2025年2月1日土曜日

備忘録(25/2)

備忘録(2025/2/20
●海外企業決算
●海外企業
●日本企業
農林中央金庫は20日、今期(2025年3月期)の連結純損益が1兆9000億円程度の赤字(前期は636億円の黒字)に陥る見通しだと発表した。収益性の悪化した外国債券の売却を進める。従来は最大で2兆円規模の損失を見込んでいた。
巨額損失を受けて奥和登理事長が3月末で引責辞任し、北林太郎最高財務責任者(CFO)が昇格する人事も発表した。農林中金の純損益が赤字に陥るのは、リーマン・ショックの影響を受けて5721億円の損失を計上した09年3月期以来、16年ぶりとなる。
同日会見した奥理事長は、巨額赤字の「責任を明確化する」とした上で、役員体制の若返りを図ることで、再起につなげる考えを示した。巨額損失を招いた背景については、「高いパフォーマンスを上げてきたという一つの成功体験があり、どこかのタイミングでは金利が下がるだろうという正常性バイアスが強かった」として適切な判断が遅れたと振り返った。
農林中金では米金利の上昇などにより、外貨調達コストが外国債券の運用収益を圧迫する中、含み損を抱えた外債の売却を進めたことから損失が膨らんだ。新理事長に就く北林氏は、債券中心だった投資ポートフォリオの多様化や外部人材の登用など運用改革を迫られることになる。
会見で北林氏は「健全性を第一にポートフォリオ全体のバランスも意識しながら、中長期的には貸し出しを含むクレジット資産等をさらに積み増すことで、収益の分散化を図りながら金利リスクと非金利リスクのバランスの取れたポートフォリオを目指す」と述べた。
農林中金は、外債売却の一方、より収益力を高めるため、株式やプロジェクトファイナンス、ローン担保証券(CLO)といった証券化商品などへの投資を進めている。
ムーディーズ・レーティングスのシニア・クレジット・オフィサー、鈴木智哉氏は「不採算の外債売却などを通じた有価証券ポートフォリオの再構築が進み、収益性が安定軌道に戻るかが課題」との見方を示した。
農林中金は来期(26年3月期)の純利益が300億-700億円程度と黒字回復を見込むとの見通しも発表した。低利回り資産を引き続き売却することで、安定的な黒字を確保していく。同期末の前提として、日本の政策金利が1.00%、米国の同金利は4.00%、1ドル=150円程度としている。
外債運用での巨額損失を巡っては、農林水産省の有識者検証会が外部人材の登用などを提案として盛り込んだ報告書を先月、取りまとめた。農林中金は提言を受けた今後の対応方針についても発表した。
具体的には、従来一体化していた財務戦略と投資執行にかかるガバナンスを明確に分離し、新たにCFOを議長とする財務戦略委員会を設置する。財務戦略と投資執行のそれぞれの独立性を高めることで、従来よりも機動的な経営判断が可能になるという。
北林氏は外部人材の採用を検討することについて、幅広く金融機関や運用会社などから「いわゆる市場、非市場の資産を含めていろいろな形で経験のある方を外部の人材として採用できたらと考えている」と述べた。  
経営の執行を担う理事会に外部の有識者を非常勤の外部理事として参加できるよう検討する。外部理事を実現するためには、農林中央金庫法の改正が必要のため、それまでの間は同委員会に専門性を有する外部見識者の招へいを検討する。
●先進国政治動向
トランプ時代の難題の一つは、大統領が注目を引くためにまくし立てているのか、それとも彼の発言が政策や優先事項の真の変化を示しているのかを見分けることだ。ここ何日かのウクライナに対するドナルド・トランプ米大統領の言葉による攻撃は、後者のように思われる。もしかすると、これから起きる醜悪な決着の兆候かもしれない。
トランプ氏は18日、ロシアのプロパガンダのまねをして、ウクライナがロシアとの戦争を始めたのであり、ウクライナは戦時下での選挙を実施していないため、ロシアと大して変わらないと主張した。これに対し、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、トランプ氏は「偽情報の空間」に生きていると言い返した。この発言は軽率だったかもしれないが正確だった。
トランプ氏は19日、いつものように発言をエスカレートさせ、ゼレンスキー氏を「独裁者」と呼び、ウクライナの指導者が米国をだまして「勝つ見込みのない、まったく始める必要のなかった」戦争への支援に引き込んだとほのめかした。また、ゼレンスキー氏は「選挙を拒否し、ウクライナの世論調査では支持率が非常に低く、彼が得意だったのはバイデン氏を『バイオリンのように』操ることだけだ」とトランプ氏は述べた。
この発言を単なる巧言と片付けたくなるが、トランプ氏には政治的な意図があるように感じられる。トランプ氏は有権者に、ウクライナとロシアの間に本質的な違いはないと思わせるために、ウクライナの民主主義をけなしている可能性がある。こうすれば、ウクライナを裏切るような和平合意が売り込みやすくなると考えているのかもしれない。
両国にはモラル面で大差がないというトランプ氏の主張が誤っていることを、たいていの米国人は看過しないだろう。プーチン氏によるウクライナ征服のための戦争は3年前の2月、ロシア軍が国境を越えて侵攻し、首都キーウの占領を図ったときに始まった。プーチン氏に正当な安全保障上の懸念があったために始まったわけではない。この年を重ねたソ連時代の国家保安委員会(KGB)元工作員が、自身が若い頃に崩壊した「ソビエト帝国」の大半を復活させたいと考えているために始まったのだ。
ウクライナは、戒厳令下で生き残りのために戦う中で選挙を延期している。それは同国の憲法で認められている。第2次世界大戦中にナチス・ドイツの包囲下にあった英国は選挙を実施しなかった。ウィンストン・チャーチルは独裁者だったのだろうか。
ウクライナの民主主義は脆弱(ぜいじゃく)であり、欧州連合(EU)のような西側の機関に加盟できれば、より強いものになるだろう。この戦争において、唯一の独裁者はプーチン氏だ。同氏は亡命したロシア人に海外で毒を盛り、自身に反対する人々を北極圏の刑務所に追いやる。彼が自由な選挙を実施するというのなら、知らせてほしいものだ。
トランプ氏はまた、ゼレンスキー氏に反感を抱くようウクライナ国民を誘導できると考えている可能性がある。だが皮肉なのは、トランプ氏のゼレンスキー批判が逆効果をもたらすかもしれないことだ。将来のロシアの攻撃に対して信頼できる安全面での保証を含まない米ロの取り決めによる悪いディールの押し付けに、ゼレンスキー氏が反対しているように見えればなおさらだ。
プーチン氏が北大西洋条約機構(NATO)加盟国との境界線に新たな拠点を設けるのを阻止することは、米国にとって大きな利益になる。これが、米国によるウクライナへの武器供与が正しいと考えられてきた真の理由だ。ウクライナの降伏を意味するディールは米国の力に打撃を与え、太平洋地域や中東にまでその影響は波及するだろう。そうなれば、米国が尊敬され、世界が平穏だった黄金時代を復活させるというトランプ氏の約束とは正反対の状況になる。
奇妙に思えるのは、トランプ氏がプーチン氏以上に「和平」協定を望んでいるように見えることだ。どんな交渉においても、より多くを望む方が立場が弱くなる。トランプ氏は大統領選での公約通り、和平を実現したと主張できることを望んでいるが、反面教師になるのがジョー・バイデン前大統領だ。
バイデン氏は大統領任期中に、アフガニスタンからうまく手を引くことを試みた。だが同氏が決めた米軍のアフガン撤退は、世界中での危機の連鎖の口火を切ることになった。このことは自身の大統領任期を特徴づけることとなった。バイデン氏はこの撤退が首尾良く行われ、勝利したと売り込もうとしたが、米国民はそうは受け止めなかった。今後、ロシアが勝ち誇るのを目にし、ウクライナを巡る和平が自分たちの考えていた和平と違うと気づいた時には、米軍のアフガン撤退の際と同様の反応を示すかもしれない。
トランプ氏は先週、ウクライナのNATO加盟の可能性を否定するとともに、同国はロシアに侵略された領土のかなりの部分を放棄しなければならないと語った。これは、何の見返りも得ずにプーチン氏に譲歩するということだ。プーチン氏は今週、ウクライナへのさらなるドローン攻撃でこれに応じた。トランプ氏は手玉に取られることを嫌うはずだと、われわれは思っていた。
ロシアが侵略をやめて恒久的和平を受け入れなければ、武器や他の圧力に直面することになる、とプーチン氏に明確に示す方が、ウクライナを非難するよりも好ましい戦略だ。トランプ氏がディールの実現に躍起になっているように思える現在の状況は、ウクライナ、欧州、米国の利益にとってのリスクであるだけでなく、トランプ氏の大統領としての評価にとってもリスクとなる。
移民問題で強硬派でアンゲラ・メルケル首相の長年のライバルであるフリードリヒ・メルツ氏が、ドイツの次期首相になると見られている。メルツ氏の政党であるキリスト教民主同盟は、選挙の数日前に傘下のキリスト教社会同盟とともに世論調査で首位に立っている。
メルツ氏は9月、今年の連邦選挙でCDU党の首相指名候補に選出された。同党は2022年から同党を率い、野党のCDU-CSU議員団を率いてきた。CSUは数十年にわたりバイエルン州の政治を支配してきた地域政党で、連邦レベルではCDUと連合を組んでいる。
政治とビジネスの間
69歳のメルツ氏は政界入りする前、法律を学び、最初は裁判官として、その後メイヤー・ブラウン法律事務所で弁護士として働いた。また、ブラックロック・ドイツやHSBCトリンカウス・アンド・ブルクハルトなど、さまざまな大企業で上級職を歴任したほか、EYドイツ、ボルシア・ドルトムント、ドイツ取引所の取締役も務めた。
メルツ氏は既婚で3人の子供がいる。伝えられるところによると、彼は2機の飛行機を所有しており、暇な時には操縦しているという。
メルツ氏は学生時代にキリスト教民主同盟(CDU)に入党し、最終的には同党の青年組織の地方支部を率いた。1989年に欧州議会議員に5年間就任し、その後ドイツ連邦議会議員として15年間務めた。
2000年代初頭のメルツ氏の政治キャリアの大部分はメルケル氏とのライバル関係で特徴づけられ、2人はCDUとCDU/CSU議会グループの指導的地位を争った。メルツ氏は2000年以降、まず後者グループの議長となり、その後副議長となった。
彼は2004年にこの職を辞任したが、当時の観察者はこれはメルケル氏の昇進によるものだと示唆していた。
メルケル首相とメルツ氏の間の緊張は今も続いており、元ドイツ首相は先月、議会の採決で極右政党「ドイツのための選択肢」に協力したとしてCDU党首を批判した。
政策立場
メルツ氏はCDUと同様に中道右派の政策立場をとっており、社会的に保守的で企業寄りの政治家とみなされている。
メルツ氏は、所得税や法人税の引き下げ、官僚制度の煩雑さの削減による企業やイノベーションの促進、ドイツ国内の産業の枠組み条件の調整による民間投資の促進などを主張している。また、ドイツをスタートアップにとってより魅力的な国にするという目標を掲げ、デジタル化とAIに重点を置く新たな大臣職を創設するとも述べている。
CDU党首はまた、政府が負う債務の額を制限し、連邦政府の構造的財政赤字を抑制する、ドイツの非常に議論の多い債務ブレーキ規則の改革に前向きな姿勢を示している。
メルツ氏はオラフ・ショルツ政権の経済政策を強く批判しており、それが国の不況の原因であると示唆し、大幅な政策転換を求めている。
この姿勢には、経済政策が気候変動に重点を置きすぎているという批判も含まれているが、メルツ氏はこれを変えると述べている。メルツ氏は気候危機を問題として広く認識しているものの、風力タービンの建設など、気候危機に対処するために講じられた措置の一部については懐疑的である。
外交政策の面では、メルツ氏は先週末のミュンヘン安全保障会議で、ドイツは欧州内でより強い指導的立場をとるべきだと示唆し、ウクライナ戦争はすぐに終結しなければならないと述べ、紛争が続く同国へのさらなる武器供与に前向きな姿勢を示した。
しかしメルツ氏は、NATO加盟国がこの分野での資金拠出を増額すべきかどうかの議論が続く中、ドイツの防衛費計画に関する質問は概ね避けた。
メルツ氏を苦境に陥れている政策課題は移民問題だ。同氏は、ドイツの現在の難民・移民政策が緩慢で対応が遅いと批判し、国外追放予定者による国内での暴力事件と関連づけ、警備強化、国外追放の増加、国境管理の厳格化を主張している。
事態は1月に頂点に達した。メルツ氏が先頭に立った拘束力のない動議がAfDに支持されたのだ。これはドイツ戦後史上初めて、極右の力を借りて過半数議席を獲得した事例となった。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が2022年12月に米上下両院合同会議で演説を行った際、共和党の上院議員の多くは同氏を称賛し、現代のウィンストン・チャーチルと呼んだ。
だがドナルド・トランプ米大統領がゼレンスキー氏を独裁者と呼び、ロシアによるウクライナ侵攻の責任はウクライナ側にあったと述べる中、ゼレンスキー氏を擁護する共和党議員はほぼいなくなっている。
共和党上院議員らは、米政府が3年間にわたる戦争で支援してきたウクライナに対し、トランプ氏が攻撃を展開したことに不意を突かれている。多くの議員は当初、トランプ氏の発言に関する報道が正確であるとは信じられなかったほか、発言の内容は把握していないと述べていた。
また別の議員らはトランプ氏が型破りな交渉戦略を展開しているとのわずかな期待を持ち、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対する厳しい批判を展開させた。
今回の出来事はトランプ氏が掲げる「アメリカ・ファースト(米国第一)」政策が、第2次世界大戦後の時代を定義してきた米国主導の同盟システムから共和党を遠ざけていることを浮き彫りにしている。また、大統領の突然の政策転換が議員たちを戸惑わせ、最高司令官と足並みが乱れる可能性があることも示した。
伝統的な国防タカ派は、トランプ氏の発言について発言を控えている。上院軍事委員会委員長のロジャー・ウィッカー氏(共和、ミシシッピ州)やトッド・ヤング上院議員(共和、インディアナ州)を含む数人の議員は19日午前、携帯電話を耳に押し当てたまま記者たちの前を通り過ぎた。ジョニ・アーンスト上院議員(共和、アイオワ州)は、記者からの質問を無視した。
上院共和党指導者として長年にわたりウクライナ支援を主導してきたミッチ・マコネル上院議員(ケンタッキー州)はコメントを控えた。昨年上院を通過した最新のウクライナ向け支援パッケージは、ほぼ全ての民主党議員と31人の共和党議員の支持を得て可決されている。
一方でマイク・ラウンズ上院議員(共和、サウスダコタ州)は19日、ゼレンスキー氏を強く擁護した数少ない共和党議員の1人として、「彼はウクライナの正当に選出された大統領だ」とコメント。「わたしはゼレンスキー氏と何度か会ったことがあり、ロシアからの攻撃に耐え続けている大きな理由は彼の存在だと思う」と述べた。
だがトランプ氏の今回の発言に反論した共和党上院議員らのほとんどは、穏やかな表現にとどめたうえでトランプ氏を信頼しているとも述べ、政府が主導する和平交渉に期待するとした。一部の議員はまた、支持率が低迷するゼレンスキー氏を明確に擁護することは避け、プーチン氏への批判を展開した。
超党派の議員団とウクライナを訪問し、集団墓地を視察したばかりのトム・ティリス上院議員(共和、ノースカロライナ州)は、プーチン氏を「殺人的独裁者」と呼び、戦争を始めたのは同氏だと主張。「ウクライナでの解決策が、彼に勝利したと感じさせたり、引き分けに持ち込んだりするのは良くないアイデアだと思う」と述べた。
ジョン・ケネディ上院議員(共和、ルイジアナ州)はゼレンスキー氏に関するトランプ氏の発言に同意しないと述べたうえで、プーチン氏への嫌悪感を表明。ロシア大統領は「スターリンのように血を渇望している」とし、「彼と同じ空気を吸うのも嫌だ」と語った。
ジョン・スーン上院院内総務(共和、サウスダコタ州)は、トランプ氏は自分の意見を述べることができるとしながらも、ロシアが戦争を始めたことは「疑いの余地がない」と付け加えた。
ドナルド・トランプ米大統領は、就任からわずか4週間で外交政策の方向を劇的に転換している。米国は同盟国としての自らの信頼性を低下させ、世界への関与からも後退しており、各国との関係が根本的に再編される可能性もある。
トランプ政権の外交トップがロシアと和平交渉で示した譲歩は、欧州の同盟国に驚きを持って受け止められている。トランプ氏はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を独裁者と呼び、交渉開始にあたって欧州各国とは一定の距離を保っている。
中国が途上国への影響力維持に努める中、トランプ氏はこれらの国を支援する国際開発庁(USAID)を解体。さらに米政府がガザ地区を所有してパレスチナ人を移住させる計画は、米政府が数十年にわたり仲介しようとしてきた二国家解決案への取り組みを無に帰した。
さらにトランプ氏が掲げる関税引き上げ計画は、米国主導のグローバリゼーションの終わりを告げるものとなっている。
トランプ氏が国際問題に対処するにあたり、歴代大統領と同じ方法を取るとは誰も期待していなかった。だが、1945年以来の路線から米国の外交政策をこれほど急速に方向転換することもまた、ほとんど誰も予想してはいなかった。
ほとんどの外交政策専門家は、米国が第2次世界大戦終結以来、自らが主導する同盟システムで国力の強化を支えてきたとみている。欧州、中東、そしてアジアの同盟国を守ると誓うことで、米国は他のどの国よりも自由貿易や世界の安定を保証する役割を担ってきた。その使命には、かつては旧ソ連、そして最近では中国に対抗することも含まれていた。
トランプ氏の見方はこれと異なる。同氏は同盟国が米国に与えるよりも多くを米国から得ているとみている。また他国は米軍とその核の傘に安全保障を依存するのではなく、軍事費を増額すべきであり、米国の好意を得るための経済的インセンティブを提供すべきだと考えている。トランプ氏の外交政策観ははるかに取引的で、勝ち負けを重視するものとなっている。
ヘリテージ財団で国家安全保障・外交政策担当の副所長を務めるビクトリア・コーツ氏は、「トランプ大統領が第2次世界大戦後の秩序を放棄しているわけではない」とし、「もはや第2次世界大戦後の時代ではなく、地政学的な状況が変化したことを受け入れなければならない」と付け加えた。
トランプ氏は1期目の外交政策でも同じアプローチを取ったが、2期目では新たな要素を加え、米国の国境を拡大することや、一方的に海外の領土を獲得することも提案。ホワイトハウス入りする以前からパナマ運河の奪還やデンマークからグリーンランド獲得、さらにカナダを51番目の州にすることについて言及していた。
さらに就任後にもこれらの考えを繰り返したことで、それまでは唐突な発想に過ぎなかったものが米国の政策として現実味のあるものとなり、世界中の国々に対するシグナルともなった。
外交問題評議会のリチャード・ハース名誉会長は、「外交政策で行われたことを元に戻すことや、二度と繰り返されない1回限りのことだと同盟国を説得するのは非常に困難だ。トランプ氏の1期目の当選後には可能だったかもしれないが、再選後はそうではない」と指摘。「米国の信頼性と予測可能性を巡る評判は、深刻なほど損なわれている」と述べた。
直近の出来事は、トランプ氏が率いる米政府に対する同盟国の疑念をさらに深めている。
トランプ氏は先週、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話会談後、ロシアの国際的孤立を終わらせる可能性のある交渉に同意。ピート・ヘグセス米国防長官も、ウクライナ戦争を終結させるための和平交渉には、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟することが含まれないだろうとした。これでは、外交努力が始まる前からロシアが勝利を手にしたようなものだ。
ヘグセス氏はその後、すべての選択肢は引き続き検討されていると述べ発言を撤回した。だが、同盟国は、トランプ氏の米国が大西洋をまたいだ団結をほとんど気にかけていないとの印象を持つこととなった。
JD・バンス米副大統領は14日にミュンヘン安全保障会議で演説を行い、欧州の同盟国は民主主義を破壊していると非難した。また、欧州各国政府がウクライナ和平交渉に参加するよう要請したにもかかわらず、米政府当局者らは、交渉の場に参加することはできないとし、欧州の見解を考慮すると述べただけだった。
オバマ政権で国防長官を務めたチャック・ヘーゲル氏は、「いま起きていることは、第2次世界大戦後の世界秩序の基盤に対する深刻な挑戦だ」とし、「この国とこの世界の未来について、今ほど懸念を感じたことはない」と付け加えている。
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
ベッセント米財務長官は20日、米国債の発行で長期債の割合を増やす措置はまだ先になるだろうと述べた。高止まりしているインフレや連邦準備制度の量的引き締め(QT)プログラムなど、現時点では障害があると指摘した。
同長官はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、期間長めの米国債発行についての問いに答え「それはまだ先のことだ」と述べた。
米財務省は今月、中長期債の発行規模を2025年も当分現状で維持するガイダンスを据え置いた。
ベッセント氏は財務長官に指名される前に、期間短めの債務で財政赤字を補うイエレン前長官の発行戦略を批判していた。
今回のインタビューで以前の発言について問われると、「前政権はデュレーションの一部を短期化した。われわれはそれ以上の短期化をしていない」と説明。
「『バイデンフレーション』とも言うべきようなものがまだ表れ続けている状態だ。われわれが何をしているか市場が理解するにつれ、インフレが低下を始めれば、そこでどうするかだろう。従って、今後の展開次第になる」と長期債の発行増額の可能性について述べ、「それが最終的な目標だが、現時点で示唆はしない」と続けた。
ベッセント氏は、政府効率化省(DOGE)が主導するコスト節約推進、規制緩和や減税による成長加速、米国のエネルギー供給拡大でインフレは低下するとの持論をあらためて強調し、それが長期金利低下の基盤になると語った。
こうした発言を受け、米長期債は上昇し、10年債利回りは一時約3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.50%に達した。同利回りは2%を優に下回っていた新型コロナウイルス流行前と比べると、依然として極めて高い。
ベッセント氏はまた、米連邦準備制度は現在、米国債の保有を減らす、いわゆるQTを実施しており、債券の売り手として事実上、財務省と競合していると指摘した。直近の議事要旨によると、連邦公開市場委員会(FOMC)ではQTの休止または減速が議論されている。
「連邦準備制度はバランスシート圧縮を停止する可能性があると表明した」とベッセント氏は指摘。そうなれば、「もう一つの大口の売り手と競合しなくなるため、自分にとってデュレーションの長期化はやりやすくなる」と語った。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長とは19日に会ったと明らかにし、現在の金融政策について公にはコメントしない慣行を続けるとも述べた。
市場はトランプ米大統領の成長促進政策になお楽観的だが、根強いインフレとトランプ氏の強硬な貿易政策により、1970年代に米国を悩ませた低成長・高インフレ、いわゆる「スタグフレーション」懸念が再燃している。
スタグフレーションの再来の可能性は過去50年間にも定期的に浮上したが、投資家のポートフォリオに対する実際の脅威としては顕在化していない。今回は違うとはまだ言い切れないものの、貿易戦争や懲罰的関税の可能性が米国の成長に影を落とす中、この恐ろしいシナリオはここ数週間、主要なリスクとして再び忍び寄っている。
ブランディワイン・グローバルの債券戦略ポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「インフレが長引き、連邦準備理事会(FRB)の政策余地が制限される一方で、消費者需要を損ないかねない政策が打ち出され、スタグフレーションの可能性が確実に再浮上した。もはや可能性ゼロのシナリオではない」と警告した。]
1月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%上昇。前月比では0.5%上昇し、2023年8月以来、約1年半ぶりの大幅な伸びを記録した。スタグフレーションを構成する重要なピースである高インフレ率の定着が裏付けられた。もう一つのピースである経済成長率も、関税がインフレ圧力を高める中、危うい状況にある。
イノベーター・キャピタル・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、ティム・アーバノウィッツ氏は「われわれが引き続き懸念しているのはインフレリスクよりもスタグフレーションだ。高インフレという根強い問題に加えて、関税は消費者への課税となり、利益と経済成長を圧迫することで経済を減速させかねない」と指摘した。
バンク・オブ・アメリカが18日に世界のファンドマネジャーを対象に行った調査によると、向こう1年間にスタグフレーション(同行の定義では成長率がトレンドを下回り、インフレ率がトレンドを上回る状態)を予想する投資家の割合が7カ月ぶりの高水準に達した。ただし同時に、投資家は株式に対して依然として強気な姿勢を維持しているほか、貿易戦争については発生確率が低いリスクとみられていることも調査で明らかになった。
トランプ大統領は2月初めにカナダとメキシコからの輸入品への新たな関税の導入を1カ月延期したが、一方で中国からの全輸入品に新たに10%の関税を導入、世界の鉄鋼とアルミニウムの輸入に関税を課すと発表した。
トランプ大統領はまた、米国からの輸入品に課税している全ての国に対して相互関税を課す計画を立案するよう経済チームに指示。今週には、自動車、半導体、医薬品の輸入に25%の関税を導入する計画を打ち出した。
一部の投資家は、関税による経済成長への打撃は一時的なものだと考えている。
キャピタル・グループの資産クラスサービス責任者マディ・デスナー氏は、長期的には関税が成長を促し、世界的な競争の減少から恩恵を受ける産業を後押しする可能性もあると述べた。一方、関税の初期の影響は価格圧力を強める可能性があり、「実際、おそらくこの2つの間のどこかになるだろう」と指摘。キャピタル・グループが20年後の10年国債利回り予想を昨年の予想の3.7%から3.9%に引き上げた理由の一部は関税だと説明した。
<スタグフレーションリスク、評価分かれる>
スタグフレーションは、インフレ率が急上昇し、株価と債券価格が急落した22年にも不安の源として浮上したが、インフレが最終的に緩和し、成長が堅調に推移したことから、そのシナリオは現実にはならなかった。
米経済が再びスタグフレーションを免れると信じる向きは多い。
現在のコアインフレ率は約3%で、年平均で7%前後だった1970年代の水準をはるかに下回っている。エバーコアISIは最近のリポートの中で、今回はインフレ期待が「固定」されていると指摘した。
それでも、ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、市場はスタグフレーションのリスクを過小評価している可能性があると警告する。トランプ氏の選挙公約の一つである、査証(ビザ)やその他の書類を持たない労働者の大規模な強制送還の可能性も、インフレを加速させるだろうとの見方を示している。
「関税と(移民の)国外追放はインフレ高進を招き、経済成長を阻害する。どちらもマイナスの供給ショックだ」と指摘し、原油価格高騰などが1970年代のスタグフレーションの一因になったことに言及した。
BNPパリバの米金利戦略責任者グニート・ディングラ氏は、市場は過去6カ月間、トランプ氏の成長促進政策を重視して「油断してきた」と述べた。その上で、スタグフレーションを警戒する投資家は、インフレ上昇で価値が下がる可能性が高い2年国債を売り、低成長シナリオで恩恵を受ける10年国債を買う可能性があるとした。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのSPDRアメリカズ調査責任者、マシュー・バルトリーニ氏は、スタグフレーション環境でも価値を維持する数少ない資産の一つである金への関心の高まりは一部投資家の懸念を示しているとの見方を示した。金価格は19日、過去最高値を更新した。
前述のブランディワインのマッキンタイア氏は、もう一つの大きな勝者は現金だろうと述べたが、「まだそこまでには至っていない」ため、今のところは現金のような固定利付商品への大きなシフトは控えていると述べた。
日本生命保険は、昨年10月に始まったトランプトレード以降の米金利上昇とドル高止まりを受け、オープン外債を積み増している。また為替のヘッジコストが低下していることから、ここ数年魅力が乏しくなっていたヘッジ付き外債への投資も再開し、両者を組み合わせた機動的な外債投資を開始した。
都築彰・執行役員財務企画部長が19日夕方、ロイターとのインタビューで明らかにした。
日本生命は昨年10月半ばに示した運用計画では、オープン外債は「横ばいか減少」、ヘッジ外債は「増やすがプライベートデット中心」としていた。
都築氏は「トランプ米政権の政策により米利下げが後ろ倒しになるリスクが出ており、急には円高に行かない可能性があるとみて為替のリスクも若干取れると判断。オープンとヘッジを機動的に組み合わせながら、外債をポートフォリオに入れ始めている」と述べた。
同社では当初、日米金利差縮小を受けて為替のドル円は年度末145円への下落を見込んでいたが、19日時点のレートは151.80円と依然円安基調。引き続き方向性は円高だとして公式な為替見通しは変えていないが、「米利下げペースが緩む可能性があり、円安の滞空時間はもう少し長くなりそうだ」(都築氏)という。
具体的な運用先に関しては、「米国に加え、具体的な国名は控えるが複数の欧州国債に投資している。これまで力を入れていたクレジットは、スプレッドがタイト化していて妙味が乏しい」とした。
日本生命ではヘッジコスト上昇を見込んでヘッジ外債を22年度に大量に売却しており、ポートフォリオに占める割合が非常に小さくなっていた。しかしドルのヘッジコストは年度初が5%台前半だったものが、足もとは4%近辺に低下。ユーロのコストも年度初4%近辺が、足元は2%台前半に低下している。
都築氏は25年度の運用方針はまだ議論中だとしつつも、「我々が買おうとしている米長期債はまだ利回りも高い。今のうちに仕込んでおけば、ヘッジコストが下がってきたこともあり、5年・10年のタームで見て非常に良い投資になると思う。次年度計画での積み増しも検討したい」と述べた。
同社の当初計画では、今年度末の米10年金利を3.80%と見込んでいたが、19日時点で4.57%と高止まりしている。
一方、円債については、日本生命が当初計画で示した見通し(10年金利で年度末1.4%、30年金利同2.0─2.5%)が的中。昨年10月にロイターが聴き取りを行った大手生保10社の中で最も高く、残り9社の10年金利予想はいずれも0.9─1.2%だった
都築氏は「我々は当時、金利は日銀の利上げを十分織り込めていないと思っていた。その後の円金利は見通し通りの動きとなり、当社は年度上期の投資を遅らせた分、下期に金利が上昇(債券価格は下落)したところで順調に購入できている。年度を通じて平準買いするよりも、非常にうまいタイミングで投資できた」と振り返る。投資対象は引き続き、30年債を中心とする超長期債が中心。
日銀の金融政策見通しについては、今年6月─9月の間に1回、12月─来年3月の間に1回と、概ね半年に1回のペースで1.0%までの追加利上げを想定。それ以上は国内外の景気やインフレの状況をみての判断となり、時点ではターミナルレートの具体的な水準は想定していないという。
その上で、都築氏は25年度の円金利について「足もとの長期金利は上昇ペースが速いが、ここからは一本調子で上がるとは思っていない。1%台後半への上昇ではなく1%台半ばが居どころではないか。30年金利は2%台半ばというイメージだ」と述べ、19日時点の10年金利の1.435%、30年金利の2.330%からの上昇余地は限られるとの見方を示した。
中国市場での競争激化と欧州の厳しい規制に直面した各国の自動車メーカーは、米国に活路を見いだそうとしてきた。そこへドナルド・トランプ米大統領による関税の脅威が浮上した。
トランプ氏は大統領に返り咲くと、9180億ドル(約139兆円)に上る米貿易赤字を問題視し、関税案を次々に打ち出した。メキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税、相手国が設けている貿易制限に基づく相互関税、自動車や半導体など特定分野への関税などだ。
トランプ氏は18日、分野ごとに「25%前後」の関税を課し、その後引き上げる可能性があると述べた。企業が米国に生産を移せるよう、猶予期間を設ける可能性も示唆した。
これを受け、欧州とアジアの自動車メーカーは重要性が増している市場での競争力を維持するため、生産計画を見直している。
ホンダの青山真二副社長は先週、状況の変化に機敏に対応していく考えを示した。
トランプ氏は長年、欧州などからの自動車輸入に不満を表明してきた。米国が欧州連合(EU)からの輸入車に2.5%の関税を課す一方、欧州連合(EU)は米国からの輸入車に10%を課している。米政府は相互関税案を発表した際、これを「互恵的ではない」と指摘した。
米国で昨年販売された小型車約1600万台のうち、およそ半分が輸入車だった。その内訳は、メキシコ・カナダと北米以外がほぼ半々だった。米国はメキシコおよびカナダと貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」を結んでいる。
米ミシガン州デトロイトに拠点を置く自動車メーカーの米ゼネラル・モーターズ(GM)、米フォード・モーター、欧州ステランティスとそのサプライヤーは、製造工程で米国とカナダを行き来する部品に大きく依存しており、北米内の貿易障壁を最小限に抑えるよう、ホワイトハウスに積極的に働きかけてきた。
自動車の対米貿易黒字で上位の国は、北米を除くと日本、韓国、ドイツだ。
日本の自動車大手は1980年代に米国で生産網の構築を始めたが、今も多くを日本から出荷している。トヨタ自動車は昨年の北米販売台数が約270万台だったと明らかにした。ワーズ・インテリジェンスのデータによると、このうち北米で組み立てたのは約210万台、米国に限ると140万台だった。
韓国の現代自動車と起亜は近年、米国で急成長しており、米国生産も急速に拡大しているものの、輸入の割合は日系メーカーより大きい。
こうしたアジアのメーカーは米国の消費者に大きく依存している。直近の業績では、売り上げに占める米国の割合はトヨタが4分の1、現代自動車が29%、ホンダの5分の2弱だった。
ドイツの自動車メーカーも、かつて優勢だった中国市場で競争が激化するにつれ、米国をより重視するようになった。中でもフォルクスワーゲンは、同社にとって唯一大きな成長余地が残されている米国での野心を明確にしている。
域内で低成長と厳しい規制に直面している欧州メーカーにとって、米国はこれまで以上に好環境に映る。昨年の欧州域内の販売台数は2019年比で5分の1近く減った。厳しい排出規制に合わせて各社は電気自動車(EV)への多大な投資を余儀なくされている。
欧州車は通常、高価格帯のメーカーほど米国の消費者への依存が大きく、米国生産は少ない。伊フェラーリと独ポルシェは昨年の販売台数の約4分の1を米国が占め、その全てが輸入だった。
アウディには米国工場がないが、独メルセデスベンツとBMWは1990年代にそれぞれアラバマ州とサウスカロライナ州にスポーツタイプ多目的車(SUV)の生産拠点を設け、生産網の要となっている。
メルセデスベンツとBMWにとって、米工場は米政府との交渉材料としては有益だが、必ずしも関税リスクを軽減するものではない。生産台数が限られているため、両社はセダンを欧州から米国へ、SUVを米国から欧州へそれぞれ輸出している。両地域で両車種を生産しているわけではない。
米関税の詳細はいまだ不明で、各社はさまざまなシナリオに沿って準備を進めている。ホンダと日産自動車は先週の決算発表で、生産移管の可能性に触れた。
トランプ氏が言うように、米国生産を増やせば関税を回避できるかもしれないが、簡単な決断ではない。工場建設や組み立てラインの再編に時間とコストがかかる上、新たな関税がいつまで続くのかは不透明だ。
メキシコとカナダへの関税は3月まで延期された。トランプ氏は先週、連邦機関に対し、相互関税の導入方法に関する報告書を4月初旬までに提出するよう指示した。非関税障壁も対象となる。自動車関税の詳細も同じ時期に発表するとみられる。
トランプ氏は、非関税障壁を極めて広く解釈する可能性を示唆している。今週のXへの投稿で、いわゆる付加価値税は関税より「はるかに懲罰的」だとし、相互関税の算出に加えると述べた。付加価値税は、欧州で販売される自動車などの製品に課す売上税で、税率は通常20%かそれ以上。現地企業の製品も対象となる。
スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーのジム・ローワン最高経営責任者(CEO)は、同社の米工場には増産余地があるとした上で、新たな関税について、米国での生産コストと同社のグローバル生産網への影響に照らし合わせて検証する必要があると述べた。「何よりも関税の額次第だ」
シェ・ウェイナさん(45)はかつて、1500ドル(約23万円)以上する高級バッグを2カ月おきに購入していた。昨年は、バッグの代わりにジムの会員権とピラティスのレッスンに2800ドルほど費やした。
「人は裕福になると、それを誇示するためにモノで自分を満たさなければと感じる」とシェさんは言う。「ただ一定のレベルに達すると、そうした見えのためのモノはもういらないと感じるようになる」
中国で高級ブランドの輝きが失われつつある。景気低迷、政治的な緊縮ムード、高級ブランドは時代遅れだと感じる消費者の存在が相まって、ここ数年の業界を押し上げてきたブームに終止符が打たれた。
コンサルティング会社ベインの推計によると、中国の高級品市場は昨年、2割ほど縮小した。業界首位の仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは2024年10-12月期(第4四半期)に、日本を除くアジアの売上高(主に中国の売上高)が前年同期比11%減少したと発表した。グッチを傘下に持つ仏ケリングでは、同じく中国が中心の売上高が24%減少した。
ベインのパートナー、ウェイウェイ・シン氏は「超高成長期はもう戻ってこない。はるかに緩やかな成長になるだろう」と述べた。
アナリストらはLVMHとケリングの幹部に対し、この減少が景気循環的なものか、それとも中国の消費者の間でより根本的な変化が起きている兆候なのかと詰め寄った。ケリングのフランソワアンリ・ピノー会長兼最高経営責任者(CEO)とLVMHのベルナール・アルノー会長兼CEOはいずれも、中国市場は回復までに時間がかかりそうだが、いずれ回復するとの見方を示した。
中国国内では、一部のブランドが店舗を閉鎖したり、新店舗の開店に時間をかけたりしている。グッチは地方都市で少なくとも2店舗を閉鎖した。北京のおしゃれな三里屯地区では、ルイ・ヴィトンやディオール、ティファニーのロゴシートで覆われた建物が並んでいるが、いずれも開店していない。
客足は減少していると店舗スタッフは話す。元バッグ愛好家のシェさんによると、以前は問い合わせに応じなかった一流ブランドの店舗スタッフが、新商品を宣伝するためにチャットアプリで連絡してくるようになった。
各社は中国市場を諦めてはいない。縮小したとはいえ、最大級の市場であることに変わりはないからだ。昨年11月の上海輸入博覧会では、LVMHが大きなブースを設置し、中国人アーティストが書道風作品を施したルイ・ヴィトンのトランクなど、14ブランドの商品を展示した。
「こうした取り組みを行うに至った理由は非常にシンプルだ。中国を愛しているからだ」。LVMHのマルクアントワーヌ・ジャメ事務総長はこう述べた。
LVMHの傘下ブランド、ティファニーのアンソニー・レドルCEOは1月、「(中国の)平均価格は世界トップクラスだ。例えば、米国や日本、韓国よりも高い」と述べた。
中国と異なり、世界の大半の地域では高級品需要が安定を保っている。LVMHの米国での売上高は昨年、小幅増となった。ベインによると、世界の個人向け高級品市場に中国が占める割合は2024年に推計12%となり、2020年の20%から低下した。
中国では高級ブランドに限らず、西側諸国の企業(自動車メーカー、コーヒーチェーン、ハイテク企業など)が苦戦を強いられている。
中国の高級ブランド愛好家の中には、円安の影響で一部商品が割安な日本へ買い物旅行に出掛ける人もいる。こうした買い物は中国での落ち込みを一部補っているが、全てを補うには至っていないとベインは指摘する。
ケリングの株価は過去1年で3割ほど下落した。LVMH株は昨年、年初来高値を付けた後に3割程度下げたが、最近は持ち直している。
欧州の主要高級ブランドは30年前に中国に進出し始めた。新興の中間層や富裕層にとって、バッグ、ベルト、靴、スーツは憧れの的であり、新たに得た富を誇示する手段だった。
冒頭のシェさんの高級ブランド遍歴は、2008年に北京の高級モール「新光天地」で始まった。年末賞与として1万ドル強を受け取ったシェさんは友人の勧めで、そのうち約4000ドルをシャネルのクラシックフラップバッグ(ミディアムサイズ)に費やした。
シェさんは、5年間一生懸命働いた自分へのプレゼントとして購入したと話す。「お金を稼ぐ力があるという証しだった」
北京の労働仲裁会社で働くシェさんは、その後何年もかけて数十個のハンドバッグを購入し、数万ドルを費やした。エルメスの「リンディ」のバッグ、シャネルのチェーンウォレット、ルイ・ヴィトンの「ネオノエ」バッグなどだ。
シェさんは昨年、フィットネスに力を入れ始めた。今は友人たちと、ルルレモンやアークテリクスなどのライフスタイルブランドの話をするようになった。
中国経済が減速する中、高級品が以前よりも心に響かなくなったとシェさんは言う。シェさんからすれば、欧州ブランドの商品が次第にどれも同じように見えてきた一方で、ハンドバッグメーカー「ソングモント」といった中国ブランドは、手頃な価格でまずまずの品質とデザインを提供しているように映る。
医療分野で働くヤン・リウさん(32)は、グッチの「ディオニュソス」やブルガリの「セルペンティ」などのバッグを購入したが、新型コロナウイルス禍中に収入が減少し、高級品を買いたいという意欲が薄れたと話す。今はキャンバス地のトートバッグを使用している。
「ここ数年で、より合理的になった」とリウさんは言う。「それは主に費用対効果のことだ」
業界アナリストによると、世界的な値上げの結果、一部の憧れ購買層の間で高級ブランド離れが起きている。上海のコンサルティング会社、要客集団のデータによれば、中国では2019~22年の間に高級ブランドハンドバッグの平均価格が32%超上昇した。
高級ブランドは、富裕度・洗練度でトップクラスの中国の都市(北京や上海など)以外からの顧客の流入に期待を寄せている。
浦銀国際(SPDBインターナショナル)のアナリスト、リチャード・リン氏によると、中国の高級品市場は過去10年間、主に中間層の拡大によって支えられてきた。
「景気が一段と悪化すれば、中国の中間層の規模が縮小することもあり得る」とリン氏は述べた。
トランプ米政権の関税措置を巡り、市場の懸念が後退している。数週間前までは全面的な貿易戦争となる恐れから過剰なまでに反応していたが、トランプ大統領が猶予期間を設けたことなどからその可能性が少ないとの見方が強まり、投資家の関心は関税から移りつつある。ただ、その影響を軽視しすぎているとの指摘もある。
ステート・ストリート・グローバル・マーケッツ株式調査部門の責任者は「数カ月前は関税が注目すべき重要事項だった。メディアは今も関税を話題にしているが、市場は注意を払っていない」とし、「株式市場の変動の4割近くは関税の動向で説明できた。しかし、今では2%を下回っている」と指摘した。
トランプ氏の関税措置の範囲や時期、対象が明確でないことがその要因として挙がる。「合理的な確信を持って予測できない」との声も聞かれた。
トランプ氏は一律関税の構想を打ち出すなどしていたが、これまでのところ実際に発動された関税は少ない。ジェフリーズの欧州チーフエコノミスト、モヒト・クマール氏は、市場は交渉の道具にすぎないとの見方を強め、こうした動きに「一段と鈍感になっている」と指摘した。
2月にカナダとメキシコに対する関税が発表されると、カナダドルは大幅下落した。その後、関税導入の延期が発表されると、カナダドルは買い戻され、その後も上昇を続けている。ただ、関税措置が実行される可能性も残っており、そうなれば株価下落につながるとの見方も出ている。
欧州中央銀行(ECB)は20日、一部の労働者が仕事量の減少に直面し、失業を恐れて過剰に貯蓄する傾向がみられ、これが消費抑制につながっている可能性があるとの調査結果をブログに投稿した。
雇用が過去最高を更新する中、ECBはこれまで、消費が急増して成長をけん引すると予想してきた。しかしユーロ圏経済は概ね停滞したままであり、その期待は裏切られてきた。
ECBの最新のブログ投稿によると、労働者の多くは仕事量が大幅に減少しており、近いうちに仕事がなくなることをと恐れて貯蓄を増やし、消費を抑えて対応している。「成長が弱い一方で雇用市場が堅調な経済では、労働力の蓄えとそれに伴う労働力の活用率の低下が消費の足かせになる可能性がある」としている。
調査によると、労働者の10%が通常よりも仕事量が少ないと報告。建設業と工業が特に大きな影響を受けている。また、仕事量が減ったと報告した労働者は今後3カ月以内に職を失うリスクが高いと感じているという。
住宅市場が買い手に有利に転じている兆候がある。しかし、経済に対する新たな懸念が、一部の買い手を躊躇させている。
住宅購入者にとって良い面としては、住宅価格の伸びが鈍化し、住宅ローン金利が最近のピークから低下していることが挙げられる。
不動産仲介会社レッドフィンによると、 2月16日までの4週間の住宅販売価格の中央値は37万5475ドルで、前年比3.7%上昇した。これは約5カ月間で最小の増加だ。
一方、フレディマックのデータによると、2月13日までの週に30年固定金利住宅ローンの平均は6.87%に小幅低下した。これは今年これまでの最低値であり、1月の直近のピークである7.04%を下回っている。
しかし、「購入者は依然として、この大きな住宅購入の難しさに直面している」とジロウの上級エコノミスト、オルフェ・ディヴォンガイ氏は述べた。
米抵当銀行協会のデータによると、2月14日までの週の住宅ローン申請件数は前週比6.6%減少した。専門家らは、金曜日に発表される1月の住宅販売データでは減少が見られるだろうと予想している。
レッドフィンのエコノミスト、チェン・チャオ氏によると、比較的高額な費用に加え、経済全般に関する不確実性が高まっているため、一部の購入者は購入を再考する可能性があるという。
「その多くはホワイトハウスから来ている」と彼女は買い手が不安を抱いている理由について語った。
住宅市場における明るい兆し
専門家によると、住宅市場におけるいくつかの要因により、買い手は価格交渉の余地が広がっているという。 
まず、売りに出す所有者が増えているため、在庫が増えている。選択肢が増えることで、買い手は「市場での交渉力が少し増す」とディボンギー氏は言う。 
レッドフィンのデータによると、1月の新規住宅物件数は564,642件で、前月比1.9%増、前年比4.7%増となった。新規住宅物件数は2022年7月以来の最高水準に達した。
住宅販売業者の中には、希望価格を引き下げているところもある。レッドフィンのデータによると、典型的な住宅は希望価格より2%安く売られており、これは過去2年間で最大の値引きだ。
買い手は経済と失業を心配している
専門家によれば、経済の不確実性が広まっていることから、一部の購入者は計画を再考しているという。
2月中旬現在、トランプ大統領の政府職員削減計画の一環として、複数の連邦政府機関や省庁で数千人の職員が解雇されている。
これにより、政府と直接働いている人や、契約業務や連邦政府の資金援助を通じてつながっている人は、「近い将来に大きな変化が起こるかもしれないと不安になる可能性がある」と趙氏は述べた。
「彼らは雇用の安定を心配している」と趙氏は述べ、住宅購入の可能性をなくしている。
「まず最初にやるべきことは、経済的な安定を心配して、本当に大きな買い物を控えることです」と彼女は付け加えた。
不安はそれだけにとどまらない。貿易戦争の可能性や政府支出の大幅な変化により、米国人は「次はどうなるのか」と疑問に思うかもしれないと趙氏は説明した。
トランプ大統領は、諸外国に「相互関税」を課す計画を記した大統領覚書に署名した。この計画により、米国は他国の非関税政策を不公正な貿易慣行として扱い、それに応じて関税を課すことが可能になる。
消費者にとっては、日用品の価格上昇の見通しとインフレ加速の可能性により、新しい住宅への投資を躊躇する可能性がある。
アメリカ人はクレジットカードの借金をどんどん増やしている。
ニューヨーク連邦準備銀行は最近、消費者がクレジットカードで負っている負債総額が過去最高の1兆2100億ドルに達したと報告した。
トランスユニオンの別の四半期信用業界調査レポートによると、消費者1人当たりの平均残高は現在6,580ドルで、前年比3.5%増加している。
トランスユニオンのグローバル調査・コンサルティング担当上級副社長チャーリー・ワイズ氏は、増加傾向にあるものの、変化の速度は大幅に鈍化していると述べた。「消費者は依然としてクレジットカードを使い続けているが、クレジットカードに頼る額は減少しているようだ。」
パンデミックの影響で、物価上昇 と高金利により多くの世帯が圧迫されており、以前よりも緩やかなペースではあるものの、物価は依然上昇している。
主要なインフレ指標である消費者物価指数は、   2022年6月のパンデミック期のピークである9.1%から1月の3%まで徐々に低下しているが、依然として 連邦準備制度理事会(FRB)の2%目標を上回っている。
中央銀行は2024年後半に政策金利を1パーセントポイント引き下げたが、政策担当者らは労働市場の全体的な強さとドナルド・ トランプ大統領の政策の影響を評価しながら、今後はより慎重なペースで政策を進めることを主張している。
水曜日に公表された議事録によると、連邦準備制度理事会の当局者は、金利をさらに引き下げる前にインフレがさらに低下する必要があることに同意し、関税が及ぼす影響について懸念を表明した。
一方、ワイズ氏は、世帯は物価高、金利高という新たな常態にほぼ適応しており、「生活費をやりくりするためにクレジットカードに頼る割合はやや減ってきている」と述べた。2022年と2023年に残高が急増した後、クレジットカード負債の伸びは大幅に鈍化したと同氏は述べた。
トランスユニオンの調査によると、クレジットカードの延滞率、つまり90日以上支払いが遅れている割合は、2020年以降初めて前年比で低下した。「これは良い兆候だ」とワイズ氏は語った。
●中東情勢
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
- **為替市場:** ドルが主要通貨に対して下落。トランプ大統領の関税措置への慎重な市場反応の中、円は対ドルで11週間ぶりの高値(149.40円)を記録。  
- **債券市場:** 米国債利回りは低下。FRBが量的引き締め(QT)の縮小・停止を検討。FRBはQTを早期終了する可能性も示唆。  
- **株式市場:** 米株は反落。ウォルマートの弱い業績見通しが市場全体に影響。S&P500は2日続いた最高値更新がストップ。金融株が最大の下げ。  
- **コモディティ市場:**  
  - **金:** トランプ政権の貿易政策の不透明感から金価格が反発し、史上最高値を更新(1オンス=2956.10ドル)。  
  - **原油:** 石油製品在庫の減少と供給不安で続伸し、WTI原油3月物は72.57ドルに上昇。
- **ロンドン株式市場:** 3日続落。英国の賃金・インフレ加速で年内の追加利下げ観測が後退し、大型株(BP、アストラゼネカなど)が下落。FTSE100は重荷となり、FTSE250も0.46%下落。フェレクスポはウクライナの鉱山国有化懸念で30%超急落。一方、ロイズ銀行は自社株買い計画で4.9%上昇。  
- **欧州株式市場:** ドイツ総選挙を控え投資家が様子見姿勢。防衛費増額による財政負担懸念でSTOXX欧州600航空宇宙・防衛指数は2.8%安。エアバス、メルセデス、ルノーが下落。一方、シュナイダー・エレクトリックは好決算で3%高。  
- **ユーロ圏債券:** 地政学的緊張と国防費増加見通しで売り圧力。ドイツ10年債利回りは1bp低下の2.536%。イタリア10年債利回りも2bp低下。市場は過度な上昇からの揺り戻しを意識。  
- **地政学リスク:** トランプ米大統領のウクライナ批判で欧州各国が反発。国防費を賄うための国債発行増加観測が強まる中、債券市場の不透明感が続く。  

備忘録(2025/2/19
●海外企業決算
●海外企業
シルバーレイクは、インテルのアルテラ部門の過半数株式の買収交渉を行っている。インテルは非中核資産を売却し、財務を増強して米国と欧州の最新チップ製造工場に数十億ドルを投資しようとしている。
インテルは昨年、アルテラの株式を相当額取得する意欲のあるプライベートエクイティグループを探すためアドバイザーを雇った。同社は2015年に約170億ドルでアルテラを買収したが、専門投資家が同部門の復活を後押ししてくれると考えた。インテルは、株式売却はアルテラの価値を高め、完全撤退の準備を整えるだろうと述べた。
アルテラはライバルの半導体メーカーの関心を集めているが、米プライベートエクイティ・グループのシルバーレイクがインテルの優先候補として浮上していると、事情に詳しい3人が明らかにした。
1000億ドル以上の資産を運用する同社は、デルなどの大手テクノロジー企業を復活させる能力でウォール街で知られている。同社はまた、半導体業界に多額の投資を行っており、買収により現在のブロードコムの前身となったアバゴの最高経営責任者にホック・タンを据えた。
協議はまだ初期段階だが、シルバーレイクとの契約はインテルの財源に数十億ドルを注入することになる。
ブルームバーグが最初に報じたこの潜在的な取引は、ドナルド・トランプ米大統領が半導体メーカーの運命を立て直す方法を検討している中で行われた。
フィナンシャル・タイムズ紙の取材に応じた関係者によると、トランプ政権は業界大手の台湾積体電路製造(TSMC)にインテルとの提携を模索するよう圧力をかけている。半導体供給をめぐって中国との地政学的緊張にさらされている半導体業界は、このような提携に衝撃を受けることになるだろう。
先週末、ウォールストリート・ジャーナル紙はブロードコムがインテルとの取引を検討していると報じた。チップ設計と製造の両方を含むインテルの事業の一部または全部を買収する可能性があるという噂は、同社を何ヶ月も悩ませてきた。9月には、米国のチップ設計会社クアルコムもインテルに取引を打診した。
インテルの株価は、同社とTSMCのより広範な分離の憶測から、火曜日に約16%上昇して取引を終えた。
インテルとシルバーレイクはコメントを控えた。
インテルは昨年の夏、大規模なコスト削減策を開始し、半導体「ファウンドリー」事業が数十億ドルの損失を出したことから、数千人の雇用を削減し、欧州での製造プロジェクトを停止した。
暫定共同最高経営責任者兼最高財務責任者のデビッド・ジンスナー氏が効率化を追求し、事業を再編すると誓った後、同社はベンチャーキャピタル部門のインテル・キャピタルのスピンオフを発表した。
インテルの業績が悪化し、昨年12月に取締役会が最高経営責任者(CEO)のパット・ゲルシンガー氏を解任したことで、同社は最先端のチップを製造できる可能性がある唯一の米国企業であるため、国家安全保障上の懸念が高まっている。
マイクロソフトは19日、同社初となる量子コンピューティング向けチップ「マヨラナ1」を発表した。現在のコンピューターでは解決できない問題に対応可能なデバイスの開発に向けて、マイクロソフトが重要な一歩を踏み出した。
同社によると、同チップは付箋サイズのハードウエアに8量子ビットを配置しており、最終的には100万量子ビットを目指す。マイクロソフトのエンジニアは、将来の量子コンピューターの基盤として、同チップが十分な性能を備えていると話している。
量子コンピューティングの分野ではここ数カ月、実用化に近づいていることを示す発表が相次いでいる。昨年12月には、米アルファベット傘下グーグルが新たな量子チップ「ウィロー」を発表。従来のスーパーコンピューターならおよそ10の25乗年かかる計算を、わずか5分で完了することができると明らかにした。
量子コンピューターの開発に取り組む企業にとって、計算時に出るエラーの訂正が大きな課題となっている。
2004年に量子コンピューターの研究を開始したマイクロソフトは、エラーを最小限に抑えることに注力。とりわけ1930年代に理論を提唱したイタリア人物理学者にちなんで名付けられた準粒子「マヨラナ」に焦点を当てたという点において、他の企業とは異なるアプローチを採用している。マイクロソフトは、マヨラナ量子ビットは他のアプローチで作成された量子ビットよりも、1とゼロの誤った入れ替わりが起こりにくいと考えている。
旅行者にデータを提供するツアーリング・プランズによると、両親と幼い子ども2人の家族が、手頃な価格のディズニー所有のホテルに滞在してウォルト・ディズニー・ワールドを4日間訪れる典型的な費用は昨年4266ドルだった。これは食費と交通費を除いた費用で、5年前の3230ドル(インフレ調整後)から上昇している。  上昇分の約8割は、待ち時間短縮など、かつては無料だったサービスや追加オプションの新規費用によるもの。あとはディズニーがパス価格を米国のインフレ率を上回るペースで引き上げたことに起因することをツアーリング・プランズのデータは示している。
プライベートエクイティ投資家KKR & Co.
