2024年6月1日土曜日

備忘録(24/6)

備忘録(2024/6/28-30
●雑感
●決算
●海外企業
大手米銀が増配を発表、FRBストレステスト合格で株主還元 - Bloomberg
複数の大手米銀が28日、増配を発表した。これらの銀行は2日前、連邦準備制度理事会(FRB)による今年のストレステスト(健全性審査)を難なく通過していた。
ストレステストでは大手31行全てが、仮定に基づくリセッション(景気後退)を通じ最小限の資本要件を上回ったと判断された。増配を発表した銀行にはJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックス・グループ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、モルガン・スタンレーなどが含まれる。
JPモルガンとモルガン・スタンレーはそれぞれ最大300億ドル、200億ドル規模の自社株買いプログラムが取締役会に承認されたことも明らかにした。
資本バッファーに対するFRBのお墨付きを得て、銀行は増配や自社株買いといった健全な株主還元が可能となった。銀行では今年、資本規制「バーゼル3」の最終化が緩和されるとの見方からすでに株主還元が強化されていた。
FRBは配当と自社株買いに関する各行の計画発表がニューヨーク時間28日午後4時半(日本時間29日午前5時半)以降になるとの見通しを示していた。
ストレステストは2008年の金融危機を教訓として実施されるようになったもので、今年は資産規模が1000億ドル(約16兆円)以上の31行を対象とした。想定される「最悪」シナリオでは、最も質の高い規制目的上の自己資本と見なされる普通株等ティア1(CET1)比率がグループ全体で9.9%にまで落ち込むものの、最小要件の4.5%を大きく上回ったとしている。
各行が難なく通過したとはいえ、ストレステストは依然としてエコノミストや政策当局者の間で激しい議論の的となっている。銀行政策研究所(BPI)の調査責任者フランシスコ・コバス氏によると、FRBのモデルにおける過度のボラティリティーは、そのシナリオと試験をより厳しい監視の対象とすべきであることを意味するという。
米パーデューの破産計画、最高裁が和解案認めず オピオイド訴訟 | ロイター
米連邦最高裁は27日、オピオイド系鎮痛剤「オキシコンチン」を開発した米パーデュー・ファーマの破産計画に伴う和解内容を認めない判断を示した。オピオイド訴訟における創業者サックラー一族の責任を免除する内容を問題視した。
判決は5対4で、保守派判事4人とリベラル派1人が支持した。
オキシコンチン販売を巡る数千件の訴訟で最大60億ドルを支払うのと引き換えに、創業一族に免責を与える和解計画を認めた下級審の判決を覆した。
バイデン政権は債務者のための破産保護制度の乱用だとして和解に異議を唱えていた。
パーデューはオピオイド中毒まん延を巡る訴訟を受けた負債に対応するため、2019年に米連邦破産法11条の適用を申請。破産裁判所は21年に和解内容を承認していた。
同社は判決に失望を表明した上で、債権者らと改めて協議する方針を示した。
●日本企業
S&P、農林中金のアウトルックを「ネガティブ」に下方修正 | ロイター
アウトルックの変更は、農中について少なくとも3分の1の確率で収益バッファーがS&Pの予想通りに着実に改善できない可能性があるとみていることに基づく。予定される投資資産ポートフォリオの再構築で金利リスクの低減が見込まれるが、欧米中銀の利下げの後ずれなどに伴う市場環境の変化により、収益の改善が遅れる可能性があるという。
S&Pは農中は強い自己資本を維持するとの見解も示した。
●米大統領選挙
バイデン氏、再選目指す決意を強調-民主党内では憂慮の声渦巻く - Bloomberg
米大統領選討論会でのバイデン大統領の悲惨なパフォーマンスを受け、政治の世界ではバイデン氏は「出馬を取りやめるのか」といった疑問が渦巻いている。
大口献金者や大統領の側近、議員、有権者らは、81歳のリーダーが最悪のタイミングでこのような結果となった後の数時間、何か対応策はあるのか考えあぐねていた。
献金者間では怒りのメールが飛び交い、憂慮の発言は外国政府高官からも聞かれ、ワシントンやウォール街を含め、多くの人が同じ結論に達している。民主党員や、トランプ前大統領の返り咲きを阻止したいと考える人々にとって唯一の希望は、バイデン氏が出馬を辞退することだということだ。
しかし、大統領自身が到達した結論はそれではなかった。ノースカロライナ州で6月28日に行われた選挙集会で、バイデン氏は聴衆に向かって、以前のようにうまく話したり議論したりできないかもしれないが、「この仕事を全力を尽くして成し遂げられる」と確信していると語った。オバマ元大統領や他の有力な民主党関係者が支持を表明したことで、バイデン氏に最も近い側近らは安堵(あんど)した。
しかし、バイデン氏の討論会でのパフォーマンスに衝撃を受けた人々にとっては大きな慰めにはならなかった。大統領の頑固なプライドと側近による度重なる誤算が、民主党にとっての大惨事のきっかけになるのではないかと懸念する声もある。
現時点でリードしているトランプ氏は、自身の2期目が報復と混乱の嵐になることを示唆。連邦政府と社会保障の大幅な縮小や広範囲にわたる新たな関税の導入、孤立主義的な外交政策の推進を公約に掲げている。
当選を目指す民主党議員らは、残りの選挙キャンペーンを大統領支持正当化の説明に費やすことになるだろう。多くの有権者は、大統領がその職に必要な能力を欠くと考えている。党内ではあらゆるレベルにおいて、責任のなすりつけ合いと非難合戦が繰り広げられている。
バイデン氏が討論会の舞台を去る前から悲惨さの度合いは明らかだった。スタッフは、大統領が開始早々から一時固まったり言葉につまったりする場面を目にした。大統領の年齢や判断力の低さに関する共和党の攻撃を裏付けるようなものだった。最初のコマーシャル中断前に、デラウェア州ウィルミントンの選挙本部でバイデン氏の補佐官らは、大統領が風邪をひいていると伝えるメールを記者らに送っていた。
討論会後、大統領に同行していた当局者らの間では沈鬱(ちんうつ)な空気が漂い、ブラックユーモアが飛び交っていた。
大統領専用機では、討論会についての論評を聞こえなくするため側近らが機内テレビを消音にした。客室乗務員がアトランタのワイルド・ヘブン醸造所のビールを提供したとき、「緊急時の飲酒用ビール」という表現がふさわしいように思われた。バイデン氏が空港に向かう途中で立ち寄ったワッフルハウスで注文された食べ物の一部は手つかずのままだった。
複数の高官によると、側近らが互いに励まし合い、今後の道筋を立てるために集まっている間、バイデン氏自身もイライラした様子だった。
翌朝になっても状況は改善しなかった。
匿名を条件に語った関係者1人によると、民主党上院議員の1人は、27日の夜遅くまでバイデン氏の側近や上級幹部らと語り合い、翌朝も早い時間から再び話し合った。会話にはリケッティ大統領顧問やドニロン大統領上級顧問をはじめとするホワイトハウスの上級補佐官やシューマー上院院内総務、サウスカロライナ州選出のクライバーン下院議員ら民主党議員も含まれた。
クライバーン氏(83)は28日、記者団との接触を当初は避けたが、その後、バイデン氏の「パフォーマンスは悪かった」とだけコメントした。
国外では、4年前にバイデン氏がトランプ氏を破ったことを歓迎していた外国の指導者から憂慮の声が聞かれた。
ポーランドのシコルスキ外相は、X(旧ツイッター)で古代ローマのアウレリウス皇帝について投稿し、「沈む太陽に向かって上手に馬を歩ませることが大事だ」と述べた。五賢帝最後の皇帝、アウレリウスは晩年に誤った判断で内戦を引き起こし、国力を疲弊させたことで知られる。
ワシントンでは民主党関係者の間でバイデン氏に代わり得る候補者の名前をささやかれ、8月にシカゴで開催される民主党大会までに候補者交代が可能かどうかについて臆測が飛び交っていた。ハリス副大統領やカリフォルニア州のニューサム知事、ミシガン州のウィットマー知事の名前が繰り返し挙がっている。
バイデン氏が定期的に会話する数少ないメディア関係者の1人であるニューヨーク・タイムズのコラムニスト、トーマス・フリードマン氏は、討論会を見て「涙が出た」と書き、大統領は選挙戦から撤退すべきだと記した。
その後、ニューヨーク・タイムズの編集委員会は、バイデン氏に選挙戦からの撤退を促す社説を掲載した。
    トランプ氏返り咲き予想上昇、早くも米株市場で勝ち組探し-討論会後 - Bloomberg
11月の米大統領選に向けたテレビ討論会から一夜明けた28日、米株式市場ではさまざまなセクターで持ち高を調整する動きが出た。
27日夜行われた討論会では、精彩を欠くパフォーマンスに終わったバイデン米大統領が健康不安説を払しょくできず、トランプ前大統領が勝利するとの見方が強まった。これを受けて、民間の刑務所運営会社やクレジットカード、医療保険、石油といったトランプ氏の返り咲きで恩恵を受けるとみられるセクターの株が値上がりした。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州担当最高投資責任者(CIO)、ソリタ・マルチェリ氏はリポートで「選挙結果は依然として不透明だが、選挙を控えてボラティリティーが高まるのはほぼ確実であり、結果は市場や政府政策に影響を与えるだろう」と指摘した。
マルチェリ氏はその上で、トランプ氏の復権と共和党の議会支配で苦境に立たされるであろう一般消費財、再生可能エネルギーへのエクスポージャーについて投資家は考える必要があると述べた。その一方で、UBSは金融セクターに妙味があるとみている。「現時点で規制緩和が実現する見込みを織り込んでいない」という。
一方、トランプ氏が立ち上げたソーシャルメディア運営会社トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループの株価は2日続落。寄り前の取引では17%急伸していたが、流れが一転。一時は14%余りまで下げ幅を広げ、11%安で取引を終えた。
「こうなると恐れていた」、討論会のバイデン氏を同盟国から憂慮の声 - Bloomberg
言いたいけれど怖くて言えない発言なら、ポーランド人が得意だ。ジョー・バイデン氏は辞め時を知るべきだったと言いたい人は欧州に少なくない。
米大統領選挙に向けたテレビ討論会が行われてから数時間後、率直な物言いで知られるポーランドのシコルスキ外相は、遠回しではあるが間違えようのない形で、苦戦する米大統領について苦言を呈した。ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)で古代ローマのアウレリウス皇帝について投稿し、「沈む太陽に向かって上手に馬を歩ませることが大事だ」と述べた。五賢帝最後の皇帝、アウレリウスは晩年に誤った判断で内戦を引き起こし、国力を疲弊させたことで知られる。
ポーランドのトゥスク首相も28日、欧州連合(EU)サミット後のブリーフィングでテレビ討論の感想を求められ、「こうなるのではないかと恐れていた。直接対決や討論の場になるとバイデン大統領にとっては簡単にいかないだろうと予想されていたからだ」と語った。
来週行われる英選挙で次期首相に就任する可能性が高い最大野党・労働党のスターマー党首は、バイデン氏の討論についてコメントを避けた。ただ複数の党当局者は討論は憂慮すべきものだったと内々に語った。
来月ロシアを訪問するインドのモディ首相は、トランプ前大統領が返り咲く可能性をさほど問題視していないと、同国当局者が匿名を条件に語った。
どうする民主党、米大統領候補者選びでバイデン氏交代の可能性は - Bloomberg
バイデン米大統領が27日の討論会で見せたさえないパフォーマンスは、81歳の同大統領に選挙運動を継続する意思や能力がなくなった場合、11月の大統領選挙に向けて民主党に他の選択肢はあるのかという新たな疑問を投げかけるものだった。
バイデン氏は既に民主党候補指名を確実にしており、同党の軌道修正の見込みは薄れつつある。
側近によればバイデン氏は風邪をひいており、討論中には声がかすれ、一時固まったように見えたりと、あと4年の任期を全うできるのかがあらためて懸念された。
オバマ元大統領の戦略責任者を務めたデービッド・アクセルロッド氏は「討論が進むにつれてバイデン氏は力強くなったが、それまではパニックに陥っていたと思う」と指摘。「そしてこの先、同氏が選挙戦を継続すべきかの議論が行われるだろう。それが何らかの結果につながるのかどうかは分からない」と述べた。
あり得る展開は以下の通り。
前例はあるのか?
前例はある。ベトナム戦争への抗議が高まる中、ジョンソン大統領が1968年に2期目に向けた指名獲得を目指すことを断念した。大統領執務室からの演説でジョンソン氏は「大統領としての再選を目指す党からの指名を求めないし、受けるつもりもない」と突如発表した。ジョンソン氏とは異なり、バイデン氏は既に指名に十分な選挙人を確保している。 
バイデン氏を大統領選から外すことはあり得るのか?
難しいだろう。民主党予備選ではバイデン氏への反対は最小限にとどまっており、どの候補に投票するか決まっている誓約代議員の99%を確保した。これらの代議員は大統領への忠誠心によって選ばれる部分が大きい。異例の状況が起こり、バックアッププランがない限り、バイデン氏を候補から外す可能性は低い。
またバイデン氏への挑戦者は、正式な投票前に立候補を表明し、現職に公然と挑むことになる。
いつまでに決定しなければならないのか?  
すぐに決定する必要がある。民主党全国委員会(DNC)は8月の党大会よりも前にバイデン氏を党候補者として指名することを既に計画している。
バイデン氏が党大会後に立候補を取り下げたらどうなるのか?  
バイデン氏の後任を決めるのはDNCのメンバー。ただ、バイデン氏の名前が書かれている投票用紙を既に受け取っている。バイデン氏が指名候補から外れた場合、同氏への投票がどのように集計されるかについては州ごとに法律が異なるが、後任候補に回る可能性が高い。
後任となり得る人物は?
ハリス副大統領が最も妥当な後任だろうが、自動的に選ばれるわけではない。このほかにもカリフォルニア州のニューサム知事、イリノイ州のプリツカー知事、ミシガン州のウィットマー知事がバイデン氏への継続的な支持を示している。
ただブルームバーグ・ニュース/モーニング・コンサルトが激戦州7州で行った調査によれば、トランプ氏と選挙戦を繰り広げる上でバイデン氏よりも有力だと期待された人はこの中で一人もいなかった。
選挙資金についてはどうなるのか?
バイデン陣営および民主党は5月末時点で2億1200万ドル(約340億円)の現金を手元に持っており、ハリス氏が次期大統領候補となった場合はこの資金が利用できることになる。他の候補者はゼロからのスタートとなる可能性が高い。
バイデン陣営と民主党は再選を目指し、既に約3億4600万ドルを費やしている。別の候補者を選ぶとなると、有権者に名前を覚えてもらうべくさらに多くの資金を費やす必要があるだろう。
アングル:トランプ氏返り咲きに備え、海外の同盟国 バイデン氏討論会苦戦で | ロイター
11月の米大統領選に向け27日開かれたテレビ討論会で民主党の現職バイデン大統領が苦戦したことを受け、米国の同盟国の一角では、共和党のトランプ前大統領の返り咲きに備える動きが強まっている。
討論会では、バイデン大統領は序盤から時折声がかすれ、言葉に詰まる場面もあった。バイデン氏が討論会で「高齢懸念」を払拭するという期待も高まっていたが、同氏の精彩を欠く姿を受けて民主党内でも動揺が広がり、一部の民主党員からは、候補者の交代という異例の措置が必要かもしれないとの見方も出ている。
海外の新聞各紙の紙面も、バイデン氏に対する非難が目立った。仏紙ルモンドはバイデン氏を「難破船」と呼び、英大衆紙デイリー・ミラーは「失言だらけの悪夢」と評した。独紙ビルト紙は「おやすみ、ジョー!」としたほか、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは「トランプ氏はバイデン氏を怪物にした。民主党はジョーでは勝てない」と報じた。
イタリアのレンツィ元首相はXへの投稿で、バイデン大統領が米国に名誉ある貢献を行ったとした上で「彼に不名誉な結末はふさわしくない。馬を変えるのは皆の義務だ」と述べた。
キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹の宮家邦彦氏は、トランプ氏は勝たなかったが、バイデン氏は「崩壊したかもしれない」と指摘。同時に「8年前と違い、他の欧州やアジアの同盟国と同様、われわれにははるかに準備が整っている。それでもトランプ氏は予測不可能だ」という見方を示した。
韓国・峨山政策研究所の研究員ピーター・リー氏は、トランプ氏が再選されれば、同盟国に対し「非常に強硬」な姿勢で防衛費増額を迫ることが予想されると述べた。
トランプ氏が中国輸入品に対し60%を超える関税を課すことを計画していることについて、韓国メリッツ証券のチーフエコノミスト、スティーブン・リー氏は、トランプ氏が「米国例外主義の概念に基づき、中国だけを標的にせず、他の国々にも関税を課す可能性がある」という見方を示した。
ロシアのウクライナ侵攻が続く中、欧州にとっては、トランプ氏の北大西洋条約機構(NATO)に対する懐疑的な見方が不安をあおる。
ベルギーのフェルホフスタット元首相はXにバイデン、トランプ両氏の写真を投稿し、「米民主主義は老人政治によって死滅した」と述べた。
ショルツ独首相は以前、バイデン氏再選の見通しを歓迎していた。しかし、連立政権を構成する自由民主党(FDP)の議員の1人は独紙に対し「米民主党がトランプ氏に対抗する強力な候補を立てることができず、トランプ氏のような人物が再び大統領になる可能性があるという事実は、全世界が感じる歴史的な悲劇となるだろう」とし、米民主党に候補者の交代を促した。ショルツ首相の報道官は討論会についてコメントを控えた。
ロシア大統領府(クレムリン)は米国の内政問題とし、コメントを避けた。プーチン大統領はこれまでに、誰が米大統領に就任してもロシアにはさほど重要でないと述べている。
7月4日に総選挙を控える英国では、世論調査で支持率トップに立つ野党・労働党のキア・スターマー党首が、米英関係は強固で「個人を超える」と述べた。
豪シドニーでは「トランプ2.0」と題されたワークショップが開かれ、政府関係者や専門家らが出席した。シドニー大学・米国研究センターのピーター・ディーン教授は、TV討論会が「バイデン氏にとって大惨事だったというのが圧倒的な印象だ」とし、 「討論会後、雰囲気は一変し、トランプ2.0に備えていなかったのなら、今こそそれが賢い動きという見方が強まった」と述べた。
バイデン氏への不安高まる、米民主党内で候補交代論も 討論会受け | ロイター
米大統領選に向け27日行われたテレビ討論会でバイデン大統領が見せた不安定なパフォーマンスに、民主党で動揺が広がった。一部の民主党員からは、候補者の交代という異例の措置が必要かもしれないとの見方も出ている。
討論会の序盤、バイデン氏は、時折声がかすれ、言葉に詰まる場面もあった。ホワイトハウス当局者は、声がかすれていたのは風邪をひいていたためと説明している。
バイデン氏の2020年選挙活動に携わった民主党関係者は、討論会は「大惨事だった」とし、「バイデン氏のパフォーマンスは失格だ」と述べた。同氏は、民主党候補を正式指名する8月の党大会が、第1回目の投票で党候補者が決まらず代議員らが話し合いで候補者を決める、ブローカード党大会になる可能性もあると指摘した。
一方、バイデン陣営の幹部らは、討論会の内容そのものに有権者は目を向けるべきだと指摘。ジェン・オマリー・ディロン選対委員長は、バイデン氏は「アメリカの将来について前向きで勝利をもたらすビジョン、つまり全ての米国民がアメリカンドリームを公平に実現できるというビジョン」を提示したと強調した。
【アメリカ大統領選挙】ニューヨーク・タイムズ、バイデン氏に大統領選撤退要求 - 日本経済新聞
米民主有力議員、バイデン氏への支持相次ぎ表明-有権者は懸念強める - Bloomberg
米民主党の有力議員らは30日、日曜日の政治テレビ番組に相次ぎ出演し、バイデン大統領の再選を支持する考えを改めて強調した。
11月の米大統領選に向けた27日のテレビ討論会で精彩を欠くパフォーマンスに終わったバイデン氏を巡っては、同氏の指導力に対して、有権者が懐疑的な見方を強めていることが世論調査で示された。
2020年の大統領選でバイデン氏の選挙戦立て直しに貢献した重鎮のジム・クライバーン下院議員(サウスカロライナ選出)はCNNの「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、討論会でのパフォーマンスは「悪かった」と指摘。これを受けて下院議員の間で「若干の不安が広がった」と認めつつも、「バイデン氏は自身の実績」とトランプ前大統領との対比を武器に「再選を目指すべきだ」と述べた。
もっとも、有権者はバイデン氏の健康状態に疑念を募らせている。30日公表されたCBSニュースの世論調査(登録有権者対象)によると、バイデン大統領が任務を遂行する上で、精神および認知面の健康状態が十分に良好と考える有権者の割合は27%と、6月上旬の35%から落ち込んだ。
バイデン陣営の幹部も務めるクリス・クーンズ上院議員(デラウェア州選出)はABCの番組で、「コメンテーターたちの間で、悲痛な叫びや懸念、衝撃が広がっているのは理解している」と指摘。それは「率直に言って予想通りだ」と述べた。
ナンシー・ペロシ元下院議長はCNNに対し、バイデン氏にとって「悪い夜」だったと述べた上で、「そこから前に進もう。すべてはチャンスだ」と述べた。
バイデン陣営は30日、27日以降に3300万ドル(約53億円)以上の献金を集めたと発表した。そのうち2600万ドルは草の根の寄付によるものだという。陣営によると、27日はこれまでで最も草の根の献金が多く集まった日で、28日は2番目だったとしている。
●先進国中銀
ユーロ圏銀行の資本バッファー、削減ではなく引き上げを=ECB | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は28日、過去最高の銀行利益と先行き不透明感を踏まえ、ユーロ圏諸国は銀行の資本バッファーを削減すべきではなく、一部の銀行については引き上げるよう求めた。
ECBは声明で「理事会は各国当局が資本バッファー要件の引き上げを計画していることを支持する」と表明した。
一部の国では不動産が依然として過大評価され債務も高水準にあるとして、各国当局は銀行が損失を吸収するためのバッファーを維持すべきと訴えた。
ユーロ圏の銀行はECBへの預金で記録的な金利を得たことなどから利益が過去最高水準となっており、現在の資本要件を上回る資本を有していると指摘した。
「現在の銀行セクターの状況はプロシクリカルのリスクを抑制している」とし、このため「脆弱性に対処しマクロプルーデンス政策の余地を拡大するために、一部の国では利用可能な自己資本バッファーの要件をさらに引き上げることが引き続き望ましい」とした。
現在はオランダのカウンターシクリカル資本バッファーが総資産の2%と最も高い。ドイツは0.75%、フランスは1%となっている。
ECBはまた住宅ローン融資の抑制を維持することも支持した。
アングル:FRB当局者、インフレ鈍化に安堵 利下げ時期巡る議論は複雑に | ロイター
米、レーガン時代のリーダーシップの「強さ」を再び=ボウマンFRB理事 | ロイター
米消費者需要は堅調、「フロス」ではない=リッチモンド連銀総裁 | ロイター
●先進国、グローバル、金融市場
ルペン氏極右最大勢力へ、仏下院選第1回投票-中道・左派は候補調整も - Bloomberg
6月30日投開票されたフランス国民議会(下院、定数577)選の第1回投票は、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党「国民連合(RN)」が最大勢力となる見通しで、絶対多数を目指す勢いだ。マクロン大統領の与党連合は第3勢力にとどまる見込み。調査会社5社の予測結果が示した。マクロン氏や左派連合「新人民戦線」は極右政権発足を阻止する戦略を練り始めた。
5社の予想では、RNの得票率は33-34.2%、新人民戦線は28.5-29.6%、与党連合は20.3-22.4%。
エラベの調査によれば、577選挙区のうち最大320が決選投票となり、少なくとも当初は上位3候補の争いになる見通しだ。
マクロン大統領は辞任する予定はないと明言しており、大統領の地位が危うくなるわけではない。しかしこの日の選挙結果はマクロン氏がRNと共に統治しなければならない可能性が高いことを示唆する。RNは移民や年金改革、欧州連合(EU)強化といったマクロン氏の優先政策にほぼ反対している。
ルペン氏は30日夜、仏北部の自らの選挙区で支持者らに対し、RNは「マクロン氏の連合を実質的に一掃した」と主張し、「決選投票が決定的になる。フランスが必要とする改革を主導するには絶対多数が必要だ」と語った。
RNが7月7日の決選投票で絶対多数を確保できるかどうかに今後の焦点は移る。絶対多数を占めれば法案を容易に通すことができ、内閣不信任投票も乗り切れる。
シドニー時間1日早朝の取引で、ユーロはドルに対し小幅高となっている。
新人民戦線のジャンリュック・メランション氏は今回の選挙は左派と右派の戦いになりつつあると指摘。場合によっては極右打倒のため決選投票で新人民戦線の候補者を取り下げるつもりだと述べた。同様にマクロン氏の再生も、第3位で決選投票に残った自党の候補を撤退させ、「共和国の価値観」を尊重する他党候補を後押しする意向を示した。
オランド前大統領は、ルペン氏が「権力の入り口に立っている」とした上で、「極右が多数派になるのを阻止することが急務だ」と訴えた。オランド氏は新人民戦線の統一候補として国民議会に出馬した。
マクロン氏は出口調査の結果を受け、「決選投票に向けた幅広い民主・共和勢力の連合」を声明で呼び掛けた。
欧州首脳もウクライナ支援や防衛支出などEUの重要政策に多大な影響を及ぼしかねない仏国民議会選挙の結果を注視している。
ドイツのショルツ首相は先の公共放送ARDとのインタビューで、「私はフランスの選挙を懸念していると明言したい」と発言。「ルペン氏以外の政党が選挙で勝利することを願っている。だがそれはフランス国民が決めることだ」と述べていた。
米PCEコア価格指数、5月は伸び減速-年内利下げの論拠補強 - Bloomberg
米個人消費支出(PCE)コア価格指数は5月に伸びが鈍化した。年内利下げの論拠を補強する格好となった。
PCEコア価格指数の前月比は小数点第2位までを見るとわずか0.08%上昇と、2020年11月以来の低い伸びにとどまった。前年同月比の2.6%上昇は2021年3月以来の小幅な伸び。
PCEは前月比0.2%増加。インフレ調整後の実質PCEは0.3%増と、財を中心に堅調な伸びを示し、前月の減少から持ち直した。個人所得は0.5%増加した。
今回示された物価の伸び減速と堅調な支出の組み合わせは、米金融当局者に一定の安堵(あんど)感をもたらすとみられる。今週は一連の経済指標で景気の勢いが失われつつあることが示唆されていた。
コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「経済は正しい方向に向かっている。持続的な成長、インフレの鈍化、労働市場のバランス正常化を伴っている」とリポートで指摘。「これはインフレが正常に戻りつつあると米金融当局に納得させるような良好なデータだ」と記した。
同当局は今月、年内の利下げ予測を後退させていた。インフレが1-3月(第1四半期)に予想より悪化していたためだ。当局は利下げを開始する前に今回のようなデータをさらに確認したいと望むだろうが、5月のPCE統計はインフレが正しい方向に向かいつつあるという一定の期待を与えるものだ。
KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は、「財価格のデフレと弱さが見られ始めつつある。少なくとも9月利下げの可能性が出てきた」と述べた。
金融当局は住宅とエネルギーを除くサービスインフレに注目している。この指標はインフレの根強さをより強く示す傾向がある。5月は前月比0.1%上昇と、昨年10月以来の低い伸びとなった。
高い借り入れコストが経済の一部セクターに打撃を与えているものの、家計需要はこれまでのところ底堅さを維持している。インフレ調整後のサービス支出は0.1%増。航空運賃やヘルスケアが伸びた。財への支出は0.6%増。コンピューターソフトウエアや自動車がけん引した。
労働市場には一部鈍化の兆しも見られているが、堅調な賃金の伸びが引き続き個人消費の原動力となっている。賃金・給与は0.7%増。実質可処分所得は0.5%増加し、昨年1月以来の高い伸びを示した。前月は横ばいだった。
貯蓄率は3.9%に上昇し、今年1月以来の高水準となった。
米討論会を視聴したバークレイズ金利専門家、インフレへの備え促す - Bloomberg
27日夜に米大統領選討論会を視聴したバークレイズの金利ストラテジストらは、米国債市場でインフレヘッジ手段に投資すべきだと主張する。
同行ストラテジストのマイケル・ポンド、ジョナサン・ヒル両氏は、第1回討論会を受けて11月5日の大統領選でトランプ前大統領がバイデン大統領を破る可能性が一段と高まったとリポートで指摘。市場は「向こう数年、目標を上回るインフレが起きる著しいリスクを織り込むことになるはずだ」と記した。
両氏が言及したのは、5年物インフレ連動米国債(TIPS)が通常の5年物米国債をアウトパフォームすることに賭けるトレード。両者の利回り差である5年物ブレークイーブンレート(BEI、市場が織り込む平均インフレ率)が拡大するとみている。バークレイズはこの5年物BEIが、現在の約2.25%から2.5%になると予想した。
トランプ氏は特に中国からの財輸入を対象に大幅な関税を課すことや、米国内の不法移民を強制送還することを提案。大型減税の延長も表明しており、連邦財政赤字を拡大させ、米金融当局が抑制を図っている景気を一段と刺激する可能性が高い。
ミシガン大消費者マインド指数、68.2に低下-インフレ期待低下 - Bloomberg
フランス市場からトレーダーが逃避-あらゆる資産に選挙リスク - Bloomberg
欧州債務危機以降で最悪の国債下落。市場から締め出される可能性を前に資金調達を急ぐ企業。約2000億ドル(約32兆2000億円)相当の株式時価総額消失。マクロン大統領が今月上旬に解散・総選挙を決めた後、フランス金融市場はこうした混乱に見舞われた。
投資家は30日の第1回投票で、事態がさらに悪化するかどうかを知ることになる。
フランスの財政健全性には突然の選挙決定前から疑問符がついており、投資家は仏国債を空売りしていた。米国市場に代わる安定的で比較的ボラティリティーの低い市場としてのフランスの評価は傷付いた。
フランクリン・テンプルトンの欧州債券部門責任者、デービッド・ザーン氏は、フランス国債のドイツ債に対するスプレッドは「簡単に」100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を突破し得るとみている。1カ月弱前には考えられなかったことだ。28日は84bpに拡大した。
エレバ・キャピタルのシニアポートフォリオマネジャー、ステファン・デオ氏は「この市場から得られるものは何もない」と述べた。同氏は自身のファンドでフランスへのエクスポージャーを減らした。
投票を控え、トレーダーのフランス国債先物ポジションは少なくともここ1年で最大となっている。一段の利回り上昇を見込んでいる兆候だ。
株式トレーダーの欧州の主要優良株指数のプットオプション保有は過去2年で最大。為替トレーダーは、ユーロ下落から身を守るデリバティブに、過去15カ月で最速ペースで投資している。
あらゆる市場が懸念するのは、フランスの新政権が債務をさらに膨らませることだ。フランスの財政赤字はすでに欧州連合(EU)の規則で許容される範囲を超えているが、選挙で極右か左派が躍進すれば財政規律がさらに緩む可能性が高まる。
外国人投資家がフランス国債を売り最終的に同国の銀行が買いを余儀なくされれば、国債市場の痛みは銀行の痛みにつながる。その時点で問題は国境を越えて、域内の財政の弱い国の借り入れコストを押し上げる可能性がある。
アリアンツ・グローバル・インベスターズのポートフォリオマネジャーは最近、投資家の頭には欧州債務危機の記憶があると指摘。フランスからの波紋が再びユーロを脅かす可能性があると論じた。
ルペン氏が率いる極右政党は前回台頭したのは2017年の大統領選挙だが、当時はユーロ離脱の是非を問う国民投票を約束していた。同氏の姿勢はその後に和らいでいるが、同党の政策は投資家を不安にさせている。
フランスのEU離脱の可能性を示すクレジット・デフォルト・スワップの指標は、欧州議会選挙以降にほぼ倍増し、2017年以降で最高に近い。
フランス国債の弱さはイタリアにも波及し、イタリア債とドイツ債のスプレッドは2月以来の高水準に拡大している。
クレジット市場でフランス企業が借り入れのために支払うリスクプレミアムは、ユーロ圏の同業他社との比較で17年の選挙直前以来の高水準に跳ね上がった。
ユーロ圏の銀行株が下落した場合に支払いが発生するデリバティブの取引は、16年以降で最高を記録した。銀行は国債保有や経済へのエクスポージャーを通じて国の政治動向から影響を受けやすい。
ゴールドマン、ユーロを調達通貨に-お気に入りのキャリートレードで - Bloomberg
ゴールドマン・サックス・グループは、欧州中央銀行(ECB)が金利をさらに引き下げるとの予想から、インド・ルピーで運用するキャリートレードの調達通貨としてユーロを選好している。
ゴールドマンは高利回りのアジア新興市場通貨の中でルピーに対して「最も建設的」だと、アジア新興市場の外為・金利戦略責任者、ダニー・スワナプルティ氏がインタビューで語った。
ECBが6月に利下げを開始したため、ユーロは対ドルで今年3%余り下落している。政策委員会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は今年あと2回の利下げという投資家の予想は妥当だと発言した。対照的に、インド準備銀行(中銀)はインフレ抑制に注力する姿勢を示している。
6500億ドル(約104兆4000億円)の外貨準備に支えられた中銀の度重なる介入により、ルピーは世界で最も安定した通貨の一つとなっている。
「インド中銀は通貨の安定を優先する姿勢を維持し、ドルの上昇リスクを抑えドル・ルピー相場を比較的狭いレンジに保つと予想している」とスワナプルティ氏は述べた。
最近の選挙でモディ首相率いる政党への支持が予想を下回ったことで、目先のセンチメントが冷え込む可能性は低いとの見方も示し、「モディ首相の新任期においてもマクロ的な安定が維持されると予想しており、ルピーに対する建設的な見方を変えることはない」と語った。
ゴールドマンはインド債についても強気で、2年債の買いを推奨している。
米PCEデータ、金融政策が「十分に引き締め的」な証拠=SF連銀総裁 | ロイター
米利下げ観測高まる、9月に加え12月も PCE価格指数受け | ロイター
独失業者、6月は予想以上に増加 失業率6%へ上昇 | ロイター
英GDP、第1四半期は前期比+0.7% 景気後退脱却も低迷続く | ロイター
英国立統計局(ONS)が28日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)確報値は前期比0.7%増と、速報値の0.6%増から上方修正された。
緩やかな景気後退から脱却したことが確認された。
ただ、全体としては景気の低迷が続いている。第1・四半期のGDPは前年同期比では0.3%増にとどまった。速報値は0.2%増だった。
ロイターがまとめた市場予想では前期比・前年比とも速報値からの修正は予想されていなかった。
外為市場ではGDP統計への反応は見られなかった。
英経済は新型コロナウイルス禍からの回復が遅れており、第1・四半期の経済規模は2019年第4・四半期の水準を1.8%しか上回っていない。
英国は総選挙まであと1週間を切った。世論調査では野党・労働党が与党・保守党に勝利すると予想されている。
第1・四半期の1人当たりの実質家計可処分所得は、前回の総選挙が行われた19年第4・四半期の水準を0.6%下回った。
シンクタンク、レゾリューション・ファンデーションのプリンシパルエコノミスト、アダム・コーレット氏は「現議会期の所得の伸びは1950年代以降で最低だ」とし「総選挙でどの政党が勝利しようと、生活水準の大幅な後退に対処できるかが究極の評価基準となる」と述べた。
イギリス・フランスが選挙へ 市場の最悪シナリオはフランス左派の躍進 - 日本経済新聞
金融庁長官、サプライズの交代 井藤英樹氏が昇格、「資産運用立国」前面に - 日本経済新聞
金融庁は28日、金融庁の栗田照久長官が退任し、7月5日付で井藤英樹企画市場局長が昇格する人事を発表した。今回の人事は、岸田文雄首相の肝煎りの政策である「資産運用立国」の推進に主眼を置いたとみられる。
財務省財務官に三村淳国際局長、事務次官は新川浩嗣主計局長 幹部人事 - 日本経済新聞
英労働党のスターマー党首、銀行増税は計画せず-経済成長重視で - Bloomberg
英最大野党、労働党のスターマー党首は29日、同党の経済成長重視の姿勢について、英国の銀行への増税を計画していないことを意味すると述べた。スターマー党首は投票まで1週間を切った英総選挙で勝利し次期首相に就任すると見込まれており、今回の発言は金融業界に安心感を与える狙いがあるようだ。
スターマー党首は29日のブルームバーグとのインタビューで、「われわれのマニフェスト(政策綱領)には、すでに掲げた以上の増税を求めるものは何もない」と述べ、「単なる税金の問題ではないし、成長に重点を置いているからだ」と語った。
労働党政権が誕生すれば銀行や投資家が増税対象になるとの見方が浮上する中、世論調査でスナク英首相を20ポイントリードするスターマー氏はそうした懸念の沈静化を目指している。英有力シンクタンクの財政研究所(IFS)は、労働党も与党保守党も、増税せずに支出公約の財源を確保する方法に関する難しい選択を「避けている」と指摘している。
労働党はエネルギー会社に対する超過利潤税の延長やプライベート・エクイティー(PE、未公開株)投資会社のボーナスへの課税、私立学校の授業料に対する付加価値税(VAT)免除措置の廃止などをマニフェストに掲げているが、それ以外の増税は不要だとしている。
それでも、英金融街シティーの一部幹部は、労働党が銀行への超過利潤税を検討したり金融取引税のアイデアを復活させたりするのではないかと懸念していた。
労働党は多くのプロジェクトの財源を経済成長に頼るが、スターマー氏は主要7カ国(G7)で最高の持続的成長を目指す公約について、達成時期には言及しなかった。
●中東情勢
イラン大統領選、改革派と保守派の決選投票に-投票率は過去最低 - Bloomberg
イラン大統領選挙は、1回目投票で過半数を得た候補者がおらず、改革派と反欧米保守強硬派の候補が7月5日の決選投票に進むことになった。投票率は過去最低だった。
最新の集計で、改革派で心臓外科医のペゼシュキアン元保健相(69)が首位となり、強硬派で核交渉の元責任者であるジャリリ最高安全保障委員会元事務局長(58)が2位に入った。国営テレビが29日、決選投票実施の発表を伝えた。
決選投票は7月5日に行われる予定で、同月4日午前まで候補者は選挙運動できるとイラン学生通信(ISNA)が伝えた。
国営テレビによれば、有権者6140万人のうち投票したのは2450万人。同国の大統領選で過去最低の投票率となった。
主要な選挙での投票率の過去最低更新は3回連続。最高指導者ハメネイ師率いる指導部に対する不満が前例のない水準にあることを示している。
2021年の大統領選の投票率は48.8%だった。今回の選挙はヘリコプター墜落事故でライシ大統領が5月に死亡したことに伴い実施された。
1回目の投票では元テヘラン市長のガリバフ国会議長が3位に入った。
イラン大統領選挙、保守強硬派と改革派が決選投票へ - 日本経済新聞
サウジの熱波、気候変動で2.5度悪化 欧州科学者チームが指摘 | ロイター
イラン大統領選、7月5日に決選投票 改革派と保守強硬派 | ロイター
イラン内務省は29日、28日投票の大統領選で過半数を得票した候補がいなかったため、改革派のペゼシュキアン元保健相と保守強硬派のジャリリ最高安全保障委員会元事務局長による決戦投票を7月5日に行うと発表した。
大統領選はライシ大統領がヘリコプター事故で死亡したことに伴い行われた。
4人の候補者のうち唯一の改革派であるペゼシュキアン氏が得票数約1000万票で首位に立ち、ジャリリ氏が約940万票と僅差で2位となった。投票したのは約2500万人で、投票率は約40%と過去最低を付けた。
イランの元核交渉責任者であるジャリリ氏が反欧米姿勢を鮮明にしているのに対し、ペゼシュキアン氏は欧米との融和を訴えており、選挙結果が外交・内政の路線を左右する可能性をアナリストは指摘する。次期大統領は、85歳と高齢で全ての政策で最終決定権を握る最高指導者ハメネイ師の後継問題にも影響を与えそうだ。
●エマージング
ブラジル中銀、利上げは基本シナリオでない 今は指針示さず=総裁 | ロイター
インド中銀、デリバティブ取引急増に警鐘 金融の安定脅かす恐れ | ロイター
中国6月PMI、製造業は2カ月連続50割れ 非製造業の活動鈍化 | ロイター
中国国家統計局が30日発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は2カ月連続で景況拡大と縮小の分かれ目の50を下回った。非製造業PMIは5カ月ぶりの低水準を付けた。追加景気刺激策の必要性が改めて浮き彫りとなった。
製造業PMIは49.5と、5月から横ばいで、ロイター調査の市場予想とも一致した。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、徐天辰氏は国家統計局が発表するPMIは「年初から景気の主なけん引役となっている輸出の勢いを完全に反映し切れていないため、実際の産業活動はデータが示すよりも強いはずだ」と指摘。
それでもなお、外需と内需は依然、中国の製造能力に匹敵するほど強くなく、これが生産者物価の回復を妨げるだろうと予想した。
サブ指数は生産が50を上回ったが、新規受注、原材料在庫、雇用、サプライヤー納期、新規輸出受注が軒並み50を下回った。
一方、非製造業PMIは50.5と、5月の51.1から低下し、昨年12月以来の低水準を付けた。
サービス業サブ指数は50.2と、5カ月ぶりの低水準、建設業サブ指数は52.3と、昨年7月以来の低水準だった。
国泰君安国際のチーフエコノミスト、周浩氏は、弱いPMIが政府の追加支援策の必要性を明確に示しているが、人民元に売り圧力がかかっているため、当面は金融緩和の余地が限られると分析。
「財政政策が主導する可能性が高く、中央政府は当面、内需全体を押し上げるためにより多くの債券を発行する必要があるだろう」と見込んだ。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(28日)ドル小幅安、株価下落 利回り上昇 | ロイター
<為替> ドルが小幅安。5月の米個人消費支出(PCE)価格指数が前月から鈍化し、連邦準備理事会(FRB)が年内利下げに踏み切るとの観測が強まった。
取引終盤、ドルは対円で小幅上昇し、160.815円。一時、161.27円まで上昇し、約38年ぶりの高値を更新した。
ドル/円は月ベースで約1.9%、四半期ベースで約5.9%それぞれ上昇した。
他の通貨では、ユーロは0.1%高の1.0709ドル。第2・四半期、ユーロは0.7%下落している。
<債券> 国債利回りが序盤の低下から一転、上昇に転じた。米インフレ鈍化が利回りを押し下げたものの、米大統領選や間近に迫ったフランス国民議会(下院)選挙を巡る不透明感を受けた。
米商務省が28日発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.6%上昇し、前月の2.7%から鈍化した。前月比では変わらず。4月は0.3%上昇で改定されなかった。
これを受け、年内の利下げ観測が高まり、米債利回りは低下した。
ただ、11月の米大統領線に向けて27日に開催されたテレビ討論会で、バイデン大統領が精彩を欠くパフォーマンスを示したことでトランプ元大統領が勝利するとの観測が高まり、米国の長期的な財政・金融政策の方向性に対する懸念が広がった。
一方、フランス債利回りは週末30日の第1回投票を控え上昇。世論調査ではフランスの極右政党が勝利する可能性があると示唆されている。
指標10年債利回りは約5ベーシスポイント(bp)上昇の4.34%。6月は18bp低下、第2・四半期としては14bp上昇した。
2年債利回りはほぼ変わらずの4.72%。6月は17bp低下したが、第2・四半期では10bp上昇した。
<株式> 序盤の上昇から下げに転じて取引を終えた。インフレ指標を消化した後、バイデン大統領と共和党のトランプ前大統領とのテレビ討論会を受けた政治的な不透明感が重しとなった。
ナイキは1日当たりの下落幅としては約20年ぶりの大きさを記録。悲観的な見通しが嫌気された。
LSEGのフェドウオッチによると、PCE価格指数の発表を受け、9月の利下げ確率は66%に上昇。市場では引き続き年内に利下げが2回実施されると見込まれている。
<金先物> 米物価関連指標が小幅鈍化したことを好感した買いに、続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比3.00ドル(0.13%)高の1オンス=2339.60ドル。週間では0.36%高だった。
<米原油先物> 低調なガソリン需要や四半期末に伴う持ち高調整の売りに押され、3日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.2 0ドル(0.24%)安の1バレル=81.54ドル。週間では1.00%高だった。9 月物は0.19ドル安の80.64ドル。
欧州市場サマリー(28日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 下落して取引を終えた。2024年第1・四半期の英国内総生産(GDP)の発表を受けてイングランド銀行(英中央銀行)による利下げを巡る懸念が高まった。
<欧州株式市場> 4日続落して取引を終えた。今月フランスのマクロン大統領が下院の解散総選挙を発表したことを受けた政局の不透明感を背景に、週間、月間、四半期ベースのいずれも下落となった。
<ユーロ圏債券> フランス国債のリスクプレミアムが急上昇した。2012年のユーロ圏債務危機以来の高水準となり、今週末に予定されるフランス国民議会(下院)選挙の第1回投票に対する市場の不安を浮き彫りにした。
フランス10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)上昇の3.328%と、欧州連合(EU)の欧州議会選挙の結果を受けた6月11日以来の高水準を付けた。
独仏10年債利回り格差は一時85.2bpと、12年以来の大きさまで拡大。終盤の取引では81bpだった。
独伊10年債利回り格差は160bpと、2月中旬以来の水準まで拡大した。

備忘録(2024/6/27
●雑感
●決算
ウォルグリーンが決算受け時間外で19%の大幅安=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[WBA] ウォルグリーンブーツアライアンス 3Q増収黒字転換 売上高3%増363億ドル、営業益1.11億ドル、EPS0.40ドル - 株探(かぶたん)|米国株
H&M、3─5月営業利益が予想下回る 株価急落 | ロイター
米ナイキ株が大幅下落、売上高が予想下回る-需要さらに悪化 - Bloomberg
スポーツ用品メーカーの米ナイキが27日発表した3-5月(第4四半期)決算では、売上高が市場予想に届かなかった。小売り提携先との関係強化や製品開発のスピードアップに向けた取り組みが急務となっている。
3-5月期売上高は1.7%減の126億ドル(約2兆300億円)で、アナリスト予想平均を下回った。一方、グレーターチャイナ(大中華圏)の売上高は18億6000万ドルと、予想平均を上回り、1株利益も予想を超えた。 
ナイキの株価は通常取引終了後の時間外取引で一時6%安。今年に入ってから同日通常取引終値までに13%下落している。
今回の業績は、ナイキがここ数四半期に報告した軟調さが続いていることを示している。自社ウェブサイトやアプリ、店舗での売上高は8%減少し、市場予想を下回った。「コンバース」は北米と西ヨーロッパで販売が振るわず、売上高は18%減少した。
●海外企業
ノキア、光学通信機器メーカーの米インフィネラ買収を検討-関係者 - Bloomberg
●日本企業
再上場は5―7年と考えるが、厳密なガイドラインではない=JSR社長 | ロイター
住友生命、永久劣後債で1000億円調達 - 日本経済新聞
●米大統領選挙
バイデン・トランプ両氏直接対決、24年大統領選初回討論前の予習復習 - Bloomberg
2024年大統領選挙での勝利を目指すバイデン米大統領とトランプ前大統領は、いよいよ闘いの火ぶたを切る。選挙戦最初の討論会は、政治的な分裂にうんざりする国民の胸中に飛び込む機会となり得る一方で、一歩間違えれば悲惨な結果を招きかねない。
この討論は始まる前から歴史的なものとなっている。現職大統領と前大統領による討論は前例がない。しかも前大統領は主要政党の候補者として史上初めて、重罪で有罪評決を受けている。時期は従来の候補者討論よりかなり早い。過去30年間こうした討論を仕切ってきた超党派の委員会ではなく、ニュース専門局CNNが運営する。
米国の有権者は両氏の対決を冷めた目で見ている。高齢で失言が多い両氏は、そうした層の浮動票を勝ち取ると同時に支持層をてこ入れしなくれはならない。数カ月も前からお互いを公に非難してきた両氏は、国境の警備や経済、人工妊娠中絶といった問題をステージ上で口論する。
討論はいつ、どうやって見るのか
米東部時間27日の午後9時(日本時間28日午前10時)から90分間、CNNとそのウェブサイトで視聴が可能だ。ブルームバーグ・テレビジョンのほか各放送局が生中継する。司会を務めるのはCNNのジェイク・タッパー、ダナ・バッシュ両氏。
討論会の参加資格は
CNNが設定した参加条件を満たしたのはバイデン、トランプ両氏だけ。登録有権者および投票意志の高い有権者を対象とした4回に及ぶ全国世論調査で15%以上の支持率を得、合計で270人の選挙人を獲得できる州の予備選に参加していることがその条件だ。従って両氏の票を奪う可能性が指摘されている無所属候補のロバート・ケネディ・ジュニア氏は、討論に参加しない。同氏は討論と同時間に独自のイベントを開催する。
討論会のルールは
会場のスタジオには聴衆を入れない。つまり拍手もブーイングも起きない。それぞれの候補者のマイクは、話す順番が来るまで消音される。過去の討論のように、相手を遮ってしゃべり出すようなことのないように設定されたルールだ。
両氏は演壇の後ろにいなければならない。コイントスの結果、バイデン氏は右を、トランプ氏は左を選んだ。事前にメモを準備してはならないが、水とペン、紙は用意される。
討論中にコマーシャルは2回入るが、候補者はその間、チームと相談することは許されない。両氏とも開会のスピーチはない。コイントスの結果、最後の演説はトランプ氏がやることになった。
両氏が討論で得るものと失うものは
バイデン氏は総じて好評だった3月の一般教書演説のように、年齢的な懸念を払しょくする機会になる。重要州の鍵を握る若い世代や黒人有権者とつながる必要もある。
トランプ大統領にとっては、先月の有罪評決から自分を切り離すチャンスでもある。また郊外に住む女性や、経済に不満を持つ人々を取り込みたいと考えている。
年齢はどう出るか
バイデン氏(81歳)とトランプ氏(78歳)の組み合わせは、ホワイトハウスを争う主要政党候補者として最高齢であり、特に最近の不手際を考えて有権者は懸念を強めている。
バイデン氏は今年、エジプトのシシ大統領とメキシコ首脳を混同した。最近ではホワイトハウスで行われた奴隷解放記念日(ジューンティーンス)の祝賀式典で、音楽の演奏中に固まったように見えたことが話題になった。
トランプ氏は支持者集会でとりとめのない話に興じる傾向があり、しばしば政治家の名前を間違える。民主党のペロシ元下院議長と、共和党の大統領候補指名を争ったヘイリー元国連大使とを混同したまま、数分間話していたことはよく知られている。
両陣営ともソーシャルメディア上で、お互いの精神的な鋭敏さを問う動画を展開。こうした動画には虚偽的な意図を持って編集されているものもある。
トランプ氏の有罪評決はどう扱われるのか
トランプ氏は5月、不倫口止め料に関連した虚偽記載など34件の重罪で有罪評決を受けた。このほかに3件の刑事裁判を控えている。同氏は法的問題を逆手にとって支持者に寄付を募り、先月には資金調達額がバイデン氏のそれを上回った。
バイデン陣営は今月、5000万ドル(約80億円)の広告キャンペーンを開始。「人格は重要だ」というタイトルでトランプ氏の有罪評決を前面に出した。一方、バイデン氏の息子ハンター氏が銃器の不法購入・所持で有罪評決を受けたことも、討論で浮上する可能性がある。バイデン氏は息子への評決を受け入れた自分の姿勢と、司法制度を繰り返し攻撃するトランプ氏を対比させる可能性が高い。
どのような議題が出てくるか
トランプ氏はこれまで経済と国境の安全保障についてバイデン氏を繰り返し、そして効果的に非難してきた。ブルームバーグ・ニュース/モーニング・コンサルタントが実施した最新の世論調査によると、激戦州では両問題において共和党を支持する有権者が半数を超えている。イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦争においても、バイデン氏は非白人を中心に若年層の怒りを買っている。
一方のバイデン氏は中絶の権利に対する連邦政府の保護撤廃や中絶へのアクセス制限を指摘し、トランプ氏と共和党への非難を展開する可能性が高い。ピュー・リサーチ・センターの調査によれば、米国民の過半数は全てのケース、あるいはほとんどのケースにおいて中絶の権利は法的に守られるべきだと考えている。バイデン氏はまた、民主主義を脅かす存在としてトランプ氏を批判してきた。トランプ氏はこれまで、政敵を処罰する可能性をほのめかしている。
次の討論会はいつか
9月10日。テレビ局のABCが主宰する。
●先進国中銀
ECB「最後の1キロ」は達成容易、利下げ継続可能=論文 | ロイター
スウェーデン中銀、金利据え置き 年内利下げ想定3回に増加 | ロイター
●先進国、グローバル、金融市場
英家計・企業は高金利に対処、資産価格に調整リスク 英中銀報告 | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は27日公表した金融安定報告で、国内企業および家計はおおむね高金利に対処できているとの見解を示した。
一方で世界の資産価格に「急激な調整」の可能性があると指摘。投資家は取っているリスクに対し非常にわずかな見返りを求めているとした。
英中銀金融行政委員会(FPC)は四半期会合後「世界のリスク環境が複数の課題に直面しているにもかかわらず、市場は引き続き穏やかな見通しを織り込んでいる」と述べた。
リスク要因として、米国などの商業用不動産、フランスなど海外の選挙に起因するボラティリティの上昇などを挙げた。
英国の借り手は金利上昇の影響を受けにくいとの前回報告の見解を今回も踏襲した。
英中銀は、住宅ローンの約3分の1が金利が3%未満で、今から2026年末までの間に借り換えした場合、月々の平均返済額が180ポンド(28%)上昇する可能性が高いと指摘。ただ、過去10年の融資規制強化により、返済に苦しむ世帯の割合は08年の世界金融危機後を大きく下回るとの見込みを示した。
一方、賃貸住宅居住者の状況は厳しく、今年第1・四半期の家賃滞納者の割合は16.5%で前年同期の15.7%から上昇した。多くの賃貸住宅居住者や生活が苦しい世帯が貯蓄を切り崩しており、慈善団体の報告では生活必需品購入のために借金している低所得世帯が多いと述べた。
PE業界、リスク管理の改善必要 英中銀が金融安定報告公表 | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は27日、半期に1度の金融安定報告書を公表し、プライベートエクイティ(PE)セクターのリスク管理を改善する必要があると表明した。
PEセクターが借り入れコストの上昇に起因する課題に直面していることが調査で明らかになったとしている。
「企業価値評価の慣行と全体のレバレッジ水準の透明性を高めることがPEセクターの脆弱性を減らす上で寄与する」とし「銀行などPEセクターに融資する機関も含め、セクターの一部のリスク管理慣行に改善が必要だ」と述べた。
国内銀行の株価のバリュエーションが米国の銀行に見劣りしているとの与党・保守党の懸念については、国内銀行のバリュエーションはユーロ圏の銀行と同水準であり、米国の銀行との差も縮まり始めていると指摘した。
また、年内に国内大手行を対象にした「机上ベース」のストレステストを実施すると発表。銀行にデータの提出は求めず、中銀独自のモデルを利用する。今年第4・四半期に集計結果を出す。個別行の結果を出す標準的なストレステストは来年実施する予定。
銀行のカウンターシクリカル資本バッファー(CCyB)比率は2%で据え置いた。
EU当局、銀行AT1債で報告書 価値上振れを懸念 | ロイター
欧州連合(EU)の銀行監督機関は、域内銀行が危機の際に資本不足を補うため活用する高リスク債券について、価値が上振れる可能性に懸念を示した。
金融危機以降の資本増強策として銀行は、劣後債の一種である「Additional Tier 1(AT1)債」の発行を開始。偶発転換社債(CoCo債)」とも呼ばれ、発行体の資本水準が一定水準以下になった場合、株式転換や元本削減などの可能性がある。
欧州銀行監督機構(EBA)は27日、AT1債の発行法についての調査報告を公表、AT1債に関する情報をより標準化し、その価値をより正確に反映するための新たな指針を盛り込んだ。AT1債を発行する際に銀行が独自の調整を加える余地を制限することを目的としている。
EBAは、会計原則に基づき銀行のバランスシートに計上される債券の「帳簿価額」と「名目価額」の違いを指摘。健全性の観点からのTier1(CET1)以外の資本測定には、損失カバーへ利用可能な総資本の過大・過小評価を防ぐために帳簿価額を用いることが必要で、実際の損失吸収能力を反映することが不可欠とした。
AT1債を巡っては、経営危機に陥ったクレディ・スイスをUBSが救済合併するのに当たり、クレディ・スイスのAT1債の価値がゼロになったことで訴訟が起きるなど、問題が起きている。
クレディ・スイスのAT1債を巡る混乱受け、各国の規制当局は、資本バッファーとしての債券活用について変更が必要かどうか検討している。
世界LNG市場「壊れやすい均衡状態」 供給に余裕乏しく=IGU | ロイター
国際ガス連盟(IGU)は26日発表した2024年版の世界LNGリポートで、世界の液化天然ガス(LNG)市場について、過去2年間の不安定さを経て、現在は脆弱(ぜいじゃく)な均衡状態にあるとの認識を示した。余剰供給能力が短期的には乏しいことが影響している。
23年の世界のLNG取引量は、前年比2.1%(840万トン)増の4億0142万トンと、過去最高水準に達した。価格の緩やかな下落で、スポット取引による買いが増えたことに支えられた。
ただ、取引の増加ペースは22年の5.6%を下回った。リポートは、供給が限られていることが、引き続き増加ペースを抑えたと指摘した。 IGUの李雅蘭会長は「LNG市場は、価格が下落しているものの、依然として需給が引き締まった状態にある。世界市場が新たに見いだした均衡状態はなお脆弱(ぜいじゃく)で、需給の両サイドの不確実性に敏感だ」と述べた。
商業用不動産の価値40兆円が消失も-在宅勤務で空きオフィス高水準 - Bloomberg
在宅勤務の定着に伴い、2026年までに米国の全オフィススペースの4分の1近くが空室になり、商業用不動産の価値が2500億ドル(約40兆円)減少すると、ムーディーズが試算した。
ムーディーズのリポートによると、米国のオフィス空室率は26年に24%と今年1-3月(第1四半期)の19.8%から上昇すると予想される。賃貸料の下落やリース収入減などでオフィス貸主の収入は80億-100億ドル減少する見込みだという。
これは2500億ドル規模の「不動産価値破壊」につながり得ると、ムーディーズの商業用不動産予測担当アソシエートディレクター、トッド・メトカルフェ氏と、商業用不動産エコノミクス責任者、トム・ラサルビア氏がリポートとは別に分析した。
ムーディーズの試算は、企業がオフィススペースを削減したり、複数年リースから短期で柔軟性の高いコワーキングにシフトしたりする中で物件のオーナーや資金の貸し手にとって見通しが暗いことを示している。
仲介業者のジョーンズ・ラング・ラサールが行った調査では、北米の企業の85%がハイブリッドワークを導入しており、米国の主要都市のオフィスの稼働率は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の約50%にとどまっている。揺らぐ需要と借り入れコストの上昇により、特に古いビルのオフィス評価は低迷している。
ムーディーズのリポートの著者は「多くの企業にとって、リモートワークを維持する、あるいは増やすという主張は依然として説得力がある。生産性が安定していて、物理的なオフィススペースを省くことでコストを削減できるのであれば、オフィスへの出勤を義務付ける根拠は薄れる」と指摘した。
ムーディーズの分析は、在宅勤務率が最も高く米国のオフィス不動産利用の大半を占めるホワイトカラー部門(金融、情報、不動産、管理部門など)に焦点を当てた。パンデミック前から在宅勤務をしていた人についてや、2008年の金融危機以降に始まった労働者1人当たりに割り当てられるオフィススペースの減少も考慮した。
ムーディーズは複数の政府および学術データを用いて、今日のオフィスワーカーが必要とするスペースは、パンデミック前に比べて約14%減少していると判断した。
最終的には、十分な数のオフィスが取り壊されるか、倉庫や住宅などに転用されることで、空室率は横ばいになるとリポートの著者は予想。
「今後10年間は、比較的新しい労働習慣に適したフレキシブルなフロアプランにとって効率的でないスペースが市場から淘汰(とうた)されることによって、規模の適正化が進むだろう」と結論付けている。
英2大政党党首、選挙前最終回のテレビ討論-スナク首相の挽回ならず - Bloomberg
米失業保険継続受給者、2021年末以来の高水準-失業期間の長期化示唆 - Bloomberg
米労働省の27日発表によれば、失業保険の継続受給者が2021年末以来の高水準に増加した。失業者が職を見つけるまでの期間が長期化している警戒すべき兆候が示された。
新型コロナ禍からの回復期には働き手不足が広がっていたが、雇用はその後著しく減速した。失業率も5月に小幅上昇し、2年ぶりの4%となった。労働市場はこれまでのところ驚くほどに底堅いが、継続的な軟化の兆候を確認したいエコノミストや連邦準備制度理事会(FRB)当局者らは失業保険統計に注目している。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏は先週、米労働市場は「変曲点」に立っており、労働需要がさらに軟化すれば求人だけでなく雇用にも打撃を与える段階にあると分析した。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、スチュアート・ポール氏は「継続受給者数の増加は失業率に上昇圧力を加える可能性が高い。新規申請件数が2週連続で小幅減少したものの、職を見つけられない労働者が増えていることの方が重要だと考える」と述べた。
週間の失業保険申請統計は変動性が高くなる傾向があり、特に祝日や学校の休暇が関係すると振れやすくなる。より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は23万6000件に増加し、昨年9月以来の高水準。
季節調整前の新規申請件数は3570件減って約22万4400件となった。特に減少したのがミネソタとテキサス、ペンシルベニア州。ニュージャージー州では大きく増加した。
コロナ禍前の20年間、週間の新規申請件数は平均で約34万5000件、継続受給者数はおよそ290万人だった。
オフィス家具レンタル料金5月上昇 チェアとデスク最高 - 日本経済新聞
オフィス家具のレンタル料金が5月に上昇し、チェアとデスクは過去最高を更新した。オフィスの新規開設や仮移転・仮増床を進める企業からの引き合いが強い。企業は人材を引き留めるためにオフィス環境の向上を意識しており、質の高いオフィス家具の需要が高まっている。
社債発行4〜6月として過去最大 ラッシュで需給懸念も - 日本経済新聞
日本企業による社債発行が加速している。4〜6月期の発行総額は同期間として過去最大となる見込みだ。日銀の政策正常化を見据えて金利の先高観が強く、金利の低いうちに起債して資金を調達する企業が増えている。しかし、7〜9月期もこのペースで発行が続けば投資家の買い余力が落ち込み、需給が悪化するとの懸念もある。
底を突いた余剰貯蓄、米経済に忍び寄る個人消費急減速の足音 - Bloomberg
新型コロナ禍の時期に積み上がった家計の貯蓄は過去数年間、米国の消費者が物価高を乗り切る助けとなってきた。そのクッションがすり減っていることで消費の活力が失われ、経済全体に影響が及びつつある。 
家計債務の返済遅延は増加しており、企業の決算発表では消費者の慎重姿勢を指摘する声が相次いでいる。5月の米小売売上高は前月比0.1%増にとどまり、前月分は0.2%減に下方修正された。28日に発表される5月の実質個人消費支出(PCE)についてエコノミストは0.3%増を予想しているが、これはガソリン価格の下落が寄与したとみられる。前月の実質PCEは0.1%減と、予想外のマイナスとなっていた。
個人消費の粘り強さはここ数年、米経済にとって揺るぎない屋台骨となってきた。消費を支える重要な役割を担ってきたのが堅調な労働市場ともう一つ、新型コロナのパンデミック期に膨れ上がった約2兆ドル(約320兆円)の余剰貯蓄だった。
しかしサンフランシスコ連銀の調査によると、こうした余剰貯蓄は3月時点で完全に枯渇。個人消費の持続性に対する懸念が高まっている。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「パンデミック期に家計が頼れた余剰貯蓄のクッションは、もはや大部分が失われた」と指摘。「そのため、家計の勢いは基本的に現在の収入に左右され、それは必然的に労働市場の動向に応じた形になる」と述べた。
5月雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比27万2000人増加し、エコノミスト予想の全てを上回る伸びとなった。しかし雇用のペースは減速しており、失業率は上昇に転じている。
今のところは労働市場の底堅さが消費を下支えし、インフレ抑制に取り組む米金融当局に政策金利を高水準で維持する余地を与えている。エコノミストも家計のバランスシートは全体的に健全だと評価。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事ら一部の当局者は、経済の一部で圧力が増していると認めている。
コンファレンスボードのチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は「消費の減速はすべて米金融当局の計画の一部だ」と指摘。「しかし、それを実際に調整するのは難しく、個人消費が縮小しすぎるのではないかという懸念がある」と述べた。
ニューヨーク連銀の調査によれば、米国の家計債務は過去最高を更新し、クレジットカードの支払いが滞る消費者が増えている。米国勢調査局による最近の調査では、通常の家計支出を支払うのが「やや困難」または「非常に困難」との回答が全体の3分の1に上った。
小売企業の一部からは消費者の行動変化を巡る警告も発せられている。 ディスカウントストアを展開するターゲットのチーフ・グロース・オフィサー、クリスティーナ・ヘニントン氏は、同社が目先の成長見通しに慎重なのは、家計の債務水準が理由の一つだと述べている。ウォルマートのジョン・デービッド・レイニー最高財務責任者(CFO)は、買い物客は必需品への支出を増やしているが雑貨の購入は減らしていると語った。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、ティム・クインラン氏は「消費者は支出を続けているかもしれないが、それが負担になっている」と指摘。同氏が商務省のデータを分析したところ、米消費者の可処分所得に占める住宅ローン以外の利息支払い額(クレジットカードや自動車ローンなど)の割合は4月に2.4%となり、2008年以来の高水準となった。
クインラン氏は、2024年後半には個人消費の伸びが鈍化すると予想している。
ただサンフランシスコ連銀の研究員も認めているように、コロナ禍に積み上がった貯蓄がどれほど残っているか、それが支出にどんな影響を与えるかについては、計算方法が多岐にわたるため不確実性を伴う。
実際、過去数年の住宅価格上昇や株価の記録的上昇を背景に資産が大幅に増えた人もいる。こうした富を増やした家計による支出継続が、個人消費全体を押し上げる可能性はある。
ECBが介入ならドイツは反対も、選挙に伴う仏債急落のシナリオ - Bloomberg
ドイツのリントナー財務相は、フランスの選挙が同国債の危険な売り浴びせを招いたとしても、欧州中央銀行(ECB)が介入するのは違法となる可能性があるとの見方を示した。
リントナー氏は27日、ミュンヘンで開かれたIfo経済研究所主催のイベントに出席。こうしたシナリオについて質問され、「ECBによる強力な介入は経済的、憲法的にも疑問視されるだろう」と答えた。
同氏が言及しているのは、ECBの危機対応措置「トランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI)」のツールで、「これまでは発表文としてのみ存在していた」と語った。
ツールを利用すれば「それが全ての条約規則に従っているかどうか、ドイツ財務相としての見極めが試されることにもなる」と語り、「私はそれも望まない」と続けた。
フランスのマクロン大統領が9日に選挙実施を表明してから投資家の間で動揺が広がり、ドイツ債に対するフランス債の上乗せ利回りは27日に再び拡大した。30日の第1回投票日を前に投資家は引き続き神経をとがらせている。
フランス10年債と同年限ドイツ債のスプレッドは83ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、2012年以来の高水準となった。
ECBは2022年、金融引き締めが市場の混乱を招くとの懸念から利上げの開始直前にTPIを導入した。
マクロン氏か極右か、重大な岐路に立つフランス選挙を解説-QuickTake - Bloomberg
フランスでは、30日に国民議会(下院、定数577)選挙の第1回投票が行われる。極右政党・国民連合(RN)が最も多くの票を集める見通しで、その結果はマクロン大統領のリベラルで企業寄りの改革だけでなく広範囲に影響を及ぼす。マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いるRNの台頭は、フランス独特の政治制度に試練を与えている。
選挙制度はどうなっているのか
フランスでは、大統領と下院議員は別々の選挙で選ばれる。今回の選挙は下院議員を選ぶ方で、議員の任期は5年だ。
第1回投票で当選が決まるのは、選挙区の投票率が25%以上、かつ50%を超える票を得た候補だけだ。そうでない場合、下位候補を脱落させ上位候補だけで7月7日の決選投票を争う。この設定は最終的にどの政党が勝利し、議会過半数を確保できる政党があるのか予測を難しくする。
決選投票の後で、マクロン大統領は議会多数派の意向を踏まえて首相を指名しようとするだろう。だが、単独過半数となる政党がなければ、連立工作が必要になる。首相は必ずしも過半数を支配している必要はないが、不信任投票で辞任に追い込まれる事態を回避するため十分な支持を得ていなければならない。
下院選の結果にかかわらず、マクロン氏は大統領にとどまる見通しだが、2期目の任期は2027年に切れる。3選は禁止されているため、次の大統領選には出馬できない。   
下院選では誰が争っているのか 
再生(RE)とその協力政党:マクロン氏は初めて大統領選に立候補した2016年に、自らの中道政党を立ち上げた。以前の中道左派・社会党や中道右派のドゴール主義各党から政治家を引き抜き、経済活性化や失業者減少を掲げるテクノクラート型政府を率いさせた。この取り組みはまだ続いている
国民連合(RN):極右の民族主義政党で、かつての名前は「国民戦線(FN)」だった。人種差別的・反ユダヤ的発言で有名だった父のジャンマリー氏から2011年に引き継いで以来、ルペン氏は党のイメージを改善し、有権者に受け入れられるよう脱皮を図ってきた。ルペン氏は党の反移民姿勢をほぼ維持しているが、欧州連合(EU)離脱の主張は引っ込めた。党内の規律を強め、党員らの言葉遣いや服装も次期政権を狙う政党らしくなってきた。世論調査によると、今回の選挙でRNは最も多くの票を集めそうで、そうなれば過去最高の結果となる
新人民戦線:左派政党の連合で、マクロン大統領が推進した64歳への定年引き上げを覆し、逆に60歳への引き下げを主張する。最低賃金の引き上げや富裕税復活も掲げる。政権を握る場合に実際にこれら全てを実行するかどうかは、誰が首相に就くかに左右される部分もある。連合内には急進左派で過激なジャンリュック・メランション氏もいれば、オランド前大統領ら伝統的な社会民主主義者らもいる
共和党:ドゴール元大統領が設立し、ポンピドー、シラク両元大統領らを生んだ伝統的中道右派の流れをくむが、今は混乱のさなかにある。シオッティ党首は党内の反対を押し切ってRNとの連携を呼びかけたが、党指導部は同氏を除名。それでも同氏は党首にとどまり続けると主張している。世論調査で共和党は他の主要3党から大きく水をあけられているが、どの政党も過半数を確保できなければ、決定的な役割を果たす可能性がある
RNが政権を取る可能性はあるのか
もしそうなれば、第2次大戦後のフランスで極右政党の内閣が誕生するのは初めてとなる。1958年にドゴール氏が発足させた第5共和制は、過激主義者を政治の片隅へと追いやった。国政選挙で中道の枠からはみ出るような候補が第1回投票で好成績を残すと、決選投票での当選を阻止すべく穏健派で最も有力な対抗候補に力を結集する「共和国戦線」がたいてい結成されてきたからだ。2002年の大統領選では、ジャンマリー・ルペン氏が第1回投票で社会党のジョスパン首相(当時)を上回り、現職のシラク氏に迫ったが、決選投票では社会党支持者が中道右派のシラク氏支持に回り、ジャンマリー氏の当選はかなわなかった。
だが、こうした共和国戦線はここ数年に大きく力を失った。主流の有権者に訴えかけるルペン氏の取り組みが奏功し、22年の下院選では議席数を8から88へと伸ばし、大躍進を遂げた。それ以来、RNの支持率上昇は続いている。世論調査によると、今回の選挙で単独過半数には依然届かないものの、第1党になるとみられている。
RN勝利なら何が起きるか
RNが議会過半数を確保する場合には、全ては前例に従って進むだろう。マクロン氏はRNが首相候補に指名しているバルデラ党首に組閣を要請する。議会の最大勢力と大統領の政治姿勢が異なり、大統領が反対勢力から首相を指名せざるを得なかったことは1986、93、97の各年にもあり、「保革共存政権(コアビタシオン)」と呼ばれた。概して大統領が一歩退いてほぼ外交政策に専念するようになり、政府が内政問題を管理する。ただし、両者の政策が全く異なる場合、それほど簡単ではない。
どういうことか
RNとマクロン氏は、外交政策を含む根本的な問題で深刻な隔たりがある(コアビタシオンの際に誰が外交問題を管理するのか、憲法は明確にしていない。明らかなのは、大統領は軍の最高司令官であることなど数少ない事項に限られる)。マクロン氏は熱烈なEU支持者だが、ルペン氏の政策が変化したとはいえRNには強いEU懐疑派の流れがある。マクロン氏は強力なウクライナ支援の姿勢を打ち出しているが、RNはより控えめで、バルデラ氏は選挙運動中にウクライナの国防権は支持するが、長距離ミサイルの提供には反対すると述べていた。
RNが議会第1党となる場合、マクロン氏が代替案を見いだせる可能性は
単独過半数、すなわち289議席以上をRNが獲得できなければ、可能性は恐らくあるだろう。RNは既に、過半数に届かなければ首相は出さないと明言している。形式的には、首相に誰を指名しようが大統領の自由だ。だが、首相は不信任案が提出された場合に、それを乗り切らなければならない。RNが第1党を確保しても過半数に達しなければ、他党との連立を模索する可能性が生じる。マクロン氏にとって問題は、左であれ右であれ極端な主張をする候補を選ばないよう有権者に訴えてきたことだ。これは左派連合を構成する政党の党首で、マクロン氏の改革の多くを撤回すると約束しているメランション氏らとの協力を難しくするだろう。
極右の首相を指名しつつ、その計画をマクロン氏が骨抜きにする可能性は
制度上、大統領は政府を妨害する一定の余地を与えられている。法案の承認を遅らせたり、年に1回議会を解散させたりすることすらできる。だが、そうしたからと言って結果に少しでも違いが生まれるかは明らかでない。そのような手に出るなら、権力の中心は決定的に首相に移るだろう。別の可能性は、マクロン氏がRNとある種の取引を結び、RNの政策を和らげてマクロン氏の右派寄り閣僚の数人を新政権に送り込もうとすることだ。RNと手を組んだとして汚名を着せられるリスクを踏まえれば、そのような結果もマクロン氏には受け入れがたいかもしれない。
米、債務増を抑制する必要 堅調な経済成長でも=IMF | ロイター
国際通貨基金(IMF)は27日、世界最大の経済大国である米国の「力強くダイナミックな」経済成長とインフレ抑制に向けた進展を評価した上で、債務水準の上昇を抑制するために増税を求めた。
米経済政策に対する審査(4条協議)の最終声明で、巨額の財政赤字と債務は「米国および世界経済に対するリスクを増大させ、財政上の資金調達コストの上昇や、満期を迎える債券の円滑な再投資に対するリスク増大につながる可能性がある」とした。
声明によると、米国の国内総生産(GDP)成長率予想は2024年で2.6%と、4月に発表した世界経済見通しの2.7%から若干下方修正した。
IMFのゲオルギエワ専務理事は、米国のインフレ率について、パンデミック(世界的大流行)後の個人消費ブームが沈静化しつつある可能性があるため、米インフレ率は連邦準備理事会(FRB)が予想している26年よりも早い25年にFRB目標の2%に回帰するとの見方を示した。
オピオイド訴訟の和解案認めず 米連邦最高裁 - 日本経済新聞
米連邦最高裁は27日、医療用麻薬「オピオイド」入り鎮痛剤の中毒問題を巡って集団訴訟を抱える米製薬会社パーデュー・ファーマの再建計画を認めない判断を下した。同社が被害者に巨額の和解金を支払うのと引き換えに、創業者一族の民事責任を免除する内容について違法とした。
判決は、連邦破産法は破産裁判所に第三者である創業者一族の民事責任を免除する権限を与えていないとした。保守派判事は4人が判決を支持し、2人が反対した。リベラル派は1人が支持、2人が反対した。
保守派のカバノー判事は反対意見で「今日の判決は法的に誤りであり、10万人を超えるオピオイド被害者と家族にとって悲惨なものだ」と厳しく批判した。判決により、和解交渉は振り出しに戻るとみられる。
パーデューはオピオイド鎮痛剤の発売当初、中毒の危険性を偽って積極的な販促拡大を進めたとして自治体などから多数の訴訟を起こされ、2019年に経営破綻した。
破産・再建計画は、創業家サックラー一族が自治体などによるオピオイド中毒対策や被害者の救済に約60億ドル(約9600億円)を拠出する代わりに、一族を民事訴訟から保護する内容だった。連邦破産裁判所が21年に計画を承認した。司法省が無効化を求めて最高裁に上訴した。
司法省側は、再建計画を認めれば「裕福な企業や個人が大規模不法行為(多くの人に影響を与える不法行為)の責任追及を避けるために破産システムを乱用する道筋を開く」と主張した。被害者側の大半は再建計画を支持していた。
米疾病対策センター(CDC)によると、1999年から2021年までに約64万5000人がオピオイドの過剰摂取で死亡している。
●中東情勢
イラン大統領選挙、保守一本化浮上 改革派猛追に危機感 - 日本経済新聞
●エマージング
中国共産党、「3中全会」を7月15─18日に開催=新華社 | ロイター
インドネシアのデータセンターにサイバー攻撃、44政府機関に影響 | ロイター
メキシコ中銀、金利据え置き 将来的な利下げ余地示唆 | ロイター
メキシコ中央銀行は27日の会合で政策金利を11.0%に据え置くと決定した。据え置きは予想通り。ただ、インフレの緩和で将来的に利下げ余地が生まれる可能性を示唆した。
メキシコ中銀は3月に0.25%ポイントの利下げを決定して以降、金利を据え置いている。今回の会合で政策委員5人のうちロドリゲス総裁を含む4人が据え置きを主張した一方、メヒア副総裁が10.75%への利下げを主張し、決定は全会一致ではなかった。
中銀は声明で、ディスインフレは続くとの見方を示した上で「物価を巡る環境により、政策金利の調整を議論できる可能性がある」とした。
メキシコペソは6月2日投開票の総選挙、大統領選挙以来急落しており、インフレへの影響が懸念されている。中銀はこうした懸念について「メキシコペソ相場の下落はインフレ見通しの押し上げにつながるが、経済活動の一段の弱体化に伴う影響で部分的に相殺される」とした。
中銀は第4・四半期の総合インフレ率の平均予想を5月時点の予想と同じ4.0%に据え置いた。コアインフレ率については3.9%と、3.8%から若干上方修正した。
また、総合インフレ率は来年第4・四半期に目標水準(3%の上下1%ポイント)に収束するとの予想を維持した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
国際協力銀行の林総裁「ガスのプロジェクトに投融資」 - 日本経済新聞
国際協力銀行(JBIC)の林信光総裁は27日の記者会見で、アジアなどを念頭に再生可能エネルギーへの移行期の燃料として「ガス田開発やガス火力発電所のプロジェクトに引き続き投融資していく」と述べた。ただし「(国際合意の)条件に整合しているかどうかを一件一件確認する」とし、各国の脱炭素計画やプロジェクトの位置づけに応じて判断する姿勢を示した。
豪州野党、原発計画を公表 再エネ投資に逆風も - 日本経済新聞
オーストラリアで野党連合が原子力発電所の導入論を推し進めている。再生可能エネルギーの普及を重視する労働党政権の政策を批判し、原発のコスト優位性を主張。再生エネの開発事業者や投資家からは政策リスクを警戒し、懸念の声が広がっている。
●小ネタ
三越銀座、金魚5000匹で涼演出 アクアリウムに大型水槽 - 日本経済新聞
楽天モバイル、プラチナバンド開始 通信品質を改善へ - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(27日)ドル弱含み、利回り低下 株小動き インフレ指標待ち | ロイター
<為替> ドルが大半の通貨に対して下落した。米経済指標の軟化を受け、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げを開始するとの観測が高まった。
円相場は米経済指標を受け、前日付けた38年ぶりの安値から上昇に転じたもの、政府・日銀による円買い・ドル売り介入への警戒感は依然根強い。
<債券> 経済指標で経済活動が緩やかながらも継続的に減速していることが示され、国債利回りがやや低下した。
商務省が発表した第1・四半期の実質GDP確報値は年率換算で前期比1.4%増。改定値の1.3%増から若干上方改定されたものの、第4・四半期の3.4%増から急激に鈍化したことが確認された
国債利回りは低下。指標10年債利回りは終盤の取引で3ベーシスポイント(bp)低下の4.288%。2年債利回りも約3bp低下の4.716%。
<株式> ほぼ変わらず。投資家は28日発表の米個人消費支出(PCE)価格指数を注視している。ただ、朝方発表された指標が米経済活動の継続的な減速を示したことを受け利下げ期待が高まり、ナスダック総合は小幅上昇して取引を終えた。
<金先物> 前日まで続落した後を受けた買い戻しの動きが先行し、3日ぶりに反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比23.40ドル(1.01%)高の1オンス=2336.60ドル。
<米原油先物> 地政学的リスクの高まりを背景にした供給不安から買いが優勢となり、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物は前日清算値(終値に相当)比0.84ドル(1.04%)高の1バレル=81.74ドルだった。9月物は0.64ドル高の80.83ド ル。
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。米国の個人消費支出(PCE)、英国の国内総生産(GDP)の発表を28日に控える中、FTSE100種指数は3日連続で下落した。
<欧州株式市場> 3日続落して取引を終えた。28日に米国の個人消費支出(PCE)や欧州の複数国で物価指標が発表されるほか、30日にはフランス下院選挙の第1回投票を控えており、投資家に慎重姿勢が目立った。
フランスの高級ブランド、ケリングは4.7%上昇。バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチが投資判断を「アンダーパフォーム」から「買い」に引き上げたことが好感された。 
<ユーロ圏債券> ドイツ国債利回りが一時2週間ぶりの高水準を付けた。フランス国債のリスクプレミアムは一時、2週間前に記録した7年ぶりの高水準に迫った。
終盤の取引でドイツ10年債利回りは2.442%。一時は2.482%と、6月13日以来の高水準を付けた。
フランス10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)上昇。取引序盤には3.278%と6月11日以来の高水準を付けた。
独仏10年債利回り格差は一時、6月14日に記録した82bpに迫った。


