。
NCOAは、メディケアの低所得受給者が医療費や処方薬を買えるようにする「患者と医療提供者のためのメディケア改善法(MIPPA)」を再認可し、全額資金を提供するよう議会に求めている。
アメリカの大都市はかつて繁栄と文化の象徴でした。しかし今、多くの都市が犯罪の急増と企業の撤退によって、大きな経済的代償を払っています。ある論説記事の一節はこう述べています。「犯罪にはバランスシートがある。しかし、リーダーシップが欠如している都市では、そのバランスシートは日々赤字を垂れ流している。」
フォックスニュースのテッド・ジェンキン氏の論説によると、小売業が最も大きな打撃を受けている。全米小売業協会(NRF)は、米国の小売業者が窃盗で2022年に1120億ドルの損失を被ると報告した。これは2021年の940億ドルから増加している。2019年から2023年の間に、万引き事件は93%増加し、損失額は90%上昇した。大手チェーンは撤退している。ターゲットは今年の追加損失を5億ドルと予測し、ウォルグリーンはサンフランシスコ全域の店舗を閉鎖し、ノードストロームはダウンタウンから完全に撤退した。
「これほど多くの小売店が、逮捕される心配がないと知りながら、商品の多くを施錠して保管しなければならないのは、正気の沙汰ではないと思えますか?」と記事は問いかけている。その影響は、空き店舗と市の予算削減に如実に表れている。サンフランシスコのダウンタウンの空き店舗率は34.8%に達し、雇用、税収、そして歩行者数が減少している。
被害は小売業だけにとどまりません。シカゴでは、暴力犯罪と露天の麻薬市場が高級マンションの価格を下落させ、学校やインフラ整備の財源となる固定資産税収入を減少させています。ニューヨークでは、収監費用は受刑者1人あたり1日925ドル、年間33万7000ドルに上り、ニューヨーク市警の残業代は急増しています。しかし、批判的な人々は、経営陣がコストのかかる「逮捕、釈放、そしてその繰り返し」という悪循環を繰り返していると批判しています。
コラムによると、観光業も低迷している。今年のニューヨークへの海外からの観光客は約200万人減少すると予想されており、この減少により2025年にはニューヨーク市は40億ドルの損失を被る可能性がある。コンベンションや観光客は安全ではないとされる目的地を避けており、ホテル、レストラン、そして地域経済の疲弊につながっている。
結局のところ、犯罪のコストは棚から盗まれたものよりもはるかに大きい。それは失業、不動産価値の下落、増税、そして評判の低下といった形で現れる。記事は「真の犯罪は街頭で起こっているだけではない。リーダーシップの欠けた民主党支持の都市の予算の中にあり、混乱のコストは数十億ドル規模に上る」と結論づけている。
フランスのフランソワ・バイルー首相は議会の信任投票で否決され、政権は終焉を迎えた。市場は概ね落ち着いた状態を保っているものの、これはフランスの債務危機が先送りになったことを意味するものではない。
エマニュエル・マクロン大統領の第4次政権は、就任からわずか9ヶ月で崩壊した。フランソワ・バイルー首相は、月曜日夜に行われた緊縮予算に対する信任投票で、364対194の僅差で敗北した。バイルー首相は火曜日に辞任を発表した。
バイルー氏は事態の深刻さを認めた
バイルー首相はフランスの財政状況の深刻さを責任転嫁し、財政再建策の実施を試みた。公的債務がGDPの114%に達し、今年の純借入額が5.4%と予測される中、計画には440億ユーロの歳出削減、年金凍結、そして2つの祝日の短縮が含まれており、苦境に立たされた経済の救済策として意図された。
議会の大多数とフランス社会の広範な層は、改革プログラムに根本的に反対しており、新たなゼネストがすでに迫っている。
バイルー氏の辞任により、動揺するエマニュエル・マクロン大統領は、2年後に5人目の首相を任命するという難題に直面している。2027年4月の選挙までは、構成に関わらず、どの政権でも同じ問題に直面することになるだろう。いかなる財政再建策も、既得権益を持つ派閥によって阻まれるだろう。フランスは政治的行き詰まりに陥っており、債務整理は不可能に思える。
破滅への道
この奇妙な状況は、フランスの政治エリート層、そして債務圧力に晒されているEU加盟国全体が、もはや経済的必要性をイデオロギー対立よりも優先できないことを示している。信任投票の失墜はEUの棺に打ち込まれた新たな釘であり、投資家がフランスの政治的無力さに気付くにつれ、まもなくユーロ圏全体の問題として市場に顕在化するだろう。
最近、バイルー氏はフランスのライフスタイルを公然と批判し、福祉国家こそが根本的な問題だと指摘した。彼は今、無秩序に広がる福祉制度の数々の特権に異議を唱える者は、政治的に容赦なく処罰されるという現実を身をもって体験している。フランスは、この姿勢が財政破綻に直結するにもかかわらず、給付型社会を国家の聖域として擁護している。
ヨーロッパの感染リスク
金融市場にとって、パリでの出来事は良いニュースではない。フランスのOAT(財務省債)は、政府の崩壊に対してすぐにはほとんど反応を示さなかった。しかし、ソブリン危機の深刻化を受け、ここ数週間は圧力が高まっていた。利回りは上昇し、欧州の指標国債であるドイツ国債とのスプレッドは最大90ベーシスポイントまで拡大し、リスクを示唆した。
フランス国債は現在、英国債と同様に、大幅なリスクプレミアムを伴って取引されています。市場がスペイン、イタリア、ギリシャといった他の高債務国に流れれば、ユーロ圏に波及リスクが迫り、過去のソブリン債務危機を彷彿とさせる連鎖反応を引き起こす可能性があります。
フランスは依然として混乱状態にある。金曜日には、もう一つの重要な試練が待ち受けている。フィッチが信用格付けを発表するのだ。
出典
フランスは既にAA-(ネガティブな見通し)であるため、即時の格下げは考えにくいものの、シングルA格への格下げは現実的な可能性となっている。そうなれば、機関投資家はフランス国債の売却を余儀なくされ、借り換えコストがさらに上昇し、フランスの債務スパイラルが深刻化するだろう。フランスは、ユーロ圏の「準リスクフリー」ベンチマークとしての地位を徐々に失っていくだろう。
リスクを価格に織り込む
為替市場でも同様の傾向が見られ、ユーロは対米ドルでわずかに上昇しました。国家債務危機の兆候は貴金属からも現れている可能性があります。金と銀は月曜日の夜に一時史上最高値を更新し、世界中の中央銀行の需要に支えられた着実な上昇傾向を裏付けました。
個人投資家と機関投資家は留意すべきです。18ヶ月前の深刻な市場ショック以来、差し迫った国家危機への意識が高まっています。金はカウンターパーティリスクのない安全な避難先を提供します。
ECBは難しい綱渡りを強いられている。新たな介入を行う場合、インフレ抑制と金融安定を天秤にかけなければならない。スプレッドの拡大は金融政策の波及効果を歪め、金融引き締め政策を完全に放棄することなく、的を絞った流動性供給策を講じざるを得なくなる可能性がある。市場コメンテーターは、ユーロ圏のスプレッドにとって「不安定な秋
」となることを警告している。 出典
対決は避けられない
ユーロ圏のパニック的な国債売りに対する最後のバックストップである欧州中央銀行(ECB)は、月曜日も姿を現さなかった。信任投票否決後の落ち着いた取引と、フランス国債およびユーロの利回りの安定は、ECBが選択的な支援策として密かに介入した可能性を示唆している。中央銀行の取引内容を明らかにする次のTCIレポートで、数週間以内に確認されるだろう。
それまでは、リークが時期尚早に表面化しない限り、憶測は続く。
懐疑的な人は、市場はフランスのドラマに慣れきっており、流動性問題を含む可能性のある次の局面を待っているだけだと主張するかもしれない。全体として、世界市場における長期国債の緩やかな売りは続いている。フランスは、進行中の政治的混乱と未解決の財政問題により、依然として厳しい監視下に置かれています。
債券市場の大混乱は暗雲のように立ち込め、公的債務の容赦ない蓄積は遅かれ早かれ深刻な嵐を巻き起こすだろう。世界の金融構造は脆弱な基盤、すなわちインフレ的に流通する国債を基盤とする不換紙幣制度の上に成り立っている。
シンガポールの鉄鉱石先物は、ピークシーズンの在庫補充を促す中国の需要回復の兆候や、製鉄所の供給削減、来週の米国の25ベーシスポイントの利下げ期待などの他の要因に支えられ、6か月ぶりの高値近辺で週を終えた。
UBSのアナリスト、キャサリン・ゴードン氏は今週初め、顧客に対し、「この熱狂的な相場のさなか、UBSゴールドマイナーズバスケット{UBXXGOLD}への需要が堅調であるとチームは認識している。鉄鉱石は、傍観者の投資家の間で最も議論されていない」と述べた。
鉄鉱石価格が1年以上1トンあたり100ドル前後で推移しており、ウォール街の金融デスクでは鉄鉱石市場は忘れ去られ、忘れ去られたままになっているのだろうか?
可能性はある。UBSのアナリスト、マイルズ・オールソップ氏は、鉄鉱石のボラティリティが15年ぶりの低水準にまで低下したと指摘した。今後のトレンドが見通せず、価格が100ドル前後で推移しているため、鉄鉱石はUBSの顧客の間で最も話題に上らない商品の一つとなっている。まあ、今のところは。
オールソップ氏はこのボラティリティの急落についてさらに詳しく説明した。
鉄鉱石価格: ボラティリティが過去 15 年間で最低レベルにあるのはなぜでしょうか?
鉄鉱石価格の変動性は、業界が2008/09年にスポット価格設定に移行して以来最低水準にあり、価格は2024年半ば以降狭いレンジで取引されています(平均約100ドル/トン、最安値90ドル/トン、最高110ドル/トン)。当社の見解では、この安定性の主な要因の1つは、広範な不確実性とバランスの取れた市場ファンダメンタルズに支えられた、中国における購買行動の変化です。中国政府は、需要の集中、価格交渉、戦略的な在庫管理を通じて鉄鉱石市場の安定化を図ることを目的として、2022年7月に中国鉱産資源集団(CMRG)を設立しました。現在、CMRGは世界のサプライヤーとの交渉において中国の鉄鋼メーカーの50%以上を代表しており、交渉の影響力は鉱山会社から中国の製鉄所へと根本的に移行し、鉄鉱石市場のダイナミクスを変えています。また、大規模な戦略的在庫保有を構築することで、市場における投機的な活動を抑制しています。今後は、価格変動の低さが新たな常態になると予想しており、これはコスト予測の改善を通じて鉄鋼メーカーに利益をもたらす一方で、金融参加者の取引機会は減少するでしょう。また、CMRG の購買力が集中することでマージンが圧迫される可能性が高いものの、需給ファンダメンタルズが引き続き市場価格の動向全般を左右すると予想しています。
鉄鉱石価格は需給バランスと在庫の安定により持ちこたえている
鉄鉱石価格は先週、軍事パレード後の経済活動の回復とセンチメントの改善(中国事業計画とFRBの利下げ期待による)を背景に、約$105/tまで上昇した。注目すべき重要なシグナルは以下のとおり。1) 中国の港湾(図24)および製鉄所(図26)の鉄鉱石在庫は前週比で概ね安定している。2) 従来市場からの鉄鉱石出荷量(図2)は回復を続け、ブラジルは年初来+3%(> Access Dataset)となっている。3) CISAデータによると、中国の鉄鋼生産は8月上旬に加速したが(図10)、MySteel稼働率データは概ね横ばい(図14)。4) 中国からの鉄鋼輸出は、貿易制限の強化にもかかわらず、8月に約106Mtpaと堅調に推移している(図19)。宝鋼は、中国の鉄鋼輸出は2025年には100Mtを超え続けると予想しているが、第4四半期は減少する5) 大連油田のポジションは徐々にマイナスに転じ、現在ネット契約数は-200万トンとなっています(図37)。Vale、RIO、BHPのレーティングは中立、FMGとKIOのレーティングは売りです。2026年のスポットFCF利回りは、BHPが4%、RIOが8%、Valeが15%と推定しています(インタラクティブモデル)。
一方、ゴールドマンのアナリスト、ジェームズ・マギオック氏は、鉄鋼原料の価格がここ数週間で6か月ぶりの高値に急騰した理由について、さらに詳しく説明した。
ゴールデンウィーク前の在庫補充(10月1日のゴールデンウィーク)に入り、国内の反応は良好です。8月の輸入量は1億500万トンと好調です。トレーダーは依然として100~105ドルのレンジを予想しており、消費者は100ドルで買い、生産者は105ドルでヘッジしています。注目すべきは、金曜日にCMRG(中国グループ)が価格を落ち着かせるために売却したというニュースです。価格は今後も下落する見込みです…
鉄鉱石市場の圧縮が長引けば長引くほど、最終的な変動は大きくなります。大きな疑問は、上昇へのブレイクアウトのきっかけとなるのは何かということです。中国の景気刺激策、米国の利下げ、それとも中国政府による製鉄所への生産抑制圧力でしょうか?
地球は今世紀末までに「人口ピーク」を迎えるだろう。
25年以内に、世界の先進国のほとんどが急激な人口減少に直面することになり、高齢化が進む人口を支える若者の労働人口は減少するだろう。
原因は飢饉でも戦争でも疫病でもありません。私たちは、 存在すらしない問題に対して、一連の過酷な解決策を作り出し、自らこの事態を引き起こしたのです。
恐怖は常に社会統制のための最良の手段であり 、人類に対する恐怖は、 統制に執着する左派の「思想家」たちによって何世代にもわたって利用されてきた。
最も明白なのは、ポール・エーリッヒが 1968年に著書『人口爆発』の中で、驚くほど恐ろしく、そして完全に 誤った予測をしたことだ。
「全人類を養う戦いは終わった。1970年代には世界は飢饉に見舞われるだろう。今どんな緊急対策を講じても、何億人もの人々が餓死するだろう。今となっては、世界の死亡率の大幅な上昇を阻止できるものは何もない…」
「あと数年はインド全土に飢饉が広がるのを防げるかもしれない。しかし、1980年までにさらに2億人を養うことは不可能だ。1970年代にインドで数千万人が亡くなったことを防ぐことは不可能だ…」
「ではイングランドはどうか?もし私がギャンブラーなら、2000年にはイングランドは存在しないだろうと賭けるだろう。」
PJオルークは1994年の著書『All the Trouble in the World』の中で、何が起こっていたのかを次のように説明している 。
「ドレッドと喧嘩による市民へのいじめは旧石器時代から続いています。地球温暖化を題材にしたグリーンピースの募金活動は、月食を題材にした部族の魔法使いたちの活動と大差ありません。『ああ、ナイトウルフが月の聖母を食べている。銀をくれれば、吐き出させてやる』」
家族計画と国家の介入
しかし、ここでは騙されやすい人を騙す以上のことが起こっている。1960年代と70年代の人口過剰ヒステリーは世界を変えるほどの結果をもたらしたが、その影響は今になってようやく明らかになりつつある。エーリッヒを責めるのは(面白いことではあるが)公平ではない。真実は、人口増加は繁栄への脅威だという疑似科学から、本格的な家族規模のパニックが生まれたということだ。影響力のある組織は、非常に懸念を抱く人々によって設立された。 人口評議会 と 国際家族計画連盟は どちらも1952年という早い時期に設立された。発展途上国は、西側諸国の政府や国際機関からの多大な支援、時には強制的な圧力を受けながら、積極的な家族計画を推進し始めた。
国連、世界銀行、および二国間援助国、特に米国はUSAIDを通じて、 人口管理を対外援助プログラムにますます組み込んでいった。アジア、アフリカ、ラテンアメリカで特に高い出生率は、単なる人口動態の傾向としてではなく、 マルサスの考えに基づく 近代化、貧困削減、世界安全保障の障害とみなされた。 中国は1979年に悪名高い「一人っ子政策」を実施し、強制不妊手術 や中絶 などの強制的な手段を 講じた。インドは、特に非常事態期(1975~1977年)に、配給カードの差し押さえなど、武力や極端な社会的圧力を用いることが多い 大規模な不妊手術キャンペーンを実施した。 東アジアの 多くの国では、 人口増加を迅速かつ恒久的に抑制するために、疑問の残る強制的な方法を用いようとする、 積極的な国家統制プログラムが実施され、その多くは世界銀行 の資金提供を受けた 。
もちろん、 避妊が利用可能であることは、実際には女性が子供を少なく産む という選択を自由に行える手段であったケース も少なくありません。しかし、この選択が国家による強制と結びついたことで、より多くの子供を望んでいた女性、あるいは社会的な圧力がもっと賢明に活用されていればもっと多くの子供を望んでいたであろう女性でさえ、複数の子供を持つという個人的な夢を諦めざるを得なくなってしまったのです。
もしそれが物語の終わりなら、それは十分に悪いでしょう。しかし、それは始まりに過ぎません。科学主義の聖域は、 現実の人口危機を生み出し、それは今後数十年にわたって世界に影響を与えるでしょう。一部の国は、少なくとも現状のままでは、決して回復できないかもしれません。その危機とは、人口爆発です。
縮小する地球:どの国がいつピークを迎えるのか?
入手可能なデータを用いて、ざっと計算してみました。私が計算しようとしたのは、データが十分に信頼できる26カ国について、人口がピークを迎える予測年です。この予測は、合計特殊出生率、移民、そして死亡率(平均寿命)の動向に基づいています。これらの推定値は、厳密に比較できないデータもあるため、せいぜい近似値に過ぎません。しかし、私が入手したデータは、 国連の世界人口予測、 OECD統計報告書、そして 各国の人口動態データに基づいています。
人口ピークの年は、国連世界人口予測(PDF)の 中位推計 に基づいており 、欧州・北米諸国のほとんどが2030年代後半にピークを迎えると指摘する地域別報告書によって裏付けられています。日本は既に2008年頃にピークを迎えており、韓国 は2025年頃にピークを迎えています。また、イスラエル(合計特殊出生率 3.0近く)は 今世紀にはピークを迎えない可能性があります 。
表の最後の行に示されているように、平均寿命の傾向を考慮し、純移民がないと仮定すると、合計出生率の置換率は約 2.10 になり ます 。
ここで疑問が浮かび上がります。もしこれらの国々全てでTFRが人口置換水準を下回っているとしたら、世界の人口は実際にはどうなっているのでしょうか?答えは簡単ですが、これまであまり議論されてきませんでした。世界人口はピークを迎え、その後減少に転じます。地球上の総人口は近い将来に減少し始めるでしょう。ピークの正確な時期は、 特定の仮定に基づいているため推測の域を出ませんが、 推定では2060年(現在のTFRが一定と仮定)から2080年(TFRがわずかに上昇し、寿命が延びた場合)の間とされてい ます。
皆さん、こんなことが起こる必要は全くありませんでした。オーストラリア、カナダ、あるいはアメリカを夜間に飛行したことがある方ならご存知の通り、地球には十分な空間があります。空き地がたくさんあるのです。
思考実験をしてみましょう。現在、地球上には81億人の人々がいます。もし全員がアメリカ合衆国テキサス州に住んでいたとしたらどうでしょう(これを読んでいるテキサスの皆さん、私たちはまさにその方向に進んでいるように思われるかもしれませんね。ダラスの交通渋滞は驚くべきものです!)。テキサス州の面積は676,600平方キロメートルです。では、現在の傾向が続き、文字通り全世界がテキサス州に移住したとしたら、どうなるでしょうか?
81億人÷67万6600人というのは、1平方キロメートルあたり約1万2000人ということに なります。これはニューヨークの5つの行政区 (1平方キロメートルあたり約1万1300人)よりわずかに人口密度が高いですが、パリ(2万人)よりははるかに少なく、マニラ(約4万4000人)と比べると大幅に少ないです。ニューヨークとパリはかなり混雑していますが、そこに住んでいて、時には自発的に訪れる人もいます。たとえ現在の世界人口全員がテキサスに移住したとしても、ラッシュアワーのマンハッタンよりわずかに迷惑な程度でしょう。
つまり、過去数十年間の人口ヒステリーには、何の根拠もなかったということです。以前の記事でも述べたように 、当時の予測は当時からして馬鹿げていました。そして、「人口爆弾」の再来を心配する必要はありません。たとえ人口が再び増加し始め、私たち全員がテキサスに移住せざるを得なくなったとしても、まだ十分な余地があるからです。
人口減少の影響は、 韓国や日本などの国ですでに感じられ始めています。平均年齢が上昇するにつれ、40歳未満の人口の絶対数が減少し始めます。何かが変わらない限り、世界人口全体、そして多くの特定の国々は、これまでは壊滅的な疫病や残忍な戦争の際にしか見られなかった状況、すなわち空き家だらけの家々、廃墟となった都市、そして自活能力のない高齢者の大群に直面することになります。しかし、今回の場合の違いは、私たちが飢餓や戦争に苦しんでいるわけではないということです。 アントニー・デイビスが指摘したように、現在の世界文明の崩壊は、人間が私たち が持つ最も貴重な 資源であるという認識を著しく失った結果です。
過去1世紀の大半、アメリカ合衆国のみならず他の国々においても、人々が地方や町からますます大都市、特にニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、シアトルといった活気ある中心街を持つ大都市へと移住するという避けられない流れがありました。多くの未来像は、依然として都市中心部が生産、消費、文化の揺るぎない中心地であり、地方、小都市、郊外は近代化の僻地とみなされています。
RealClearInvestigationsの分析によると、私たちは新たな時代の瀬戸際にいる可能性がある。都市中心部は縮小を始め、まず郊外に、そしてさらにその先の準郊外に、そして今や小さな町や地方にまでその座を奪われつつある。19世紀以来初めて、アメリカの成長パターンは、かつては不人気と思われていたオレゴン州ポートランドではなく、ノースダコタ州ファーゴのような小規模都市圏に有利となっている。
この変化は、人口統計学者が都市中心部を中核とする大都市圏について論じることが多いため、検知が難しい場合がある。しかし、この分類方法では、成長の多くがこれらの地域の周縁部で起きているという傾向が見えにくくなる。最も急速に成長している大都市のほぼすべてにおいて、拡大の大半を経験してきたのは、最近まで農村地帯であった郊外のさらに外れた地域である。歴史の大半を静かな州都であったノースカロライナ州ローリーは、引き続き全米から移住者を引き付けているが、最も爆発的な成長は都市中心部ではなく、土地と落ち着いた田舎の環境に加え、近代的なアメニティも利用できる周辺の「田舎町」である アペックス、 フキー・バリナ 、 ゼブロンで起きている 。
2010年から2020年の間に、主要都市圏の郊外と準郊外地域では200万人の国内移住者が純増した一方、都市中心部の郡では270万人の移住者が減少した。 パンデミックにより リモートワークが常態化し 、人々が距離を置くことが奨励されたことで、より小規模で混雑が少なく、より安価な住宅市場への移住者の動きが加速した。この10年間の最初の4年間で、主要都市圏の都市中心部の郡(人口100万人以上)では325万9000人の国内移住者が純減しており、これは過去10年間の減少率の3倍に相当します。一方、主要都市圏外への国内移住者は230万人に上ります。
メディアはこうした変化を軽視し、あるいはほぼ全面的にパンデミックのせいにしてきた。その結果、小さな町や田舎には、病気や犯罪から逃れられる安全な避難場所以外に、ほとんど何も提供できないという印象が植え付けられている。パンデミック前の2018年、「アメリカの田舎は救えるか?」という記事で、ニューヨーク・タイムズは 、特に中央部にある小さな都市や町が「高齢化」し、「容赦ない経済衰退」に直面していると報じた。
データは正反対のことを示唆している。つまり、アメリカ人は 土地への回帰に向かっている ということだ。都市部の住宅価格の高騰と、誰もがどこでもほぼ何でも手に入れられるアマゾン経済は、プライバシー、空間、そしてマイホームへの根深い欲求を再び燃え上がらせている。
新しい人口統計
地理的再編の第一段階は2000年までに形を整え始めました。労働者は、サンベルト地帯や中西部の低コスト州への進出を加速させていた米国企業と外資系企業の両方に追随しました。それ以来、最も都市化が進んだ2つの大州、カリフォルニア州とニューヨーク州は、それぞれ400万人以上の国内移民の純減を経験しました。さらに、移民の減少 と、特に大都市に住む人々の出生率の低下という 2つの傾向が、これらの州の都市人口の再補充を困難にしています。
ダウンタウンを再活性化させる多くの取り組みは 、少なくとも一時的には新規参入者を誘致するのに役立った ものの 、ほとんどの人々は周辺部に移動しました。 2010年から2020年までの米国の都市部全体の増加の約90%を郊外が占めており、最も増加したのは遠方の準郊外です。最も顕著な拡大は、ニューヨーク市やシカゴのような巨大都市の周辺ではなく、より小さな都市圏とその周辺で発生しています。2015年から2023年の間に、国内の人口増加の2倍を超える成長を記録した地域には、テキサス州のキリーンとシャーマン、ジョージア州のサバンナとジェファーソン、サウスカロライナ州のスパルタンバーグ、アラバマ州のダフニ、フロリダ州ネイプルズ、サウスダコタ州のスーフォールズ、メリーランド州のヘイガーズタウン、テネシー州のクラークスビルが含まれます。
このプロセスはまだ初期段階にあるのかもしれない。ミレニアル世代と移民の急増が原動力となっている。都市アナリストで中西部出身のアーロン・レン氏は、これまで 中西部の都市成長の多くは沿岸部ではなく、地域内の小規模な町からの移住によるものだと指摘する。例えばインディアナポリスやコロンバスといった都市の人口動態は、主に周辺の大都市圏や地方からの流入によるものだ。
しかし今、国内外の巡礼者がこれらの小さな町にますます惹きつけられていることで、状況は変わりつつあります。私たちは、前世紀の現実とは一変した世界を目の当たりにしています。20世紀の成長の最大の典型であったロサンゼルス郡でさえ、現在では人口が減少傾向にあり、州の推計によると、2070年までにさらに 100万人が減少する と見込まれています。一方、多くのロサンゼルス市民(とその両親)が元々出身地である南部や中西部など、比較的小規模な地域では、人口動態の回復が見られるようになっています。
住宅費が大都市圏からの大規模な流出を促進
この変化は、何よりも住宅費の高騰を反映しており、 高価な大都市圏と全国平均の生活費の 差の約88%を占めています 。RCIが以前に報告したように、この追加コストの多くは、多くの大都市圏で価格を押し上げてきた厳格な周辺の土地規制に起因しています。住宅価格の高騰は当初、カリフォルニアからオレゴン、ワシントン、コロラドなどの場所への移住者を後押ししました 。しかし現在、これらの州は同じ規制スキームを採用し始めており、 雇用の伸び悩み、住宅建設率の低迷、景気の悪化、国内からの移住の急増という同じ結果を招いています。これが、 大都市を悩ませている 住宅所有率の低下と国内からの移住の急増の主な要因です 。より小規模な都市圏への人口移動には、より安価な住居を求めて移住した 高齢アメリカ人 や、多くのアフリカ系アメリカ人の南部回帰など、様々な要因があるが、おそらくより重要なのは若い世帯の移動だろう 。ここで鍵となるのは、富を築き中流階級入りするための伝統的な手段である住宅所有である 。しかし、住宅所有は半世紀にわたって減少傾向にある 。それは、住宅所有への欲求という点ではなく、住宅所有の可能性という点においてである。
パンデミック以降、米国の住宅価格は大幅に上昇し、住宅購入のしやすさが著しく低下しています。「手頃な価格」と定義される市場では、「中央値倍数」(住宅価格の中央値を所得の中央値で割った値)が3以下となります。現在、全米平均は4を超えていますが、 一部の市場ではさらに高く 、サンノゼ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンディエゴでは10以上、サンディエゴ、マイアミ、ニューヨーク、シアトルでは7以上となっています。
当然のことながら、住宅は通常、小規模市場や地方の方が手頃です。アメリカン・コミュニティ・サーベイのデータによると、米国には住宅価格の中央値が3.0以下の大都市圏が約120あります。2024年には、ピッツバーグ(3.2)、クリーブランド(3.3)、セントルイス(3.5)、ロチェスター(3.6)といったかつての工業地帯に、より手頃な大都市圏が多く見られるでしょう。Zillow によると、初めて住宅を購入する人にとって最もお得なのは、ウィスコンシン州ウォーソー、メリーランド州カンバーランド、インディアナ州テレホート、イリノイ州ブルーミントンなど、住宅価格の中央値が3.0以下の小規模市場です。
この動きは、アラバマ州、オクラホマ州、アーカンソー州、メイン州、ニューハンプシャー州、サウスダコタ州などの州における国内純移民数の大幅な増加につながりました。米国経済分析局によると、ニューハンプシャー州を除くこれらの州は、いずれも生活費が全国平均よりも低くなっています。
小規模な場所の急増
最も都市化が進んだ地域や州からの人口移動は、 雇用増加によっても促進されている。近年、雇用増加はアイダホ州、ユタ州、テキサス州、ノースカロライナ州、モンタナ州といった、都市化が進んでおらず人口密度の低い州へと決定的に移行している。対照的に、ニューヨーク州、カリフォルニア州、イリノイ州、マサチューセッツ州といった大都市圏は、雇用増加率の低い地域に位置している。この傾向は、 アーカンソー州フェイエットビル、サウスカロライナ州グリーンビル、ノースダコタ州グランドフォークス、ユタ州オグデンといった比較的小規模な都市圏にも当てはまり、これらの地域では雇用増加率が最も急激に伸びている。
同時に、シアトル、デンバー、ポートランドといったかつて活況を呈していた大都市圏では、物価 上昇と経済機会の変化に伴い 、国内からの純移住が減少しています。国内からの移住者は、より小規模な大都市圏へと向かう傾向が強まっています。かつて「人気」だったこれらの大都市圏では、ワシントン州のスポケーン、セントラリア、シェルトン、コロラド州のグリーリー、グランドジャンクションといった小規模な市場への移住が、国勢調査局のデータに基づく当社の分析で明らかになっています。
これは、大都市圏への国内純移住が最も増加しているという、1世紀にわたる力強い傾向の逆転を示しています。RCIによる国勢調査局データの分析では、2010年から2015年の期間と比べて、劇的な変化が見られました。この期間には、人口25万人未満のコミュニティのすべてのカテゴリーにおいて、移住者数が移住者数を上回っていました。
2024年までの新たなデータは、この以前の傾向の大きな逆転、つまり少なくとも1世紀にわたって存在してきたパターンからの転換を反映しています。人口100万人以上の各カテゴリーでは2015年以降、国内純移民が減少しましたが、それより人口の少ないカテゴリーでは国内純移民が増加しました。
ミレニアル世代は 小さな場所へ移住する
家賃の支払いさえも困難で、ましてや家を買うとなると、人々の住む場所の選択は大きく変わってきています。特に、家族を持ったり、中流階級のライフスタイルを実現したいと考えている人々にとって、その傾向は顕著です。「(ニューヨークでは)素晴らしい仕事と素敵なアパートに住んでいましたが、それが将来、家を持つことやワークライフバランスの実現につながるとは思えませんでした」と、 イースト・ナッシュビルにあるバー「ウォルデン」の共同オーナー、ケイティ・マクラクランは説明します 。「億万長者でもない限り、ニューヨークにはそういった選択肢がないように感じていました。」
これは、ミレニアル世代は必然的に沿岸部の大都市に集まり、中小都市は 時代遅れで退屈で偏見に満ちているとする主流メディアの信念からの劇的な逆転を示している。しかし、ミームを繰り返したところで真実にはならない。ニューヨークなどのより大きな中核都市は、2020年以降、25歳から39歳の若者を含め、実際には両方の人々を失っている。全国メディアで広く宣言された、エリートによる沿岸部の大都市の優位と 中小都市の衰退の時代は、すでに賞味期限が過ぎているのかもしれない。実際、過去半世紀の大半で25歳から44歳までの移住者の大部分を引き付けてきた 大都市圏の割合は 、2010年以降減少している。一方、特に人口25万人未満の地域などの中小都市圏の魅力が急上昇している。
これらの移民たちは、移住によって生活環境が改善されたことを実感しています。ブルッキングス研究所の研究員 マーク・ムロ氏 が指摘しているように、19州からなるアメリカのハートランド地域の賃金は、生活費調整後で 全国平均を上回っています。別の調査によると、生活費調整後の所得が最も高い10地域のうち8地域がハートランドにあります。対照的に、 調整後の所得が最も低い地域は すべて沿岸地域でした。
全体的に見て、給与の高い都市圏の多くは、中高年や家族にとって魅力がはるかに低いようです。人口25万人以上の全米185都市圏のうち、生活費調整後の給与が最も高いのは、テキサス州ブラウンズビル・ハーリンジェン、アーカンソー州フォートスミス、そしてウェストバージニア州、ケンタッキー州、オハイオ州の3州にまたがるハンティントン・アッシュランド地域です。平均給与が最も高い10都市圏はすべて 中小規模の市場であり 、人口が100万人を超える都市はありません。そのほとんどはアメリカの中心部に位置しており、物価の高い州にあるのは、カリフォルニア州セントラルバレーにあるバイセリア・ポータービルとモデストの2都市のみで、州内の高価な海岸部からは遠く離れています。
この変化は、ミレニアル世代の成熟とも一致しています。若者は家庭を持ったりマイホームを持ちたがらないというメディア報道があるにもかかわらず、ほとんどの調査では、 30代のアメリカ人の大多数が 中流階級の生活の基盤 を築きたいと考えている ことが示されています。毎年約 100万人のミレニアル世代 が母親になっています。多くの人が、昔ながらのメインストリートの近くに住み、新鮮な農産物を提供する農場からもそれほど遠くない、より小規模な都市部に惹かれているようです。こうしたライフスタイルは「アーバリズム」と呼ばれ、大都市圏や空港に近い環境にありながら、依然として大部分が田舎暮らしであるという特徴を併せ持っています。
全国的に、住宅所有者の平均年齢は上昇傾向に あり、1980年の30代前半から現在は56歳だ。しかし、35歳未満の人が新規住宅所有者の最大の割合を占める場所は 、圧倒的に中西部、ユタ州プロボ、コロラドスプリングス、カリフォルニア州ベーカーズフィールドだ。全米不動産業者協会の最近の調査を執筆したナディア・エヴァンジェロウ氏は、「データを見れば、彼らは(大都市圏を)離れていることがわかります」と話す。「彼らには住宅を買う余裕がないので、おそらくその理由で離れているのでしょう」。ある調査による と、新興テクノロジーセンターであるサウスダコタ州スーフォールズなどの場所では、35歳未満の人の20%が持ち家を所有しているのに対し、サンノゼでは同じ割合はわずか3.5%だ。
移民がパレードに参加
国内からの移民が前世紀初頭に大都市圏から流出するにつれ、海外からの移民がその損失を補った。ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴの各都市圏では、国際移民の純流入は継続したものの、2020年以降は現住民の流出がそれを上回った。しかし今、開拓時代以来初めて、コロンバス、インディアナポリス、デモインといった中規模都市圏は、 ロサンゼルス、サンフランシスコ・ベイエリア、ニューヨークといった伝統的な中心地よりも高い割合 の外国人移民を受け入れている。
例えば、ネブラスカ州オマハは人口100万人の大台を突破したばかりです。オマハは民族的に多様化が著しく、2010年から2019年にかけて外国生まれの人口が28%と急増しました。これは国勢調査局のデータによると、全国平均の13%の2倍以上です。ネブラスカ州民のわずか7%が外国生まれですが 、オマハ地域には外国生まれの人口が20%を超える地域が広く存在し、多くの人が自宅で外国語を話しています。世紀の変わり目のローワー・イースト・サイドの復活とまでは言えないかもしれませんが、これはほとんどの人が予想していなかった民族的変化を象徴しています。
アメリカの新しい保育園
高齢者の避難所ではなく、今やアメリカの主要な子育て地域となっているのは、小規模都市圏と農村部です。ノースダコタ州、オクラホマ州、カンザス州、ネブラスカ州、アイオワ州、アーカンソー州、サウスダコタ州など、中西部と南部の州は、2000年から2023年にかけて高齢化の進行が最も緩やかな10地域のうち7地域を占めています。かつては絶望的な高齢化地域と見られていたノースダコタ州は、2000年以降、全州の中で最も高齢化が進んでいません。
こうした傾向の多くは出生率と関連しています。全体的に見て、低密度地域(手頃な価格の住宅、安全な道路、そして強いコミュニティ文化を持つ地域)は、人口密度の高い都市部よりも家族にとって住みやすい環境です。最も若い10大都市圏のうち8つは、特に郊外や、南部、中西部、山岳地帯の国勢調査地域にある小規模都市圏に位置しています。これらの低密度地域は、人口が減少・高齢化していく運命にある地域ではなく、国の子育ての場となりつつあります。
出生率が最も高かった6州のうち4州は、ノースダコタ州、サウスダコタ州、カンザス州、ネブラスカ州でした。一方、出生率が最も低かった15州のうち14州は、北東部と西海岸に位置していました。
大都市圏で平均より出生率が低かったのは、ロサンゼルス、ニューヨーク、ポートランド、シアトル、ボストン、ミルウォーキー、シカゴ、デンバー、サンフランシスコ、オーランド、プロビデンスなどです。対照的に、 出生率が最も高かった のは人口25万人未満の都市で、人口5万人から10万人の都市ではピークに達しました。上位には、ウェストバージニア州ホイーリング、ワイオミング州シャイアン、カリフォルニア州クリアレイク、ノースカロライナ州ジャクソンビル、イリノイ州ディケーター、ニューメキシコ州ホッブズといった小規模な都市が名を連ねています。
未来は分散している
こうした家族形態の変化は、未来について多くのことを物語っている。出生率の低い社会――現在、ヨーロッパ、東アジア、そしてサハラ以南のアフリカを除くほぼすべての地域で見られるように――は、必然的に一種の文化的停滞に陥る。住宅などの製品だけでなく、アイデアに対する需要も低下する傾向がある。 経済学者ゲイリー・ベッカーは、若者は革新的な経済にとって不可欠であり、米国では、若者の多くが内陸部から来る可能性が高いと指摘している。
この動きをアメリカンドリームの否定と捉えるのではなく、むしろアメリカンドリームの強化、つまりこの広大な大陸全体に機会を広げてきた大移動の反響と捉えるべきです。この新たな分散は、国家の衰退や大都市の終焉を意味するものではありません。しかし、全体的な小規模化と大都市圏の復活は、アメリカ人がより良い生活を求めて飽くなき探求を続ける原動力となっている「幸福の追求」の、常に変化する性質を浮き彫りにしています。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
●その他
備忘録(2025/9/11)
●企業
●マクロ
先週分の米新規失業保険申請件数は大幅に増加し、2021年10月以来、ほぼ4年ぶりの高水準となった。雇用の伸びが急減速する中、レイオフの動きが強まっている可能性がある。
キーポイント
新規失業保険申請件数(9月6日終了週)は前週比2万7000件増の26万3000件
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は23万5000件
前週は23万6000件(速報値23万7000件)に修正
失業保険の継続受給者数(8月30日終了週)は193万9000人で横ばい
市場予想は195万人
前週は193万9000人(速報値194万人)に修正
週間の失業保険申請件数は、祝日を挟む時期に変動しやすく、今回の統計にはレーバーデーの週末が含まれていた。週ごとの変動をならした新規申請件数の4週移動平均は24万500件と、6月以来の高水準となった。
テキサス州での大幅な申請増が全体の押し上げ要因となった。同州は季節調整前で1万5304件増。2番目に大きかったのはミシガン州で、2980件増加した。一方、大半の州では申請件数が減少した。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「9月第1週の新規失業保険申請件数の急増は主にテキサス州によるもので、大半の州では申請が減少した。労働市場の弱さが増す中で、こうした悪化には注意が必要だが、より広範囲で申請件数が増加していれば、はるかに深刻な懸念材料となっていただろう」と述べた。
16~17日に連邦公開市場委員会(FOMC)会合が予定されており、今回の統計は米労働市場に関する最後の重要なデータとなる。FOMCは今年これまで利下げを見送ってインフレリスクに備えてきたが、雇用情勢への懸念が高まる中で、利下げを再開するとの見方が広がっている。
米労働省の労働統計局(BLS)が11日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.9%上昇した。前月の2.7%上昇から加速、1月以来の大幅な伸びとなった。
ただ、労働市場が下振れ傾向にある中、スタグフレーションを巡る懸念を高めかねず、米連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利下げに動くという見方を支える内容となった。
物価の「瞬間風速」を反映する前月比は、住居費や食料価格の上昇を背景に0.4%上昇し、前月の0.2%上昇から加速。伸びは前月比でも1月以来の高さとなった。
ロイター調査によるエコノミスト予想は、前年比2.9%、前月比0.3%上昇だった。
プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏は「予想を幾分上回ったが、FRBに来週の利下げをちゅうちょさせることはないだろう」と述べた。
トランプ関税の影響は緩やかだが、関税前の企業による在庫積み上げは尽きつつあり、物価上昇は加速するとみられている。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.3%上昇、前年比3.1%上昇で、伸びはともに前月と変わらず。
項目別では、帰属家賃が前月比0.4%上昇、ホテルなどの宿泊費が2.3%上昇、航空運賃が5.9%上昇、中古車・トラックが1.0%上昇した。
金利先物市場では、FRBが来週16ー17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を含め、年内残り3回の会合でそれぞれ0.25%ポイントの利下げを実施すると見込まれている。
また、来年1月の会合で4回連続で利下げに踏み切る確率も50%に迫っている。
サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社の米トライカラー・ホールディングスは、連邦破産法第7条に基づく会社清算を申請した。テキサス州ダラスに本社を置く同社は10日、南西部などで不法移民を中心にローンを提供していた。
同社の申し立て文書には、債務は10億ドルから100億ドル(約1500億円から1兆5000億円)の間と記載されている。第11条と異なり、第7条では債務再編が困難な企業の資産が裁判所指定の清算人によって売却される。
申し立て文書にはJPモルガン・チェースやフィフス・サード・バンコープ、バークレイズなどの大手銀行を含む、2万5000もの債権者が記載されている。これらの銀行は総額で数億ドル規模の損失を見込んでいると、ブルームバーグが9日に関係者情報として報じた。
申請の理由はダラスの連邦破産裁判所に提出された文書に明記されていない。同社による不法移民へのローン提供は今年、当局の調査対象となっていた。トランプ米大統領の不法移民取り締まり強化を背景に、同社のビジネスモデルが抱えるリスクが高まったと、投資家から懸念の声が上がっていた。
同社はウェブサイトで、社会保障番号や信用履歴がなくても融資の申し込みは可能だと案内していた。
クロール・ボンド・レーティング・エージェンシーが3月に発表したリポートによれば、トライカラーが昨年実行した自動車ローンは10億ドルを超える。他のノンバンク系自動車ローン会社と同様、トライカラーも顧客へのローン債権を資産担保証券(ABS)として組成して、投資家に販売することで貸し付け原資を調達していた。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、トライカラーが2022年より後に販売したABSは20億ドル相当に近く、その多くがまだ償還されていない。最新では6月に2億1700万ドル相当の証券を販売した。
事情に詳しい複数の関係者によれば、JPモルガンとバークレイズ、フィフス・サードは、トライカラーの「ウエアハウスレンダー」として同社に自動車ローン原資を融資していた。
米国では基調的なインフレ率が8月に予想通りの上昇となった。一方、先週分の米新規失業保険申請件数は大幅に増加し、2021年10月以来、ほぼ4年ぶりの高水準となった。市場は9月の利下げに加えて、年内あと2回の利下げを見込んでいる。