事情に詳しい関係者によると、同社は経営主導の買収で英国の経営難に陥っているテムズウォーターの経営権を取得するために約40億ポンド(50億ドル)を提示している。
ロンドンとテムズ川流域の約1600万人の顧客に水道サービスを提供している英国最大の水道事業者テムズは、膨れ上がる負債を抱え、3月24日までに現金が底をつくと警告している。1989年にサッチャー政権によって民営化されたテムズは、昨年夏に追加資本の調達を開始し、先週「複数の企業」から買収提案を受けたと発表した。テムズは、各提案を検討中だと述べた。
テムズ・ウォーターは、広範囲にわたる経営立て直しの一環として、負債と資本構造を再構築する必要があり、単一の積極的な所有者が利益をもたらすだろうと、事情に詳しい情報筋がCNBCに語った。テムズは昨年9月時点で約160億ポンドの負債を抱えていた。
情報筋によると、KKRの関与は40億ポンドの経営陣による買収提案から成り、資産売却や公益事業の分割にはつながらないという。
テムズ・ウォーターとKKRはコメントを控えた。
ブルームバーグは水曜日、KKRがテムズ・ウォーターの過半数株取得のために40億ポンド近くを注入することを提案していると報じた。
KKRは英国における長年の投資家であり、1996年以来200億ポンド以上を同国に注ぎ込んでいる。このプライベートエクイティ会社は、長期投資期間を持つ投資を求めて、2008年にインフラ投資のプラットフォームを立ち上げた。
英国の高等裁判所は火曜日、テムズ・ウォーター社に対し既存株主からの30億ポンドの緊急資金提供を承認し、同社に債務再編と新規投資家の確保のための余裕を与えた。
テムズ ウォーターは、ケンブル ウォーター グループとして知られる企業グループに属しており、主に年金基金や政府系ファンドなどの機関投資家のコンソーシアムが所有しています。最大の株主は、カナダ最大の年金基金の 1 つであるオンタリオ州地方職員退職年金制度です。
危機に陥っているこの公益事業会社は、英国の首都を流れる全長215マイルのテムズ川を含む英国の水路への下水排出量の急増で批判に直面している。
●日本企業
●先進国政治動向
争いは時に全員に悪い結果を招く。ミュンヘンで起きたことを考えてみよう。先週末のミュンヘン安全保障会議とその前後に開かれた一連の米欧間の会議だ。
米国のトランプ政権はこの場で、長年の同盟国に対する敬意などほとんどなく、ミュンヘン安保会議を率いる気などさらさらないことを明確にした。18日にサウジアラビアで行われたロシアとの協議でもそうだった。一方、欧州は米中ロの3極が支配する世界の中で、戦略的な重要性を失い始めていることを浮き彫りにした。
欧州歴訪で、トランプ政権高官の出来はあまり良くはなかった。ヘグセス国防長官はブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部を訪問した際、ウクライナの和平に対する米国のアプローチを明示した。ウクライナはロシアが占領する領土の喪失を受け入れ、NATO加盟を断念し、ロシアの再侵攻を防ぐためのNATO支援の平和維持軍や米軍の駐留に期待するべきではない、と発表したのだ。
ヘグセス氏の発言内容自体は衝撃ではないが、ロシアとの交渉を始める前から重要な4つの争点全てで公に譲歩を示したことには驚かされた。この翌日にヘグセス氏は発言を撤回したが、重要な外交政策へのアプローチを場当たり的に策定している政権という印象を残しただけだった。
そして、ミュンヘンでのバンス副大統領の演説が続いた。真剣な欧州人は、防衛費や中国との関係について厳しい意見が出され、ウクライナでの交渉の進め方について率直な議論があるだろうと覚悟していた。そのようなものはなく、代わりに聞かされたのは欧州の民主主義が衰退の危機にあるという説教だった。バンス氏はその後、反NATO、反米の極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の指導者と会談した。
一方、トランプ大統領はロシアのプーチン大統領とウクライナを巡る交渉をまずは電話でスタートさせた。だが、トランプ氏側近は交渉におけるウクライナの役割は限定的でしかなく、欧州連合(EU)に至っては、恐らくは何の役割も認められないと明確にした。ウクライナ支援の負担を欧州が担うよう要求しているにもかかわらずだ。
さらにトランプ氏は、マフィアすら赤面するような法外な条件で、ウクライナに鉱物資源を明け渡すよう迫った。
これらはすべて、トランプ氏が欧州を完全に蔑視していることの表れだ。ところが、欧州が戦略的に軽視されても仕方ない存在に堕してしまったこともまた事実だ。
誤解のないように言えば、自国の防衛の一部をアウトソーシングする「ただ乗り」は、米国を軸とする同盟の特徴だ。ドイツや日本など欧州やアジアの諸国が寸分の隙もなく武装し、生き残りのため核武装までするような世界を、米国は数世代にわたり避けたいと考えてきた。
しかし、ただ乗りは行き過ぎた。冷戦後に多くの国が軍事能力を過度に削減し、米国の支援や誘導がなければ行動を起こせなくなった。こうした状況は継続不可能になりつつあるとの警告が次々に表れたが、欧州は見逃してきた。
冷戦後の欧州の防衛費削減は、ロシアによる2008年のジョージア侵攻後も続いた。14年のクリミア併合で防衛支出は上向いたが、小幅でしかなかった。トランプ氏の1期目の当選後、当時のメルケル独首相ら各国の首脳は、欧州は自らの運命に責任を持つべきだと大演説をぶったが、結局のところ大半の国は防衛費を国内総生産(GDP)比2%という小さな目標に向けてのんびり増やし続けただけだった。
そして22年、プーチン氏がウクライナへの全面侵攻に踏み切り、その衝撃でようやく欧州の大半が防衛費2%の目標を達成した。だが、多くの国はウクライナに対して倉庫にある既存の兵器を供給することを選び、速やかに兵器生産を増やそうとはしなかった。
急速に大規模な軍事力の整備にかじを切ったポーランドのような国もあるが、あらゆる口実を見つけては対応を先延ばしにするドイツもいる。こうして欧州は、悲劇的でありながら完全に予測できた状況に陥っている。米国が支援を渋るようになったことで、ウクライナを支援できないという状況だ。
しかし、これは欧州の苦境の始まりでしかない。欧州の経済規模はロシアよりも数倍大きいにもかかわらず、ロシアの防衛支出はいまや、購買力平価を考慮すると欧州の合計を上回る。プーチン氏は攻撃的な手段もいとわず、ロシアの周辺国を不安定化させようしている。欧州当局者の間では、ウクライナでの戦争が終われば、プーチン氏が欧州東端のどこかに軍事行動を仕掛けるとの懸念が広がる。
欧州は、もはや信頼できない超大国の保護を失った暮らしを想像できないという地点まで落ちてしまった。これに対処できるだけの活力があるのか、定かではない。
ミュンヘン安保会議の後、マクロン仏大統領は欧州首脳を集めて緊急会合を開いたが、その会議は、いつものように対立が絶えず、結論の出ないものに終わった。さらに広く言えば、政治不安と経済的な停滞が常につきまとい、より強固な戦略的アイデンティティーの興隆を妨げようとしている。
短期的には、18日にサウジアラビアでそうだったようにウクライナの将来に関する交渉だけでなく、欧州での米軍駐留や米ロ関係におけるその他の問題においても、傍観者の立場に追いやられる可能性がある。さらにその先には、より大きな危険が待ち受けている。
欧州が団結しないなら、より活力があり、攻撃を受けやすい欧州の東部諸国がまとまって動きの鈍い西欧諸国を置き去りにし、欧州は分裂する恐れもある。あるいは、衰退する欧州は、消極的で時に敵対的な米国と、侵略的な独裁国家との間に挟まれるだけかもしれない。かつて世界を支配した大陸にとっては驚がくすべき結果だろうが、トランプ氏の時代においては、もはや考えられないことではない。
●先進国中銀、金融当局
日銀の高田創審議委員は19日、堅調な設備投資や賃上げ、価格転嫁の継続といった前向きな企業行動の持続性が引き続き確認され、見通しが実現していけば「一段のギアシフトを進める局面だ」と述べ、利上げを継続していく姿勢を示した。今年の春季労使交渉(春闘)での高めのベアの実現や米国経済の堅調さに言及し、物価の上振れリスクに留意する必要があると述べた。
宮城県金融経済懇談会であいさつした。高田委員は、金融緩和度合いの調整に当たっては価格転嫁や賃上げが中小・地方企業に広がるかといった視点も重要だと述べた。米国経済を巡る不確実性が残り、中立金利の把握が困難なもとでは「政策金利引き上げの経済・物価・金融情勢への影響を検証しながら対応するといった慎重さが求められる」とも話した。
一方で、賃金と物価の好循環が強まる中、特に新年度に向けて国内要因によるインフレ圧力もあるもとで、米国経済が再び回復に向かう確度の高まりによって「為替を中心とする市場変動を背景に、物価が上振れる可能性もある」と指摘。不動産も含む資産価格の上昇で投資家の期待も高まっているとし、段階的な利上げで、過度な緩和継続期待が醸成され、物価上振れリスクや金融の過熱リスクが顕在化しないようにすべきだと述べた。
高田委員は米国経済の堅調さを強調した。1月にかけて米国経済の堅調さが改めて確認され、「日米の金融政策スタンスの違いも縮小した」と指摘。「市場の大きな変動リスクが後退した、すなわち、日本銀行の政策の自由度が増した」と述べた。米国経済は「ソフトランディングよりむしろ早期の再加速の可能性が高まっている」とし、「米国中心に海外経済が上振れた場合には、(国内経済の)回復のモメンタムが強まる可能性もある」と話した。
中立金利については「推定は困難だ」と述べ、「中央銀行が一定の中立金利の水準を示すことは、市場でフォワード・ガイダンスのように捉えられる可能性もあり、政策の柔軟性の観点からも課題がある」と指摘した。
<物価上振れに警戒感>
春闘について、高田委員は「ベアも昨年に続くしっかりとした水準を期待している」と述べた。今年のベアを受けて、先行きも賃金と物価の好循環が強まり「長年、安定的な達成を果たせなかった物価安定目標の実現に近づいていく」との見通しを示した。
高田委員は、高めの物価上昇率が3年続く中で、賃金や物価は上がらないものと考える規範(ノルム)の転換が進んでいることもあり「従前より価格転嫁が進みやすい状況」だとし、米国経済の上振れに伴う「米国金利上昇・為替円安進展といった市場変動を背景に、今年の大幅なベアの実現も加わって物価が上振れるリスクに留意する必要がある」と述べた。特に、米国で新政権が発足してまだ日が浅い中で「政策への期待で市場が大きく変動する可能性も注視しておきたい」と語った。
米連邦準備理事会(FRB)が19日公表した1月28─29日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、参加者全員が目標金利の据え置きが適切だと認識していたことが分かった。
また、一部の参加者は、トランプ新政権による貿易や移民政策の変更がインフレ抑制のプロセスを妨げる可能性があると指摘した。
FOMC参加者は「概ねインフレの見通しに対して上振れリスクを指摘した」とし、「特に貿易や移民政策の変更や、国際情勢の変化に伴う供給網混乱の可能性、予想を上回る家計支出による影響を挙げた」という。
物価上昇は引き続き緩やかになるとの見方を維持する一方で、「インフレ鈍化のプロセスを妨げる可能性のある要因も挙げられた」とし、要因として「(FRBの)複数の管轄地区の関係者が、企業は関税によって原材料費が上昇すれば消費者に転嫁しようとすると示唆した」と言及した。インフレ期待に関わる一部の指標が「最近上昇した」とも指摘した。
FRB当局者は2024年12月のFOMCで、第2次トランプ政権が発足したという「仮の想定」に基づき、成長鈍化と物価上昇が見込まれるとしていた。トランプ氏は就任後、カナダとメキシコに対する25%の関税提案や、メキシコとの国境の不法移民取り締まり強化などの詳細を明らかにしている。
25年1月のFOMCで政策立案者は、24年半ば以降ほぼ停滞しているインフレ率が、中銀目標の2%まで確実に低下することが明らかになるまでは金利を据え置くべきだと合意した。
目標に向けた低下が確実になるまで利下げを急ぐつもりはないとしており、トランプ氏の政策の影響を理解することが議論の中心的な部分となっている。
議事要旨によると、複数の政策立案者が、連邦債務の上限に関する状況を踏まえて、FRBのバランスシート縮小を減速または一時停止することの検討が適切である可能性があると指摘した。 もっと見る
連邦政府の資金は3月14日以降には底をつく可能性があり、夏までに債務上限引き上げの措置を講じなければ、デフォルト(債務不履行)のリスクが生じる。
FRB当局者は1月の会合で、FRBの政策枠組みの見直しに着手した。見直しには、政策金利がゼロに近い水準にある場合の経済へのリスクに焦点を当てた声明文の修正の可能性も含まれる。FRBはインフレ目標2%、最大限の雇用達成へのコミットメントを変更しないことも明確にした。見直しは夏の終わり頃までに完了する見込みとなっている。
議事要旨の発表を受けて、金利先物市場ではFRBによる25年の最初の利下げは7月で、25年の利下げはその1回だけになるとみられている。
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
西側諸国のハイテク企業にとってABC戦略、つまり「中国以外ならどこでも(Anything but China)」が最近の合言葉になっている。
多国籍企業はここ数年、中国のサプライヤーに依存しすぎていた反省から、いわゆる「チャイナ・プラス・ワン」戦略を追求してきた。中国のサプライヤーに加え、他の国々のサプライヤーも活用することだ。
だが第2次トランプ政権下で米中の緊張が再び高まる中、ハイテク企業の多くが中国から生産を引き揚げ、他国に移転させる動きを加速させている。世界のハイテク業界が二大国の間で分断されつつあることの表れだ。
「誰もが中国に代わる移転先を見つけようとしている」。マレーシア半導体産業協会(MSIA)のウォン・シューハイ会長はこう述べた。マレーシアは中国を去るハイテク企業の移転先の一つとなっている。「企業は自分たちのビジネスを再設計している。ジャストインタイム戦略はもう通用せず、新戦略を『ジャストインケース(万が一に備えて)』と呼ぶ人もいる」
この傾向は、アジアや中南米諸国がバリューチェーン(価値連鎖)を駆け上がるチャンスを生み出しているほか、中国のサプライヤーが、西側顧客の要請で国境の外側に工場を建設するなど、これまで以上に猛スピードで国外事業を展開するのを後押ししている。
企業が組み立て工程のみを中国国外に移転させていた第1波とは異なり、現局面ではセンサーやプリント基板、電力変換装置といった部品を製造する工場も移転させている、とS&Pの最新リポートは述べている。こうした動きは機械や部品に対する多額の先行投資を伴うため、中国からのサプライチェーン(供給網)移転は、以前よりはるかに恒久的なものとなっているとS&Pのアナリストらは指摘する。
中国の厳格な新型コロナウイルス対策は、アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」や自動車などさまざまな製品の生産を混乱させ、西側企業が大量に引き揚げるきっかけとなった。その多くがベトナムやインドなどに移転した。
それ以降、将来の最重要技術を巡る米中の主導権争いがこうした移転を加速させている。ハイテク企業幹部は今や、ドナルド・トランプ氏の大統領復帰で中国以外に生産拠点を多様化させる圧力が高まると予想。トランプ氏は最近、中国からの全輸入品に10%の追加関税を発動し、さらなる引き上げの可能性も警告している。
「中国以外ならどこでも」とする傾向は、米中ハイテク摩擦の中心である半導体関連製品において特に顕著だ。過去2年間に、米政府は中国が最先端半導体と製造装置にアクセスするのを禁止し、中国はそれに代わる国産半導体の開発を強力に進めてきた。
中国は以前、世界有数のサーバー生産拠点だった。だが米国が2022年10月に中国への人工知能(AI)向け半導体輸出を制限して以来、AIサーバーはメキシコやマレーシアなどで組み立てられるようになった。
半導体の米国内製造を支援する「CHIPS法」の下で助成金を受け取る企業は、10年間にわたり中国での半導体生産拡大を禁止されている。
半導体製造装置メーカーとそのサプライヤーも中国への依存度を低下させている。アプライド・マテリアルズとラムリサーチは米政府の圧力を受け、直接的なサプライチェーンから中国企業を排除していると、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は昨年11月に報じた。
半導体製造に用いられる電力系統などの部品を製造するアドバンスト・エナジー・インダストリーズは先月、中国で3番目に展開していた最後の工場を7月までに閉鎖すると発表した。同社は過去2年間に中国からフィリピンとメキシコへの生産移転を進めたと、ステーブン・ケリー最高経営責任者(CEO)は述べた。
「大きな理由は、顧客が中国での製造を望まないことだ」とケリー氏は言う。同社の広報担当者は、この動きは稼働率の低い工場を閉鎖し、利益率を上げる計画の一環だとした。
こうした企業の流出はスマートフォンやノートパソコンといった消費者向け製品全般で起きている。
在中国米国商工会議所の年次調査によると、回答した360社余りのうち代替地への生産移転を検討中か、すでに開始したと答えた企業は30%を占めた。ハイテク企業と研究開発型企業の約25%がすでにサプライチェーンを中国から移転し始めたと答えた。
一方で、東南アジアは活況を呈している。西側ハイテク企業が最先端半導体やAIサーバー、消費者向け機器の生産と組み立てを、人件費やエネルギーコストが中国と似ている同地域に移転させているためだ。東南アジア諸国連合(ASEAN)のデータによると、同地域への外国直接投資(FDI)は2018年の1550億ドル(約23兆5000億円)から23年は2300億ドルに増大した。
半導体メーカーのインテルやインフィニオン・テクノロジーズ、マイクロン・テクノロジーは、何十億ドルもの資金をマレーシアとシンガポールの生産施設に投じている。ノートパソコンを製造するHPは過去3年間にパソコンを組み立てるタイの生産拠点を増やした。マレーシアのペナン州の工場は現在、最先端AIサーバーを生産している。
その結果、マレーシアの半導体やコンピューターなど電子製品の輸出は2024年に過去最高の1370億ドルに達し、米国向け輸出が急拡大した。
2023年時点では、中国は世界のノートパソコンのほぼ全てを生産していた。調査会社トレンドフォースの推計では、世界生産台数に占める中国のシェアは今年80%に低下し、ベトナムとタイの生産台数が増える見通しだ。
タイのノートパソコン出荷台数は過去4年間で約8倍に増加した。
中国からのサプライチェーン移転で東南アジア最大の受益者であろうベトナムも、半導体産業から投資を呼び込みたい考えだ。
首都ハノイで最近開催された半導体フォーラムには、世界の半導体大手の幹部ら数百人の参加者が詰めかけ、ベトナム政府高官が自国を価値あるパートナーとして売り込む講演に耳を傾けた。同国政府は税優遇措置を打ち出し、半導体産業を支援するエンジニア5万人を育成する目標を掲げている。
AI半導体大手エヌビディアは昨年12月、ベトナムに研究開発センターを開設すると発表した。
一方で多くの中国企業も外国に進出し、西側諸国の顧客の要請に応じて自国以外で子会社や工場を立ち上げている。
2023年、データセンター向け光トランシーバーを製造する成都新易盛通信技術(エオプトリンク・テクノロジー)は、米中関係悪化による影響を避けながら外国の顧客向けの供給を増やすため、タイの工場を拡張した。事情に詳しい複数の関係者によると、メタ・プラットフォームズやアマゾン・ドット・コムなどのハイテク大手を顧客に持つ同社は、以前から外国での生産能力を拡大してほしいとの要望が顧客からあったという。
ただ、中国の充実したインフラやサプライヤー、労働力のエコシステムに匹敵する国が少ないのも確かだ。
マレーシア・ペナン州を拠点とし、半導体製造装置の受託生産を手がけるケミコン(Kemikon)のマーセル・ウィズマーCEOは、中国からの移転でサプライヤーのコストが15%上昇すると試算した。
「中国の製造業に勝つのは難しい」とウィズマー氏は言う。「コスト、数量、リードタイムで太刀打ちできない」
長期的には、新しい生産ラインの構築はさらに高額かつ高リスクになるだろうとIDCのアナリスト、マリオ・モラレス氏はみている。
「(ハイテク関連の)サプライチェーンの価値はすでに1兆ドルを超えている」と同氏は言う。「その高度化と複雑化は今後も進み、企業が移転するハードルは高くなるばかりだ」
米国の住宅ローン市場の二本柱であるファニーメイとフレディマックは現在連邦政府によって管理されている。ワシントンDCの一部ではトランプ大統領が両社の管理体制の終了を推し進めると予想されている。
「われわれの住宅ローン金融システムは景気上昇時には非常にうまく機能しているが、景気後退への備えはできているだろうか」と、2019年から2021年まで連邦住宅金融庁長官を務めたマーク・カラブリア氏は言う。「経済全体の状況については楽観的だが、納税者を危険にさらしているのではないか」
ファニーメイとフレディマックは、住宅ローン市場を支援し、投資家のリスクを軽減する金融商品を開発しています。これらの商品は米国の住宅ローン金利に影響を与える可能性があります。
2008年9月、世界金融危機が深刻化する中、両社は政府の管理下に置かれました。その結果、多くの借り手が住宅ローンの返済を怠り、住宅を失う危険にさらされました。シカゴ連邦準備銀行の推計によると、 2007年から2010年の間に、約380万戸の住宅が差し押さえにより失われました。
当時、財務省はファニーメイとフレディマックの経営維持のため、それぞれ1000億ドルの信用枠を設けた。また、納税者の​​救済資金を取り戻すため、両行の利益の一括徴収も開始した。
「私にとっては、それは良い決断だった」とムーディーズのエコノミスト、マーク・ザンディ氏は語った。
その後数年間で、ファニーとフレディは財務省に3,010億ドルを支払った。このプロセスが進むにつれ、ファニーとフレディの株価はほぼゼロにまで下落した。
2019年、政府はファニーメイとフレディマックの利益の独占を終わらせ、この2つの住宅ローン大手が民間市場に復帰するための基盤を築いた。
「我々にとって最大の制約は資本不足だった。ファニーメイとフレディマックのレバレッジは約1,000対1で、つまり資本がほとんどなかったのだ」とカラブリア氏は語った。
両社は現在、政府支援企業(GSE)として知られています。ファニーメイは1938年に政府機関として認可され、1968年に民間企業となりました。フレディマックは1970年に議会の法令により民間企業として設立されました。
マーク・ザンディ氏は、住宅ローン大手に対する政府の明示的または暗黙的な支援がなければ、住宅ローン金利は60~90ベーシスポイント上昇する可能性があると見積もっている。カラブリア氏のような民営化推進派は、金利は上がらず、むしろ下がる可能性があると述べている。
ファニーとフレディの管理終了が米国の住宅購入にどのような影響を与えるかについては、上のビデオをご覧ください。
カタストロフィー(CAT)債が、従来よりも幅広い投資家の保有対象となりそうだ。同債券のリターンは近年、ハイイールド債を一貫して上回っている。
発行済みのCAT債250銘柄のうち最大75銘柄を組み入れるポートフォリオを持つ上場投資信託(ETF)の取引が来月、ニューヨーク証券取引所で始まる予定だ。世界初の取り組みとなる。
このETFを手がけるキング・リッジ・キャピタル・アドバイザーズの共同創設者兼最高経営責任者(CEO)、リック・パニャーニ氏は「非常に複雑な資産クラスで、それを解明するのがわれわれの目標だ」とインタビューで語った。テキサス州を拠点とするブルックモント・キャピタル・マネジメントがファンドの監督に当たる。
パニャーニ氏は、昨年までパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)で保険リンク証券を担当していた。
「多様なCAT債によるポートフォリオを、一般の投資家が自力で構築するのは難しい」と同氏は指摘。CAT債をETFでパッケージにすることで、「参入障壁を幾分下げることを目指している」と説明している。
CAT債は、他のリスクが高い債券市場を大きく上回るリターンを残しており、投資対象として近年注目を浴びている。スイス再保険グローバルCAT債指数は2023年にプラス20%と記録的なリターンを達成し、昨年も17%上昇した。
これに対し、ブルームバーグの米ハイイールド債指数は23年は13%、昨年は8%の上昇だった。
保険会社や再保険会社、一部の政府機関は、自然災害関連リスクを資本市場に移転するため、CAT債を発行する。同債券を保有する投資家は、あらかじめ定められた大災害が発生しなければ高い利益を得られる一方、災害が発生した場合は多額の損失を被るリスクもある。
気候変動に伴う異常気象増大や自然災害が発生しやすい地域の都市化を背景に、CAT債への需要は急速に高まっている。
ブルックモントの最高投資責任者(CIO)、イーサン・パウエル氏は、「ハードアセット保有に伴うリスクが高まる中、多くの保険会社が危険度の高い地域から撤退している」と指摘。将来の損害への追加バッファーとなるCAT債に「より多くの資金が流入することが求められる」と語る。
CAT債市場は、米国勢の発行が市場の大半を占め、足元の規模は約500億ドル(約7兆6000億円)とされている。この業界を専門とするアルテミスは、ディールの量が近年「非常に多い」と指摘する。
CAT債の構造は非常に複雑であるため、専門家ではない投資家への適合性について疑問の声も上がっている。欧州では、欧州連合(EU)の統一規格に対応した投資信託商品である「UCITSファンド」を通じてCAT債へのエクスポージャーを得られるが、CAT債は顧客がリスクを理解しにくい構造を持つ証券に挙げられている。
パニャーニ氏はCAT債への投資について、「リスクが伴わないわけではない」と指摘した上で、投資対象が分散されたETFならば、「リターンを増大させつつ、ボラティリティーを抑えられる」と説明している。
日本銀行による利上げは、日本の投資家にとっては為替ヘッジコストの引き下げにつながり、それが米投資適格級社債に対する需要を喚起する。バンク・オブ・アメリカ(BofA)がこうした予想を示した。
物価上昇の加速が見込まれる中、日銀は1月に、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を2008年以来の水準に引き上げた。市場では追加利上げ観測と、日本国債の利回り曲線フラット化見通しが強まっている。
ユーリ・セリガー氏らBofAのストラテジストは18日のリポートで、こうした状況を背景に為替ヘッジコストが低下すると指摘。その結果、米国の高格付け社債の相対価値が改善し、日本の投資家による需要が高まると予想した。
同氏らは「ヘッジコストは主として、日米の政策金利の差だ」とし、「従って日銀が追加利上げを行えば、ヘッジコストは一段と下がるだろう」と記した。
日本の投資家が負担するヘッジコストは昨年10月以降、低下傾向にある。米金融当局は9月に利下げを開始した。
●中東情勢
●エマージング
1月の中国新築住宅価格は、2カ月連続で前月比横ばいだった。政府の支援策にもかかわらず、不動産セクターが依然低迷していることが示された。
中国国家統計局が19日発表した統計に基づくロイターの計算で、1月の新築住宅価格は前月比横ばい、前年比5.0%下落。前年比の下落率は昨年12月(5.3%下落)からやや縮小した。
野村はリサーチノートで「2025年の価格下落の長期化は、中国の不動産メルトダウンがまだ終わっておらず、財政システムの見直しが必要というわれわれの長年の見解をさらに裏付けている」と述べた。
ムーディーズ・レーティングスは今週発表した調査ノートで、主要指標は不動産市場の持続的な回復が依然不確実であることを示唆すると指摘。「もし好ましい収益見通しが出て不動産価格が安定または上昇し、在庫水準が低下し規律ある供給管理を示唆されれば、不動産販売のより持続可能な回復が期待できる」と述べた。
中国不動産業協会によると、小規模な都市を中心に10以上の都市が、新築住宅の価格規制を緩和または撤廃すると発表した。
売れ残り住宅を買い取り、安価な住宅に転換することで在庫を減らそうとする地方政府の取り組みは、中古市場における豊富な供給によって相殺されている。
国家統計局によると、2024年の売れ残り新築住宅(総床面積)は3億9088万平方メートルで、前年比16.2%増加。新築着工(同)は23.0%減少した。
中原地産(センタライン)の不動産アナリスト、張大偉氏によると、中古住宅市場の価格はピーク時から30%下落している。1月のデータでは、前年同月比下落率が1級都市で5.6%、2級都市で6.0%、3級都市で8.2%だった。
米国とロシアは、ウクライナ戦争の終結に向けた協議を開始することで合意した。トランプ米大統領は先月、100日以内に戦争を終結させると約束している。
第2次世界大戦以降、欧州で最大規模となったこの戦争を止める取り組みは困難を極めるだろう。トランプ政権は迅速な停戦を求めるだろうが、ロシアは大幅な譲歩を迫ると予想される。当初の協議から外されたウクライナは参加を要求しており、自国不在のまま交渉された和平合意に従う義務はないと表明している。
誰が協議に参加するのか?
当初の協議は米国とロシアの間で行われ、両国ともいずれかの時点でウクライナも参加する見込みだとしている。ロシアは欧州、さらには中東の地域安全保障に関する幅広い議論を求めているため、今後の協議には欧州の代表者を含み、さらにその他の地域からも参加する可能性がある。
ロシアは18日、対米関係とウクライナ問題に精通した強硬な交渉担当者らをサウジアラビアのリヤドに派遣した。セルゲイ・ラブロフ外相はロシア政府で最も経験豊富な外交官で、これまでも非常に厳しい交渉を担ってきた。ベテランのユーリ・ウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は元駐米大使で、ウラジーミル・プーチン大統領と直接連絡を取っている。また、米国で教育を受けた銀行家で政府系ファンド「ロシア直接投資基金(RDIF)」のキリル・ドミトリエフ総裁も参加した。
米国側はマルコ・ルビオ国務長官、マイク・ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)、トランプ大統領の親しい友人で不動産で財を成し、トランプ政権の中東、そして現在はロシアの特使も務めるスティーブ・ウィトコフ氏が出席した。この米国代表団に外交経験者はいないものの、ルビオ、ウォルツ両氏は議会で外交政策を扱ってきた。
米国とロシアは何に合意したのか?
トランプ政権当局者によると、両国はウクライナ紛争終結を目指して協力する高官級チームをそれぞれ発足させることで合意した。
しかし、トランプ大統領が近く開催を望んでいたとされるプーチン大統領との首脳会談の発表には至らなかった。米国が発表した取り組みは、停戦に向けたより広範なプロセスについて新たな疑問を投げかけた。
ウォルツ氏とルビオ氏は、新たに結成される米国のチームがロシア側のチームと直接会談し、重要な問題についてウクライナや欧州の同盟国と話し合うプロセスを説明した。
またウシャコフ氏によると、トランプ政権はロシア側と協議する特使を任命する予定だ。
ロシアは何を望んでいるか?
ロシアは国境線の引き直しと、ウクライナの4州の併合を西側に認めさせることを望むと表明している。4州の大部分は依然としてウクライナ軍の支配下にある。
ただ、現在の前線や4州の行政的な境界に沿って停戦が合意されたとしても、ロシアは依然としてウクライナに親ロ政権の樹立を目指していると指摘する声もある。
ロシアはウクライナに永世中立国となることを要求しており、安全保障の一環としてウクライナ領内に西側軍が駐留することは容認できないとしている。
より広い観点では、ロシアは欧米による制裁解除のほか、北大西洋条約機構(NATO)が旧ソ連・ワルシャワ条約加盟国に拡大して、西側がロシア国境に接近する状況が終わることを望んでいる。
米国は何を望んでいるか?
トランプ政権は、ウクライナが自衛能力を持つ主権国家となることを保証し、欧州に自由に加わることのできる和平合意を望むと表明している。
そのような和平合意は、欧州やその他の地域におけるいわゆる「ロシア勢力圏」を認めない一方で、ロシアを中国、北朝鮮、イランとの同盟関係から引き離すのに十分な譲歩を含むことになる。過去の政権と同様に、トランプ政権はロシアとの関係を抑制し、他の脅威に対処できるようにしたいと考えている。
ウクライナは何を望んでいるか?
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は18日、おなじみの言葉を繰り返した。3年間の戦争で数万人の市民を失い、数十の都市が破壊されたウクライナ人ほど平和を望んでいる者はいないと。
世論調査は、ウクライナが長く求めてきた全ての占領地域の奪還が実現できないとしても、ウクライナ国民がロシアとの和平を検討する姿勢を強めていることを示している。
ゼレンスキー大統領も、ウクライナ軍がロシア軍をウクライナから追い出せる軍事的立場にないことを認めている。大統領はウクライナ軍が支配するごく狭い範囲のロシア領をウクライナ領と交換する可能性があると述べているが、ウクライナの領土をロシアが併合することは認めないとしている。
ゼレンスキー大統領は、米国と欧州諸国からの安全保障なしには持続可能な和平合意は不可能だと語った。防衛同盟であるNATOへの加盟を望んでいるものの、米国と一部の欧州加盟国が反対していることは認識していると述べている。
潜在的な障害は何か?
領土問題以外にも、ロシアはウクライナに対して実質的に軍事力を奪うようなさまざまな要求を押し付けることが見込まれる。2022年にトルコ・イスタンブールで行われた前回の交渉では、ウクライナ軍の兵力数や、兵器の量と威力に制限を設けることが要求に含まれていた。こうした条件は、将来ロシアが再び侵攻した場合にウクライナが戦う能力を弱めることを意図していた。
ロシアが推し進めるとみられる別の議題は緩衝地帯だ。ロシアの要求について説明を受けた人物によると、同国はウクライナ側にのみ一方的な緩衝地帯を望んでいる。
ウクライナの同盟関係の先行きを議論する必要もある。トランプ大統領は、ウクライナのNATO加盟は「非現実的」で可能性は低いと述べている。
ウクライナにとっての問題は、同国の憲法がNATOへの将来的な加盟を定めていることだ。
ランド研究所の上級政治学者、サミュエル・チャラップ氏は「ウクライナのNATO加盟は現実的ではないという考えと、ロシアが望むウクライナの永久中立との間には大きな隔たりがある」と指摘した。
さらに厄介な問題は、米国とウクライナの間の情報共有だ。どちらの側も認めていないが、これはウクライナがロシアの最も機密性の高い標的を攻撃するのに役立ってきた。ロシアはこの関係の終結を望んでいると、ロシアの立場について説明を受けた人物は述べた。
戦場で何が起きているのか?
ロシアはウクライナの領土の約20%を占領している。ロシア軍はウクライナ東部で徐々に前進しているが、ここ数週間は大きな損失を被り、侵攻のペースが遅れている。
北朝鮮軍の支援を受け、ロシア軍は自国のクルスク州からウクライナ軍を追い出そうとしている。ウクライナが同州で支配する地域は、当初占領した土地の約半分にまで縮小している。
ロシア当局者は、昨秋に加速した軍の前進を、さらなる戦況の進展が不可避であることの証拠として提示しようとしている。しかしアナリストらは、侵攻のペースが減速していることは、兵士と装甲車両が大規模な損失を被り、軍が疲弊しつつあることを示している可能性があると指摘する。
 ウクライナは重要な砲弾と爆発物搭載ドローン(無人機)の生産を大幅に増加させているが、依然として西側の支援に大きく依存している。
ドナルド・トランプ米大統領はウクライナでの戦争を終わらせることを大統領選の公約に掲げていた。今月18日には、サウジアラビアでマルコ・ルビオ米国務長官とロシア外相との会談が行われ、トランプ氏主導の和平交渉のプロセスが始まった。国際政治は時に醜いものだが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の名誉回復が近づいているという事態は特に受け入れがたい。
トランプ氏は、先週のプーチン氏との電話会談の後、ロシアの独裁者が「和平」を望んでいることは間違いないと語った。それがどんな種類の和平なのかには触れなかった。しかし歴史に照らせば、プーチン氏が思い描く和平は、大半の米国民がその言葉で理解するものではないだろう。
プーチン氏は2022年、欧州でヒトラー以来最大の地上戦を開始した。彼の「特別軍事作戦」はロシア人とウクライナ人の死者・重傷者を何十万人も出してきた。彼のミサイルは集合住宅や鉄道の駅を標的にしてきた。彼の軍隊は発電所をまひさせることでウクライナ市民を凍えさせ、降伏に追い込もうとしている。
プーチン氏の軍隊は、ウクライナ生まれの子ども数百人を親元から拉致し、ロシアの新しい家に連れていった。また、国際的な戦争におけるあらゆるルールに違反して、ウクライナ兵を拷問し、処刑してきた。
ロシアはプーチン氏の独裁支配に対する敵を暗殺するため、暗殺部隊を国内外に派遣している。英ロンドンでのアレクサンドル・リトビネンコ氏の放射性物質ポロニウムによる殺害や、英ソールズベリーでの神経剤「ノビチョク」による元スパイ殺害未遂が、その活動の例だ。後者の事件では何の罪もない通行人が巻き添えで死亡した。英政府はこのノビチョク攻撃について、プーチン氏の指示と考えていることを明らかにしている。
忘れてはならないのが、勇敢な反体制派の政治家アレクセイ・ナワリヌイ氏の死だ。彼はロシア国外で毒を盛られ、帰国直後に逮捕され、獄中で殺された。多くのロシア人が、高い建物から飛び降り自殺をしたいという突発的で不可解な願望に駆られ、死亡している。
プーチン氏は、国際的な裁判所から戦争犯罪の容疑をかけられている。米国は22年、「ロシアの対ウクライナ戦争の立案者」の1人だとして、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相を制裁対象にした。ラブロフ氏は18日、テーブルを挟んでルビオ氏の向かいに座り、多数の証拠があるにもかかわらず、ロシアがウクライナの発電所を狙っていることを否定した。
われわれは、世界の大半を支配する無慈悲な男たちを無視できないことは理解している。しかし、彼らが何らかの譲歩を示す前に訪米という報酬を与えられることは通常ない(トランプ氏は先週、訪米の可能性を示唆した)。冷戦中にソ連の指導者が訪米した際には、少なくとも米国が外交から何かを得られるとの前提で準備が行われていた。プーチン氏と和平に関する取り決めを交わすなら、彼の破壊の遺産すべてを考慮しなければならない。
人工知能の新興企業DeepSeekは、AIの世界を揺るがし、世界的に注目を集めているが、その背後にあるチームは中国以外ではあまり知られていない。
ディープシークの創業者、梁文鋒氏は、西側メディアの一部から中国のサム・アルトマンと呼ばれている。しかし、シリコンバレーの同僚とは異なり、梁氏は目立った活動はしていない。  
中国の主要大学を卒業した若者たちで構成されるリャン氏のチームもあまり知られていない。中国国営メディアによると、チームは140人未満だが、最新のR1推論モデルに関する研究論文には約200人の貢献者が挙げられている。CNBCはチームの公式な規模を確認できていない。 
同社に詳しい情報筋によると、ディープシークは中核技術開発者を除き、主に上級管理チーム、運営スタッフ、人事部、財務会計担当者を母体であるハイフライヤーと共有している。
ここでは、この AI センセーションの背後にいる人々と、このスタートアップがどのようにして誕生したかについての概要を紹介します。
梁文峰
DeepSeek のチャットボットが世界のアプリランキングで トップに躍り出たため、Liang 氏はここ数週間、メディアの注目を最も多く集めている。
先月、彼は故郷の中国で英雄的な歓迎を受け、中国の李強首相が主催した円卓会議に出席したと報じられ、最近では今週初めに  習近平国家主席が議長を務めた非公開のシンポジウムに出席した。
ディープシークの創業者で40歳の同氏は、昨年7月と2023年に中国メディア36Krとの2度の珍しいインタビューを除いて、メディアにあまり顔を出さない人物だ。 
インタビューでは、人間の能力を模倣するタイプのAIである汎用人工知能(AGI)を実現し、中国を技術革新国に変革することを目指す理想主義的なリーダーの姿が描かれている。 
1985年生まれの梁さんは、中国南部の港湾都市であり貿易の中心地でもある湛江で育った。地元メディアの報道によると、梁さんは成績優秀で、特に数学に才能があったという。  
中学校で独学で微積分を学んだ後、2002年に浙江大学に入学し、2010年に情報通信工学の学士号と修士号を取得した。
梁氏は機械視覚研究を専門とし、2008年に市場動向やマクロデータを分析して投資判断を下す機械学習アルゴリズムの作成を開始したと、梁氏にインタビューした中国のテクノロジー専門メディア36Krは伝えている。
AIは当時、典型的なクオンツ戦略ではなかったが、リャン氏は、世界で最も成功したファンドの一つであるルネッサンス・テクノロジーズを設立したクオンツ投資の先駆者であるジム・シモンズ氏からインスピレーションを得たと、リャン氏はシモンズ氏の伝記の中国語版の序文で述べている。
ハイフライヤーファンドマネージャー
2015年、リャン氏と大学時代の友人ジン・シュー氏は、複雑な数学アルゴリズムを使用して市場動向を予測し、投資判断を行う定量的ヘッジファンド、ハイフライヤー・アセット・マネジメントを設立した。
徐氏は、エリート大学のトップ学生を選抜する浙江大学のチュー・コーチェン優等生学院 の卒業生だった。
そこで徐氏は、博士課程でロボットの自律航法と機械学習に重点を置き、梁氏の博士研究員時代の研究と似たテーマに取り組み、中国の月探査計画における視覚航法研究プロジェクトの主要メンバーとなった。 
プライベートエクイティデータベース「PaiPaiWang」のプロフィールページによると、徐氏は2010年代初頭に華為技術のソフトウェア開発に携わっていたが、現在はハイフライヤーの技術開発を指揮し、取引戦略を練っている。
ハイフライヤーの最高経営責任者である鄭哲(ルー・ジェンジェ)氏は、リャン氏や徐氏と同じ大学を卒業し、その後ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで修士号を取得した。 
ハイフライヤー入社前、ルー氏は国営の中国招商銀行に勤務し、マクロ調査や海外デリバティブ投資に従事していた。
2023年に中国国営メディアのインタビューで、ルー氏は「投資とは独立した新しいチームを立ち上げた。これは第二のスタートアップに相当する」と語った。このチームは後にディープシークとなる。「より価値の高いこと、投資業界を超えたことをやりたい」
パイパイワン氏によると、この2人は同社のポートフォリオの中で最もパフォーマンスの良いファンドを運用しており、2024年の平均リターンは20%を超える。これは昨年のCSI300指数の約15%の上昇、小型株CSI500指数の5%の上昇を上回る。 
リャン氏は2023年に36クローネに対し、クオンツファンドの利益の一部はディープシークの成長資金に充てられたと語った。
DeepSeekの頭脳 
2023年、High-FlyerはDeepSeekを独立した企業としてスピンオフさせ、投資の範囲を超えてAGIの追求に注力しました。   
チームは主に、清華大学や北京大学など中国のトップ大学を卒業した地元の工学、コンピューターサイエンス、AIの卒業生で構成されており、その多くが言語モデルや機械学習などのテーマで最近論文を発表している。
LinkedInのプロフィールによると、チームメンバーの多くはアメリカのトップ大学を卒業し、NvidiaやMicrosoftで経験を積んだ後、成長を続ける中国のAI業界に戻ることを決めたという。 
チームを際立たせる重要な属性は年齢です。DeepSeek は就業経験の少ない卒業生を優遇します。
その代わりに、「彼らは学位、国際プログラミングコンテストでの受賞、トップクラスの業界誌に掲載された研究論文を重視しています」とディープシークのヘッドハンターはCNBCに語った。
2023年のインタビューで、リャン氏は長期的には経験はそれほど重要ではなく、「基礎的な能力、創造性、情熱がより重要だ」と語った。 
2024年には、AI分野のトップ50の人材は中国にはいないかもしれないが、DeepSeekは独自の人材育成を目指していると彼は語った。
優秀な卒業生が同社に惹かれる理由としては、大手テクノロジー企業に比べ て給与が高く、ボトムアップ型の経営が進んでいると報じられていることが挙げられる。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
住宅の売買では、買い主も売り主も交渉次第で節約できる。オンライン融資のプラットフォームを手掛ける米レンディングツリーが2023年5月に実施した調査によると、買い主の63%が価格交渉に成功したほか、38%が契約にかかる諸経費を割り引いてもらい、36%が売り主に修繕費を負担させている。
不動産取引では交渉するのが普通で(それが長引くこともままあるが)特に高級住宅を購入する際には交渉がつきものだ。新たな物件が登場するこの時期、交渉の基本を確認しておくのも悪くないだろう。
米フロリダ州マイアミビーチにある不動産仲介会社コーコラン・グループで働くミック・デュション氏は昨年、同州サーフサイドの高級マンションに約250平方メートルの分譲物件を所有する売り主とこの物件に興味を持った買い主の間で、数週間にわたってやり取りされた交渉を仲介した。この物件は8月に1490万ドル(約22億7800万円)で売り出された。だが買い主は当初、1325万ドルという低めの価格を提示した。
「売り主は驚いていた。最近の類似物件の売却価格を大きく下回っていたからだ」とデュション氏は言う。「だが高級物件市場では年間の成約件数が多くないため、この買い主との交渉を検討すべきだと私は伝えた。そして相手には多少考慮の余地はあるが、合意には程遠いと伝えるのがよいと説明した」
売り主は1450万ドルに価格を引き下げ、買い主はこれに対抗して1400万ドルを提示した。売り主が値引きを拒否すると、買い主は提示額を1430万ドルに引き上げた。まだ20万ドルの開きがあった。売り主は最終的に1430万ドルで売ることに同意し、12月に取引は成立した。
「家の売買は非常に感情的になりがちだ」。ペンシルベニア大学ウォートン校の講師で「Bring Yourself: How to Harness the Power of Connection to Negotiate Fearlessly(恐れることなく交渉するために人間関係のパワーを生かす)」の著者でもあるモリ・タヘリプール氏はそう述べた。「事前に多くの情報があればあるほど、冷静さを保てるし、後悔するような決断を避けられる」
レンディングツリーの調査によると、買い主の24%と売り主の32%が、住宅の値引き交渉で自分が譲歩したことを後悔している。売り出し中の物件数や売り出してからの期間、住宅価格は上昇傾向にあるのか下落傾向にあるのか、売り主の動機(転職などの理由で売る必要があるのか)といった情報は全て、交渉において買い主が優位に立つための重要な要因となる。逆に、買い手候補がすでに自宅を売却し、早急に住む場所を探していることを売り主が知っていれば、その情報は売り主に有利となる。
住宅の売買で交渉する際には、自分で取引するにせよ、不動産仲介業者と協力するにせよ、以下の点を考慮すべきだ。
恐れずに希望を伝える、ただし言い方には気をつける
何を交渉しても構わない。契約に盛り込みたい具体的条件があれば、それを伝えるとよい。ただしきちんと敬意を払い、そつなく行うべきだ。オンライン不動産仲介プラットフォームを運営するコンパスのレナード・スタインバーグ氏は「合理的な話し方を心がけ、要求するのは避けたい」と話す。「最悪の事態は『ノー』という答えが返ってくることだ」。できれば質問の形で「販売価格に家具を含めることを検討していただけますか?」というように聞く。「家具が含まれない限り、その価格には同意しません」などと要求を突きつけてはいけない。
新築物件では交渉戦略を少し変える
新築住宅の場合、デベロッパーは購入価格の交渉に応じたがらない。記録された価格が同じ開発計画で建設中の他の住宅の価格に影響するからだ。そう話すのは、ニューヨークの不動産会社コールドウェル・バンカー・ウォーバーグのジェレミー・カム氏だ。「新築物件で交渉の余地があるものは通常、水面下の譲歩という形で行われる」とカム氏は言う。そのためデベロッパーが売値を変えないとしても、追加オプションやアップグレード(カーテンなど窓の装飾品や、キャビネット・床材の高級化など)を提案したり、契約にかかる諸経費やコンドミニアムや共用部分の前払い費用を負担したりする可能性がある。
強引すぎないこと
優れた交渉人は、各当事者の相対的な価格交渉力を考慮に入れる。交渉で有利な立場にある人(例えば、同じような住宅物件が市場にあふれている場合の買い手候補など)は不利な立場にある人に比べ、望みの条件を押し通す力を持っている。とはいえ強引すぎれば、その取引自体が破談になるリスクがある。
「特に不動産市場がひっ迫している場合、勝ち負けを前提に交渉に臨むと、相手があなたの提案を直ちに拒否することになりやすい」とタヘリプール氏は言う。「だがより協調的な姿勢で人間関係を構築すれば、双方が協力して問題に取り組める可能性が高い」
●市況(ChatGPTによる要約版)
ニューヨーク外為市場では、安全通貨の米ドルや円が上昇した。トランプ米大統領の関税政策やロシア・ウクライナ戦争の交渉を巡る不安が影響し、米ドルは円に対して下落したが、新興国通貨に対しては上昇。円は主要通貨に対しても上昇した。  
債券市場では、FOMC議事要旨の公開を受けて利回りが低下。政策当局者の間で量的引き締め(QT)の減速や一時停止が議論されたことが明らかになった。  
米国株式市場では、主要指数が小幅に続伸し、S&P500は最高値を更新。投資家はFOMC議事要旨を精査し、関税政策の影響を注視。  
金先物は地政学リスクや関税政策の不確実性から一時上昇したが、利益確定売りで反落。高関税によるインフレ懸念から長期金利が高止まりし、金の投資妙味が低下した。  
原油先物は、ロシアの供給混乱や米国の寒波による生産減少を背景に続伸。一方、関税政策による世界経済への影響懸念が原油需要を圧迫し、相場の上値を抑えた。
ロンドン株式市場は続落し、英物価上昇が予想を上回ったことで利下げ観測が後退。トランプ米大統領の関税発言への懸念も相場を圧迫。FTSE250種指数は0.83%下落。グレンコアやトレインライン、Jet2などが大幅安となった。  
欧州株式市場も反落し、STOXX欧州600種指数の下落率は1月以降で最大。ドイツDAXは1.80%、フランスCAC40は1.17%下落。米国の関税措置を巡る懸念が広がり、特に自動車・部品株が下落。フィリップスは業績予想未達で急落。  
ユーロ圏債券市場では、国債利回りが上昇。ドイツ10年債利回りは一時2.19%と約2週間ぶりの高水準。米ロのウクライナ協議を受け、欧州の国防費増加が国債発行増につながるとの見方が影響。イタリア10年債利回りは8.5bp上昇した。

備忘録(2025/2/18
●海外企業決算
●海外企業
フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップなどを所有する米メタは、世界をめぐる全長5万キロの海底通信ケーブルを敷設する計画を発表した。
「プロジェクト・ウォーターワース」はアメリカやインド、南アフリカ、ブラジルといった地域を結ぶもので、完成すれば世界最長の海底ケーブルプロジェクトになるという。
メタは、ソーシャルメディアを超え、人工知能(AI)やそれを支えるインフラなどの技術分野での存在感を強化しようとしている。
新しいケーブルプロジェクトでは、主要5大陸に「業界をリードする接続性」を提供し、AIプロジェクトを支援することを目指しているという。
メタはブログ投稿で、「このプロジェクトは、より大きな経済協力を可能にし、デジタル・インクルージョンを促進し、各地域での技術開発の機会を開く」と説明した。
また、48心(24ファイバーペア)のケーブルとしてはこれまでで最長のもので、より高い容量を持つという。
海底ケーブルは、さまざまなデジタルサービスを提供し、世界中でデータを高速で転送する手段としてますます重要になっている。
よく引用される統計によれば、インターネットの世界的なトラフィック(データ送受信の量や流れ)の95%以上が海底ケーブルを通じて転送されているという。
通信市場調査会社のテレジオグラフィーによると、現在、公に知られている海底ケーブルシステムは600件以上。
これには、メタやオレンジ、ボーダフォン、中国移動通信などのモバイルネットワーク事業者が支援する「2Africa」も含まれている。同ケーブルは3大陸を結び、全長は4万5000キロにわたっている。
テクノロジー企業の成長と進出
テクノロジー企業は、ウェブサービスの主要な提供者として、ケーブルインフラに莫大な投資を重ねてきた。
米グーグルは2024年、アフリカとオーストラリアを結ぶ初の海底ケーブルを建設すると発表。また、太平洋に新しい海底ケーブルを2本敷設し、日本との接続性を強化するために10億ドルを投資すると発表した。
英オックスフォード・インターネット研究所のヴィリ・レドンヴィルタ教授はBBCに対し、「過去10年間で、これらのケーブルは大規模なテクノロジー企業によって敷設されることが増えている」と述べた。
これは、以前はかなりの投資が必要だったため、海底ケーブルが大規模な国家通信企業グループによって敷設され、資金提供されていたこととは対照的だと、レドンヴィルタ教授は述べた。
レドンヴィルタ教授によると、大手テクノロジー企業が海底テーブルを独自に敷設できるようになったことは、各社の規模と地位の成長、インフラ設置のための資金調達力を示している。このことは「デジタル市場の集中に関心を持つ政策立案者にとって、重要なことかもしれない」と教授は指摘する。
通信および技術産業アナリストのパオロ・ペスカトーレ氏は、今回の計画はメタの野心を示すものだと述べた。
「メタは接続性の分野でシェアを拡大したいと、強い意欲を示している」とペスカトーレ氏は言い、「これはメタが、ハードウェア、ソフトウェア、プラットフォーム、そして接続性への意欲を、ひとつにきっちり統合することで、ライバルを一気に飛び越えしてユーザーにユニークな体験を提供しようとしている表れ」だと説明した。
海底ケーブルを脅威から守る
海底ケーブルの重要性が高まる中、その脆弱(ぜいじゃく)性に対する懸念も増している。
各海域でケーブルの切断が相次いだ後、専門家たちは、海底通信インフラが地政学的緊張と紛争の新たな舞台となっていると述べている。
北大西洋条約機構(NATO)は、昨年の重要な海底ケーブルの損傷を受けて、1月にバルト海での船舶監視を強化するためのミッションを開始した。
イギリスの議会委員会は最近、潜在的な混乱に直面した際のイギリスのレジリエンスに関する証拠を求める呼びかけを発表した。
この呼びかけでは、「特に緊張や紛争が高まる時期に、ロシアと中国が海底インフラを危険にさらす能力」に対する懸念の高まりを指摘している。
メタは「プロジェクト・ウォーターワース」について発表したブログで、ケーブルシステムを最大7000メートルの深さに敷設するとともに、「沿岸近くの浅瀬などの高リスク断層地域では、船の錨やその他の危険からの損傷を避けるために強化された埋設技術を使用する」と述べた。
レドンヴィルタ教授は、このプロジェクトがヨーロッパや中国を避けるとともに、スエズ運河や南シナ海の「地政学的ホットスポット」を避けることで、従来の確立されたルートから外れているように見えると述べた。
また、アメリカと南半球の主要な競争市場を結ぶことは、「外国においてアメリカの経済力とインフラ力を強化する」ことにつながるとも考えられると述べた。
18日の米株式市場で、半導体メーカーのインテルが急伸。一時11%高となった。台湾積体電路製造(TSMC)と米ブロードコムが関与する取引により、インテルが分割される可能性があるとの観測が広がっている。
ブルームバーグ・ニュースは先週、TSMCがインテルの工場の運営権取得を検討していると報道。また米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、ブロードコムがインテルの半導体設計およびマーケティング事業買収について、アドバイザーと非公式な協議を行っていると伝えた。
昨年以降、投資家やアナリストの間ではインテル分割を巡る観測が広がっていたが、今回の報道によりそうした見方が再び強まった。インテルは、同社の工場と製品開発部門を正式に分離するかどうかは未定だとしている。
インテル株は一時11%高の26.24ドルとなり、1日の上げとしては2023年10月27日以来の大きさとなった。年初来では、前週末までの時点で18%上昇している。
●日本企業
大手生命保険4社の2024年4-12月期決算(9カ月累計)で、住友生命保険を除く3社が計約4671億円に上る国内債券の売却損を計上したことが分かった。国内金利が上昇する中、運用ポートフォリオの改善を図る過程で損失が顕在化した。
各社の決算資料などによると、国内債の売却損は日本生命保険が約2200億円、第一生命保険が1925億円、明治安田生命保険は約546億円。前年同期は第一生命が57億円の売却益、明治安田が約8000万円の損失となっていた。日本生命は24年3月期全体で約1500億円の損失を計上していた。住友生命は非開示。
日本銀行が追加利上げに動く中、国内債券の利回りは上昇(価格は下落)。指標である10年国債利回りは18日、1.4%と約15年ぶりの高水準となった。価格下落などにより保有債券の含み損が拡大する中、低利回りの債券を売却して比較的高利回りの債券の積み増しを進めた結果、損失計上につながった。
ただ、国内債の含み損は、昨年12月末時点で日本生命が2兆5311億円、第一生命が1兆3764億円、住友生命が1兆842億円、明治安田が9389億円と規模が大きい。それぞれ6月末から9月末にかけて縮小したが、12月末では再び拡大に転じた。
一方、4-12月期の各社グループ全体の基礎利益は、日本生命が前年同期比43%増の6897億円と過去最高を記録。第一生命ホールディングスが同27%増の4338億円、住友生命は同62%増の2400億円だった。明治安田は同7.8%増の3774億円となり、通期見通しを増益に転換した。
基礎利益は保険関係の収益など保険事業のもうけを示すもので、資産運用収支のうち保有する有価証券の利息や配当金収入の増加が貢献した。含み益が膨らんだ国内外の株式売却益により、各社は債券の売却損をカバーした上で経常利益を確保した。
●先進国政治動向
トランプ米大統領は18日、自動車や半導体、医薬品に税率25%前後の輸入関税を賦課する公算が大きく、4月2日にも発表する可能性があると語った。
新たな関税が実際に導入されれば、トランプ氏の貿易戦争は拡大することになる。大統領は先に鉄鋼とアルミニウムの輸入に25%の関税率を賦課し、3月発効の予定を発表していた。しかし、18日の発言は新たな関税賦課の対象となる他のセクターを特定する上で、最も詳細な内容となった。
トランプ氏はフロリダ州にある邸宅「マールアラーゴ」で、自動車関税に関して記者団の質問に答え、「それについては恐らく4月2日に話すことになるだろうが、25%の近辺だろう」と話した。
医薬品と半導体チップの輸入関税率を巡っては「25%以上になり、1年かけて大幅に引き上げられるだろう」とコメントした。
その上で、新たな関税の発表に先立ち、企業に米国に「来る時間」を与えたいとも発言。「彼らが米国に来て、ここに工場を持てば関税はない。このため、彼らに多少のチャンスを与えたい」と述べた。
トランプ氏はかねて、世界中の国・地域との貿易不均衡是正の取り組みの一環として他の一連の関税賦課の可能性を警告してきた。他国・地域が米国を食い物にしていると非難する同氏は輸入関税について、産業を米国に回帰させるとともに、歳入増を図るための手段の一つと見なしている。
だが、エコノミストの多くは関税賦課が米消費者物価を押し上げてインフレ抑制の取り組みを阻害すると指摘している。
トランプ氏はさらに、国ごとに相互関税を適用し、4月初めにも実施する方針を表明。中国に対しては既に10%の追加関税を賦課したほか、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税賦課は少なくとも3月4日まで延期した経緯がある。
トランプ米大統領は18日、自動車関税の税率は25%程度になると述べ、4月2日に詳細を明らかにする考えを示した。
「おそらく4月2日に明らかにするが、25%程度になるだろう」と記者団に語った。
トランプ氏は先週14日、米国が輸入する自動車に対して4月2日ごろにも関税を課す考えを明らかにした。同氏は関係省庁に、さまざまな輸入品に対する関税の選択肢を調査して4月1日までに提出するよう命じている。
トランプ氏は18日、医薬品と半導体に対する分野別関税も4月に税率25%で開始し、少なくとも一部は1年かけて引き上げる可能性が高いと述べた。
●先進国中銀、金融当局
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は18日、約4年ぶりに利下げを決定した。インフレ抑制で進展があったとするものの、ブロック総裁は勝利宣言は時期尚早と述べ追加利下げの言質を与えなかった。
中銀理事会は、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、4.10%とすることを決定した。利下げは2020年11月以来。
2024年第4・四半期のコアインフレ率が3.2%に鈍化したことから、市場では25bpの利下げが広く予想されていた。
中銀は声明で「本日の政策決定はインフレに関する歓迎すべき進展を認識したものだが、理事会はさらなる政策緩和の見通しについて引き続き慎重だ」と表明。
「労働市場が従来考えられていたよりも幾分タイトになっている可能性を示唆している」とし、雇用の強さに起因するインフレ上方リスクを指摘した。「理事会の評価は、金融政策は制約的であり、今回のキャッシュレート引き下げ後もそうあり続けるというものだ」とした。
この日発表した経済予測では、基調インフレは従来予想よりも速いペースで下落するものの、労働市場の逼迫で物価上昇圧力が長引くとし予想。失業率予想は引き下げた。
声明は、この予測を踏まえ「金融緩和が早すぎれば、ディスインフレが停滞し、インフレ率が目標レンジの中間値を超えて落ち着く可能性がある」と指摘した。
<市場の利下げ観測をけん制>
中銀のブロック総裁は会見で、インフレに対する勝利宣言は時期尚早で、追加利下げするにはインフレ抑制にさらなる進展が見られる必要があるとの認識を示した。
市場が年内あと2回の25bp利下げの可能性を織り込んでいることについて「本日の決定は、市場が示唆する通りの利下げが将来行われることを意味するわけでないことを明確にしておきたい」と述べ、市場の織り込みは「非現実的」と指摘した。
「理事会は将来について決定を下す前に、インフレが引き続き低下していることを示すさらなるデータを必要としている」と述べた。
スワップ市場が示唆する4月の追加利下げの確率は18%にとどまるが、5月利下げはほぼ100%織り込んでいる。
コモンウェルス銀行の豪経済部門責任者ガレス・エアド氏は、今回の利下げは「景気のアクセルを踏むというより、ブレーキを緩めることに近い」と指摘。「失業率が低いということは、政策金利の正常化をゆっくり進めることが可能ということになる」と述べる一方、労働市場が悪化すれば4月利下げの可能性も排除できないとした。
キャピタル・エコノミクスのAPAC(アジア太平洋地域)担当シニアエコノミスト、アビジット・スリヤ氏は、現在の緩和サイクルではあと2回しか利下げを行わないだろうと予想。「中銀は、家計消費とより広範な経済活動の回復を引き続き見込んでおり、インフレ上昇圧力が中期的に持続する可能性が高いと考えている」と述べた。
利下げを受け、国内主要4行も預貸金利の引き下げを発表した。
チャーマーズ財務相は会見で、利下げは国民にさらなる救済を提供する「歓迎すべき一歩」だと述べた。
オーストラリアでは5月17日まで選挙が実施される予定。苦戦が予想されるアルバニージー首相が利下げを追い風に早期の選挙を実施するとの観測も出ている。
新たな経済見通しは、この日を含め今年3回の25bp利下げが行われる想定に基づいている。コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は、4─6月期に2.7%に鈍化すると予想。従来は3.0%だった。
その後は2027年半ばまで同水準で推移するとみられ、昨年11月時点の2.5%からやや引き上げられた。中銀はこれについて「国内経済活動が勢いを回復することで、労働市場の逼迫状況が続き、インフレ率への上昇圧力がある程度持続するという判断に基づく」と述べた。
12月時点で4.0%だった失業率については、6月に4.2%に上昇し、27年半ばまで同水準で推移すると予想。従来予想の4.5%からやや引き下げた。
消費者物価指数(CPI)は6月までに2.4%で推移すると予想。年央に政府による電気料金支援が終了すると、3.7%まで上昇し、その後は再び下落すると見通した。
民間需要の低迷を反映し、経済成長率は昨年第4・四半期に1.1%まで鈍化したと予想し、6月には2.0%まで回復するとした。従来予想の1.5%と2.3%から引き下げた。
欧州連合(EU)主要4カ国の中央銀行総裁は、域内銀行の競争力をそぐ大量の規則を簡素化するよう欧州委員会に求めた。
スペインとドイツ、フランス、イタリアの中銀総裁は欧州委への書簡で、要件の「包括的分析」が「他の主要管轄区域との公平な競争条件」確保に役立つと伝えた。書簡の内容をブルームバーグ・ニュースが確認した。
米国で第2次トランプ政権が発足したのを受け、世界の金融機関幹部は、2008年の金融危機後に導入された規制の巻き戻しを求めるようになった。これら中銀総裁らは規制緩和を求めているわけではないとしているが、同書簡は、複雑すぎる銀行規制が経済成長を阻害していると主張する政治家に利用される可能性が高い。
同書簡はスペイン銀行のエスクリバ総裁とドイツ連銀のナーゲル総裁、イタリア銀行のパネッタ総裁、フランス銀行のビルロワドガロー総裁が今月書いたもの。
「われわれは、欧州の銀行に適用される規則の全体的な評価を行うことが今最優先されるべきだと考えている」と説明。分析は「欧州の枠組みが不当に複雑で、金融安定化に大きなメリットがなく、国際レベルで競争のゆがみを生み出す可能性がある分野」の特定に役立つとした。
各中銀の担当者はコメントを控えた。欧州委はコメントの要請にすぐには応じなかった。
●先進国経済指標
欧州経済センター(ZEW)が18日発表した2月のドイツ景気期待指数は26.0で1月(10.3)から大幅に改善した。総選挙を控え景気見通しが回復した。
ロイターがまとめたアナリストの予想(20.0)を上回り、過去2年で最大の上昇幅を記録した。
ZEWのワムバッハ所長は「新政権に行動力があるとの期待から楽観度が高まった可能性がある」と述べ、停滞状態の個人消費が向こう半年の間に勢いづくことも予想されるとした。
VP銀行のチーフエコノミスト、トーマス・ギッツェル氏は、製造業受注の増加やインフレ率の低下など、ここ数週間の好ましい経済動向を示す指標と指摘。「経済は現在底を打ち春以降は徐々に改善すると期待できる」との見方を示した。
現況指数はマイナス88.5で、前月のマイナス90.4から改善した。
ハウク・アウフホイザー・ランプの主任エコノミスト、アレクサンダー・クルーガー氏は、現況は依然として非常に低いとし、「センチメントが実際に好転するには、期待の高まりが状況改善に反映する必要があると述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスの欧州上級エコノミストは、欧州中央銀行(ECB)の緩和継続や23日の総選挙後には財政見通しが明確になることから、ZEW指数は一段と上昇する可能性が高いとの見方を示した。
全米住宅建設業者協会(NAHB)が18日発表した2月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は42と、2024年9月以来の低水準となった。輸入関税の引き上げと住宅ローン金利の上昇が住宅価格の一段の押し上げ要因になるとの懸念が背景。
現在の販売状況を示す指数は46と、5カ月ぶりの低水準となったほか、向こう6カ月間の販売予測を示す指数も46と、23年12月以来の低水準となった。
新築住宅の建設は、木材や家電製品など他の製品を含む輸入資材に大きく依存しており、トランプ米大統領による関税措置を巡り消費者の間に広がる動揺が指数の低下に反映されたとみられる。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディーツ氏は「関税の規模と範囲を巡る不確実性から建設業者はコストについて一段の懸念を抱いている」と指摘。住宅価格の上昇ペースに対処するには、「より手頃な住宅を増やす必要がある」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
ドイツの都市自治体の全国組織、ドイツ都市会議が17日公表した調査結果によると、低成長と社会保障支出の増大により、同国の都市は厳しい財政状況に直面しており、今年は多くが財政赤字に陥る見通しだ。
調査では、主要都市の37%が今年は財政収支を均衡させられないとの見通しを示し、47%は予備費に頼ると答えた。
今後5年間の財政を楽観視している都市はわずか2%と、過去5年間の64%から急減。約半数は財政悪化を予想しており、スタッフやサービスが削減されたり、インフラ計画が頓挫したりする恐れがある。
都市会議のマルクス・ルーエ会長は記者会見で「都市財政が均衡していた時代は終わった。問題は構造的であり、都市自体の落ち度ではない」と発言。次期連邦政府は税収の公平な分配や、連邦政府が都市に委託する施策への十分な資金手当て、財政赤字に上限を設ける「債務ブレーキ」の見直し等を通じて早急に都市財政の崩壊を防ぐべきだと訴えた。
都市会議によると、都市の社会保障支出は昨年12%も急増し、児童と若者の福祉コストは過去10年で倍増している。終日の託児サービスなど連邦・州政府が都市政府に義務付けている施策について十分な資金手当てが成されていないほか、難民の大量流入も児童、若者、失業、社会保障関連の支出増につながっていると都市会議は説明した。
ドイツは外国との競争激化やエネルギー価格と金利の上昇などから昨年は2年連続でマイナス成長に陥り、今年もマイナス成長が予想されている。約1週間後に迫るドイツ総選挙は経済悪化が最大の争点で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進すると予想されている。
●中東情勢
●エマージング
米国とロシアの高官が18日、サウジアラビアの首都リヤドで会談した。会談に出席したロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)はプーチン大統領とトランプ米大統領の会談時期について、断言は難しいとインタファクス通信に述べた。
ウシャコフ氏の発言としてインタファクスが報じたところによると、両大統領の会談について議論はあり、両国はその設定に継続して取り組む。
ウクライナ問題で米国との接触をいつ開始するかはプーチン氏が決定すると、ウシャコフ氏は話したという。
一方、米国務省のブルース報道官は、今回の協議で米ロは「ウクライナでの紛争を恒久的かつ持続可能、全ての当事者に受け入れ可能な形で可及的速やかに終わらせる道筋について、取り組みを開始する高位級のチームを指名」することで合意したと説明。さらに、「米ロの2国間関係の障害に対応する協議の仕組みを立ち上げ」、外交業務正常化への措置をとることでも合意したと述べた。
「一度の電話、それに続く一回の会談では恒久的な和平の確立に十分ではない。行動することが必要で、本日われわれは重要な前進を果たした」とブルース氏は語った。
FOXニュースの報道によると、米国とロシアの和平計画にはウクライナでの新たな選挙実施が盛り込まれている。計画は停戦、ウクライナでの選挙、最終合意への調印という3段階に分かれていると、FOXのジャクリーヌ・ハインリヒ記者がXに投稿した。
今回の会談はトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領との12日の電話会談を受けて開催が決まった。トランプ氏は会談で従来の米国の立場を大幅に転換し、ウクライナと欧州を参加させずにロシアとの直接的なやり取りを前進させた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「わが国についてわれわれ抜きのいかなる合意」も認めることはないと警告している。
トランプ氏は電話会談で、ウクライナの関与なしにロシアとの接触を拒否してきたバイデン前政権の政策を放棄するとともに、ウクライナの領土の完全性と北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持するとした米国のかねてからの立場を大きく転換した。
米側からウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)やウィットコフ中東担当特使、ルビオ国務長官が出席。ロシア側はウシャコフ氏のほか、ラブロフ外相が会談に臨んだ。サウジのファイサル外相も同席した。
国務省のブルース報道官はルビオ長官の同行記者団に対し、会談は「ロシアが恐らく真剣かどうかを判断」するとともに、ウクライナでの戦争終結についてロシアが米国と「同じ考えかどうか見極める」ための方途の一つと語った。
一方、17日遅くにリヤドに到着したウシャコフ氏は「わが国と米国側との間で真の関係正常化を開始するのが主なテーマだ」とロシア国営テレビに発言。ウクライナでの戦争の決着に向けた交渉の可能性や、米ロ首脳会談の準備が会談の焦点になるとの認識も示した。
インタファクス通信によれば、ウシャコフ氏はこれに先立ち国営テレビに対し、経済問題に絡んでロシア直接投資基金(RDIF)のキリル・ドミトリエフ総裁が会談に加わる可能性があると述べていた。ウクライナ全面侵攻開始を受けたロシア市場からの撤退で、米企業は3000億ドル(約45兆5200億円)を失ったとドミトリエフ氏は述べた。
元駐ロシア米大使のマイケル・マクフォール氏は「ロシア側の代表団は米ロ関係改善を目的にリヤドに来ている」と指摘。「米国側の代表、またはそのように思い込まされている派遣団は、ウクライナでの戦争を終わらせるための交渉を開始しに来た。意図はかなり隔たっている」と分析した。
プーチン氏が2022年2月にウクライナへの全面侵攻を命じて以降、正式に発表のあった米ロ首脳の接触としては、12日の会談が初めてだった。トランプ氏は1時間半に及んだプーチン氏との会談について、「非常に生産的」だったとし、サウジで会談する可能性があると発言した。
ウクライナの代表が参加しないまま、米国とロシアが話を進めているとの欧州の反発を受け、今回の協議は模索的なものであり、ウクライナの荒廃を招いた約3年間の戦争を終結させるための本格的な交渉の開始ではないと、米国は説明した。
国務省のブルース報道官は「この会談を詳細についてや、ある種の交渉の前進についてのものと捉えるべきではないと思う」とコメント。生産的な会談がトランプ氏とプーチン氏の首脳会談につながるかどうかについては明言を避けた。
米国とロシアの高官が18日、サウジアラビアの首都リヤドで会談した。ウクライナ戦争の終結方法などが話し合われたが、ウクライナの参加はなく、欧州を置き去りにしたまま二大国で拙速な合意に突き進む可能性が懸念されている。