備忘録(2024/6/26
●雑感
●決算
[GIS] ゼネラルミルズ 2024年5月通期は減収 売上高1%減198億ドル、営業益横ばい34.…
米マイクロン黒字転換 3〜5月期、AI向け半導体が拡大
2024年3〜5月期決算は、売上高が前年同期比82%増の68億1100万ドル(約1兆1000億円)、最終損益は3億3200万ドルの黒字(前年同期は18億9600万ドルの赤字)だった。人工知能(AI)向けの半導体の需要拡大が業績改善に寄与した。
最終損益は事前の市場予想を下回った。マイクロンは同日、24年6〜8月期の売上高が76億ドル前後になるという市場予想並みの見通しを示した。業績拡大が市場の想定内だったのを受け、株価は26日の時間外取引で同日の終値から一時約8%下落した。
マイクロンは「広帯域メモリー(HBM)」と呼ぶ半導体を手がける。HBMは米エヌビディアがシェアの大半を握るデータセンター向けのAI半導体に使われている。生成AIでAI半導体の需要が急拡大する中、マイクロンは関連銘柄として期待が高まっている。
マイクロンのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は26日の決算説明会で「当社は数年間にわたるAIの成長機会によって最も恩恵を受ける半導体企業の1社だ」と述べた。HBMで韓国SKハイニックスや韓国サムスン電子が先行する中、市場開拓に意欲を示した。
米ジェフリーズ、3-5月業績が予想超え M&A活発化などで
第2・四半期(3―5月)決算は、総収入と純利益のいずれも市場予想を超えた。
総収入は前年同期比60%増の16億6000万ドルで、LSEGのデータに基づくアナリスト予想は15億9000万ドル。資本市場事業収入が24%増加したほか、M&Aの助言業務や証券引き受け業務が好調だったため、投資銀行事業収入も59%増えた。
普通株主帰属の純利益は1億4570万ドルと12倍近く増加。1株当たりは0.64ドルとアナリスト予想の0.63ドルを上回った。
今年は米経済のソフトランディング期待を背景に、大型のM&Aが急増しているほか、この資金調達に関連した起債の動きも広がっている。株式売り出しについても、市場の堅調地合いに伴って買い手の意欲が強い。
●海外企業
米家電ワールプールの株価急伸、ボッシュが買収検討との報道 - Bloomberg
米家電メーカーのワールプールの株価が26日、通常取引開始前の時間外で一時16%高と急伸。ロイター通信は、同社の買収を独ロバート・ボッシュが検討していると伝えた。
ロイターが事情に詳しい関係者3人を引用して報じたところによると、ボッシュは買収提案の可能性についてアドバイザー候補と協議している。実際に買収提案が行われるかどうかは現時点で定かではないという。
ワールプールの株価は大型家電製品の販売低迷で圧迫されており、年初来では29%安(25日終値時点)となっている。時価総額は約48億ドル(約7700億円)。
ロイターによると、ボッシュは市場の観測についてはコメントを控えるとしており、ワールプールからのコメントは得られていない。
サウスウエスト航空が下落 第2四半期のRASMの見通し下方修正=米国株個別 - 株探(かぶたん)|…
サウスウエスト航空<LUV>が下落。取引開始前に4-6月期(第2四半期)のガイダンスを公表し、有効座席マイル当たり旅客収入(RASM)の見通しを下方修正した。RASMを前年比4.0―4.5%減と見込んでいる。従来は1.5―3.5%減。
これについて同社は、ダイナミックな環境下における現在の予約パターンに収益管理を適応させるための複雑さが原因だと述べている。第2四半期の売上高については引き続き、四半期ベースで過去最高を更新する見込み。
ワールプールが大幅高 ボッシュが買収検討と伝わる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
家電メーカーのワールプール<WHR>が大幅高。独ロバート・ボッシュが同社の買収を検討していると伝わった。ロイター通信が関係者の話として伝えた。ボッシュは買収提案の可能性についてアドバイザー候補と協議しているという。
【企業概要】
 Whirlpool・KitchenAid・Maytag・JennAirなどを含むブランドを通じて、小型・大型家庭用電化製品・業務用電化製品を製造・販売する。主な製品は、冷蔵庫・食洗器・調理家電などで、スマートホームアシスタントによる音声制御・食品認識など、コネクテッド製品にも注力する。
ノルウェー年金、キャタピラー投資撤退 イスラエルへの重機売却で | ロイター
ノルウェー最大の年金基金KLPは26日、米キャタピラー(CAT.N), opens new tabからの投資撤退を決定したと明らかにした。同社がイスラエルに売却した重機がパレスチナ自治区ガザの紛争などでパレスチナ人の家屋やインフラを破壊するのに使われるリスクがあることを理由に挙げた。
ブルドーザーなどの重機を製造するキャタピラーが、ガザやヨルダン川西岸で人権侵害や国際法違反に加担している可能性があるとし、ポートフォリオからの除外を決めた。
6月17日に同社株売却を決定する前、KLPは7億2800万ノルウェークローナ(6900万ドル)相当のキャタピラー株を保有していた。
数カ月にわたりキャタピラーと対話を行ってきたものの、キャタピラーが個人の権利を侵害するリスクを低減できるという保証が得られなかったとKLPは説明した。    
マクドナルド、代替肉バーガーの試験販売は成功せず-米2都市で実施
FRB、大手31行全てが今年のストレステスト通過-株主還元に道開く
米大手銀行は米連邦準備制度理事会(FRB)による今年のストレステスト(健全性審査)を通過し、株主還元を増やす上での道が開けた。金融業界は別途、銀行の資本規制強化に関し、大幅に緩和された修正案を待っている。
FRBは26日の発表文で、いずれの大手金融機関も仮定に基づくリセッション(景気後退)を通じ最小限の資本要件を上回ったと指摘した。今年のストレステストは資産規模が1000億ドル(約16兆円)以上の31行を対象とした。
ストレステストは2008年の金融危機を教訓として実施されるようになったもので、今回は対象の銀行グループが全体で約6850億ドルの損失を被るとし、昨年のシナリオよりも大幅な資本の落ち込みを想定したが、「最近のストレステストのレンジ内」だとFRBはコメントした。
こうした仮定の下で、最も質の高い規制目的上の自己資本と見なされる普通株等ティア1(CET1)比率はグループ全体で9.9%にまで落ち込むものの、最小要件の4.5%を大きく上回ったとしている。
FRBのバー副議長(銀行監督担当)は発表文で、「当局のストレステストの目的は、ストレスが高まったシナリオで銀行が損失吸収のための十分な資本を保有するよう確実にすることだ」とし、「このテストは各行についてそれを示すものだ」と論評した。
今年の「最悪」シナリオには、米失業率が10%に達し、株価が55%下げ、商業用不動産価格が40%下落することなどが含まれた。昨年の場合と同様、大規模なトレード事業を持つ小集団についてはさらに、株価下落や短期米国債金利の急上昇、ドル安など「グローバル市場ショック」要素が加味された。
FRBは大手銀行のヘッジファンドへのエクスポージャーに絡んだ潜在的リスクにも言及した。
対象行全てがストレステストを通過したものの、結果にはばらつきがある。最大手のJPモルガン・チェースはCET1比率が年末時点の15%から12.5%に低下するとされた一方、ウェルズ・ファーゴは8.1%(年末時点は11.4%)と最も低い水準に落ち込む結果が示された。
他社よりもCET1比率が低い水準に低下するとされたウェルズ・ファーゴやゴールドマン・サックス・グループなど、一部金融機関の株価は通常取引終了後の時間外取引で下げた。
米銀、クレカ債権などで損失110兆円も FRB試算
米連邦準備理事会(FRB)は26日、米銀を対象にしたストレステスト(健全性審査)の結果を公表した。米経済が不況に陥った場合、クレジットカード債権や不動産融資の焦げ付きで最大6850億ドル(約110兆円)の損失が生じる可能性がある。FRBはこうした状況に陥っても、大手銀が十分な資本を有しているとみる。
●日本企業
キオクシア、近く東証へ予備申請 10月末上場の方針固める=関係者 | ロイター
千代化建、24年3月期は当期損失158億円 米LNGで引当金 | ロイター
アドテストCEO、AIブームは検査装置の需要拡大を意味すると期待 - Bloomberg
●米大統領選挙
アングル:「4年前より生活は良くなったか」、27日TV討論会で焦点に 米大統領選
4年前に比べ、生活は良くなったか─。レーガン前米大統領が1980年の米大統領選で国民に投げかけた質問だ。11月の大統領選での勝利をかけ、バイデン大統領と共和党のトランプ前大統領が対決する27日の第1回テレビ討論会でも焦点となることが予想される。
コロナ禍に伴い、食料品を中心に物価は急騰し、米消費者の家計は圧迫された。しかし今年5月時点の消費者物価指数(CPI)の伸びは3.3%まで鈍化。失業率もパンデミック(世界的な大流行)中を除き、トランプ・バイデン両政権の大半を通じ4%を下回る水準にとどまっている。
アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートの常駐研究員マイケル・ストレイン氏は「典型的な世帯の典型的な労働者の暮らしは2020年2月の方が今よりも良かったのではないか。全ての問題はインフレだ」とし、賃金の伸びは緩慢で、物価上昇ペースに完全に追いついていないと述べた。
また、経済面でバイデン、トランプ両氏の政策を比較すると、 「広く考えられているよりも、重複部分が多い」と述べた。「いずれも財政的に責任ある政策ではない」とし、「トランプ氏は国内製造業に特別な注意を向け、関税を通じそれを実現した。バイデン氏は関税と補助金を通じてそれを実現することを選んだ」と述べた。
KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「経済全体が以前より良くなっていることに疑いの余地はない」としつつも、長期的な視点に目を向けるべきと強調。「われわれはより不安定な世界に生きている。全ての不安定さに加え、戦争や悲惨な状況を踏まえると、振り返ってみた時に世界が良い状況になっているとは言いがたいだろう」と述べた。
エコノミック・イノベーション・グループのチーフエコノミスト、アダム・オジメク氏は「景気後退を回避できれば、われわれは実に良い状況にあると思う。労働市場がこれほど逼迫したのも久しぶりだ」と指摘。同時に「ここに達するまでかなり困難な道のりだった。物価が大幅に上昇したことに人々は憤慨している」とし、インフレは落ち着きつつあるものの、高金利は「住宅市場に多大な痛みをもたらしている」と述べた。
大統領選に無所属で出馬する「第3の候補」ロバート・ケネディ・ジュニア氏を支持する中小企業経営のアンナ・マトソン氏は、物価急騰による可処分所得の圧迫や住宅ローン金利上昇に言及し、「確実に、以前より悪い状況になっている。4年前は夫婦共働きでオーガニック食品を購入したり、旅行に行くお金があったが、全ての物価が急騰したため、節約しなければならない」と述べた。
米配車ウーバー・テクノロジーズの運転手エディ・ローマン氏は「状況はさほど変わっていない。(トランプ氏もバイデン氏)いずれもも、私にとっては何の役にも立たなかった」という見方を示した。ただ、自身にとり重要なガソリン価格はトランプ政権下では下落していたと述べた
●先進国中銀
豪中銀、追加引き締め排除せず インフレ上振れリスク警戒 | ロイター
オーストラリア準備銀行(中央銀行)のケント総裁補は26日、金融政策は制限的で、現行の政策金利が多くの家計に経済的負担をもたらしていることを認識しているが、インフレ抑制に必要なら追加引き締めも排除しないと述べた。
ケント氏は銀行業界向けの講演で、現行4.35%の政策金利が需要の伸び鈍化とインフレ率低下につながっていると述べた。
「金利上昇により、多くの人が家計への圧迫を感じていることは認識している」と述べ、住宅ローンの支払いが可処分所得の10%を占める水準にまでに増加していることに言及した。
金利は中立金利(景気を熱しも冷ましもしない水準)の推計値を明らかに上回っていると述べた。
中銀は18日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。据え置きは5会合連続。インフレの上振れリスクを踏まえ利上げの是非を議論。最終的には据え置きを決定し、利上げへのハードルが依然高いことが示された
ケント氏は緩和を急ぐ必要はないとし、「足元の経済指標はまちまちだが、インフレの上振れリスクを警戒する必要性が高まっている」と指摘。「そのため金利動向に関して中銀は何も決定していない」と述べた。
ECB、インフレ圧力緩和なら追加利下げへ=レーン専務理事 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるレーン専務理事は26日、物価上昇圧力が現在の予想通り緩和すれば利下げを続けるが、好ましくないサプライズが発生した場合には緩和ペースは鈍化するかもしれないと語った。
フィンランドの民間放送局MTVとのインタビューで「このベースラインが維持されれば、確かにさらなる利下げが行われるだろう」と指摘。「ただ、世界の不確実性を考慮すると、インフレ面で新たなサプライズがあれば、利下げのスピードは鈍化する」とした。
フィンランド中銀の会合では、一連の利上げにより銀行貸出への影響は以前の引き締めサイクルよりも強くなっていると言及。「金融政策の伝達は全体的に堅調で、どちらかといえば以前のサイクルよりも強くなっている」と述べた。
ECB利下げ、今年あと2回との期待「妥当」-フィンランド中銀総裁 - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
急速な円安進行「深刻な懸念」と神田財務官、必要に応じ対処と強調 | ロイター
神田真人財務官は26日、足元の為替相場について「最近の急速な円安の進行に関しては深刻な懸念を有しており、高い警戒感をもって市場の動向を注視している」と語った。同日夜、財務省内で報道陣の取材に応じた。行き過ぎた動きには「必要な対応を取っていく」と強調した。
このところ150円台後半で推移していたドル/円は、この日夕方に2カ月ぶりに160円台へ上昇。その後も上げ幅を広げ、財務官の発言後に160.63円まで上値を伸ばした。約38年ぶりの水準で、市場では政府・日銀による為替介入への警戒が一段と強まっている。
神田財務官は記者団に、「特定の相場水準を対象には考えておらず、あくまで投機などによる急激な変動、あるいは無秩序な動きに対して対応する方針に変わりない」と語った。
どう対処するかは「平時でもいつでも急激な変動に対応できるよう準備している。ずっと準備している」と説明。「変動の幅やスピードやファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)とどう乖離(かいり)しているか、その背景に何があるのかということを総合的に勘案して必要な場合にはしっかりした対応を取るということに変わりない」と述べた。
最近の動きについて「方向としては必ずしも円安をジャスティファイ(正当化)するものではない。投機によるものであるというのが多くの人の見方」との認識も示し、「足元の動きは急激であるというふうに思っている」と語った。
ドル/円が前回160円台に乗せた4月29日は、直後に154.4円まで急落し、介入観測が広がった。
債務危機のリスク後退、潮目に変化 パリクラブが報告書 | ロイター
パリクラブ(債権国会議)は26日、4年前から世界経済に影を落としている債務危機のリスクが後退し始めているとの年次報告書を公表した。
新型コロナウイルスが流行した2020年以降は、ザンビアやスリランカなどが相次いでデフォルト(債務不履行)に陥った。その後もロシアのウクライナ侵攻と世界的な金利上昇が多くの途上国の財政を圧迫する要因となった。
現在もウクライナの債務再編交渉が難航し、ケニアでは財政健全化に向けた増税に反対する抗議活動で死者が出たが、パリクラブは潮目が変わりつつあると指摘。「再び大規模な債務危機が発生するという懸念は徐々に後退している」との見解を示した。
パリクラブはこうした楽観的な見方の根拠として、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国が今年ユーロボンド市場に復帰したこと、低所得国の債務水準が安定していること、世界の金利がピークに達した可能性があることを挙げた。
ただ「多くの債務国では多額の対外債務の返済期限が迫っており、財政余地も限られている。大規模な投資のニーズもあり、引き続き警戒が必要だ」とも指摘した。
一方、格付け会社S&Pグローバル・レーティングはアフリカ諸国のユーロボンド発行に懸念を表明。世界全体で11兆5000億ドル近い「懸念すべき水準」の国債が発行されるとの見通しを示した。
独消費者信頼感指数、7月は予想外に低下 所得と景気の見通し悪化 | ロイター
NIMの消費者アナリスト、ロルフ・ビュルクル氏は「消費者心理の最近の上昇トレンドの中断は、消費低迷からの脱却が困難であり、常に後退する可能性があることを示している」と述べた。
所得と景気先行きに対する期待を示す指数は低下し、購買意欲を示す指数は低水準にとどまった。既に高水準にある貯蓄意欲を示す指数は、小幅上昇した。
ビュルクル氏は「ドイツの5月インフレ率がわずかに上昇したことで、消費者の間に再び不確実性が高まっていることは明らかだ。そうした状況は貯蓄意欲の高まりにも反映されている」と述べた。
米新築一戸建て住宅販売、11月以来の低水準-価格・金利高止まりで - Bloomberg
円は対ドルで下げ拡大、神田財務官の発言後-対ユーロ過去最安値 - Bloomberg
為替の動きは一方向、行き過ぎた動きには必要な対応取る-神田財務官 - Bloomberg
フランス企業、ジャンク債発行を急ぐ-選挙後の市場混乱を警戒 - Bloomberg
フランス企業は、今週末に行われる国民議会選挙の第1回投票後に市場が荒れる可能性を見据え、資金調達を急いでいる。
マクロン大統領が予想外の議会解散・総選挙を発表した後に急上昇した信用リスクの指標はここ数日に低下。企業にとって生まれた短いチャンスを、自動車メーカーのルノーや冷凍食品のピカールなどが生かそうとしている。
世論調査では、極右の「国民連合(RN)」と左派連合がマクロン氏政党をリードしている。選挙後の新政府が経済政策を劇的に変更して債務が急増する可能性に投資家は備えつつある。このリスクが警戒され、フランス債の上乗せ利回り(スプレッド)は10年ぶりの大きさに既に拡大した。
シュローダーのハイイールドポートフォリオマネジャー、ヒューゴ・スクワイア氏は「一部のフランス発行体は安全策をとって選挙前に起債を完了させたいと考えている」と説明。「全くの最悪シナリオでは、フランス企業は数週間にわたり市場から締め出される可能性がある」と述べた。
フランス企業は、今週末に行われる国民議会選挙の第1回投票後に市場が荒れる可能性を見据え、資金調達を急いでいる。
マクロン大統領が予想外の議会解散・総選挙を発表した後に急上昇した信用リスクの指標はここ数日に低下。企業にとって生まれた短いチャンスを、自動車メーカーのルノーや冷凍食品のピカールなどが生かそうとしている。
世論調査では、極右の「国民連合(RN)」と左派連合がマクロン氏政党をリードしている。選挙後の新政府が経済政策を劇的に変更して債務が急増する可能性に投資家は備えつつある。このリスクが警戒され、フランス債の上乗せ利回り(スプレッド)は10年ぶりの大きさに既に拡大した。
シュローダーのハイイールドポートフォリオマネジャー、ヒューゴ・スクワイア氏は「一部のフランス発行体は安全策をとって選挙前に起債を完了させたいと考えている」と説明。「全くの最悪シナリオでは、フランス企業は数週間にわたり市場から締め出される可能性がある」と述べた。
スイス、バーゼル3の銀行資本規制を予定通り導入へ-UBSに打撃 - Bloomberg
元ブラックロックCIO率いる東大基金、オルタナ投資6割で勝機探る
元ブラックロック・ジャパン最高投資責任者(CIO)の福島毅氏が率いる東京大学の寄付金運用基金は、株式や債券以外のオルタナティブ(代替)資産への投資に大きくかじを切った。中でも、銀行以外の主体が投資家から集めた資金を融資の形で貸し出す「プライベート・デット」投資を軸に、運用益の積み増しを狙う。
ブラックロックのCIOを約7年間務めた福島氏は2023年4月、東大のCIOに就任。東大は福島氏を迎えた同年1月から、基金の運用目標の引き上げと資産配分比率の見直しに踏み切った。オルタナティブ投資を従来の20%から60%へと大幅に引き上げる一方、円ベース債券の比率を引き下げた。
福島氏が運用に当たって注目するのが、代替資産投資の一つでもあるプライベート・デットだ。ブルームバーグの取材に応じた福島氏は「目標リターンを達成する上で必要な投資」とした上で、昨年4月に残高がゼロだったのを足元では約55億円まで増やしたことを明らかにした。
プライベート・デットは変動金利型が一般的で、インフレや金利上昇によって投資家のリターンが損なわれにくい特色がある。足元では米国などの短期金利が高く、福島氏は「これを享受できるというのがメリットの一つ」と説明する。現在は海外企業を対象とした3本のファンドに投資している。
東大などの大学が資金運用に注力するのは、必ずしも芳しいとは言えない懐事情が関係している。国立大学協会は6月の声明で、国からの運営費交付金が減額された状況が続いていると指摘した上で、大学の財務状況は「もう限界」と訴えた。国際競争力を高めるための研究資金を確保するには、運用などを通じて大学自ら収入を増やす創意工夫が求められる。
米国では長い歴史を持つ大学基金もあり、同国の高等教育機関で最大規模を誇るハーバード大基金は約400年前に設立された。23年度の基金の評価額は507億ドル(約8兆円)に上る。基金からの分配金は毎年同大の歳入の3分の1以上を占めており、単一の収入源としては最大という。同大基金も未公開株式やヘッジファンドなどの代替資産で全体の75%を運用する。
東大がポートフォリオに沿って運用する資産は3月末時点で約300億円。23年度のリターンは、5%の目標に対して11.6%の成績を残した。
福島氏は昨年度の運用について、株高と円安の「2つの追い風が吹いてくれた」と振り返る。その上で、27年に東大が150周年を迎えるまでに「運用資産額を1000億円にしたい。見えない目標ではない」と話した。運用に加え、寄付金をさらに集めるための取り組みも併せて行い、運用資産額の増加を目指す計画だ。
●中東情勢
トルコ大統領、レバノンとの連帯表明 近隣諸国にも支援呼びかけ | ロイター
●エマージング
ブラジル中銀が中立金利推計値引き上げ、需給ギャップ解消=議事要旨 | ロイター
ブラジル中央銀行が25日公表した今月の政策決定会合議事要旨で、経済に対して中立的な実質金利の推計値が引き上げられ、もはや需給ギャップは解消したと判断されていることが分かった。
中銀は18─19日に開いた会合で政策金利を10.50%に据え置き、昨年8月に開始した利下げサイクルを停止することを全会一致で決定している。
中立的な実質金利については従来の4.5%を4.75%に修正。年間の経済活動見通しの上振れを踏まえ、これまで「小幅マイナス」としてきた需給ギャップは「ゼロ近傍」になったとの見方が示された。
XPのエコノミスト、ロドルフォ・マルガト氏は、実質中立金利と需給ギャップの推計値引き上げからは、物価上昇率を目標に収める難しさが増したことが読み取れると指摘。政策金利は来年末まで現状維持が続くという自身の見通しが裏付けられたと付け加えた。
中銀が民間エコノミストを対象に実施した調査では、政策金利は今年いっぱい変わらず、来年末までに9.5%へ低下すると予想されている。ただ金利先物は最近、年内の利上げを織り込み始めた。
今回の議事要旨で中銀は利上げの可能性には言及していないものの、将来の政策金利変更は、物価目標を実現する確固とした意思が決定的な要素になると強調している。
●プロファイ、インフラ、自然災害
データセンターとEV、2030年までに米電力需要大幅に押上げ=調査 | ロイター
エネルギー情報会社ライスタッド・エナジーは25日、データセンターと電気自動車(EV)向けの電力需要が2030年までに米国全体の電力需要を約300テラワット時(TWh)押し上げるとの見通しを示した。これはトルコの年間電力消費に匹敵する。
30年までに太陽光発電容量は237ギガワット(GW)増加し、風力発電容量は78GW増加すると予想している。
ライスタッドによると、米国の電力需要は2010年頃から横ばいの約4000TWhで推移してきたが、人工知能(AI)技術開発に必要なデータセンターの急速な構築や政府や企業の気候変動関連対策により需要は拡大している。
ライスタッドのアナリスト、スーリヤ・ヘンドリー氏は「電力システムに負担をかけることなく発電量を拡大するため時間との戦いだ。よりクリーンな道路と持続可能なAIを想定するならば、再生可能エネルギーがこの需要に応え、米国の電力システムに必要な拡張性を提供する鍵になる」と述べた。
●小ネタ
休暇は水辺で、全米猛暑でビーチリゾート求める動き | ロイター
CFA証券アナリスト試験、レベル1合格率46%-過去平均再び上回る - Bloomberg
大学の理系拡充進む、50大学が学部新設 定員1.9万人増 - 日本経済新聞
●市況
<為替> 円が対ドルで一時160円台後半まで下落し、約38年ぶりの安値に沈んだ。市場では政府・日銀による円買い・ドル売り介入への警戒感が一層高まっている。
終盤の取引で、ドルは対円で0.7%高の160.697円。一時、1986年12月以来の高値となる160.82円まで上昇した。年初来で、ドルは対円で約14%上昇している。
ユーロも対円で急騰し、取引終盤で0.3%高の1ユーロ=171.625円。一時、1992年9月以来の高値となる171.79円まで上昇した。
<債券> 国債利回りが上昇した。円安が加速し、政府・日銀による介入への警戒感が一段と高まっていることに加え、カナダやオーストラリアなどのインフレ加速などが影響した。
この日の外国為替市場では円安が一段と進み、対ドルで1986年以来の安値を更新。政府・日銀による介入への警戒感が一段と高まっている。
TDセキュリティーズUSAの米国金利戦略責任者、ゲンナディ・ゴールドバーグ氏は「日本が外為市場に介入するために米国債を売却し、利回りがやや上昇するのではないかとの懸念が出ている」と述べた。
米国債利回りは25日の取引で、カナダの5月のインフレ率が予想外に加速したことを受け上昇。この日はオーストラリアの5月のインフレ率が市場予想を上回った
終盤の取引で10年債利回りは約8ベーシスポイント(bp)上昇の4.316%。
30年債利回りは7bp上昇の4.447%。
5年債利回りは約8bp上昇の4.339%。
2年債利回りは約2bp上昇の4.749%。
2年債と10年債の利回り格差は約マイナス43bp。前日はマイナス51.6bpと、昨年12月以来の水準に拡大していた。
<株式> 不安定な値動きの中、小幅高で取引を終えた。バイデン大統領と共和党のトランプ前大統領が対決する第1回テレビ討論会やFRB当局者が注視するインフレ指標の発表を前に手控えムードが広がった。
<金先物> 早期利下げ期待が後退し、続落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比17.60ドル(0.76%)安の1オンス=2313.20ドル。
<米原油先物> 予想外の米原油在庫積み増しを嫌気した売りに押されいったんは下落したものの、その後買い戻しが入り、ほぼ横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.07ドル(0.09%)高の1バレル=80.90ドルだった。9月物は0.12ドル高の80.19ドル。
<ロンドン株式市場> ロンドン株式市場は続落して取引を終えた。石油・ガス株が下落して相場を押し下げた。
28日に米個人消費支出(PCE)、英国の国内総生産(GDP)が発表されるほか、7月4日には英総選挙が控えており、投資家の慎重姿勢が強まった。
<欧州株式市場> 欧州株式市場は続落して取引を終えた。世界的に物価上昇圧力が続く懸念からユーロ圏域内の国債利回りが上昇し、リスク回避の姿勢が強まった。
週内に米国やユーロ域内の複数国でインフレ指標が発表されるほか、30日にはフランス下院選挙の第1回投票を控えている
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。市場では、米国や域内の複数国が28日に発表するインフレ指標が待たれる。
フランスのリスクプレミアムは、財政危機への懸念から約2週間前に記録した7年ぶりの高水準にとどまっている。
フランスのほか、イタリア、スペインが今週28日に相次いでインフレ指標を発表する。来週はドイツおよびユーロ圏の消費者物価指数が発表される予定。同じく28日には、米個人消費支出(PCE)価格指数の発表も控える。
ドイツ10年債利回りは3.7ベーシスポイント(bp)上昇の2.449%。独仏10年債利回り格差は72.6bpとなった。
金融市場は現在、ECBによる年内の利下げ幅を計68bpと織り込んでいる。これは、25bpの追加利下げと、さらに年内3回目の利下げが行われる確率が70%であることを示唆している。

備忘録(2024/6/25
●雑感
●決算
米フェデックス、25年度利益見通しが市場予想上回る 株価急騰 | ロイター
米物流大手フェデックスが25日発表した2025年度の利益見通しはアナリスト予想を上回った。小包配送の需要低迷により引き続き厳しい事業環境にあるものの、今年計画しているコスト削減により利益率の上昇が見込まれるという。
株価は引け後の時間外取引で14%上昇した。
24年5月通期のコスト削減額は18億ドル。25年5月通期では22億ドルを計画しているという。
25年度の1株利益予想は20.00─22.00ドルとし、中央値がアナリスト予想(20.92ドル)を小幅に上回った。
24年3─5月期の利益(諸項目を除く)は7.2%増の13億4000万ドル、1株当たりでは5.41ドル。営業利益率も前年同期の8.1%から8.5%に改善した。
ラジ・スブラマニアム最高経営責任者(CEO)は「現在の環境でこうした決算は前例がない」とし、「25年度もこの勢いが続くとみている」と述べた。
3─5月期の売上高は1%増の221億ドルで、アナリスト予想(220億6000万ドル)をやや上回った。
フェデックスはトラック輸送事業を売却するかどうかも検討している。同事業の3─5月期売上高は23億ドルだった。
[CUK] カーニバル 2Q増収最終黒字転換 売上高18%増57.8億ドル、純利益9200万ドル、EPS0.07ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ウォルマートが下落 レイニーCFOの発言を嫌気=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ウォルマート<WMT>が下落。レイニーCFOがコンファレンスで「5-7月期(第2四半期)は既存店売上高の観点から今年最も厳しい四半期だ」と発言したことが嫌気されている。「第1四半期のようにはならない」とも語った。
ただ、アナリストは「既存店売上高のコメントは慎重に聞こえるかもしれないが、全体的なプレゼンテーションは以前の電話会議で経営陣が言及した事と一致しており、事業が一方的に大きく変化したようには見えない」と述べていた。
エレバンス・ヘルス、23年末比15%高 収益成長に期待 Investment Radar - 日本経済新聞
米医療保険大手エレバンス・ヘルスの株価が堅調だ。24日の終値は前週末比1%高い541.71ドルと、23年末比で15%高となった。時価総額は1200億ドルを上回る。医療保険サービスの拡大や人工知能(AI)を活用した健康管理アプリの提供などを通じ、収益を伸ばしていることが買いにつながっている。
マイクロソフトにEUが異議告知書、チームズで競争法違反の疑い - Bloomberg
LVMH率いるアルノー氏、カルティエ親会社の株式取得-関係者 - Bloomberg
ノボノルディスクの肥満症薬、中国で承認取得 最大の「肥満大国」 | ロイター
エヌビディア物語、まだ何年も続く-「世紀の空売り」のアイズマン氏 - Bloomberg
同氏は「ヘッジファンドを運営していて学んだ教訓の一つは、バリュエーションだけを理由に株を空売りするのは自殺行為ということだ」と述べ、割高だと思われる銘柄でも投資家が購入するのはストーリーを買っているからだと付け加えた。さらに「ストーリーが失われない限り、物語は続く。エヌビディアのストーリーは明らかに無傷だ。同社のバリュエーションについてそれほど考えていない」と語った。
エアバス、24年の納入目標を4%下方修正 株価18%下落 - 日本経済新聞
航空機大手の欧州エアバスは2024年の航空機の納入目標を従来の800機から770機に下方修正した。下方修正の幅は4%。ジェットエンジン部品の供給が滞り、生産ペースが落ちている。この下方修正を受け、25日の株価は一時、前日比で18%下落した。
エアバスは24日、24年12月通期の業績予想を下方修正した。特に主力の小型機「A320」向けエンジンで調達難が続いており、A320の月産機数を75機体制に引き上げる時期を26年から27年に後ろ倒しすると発表した。
通期の調整後EBIT(利払い・税引き前利益)の見通しを55億ユーロ(約9400億円)とし、最大70億ユーロだった従来予想から引き下げた。ギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)は同日のメディア向け電話会議で「部品調達の問題は好転しておらず、予期しなかった状況に陥っている」と語った。
ライバルの米ボーイングが品質問題から生産ペースを落とすなか、世界の航空大手は中大型機を中心にエアバスへの切り替えに動いていた。エアバスの下方修正で旅客機不足に拍車がかかる可能性が出てきた。
●日本企業
ブックオフGHD、24年5月期決算発表を延期 架空買い取りの可能性 | ロイター
関西私鉄の負債、10年で最大 阪急阪神ホールディングスなど再開発強化 - 日本経済新聞
●米大統領選挙
バイデン氏勝利、市場にとって「より危険なシナリオ」-トゥーズ氏 - Bloomberg
バイデン米大統領が再選を果たしても、米国の深い党派対立は市場に不確実性をもたらす恐れがあると、米コロンビア大学歴史学教授のアダム・トゥーズ氏は指摘した。バイデン氏がトランプ前大統領に再び勝てば、共和党がさらに反発する可能性があるためだ。
「政治的観点から見て、より危険なシナリオはバイデンが勝利することだ」とトゥーズ氏は中国の遼寧省大連市で開催されている世界経済フォーラム(WEF)主催の会議で述べた。
バイデン氏の勝利がもたらす不確実性は、トランプ氏率いる共和党が2度目のトランプ氏敗北にどう反応するのかという点に起因すると、同氏は説明。市場はそれを安定性に欠ける結末と見なす可能性があると、付け加えた。トゥーズ氏は2008年の金融危機に関する歴史書「クラッシュド(原題)」の著者。
バイデン、トランプ両氏は2024年の大統領選に向けた最初の討論会を27日に予定している。トランプ氏が敗北を認めず、同氏の支持者が連邦議会議事堂で暴動を起こした2020年選挙での苦い争いは、今もなお尾を引いている。
ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルタントが実施した5月の世論調査によれば、経済への悲観的な見方が広がる中、勝敗を左右するとされる激戦州7州全体でトランプ氏の支持率がバイデン氏を4ポイント上回った。
選挙の結果は中国と米経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。トランプ氏は選挙戦中に、中国製品に60%の関税を課す考えを示唆。バイデン氏は中国産の電気自動車や太陽電池パネル、鉄鋼の関税を引き上げたほか、半導体への規制も強化している。
バイデン氏、米債市場にとって「より好ましい」=ワインスタイン氏 | ロイター
経済政策はトランプ氏、民主主義擁護はバイデン氏 有権者の支持割れる=調査 | ロイター
トランプ氏の経済政策に警告、ノーベル賞受賞者「インフレ再燃」 | ロイター
●先進国中銀
FRB、「しばらく」政策金利の据え置き必要=ボウマン理事 | ロイター
カナダCPI、予想外に伸び加速-7月追加利下げの可能性後退 - Bloomberg
日銀の国債購入減額計画と利上げの同時決定、3割超が予想-サーベイ - Bloomberg
クックFRB理事、利下げは「ある時点で」必要-時期は見通せず - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
EU主要ポスト人事案、主要3会派が合意 フォンデアライエン氏続投へ | ロイター
欧州議会の中道派の主要3政治会派が25日、次期欧州委員長など主要ポストの人事案で合意に達した。関係者がロイターに述べた。
執行機関である欧州委員会のトップはドイツのフォンデアライエン氏が続投するほか、欧州理事会議長(EU大統領)にはポルトガル元首相のアントニオ・コスタ氏、EUの外相に当たる外交安全保障上級代表にはエストニアのカヤ・カラス首相が指名される見通し。
EU首脳は先週17日、主要ポストの人事案を協議したが、合意に至らず会議を終了していた。
今回、3会派で合意に至ったことにより、各国首脳は27─28日に再びブリュッセルで会議を開き、人事案は速やかに承認される見込み。
ただ、フォンデアライエン氏の続投には欧州議会の支持も必要となる。外交筋によると、3会派以外の議員の支持も必要になる可能性が高いという。
仏に「内戦」招く、マクロン氏が極右と左派連合批判 | ロイター
フランスのマクロン大統領は、国民議会(下院)選を控え世論調査で優位に立っている極右政党「国民連合(RN)」と左派連合「新人民戦線(NFP)」について、フランスに「内戦」をもたらす恐れがあるとの認識を示した。
24日配信されたポッドキャストの番組で述べた。
マクロン氏は、RNのマニフェストと犯罪・移民問題への対処法について「汚名を着せ分断を招く」ものだと批判。「極右が提示する解決策は問題外だと思う。宗教や出自で人々を分類しており、分断と内戦につながるからだ」と発言。
NFPの一翼を担う極左「不服従のフランス(LFI)」についても「宗教観や所属するコミュニティーだけで人々を分類している。これはある意味で人々をより広い国民社会から孤立させることを正当化する手段だ。この場合、そうした価値観を共有しない人々と内戦が起きることになる」と述べた。
RNのバルデラ党首はマクロン氏の発言について「大統領がそのようなことを口にすべきではない」とテレビ局M6に発言。
LFIのメランション党首もテレビ局フランス2とのインタビューでマクロン氏の発言を批判し、仏領ニューカレドニアなどで社会不安を引き起こしているのはマクロン氏自身の政策だと反論した。
米学生ローン減免措置、新規手続き差し止め 2州で判決 | ロイター
米バイデン政権の学生ローン減免措置に反対して共和党主導の州が2州で起こしていた裁判で24日、新規の減免措置を禁じる判決が出た。
バイデン大統領は2022年8月に学生ローン減免措置を発表したが、連邦最高裁が23年に同措置を認めない判断を下した。バイデン氏は今年、新たに「価値ある教育への貯蓄(SAVE)プラン」を発表。5月には、800万人が登録し、うち460万人に減免措置が講じられたと明らかにしていた。同措置は7月1日に完全施行する。
これについて、11州がカンザス州で、7州がミズーリ州で異議を唱え提訴した。両州の裁判所は、すでに手続き済みの案件は有効とし、新規の手続きを差し止める判断を下した。
訴訟を主導したミズーリ州の検事アンドリュー・ベイリー氏は判決を歓迎し「議会は、5兆ドルもの他人の借金を、働いている人々に負わせる権限をバイデンに与えたことはない」とXに投稿した。
ホワイトハウスは、判決に不満を表明。ジャンピエール報道官は「学生や借り手に必要な救済をするために政権があらゆる手段を活用することを、本日の判決が止めることはできない」と述べた。
独、定年延長や子育て世帯の働きやすさ改善を検討 労働力確保で | ロイター
ドイツのショルツ首相は24日、政府は経済活性化対策として、定年延長や親として働くことの魅力を高める一連の措置に取り組んでいると述べた。
業界のイベントで、「労働力確保に向けた活性化措置を協議している。長く働くことの魅力を高め、子育て世帯の働きやすさの改善に向け努力を強化する。税制優遇措置などを通じて労働意欲の向上にも努めていく」と述べた。
ドイツは世界の先進国同様、熟練労働者が必要な高成長部門を中心に深刻な労働力不足に直面している。
同国の公式推計によると、2035年までに熟練労働者が700万人不足する見通し。
豪消費者信頼感指数、6月は減税控え改善 金利リスクくすぶる | ロイター
ウエストパック銀行とメルボルン研究所が25日発表した6月のオーストラリア消費者信頼感指数は、近く実施される減税への期待を背景に改善した。ただ、金利上昇リスクもくすぶっている。
6月の指数は前月比1.7%上昇の83.6。依然として悲観的な回答が楽観派を上回った。
7月1日からの所得税減税を前に、州政府による生計費支援拡大のニュースも消費者心理を支えた。
ただ、調査期間にはオーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策決定会合を開催。インフレの上振れリスクを指摘し、必要であれば追加利上げを排除しないと表明した。
中銀の政策決定後、消費者信頼感指数は決定前の90.0から80.1に大きく低下した。また、今後1年間に住宅ローン金利上昇を見込んだ割合は48.3%と、5月の43.5%から上昇した。
ウエストパックのシニアエコノミスト、マシュー・ハッサン氏は「財政支援策によるプラス要因がインフレや金利見通しに対する懸念の高まりによって打ち消されている」と述べた。
景気に対する見通しは悲観的なままだが、財政支援を背景に家計に関する指数は改善した。大型家財道具の買い時かどうかを示す指数は79.7と4.2%上昇。ただ、長期平均の124は依然大きく下回った。
米住宅価格指数、4月は前年比6.3%上昇=FHFA | ロイター
アングル:欧米大手行、クレディS退場でスイス市場食い込み狙う | ロイター
フランス国債、投資家不安の落ち着き示唆-投票まで1週間弱 - Bloomberg
フランス国債のドイツ債に対するスプレッドは、10年余りで最大の水準から縮小した。30日に始まる国民議会(下院)選挙の結果、混乱が生じる可能性について、投資家の不安がやや和らいだことが示唆される。
ドイツ10年債に対するフランス債の上乗せ利回りは25日、21日に比べ4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小の76bpとなった。これは2営業日での縮小幅として1年余りで最大。マクロン大統領が2週間前に解散・総選挙を決めて以来、リスクプレミアムは急上昇していた。
世論調査でリードしている極右の国民連合(RN)のジョルダン・バルデラ党首は24日、7月7日まで2回にわたる投票の結果、同党が絶対多数を獲得しても国の財政を悪化させることはないと、投資家の懸念払拭(ふっしょく)に努めた。
それ以前から、バンガード・グループなどの投資家は、スプレッドが拡大し続ければフランス国債の購入を検討する意向を示していた。
アンジェイ・シュチェパニアク氏ら野村インターナショナルのストラテジストはリポートで「RNは欧州連合(EU)の財政ルールを尊重し、融和的な方法で政治を行う必要性を理解していることを企業や市場参加者に示した」と指摘した。世論調査で2位につけている左派連合の新人民戦線は、今や極右よりも「恐れられている」という。
カナダ首相に打撃、牙城トロント選挙区でまさかの敗北-退陣圧力も - Bloomberg
カナダ最大都市トロント中心部の選挙区で24日実施された補欠選挙で、野党・保守党が勝利した。このセント・ポール選挙区は1993年以来、与党・自由党が毎回議席を維持してきたいわば牙城で、来年実施が予定されている総選挙を控え、トルドー首相には大きな打撃となる。
選挙管理当局の暫定データによると、保守党のドン・スチュワート候補が42%を獲得。得票率40%強だった自由党のレスリー・チャーチ候補を破った。開票作業が始まって以降、チャーチ氏がほぼ一貫してリードしていたが、未明になってスチュワート氏が逆転した。
これにより連邦議会の勢力図が変わるわけではないが、今回の選挙はトルドー首相にとって事実上の信任投票と位置づけられていた。最近の世論調査では、トルドー氏の支持率が低迷する一方、ポワリエーブル党首が率いる保守党の人気が急上昇しており、選挙結果は自由党にとって伝統的な聖域すら議席確保が危ういことを印象づけた。
ポール・マーティン元首相の側近を務めたスコット・リード氏はソーシャルメディア、X(旧ツイッター)に「これは自由党と首相にとってすべてを変えるものだ」と投稿。「セント・ポールが安全でないなら、安全な場所などない」と語った。
今回の敗北により、トルドー首相に対しては総選挙を前に退陣するよう圧力が強まりそうだ。自由党はトロントで常に大勝しており、2015年以来、自由党が政権を維持する上で寄与してきた。しかし、直近の世論調査で保守党は2桁のリードを保っており、総選挙でも支持率を維持できれば、過半数議席を獲得して政権を奪還する勢いだ。
次回選挙は2025年10月までに実施される予定だが、日程は変更される可能性がある。
保守党は今回、主に自由党の経済実績に焦点を当てた選挙戦を展開。景気低迷や住宅危機、高金利に対する有権者の不満をすくい上げた。
さらに同選挙区はユダヤ系住民が約11%を占めており、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争も争点となった。保守党はトルドー氏のイスラエル支援が不十分で、国内で高まる反ユダヤ主義への対応で失敗していると強調した。
【コラム】フランスの選挙から利益を得る方法は-オーサーズ - Bloomberg
ストーンXファイナンシャルのストラテジスト、バンサン・デルアール氏は、フランス債のショートとイタリア債の買いが安全策だと指摘する。イタリア債は過去20年間ひどく低く評価されてきたが、デルアール氏は再評価の時期はとっくに来ていると考えている。
フランスは、債務の持続可能性に関するほとんどの指標でイタリアより悪い。にもかかわらず、イタリア債利回りはフランス債より75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い。フランスの信用リスクがイタリアよりも高いことに市場が気づくのを待つだけで、投資家は実質的に75bpの利益を手にすることができるとデルアール氏は主張。債務危機は手早く利益を得られる機会になるという。
欧州ソブリン債危機の連想も-フランス債、外国勢が50%保有とIMF - Bloomberg
フランスの当局者は適切な財政運営を印象付け、外国投資家を安心させる必要があり、さもなければ国債スプレッドが再び急拡大する危険がある。アリアンツ・グローバル・インベスターズのマルチアセット最高投資責任者(CIO)、グレーゴル・ヒルト氏が警告した。
ヒルト氏によれば、フランス国債の外国投資家による保有比率は他の国よりはるかに大きく、今の政治的混乱が10年余り前に匹敵する欧州債務危機を引き起こしかねないと不安視する見方もある。
「欧州のソブリン債危機を連想させるもの何であれ、多くの国際投資家にとって赤信号だ。フランス政府は何らかのアクションで安定を図り、これら大口投資家を安心させる必要がある」とヒルト氏は指摘する。
左右どちらの陣営が勝っても、既に赤字が膨らむフランスの財政状況が悪化するという懸念が市場を動揺させ、フランス国債の売りを誘った。フランス10年国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は21日に前回債務危機の最悪期以降で最も拡大した。
国際通貨基金(IMF)によれば、フランス市場に外国投資家が占める割合は2023年時点で約50%と、米英とイタリアの約30%を大きく上回る。
フランスの国民議会(下院)選は今月30日に第1回投票が行われる。ユーロ圏の経済データが最近上向いているにもかかわらず、米ドルのユーロに対するオーバーウエートポジションをヒルト氏は維持し、地政学的混乱に備える盾として金に注目している。
フランス売りに伴うユーロ圏のスプレッド拡大は、フランス債が買いの好機になるほどリターンの向上をもたらさず、「フランスにとってのリスクは、国債スプレッドの拡大が続く危険だ」とヒルト氏は分析した。
米CB消費者信頼感6月、100.4に低下 1年先インフレ期待が改善 | ロイター
米住宅価格指数、4月は伸び鈍化-ローン金利再上昇で買い手圧迫 - Bloomberg
ドイツ債、買い手上位5社から初めて国内銀が姿消す-米銀勢が伸長 - Bloomberg
債券トレーダーが大胆な賭け-来年3月までに3ポイントの米利下げ - Bloomberg
担保付翌日物調達金利(SOFR)に連動するオプション市場の過去3営業日のポジション動向からは、米金融当局が2025年1-3月(第1四半期)までに主要政策金利を2.25%にまで引き下げた場合に利益が得られる賭けの増加がうかがわれる。
米経済が突発的なリセッション(景気後退)に陥らない限り、こうした事態はありそうにないが、現行水準からは少なくとも300ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを意味する。この種の賭けは他の投資のヘッジに使われている可能性がある。
●中東情勢
ヒズボラとの紛争終結目指す、外交解決望ましい=イスラエル高官 | ロイター
ユダヤ教超正統派徴兵すべき、イスラエル最高裁 首相に打撃 | ロイター
ドバイ、洪水対策に1兆2800億円 4月豪雨受け排水強化 - 日本経済新聞
●エマージング
インド、水不足の深刻化が格付け圧迫する可能性=ムーディーズ | ロイター
 米格付け会社ムーディーズは25日、インドでは急速な経済成長と頻発する自然災害で水不足が深刻化しており、格付けに悪影響を及ぼす可能性があると警告した。
インドでは毎年夏に水不足が問題となるが、今年は熱波が長引き、デリーやハイテク中心地であるベンガルールなどで状況が悪化している。
これについてムーディーズは「ソブリン格付けや水を大量消費するセクターの信用に悪影響を及ぼす」と警告。その上で「長期的には、水の管理分野への投資が潜在的な水不足のリスク軽減に寄与する」と指摘した。
また「水の供給が減少すると農業生産や産業活動に支障をきたし、食料価格の高騰や収入減で社会不安を引き起こす可能性がある。ひいては、インドの成長を巡る不安定性を悪化させる可能性がある」と警告している。
ムーディーズによるインドの格付けはBaa3で見通しは安定的。
ドゥテルテ前フィリピン大統領、2025年の上院選に出馬へ - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
三浦知良がJFL鈴鹿復帰 57歳、最年長得点記録更新に期待 - 日本経済新聞
ふるさと納税、ポイント付与サイトでの募集禁止 総務省 - 日本経済新聞
総務省は25日、ふるさと納税制度について、利用者にポイントを付与するサイトを通じて自治体が寄付を募ることを2025年10月から禁止すると発表した。仲介サイトがポイントで集客を競う中、自治体が仲介サイトに払う経費が膨らむ問題が起きていた。
●市況
NY市場サマリー(25日)ナスダック上昇、ドル160円に接近 | ロイター
<為替> ドルが円やユーロのほか、スイスフランなど広範な通貨に対して上昇した。米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言が相次いだことに加え、住宅市場に関する経済指標が好調だったことで、FRBは利下げを急がないとの見方が強まった。
<債券> 2年債と10年債の利回り格差が今年初めてマイナス50ベーシスポイント(bp)超に拡大した。その後、この日実施された2年国債入札で強い需要があったことを受けてやや縮小した。
2・10年債の利回り格差は一時、マイナス51.6bpに拡大。昨年12月以来の水準となった。終盤はマイナス50bp程度だった。長短金利の逆転は市場が景気後退を予想していることを示す。
2年債利回りは0.4bp上昇の4.7381%。2年債入札後に上昇幅を縮小した。2年債入札の最高落札利回りは4.706%で、入札前取引の水準を約5bp下回った。応札倍率は2.75倍と、2023年8月以来の高水準となった。
指標となる10年債利回りは0.8bp低下の4.24%だった。
<株式> ナスダック総合が1.3%上昇した。半導体エヌビディアなどの大手ハイテク株が買われた。一方、小売り関連株の下げに押されたほか、主要インフレ指標の発表を週内に控え、ダウ工業株30種は反落した。
前日まで3営業日続落だったエヌビディアは6.8%高。半導体セクターが全般的にアウトパフォームし、フィラデルフィア半導体指数は1.8%上昇した。
アルファベットやメタ・プラットフォームズもそれぞれ2.7%高、2.3%高となり、通信サービス指数を押し上げた。
ダウは前日に付けた1カ月ぶり高値から下落。ホーム・デポへの売りなどが重しとなった。
小売り大手ウォルマートも2.2%安。5─7月が「最も困難な四半期」になる可能性があるとした最高財務責任者(CFO)の発言を嫌気した。
一方、物流大手フェデックスは引け後の取引で15%急伸。2025年の利益見通しがアナリスト予想を上回った
<金先物> 対ユーロでのドル上昇を嫌気した売りが広がり、反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比13.60ドル(0.58%)安の1オンス=2330.80ドル。
<米原油先物> ドル高や消費者景況感の悪化を嫌気した売りが優勢となり、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.80ドル(0.98%)安の1バレル=80.83ドル。9月物は0.79ドル安の80.07ドルだった。
欧州市場サマリー(25日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。英米の金利の動向を巡る予想に影響する経済指標の発表などを控え投資家の間にリスク回避の姿勢が強まった。
週内に英国の国内総生産(GDP)、28日には米個人消費支出(PCE)が発表されるほか、7月4日には英総選挙が控えており、投資家の慎重姿勢が強まった。
中型株で構成するFTSE250種指数は0.97%下げた。
高級ブランド会社バーバリーは4.5%安と4営業日ぶりに下げ、相場の重しとなった。
エンジンメーカーのロールスロイスは1.1%、投資会社メルローズは2.4%とそれぞれ下げた。欧州航空機大手エアバスが今年の業績見通しを引き下げたことがマイナス材料となった。
一方、クルーズ運航のカーニバルは9.4%と大幅に上昇。通期の利益見通しを引き上げたことが好感された。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。欧州航空機大手エアバスが大幅に下落して、航空関連株の売りが優勢となり、相場を押し下げた。
STOXX欧州600種航空宇宙・防衛指数は3.85%安。
エアバスは9.4%下落。今年の納入機数や業績見通しを引き下げ、宇宙事業で9億ユーロ(9億6500万ドル)の費用を計上すると発表したことが嫌気された。
航空機エンジンメーカーのMTUエアロ・エンジンズは3.5%下げた。
市場では、30日のフランス下院選挙の第1回投票や、28日の米個人消費支出(PCE)の発表が注目されている。
パリ証券取引所を運営するユーロネクストの最高経営責任者(CEO)は、政権運営の経験が皆無で、政治姿勢が極端な政党が政権を握る可能性があることが、投資家の懸念材料となっていると指摘した。
フランスのCAC40指数は0.58%下落した。
他の個別銘柄では、デンマーク製薬大手ノボノルディスクが4.0%上昇し、過去最高値を付けた。肥満症治療薬「ウゴービ」が中国で承認されたと明らかにしたことが好感された。
欧州株式市場:
<ユーロ圏債券> ドイツ10年債利回りが低下し、独仏債利回り格差はわずかに縮小した。市場では週内に発表される経済指標や政治イベントが注目されている。
重要なマクロ経済イベントは28日に発表される米個人消費支出(PCE)価格指数や欧州の一部市場で同日発表される6月インフレ統計。政治イベントとしては30日のフランス下院議会選挙の第1回投票や27日のバイデン・トランプ両氏による第1回テレビ討論会が注目されている。
ドイツ10年債利回り は1.5ベーシスポイント(bp)低下の2.41%。
フランス10年債利回りは2bp低下の3.13%。独仏10年債の利回り格差は72bpとわずかに縮小した。
ノムラのアナリストはメモで「フランスの短期的な政治的不確実性が高まり、フランス国債の政治リスクプレミアムがプラスになっている。不確実性が解消されるまで、この状況が続くと予想している」とした。
イタリア10年債利回りは0.5bp上昇の3.93%。独伊10年債の利回り格差は小幅に拡大して151.5bpとなった。