米消費者物価指数(CPI)と米失業保険申請件数に関する市場関係者のコメントは以下の通り。
◎ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏:
門を閉ざしていた最後のかんぬきが外れた。利下げという馬がまさに厩舎(きゅうしゃ)を飛び出そうとしている。先週の雇用統計発表前までは9月に利下げがあるかどうかが焦点だったが、今や9月に利下げがあるのは確実だとして、その後に何回利下げがあるかという議論に一気に移ったのは驚きだ。
◎リーガン・キャピタルのスカイラー・ウィナンド氏:
インフレが比較的落ち着いていることが明らかになった。これにより、FRBは労働市場の軟化を食い止めることに、より重点を置けるようになる。来週に0.25ポイントの利下げが行われ、その後さらに年内2回、0.25ポイントずつの利下げが実施されるだろう。
◎モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントのエレン・ゼントナー氏:
現時点でインフレは重要な副次的テーマではあるが、主役は依然として労働市場だ。この日発表されたCPIは、前日のPPIを相殺するように見えるかもしれないが、雇用情勢の軟化という状況からFRBの目をそらすほど強い数字ではなかった。これは来週の利下げにつながる。さらにその後も利下げは続く可能性が高い。
◎グローバルXの投資戦略責任者スコット・ヘルフスタイン氏:
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は今年、物価安定と完全雇用へのリスクはほぼ均衡しているとの認識を示してきた。先週の雇用統計で大幅な修正があったことを受け、完全雇用へのリスクが物価へのリスクを今や上回っていると、多くがみている。FRBも恐らく同様の認識を持っているが、この日のインフレ指標は大幅利下げでなく、0.25ポイントの小幅利下げを支持する内容となった可能性が高い。
◎ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのジョン・カーシュナー氏:
FRBは今や、完全に身動きが取れなくなっている。パウエル議長は労働市場の明らかな減速に対抗するため利下げを断行しようとしているが、一方でFRBのもう一つの責務である物価の安定、つまり2%のインフレ目標を無視している。コアCPIはすでに4年半にわたり目標を大きく上回っており、今後もその傾向が強まっている。
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏:
この日の米CPIは新規失業保険申請件数にかき消された。むしろ失業保険申請件数の急増がFRBの判断に一層の緊急性を与えるだろう。パウエル議長は連続利下げを示唆する公算が大きい。
中国の地方政府が民間企業に対して抱える巨額の債務を処理しようと、中央政府が動き出している。事情に詳しい関係者が明らかにした。そうした未払い金は1兆ドル(約148兆円)を超えるとの推計もある。
政府は地方当局が滞納分を支払えるよう、国家開発銀行などの政策銀行や国有銀行に融資を要請する案を検討している。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
検討中の措置の下で投じられる資金は、まず民間企業への滞納金少なくとも1兆元(約20兆7400億円)の穴埋めに充てられる見通しだ。関係者によれば、これは長期的な取り組みの第1段階で、当局は2027年までに完了させたい考え。
習近平国家主席は2月の演説で、公的セクターによる企業への支払い遅延は国民の政府に対する信頼を損なう恐れがあると警告。
滞納金が苦境にある民間企業をまひさせ、さらに社会全体に悪影響を及ぼしていると述べ、中央政府がこの問題を重く受け止めている姿勢を強調した。この演説は先月公表された。
提案されている支援策は、公共事業などを請け負った民間企業に救済をもたらす一方で、すでに不良債権が膨らんでいる国有銀行にさらにリスクを移転することになる。
国家発展改革委員会(発改委)と国家金融監督管理総局(NFRA)、国家開発銀はいずれもコメント要請に応じなかった。
ドイツ卸売・貿易業連合会(BGA)は11日、今年のドイツの輸出が2.5%減少するとの見通しを示した。
世界の需要減退、国内コストの上昇、保護主義の高まりといった「甚大な圧力」に直面していることが理由。
BGAのディルク・ヤンドゥラ会長は、BGAの貿易景況感指数が依然として大幅なマイナス圏にあり、多くの企業が売上高の停滞または減少を報告していると述べた。
ヤンドゥラ氏は「状況は依然として脆弱だ」とし「今、政策当局者が断固として行動しなければ、貿易はわが国経済の原動力であり続けることはできない」と語った。
BGAは今年の輸入が4.5%増加するとも予測している。
ヤンドゥラ氏は、米中の貿易摩擦、関税引き上げ、サプライチェーン規則の厳格化、輸出管理の強化が、競争力低下とコスト増加の原因になっていると指摘。
米国の関税率の多くは非常に高いため、一部のドイツの輸出業者は事業が「不可能」になっており、事実上、米国市場から締め出されていると述べた。
BGAによると、調査対象企業の約60%が、関税によって直接的または間接的に悪影響を受けたと答えた。
また、調査対象企業の67%が、報告義務の負担を指摘しており、ヤンドゥラ氏は、こうした負担が欧州の競争力を徐々に破壊していると述べた。
ドイツ連邦統計庁が11日発表したところによると、今年上半期に登録されたドイツ企業の倒産件数は、前年同期から12.2%増加した。
上半期に地方裁判所に登録された倒産件数は合計1万2009件だった。
上半期の債権者の債権額は推定で約282億ユーロ(329億7000万ドル)。前年同期の324億ユーロから減少した。
倒産件数が増加する一方で、債権額が減少したのは、前年同期に相対的に大手企業の倒産が多かったことが背景。
速報値によると、8月の倒産件数は前年同月比11.6%増加した。
ドイツ商工会議所(DIHK)のチーフアナリスト、フォルカー・トライアー氏は「危機は続いており、日々、雇用や価値創造、起業家の力が失われている」とし、2年連続のマイナス成長で多くの企業の資金繰りが逼迫していると述べた。
DIHKは、今年の企業倒産件数が、2015年以来の高水準だった昨年の2万1812件を上回り、2万2000件を超えると予想している。
倒産手続きの多くは倒産が登録される3カ月前に始まる。先行指標は、9月に倒産件数がわずかに増加し、10月には高水準で推移することを示唆している。
IWHの倒産調査責任者シュテフェン・ミュラー氏は「先行指標は秋に多数の倒産を示唆しているが、労働市場への影響は穏やかにとどまるだろう」と述べた。
ドイツの失業者は10年ぶりに300万人に達した。
イスラエルがカタールの首都ドーハでイスラム組織ハマス幹部を標的に空爆した。カタールでは6月、当地にある米軍基地に対するイランのミサイル攻撃があったばかりだ。地域の経済拠点としての発展と仲介国としての外交的地位の強化の両立を目指すカタールにとって、一連の攻撃により安定したビジネス拠点としてのイメージが揺るぎかねない事態となっている。
ガザ戦争の仲介役として外交的な役割を果たそうとするカタールは、既により広範な中東紛争に巻き込まれている。イランは6月、米国のイラン核施設に対する空爆の報復としてカタールにあるアルウデイド米軍基地を攻撃し、発射されたミサイルの大半がドーハ上空で迎撃された。9日にはイスラエルがハマスの政治指導部を標的として空爆し、カタールは再び攻撃対象となった。
カリジ・エコノミクスのディレクターでグローバルソース・パートナーズの湾岸アナリストであるジャスティン・アレクサンダー氏は「カタールは数カ月の間にイランとイスラエルの両方から攻撃されたという特異な立場にある」と述べた。
「イランによる攻撃の影響はほとんど目に見えなかったが、その攻撃が繰り返されるようになればリスク認識は変化するかもしれない」という。
ドーハ駐在の西側大手企業の幹部は匿名を条件にロイターに対し、自社がまだ状況を評価している最中だが、空爆のあった翌日はビジネスがまるで何ごともなかったかのように通常に戻ったと語った。
6月のイランの攻撃は事前に予告されており、カタールは防御準備を整える十分な時間があり、死傷者はなかった。
しかしイスラエルの攻撃はドーハを不意に襲い、カタール治安部隊の1人とハマスのメンバー5人を含む少なくとも7人が死亡した。
カタールに暮らす約300万人の大多数は、世界有数の富裕国でのビジネス機会を求めて世界各地から集まった外国人居住者た。
サッカーの2022年ワールドカップ(W杯)の開催地となったカタールは、光り輝く高層ビル群や新たに整備された10車線の高速道路、未来的な姿の地下鉄を誇っている。しかし、カタールは湾岸諸国で化石燃料に対する依存度が最も高い国の一つであり、経済の多様化の面でアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアに後れを取っている。政府は経済的な優先課題を改めて設けることで、こうした状況を変えようと模索している。
カタールは長年、同盟国である米国で重要なビジネス上の利害を保有してきた。
国営のカタールエナジー(QE)はイランと共有する巨大規模の「ノースフィールド」で液化天然ガス(LNG)生産の野心的な拡張計画を進めている。米石油メジャーのエクソンモービルやコノコフィリップスが主要な提携企業として事業に参加する。この事業が完成すればカタールのLNG生産量はほぼ倍増する見込みだ。
QEとエクソンモービルが共同出資する「ゴールデンパス」は米テキサス州サビーンパスで大規模なLNG輸出施設を建設中で、今年後半に輸出開始を予定している。
カタール投資庁(QIA)はトランプ米大統領の湾岸歴訪中、今後10年間で米国に5000億ドルを投資すると表明した。トランプ氏はこの訪問中に署名された防衛関連の購入契約額が420億ドルに上ったと述べた。
カタール航空はまた、GEエアロスペース製のエンジンを搭載したボーイング機160機を契約額960億ドルで発注した。これはボーイングの大型機として過去最大の受注契約だ。
アナリストたちは、こうした経済関係が注視されており、状況が一段と不安定化すれば新規投資が疑問視される可能性があると指摘する。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のニール・クィリアム准研究員は「攻撃がさらに続けば、カタールと米国の企業はリスクを再評価し、適切なリスク緩和策を取らざるを得なくなるだろう」と述べた。
<ボイコットの教訓>
カタールは2017年に始まり3年以上続いた湾岸諸国との断交危機を莫大な原油と天然ガスがもたらす富によって乗り切った。サウジアラビア、UAE、バーレーン、オマーン、エジプトはカタールがテロ組織を支援していると非難し、交通や物流を遮断してカタール経済を締め付けた。カタールはこうした嫌疑を否定した。
カタールは当時、禁輸措置に対抗して国内の酪農業を立ち上げるために飛行機で乳牛を運び込むなど巨額の資金を費やした。
そのような極端な対策は現時点で必要とされないように思われる。
金融市場はイスラエルの空爆を無視したかのように見え、カタール国債や債務不履行リスクを保証する投資手段のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)にネガティブな反応がなかった。
湾岸諸国の市場が動揺していないその他の兆候として、サウジアラムコは10日にドル建てイスラム債の売り出しを予定通り進めており、ロイターは30億―40億ドルを調達する可能性があると報じた。
カタールのドーハ銀行は9日、イスラエルの空爆直後にもかかわらず債券発行で5億ドルを調達した。
安全保障のトップ専門家によると、「反西側同盟」から生じる潜在的な脅威は不安なレベルに達しており、アナリストらはワシントンとその同盟国は中国、北朝鮮、インド、ロシア間の関係改善の重要性を過小評価すべきではないと警告している。
ミュンヘン安全保障会議財団評議会のヴォルフガング・イッシンガー会長は、金曜日にイタリアのチェルノッビオで開催されたアンブロセッティ・フォーラムの傍らでCNBCのスティーブ・セジウィックに対し、中国で最近開催された世界各国首脳の会合を「憂慮すべき」と述べた。
先週、中国の習近平国家主席は北京で行われた軍事パレードに20名以上の外国首脳を迎え入れた。その中には、北朝鮮の金正恩委員長やロシアのウラジーミル・プーチン大統領も含まれていた。習近平国家主席は、中国でプーチン大統領やインドのナレンドラ・モディ首相と笑顔で交わす姿も撮影された。
「これらの写真を見て心配しています」とイシンガー氏はCNBCに語った。「インドと中国の間に完全な調和がないことは承知していますが…世界は間違った方向に進んでいるのです。」
イシンガー氏は、欧州外交評議会やワシントンDCの大西洋評議会など、外交政策に重点を置いた役職を数多く務めており、以前は駐米ドイツ大使を務めていた。
同氏はCNBCに対し、懸念は権威主義体制の台頭や民主主義の衰退から、全体主義指導者がどの程度協力する意思があるかへの懸念へと移っていると語った。
「少なくとも、ある種の反西側同盟が構築され、私たちが好む秩序ではなく、権力、軍事力、抑圧的な体制に基づいた、異なる世界秩序が生み出される可能性があるという事実を受け入れる必要があると思う」とイシンガー氏は述べた。
「それは我々の利益にならないシナリオだと思います。ですから、中国から送られてきたこれらの写真は心配です。」
月曜日、中国、インド、ロシアはBRICS諸国のバーチャル首脳会議に再集結した。BRICSにはブラジルと南アフリカも含まれており、ドナルド・トランプ米大統領から「反米政策」との非難を浴びている。
BRICS首脳会議中、各国の代表はホワイトハウスの関税体制を批判し、同盟内での貿易関係を深める方策について語った。
北京は「新たな世界秩序を追求する」
ジョージ・H・W・ブッシュ米中関係財団のシニアフェローでハーバード大学アジアセンター研究員のソンヒョン・リー氏は月曜日に発表した記事の中で、北京、北朝鮮、ロシアの間に正式な同盟関係がないことを理由にこうした絆の強化を否定する人々は「深く機能するパートナーシップの本質を見逃している」と警告した。
「(先週の)首脳会談とパレードは、中国の戦略的姿勢の根本的な転換、すなわち西側諸国との深い『心理的分離』を公に示したものだ」と彼は述べた。「北京は、ワシントンとの戦略的和解はもはや実現可能な目標ではないと結論づけ、今や新たな世界秩序の構築を積極的に推進している」
リー氏は習近平国家主席、プーチン大統領、金正恩氏の「三頭政治」を「この新たな態勢のハードパワーの中核」と呼んだ。
「ワシントンとその同盟国が犯しうる最も危険な過ちは、この課題の本質を誤診することだ」と彼は述べた。「正式な同盟関係の欠如に固執することは、過去の戦争に備えることに等しい。脅威とは…国際法の隙間を縫うように動き、曖昧さと否認可能性を巧みに利用する、流動的で適応力のあるネットワークなのだ。」
しかし、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究所ヘンリー・A・キッシンジャー国際問題センターの客員研究員、エフゲニー・ロシュチン氏は、同盟が現在の形よりさらに発展できるかどうかは疑わしいと述べた。
ロシュチン氏は先週中国で起きた出来事について、「SCO首脳会議は伝統的な軍事同盟ではなく、おそらく今後もそうなることはないでしょう」と語った。
同氏はCNBCへの電子メールで、両国間の関係についての懸念は「根拠がある」とし、特にロシアが関与している懸念は、モスクワとの継続的な貿易がロシアの戦時経済を支えていたためだと語った。
しかしロシュチン氏は、北京はロシアへの軍事支援を約束しておらず、中国とインドの両国はロシアの核に関する発言に不安を表明していると指摘した。
「首脳会談で明らかになったのは、まとまりのあるブロックというよりは、明確な野心を持つ国々の集まりであり、特定の領域で戦術的に連携することはできるものの、NATO型の第5条の枠組みの下で期待されるような統一されたコミットメントは欠いているということだ」と彼は述べた。
「中国は…そのような結束を築く意図が見られない。政治的連帯や共通の価値観に基づく同盟を築くのではなく、柔軟で多層的な関与を推進している。つまり、利害が一致する分野では協力を促し、それ以外の分野では関与を断つ余地を残しているのだ。」
しかしロシュチン氏は、中国がこうした同盟を長期戦略の一環として捉えており、国連のような多国籍の場で自国の利益を推進するための新たな「拠点」を確立できる可能性があると認めた。
「習近平国家主席が一貫して国連への強い支持を表明しているのは偶然ではない」と彼は述べた。「この新たな極の影響力は、世界の統治における中国の立場へのより広範な支持につながる可能性がある」
アメリカのトップ金融サービス幹部の中には経済について警告を発し始めている者もいる。
多くのCEOは、来週の連邦準備制度理事会の決定と、今週の米労働統計局による雇用統計の下方修正を前に、「軟化」または「弱体化」の兆候が見られると述べ、意見を述べている。
水曜日のCNBCのインタビューで、ゴールドマン・サックスは
デビッド・ソロモンCEOは、経済は「依然として順調に推移している」ものの、兆候は異なる方向を示している可能性があると述べた。
「多くのCEOが経済の軟化について語っており、それは疑いの余地がありません」と彼は述べた。「雇用統計からも、景気がいくらか軟化していることが示唆されています。」
労働統計局(BLS)は火曜日に発表した暫定報告で、2025年3月までの1年間の非農業部門雇用者数データを改訂し、当初の推定値から91万1000人の大幅な減少を示した。この改訂値は昨年より50%以上高く、過去20年以上で最大の変動となり、経済への懸念の高まりを一層強めている。
BLSはドナルド・トランプ大統領からも非難を浴びており、大統領は8月初旬に同局長を解任し、データ収集方法を批判している。
ソロモン氏は、現在のインフレ状況には「まだ改善の余地がある」と述べ、関税が経済成長に影響を与えているものの、現段階ではそれを定量化するのは難しいと指摘した。経済が秋に向かうにつれ、ソロモン氏は政策金利が若干変更されると予想しており、来週のFRBによる25ベーシスポイントの利下げも含まれると述べた。
トランプ大統領はFRB(連邦準備制度理事会)にも批判的で、金利引き下げを訴え、ジェローム・パウエルFRB議長を批判している。連邦公開市場委員会(FOMC)は2024年12月に政策金利を前回引き下げ、それ以来、政策金利を4.25%から4.5%の目標レンジに据え置いている。
JPモルガン・チェース
ジェイミー・ダイモン 最高経営責任者(CEO)は火曜日、 CNBCに対し、FRBは来週の会合で「おそらく」金利を引き下げるだろうが、「経済への影響は大きくないかもしれない」と語った。
ディモン氏はまた、BLSの報告書は米国経済が減速していることを裏付けていると考えていると述べた。
「経済は弱まっていると思う」とダイモン氏はCNBCのレスリー・ピッカー氏とのインタビューで語った。「景気後退に向かっているのか、それとも単に弱まっているだけなのか、私には分からない」
しかし、ダイモン氏は、最終的には、消費者の弱体化を考えると、国は経済がどのように進展するかを「ただ待って見る」しかないと述べた。
同様に、ウェルズ・ファーゴ
チャールズ・シャーフ最高経営責任者(CEO)は水曜日、 CNBCに対し、大企業が好調に見えるにもかかわらず、同行は低所得のアメリカ人が経営を維持するのに苦労している状況に直面していると語った。
「高所得層と低所得層の消費者の間には大きな二分法が存在し、それが今も続いており、現実的な問題となっている」とシャーフ氏は語った。
シャーフ氏はBLSの数字についてコメントし、アメリカの納税者間に格差が存在することは「否定できない」とし、アメリカ経済には「さらなる下振れ」があると考えていると述べた。
8月の雇用創出も弱さの兆候を示しており、BLSは先週、 同月の非農業部門雇用者数はわずか2万2000人の増加にとどまったと報告した。
モルガン・スタンレー
CEOのテッド・ピック氏はCNBCに対し、アメリカのCEOやCFOは、新型コロナウイルスや2度のトランプ政権など、この国の最近の浮き沈みを通して、回復力をつける必要があったと考えていると語った。
「政策の不確実性の一部が実際に定量化され始めているところだと思う」と彼は語った。
それでもピック氏は、逆風が吹いているのを目にしており、政策の不確実性は若干縮小している可能性があると考えていると述べた。
「確かに、少し減速するかもしれない」とピック氏は語り、すべてがどうなるか見守ると付け加えた。
バークレイズ
最高経営責任者(CEO)のCS・ベンカタクリシュナン氏は火曜日のCNBCで、労働市場の軟調さもあってFRBは利下げに踏み切るだろうと考えていると述べた。
トレーダーはFRBによる利下げも予想している。FRB 先物取引に基づくCME Fedwatchツールによると 、トレーダーは現在、FRBが少なくとも0.25ポイントの利下げを行うことはほぼ確実とみており、さらに0.50ベーシスポイント(0.5%ポイント)の利下げを予想する声もある。
ベンカタクリシュナン氏は、インフレ問題がまだ具体的に現れていないとしても、現在の経済はCEOたちが長期的な視点を持つべきであることを示唆していると述べた。
「まだ目撃していないが、心配しなければならない」と彼は語った。
PNCファイナンシャルサービス
CEOのビル・デムチャック氏もこの波に乗り、火曜日にCNBCに対し、労働者の雇用、労働力不足、賃金圧力などにより「我々の経済には根深い圧力がある」と語った。
デムチャック氏は、BLSの改訂報告書を裏付ける証拠を目にしていると述べ、消費者支出が「経済を牽引している」にもかかわらず、FRBが今後金利を引き下げる理由はその証拠にある可能性が高いと考えている。
デムチャック氏は「関税がいつか解消されるからといって、経済内部に消えるかどうか分からない圧力が存在している」と語った。
フランスでは、すでに首相が議員によって解任され、後任が就任しており、今週は全国的に抗議活動が行われている。
投資家の注目は今、フランスの経済状況を示す注目の指標、すなわち一連の信用格付け更新の最初のものへと集まっている。これは、国債への投資に伴うリスクを評価するものだ。エコノミストらは、格下げはフランス国債の利回りで測られるフランスの借入コストに連鎖的な影響を及ぼす可能性があると警告している。
3大格付け機関のうち、フィッチが金曜日に最新格付けを発表し、続いてムーディーズが10月24日、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が11月28日に発表する。
フランスの債務負担は既に深刻化している。昨夏の議会選挙で過半数議席を獲得できなかった後、次年度予算をめぐる論争の中で二つの政権が崩壊し、フランスの財政が持続不可能な軌道に乗っているのではないかという懸念が再燃している。フランスの財政赤字は2024年に国内総生産(GDP)の5.8%に達し、ユーロ圏で最高水準となる。
セバスティアン・ルコルニュ新首相が今後どのように政策を進めるのか、また、フランソワ・バイルー前首相が提案した440億ユーロ(515億ドル)の歳出削減と増税の提案を堅持するかどうかについては、依然として大きな疑問が残る。バイルー前首相の提案には、2つの祝日の廃止、年金や福祉給付の凍結、地方自治体への資金削減といった不人気な措置が含まれていた。
一方、格付け機関は、春から格付けを上げるか、据え置くか、下げるかを検討している。これは、いくつかの機関が同国をネガティブな見通しとした一方で、信用リスクが低く、投資適格級の範囲内に十分収まっていることを示す「ダブルA」のステータスを維持したことを受けてのことだ。
ジェフリーズの欧州担当チーフ金融エコノミスト、モヒット・クマール氏はCNBCの「ヨーロッパ・アーリー・エディション」で、「フランスが切望するダブルA格付けを失うことになれば、機関投資家の債券保有者に深刻な影響を与えるだろう」と語った。
「フランス国債は、特にアジアの機関投資家からの需要が非常に高いが、彼らはダブルA格債の保有に非常に厳しい基準を設けている」と同氏は続けた。
クマール氏は、政治的混乱が3~6カ月以上続き、格付け機関がフランスの格付けを引き下げるシナリオは「フランス債務にとって最悪のシナリオ」になると述べた。
債券市場の売りは利回り(投資家に支払われる金額)を押し上げ、既存の債務の返済と将来の成長のための資金調達が困難になるため、経済に連鎖的に悪影響を及ぼす。
「危機一髪」
フランスの借入コストの動向は今週、比較的落ち着いている。最近の政治情勢の多くは市場で広く予想されていた。2年債利回りは
不透明な見通しにもかかわらず、10年債と30年債は、最近の高値と過去の高値の両方を下回ったままです。
ドイツ銀行のエコノミストらは火曜日のレポートで、国債格付けの一部引き下げリスクはすでに債券市場に織り込まれているとし、格付けの更新は「微妙な判断」になると付け加えた。
「シングルA格付けへの移行が格付け機関のうち1社のみによって適用される場合、それ自体が強制売却を誘発する可能性は低いだろう」と彼らは述べた。
しかし、フランスの財政赤字の超過、政治的不確実性、財政再建の必要性、そして来年の地域防衛費の増加とドイツの財政拡大による波及効果がいくらか期待できるにもかかわらず、状況は「不利」であると彼らは続けた。
ドイツ銀行は、短期的には最近の混乱により個人や企業が支出や投資を遅らせ、経済にさらなる圧力をかける可能性があると指摘した。
ベレンバーグの主任エコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は火曜日、格下げは「あり得る」が「大きな驚きではない」と述べた。
シュミーディング氏はメモの中で、「自己強化的な悪循環(利回り上昇=財政赤字拡大=利回りさらなる上昇)を伴う真の金融危機は、当面極めて可能性が低い。経常収支がほぼ均衡しているフランスは、金融危機に陥りやすい国ではない」と述べた。
「もちろん、完全に排除することはできない」と彼は付け加えた。シュミーディング氏は、債券にとって最もリスクの高い状況は、極右の国民連合かフランス社会党が政権を握る早期の議会選挙が行われる場合だと指摘した。
「もし急進派が資金調達不可能な政策を実行しようとすれば、債券投資家は最終的にフランスへの資金提供を拒否する可能性がある」と同氏は述べ、そうなれば財政の慎重化を迫られる可能性があるとした。
フォービス・マザールのチーフエコノミスト、ジョージ・ラガリアス氏は、ユーロ圏全体に波及する恐れのある危機シナリオに対して、欧州中央銀行がある程度保護策を提供していると述べた。
同氏は電子メールでCNBCに「フランスの元財務大臣が率いるECBは、需要が低迷し借入金利が急上昇している地域で需要改善に動く可能性が高いため、市場が壊滅的な状況になることを過度に心配することはないだろう」と語った。
しかし、ECBだけではフランス経済を立て直すことはできません。近い将来、政府は不人気な緊縮財政措置を講じ、年金制度の赤字是正に取り組まざるを得なくなる可能性が高いでしょう。したがって、ECBは短期的な市場の変動を緩和する可能性が高いと私たちは考えていますが、市場はフランスに、より痛みを伴う財政調整を強いる可能性は依然としてあります。
ヨーロッパで過ごしたことのないアメリカ人は、旧世界がいかに火薬庫と化しているかを十分に理解していないかもしれない。
アメリカ合衆国における社会関係が今どれほど悪化しているかはさておき、大西洋の向こう側では少なくとも一桁以上悪化している。ヨーロッパの自己嫌悪は伝統的な文化的絆を崩壊させている。大量移民は長年の対立を激化させている。
ヨーロッパは爆発寸前だ。
ヨーロッパは永遠の戦場です。 私たちの祖先の多くは、何世紀にもわたって続いた宗教的、経済的、そして文化的な紛争から逃れるために、故郷を後にしました。こうした歴史的な恨みは、平和な時代にもくすぶり、やがて暴力へと転じ、世代から世代へと受け継がれてきました。現代のヨーロッパ諸国は、2000年にわたる国境と同盟の変遷の産物であり、先住民のヨーロッパ人は、古代の領土が今日の政治的に描かれた地図にきれいに収まらない地域部族にまで遡る家系を辿ることができます。
アメリカの地理的なアクセントのせいで、ミシシッピ州やミネソタ州出身の人がブロンクスの英語話者とうまくコミュニケーションをとるのが難しいと思うなら、ヨーロッパには約300もの母語があることを考えてみてください。スイスには4つの公用語があり、その中にはローマ帝国のラテン語口語に由来するロマンシュ語も含まれます。多様な先住民の言語、方言、語彙、アクセントのおかげで、小さな町の住民は「よそ者」をすぐに見分けることができます。さらに驚くべきことに、彼らはたいてい、ただ聞くだけで、見知らぬ人の祖父母がかつて住んでいた町を言い当てることができます。
ヨーロッパで勃発し、甚大な被害をもたらした二度の世界大戦は、20世紀半ばに国境の撤廃を求める政治運動を牽引した。ヨーロッパ 大陸で勃興しつつあった国際官僚機構の創設メンバーとなったヨーロッパの知識人たちは、ヨーロッパの惨禍を国家の誇りのせいにし、「ナショナリズム」を事実上汚名に変えた。
奇妙なことに、この時代はフランスやイギリスといった崩壊しつつある帝国が、旧植民地の国家独立を少なくとも控えめに支持していた時代でもあった。同様に、ソ連の鉄のカーテンの背後に閉じ込められたヨーロッパ諸国における民族革命を奨励する、半世紀にわたる米国主導のキャンペーンの始まりでもあった。そこで西側の権力者たちは、ナショナリズムをムッソリーニのファシズムやヒトラーの国家社会主義に匹敵する、一種の容認できない精神と位置づけ、中央ヨーロッパ、アフリカ、アジアの旧国家あるいは原始国家に対し、それぞれの帝国からの離脱を促した。西側諸国の指導者たちは、個々のヨーロッパ諸国を単一の「連合」に統合することを推進する一方で、すべての人間には自決の自然権があるという論理の下、民族独立運動も促進した。
欧州統合プロジェクトが本格的に始動してから80年が経ちましたが、これらの潜在的な矛盾は、ヨーロッパを第一次世界大戦と第二次世界大戦以前よりもさらに大きな自己破壊の潜在エネルギーを秘めた火薬庫へと変貌させました。 官僚支配階級は、先住ヨーロッパ人の歴史的アイデンティティを積極的に抑圧する一方で、外国人には自らの文化的アイデンティティを保持するよう奨励し、大陸に外国人を氾濫させてきました。こうして、自国の独自の伝統を称揚するハンガリー人、ポーランド人、デンマーク人は「極右民族主義者」と非難され、アフリカや中東からの移民にヨーロッパの生活様式への同化を主張するフランス人は「人種差別主義者」や「偏屈者」と非難されるのです。
この反ヨーロッパの怪物は意図的に作り出された。ヨーロッパ人の国民的アイデンティティの抑圧と外国人の保護が同時に行われ、一種の「多文化主義ダイナモ」が生まれ、ヨーロッパ人を異質なものへと変貌させる。固有の宗教、文化、歴史的慣習を剥奪され、西洋文明の空白に根付いた外国の宗教、文化、慣習を称賛するよう強制されたヨーロッパ人は、事実上、自らの領土に同化させられる。ヨーロッパ人は自らの文明を軽蔑し、ヨーロッパ国内に外国文明を模倣しようとする者たちに屈服するよう教えられている。ヨーロッパの官僚支配階級は、外国人を利用してヨーロッパ人からヨーロッパらしさを奪い取ろうとしている。
英国では、一般の英国人による草の根運動「オペレーション:レイズ・ザ・カラーズ(旗を掲げよう)」が始まりました。 その戦略はシンプルです。英国国民に、聖ジョージ十字章とユニオンジャックの旗を目立つように掲げ、振るよう呼びかけるのです。
イングランドと英国の国旗を掲揚することに、一体何の不快感や危険性があるというのでしょうか?何も。
しかし、グローバリストの体制側は正気を失いつつある。左翼は、 国旗はもっと「多文化的」なものに置き換えるべきだと 主張し、愛国心から国旗を掲げるほど卑劣な行為をするのは「極右の人種差別主義者」だけだと主張する。 国境開放派の政治家たちは、 国旗を振り回す人々を「過激派」「憎悪に満ちた」「白人至上主義」と非難している。言い換えれば、英国民は英国の「エリート層」に、英国への忠誠心などなく、ただ反感を抱いているだけだと認めさせようとしているのだ。
このどちらかといえば無害な形態の政治演説は、グローバリズムの自殺的な伝染を暴露するのに驚くほど効果的であることが証明されている。ロンドンでは、いわゆる「ゲイ・プライド」旗、「パレスチナ」旗、パキスタン国旗、イラン国旗、そして現在英国の海岸に市民を下ろすほとんどすべての第三世界の国の国旗を目にするのはまったく普通のことだ。英国市民が、首都中に厚かましくも外国の国旗がはためいているという事実に憤慨したとしたら、警官は、想像上の「ヘイトスピーチ」で起訴すると脅して、率直な「違反者」を黙らせるだろう。しかし、驚くべきことに、これらの同じ卑劣な暴君たちは、生粋の英国人が自国の歴史的な旗を「掲げる」勇気があると、癇癪を起こすのだ。
同様の運動が勢いを増している。10年前は、バルカン諸国の街頭や、バスク地方をはじめとするヨーロッパ各地で国家承認を求める独立パレードのさなかで、こうした愛国的な行動を目にするのが一般的だった。しかし今日では、国境を越えると、オランダ、デンマーク、ドイツ、イタリア、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、ハンガリー、ポーランド、チェコ、ギリシャといった国の国旗が掲げられた海に偶然出会うことは珍しくない。欧州連合(EU)が大陸帝国の構築を開始してから80年が経ち、これらの「植民地」は自決権の回復に意欲を燃やしているようだ。
官僚支配階級がヨーロッパの残骸を破壊し、その残骸を外国の征服者に引き渡していく中、一般のヨーロッパ人はもはや黙っていられない、と言っても過言ではないでしょう。 西洋文明が何千年にもわたって約束してきたことに絶対的な忠誠を誓うアメリカ人として、こうした愛国的な復活は、 私たちの死を望むグローバリスト体制へのタイムリーな反論だと感じて います。
ウェールズの詩人ディラン・トーマスの言葉が、ヨーロッパの多くの母国語の一つに翻訳されているのを、私は何度目にしたか分からない。 「穏やかにその良い夜に消えてはならぬ」や「消えゆく光に抗い、怒りを燃やせ」といった言葉が、まるで心電図にかすかな鼓動が流れるように、掲示板に現れる。 ヨーロッパでは多くの人が死にたくない。生きるためには、戦わなければならないのだ。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
ダグ・バーグム内務長官は今週イタリアで開かれたエネルギー会議で、トランプ政権下では米国における電力発電源としての洋上風力の将来性はないと述べた。
「現政権下では、洋上風力発電は高価すぎる上に信頼性も低いため、将来性はない」とバーグム氏は水曜日、ミラノで開かれたガステック会議で聴衆に語った。
これはトランプ政権の高官によるこれまでで最も明確な発言であり、大統領は米国の新興洋上風力産業を閉鎖することを目指している。バーグム氏は内務省長官として連邦領海内の洋上風力発電所のリースと許可を監督している。
ドナルド・トランプ大統領は就任初日、「暫定的」とされる大統領令により、洋上風力発電所の新規リースを禁止した。トランプ大統領はまた、許可の見直しも命じたが、業界は建設中のプロジェクトが前進することを期待していた。
しかし、バーグム内務大臣は水曜日、プロジェクト名を挙げずに、米国ですでに建設中の5つの洋上風力発電所を内務省は「綿密に検討している」と述べた。
建設中の洋上風力発電所は、ロードアイランド沖のレボリューション・ウィンド、マサチューセッツ沖のヴィンヤード・ウィンド1、コースタル・バージニア・オフショア・ウィンド、ニューヨーク沖のサンライズ・ウィンド、同じくニューヨーク沖のエンパイア・ウィンドである。
「確かに許可はされたが、非常に急速なイデオロギー主導の許可手続きを経て移転させられた」とバーグム氏はイタリアでの会議で述べた。
内務省は8月22日、国家安全保障上の懸念を理由に、デンマークの再生可能エネルギー企業オーステッド社に対し、レボリューション・ウィンドの建設を中止するよう命じた。オーステッド社によると、同プロジェクトは既に許可を取得しており、数十億ドルの投資が行われ、80%が完成している。
内務省は4月にエンパイア・ウィンド社に対して工事停止命令を出していたが、新たな天然ガス生産能力に関する合意に達したとみられ、最終的に5月に同プロジェクトの建設再開を許可した。
バーグム氏は今週、CNBCのブライアン・サリバン氏に対し、トランプ政権はレボリューション・ウィンドについてオーステッド州知事およびニューイングランド州知事らと協議中だと語ったが、プロジェクトの作業が再開されるかどうかについては明言を避けた。
「これらのプロジェクトの中には、経済的に見て文字通り大惨事になるものもあるので、確かなことは言えません」とバーグム氏はCNBCに語った。「もし完成させれば、何十億ドルもの納税者のお金が固定され、それがヘッジファンドに流れてしまうかもしれないのです。」
再生可能エネルギー企業の幹部らは8月、トランプ政権による太陽光や風力への攻撃は電力不足を引き起こし、電気料金の上昇につながるだろうとCNBCに語った。
●その他
備忘録(2025/9/10)
●企業
●マクロ
米ジョージア州のバッテリー工場で先週、数百人の韓国人労働者が拘束された。トランプ政権下での査証(ビザ)審査の厳格化が、積極的な対米投資にどのような影響を与えるかが問われている。
移民当局が9月4日に実施した抜き打ち査察では、韓国の現代自動車とLGエナジーソリューションの合弁事業が対象となった。約300人の熟練エンジニアや下請け業者が拘束された。
数週間前にトランプ米大統領と韓国の李在明大統領がワシントンで首脳会談を開き、同盟関係の強化と通商合意のとりまとめを確認したばかりだった。
韓国政府は米国向けに総額3500億ドル(約52兆円)規模の投資パッケージを表明しているが、今回の事態でその実現に不透明感が漂い始めた。
ビザを巡るトラブルや入国管理の強化が、プロジェクト立ち上げに不可欠な韓国人労働力の投入を阻む可能性があるためだ。
バッテリー工場の韓国人労働者はどのようなビザを持っていたのか
当局によれば、大半の労働者は90日間のビザ免除プログラム(ESTA)か「B1」ビザで米国に滞在していた。
数十億ドル規模の工場建設には数百人規模の外国人エンジニアや下請け業者が必要となるが、現代自動車やLGエナジーのような企業はトランプ政権下で就労ビザの確保に苦労してきたと事情に詳しい関係者は話している。
特に下請け業者については、ビザ取得の遅れが長引き、渡航調整や現場での重要な技術的な業務の遂行が難しくなっている。
B1ビザとは
B1ビザは短期の非移民ビザで、会議出席や契約交渉、市場調査といった商用目的に適用される。契約に明示されている場合に限り、プロジェクトの監督や設備設置といった特殊業務も限定的に認められる。しかし、直接的な労働や建設作業、米国法人での雇用は認められていない。
なぜ問題になったのか
企業は熟練労働者を速やかに投入するため、取得に時間を要する「H1B」「L1」「E2」などの長期ビザではなく、B1ビザやビザ免除を活用するケースが多い。
ただし、B1で許可範囲を超える技術作業や実務を行えば違反となり、拘束や送還につながる可能性がある。不法就労と見なされた場合、数年間の再入国禁止や将来のビザ取得への支障も生じ得る。
韓国政府は外交ルートを通じ、こうした制裁の回避や緩和を米国に求めている。
拘束された労働者の今後は
拘束された最大300人の韓国人労働者は9月10日に釈放され、大韓航空のチャーター便で帰国する予定。
韓国外務省は「自主的出国」の形での早期釈放に向け米当局と交渉している。趙顕外相は9日にワシントン入りし、10日にはホワイトハウスでルビオ米国務長官と会談し、帰国者が将来的に米国に再入国する際に入国禁止措置を受けないよう保証を求める見通しだ。
バッテリー工場の意義
摘発された工場は「HL-GA Battery Company LLC」。現代自動車とLGエナジーが2023年に折半で設立した合弁会社だ。年間30ギガワット時の電気自動車(EV)用バッテリーを生産する能力を持つ。
建設に総額43億ドルが投じられたこの工場は現代自動車の新しいEV工場「メタプラント」の敷地内にある。
製造されたバッテリーセルは現代モービスによりパッケージ加工が施され、米国で組み立てられる現代自動車および起亜自動車のEVに供給される。韓国企業による対米投資の中でも最大級の案件だ。
対米投資への影響
今回の査察は、韓国が約束した巨額の対米投資に影を落としかねない。企業は技術者や下請け労働者を送り込むためのビザ確保に苦慮しており、プロジェクト遅延やコスト増加が懸念される。入国管理の厳格化が進めば、必要不可欠な韓国人労働者への依存を控える動きが広がる可能性もある。
実務的な課題にとどまらず、今回の事態は米国の政策環境の安定性に対する投資家の信頼を揺るがしかねない。
企業にとっては、政治的および規制面でのリスクが利点を上回るのかどうかが問われている。
李大統領にとっても、6月の就任後で最大の外交上の打撃となった。10月末に予定されるトランプ氏訪韓と慶州でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を控え、難しい局面を迎えている。
中国の国債価格が10日、急落した。生産者物価デフレの緩和と活況な株式市場が背景。
市場関係者は株式ファンドへの資金流入を促す政府の対策も、国債下落の一因と指摘している。
国債価格は軒並み下落し、特に長期債が大きく売られた。30年物国債先物は一時0.9%下落し、4カ月ぶりの安値を記録。2年間続いた強気相場が終了した。
Shanghai Anfang Private Fund Coのクレジット調査ディレクター、Huang Xuefeng氏は「預金や理財商品から株式へと段階的に資金が流入している。債券市場は買い意欲がほとんどない。売り一色で、資金流出が続いている」と指摘。
「中国経済の傷が癒えている兆候があり、水面下でリフレ期待が浮上している。これは債券の悪材料だ」と述べた。
国家統計局が10日発表した8月の生産者物価指数(PPI)は前年比2.9%下落と、マイナス幅が前月の3.6%から縮小した。主要産業で過当競争や値下げを抑制する当局の取り組みが実を結び始めていることを示唆した。
中国証券規制当局は5日、株式ファンドへの投資を促す規則の草案を公表した。手数料の引き下げが盛り込まれている。
米金融大手JPモルガン・チェース(JPM.N), opens new tabのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、関税や地政学的な逆風が及ぼす影響はまだ完全には表れていないとして、米国経済の見通しについて慎重な姿勢を示している。
ポッドキャストのインタビューで「(米国への経済的影響については)注意した方がいいと思う。人々はこれらのことがすぐに起こると考えているが、実際にはまだ起こっていないことが多い」と語った。
9日のCNBCの別のインタビューでは、経済は弱まりつつあり、予想される米利下げは重要ではないと述べた。
また、銀行部門の統合が進むと予測。「われわれは米国内で銀行買収は認められていない。やろうと思えば海外でもできるが、おそらくやらないだろう」と付け加えた。
自身の最終的な引退時期については再び明言を避けつつ、後任は社内から登用される可能性が最も高く、自身は会長職に就くとの見方を示した。
大きな物語
米国との技術競争が激化する中、中国は人工知能に対して無駄のない、かつ徹底的なアプローチを取っている。
米国では、企業と政策立案者が巨額の投資を求めている。OpenAIは2029年までに1150億ドルの資金が必要になると警告しており、ワシントンはAppleとMetaによる数十億ドル規模の国内支援を含む派手な発表を行っている。
対照的に、北京は支出を抑え、実用的なユースケースに重点を置いている。今年初め、北京はひっそりと600億6000万元(84億2000万ドル)規模の国家AI基金を立ち上げ、ここ数週間で「AI+」と呼ばれる広範な取り組みの一環として、AI技術を経済と社会全体に統合するための包括的な計画を発表した。
中国は「何か大きなことを成し遂げようとエネルギーを結集している」と政府系政策シンクタンク、国家情報センター所長のシャン・ジーグアン氏は火曜日、記者団に語った。
中国は先進的なチップでは遅れをとっているが、人間レベルの汎用人工知能を追求している米国とは異なる道を歩んでいるとシャン氏は考えている。
中国のチップは「使える」ので十分だとシャン氏は述べた。彼は情報産業発展部門を監督している。
今週、政府は電力網と石炭部門にAIを統合する計画を発表しました。これは、産業から消費、国際協力に至るまで、6つの優先分野にわたってAIを推進するという、8月に発表されたより広範な計画に基づいています。
‘機知’
これまでのところ、米国が中国によるNvidiaの最高性能チップへのアクセスを制限しているにもかかわらず、DeepSeekや他の中国企業が競争力のある、そして多くの場合より安価な生成AIモデルを開発するのを阻止できていない。