米ロはまた停戦協議の一環として、ウクライナ侵攻後に導入された対ロ制裁の解除を議論する方針を示唆しており、欧州との間で隔たりが深まりそうだ。  
4時間余り続いた会談の後で、出席者の1人であるロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交政策担当)は、プーチン大統領とトランプ米大統領の会談日程は設定されなかったと説明。首脳会談が来週実現する公算は小さいと述べた。ブルームバーグはその可能性があると報じていた。
米ロ高官の会談後、トランプ氏はフロリダ州にある邸宅「マールアラーゴ」で記者団に対し、停戦合意が交渉可能であることに「はるかに自信を深めた」と指摘。月内にプーチン氏と「おそらく」会談すると語った。
ロシア国営タス通信の報道によると、ウシャコフ氏は米ロの立場について「近づきつつあるのか断言は難しいが、会話はした」と述べた。
ウクライナ問題で米国との接触をいつ開始するかはプーチン氏が決定すると、ウシャコフ氏は話したという。
会談には米側からウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)やウィトコフ中東担当特使、ルビオ国務長官が出席。ロシア側はウシャコフ氏のほか、ラブロフ外相が会談に臨んだ。サウジのファイサル外相も同席した。
ウォルツ氏は米国側の記者会見で、トランプ氏はウクライナの恒久的な解決策確保に向け「極めて迅速に動く」ことを決意していると発言。ルビオ氏は、ウクライナの停戦プロセスにロシアが「真剣に」関与する意向だとの確信を得たと語った。ウィトコフ氏は「極めて中身の濃い」会談だったと評価した。
またルビオ氏は両国がそれぞれの大使館の人員を元に戻す準備を進めていることを示唆した。米国とロシアは、スパイ活動やハッキング疑惑、ウクライナ侵攻などを巡って互いに大使や外交官の国外追放を繰り返しており、大使館の人員は最小限に減っていた。
米国務省のブルース報道官は、今回の協議で米ロは高官級の交渉団を指名することで合意したと説明。ウクライナでの紛争を「恒久的かつ持続可能で、全ての当事者に受け入れ可能な形で」終わらせる道筋を話し合うとしている。
「一度の電話、それに続く一回の会談では恒久的な和平の確立に十分ではない。行動することが必要で、本日われわれは重要な前進を果たした」とブルース氏は語った。 
FOXニュースの報道によると、米国とロシアの和平計画にはウクライナでの新たな選挙実施が盛り込まれている。計画は停戦、ウクライナでの選挙、最終合意への調印という3段階に分かれていると、FOXのジャクリーヌ・ハインリヒ記者がXに投稿した。
対ロ制裁も議論へ
米ロはまた停戦協議の一環として、ウクライナ侵攻後に導入された対ロ制裁を解除する方針であることを示唆。制裁措置の維持を望む欧州との間で新たな緊張が生じる可能性がある。
ロシアのラブロフ外相は記者団に対し、米ロが「相互に有益な経済協力の発展を阻む人為的な障壁を取り除くことに大きな関心を抱いている」と発言。経済問題に関して「具体的な解決策を見いだすことをお互いに望んでいる」とした。
リヤドでの会談後に公表された米国務省の文書では、紛争解決後の「歴史的な経済および投資の機会」を巡って将来的な米ロ協力の可能性が強調されている。
ルビオ国務長官も、制裁解除が議題に上っていることを明確にした。「この紛争の結果としてわれわれが発動した制裁措置がある」とした上で、「いかなる紛争も終結に導くには、すべての当事者による譲歩が必要だ」と述べた。
欧州連合(EU)も多数の対ロ制裁を科していることを踏まえ、EUも交渉の場に加わる必要があるとルビオ氏は認めた。
ロシアに対しては、外貨準備の凍結のほか、銀行や企業、エネルギー輸出に対する制裁が発動されている。また、米国の制裁対象となっている政府高官にはラブロフ外相とプーチン大統領も含まれている。  
サウジ訪問中止
今回の会談はトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領との電話会談を受けて開催が決まった。トランプ氏は12日の電話会談で、従来の米国の立場を大幅に転換し、ウクライナと欧州を参加させずにロシアとの直接的なやり取りを前進させた。ウクライナのゼレンスキー大統領は「わが国についてわれわれ抜きのいかなる合意」も認めることはないと警告している。
トランプ氏は電話会談で、ウクライナの関与なしにロシアと接触することを拒否してきたバイデン前政権の政策を放棄するとともに、ウクライナの領土の完全性と北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持するとした従来の米国の立場を大きく転換した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は自国の将来が議論された米ロ会談について、情報を間接的にしか得られていない。ゼレンスキー氏は当初、会談が行われたサウジアラビアを19日に訪問し、ムハンマド皇太子から会談内容を聞き出したいと考えていたが、その後、急きょサウジ訪問を取りやめた。
トルコを訪問しているゼレンスキー氏は、エルドアン大統領との会談後に米ロ会合に呼ばれなかったことへの失望感をあらためて示し、「私はサウジアラビアには行かない」と語った。さらに「われわれは誰よりも戦争終結を望んでいる。そしてわれわれの背後ではなく、公正な方法で終わらせることを求めている」と続けた。
サウジの準備状況について知る関係者によると、ムハンマド皇太子はゼレンスキー氏の会談出席を望んだが、米ロともウクライナ抜きでの会談を希望していると主張した。皇太子は会談におけるサウジの役割と、ロシア側および米国側とのやり取りをゼレンスキー氏に説明する予定だと、取り扱いに注意を要する問題だとして匿名を要請した関係者が明らかにした。
G7が修正検討
一方、主要7カ国(G7)はロシア産原油に対する価格上限の修正を検討している。ウクライナ侵攻を続けるロシアの石油収入を減らすことで、停戦交渉の進展を後押したい考え。
ブルームバーグ・ニュースが入手した草案によると、G7は現在バレル当たり60ドルに設定されている価格上限について、再設定を財務相に指示する可能性がある。全てのG7諸国がどの程度この文書を支持しているのか、現段階では分かっていない。
ベッセント米財務長官はこれまで、ウクライナ停戦を加速させるのに寄与すると判断すれば、対ロシア制裁を強化することもあり得るとの認識を示している。G7はロシアによるウクライナ侵攻から3年となる2月24日に、声明を発表する予定だ。
 米国とロシアは18日、サウジアラビアの首都リヤドでウクライナ紛争の停戦などを協議する初の高官会合を開いた。米政府は会合後、紛争終結への道筋を模索し、さらなる協議を重ねる方向で合意したと発表した。
会合は4時間半にわたり行われ、米国からはルビオ国務長官、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)、ウィトコフ中東特使、ロシアからはラブロフ外相、ウシャコフ大統領府外交政策顧問らが出席した。
当事者であるウクライナは参加しなかった。
米国務省報道官によると、「全ての当事者が受け入れ可能で、持続的かつ永続的な方法で可能な限り早期」に戦争を終結させるため、高官級チームを任命すると明らかにした。米ロの外交関係の正常化に向け「二国間関係における懸案事項」に対処するための体制構築などについても協議が行われたという。
ルビオ長官は会合後「今回の会合は長く困難な道のりの第一歩で、重要な一歩だった」と言及。トランプ大統領は戦争終結に向け迅速な行動を望んでおり、公平で永続的かつ持続可能な合意を目指しているとし、ウクライナ、欧州のパートナー、ロシアを含む全ての関係者が受け入れ可能な合意を目指していると述べた。
ロシア側には「真剣な交渉に着手する用意がある」と確信したとしつつも、和平に達するには全ての当事者による譲歩が必要とも指摘。欧州連合(EU)もいずれかの時点で関与する必要があり、いかなる解決策も全ての当事者によって受け入れられるものでなければならないと強調した。
ウォルツ補佐官は、戦争は恒久的に終結する必要があり、そのためには領土を巡る交渉が必要になるとし、今後の交渉ではウクライナの領土問題のほか、安全保障を巡る協議が含まれるだろうと述べた。
また、ウォルツ氏によると、トランプ氏とプーチン氏の対面形式での会談の日程は現時点で決まっていない。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた協議はウクライナ抜きでは実施できないと改めて強調。公正な平和を確保するために、ウクライナの安全保障に関する協議に米国のほか、ウクライナ、欧州が参加しなくてはならないと述べた。
ドイツのショルツ首相も「ウクライナの頭越しに決定を下すべきではない」と述べた。
<ラブロフ氏、NATO拡大容認できずと再表明>
ロシアのラブロフ外相も会合後の記者会見で、ウクライナ紛争の解決に向けた道筋を確立し、外交使節団の障壁を取り除くことで合意したと表明。今回の協議は有意義なものだったとし、ロシアと米国は互いの意見を聴き、理解し合い、両国間の協力関係を完全に回復するための条件整備で合意したと語った。
同時に、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は容認できないと改めて表明。「プーチン大統領がこれまでも繰り返し強調したように、NATOの拡大とウクライナのNATO加盟は、ロシアの国益と主権に対する直接的な脅威だと説明した」と述べた。
その上で「NATO加盟国の軍隊が展開されるのが、EUや個々の国の旗の下であったとしても、何も変わらないと説明した。当然、ロシアが容認できるものではない」とし、英国のスターマー首相が提案したNATO加盟国がウクライナに平和維持部隊を派遣する案についても否定した。
ロシア外務省のザハロワ報道官はモスクワで記者団に対し、NATOがウクライナの加盟を認めないだけでは「不十分」とし、将来の加盟の可能性に関する約束を撤回するなど、さらに踏み込んだ行動を取るべきと語った。
<譲歩みられず>
ロシアはいかなる譲歩も示唆せず、米当局者らも会合で譲歩が得られたとは主張していないため、協議が和平交渉に発展するかどうかについては不透明感が漂う。
オバマ元政権で駐ロシア大使を務めたマイケル・マクフォール氏はXで「プーチン大統領が和平交渉に向け一歩でも譲歩する意向があるという証拠は、これまでのところ全くみられない」と述べた。
<外交使節団の機能回復で合意>
米ロは今回の会合で、外交使節団の通常機能を相互に回復させることで合意。ロシアによるウクライナ全面侵攻などを受け米国がこれまでにロシアに課した外交使節団の制限が大幅に緩和される可能性がある。
ルビオ長官は「対話の経路を維持するために、通常の機能を果たせる活発な外交使節団が必要になる」とし、第一段階として、米ロがそれぞれの外交使節団の機能を迅速に回復させるための実務者を任命することで合意したと明らかにした。
ただ、具体策については言及しなかった。米国務省からもコメントは得られていない。
ロシア外務省によると、ラブロフ外相はリヤドでの会合に先立ち15日に実施したルビオ氏との電話会談で、在米ロシア使節団の機能について協議していた。
●プロファイ、インフラ、自然災害
業界データによると、2024年はドイツの風力エネルギーにとって好調な年となり、陸上風力タービンの許可交付が加速した。しかし、2月23日に予定されている総選挙により、この分野は不確実性に直面しており、世論調査でトップの2つの政党が声高に懐疑的な見方を示している。
支持率約30%で支持率首位に立つ中道右派キリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ党首は、風力発電を「過渡的技術」と表現している。昨年末、公共放送ZDFのインタビューでメルツ党首は、「景観に合わない」という理由で「醜い」風力タービンが最終的には撤去されることを望むと述べた。
全国世論調査で2位で、約20%の得票率を確保すると見込まれる極右政党「ドイツのための選択肢」は、このレトリックをさらに推し進めた。同党の首相候補アリス・ヴァイデル氏は、風力タービンをすべて取り壊すと脅し、風力タービンを「恥ずべき風車」と呼んだと報じられている。AfDは気候変動に疑問を投げかけ、環境危機への取り組みを頻繁に否定してきた。
風力発電は、発電に使用される再生可能エネルギーの一種であり、化石燃料からの移行において重要であると考えられています。
ドイツ経済研究所(DIWベルリン)のエネルギー経済学者ウォルフペーター・シル氏は、選挙運動中の「風力発電叩き」の一部、特にAfDによるものは時々「ばかげている」と述べた。
「AfDは多くの点で悪夢だ。風力発電の面でもそうだが、彼らが政権を握ることはないだろうから、あまり関係ないと思う」とシル氏は ビデオ通話でCNBCに語った。
AfDが世論調査で2位であるにもかかわらず、ドイツの他の主要政党は今のところAfDと連立政権を組まないと約束しており、選挙後はAfDが野党の一角を占める可能性が高いことを意味する。
「少なくとも次期政権にとっては、保守政党であるキリスト教民主・社会同盟(CDU)の行動の方がはるかに重要だ」とシル氏は指摘した。
ドイツの風力エネルギー拡大
シル氏は、ドイツ風力エネルギー協会とエンジニアリング財団VDMAパワーシステムズの最近の報告書を引用し、同国は2024年に陸上風力エネルギーの歴史的な節目を達成すると述べた。
報告書によると、欧州最大の経済大国である中国は昨年、陸上風力タービン2,400基以上のライセンスを取得し、総発電容量は14ギガワットを超えた。陸上風力タービンの契約数も過去最高を記録したという。
VDMAパワーシステムズのマネージングディレクター、デニス・レンシュミット氏はCNBCに対し、この記録的な数字は近年実施された法改正や政策措置の有効性を浮き彫りにしていると語った。また、この数字は業界に新たな動きが起こっていることを示しているとも述べた。
CNBCが電子メールで送ったコメントを翻訳したところによると、レンシュミット氏は「この勢いは新連邦政府によって維持される必要がある」と付け加えた。風力エネルギーの拡大は制限なく続けられなければならない、そうすればエネルギーコストが下がり、雇用が生まれ、エネルギー供給が確保され、エネルギー輸入への依存が減るからだ、とレンシュミット氏は述べた。
DIWベルリンのシル氏は、潜在的な障害はほとんどないと考えている。
「将来の成長に向けた条件はすべて整っている」と彼は述べ、唯一の障害は、新政権がイデオロギー的な理由か、エネルギーシステムにおける風力発電の役割に対する理解不足のいずれかから拡大のペースを鈍化させた場合のみに生じる可能性があると指摘した。
業界団体ウインドヨーロッパのCEO、ジャイルズ・ディクソン氏はCNBCに対し、CDU主導の政権が誕生する可能性は高いが、この業界に対する懸念はわずかだと語った。
「キリスト教民主同盟(CDU)主導の政府と、社会民主党または緑の党のどちらか、あるいはその両方が連立政権を組むことを考えれば、私たちにとってそれは全く暗雲を漂わせるものではない」と彼は語った。
ドイツの新連立政権CDU/CSUの有力なリーダーの立場について詳述した際、フラウンホーファー風力エネルギーシステム研究所(IWES)のアンドレアス・ロイター所長はCNBCに対し、同党は気候変動に関しては無関心ではなく、少なくとも風力エネルギーに強く反対しているわけではないと語った。
CDUはこれまで風力タービンに批判的だったが、ロイター通信によると、風力タービンは概ね信頼性が高く、安価なエネルギーを生産するため、当面は「容認できる」と見なす可能性が高いという。
再生可能エネルギーの課題
政権交代はドイツの風力エネルギーにとって差し迫った問題を意味するものではないかもしれないが、再生可能エネルギーと風力発電に関しては新たな与党連合は課題に直面することになるだろう。
ディクソン氏は、これにはドイツの再生可能エネルギー法の改正も含まれると指摘した。この法律は、10年後までに同国が電力の80%を再生可能エネルギー源から生産できるようにすることを目的に制定された。
こうした野望の鍵となるのは太陽光と風力エネルギーだ。核融合エネルギーは持続可能なエネルギー源として広く認識されているが、ドイツの取り組みは依然研究と計画の段階にある。ドイツは2023年に、国内に残る最後の従来型原子力発電所を閉鎖する。
新政府は法律の新たな改正に取り組む必要があると述べ、業界団体はこうした動向を注視し、改革を形作るために政府との緊密な対話を求める必要があることを示唆した。
ドイツが現在、再生可能エネルギーの生産と利用の拡大に向けて掲げている目標も、調整が必要となる分野のひとつだ。これらの目標のいくつかはすでに「完全に非現実的」だとIWESのロイター氏は語った。
つまり、政府は目標を削減しなければ毎年達成できないことになる、と彼は述べ、現在の計画は「積極的」だが、再生可能エネルギーが優先事項であることを示すのに役立ち、人々が大きな視野で考え、この問題に関して前向きな環境を作るよう促すのにも役立つと指摘した。
「一方で、まだギャップは存在し、2030年に近づくにつれてそのギャップはどんどん大きくなっています。問題は、このギャップをどう埋めるかということです。これらの目標を達成できないことをいつ受け入れるのか。これは次期政権にとってまた興味深い議論になるでしょう」と同氏は述べた。
投資家グループは、韓国で世界最大級の人工知能(AI)データセンターを建設する計画だ。AIブームの持続性に不透明感が漂う中でも、AI需要は世界各地で盛り上がりを見せている。
構想通りに完成すれば、データセンターの総工費は最大350億ドル(約5兆3000億円)。利用可能電力は最大3ギガワットと、米オープンAIとソフトバンクグループ(SBG)が計画するAIインフラ整備事業「スターゲート」のテキサス州の複合施設のほぼ3倍に当たる。
建設地は首都ソウルから離れた南西部を予定している。今年前半の着工、2028年の完工を見込む。ストック・ファーム・ロード(SFR)という投資会社の下にまとまった投資家グループがまずは100億ドル、長期的に最大350億ドルを出資する計画だ。SFRは韓国LG財閥の創業者の孫の具本雄(ブライアン・クー)氏と、ロンドンとヨルダンを本拠とするBADRインベストメンツの創業者で最高経営責任者(CEO)のアミン・バドラルディン(Amin Badr-El-Din)氏が立ち上げた。
クー氏は、韓国のデータセンターは現在おおむね内需を満たしているが、世界にサービスを提供する大型施設にふさわしい条件が同国にはそろっていると話した。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
ニューヨーク外為市場では、安全資産としての需要からドルが上昇。特にウクライナ停戦交渉や関税措置への懸念が影響した。米金融市場では、強い経済指標を受けて国債利回りが上昇し、FRBの利下げ判断が難しくなるとの見方が強まった。株式市場は高値圏で推移し、インテル株が急伸。金先物は地政学的リスクや関税政策への懸念から買われ反発。原油先物も、ロシアのパイプライン攻撃による供給不安で上昇した。
ロンドン株式市場は反落。英国の賃金上昇で利下げ観測が後退したが、銀行株が下支えし、FTSE100はほぼ横ばい。欧州株式市場では防衛関連銘柄の買いが膨らみ、STOXX欧州600種指数が最高値を更新。ドイツのDAXも上昇。ユーロ圏債券市場では、防衛費増加による国債発行懸念からドイツ10年債利回りが上昇。ウクライナ和平の進展やECBの政策が今後の債券市場に影響を与えると見られている。

備忘録(2025/2/17
●海外企業決算
●海外企業
トランプ米政権は事実上、米半導体大手インテルの株式に買い推奨を出した。だがそれだけでは、同社を苦境から救うには十分ではない。
インテル株は先週急伸した。JD・バンス米副大統領がパリで開催されたAIサミットで11日に演説し、米政権が半導体の国内生産を強化する方針を掲げたことがきっかけとなった。同氏は「トランプ政権は、最も強力なAIシステムが米国内で構築され、米国で設計・製造された半導体が使われるよう徹底していく」と述べた。
ロバート・W・ベアードのアナリストはこの後に出したリポートで、米政府はインテルと競合の間で話し合いを取り持とうとしているとの見方を示した。「アジアのサプライチェーン(供給網)」からの情報だとして、半導体ファウンドリー(受託生産)最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、スピンオフ(分離・独立)されるインテル製造部門を共同で所有し、施設の運営を担う可能性があると指摘。「(情報は)未確認で、プロジェクト完了には時間がかかりそうだが、理にかなった動きだろう」と述べた。
このような提携の構想は以前からあった。インテルはすでに、ファウンドリー事業部門「インテル・ファウンドリー・サービシズ」を子会社化する手続きに着手しており、書類上はスピンオフ(分離・独立)しやすくなる。
どちらかと言うと小粒の材料で株価が大きく上昇したことは、むしろインテルが抜け出そうとしている苦境を反映したものだ。売り上げ減と製造部門の現金燃焼で同社の時価総額は大きく落ち込んだ。株価は昨年60%下落し、先々週は10年ぶりの安値に迫った。足元で持ち直したものの、時価総額はTSMCの8分の1程度だ。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、わずか5年前にはドルベースで同水準だった。
それでも、最先端プロセッサーを生産できる半導体メーカーは米国にはインテルしかなく、トランプ政権の構想には不可欠だ。同じく最先端半導体メーカーであるTSMCと韓国のサムスンは現在、米国に新工場を建設している。だがいずれも外国企業で、最悪の場合、TSMCは台湾を巡る中国との衝突に巻き込まれる可能性がある。エヌビディア、アップル、クアルコム、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などの米テック大手が製品に使う最先端半導体は、ほぼ全てTSMC製だ。
一方、インテルのファウンドリー部門の主な顧客はインテルで、自社で設計した半導体の製造が事業の大半を占める。この厳しい現実を受け、唯一の生き残り策は同部門最大の競合との提携だという見方も出ている。TSMCならインテルの工場に顧客を回すことも可能だ。インテルのファウンドリー部門は2024年の売上高が175億ドル(約2兆6600億円)、営業損益は130億ドル超の赤字だった。TSMCの同年の売上高は900億ドル、営業利益は411億ドルだった。
ウルフ・リサーチのアナリスト、クリス・カソ氏は13日付の顧客向けメモで、「インテルのサーバー事業とPC事業は、最先端工場の多額のコストを吸収できるだけの成長を生み出せなくなるとみている」と述べ、「インテルの固定費を早期に吸収するのに必要な生産量を呼び込めるのはTSMCだけだ」と指摘した。
ただ、インテルとTSMCは同業に見えるが運営方法は大きく異なる。インテルは創業以来長きにわたり、自社設計の半導体しか製造していなかった。「インテルの工程のエコシステム、設計方法、製造システムはTSMCと根本的に違う」。シティグループのアナリスト、ローラ・チェン氏は13日付のリポートでこう指摘した上で、この違いがインテルの潜在顧客にとって高い障壁になると述べた。
こうした問題は、トランプ政権の明確な支持があっても簡単には解消されない。資金ももっと必要だ。インテルは製造工程でTSMCに追いつこうとし、直近3年間で400億ドル近いキャッシュバーン(現金燃焼額)に陥った。ファクトセットによると、アナリストは赤字のフリーキャッシュフローが来年末まで続くと予想している。「お見合い婚」ではインテルを救済できないかもしれない。だが資金と時間でも救済できないことはすでに明らかだ。
オーストラリアの保険会社の株価が17日の取引で下落した。5月までに予定されている総選挙を控え、野党・自由党のダットン党首は保険各社が顧客を搾取していると非難し、解体すると警告した。
ダットン氏は16日に放送されたスカイ・ニュースとのインタビューで「消費者が公平に扱われるよう保険市場に介入する。人々は保険料を払い過ぎており、結果として、保険に加入していない人もいる」と述べた。
豪保険市場はサンコープ・グループ、インシュアランス・オーストラリア・グループ(IAG)、QBEインシュアランスによって支配されている。
取引時間中にサンコープ株は21.3%下落し、昨年5月30日以来の安値を付け、IAG株も約4%安と3カ月ぶりの安値まで下げた。QBEは一時1%下落した。
●日本企業
●先進国政治動向
17日公表された豪世論調査によると、アルバニージー首相率いる労働党政権の交代を求める有権者が過半数を占めたほか、首相の支持率が就任以来最低となり、5月までに実施される総選挙で再選が危うくなっている。
調査会社ニューズポールが豪紙オーストラリアンの委託で行った調査では、対象となった1244人の有権者中約53%が、労働党政権は再選に値しないと回答。再選されるべきとの回答は34%だった。
アルバニージー氏の実績について「満足」から「不満足」を引いた純評価はマイナス21と、首相就任以来最低となった。
野党連合と与党のどちらに投票するかを問う調査の支持率は、野党連合が51対49で与党へのリードを維持。今回の調査結果が選挙で再現されれば、与党が過半数に達しない公算が最も大きいとみられている。
アルバニージー政権は生活費上昇への対応や雇用拡大に向けさまざまな政策を打ち出しているが、支持率押し上げに苦戦している。
●先進国中銀、金融当局
日本銀行が金融危機などの際に金融機関から買い入れた株式の売却が、2016年4月の開始から想定よりも早い今夏にも完了する見通しだ。日銀が大量に保有する上場投資信託(ETF)の処分に向けた議論を促すかが注目される。
日銀は金融システム安定を確保する目的で、02年11月-04年9月とリーマンショック後の09年2月-10年4月に金融機関から株式を購入した。26年3月末まで10年かけて処分する予定としてきたが、簿価で毎月100億円前後の売却が進む中、先月末の残高は550億円程度に減少。同様のペースならあと6カ月で残高がゼロになる計算だ。
保有株式の売却は、この間の相場環境が良好だったこともあり、市場に大きな影響を与えることなく円滑に進められてきた。売却が完了するのをきっかけに、これまで封印された状態が続いている保有ETFの処分を巡る議論が、今年中にも始まる可能性が出てくる。
日銀は昨年3月にマイナス金利解除など大規模緩和からの転換に踏み切り、ETFの新規買い入れも終了した。7月には国債購入の減額計画を決めてバランスシートの正常化にも着手したが、保有ETFの処分については、植田和男総裁が1月31日の国会答弁で「時間をかけて方法を決めたい」と述べるにとどめている。
ETF買い入れは、白川方明総裁の下で10年12月に開始。後任の黒田東彦総裁が推進した大規模緩和によって増額が繰り返され、簿価が37兆円、昨年9月末の時価は70兆円に達する。日経平均株価はそれ以降に3.3%、購入開始時点からは約4倍に上昇している。
ETFを処分する場合、市場への影響を最小限にするため、金融機関から買い取った株式の売却完了に合わせてETF売却を開始することも一案となる。ただ、売却前の保有株式残高が簿価で1兆3500億円程度だったのに対し、ETF残高はその約27倍だ。同じペースの売却なら200年以上かかる計算になり、現実的とは言い難い。
公的債務残高の対国内総生産(GDP)比率が先進国で最悪という財政状況の中で、日銀の保有ETFの行方は政界でも注目を集めている。立憲民主党は、保有ETFを簿価で政府に移管した上で、その分配金収入と売却益を少子化対策などの財源に充てるよう提唱している。
収入源
一部のアナリストは、アジア通貨危機時の1998年に香港当局が株式市場に介入した後、第三者機関を設立して保有株式の管理・処分を行った手法が参考になると指摘。日本も好機をうかがって市場で売却する機関を設立したり、市場外で長期保有の機関投資家に譲渡したりすることも可能だとみている。
一方、日銀の2024年度上期決算ではETFの分配金などの利益は1兆2641億円に達し、安定した収入源となっている。日銀は昨年7月と今年1月にも利上げし、今後も政策正常化を続ける見通しだ。支払利息の増加に伴う財務悪化や最終利益にあたる当期剰余金の国庫納付への影響なども踏まえれば、処分を急ぐ必要性は乏しいとの見方もある。
ETF買い入れという中央銀行として異例の政策を大規模に進めた結果、市場での存在感が高まり、処分の行方に注目せざるを得ない状況となっている。株価の動向次第では負の遺産に変わる可能性もあり、処分方法を検討する際には市場関係者を交えた議論が必要になりそうだ。
アジア諸国の中央銀行は、強いドルに対する自国通貨の防衛でデリバティブ(金融派生商品)活用を拡大している。ただそうした措置がいつまで可能か、また将来に問題を残すだけではないかとの疑念が生じている。
インド準備銀行(中央銀行)では、あらかじめ設定された価格で将来の特定の期日に売却されるドルの規模を示すネット・ドル・ショート・フォワードポジションが昨年12月に680億ドル(約1兆400億円)と、過去最大に達した。インドネシアの中銀でもネット・ショートが196億ドルと、少なくとも2015年以来の高水準を記録したことが、最新の公式データで示された。
こうしたポジション増加は、中銀による自国通貨防衛の戦略変化を示す。ただ、通貨防衛で現物取引に加えデリバティブを活用する結果、売り圧力が除去されるのではなく先送りされるリスクへの懸念が強まっている。
ANZバンキング・グループの外為ストラテジスト、ディラジ・ニム氏は「これは基本的に通貨下落を先延ばしにしているだけだ。その間に自信を示す手段として外貨準備高を高い水準に維持している」とした上で、「私はそうしたシナリオを少し憂慮している」と述べた。
インド、インドネシア両国中銀にコメントを求めたが、今のところ回答はない。両中銀は以前、デリバティブの活用を確認している。
インド・ルピーとインドネシア・ルピアはこの1年間、ドルに対し4%強下げており、いずれもアジア通貨パフォーマンスで下位に沈んでいる。
政治リスク
トランプ米大統領の返り咲きを受け、新興国中銀に対する圧力は増している。トランプ氏の関税政策に対する恐れから、対ドルで通貨安の波が起きているほか、他国を為替操作国と名指しするトランプ氏の姿勢に伴い、介入に対する政治的な監視が強まっている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の通貨・金利戦略担当共同責任者クラウディオ・パイロン氏は「これが非常に微妙な問題であることは明らかだ。公正な貿易や為替操作に関し米国の監視の目が厳しくなっている現在の環境ではなおさらだ」とし、「市場に過度に介入したいという切実な願望はないと考えられる」と分析した。
フォワードの活用には、潜在的なコスト低減やマネーサプライ減少の回避など、中銀にとって大きな利点がいくつかあるが、中銀介入を覆い隠すことも可能にする。外貨準備高の減少につながらないため、トランプ大統領の怒りを買うリスクを最小限に抑えることができるかもしれない。また、この戦略の活用はトレーダーを不安にさせ続けることもできる。
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
最近の山火事の被害に遭った地区から約16キロ離れたロサンゼルス郊外の高級住宅地には、無傷の家が立ち並ぶ。数軒は人が住んでいない。所有者が暮らしているのは遠く離れた中国だ。
米国では以前から、外国の富裕層が投資対象として高級住宅を購入している。率先して買っていたのは大抵、中国人だった。多くの買い手がロサンゼルスに押し寄せたが、中国政府による新たな通貨制限の実施を受けて、2018年には中国人の購買意欲は失われ始めた。
パリセーズ、イートン両地区の火災で住む場所を失った数千人の住宅所有者が新たな住宅を探す中、これまでは住宅市場の一面として許容されていたロサンゼルス郡の空き家は、怒りを招くテーマになりつつある。
「なぜここに空き家があるのか」。不動産仲介会社コンパスのアシュリー・レーダー氏は疑問を投げかけた。
レーダー氏はパリセーズ地区とイートン地区の火災で家を追われた10人超の顧客のために新しい家を探している。「十分な住宅がない時には、住宅を資産や投資戦略ではなく、避難所と考える必要がある」
ロサンゼルス郡の空き家の多くは国内に所有者がいる。親戚から不動産を相続したが、どうするかを決めていない人もいれば、米国の他の地域に住んでいるが、セカンドハウスとして使うため売りに出していない人もいる。
金融危機後に住宅価格が下落すると、中国人が米国の住宅市場に殺到した。特に買い手が集まったのがロサンゼルス市の東にあるサンガブリエルバレー地区だった。立派な住宅と、中国人移民の活気あるコミュニティーが近くにあることが人気の理由だった。
国勢調査局が2023年の米地域社会調査(ACS)を実施した時点で、ロサンゼルス郡の総住宅戸数のうち、約22万5000戸(6.1%)が空き家だった。空き家のうち、3万3000戸以上が「季節的、レクリエーション目的、または不定期の使用」のために使われていたという。
全米レベルで見ると、ロサンゼルス郡の空き家はそれほど多くない。カリフォルニア大学ロサンゼルス校ルイス地域政策研究センターの住宅研究者、シェーン・フィリップス氏によれば、ロサンゼルス郡は「米国の大多数の郡や主要都市」よりも空き家率が低い。
ロサンゼルスの火災によって住む家を失った家族の一部は、空き家が避難所として使えるのに無駄になっていると今も考えている。
2人の幼い子どもがいるジョアン・グエンさん(39)と夫は、イートン地区の火災でアルタデナにある家を失って以来、長期の賃貸物件を見つけようとしている。これまで3人の家主に断られたが、そのうち1人からは、月額1万6500ドル(約252万円)を超える家賃に加えて、賄賂を要求された。
グエンさん一家はホテルや義母宅の予備の寝室に滞在していたが、現在は、火災後にロードアイランド州に引っ越した友人が所有する空き家を一時的に借りている。今の危機的状況を考えると、より多くの空き家所有者が住宅を利用できるようにするべきだ、とグエンさんは言う。
「ホテルに暮らしている家族のために、思い切って在庫を解放する絶好の機会だ」とグエンさんは話した。「空き家なら滞在を認めるべきだ」
ロサンゼルス郡当局は以前から、管理者不在時の安全上のリスクを理由に、空き家の規制や戸数の把握を試みている。
2022年にはサンマリノ市議会が、空き家となっている商業用・住宅用物件に1万ドルの税金を課す条例を提案したが、最終的に可決されなかった。サンマリノやアルカディア、テンプルシティなどの地区は住宅の不在所有者に対し、住宅の登録、手数料の支払い、現地の緊急連絡先の明確化を義務付けている。
カリフォルニア不動産協会(CAR)の次席エコノミスト、オスカー・ウェイ氏によると、これら3都市はサンガブリエルバレー地区のパサデナなどと共に、外国人投資家に人気の地域となった。最近では、こうした投資家の大半を中国人、メキシコ人、韓国人が占めているという。
外国の住宅所有者は1年のうち数週間、休暇中に立ち寄るのかもしれないし、米国の大学に通う子どもが一時的に住むのかもしれない(例えば、カリフォルニア工科大学が近くにある)。時には家を貸し出すのかもしれない。
近年、ロサンゼルス郡住宅市場への外国人による投資は大幅に鈍化している。CARの不動産業者年次調査によると、2024年の同郡の住宅販売総数のうち外国人が購入した物件数は約4.6%で、08年の10.6%より低下した。
ウェイ氏がCARの調査に基づいて見積もったところ、ロサンゼルス郡の一戸建て住宅のうち約15万戸は外国人が所有している。こうした住宅の約2万7000戸は、主な居住用物件というより投資用物件と見なせると同氏は言う。
サンマリノ市議会のカルビン・ロー議員は空き家の持ち主に対し、少なくとも山火事のような状況の際には物件を売りに出すよう強く求めた。
サンマリノの不動産業者、ジャニス・リー氏によると、同地区で過去40年間に扱った物件の10件に1件は外国人が購入した。そうした買い手の一部は、購入した家に住む予定だと話していたという。
「疑わしくても好意的に解釈したい」。リー氏は外国の購入者についてそう話した。「ただし、私たちのコミュニティーにもう空き家はいらない」
17日の取引で欧州債が下落。パリで緊急に開催が決まった欧州首脳会議で、安全保障強化に向け支出拡大計画が示されるとの臆測が広がっている。
ドイツ10年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、2.50%弱を付けた。フランスとイタリアの10年債利回りも同様に上昇。米国債市場は同国の祝日のため休場だが、先物は10年債利回りが4.50%を上回っていることを示唆する。
フランスのアダッド欧州担当相はブルームバーグテレビジョンに対し、欧州の防衛費増額に対処するため、向こう数日間で欧州共同債を協議する必要があると主張。「ウクライナで起きていることは、欧州とその安全保障の将来にとって、存亡の危機に関わる重要性を持つ。また、どのように安全保障強化の資金を調達できるかを考えるべき時でもある」と語った。
「このような非常事態に直面し、歴史的な決断を下す時だと思う。実際、例えばユーロ共同債は話し合うべき仕組みの一つだ」と続けた。
パリでの首脳会議には、ショルツ独首相、欧州委員会のフォンデアライエン委員長と欧州理事会(首脳会議)のコスタ常任議長(EU大統領)、ルッテ北大西洋条約機構(NATO)事務総長、イタリアのメローニ首相、ポーランドのトゥスク首相、スペインのサンチェス首相、デンマークのフレデリクセン首相、オランダのスホーフ首相、英国のスターマー首相らが出席する見込み。
米国が対ウクライナ支援の意欲を失いつつあることを示唆する和平案を示し、欧州当局が軍事投資の強化を探るのではないかとの懸念から、投資家は欧州全域で国債利回りが上昇する可能性があるとみている。 
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、欧州主要国の国防強化とウクライナの防衛には今後10年間で3兆1000億ドル(約470兆円)の追加費用がかかり得ると推定。
ダンスケ銀行のミナ・クーシスト氏らストラテジストは、「和平合意が金利市場に与える最大の影響は、ガソリン価格下落によるディスインフレ効果よりも、むしろ財政支出の増加によるものだ」とリポートで分析。「財政支出の増加は長期的にインフレ加速につながり、イールドカーブのロングエンドに圧力が加わるだろう」と指摘した。
売り圧力はユーロにもかかっている様子だ。ユーロは月初からドルに対して1%以上余りしているが、米商品先物取引委員会(CFTC)の直近のデータによると、投機筋はユーロに対するショートを今年最高の水準に積み上げた。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「米ロの和平協議は、欧州に大きな負担を移管することになりそうだ」と指摘。「防衛費増額と相まって、これが欧州債の長期的な債券供給を押し上げるとの見方が多い」と述べた。
為替市場で低金利の円を調達して高金利通貨を買う「円キャリー取引」に異変が起きている。金利差を利用して収益を狙う投資家は、変動が大きいドルではなく欧州通貨で円買いに必要な資金を調達し始めた。
ドルを基軸とした投資戦略は、トランプ米大統領の貿易関税案で生じた市場の先行き不透明感によって難局に直面している。関税案がドル高の材料となるのか、それとも交渉戦術に過ぎないのか投資家は疑問視している。
円高を予測する一部の運用会社は、日本との金利差を収益とするためにドルではなく欧州通貨を絡めた戦略を採用している。
バンガード・アセット・マネジメント、ラッセル・インベストメント、RBCブルーベイ・アセット・マネジメント、カンドリアムが該当し、ユーロ、スイス・フラン、ポンドの円に対するショート(売り持ち)を行っている。こうした背景には、大きなリターンが見込めることに加え、値動きの予測が一段と困難になっているドルよりも安全だと考えられていることがある。
UBSグループのマクロ・ディストリビューション部門のグローバルヘッド、エイドリアン・ボーラー氏は「ドルのリスクを負わずに円取引を行う方法の一つは、クロス円で取引することだ」と語る。「ドル・円を避けることで、トランプ氏に関連するヘッドラインリスクを排除し、より確度の高い円取引を行うことを選択している」と説明した。
約5年にわたる円安基調の後、円はようやく低利回り通貨というレッテルを変える準備が整ってきた。日本銀行はデフレが終焉(しゅうえん)したことを認め、政策金利を0.5%からさらに引き上げていく方針を示している。
投資家は特に、欧州の通貨に対して円を買うことに意欲的だ。欧州の多くの国々が自国の経済を支えるために積極的な利下げを行う見通しであるのに対し、日銀は金融引き締めを行っていくからだ。
トレーダーは、欧州中央銀行(ECB)が今年少なくともあと3回、0.25%の利下げを行うと予想している。これに対し米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ予想は1回のみであり、ユーロ安に働く可能性が高い。一方、日本では賃金上昇の兆しが見られ、日銀は2025年に少なくともあと1回利上げに動くとの期待が高まっている。
こうした状況から、円は1月以降、スイス・フラン、英ポンド、ユーロに対して約2%上昇している。
「経済面でも政治面でも、ユーロには対円での下落圧力がかかっている」と、ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストは指摘する。
シティグループ、ラボバンク、ダンスケ銀行はユーロが年末には150円を割り込むと予測、ダンスケ銀は現在の160円から12%下落して141円になるとみている。
オプション市場は年初来、円に対する欧州通貨のセンチメント(市場心理)の弱さを示している。対円でのスイス・フランのいわゆるリスクリバーサルは2カ月ぶりの弱気水準に近づき、トレーダーは160円への下落に対する警戒感の高まりを指摘する。スイスがマイナス金利への回帰の可能性に直面しているためだ。
年初来のユーロ・円のボラティリティーはユーロ・ドルに比べて落ち着いている。この2つの通貨ペアのスプレッド(格差)は、昨年の米国大統領選直前から縮小をたどり、オプション市場が主にドルクロスの形で関税リスクプレミアムを反映し始めた時期と一致する。
ブルーベイのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は、米国の関税に関する騒動を無視して円高に賭ける手段として、対ユーロとポンドで円を買ったと述べた。
バンガードの国際金利責任者アレス・クートニー氏も、昨年12月にユーロと韓国ウォンとともに、フランに対して円を買い始めたと話す。「円はかつてわれわれが最も好むショートポジションの一つだったが、今では最も好むロングポジションの一つとなっている」と語った。
米国で昨年12月に中古住宅の売却を取りやめた件数が増加した。米住宅市場が機能不全に陥りつつあることを示す最新の兆候だ。
不動産情報会社コアロジックのデータによると、12月に買い手が見つからず、売り物件を取り下げたケースは約7万3000件に上った。
冬季には積極的に住宅を探す人が減り、中古住宅の売却取り下げは増加しやすい。だが昨年12月は例年よりもその傾向が強く、売り出し中だった物件のほぼ10件に1件が取り下げられた。前年同月比で64%増加した。
多くの売り手は一時的に取り下げ、春に再び売り出す方が効果的だと考えている。だが売却取り下げの急増は、2024年を通じて住宅市場に出された物件の多くが余剰在庫として残り、冬の到来とともに取り下げざるを得なかったことを物語る。それに加え、表面的な在庫数が示す以上に、積もり積もった売りの意欲があることもうかがわせる。
ここ数年の米住宅市場を特徴づけてきたのは、超低金利の住宅ローンで持ち家を購入した人々が、その金利を手放したくないため、同じ家に住み続けているという状況だった。住宅ローン利用者の約3分の2は4%未満の金利で借りている。そのため、中古住宅の供給が滞り、米国の住宅価格を過去最高水準に押し上げていた。
だがそのロックイン(囲い込み)効果は徐々に薄れている。仕事の都合や家族の増加など、先延ばしできない人生のイベントで転居の必要がある人が増えているためだ。全米不動産協会(NAR)のデータによると、12月の中古住宅の売り物件数は115万件で、前年同月比16%増加した。
売り物件は増えたものの、買い手が現れないため、2024年の中古住宅販売件数は約30年ぶりの低水準にとどまった。
需要の弱さにもかかわらず、中古住宅の価格は少なくとも現時点では底堅さを保っている。所有者は近隣物件の成約価格を下回る水準での売却を望んでおらず、期待値の調整に乗り出す気配はない。売却の取り下げは恐らく一種の安全弁として機能し、売り手が値下げを受け入れるのではなく、売却を先送りする手段となっている。
一方、新築住宅の価格は下落傾向にある。初めて住宅を購入する層向けに床面積を縮小し、手頃な価格にしていることが一因だ。それでも売れ行きは思わしくない。全米住宅建設業者協会(NAHB)のデータによると、12月の入居可能な新築住宅の在庫件数は前年同月比46%増の11万8000件に達した。
12月は住宅市場にとって異例の逆風が吹いた可能性もある。30年物住宅ローンの固定金利は次第に上昇して24年末時点で7%に迫り、需要の重荷となった。第2次トランプ政権下で米経済の方向性が明確になるまで、一部の買い手は様子見をするとみられる。
だが中古住宅の売却取り下げと新築住宅の売れ残りが今後何カ月も高水準で推移すれば、売り手にとっては悪い兆候となる。不動産分析会社グリーンストリートによると、一戸建て住宅の賃貸を手がけるインビテーション・ホームズとアメリカン・ホームズ4レントの株価はそれぞれすでに純資産価値を33%と22%下回る水準にあり、米国の住宅価格が調整局面に入る可能性があるとの投資家の見方を反映している。
また売り物件の取り下げ増加は、住宅取引が回復次第、市場に戻ってくる「影の在庫」があることも意味する。そうなれば、たとえ春になって買い手が現れても、住宅価格に下押し圧力がかかるかもしれない。
米国の欧州同盟諸国は、第2次トランプ政権との関係が困難なものになると分かっていた。そうであっても、ここ数日で彼らが米政府から受けた衝撃は危機に等しい。米国からの警告はおおよそ次のようなものだ。「しっかりしろ、さもなければ米国は出て行くぞ」
まずはウクライナ戦争の話からだ。これは1945年以降に欧州の地で起きた最大の軍事紛争であり、欧州大陸諸国の指導者たちは、自分たちの安全保障が危機にさらされていることを認識している。しかし、ドナルド・トランプ大統領のメッセージは、ウクライナ戦争がどのように解決されるべきかについて、欧州の人々がどう考えているかなど米国は気にしていないというものだ。
トランプ氏は先週、この紛争の終結について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談した。この出来事は欧州を驚かせた。ピート・ヘグセス米国防長官もまた、同盟・友好諸国に相談することなく、ウクライナは2014年のロシアによる最初の侵攻で失った領土の回復を期待すべきではないとの考えを明らかにした。トランプ政権のウクライナ・ロシア担当特使キース・ケロッグ氏は記者会見で、欧州諸国が和平交渉で役割を果たす可能性について問われ、「それはないだろう」と述べた。
これらは北大西洋条約機構(NATO)の同盟国に対する侮辱だ。これらの国々は、プーチン氏の帝国主義的な野望によって安全保障が脅かされており、ウクライナの防衛に資金や装備を供与してきた。だが、この無礼な言動は、現実を認識したものでもある。ウクライナへの支援提供では、あまりに多くの欧州各国政府、特に最大の政府の対応が遅過ぎる上、規模もごくわずかだ。それは戦略的な信念が欠如していたり、何十年にもわたって軍事ではなく福祉に支出してきたりしたためだ。
トランプ政権は、ウクライナ戦争への寄与に関して騒いではいたが先延ばししてきた欧州を、寄与を理由にして交渉のテーブルに着かせることに消極的なように見える。米国が在欧米軍の兵力縮小でロシアと合意する可能性をヘグセス氏が示唆していることなど、トランプ氏の和平交渉へのアプローチの多くは、米国自体の利益にまったくそぐわないものだ。だが、自国の安全保障に関する決定を自ら下さず、他国に委ねるという立場を選んだのは欧州だ。
欧州で先週、トランプ政権にとってより大きなテーマだったのは、その点だとわれわれは思っている。フランス・パリで開かれた人工知能(AI)に関するサミットで、JD・バンス米副大統領は身が引き締まるような警告を発した。バンス氏は欧州が今日の最先端技術を規制し過ぎることがあれば、欧州は次の産業革命で後れを取るだろうと述べた。欧州の人々は米国の当局者から、欧州が経済統制政策によって自らを貧困化していると、これほどまで率直に告げられることに慣れていないが、誰かが言う必要があった。
その後、バンス氏はドイツ・ミュンヘンで、一層驚くような批判を展開した。同氏は欧州にとって最大の安全保障上の脅威が「域内からの脅威」だと述べた。彼は、主流派の政治家が自らの力を右派や左派の新興政党に奪われることを心配する中、「誤情報」や人種差別主義などの問題をしばしば名目にして、反体制派を積極的に締め付ける政治風土が存在すると指摘した。それに隠された意味は、民主主義のために米国が欧州を守ることを期待するのなら、欧州ははっきりと認識できるほどに民主的である必要があるということだ。
こうした介入に対して欧州各地から怒りの声が上がった。一部には理由があった。ドイツの政治家にはバンス氏を腹立たしく思う理由がある。同氏が選挙の1週間前に極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」への遠回しな支持を表明したことだ。それは間違いだった。次期首相になる公算が大きく、AfDよりはるかに親米的な中道右派のフリードリヒ・メルツ氏の立場を弱める格好になったからだ。
しかし欧州の人々は一般的に、少なくともウクライナと防衛問題に関しては、トランプ氏のチームに一理あることを渋々認めている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は今週、ウクライナ停戦交渉への対応について話し合うため、欧州の主要国が参加する緊急首脳会合を開催する予定だ。首脳たちは、欧州が役割を果たす方法は「具体的な提案やアイデアを出し、(防衛)支出を増やす」ことだとするケロッグ氏の忠告に耳を傾けるべきだ。
後者の点に関して、英国のキア・スターマー首相は先週末、財務相の判断を覆し、同国の国防支出の国内総生産(GDP)比を財務省が目標とする2.3%ではなく2.5%に引き上げるよう主張した。しかし軍の指導者たちはさらなる支出拡大が必要だと考えている。この新たな目標にも期限は設定されておらず、経済成長がほぼ止まり、政府の財政状況がひどく悪化している中で、目標を巡り厄介な政治的駆け引きが行われるだろう。そこで、バンス氏は経済成長の重要性を説いたのだ。
米国が欧州から撤退するなら、それは歴史的な誤りとなり、米国の利益を損なうことになる。しかし欧州は先週以降、トランプ氏が欧州大陸のことには関与せず各国の判断に委ねる用意があるかもしれないことが分かった。欧州はそれに応じて行動する必要があり、経済を再生し自国の防衛への投資を拡大することが不可欠かつ緊急な課題だ。
コートジボワールの中央部全域に降る大雨によりカカオの木が強くなり、4月から9月の中期作物の生育条件が改善されると農家らは月曜日に述べた。
チョコレートの主原料であるチョコレートの世界最大の生産国であるコートジボワールは、11月中旬から3月まで雨がほとんど降らない乾季にある。
農家は、先週、国の中央部で例年を上回る降雨があったため、暑い天候により中期作物の収穫期の開始が遅れ、豆の供給が逼迫するのではないかと懸念していた。
農家は、水分が若いカカオの実の生存を助けると期待されるため、今は喜んでいると語った。彼らは、カカオの木の収穫量を増やすには、今月末までにもう一度雨が必要だと付け加えた。
「木々はもっと元気になるだろう。水不足で多くのカカオの木が弱っていた」と、
先週5年間の平均より11.3ミリ多い18.2ミリの雨が降ったヤムスクロ中部地域の近くで農園を営むエティエンヌ・ブルーさんは語った。
降雨量が例年を上回ったボンゴアヌ中央部と、降雨量が例年を下回ったもののカカオの木を育てるのに水分量は十分だったと農家が述べたダロア西中央部でも、同様のコメントがあった。
雨量が例年を下回ったスーブレ西部とディボ南部の農家、また雨量が例年を上回ったアグボヴィル南部とアベンゴルー東部の農家は、生育状況は引き続き良好で、多くのシェレルが小さな実に変化していると語った。
これらの地域の農家は、3月から雨が定期的に降れば、中間期の収穫は昨シーズンと同じくらい豊作になるだろうと付け加えた。
「3月以降に十分な雨が降れば、中期作物に十分な豆が収穫できるだろう」と、スーブレ近郊で農業を営むクアシ・クアメさんは言う。スーブレでは先週、例年より7.2ミリ少ない1.2ミリの雨が降った。
先週のコートジボワール全土の週平均気温は27.8度から33.2度の範囲でした。
日本の社債市場が活況だ。景気が回復し、日本銀行が超金融緩和政策からの脱却を進める中、金利上昇に先手を打つ企業の姿勢が発行ラッシュを後押ししている。
ブルームバーグのデータによると、2024年度の社債発行総額は17日時点で約14兆6800億円と、同期間として過去最高に達した。年度末まで残り6週間にも多数の起債が予定されている。
発行ラッシュは日本経済に大きな変化が起きていることを示す一例だ。日本経済はようやくデフレからインフレへ転換しつつあり、日銀は世界最長となった超金融緩和政策を終了した。一連のコーポレートガバナンス(企業統治)改革により、企業に資本効率の向上を求める動きも強まっている。これら全てが企業に社債発行を急がせる号砲となった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資銀行本部の諏訪一キャピタル・マーケッツ・グループ長は、発行企業の顔ぶれが広がっており、「同じ企業でもより大きい調達に動いてくる」と話す。
日本企業の社債発行額は過去最高
日本の長期金利は足元で約15年ぶりの高水準に到達。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値では、現在0.5%の政策金利は27年に1.1%へ上昇する見込みだ。ただ、企業経営陣からは利上げは景気回復を反映した結果とポジティブに捉える声が聞こえてくる。
三井不動産の植田俊社長は1月に経済3団体が共催した新年祝賀会で記者団に対し、「利上げは成長の裏返しでもある」とコメント。短期的にはデメリットがあるとしつつ、「長期で見ると成長の証しであり、本来あるべき姿に戻ろうとするプロセス」だとの見方を示した。三井不では円での借り入れの9割を長期の固定利付きで固めているとも明かした。
円建て社債の平均利回りを示すブルームバーグの債券指数は1.39%と1年前の0.87%から上昇したが、借り入れコストの国際比較では依然最も低い水準にある。
ガバナンス改革
企業にガバナンス改革や資本効率の向上を迫る圧力も社債発行が増えている要因の一つだ。業績や株価を押し上げる優良なプロジェクトを動かすには資金が必要で、企業も追加で負債を抱えることに前向きになっている。
ソニーグループは総額1100億円の社債を通常より短いマーケティング期間で起債する方針で、日本の社債市場が世界基準に近づいていることを示唆する。
企業による大型の合併・買収(M&A)の増加も社債の発行につながっている。総合通信大手のKDDIはコンビニエンスストア大手ローソンの株式公開買い付け(TOB)に伴う借入金の返済に充てるため、24年度に総額5100億円と年度ベースで同社として過去最大額の社債を発行した。
日本の事業会社や金融機関は海外でも発行を増やしている。ブルームバーグが集計したデータによると、日本の発行体と海外子会社による今年度これまでのドル建ておよびユーロ建て起債額は約890億ドル(約13兆5000億円)と、同じ期間としては過去3年で最も多い。
現在の社債発行ブームには注意も必要だ。日本企業は潤沢なキャッシュフローを持っており、今後借り入れを続ける意欲が減退する可能性は否定できない。日銀のデータによると、民間の非金融法人が保有する現金は約350兆円に達し、1990年代後半のほぼ2倍となっている。
日本経済にはトランプ米大統領の関税政策の脅威もある。円相場の変動が大きくなり、輸出企業を中心に業績の不確実性が高まっている。
もっとも、市場のボラティリティーが高まると社債を発行しにくくなるリスクが出てくるため、世界経済の混乱リスクはむしろ企業に社債の前倒し発行を促す可能性もある。
大手外食グループのすかいらーくホールディングスの谷真会長はブルームバーグの取材に、経済が混迷して金利が上がるかどうか不透明な中で、できるだけ今年の上半期に「社債も含めて資金調達をしっかりと実行したい」と語った。
●中東情勢
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
米国の洋上風力発電に関連したインフラと供給網に対する投資を予定していた企業各社が、計画を撤回しつつある。トランプ米大統領が連邦政府による支援を廃止する姿勢を示していることを含め、プロジェクトが強い逆風にさらされているからだ。
米国の洋上風力発電産業はこの2年、急激な減速に陥っている。多くのプロジェクトで長期にわたる遅れやコスト増大が生じ、計画中止に至った例さえある。期待されていた数千人の雇用や数十億ドルの投資に影響が及びかねない状況だ。
洋上風力発電の業界団体オーシャンティックでマーケテイング・広報担当シニアバイスプレジデントを務めるステファニー・フランクール氏は、「プロジェクトがまったく頓挫してしまえば、影響は特定の州にとどまらず、全国的なサプライチェーンに波及する」と語った。
2022年には、市場調査会社4Cオフショアが、米国市場ではバイデン前大統領が掲げた「2030年の時点で30ギガワットの洋上風力発電所を建設」という目標を上回るとの予測を発表していた。だが同社は昨年予想を修正し、30年時点での導入規模は25ギガワットに届かないとしている。
ニュージャージー州の本格的な洋上風力発電用港湾は、米国東海岸における風力発電産業の拡張に向けた最初の拠点になるという触れ込みだったが、用途が変更されることになった。洋上風力発電を支援する新規造船に向けた数十億ドルの契約は立ち消えとなり、メーカーも計画を撤回している。公式発表の他、企業幹部や業界団体関係者、州政府当局者10人に対するロイターの取材で明らかになった。
洋上風力発電はかつてクリーンエネルギー分野における有望な成長分野と考えられていた。だがコスト急騰による打撃に加え、最近ではトランプ政権が、連邦政府管理地の貸与や許認可、補助金などの形による支援策を打ち切るとの展望が追い討ちとなっている。
トランプ氏は1月、洋上風力発電事業向けの連邦政府管理地の貸与を停止する大統領令に署名し、風力発電用タービンについて、「景観を害し、高コストであり、野生生物にとって有害だ」と評した。
トランプ大統領は地球温暖化をでっちあげだと称し、すでに過去最高の水準にある米国の石油・天然ガス生産を最大化することに政策を集中させると約束した。また、バイデン前大統領が気候変動対策に振り向けた公共支出を削減すると宣言している。
<船舶、港湾、ケーブル>
オーシャンティックでは、造船産業では洋上風力発電向け船舶の受注が急減しており、造船産業にとどまらず、国内鉄鋼メーカーにも影響が及ぶ可能性があるとしている。
オーシャンティックによれば、造船産業は過去10年のあいだに総額で約20億ドル相当の受注を獲得した。内容は、洋上風力発電タービンの建設やスタッフ・補給品の運搬に用いる数十隻の船舶だ。
このうち約15億ドルは建造中か着工待ちの状態にある。だが2024年の船舶の注文はわずか1隻にとどまった。洋上風力発電産業向けの船舶の建造や改修は、13州にわたる20カ所以上の造船所が担っている。
オーシャンティックのフランクール氏は、「中西部一帯の造船会社や鉄鋼メーカーは、受注増を当て込んで工場を拡張していたのに、期待していた取引を失ってしまった。小規模メーカーは空白の受注一覧表を前に途方に暮れている」と話す。
ニュージャージー州経済開発庁は今月、セーラム郡に建設予定だった洋上風力発電支援に特化した港湾について、代替用途の検討を急いでいると述べ、一因として連邦政府の方針変更に触れた。
このプロジェクトは用地面積にして220エーカー規模で、2020年に米国初の洋上風力発電支援に特化した港湾としてニュージャージー州が提案したものだ。長さ数百フィート、重量は満載時のボーイング747ジェット機を上回るという巨大な風力発電用タービンに対応できる施設を備えるはずだった。
「ニュージャージー州における洋上風力発電の長期的な可能性を今も信じているが、納税者の資産を預かる立場として、すべての選択肢を評価する必要がある」と同州経済開発庁は声明で述べた。
これに先立って、同州の公益事業監督当局は、先日行われた州調達プログラムの入札に唯一参加していたアトランティック・ショアーズとの契約を撤回した。アトランティック・ショアーズはEDFとシェル(SHEL.L), opens new tabの合弁事業だが、シェルは先月撤退した。
競合するデンマーク企業オーステッドは計画中の港湾の利用契約を結んでいたが、23年末にニュージャージー州でのプロジェクト2件を中止した。
ニュージャージー州南部商工会議所のクリスティーナ・レンナ代表は、この港湾が創出するものと期待されていた数千人分の雇用が危うくなっている、と指摘する。
「他の洋上風力発電企業が来てくれるのが理想だが、この状況では難しいだろう」とレンナ代表は述べ、この港湾は石油・天然ガス産業や大手メーカーにとっても有益だろうと続けた。
ニューヨーク州では、風力発電産業が沖合のプロジェクトに向けてブレードやタワーなどの部品を製造する工場に20億ドルを投資することで、ハドソン川に面した2つの港湾が潤うものと期待されていた。
だが昨年にはエネルギー企業GEベルノバが大型洋上風力タービンの計画を撤回、コイマンズ港で機器を生産する合意から離脱した。
オールバニー港は21年、風力発電用タワー工場計画を支援するため、数百万ドルの設備刷新投資に着手したが、その後、コスト高騰のために計画は棚上げとなっている。
海底ケーブルメーカーも撤退しつつある。
イタリアのプリズミアンは1月、洋上風力発電向けの海底ケーブル製造施設をマサチューセッツ州に建設する計画を中止すると発表した。
プリズミアンはトランプ大統領就任の翌日に計画変更を発表したが、政治的な理由による決定ではないとしている。広報担当者によれば、同社の送電関連ビジネスの受注残は180億ユーロに達するが、すべて欧州市場分であるという。
プリズミアンと競合する韓国LSコープ傘下のLSグリーンリンクは、バージニア州チェサピークで総工費6億8100万ドルを投じた海底ケーブル製造施設を計画しており、変更はないと述べている。LSグリーンリンクは、この工場では欧州の顧客向けの生産も想定しており、必要に応じて陸上ケーブルの生産も可能だという。
だが、LSグリーンリンクでマネージングディレクターを務めるパトリック・シム氏は、この製造施設の拡張については計画を見合わせていると話す。
シム氏はロイターの取材に対し、「拡張するとなれば投資額は9-10ケタ、雇用も数百人規模になるが、とにかく現時点では白紙の状態だ」と述べた。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
**外為市場**  
・日本のGDP成長率が予想を上回り、円が上昇。  
・ドル/円は151.44円まで下落、日銀の追加利上げ観測が強まる。  
・市場は12月までに約37bpの利上げを織り込み。  
・豪ドル、NZドルが2カ月ぶり高値を記録。  
**ロンドン株式市場**  
・防衛関連株の上昇を受け、FTSE250指数は0.1%上昇。  
・BAEシステムズが約9%上昇、欧州防衛支出拡大の期待。  
・不動産関連株は利回り上昇の影響で下落。  
**欧州株式市場**  
・STOXX欧州600種指数が0.5%上昇し、最高値を更新。  
・防衛関連株が急騰、サーブ(+16.2%)、ラインメタル(+14%)など。  
・ドイツDAX指数も1.3%上昇し、最高値を記録。  
**ユーロ圏債券市場**  
・ドイツ10年国債利回りが2.5%まで上昇、国債発行増の懸念。  
・ECBの利下げ観測は年内3回(合計75bp)で据え置き。  
・独伊10年債利回り格差は107.5bpに拡大。

昨年の世界の高級品販売は、中国の不動産危機やインフレで約2%減少したが、エルメスはLVMHやグッチなど同業他社を上回る好業績を残した。
アクセル・デュマ会長は記者会見で「厳しい環境の中、当社は素晴らしい1年を祝っている」と語った。
デュマ会長は「関税に適応していく。それに応じて値上げする」と述べた。
今年は生産コストの上昇と為替レートの動向を受けて6-7%の値上げを行う予定。値上げ率は昨年をやや下回るという。
P&Gが下落 今年度の既存事業売上高のガイダンス、恐らく「机上の空論」との指摘=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
アプライドが決算受け下落 輸出規制の影響で売上高見通しを控えめに=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
Ken Griffin’s Citadel bets £300mn against drugmaker GSK
(Google翻訳)ヘッジファンドのシタデルは、製薬メーカーのGSKに対して3億500万ポンドの投資を行った。これは同社に対する過去10年以上で最大の空売りポジションとなる。
ブレイクアウト・ポイントがまとめた金融行動監視機構のデータによると、億万長者のケン・グリフィン氏のヘッジファンドは火曜日にネットショートポジションに入ったことを明らかにした。その金額は同社株の0.51%に相当する。 
GSKの株価はライバルの製薬会社に遅れをとっている。同社は、10年後に特許切れを迎えるHIV治療薬に代わる新薬やワクチンの開発計画について投資家を興奮させることができなかったからだ。過去5年間でGSKの株価は15%下落したが、S&P500製薬株指数は45%上昇した。 
GSKの最高経営責任者(CEO)エマ・ウォルムズリー氏は、ヘッジファンドのエリオット・マネジメントが2021年に同社に数十億ポンドの株式を取得した際に、すでに物言う投資家との戦いに直面している。エリオットは、ウォルムズリー氏が科学のバックグラウンドを持たないことから、同社にとって適切なリーダーなのか疑問視した。また、GSKに対し、後に分社化された消費者向けヘルスケア事業のハレオンに対する買収提案を検討するよう圧力をかけた。
JPモルガンのアナリストらは、第4四半期の利益と同社の2025年までの見通しは「良好」だと述べた。しかし、アナリストらは「HIV特許崖の開始から3年が経過し、後期パイプラインがまだかなり薄い中で、市場は自社株買いの論理に疑問を抱くかもしれないと考えている」と付け加えた。バークレイズのアナリストらも自社株買いは「予想外」だったと述べたが、ジェフリーズのアナリストらは、この動きは「好意的に受け止められた」と述べた。  
GSKの株価は、胸焼け薬ザンタックをめぐる訴訟が浮上した2022年8月に暴落した。しかし、GSKが昨年10月にほとんどの訴訟を22億ドルで和解したとき、株価は以前の水準に戻らなかった。 
同社はまた、2つの主要製品に関して予想外の悪い知らせに見舞われた。2022年、GSKは、迅速承認を受けた医薬品に対するFDAの要件を試験が満たさなかったため、抗がん剤ブレンレップを米国市場から撤退させた。同社は現在、さらなる研究を経て、この薬が2025年7月までに規制当局から再承認されると予想している。 
RSウイルス(RSV)ワクチン「アレキシー」の売上は、米国の諮問委員会が予想外に使用制限を勧告したため、昨年後半に減少した。 
ヘッジファンド投資会社LCHインベストメンツのデータによると、シタデルは世界最高の成績を収めているヘッジファンドだ。同社は株式を含む幅広い資産に投資する何百ものトレーディングチームを抱えている。シタデルは今年初め時点で650億ドル相当の投資家資本を運用しており、2024年には15.1%増加した。
France’s Safran calls for European governments to buy from local defence groups
TSMCがインテル米工場運営を検討、トランプ政権要請で-関係者 - Bloomberg
ブロードコムとTSMC、インテル分割につながる取引検討 - WSJ
半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)と米半導体製品大手ブロードコムは、競合する米半導体大手インテルを2分割する可能性のある取引をそれぞれ検討している。
事情に詳しい複数の関係者によると、ブロードコムはインテルの半導体設計・マーケティング部門を詳しく調査している。アドバイザーと非公式に買収提案について協議しているが、インテルの製造部門のパートナーが見つかった場合にのみ提案する可能性が高いという。
ただ関係者によると、インテルに対してまだ何の提案も行われておらず、ブロードコムは買収を目指さない可能性もある。
これとは別に、TSMCは投資家コンソーシアムなどの形態でインテルの半導体工場の一部または全てを運営することを検討していると、協議に詳しい関係者が明らかにした。
ブロードコムとTSMCは共同ではなく個別に検討を行っており、またこれまでの協議は全て予備的で非公式なものだ。
インテルが最近苦境に立たされ買収対象となったことで、こうした取引は考えられないものではなくなった。結果として、パソコンとデータセンター向けの中央演算処理装置(CPU)製造で数十年にわたり支配的地位を築いてきた、米国の象徴的企業が分割される可能性がある。
会社が分割されれば、製造か設計のいずれかに特化し、両方は手掛けないというここ数十年の業界の流れにも沿うものとなる。
事情に詳しい関係者によると、インテルのフランク・イヤリー暫定執行会長が、国家安全保障上、極めて重要とされる同社の先行きを懸念するトランプ政権当局者や、潜在的な買い手との協議を主導している。イヤリー氏は自身に近い人物らに対し、インテルの株主価値の最大化に最も注力していると話しているという。
インテルの苦境は、最小のトランジスタを使用した最速のチップ製造でTSMCに遅れを取ったことから始まった。昨年12月に最高経営責任者(CEO)を解任されたパット・ゲルシンガー氏の下での野心的な立て直し策も失敗に終わった。
インテルはまた、半導体製造部門の分離を始めている。一部のアナリストはこうした動きを会社分割の前触れとみている。
協議に詳しい関係者によると、インテルの工場に関する協議は初期段階にある。トランプ政権はTSMCにこの件について検討するよう要請したという。
ホワイトハウス当局者は、外国企業がインテルの工場運営に関与する取引を大統領が支持する可能性は低いと述べた。
TSMCとインテルの協議およびトランプ政権の関与については、すでにデジタイムズ、ブルームバーグ、ニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じている。
●日本企業
日鉄によるUSスチール少数株式取得「容認」、トランプ氏が表明 | ロイター
日鉄とUSスチールには寝耳に水、トランプ米大統領の「投資」発言 - Bloomberg
本命は三菱自動車 ホンダが日産より欲した秘石「スリーダイヤ」 - 日本経済新聞
日産、R&Iが格下げ 業績低迷でシングルAマイナスに - 日本経済新聞
セブン-イレブン、米国での生鮮食品強化が鍵-買収案巡る攻防続く - Bloomberg
●先進国政治動向
米副大統領、独極右政党への支持を表明 独政府「選挙干渉」 | ロイター
トランプ氏「欧州は言論の自由失いつつある」、副大統領演説に呼応 | ロイター
米、4月2日めどに自動車関税発動 トランプ氏が表明 | ロイター
トランプ米大統領は14日、米国が輸入する自動車に対して4月2日ごろ関税を課す考えを明らかにした。トランプ氏は関係省庁に、さまざまな輸入品に対する関税の選択肢を調査して4月1日までに提出するよう命じている。
トランプ氏はホワイトハウスの執務室で行われた大統領令の署名式で、自動車関税の導入時期について問われ、「おそらく4月2日頃だろう。本来なら4月1日にしていただろうが、4月2日にする」と答えた。
トランプ大統領はこれ以上の詳細を明かさなかった。同氏は外国市場で米国製自動車が不公平な扱いを受けているとして問題視してきた。例えば、欧州連合(EU)は自動車輸入に10%の関税を課しているが、これは乗用車に対する米国の関税率2.5%の4倍の水準に相当する。一方、米国は利益率の高いピックアップトラックには25%の輸入関税を導入している。
米自動車大手フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、「米国へのすべての自動車輸入を検討するというトランプ大統領の考えを称賛する。これは重要な前進だ」と、Xに投稿。「包括的な貿易政策は、米国自動車産業を強化するという大統領のビジョンを実現する上で不可欠だ」とした。
米副大統領、欧州の規制・政治巡り批判展開 独国防相ら猛反発 | ロイター
米国のバンス副大統領は14日、ドイツで開幕したミュンヘン安全保障会議の基調演説で、ロシアによるウクライナ侵攻について「合理的な解決」が達成されることを望むとの考えを示した。ただ、ウクライナに関する言及は少なく、ヘイトスピーチや誤情報の規制を巡り欧州連合(EU)を激しく非難する場面が目立った。これに対しドイツのピストリウス国防相が激しく反発。ウクライナ和平を巡る議論に影を落としている。
バンス氏は、欧州の政治家が自国民を恐れていると強い口調で非難。欧州の民主主義に対する真の脅威はロシアや中国ではないとした上で、「私が懸念しているのは内部からの脅威、つまり欧州が米国と共有する最も基本的な価値観から後退していることだ」と主張した。
ピストリウス独国防相はこの発言について「受け入れられない」と反発。ドイツだけでなく欧州全体の民主主義に疑問を投げかけたと反論した。
欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表も、米国が欧州に「けんかを売ろうとしている」ように感じられたとの見方を示した。
この衝突はトランプ米新政権と欧州首脳の見解の相違を浮き彫りにし、長年の同盟国である米国と欧州がウクライナ問題などの問題で共通の立場を見出すことを困難にした。
多くの会議出席者は、驚いて沈黙しながらバンス氏の演説を見守った。演説の間、拍手はほとんどなかった。
ロシアによる欧州政治への介入リスクについて否定する場面もあり、会場からは驚きの声が上がった。トランプ米大統領も、ロシアが2016年の大統領選に介入したとする米情報機関の主張を強く非難している。
トランプ米大統領が12日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナでの戦争終結に向けた交渉を直ちに開始することで合意したと言明する中、多くの会議参加者からはウクライナおよび和平交渉の見通しに関心が寄せられていた。
バンス氏は演説に先立ち、トランプ大統領はプーチン氏に対する影響力行使のために、経済的、軍事的な手段を使う可能性があると述べたほか、欧州諸国に対し国防費を増やすよう促した。
トランプ氏「相互関税」世界が身構え、貿易の新局面へ-個別交渉に軸 - Bloomberg
トランプ米大統領が各国の税制や規制にも批判の矛先を向けたことで、世界経済が大きな混乱に見舞われる可能性が出てきた。
トランプ氏は13日、貿易相手国が課す関税やその他の税、規制、為替レートなどの貿易障壁の合計に基づいて、米国が課す関税を新たに算出するよう経済担当高官に指示した。この「相互」関税は国ごとに算出される。4月1日までに提出される一連の報告書で明らかになる予定だ。米当局者によると、まずは対米貿易黒字が最も大きい相手国について調査する。