備忘録(2024/6/24
●決算
●海外企業
ユーロフィン株が大幅安、マディ・ウォーターズの空売り標的に - Bloomberg
24日のパリ株式市場で食品・医薬品などの試験サービスを手掛けるユーロフィン・サイエンティフィックが下落、約20年ぶりの大幅安を付けた。著名空売り投資家カーソン・ブロック氏率いるマディ・ウォーターズ・リサーチの標的となったことが響いた。
ユーロフィンは一時25%安と、日中ベースで2003年8月以来の大幅な下げを記録した。マディ・ウォーターズはユーロフィンに対するショートポジションを明らかにし、同社の財務諸表を疑問視するとともに「異例さと矛盾を抱えた会社だ」と表現した。
マディ・ウォーターズは、ユーロフィンのリポートには「利益や現金残高、その他資産価値について重大な誇張が含まれている可能性がある」と指摘。ユーロフィンにコメントを求めたが返答は得られなかった。
アルナイラム・ファーマ株急伸、心臓病の治験で「心強い」結果示す - Bloomberg
24日の米株式市場でアルナイラム・ファーマシューティカルズが急伸。同社の医薬品が進行性の致死的な心臓病の治療で成功した。主力の同薬品に新たな道が開かれる可能性が出てきた。
アルナイラムの「ブトリシラン」(「アムヴトラ」として販売)は心筋症を伴うATTRアミロイドーシスとして知られる重篤な心臓病の患者を助けることが、24日に発表された治験結果で分かった。この研究の目的は、米ファイザーの治療薬を服用している患者、およびファイザーの治療薬を服用していない患者の両方において、アルナイラムの薬品投与で死亡や入院を減少させられるかみることだった。
アルナイラムによると、同社の治療薬はこの2つの患者グループで死亡と心臓関連の入院をそれぞれ28%と33%減少させることに成功した。治験には655人の成人が参加し、アルナイラムの薬剤またはプラセボ(偽薬)を3カ月に1回、最長3年間服用した。アルナイラムは同社の治療薬について、「心強い」安全性と忍容性を示したとして、年内に承認申請を進める計画だと明らかにした。
アルナイラムの株価は一時33%上昇。日中ベースではほぼ2年ぶりの大幅高となった。同社は異常なタンパク質が複数の臓器や組織に損傷を与える同様の疾患の治療薬として既に承認されているアムヴトラについて、使用拡大を模索している。
米規制当局は2019年に、ファイザーの医薬品を同じ心臓病の治療薬として承認した。
コベストロ、アブダビ国営石油の買収提案巡り正式協議-117億ユーロ - Bloomberg
ドイツの化学メーカー、コベストロは、同社に買収を打診しているアブダビ国営石油(ADNOC)と具体的な交渉に入る方針を明らかにした。コベストロの価値を約117億ユーロ(約2兆円)と評価する取引となる可能性がある。
24日の発表資料によれば、ADNOCはコベストロに対し、デューデリジェンス(資産査定)の確認を条件に1株当たり62ユーロでの買収案提示を検討していることを伝達。この提案については、ブルームバーグ・ニュースが先に報じていた。コベストロは、この水準が交渉の「出発点」になると説明した。
コベストロは、ADNOCが買収案を具体化するため同社と情報を交換することに同意。ADNOCは別の声明で、1株当たり62ユーロという提案は最終案だと説明した。ADNOCは同55ユーロという最初の提案から1年の間に既に数回にわたって提示額を引き上げてきたが、今回の声明でこれ以上の引き上げは行わない考えを示したことになる。
最終提案でまとまれば、ADNOCにとっては過去最大規模の買収となる。
ブルームバーグ・ニュースはこの日先に、ADNOCがコベストロに対し、綿密なデューデリジェンスが順調に進めば提示額を1株当たり60ユーロから同62ユーロへと引き上げる考えがあることを正式な書簡で伝達し、それを受けてコベストロの監査役会が次の動きについて協議していると報じていた。
RXO、UPS傘下のコヨーテを約10億ドルで買収=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
トラック輸送の仲介を手掛けるRXO<RXO>が大幅高。UPS<UPS>傘下でアセットライト型貨物仲介事業を手掛けるコヨーテ・ロジスティクスを10億ドル余りで買収することで合意した。これにより同社は北米3位の仲介輸送業者となる。
中国の個人年金大手に出資、アリアンツ系 外資で初 | ロイター
米イーライリリーの肥満薬、睡眠時無呼吸症候群にも効果 | ロイター
●日本企業
金融庁、三菱UFJ銀と系列2証券に業務改善命令 MUFGの行政処分は見送り | ロイター
●米大統領選挙
●先進国中銀
米インフレの一段の低下想定、利下げへの扉開く=シカゴ連銀総裁 | ロイター
米FRB、MBS売却も選択肢にすべき=クリーブランド連銀総裁 | ロイター
米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、米連邦準備理事会(FRB)のバランスシート縮小について、住宅ローン担保証券(MBS)の積極的な売却に柔軟であるべきとの見解を示した。
今月末で退任する同氏はロイターとのインタビューで、FRBが保有債券を国債のみに戻すという目標を達成するには「どこかの時点で」MBSを積極的に売却する必要があるかもしれないと語った。
「直ちに売却すべきとは考えていないが、いずれは売却したいと思うかもしれない」と述べた。その上でFRBが一部のMBSについて損失を被る恐れがあることなどを踏まえると、売却の可能性を国民に説明しておくことが重要になるとの認識を示した。
FRBは2022年6月以降、満期を迎えた一部の債券について再投資を停止したため、債券保有額はピーク時の9兆ドルから現在は7兆3000億ドルに縮小した。
ただ大半は国債の減少によるもので、MBSの売却は非常に困難な状況に直面している。住宅市場の大幅な減速により住宅ローンの借り換えや住宅の購入が低迷し、MBSの償還に時間がかかるようになったことが背景にある。
バランスシート上の証券を全て国債にするという目標は、現在の傾向が続けばMBSを積極的に売却しない限り実現は困難になる。しかし過去2回の量的引き締めでは債券の積極的な売却を控えており、また実施した場合に市場がどのように反応するかは不明だ。
メスター氏は金利の見通しについて、経済が予想通りに推移すれば政策金利よりを正常な水準に戻すのは合理的と指摘。金融緩和が正当化されるという確信を得るには「あと数カ月のデータを見たい」と語った。金融政策は経済の動向に対処するのに適切な状態にあるとの見方を示した。
政情不安による市場混乱、仏銀行の流動性に影響なし=中銀総裁 | ロイター
FRB、銀行資本規制強化案の大幅緩和検討-修正案提示と関係者 - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)は、銀行の資本規制強化案に関する修正案をまとめた3ページの文書を米連邦預金保険公社(FDIC)と通貨監督庁(OCC)に提示した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。ウォール街金融機関の負担を大幅に軽減する内容という。
関係者らによれば、提案された修正は資本規制強化案の主要部分を取り下げるもので、それには大規模なトレーディング業務を展開する大手行に大きな影響を与えたであろう内容も含まれる。詳細が公になっていないとして関係者が匿名を条件に語った。
FRBの文書には、大手行が金融ショックに対する緩衝材として保有しなければならない資本上積み額に関し、最新の見積もりは含まれていない。しかし、関係者によると、初期の計算では修正後の積み増しは5%程度にとどまる可能性がある。当初は概して16%を想定していた。
こうした修正が実現すれば、昨年7月に資本規制強化案が発表された後、激しいロビー活動を展開していたウォール街の銀行にとって勝利を意味する。大幅修正に伴い、FRB内で幅広い支持を集めるというパウエル議長の目標を達成できる可能性が高まる。
共和党指名の2人の理事は、当初案は貸し出しコストを引き上げ、経済に影響を及ぼし、米銀を国際的ライバルに対し弱い立場に置く恐れがあると主張していた。
パウエル議長は今年、規制強化案が「広範かつ重要な変更」を迫られると示唆。当初案の立案者とみられていたバーFRB副議長(銀行監督担当)も後に同様の発言を行っていた。
米当局者の間で合意はまだ成立しておらず、11月の米大統領選までに修正案がまとまるかどうかは不透明。事情に詳しい関係者によれば、バー副議長は資本積み増し幅の縮小について議論するためFDICとOCCの首脳らとすでに協議したという。
一部の関係者によると、OCCとFDICの高官は、市場リスクとして知られる提案の重要部分を後退させることにオープンだが、低過ぎる資本の上積みには抵抗する意向を内々に示しているという
FRBは時期やプロセス、内容に関し何も決定していないと報道官は述べた。FDICとOCCはコメントを控えた。
米SF連銀総裁、労働市場のリスクを警告-変曲点に近づいている - Bloomberg
米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、米国の労働市場は変曲点に近づいているとの見方を示し、さらなる減速は失業率の上昇を意味すると警鐘を鳴らした。
インフレ率を目標の2%に戻すためには、需要の抑制が必要になるだろうと指摘。そうなれば、良好ながらも、もはや過熱気味ではない労働市場にストレスがかかるとの見方を示した。デーリー総裁は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。
総裁は「労働市場の調整は今のところ緩やかで、失業率は小幅にしか上昇していない。しかし、このような穏やかな展開になる可能性が低下する時点に近づいている」と述べた。発言は24日にサンフランシスコで行う講演原稿に基づく。
その上で「今後労働市場が減速すれば、企業は求人のみならず実際に雇用を調整する必要が出てくるため、失業率の上昇につながる可能性がある」と指摘。「現時点で、われわれが直面するリスクはインフレだけではない」と述べた。
デーリー総裁は今年に入って発表されたインフレ指標の不安定さは確信を提供するものではなかったが、一定の落ち着きを示す最近のデータは勇気づけられる内容だったと述べた。それでも、経済が本当に物価安定の軌道に乗っているのかどうかを見極めるのは難しいとした。
さらに今後の経済動向について常にさまざまなシナリオを警戒するとともに、可能性を排除しないよう金融当局者に促し、「適切であるためには、政策は条件付きでなければならない」と述べた。
例えば、インフレ抑制のペースが予想よりも鈍い場合には、高金利を長く維持することが適切だと指摘。一方で、インフレが急激に鈍化したり、労働市場が予想以上に冷え込んだりすれば、利下げが必要になるだろうと述べた。
●先進国、グローバル、金融市場
ニューカレドニアで再び暴動、独立派指導者の身柄引き渡しに抗議 | ロイター
フランス極右政党、財政赤字抑制を重視 財務相有力候補が表明 | ロイター
フランス極右政党、国民連合(RN)で財務担当責任者を務めるジャン=フィリップ・タンギー議員は、RNが政権を獲得した場合、これまで長年にわたる財政赤字の拡大に歯止めをかけ、EUの財政ルールを順守すると強調した。23日に行ったロイターとのインタビューで述べた。
タンギー氏は、6月30日と7月7日の2回にわたって行われるフランス国民議会(下院)選挙でRNが絶対多数の議席を確保した場合に、財務相に就任する可能性のある最有力候補の一人と目されている。
インタビューで「われわれは財政赤字を制御不能な状態にしない。これまで50年間の財政赤字の垂れ流しとは決別する」と語った。
市場では一時、費用がかさむ支出政策を掲げる極右が政権を握ることへの警戒感から、フランスの株式と債券が大幅に売り込まれた。
タンギー氏は、RNの政策は税金の抜け穴をなくし、官僚主義的手続きを減らすほか、移民への福祉などに対する支出の削減によって、全ての財源を賄うと主張した。
日本の基礎的財政収支、来年度の目標未達の見通し=ムーディーズ | ロイター
米格付け会社ムーディーズで日本のソブリン格付けを担当するアナリスト、クリスチャン・ド・グズマン氏は24日、ロイターとのインタビューに応じ、日本政府が来年度の基礎的財政収支の黒字化目標を達成できなくても、格付けに関してネガティブな見直しをする可能性は低いと述べた。
黒字化目標は財政改革へのコミットメントと考えるべきだと発言。来年度の目標達成は予想していないが、目標を達成できなくても格付けに関してネガティブな見直しをする可能性は低いと語った。
「もしそのコミットメントを放棄し、実際に状況が悪化し、財政赤字が大幅に拡大、債務が大幅に増加すれば、格付けの柱を検証しなければならない」と同氏は述べた。
日銀の金融政策については、正常化に向け非常に緩やかなアプローチを取ると予想。「これは、金利がさらに上昇する時に備え、政府には財政政策を調整する時間があるということだ」と指摘し「1─2年以内にはそうなるとは考えていない」と述べた。
来年度の基礎的財政収支黒字化目標について「目標を達成できないだろう」との見方を示した。その上で、政府が歳出・歳入の改革のコミットメントを守る限り、目標未達による格付け変更は少なくとも当面は起こらないだろうと述べた。「コミットメントが存在するというシグナルが発信されている。コミットメントを定着させることが重要だ」と指摘した。
ムーディーズは2014年終盤に日本の格付けを「A1(安定的)」に設定した。
独IFO業況指数、6月は88.6 予想外の低下 | ロイター
フランスに不安募らせる市場-極右伸長で共存政権か、左派の影響も懸念 - Bloomberg
フランスのマクロン大統領が国民議会(下院、定数577)を解散し、今月30日の第1回投票を経て7月7日に決選投票が実施される。経済政策が劇的に転換される可能性があり、投資家にとって不確実な世界に扉が開かれた。
総選挙の結果、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)と、左派連合のどちらが政権に近づくにせよ、国民議会の主導権争いがこれほど注目されるのは、過去数十年でもまれだ。
いずれの陣営が勝ってもフランス政府の借り入れが膨れ上がると投資家らは懸念し、フランス国債のリスクプレミアムは2012年以降で最も拡大。欧州ソブリン債危機の再燃が差し迫っているか市場が問い掛けている。577の小選挙区で2回にわたり投票が行われる選挙制度の複雑さも不確実性を高める。
現時点の世論調査の結果から最も可能性が高いのは、RN陣営が議会で最大勢力になるが、絶対多数に届かないシナリオだ。RNのジョルダン・バルデラ党首は約束通り、首相になることを拒むだろう。
国民議会は身動きが取れなくなり、マクロン大統領は恐らく暫定首相を選任する必要があるが、予算などを巡る不信任投票で崩壊の危険に常にさらされる。
ナティクシスの金利ストラテジスト、テオフィル・ルグラン氏は「政治的行き詰まりと不確実性の重大なリスクが見られ、市場のボラティリティーを持続させる結果になりかねない」と懸念する。
RN陣営が政権を発足できるほど圧勝した場合、大統領が国防・外交政策を運営し、内政と経済政策を極右勢力が握る「コアビタシオン(共存)」政権が誕生する。ルペン氏はマクロン氏の政敵であり、緊張をはらむ結果となる。
左派連合「新人民戦線」が政策に著しい影響力を持つ結果になるかは不明だが、予測不能な2回投票制のため、可能性は排除できない。左派連合が政策決定で一定の役割を果たし、最も急進的なメンバーが優位に立つケースが、市場にとって最もネガティブになりそうだ。
マクロン氏の与党連合が失う議席を最小限に抑え、最大勢力を保てば、限定的な主導権を維持できるが、世論調査を見る限り、極めて可能性の低いシナリオといえる。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、ジェイミー・ラッシュ氏らは「フランスの政治情勢に市場は既に感度を示している。債務負担が重く投資家センチメントの変化に影響を受けやすく、選挙の結果、政策の方向性が大きく変わるようなことがあれば、スプレッドのさらなる拡大を招く明らかな危険が存在する」と分析した。
ルペン氏の極右勢力、支持拡大-準備できているとバルデラ党首 - Bloomberg
ブルームバーグの世論調査によると、マリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党「国民連合(RN)」は30日に行われるフランス国民議会(下院)選挙の第1回投票まで1週間を切る中、さらに勢力を伸ばしている。
ブルームバーグの調査によれば、RNの支持率は0.3ポイント上昇の34.2%。社会党、共産党、緑の党、極左の「不屈のフランス」の左派連合「新人民戦線」は0.1ポイント増の28.2%。マクロン大統領の再生(RE)と同盟勢力は20.6%で3位。
RNのジョルダン・バルデラ党首は24日同党が政権を担う準備ができていると述べ、国民の期待に合理的に応えられる「唯一の運動」だと有権者を納得させようと務めた。
選挙で同党が絶対多数を獲得すれば首相になる可能性が高いバルデラ氏は、購買力や安全保障、移民問題などについて、同党の優先事項の大枠を明らかにした。
RNは「フランス国民の期待を即座に合理的に実現する唯一の運動だ。われわれは準備ができている。われわれはこの国の財政を理にかなった状態に戻すことを目指す」とバルデラ氏は語った。
世論調査で2位につけている左派連合については、財政支出によってフランスを国際通貨基金(IMF)の軍門に下らせるだろうと警告した。
マクロン氏は欧州議会選挙で自身の党が惨敗したことを受け今月初めに解散・総選挙を決めた。突然の決定は市場に混乱を引き起こし、選挙の勝者がフランスの債務を膨れ上がらせるとの懸念から、フランス国債のドイツ国債に対するリスクプレミアムは2012年以来の高水準となった。
混乱は株式市場にも波及し、フランス株のCAC40指数は選挙決定後の1週間で時価総額2580億ドル(約41兆2000億円)を失った。
RNは国民議会で最大グループを形成するが絶対多数に必要な289議席には届かないとほとんどの世論調査で予測されているが、オドクサの最新の調査ではRNが250-300議席を獲得すると予測されている。フランスの2回投票制は予測を難しくする。
RNが最多議席を獲得しても絶対多数には届かなかった場合、下院は膠着(こうちゃく)状態に陥る可能性が高く、野心的な法案や改革は見送られることになるだろう。
バルデラ氏とルペン氏は共に、相対多数では政権を握れないと表明している。不信任投票にさらされる恐れがあるためだ。 
マクロン陣営は、左派とRNのプロジェクトはいずれも、親企業的な施策を後退させ、増税することで経済に悪影響を及ぼすだろうと主張している。
バルデラは24日、RNは秋に幅広い協議の場を設け、ビジネスを簡素化しマクロン氏の政策である生産税の減税を継続すると述べた。「フランスを生産にとって魅力的な場所にしたい」と語った。
目算狂った商業用不動産投資、カナダ年金基金に広がる痛み-戦略再考 - Bloomberg
カナダの主要年金基金で損失を免れたところはほぼ皆無だ。
最大の年金ファンド、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)は、商業用不動産の不振を背景に、昨年度に不動産ポートフォリオで5%の損失を出した。カナダ公務員年金投資委員会(PSPインベストメント)の痛みはマイナス16%とさらに大きく、不動産投資の通期運用成績としては、世界金融危機以来の低調な結果に終わった。
借り入れコスト上昇が不動産市場を揺るがす中、かねて他もうらやむ巨大な不動産事業で知られていたカナダの年金基金が厳しい状況に置かれている。こうした中、少なくとも主要4ファンドが運用の大幅な見直しに着手した。
加オンタリオ州教職員年金基金(OTPP)のジョー・テイラー最高経営責任者(CEO)はブルームバーグのインタビューで「過去35年はうまく機能していたことでも、今後5-10年はそうはいかないかもしれない」と述べた。
OTPPは、2000年に「キャデラック・フェアビュー」事業の買収を通じて不動産投資を活発化させて以降、ここ4年は最悪のパフォーマンスとなっている。キャデラック・フェアビューはOTPPの主力事業の1つで、ポートフォリオの中で最大となった。しかし、テイラー氏は昨年、キャデラック・フェアビューから将来の不動産投資に関する大半の権限を取り上げ、他の資産クラスと同様に基金内に移行した。
カナダ第2位のケベック州貯蓄投資公庫(CDPQ)は2023年度の不動産投資運用成績がマイナス6.2%だった。CDPQは1月、不動産事業を不動産担保融資を専門とする別の事業と統合すると発表。これにより年間1億カナダドル(約117億円)の経費削減を見込むとしている。
こうした動きは、カナダの年金基金を不動産市場で巨大な存在へと押し上げてきたアプローチを変えることを意味する。CEMベンチマーキングと加マギル大学のセバスチャン・ベテルミエ氏の調査によると、世界の年金資産のうち、カナダの年金基金が運用する割合は6%にとどまるが、年金基金が直接関与する民間不動産取引の総額のうち6割を手がけている。
カナダの年金基金が効率化および一元化の構造へと一段と移行していることは、不動産の主要な買い手の間で潮目の変化との認識が広がっている状況を映し出す。不動産投資は金利上昇で評価が下がり、金融機関が手を引いたことで厳しさを増している。またこの資産クラスがグローバルでニッチな様相を強めており、利幅も薄くなり、他の投資分野との競争が激しくなったとの認識でもある。
加ヨーク大学のジム・クレイトン教授は「不動産セクターは劇的に変化している」と指摘。「同時に、新型コロナウイルス流行後に加速した働き方および暮らし方の構造的変化に直面している。そのため、不動産とは何かと再考するようになった」と述べた。
こうした流れはカナダの年金ファンドの投資方法や投資対象にも変化をもたらしている。CDPQは現在、不動産投資を自らすべて手がけるのではなく、共同投資家や外部の運用会社を通じて行うことを検討している。情報は部外秘だとして匿名を条件に関係者が明らかにした。
マギル大学のベテルミエ氏は「カナダの年金基金の間ではこのまま直接的に投資するか、一歩引いてみるべきか検討する動きが出ている」と話す。
同氏の分析によると、カナダの年金基金が持つ巨大な不動産企業は、仲介業者に頼る競合他社よりも大きな利益率を確保しているが、年金基金は機敏さで見劣りすることになり、他の資産へと容易に資金を移すことができないことが分かった。
倉庫、ライフサイエンス関連ビル、データセンターなど、よりニッチな物件が相対的に有望な投資先として台頭する中で、不動産投資における柔軟性も重要になっている。カナダの年金はこうした多岐にわたる資産に資金を投じており、多くはさらに投資拡大を目指している。
だが、リモートワークやネット通販へのシフトによって最も打撃を受けているオフィス・小売り物件が依然として従来のポートフォリオの大部分を占める状況では、機敏に動くのは難しいかもしれない。CPPIBはマンハッタンの物件の持ち分をわずか1ドルで売却するなど、オフィス物件の一部から撤退を試みている。年次報告書によると、こうした取り組みの結果、3月末時点におけるオフィスへのエクスポージャーは6%と、1年前の9%から低下した。
ヘッジファンドの専売特許だったCAT債、個人投資家にも広がる - Bloomberg
カタストロフィー(CAT)債への投資はかつて、ヘッジファンドや他の洗練されたオルタナティブ資産運用会社の専売特許だった。しかし、2023年の最良のヘッジファンド戦略を支えた後、より幅広い投資家が投資するようになった。
調査・アドバイザリー会社のケプラー・パートナーズによると、個人投資家保護を目的とした欧州のUCITSラベルの下で販売されているCAT債ファンドは、その運用資産が今年12%増加し、過去最高の120億ドル(約1兆9000億円)に達した。この動きはUCITSを通じて販売されるCAT債が、CAT債市場全体のおよそ4分の1を占めるようになったことを意味する。
ケプラーのパートナー、マシュー・バレット氏は「2022年末以降、CAT債のUCITS市場が拡大している。「この資産クラスにとって非常にリッチな時期だ」と述べた。
CAT債は通常、リスクの一部を資本市場に移転しようとする保険会社が発行する。気候変動、人口密度、インフレなどの要因が保険会社が直面する潜在的損失を膨らませているため、発行は最近活発化している。CAT債投資家は、事前に定義された大災害が発生しなけれ ば市場を上回るリターンを得ることができるが、発生した場合は大きな損失に直面する可能性がある。
CAT債の発行額は今年、過去最高を記録しそうだ。同時に、気象学者が特に活発なハリケーンシーズンが大きな物的損害をもたらす可能性があると予測していることから、ポジションを見直している専門投資家もいる。
こうした状況の下で、CAT債UCITSの市場は急成長している。
UCITS:UCITSとは「Undertakings for Collective Investment in Transferable Securities(譲渡性証券集団投資事業)」の略で、基本的に、個人投資家向けに販売するのに十分な安全性を確保することを目的とした欧州連合(EU)規制の対象となる投資信託のこと。そのため、UCITSはEU最大のリテール投資セクターとなっている
  シュローダーによると、同社のUCITS・CAT債ファンドには今年これまでに3億9000万ドルが流入した。リーデンホール・キャピタル・パートナーズもUCITS・CAT債ファンドを提供しており、過去1年6カ月で資産は3倍の約9億ドルに増加した。ブルームバーグのデータによると、2023年2月にローンチされたアムンディの米国CAT債ミューチュアルファンドは約3億2800万ドルの資金を集めている。
アムンディは今年5月に発表したCAT債に関するリポートの中で「継続的な価格上昇と継続的な再保険需要の組み合わせは、24年の残り期間から25年にかけて魅力的な投資機会を提供する可能性がある」との見通しを示した。
約100億ドルの資産を持つ世界最大のCAT債投資家であるフェルマー・キャピタルは2月に独自のUCITS・CAT債ファンドを開始。ブルームバーグがまとめたデータによると、すでに5億4000万ドルを運用しいる。キャット債市場を追跡調査しているアルテミスによると、その大部分はフェルマーが他の資産運用会社のために運営している別のUCITSファンドから移管されたものだという。フェルマーはコメントを控えた。
資産運用会社は、個人投資家に直接CAT債ファンドを販売しているわけではないが、UCITSにCAT債が含まれていることで、より多くの投資家がこの資産クラスに参加できるようになると説明している。
チューリヒに本社を置くプレナム・インベストメンツの保険リンク証券担当シニアファンドマネジャー、ディルク・シュメルツァー氏は高リターンが銀行、ファミリーオフィス、年金基金の間で「さらなる関心を呼んでいる」と言う。
「当社はリテール向けに積極的なマーケティングは行っていない」が、銀行は一任勘定にCAT債を保有しているため、「個人投資家は最終的にCAT債へのエクスポージャーを持つことになる」と説明した。プレナムは2本のUCITS・CAT債ファンドを運用している。
これは規制当局が注視している展開だ。欧州証券市場監督機構(ESMA)は先月、UCITSでCAT債やその他のリスクのある証券を利用できるようにすることの影響に関する情報提供請求を開始した。
ブルームバーグが取材した資産運用会社によると、ESMAはUCITSでCAT債がどの程度普及しているか概要を把握しようとしている。
シュローダー・グループのプライベート市場部門であるシュローダー・キャピタルの保険リンク証券部門共同責任者、ダニエル・イナイチェン氏によると、CAT債は「プロの投資家が支配する市場だ」が、多くの投資家はUCITSラベルの付いた規制ファンドを好むという。
CAT債は現在、米国債を約9ポイント上回る利回りを提供しており、通常の社債と比べればかなりの利回り格差がある。また「記録的な発行高によって強化されている」と同氏は述べた。
とはいえ、今年のハリケーンシーズンは資産運用会社に、備えを怠らないようプレッシャーをかけている。シュローダーは「ポートフォリオを若干調整し、現金残高を若干増やした」という。
日銀、7月利上げ排除せず 短観や支店長会議で点検へ - 日本経済新聞
政府、国債の新販路を検討 受け皿に学校法人など浮上 - 日本経済新聞
個人向け国債、3年債利率が過去最高 「金利ある世界」波及 - 日本経済新聞
[FT]イタリア政権、農地での太陽光発電に「待った」 - 日本経済新聞
カナダ経済、雇用拡大と経済成長可能 インフレ鈍化でも=中銀総裁 | ロイター
カナダ、中国製EVの輸入を規制する計画発表-意見公募に着手 - Bloomberg
中国がドイツに取引提案、EUのEV追加関税阻止なら便宜用意 - Bloomberg
ブラックストーン、AI時代先取り-新たな領域の不動産投資に挑む - Bloomberg
●中東情勢
イランとバーレーン、国交正常化協議へ - 日本経済新聞
イラン大統領選挙、保守派がリード「中ロとの関係重視」 - 日本経済新聞
28日に投票日を迎えるイラン大統領選は保守派のリードが続いている。保守派は米国への強硬姿勢を示し、中国やロシアとの関係を強める方針を訴える。対外融和を唱える改革派候補も一定の支持を集めてはいるものの、政治不信を募らせる有権者の関心は低調だ。
欧州、紛争のレバノン波及を懸念 ヒズボラの脅迫「容認できず」 | ロイター
欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は24日、中東の紛争がレバノンに拡大する瀬戸際にあると述べた。
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ指導者ナスララ師は先週、イスラエルとの間で本格的な戦争が勃発した場合、イスラエル国内のどこも安全ではなくなると述べた。また、キプロスや地中海沿岸の他の地域に対しても警告を発した
ボレル氏はルクセンブルクでの外相会合に先立ち記者団に「この戦争がレバノン南部に影響を及ぼし、波及するリスクは日に日に大きくなっている」と指摘。「まさに戦争が拡大する前夜だ」などと語った。
ギリシャのゲラペトリチス外相は「EUの主権国家に脅しをかけることは絶対に容認できない。われわれはキプロスの味方であり、テロ組織から来るあらゆる種類の世界的な脅威に共に立ち向かう」と述べた。
ドイツのベーアボック外相も、イスラエルとヒズボラの状況は非常に憂慮すべきものだとし、近々レバノンを訪問すると明らかにした。
トルコ、新興国市場の中で好調際立つ 投資家が評価=関係者 | ロイター
中東紛争の本格拡大を懸念、「全面戦争のリスク高まる」=独外相 | ロイター
●エマージング
[社説]ジョージアは民主化堅持を - 日本経済新聞
旧ソ連南部のジョージア(グルジア)で、外国から一定以上の資金提供を受ける団体やマスメディアの登録を義務付ける法律が施行された。「外国の代理人」法と呼ばれ、政府が市民社会を圧迫する懸念が出ている。民主化を決して後退させてはならない。
政府は新法の目的を、外部からの干渉を抑え、国の政治や経済、社会システムを強固にすることだと説明する。だが同様の法律はロシアで2012年に制定され、反政権派の活動を封じ、人権を抑圧する道具として利用されてきた。
ジョージアの法案も野党が「ロシア法」と反発し、大規模な抗議運動が続いた。にもかかわらず、大統領を含む反対勢力や欧米の批判を無視し、与党が議会での採決を強行したのは残念だ。
背景には今秋の議会選を前に、野党勢力の活動や異論を抑え込む与党の思惑も指摘されている。政治目的で言論の自由が妨げられることがないよう、政府は新法の運用に慎重を期してほしい。
ジョージアでは03年、激しい抗議運動で当時のシェワルナゼ大統領を辞任させる「バラ革命」が起きた。今年も議会選を前に再び社会の緊張が高まる懸念があるが、与野党とも過激な街頭活動に走らず、公正に選挙を実施すべきだ。
新法に関し、米国はジョージアに制裁を科す可能性に言及した。欧州諸国も厳しく非難した。23年末に欧州連合(EU)加盟候補国となったジョージアは、新法を乱用すれば悲願のEU入りが遠ざかることを認識する必要がある。
ジョージアはロシアやアジア、中東、欧州に挟まれた「文明の十字路」に位置し、その民主化は国際的にも重要だ。権威主義に傾けば、中国と関係を強化し、ロシアに再び近づく恐れがある。
日本も無関心ではいられない。カスピ海沿岸からジョージアを経由してトルコに至る石油パイプラインの事業には日本企業も参画する。日本政府も民主化路線と内政の安定を堅持するよう促してもらいたい。
ペルー中銀、24年成長予想を3.1%に上方修正 農業部門回復へ | ロイター
新興国にトランプ・ショック懸念 再びメキシコを直撃か 選挙イヤー・市場の死角(2) - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
黒海地域や米中西部、異常気象で農作物に懸念 | ロイター
黒海地域の穀倉地帯では乾燥が予想され、ヒマワリやトウモロコシの収穫量を押し下げそうだ。一方、米国では大雨で農作物への影響が懸念されている。
米Maxarの気象学者クリス・ハイド氏によると、黒海地域では7月と8月に平年を下回る降雨が見込まれる。
世界の小麦価格は最大の輸出国であるロシアの収穫見通しが悪天候で減少したため、5月に10カ月ぶりの高値に跳ね上がった。
ウクライナの南部と東部も暑く乾燥した天候が続いており、5月1日から6月10日までの降水量は平年の20─50%に過ぎなかった。
米中西部では大量の降雨があり、さらに雨天が続くとの予報から洪水への懸念が高まっている。
ハイド氏は「特に中西部上部のトウモロコシと大豆の産地で洪水が起こる可能性がある」と警告した。
中国、インドも猛暑と平年以下の降雨に見舞われているが、気候は改善すると見込まれている。
一方、オーストラリアの天候は平年並みとなりそうだ。一部の地域では平年以上の降雨が見込まれ、小麦の収穫見通しを押し上げている。アルゼンチンとブラジルでもおおむね平年並みの気候が予想されている。
全米で猛暑警報、フィラデルフィアで体感41度超えも | ロイター

●小ネタ
ロレックスの中古市場で価格が下落



●市況
欧州市場サマリー(24日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。保険大手プルーデンシャル株が上昇し、相場を押し上げた。
プルーデンシャルは7.3%と大幅に上昇。20億ドル規模の自社株買いを行うとの発表が好感された。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。銀行株と自動車関連株が相場を押し上げた。
STOXX欧州600種銀行株指数は1.70%高。イタリアの銀行大手ウニクレディトが3.9%高となるなどイタリアの金融機関株が上昇した。
自動車・部品株指数は 1.51%高。欧州連合(EU)と中国は、欧州市場に中国から輸入される電気自動車(EV)への関税計画について協議を始めることで合意したと伝わったことが材料視された。
一方、テクノロジー株指数は0.77%安で、相場全体の上げ幅は抑えられた。
地域別では、フランスのCAC40指数が1.03%上昇した。
注目されている30日のフランス下院選挙の第1回投票を前に、世論調査では極右の国民連合(RN)を中心とする勢力が優勢とみられている。歳出増による財政悪化が懸念されていたが、アナリストらの見方には変化がみられる。
RNによる政権が誕生した場合に財務相の有力候補とされるジャン=フィリップ・タンギー議員は、RNが政権を担った場合、財政赤字の拡大に歯止めをかけ、EUの財政ルールを順守すると強調した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りがまちまちだった。ドイツではこの日発表された6月の業況指数が予想外に低下し、利下げ観測を下支えした。
ただ、ドイツ10年債利回りは1.5ベーシスポイント(bp)上昇の2.4126%。
短期金融市場は、欧州中央銀行(ECB)が年内に計約45bpの利下げを行うことを織り込んでいる。 これは、さらに25bpの追加利下げと、年末までに3回目の利下げが実施される確率が80%であることを示唆している。
イタリア10年債利回りは1bp低下の3.93%。独伊10年債利回り格差は150bpに縮小した。
独仏10年債利回り格差は72bpとなった。格差は縮小したものの、積極財政に前向きな極右政党がフランス総選挙で勝利した場合の財政危機への懸念を背景に、依然として7年ぶりの高水準まで拡大したレンジで推移している。総選挙の第1回投票は6月30日に実施される予定。
NY市場サマリー(24日)ドル/円下落、利回り横ばい ダウ1カ月ぶり高値 | ロイター
<為替> ドルが対円で8週間ぶりの高値から下落した。一時、ドルが160円をわずかに下回る水準に達した場面もあり、市場では引き続き日本政府・日銀によるドル売り/円買い介入実施を警戒する展開となっている。
取引終盤、ドル/円は0.1%安の159.65円。序盤には159.94円まで上昇し、4月29日に付けた34年ぶりの高値160.245円に迫った。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「これまでの実績から、日銀が特定の水準を狙っていないことがうかがえる」と指摘。市場が再び日銀が円安を食い止められるか試している理由については、「金利差がこれほどまで拡大しているときに介入するメリットに懐疑的な陣営が存在するからだ」と述べた。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは6%安の6万0319.00ドル。イーサも6.3%下落して3302ドル。
<債券> 国債利回りがほぼ横ばいで推移した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期の手がかりを得ようと、週内に発表される経済指標が注目されている。
金利先物市場では、9月に最初の0.25%ポイントの利下げが行われる確率が61.2%であることが織り込まれている。金利先物が織り込む年内の利下げ回数は約2回。
終盤の取引で10年債利回りは4.251%近辺と、前週21日と比べやや低い水準。月初からは25ベーシスポイント(bp以上下げている。
2年債利回りは4.738%と、前週21日からやや上昇。
<株式> ダウ工業株30種が5日続伸し、1カ月ぶりの高値を付けた一方、ナスダック総合は1%超下落した。FRBの年内利下げを見込み、人工知能(AI)関連株から手を引く一方、一部の出遅れ銘柄をポートフォリオに加える動きが広がった。
<金先物> 対ユーロでのドルの下落を好感した買いに反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比13.20ドル(0.57%)高の1オンス=2344.40ドル。
<米原油先物> 世界的な需給引き締まり期待や中東情勢を巡る供給混乱への警戒感などを背景に買われ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物は前週末清算値(終値に相当)比0.90ドル(1.11%)高の1バレル=81.63ドルだった。9月物は0. 90ドル高の80.86ドル。


備忘録(2024/6/21-23
●雑感
●決算
米主要500社の第1四半期、8.1%増益見込み=LSEG | ロイター
LSEGのデータによると、米S&P総合500種指数(.SPX), opens new tab採用企業の2024年第1・四半期利益は前年同期比8.1%増となる見通し。エネルギーセクターを除くと11.3%増になる見込み。

これまでに第1・四半期決算を発表した498社中、78.7%で利益がアナリスト予想を上回った。この割合の長期平均は66.7%、過去4四半期の平均は78.5%。
第1・四半期売上高は前年同期比3.9%増加する見通し。エネルギーセクターを除くと4.6%の増収となる見込み。
これまでに第1・四半期決算を発表した企業のうち、売上高がアナリスト予想を上回った企業の割合は61.4%。長期平均は62.2%、過去4四半期の平均は65.3%。
第2・四半期の1株利益について、悪化もしくは市場見通しを下回ると予測する企業は70社。改善もしくは市場見通しを上回る予測を出した企業は34社。悪化を改善で割ったネガティブ/ポジティブレシオ(70/34)は2.1。
今後4四半期(24年第2・四半期─25年第1・四半期)の予想PER(株価収益率)は21.6倍。
●海外企業
マクドナルドが仕掛ける5ドル戦争、節約志向の消費者囲い込みへ - Bloomberg
アメックス、飲食店予約サイト「トック」を現金4億ドルで買収 | ロイター
米クレジットカード大手アメリカン・エキスプレスは21日、スクエアスペースからレストラン予約サイトの「Tock(トック)」を現金4億ドルで買収すると発表した。これにより富裕層の顧客へのアピールを目指す。
同社は、2019年に同じくレストラン予約サイトの「Resy(レジー)を買収している。今回のトック買収により、さらに7000軒のレストランやワイナリーなどがアメックスのネットワークに加わることになる。
米ハネウェルが防衛電子機器メーカー買収へ、紛争長期化で受注急増 | ロイター
米重工業大手ハネウェル・インターナショナルは20日、防衛装備品や航空宇宙関連メーカー向けに電子機器を開発する米CAESシステムズを19億ドルで買収すると発表した。全額を現金で支払う。
ロシアとウクライナ、イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争がいずれも長期化しているため、CAESシステムズが開発したアンテナシステムや通信システムといった電子機器は受注が急増している。
米金融大手ジェフリーズの株式アナリストの顧客向けメモによると、ハネウェルはCAESシステムズ買収により、ロッキード・マーチンの戦闘機F35やボーイングの電子戦機EA―18Gグラウラー、レイセオンの先進中距離空対空ミサイルAMRAAMなどミサイルといったプログラム製品群を補完することになる。
ハネウェルはビマル・カプール氏が昨年6月に最高経営責任者(CEO)に就任以降、「自動化」と「航空の未来」、「エネルギートランジション」を有望視される大きな傾向として経営の3本柱に据えており、今回の買収もその一環に当たる。企業買収は今年に入って3件目。
今回の買収手続きの完了は今年後半と見込まれ、その後1年間でハネウェルの調整後1株当たり利益の増加につながる見通しだ。
CAESシステムズはプライベートエクイティ(PE)会社のアドベント・インターナショナルが2020年1月に50億ドルで買収した企業で、当時の社名はコブハム・アドバンスト・エレクトロニック・ソリューションズだった。21年に新しい会社として切り出すカーブアウトを実施していた。
●日本企業
日立建機CFO「米国で値上げ継続」米の販金資産7割増に 新年度財務戦略を聞く - 日本経済新聞
●米大統領選挙
トランプ氏、副大統領候補決めたと発言-有力候補らにはまだ伝えず - Bloomberg
トランプ前米大統領は、副大統領候補に誰を選ぶかを決めたが、このポストを狙う共和党議員らには自身の決定をまだ伝えていないと述べた。
トランプ氏は22日にフィラデルフィアのレストランに立ち寄った際、大統領選に向けて27日にジョージア州アトランタで行われるテレビ討論会に副大統領候補も参加するだろうと語った。現場にいたNBCニュースの記者が明らかにした。
バイデン米大統領と対決するテレビ討論会では聴衆がいないが、ノースダコタ州のダグ・バーガム知事やフロリダ州のマルコ・ルビオ上院議員、オハイオ州のJ・D・バンス上院議員ら副大統領候補として有力視される人物の多くが、トランプ陣営主催の「ウォッチパーティー」に参加する見込み。
トランプ氏はこれまで、7月15日からウィスコンシン州ミルウォーキーで開催される共和党全国大会の時かその直前に人選を発表すると表明している。
だが、不倫口止め料を巡り計34件の罪に問われた訴訟の量刑言い渡しが7月11日に予定されていることから、報道をそらす狙いもあり発表を早める可能性がある。
トランプ陣営、選挙資金がバイデン陣営を初めて上回る | ロイター
●先進国中銀
FRB重視インフレ指標、緩やかな上昇か-利下げ開始の足掛かりにも - Bloomberg
今週発表されるインフレ指標は、月間として昨年終盤以来最も緩やかな上昇となりそうだ。米金融当局が重視する同指標が予想通りなら、もしかすると9月にも利下げを開始する足掛かりになる可能性がある。
ブルームバーグのエコノミスト調査予想中央値によると、28日に発表される5月の米個人消費支出(PCE)総合価格指数は前月比横ばい、食品とエネルギーを除いたコア指数は0.1%上昇にとどまる見通し。
前年同月比では総合、コア価格指数ともに2.6%上昇が見込まれる。基調的なインフレをより正確に反映するコア指数の上昇率は、2021年3月以来最も小幅にとどまる見通し。
6月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降に金融当局者は、消費者物価指数(CPI)など他のインフレデータが落ち着いていることは心強いが、利下げする前にこうした進展を数カ月間、確認する必要があると表明している。
一方、米金融当局のもう1つの責務である労働市場はペースが鈍化したとはいえ、なお安定して推移している。健全な雇用市場を受け当局者は利下げのタイミングで一定の柔軟性を確保している。
先週公表された5月の米小売売上高では商品に対する購買意欲低下が示されたが、サービス分野を含む個人消費のデータがPCE価格指数とともに発表される。予想中央値では、名目ベースの個人消費が所得とともにやや加速すると予想されている。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、エステル・オウ氏らは「インフレ鈍化を示す数字は、インフレ率が目標の2%に着実に低下する軌道にあると当局者が7月のFOMCまでに納得するほとではないだろう」と指摘した。
今週は6月のミシガン大学消費者マインド指数、5月の新築住宅販売と中古住宅販売成約のほか、1-3月(第1四半期)の米実質国内総生産(GDP)確報値、5月の耐久財受注が発表される。
一方、ユーロ圏主要3カ国のインフレ率は当局者が歓迎するような数字になりそうだ。スウェーデンとメキシコの中央銀行は政策金利を据え置く見通し。 
●先進国、グローバル、金融市場
「ごっつぁん」再び狙うFX投資家、円安加速で高まる為替介入リスク - Bloomberg
東京金融取引所の集計データによると、FX投資家は5月中旬以降に先物取引を通じて対ドルの円買いポジション(持ち高)を増やしている。為替介入を先読みして円反発時に利益確保を狙う投資戦略が同投資家の間で広がっている可能性を示唆しており、介入への期待の表れでもある。4月末から5月にかけて政府・日銀が円買い為替介入に踏み切った際にはこの円買い持ち高は大きく減少していた。
 21日のニューヨーク外国為替市場で円相場は対ドルで一時159円80銭台まで値下がりし、通貨当局の介入が意識される160円の心理的節目に接近した。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、円安が進む中でドル売り・円買いを維持するFX投資家は一刻も早い介入を望んでいるだろうと語る。
フランス下院選、極右RNがリード固める-最新世論調査 - Bloomberg
フランス国民議会(下院)選挙を約1週間後に控え、極右政党・国民連合(RN)がリードを固めたことが複数の最新世論調査で分かった。同党が新議会で絶対多数を確保する可能性を示す予測も公表された。
オドクサが21日発表した世論調査によると、ジョルダン・バルデラ氏(28)が党首を務めるRNの支持率は33%。左派連合(28%)やマクロン大統領率いる与党「再生(RE)」(19%)を上回った。
オピニオンウェイとバエ・ソリスが22日公表した別の世論調査では、RNは6月14日との比較で2ポイント上昇して35%。左派連合は28%と3ポイント上昇し、再生は2ポイント上げて22%だった。
22日に発表されたイプソスの世論調査によれば、RNとその同盟の支持率は35.5%で、左派連合(29.5%)と再生(19.5%)をリードしている。
マクロン仏大統領は今月行われた欧州議会選挙で自ら率いるグループが惨敗したことを受け、国民議会の解散と新たな選挙実施を表明した。第1回投票は6月30日、第2回投票は7月7日に予定されている。
下院(定数577)で絶対多数を得るには289議席を確保する必要がある。
オドクサの世論調査によれば、NRと関連候補は250-300議席を獲得する可能性がある。現在は89議席。左派連合は160-210議席になる見通しで、現在250議席の再生は70-120議席にとどまり、大幅に減らす見通し。
英与党は負け覚悟、歴史的惨敗の阻止に躍起-7月選挙は裏目の様相 - Bloomberg
スナク英首相の顧問らは、しばらく前から総選挙で勝利できる可能性が低いことを認識していた。首相が最悪のシナリオに向かっていることが今週の内部調査で確認されると、顧問らは口には出さないものの敗北を受け入れ、保守党の存続確保に焦点を移した。
事情に詳しい関係者によると、保守党は約2週間後に迫った総選挙の見通しについて独自の分析を実施。結果は、世論調査が現在示唆するようにスターマー党首率いる労働党が議会過半数を最大100議席上回る歴史的勝利を果たすというものだった。この数字について報告を受けた保守党の重要閣僚は、英軍史上最も多くの犠牲者を出した第1次大戦の激戦「ソンムの戦い」に今回の総選挙を例えた。
スナク政権の閣僚の多くがまだ総選挙の計画を知らなかった時に複数の首相側近が選挙日程を予想するギャンブルに興じ、7月4日に賭けていたことも明らかになるなど、保守党内部でも幻滅感が深まる。これは今月初めに開かれた第2次世界大戦中のノルマンディー上陸作戦(Dデー)記念式典を首相が途中退席したのと同じ類いの失態で、保守党は国民への奉仕に力を注いでいないという否定的な見方を強めてしまった。
ある世論調査では英国史上初めて現職首相が落選する可能性も示唆され、首相の選挙区すら、もはや完全に安全ではないとの懸念が保守党関係者の間に広がっている。匿名を条件に語った複数の関係者によると、閣僚の半分余りに深刻な落選リスクがあり、そうなれば英国の政治史で初めての事態になる。
こうした状況に後押しされ保守党の選挙対策本部は19日、前回選挙で過半数の票を得て当選した多くの党所属議員の選挙区から、以前は完全に安全だと見なしていた選挙区に資源を移す決定を下した。これまで同党の牙城としていた地域での明らかな撤退で、労働党はこれに対して以前は勝ち目がないと考えていた保守党現職の一部選挙区に大量の選挙運動員を送り込み、選挙戦最終盤に攻勢を強める構えだと、党関係者が説明した。
保守党の有権者に対する呼び掛けは、労働党政権下で信頼できる野党の地位を確保することに重点を置いたものになりそうだ。キャメロン外相は訪問した農家に対し、「われわれが勝てないと思うとしても、将来的に政権を担える状態であることが重要だ」と述べていた。
保守党関係者が希望を託しているのは、同党の中核的な支持者の投票率が上昇し、予想外の好結果をもたらす可能性だ。世論調査で労働党が圧倒的な優勢となっている主な理由は同党が前回選挙から票を大きく伸ばしているからではなく、保守党に前回投票した有権者が極めて無関心になっているためだと、保守党関係者は主張した。
「定数650の議会で労働党が450や460の議席を取るような大勝を収めるなら、重要なのは有効な野党があるかどうかになる」とストライド雇用・年金相は19日、ブルームバーグテレビジョンで発言。「英国の有権者に対する自分からのメッセージは、どのような議会を望むのかよく考えて欲しいということだ」と語った。
ウォール街のスマート軍団、株高に打ち負かされる-今こそ警戒か - Bloomberg
フランス債、過去のスプレッドもう戻らず-極右の過半数回避でも - Bloomberg
欧州2位の経済大国フランスで実施される国民議会(下院、定数577)選挙の結果、議会の勢力図が塗り替えられれば、経済に広範な影響が及ぶ恐れがある。フランス国債に対し、債券投資家はより高い利回りを何年も要求することになりそうだ。
チューリッヒ・インシュアランスとニューバーガー・バーマンによれば、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)が圧倒的過半数に届かなくとも、フランス国債に市場はより高い利回りを引き続き求めると予想される。
ソシエテ・ジェネラルなどは、フランス債相場に重くのしかかる政治不安が2027年の大統領選まで続くと見込む。
欧州議会選でのRNの圧勝と中道の与党連合大敗を受け、マクロン大統領は今月9日、国民議会を解散し、総選挙を実施すると発表した。フランス10年国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)はその後30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り拡大。21日の取引では、一部で節目とみられた80bpに達した。
チューリッヒのチーフマーケットストラテジスト、ガイ・ミラー氏は「フランス国債がドイツ国債に対し今後取引される水準のステップは変化した。過去のようなスプレッド水準で再び取引されるとは思えない」と指摘する。
このリプライシングの理由は2つある。世論調査でリードするRNは、フランスの債務負担を巡る懸念が膨らむ中でも大規模な支出が必要となる措置を依然掲げている。ただ最近になって、経済運営への信頼を高めようと公約の一部を撤回した。
さらに、極右が台頭すれば欧州連合(EU)との関係が悪化し、将来的にユーロ圏の存続が脅かされる事態もあり得るとの懸念も出ている。
フランス債利回りが高止まりすれば、経済に広範な影響を及ぼす。同国財務省の試算によると、総選挙実施発表後の利回り水準が1年間続けば、政府の債務負担は年8億ユーロ(約1360億円)増える。5年後もこの水準であれば年間で約40億-50億ユーロ、10年後なら90億-100億ユーロの追加費用が発生するという。
マクロン大統領の与党連合が世論調査の結果を覆し、議会の過半数を得る予想外の展開となったとしても、リスクプレミアムは残る公算が大きいとソシエテは警告する。極右勢力の伸長で法案可決が難しくなり、改革が阻止される可能性があるためだ。
ソシエテの金利戦略責任者アダム・クルピエル氏は、与党連合の過半数という市場にとって「ベストシナリオ」が実現するような場合も「フランス債の特異的なプレミアムは縮小しても完全な消失はあり得ないのではないか」と見解を示した。
この場合、フランス債とドイツ債のスプレッドは縮小するだろうが、50-55bpのレンジを下回ることはないだろうとクルピエル氏は予想。RN勝利なら75-90bpあたりが新たなレンジになり得ると続けた。
「フランス債の環境が変化するリスクを、当局は過小評価しているとみられる」と同氏は述べた。
米中古住宅販売、3カ月連続で減少-販売価格は過去最高を更新 - Bloomberg
米中古住宅販売件数は5月に、3カ月連続で減少。一方、販売価格は過去最高を更新した。この時期は重要な春の書き入れ時だが、物件を取得しづらい状況が続いていることが浮き彫りになった。
中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月比0.7%減の411万戸
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は410万戸
4月は414万戸
統計発表元の全米不動産業者協会(NAR)は、5月の販売件数減少は全て南部での落ち込みによるものだと説明している。
中古住宅販売在庫は前年同月比18.5%増の128万戸。ただ、住宅ローン金利が今よりずっと低かったコロナ禍前の水準と比べると、かなり少ない。
中古住宅の販売価格(季節調整前、中央値)は前年同月比5.8%上昇し、過去最高の41万9300ドル(約6690万円)となった。販売価格が高止まりしている理由の一つは、こうした在庫の乏しさにある。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「住宅価格が最高値を更新したことで、既に物件を所有している人たちと、これから初めて住宅を購入したいと考えている人たちとの格差が鮮明になっている」と発表文で指摘。「ゆくゆくは在庫が増加することで今後何カ月かで住宅販売が増え、住宅価格の上昇が抑制されるだろう」とも記した。
現在の販売ペースで見た場合、在庫消化に要する期間は3.7カ月と、4年ぶりの高水準となった。ただ、5カ月を下回ると在庫はタイトと見なされる。
地域別では、最大地域の南部で3カ月連続の減少。他の3地域はほぼ横ばいだった。
米サービス業PMI上昇、22年4月以来の高水準-物価圧力は緩和 - Bloomberg
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「需要の高まりが引き続き経済に浸透しており、活動の上向きは広範囲に及んでいる」と発表文で指摘。「力強い国内消費を反映してサービス業がけん引しているが、活動拡大は製造業の回復継続に支えられている」と記した。
ユーロ圏PMIが予想外に失速、仏選挙リスクが圧迫-製造業低迷 - Bloomberg
HCOB(ハンブルク商業銀行)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は21日の発表文で、「この予想外の展開が将来の経済政策を巡り多大な不透明性を引き起こし、それにより多くの企業が新規投資や注文にブレーキをかけた公算が大きい」と指摘。
「いずれにせよ、フランスの景気低迷がユーロ圏の経済状況悪化に大きく寄与したことは明らかだ」と述べ、ユーロ圏の4-6月(第2四半期)の域内総生産(GDP)は0.2%増となるだろうと予測した。
バルセロナ、28年までに観光客向け賃貸物件閉鎖 住宅費抑制図る | ロイター
スペイン・バルセロナのコルボニ市長は21日、2028年11月までに、短期賃貸用のアパート1万0101戸の認可を取り消すと表明した。観光客向けのアパート賃貸を全面禁止にすることで、こうした物件が市民への賃貸向けに市場に流通されるようにし、住宅費の高騰抑制を目指す。
観光客数で世界のトップ3にランクされるスペイン国内の中でも、バルセロナは最も多くの外国人観光客が訪れる人気都市。これを受け、市内には短期賃貸アパートが急増している。過去10年で家賃が68%上昇し、住宅購入費用も38%上昇しており、住宅を購入できない市民が増えているとして、コルボニ氏は「バルセロナが直面する最大の問題だ」と強調。住宅確保の問題が、特に若年層にとって格差の要因になっているとも指摘した。
高額で収益性の高い観光客向け物件が所有者に好まれる傾向は欧州全土で顕著になっている。一部の地域では家賃が高騰するあまり地元住民が住めなくなる事態となっており、この10年間でもスペインのカナリア諸島、リスボン、ベルリンなどで自治体が短期賃貸物件への規制を相次いで発表している。
スペインのロドリゲス住宅相は「手頃な価格での住宅確保を保証するため、あらゆる必要な取り組みをすることが重要だ」とSNSサイトに投稿し、バルセロナの決定を支持すると表明した。
一方、地元の観光アパート協会は「貧困と失業の増加につながり、間違いだ」と反対を表明。禁止措置は違法な観光アパートの増加を招きかねないと指摘した。
この措置は、ホテル業界にとっては恩恵となる可能性がある。バルセロナ市内で最も人気の高いエリアでのホテルの新規開業は近年禁止されてきたが、コルボニ市長はこの規制を緩和する可能性を示唆している。
訂正 「脱日銀」へ長期化是正、銀行勢に保有促す 国債消化で有識者提言 | ロイター
アングル:中国の不動産対策、大都市で効果も地方の不振続く L字型回復か | ロイター
アングル:米信用スプレッド、3カ月ぶり高水準 仏政局不安で「質への逃避」 | ロイター
米国市場で、投資適格社債と国債の利回り差(信用スプレッド)が3カ月超ぶりの高水準に拡大している。フランスの政局不安を背景にリスク回避が強まっているほか、米債利回りの低下が寄与しているという。
高格付け債のベンチマークであるICEBofA米投資適格債指数のスプレッドは、今週96ベーシスポイント(bp)と3月中旬以来の高水準を記録。一方、北米企業の信用リスク指標であるマークイットCDX北米投資適格指数のスプレッドは、21日に一時54bp超と5月1日以来の高水準を付けた。
バークレイズのストラテジストは21日付のリポートで、米社債への売りはフランスの政局不安による「質への逃避」が一因で、投資家はより安全な米債に資金をシフトさせているとした。
米インフレ統計で予想以上の減速が示されたことも米債利回りの今月の低下につながっているという。
指標10年債利回りは足元で4.269%と5月末の4.554%から低下。USバンクの債券セールス・トレーディング責任者、ブレア・シュウェド氏は「投資家は信用リスクを取ることに対する見返りをもう少し求めるようになった」と述べた。
それでも信用スプレッドは過去に比べて引き続き低水準にとどまっている。借り入れコストが高水準で推移しているにもかかわらず、米経済が底堅く推移している上、将来的な金利低下が見込まれているためだ。昨年同時期の投資適格債のスプレッドは135bpだった。
BMOキャピタル・マーケッツの債券戦略担当ディレクター、ダニエル・クリーター氏は、社債に対する押し目買いの好機なのか、それともスプレッドの新たな取引レンジへの移行なのかを結論付けるには時期尚早と指摘。「フランスの選挙が終わるまで答えは分からない。少なくともこのイベントリスクが過ぎ去るまではスプレッドは大きく変動しないだろう」と述べた。
米大手4行の破綻処理計画に不備、シティには「欠陥」=規制当局 | ロイター
米銀行規制当局は21日、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースの「リビングウィル(生前遺言)」と呼ばれる事前の破綻処理計画に不備があったと発表した。
連邦準備理事会(FRB)と連邦預金保険公社(FDIC)によると、4行は2025年の次回提出までにデリバティブポートフォリオを安全に解消する方法を見直す必要があるという。
4行は今回の不備にどのように対応するかの詳細な説明を9月に求められる見通し。バンク・オブ・アメリカからのコメントは現時点で得られていない。JPモルガンとゴールドマンはコメントを控えた。
シティの計画について、FDICは「欠陥」があるとし、信用に値しないと判断したが、FRBは同様の判断を下さなかった。両当局がシティの計画に「欠陥」があると判断した場合、再提出が求められ、さらなる規制上の制限に直面する可能性があった。
2007─09年の金融危機を受け、大手銀行は規制当局に対し破綻処理計画を定期的に提出するよう命じられている。これらの計画の信頼性と実現可能性が規制当局によって評価される。
規制当局によると、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、ステート・ストリート、モルガン・スタンレーが提出した計画には問題が見られなかったという。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのリサーチ・ディレクター、クリストファー・マリナック氏は「FRBは各行に破綻処理計画をより正確化するよう促している」とし、「最終的な結果に満足しておらず、銀行には対応がなお必要だ」と述べた。
TDコーウェンのアナリスト、ジャレット・セイバーグ氏は、シティを巡るFDICとFRBの見解が分かれたことについて、シティは改善を通告されたものの、強制的な資産売却のリスクはないとの見方を示した。
シティは声明で「指摘された問題への対応に全力を挙げて取り組んでいく」とし、「改革を大幅に進めたが、データの質や規制プロセスなど、特定の部門で取り組みを加速させる必要があると認識している」と表明。
「当行のバランスシートと財務の健全性は依然として強固であり、資本、流動性、準備金は高水準にある。われわれは税金を使用することなく、また金融システムに悪影響を与えることなく、解決できると確信している」とした。
英総合PMI、6月速報値は7カ月ぶり低水準 選挙控え神経質 | ロイター
S&Pグローバルのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「指数の低下は、総選挙を控えたビジネス環境の不確実性を反映している。多くの企業は、各種政策が明らかになるまで、決定を控えている」と述べた
独総合PMI、6月速報値は50.6に低下 製造業の不振続く | ロイター
ハンブルグ商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、製造業は苦戦を強いられていると指摘。世界的な環境改善にもかかわらず、あらゆる指標が工業製品の需要の伸び悩みを示唆していると述べた。
仏サービスPMI、6月速報値は48.8に低下 需要低迷で予想下回る | ロイター
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、ノルマン・リープケ氏は、国民議会(下院)選挙を巡る不透明感から仏企業は失速し、より厳しい状況になることを恐れていると述べた。
英国立統計局(ONS)が21日発表した5月の小売売上高(数量ベース)は前月比2.9%増加した。大雨で客足が遠のいた4月の1.8%減(改定値)から急回復した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想の1.5%増を大幅に上回った。
前年同月比でも1.3%増加と、4月の2.3%減(改定値)から改善した。ただコロナ禍前の2020年2月の水準を0.5%下回った。
ONSは前年比の伸びについて、前年5月に国王戴冠式の祝日があった影響が出ている可能性があると指摘した。
PwCの消費者市場スペシャリスト、リサ・フッカー氏は、一見強い数字だが、祝日や最低賃金の引上げなどを考慮するとそうでもなく期待外れだったと述べた。
ONSによると、大半のセクターで販売が伸び、中でも衣料や家具の販売店の改善が顕著だった。
ノンバンク、米大手銀への波及リスク増大=NY連銀 | ロイター
米ニューヨーク連銀のエコノミストは20日、ブログ「リバティー・ストリート・エコノミクス」で、ノンバンクが米大手銀行にとって一段と大きなリスクになっていると警鐘を鳴らした。
市場全体のストレスが高まる局面ではノンバンクがタームローンや信用枠を求めるため、銀行に対する流動性需要が高まる。ブログはこうした大手銀への依存が「ショックの伝達と増幅のベクトル」となり、当局が一斉に介入せざるを得なくなる可能性があると指摘。市場に深刻な混乱をもたらす恐れがあるとした。
また、銀行とノンバンクのリスクの相関は現在80%を超え、2008年金融危機前の約65%から着実に上昇してきたとした。
アナリストらは商業用不動産(CRE)でこうした相互作用が一段と鮮明になる可能性があると指摘する。米抵当銀行協会(MBA)によると、CREローンの残高4兆7000億ドルのうち、5分の1に当たる9290億ドルが24年に返済期限を迎える。
ブログはCREローンについて、住宅ローンと異なり一般的に返済期間が短く、満期時に支払うバルーンペイメントも大きいとし、銀行とノンバンクが互いに密接につながっていることを認識した金融規制とシステミックリスク監視体制が必要だと強調した。
パタゴニアを超えていけ 上場Bコープの挑戦 編集委員 小平龍四郎 - 日本経済新聞
●中東情勢
●エマージング
中国の貿易黒字データ、不可解な食い違い-米国が説明求める - Bloomberg
米財務省によれば、中国の税関データが示す貿易黒字額は国際収支で報告されているよりもはるかに大きい。中国の国際収支は国家外為管理局(SAFE)がまとめている。
同省は20日発表した半年に1度の外国為替報告書で、中国税関が公表した2023年の貿易黒字はSAFEの報告よりも2300億ドル(約36兆5000億円)近く大きかったと指摘。2000年以降、両者の差は平均70億ドルに過ぎなかったという。
住宅不況で国内消費が落ち込んだ中国は、経済成長の原動力を対外貿易に依存。こうした背景から2つの数値の食い違い拡大はここ数年、多くのエコノミストや国際機関から注目されている。23年の差は中国の国内総生産(GDP)の1%余りに相当する。
自国市場が中国からの製品で席巻されつつあると主張する中国の貿易相手国もあり、中国の貿易黒字額が実際にはどの程度なのかということが大きな問題となっている。
SAFEは1年前、多国籍企業が中国企業に商品の製造を委託する特殊なタイプの自由貿易区を利用するようになったことが、データの違いの一因だと説明。
だが、米財務省は「過去3年間、どのような傾向がこうした格差を拡大させたのかは明らかではない」とし、中国に対しその理由をはっきりさせるよう定量的な裏付けをさらに提出するよう求めた。
国際通貨基金(IMF)は先月の記者会見で、昨年からこの問題を「注視」していることを明らかにし、近く公表される報告書で取り上げる予定。
IMFの中国担当ミッションチーフ、ソナリ・ジェインチャンドラ氏によると、税関のデータは国境を越えた物品の物理的移動に基づいているのに対し、SAFEの集計は所有権が変わる際の居住者・非居住者間の取引を対象としているため数値が異なるという。
同氏はこのようなギャップは他国にも存在すると述べたが、中国の場合、なぜ21年を過ぎ突然拡大し始めたのかは説明しなかった。
米財務省が強調したもう一つの異常は、中国が22、23両年で海外からの投資所得の減少を報告したことだ。
この期間、ほとんどの先進国で金利が急上昇し、中国居住者が保有する有利子海外資産の明らかな減少もなかったが、それでも投資所得が減ったとしている。同省によれば、これは中国の経常黒字を小さくする効果もある。
中国の不動産販売見通し、世界的格付け2社が下方修正-低迷脱却遠く - Bloomberg
中国の不動産市場を巡り、世界的な格付け2社がそれぞれ見通しを下方修正した。住宅価格の下落ペースが加速しており、当局による不動産セクター支援の取り組みが妨げられている。
S&Pグローバル・レーティングは、今年の住宅販売が15%減少すると予測。従来は5%減と見込んでいた。これにより、住宅販売額は10兆元(約220兆円)を下回り、2021年ピーク時の約半分になりそうだと20日明らかにした。
また、フィッチ・レーティングスは19日、年間販売見通しを15-20%減に修正。これまでは5-10%減少と予想していた。
今回の見通し悪化は、最近の景気刺激策で中国経済の足かせとなっている不動産不況に終止符が打たれるという確信が乏しいことを示唆している。
両格付け会社は予想を上回る住宅価格の下落を受け、購入を手控える動きが出ていると指摘。今週発表された5月の新築住宅価格はほぼ10年ぶりの大幅下落となる一方、中古住宅価格は少なくともここ13年で最大の落ち込みとなった。
中国では家計資産の約78%を不動産が占めており、これは米国の2倍だ。一般的に、家計は何年も貯蓄し、友人や親族から借金して住宅を購入する。
中銀総裁が交代すればブラジルは「正常に戻る」=ルラ大統領 | ロイター
ロシアがウクライナ北東部の住宅地攻撃-電力施設空爆の数時間後 - Bloomberg
焦点:ロシアに今も溢れるナイキやレゴ、背後にグレーな輸入業者 | ロイター
インドの6月総合PMIは上昇、雇用創出ペース18年ぶり高水準 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
バイデン氏、ニューメキシコ州の森林火災を大規模災害に指定 | ロイター
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(21日)S&P・ナスダック小幅続落、ドル/円8週間ぶり高値 | ロイター
<為替> ドル指数が小幅上昇し、ドル/円は8週間ぶりの高値を付けた。6月の米総合購買担当者景気指数(PMI)で米経済の堅調さが示唆されたことを受けた。
<債券> 米金融・債券市場では、薄商いの中、国債利回りがほぼ横ばいとなった。朝方は欧州国債利回りの低下に歩調を合わせるように低下した後、堅調な米経済指標を受けほぼ横ばいの水準に戻すなど、方向感のない取引となった。
終盤の取引で10年債利回りは0.3bp上昇の4.257%。
30年債利回りは0.4bp上昇の4.3971%。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が小幅続落。半導体大手エヌビディアの下げが、前日に続きハイテク部門を圧迫した。
LSEGのデータによると、市場は米連邦準備理事会(FRB)による9月利下げの確率を58%と織り込んでいる。
<金先物> 対ユーロでのドル高基調に加え、米長期金利の上昇などを背景に反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比37.80ドル(1.60%)安の1オンス=2331.20ドル。週間では0.76%安だった。
<米原油先物> 対ユーロでのドル高を背景とした売りに押され、下落した。この日から新たに中心限月となった米国産標準油種WTIの8月物は前日清算値(終値に相当)比0.56ドル(0.69%)安の1バレル=80.73ドルだった。9月物は0.53ドル安の79. 96ドル。
欧州市場サマリー(21日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。
19日に発表された5月の英消費者物価指数(CPI)はイングランド銀行(中央銀行)が目標とする2%まで低下したことを受け、英中銀が8月に利下げ開始するとの観測が高まり、週間では反発した。ただ、この日発表された小売売上高が堅調だったことから、楽観的な見方はいくぶん弱まった。
個別銘柄では、水道事業のユナイテッド・ユーティリティーズが1.6%高。JPモルガンが投資判断を「中立」から「オーバーウエイト」に引き上げたことが好感された。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。
テクノロジー株や銀行株の下落が相場の重しとなった。ただ、STOXX欧州600種指数は週間で0.79%上げた。
フランスのマクロン大統領が国民議会(下院)の解散総選挙を発表し、STOXX欧州600種指数は先週、週間ベースで大幅下落していた。IGグループのシニア市場アナリスト、アクセル・ルドルフ氏は「慎重に回復しつつあるが、フランス総選挙を巡って選挙当日まで不安定さが続くだろう」と指摘した。
個別銘柄では21日、デンマークのビール大手カールスバーグが9.3%安と急落した。飲料メーカーへの買収提案が拒否されたことがマイナス材料となった。
スイスの重電大手ABBは2.8%安。ドイツ銀行が投資判断を「売り」に引き下げたことが嫌気された。 
<ユーロ圏債券> ドイツ債利回りが低下した。ユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が市場予想を下回る内容だったことを受け、利下げ観測が高まった。
ドイツ10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)低下の2.399%。フランス10年債利回りはほぼ横ばいの3.156%。独仏10年債利回り格差は75bpと3bp拡大した。先週末は約80bpと2017年2月以来の高水準を付けていた。
短期金融市場が織り込む、欧州中央銀行(ECB)による年内の利下げ幅はPMIデータ発表前の計65bpから計70bpに拡大した。これは、追加利下げに加え、さらに年内3回目の利下げが行われる確率が70%であることを示唆している。
イタリア10年債利回りは1bp低下の3.931%。独伊10年債利回り格差は153bpとわずかに拡大した。
来週の米主要企業決算 マイクロン、ナイキ - 株探(かぶたん)|米国株
25日(火)フェデックス(5.34)
26日(水)マイクロン(0.50)
27日(木)ウォルグリーン(0.69)、ナイキ(0.84)