S&Pグローバル・レーティングのディレクター、クリフォード・クルツ氏は、「AI技術競争における中国のアプローチは、機知と適応力に特徴づけられる」と述べた。「現在、先進的なハードウェアでは遅れをとっているものの、中国は豊富な資金、人材、そして既存のインフラを活用して、これらの課題を克服しようとしている。」
クルツ氏は、公式の詳細はまだほとんどないものの、中国の80億ドルのAI基金が当初は中国のAIチップ生産に重点を置くと予想している。
中国のビジネスデータベース「天眼茶」によると、AIファンドの主要株主は国家集積回路産業投資基金IIIで、中国財政部、中国開発銀行、中国タバコ、および複数の国有銀行の支援を受けている。
「これは、米国ホワイトハウスのAI行動計画の中国版のようなものだ」と、ニューヨーク大学ロースクールの非常勤教授、ウィンストン・マー氏は述べた。「AI競争が始まったのだ。」
AIファンドを通じてかどうかは別として、国家資本が中国のスタートアップ企業に流入している。
例えば、ヒューマノイドロボットのスタートアップ企業であるXスクエア・ロボットは、最新の投資ラウンドにおいて、国営大手のCDBキャピタルとCASインベストメントを支援者に挙げていると、最高執行責任者のヤン・チエン氏が述べている。Xスクエア・ロボットは月曜日に、ロボット工学向けのオープンソースAIモデルをリリースし、アリババクラウドが主導する約1億ドルの資金調達を発表した。
中国の新興企業への外国からの投資は減速しているが、地方政府が支援するファンドはすでにハードウェア関連の企業への投資を増やしており、これはアプリやソフトウェア中心だった以前の投資からの大きな方向転換だ。
結果はまちまち
中国では、投資を奨励し補助金を出すという政府の政策は以前にも行われてきた。電気自動車に関しては、企業詐欺に10億元以上が浪費されたことを中国政府さえ認めているにもかかわらず、この政策は功を奏したようだ。
中国の初期の半導体産業への野望は、それほど成功しなかった。10年以上前、マッキンゼーは、1990年代以降、中国政府が半導体産業育成に取り組んだ初期の試みの一つが「資金計画とインセンティブがビジネスよりも研究・学術界に重点を置いていたため、結果はまちまちだった」と指摘した。
2014年に国家半導体政策が再び試みられたが、特にハイエンド技術力と完全な自給自足において、最も野心的な目標は達成できなかった。
表面上は、中国の技術投資家や開発者はそれ以来長い道のりを歩んできた。
6月下旬に終了した上海米国商工会議所の調査によると、現在、中国に進出している米国企業の40%以上が、AI導入において現地の競合他社が先行していると回答している。中国の検索エンジン大手、百度(バイドゥ)も火曜日、高齢者向けのAIツールを発表した。
しかし、アナリストたちは過剰建設から生じる問題について警告している。
「AIの進歩は無限の計算能力ではなく、アルゴリズムの革新によって推進されると考えているため、当社はAIチップや上流のサプライチェーン(データセンターなど)を含むAIインフラの過剰能力のリスクに重点を置いています」と、クレジットサイツのアジア戦略責任者であるゼルリーナ・ゼン氏は述べ、よりスマートなアルゴリズムが同じハードウェアをさらに進化させることができることに言及した。
「これは、高度なチップへのアクセスが制限された状態で競争力のある基礎モデルを提供することにDeepSeekが成功したことから明らかです」とZeng氏は述べた。
DeepSeekやOpenAIが注目を集める以前から、中国は2017年の政策でAIに関する野心を打ち出し、2030年までに世界のAIイノベーションセンターになることを目指していた。
残り5年となった今、中国が成功できるかどうかはまだ分からない。しかし、三度目の正直かもしれない。
シノロジーの創設者アンディ・ロスマン氏は、中国経済に対する楽観的な見方が高まっていると述べた。
上海アメリカ商工会議所の会長は、不確実性が高まる中で、多国籍企業が中国でビジネスを行うためにどうすればより良い立場を築くことができるかについて語った。
サファナードの主任投資ストラテジスト、ジョン・ラトレッジ氏が「ファスト・マネー」に出演し、中国から米国への輸出の急減と中国貿易の将来について語った。
知っておくべきこと
米国向け輸出は33%急減した。中国は東南アジアや欧州への輸出を増やしているが、米国の輸出抑制により、先月の中国全体の輸出は2月以来の低水準にとどまった。
中国製EVがヨーロッパに上陸。ドイツのIAAモビリティショーでXpeng
CEOの何小鵬氏はCNBCに対し、同社は来年、大衆市場向けのモナブランドを世界展開する予定だと語った。このブランドは既に国内出荷を大きく押し上げている。
中国証券監督管理委員会の元委員が捜査対象に。当局は土曜日、易慧満氏が捜査対象となっていると発表した。中国の経済ニュースサイト「財新」は関係筋の話として、国有銀行の中国工商銀行(ICBC)に関連する汚職捜査である可能性が高いと報じた。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
ソフトウエアメーカー、米オラクルの株価が時間外取引で急伸し、過去最高値に上昇した。同社は6-8月(第1四半期)決算発表で大幅な受注増を明らかにするとともに、クラウドインフラ事業について強気の見通しを示した。
米国時間10日早朝の時間外取引では、前日終値から30%上昇。この上げが通常取引まで維持されれば、オラクルの時価総額は約2000億ドル(約29兆5000億円)増加する。半導体メーカーのエヌビディアやアジアのサプライヤーなど他のAI関連株も上昇している。
9日の発表資料によると、受注の指標である残存履行義務(RPO)は第1四半期末時点で4550億ドル。前四半期末時点では1380億ドルだった。
データベースソフトで知られるオラクルは近年、競争の激しいクラウド市場で実績を積み上げている。今夏にはオープンAIと、4.5ギガワット規模のデータセンター契約を結んだ。これは米国で数百万世帯の消費電力に相当する規模。また、中国の字節跳動(バイトダンス)傘下のTikTokやエヌビディアといった企業をクラウド顧客に持つ。
サフラ・カッツ最高経営責任者(CEO)は発表資料で、最近の受注や今後の契約によって、同社のクラウドインフラ事業は今後数年で急拡大すると指摘。この分野の売上高は今年度に77%増の180億ドルに拡大し、2030年5月期までに年間1440億ドルに達する見通しという。これはウォール街の予想を上回る水準だ。
株価は年初来で9日終値までに45%上昇しており、S&P500種株価指数の上昇率の4倍に達する。
オラクルの好調を受け、時間外取引でエヌビディアの株価は一時2%高。エヌビディアの日本と韓国のサプライヤー企業の株も買われ、アドバンテストは3.3%高、SKハイニックスは5.6%高で10日の取引を終えた。
カッツCEOは「オラクルのクラウドインフラ事業にとって驚異的な四半期だった。需要は引き続き高まっている」と語った。同社は6-8月期に3社と計4件の大型契約を締結し、今後数カ月にさらに複数の顧客と契約する見通しという。これによりRPOは5000億ドルを超える見込みだ。
クラウドインフラ部門の売上高は55%増の33億ドルとなり、アナリスト予想の53%増を上回った。一方、一部項目を除く1株利益は1.47ドルで、予想平均1.48ドルをやや下回った。
米アルファベット傘下グーグルのクラウド部門責任者は、同部門の既存契約のうち未履行の受注残が最大1060億ドル(約15兆6000億円)に上ると明らかにした。
グーグル・クラウドのトーマス・クリアン最高経営責任者(CEO)は9日、その少なくとも55%に当たる580億ドルがサービス提供に伴い、向こう2年間で売り上げに計上されるとの見通しを示した。その上で、同部門の売上高も伸びているが、履行を果たしていく受注残もそれを上回るペースで増えていると述べた。
アルファベットは人工知能(AI)処理需要の高まりに対応するため、データセンターの処理能力強化を急ぐIT大手の一社。
クリアン氏はサンフランシスコで開かれたゴールドマン・サックス・グループ主催の技術関連会議で、急拡大するクラウドコンピューティング・AI市場におけるグーグル・クラウドの戦略に関して発言。AIインフラや生成AIモデル、データ処理における同部門の優位性を支えているのは自社開発チップやソフトウエアの専門知識だと語った。
世界のクラウドサービス市場シェアで、グーグル・クラウドはアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、マイクロソフトのAzureに次ぐ3位だが、検索市場が成熟する中でアルファベットの成長を牽引(けんいん)する重要部門とみなされている。同部門はグーグルのAI分野への巨額投資の恩恵を受けており、AIの専門知識を武器に新興AI企業を中心に顧客を獲得している。
アルファベットの7月の決算報告によると、クラウド部門の4-6月(第2四半期)売上高は前年同期比32%増の136億ドルだった。アルファベットのスンダー・ピチャイCEOは同報告で、クラウド部門の年換算売上高(ランレート)が500億ドルを超えたと述べた。
米国当局は、充電器、道路脇の気象観測所、交通カメラなど、太陽光発電を利用した高速道路のインフラについて、バッテリーやインバーター内に隠された無線機など、不正なデバイスが仕込まれていないか検査するよう指示した。米政府は、インフラなどに使用された中国の技術が中国当局の遠隔操作などに利用されるリスクを懸念し、中国製品を排除する動きに出ている。
運輸省連邦高速道路局が先月下旬に出したセキュリティーノートと呼ばれる文書をロイターが閲覧した。4ページの文書は「特定の外国製電源インバーターとバッテリー管理システム(BMS)」において仕様にないセルラー無線が発見されたとしている。そうした製品がどこから輸入されたか明記していないが、インバーターの多くは中国製だ。
文書は、インバーターやバッテリーの内部で発見された「非正規の携帯無線」について、連邦レベルや州レベルの報告を引用し、国家レベルの評価でリスクがあると判断したとしている。
それらは、標識、交通カメラ、気象観測所、太陽光発電のビジターエリアや倉庫、電気自動車の充電器など、米国の高速道路インフラの電源として使用されており、一斉停電やデータの盗み見などのリスクがあると指摘した。
文書は関係当局に対し、高速道路システム全体のインバーターの在庫目録の作成、スペクトラム分析技術によるデバイスのスキャン、非正規無線の無効化または削除、ネットワークの適切なセグメント化を行うよう要請した。
この文書について、運輸省は、関係各機関が実践的な対策を実施できるよう、公開された報告および機密扱いになっていない報告を要約したものだと説明した、
在ワシントンの中国大使館は声明で、「エネルギー・インフラ分野における中国の業績を歪曲し、中傷することに反対する」と述べた。
●その他
備忘録(2025/9/9)
●企業
●マクロ
オーストラリアの政府系ファンド(SWF)フューチャー・ファンドは、米市場への投資を縮小したことを明らかにし、トランプ米大統領による米連邦準備制度理事会(FRB)への圧力を注視しているという。
米資産は依然として、同ファンド保有資産の最大部分を占めると、ラファエル・アーント最高経営責任者(CEO)が9日の記者会見で述べた。
運用資産2520億オーストラリア・ドル(約24兆5000億円)の同ファンドの6月まで1年間のリターンは12.2%だった。
アーント氏は、米国への投資配分をやや引き下げたことについて「ポートフォリオの分散を図るための調整」と説明。相対的に割安感のあるドイツや日本といった市場に重心を移していると述べた。
また、FRBに対するトランプ氏の圧力にも言及。クック理事の解任を求めたり、利下げを要求したりする動きがあるものの、「現時点ではFRBは独立して運営されているように見える」と述べた。
「非常に注目度の高いテーマであり、われわれだけでなく、多くのヘッジファンド運用者の関心事となっている」と語った。
9日に公表された最新の報告書によると、フューチャー・ファンドは、ポートフォリオの約3分の1を先進国および新興国の株式に配分している。年間リターンは前年の9.1%を上回った。
アーント氏によると、市場の変動にもかかわらず株式投資が堅調なリターンをもたらした。インフラ資産は「非常に良好な」成績を収め、ヘッジファンド投資のポートフォリオも高い利益を上げたという。
フランスのバイル首相は9日、前日の国民議会(下院)での不信任決議を受け、正式に辞任した。マクロン大統領は、数日以内に新たな首相を任命するとしている。新たに指名される首相は内閣を組み、分裂状態にある下院で予算案の可決を目指さなければならない。
マクロン氏にとって、首相職を引き受ける人物を見つけること自体は難しくないが、議会内の各会派との接点を見いだせる人選となると、容易ではない。バイル氏は、新首相が決まるまで暫定首相として職務にとどまる。
ジョージ・ワシントン大学でフランス研究を専門とするキャスリン・クレッピンガー教授は、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで「一体どの政党から人を登用できるというのか。同じことの繰り返しになると懸念している」と述べた。
フランス債は9日の債券市場で上昇し、10年債利回りは3.47%となった。フランス株の代表的な指標CAC40指数は、現地時間午後3時45分時点で0.2%高だった。
後任候補
次期首相は、過去2年足らずで5人目となる。フランスの政治が修復困難な分裂状態にあることを反映している。
フランスメディアで後任候補として取り沙汰されている人物の多くは、バイル政権の閣僚で、首相交代後も中道派以外の政党への支持拡大には限界がある。
候補には、前回の内閣改造時にも有力視されたルコルニュ国防相や、ヴォートラン労働・保健・連帯・家族相が含まれる。2025年予算案の可決に向けて社会党との橋渡し役を担ったロンバール経済・財務相の名前も挙がっている。
マクロン氏周辺以外では、社会党党首のオリビエ・フォール氏が首相就任に意欲を示している。オランド社会党政権下で首相を務めたベルナール・カズヌーブ氏や、現在の会計検査院トップのピエール・モスコヴィシ氏の名も上がっている。
いずれの政治家も打開策とならない場合、マクロン大統領は、純粋な実務家とみられる人物を首相に据える可能性もあるが、政治が機能不全に陥ったことを事実上認める格好となる。
不信任決議の可決を受け、社会党は即座に政権運営への意欲を示した。フォール氏はTF1テレビの番組で「左派が再びこの国を率いる時が来た。過去8年間に実施されてきた政策とは決別すべきだ」とマクロン政権の路線を批判した。
一方、フランス2テレビでは、退任予定の内務相で、中道右派・共和党を率いるブリュノ・ルタイヨー氏が、社会党首相による政権には参加しないと明言した。同じ番組で、極左「不屈のフランス」を率いるジャンリュック・メランション氏も、フォール氏が率いる政権なら支持しない考えを示した。
極右・国民連合(RN)のバルデラ党首は、9日のRTLラジオの番組で「われわれにとっては、解散総選挙しかない。マクロン氏が指名するどんな首相も、失脚することになる」とけん制した。
財政赤字
バイル氏は、提案する予算案への支持を得るべく、信任投票を呼びかけ、敗れた。同氏は26年の財政赤字を今年の見積もりの5.4%から4.6%に縮小させることを目指し、総額440億ユーロ(約7兆6000億円)規模の歳出削減・増税を提案していた。コスト削減のため、祝日2日の削減も呼びかけ、反発を呼んだ。
フランスはユーロ圏で最大の財政赤字を抱えており、バイル氏によると、債務は1秒あたり5000ユーロのペースで増加している。また、債務の利払い費用が来年には750億ユーロに達するという。
フランスでは労働組合のストライキが18日に予定されており、マクロン氏にそれまでに新政権を発足させるよう、圧力となっている。別のの抗議活動も10日に計画されている。
フィッチ・レーティングスは12日、フランスの信用力評価を更新する予定だ。
フランス国民議会(下院)で8日に行われたバイル首相率いる内閣の信任投票が反対多数で否決され、内閣は総辞職する見通しになった。これによってフランスは貧弱な成長と借り入れコスト上昇の泥沼にはまり、債務返済負担が欧州最悪クラスに膨れ上がる道筋をたどりつつある。
バイル内閣に不信任が突きつけられたことで、ユーロ圏最大となっているフランスの財政赤字を来年大きく削減できるとの期待は崩れ去った。
内閣が打ち出した来年に440億ユーロ(520億ドル)の予算を圧縮する提案は野党各党に成立を阻まれ、マクロン大統領が指名する後任の首相が誰になっても、財政規律が大幅に緩和されるのは避けられそうにない。
ピクテ・ウエルス・マネジメントのマクロ経済調査責任者を務めるフレデリック・デュクロゼ氏は「上向きのシナリオは無い、逃げ道は無い、同じ規模で財政再建が進む信頼に足るシナリオは全く存在しない」と言い切った。
ロンバール経済・財務相も、10月7日までに策定が必要な来年予算案について、次期政権は財政タカ派として知られたバイル氏ほど財政再建に野心的な姿勢にならないだろうと認めている。
下院最大勢力の左派連合に属し、次期首相が選出される可能性がある社会党が超富裕層に対する150億ユーロの増税を要求していることもあり、次期政権は財政赤字削減のために歳出カットよりも増税に頼ろうとする公算が大きい。
しかし金融市場は、特に幅広い層を対象とした増税は好意的に受け止めないだろう。既に英国で懸念されているように、増税は成長を阻害しかねないからだ。
RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ラッセル・マシューズ氏は「ますますはっきりしてきたのは、大幅な財政赤字を減らす実現可能な手段としての増税路線に、市場参加者が与したがっていないことだ。その路線の信頼性は低下しつつある」と述べた。同社はフランス国債の値下がりに賭けている。
<欧州の問題児に>
マクロン氏は現時点で、下院の解散総選挙の意向は示していない。各種世論調査でも、総選挙を経てどこか特定の党が過半数を握り、今の膠着(こうちゃく)した各会派の勢力関係に変化をもたらすとは限らないことが分かる。
フランス国内の政局が混乱し、財政運営の方針が揺れ動く中で、家計や企業は既に支出や投資を手控えている。
消費者と企業はいずれも、将来が明確になるほど支出や投資が増えるというのが専門家の見方だ。
そうした支出・投資減少による成長鈍化は、フランスのような多額の借金を抱える国にとってとりわけ問題が大きい。なぜなら、フランスの場合、6月時点で公的債務は3兆3000億ユーロと国内総生産(GDP)の114%に達しており、この苦境を脱出する手段として経済成長を当てにできなくなるからだ。
フランスの公的債務のGDP比は、ギリシャの153%やイタリアの138%よりは低い。ただ両国はフランスと異なり、利払いを除く財政収支が相当な黒字を計上している。
昨年590億ユーロだったフランスの債務返済負担は、成長が減速するか財政赤字削減の取り組みが緩めば、2029年までに1000億ユーロ超に増加し、単一の歳出項目として最大になる、とフランス会計検査院は今年警告している。
一方ドイツの財政が長年の緊縮路線から積極的な歳出拡大に転じたことも、フランスの肩身を狭くしている面がある。
オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、レオ・バランクー氏は「フランスは『醜いアヒルの子』になっている」と指摘。金融市場にとって、これまでは恒常的な鈍い成長率と膨大な債務を抱えるイタリアが欧州の問題児だったが、「今は明らかにフランスがそうなろうとしている」と付け加えた。
<リスクプレミアム高止まり>
ユーロ圏最大規模のフランス国債市場はかつて、投資家からドイツ国債に代替する一番安全な資金の振り向け先と見なされてきた。
ところが昨年、マクロン氏が下院の解散総選挙に踏み切って以来、フランス国債利回りのリスクプレミアムは高止まりしている。
足元のリスクプレミアムは、2011年のユーロ圏債務危機の震源地だったギリシャやスペインを上回っており、イタリアとほぼ同水準。昨年初め段階では、イタリア10年国債利回りは、フランス10年国債より1ポイント以上も高かった。
経済研究機関OFCEのエコノミスト、マチュー・プラーヌ氏は、フランスにとって政治停滞に陥った中で永続的に高いリスクプレミアムの支払いを迫られるのが最大のリスクだと分析。「将来の成長を生み出せるイノベーションや教育など全ての分野に関する長期的な決断がほとんどできなくなってしまう」と警告した。
2025年3月までの1年間の米雇用者数の伸びは、従来の発表値よりはるかに低いものだった可能性が高い。9日に発表された年次ベンチマーク(基準)改定の推計値で明らかになった。米金融当局に対する利下げ圧力が強まりそうだ。
米労働統計局が発表した推計値によれば、3月までの1年間の雇用者増は91万1000人下方修正されそうだ。1カ月当たりでは7万6000人近い下方修正となる。確報値は来年2月の発表が予定されている。
ベンチマーク改定の発表前の段階では、雇用者数は3月までの1年間に約180万人増(季節調整前)だった。月平均では14万9000人増。
今回の改定は、より緩やかな雇用増加が長期間続いた後、ここ数カ月に労働市場が減速したことを示唆しており、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合からの一連の利下げにつながる可能性がある。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は最近、雇用市場におけるリスクの高まりを認めており、7月会合では理事2人が利下げを支持していた。
市場では、9月会合で利下げが決定されると広く予想されている。
ベンチマーク改定は毎年行われるが、今年は特に、労働市場が当初発表のデータより速いペースで冷え込んでいることを示唆するシグナルが出ていないかと、市場やFRBウォッチャーが注目していた。データ改定は政治にも影響している。トランプ大統領はこれまで、雇用統計の改定を強く批判している。
フランスは今週、予算の行き詰まりが続いた後にまたもや首相が解任され、さらなる政治的混乱に陥った。
フランソワ・バイルー首相と中道少数派政権は月曜日の信任投票で敗北した。議員364名が政府に反対票を投じ、賛成はわずか194名だった。
バイルー首相が、2024年に国内総生産(GDP)の5.8%に達する同国の膨大な財政赤字の削減を目的とした2026年度予算案で政敵からの支持を得られなかったことから、今回の政権崩壊は広く予想されていた。
バイルー政権は、2026年までに財政赤字をGDPの4.6%に引き下げるため、来年度の予算で約440億ユーロ(520億ドル)の削減を目標としていた。
フランスの金融市場は、最近の政治的混乱に対し冷静に反応し、CAC40指数は0.25%上昇して寄り付きました。フランスの指標10年債利回りは火曜日の朝、2ベーシスポイント上昇の3.4755%となり、パリ発の政治的および経済的不確実性の新たな一因に対する不安を反映しています。
バイルー氏は火曜日にフランスのエマニュエル・マクロン大統領に辞表を提出し、新たな政府と首相が「数日中」に指名される予定だ。
マクロン氏が利用できる選択肢はどれも彼にとって魅力的ではない。
マクロン大統領は、2年足らずで5人目の首相となる新首相を選出するか、テクノクラート政権を樹立するかの選択を迫られるが、どちらの案も予算削減に対する同様の政治的反対に直面する可能性が高い。大統領は再度の総選挙を命じる可能性もあるが、これも決着のつかない結果に終わる可能性があり、極右の国民連合や極左の「屈しないフランス」に議席をさらに与える可能性もある。
マクロン氏は政府を率いる人物としてまた別の中道派の同盟者を選ぶ可能性が高いとみられているが、合意形成を図り、異なる政治的立場や要求を統合できる候補者を見つける必要があるだろう。
ドイツ銀行のマクロストラテジストらは火曜朝の分析で、「極右の国民連合と極左の屈しないフランスが早期総選挙を要求していることから、中道左派の社会党が予算案に反対票を投じないようにするとともに、現在の中道右派連合を維持できる首相が必要になるだろう」と述べた。
JPモルガンのシニアエコノミスト、ラファエル・ブルン・アゲール氏は、今後数日間のマクロン大統領と各党との交渉を注視する必要があると指摘した。
「新たな下院選挙の可能性も排除できないが、マクロン氏は大連立政権の樹立を推し進めるだろう」と彼は付け加えた。
いずれにせよ、バイルー政権後の政府は来年、ある程度の財政再建を検討する可能性が高いとブルン=アゲール氏は強調し、「次期政権がこの問題から逃れることは難しいだろう」と指摘した。
問題は財政再建にどう取り組むかということだ。
「フランスの財政状況が深刻であることについてはほぼすべての政党が同意しているが、この問題を福祉改革で解決すべきか、増税で解決すべきかをめぐっては政派が大きく分かれている」とテネオの調査担当副部長カーステン・ニッケル氏は月曜日にメールで述べた。
フランスでは、「同棲」として知られる構造の下、大統領と首相が異なる政治家一族出身であるという経験があるが、国会におけるいわゆる「大連立」は、この国の政治文化には含まれていない。
「このことは、国の財政問題に対する両方のアプローチを混ぜ合わせることになる大きな妥協点の模索を複雑にしている」とニッケル氏は付け加えた。
即時の混乱
新首相は、提案されている支出削減と改革に対して国民の怒りを買うことになるだろう。労働組合は9月10日と18日に全国的な緊縮財政反対の抗議行動を呼び掛けている。
それでも、フランスの財政赤字を削減する必要性は依然として優先課題であり、今週、フィッチ・レーティングス・エージェンシーが欧州第3位の経済大国フランスについて、現在「AA-」の格付けで見通しがネガティブな最新情報を発表するにつれ、フランスに緊迫感が植え付けられる可能性がある。
ベレンベルグ銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は火曜日に電子メールで送ったコメントの中で、「フランス国債の格下げはあり得る」とし、フィッチが金曜日に格下げしても「大きな驚きではない」と指摘した。
しかし、シュミーディング氏は、債券利回りの上昇が財政赤字の拡大と借入コストのさらなる上昇につながるという「自己強化的な悪循環を伴う真の金融危機」は「当面、極めて可能性が低い」と警告した。
「フランスは経常収支がほぼ均衡しているため、金融危機に陥る可能性は低い。もちろん、完全に否定することはできない。もし、深刻な分裂を抱える議会で勢力均衡を保っているフランス社会党が、常識を無視し、資金調達不可能な要求を主張し続けるならば、リスクは高まる可能性がある」と指摘した。
米国は、政治環境とドル高により外国人旅行者の訪問が引き続き阻まれており、今年の国際観光収入が約300億ドル減少する見通しだ。
2025年初頭、米国旅行協会は今年の海外旅行支出が2,008億ドルに増加すると予測した。
しかし、世界旅行ツーリズム協議会は5月、旅行者数の「急激かつ広範囲にわたる」減少を指摘し、今年の海外旅行者支出は1690億ドルに減少すると予測した。
旅行者が他の目的地を探したり、自国や地域に留まることを決めたりするため、失われた収入は他の国々、特にカナダやラテンアメリカに利益をもたらすことになるだろう。
近隣諸国
米国国際貿易局によると、2025年上半期に米国を訪れたカナダ人の数は前年比で約18%減少し、175万人以上の訪問客が減った。
不動産データプロバイダーのCoStarによると、多くのカナダ人が国内旅行に目を向けており、7月のホテル稼働率は2019年以来の高水準となる77.6%に達した。政府が今週発表した報告によると、国の強さと団結を祝う夏の観光促進策「カナダ・ストロング・パス 」が、カナダの博物館、史跡、国立公園への訪問者数の増加につながったという。
調査会社ツーリズム・エコノミクスによれば、他のカナダ人はアメリカに向かうのではなく、上空を飛んで南へ旅を続けているという。
同社のアダム・サックス社長は「メキシコ、ラテンアメリカ、カリブ海諸国へ向かうカナダ人が増えている」と語った。
ブッキング・ホールディングスのデータによれば、旅行先としてメキシコを選ぶカナダ人が増えていることも示されていると、同社の代表者はCNBCトラベルに語った。
コンサルティング会社アクセンチュアによると、ラテンアメリカはヨーロッパからの旅行者にとっても魅力的な地域となっている。カリブ海諸国と同様に、この地域はアメリカに代わる旅行先を探しているヨーロッパ人を惹きつけていると、ある担当者は述べた。
「新しい旅行回廊」
ブッキング・ホールディングスの代表者はCNBCへの電子メールで、米国へのインバウンド旅行が減少するにつれ、欧州人の間で欧州内およびアジアへの旅行が増加していることを指摘し、「新たな旅行経路」が出現していると同社は述べている。
ツーリズム・エコノミクスのサックス氏は、特に西欧人が中東だけでなく地域内を旅行するケースが増えていると付け加えた。
エクスペディア・グループのアジア太平洋市場管理担当副社長マイケル・ダイクス氏は、今年はヨーロッパや中東への旅行を検索するアジアからの旅行者も増えていると述べた。
ミリュー・インサイトが東南アジアの海外旅行者6,000人を対象に実施したCNBCの調査によると、米国への旅行を再検討している人のうち、ほとんどが東南アジアまたは東アジア内の旅行を計画していると答え、次いでヨーロッパとオセアニアが続いた。
シンガポール人旅行者のラフル・ジェイン氏はCNBCトラベルに対し、今年すでにオーストラリア旅行を予約しており、現在はイギリスかフランスに行くことを検討していると語った。
「ヨーロッパは今でも魅力的だ」と彼は言った。しかし、アメリカは「私の選択肢から外れている」と付け加えた。
旅行者数が1,300万人減少
政府のデータによると、2025年上半期に米国を訪れる海外からの観光客は、2024年の同時期と比べて約100万人減少した。
しかし、2019年と比較すると、年末までに海外からの訪問者数は1,300万人減少する見込みだとサックス氏は述べた。
同時に、他の国への旅行者数も増加しています。
「2019年と比較して海外旅行者数の最大の増加が見込まれる国はスペイン、サウジアラビア、トルコだ」と彼は述べ、それぞれ1650万人、1450万人、1400万人の旅行者増加が見込まれるとした。
サックス氏は、他の市場が発展し、新たな市場が参入するにつれ、世界の海外旅行に占める米国のシェアは1996年の8.4%から2024年には4.9%に減少したと述べた。
ツーリズム・エコノミクスのデータによると、国境を越えた旅行に占める米国のシェアは2000年代初めに減少し、その後横ばい状態となり、ドナルド・トランプ大統領の最初の任期中に再び打撃を受けた。
サックス氏は、今年は再び減少すると予想しており、世界の国際観光客到着数に占める米国のシェアは4.2%に低下すると予測していると述べた。また、 今後10年間はこの水準で推移すると予測している。
「米国は2025年に再びシェアを失っています」とサックス氏は述べた。「当社の予測期間内にシェアが回復するとは予想していません。」
一方、フランス、ギリシャ、メキシコ、イタリアなど他の主要観光地への訪問者数は今年増加すると予想されている。
これは「競合する目的地と比べて、米国にとっていかに悲惨な状況であったか」を示しているとサックス氏は述べた。
クレジットカード残高が2ヶ月連続で減少したことを受け、米国消費者は資金繰りに窮しているようだと報じた1ヶ月後、FRBはつい先日、最新の月次消費者信用データを発表しました。そして、またしても少々衝撃的な内容でした。数ヶ月にわたる信用創造の低迷の後、7月は2025年で2番目に高い月次増加を記録し、総額160億ドルに達しました。これは、6月の修正値96億ドル(修正前は74億ドル)のほぼ2倍に相当し、中央値102億ドルを大きく上回りました。
いつものように退屈な非回転式クレジット(基本的には自動車ローンと学生ローン)の伸びは鈍化し、3回連続で100億ドルかそれよりわずかに少ない額を記録した後、7月の55億3,400万ドルの増加は2月以来の最小となり、合計は3兆7,490億ドルという過去最高を記録した。
第3四半期末まで2つの構成要素の詳細な内訳はわかりませんが、第2四半期の増加は学生ローン(+81億ドル)と自動車ローン(+61億ドル)によるほぼ同数の貢献によるものであることを読者に思い出させてください。
いつものように、驚きだったのは、クレジットカード負債の大幅な増加と、最近の減速からの突然の反転だった。7月には、クレジットカード負債は6月の上方修正された8億700万ドル(以前はマイナスの数字だった)から105億ドルも急増した。
そして、2025年2月から始まって5月(修正前は6月)に大幅な減少につながったクレジットカード負債の急激な減速(完全には減少していないまでも)は、2025年のクレジットカード負債の月間最大増加のおかげで終わりを迎えました。これにより、クレジットカード残高が大幅に減少した2024年11月以来の最高レベルにクレジットカード負債が押し上げられました。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
●その他
備忘録(2025/9/8)
●企業
●マクロ
米国の雇用者数の伸びは、政府が現在発表している数字よりもはるかに鈍かった可能性が高い。夏に見られた採用減速よりも前から、労働市場が勢いを失っていたことを示すことになる。
ウェルズ・ファーゴ、コメリカ銀行、パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミストは、米労働統計局が9日に発表する年次ベンチマーク(基準)改定の速報値によって、3月時点の雇用者数が現在推計されているよりも約80万人少なかったことが分かると予想している。月平均で約6万7000人の下方修正に相当する。
野村証券、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ロイヤル・バンク・オブ・カナダは、基準改定での修正幅が100万人近くに達する可能性もあるとみている。
労働統計局は年に1回、3月時点の雇用者数を見直す。ベンチマーク改定は、速報性に欠けるものの正確性の高い「四半期雇用・賃金調査(QCEW)」を基に行われる。QCEWは州失業保険税の記録を基に作成され、全米の雇用者の大部分をカバーする。ベンチマーク改定は毎月の雇用統計で行われる通常の改定とは別のものだ。
ベンチマーク改定での修正は過去の雇用動向を示す古いデータに過ぎないが、大幅な下方修正となれば、昨年の労働市場の勢いが予想以上に弱かったことが浮き彫りになり、米連邦準備制度理事会(FRB)による一連の利下げへの観測を後押しすることになる。
コメリカ銀行のチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「2025年3月までの雇用者の伸びに大幅な下方修正があったとしても、直近数カ月のデータの場合に比べ、金融政策への影響は限定的だろう」としつつ、「経済の全体像を把握する上では重要な材料になる。他の条件が同じであれば、雇用の下方修正はFRBに金融緩和を促す圧力になる」と指摘した。
また、昨年に続き雇用統計が大幅に修正されることになれば、米国の労働統計の正確性に疑問を呈してきたトランプ米大統領の批判を再び招く可能性もある。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、サミュエル・トムズ氏は、3月までの1年間についての「改定の大半は、トランプ政権以前の雇用動向を反映している。従ってトランプ氏は、自身が引き継いだ経済が想定よりもはるかに弱かったと主張することができる」と述べた。
エコノミストや政策担当者は、今回のベンチマーク改定の数字を基に、労働市場の減速ペースを見極めようとしている。改定の確報値は、25年のより完全なデータとともに、来年2月に公表される予定。
ロイヤル・バンク・オブ・カナダのエコノミスト、キャリー・フリーストーン氏は、昨年のデータが大きく修正されれば労働市場を見極める出発点が見えてくるが、「FRBが最も気にかけるのは労働市場が勢いを失いつつあるという事実であり、労働市場が既に転換点を迎えていた可能性が高いという事実だと思う」と語った。
格付け会社S&Pグローバル・レーティングによると、災害発生時に一次保険会社の損失を支える再保険業界は近年、嵐や洪水などの激甚災害による財務リスクから自社を守る措置を強化している。
世界の主要な再保険会社19社は過去5年間で、保険が適用される自然災害による損失へのエクスポージャーを半分以下に減らした。今後も歴史的な水準より小さな負担に抑える見込みだと、S&Pの保険格付け部門チーフアナリティカルオフィサー、サイモン・アシュワース氏が述べている。
「この流れが近いうちに元に戻るとは考えていない」とアシュワース氏はインタビューで語った。
再保険業界は近年、大きな損失を免れつつ投資で資本を蓄え、厚いバッファーを築いてきた。S&Pによると、主要な再保険会社は現在、1年の間にハリケーン「カトリーナ」級の災害が3回発生し約3000億ドル(約52兆)相当の損害が生じても、既存の信用格付けを維持できるだけの資本力を有しているという。
「注目すべきことだ」とアシュワース氏は述べた。
リスクモデリング会社ベリスクによれば、今年の自然災害による保険金支払いは、1500億ドルを超える見通しで、過去10年の平均を大きく上回る水準となっている。一次保険会社がコスト負担に苦しむ中で、再保険会社に料金引き下げと補償範囲拡大を求める圧力が強まっている。
S&Pは再保険料について「穏やかな下落傾向」にあるとみており、アシュワース氏は「一次保険会社の負担軽減に一定の効果があるだろう」と話す。一方、補償範囲については再保険業界は「契約条件の維持に向けて強硬な姿勢を崩さない」見通しだという。
S&Pによると、昨年の再保険業界による自然災害損失の引き受け割合は全体の10%強にとどまり、2019年の約25%から大きく低下、過去平均の20%も大きく下回った。
フィッチ・レーティングスは最近のリポートで「多くの再保険会社は収益性を成長よりも重視し、リスクとリターンの基準を厳格化した結果、それを満たさない案件は引き受けなくなってきている」と分析。「特に米国の損害保険分野でその傾向が顕著だ」と付け加えた。
ムーディーズ・レーティングスは、自然災害の頻度が高まる中で、長期的には激しい気象現象が再保険業界にとって「重要な課題」になると指摘する。1970年代には年間およそ50件だった極端な気象災害が、直近10年間では年間200件近くに増えているという。
中国税関総署が8日発表した8月の貿易統計によると、輸出はドル建てで前年同月比4.4%増と予想以上に鈍化し、半年ぶりの低い伸びとなった。米国との関税を巡る休戦による一時的な押し上げ効果が薄れた。ただ、米国以外からの需要は当局者にとって一定の安心材料となった。
輸入は1.3%増だった。ロイターがまとめた市場予想では、輸出は5.0%増、輸入は3.0%増とみられていた。7月実績は輸出が7.2%増、輸入は4.1%増だった。
輸出の伸びが鈍化したのは、前年同月の水準が比較的高かったことが一因とみられる。昨年8月は貿易相手国からの関税を回避しようと製造業者が輸出を前倒しした。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、 Xu Tianchen氏は「数字は依然としてまずまずで、輸出の底堅さはわれわれの予想より確実に長く続いた」と述べた。「財政刺激策の見通しは明らかにかなり暗い。しかし、中国には政策銀行による融資や金融緩和といった経済対策がまだ残されており、5%(の成長率目標)達成には十分かもしれない」との見方を示した。
米中は8月11日、関税を巡る休戦をさらに90日間延長することで合意し、米国が中国製品に課す関税率は30%、中国が米国に課す関税は10%に維持された。ただ、両国は現在の休戦期間後の道筋を描くのに苦戦しているもようだ。
ユーラシア・グループの中国担当ディレクター、ダン・ワン氏は「輸出は今のところ順調に持ちこたえている」とし、「米国への輸出は減少しているものの、他のルートは昨年よりも好調だ」と指摘。また「多くの輸出は中国の工場が海外に移転し、中国から原材料やその他資材を輸入していることにも関連している」と述べた。
税関データによると、8月の対米輸出は前年比33.12%減少した。一方、東南アジア諸国への輸出は22.5%増加した。
8月の貿易黒字は1023億ドル。7月の982億4000万ドルから拡大したが、それでも6月の1147億ドルを大きく下回った。予想は992億ドルだった。
キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、Zichun Huang氏はエネルギーの輸入が増加する一方で、半導体や工業用金属の輸入が減少したと指摘。「これは建設活動の継続的な減速を反映している可能性が高い」と分析した。
資本の調達が困難になる中、ディールメイキング活動がかろうじて回復に向かう中、プライベートエクイティ大手や投資銀行は人材獲得のために世界規模の争いを繰り広げている。
マゼラン・アドバイザリー・パートナーズの最新レポートによると、プライベートエクイティ分野の採用は2025年上半期に加速し、資金調達、投資家向け広報、マーケティングといった職種が牽引役となった。投資分野全般の採用も、2年間の停滞または減速の後、回復した。
この採用ラッシュは、金利上昇と市場のボラティリティによって取引が停滞し、プライベートエクイティ部門が近年停滞状態に陥っていたことを受けて起きた。ファンドマネージャーたちは、売却できない企業のパイプラインが拡大し、出口戦略が先送りされている状況に陥っていた。
ベイン・アンド・カンパニーによると、2025年第1四半期には買収活動が活発化したものの、関税をめぐる混乱で投資家の不安が高まり、取引パイプラインが停滞したため、次の四半期には勢いが急速に衰えた。ベインの分析によると、4月の世界の買収取引額は第1四半期の月平均を24%下回り、取引件数は22%減少した。
「取引の流れは循環的だが、資本を確保する必要性は永続的だ。企業は時代を先取りして投資している」と、世界的な幹部人材紹介会社ジェンセン・パートナーズの創業者兼CEO、サーシャ・ジェンセン氏は語った。
ジェンセン氏は、現在のリミテッド・パートナーの流動性が逼迫している状況において、資金調達分配チームは「生き残りを左右する」と述べている。リミテッド・パートナーの流動性とは、年金基金、政府系ファンド、ファミリーオフィス、富裕層個人などを含むリミテッド・パートナーが新規ファンドに投入できる新規資本の額を指す。
「企業は資金調達の才能を持つ人材に高額の報酬を支払うことに満足しています」と、ジョンソン・アソシエイツのプリンシパル、クリストファー・コナーズ氏は述べた。「企業にとっては大きな出費になるかもしれませんが、彼らがもたらす収益の額を考えれば、企業にとって良い行為と言えるでしょう。」
資金調達は困難を極めているものの、多くの大手米国企業は依然として1兆ドル近くの未活用資金、いわゆるドライパウダーを抱えていると、ピッチブックのカイル・ウォルターズ氏は指摘する。さらに、金利引き下げへの期待から、これらの企業はより豊富な人材を確保し、景気回復に向けて態勢を整えているとウォルターズ氏は指摘する。
世界的な人材獲得
世界的な投資会社が取引や資産増加の波に乗るために市場にさらに多くのリソースを投入する中、プライベートエクイティの巨人アポロは日本での足跡を拡大し、アジアの資産運用部門の雇用を拡大していると報じられている。
同様に、ウォーバーグ・ピンカスとカーライルも、日本が取引を行う数少ない明るい地域の一つとして浮上する中、新規採用を通じて日本での存在感を高めている。
CNBCが取材した業界専門家は、日本以外にも採用活動があらゆる地域で活発化していると指摘した。マゼラン・アドバイザリー・パートナーズによると、東南アジアとインドでも採用活動が活発化しており、シンガポールとムンバイに新オフィスが開設された。
ワシントンの政策の不確実性にもかかわらず、北米での全体的な採用は2022年半ばと2023年の水準を上回っており、米国の多くのメガファンドや成長株投資会社は2026年入社の1年目のアナリストの面接を行っている。
「これは北米でトップクラスの若手人材の需要が減っていないという現実を反映している。企業は採用競争に参加しなければ機会を逃すと恐れている」とエグゼクティブサーチ会社は報告書で述べた。
欧州のプライベートエクイティ業界も、利下げサイクルの開始といったマクロ経済の変化に支えられ、人材採用の勢いが強まっている。例えばイングランド銀行は昨年8月以降、5回にわたり金利を引き下げており、この動きは取引、エグジット、資金調達、そしてプライベートエクイティ全体の「フライホイール」を刺激すると予想されると、ピッチブックのウォルターズ氏は述べている。
「国際的な拡大は共通のテーマであり、米国の企業がアジアに進出し、その逆もまた同様です。同様に、英国のプライベートエクイティファームは、アジアに進出する前に、まず米国をターゲットにすることが多い」と、ロバート・ウォルターズの北米、アイルランド、英国の採用担当CEO、クリス・エルドリッジ氏は指摘する。
これらの企業の多くは、採用候補者が大学を卒業する前から採用活動を開始しており、受動的な採用活動から脱却しつつあることを示している、と彼は付け加えた。
才能戦争?