トランプ氏は選挙戦で一律関税の導入を掲げていたが、相互関税はこれに代わるものだとの認識を示している。米国の貿易データによると、相互関税によって欧州連合(EU)や中国、インド、メキシコ、ベトナムなどの国々が即座に標的となる。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は14日、トランプ氏が検討している相互関税は「誤った方向への一歩」だと批判。米国は「関税を引き上げることで自国民に課税することになる。企業のコストを上昇させ、成長を抑制する一方でインフレを押し上げる」と述べた。
他の主要貿易相手国の反応も素早かった。トランプ氏は13日に行ったインドのモディ首相との共同記者会見で、両国が貿易交渉を開始すると明らかにした。インド政府当局者によると、同国は米国からの石油・ガスの輸入を拡大したい考え。日本やベトナムなど複数の国も、すでに米国産石油・ガスの輸入拡大を表明済みだ。
アジアの輸出国
日本政府は14日、米政府との間で意思疎通を開始し、適切に対応していく姿勢を表明。武藤容治経済産業相は閣議後会見で「既に米国政府とは意思疎通を開始している。わが国の国益に資する形で日米の経済関係を進化、発展させるべく適切に対応させていただく」と語った。
台湾の頼清徳総統は中国に対する防衛力強化をアピールするため、軍事費の増額を表明。韓国は米国製品に対する実質的な関税率の低さを強調する声明を発表した。米政府高官によると、トランプ氏は米国を不当に利用しており、相互関税のターゲットとなるかもしれない国として日韓両国を名指ししている。
トランプ氏の計画が実行されれば、米国の関税政策は過去ほぼ1世紀にわたって続いてきた従来の方針から大きく転換することになる。また、特別な貿易協定を結ばない限り、すべての世界貿易機関(WTO)加盟国に関税などで「最恵国待遇」を与えなければならないという現在の国際貿易ルールは大きな打撃を受ける。「相互主義」との言葉はこれまで、むしろ関税引き下げを意味していた。
VATが標的に
トランプ大統領は今回、非関税障壁についてもやり玉に挙げた。中でも付加価値税(VAT)を問題視しており、他国の輸出業者は米国の輸出業者よりも不当に優位になると主張している。国際通貨基金(IMF)によると、世界では160カ国以上がVATか類似の消費税を導入している。
VATを導入しているEUなどの国・地域では、輸出業者が製品の出荷時にVATの払い戻しを請求できる一方、EUに輸入される米国製品には加盟国によって15-20%か、それ以上のVATが課されるため、欧州企業は米企業に比べて不当に有利に扱われていると、トランプ氏らは主張している。トランプ氏は「VATは関税だ」との立場だ。
キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏はリポートで、トランプ氏の相互関税は一律関税より米経済に大きな打撃を与える可能性が高いと述べている。
VATに各国の平均最恵国関税率を上乗せするだけで、米国の主要貿易相手国に対しては相当な報復関税が課されることになるとアシュワース氏は指摘。米国がVATと最恵国税率を合わせた相互関税を課した場合、最も大きな影響を受けるのはインド(29%)で、とブラジルや欧州連合(EU)が続くという。
このような関税を導入するだけで、米国が輸入品に課す平均実効関税率は現在の3%から20%程度に上昇するだろうと、アシュワース氏は予想。これに伴い、米国のインフレ率は一時的に上昇し、今年後半には約4%に押し上げられる可能性があると分析している。
新たな局面
ブッシュ(子)政権で通商担当高官だったジョン・ベロノー氏は、米国の動きは「世界貿易における新局面の幕開け」を告げていると話す。米国が自国の持つ力を利用して国際ルールに影響を与えるのではなく、財の二国間貿易に影響を与えようとしている点が従来から異なるという。関税を巡る貿易戦争をエスカレートさせることなく、米国が新たなディールを交渉できるというのが、期待できる最善のシナリオだと同氏は話した。
マスク氏の政治介入に代償 ドイツ次期首相候補が警告 - WSJ
米自動車業界、トランプ氏に働きかけ 関税やEV補助金巡り - WSJ
米自動車業界の幹部はドナルド・トランプ大統領の政策に異議を唱えており、今週は米フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)が首都ワシントンを訪れ、関税措置は自動車メーカーに打撃を与えることになると議員らに警告した。
事情に詳しい関係者らによれば、ファーリー氏はメキシコとカナダへの関税は、海外の競合企業を利することになると主張。また、フォードの声明によれば、同氏は連邦政府による電気自動車(EV)やバッテリー向け補助金の重要性を強調し、急速に台頭する中国のメーカーにさらに後れを取らないためにも必要だと述べている。
ファーリー氏は今週開かれた調査会社ウルフ・リサーチ主催のイベントで、「自動車業界では現在、世界規模の激烈な戦いが繰り広げられている」と発言。国内の自動車業界や全体的な製造業を強化するというトランプ氏の公約に期待を寄せてはいるものの、「今のところ、目にしているのは多くのコストと混乱だ」と付け加えている。
自動車業界幹部らはここ数週間、優先課題のリストを掲げワシントンでロビー活動を展開。テクノロジー業界など他セクターのCEOらと同様、政権高官やホワイトハウスに近い人物らと会談し、トランプ氏に対し自社の課題を直接訴えようとしている。
貿易関連では特にそうだが、トランプ政権の優先政策は国境を越えた事業展開を行い、製造業務で輸入に大きく依存する業界に動揺を与えている。提案されている関税は、一部で利益率をさらに圧迫する恐れがある他、EV向けの政府支援が撤回されれば、この技術に関する損失が拡大することも懸念される。
トランプ氏は13日、相互貿易に関する覚書に署名し、連邦機関に対し他国の既存の関税に合わせ米国の関税を調整する方法を検討するよう指示。この命令は直ちに関税を課すものではなく、商務省と米通商代表部(USTR)に対し次の段階に関する報告書を提出するよう指示している。調査は4月1日までに完了する見通しとなっている。
トランプ氏はまた、署名式が行われたホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、自動車関税も「まもなく」導入されると発言。「これらは多かれ少なかれ、同時期に導入される」と述べ、「われわれは国内の自動車生産を大幅に増やすつもりだ」と付け加えた。
小規模な部品メーカーから大手メーカーまで、自動車業界の幹部らはいつ、どのように関税が導入されるかを想定し、これに応じて異なるシナリオを検討することに多くの時間を費やしている。ミシガン州ディアボーンに本社を置くフォードは、関税が導入された場合の潜在的影響を分析し、サプライチェーン全体で対応策を策定するチームを設置しているとシェリー・ハウス最高財務責任者(CFO)は今週明らかにした。
またアナリストらや企業幹部によれば、トランプ氏が9日に発表した鉄鋼・アルミニウム輸入に対する25%の関税が3月に予定通り発効すれば、業界全体のコストを押し上げる可能性が高い。フォードのファーリー氏も、関税に関する臆測だけでもサプライチェーン内で価格を押し上げる可能性があると警告している。
自動車メーカーと部品サプライヤーは先週、トランプ氏がメキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税導入を1カ月延期したことで一時的な猶予を得た。アナリストらによれば、これらの関税はゼネラル・モーターズ(GM)の利益の半分以上を消し去り、多くの部品メーカーを破産に追い込む可能性があった。
一方で自動車業界幹部らは、数百億ドル規模のEV補助金が不安定なEV事業の採算性確保に不可欠と主張しているものの、トランプ氏はこれを撤回すると警告。政権はまた、自動車の燃費と排ガス規制に関する連邦規則の大幅な緩和も検討している。
GMのメアリー・バーラCEOは11日、トランプ氏がメキシコとカナダに対する関税を示唆した日から、同社が対策の準備を開始したと説明。デトロイトに本拠を置く同社は追加の資本支出なしで、新たな輸入関税の影響の30%から50%を軽減できるとみている。
ジープの親会社ステランティスのジョン・エルカン会長もトランプ政権の就任式前の数日間で2回、トランプ氏のもとを訪れたと同社広報担当者は述べた。両氏はステランティスが米国で計画している工場投資について協議し、その中には中型トラック生産のためにイリノイ州中部の工場を再開する考えなども含まれていたという。
Donald Trump, Lame Duck? - MarketWatch
トランプ米大統領、プーチン・ロ大統領との合意急ぐ-欧州置き去り - Bloomberg
●先進国中銀、金融当局
利下げに「慎重」、地政学やトランプ政策注視=米ダラス連銀総裁 | ロイター
日銀の黒田東彦前総裁、自民党の積極財政議連で講演へ - 日本経済新聞
●先進国経済指標
事情に詳しい関係者らによれば、ハワード・ラトニック次期商務長官は現代自動車などの幹部との非公開会合で、各社が米国での工場稼働と雇用を増やせば関税は課されないと強調している。
米1月の製造業生産0.1%低下、予想下回る 自動車が不振 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が14日発表した1月の製造業生産指数は0.1%低下した。自動車生産の急減が響いた。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は0.1%上昇だった。2024年12月分は当初の0.6%上昇から0.5%上昇に下方改定された。
1月の前年比は1.0%上昇。製造業部門は米経済の約10.3%を占める。
自動車・部品は5.2%大幅低下した。
耐久財は横ばいだった。非耐久財は0.3%低下。食品・飲料・たばこ製品などの製造が減少した。
鉱業は1.2%低下。12月は2.0%上昇していた。
公益事業は7.2%上昇。異例の寒波を受け暖房需要が高まったとみられる。12月は2.9%上昇だった。
鉱工業全体の生産指数は0.5%上昇。前年比も2.0%上昇した。
鉱工業部門の設備稼働率は77.8%上昇と、12月の77.5%から上昇。1972─2024年の平均を1.8%ポイント下回る水準にある。
製造業の設備稼働率は76.3%と、前月から0.1%低下。長期平均を1.9%ポイント下回った。
米輸入物価、1月は前月比+0.3% 緩やかに上昇 | ロイター
米企業在庫、24年12月は-0.2% 9カ月ぶりに減少 | ロイター
米小売売上高、1月は0.9%減 山火事や寒波で約2年ぶりの大幅減 | ロイター
米商務省が14日発表した1月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.9%減少した。厳しい寒波や西部カリフォルニア州で発生した大規模な山火事などが響き、2023年3月以来の大きな減少となった。第1・四半期初めに米国の経済成長が急激に減速した可能性がある。
エコノミスト予想は0.1%減。昨年12月は0.7%増に上方改定された。1月は前年比では4.2%増加した。
売上高の落ち込みは広範囲に及んだ。エコノミストは、輸入関税による物価上昇と不透明な経済見通しが、消費者に財布のひもを締めさせていると推測している。関税で商品の価格が上昇するとの見通しから先回り買いが先行したことで、ここ数カ月は小売売上高が伸びたが、消費者心理は悪化している。
<FRB利下げ休止見通しは変わらず>
INGの主任国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「おそらく人々は関税の話に混乱し、関税がすぐに適用されると考え、購入を検討すらしていないのだろう。これがより慎重な消費行動の始まりなのか、それとも単に天候に関連した反動なのかを知るには、2月のデータを待つ必要がある」と述べた。
ただ、昨年12月の小売売上高が大きく上方修正されたことで、1月の減少の影響は緩和。年末年始に特有の季節変動要因を除外することは困難なことも踏まえ、連邦準備理事会(FRB)は下半期まで利下げを休止するとの観測は変わっていない。
PNCファナンシャルのシニアエコノミスト、ジェイ・ホーキンス氏は、米国第2位の都市圏であるカリフォルニア州ロサンゼルス近郊で山火事が発生したことや、他の地域が厳しい寒波に見舞われたことで、実際に店舗を訪れる買い物客が減った可能性があると指摘。ネイビー・フェデラル・クレジットユニオンの企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は「(1月の)落ち込みは劇的だったが、衝撃を和らげる数点の要因があり、警戒する必要はない」と述べた。
RSM・USのエコノミスト、トゥアン・グエン氏は「経済の基調的な強さはほとんど変わっていない。この力強さが継続すれば、向こう数カ月で小売り売上高は回復する」との見方を示した。
<自動車や建設資材など減少、飲食店は増加>
自動車販売店の売上高は2.8%減少した。12月は0.9%増だった。家具は1.7%減、衣料品小売店は1.2%減少だった。
スポーツ用品、趣味用品、楽器、書店は4.6%急減した。一方、雑貨小売店は0.2%増した。
オンラインストアの売上高は1.9%減少した。サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.9%増加した。12月は0.1%の小幅増だった。エコノミストは外食を家計の重要な指標とみなしている。
建築資材は1.3%減少した。氷点下の気温が足かせとなったとみられる。ガソリンスタンドは0.9%増加、電気店は0.7%減少した。
自動車、ガソリン、建築資材、食品サービスを除く小売売上高は0.8%減。12月は0.8%増に上方改定された。
ユーロ圏GDP、第4四半期は前期比+0.1%に上方改定 | ロイター
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が14日発表した2024年第4・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)改定値は前期比0.1%増と、速報値の前期比横ばいから上方修正された。
前年同期比では0.9%増。速報値から修正はなかった。
第4・四半期の就業者数は前期比0.1%増にとどまった。22年初めから伸びの鈍化傾向が続いている。
ユーロ圏の今年のGDPは1%をわずかに上回ると予測されているが、この予測には下振れリスクがある。
消費は伸び悩んでおり、労働市場は軟調。製造業の低迷も続いている。米国による関税のリスクが投資の重しになっている。
天然ガスの高騰を背景にエネルギー価格も急上昇。エコノミストは、ユーロ圏経済の停滞が当面続くと予想している。
●金融市場、先進国トピックス
アングル:カナダで農家保護制度の欠陥あらわ、取引業者の破綻増 | ロイター
米家計債務、第4四半期は0.5%増の18兆ドル=NY連銀 | ロイター
米ニューヨーク連銀が13日発表した2024年第4・四半期の家計債務・信用統計によると、米国の家計債務残高は前期比0.5%増の18兆0400億ドルとなり、新型コロナウイルス流行前の19年第4・四半期と比べると3兆9000億ドル増加した。
ニューヨーク連銀は「消費者の家計負債状況は安定的な残高と住宅ローンの堅調なパフォーマンスにけん引され、かなり良い状態にある」としつつ、「自動車ローンについては、自動車の値上がりと金利上昇が相まって毎月の支払額が増え、所得やクレジットスコアの範囲を超えているのが消費者を圧迫している」と指摘した。
内訳では、クレジットカード債務残高が前期比450億ドル増の1兆2100億ドル、住宅ローン債務残高は110億ドル増の12兆6100億ドル、自動車ローン残高は110億ドル増の1兆6600億ドルとなった。
統計によると、信用面でもいくらかほころびが見られる。24年第4・四半期に何らかの問題を抱えた債務は3.6%と、前期の3.5%からやや上昇。延滞に移行する負債が「わずかに上昇した」クレジットカードを除いた借り入れは横ばいだった。
3カ月以上延滞している深刻な延滞に移行した借り入れは自動車ローン、クレジットカード、住宅クレジットラインで「上昇した」という。一方、住宅ローンは横ばいだった。
統計では、自動車ローンでは価格上昇と高水準のローン金利の問題が、所得水準によって異なる借り手に打撃を与えていると指摘した。とりわけ新型コロナ流行時に高価な中古車を購入し、自動車ローンで現在苦しんでいる消費者がそれに当たる。
しかし、状況は改善するかもしれない。ニューヨーク連銀のエコノミストらは「自動車価格下落は、最近組成された自動車ローンほど経過年数が長くなるにつれて良い結果をもたらす可能性があると示唆している」との見方を示した。
一方、24年第4・四半期には新たに約12万3000人の消費者が信用記録で破産とみなされ、前期より減少した。第4・四半期には、信用記録で第三者による取り立ての記載があった消費者は「比較的安定している」と説明された。
世界の電力需要、27年まで年4%増加へ 中国は6%増=IEA | ロイター
国際エネルギー機関(IEA)は14日発表した報告書で、世界の電力需要が2027年まで毎年4%のペースで拡大するとの見通しを示した。年間の電力需要の伸びは日本の総消費量を上回るという。
世界の電力需要の伸びの85%は新興国と途上国が占める見通し。伸びの半分以上は中国によるもので、中国の電力需要は27年まで年6%のペースで拡大すると見込まれている。
中国では20年以降、電力を大量に消費する工業部門や、太陽光パネル、バッテリー、電気自動車(EV)、関連材料の製造など電力集約型製造業の急速な拡大を背景に、電力需要が経済成長を上回るペースで伸びている。
空調、データセンター、5G(第5世代)ネットワークも電力需要増加の原因。
インドも世界の電力需要の伸びの10%を占める見通し。活発な経済活動やエアコンの急速な普及が背景。
米国など、これまで電力需要が停滞していた一部の先進国も、輸送、暖房、データセンターなどの分野で急速に電化が進むため、電力需要が拡大する見通しという。
欧州連合(EU)の電力需要の伸びは昨年7月時点の予測から1%ポイント下方修正され今年1.6%となる見込み。マクロ経済の見通し悪化が背景。21年の需要水準を回復するのは少なくとも27年以降になるという。
再生可能エネルギーや原子力といった低排出エネルギー源は、世界の需要増加傾向に対応できる見通し。電源構成で石炭のシェアを引き続き上回っているという。石炭のシェアは100年ぶりに33%を下回る見通し。
27年には太陽光が水力に次ぐ2番目に大きな低排出エネルギー源になると見込まれている。
機関投資家、PEからヘッジファンドに資金移動=BNPパリバ調査 | ロイター
仏金融大手BNPパリバの調査によると、企業の合併・買収(M&A)がここ数年枯渇しているのを背景に、機関投資家はプライベートエクイティ(PE)に再投資せず、資金をヘッジファンドにシフトしている。
ヘッジファンドから大量の資金を引き揚げてPEなどに資金を滞留させてきた機関投資家が、市況悪化を警戒して逆張り、もしくは市場の変動に影響を受けにくい取引手法を用いるファンドに資金を移動させていることが分かる。
BNPパリバ(ロンドン)のキャピタル・イントロダクション世界責任者、マーリン・ナイドゥー氏は、低金利、株価高騰の時代に投資家はアクティブ運用に背を向けてパッシブ運用に移行したが、最近はアクティブ運用に戻りつつある兆しが見られると指摘した。
年金基金や大学などの機関投資家は2022、23年にヘッジファンドから520億ドルもの資金を引き揚げる一方、当時コストが利回りを上回り始めていたPEやベンチャーキャピタルへの投資を維持した。
しかしPEのリターンの源泉となるM&Aはその後も活況を取り戻さなかった。
BNPパリバが調査した機関投資家のポートフォリオは昨年、差し引き222億ドル増加。ヘッジファンドには252億ドルが流入し、その約5分の1がPEから引き揚げられた分だった。「ロングオンリー」戦略の株式および債券ファンドからもヘッジファンドに資金が移った。
調査対象の投資家290社のうち、約3分の2が今後ヘッジファンドへの投資配分を増やす意向を示した。 
金地金をディーラーが空輸する理由、カギは価格差 - WSJ
しあなたが最近、欧州から米ニューヨークのジョン・F・ケネディー国際空港に向かう旅客便に搭乗したなら、米銀大手JPモルガン・チェースの金ディーラーのいちかばちかの大空の賭けは、そのすぐそばにあったかもしれない。
ドナルド・トランプ米大統領が欧州連合(EU)からの輸入品に対する関税発動をちらつかせる中、貴金属市場は大混乱に陥っている。金価格は過去最高値を更新し、二大取引市場のニューヨークとロンドンで価格差が大きく開いている。
ニューヨークの金価格は今のところロンドンに比べて相当な高値となり、大西洋を越える金地金の大移動がここ何年もなかった規模で起きている。主要銀行のトレーダーはロンドンの中世の街並みの地下に置かれた金庫やスイスの精錬所から金の現物を取り出し、海の向こうに急ぎ運搬している。
この貴重なコモディティー(商品)を安全に輸送する最も低コストな手段――それは民間航空機の貨物室だ。
ニューヨーク金先物は年初来11%上昇し、13日は1トロイオンス=2925.90ドルで引けた。一部のアナリストの予想では、近く初の3000ドルに達する可能性がある。金は多くの投資家からリスクが高まった際の資金の避難先とみられている。だがロンドンでは12月上旬以降、1トロイオンス当たりの価格が約20ドル安い水準で推移している。この異例に大きな価格の開きは、米国国境で課される可能性がある関税の影響だとトレーダーはみている。
市場関係者やアナリストによると、米JPモルガン・チェースや英HSBCホールディングスなど大量の金にアクセスできる数少ない大手銀行は、この価格差を利用できる有利な立場にある。
だが一部の銀行やヘッジファンドは、ニューヨークで損失が出ている取引を救済するための金地金を早急に手に入れなければ、痛手を被る可能性がある。一部の市場参加者への圧力を示す兆候として、金の借入金利が急上昇している。
その大きな理由は、ニューヨークに金を空輸する動きが急増し、英イングランド銀行(中央銀行)の地下保管庫から金地金を取り出すのに数週間の順番待ちが発生したことだ。ロンドンの金現物市場を監視する当局者は、手続きの簡略化を求める銀行関係者からの電話対応に追われていると、事情に詳しい関係者らは話す。イングランド銀行は順番が来るまで待つべきだと回答した。
こうした金を巡る混乱は、トランプ氏の世界貿易再編を目指す政策が、国際市場に波紋を広げていることの表れだ。同氏は最近、欧州の対米通商政策は非道だとして、同地域に懲罰的な関税を課す考えを示した。関税が金に直接影響するかどうかは不明だが、トランプ氏が今週、アルミニウムと鉄鋼に対する広範な関税を発表した後、金の価格差は拡大した。
金の高騰で、金を使用する米製造企業では赤字が拡大し、製品価格の決め方に苦慮している。コモディティー関連の融資を手がけるキロキャピタルのウェード・ブレナン最高経営責任者(CEO)はそう述べた。
一方で「この状況は、短期的には一部のプレーヤーに大きな利益をもたらす。特に清算機関や精錬業者にとってはそうだ」とブレナン氏は言う。
金のニューヨークへの流入は、米大統領選でトランプ氏が勝利した直後に始まった。通常時には多くのトレーダーが、現物の金が実際に受け渡される前に、金先物価格を固定するデリバティブ(金融派生商品)を清算する。
投資家や銀行、鉱山会社、宝飾品業者はニューヨーク商品取引所(COMEX)で先物取引を行っている。一方、英国は数百年前から現物の金地金の購入場所となっている。二つの市場はおおむね足並みをそろえるが、そうでない場合、トレーダーは価格の高い方へ金を空輸すればよいと心得ている。
銀行はロンドンで金地金を保有し、それを貸し出すことで収益を得る一方、価格下落リスクをヘッジするためにニューヨークで金先物の売り建て(ショート)取引を行うという、大規模な相殺ポジションを取っている。JPモルガンやHSBCは金取引の清算を手がけるとともに他銀行のためにロンドンで金地金を保管しており、大西洋にまたがる市場の最大のプレーヤーだ。
大西洋両岸の価格差が少なければ、ほぼリスクのない取引だと思われる。だが昨秋にトランプ関税の可能性が織り込まれると、COMEXの価格がロンドンを超えて急騰し、銀行が売り建てていたニューヨーク金先物が突然、含み損を抱えた。
さらに急を要するのは、たとえ含み損であっても、多額の損失が発生すれば、銀行はコモディティー部門に追加資本を準備する必要があり、この先何年も高収益を追求する能力の足を引っ張ることだ。
銀行はニューヨークで先物を買い戻し、ポジションを解消することも可能だが、そうした動きは損失確定を意味する。もう一つの選択肢は、ロンドンにある現物の金をニューヨークに空輸し、それを金先物の契約者に受け渡すことだ。金取引を手がける会社の元幹部ロバート・ゴットリーブ氏はそう説明する。
ひとたびポジションをうまくカバーできれば、銀行には大もうけのチャンスがある。その方法は、先物を通じてニューヨークでより高い価格を固定した上で、空輸する金地金をさらに増やすことだ。COMEXへの提出資料によると、JPモルガン・チェースだけでも今月40億ドル(約6100億円)相当の金を受け渡す予定がある。
空輸する金のうち、損失を減らす目的のものと利益を得る目的のものの内訳は不明だ。
ただJPモルガンのような大手でも、金をニューヨークに運ぶことは容易ではない。
警備会社は非常に強度の高い車両でロンドンの空港まで金地金を輸送する。COMEXの先物取引では異なるサイズの金地金が必要なため、トレーダーは米国に空輸する前に、スイスの精錬所に送って鋳造し直す必要がある。場合によっては、ロンドンで精錬業者に金地金を渡して適切なサイズのものと交換したり、オーストラリアから直接運び込んだりして手順を省くこともある。
イングランド銀行は急増する需要への対応に苦慮している。先週、デーブ・ラムズデン副総裁は「物流上の制約と警備上の制約がある」と述べた。「(金地金を運ぶのは)時間がかかるし、それ自体が重い」
(Google翻訳)一見無関係に見える2つの人口動態の傾向が、資本市場に強力な警告信号を送っている。高校の教室の空きと、使われていない寝室の数百万である。
これらの同時進行は、「不況に強い」資産クラスについての長年の想定に疑問を投げかけ、人口の高齢化と出生率の低下という長寿経済の破壊的な波及効果によって引き起こされた投資環境の根本的な再形成を示唆しています。
西部州間高等教育委員会の最新の報告書「大学の扉をたたく」は、教育市場の変化を初めて示唆しています。委員会は、2025 年に米国の高校卒業生の数がピークに達し、その後着実に減少すると予測しています。
予測では、減少が急激な減少を意味するわけではないが、明らかに下降傾向にあることが示唆されている。卒業生数はピーク時の約 380 万から 390 万人から、2030 年までに 3.1% 減少し、2041 年までに 10.5% 減少すると予想されている。この傾向は、学生寮や大学街が不況に強いという従来の考えに疑問を投げかけるものである。
2つ目のシグナルは、アメリカの住宅から来ています。Realtor.comによる国勢調査局のデータの分析により、ほとんど目に見えない傾向が明らかになりました。全国の余剰寝室数は、1970年の400万室から2023年には3190万室に急増しています。全寝室に占める余剰寝室の割合は、1970年の2.7%から2023年には8.8%に3倍以上に増加しています。この傾向は、単に住宅の大型化によるものではなく、主に世帯規模の縮小によって推進されています。世帯規模は、1970年の1世帯あたり3.1人から、2023年には過去最低の2.5人にまで減少しています。
これらの傾向は、複数の資産クラスにわたる投資戦略の見直しを要求する深刻で破壊的な人口動態の変化を示す相互に関連した指標であり、資本市場に広範囲にわたる影響を及ぼします。
不動産市場
伝統的な一戸建て住宅市場は、双方からの圧力に直面している。世帯を形成して子供を持つ若い家族が減る一方で、子育てが終わった親はより大きな家に住み、老後を過ごす。地理的な違いがそれを物語っている。ユタ州オグデン(空き部屋率12.2%)やコロラド州コロラドスプリングス(12.1%)などの山岳西部の都市は、過剰収容率でトップである一方、マイアミ(5.9%)やニューヨーク市(6.5%)などの高価な沿岸市場では、割合が低い。これらのパターンは、歴史的パターンではなく人口動態の現実に基づいて、不動産価値の再分配が今後行われることを示唆している。
学生寮と教育用不動産
かつては信頼のおける反景気循環特性だった教育用不動産が、前例のない試練に直面している。学生用住宅や大学の寮は不況に強いと考えられてきた。なぜか? 景気が落ち込み、雇用市場が低迷すると、大学の入学者数は通常増加するからだ。学生数が減少するにつれ、この基準ははるかに予測しにくくなるかもしれない。
さらに、学生寮部門は、周期的な課題だけでなく構造的な課題にも直面する可能性があります。多くの大学ではすでに入学者数の減少が見られます。Inside Higher Education のレポートによると、この秋、46 州で 18 歳の学生の入学者数が平均 7% 減少しました。私立の地方大学は、学生獲得をめぐって大規模な州立大学や私立大学と競争し、プレッシャーにさらされています。実際、 2020 年 3 月以降、 73 の公立または非営利の大学が閉鎖、合併、または閉鎖または合併の計画を発表しました。連邦準備制度理事会は、今後 5 年以内に最大 80 の大学が閉鎖される可能性があると見積もっています。明らかに、多くの大規模で名門の大学は通常どおりの業務を継続しますが、他の大学では、キャンパス全体を規模変更したり、工業団地、イノベーション センター、高齢者用住宅などに転用したりする必要があるかもしれません。景気後退時の防御戦略としての学生寮という考え方は、少数の厳選された高等教育機関に依存する可能性があります。
地方債市場
地方自治体の財政は二重の圧迫に直面している。就学率の低下は教育関連収入に影響し、世帯構成の変化は固定資産税基盤に影響を及ぼす。優れた公立学校制度で知られるボストン郊外のニュートン(マサチューセッツ州)のような裕福なベッドタウンでさえ、就学率と収入の減少を食い止めるために学校を周辺地域に開放することを検討している。教育機関に大きく依存している市や町、または家族向けの郊外は、財政構造を再考する必要があるかもしれない。これは、特に人口動態の変化の影響を最も受けている地域で、地方自治体の債務の広範な再評価を引き起こす可能性がある。
商業用不動産
人口構成の変化の波及効果は、これまで学生人口や家族構成に依存してきた小売業やサービス業にも及んでいます。商業用不動産投資の根底にある従来の前提は、人口構成の変化という現実に合わせて再調整する必要があります。小売業者、娯楽施設、レストラン、サービス提供者は、世帯数の減少、学生数の減少、高齢化に対応するために適応する必要があるかもしれません。
変革における投資機会
こうした人口動態の変化は課題をもたらす一方で、チャンスも生み出します。不動産の転換やアダプティブリユースに重点を置いた新たな投資手段が出現する可能性があります。こうした傾向を牽引する高齢化人口は、さまざまなタイプの住宅やサービスに対する需要を生み出します。高齢者向け住宅施設、医療用不動産、小規模世帯向けの不動産が成長分野になる可能性があります。
機関投資家にとって、こうした人口動態の混乱はポートフォリオ戦略の根本的な見直しを要求します。こうした変化は徐々に進むため、調整のための時間はありますが、今後数十年間は方向性が明確で、覆すことはできません。不況に強いセクター、予測可能な人口動態パターン、ライフスタイルに関する従来の投資戦略の前提は、再考が必要です。
空き教室と空き寝室の融合は警鐘となります。経済予測や技術予測とは異なり、これらの傾向は一時的な周期的な変化ではなく、何十年にもわたって市場を再形成する予測可能な構造変化です。この新しい環境で成功するには、従来のセクターごとの分析を超えて、人口動態の変化が相互に関連する市場や資産クラスにどのように波及するかを把握する必要があります。
高齢化と出生率の低下という人口動態の破壊的な変化は、投資戦略と資本市場の基本的な原動力の徹底的な再評価が必要であることを意味します。かつては予測どおり安定していると考えられていた資産が長期的な課題に直面する可能性がある一方で、こうした人口動態の変化から新たな機会が生まれるでしょう。
この変革で勝者となるのは、今日これらのシグナルを認識し、将来の人口動態の現実に合わせてポートフォリオを再配置する人々です。
ジャンク債の第一人者フリッドソン氏、ディストレスト債の増加を予想 - Bloomberg
米経済の好調により、ディストレスト債への投資機会が少ない状態が続いてきたが、状況は変わりつつあるかもしれないと、ベテランの高利回り債アナリスト、マーティン・フリッドソン氏は考えている。
米連邦準備制度理事会(FRB)の最新の上級融資担当者調査によると、銀行は中規模以上の企業への融資基準を過去3年で最も大幅に引き締めた。これにより、高い資金調達コストや貿易戦争の激化による世界的な不安定で既に苦しんでいる借り手は、さらに追い込まれることになる。
「限界付近では、信用基準の引き締めにより多くの企業がデフォルト(債務不履行)の深刻なリスクにさらされることになる」と、数十年にわたりウォール街で研究されてきた債務分析の専門家で元メリルリンチ戦略担当者のフリッドソン氏は述べた。
リスクの高い借り手は、新型コロナウイルス禍の時期に低金利で借り入れた債務が満期を迎え始めており、より高い金利での借り換えを迫られている。昨年9月に連邦準備制度が利下げに踏み切ったにもかかわらず、10年物米国債利回りなど借り入れコストの基準となる金利はそれ以降上昇している。
ジャンク格付けの企業の収益が圧迫され人員削減につながり、経済全体に悪影響が広がる可能性がある。
1997年までさかのぼるフリッドソン氏のデータによると、融資基準と信用市場のディストレスの度合いには約0.7の相関関係がある。スプレッドが1000ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上のディストレスト債の比率は1月に3.7%まで低下し、過去の平均12.7%を大幅に下回っている。2023年3月に付けた直近ピーク10.4%からも低下している。
「ディストレスト債比率が直ちに急上昇することはないだろうが、上昇はするだろう」と、フリッドソン氏は述べた。08年11月にディストレスト債比率が過去最高の82%に達した時、信用供与は過去最悪の状態にあったと、フリッドソン・ビジョン・ハイ・イールド・ストラテジー最高経営責任者(CEO)のフリッドソン氏は説明した。
もちろん、FRBの最新調査結果は一時的なものに過ぎない可能性もある。融資基準は23年9月以降、緩和傾向にあり、銀行が貿易戦争による不安定を重大視せず米国が持続可能な長期成長路線にあると確信すれば、再び緩和される可能性がある。
しかし、22年10-12月以来の大幅な貸し出し基準厳格化により、満期が近く、弱い企業には圧力がかかっている。一部の企業にとっては、借り換え後の金利負担が持続不可能なほど高くなっており、新たな貿易および移民政策が重しとなってと収益が圧迫される可能性がある。債券市場の今後は予測困難だ。
「ディストレスト債比率が長期にわたって低い状態が続いていることは、『爆発寸前の火薬庫』のようなものだ」と、ブルームバーグ・インテリジェンスの上級クレジットアナリスト、フィル・ブレンデル氏は最近のポッドキャストで語った。
「地政学的な状況は極めて不安定であり、いずれ、われわれの予想を上回る大混乱を引き起こす何らかの出来事が起こると思う」と話した。
Australia to Ban Foreigners From Buying Some Homes on Prices Soar - Bloomberg
●中東情勢
ヨルダン外相「一段のガザ住民受け入れ不可能」、ミュンヘン安保会議 | ロイター
【オピニオン】ガザ住民の移住、できないはずがない - WSJ
サウジアラビア、米ロ首脳会談を称賛 王国での首脳会談の可能性を歓迎|ARAB NEWS
●エマージング
中国への直接投資、過去最大の流出超-貿易戦争でさらに悪化の可能性 - Bloomberg
中国への直接投資は2024年に過去最大の流出超となった。米国との貿易戦争が再開されたことで、資金流出は今後も続く可能性がある。
国家外為管理局(SAFE)が公表した昨年の対中直接投資(FDI)は1680億ドル(約25兆6000億円)の流出超。1990年にさかのぼる同データで最大となった。対中直接投資は21年には過去最大の3440億ドルを記録したが、ここ数年落ち込んでいる。
海外企業が資金を引き揚げる一方、中国企業は急激なペースで資金を海外に移している。中国勢の海外投資額は1730億ドルに上ったが、海外からの対中投資額は45億ドルと1992年以来の低水準にとどまった。
中国と米国が新たな貿易戦争を始め、巻き込まれる企業が増えるとみられる中、資金流出を止めるのは困難を伴う。
トランプ米大統領は中国からの全輸入品に10%の追加関税を賦課。中国は米国からの一部輸入品に報復関税を課したほか、グーグルに対する調査なども打ち出した。
日本企業
また、今月公表されたデータによれば、24年の日本企業による対中直接投資は純額ベースで、低水準だった23年とほぼ同規模。今後は一層落ち込む可能性がある。
中国日本商会の最新調査によると、中国で事業活動を行う日本企業の半数近くが今年は投資額を減らす、ないし新規投資を行わない予定。
これは日本企業による対米投資とは対照的だ。日本財務省のデータによれば、日本企業が昨年行った米国への新規投資は過去最大の11兆7000億円に上った。
一方、ポートフォリオ運用者の間では、ここへきて中国資産の保有を増やす動きも見られる。中国政府が景気刺激策を発表したことなどを受け、本土株は発表前の昨年9月中旬に付けた安値から約25%上昇している。
中国の24年通年の経常黒字は4220億ドルと、史上2番目の高水準。10-12月に1810億ドル増と大幅に増えたことで押し上げられた。
ブラジルがGDP予想を下方修正 インフレは通貨安で上振れへ | ロイター
ブラジル小売売上高、12月は2カ月連続減 景気冷え込みの兆し | ロイター
米国民はウクライナに価値見いだす、戦後経済に参加へ=財務長官 | ロイター
米副大統領、ウクライナ和平巡りプーチン氏に制裁・軍事行動を示唆 - WSJ
プーチン氏が3年間待った瞬間が到来、ゼレンスキー氏は蚊帳の外 - CNN.co.jp
アングル:中国の輸出企業、米関税で新市場開拓に殺到 懸念は競争激化 | ロイター
米ロ高官がサウジで会合へ、ウクライナ戦争終結に向け - CNN.co.jp
●プロファイ、インフラ、自然災害
How China's DeepSeek could boost the already booming data center market
中国のディープシークを背景に、より安価で効率的なAIモデルが登場すれば、データセンターの需要が再編され、投資家がすでに成長を続けると強く期待しているセクターがさらに活性化する可能性がある。
アナリストたちは何年も前から、世界のデジタル化の推進と大規模言語モデル (LLM) のトレーニングに必要な重要なインフラストラクチャであるデータ センターの急激な成長を予測してきました。
中国の新興企業DeepSeekのAIモデルは1月下旬、投資家を不安にさせた。同社のR1モデルの発表により、AI分野における米国の優位性や、開発会社の効率性向上がデータセンター容量の需要に打撃を与える可能性があるかどうかという疑問が浮上したためだ。
データセンターの構築には最低でも2年かかることが多く、2025年の注文は既にほぼ織り込まれているため、破壊的なR1モデルの発売が直ちに影響を及ぼす可能性は低い。DeepSeekのR1の発売は当初、この分野に注ぎ込まれた資金がやや「見当違い」だったのではないかと疑問を呈し、一部のアナリストが予測を控える結果となったが、専門家はCNBCに対し、より安価で性能の低いチップで構築されたモデルが最終的には市場の促進剤になる可能性があると語った。
強気の見通し
バークレイズのアナリストによると、ディープシークは、データセンターがAI支出をめぐる論調の変化に脆弱であることを浮き彫りにしている。中国の新興企業による効率性の主張が裏付けられれば、この展開は「AI開発に費やされた数千億ドルは誤った方向へ向かっているように思われ、ハイパースケーラーの設備投資計画は再考される可能性がある」ことを示していると、ブレンダン・リンチ率いるアナリストらは1月27日に発表したメモで述べた。
さらに、AIに必要なインフラが減れば、エネルギー効率が最も悪い「最低品質の施設」が需要の低下と価格の低下に直面する可能性があると付け加えた。
一方、UBSのアナリストらは、現在のデータセンター市場の成長予測の約3分の1は、生成型人工知能(書かれたプロンプトから画像を作成できるAI)の構築と開発に依存していると指摘した。これらの予測には効率の大幅な改善は考慮されていないとUBSは1月28日のメモで述べた。
UBSは昨年4月、世界のデータセンター機器市場が2028年までの3年間で10~15%成長すると当初予測した。今週、同行のアナリストらは、新たなデータと専門家の見解が、最終的により強気な市場見通しにつながると述べた。同社は現在、2025年に同部門の収益が20%増加すると予想しており、少なくとも2026~2028年の初めには10~15%の成長率の「上限に近づく余地」があるとアナリストらは水曜日のメモで述べた。
UBSの株式調査アナリスト、アンドレ・クフニン氏はCNBCに対し、ディープシークが推論のためのクエリ1つあたり20~30倍少ない計算能力で済むかどうかについては「まだ結論が出ていない」と語った。推論とは、予測を行ったりタスクを解決したりするためにAIモデルにデータを実行するプロセスを指す。
「トークン当たりの効率は向上しているが、これは『スピーチの流れ』ではなく推論モデルであるため、クエリ当たりのトークン数が多くなる。要するに、推論に必要なパワーが大幅に削減されるとは考えていない」とクフニン氏は説明した。
ゴールドマン・サックスの調査部門は、データセンターの需要と供給のバランスが今後数年間で「引き締まり」、2026年後半にピークに達し、2027年以降は緩和すると予測している。
効率性の向上により主要投資家の設備投資(CAPEX)水準が下がれば、「2027年以降に予想される長期的な市場供給過剰のリスクが緩和される可能性がある。これはデータセンター市場の耐久性を高め、循環性を低下させる重要な考慮事項だと我々は考えている」とゴールドマン・サックスのシニア株式調査アナリスト、ジェームズ・シュナイダー氏は2月4日のレポートで指摘した。
DeepSeek がデータを発表してからまだ 3 週間も経っていないが、この新興技術の影響についてはまだ多くのことが分かっていない。RPC 法律事務所のパートナー、アンドリュー・マクミラン氏によると、需要に関して言えば、R1 だけでは「変化」を起こすには不十分だという。
「これが再現可能であることが証明されれば、投資家の意欲は和らぎ、したがって、将来的にはデータ処理の需要は現在よりもはるかに低くなるか、少なくとも同じ成長軌道をたどることはなくなるだろう」と、M&Aとデータガバナンスを専門とするマクミラン氏は述べた。
「長期的には、この構造的なアプローチが定着するかどうかを見るのは非常に興味深いだろうし、それが市場の形に影響を与える可能性があると思う。」
「火に油を注ぐ」
データセンター市場の変化に脆弱な株価は1月27日に急落した。シュナイダーエレクトリック
UBSによると、データセンターに最も依存している欧州企業であるは9%以上下落し、シーメンス・エナジーの株価は20%下落し、ABBは
この日は6%下落して終了した。
一部の銘柄はその後、市場の反射的な反応から回復し、損失を取り戻した。アルファベット傘下のグーグルなどの超大型企業の決算発表では、
およびメタ
また、両社ともハイテク株の売却後に数十億ドル規模の投資を約束したことで、信頼も高まった。
UBSのクフニン氏は、この分野では「ミスを許す余地はあまりない」と述べた。「一部の株が暴落し、すぐに買い戻されないのは、人々がすでに多くの株を保有しており、これが買い増しのチャンスなのか、それともその逆なのかを見極めようとしているからだ」
同氏は、コストの低下はAIの潜在的な民主化を示しており、それが技術の導入の加速につながる可能性があると付け加えたが、これは「定量化するのが非常に難しい」ことだという。
データセンター市場は、AIの進歩とは別に進行するデジタル化の進展によっても引き続き活性化するだろう。「ジェネレーティブAIは、いわばケーキの上のアイシングのようなものでしたが、将来の成長という点では間違いなく、非常に厚いアイシングの層になりました」とクフニン氏は述べた。
エクイニクスのEMEA社長ブルース・オーウェン氏は、同社は「AI技術の曲線が曲がる中で有利な位置にいる」と述べ、より効率的なモデルの出現がAIの「加速剤」になると期待していると付け加えた。
「今後見られるかもしれないもう一つの動きは『ジェヴォンズのパラドックス』だ。これは、資源の効率性の向上がその資源の消費量の増加につながるというものだ」と彼はCNBCに語った。
コンサルティング会社シネクロンのAI部門責任者ライアン・コックス氏も、ジェヴォンズ・パラドックス効果により、より効率的な技術が最終的にデータセンターの需要増加につながると予想している。
「これは本当に複雑な方程式だ」と彼はCNBCに語り、需要の潜在的な変化を判断する際にはいくつかの逆風と追い風があると指摘した。彼は、Synechronの顧客が、AIモデルのリポジトリであるHugging Faceなどを介してDeepSeekを間接的に使用する「安全な」オプションを追求していることを明らかにした。
「全体的に見て、効率性が採用を後押しし、コストが下がっても利用は引き続き増加すると思います。より高度なモデルやより幅広いアプリケーション、AI の利用に向けた競争は、データセンター全体の需要が下がるのではなく、上昇することを意味します」と Cox 氏は指摘しました。
独ミュンヘンでデモの群衆に車が突入、少なくとも30人負傷 難民申請者を拘束 - BBCニュース
Eric Adams denies quid pro quo, urges NYC to put 'episode behind us'
Cocoa stockpiles plunge to record low
●市況(ChatGPTによる要約版)
1月の米小売売上高が予想以上に減少し、ドルは下落。ユーロはウクライナ和平交渉への期待感から上昇。米国債利回りも低下し、FRBの年内利下げ観測が強まった。株式市場はまちまちで、ナスダックは上昇したが、一部ハイテク株は下落。トランプ大統領は「相互関税」を発表したが、即時発動は見送られた。金先物は利益確定売りで反落し、原油はウクライナ情勢を背景に続落した。
ロンドン株式市場は下落し、ポンド高が輸出企業に影響。製薬株も下押し要因となったが、FTSE100・250種指数は週間で上昇。欧州株式市場は5日ぶりに反落も、STOXX600は8週連続で上昇。高級ブランド株は堅調だったが、医療関連株は下落。ユーロ圏債券市場はほぼ横ばい。FRBの利下げ慎重姿勢を受け、利回りは週間で上昇見込み。ユーロ圏GDPは速報値から上方修正されたが、景気停滞が続くと予想されている。

備忘録(2025/2/13
●海外企業決算
英バークレイズ、通期決算は予想上回る増益 見通し引き上げ | ロイター
米アプライド、売上高見通しが市場予想下回る-輸出規制がリスク - Bloomberg
[AIG] AIG 2024年12月通期は減収最終赤字転落 売上高3%減272億ドル、最終赤字14.2億ドル、配当1.56ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[GT] グッドイヤータイヤ&ラバー 2024年12月通期は減収最終黒字転換 売上高6%減188億ドル、純利益7000万ドル、EPS0.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AEE] アメレン 2024年12月通期は増収営業減益 売上高2%増76.2億ドル、営業益3%減15.1億ドル、EPS4.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DVA] ダヴィータ 2024年12月通期は増収増益 売上高6%増128億ドル、営業益30%増20.9億ドル、EPS10.73ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[RSG] リパブリックサービシズ 2024年12月通期は増収増益 売上高7%増160億ドル、営業益15%増31.9億ドル、配当2.23ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[AMAT] アプライドマテリアルズ 1Q増収営業増益 売上高7%増71.6億ドル、営業益11%増21.7億ドル、EPS1.45ドル - 株探(かぶたん)|米国株
ディアが決算受け下落 今年も厳しい年になると見込む=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[PPL] ピーピーエル 2024年12月通期は増収増益 売上高2%増84.6億ドル、営業益7%増17.4億ドル、配当1.03ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[ZTS] ゾエティス 2024年12月通期は増収最終増益 売上高8%増92.5億ドル、純利益6%増24.8億ドル、EPS5.47ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MCO] ムーディーズ 2024年12月通期は増収増益 売上高20%増70.8億ドル、営業益35%増28.7億ドル、配当3.40ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[DE] ディア&カンパニー 1Q減収最終減益 売上高30%減85.0億ドル、純利益50%減8.69億ドル、配当1.62ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[DUK] デュークエナジー 2024年12月通期は増収増益 売上高4%増303億ドル、営業益12%増79.2億ドル、EPS5.71ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
KKRやアポロ、日本の生保が持つ900兆円に照準-再保険通じ運用へ - Bloomberg
●日本企業
楽天Gきょう決算、4Qは純損益でも黒字可能性-5カ月ぶり高値 - Bloomberg
USスチール株下落、トランプ大統領が日鉄の投資交渉と距離置く発言 - Bloomberg
日産がKKRと協議、増資など資金調達の手段を模索-関係者 - Bloomberg
●先進国政治動向
トランプ氏、「相互関税」を表明 日本やEUも対象の公算 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
米PPI、1月前年比3.5%上昇 予想上回る | ロイター
米新規失業保険申請、7000件減の21.3万件 小幅に減少 | ロイター
スイスCPI、1月は前年比+0.4% 約4年ぶり低水準 | ロイター
英GDP、第4四半期は前期比+0.1% 予想外のプラス成長 | ロイター
ユーロ圏12月鉱工業生産、前月比-1.1% 予想上回る落ち込み | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
世界のLNG需要、向こう数年で大きく拡大へ=シェル | ロイター
ドイツのGDP、今年は0.5%減で3年連続マイナスに=商議所 | ロイター
FRB利下げ、9月まで見送り観測高まる PCEは伸び鈍化予想 | ロイター
ドイツ経済、年初から回復の兆し見られず=経済省 | ロイター
【社説】トランポノミクスがあおるインフレ再燃 - WSJ
米連邦職員、再就職の道険しく トランプ政権が大量解雇 - WSJ
●中東情勢
イラン大統領、核施設攻撃受けても再建可能 国営メディア報じる | ロイター
イスラエルとハマス、停戦合意巡る対立解消 履行継続へ - WSJ
●エマージング
焦点:公的資金による中国株支援策、効果に疑問も 回復の鍵は市場環境 | ロイター
中国人民銀行、適切な時期に金融政策調整へ 景気下支え | ロイター
中国、ウクライナ和平の仲介役目指す - WSJ
ウクライナ「何らかの形で」和平協議に参加=ロシア大統領府 | ロイター
ウクライナ抜きの和平合意「受け入れられず」、ゼレンスキー氏が強調 | ロイター
欧州各国、米の「抜け駆け」を一斉批判 ウクライナ和平交渉巡り | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
米国で卵不足が深刻化、スーパーの棚が空に-1カ月で15%値上がり - Bloomberg
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2025/2/12
●海外企業決算
シスコ、堅調な売上高見通し示す-AI活用企業のインフラ支出増加 - Bloomberg
ABNアムロ、25年純金利収入減少へ 第4四半期利益は予想超え | ロイター
ハイネケン、ビール販売伸び通期利益予想上回る 自社株買い発表 | ロイター
[CSCO] シスコシステムズ 2Q増収営業増益 売上高9%増139億ドル、営業益1%増31.1億ドル、EPS0.61ドル - 株探(かぶたん)|米国株
ギリアドが決算受け上昇 HIV治療薬に対する需要が引き続き強い=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[D] ドミニオンエナジー 2024年12月通期は微増収営業減益 売上高微増144億ドル、営業益5%減32.4億ドル、EPS2.44ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BIIB] バイオジェン 2024年12月通期は減収最終増益 売上高2%減96.7億ドル、純利益41%増16.3億ドル、EPS11.18ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CME] CMEグループ 2024年12月通期は増収増益 売上高10%増61.3億ドル、営業益14%増39.3億ドル、EPS9.67ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KHC] クラフトハインツ 2024年12月通期は減収減益 売上高3%減258億ドル、営業益63%減16.8億ドル、EPS2.26ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MLM] マーチンマリエッタマテリアルズ 2024年12月通期は減収増益 売上高4%減65.38億ドル、営業益70%増27.0億ドル、配当3.06ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[EXC] エクセロン 2024年12月通期は増収増益 売上高6%増230億ドル、営業益7%増43.1億ドル、配当1.52ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[NI] ナイソース 2024年12月通期は減収増益 売上高1%減54.5億ドル、営業益12%増14.5億ドル、EPS1.62ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米シェブロン、来年末までに従業員の最大20%をレイオフ | ロイター
●日本企業
日産、ホンダとの交渉打ち切りへ-共同持ち株会社できょう発表も - Bloomberg
決算:ソフトバンクG、3691億円の最終赤字に 24年10〜12月 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
トランプ米大統領、金利引き下げを要求-FRBへの圧力強める - Bloomberg
トランプ米大統領、相互関税命令に12日署名する可能性示唆 | ロイター
米民主議員、金融規制当局に警告へ DOGEの「違法」行為巡り - WSJ
オーストリア連立協議が決裂、初の「極右」政権発足ならず | ロイター
●先進国中銀、金融当局
パウエル議長、FRBの仕事は終わっていない-CPI統計受け - Bloomberg
FRB議長、バランスシート縮小は「道半ば」 銀行予想も後ずれ | ロイター
カナダ金融当局、バーゼル3の銀行資本強化を一時保留に | ロイター
●先進国経済指標
1月の企業物価は前年比4.2%上昇、前月から伸び拡大-日銀 - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
焦点:米CPI上振れで強まるインフレ再燃不安、利上げ警戒感も | ロイター
米鉄鋼関税、日本も例外交渉へ 日本企業の除外求める - 日本経済新聞
ダウ平均の欠陥、一層あらわに - WSJ
マグニフィセント7はもう古い? 今年の注目は現金還元株 - WSJ
トランプ氏の相互関税、世界貿易の規範からさらに逸脱へ - WSJ
【社説】トランプ氏の鉄鋼関税、不都合な真実 - WSJ
●中東情勢
イスラエル、年内にイラン核施設への攻撃模索か 米情報機関が警告 - WSJ
イラン最高指導者、軍事開発の必要性強調 トランプ氏威嚇受け | ロイター
トランプ大統領の圧力は、深刻な紛争に発展する可能性:アラブ連盟議長|ARAB NEWS
●エマージング
トランプ氏、ウクライナ停戦交渉「直ちに」開始 - CNN.co.jp
アングル:トランプ政権の対外援助凍結、アジアで中国の影響力拡大も | ロイター
習氏が築く「経済の要塞」 米国の圧力に対抗 - WSJ
中国不動産危機、デフレなら悪化の一途-ようやく救済に動いた共産党 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
備忘録(2025/2/10-11
●海外企業決算
英BPの第4四半期、利益が4年ぶり低水準 精製マージン悪化 | ロイター
米コカ・コーラ、24年第4四半期利益が予想上回る 価格引き上げ奏功 | ロイター
マクドナルド、第4四半期米既存店売上高が予想以上の落ち込み | ロイター
[GILD] ギリアドサイエンシズ 2024年12月通期は増収減益 売上高6%増287億ドル、営業益78%減16.6億ドル、配当3.08ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[FIS] フィデリティナショナルインフォメーション 2024年12月通期は増収最終黒字転換 純利益14.5億ドル、配当1.48ドルへ減配 - 株探(かぶたん)|米国株
[KO] コカコーラ 2024年12月通期は増収減益 売上高3%増470億ドル、営業益12%減99.9億ドル、EPS2.46ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CARR] キャリアグローバル 2024年12月通期は増収増益 売上高19%増224億ドル、営業益23%増26.4億ドル、EPS6.15ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ECL] エコラボ 2024年12月通期は増収増益 売上高3%増157億ドル、営業益41%増28.0億ドル、EPS7.37ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CINF] シンシナティファイナンシャル 2024年12月通期は増収最終増益 売上高13%増113億ドル、純利益24%増22.9億ドル、配当3.24ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
トランプ大統領、バンス副大統領を後継者かとの質問に「ノー」 - 株探(かぶたん)|米国株
[MAR] マリオットインターナショナル 2024年12月通期は増収減益 売上高6%増251億ドル、営業益3%減37.6億ドル、EPS8.33ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MCD] マクドナルド 2024年12月通期は増収営業増益 売上高2%増259億ドル、営業益1%増117億ドル、EPS11.39ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ROK] ロックウェルオートメーション 1Q減収減益 売上高8%減18.8億ドル、営業益10%減3.21億ドル、EPS1.61ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SPGI] S&Pグローバル 2024年12月通期は増収増益 売上高14%増142億ドル、営業益39%増55.8億ドル、配当3.69ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
シュワブが下落 筆頭株主のトロント・ドミニオン銀が保有株をすべて売却=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
トランプ関税は自動車産業に「壊滅的影響」-フォードCEOが警鐘 - Bloomberg
●日本企業
【コラム】道に迷う日産、ホンダと破談なら立ち往生-リーディー - Bloomberg
資生堂、25年12月期純損益は黒字化見込む コスト低減効果も | ロイター
●先進国政治動向
【解説】「プロジェクト2025」とは 米右派は第2次トランプ政権に何を求めるのか - BBCニュース
トランプ氏の鉄鋼・アルミ関税、業界に動揺 鉄鋼株下落 | ロイター
鉄鋼・アルミ関税、オーストラリア免除を検討へ トランプ氏 | ロイター
焦点:トランプ米大統領の対外援助凍結、世界で混乱広がる | ロイター
「気まぐれと虚勢」ドイツ首相が野党党首への攻撃強める-23日総選挙 - Bloomberg
トランプ氏元側近バノン氏のインタビュー、5つのポイント - WSJ
【寄稿】米国際開発局は「ならず者機関」 - WSJ
米効率化省の歳出削減、さらに大きな標的狙う - WSJ
欧州委員長、米関税に「相応の対抗措置」 12日に貿易相会合 | ロイター
欧州議会極右会派が初の首脳会議 トランプ氏賞賛し気勢上げる | ロイター
●先進国中銀、金融当局
FRB「利下げ急がず」、関税の影響に適切に対応 議長が議会証言 | ロイター
FRBの金融政策は適切、金利見通しはデータ次第=NY連銀総裁 | ロイター
FRB、当面は政策維持を 物価なお課題=クリーブランド連銀総裁 | ロイター
●先進国経済指標
ドイツの対米貿易黒字、24年は700億ユーロ 過去最高 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
MSCI銘柄入れ替え、日本株は東京メトロ1銘柄を新規採用 除外9銘柄 | ロイター
米大手行幹部や取引先、経済先行きを楽観 不確実性警戒でも | ロイター
ムーディーズ、世界銀行の格下げ警告 米支援停止なら | ロイター
日本の投資家、24年にユーロ圏債を大幅売り越し=バークレイズ | ロイター
ドイツ国民、景気と物価高を懸念 政治不信も深刻化=調査 | ロイター
ドイツ商業用不動産価格、24年は5.4%下落 4年連続マイナス | ロイター
欧州株、世界の上位に躍り出る - WSJ
米株式市場の「巨人」問題、どう対処すべきか - WSJ
トランプ関税の初期評価、米経済にはマイナスだが - WSJ
【コラム】鋼鉄の男トランプに歴史の教訓、関税は裏目-フィックリング - Bloomberg
DeepSeek、低コストの主張は誇張されている-グーグルAI開発責任者 - Bloomberg
●中東情勢
トランプ氏、ハマスに人質全員解放を「土曜日12時」までに要求 「でなければ地獄」 - BBCニュース
イスラエル軍、警戒態勢引き上げ ハマスは人質解放を延期 | ロイター
トランプ氏、ガザ住民の帰郷認めず「恒久居住地検討」 ハマス反発 | ロイター
米が「ガザを購入・所有」、再建で周辺国の関与容認も トランプ氏 | ロイター
トランプ氏「米国がガザ支配」、ヨルダン国王と会談 - WSJ
●エマージング
中国、消費促進へ国民の所得押し上げ方針 閣議で表明 | ロイター
中国自動車2社が経営統合と伝わる 長安汽車と東風汽車 - 株探(かぶたん)|米国株
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
自宅に戻ったらクマがいた、山火事逃れ床下に「避難」 米カリフォルニア州 - CNN.co.jp
飲酒で深刻な肝障害リスクが倍以上に、肥満や糖尿病の場合 新研究 - CNN.co.jp
●市況

備忘録(2025/2/7-9
●海外企業決算
米航空大手10〜12月、値上げで増収増益 LCCも回復基調 - 日本経済新聞
[FTV] フォーティブ 2024年12月通期は増収営業増益 売上高3%増62.3億ドル、営業益6%増12.0億ドル、EPS2.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米重工業大手ハネウェル、上場3社に再編へ 物言う株主の圧力で | ロイター
米重工業大手ハネウェルは6日、航空宇宙事業とオートメーション事業を分社化し、既に発表した先端素材事業の分社化に加えた3つの上場企業に再編することを明らかにした。分社化は2026年後半に完了する見通しだ。物言う株主(アクティビスト)として知られ、ハネウェル株を50億ドル相当保有している筆頭株主のエリオット・マネジメントは事業ごとに分社化するように圧力をかけていた。
一方、この日発表した25年通期の調整後1株利益見通しは10.10―10.50ドルと、LSEGがまとめた市場予想平均の10.93ドルに届かなかった。売上高見通しの396億─406億ドルも、市場予想の412億2000万ドルを下回った。
ハネウェルは米国に残る数少ない複合企業となっている。近年ではスリーエム(3M)やゼネラル・エレクトリック(GE)、ユナイテッド・テクノロジーズといった複合企業が主要事業を再編している。
これまでハネウェルはビマル・カプール最高経営責任者(CEO)の下で、航空宇宙とオートメーション、エネルギー分野に経営資源を集中するため、それ以外の資産を縮小する取り組みを進めてきた。これに対し、エリオットは全面的な会社分割が必要だと主張していた。
ハネウェルの最大の収入源は航空宇宙事業で、ボーイングやエアバスなどを顧客に抱えている。24年の売上高のうち約40%を稼ぎ出した。
ハネウェル株を保有するガベッリ・ファンズのポートフォリオマネジャー、トニー・バンクロフト氏は、航空宇宙事業とオートメーション事業の企業価値がそれぞれ1040億ドル、940億ドルに上る可能性があると試算した。ただ、市場でそれらの価値が実現するにはしばらく時間がかかるかもしれないとの見方を示した。
水素燃料電池トラックの米ニコラ、破産申請に近づく=関係筋 - WSJ
AIで高騰の米電力株、ディープシークに足すくわれる - WSJ
中国の人工知能(AI)新興企業ディープシークは、米電力業界の重大な懸念をあらわにした。AIブームが当初予想されたほど多くの電力を必要としない可能性だ。
ディープシークの生成AIモデルは、学習に使うエネルギーが米競合企業のモデルよりも大幅に少ないことから、先週の米株市場でテック株と電力株が急落。AI向けデータセンターの成長予想で押し上げられた株価の上昇分を削った。今やそれらのデータセンターへの電力供給を予定する企業は、AIが急速にエネルギー効率を高める可能性に向き合う必要がある。
ただ経営陣やアナリストは、目先のデータセンター投資計画がディープシークの登場によって影響を受ける可能性は低いとしている。テック企業はすでに大量の電力供給に関する契約を電力会社や発電事業者と結んでいるためだ。しかし長期的には、AIのエネルギー効率向上を背景に、数十年にわたり稼働する新規発電所への大規模投資の必要性が疑問視されると考えている。
「開発事業者としては、需要の伸びが描く軌道をディープシークのような要因が変えた場合にいつでも活動を調整できるよう、十分に統制の取れた体制を維持したい」。全米で発電所や再生可能エネルギー事業を運営するLSパワーのポール・シーガル最高経営責任者(CEO)はこう述べた。
コンステレーション・エナジーやビストラといった勢いのある米電力事業者は、既存の発電所や再生可能エネルギー事業を拡大する計画を打ち出し、AIブームの代表的な勝ち組とされてきた。先週、こうした計画の収益性が予想ほど高くない可能性が浮上し、これらの企業の株価は急落に見舞われた。その後やや持ち直したが、依然として最高値を下回っている。
コンステレーションは2022年に米電力大手エクセロンからスピンオフ(分離・独立)し、それ以降、株価が400%余り上昇していた。最近、同業のカルパインを164億ドル(約2兆5000億円)で買収することで合意。さらに16億ドルを投じてスリーマイル島原子力発電所の損傷していない原子炉を再稼働し、その電力をマイクロソフトに供給する契約を結んでいる。
コンステレーションの広報担当者ポール・アダムス氏は、同社はエネルギー効率の前進を歓迎するとし、それが「エネルギー需要の持続不可能な伸びを、達成可能な水準に低下させる」可能性があると述べた。
「需要を合理化する必要がある。さもなければ全米のエネルギー需要を満たし、送電網の信頼性を維持し、環境汚染を減らすことにわれわれは引き続き苦戦するだろう」
米電力需要は21世紀に入ってほぼ横ばいで推移していた。その需要が伸びる予想に転じたのは、新しい製造業に加え、消費者が電気自動車(EV)に乗り、家庭の暖房や調理に化石燃料を使わなくなるとの見立てからだ。さらにAIブームがその予想に拍車をかけた。
ローレンス・バークレー国立研究所が先月公表した報告書によると、米国の総電力消費量に占めるデータセンターの割合は2023年の4.4%から拡大し、28年には6.7%~12%となる可能性がある。
米電力大手ネクステラ・エナジーのジョン・ケッチャムCEOは、たとえテック企業がエネルギー効率を向上させるとしても、電力業界としてはAIや他業種による需要上振れへの対応を「ほぼゼロから」始めたところだと述べた。
「まだ緒に就いたばかりだ。大量の計算能力と大量のデータセンター構築が必要で、そのためには大量の電力が必要になる」とケッチャム氏は言う。
メタ・プラットフォームズとマイクロソフトは先週、ディープシークの衝撃が広がるのを横目に、それぞれAI開発に巨額投資を行う計画を改めて強調した。メタは「数千億ドル」を投じる考えを示した。年内に1ギガワット近いデータセンターを稼働させる見通しだという。
「非常に集中的な投資を続けることが(中略)やがては戦略的優位につながると、私は引き続き考えている」とメタのマーク・ザッカーバーグCEOは述べた。「いつか違う結論に至る可能性もある。だが今そう判断するのは時期尚早だろう」
ソフトバンクグループ(SBG)とオラクル、オープンAIは「スターゲート」と名づけた新しいAIインフラ構築のベンチャー事業に5000億ドルを投じる約束をした。石油大手シェブロンは先週、データセンター向けの新たな天然ガス火力発電所を建設すると発表した。
ジェフリーズのアナリスト、ジュリアン・デュムランスミス氏は、テック企業が送電網への接続や人材・設備の確保などさまざまな制約に直面する中、AI関連の電力支出を減らすことは当分の間ないとみている。
デュムランスミス氏は「プロジェクト建設に関する実際の具体的な発注が2031年まである」と指摘し、この機運が突然消える可能性は非常に低いとの見方を示した。
欧州酒類大手、中国事業に厳しい見方 貿易摩擦激化で一段と | ロイター
デンマークのビール大手カールスバーグとフランスの蒸留酒大手ペルノ・リカールは6日、相次いで決算を発表し、今年の経営を取り巻く環境が厳しいとの見方を示した。中国消費回復の兆しがほとんど見られない上、第2次トランプ米政権が打ち出す高関税政策に伴う世界的な貿易摩擦の激化が背景にある。
カールスバーグのアールプ・アンデルセン最高経営責任者(CEO)氏はアナリスト向けオンライン説明会で、同社最大の市場である中国で昨年、需要低迷が続いて販売量が落ち込んだと説明。「(中国)経済に大きな変化はないと予想しており、判断するには時期尚早だ」と述べ、今後も中国事業が厳しい経営課題となる見通しを明らかにした。
同社によると、中国で昨年、レストランやバー、その他のイベント会場でのビール販売が悪化した。同社推計ではビール市場は4―5%縮小した。他のアジアでも同様という。
ただ、アンデルセンCEOは、中国の春節休暇前に卸売業者と小売業者がビール在庫を積み上げたことを挙げて期待感を示した。
しかし、ペルノは慎重な見方を示した。春節休暇期間の商品の動きが極めて不調で、贈答品販売も大きく落ち込んだと指摘。今年の中国事業も苦戦を強いられる予兆と受け取った。
ペルノは6日、上半期決算を前倒し発表し、中国事業の売上高が25%減、米国では7%減だったと開示した。
同社は今年の売上高見通しも、従来の小幅増収から1桁台前半に落ち込むと大幅に下方修正した。中国によるコニャック輸入関税が主な要因だが、発端は欧州連合(EU)が発動した電気自動車(EV)輸入関税。中国が報復関税でコニャックを対象に挙げた。
また、トランプ政権がメキシコやカナダ、EUからの輸入品に関税を課すと脅しており、現実化すればペルノが手がける幅広いブランドが打撃を受けそうなことも下方修正の要因だ。
衣料品大手カナダ・グース・ホールディングスも中国事業で苦戦している。高級品市場として重要だが販売は不安定で、四半期売上高が予想を下回る原因だったという。
チョコレートから歯磨き粉まで各種メーカー企業の経営者らは先週、相次いで第4・四半期業績をオンラインで説明したが、いずれも中国の事業見通しは悲観的だった。
●日本企業
明治安田、英L&Gの米事業を3500億円で買収 L&G株も取得へ | ロイター
TOPIX採用企業の今期純利益予想6.7%増、4年連続最高益ペース=SMBC日興集計 | ロイター
SMBC日興証券の集計によると、TOPIXを構成する3月決算企業の2025年3月期の通期純利益予想は前年比6.7%増の52兆2960億円で、4年連続で過去最高を更新するペースとなっている。金利上昇を受けて銀行が堅調なほか、円安などを背景に自動車も改善基調という。
6日までの発表分(660社、開示率46.9%)に、今後発表する企業の従来予想や市場予想を加味して試算した。6日までの開示分の集計では前年比3.8%増で、最終的に増益着地の可能性が高いという。金融を除くと0.5%増。内訳は、製造業が同0.7%減、非製造業は同2.1%増となっている。
SMBC日興証券株式調査部の安田光氏は「(4―12月期実績の)進捗率は85.3%とかなり順調で、上振れる可能性がある」と話す。
<環境改善が上方修正のサプライズを後押し>
純利益ベースの会社予想で上方修正を発表したのは129社、下方修正は56社となっている。SMBC日興の安田氏は「ポジティブサプライズが多い。10―12月期決算が終わった後、アナリストの業績予想も上方修正気味になっていくのではないか」とみている。7―9月期は円高基調だった上、外部環境が弱かったが、10―12月期は一転、円安基調となったほか、グローバルの製造業景況感が底打ちしサプライズにつながったという。
寄与度では自動車などの輸送用機器、電気機器が上位に入った。7―9月に認証不正問題があって思うように生産ができなかった自動車は大幅に業績を改善。電気機器は、生成AI向け半導体需要やITサービスの拡大が寄与した。