備忘録(2024/6/20
●雑感
●決算
クローガーが決算受け下落 第2四半期は第1四半期と同程度の減益見込む 医薬品が圧迫=米国株個別 -…
経営陣によると、第1四半期はGLP-1系減量薬の売上が好調だったが、これらの薬剤の利幅は極めて薄いとしている。加えて同社にはもう1つのカテゴリーの医薬品があるが、予期せぬ規制上の制約があったため、これら医薬品のコストが上昇し、利益が圧迫されたとしている。これらの問題は年後半にも持ち越される見込みだという。
[KR] クローガー 1Q微増収減益 売上高微増452億ドル、営業益12%減12.9億ドル、EPS…
●海外企業
●日本企業
ゆうちょ銀、7―10年債中心に投資継続へ 日銀買入減額方針など踏まえ | ロイター
今後の日銀の国債買い入れ減額やそれに伴う市場動向を踏まえ、適切なリスク管理の下で引き続き7年超10年以内のゾーン中心に投資を拡大していく方針だとコメントした。国債買い入れの減額にあたって、金利急騰などの混乱が生じないよう「市場動向や国債需給に配慮したペースで減額が進められることが望ましい」とした。
ゆうちょ銀の運用資産は3月末時点で231兆円に上る。同行は日本国債の利回りトレンドの反転を捉え、預け金等から国債への投資シフトをすでに開始。2023年3月末に68兆円に上った預け金の一部で国債シフトを推進し、残存7年超10年以内の国債保有残高は24年3月末時点で5兆1530億円と、わずか3カ月で1.5倍に増えた。
●米大統領選挙
無所属ケネディ氏、27日討論会は不参加の見込み 資格達成期限過ぎる | ロイター
バンス議員、米副大統領候補に急浮上-トランプ氏の「若手バージョン」 - Bloomberg
米上院議員のJ・D・バンス氏は、トランプ前米大統領の副大統領候補として有力視される次世代のポピュリスト指導者だ。バンス氏は8年前、「ラストベルト(中西部のさびた工業地帯)」の貧困家庭で育ったことをつづった回想録「ヒルビリー・エレジー」で全米の注目を集めた。
バンス上院議員(共和・オハイオ州)は、トランプ氏の副大統領候補の中で、恐らく他の誰よりもトランプ氏に近い。選出されれば、トランプ氏に次ぐ「トランプ主義」の旗手となり、2028年大統領選の共和党候補指名争いでも有力候補となるだろう。
「彼はトランプ氏の若手バージョン、もっと雄弁なバージョンだ」と共和党の世論調査専門家フランク・ルンツ氏は指摘した。バンス氏(39)は上院で現在、2番目に若い。
ひげを生やし、ボタンダウンのシャツにジーンズ姿で選挙キャンペーンを行うことが多いバンス氏は、貧困家庭に生まれ、エール大学ロースクールを経てベンチャーキャピタリストとなった。米海兵隊に入隊し、イラクに駐留した経歴も持つ同氏は、2022年に初めて公職に就いた。
トランプ氏は当時、混戦となっていた上院議員選の党予備選でバンス氏を支持した。共和党討論会でのパフォーマンスに感銘を受けたためだ。討論会でのこうした手腕は、ハリス副大統領と対決することになる場合、極めて重要になる。
トランプ氏の副大統領候補にはこの他、ノースダコタ州のダグ・バーガム知事やフロリダ州のマルコ・ルビオ上院議員、サウスカロライナ州のティム・スコット上院議員らの名前も挙がっている。
批評家らはバンス氏を政治的な日和見主義者で「いかさま師」と呼び、かつてはトランプ主義者ではなかったと指摘している。バンス氏は2016年と17年にトランプ氏について、「有害であり、白人の労働者階級を非常に暗い場所に導いている」といった発言をしていた。バンス氏はその後、特に貿易面での中国に対するスタンスなど、大統領任期中の政策に基づいて、トランプ氏を支持するようになったとこれまでに語っている。
「何が変わったのかと人々は私に聞くが、簡単なことだ。当時は、ニューヨーク出身の民主党員に成し遂げられることは大してないと考えていた」と、バンス氏はオハイオ州の共和党中央委員会メンバーに宛てた2021年の書簡で説明。「私は間違っていた」と続けた。トランプ氏はかつて民主党員だった。
バンス氏は上院議員としてのキャリアが短く、立法面で多くの実績を残したわけでもない。しかし、同氏の支持者はオバマ元大統領も大統領選に勝利する前はそうだったと指摘し、ワシントンのエスタブリッシュメント(支配層)外にいることがプラスだと主張する。
共和党候補指名が確実なトランプ氏にとっては、自身の大義を推進する上でバンス氏が発揮するエネルギーや能力が最も重要になる。
●先進国中銀
英中銀、7会合連続金利据え置き 物価動向引き続き注視 | ロイター
イングランド銀行(中央銀行)は20日、7月初めに選挙を控える中、政策金利を7会合連続で16年ぶり高水準の5.25%に据え置いた。
ベイリー総裁は利下げは時期尚早との見解を示したが、金融政策委員会の一部委員からは、利下げ見送りは「微妙なバランス」にあるとの指摘が出たという。これを受け、将来の利下げ確率が上昇した。
据え置きは7対2で決定。前回に続きラムスデン副総裁とディングラ委員が0.25%ポイント利下げを主張した。
ベイリー総裁は声明で、 前日発表された5月の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が中銀の目標である2%に低下したことを「良いニュース」と歓迎するものの、利下げは時期尚早とし、「インフレ率を持続的に目標の2%に戻すため、金融政策は十分な期間にわたり景気抑制的であり続ける必要がある」と述べた。前回5月は「状況が正しい方向に進んでいると楽観している」と述べていた。
インフレの粘着性の度合いを示す賃金やサービス価格の動向については、5月会合以降、上昇圧力が和らいだものの依然として高水準と指摘した。
ただ委員会内ではサービスのインフレを相対的に重視しない委員がおり、議事要旨によると、そうした委員は金利据え置きは、微妙なバランスを取ったきわどい判断との見解を示した。
先週ロイターがまとめたエコノミスト調査では、利下げ開始は8月との予想が大勢で9月との見方はわずかだった。
発表を受け、英中銀による早期利下げの可能性が高まったとの見方から英債利回りが低下しポンドがドルに対して下落。市場が織り込む8月1日の次回会合での利下げ確率は発表前の約30%から55%に上昇した。
英産業連盟の副主席エコノミスト代理のアルペシュ・パレハ氏は「なお8月利下げを予想しているが、これは決まったことではない。金融政策委員会は引き続きデータ重視なので、今後1カ月間の主要指標が鍵になるだろう」と述べた。
EY UKのチーフエコノミスト、ピーター・アーノルド氏は「据え置きに票を投じた一部の委員にとって今回の決定が『微妙なバランス』と評された事実は、8月の利下げが確実に実施されるというシグナルだ」とした。
英中銀、金利5.25%で据え置き-利下げ支持に近づく委員が増加か - Bloomberg
スイス中銀、2会合連続利下げ フラン上昇に「行動の用意」 | ロイター
スイス国立銀行(中央銀行)は20日、政策金利を1.50%から0.25%ポイント引き下げ1.25%とすると発表した。3月に続く2会合連続の利下げとなる。ジョルダン中銀総裁は、最近のスイスフランの上昇に対し、市場介入する姿勢を示した。
ロイターのエコノミスト調査では、3分の2が利下げを予想していた。
中銀は「基調的なインフレ圧力は前四半期と比べて再び低下した」と指摘し「本日の利下げにより、適切な金融環境を維持できる」と述べた。
「本日の利下げを考慮すると、新たな条件付きインフレ予測は3月の予測と同程度となる。長期的には前回予測をわずかに下回る」と指摘した。
足元で成長が回復し、インフレ鈍化が一服していたこともあり、市場では据え置きの可能性も32%織り込んでいた。 
追加利下げは、最近のスイスフラン高も考慮した対応。極右政権が誕生する可能性もあるフランスの選挙など欧州の政局不安を背景にフランは対ユーロでこの1カ月に4.5%上昇した。
ジョルダン総裁は会見で、最近のフラン上昇は主に欧州で再び政治リスクが浮上したためだと指摘し「われわれは必要に応じて外為市場で積極的に行動する用意がある」と述べた。
また中銀のインフレ率予想が下方修正されたことにも言及した。今回の予想では最も先の2027年第1・四半期も1.0%と0─2%の目標レンジに十分収まると予想した。
総裁は「物価安定の維持は中銀の使命であり、われわれはインフレに焦点を当てている」とし、インフレに関する正しい決定が、経済支援に向けた正しい決定にも反映されるとした。
INGのエコノミスト、ピーター・ヴァンデン・ハウト氏は、最近のフラン高を考えると、利下げに意外感はないと述べた。
「第1・四半期の成長率がまずまずだったため、利下げする必要はなかったが、インフレ見通しが良好なため、中銀は緩和可能とみたのだろう」とし「利下げは、必要に迫られたというより、利下げできるからしたというところだ」と述べた。
ただエコノミストらは今回の利下げで今後の利下げ余地が狭まったと指摘する。UBSのエコノミスト、マキシム・ボテロン氏は、今の金融緩和サイクルの最終到達点を1.00%と予想。0.25%利下げがあと1回とみている。
ノルウェー中銀、政策金利据え置き 利下げ時期25年に後ずれ | ロイター
スイス金融規制、一段の強化必要 中銀が安定報告書で指摘 | ロイター
スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は20日、年次の金融安定報告書を公表し、国内の金融規制をさらに強化する必要があると指摘した上で、資本や流動性の要件について一段の措置が必要との認識を示した。
SNBは金融安定報告で「クレディ・スイスの危機は、規制の枠組みの弱点を浮き彫りにした」と分析。
「統合後のUBSの自己資本は、危機前のクレディ・スイスよりも強固だ。それでも、現行制度の弱点は残っており、対処する必要がある」とした。
スイス政府は4月、UBSなどシステム上重要とみなされる国内大手4銀行に対する監督を強化するための具体的な提案を盛り込んだ報告書を公表している
リッチモンド連銀総裁、利下げ前にインフレ鈍化の道筋明確化必要 - Bloomberg
シカゴ連銀総裁、米利下げ可能に-5月のようなインフレ統計増えれば - Bloomberg
ミネアポリス連銀総裁、インフレ率2%達成は1、2年先の公算大 - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
欧州のCMBS投資家、「トリプルA」で信用収縮以来の損失発生か - Bloomberg
英国のショッピングモールを裏付けとするローンを証券化した商業用不動産ローン担保証券(CMBS)のうち、最も安全とされる部分の投資家が損失に直面し、世界的な金融危機以降で初のケースとなる恐れがある。バンク・オブ・アメリカ(BofA)傘下メリルリンチ・インターナショナルのアナリストらが明らかにした。
メリルのストラクチャードファイナンス・リサーチのアナリスト、マーク・ニコル氏らは「エリザベス・ファイナンス2018」の「クラスA」トランシェ保有者について、原資産の不動産売却で回収が予想される金額に基づき、投資損失を被る可能性があると評価する。
米国では先月、CMBSの「AAA」格付け部分への投資で損失が発生しており、欧州で予想される損失はそれに続くものだ。マンハッタンのミッドタウン物件をローンが裏付けとするCMBSのうち、AAA部分の保有者が回収できた資金は、当初投資額の75%に届かなかった。
バークレイズによれば、CMBSの最も安全とされる部分で損失が生じたのは、世界的な金融危機の信用収縮局面以来となる。
2020年から不履行状態となっている英ローン債権のスペシャルサービサー(債権回収業者)は、イングランド東部キングズリンと同中部ラフバラ、スコットランド東部ダンファームリンのショッピングセンターについて、3150万ポンド(約63億3000万円)の売却収入をもたらす購入申し込みを受け入れたと今週発表した。BofAによると、「クラスA」トランシェのローン債権残高は3360万ポンドだった。
モーニングスターDBRSは今年4月の段階で、ローンの裏付けとなる三つの商業施設(マルーンプロパティーズ)の価値を5040万ポンドと評価し、ローン資産価値比率(LTV)を125%としたが、「厳しい市場環境を背景に売却プロセスの結果には不確実性が存在する」と指摘していた。
BofAは「マルーンの不動産価値の下落は著しい。当初AAAに格付けされていたCMBSに損失が出るのは、われわれが知る限り、欧州金融危機以来で初めてだろう」と19日の顧客向けリポートで説明した。
百貨店やファッション小売業に依存してきた英国の地方ショッピングモールは、オンラインショッピング台頭の影響を最も受けやすく、新型コロナウイルス禍以前から既に苦境にあった。一部の地域では空室率がなお改善されず、資金調達コスト上昇が厳しい状況にさらに拍車を掛けている。
ラボバンクの資産担保証券(ABS)&カバードボンド・アナリスト、カス・ボンセマ氏は「この物件の売却価格は、下落が想像以上に厳しい可能性を示しているが、個別のポートフォリオ特有の現象ということもあり得る。CMBSには常に極めて個別の事情があり、このケースでは物件がパンデミックで大きな打撃を受けた」と見解を示した。
オークツリー・キャピタル・マネジメントがローンの当初の借り手であり、ゴールドマン・サックス・グループがCMBSをアレンジした。コベナンツ(特約条項)違反の後、20年にスペシャルサービシングに移行していた。
米為替報告書、日本を「監視」対象に指定 「操作国」の認定なし | ロイター
米財務省は20日に公表した外国為替報告書で、為替操作をしていないか注視する「監視リスト」に日本を加えた。「為替操作国」に認定した貿易相手国・地域はなかった。
監視対象にはすでに中国、ベトナム、台湾、マレーシア、シンガポール、ドイツが指定されている。
24年独GDP予測、0.4%増に小幅上方修正=IFO | ロイター
ドイツの銀行従業員、最大16%の賃上げ要求でスト突入も | ロイター
英医療財源、480億ドル不足 与野党は対策示さず=シンクタンク | ロイター
ドイツ、労働年齢人口が45年までに2%減少へ=研究 | ロイター
ドイツ連邦建設都市国土研究所(BBSR)は19日、国内の労働年齢人口が2045年までに2%減少するとの予測を発表した。
BBSRの研究によると、この期間の総人口は移民が純流入となるため0.9%(80万人)増加するものの、20─67歳の人口は2%減少する見通し。一方、退職年齢となる67歳以上の人口は13.6%(220万人)増加する見込みという。
仏極右党首、過半数獲得しなければ首相就任しないと明言 | ロイター
フランスの極右政党、国民連合(RN)のジョルダン・バルデラ党首は、国民議会(下院)選挙でRNが絶対多数(過半数)の議席を獲得しなければ、首相には就任しないと明言した。
各種世論調査では、下院選でRNが勝利を収めるものの、単独で政府を立ち上げて法案を通過させられる過半数には届かないと予想される。
RNはバルデラ氏を首相候補に選出しており、長年党を率いてきたマリーヌ・ルペン氏は2027年の大統領候補になると目されている。
バルデラ氏は18日夜のテレビで「もし明日、首相に任命される立場にあり、国民が私に絶対多数の議席を与えてくれなかったとしたら、任命を断る」と発言。19日には記者団に「私は国民に行動してほしいと伝えている。私には絶対多数が必要だ。相対多数(少数与党)の首相では状況を変えられない」と訴えた。
フランスの憲法では首相の任命権は大統領にあるが、具体的な要件は明記されていないため、今回もマクロン大統領の裁量に委ねられる余地が大きい。
RNが過半数に届かず、政権運営の意思を持たない場合は、マクロン氏が第2党に首相ポストを提示するか、主流政党の連立を働きかける可能性がある。
円は158円台後半に下落、ドル高受けキャリー取引需要-介入警戒水準 - Bloomberg
マクロン大統領と対立の極右と左派連合、仏経営者組織は厳しい対応 - Bloomberg
米住宅着工件数、2020年6月以来の低水準-許可件数も減少 - Bloomberg
●中東情勢
ネタニヤフ氏の米国批判、ホワイトハウスが「深い失望」表明 | ロイター
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
テキサス州の液化天然ガス(LNG)輸出プラント「ゴールデンパス」で、主要な建設請負企業ザカリー・ホールディングスが先月、連邦破産法11条の適用を申請したのを受け、事業権益を所有する米石油大手エクソン・モービルとカタール国営石油会社カタールエナジーは18日、ザカリーを5日以内に事業から切り離すよう破産裁判所に要請した。
ザカリーは、コストが大幅に超過したとして破産法の適用を申請し、100億ドル規模のプロジェクトは建設が途中で止まっている。
エクソンとカタールの合弁事業であるゴールデンパスは裁判所への提出書類で、ザカリーがEPC(設計・調達・建設)義務の履行を中止し、数千人の労働者を解雇して下請け業者への支払いも停止したと指摘。一部建設済みのプロジェクトがさらに悪化するのを防ぐため、ゴールデンパスが直ちに契約を引き継いで建設を再開できるようにする必要があると訴えた。
ザカリーの広報担当者は声明で、同社が建設で果たした役割に対する「公正で適切な対価」を望むとした。
ゴールデンパスは年内に稼働を開始する見通しだったが、今のところ完工日程が更新されていない。
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(20日)ドル/円が7週ぶり高値、利回り上昇 S&P500下落 | ロイター
<為替> ドルが対円で7週間ぶりの高値を付けた。ポンドとユーロも下落した。米経済に鈍化の兆候が見られる中、市場では連邦準備理事会(FRB)による年内利下げを後押しするさらなるデータに注目が集まる。
ドル/円は0.51%高の158.89円。政府・日銀がドル売り/円買い介入に踏み切った4月下旬の水準に近づく中、警戒感が一段と高まっている。
<債券> 国債利回りが幅広い年限で上昇した。先週の利回り急低下を受けた投資家のポジション調整が続いている。投資家はまた、来週行われる約1830億ドルの2、5、7年債入札を視野に入れている。
LSEGによると、この日の経済指標を受け、フェデラルファンド(FF)金利先物が織り込む9月利下げ緩和の可能性は64%に低下した。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が下落して取引を終えた。エヌビディアの下げを受けた。投資家は年内の利下げ時期を見極める上で最近の経済指標やFRB当局者の発言に注目している。
食品スーパー大手クローガーは3.27%安。第1・四半期決算が予想を上回ったものの、通年の既存店売上高と利益の見通しを据え置き、目先の個人消費に慎重な見方を示した。
<金先物> 軟調な米経済指標を背景に年内の利下げ期待が高まり、続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前営業日比22.10ドル(0.94%)高の1オンス=2369.00ドル。
<米原油先物> 米原油・石油製品の在庫減少や中東情勢を巡る供給リスクへの警戒感を背景に買い進まれ、3営業日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は前営業日(18日)比0.60ドル(0.74%)高の1バレル=82.17ドル。前営業日に続き、中心限月の清算値ベースで4月下旬以来約1カ月半ぶりの高値水準となった。8月物は0.58ドル高の81.29ドル。
欧州市場サマリー(20日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。FTSE100種指数は3日連続で上昇し、終値としては2週間ぶりの高値を付けた。イングランド銀行(英中央銀行)の当局者の発言を受け、8月の利下げ観測が高まった。
通貨ポンドが下落し、輸出関連銘柄の比重が高い同指数の上昇の支えとなった。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。中央銀行が金融政策の決定内容を発表して注目を集めた英国、スイス、ノルウェーはいずれも主要指数が上昇。半導体大手エヌビディアがけん引して米株が好調なことも投資家心理を高めた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。フランス国債の入札実施や、英国など各国中央銀行の一連の会合内容を消化する格好となった。
フランス10年債利回りは3.155%と横ばい。ドイツ10年債利回りは2.4ベーシスポイント(bp)上昇の2.43%となった。
独仏10年債利回り格差は、フランス国債の入札実施を受けて若干縮小。終盤の取引では71.3bpとなった。先週末は、7年ぶりの高水準となる80bpまで拡大した。
イタリア10年債利回りは0.5bp上昇の3.95%。独伊10年債利回り格差はわずかに縮小し151bpとなった。


備忘録(2024/6/19
●雑感
●決算
●海外企業
ボストン・サイエンティフィック、米同業を11.6億ドルで買収へ | ロイター
米医療用機器大手ボストン・サイエンティフィックは18日、米同業シルクロード・メディカルを11億6000万ドルで買収すると発表した。
買収提示額は、シルクロード株1株当たり27.50ドルで、直近終値に27%上乗せした水準。
シルクロードの技術は脳に血液を供給する血管にプラークが蓄積する頸動脈疾患患者の脳卒中予防に利用されている。
この経頸動脈血行再建術(TCAR)と呼ばれる低侵襲手術は、血流を一時的に逆流させて、蓄積したプラークを脳から遠ざけた後、プラークの安定化と将来の脳卒中予防のために閉塞部位にステントを留置する。
買収手続きは2024年下半期に完了する見通し。その後、シルクロードは完全子会社として運営される。シルクロードは今年の純売上高を約1億9400万─1億9800万ドルと予想している。
円債発行ハイピッチ、HSBC含む26社が準備-金利急騰懸念和らぐ - Bloomberg
日立の鉄道トップ、仏タレス信号買収で「事業基盤そろう」 - 日本経済新聞
日立製作所の鉄道ビジネスユニット最高経営責任者(CEO)、ジュゼッペ・マリノ氏は19日、「今後の成長のために適切な柱、事業基盤がすべてそろった」と語った。仏電子機器大手タレスの鉄道信号事業の買収完了で売上収益は1兆円を超え、事業取得による収益拡大に自信を示した。
タレスの事業買収が5月31日に完了したことを受けてマリノ氏が都内で記者会見を開いた。日立は2021年に16億6000万ユーロ(約2800億円)でタレス事業を買収すると発表した。当初は23年3月期中の買収完了を想定していたが、欧州連合(EU)競争法当局の承認が得られずにフランスやドイツでの重複事業の一部を売却するなど対応を迫られた経緯がある。
日立はタレスの事業買収によって47カ国に広がる拠点、9000人の従業員を獲得した。マリノ氏は「地理的なカバーエリアも拡大し、勝者になるための開発・設計体制は2倍になった」とし、鉄道の情報システムの事業拡大に注力する考えを示した。
タレスの信号通信事業の売上収益は約18億ユーロ。日立の既存事業と合わせて25年3月期に鉄道部門の売上収益は初めて1兆円を超える。さらに鉄道車両と制御システムの比率が買収によって60対40から43対57となり、同部門の売上収益EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)率は10%を上回るという。
日立のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援事業「ルマーダ」については「製品設計や製造、運用、保守などすべての場面においてデジタルとビッグデータ、生成AI(人工知能)を活用することで最適なソリューションを提供できる」と語った。
鉄道市場は中国国有の中国中車(CRRC)、仏アルストム、独シーメンスの3強メーカーを日立が追う構図となっている。日立は鉄道運行システムや人流解析、料金収受システムなどで欧米アジアの各地域で顧客を抱えるタレス事業を取得して事業拡大に弾みをつける。
マリノ氏は日立が15年に買収したイタリアの鉄道車両会社アンサルドブレダ社の出身。23年4月から日立の鉄道部門CEOを務めている。
●日本企業
農林中金、株やCLO含めた幅広い分野への投資検討-外債処理後 - Bloomberg
農林中央金庫は、保有する外国債券10兆円相当を今期中に売却した後、国内外の株式やプロジェクトファイナンスなど幅広い資産への投資を検討する。外債に偏ったポートフォリオを再構成する。
ブルームバーグの取材に対して広報担当者が電子メールで回答した。10兆円規模の米欧国債の売却については、2024年度末にかけて、期間の分散を図りながら実施する予定。リスク・バランスを踏まえながら、国内外の債券や株式、プロファイなどへの新規投資を検討する。具体的な資産や配分については個別に検討していく。
また、企業への融資を束ねて証券化したローン担保証券(CLO)についても、これまでと同様に選択肢の一つとしてリスク・リターンを勘案しながら適切に投資していくという。農林中金は3月末時点で7兆4000億円のCLOを保有。世界でも有数のCLOの買い手としても知られる。
56兆円の運用資産を抱える農林中金は、国際金融市場における国内最大規模の機関投資家の1社。18日夜に同社による米欧の国債約10兆円相当の売却計画が報じられると、ロンドンやニューヨークなど海外市場では代替投資先に関心が高まった。複数の市場関係者は投資先の一つとしてCLOの可能性が高いと指摘した。
S&Pグローバル・レーティングの久保英次ディレクターは「これまで金利リスクが集中し過ぎていたのが問題だったので、リスクを分散させるのはまっとうな判断だ」と述べた。一方、「資本規制と収益性という制約や難しい市場環境の中、資産をどう再配分するかは簡単ではない」とも指摘。CLOをさらに購入した場合、リスクが集中することにも懸念を示した。
外債処理などによって農林中金の今期(25年3月期)の最終赤字は1兆5000億円に膨らむ見通し。5月22日の発表で見込んでいた5000億円超から3倍に拡大する。同時点で財務基盤強化に向け、1兆2000億円規模の資本増強を実施する方針を示していた。
農林中金の広報担当者は、評価損はすでに自己資本比率に反映されているとして、1兆5000億円の損失を計上しても自己資本の健全性には影響を与えないと説明した。
林芳正官房長官は6月19日午前の記者会見で、農林中金の経営状況が系統金融機関に与える影響を十分注視すると述べた。一方、十分な自己資本があり、財務の健全性は確保されているとも付け加えた。金融庁関係者によると、同庁も農林中金の健全性について懸念はしていないという。
●米大統領選挙
●先進国中銀
アングル:本格利下げ観測、主要各国で消滅 市場の期待とずれ | ロイター
世界の主要な中央銀行は、半年前には利下げの準備に余念がなかった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長も昨年12月の会見で、利下げは「世界中で議論されており、FRBでも議題に上っている」と発言。国際通貨基金(IMF)などは、FRBが前のめりで利下げに動き、インフレ抑制の努力を台無しにするのではないかと心配していた。
こうした懸念は見当違いだったことが明らかになった。
主要中銀は予想以上にしつこいインフレ、経済成長と賃金の底堅い上昇に直面し、昨年末には間近に迫っていると思われていた同時金融緩和はほぼ消滅した。
欧州中銀(ECB)とカナダ中銀が今月利下げに踏み切るなど、小幅な金融緩和は実施されている。しかし欧米のムードは「エンジン始動」から「焦るな」へと変化した。
パウエル議長は先週の連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、金融緩和の最初の動きは「結果論」になるだろうと述べ、委員が見込む年内の利下げ回数は3回から1回へと修正された。
世界の主要な中央銀行は、半年前には利下げの準備に余念がなかった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長も昨年12月の会見で、利下げは「世界中で議論されており、FRBでも議題に上っている」と発言。国際通貨基金(IMF)などは、FRBが前のめりで利下げに動き、インフレ抑制の努力を台無しにするのではないかと心配していた。
こうした懸念は見当違いだったことが明らかになった。
主要中銀は予想以上にしつこいインフレ、経済成長と賃金の底堅い上昇に直面し、昨年末には間近に迫っていると思われていた同時金融緩和はほぼ消滅した。
欧州中銀(ECB)とカナダ中銀が今月利下げに踏み切るなど、小幅な金融緩和は実施されている。しかし欧米のムードは「エンジン始動」から「焦るな」へと変化した。
パウエル議長は先週の連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、金融緩和の最初の動きは「結果論」になるだろうと述べ、委員が見込む年内の利下げ回数は3回から1回へと修正された。
しかしECBの政策担当者は以前から、インフレ率を目標の水準に戻す過程で「波乱」が生じる恐れがあると警告。利下げ開始は6月以降になると早期に示すことで、市場の期待が行き過ぎている可能性を示唆していた。
<勝利宣言はなし>
いつものことだが、期待の管理は物語の一部を成している。
「24年中に3回の利下げ」というFOMCメンバーの予測が初めて示された昨年12月、パウエル議長はFOMC後の会見で、インフレに対して「誰も勝利を宣言していない」とくぎを刺した。しかしインフレに関して「真の」、「大きな」進展があったと述べるなど、発言の大まかな基調によって利下げ開始が近いとの見方を定着させたようだった。
パウエル議長の現在の利下げに関する厳格な言い回しは、実際の見通しを示しているのではなく、市場の期待を管理しようという色彩がさらに濃くなっているのかもしれない。つまり、政策金利が予想よりも長く現在の水準にとどまるとの含みを残そうとしている。
FOMCの直前と直後に発表されたデータは、物価上昇圧力の軟化を強く示すものだった。投資家はパウエル議長の発言とFOMCメンバーの新たな予測をほとんど無視し、9月の利下げ開始という予想を変えていない。
ただ、利下げ時期は当初予想から大きくずれており、主要中銀は現在、引き締め的な金融政策によって予想より何カ月も長期間にわたって銀行や企業、家計を圧迫している形だ。これが引き金となって経済が腰折れする可能性を危ぶむ声もある。
インディード・ハイアリング・ラボの北米担当経済調査ディレクター、ニック・バンカー氏は、先週のFOMC決定を受けてこう書いている。「過度に引き締め的な政策が続けば、労働需要の押し下げが行き過ぎて、失業率を現在の4%よりも押し上げるリスクがある。過去2年間ほど、労働市場は無敵に見えたが、鎧(よろい)が永遠に壊れないわけではない」
カナダ中銀、7月までの利下げ持ち越し検討も実施断行-6月議事要旨 - Bloomberg
議事要旨によれば、基調的な物価上昇圧力が4カ月連続で鈍化したことは、「政策金利の最初の引き下げを正当化する上で十分な進展」だった。また、インフレ緩和が継続すれば、追加利下げを見込むことは「合理的」との見解で一致した。この文言はマックレム中銀総裁が6月会合の記者会見で冒頭に語った発言にも含まれている。
ただインフレを巡る進展が米国のように停滞することを懸念し、金融緩和は「緩やかになる見込み」とし、今後のデータに左右されることで一致した。さらに、市場などとの対話で「今後の金融政策決定は会合ごとに行う」ことを強調する点でも合意した。
政策理事会はまた、カナダの金利の道筋が米国と乖離(かいり)する可能性についても議論し、両国間で政策見通しが異なるとの予想が為替レートに影響する可能性に留意した。乖離には「限界がありそうだ」が、「その限界は到達に近くなかった」との認識でも一致した。
こうした協議は政策金利を景気抑制的な水準から引き下げ始めるのに十分な証拠があると当局者がみていることを裏付けるものだ。ただ、米国との乖離と7月まで利下げを待つ可能性が議論されたことは、政策決定がデータ次第であり、追加利下げにはディスインフレの勢い加速が要件になることを浮き彫りにした。
●先進国、グローバル、金融市場
仏下院選、極右が優勢 マクロン氏与党は3位=世論調査 | ロイター
18日に公表された世論調査によると、フランス国民議会(下院)選挙の第1回目投票は、極右の国民連合(RN)の予想得票率が34%で、左派「人民戦線」の予想得票率22%を上回っている。
調査はハリス・インタラクティブがチャレンジ誌向けに6月9─10日に実施した。最近行われた別の世論調査よりもRNが若干優勢だった。
マクロン大統領の与党連合の予想得票率は19%で3位だった。
英CPI、5月は3年ぶり2%目標回帰 基調圧力なお強く | ロイター
英国立統計局(ONS)が19日発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.0%上昇し、4月の2.3%から伸びが鈍化した。約3年ぶりにイングランド銀行(中央銀行)が目標とする2%に戻った。ただ基調的な物価圧力はなお強く、来月の総選挙前の利下げは見込み薄だ。
英国のインフレ率は2022年10月に11.1%と41年ぶりの高水準を記録したが、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻に伴う影響が薄れ鈍化した。
5月のCPIはロイターが集計した市場予想の中央値と一致。4月に実施された家庭用エネルギー料金の引き下げが寄与した。ただその効果は年後半には薄れるとみられ、イングランド銀行はインフレ率は再び上昇すると予想している。
イングランド銀行が中期的なインフレリスクの指標として注目しているサービス価格のインフレ率は5.7%と、4月の5.9%からは低下したが、予想の5.5%は上回った。
イングランド銀行は20日に金利決定を発表する。ロイター調査によると、20日は据え置き予想が大勢で、大半のエコノミストは8月の利下げ開始を予想している。
英産業連盟(CBI)の主席エコノミスト、マーティン・サルトリウス氏も利下げ開始を8月と予想。「政策当局者は、賃金上昇率の高止まりなど、物価上昇圧力の緩和が鈍いことを示す兆候も合わせて、総合インフレ率の低下を見る必要がある」と述べた。
RBCキャピタル・マーケッツの英国シニアエコノミスト、キャサル・ケネディ氏は「サービス・インフレは引き続き上昇傾向で、あす利下げが発表される可能性はなくなった」とみている。
インフレ率の低下は総選挙を来月に控えるスナク首相にとって朗報。だが、世論調査では野党労働党に大きく水をあけられている。
スナク首相は、インフレ鈍化は自身の経済政策が機能している証拠だとし、これまでの進展が労働党のせいで水泡に帰すことがあってはならないと訴えた。
首都圏マンション、5月平均価格7.2%下落 3カ月連続マイナス=不動産経研 | ロイター
国債発行の年限短期化へ、日銀減額方針で財務省検討-提言案 - Bloomberg
日本銀行による国債買い入れの減額方針を踏まえ、財務省が国債発行の年限を短期化する方向で検討を進めることが分かった。これまで低金利環境の下で年限を長期化させてきたが、方針転換の象徴的な動きとなりそうだ。
同省が21日に開く「国の債務管理に関する研究会」で有識者らが提言する。ブルームバーグが確認した提言案では、日銀の政策変更を受けて国債市場を取り巻く環境が「今後大きく変わっていくことも予想される」と指摘。その上で、「発行年限の短期化や変動利付国債の発行など、市中に供給する金利リスク量の縮減を図る対応も必要」と明記した。
同研究会は市場関係者や大学教授など9人で構成され、中長期的な観点から国債の安定消化について議論する位置付けだ。同省は提言内容を今後の国債発行計画に反映する。
提言案が報じられた後、 債券市場では残存期間の長いゾーンの需給が改善するとの観測から買いが入り、超長期債が堅調な推移に転じた。岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、年限短期化は想定されていたとした上で、「日銀の買い入れ減額がどうなるのか分からずスティープ(傾斜)化が進んできたが、こうしたポジションを閉じるきっかけになる」との見方を示した。
銀行が買い手候補
日銀は14日の金融政策決定会合で国債買い入れの減額方針を決定した。大規模な金融緩和を背景に長らく日銀が国債の買い手となってきたが、この構図が変わることになる。日銀に代わって買い手候補となり得るのが銀行だ。銀行は負債側の年限が短いことから、資産として保有する国債の年限も比較的短いものが中心となる。年限の短期化で銀行が購入しやすい環境を整える。
日銀は減額方針の具体策を次回の7月会合で決める。債券市場参加者会合を開いて国債買い入れの運営に関する意見も聞き、反映させる。日銀の植田和男総裁は、6月会合後の記者会見で「判断を的確にするためにも市場参加者の意見も聞き、丁寧に決定のプロセスを進めたい」としつつ、減額は「相応の規模となる」と話した。
提言案は、償還までの満期が10年超の超長期債についても言及。今後も生命保険会社が購入主体となるものの、ロールオーバーでの国債購入が中心となっていくことが想定されるため、「中長期的に生命保険会社の国債保有額が大幅に増加していくという展望は見込みがたい」とした。
日銀が保有する国庫短期証券を除く国債は3月末時点で約586兆円と、発行残高の過半を占める。財務省が市場参加者に行った聞き取り調査資料によると、2年から10年ゾーンは増発可能とする一方、40年債については減額余地があるとの声があったという。
欧州リスクに新たなヘッジ手段、オプショントレーダーの間で人気化 - Bloomberg
欧州のヘッジ手段としてオプショントレーダーにこれまで常に好まれてきたのは、ユーロストックス50指数だった。それが変わり始めた。
政治的不透明性や利下げ、選好されるセクターの変化などが進行する中で、別の指数がオプション投資家の間で人気を得つつある。それは、より幅広い銘柄で構成されるストックス欧州600指数で、同指数には英国の銘柄も含まれる。
ストックス600のオプション売買高は年初来で既に630億ユーロ(約10兆7000億円)に上り、昨年通年の合計額を上回った。年初来で5兆7000億ユーロを超えるユーロストックス50のオプション取引に比べればまだ規模は小さいが、流動性の向上によりストックス600のオプションに大口のブロック取引が現れ始めた。
欧州のオプション取引で最大級のマーケットメーカー、オプティバーでグローバル・マクロ取引責任者を務めるヨルーン・クルック氏は、欧州の典型的な株式ポートフォリオを守るには幅広い指数の方が適していると指摘した。
ストックス600を使ったヘッジは、割安でもある。ブルームバーグがまとめたデータによると、オプション価格の指標であるインプライドボラティリティーは3カ月物で、ストックス600のオプション価格がユーロストックス50との比較で約2年ぶりの割安な水準にあることを示している。
「選挙など地政学的なイベントに際し、投資家は平均的な株式ポートフォリオのヘッジ手段としてストックス600を好む可能性がある」とクルック氏は述べた。
ストックス600のオプションはさまざまな市場関係者が利用しつつあり、利用方法はそれぞれ異なる。オプティバーによると、このオプション売買の約80%を資産運用者が占め、その90%がブロック取引だった。これに対し、ユーロストックス50のオプションは60%がヘッジファンドによって取引され、ブロック取引は50%に過ぎなかった。
英与党・保守党、現有議席の3分の2失う公算-大物落選相次ぐ事態も - Bloomberg
スナク首相率いる英与党・保守党は、来月の総選挙で現有議席の3分の2余りを失う方向だ。各選挙区の情勢を分析した最新の調査では、大物の落選が相次ぐ可能性も示唆された。
市場調査会社イプソスが18日発表したところによると、英下院(定数650)選挙で保守党の獲得議席数は115と、前回選挙が行われた2019年の365から大幅に減る見通し。最大野党・労働党は現有議席の73%増に相当する453議席を獲得し、地滑り的な大勝を収める見込みだという。イプソスは約2万人を対象としたオンライン調査を実施し、その結果を分析した。
ただ、117の選挙区は「判断が極めて難しいほどの接戦」で、このうち50の選挙区では保守党候補が2位、43の選挙区では労働党候補が2位に付けているとイプソスは指摘。「投票行動の小さな変化が、選挙結果に重大な変化を生む可能性もある」とイプソスUK・アイルランドの最高経営責任者(CEO)を務めるケリー・ビーバー氏は述べた
7月4日の総選挙でイプソスが調査した通りの結果となれば、労働党にとってはブレア元首相が率いた1997年の勝利も色あせるほどの歴史的大勝で、前回選挙でジョンソン元首相の保守党が獲得した議席も優に上回る。
スナク氏側近の1人であるメル・ストライド氏は19日、ブルームバーグテレビジョンに対し、イプソスなどの調査で明らかになったような労働党の圧勝となれば、「単独政党による社会主義国家になるも同然」だとして、有権者に慎重な検討を求めた。
イプソスによると、シャップス国防相、キーガン教育相、モーダント下院院内総務ら保守党の有力者も議席を失う可能性がある。ハント財務相も「厳しい闘い」に直面するという。
商業用不動産ファンドの多くのポートフォリオに、座礁資産と見なすことのできる資産が含まれている。欧州で導入されつつあるエネルギー要件が原因だ。
エネルギー効率に特化したデータインテリジェンス企業、ディープキが19日発表した報告書によると、調査対象となった欧州の商業用不動産ポートフォリオ運用者約250人の半数以上が、保有資産の30%超が座礁資産となっていることを認めた。
「これらのビルは、エネルギー性能の低さのために価値を失っている」と、報告書の著者は説明している。
英国、ドイツ、フランス、スペイン、イタリアで合計2260億ユーロ(約38兆3000億円)を運用する資産運用会社は、現在施行されつつあるより厳しいエネルギー効率要件に対応している。欧州連合(EU)は、ネットゼロ規制を強化する一環として、建物のエネルギー性能に関する指令(EPBD)を可決したばかりだ。
EUの銀行はすでに、商業用不動産関連の融資の条件を厳しく設定することで対応している。EU最大の銀行であるBNPパリバは現在、2030年末までのポートフォリオの排出量原単位の41%に相当する削減を目標としている。サンタンデール銀行、バークレイズ、INGグループ、ナットウエスト・グループなど、他の銀行も同様の対策をすでに講じているか、検討中だ。
ディープキのビンセント・ブライアント最高経営責任者(CEO)は、グリーンエネルギー基準を満たさない商業用不動産関連顧客に対して銀行が借り入れコストを引き上げるのを定期的に目にしていると述べた。このようなリスクを管理するため、銀行は不動産カーボンリスクモニター(CRREM)のようなツールに頼るようになっている。
銀行は顧客に対し、CRREMに沿わない場合、金利が最大で年間15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高くなると伝えているとブライアント氏はインタビューで語った。
商業用不動産市場は、金利上昇と新型コロナウイルス禍後の不安定な稼働率による混乱から立ち直ろうと苦戦している。
ブライアント氏によれば、不動産オーナーにとってのエネルギー関連の頭痛の種は今後も増える見込みだ。調査対象となった運用者の半数は、今後3年で不動産ポートフォリオの20-40%が座礁資産となるリスクがあると回答している。さらに、調査対象者の94%がグリーンビルディング要件が厳しくなる中、商業用不動産資産が価値を失う「高い」リスクに直面していると答えている。
「組織が直面する財務リスクのレベルは、資産価値の減少という点でも、ESG認証が標準以下の物件を借りようとするテナントを見つけることの難しさという点でも高い。テナントが見つからず空室期間が長期化したり空きビルになったりする」と報告書の著者は書いている。
65カ国で事業を展開し、年金基金、保険会社、資産運用会社、銀行などを顧客に持つディープキが収集したデータによると、新しいグリーン基準を満たさない物件を持つ運用会社は損失が出る価格で売却しなければならないリスクが高まっている。
フランス国債に妙味も、スプレッド拡大続けば-バンガード - Bloomberg
総選挙結果への懸念に起因するフランス国債の低迷は、ドイツ国債とのスプレッドの拡大が続けば買いのチャンスを提供するとの見方を、バンガード・グループの投資戦略責任者、ジョー・デービス氏が示した。
同氏は19日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、10年物フランス国債とドイツ国債のスプレッドはすでに過去12年間で最大の水準に近づいており、エクスポージャーを追加する絶好の参入点になる可能性があると語った。
「政治は重要だが、それ以外のことも重要だ。スプレッドの拡大が続けば、債券市場にはチャンスがある」と述べた。
大半の運用者は、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党「国民連合(RN)」が7月7日に予定されている議会選挙決選投票で勝利した場合、フランス国債はさらに下落する恐れがあるとみて敬遠している。 選挙はフランスの財政にスポットライトを当て、投資家はマクロン大統領の陣営が敗北した場合、財政赤字の縮小が難しくなると懸念している。
欧州連合(EU)は19日、フランスやイタリアを対象に過剰赤字手続きを開始した。場合によっては数十億ユーロの罰金につながる可能性もある。
フランスとドイツの10年物国債のスプレッドは先週、ブルームバーグがデータを作成し始めた1990年以降で最も大きく拡大した。現在は80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近い水準で推移しており、2012年以降の最大に近い。
デービス氏は「経済のファンダメンタルズを見る必要がある。財政赤字規則は重要になるだろう」と話した。
米住宅建設業者の業況感、年初来の低水準-ローン金利高止まりが重し - Bloomberg
米住宅建設業者のセンチメントは6月、予想外に低下し年初来の低水準となった。7%前後で高止まりする住宅ローン金利が購入予定者の買い意欲をそいでおり、需要見通しが悪化した。
住宅市場指数は2ポイント低下の43、すべての市場予想を下回る、中央値は46、年初来の低水準
販売見通し指数は4ポイント低下の47。前月も9ポイント低下と、2022年10月以来の大幅な落ち込みとなっていた。購買見込み客足指数および現況指数ともに今年最も低い水準となった。
NAHB会長でカンザス州の建設業者であるカール・ハリス氏は声明文で「高止まりする住宅ローン金利により、多くの購入予定者が様子見姿勢を取っている」と指摘。「住宅建設業者は建設・開発向けローンの金利上昇や慢性的な人手不足、建設地のひっ迫にも対処している」と述べた。
NAHBの調査によると、今月住宅価格を引き下げたと回答した建設業者の割合は29%で、1月以来の大きさとなった。平均値下げ率は6%と、12カ月連続で横ばい。販売促進策を実施しているとの回答は5月の59%から61%に増えた。
地域別では、建設業者のセンチメントは中西部と南部で低下する一方、西部と北東部ではわずかに改善した。
日本の生保が為替ヘッジ比率を削減、さらに縮小の可能性も-外国証券 - Bloomberg
日本の生命保険会社は、為替相場の円高進行で生じる損失に備えたヘッジ比率を過去10年間で最低水準まで引き下げた。今後数カ月でさらに引き下げる可能性がある。
ブルームバーグが生保大手9社の決算報告をまとめたところ、外国証券のうちデリバティブ(金融派生商品)を活用して円高進行時に損失をヘッジしている比率は3月末時点で47%だった。これは2011年9月以来の低さで、63%まで上昇していた20年3月から大きく減少した。
為替ヘッジの削減は、円安がさらに進行する、あるいは海外で得た投資収益を相殺するほど円高が進まないと生保各社が予想している可能性を示唆している。直近1カ月で円は対ドルで1.4%下落し、主要10通貨(G10)の中で最大の下げとなった。
マネックス証券の相馬勉債券・為替トレーダーは「金利差があまり縮まるとは思えず、生保としても積極的にヘッジを急ぐようでもないだろう」と予測。「全体のヘッジ比率は下降気味を維持するか上がるような感じではなく、そういう意味での円高圧力は今のところ見えてきていない」と言う。
円安懸念は、日本と主要国との利回り格差拡大だけが原因ではない。日本経済の競争力が低下する中、企業は海外市場に活路を見い出し、直接投資による資本流出も増加している。
金利見通しも足かせとなる。ユーロ圏やカナダ、スイスなど一部の中央銀行は政策金利を引き下げた一方、日本銀行は3月にイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)とマイナス金利政策を解除した後も追加利上げを含めさらなる金融正常化を目指す。
ただ、国内外の短期金利には依然大きな差があり、為替のヘッジコストが高水準にとどまっているため、ヘッジ付き外債の利回りは引き続きマイナスになっている。米国の10年国債で見ると、ドル下落に対するヘッジを持つ日本の投資家の利回りはマイナス1.2%と、ヘッジなしの4.22%と比べ低さが顕著だ。
生保の多くは2025年3月期の投資計画で為替ヘッジ付き外債の保有を維持するか、さらに減らす意向だ。ただ、明治安田生命や大樹生命など、為替ヘッジなし外債の保有を増やす計画のところも出てきている。
みずほ証券の大森翔央輝チーフデスクストラテジストはドル・円が大幅に下落しない限り、「生保各社はヘッジなしの外債を保有し続ける可能性がある」との見方を示した。
AIが最も多く仕事を奪うのは金融業界-シティが新リポート - Bloomberg
ルペン氏の国民連合、ウクライナ支援は前向きも派兵には反対-党首 - Bloomberg
英次期政権、財政逼迫は「看過できない問題」=S&P | ロイター
英労働党、史上最多の議席獲得か スナク首相落選の可能性も | ロイター
市場調査会社ユーガブが実施した世論調査によると、労働党の獲得議席は425議席、スナク首相率いる与党・保守党の獲得議席は108議席となる見通し。ナイジェル・ファラージ氏の右派ポピュリスト政党「リフォームUK」は5議席を獲得するとみられている。
また、英紙テレグラフが報じた調査会社サバンタによる世論調査では、スナク首相は現職首相として初めて自身の議席を失う見通し。
鉄鉱石2割安、7〜9月の高炉調達 世界の鋼材需要弱く - 日本経済新聞
国内高炉メーカーが調達する製鉄原料の価格が下がった。鉄鉱石の7〜9月期の調達価格は4〜6月期に比べ2割安い。主要な需要国である中国をはじめ世界的に鋼材需要が弱いためだ。インドでは総選挙前後に建設工事などが低調で、引き合いの弱さから製鉄用の石炭(原料炭)の価格も下がった。
●中東情勢
●エマージング
中国軍、「根深い」問題に直面 反腐敗を強化=習主席 | ロイター
中国、リチウムイオン電池産業を規制 生産能力を抑制 | ロイター
ジョージアのEU加盟、「スパイ法」成立で事実上凍結=EU大使 | ロイター
ブラジル中銀、政策金利10.50%に据え置き インフレ期待上昇で | ロイター
メキシコのシェインバウム次期大統領、25年財政赤字は予想超える恐れ - Bloomberg
韓国大統領「人口非常事態」を宣言 少子化問題に対策 - 日本経済新聞
チリ中銀、政策金利を0.25%引き下げ5.75%に 予想通り | ロイター
中南米債券のポートフォリオ組み入れは「必須」=UBS幹部 | ロイター
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのアレホ・チェルウォンコ米州新興市場担当・最高投資責任者は17日の「ロイター・グローバル・マーケット・フォーラム」で、「中南米を見過ごすのは間違いだ」と述べ、アルゼンチンのドル建てソブリン債と中南米の社債を投資すべき資産に挙げた。
同氏は「戦略的に見て、中南米資産をポートフォリオに組み込むのは必須だ。何と言っても株式、一部の債券、多くの通貨にわたって現在バリュエーションが低落している」と語った。
中南米市場は今年、大きな政策転換に揺さぶられて売りを浴び、結果として買いに入るのに魅力的な水準になっている。
またアルゼンチンのソブリン債は、リバタリアン(自由至上主義者)のミレイ大統領による改革と財政引き締めへの期待から大幅上昇した。
チェルウォンコ氏は、アルゼンチンは財政再建と改革の進展に加え、外貨準備を再構築しているため債務再編を避けられると予想。同国のドル建てソブリン債にはまだ「投資機会」が残っているとの見方を示した。
アルゼンチンが経済の構造的不均衡に取り組んでいることについては、「短期的な痛みと引き換えに長期的な成果を得る」ものだ、との認識が広がっていると説明した。
中南米の社債市場については、大企業が潤沢なバランスシートを抱え、社債の年限構成が良好で、レバレッジと資金調達リスクが低い上、各国ごとに景気サイクルが多様であるため幅広い投資チャンスがあるとの見方を示した。
特にメキシコは、米国との近さ、自由貿易協定のネットワーク、若い労働人口など数々の追い風が吹いているとし、「ペソとメキシコの金利を注視している」と述べた。
●プロファイ、インフラ、自然災害
欧米で山火事、地域住民が避難 米ニューメキシコ州で1人死亡 | ロイター
欧米で発生している山火事により地域住民が避難を余儀なくされている。米ニューメキシコ州では山火事により少なくとも1人が死亡、2人が負傷したほか、ギリシャの首都アテネ郊外では強風などで延焼が続いているという。
ニューメキシコ州当局によると、18日遅くの時点で家屋など約1400軒が損傷したほか、同州ルイドソの全住民約7000人が避難。グリシャム州知事はリンカーン郡とメスカレロ・アパッチ居留地に非常事態を宣言した。
またカリフォルニア州でも15日にロサンゼルス北西部で発生した山火事により、少なくとも1万2000エーカーが焼失。消防当局がなお消火活動にあたっている。
米国立気象局(NWS)によると、今週に入り各都市で数十年ぶりの最高気温を記録。熱波が米中部から東部に広がっているためで、当局は致命的な気象現象になる恐れがあると警告している。
一方、ギリシャではアテネの南方30キロにあるクロピア(コロピ)市で発生した山火事が強風によって燃え広がっており、住民が自宅や事務所から避難。同市とアテネ郊外を結ぶ幹線道路が通行止めとなった。
死傷者は報告されていない。消防当局は、火の勢いは弱まったがまだ消えておらず、強風によって火の粉が飛び、すぐに新たな火災を引き起こす可能性があるとした。
消防当局によると、18日には全国で40カ所以上の火災が発生。19日には少なくとも6カ所の火災に数百人の消防士が派遣された。
火災の原因は現時点で不明だが、地域の大部分では数週間雨が降っておらず、広範囲にわたり乾燥しているという。
●小ネタ
千葉の北総鉄道、夜の線路歩くツアー 非公開設備見学も - 日本経済新聞
北総鉄道(千葉県鎌ケ谷市)は8月3日、営業終了後に矢切駅(松戸市)の構内を見学し、北国分駅(市川市)まで延びるトンネル内の線路を歩くツアーを開催する。普段は立ち入ることのできない非日常的空間での体験を提供し、駅や鉄道の魅力を感じてもらう。
ツアーは8月3日午後11時50分に矢切駅で開始。非公開の広さ約1000平方メートルに及ぶ駅設備の増設用スペースと防災設備、トンネル内の換気に使う排風機を見学する。その後、担当者の説明を受けながら1時間ほどかけてトンネルの線路を歩き、北国分駅へ向かう。
7月1日から先着で30人の参加者を募集する。料金は1人1万円。7、8月に同様の時間帯で企画しているレール交換作業を見学できるツアーは予約開始当日に完売したという。
ニューヨークなどで往復5時間かける「スーパー通勤」が急増 | Business Insider Japan
120km以上の距離を通勤する「スーパー通勤者」が増加している。
ハイブリッドワークと都市部の住宅費の高騰により、労働者たちは都市部から離れた場所に住むようになってきている。
ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンDCでは、新型コロナウイルスのパンデミック以降、スーパー通勤者が大幅に増加している。
●市況
NY外為市場=奴隷解放記念日のため休信 | ロイター
欧州市場サマリー(19日) | ロイター
<欧州外為市場> ドルが方向感に欠く展開だった。一方、ユーロ圏全体の債務リスクプレミアムが高まるとの懸念から、ユーロは1カ月半ぶり安値に近い水準で推移した。
<ロンドン株式市場> 小幅続伸。FTSE100種指数は約1週間ぶりに8200を上抜けて取引を終えた。19日発表された英消費者物価指数(CPI)は、約3年ぶりにイングランド銀行(中央銀行)が目標とする2%に回帰した。
<欧州株式市場> 下落して取引を終えた。不動産株とハイテク株の下落が重しとなった。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。一方、フランス国債のリスクプレミアムは、仏政局の不透明感が続く中、小幅上昇した。
独仏10年債利回り格差は、74ベーシスポイント(bp)と2bp拡大した。
独仏国債のスプレッドは、マクロン仏大統領による国民議会(下院)の解散総選挙の発表以降、拡大している。