しかし、規模の大きい企業と業界の嵐を乗り切るための武器を持たない企業との間には隔たりがある。
「(マルチ戦略を展開し)規模の経済性によって採用できる余裕のある大手ファームと、そうでないファームとの間には明確な二極化があると思います」とコナーズ氏は述べた。「一方、一部の小規模ファームは資金調達に苦戦しており、ほとんど採用を行っておらず、中には規模を縮小しているファームもあります。」
大手企業が採用活動に躍起になるなか、投資銀行との人材争奪戦に突入している企業もある。
プライベートエクイティ会社は長年、ウォール街のアナリストプールを襲撃することで悪評を買っており、最近では投資銀行がさらに厳しい制限を設けなければならなくなったほどだ。
2025年半ば、ゴールドマン・サックスとJPモルガンは、プライベート・エクイティ・ファームによる人材引き抜きを抑制するため、厳しい新規則を導入したと報じられました。JPモルガンは、プライベート・エクイティ・ファームから将来の日付で提示された求人を18ヶ月以内に受け入れたアナリストは解雇すると警告し、面接のための研修を欠席したアナリストは解雇すると警告しました。
優秀な人材を確保するため、ゴールドマンはアナリストからアソシエイトへの昇格期間を現行の3年から2.5年に短縮した。一方、ゴールドマンは四半期ごとに「忠誠誓約」を導入し、アナリストに対し外部からのオファーがないことを確認することを義務付けた。ただし、開示しても解雇にはつながらない。
ジェンセン・パートナーズのジェンセン氏は、ジュニアレベルでは、従来の投資銀行アナリストのパイプラインが早期採用の変化によって混乱していると述べた。
「ゴールドマン・サックスやJPモルガンのような銀行は人材の流動性を厳しく制限しており、プライベート・エクイティ会社は社内研修プログラムを構築することで対応している」と彼女は語った。
こうした動きは、プライベート・エクイティ会社が数年先を見据えてジュニアバンカーを確保しようとする採用競争が、さらに激化する可能性があることを示唆している。
コナーズ氏は、プライベートエクイティ業界でのキャリアは、キャリード・インタレスト(年俸をはるかに上回るファンドの利益の一部で、キャピタルゲイン税率が低い)のせいで、投資銀行業界よりも有利かもしれないと説明した。
両業界のジュニアレベルの報酬は似通っているように見えるものの、シニアアソシエイトやバイスプレジデントといった中堅レベルからキャリード・インタレスト(利益分配)の受け取りが始まるのが一般的だと、彼は付け加えた。シニアレベルではその差は歴然としている。マネージングディレクターは給与とボーナスで150万ドルから200万ドルの報酬を受け取る可能性があるが、ファンドの運用成績に連動するキャリード・インタレストは、長期的には2000万ドルから3000万ドルの利益をもたらす可能性がある。
「これは、優秀な人材をこの分野に惹きつける重要な経済的手段です」と彼は述べた。「これは、投資銀行業界にも、伝統的な資産運用業界にも存在しない経済的手段です。プライベートマーケット業界に特有のものです」と彼は述べた。
8月の米国雇用統計で労働市場の弱体化が示されたことを受け、金曜日の米国債利回りは低下した。米国10年国債利回りは8.5ベーシスポイント低下の4.08%で取引を終えた。オーストラリアとニュージーランドの10年国債利回りは、それぞれ5ベーシスポイントと4.5ベーシスポイント低下し、今朝は上昇を牽引している。
OIS先物は現在、9月のFRBによる利下げを事実上の既成事実として織り込んでおり、2025年の残りの期間で少なくとも1回(ほぼ2回)の利下げ(そして50bpsの利下げの確率は10%)が織り込まれている。しかしながら、米国株は金曜日に下落して取引を終えた。デュレーションに連動するナスダック指数が最も好調だった一方、「本日の決算」を反映するダウ平均株価は最も低調で、0.48%安で取引を終えた。
金価格は、先週4%以上上昇して史上最高値を更新した後、今朝の取引開始直後から再び上昇している。米国の雇用統計が軟調だったことを受けて短期金利が圧迫され、市場は今週後半の消費者物価指数(CPI)発表を控えており、ジェローム・パウエル議長が昨年までは考えられないと発言していたスタグフレーションのシナリオを裏付ける可能性がある。そのため、実質金利の低下見通しが上昇の要因となることは間違いない。
米国の5年5年インフレ・スワップは4月の独立記念日以降上昇している一方、2年国債利回りは5月中旬以降低下している。FRBの政治化が、この異常な価格変動の要因となっていることは間違いない。短期債の名目利回りは、アドリアナ・クーグラー氏が8月1日にFRB理事を辞任すると発表した後、大幅に低下し、トランプ大統領が8月21日にリサ・クック氏を解任すると発表した後にも再び低下した。どちらの場合も、長期債の実質利回りは比較的良好な水準を維持しており、グラフにワニの顎のような効果を生み出している。
トランプ大統領は先週末、金融政策の主導権を握ろうとするキャンペーンをさらに強化した。ADP、JOLTS、そして週次失業保険申請件数も低調だったことを受けて、雇用統計の発表が低調だったことを受け、ジェローム・パウエル議長はとっくの昔に利下げすべきだったと「真実」を主張し、パウエル議長の後継としてケビン・ウォーシュ、ケビン・ハセット、クリストファー・ウォーラーの3名をFRB議長に指名した。当然のことながら、3名ともフェデラルファンド金利(FF金利)の引き下げに意欲を示している。
他の市場での出来事も、長期金利カーブにおける構造的な借入コストの上昇を示唆している可能性があります。まず、石破首相が退陣を発表しました。石破氏は財政タカ派であり、後任については未だ明確な方針が示されていませんが、後任が誰であっても、財政緊縮路線への傾倒は弱まり、日銀の金融引き締め政策にも消極的になるでしょう。前回の自民党総裁選で石破氏に次ぐ2位となった高市早苗氏は、より景気刺激的な財政政策を支持、次期首相の有力候補となる可能性があります。
同様に、フランスのバイルー首相も本日後半に信任投票に臨み、失職する可能性が高い。バイルー首相は、危機に瀕するフランスの財政再建を目指し、今後12か月で440億ユーロの緊縮財政措置を提案しているが、その計画は左右両派から強硬な反対に直面している。バイルー首相が信任投票に敗れた場合(その可能性が高いと思われる)、マクロン大統領は新首相を任命するか、国会を解散して再選挙を実施するか、自ら辞任するかのいずれかの道を選ぶ可能性がある。後者の可能性は極めて低く、後者の道を選ぶと、さらに受け入れ難い議会構成になるリスクがある。我々は、マクロン大統領が新首相を任命し、財政緊縮計画は厳しい運営環境によって必然的に縮小されるというシナリオが最も可能性が高いと考えている。完全な分析は、こちらで閲覧できる。
そしてついに、英国は先週末、アンジェラ・レイナー氏が海辺のマンション購入時に税金を過少納付し、大臣の行動規範に違反していたという報道を受け、副首相(住宅大臣も兼務)を失った。スターマー首相は包括的な内閣改造を発表したが、既に動揺している英国債市場の落ち着かせようと、苦境に立たされているレイチェル・リーブス財務大臣が現職に留任することを強調した。
市場が英国の財政状況の軌道に対する信頼を失ったため、30年国債利回りは先週、1998年以来の高水準に達した。利回り上昇と生産性の下方修正予測は、リーブス財務相が前回予算で自らに残した「財政余地」を帳消しにし、数百億ポンド規模の財政節約策を講じなければならない状況に追い込まれた。しかし、リーブス財務相は、自身のバックベンチ議員の反対がほぼ確実だ。
救済策が成立しなければ、英国国債の利回りはさらに上昇する可能性が高い。ガーディアン紙によると、労働党幹部がキール・スターマー首相に「間違いを犯すのはやめろ」と助言したという。英国(そしてフランスも!)は、万が一ロシアと戦わなければならない事態に備え、軍備増強のための資金も確保する必要があることを忘れてはならない。
中央銀行による金融緩和への期待から短期金利は低下しているものの、長期的な視点で見ると状況はやや複雑だ。経済に打撃を与えることなく肥大化した財政状況を改善し、同時に支出の優先順位付けに必要な資金を確保するという政策パラドックスが生じている。もはや「手遅れ」なのだろうか?それとも、斬新な経済思考によって解決策を見出せるのだろうか?
フィナンシャル・タイムズ紙によると、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領はブエノスアイレス州で大敗を喫した。同州では、ペロン主義派の「フエルサ・パトリア」連合が47%の票を獲得し、同大統領率いる「リベルタッド・アバンサ」は34%の票しか獲得できなかった。
選挙前の予測では接戦になると予想されており、ミレイ氏はそれが10月26日の中間選挙に向けて勢いを増すことを期待していた。
「ブエノスアイレス州は伝統的にペロン主義的な傾向が強いが、今回の差は予想以上に大きい」とNWIマネジメントのアルベルト・アデス氏は述べた。アデス氏は、市場は債券と株式の下落、そしてカントリーリスクの上昇という形で反応すると警告した。
フィナンシャルタイムズ紙によると、今回の後退は、ミレイ氏が議会で苦戦を強いられている中で起きた。議会では最近、拒否権が覆され、妹のカリーナ氏に関連する録音の流出や賄賂疑惑を含む汚職スキャンダルも発生している。ミレイ氏の支持率は40%を下回っている。「今日、我々は紛れもなく明確な敗北を喫しました」とミレイ氏は認めた。「しかし、我々が選挙で目指した経済路線は変わりません。我々は財政均衡を死守し続けます」
アナリストのアナ・イパラギレ氏は「この結果は主にミレイ政権に対する否定的なメッセージだ」と述べ、財政混乱が有権者の不満を深める可能性があると警告した。
市場はすでにストレスにさらされている。短期ドル建て債券は7月以降15%、株式は34%下落し、債券スプレッドは2ポイント近く拡大して9%となっている。ペソ防衛のため、ミレイ総裁は利上げ、準備金の引き締め、ドル売りを実施しているが、エコノミストは景気後退を懸念している。
「ブエノスアイレス州選挙でハビエル・ミレイ大統領率いる自由民主党が大敗したことで、市場の最悪の懸念が裏付けられ、価格下落、好ましくない政策変更、そして10月の中間選挙に向けてさらに悲観的な見通しという悪循環が引き起こされるだろう」とブルームバーグのエコノミスト、ヒメナ・ズニガ氏は述べた。
グリット・キャピタルのウォルター・ストッペルワース氏は「政府はペソを守るため高金利で急激な景気後退を仕組んだが、ブエノスアイレスの有権者はインフレを少しでも抑えることよりも雇用の方が重要だと言っている」と述べた。
この打撃にもかかわらず、世論調査では依然としてミレイ氏率いる連立政権が議会で議席を獲得すると予測されている。ただし、両院とも得票率は15%未満にとどまっている。しかし、この結果は、野党で台頭するペロン派のアクセル・キシロフ知事にとって追い風となるだろう。
現地取引開始時点でペソは7%下落し、1米ドル=1,450ペソと取引帯域の上限付近まで下落した。
最も取引量の多い2035年満期ドル債は5.56セント下落して56.09となり、利回りは12.6%に上昇し、新興国市場全体の下落を牽引した。
「ここはペロン主義の牙城だった。総選挙は様相が変わるだろう」とブラックトロのフェルナンド・マレンゴ氏は述べた。「焦点は合意形成に移るべきだ。法令で実行できる改革はすでに完了しているのだ。」
ブルームバーグによると、ブエノスアイレスでの敗北後、アルゼンチンの国債は急落した。
投資家らは、ミレイ氏が5ポイント以上負ければ株が売られると覚悟していたが、14ポイント差は10月の中間選挙を前に懸念をさらに強めた。
モルガン・スタンレーは、日曜日の結果により「市場が改革継続の可能性に疑問を抱き、将来の外部資金源をめぐる不確実性が高まるという下振れシナリオ」のリスクが高まると警告し、1週間前に発表したアルゼンチン資産の買い推奨を速やかに終了したと、エコノミストのフェルナンド・セダノ氏とストラテジストのサイモン・ウェイバー氏は述べた。
連邦議会の予算委員会は金曜日、今年の連邦予算について合意に達した。結局、記録的な債務は依然として残り、会計上のトリックと期待に満ちたレトリックによって公然と隠蔽されている。フリードリヒ・メルツはドイツを債務スパイラルへとさらに深く陥れつつある。
ベルリンにおける政治的混乱、特に早期選挙や予算交渉の失敗により、今年の連邦予算の成立は遅れました。金曜日、連合各党は予算委員会において社会民主党と最終予算で合意に達しました。ドイツは年間で5025億5000万ユーロを支出する見込みで、財政記録の更新を目指して活動を続けており、毎年、政治の駆け引きによって支出額は増加の一途を辿っています。
民間部門の深刻な経済不況にもかかわらず、緊縮財政や国家財政の構造的健全化については議論されていない。それでも金曜日には、連立政権関係者の間で予算に関して「ゲームチェンジャー」という言葉が飛び交った。
最高の予算
経済危機の真っ只中にあるこの巨額予算を見て、これは状況を変えるものだと語り、債務予算を最上級の予算と呼んだ連合党の同僚クリスチャン・ハーゼ議員の熱意に呼応したのは、社会民主党(SPD)のトルステン・ルドルフ議員だった。
そして実際、彼らの言うことは基本的に正しい。現実的に計算し、特別基金に隠された債務を公的債務に加えると、今年の総額は1400億ユーロとなり、GDPの3.3%に相当する純新規債務となる。ドイツは現在、マーストリヒト条約の基準を全て違反しており、EUの中央計画立案者と国家主義者によって、財政婉曲表現という永遠の狩場に静かに葬り去られている。
政府高官たちは、当初900億ユーロだった国防予算の増額、そして今後数年間で1500億ユーロへの増額を特に誇らしげに強調した。ハーゼ氏は、これが世界中の敵対勢力に最も強力なシグナルを送ることになると確信していると述べた。「ドイツは再び自国の防衛力を強化している」と。こうした支出への熱狂と並行して、狂信的なパラノイアが渦巻いている。ドイツは財政難のどん底に突き落とされ、今にも沸騰しそうな状況に陥っているのだ。
軍需産業におけるシャンパンの泡
一方、ドイツの軍需産業はおそらく祝杯を挙げているだろう。ベルリンは、既に失敗に終わったグリーン計画経済に加え、第二の人工経済を精力的に構築している。政府関係者は、ロシアを潜在的な侵略国としてプロパガンダ的に描写することで、国民の支持を取り付け、自国の軍需経済構築に必要な資源を搾取するのに十分な効果を上げていると考えているようだ。
まさにこれが現状の方向性です。あらゆる財政赤字は将来の納税者に負担を転嫁し、インフレや増税という形でブーメランのように跳ね返ってくるのです。
ほとんど信じられないことだが、ドイツの昨年の防衛予算は総額約780億ユーロで、GDPの約2%に相当した。
もし最先端の防衛技術に戦略的に投資されていたならば、同盟国と友好国に囲まれた国の防衛を十二分に支えることができただろう。しかし、ブリュッセルでもベルリンでも、国家は人為的に需要を創出することで経済の構造的な弱点を克服しなければならないという考え方が支配的だ。これは使い古されたケインズ主義の処方箋であり、後に残るのは債務の増大と貧困の拡大だけだ。
スパイラルを続ける
今後数年間、債務の暴走は続くと見込まれます。ラース・クリングバイル財務大臣は2026年度予算を5,205億ユーロと計画しており、これはさらに4%の増加となります。
一方、繰り返しになりますが、民間部門は縮小を続けており、必然的に税収は減少します。そのため、ベルリンの財政計画はすべて砂上に築かれ、あまりにも楽観的な前提に頼っています。クリングバイル氏と予算担当者が依然として直面している状況と比べれば、2025年度と2026年度の予算編成はほぼ楽勝と言えるでしょう。
すでに、莫大な資金ギャップが生じている。2027年には約340億ユーロが不足しており、同省は2028年には638億ユーロの「対策が必要」と指摘し、2029年には740億ユーロのギャップが迫っている。
原因の一部は国内で発生している。連邦政府は州税の不足分を補填し、当初の計画より1年前倒しで母親年金を拡充し、同時にコロナ禍での巨額の債務返済を行っている。クリングバイル氏は、ドイツの歴史上、連立政権が300億ユーロの財政赤字に直面したことはないと強調する。そのため、副首相は例年より数ヶ月早く次期予算の策定に着手している。
「ゲームチェンジャー」は実はアクセラレーター
社会予算の格差は、今後数ヶ月、数年で劇的に拡大するだろう。その根底には、政策の行き過ぎたイデオロギーが深く根付いている。それに続く増税騒ぎは既にメディアで準備されており、国民は多かれ少なかれそれを予感している。現在50%である国家のGDPに占める割合は、今後数年間でフランス並みの57%以上にまで達するだろう。
ドイツはこうして社会主義へと不可避的に突き進んでいる。したがって、連邦予算は「ゲームチェンジャー」ではなく、むしろ火に油を注ぐものなのだ。
今後数年間に債券市場が劇的に上昇する利回りを通じて強引な財政再建を強いない限り、フリードリヒ・メルツ首相は、第二次世界大戦後初めて国を債務スパイラルに陥れた指導者としてドイツの歴史に名を残すことになるだろう。
そうなれば、ベルリンの誰も経済状況を過小評価していたと主張できなくなるだろう。ドイツの崩壊は、最も明るい日のまばゆいばかりの光の中で展開する。
ドイツ連邦共和国は進化論的に政党国家へと退行し、政治カルテル間の致命的なコンセンサスが経済危機克服の戦略を左右するようになった。危機を引き起こしたまさにその癌――イデオロギー的規制と残忍な国家主義――が、今や人為的に転移を促されている。ドイツは、他の深刻な問題を抱えた患者たちに囲まれているにもかかわらず、再びヨーロッパの病人となっている。
ボリビアで エボ・モラレス 率いる社会主義運動(MAS)を選挙で倒すのに20年かかった 。
この地域では、20年にわたる政治的な争いと、いわゆる「文化戦争」が深く根付いている。
MASはウゴ・チャベスからの資金援助によって権力を掌握 した 。チャベスはベネズエラの莫大な石油収入を武器に、 南米のほぼすべての国で選挙活動に資金を投入した 。長きにわたり、チャベスとその同盟国はコロンビアを除く南米を事実上掌握していた。
しかし、ベネズエラ危機は彼らを危険にさらした。政治キャンペーンの資金が枯渇しただけでなく、 チャベスとマドゥロによる社会主義の悲劇的な事例――より良い生活を求めて900万人 以上の 人々が国外に逃亡した ―― は、国家 が経済を規制・統制する システムがもたらす混乱に対する、最も厳しい警告となった 。
8月17日、ボリビアで左派が権力を失ったのは、それだけではなかった 。最も衝撃的だったのは、それがいかに壊滅的な形で起こったかということだ。国内要因に加え、予期せぬ外的影響も影響を与えた。 アルゼンチンにおけるハビエル・ミレイの台頭だ。
社会主義の選択肢の選挙での崩壊
ボリビアの次期大統領は未だ決まっていない。野党のロドリゴ・パス氏とトゥト・キロガ氏は、10月19日に予定されている決選投票に進出した。一方、与党MASは 歴史的な敗北を喫した。同党の候補者は得票率4%に届かず、議会では社会党の議席が 75議席からわずか1議席にまで減少した 。この崩壊は、党内の対立も一因となった。
同党の歴史的指導者であるエボ・モラレスは、当初ルイス・アルセを支持していた。しかし、就任後、アルセはモラレスから距離を置き始めた。これは、モラレスによる 政府の決定への 干渉と、アルセ自身に対するエフェボフィリア(性的虐待)の疑惑が一因 となっている。アルセは最終的にこれらの容疑で有罪判決を受けたが、現在も自由の身であり、自らが 「土着の親衛隊」と呼ぶ部隊に守られている。
しかし、MASの崩壊は政治だけでは説明できない。ボリビアは 数十年ぶりの最悪の経済危機に見舞われていたのだ 。
次のような多くの要因が影響しました:
エネルギー部門の崩壊:国の主な収入源であるガス生産量は、 2014~2015年の1日当たり6,000万立方メートルから2025年にはわずか2,800万立方メートルに急落した。不適切な管理とメンテナンス不足により輸出量が大幅に減少し、対外貿易も減少した。
枯渇した外貨準備:ボリビアは2014年に150億ドルの外貨準備高を保有していましたが、2025年には20億ドルを下回りました。これにより、政府は補助金の維持や燃料の輸入を正常に行うことが不可能になりました。
軽油とガソリンの不足:ガソリンスタンドの66%が軽油の販売を停止し、38%がガソリンの販売を停止しました。多くの都市では、 11時間以上も行列が続きました。この危機は農業と交通に深刻な打撃を与え、政府は 燃料輸入のための暗号通貨による決済を認可しました。
食糧危機とインフレ: 米、肉、魚などの主食の価格は1年間で最大58%上昇しました。2025年6月には年間インフレ率が23%に達し、 食料インフレ率は17~24%で推移しました。
蔓延する貧困:世界銀行によると、ボリビア人の35%以上が現在貧困状態にあり、極度の貧困は約 11%に上ります。多くの世帯では、1日3食だった食事が1食にまで減っています 。
債務と財政赤字:公的債務は 2024年末に GDPの95%に達し、財政赤字はGDPの7%を超え、財政余地は残っていない。
一般のボリビア国民は、この崩壊を身をもって体験した。ガソリンスタンドの長蛇の列、食料価格の高騰、そして自国通貨の価値が下落したことでドルが入手できなくなった。こうした状況が重なり、MASへの支援は残っていた限りなく失われた。
ミレイ・ファクター
一方、隣国アルゼンチン――数年前に同様の危機に直面した国――では、髪を振り乱した自由主義者が国を 新たな方向へと導こうとしていた。彼はチェーンソーをシンボルに掲げ、公共支出、公務員給与、そして国家による経済統制の削減を誓い 、「自由万歳、ちくしょう!」と叫んで選挙運動を展開した。
当初、彼を真剣に受け止める人はほとんどいませんでした。しかし、2年後には国際的な現象となりました。 ミレイはあらゆる困難を乗り越えて大統領選に勝利し 、国家の縮小と経済の自由化という公約をまさに実行に移しました。
ミレイ大統領は、2023年12月に年間インフレ率211.4%を記録したアルゼンチンを引き継ぎました。2025年5月までに消費者物価指数はわずか1.5%の上昇にとどまり、過去 5年間で最低の水準となりました。貧困率は52.9%から 38.1%に低下しました。かつてハイパーインフレと貧困の瀬戸際と見られていたアルゼンチンは、急速に回復し始めました。
ボリビア国民はこれに気づきました。決選投票に進出したロドリゴ・パス氏とトゥト・キロガ氏の両候補は、公共支出の削減と国家規模の縮小を公約しました。この変化はすでに地域の潮流となっています。
ラテンアメリカの右傾化
ボリビアでMASが敗北する前、エクアドルはダニエル・ノボアを 大統領に選出していた。彼は米国寄りで 、この地域の社会主義体制からは距離を置いていた。ほぼ同時期に、アルゼンチンのハビエル・ミレイも勝利を収めた。今度はボリビアだ。この地域の政治地図は一歩一歩、変化しつつある。
今後数ヶ月のうちに、 チリとホンジュラスで大統領選挙 が行われます。両国とも左派政権です。 両国の世論調査 では、現在、中道右派の候補者が勝利する可能性が高いことが示されています。これらの候補者は、社会主義を公然と拒否し、国家の過剰な介入を批判し、キューバ、ベネズエラ、ニカラグアにおける残虐行為を非難し、 中国、ロシア、イランではなく米国との戦略的パートナーシップを主張しています。
彼ら全員が「リバタリアン」や、ミレイ氏のようなハイエクの経済思想の信奉者と言えるわけではない。しかし、彼らは、この地域が近年陥っている国家主義、抑圧、麻薬密売カルテルへの巻き込みからは程遠い存在である。また、地域の安全保障、移民問題、経済問題に関して、ワシントンとの協力にも意欲的であるようにみえる。
注目すべきは、アルゼンチンの現象がいかにして地域の力学を変化させたかということだ。
政府からの援助に長らく慣れ親しんできたラテンアメリカでは、大統領候補者たちはもはや補助金や社会保障制度の拡充を競うのではなく、より大幅な歳出削減、政府の縮小、そして個人の自由の拡大を約束することで競い合っている。
「自由万歳、くそっ!」という叫びはブエノスアイレスで始まり、ラパスに響き渡り、ラテンアメリカの残りの国々は今、大陸の政治情勢を一変させつつある自由主義の波に加わるために投票箱で順番を待っている。
インフレ率は2021/2022年の最高値9%からは大幅に低下しているものの、依然として 2.7%とやや高い水準にある。
しかし、もっと重要なのは、人々が依然としてインフレ危機の永続的な影響に対処するのに苦労していることだ 。
Statistaのフェリックス・リヒター氏が次のグラフで示しているように、 2025年6月と7月に実施された新しい消費者インサイト調査によると、米国の成人の49%が、 生活費の高騰が 現在直面している最大の課題の一つであると回答しており、これが圧倒的に最も一般的な回答となっています。
インフォグラフィック:生活費はアメリカ人が直面する最大の課題 | Statista
Statistaでさらに多くのインフォグラフィックをご覧ください
インフレが落ち着くと物価が下がるというのはよくある誤解ですが、実際にはインフレが高かった時期は 物価の高騰という負の遺産を残します。
労働統計局によると、米国の消費者物価は2021年1月以降22.7%上昇しており、一部のカテゴリーではそれよりもさらに急激な値上がりが見られています。
食料品価格は25パーセント上昇し、家賃はほぼ27パーセント上昇し、交通費は28パーセント上昇しました。
しかし、名目賃金は2021年1月以降わずか21.8%しか伸びておらず、 多くの人々の生活は ほぼ5年前よりも悪化している。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
ロンドン — 急増する電力需要により原子力エネルギーへの関心が再燃しているが、巨額の資本要件と不確実な政治・規制環境により、原子力部門の財政能力に疑問が生じている。
テクノロジー大手は、エネルギー集約型データセンターに電力を供給し、AIへの野望を実現しようと、原子力エネルギーへの投資に資金を注ぎ込んでいる。
AIとデータセンターは「炭鉱のカナリア」だと、世界原子力協会(WNA)のサマ・ビルバオ・イ・レオン事務局長は会議に先立ちCNBCに語った。「私たちはようやく、電力とエネルギー全般の需要は増加の一途を辿ることを認識した。しかし現実には、経済のあらゆるセクターがより多くの電力を必要とすることになるだろう。」
レオン氏は、AIに加えて、できるだけ早く電化を目指している冶金産業向けの原子力エネルギーから、化学、海洋、船舶輸送部門まで、応用範囲は幅広いと述べた。
先週、世界最大のウラン・原子力企業の最高経営責任者、専門家、投資家らがロンドンのロイヤル・ランカスター・ホテルで開かれた世界原子力協会(WNA)の年次シンポジウムに集まり、増大する世界の電力需要をいかに満たすかという問題が中心的な議題となった。
会議での議論を開始したレオン氏は歓迎の挨拶で出席者に対し、このイベントは単なる会話の域を超えようとする「実務サミット」であると語った。
モルガン・スタンレーの推計によると、2025年までの原子力バリューチェーンへの投資は2.2兆ドルに増加すると予測されており、これは2024年の予測である1.5兆ドルから増加している。この投資水準は、政府、銀行、その他の金融機関が十分な財政能力を提供する上で果たす役割について疑問を投げかけている。
投資上の課題
原子力エネルギーは、より断続的な再生可能エネルギーと比較して、より信頼性の高い24時間365日供給可能なエネルギー源であると言われています。小型モジュール炉(SMR)の開発は、その規模により、より拡張性の高い電力ソリューションを提供します。IEAによると、 SMRへの投資回収期間は、大規模プロジェクトで通常20~30年かかる期間の半分です。
しかし、SMRはまだ商業段階に達しておらず、計画されているプロジェクトのほとんどは2030年まで稼働しない。多額の資金が約束されているものの、米国では過去15年間、新たな大規模原子力プロジェクトは実施されていない。
「原子力に関して金融セクターがまず好ましい状況にあるのは、彼らが原子力への融資に前向きであることです」と、市場・商業アドバイザリー会社オールド・エコノミーの創業者マヘシュ・ゴエンカ氏はWNAの傍らでCNBCに語った。「数年前、多くの銀行が原子力プロジェクトへの関与をためらっていた頃は、そうではありませんでした。しかし、状況は変わりました。今、残る疑問は、彼らが原子力プロジェクトへの融資にリスク許容度を持っているかどうかです。」
課題としては、予算の超過、建設のリードタイムの長さによるプロジェクトの納品の遅れ、取り組みの技術的な複雑さ、ライセンスの取得の難しさなどが挙げられます。
ゴエンカ氏は西側諸国を中国と比較した。中国の金融機関は、原子力プロジェクトが予定通りに予算内で完成し、他のインフラプロジェクトよりも高い利益率が得られるため、喜んで融資する。一方、西側諸国では長らく新規原子炉の建設が進んでおらず、学習速度はまだ十分ではないとゴエンカ氏は述べた。
米国の原子力発電設備のほぼ全ては、1967年から1990年の間に建設された原子炉によるもので、2013年にジョージア州のボーグル原子力発電所の建設が開始されるまで、新規の建設はありませんでした。一方、英国で最後に建設された原子力発電所は、1995年に稼働を開始したサイズウェルBです。
BNPパリバのエネルギー・資源・インフラ担当マネージングディレクター、マーク・マルダウニー氏は、原子力への投資は「本質的に政治的なプロジェクト」だと述べた。顧客は原子力への投資にかなり前向きになっているものの、コストと建設期間をめぐる不確実性は依然として残っているとマルダウニー氏は指摘した。
「プロジェクトファイナンスのような技術が単独で大規模な原子力プロジェクトの資金調達に使えるようになるまでには、まだ何年もかかるだろう」と同氏はパネルディスカッションで語った。
「たとえ請負業者にその意思があったとしても、そして概してそうではないとしても、これらのプロジェクトに伴うリスクによって破産するでしょう。つまり、政府かその国の電力消費者が責任を負うことになるでしょう。場合によっては、電力会社が仲介役を務める可能性もあります。」
政府の支援は依然として必要
原子力発電所は、最も資本集約的な資産の一つです。例えば英国は、サフォーク海岸に2基の原子炉を備えた巨大な原子力発電所の建設を承認しました。この発電所は3.2ギガワットの電力を発電する予定です。政府によれば、これは600万世帯分の電力を賄うのに十分な量です。しかし、政府が過半数所有するこのプロジェクトの費用は380億ポンドにまで跳ね上がり、当初の目標額200億ポンドを上回っています。
他の大規模プロジェクトも同様の問題に直面しています。ジョージア州ウェインズボロのボーグル原子力発電所は、計画が数年遅れ、開発中に予算が2倍以上に膨れ上がりました。英国のヒンクリーポイント原子力発電所は、初期段階でセキュリティリスクに関する多くの懸念に直面し、予算は推定400億ポンドにまで膨れ上がりました。
エスコムの企業金融アドバイザリー部門の上級幹部、トレバー・マイバーグ氏は、民間部門が「特効薬」となって原子力エネルギーへの資金調達問題を解決することはできないと強調した。
マイバーグ氏は水曜日のパネルディスカッションで、原子力開発において官民連携が「極めて重要」になるだろう、特に新興国においてはそうだと述べた。
スイス(現在は原子力発電所の新規建設を禁止しているが、この動きを撤廃する法案を起草している)やドイツなど一部の欧州諸国は依然として原子力エネルギーに反対しているが、英国、フランス、米国などの政府はこのエネルギー源に傾倒している。
ドナルド・トランプ米大統領は今年初め、原子炉の開発を加速させ、 2025年までに原子力発電能力を4倍にすることを目的とした一連の大統領令に署名した。
トランプ政権のこのような行動は、原子力エネルギー政策に積極的な姿勢を「強化」したとウラン・ロイヤルティ・コーポレーションのスコット・メルビーCEOは述べた。
「この政権は、小型モジュール炉、先進炉、大型原子炉の建設だけでなく、核燃料サイクルの推進も促進するために、実に具体的な措置を講じている」とメルビー氏はWNA出席者らに語った。
投資家のアルファ・カラニ氏は、新興企業、特に原子力関連技術を提供する企業で機会を見つけることに対する投資家コミュニティの関心が高まっていると指摘した。
特に英国政府は、クリーンテクノロジー分野の投資家を確保するスタートアップ企業の創業者を支援するために、より「実践的な」アプローチを採用していると彼女は述べた。
「規制は自ずと解決されなければなりません。もはや『どこから資金を調達するか』という問題ではありません。なぜなら、今やそれは突如として国家安全保障、世界的権力、そして世界的支配の問題となったからです」と彼女はCNBCに語り、AIと原子力への資金提供に対する米国のコミットメントは「解決不可能と思われていた問題が突如として解決可能になることを意味し、これは原子力にとって非常に喜ばしいことです」と付け加えた。
●その他
備忘録(2025/9/5-7)
●企業
コンシューマーヘルス製品のケンビュー<KVUE>が大幅安。ケネディ米保健福祉省長官が「アセトアミノフェン」と自閉症の関連を発表する予定だと伝わったことが嫌気されている。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると長官は、妊婦による市販鎮痛薬「アセトアミノフェン(タイレノール)」の使用が自閉症と関連する可能性があると発表する予定だと伝えている。同社はタイレノールのメーカー。
ケネディ長官はまた、葉酸由来の薬剤が一部の人において自閉症の症状治療に利用できることも示唆する見込みで、報告書は今月中に公表される予定だという。
タイレノールの製造元ケンビューの株価は、ロバート・F・ケネディ・ジュニア副大統領が、市販の鎮痛剤を妊婦が使用することと自閉症との関連がある可能性があると発表する予定であり、その発表では葉酸由来の薬が一部の人の発達障害の症状を治療するのに使用できる可能性も示唆するとのウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道を受けて急落している。
「事情に詳しい人々」が情報源としており、保健福祉省から今月中に発表される予定のこの報告書は、重要なビタミンである葉酸の低レベルや、1955年以来大量生産されているタイレノールの妊娠中の摂取、その他自閉症の潜在的な原因について強調するものとみられる。
関係者によると、ケネディ氏の保健省はまた、2022年に米国で8歳児のおよそ31人に1人が罹患する自閉症の症状を軽減する方法として、葉酸の一種であるフォリン酸、またはロイコボリンを特定する計画もあるという。
アセトアミノフェンを有効成分とするタイレノールは、数十年にわたり広く使用されている鎮痛剤であり、妊婦にも広く使用されています。これまでのいくつかの研究では胎児の発育へのリスクが示唆されていますが、他の研究では関連性は認められていません。米国産科婦人科学会(AOCG)は、タイレノールは妊娠中の使用は安全であるとしていますが、他の薬剤と同様に、妊娠中の女性は使用前に医師に相談することを推奨しています。
タイレノールは、ケンビューの一部門であるマクニール・コンシューマー・ヘルスケア社によって製造されており、他の企業も同様のアセトアミノフェンベースの製品を製造している。
「当社にとって、製品を使用する人々の健康と安全以上に重要なものはありません」と、ケンビュー社の広報担当者はウォール・ストリート・ジャーナル紙に語った。「当社は科学的根拠を継続的に評価しており、妊娠中のアセトアミノフェン使用と自閉症の間に因果関係はないと考えています。」
もちろん、金曜日の夜遅くに突拍子もない出来事が起こっても誰も驚かない市場では、KVUE の株価は急落し、12% の価値を失った。これは、RFK Jr.、ロングヒル、ショートタイレノールのペア取引がここ数十年で水浸しになっていたためだ。
●マクロ
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は5日、第1次トランプ政権下の2019年に、米海軍特殊部隊SEALS(シールズ)が北朝鮮に上陸し、盗聴装置を設置する極秘作戦を試みたものの失敗したと報じた。作戦の過程で北朝鮮の民間人数人が射殺されたという。
トランプ氏が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との歴史的な会談に臨んでいた時期と重なる。同紙は現職および元軍当局者を含む関係筋の話として、トランプ氏が作戦を承認していたと伝えた。
この報道について問われたトランプ氏は「何も知らない。初めて聞いた」と述べた。
NYTによると、北朝鮮の民間人は貝類を採っていたところ、夜間に海岸へ上陸したシールズの部隊と遭遇したとみられる。隊員が発砲し、小型漁船に乗っていた全員が死亡したという。犠牲者の数は明らかにされていない。
トランプ氏と金氏による首脳会談は決裂し、その後、北朝鮮は核兵器およびミサイルの開発計画を推進している。
メキシコ北部、米テキサス州エルパソの国境対岸にあるシウダーフアレス。装飾用リボンをつくるデザイン・グループ・アメリカズの工場で、ファビオラ・ガリシアさんは現場の生産ラインから11年かけて昇進し、30人を率いるマネジャーになった。流れは突然変わる。今年6月、勤務は週3日に減らされた。8月、同社は破産保護を申請し、担当者は工場の閉鎖を決めた。職を失ったのは彼女ひとりではない。約300人が一度に仕事を失った。
会社は裁判所への提出書類で、業績不振の一因としてトランプ米大統領が課した関税を挙げた。ガリシアさんの耳にも担当者の言葉が残る。「関税が会社に響いた」。同社で働いていた夫も解雇された。人員削減についてのコメント要請に、同社は応じていない。
世界各地から原材料をほとんど無関税で仕入れ、仕上げた製品を米国へ送り出す。そんなシウダーフアレスの組立工場が、今、危機にある。賃金上昇に加え、左派の与党・国家再生運動(MORENA)による改革に対する投資家の警戒が強まる中、トランプ氏の世界規模の貿易戦争がさらに追い打ちをかけた。
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マキラドーラとして知られるこの種の工場は、シウダーフアレスの雇用の約60%を支える。メキシコ有数の製造拠点として長年走り続けてきたこの都市は近年、「ニアショアリング」の波に乗ってきた。中国製品への米国関税を避けるため、多国籍企業がメキシコへ移る動きだ。だが、好況は終わり、現場では人減らしが進む。工場を畳む例も出はじめた。