一方、金利高や円安は個人消費にネガティブな可能性があり、海外エクスポージャーのない企業には必ずしも明るい外部環境ではないという。
製造業は、トランプ米大統領の高関税政策の行方次第の面もある。安田氏は、足元のマクロ環境は良好で業績は上向く方向とみているが、関税引き上げなら投資マインドが低下するリスクがあり「今後の見極めが必要」と話している。
第一生命、25年春闘で平均7%賃上げの方針 3年連続 | ロイター
農林中央金庫の4〜12月決算、最終赤字1.4兆円 外債13兆円売却 - 日本経済新聞
アジア地盤のファンド、「東急プラザ銀座」取得 1500億円超 | ロイター
●先進国政治動向
焦点:トランプ対中関税、米消費者を直撃 追加請求に戸惑い | ロイター
5日、貿易関連企業幹部のマシュー・キャノンさんに、大学生の娘から配送会社DHLからの請求書が転送されてきた。彼女がオーストラリアの若者向けファッション販売業者I.Am.Gia.に商品を注文したところ、関税と手数料、計45.19ドル(約6824円)の追加料金を請求された。これが詐欺かどうか知りたいというのだ。
娘はパーティーに備えて65ドルのトップスを注文し、速達便の手数料も加えて合計金額は84ドルのはずだった。
しかし、DHLのメッセージは追加料金の内訳として関税26.88ドル、取り扱い手数料17ドルなどと記し、荷物の到着日から5日以内に支払わないと商品は送り主に返送されると書かれていた。
トランプ米大統領が今週、中国からの輸入品に10%の追加関税を課したことで、中国直送のショッピングサイトである「SHEIN(シーイン)」や「Temu(テム)」で5ドルのシャツや10ドルのランプ、20ドルの靴を購入していた米消費者の負担が増えている。
トランプ氏はまた、合成麻薬「フェンタニル」やその前駆物質の流入を阻止するためとして、中国からの低価格の小包に対する関税免除措置「デミニミス・ルール」を突然廃止した。
デミニミスとは法的用語で重要性の低い事項を指し、外国から個人宛に発送される800ドル未満の品目について、標準的な関税手続きと関税を免除する制度。
米国の消費者は、この変更が実施される前に発送された商品も含め、中国に直接注文した低価格商品の関税を支払う必要が生じた。
キャノンさんは「これは彼女がぎりぎり買うことができる65ドルの商品だったのに、今では追加で50ドルを支払わなければ手に入らなくなった」と語る。
クリント・リードさんの元にも4日、DHLからメールが届いた。ドレス、セーター、ベビー服など16点、計197ドル分のシーインへの注文品で、5日以内に追加料金の39.07ドルを支払わなければ送り主に返送されるというのだ。
内訳は輸入関税20.76ドル、規制関係の手数料1.31ドル、関税処理手数料17ドルだった。
シーイン、テム、米アマゾン・ドット・コムの格安オンライン店舗「Haul」などは、低価格品の輸入免税措置に便乗する形で普及してきた。
しかし2月4日をもって、発送者または受取人は、米国への配送経路に関わらず800ドル以下の中国および香港発の製品全てに関税を支払う必要が生じた。
シーイン、テム、アマゾンにコメントを求めたが、すぐには回答が得られなかった。
民間の配送会社や米郵便公社(USPS)が配送する何百万個という電子商取引の荷物が、新たに輸入関税の対象となった。
テキストメッセージや電子メールで関税の請求書が届き始めた今、米国の消費者はトランプ氏の貿易・関税政策が自分たちの生活と懐に直接影響することに気づき始めている。
キャノンさんは、欧州やカナダなど免税限度額がはるかに低い市場の買い物客は、オンライン購入品に課税されることには慣れていると指摘。一方で、「米国では非常に高額の買い物をしない限り、だれもそのような経験をしたことがなく、想像もつかない。しかも通常、高額な買い物では小売業者が関税を負担する。これは悪夢だ」。
DHL・エクスプレスはロイターに対し、通関手続きには標準化された手数料と取扱手数料が適用されると説明した。これらの手数料は政府の税金や関税に加えて課されるものだ。世界最大の小包配達会社ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)も、関税の支払いを円滑に進めるためのシステムとプロセスを備えていると解説。同業のフェデックスからはすぐにコメントが得られなかった。
通関や物流、その他の貨物関連サービスを提供するフレックスポートの通関担当副社長、バーニー・ハート氏は、関税を「短期的に負担する」業者もいると話した。
I.Am.Gia.はウェブサイト上のメッセージで、米国の顧客は配送業者を通じて関税を支払うよう求められるようになるだろうと通知している。2月7日以降の注文については、関税は価格に含まれ、価格の「若干の」調整などにより一部相殺される。同社はコメント要請にすぐには応じなかった。
中国その他の国の工場から米国の消費者へ直接出荷も行っているファストファッションの小売業者、サイダーはウェブサイトに「通関手続きが長引くため」出荷が遅れる可能性があるとの通知を掲載した。広報担当者は、遅延に関するロイターの質問にすぐには回答しなかった。
トランプ米大統領、「相互関税」導入計画 週初にも発表か | ロイター
トランプ米大統領は7日、多くの国に対する相互関税を来週の10日か11日までに発表することを計画していると明らかにした。追加関税は、米財政赤字の縮小に寄与する可能性があるとも述べた。
貿易相手国が米製品に課している関税と同率の関税を課す。現時点で、どの国が影響を受けるかは不明。
石破茂首相との会談の際に発表した。ホワイトハウスが適用除外の可能性を検討しているとの報道がある中、トランプ氏は自動車関税は相互関税の対象として引き続き議論されていると述べた。 もっと見る
トランプ氏はかねてより、欧州連合(EU)の自動車輸入関税10%が米国の2.5%よりはるかに高いとして不満を抱いている。
世界貿易機関(WTO)のデータによると、米国の貿易加重平均関税率は約2.2%。インドは12%、ブラジルは6.7%、ベトナムは5.1%、EUは2.7%などとなっている。
関係筋3人によると、トランプ大統領は6日にホワイトハウスで開かれた予算を巡る協議で、共和党議員らにこの計画を伝えたという。トランプ氏と側近は、輸入品への関税を引き上げることで、トランプ氏が2017年に実施した減税の延長費用を賄う方針を示している。
日米首脳「USスチールは買収でなく投資」、米産LNG輸入拡大で合意 | ロイター
トランプ米大統領と石破茂首相は7日、ホワイトハウスで初の対面での会談を行った。対日貿易赤字問題や日本製鉄のUSスチール買収など幅広い討議を行い、成果として共同声明をとりまとめた。会談後の記者会見で両首脳は、同計画は「買収ではなく(米国への)投資」であるとの共通認識を示した。会談では、米国産液化天然ガス(LNG)の輸入拡大で合意した。
<買収計画で議論、石破首相「大きな成果」>
トランプ大統領は共同記者会見で、日鉄のUSスチール買収計画阻止に関連し進展があったと発表。石破首相が「買収ではなく、投資だ」と言明したことに同調し、日本が現在「購入ではなく投資」を検討しているとした上で、「もちろん、それで構わない」と述べた。
トランプ大統領は詳細に言及しなかったが、石破首相は「日本、米国、世界に貢献できるUSスチールの製品が生み出されていくことに日本も投資を行うということで、どちらかが一方的に利益を得るという関係にならないということを大統領との間で認識を共有した」と説明。「それは本日の大きな成果だった」と強調した。
トランプ大統領は来週、「仲介と仲裁のために」日鉄のトップと会談すると明らかにした。会見中、トランプ大統領が日鉄を「日産」と言い間違える一幕もあった。
USスチールと日鉄はコメントしていないが、関係筋は日鉄はUSスチールに対する買収案を撤回していないと語った。
<石破首相、対米投資1兆ドルへの引き上げ表明>
石破首相はトランプ大統領に、日本の対米投資を1兆ドルに引き上げるために協力する意向を伝え、トヨタやいすゞなど日本企業による投資計画や、日本が米国LNGの輸入を増やす点を強調した。
会談の冒頭でトランプ大統領は、両国は協力して米国の対日貿易赤字を現在の1000億ドルから「均衡」にまで減らすと表明。対日貿易赤字は早期に解消できるとし、米国の石油・天然ガスの日本への輸出だけでも赤字の均衡を取り戻せるという認識を示した。
両国がアラスカの石油・天然ガスに関連した合弁事業に取り組んでいることを明らかにし、日本が米国産天然ガスの過去最高量の新規輸入をまもなく開始すると述べた。関税については、相互利益である必要があるという認識を示した。
石破首相は会見で「LNGのみならず、バイオエタノール、アンモニアなど、安定的にリーズナブルな価格で提供されるということは日本にとっての利益となる。さらに米国の対日貿易赤字を減らすことにもつながる」と述べ、ウィンウィンの取り組みであることを強調。「この先、LNGの採掘が成功裏に進展することを期待している」と語った。
関税に関する質問に対しては、仮定の質問には答えられないと述べるにとどめた。
<共同声明、日米協力の「羅針盤」に>
会談後に発表された共同声明は、中国が東シナ海で力による現状変更を試みるいかなる行為にも反対すると改めて表明。台湾海峡問題の平和的解決を呼びかけた。
北朝鮮を巡っては、核開発計画に懸念を表明した上で、北朝鮮のサイバー活動およびロシアとの軍事協力強化を抑止する必要性を強調した。
石破首相は会見で、共同声明について「これは今後の日米協力のいわば『羅針盤』になる文書だ。この成果をもとにしてトランプ大統領とともに、日米関係の新たな黄金時代を築いていきたい」と語った。
トランプ大統領は近い将来の訪日を了承した。日米をはじめとする重要な同盟関係が、将来にわたって長く繁栄することを確信していると述べた。
トランプ大統領は故安倍晋三首相とは親しかったが、10月に首相に就任した石破氏とは親交がなかった。アナリストらは、石破氏の早期ホワイトハウス訪問は明るい兆しだと指摘した。
元米国務次官補で米アジア・ソサエティ政策研究所副会長を務めるダニエル・ラッセル氏は、石破首相はトランプ大統領に巧みに対応し、日本にとって有利な関係を築く時間を稼いだと評価した。
「石破氏の使命はトランプ氏の好意を得ることだったが、見事に成功したようだ」と話した。ただ、日本が米国からの輸入を増やしても、両国間の貿易不均衡を解消するには至らないだろうとの見方を示した。
トランプ氏、日鉄・USスチールに道開く 「買収でなく投資」 - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを完全に所有するのではなく投資するという新たな合意案を支持すると表明した。日鉄が米鉄鋼市場でより大きな役割を果たす道が開かれる。
トランプ氏は石破茂首相との共同記者会見で「買収ではなく投資として実施する」とし、「私は買収を望んでいなかったが、投資は大歓迎だ」と語った。
見直し後の合意の詳細は7日の時点で明らかにならなかったが、トランプ氏は、日鉄の幹部と来週会合を開いて協議するとした。
トランプ氏は米国の製造業強化を公約に掲げ、以前は日鉄による141億ドル(約2兆1400億円)でのUSスチール買収案に反対していた。
石破氏とトランプ氏が並んで演台に立った記者会見で、石破氏も鉄鋼大手の合意案に言及し、日本の技術がUSスチールに提供されると述べた。また両首脳は通商拡大の機会について語り、トランプ氏は対日貿易赤字の削減にも取り組むと述べた。
日鉄とUSスチールはコメントの要請に応じなかった。
USスチールのデービッド・ブリット最高経営責任者(CEO)は6日トランプ氏と会談し、日鉄による買収計画について協議した。日鉄の森高弘副会長兼副社長は先週、首都ワシントンを訪れ、議員らに働きかけた。
石破首相「どれだけ株を持つか」、日鉄のUSスチール買収巡り | ロイター
防衛費の増額要求ない、対日関税「わからない」=日米首脳会談で首相 | ロイター
石破首相、対米投資1兆ドル-「日鉄は買収でなく投資」とトランプ氏 - Bloomberg
石破首相「USスチールは米の会社であり続ける」、首脳会談受け - Bloomberg
トランプ氏、石破茂首相との記者会見で「シンゾウ」連呼 - 日本経済新聞
「欧州を再び偉大に」訴え、スペインで極右サミット開催 - 日本経済新聞
欧州議会の極右会派の「欧州の愛国者」は7〜8日、スペインのマドリードでサミットを開催した。ハンガリーのオルバン首相やフランスの極右政党を主導するルペン氏など各国の極右指導者が集まり、「欧州を再び偉大に」すべきだと訴えた。
ロイター通信によると、オルバン氏は支持者の前で米国のトランプ大統領に触れ、「トランプ旋風が数週間で世界を変えた。昨日は我々が異端だったが、今日は主流派だ」と発言した。
欧州の愛国者は2024年の欧州議会選後に結成された新会派で、議会で第3の勢力を持つ。オルバン氏が率いるフィデス・ハンガリー市民連盟のほか、仏極右の国民連合(RN)、スペインのボックス(VOX)、ポルトガルのシェーガなどが参加している。
欧州では反移民など有権者の内向き姿勢が強まり、同会派の追い風となったが、各国の極右政党をまとめきれていない面がある。イタリアのメローニ首相の出身母体である「イタリアの同胞」(FDI)や23日のドイツ総選挙に向けて支持を拡大させてきた「ドイツのための選択肢(AfD)」など有力な極右政党は参加していない。
●先進国中銀、金融当局
米金利、1年半後には「相当程度」低下 関税を注視=シカゴ連銀総裁 | ロイター
インフレ低下なら年内利下げ支持=米ミネアポリス連銀総裁 | ロイター
英中銀は利下げ「慎重」に、賃金動向を警戒=ピル氏 | ロイター
FRB議長、議会証言で景気の強さ語る可能性-米CPIは12日発表 - Bloomberg
●先進国経済指標
米1月雇用者14.3万人増、予想下回る 失業率4%で5月以来の低水準 | ロイター
米ミシガン大消費者信頼感、2月速報値67.8に低下 期待インフレ急上昇 | ロイター
独輸出、12月は前月比+2.9% 鉱工業生産は予想以上の落ち込み | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
焦点:トランプ政権の注目、FRBから10年債利回りに移る 政策の制約と認識 | ロイター
トランプ米政権がにわかに長期国債利回りに注目し始めたことは、自らの経済政策を阻みかねない制約要因として神経をとがらせるようになったからかもしれない。そのことは同時に、連邦準備理事会(FRB)が直接的な批判の矛先から外れることを意味する。
米10年物国債利回りは、12兆6000億ドル規模の米住宅ローン市場から5兆8000億ドル規模の企業向け銀行融資、ひいては政府自体の利払い負担に至るまで、あらゆる借り入れのコストに影響する。
FRBが昨年9月以降、短期の政策金利を1%ポイント引き下げたにもかかわらず、10年物国債利回りはその間に0.75%ポイント以上も上昇した。
FRB幹部らは、長期金利はFRBが十分にコントロールできるものではないとした上で、長短金利が政策金利から乖離(かいり)している理由を複数挙げている。多額の米財政赤字、物価目標を上回るインフレ率、新型コロナ禍後の世界的な金融環境のリセットなどだ。
しかし原因が何であれ、トランプ氏とベッセント財務長官の視線は、これまでトランプ氏がしばしば批判してきたFRBよりも今では10年物国債利回りの方に向けられているようだ。
ベッセント氏は5日、フォックス・ビジネスへのコメントで、トランプ大統領が金利低下を望むと言う時、それはFRBが設定する短期金利ではなく10年物国債利回りのことを指していると述べた。10年債利回りは、トランプ氏が就任した1月20日の前に4.8%を超えたが、足元では4.4%前後に下がり、昨秋からの急上昇が一部反転している。
エバーコアISIのクリシュナ・グハ副会長は、規制緩和が実施されるとの見通しに加え、ベセント氏が最近示した国債管理計画など、複数の要因が相まって利回り低下につながったのかもしれないと言う。
グハ氏は、10年物国債利回りに注目が向くことで「FRBと新政権の緊張は和らぐ」としながらも、同利回りの上昇がトランプ氏の経済政策案に及ぼす影響を考えれば、今後も金利上昇を抑制し続けることが極めて重要になると語った。
「ベッセント氏のメッセージは、彼が成すべき仕事は本質的には一つだという当社の見解と一致している。すなわち、10年債利回りが5%を突破するのを防ぐことだ。突破すれば株価も、住宅その他の金利に敏感なセクターも大幅下落し、『トランポノミクス』は崩壊すると当社は考える」とグハ氏はリポートに記している。
<イエレン氏の借り入れ計画を踏襲>
現在の10年物国債利回り、すなわち政府の借り入れコストは、第1次トランプ政権時を大幅に上回ったままだ。また2.5%前後の米経済成長率よりも高い。この比較は国債発行のダイナミクスと持続可能性を計る重要な指標となる。
ベッセント財務長官は、FRBが「大幅な利下げをしたが、10年債利回りは上昇した」と述べた。
ベッセント氏はまた「大統領は金利低下を望んでいる。(中略)彼との対話で、われわれは10年物国債利回りに注目した。彼はFRBに利下げを求めていない。彼は、われわれが(中略)経済の規制を緩和すれば、そして税制政策を実行し、エネルギー価格を下げれば、金利もドルも自ずとあるべき水準に落ち着くと信じている」と語った。
トランプ氏は実際2日、FRBが1月29日に金利を据え置いたのは適切だったとの考えを示した。パウエルFRB議長と対立してきたトランプ氏としては異例の支持発言だ。
これはまた、トランプ氏が1期目とは異なる経済環境、異なる制約に直面していることを、少なくとも暗に認めた発言だと言えるかもしれない。10年物国債利回りは1期目当初に2%強で、その後トランプ氏を怒らせたFRBの利上げに反応して上昇した。
FRBの政策金利は長期金利に影響を及ぼすことを意図している。その影響は、金融政策の効果を経済全体に波及させる重要な経路であり、インフレ率にも影響する。
しかしその波及のスピードと程度は、FRBにはほぼコントロールできない。
シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は6日、トランプ政権の最近の金利に関する発言はFRBに向けられたものではなく、実体経済により直接的に影響を与える一連の資金調達コストについて述べたものだと解釈していると述べた。
ベッセント長官は今のところ自身が直面する制約を認めているようで、イエレン前長官の時とほぼ同じ割合で短期債と長期債を組み合わせた国債発行を行っている。ベッセント氏はかつて、イエレン氏が用いた割合を批判していた。
ベッセント氏は、長期債の割合を増やすことが望ましいとしながらも、昨年11月の米紙ウォールストリート・ジャーナルの記事では、より長期国債の発行を増やそうとすれば「長期金利が上昇する可能性があり、巧みな対応が必要となる」とも認めている。
●中東情勢
●エマージング
中国CPI、1月は5カ月ぶりの高い伸び PPIマイナス続く | ロイター
【寄稿】瀬戸際のロシア経済を注視する中国 - WSJ
中国の習近平国家主席は、約3年間続いているロシアによるウクライナ侵攻を注視してきた。習氏は「親愛なる友人」であるウラジーミル・プーチン氏に先端技術を提供し、ロシア経済の下支えを手助けしている。また習氏は西側諸国の制裁に対するロシアの耐久力を見極めようとしている。習氏は中国が台湾の独立を押しつぶした場合に、西側諸国が中国をどのように罰しようとするかについて、手掛かりを探っている。
プーチン氏はロシア経済が順調だと述べているが、実際はそうではない。徴兵や軍事物資の増産、労働年齢の男性の大量流出による影響が重なって、人手不足が生じ、賃金が上昇し、国防産業の力が弱まっている。政府が公表しているインフレ率は10%だが、大半のエコノミストはもっと高いと考えている。大都市の家賃は中間層の住民の大半にとって、手が届かないほど高くなっている。民間のローン金利は21%で、さらに上がると見込まれており、ロシア企業の財務の健全性を損なっている。銀行は、軍事関連企業には市場金利を下回る金利で、ほぼ無制限の信用を供与するようロシア政府から求められており、そのことによって苦しんでいる。政府は社会保障費を削って戦争関連のニーズを満たしている。通貨ルーブルは極めて不安定だ。
米国が先導している制裁措置は、西側諸国から資金を調達する能力をロシアから奪っている。2023年と2024年にはルーブル債の入札が何度か失敗に終わった。このことは、ロシアの銀行とオリガルヒ(新興財閥)が、苦しい状況のロシア政府が発行する債券の購入にますます消極的になっていることを示している。10年物国債の利回りは急騰している。戦争開始以降、国債の発行残高は35%減少している。
中国も自国の銀行への制裁を恐れ、次第にロシアの戦時国債の購入に慎重になってきている。中国はドル建て金融システムへのアクセスを失うことを望んでいない。
ロシアに残された唯一の資金源は、国民福祉基金(NWF)と石油・ガス輸出収入だ。NWFは、現在必要な経費を支払うために保有資産の取り崩しを余儀なくされている。戦争が始まる前、NWFには海外で保有する約3000億ドル(約45兆4800億円)分の外貨準備があったが、現在は凍結されている。また、戦争前は国内の保有資産が約3000億ドル相当あったが、その3分の2は引き出されている。このペースで行くと、いつでも使えるこの準備金は2025年のどこかの時点で底を突くだろう。
戦争が始まって以降、ロシアは石油輸出の90%を中国とインドに振り向けているが、両国の港湾は、銀行や他の企業への制裁を恐れて、荷受けを拒否し始めている。北欧諸国も手を引きつつある。最後までロシアから欧州にガスを輸送していたパイプラインは、2024年末に閉鎖された。
新たにアクセスできる資金源がない中、プーチン氏は予算面の苦境に対応するための適切な選択肢がほとんどない。彼は紙幣を増刷することもできるが、それはハイパーインフレにつながる可能性がある。増税に踏み切ることも可能だが、社会不安を招きかねない。すでにストレスを感じているロシア国民は、これら二つの選択肢の両方に反対する姿勢を示唆している。
中国は、電気自動車(EV)などの消費者向け製品の対ロ輸出を拡大するなど、ロシア経済を支える上で可能な策を講じてきた。しかし、中国の複数の銀行は、ロシアの軍事物資調達に便宜を図ったとして制裁対象になっている。中国の経済も不振に陥っている。こうした制裁が強化されれば、西側諸国との対立をいとわない中国当局の姿勢が、試練にさらされるかもしれない。
ドナルド・トランプ米大統領は最近、プーチン氏がウクライナで早期の和平合意に応じなければ、対ロ追加制裁を科すと警告した。プーチン氏はこの脅しを真剣に受け止める必要がある。苦境にあえぐロシア経済が崩壊の瀬戸際にあるからだ。もう一段の厳しい制裁が適用されれば、ロシア経済は本当の危機に陥るかもしれない。そうなれば、習氏が教訓のメッセージを受け取ることは間違いない。彼は、中国が台湾に対して武力行使に踏み切った場合の代償の大きさについて、考えざるを得なくなるだろう。
資金難の中国企業、トランプ氏の貿易戦争に対し脆弱 - WSJ
中国の再生可能エネルギー企業である新特能源(Xinte Energy)は自社のウェブサイトで、「世界の隅々まで光と暖かさを届けている」とうたう。同社はその一方で巨額の赤字を出している。
太陽光パネルの構成要素であるポリシリコンを製造する新特能源はこのほど株主に対し、2024年決算で40億元前後の損失を計上するとの見通しを示した。この額は5億ドル(約760億円)余りに相当する。重要産業の育成を求める政府の強い圧力が激しい激しい競争と価格競争を招く一方で、需要は勢いを失っており、同社の利益に打撃を与えている。
中国にとっては不幸なのは、このような状況にあるのが太陽光発電業界だけではないということだ。中国全土の企業は、過剰生産能力と景気低迷の中で消費不振に苦しんでおり、手元資金を流出させている。
ドナルド・トランプ米大統領が中国製品に対する新たな10%の関税を導入し、追加措置もあり得ると脅しをかけて圧力を強めている今、この問題のため中国は異例なほど脆弱(ぜいじゃく)な状態にある。企業が過剰供給分を海外に売り払う中で、輸出は中国経済にとって数少ない明るい材料となってきたが、関税率が上昇して米国の買い手のコストが増大すると、それははるかに難しくなる。
中国本土で上場する企業の4分の1近くが、データが入手可能な直近の四半期に当たる2024年7-9月期に純損失を計上した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がA株市場に上場している中国企業の提出文書を分析したところでは、この割合は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の2倍超になっている。
中国本土市場に上場している約5000社で構成する、ファクトセット社の指数によると、中国の上場企業の利益率は最近、2009年以来の低水準に落ち込んだ。公式統計によれば、2024年の中国大手企業の利益は約3.3%減少し、3年連続の減益となった。規模の小さい家族経営企業の多くも苦戦している。
利益が圧迫される中、多くの中国企業はコスト削減モードに入っており、投資の延期や従業員削減、賃金の抑制を行っている。しかし、企業や消費者の支出減は、中国が同じ問題に直面し続けることにつながる。それは消費の伸びが強く求められる状況であるにもかかわらず、需要が低迷しているという問題だ。
世界第2の経済大国である中国は、不動産市場の劇的な崩壊や債務増大など多くの問題に苦しめられている。建設活動は鈍化し、資産を不動産で保有する傾向が強かった国民は、将来への不安が募る中で貯蓄に励んでいる。香港に本拠を置く労働者の権利擁護団体、中国労工通訊がソーシャルメディアへの投稿を調べたところ、未払い賃金への抗議やその他の報酬に関する不満を表明する内容が増えている。
中国指導部は経済成長を促す方策として、製造業と輸出に目を向けている。しかし、国の補助金が一因となって増えた余剰生産能力は、一部業界の在庫のだぶつきを悪化させている。多くの企業は製品の在庫を削減しようと、価格を引き下げているが、それでは利益がさらに削られるだけだ。そして、それはさらなるコスト削減へとつながる。
オーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行(ANZ)のアジアリサーチ部門トップ、クーン・ゴー氏は「要するに底辺への競争だ」と話す。
トランプ政権が新たに課す関税は、米国に製品を輸出する中国企業をさらに圧迫するとみられ、一部のメーカーは米国の顧客獲得に向けた競争力維持のために値下げを余儀なくされるだろうと述べている。
傷を癒やそうとする企業
遼寧省に本拠を置く中国最大級の鉄鋼メーカー、鞍山鋼鉄は最近、効率化を試み、輸出を拡大するなど、「損失の低減と制御のためのあらゆる方策」を講じたことを明らかにした。しかし、鉄鋼の価格は下落し続け、需要は低迷したままだ。同社は2024年の決算について、損失が前年の2倍以上に増え、およそ70億元(約10億ドル)になるとの見通しを示している。同社にコメントを要請したが、返答はなかった。 
電気自動車(EV)用電池向けの素材を扱っている天斉リチウムも、投資家向けに赤字見通しに関する警告を出した。同社製品の価格低下を受けて、2024年決算の純損失が約10億ドル相当に達する見込みだという。四川省を拠点とする同社は、開示情報の中で、2017年から稼働していたオーストラリアの1工場について、もはや採算が取れなくなったとの理由で、操業を全面停止することを明らかにした。WSJからのコメント要請への同社の対応は、公式発表を見るようにというものだった。
純損失を出すか減益になると警告している他の中国企業の中には、太陽光発電用のガラスを生産しているフラットグラス(福莱特玻璃)、イリコ・グループ・ニュー・エナジー(彩虹集団新能源)、建材メーカーの天山材料、半導体メーカーの上海復旦微電子などが含まれる。これら企業はコメント要請に応じていない。
太陽光発電市場に好不況の波があることが、一部中国企業の黒字維持が極めて難しくなっている一因に挙げられる。中国政府は、太陽光発電を重要産業分野に指定し、地方政府や金融機関に同分野の企業への補助金や融資の提供を促してきた。複数の企業の新規参入を受けて、供給量が急増し、顧客獲得のための値下げ競争が起きた。値下げを渋ったり減産したりすれば、市場シェアを失うリスクがあった。
新特能源の開示情報によると、同社製ポリシリコンの2024年の平均価格は前年を約60%下回り、生産コストより低くなったこともあったという。それでも中国西部の新疆ウイグル自治区を拠点とする同社の2024年のポリシリコン生産量は、前年を若干上回ったという。
同社は開示情報の中で、需給の不均衡を背景とした「ポリシリコン価格の下がり方は不合理だった」と指摘した。同社はWSJのコメント要請に応じていない。
中国光伏行業協会(CPIA)の声明によると、新特能源を含む太陽光発電関連企業33社は昨年12月、「危険な競争」の抑制策を話し合う会合を開いた。中国最大級のポリシリコンメーカーのうち2社は昨年末、減産方針を発表した。
高い収益力を維持している中国企業もある。ソーシャルメディア・ビデオゲーム大手テンセント・ホールディングス(騰訊控股)の2024年7-9月期決算は、純利益が47%増加した。幾つかのゲームタイトルの売れ行きが好調だったことが要因の一つ。また、電子商取引大手JDドットコム(京東)も大幅増益となり、中国の消費者心理が改善しているのではないかとの期待が高まっている。
確かに多くの欧米企業も損失を出している。だが、中国は高齢化の進行や地方政府債務の急増、根強いデフレといった問題を抱えており、見通しは特に不透明だ。
中国は過去に、過剰生産能力を抑えるために痛みを伴う措置を講じたことがある。例えば1990年代の改革では、企業を整理し、何百万人もの失業者を出した。今回は、そのような措置は取られていない。
遅々とした対応
中国指導部が昨年導入した措置は、大部分が差し迫った金融リスクの回避に重点を置いていたため、さらなる消費刺激策を期待していた投資家たちを失望させた。モーニングスターによると、2024年の中国A株ファンドからの資金純流出額は44億ドルとなった。2023年の流出額は26億ドルだった。
中国の最高立法機関である全国人民代表大会(国会に相当)の招集を3月に控え、一部の企業は、中国指導部が今年、より消費に焦点を合わせた刺激策を打ち出すことを期待している。
上海に本社を置く家具・インテリア小売りのレッド・スター・マカリン(紅星美凱龍)は、2024年決算が約4億ドルの赤字になるとの見通しを発表した。だが、開示情報によると、同社は消費を下支えする政策の実施が需要回復につながると期待している。同社はコメント要請に応じなかった。
中国指導部への問い合わせ窓口である国務院新聞弁公室は、質問に返答しなかった。
米国が新たに発動する関税は中国の悩みを増やすものだが、一部の投資家やアナリストは国内問題の方が差し迫ったものだと指摘する。中国本土の上場企業の売上高のほとんどは国内で得られたものだ。
英投資会社アバディーンの中国株式部門トップ、ニコラス・ヨウ氏は「人々は関税について過剰に心配している可能性がある。力を入れる必要があるのは国内経済だ」と述べた。
China’s economic miracle appears to be in the past. Here’s why the future looks bleaker and bleaker. - MarketWatch
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
スマホ容量はこう節約 使わないアプリは「アーカイブ」 - 日本経済新聞
埼玉・八潮の道路陥没、下水道管の本格復旧「3年程度」 - 日本経済新聞
The ultra-processed foods these nutrition experts never buy
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(7日)ドル・利回り上昇、株下落 | ロイター
**為替市場:**  
- 米雇用統計で雇用者数の伸びは鈍化したが、失業率が4.0%に低下。FRBの利下げ延期観測が強まり、ドルが上昇。  
- トランプ大統領が相互関税を発表予定と報道され、ドルを押し上げる要因に。  
- ドル指数は0.353%上昇の108.04。  
**債券市場:**  
- 10年国債利回りは4.489%、2年債は4.275%と上昇。  
- FRBは雇用市場の堅調さを理由に、急な利下げを避ける方針を強調。  
**株式市場:**  
- 主要3指数が下落(ダウ-0.54%、S&P500 -0.24%、ナスダック-0.53%)。  
- トランプ政権の相互関税発表予定が重しに。  
- アマゾン株はクラウド事業の不振で4.1%安、ウーバーは著名投資家の大量保有公表で6.6%高。  
**商品市場:**  
- **金:** 高関税政策の警戒感で上昇(+0.38%、1,887.60ドル)。  
- **原油:** イラン制裁への懸念から反発(WTI +0.55%、71.00ドル)。
欧州市場サマリー(7日) | ロイター
ロンドン株式市場は反落。米関税政策への懸念や米雇用統計の下振れが影響。FTSE100種は週間で0.31%上昇し、過去最高値を更新したが、中型株FTSE250種は週間で0.68%下落。住宅建設株は3.12%安。明治安田生命によるL&Gの米生保事業買収でL&G株は1.2%上昇。  
欧州株式市場も反落。関税懸念で自動車株が下落し、ポルシェは7.2%安。STOXX欧州600種指数は週間で0.60%上昇。ロレアルは業績下振れで3.5%安、ペルノ・リカールは4.7%下落。  
ユーロ圏債券市場では国債利回りが上昇。ただし、米追加関税が欧州経済にデフレショックをもたらす懸念から、週間では2週連続で低下。ドイツ10年債利回りは2.38%、イタリア10年債利回りは3.47%に上昇。

備忘録(2025/2/6
●海外企業決算
仏ペルノ・リカール、売上高予想を下方修正 中国の関税響く | ロイター
仏蒸留酒大手ペルノ・リカールは6日、2025年以降の売上見通しを下方修正した。中国でコニャック「マーテル」などの販売が低迷していることが理由。
欧州連合(EU)が中国製の電気自動車(EV)に対する関税を導入したことを受けて、中国政府がEU産ブランデーに関税を発動したことが響いた。
1週間前倒しで発表した半期決算では米国と中国の販売がそれぞれ7%、25%急減した。25年は1桁前半の減収になる見通し。従来予想は小幅な増収だった。
同社の株価は3%上昇。アナリストによると、決算と業績見通しが市場予想と一致した。
中国事業は引き続き非常に低迷しており、現時点の情報では春節(旧正月)が非常に低調で、贈答品が大幅に落ち込んだという。
米政府はメキシコ、カナダ、EUに対する関税を警告しており、アイリッシュ・ウィスキー、カナディアン・ウィスキー、テキーラなどの販売に影響が出る可能性がある。
2027─29年のオーガニック売上高の予想は従来の4─7%増から3─6%増に下方修正した。26年は移行期になるという。
アマゾン、第4四半期売上高が予想上回る クラウド事業はさえず | ロイター
イーライ・リリー10〜12月利益2倍 肥満症薬予想下回る - 日本経済新聞
オーステッド、洋上風力投資25%削減 業績改善見込めず - 日本経済新聞
洋上風力発電最大手であるデンマークのオーステッドは6日、2024年12月期通期の最終損益が1600万デンマーククローネ(約3億円)の黒字(前の期は201億8200万デンマーククローネの赤字)だったと発表した。最終黒字は確保したものの米国事業の悪化から巨額減損を計上した。今後の業績改善も見込みにくいとして30年までの洋上風力事業への投資額を25%削減すると決めた。
[AMZN] アマゾン 2024年12月通期は増収増益 売上高11%増6379億ドル、営業益86%増685億ドル、EPS5.53ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EXPE] エクスペディアグループ 2024年12月通期は増収増益 売上高7%増136億ドル、営業益28%増13.1億ドル、配当0.40ドル実施 - 株探(かぶたん)|米国株
[RL] ラルフローレン 3Q増収増益 売上高11%増21.4億ドル、営業益23%増3.89億ドル、EPS4.66ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[K] ケラノバ 2024年12月通期は減収増益 売上高3%減127億ドル、営業益24%増18.7億ドル、EPS3.88ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[COP] コノコフィリップス 2024年12月通期は減収最終減益 売上高3%減569億ドル、純利益16%減92.4億ドル、EPS7.81ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UA] アンダーアーマー 3Q減収減益 売上高6%減14.0億ドル、営業益81%減1350万ドル、EPS0.00ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ICE] インターコンチネンタルエクスチェンジ 2024年12月通期は増収増益 売上高9%増107億ドル、営業益17%増43.0億ドル、EPS4.78ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[APD] エアープロダクツ&ケミカルズ 1Q減収営業減益 売上高2%減29.3億ドル、営業益4%減6.43億ドル、配当1.79ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[PM] フィリップモリス 2024年12月通期は増収営業増益 売上高8%増378億ドル、営業益16%増134億ドル、配当5.30ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[LLY] イーライリリー 2024年12月通期は増収増益 売上高32%増450億ドル、営業益2.0倍128億ドル、配当5.20ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[HSY] ハーシー 2024年12月通期は微増収増益 売上高微増112億ドル、営業益13%増28.9億ドル、EPS10.92ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KVUE] ケンビュー 2024年12月通期は減益 売上高横ばい154億ドル、営業益27%減18.4億ドル、EPS0.54ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TPR] タペストリー 2Q増収営業増益 売上高5%増21.9億ドル、営業益10%増4.92億ドル、EPS1.38ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LIN] リンデ 2024年12月通期は微増収増益 売上高微増330億ドル、営業益8%増86.3億ドル、配当5.56ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CMS] CMSエナジー 2024年12月通期は増収増益 売上高1%増75.1億ドル、営業益20%増14.8億ドル、配当2.06ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[SNA] スナップオン 2024年12月通期は微減収増益 売上高微減47.0億ドル、営業益3%増13.4億ドル、EPS19.51ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HON] ハネウェル 2024年12月通期は増収最終増益 売上高5%増384億ドル、純利益1%増57.0億ドル、EPS8.71ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HLT] ヒルトンワールドワイド 2024年12月通期は増収増益 売上高9%増111億ドル、営業益7%増23.7億ドル、EPS6.14ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[XEL] エクセルエナジー 2024年12月通期は減収営業減益 売上高5%減134億ドル、営業益4%減23.8億ドル、EPS3.44ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ハネウェルが会社分割へ、物言う株主エリオットの圧力受け事業合理化 - Bloomberg
米ハネウェル・インターナショナルはアクティビスト(物言う投資家)からの圧力を受け、会社を分割しそれぞれ別の株式上場企業とする。工業コングロマリット(複合企業)で事業の合理化を目指す最新例となった。
ノースカロライナ州シャーロットに本社を置くハネウェルは、航空宇宙部門をオートメーション事業から分離する計画であり、以前から計画されていた先進材料部門のスピンオフ(分離・独立)も進めている。6日発表の声明によれば、分割のプロセスは2026年下期に完了を見込む。
ブルームバーグ・ニュースは先月、ハネウェルが会社分割を進める構えだと報じていた。エリオット・インベストメント・マネジメントは昨年11月、単一銘柄の保有規模としては同社最大となる50億ドル(約7600億円)余りのハネウェル株取得を明らかにした。エリオットはコングロマリットの構造が株価低迷と一貫しない財務実績の原因だと指摘し、会社分割を求めた。
ハネウェルは12月、航空宇宙事業の分割を検討していると明らかにした。ビマル・カプール最高経営責任者(CEO)の下、同社はすでに先進材料部門のスピンオフを含む事業ポートフォリオの再編に着手していた。昨年にはキャリア・グローバルのセキュリティー部門を50億ドルで買収した。
ハネウェルがこの日発表した業績見通しでは、今年の調整後1株当たり利益が10.10ドルから10.50ドル。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均の10.94ドルを下回った。自社経営資源をベースとする増収とフリーキャッシュフロー(純現金収支)の見通しも、予想に届かなかった。2024年10-12月(第4四半期)の調整後1株利益は2.47ドルと、アナリスト予想を上回った。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ディーン・ドレイ氏は「控えめなガイダンスは、今年の事業が若干弱めのモードで始まったことを示唆する」と指摘。「会社分割の発表は大いに歓迎するが、今年のガイダンスがやや控えめだったことは短期的に投資家のセンチメントを暗くするだろう。実際のスピンオフが近づくにつれ『ディールの苦しみ』が上値を押さえる可能性もある」と述べた。
ニューヨーク時間午前10時44分現在、ハネウェル株は5.2%安の210.73ドル。昨年全体では7.7%上昇したが、S&P500種株価指数の上昇率には及ばなかった。
アマゾン、実店舗でつまずく - WSJ
●日本企業
日産はホンダの次のパートナー探る、リストラ策も強化へ-関係者 - Bloomberg
ホンダとの共同持ち株会社計画が破談となる見通しが報じられている日産自動車は、次の協業相手を探っている。また自社の業績改善に向け、並行して進めてきたリストラ策も従来より厳しい内容にさせる方向で調整している。事情に詳しい2人の関係者が明らかにした。
関係者らによると、自動車業界の競争が激化する中、他の協業先の検討にも着手した。具体的な話はまだないが、日産にとって最も重要な市場である米国や自動車にとっても重要性を増している情報通信(IT)関連の分野の企業などは有力な候補になり得るという。
日産は大株主である仏ルノーと長くアライアンス(企業連合)を組み、調達や開発など幅広い領域で協業を進めることでスケールメリットを確保し、競争力を高めてきた。カルロス・ゴーン元会長の逮捕で関係が変化、23年2月に資本関係見直しで合意した。自動運転やソフトウエアなど新技術やコスト競争力がある中国勢の台頭などで自動車業界の競争は激化。日産に残された時間は少なく、パートナー選びの成否に生き残りがかかる。
一方でホンダとの協議破談で再建は正念場を迎える。日産は、昨年11月に世界の自動車生産能力の2割、9000人の人員削減などを柱とするリストラを公表し、具体的な内容を詰めてきた。関係者らによると現時点でのリストラ策では不十分で公表に向けて強化を図るという。工場閉鎖が必要になるかなどは不明だが、13日の10-12月期(第3四半期)決算発表までに公表できるよう目指していると、関係者の1人は述べた。
1月下旬の時点では当初の工場閉鎖は伴わず、生産能力の削減は生産ラインの統廃合などで対応するとしていた。
報道を受けて、日産の株価は午後の取引で上げ幅を拡大。一時前日比8.7%高の420.6円と昨年12月25日以来の日中上昇率となった。終値は415.1円だった。ホンダ株は6日の取引開始から前日比下落となっており、一時4.8%安の1428.5円を付けた。
日産広報担当の永井志朗氏は報道へのコメントは控えるとした上で、ホンダとの共同持ち株会社に関しては2月中旬をめどに正式発表すると従来の見解を繰り返した。
関係者の1人によると、日産は5日午後に取締役会を開き、ホンダとの持ち株会社設立に関する交渉を打ち切る方針を確認した。出資比率で折り合いがつかなかったほか、日産の株式を取得して子会社化するホンダからの提案も受け入れられなかったといい、13日に開く次の取締役会で正式に決める。日産の内田誠社長がホンダの三部敏宏に統合協議打ち切りの意向を伝えたと、6日午前に朝日新聞が報じた。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは日産が直面している最大の課題は資金繰りで、新しいパートナーは資金力に余裕がありフレッシュマネーを入れてくれる相手が望ましいと指摘する。車の開発や製造にはノウハウと人材が必要で、会社ごと買えばその手間が省けるため、ビッグテックで自社の技術を車に搭載する野心を持つ会社であれば、日産に興味を示す可能性があるかもしれないと述べた。
日鉄副会長「首脳会談きっかけに」、米社買収でトランプ氏の理解に期待 | ロイター
JFEHD、通期純利益950億円に下方修正 中国内需低迷で市況停滞 | ロイター
トランプ氏、USスチールCEOと6日会談-日鉄は買収へ望みつなぐ - Bloomberg
●先進国政治動向
米ロ首脳会談「準備最終段階」とロシア有力議員、中東も議題=報道 | ロイター
アングル:トランプ政権の反DEI政策、米国の官民に広がる影響と動揺 | ロイター
焦点:衝撃与えたトランプ氏「ガザ所有」発言、新政権の領土拡大主義反映か | ロイター
「米国がパレスチナ自治区ガザを長期的に保有し、再開発する」――。誰もがあっけにとられたトランプ米大統領によるこの発言は、突然降って湧いたように聞こえるが、実は新政権が持つ領土拡大主義の側面と符合する。
選挙戦中にややこしい対外関係や「永久的な戦争」から米国を解き放つと約束してきたトランプ氏だが、大統領に復帰して以降は新領土獲得を狙う姿勢を見せている。つまり自身が本来掲げてきた「米国第一」路線は「より大きな米国」路線へ変異しつつある。
トランプ氏が米国によるガザ所有の可能性に言及したのは、4日にイスラエルのネタニヤフ首相と開いた共同記者会見の場。ガザにリゾート施設を建設し、さまざまな国や地域の人が仲良く暮らすという構想を打ち出した。
思い付きのようなこの発言は、中東だけでなく世界全体に衝撃を与えたが、第2次トランプ政権の特徴を表しているとも言える。それは世界を一つの大きな商機とみなし、カナダやメキシコといった緊密な同盟諸国でさえ、まるで取引相手として扱う姿勢だ。トランプ氏が3日、米国の政府系ファンド(SWF)立ち上げを提案したのも、こうした姿勢を浮き彫りにしている。
これまでもトランプ氏は、パナマ運河の管理権奪回やデンマーク自治領グリーンランドの購入などに意欲を示し、カナダは米国の51番目の州になるべきだとの考えを繰り返してきた。ただロイター/イプソスの世論調査を見る限り、これらのアイデアは与党共和党員でさえほとんど支持していない。
トランプ氏は、ガザがイスラム組織ハマスとイスラエルよる激しい戦闘で「居住不能」になったとして、200万人を超える同地のパレスチナ人を移住させることも提案。人権団体から「民族浄化(エスニック・クレンジング)」だと厳しい非難を浴びた。強制的な移住は国際法違反となる公算も大きい。
ネタニヤフ氏との共同会見で見せたトランプ氏の振る舞いは、かつての不動産企業経営者を思い起こさせる。ガザ住民の苦境は続くと認めつつも「ガザは国際的で信じられない場所になる。ガザの潜在的な力は信じられないほどだと思う。そして全世界、あらゆる方面からやってきた人々がそこで暮らす。パレスチナ人もそこで生活するだろう」と語った。
トランプ氏の義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏は昨年、ガザを「価値の高い」ウォーターフロント物件だと評している。
ネタニヤフ氏、トランプ氏とも米国主導のガザ再開発案に合法性があるのかどうかは明らかにしていない。
もっともトランプ氏は、米国のガザ所有を真面目に話しているわけではなく、交渉戦略の一環で極論を展開しているのではないか、とシンクタンクの大西洋評議会(アトランティック・カウンシル)で中東プログラムのシニアディレクターを務めるウィル・ウェクスラー氏は指摘する。
ウェクスラー氏は「トランプ大統領はいつものやり方に従っているに過ぎない。交渉の成果を想定した上で、自身の交渉力を強めるためにゴールポストを動かすということだ。今回の場合は、将来的なパレスチナの統治に関する交渉が念頭にある」と述べた。
<米国民の支持得られぬ構想>
とはいえトランプ氏の提案は、パレスチナ国家樹立によるイスラエルとの「2国家共存」を否定し、米国が地域の緩衝材として関与する新たな枠組みが望ましいと唱えているように見受けられる。
シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で中東プログラムを統括している元国務省高官のジョン・オルターマン氏は、ガザ住民が自主的に同地を離れる公算は乏しいとした上で「多くのガザ住民の先祖は、現在イスラエル領となっている地域から逃げてきた人々で、以前住んでいた場所には戻れない。いくらガザが廃墟になっていても、多くの人が進んで出て行くかどうかは疑わしい。住民を移住させて大規模な再開発をすることで幸せな結末を迎えるとは想像しがたい」と警告した。
実際4日にホワイトハウス前でネタニヤフ氏の訪米に抗議していた数十人の人々は、トランプ氏のガザを巡る発言が伝わると「トランプとネタニヤフは刑務所行きだ。パレスチナは売り物ではない」などと叫んでさらに気勢を上げた。
トランプ氏は選挙期間中の言動は、総じて伝統的な孤立主義者を体現しており、例えばロシアと戦争するウクライナの大義は米国よりも欧州が主に背負うべきだなどと主張していた。
そこに領土拡大主義の姿勢を見ることはなかったし、このような考えはトランプ氏と共和党にとって政治的なリスクをもたらすかもしれない。有権者の賛同が得られていないからだ。
トランプ政権発足直後の1月20─21日に実施したロイター/イプソスの調査によると、米国がデンマークにグリーンランド売却を迫ることに賛成したのは全体の16%、パナマ運河管理権奪回支持は約29%にとどまった。
米国が西半球で領土を広げることへの賛成は21%、米国が新領土保全のために軍事力を行使することに同意すると答えたのは9%、共和党に限っても15%に過ぎなかった。
ドイツ極右政党AfD、一般化支える労働層有権者 - WSJ
ドイツ西部のこの都市にある製油所で実験室の化学者として働くシュテファン・ディートさん(58)は20年間、共産主義をルーツとする極左政党の党員だった。今月実施される総選挙では極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に投票するという。
「ここにはもはやドイツではなくなった場所がある。欧州ですらない。中東かアフリカだ」。スポーツ選手のような体格で、入れ墨を多く入れているディートさんはそう話す。「AfDの経済政策に目を通したことはないし、気にもしていない。それでも投票で支持する。移民のせいだ」
世論調査によると、AfDは今回の選挙で得票率を2倍以上に伸ばし、12年前の発足以来、国政選挙で最高の結果を残す可能性がある。背景にあるのは、ドイツの景気低迷や移民問題、犯罪などに対する国内の不満だ。一部の世論調査専門家はAfDには選挙で第1党の座を獲得するチャンスもあるとみているが、たとえ2番手に終わったとしても、AfDの躍進は極右政党を政権から排除してきたドイツでは地殻変動のように感じられるだろう。
AfDは支持基盤の拡大に伴い台頭してきた。最近の投票データや調査結果によると、苦境にあえぐ国内の工業地帯ではブルーカラー労働者の間で、さらには一部の移民コミュニティーの間でも急速に支持を広げている。こうした地域は長年、左派の牙城とみなされてきた。
ディートさんのような人々は、ドイツ有権者の2割が住み、AfDの従来の地盤である旧東ドイツ以外でも同党の支持層拡大を後押しする可能性がある。昨年の米大統領選で勝利した共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のカマラ・ハリス氏を総得票数でも上回る原動力となったのは、「MAGA(米国を再び偉大に)」運動の広がりだった。ドイツで起きている同様の変化は、反移民を掲げるAfDが国家を統治しうる本格的な勢力になれるかどうかの鍵を握るかもしれない。
ドイツのルール地方は米国の「ラストベルト(さびた工業地帯)」に例えられる。その北部に位置する都市ゲルゼンキルヘンでは経済的な落ち込みが顕著だ。ゲルゼンキルヘンは炭鉱の町として19世紀後半から20世紀初頭にかけて急速に発展した。第2次世界大戦中には、連合国軍の爆撃で住宅の半分以上と工業生産の3分の1が破壊された。戦後は重工業と繊維産業が復興を支えたが、1970年代の石油ショック、さらには太陽エネルギー拠点への転換失敗で急速に衰退した。
連邦労働局によると、ゲルゼンキルヘンの失業率は昨年12月は12.7%だった。これは全国平均の2倍で、ドイツの同規模の都市の中で最も高かった。ドイツ経済研究所が昨年発表した調査によると、ドイツの400の自治体の中でゲルゼンキルヘンの購買力は2番目の低さで、経済実績も下から2番目だった。
昨年の欧州議会選では、AfDはゲルゼンキルヘンで21.7%の得票率を記録し、同党の全国平均を大きく上回った。
欧州では既存体制に反発するさまざまな国家主義的政党が台頭しており、その中でもAfDは特に急進的な部類に入る。AfDはドイツの欧州連合(EU)からの離脱や、ロシアに対する制裁解除を主張する。また、ホロコーストを追悼するドイツの文化を批判しており、一部の地方支部はドイツの国内情報機関から極右過激派組織に分類されている。
ドイツの憲法はヒトラーによる政権奪取につながったワイマール共和国時代の政情不安や過激主義の拡大の回避を意図しているだけに、AfDの台頭はドイツにとって特に大きな意味を持つ。ドイツでは先週、AfDと中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)の議員が反移民の動議採択に向けて初めて投票で協力した。これを受け、数十万人規模の抗議行動が起こった。
こうした反発にもかかわらず、AfDは有権者の支持基盤を拡大している。これはゲルゼンキルヘン中心部の北に位置するブーアー地区である朝に見られた光景からも明らかだった。
ブーアーの繁華街では、連邦議会のAfD地元候補、フリードヘルム・リコウスキー氏と同氏のチームがAfDを象徴する青色を強調したテーブルを用意し、ライター、ビールの栓抜き、パンフレット、さらにはAfDがユーロに代わる通貨として再導入を望んでいるドイツマルクを模した硬貨を配っていた。
ヨランテ・ジルカさん(63)は元看護師で、41年前にドイツ系の両親と共にポーランドからゲルゼンキルヘンに移住した。以前は動物愛護党を支持していた。現在はAfDに魅力を感じている理由として、「私が思っていることを言ってくれる」ことを挙げる。その上で、「ここで起きていることは、もはや正常ではない。私は誰でも入ってこられるように自分の家を広く開けっ放しにはしない」と話した。
デュッセルドルフにあるハインリヒ・ハイネ大学のシュテファン・マルシャール教授(政治学)は、ドイツ西部の一部地域で、失業者や移民、犯罪の増加がAfDへの追い風になっていると指摘する。デュッセルドルフはゲルゼンキルヘンから南に車で1時間の距離にある。ただ、AfDはドイツ東部におけるような支持獲得は期待できないとみている。ドイツ西部では従来の政党に対する支持が根強く、AfDの主張に特徴的なポピュリズム(大衆迎合主義)は裕福な地域で共感を得られていないとマルシャール氏は語る。
それでもAfDはあらゆる社会経済階層と年齢層で支持を伸ばしてきた。特に若者とブルーカラーの有権者からの支持拡大が目立つ。そう指摘するのは、世論調査機関インフラテスト・ディマップの代表者、ローランド・アボルド氏だ。昨年の欧州議会選では、自身をブルーカラーとみなす有権者の33%がAfDを支持し、他の政党の割合を上回った。
25年前にゲルゼンキルヘンの産業界で雇用削減が始まると、人口流出が加速した。中道左派の社会民主党(SPD)の地元政治家、ウド・ゲルラッハ氏は、家賃が下がったことで、難民や東欧からの移民が流入したと語る。移民は現在、市の人口のほぼ40%を占めている。数十年にわたり地方政治で強い影響力を保ってきたSPDが支持を失っている主な要因として、ゲルラッハ氏は移民を挙げる。
ゲルラッハ氏は「選挙運動中にひどい罵倒にさらされることがある」と語る。同氏は製油所で35年間働き、同僚たちがSPDの党員をやめるのを目にしてきたという。「AfDに引き寄せられる人たちはナチスではない。ただ不満を抱いているだけだ」
ゲルゼンキルヘンでAfDを率いるエンクシ・セリザカリャス氏によると、市で古い歴史を持つ移民コミュニティーの間でも同党は支持を集めている。1960年代に両親や祖父母が移住してきたドイツ系トルコ人などを含むこうした住民はドイツ社会に同化していることが多く、アラブ諸国やバルカン半島から移住してきた比較的新しい移民に対して必ずしも好意的ではないという。
アルバニアのティラナで生まれ、7歳の時に両親と共にドイツに移住したセリザカリャス氏は「この文化に溶け込まなければならなかった」と話す。「パスポートを取得するために私が何をしなければならなかったか。文化的にドイツとのつながりがまったくない人々にパスポートが配られているのを見ると、怒りが湧いてくる」
ブーアーのある日の光景に戻ると、AfDのインフォメーションスタンドに立ち寄っていたのはアリ・バハディールさん(51)だ。高齢者の看護事業を立ち上げているバハディールさんはトルコ系ドイツ人で、おしゃべりとパンフレットを目当てにやってきた。
バハディールさんは「AfDに興味がある。私の子どもたちはAfDが好きではない。ただ、どんな主張なのか目を通してみたい」と話した。「メディアはあてにならない。独立しておらず、AfDのことは批判するが、イスラエルやユダヤ人のことは絶対に批判しない」
数分前には、地元議会でAfD会派を率いる教師のヤンヘンドリック・プロイス氏にトルコ系ドイツ人の青年が近寄っていた。青年には質問したいことがあった。兄弟と同じようにAfDを支持しようと考えているが、AfDがイスラム教徒に対してモスクでの礼拝やハラル食品を禁止したりするのかどうか、ということだった。プロイス氏は「まったく心配する必要はない」と答えた。
米政権、厚生省職員の大量解雇を計画=関係者 - WSJ
●先進国中銀、金融当局
英中銀、政策金利0.25%引き下げ インフレ上昇と成長鈍化を予想 | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は6日、今年のインフレ見通しの大幅な上方修正は一時的と判断し、政策金利を0.25%ポイント引き下げ4.50%とした。2委員は0.50%の利下げを主張した。
ロイター調査によるエコノミスト予想でも4.50%への利下げが予想されていた。マン委員とディングラ委員は4.25%への大幅利下げを求めた。マン委員はこれまで利下げを主張していなかったが、より積極的な政策緩和への転換がいずれ必要になるとの見方を示していた。
ベイリー総裁は、中銀は「国内経済と世界情勢を注意深く監視し、追加利下げに向けて段階的かつ慎重なアプローチをとる」と述べた。
中銀は第4・四半期について0.1%のマイナス成長になったとの見方を示した。
利下げは昨年8月の開始以降3回目となった。
今回の会合議事要旨では、インフレを押し上げる可能性のある生産性低迷を理由に、一部委員は今後の利下げに「慎重」なアプローチを求めた。目標を上回るインフレ持続のリスクは低いが、中銀は「慎重」姿勢を継続する必要があるとする委員もいた。
国内経済の見通しは、11月の中銀予測よりも悪化している。
すでに2.5%と目標を上回っているインフレ率は、エネルギー価格上昇や水道・バス料金値上げが予定されることから、今年第3四半期に3.7%程度でピークに達すると見込んでおり、前回ピーク予想の2.8%から上方修正した。インフレ率が目標の2%に戻るのは27年の第4・四半期と予想、前回から6カ月後ずれした。
中銀行はまた、弱い企業・消費者センチメントや鈍い生産性の伸びから今年の成長率見通しを半減させ0.75%とした。26・27年の成長率予想は1.25%から1.5%に小幅上方修正した。
今後の米国による関税が英インフレ率にどう影響するか正確には不透明だが、英国が特定の対象ではないとしても世界的な関税引き上げが成長鈍化につながる可能性が高いとした。
これらの予測は、利下げペースが11月よりも緩やかになり、今年末までに政策金利が4.25%程度に低下するという市場予想に基づいている。これまでは3.75%に低下するとみられていた。
4.25%への利下げに賛成した2委員の意見は異なっており、議事録によると1人は「積極的」アプローチへの支持を表明。これはマン委員が使った経緯がある言葉だ。この「積極的」委員は、より大きな利下げへの賛成が市場により明確なシグナルを与えるとし、金融政策は当面制約的とする必要があると指摘した。
もう1人の委員は、弱い成長によりインフレ率が中期的に目標に戻ることを確実にする可能性が高いとの見方を示した。
日銀利上げ、25年度後半に最低1%まで必要と田村委員-一時151円台 - Bloomberg
日本銀行の田村直樹審議委員は6日、現在0.5%程度の政策金利を2025年度後半には少なくとも1%程度まで引き上げることが必要との見解を示した。長野県金融経済懇談会で講演し、その後に記者会見した。
田村氏は、不確実性はあるものの、25年度後半には2%の物価安定目標が実現したと判断できる状況になると展望。経済・物価に中立的な名目金利(中立金利)は最低でも1%程度との見方を改めて示し、「25年度後半に少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げておくことが、物価上振れリスクを抑え、 物価安定の目標を持続的・安定的に達成する上で必要だ」と語った。
政策金利を0.75%に引き上げたとしても、実質金利は大幅マイナスだとし、経済を引き締める水準にはまだ距離があると説明。物価目標が実現する確度の高まりに応じて、適時かつ段階的に利上げを行い、「経済・物価の反応を丁寧に確認し、適切な短期金利の水準を探っていく必要がある」と述べた。
日銀は1月に昨年7月以来の利上げで政策金利を17年ぶりの0.5%程度とし、経済・物価が見通し通りに推移すれば利上げで金融緩和度合いを調整していく方針を維持した。田村氏は昨年12月会合で利上げを提案するなど政策委員9人の中で最もタカ派に位置付けられており、今回の講演でも政策正常化の継続に強い意欲を示した。
明治安田総合研究所の小玉祐一フェローチーフエコノミストは、田村氏の発言について「自らの見通しに一段と自信を深めていると思う」と指摘。米経済の下振れリスクは低下しており、賃上げムードも非常に良いとし、「基調的な物価上昇率にかなり上振れリスクが出てきているという見方が、政策委員全体のコンセンサスになりつつある可能性がある」と述べた。
午後の記者会見では次の利上げ時期については特段考えてないと言明。利上げペースに関しては、半年に1回などの予断は持っておらず、データや情報次第で早くなるか、遅くなる可能性もあると指摘した。25年度後半の1%程度への利上げを想定している中で、一定水準を念頭に置いた方が適時・段階的な調整が可能になると述べた。
物価目標の実現見通し時期を従来の26年度までの見通し期間の後半から25年度後半としたことについては、日銀の経済・物価見通しの実現確度が高まってきたと判断し、「前倒しというよりも、もう少し私の中で絞れてきたということだ」と説明。物価上振れリスクが顕在化した場合には、予想物価上昇率などの基調に反映される可能性があるとも指摘した。
田村氏の講演を受けて日銀の追加利上げ観測が高まり、外国為替市場の円相場は午前に一時1ドル=151円82銭と昨年12月12日以来の高値を更新した。その後は152円台前半での取引となっている。
ブルームバーグが1月の金融政策決定会合での利上げ後に実施したエコノミスト調査では、追加利上げ時期について最多の56%が7月の金融政策決定会合を挙げた。最高到達点(ターミナルレート)の予想中央値は1%だった。
多角的レビュー
田村氏は午前の講演では、消費者物価の動向について、人手不足による人件費の上昇とその価格転嫁を踏まえ、「上振れリスクが膨らんできている」と指摘。2%以上のインフレが3年近くも続く中で、日本人にとって重要な米価格の上昇もあり、「消費者マインドにダメージを与え、個人消費に悪影響を与えてしまわないか懸念している」と語った。
昨年12月会合で取りまとめた金融政策の多角的レビューに関しても見解を示した。黒田東彦前総裁が推し進めた大規模緩和はビジネスの新陳代謝の停滞によって生産性が低迷し、「供給サイドに対して大きな副作用があった可能性が高い」と言明。レビューにおける「全体としてみれば、わが国経済に対してプラスの影響をもたらした」との評価について、「言い切ることはできない」と主張した。
昨年9月の講演では、日銀が経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した26年度までの見通し期間の後半には少なくとも1%程度まで利上げする必要があると発言。12月会合では政策維持に唯一反対し、経済・物価が見通しに沿って推移する中、物価上振れリスクが膨らんでいるとして0.5%程度への利上げを提案した。
FRBが今年のストレステスト概要公表、新たなシナリオ追加 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は5日に公表した大手銀行に対する2025年版ストレステスト(健全性審査)の概要で、商業用不動産と居住用不動産の市場が緊迫化するシナリオが盛り込まれると明らかにした。
そのほかノンバンク部門で起きたショックや、多数の大手ヘッジファンドがもたらすショックが大手行のファイナンスに与える影響を調べる項目などが新たなシナリオに加えられる。
シナリオはおおむね従来と変わらない。大手行の対応力と、それに伴う資本要件の評価につなげる。
25年版では、米国の失業率は5.9%から10%に上昇し、住宅価格は33%、商業用不動産価格は30%それぞれ下落する想定。相応の規模でトレーディング事業を展開する大手行は、最大の取引相手が決済不能になった事態への対応も試される。
FRBは、審査手続きの透明性向上や、審査結果の振れ幅を抑えるための改革も引き続き進めていく方針で、近く追加の具体策を打ち出すとしている。
FRB、利下げ継続可能 不確実性踏まえ慎重さ必要=シカゴ連銀総裁 | ロイター
米金利「かなり長い間」据え置きも、労働市場安定なら=ダラス連銀総裁 | ロイター
ECB、中立金利の新たな推定値を発表へ-政策判断に役立つと総裁 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)は、今後のユーロ圏の金利動向の議論に重要な情報を投じようとしている。
経済における需要を抑制も促進もしない理論上の水準である中立金利の新たな推定値を、7日に発表する予定だ。ラガルド総裁は、ECBは「この研究を基に政策を決定する」と述べ、「金融政策スタンスをどうするべきか」を判断するのに役立つだろうと語った。
中銀預金金利が5回にわたって引き下げられ2.75%となった後、金利がどこで落ち着くかについての議論が激化している。
インフレ率が年内に目標の2%となる見通しであることから、当局者らは域内経済の停滞を踏まえ、さらなる利下げが必要だとの見解で一致している。
しかし、金利の「中立水準」がどこに位置するのかについては、意見が分かれる。
ラガルド氏自身は中立金利の範囲を1.75-2.25%と示唆しているが、推定値の発表はECBの着地点についてさらなる明確性をもたらすだろう。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、「政策委員会での中立金利に関する議論は、ますます活発化している」と述べた。「この概念自体は金融政策を決定する上で限定的な用途しか持たないが、期待値を管理する上では十分に活用できる。この点で、今後何が起こるのかを注意深く見守る必要がある」と説明した。
タカ派のシュナーベル理事は、最近の危機と構造変化により中立金利が上昇し、2-3%の間になった可能性があると主張している。
一方、レーン・フィンランド中銀総裁は自身の中銀の調査を引用し、2.2ー2.8%と述べている。ビルロワドガロー・フランス中銀総裁とストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁はいずれも2%程度とみており、センテノ・ポルトガル中銀総裁は、それよりやや低いと考えている。
●先進国経済指標
米新規失業保険申請、1.1万件増の21.9万件 小幅に増加 | ロイター
独鉱工業受注、前月比+6.9% 大型受注が急増 | ロイター
米雇用者数、年次改定で下方修正へ-想定ほどは落ち込まない見通し - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
日本経済は完全復活、金融政策正常化は極めて当然-黒田前日銀総裁 - Bloomberg
黒田東彦前日本銀行総裁は6日、都内での講演で日本経済は「完全に復活した」との認識を示し、日銀が現在進めている金融政策の正常化については「極めて当然のこと」と述べた。
黒田氏は日銀の政策について、一部のエコノミストから拙速な金利引き上げに伴う悪影響について懸念が出ていることに触れた上で、「そういうことはないのではないか」と否定的な見方を示した。
日銀は1月24日の金融政策決定会合で追加利上げを決定し、政策金利を17年ぶりの高水準となる0.5%程度まで引き上げた。今後も経済・物価見通しが実現すれば利上げを実施する方針だ。黒田氏は、「これまでのところ明らかに賃金と物価の好循環が回復したのは間違いない」とし、中立金利に向けて政策金利を引き上げていくのは「適切で全く問題ない」と話した。
足元の経済情勢については、アベノミクス以降の成長率や物価上昇率の実績を踏まえ「完全にデフレから脱却した」と語った。
一方、政策金利の格差が円安をもたらす理論は「間違っていると思う」と指摘。政策金利は翌日物の金利であり、流出した資本で翌日物の資産に投資することはあり得ないためだと説明した。
「チャイナ・ショック」襲った米製造業の町、労働者は回復せず - WSJ
25年前に始まった中国からの輸入品急増は米国経済を根本的に変えてしまった。製造業のコミュニティーを一変させ、労働者とその家族に打撃を与えた。グローバル化への不満は米国の政治を変え、ドナルド・トランプ氏を大統領へと押し上げた。
新たな研究から、「チャイナ・ショック」が実際に米国全体へどのように波及したかが初めて明らかになり、特に中西部の一部と南東部の製造業コミュニティーが大きな打撃を受けたことが分かった。コロナ前の数年間に起きていた顕著な変化も示された。打撃を受けた多くの地域は回復した。だが、打撃を受けた人たちは回復しなかった。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のデービッド・オーター教授(経済学)は「発見したことに非常に驚いた。予想とはかけ離れていた」と話す。オーター氏らエコノミスト5人による研究は3日、全米経済研究所(NBER)の研究成果(ワーキングペーパー)として公表された。
中国が米労働者に与える影響は、米政治にとって依然として重要な問題だ。中国製の電気自動車(EV)や再生可能エネルギー機器が大量に押し寄せることへの懸念、いわゆる「チャイナ・ショック2.0」により、バイデン前政権は新たな貿易障壁を設けた。
こうした緊張関係の根源は2001年にまでさかのぼる。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟し、輸出に関する多くの障壁が撤廃された。米国の政策立案者らは、中国のWTO加盟で自国の消費者が安価な商品を手に入れられるようになり、自国企業に中国市場が開放され、同時に中国が民主化に向かうことを期待した。
確かに、製造業の一部労働者が打撃を受けるかもしれないということは想定されていた。しかし、1970年代から80年代にかけて台頭し、大国となった日本の例など過去の経験から、その痛みは管理可能で、労働者は適応するだろうと考えられていた。
だが事態はそのようには進まなかった。中国は巨大で、労働コストは極めて低く、輸出の急増は数十年ではなくわずか数年で起きた。米国の製造業で成り立つ町の多くが競争できなかった。オーター氏は、チューリヒ大学のデービッド・ドーン氏とハーバード大学のゴードン・ハンソン氏とともに2011年、この問題について最初の論文を発表した。
3人は同論文とその後の研究で、こうした町がいかに大きな打撃を受けたかを示した。このようなコミュニティーでは、失業率の上昇、賃金低下、フードスタンプ(低所得者向けの公的な食料費補助)の利用増加、障害者給付の増加、ひとり親家庭と子どもの貧困率の上昇、死亡率の上昇が見られた。
こうした主張は経済界で物議を醸した。グローバル化はマイナスの側面がほとんどなく、恩恵をもたらすものと考えられていた。しかし、2016年の大統領選に出馬したトランプ氏は、空洞化したコミュニティーにまん延する怒りと絶望感を巧みに利用した。
これまで入手可能だったデータには、労働者がどのように対応したかなど、重要な問いに答えるために必要な、詳細な情報に欠けていた。さらに、これらの地域が時間の経過とともにどのように変化したかについての問いが生じた。
新たな論文には、オーター、ドーン、ハンソンの3氏に加え、国勢調査局のエコノミストであるマギー・ジョーンズ氏とペンシルベニア州立大学のブラッド・セツラー教授が加わった。
このワーキングペーパーでは、2000~19年の20年間にわたるほぼ全ての米労働者の雇用と所得記録を個人レベルで調査した。
研究結果は以下の通り。
産業としての製造業は回復せず
2010年代に入ってから、ノースカロライナ州ヒッコリーやジョージア州ダルトンの周辺に位置する郡など、影響を受けたほとんどの地域の経済が急回復したことをエコノミストは発見した。しかし、この回復は製造業の復活によるものではなかった。医療、教育、小売り、飲食業などの産業が拡大したことでもたらされたものだ。
製造業の従業員は仕事を維持も、以前ほど良い職ではなく
さらに、チャイナ・ショックの影響を受けた製造業労働者、主に米国生まれで非大卒の白人・黒人男性は回復の恩恵を受けなかった。