備忘録(2024/6/18
●雑感
●決算
●海外企業
メルク、肺炎球菌ワクチンの承認をFDAから獲得=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
メルク<MRK>は肺炎球菌ワクチン「キャップバクシブ」の承認をFDAから獲得した。このワクチンは18歳以上の成人の肺炎と髄膜炎の原因となる細菌感染を予防する。同ワクチンは肺炎球菌性疾患の約80%を細菌株から保護することが示されており、需要が高まる可能性がある。ライバルであるファイザー<PFE>の「プレブナール」は50%。両製品とも、肺炎球菌ワクチンを接種したことのない人を対象としている。
クローガーが上昇 アナリストが投資判断を「買い」に引き上げ=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
スーパーマーケットのクローガー<KR>が上昇。アナリストが投資判断を「買い」に引き上げ、目標株価を従来の58ドルから60ドルに引き上げた。懸案の買収がどのような結末になろうともウィン・ウィンのシナリオになると見ているという。ただ、未達になる可能性の方が高く、それは最善の道になり得ると指摘。
同社のポジショニングは安定した粗利益率で競争環境を管理し続けることを可能にするはずだが、業界全体の価格投資拡大懸念による株価の下押しはリスクとして指摘。
また、自社株買いに使用できる現金は1株2.30ドル(16.5億ドル)だが、それは12―13ドル(90億ドル)程度まで拡大する可能性もあるという。
HSBCがフランス生保事業売却を検討、評価額5億ユーロ超も-関係者 - Bloomberg
米新興EVフィスカーが破産申請、不具合続きのSUVで販売低迷 - Bloomberg
中国で「グッチ」低迷、仏ケリングの時価総額がエルメスの6分の1に 値引きと決別へ 斎藤萌 - 日本経済新聞
仏ケリングが苦境に立たされている。主力の高級ブランド「グッチ」が最大市場の中国で低迷し、アウトレット店などの値引きがブランド価値を損なった。時価総額はかつて同水準だった仏エルメスの6分の1に沈み、独アディダスにも抜かれた。インフレの波に乗れない高級品メーカーの悩みは日本企業にとっても人ごとではない。
●日本企業
日立、ジョンソンCとの空調合弁売却を検討=BBG | ロイター
日立とジョンソンCが空調合弁を売却検討、5000億円規模-関係者 - Bloomberg
清水建設、環境債100億円 自社施設の建設資金借り換え - 日本経済新聞
ゼンショーHD、劣後ローン200億円調達 既存分借り換え - 日本経済新聞
大和証券、千葉・渋幕中高で金融授業「ドル投資が適切」 - 日本経済新聞
【丸の内Insight】日本カストディ問題、資産運用立国脅かす統治不全 - Bloomberg
CBJがガバナンス強化に向けて大きくかじを切った。6月26日の定時株主総会で、これまでの監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行を決め、取締役会の監督機能を強化する。同時に役員体制も大きく変更する。
昨年6月にCBJが公表した不正問題の発端になったのは、三井住友THから社長に就任した田中嘉一氏だ。CBJは田中氏の名前を伏せたまま、元取締役の不正行為として発表。
非公表の社内調査報告書によると、田中氏は社長在任中の2022年に同社のシステム開発を受注した外部ベンダーに対して、社長退任後に自らの個人会社に業務を発注するように働きかけるなどしており、調査委員会は、複数の利益相反取引や特別背任未遂罪に該当する行為があったと結論付けた。
外部の弁護士でつくる第三者委員会が今年4月に発表した調査報告書も、社内調査の結果を認める内容だった。CBJにはトップの暴走を止めるけん制機能が備わっていなかった。
今回の変更では、取締役数を従来の9人から13人に増やし、土屋正裕社長(三井住友トラスト・ホールディングス出身)と向井康眞副社長(みずほフィナンシャルグループ出身)以外は全て非執行の取締役とする。株主会社である三井住友THやみずほFGなどの役員が就き、業務執行の監督に専念する。ある株主会社の幹部は、CBJに対して株主としての責任をきちんと果たせる体制をつくったと自信を見せた。
金融庁は昨年6月、CBJに銀行法に基づく報告命令を出し、不正の原因や再発防止策などの報告を求めた。1年かけて株主各社とCBJが編み出した回答が、今回のガバナンス改革策だ。
ガバナンス体制の脆弱性
第三者委員会が報告書で重点を置いて指摘したのは、同社のガバナンス体制の脆弱(ぜいじゃく)性だ。なぜそれは放置されてきたのか。
公的年金や企業年金基金、保険会社などの機関投資家、運用会社などから有価証券を預かり、決済や配当の計算などの管理業務を一手に請け負うのが、CBJなど資産管理信託銀行だ。もともと信託銀行が内部に抱えていた業務だったが、より質の高いサービスを低コストで提供できるよう運用部門から切り離され、信託銀行や保険会社が出資して2000年以降に相次いで誕生した。
それが、三井住友TH系の旧日本トラスティ・サービス信託銀行(JTSB)、みずほ系の旧資産管理サービス信託銀行(TCSB)、そして三菱UFJ信託銀行系の日本マスタートラスト信託銀行(MTBJ)だ。
CBJは、規模拡大によるスケールメリットを生かすために、旧JTSBと旧TCSBが合併して20年に発足。両行にはそれぞれ、りそな銀行や、第一生命保険などの複数の保険会社も出資していたため、新たに誕生したCBJに対する出資比率は三井住友THが33.3%、みずほFGが27%のほか、それ意外の元の株主が少額出資する複雑な構成となった。
「寄り合い所帯」
第三者委員会の報告書は「株主各社が過半数に満たない割合で持ち合っていることから、株主からの全面的なサポートが期待される子会社ではない」と説明。金融庁幹部は、各社の中途半端な出資構成が株主の無責任体制を生んでいると指摘した。
「寄り合い所帯による無責任経営」を懸念した金融庁が、CBJ発足の際に三井住友THに対して求めたのは、出資比率が低下しても子会社だったJTSBに対してと同様の厳しさで経営管理を行うことだったと関係者は明かす。
実際、金融庁はCBJの不正問題発覚後、三井住友THに対して、銀行の持ち株比率20%以上の主要株主に報告を求める銀行法52条に基づいて報告命令を出した。20%を超えるみずほFGには発出を見送っており、三井住友THに対する責任を強く問う形となった。
CBJの預かり資産は約650兆円。同700兆円のMTBJと合わせて、両社で国内の有価証券決済のほぼ全てを担っている。株式市場ではMTBJが東証時価総額のうち3割超の名義上の株主であり、CBJも1割を超える。
昨年10月に発生した全銀ネットのシステム障害では、CBJも障害の対象となった接続先11社の一つだったため決済ができなくなり、ライバルのMTBJが代行。関係者は、海外にもフェイル(決済不成立)の連鎖が波及しかねなかったが何とか抑え込んだと胸をなで下ろした。有価証券の決済の重要性が垣間見えた瞬間だ。
試される実行力
第三者委員会は、将来的にはCBJの自立的発展が求められるとし、過渡期の現在は株主会社との連携強化が必要だと指摘した。同委の報告を受け、CBJのガバナンス強化に向けて監査等委員会設置会社への移行のたたき台を練り上げたのは三井住友THだ。
同社の高倉透社長は6月の決算会見で、CBJ問題について「筆頭株主として責任を持って、リーダーシップも発揮しながら改善に向けた取り組みを行っていく」と力を込めた。
体制整備はひとまず決着を見たが、実体が伴う改革に結び付くのかどうかが明らかになるのはこれからだ。CBJの土屋社長は5月31日に開いた社員向け説明会で、企業風土の改革に向け、プロパー社員の幹部職員への積極登用なども打ち出した。CBJの経営陣と株主の実行力が試されることになる。
農林中金、米欧の国債10兆円相当売却へ-今期最終赤字1.5兆円規模に - Bloomberg
農林中央金庫は、保有する米欧の国債およそ10兆円相当を売却する計画だ。読みが外れた外債投資での損失を確定させる。農林中金の広報担当が明らかにした。
国債の売却は2025年3月末までに実施されると、農林中金は説明。売却分は、農林中金のグローバルポートフォリオの約6分の1を占める。この損失処理により、25年3月期の最終赤字は1兆5000億円と、当初見込んでいた5000億円の3倍に膨らむ見通しだと、広報担当は説明。日本経済新聞による先の報道を確認した。また同広報担当は、最終的な赤字額は国債の実際の売却規模と市場の状況によって変化する可能性があるとも語った。
農林中金の奥和登理事長は日経新聞に対し、「(外債運用に関わる)金利リスクを小さくし、法人や個人の信用リスクを取る資産などに分散させる」と語った。
コロンビア・スレッドニードル・インベストメントの金利ストラテジスト、エド・アルフセイニ氏は、「日本の保有者が清算するというようなシステミックな話ではなく、リスク監視面での失敗のように見受けられる」と指摘。「日本の他の投資家とは極めて対照的だ。2022年には米国債が売られたが、その後は米国の投資適格債はかなり積極的に買われている。日本の買い手は戻ってきている」と述べた。
●米大統領選挙
トランプ氏元側近、米中経済断絶を提唱-核爆発伴う核実験再開も - Bloomberg
トランプ前大統領が返り咲いた場合、中国との経済関係を完全に断ち切るとともに、米海兵隊の全部隊をアジアに配備することを検討し、核爆発を伴う核実験も再開すべきだと、前政権下で最後の大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたロバート・オブライエン氏が論文で指摘した。
フォーリン・アフェアーズ誌に掲載されるこの論文には、トランプ政権2期目が実現した場合に外交政策がどのような内容になりそうかについて、これまでで最も具体的な記述がある。トランプ氏が11月の米大統領選で勝利した場合、オブライエン氏は再び政権入りする可能性がある。
同氏は強硬派で、トランプ政権終盤に台頭した対中強硬姿勢を後押しした。今回の論文は、公の場で当時主張していた内容をはるかに超えている。
同氏は「中国が米国の経済力と軍事力の弱体化を図ろうとしているのに対し、米政権はやり返すべきだ」とし、「実際に、米経済を中国経済から切り離すことを目指すべきだ」と論じた。
オブライエン氏が論文に書いた対中政策提言に前大統領が従う保証はないが、同氏は最近、トランプ氏と引き続き「定期的に接触」していると語っている。
「強さを通じて平和を取り戻す」と題するこの論文では、トランプ氏が提唱している60%の対中関税は最初の一歩に過ぎず、「中国が利用する可能性のあるあらゆる技術」に対する輸出規制強化や他の措置を講じるべきだと表明している。
トランプ氏は論文見ていないと陣営幹部
論文執筆を支援し、ブッシュ(子)、トランプ両政権下で国務省の政治任用職にあったクリスチャン・ウィトン氏は、オブライエン氏がトランプ陣営の顧問スージー・ワイルズ氏に論文の写しを渡したと語った。ウィトン氏によれば、ワイルズ氏が印刷したコピーをトランプ氏に見せたという。
だがトランプ陣営担当者カロリン・リービット氏は、ワイルズ氏が前大統領に論文を見せたというのは事実でないと反論した。
リービット氏が17日夜に配布した資料で、ワイルズ氏と同陣営の上級顧問クリス・ラシビタ氏は「ここで明確にしておきたい。トランプ前大統領または権限を与えられた陣営メンバーからの直接メッセージでない限り、将来の政権人事や政策発表のいかなる面も公式なものとみなされるべきではない」と表明した。
トランプ氏の新関税政策はまるで増税-エコノミストが警告 - Bloomberg
米国の主流派エコノミストは、ホワイトハウス返り咲きを目指す共和党のトランプ元米大統領が掲げる第2期通商政策構想について、同国の家計にとって実質的な増税に等しいと指摘している。トランプ氏は、政権に復帰した場合、輸入品に一律10%の関税を課し、より多くの減税の原資にするとしている。
エコノミストらは、中国製品への関税を60%以上に引き上げることを求めているトランプ氏の政策が、「ステロイド(増強された)関税」とも言うべきものだとしている。ピーターソン国際経済研究所は最近の報告書で、平均的な中間層世帯の年間コストが1700ドル(約27万円)に上るとの推計を示し、消費税になぞらえた。
左派系シンクタンクであるアメリカ進歩センター(CAP)は、最低10%の関税について試算し、食費90ドル、処方薬90ドル、自動車220ドルの負担増を含め、1世帯当たり年間約1500ドルと算出した。
当然、トランプ陣営はこうした表現に反発している。共和党全国委員会(RNC)の広報担当アンナ・ケリー氏は「関税が米消費者に対する税金に等しいという考え方は、中国共産党などによるうそだ」と話した。ケリー氏は、「トランプ氏は大統領在任中に米国を第一に考えて関税を導入し、インフレと消費者物価を同時に低く抑えた。」と強調した。
トランプ氏は在任中、多目的なツールとして関税を使い、米貿易赤字縮小も目標の一つとした。バイデン大統領もほぼ維持したこの措置は一定の成功を収め、2023年の米貿易赤字は前年比約19%減と09年以来最大の縮小となった。
トランプ氏が関税政策のもう一つの大きな目的と主張したのは、米国企業にサプライチェーンを自国に戻すよう促し、雇用創出を促進することだった。だが、わずかな雇用増は、中国が報復の対象とした農業などの部門での雇用減によって相殺され、トランプ氏の通商政策は良くても「水泡に帰した」と、マサチューセッツ工科大学(MIT)のデービッド・オーター教授率いる経済学者グループは1月に発表したワーキングペーパーで結論付けた。
保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のマイケル・ストレイン経済政策研究部長は、「製造業の雇用が米国に戻るとは思わない。多くの混乱が生じ、得るものはないだろう」と述べ、トランプ政権2期目が実現したとしてもこの政策の成果が出るかについては懐疑的な見方を示した。
トランプ氏が最も効果的に関税を使ったのは、同盟国を自分の意向に従わせたことだろう。メキシコとカナダは関税賦課の脅しを受けて、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉に同意した。トランプ氏はまた、欧州産の鉄鋼とアルミニウムの輸入に関税を課すことで、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、国防費の増額の求めに応じさせようとした。
トランプ大統領のアドバイザーは、欧州連合(EU)が対中貿易や投資で一段と強硬な路線を取ることを望んでおり、もしトランプ氏が返り咲けば、欧州諸国が再び標的にされる可能性は高い。
トランプ氏の周辺からは、政権1期目で国家経済会議(NEC)委員長を務めたゲーリー・コーン氏ら自由貿易を信奉していた人物の多くが姿を消した。もう1人の自由貿易派であるスティーブン・ムニューシン前財務長官は、第2次トランプ政権が誕生しても復帰する見込みはない。これらの人々の離脱によって、ロバート・ライトハイザー前米通商代表部(USTR)代表が第2次政権誕生の場合に大きな役割を担う道が開けた可能性がある。
通商政策の雑多な詳細を理解し、大きな政府官僚機構の中で自分の考えを推し進める方法を熟知している弁護士であるライトハイザー氏は、フロリダ州パームビーチでトランプ氏の近くに住んでおり、密に連絡を取り合っている。同氏は、財務省を担いたいと周囲に話しているという。
巨大な米国市場へのアクセスは、大局的な戦略目標を達成するための切り札として使われるべきだという考えを、国民と民主・共和両党に浸透させてきたライトハイザー氏は、中国などの国々に圧力をかけ続けたいと考えている。
ライトハイザー氏は5月終盤、FOXビジネスの番組で「攻撃的な敵対国を相手にしているのだから、トランプ前大統領が求めているような全面的な関税が必要なのは明らかだ」と語った。一方で、中国製の太陽光パネルや電気自動車(EV)に対するバイデン氏の新たな関税を「遅過ぎるし、少な過ぎる」と一蹴した。
●先進国中銀
豪中銀が政策金利据え置き、再利上げ排除せず インフレなお警戒 | ロイター
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は18日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。据え置きは5会合連続。
インフレの上振れリスクを踏まえ利上げの是非を議論。最終的には据え置きを決定し、利上げへのハードルが依然高いことが示された。
インフレの抑制に必要であれば追加利上げを排除しないと改めて表明。声明文で「最近のデータはまちまちだが、インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」と指摘した。
直近のインフレ率は3.6%で、中銀の目標値をなお大幅に上回っている。
ブロック総裁は政策会合後の記者会見で「インフレ率を2─3%の目標範囲に戻すには、道のりはまだ長い」と述べた。
豪ドルは0.6622米ドルと0.1%上昇。市場は再利上げの可能性を織り込んでいないが、早ければ12月にも利下げが実施される確率が、声明発表前の65%から44%に低下した。利下げが完全に織り込まれているのは2025年4月か5月以降となっている。
ブロック氏は、最近のデータはインフレに警鐘を鳴らしていると述べたが、利上げの根拠が強まっていることを自動的に意味するものではないとも説明。理事会は「潜在的な(インフレ)上昇リスクを警戒しているという点を強調したかった」とした。
<足元のリスクは再利上げ>
AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は「短期的なリスクは依然として再利上げに偏っている」とし「最新の経済見通しが発表される8月会合が極めて重要になる。4─6月のインフレ率が上振れした場合、利上げの可能性も出てくるのではないか」と述べた。
4─6月のインフレ統計は、8月5─6日の理事会直前の7月31日に発表される。
前回会合以降に発表された経済指標はほぼ予想通りの結果となった。豪経済は前期比で0.1%の成長にとどまり、賃金の伸びは15年ぶりの高水準から鈍化した。また、労働市場は緩やかなペースで緩和を続けた。
インフレの粘着性は続き、4月には5カ月ぶり高水準となる3.6%に達した。一方、電気料金などを対象にした政府の生活費軽減策が下半期の総合インフレ率低下につながると期待されている。
オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)とナショナル・オーストラリア銀行は、自社の11月利下げ予想へのリスクを指摘。
CBAのオーストラリア経済担当責任者ガレス・エアード氏は、「中銀は再び利上げを行うことを望んでいない。しかし基調的なインフレ環境が厳しく、労働市場の緩和ペースも予想より緩やかなことを踏まえると、11月の利下げに向けた道筋は狭くなりつつある」と指摘。「われわれの予想に対するリスクは、緩和サイクルの開始時期が遅くなる方向に傾いている」と語った。
ECB、次回の金利決定のベストタイミングは9月=デギンドス副総裁 | ロイター
アングル:日銀国債買入れ減額、「相応の規模」巡り思案に暮れる債券市場 | ロイター
日銀が国債買い入れ減額の具体的計画を7月末の決定会合に先送りしたことで、債券市場関係者は思案に暮れる日々を余儀なくされている。減額規模について植田和男総裁が記者会見で発した「相応の規模」の解釈を巡っても手がかりは乏しく、見方が交錯。日銀が市場の意見を確認するために開く「市場参加者会合」の意味合いも解釈は一様ではない。
日銀は14日の決定会合で、長期国債買い入れを減額する方針を決め、今後1─2年程度の具体的な計画を7月の次回会合で決定することにした。植田総裁は足元で月5兆7000億円の買い入れに関し「減額する以上は相応の規模になる」と述べた。
<「相応」の真意探る市場>
植田総裁は18日、参議院財政金融委員会に出席して半期報告を行ったが、委員からの質疑では「相応」が大規模な減額を意図したものかなど、その真意を問われる場面があった。
これに対し、総裁は「相応の、という言葉はコンテクストによって意味を持ち得る」と認めつつ、その規模はこれから金融市場局が債券市場参加者会合を開いて市場参加者の意見を確認し、1カ月間の検討の結果決まってくることだと説明。「国債買いオペの減額の『相応』がどれくらいか、具体的な姿は7月(会合)をお待ちいただきたい」と答えるにとどめた。
みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは「ニュアンスとしては多めの減額規模を連想させる表現だが、いかようにも解釈できる曖昧な表現。例えば月間1兆円などの比較的小幅な減額にとどめる『逃げ道』を残す表現でもある」と指摘した。
その上で「問題はこの表現が実際に大幅な減額を実施しようとしてその地ならしをする意図なのか、それとも次回会合まで市場の期待感をつなぎとめるための一種の『ブラフ』なのかだが、(私は)ブラフの可能性が相応に高いと考えている」として、月間購入額5兆円程度への減額にとどまるとの従来見通しを維持した。
一方、ドイツ証券の小山賢太郎チーフエコノミストは「月間5兆円への減額であれば、市場参加者の意見を聞く必要もないだろう」として、日銀が市場の想定よりも積極的な減額を予定している可能性があると解釈。同時に「債券市場参加者会合においても、日銀による国債買い入れの積極的な減額を支持する声が多いと考えている」との見方も示し、月間購入額3兆円への減額を当面の目安としている。
野村証券の宍戸知暁シニア金利ストラテジストは「少なくともこれ以上というイメージはあると思うが、現時点では日銀自身が減額幅を決めきれていないだろう」と話す。また減少幅の市場コンセンサスについては、債券市場参加者会合に出席した人の声を通じて形成されていくものと考えられ、会合前に市場のコンセンサスができることはなさそうだ、との見方を示した。
<日銀もQTの局面に>
日銀による国債買い入れ額は足元で月5兆7000億円(5月13日のサプライズ減額の前までは月6兆円)、年間では約68兆円となり、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストによると、今後1年の保有国債の償還額68兆とおおむね一致する。
このため、日銀が現行の買い入れ水準から「相応の規模」で減額することは、日銀が保有する長期国債の残高を圧縮する「量的引き締め(QT)」の局面に入ることを意味する。買い入れの減額規模が大きいほど、日銀保有残高の減少スピードが速まる計算だ。
鶴田氏は「減額計画については、債券市場参加者会合の限られた参加者の中だけで知れ渡るというのは良くないだろうし、おそらく7月会合後にふたを開けてみないと分からない」とみている。
野村の宍戸氏も「減額幅が非常に大きくなるとの見方が7月会合当日より前に高まり、それが原因で会合前に長期金利が大きく上昇することは考えにくい」として、日銀の政策を材料に会合前のタイミングで国内要因で長期金利に上昇圧力がかかる可能性は低く、7月の日銀会合までは低下圧力がかかると予想する。ただ8月以降は、実際に買い入れ減額が始まることで、金利に上昇圧力がかかりやすいという。
長期金利の指標となる新発10年債利回りは0.9%台前半と、日銀会合通過後は節目の1%を下回って推移。また政策金利の見通しを反映しやすい2年債利回りは、国債買い入れ減額と利上げを同時実施するのは難しいとの見方から7月の追加利上げ観測が後退し、節目の0.3%を下回る水準に低下している。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストも「5月のように不確実性の高さを理由に金利が大きく上昇する展開は回避されるのではないか。米金利上昇懸念が後退していることも円金利上昇の可能性を低下させるだろう」との見方を示した。
日銀総裁、7月の利上げ「十分あり得る」 買入減額の規模は明言せず | ロイター
日銀の植田和男総裁は18日、参議院財政金融委員会で7月の金融政策決定会合までに入手可能になる経済・物価・金融情勢に関するデータや情報次第だが、「場合によっては(7月会合で)政策金利が引き上げられることも十分あり得る」と述べた。「国債買い入れの減額と政策金利の引き上げは別の物」と話す一方で、減額の具体的な規模感については言及を避けた。
植田総裁は半期に一度の「通貨及び金融の調節に関する報告書」の説明後、柴慎一委員(立憲)、藤巻健史委員(維教)らの質問に答えた。
日銀が6月会合で利上げしなかった背景として、植田総裁は4月会合以降の情報やデータはおおむね日銀の見通しに沿ったものだったが「現時点で基調的な物価上昇率がしっかりと高まっているか、もう少し引き続き点検していく必要があると考えた」と説明した。
国債買い入れ減額については「金融政策的な色彩」を込めると「イールドカーブ・コントロール(YCC)の復活みたいなものになりがちだ」と話し、「金融政策としての強いメッセージを出すのは控えていきたい」と強調した。
14日の会見で植田総裁は国債買い入れの減額は「相応の規模になる」と述べたが、18日の質疑では「今後1カ月間の検討の結果、決まってくる」とするにとどめた。
国債買い入れの減額に伴う日銀のバランスシートの縮小について、植田総裁は「今後どこまで(バランスシートの)縮小を続け、最終的にどこに着地させるのが良いのかというのは大事な問題だ」と述べた。ただ「欧米中銀を見ても、なかなか最適な着地点を見出す作業は完了していない」と指摘した。
<物価が賃金上回れば消費下押しも>
厚生労働省が公表している実質賃金は25カ月連続で前年比マイナスが続いている。日銀や政府が掲げる賃金と物価がともに上昇する好循環は実現していないのでは、との質問に植田総裁は「実質賃金の低下ペースは足元弱まっている」と指摘。「今後名目賃金上昇が期待されたように広がれば好循環実現に向かう」との見解を示した。
同時に「足元の円安や輸入物価動向には注視が必要」と述べ、「物価が名目賃金を上回る場合に実質所得や個人消費を下押しする可能性がある」との懸念も示した。
一方で、景気は緩やかな回復を続けるとの見通しを示し、日本経済が先行き「高い物価の上昇率と景気後退が併存する意味でのスタグフレーションに陥るとは今のところ考えていない」とも述べた。
<日銀財務と政策運営>
質疑では、大規模な金融緩和からの出口戦略を進める日銀の財務健全性に関する質問も目立った。
国債買い入れ減額など金融正常化ペースが市場などの期待と比べて遅いのは、日銀が利上げに伴う財務内容悪化を懸念しているのでは、との質問に対して「日銀の財務配慮のため必要な政策が妨げられることはない」と答えた。
日銀が債務超過に陥り通貨の信認が毀損する可能性を巡り、植田総裁は「通貨の信認は適切な金融政策による物価の安定によって確保される」とした。
さらに、保有国債は「満期まで保有する方針のため評価損が実現することはない」とも述べた。新たに日銀が国債買いオペを続けることで「受け取り利息が増加する効果もある」として、緩和縮小局面で「直ちに大きな収益の下落が長期間続いて債務超過になるとは必ずしも言えない」と述べた。
植田総裁は「財務の悪化に注目する投資家が何割かいて、それが不安定な動きを引き起こすリスクは常にある」と指摘。「財務の健全性を保つ努力を常にしつつ政策運営していく」と語った。「日銀の財務について必要以上の心配することないが、いろいろな可能性があるため財務に留意する」とも話した。
半期報告では、金融・為替市場の動向や、その日本経済への影響を十分注視する必要があると語った。また、長期金利がより自由に市場で形成されるよう、市場参加者の意見も確認し、次回決定会合で今後1-2年程度の長期国債買い入れの具体的な減額計画を決定すると述べた。
物価については、足元2%台前半となっており、先行きは輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰する一方、来年度にかけては政府による経済対策の反動などが前年比を押し上げる方向に作用すると指摘。基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想され、「展望リポート」の見通し期間後半には2%の「物価安定の目標」とおおむね整合的な水準で推移すると考えていると述べた。
ニューヨーク連銀総裁、米経済は「正しい方向に」-利下げデータ次第 - Bloomberg
FRBは「忍耐強く」なれる、数カ月の指標見極め必要=米ダラス連銀総裁 | ロイター
利下げ検討前に数カ月分の指標分析が必要=リッチモンド連銀総裁 | ロイター
クーグラーFRB理事、年内の利下げが適切となる可能性高い - Bloomberg
ボストン連銀総裁、FRBは前向きな物価指標に過剰反応すべきでない - Bloomberg
セントルイス連銀総裁、利下げが適切かデータ見極めには「数四半期」 - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
EU、「バーゼル3」最終規則の中核部分適用を1年延期 | ロイター
独ZEW景気期待指数、6月は小幅上昇 予想には届かず | ロイター
欧州経済センター(ZEW)が18日発表した6月のドイツ景気期待指数は47.5となり、前月の47.1から小幅に上昇した。ロイターが集計したアナリスト予想の50.0には届かなかった。
現況指数はマイナス73.8で、前月のマイナス72.3から悪化した。
ZEWのワムバッハ所長は、回答者のインフレ期待が高まったと述べた。ドイツの5月の消費者物価指数(CPI)改定値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比2.8%上昇し、4月(2.4%上昇)から加速した
国際収支巡る懇談会、近く報告書公表 「来週以降に」と神田財務官 | ロイター
神田真人財務官は18日、赤字続きの貿易収支やデジタル赤字を抱える国際収支の課題を洗い出す私的懇談会の報告書を来週にも取りまとめる考えを示した。同日開いた会合後、財務省内で記者団に語った。
国際収支を通じた日本経済の課題では、輸出産業の国際競争力の低下やデジタル赤字か拡大、鉱物性燃料の輸入依存などが指摘される。対内直接投資も低迷し、成長分野への労働移動の円滑化やリスキリング(学び直し)など生産性を向上させる取り組みが欠かせない。
神田財務官は「国際収支の状況を通じて日本経済が抱える非常に深刻な課題について危機感が共有された一方で、しっかり改革すれば明るい将来も可能との前向きな議論も多かった」と会合後、記者団に語った。
これまでの議論を整理し、近く文書をまとめる考えも示した。
米小売売上高、5月はわずかな増加にとどまる-前月分も下方修正 - Bloomberg
フランスを統治するには絶対多数が必要-極右RNのバルデラ党首 - Bloomberg
フランスの極右政党、国民連合(RN)党首のジョルダン・バルデラ氏は、総選挙で同党とその同盟勢力に大勝利をもたらし、政権奪取を可能にするよう支持者に呼びかけ、極右勢力が主導権を握るための高いハードルを設定した。
世論調査によれば、マリーヌ・ルペン氏率いる同党が6月30日からの2回の投票後に国民議会(下院)で最大勢力になる可能性が最も高いが、予想では577議席の過半数を獲得することはできない。
バルデラ氏は仏紙パリジャンとのインタビューで「政権を担うには絶対多数が必要だ。大統領と首相が異なる勢力に属している時に、相対多数で国民の日常生活を変えられると誰が信じられるだろうか。私はフランス国民に言っている。われわれを試すには絶対多数が必要だ」と語った。
マクロン大統領が総選挙を決めた後、RNがバルデラ氏を首相とする政権を樹立するという見通しはフランスの政治家に衝撃を与え、投資家を動揺させた。
バルデラ氏はパリジャン紙のインタビューで、経済政策へのより責任あるアプローチを示そうとした。首相としての最初の行動は、経済改革と公共サービスの見直しを行う余力を見定めるため財政監査を行うことだとあらためて述べた。
総選挙決定以降、フランス債のドイツ債に対するスプレッドが急激に拡大していることについての質問には「正常に戻り、安定するだろう」と述べた。
「市場は不確実性を嫌う。私がしたいのはわれわれの措置を推進し財政への真剣さを示すことだ」と語った。
ヘッジファンド、SEC委員長と闘う最強の武器はテキサス州の住所 - Bloomberg
ハンガリーとスロバキアがオランダ首相支持、NATO次期事務総長 | ロイター
米5月小売売上高、予想下回る0.1%増 高金利で裁量支出手控え | ロイター
米商務省が18日発表した5月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.1%増と、市場予想の0.3%増を下回った。4月分は下方改定され、第2・四半期入り後も経済活動が低調だった可能性を示唆。9月利下げ観測が高まる可能性がある。
4月分は前回発表の横ばいから0.2%減に下方改定された。3月分もやや下方改定された。
自動車、ガソリン、建築資材、外食を除くコア小売売上高は0.4%増。4月分は0.3%減から0.5%減に下方改定された。コア小売売上高は、国内総生産(GDP)統計に含まれる消費支出と密接に関連している。
5月の小売売上高は、ガソリン価格が下落し、ガソリンスタンドの売り上げが圧迫されたことで、消費支出の減速が誇張された可能性もある。ただそれでも、物価上昇と金利の高止まりを受け、家計は生活必需品を優先し、裁量支出を削減せざるを得なくなっているのが実情だ。
キャピタル・エコノミクスの北米チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「家計は金利上昇に対し、想定されているほど無関心なわけではない」とし、「消費の本格的な落ち込みは予想されていないが、消費鈍化と、これに伴う国内総生産(GDP)の伸びのわずかな減速でさえも、絶妙なバランスを取っている連邦準備理事会(FRB)が9月利下げに傾くのに十分な可能性がある」と述べた。
<部門別では強弱混交>
ガソリンスタンドは2.2%減。建築資材と園芸用品店は0.8%減。家具も1.1%減少した。
サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.4%減。減少率は1月以来最大だった。前月は0.4%増加していた。
一方、自動車・部品は0.8%増。オンライン売上高も0.8%増加し、前月の1.8%減から反転した。
スポーツ用品・趣味・楽器・書籍は2.8%増。電子機器・家電は0.4%、衣料品は0.9%、それぞれ増加した。
家計消費の重要な指標と見なされる飲食店の売上高は、過去5カ月のうち3カ月で減少。モルガン・スタンレーの米国担当チーフエコノミスト、エレン・ゼントナー氏は「家計が裁量支出を控える中、飲食店の売上高は全体的に失速している」と述べた。
フランスや伊など7カ国、EU財政規律違反の手続き対象に-関係者 - Bloomberg
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、フランスとイタリアを含む加盟7カ国について、昨年の財政規律違反に関する手続き対象になると19日に発表する見込みだ。非公開情報を理由に事情に詳しい関係者1人が匿名を条件に明らかにした。
スペインと他の3カ国も2023年の財政赤字が国内総生産(GDP)比3%以内というEUの財政基準を上回ったが、手続きの対象リストには掲載されていないという。
イタリアとポーランドは、公的債務残高がGDP比60%を超え、財政赤字が3%を上回る国への措置を規定するEU規則に違反したとして、「勧告」を受ける見通しだと既に明らかにしていた。
フランス国債プレミアム、危険な水準に近づく-カンドリアムCIO - Bloomberg
フランス国債のリスクプレミアムは金融危機に向かうことを示唆する「危険な」水準に達しようとしていると、カンドリアムの最高投資責任者(CIO)が警告した。
マクロン大統領が国民議会(下院)を解散し総選挙の実施を表明して以来、フランス国債は下落。安全資産のドイツ国債に対する上乗せ利回り(プレミアム)は18日に79ベーシスポイント(bp、1bpー0.01%)と、2017年以降で最大となった。終値ベースでこれを上回れば、ユーロ圏の債務危機が本格化した12年以来の大幅な上乗せとなる。
約1450億ユーロ(約24兆5600億円)の資産を監督するカンドリアムのニコラス・フォレストCIOはインタビューで「現時点で大きく注目されているのは売りの第2波があるかどうかで、プレミアムが80bpを突破するかどうかだ。80bpを上回れば、100bpを目指すことになる」と指摘。「80を上回るようだと、痛い目に遭うだろう」と続けた。
世論調査でリードする極右政党・国民連合(RN)を率いるマリーヌ・ルペン氏は、過去に減税と歳出拡大を表明している。このため、市場は同氏の勝利におびえている。ルメール経済・財務相は、ルペン氏が提唱する経済プログラムが実行されれば、2年前に英国でトラス前首相が引き起こしたような債務危機に陥るだろうと警告した。
フォレスト氏によると、カンドリアムは11日、保有するフランス国債の一部を売却。解散総選挙が発表された後には、欧州株に対する投資判断を「中立」に引き下げた。今週、ルペン氏がマクロン大統領と協力すると確約したことで、市場はいくらか安定したが、短期的にはフランス国債の買いを促すような政治シナリオはないとフォレスト氏はみている。
同氏によると、長期的な問題はフランスがイタリアのようになってしまうことだ。イタリアはギリシャとともにユーロ圏で最も債務負担が大きく、国債のリスクが高い。フランスの国内総生産(GDP)に対する債務比率は現時点で来年既に112%を超えると予想されている。イタリアは138%余りだ。
フォレスト氏は欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会が過剰財政赤字に対する是正手続きを開始する見込みであることに触れ、「フランスは財政赤字と債務に関して欧州の病人だ」と指摘。「私が言っていることは突拍子もないと思われるかもしれないが、いつかフランス債の利回りがイタリア債と肩を並べるようになる可能性がないわけではない」と語った。
現在、フランス10年債利回りは3.20%前後まで上昇しており、2011年以来の高水準からそれほど遠くはないが、イタリア10年債利回りを70bpほど下回っている。欧州で最も安全だと考えられているドイツ債とのスプレッドを市場は注視しており、投資家が他国に求める上乗せ利回りは事実上のリスクプレミアムとなっている。
フォレスト氏はRNのユーロ懐疑的な政策綱領を考えると、新政権が大幅な歳出抑制で合意し、EUとの着地点を見いだせる見通しはほとんどないと述べた。EUとの対立は、欧州中央銀行(ECB)がフランスを救済するとは限らないことも意味する。
「ソブリン債の歴史はハッピーエンドばかりではない。フランス総選挙は(危険が迫っているたとえである)ダモクレスの剣だ」と、フォレスト氏は述べた
●中東情勢
イスラエル、ヒズボラ対応「まもなく決定」 米は緊張緩和に特使派遣 | ロイター
●エマージング
高級品売上高の伸び予想低調 中国の富裕層買い控え=ベイン調査 | ロイター
コンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーは18日、衣料品やアクセサリー、美容品など個人向け高級品の今年の全世界での売上高伸び率見通しが、前年比横ばい─4%増になるとの見通しを発表した。新型コロナウイルス禍で売り上げが急落した2020年以来の低調な伸びとなる見通し。半期ごとの高級品市場に関するリポートで述べた。
減速が最も顕著なのは中国で、経済不安が中間層の消費意欲を弱め、高級品を購入可能な層も積極的な購買を控えている。中国経済が失業や社会不安を抱える中、旅行を再開した中国の富裕層が海外での支出を高めていることも要因とみられる。
ベインのパートナー、フェデリカ・レバト氏は「市場は間違いなく停滞している」とし、「2年半にわたる伸びの後、個人向けの高級品市場には一服感が見られる」と指摘した。今回の報告により、中国の高級品需要が回復していないという投資家の懸念を強めるとみられる。
一方、1万ドル超のハンドバッグなどを販売するフランスのエルメスなど最高級ブランドが好調を維持するとの見方もある。
米国では富裕層がけん引して回復の兆しが見られる一方、若年層などは購入を手控えている。
欧州と日本では、外国人客の回復が寄与し、高級品の売り上げが伸びている。
フィリピン水兵、南シナ海で重傷 中国海警局が「意図的に激突」 | ロイター
金総書記、プーチン大統領と率直な意見交換=KCNA | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(18日)エヌビディア世界首位、ドル下落・利回り低下 | ロイター
<為替> ドルが対ユーロで下落した。5月の米小売売上高から個人消費の減速傾向が示唆され、米連邦準備理事会(FRB)による年内の利下げ観測が強まったことを受けた。
<債券> 国債利回りが低下した。5月の小売売上高の伸びが予想を下回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)は9月に利下げに着手するとの観測が高まった。
終盤の取引で10年債利回りは6.2bp低下の4.216%。
30年債利回りは5.9bp低下の4.350%。
2年債利回りは5.3bp低下の4.707%。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が終値ベースの過去最高値を更新して取引を終えた。半導体大手エヌビディアの最高値更新を受けた。一方、予想を下回る米小売売上高を背景にダウ工業株30種平均はほぼ変わらずだった。
<金先物> 軟調な米経済指標の発表を背景に、年内利下げ開始を期待した買いが入ったことから、反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比17.90ドル(0.77%)高の1オンス=2346.90ドル。
<米原油先物> 米利下げ観測が高まる中で買いが優勢となり、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は前日比1.24ドル(1.54%)高の1バレル=81.57ドルと、中心限月の清算値ベースで4月下旬以来約1カ月半ぶりの高値水準となった。8月物は0.99ドル高の80.71ドル。
欧州市場サマリー(18日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。インフレ指標とイングランド銀行(英中央銀行)の政策決定発表を控える中、投資家の早期利下げに対する期待感が相場を押し上げた。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。フランスの政局を巡る懸念が和らいだことを受け、ユーロ圏域内の国債利回りが低下したことが支援した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが小幅低下した。フランスの政局を巡る懸念が若干緩和したほか、5月の米小売売上高が市場予想を下回る内容だったことを受けた。
急上昇を続けていたフランス国債のリスクプレミアムは、フランス国民議会(下院)選挙に向けてフランス国民連合が公約に掲げる財政緩和への期待から低下した。
ドイツ10年債利回りは2.403%と横ばい。一時、2.5ベーシスポイント(bp)上昇の2.437%となった。
ECBのラガルド総裁は17日、イベントで記者団に対し、独仏10年債の利回り格差が懸念事項かとの質問に「物価安定は金融安定と密接に関係している。われわれは金融市場の円滑な機能に細心の注意を払っており、今日も引き続きそうしている」と応じた
独仏10年債利回り格差は71.1bpと3.1bp縮小。先週末は2017年2月以来の高水準となる82.34bpを付けた。
イタリア10年債利回りは6.2bp低下の3.882%。独伊10年債利回り格差は147.3bpと4.4bp縮小した。

備忘録(2024/6/17
●決算
[LEN] レナー 2Q増収最終増益 売上高9%増87.6億ドル、純利益9%増9.54億ドル、EPS3.45ドル - 株探(かぶたん)|米国株
レナーが決算受け下落 新規受注、引き渡し件数の見通しが予想下回る=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
米住宅建設のレナー<LEN>が時間外で下落。引け後に3-5月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。新規受注も予想を上回っている。ただ、第3四半期のガイダンスでは、新規受注、引き渡し件数の見通しは予想を下回った。
同社は声明で「住宅ローン金利によって値ごろ感が引き続き試され、同時に消費者心理も厳しくなっている。しかし、購入者は販売奨励金の増額に引き続き反応している」と述べた。
発表直後は買いの反応を見せたものの、直ぐに戻り売りに押されている。
●海外企業
米連邦取引委、アドビを提訴 「手数料不明朗・解約手続き困難」 | ロイター
米連邦取引委員会(FTC)は17日、米ソフトウエア大手アドビを提訴した。アドビがサブスクリプションプランに絡む高額な解約金を明確にしていないほか、解約手続きを困難にし、消費者に損害を与えたと非難した。
FTCは訴状で、アドビが最も人気の高いサブスクリプションプランで、数百ドルに達する可能性のある解約金やその他の重要な条件を細則やハイパーリンクに紛れ込ませていると説明した。
さらに、解約しようとすると、利用者はオンライン上では不必要に多数のページにわたる冗長な手続きを強いられるほか、電話での手続きでは、通話が途中で切れ、異なる担当者に繰り返し同じことを説明しなくてはいけないといった状況に直面していたという。
アドビのゼネラルカウンシル兼チーフトラストオフィサーのダナ・ラオ氏は「アドビのサブスクリプション契約の条件は透明」とし、 法廷でFTCの主張に反論すると表明した。
ボーイング、複数の著名候補にCEO就任を断られる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
スタバは売られ過ぎ?=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
スターバックス<SBUX>は低調な需要と中国での競争激化で4月末に公表した1-3月期(第2四半期)決算での世界の既存店売上高は6%減少していた。それを受けて株価は急落していた。5月以降、その下げを取り戻す動きが見られているが完全には戻し切っていない。
株価は売られ過ぎているとバロンズ誌がコラムで伝えている。同社は現在も急成長を続けており、効率性も改善し、多様な商品の提供を通じて新規顧客を獲得しているという。
ワールド・コーヒー・ポータルの親会社アレグラ・グループのCEOは「既存店売上高を伸ばし続けるのは大変なことだが、同社は引き続き、世界のコーヒー市場において前例のない規模で事業を展開する圧倒的なブランドだ」と評価している。
バロンズ誌は、同社のグローバルな展開と新興市場における成長の可能性に言及。過去4四半期に北米で約600店舗、海外で1700店舗を増やしたと指摘。同社は面白い味を求める若い顧客層の獲得を目指し、定期的に新商品を投入しているという。また、効率化策として、冷たいドリンクを作る際にバリスタが行き来する必要のないワークステーションの追加などを挙げている。
一方、逆風としては、インフレによる個人消費の抑制や、イスラエルとハマスの戦争に関連したボイコット、従業員の労働組合結成の動きのほか、ダッチ・ブロス<BROS>やスクーターズ・コーヒーなどのブティック型コーヒーショップや小規模チェーンの急成長があると指摘している。
●日本企業
NECや政投銀、起債主幹事から三菱モルガン除外-新規も入らず - Bloomberg
楽天モバイルの単体加入者回線数、700万回線を達成-三木谷氏 - Bloomberg
日本製鉄、配当性向5割と最高に 「減益でも減配せず」 - 日本経済新聞
ドンキ売上高2兆円、小売業4位に 成長軌道のカギは海外 - 日本経済新聞
SMBC日興社長、三井住友銀に90人派遣-連携拡大でリテール強化 - Bloomberg
●米大統領選挙
トランプ氏が減税拡大表明、移民流入に警告も 78歳誕生日に演説 | ロイター
米大統領選で返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領は自身の78歳の誕生日となる14日、選挙で勝利すれば減税を拡大すると表明したほか、流入する移民の危険性に言及した。
コンベンションセンターで支持者を前に演説し、大統領在任時に引き下げた法人税率を一層引き下げると約束。「特に中間所得層を対象にさらに引き下げたい」とも述べた。
また、ニューヨーク、ロサンゼルス、フィラデルフィアで最近拘束された、過激派組織「イスラム国」(IS)との関係が疑われるタジキスタン出身の8人に触れ、「わが国が今ほど危険にさらされたことはない」と語った。
何千人ものテロリストが米国に流入していると根拠もなく主張。「わが国は何年も何年も大きな代償を払うことになる」と訴えた。
●先進国中銀
レーンECB専務理事、仏国債救済の必要性を否定 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるレーン専務理事は17日、政治的な不確実性を背景とする最近の市場の混乱は「無秩序」ではないとし、ECBが国債を購入してフランスを救済する必要性を否定した。ロンドン証券取引所で行われた「ロイターNEXTニュースメーカー」のインタビューで述べた。
欧州議会選挙でフランス与党勢力が極右政党に大敗し、マクロン仏大統領が国民議会の解散総選挙を急きょ決めたことを受け、フランスの金融市場は売りを浴びている。アナリストの間では、ECBが介入するのではないかとの観測も浮上している。
レーン氏は最近の市場の動きについて、ECBが介入するための重要な条件の一つである、無秩序で不当なリスクプレミアムの上昇という条件を満たしていないと指摘。
「市場で起きているのはリプライシングだ。現時点で無秩序な市場にはなっていない」と述べた。
フランスの状況には直接触れなかったが、ユーロ圏の全ての政府は欧州連合(EU)の財政枠組みを順守し、欧州委員会と対話する必要があると語った。
ECBは市場を注視とラガルド総裁、無秩序な動きないとレーン理事 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、金融市場の動向に当局者は「注意を払っている」と語った。これより少し前、チーフエコノミストのレーン理事は、フランス金融市場の最近の混乱を懸念してはいないと述べていた。
フランス株は先週1週間で合計2580億ドル(約40兆6700億円)の時価総額を失い、フランス債のドイツ債に対する上乗せ利回りは拡大した。こうした市場の混乱について、2人はそれぞれ質問を受けた。
パリ南西部マッシーの量子コンピューティング研究施設を訪れたラガルド氏は17日、記者団に対し「物価の安定と金融の安定は比例する」と発言。「金融市場が適切に機能しているか、われわれは注意を払っている。いずれにしろ本日もそれを続けていると思う。ただし、注意しているだけだ」と述べた。
一方、ロンドンで開かれたロイター主催のイベントで質問されたレーン氏は、先週の混乱に楽観的な様子を示した。
「いま市場で起きているのはリプライシングだと思う」と指摘。「無秩序な市場の動きではない」と続けた。
欧州議会選挙でマリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)に与党が敗北。これを受けてマクロン大統領は議会の解散・総選挙を発表したが、予期していなかった市場は混乱に見舞われた。
この日はフランス債の下落がやや一服している様子だ。総選挙でRNが勝利する場合でもマクロン氏を追い出すことはないとルペン氏が語ったことが好感されている。
ブルームバーグは先週、ECB当局者はフランス市場の最近の混乱に警戒すべき理由はないとみていることを報じた。
レーン氏はユーロ圏債券市場の分断化を防ぐための危機対応ツール「トランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI)」について一般論として、「正当化されない無秩序な市場の動きが金融政策の伝達を妨げることをECBは容認しないと明確にしている。これは極めて重要だ」と述べた上で、「市場のパニックや流動性の低下が本質的に金融政策を阻害するような状況を許してはならない」と論じた。
ECB、市場の円滑な機能注視=独仏利回り差拡大でラガルド氏 | ロイター
フィラデルフィア連銀総裁、「年末までに1回の利下げが適切」 - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
アングル:仏財政危機への懸念高まる、市場は英トラス政権の二の舞を警戒 | ロイター
フランスは6月末から投票が始まる国民議会(下院)選挙を前に、積極財政に前向きなに極右政党と左派政党が勢いを増してマクロン大統領の中道政権に圧力をかけており、投資家は財政危機のリスクを視野に入れ始めた。債券市場では、大型減税を盛り込んだ「ミニ予算」で市場を混乱させた英トラス政権の二の舞への警戒感が広がり、フランス国債は指標となるドイツ国債との利回り差が急拡大している。
世論調査で首位を走る極右政党「国民連合」(RN)はまだ詳細な政策を発表していないが、これまで定年退職年齢の引き下げ、減税、財政支出拡大を支持してきた。
一方、新たに結成された左派連合は14日、定年を引き下げ、給与をインフレ率に連動させる方針を表明し、新政権下で支出が拡大するとの見方が強まった。左派連合は12日の世論調査で支持率がRNに次いで2位だった。
フランスは5月末、財政赤字拡大を理由に米格付け大手SPグローバルから格付けを引き下げられており、議会選を控えて財政の持続可能性に対する懸念が一段と強まった形だ
投資家はこうした動きに対して率直に反応した。フランス国債は14日にユーロ圏国債の指標となるドイツ国債に対する金利の上乗せ幅が2017年以来最大となる82ベーシスポイント(bp)程度に拡大。週間では11年のユーロ圏債務危機以来の大幅な拡大を記録した。
トゥエンティーフォー・アセット・マネジメントのゴードン・シャノン氏は、22年に当時のトラス英首相が打ち出したミニ予算で英国債相場が急落し、イングランド銀行(英中銀)が市場介入に踏み切らざるを得なくなった例を挙げ、「今や焦点は目先の危機の可能性に移った。(市場は)英国のミニ予算と同じような出来事が起こるリスクを織り込んでいる」と述べた。
フランスのルメール財務相は14日、有権者にマクロン大統領の中道派候補を支持するよう訴え、極右か左派のいずれかが選挙で勝利した場合の金融危機のリスクについて警告を発した。
フランスは14日に債務不履行に備えるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率が20年5月以来の水準に跳ね上がり、借り入れコスト上昇の影響が銀行に波及。BNPパリバ、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラルの国内大手3行の株価は9日からの週に12~16%下落し、14日にはいずれも少なくとも4%下げた。
フランスの国営機関は起債をキャンセル。政府は16日からの週の国債入札で調達規模を通常よりも縮小する計画で、市場の混乱は既にフランスの資金調達計画に影響が及んでいる。
<他のユーロ圏諸国に影響拡大か>
債券投資家は、無謀と思われる財政政策を採る政府に対してより高いリターンを要求し、アナリストから「自警団」とも呼ばれる。
PGIMフィクスト・インカムのギレルモ・フェリセス氏は「英国はミニ予算の洗礼を受け、米国は昨年夏に債務上限問題で国債利回りが急上昇した。ユーロ圏ではまだこうしたことは起きていない」と述べた。
シンクタンクのモンテーニュ研究所は22年の議会選挙に向けてRNが打ち出した政策を分析。完全に実行された場合、フランスの財政赤字比率が3.5%ポイント増加し、1000億ユーロ以上のコストがかかると試算した。この財政負担は英トラス政権の減税案よりもはるかに大きい。
RNのバルデラ党首は14日、数日中に党の綱領とその資金調達方法について詳しく説明すると述べた。財政規律については、財政を逼迫させた現政府を非難する以外、今のところ曖昧な態度をとっている。
プライベートバンク、ベレンベルクのホルガー・シュミーディング氏は先に「極端な場合、(ドイツ国債との)利回りスプレッドがトラス政権時並みに拡大するリスクもある」と警鐘を鳴らした。
英国の10年国債利回りは財政危機の最中に1週間足らずで100bp余りも跳ね上がったが、フランス国債の9日からの週の利回り上昇幅は6bpにとどまっている。
フランスの財政悪化に対する懸念が、ユーロ圏に広がる可能性を示す兆候が早くも表れている。イタリア国債のドイツ国債に対する利回りの上乗せ分は14日に159bpと、2月以来の高水準となった。ユーロは14日に対ドルで1年余りぶりの安値をつけ、ユーロ圏の銀行株(.SX7E), opens new tabは9日からの週に10%近く下落している。
ユーロ圏の金融体制は、10年以上前のユーロ圏債務危機時に比べればはるかに強固になっており、欧州中央銀行(ECB)は危機発生時には新たな国債買い入れツールで介入すると繰り返し表明している。
しかしスイス再保険のマクロ戦略責任者パトリック・サナー氏は、このツールが適用されるには、EUの財政ルールを順守する必要があるため、実現可能性について疑問が生じるだろうと指摘した。
一方、フランスでRNを含む連立政権が誕生した場合、どのような行動に出るかまだ分からないと慎重な声もある。イタリアは昨年、極右のメローニ首相が就任後に穏健化したこともあり、国債がアウトパフォームした。
JPモルガン・アセット・マネジメントのイアン・スティーリー氏は、RNの歳出計画はEUの財政赤字規則によって抑制されると見ている。「27年の大統領選挙を控え、RNはより慎重な財政スタンスを取る可能性が高く、市場もRNを抑制する重要な力になるだろう」と、やや楽観的な立場だ。
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フランス、極右勢力抑える安全装置が崩壊か-ルペン氏が支持者獲得 - Bloomberg
マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)は、フランス総選挙を前に意外な支持者を増やしている。極右勢力を政権から遠ざけてきた伝統的なメカニズムが働きにくくなっている。
フランスで最も著名なユダヤ人の1人は、RNの対抗馬として浮上した左派連合「人民戦線」ではなくRNに投票することを検討すると述べた。マクロン氏の元報道官の1人は、極左グループ「不屈のフランス」のリーダー、ジャンリュック・メランション氏の反ユダヤ主義的な発言を指摘し、極右か極左の選択を迫られれば棄権すると述べた。
マクロン仏大統領は、自身の与党勢力よりも中道右派か左派の穏健派に当選のチャンスがあると判断し、10%以上の選挙区で候補者を擁立しないことを決めた。
フィリップ元首相は17日RMCラジオで「最も共和的で民主的な候補者を選ぶことが目標だ」と語った。
何世代にもわたって、フランスの体制側には極右政党が国政に近づくことを防ぐ暗黙の了解があった。しかしマクロン大統領が国民議会(下院)を解散してからの1週間、各政党の対立候補たちは7月7日に終了する2段階での選挙でチャンスを最大化するために、提携を結ぶ必死の交渉に取り組んできた。
これが極右勢力に好機を与えた。
ルペン氏が率いる国民連合(RN)が世論調査でのリードをそのままに保ち議会で過半数を確保することができれば、欧州連合(EU)首脳にとって根本的な挑戦になる。
合従連衡のプロセスは16日の夕方、各政党の候補者確定期限とともに終了。マクロン氏の政党、再生(RE)は左右両方からの攻撃にさらされ、世論調査では大差を付けられた3位に後退している。
政局が不透明で、次期政権が財政に負担のかかる対策を推し進める可能性が高まっていることが投資家をおびえさせ、フランス国債は急落。ドイツ10年債に対するフランス債の上乗せ利回りは先週、過去最大の週間上昇を記録した。フランス企業の時価総額から2580億ドル(約40兆7000億円)が吹き飛んだ。これにより英国はフランスを抜いて欧州最大の株式市場となった。 
左派の一部の急進化と、極左の「不屈のフランス」からより穏健な「社会党」までさまざまなグループがぎくしゃくした同盟関係を結んでいる状況が、ルペン氏に有利に働いている。このことは、主流政党が極右を倒すために常に力を合わせる、いわゆる「共和国戦線」を崩壊させる可能性がある。
マクロン大統領系列の政党は、約60の選挙区で候補者の擁立を見送る。極右と新たに結成された左派連合の伸長を阻むため第三党の候補に道を譲ると、アタル首相が明らかにした。
フランス左派の主要政党は、「不屈のフランス」のジャンリュック・メランション氏を中心とする4党の脆弱(ぜいじゃく)な同盟を結成することで、世論調査でマクロン氏のREを上回った。先週発表された左派連合の選挙公約は、マクロン大統領が成し遂げた経済改革を巻き戻し、財政政策をめぐってEUと衝突する方向にかじを切るというものだ。
メランション氏が反ユダヤ主義的な表現を使ってきたことも加わり、多くの中道派にとって左派連合「人民戦線」への投票は考えにくい。
マクロン氏でさえ、ルペン氏とメランション氏のどちらかに投票するとしたら誰に投票するかについて明言を避けている。元政府報道官のオリビア・グレゴワール氏は16日、棄権すると述べた。
ナチスの責任を追及する闘いで知られるユダヤ人歴史家のセルジュ・クラルスフェルト氏は14日にLCIに対し、メランション氏よりもルペン氏の運動に投票すると語った。
人民戦線は脆弱(ぜいじゃく)な同盟であり、左派票の分断を避けるために根深い相違点をいくつも覆い隠して成立した。投票開始までの2週間に対立が露呈し弱体化するかもしれない。メランション氏は16日、同盟を安定させるために、もし人民戦線が過半数を獲得すれば自分以外の誰かを首相にする用意があると述べた。
17日に選挙戦が本格化する中、ルペン氏とその同盟勢力は自分たちが経済面で信頼できると主張することで主流派有権者に働きかけ、この展開を利用しようとしている。RNのジョルダン・バルデラ党首はフランス3テレビに対し「私は街頭と財政の秩序を回復する」と語った。ルペン氏はRNが過半数を占めることができれば、バルデラ氏が首相になると述べている。
世論調査によれば、RNはすでに下院の最大政党になりそうな勢いだが、これは投資家、フランスの国際的パートナー、フランス国民の一部に警戒感を与えている。14日には人権、環境、経済に対するルペン氏の姿勢に反対する数万人のデモ隊がフランス全土で街頭に繰り出した。
RNはまだ政策案の詳細を明らかにしていないが、約200億ユーロ(約3兆4000億円)をかけて燃料やエネルギーにかかる消費税を削減し、EUからエネルギー政策の主導権を取り戻すと公約している。また、定年を60歳に引き下げ、一部の公務員の賃金を引き上げることも掲げている。
ルペン氏はフィガロ紙に「金融市場はRNのプロジェクトを理解していない」が、政策案を実際に読めばむしろ合理的だと感じるはずだと語った。
フランス国債急落は一服、トレーダーはルペン氏発言見極め - Bloomberg
フランス国債への圧力は17日、極右政党の国民連合(RN)を率いるマリーヌ・ルペン氏が次期国政選挙で勝利した場合、マクロン大統領と協力すると発言したことで緩和された。
ルペン氏は穏健派や投資家へのアピールとして、RNが勝利してもマクロン大統領を追い出すつもりはないと発言。自分は制度を「尊重」していると仏紙フィガロとのインタビューで語った。
世論調査でRNがリードしていることから、投資家はマクロン大統領の突然の解散・総選挙決定に不安を抱いた。RNが勝利すれば、財政政策が放漫になり、赤字を拡大させるリスクがある。
ブルームバーグが1990年までさかのぼって集計したデータによると、安全とみなされるドイツ債に対する仏10年債利回りのスプレッドは先週、過去最大の拡大となった。
17日に取引が開始されると、ドイツ債とフランス債の10年物利回り格差は80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上に拡大し、終値ベースで2012年以降の最大となった。ただ、これはフランス国債のベンチマーク切り替えにによるもので、新たな売りが出たわけではない。
みずほインターナショナルの金利ストラテジスト、エブリン・ゴメスリヒティ氏は、RNの経済政策が明確でないことから、大きな不確実性があると述べた。
2034年満期のフランス国債利回りは1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.19%、5年債利回りは3bp上昇の2.97%と安定した。
政治リスク高まるフランス、欧州最大の株式市場の座を英国に明け渡す - Bloomberg
政治的混乱に揺れるフランスは、欧州最大の株式市場としての地位を英国に奪還された。
マクロン仏大統領が表明した国民議会(下院)解散・総選挙の実施が株下落につながり、フランス企業の時価総額は先週、約2580億ドル(約40兆6700億円)吹き飛んだ。仏国債を多く保有する銀行のソシエテ・ジェネラルやBNPパリバ、クレディ・アグリコルの株価は、いずれも10%を超える下落となった
ブルームバーグがまとめたデータによれば、フランス株式市場の時価総額は現在約3兆1300億ドルで、英国の3兆1800億ドルをわずかに下回る。仏主要株価指数CAC40指数 は年初来の上げを失った。
カイロス・パートナーズのポートフォリオマネジャー、アルベルト・トッキオ氏は「今後3ー4週間は不確実な時期であり、残念ながら市場はさらに不安定になる可能性がある」と述べた。
一方、世界的な成長回復や企業買収活動の活発化など複数の要因が重なり、投資家は再び英国株を選好している。同国でも来月に総選挙を控えているが、世論調査によれば野党・労働党に対する支持は安定して大幅なリードを維持している。
ベレンバーグのマルチアセット戦略・調査責任者、ウルリッヒ・ウルバーン氏は「われわれはバリュエーションの点から英国株を選好しているが、魅力的なセクター内容を考えるとポートフォリオの分散先としても好んでいる」と述べ、「さらに少なくとも現時点では、政治的な不透明感は英国以外の方が高いようだ」との見方を示した。
世界規模で見ると英国は現在、6番目に大きな株式市場となっている。
鉄鉱石先物と銅相場、下落-中国の経済指標がまちまちの内容 - Bloomberg
シティが欧州株の投資判断引き下げ、政治的混乱で-米国株は引き上げ - Bloomberg
「欧州よりも成長率が著しく高く、不確実性の高い局面でディフェンシブの性質が強いことから、米国株の判断を引き上げた」とストラテジストらはリポートで説明。「政治的な不透明感から、米投資家による最近見られた欧州株へのローテーションは当面冷え込む可能性がある」と続けた。
マクロン氏率いる中道・親ビジネス派の政党、再生(RE)が6月30日と7月7日に予定されている2回の投票でさらに議席を失うとの見通しに投資家は揺れている。
「フランス議会で極右勢力が多数を占める見通しとなり、かなりの不確実性がもたらされた。財政再建やウクライナへの資金提供、欧州の産業政策を巡り疑問が生じている」とシティのストラテジストは記した。
●中東情勢
イスラエル首相、戦時内閣を解散 | ロイター
●エマージング
中国新築住宅価格、5月は前月比-0.7% 約9年半ぶり大幅下落 | ロイター
5月の中国新築住宅価格は前月比で2014年10月以来約9年半ぶりの大幅な下落を記録した。11カ月連続の下落。政府の支援策にもかかわらず、不動産部門の苦境は底が見えない状況だ。
国家統計局データに基づくロイターの算出によると、5月の新築住宅価格は前月比0.7%下落。落ち込み幅は4月の0.6%から拡大した。
前年比では3.9%下落。こちらも4月の3.1%からマイナス幅が拡大した。
中国当局は、住宅在庫の解消促進や住宅ローンの規制緩和など不動産支援策を強化しているが、アナリストは大量の住宅在庫があるため効果は限定的で、大都市が住宅購入制限を解除すれば中小都市で一段と購入意欲が低下しかねないと指摘している。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、Xu Tianchen氏は「政策により大都市の中古住宅市場は押し上げられたが、不動産会社の流動性問題はまだ緩和されず、新築住宅市場の信用危機も解消されていない」と述べた。
上海華宝信託のエコノミスト、ニー・ウェン氏は、中国の不動産市場は二極化が進むと予想する。大都市の新築住宅販売は中古住宅をリフォームして売却できた人々によってけん引されるが、小規模都市の不動産価格は住宅供給過剰と人口流出により下落が続くとの見方を示した。
当局者は地方政府や国有企業に低利融資を行って、売れ残った住宅を購入し低コストの住宅にするのを支援すると同時に、金利や手数料を引き下げて住宅所有者が住宅をリフォームするのを支援するだろうと述べた。
ウクライナ債務再編交渉、合意に至らず デフォルトの恐れも | ロイター
プーチン氏と金氏の結束、世界にとってなぜ危険か-QuickTake - Bloomberg
中国当局、警告レベル引き上げ-止まらない債券買いに懸念強める - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
三井住友銀行が脱年功、年収5000万円も シニア減給廃止 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(17日)S&P・ナスダック最高値、ドルが対ユーロで下落 | ロイター
<為替> ドルが対ユーロで下落した。欧州の政治不安を背景に、先週1カ月超ぶり安値を付けていたユーロに買い戻しが入った。
<債券> 米債利回りが上昇した。一連の米経済指標の発表を控え、ポジション調整の動きとなった。期間2年から30年の米債利回りは5営業日ぶりの上昇となった。