メキシコ国家統計地理院によれば、2023年6月から2025年6月までの2年間で、フアレス市の工場雇用は6万4000超減った。うち約1万4000は今年上半期に集中する。
<チェリー・オン・トップ>
米国との自由貿易に依存するメキシコ経済の脆さが、今回の大量解雇であらわになった。トランプ氏が断続的に関税を発動する中、企業は事業継続に苦慮する。2025年の実質GDP成長率の見通しは1%を割り込んで停滞している。
マキラ協会インデックス・フアレスの副会長、マリアテレサ・デルガド氏は「業界は危機的状況にある」と言い切る。彼女とビジネスの有識者6人は、解雇の背景に複合的な要因を挙げる。
連邦政府による最低賃金引き上げの後、工場の利幅は縮んだ。メキシコ北部の最低賃金は2019年の時給22ペソ(約172円)から、現在は52.48ペソに上がった。23年には、前大統領が任命制の判事を公選制に改める大規模な司法改革を打ち出し、司法の独立が揺らぐとの懸念から海外マネーは足踏みし始めた。改革は今年、施行された。
決定打はトランプ氏の貿易戦争だったと、デルガド氏は言う。メキシコの輸出の多くは無関税で米国に入るが、自動車、鉄鋼、アルミニウム、一部の繊維には高関税がのしかかる。「トランプ氏の関税は、とどめの一撃だった」
資金の流入も細る。2025年1ー3月のメキシコへの海外直接投資は前年比21%減。シウダーフアレスのあるチワワ州では、製造業への海外直接投資が8億ドルから3億4800万ドルへと56%も落ち込んだ。州のイノベーション・経済開発庁トップのウリセス・アレハンドロ・フェルナンデス氏は言う。「不確実性がビジネスの空気を変えている。通商政策の行方が見えるまで、企業は意思決定も新規投資も遅らせている」
すでにシウダーフアレスから撤退した企業も出ている。賃金の安い国へと生産を移したり、関税回避のため米国内に投資する動きが進む。
今年初め、自動車部品製造のリア・コーポレーションは、一部の生産ラインをシウダーフアレスからホンジュラスへ移すと発表した。需要の変化と北部国境地域での賃上げに対応し、コストを削る広い戦略の一環だ。仏の電子機器メーカー、ラクロワは年内にこの地での操業をやめる計画を明らかにし、北米撤退の主因に、継続的な損失と通商の不確実性を挙げた。
地域の企業連合「ボーダー・ブロック・トレード」を率いるソル・サライアンディア氏も、くぎをつくる自社の金物工場で人員を削った。2023年に約90人いた従業員は、今や20人に減った。「顧客はコストを切り詰めている。昨日は注文があったが、今日は無し、だ」
株価の下落に苦しむ米国の医療保険会社は、過去15年間で最大の保険料値上げを実施しており、米国の消費者が高額な保険料負担に苦しんでいるのではないかという懸念が高まっている。
保険会社の一つ、ユナイテッドヘルスは、値上げの理由としてドナルド・トランプ大統領の貿易戦争による関税を挙げている。
マーサーの報告書によると、企業の従業員向け健康保険プランの費用は2026年に平均6.5%上昇すると予想されており、これは過去15年間で最大の増加幅となる。非営利の医療政策研究団体KFFによると、政府の保険取引所で医療保険に加入している人の場合、2026年の平均上昇率は18%で、昨年の7%上昇の2倍以上となる。
これらの保険料の値上げは、アメリカ人が家計支出の増加に直面している中で起きている。全米独立企業連盟(NFIB)の7月の報告書によると、企業の3分の1が値上げを計画しており、これは昨年3月以来の最高値である。米国の公益事業会社は290億ドルの値上げを求めており、これは前年同期比で142%の増加となる。8月の米国消費者物価指数は来週発表される。
S&P500種株価指数構成銘柄の中で今年3番目に低いパフォーマンスを記録しているセンテネは、コスト増加を理由にアーカンソー州知事サラ・ハッカビー・サンダース氏から批判を浴びている。サンダース氏は今月初め、同社が健康保険料を最大54%引き上げる提案を行ったことを激しく非難した。
「アーカンソー州民は、数十億ドル規模の保険会社から法外な請求書を受け取ることにうんざりしている」とサンダース氏は述べ、州の保険長官にセンテネ社の値上げを拒否するよう求めた。
ユナイテッドヘルスは、メリーランド州とオレゴン州において、関税に関する不確実性と医薬品生産の米国回帰コストを考慮し、特定の保険料をそれぞれ2.4%と2.7%引き上げると発表しました。また、オハイオ州では、関税リスクを考慮して保険リスクマージンを0.5%引き上げています。
関税の不確実性により、保険会社は保険料の引き上げを余儀なくされており、「その結果、消費者はその追加費用を負担せざるを得ない」とKFFの政策アナリスト、マット・マクガフ氏は述べた。「この不確実性のツケを払うのは保険会社だ」
人々は関税が医療費に反映されるとは思っていないかもしれないが、「保険会社の示す兆候は、そのことを示している」と彼は述べた。
ミネソタ州に拠点を置くユナイテッドヘルスはコメントを控えた。同社の株価は年初来で38%下落しており、S&P500指数構成銘柄の中でもパフォーマンスが最も低い銘柄の一つとなっている。同社の今年の規制当局への提出書類では、関税をリスクとして言及していない。その代わりに、医療費の高騰が収益を圧迫していると主張している。また、同社はメディケアの請求慣行をめぐり刑事捜査を受けている。
ユナイテッドヘルスの料金関連コストの増加は、2010年に制定された医療費負担適正化法(通称オバマケア)に基づく保険に関連しています。今年、約2,400万人のアメリカ人が医療保険としてACAを利用しましたが、ACAの保険料を補助する税制優遇措置は今年末に終了します。KFFの報道によると、その結果、米国の保険会社は健康な患者を失い、高額な医療を必要とする人々の医療費を負担せざるを得なくなることを懸念しています。
センテネはコメント要請に応じなかった。同社の株価は2025年には52%下落する見込みだ。
米国の公的年金基金は、引受基準の緩和と信用リスクの増大を懸念し、民間の信用投資に配分する資本を減らしている。
フィナンシャル・タイムズが公開記録を分析したところ、米国の主要公的年金基金70社が、今年上半期のプライベート・クレジットへの配分が前年同期比で18%減少したと報告している。公的年金は同セクターにとって主要な資金源となっているが、金融データプロバイダーのプレキンによると、北米における資金調達は今年上半期に全体で40%減少した。
州および市の年金基金はフィナンシャル・タイムズに対し、今年初めから新たな民間信用管理会社に対する監視を強化し、資金配分を一時停止していると語った。
この引き下げは、民間投資ファンドが中小企業への主要融資者となったことで生じた好景気に対する機関投資家の不安の高まりを浮き彫りにしている。
投資コンサルタント会社マーサーの米国チーフ投資ストラテジスト、ジェイ・ラブ氏は、民間クレジットへの資金流入について「流入する資金が増えれば増えるほど、魅力的な案件に配分できる割合は低くなる」と述べた。
近年、民間融資は、資本規制の厳格化やシリコンバレー銀行などの地域金融機関の逼迫により中小企業向け融資から手を引き、その空白を埋める形で繁栄している。
この資産クラスは、限定的なリスクで1桁から2桁の高いリターンを提供することで投資家を惹きつけています。連邦準備制度理事会(FRB)の推計によると、米国のプライベート・クレジット・ビークルの運用資産総額は、2024年には5年前の2倍以上となる1.4兆ドルに達する見込みです。
これまで、公的年金基金は好景気の牽引役として重要な役割を果たしてきた。昨年11月に全国公務員退職年金制度協議会が438の公的年金基金を対象に実施した調査によると、民間債務への平均配分は3年前の0.7%から4.1%に急増した。
しかし、民間信用の暴走が機関投資家から個人投資家にまで広がるにつれ、年金基金は縮小し始めている。
公的記録によると、総額440億ドルのアイオワ州公務員退職年金制度は、今年最初の5か月間で1億ドルを拠出した後、年間5億5000万ドルの民間信用枠の割り当てを一時停止した。
6月の取締役会で、最高投資責任者のスリラム・ラクシュミナラヤナン氏は、ファンドは翌月に新たな民間信用融資のコミットメントを再開するが、将来の投資には「かなり高い」ハードルを設定したと述べた。
24億ドルの資産規模を誇るシンシナティ退職年金制度も、新たな民間信用管理担当者の採用計画を棚上げした。「今後6ヶ月で何が起こるか、様子を見たい」と、最高投資責任者(CIO)のジョン・サルストロム氏は述べた。
こうした慎重な姿勢から、多くのファンドはプライベートクレジットへの配分を当初の計画よりも減らしました。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが70以上のファンドを対象に行った調査では、6月に目標未達率が66%に上り、1月の63%から上昇しました。
多くのプランがトランプ大統領の関税戦争と税制改革法案が投資成果に与える影響の測定に苦戦する中、一部の運用会社は政策の不確実性を要因として挙げている。
アイオワ州公的年金基金のシニア投資責任者、パット・ラインハート氏は、6月の理事会で、トランプ大統領による4月の包括的関税発表後の市場ボラティリティを理由に、プライベートクレジットへの投資を一時停止したと述べた。「更なるコミットメントを進める前に、一歩下がって状況を見守るのが最善だと判断した」とラインハート氏は述べた。
年金基金側も、民間信用ファンドの急増により融資基準が弱まり、債務不履行リスクが高まる可能性を懸念している。
460億ドルのテキサス市町村退職年金制度の最高投資責任者(CIO)であるヤップ・キム氏は、小売業の急増が資本の過剰供給につながり、「契約条件、構造的保護、引受基準の緩和」につながる可能性があると述べ、こうした傾向は最終的には年金にも影響を及ぼすだろうと警告した。
「個人投資家の資金が流入するたびに、彼らの期待するリターンやリスク・リターンは、100年以上の歴史を持つ金融機関の期待に見合わない可能性がある」と同氏は語った。
運用資産850億ドルのアラスカ・パーマネント・ファンド・コーポレーションのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、ロス・アレクサンダー氏は、長期にわたる高金利と不透明な米経済見通しによって、民間債務不履行が「必然的に」増加する可能性があり、問題がさらに悪化していると述べた。
アレクサンダー氏は、アラスカは資産回収の経験を持つ民間の信用管理会社と協力し、ファンドの収益が「より良く保護される」ようにしたいと述べた。
「民間信用市場で起きている事態を鑑みると、債務整理と、何か問題が起きた時に何が起こるかに焦点を当てることが、これまで以上に重要になる。なぜなら、問題は必ず起こるからだ」と同氏は付け加えた。
こうした懸念にもかかわらず、一部の年金基金は、慎重な計画によって過度のリスクなしに超過収益を生み出せると考え、依然として民間信用枠の拡大に熱心である。
運用資産2,950億ドルのニューヨーク市退職年金制度の最高投資責任者(CIO)スティーブン・マイヤー氏は、同基金は今後数年間で投資適格級および資産担保型プライベートクレジットを追加することで、6月までの12か月間で9.5%の利回りとなったプライベートクレジットへの配分を「数パーセントポイント」増やすことを検討していると述べた。
「我々はプライベート・クレジットに全面的に注力しています」と彼は述べた。「流動性の低さと複雑さを犠牲にしてでも、より高いリターンを得る覚悟です。」
おかえりなさい。景気後退とは何でしょうか?一般的にはよく使われる、しかしあまりにも単純化された表現は、2四半期連続の経済成長がマイナスになることです。しかし、米国では、全米経済研究所(NBER)のテクノクラートによって決定された、より洗練されたアプローチが採用されています。
「景気後退とは、経済全体に広がる経済活動の大幅な低下が数か月以上続くことです」と民間非営利団体は述べている。
米国のGDPは、第1四半期の縮小後、今年第2四半期に年率換算で増加しました。これは、米国が基本的な定義によれば景気後退を回避したことを意味します。NBERのより広範な基準でも同様の結果が見受けられます。
どのように定義されるにせよ、この号では、不況というレッテルが、特に世界最大の経済大国に当てはめられた場合には、特に意味をなさない理由を概説する。
NBER が景気後退の始まりを判断するために使用する主な 6 つの指標を下のグラフに示します。
5月は6つの指標すべてが前月比で縮小、もしくは縮小に近づいた。ここ数ヶ月はいずれも弱い状況が続いているが、NBERの基準を満たすほど悪くはないかもしれない。
しかし、カリフォルニア大学サンタクルーズ校の経済学教授パスカル・ミシャイヤット氏は、研究機関のアプローチに頼ることには2つの大きな欠点があると指摘する。
「失業率や空室率を軽視しすぎている」と彼は言う。「また、データや修正を待つため、景気後退は始まってから数ヶ月後に宣言されることがよくある」
全米経済研究所(NBER)の研究員でもあるミシャイヤット氏は、1世紀にわたる広範な労働市場データで訓練されたリアルタイムの景気後退検知アルゴリズムを使用し、米国経済が5月にすでに景気後退に入っていた確率は71%だと推定している。
「NBERの他のデータは役に立つように見えるかもしれませんが、労働市場はより根本的な現実を反映しています。求人数の減少と失業率の上昇は、私の見解では、広範な経済危機のより信頼性の高い指標です」と彼は述べています。実際、7月には求職者数が求人数を上回りました。これは2021年以来のことです。
多くのアメリカ人はミシャイヤット氏の評価に同意するだろう。エコノミスト誌とユーガブが8月初旬に行った世論調査では、回答者のほぼ半数が米国経済は「悪化している」と回答した。約3分の1は米国はすでに景気後退に入っていると考えており、28%は確信が持てないと回答した。NBERの任務は明らかに困難で主観的であり、データの複雑さも伴う。(私は昨年、FTアルファヴィル紙にアメリカの不透明な雇用統計について寄稿した。)
そもそも、景気後退という用語自体があまり役に立たない。購買力平価ベースで他のG7諸国の合計よりも大きい米国経済の規模では、多くの州、産業、そして世帯が景気後退に直面する一方で、他の地域では景気拡大が経済活動全体を押し上げている可能性がある。
すると、もっと有益な疑問は、いくつかの国家レベルの指標が弱体化しているにもかかわらず、米国が浮上し続けているのはなぜか、ということだ。
ドナルド・トランプ米大統領の2期目において、経済の回復力は主に、少数の州、人工知能、医療、富裕層という4つの限られた源から生まれてきた。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、全米経済研究所(NBER)と同様の手法を用いて、米国のGDPの約3分の1を占める州が景気後退に陥っているか、または景気後退の危険性が高いと結論付けている。
「景気後退に見舞われている州は全米に広がっています」と彼は言う。これには中西部やラストベルト(ラストベルト地帯)の一部も含まれる。「カリフォルニア州、テキサス州、ニューヨーク州は、合計で米国のGDPの約3分の1を占めており、持ちこたえています。これらの州の安定は、米国経済が景気後退を回避するために不可欠です。」
産業の地理的分布は、米国の各地域のパフォーマンスを決定する重要な要素です。
ザンディの計算によると、農業、製造業、建設業は景気後退に陥っており、農村部や工業地帯の州にも打撃を与えている。これらは、トランプ大統領の関税と貿易相手国の報復措置の影響を最も受けやすい財生産部門である。
政府の歳出削減と関連した連邦政府部門の低迷も、ワシントンDCの経済を減速に追い込んだ。
「ヘルスケア、テクノロジー、不動産は拡大している一方、金融サービス、小売、ホスピタリティは停滞している」と彼は付け加えた。
関連して、AI ブームは特定の州や産業に活気をもたらしました。
「AIは主に大都市のオフィステクノロジーです。そのスーパースターやスターハブの多くは、カリフォルニア州の沿岸都市、テキサス州のビジネス都市、そしてボストンからワシントンD.C.までの回廊地帯にあります」と、ブルッキングス研究所のシニアフェロー、マーク・ムロ氏は述べています。「データセンターの建設も全米で活況を呈していますが、これは建設活動の短期的な急増に繋がるだけです。」
パンテオン・マクロエコノミクスは、AI関連の支出がなければ、米国のGDPは上半期に年率わずか0.6%、つまり実際の成長率の半分しか伸びなかっただろうと推計している。
AI関連の支出の急増以外にも、金利上昇と不確実性の重圧により、米国経済の他の分野での民間投資は今年縮小し始めている。
パンテオンは最近の調査ノートで、第2四半期の民間固定投資総額は前年同期比で約3%増加したが、AI関連の要素を除けば約1.5%減少していただろうと述べている。
データセンター建設の年間ペースはトランプ大統領の2期目を通じて増加したが、住宅、製造業、その他の商業ビル建設は減少した。
ザンディ氏の研究が示唆するように、ヘルスケア業界も経済を牽引している。
金曜日に発表された8月の非農業部門雇用者数は、わずか2万2000人の増加にとどまったが、この部門がなければマイナスになっていただろう。トランプ政権2期目に入ってからこれまでに59万8000人の雇用が創出されている。そのうち86%にあたる51万5000人が医療・社会福祉関連の仕事だ。
4月以降、労働統計局の民間部門雇用者数DIは50を下回り、雇用者数の増加よりも雇用削減の方が多くの部門で増加していることを示しています。これは景気後退期以外では珍しいことです。
このニュースレターの5 月 18 日号で述べたように、ヘルスケア関連の仕事は業界の活況を反映しているというよりは、病気を反映していると言えます。
実際、昨年の米国GDPの12%を占めた医療費に対する家計支出は、第1四半期の実質消費者支出の年間成長率がマイナスになることを防いだ。
より広い視点で見ると、米国の年間GDPの約3分の2を占める実質消費者支出は今年に入って減速している。
モーニング・コンサルトの新たな消費者健康指数は、労働市場の動向と消費者心理を組み合わせて短期的な支出の尺度を提供するもので、医療費以外では高所得世帯が支出を牽引し、低所得層からの需要が減退していることを示唆している。
これは、低所得世帯が高金利や低成長セクターの影響をより多く受けていることを反映している部分もある。AIブームと関連した米国株式市場の上昇も、主に富裕層に波及している。
「『解放記念日』関税発表後の資産効果は、消費の足かせとなっていたが、S&P500が史上最高値に迫る中で、消費を押し上げる方向に転じるだろう」と、オックスフォード・エコノミクスの米国主任エコノミスト、バーナード・ヤロス氏は述べている。「高所得の裕福な世帯は、このプラスの金融資産効果の恩恵を受けるだろう。」
したがって、NBER が最終的に米国の景気後退を宣言するかどうかは、結局のところ技術的な問題です。
今のところ、広く減速している経済を、少数の限られた成長エンジンが支えている。
これはアメリカの経済の多様性と集団的な回復力を浮き彫りにするものであるが、全国的に公式に景気後退の判断がなされていないからといって、国の大部分が景気後退のような状況から逃れられるわけではないことも示している。
米国経済のように広大で複雑かつ不均衡なシステムにおいては、二者択一の判断は明らかにするものよりも隠すものの方が多い。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
米メタ・プラットフォームズがルイジアナ州に建設中の大規模データセンター向けに260億ドル(約3兆8300億円)を資金調達する案件で、主幹事の座を巡り激しい競争が繰り広げられた。その一因はメタが提示した特別な投資家保護策だった。
資金調達は複雑なスキームで行われる。データセンター「ハイペリオン」は合弁会社が建設・保有し、メタは20年間のリース契約で利用する。そのためメタ本体のバランスシートに債務は計上されず、人工知能(AI)分野への積極投資に向け財務余力を確保できる。
メタはさらに好条件を提示した。事情に詳しい関係者によると、同社がリース契約を途中で打ち切るか、更新しないことを選択し、データセンターの価値があらかじめ定めた水準を下回った場合は、投資家の損失を補填(ほてん)するという保証だ。
こうした契約は「残存価値保証」と呼ばれ、対象資産の価値が下落した際に投資家を保護するものだ。ただ、これほど大規模なデータセンターで適用されるのは前例がなく、新たな先例になると関係者は指摘する。AI向けのインフラ構築には数年を要する一方、技術革新によってデータセンターが時代遅れになる可能性もあるため、メタは多額の資金拠出を投資家に促す狙いで、この保証を提示した。
ニュー・マウンテン・キャピタルでネットリース不動産戦略を率いるテディ・カプラン氏は「この種のデータセンターは、その特殊性と建設コストの高さにおいて前例がない」とし、「将来的に技術革新が進めば、これらの施設が利用価値を失ったり、場合によっては使えなくなる可能性も極めて高い」と指摘した。同氏はメタの案件には関与していない。
モルガン・スタンレーが主導した1カ月の選定プロセスを経て、メタは260億ドルの資金調達スキームの主幹事としてパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO=ピムコ)を選んだ。合弁会社にはブルー・アウル・キャピタルが30億ドル出資する。
メタとPIMCO、ブルー・アウル、モルガン・スタンレーはいずれもコメントを控えた。
今年初め、アブダビの人工知能企業がフランスの巨大なデータセンターへのアクセスを希望した際、取引の仲介役として元子役で現在は投資銀行家である人物を頼った。
ブティック型コンサルティング会社ダルマ・キャピタルの創設者ザカリー・セファラッティ氏は、オープンAIの最高責任者サム・アルトマン氏や中東の有力政治家を含む多様な人脈を活用し、湾岸諸国のデータセンター、仮想通貨マイニング、テクノロジーグループの目立たないフィクサーとなっている。
37歳のデュロフ氏の顧客には、アラブ首長国連邦の有力王族シェイク・タヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン氏が会長を務めるAIグループG42、アブダビ首長国の政府系投資会社ADQ、そして暗号化ソーシャルメディアネットワークのテレグラムなどが含まれる。テレグラムの創設者パベル・デュロフ氏はドバイ在住で、昨年フランスで拘束され起訴された。
セファラッティ氏との取引に携わった幹部らによると、カリフォルニア州出身の同社は、AIを実行するためのさらなるコンピューティング能力への飽くなき欲求と、新興技術に資金を提供したいという湾岸諸国の欲求という2つの新たなトレンドから利益を得ている数少ないニッチなディールメーカーの1社だという。
「ただ波に乗っているだけではないと思っています」とセファラッティ氏はフィナンシャル・タイムズ紙に語った。「全くの偶然ではありません。こうしたことについて考え、研究することに多くの時間を費やしています。多くの投資銀行家のように、テクノロジーに深く関わっているわけではありません。」
「彼はデータセンターの目に見えない大物だ」とドレイパー・アソシエイツのパートナー、アンディ・タン氏は語った。
ダルマ氏はG42グループ傘下の企業に対し、「ティア1ハイパースケーラーとの提携」を含む様々なアドバイスを提供しました。マイクロソフトは昨年、アブダビに拠点を置く同社の株式を15億ドルで取得しました。また、セファラッティ氏は、G42の子会社であるCore42とフランスのDataOneとの間で締結されたフランスのデータセンター取引の仲介も行いました。この取引は今年完了しました。
ダルマ氏は今年5月、ジェフリーズが主導したテレグラムの17億ドルの債券発行の共同アレンジャーを務めた。セファラッティ氏は以前、テレグラムとアブダビの投資家との会合を手配していた。
セファラッティ氏にとって、UAEがAIハブとなることに賭けるのは自然な流れだ。「AIは膨大なエネルギーを消費し、非常に資本集約的です」。そうなれば、UAEは「知能の輸出国」となることができる。
セファラッティ氏のドバイオフィスには、ビットコインの入った袋を持った象のババールの彫刻が飾られている。これは、ドバイの不動産王でデータセンター投資家のフセイン・サジワニ氏の娘からの贈り物だ。セファラッティ氏は、バイナンスの創業者でUAE在住で、米国で服役したチャンポン・ジャオ氏を友人と呼んでいるという。
AIブームは、チェファラッティ氏がキャリアのどん底を味わった後に到来した。2019年から2023年にかけて、彼は金融センターの監督機関による調査を受けた。監督機関は
、ドバイの投資会社アブラージが監督下で破綻したことを受けて、より厳格になっていた。彼は規制当局を欺いた罪で起訴され、16万2500ドルの罰金と2年間の上級役員としての職務禁止処分を受けた。ドバイ金融サービス局は、2016年にダルマの代理で、同ファンドに雇用されていない人物が行った取引について、「虚偽、誤解を招く、欺瞞的な情報」を提供したとして、チェファラッティ氏を告発した。
「私が犯した大きな過ちは、それを真剣に受け止めなかったことだと思います」とセファラッティは言った。「ずっと昔の些細なことのように思えたんです。」
セファラッティの初期のキャリアは、スタートレック:ディープ・スペース・ナインなどの番組に出演する子役としてであり、祖母は彼に稼いだお金を債券や株式に投資するよう奨励した。
2009年、彼は父親の介護のために大学を中退し、医療費を賄うために小さな健康保険仲介業を始めた。その後、大学に戻り、ヘッジファンドの設立を目指す学生たちに加わった。彼らは「クルーレス・キャピタル」と揶揄された。
金融を専攻するこの学生は、スイスのフランクリン大学の教授陣に強い印象を残した。チェファラッティは「忘れられない学生の一人」だったと、元教授のロベルト・コルドンは語り、午前4時にチェファラッティからメールが届くほどだったと語った。
セファラッティ氏は2012年末に湾岸諸国に向かった。「(ドバイが)売り込んでいたものを買ったんだ」と彼は言った。「たぶん、少し早すぎたんだ」。彼が設立したばかりのヘッジファンド、ダルマ・キャピタルの運用資産はわずか「数百万ドル」で、現地からの投資は実現しなかった。
セファラッティ氏は方向転換し、高額なドバイ国際金融センターのライセンスを、暗号通貨ファンドを含む他のファンドのプラットフォームとして利用し、後に投資会議を立ち上げた。
2018年、彼はダルマをアドバイザリー部門に拡大することを決定し、モルガン・スタンレーから投資銀行家を雇いました。
「膨大な余剰電力を保有し、収益化を模索している組織から、問い合わせが殺到していました」とセファラッティ氏は振り返る。こうした顧客にはADQ社も含まれており、セファラッティ氏は同社をビットコインマイニング(電力を暗号通貨に変換する手段)へと導いた。
ほぼ同じ頃、セファラッティ氏はドレイパー・アソシエイツと知り合いになりつつあり、同社からは2023年に正式にベンチャーパートナーに任命されたという。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中、他の都市がロックダウンを続ける中、ドバイは経済再開に賭け、急成長を遂げた。セファラッティ氏は、自身の事業もようやく軌道に乗り始めたと語った。ベンチャーキャピタルの用語で言えば、「製品と市場の適合が一致した瞬間だった」と彼は語った。
2022年、彼は投資銀行Moelisと共に、自動運転企業Pony.aiをサウジアラビアで資金調達ロードショーに導いた。その後、ギガプロジェクトNEOM傘下の投資ファンドが、この中国グループへの1億ドルの投資を発表した。その後、G42などとの協業が続いた。
ダルマの従業員はわずか21人だ。しかし、チェファラッティ氏によると、彼は不足している人材を補っているという。資金調達を希望する顧客は、大手銀行に依頼するだけで済むかもしれない。しかし、「顧客とテクノロジーを必要とする、多層的な複雑な取引をまとめる必要がある場合、それをワンストップで行える銀行は多くない」のだ。
●その他
備忘録(2025/9/4)
●企業
野村証券は4日、2025―26年度の主要企業業績予想について、26年度の営業利益を前回集計から1.7%ポイント引き上げ、前年比12.3%増になるとの見通しを公表した。為替前提を円安方向に見直した。
野村証券のシニア・エクイティ・ストラテジスト、元村正樹氏は「26年度は米国の追加関税の影響が(25年度に比べて)薄れ、金融、電気・精密、自動車が3本柱となり、多くの業種で増益を見込んでいる。マクロの前提としては、グローバルベースの景気拡大が緩やかに続く」と話している。
Russell/Nomura Large Cap(RNL)指数の構成企業243社(うち金融23社)を対象に集計した。前回集計は6月2日だった。売上高は0.6%ポイント下方修正し2.7%増を予想する。
ドル/円の前提レートは、前回予想では25年度、26年度とも140円としていたが、今回は25年度144.87円、26年度145円とした。
業種別では、19業種中16業種で経常増益と、大半の業種で増益を予想。金融、電気・精密、自動車などの増益寄与が大きいと見込んでいる。
<25年度は関税影響で減益の予想>
一方、25年度の売上高は1.4%ポイント引き上げ同0.5%増、営業利益は1.5%ポイント引き上げ同0.5%減を予想する。為替前提を見直した。
25年度は、米関税の影響など不透明要因が残るとしつつも、世界景気の拡大が続くと予想。19業種中12業種で経常増益、7業種で経常減益を見込む。
業種別で増益寄与が大きいと予想するのは、金融、医療・ヘルスケア、食品、電気・精密など。金融は、国内金利の上昇により、大手行を中心に銀行セクターが一段と伸びると見込む。医療・ヘルスケアは、医薬品・医療機器の販売増を予想するほか、24年度に計上した減損損失がはく落するという。
半面、減益寄与が大きい業種は自動車、運輸、通信などと予想している。
日経平均株価は、25年末で4万2000円を予想。レンジの上限は4万5000円を想定している。元村氏は「企業業績が減速するタイミングでは、一時的にPER(株価収益率)が切り上がるのはよくみられる事例」だと指摘し、足元のPER(9月3日時点で17.41倍)は一時的には許容されるのではないか、と述べた。
配当性向は43.2%と、24年度(36.2%)から上昇する見通しで、前回集計時(42.2%)から小幅に引き上げられた。
●マクロ
コンサルティング会社マーサーの調査によると、雇用主ベースの医療保険に加入している米国民は2026年に毎月の保険料が6─7%上昇する可能性が高い。「スペシャルティ薬」のさらなる価格上昇や、医療サービスの利用増が背景という。
同社によると、医療費増加の要因としては全般的な経済のインフレ、医療従事者に支払われる賃金の上昇などが挙げられ、調査では約59%の雇用主がコスト削減に努力すると回答し、前年の48%から上昇した。
マーサーの報告書は6月11日から8月12日の間に1700の米雇用主を対象に行われた調査に基づいている。
米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)がフルタイム労働者を対象に実施した調査によると、個人負債の増加や家計の健全性に関する不安が増していることが明らかになった。回答者の約77%が経済情勢を懸念していることも示された。
家計に余裕があると答えたのは47%で、年初の52%から減った。
何らかの負債を抱えている人の割合は約85%。緊急時に備えた貯蓄や債務返済、全般的な家計の健全性などが不十分だと感じている人は26%と、2023年の13%から増えた。
今後3年間の家計の先行きに対し、約7割がより楽観的である一方、楽観度は向こう1年については弱まっている。
足元で米労働市場は減速傾向にある。信用スコアモデルを提供しているバンテージスコアは、最高水準の信用スコアを持つ米消費者でも債務返済に遅れが出始めているとする報告を発表している。
今回の調査は計1000人以上を対象に、今年5月まで実施された。
カーライル・グループは、老朽化したプライベート・エクイティ株を年金基金などの投資家から割引価格で取得するため、200億ドルを調達した。
プライベート・キャピタル・グループは木曜日、傘下のアルプインベスト部門が最新の旗艦セカンダリー・ファンドのために150億ドルを調達したと発表した。これは、2020年に前身となるファンドが調達した90億ドルのほぼ2倍に相当する。
他のグループやリテールファンドからの共同投資を含めると、アルプインベストは総額200億ドルを調達し、カーライルで最も速いペースで資産を増やしている。
アルプインベスト部門の急速な拡大は、バイアウトのパイオニアであるカーライルのハーベイ・シュワルツCEOによる成長回復の取り組みを後押ししている。
プライベート・エクイティ・グループが新規株式公開(IPO)や企業への売却を通じて投資からの撤退に苦戦する中、セカンダリー戦略は近年急成長を遂げている。
コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーによると、低迷する市場環境により、古いプライベートエクイティ株の積み残しが3兆ドルに達している。セカンダリー取引の総額は今年2,000億ドルを超える見込みだ。
アルプインベスト、アーディアン、レキシントン・パートナーズといった専門グループは近年、ファンド株の買収に記録的な額を調達しており、プライベートキャピタル企業とその投資家にとって、ますます一般的な出口戦略となっている。
「現在、投資家の帳簿には過剰な資産が存在している。これは、資金調達が好調だった時期と過去4年間の流動性不足によって生じたものだ。この状況は今も続いている。つまり、市場には十分な投資家がいるということだ」と、カーライル・アルプインベストのセカンダリー部門責任者、クリス・ペリエロ氏はフィナンシャル・タイムズ紙に語った。
アルプインベストの分配可能利益(アナリストがキャッシュフローの代理指標として好む指標)は、今年上半期に2024年の同時期と比較して倍増し、資産も同時期に15%増加したため、カーライルで最も好調な事業ラインとなっている。
アルプインベストの資金調達額は、カーライルが2023年に主力の米国プライベートエクイティファンドのために調達した148億ドルを上回っている。このファンドは、最高経営責任者(CEO)のキューソン・リー氏の予想外の退任と、一部の買収取引の失敗に投資家が動揺し、目標額の220億ドルを大きく下回った。
近年、カーライルは利益の大半を占めるプライベートエクイティ事業の成長に苦戦している。対照的に、アルプインベストは近年、資産と手数料を年率10%以上で成長させている。
シュワルツ氏は、4,650億ドルの資産規模を誇る投資グループ全体の簡素化を主導し、アルプインベスト、その信用・不動産事業、そして地域別・セクター別に特化したプライベート・エクイティ・チームといった事業を牽引し、好業績を上げてきた。
ペリエロ氏は、セカンダリーバイヤーにPE投資の売却を依頼する投資家は「切羽詰まっている」わけでも「投げ売り状態」にあるわけでもなく、むしろ高いリターンが見込めると考える新しいファンドへの投資を目的としたポートフォリオ運用を行っていると述べた。
カーライルは2011年に、かつて2つの大手オランダ年金基金の傘下であったアルプインベストを買収したが、アルプインベストは独自のブランドで独立して運営されていた。
しかし、シュワルツ氏は、カーライルの各事業部門に対し、投資・資金調達の機会を発掘し、利益率向上のためのコスト削減を図るため、より緊密に連携するよう要請している。
カーライルの株価は今年26%上昇し、業界全体の低迷を覆し、同グループが近年、より大きなライバルであるブラックストーン、アポロ、KKRに大きく遅れをとっていた状況から好転した。
本日発表されるJOLTは、例年通り月次雇用統計(金曜日発表)より1か月遅れて発表されるが、市場は主に、前月の雇用統計の修正がどの程度下方修正されるかを示す指標としてJOLTに注目していた(ちなみに、7月と6月はコロナ以降で最大の2か月間の雇用統計の修正下方修正となり、パウエル議長はジャクソンホールで完全なハト派姿勢に転じた)。
さて、少し前にBLSは、7月の求人数が下方修正された735万7000人(当初743万7000人)からさらに17万6000人減少して718万1000人になったと報告しましたが、これはコンセンサス予想の中央値738万8000人を大きく下回り、ブルームバーグが調査した29人のエコノミストによる28人の予想も下回っただけでなく…
...しかし、これはコロナ危機以来2番目に低い値で、9月24日にさらに下がった。
読者の皆様は、2024年9月に雇用市場の急激な悪化という裏付けが必要だったもう一つの注目すべき出来事を覚えていらっしゃるでしょう(覚えていない方は、こちらの記事「雇用統計の大幅な下方修正に備え、9月に50bpsの利下げを承認」をもう一度お読みください)。そうです。選挙のわずか2ヶ月前に「非政治的」なFRBが「予想外に」50bpsの巨額利下げを実施し、労働市場の崩壊がその隠れ蓑となったのです…まさに今、まさにその状況が続いています。
今日の報告に戻ると、BLS によると、求人数は医療および社会扶助 (-181,000)、芸術、娯楽およびレクリエーション (-62,000)、鉱業および伐採 (-13,000) で減少しました。
上記の業界のうち、政府部門が目立った。下のグラフが示すように、寄生虫の需要が消えたため、政府部門の求人数はコロナ以前の水準にまで落ち込んだ。
より広範な雇用報告の文脈では、米国の労働市場が4年間危機を回避した後、運が尽きた可能性があるようです。6月には労働市場は依然として供給が制約されており、求人数は米国の雇用数を34万2千件上回っていましたが、7月にはついに需要が制約され、求人数は失業者数を5万5千件下回っています。これは、2021年4月以来のこのシリーズの最初のマイナス数値です。
以前議論したように、米国は求人数が失業者数を上回った時期(つまり、雇用市場が供給制約状態にあった時期)に景気後退に陥ったことはありません。現時点では、もはや供給制約ではなく、需要制約状態にあることが分かっています。
言い換えれば、7月には失業者に対する求人数はようやく1.0倍を下回った。
求人データは非常に悪く、今後の景気後退の最初の前兆となる可能性があったが、雇用面ではより正常化しており、新規雇用者数は1年で最低の数字から4万1千人増加して530万8千人となり、同時に離職者数は320万8千人で変化はなかった。
労働市場のこの継続的な悪化をどう理解すればよいのでしょうか?