新たなデータによると、こうした労働者の一部は仕事を失い、再び職を見つけるのに苦労したが、大部分は定年まで雇用を維持した。しかし、彼らが年を重ね、製造業の労働力から外れていくにつれ、彼らの職が他の誰かに取って代わられることはなかった。
また、仕事は維持したものの、彼らの所得は伸び悩んだ。
セツラー氏は「仕事で年功を重ねるにつれて昇進すると思われるような人たちにとって、その機会が本当に消えてしまったことが分かる」と述べた。
解雇された労働者は単に仕事を求めていたわけではない
製造業の労働者の多くは非製造業の仕事に移らなかった。そして驚くべきことに、製造業の労働者はチャイナ・ショック後、それ以前よりも非製造業に移る傾向が低くなった。こうした結果は、少なくとも一部の人は仕事を見つけやすい場所に移動する可能性が高まるというエコノミストの一般的な予想に反するものだった。
新しい労働者が新たな仕事に就いた
一方、これらコミュニティーの新たなサービス業の職は全て、かつて製造業の仕事を担っていた労働者とは異なる人たちで主に占められた。多くは初めて仕事に就く若年成人や合法移民だった。移民の多くはアジア出身で、サービス業の仕事に就いた他の多くは米国生まれのヒスパニック系だった。新しい労働者の多くが女性、そして大卒だった。
新しい研究はまた、打撃を和らげるために何ができたかという政策的な問題も提起している。労働者が移動しなかったという事実は、困窮したコミュニティーへの援助の必要性を裏付けている。その一方で、新たな流入者が非常に多かったということは、そのような支援を行っても的外れだったかもしれないことを示唆している。打撃を受けた人たちではなく、新たな労働者が恩恵を受けた可能性がある。
オーター氏は、打撃を受けた多くの人たちが今なおチャイナ・ショックに見舞われた場所に住んでいると指摘する。彼らは年を重ね、多くの場合は定年退職しており、彼らの仕事はもう存在しない。新しく生まれた仕事は彼らがしていた仕事とは異なり、新たな仕事に就いている人たちもまた彼らのような年配の労働者とは異なる。
「彼らを取り巻く世界は激変した」とオーター氏は話した。
ベッセント米財務長官、強いドル政策はトランプ政権下でも堅持 - Bloomberg
ベッセント米財務長官は、米国はトランプ大統領の下でも「強いドル」政策を続けると表明した。
ベッセント氏は6日、ブルームバーグとのインタビューで、「強いドル政策はトランプ大統領によって完全に維持されている」と発言。「われわれはドルが強いことを望んでいる。われわれが望まないのは他の国が自国の通貨を弱くすることや、貿易を操作することだ」と述べた。
多くの国が「大規模な黒字を蓄積しており、自由な形の貿易システムは存在しない」と同氏は指摘。為替レートがその一因となっている可能性があるほか、「金利抑制」が要因となっている国もあると続けた。ただ、特定の国名は挙げなかった。
米国では過去何十年にもわたって、政府高官らが強いドルの価値を強調し、経済のダイナミズムを示すものだとアピールしてきた。トランプ政権1期目には、いわゆる強いドル政策が重視されていないとみる向きも多かった。米国の輸出を圧迫し、多国籍企業の海外収益を目減りさせるとの見方もある。
ドルは昨年11月の大統領選にかけて、またトランプ氏の当選以降も上昇してきた。特に関税引き上げや減税といった政策が、成長とインフレを押し上げ、米利下げペース減速につながるとの観測が背景にある。
トランプ氏は選挙戦中に、為替レートの上昇を批判していた。一方で、世界におけるドルの支配的な役割を維持するとも表明。同氏はまた、エコノミストやストラテジストがドルの価値を押し上げると考える政策を支持している。
「われわれは公正な貿易を望んでいる。ドルと貿易の条件に関して強い立場をとることは、その一環だ」とベッセント氏は説明した。
●中東情勢
ガザ住民の「自発的退去」計画、イスラエル国防相が軍に指示 | ロイター
トランプ大統領のガザ「占領」は、米国の政策からの急激な脱却を意味する|ARAB NEWS
●エマージング
南ア政府のHIV対策プログラムに大打撃、米国からの資金停止で - Bloomberg
メキシコ中銀、0.5%利下げ 緩和ペースを加速 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
カナダ西部州、データセンター投資「5年内に11兆円」 - 日本経済新聞
洋上風力に「逆風」、ゼロからの見直しも-三菱商は522億円減損 - Bloomberg
三菱商事は6日、事業性の見直しに着手した洋上風力発電事業について10-12月(第3四半期)決算で522億円の減損損失を計上した。足元で、日本での洋上風力運営の担い手である総合商社やエネルギー大手で変調が顕在化。資源高や金利上昇を受け、世界各地の洋上風力プロジェクトに吹く逆風が日本勢にも広がり始めた。
三菱商は3日、秋田県や千葉県の3海域で進める洋上風力事業の事業性を再評価するとしていた。インフレや円安、金利上昇などを背景に建設コストが高まっており、協力する中部電力は3日に洋上風力関連で179億円の減損損失を計上したと発表していた。
三菱商の中西勝也社長は決算会見で、損失の内容を調査や設計にかかる費用だと説明。着工や当初2028-30年とされた運転開始時期については「なんとも申し上げられない」と述べ、再評価の結果は予断を許さないとした。撤退の選択肢を含めてゼロから見直しており、結論が出たら改めて説明の場を設けるとした。
世界的に脱炭素化が進む中、拡大の余地が大きい洋上風力発電は再生可能エネルギーの一つとして期待が高まっているが、事業環境は厳しさを増している。世界最大級の洋上風力発電事業者であるデンマークのオーステッドは2024年10-12月(第4四半期)に121億クローネ(約2600億円)の減損費用を計上。米国で洋上風力発電施設の建設コストが増加の一途をたどっていることが影響した。
また英石油大手BPも洋上風力発電事業のてこ入れ一環で、日本最大の発電事業者JERA(ジェラ)と同事業で統合する計画だ。昨年12月の発表時にJERAは事業環境が厳しく、スケールメリットを生かした競争力向上が期待できると背景を説明した。米トランプ政権は大規模な風力発電向けの土地貸与を止める大統領令に署名しており、先行きは不透明な状況だ。
他商社の決算でも慎重な声が相次ぐ。丸紅の柿木真澄社長は洋上風力発電事業の現状について「いきおい余ってちょっと行き過ぎた所は少し後退しなくてはいけない状況に陥っている」との見方を示し、「過度な競争に巻き込まれないように、冷静に開発をするように指示を出している」と述べた。
三井物産の重田哲也最高財務責任者(CFO)も「建設費の高騰や為替の影響などの変動があり、困難には直面している」と述べ、パートナー企業との協業や売電価格の交渉が重要になるとの見方を示した。
総取りも
国内で太陽光発電に適した立地が限られる中、政府は洋上風力を再生可能エネルギー拡大の切り札と位置づけてきた。領海内だけでなく排他的経済水域(EEZ)まで事業エリアを広げる狙いで、2030年に10ギガワットの案件形成を目標に掲げる。
三菱商らがコンソーシアムを組んで展開する3海域は政府の公募で2021年に採択された。他陣営よりも圧倒的に安い売電価格を提示して「総取り」したことは業界内で今も語り草となっている。ただ、コストが高まった今はその安さが採算性に重くのしかかる。
3海域の一つである千葉県銚子沖の計画では、資材高騰のため設備の着工の見通しが立たないことが事業体から地元関係者に伝えられたとNHKが報じた。
政府の資料によれば、2018年と2024年で洋上風力発電事業にかかる費用は鉄鋼が倍増し、電力やケーブルも80%超の増加となった。平均すると40%超のコスト増となっている。別の資料によれば、洋上風力発電の初期投資は数千億円規模に上り、運営費用も年間数十億円かかる。陸上風力や太陽光発電とは桁違いで、コスト増は重くのしかかる。
再生可能エネルギー領域に詳しいブルームバーグNEF太田瑚己奈アナリストは、欧米企業も日本企業も困難に直面していると説明。特にタービンなどの設備コストの上昇影響が大きいという。
●その他
トランプ政権から知識を守れ、科学者は徹夜でデータの引っ越し急ぐ - Bloomberg
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(6日)円が対ドルで8週ぶり高値、利回りやや上昇 株まちまち | ロイター
**為替市場**  
・円が対ドルで8週間ぶりの高値(151.335円)。日銀の田村審議委員の発言が材料視された。  
・イングランド銀行(BOE)が利下げを決定し、ポンドが急落(1.2438ドル)。年末までに追加緩和の見込み。  
・ドル指数は107.69に上昇、ユーロは0.19%安の1.0382ドル。  
・米FRBの7月利下げ(0.25%)が織り込まれ、12月までに0.46%の利下げが予想されている。  
**債券市場**  
・米10年債利回りが4.438%、30年債が4.648%、2年債が4.208%に上昇。  
・米国債発行計画に大きな変更なし。財政赤字を背景に長期債増発の可能性。  
**株式市場**  
・S&P500とナスダックが上昇、ダウは下落。  
・アマゾンが決算発表を控え1.1%上昇。  
・エヌビディア(+3.1%)、イーライリリー(+3.3%)が上昇、ハネウェル(-5.6%)、クアルコム(-3.7%)が下落。  
・米雇用統計が市場の注目材料。  
**商品市場**  
・金先物が4営業日ぶりに反落(1オンス=2,876.70ドル)。  
・米原油先物(WTI)が3日続落(1バレル=70.61ドル)。トランプ氏の増産方針が影響。  
欧州市場サマリー(6日) | ロイター
ロンドン株式市場は続伸し、FTSE100種指数は終値で過去最高値を更新。イングランド銀行の利下げ期待やアストラゼネカの好業績が市場を支えた。中型株のFTSE250種指数も上昇。  
欧州株式市場も続伸し、STOXX欧州600種指数が最高値を記録。鉄鋼需要改善の見通しで資源株が大幅上昇し、ウクライナ和平計画の進展期待も相場を押し上げた。各国主要指数も上昇。  
ユーロ圏債券市場では、米国の関税措置がECBの金融政策に影響を与える懸念がある中、域内国債利回りが小幅上昇。フランスでは首相内閣の不信任案が否決され、2025年予算成立への道が開けた。

備忘録(2025/2/5
●海外企業決算
仏クレディ・アグリコル、第4四半期は27%増益 予想上回る | ロイター
ノボノルディスク、25年売上高伸び鈍化を予想 「ウゴービ」需要一服へ | ロイター
Novo Nordisk (NVO) earnings Q4, full-year FY24
ディズニー、売上高と利益が予想上回る-映画とストリーミング好調 - Bloomberg
ケッペル77%減益 24年12月期、データセンターは好調 - 日本経済新聞
米クアルコム、1─3月業績見通し予想上回る AIがスマホ販売増に寄与 | ロイター
フォード、今年はEV部門で最大55億ドルの赤字見通し | ロイター
英アームの業績見通し、一部の市場予想下回る-AI市場減速懸念 - Bloomberg
サンタンデール銀行11%増益、10〜12月 南米が好調 - 日本経済新聞
米クレジットカード大手決算、消費堅調で増収増益 延滞は3年ぶり減少 - 日本経済新聞
[ITW] イリノイツールワークス 2024年12月通期は減収増益 売上高1%減158億ドル、営業益6%増42.6億ドル、配当5.80ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[JCI] ジョンソンコントロールズ 1Q増収最終増益 売上高4%増54.2億ドル、純利益12%増4.19億ドル、EPS0.63ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[FI] ファイサーブ 2024年12月通期は増収増益 売上高7%増204億ドル、営業益17%増58.7億ドル、EPS5.38ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TROW] Tロウプライス 2024年12月通期は増収増益 売上高10%増70.9億ドル、営業益17%増23.3億ドル、配当4.96ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[UBER] ウーバー 2024年12月通期は増収増益 売上高18%増439億ドル、営業益2.5倍27.9億ドル、EPS4.56ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EMR] エマソンエレクトリック 1Q増収最終増益 売上高1%増41.7億ドル、純利益4.1倍5.85億ドル、配当0.5275ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[HOG] ハーレーダビッドソン 2024年12月通期は減収減益 売上高11%減51.8億ドル、営業益47%減4.16億ドル、配当0.69ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[BG] ブンゲグローバル 2024年12月通期は減収最終減益 売上高11%減531億ドル、純利益49%減11.3億ドル、EPS7.99ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BSX] ボストンサイエンティフィック 2024年12月通期は増収増益 売上高18%増167億ドル、営業益11%増26.0億ドル、EPS1.25ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DIS] ウォルトディズニー 1Q増収増益 売上高5%増246億ドル、営業益31%増50.6億ドル、EPS1.40ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SWK] スタンレーブラック&デッカー 2024年12月通期は減収黒字転換 売上高3%減153億ドル、営業益5.60億ドル、配当3.26ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[AFL] アフラック 2024年12月通期は増収最終増益 売上高1%増189億ドル、純利益17%増54.4億ドル、配当2.00ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[GL] グローブライフ 2024年12月通期は増収最終増益 売上高6%増57.7億ドル、純利益10%増10.7億ドル、EPS11.94ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BDX] ベクトンディッキンソン 1Q増収増益 売上高10%増51.6億ドル、営業益3%増4.53億ドル、EPS1.04ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MET] メットライフ 2024年12月通期は増収最終増益 売上高6%増709億ドル、純利益3.1倍42.2億ドル、EPS5.94ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ORLY] オライリーオートモーティブ 2024年12月通期は増収増益 売上高6%増167億ドル、営業益2%増32.5億ドル、EPS40.66ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ALL] オールステート 2024年12月通期は増収最終黒字転換 売上高12%増641億ドル、純利益45.5億ドル、配当3.68ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[F] フォード 2024年12月通期は増収営業減益 売上高5%増1849億ドル、営業益4%減52.1億ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MCK] マケッソン 3Q増収増益 売上高18%増952億ドル、営業益91%増12.2億ドル、EPS6.95ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[QCOM] クアルコム 1Q増収増益 売上高17%増116億ドル、営業益21%増35.5億ドル、EPS2.83ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
マッコーリー、米債券資本市場部門を閉鎖-プライベート融資に軸足 - Bloomberg
米セールスフォースが1000人余り削減、AI販売要員は採用-関係者 - Bloomberg
●日本企業
日産取締役会が終了、ホンダとの統合協議を白紙に戻す方針=関係者 | ロイター
レノバ、静岡のバイオマス発電の運転開始 - 日本経済新聞
決算:ダイキン営業最高益 4〜12月、データセンター空調伸びる - 日本経済新聞
●先進国政治動向
米司法長官にボンディ氏承認、トランプ氏に最も忠実 支配強固に | ロイター
米CIA、全職員対象に早期退職募集=関係筋 | ロイター
米政権、国際開発局の職員を全世界で休職に 数千人が帰国へ | ロイター
トランプ氏が「米のガザ所有・復興」提案 住民の恒久的移住を支持 | ロイター
合成麻薬フェンタニル、なぜトランプ関税の焦点に 早わかりQ&A - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は、合成麻薬フェンタニルなどの薬物や移民の米国への違法な流入を国家非常事態だと位置づけ、関税を使ってメキシコやカナダ、中国を標的に、その供給を断つよう圧力をかけている。
麻薬系鎮痛剤「オピオイド」の一種であるフェンタニルがトランプ関税の焦点と化した背景には、何十万人もの米国人が過剰摂取で命を落としたこの薬物の生産と密輸が関係している。
米国は長年、フェンタニルの一大供給源であるメキシコに対し、その生産や輸出、さらには麻薬取引に不可欠なマネーロンダリング(資金洗浄)を食い止める対策の強化を求めてきた。カナダが問題視されるようになったのは、メキシコの麻薬カルテルが同国に活動拠点を置いているためだ。
トランプ氏は3日、カナダとメキシコに対する関税発動の先送りで合意したものの、中国には10%の追加関税を課した。これは中国が違法なフェンタニルの米国流入を阻止できていないとの認識に基づいている。
フェンタニルとは何か
フェンタニルは厳しく規制された合法的薬物で、主に痛みを緩和する目的で処方され、注射や貼付剤、点鼻スプレー、口腔(こうくう)粘膜吸収剤などの形で投与される。米国の薬物市場を席巻している違法フェンタニルは、粉末状にして他の薬物に混ぜられることが多い。薬物生産者はまた、違法フェンタニルを重曹、でんぷん、砂糖などと混ぜ、吸煙したり、液体に溶かして注射したりできる粉末を作っている。
フェンタニルはいかにして米国に運ばれるか
米政府によると、フェンタニルの主要な供給源はメキシコだ。米税関・国境警備局(CBP)による昨年のフェンタニル押収量は9000キログラム余りだが、これは米国への年間密輸量のごく一部だとみられている。
供給される薬物の多くはメキシコの簡易製造所(ラボ)で生産される。同国北西部シナロア州の麻薬カルテルが主たる生産者で、ライバルの西部ハリスコ州の麻薬カルテルがこれに続く。アナリストによると、フェンタニルは過去10年間にメキシコの麻薬カルテルの重要な輸出品となった。米麻薬取締局(DEA)によると、こうしたカルテルは全米50州と世界40カ国以上に活動地域を広げている。
フェンタニルは製造コストが安く、巨額の利益をもたらし、密輸も容易だ。押収されたフェンタニルの90%以上は国境検問所で阻止された。CBPによると、麻薬カルテルは主に米国市民が運転する車で密輸を試みるという。
フェンタニルによる死者はどのくらいか
米国での過剰摂取による死者は減少傾向にある。米疾病対策センター(CDC)の推計では、昨年8月までの12カ月間の過剰摂取による死者は8万9740人で、前の12カ月間と比べて約22%減少した。それでも10年前に比べると死者は2倍以上だ。
オピオイドが薬物の過剰摂取による死亡の70%以上を占め、その大半はフェンタニルが原因だ。違法薬物市場に取り込まれる依存症患者も増えている。
米国の要求に応えるメキシコのフェンタニル対策は
トランプ政権は、メキシコを標的にするのは、麻薬カルテルと「容認しがたい同盟関係」にあり、薬物製造を可能にする安全な拠点を提供しているからだと主張する。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は3日、「フェンタニルをはじめとする薬物のメキシコから米国への流入を阻止するため」、米メキシコ国境に国家警備隊1万人を動員し、直ちに警備を強化することに同意したと述べた。同氏はまた、最終的にカルテルの手に渡るメキシコへの武器密輸を阻止するため、トランプ氏の協力を求めたと述べた。シェインバウム氏にとってシナロア州の麻薬カルテル2派閥が繰り広げる抗争は治安上の最大の懸念となっている。
メキシコの治安部隊は12月、シナロア州でフェンタニルを1.3トン押収した。これは1回の摘発で記録されている過去最大量だ。
カナダから流入するフェンタニルは多いのか
米国境警備隊が昨年、カナダとの国境で押収したフェンタニルは20キログラム弱で、南部国境での押収量に比べるとわずかにとどまる。しかしカナダでの一連の薬物摘発により、メキシコの麻薬カルテルや他の組織犯罪グループが同国で製造所を稼働させていることが明らかとなった。
10月、カナダ警察はブリティッシュコロンビア州にあるフェンタニルの「スーパーラボ」を摘発し、数十キログラムのフェンタニルと覚醒剤のメタンフェタミンを押収した。警察によると、この製造所には、数週間操業が可能で致死量のフェンタニルを9500万回分作るのに十分な量の化学物質が準備されていた。
カナダの対応は
カナダは昨年、国境警備を強化するため6年間で9億ドル(約1380億円)を投資すると発表。これには犬や無人機(ドローン)、ヘリコプター、移動式監視塔などを購入し、新たな国境警備員を配置する費用が含まれる。同国政府はまた、国内に持ち込まれる化学物質の前駆体(フェンタニルの原料)の監視・管理を強化する取り組みを加速させている。
カナダのジャスティン・トルドー首相は3日、国境に1万人の緊急対応要員を配置するほか、米国と同様にメキシコの麻薬カルテルをテロ組織に指定し、組織犯罪や密輸、マネーロンダリングを取り締まるために米国との「合同攻撃部隊」を創設し、これらの取り組みを監督する「フェンタニル担当官」を任命すると述べた。
中国のフェンタニル対策はどうか
トランプ氏が1期目に行った要請を受け、中国は2019年にフェンタニルの生産と販売に対する厳格な規制を導入した。それ以降、中国からのフェンタニル流入はおおむね止まっている。
一方で中国企業は引き続き、フェンタニル製造に使われる化学成分を生産し、メキシコや米国などの薬物生産者にそれらを販売している。
中国がこのサプライチェーン(供給網)を取り締まるよう仕向けることは、米当局者の悩みの種となってきた。バイデン前政権下では一定の進展を見せ、昨年、中国政府はそれらの化学物質3種類に新たな制限を課した。
中国政府は、米国の政治家は薬物危機の根本的原因への対応を誤ったにもかかわらず、中国にその責任を押しつけていると主張している。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報じたところでは、中国政府が関税のさらなる引き上げを回避するために米政府との交渉に向けて準備している最初の提案に、フェンタニルの原料の輸出を削減する約束が含まれているという。
市場はトランプ関税を過小評価しているのか - WSJ
投資家はドナルド・トランプ米大統領の新たな貿易戦争について、脅しに過ぎないとの見方を示してきたが、今のところそれは正しい。だが、今後は用心した方がいいかもしれない。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は3日午前、米国がメキシコからの輸入品に25%の関税を課すのを1カ月延期することに合意したと明らかにした。その後に米株式市場が取引を終えた後、カナダのジャスティン・トルドー首相も同様の猶予が認められたと発表した。両国は国境警備を強化し、合成麻薬フェンタニルの密輸取り締まりを強化することで合意した。
とはいえ、関税発動の延期が発表される前の3日の相場を見ても、それほど激しく下げてはいなかった。「休戦」が成立したことで、関税の直接的な影響を受ける多くの企業の株価は週明けの水準とほぼ変わっていない。これには、メキシコで生産し米国の消費者向けに販売している米自動車メーカーのフォード・モーターとゼネラル・モーターズ(GM)が含まれる。カナダドルとメキシコペソは反発し、対米ドルで上昇した。同様に、S&P500種指数も前週末と比べて大きく変わっていない。
このことは、ウォール街の楽観論者たちに自分の考えは間違っていないということを確信させた。彼らは、トランプ氏が中国以外の国々に対して関税を使って脅しをかけるのは、不法移民や麻薬密輸などの問題で譲歩を引き出すための単なる交渉術だと主張し続けてきた。
こうした見方は金融市場で主流になっている。昨年11月5日の米大統領選以降、メキシコペソが他の通貨に対して下落していないことや、欧州連合(EU)からの輸入品に関税が課される可能性があるにもかかわらず、ストックス欧州600指数が年初から約5.6%上昇していることからもそれはうかがえる。
確かにトランプ氏の交渉術は、まずは力を見せつけることから始まる。コロンビアは先月、関税と経済制裁を回避する代わりに移民の本国送還に同意し、今回も同様のことが起こる可能性がある。
だが、それが常に通用するとやみくもに信じるのは危険かもしれない。
トランプ氏の現在の保護主義政策が、1期目に導入したものよりもはるかに極端であることは明白だ。当時は不公正な貿易慣行と国家安全保障に焦点を当て、主に中国に関税を課した。それ以外は鉄鋼、アルミニウム、家電製品など特定の財や産業に限定していた。また、企業に適応する時間を与えるため段階的に導入された。確かに2019年に世界の製造業生産は圧迫されたが、企業が在庫を積み増していたことで前年に小幅な押し上げ効果があった。
今回、関税適用対象国が譲歩しなかった場合、米国の実効関税率が突如1930年代後半以来の高水準になる可能性がある。そうなれば国内の成長を抑制し、インフレを加速させるだけでなく、コロナ禍で示されたように予測不可能な影響を及ぼしかねない複雑なサプライチェーン(供給網)ネットワークを混乱させる恐れがある。
さらに悪いことに、中国のような国々を相手にするよりも、強固な民主主義制度を持つ長年の同盟国に対して強引に関税を課そうとする場合の方が、このような事態が起きる可能性が高いように思われる。国民の目にさらされている指導者たちがどこまで譲歩できるか定かではないからだ。
カナダを例に取ると、政治危機の真っただ中にあるにもかかわらず、トルドー氏の中道左派政党から、かつてトランプ氏の立場に近いと見られていた右派まで、関税の脅威に対して政党を超えて新たな団結が生まれている。例えば、右派であるオンタリオ州のダグ・フォード首相は州内の店頭から米国製アルコール飲料を撤去すると約束し、イーロン・マスク氏率いるスターリンクの高速インターネット契約を破棄した。
最終的な政策がもたらす結果とは関係なく、米国のメーカーは影響を受けた国々の消費者から長期にわたり反発を食らう可能性がある。また、EU離脱後の英国の経験からも分かるように、断続的な混乱や長引く交渉による不確実性だけでも、企業は守勢に追い込まれ、投資を圧迫する。
関税に長期的な経済的利益があれば話は別だ。定説に反して、これは起こり得る。複雑な貿易財生産の国内移転を選択的に行うと同時に、政府が輸出志向型企業を支援すれば、最終的に国内の生産性を向上できる可能性がある。このような「輸出促進」戦略が成功することを示す経済研究は多く存在する。例えば、20世紀に発展途上のアジア諸国でこうした戦略が使われた。より安価な競合他社に対して米国製の電気自動車(EV)を後押しするために関税を使用することは、中国が最初にEVを開発したときに採った手法と似ている。しかし1950年代と60年代に中南米で行われたように、国内産業を完全に競争から保護することは機能しない、というのがエコノミストの一致した見解だ。
トランプ氏が新たに提案している幅広い関税には、そのような具体的な経済目標が念頭にあるわけではない。ただショックを与えるためのものだ。例えばカナダは、エネルギーを除けば自動車を含め、米国から購入する製品の方が販売する製品よりも多い。同氏が提案している他の関税、半導体のような中間財に対する関税は、米国の産業にさらに大きな打撃を与える可能性がある。
最後に考えてみてほしい。投資家が関税に無頓着なあまり、市場はそれがもたらす結果についてそれほど厳しくないというシグナルを送っていると米政府が確信し、さらに一歩踏み込む可能性をすでに高めている。S&P500種指数の株価収益率(PER)が22倍という高水準で取引されている中、「米国第一」から「関税第一」への移行は非常に警戒すべきことだ。
【オピニオン】「トランプ氏の先」を見るのは難しい - WSJ
カナダとメキシコが米国の親友ではないと誰が言うのだろうか。カナダとメキシコは3日、迅速に行動してドナルド・トランプ米大統領を自滅的な関税を巡る酒浸りから解放し、丸1日にわたった市場のブーイングに彼がいら立つことさえさせなかった。
しかし、米国は自らの信頼性を損なっていないだろうか。トランプ氏は自身の大統領1期目に北米自由貿易協定(NAFTA)を破棄し、新たな条約を押しつけた。そしてそれも破棄したばかりではないか。ただ、将来の大統領はトランプ氏ではない。痛い目に遭ったトランプ氏も、より慎重になる可能性が高い。
報道機関からのリークで、トランプ氏が3日の市場の反応にいかにおじけづいたかが明らかになるだろう。こうした賭けから生じるリスクは、紙製の帽子と紙吹雪で祝うような迅速な問題解決につながるものではなく、貿易面で泥沼および消耗戦を招く類いのものだ。トランプ氏の関税が消費者物価に即座に大きな影響をもたらすことはなかっただろう。だが、関税にこだわっていれば、他国が同様の対応をしていたと思われ、その結果、米経済の効率と生産性が永続的に低下していた可能性がある。米国は徐々に貧しくて弱い国になり、最終的にはより強い国の餌食になっていただろう。
これは最悪のケースだ。もっとあり得るのは、さらに多くの産業が米国の木材・砂糖・自動車製造などの業界と似たような状況に陥る事態だ。これら全ては政府の監督下に置かれ、そのビジネスモデルは長期間の保護主義によって支えられている。以下はその好例だ。トラックに25%の関税を課したことで、米三大自動車メーカー(ビッグスリー)はピックアップトラックメーカーとなり、それ以外の車のほとんどで赤字を出すようになってしまった。
今週、貿易理論に関するトランプ氏の誤解を正すために、ブログに長文の投稿をした人たちが救われることを願いたいが、トランプ氏は気にしていない。彼が米国の最大級の貿易相手国にけんかを仕掛けたのは、相手国の最善の選択肢が常に、米国に屈服して彼が望み通りに強さと勝利を見せびらかせるようにすることだと計算しているからだ。
これらは古くからの威嚇戦術だが、勝利を確信しているけんかだけを仕掛けることを試みる政治家はトランプ氏だけではない。計算違いをしていたのも、彼だけではない。ジョー・マッカーシーやリンドン・ジョンソンに聞いてみたらよい。ある種の政治家のキャリアの標準的なフィナーレは、敵対者が引き下がらないところから始まる。
では、トランプ大統領はクレイジーで、キツネのようにずる賢いわけではないのか。この疑問は、現実を重んじる人々を当惑させている。目をそらすのは簡単ではないが、作用している要因が他にある。
以下に例を挙げよう。ウクライナの支持者たちは、トランプ氏がウクライナを売り渡す可能性があるとして焦りを募らせ、欧州が戦略的行動をまとめるよう求めている。だが、これは因果関係を一部取り違えている。もし欧州がもっと前に乗り出していれば、今ごろトランプ氏は自身がウクライナに成功をもたらす、勝算の見込める連合の存在を目にしていたはずだ。これは全てがトランプ氏の落ち度によるものというわけではない。彼は大統領であり、欧州は資産というよりも負債になりつつあるのではないかと問う必要がある。
同様に、大統領は自らを政権へと導いた力や出来事をコントロールできない。このことはトランプ氏の場合、特に重要だ。トランプ氏は、2016年の大統領選にアウトサイダーとして出馬した自身の選挙戦があれほど勢いづくとは予想していなかった。さらに、彼が大統領の座に就くには、当時の米連邦捜査局(FBI)長官ジェームズ・コミー氏の失策が必要だった。
あるいは最近の例を考えてみよう。トランプ氏は40年間、タブロイド紙でプレーボーイのイメージが付いており、E・ジーン・キャロル氏が起こした民事訴訟ではそれがまさに痛手となった。これは因果応報のように見えるかもしれない。「(陪審が)レイプについてトランプ氏の責任を認めた」という誤った内容をわざわざ伝える必要は全くなかったが、ABCニュースはそのように報じ、その後もまるでトランプ氏の名誉を毀損(きそん)するような不正確な情報を流したことを誇るかのように、行うべき訂正を行わなかった。
その結果、トランプ氏は現在再び大統領になり、ABCは先日、彼に1500万ドル(約23億円)を払うことになった。トランプ政権誕生前のエリート層が、彼らの権威と権力を守る上でこれほど無能なら、その影響は大きく広範囲にわたるだろう。こうした状況は、トランプ氏が自身の直感の正しさへの自信を強めることにつながった。グリーンランドやパナマ運河の領有を望み、カナダが米国の51番目の州になるべきだと主張し、エリートたちが管理してきた国際秩序が崩壊しつつある中で米国には新たなプランが必要だと訴える彼の言動は、こうした自信の表れだ。
こうした状況が示すものは、トランプ氏の存在よりも大きく、彼自身もそれを認識しているようだ。2024年の大統領選で彼は突然「狂人理論(自分が非合理的で気まぐれだと敵対勢力に思い込ませる戦略)」を採用した。これは、責任ある判断を下す人物として彼を信用できるかもしれないことを示す皮肉を込めた指摘だ。ロナルド・レーガン氏は大統領在任中、日本との貿易戦争で関税ではなく輸出割当枠を適用するという巧妙な手法によって配慮を示した。レーガン氏の貿易戦争は忘れ去られているが、トランプ氏は以前からそれを模倣しようとしてきた。トランプ氏は、自らが直面する中国との対立に関して、それと異なる論理、デカップリング(切り離し)の論理に従うべきだろう。しかしこれ以外の点では、トランプ氏にとって賢明な対応は、レーガン政権が長期にわたって成功を収めた理由が、通商政策ではなく、成長重視の国内改革と軍事的抑止力の再強化だったと認識することだろう。
トランプ氏が、狂気の沙汰と思えるもの以外の戦略を持っているとすれば、それは前記のようなものだろう。そこで話は、対決の予兆のようだった今週の出来事に戻る。今週の動きは、関税を巡る彼のどんな芝居がかった言動よりも大きな打撃を、大統領としての彼の職務に及ぼすかもしれない。その打撃とは、イーロン・マスク氏と彼の指揮下の政府効率化省(DOGE)の取り組みを不可能にしようとする、民主党と他の政権外のグループによる試みが活性化することだ。
関税は米鉄鋼業界に追い風、値上げの好機 - WSJ
トランプ大統領がカナダとメキシコに対する関税を発表する前から、一部の米国企業にとっては鉄鋼価格が上昇し始めていた。経営幹部らはさらなる値上げに備えていると述べている。
トランプ氏は1日、メキシコとカナダからの全輸入品に4日から25%の関税を課すと発表した。3日には、両国との協議が始まったため、発動を1カ月間保留すると述べた。
関税が実施されれば、外国産鉄鋼の価格が実質的に引き上げられ、米鉄鋼メーカーは価格決定力が強化される上、値上げも可能になると予想される。
ロブスターやカニの捕獲に使われるワイヤフェンスや溶接メッシュを製造するリバーデール・ミルズ(マサチューセッツ州)のジェームズ・ノット最高経営責任者(CEO)は、2週間前に国内の鉄鋼線材サプライヤーから価格を引き上げると通知されたと述べた。
ノット氏によると、同社は線材の約80%をカナダから購入している。これは、サウスカロライナ州やテキサス州、イリノイ州の工場から購入するよりも東海岸への輸送コストが低いためだ。鉄鋼はリバーデールの生産コストの3分の2を占めており、価格上昇が上昇すれば国外の競合他社に対して不利な立場に置かれることになると同氏は述べた。
「米国産の鉄鋼を使いたいが、適正価格で購入できなければ競争できない。米国の鉄鋼価格は最も高い」
カナダとメキシコは米国にとって最大の鉄鋼供給国であり、米国鉄鋼協会と国勢調査局によると、2024年の全輸入鉄鋼の35%を占めている。この2カ国は、第1次トランプ政権下で2018年に課された鉄鋼・アルミニウム関税の対象に含まれていたが、後に米国との新たな自由貿易協定の交渉と引き換えに免除された。
米鉄鋼会社の幹部たちは熱心な関税の支持者であり、トランプ氏に第2次政権でも再び関税を発動するよう求めてきた。また関税免除と無関税輸入枠の撤廃も求めている。こうした例外措置のために不当に安価な鉄鋼が米国に流入し、鉄鋼市場が弱体化しているとの主張だ。
トランプ氏が1日に発表した関税には、中国からの輸入品に10%の関税を課すことも含まれていた。トランプ政権はメキシコ・カナダ・中国に対する関税が、米国に流入する不法移民や合成麻薬フェンタニルの取り締まりを促すのに役立つと述べている。カナダとメキシコは報復関税で対抗すると表明しており、北米で貿易戦争の舞台が整いつつある。
消費者が小売価格の上昇とインフレに苦しむ中、鉄鋼とアルミの価格上昇は、家電や自動車などの耐久消費財や、缶入り飲料などアルミ包装を使用した消費財の価格をさらに押し上げる可能性がある。
「われわれ皆が値上げの影響を受けることになる」。エネルギー・防衛産業で使用するバルブや部品の製造企業ベルビル・インターナショナル(ペンシルベニア州)のオーナー、ラルフ・ハード氏はこう述べた。鉄鋼とアルミはベルビルにとって最大のコストだ。
米鉄鋼大手のUSスチールは今週、フラットロール鋼の価格を1トン当たり50ドル引き上げると発表した。同業のニューコアは過去2週間で1トン当たり25ドル値上げしたと、鉄鋼を購入する顧客たちは述べている。
カナダとメキシコからの輸入アルミに対する関税は、米国内で全てのアルミ取引に付加される配送割増料金を通じて吸収されることになる。米国のアルミ企業は関税を支払う必要がないにもかかわらず、顧客から徴収するこの割増料金を引き上げることで「棚ぼた」利益を得られる可能性がある。
飲料会社は2018年にトランプ政権が実施した輸入アルミへの10%の関税に強く反対した。業界は、ビールや炭酸飲料のメーカーが関税をカバーするのに必要な額よりも多くの配送割増料金を支払っていると不満を述べた。
カナダは米国にとって、製錬所で生産したアルミの最大供給国であり、業界データによると2023年には280万トンを米国に送っている。
米アルミメーカー、アルコアの生産能力の約40%はカナダに拠点を置いている。同社は米国の関税を回避するため、カナダからの出荷を他国に振り向ける可能性が高いと述べた。
昨年は米国の鉄鋼業界にとって、新型コロナウイルス禍で一時的に生産が停止した2020年以来、最も低迷した年だった。圧延鋼板のスポット市場価格はここ数カ月間、おおむね700ドルを下回る水準で推移している。
鉄鋼会社は昨年、値上げを数回試みたが失敗に終わった。自動車・建設・家電・機械産業など買い手からの需要が弱かったためだ。
「製造業は現在あまり活発ではないが、多くの製鉄所が建設されたおかげで供給能力は確実にある」と、ミシガン州の鉄鋼流通業者グランドスチールプロダクツのジム・バーネットCEOは述べた。
過去4年間で、米国ではフラットロール鋼を年間約1200万トン製造できる新たな設備が完成または建設中だと、商品市場調査会社のアーガスメディアは述べている。鉄鋼企業の幹部らは、この拡張の起源は第1次トランプ政権の関税だとする。関税は鉄鋼メーカーの利益を押し上げ、米国内の生産拡大に投資する自信を与えてくれたという。
彼らは現在、追加関税で米国の鉄鋼市場からさらに多くの輸入品が締め出されることを期待している。
「商品の価格設定をゆがめている悪質な行為者が罰せられるのを見ることになるだろう」と、米鉄鋼最大手ニューコアのレオン・トパリアンCEOは1月下旬の電話会議で述べた。
英国がトランプ関税を回避できている理由 - WSJ
良い貿易戦争をしている国の一つは英国だ。
少なくとも今のところは何とか戦いを回避している。
ドナルド・トランプ米大統領はカナダや欧州連合(EU)といった西側の同盟国・地域に関税をかけると脅している。しかし、同氏は今週、米国の対英貿易は一線を越えているが、何とか解決できると述べた。英当局者は、同国がトランプ氏の関税対象リストに入らないで済むよう期待している。
そのために英政府は、控えめなお世辞を言い、トランプ氏の英王室好きを利用し、軽はずみな言動を慎むという手法を取り混ぜて使っている。
英コンサルティング会社フリント・グローバルの通商問題専門家、サム・ロウ氏は「われわれは、不快感を与えないという意味で良い立場にある」と指摘した。
英国は経済に占めるサービス分野の比重が高く、米国市場向けに輸出しているのとほぼ同じくらい多くの物品を米国から購入している。そして、EUから離脱した英国は、大規模な注目度の高い貿易圏に属していない。キア・スターマー英首相は、政治的立場がトランプ氏と正反対だが、トランプ氏は最近、スターマー氏のことを「とても良い人」と評した。
それでも、英国は慎重にバランスを取りながら動いている。最大の貿易相手国である米国を味方に付けておきながら、欧州や中国と関係を再構築することによって経済成長の促進を目指している。こうした綱渡りのような動きは、スターマー氏が今週ブリュッセルを訪れた際に前面に表れた。これはブレグジット(英国のEU離脱)を受けて悪化したEU指導部との関係を修復する試みだとみられている。
EU加盟国の首脳らが、EUからの輸入品に10%の関税を課すとのトランプ氏の脅しを批判する一方で、スターマー氏は中立的な立場を貫いた。同氏は「われわれにとって重要な利益に注目すると、双方と協力することが極めて重要であり、どちらかを選ぶべきだとは考えていない」と述べた上で、関税と米国に関して語るには「時期尚早」だと付言した。
英政府にとって朗報なのは、トランプ氏がこの数十年でも特に英国びいきの米指導者だということだ。母親はスコットランド出身で、同氏は年内にスコットランドで3カ所目のゴルフコースを開設するとみられている。トランプ氏はジョー・バイデン前米大統領が撤去したウィンストン・チャーチルの胸像を大統領執務室に戻した。トランプ氏は「レゾリュートデスク(歴代米大統領が使ってきた執務机)」で貿易関税に関する大統領令に署名したが、この机は英国のビクトリア女王から1880年に贈られたものだ。
タッカー・カールソン氏の連続ドキュメンタリー番組「アート・オブ・ザ・サージ」には、トランプ氏が昨年11月に再選が決まった直後に、アルバムをめくる様子が映っていた。そのアルバムには、大統領1期目に国賓として訪英し、女王エリザベス2世と面会した時の写真が入っていた。トランプ氏は「このような写真を持つ人が他にいるか」と話し、現在は英国王になっているチャールズ皇太子(当時)の写真について、「これらは関係性を示すものでもある。ほら、これはチャールズだ。とても美しい」と述べていた。
こうした状況はバイデン氏との関係とは対照的で、英国にとって好ましいものだ。バイデン氏は大統領在任中、アイルランドにルーツを持つことを誇らしげに語ることが多かった。そして英国のEU離脱を好ましく思っていなかった。しかし、トランプ氏の現在の好意的対応が、息が詰まるようなきつい抱擁に変わるリスクもある。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のブロンウェン・マドックス所長は「トランプ政権は英国を本当に愛している。それゆえに彼らは、英国を助けることが自分たちの仕事だと考えている」と語った。マドックス氏によると、最近、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の場で会話したトランプ氏の側近の1人は、英国が左派の政治家に支配されている状況を正す必要があると語ったという。同様の例としては、トランプ氏と近い関係にある米実業家イーロン・マスク氏が、Ⅹ(旧ツイッター)上でスターマー氏を批判する投稿を繰り返し、同氏の退陣を求めていることが挙げられる。スターマー氏は、人権派弁護士の経歴を持つ。
それらと比べると、トランプ氏のスターマー氏に関するコメントは、これまでのところより好意的だ。両氏は昨年、トランプタワーで2時間にわたり、選挙戦に関する話をしながら夕食をとった。両氏は最近、電話会談もしている。トランプ氏は1月、「(スターマー氏は)リベラル派であり、私とは少し違う立場だ」としながらも、両者の関係は「うまくいっている」と語った。
しかし、英国が持ついわゆる「トランプ・カード」は恐らくロイヤルファミリーだろう。昨年12月には、パリのノートルダム寺院再開のセレモニーに、英国王チャールズ3世の長男ウィリアム皇太子と、大統領選に勝利したトランプ氏が共に参加した。両者はセレモニーの後で言葉を交わしている。
トランプ氏はその後、米紙ニューヨーク・ポストに「皇太子と楽しく語り合った」と明かし、「昨夜会った彼は本当にハンサムだった。実際に会ってみた方がすてきな人というのはいるね。かっこよかった。本当にすてきだったから本人にもそう伝えたよ」と語った。
英政府報道官は、できるだけ早くトランプ氏をバッキンガム宮殿に招きたいとの英政府の意向を示し、米国とは「公正でバランスの取れた」貿易関係があり、「両国相互に1兆2000億ポンド(約231兆円)の投資」の実績があると指摘した。
さらに英国の主張を裏付けるものとして、ある不明確な貿易データがある。米国の統計によると、2023年の対英貿易黒字額は145億ドル(約2兆2400億円)だった。ところが、英国の統計では同年の対米貿易黒字額は711億ポンド(約13兆7000億円)に上ったとされている。この不整合は、「英王室属領」として知られる、自治権を持つ島(金融センターであるマン島など)との貿易が米国の統計には含まれているという事実によって一部説明がつく。英当局者は人工知能(AI)や国防などの分野で対米貿易関係の強化を望んでいる。
この先の道には多くの障害も予想される。たとえ英国が関税の直接的な影響を受けなかったとしても、貿易に依存する英国経済は、世界的な貿易戦争の余波にさらされるだろう。
トランプ氏は第1次政権時、英国の指導者を遠慮なく批判していた。理由は主に、EU離脱を巡る英国の不手際だった。英当局者らは、そのような批判をさらに受けることを覚悟している。
トランプ氏が目指す「移民と敵対する国」、その真意は - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領が就任後2週間で一連の移民政策を発表した背景には、どうしても譲れない目標がある。それは受け入れる外国人の数を減らし、米国にとって(同氏の見解に基づき)より有益な人材を入国させることだ。
トランプ氏の動きは「不法移民の取り締まり」という枠をはるかに超えている。それは主要な選挙公約の一つで、関心の高さでは群を抜いている。トランプ氏はそれと同時に移民の合法的な入国ルートも幅広く閉ざそうとしている。移民が米国社会に負担をかけているからとの理屈だ。 
トランプ氏は2期目の最初の2週間に南部国境での難民申請システムを停止し、たとえ合法的な入国手続きで安全な場所を求めようとしても、移民にその機会を与えないことにした。米政府はすでに合法的入国のために選抜され、審査を受けていた数千人の難民の米国行き航空便をキャンセルした。その中にはアフガニスタンで米軍を支援し、再定住の機会を待っていた人々もいる。
トランプ氏は大統領令によって「出生地主義」――米国で生まれた新生児全員に市民権を与えるという合衆国憲法の核心的な原則――を廃止しようとしている。それは外国人の子どもが自動的に米国人とみなされるべきではないとの信念に基づく。さらに同氏が署名した他の複数の大統領令の指示で、トランプ政権はビザ(査証)を申請する移民に対し、厳格なイデオロギー審査を受けさせることを計画している。例えば、反イスラエル的な見解を持っていないか確かめるといったことだ。米移民・税関捜査局(ICE)はすでに米国にいるそのような移民を強制送還の対象とするよう指示されている。
だが、トランプ政権の仕事はまだ終わっていない。
米国土安全保障省の移民当局者は、米国永住権(グリーンカード)申請者に対して教育水準や資産水準、その他多くの要因を審査する「公課規則」と呼ばれるトランプ氏の政策を復活させようとしている。これは、移民が将来のある時点で公的扶助を利用する可能性がある場合、彼らの永住を阻止する試みだ。
米国務省の当局者は、トランプ氏が部分的または全面的な入国禁止令を出す場合の対象国リストを作成している。この大統領令は、同氏が1期目に入国制限を課したイスラム教徒が多く住む11カ国よりも対象が広範囲に及ぶことが予想される。またトランプ氏は、高度な技能を持つ外国人向け就労ビザ「H-1B」の発給要件を厳しくするため移民当局幹部数人を採用した。最高水準の報酬を提示される移民のみがこのビザの適格者になるとみられる。
トランプ氏は就任2日目に移民に関する質問を受けた際、あらゆる形態の移民に反対しているわけではないと強調した。
「質の高い人材を受け入れる必要がある」。トランプ氏は大統領執務室で最近、H-1Bビザプログラムの有用性を巡って側近との議論が続いていることについて質問に答え、こう述べた。
移民問題でトランプ氏に助言する側近の多く、中でも移民政策を立案するスティーブン・ミラー副首席補佐官は、米企業はこのプログラムによって同等の技能を持つ米国人よりも安い賃金で外国人を雇えると考えている。一方、トランプ氏と近い関係にある米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)をはじめとする米テック業界の企業経営者は、世界の一流人材を獲得するためにこのプログラムは不可欠だと主張する。トランプ氏は以前、その見解を支持すると表明していた。
トランプ氏の側近らの移民に対する意見は概ね一致している。不法入国するタイプの移民は――そして人道的なチャンネルを通じた入国者や、さらには米国市民が成人の兄弟姉妹のグリーンカードを申請するなど家族向けの移民プログラムを通じて入国する人々も――社会にとって有害であるという考え方だ。トランプ氏やその側近は、入国した移民の多さが住宅や自動車の費用を含む生活費上昇の原因であり、公立学校・病院の運営の重荷になっていると非難してきた(それは必ずしも正確ではない)。
またトランプ氏の最も熱心な支持者の間には、移民が英語を覚えないことや、他の面でも同化できていないことが、国の骨組みを疲弊させているという感覚が浸透している。
どのような人に入国を許可するかについて政府がより厳重に管理すべきだという、その核心にある信念は、トランプ氏が2016年の米大統領選に初出馬して以来、何より重視する哲学だった。同氏の見解は、ジョー・バイデン前大統領の政権下で記録的な数の移民流入に直面した国民の間で次第に支持が広がった。特にそうした危機を痛感した(民主党支持基盤の)青い都市や青い州の住民の間で顕著だった。
トランプ氏はその支持を追い風にして、入国制限を厳格化する政策を実行に移している。ただ世論調査によると、米国人は依然として合法的な移民を幅広く支持していることが分かる。
「彼は今のところ、移民がやって来るのは根本的に不公平だと感じている国民の主流派の考えを利用している。列に割り込むのは不公平だという感覚だ」。米国の移民排斥に関する著書を執筆中のイプソスの世論調査部門社長クリフォード・ヤング氏はこう述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の世論調査によると、有権者は国境を安全に守り、犯罪歴のある移民を強制送還するトランプ氏の方針を支持している。一方、移民政策の他の多くの要素はかなり強い反発を引き起こしている。
例えば、最新のWSJ世論調査によると、不法入国後10年間米国に滞在し、税金を払い、犯罪歴がない移民を強制送還することには、70%の有権者が反対している。
憲法に規定された出生地主義を終了させる試みには有権者が2対1の割合で反対し、米国への合法的移民を増やすことには約65%が賛成した。
難民再定住機関グローバル・レフュージのクリシュ・オマラ・ビグナラジャ総裁は、いま反移民的な姿勢を取れば、米国の評判を台無しにしかねないと述べた。米国は数十年にわたり、世界中の難民を再定住させることで富裕国はより豊かになれるという考え方を推進してきたからだという。
「われわれが先導すれば、他の国々が後に続き、われわれが後退すると、他の国々はそれを言い訳に使う」。だがグローバル・レフュージは先週、米国務省から「作業停止命令」を受け取り、到着間もない難民に再定住に向けた支援を行わないよう指示された。
トランプ氏の多くの動きはほぼ確実に訴訟を招くだろう。また同氏の構想を全て実行できる公算は小さい。米連邦地裁はすでに、出生地主義の見直しを命じた大統領令を発効前に差し止めている。
またトランプ氏は自身の政策課題にとって有害だと見なす法律を堂々と無視している、と批判勢力は指摘する。例えば、トランプ氏は南部国境を越える行為を「侵略」と呼び、そうした脅威に対する「効果がない」として難民に関する法律を一時停止する大統領令を出した。
「彼は実際、難民申請はこうあるべきだと人々が考えるものに実施方法を近づけている」。移民制限を支持する「移民研究センター」のマーク・クリコリアン事務局長はこう述べた。
仏下院でバイル首相の内閣不信任案否決、予算成立に道開ける | ロイター
トランプ関税、製造業の米国回帰が主な目的=財務長官 | ロイター
ベッセント米財務長官は5日、トランプ大統領の関税計画は主に製造業を米国に戻すことを主な目的としていると述べ、医療用品や造船業を対象分野として挙げた。
ベッセント長官は米FOXビジネスに対し、トランプ氏はそれぞれの関税措置でそれぞれ異なる戦略を追求していると説明。コロンビア、メキシコ、カナダに対する関税措置は移民問題などを巡る対応を確保することを目的としていると述べた。
ただ、関税措置は全体として主要分野における米国の製造業を再確立することの支援に焦点を当てたもので、これにより企業収益が向上するとの見方を示した。
トランプ氏のガザ提案、中東諸国は一斉に反発-同盟国からも非難の声 - Bloomberg
パレスチナ自治区ガザからパレスチナ人を移動させ、米国がガザを管理するというトランプ大統領の案は、イスラエルでは広く歓迎されている。この予想外の提案を、イスラエル当局者はイスラム組織ハマスとの戦争に続く安全保障強化の好機になると称賛している。
一方、アラブ世界の受け止め方は異なる。サウジアラビアは「パレスチナ人の正当な権利の侵害」だと表現したが、それが中東各国政府の共通した認識だ。
イスラエル、アラブとも、当初の反応は困惑だった。ガザの再建に米国が介入し、新たな「リビエラ」をつくるなどとトランプ氏が提案するとは、イスラエルも含め誰も予想していなかった。トランプ氏によれば、このアプローチでは200万人余りに上るパレスチナ人をガザから移住させることが必要になるという。同氏は米軍を展開させる可能性すら提起した。
トランプ氏は4日、イスラエルのネタニヤフ首相とワシントンで行った記者会見で、「米国がガザを引き受ける」と述べ、「われわれが所有し、責任を持ってガザの不発弾や全ての危険な兵器の解体を行う」と続けた。
トランプ氏の提案は、ガザの将来を巡る議論を広げた格好になる。都市部に対するイスラエルの激しい空爆で人口の大多数は難民キャンプに避難し、医療品や食料、浄水など必需品は不足している。
米国とカタール、エジプトが仲介し、トランプ氏が自分のおかげだと喧伝するガザ停戦は、先月から6週間の期間で始まった。この第2段階についての協議が今週開始されたが、トランプ氏の発言のタイミングはこの交渉を脅かしかねないと、アラブ諸国の当局者は非公式に話した。
ガザの人々は移動させようとすれば抵抗する可能性が極めて高く、トランプ氏提案に対する怒りをイランが利用し、地域の緊張は高まるだろうと、この当局者は語った。
ネタニヤフ氏とホワイトハウスで会談する以前から、トランプ氏はガザを再建する一方で、パレスチナ人をエジプトかヨルダンに移住させる案を売り込んでいたが、パレスチナ当局者やサウジを含むアラブ各国は全く聞き入れなかった。
ガザを誰が統治し、再建を監督するのかは、停戦延長交渉で重要な問題に位置づけられているが、イスラエルの連立政権も具体的な提示ができていない。国際的に承認され、ヨルダン川西岸の一部を管理するパレスチナ自治政府(PA)がハマスに取って代わる意欲を示しているものの、イスラエルはPAの介入には反対している。
PAはトランプ氏のガザ提案を即座に拒否し、「故国からパレスチナ人を移動させるあらゆる呼び掛け」に反対すると、PAのシェイク民政庁長官が発表文で表明した。
ハマスのサミ・アブ・ズフリ報道官は、トランプ氏の直近のコメントは「混乱を生み、地域を緊張させるレシピ」だと酷評した。
「受け入れ不可能」  
トルコのフィダン外相は、トランプ氏のガザ提案を「受け入れられない 」と一蹴。「強制移住は地域にとってもトルコにとっても、受け入れることができるものではない」と、国営アナドル通信に話した。
「議論を始めることすら、誤りだ」とも述べた。
サウジアラビアはパレスチナ国家成立への支持をあらためて打ち出し、「イスラエルの入植政策、土地併合、パレスチナ人をその土地から追い出そうとする試みなど、パレスチナ人の正当な権利に対するいかなる侵害」にも反対すると表明した。
トランプ氏はサウジとイスラエルの国交正常化を目指しているだけに、サウジは極めて重要な役割を発揮する可能性がある。
米国によるガザ管理案は、イスラエルの同盟国の間からも非難の声が聞かれた。ドイツのベーアボック外相は、パレスチナ人の排除は受け入れられず、国際法に反すると発言。「それはまた、新たな苦しみと憎しみをもたらすだろう」と述べた。
フランスもガザのパレスチナ人に対する強制的な移住に反対を唱え、ドイツと同様、ハマスの排除と2国家による解決策を支持していると強調した。
ベッセント米財務長官、自分とトランプ大統領は10年債利回りに重点 - Bloomberg
ベッセント米財務長官は5日、FOXビジネスとのインタビューで、借り入れコスト引き下げでトランプ政権が重点を置いているのは米金融当局の短期の政策金利ではなく、米10年債利回りだと語った。
トランプ大統領が金利低下を望んでいるのかとの質問に対し、ベッセント長官は「彼と私は10年債利回りを注視している」とし、「彼は金融当局に利下げを求めていない」と話した。
ベッセント長官はまた、エネルギー供給を拡大することがインフレ抑制につながるとの見解をあらためて示した。米労働者にとって、「エネルギーが長期のインフレ期待の最も確実な指標の一つだ」と述べた。
「このためガソリン価格を下げ、ヒーティングオイル価格を下げることができれば、消費者は節約できるだけでなく、将来に対する楽観的な見方を持つようになり」、近年の高インフレから立ち直ることができると語った。
ベッセント長官はさらに、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局について、「彼らが今後すべきだと私が考えることでなく、彼らが行ったことに関してだけ、私は話すつもりだ」とも発言した。
これに関連して、米金融当局が昨年9月に0.5ポイントの「大幅利下げ」に踏み切った後、10年債利回りが上昇したことに言及した。
米金融当局が1月29日、政策金利据え置きを決めた後、トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に「ジェイ・パウエル氏と連邦準備制度はインフレで自分たちがつくり出した問題をストップさせるのに失敗した」としたものの、金利決定についてはコメントしなかった。
ベッセント長官はインタビューで、米国の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%に削減するのに加え、日量300万バレル相当の原油増産と、3%の持続的経済成長を実現するという、「3-3-3」と呼ぶ政策を重ねて提唱した。
一方、イーロン・マス氏率いるトランプ政権の新組織「政府効率化省(DOGE)」による財務省システムへのアクセスに関しては、いかなる支払いを巡ってもマスク氏らが停止の判断を下すことはないとする同省の先の説明を繰り返した。
インタビューは、トランプ政権1期目でホワイトハウスの国家経済会議(NEC)委員長を務めたローレンス・クドロー氏が行った。
●先進国中銀、金融当局
FRB、追加利下げに傾く 不確実性に留意必要=リッチモンド連銀総裁 | ロイター
米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は5日、連邦準備理事会(FRB)は年内に一段の利下げを実施する方向に傾いていると述べると同時に、トランプ政権の関税、移民、規制などの施策を巡る不確実性を正確に理解する必要があるとの考えを示した。
バーキン総裁はブルームバーグテレビのインタビューで、関税、規制緩和、移民問題、エネルギー政策、地政学的な問題など、数多くの不確実性が存在していると指摘。ただ、インフレ率がさらに低下し、経済成長が継続すると予想される中、一段の利下げが望ましいというのが基本的な考えだと述べた。
トランプ大統領の関税措置から生じる可能性のある不確実性には3段階あるという認識を示し、1)関税の規模とその対象、2)各国や企業の対応、3)消費者への影響を挙げた。
新たな関税措置が、米製造業の急速な国内回帰につながるとは想定していないと述べた。
また、経済は過熱の兆候を示しておらず、短期的に利上げを実施する強い根拠は見当たらないとしたほか、第1・四半期のインフレ率は「大幅に」低下するという見通しを示した。
FRBは昨年9月から12月にかけて3会合連続で合計1%ポイントの利下げを実施した後、1月28─29日に開いた会合で金利据え置きを決定。今後の利下げ時期についてはほとんど手掛かりを与えず、トランプ政権の政策を見極めていく姿勢を示した。
バーキン総裁は、現行の金利水準(4.25─4.50%)はなお制約的な水準との見方を示し、この金利水準でインフレ率はFRBが目標とする2%に向けて低下していくと予想。ただ「様子を見る必要がある」と述べた。
今後の利下げは物価次第、米政策の影響予測難しい=ECB副総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は、インフレ率はECBの目標の2%に近づいているとした上で、金利がどこまで下がるかは、インフレ率が持続可能な形で目標に向かっていることを確認するデータ次第だと指摘した。スロバキア紙Hospodarske Novinyが5日掲載したインタビューで述べた。
デギンドス副総裁は、インフレ率が年内に目標に到達すると確信しているとした上で「特に地政学的状況を取り巻く多くの不確実要因を考慮する必要がある」と指摘し「現在の状況下でわれわれの軌道が明確であっても、金利の最終的な水準は誰にも分からない」と述べた。
トランプ米大統領の経済政策がECBのインフレ目標に与える脅威を見積もることは、世界経済の成長見通し及ぼす影響を予想するよりも難しいとの認識を示した。
「関税が需要や成長を抑制する効果とともに、選択的関税が貿易の方向転換や迂回につながる可能性があることから、インフレへの影響を見積もるのはより難しい」と語った。
ECB、利下げ慎重に 中道アプローチ適切=レーン専務理事 | ロイター
●先進国経済指標
米ISM非製造業総合指数、1月52.8に低下 関税による価格上昇懸念 | ロイター
米1月ADP民間雇用、18.3万人増 予想上回る | ロイター
独サービスPMI1月改定値は52.5、6カ月ぶり高水準 | ロイター
ユーロ圏総合PMI、1月改定50.2 3カ月ぶりに50上回る | ロイター
英サービスPMI、1月50.8に低下 スタグフレーション顕著に | ロイター
仏サービスPMI、1月は48.2に下方改定 5カ月連続50割れ | ロイター
S&Pグローバルがまとめた1月のフランスのHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は48.2と、速報値の48.9から下方修正された。
需要低迷や政局の不透明感を背景に好不況の分かれ目となる50を5カ月連続で下回った。昨年12月は49.3だった。
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「政治的な不透明感が影響したとの回答や、顧客需要の鈍化、景気の先行きへの自信の低下が影響したとの回答があった」と述べた。
1月のサービス部門の雇用減少ペースは2020年10月以来の高水準。自然減や一時契約の終了が背景。
企業の信頼感は56カ月ぶりの低水準。国内政治の不透明感を反映した。
投入価格の上昇ペースは5カ月ぶりの高水準だったが、販売価格は21年4月以来初めて低下した。金利低下や競争力の維持に向けた取り組みが背景。
新規事業は小幅に減少。輸出受注には安定化の兆しが出ている。
企業は依然として先行きに慎重で、将来の活動に対する期待度は20年5月以来の低水準だった。
サービス業と製造業を合わせた1月の総合PMI改定値は47.6で、昨年12月の47.5、速報値の48.3を下回った。5カ月連続の50割れとなった。
独プラント・設備受注、昨年8%減 2年連続のマイナス | ロイター
ドイツ機械装置産業連盟(VDMA)が5日発表した昨年のプラント・設備メーカーの受注は、実質で前年比8%減少した。2年連続の減少となった。
国内からの受注は13%減、外国からの受注は5%減だった。
VDMAのエコノミスト、オラフ・ウォルトマン氏は「好転を待つ状況が続いている。重要な市場に勢いがない。特に国内市場のムードが改善していない」と指摘した。
12月の受注は1%増だったが、広範な増加トレンドを示すものではないという。外国からの受注は9%増。ユーロ圏外からの受注が13%増加した。国内からの受注は19%減だった。
10─12月の受注は5%減。国内が7%減、外国が4%減だった。
●金融市場、先進国トピックス
アポロがウォール街の牙城切り崩し、プライベート資産取引を身近に - Bloomberg
オルタナティブ資産運用大手の米アポロ・グローバル・マネジメントは、高格付けのプライベート資産を容易に売買できるマーケットプレイスの構築を目指している。ウォール街の大手が支配していた領域にさらに食い込む考えだ。
資本ソリューション部門責任者のエリック・ニードルマン氏によれば、アポロはリアルタイムの情報とプライベートクレジット取引の日中価格を提供できるよう、提携先の銀行や取引所、フィンテック企業と協議に入っている。
実現すれば、アポロは自社で組成した債券をより大規模に取引する、あるいはシンジケート化できるようになり、価格が公になることがまれなプライベート市場で先駆的なポジションに立つことが可能になる。
「毎日のように最重要カウンターパーティーと関与し、市場の接続性を深め、流動性ソリューションやサービス提供の拡大に努めている」とニードルマン氏。「最高レベルで非常に建設的な話し合いが進んでいる」と述べた。
パブリックとプライベート
事情に詳しい関係者によると、アポロはすでに投資管理会社TPGアンジェロ・ゴードンと取引を行った。
アポロはこれまで、公開市場とプライベート市場の融合、および金融機関の役割変化が今後5年で最大のトレンドになると述べている。 同社はトレーディング業務と機能を拡大することで、その変化の中心に身を置く準備を進めている。
アポロは昨年、ステート・ストリートと公開およびプライベートのクレジット投資に特化した上場投資信託(ETF)を創設する計画を明らかにした。個人投資家にとってプライベートクレジットが身近になることを狙う。
ニードルマン氏は「真の意味でのマーケットプレイス構築に焦点を絞っている。オープンアーキテクチャーで協調しやすく、拡張性を備えたものだ」と話した。
アポロは現時点で、約20億ドル(約3100億円)相当のプロダクトを組成済み。約60社の顧客リストは増加しつつあるという。
Homebuyer mortgage demand drops further, a troubling sign for the spring market
●中東情勢
「ガザ所有」のトランプ発言、国際社会が反発 中東の不安定化招く | ロイター
トランプ氏、イランの「繁栄」認める新たな核合意に意欲-姿勢軟化か - Bloomberg
トランプ米大統領は5日、イランの「平和的な成長と繁栄」を可能にする新たな核合意に関して直ちに取り組みを開始する用意があると述べた。イランに対する姿勢を軟化させている格好だ。
「米国がイスラエルと協調してイランを木っ葉微塵(みじん)に打ち砕くという報道はかなり誇張されている」とトランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルースソーシャル」に投稿した。
トランプ氏はそうした合意がどういったものになるのか、詳細は示さなかった。イランの当局者はこの投稿にまだ応答していない。
トランプ氏は前日、現行制裁の厳格な執行を求める行政措置に署名。1期目の「最大限の圧力」戦略を事実上、復活させていた。
イランのアラグチ外相は5日、トランプ氏の最大限の圧力戦略は失敗すると指摘。「イランが核兵器を追求しないよう保証することが主要な問題であるなら、それは既に確約している。イランの立場は明確だ」と述べた。国営テレビが同氏の発言を伝えた。
トランプ氏「米国がガザ地区を所有する」 政府方針を大幅に転換 - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は4日、ガザ地区に住む200万人近くのパレスチナ人は近隣諸国に移住すべきだと改めて呼びかけた。また同地区に関しては米国が長期にわたり管理していくとも述べ、数十年にわたる米政府の方針から大きく転換し、パレスチナ国家に関する構想を事実上覆した。
トランプ氏はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と共にホワイトハウスで開いた会見で、「米国がガザ地区を引き継ぐ」と発言。「長期的な所有を想定しており、中東のこの地域、そして中東全体に大きな安定をもたらすと考えている」と述べた。
米政権高官は4日、ガザの大規模な開発プロジェクトには10年から15年かかると述べていたが、トランプ氏の今回の案が実現すれば、米政府はこれに深く関与することになる。同氏は一方で、パレスチナ人に自発的に土地を明け渡すよう説得する方法や、イスラエルが最終的に同地域の主権を行使するかどうかには言及しなかった。
同氏はガザ地区の荒廃ぶりに触れた上で、同地区の200万人のパレスチナ人は移住する必要があると述べた。「彼らが戻りたいと思わなくて済むようなことを実施できるよう希望している」とし、ガザ再建の際には「本当に質の高い住宅」が建設されることを期待していると語った。
トランプ氏はまた、イランによる核兵器取得を阻止するためイスラエルがイランへの攻撃を決断した場合、イスラエル政府を支持する可能性を排除せず、「われわれはただ、彼らに核兵器を持たせたくないだけだ」と発言。「どうなるか見守ろう」と述べた。
トランプ氏の対イラン政策は、政権の中東政策の中で特に不明瞭な部分の一つ。同氏は、イラン核施設を攻撃するようネタニヤフ氏に促しているような姿勢を示したこともあり、こうした姿勢はより広範な戦争を引き起こす可能性がある。一方で、戦争を避けるためイラン政府と取引をしたいとも述べている。
トランプ氏はネタニヤフ氏との会談前には、イランに「最大限の圧力」を再び課す命令にも署名した。これは自身の1期目に課したイランの石油輸出やその他の経済分野に対する制裁の執行を強化するための一歩となる。
ガザの再入植に関しては、極右のイスラエル政治家らが歓迎しているものの、これはパレスチナ領の大部分を取り除くことになる。これらの土地は第1次トランプ政権を含む歴代米大統領が数十年にわたり、パレスチナ国家の一部を形成すると述べてきた領土でもある。
イスラエルと共存するパレスチナ国家の実現に関し、トランプ氏は停滞が続くプロセスを再開する計画があるかどうか公には言及していない。だが米政府がガザ住民に土地を放棄するよう圧力をかければ、その目標の達成はさらに困難になるとみられる。
米大統領職務室で4日に行われたトランプ氏とネタニヤフ氏の非公開協議では、不安定なガザ停戦の行方が議論の大半を占めたとみられている。ネタニヤフ氏がガザでの停戦延長に合意し、敵対行為に関しても長期にわたり停止することに向けて交渉すると約束すれば、トランプ氏にとって外交的勝利となり、一部の米国人を含む残りの人質の解放を確保できる可能性もある。
トランプ氏はこれまでも、200万人以上のパレスチナ人をガザ地区から移動させ、同地区を再建する案を示してきた。この提案は、極右のイスラエル政治家らには歓迎されているものの、アラブ諸国からは拒否されている。
エジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、カタールの外交トップらは1日にエジプトの首都カイロで会合を開いた後、「いかなる形態や状況、そして正当化の下でも」パレスチナ人の「追放」を拒否すると声明で述べた。
だがホワイトハウスの当局者らは4日、ガザからの大規模な移住が唯一の実行可能な選択肢であり、避難したパレスチナ人らを受け入れるようエジプトとヨルダンを説得できると主張している。トランプ氏はヨルダンのアブドラ国王とエジプトのアブデルファタハ・シシ大統領を今月中にホワイトハウスに招いて会談する予定となっている。
●エマージング
財新・中国サービスPMI、1月は51.0に低下 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
Ivy League psychologist: Infuriating bosses share these common traits
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(5日)米国株続伸、ドル1週間ぶり安値、利回り低下 | ロイター
**為替市場**  
ドルは約1週間ぶりの安値に下落。貿易戦争への懸念が和らぎ、日本円は好調な賃金データを受けて上昇。ドル指数は一時107.29まで下落し、終盤107.58となった。トランプ政権はメキシコ・カナダからの輸入関税を延期したが、中国への追加関税は発動。  
**債券市場**  
米国債利回りは数週間ぶりの低水準。米経済指標の低迷やトランプ大統領の「ガザ所有・復興」構想による不安が影響。米財務省は当面、国債の入札規模を据え置く方針。  
**株式市場**  
主要3指数は続伸。アルファベットの決算不調で株価は7.3%下落したが、AI関連銘柄は回復傾向。エヌビディアとブロードコムは上昇、AMDはデータセンター事業の売上減見通しで下落。  
**金先物市場**  
米中貿易摩擦の激化で安全資産としての金需要が高まり、3日続伸。中国は米国の追加関税に報復措置を発表。  
**原油市場**  
需要鈍化懸念で原油先物は続落。トランプ大統領がイランへの「最大限の圧力」政策を復活させ、供給不安が高まった。
欧州市場サマリー(5日) | ロイター
ロンドン株式市場は3営業日ぶりに反発し、製薬株や貴金属株が上昇をけん引した。特に英GSKは自社株買いや売上高目標の引き上げを受けて7.6%上昇。貴金属株も金価格上昇やJPモルガンの評価向上を受けて上昇した。市場はイングランド銀行の利下げ決定を織り込んでいる。  
欧州株式市場も続伸し、ヘルスケア銘柄が上昇。ノボノルディスクやGSKの業績好調が買いを集めた。一方、自動車株はルノーの下落が影響し低迷。スペインのサンタンデール銀行は予想を上回る決算と自社株買い発表で大幅高。  