午後の取引で、指標10年債利回りは6.2ベーシスポイント(bp)上昇の4.275%。
30年債利回りは5.3bp上昇の4.403%。2年債利回りは8.3bp上昇の4.767%だった。
<株式> 主要3指数がそろって上昇し、S&P総合500種とナスダック総合が終値ベースで最高値を更新した。市場では新たな経済指標の発表のほか、米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言などが注目されている。
<金先物> 米長期金利の上昇に伴い金の投資妙味が薄れ、反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比20.10ドル(0.86%)安の1オンス=2329.00ドル。
<米原油先物> 需給引き締まり観測を背景とした買いが再燃し、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前週末比1.88ドル(2.40%)高の1バレル=80.33ドルと、5月中旬以来約1カ月ぶりに80ドルの大台を回復した。8月物は1.67ドル高の79.72ドル。
欧州市場サマリー(17日) | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。FTSE100種指数は3営業日連続で下落した。一方、中型株で構成するFTSE250種指数は 0.20%高となった。
個別銘柄では、衣料小売りスーパードライが10.0%高と急伸。再建計画が裁判所から承認されたとの発表が材料視された。
<欧州株式市場> 小幅に反発して取引を終えた。銀行株とテクノロジー株が押し上げた。
先週に6%超急落したフランスのCAC40指数は0.91%高となるなど、主要な地域の指数は上昇した。
ただ、フランスの解散総選挙決定を受けて欧州株は売り圧力が強く、17日も6週ぶりの安値を付ける場面があった。ソシエテ・ジェネラルのストラテジストらは「投票意向や政党・連合の政策に関する確たる情報がない」とし「特に各政党の財政・歳出計画に関してより明確な情報が得られるまでは見通しにくい展開が続く可能性が高い」との見方を示した。
<ユーロ圏債券> ドイツ債利回りが上昇した。先週末は政治的不安を背景に独債利回りは急低下し、フランス債などのリスクプレミアムが急上昇していたものの、17日の取引では幾分落ち着きを取り戻した。
独10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)上昇の2.42%。先週は26bp低下していた。
仏10年債利回りは1.5bp低下の3.16%。一方、イタリア10年債利回りは2bp上昇して3.93%となった。
先週、2017年以来の高水準となった独仏国債のスプレッドは安定的に推移。独仏10年債利回り格差は約77bpと4bp縮小した。
独伊10年債利回り格差も6bp縮小し151bp。先週は安全資産とされる独債が買われ利回りが低下したことから、23bp拡大していた。
コメルツ銀行の金利ストラテジスト、ライナー・グンターマン氏は「投資家の神経を鎮めるには数日間、安定的に推移する必要があるようだ」と指摘した。ただ、フランスの政情については、17年の大統領選時とは異なり、仏政治家が足元妥協に積極的でなく、ECBも動きが取れない状況となっていることから、「迅速な解決策は見当たらない」という見方を示した。

備忘録(2024/6/14-16
●雑感
●決算
●海外企業
ノボの肥満症治療薬「ウゴービ」、本国デンマークで処方制限勧告 - Bloomberg
デンマーク保健省傘下の医薬品監督パネルは、同国の製薬会社ノボ・ノルディスクが販売し大ヒットしている肥満症治療薬「ウゴービ」の処方を制限するよう医師に勧告した。同薬は非常に高価で、心臓発作や脳卒中などの重篤な心臓疾患を1回予防するのに約87万ドル(約1億3700万円)のコストがかかると指摘した。
同パネルは6月6日に公表した報告書でウゴービについて、医師の第1選択肢にすべきではなく、この治療を開始するのは「少数の」患者に限るべきだとした。同パネルは影響力を持つが、医師には助言を軽視できる余地がある。
ノボの本拠地であるデンマークは、ウゴービが減量や関連する多くの病気にインパクトがあるもかかわらず、同薬のコストを巡り専門家から反発の声が上がる地域の一つ。米国では、ミシガン州最大の医療保険会社が12日、同薬の保険適用を来年1月から取りやめると発表した。
同薬は減量には効果的だが、患者の筋肉量が減る上、薬を止めた場合の長期的影響に関するデータがほとんどないとデンマークの医薬品監督パネルは警告した。
ウゴービで治療を受けているデンマーク人は記録的数に上る。2022年から販売されている同薬は人口600万人のデンマークで現在、約8万人が使用。同薬のコストはデンマークでは1カ月当たり約340ドル。米国では定価で1カ月約1350ドル。
ウゴービが体重減少だけでなく、心臓病や肥満に関連する他の病気にも影響を与えることは、保険適用の必要性を訴えるノボの主張の核心部分だ。
不確実な効果
デンマークでは、ほとんどの患者が自己負担しており、公的保険が適用されるのは重篤なケースのみだが、それでも保健当局は費用と効果が見合っていないと主張した。1回の心血管イベントを回避するためには、65人の心臓病患者を4年間治療する必要があり、1回の心臓発作を予防するための総費用は約600万クローネ(87万ドル)になると報告書は試算した。
これに対しノボは13日の発表文で異論を唱え、米食品医薬品局(FDA)を含む他の専門家は同薬の臨床試験結果について異なる見方をしていると指摘。報告書を検討し、デンマーク保健当局との対話に入りたい考えを示した。
●日本企業
三菱UFJ銀と系列2証券に処分勧告、違法に情報共有 役員関与も | ロイター
●米大統領選挙
バイデン氏とトランプ氏「どちらも嫌い」、米有権者の25%-調査
米大統領選に向けて有権者の間では、主要政党候補者のどちらも嫌いという「ダブルへイター」の比率が歴史的な高水準となっている。ピュー・リサーチ・センターの新たな分析で明らかになった。
それによると、ダブルへイターの比率は現在25%。2020年の同じ時期に比べて約2倍となっている。
ダブルヘイターの存在は、2016年大統領選で共和党トランプ氏が民主党のクリントン氏を破った重要な要因の一つだった。しかし20年大統領選では、バイデン氏がそうした有権者の多くを取り込んで勝利に結びつけた。
ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが行った5月の世論調査によれば、激戦州のダブルヘイターからの支持ではバイデン氏が25%、トランプ氏が22%とほぼ拮抗している。
しかし、両氏にとって最大の脅威は、そうした有権者が投票に行かないことや、ロバート・ケネディ・ジュニア氏のような無所属候補に票が流れることだ。調査では、激戦州ダブルヘイターの36%が同氏を含む無所属候補を支持していた。
●先進国中銀
FRBが利上げする可能性まだある、米国債への弱気維持-PGIM - Bloomberg
ECB、仏国債の臨時購入を検討せず=政策筋
欧州中央銀行(ECB)の政策責任者5人はロイターに対し、フランス国債の下落を食い止めるためにECBとして臨時の国債購入を検討する計画は無いと述べた。
急きょ実施が決まったフランス総選挙で、極右の国民連合(RN)が勝利する可能性が懸念され、フランス国債はこの1週間で急落した。
5人は、ECBは臨時の国債購入について協議しておらず、これから協議する計画も無いと説明した。ただ、フランス国債の激しい売られ方には懸念を示した。
フランス国債のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(プレミアム)は2011年のユーロ圏債務危機以来で最大となっている。
5人は、経済政策に関して投資家を安心させるのはフランスの政治家の役目だ、との考えで一致。うち2人は、フランスの次期政権が樹立して財政計画が発表されるまで、ECBは介入すべきではないとも示唆した。
ECBの報道官はコメントを控えた。
ECBの「伝達保護措置(TPI)」という仕組みでは、市場の圧力にさらされた国の国債を無制限に購入することが可能。ただ、その国が欧州連合(EU)の財政ルールなど、複数の条件を順守することが条件となっている。
世界的な利下げ本格化まだか、主要4中銀が今週に金融政策決定
先進国で主要4中央銀行が政策決定を行う今週、各国中銀は世界的な利下げサイクルへの参加をためらう姿勢をあらわにするかもしれない。
米金融当局は先週、年内の金融緩和見通しを後退させた。その数日後となる今週、英国やオーストラリアなどの当局者は利下げを開始するほどディスインフレをまだ確信していないことを示唆する可能性が高い。
6月は当初、一連の世界的な利下げの幕が開く月になると見込まれていたが、慎重姿勢が幅広く示される結果にますますなりそうだ。
カナダは5日、主要7カ国(G7)で最初に利下げに動いたが、その翌日の欧州中央銀行(ECB)の利下げはインフレ予測の引き上げを伴い、追加緩和への熱意が限定的であることが示された。
20日に金融政策決定を発表するイングランド銀行(英中央銀行)では、間近に迫った総選挙と長引く物価上昇圧力で、少なくとも8月まで利下げを待つとの根拠が強まりそうだ。
オーストラリアとノルウェーも今週会合を開くが、いずれも利下げを急いでいない。また、スイス国立銀行(中央銀行)は3月、近隣諸国に先駆けて利下げする大胆な動きに出たが、当面は2回目の利下げを回避する可能性があると調査対象のエコノミストの半数はみている。
一方、ブラジルは金利据え置きが見込まれている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は「数週間前までは利下げの様相がもっと強かったが、主要中銀は金利を据え置くと見受けられる。英中銀は総選挙を控えた6月に政策を据え置くことがほぼ確実で、スイス中銀については予想が割れている」と分析した。
米国の小売売上高や中国の各種統計に加え、英国と日本の消費者物価指数(CPI)も、今週の市場の注目材料となるだろう。
●先進国、グローバル、金融市場
フランスでルペン氏の極右政党に反対する大規模デモ-総選挙控え - Bloomberg
マクロン仏大統領が賭けに出た選挙、ブレグジットの悪夢再来リスク - Bloomberg
フランスのマクロン大統領による国民議会(下院)解散・総選挙の決定は、欧州当局者の脳裏に英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)をフラッシュバックさせている。
マクロン大統領が自身の決断を発表するやいなや、即座にEU離脱をめぐる2016年の国民投票に踏み切って敗北した英国のキャメロン元首相と比較する声が相次いだ。
2人とも自信家で、ポピュリスト右派の攻勢にさらされた既成の権力を象徴する人物であり、国内の問題を解決できると確信して、リスキーで不必要な投票の計画に打って出たというわけだ。仏大統領側は選挙戦最初の週にキャメロン元首相のレトリックの要素を踏襲さえしている。
ルメール仏経済・財務相は、マリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党・国民連合(RN)の政策が実行に移されるようなことになれば、金融危機を招きかねないとの予測を示した。
ルメール氏は短い任期に終わったキャメロン元首相の後継者の1人の名前を挙げて、経済の混乱を警告したが、その戦略はブレグジットの是非を問うキャンペーン中にキャメロン氏自身が繰り広げた「プロジェクト・フィアー」として知られる戦略に似ている。
EU当局者は、英国の離脱投票による影響への対応に多くの時間を費やしてきた。だが、フランスで本格的な危機が生じれば、ユーロ圏の中核を直撃することになり、最終的にEUにとってより深刻な脅威となる可能性がある。
ある外交官は、今ブリュッセルでは全ての会話で、フランスの危機が最初に取り上げられる話題になっていると話す。
こうした懸念は金融市場にも波及しており、フランスとドイツの10年債利回り格差(スプレッド)は週間ベースで過去最大の拡大を記録。フランス株の時価総額は同期間に約2100億ドル(約33兆円)消失した。
英国のEU離脱を問う投票は、投資家が英国資産を保有するためにいわゆる「ブレグジットプレミアム」を求めるなど、何年も続く金融の動揺を引き起こした経緯がある。
「バイ・アメリカ」、世界の投資家が安全資産求め掲げるスローガン - Bloomberg
自国で政治情勢の緊迫化や景気伸び悩みによる打撃を受けた世界の投資家は、資金が集中している「アメリカ」市場に続々と乗り込んでいる。
TDセキュリティーズがまとめたEPFRグローバルのデータによると、ここ1カ月に株式ファンドに流入した新規資金約300億ドル(約4兆7220億円)のうち、94%がハイテク株を中心とした米国資産になだれ込んでいる。
今のところ、バイ・アメリカ取引は機能し続けている。この1週間で、S&P500種株価指数は、その他の国の株価指数を1年3カ月ぶりの大差で引き離して上昇し、長期年限の米国債は水準を3.5%切り上げ、年初来で最高のパフォーマンスとなっている。
欧州で選挙を巡る緊張が浮上し、中国では当局が景気下支えに向けた金融政策対応を余儀なくされる中、安定した投資先を渇望する世界のトレーダーにとって、潜在的な債務問題や政治的な溝が広がっているにもかかわらず、唯一の選択肢としてアメリカの存在感が強まっている。
海外の投資家は、米国のクレジット市場にもますます高い関心を寄せている。アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏によれば、今年1ー3月(第1四半期)には、海外投資家が米社債に1870億ドルを投資。これは、前年同期比で61%の大幅増加になる。
リセッション(景気後退)の兆候がほとんどない状況下でのインフレ鈍化を示す米経済指標は、足元の強気相場を後押しし、ハイテク株比率の高いナスダック100指数は23年初め以降のトータルリターンが80%余りに拡大した。一方で、世界のその他の国に投資するファンドは打撃を受けている。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニアグローバル市場ストラテジスト、サミーア・サマナ氏は、米国について「依然として最も安定した国であり、AI(人工知能)・ハイテク関連企業の組み合わせは世界に比類なきものだ」と指摘。その優位性は「これらの要因が変化するか、適切な代替投資先が現れるまで、もうしばらく続くだろう」と付け加えた。
米消費者センチメント、7カ月ぶりの低水準-ミシガン大調査 - Bloomberg
6月初旬における米消費者のセンチメントは、予想外に7カ月ぶりの水準に沈んだ。物価の高止まりが家計に対する見方を圧迫する構図が続いている。
現在の家計状況に対する評価を示す指標は12ポイント低下の79。昨年10月以来の低い水準で、所得に対する懸念も反映している。6月の現況指数も2022年末以来の水準に落ち込んだ。
センチメント低下の背景には、ここ1年にわたり個人消費をけん引してきた労働市場に減速の兆しが出ていることがある。5月の失業率は4%に上昇し、およそ2年ぶりの高水準となった。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は発表文で「好調な労働市場により、低所得層は賃金が顕著に上昇した。一方でインフレは鈍化しているものの、物価の高止まりで家計は依然として厳しい状況にある」と指摘。
「中間層の見方は低所得層と似通っており、歴史的なパターンからかい離している。これまでの中間層の見方は、高所得層と低所得層それぞれの見方の間に位置していた」と述べた。
今回のデータは向こう数カ月の消費需要が抑制されることを示唆している。耐久財の購入環境に関する指数は、2022年12月以来の水準に低下した。
ブルームバーグ・エコノミクスのイライザ・ウィンガー氏は「最近の経済に関するデータや伝聞では、価格上昇に対する消費者の反発が共通して見受けられる。これは5月に財・サービスの幅広い分野でディスインフレ傾向を強める要因となった」と述べた。
仏大統領「深刻な局面」と警告、総選挙で極右勝利なら金融危機と財務相懸念 | ロイター
フランスのマクロン大統領は14日、同国が「非常に深刻な局面を迎えている」とし、「戦争や前例のない経済問題など大きな問題が浮上している」と警告した。フランスでは現在、極右・極左の政治勢力が世論調査でリードしており、金融市場が動揺している。
マクロン大統領は両勢力を「過激派」とし、ともに政治的に真剣ではなく経済的にも現実的ではないとした。
フランスのルメール経済・財務相も同日、同国の総選挙で極右が勝利すれば、金融危機のリスクに直面すると述べた。
総選挙は6月30日に第1回投票、7月7日に決選投票が実施される。世論調査では、欧州議会選で躍進したマリーヌ・ルペン氏の極右「国民連合(RN)」の勝利が予想されている。 もっと見る
RNは電気料金の値下げ、ガスの付加価値税(VAT)引き下げ、公共支出の拡大を公約に掲げている。
ルメール氏はラジオ局フランスアンフォに対し「極右を見ると、うそで固めた綱領が見える」と発言。現在の政治不安が金融危機につながる可能性はあるかとの質問に「ある」と答え「申し訳ないが、彼ら(極右勢力)には、そのような出費をまかなう余裕はない」と述べた。
米大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングも、RNの政策方針が財政悪化につながりかねないと懸念を示している
一方、ルペン氏は14日、遊説先のフランス北部で「マクロン政権はうそをついている」とし、政府が財政の実態や過去7年間に行った改革の影響を隠していると批判した。
アングル:欧州極右、巧みなSNS使いで若者の「不満」吸い上げ | ロイター
ドイツやフランスからポーランド、スペインまで、先日行われた欧州連合(EU)欧州議会選挙では極右勢力が若い有権者を取り込む構図が鮮明になった。
極右になびきつつあるのは、常に危機の中で育ち、これまでにない答えを求める世代で、その多くはTikTok(ティックトック)やユーチューブを使いこなす政治家をフォローしている。
若い有権者は従来、左派的とみなされてきた。実際2019年に行われた前回の欧州議会選では、環境保護に熱心な政党が各地で支持を集め、こうした政党に投票した若者は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ氏にちなんで「グレタ世代」と呼ばれた。
ところが新型コロナウイルスのパンデミックやロシアのウクライナ侵攻、生活費危機を経て、多くの若者が今回極右のポピュリズム(大衆迎合主義)政党に支持を乗り換え、今回の欧州議会選での極右躍進へとつながった。
欧州の民族主義的、ナショナリスト的な新興政治勢力のリーダーたちは、主流政党の政治家よりもソーシャルメディアの扱いに長けている傾向が強く、一部の若者からは反体制文化の旗手としての評価も得ている。
専門家によると、こうした新興政治勢力は特に、社会から取り残され、差別撤廃への意識を高める一方の主流派政治家たちから監視されていると感じる若者にとって魅力があるようだ。
今回の欧州議会選で極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」に投票したという専門学校生のクリストフさん(17)は「ドイツはい方向に進んでいない。移民に関して本当にはっきりしたメッセージを掲げているのはAfDだけだ」と語る。
移民規制と「ドイツのイスラム化」反対を唱えるAfDは、出口調査で25歳未満の有権者の得票率が11ポイント上がって16%に達した。上昇幅は全世代の5ポイントの2倍以上だ。
ドイツでは今回初めて16-18歳に選挙権が与えられ、こうした措置は左派系政党に有利とみられていただけに、この結果は注目される。
欧州全ての地域で極右が若者の得票を伸ばしたわけではなく、高齢化が進行する欧州で有権者に占める若い世代の比率は小さいとはいえ、下院選挙が行われるフランスや、来年連邦議会選挙を控えるドイツなどにとっては気がかりな流れとも言える。
<環境より経済>
ドイツの若者に対する最近の意識調査によると、彼らはインフレや住宅価格高騰、社会の分断への懸念を強め、気候変動については関心が薄れている。欧州議会選でも緑の党の若者の得票率は前回から23ポイントも下がり、11%にとどまった。
この調査で中心的な役割を果たしたシモン・シュネッツァー氏は「一生懸命働けば将来は良くなるという考えはもうなくなった。若者は今権力を握っている政党に失望している」と述べ、経済の暗さがAfDの反移民メッセージをより受け入れやすくしていると付け加えた。
前出のクリストフさんは、自分の経験を踏まえてドイツにより新しく入ってきた移民ほど暴力的で、社会に溶け込むのを嫌うと信じるようになったと明かした。
フランスでも極右の国民連合(RN)が18─24歳の有権者の25%を取り込んだことが、イプソスの分析で判明している。前回から10ポイントも上昇しており、やはり全世代の上昇幅の8ポイントより高い。
とはいえ、フランスとドイツではまだ左派政党を支持する若者が大半で、最近の傾向を懸念する声も多い。
「極右は、私のようにドイツ国籍を持っている人ですら国外退去処分にしたがっている。私にとってはドイツが母国なのに」と、トルコ系ドイツ人のエンサル・アダヌールさん(17)は心配する。
一方で、ポーランドの極右政党「同盟」は18-29歳の得票率が前回の18.5%から30.1%に跳ね上がり、この世代でトップに立っている。
同盟に票を入れたというIT技術者のパウェル・ルルコフスキさん(30)は、主流派政党は「もはや全く信頼できない。前政権と現政権がそれをはっきりと証明している」と言い切った。
<訴求力>
複数の専門家は、極右政党が若者が好むティックトックやユーチューブなどのコミュニケーションツールを比較的活用できていることが、彼らの支持拡大に成功した大きな要因だとみている。
ドイツの若者に対する最近の調査では、全体の57%がニュースや政治情報をソーシャルメディア経由で入手すると回答した。ところがドイツのショルツ首相のように多くの主流派政治家がティックトックにアカウントを開設したのはわずか数カ月前に過ぎない。
シュネッツァー氏は「若者のチャンネルに登場しなければ、存在していないことになる」と説明した。
一方でソーシャルメディア・プラットフォームのアルゴリズムは、真面目なコンテンツよりも論争を呼ぶメッセージを優先的に扱う傾向があるとの指摘も聞かれる。
例えば欧州議会選でAfDの有力候補だったマクシミリアン・クラー氏が若い男性向けに「モテる」秘訣としてティックトックに投稿した「ポルノを観るな。緑の党に投票するな。新鮮な空気の中に出かけろ。本物の男は右翼だ」とのメッセージは活発に拡散された。
ティックトックでのクラー氏のフォロワー数は約5万3000人に上るのに対して、社会民主党と緑の党の有力候補はそれぞれ1万1000人と2652人だった。
クリストフさんは「私の世代は政治について本当のところは分かっていないが、AfD(の言葉)はいつも耳にしている」と話した。
スペインでも反移民の右翼政党ボックス(VOX)がティックトックで強い存在感を放ち、25歳未満の得票率は12.4%と、全世代の9.6%を上回った。
ボックスに投票した22歳で大学生のザビエルさんは「移民やジェンダー論などのタブーの話題んついては、ボックスだけが政府に反対しているように見える」と述べた。
アングル:中国で安売り店が躍進、近づく「日本型デフレ」の足音 | ロイター
中国では一部の小売業者が低価格を売りに積極的にシェアを拡大し、大きな利益を手にしている。しかし、こうした経営戦略が厳しい価格競争を一段と激化させており、中国が慢性的なデフレに陥るのではないかとの懸念が高まっている。
中国の安売り業者は、不動産危機や高い失業率、暗い経済見通しで消費心理が落ち込む中、何とか需要を掘り起こそうとコーヒーから自動車、衣料品に至るまで、あらゆるものを値下げしている。
低価格帯の通販「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」のような企業は、電子商取引大手アリババ(9988.HK), opens new tabなどライバルに対抗するために値下げに踏み切り、売上高が増加した。しかしエコノミストは、こうした戦略が成功したことによって、中国でも消費者の間に日本型のデフレマインドが定着し、慢性化するのではないかと危惧している。
小売業者は何よりも価格で勝負するため、商品の納入業者は厳しいコスト圧縮を強いられ、利益率が圧迫される。その結果、賃金の伸びが鈍ったり、単発で仕事を請け負う低賃金の「ギグワーカー」への依存度が高まったりして家計の需要が打撃を受ける。
豪メルボルンにあるモナシュ大学のヘリン・シ教授(経済学)は、「この状況が続けば中国は悪循環に陥るかもしれない。付加価値の低い消費がデフレを引き起こし、利益率が悪化して賃金が下がり、それがさらに消費を押し下げるという負の連鎖だ」と警鐘を鳴らす。
一方、直近の決算シーズンで安売り業者は利益が市場予想を上回り、競合他社を凌駕した。ピンドゥオドゥオを運営するPDDホールディングスは131%の増収を記録。フードデリバリーアプリの美団は25%、ディスカウントストアの名創と瑞幸咖啡(ラッキンコーヒー)もそれぞれ26%、42%の増収だった。
<底値競争>
消費者心理がどん底に近い環境では、価格こそが王様だ。
中国の自動車メーカーは国内需要の低迷を受けて、ほぼ2年にわたり価格競争を繰り広げており、一部のディーラーや自動車金融会社はこの2カ月間に頭金なし、さらには金利ゼロなどのローンプログラムを開始した。
米スターバックスは、「安売り業者間の熾烈な競争」(ラクスマン・ナラシムハン最高経営責任者)のせいで第1・四半期に中国での売上高が8%減少。この数カ月で割引クーポンの利用を増やし、価格をラッキンコーヒーに接近させている。
アリババの国内電子商取引部門であるタオバオと天猫(Tモール)、およびネット通販大手の京東集団は売上高の伸び率が1桁台だったが、いずれも決算後の電話会見で価格競争力が今後の成長のカギになると説明した。
JDドットコムの創業者、リチャード・リュー氏が従業員に送った社内メモに、同社が「肥大化」していると書かれていたことから、JDドットコムが競争激化に対応して人員削減に踏み切るのではないかとの憶測が流れている。これはまさに国内需要の回復に不可欠な策とは正反対の動きだ。
中国欧州国際ビジネススクール(上海)のアルバート・フー教授(経済学)は「長期的には価格競争によってさまざまな産業で弱小プレーヤーが淘汰され、生き残った企業は価格を引き上げてサプライチェーンに一息つかせることができるようになるかもしれない」と話した。ただ、こうした展開が可能になるのは、価格競争が引き起こす市場からの業者撤退を補うだけの雇用と所得が他の産業で創出された場合に限られるとくぎを刺す。
フー氏は「デフレは深刻な問題であり、日本は30年以上もこれと闘ってきた。重要なのは賃金の伸びだ」と強調した。
英国民インフレ予想低下、金利低下「経済に最善」4割=英中銀調査 | ロイター
経済安全保障の早道、データセンターに抑止力 編集委員 太田泰彦 - 日本経済新聞
ルペン氏、マクロン氏と協力する意向表明-投資家や穏健派にアピール
フランスの極右政党・国民連合(RN)を率いるマリーヌ・ルペン氏は、国民議会(下院)総選挙で自身が勝利しても、マクロン大統領を追い出すつもりはないと述べた。穏健派や投資家にアピールする狙いがある。
ルペン氏は仏フィガロ紙とのインタビューで、「私は制度を尊重している。制度のカオスを求めているわけではない」と発言。「共生するだけだ」と述べた。
次期議会で過半数獲得を目指すルペン氏は、主流派有権者に訴えかけようとしている。RNが過半数議席を獲得すれば、欧州政治に激震をもたらす結果となり得る。RNは既に下院の最大政党となる勢いで、投資家やフランスの国際的パートナー、仏国民の一部に警戒感を与えている。
「マクロン氏こそカオスだ」とルペン氏。「社会的な混乱、安全保障問題での混乱、移民問題での混乱、そして今は制度的な混乱だ」と続けた。
仏紙ジュルナル・デュ・ディマンシュ(JDD)に16日掲載されたIfopの世論調査によると、RNは6月30日の第1回投票で35%の支持を獲得する勢い。左派系連合「人民戦線」の支持率は26%で2位。マクロン氏率いる与党「再生(RE)」は19%で3位。10日と11日に実施された前回の調査とほぼ一致している。
スナク首相の英保守党、総選挙で大敗の見通し-最新世論調査が示唆
英国のスナク首相率いる保守党は、7月4日に投開票が行われる総選挙(下院選)で、歴史的大敗を喫することになりそうだ。3種の新たな世論調査で明らかになった。
英紙タイムズに掲載されたサーベーションの世論調査によると、最大野党・労働党が262議席で過半数を獲得する見通し。保守党はわずか72議席に議席数を減らすもようだ。同調査はMRPという統計手法を用いたもの。英紙オブザーバーの委託でオピニウムが実施した調査では、労働党が17ポイントリード。英紙サンデー・テレグラフ向けにサバンタが実施した調査では、保守党の選挙での「消滅」を予測した。
スナク氏が3週間前に総選挙の実施を発表して以降、同氏の弱い立場がいかに悪化したかをこうした数字は物語っている。これらは保守党が2世紀前の結党以来最悪の敗北に向かっていることを示唆している。
新興国債券の上昇に黄信号、インフレ再燃で中銀のタカ派姿勢強まる
新興国市場の債券の上昇を後押ししてきた金融緩和局面は終わりを告げようとしている。新興国・地域の中央銀行は今やタカ派的な姿勢を強めている。
新興国市場の現地通貨建て債券のリターンはドル建て債券を下回っており、その差はここ2年間で最大となっている。インフレ再燃を受け中南米や東欧で追加利下げ観測が後退していることが背景にある。一方、アジア新興国・地域の中銀は、米金融当局よりも先に政策を緩和することに一段と消極的な姿勢を示している。
日興アセットマネジメントのファンドマネジャー、ロバート・サムソン氏は「イージーマネーは間違いなく終了したと思う」と指摘した。
今年初めには「一世一代」のチャンスともてはやされた新興国債券の買いも、タカ派姿勢の再燃で一変しつつある。利下げ観測の後退で投資家の熱意が冷めただけでなく、ドル高も新興国通貨の押し下げ要因となっている。
ブルームバーグの指数に基づくと、新興国市場の現地通貨建て債のリターンは今年はこれまでマイナス1%となっている。2023年はプラス6%強だった。一方、ドル建て債の指数は昨年12月末からプラス2.5%のリターンを記録している。
新興国での金融緩和の可能性を縮小させているのは、米金融当局の「より高くより長く」金利を維持する方針だ。
GAMAアセット・マネジメントのグローバルマクロ・ポートフォリオマネジャー、ラジーブ・デ・メロ氏は「米金融当局は年後半の進展にとって大きな逆風だ」と指摘。「新興国市場以外でも、世界各国・地域の中銀は、米連邦準備制度が利下げという当初の計画を守ることで、ある意味自分たちを助けてくれると期待していた」と分析した。
新興国でタカ派的な兆候が強まっていることは、既に投資家の売りを招いている。ブルームバーグ集計のデータによると、新興国債に連動する世界最大規模の上場投資信託(ETF)「ヴァンエック・JPモルガンEM現地通貨建て債券ETF」はここ3カ月に資金純流出となっている。
●中東情勢
中東マネー解剖 政府系ファンド、世界金融を席巻 - 日本経済新聞
アングル:アラムコ株売却でサウジは海外資金確保、持続可能性には疑問の声 | ロイター
野心的な経済変革のための資金を必要とするサウジアラビアは対内投資の目標達成に何年も苦戦してきた。だが国有石油会社サウジアラムコ株の追加売り出しは1年以上前から準備したかいがあり、112億ドルの半分強を外国人投資家が購入した。
5年前の294億ドル規模の新規株式公開(IPO)が、企業統治や地政学、環境を巡るリスクへの懸念から海外投資家に敬遠されたのとは様変わりした。
それでもアラムコ株の買い手については疑問が残る。
テリマーの株式調査部門責任者ハスナイン・マリク氏は「外国人投資家の割り当てが多いため、株式売り出しは成功したように見える」とした上で、「新たな大口機関投資家がいるのかや、長期保有者かどうか、最初の機会に持ち株を売却するつもりかなど、何も分からない」と指摘した。
関係筋は新たに100以上の投資家が株式を購入し、米英日香港の投資家も含まれていると明らかにした。アラムコが9日に開示した情報によると、公開株式のうち、海外機関投資家が約0.73%、国内機関投資家が約0.89%、個人投資家が約0.76%を保有。残りは政府が直接・間接的に保有している。
<金の卵を産むガチョウ>
サウジの債務残高の対国内総生産(GDP)比率は2015年末の5.7%から今年3月末には26.2%まで急上昇した。今のところ問題なく負債を増やし続けることができるとアナリストはみている。
しかしキャピタル・エコノミクスのジェームズ・スワンストン氏は、原油価格が下落し厳しい緊縮財政を実施せざるを得なくなった場合、サウジの債務発行能力は抑制される恐れがあると警告している。
サウジが財政黒字を計上したのは14年以降では22年だけだ。当時は北海ブレント価格が平均1バレル=100ドル前後で、アラムコは過去最高の1611億ドルの利益を計上した。
サウジは対内直接投資を30年までに1000億ドルに拡大するという目標を掲げるが、22年の328億ドルがピークで昨年は192億ドルにとどまった。目標の5分の1にも満たず、18年から3%足らずしか増加していない。
ライス大学ベイカー研究所の研究員ジム・クレーン氏は外国人投資家が直接投資に関心を示さなかったため、サウジ政府はアラムコ株という代替手段を通じて外部資金を調達することに成功したと述べた。その一方でこうした株式売却が長期的に持続可能かどうかについては疑問を呈した。
市場環境が許せばサウジはアラムコ株をさらに売却することは可能とアナリストはみている。
コプリー・ファンド・リサーチの創設者スティーブン・ホールデン氏は「全体的に見るとサウジは依然としてアクティブ新興国ファンドにとってアンダーウエートで広く保有されていない」と指摘。「オーバーウエートのファンドはわずか6.3%であることを踏まえると、アラムコへの投資はアクティブファンドにとって配分を増やす好機だろう」と述べた。
多角化戦略により非石油事業のGDPに対する寄与度は16年の46%強から3月末には51.3%に上昇した。だがアラムコの株式売却は、数十年にわたって繁栄を支えてきた金の卵を産むガチョウにサウジが依存し続けていることを浮き彫りにしている。
クレーン氏は「ある時点でサウジ政府が制度的な評価を改善し、外国人が安心して資金を投じられるようになることを望んでいる」と語った。
●エマージング
南ア与党、白人主体野党と連立合意 30年間の単独政権終幕 | ロイター
インドネシアが為替介入、中銀総裁はインフレ抑制と通貨安定強調 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
石炭火力、「30年代前半」廃止に解釈余地残す G7首脳 - 日本経済新聞
●小ネタ
三井住友カード、手数料1.98%に下げ 中小加盟店獲得へ - 日本経済新聞
最新AIが端末変える iPhoneなど音声技術で手入力不要に - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(14日)ユーロ下落、ナスダック5日連続で最高値更新 長期債利回り低下 | ロイター
<為替> ユーロが対ドルで下落。週ベースでは2カ月ぶりの大幅な下げを記録する見通し。フランスで実施される総選挙で極右が勝利すれば財政状況が悪化するとの懸念に圧迫された。
終盤の取引で、ユーロは0.34%安の1.0699ドル。週間では0.95%安と2カ月ぶりの大幅な下落となる勢い。
一方、ユーロ安がドルを押し上げ、主要通貨に対するドル指数は0.3%高の105.55となった。
<債券> 長期債利回りが低下した。経済指標でインフレが鈍化している可能性が示されたことを受けた。指標10年債利回りは週間で今年最大の低下幅となる勢い。
指標10年債利回りは2.3ベーシスポイント(bp)低下の4.217%。週間では約22bp低下し、12月中旬以降で最大となる見込み。
30年債利回りは5bp低下の4.351%となった。
2・10年債の利回り格差はマイナス47.7bp。
2年債利回りは0.4bp上昇の4.692%。
<株式> ナスダック総合が5営業日連続で終値ベースの最高値を更新した。米デザインソフト大手アドビ(などハイテク株の上昇が寄与した。一方、S&P総合500種とダウ工業株30種は小幅安となった。
<金先物> 株などリスク資産が一時下落したことで資金逃避先としての金に注目が集まり、反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比31.10ドル(1.34%)高の1オンス=2349.10ドル。週間では、1.04%高だった。
<米原油先物> 堅調な需要見通しなどを背景に買いが先行したものの、あと売りに押され、5営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は前日比0.17ドル(0.22%)安の1バレル=78.45ドルだった。週間では2.92ドル(3.87%)上昇。8月物の清算値は0.21ドル安の78.05ドルだった。
欧州市場サマリー(14日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。政策金利の見通しを巡る不透明感や欧州の政局の混迷を背景に、FTSE100種指数は、週間としては2020年3月以来となる5週連続での下落となった。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。銀行株などが幅広く売られた。
フランスの政局混迷を背景にCAC40指数が週間ベースで大幅に下落した。
フランスのルメール経済・財務相は14日、同国の総選挙で極右や極左が勝利すれば、歳出拡大などにより金融危機のリスクに直面しかねないと警告した。
<ユーロ圏債券> フランスのリスクプレミアムが2017年以来の高水準となった。マクロン仏大統領が発表した解散・総選挙に向け、政権基盤の弱体化が示唆されたことを受けた。
これを背景にドイツ国債に資金が流入し、利回りは一気に低下。独10年債利回りは14ベーシスポイント(bp)低下の2.35%と、4月中旬以来の低水準となった。独2年債利回りも13.5bp低下し2.76%となった。
独仏10年債利回り格差は78bpまで拡大し、取引時間中としては2017年以来の高水準となった。
仏10年債利回りは5bp低下の3.14%。
欧州議会選挙でフランス与党勢力が極右政党に大敗し、マクロン仏大統領が国民議会の解散総選挙を急きょ決めたことを受け、フランスの株式・債券などの売りが続いている。
イタリア10年債利回りは2bp低下の3.93%。

備忘録(2024/6/13
●雑感
●決算
アドビ、通期利益見通しを上方修正-AIブーム追い風 - Bloomberg
ソフトウエアメーカーの米アドビの株価が13日の米株式市場時間外取引で急伸。同社はクリエーティブ製品の売上高が今後好調に推移する見通しを示し、顧客が人工知能(AI)ベースの新ツールを採用していることを示唆した。
新たなクリエーティブソフトウエア事業の注目指標であるデジタルメディア部門の年間経常収益(ARR)は今四半期に4億6000万ドル(約722億円)となる見通し。市場予想平均は4億3520万ドルだった。
グラフィックアートの専門家向けソフトで長年業界リーダーだったアドビは生成AIに自社の市場を切り崩されると投資家は懸念していた。しかし、今回の決算は自社製品にAI機能を組み込むアドビの取り組みが、新興技術に注力するスタートアップなど小規模なライバル企業と競合する中で、顧客の支持を集めていることを示唆した。
ダン・ダーン最高財務責任者(CFO)は決算発表後の電話会見で、今年度いっぱいは新しいクリエーティブ事業が加速すると予想していると述べた。
アドビは通期1株利益見通しを一部項目を除いたベースで最高18.20ドルに上方修正。従来予想は18ドルで、アナリスト予想平均は18.02ドルだった。
アドビ独自のAIモデル「Firefly」は、「Photoshop」や「Illustrator」などの主力製品に組み込まれている。同社はビデオ編集ソフトの「Premiere」でも同様の技術の開発に取り組んでいる。シャンタヌ・ナラヤン最高経営責任者(CEO)は、このモデルが90億枚以上の画像生成に使用されていると説明。新たなイノベーションにより、アドビは「拡大するユーザー層」を引きつけることができていると電話会見で述べた。
株価はニューヨーク市場の通常取引で458.74ドルで終了した後、時間外取引では一時537.38ドルに上昇。
13日の発表資料によると、3-5月(第2四半期)の売上高は10%増の53億1000万ドル。一部項目を除いた1株利益は4.48ドル。ウォール街の予想では、売上高は52億9000万ドル、1株利益は4.40ドルと見込まれていた。顧客はFireflyの利用が増える比較的高額なプランに更新していると同社は説明した。
●海外企業
ディズニーとフロリダ州知事、対立に終止符 テーマパーク拡張へ | ロイター
バイオジェンのアルツハイマー薬、競合品登場でも先行きに自信=幹部 | ロイター
バイオジェンの北米責任者アリシャ・アライモ氏は12日、エーザイと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ(レケンビ)」について、競合薬が登場しても、今後市場での売れ行きは好調になると自信を示した。ゴールドマン・サックス・グローバル・ヘルスケア会議での発言。
レカネマブは昨年7月に米食品医薬品局(FDA)がアルツハイマー病治療薬として初めて正式に承認した。ただこれまでのところは、投与に際して追加的な診断テストや月2回の点滴、定期的な脳ドックの義務化などの条件があるため、期待されたほど普及していない。
一方でイーライリリーが開発している「ドナネマブ」が今後競合薬になる可能性が出てきている。
それでもアライモ氏は「競争ないし別の選択肢は常に良いことだ。だがより重要なのは、イーライリリーの参入で市場の発展が加速するという点だ」と強調した。
アナリストの間からも、承認されたアルツハイマー病治療薬が2種類に増えれば、市場拡大につながるとの声が聞かれる。
●日本企業
キリンホールディングスがファンケル買収 2100億円、健康食品を成長軸に - 日本経済新聞
三菱モルガン、起債主幹事から除外相次ぐ-処分勧告の検討受け - Bloomberg
ファストリ、セルフレジが予感させるテクノロジー企業への進化 - Bloomberg
●米大統領選挙
トランプ氏登壇の会合、米銀首脳ら出席へ-有罪評決は障害とならず - Bloomberg
バイデン氏勝利は債券に恩恵、トランプ氏なら成長に有利=モルガンS | ロイター
モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン最高投資責任者は12日、11月の米大統領選でバイデン大統領が再選されれば、歳出を一部相殺するため増税を目指すとみられ、債券市場が恩恵を受ける可能性が高いと指摘した。
一方、トランプ前大統領が返り咲いた場合、成長には追い風だが債券には悪影響になるとの見方を示した。ロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで述べた。
どちらの政権でも投資家は移民政策を注視するとした上で、バイデン氏が勝利すれば労働供給とインフレにより好ましい一方、トランプ氏が当選すれば国境を閉鎖し、インフレ懸念が再燃する可能性があるとした。
また、トランプ氏勝利はエネルギー・金融セクターや小型株に、バイデン氏勝利は大型グロース(成長)株に、それぞれ追い風になるとの見方を示した。
トランプ支持に染まった激戦州 労組分裂、脱炭素に反発 - 日本経済新聞
米大統領選、トランプ氏がバイデン氏を2ポイントリード=世論調査
11月の米大統領選に関するロイター/イプソスの最新世論調査によると、トランプ前大統領がバイデン大統領を2%ポイントリードしている。
調査は10─11日に実施した。
登録有権者の41%が今日選挙が行われた場合、トランプ氏に投票すると回答。バイデン大統領に投票するとの回答は39%だった。
有権者の20%は「未定」「第3党の候補に傾いている」もしくは「投票しない可能性がある」と答えた。
トランプ氏のリードはこの調査の誤差(3%ポイント)の範囲内。多くの登録有権者は態度を決めかねており、5月31日─6月1日の調査ではバイデン氏が41%、トランプ氏が39%でバイデン氏が2ポイントリードしていた。
無所属で出馬したロバート・ケネディ・ジュニア氏を加えた三択だった場合、同氏に投票すると回答した人は10%で、前回調査から変わらず。
バイデン氏の次男に対する有罪評決については、有権者の8割が大統領選での投票判断に影響しないと回答。トランプ氏に対する有罪評決については、61%が影響しないと答えた。
●先進国中銀
焦点:FRB、政治リスク回避か 利下げ「大統領選後」 | ロイター
今年3月時点では夏に利下げを開始し、11月5日の大統領選まで利下げを続けるとの見方が多かった。共和党のトランプ前大統領は、FRBが利下げに動けば、民主党のバイデン大統領を手助けする狙いがあるとすでにけん制しており、FRBが政治論争に巻き込まれる恐れがあった。
ただ、市場関係者は早期利下げへの期待を完全に捨てておらず、金利先物市場は9月に約60%の確率で利下げがあると予想している。
9月に利下げが実施されれば、消費者心理の改善につながり、バイデン氏に有利に働く可能性がある。
トランプ氏は今年、FOXビジネスとのインタビューで「(パウエルFRB議長は)恐らく民主党を助けるようなことをするだろう。もし利下げすればだ」とけん制。「恐らく誰かを当選させるために利下げを企てているように見える」と発言した。
世論調査ではバイデン氏の経済運営に対する評価が低く、利下げが大統領選後に先送りされれば、同氏にとって逆風となりかねない。
共和党のコンサルタント、ジャネット・ホフマン氏は「『バイデノミクス』のおかげで経済は好調だと有権者に必死に訴えているバイデン陣営にとって明らかに悪いニュースだ」と指摘。
ジャンピエール米大統領報道官は「FRBは独立している。FRBについてはコメントしない」と述べた。
<過去の事例>
大統領選の年にFRBが利下げを実施したケースは過去にあるが、比較的まれな事例といえる。
直近では2020年のトランプ政権下で、パウエル議長率いるFRBが新型コロナウイルス流行への対応で政策金利をゼロ付近まで引き下げた。ただ、その年の大統領選ではトランプ氏がバイデン氏に敗れている。
その次の直近の事例では、08年に当時のバーナンキ議長率いるFRBが金融危機への対応で秋に繰り返し利下げを実施した。同年の大統領選では民主党のバラク・オバマ氏が共和党のジョン・マケイン氏を破った。
1992年には当時のグリーンスパン議長率いるFRBが失業悪化を受けて投票日前の数カ月間に複数回の利下げを実施した。この年の選挙では共和党のジョージ・H・W・ブッシュ氏が民主党のビル・クリントン氏に敗れた。
ブッシュ氏はその後、98年に行われたの英テレビ司会者デービッド・フロスト氏とのインタビューで「金利がもっと劇的に引き下げられていれば、私は大統領に再選されていただろう。進行していた景気回復がもっと目に見えるものになっていただろう」とし、「私は彼を再任したが、彼は私を失望させた」と語っている。
<大統領選前の利下げも>
今後数カ月で情勢が変われば、FRBが9月中旬に利下げに動くことも考えられるが、必ずしもバイデン氏の追い風になるわけではなさそうだ。
パウエル氏は12日の会見で利下げ開始の是非を判断する基準として(1)インフレが持続的に目標の2%に向かっているとFRBが確信を深めた場合(2)労働市場が「予想外に悪化」した場合──の2つを挙げた。
第1の基準で利下げに踏み切った場合は、バイデン氏に有利に働く可能性があるが、第2の基準で利下げが実施された場合は、トランプ氏の追い風になる可能性がある。
パウエル議長は「(労働市場に)予想以上に懸念すべき軟化が見られた場合」現在の予想より早く利下げが行われる可能性があると発言。「われわれはリスクを完全に理解しており、事態が悪化するのを待ってから修復しようという計画はない」と述べた。
ECB金利、恐らく当面は平均を上回る必要-エストニア中銀総裁 - Bloomberg
ECBバスレ氏、年内から来年にかけ追加利下げも-基本シナリオ前提 - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
フランス債のポジションが示唆、トレーダーは一段安見込む-選挙控え - Bloomberg
資産運用会社アレス、不動産投資GLPキャピタル統合を模索-関係者 - Bloomberg
米資産運用会社アレス・マネジメントは、不動産投資を手掛けるGLPキャピタル・パートナーズと統合する可能性を探っている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、実現すればオルタナティブ資産運用業界で、数年ぶりの大型案件の一つになり得るという。
関係者の一部によれば、アレスはGLPキャピタルが持つ中国以外の事業と統合する可能性について協議を行っている。関係者は情報が非公開であることを理由に匿名を条件に語った。日本と東南アジア、欧州、米国、ブラジルにわたる約660億ドル(約10兆3700億円)規模の運用資産が加わることになると、関係者の1人は語った。
GLPキャピタルは不動産やプライベートエクイティー(PE、未公開株)に投資するファンドを数十本、運営している。主な投資対象は物流施設やデジタルインフラ、再生可能エネルギーだ。
大手投資会社の間では競合企業との統合を模索する動きが増えている。新たな分野への進出や運用資産の拡大、多数のストラテジーを提供するワンストップショップに対する需要が背景にある。
関係者によれば、統合が実現するかは確実でない上に、合意する場合のストラクチャーも最終決定されていない。GLPキャピタルの買収を目指す企業が他にも現れる可能性もあるという。アレスとGLPキャピタルそれぞれの担当者はコメントを控えた。
米カーライル、「多く」の出資先を売却へ-PEの取引市場回復 - Bloomberg
米投資会社カーライル・グループは、プライベートエクイティー(未公開株、PE)の取引市場回復に伴い、「多く」の出資案件から撤退し持ち分を売却する準備を進めている。
米州コーポレートPE共同責任者ブライアン・バーナセク氏はブルームバーグテレビジョンとの12日のインタビューで、「市場全体の売り買いが改善され始めている」と指摘し、「今年後半から来年にかけて、撤退を検討している出資先が幾つもあり、良い話が進んでいる」と語った。
同氏によると、好調なクレジット市場や安定した金利・株式相場が、ディールメーカーに取引への自信を与えている。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、カーライルは今年4社の売却を発表しており、その中にはビデオゲームパブリッシャー、ジャゲックス(Jagex)のCVCキャピタル・パートナーズとハベリ・インベストメンツへの売却も含まれている。
ドイツ連立与党、国民の不満が過去最高=世論調査 | ロイター
アルメニア首相、ロシア主導軍事同盟からの脱退を正式表明 | ロイター
アルメニアのパシニャン首相は12日、旧ソ連圏6カ国でつくるロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」から脱退する方針を正式に表明した。国営通信アルメンプレスが、首相の議会における発言として伝えた。
パシニャン氏は「われわれは(CSTOを)脱退する。その時期は今後決定する。もはや決して復帰しない」と語った。
アルメニアは隣国アゼルバイジャンとの係争地ナゴルノカラバフを巡る軍事紛争で敗北し、昨年に実効支配を失った。この問題でパシニャン氏はCSTOの支援がなかったことに不満を抱き、外交政策を転換して欧米への接近を図るとともに、CSTOがアルメニアを守る姿勢を明確にしない限り、脱退も辞さない姿勢を示していた。
CSTOはモスクワに本部があり、ロシアのほかカザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ベラルーシが加盟している。
パシニャン氏はCSTOについて、アゼルバイジャンと協力してアルメニアへの戦争を計画したと改めて非難した。
2023年の米医療費、7.5%増の4.8兆ドル GDPの伸び上回る | ロイター
米連邦政府は12日、2023年の米国の医療費は4兆8000億ドルに達したとの見方を示した。伸び率は7.5%になり、国内総生産(GDP)の伸びを上回った。
メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)のデータによると、低所得層向けの公的医療保険「メディケイド」と民間医療保険の費用が特に増加し、保険加入者の割合は93%と歴史的水準に急上昇した。
メディケイドの加入者は9120万人と、過去最高を記録した。
高齢者向け公的医療保険「メディケア」の費用は8.4%増の1兆ドル、メディケイドは5.7%増の8520億ドルだった。民間医療保険の費用は1.1%増の1兆4000億ドルだった。
23年の一人当たりの医療費は推計1万4423ドル。24年は1万5074ドルに増える見通し。
医療費は23年から32年の間に年平均5.6%増加し、同期間のGDP伸び率平均の4.3%を上回ると予想されている。
仏大統領、極右躍進阻止で主要政党に「大同団結」呼びかけ | ロイター
米新規失業保険申請、1.3万件増の24.2万件 10カ月ぶり高水準 | ロイター
米労働省が13日に発表した6月8日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比1万3000件増の24万2000件と、10カ月ぶりの高水準となり、労働市場の緩和が示された。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は22万5000件だった。
申請件数の4週間移動平均は4750件増の22万7000件と9カ月ぶりの高水準となった。
6月1日までの1週間の継続受給件数は3万件増加し、182万件と1月以来の高水準となった。
季節調整前の申請件数は3万8530件増の23万4707件。カリフォルニア州の1万0311件の急増が主に寄与した。ミネソタ州は前週に続いて増加し4342件増。ペンシルベニア州でも4134件増加した。
米パンテオン・マクロエコノミクスのシニア米国エコノミスト、オリバー・アレン氏は「新規失業保険申請件数はしばらく幾分増加傾向にあったが、今週の大幅な増加により、こうした増加トレンドを否定することがかなり難しくなった」と指摘。「高水準の長期金利、タイトな信用状況、需要の緩やかな軟化が企業、特に中小企業に重くのしかかり始めている」と述べた。
米5月PPI、前月比0.2%下落 昨年10月以降で最大の下げ | ロイター
英ファラージ氏率いる右派政党、支持率で与党保守党上回る=世論調査 | ロイター
米、ウクライナと10年間の安保協定に署名 NATO加盟視野 | ロイター
バイデン米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領は13日、2国間の安全保障協力協定に署名した。期間は10年。ロシアが侵攻を続けるウクライナの防衛協強化が目的。
署名は、イタリア南部プーリア州で開催されている主要7カ国(G7)首脳会議の合間に行われた。
バイデン大統領は「ウクライナの防衛力と抑止力を長期的に強化することが目的」と述べた。
安保協定はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟に向けた一歩となる見通し。
11月の米大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利したとしても、米国によるウクライナへの長期支援を約束することも狙いとみられる。
協定によれば、ウクライナに対する武力攻撃またはその脅威が発生した場合、米国とウクライナの高官は24時間以内に会合を開き、対応策を協議し、ウクライナに必要な追加の防衛策を決定する。また両国は情報を共有し、訓練や軍事教育プログラム、合同軍事演習を実施できるようになる。
協定文書では、ウクライナには「大規模な」軍事力と、NATO基準に合致した防衛産業基盤への持続的な投資が必要と記された。
また、バイデン大統領は記者会見で、ウクライナがロシア国内で米国のミサイルの使用を拡大することを認めないと明言した。
ゼレンスキー大統領は同日、岸田文雄首相と会談し、日本とも10年間の安全保障協定に署名した。
米最高裁、経口中絶薬への完全なアクセス維持を支持 - Bloomberg
フランス左派系政党、総選挙を控え結束で合意-マクロン氏に打撃 - Bloomberg
米MMF資産残高、過去最高更新-FRB利下げ急がずとの見方 - Bloomberg
フランス大統領は正気なのか、選挙の賭けは理解に苦しむとG7首脳 - Bloomberg
【コラム】フランスが向かう衰退の道、市場はもう認識-ローラン - Bloomberg
英国は欧州連合(EU)離脱の是非を問う8年前の国民投票に始まった、終わりのない危機に苦しんでいる。今度はフランスが危機の沼にはまり込もうとしている。
近く行われる総選挙で、フランスは求心力を失う親EU派大統領と、極右政府の台頭という前代未聞の組み合わせに直面する公算が大きい。もちろん、世論調査の結果は割り引いて考えられる必要があり、ユーロ離脱は選択肢にない。マクロン大統領は国家元首にとどまり続ける。
だが、どの政党も絶対的な過半数を獲得できず、政治的な混乱が続く恐れはある。中道右派の共和党は、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)と協力するかを巡り党内抗争が勃発した。左派も分裂している。極端な主義を掲げる政党を排除するよう設計された制度でかつては最大の恩恵を受けていたマクロン氏の政党は、いまや第3党にとどまる見通しだ。注目が集まる2027年の大統領選で倒すべき候補者はルペン氏となる見通しで、ルペン氏が追う立場だった17年とは様相が完全に異なる。
マクロン氏は12日、「過激派の熱狂」に浮かされてはならないと有権者に訴えるとともに、大統領として任期を全うすると主張し、神経質になっていた金融市場を落ち着かせた様子だ。だが、何年も半分寝ぼけた生活を送っていたフランスのエリート層が目を覚ますのは遅かった。ユーロの安定やパンデミック時代の財政バズーカの余韻、「フランスでそんなことが起こりようもない」という抗しがたい思い込みが恐らく背景にあったのだろう。結局、英国が経験したEU離脱を巡る混乱を目の当たりにし、ユーロ懐疑派の主張は有権者に響かなくなった。
エリート層の無頓着をオランド前大統領の元顧問、アキリーノ・モレル氏は「盲目を率いる盲目」と表現。既成政党が移民やインフレに対する怒りに対応できない、または対応する意欲がない中で、ルペン氏の政党は若者にもあまり若くはない者にも、富裕層にも社会に取り残された者にも全てにアピールしていると指摘した。
英国がEUを離脱して以来、パリでは金融業界で数千の雇用が生まれ、テクノロジー新興企業が点在するようになった。だが、同地で11日開かれた欧州金融業界の会合は、「今回は違う」との雰囲気が漂っていた。
講演した者らは、予定されるフランスの競争力強化策や公約されている欧州資本市場の統合でより多くの新規株式公開(IPO)を呼び込める(と同時にエネルギー大手トタルエネジーズをつなぎ留める)との見込みを話し、平静を装ったが、内々の会話では暗いムードが明らかだった。
金融市場はぜい弱性を感じ取り、一部のフランス債利回りはポルトガル債を上回る。次期政権が低成長と悪化する公的財政の修正に成功する可能性は一段と低いだろう。昨年の財政赤字が国内総生産(GDP)比5.5%に達したこともあり、EUが義務づける財政ルールを巡って欧州委員会とのやり取りはいっそう激しくなることが予想される。数年にわたる英国の混乱とドイツの不振で間接的な恩恵を受けてきたフランスだが、元の姿に戻ることもあり得る。
これから起こるかもしれないことに類似した歴史的な事例はあるのだろうか。フランスで大統領と政府の党派が異なることは以前にもあったが、マクロン氏とルペン氏(または同氏に次ぐナンバー2である28歳のバルデラ氏)ほどの組み合わせは過去に例がない。
極端な例では、社会党のミッテラン元大統領が予想外の勝利を収めた1981年に比肩し得るリスクがある。同氏の急進的で高額の費用を要した経済改革は、金融市場によって大きな代償を支払わせられた。トラス前英首相が引き起こしたような金融市場の混乱が、フランスでも起こり得る。
ただ、もっとあり得るのは、公共サービスが政争に巻きこまれるようになり、英国のEU離脱のように長期で徐々に衰退していくようなシナリオだ。例えば、ルペン氏の政党が政府を率いる場合、マクロン氏は欧州の場でどのような政策を代表するのだろうか。フランスは歴史的に、ユーロ圏の危機や新たな巨大合併に対する最近の提案に至るまで、欧州統合のために犠牲を払うことをいとわなかった。こうした時代が終わりを告げるかもしれない。
米PCE価格指数、6カ月ぶりの低い伸びか-物価指標が下振れ示唆 - Bloomberg
28日に発表される5月の米個人消費支出(PCE)価格指数は昨年11月以来、6カ月ぶりの小幅な伸びにとどまる見通しだ。今週発表された2つのインフレ指標がいずれも予想を下回ったことが背景にある。米金融当局はPCE価格指数をインフレ目標の基準にしている。
13日に発表された生産者物価指数(PPI)は、PCE価格指数の算出に使われるいくつかのカテゴリーが前月比で低下した。12日に発表された消費者物価指数(CPI)も予想より軟調だったため、食品とエネルギーを除いたいわゆるPCEコア価格指数が5月に前月比0.1%上昇にとどまると、複数のエコノミストが予想している。
「円安は一時的、当面は国債格下げ見込まず」S&P担当者 円の警告・国富を考えるインタビュー S&Pグローバル、キム・エン・タン氏 - 日本経済新聞
●中東情勢
●エマージング
ゼレンスキー氏がサウジ皇太子と会談、平和サミットなど協議 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
金融取引業規制機構(FINRA)に提出された資料によると、解雇されたのは全員がウェルス・投資マネジメント部門に所属していた。「仕事をしているかのような印象を与えるキーボード操作偽装に絡む調査の後に解雇された」という。
パソコン上で何か操作しているように見せ掛ける装置やソフトウエアは、新型コロナ禍で従業員の在宅勤務が増えた時期に人気となった。「マウスムーバー」や「マウスジグラー」と呼ばれるこうした機器はアマゾン・ドット・コムでは20ドル(約3100円)弱で売られており、ソーシャルメディア上では使い方のコツに関する情報も多く投稿されている。
●市況
NY市場サマリー(13日)ナスダック・S&P最高値、ドル上昇・利回り低下 | ロイター
<為替> ドルが上昇した。5月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想に反し下げに転じたものの、11─12日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)で示されたタカ派的なトーンが材料視された。
<債券> 米債利回りが低下した。米経済指標で労働市場や価格圧力の緩和が示され、利下げ期待が高まった。
指標10年債利回りは4.3ベーシスポイント(bp)低下の4.252%。
30年債利回りは3.6bp低下の4.414%。アナリストによると、米財務省が実施した30年債入札(220億ドル)は堅調だった。応札倍率は2.49倍と平均を上回り、1年ぶりの高水準となった。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が4日連続で終値ベースで過去最高値を更新した。ハイテク株が一段と上昇した。
個別銘柄では半導体大手ブロードコムが12.3%急伸。人工知能(AI)関連半導体の通期売上高見通しを上方修正し、株式分割を実施すると発表した。
電気自動車(EV)大手テスラは2.9%上昇。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の560億ドルの報酬案を株主が承認した。
引け後に発表した四半期決算が予想を上回ったデザインソフト大手アドビは時間外取引で14%超急伸した。通常取引終値は0.2%安だった。
<金先物> 米インフレ関連指標が市場予想を下回ったことを受け利益確定の売りが優勢となり、反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比36.80ドル(1.56%)安の1オンス=2318.00ドルとなり、5月上旬以来約1カ月ぶりの安値を更新した。
<米原油先物> 強弱まちまちの材料を眺めて売り買いが交錯した後、4日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は前日比0.12ドル(0.15%)高の1バレル=78.62ドルだった。8月物は0.11ドル高の78.26ドル。
欧州市場サマリー(13日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が12日に発表した政策金利の見通しを受けて、売りが優勢となった。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。自動車銘柄が売られて相場を押し下げた。
<ユーロ圏債券> ドイツ債利回りが低下した。5月の米卸売物価指数(PPI)が市場予想に反し下げに転じ、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を緩和するとの見方が後押しされた。
終盤のドイツ10年債利回りは2bp低下の2.513%となった。
一方、ユーロ圏債券市場では政治面での不安が依然として続き、フランス債のドイツ債に対するリスクプレミアムが拡大。独仏10年債利回り格差は69bpと、2023年3月以来の高水準となった。
フランス10年債利回りは4bp上昇の3.195%。
イタリア10年債利回りは5bp上昇の3.97%。独伊10年債利回り格差は145bpと8bp拡大した。
ドイツ2年債利回りは5bp低下の2.918%。
短期金融市場では、欧州中央銀行(ECB)による年内38bpの追加利下げが織り込まれている。2回目の利下げに着手するとの見方は完全に織り込まれており、年内3回目の利下げが行われる確率はおよそ50%と予想されている。