これは、先月トランプ大統領が解任した前長官を失った労働省が、不法移民が支配する影の労働市場の崩壊と、不法移民を合法な家事労働者に置き換えることで労働市場が需要抑制の不均衡に陥っていることを考慮に入れ始めたことに関係している可能性が高い。問題は、これが予想よりもはるかに弱い雇用統計の数字として現れるまでにどれくらいかかるかだ。早ければ今週金曜日に8月の雇用統計の完全版が発表され、さらに重要なのは、そのわずか数日後の9月9日に発表される通期の改定値でわかるだろう。この改定値で、私たちの予想が正しければ、実際には存在せずバイデン労働省が単に想像しただけの60万~90万人の雇用がさらに示されることになり、その過程で25bpsの利下げだけでなく、おそらくは1年前と同じように50bpsの大幅な利下げが承認されることになる。
13年前、当時の欧州中央銀行(ECB)総裁マリオ・ドラギ氏は、ユーロ圏の崩壊を防ぐため、流動性の供給を一気に開始しました。それ以来、構造的な問題は未解決のままです。私たちは今、大まかに修復された債務危機の新たな章に直面しています。ECBは緊急時の対応策を準備すべき時です。
ここしばらく、世界の金融市場では憂慮すべき傾向が見受けられます。長期国債が売り圧力にさらされているのです。米国、日本、英国、そして特にフランスといった主要経済国の国債でさえも売り圧力にさらされています。その結果、利回りが上昇し、既に多額の債務を抱える国の借り換えコストも上昇しています。
金融アーキテクチャが深刻なダメージを受ける
政策当局と中央銀行の両方を警戒させているのは、いわゆるイールドカーブの長期部分です。世界の金融構造の安定は、米国、日本、そしてユーロ圏の長期国債に支えられています。銀行、政府系年金基金、そして保険制度は、このセグメントの債券売りによって既に大きな痛手を負っています。金融構造は著しく弱体化し、欧州は今、新たな債務危機に直面しています。
もはや無視できない事態だ。かつては安全でプラスの実質利回りをもたらすと考えられていた長期国債は、今や大きな信頼を失っている。フランスの政治的混乱と英国の衰退を見れば、高齢化と移民問題に悩まされる欧州社会において、毎年の財政赤字が拡大し、社会システムが崩壊する中で、債務スパイラルから脱却することは極めて非現実的であることが浮き彫りになる。
その結果、これらの証券を保有する法的義務のない人は皆、それらを売却し、貴金属や現金(多くの場合米ドルやスイスフラン)などのいわゆる安全資産へと逃げている。これは、厳しい時代になると必ずと言っていいほど起こるパターンだ。
照準を定めたヨーロッパ
英国10年国債の利回りは火曜日の午後、2009年以来の高水準となる5.7%を超えたが、フランスの危機は劇的に深刻化している。9月8日には、フランソワ・バイルー首相の緊縮財政に対する信任投票が予定されているが、否決される見込みだ。フランスは政治的混乱と計画されているゼネストに直面しており、移民の影響を受けた分断された社会の悲しい伝統に従い、バンリュー地区では激しい路上衝突に発展する可能性が高い。
フランスは長い間統治不能な国家となっており、今や次のユーロ圏債務危機の発端となる危険にさらされている。
ヨーロッパに暗雲が立ち込めており、ドイツもその影響を免れることはできないだろう。かつては保守的な財政政策で称賛されていたドイツだが、1兆ユーロ規模の債務プログラムによって深刻な市場混乱の扉を開いてしまった。社会システム危機の解決と一時的な解決策のためにドイツが信用力を犠牲にすれば、EU加盟国を窮地に追い込むことになるだろう。通貨統合開始以来、市場はEU加盟国の信用力をドイツの信用力と密接に結び付けてきた。
過剰規制、エネルギー危機、移民問題の混乱など、ヨーロッパの危機はどれも効果的に制御されたことがなく、今や大陸は新たな債務危機に見舞われている。
ECBの活動
次の債務危機は、15年前の前回のパターンを辿る可能性が高い。つまり、国から国へと伝染が広がり、各国は債券売却の波によって安定性と回復力を試される。フランスで発生した危機は、最終的に重債務を抱える南欧諸国を経由してドイツに波及するだろう。問題は、ECBが当時緊急対策を講じたように、状況を安定化させることができるかどうかだ。
あらゆる国家債務危機は、同時に銀行危機でもある。国債の相当部分は商業銀行のバランスシート上に保有されており、時価の急落は金融セクター全体に危険な過剰債務をもたらすリスクがある。これを緩和するため、ECBは緊急対策の中核となる流動性・安定化策を整備した。これには、LTRO(長期リファイナンスオペレーション)とTLTRO(対象を絞った長期リファイナンスオペレーション)が含まれ、銀行に長期・低金利の融資を提供することで流動性を確保し、企業や家計への信用フローを維持する。
高レバレッジ法定信用
緊急流動性支援(ELA)も存在します。これは、深刻な圧力にさらされている金融機関のための一種の安全弁であり、通常は国債やその他のいわゆる「高品質資産」によって担保されます。このツールキットは、フォワードガイダンスと金利政策によって補完され、期待を誘導し、金利市場の安定化を図ることを目的としていますが、その効果は物質的というよりは心理的な側面が強い場合が多いです。
ここに、中央銀行制度の根本的な欠陥と論理的矛盾が存在する。「高品質」とみなされた資産こそが、危機の一因となったのだ。金やエネルギーに裏付けられていない、レバレッジが高く、事実上無担保の法定通貨による信用は、金融システムをポンジー・スキームのような構造に変え、必然的に巨額の信用拡大を招いた。
この文脈には、ドイツの巨額債務プログラム、そしてEUの政策担当者によると進行中のウクライナ代理戦争も含まれる。信用供給が滞れば、トランプ政権の砂上の楼閣は崩壊する。
金利操作に焦点を当てる
ECBの主眼は、危機時に最も脆弱なセクターである国債市場の安定化に依然として置かれている。ブリュッセルのEUの権力中枢と深く結びついたECBは、事実上流動性供給部門のような役割を果たしている。債券市場にパニックが襲来すれば、ECBは15年前と同じように、利回り操作と市場清算を開始するだろう。
緊急プログラムには、流動性を高めるために国債を購入する公的部門購入プログラム(PSPP)と、影響を受ける国が改革にコミットした場合にのみ発動されるアウトライト金融取引(OMT)が含まれます。新たに導入されたのは、ECBが加盟国間の過度な利回り格差を縮小し、金融政策の波及効果を確保するため、債券を購入することを可能にするトランスミッション・プロテクション・インストルメント(TPI)です。このインストルメントは大部分が秘密裏に運用されており、市場介入は必ずしも即座に目に見えるものではなく、市場パニックを回避するために、代理アクターを介して段階的に実施される場合もあります。
ECBの政策は簡潔にまとめられる。差し迫る債務崩壊に先立ち、その任務は利回り曲線全体を下方操作し、公的債務が管理されているという幻想を維持し、民間投資家のパニックを防ぐことである。ECBの粘り強い政策運営は、長期国債がここしばらく辿ってきた利回り推移に明らかである。
透明性?事実上存在しない。ECBと主要資本プールとの密室取引は日常茶飯事だ。市場は積極的に管理・操作されており、自由市場と金利上昇による規律の力(債券自警団)はもはや存在しない。
緊急用パッチと鎮静剤
結局のところ、ECBの政策手段の名称は無意味だ。その中核的な機能は、短期的な市場変動を平滑化し、政策当局に拡大し続ける国家運営のための操作余地を継続的に提供することだ。ECB自体がユーロシステムにおいて悪質な勢力となっている。政策当局がECBのバックストップに頼ることができる限り、市場に基づく改革は不可能だ。グリーンな気候変動対策であれ、軍備増強であれ、その他の疑わしいプロジェクトであれ。
EU委員会とECBは、統一された債務メカニズムを構築し、各国の債務を委員会の傘下に統合し、市場安定化のための流動性プールとしてECBを統合することを目指しています。このように、ヨーロッパはECBを重要な推進力として、中央集権型社会主義へと舵を切りつつあります。
システム危機が発生した場合、ユーロ圏の主要国であるフランス、イタリア、ドイツは下降スパイラルに巻き込まれるだろう。ECBによる信用供給と短期的な流動性供給策のみで状況を安定させることができると考えるのは、ナイーブすぎるだろう。
急上昇する債券利回りは金価格の高騰と同様にここ数日大きな話題となっているが、両者の間には完全な逆相関関係はないものの、通常、利回りの上昇は金塊の輝きを奪う傾向がある。
安全資産の流入をめぐる争いでは、投資家が従来の安全資産の運用方法を再考する中で、金が勝利を収めつつあるようだ。アナリストらは、主要経済国の財政政策や金融政策の方向性に対する投資家の懸念が高まっていると指摘している。
米国では、30年国債の利回りが水曜日に7月以来初めて5%を超えた一方、日本の30年国債の利回りは、持続的なインフレ、マイナスの実質金利、政情不安を背景に今年100ベーシスポイント上昇し、過去最高を記録した。
英国では今週、30年債利回りが1998年以来の高水準に上昇した。一方、フランスでは、政治的混乱により財政赤字削減計画が頓挫する恐れが出ているため、30年債のリスクプレミアムが2008年以来の水準に達した。今年初めには安全資産としての需要の恩恵を受けていたドイツ国債でさえ、この売りに巻き込まれ、30年債利回りは14年ぶりの高水準に達した。
一方、金価格は記録的な上昇を続け、水曜日には3,578.5ドルの新たな高値を記録した。
「日本、フランス、そして英国における財政の行き過ぎや債務危機の可能性に対する懸念がある」と、ヤルデニ・リサーチの社長、エド・ヤルデニ氏は述べた。「明らかに、安全資産として、また金融不安に対する防御策として、ポートフォリオに金を追加する投資家が増えている。」
利回りの上昇は、通常、金は利息を生まないため、金保有の機会費用が上昇し、魅力を低下させる。しかし、インフレヘッジとしての役割が、金に独自の魅力をもたらしていると、市場ウォッチャーは指摘する。
金に有利な状況に傾いている要因の一つは、金融政策の政治化だ。「大きな動きは、トランプ大統領と、彼による連邦準備制度の独立性への介入にある」と、ワイカト大学会計・金融・経済学部のマイケル・ライアン講師は述べた。連邦準備制度の独立性が損なわれれば、インフレ抑制の取り組みが危うくなる可能性がある。
最近、ドナルド・トランプ米大統領は、住宅ローン詐欺の疑いを理由に連邦準備制度理事会(FRB)のリサ・クック理事を解任するという前例のない措置を取り、同時にジェローム・パウエル連邦準備制度理事会議長に金利引き下げを圧力をかけた。
「インフレが今や新たなリスクとなっている状況だ…そして金が唯一の選択肢だ」とライアン氏は語った。
一方、債券監視団は「多くの国の財政・金融政策に不満を抱いている」ため先進国の債券利回りを押し上げているとヤルデニ氏は述べ、国債から金に資金を移す投資家が増えていると指摘した。
「投資家は勢いのあるところに投資する傾向があり、今は金がその勢いを持っています。しかし債券はそうではありません。」
より安全な避難場所?
アナリストによると、金の魅力の一つは、その独立性にある。債券は将来の元本の返済を約束し、インフレ懸念を相殺するために高い利回りを要求する必要があるが、金は財政運営の失敗や政治的介入によって価値が下落することのない実物資産である。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのシニアストラテジスト、アンジェラ・ラン氏は、両者は伝統的に安全資産と考えられているが、根本的に異なると述べた。
「国債は金融負債です。将来のキャッシュフローを受け取るという約束を保有しており、その価値は政府によって裏付けられています。一方、金は負債ではありません。金は変色したり、錆びたり、浸食されたりしない物理的な資産であり、固有の価値を持つ天然の希少元素であり、世界中の多くの中央銀行や機関によって準備資産に指定されています。」
みずほ銀行の経済戦略部長、ビシュヌ・バラサン氏は、投資家が米ドルに裏付けられた法定通貨制度の前例のない価値下落を恐れる中、金は「究極の価値保存手段」としても求められていると述べた。
投資家は、過剰な政府債務、世界的な緊張の高まり、そして中央銀行がもはや独立して行動できないかもしれないという懸念によって、米ドルをはじめとする紙幣が弱体化していると懸念しているようだ。金融当局が紙幣増刷によって政府債務の資金調達を続けるよう圧力をかけられれば、これらの通貨の価値は大きく下落するだろう。
利回りの上昇により、投資家が再び長期債の購入を始めるのに十分なプレミアムだと感じるまで、利回りはどの程度まで上昇するのかという疑問が生じている。
バラサン氏は、特にFRBがこれまで予想されていたよりも速いペースで利下げを行うとの期待が高まり、投資家がより高い利回りを「確保」しようとするようになれば、利回りが戻ってくるのもそう遠くないかもしれないと述べた。
「しかし、持続不可能な債務、地政学的経済的混乱、米ドルと法定通貨の価値下落リスクといった構造的なリスクには注意が必要であり、投資家は短期および短期の利回りを好む可能性がある」と同氏は述べた。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は、利回りが単純に上昇傾向にある場合、買い手が参入する傾向があると述べた。「しかし、フランス、あるいはある程度は日本でも見られるように、危機や財政赤字の補填が不可能になる懸念がある場合、そうした支援策を見つけるのはより困難になる可能性がある」とソスニック氏は付け加えた。
来週に迫った信任投票を前に、フランスは予想外にも、かつては政治的混乱と経済的脆弱性で知られていたイタリアと比べて不利な評価を受けている。
フランスの主要政党間の継続的な争いや2026年度予算をめぐる未解決の論争、そしてここ数年の首相の入れ替わりにより、経済学者たちは「フランスは新たなイタリアなのか?」と疑問を抱いている。
「現時点でフランスの財政見通しはイタリアよりも悪い」と野村の欧州調査アナリストは火曜日のレポートで述べた。
フランスの債務残高は2024年時点でGDPの113%に達し、イタリアは135%だった。しかし、同期間における両国の財政赤字を見ると状況は一転した。この指標で見ると、イタリアの財政赤字は国内総生産(GDP)の3.4%だったのに対し、フランスは5.8%だった。
フランスのフランソワ・バイルー首相は先週、9月8日に信任投票を実施すると発表し、約440億ユーロ(513億ドル)の歳出削減を含む物議を醸している2026年度予算の成立を目指している。目標は、2026年度のフランスの財政赤字を4.6%まで削減することだが、これは依然としてEUの財政赤字規制を大幅に上回る水準だ。
バイルー氏は来週月曜日の信任投票をフランスにとって存亡の危機と位置付け、水曜日にBFMTVに対し、状況は「重大かつ緊急」だと語った。
もし彼と彼の少数派政権が投票で勝利しなければ、前任者のミシェル・バルニエ氏の短命政権が崩壊してから1年も経たないうちに政府は崩壊し、フランスのエマニュエル・マクロン大統領によって新たな首相(2年足らずで5人目)が選ばれることになる。
フランスの状況は、イタリアと比べて不利な立場にある。イタリアは、2022年にジョルジャ・メローニ現首相が選出され、欧州連合第3位の経済大国として安定期を迎えるまで、長期間の政治的混乱と経済的不安定を経験してきた。
フランスとイタリアはともに、欧州委員会の「過剰赤字是正手続き」の対象となっている。これは、欧州委員会がEU加盟国を、国の公的債務がGDPの60%を超えず、財政赤字がGDPの3%を超えてはならないというEUの財政規則に再び従わせるために用いるメカニズムである。
野村は、イタリアは財政赤字の抑制に向けて進展が見込まれる一方、フランスではその兆候が見られないと述べた。
「しかし、フランスの財政赤字の軌道は脆弱であり、バイルー政権の崩壊の可能性は、フランスが支出抑制で直面する課題を浮き彫りにしている」と野村のエコノミストらは電子メールによる分析で述べた。
「哀れな公共の見せ物」
現在、フランスの隣国は、バイルー首相が、昨年の決着のつかなかった選挙後、自分たちが政権を握るべきだと感じている左派(新人民戦線同盟)と右派(国民連合)のライバル政党とわずか数日で予算の妥協点を見出そうとしているのを見守っている。
予算案、歳出削減案、増税案をめぐる長引く議論の後、政治的スペクトラムの両陣営は、月曜日の信任投票で中道政権を支持しない意向を示した。フランスで2つの祝日を削減する案も、不評だった。
「バイルー政権の崩壊が見込まれ、議会が今年中に2026年度予算を可決しない可能性が高いことから、2025年度予算は名目ベースで凍結される可能性が高く、そうなれば2026年度の対GDP比の赤字は欧州委員会の予測よりわずかに高くなるだろう」と野村は指摘し、フランスの債務持続可能性は「重大な懸念事項」だと付け加えた。
フランスで再び政権が崩壊する可能性があり、2026年度予算をめぐって意見の相違が続くことは、アナリストにとって不愉快なことだ。
「フランスはすでに金融市場から前例のない圧力に直面しており、来週は悲惨な姿を国民に見せることになるだろう」とユーラシア・グループの欧州担当マネージング・ディレクター、ムジタバ・ラーマン氏は火曜日にメールで送った分析でコメントした。
ユーラシア・グループの基本シナリオは、バイルー氏が信任投票で敗北することだが、ラーマン氏はこの敗北を「バイルー氏が勝つ見込みのない賭け」と表現した。
「マクロン氏は当面、新たな議会選挙の実施を否定し、21カ月以内に5人目の首相を任命するだろう。ほぼ確実に、中道および中道右派連合の中から選出されるだろう」と指摘し、後任候補としてセバスティアン・ルコルニュ国防相、ジェラール・ダルマナン法相、エリック・ロンバール財務相の名前を挙げた。
フランスの政情不安をめぐる金融市場全体の不安を反映し、 フランスの30年 債利回りは火曜日に4.5%を超え、2008年以来の高水準に達した後、水曜日には4.48%まで小幅低下した。他の主要国も、財政を巡る広範な懸念から、今週は借入コストの上昇に直面している。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
●その他
最近、コーヒーを飲む人の体内で急上昇しているのはカフェイン濃度だけではない。
アナリストによると、コーヒー価格は、ブラジルやベトナムなど主要生産国でのコーヒーの収穫量を減少させた不安定な天候の影響で急騰している。
労働統計局のデータによると、米国の挽いた焙煎コーヒーの価格は7月に1ポンドあたり8.41ドルに達し、過去最高値となり、前年比で33%上昇した。
世界のコーヒー価格は2月に記録した50年ぶりの高値付近で推移している。
米国では、コーヒー全種類(焙煎コーヒー、インスタントコーヒーを含む)の価格が7月に前年同月比14.5%上昇した。これは消費者物価指数( CPI)によると、卵に次いでCPIカテゴリーの中で2番目に高い年間インフレ率である。
バーンスタインのシニアリサーチアナリスト、ダニロ・ガルギウロ氏は、価格圧力は短期的には「緩和するはずだ」と述べた。
しかし、国際コーヒー機関の8月の報告書に よると、トランプ政権がブラジルに課した50%の関税はコーヒー価格に「上昇圧力」をかける恐れがある。
「降雨による急激な変化」で供給が圧迫される
すべての商品と同様に、コーヒーの価格は需要と供給によって決まります。
バーンスタインが3月に発表したレポートによると、コーヒーの栽培と収穫量は「環境に非常に左右される」ため、天候の不安定さはおそらくコーヒーの供給と価格を支える「最も重要な」短期的要因である。
ブラジルの昨年の夏季の深刻な干ばつにより、収穫は「壊滅的な打撃」を受けたとバースタインのアナリストらは記している。
ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、世界の約40%を供給していると報告書は述べている。世界最大のコーヒー輸入国である米国は、その供給量の大部分(32%)をブラジルから調達しているという。
バーンスタインによると、世界第2位のコーヒー供給国であるベトナムは干ばつの被害を受け、2024年のコーヒー生産量は20%減少した。
コーネル大学名誉教授で「変わるメニュー:気候変動と私たちが愛し必要とする食品」の主著者であるマイク・ホフマン氏は、その後に激しい暴風雨が続き、生産にも支障をきたしたと述べた。
この「降水量の急激な変化」により、農作物の収穫量が減少すると彼は述べた。
「通常のシーズンとは違っています」とホフマン氏は述べた。「干ばつがコーヒーの木にストレスを与え、水が過剰に供給されると、豆、つまり実の品質と量に影響が出ます。」
さらに、コーヒーの価格が上昇するにつれ、スターバックスなどの企業は、高価なコーヒー豆を公開市場で購入するのではなく、既存のコーヒー在庫を減らすことを選択したとガルギウロ氏は述べた。
バーンスタインのアナリストは、ここ数年の在庫は「過去の水準を大幅に下回って」減少したと指摘した。在庫が多い時は市場は比較的うまく供給不足を乗り切ることができるが、需要や供給に新たなショックが生じた場合、在庫が少ないと価格が急騰する可能性があるとアナリストは指摘している。
価格がコーヒー愛飲者に及ぼす影響
ガルギウロ氏は、消費者がコーヒーの価格上昇を異なるように感じるかどうかは、自宅で淹れるコーヒーを食料品店で買うのか、それともレストランやコーヒーチェーン店など外食で飲むのかによっても異なるだろうと指摘する。
食料品売り場におけるコーヒーの価格は、商品価格の変動に大きく左右される傾向があり、一般的に価格変動が大きいと彼は述べた。コーヒー価格が上昇すると、食料品店はより迅速に店頭価格を引き上げ、コーヒー価格が下落すると、消費者に割引を提供する可能性があると彼は述べた。
しかし、コーヒーなどの食料品の価格は一般的に周期的に変動しており、天候の改善や生産性向上のための設備投資は、今後価格が下がる可能性が高いことを示しているとガルギウロ氏は述べた。
さらに、ブラジルの関税の「影響」は大手コーヒーチェーンから購入する消費者にとってはある程度限定的かもしれないとガルジウロ氏は述べた。
例えば、ブラジルへの関税のコストを全額回収するには、スターバックスが価格を0.5%以下に引き上げる必要があるだろうと彼は見積もっている。
アナリストらは、長期的には消費者は平均より高い価格に備えるべきだと述べた。
コーヒーの収穫に悪影響を与える異常気象は今後さらに頻繁に発生すると予想され、世界のコーヒー消費量は引き続き増加し、需要を押し上げるだろうと研究者らは述べた。
「私の考えでは、価格は上がり続けるだろう」とホフマン氏は語った。
「気候変動は消え去ることはない」と彼は言った。「干ばつや洪水の深刻さは、さらに悪化するだろう。コーヒーだけの問題ではなく、食料供給全体に影響する」
備忘録(2025/9/3)
●企業
米投資会社エリオット・インベストメント・マネジメントは2日、米食品・飲料大手ペプシコ(PEP.O), opens new tabの株式約40億ドル分を取得したことを明らかにした。スナック菓子などでの消費者の嗜好の変化を踏まえ、ペプシコが健康飲料に着目する中、成長回復と株価上昇に向け、経営への圧力を強める構えだ。 食品業界は、原材料価格の上昇や嗜好の変化が売り上げの逆風となる中、分割や合併を通じて事業の再構築を図っている。エリオットの主要投資先の一つとなっているペプシコ株は、2023年5月に最高値を付けて以降、約25%下落している。ただ、大量の株式保有が伝わった朝方の取引では一時6%上昇した。 エリオットはペプシコの北米飲料部門が、戦略的な誤りのほか、市場シェア低下、新ブランド・新製品投入に伴う重点の分散が原因で、成長や利益率が競合他社に後れを取っていると指摘。ライバルのコカ・コーラ(KO.N), opens new tabに倣い、ボトリング事業で再フランチャイズ化の可能性を検討すべきだとも求めた。 エリオットは書簡で「適切な方針と意欲的な再生計画があれば、ペプシコは再生し、大きな株主価値を提供可能なチャンスがある」とし、「マーケティングやイノベーションの強化によって炭酸飲料という中核事業を守りつつ、成長分野を厳選して拡大していくべきだ」と言及した。 約10年前、米著名アクティビスト(物言う投資家)として知られるネルソン・ペルツ氏が、ペプシコに対し、苦戦する飲料部門を堅調なスナック菓子事業から分離するよう求めたものの、実現しなかった。
●マクロ
トルコの最大野党・共和人民党(CHP)は3日、イスタンブールでの抗議行動を呼びかけた。トルコの株式市場では2日、同党に不利な裁判所の判決を受けて民主主義に対する懸念が高まり、92億ドル(約1兆3700億円)が吹き飛んだ。
CHPのオゼル党首は2日夜、テレビのインタビューで、「全イスタンブール市民、イスタンブールの全民主主義者に、この巨大な不正義に対して行動するよう呼びかける」と語った。集会への参加人数は不明だが、過去には同様の地域的な抗議が大規模化し、国内の他の地域にも広がった例がある。
トルコの裁判所は2日の暫定判決で、CHP指導部を選出したイスタンブール支部大会を無効とした。この動きは、トルコ全域の野党指導部の崩壊につながる恐れがある。
判決により、2日のトルコ市場では政治的リスクや投資家の不安が改めて表面化した。この流れは3日にも続き、主要株価指数は一時2.4%下落し、トルコ2年債利回りは96ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、7月以来の高水準となった。8月のインフレ率が市場予想を上回ったことも、下落に拍車をかけている。
トルコ・リラは小幅な下落にとどまった。国営系の商業銀行が外国為替市場で大きな存在感を持ち、動揺が生じても通貨は比較的安定しやすいためだ。
デニズ・インベストの調査部副ゼネラルマネージャー、オルクン・ゴデク氏は「9月中は、他の法的手続きが投資家の注目を集め続けるとみている」と述べた。
今月予定されている一連の裁判の中で、次の焦点はCHP党大会の合法性を巡る15日の審理だ。無効と判断されれば、オゼル氏はCHP党首の座を失う。その後、エルドアン大統領にとって比較的脅威が少ないとされる、オゼル氏の前任者が再び党首に据えられる可能性が高い。
英国市場を財政問題が再び揺るがしている。景気を損ねることなく財政を立て直せるのか、投資家の不安が高まっている。
こうした緊張感の高まりを受けて、英国は最終的に国際通貨基金(IMF)の金融支援が必要になる可能性すらあるとの見解を示すエコノミストも現れた。これは行き過ぎかもしれないが、投資家が英国の長期国債を売り浴びせ、利回りが今世紀最高の水準に上昇しているのが現実だ。
これは国債の利払いにかかる費用がいっそう膨らみ、リーブス財務相の限られた財政余地を一段と圧迫し、政治的に厳しい判断をさらに困難にすることを意味する。利払い費用だけでも、前回の財政発表があった3月以降で80億ポンド(約1兆6000億円)の追加負担が生じている。
英財務省は3日、11月26日にリーブス財務相が来年度予算を明らかにすると発表した。リーブス氏は最大510億ポンドの財政不足を埋め合わせ、100億ポンド弱でしかない財政的な余裕を回復するため、増税か支出削減を迫られると、エコノミストらはみている。
リーブス氏は同日の動画メッセージで、自ら設定した財政規則を守ると強調。「財政規則に交渉の余地はない。これを通じて日々の支出を厳しく管理し、インフレと借り入れコストを抑制する必要がある」と主張した。
この発言後、朝方に再び上昇し、数十年ぶりの高水準を再び更新した英国債利回りは低下へと転じた。
英国市場には、2022年に当時のトラス首相が打ち出した「ミニ予算」をきっかけに発生した危機の記憶がなお強く残る。これ以降、金融市場は財政政策に強力な拒否権を持つようになった。
しかし、リーブス氏にとってのリスクは、市場の信頼を維持するための行動が、英国を財政の悪循環に陥らせる可能性だ。増税が需要と成長を抑制し、それによって税収が減り、市場の不安が強まって、一段と厳しい財政引き締めを強いられるという展開が懸念されている。
ブルームバーグ・エコノミクスの試算では、リーブス氏が自身の財政規則において確保していた財政余地を取り戻すためには、最大350億ポンドが必要になる。
リーブス氏に「英国債投資家は警告を発し続けている」と、ハーグリーブス・ランズダウンのマネー&マーケッツ責任者スザンナ・ストリーター氏は指摘。「不安視されているのは、財政不足を埋められるかだけではなく、それが成長を犠牲にして達成され、悪循環に陥る恐れがあることだ」と語った。
世界的にも、一部の長期債利回りは10年余りで最高の水準に達している。国債の供給増加を踏まえ、投資家はこれまで以上に高いプレミアムを要求している。
英国では今週、30年債利回りが5.7%を突破し、1998年以来の高水準を記録。10年債利回りも今年1月以来の水準を付けた。ポンドは2日に1.5%下げたのに続き3日朝方も売られたが、リーブス氏の発言後は上昇に転じた。
トランプ米大統領は2日、ロシアのプーチン大統領に「非常に失望している」と述べ、ロシア・ウクライナ戦争の死者を減らす何らかの措置を取る計画だとした。「スコット・ジェニングス・ラジオショー」での発言。
「プーチン大統領には非常に失望している。われわれは人々が生きることができるよう何かするつもりだ」と語った。詳細には踏み込まなかった。
中国とロシアによる対米国枢軸形成について「全く懸念していない」とも述べた。「われわれは断然、世界最強の軍隊を持っている。彼らがわれわれに対して軍事力を使うことは絶対にない。信じてほしい」とした。
中国を訪問中のプーチン大統領は2日、習近平国家主席と北京で会談した。 同様に中国入りした北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記を含め、習氏は一部の西側アナリストによって「動乱の枢軸」と呼ばれるグループにおける外交的影響力を誇示するとみられる。
中国は3日、北京中心部の天安門広場で抗日戦争勝利80年記念式典を行った。
トランプ氏はトゥルース・ソーシャルに「習主席と素晴らしい中国国民にとってすてきで永続的な祝賀の日となることを願う。米国に対して陰謀を企てる中、プーチン氏と(北朝鮮の)金正恩氏に心からの敬意を伝えてほしい」と書き込んだ。
トランプ米大統領は2日、自身の健康状態が悪化しているというソーシャルメディア上のうわさを「フェイク(偽)」と一蹴し、健康不安説を否定した。
トランプ氏は記者団に対し、レイバーデーの連休は自身のゴルフ場を訪れ、メディアのインタビューに応じるなど、精力的に行動していたと強調した。
トランプ氏は1月、米史上最高齢で大統領に就任。現在は79歳。
トランプ氏の健康状態に関する憶測は週末にソーシャルメディアのXで飛び交い、トランプ氏が先週後半に公の場に姿を見せなかったことや、米紙USAトゥデイが8月28日に掲載したバンス副大統領のインタビュー記事に関する投稿があった。
バンス氏はインタビューで、最高司令官の役割を引き受ける準備はできているかと質問され、トランプ氏の健康状態は「良好」と確信していると答えたが、大統領に何かあった場合には自身が引き受ける用意もあると示唆した。
トランプ氏が2日以前に記者団と長時間やりとりしたのは、1週間前の閣議が最後だった。トランプ氏は8月26日、3時間以上に及ぶ閣議を開催。大統領としてカメラの前で最も長い時間発言した。
レーバーデーの連休には、記者団は毎日ホワイトハウスを出てゴルフ場を訪れるトランプ氏の姿を目撃した。
トランプ氏は4月11日、ワシントン郊外のウォルター・リード軍医療センターで詳細な健康診断を受けた。ホワイトハウスが発表した公式結果によると、健康上の大きな問題はなかった。
ホワイトハウスのレビット報道官は7月、トランプ大統領が足首のむくみと右手のあざのために医師の診察を受けたと明らかにし、足のむくみは「一般的な」慢性静脈不全によるもので、手のあざは頻繁に握手をしたためにできたという主治医の所見を発表した。
それ以来、ホワイトハウスは足の問題がどのように治療されているのか詳しく説明することなく、トランプ氏の健康状態に関する懸念を重視しない姿勢を示している。
3日の東京市場では、債券安、円安、株安のトリプル安の商状となった。現時点では本格的なリスクオフとまではみられていないが、国内政局や金融政策への思惑も意識されており、リスク回避ムードが強まらないか警戒感はくすぶっている。
この日の市場では、新発30年債利回りが3.285%と過去最高水準に大幅上昇(価格は下落)した。為替は148円後半へと円安に振れ、日経平均は一時400円超安となった。
端緒の一つは、自民党の森山裕幹事長ら党四役が辞意を表明したことだ。石破茂首相は続投の意向を改めて示したが、債券市場では政権基盤の揺らぎが警戒された。
仮に退陣となる場合、誰が次の総裁に選ばれるかは現時点で不透明なため、財政拡張的な候補者への思惑もくすぶらざるを得ない。「そうした不透明感自体が、投資家の買い手控えにもつながっている」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは指摘する。
為替市場では、円売りが進んでいる。超長期金利の上昇を受け「悪い金利上昇の思惑もあるだろう」と、あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは話す。
前日夕には、ドル/円の上昇が加速する場面があった。欧州がトリプル安となる中でドル買いが同時並行的に進んでいた局面でもあったが、森山氏の辞意表明が「上昇に弾みをつけた」と諸我氏は指摘する。
円安となれば輸出株を中心に株価には支援材料となるのがセオリーだが、3日の東京市場では、円安の中でも自動車株や機械株は軟調だった。「政局になる可能性が高まり、政治の不透明感から積極的には株を買いにくくなってきた」と三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジストは話す。
<株式と債券「異なる関心事」>
現時点で債券安から円安、株安といった連鎖が強まっているとまではみられていない。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「市場の動きだけをみるとトリプル安だが、その言葉が与える印象ほど相場はネガティブでもない」とみている。
株式と債券とでは、相場の関心事が異なるとの見方が背景にある。足元で日本株は米株の動向に左右されやすい環境下にあり「米ハイテク株が大崩れしなければ、本格的な株安は生じそうにない」(井出氏)という。日本株は、自社株買いなど需給面からの下支えも意識されている。
仮に財政拡張なら景気が刺激されるとの思惑から「むしろ株高材料になり得る」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャー)との見方もある。
もっとも、金利上昇は株価にネガティブと受け止められやすい。欧米でも金利上昇が進む中、政局不安で国内の金利上昇が加速すれば株価にも影響を与えかねない。「株式市場も金利動向に目配りが必要な局面になってきた」と、しんきんAMの藤原氏は話している。
利回りが過去最高の水準にある30年債は入札をあすに控えており、市場の関心が寄せられている。
リーブス英財務相は3日、11月26日に年次予算を発表することを明らかにした。インフレと借り入れコストの抑制を図るため、公共支出の「厳しい管理」を重視すると表明した。
英国の20年物、30年物国債利回りは、財政に対する懸念を背景に1998年以来の高水準に上昇している。
リーブス氏はビデオメッセージで「英国経済は壊れていない。だが、働く人々にとって十分に機能していないことは分かっている」とした上で「譲れない財政ルールを通じて日々の支出を厳しく管理し、インフレと借入コストを抑制する必要がある」と述べた。
政府は経済成長を促す措置も推進したい考えだ。
イングランド銀行(英中銀)のベイリー総裁は3日、米連邦準備理事会(FRB)の独立性に対するいかなる脅威も「非常に深刻な」問題という認識を示した。
ベイリー総裁は英議会財務委員会の公聴会で「FRBは独立性と意思決定において非常に高い評価を築いてきた」と指摘。中銀の独立性を政府の決定とトレードオフすることは「極めて危険な道」とし、「非常に深刻な状況で、懸念している」と述べた。
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の調査によると、米ホリデーシーズンの個人支出はパンデミック以降で最大の落ち込みとなる見通し。
経済の不確実性を背景に、特に「Z世代」が支出を控える見込みという。
調査は6─7月に米国の消費者約4000人を対象に実施した。
消費者の今年のホリデーシーズンの平均支出予定額は1人当たり1552ドルで、昨年から5.3%の減少となった。2020年以降で最大の減少となる。20年の平均支出額は7.6%減の1187ドルだった。
消費者の約84%が、今後6カ月間に支出を抑制すると回答。特に衣料品、高額商品、外食への支出を抑制する予定。半数以上は、物価上昇がホリデーシーズンの決定に影響を及ぼす可能性が高いと答えた。
米国ではトランプ政権の通商政策に伴う物価・経済への悪影響を背景に消費者が裁量的な支出に慎重になっている。
PwCは「消費者はホリデー支出に慎重になっており、何が最も重要か、何を削減するか、何にお金をかける価値があるかを考えている」と指摘した。
調査によると、ギフトへの支出が最も大きく減り、平均支出額は昨年の814ドルから11%減の721ドルとなる見通し。Z世代の予算は23%縮小する見込みで、24年の37%増から減少に転じる。
PwCのパートナー、ケリー・ペダーセン氏は「Z世代の来店客数は増加している。彼らは店舗での体験を求めているが、必ずしも店舗内で購入しているわけではない」と述べた。
PwCは、関税を巡る不確実性が7月以降緩和していることに触れ、実際の購買行動は今後も変化する可能性があると指摘した。
米国債は、利子収入と安全性を求める人々にとって依然として定番の投資先だ。それでも金融の専門家たちは、債券市場の他の分野で投資家が検討すべき投資対象があると指摘する。それらはより高い利回りを提供しているのに、比較的安全だという。
米資産運用大手バンガードの金利部門グローバル責任者を務めるロジャー・ハラム氏は「足元の利回り水準は絶対水準としても、過去20年間の大半に債券が提供してきた利回りと比較しても、魅力的だ」と述べた。債券利回りは数年前よりはるかに高く、より魅力的だという。
例えば、10年物米国債利回りは現在4.329%で、4年前の1.259%より高い。
最小限のリスクでより多くの収益を得られる分野として、専門家は以下の三つを挙げる。
1. 地方債
地方債は今年、債券市場全体に後れを取っている。S&P地方債指数は8月19日までほぼ横ばいとなっており、ブルームバーグ米国総合債券指数のリターン(4.5%)を下回っている。
米調査会社ファクトセットによると、「トリプルA」格付けの10年物地方債の利回りは約3.2%だ。しかし地方債の利払いに関しては、連邦税のほか、場合によっては州税や地方税も免除されることを覚えておきたい。
連邦税の限界税率が37%の場合を想定すると、州税や地方税の免除を除いても、3.2%の利回りは課税相当利回りベースで5%前後となり、10年物国債の利回り4.329%を上回る。
これに加え、地方債全体の信用度が高い状態が続いていると、米資産運用会社ヌビーンの地方債部門責任者を務めるダン・クローズ氏は指摘する。「(地方自治体の)三大収入源である資産税・所得税・売上税の収入が過去最高を記録している自治体が多い」
2. エージェンシーMBS
連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)や連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)といった準政府機関が発行する「エージェンシーMBS(住宅ローン担保証券)」は事実上、連邦政府に保証されている。大半の投資家は政府が両機関を破綻させることはないと考えているため、国債とほぼ同じくらい安全だ。
ブルームバークのデータによれば、8月17日時点で平均残存期間が約8年のエージェンシーMBSの利回りは5%をわずかに下回る水準だった。これは、10年物米国債や同等の投資適格社債の利回りを上回っている。
LPLファイナンシャルのチーフ債券ストラテジスト、ローレンス・ギラム氏は「社債と同程度の利回りが得られるが、金利リスクは低い」と述べている。
この市場に関して長期的に考慮すべき点は、ファニーメイとフレディマックが最終的に民営化される可能性があることだ。連邦政府の保証がなくなった場合には、両機関は投資家を引き付けるためにMBSの利回りを引き上げざるを得なくなる。しかし当面は、エージェンシーMBSは比較的安全な資金逃避先のように見える。
3. 優先株
優先株はエージェンシーMBSのような政府保証付き債券ほど安全ではないが、企業の資本構成上、普通株より上位にある。このため発行企業が破綻した場合には、優先株主は普通株主に優先して分配を受けられる。
ただ経営破綻のずっと前の段階でも、優先株には多くの利点がある。
米資産運用会社コーヘン&スティアーズでシニア・ポートフォリオマネジャーと債券・優先株部門責任者を兼務するエレーン・ザハリスニカス氏は「優先株は税制上有利な収益を提供し、その発行体は総じて信用度の高い企業だ」と指摘する。
発行体の大半は銀行や保険会社で、基盤が安定した業界だ。投資適格優先株の利回りは6~6.5%程度となっている。
さらに同氏によれば、優先株から得た収益は多くの場合「適格配当所得」として扱われる。つまり、税率は投資家の限界税率に応じて最高20%となり、通常の収益よりも優遇される。
優先株には二つの区分がある。一つは個人投資家向けに証券取引所で売買される額面25ドルの株。もう一つは機関投資家向けに店頭市場で取引される額面1000ドルの株だ。個人投資家は投資信託を通じて優先株を買うこともできる。
額面25ドルの優先株の配当利回りは、全期間または一定期間にわたり固定されるのがより一般的だ。一方、店頭市場では利回りが変動する銘柄が多数ある。
ヌビーンによると、額面25ドルの優先株市場の動きを示すICE BofA指数の年初来上昇率は8月15日時点で2.5%、利回りは6.25%だった。上昇率は額面1000ドルの優先株市場の動きを示す指数の5.3%(利回りは6.02%)を下回った。
ノルウェーの2兆ドルの政府系ファンドは、ニューヨーク市のオフィスビルに5億ドル以上を投資する予定だ。これは同社の世界有数の不動産への最新の大規模投資となる。
このファンドは、同種のものとしては世界最大規模であり、ノルウェー国民を代表してノルウェー銀行投資運用(NBIM)によって運用されている。
NBIMは火曜日、1177 Avenue of the Americas(別名Sixth Avenue)にあるオフィス物件の株式95%を5億4,260万ドルで取得すると発表した。
この買収は、不動産投資会社ビーコン・キャピタル・パートナーズとの合弁事業となります。ビーコンの子会社が建物の株式の5%を取得し、ビーコンが100万平方フィート(約90万平方メートル)の資産運用を統括します。
この取引は不動産価値を5億7110万ドルと評価しており、今年の第3四半期に完了すると予想されている。
NBIMとビーコンは、現在合弁事業としてオフィスビルを所有しているカリフォルニア州教職員退職年金制度とシルバースタイン・プロパティーズからこのオフィスビルを購入する予定だ。
ノルウェーの石油・ガス産業の余剰収益を投資するために1990年代に設立された同国の政府系ファンドの価値は19兆8000億ノルウェークローネ(1兆9800億ドル)以上である。
このファンドの主な投資対象は世界株式であり、アップル株も含まれている。
半導体メーカーTSMCの投資の1.9%は不動産だ。
同社のポートフォリオには既にニューヨークのビルが12棟以上含まれており、マンハッタンの一等地にも投資している。タイムズスクエア・タワーの株式45%を保有するほか、ニューヨーク市マディソン街、ブロードウェイ、そしてアベニュー・オブ・ジ・アメリカスに隣接する物件にも投資している。
NBIMの不動産保有は米国全土に広がっており、ボストン、サンフランシスコ、ラスベガスなどの主要都市の不動産にも投資しているが、その不動産ポートフォリオは世界に焦点を当てている。
6月30日現在、NBIMの不動産保有は15カ国に及び、米国では160億ドル以上の価値を持つ486件の不動産投資を行っている。
今年初め、同ファンドはロンドンの高級住宅街コベントガーデン地区の不動産ポートフォリオの25%を購入するために7億4000万ドルを投資すると発表された。
NBIMはまた、今年初め、スペインとフランスで学生向け・共同生活用物件を所有・運営するプラットフォームを保有するAXAライフスタイル・ハウジングの株式40%を2億4000万ユーロ(2億7900万ドル)で取得することに合意した。
今年上半期、同ファンドは非上場不動産投資で4%の収益を上げた。
世界中で長期借入コストが再び圧力にさらされているが、アナリストらは、その一因として多くの主要経済国における財政政策と金融政策の行方に対する投資家の幅広い不安を挙げている。
債券市場は今年、関税から「大きくて美しい税法案」に関連する米国の財政赤字への懸念に至るまで、ホワイトハウスの政策決定に起因する大幅な上昇と下落を繰り返すなど、不安定な動きを見せている。
今週の動きはより慎重なものとなった。しかし、いくつかの利回りが注目すべき節目を迎え、国債の機会とリスクに関する議論が再燃した。
米国30年国債
最近の判決を受けて関税収入の将来に疑問が投げかけられる中、水曜日の朝、利回りは7月以来初めて5%を超えた。日本の30年国債利回りは
水曜日には過去最高値となり、今年は高インフレ、実質金利の低下、政治的不確実性により100ベーシスポイント上昇した。
英国の30年債利回り
火曜日に、数ヶ月以内に発表される予定の予算発表を前に、1998年以来の高値に達し、水曜日早朝にはさらに4ベーシスポイント上昇した。フランスの30年国債のプレミアムは
政府が崩壊の危機に瀕し、国の財政赤字削減計画が危険にさらされる中、国債は2008年以来の水準を突破した。
今年初めの安全資産への逃避の恩恵を受けたドイツ国債も暴落に加わり、30年国債利回りは14年ぶりの高値を記録した。
レート圧力
ピール・ハントの主任エコノミスト、カラム・ピカリング氏は、債券市場に危機はないものの、政府が支払っている高価格と高金利が先進国全体の経済問題となっていると述べた。
「(高金利は)政策選択肢を制約し、民間投資を締め出し、半年ごとに金融不安に直面するのではないかと不安にさせる。これは民間部門にとって本当に、本当に悪い」とピカリング氏は水曜日、CNBCの「スクワーク・ボックス・ヨーロッパ」で語った。
「私は今、緊縮財政は景気刺激策になると考えている。なぜなら、緊縮財政は市場に自信を与え、債券利回りを低下させ、民間部門は安堵のため息をつき、バランスシートの強さの一部を分配し始めるからだ。」
キャピタル・エコノミクスの副主席市場エコノミスト、ジョナス・ゴルターマン氏は、長期国債利回りの世界的な上昇には、財政懸念、金融政策、需給動向などの期間プレミアム効果という3つの要因が重なり合っているようだと述べた。
同氏は火曜日のメモで、英国とフランスの両国は「難しい予算計算」に直面しており、「公的財政を持続可能な状態に維持し、債券市場を味方につけるためには、増税と支出削減の組み合わせが必要だ」と述べた。
一方、市場の動向は、中央銀行の「中期的にインフレを抑制できる能力と意欲」に対する信頼が揺らいでいることを示唆しているとゴルターマン氏は続けた。ただし、中央銀行の独立性に対する懸念が深刻化している米国債の利回りは比較的堅調であると指摘した。
最後に、債券発行の増加と、金利上昇とインフレのリスク、そしてリスクオフの感情と債券利回り低下の間の典型的なつながりの弱まりにより、長期債の伝統的な買い手からの需要の低下が相まって、利回りを押し下げる「特効薬」が登場する可能性は低くなっているとゴルターマン氏は述べた。
最後に、債券発行が増加している一方で、長期債の伝統的な買い手からの需要は減少しているとゴルターマン氏は続けた。リスクオフのセンチメントと債券利回りの低下を結びつける典型的な関係は今年弱まっており、トレーダーは金利上昇とインフレのリスクを慎重に検討している、と彼は述べた。
INGのストラテジストらは、ドナルド・トランプ大統領が他国からの輸入品に課している関税の大半は違法とする控訴裁判所の判決に関連した米国の関税をめぐる不確実性が今週の国債売りの引き金となったとの見方を軽視した。
「不確実性はない。関税は今後も残るだろう」と彼らは火曜日のメモで述べ、トランプ政権は手段を選ばず「関税によるマクロ経済政策に全力を注いでいる」と述べた。
「財政懸念と中央銀行の独立性に関する懸念が入り混じる中、利回り曲線の長期部分は引き続き上昇圧力にさらされている」と彼らは述べ、特に「リサ・クック事件」(トランプ大統領による連邦準備制度理事会(FRB)理事解任の継続試みを指す)を受けてその傾向が強まっているとした。
「特定の日に誰がリードするかは、供給活動によって左右されるようだ」と彼らは付け加えた。
大企業の倒産申請が過去15年間で最速のペースで進んでいるという事実は、経済にとって良い兆候でしょうか、それとも悪い兆候でしょうか?皆さんは既に答えをご存知なので、この質問に私が答える必要すらありません。そして、後ほどご覧いただくように、他の種類の倒産も急増しています。我が国はまさに債務に溺れており、今やバブルが崩壊しつつあります。これから起こることへの備えをしっかりしていただければ幸いです。これから数ヶ月は厳しい時期となるでしょうから。
ニューズウィーク誌によると 、今年の最初の7ヶ月間で446社の大企業が破産を申請しました。これは2010年以来の最高記録です。
最近の報告によると、米国では7月に企業破産申請件数が急増し、コロナ後のピークに達し、2025年には昨年の合計を上回る見込みとなっている。
信用格付け会社の調査・データ部門であるS&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、大手上場企業および非上場企業による破産申請件数は先月、6月の66件から71件に増加し、2020年7月以来の月間最多を記録した。 一方、2025年に入ってからこれまでに446件の破産申請があり、この7カ月間では2010年以来の最多となっている。
2010 年、私たちは世界的な金融危機の終焉を経験していました。
ですから、当時、多くの大企業が倒産したのには、十分な理由があったのです。
私たちが今目撃している出来事には、どんな理由があるのでしょうか?