ユーロ圏債券市場では、米国の関税政策がインフレ抑制に作用するとの見方から、利回りが低下。欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が強まり、ドイツやイタリアの国債利回りが数週間ぶりの低水準となった。

備忘録(2025/2/4
●海外企業決算
BNPパリバ、第4四半期利益が予想超え 25年目標は下方修正 | ロイター
UBS、第4四半期利益が予想上回る 30億ドルの自社株買い発表 | ロイター
Ferrari posts 21% hike in full-year profit, sees 2025 growth
アルファベット第4四半期、売上高が予想下回る クラウド成長が鈍化 | ロイター
AMD、データセンター部門の売上高が予想届かず-AI減速を示唆 - Bloomberg
米ファイザー10〜12月、600億円の黒字 コスト削減奏功 - 日本経済新聞
ペプシコ10〜12月17%増益 北米低調もアジア底堅く - 日本経済新聞
ペイパルが決算受け大幅安 ブランド決済の伸びが期待外れ=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ペプシコが決算受け下落 売上高が予想下回る クエーカーフーズ部門のリコールや地政学的圧力=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[PFE] ファイザー 2024年12月通期は増収最終増益 売上高7%増636億ドル、純利益3.8倍80.3億ドル、配当1.68ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[HUBB] ハベル 2024年12月通期は増収増益 売上高5%増56.2億ドル、営業益5%増10.9億ドル、EPS14.37ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[FOX] フォックス 2Q増収最終増益 売上高20%増50.7億ドル、純利益3.4倍3.73億ドル、EPS0.81ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EL] エスティローダー 2Q減収赤字転落 売上高6%減40.0億ドル、営業赤字5.80億ドル、EPSマイナス1.64ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CMI] カミンズ 2024年12月通期は微増収増益 売上高微増341億ドル、営業益2.1倍37.5億ドル、EPS28.37ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ADM] アーチャーダニエルズ 2024年12月通期は減収最終減益 売上高9%減855億ドル、純利益48%減18.0億ドル、配当2.00ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[WEC] WECエナジー 2024年12月通期は減収増益 売上高3%減85.9億ドル、営業益13%増21.5億ドル、配当3.34ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[XYL] ザイレム 2024年12月通期は増収増益 売上高16%増85.6億ドル、営業益55%増10.0億ドル、配当1.48ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[PYPL] ペイパル 2024年12月通期は増収営業増益 売上高7%増317億ドル、営業益6%増53.2億ドル、EPS3.99ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KKR] KKR 2024年12月通期は増収最終減益 売上高51%増218億ドル、純利益16%減30.7億ドル、EPS3.28ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MRK] メルク 2024年12月通期は増収最終増益 売上高7%増641億ドル、純利益47倍171億ドル、EPS6.74ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PEP] ペプシコ 2024年12月通期は微増収増益 売上高微増918億ドル、営業益8%増128億ドル、配当5.330ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[IEX] アイデックス 2024年12月通期は微減収減益 売上高微減32.6億ドル、営業益8%減6.77億ドル、EPS6.64ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PRU] プルデンシャル 2024年12月通期は増収最終増益 売上高35%増680億ドル、純利益9%増27.2億ドル、配当5.20ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CSL] カーライル 2024年12月通期は増収増益 売上高9%増50.0億ドル、営業益16%増11.4億ドル、配当3.70ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[JNPR] ジュニパーネットワークス 2024年12月通期は減収減益 売上高9%減50.7億ドル、営業益38%減2.91億ドル、EPS0.86ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMD] AMD 2024年12月通期は増収増益 売上高14%増257億ドル、営業益4.7倍19.0億ドル、EPS1.00ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MDLZ] モンデリーズ 2024年12月通期は増収営業増益 売上高1%増364億ドル、営業益15%増63.4億ドル、EPS3.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[OMC] オムニコム 2024年12月通期は増収増益 売上高7%増156億ドル、営業益8%増22.7億ドル、EPS7.46ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMGN] アムジェン 2024年12月通期は増収減益 売上高19%増334億ドル、営業益8%減72.5億ドル、配当9.00ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[GOOG] アルファベット 2024年12月通期は増収増益 売上高14%増3500億ドル、営業益33%増1123億ドル、配当0.20ドル実施 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
トランプ関税受けディアジオが目標撤回-米国産以外の商品に打撃 - Bloomberg
ウィスキー「ジョニー・ウォーカー」などで知られる英酒類メーカーのディアジオは4日、同社の最大市場である米国での不振と関税問題を受け、売り上げ目標を撤回すると発表した。
ディアジオは、買収・出資などを伴わない純売上高の5-7%成長という中期目標を取り下げた。デブラ・クルー最高経営責任者(CEO)は、米国のトランプ政権がメキシコとカナダに追加関税を課す計画は、特にテキーラとカナダのウイスキーブランドに「非常に大きな影響」を与える可能性があると述べた。
これまでの目標は、クルー氏の前任イヴァン・メネゼス氏が2021年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に、自宅用のカクテルスピリッツの需要急増などを基に設定した。
ブルームバーグは1月、ディアジオが主要市場である米国、中南米、中国での消費者支出の低迷を受け、成長目標を大幅に引き下げ、見通しを再設定する可能性が高いと報じた。
ディアジオは以前から、主要市場の多くで人口増加と所得上昇により、消費者が同社のプレミアムブランドへと移行すると見込んでいた。だが、米国をはじめとする需要の低迷と市場力学の変化により、売り上げ目標の達成は明らかに難しいとして、投資家から下方修正を迫られていた。
米国では消費意欲の高まりから、蒸留酒への需要はあるという。ただ、クルー氏は「財布のひもが固くなっている。個々の世帯では、購入する食料品の価格が30年ぶりの高値となっている」と指摘した。
米国のトランプ大統領がメキシコとカナダに関税を課す計画を実行に移せば、売り上げの成長維持はさらに困難になる。メキシコとカナダは3日、関税発動に対し30日間の猶予期間を確保したものの、北米で売上高の38%を稼ぎ出しているディアジオのような企業にとって、リスクは残ったままだ。
ニック・ジャンギャーニ最高財務責任者(CFO)によると、ディアジオの米国売上高の約45%は、カナダとメキシコからの輸入品だ。関税による営業利益への影響の大部分は軽減できるという。
だが、ディアジオや競合他社が貿易コストの上昇を価格に転嫁せざるを得ない場合、米国の消費者がより安価な国産品に切り替えるとの懸念は高まっている。
英ディアジオ、中期売上高予想を撤回 米関税で先行き不透明に | ロイター
蒸留酒で世界最大手の英ディアジオは4日、中期のオーガニック純売上高予想(5─7%増)を撤回した。マクロ経済と地政学を巡る不透明感が業績回復ペースに悪影響を及ぼしているという。
テキーラとカナディアン・ウイスキーについて米国の関税の影響を軽減する措置を検討していることも明らかにした。トランプ米大統領は3日、メキシコとカナダに対する関税の発動を1カ月見送った。
朝方のロンドン株式市場で同社株は2.5%下落している。
ニク・ジャンジャニ最高財務責任者(CFO)は記者団に対し、3月1日に関税が発動された場合、テキーラを中心に今年度の営業利益に総額2億ドル前後の影響が出るとの見通しを示した。
デブラ・クルー最高経営責任者(CEO)は、米政府が週末に発表した関税で「最新の予測を示すのが一段と難しくなった」と表明。
同社は関税の影響を軽減するために利用可能な手段として、価格改定、在庫管理、投資の再配分、サプライチェーンの最適化などを挙げた。
同CEOは「関税が消費者、従業員、流通業者、レストラン、バー、その他小売店に与える広範な影響について、米政権と協議を続ける」と表明した。
関税の悪影響を最も受けるのはメキシコで製造し米国に輸出しているテキーラとなる見通し。米国に輸出しているカナディアン・ウイスキーにも悪影響が出るという。
2024年7─12月のオーガニック売上高は1%増。同社がまとめた市場予想の0.4%増を上回った。
北米と中国では消費者が依然慎重で、マクロ経済の回復に予想以上の時間がかかっているという。
エスティーローダー、最大7000人削減へ-事業再編・効率化進める - Bloomberg
化粧品ブランド「クリニーク」や「MAC」を傘下に持つ米エスティローダーは4日、企業再編の一環として5800-7000人の人員削減を行うと発表した。今年1月に就任したステファン・ド・ラ・ファヴリー最高経営責任者(CEO)は、経営立て直しを進めている。
エスティーローダーは、4日に発表した昨年10-12月期(第2四半期)決算の中で、「世界の地政学的な不確実性の拡大」を理由に、今年6月末までの通期決算の見通しについては発表を控えた。アジア免税事業の不振継続や、中国・韓国の消費マインドの低迷も挙げ、「当面は不安定な状況が続き、見通しが立てにくい」と説明した。
同社は1-3月期(第3四半期)の純売上高を、前年同期比10-12%減と予測している。ブルームバーグがまとめたアナリストの予測平均では、6.8%の減少が見込まれていた。同四半期の調整後1株当たり利益は減少する見通しで、これも市場予想を下回った。
エスティーローダーは米国市場でシェアを失い、競合他社のロレアルや、ソーシャルメディアのトレンドに素早く対応する新興の小規模ブランドに後れを取っている。中国での売上高も減少している。
エスティーローダー株は、4日の時間外取引で一時7.7%安と急落。同社の株価は過去12カ月で45%下落している。
低迷を打開するため、ファヴリー氏は4日、高級化粧品市場でのシェア拡大に重点を置き、新製品のより早い提供や、効果的なマーケティングに注力すると述べた。また、販売量の減少に対処するため、既存の事業再建計画を拡大するとした。
同社は、今回の人員削減は事業の再編と適正化を目的とし、一部業務を外部委託したり、一部のサプライヤーとの関係を解消したりすることで、業務の迅速化を進めるとしている。契約解除などにより12億ー16億ドル(約1860億ー2480億円)の再編費用が発生すると見込んでいる。
インテル苦戦、いまだ崩せないエヌビディアの覇権 - WSJ
米半導体大手エヌビディアは以前ほど無敵ではなくなったように見えるかもしれない。それでもなお、この人工知能(AI)の巨人に挑むことが容易でないことを米インテルは浮き彫りにしている。
1月30日午後のインテルの2024年10-12月期(第4四半期)決算発表に先立つ1週間、AI向け半導体やシステムの設計で業界をリードするエヌビディアは厳しい状況に置かれていた。中国のAI新興企業ディープシークが技術面で飛躍的な進歩を遂げたとのニュースが世界を駆け巡り、エヌビディアは時価総額の18%超を失った。比較的低コストで高度なAIモデルを構築できる可能性をディープシークは示し、エヌビディア製品への需要が後退するとの見方が広がった。
確実にそうなると結論づけるのは早すぎる。エヌビディアの上得意である米メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は先週の決算説明会で、ディープシークが示した進展がAI向け設備投資の必要性を低下させるかどうかを判断するのは「時期尚早だ」と述べた。ただザッカーバーグ氏は、演算処理の向上によりAIシステムの改善が期待できるため、「設備投資やインフラへの集中的な投資は長期的に戦略的な優位性につながる」との認識を示した。メタは今年、最大650億ドル(約10兆円)の設備投資を計画している。昨年は400億ドル弱だった。
とはいえ、インテルはそれほど大きな恩恵を受けられないかもしれない。ミシェル・ジョンストン・ホルトハウス共同CEOは1月30日に行った10-12月期決算の電話会議で、開発中の次世代GPU(画像処理半導体)アクセラレーター「ファルコン・ショアーズ」の市場投入を中止すると発表した。ファルコン・ショアーズは、エヌビディアをAI分野で圧倒的な地位に押し上げたGPUアクセラレーターと同様のチップで、今年発売することを計画していた。ホルトハウス氏はファルコン・ショアーズについて、内部テスト用のチップとしてのみ使用することにし、後継となるAIデータセンター向けのラックスケールソリューションの開発に注力すると説明。その理由として、「業界のフィードバック」を挙げた。
それでもインテルは、エヌビディアが強みとする分野で同社に挑戦する位置につけている。エヌビディアの最新チップ「ブラックウェル」シリーズはサーバーラックでも利用可能だが、一部のバージョンは要件が厳しく、データセンターで使うには液体冷却システムを設置する必要がある。だが、こうした製品への需要は冷めていない。ビジブル・アルファがまとめたアナリスト予想によると、エヌビディアはブラックウェルシリーズだけで2026年1月期に750億ドルを超える売上高を計上すると見込まれている。ほぼ同じ期間のインテルの事業全体の売上高は530億ドル強と予想されている。
ファルコン・ショアーズは、インテルがエヌビディアに対抗しようとして挫折した最初の例ではない。インテルは3カ月前の7-9月期(第3四半期)決算説明会で、同社のAIアクセラレーター「ガウディ」の3代目は需要が盛り上がらず、5億ドルという控えめな2024年の売り上げ目標にも届かない見通しを示した。「ジャガー・ショアーズ」と呼ぶラックベースの新システムの見通しも不透明感が強い。エヌビディアが今後12カ月の間にブラックウェルを本格的に出荷するとみられるからだ。オッペンハイマーのアナリスト、リック・シェーファー氏は31日に顧客向けメモで 「インテルは(データセンター関連の)AI分野でほとんど存在感がない」とし、「2027年までにそれが変わるとは思えない」との見方を示した。
その時点でインテルが企業としてどのような状態になっているかということにも不透明感が漂う。かつては資金が潤沢だったが、昨年のフリーキャッシュフローは約157億ドルのマイナスとなり、3年連続でマイナスを記録した。インテルは野心的な再建計画の途上にあり、製造技術の遅れを取り戻すことや、ファウンドリー(半導体受託生産)事業の構築、エヌビディアや米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)といった同業との競争激化に伴う自社製品の市場シェア低下に歯止めをかけることなどが目標だ。
こうした課題について、モルガン・スタンレーのアナリスト、ジョセフ・ムーア氏は1月31日、最も簡単な対処法は優れた製品を市場に投入することだとの見方を示した。その上で、「それに時間がかかるのは明らかだ」とした。ファクトセットがまとめたアナリスト予想によると、インテルのキャッシュバーン(現金燃焼)は今年99億ドルになるとみられている。インテルの株価はこの1年で半分以下になり、昨年12月にパット・ゲルシンガーCEOが突然退任して以降は約17%下落した。インテルがもはや潤沢に持っていないもの。それは時間だ。
欧州航空業界には統合の余地=独ルフトハンザCEO | ロイター
●日本企業
メガ3行の4─12月純利益、過去最高の通期計画上回る勢い 利上げなど背景 | ロイター
決算:三菱重工の純利益8%増に上振れ ガスタービンや防衛増 - 日本経済新聞
日産がきょうにも取締役会、ホンダからの子会社化提案拒否も-関係者 - Bloomberg
●先進国政治動向
英右派リフォームUK、支持率初めて首位に=世論調査 | ロイター
米連邦政府職員2万人超、政権の退職勧奨に応じる | ロイター
米上院委、ケネディ氏の厚生長官指名承認 週内にも本会議で採決 | ロイター
トランプ氏、イランへの「最大限の圧力」政策復活へ=当局者 | ロイター
中国が対米関税で見せた慎重さ、苦しい事情反映-10日までの合意焦点 - Bloomberg
新たな米中貿易戦争の幕開けとも言える両国による関税の応酬は、中国の習近平国家主席が第1次トランプ政権時代よりも慎重な姿勢で臨んでいることを浮き彫りにした。
トランプ米大統領はメキシコとカナダに対する関税の発動を土壇場で1カ月先送りする一方、中国に対しては予定通り、米東部時間4日午前0時1分(日本時間同日午後2時1分)に関税を発動した。これに対し、中国は即座に報復措置を発表。2月10日から約80品目への追加関税を発動するほか、グーグルに対する調査の開始、タングステンなど重要鉱物への輸出規制強化、米企業2社のブラックリスト追加といった対抗措置を打ち出した。
今回の迅速かつ綿密に計画された報復措置は、中国がトランプ氏との最初の貿易戦争から教訓を学んだことを示している。中国は当時、米国が課した関税と同額または相応の関税で報復した。だが今回の関税対象は140億ドル(約2兆1700億円)相当と、トランプ氏が標的にする中国製品の規模と比べてごくわずかにとどめた。一方で、関税以外の措置も講じ、必要であれば米企業にさらなる痛手を与えられることも示した。
これは第1次トランプ政権以降、中国が輸入先の多様化に成功したこと、および中国経済が一段と厳しくなっていることの双方を反映している。習主席は不動産バブルを崩壊に至らせると同時にデフレ圧力の高まりにも対処しており、成長維持に向けて製造業と輸出に依存している。
マッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は中国の報復措置が抑制されていることについて、中国は米国との貿易不均衡が大きいため「失うものが一段と多い」とし、「全面的な関税戦争は中国の利益にはならない」と述べた。また「中国は関税に対して、主に国内刺激策を通じて対応する可能性が高い」との見方を示した。
中国が慎重なアプローチを打ち出したことで金融市場の混乱は免れた。ハンセン中国企業株指数(H株)は4日の取引を3.5%高で終了。オフショア人民元はそれまでの下げを埋め、ほぼ横ばいで推移した。
目下の焦点
目下の最大の焦点は、中国の関税措置が発動される10日の期限までに米中両首脳が合意に至ることができるかどうかだ。
トランプ大統領は4日、大統領執務室で記者団に対し、習主席とは適切な時に話すとし、急いではいないと述べた。
中国が報復関税を発動したことについては「構わない」と語った。
トランプ氏は3日、中国との合意を模索すると発言。4日には、ホワイトハウスのレビット報道官が両首脳の電話会談が「間もなく」行われる予定だと記者団に語っていた。
「トランプ氏は中国が合成麻薬フェンタニルを調達し、米国に流通し続けることを容認しない。それが今回の関税の理由だ」とレビット氏は説明した。
トランプ政権のナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)も米中の電話会談が4日に行われると述べた。ただ、参加者については明らかにしなかった。
一方、トランプ氏と習氏の会談は4日には行われないと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は伝えた。
両首脳による協議は、トランプ氏の優先事項を垣間見る機会となるかもしれない。
トランプ氏は対中赤字の削減を望んでいる。2020年に米中が結んだ「第1段階合意」の見直しを指示しており、中国との関税協議がまだ数カ月続く可能性を示唆している。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻を迅速に止めるために習氏の協力を求めており、また中国に対して75日以内に動画アプリ「TikTok」の所有権を米企業と分割するよう迫っている。
中国の選択肢
中国側にとっては交渉の材料が限られる中で協議に臨むことになる。中国税関総署のデータによると、中国の対米輸出は米国の対中輸出規模のおよそ3倍で、そもそも関税を課す対象品目が少ない。
中国は今回、関税以外の措置も打ち出したが、交渉の切り札が限られることも鮮明になった。グーグルを標的にしたものの、中国で同社の消費者向けの検索やインターネットサービスは2010年以降、利用できなくなっており、象徴的な意味合いが強い。もっとも、テスラやアップルなど、中国市場の重要性が高い米企業は他にもある。
中国の規制当局はインテルに対する調査の開始を検討していると、英紙フィナンシャル・タイムズは事情に詳しい関係者2人の話として4日に報じた。インテルにコメントを求めたが、返答はまだ得られていない。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチの大中華圏担当チーフエコノミスト、喬虹氏は、いかなる合意の枠組みも、中国がどのような譲歩に応じるか次第だと述べる。
中国にとっての選択肢は、米国産石油・ガスの輸入拡大や人民元の安定維持を確約することから、第1段階合意の履行に至るまで多岐にわたると同氏は指摘。「関係修復に寄与するのは、おそらくこれらの措置の組み合わせだろう」と話した。
一方、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアジア担当チーフエコノミストであるチャン・シュー氏は、パナマ運河に対する中国の影響力は、トランプ氏が習氏に迫るであろう「重要な取引材料」だとみている。香港に拠点を置く長江和記実業(CKハチソン・ホールディングス)の子会社が、運河に隣接する5港のうち2つを運営しているためだ。トランプ氏はすでに、パナマが中国の影響力を弱めない場合は運河を「取り戻す」と脅している。
「中国がCKハチソンに圧力をかけて、現地での事業を縮小させることはあり得る」と同氏は述べたが、その可能性は「低い」とした。
●先進国中銀、金融当局
スウェーデン中銀、利下げ終了の公算 不透明感強い=議事要旨 | ロイター
スウェーデン中央銀行は4日、5会合連続で利下げを決めた1月29日の金融政策会合の議事要旨を公表し、利下げ局面は恐らく終了したとみられるが、先行き不透明感が強く、見通しが変われば行動する用意があると表明した。
議事要旨によると、テデーン中銀総裁は同日の利下げで政策金利が「恐らく十分に引き下げられた」と発言。中銀は特に利下げの効果で今年の景気が回復し、インフレ抑制も続くと予想している。
ただ、追加利下げの可能性は排除しておらず、総裁は「このような状況では、政策金利の追加調整を行う場合、あまり急がない、つまりある程度の忍耐を持つことが賢明だと考える」と述べた。
議事要旨の公表前、追加利下げの有無についてアナリストの見方は分かれていた。
スウェドバンクは議事要旨の公表後、「当行は中銀が目先の経済活動について楽観的過ぎると引き続き考えている。このため、春にもう1回、利下げがあるとの予測を維持する」と述べた。
中銀のアンナ・ブレマン第1副総裁は議事要旨で「経済活動の下振れリスクは残っている」と述べた。
●先進国経済指標
米製造業新規受注、12月は前月比0.9%減 航空機低迷続く | ロイター
米求人件数、760万件と9月以来の低水準-減少傾向に戻る - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
米内務省、エネルギー開発促進へ一連の命令発出 大統領令実行 | ロイター
日本企業の最重要輸出先「米国」が首位、中国は減少 ジェトロ調査 | ロイター
日本貿易振興機構(ジェトロ)が4日に公表した日本企業への年次調査で、最重視する輸出先として25.8%が米国を挙げた。比較可能な2016年以降で最も割合が高かった。事業の拡大先としても米国を重視する日本企業が最も多かった。輸出先として中国を最重視する企業は3年連続で減少した。
調査期間は昨年11月6日─12月6日で、対象は海外ビジネスに関心が高い日本企業9441社。3162社から回答を得た。
今後3年で最重視する輸出先として、米国を挙げた企業は25.8%。中国は14.8%で、3年連続で減少した。今後の事業拡大先としても米国が38.6%でトップとなり、中国の24.9%、欧州連合(EU)の23.7%などを引き離した。
特に、米国で拠点を新設することに意欲を示す企業が313社に上り、前年から100社以上増加した。回答した企業からは「米国で電気自動車(EV)市場の拡大が見込まれる」(自動車部品)、「顧客の日系完成車メーカーが北米市場に注力している」(同)、「新政権発足により資源関連プロジェクトの増加が予想される」(輸送機器)などのコメントが寄せられたという。
ジェトロの伊藤博敏・国際経済課長は「米国の市場が2023-24年にかけて非常に好調だったことがある。自動車関係でも米国市場向けが主要国の中で唯一好調で、ここに本腰を入れて取り組まなければならないという意識の高まりが前提としてある」と説明。その上で「米国の国内産業保護が明らかになっている中で、米国の懐に入ってビジネスをするんだという意識が高まっている」と分析した。
伊藤課長は一方で、「メキシコに25%の関税が課せられるなら米国で造った方がいいんじゃないか、と第一の反応としては思うが、実際に試算してみたら本当にアメリカの方がいいのかどうかは、まだわからない」と指摘。「コスト計算をしてみて、本当に現実的かどうかを見極めていくのではないか」との見方を示した。
世界のヘッジファンド、先週に不動産株以外を売却=ゴールドマン | ロイター
ビットコイン下落、リスク資産を警戒-米中の通商巡り緊張高まる - Bloomberg
トランプ関税に揺れる市場、3つの教訓 - WSJ
いつものことだ。ドナルド・トランプ米大統領が二転三転させる関税を巡り、3日の米株式市場は一時打撃を受けたが、不安は次第に薄れていった。このことから分かるのは、トランプ氏は歳入の徴収や企業の米国移転強制のために関税を活用すると言い続けているが、実際には他の問題で譲歩を引き出すためにそうするつもりだ、と投資家が確信していることだ。
3日、関税が強気相場を崩壊させないという投資家の確信はほぼ正しいことが証明された。この日のS&P500種指数は0.8%の下げにとどまった。トランプ氏が発動直前にメキシコからの輸入品に対する25%の関税を1カ月間延期したことが背景にある。カナダのジャスティン・トルドー首相は、トランプ氏が同国からの輸入品に対する関税も延期することで合意したと述べた。一方、中国は対米輸出に課される10%の追加関税について交渉を望んでいる。
全くのエンターテインメント、あるいはホラーなのかはさておき(当人がカナダ人かどうかにもよるのだが)、3日の相場は投資家が考えていることについて多くのことを教えてくれた。このことは、トランプ氏が他の国々に目を向ける時、あるいはメキシコとカナダに再び注目する時に役立つだろう。
市場の大きな変動から得られた三つの教訓がある。一つ目は、投資家が関税を非常に一時的なものとみなしていることが確認できたこと。二つ目は、関税の効果についてトランプ氏と投資家の意見が一致していないという確たる証拠が示されたこと。そして三つ目は、たとえバリュエーションが主に人工知能(AI)への期待によるものであっても、大手テック株が関税の影響を免れないという証拠が示されたことだ。
関税は長続きせず
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領が米国との国境に兵士1万人を配備すると明言して関税発動に1カ月の猶予を得る前でも、米株はそれほど下落していなかった。S&P500種指数は最大2%近く下落し、悪い日ではあったが、世界貿易秩序の崩壊を示すものではない。
自称「関税マン」は心の底では関税を課したくないに違いない、と投資家が考えていることに驚く。結局、米大統領選後に彼らは間違っていたのだ。投資家はトランプ氏が、約束していた規制緩和や減税といったアメを先に実行した後で関税に取りかかるとみていた。
そのような確信はトランプ氏の関税に関する発言が強まるにつれて薄れていき、関税は一時的だという新たなセオリーが市場を支えるようになった。確かに、関税は多くの産業を混乱させるだろう。ゼネラル・モーターズ(GM)の株価は3日の取引で一時6%下落した。国境を越えて最も統合されているであろう北米の自動車サプライチェーン(供給網)が関税に影響を受ける可能性が嫌気された。それでも、トランプ氏は交渉するだろう。全てはディール(取引)のなせる技であり、トランプ氏は関税で何を望んでいるかを明確にしている。移民の減少と合成麻薬「フェンタニル」の密輸阻止だ。
トランプ大統領1期目では、関税はころころ変わり、このことが関税は長続きしないという考えを裏付けている。強制送還される移民を乗せた米軍機の受け入れを拒否したコロンビアに先週課された関税は、体面を保つディールが成立するとすぐに撤回された。
危険なのは、トランプ氏が結局は関税マンだと判明することだ。同氏は連邦政府の歳入を得るために関税を活用すると繰り返し言及している。だが、これは関税が広範囲に及ぶ場合にのみ可能だ。企業に米国への移転が必要だと警告しているが、これは恒久的な関税が課される場合にのみ企業はそうするだろう。トランプ氏はまた、米国が経済的な痛みに耐えられると考えている。「われわれには必要な石油、必要な木材が全てある」からだ。繰り返すが、そのような耐久力は長期的な関税がある場合にのみ重要となる。
関税はスタグフレーション的
投資家が成長鈍化を見込むと、長期米国債利回りは低下した。だが、よりタカ派的な金融政策を投資家が織り込むと、短期債利回りは上昇した。
普通なら、関税ショックによる物価の上昇は米連邦準備制度理事会(FRB)に無視される可能性がある。しかし、ジョー・バイデン前大統領の下でインフレを経験したため、投資家はFRBが物価の一時的な上昇でさえ将来のインフレ懸念を高めかねないと警戒しそうだと考えている。その結果、FRBは利下げに慎重になりかねない。予想よりも高い金利は、成長がなければ経済と株価を傷つける。
トランプ氏の経済チームには、慎重に計画された関税なら経済を傷つけることなく歳入を確保できると主張する者もいる。それは実質的に、米国以外の世界に税金を課すことになる。3日の市場の反応を見る限り、投資家はこれを信じていない。
テック大手は免疫がある
時価総額で上位の銘柄は、クラウドコンピューティングやオンライン広告などのサービスから多くの収益を上げており、関税から直接的な影響は受けないとみられる。
だが3日、これがマグニフィセント・セブン(超大型7銘柄)の全てに当てはまるわけではないことが嫌というほど明らかになった。アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトの下落幅は最大でも2%か2%未満で、S&P500種指数とほぼ同じだった。ここまでは免疫がある。一方、テスラとエヌビディア、アップルの場合はそれほどではなかった。3社はそれぞれ最大で8%、6%、4%下落し、その後下落分を一部取り戻したものの、市場全体をはるかに下回るパフォーマンスだった。
背景には、テスラが北米の自動車サプライチェーンに巻き込まれるという根本的な問題と、アップルが輸出向けに多くの商品を製造し、エヌビディアが多くの半導体チップを販売している中国に関わる問題がある。関税と中国との関係悪化は投資家が耳にしたくないことだ。
しかし、彼らの問題は過度の楽観主義にもある。利益を抑制するような不思議な小売業を持つアマゾンを除けば、アップル、エヌビディア、テスラは先週、大手テック株の中で特に割高な水準で取引されており、予想株価収益率(PER)はそれぞれ31倍、30倍、131倍だった。高いバリュエーションは、将来の利益を妨げるものに対してよりぜい弱になる。
その上、奇妙な二重思考がある。多くの投資家は、トランプ氏が株式市場を、自分への支持をリアルタイムで示す指標として捉えており、大幅な下落があれば同氏は再考すると考えている。しかし、投資家が関税を今後4年間の主要な政策として見込まない限り、トランプ氏に方針を変更させるような市場圧力は生まれないだろう。
この目まぐるしいフィードバックループは、投資家が間違いを犯しやすくしている。トランプ氏がS&P500種指数を熱心に見ているという彼らの見方が正しいとしても、だ。
トランプ氏の増産要請、米石油業界とサウジは「ノー」 - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は原油の掘削を増やしたいが、同氏の盟友である米シェール業界とサウジアラビアはこれに応じていない。
トランプ氏は数カ月前から、「掘って掘って掘りまくれ」と米シェール業界を鼓舞してきた。だが業界幹部によれば、どれほど規制を撤廃しても米国に石油ブームが直ちにやって来ることはなさそうだ。シェールブームの全盛期には多くの業者が過剰生産で破綻に追い込まれた。業界は今やコスト抑制と投資家への現金還元に重点を置いている。
トランプ氏のアドバイザーは、米国のシェールガス生産業者が今後大幅に増産することはないと認めていると、事情に詳しい関係者が明らかにした。価格を引き下げるためにトランプ氏にできる最善の方法は、石油輸出国機構(OPEC)とその事実上の盟主であるサウジを説得し、市場に流通する原油を増やしてもらうことかもしれないと、アドバイザーたちは話しているという。
だが関係者によると、サウジはすでに複数の元米政府高官に、世界的な供給を増やすつもりはないと述べている。このうち複数の高官がサウジの意向をトランプ氏のチームに伝えた。
トランプ氏は、原油を大幅増産すれば自身が直面している多くの課題が解決すると考えている。インフレ抑制や、利下げへの道を開くこともその一つだ。いずれロシアやイランなどの経済を石油に依存する「ペトロステート(石油国家)」と対峙(たいじ)する際にも強みになるかもしれない。
トランプ氏は1月の演説で、サウジなどのOPEC加盟国に原油価格の引き下げを要請する考えを示した。2期目最初の外遊でサウジも訪問し、増産を直接働きかけるとみられている。
トランプ氏が原油価格に固執していることを憂慮する業界関係者もいる。足元では1バレル当たり73ドル前後と、平均94ドル超だった2022年を下回っている。ガソリン価格の全国平均も、当時は1ガロン(約3.8リットル)当たり5ドル(約773円)超と過去最高だったものの、今は3.10ドルだ。トランプ氏は国家的「エネルギー緊急事態」を宣言し、国民のエネルギーコスト全体を半分に減らすと表明した。
米国のウクライナ・ロシア担当特使キース・ケロッグ氏は、ウクライナ戦争を終わらせるようロシアに圧力をかけるには、世界の生産者が原油価格を45ドルまで引き下げるよう取り組むべきだと主張する。
トランプ氏の最も頼もしい石油市場の盟友である国内のシェ―ルガス生産業者とサウジにとって、この価格水準は打撃となりかねない。価格が前回45ドルを割ったのは新型コロナウイルス流行下の20年で、サウジとロシアは市場シェア争いを繰り広げて痛みを味わい、多くのシェール掘削業者は倒産に追い込まれた。
原油価格が下がれば、サウジは社会福祉や年金、大規模インフラプロジェクトに必要な収入を得にくくなるだろう。国際通貨基金(IMF)の試算によると、同国の財政収支が均衡するには、今年の原油価格が90ドル程度になる必要がある。
原油価格を巡り、トランプ氏とサウジの間で衝突が起きそうだと米政府の元高官は話す。
トランプ氏のアドバイザーは、石油・ガス業界の一部献金者に対し、短期間での増産を国内の採掘業者に頼れないことは承知していると伝えた。協議の内容を知る関係者が明らかにした。
テキサス州西部の原油生産会社ダイヤモンドバック・エナジーのカース・バンホフ社長は、「企業はもはや、何としても成長を追うということはしていない」とし、「シェールのライフサイクルは現在、かなり異なる段階に来ている」と述べた。
トランプ氏が環境規制の撤廃などで米国の石油・ガスを支援していることについて、アドバイザーらは、長期的には同業界の投資妙味を高めるとの見方を示す。そうなれば業界への資本流入が増え、生産拡大につながるかもしれない。パイプラインなどのインフラを建設しやすくなれば、化石燃料の需要が高まり、掘削が増える可能性があるという。
長期的に米国の生産量の微増を目指すのは、完全に非現実的とは言えない。エネルギー・コンサルティング会社ウッド・マッケンジーの米州担当副会長エド・クルックス氏はこう話す。成否は米政権が生産の経済性を改善できるかどうかにかかっており、何年もかかる可能性がある。その上、たとえ成功してもシェールのブーム期には及ばないだろう。
クルックス氏はトランプ氏の差し当たっての規制変更について、「生産の経済性を大きく変えるようなものは見当たらない」と指摘する。
石油業界幹部は、すでに記録的な水準にある米国の生産量について、価格が大きく上昇しない限り今年は小幅な伸びにとどまるとの見方を示す。米エネルギー省は、国内生産量は12月までに約2%増の日量約1370万バレルに達し、26年は比較的横ばいで推移すると予測する。
この程度の生産量では、直ちに増産させたがっているトランプ氏を満足させることはできないだろう。ロシアやイランに石油・ガス制裁を科す際の足かせになるかもしれない。制裁を科せば、市場に出回る原油が減って価格が上昇し、トランプ氏が公約を果たせなくなる可能性が高い。
トランプ氏の政権移行チームは、同氏がサウジを訪問し、米国がイランへの圧力を強めたらサウジがその分を穴埋めするよう確約を取り付けるつもりだと、大統領就任式の前に周囲に語っていた。関係者によると、トランプ氏のチームは、検討中の制裁を実施すればイランの輸出が日量50万~75万バレル減少する可能性があると試算していた。
元米政府高官2人は、サウジは19年に起きた供給過剰の再発を警戒しているため、早期の増産には消極的だと告げられた。
第1次トランプ政権は同年、イラン産原油の禁輸再開に備えた増産態勢をサウジに要請した。だがトランプ氏は、イラン産原油を購入するアジアの一部買い手を禁輸の対象外とし、結果的に供給過剰と原油値下がりを招いた。
さらにサウジは内々に、原油価格の下支えにはロシアを含む非加盟産油国の枠組み「OPECプラス」にロシアが関与していくことが必要だと述べている。
サウジ政府は現在、イランと平和的関係を維持することを優先しており、18年の敵対姿勢から一転した。サウジは当時、核合意に反対し、制裁を支持していた。現在は核交渉への反対を呼びかけてはおらず、核交渉に参加することを望んでいる、とサウジ当局者は話す。
円安が潜在的問題、トランプ氏が強硬になる可能性排除できず-シティ - Bloomberg
シティの高島修、ダニエル・トボン、ブライアン・レビン各氏はリポートで、「これまでのところトランプ氏は、日本に対して特に強硬なスタンスを取っていない」とし、「日本を狙い撃ちにした新たな関税措置を講じるリスクはほとんどない」と予想。
その上で、今週の首脳会談でトランプ氏が石破茂首相に対し、「突如としてより強硬な姿勢を示す可能性を完全に排除することはできない」と記した。
「トランプ大統領とベッセント財務長官が、水面下で円安に不満を抱いているかもしれないと考えるのが、ごく自然だ」とし、「トランプ政権の貿易政策が具体化していく中で、円安を放置しておけば関税リスクにつながりかねない」と指摘した。
「安過ぎMBO」に東証がメス、情報開示厳格化で少数株主を保護へ - Bloomberg
東京証券取引所は経営陣が参加する買収(MBO)の実施企業に対し、手続きや価格設定が適切かどうかより厳格な情報開示を求める方針だ。これにより国内のMBOブームは沈静化していく可能性がある。
東証は月内にも上場企業が守るべき事項などを定めた企業行動規範の見直し案を提示する考え。少数株主保護の観点から、MBOを行う際に特別委員会を設置して意⾒を聞くよう義務付けることや、株式価値を算定する前提条件の開示を充実させることなどを検討している。
日本は現在、MBOブームの真っただ中にある。ブルームバーグのデータによると、2024年は富士ソフトや永谷園ホールディングスなど35件の発表があった。アジアや米国、英国を大きく上回り、11年以来の多さとなった。金額ベースでも約9000億円と高水準を維持。現在もセブン&アイ・ホールディングスの創業家などが総額9兆円規模での同社買収を検討している。
企業価値の向上へアクティビスト(物言う株主)らの圧力が高まる中、上場維持にかかる負担が増していることが背景にある。だが、買い手と売り手が同一となるMBOでは、少数株主の利益が十分に考慮されないとの懸念が根強い。企業が過度に割安な価格で非上場化するなどして一般投資家が不利益を被る事態を防ぐため、東証は企業に情報開示の充実を求める。
GCIアセット・マネジメントの池田隆政シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、MBOは市場を活性化する方法の一つだと前置きした上で、「少数株主が常に弱い立場にならざるを得ない」と指摘。投資家の権利が損なわれないよう、価格はしっかり検証するべきだと話す。
カタリスト投資顧問の草刈貴弘共同社長も、MBOでは価格設定の根拠や特別委員会が機能しているかどうかが分からないのが問題だとみている。現在は企業側に有利な条件で市場からの退場ができているが、そうした状況が変われば「よこしまな考えでMBOをする企業は減る」と話す。
近年では23年にMBOを発表した大正製薬ホールディングスの買い付け価格が安過ぎるとして、香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントや米キュリRMBキャピタルが議案に反対する意向を示した。東証のルール見直しの結果、割安な価格で非上場化しようとする企業が減れば、結果的にMBO自体が減少する可能性が高い。
企業支配権やプロキシーアドバイザーを手掛けるクエストハブの大熊将八代表取締役CEOは、「東証がルールを厳しくすれば安く退場できない上、投資家などからさまざまな指摘を受ける可能性もある」とし、「適切に退出することが求められていく」と言う。買収価格が高くなればその分借り入れが増えるなどデメリットも出てくるため、今後の「MBOはそこまで増えない可能性がある」との見解を示した。
卵1ダース約1000円に高騰、消費者や外食業界を直撃-全米で品薄続く - Bloomberg
●中東情勢
●エマージング
中国の報復措置は今のところ抑制、交渉の準備段階-アナリスト - Bloomberg
4日の金融市場は米中間の関税合戦に反応したが、当初の動きはすぐに縮小した。アナリストらは、中国側の措置はかなり抑制されたものだと受け止めた。
人民元はオフショア取引で約0.3%下落した後、下げ幅を縮小。トレーダーが米国の関税発動と中国の報復措置を貿易協議に向けた準備と捉えたため、香港株も当初の下げから反転した。ハンセン中国企業株(H株)指数は、一時1.7%高まで上げを縮めたが、3.5%高で終了した。
アナリストやストラテジストの見方は以下の通り。
◎東亜銀行の上級投資ストラテジスト、ジェイソン・チャン氏
中国は報復措置を発表したが、米中両国の貿易交渉にはそれほど影響しないと思う。
カナダとメキシコの場合も同様で、両国もトランプ米大統領との交渉前に一連の報復措置を発表した。これらの措置は、あくまで貿易交渉における交渉力を高めることを目的としたものだ。
◎シンガポールのアバディーンの投資ディレクター、シンヤオ・ヌン氏
中国は、ほとんどの国がそうであるように、政治的に従順であると見られるわけにはいかないため、必ず何らかの報復措置を取るだろう。私には、報復措置は妥当な範囲内に見える。
米国が発表した10%の関税も、トランプ氏が当初公約していた60%よりもまだ妥当な範囲内だ。
しかし、私は関税の脅威がさらに高まり、中国株への圧力が繰り返される、非常に激しい貿易協議になることを確信している。
◎サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏
一連の出来事は、交渉が決裂したのか、それとも依然として単に様子見の状態にあるのかという疑問を提起している。
良いニュースではないが、市場は過剰反応しているように見える。この状況からは市場のボラティリティーと不確実性が浮き彫りになる。市場はますます神経質になっている。
◎UOBケイ・ヒアン(香港)のエグゼクティブディレクター、スティーブン・レオン氏
午後の売りは過剰反応であり、協議で何らかの進展があれば簡単に反転する可能性がある。貿易協議は複雑で常に変化しており、結果が出るかどうか予測するのは難しいので、時間はかかるだろう。
(最新の発表は)交渉のテーブルにつく前の単なるジェスチャーであり両者が貿易協議の時期に合意すれば安定するだろう。
◎ストーンXファイナンシャルの通貨トレーダー、呉明賾氏
市場は現在やや冷静さを失っているため、実際に関税が課されるのを見ないと、市場のより深い動きは見えないだろう。カナダとメキシコへの関税での動きを考えると、トランプ氏は現在、あまりにも気まぐれ過ぎる。
中国元についての短期的な見通しは弱気なままだ。
◎ING銀行(香港)の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏
報復の対象となったエネルギー輸入は、米国から中国への輸入の10-15%に当たる200億ドル程度であるため、一見したところかなり控えめな報復措置のように見える。 直接交渉を経て、関税がすぐに撤回されたり、先延ばしにされたりする可能性も残っている。
◎GAMAアセット・マネジメントのグローバルマクロ担当ポートフォリオマネージャー、ラジーブ・デメロ氏
カナダとメキシコからの輸入品に対する関税の延期が発表された後、米国が中国からの輸入品に対する関税の適用も延期する可能性があるとの期待が生まれた。
こうした期待が打ち砕かれたことで、関税戦争が始まった。中国は独自の条件で、特定のセクターを標的にせざるを得ないだろう。
中国、タングステンなど金属5品目に輸出規制 米関税に対抗措置か | ロイター
中国商務省と税関当局は4日、国家安全保障上の利益保護を理由にタングステンなど5種類の金属の輸出規制を実施すると発表した。
対象は、タングステン、テルル、モリブデン、ビスマス、インジウムで即日実施した。輸出規制は、米国の対中追加関税が発効した数分後に発表された。
これらの金属はスマートフォン、電気自動車(EV)バッテリー、太陽光パネル、赤外線ミサイル、弾薬など、多くの分野で使用されている。
商務省は「国家安全保障上の利益を守る」ため、これらの金属と関連製品の輸出には今後、許可が必要になると説明した。これまでのような全面的な禁輸は見送り、米国との貿易摩擦に慎重に対応する姿勢を示した。
プロジェクト・ブルーのコンサルティング責任者ジェシカ・ファン氏によると、中国が昨年12月にアンチモンなどの対米輸出を禁止する決定を下して以来、タングステンなどの金属に対する輸出規制を拡大するのではないかとの観測が広がっていた。
訂正 中国、米に最大15%の報復関税 グーグル独禁法調査や輸出規制も | ロイター
メキシコは協力的、カナダは取り組み必要 合成麻薬対策=米高官 | ロイター
中国SHEIN・Temuなど、米で価格上昇も 関税免除停止で | ロイター
パナマ、運河の港湾管理巡り香港企業との契約解除を検討-関係者 - Bloomberg
メキシコ送金額、24年10兆円超 2年連続で過去最高 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
モスクワ高級不動産が予想外の活況、価格は今やロンドン・パリ並み - Bloomberg
「買わない」生活にチャレンジする米国人 - WSJ
「島全体が空っぽに」 地震続くサントリーニから数千人が避難 - CNN.co.jp
韓国仁川国際空港、11トン近いキムチを昨年押収 「液体」扱いで - CNN.co.jp
新兵器は「金属のなる木」、中国の鉱物支配に対抗 - WSJ
金のなる木はないが、近い将来、電気自動車(EV)用電池に使われる鉱物がなる木は現れるかもしれない。
中国が重要鉱物を支配することへの懸念から、西側諸国の科学者や企業は一段と斬新な方法で代替供給源の開発に乗り出している。
そうした取り組みの一つが、自然界の特異な現象を生かそうとするものだ。「ハイパーアキュムレーター(重金属集積植物)」と呼ばれる植物は、土壌からニッケルや亜鉛といった鉱物を大量に吸収する。これらの植物を栽培し、焼却して金属を取り出すことで、米企業は国内で調達した鉱物を少しずつ確保し、そのうえ従来型の採掘に伴う費用や環境破壊を回避できるかもしれない。
「この激しい競争下では、何としても代替手段を考えなければならない」。米エネルギー省傘下のエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)の局長だったイブリン・ワン氏はそう指摘する。ARPA-Eは米国で農業によるニッケル回収を実現させる方法を見いだすため、1000万ドル(約15億4300万円)を拠出している。「これは技術の空白地帯であり、変革をもたらす可能性を秘めている」
米マサチューセッツ州アマーストの温室では、教授らがこの資金を活用して、成長が早く、かつニッケルを吸収する油糧種子の植物を開発するため、遺伝子編集に取り組んでいる。これが成功すれば、メリーランド州やオレゴン州など、鉱物を豊富に含む土壌を持つ地域で、この植物を使いニッケルを「収穫」できるようになる。
一方、米国のスタートアップ企業メタルプラントは、東欧アルバニアの農家十数人に委託し、地元の植物種を使ったニッケル回収を行っている。同社はこれらの植物の遺伝子を編集し、米国に適応させようとしている。
「将来、資源採掘についての考え方が変わるかもしれない」とメタルプラントのエリック・マツナー最高経営責任者(CEO)は言う。
米国には広さ約4万平方キロメートルに及ぶ、作物は育たないがニッケルを豊富に含む土壌が点在する。通常、そうした場所は鉱物の集中度が低すぎるため、大規模採掘は見合わないが、低コストでニッケルを回収する機会をもたらすかもしれない。
ニッケルのファイトマイニング(植物を使った金属回収技術)の場合、植物を乾燥させて焼却すると、灰状のニッケル濃縮物が残る。この濃縮物をさらに精製し、電池グレードの材料に加工する。
確かにファイトマイニングの規模は小さい。これを手がける企業は1エーカー(約4000平方メートル)当たり年間約300ポンド(約136キログラム)のニッケル回収を目標とする。EV向け電池およそ6個分に相当する量だ。
ニッケルを収穫できる植物に投じられる資金は、米政府による広範な取り組みのごく一部だ。米政府は国防や最先端産業に必要な鉱物の安定供給を目指している。だが、この分野は中国の圧倒的優位に押されている。
近年、中国の採掘・加工企業は、コストの低さや優れた加工技術などのおかげで、電池やレーザー、爆弾に使用される鉱物に関してほぼ独占状態にある。
西側は反撃を試みるが、その多くは失速している。先進国で鉱山を開業する際には重いコスト負担と環境規制がのしかかり、それが米鉱山会社の壁となっている。米国で操業中のニッケル鉱山は1カ所しかなく、そのミシガン州北部・イーグル鉱山も2029年に閉鎖される予定だ。
ブラジルやニューカレドニア、オーストラリアのニッケル鉱山は、中国の低コストの精製会社に対抗できず、ここ数年で相次ぎ閉鎖された。ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンスによると、中国企業は現在、一次ニッケルの世界供給量の約54%を占め、2015年の34%から拡大した。中国企業はハイテク製品向け主要鉱物のリチウムやコバルト、レアアース(希土類)などではさらに高いシェアを占めている。
中国は最近、半導体や兵器に使用されるアンチモンやガリウムといった戦略的鉱物の対米輸出を制限することで、その力を誇示した。中国政府はドナルド・トランプ米大統領が提案している中国製品への新たな関税に対抗し、再びこの戦術を使う可能性がある。
一方、米国は数億ドルを費やし、地下鉱床を掘り進めたり、国内製錬所を建設したりといった従来型の取り組みを進める。だが環境審査によって計画の一部に遅れが生じる一方で、米鉱山会社は中国のライバルよりも高い生産コストに直面する。そのため投資家は敬遠している。
米政府機関は金属を調達する代替ルートを求め、以前ならとっぴだと判断したアイデアに資金を提供している。
2023年、ARPA-Eは海藻からレアアースの成分などを抽出する方法を探るため、500万ドルを拠出した。レーダーやミサイルシステムにはレアアースが不可欠だからだ。別の国防関連のプログラムは、鉱石からレアアースの成分を分離する微生物の設計に取り組んでいる。
ファイトマイニングの父と多くの人が考えている農学者ルーファス・チェイニー氏は、1980年代に土壌の除染方法を研究していた際、あるアイデアを思いついた。ハイパーアキュムレーターを使えば、鉱山の跡地からニッケルを除去し、後で植物からニッケルを回収できるため、一石二鳥ではないかと。
「土壌を浄化しながら、ニッケルを売って利益が出るのだ」。米農務省で数十年にわたり汚染土壌の浄化について研究してきたチェイニー氏はそう語る。
ある民間企業がチェイニー氏の研究に着目し、ニッケルのファイトマイニングを試みた。だが2009年にはその植物が侵略的になり、植えつけた畑の外に広がって在来種を圧倒した。オレゴン州当局はアリッサムと呼ばれるこの植物を「有害な雑草」に指定。見つけた人は州の外来種ホットラインに連絡してほしいと呼びかけた。
植物から回収したニッケルは、従来の採掘で得たものよりもすでに化学的に純度の高い状態であるため、エネルギー集約的で高コストな処理工程を省ける。
ファイトマイニングのイニシアチブの一つが、バイオテクノロジー企業エコニックと、環境に配慮したニッケルを求める鉄鋼メーカー、アペラム(本社・ルクセンブルク)が組んで立ち上げた「ボタニッケル」だ。
ボタニッケルは欧州とマレーシアに温室があり、同社のアドバイザーを務めるチェイニー氏にちなんで「フィランサス・ルフスチャネイ(Phyllanthus Rufuschaneyi)」と命名されたニッケルを吸収する植物を栽培している。同社はできる限り早期に商業生産したいと考えている。
マサチューセッツ大学アマースト校で植物バイオテクノロジーを研究するオム・パーカシュ・ダンカー教授のチームは最近、米政府から130万ドルの資金を獲得した。アリッサムから遺伝物質を取り出し、油糧種子の植物に組み込もうとしている。
同氏のチームは、ニッケルの吸収に関与する遺伝子群を分離し、全く新しい植物にそれを移す必要がある。ニッケル自体は植物にとって有害なため、ニッケルを摂取すると油糧種子の植物が枯れる可能性がある。そのためダンカー氏のチームは、ニッケルの流れを中央液胞――植物細胞の一部で埋め立て地のような働きをする――に誘導する遺伝子を特定する必要がある。中央液胞ならニッケルを安全に蓄えられる。
アリッサムからニッケルを吸収する遺伝子を取り出し、北米で広く栽培される油糧種子の植物に挿入することで、州当局の反発を招いた有害な植物になるのを避けたい考えだ。
ダンカー氏の試みが成功すれば、ニッケルの豊富な土壌に彼が作り出した植物を植えるオレゴン州やメリーランド州の農家は、バイオ燃料に使われる種子油とニッケルの双方で収入を得られるかもしれない。
その研究室と温室を先日訪ねると、活発に研究作業が進められていた。博士課程を修了した研究生がニッケルにさらした植物を細かく砕いてリボ核酸(RNA)を抽出し、どの程度ニッケルにさらせば、遺伝子が変化するのかをチームが解明できるよう準備していた。
「われわれの目標は蓄積を最大化することだ」とダンカー氏は述べた。
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(4日)米国株反発、ドル小幅安、利回り低下 | ロイター
ニューヨーク外為市場では、トランプ米大統領がメキシコ・カナダへの関税を1カ月延期したことで、ドルが小幅安となった。一方、米国は中国への追加関税(10%)を発動し、中国も報復関税(最大15%)を発表。市場ではボラティリティが高まっている。
米国債市場では、関税政策の不透明感から国債利回りが低下。株式市場はエネルギー株の上昇などに支えられ、主要3指数が反発。金先物市場では、安全資産としての金買いが進み、相場は続伸した。
原油先物市場では、米中貿易摩擦の影響で一時下落したが、対イラン制裁強化の報道を受け買い戻され、小幅反落にとどまった。
欧州市場サマリー(4日) | ロイター
ロンドン株式市場は続落。米国の対中追加関税に対する中国の報復措置への懸念が影響したが、米中首脳の対話予定が伝わり、下げ幅は縮小。FTSE100種は下落、FTSE350種石油・ガス株指数は原油価格上昇を受け反発。ボーダフォンはドイツ市場での業績悪化で大幅安、ディアジオは関税影響による中期目標撤回が嫌気され下落。市場はイングランド銀行の利下げ決定を注視。
欧州株式市場は反発。フェラーリやインフィニオン・テクノロジーズが好業績で大幅高。BNPパリバは純利益が予想を上回り上昇。一方、UBSはスイスの資本要件引き上げ懸念で大幅安。
ユーロ圏債券市場では、ドイツ10年債利回りが上昇。関税の影響でインフレ懸念が広がり、欧州中央銀行(ECB)は金利引き下げを余儀なくされる可能性が指摘される。一方、米連邦準備理事会(FRB)はより慎重な姿勢を維持。市場はECBの追加緩和観測を若干縮小。

備忘録(2025/2/3
●海外企業決算
[TSN] タイソンフーズ 1Q増収増益 売上高2%増136億ドル、営業益2.5倍5.80億ドル、EPS1.01ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CLX] クロロックス 2Q減収最終増益 売上高15%減16.8億ドル、純利益2.1倍1.93億ドル、EPS1.54ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ベクトン、ライフサイエンス部門の分離を検討と伝わる 株価は小幅高=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
●日本企業
米ファンド、フジHDで日枝氏の辞任要求 「取締役会を刷新」 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
米国の対メキシコ関税は1カ月先送り、両国首脳が会談後に確認 - Bloomberg
メキシコのシェインバウム大統領は3日、同国に対する米国の関税賦課が1カ月先送りされると、トランプ米大統領と電話会談した後で語った。
シェインバウム氏は「関税は今から1カ月、棚上げされた」とソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿。トランプ氏もソーシャルメディアへの投稿でこの情報を確認した。
シェインバウム氏はトランプ氏との電話会談で幾つかの合意に達し、両国が貿易と安全保障について取り組みを開始すると表明。メキシコは米国との国境に1万人の警備隊を配置し、合成麻薬のフェンタニルなど薬物の米国流入を防ぐための取り締まりを強化すると説明した。
米国もまた、メキシコへの重火器の密輸阻止に向け協力を約束したと、シェインバウム氏は付け加えた。
この発言を受け、メキシコ・ペソを筆頭に新興国通貨が対ドルで反発。メキシコとカナダに対し25%の関税を米国が課す見通しが嫌気され、ペソは一時3%下落していたが、シェインバウム氏の発言後に下げを解消し、0.8%前後の上げに転じた。一方、ブルームバーグ・ドル指数は上げを縮小し、日中安値を付けた。
トランプ氏が1日、メキシコからの輸入品に25%の関税を課すよう命じた後、シェインバウム氏は関税とそれ以外の措置を組み合わせた対抗策を打ち出すよう経済相に要請していた。
トランプ氏は2日夜、シェインバウム氏およびカナダのトルドー首相とそれぞれ3日朝に電話会談する予定だと記者団に明らかにし、「劇的な展開は何も期待していない。われわれは関税を課す。彼らはわれわれに多額の借金をしており、返済することになるだろう」と述べていた。
トランプ米大統領の北米関税措置、アジアの同盟国への影響避けられず - Bloomberg
トランプ米大統領が計画するメキシコとカナダへの関税発動は、アジアにおける米国の最も緊密な同盟国にも打撃を与えそうだ。
メキシコとカナダの工場から米国市場に製品を供給する日本の自動車メーカー、そして韓国の自動車、鉄鋼、バッテリーメーカーは、トランプ大統領がメキシコとカナダに25%の関税を課したことで板挟みの状態に陥っている。3日の日本株は急落し、主要株価指数は昨年9月以来の下落率を記録。韓国総合株価指数は前週末比2.5%下落した。
米国のメキシコとカナダへの関税措置の影響について、ある推計によれば、日本の自動車メーカーの対米輸出による年間利益は合計で100億ドル(約1兆5500億円)減少する可能性がある。カナダとメキシコ両政府は4日に発効予定の米関税計画への対抗措置を講じる構えを示しており、利益はさらに悪化する恐れがある。
安全保障で米国と連携する他の地域も身構えている。台湾政府は3日、米国の関税引き上げへの対応策として、米アップルのスマートフォン「iPhone」を受託生産する鴻海精密工業など、メキシコで事業を行う企業が生産ラインや投資を必要に応じて変更できるように支援すると表明した。
韓国の元産業通商資源省通商交渉本部長で、現在ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローである呂翰九氏は、「企業はパニック状態にあると言えるだろう。トランプ政権下で関税合戦がどうエスカレートするのか、現時点で企業は把握できていない」と語った。
日本や韓国、台湾にとってトランプ関税への対応は重要性が高く、それは単に経済面での理由だけではない。日本と韓国には最大規模の海外米軍基地があり、アジア諸国は中国や北朝鮮に対する抑止力として米軍に大きく依存し続けている。1日に行われたヘグセス米国防長官と中谷元防衛相の電話会談では、日米同盟強化への取り組みを継続することで合意した。 
オーストラリアのカー元外相は、カナダのような国に対するトランプ大統領の行動は、他国に圧力をかける際に同盟関係を考慮する可能性が低いことを示していると述べた。米国はカナダとメキシコに25%の関税を課すが、中国に対しては10%の追加関税だ。
カー氏は「価値観の共有や同盟国であることを涙ながらに祝うことはあり得ない。同時に『わたしたちは君たちを敵として扱っている』と言っている」と述べた。
関税を巡る論争は、今週ワシントンを訪問し、トランプ大統領と初の直接会談を予定している石破茂首相にとっても不吉な兆候だ。トランプ氏は過去にも、日本の自動車メーカーは不公正だと指摘したり、日本の対米貿易黒字に不満を示したりしている。ただ、先月ホワイトハウスに復帰してから、こうした問題には言及していない。
日本の政府当局者によると、石破首相は米国における日本企業の大型投資と雇用創出を強調する予定だ。このメッセージは、今後4年間で1000億ドルを米国に投資し、10万人の雇用を創出するというソフトバンクグループの最近の発表も後ろ盾となるだろう。首相自身、韓国でも検討されている米国産の石油やガスの購入を拡大する新たな取引の可能性を示唆した。
韓国の崔相穆大統領代行は国内の輸出業者と面会し、「あらゆる手段を講じる」と支援を約束した。韓国政府は最近、トランプ氏の貿易政策についてより具体的な情報を得るために実務者レベルのチームをワシントンに派遣し、韓国企業への影響を最小限に抑えるための行動計画を策定中だと政府高官は述べている。
トランプ氏は、カナダとメキシコに対する今回の関税計画は麻薬や移民の流入による安全保障上の脅威への対応を意図したものだと説明する一方、貿易不均衡の是正を図るための関税を準備しているとも述べている。2日には欧州連合(EU)に対し、新たな関税を「間違いなく」課すことを改めて表明した。
米国によるメキシコとカナダへの関税措置で日本が最も影響が出るのは自動車産業だろう。メキシコ国立統計地理情報院によると、日本企業は昨年、米国に輸出した自動車277万台のうち約半分をメキシコから出荷した。
シティグループは、メキシコとカナダで事業展開する日本の大手自動車メーカー4社の年間利益の合計減少額を1兆5800億円(約102億ドル)と推定している。トヨタ自動車はメキシコのバハカリフォルニア州とグアナフアト州の2カ所に生産拠点があり、ピックアップトラックの「タコマ」を組み立てている。両拠点で北米市場向けに年間約26万台を生産している。
日本企業の中でメキシコから米国市場に最も多く自動車を輸出しているのは、業績不振の日産自動車だ。同社の広報担当者によると、23年の日産の米国販売台数のほぼ4分の1をメキシコで生産された車が占めた。
韓国の自動車メーカーでは、起亜自動車が唯一メキシコで事業を展開。韓国企業はメキシコで鉄鋼、カナダでバッテリーの事業も行っている。
韓国の鉄鋼大手ポスコは、メキシコにある亜鉛メッキ鋼板、圧延鋼板、線材加工の工場から自動車や家電のメーカーに供給している。同社はブルームバーグの取材に対し、トランプ大統領の関税政策を注視していくと述べた。
日本の経済産業省は2日、米国の関税措置の影響を受ける可能性がある企業を対象に相談窓口を設置したと発表した。 
日本貿易振興機構(ジェトロ)ニューヨーク事務所の調査担当ディレクター、赤平大寿氏はリポートで、「北米で生産される自動車は、原材料から完成車として輸出されるまでに平均で8回国境を越えるといわれている」と指摘。「メキシコに追加関税が課されれば影響は大きくなる」との見方を示した。
アングル:トランプ関税、「抜け穴」封じで合成麻薬の流入止める狙いも | ロイター
トランプ米大統領が署名したカナダとメキシコ、中国からの輸入品に関税を課す大統領令には800ドル未満の輸入品に対する免税措置(デミニミス・ルール)の停止が含まれており、これは合成麻薬「フェンタニル」とその前駆体物質が流入する抜け穴を封じる狙いがあると広く見られている。
この流れに歯止めをかけることが、米国の3大貿易相手国に対する関税の動機として挙げられている。ただ、デミニミス・ルールが完全に廃止されない限り、トランプ氏のアプローチがフェンタニルの流入を抑えるのにどれほど効果的なのかは定かではない。
中国発の格安ファッション通販大手「SHEIN(シーイン)」や、中国のPDDホールディングスが運営する電子商取引(EC)サイト「Temu(テム)」などの中国EC企業は、デミニミス・ルールを利用して個々の消費財パッケージを中国から直接発送し、関税を逃れてきたため、問題に直面する可能性がある。
このような低価格貨物は入国港で検査されない場合が多いため、医薬品やその原料が検出されることなく輸入されがちだ。ロイターが昨年実施した調査では、中国の化学品貿易業者がデミニミス・ルールを悪用して前駆体を米国に持ち込み、さらに国境を越えてメキシコに運んでいる実態が明らかになった。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国では2023年に強力で中毒性のあるフェンタニルの過剰摂取で7万5000人弱が死亡した。
3カ国に対する大統領令には、いずれもデミニミス・ルールに関して同じ文言が含まれている。そこには「疑義を避けるため、合衆国法典第19編第1321条に基づく免税措置は、本節の第(a)項に記載された物品には適用されないものとする」と記され、関税の対象となる輸入品を大まかに特定している。
一方でデミニミス・ルールを全世界的、または恒久的な停止を示唆する文言は含まれていない。このため、中国、カナダ、メキシコから直接輸入されない限り、フェンタニルがチェックされずに送られる可能性が残されている。
ホワイトハウスの報道担当者にコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。
ワイリー・ライン法律事務所の国際貿易実務の共同議長を務めるティム・ブライトビル氏は「これらの大統領令は3カ国全てに対するデミニミス・ルールを撤廃するようだが、これは多くの企業や業界に広範な影響を与えるだろう」とし、「デミニミス・ルールはさまざまな輸入業界によって悪用されてきた。この問題は議会や、現政権と歴代政権によってかなり認識されていた」と指摘した。
米国は以前から中国の供給業者やメキシコの犯罪組織がフェンタニルを米国に持ち込んでいると非難していたが、トランプ氏のカナダに対する大統領令にはカナダからの麻薬密売が拡大しているとの長い前文が付いていた。そこには「南部国境での課題は国民に最も意識されているが、北部国境もこれらの問題の例外ではない」などと記され、デミニミス・ルールによる麻薬密売が「米国に公衆衛生の危機をもたらした」と付け加えた。
デミニミス・ルールで免税となる基準額が15年に従来の200ドルから800ドルへ引き上げられて以来、米国への低価格貨物の輸入が大幅に増加した。
国土安全保障省税関・国境取締局は現在、低価格貨物を年間10億件超取り扱っていると推計。国勢調査局のデータによると、23年に中国から輸入された低価格貨物は47億ドルと14年の2倍超となり、中国からの輸入品目の8番目となった。
トランプ政権下の米経済に大きな期待=ギャラップ調査 | ロイター
中国、対米貿易協議へ第1案を準備 - WSJ
中国政府はトランプ米政権によるさらなる関税引き上げと技術規制を回避するため、米政府に示す最初の案を準備している。これは、同国が貿易協議を進展させることに意欲的なことを示すものだ。
一方で事情に詳しい関係者らによれば、中国側が準備している案は過去に機能しなかった貿易合意の内容を中心としており、米政界では中国政府との交渉のあり方を巡る議論が激化するとみられる。
ホワイトハウスは中国政府が合成麻薬フェンタニルの製造に使用される化学物質の取り締まりを怠ったとして、4日から同国に10%の追加関税を課す方針。ただし米中両国はいずれも全面的な貿易戦争を開始する準備が整っていないとみられる。特に中国は経済が減速しているほか、習近平国家主席もドナルド・トランプ米大統領との交渉に意欲を示している。
一方のトランプ氏も、対中関税の大半を先送りして対話することに前向きな姿勢を取っている。
関係者らによれば、中国政府はトランプ氏が圧力を高めるために10%の追加関税を課したとみているものの、現時点での関税措置は指導部が耐えられないような「最大限の圧力」ではないともみている。トランプ氏は当初、最大60%の関税を中国に課すと脅していた。
中国商務省は米政府による対中関税にはまず控えめな反応を示し、世界貿易機関(WTO)に提訴すると表明。ただしWTOの貿易紛争解決メカニズムは、第1期トランプ政権の時から機能が停止している。
中国商務省はまた、双方の「率直な対話」を促しているほか、在米中国大使館は声明で、米国に「誤った行為を正す」よう求めている。
関係者らによれば、中国政府は交渉準備の一環として最初の提案を示す予定。その内容は、2020年初めに第1次トランプ政権と締結したものの履行には至らなかった貿易合意の復活が焦点となっている。
米中貿易交渉のいわゆる「第1段階」合意は中国に対し、2年間で2000億ドル(約31兆円)相当の米国の商品とサービスの購入増を求める内容。トランプ氏自身は第1段階合意を史上「最高の取引」と評したが、多くの貿易専門家や企業幹部らは当初から非現実的だと指摘していた。
合意に基づく米国からの購入増加を果たせなかった中国政府は現在、米国からの輸入をさらに増やせる分野についてトランプ政権と協議する準備も進めているという。
また関係者らによれば、中国の計画には電気自動車(EV)用バッテリーなどの分野で、米国への投資を増やすオファーなども含まれる。さらに競争上の優位性を得るために人民元切り下げを行わないとする再確約や、フェンタニルの製造に使用される化学物質の輸出削減なども盛り込まれている。
中国政府は前向きなムードが醸成されることを期待して、短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に関しても主に「商業的な問題」として扱う意向だとも関係者らは述べた。これはトランプ氏がTikTokに関し、米中がそれぞれ50%を出資すべきだと発言したことを意識しているとみられる。これは中国政府が介入することなく、TikTokの中国の親会社である字節跳動(バイトダンス)の投資家らに対し、関心のある米国の入札者との取引交渉を任せることを意味する。
中国側が示す予定の提案は、中国の経済的ストレスが高まる中、トランプ氏を取引モードに引き込もうとする習氏の狙いを反映している。同氏は同時に、特にテクノロジー分野で米国との長期的な競争に備えるため、中央集権的な統制を強化。さらに交渉において自国の影響力を高めるため、報復的なツールも準備している。
マクロ経済コンサルティング会社ガベカル・ドラゴノミクス(龍洲経訊)の創設パートナーであるアーサー・クローバー氏は、「中国側は取引交渉に入ることを非常に喜ぶだろう」と指摘。「何か実質的な成果を得るというよりも、米国の攻撃を鈍らせることが主な目的になる」と付け加えた。
トランプ氏は就任以来、経済的および地政学的な問題の両方で、中国への圧力として関税を使用する意思があることを示してきた。同氏は連邦機関に対し、中国との二国間経済関係を見直すよう指示し、4月初旬までに米国が中国に対してとるべき行動方針について提言するよう求めている。
トランプ氏の側近の多くは中国に批判な人物であるほか、米政界では対中強硬姿勢の継続を民主・共和両党が支持していることを考えると、これらの提言は米国経済を中国経済からさらに遠ざけることを目的とする包括的なパッケージになるとみられる。
【社説】史上最も愚かな貿易戦争、開始へ - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は2日、同氏が表明したメキシコとカナダに対する包括的な関税によって「多少の痛み」はあるかもしれないと認めたものの、最終的には新たな「黄金時代」につながるだろうと述べた。輝かしい未来を約束するとは親切なことだ。関税は4日まで発効しないのに痛みは既に出始めているのだから。