備忘録(2024/6/12
●雑感
●決算
[AVGO] ブロードコム 2Q増収減益 売上高43%増124億ドル、営業益26%減29.6億ドル…
●海外企業
米J&Jがベビーパウダー訴訟で和解、米42州と首都ワシントン | ロイター
発がん性が指摘されるベビーパウダーなどのマーケティングを巡る訴訟で、米42州および首都ワシントンと7億ドルで和解した。
42州とワシントンは、原料にタルク(滑石)を含むベビーパウダーその他の商品について、J&Jが消費者に安全であるとの誤解を与えていたとして訴えていた。
J&Jは不正行為があったとは認めずに和解に同意した。自社のタルク製品は安全であり、発がん性はないと主張している。
J&Jはタルク製品を巡って他にも数万件の訴訟と、1件の集団訴訟を起こされている。同社は昨年、全世界でタルクを使ったベビーパウダーの販売を中止した。
同社は過去に2回、訴訟の負担を本社から切り離そうと、子会社を設立した直後に子会社について連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請したが、2回とも裁判所に却下された。
J&Jは今年5月、3度目の連邦破産法の適用申請を通じて大半の訴訟を一括和解する提案も行っている。
J&Jの訴訟担当世界バイスプレジデント、エリック・ハース氏は11日、「タルク訴訟の包括的かつ最終的解決に向け、複数の道筋を追求し続けていく」との声明を出した。
米物流フェデックス、欧州で最大2000人を削減へ-コスト節減目指す - Bloomberg
米物流大手フェデックスは欧州で最大2000人を削減する計画だ。世界的に人員を整理しコストを削減する。
12日の発表文によると、計画ではバックオフィスおよびコマーシャル業務における役割を廃止・統合する。顧客または配送サービスへの影響はないとしている。
フェデックスは今回の計画により、2027年度から最大で年間1億7500万ドル(約270億円)を削減できる見通しだと述べた。人員削減に伴う関連費用として、税引き前で最大3億7500万ドルを見込むとしている。
●日本企業
ソニー・ピクチャーズ、米映画館運営アラモ・ドラフトハウスを買収 - Bloomberg
●米大統領選挙
●先進国中銀
情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨 | ロイター
FRB当局者、年内利下げは1回・25年は4回と予想=金利・経済見通し | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表した金利・経済見通しによると、政策担当者は今年の利下げは1回のみと予想している。これは3月時点の予想より2回少ない。
政策担当者19人のうち4人は、年内に利下げを行うべきではないと考えている。3月時点でそう考えていたのは2人だった。
一方、7人は年末までに1回の利下げが適切だとの認識を示した。2回の利下げが必要だとみる当局者は8人だった。
2025年末の政策金利の予測中央値は4.1%。来年には0.25%ポイントの利下げが4回行われることを意味している。
3月時点の見通しでは、24年と25年にそれぞれ少なくとも0.25%ポイントの利下げを3回実施すると予想していた。
24年末時点での政策金利の予測中央値は5.1%。前回予想は4.6%だった。
FRBが重視するインフレ指標であるコア個人消費支出(PCE)価格指数の見通しは24年末で2.8%、25年末には2.3%。3月時点では24年末が2.6%、25年末が2.2%だった。
失業率に関しては現在の4%から25年末までに4.2%に上昇すると予想。3月時点の予想は4.1%だった。
経済成長率見通しは24年が2.1%、25年が2.0%で据え置いた。
FRBが発表した金利・経済見通しは以下の通り。
●FF金利見通し中央値(カッコ内は前回見通し)
*24年末:5.1%(4.6%)
*25年末:4.1%(3.9%)
*26年末:3.1%(3.1%)
*長期:  2.8%(2.6%)
米FOMC声明全文 | ロイター
最近の指標は、経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることを示している。雇用の伸びは引き続き力強く、失業率は依然低い。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然高止まりしている。ここ数カ月間、委員会の2%のインフレ目標に向けての緩やかなさらなる進展がみられた。
委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す。委員会は、雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクのバランスがこの1年で改善に向かっていると判断する。経済の見通しは不確実で、委員会はインフレのリスクを引き続き大いに注視している。
目標を支援するため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを5.25─5.50%に維持することを決定した。FF金利の目標誘導レンジのあらゆる調整を検討するに当たり、委員会は今後もたらされるデータ、変化する見通し、リスクのバランスを慎重に評価する。委員会は、インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない。さらに、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける。委員会は、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む。
金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する。もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある。委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する。
政策決定の投票で賛成したのは、ジェローム・パウエル委員長、ジョン・ウィリアムズ副委員長、トーマス・バーキン、マイケル・バー、ラファエル・ボスティック、ミシェル・ボウマン、リサ・クック、メアリー・デイリー、フィリップ・ジェファーソン、アドリアナ・クーグラー、ロレッタ・メスター、クリストファー・ウォラーの各委員
FRB、金利据え置き 利下げ「年内1回」想定 | ロイター
FRBの9月利下げ観測高まる、5月CPIで物価圧力後退 | ロイター
FOMCは金利据え置き、24年利下げ予想1回に減少-来年は4回 - Bloomberg
【FOMC】予測はタカ派的だが議長会見は中立的-市場関係者の見方 - Bloomberg
9月の米利下げ確率が上昇、CPI統計受け-金利スワップ市場 - Bloomberg
スペイン中銀、今年の成長予想を2.3%に上方修正 観光活況で | ロイター
●先進国、グローバル、金融市場
石油需要は2029年までにピーク、大幅な供給過剰に IEA予測 | ロイター
国際エネルギー機関(IEA)は12日公表した年次報告で、世界の石油需要が2029年までにピークに達し、30年から減少に転じると予想した。20年代の間は供給能力が需要を上回る見通し。
供給能力は30年までに日量1億1400万バレル(bpd)近くに達し、需要を800万バレル上回ると予想。
ビロル事務局長は「最新のデータに基づく本報告の予測では、この10年間で大幅な供給過剰になる。石油会社は自社の事業戦略や計画が、このような変化に対応できるか検証すべきだ」と述べた。
電気自動車(EV)の普及、発電の脱石油化などに伴い、石油需要の伸びは29年までに日量1億0560万バレルで頭打ちとなり、30年には小幅に減少する見込み。
供給能力増加の4分の3は米国などの非石油輸出国機構(OPEC)諸国が占める。「これほどの余剰生産能力は、石油市場、OPEC加盟国およびそれ以外の生産国経済、米シェール産業に重大な影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
需要の伸びは主にアジア新興国が支える。特にインドの道路輸送、中国のジェット燃料と石油化学製品がけん引役になる。
24年の需要の伸びは、先進国の消費低迷を理由に10万バレル引き下げ96万バレルとした。25年は100万バレルの増加を見込んだ。これはOPECの予想を大幅に下回る。OPECは11日発表の月報で、24年の需要が225万バレル増、25年は185万バレル増で据え置いた。
米原油生産と世界需要、過去最高から一段と上方修正 EIA予想 | ロイター
オーストリア、9月29日に総選挙実施へ 極右が優勢 | ロイター
仏右派共和党、極右との選挙協力呼びかけ 各党が連携模索 | ロイター
フランスの右派政党、共和党のシオティ党首は11日、今月末の総選挙でマリーヌ・ルペン氏の極右「国民連合」(RN)との協力を呼びかけた。
シオティ氏はテレビで「(両党は)同じことを言っているのだから、想像上の対立を作りだすのはやめよう」と述べ、「有権者の大多数がわれわれの協力を求めている」とした。
ただ、党内では反発する議員が離脱の動きも見せている。フィリップ・ゴセラン議員は自身や多くの共和党議員にとってRNとの合意や連携など全く考えられないとし、新たなグループを立ち上げると述べた。
10日の世論調査によると、RNは今回の総選挙で勝利が予想されているが、過半数には届かない見通しで、下院の主導権を握るため協力相手を求めている。
RNのバルデラ党首は共和党の現職議員と候補者を数十人支援すると述べた。
一方、ゼムール党首率いる別の極右政党は、RNと選挙協力で合意できなかったと明らかにした。
また、左派政党は統一候補を擁立する方針を示したが、まだ正式合意には至っていない。
EUが主要ポストで合意図る、フォンデアライエン氏続投へ | ロイター
欧州連合(EU)は週明け17日に加盟国トップがブリュッセルで会合を開き、先の欧州議会選の結果を検証し、次期体制の主要ポストについて合意を図る見込みだ。執行機関である欧州委員会のトップはフォンデアライエン氏の続投が決まる見通しで、他の主要ポストについてはエストニアのカラス首相やポルトガルのコスタ前首相らが有力視されている。
外交筋によると、EUは今月28─29日の首脳会議前に主要ポストについて非公式な決定を行う見込み。
フォンデアライエン氏が率いる欧州人民党(EPP、中道右派)は議会選で最大会派を維持した。また、同氏はEPP所属の首脳13人に加えてドイツから支持を取り付け、フランスも支持に傾いている。
他のポストは、議会選で第2会派となった社会民主進歩同盟(S&D、中道左派)と、S&Dとの連合を復活する可能性が高い欧州刷新(RE、中道リベラル)が手に入れる見込み。
ミシェル欧州理事会議長の後任を巡っては、前ポルトガル首相のコスタ氏が最有力候補に挙がっている。ポルトガルのモンテネグロ新首相はコスタ氏が出馬すれば支持すると述べている。またEUの外交筋によると、ドイツのショルツ首相(社会民主党)もコスト氏を支持している。
外相にあたる外交安全保障上級代表のポストはリベラル派が獲得する見通しで、ロシアに対してタカ派的な姿勢を採るエストニアのカラス首相が有力候補となっている。
米CPIコア、2カ月連続でインフレ抑制示す-FOMCに朗報か - Bloomberg
米経済の基調的なインフレ指標は2カ月連続で低下し、利下げのタイミングを見極めたい連邦公開市場委員会(FOMC)にとって朗報となった。
食品とエネルギーを除いたコア消費者物価指数(CPI)は5月に前月比0.2%上昇-市場予想0.3%上昇
前年同月比では3.4%上昇-予想3.5%上昇
約3年ぶりの低い伸び
総合CPIは前月から横ばい-予想0.1%上昇
ほぼ2年ぶりの低水準
前年同月比では3.3%上昇-予想3.4%上昇
5月の統計は4月のコア指数低下と合わせ、インフレの下降局面が再開された可能性を示した。しかしFOMC当局者らはこれまで、利下げを検討するには数カ月にわたる物価圧力の低下を確認する必要があると強調してきた。とりわけ最新の雇用統計をきっかけに、金融政策が実際にどの程度景気を抑制しているのかという議論が再燃している。
米労働統計局が発表する数値は小数第1位まで表示されているが、インフレの方向性をより包括的に把握するため、当局者らは細かい数字に注意を払うようになっている。小数第2位まで表示すると、コアCPI指数は前月比で0.16%の上昇になる。
当局者らはまた、単月の数字はトレンドを成さないと度々強調している。過去3カ月のコアCPIは年率3.3%の上昇。4月時点の計算では4.1%の上昇だった。
セントルイス連銀前総裁のジェームズ・ブラード氏は「FOMCには朗報だと思う。待望の弱い数字が出てきたのだから」とブルームバーグテレビジョンで話した。「金融緩和を進めていくには、この方向のニュースがさらに続く必要があるだろう」と指摘しつつ、「しかしながら早い時期の利下げを望んでいた向きには、希望をつなぐ統計ではある」と続けた。
ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、イライザ・ウィンガー、エステル・オウ3氏は「5月のCPIは心強い統計だ。個人消費支出(PCE)コア価格指数はもっと良い数字になると思われる。この夏は似たような統計が複数続き、9月に利下げを開始する舞台が整うだろう」と述べた。
サービス分野で最大部分を占める住居費は0.4%上昇。持ち家のある人がその家を賃貸する場合の想定家賃である帰属家賃(OER)も同じく0.4%上昇した。ガソリンは下落した。
ブルームバーグの計算によれば、エネルギー、住宅を除いたサービス価格は前月比で2021年9月以来のマイナスとなった。政策当局はインフレ軌道を見極める上で、こうした指標に目を向けることの重要性を強調しているが、実際には別の指標であるPCE価格指数に基づいてそれを算出している。
サービスセクターでは幅広い分野でインフレが鈍化。中でもここ数カ月の価格圧力を上昇させてきた自動車保険は、21年以来の低下となった。航空運賃はほぼ1年ぶりの大幅下落。ケーブルテレビと衛星放送、動画配信サービスの価格はほぼ20年ぶりの大幅な低下を記録した。
サービスとは異なり、財の価格はほぼ1年前から持続的に下げており、消費者の不安をいくらか和らげてきた。しかしこの先のディスインフレをけん引する役割として、財の価格低下はあまり頼りにならないというのがエコノミストの見解だ。
食品とエネルギーを除くコア財価格は前月から横ばい。3月と4月には下げていた。中古車価格は今年最大の上昇率。処方薬は23年1月以来の大幅上昇だった。
豪財務相、対中関係で「甘い」考えはない-中国首相の訪問控え発言 - Bloomberg
【米CPI】利下げ開始「9月の可能性高い」-市場関係者の見方 - Bloomberg
米中小企業の景況感、今年の最高水準-景気先行き巡る弱気な見方後退 - Bloomberg
米中小企業の景況感は5月に小幅上昇し、今年の最高水準に達した。景気の先行きに対する弱気な見方が後退した。
全米自営業連盟(NFIB)が算出する中小企業楽観度指数は0.8ポイント上昇して90.5となった。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値を若干上回ったものの、長期平均(98)を下回ったままだ。
景気の上振れを見込む経営者の割合が7ポイント改善するなど、指数を構成する10項目のうち5項目で上昇した。企業の雇用拡大計画の項目も改善した。
中小企業の楽観度上昇は今年2回目。物価高や金利高、高い人件費に加え採用面の課題が長引く中、指数はなお新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を大きく下回っている。
NFIBの調査では、値上げを計画している企業の割合は2ポイント上昇し28%となった。前月は大きく落ち込み、1年ぶりの低水準を記録していた。インフレが最大の懸念との回答は22%で横ばい。資金調達が経営上の最大の課題と答えた企業の割合は約6%で、約14年ぶりの高水準を記録した。
MSCI、政府債指数にEU債を組み入れず-2025年に再度検討へ - Bloomberg
●中東情勢
●エマージング
メキシコ次期大統領、司法改革巡る投資家懸念を払拭 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(12日)S&P・ナスダック最高値、ドル下落・利回り低下 | ロイター
<為替> 5月の消費者物価指数(CPI)上昇率が予想を下回ったことを受けてドルが下落した。しかしその後、米連邦準備理事会(FRB)当局者による最新の金利・経済見通しで年内利下げが1回にとどまるとの見方が示され、下げ幅を縮小した。
<債券> 米債利回りが低下した。市場予想を下回る米消費者物価指数(CPI)を受け、米連邦準備理事会(FRB)が今後数カ月以内に利下げを実施するとの観測が高まった。
一方、FRBが11─12日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置いた。また最新の金利・経済見通しでは年内に1回の0.25%ポイントの利下げ実施が想定され、利下げ着手は12月になる可能性が示された。
これを受け米債利回りは低下幅をやや縮小した。
指標10年債利回りは8ベーシスポイント(bp)低下の4.322%。一時4.25%と4月1日以来の低水準を付けた。
30年債利回りは5.8bp低下の4.477%。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が3日連続で終値での最高値を更新した。朝方発表された米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったことが材料視された。
ただ午後に入り、米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表された経済見通しで、年内の利下げが1回のみと予想されたことを受け、日中高値からは下げて取引を終えた。
前日の引け後に決算を発表したソフトウエア大手オラクルは13.3%急伸。2025年度の売上高が2桁成長するとの見通しが好感された。
前日に大きく上昇したアップルは続伸し2.9%高で終了。時価総額が一時、マイクロソフトを超えて短時間ながら世界首位の座を取り戻した。
<金先物> 米インフレ指標の下振れを好感した買いが入り、反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比28.20ドル(1.21%)高の1オンス=2354.80ドル。
<米原油先物> ドル下落に伴う割安感や緊張が続く中東情勢を材料に買われ、3営業日続伸した。米 国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.60ドル (0.77%)高の1バレル=78.50ドル。8月物は0.60ドル高の78.15ド ルだった。
欧州市場サマリー(12日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。米国でのインフレ鈍化や英経済の減速を示す経済指標を受け、早期利下げ開始決定への期待が再び高まった。
<欧州株式市場> 4営業日ぶりに反発して取引を終えた。米国のインフレ鈍化を示す経済指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)が9月までに主要政策金利の引き下げを開始するとの観測が強まり、不動産株などが上昇した。
個別銘柄では、ドイツの自動車BMWは0.9%、フォルクスワーゲンは1.5%、それぞれ下落した。欧州連合(EU)欧州委員会が中国から輸入される電気自動車(EV)に追加関税を課す方針を発表したことを受け、中国の対抗措置が懸念された。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。5月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことから、米連邦準備理事会(FRB)が早ければ9月にも利下げを実施するとの見方が市場で強まった。

備忘録(2024/6/11
●雑感
●決算
●海外企業
米オラクル25年度売上高は2桁成長へ、AI需要追い風 株価8%高 | ロイター
米ソフトウエア大手オラクル(ORCL.N), opens new tabは11日、2025年度の売上高が2桁成長するとの見通しを示した。人工知能(AI)を活用したクラウドサービスへの強い需要を反映し、株価は引け後の時間外取引で8%上昇した。
生成AI「チャットGPT」を手がけるオープンAI、およびグーグルクラウドとの提携も発表した。
第4・四半期(3─5月)決算はクラウド収益が前年比20%増加の53億ドルとなった。
ただ、同四半期の総売上高は142億9000万ドルで、LSEGがまとめたアナリストの平均予想145億5000万ドルを下回った。
調整後の1株利益は1.63ドル。市場予想は1.65ドルだった。
サフラ・キャッツ最高経営責任者(CEO)は「OCI(オラクル・クラウド・インフラストラクチャー)の能力が需要に追いつくに伴い、各四半期に前期を上回るペースで成長する見通しだ」と指摘。
その上で「第4・四半期だけでも、オラクル・クラウドでチャットGPTを訓練するためのオープンAIとの契約を含め、総額125億ドルを超える30件余りのAI販売契約を結んだ」と述べた。
第4・四半期の残存履行義務(RPO)は980億ドルと、前年同期から44%増加した。
キャッツ氏は「オラクル・クラウドでのAI大規模言語モデル訓練に対する非常に強い需要がけん引し、第3、第4・四半期に当社史上最大の販売契約を結んだ」と述べた。
仏LVMH子会社、イタリア裁判所の監視下に 労働者扱い巡り | ロイター
仏高級ブランドLVMHのイタリア子会社は10日、ミラノの裁判所の監視下に置かれた。労働者を不当に扱ったとされる中国系下請け企業に仕事を発注していたとの疑惑を受けた措置。
ミラノの裁判所がこうした措置を講じるのは今年に入り3度目。4月にはジョルジオ・アルマーニが所有する企業に対して同様の措置が取られた。
高級品業界のサプライチェーン(供給網)はここ数年、消費者や投資家の厳しい監視にさらされている。評判リスクを減らすため、ファッションブランドは下請け業者の数を減らし、内部生産を進めており、イタリアの皮革製品業界への打撃となっている。同国の皮革製品業界は主にトスカーナ地方を拠点とし、中国人移民が設立した企業が多くを占めている。
裁判所文書では、24時間勤務体制を確保するためにLVMHの下請け企業で労働者が職場で寝泊まりさせられたり、生産速度を上げるために機械から安全装置が取り外されていたことが明らかになっている。
●日本企業
伊藤忠「円安で海外収益の還流を加速」 円基軸変わらず 円の警告・国富を考えるインタビュー 伊藤忠商事の鉢村剛CFO - 日本経済新聞
●米大統領選挙
バイデン大統領次男に有罪評決、銃購入時の虚偽申告巡る裁判 | ロイター
●先進国中銀
FRBの金利を長期にわたり維持する姿勢、利下げ期待する企業を直撃 - Bloomberg
米国の企業や消費者は年初の時点で、ようやく今年は金利が低下すると考え、設備や住宅を購入する大型計画を立てていた。しかし今は全ての計画が棚上げされ、米経済の大部分は当面、減速が続きそうだ。
ミシガン州では切削工具メーカーが最大100万ドル(約1億5700万円)相当の今年の新規設備投資を先送りした。アトランタの木工機械メーカーによれば、一部の顧客は装置寿命を延ばそうとしている。
今年初めに米国でインフレの進展が停滞すると、金融政策当局者は23年ぶり高水準にある金利を長期にわたり維持する方針を決定した。これを受け、企業は設備投資や在庫、雇用への投資の見直しを迫られた。連邦公開市場委員会(FOMC)は12日、金融政策を巡る声明を発表するが、市場では金利据え置きが見込まれている。
企業の痛みはデータにも表れている。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが予想する今年の製造業の設備投資はわずか3.9%増。1月時点の予想は6.7%増だった。米裁判所事務局によると、3月末までの1年間で米企業による破産申請件数は40%余り増え、個人の破産申請件数は15%増加した。
米供給管理協会(ISM)の5日発表によれば、非製造業セクターを対象とした調査の回答で、過半数がインフレや現在の金利は景況改善を妨げているとの見方を示唆した。
FOMCが予想以上に長期にわたり高金利を維持するという決定は世界にも不透明感をもたらしつつあるほか、負債に苦しむ消費者をさらに圧迫し、住宅購入を遅らせている。
ミシガン州に本社を置くフラートン・ツールは81年の歴史を持ち、同州とカリフォルニア州の設備で航空宇宙、自動車、医療分野などの切削工具を製造している。同社のパトリック・カリー社長は「金利が高いときには間違いなく手綱を締める必要がある」と述べ、「一部については設備購入を見送り、今ある設備で最善を尽くすよう努力しなければならない」と語る。
カリー氏によれば、フラートンは約100万ドル相当の設備更新を遅らせた。顧客もあまり設備は購入していないという。
金利先物市場の動向によれば、今年の米利下げは約1.5回と想定しており、9月に初回利下げが実施される確率はほぼ五分五分だ。
米業界団体の設備リース・金融協会(ELFA)のチーフエグゼクティブ、リー・ライトル氏は発表文で、FOMCがその時期に利下げを開始した場合、年後半には事業やソフトウエア投資は上向くだろうと述べた。
ECB、今後の利下げ急ぐべきでも遅らせるべきでもない-仏中銀総裁 - Bloomberg
ECB、いかなる金利の道筋も事前約束しない-フィンランド中銀総裁 - Bloomberg
ECB、インフレに対する勝利宣言は時期尚早-シムカス氏 - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
骨太方針、構造的賃上げが鍵 首相「新たなステージに歩み進める」=諮問会議 | ロイター
橋崩落の米ボルティモア港、水路が完全復旧 がれき撤去完了 | ロイター
米連邦政府機関は10日、米東海岸のボルティモア港への商業船の航行を全面的に再開したと発表した。3月26日に同港にかかる「フランシス・スコット・キー・ブリッジ」が崩落したことで発生した5万トンのがれきの撤去が完了した。
この事故ではコンテナ船「ダリ」が衝突して橋が崩落。6人が死亡し、ボルティモア港への航行ができなくなった。
米陸軍工兵隊によると、同日の調査で河床は航行に問題ない状態であることが確認され、同港につながる水路である「フォート・マクヘンリー・フェデラル・チャネル」も運用可能な状態に戻った。
米陸軍工兵隊と海軍当局は2カ月余りにわたり橋の残骸の撤去作業に取り組んできた。ダリは5月20日に事故現場から撤去された。
フランス議会の解散総選挙、格付けにマイナス=ムーディーズ | ロイター
格付け会社ムーディーズは、フランス議会の解散総選挙は財政再建に対するリスクを高めるとして、同国の信用格付けにマイナスとの見解を示した。
ムーディーズのフランスの格付けは「Aa2」で、フィッチとS&Pグローバルよりも1段階高い。
マクロン大統領は先週末の欧州議会選挙で極右政党が躍進したことを受けて、国民議会(下院)の解散を発表した。
ムーディーズは「次期政権が引き継ぐ厳しい財政状況を踏まえると、潜在的な政治の不安定化は信用リスクだ」と指摘。債務指標がさらに悪化した場合、フランスの格付け見通しは現在の「安定的」から「ネガティブ」に引き下げられる可能性があるとした。
「財政再建への取り組みが弱まれば、信用の低下圧力も高まるだろう」と警告した。
フランスは債務の国内総生産(GDP)比が110%超と、同等の格付けの他の国よりも高く、大規模な構造的財政赤字により1970年代以降ほぼ継続的に拡大していると指摘した。
歳入とGDPに対する利払いで測った債務返済能力の悪化度合いが他の国よりも著しく大きいと判断した場合、見通しと格付けがネガティブに移行する可能性があるとした。
マクロン仏大統領、辞任の可能性否定-選挙結果は地位に影響せず - Bloomberg
フランスのマクロン大統領は、総選挙の結果が大統領の地位に影響することはないと明言した。これより先、総選挙の結果次第で大統領が辞任を検討していると報じられ、フランス債が急落していた。
マクロン氏(46)は仏紙フィガロとのインタビューで、マリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党・国民連合(RN)が総選挙で勝利し、大統領の辞任を要求したらどうするのかと問われ、「憲法やその精神をつくったのはRNではない」と指摘。「制度は明確で、大統領の地位もそうだ。選挙結果がどうあろうとだ。それは侵すことができない」と述べた。
フランス債の下落は、議会を解散して総選挙実施をマクロン氏が決定した後に欧州債市場がどれほど神経質になっているかを浮き彫りにする。同氏は11日午後に記者会見を予定していたが、12日へと先送りした。
総選挙では、ルペン氏の単独過半数獲得はまだ最も可能性の高い結果ではない。だが、マクロン氏が惨敗を免れるとしても、経済にブレーキをかけている欠点に対処するための改革案を通す能力をほとんど、あるいは全く持てずに、分裂した議会を運営せざるを得なくなる公算が大きい。
10日公表された第1回投票の有権者の意向をたずねた調査によると、RNが34%の支持を集め、マクロン氏の連合は19%で後れをとった。
ピムコ、さらなる米地銀破綻を予想-商業用不動産向け融資が集中 - Bloomberg
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、米国の地方銀行の破綻が今後も起こると予想している。問題を抱えた商業用不動産ローンが地銀のバランスシートに集中していると指摘した。
ピムコのグローバルプライベート商業用不動産チーム責任者、ジョン・マレー氏はインタビューで、ショッピングモールやオフィス向けローンの貸し手にとって「本当のディストレスの波は始まったばかりだ」と語った。同氏の部門はピムコの1730億ドル(約27兆2000億円)規模のオルタナティブ事業部門に属している。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ時期を巡る不透明は、商業用不動産セクターが直面する問題を悪化させている。借り入れコスト上昇が物件の評価額を押し下げデフォルト(債務不履行)を引き起こし、貸し手は売れない資産を抱えることになっている。
マレー氏によれば、大手銀行は市場の予想に反して、損失の拡大を避けるためにより質の高い資産の一部を先に処分している。「しかし、満期が近づき問題債権が増加するにつれ、銀行はエクスポージャーを減らすため問題の大きい債権を売却し始めると予想している」と同氏は語った。同氏のチームは過去1年半、大手銀行が処分する商業用不動産向けローンを購入しているという。
この混乱は特に地銀に大きく影響している。地銀は商業用不動産ローンへのエクスポージャーを増やしたが、多くの場合不動産の価値はピーク時の数分の一に落ち込んでいる。昨年の複数行の破綻以来、中小銀行は投資家の不安の種になっている。資産規模で最大の地銀であるUSバンコープは、1-3月(第1四半期)の貸倒引当金繰入額を5億5300万ドルに増やした。
MSCIリアルアセットが3月に発表したリポートによると、地銀は近年、商業用不動産関連の借り手に対して追加の頭金支払いを要求しなかったため、価値下落に対する脆弱(ぜいじゃく)性が大きい。預金取扱機関は今年、推定4410億ドルの不動産向けローンの満期に直面している。
マレー氏によると、大手銀行は08年の金融危機以降、商業用不動産向け融資を抑制してきたため、大手銀にとって不動産エクスポージャーがシステミックな問題を引き起こすことはない見込みだという。しかし、借り手が返済できないということは、21、22年に比べて貸し出しがさらに減少していることを意味すると同氏は付け加えた。
多くのモーゲージ不動産投資信託(REIT)も自らの問題に直面しており、新規投資を引き受ける能力は限られる。スターウッド・リアル・エステート・インカム・トラストは先月、流動性を維持し資産売却を避けるため、投資家の資金引き揚げの制限を厳格化した。ブラックストーンの590億ドルのREITでは解約請求が増えた。
銀行ばかりでなく、米ファンドによる2000億ドル超のローンが25年までに満期を迎え、これも要注意だとマレー氏は指摘。また、ピムコはドイツの銀行が商業用不動産のエクスポージャーをどのように処理するかにも注目している。
「金利上昇と景気後退圧力が組み合わさると、資本市場とファンダメンタルズの両面から、商業用不動産に真の課題が生じる」とマレー氏は述べた。
「バーゼル3」最終化、EUが実施を1年延期へ-関係者 - Bloomberg
欧州連合(EU)は銀行資本規制「バーゼル3」の最終化を1年遅らせる見通しだ。事情に詳しい関係者が明らかにした。米国ではまだ論争が続いていることもあり、先行実施で域内の金融機関が不利になる事態を避けることが狙いだという。
2008年に発生した金融危機の再発防止が目的のバーゼル3最終化は、バーゼル銀行監督委員会で各国が合意。その合意から約7年を経て、EUでは来年1月1日から施行されるはずだった。
決定がまだ発表されていないとして匿名を要請した関係者によると、最終化を施行すれば銀行のトレーディング事業が影響を受け、こうした活動はグローバルな性質であることからEUは実施を遅らせる計画だ。欧州委員会は欧州議会や各国政府に諮ることなしに、実施を遅らせる権限を持つ。
欧州委の報道官は「他国・地域の実施を巡る不透明性に鑑み、委員会は国際的な動向を監視し、必要に応じ特定分野で行動する用意がある」とコメントした。
最終化の実施は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)、準備にもう1年必要だとの銀行の要求によって既に予定から2年遅れていた。いまや規制当局者の間では、米国の政治的な揺り戻しと経済成長により重点を置く欧州の政策が相まって、最終化の広範な後退につながる可能性が懸念されている。
EUには数カ月前から、実施先送りを求める圧力がかかっていた。先行実施すれば域内の銀行が不利益を被るとマクロン仏大統領ら首脳は主張。ドイツ銀行のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)も、欧州の銀行が「厳しい」国際的な競争を強いられているとし、欧州委に行動を促していた。
当初の計画に従うと、最終化が実施されれば、EU内の銀行は9.9%の資本上積みが必要になる。米国の銀行はこれを上回る上積みが求められる。
米国ではバーゼル3最終化が政治的な火種となったこともあり、国内版の合意がまだまとまらず、実施は早くても来年半ば以降になる見通しだ。英国は来年半ばを実施開始の時期に設定した。
EUは部分的な実施延期をまだ正式決定していないが、数週間以内にもその可能性があり、今夏にも発表があり得ると関係者は語った。
JPモルガンが警戒、CPIとFOMCによる株価ショックの可能性 - Bloomberg
小池百合子都知事3選出馬へ 自民党、不戦敗回避へ苦肉の支援 - 日本経済新聞
[FT]遅れるPEファンドの投資回収、IPO・M&A市場が低迷 - 日本経済新聞
イギリス与党が公約、就労ビザ発給に上限 移民削減へ強硬策 - 日本経済新聞
世界の鉄鋼、中国「鉄余り」で減益 日本は構造改革奏功 - 日本経済新聞
世界の鉄鋼大手の業績が落ち込んでいる。2024年1〜3月期の本業のもうけを示す利益は主要8社中6社が前年同期から減った。中国の「鉄余り」で鋼材の国際市況が低迷し、原料価格の高止まりも収益を圧迫する。日本製鉄など日本勢は国内向けでの値上げや構造改革が奏功し、逆境下で底堅さを見せている。
24年世界成長率2.6%に上方修正、世銀 米が好調 日本は引き下げ | ロイター
世界銀行は11日、最新の世界経済見通しで、2024年の世界経済成長伸び見通しを2.6%とし、1月時点の予測から0.2%ポイント上方修正した。好調な米国が主導し、3年連続での成長率縮小を回避する見通し。
ただ、25年および26年の世界成長率見通しはともに2.7%と、コロナ禍前の10年平均である3.1%を下回った。世界の人口と国内総生産(GDP)の80%を占める国々で、コロナ禍前と比べ、26年まで成長が鈍化する見通しとした。
世銀のアイハン・コーゼ副チーフエコノミストはロイターとのインタビューで「ある意味、ソフトランディングへの滑走路が見える」とし、米国など主要経済国では金利の急上昇が大規模な失業といった混乱を引き起こすことなく、インフレが抑制されたと指摘。同時に、世界の成長が「低速レーンから抜け出せない可能性は悪いニュースだ」と語った。
世銀はまた、今後3年間の金利が2000─19年の平均の倍の水準で推移し、成長にブレーキがかかるほか、新興国への債務圧力が増すと予想した。
<米国は堅調、日本は下方修正>
24年の米経済成長率は2.5%と、1月時点の予測である1.6%から大幅に引き上げられた。
一方、日本の成長率見通しは0.7%と、0.2%ポイント下方修正された。消費の低調な伸びや輸出の減速、観光需要の一服を理由に挙げた。
中国は4.8%と、0.3%ポイント上方修正。主に輸出の伸びが国内需要の低迷を相殺すると予想した。ただ、低調な投資や消費者信頼感のほか、不動産部門の低迷が続く中、25年については4.1%に鈍化すると見込んだ。
ユーロ圏の24年成長率見通しは、エネルギーコスト高騰や工業生産の低迷を背景に0.7%で据え置いた。
インドは6.6%と、1月の6.4%から引き上げ。堅調な国内需要を指摘した。
<下振れリスク>
長期的な高金利シナリオに加え、パレスチナ地区ガザやウクライナでの紛争の影響拡大を、世界経済見通しに対する最大の下振れリスクと指摘した。
中東での紛争が拡大すれば、海運に一段の混乱が生じ、原油価格やインフレが上昇する恐れがあるほか、ウクライナ情勢を巡る不確実性が高まれば、原油や穀物市場が混乱し、近隣諸国への投資が阻害される可能性があるという認識を示した。世界貿易量の伸びの回復が妨げられる可能性にも言及した。
また、多くの国で高まる保護主義や産業政策が世界のサプライチェーンの非効率を増大させ、新興国などへの投資が減少する可能性があるほか、中国の景気後退が深刻化すれば、とりわけ資源輸出国などの成長が阻害されるおそれも指摘した。
英首相、さらなる減税を公約 総選挙へ巻き返し図る | ロイター
スナク英首相は11日、2029/30年までに年間約170億ポンド(217億ドル)の労働者向け減税を公約に掲げた。7月4日の総選挙を控え、英シルバーストーンで保守党のマニフェスト(政権公約)を発表した。
スナク氏が率いる与党保守党は、世論調査で野党労働党に20ポイント前後リードを許す展開が続いており、巻き返しを図る狙いがある。
スナク氏は「国民が保守党と私に不満を抱いているという事実は見えている」と言及。経済はようやく回復しつつあり、再選されれば労働者の税負担を軽減し、経済成長をさらに加速させると主張した。
減税の財源として、福祉関連の歳出を年間120億ポンド削減するほか、課税逃れや脱税対策によって年間60億ポンドを賄う。
最大の減税措置は労働者が支払う国民保険料の2%ポイントの引き下げで、170億ポンドのうち100億ポンドを占める。スナク氏が首相に再選されれば27年4月までに実施する計画だ。保守党は減税を選挙戦の中心に据えることを目指している。
労働党は13日にマニフェストを発表する。労働党のスターマー党首はこれまで、主要な税金を引き上げるつもりはないと語っている。
クオンツのクローン商品、利便性に複製元ヘッジファンドも抵抗できず - Bloomberg
チョコはしばらく高嶺の花に、カカオ豆不足が駆り立てる新たな挑戦 - Bloomberg
フランスで極右勝利なら債務危機、トラス氏の二の舞も-経済・財務相 - Bloomberg
フランスのルメール経済・財務相は、今月30日の第1回投票を経て7月7日に決選投票が実施される国民議会(下院、定数577)選挙について、マリーヌ・ルペン氏の極右政党・国民連合(RN)が勝利し、同氏が提唱する経済プログラムが実行されれば、フランスは債務危機に陥ると警告した。
ルメール経済・財務相はフランス北部のかつての選挙区で開かれた集会で、(消費税に相当する)付加価値税(VAT)税率や退職年齢の引き下げなど、RNが過去に支持した政策には数千億ユーロの費用がかかると語った。
大型減税案などが財政不安を引き起こし、英国債とポンド相場の急落を招いたトラス前英政権に言及し、「フランスでは債務危機が起こり得る。トラス(前英首マクロン大統領は9日、欧州連合(EU)の欧州議会選でRNが圧勝し、中道の与党連合が大敗したことを受け、国民議会を解散し、総選挙を実施すると発表した。相)シナリオもあり得る」とルメール氏は発言した。
●中東情勢
エジプトとカタール、ハマスからガザ停戦案巡る回答受け取る | ロイター
エジプト・カタール両政府は11日、バイデン米大統領が公表したイスラエルとイスラム組織ハマスとのパレスチナ自治区ガザにおける停戦案について、ハマスから回答を受け取ったと発表した。回答内容は不明。
ただ、匿名の当局者によると、ハマスはイスラエルとの恒久的な停戦および南部ラファを含むガザからのイスラエル軍撤退に関する新たなスケジュールを提案したという。
ハマス当局者は、回答について「われわれはこれまでの立場を繰り返した。大きな隔たりはないと考えている。ボールは今、イスラエルのコートにある」とした。
エジプト当局者からのさらなるコメントは現時点で得られてない。
一方、米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は11日、ハマスがエジプトとカタールに提示した正式な回答を米国も受け取り、評価していると述べた。
停戦巡る安保理決議、ハマス幹部が受け入れ表明 米は新たな支援発表 | ロイター
●エマージング
香港の不動産、42兆円超の価値消失-信頼感低下で不況に拍車 - Bloomberg
不動産価格の変動が大きいことで知られる香港だが、今回の不況は際立って深刻だ。住宅価格の低迷が5年近く続いている。約20年前に起きた重症急性呼吸器症候群(SARS)危機時以来の長期低迷だ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の新たな分析によれば、商業用不動産の損失分と合わせると、香港の不動産から2019年以降に少なくとも2兆1000億香港ドル(約42兆3000億円)の価値が失われた。UBSグループとCBREグループはさらに打撃が大きくなると見込んでいる。
ニューヨークやロンドンといった他の都市と同様に、香港も金利上昇や金融セクターの雇用喪失、労働習慣の変化などに苦しめられている。
しかし、香港の多くの人々にとって、不動産市場の低迷は、アジア随一の金融ハブとしての香港の地位への信頼が着実に失われているという、より憂慮すべき現象を表す最も明確な市場指標の一つでもある。
中国当局による信頼回復に向けた最近の取り組みにもかかわらず、香港の将来に対する懸念は根強い。
英国の植民地だった香港の自由に対する中国の締め付けは、19年の民主化デモをきっかけに始まった。中国の習近平政権は20年に香港国家安全維持法(国安法)を導入。香港は今年3月、国家安全条例を成立させた。
こうした状況を受け、不動産需要を押し上げてきた海外企業や駐在員が相次ぎ撤退。欧米資本と中国企業の橋渡し役としての香港の役割に疑念が生じたことで、不動産の買い手は様子見を続けている。
台湾を巡り米国と中国の対立も激化し、米中間の衝突に至るのではとの長年の懸念も一段と強まっている。
香港で不動産が住民の意識に及ぼす影響は、恐らく他のどの主要な金融ハブよりも大きいもようだ。
地元のセレブと長く見なされてきた不動産業界の大物らは、22年以降に純資産が40億米ドル(約6300億円)目減りしたことで、事業の多角・分散化を検討。住宅所有者の間ではかつては考えられなかった規模の譲渡損失を受け入れ、自宅を手放そうとする人も増えている。
悪循環
香港の不動産開発会社ハンルン・プロパティーズ(恒隆地産)の陳啓宗・前会長は今月開催されたフォーラム「ブルームバーグ・ウェルス」で、「不動産セクターでは、この50年間で最大の構造変化が起きている」と述べた。
住宅ローンの借り手やより広範な金融システムに危機が迫っていると予測する人はほとんどいないものの、不動産部門の低迷が香港への信頼感を一段と低下させる悪循環に拍車がかかる恐れがある。
当局が約10年にわたった不動産購入抑制策を2月に撤廃した後も不動産価格は下落し続けており、香港島の住宅を対象とした中原地産の指数は5月26日終了週に16年以来の低水準に落ち込んだ。
会計士のリリアン・リウさん(35)は海の見える自宅を950万香港ドルで昨年2月に売り出したとき、妥当な価格設定だと思った。
香港の金融街から地下鉄で2駅の距離で広さ26平方メートルのその集合住宅物件は、素晴らしいバルコニーを備え、大きな窓からは朝日が差し込む。下の通りにはシックなカフェやバーが点在している。
しかし、買い手が現れず、リウさんは売値を3%引き下げた。その後15%、次いで5%値下げしたが、1年以上たった今も買い手はつかず、既に120万香港ドルの損失に見舞われている。
「香港人にとって、人生のゴールは家を持つことだった。今では持たなければ良
かったと私は思っている」とリウさんは打ち明けた。
香港政府の報道官は電子メールで送付した声明で、香港の不動産市場を圧迫しているのは、構造的な需要減退ではなく、世界経済の成長鈍化と金利上昇、香港株式市場のセンチメントの波及だと指摘。
さらに、オフィススペースの供給増は香港の持続可能な発展に資するものだとして、政府は不動産市場を注意深く監視し、社会・経済的ニーズを満たすのに十分な土地を提供していくと表明した。
報道官は地政学的な面について、香港の「ユニークな地位」は「一国二制度」に基づく制度的な強みに支えられていると説明。これには透明な市場や国際的な規制体制、低い税率、商品の自由な流通などが含まれ、これら全てが「変わりなく維持されている」と主張した。
香港島の住宅価格は19年の高値から約29%下落。昨年10-12月(第4四半期)以来、売れ残り物件は20年ぶりの高水準近くにとどまっている。
高級住宅も同様に打撃を受けている。ハビタット・プロパティーのシニアコンサルタント、アラン・リー氏は「昨年は不動産市場にとって過去30年で最悪の年だった。物件を売りたければ、少なくとも20%の値下げが必要だ」との見方を示した。
シンガポール、ファミリーオフィスとヘッジファンドの精査を強化 - Bloomberg
シンガポール当局は、相次ぐ不祥事で監督体制の不備が浮き彫りになったことを受け、ファミリーオフィスやヘッジファンドにさらなる情報提供を求めるとともに、休眠会社の閉鎖を進めている。
事情に詳しい関係者によると、政府は3月以降、さまざまな投資規制を強化する動きを加速させており、数カ月以内に満たすべき追加要件を定めたり、活動を停止している企業の閉鎖を加速させたりしている。
免税措置を受けているファミリーオフィスは5月、より詳細な情報を求める新しい書式を受け取り、6月末までに情報を提出するよう指示された。
シンガポール通貨庁(MAS、中央銀行)は3月、2億5000万ドル(約390億円)までの資産を持つヘッジファンドが利用していた登録制度を8月1日までに廃止し、より厳格な報告義務を課す制度に移行することを確認した。
一連の刑事事件で外国から流入する富を取り締まることの難しさが浮き彫りになったことから、シンガポール当局は金融機関の監視を強化している。最近起きた30億シンガポール・ドル(約3500億円)のマネーロンダリング(資金洗浄)事件の被告人のうち少なくとも1人は、非課税を認められたファミリーオフィスに関係していた。
シンガポール経営大学(SMU)のリチャード・クロウリー准教授(会計学)は、「より多くの、そして理想的にはより多様なデータを持つことは、望ましくない活動を早期に発見できる可能性を高め、違法行為が引き起こすかもしれない経済的影響や評判の損失を最小限に抑えるのに役立つ」と述べた。
非課税のファミリーオフィスがMASに提出しなければならない年次申告書の書式によると、ファミリーオフィスは 実質的支配者、取締役、代表者、株主がマネーロンダリングやテロ資金供与の犯罪を犯したことがなく、有罪判決を受けたこともなければ、起訴されたこともないことを確認しなければならない。
また、運用資産が国内の資本規制を順守していること、ファンド運用会社が世界のいかなる当局からも規制措置を受けていないことも確認しなければならない。
ファミリーオフィスはシンガポールに拠点を置くプライベートバンクに口座を維持し、最終受益者と重要な従業員の国籍と出生国の両方を提出しなければならない。
MASの広報担当者は、デューデリジェンスの範囲を拡大するためプロセスを強化することを昨年12月に通知したと説明。「更新された年次申告書の書式はこの強化の一環をなすものだ」と述べた。
MASはまた、デューデリジェンスをより広範な個人・団体に拡大し、マネーロンダリングやテロ資金供与のリスクについて申請者を審査するパネルを任命するなどして、税制優遇措置のプロセスを厳格化した。告発された人物に関連するシングル・ファミリーオフィスは「もはや税制優遇措置を享受できない」という。
MASは昨年10月、2012年以来多くのヘッジファンドが利用してきた登録ファンドマネジメント会社(RFMC)の制度からより厳格な認可ファンドマネジメント会社(LFMC)制度に移行する計画を示唆。今年3月に、移行に8月という期限を設けた。
また、シンガポールの会計企業規制庁(ACRA)は活動を停止している会社の取締役に連絡を取り、その会社を閉鎖しようとしている。ACRAの広報担当者によると、2023年までの5年間に1万7000社の非活動企業が登録を抹消され、取り組みはそれ以降に強化されている。
アングル:中国の住宅在庫買い取り制度、デベロッパー支援効果期待できず | ロイター
メキシコ次期大統領、司法改革推進に意欲 ペソ2%下落 | ロイター
メキシコのシェインバウム次期大統領は10日、司法制度改革を含む憲法改正案を次期議会の開会前に討議にかける意向を示した。
ロペスオブラドール現大統領との会談後、司法制度改革や社会保障給付の増額などが議会で最初に可決される可能性があると述べた。
これを受け、通貨ペソは海外市場で2%近く下落した。
一部の措置はロペスオブラドール氏が2月に発表した憲法改正案の一環。同案には主要な規制機関の廃止も盛り込まれていた。
当時は市場の動揺につながらなかったが、2日に行われた総選挙で与党連合が下院で憲法改正に必要な圧倒的多数(スーパーマジョリティー)を獲得したことを受け、市場は警戒感を強めている。
与党連合は上院ではスーパーマジョリティーにわずかに及ばなかった。ただ、アナリストは交渉を通じて必要な票を確保できる可能性が高いとみている。
新議会は9月に始まるが、シェインバウム氏の就任は10月のため、ロペスオブラドール氏が改革実現を目指す可能性がある。
●プロファイ、インフラ、自然災害
浮体式洋上風力、初の大規模実証へ 丸紅系・中部電力系を選定 - 日本経済新聞
経済産業省は11日、浮体式の洋上風力発電の実証を担う事業者に丸紅系を含む企業連合と中部電力系の企業連合の2陣営を選定した。出力規模が1万キロワット以上の大規模実証は日本で初めてとなる。日本の課題である再生可能エネルギーの電源比率の引き上げに向け、より広い海域で大規模な風力発電の技術を開発する。
各企業連合は24年度から30年度の期間中に環境アセスメントなどの事前調査や設備の製造、試運転を実施する。その後に地元の漁業関係者などと調整しながら実用化を目指す構想だ。
浮体式の洋上風力は海に浮かべた風車で発電する仕組みで、現在主流の海底に固定された「着床式」より深い海で発電設備を設置できる。
政府は事業者の実施計画を審査し、11日に大規模実証の2海域を選んだ。秋田県の南部沖は丸紅洋上風力開発、東北電力、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)を含む連合に決まった。愛知県の田原市・豊橋市沖では中部電力系のシーテック(名古屋市)、日立造船、鹿島を含む連合を選んだ。発電コストの安さなどが決め手になった。
両連合は設備の「浮体」と呼ばれる部分の半分を潜水させる「セミサブ型」と呼ばれる型式を採用する。他のタイプより構造は複雑だが、浮体が揺れにくく幅広い海域で設置しやすい。丸紅の原田悟電力本部長は「今後アジアへの展開も視野に、国内外の案件形成に貢献していきたい」と話す。
政府は実証にかかる費用の一部を補助する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が運営する「グリーンイノベーション基金」から最大850億円を拠出して支援する。
2連合が事業で使う風力の出力はともに1.5万キロワット超で、一般家庭5000世帯ほどの年間消費電力量をカバーできる規模だ。浮体式では世界最大級にあたる。長崎県五島市沖に国内設備があるが、0.2万キロワット程度と小さかった。
浮体式は日本の再エネ普及に欠かせない。政府は洋上風力に関して30年に1000万キロワット、40年までに3000万〜4500万キロワット分の案件づくりを目指す。40年までに洋上風力では浮体式が主流になると業界関係者は予測している。
日本は現在2割程度の再生可能エネルギーの電源比率を30年度に36~38%に伸ばす目標を掲げており、40年度での上積みも模索する。ただ国土が狭いため従来の主力だった太陽光パネルの設置可能エリアの余地は限界に近づく。浮体式洋上風力が目標達成の切り札の一つになる。
浮体式の計画では英国や米国など海外が先行しているが、まだ量産技術は世界で確立していない。世界最大級の今回の大規模プロジェクトが成功すれば、日本勢の浮体式洋上風力における国際競争力を確保するうえでも前進となる。
●小ネタ
「偽装フリーランス」153人 厚労省が初集計、23年度 - 日本経済新聞
電子ギフト詐欺、9割は「アップルギフトカード」悪用 警察庁が対策要請 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(11日)ドル4週間ぶり高値、S&P上昇・利回り低下 | ロイター
<為替> ドルが4週間ぶりの高値を記録した。12日に発表される米消費者物価指数(CPI)と連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が注目される。
<債券> 指標10年債利回りが3営業日ぶりに低下した。12日に米消費者物価指数(CPI)と米連邦準備理事会(FRB)の政策発表を控える中、堅調な入札結果を受けた。
10年債利回りは5.7bp低下の4.412%と1週間ぶりの大幅な低下となる見込み。
30年債利回りは5.3bp低下の4.5427%。
2年債利回りは4.7bp低下の4.838%となった。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が前日に続き終値で最高値を更新した。アップルが7%超急伸したことに支援された。市場では、12日の米消費者物価指数(CPI)と米連邦準備理事会(FRB)の政策発表が注目されている。
ソフトウエア大手オラクルは四半期決算を受け、引け後の時間外取引で8%上昇した。通常取引終値は0.5%安だった。
<金先物> 対ユーロでのドル高に押され反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.40ドル(0.02%)安の1オンス=2326.60ドル。ただ、12日発表の米インフレ指標や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えたポジション調整の動きが中心で、レンジ内での値動きにとどまった。
<米原油先物> 朝方は軟調となったものの、堅調な世界のエネルギー需要見通しなどを背景に買い戻され、小幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物は前日清算値(終値に相当)比0.16ドル(0.21%)高の1バレル=77.90ドルだった。8月物は0.22ドル高の77.55ドル。
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。金融関連株や鉱業株が重しとなり、FTSE100種指数(.FTSE), opens new tabは約2カ月弱ぶりの大幅な下げとなった。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。
フランスの政局の不透明感が懸念され、銀行株の下落が目立った。
STOXX欧州600種銀行株指数は2.25%安。銀行銘柄の比重が高いイタリアの主要株価FTSE・MIB指数は1.93%、スペインのIBEX指数は1.60%、それぞれ下げた。
フランスのCAC40指数は1.33%安だった。
<ユーロ圏債券> 仏10年債利回りが4日連続で上昇した。一時、昨年11月以来の高水準を付けた。9日にマクロン仏大統領が国民議会(下院)の解散総選挙を決定したことが材料視された。ただ、終盤にかけては売り圧力が弱まった。
フランス10年債利回りは一時9.8ベーシスポイント(bp)上昇して3.338%となった。終盤の取引では1bp上昇の3.25%。
10日に公表された総選挙発表後初の世論調査ではマリーヌ・ルペン氏の極右「国民連合(RN)」の勝利が予想されている。ただ、過半数には届かない見通しだ。
格付け会社ムーディーズは、フランスの解散総選挙は財政再建に対するリスクを高めるとして、同国の信用格付けにマイナスとの見解を表明。債務に関する指標が悪化した場合、格付け見通しが現在の「安定的」から「ネガティブ」に引き下げられる可能性があるとした
ドイツ10年債利回りは3.8bp低下の2.636%。
イタリア10年債利回りは1.6bp上昇の4.097%。独伊10年債利回り格差は145bpと3カ月ぶりの高水準となった。