もちろん、 驚くほどの数の倒産をしているのは大企業だけではありません…
2025年6月30日までの12か月間で、個人および企業の破産申請件数は 前年比11.5%増加した。
米裁判所行政局が発表した統計によると、 2025年6月までの1年間の破産申請件数は54万2,529件で、前年の48万6,613件から増加した。
2025年6月30日までの1年間で、企業の破産申請件数は22,060件から23,043件へと4.5%増加した。非企業の破産申請件数は前年の464,553件から11.8%増加して519,486件となった。
おお。
破産件数がそこまでひどいとは知りませんでした。
わずか1年で破産申請が11.5%増加したことは、実に憂慮すべき兆候だ。
そして、米国における農場の破産件数も 急増していることが判明しました…
アーカンソー大学の新しいデータによると、高金利と労働力不足に見舞われ、破産を申請するアメリカの農家が増加している。
研究者らは、2024年4月から今年3月の間に250以上の農場が連邦破産法第12章の適用を申請し、農業部門全体で財政難が急増していることを明らかにした。
「第1四半期の全国的な申請件数ではすでに昨年を上回っています」と、同大学の経済学者ライアン・ロイ氏は述べた。「全国レベルで見ると、2018年と2019年に見られたような財政的圧力が再び現れ始めていることを明確に示しています。」
世の中には経済に実際に何が起きているのかを否定する人が大勢います。
私たちは何年も前例のないほどの借金漬けの生活を送ってきましたが、今、その結果を経験し始めています。
何百万人ものアメリカ人が手に負えない状況に陥っており、簡単に抜け出す方法はありません。
現時点では、借金を抱えているアメリカ人の約3分の2が 「借金を最小限に抑えたり、他人に隠したりしている」と認めています…
Self Financialが1,078人の成人を対象に行った調査は、国民が借金だけでなく、それに伴う羞恥心にも溺れていることを浮き彫りにしました。借金を抱えている人の66.3%が、借金を軽視したり、他人に隠したりしていると認めました。内訳は、28.1%が自分の状況について完全に嘘をつき、20.8%が実際の状況を軽視し、17.4%が借金について全く触れないことです。
私たちは経済的な苦境を他人から隠したいかもしれませんが、自分自身からそれを隠す方法はありません。
アメリカ人は経済的な問題にあまりにも執着するようになり、常にそれについて考えるようになりました …
支払わなければならない請求書、関税のニュース、インフレの懸念の間で、お金はアメリカ人の心の中では無料で暮らしている。
金融サービス会社Empowerの新しい調査によると、人々は平均して1日4時間近くもそれについて考えているという。
言うまでもなく、それは健康的ではありません。
財政について絶えず心配していると、自分を苦しめることになります。
しかし、これが昨今の多くの人々の日常生活なのです。最近の調査によると、アメリカ人の53%が 「かつてないほど深刻な」経済的なストレスを感じていることが明らかになりました…
調査対象となった2,206人の成人のうち、54%と半数強が昨年よりも経済的なことを考えていると回答しました。実際、6月の調査では、アメリカ人の53%が「これまで以上に経済的ストレスを感じている」と回答しており、これにはジェネレーションX世代の62%、ベビーブーマー世代の41%が含まれています。
アメリカ人が経済的ストレスを感じている最大の原因の一つは、平均して 収入の42%を住宅費に費やしていることです…
アメリカ人の半数以上が住宅費に払いすぎていると述べており、平均的な人は収入の42%を住宅費に費やしている。
一方、私たちが日常的にお金を使う他のほとんどすべてのものは、ますます高価になってきています。
たとえば、 牛肉の価格は 、次々と新たな記録を更新し続けています…
食料品の価格が上昇しており、特に多くの家庭の主食である牛肉は記録的な高値を記録している。
消費者にとって通常は安価な選択肢である牛ひき肉の価格が、過去最高値を記録しました。2020年7月時点では、1ポンドあたり6.25ドルと、1年前の5.49ドル、5年前の4.26ドルから上昇しています。
牛肉ステーキの平均価格は、7月時点で1ポンドあたり11.87ドルに達しました。これは、2024年7月の10.85ドル、2020年7月の8.69ドルから上昇しています。
そしてコーヒーの価格は 過去1年間で30%以上上昇しました…
コーヒーの小売価格が前年比で30%以上上昇したのは驚くべきことだ。飲料大手2社の合併により、高騰するコストをより適切に管理できる企業が誕生する見込みだが、消費者が当分の間、安堵感を得られる可能性は低い。
もし私たちが頭を砂に突っ込んで「すべてうまくいく」と繰り返したら、状況は良くなるでしょうか?
もちろん違います。
この非常に厳しい経済環境を切り抜けるためには、何が起きているのかを認識し、それに応じて計画を調整する必要があります。
まず、もし今良い仕事に就いているのであれば、絶対にやらなければならない場合を除いて、それを辞めないでください。
全国各地で大量解雇が行われていますが、またもやその一例が ニュースになりました…
クローガーは従業員を解雇しない意向を以前に発表していたが、約1,000人の社員が職を失うことになる。
この人員削減は、食料品店が2026年末までに業績不振の店舗60店以上を閉鎖することを決定したことを受けて行われた。
クローガーは、アルバートソンズとの250億ドルの合併が失敗に終わった後、コスト削減の手段として店舗閉鎖を開始した。
悲しいことに、今後数か月でさらに多くのアメリカ人が職を失うことになると思います。
そして、最近では国民のほとんどが給料日前には生活費が尽きてしまうため、職を失った人はすべてを失うリスクにさらされています。
いつまでも借金を積み重ねていくことは不可能でした。
我々の物語は今や「バブルが崩壊しつつある」章に到達しており、それは決して楽しいものではないだろう。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
●その他
備忘録(2025/9/2)
●企業
ウォーレン・バフェット氏は火曜日、クラフト・ハインツの株価に失望しているとCNBCに語った。
この分裂は、彼が10年前に主導した大規模な合併の大部分を解消するものである。
バークシャー・ハサウェイはクラフト・ハインツの株式27.5%を保有する筆頭株主である。同社は2015年の合併で食品コングロマリットが誕生して以来、同社の株式に手を付けていない。
バフェット氏の発言を受けて同社の株価は5%以上下落した。
バフェット氏は火曜日、CNBCのベッキー・クイック氏に対し、合併は素晴らしいアイデアではなかったが、会社を解体しても問題が解決するとは思っていないと語った。
バフェット氏によると、年末にバフェット氏からバークシャー・ハサウェイの経営を引き継ぐグレッグ・アベル氏は、クラフト・ハインツに対して失望感を表明したという。
クラフト・ハインツは、この取引に関するバフェット氏の立場についてのコメント要請に直ちには応じなかった。
火曜日に発表された分割により、クラフト・ハインツは再び2つの会社に分割される。1つはソース、スプレッド、常温保存可能な食品に特化し、もう1つはオスカー・マイヤー、クラフト・シングル、ランチャブルズなど北米の定番商品を扱う会社である。
バークシャー・ハサウェイは2015年、プライベートエクイティファームの3Gキャピタルと提携し、クラフトフーズとHJハインツを合併させた。3Gキャピタルは、クラフト・ハインツの経営不振を受け、長年にわたり定期的に保有株を減らしてきたが、2023年にひっそりと同社への投資から撤退した。
オスカー・マイヤーやベルビータといった象徴的なブランドを擁するクラフト・ハインツですが、合併からわずか数年で米国での売上は減少しました。健康志向の強い消費者は加工食品の購入を減らし、スーパーマーケットの周辺で買い物をするようになりました。一部のアナリストは、クラフト・ハインツが最も必要としている時期にブランドへの投資を怠ったコスト削減策が、同社の低迷の原因だと指摘しています。
クラフト・ハインツは事業立て直しを目指し、プランターズナッツやチーズ部門の一部など、ポートフォリオの一部を売却しました。また、ランチャブルズやカプリサンといったブランドへの投資も進めています。5月、クラフト・ハインツの幹部は、戦略変更と潜在的な買収を検討していると述べました。
2015年に取引が完了して以来、クラフト・ハインツの株価は金曜日の終値時点で70%近く下落し、同社の時価総額は330億ドルにまで下落した。
他の投資家がクラフト・ハインツへの信頼を失っているにもかかわらず、バフェット氏は同社を支持し続けている。ただし、2019年の悲惨な四半期の後、バークシャー・ハインツはクラフトに高すぎる金額を支払ったとCNBCに語った。
クラフト・ハインツへの投資家としてのバークシャーの将来について、バフェット氏は火曜日にCNBCに対し、バークシャーは同社の利益のためにあらゆる手段を講じると述べた。バフェット氏によると、バークシャーが株式売却を持ちかけられた場合、他の株主が同様の提案を受けない限り、バークシャーは一括買収に応じることはないという。
●マクロ
英国の長期債利回りは2日、1998年以来の高水準に上昇した。スターマー首相率いる政府に対して、市場の信認を取り戻すための対策を講じるよう一層の圧力がかかっている。
英30年債の利回りは一時8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、5.72%。10年債利回りは6bp上昇して4.81%と、1月以来の高水準を付けた。
ポンドは対ドルで一時1.5%安の1.3340ドルとなり、主要通貨のうち下落率が最も大きい。英国株の代表的な指数であるFTSE100も下げている。
2日は長期債を中心に国債が世界的に売られているが、英国の場合は供給面の圧迫もある。政府はこの日、シンジケート団を通じて2035年償還債を発行。RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、メガム・ムヒッチ氏によると、発行価格は市場が見込んだよりもやや低かったため旺盛な需要が集まり、10年債としては過去最高の140億ポンド(約2兆8000億円)を調達した。
英国の10年債利回りは、主要7カ国(G7)の中で最も高い。借り入れコストの上昇は、秋に予定されている予算案発表を前にリーブス財務相が直面する財政問題を悪化させる恐れがある。
ブルームバーグ・エコノミクスの試算によると、財務相は歳出削減または増税で350億ポンドの財政不足を埋める必要がある。与党議員の反対で政府は社会福祉改革の撤回を迫られた前例があるだけに、財政不足を埋める措置は政治的に困難を極める可能性がある。
アリアンツのルドビック・スブラン最高投資責任者(CIO)は「英国の状況は現時点で極めて危うい。『債券自警団』が戻ってきたからだ」と指摘。
「インフレ再来が英国債に織り込まれるまでにこれほど長い時間がかかったことの方が印象的だ。財政面のフォワードガイダンスが必要だろう」と続けた。
英国の超長期債の売りは、確定給付型年金ファンドなど伝統的な買い手の需要後退や、構造的なインフレ高止まりに対する懸念が背景にある。英債務管理庁(DMO)は既に超長期債の発行を過去最低に減らすと発表したが、一段の減少を求める声もある。
エコノミストは、英国が自ら課した財政規律を守るには、近く増税が必要になると予測している。
英30年債利回りは年内に6%を超えると、フランクリン・テンプルトンは予想。英国の厳しい財政見通しが同国債を圧迫し続けるだろうと指摘した。
同社の欧州債券責任者デービッド・ザーン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、スターマー首相が首相官邸内の人事変更を1日行ったことに触れ、「スターマー氏は官邸内に新たなスタッフを招き入れたが、財政を実際担当しているのは誰なのかという疑問を抱かせる」と述べた。
その上で、「政府はこれからも何とかやり過ごそうとし、問題に真正面から取り組むことはしないと思う。しかし、利回りが高くなり過ぎれば、最終的に歳出削減を含む、はるかにもっと抜本的な対応を強いられるだろう」と語った。
英国のパレス首相報道官は2日、「特定の市場の動き」についてコメントを控えるとしつつ、「しっかりとした財政規則を守るというわれわれの固い意思は変わらない」と強調した。
ポンドの下落
2日は英国債の取引開始時から、ポンドも売り圧力にさらされた。オプション市場の持ち高状況は、ポンドの1カ月先の対ドル相場が、7月以降で最も弱気に傾いている。
クレディ・アグリコルCIBのG10為替調査・戦略責任者、バレンティン・マリノフ氏は「先進国全体の財政見通しに広範な懸念がある」との見方を示し、「ポンドは今一度、投資家の不安のはけ口と見なされている」と語った。
満期までの期間が10年を超える超長期国債にとって、9月は厳しい月となる公算が大きいと過去のデータが示している。
ブルームバーグがまとめたデータによると、過去10年間で世界各国の超長期国債は、9月に中央値で2%の値下がりを記録しており、これは1年間で最も悪い月次パフォーマンスとなっている。
各国政府が歳出に向けて借り入れを拡大するとの懸念から、超長期債がすでに期間が短めの国債に後れを取っており、過去のこうした傾向は債券投資家にとって不安材料となる。
さらに日本の根強いインフレやフランスの政局不安に加え、トランプ米大統領の利下げ圧力により米国内の物価圧力が強まるとの懸念などを背景に状況が悪化する可能性がある。
ファイブスター投信投資顧問の下村英生シニアポートフォリオマネジャーは、9月は金融政策が急転換することが多く、それを見越したポジション調整が顕在化しやすいと述べた。
2日には超長期債が再び売り圧力にさらされた。米国の30年債利回りが5%に迫り、英国では1998年以来の高水準に達した。フランスの30年債利回りも6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、4.51%となった。
ドイツ銀行のグローバルマクロ調査・テーマ戦略責任者ジム・リード氏はリポートで「市場が秩序を保っている状況でも、ゆっくりと進行する悪循環が見られる。債務への懸念が利回りを押し上げ、それが財政状況を悪化させ、さらに利回りを押し上げる」と述べた。
欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事はロイター通信とのインタビューで、世界的に金利が予想より早く上昇し始める可能性があるとの見方を示した。各国の政府支出の高水準を主な要因の一つとして挙げた。
注目材料は5日に発表される8月の米雇用統計だ。米金融当局による9月の利下げの可能性を見極める上で、短期的なリスク要因となる。
加えて、ユーロ圏のインフレ指標も市場の注目を集めている。来週の欧州中央銀行(ECB)政策委員会では政策金利の据え置きが見込まれている。
一方、フランスでは政局が緊迫しており、債券利回りが上昇。バイル仏首相は8日に予定されている内閣の信任投票に向け、支持固めを急いでいる。
超長期債が9月に季節的に下落しやすい要因の一つとして、ペッパーストーン・グループの調査責任者クリス・ウェストン氏は、国債発行の増加を指摘する。
ジェフリーズ・インターナショナルのチーフ欧州ストラテジスト、モヒト・クマール氏もこの見方に同意し、9月の季節的な傾向は「主に発行に関係している」と分析。「7、8月は発行が少なく、11月中旬以降もそれほど多くない」と話した。
みずほインターナショナルのマルチアセットストラテジスト、エブリン・ゴメスリヒティ氏は、想定以上に強い米経済指標や日本銀行がタカ派に転じる可能性などが今月、国債市場にさらなる下押し圧力をかけるとし、「数多くのリスクを乗り越えなければならない」と語った。
2025年は米国の関税に起因する波乱や財政赤字懸念、フランスの政治危機が欧州債市場を既に動揺させたが、さらに約2兆ユーロ(約345兆円)規模の激変に見舞われかねない。
欧州連合(EU)最大のオランダ年金制度の改革が、その震源地だ。不安を背景に長期債利回りは既に上昇し、ヘッジに用いるユーロスワップ市場のボラティリティーにトレーダーは備えている。流動性が低下する年末年始に大規模な資金の移行が見込まれ、動揺が激しくなる恐れがある。
オランダの退職基金はこれまで、将来の年金の支払いを確保するため、長期スワップに大きく依存してきた。ライフサイクル投資への移行に伴い、より若い勤労者が株式などリスク資産に比重を移すことで、長期ヘッジの需要が減る。年齢がより高い層は債券など安全資産を重視すると予想されるが、付随するヘッジ期間は短くなる。
年金改革は高齢化と労働市場の変化に対応する狙いがある。オランダ経済はユーロ圏全体の7%を占めるに過ぎないが、同国の年金制度は市場プレーヤーとして突出し、欧州中央銀行(ECB)のデータによれば、域内年金貯蓄の半分以上を占める。欧州債保有額は約3000億ユーロに達する。
来年1月1日には約36の基金が新制度への移行を予定し、残りは28年1月まで半年ごとに切り替えを行う。最初のヘッジ解消の大波が流動性の低い時期に集中すれば、投資銀行とブローカーが売り手と買い手をさばききれず、システムが機能不全に陥る危険がある。
長期スワップの需給不均衡は既に顕著だ。スワップポジションの解消が必要な年金基金が待機する一方、ヘッジファンドなど利益を狙う市場参加者がこの動きの展開を待って、取引の反対側に立つこともあり得るだろう。
バークレイズの欧州金利リサーチ責任者ローハン・カンナ氏によると、それが利回り曲線の急速なスティープ化を招く可能性もある。1月にどのような動きになるか誰も読めないが、「そうした状況では、市場は流動性が低下するか、非常に神経質になりかねない」という。
ABNアムロの推計では、年金セクターはドイツ債とフランス債、オランダ債へのエクスポージャーが最も大きい。ABNのストラテジストによれば、需要減少に伴い、各国政府がより短期の国債への切り替えを迫られることも考えられる。借り換えの頻度が増し、金利変動にさらされやすくなると懸念される。
オランダ国債のイールドカーブは、10年国債と30年国債との利回り格差が年初来で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く拡大し、EU加盟国で最もスティープ化した。
オランダ中央銀行は今年に入り、金融安定に対するリスクを警告した。制度の基本的な仕組みが複雑なため、混乱の規模を見極めることは難しい。
最近数週間を見ると、30年物ユーロスワップの将来の変動を反映する指標が上昇し、INGグループのストラテジストは年金制度の移行が影響している可能性が高いと分析する。ユーロの資金調達コストにも波及しつつある。
米ブラックロックやアビバ・インベスターズを含む資産運用会社は利回り曲線のロングエンド(長期ゾーン)に慎重になるよう勧め、より短期の債券を選好。JPモルガン・アセット・マネジメントなどは、今回の問題が欧州の国債に対し、米国債の魅力を高める一因になっていると指摘する。
バンガード・アセット・マネジメントの国際金利責任者アレス・クートニー氏は「未知数と変動要因があまりにも多い。事が起きると皆分かっているが、最終的な結果がどうなるか誰にも分からない。皆精いっぱい備えている」と説明した。
日本銀行の氷見野良三副総裁は2日、日銀の経済・物価見通しが実現していけば、引き続き利上げを行うことが適切との見解を改めて示した。追加利上げ時期を示唆するような発言はなかった。
氷見野氏は北海道釧路市での講演で、経済・物価のメインシナリオが実現していけば「経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適切だ」と語った。経済と物価には上下双方向のリスクが考えられるとし、「予断を持たずにみていきたい」とした。
政策判断で重視する基調的なインフレ率は「賃金と物価の相互参照のメカニズムが働いて2%にかなり近づきつつある」などと説明。米関税政策の影響によって足踏みはあっても、いずれ2%の物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方を示した。
米関税政策の影響が懸念される中でも日本の経済・物価はしっかりした推移が続いており、市場の年内追加利上げ観測は次第に強まりつつある。氷見野氏は関税政策の影響に対する警戒感を維持しつつ、基調的なインフレ率の上昇基調などを背景に、利上げ路線継続の必要性を改めて示した形だ。
日本経済の先行きに関しては、米関税政策の影響がいずれ顕在化し、海外経済の減速に伴って日本企業の収益も下押しされると指摘。当面は関税政策の影響が「大きくなる可能性の方に、より注意が必要ではないか」と語った。
午後の記者会見では、仮に米関税政策の影響が顕在化しなければ、利上げ方向の要因になるとし、判断する上で最も早く入手できるのはヒアリング情報だろうと述べた。利上げに際しては、経済・物価に上下双方向のリスクがある中で、「先走り過ぎにも、後手にも回らないようにしなければいけない」との見解を示した。
氷見野氏から早期利上げに向けて踏み込んだ発言がなかったことなどを受けて、東京外国為替市場の円相場は下落した。講演前の1ドル=147円30銭付近から、午後には一時148円台まで円売り・ドル買いが進んだ。
日銀は7月の前回会合で政策金利(0.5%程度)を据え置く一方、消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の前年比見通しを2025年度中心に上方修正した。植田和男総裁は記者会見で、直前の日米関税合意を大きな前進と評価しつつ、金融政策が後手に回るリスクが高いとは思わないとの認識を示した。
翌日物金利スワップ(OIS)から算出した、12月会合までの0.25ポイントの利上げ確率は足元で6割程度。18、19日に開かれる9月会合については10%未満にとどまっている。
ベッセント米財務長官は先月13日、ブルームバーグのテレビインタビューで、日銀の金融政策運営について、私見としつつ「日銀は後手に回っており、利上げするだろう」と語った。こうした発言も年内利上げ観測の背景にある。
フランス極右政党、国民連合(RN)は1日、バイル首相が率いる内閣への不信任案可決を見越し、総選挙の可能性に備える方針を明らかにした。
バイル氏は8月25日、国民議会(下院)で9月8日に内閣の信任投票を実施すると発表した。2026年予算案に不人気の政策を盛り込む計画を進めるのが目的で、1日から早速野党側との協議に入った。
ただ左派の社会党のフォール党首は8月31日、党として内閣信任に反対することは「確定的」だと発言。信任反対を表明している野党の票数を合計すれば、不信任案が成立する見通しになっている。
こうした中でRNのバルデラ党首は1日、国民議会の解散による総選挙を含めたいかなる事態にも対応する必要があり、実際に対応できると主張し、既に候補者の85%を選定していると付け加えた。
RNの事実上の指導者マリーヌ・ルペン氏は、同氏とバルデラ氏が2日にバイル首相と先方の要請で会談する予定だと明らかにしたが、この会談で何も成果は生まれないだろうとの見方を示した。
バイル内閣の不信任案が成立した場合、マクロン大統領には即座に新たな首相を指名してバイル氏に当面暫定的に政権を委ねるか、解散総選挙を決定することになる。内閣の信任投票実施が発表される前の時点では、マクロン氏は早期の総選挙を否定していた。
マクロン氏が昨年6月に踏み切った解散総選挙は、結果的に自身の基盤を弱めて、国民議会の分断を加速させた政治的失策との評価が大勢。直近の世論調査を踏まえると、現在総選挙を行えば再びどの政党も国民議会の過半数を確保できない見込みだが、RNの勢力は強まる公算が大きい。
2日の欧州債券市場でフランスの30年物国債利回りが約16年ぶりの高水準に急上昇した。
財政への懸念が背景。バイル首相は政権崩壊を回避するため、各政党との協議を開始した。
極右政党、国民連合(RN)は1日、内閣不信任案可決を見越し、総選挙の可能性に備える方針を明らかにした。
仏30年物国債利回りは6.5ベーシスポイント(bp)上昇し4.513%と、2009年6月以来の高水準をつけた。
超長期国債利回りは、ドイツの投資計画やユーロ圏各国の国防支出増加が債務増大につながるとの見方で、売り圧力に見舞われている。
2日の市場では、独30年物連邦債利回りも米国債利回りの上昇に追随し、一時14年ぶりの高水準を付けた。英国の30年物国債利回りも27年ぶりの高水準を記録した。
スペインの30年物利回りは5bp上昇し4.29%。一時23年11月以来の高水準となる4.297%を記録した。
イタリアの30年物利回りは4.661%と、4月以来の高水準に達した。
英国の長期借入コストは火曜日、約30年ぶりの高水準に達した。これは世界的な債券利回りの上昇と、英国債市場を悩ませている特定の懸念の組み合わせを反映している。
30年英国国債の利回り
ギルト債と呼ばれる国債は、ロンドン時間午後1時56分(東部時間午前8時57分)時点で7ベーシスポイント上昇し、5.709%となり、1998年以来の高水準となった。短期国債の利回りも上昇し、2年国債は
10年債利回り
それぞれ4ベーシスポイントと7ベーシスポイント上昇しました。
これは、労働党政権による複数の上級顧問ポストの人事異動を投資家が評価する中で、英ポンドが対米ドルで1.5%下落したのと時を同じくする。これらの動きは、今秋後半に発表される待望の予算案への準備であり、政治的圧力と低迷する経済成長の中で、景気回復を促す試みと解釈されている。
英国債は、保有者の構成(特に外国のヘッジファンド)により、ニュースやリスク許容度に非常に敏感になる傾向がある。今年4月の世界的国債売りの際、30年債利回りが30ベーシスポイントまで急騰したことからもそれが明らかだ。
火曜日の動きはそれほど劇的ではなかったが、30年債が1998年の新たな高値(今年初めにも達成された節目)にゆっくりと戻ったことで、債務の持続可能性をめぐってレイチェル・リーブス財務大臣へのさらなる圧力についての議論が再燃した。
リーブス氏は、英国の対GDP比債務を削減し、歳入で日常的な支出を賄うことを目的とした、自らに課した一連の「財政ルール」の遵守に自身の信頼性を託しており、さらなる増税が広く予想されている。借入コストの着実な上昇が、その状況をさらに複雑化させている。
ナインティワンのマルチアセット・ポートフォリオ・マネージャー、ジェイソン・ボルボラ・シーン氏は電子メールでCNBCに対し、英国は経常収支と財政赤字の両方を抱え、財政状況が悪いと語った。
「リーブス氏の断固たる姿勢と、増税と支出削減を含むより厳しい政治決断は、長期的には景気後退を抑制するだろう。短期的な成長は多少犠牲になる可能性が高いが、最終的にはより強靭な長期的アプローチを示すことになるだろう」とボルボラ・シーン氏は述べた。
世界の情勢
投資家の財政懸念に関連した長期金利の上昇に直面しているのは英国だけではない。米国債利回りは火曜日、関税収入の将来への懸念から急上昇した。
一方、ドイツ、フランス、オランダの30年債利回りは2011年以来の高水準にあるとドイツ銀行のジム・リード氏は火曜日に指摘し、この傾向を「債務懸念の高まりが利回りを押し上げ、債務動向が悪化し、それが再び利回りを押し上げるという、ゆっくりと進行する悪循環」と表現した。
しかし、英国30年債は、フランスや米国など他の経済大国に比べると相対的に高い水準にある。フランスは 予算をめぐる対立で政権崩壊の危機に直面しており、米国は連邦準備制度の独立性についてドナルド・トランプ大統領から圧力を受けている。
過去数年間、世界の大部分は高インフレと経済成長への懸念に悩まされてきたが、英国のインフレとの闘いはここ数ヶ月、ユーロ圏や米国よりもさらに激しくなっている。
これにより、イングランド銀行が今年さらに利下げを行うとの期待は低下し、短期金利に影響を及ぼしている。
信用格付け分析会社KBRAのソブリン担当シニアディレクター、ケン・イーガン氏はCNBCに対し、英国の長期国債はさらに「深刻な」課題に直面していると語った。
「今年の追加防衛予算投入以前から財政状況は逼迫しており、市場は今や債券供給の増加と投資家層のシフトに直面している」とイーガン氏はCNBCに語った。かつて長期国債の「長期的なアンカー」として君臨していた国内年金基金や保険会社の撤退は、財政懸念と供給増加を吸収するために高いプレミアムを要求するヘッジファンドや海外投資家に取って代わられたとイーガン氏は述べた。
同氏は「海外勢の過剰投資は需要が強い時にはプラスに見えるかもしれないが、国債に対する見方が不利に転じれば無秩序な売りにつながるリスクがある」と付け加え、数カ月にわたるネガティブなニュースの流入が「政府の借入額に数十億ドルを追加し、税収全体を帳消しにするほどの額になる」という潜在的なシナリオを示唆した。
イーガン氏はさらに、国債入札自体は「一貫して高いカバー率と満期期間全体にわたる旺盛な需要」を伴い依然として堅調であり、国債管理局が今年発行をより短期の満期にシフトさせたことで、市場の円滑な機能が今後も維持されるはずだと述べた。
アポロ・グローバルによると、民間市場と民間融資の革命は、上場株式から代替投資への投資家の大規模なシフトの舞台を整えている。
株式市場がパッシブ投資とインデックス運用にますます牽引され、少数の巨大テクノロジー株に支配されるようになると、分散投資を求める投資家は急速に拡大するプライベート市場に目を向け始める必要があるだろうとローワン氏はCNBCに語った。
「(投資は)破綻していると思います」と彼は言った。「40年前は、民間投資はリスクが高く、公的投資は安全だという考え方がありました。もしそれが根本的に間違っていたらどうでしょう?」
ローワンとアポロは、投資環境における構造的な変化の最前線に立っており、公的市場と私的市場の境界線が曖昧になり、急成長する民間信用融資事業がアメリカ企業の成長におけるますます大きな割合を占めるようになっている。
現在、少数の巨大プライベートエクイティ会社が銀行や株式市場を押しのけて、何兆ドルもの融資を行い、投資家にとって新たな機会(とリスク)を生み出している。
運用資産総額は現在、合計で2兆6000億ドルを超え、10年前の4倍以上に増加している。アポロ単体でも運用資産は8400億ドルで、2008年の400億ドルから増加しているとローワン氏は述べた。
「これを優れた経営のおかげだと言いたいところですが、それは違います」とローワン氏は述べた。「答えは、プライベートマーケットを再編し、成長させている根本的な要因があるということです。」
これらの要因は、銀行融資を抑制し、民間信用市場が介入して大企業の借り手に長期(多くの場合、よりリスクの高い)融資を提供することを可能にした金融危機後の規制から始まります。
投資クラスとしてのプライベート・クレジットは、まず基金、政府系ファンド、年金基金の間で、そして後にファミリーオフィスや富裕層投資家の間で拡大しました。最大15%以上のリターンにより、数千億ドルもの資金がプライベート・クレジット・ファンドに流入しました。
同時に、株式と債券の60対40のポートフォリオの有効性は時代遅れになっているとローワン氏は述べた。上場投資信託(ETF)やインデックス投資の台頭により、ほとんどの投資家は保有する個別銘柄についてほとんど調査を行わなくなっている。インデックスでさえ、今では少数の巨大テクノロジー銘柄によって動かされている。そして、株式と債券の相関性が高まっている今、分散投資の定義を見直す必要がある。
ローワン氏は、上場企業数が1990年代の8,000社から現在は約4,000社に減少していることは、投資家が実際にはアメリカ経済の投資利益を享受できていないことを意味すると述べた。
「S&P500を保有しているからといって、本当に500を保有していると言えるのだろうか?」と彼は言った。「現在、10銘柄が指数の40%を占めている。米国市場の力強さ、いや、率直に言って、あらゆる市場の力強さを反映した投資をする能力を失ってしまったのだ。」
その代わりに、投資家は債券や株式ポートフォリオのより多くの部分を民間投資に配分し始めるだろう、と彼は述べた。
プレキンによれば、民間信用会社は投資に約4500億ドルの資金を保有している。
そして、今日の民間信用融資には、大規模な上場企業が関与することが多い。メタプラットフォーム
例えば、ブルー・アウル・キャピタルが率いるグループから290億ドルの資金調達を確保したばかりだ。
ルイジアナ州のデータセンターについてはパシフィック・インベストメント・マネジメント社に委託した。
大手銀行ではなく、アポロに融資を依頼する企業が増えています。投資家や企業は、市場の潜在的規模にようやく気づき始めたとローワン氏は言います。
「プライベート・クレジットが直接融資、レバレッジ融資、投資適格未満のものであれば、市場規模は約1.5兆ドルです」と彼は述べた。「プライベート・クレジットが投資適格で、投資適格未満のものであれば、現在では40兆ドルの市場規模になります。現在、私たちが行っている業務の大部分は投資適格であり、これは常に人々を驚かせています。」
プライベートクレジットへの投資リスクはよく知られているものの、ローワン氏はそれがしばしば誤解されていると指摘する。例えば、メタへのローン投資は、インデックスを通じて同社の株式を購入するよりもリスクが高いと考えるべきではない。
「もし民間の債券が安全かつリスクがあり、公的な債券が安全かつリスクがあり、ただ流動性のレベルが違うだけだとしたらどうなるだろうか?」と彼は言った。「それが私たちが今生きている世界だと思う」
オルタナティブ投資が機関投資家からファミリーオフィス、そして最終的には個人投資家へと投資階層を下り始めるにつれ、個人投資家が退職後の貯蓄の一部を流動性の低い資産に投資するのではないかという懸念が高まっています。実際、ハーバード大学、イェール大学、その他の基金は、必要な資金を調達するために、プライベートエクイティ投資やオルタナティブ投資の一部を割引価格で売却するのに苦労しています。
ローワン氏は、プライベート・クレジット市場が成熟するにつれ、新たなファンド、マーケットメーカー、そしてETF商品の台頭によって流動性は高まるだろうと述べた。しかし、より高いリターンを得るには、ある程度の流動性の低さも重要だと付け加えた。
「もし今、アポロと取引していて、100%プライベート投資適格の債券を保有したいなら、30日ごとに資金の100%を引き出すことができます」と彼は述べた。「投資家として、30日間の流動性不足に耐える余裕がないのであれば、プライベート市場に投資すべきではありません。」
トランプ政権は先月、401(k)プランにおけるオルタナティブ投資と暗号資産の活用を拡大する大統領令を発令した。ローワン氏は、このプロセスには時間がかかるものの、オーストラリア、イスラエル、メキシコなど、国の退職年金制度においてより多くの代替投資を認めている国々の経験は、米国の投資家にとって良い兆しとなると述べた。
アクセスの拡大は、最終的には手数料の引き下げ、パフォーマンスの向上、そして依然として不透明だと広く見られている投資分野における透明性の向上にもつながるだろう。
「透明性と市場開放によって、アクセスの改善、価格の低下、そして無能な経営者の淘汰がもたらされなかった市場は世界中に存在しない」と彼は語った。
香港の多国籍企業は、過去10年間で最低の賃貸料率を利用して、オフィスの拡張やアップグレードを行っている。不動産会社や地主は、アジアの金融の中心地である香港の主要オフィス市場が底入れするかもしれないという期待を抱いている。
不動産業者や業界幹部によると、賃料が2019年のピーク時からほぼ半分に下落したことから、プライベートエクイティ・グループのジェネラル・アトランティック、ヘッジファンドのポイント72、法律事務所エイキンなどの企業はここ数カ月、より中心部に位置する新しい施設への移転を計画している。
香港を拠点とする保険会社FWDは水曜日、今年香港で「最大のオフィスリース」を締結したと発表した。スワイヤー・プロパティーズのタイクー・プレイスにある33万平方フィートの10年契約だが、賃貸条件は明らかにしていない。
同市の不動産市場は、パンデミックに伴う厳しい規制や、2020年に始まった北京による政治的反対意見の取り締まりにより外国人駐在員や外国企業が大量に流出し、需要が低迷している。
市場に次々と建設される新しいオフィスビルが、供給過剰を悪化させている。商業不動産会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、香港金融街の主要オフィスビルの月額平均賃料は、2019年の1平方フィートあたり166香港ドルから、6月には約90香港ドル(約12米ドル)に下落した。
「賃料が底値圏にあるため、多くのテナントはこの機会を捉えたいと考えています」と、香港の不動産会社コリアーズでテナントサービス責任者を務めるフィオナ・ガン氏は述べた。「(より良い立地の)賃料が現在のオフィスと同水準になっていることを考えると、『なぜ移転してオフィスをグレードアップしないのか?』と考えるでしょう。」
香港のJLLでオフィス賃貸アドバイザリー部門の責任者を務めるサム・ゴーレイ氏は、ヘッジファンド、クオンツファンド、資産運用会社が市場で最も活発に活動していると述べた。
取引に詳しい関係者によると、貿易会社ジェーン・ストリートは6月、 22万3437平方フィートの港湾フロントオフィスを月額400万ドルで賃貸契約し、香港でのプレゼンスを2倍以上に拡大した。
ゼネラル・アトランティックとポイント72は、今年中に市内で最も新しい超高層ビルの一つであるザ・ヘンダーソンに移転する予定だと、賃貸契約に詳しい関係者が明らかにした。エイキン・ガンプも、ザハ・ハディド・アーキテクツが設計した豪華なビルに移転し、「この地域への長期的な投資」を表明した。カナダ・ナショナル銀行は、「この地域におけるビジネス活動の活発化」を理由に、より大規模な施設への移転を決めたと述べている。
不動産取引の動きは、香港株式市場の回復と、コロナ禍後の低迷からの中国からの投資流入が記録的な水準に達した時期と重なっている。今年に入って香港上場を申請した企業は200社を超え、その多くは海外展開のためのオフショア資金調達を求める中国企業グループだ。
アナリストらは、株式市場の活発な動きが中国本土企業による優良オフィスの賃貸を促進すると予想している。中国のインスタグラムのようなソーシャルメディアプラットフォーム「小紅書」は最近、香港に7,000平方フィート(約640平方メートル)のオフィスを開設した。同社は香港での上場を希望していると、フィナンシャル・タイムズ紙は以前報じている。
公式データによれば運用資産総額が4.5兆ドルに達するとされる富裕層・資産運用部門の成長により、金融グループや法律事務所で新たなオフィスの拡張が進むと予想されると担当者らは述べた。
公式データによると、主要オフィスビルの空室率は昨年末に過去最高の17.4%を記録した。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのデータによると、6月までの3ヶ月間で新規賃貸可能面積は2019年以来の高水準に達した。
最近の市場動向は、ビルオーナーに希望を与えている。香港セントラル地区で最大級の不動産オーナーである香港ランドは、7月の決算発表で、「主要オフィス賃料の安定化の兆しが見え始めた」と述べた。
スワイヤーは、ここ数カ月で高級オフィス物件への問い合わせが「かなり増加」しているものの、「短期から中期的には」賃料は依然として圧力を受けると予想していると述べた。
CBRE香港のリース部門責任者アダ・フォン氏は、新築ビルの完成に伴い、今年末までに主要オフィスの平均賃料がさらに5~10%下落する可能性があると警告した。
「供給過剰を無視することはできません」と彼女は述べた。「空室圧力により、家賃がさらに下がる余地はまだあるかもしれません。」
ジェーン・ストリート、ジェネラル・アトランティック、ポイント72はコメントを控えた。シャオホンシュウはコメント要請に応じなかった。
スコット・ベセント財務長官は労働者の日にワシントン・エグザミナー紙に対し、トランプ政権は住宅価格高騰の危機に対処するため、今後数ヶ月以内に国家住宅緊急事態を宣言する可能性があると述べた。ベセント長官の発言は、予想される利下げサイクルの直前に行われたものであり、2026年の中間選挙を前に重要な議題の一つとなることが予想される住宅価格高騰の危機への対応に向けた政権の緊急の取り組みを強調するものである。
ベセント氏は月曜日、労働者の日にマクリーン・ファミリー・レストランでワシントン・エグザミナー紙の朝食会に出席した。同紙に対し、トランプ大統領は「手頃な価格」をアメリカ・ファースト党の2026年中間選挙の政策綱領の重要な柱に据える計画だと語った。
「秋には全国的な住宅危機を宣言するかもしれない」とベセント氏はワシントン・エグザミナー紙に語った。
住宅ローン金利の上昇と住宅価格の記録的高騰という有害な組み合わせが、この世代で最悪の住宅購入困難危機を引き起こし、多くの労働者階級の人々が住宅所有から遠ざかっている。
「我々は何ができるかを考えている。州や郡、地方自治体の業務に介入するつもりはない」とベセント氏は述べ、「あらゆることが検討対象になっていると思う」と付け加えた。
財務長官はトランプ大統領が取ることができる具体的な措置については詳しく述べなかったが、政権当局者が地方の建築・ゾーニング規制を標準化し、決済コストを削減する方法を検討していることに言及した。さらに、住宅資材の一部に対する関税免除の可能性も検討すると付け加えた。
「2026年には経済が大きく回復すると思います」とベセント氏は続けた。「このレストランを32年間経営している、とてもとても素敵な若い女性が、『チップ税免除』制度によって多額の税金還付を受けられるんです。ですから、2026年は良い年になるでしょう」