「多少の痛みはあるか? あるかもしれない(ないかもしれない!)。だが、われわれは米国を再び偉大にする。代償を払う価値は十分にある」。トランプ氏は2日朝、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」にこう投稿した。われわれは1日の社説で、同氏が米国の友好国や近隣諸国からの輸入品に一律25%の関税をかけることを「史上最も愚かな貿易戦争」と評したが、トランプ氏の投稿には本欄が「関税ロビー」を主導しているとの非難も含まれていた。
われわれは反関税派でありロビイストではないが、トランプ氏が注目してくれたことには感謝する。だが、トランプ氏が認めるかどうかにかかわらず、悪い政策は悲惨な結果をもたらす。ジョー・バイデン氏がインフレに関して経済法則を覆せなかったのと同様に、トランプ氏も経済法則を覆すことはできない。
関税は税金であり、何かに課税すればその量は減少する。誰が関税を払うかは、個々の物品の需給の弾力性によって決まる。だが、トランプ氏は米国の労働者と雇用主にチームのために犠牲になるよう求めている。黄金時代が来る前に職や事業が失われないことを願う。
経済への影響は1日夜に始まった。カナダは、300億カナダドル(約3兆2000億円)相当の米国製品に対して25%の報復関税を課し、3週間以内に1250億カナダドル相当の製品を対象に追加関税を実施する方針を明らかにした。メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領も報復関税の発動を明言した。
カナダが新たに課す関税は、オレンジジュースやウイスキー、ピーナツバターといった品目に打撃を与えるだろう。これらはすべて、米共和党の上院議員がいる州で生産されている。ジャスティン・トルドー首相は、カナダ政府の関税対象リストにビール・ワイン・野菜・香水・衣類・靴・家電製品・家具など、さらに多くの品目を含める方針を示した。さらに重要鉱物の輸出を控える可能性にも言及した。
注目すべきは、カナダの野党・保守党のピエール・ポワリエーブル党首も報復関税を求めていることだ。次期首相の有力候補であるポワリエーブル氏は、貿易戦争は両国に損害を与えると正論を述べた。それでも、カナダは自国の「主権」のために立ち上がり経済的利益を守る必要があると語った。
トランプ氏の関税は、統合が進んだ北米のエネルギー市場を既に混乱させている。大統領はこのリスクを暗に認識し、カナダから米国へのエネルギー輸出により低い10%の関税を適用した。それでもカナダ産原油に依存している米中西部の製油所は打撃を受けるだろう。カナダとメキシコは米国以外の国への原油輸出を増やす可能性があり、中国にさえ輸出するかもしれない。
カナダはアルバータ州から西海岸に伸びるトランスマウンテン・パイプラインを拡張したため、余剰の輸送能力がある。これを使えば、関税のかからないアジアへの原油輸出を増やせる。そうなれば、現在トランスマウンテンから原油を輸入しているカリフォルニア州の製油所が打撃を受けるだろう。同州は中東からの輸入を増やさざるを得なくなるかもしれない。
トランプ氏は関税が米国の製造業を復活させると主張している。だが、全米製造業協会(NAM)を率いるジェイ・ティモンズ氏は声明で、「カナダとメキシコに対する25%の関税は、米製造業の国際競争力を高めてきたサプライチェーン(供給網)そのものを覆す恐れがある」と述べた。
ティモンズ氏は、会員企業は合成麻薬フェンタニルの米国への流入を減らす必要性を理解しているとしながらも、「関税の波及効果は深刻であり、代替的な供給業者を迅速に探したり、高騰するエネルギーコストを吸収したりするための柔軟性や資本に乏しい中小製造企業にとっては、特に厳しいものとなるだろう」と付け加えた。
他の多くの業界団体も、トランプ氏の関税を批判している。第1次トランプ政権の関税の恩恵を受けた米国のアルミニウムメーカーさえも批判に加わっている。米国のアルミ輸入の半分以上をカナダ産が占めており(カナダの水力発電コストが低いため)、それを米国の2次加工業者や下流の製造業者が利用している。
以上のことは、トランプ氏の関税によって米経済がリセッション(景気後退)に陥ることを意味するものではない。米経済の成長力は関税による打撃を吸収できるほど強いかもしれない。第1次トランプ政権下では、より控えめな関税の影響が吸収された。しかし、メキシコとカナダに同じことが当てはまるわけではない。両国では成長が低迷しており、国内総生産(GDP)は米国市場に大きく依存している。
またトランプ氏の関税は、米国の物価全体の大幅な上昇にはつながらないかもしれない。全体のインフレ率は米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に左右される度合いの方がずっと大きい。しかし関税の対象となる物品の大半の価格は上昇し、それだけでも十分に痛みを伴うだろう。
大規模な関税は政策面の新たなリスクと不透明感を高め、企業のアニマルスピリッツを阻害しかねない。市場は、トランプ氏が過激な脅しから後退するか、関税の対象を中国に絞るのではないかとの見方を織り込みつつあった。
メキシコとカナダへの強烈な一撃は、どの国も、どの業界も安心できないことを示している。トランプ氏は、関税が外交手段として役立つだけでなく経済的にもそれ自体が有益だと信じている。友好国も敵対国も米国市場への依存度の見直しを迫られるだろう。その影響を予想するのは難しい。米国にどんな利益をもたらすのかも明らかではない。従って「最も愚かな貿易戦争」という表現は正しいように思われ、むしろ控えめ過ぎるかもしれない。
トランプ氏、中国国家主席と数日中に会談と報道官 関税巡り協議か | ロイター
米ホワイトハウスのレビット報道官は3日、トランプ大統領が数日中に中国の習近平国家主席と会談すると明らかにした。
トランプ大統領はこれに先立ち、中国に対する10%の追加関税をさらに引き上げる可能性があると警告し、24時間以内に中国と協議する可能性があると述べていた。
トランプ氏は1日、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税とともに、中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名した。 もっと見る
トランプ大統領は3日、記者団に対し、対中関税について、米中貿易関係均衡化に向けた取り組みの「開始の一撃」と説明。「中国が合成麻薬フェンタニルの米国への流入を止めることを期待しているが、もし止めなければ関税は大幅に引き上げられる」と述べた。同時に「中国は(この問題に)対処するだろう」とも述べた。
また、太平洋と大西洋を結ぶ交通の要所であるパナマ運河について、「中国はパナマ運河に関与している。それは長くは続かないだろう」とし、中国の関与に対する反対姿勢を改めて鮮明にした。
トランプ氏、対メキシコ関税発動を1カ月見送り 国境警備強化で合意 | ロイター
トランプ米大統領は3日、メキシコに対する関税の発動を1カ月見送り、両国間の「合意」に向け交渉を続けると発表した。メキシコのシェインバウム大統領との電話協議後に明らかにした。
対メキシコ関税発動の1カ月延期は、関税措置発表から48時間足らずでの決定となる。
トランプ大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名。全面的な貿易戦争が経済成長や企業収益を圧迫するとの懸念が高まり、3日の取引で米国株は大幅安、金価格は最高値を更新した。
シェインバウム大統領も、関税の発動が1カ月延期されたと明らかにした。米国への合成麻薬フェンタニルなどの麻薬の流入阻止に向け、国境警備を強化するコミットメントで合意したという。また、高性能武器のメキシコへの密輸を阻止するという米国の確約も今回の合意に含まれるとした。
今回の合意の一環で、メキシコは国境に1万人の部隊を派遣する。米国側も、メキシコへの高性能兵器の流入を阻止するための取り組みを約束した。
シェインバウム大統領は「われわれのチームは、安全保障と商取引の2分野での作業を開始する」とし、今後1カ月で「問題に取り組み、前進するための最善の方法として互いに納得することになるだろう」と述べた。
トランプ大統領は記者会見で、シェインバウム大統領と関税を巡り良い話し合いができたとし、今後メキシコとの「大規模な交渉」を計画していると述べた。さらに、米国へのフェンタニルの流入を阻止する考えを改めて表明した。
ソーシャルメディアへの投稿では「両国間の『合意』達成を目指し、シャインバウム大統領とともに交渉に参加することを楽しみにしている」と述べた。
対カナダ関税については、トランプ大統領は米東部時間午後3時(日本時間4日午前5時)にカナダのトルドー首相と再会談する計画。ただ、米紙ニューヨーク・タイムズによると、カナダ政府高官はメキシコのような1カ月先送りを得られると楽観的に見てはいないもよう。
トランプ大統領はホワイトハウスでの大統領令署名時に、米国はカナダから良い待遇を受けていないとし、「われわれは良い待遇を受けなければならない」と述べたという。
トランプ氏、対カナダ関税発動を少なくとも30日間延期=トルドー首相 | ロイター
トランプ米大統領は、カナダからの輸入品に対する関税の発動を少なくとも30日間延期する。カナダのトルドー首相が3日、トランプ大統領との電話会談後、Xへの投稿で明らかにした。
トルドー氏はトランプ氏とのこの日2回目の協議後、カナダは合成麻薬フェンタニルの密輸に対処する特別担当官ポストを設置し、米国との国境を恒久的に監視することを約束したとも述べた。
トランプ氏、政府系ファンドを創設する措置に署名-今後1年に設立へ - Bloomberg
トランプ氏、米政府系ファンド創設へ 大統領令に署名 - WSJ
仏首相、予算案を採決なしで強行通過-不信任決議のリスク高まる - Bloomberg
フランスのバイル首相は3日の国民議会(下院)で、憲法の特例条項を使って2025年予算案の採択を強行した。野党から不信任動議が出される恐れがある。
極左の「不屈のフランス」は、すでに不信任案を提出すると表明した。社会党幹部はこの動議を支持しないと述べており、同党党員が従えば、内閣は崩壊を免れる可能性が高い。
マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右・国民連合(RN)は、不信任案が出た場合の対応を明らかにしていない。同党広報は、5日午後に計画を発表するとしている。
フランス下院は、マクロン大統領が2024年夏に臨時総選挙を行った結果、いずれも過半数議席に届かない3つの勢力に分裂。以来、混乱が続いている。RNは単独政党として下院で最大の議席数を握り、ルペン氏がこれまでにない影響力を持つようになった。
バイル氏は下院に対し、「決定権を握るあなた方が決断すれば、フランスは10日以内に予算を成立させ、最も懸念している人々、つまり仏国民に、安定と責任のシグナルを送れる」と述べ、内閣を打倒せず、予算案を受け入れるよう訴えた。
一般的なリスク指標であるフランス債とドイツ債の10年物利回り差(スプレッド)は3日、73ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、約2bp縮小した。
バルニエ前内閣が昨年12月、予算案を巡る不信任案可決を受け崩壊した際には、独仏スプレッドは90bpを超えた。RNが社会党や不屈のフランスを含む左派連合に協力して不信任案を支持したためだ。
バイル氏の財政再建計画はそこまで野心的ではなく、十分な支持を得られるとの期待から、投資家はすでに1月にフランス債を購入していた。
バイル氏の予算案の強行通過も同様に、不信任案の引き金になり得る。一方、内閣の崩壊を免れれば、バイル氏は分裂状態の議会でも主導権を維持し、他の法案をも通せる力量を示すことになる。
フランスは現在、年間予算が成立しておらず、国家機能の停止を避けるための緊急立法に頼っている。バイル氏はバルニエ氏よりも財政緊縮の度合いを緩め、政府財政赤字を対国内総生産(GDP)比5.4%に抑えるため、500億ユーロの支出削減を計画している。バルニエ氏は、600億ユーロの増税と支出削減を目指していた。
バイル氏は週内にも、25年度予算の社会保障関連部分通過のため、特別条項である憲法第49条3項を再び発動する見通しだ。
●先進国中銀、金融当局
ECBは3月に利下げ、さらに追加で2回=リトアニア中銀総裁 | ロイター
ECBに追加利下げの余地、慎重姿勢必要=スロバキア中銀総裁 | ロイター
仏首相、ECBにより迅速な利下げ訴え 景気下支えへ | ロイター
FRB、利下げ「慎重姿勢が適切」 不確実性高い=アトランタ連銀総裁 | ロイター
●先進国経済指標
米ISM製造業景気指数、1月50.9に上昇 22年9月以来の高水準 | ロイター
米供給管理協会(ISM)が3日発表した1月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9だった。2024年12月の49.2から上昇し、22年9月以来の高水準となった。ロイターがまとめた1月の市場予想は49.8だった。
拡大・縮小の分岐点となる50を超えたのは22年10月以来初めて。米経済の10.3%を占める製造業の成長を示唆した。
ただ、トランプ米大統領によるカナダ、メキシコ、中国への関税措置により、原材料価格が一段と上昇し、サプライチェーン(供給網)の混乱を招く可能性があることから、回復は長続きしない公算が大きい。
繊維、一次金属、機械を含む8業種が拡大した一方、木材、コンピューター・電子製品などは縮小した。
サブ指数を見ると、先行指標となる新規受注は55.1と前月の52.1から上昇したほか、生産も上向きとなった。
支払い価格は54.9と、前月の52.5から大幅に上昇し、8カ月ぶりの高水準となった。エコノミスト予想は53.5だった。
供給業者の納入を示す指数は50.9と、前月の50.1から上昇。50を超えると納入が遅くなっていることを示す。
雇用は50.3と前月の45.4から回復し、5月以来初めて拡大した。
ネイションワイドのチーフ・エコノミスト、キャシー・ボストジャンシック氏は、関税は生産に打撃を与え価格を上昇させるマイナスの供給ショックを引き起こすと指摘。「米国が追加関税を実施すれば、インフレと国内総生産(GDP)成長への悪影響を増幅させることになる」と述べた。
ユーロ圏1月CPI速報、前年比+2.5%に加速 サービスは鈍化 | ロイター
欧州連合(EU)統計局が3日発表した1月のユーロ圏消費者物価指数(EU基準=HICP)速報値は前年比2.5%上昇で、ロイターがまとめたエコノミストの予想および前月の2.4%上昇をわずかに上回った。エネルギー価格が押し上げ要因となった。
食品とエネルギーを除いたインフレ率は2.7%で横ばい。サービス価格の上昇率は4.0%から3.9%に鈍化した。
インフレ加速は歓迎できないが、1月のデータは欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁の見解から逸脱はしていない。ラガルド総裁は4会合連続の利下げを決定した先週の理事会後の会見で、インフレ率は今後数カ月はこの水準前後で推移した後、2%目標に向けて減速する可能性があると述べた。ただトランプ米政権の関税政策によって、物価や金融政策の見通しが変わる可能性もある。
1月のCPIに対するエコノミストの評価はまちまちだが、金利見通しを修正する動きにはなっていない。
ノルディア銀行は、インフレ率が来月2%近くになる可能性があると予想した。一方、INGはインフレ上振れリスクは緩和には程遠いとの見方を示した。
INGのバート・コリン氏は「インフレリスクが依然存在し、不確実性が高まる中、ECBが経済を支えるために金利をどこまで引き下げられるかが問題だ」と述べた。
ユーロ圏製造業PMI、1月46.6に改善 生産・新規受注持ち直しの兆し | ロイター
英製造業PMI、1月は4カ月連続50割れ 生産・受注・雇用が悪化 | ロイター
独製造業PMI、1月改定値は45.0に上昇 生産減が鈍化 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた1月のドイツのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.0と、前月の42.5から上昇し、昨年5月以来の高水準となった。生産高と新規受注高がここ数カ月で最も緩やかな減少にとどまったことが寄与した。
速報値の44.1をほぼ1ポイント上回ったが、景気の拡大・縮小を判断する節目の50は依然として下回っている。
生産は過去8カ月で最も遅いペースで減少し、新規受注は昨年5月以来最も小幅な減少となった。輸出売上高もまた、海外市場における困難を反映して減少したが、そのペースは緩やかだった。
ドイツの製造業は人員削減を続けており、現在の人員削減期間は19カ月に及んでいる。しかし、人員削減のペースは8月以来最も遅かった。景況感は大幅に改善し、2022年2月以来の高水準となった。
ハンブルグ商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「真に明るい兆し」としつつも、持続可能な回復が進行中であることを示すには不十分と指摘。「米国の関税への懸念、選挙、債務超過の増加は、製造業の不況を終わらせる要因とは言えない」と語った。
仏製造業PMI、1月は7カ月ぶり高水準 生産や受注の落ち込み緩和 | ロイター
豪小売り売上高、第4四半期は前期比1%増 値引き効果で予想上回る | ロイター
1月のカナダ製造業PMIは低下、貿易戦争懸念が見通しに影響 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
ビットコイン10万ドル割れ、トランプ関税受け世界貿易戦争懸念 | ロイター
米インフレ率、3%に低下でも不十分な理由 - WSJ
米国のインフレ率(消費者物価指数=CPI)は2024年12月に前年比2.9%となり、22年6月に付けたピークの9%から大幅に改善した。米連邦準備制度理事会(FRB)が好む指標の個人消費支出(PCE)価格指数では、24年12月のインフレ率は2.6%だった。これはFRBが目標とする2%から大きく離れておらず、22年の7.2%を大幅に下回る水準だ。
それでは、米国人のはらわたを煮えくり返らせ、ドナルド・トランプ大統領の政権復帰を後押しした物価高騰への怒りはもう収まったのだろうか。
そうは考えないほうがいい。
2%と3%の差は大きくないように思われるかもしれない。しかし、かなり重要な場合がある。インフレがどれほどの害を及ぼすかは、大衆の心理を刺激するからだ。「ステッカーショック(消費者が商品の価格表示を見て高いことに驚いたり、ショックを受けたりすること)」に悩まされる人々は大幅な賃上げを要求する可能性が高く、それが雇用主をさらなる値上げへと駆り立てる。買い物客はモノが高くなる前の購入を急ぎ、それが物価を一段と押し上げる。
この論理は、インフレが人々の行動に影響を及ぼさない場合に物価安定が達成されるという、アラン・グリーンスパン元FRB議長の直感を裏付けている。
インフレが年率4%を超えるとインフレへの不安が急激に高まることが、多くの研究から明らかになっていると、バイデン前政権下で財務省当局者だったタラ・シンクレア氏は語った。インフレ率低下の途中で、FRBは恐らく、人々の怒りを静めるためにインフレ率を2%に確実に戻すことが必要であり、FRBがこの目標の達成を使命としている状況ではなおさらだと、シンクレア氏は指摘した。
シンクレア氏は「インフレ率が高い水準から下がっていく過程で、3%は2%と同じかと言うと、そうでないことはかなり明確だ。FRBの信頼性という点から見ると、着地点にはこだわる必要があるだろう」と話した。
着地にはまだ、しばらくかかる可能性がある。FRBは昨年12月、インフレ率が2025年末の段階では、インフレ率は2%へと低下する過程の途中までしかたどり着けないだろうとの見通しを示した。ニューヨーク地区連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は先月、インフレ率が2%に戻るのは「数年先」だとみていると述べていた。
FRBは過去3回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げした後、先週のFOMCでは金利を据え置いた。ジェローム・パウエルFRB議長は「われわれは金融引き締め政策の緩和を急ぎ過ぎたり、やり過ぎたりすると、インフレの改善を阻害する可能性があることを認識している」と述べ、FRBが今年、5年ごとに実施している金融枠組みの精査を行う際にも、2%の目標は議論の対象にならないだろうと付言した。
現在のインフレ率が国民にとってまだ十分に低くなっていないなら、トランプ氏にとっては特に問題になる。なぜなら、関税など彼の一部の政策には、インフレ率低下のペースを遅らせるかもしれず、ストップさせる可能性さえあるからだ。ピーターソン国際経済研究所は、カナダとメキシコに25%、中国に10%の関税を課すことで、米国のインフレ率が2025年に約0.5ポイント、2026年に0.25ポイント押し上げられる可能性があると予測している。この予測はトランプ氏が今月1日に発表した政策と近いが、同氏の計画ではカナダからのエネルギー輸入にはより低い関税を適用する予定になっている。
トランプ氏は先週、他国から輸入される石油およびガス、コンピューターチップ、医薬品などの物品に対しても、早ければ2月半ばに関税を課す可能性をちらつかせた。
ミシガン大学が行った最新の月次調査によると、米消費者が予想した今年のインフレ率の中央値は3.3%となり、2024年12月の調査の2.8%を上回った。調査の責任者ジョアン・スー氏は、関税が主要な懸念材料だったと話した。
一般市民の反応を予想するのは難しい。そもそも人々がなぜインフレをこれほどまでに嫌うのか、エコノミストたちは依然議論を続けている。教科書的なモデルや2020年代を含む現実世界の多くの例を見ると、賃金は物価に追いつく傾向がみられるため、インフレが平均的労働者の賃金の購買力を損なう状況は、時の経過とともに解消される。
ノーベル経済学賞の受賞者であるロバート・シラー氏が1997年に詳細な分析で明らかにした心理によると、それでもインフレは人々に生活水準の後退を感じさせるという。ハーバード大学の経済学者ステファニー・スタンチェバ氏も、新型コロナウイルス禍後のインフレに関して1年前に実施した米国民への調査を通じて、同様の不満があることを突き止めた。
スタンチェバ氏は「人々は単純な理由でインフレを嫌う。インフレで生活水準が低下すると考えるからだ」と語った。
一部の労働者にはそれが真実だ。平均賃金の上昇率はインフレ率を上回り続けるかもしれないが、一部の人々の賃金はそうならない。また、賃金上昇率がインフレ率に追い付くには何カ月、あるいは何年もかかるかもしれない。さらに、研究者らによると、実際に賃上げの恩恵を得た労働者でさえも、苦労して勝ち取った以前より高い賃金が物価上昇によって目減りすることに不満を感じる。
カリフォルニア大バークレー校の経済学者ジョン・スタインソン氏は「彼らはインフレを政府のせいにするだろうが、賃金が上昇している理由を問われれば、自身の成果だと答えるだろう」と語った。
消費者心理を深く考察している研究者もいる。カリフォルニア大ロサンゼルス校の経済学者ジョアン・ゲレイロ氏と3人の共著者は、最新の調査結果に基づき、人々がインフレを非常に嫌がるのは、職場でインフレに見合った昇給が自動的に行われるわけではないからだと指摘している。労働者はむしろ、昇給を要求しなくてはならないことが多い。
つまり、交渉に向けて覚悟を決め、上司の怒りを買うリスクを負い、時には他社から競合する仕事のオファーを受ける手間が必要になるということだ。労働組合に所属する労働者は、ストを行わざるを得なくなるかもしれないが、実行するにはストレスを伴う。ゲレイロ氏らは、インフレを嫌がる人々が本当に嫌悪しているのは、こうしたハードルだと考えている。そのため多くの人は、こうしたハードルに対して行動を起こすより、むしろ多少の減給を受け入れる方を選択する。
彼らの見方が正しければ、2025年になっても消費者はあまり改善を感じられないかもしれない。インフレは相当落ち着いたが、労働市場も同様に冷え込んでいる。
現在、求人倍率は2022年初めの約半分になっている。労働者が交渉を有利にするための別の仕事のオファーを確保するには、数週間どころか数カ月の時間がかかる場合が多くなっている。太っ腹な経営者は減っていくだろう。
「労働市場が活気付いているときは、雇用主が従業員の離職を防ごうと先手を打って賃上げするかもしれないが、労働市場が冷え込んでいるときにそうしたことはあまり起きないだろう」とゲレイロ氏は指摘する。
市場がトランプ関税に備えて準備を進める中、世界のこれらのセクターは厳しい状況に備えようとしている
ドイツの経済モデルは崩壊、代替案「プランB」なし - WSJ
トランプ関税は医薬品価格を上昇させ、不足を悪化させる可能性がある
<サマリー>
一部の医薬品業界団体は、ドナルド・トランプ大統領がカナダ、メキシコ、中国に課した高関税により、米国ですでに発生している医薬品不足が悪化し、患者の医療費が上昇する可能性があると警告している。 
また、輸入税は資金難に陥っているジェネリック医薬品メーカーや流通業者に負担をかける可能性があるとも述べた。
トランプ大統領は土曜日、カナダとメキシコから出荷されるほぼ全ての商品に25%の関税を課し、中国からの輸入品には10%の関税を課すと発表した。
●中東情勢
●エマージング
財新・中国サービスPMI、1月は50.1に低下 4カ月ぶり低水準 | ロイター
中国の新築住宅販売、1月は前年比減 中古価格も下落=民間調査 | ロイター
中国不動産セクター、政府系に回帰 - WSJ
パナマ、米軍艦の自由な運河通航確約-中国「一帯一路」から離脱表明 - Bloomberg
ルビオ米国務長官、パナマ運河の「中国の影響」を減らすよう要求 パナマ訪問で - BBCニュース
●プロファイ、インフラ、自然災害
決算:中部電力の4〜12月期、純利益53%減 洋上風力で減損 - 日本経済新聞
●その他
世界の大都市でネズミが増加、最大の原因は温暖化 米研究(1/2) - CNN.co.jp
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(3日)ドル下落、利回りまちまち 株続落 | ロイター
トランプ米大統領がメキシコに対する関税発動を1カ月延期すると発表し、メキシコペソが上昇した。一方で、カナダ・メキシコ・中国への関税措置により、市場は動揺。ドル指数は下落し、債券市場では短期金利が上昇、長期金利が低下した。株式市場は関税リスクを受けて下落したが、関税延期発表後はやや持ち直した。金や原油は安全資産需要と供給動向を背景に上昇した。
欧州市場サマリー(3日) | ロイター
**ロンドン・欧州株式市場**  
・ロンドン市場は反落。トランプ米大統領の関税政策による貿易戦争懸念で下落するも、メキシコへの関税発動延期を受け下落幅は縮小。  
・FTSE250指数は1.14%安、自動車・部品株や飲料株が下落。  
・英製造業PMIが悪化し、英中銀の利下げ観測が強まる。  
**欧州市場**  
・欧州株も反落。関税政策への懸念で自動車・部品株が下落し、STOXX600指数の下落率は1月以来最大。  
・ドイツDAXは1.40%安、フランスCAC40は1.20%安。  
・LVMHやケリングなど中国市場に依存する高級ブランド株が下落。  
・フランスの政治情勢も市場の関心を集めた。  
**ユーロ圏債券市場**  
・域内国債利回りが大幅低下。貿易戦争懸念で安全資産の債券に資金が流入。  
・ドイツ10年債利回りは一時2.359%まで低下。  
・ECBの追加利下げ観測が強まり、今年の利下げ予想幅は90bpへ拡大。

備忘録(2025/1/31-2/2
●海外企業決算
[BEN] フランクリンリソーシズ 1Q増収営業増益 売上高13%増22.5億ドル、営業益6%増2.19億ドル、配当0.32ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[GWW] WWグレインジャー 2024年12月通期は増収増益 売上高4%増171億ドル、営業益3%増26.3億ドル、EPS38.71ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CL] コルゲートパルモリーブ 2024年12月通期は増収増益 売上高3%増201億ドル、営業益7%増42.6億ドル、EPS3.51ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ABBV] アッヴィ 2024年12月通期は増収減益 売上高4%増563億ドル、営業益28%減91.3億ドル、EPS2.39ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CHD] チャーチ&ドワイト 2024年12月通期は増収減益 売上高4%増61.0億ドル、営業益24%減8.07億ドル、配当1.135ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[ETN] イートン 2024年12月通期は増収最終増益 売上高7%増248億ドル、純利益18%増37.9億ドル、EPS9.50ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CHTR] チャーターコミュニケーションズ 2024年12月通期は増収増益 売上高1%増550億ドル、営業益4%増131億ドル、EPS34.97ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[XOM] エクソンモービル 2024年12月通期は増収最終減益 売上高1%増3495億ドル、純利益7%減336億ドル、配当3.84ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[AON] エーオン 2024年12月通期は増収増益 売上高17%増156億ドル、営業益1%増38.3億ドル、EPS12.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CVX] シェブロン 2024年12月通期は増収最終減益 売上高1%増2027億ドル、純利益17%減176億ドル、EPS9.72ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PPG] PPGインダストリーズ 2024年12月通期は減収最終減益 売上高2%減158億ドル、純利益12%減11.1億ドル、EPS4.75ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
サムスン、第1四半期のAI半導体低迷を警告 米の対中規制で | ロイター
韓国サムスン電子は31日、第1・四半期の人工知能(AI)半導体の販売が低迷する可能性があると警告した。米国の対中輸出規制のほか、先端半導体の改良を進めていることが背景。
AI向けの先端半導体は、低迷するメモリーチップ市場で明るい材料となっているが、競合のSKハイニックスがAIに用いられる広帯域メモリー(HBM)で米エヌビディア(NVDA.O), opens new tabの主要なサプライヤーとなる一方、サムスンはエヌビディアの要件を満たすのに苦戦している。
米政府は昨年12月、中国に対する半導体規制を強化。HBMの中国向け出荷の制限などを盛り込んだ。
アナリストによると、サムスンのHBM販売の約20%は中国顧客向けで、同業他社よりも大きな打撃を受ける見通し。
サムスンの幹部は決算会見で「第1・四半期の当社のHBM販売には一時的な制限が課されるだろう」と発言。
「高性能半導体に対する米国の輸出規制に加え、半導体の改良について主要顧客の需要に変化が見られるため、当社のHBM販売に一定の影響が出る見通しだ」と述べた。
同社はメモリーチップ事業の低迷により、第1・四半期の利益の伸びが限定的になるとの見通しを示した。
「2025年第1・四半期は半導体事業の弱さにより、全体的な利益改善が限定的になる可能性がある」とした。
また、スマートフォン販売も低迷。第1・四半期のモバイル利益率を10%以上に回復させることを目指すと表明した。
サムスンの株価は31日序盤の取引で2.2%下落した。
<第4・四半期営業益は暫定値と一致>
同社は第2・四半期以降はメモリー市場全体の需要が回復すると予想した。
アナリストは、サムスンがエヌビディアに高度な12層HBM3E製品を大量に供給できるかどうかが、今年の業績と株価を左右すると指摘している。
併せて発表した24年第4・四半期決算は、営業利益が6兆5000億ウォン(44億9000万ドル)となり、今月上旬に示した暫定値と一致した。
営業利益はメモリーチップ業界が過去数十年で最悪の不況に直面していた前年同期の2兆8200億ウォンから130%増加したが、前四半期からは29%減少した。
携帯電話事業の営業利益は前年比22%減の2兆1000億ウォン。半導体部門の営業損益は、赤字だった前年同期から2兆9000億ウォンの黒字に回復したが、前期比では約26%の営業減益となった。
25年の投資計画の詳細は最終決定していないとした上で、メモリー事業への投資は昨年と同様の水準になるとの見通しを示した。
24年の設備投資は総額53兆6000億ウォンで、このうち46兆3000億ウォンがロジック半導体とメモリーチップを含む半導体事業向けだった。
SKハイニックスと半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は今月発表した四半期決算がいずれも過去最高益となり、SKハイニックスは営業利益がサムスンを初めて上回った。AI半導体の需要増加が寄与した。
独ボッシュ、従業員1万人減 会長「EV技術の低迷続く」 - 日本経済新聞
18兆円余りが子会社から流出、フランクリンは再編と経費削減に着手 - Bloomberg
米資産運用会社ウエスタン・アセット・マネジメントで昨年8月下旬から1200億ドル(約18兆6100億円)の顧客資産が引き揚げられたことを受け、親会社の米投資顧問フランクリン・リソーシズはコスト削減と社内組織の再編に動いている。ウエスタン・アセットでは著名債券トレーダーが詐欺罪で起訴されている。]
ウエスタン・アセット事業の大部分を親会社に統合しつつ、投資チームはそのまま維持すると、フランクリンの幹部は31日の四半期決算後に明らかにした。
31日の米株式市場でフランクリンは一時12%上昇し、2022年11月以来の大幅高となった。マット・ニコルズ最高財務責任者(CFO)は25年11月からの26会計年度について、2億ドルから2億5000万ドル相当の経費節減を見込んでいるとアナリストらに述べた。
同氏によれば、残るウエスタン・アセット事業がフランクリンの収入に寄与する割合は6%。フランクリン内でウエスタン・アセットがおおむね独立して事業を展開する、5年間の「自治」協定は7月に失効するが、同社ではこれを前倒しする方向で取り組んでいるという。
「将来的に当社は今よりはるかに単純な構造になるだろう」とニコルズ氏。「公開市場サイドでは複数の投資チームを単一事業がサポートすることになる。もう一つはオルタナティブ資産事業で、それを支えるために専門性の高いオペレーションが必要になる」と述べた。
グレン・ショア氏らエバコアISIのアナリストは、コスト削減の動きは投資家の先行き感を明るくしたとリポートで指摘。しかしウエスタン・アセットからの資金引き揚げは続くとショー氏は予想している。
夏から危機的状況にあるウエスタン・アセットでは、10-12月(第4四半期)に約680億ドルを機関投資家とリテール顧客が引き揚げた。フランクリンは31日のアナリスト会議で、1月だけでさらに170億ドルが流出したとの見方を示した。
●日本企業
ソフトバンクG、オープンAI出資で協議 評価額3000億ドル=関係筋 | ロイター
決算:日立の営業益550億円上振れ 25年3月期、送配電好調 - 日本経済新聞
決算:レーザーテック最高益 7〜12月の純利益95%増 - 日本経済新聞
住友ファーマ、今期最終3期ぶり黒字 がん治療薬好調 - 日本経済新聞
決算:三菱倉庫、25年3月期純利益10%増に下振れ 投資損失で - 日本経済新聞
スタバが立地別価格 東京23区や空港など3割で値上げ - 日本経済新聞
●先進国政治動向
アングル:「二つの性だけ」大統領令、米国のLGBTQ+コミュニティに激震 | ロイター
トランプ氏、メキシコ・カナダ・中国に4日から関税 大統領令署名 | ロイター
トランプ米大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を4日から課す大統領令に署名した。世界経済を減速させ、インフレを再燃させる恐れのある新たな貿易戦争につながる可能性がある。
メキシコとカナダは報復関税を課すと表明し、中国は世界貿易機関(WTO)を通じて異議を申し立てるとともに、他の「対抗措置」を取る方針を示した。
トランプ氏は不法移民や合成麻薬「フェンタニル」の流入を巡る国家非常事態が終わるまで関税を継続するとしている。
石油精製会社や中西部諸州からの懸念を踏まえ、カナダからのエネルギー製品に対する関税率は10%とする。メキシコからのエネルギー輸入には25%の関税を課す。
米国勢調査局によると、2023年のカナダからの原油輸入は1000億ドル近くに上り、同国からの輸入全体の約4分の1を占めた。
自動車メーカーは特に大きな打撃が予想される。カナダとメキシコで生産される自動車は、最終組み立て前に部品が複数回、国境を越えるケースもあるため、新たな関税によって広範なサプライチェーン(供給網)に負担が生じることになる。
カナダのトルドー首相は、米国の関税措置に対抗して1550億カナダドル(約1065億米ドル)相当の米国製品に25%の関税を課すと記者会見で表明した。また、トランプ氏の関税により食料品やガソリンの価格が上昇し、自動車組立工場が閉鎖され、ニッケル、カリウム、ウラン、鉄鋼、アルミニウムなどの供給が制限される可能性があると米国民に警告した
メキシコのシェインバウム大統領はXへの投稿で、関税および非関税の対抗措置を講じるよう経済相に指示したと明らかにした。
カナダとメキシコはトランプ氏の関税に対抗するため協力していると述べた。
中国商務省は対抗措置の詳細を明らかにしていない。同省は米国に率直な対話と理解も呼びかけ、協議の余地を残した。
大統領令によると、関税徴収は米東部時間4日午前0時01分(日本時間午後2時01分)に始まる。1日午前0時01分より前に船舶や、米入国前の最終輸送手段に積み込まれた貨物は対象外となる。
トランプ氏は関税の裏付けとして、「国際緊急経済権限法」と「国家非常事態法」に基づき国家非常事態を宣言した。これにより、大統領は危機に対処するために制裁を科す幅広い権限を得るが、専門家によると、両法に基づく広範な関税発動の権限については未検証という。
ホワイトハウス当局者は、関税に適用除外は設けられないとし、3カ国が米国からの輸入品に対し報復措置を取った場合、トランプ氏は関税を引き上げる可能性が高いと述べた。
さらに、カナダについては800ドル未満の小口貨物に対する関税免除措置を取り消すと説明。カナダがメキシコとともに、税関検査があまり行われない小口貨物を通じてフェンタニルやその原料となる化学物質を米国に輸送するルートになっていると述べた。
共和党は今回の措置を歓迎。一方、業界団体や民主党は物価への影響に強い懸念を示した。
全米外国貿易評議会(NFTC)のプレジデント、ジェイク・コルビン氏は、トランプ氏の措置が「アボカドから自動車まであらゆるもの」の価格を押し上げるとし、米、カナダ、メキシコに事態の悪化を回避するため早急に解決策を見いだすよう訴えた。
焦点:トランプ氏が望む利下げ、米国以外で実現 FRBは動けず | ロイター
トランプ米大統領は世界的に金利が下がることを望んでおり、その願いは実現しつつある。しかし米国国内ではそうなっていない。米経済は堅調で、さらに自らの政策の不透明感により、米連邦準備(FRB)が他の中央銀行とは異なる方向に進む状況になっているからだ。
欧州中央銀行(ECB)は30日、カナダ銀行(中銀)は29日にそれぞれ利下げを行った。イングランド銀行(英中銀)も来週追随する可能性が高い。FRBが金利を据え置く中で他の中銀が利下げすれば、ドルが上昇し、トランプ氏の通商政策の目標がさらに複雑化しかねない。
ECBは30日の理事会で、0.25%ポイントの利下げを実施した。ラガルド総裁は記者会見で、「経済成長に対するリスクは依然として下向きだ」と述べた。トランプ氏が幅広い国々に対して導入する構えを見せている関税について、「確実に世界的にマイナスの影響を及ぼす」と警告した。
ユーロ圏の金利の方向は下向きだとし、「利下げのペースや順序、規模は今後のデータに基づいて決まる」と語った。
カナダ中銀のマックレム総裁は29日、トランプ氏の関税に言及し、「長期にわたる広範な貿易紛争は、カナダの経済活動に深刻な打撃を与えるだろう」との見方を示した。カナダ中銀は同日、6会合連続で利下げし、成長見通しを引き下げた。
英中銀は2月6日の金融政策委員会で、金利を引き下げると予想されている。今後は現在予想されている以上の速いペースで利下げが進む可能性がある。
<政策の乖離>
その結果、FRBだけが当面異なる状況に置かれている。FRBの政策当局者は、インフレ率が予想通り低下すれば年内に利下げすると予想している。しかし、パウエル議長は29日の会見で、「政策と経済の状況は極めて良好だとみており、政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」と明言した。
これはトランプ氏が1週間前に「要求する」と述べていたものとは違う結果だ。同氏は先週の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で、「直ちに金利の引き下げを要求する。同様に世界中で金利が引き下げられるべきだ」と語った。
トランプ氏にとって、FRB以外の主要中銀が利下げするという望みが半分だけかなった状況は、何も実現しないより悪いかもしれない。FRBと他の中銀との金融政策の違いはドル高圧力をみ、国際貿易を米国に有利な形で「再調整」するというトランプ氏の目標はさらに難しくなる。
マッコーリーのストラテジストはECB理事会前に公表したメモで、ユーロに対するドル高圧力を緩和するには、欧州の政治情勢の不透明感払拭、ウクライナ戦争の終結、米国の関税見送り、安定したユーロ圏の経済成長が必要になると記した。
<政策は手詰まり>
FRBと他の中銀の政策スタンスの違いは、新型コロナ危機がもたらした2020年の一時的なリセッション(景気後退)から抜け出す中で、米経済がたどった道筋の違いを浮き彫りにしている。
高インフレは供給網の混乱による世界的な現象で、各国中銀は一様に迅速な利上げで対応した。しかし、価格上昇の根本原因は異なっている。ユーロ圏では22年のロシアによるウクライナ侵攻などでエネルギー価格が急上昇した。一方、米国では積極的な財政支出が需要主導型の価格上昇を招いた。
インフレ率も全般的に低下したが、米国ではトレンドを上回る成長を維持しているのに対し、欧州は景気後退の瀬戸際にある。
この状況はトランプ氏にとって難しい課題となっている。つまり、現在の米経済はほぼ完全雇用にあり、生産や成長率も潜在力の限界に達するか、それを超えている可能性がある中で、バイデン政権よりも良い経済成果をどう実現するかが問われている。
インフレはほぼ抑制されているが、FRBは将来的に不確実性とリスクが存在すると考えており、少なくとも今のところは静観の姿勢を取っている。
KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は、パウエル氏の記者会見での発言は「様子見」「待ち」「急いでいない」「辛抱強く見守る」といったフレーズが多く使われたことを指摘。「FRBは手詰まりの状態にある」と指摘。多くの大統領令が出され関税の発表も間近に迫っている現在、「次に何が起こるかFRBは分からない状況だ」と語った。
トランプ氏「ベネズエラ、強制送還移民の受け入れ合意」 - WSJ
ドナルド・トランプ米大統領は1日、ベネズエラ政府が数万人の移民を受け入れると発表した。これにより、同氏の掲げる大規模な強制送還計画は大きな障害が取り除かれた。
トランプ政権のリチャード・グレネル大統領特使が1月31日にベネズエラの首都カラカスを訪問し、ニコラス・マドゥロ大統領と交渉した結果、今回の合意に至った。米当局者による同国訪問は異例。グレネル氏は同日夜、ベネズエラの施設に拘束されていた6人の米国人を連れて米国に帰還した。
トランプ氏は自身のソーシャルメディアプラットフォーム、トゥルース・ソーシャルへの投稿で、「ベネズエラの人質が帰国できてとても良かった。そして非常に重要なのは、ベネズエラが、米国に不法滞在していた全てのベネズエラ人の受け入れに同意したことだ」と述べた。
トランプ氏はさらに、最近複数の中南米諸国から米国に勢力を拡大した暴力的な国際犯罪組織「トレン・デ・アラグア」のメンバーもベネズエラが受け入れるとし、マドゥロ政権が自国民を帰国させるための輸送手段を提供すると述べた。
グレネル氏はマドゥロ政権への見返りについて、米国との関係改善が見込めること以外、金銭的またはその他の譲歩を約束していないとし、トランプ氏の特使による訪問が唯一の贈り物だったと述べた。
米、4日から関税発動 メキシコ・カナダ・中国が対象 - WSJ
米国は4日から、カナダとメキシコからのほぼ全ての輸入品に25%の関税を、カナダからのエネルギー製品に10%の関税を、そして中国に10%の追加関税を課す。第2次トランプ政権の最初の主要な課税により、大陸規模の貿易戦争の火ぶたが切って落とされた。
ホワイトハウスは1日に一連の関税を発表し、これまで関税賦課に使用されたことのない緊急経済権限に基づいて関税を発動するとした。ドナルド・トランプ米大統領と同様、合成麻薬フェンタニルの氾濫を理由に挙げた。フェンタニルは中国製の原料がメキシコやカナダで合成され、米国に密輸されているという。
政府高官によると、関税に例外措置はなく、取引相手国がフェンタニルの米国への密輸を一掃したとホワイトハウスが満足するまで関税は継続される。また今回の関税には、取引相手国が米国に対抗関税を課した場合、ペナルティーを強化する報復条項も含まれているという。さらに米国は、申告額が800ドル未満の貨物を無関税で輸入できるカナダ向けの「デミニミス(非課税基準額)」について、適切な検査が行われていないとの懸念からこの抜け穴を停止する。
大陸規模の貿易戦争を回避するため数週間にわたって必死の交渉を続けてきたものの、1日に関税について通知を受けたカナダ政府は即座に反応した。英イングランド銀行(中央銀行)の前総裁で、現在はジャスティン・トルドー首相の後任を目指すマーク・カーニー氏は1日、カナダは同水準の報復関税で対抗すべきだと呼びかけた。「カナダは威圧に屈しない」
カナダ・オンタリオ州のダグ・フォード首相によると、トルドー氏はトランプ政権が関税を発動することを1日に知らされた。米商務長官候補のハワード・ラトニック氏がカナダ政府に電話をかけ、国境を越えて流入するフェンタニルについてトランプ氏の懸念を伝えたという。
メキシコの当局者によると、ホワイトハウスが一方的な関税措置の概要を示したファクトシートを発表した後も、メキシコ政府は米国の措置について正式な通知を受けていない。
メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領もソーシャルメディアへの投稿で、メキシコ政府が犯罪組織と結託しているとの主張は「中傷」だとして、ホワイトハウスを非難した。メキシコは関税および非関税措置で報復するとした。
関税発動が発表された直後、中国国営新華社通信は外務省と商務省の以前の声明を引用し、貿易戦争は米中だけでなく世界全体の利益にならないと報じた。
●先進国中銀、金融当局
FRB元顧問を逮捕・起訴、経済スパイ共謀罪 中国に機密情報 | ロイター
米当局は31日、中国に機密情報を流したとして、連邦準備理事会(FRB)のジョン・ハロルド・ロジャーズ元上級顧問を逮捕・起訴したと発表した。
ロジャーズ被告は2010年から21年までFRBの国際金融部門で上級顧問を務めていた。大学院生を装った中国の情報・安全保障機関職員と共謀してFRBの機密情報を渡した罪に問われている。
FRBの報道官はコメントを控えた。
中国大使館の報道官は、この件の詳細を認識していないとした上で、「中国は法の支配を守る国だ」と述べた。
起訴状によると、被告は2018年から、経済データや金利の検討に関する機密情報などを入手し、中国で授業のふりをしながら、共謀者に渡していたとされる。
米シカゴ連銀総裁、インフレ進展に安心感 政策不確実性には疑問符 | ロイター
米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、この日発表された個人消費支出(PCE)価格指数は予想よりも若干良好な内容で、インフレが目標の2%に向けた軌道に乗っているという安心感が確認されたと述べた。12─18カ月後の米連邦準備理事会(FRB)の政策金利は足元より「かなり」低くなるとの見通しを示した。
グールズビー氏は米CNBCに対し、トランプ米大統領がメキシコとカナダからの輸入品に対し発動を警告している25%の関税などを背景に、「政策の不確実性に伴う疑問符は存在する」と指摘。「それが物価に影響すれば、われわれにも影響する。価格を押し上げるような事態になれば、FRBのシグナルは若干曖昧になる」と述べた。
理論的に関税による物価上昇は一時的なものであり、必ずしも政策対応を必要としないものの「政策が全体的に価格の引き上げにつながる場合、インフレのどの部分が金融政策で考慮される要素で、どの部分が経済の兆候なのかを見極める必要があるという難しさに近い将来直面するだろう」と述べた。
FRB、利下げ慎重に 物価に上振れリスク=ボウマン理事 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)のボウマン理事は31日、インフレ低下により年内に一段の利下げが可能になるとの見方を変えていないものの、賃金上昇のほか、地政学的リスクやトランプ政権の今後の政策により、物価上昇圧力が高止まりする可能性もあると述べた。
ボウマン理事は講演で「コアインフレ率は高止まりしているが、年内に一段と緩和すると予想している」と言及。ただ、インフレ上振れリスクはなお存在しているとし、「今後の政策金利の調整は段階的に行っていくことが望ましい。物価と雇用を巡る責務の達成に向けた進展を慎重に検証していかなくてはならない」と述べた。
FRBは28─29日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定。決定は全会一致で、ボウマン理事も据え置きに賛成した。
ボウマン氏は、FRBが金利据え置きを決定したことで、トランプ政権の政策が経済に及ぼす影響について明確な見通しを把握する時間的余裕が生まれたと指摘。「実際の政策内容とその実施方法に加え、経済がどのように反応するか、確実に理解することが極めて重要になる」と述べた。
米経済の現状については、労働市場は緩和しているものの、経済は依然としてほぼ完全雇用の状態にあり、賃金上昇率は完全雇用と整合的な水準を超えていると指摘。地政学的な衝撃に対する世界的な供給網の脆弱性のほか、米国の金融市場が活況や、力強い経済成長などを踏まえると、FRBの政策はそれほど制約的にならない可能性があるとの考えを示した。
その上で「過去1年間の金融環境の緩和で、インフレ鈍化の一段の進展を妨げられた可能性があると懸念している」とし、「経済が力強く、株価が1年前と比べ大幅に上昇していることを踏まえると、現在の金利水準と借入コストに有意な抑制効果があるとは考えにくい」と述べた。
政策金利、今年半ばまでに中立金利到達へ ECB当局者が予想 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は31日、ECBの政策金利が春か夏にも景気を刺激も冷やしもしない中立金利に達する可能性があるとの認識を示した。
ECBは前日、4会合連続で、昨年6月以降で5回目の利下げを決定。中銀預金金利は3.0%から2.75%に下げられた。ラガルド総裁は先週のダボス会議で中立金利を1.75─2.25%と推定しており、あと2回利下げすれば中立金利の上限に達することになる。
レーン氏はヘルシンキで開かれた中銀のイベントで講演し「インフレ率は予測通り目標水準で安定し、金融政策は近いうちに景気抑制的ではなくなると確信している。春か夏頃だと推定している」と述べた。
エストニア中銀のミュラー総裁もインフレに関する楽観的な見方を支持し、中立的な政策スタンスに近づいているとの認識を示した。
ブログ投稿で「ユーロ圏のインフレ率が今年半ばまでにECBの目標の2%に非常に近づくことは全く現実的だ」と述べ、もはや政策金利が高過ぎる、あるいは投資の妨げになるとは言えない状況に近づきつつあるとした。
30日の理事会終了後、複数の政策担当者がロイターに、次回3月6日の理事会で追加利下げし、中銀預金金利を2.5%にする合意が得られたと語った。
ECB、景気支援に利下げ継続 夏までに物価目標達成=仏中銀総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるビルロワドガロー仏中銀総裁は31日、ユーロ圏のインフレ率は今夏までにECBが目標とする2%に戻るとの見方を示し、ECBは景気を支援するため利下げを継続する可能性があると述べた。
ビルロワドガロー総裁はロンドンで開かれたシンクタンクOMFIFの会合で「夏までに(ユーロ圏の)インフレ率は目標の2%近辺で持続的に推移するようになる」とし、「金融政策の方向性は明確だ。制約的な政策から中立的な政策に向かう」と述べた。
同時に、具体的な利下げペースについては「機動的な現実主義」をもって判断していくとの考えを示した。
●先進国経済指標
米雇用コスト、第4四半期0.9%上昇 予想と一致 | ロイター
ドイツ失業率、1月6.2%に上昇 景気低迷が雇用に波及 | ロイター
IFO経済研究所が30日発表した企業調査では、ほぼ全ての業種で人員削減の意向が示された。IFOの調査責任者クラウス・ホールラーベ氏は、「労働市場の条件は依然厳しい。企業は人員を減らす傾向がある」と述べた。
独インフレ率、1月は前年比横ばい コア指数は伸び鈍化 | ロイター
ドイツ銀行リサーチのエコノミスト、セバスチャン・ベッカー氏は「長引く経済の低迷は、ますますディスインフレ効果をもたらしているようだ」と指摘。その上で、コア金利は年内にさらに低下するとの見方を示した。
米PCE価格、12月+2.6%に加速 FRB利下げ急がずとの見方 | ロイター
米商務省が31日発表した2024年12月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.6%上昇した。伸びは前月の2.4%から加速し、市場予想と一致した。
堅調な個人消費を背景に、前年比での伸びは7カ月ぶりの大きさとなった。米連邦準備理事会(FRB)は利下げ再開を急がない可能性がある。
物価の「瞬間風速」を示す前月比では0.3%上昇し、伸びは24年4月以来の大きさとなった。11月は0.1%上昇していた。
12月はモノの価格が0.2%上昇。自動車・部品のほか、ガソリンなどに押し上げられ、5カ月ぶりに上昇した。サービス価格は0.3%上昇。運輸やレジャーなどが上昇した。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年比2.8%上昇。伸びは前月と同じだった。前月比では0.2%上昇し、前月の0.1%上昇から加速した。
<個人消費0.7%増、個人所得0.4%増>
個人消費支出は前月比0.7%増。11月分は当初発表の0.4%増から0.6%増に上方改定された。
12月はモノへの支出が0.9%増加。自動車、食品、ガソリンなどが増加した。サービスへの支出は0.6%増加。住宅・光熱費、運輸、医療などが大きく伸びた。
トランプ政権による関税引き上げへの懸念を背景に、価格が上昇する前に消費者が動いたことで支出が押し上げられたとの見方も出ている。エコノミストは、こうした先行的な消費は1月に入ってからも継続していると指摘している。
インフレ調整後の個人消費支出は0.4%増加した。
個人所得は0.4%増。消費支出の伸びが所得の伸びを上回る中、貯蓄率は3.8%と、前月の4.1%から低下し、2年ぶりの低水準となった。
<FRB利下げ再開を急がずとの見方>
FRBは28─29日に開いた会合で全会一致で金利据え置きを決定。今後の利下げ時期についてはほとんど手掛かりを与えず、トランプ政権の政策を見極めていく姿勢を示した。 もっと見る
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフエコノミスト、カール・ワインバーグ氏は「経済が好調さを維持する中、不確実性の高い環境下で物価が目標に向けて戻るペースは緩慢でしかないことを踏まえ、FRBは今後の利下げペースは抑制的になると見込んでいる」と指摘。「今回のPCE価格指数でこうした見方が裏付けられた」と述べた。
独小売売上高指数、12月前月比-1.6% 予想外の低下 | ロイター
小売業界団体HDEは、昨年の小売売上高は増加したが、今年は不確実性が高いため、伸びが鈍化すると予想した。
HDEの25年の予想は実質0.5%増加。
HDEは「今年は消費も小売部門も勢い付かない」と予想し、戦争、エネルギーコスト高、景気低迷が消費を圧迫すると指摘した。
●金融市場、先進国トピックス
アラスカLNG開発、日本が支援の可能性議論 トランプ米政権が関心 | ロイター
トランプ米大統領が意欲を示す440億ドル(6.8兆円)規模のアラスカ州のガス開発計画に、日本政府が支援する可能性を議論していることが分かった。米国の貿易赤字を問題視する新政権との摩擦を防ぐ狙いがある。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。
石破茂首相は近くトランプ大統領と初めて対面で会談する見通しで、日本の関係者らはトランプ氏が同計画を議題にする可能性があるとみている。トランプ氏は、同計画が米国の繁栄と安全保障のために重要だと述べている。
同計画はアラスカ北部のガス田と南部の港をパイプラインで結び、液化天然ガス(LNG)をアジアへ輸出しようというもの。パイプラインは800マイル(1300キロ)に及び、日本側には実現性を疑問視する声がある一方、米側から話を持ち掛けられた場合は検討していくことを伝える用意があるという。
関係者の1人によると、日本側は米国の対日貿易赤字560億ドルを削減し、トランプ政権から関税を課せられるリスクを払しょくしたい考え。米国からのLNG購入拡大、防衛力の増強、対米投資の強化といったトランプ政権と向き合う上でのカードの1つとして検討されているという。
ロイターは米ホワイトハウスと日本の外務省にコメントを求めたが、いずれも回答を控えた。
<日本への言及、ほぼなし>
トランプ大統領は1月20日の就任当日に多くの大統領令に署名。その一つに、「アラスカのLNGを米国の他地域と太平洋地域の同盟国に販売、輸送することを含め」アラスカの資源の潜在能力を解放することを約束するとの内容が含まれている。
トランプ氏は同プロジェクトを、安定的なエネルギー供給を模索するアジアの同盟国とアラスカ双方にとってプラスと位置付けている。しかし、日本はすでに十分なLNGを確保している。日本企業は2023年度、国内消費量の半分以上に当たる約3800万トンを他国へ販売した。
それでも、アラスカの計画が実現すれば、日本がLNG輸入量の約1割を依存するロシアのほか、中東から調達先を多様化するのにつながる可能性がある。
石破首相は31日の衆議院予算委員会で、日本は化石燃料への依存を減らす必要があるものの「安定的なエネルギー供給というものに対して、米国に要請すべきことはあると思っている」と述べた。アラスカのプロジェクトを含め、具体的な内容には踏み込まなかった。
政府関係者らはロイターの取材に、石破首相はトランプ氏との会談でアラスカへの投資を含めてLNGに関する確約はできないだろうと強調した。いかなるディール(取り引き)も価格が妥当であることや、日本側に転売を認めるなどの柔軟性が含まれている必要があると、前出と別の政府関係者は説明した。
大統領に返り咲いたトランプ氏は、カナダやメキシコ、中国への関税を公言しているが、日本との経済、安全保障関係についてはほとんど言及していない。しかし、日本にとって関税問題は重要なアジェンダ(議題)となっている。日本は米国の主要な同盟国であり、最大の投資国だが、1期目のトランプ政権では鋼材への関税や在日米軍の駐留経費などを巡る要求に揺さぶられた。
<トランプ氏の歓心>
トランプ氏の「身内」とさほど親密な関係を持たない石破政権は、ビル・ハガティ上院議員や保守系シンクタンクのハドソン研究所のケネス・ワインスタイン日本部長など、米国の議員や政策専門家に助言を求めている。
ワインスタイン氏はロイターの取材に、米国とのエネルギー関係を強化し、アラスカの計画を真剣に検討すべきと日本側に助言したことを明らかにした。ハガティ氏はロイターの取材に回答しなかった。
2016年の当選後にトランプ氏の政権移行チームに入った経験がある東京在住の実業家アド・マチダ氏は、日本がLNG購入を増やし、アラスカ計画への投資を申し出ることがトランプ氏の歓心を勝ち取る「おそらく最も簡単な」方法になるだろうと述べた。
マチダ氏はロイターの取材に、「トランプ氏は日本が何をしてくれるのかを知りたがっている」と話し、日本政府当局者に同提案について話したことがあると明らかにした。
LNGプロジェクトを管轄する州営のアラスカガスライン開発公社(AGDC)の広報担当者は、日本のエネルギー業界関係者と同計画について話し合ったとしたが、具体的な内容は明らかにしなかった。
トランプ政権1期目で承認されたこのプロジェクトは環境保護団体からの反対を受けたものの、20年に連邦エネルギー規制委員会の承認を受け、22年に最終的な法的承認を得た。
AGDCは先週、プロジェクトを推進するため米建設大手グレンファーンと合意に達したと述べた。
ブラックストーン、低コストAI登場でもデータセンター投資堅持 | ロイター
米大手投資会社ブラックストーンは30日、AI(人工知能)に物的なインフラはなお不可欠だとして、中国新興企業ディープシークの低コストAIモデルによってデータセンターへの巨額投資が損なわれることはないとの見方を示した。
オルタナティブ資産を手掛けるブラックストーンは、リースされるデータセンターを800億ドル相当抱えている。
同社はこの分野に対する戦略は「非常に慎重なアプローチ」に基づいており、「世界最大級の企業」とのパートナーシップがあると説明した。
データセンターはAIモデルのトレーニングや実行に不可欠な膨大な情報を保存・処理・分析するためのインフラとなっている。
ブラックストーンのようなデータセンターへの投資家はAIブームの大きな受益者になると見込まれていたが、低コストのディープシークの登場でデータセンターへの投資が鈍るとの懸念が出ている。
ブラックストーンのジョナサン・グレイ社長兼最高執行責任者(COO)は決算発表後のアナリストとの電話会見で、ディープシークに関連する動向を注視していると述べた。
一方で、コストが下がることでAIの普及が進み、データセンターの需要が高まる可能性があると指摘。「依然として非常に重要な分野だと考えている」と語った。
米東部フィラデルフィアで医療用小型機が墜落、子ども含む6人死亡 - Bloomberg
【社説】トランプ氏が引き継いだ「そこそこ」の経済 - WSJ
ドナルド・トランプ氏は、広範な経済的繁栄を取り戻すという負託を受けて米大統領に選ばれた。しかし、30日に発表された2024年10-12月期の米国内総生産(GDP)は、それが容易ではないことを示している。個人消費は相変わらず好調だが、設備投資の鈍化や根強いインフレによって、実質賃金の押し上げがより難しくなる可能性がある。
米GDPは24年10-12月期が2.3%増、通年では2.8%増と、まずまずの伸びとなった。金利上昇にもかかわらず、10-12月期の個人消費は「ヘルスケア」や「自動車」の大幅な伸びで4.2%増加した。これは可処分所得の増加幅(2.8%)を大きく上回るものだった。
GDP成長率への寄与度は、個人消費支出(PCE)が2.82ポイント、政府支出が0.42ポイントとなった。ただ、民間設備投資が減少し、GDP成長率を0.31ポイント押し下げた。設備機器投資(1.1%減)と建設投資(7.8%減)は、昨年の大統領選に関する不透明感が一因となっている可能性がある。在庫も減少した。
だが、設備投資はバイデン政権時を通して、特に最後の2年間は低迷していた。ジョー・バイデン氏は工場建設の急増を誇らしげに語っていたが、24年10-12月期の新規建設投資は新型コロナウイルス禍前のピークを0.8%しか上回っていない。研究開発費はこの2年間ほぼ横ばいだ。
バイデン政権下で経済をけん引していたのは、個人消費と政府支出の急増だった。昨年末時点の実質ベースで、個人消費はコロナ禍前に比べて15.2%、政府支出は9.2%それぞれ増えた。これがインフレ率の高止まりの一因となっている。連邦準備制度理事会(FRB)の利上げでこの2年間はインフレが和らいでいるものの、とても退治されたとは言えない。
FRBがインフレ指標として重視するPCE価格指数の上昇率は、24年10-12月期に2.3%となり、7-9月期の1.5%を上回った。食品とエネルギーを除くコアPCE価格指数の上昇率は2.2%から2.5%に拡大した。これは良くない流れだ。
24年10-12月期のGDPは、現在の金利水準がそれほど引き締め的ではないことを示している。資産価値の上昇による資産効果も、個人消費を押し上げている要因の一つだ。S&P500種指数は過去1年間で23.2%上昇した。資産を持つ米国人は潤っているが、トランプ氏が勝利したのは、インフレが中間層に打撃を与えていたからだ。
力強い労働市場が個人消費の維持に役立つだろうが、トランプ氏はあと4年間ずっと消費者や政府支出に頼り続けることはできない。同氏はFRBの利下げペースが十分でないことにいら立っているが、FRBがインフレ抑制を重視しているのなら満足すべきだ。これによって消費者物価は引き続き抑えられ、実質所得を増やすことがより容易になる。
これらを総合すると、トランプ氏は新たな投資ブームを促す必要があるということだ。同氏の大統領選出によって、抑圧されていたアニマルスピリットが解放され、大企業にも中小企業にも楽観的な見方があふれている。しかし、選挙後の宴は終わったため、トランプ氏は今後、政策を通じて成長を生み出さなければならない。
トランプ氏の規制緩和には、大きな効果が期待されるが、幾つかの分野では、訴訟によってインパクトが弱められるかもしれない。エネルギー生産を解き放つことは経済にプラスだ。しかし、共和党員の多くが成長の必須要件を見失っている状況下では、今年の税制法案がどのような内容になるのか全く不透明だ。彼らは、成長の促進ではなく、子育て世帯への税額控除や州・地方自治体の税控除拡大による所得の再分配を求めている。
特に注意すべき点は、トランプ氏が導入しようとしている関税を巡る不透明感だ。新たな関税が導入されることは誰もが分かっている。しかし、その関税の対象になるのがどの国なのか、関税の厳しさや適用期間がどの程度になるのかは、誰も分かっていない。トランプ氏は「そこそこ」の状態の経済を引き継ぐことになった。それは、成長を阻害するような政策ミスが許されない状況にあることを意味している。
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アルコール業界が依存するヘビードリンカー - WSJ
ビールや蒸留酒の広告には大抵、「責任を持って飲みましょう」という注意書きが入っている。それでもアルコール業界は、公衆衛生当局が安全だとする量以上に飲む人たちに依存している。
株式調査会社バーンスタインが2023年に発表した分析によると、米国のアルコール販売量の推定90%は成人の5分の1が消費している。
米デューク大学のフィリップ・クック名誉教授は「ヘビードリンカーは明らかに金脈だ」と語る。同氏の2007年の著書「Paying the Tab(勘定を支払う)」は、バーンスタインが分析した科学的研究の一つだ。 
こうしたヘビードリンカー依存は企業にとってより大きなリスクとなっている。米政府が、アルコール飲料のラベルに発がんリスクを警告する表示を入れることや、1日に安全に摂取できる飲酒量の推奨上限引き下げを検討しているためだ。
アルコール業界の売り上げは減少している。その背景には、消費者の健康意識の高まり、大麻の合法化拡大、「オゼンピック」などのGLP-1受容体作動薬(抗肥満薬)の使用、若い世代のアルコール消費量の減少がある。そのため、ビールやワイン、蒸留酒を手掛ける企業は、フロリダ州オーランド在住のケビン・ターナーさん(39)のような人たちにますます依存するようになっている。
「アルコールが体に悪く、中毒性もあることを人々は知っている。それを理解している」とターナーさんは言う。「アルコールは毒だ。おいしい毒だが、毒なのは間違いない」
平日の夜、ターナーさんは自宅のバーで数杯の酒を楽しむ。そこには10種類以上のスコッチウイスキーのほか、他のウイスキー、バーボン、ラム、ジン、リキュールが並ぶ。週末の夜は、地元のバーで友人と会い、ビールを3~4杯飲むことが多い。元喫煙者のターナーさんは、飲酒をやめようと思えばやめる自信はあるが、発がんリスクを警告するラベルが表示されたり、連邦政府の「米国人のための食生活ガイドライン」が改訂されたりしても、すぐに自分の習慣を改めることないだろうと述べた。
同ガイドラインでは約30年間、男性は1日最大2杯、女性は1杯まで飲酒しても安全だとされてきた。米国の標準的な1杯の量は、ビールなら12オンス(約355ミリリットル)、ワインなら5オンス、蒸留酒なら1.5オンスに相当する。
アルコール業界歴が長い関係者らは、忠誠心の高い顧客がいることは分かっているが、彼らをターゲットにしたマーケティングは行っていないと話す。
「どのカテゴリーでも、特にアルコールでは、業界は過剰消費を非常に懸念している」。フランスの酒類大手ペルノ・リカールの元北米部門最高経営責任者(CEO)、アン・ムケルジー氏はそう話す。同氏はウオッカ「アブソルート」のマーケティングキャンペーンで、性的暴行におけるアルコールの役割に言及するという手法を取り入れた。
ムケルジー氏によると、アルコール業界は消費の大部分をごく少数のグループに依存する状況を改めたいと考えている。自社のビジネス、アルコールというカテゴリーの持続可能性、そして消費者にとって健全ではないとの考えからだという。
現在の連邦規則では、飲酒運転と妊娠中の飲酒に関する警告、さらにアルコールが「健康問題を引き起こす場合がある」という一般的な警告を、アルコール飲料のラベルに表示することが義務付けられている。ビールやワイン、蒸留酒のメーカーは、未成年の飲酒や飲酒運転を抑制するための企業責任プログラムを整備している。また、過度の飲酒を奨励しているように見られないようにしている。業界関係者らは、既存顧客を維持することよりも、新規顧客の獲得方法を思案することに多くの時間を費やしていると話す。
人々は自身の消費量を過小報告することが多いため、飲酒量を正確に把握するのは難しい。米疾病対策センター(CDC)の調査データによると、米国の成人の6%が、CDCの定義する過度の飲酒(男性は週15杯以上、女性は週8杯以上)に該当する量を飲んでいると回答している。バーンスタインの2023年の分析では、この数字はさらに高く、週14杯よりも多く飲む人が米国の成人の20%も占めるとしている。
今年は米農務省と米厚生省による更新で、アルコール消費に関する連邦ガイドラインが改訂される可能性がある。今月発表された新ガイドラインに関する報告書では、男女ともに1日1杯の飲酒でアルコール関連の病気やけがによる死亡リスクが高まることが分かった。
米医務総監によると、アルコール消費と発がんリスクの関連性は少なくとも7種類のがん(乳がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、口腔(こうくう)がん、咽頭がん、喉頭がん)で確立されている。アルコール消費は、たばこと肥満に次いで、米国で3番目に予防可能ながんの原因となっている。
アルコール業界は一般的に、過度の飲酒が数種類のがんのリスクを高めることを認めており、一部の研究が適度な飲酒と乳がんリスクの増加を関連付けていることも認めている。しかし業界団体は、適度なアルコールの消費は人によっては健康的なライフスタイルの一部となり得るとも述べている。連邦ガイドラインの改訂を阻止すべく闘っている業界ロビイストらは、リスクはすでに知られているとし、政府は適度な飲酒が死亡率を下げるという最近の報告を考慮すべきだと主張している。
アルコールの発がんリスクに関する議論は、すでに苦戦している業界にさらなる圧力をかけている。
米酒類大手コンステレーション・ブランズの株価は今月急落した。ビール販売が予想を下回った上、ワイン・蒸留酒事業で22億5000万ドル(約3500億円)の減損処理を行ったことが嫌気された。ビール「モデロ・エスペシアル」、ワイン「メイオミ」、テキーラ「カサノブレ」を製造する同社はさらに、売上高と利益予想を引き下げた。
蒸留酒世界最大手の英ディアジオは、消費需要の弱さに直面していると警鐘を鳴らす。米ケンタッキー州の蒸留所は、米国のバーボンブームが終わりを迎え、たるの過剰在庫に悩まされている。「ジャックダニエル」を手掛けるブラウンフォーマンは今月、従業員の約12%(約648人)の削減を発表した。
こうした潮流により、アルコール業界の最も熱心なファンへの依存がより深刻に、そしてより厄介になる可能性がある。
ニューヨーク州スタテン島に住むタラ・プリンジバリーさん(45)はほぼ毎晩、2~3杯のワインを自宅で、あるいは向かいの隣人たちと飲んでいる。「ピノ・グリージョ」と「マルベック」が好きな彼女は、放射線治療士としてがん患者の治療に当たっている。がんとアルコールの関連性に関する警告ラベルが付いても、飲む量は減らさないだろうと述べた。
「ワインについて、がんのことは考えない」とプリンジバリーさんは言う。「私がワインを好き過ぎるか、無知なだけかもしれない」
教室を占拠するスクリーン、生徒もうんざり - WSJ
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(31日)ドル上昇、利回り上昇 株反落 | ロイター
米ホワイトハウスは、メキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税を2月1日に発動すると表明し、ドルが主要通貨に対して上昇。米ドルは対カナダドルで0.12%高、メキシコペソは0.17%高となった。  
米商務省が発表した12月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.6%上昇し、個人消費の堅調さを示唆。FRBは利下げ再開を急がない可能性が浮上し、米国債利回りは上昇。  
株式市場は反落し、特にエネルギー株が下落。月間では主要株価指数が上昇。金先物はドル高を受けて反落したが、週間・月間では上昇。原油先物は関税政策の不透明感から下落。
欧州市場サマリー(31日) | ロイター
ロンドン株式市場は続伸し、FTSE100は最高値を更新。月間上昇率は6.13%と2年2カ月ぶりの大きさ。防衛関連株が急伸し、スミス・グループは10.8%高。一方、貴金属株は下落。来週の英中銀の金融政策決定会合が注目される。  
欧州株式市場も4日続伸し、STOXX欧州600は最高値更新。ハイテク株が買われ、ASMLやヘキサゴンが上昇。ノバルティスの好業績も支援材料に。ECBの利下げ観測が投資家心理を後押し。  
ユーロ圏債券市場では、弱い経済指標を背景にECBの利下げ期待が高まり、ドイツ2年債利回りは週間で16bp低下し、昨年9月以来の下げ幅。ドイツ・イタリアの債券利回り格差も縮小した。