トランプ政権が住宅供給の拡大を目指しているもう一つの方法は、連邦住宅支援プログラムから不法移民を除外することです。さらに、犯罪が蔓延し民主党が支配する都市における法と秩序の回復に向けた取り組みも、住宅供給の活性化につながる可能性があります。
アメリカ・ファーストとは、グローバリストが何十年にもわたってこの国を築いてきた労働者階級を削り取ってきた後、中流階級を再建することです。住宅所有、家族、そして国家を「再び偉大にする」という考え方が、今日、特にインターネット上では大流行しているようです。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T), opens new tabが不動産運用事業を拡大している。グループで不動産運用を手掛ける中核会社の三菱UFJ不動産投資顧問(MUREAM)の内田直克社長はロイターとのインタビューで、1000億円規模の国内不動産に投資するファンドを新たに立ち上げることを明らかにした。「金利ある世界」の到来で高まる投資家の需要を取り込み、運用資産の拡充を強化する。
新設するファンドは、空室や老朽化など課題を抱える不動産を取得し、改修・リーシング・運営改善で収益力と資産価値を高め、賃料の上振れや売却益で、より高いリターンを狙うバリューアッド型。同商品を扱うのは初めてで、内田社長は「金利ある世界で、投資家のリターン目線が高まっている」と説明する。
国内の生命保険会社や銀行、事業法人などの機関投資家から約300億円をエクイティとして調達する計画で、すでにマーケティングを開始、「投資家の感触は良い」という。借入金を含む投資総額は1000億円を見込む。
投資対象は、東京・関西・名古屋を中心とする中規模オフィス、賃貸レジデンス、ホテル。外資系ファンドの参入などで調達競争が激しくなる中、案件ソーシングの要はグループ連携だ。グループの持つ信用力とネットワークを背景に、ディールのソーシングや資金調達力で優位性を持つとし、CRE(企業不動産の戦略活用)を起点に市場外案件の掘り起こしも進める。
MUFGは成長戦略の重点分野の一つにアセットマネジメント事業を位置づけ、23年10月に不動産運用の体制を再編。2024年4月には三菱UFJ信託銀行の不動産私募ファンドに関する取得・運用・管理機能を統合し、新生MUREAMが本格始動した。
MUREAMは25年8月末時点で預かり資産5000億円超。次期中期経営計画の最終年度である30年3月末までに1兆円(インオーガニック含まず)を目標に掲げる。内田社長は「市場での存在感を示す上では達成しておかないといけない水準」と述べた。
27年3月までの現中計は「土台づくり」と位置づけ、1兆円体制に向けて「人材がボトルネックになり得る」との認識から人員の拡大を加速している。本格始動後に既に倍増し、現在約70人の人員を、今後は約90人まで増やすという。
商品ラインナップも拡充しており、バリューアッド型ファンドの投入はその一環。内田社長は現在有していない上場REIT(不動産投資信託)について関心を示し「事業拡大には必要で、買収も検討したい」と語った。
MUFGとしては4月、これとは別の不動産ファンドの立ち上げも発表。今後3年間で1000億円を投じるとしている。
コリアーズの最新レポートによると、マンハッタンのオフィス賃貸面積は8月に7月比20%以上増加し、370万平方フィート(約3億7千万平方メートル)となり、過去10年間の月平均である272万平方フィート(約2億7千万平方メートル)を大きく上回りました。2025年の残りの期間も需要が同ペースで推移すれば、マンハッタンの年間賃貸面積は2019年以来初めて4,000万平方フィート(約4億7千万平方メートル)を超えることになります。
過去25年間、年間平均約3,200万~3,300万平方フィート(約2,400万~3,600万平方フィート)の賃貸が行われてきました。2024年、マンハッタンは2020年のパンデミック開始以来初めて、この平均水準に戻りました。
「需要の面では非常に強い市場だ」とコリアーズの調査・事業開発担当執行役員マネージングディレクターのフランクリン・ウォラック氏は語った。
「オフィスへの復帰は確かにその一因であり、失業率の低さも影響しています。また、パンデミックの時期には少し低調だった主要産業の再興も見られます。完全に消滅したわけではありませんが、特にテクノロジー業界が思い浮かびます」とウォラック氏は述べた。
同氏は、2024年11月以降だけでアマゾンがマンハッタンのオフィスを100万平方フィート以上リースしていると指摘した。これは、建物の購入に加えて、リース、サブリース、WeWorkのようなコワーキングスペースとの企業契約の形で行われた。
法務部門もまた好例です。2023年、マンハッタンでは法律事務所の賃貸活動が過去最高を記録し、400万平方フィート(約450万平方メートル)を超えました。昨年は若干減少しましたが、それでも2019年の水準を上回っています。
「質への逃避も顕著でした。ワン・ヴァンダービルト、ハドソン・ヤーズ、マンハッタン・ウェストといった新築物件では、供給が非常に逼迫しています」とウォラック氏は述べた。
その結果、新築オフィススペースの供給量、いわゆる「空室率」は、戦前の古いビルの17%と比べて6.7%に低下しました。マンハッタン全体の空室率は15%に低下し、2021年1月以来の最低水準となりました。また、空室率は18ヶ月連続で横ばいまたは逼迫しています。
マンハッタンの3つのオフィスサブセクターのうち、ダウンタウンでは安定したものの、ミッドタウン、ミッドタウンサウス、マンハッタン全体では8月の空室率が引き締まりました。
8月末のマンハッタンのオフィスの平均募集賃料は1平方フィートあたり74.73ドルで、7月から1%上昇しました。しかし、2020年3月と比較すると、賃料は依然として6%低い水準にあります。
「月間で1%の増加があれば、それは大きな動きです。平均価格以上のスペースが市場に出回っていることも一因ですが、既存のスペースの価格を引き上げる家主も増え始めています」とウォラック氏は述べた。
オフィスの転換も供給と価格の両方に大きな影響を与えています。コリアーズは、過去4年間でマンハッタン市場から約900万平方フィートのオフィススペースが削減されたことを追跡しています。これは供給だけでなく、需要と価格にも影響を与えます。
「平均すると、転換予定のオフィスビル100万平方フィートごとに、そのビルからテナントが出て別のビルに移転するため、平均27万平方フィートの賃貸活動が発生することが分かっています」とウォラック氏は述べた。
さらに、改装中の建物は、転貸スペース(これも同様に低価格)を含め、平均価格を下回るスペースであった可能性が高いため、これらの建物の撤去はマンハッタン市場全体の平均価格を上昇させる可能性があります。
●その他
備忘録(2025/9/1)
●企業
●マクロ
トランプ米大統領が、利下げに前向きな経済学者を米連邦準備制度理事会(FRB)に送り込もうとする動きが、大きな注目を集めている。しかし、金融政策や債券市場、米経済の中長期的な見通しには、より深刻な懸念がある。
背景にあるのは、米国が欧州やアジアの多くの国々と同様に高齢化の進行に直面し、債務の増大と成長率の鈍化という二重の課題を抱えていることだ。この難局を打開する方法は、米国の投資家や退職者が望まない代償を伴う可能性がある。
ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)で発表された新たな論文は、楽観的なシナリオを提示している。論文によれば、高齢化が進む国々は、むしろより多くの国債を発行できる。高齢者層が新たに発行される国債を積極的に購入するため、需要が供給を上回る可能性すらあるというのだ。
金利が上昇しなければ、米国は国内総生産(GDP)比250%の債務水準を維持可能だと試算している。これは日本に近い水準であり、日本は一応は持ちこたえている。
ただ、この試算が正しいとしても、それは高齢者が本質的に債券の買い手であるからではない。債券需要は、個人投資家からのものも含め、基本的には政府の政策と規制に左右される。米国も日本と同様に、金利を低水準に抑える金融抑圧的な体制に依存せざるを得なくなる可能性がある。
論文では、過去数十年にわたって債務水準が上昇していたにもかかわらず金利が低下した理由として、米国債への需要が供給よりも速く伸びたことを挙げている。その主因は外国からの買いだった。しかし、最近ではこうした需要は弱まりつつあり、貿易の縮小とともに今後さらに低下するとみられている。
もう一つの大口債券購入者であるFRBは現在、量的緩和(QE)の縮小に向かっている。今後需要の拡大が見込まれる主な買い手は、個人投資家を中心とする投資信託、証券会社、そして「その他」に分類される企業などだ。
論文が予測するように、今後は米国内の個人投資家が米国債市場でより重要な役割を担うことになるのは、ほぼ確実とみられる。経済学者たちはこれまでも、高齢化の進行は金利低下の要因になると指摘してきた。理論によれば、高齢者は若い世代よりも多くの資産を保有しており、年を重ねるにつれてより安全な資産を好む傾向がある。
しかし実際のところ、人口高齢化と金利低下の間には必ずしも明確な相関関係があるとはいえず、場合によっては逆相関になる可能性すらある。高齢者が年齢とともに米国債の保有比率を高めるとは限らない。多くの人は、退職後の資金運用口座を除けば、米国債を直接購入することはほとんどない。米国では大半の人が、こうした退職後資金の口座に資産を預けているのが現状だ。
退職口座が導入された当初、加入者は自ら投資先を選ぶ必要があったが、年齢を重ねるに伴い債券への投資が増える傾向は見られなかった。
しかし2006年の法律により、企業年金制度は加入者の自動登録と、投資先の自動選択を義務付けられることになった。この規制を背景に普及したのが「ターゲットデートファンド」だ。
これらのファンドは、加入者の年齢に応じてリスク資産から債券などの安全資産へと段階的に移行する仕組みとなっており、投資先は時間とともに「リスクを軽減すべき」との規制を満たす設計になっている。多くの加入者はこの初期設定のままの運用を継続するため、結果として高齢者が債券に多く投資する構図が生まれている。
このようなターゲットデートファンドの運用設計が十分に急勾配であれば、将来的に米国債の需要が十分に増える可能性もある。ただし、ここで重要なのは、こうした債券購入が高齢者が自発的に債券を好むからではなく、政府の規制によって促された結果であるという点だ。
もちろん、こうした規制が正当化される余地はある。高齢者は退職後に安定した収入を得ることが難しく、リスクに直面している。年金を購入したり長期債に投資したりすれば、収入は安定しやすくなる。
そのために、年金を運用する保険会社または退職者本人が、債券を購入することになる。しかし、このような投資行動を促すにはさらなる規制の見直しが必要だ。そうなると、債券需要を人為的に押し上げる「金融抑圧」と、投資家を保護するためのルールとの線引きは極めて曖昧になる。
ジャクソンホールで発表された論文の執筆者たちは、日本を肯定的な事例として挙げている。高齢化社会であっても、債券需要さえ十分にあれば多額の政府債務を維持できることを示しているからだ。
しかし同時に、日本の例は金融抑圧から抜け出すことがいかに難しいかを物語ってもいる。日本では長年にわたり、年金基金による国債購入や、近年の量的緩和(QE)政策により、超低金利が維持されてきた。これは金利が低下し、債券価格が上昇していた局面では機能していたように見えた。
しかし、インフレが進行し、政府がもはや国債を買い支えられなくなり、債券価格が下落し始めると、その構図は簡単に崩れかねない。日本が長年続けてきた高水準の政府債務を維持できる体制も、もはや限界を迎えている可能性がある。仮に限界に達していないとしても、日本の経済運営の経験は、決して他国が模範とすべきものではない。
教訓は明確だ。確かに、規制によって債券購入を促し、金利を低水準に維持することは理論上可能だが、それは極めてリスクの高い金融戦略でもある。
仮に米国がこうした方針を採用すれば、投資リターンの低下を招く可能性がある。その場合、米経済は本来達成できたかもしれない規模に届かず、投資家の資産形成も思うように進まないだろう。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は1日、フランスは現時点で国際通貨基金(IMF)の支援を必要とする状況ではないとの認識を示した上で、ユーロ圏の政権が倒れるリスクは「懸念すべきことだ」と述べた。
ラジオ・クラシックの番組で、フランスでは財政規律が依然として不可欠であり、仏国債の利回り差を非常に注意深く見守っていると語った。
バイル首相は8日に国民議会(下院)で信任投票を実施すると発表したが、主要野党3党は支持しない意向を示しており、政権は崩壊の危機に直面している。これを受けてフランスの株式市場と債券市場が打撃を受けた。
ラガルド氏は「フランスの銀行システムは十分に資本を備えており、(2008年の)金融危機時よりも良好な状態にあり、組織がしっかりしており、適切に監督され、責任ある関係者がいると確信している」と述べた。
「銀行システム自体が現在のリスクの原因であるとは全く考えていないが、市場はこのような状況下では必ずリスクを織り込む」と指摘した。
日本株が高値圏で推移する中、高級ブランドの販売がふるわない。「ルイヴィトン」や「ディオール」を傘下に持つLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA), opens new tabの2025年4ー6月期の日本の売上は約3割減少し、足元でも減速傾向が続く。昨年の値上げ前に生じた駆け込み消費の反動減が主な要因だが、停滞は一過性ではなく長期化する恐れもある。
LVMHは前年同期(24年4-6月期)に57%の増収を記録していただけに、業績に急ブレーキがかかった格好だ。「グッチ」や「サンローラン」を展開するケリング(PRTP.PA), opens new tabも25年4ー6月期の日本での売上が29%減と苦戦。北米の10%減と比べても下げ幅が大きい。人気バッグ「バーキン」を擁するエルメス(HRMS.PA), opens new tabのように堅調な企業もあるが、海外ブランド全体としては販売減が目立つ。
背景には、インバウンド消費の変調が挙げられる。訪日リピーターの割合が増えたことで、ブランド品を大量購入する「爆買い」が一巡。中国経済に先行き不透明感が強まっていることもあり、25年4-6月期の訪日外国人1人当たりの旅行支出額では、中国人は前年同期比で約13%減少した。中国人はインバウンド消費の約2割を占めるため、各社の業績への影響は小さくない。
日本人の消費動向について、UBS証券の風早隆弘シニアアナリストは「株価や不動産価格の上昇を背景に富裕層の購買意欲は堅調だが、昨年の値上げラッシュ前に発生した特需の反動が出ている」と指摘する。各社は円安進行による地域間の価格差を是正するほか、資材費などのコスト高を反映し、相次ぎ値上げを実施。
UBSの調査によれば、高級ブランドの価格指数はフランスを100とした場合、日本は25年4月に111まで上昇した。すでに米国(108)や韓国(103)と比べても高い水準だ。
別の民間調査によると、24年の高級ブランド衣料の値上げ幅は、フランスが前年比7%増、米国が9%増だったのに対し、日本は21%増に達した。日本の中間層にとっては手が届きにくい価格帯となり、ブランド離れが一部で広がりつつある。日本市場の割安感は無くなっていることから、訪日客の消費が「昨年のように活発化するのは今後も難しいだろう」(風早氏)。
<世界市場、昨年は15年ぶり縮小>
世界のラグジュアリー市場全体も曲がり角に差し掛かっており、24年の売上高は前年比2%減の約3630億ユーロへと縮小した。新型コロナウイルス禍に伴うロックダウン(都市封鎖)が各地で実施された20年を除けば、15年ぶりのマイナス成長となった。
調査を手がけたコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは「消費者の支出が、モノから旅行などの体験型へと移行している」と分析。物価高による「値上げ疲れ」が加わり、25年も前年比2-5%の減少を予想する。トランプ政権の高関税政策による米国内でのコスト上昇が、日本を含む他国にも一部転嫁されれば、市場全体のさらなる冷え込みも懸念される。
大和総研の林正浩主席コンサルタントは「Z世代の若者を中心に購買判断においてサステナビリティ(持続可能性)を重視する人が増えており、環境や社会に配慮したエシカル商品に力を入れて、ブランドへの共感を醸成することが状況打開の鍵を握るだろう」と話した。
米国の失業率は4.2%と、歴史的な低水準となっている。だが、黒人労働者は異なる現実に直面し、失業率は7.2%に急上昇している。これは労働市場が依然として新型コロナウイルス流行からの回復途上にあった2021年10月以来の高い水準となる。
雇用減少は労働市場における警戒サインであり、コロナ流行中やその後の黒人労働者の雇用改善を崩壊させる恐れもある。
失業率(季節調整済み)は、大学教育を受けた黒人労働者とそうでない黒人労働者の両方で大幅に上昇。これは労働市場全体の減速と一致する動きで、多くの労働者が数カ月間にわたり労働市場から締め出されている状況を示している。エコノミストらはこの低迷の影響を最も受けているのが黒人労働者であり、根深い人種間格差を反映するものだと指摘する。
黒人労働者は白人労働者よりも低技能やジュニアレベルの職に就く可能性が高く、レイオフの影響も受けやすい。また労働市場で長年の差別に直面しており、ここ数カ月のように全体的に採用活動が減速する中では、これがより顕著になることもある。
さらに黒人の大学卒業者の失業率が最近上昇していることは、連邦政府による雇用削減の影響も浮き彫りにする。連邦政府の労働力には黒人労働者が多く含まれている。
昨年12月に厚生省の契約職員としての職を失い、職探しを続けているケニヤ・ジェンキンスさん(52)は、「今、人生最大の戦いをしている」と説明。ヒューマンサービスと公衆衛生学の修士号を持つジェンキンスさんは、メリーランド州の集合住宅を退去せざるを得なくなり、ニュージャージー州の親戚の家に移り住んだという。また元の家主に対する未払い家賃が1万2000ドル(約176万円)あると述べた。
米国全体の失業率は依然として低いものの、採用がほとんど止まっているため、労働市場にはほとんど余裕がない。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は最近、労働市場は9月の利下げを正当化する可能性があるほど冷え込んでいると示唆した。
黒人労働者は歴史的に見ても、労働市場全体が減速する初期段階で職を失うことが多い。
米コネティカット大学のエコノミスト、ケネス・カウチ氏は、「これから起こるかもしれないことを示す、炭鉱のカナリアのようだ」と説明。労働省は8月の失業率を5日に発表する予定となっているが、前回の発表では5月、6月、7月の雇用者数の伸びが比較的少なかったことが示されていた。
ダラスに本拠を置く非営利団体(NPO)でフルタイムの広報として働いていたキルステン・ブラッドフォードさん(29)は、1月に職を失い、新たな仕事を見つけられずに苦戦。すでに数百件の求人に応募したものの、散発的に面接に呼ばれるのみで、採用には至っていないという。
ブラッドフォードさんはダラス中を車で回り、銀行支店を訪れては履歴書を手渡しながら銀行業界への就職を目指していると述べた。だが唯一得られたのは入浴用製品などを手掛けるバス・アンド・ボディー・ワークスの店舗での仕事だけで、時給14ドルで顧客がボディースプレーやバスボムを選ぶのを手伝う作業だと説明。現在もNPOで月20時間だけ働き続けているとした。
約10万ドルの学生ローンについて債権者から連絡が続く中、ブラッドフォードさんと8歳の息子は最近になり、実家に戻ったと説明。「自分が正しいことをしてきたと思っていたし、未来のためにすべての行動をしてきたと思っていたのに、こんな結果になるなんて本当に腹立たしい」とし、「こんなはずじゃなかった」と述べた。
2023年に失業中の黒人労働者の割合は4.8%に低下し、労働省が1972年にデータを追跡し始めて以降で最低水準となった。同年には黒人と白人の失業率の差は記録上で最も小さくなり、黒人労働者は数年間にわたり賃金の伸びが上回っていた。当時は労働力不足で仕事がより容易に見つけられるようになったほか、2020年に発生した警察によるジョージ・フロイドさん殺害事件を受け、一部の企業が労働力の多様化に努めたことも背景にある。
リベラル系シンクタンク「経済政策研究所」の労働エコノミスト、バレリー・ウィルソン氏は、トランプ政権からの圧力を受けて多様性推進の取り組みを縮小している企業が、今後はさらに黒人の失業率を押し上げる可能性があると予想。「それは確実に人々の雇用獲得に影響を与える」と述べた。
労働省のデータに基づくハーバー・アナリティクスの調査によると、25歳以上の大卒の黒人の失業率(季節調整済み)は、7月には5.3%に達した。これは2月の2.7%、5月の3.9%を上回る(労働省は全体の失業率の数字とは異なり、これらの数字を月ごとの季節変動に合わせて調整していない)。
7月の失業率は、高校卒業資格のみを持つ白人労働者の失業率よりも1.7ポイント高く、1992年にこの指標の記録が始まって以降で最大の差となった。影響は全国で幅広く見られており、雇用サービスなどを手掛けるNPO「グッドウィル・オブ・ノース・ジョージア」では、初めて職探しの支援を求める黒人が過去3カ月で41%増加。白人の新規求職者の増加率の23%を上回った。
黒人労働者は連邦政府職員の18.7%を占めており、全体の労働力の約13%と比較しても多い。これは連邦政府の採用における強力な反差別規則と、首都ワシントンに黒人の人口が多いことが一因だと米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)のチーフエコノミスト、ダリック・ハミルトン氏は述べた。
州および地方政府の仕事への人材紹介を手掛ける労働力開発NPO「ワーク・フォー・アメリカ」のエグゼクティブ・ディレクター、ケイトリン・ルイス氏は、「何十年もの間、政府の仕事は米国の黒人にとって中産階級への道だった」と説明。「そして民間部門が門戸を閉ざしていた時には、年金や差別からの保護を提供する数少ない場所の一つだった」と述べた。
トランプ政権は最近、連邦政府の雇用数について、今年1年間で30万人減少するとの見通しを示した。
フランスの債務危機は、漸進主義は決してうまくいかないこと、国家主義は常に破滅に終わること、そして政府拡大と増税に賭ける国は常に停滞、債務不履行の危険、社会不安に陥ることを私たちに思い出させる。
フランスの政府債務対GDP比は114%を超えています。しかし、ユーロスタットによると、未積立の年金債務はGDPの400%に達しています。今年の財政赤字は5.4%と発表されていますが、市場コンセンサスは5.8%と予想しています。5年間の信用デフォルトリスクは12ヶ月で20%上昇しました。フランスの2年国債の利回りはスペイン、イタリア、ギリシャを上回り、ドイツに対するリスクプレミアムは80ベーシスポイントに達し、スペインを20ベーシスポイント上回っています。
ユーロ圏の問題は、政府が巨額の政府支出、公共部門の雇用、そして移民によってGDPを膨らませると、主流派がことごとく拍手喝采し、慢性的な財政不均衡と生産性の伸び悩みを隠蔽してしまうことです。さらに、ケインズ派のアナリストたちは、民間部門のクラウディングアウトや、高税率が長期的な公共会計の持続可能性に及ぼす悪影響を無視しています。
私は、ギリシャが巨額の政府支出と公共部門の雇用によってGDPを膨らませていた当時、主流メディアがギリシャをユーロ圏の成長の原動力と称賛していた時代を覚えているほどの年齢です。2005年と2006年には、IMFと欧州委員会の出版物において、ギリシャは「高い経済成長を支えている」そして「ユーロ圏の回復を牽引している」と称賛されました。見出しや政策報告書は、ギリシャの経済的成果をユーロ圏における強力なリーダーシップの例として広く認めていました。2008年に何が起こったかは、誰もが知っています。
欧州中央銀行が政治家に支出の増加と財政不均衡を維持し拡大させるための誤ったインセンティブを生み出すことに尽力してきたことを忘れてはならない。
欧州中央銀行(ECB)は過去10年間、ユーロ圏の安定確保を目的とした前例のない規模の政策ツールキットを展開してきた。これには、度重なる利下げ、マイナス名目金利、物議を醸した分断防止策、そして事実上の債務マネタイゼーションなどが含まれる。しかし、安定性と独立性を謳うレトリックとは裏腹に、これらの措置は財政の無謀さを助長する強力なインセンティブを生み出し、欧州の通貨の信頼性の根幹を揺るがし、現在のフランス債務危機を含む今日の国家債務危機の種をまいた。
ECBの政策金利は、かつては国債と民間債務の両方を規律する役割を果たしていましたが、2008年の4%超からマイナス圏に急落し、実質ベースでは長年マイナス圏にとどまっています。さらに、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)やアウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)といった施策の下、危機時に拡大されたECBの資産購入プログラムは、債券市場を中央銀行マネーで飽和させ、巨大なクラウディングアウト効果を生み出しました。その結果、家計や企業への融資が抑制され、公的セクターの発行体の支払い能力問題が隠蔽されています。
中核国と周縁国の債券間の「スプレッド」を抑制するために設計された分断防止策は、この問題をさらに深刻化させている。ECBは、無制限の介入を約束することで、事実上いかなる代償を払おうとも国債を担保すると市場に保証し、かつては浪費的な政府に課されていたリスクプレミアムの規律を弱めている。実際、これは財政遵守の低い国に利益をもたらし、債務と赤字を抑制する国にペナルティを与えるため、浪費を助長する手段とみなされる可能性もある。
これらの介入は市場を即座に落ち着かせる一方で、政府に無関心の心理を植え付け、支出を着実に増加させる。そのため、スペインをはじめとする多くの政府は、不均衡の拡大と財政悪化にもかかわらず、低金利と債務分散を誇示している。分断防止策とマイナス名目金利は、無謀な財政政策に対する重要な警告となるべき市場メカニズムを破壊している。加盟国は、低利の資金調達とECBからの無限の支援を保証されているため、特に選挙で大きな損失が生じる場合には、肥大化した予算を改革したり、財政赤字を抑制したりするインセンティブがほとんどない。ドイツの政策担当者が警告してきた、ECBの行動が高債務加盟国の「財政フリーローディング」を助長しているという根強い脅威は、現実のものとなりつつある。
最も劇的な事例はフランスだ。フランス政府の債務は2025年にはGDPの114%を超えるまでに膨れ上がったが、その一因はECBの傘下で安価に賄われている慢性的な巨額赤字にある。財政再建の試みは常に慎重で、そのため永続的な規律を達成することができず、ECBによる支援は常に安全策として背後に控えている。その結果、ソブリンリスクプレミアムが増大している。フランス国債は、近代ユーロの歴史で初めて、同等の格付けのスペイン、ギリシャ、イタリア国債の利回りを上回っており、ECBによるバックストップ時代においても、市場がフランスの債務の軌道に不安を抱いていることを示している。このスプレッドの上昇が、大規模な景気刺激策(次世代EU)と利下げの最中に起きているという事実は、さらに憂慮すべき事態である。
危機封じ込め手段として意図された、いわゆる「分断防止手段」は、本質的に「共同管理のない共同責任」のメカニズムである。この手段は、規律あるユーロ加盟国を、規律の緩いパートナーの財政選択に縛り付け、リスクを社会化する一方で、利益を国有化する。この手段によって、市場はもはや効率的な差別化を行えなくなり、かつては必要な改革を促した債務持続可能性への不安は、解決されるどころか抑制される。さらに、これは実質的な義務を伴わない債務の相互化とも言える。
ECB首脳らが賞賛する「必要なことは何でもやる」という哲学は、今や諸刃の剣となっている。説明責任を依存に置き換え、財政の緩みを助長しているのだ。
中央銀行による債券購入と名目金利のマイナス領域への抑制は、定義上、債務マネタイゼーションの最悪のケースです。ECBは、極めて割高な債券であっても購入しているため、赤字を計上しています。IERFによると、ECBの資産購入プログラムにおける未実現損失の累計は8,000億ユーロと推定され、資本を大幅に上回っています。
これらの政策は、緊急支援という文言を装っているにもかかわらず、債務超過の問題を覆い隠している。これは、政府の過剰支出に対する究極の抑止力、すなわち資金コストそのものを失わせることになる。長期的な結果として、ユーロ圏の政府は、困難な時期であっても低コストでの借り換えが保証されていることを認識しているため、債務をますます積み増す状況となり、ユーロ圏は信認、インフレ、あるいはガバナンスにおける些細なショックに対しても脆弱になる。こうした状況は、ドイツがフランスと同じ罠に陥った場合、将来的にユーロに悪影響を及ぼす可能性が高い。最近の政策発表を踏まえると、そのシナリオは起こり得るように思われる。
フランスの新聞を読めば、この歪んだインセンティブが如実に表れていることがよく分かる。持続不可能な支出経路について議論する代わりに、多くの人が中央銀行によるさらなる購入と刺激策を求めている。さらに、より積極的な金融政策を実施するために、デジタルユーロの導入を加速させるべきだと主張する者もいる。
進行中のフランス債務危機は、こうした政策の直接的な副産物です。フランスの支出は経済成長を継続的に上回っていますが、ECBによる恒久的な支援の約束によって、その顛末は先延ばしにされてきました。今、リスクプレミアムが上昇し、市場がECBの決意を試す中、ユーロ圏はモラルハザードと財政規律の崩壊を特徴とする政策時代の苦い結末に直面しています。
ECBの積極的な政策は一時的な安定をもたらすかもしれないが、その長期的なコストは明らかである。すなわち、債務の増大、民間セクターの弱体化、通貨の下落、そして責任ある政策立案へのインセンティブの低下である。欧州が中央銀行による恒久的な景気刺激策への依存を見直し、市場規律のメカニズムを回復しない限り、今日のフランス危機は、今後起こりうる多くの財政危機の一つに過ぎないかもしれない。ユーロが準備通貨として成功したのは、財政の慎重さと責任という柱の上に成り立っていた。財政規律の欠如は常に通貨にとってリスクを意味する。
中央銀行は支払い能力のある紙幣を発行することはできず、構造改革の欠如と過剰な金融緩和政策は最終的にユーロを崩壊させる可能性がある。
ドイツでビールの消費量が減り続けている一方で、ノンアルコールビールの人気がかつてないほど高まっている。
ドイツ連邦統計局によると、ノンアルコールビールの販売量は、2013年に対して109%増とこの10年ほどで2倍以上に増加している。一方、ビール全体の販売量は過去30年以上で最低水準となっている。
今年は統計を開始して以来初めて、半年間の販売量が40億リットルを下回った。
2025年上半期のドイツ国内におけるビール販売量は、前年同期比で6.3%(2億6200万リットル)減少し、約39億リットルだった。
独南部ミュンヘン近郊にあるエルディンガー醸造所は、1880年代からビールを製造している。同社のステファン・クライス最高経営責任者(CEO)は、飲酒習慣が変化しており、現在では生産量の約25%がノンアルコールビールだと語った。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を展開する米オープンAIは、ソフトバンクグループおよび米オラクルと進めている「スターゲート」プロジェクトの一環として、インドで少なくとも1ギガワット規模の巨大データセンターを建設することを検討している。アジアのAIインフラを強化する。事情に詳しい関係者が明らかにした。
オープンAIは現地パートナーを探しながら用地調査を進めており、人口世界一のインドにおける事業展開の大きな一歩となる可能性がある。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。同社の担当者はコメントを控えた。
具体的な施設の場所や稼働時期は明らかになっていない。関係者によれば、サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が今月、インドを訪問する際に発表する可能性もあるが、予定は流動的だという。
オープンAIはインドでの事業拡大を目指すが、米国とインドの間には通商を巡る緊張が走っている。トランプ米大統領は、インドの貿易障壁やロシア産原油の購入を理由に、同国からの輸入品に50%という高関税を課しており、数十年にわたる米国の対インド関係強化の努力を揺るがしている。
カリフォルニア州サンフランシスコに本社を置くオープンAIは、国内外でAIインフラ向けの大型投資を加速。米国内ではスターゲート構想に基づき合わせて約4.5ギガワット規模のデータセンターを建設するプロジェクトが進行中。これまでに類を見ない大規模な事業とされ、トランプ米大統領からも称賛された。
オープンAIはまた、米国政府との協力を通じて「オープンAI・フォー・カントリーズ」というグローバル展開の構想下で民主主義の価値観に基づくAIインフラの構築も推進している。米国が世界的にAI開発を主導し、中国の動きに対抗しようとする取り組みの一つだ。
同社はあらゆる地域を対象に、まず10カ国のパートナー国を模索しており、これまでに30カ国以上が接触してきたという。これまでに、ノルウェーで進められている最大520メガワットの電力消費規模を持つデータセンター計画にアンカーテナントとして参画する意向を明らかにした。またアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビでは、さらに大規模な5ギガワット級データセンターが計画されており、このうち1ギガワット分のコンピューティングパワーをオープンAIが利用できる予定だ。
オープンAIのインドでの利用者数は現在、世界で2番目の多さ。首都ニューデリーにオフィスを開設する予定で、現地チームの採用も拡大する。さらに、より多くの利用者を取り込むため、月額5ドル(約735円)の有料プランも導入した。
トランプ米政権は29日、12の洋上風力発電プロジェクトに対する6億7900万ドルの連邦政府助成金を取り消すと発表した。取り消し対象には4億2700万ドル規模のカリフォルニア州の事業も含まれる。
洋上風力発電はバイデン前政権の気候・エネルギー政策の中心だった。ダフィー運輸長官は、前政権下で交付されたこれら助成金は「海事産業の活性化のために使われるはずだった資金」の無駄遣いと述べた。
運輸省は昨年、カリフォルニア州ハンボルト郡に洋上風力タービンの建設とメンテナンスを支援する新しい海上ターミナルを建設するため4億2700万ドルを給付した。ニューサム・カリフォルニア州知事の報道官は助成金取り消しについて、トランプ政権が「クリーンエネルギーとインフラプロジェクトを攻撃し、地方でのビジネスに打撃を与え雇用を奪い、わが国の経済の未来を中国に譲り渡す」一例と批判した。
このほか、メリーランド州ボルチモア港近くの洋上風力物流・製造ハブに対する4700万ドルの助成金や、2022年に付与されたニューヨーク州スタテン島の洋上風力ターミナルプロジェクトに対する4800万ドルの助成金なども取り消される。
豊田通商の再生可能エネルギー子会社、ユーラスエナジーホールディングス(東京・千代田)は1日、北海道池田町で送電線につないで充放電を通じて電気の需給バランスを調整する「系統用蓄電池」の建設工事を始めたと発表した。蓄電池の容量は2万7420キロワット時で、2027年10月に営業運転を始める予定。
同社が道内で系統用蓄電池を設置するのは今回が初めて。投資金額は約25億円でうち8億円ほどは国の補助金でまかなう。電力の調整力を売買する需給調整市場や、卸電力市場などでの取引を想定する。
アイオワ州シーダーラピッズの北西にあるデュアン・アーノルド原子力発電所は、2020年に経済的理由により閉鎖された後、10年末までに再稼働する計画を推進している。
この原子炉は、米国で3基目、そしておそらく最後の休止中の原子炉であり、米国の増大する電力需要を支えるために再稼働する態勢が整っている。
デュアン・アーノルド原子力発電所は、原子力規制委員会の承認を条件に、ミシガン州のパリセーズ原子力発電所とペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所で計画されている同様の再稼働に追随することになる。両発電所はそれぞれ今年後半と2027年に再稼働する予定だ。
連邦エネルギー規制委員会は先週、ネクストエラ・エナジーからの要請を承認した。
デュアン・アーノルドのオーナー、
原子力発電所を電力網に再接続するためだ。FERCへの提出書類によると、NextEraはデュアン・アーノルド原子力発電所の運転再開は早くても2028年第4四半期になると見込んでいる。
「施設を再開するまでにはまだ相当な作業が必要だが、FERCの決定はそのプロセスにおけるもう一つの前向きな一歩だ」とネクストエラの広報担当者ニール・ニッサン氏はCNBCへの声明で述べた。
電力購入契約
大手テクノロジー企業が、人工知能(AI)の訓練用に建設中の電力を大量に消費するデータセンターに電力を供給するため、より多くの原子力発電を送電網に供給することを検討している中、フロリダに拠点を置くNextEraは、デュアン・アーノルド原子力発電所の再稼働に向けて、有利な電力購入契約の獲得を目指している。例えば、スリーマイル島原子力発電所は、マイクロソフトとの電力供給契約による財政支援を受けて再稼働している。。
「デュアン・アーノルド原子力発電所の再稼働は、アメリカの主要企業から大きな商業的関心を集めている」と、再稼働プロジェクトを担当するネクストエラの幹部、ギャレット・ゴールドフィンガー氏は7月下旬のFERCへの提出書類で述べた。
デュアン・アーノルドは、40万世帯以上の電力需要に相当する600メガワット以上の電力を送電網に戻すことになる。
「デュアンを前倒しすることに成功すれば、その施設の周囲にデータセンター活動の活発化が生まれるのは明らかだ」とネクストエラのジョン・ケッチャムCEOは7月の決算説明会で投資家に語った。
「ユニコーンのチャンス」
デュアン・アーノルド、パリセーズ、スリーマイル島の3基は、原子力発電が安価な天然ガスや再生可能エネルギーとの競争に苦戦したため、過去10年間に閉鎖された米国の原子炉10基のうちの3基である。
これらの原子力発電所の再稼働は、長年の財政難を経て原子力産業が復活しつつあることを示す最も具体的な兆候である。
「原子力発電所の新規建設コストがかからないため、これはまたとないチャンスです」とケチャム氏はネクスエラの決算説明会で述べた。「まさにユニコーン企業のようなチャンスです」
米国最大の再生可能エネルギー開発企業であるネクストエラは、アイオワ州の低コスト電力の需要に応えるため、同社が開発中の複数の太陽光発電所にデュアン・アーノルドの送電網接続を分割していた。
しかし、米国では産業とデータセンターからの電力需要が前例のないほど増加したため、昨年市場は再び大容量原子力発電に傾き始めたとネクストエラはFERCへの提出書類で述べた。
NextEra社は、連邦エネルギー規制委員会(FERC)の承認を取得し、デュアン・アーノルド発電所向けにこれらの太陽光発電グリッド接続を単一のグリッドに統合する作業を進めています。ゴールドフィンガー氏はFERCに対し、「これにより、商業的および財務的な確実性が確保され、再稼働に向けた取り組みを支援し、デュアン・アーノルド発電所におけるクリーンで信頼性の高い運転再開を加速させることができます」と述べました。
資本集約型
ネクストエラ社は、デュアン・アーノルド原子力発電所の再稼働は「非常に資本集約的なプロセス」になると述べた。同社は連邦エネルギー規制委員会(FERC)への提出書類の中で、このプロジェクトに2025年だけで最大1億ドルを費やす計画を明らかにした。
ネクスエラは、発電所の閉鎖時に撤去された変圧器の交換用として、新しい変圧器を発注しましたが、サプライチェーンに大きな制約があり、納入までには約3年かかる見込みです。発電所の冷却塔、管理棟、研修センターも解体されており、交換が必要です。
ゴールドフィンガー氏は、原子力業界はプロジェクトの遅延の長い歴史があり、例えば変圧器の納入が遅れればデュアン・アーノルド原子力発電所の再稼働は予想よりも長くかかる可能性があると警告した。
リスクはあるものの、デュアン・アーノルドはフロリダ・パワー&ライトの親会社であるネクステラにとって、財務上の好機となる可能性がある。電力需要の増加にもかかわらず、同社の株価は今年ほとんど動いていない。これは、株価が18%上昇した2024年とは大きく異なる。1月の就任以来、ドナルド・トランプ大統領による再生可能エネルギーへの度重なる攻撃は、太陽光発電と風力発電に対する投資家の信頼を揺るがしている。
太陽光発電と風力発電プロジェクトは2027年以降、2つの主要な税額控除の対象外となり、再生可能エネルギーへの需要が減退すると予想されています。ケッチャム氏は7月の決算説明会で、デュアン・アーノルド発電所が2028年に再稼働すれば、税額控除の段階的廃止による収益の減少の一部を相殺できる可能性があると述べました。
「デュアン・アーノルド氏を加えることは、私たちが将来的に事業を成長させ続けるために必要な多くの方法のうちの1つです」とケッチャム氏は語った。
●その他