備忘録(2024/6/10
●雑感
●決算
●海外企業
エリオット、サウスウエスト航空株20億ドル保有 有力株主に=米紙 | ロイター
●日本企業
野村HD、29年度末までに100億円投資-新興や外国運用業者など対象 - Bloomberg
●米大統領選挙
●先進国中銀
●先進国、グローバル、金融市場
欧州議会選、スペインは中道派が極右抑える 首相の地位強化へ | ロイター
焦点:欧州で崩れる右派への「防疫線」、EUの重要政策に影響力 | ロイター
欧州議会選挙は、右派・ナショナリスト勢力が物価高騰や移民問題、環境対策負担増大などを巡る有権者の不満を巧みに取り込んで議席を大きく伸ばす見通しで、欧州連合(EU)の重要政策への影響力を強めようとしている。
右派・ナショナリストやポピュリスト、EUに懐疑的な勢力などの合計獲得議席は、欧州議会事務局の推計に基づくと定数(720)の4分の1弱に達する勢い。
米国でも過激な主張を掲げるトランプ前大統領の人気が根強く、現状維持を唱える既存の主要政党から極端な党派に有権者の支持が流れる傾向が、西側で広がりつつあることが確認できる。
実際、ハンガリーやイタリア、スロバキアではすでにナショナリストの首相が生まれ、フィンランドとスウェーデンは右派政党が政権を担うか支えている。オランダでも反移民の自由党が連立与党入りしそうな様相だ。
過去の欧州議会選で、これら各国の右派は「英国に続け」とばかりにEUや通貨ユーロからの離脱を主張していたが、今回はEUの中で影響力を行使しようと考えている。
英王立国際問題研究所のアルミダ・ファンリーイ上席研究員は、極右を政治の表舞台から排除するためのいわゆる「防疫線」が崩れてきていると指摘。右派側がソーシャルメディアを幅広く駆使して若い有権者を取り込んでいる点などをその理由として挙げた。
<結束図れるか>
ベルギー北部オランダ語圏の極右「フラームス・ベラング(VB)」に属する議員の1人は新たな欧州議会の課題として、1)最近合意されたEUの移民協定の廃止、2)環境規制の緩和、3)フォンデアライエン氏に比べて右派寄りの次期欧州委員長選出――を示した。
現時点で次期欧州委員長レースは、第1党の座を維持するとみられる中道右派「欧州人民党(EPP)」に支えられて続投を目指すフォンデアライエン氏が先頭を走っている。
ただ、同氏も欧州議会での確実な承認を得るためにはイタリアのメローニ首相が率いる「イタリアの同胞」など一部右派勢力を味方につける必要があるかもしれず、メローニ氏らの政治的立場を強めることになる。
欧州改革センター(CER)のルイジ・スカッツィエリ上席研究員は、こうした中でEPPは既に、環境と成長の両立を図るための「欧州グリーンディール」により広範な環境政策を盛り込む熱意を後退させていると述べた。
スカッツィエリ氏は、右派が今後移民審査の厳格化や、EU拡大に向けて必要な改革措置の承認をより難しくするような取り組みを進める事態も想定。「これは直ちにというより時間をかけて顕現化してくる効果だろう。右派は、もっと全般的な政治的議論の形成という面でもかなり強力な影響力を持っている」と説明した。
欧州政策センター(EPC)のアソシエートディレクター、コリーナ・シュトラトゥラト氏は、この先鍵を握る要素は、過激な右派がどこまで結束できるかになるとの見方を示した。
これまでの右派勢力は、一体化という意味では実績が乏しい。フランスの極右の顔となっているマリーヌ・ルペン氏は、メローニ氏に対して右派の大合同を呼びかけているが、ルペン氏が属する国民連合(RN)が主導する会派は先月、ドイツのための選択肢(AfD)を除名したばかりだ。
またメローニ氏と会派を組む一部政党と、ハンガリーのオルバン首相が率いる「フィデス・ハンガリー市民連盟」の距離も一層遠くなろうとしている。
EPCの調査によると、右派勢力はこうした足並みの乱れが響き、投票結果を完全にコントロールするには欧州議会の7割余りの議席が必要だが、ここまでの議席を得られないのはほぼ間違いない。
メローニ伊首相、欧州議会選で躍進 影響力強まる見込み | ロイター
欧州議会選でイタリアのメローニ首相が率いる右派「イタリアの同胞」が国内第1党となり、同氏の影響力が内外で強まる見通しとなった。
開票率96%の時点でイタリアの同胞の得票率は28.8%と、前回2019年の欧州議会選の4倍以上となったほか、22年のイタリア総選挙の26%も上回った。
メローニ氏は10日、党本部で「イタリアが主要7カ国(G7)と欧州に最も強力な政権として臨むことを誇りに思う。以前にはなかったことだ」と述べ「満足であると同時に大きな責任でもある」と表明した。
野党の中道左派「民主党」は24%で2位、左派「5つ星運動」は9.9%で3位だった。
与党連合の得票率は47%強と22年の43%弱から支持を伸ばした。イタリアの同胞と連立を組む「フォルツァ・イタリア」と「同盟」それぞれ9.7%と9.1%だった。
イタリアの同胞はネオファシストグループに起源を持ち、22年の総選挙での勝利は欧州全土における極右勢力の躍進を方向付けた。しかしメローニ氏は国際舞台ではイメージを和らげ、反欧州連合(EU)発言を封印し、主流の中道右派と保守陣営の橋渡し役となっている。
欧州議会選での躍進は、敗北を喫したフランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相と対照的な結果となった。
メローニ氏らが率いる欧州保守改革(ECR)がフォンデアライエン欧州委員長の2期目を支持した場合、ECRの存在感が高まりイタリアがEUの新執行部に影響力を持つ可能性がある。
欧州議会選、経済が最大の関心事 移民・戦争も重視=調査 | ロイター
6─9日に実施された欧州議会選では経済、移民、国際紛争が主要加盟国で有権者の最大の関心事だった。フォーカルデータが行った調査で10日明らかになった。
欧州議会選は暫定結果によると、移民の取り締まりや国民の経済的苦境の改善、環境政策の廃止などを掲げた極右やEU懐疑派が躍進した。
フォーカルデータはドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポーランド、スウェーデンの市民6000人を対象に調査を行った。投票行動に影響を与える最も重要な問題は何かとの質問に対し、経済の改善・インフレ抑制を挙げた人が最も多かった。
国際紛争・戦争、移民・難民、格差是正、気候変動がこれに続いた。
気候変動はスウェーデンとスペインでは3番目だった。スペインは気候変動による干ばつの深刻化に悩ませれている。
フランス、イタリア、ポーランドでは経済を巡る懸念が最大の関心事だったが、フランスでは移民問題が、イタリアとスペインでは戦争がそれぞれ2番目の懸念要因だった。
アングル:EU委員長再選に不透明感 欧州議会選で右派伸張 | ロイター
欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会の次期委員長(任期5年)は、フォンデアライエン氏の再選が最も有力視されている。ただ、欧州議会選挙でEU懐疑派のナショナリズム政党が議席を伸ばしたことで不透明感も出ている。
再選には加盟27カ国首脳の「特定多数」と、欧州議会議員(定数720)の過半数支持を獲得する必要がある。
2019年の前回委員長選でフォンデアライエン氏は辛うじて9票差で選出された。自身が所属する中道右派の「欧州人民党」(EPP)は最大会派だったものの、単独で必要議席数に及ばず、2番目会派の中道左派の「欧州社会民主進歩連盟」(S&D、中道左派)と3番目の「欧州刷新」(RE、中道リベラル)の支持を取り付けた。
EPPは依然最大会派だ。今回欧州選挙の最初の議席予測では、中道左派やリベラル派、「緑の党」がフォンデアライエン氏に投票すれば、過半数361票を超えることになる。
ただ、ナショナリズム政党やEU懐疑派、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」が合わせて22議席増やして計149議席に伸張する見通しだ。
無所属は102議員に上る。このうち何人がユーロ懐疑派の会派に正式合流するか次第で、ナショナリズム政党らの勢力はさらに膨らむ可能性がある。
しかもフォンデアライエン氏を推す各党の中で造反議員がどのぐらい出てくるのか予想が付かない。そうした情勢では再選戦略の余地はかなり限られる可能性がある。
<政策は右傾化か>
支持固めを急ぐフォンデアライエン氏はEU懐疑派が結集した欧州保守改革(ECR)と重要な政策課題で協力する用意があることを示唆している。
ECRにはメローニ首相率いる右派「イタリアの同胞」(FDI)やスペインの極右政党「ボックス」(VOX)、ポーランドの強権的な保守政党「法と正義」(PiS)が含まれる。外交官らの間では、欧州委員会が欧州議会に提出する法案は一段と右傾化しかねないと取りざたされている。
中道左派の社会民主主義系やリベラル派、緑の党など従来の支持層は、フォンデアライエン氏が2期目戦略として右派ECRとの協調路線を採れば支持を取り下げると表明している。
<一筋縄では行かない>
EU加盟27カ国の首脳27人のうちEPP所属は13人にとどまるものの、フォンデアライエン氏の再選戦略は多少容易になっている可能性がある。EPPが欧州議会で依然として最大会派である上、委員長1期目の実績として新型コロナウイルスワクチンの早期供給やロシアのウクライナ侵攻を受けたEU団結が広く認識されているためだ。
ただ、一筋縄では行かない面もある。再選に必要な「特定多数」は加盟国首脳27人のうち15人の支持。しかも、その15カ国の総人口はEU全体の65%を占めている必要がある。現在EPP所属の首脳13人の国は人口合計がEUの26%しかない。この中の最大はポーランドだ。
実際の再選戦略にはEPPに属していないドイツのショルツ首相やフランスのマクロン大統領の支持票も欠かせない。ただ、フランスはマクロン大統領がイタリアの前首相で、欧州中央銀行(ECB)総裁も歴任したドラギ氏をEU機関の重職に起用するべき人材の1人と強調しており、フォンデアライエン氏支持を確約していない。
委員長ポストは今年決定される一連のEU高官ポストの一部。欧州議会各会派は、高官人事に支持を打ち出す際、自分たちの政策公約だけでなく各代表が重要なポストに就くこととバーターにするため、先行きは一段と複雑になっている。
ベルギー、首相辞任へ 下院総選挙で議席減 - 日本経済新聞
情報BOX:欧州議会「右傾化」、次の5年でEU重要政策に影響か | ロイター
9日に投票が終わった欧州連合(EU)欧州議会選挙で、EUの政策に懐疑的なナショナリストのグループが議席を拡大する一方、親EUの主流会派の勢力が後退し、全体として「右傾化」する見通しになった。
欧州議会の最も重要な役割はEUの新たな法案の審査と承認。一般的には、各種規制や指令が発効する前に、EU各国政府と合意するために必要な修正案を策定する。
また次の欧州委員長と欧州委員を承認する手続きも行う必要が出てくる。
一方で今回の欧州議会の勢力変化は、次の5年間に幾つかの大事な政策分野で影響を及ぼしかねない。
<気候変動>
次の5年は、欧州が2030年の気候変動関連目標を達成できるかどうかを左右する重要な局面になる。
EUは過去5年間に、30年の諸目標達成に向けてクリーンエネルギー促進や二酸化炭素(CO2)排出量削減のための措置の法制化を積み重ねてきており、これらを巻き戻すのは簡単ではない。
ただ欧州議会が気候変動対策に懐疑的な色合いを増したことで、せっかくの法規制を弱体化させるような抜け穴を増やそうとするかもしれない。多くの法規制は、次の5年で改めて見直す予定になっているからだ。例えば今年の選挙戦では、35年までにエンジン車の新車販売を段階的に廃止する措置は、一部主流会派の議員を含めて批判を浴びていた。
欧州議会はEU各国と、40年までの法的拘束力のあるCO2排出量削減目標の交渉も進める。この目標は、農業から工業、運輸まであらゆるセクターの30年代の排出量削減の取り組みの方向性を決めることになる。
<欧州防衛とウクライナ>
外交と防衛は一義的には欧州議会ではなくEU各国の主権に属する以上、今回の選挙結果がEUのウクライナ支援ないし別の安全保障問題にすぐ影響を及ぼすわけではない。
それでも全欧州的な防衛関連プロジェクトを巡る各国と企業の協力促進や、各国によるより一体的な兵器購入などの計画策定において、欧州議会は一定の役割を果たすだろう。
このような目標を実現するための欧州委の「防衛産業計画」はEU各国とともに欧州議会の同意が不可欠だ。
欧州統合のさらなる深化に反対する会派の伸長によって、そうした目標の達成は難しさが増すかもしれない。同時に、欧州委のさまざまな計画の実効性を担保するEU予算も、欧州議会の承認を得なければならない。
<貿易>
EUの通商政策における欧州議会の基本的役割は、自由貿易協定が発効する前に承認を与えること。関税発動などには直接関与しない。
欧州委と一部のEU首脳は、ロシアとの間で失ったビジネスの穴埋めや、中国への依存度を減らすために、EUが信頼できるパートナーとの間で新たな貿易協定をより多く締結する必要があると訴えている。
現時点ではメキシコや南米の関税同盟である南部共同市場(メルコスル)といった相手との貿易協定がなお承認待ちの状態にあり、欧州委はオーストラリアなどとも協定を締結しようとしている。
これら全て、特にメルコスルとの協定は反対に直面しており、右派が拡大した欧州議会で承認を働きかけるのはさらに骨が折れる可能性がある。
<対中・対米関係>
欧州委は、米国や中国などの主要ライバルに対してEUが一枚岩の姿勢を見せる必要があると主張する。とりわけ米国でトランプ前大統領が返り咲いた場合、そうした態度が求められそうだ。
また欧州委によると、環境やデジタルといった重要産業で米国と中国がいずれも大規模な政府助成を実施している中で、EUも競争力を維持する上でもっと明確に産業戦略を統一することも必要となる。
ただ右派勢力は、より緩やかで分断的な欧州を提唱しており、これらの課題への対応力は弱まる恐れがある。
<EU拡大と改革>
EUは特にウクライナなど規模の大きい新規加盟国を承認する前に、農業政策と加盟国間の生活水準格差是正のための支援方法を改革しなければならない。現在の財政移転システムはあまりにもコストがかかり過ぎるとみなされているためだ。
ウクライナ、モルドバ、西バルカン諸国などの加盟を認めるには、意思決定方法も見直し、実現がより困難となっている全会一致の必要性を減らすことも不可欠となる。
このような改革が次の5年で提案されれば、欧州議会は具体化作業において重要な役割を担う。欧州統合の深化に反対する右派の発言権が強まれば、改革の行方にも大きな影響を及ぼすかもしれない。
ユーロ下落、選挙リスク続く見通し-政治の不確実性が欧州覆う - Bloomberg
フランス債下げ拡大、10年物利回りは年初来高水準-銀行株は下落 - Bloomberg
世界食料価格、5月は3カ月連続上昇 穀物など押し上げ=国連 | ロイター
世界のIPO、5月は前年比49%減の62億ドル=LSEG | ロイター
世界のM&A、5月は前年比2%増の2524億ドル=LSEG | ロイター
シンガポールの銀行が富裕層顧客の審査強化、資金洗浄対策で-関係者 - Bloomberg
人類は再び空の旅を楽しむ-燃料消費、新型コロナ禍前の水準に戻る - Bloomberg
世界では再び空の旅が盛り上がりつつある。ブルームバーグNEFがまとめた業界データによると、7-9月(第3四半期)には1050万便が空を飛ぶ予定だ。国際航空運送協会(IATA)は、今年は記録的な旅客数を見込む。座席はコロナ前と同程度に埋まり、記録的な量の燃料を使用すると予想する。
特に急増が予想されるのは海外旅行だ。今年はアジア、欧州、北米で大幅に増加し、9.7%の伸びが見込まれている。アジア発の国際線は23%増となり、ほぼすべての地域でも大幅増となる見通しだ。
シンガポールのチャンギ空港の今年1-3月の旅客数は1650万人と、19年の水準を上回った。
IATAは、世界の航空業界による今年の燃料消費量を19年との比較で3%増となる990億ガロン(約3747億リットル)と予測している。
ただ、エネルギー効率の向上が燃料消費を抑制している面もある。
国際エネルギー機関(IEA)もFGEも、暖房用灯油を含むジェット燃料の需要が今年、19年の水準を上回るとは予想していない。
米エネルギー情報局(EIA)のアナリスト、ジェフリー・バロン氏は、「空の旅は基本的にパンデミック前のレベルに戻っている」とした上で、「パンデミック前よりもジェット燃料の消費量をわずかに減らすため、より多くの客を搭乗させ効率を上げようとしている」と説明した。
プライベートクレジットから「観光客のような投資家」一掃へ-BCI - Bloomberg
カナダの年金基金ブリティッシュ・コロンビア・インベストメント・マネジメント(BCI)は、1兆7000億米ドル(約267兆円)規模のプライベートクレジット市場から「観光客のような投資家」が一掃されると予想している。今後数カ月でデフォルト(債務不履行)が増加するためだという。
パブリックマーケットのグローバル責任者でもあるエグゼクティブバイスプレジデントのダニエル・ギャラント氏はインタビューで、「過去5年間のようにリスクはあまりなく、デフォルトもほとんどなく、1桁台後半か2桁台前半のリターンのを見込む観光客のような投資家もいる」と指摘し、「それは少し人工的な環境であり、より正常な環境に戻りつつあると思う」と述べた。BCIの純資産は2150億カナダ・ドル(約24兆5000億円)。
急成長しているプライベートクレジット業界への警戒を促す声が高まっている。昨年は銀行が融資を抑制したためプライベートクレジット市場は活況を呈したが、厳しい時代の到来を予測する声も多い。
米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は最近、プライベートクレジットに問題が生じるとの見方を示し、「地獄を見ることになりかねない」と警告した。
カナダの投資運用会社ナインポイント・パートナーズは流動性不足の中、プライベートクレジットファンド3本の現金分配を一時停止した。
ギャラント氏は「正確な時期は分からないが、数カ月後に予想されることはデフォルト増加だ」と語った。
有能人材流出のNY連銀、ウォール街での影響力低下の懸念も浮上 - Bloomberg
PB黒字化目標「25年度」の堅持明記へ 骨太の方針原案 - 日本経済新聞
「二度とないブーム」、案件候補は300件に-カーライル日本共同代表 - Bloomberg
米投資ファンド、カーライル・グループの山田和広日本共同代表は、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資の環境について「二度とないほどのブーム」が訪れているとの認識を示した。
山田氏は7日、ブルームバーグの取材に対し、大型の入札案件に加え、水面下でも活発な買収交渉が行われていると指摘。同社が注力する消費財・小売り・ヘルスケア、TMT(テクノロジー・メディア・通信)、製造業一般の3分野でそれぞれ100件程度、合わせて300件程度の有望なパイプラインを持っていると述べた。
企業が事業の選択と集中を加速する流れに加えて、東京証券取引所が親子上場を問題視する中で非中核事業を売却する動きが増加。少子高齢化による事業承継に絡む企業の合併・買収(M&A)ニーズも強く、PEファンドは主な受け皿の一つだ。
日本に対する投資家の関心も高まっている。カーライルは5月、日本に特化した5号ファンドで4300億円の資金を集めたと発表。山田氏は内外投資家から調達額の約2倍の需要があったと明かした。
調達額の内訳は、中東やアジアを中心に海外投資家が約7割を占めた。以前は6割程度だったという。また、日本の個人富裕層も投資家に名を連ねた。山田氏は今回、関心の高さを確認できたとして、今後は日本の富裕層向けにPEに加え、海外のクレジットやインフラファンドなどの商品を紹介していきたいと述べた。
ブルームバーグテレビジョンとのインタビューでは、日本市場への関心が高まり、PE業界の競争は激化しているとの認識も示していた山田氏。「日本の黄金時代はあと5ー10年続く。このチャンスを生かして投資家の期待に応え、次につなげていきたい」と述べた。
コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのリポートによると、2023年の日本のPE取引額は約5兆9000億円で、アジア最大の市場となった。 MBO(経営陣が参加する買収)の増加によって押し上げられたと同リポートは指摘している。
日本法人であるカーライル・ジャパンは00年の設立で、これまでに約40件のPE投資実績がある。先月20日にケンタッキー・フライドチキンを国内で展開する日本KFCホールディングスを株式公開買い付け(TOB)で完全子会社化すると発表。
一方、今月6日に傘下のトキワ・コスメティクス・グループを化粧品受託生産大手の日本コルマーホールディングスに売却することを公表するなど、案件を重ねている。
ジャナスのCLOファンド、運用資産100億ドル突破-市場シェア90% - Bloomberg
ローン担保証券 (CLO)に連動する最大の上場投資信託(ETF)は運用資産が100億ドル(約1兆5700億円)に達した。このETFを運用するジャナス・ヘンダーソンは急成長するニッチ分野での支配をさらに強める格好となった。
10日の発表によると、ジャナス・ヘンダーソンの「AAA・CLO・ETF」(銘柄コード:JAAA)は今や100億ドル超の資産を有し、トップクラスのCLO ETF市場で約90%のシェアを占めている。CLOファンド約12本中、2位に付けるのはジャナスの「B-BBB・CLO・ETF」(同JBBB)で、資産規模は約6億6600万ドル。
ジャナスはCLOを保有するETFの分野で圧倒的な存在感を示してきた。CLOはレバレッジドローンを裏付けとする債券で、変動金利のため、金利の上昇に伴い収益が増える。JAAAは市場で最初に取引を開始したファーストムーバーでも最安値のファンドでもないが、それらにかなり近い。
JAAAはこの種のファンドとしては2番目に古く、2020年10月に取引を開始。アクティブ運用のエクスポージャーを提供する。ブラックロックなどがライバル商品をローンチしているものの、ジャナスが首位の座を獲得した。
今のところ、金利上昇がJAAAを後押ししている。2023年末に約53億ドルだった資産は、今年1-6月にほぼ倍増した。過去1年間の運用成績はトータルリターンベースで約9%。iシェアーズ・コア米総合債券ETF(AGG)の成績は約2%となっている。
米長期債に慎重姿勢、高水準の財政赤字継続で=BII | ロイター
11月の米大統領選挙を前に米長期債に対する慎重な姿勢を示した。高水準の財政赤字継続により投資家が米債保有にさらなる補償を求める可能性が高いという。
メモで「われわれは米大統領選を前に米国株をオーバーウエートで据え置くが、米長期債については慎重だ。誰が勝利しても財政赤字は高水準のままになるだろう」と指摘。バイデン大統領も共和党候補のトランプ前大統領も「財政赤字の持続的な縮小への道筋を示していない」とし、米債市場は大規模な債券発行を吸収する必要があるため、投資家は一段のタームプレミアムを求めるようになるとした。
一方、高金利環境下では米短気債が選好されるとし、米短期債については「オーバーウエート」を維持。米長期債については「ニュートラル」継続とした。
極右政党の躍進は懸念、常態化させてはならない=独首相 | ロイター
フランス、極右躍進の影響見極めへ 解散総選挙の決定受け | ロイター
欧州議会選挙でフランス与党勢力が極右政党に大敗したことで、フランスのマクロン大統領が急きょ国民議会(下院、定数577)の解散総選挙を決めた。これを受け、政党や企業のリーダーらは極右勢力が過半数を獲得した場合の影響を見極めようとしている。
解散総選挙の決定を受け、フランスの株式と国債が売られたほか、通貨ユーロも下落するなど影響が広がった。
大統領に近い関係者は、2年前に議会で絶対多数を失って影響力が低下していたマクロン氏にとっては、サプライズと言える総選挙に踏み切ることで、議会で過半数を回復できるとの計算があると指摘した。しかし、ルペン氏が率いる極右政党「国民連合(RN)」が過半数を獲得した場合には、政権運営が今後3年機能不全を起こし、2027年大統領選への逆風となるとの見方も出ている。
6月30日と7月7日に投票が実施される。EU懐疑派で反移民を掲げるRNが過半数を獲得しても、マクロン氏は大統領にとどまり、国防・外交政策を担うものの、国内政策の決定権を失うことになる。
フランスのルメール経済・財務相はRTLラジオで、解散総選挙は「フランスとフランス国民にとって第5共和制以降で、最も重要な議会選挙となる」と述べた。
フランス極右2政党、反マクロンで協力を交渉-下院選で共闘も - Bloomberg
フランスのマリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党・国民連合(RN)と、同氏のめいで元下院議員のマリオン・マレシャル氏が、近く予定される総選挙でマクロン大統領に対抗するため協力する可能性を協議している。
2年前にマレシャル氏がルペン氏に背を向けてから2人は反目が続き、欧州議会選でも対立していた。手を組むとなれば政治的な関係が修復されることになる。
RNのバルデラ党首はマレシャル氏の政党との協議を終えた後、「選挙期間の間、マレシャル氏は建設的な姿勢を示した」と発言。「マクロン氏打倒のため、幅広い連合を構築する可能性についてマレシャル氏と話がしたかった」と述べた。
9日開票された欧州議会選挙でRNは31.4%の票を得た一方、マクロン氏率いる与党連合は15%に届かず大敗を喫した。マレシャル氏政党の5.5%を合わせると、極右政党の得票率は37%に達する。
この結果にマクロン氏は国民議会(下院)を解散、総選挙の第1回投票を6月30日に、第2回投票を7月7日に実施すると発表した。
ハリス・インタラクティブとM6、RTLが10日公表した第1回投票の意向を有権者にたずねた調査によると、RNが34%、マクロン氏の連合は19%で後れをとった。この調査は2744人の成人を対象に行われ、ルペン氏の政党が下院で第1党となることが示唆されている。
●中東情勢
米、ハマスと単独交渉を検討 人質解放へ=報道 | ロイター
ガザ戦争終結へイスラエルに圧力を、ハマス幹部が米国に求める | ロイター
インテル、イスラエル新工場建設中止と現地メディア報道 | ロイター
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
東京センチュリー、北米で太陽光の開発事業 伊藤忠商事と - 日本経済新聞
●小ネタ
東京大学学長、授業料「改定を検討」 値上げなら支援策 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(10日)ユーロ急落、株小幅高・利回り上昇 | ロイター
<為替> ユーロが急落した。欧州連合(EU)欧州議会選挙で極右・右派勢力が躍進する見通しとなり、フランスのマクロン大統領が国民議会(下院)の解散総選挙を発表したことを受けた。
<債券> 米債利回りがおおむね上昇した。市場では今週12日に発表される消費者物価指数(CPI)と11─12日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されている。
指標10年債利回りは4.3ベーシスポイント(bp)上昇の4.471%。
30年債利回りは4.9bp上昇の4.597%。2年債利回りは1.7bp上昇の4.887%となった。
<株式> 主要株価3指数が軒並み小幅上昇して取引を終了。S&P総合500種とナスダック総合は終値で過去最高値を更新した。しかし、週内に米消費者物価指数(CPI)の発表と米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中、投資家は慎重な姿勢を崩していない。10日に始まったアップルの年次開発者会議も注目されている。
半導体大手エヌビディアが0.7%上昇し、S&Pとナスダックを支援した。同社は10対1の株式分割を実施。ダウ工業株30種への採用観測が浮上している。
アップルは年次開発者会議初日に1.9%下落。投資家は人工知能(AI)分野での同社の取り組みに関する最新情報に注目している。
サウスウエスト航空は7%上昇。アクティビスト(物言う株主)として知られる米ヘッジファンド運営会社エリオット・インベストメント・マネジメントが19億ドル相当の保有を明らかにした。
<金先物> 週央発表の米消費者物価指数(CPI)や米連邦準備理事会(FRB)の金融政策決定が注目される中、中国の金購入停止観測などを受けた売りが一巡し、反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比2.00ドル(0.09%)高の1オンス=2327.00ドル。
<米原油先物> エネルギー需要拡大への期待を背景に買われ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物は前週末清算値(終値に相当)比2.21ドル(2.93%)高の1バレル=77.74ドルだった。8月物は2.11ドル高の77.33ドル。
欧州市場サマリー(10日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 2営業日続落して取引を終えた。フランスのマクロン大統領が国民議会(下院)の解散総選挙を実施すると発表したことを受け、欧州の政治の先行きへの警戒感から売りが優勢だった。米国での利下げ開始時期が見通しにくいことも引き続き重しとなった
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。フランスのマクロン大統領が国民議会(下院)の解散総選挙に踏み切ったことで、経済政策を含む政治の先行きへの不透明感を嫌気してフランスの株が売られた。
フランスの金融機関BNPパリバは4.8%、ソシエテ・ジェネラルは7.5%、クレディ・アグリコルは3.6%、それぞれ下げた。
フランスの建設バンシは5.4%安。エネルギー大手エンジーは3.2%下げた。
<ユーロ圏債券> フランスとイタリアの国債利回りが数カ月ぶりの高水準に上昇した。欧州連合(EU)欧州議会選挙でEUの政策に懐疑的な極右や右派が躍進したことを受けた。
一層の統合強化に向けたEUの取り組みが複雑化し、債務の多い国の債券保有に対して投資家が要求するリスクプレミアムが拡大する可能性がある。
イタリアとフランスの国債クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドも数週間ぶりの大きさに拡大した。
独仏10年債利回り格差は56ベーシスポイント(bp)と8.5bp拡大した。
フランス10年債利回りは13.5bp上昇の3.244%。
独伊10年債利回り格差は9.5bp拡大の141bp。イタリア10年債利回りは4.085%と、12月以来の高水準を付けた。

備忘録(2024/6/7-9
●雑感
●決算
●海外企業
米地銀6行を格下げ方向で見直し、商業不動産融資巡り=ムーディーズ | ロイター
格付け会社ムーディーズは6日、商業用不動産(CRE)ローンへのエクスポージャーが大きいことを理由に、米地銀6行の格付けを引き下げ方向で見直しの対象とした。
ファースト・マーチャンツ、FNB 、フルトン・ファイナンシャル、オールド・ナショナル・バンコープ、ピーパック・グラッドストーン・ファイナンシャル、WaFdの長期格付けが対象。
ムーディーズは、これらの銀行がCREローンを集中的に抱え、高金利長期化で資産の質や収益性が圧迫されているとし、特に景気後退期に長年にわたるリスクが高まると指摘した。
CREローンを巡っては今年に入りニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の経営不安が広がり、それ以降エクスポージャーの大きい地銀は投資家の厳しい目にさらされている。
●日本企業
MUFGと三井住友FG、トヨタ株売却へ 1兆3000億円超=ブルームバーグ | ロイター
武田薬品、ハイブリッド債の条件決定 年利1.934% - 日本経済新聞
武田薬品工業は7日、円建てハイブリッド社債(劣後特約付き社債)の発行条件を決定したと発表した。発行総額は4600億円、当初の利率は年1.934%で、払込期日は2024年6月25日とする。ハイブリッド債は資本と負債の中間的な性質を持つ。日本格付研究所(JCR)から「シングルA」の格付けを取得した。JCRとS&Pグローバル・レーティングから50%の資本性認定を受けた。
年限は60年で発行から5年経過後に期限前償還が可能となる。利払日は初回を24年12月25日とし、その後は毎年6月25日と12月25日に設定する。
武田薬品は19年にアイルランド製薬大手シャイアーを買収後、大規模な借り入れを実施し、同年6月にハイブリッド債5000億円を発行した。24年10月6日に初回の任意償還日を迎え、借り換えのために今回のハイブリッド社債を発行する。
S&P、積水ハウスを2段階格下げ 米社買収で負債急増 - 日本経済新聞
千葉興業銀行、明治安田生命と地方創生で連携 - 日本経済新聞
三菱UFJ処分勧告へ 緩和途上の銀行・証券連携に冷や水 - 日本経済新聞
●米大統領選挙
トランプ氏支持、リベラル地域でも広がり 献金1200万ドル | ロイター
トランプ前米大統領が、リベラル色の強いサンフランシスコで6日に開催されたイベントで1200万ドルを調達した。金融規制などバイデン政権の政策に嫌気が差した投資家が出席したという。
関係筋によると、イベントはテック系ベンチャーキャピタリストのデービッド・サックス、チャマス・パリハピティヤ両氏が主催。最も高い一組50万ドルのチケットは完売した。
サンフランシスコはリベラル派が多く、2020年の大統領選挙ではバイデン氏が85%を得票して勝利した。しかし11月の大統領選を前に、地元の著名ベンチャーキャピタリストや暗号資産投資家の間ではトランプ氏支持が広がっている。
トランプ氏の副大統領候補、ほぼ男性一色 ノースダコタ州知事ら | ロイター
バイデン氏陣営、トランプ氏不支持の共和党幹部を起用 | ロイター
●先進国中銀
インフレ抑制はなお長い道のり、成長減速させる必要=ECB総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、インフレ抑制に向けた道のりはなお長く、経済成長を減速させる必要があるという認識を示した。
ラガルド総裁は、複数の欧州紙に掲載された7日付論説で「インフレを経済から排除するまでに、なお長い道のりがある。全てがスムーズに進むとは限らないだろう」と述べた。
当面は、経済成長に対し「以前ほど強くないとしても、引き続きブレーキを踏む必要がある」とし、「物価安定を永続的に確実にするために必要な限り、金利は引き続き制約的である必要がある」と強調した。
ECBは6日、2019年9月以来、4年9カ月ぶりに、主要政策金利の0.25%ポイント引き下げを決定。ただ、引き続きデータに基づき会合ごとに適切な制限レベルと期間を決定するとし、7月に追加緩和を行うかについては示唆しなかった
ラガルド総裁は6日の会見で、ECBが金融引き締めスタンスを「縮小」する段階に移行しているのかとの質問に対し、そのようなプロセスが進行中であるかどうかは確認できないが、「その可能性は高い」と答えていたものの、論説ではより慎重なトーンが示された。
米9月利下げ観測後退、予想上回る雇用統計受け | ロイター
米労働省が7日発表した5月の雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大きく上回って増加したことに加え、賃金の伸びも予想を上回ったことを受け、短期金融市場で連邦準備理事会(FRB)が9月の会合で利下げを開始するとの観測が後退した。
フェデラルファンド(FF)金利先物は、FRBが9月までに利下げに着手する確率が53%であることを示す水準にある。雇用統計発表前は約70%だった。FRBが年末までに2回の利下げを行う確率は約50%。雇用統計発表前は68%だった。
ネイションワイドのチーフ・エコノミスト、キャシー・ボストジャンシック氏は「これまでは9月に利下げが開始され、年内に合計0.50%ポイントの利下げが実施されると予想していたが、雇用の堅調な伸びが続いていることから、利下げ時期が後ずれする可能性が高まった」と述べた。
ただ、失業率が3.9%から4.0%に上昇し、4%割れの連続記録が27カ月で途切れるなど、今回の雇用統計には軟調な部分もあった。
労働省は来週12日に5月の消費者物価指数(CPI)を発表。BMOキャピタル・マーケッツのエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は、5月の雇用統計が一部「曖昧」だったことで、来週発表のCPIのほか、11-12日の連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長の記者会見などの注目度が高まっていると述べた。
FRBは来週のFOMCで金利を据え置くとの見方が大勢となっている。
ECB、インフレの軟着陸に自信 適切なペースで利下げへ=仏中銀総裁 | ロイター
オーストリア中銀総裁、ECB利下げに反対 データ主導の政策決定に期待 | ロイター
国内銀行の合併、国境超えた統合につながる可能性=ECB副総裁 | ロイター
FOMC、年内利下げ見通し後退させる公算-1回かゼロも - Bloomberg
ECB総裁、高インフレとの闘いまだ終わっていない-警戒続ける必要 - Bloomberg
FOMC内の中立金利を巡る議論が再び活発化へ、米雇用者の大幅増で - Bloomberg
JPモルガンとシティ、7月米利下げ予想を撤回-強い雇用統計で修正 - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
欧州議会選、オランダで開始 左派が優勢も極右躍進 | ロイター
オランダの公共放送が6日伝えた欧州連合(EU)の欧州議会選(定数720)出口調査によると、左派連合が辛うじて優勢となっているが、反移民、反EUを掲げる極右政党の自由党(PVV)が大きく躍進し追い上げている。
中道左派の労働党(PVDA)とグリーン・レフト(GL)による左派連合は8議、PVVは7議席を獲得する見通し。
出口調査の誤差は約1議席。
欧州議会選はEU各国で6─9日にわたって行われる。オランダが他国に先立ち6日に実施した投票は、EU解体を望む民族主義政党やポピュリスト政党が域内で勢力を強めていることを浮き彫りにした。
オランダの最終的な開票結果は全加盟国で投票が終了する9日に発表される。
米家計資産、第1四半期は過去最高の160兆ドル 株・不動産上昇で | ロイター
米5月雇用、予想上回る27.2万人増 失業率上昇も賃金伸びは再加速 | ロイター
米労働省が7日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比27万2000人増で、予想を大きく上回った。賃金の伸びも再加速し、労働市場の耐性を強調する内容だった。
ロイターがまとめた予想は18万5000人増。予想レンジは12万人増─25万8000人増。5月の増加数は過去1年間の月平均(23万2000人)を上回った。ただ、3月と4月の増加数は合計1万5000人下方改定された。
失業率は3.9%から4.0%に上昇。4%割れの連続記録は27カ月で途切れた。
雇用統計が予想外に強かったため、市場では米連邦準備理事会(FRB)は当面、様子見姿勢を維持し、利下げ開始時期の決定に時間をかけることになるとの見方が広がった。
アネックス・ウェルス・マネジメントの主任エコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「減速はここまでだ。雇用者の増加数は目を見張るものだ。FRBはこれを、経済成長をあまり心配せずにインフレ鎮静化に引き続き集中できると受け止めるだろう」と述べた。
雇用は広範な業種で拡大。裾野の広さは昨年1月以来の水準となった。
業種別では、ヘルスケア関連で6万8000人の雇用が創出され、全体の増加をけん引した。
政府部門の雇用者数は4万3000人増加した。レジャー・接客業は4万2000人増。そのうち半分強が飲食サービス業だった。
専門・ビジネスサービス部門では3万2000人増。
一方、百貨店や家庭用家具小売店では小幅に減少した。
時間当たり平均賃金は前月比0.4%上昇した。4月は0.2%上昇だった。前年比では4.1%上昇。4月は4.0%上昇に上方修正された。賃金上昇幅は3.0─3.5%であればFRBの2%のインフレ目標と一致するとされている。
平均週労働時間は34.3時間で変わらずだった。
コメリカバンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「賃金の伸び加速は、FRBが金融緩和に着手すればインフレ圧力が再び高まる可能性があることを示している」と指摘。同時に「失業率が上昇していることで、この先賃金上昇が鈍化し、消費者需要が軟調になり、インフレが低下する可能性もある」と述べた。
労働力参加率は62.5%と、前月の62.7%から低下。20─24歳の労働参加が減少したことで、今年これまでに見られていた進展が反転した。ただ、25─54歳と定義される「働き盛りの年齢層」の参加率は22年ぶりの高水準を付けた。
一部エコノミストは、雇用の大幅な増加と失業率の上昇の矛盾を指摘している。マクロ研究所のシニア投資ストラテジスト、ブライアン・ニック氏は「これら2つの数字が全く異なることを示しているため、投資家もFRBも、何が起きているのか正確に把握するのは非常に困難だ」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物は、FRBが9月までに利下げに着手する確率が53%であることを示す水準にある。雇用統計発表前は約70%だった。FRBが年末までに2回の利下げを行う確率は約50%。雇用統計発表前は68%だった
PE業界会議、2年連続で逆風 高金利で買収枯渇 | ロイター
ベルリンで今週開かれたプライベートエクイティ(PE)業界の年次会議「スーパーリターン」は昨年に引き続き、高金利を背景とする業界の低迷を嘆く声が多かったが、一部では逆境にあってもPEは底堅いとの楽観的なコメントも聞かれた。
PEファンドは現在、保有する資産の投資回収(エグジット)が滞り、資金調達も急減している。会議の参加者は5000人を超え、ディールの少なさや、買い手側と売り手側の資産価値評価に依然として隔たりがあることなどへの不満が出た。
ある弁護士は、一部PE顧客の間で、来年のディール回復に期待をかける「25年まで生き残ろう」とするマインドが広がっていると語った。
CVCのマネジングパートナー、ダニエル・ピンデュール氏は「われわれが直面する最大の試練は、おそらく地政学的な不確実性と、その結果としてのボラティリティ(不安定化)および視界の悪化だろう」と述べた上で、業界には耐性と順応性があるため「われわれは楽観している」と続けた。
ディールロジックのデータによると、今年はPEによる買収の出足が2020年以来で最も遅く、欧州、中東、アフリカで年初からこれまでの件数が20年以来の最低となっている。
ただ、金額ベースでは年初来1010億ドルと、前年同期の680億ドルを超えた。それでもピーク時の21年と22年の同時期に比べると半分以下だ。
コンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーによると、PEが絡むエグジットは昨年3450億ドルと、前年から44%も減った。また、買収から長年が経過してエグジットできていない資産の価値は世界全体で過去最大の3兆2000億ドルに達した。
それでもEQT(EQTAB.ST), opens new tabのパートナー、アシス・エチャニズ氏は「PE市場には芽吹きが見られる。例えばインフラは、安全なセクターとしての属性が認識されつつある」と楽観論を口にした。もっとも、業界全体でムードが上向いているとはとても言えない状況だという。
ウォール街CLOマシンに波及、米集合住宅苦境-サブプライム再来か - Bloomberg
家族の退職勘定から得られるわずかな利益にうんざりしていたリン・ネイスさんは2021年後半、グローバル不動産の人気スポット、米集合住宅への投資で30%のリターンを実現していた会社に20万ドル(約3100万円)を投資した。資金の大部分がその後失われた。
ビジネススクールを卒業し、ワシントン州ヤキマで歯科医を開業する夫の収入を投資に回したネイスさんにとって、損失は個人的な災難だ。けれども彼女のタイミングを誤った投資と、ソーシャルメディアの扇動やウォール街の証券化マシン、金利急上昇がぶつかった物語は、ネット依存に伴うFOMO(取り残される不安)とイージーマネーの相互作用が、米国の不動産バブルを崩壊させた状況をうかがわせる。
MSCIによると、3月時点でディストレス状態にある物件は、集合住宅の約100億ドル相当に対し、オフィス物件は380億ドル余りに上り、米国の商業用不動産(CRE)の不安の多くはオフィス市場に集中しているといえる。
だがMSCIのデータでは、ディストレス予備軍になりそうな不動産は、オフィスでなく集合住宅の割合が最も大きく、560億ドル余りに相当する不動産に金融トラブルのリスクが存在する。
集合住宅は下降局面でも人間の基本的なニーズに守られる手堅い投資対象と考えられ、なかなか解消されない住宅不足が家賃をさらに押し上げ、並外れたリターンが期待できるはずだった。
しかし金融会社は一層ハイリスク・ハイリターンの投資手段を求めた。ネイスさんが資金を投じたウェスタン・ウェルス・キャピタルのような新興の不動産オーナーは、買い入れた不動産をリフォーム後に利益を上乗せし売却する「フィクス・アンド・フリップ」と呼ばれる投機的取引を専門に扱っていた。レバレッジを活用し、証券化したローンはしばしば機関投資家に販売される。
それはまるで、2008年の金融危機を招いたサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンブームの再来のようだ。信用履歴が不十分で頭金の少ない借り手に実行された一見安全に見えるローンをパッケージ化する貸し付けモデルだ。
米国で2年前に金利が急騰し始めると、資産価値は急落し、不動産オーナーや債券ファンド、ネイスさんのような人々に問題が顕在化した。ブルームバーグ・ニュースの取材に応じた彼女と他の4人の投資家は、いずれもウェスタン・ウェルスとの取引で損をしたと語った。
ウェスタン・ウェルスの共同創業者ジャネット・ルパージュ最高経営責任者(CEO)は電子メールで質問に回答し、同社が幅広い情報開示を行い、透明性や投資家との定期的コミュニケーションを重視していると説明。自社を含め多くの会社が金利上昇のスピードと大きさを予測できなかったと釈明した。
集合住宅の取引に関し、個人投資家の投資回収支援サービスを提供するセントリオ・キャピタル・パートナーズのアレクセイ・チェルノベルスキー氏は「カジノに行けば、自分がやっていることがギャンブルだと分かる。人々はここでギャンブルを行っていたが、そうとは知らなかった」と認識を示した。
ウェスタン・ウェルスのような集合住宅のオーナーは、負債の支払い、あるいは資金繰りの逼迫(ひっぱく)から逃れる目的で、著しい損失を覚悟で物件の売却を迫られる場合もある。
ウォール街の片隅にも混乱が波及しつつあり、800億ドル規模のCREのローン担保証券 (CLO)市場は、かつてない緊張に直面している。データプロバイダーのCRED iQによると、CRE・CLOのディストレス率は4月に過去最高の8.6%に達し、新たなCLOの組成は今年に入り2022年との比較で約90%減少した。
日本維新の会、東京都知事選の候補擁立を近く判断 強まる慎重論 - 日本経済新聞
マクロン仏大統領が下院を解散、選挙実施表明-欧州議会選で惨敗
フランスとドイツの有権者は9日に行われた欧州議会選挙で自国リーダーに大打撃を与えた。フランスではマクロン大統領が率いる与党連合が極右政党の国民連合(RN)に惨敗。マクロン大統領は、国民議会(下院)を解散し、新たな選挙実施を表明した。夏季五輪の開催を目前に控えたフランスが政治的混乱に陥る恐れが出てきた。
Ifopが9日に発表した推計によると、マリーヌ・ルペン氏率いるRNの得票率は32%と、予想通りの水準だった一方、マクロン氏率いる与党連合は15%にとどまった。
マクロン氏はテレビ演説で、第1回投票が6月30日、決選投票は7月7日に実施されると述べた。国民議会での新たな選挙はフランスの議員が対象で、大統領自身に対する審判を直接仰ぐものではない。
ユーロは週明けの取引開始直後に一時0.3%安の1ユーロ=1.0766ドルまで下落し、約1カ月ぶりの安値を付けた。
ドイツでは、ショルツ首相率いる与党・社会民主党(SPD)が過去最悪の結果となった。SPDは野党保守系政党連合と極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」にも後れを取り、3位に転落した。
欧州議会選は今後5年間の任期を務める720人の議員を選出するもので、欧州連合(EU)域内の約3億6000万人が投票権を持つ。
マクロン仏大統領の連合、ルペン氏の極右政党に惨敗へ-欧州議会選
フランスで9日、欧州連合(EU)の政策を左右する欧州議会選の投票が行われ、マクロン大統領が率いる与党連合がマリーヌ・ルペン氏の極右政党、国民連合(RN)に惨敗した。
複数の調査会社の推計によると、RNは全体の約3分の1を獲得。得票率はマクロン氏の与党連合のおよそ2倍となった。
マクロン氏は権威主義の台頭を警告し、欧州の結束を訴えたが、インフレや安全保障、移民問題を懸念する有権者の票が極右政党に流れるのを食い止められなかった。
ショルツ独首相の社会民主党が歴史的大敗、保守系勝利へ-欧州議会選
ドイツで9日、欧州連合(EU)の政策を左右する欧州議会選の投票が行われ、ショルツ首相率いる与党・社会民主党(SPD)が過去最悪の結果となった。極右勢力のドイツのための選択肢(AfD)にも後れを取り、3位に転落した。
公共放送ARDが伝えた出口調査によると、保守系のキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)が得票率29.5%で勝利する見通し、次いでAfDが16.5%、SPDは14%となった。SPDの連立パートナー2党では、緑の党が12%、自由民主党(FDP)は5%だった。
米国で住宅ローン金利3%も-資金豊富な買い手は数千ドル節約可能
金利の高さに尻込みしている住宅の買い手候補にとって、3%の金利を確保する方法はまだある。問題は、多額の手元現金が必要なことだ。
いわゆる債務承継型住宅ローンでは、買い手が売り手の債務を、既存の金利のまま引き継ぐことができる。ほとんどの場合、金利は現在の7%より低い。ほぼ凍結状態の不動産市場において、買い手が数千ドルを節約するのに役立つ戦略だ。買い手は販売価格からローン残高を差し引いた額を売り手に支払わなければならない。
現在、債務承継型住宅ローンが利用可能だと宣伝している住宅物件は全体の1%にも満たない。しかし理論的には、買い手が求めれば、住宅ローン残債のある住宅のほぼ2割で利用できる可能性がある。
債務承継型住宅ローンを利用する場合、買い手は売り手の残債、返済スケジュール、金利を引き継ぐ。売り手も買い手も、既存の住宅ローンを持つ金融機関の承認を得なければならない。買い手はより多くの現金を前もって必要とする可能性が高い。通常の契約手数料に加え、手続き、書類作成、法務作業などの追加費用がかかることがある。
●中東情勢
イスラエルのガンツ前国防相、戦時内閣離脱-早期選挙求める
サウジ皇太子、G7サミット初参加へ 議長国イタリアが招待 | ロイター
イタリアで来週開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)にサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が参加する予定。複数の高官が7日に明らかにした。イタリアのメローニ首相は他に少なくとも12人の首脳らを招待している。
高官らは中東情勢への懸念を強調し、サウジアラビア皇太子とヨルダンのアブドラ国王がともに参加予定であることを認めた。
人権侵害に対して非難の声が出ているサウジアラビアの指導者がG7サミットに招待されるのは初とみられる。
●エマージング
世界のファンドマネジャー、中国への投資再開-政策巡るリスクはらむ - Bloomberg
世界のファンドマネジャーが中国市場への投資を再開している。MSCI中国指数は1月の安値から24%上昇した。
中国経済を巡る懸念や不動産危機の深刻化、効果的に見えない景気刺激策、米中関係の緊張から多くの投資家が中国への投資を手控え、あるいは完全に撤退していた。
だが、景気見通し改善に加え、住宅市場を支える新たな措置を中国政府が発表したことで、最悪期は脱したと考える世界の投資家が増えている。
ここ数週間、不動産株が高値から急落するなど反発がやや鈍ったとはいえ、中国・香港株全体では1月の安値から約2兆ドル(約312兆円)も時価総額が膨らんでおり、新興国市場の中でも中国の好調さが目立つ。
ゴールドマン・サックス・グループは、直近の反落は安値更新に向かう過程ではなく、投資家にとって「より良い参入ポイントを提供する」としている。
「底値を打った。投資すべき時だ」と言うのはSGクラインワート・ハンブロスのジーン・サレルノ最高投資責任者(CIO、ロンドン在勤)だ。
SGは、政府による取り組みがまだ不十分であり、「長引く暴落に耐えるより、とらえどころのない回復の最初の足取りを逃す方が望ましい」と考えていたため、底値で投資する機会を逸し、値上がり初期に資金を投じるのを手控えていた。
だが、同社は政府による新たな動きと投資家心理の好転を踏まえ、新興国市場の持ち分に対し今は中国をやや「オーバーウエート」としている。
SGのほか、アリエル・インベストメンツやフォントベル・アセット・マネジメントもエクスポージャーを増やしている。
60億ドルの規模の上場投資信託(ETF)「iシェアーズMSCIチャイナETF」は5月に今年初の週次資金流入を記録し、2023年1月以来最大の流入となった。
ウォール街のストラテジストでは、UBSグループが4月に主要な中国株指数の投資判断を「オーバーウエート」に引き上げた一方、HSBCは中国株の利益確定売りは「時期尚早」との見方を5月に示した。
逆転現象
フォントベルで7億ドル相当の新興国株式を運用するラミス・チェラット氏は、バリュエーションと利益のモメンタムが中国・香港株の一段高を促すとみている。
同氏は1月にこの資産クラスを大きくアンダーウエートとしていたが、2月にエクスポージャーを追加し始め、現在は中立に近いポジションだ。
「グローバルマネーの一部が今、再び中国に注目している。中国をゼロとした多くのグローバルファンドは恐らく、今は中国で一定の質の高いビジネスを保有する必要があると考えているだろう」とチェラット氏は話した。
スタンスの変化は他でも見られる。S3パートナーズのデータによれば、20億ドルの「Xトラッカーズ・ハーベストCSI300中国A株ETF」の弱気ポジション残高は3月時点で浮動株の約20%だったが、6月6日にはわずか9.7%に減少した。
RBCアセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、シグオ・チェン氏は「中国はショート、それ以外はロングという構図だったが、逆転現象が起きている」と語った。
中国株の先高観に誰もが納得しているわけではない。深刻な問題が残っている。不動産市場はまだ圧迫され、消費者心理は依然として弱い。米国と中国の摩擦も続いている。中国以外の新興国市場株に焦点を絞ったETFは、引き続き安定した資金流入を呼び込んでいる。
JPモルガン・チェースのストラテジストによると、最近の不動産デベロッパー株値上がりで利益を上げたヘッジファンドもあったが、こうした銘柄の値下がりを見越しショートポジションを構築しているヘッジファンドもあるという。
まだ全く投資する価値がないとみている投資家もいる。
ナティシス・グローバル・アセット・マネジメントのグローバルマーケットストラテジー責任者マブルーク・シェトゥアン氏は、「投資家は中国経済へのエクスポージャーにかなり消極的だ。政府が一からルールを変更することが、リスクとして存在する」と述べた。
メキシコ、6月の追加利下げに懐疑論 ペソ軟調続く - 日本経済新聞
インド中銀、金利据え置き 24年度GDP予想は上方修正 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
アングル:気候変動でHIV感染拡大リスク、売春余儀なくされるアフリカ女性 | ロイター
日立エナジー、27年までに45億ドル追加投資 クリーンエネルギー需要に対応 | ロイター
●小ネタ
ホノルルコーヒー、六本木の東京ミッドタウンに期間限定店 再進出前に - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(7日)ドル反発、利回り急上昇 株は小幅安 | ロイター
<為替> ドルが反発した。5月の米雇用統計が予想以上に強かったことを受け、連邦準備理事会(FRB)は年内の利下げを急がない可能性が高いことが示唆された。
金利先物市場は雇用統計を受けて、11月か12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利下げが1回のみ実施されるとの見方を織り込んでいる。また、市場が織り込む9月の利下げ確率は6日終盤の約70%から約50.8%に低下した。
<債券> 国債利回りが大きく上昇した。5月の雇用者数の伸びが予想を上回ったことを受け、FRBが9月に利下げに着手するとの観測が後退した。
終盤の取引で10年債利回りは15ベーシスポイント(bp)上昇の4.428%。2年債利回りも15bp上昇の4.87%。1日の上昇幅としては共に4月10日以来の大きさとなった。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス44bpと、前日からおおむね横ばい。
<株式> 小幅安だった。朝方発表された米雇用統計は予想以上に力強い内容となり、経済の底堅さを示す一方、FRBが利下げを急がないという懸念をあおり、相場は不安定な展開となった。
<金先物> 堅調な米雇用統計を受けて、FRBによる早期の利下げ観測が後退し、反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比65.90ドル(2.76%)安の1オンス=2325.00ドルと、中心限月清算値ベースでは5月初 旬以来約1カ月ぶりの安値水準となった。週間では0.89%安。
<米原油先物> 米利下げ期待の後退に伴う売りと、有力産油国による減産継続をにらんだ買いが交錯し、ほぼ横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.02ドル(0.03%)安の1バレル=75.53ドル。週間では1. 90%下落した。8月物は0.02ドル安の75.22ドルだった。
欧州市場サマリー(7日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。貴金属株と不動産関連株など幅広く売られて相場を押し下げた。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。不動産株など金利に敏感なセクターが売られて相場を押し下げた。
STOXX欧州600種不動産株指数は2.98%下落。モルガン・スタンレーが投資判断を引き下げたドイツの不動産ボノビア は7.2%安だった。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。5月の米雇用統計が予想外に強かったことから、米連邦準備理事会(FRB)が当面、金利を据え置くとの見方が広がった。
ドイツ10年債利回りは7ベーシスポイント(bp)上昇の2.62%となり、米雇用統計発表後に上昇幅を拡大した。イタリア10年債利回りは10bp上昇の3.96%。
来週の米主要企業決算 オラクル、ブロードコム、アドビ
11日(火)オラクル(1.64)
12日(水)ブロードコム(10.82)
13日(木)アドビ(4.40)

備忘録(2024/6/6
●雑感
●決算
[SJM] JMスマッカー 2024年4月通期は減収最終黒字転換 売上高4%減81.7億ドル、純利益7.44億ドル、配当4.24ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
FRB、銀行ストレステスト結果26日に公表 32行対象 | ロイター
アラムコ株120億ドル相当の売り出し、国外から旺盛な需要-関係者 - Bloomberg
●日本企業
●米大統領選挙
●先進国中銀
ECBの利下げ開始は「適切」、FRBは慎重さ維持を=IMF | ロイター
国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は6日、ユーロ圏ではインフレ抑制にかなり進展が見られたとし、欧州中央銀行(ECB)による利下げ開始は「適切」とした。その上で、ECBはデータに基づき「会合ごとの」アプローチを維持することが重要と述べた。
同時に、米経済は2024年に減速する必要があり、米連邦準備理事会(FRB)は利下げに慎重かつデータに基づいたアプローチを維持すべきと強調。米経済は底堅く、内需は引き続き堅調だが、労働市場には緩和の兆しが見られるとした。
ECBはこの日、主要政策金利の0.25%ポイント引き下げを決定。2019年9月以来、4年9カ月ぶりの利下げに踏み切った。
コザック氏は、IMFはこれまでもECBに対し6月の利下げ開始を呼びかけてきたとした上で「米国と同様に欧州でもインフレ抑制に大きな進展が見られた。ECBの政策は適切だと考えている」と述べた。同時に、ECBが経済指標を見極めながら会合ごとに決定していくアプローチを維持することも重要になるとの考えを示した。
米経済については、引き締め的な金融政策と経済的な衝撃に直面しても「驚くほどの回復力」があったことが示されたと指摘。ただ「第1・四半期のインフレ指標はわれわれが望む水準を全体的に上回り、インフレ率を目標に戻すには困難が待ち受けていることが示された」と語った。
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は6日、主要政策金利の0.25%ポイント引き下げを決定した。利下げは2019年9月以来、4年9カ月ぶり。中銀預金金利を過去最高の4.0%から3.75%に引き下げた。
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<理事1人が決定に反対>
決定について、1人を除いて(見解が)一致した。
<賃金>
賃金はなお高水準にあるものの、低下傾向にある。2025年にはこの傾向が顕著になるとみている。
<中立金利>
中立金利が新型コロナウイルス感染拡大以前と比べて上昇していれば、現在、中立金利から程遠いことが明らかだ。(中銀預金金利を)4%から3.75%に引き下げたものの、中立金利に近づくわけではない。道のりはまだ長い。
<複数のデータを注視>
賃金だけでなく複数のデータを注視している。ただ、労働市場が引き締まっているときは賃金動向が極めて需要になるため、賃金に注目するのは正しい。
<データによって決定>
非常に不確実なのは、われわれが動くスピードとそれにかかる時間だ。これはわれわれが受け取るデータによって決定される。
<巻き戻し>
われわれは今、巻き戻しの局面に入っているのか。私はそうとは言いたくない。
巻き戻しプロセスは進行中なのか。その可能性は高い。
<堅牢(けんろう)な予測>
(インフレ)予測の信頼性、確実性、堅牢性に基づいて、われわれは実際に利下げを決定した。
<成長リスク>
経済成長に対するリスクは短期的には均衡しているが、中期的にはなお下向きに傾いている。軟調な世界経済や主要経済国間の貿易摩擦の激化はユーロ圏の成長に重しとなる。
<インフレに対する自信が高まる>
ここ数カ月、今後の道筋に対するわれわれの自信は高まっている。
<金利の道筋にコミットせず>
われわれは特定の金利の道筋に事前にコミットしていない。
<インフレリスク>
世界経済が予想以上に力強く成長すれば、インフレ率は予想以上に高くなる可能性がある。インフレ率の上振れリスクは地政学的緊張の高まりからも波及している。
<インフレ率>
インフレ率は、エネルギー関連のベース効果などにより、年内は現在の水準付近で変動すると予想され、その後、来年後半にかけて目標に向かって低下すると予想される。
<賃金の伸び>
先行指標は賃金の伸びが年間を通じて緩やかになることを示している。
<価格圧力の緩和>
(最近のデータは)価格圧力が徐々に弱まっている状況を裏付けている。
<輸出が支援>
力強い輸出も今後数四半期の成長を支えるはずだ。
<回復は継続>
賃金上昇と貿易条件の改善により実質所得が増加し、経済は回復を続けると予想している。
ECB0.25%利下げ、4年9カ月ぶり インフレとの戦いは続く | ロイター
 欧州中央銀行(ECB)は6日、主要政策金利の0.25%ポイント引き下げを決定した。利下げは2019年9月以来、4年9カ月ぶり。中銀預金金利を過去最高の4.0%から3.75%に引き下げた。
リファイナンス金利は4.50%から4.25%に、限界貸出金利は4.75%から4.5%に下げた。
ECBは声明で、インフレ見通し、基調インフレの動向、金融政策の伝達の強さに関する最新の評価に基づき、金融政策の制限の程度を緩和することが適切であると判断したと表明。
2023年9月の理事会以降、インフレ率が2.5%ポイント余り低下し、インフレ見通しが著しく改善したと指摘した。
その上で、インフレ率を適時に目標の2%に回帰させるとし、そのために必要な限り、政策金利を十分に制限した水準に維持する方針も示した。引き続きデータに基づき、会合ごとに適切な制限レベルと期間を決定するとした。7月に追加緩和を行うかについては示唆しなかった。
ECBのラガルド総裁は記者会見で、理事会の声明文を読み上げ、「賃金の伸びが上昇しているため、域内の物価上昇圧力は依然として強く、インフレ率は来年に入っても目標を上回って推移する可能性が高い」とした上で、「われわれは特定の金利経路を約束するつもりはない」と言明した。
一方、ECBが金融引き締めスタンスを「縮小」する段階に移行しているのかとの質問に対し、そのようなプロセスが進行中であるかどうかは確認できないが、「その可能性は高い」と答えた。その上で「それはデータに左右されるものであり、そのスピードと時間は非常に不確かだ」とした。
ラガルド総裁によると、利下げ決定に反対したのは理事会メンバーのうち1人だけだった。総裁はそれが誰なのか明らかにしなかったが、3人の関係筋によると、ホルツマン・オーストリア中銀総裁だった。ホルツマン氏はインフレ見通しの上昇を考慮し、金利据え置きを主張したという。
今回の利下げで、ECBはカナダ、スウェーデン、スイスの中央銀行に次いで金融政策を緩和に転換することとなった。
ただECBウォッチャーからは、現時点で利下げに踏み切ることの論理性を疑問視する声も聞かれた。米連邦準備理事会(FRB)は予想以上に高止まりするインフレ率をにらみ、夏以降まで利下げに踏み切らないと予想されているからだ。
ECBの発表後、市場では利下げ観測が減退した。年内の利下げはあと1回との見方が大勢で、2回とみる向きはわずかとなっている。
ジェフリーズのエコノミスト、モヒト・クマール氏は「われわれの基本シナリオではないが、FRBが今年全く利下げを行わない場合、ECBは今年2回しか利下げを行わないかもしれない」と述べた。
ECB、金融緩和を米英に先駆け開始-追加利下げ見通しは示さず - Bloomberg
ECBは7月利下げをほぼ除外、9月も一部委員が疑問視-関係者 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)政策委員会は7月の追加利下げをほぼ排除していると、事情に詳しい関係者が明らかにした。一部のメンバーは、9月の会合での利下げも賢明な動きなのか疑問視しているという。
非公開の協議内容だとして匿名を条件に語った関係者によると、6日の議論では7月の利下げ可能性をほとんど検討せず、次回の四半期経済予測が出てくる9月12日の会合での利下げについて現時点で定まった意見の一致はない。
ただ、6日の利下げ開始は投資家に対してこれまで一貫してシグナルを送ってきたことを踏まえ、実行することが必要だとの点で政策委員の間に疑いはほとんどなかったという。
金利見通しを政策委員らがどのように考えたかについて、ECB報道官はコメントを控えた。
ECBは6日、十分に示唆されてきた利下げを決定した一方で、今年と来年のインフレ予測を引き上げた。今後の道筋について確固とした見方がないというのは、政策委員会に混乱がある様子を浮き彫りにする。
今回の利下げ決定には、オーストリア中銀のホルツマン総裁が反対した。同氏は以前に6月の利下げを支持すると示唆していたが、政策発表後の声明で、「データが導く決定とは、データが導く決定であるべきだ」と主張。5月31日に発表されたユーロ圏インフレ率が予想以上だったことが見解の変化につながった可能性をほのめかした。
ラガルド総裁は6日の記者会見で次の動きについて問われた際、「どれくらいの時間がかかるのかに関しては、先にも行った通り、現時点で話すことはできない」と発言。
「政策委員会の優秀な同僚の何人かはそれぞれの見解を話すだろうと思う。ある道筋にわれわれがいるのは承知しているが、その道筋にはでこぼこがあることも分かっている。自分はこの単純な理由で、いかなる結論に対しても慎重だ」と総裁は述べ、決定はデータに左右されると強調した。
ECB利下げ決定に唯一反対したのはオーストリア中銀総裁-関係者 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)が6日発表した利下げの決定に政策委員会で唯一反対したのはホルツマン・オーストリア中銀総裁だったと、事情に詳しい関係者が明らかにした。
ラガルド総裁は政策発表後の記者会見で、「1人を除く全員が決定を支持した」と発言。反対したのが誰だったのかは公表しなかった。
ホルツマン氏は広報担当者を通じ、自身が唯一の反対者だったことを認めた。
同氏は政策委員会きってのタカ派の一人で、5月28日に公表されたインタビューではエコノストリーム・メディアに対し、「現状通りであれば来週の利下げを支持するが、追加措置が自動的であってはならないとも警告するだろう」と述べていた。
ECB幹部ら、7月利下げ可能性低いと認識 焦点は9月=関係筋 | ロイター
過半が今月日銀会合で国債減額予想、年内利上げ9割に増加-サーベイ - Bloomberg
日本銀行が来週に開く金融政策決定会合では、エコノミストのほぼ全員が追加利上げの見送りを予想する一方、過半が国債買い入れの減額を決めるとみている。追加利上げの時期は7月と10月が約3割で拮抗(きっこう)している。
ブルームバーグが5月31日-6月5日にエコノミスト51人を対象に実施した調査によると、13、14日の会合での追加利上げ予想は1人だけだった。利上げのタイミングは7月と10月が共に33%で最多。92%が年内を見込んでおり、前回の4月会合前の調査の81%から増加した。
一方で、今会合では国債買い入れの減額が決まるとの見方が54%に達した。決まると思わないとの予想は26%だった。先行きの国債買い入れやバランシートの予見性を高めるためにも、日銀が工程表に近いものを示すべきかとの問いには、「はい」との回答が65%を占めた。
日銀が3月会合で世界で最後のマイナス金利を解除して17年ぶりに利上げし、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)も廃止した。4月会合では政策を据え置いたが、物価上昇圧力や円安傾向の継続を背景に早期の追加利上げや国債買い入れ減額の観測が強まっていることが、今回の調査でも裏付けられた形だ。
大和総研の熊谷亮丸副理事長は、今会合について「短期金利の誘導目標水準は現状維持としつつ、国債購入ペースの柔軟化または購入額の減額を決定する可能性がある」と指摘。長期金利の上昇は短期金利に比べて実体経済に与える影響は小さいとし、「長期金利の上昇を促すことで、景気への悪影響を抑えつつ効果的に円安圧力を緩和し、インフレリスクを軽減することができる」と語った。
長期金利(10年物国債金利)は5月30日に一時1.1%と約13年ぶりの高水準を付けた。日銀が意識している可能性がある長期金利の上限については、52%が1.5%程度と回答。「上限は特にない」との回答も35%あった。
国債の購入減額に関して、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎主席研究員は「短期金利の引き上げを伴わない形で円安に歯止めをかけるには、うってつけの手段だ」とみる。減額観測が高まる中で修正しなければ一気に円安が進むリスクがあると指摘。今会合で減額スケジュールを提示し、「必要とあらば買いオペで金利上昇のスピードを緩和させる方針を打ち出すのではないか」と予想した。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、会合では減額の方向性を示す文言を加えるだけにとどめ、具体的な減額幅は会合後に公表する長期国債買い入れの四半期オペ計画のレンジ引き下げで示すとみている。バランスシートの正常化には長い年月を要するとし、減額は「最初は市場を試すように小幅に実施、徐々に削減幅を拡大していく方が得策」との見解を示した。
円安への対応
年内利上げ観測の増加の背景には、円安の進行が影響している。政府・日銀は4月26日-5月29日に月次ベースで過去最大となる9兆7885億円の円買い介入を実施した。円安対応を巡って、日銀に利上げ圧力は高まっていると思うかを尋ねたところ、73%が「はい」と回答した。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、4月会合後の植田和男総裁の記者会見が円安加速の起爆剤になったとし、「日銀がハト派的なメッセージを出す余地は狭まった」と指摘。日銀が基調的な物価上昇率を重視している中で、円安対応による早期利上げの可能性は低いとしつつ、「どれだけ早期利上げの現実味を打ち出してくるかに注目している」という。
みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは「金融政策の通貨政策化が徐々に、しかし確実に進んでいることに危うさを覚える」と憂慮する。多くの市場参加者が日銀の「次の一手」は円相場次第と考えるようになっているとし、「円売りで攻め込みたい投機筋にとっては動きやすい雰囲気が感じられる」と語った。
●先進国、グローバル、金融市場
英総選挙、ファラージ氏の「リフォームUK」に保守票流れる=調査 | ロイター
イタリア統計局、今年の経済成長予測を1%に引き上げ 来年1.1% | ロイター
英国の富裕層、夏の総選挙に慌てる-資産守るため急ぎ行動 - Bloomberg
外国の億万長者からロンドンの金融街シティーのバンカーまで、英国の富裕層はスナク首相が夏の総選挙を発表して国民を驚かせた後、資産の避難を急いでいる。
富裕層や資産アドバイザーへのインタビューによると、一部の富裕層は投資を現金化したり、すぐに引き上げられそうな各種料金を支払ったり、英国を離れたりしている。
与党保守党と野党労働党はともに、英国に居住する外国人富裕層(ノン・ドム)に対する優遇税制の廃止を公約に掲げている。労働党のスターマー党首は、富裕層への課税をさらに強化する方針を打ち出しており、世論調査では同党が20ポイント以上リードしている。
ポーランドを拠点とする超富裕層向け税務・移民アドバイザー、デービッド・レスペランス氏はスナク首相が7月4日の総選挙を決めたことについて、「それまでためらっていた顧客がパニックモードに入った」と述べ、首相は 「選挙の手りゅう弾のピンを抜いた 」と指摘した。
英国は昨年、正味で3200人の富裕層を失ったと、市民権アドバイザリー会社のヘンリー・アンド・パートナーズが見積もった。欧州で最大の流出であり、2022年の2倍だという。法的・政治的に安定しているという英国の評判は、欧州連合(EU)離脱の混乱と、2016年以降に5人という保守党政権の首相交代によって揺らいでいる。
英国はモナコ、ドバイ、スイスといった富裕層に人気のある地域に後れを取っただけでなく、富裕層の外国人を誘致するプログラムを展開したイタリアやギリシャといった欧州諸国とも競争しなければならなかった。英国は22年にいわゆるゴールデンビザ・プログラムを廃止した。
世界的な法律事務所チャールズ・ラッセル・スピーチリスのパートナー、ドミニク・ローランス氏(ロンドン在住)はノン・ドムの優遇廃止について、「もし発表されたとおりに変更が進めば、重大で、しかも完全に回避可能な失策だ」と指摘する。
労働党はまた、プライベートエクイティー専門家や私立学校の学費への課税も追加しようとしている。ノン・ドムを巡る提案の一環として、信託構造で保有される海外資産に対する相続税免除の撤廃も目指している。
ノン・ドムは海外での所得について英国で課税されない。スナク首相の妻のアクシャタ・ムルティ氏もこのステータスの恩恵を受けていることが22年に明らかになった。メディアを騒がせた後、ムルティ氏はインドのソフトウエア大手インフォシス社から得た収入の一部に対して英国で税を支払うことにした。
あるシティーの法律事務所では、ここ数カ月にノン・ドム関連の変更に関連した問い合わせを3ダース以上受けたという。億万長者や百万長者からの相談だと、事情に詳しい関係者が語っている。そのうちの1人はスイスに移住し、もう1人はイタリアへの移住を準備しているという。
ロンドン在住の英国外出身の元ヘッジファンド運用者は、両主要政党の政治的方向性への不満もあり、他の欧州諸国に移ろうとしている。また、不動産投資を行っている超富裕な英国人も、英国でのフルタイム生活から、年に3カ月だけ英国で過ごし、残りをドバイやモナコなどの低税率地域に住む方法に切り替えることを検討している。
世界的な法律事務所オジェで超富裕層向けの税務・信託アドバイザーを務めるサイモン・ゴールドリング氏は、海外移住を希望する英居住者の実例をいくつか知っているが、そのほとんどが戦後最高水準の税金の高さに不満を持つ英国人だという。
「彼らはうんざりしている」と、自身も昨年英国からドバイに転居した同氏は述べた。
米雇用者数の伸び、発表値より弱かった可能性-統計局データが示唆 - Bloomberg
富国生命、まだ超長期債積み増す時機でない-20年2%で積極投資検討 - Bloomberg
富国生命保険は、2024年度内に20年国債利回りが2%に達すれば積極的な超長期債投資を検討する方針で、今は本格的な積み増しは見送る。
同社は24年度のスタート時点で残存20~30年債の平均的な利回りで2%超という水準を積極的な積み増しの目安としていた。森実潤也財務企画部長は6日のインタビューで、2%を明確に超える水準にはまだ届いておらず、「本格的な積み増しのタイミングではない」と述べた。
同日行われた30年債入札は米長期金利低下という追い風もあって順調に消化され、国内金利は全般に低下した。ただ、日本銀行が早期に国債買い入れ減額や追加利上げに踏み切ることへの警戒感は強く、金利先高観は消えていない。生命保険会社が主な投資対象とする30年債の利回りは調達コストである予定利率を上回っているが、金融政策を巡る不透明感が払しょくされるまで慎重な投資姿勢が続く可能性が高い。
森実氏は「さすがに金利の先行き不透明感が強い」と語る。日銀は3月にマイナス金利を解除するまで市場との対話は順調だったが、5月13日に「唐突に国債買い入れ減額に踏み切ったことに市場が慌て、先行き不確実性を高める要因になっている」と指摘する。
利上げの時期に関しては、夏ごろまでの賃金動向を確認できる10月が自然と同氏はみるが、無風に終わった4月の金融政策決定会合や日銀総裁会見をきっかけに円安が加速したとの見方が強く、早めの「利上げに動かざるを得ない」と読む。来週の会合で「何らかのシグナルを示し、7月に実施する可能性もある」と言う。
金利上昇待ち
日銀が国債買い入れ減額の方向性を明確に示し、利上げに踏み切れば「金利はいったん落ち着くかもしれない」と森実氏は話した上で、「次は利上げの到達点に関心が移り、その見通しが金利を形成していく」とみる。引き続き金利は上昇し、10年債利回りで1.2%、20年債利回りで2%など「われわれが考えている水準に達すれば当然、本格的に債券を積み増していくことも十分検討しなければならない」と述べた。
超長期債の需給が悪化しており、主要な買い手である生保の出足の鈍さを懸念する向きも市場では多い。この点について「今は皆、将来の金利上昇を待っているため需要が弱いだけ。どこかのタイミングで強い需要が発生するのではないか」と森実氏は見通している。
米雇用者数の伸び、発表値より弱かった可能性-統計局データが示唆 - Bloomberg
米国の労働市場は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長らの認識と比べると、ずっと活気がないかもしれない。
米労働省労働統計局(BLS)が5日発表したデータによると、昨年の雇用者数の伸びは月間雇用統計に基づくランレートの約25万人よりも、毎月平均で約6万人少なかった可能性がある。雇用・賃金に関する四半期国勢調査での新たなデータは米雇用の95%以上をカバーしており、最終的には月間雇用統計の年次改定に使用される。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げの開始時期を見極める中、今回の調査内容は労働市場を巡る不確実性を高める。月間雇用統計や週間新規失業保険申請件数など市場が堅調に推移していることを示唆する指標もあるが、失業率の上昇や求人件数の減少など、亀裂が生じていることを示唆する指標もある。
アイアンサイズ・マクロエコノミクスの創設者であるバリー・ナップ氏は月間雇用統計について、「事業所調査が労働市場の実情を誇張してきた可能性は極めて高い」と述べ、「雇用市場はFRBが考えているよりも弱い」と指摘した。
雇用がすでに広く認識されているよりも減速しているのであれば、米政策当局者が長期にわたり金融引き締めを続けることで、過度に雇用を減速させるリスクを高めることになる。
米国の単位労働コスト、1-3月は下方修正-労働生産性も減速 - Bloomberg
●中東情勢
イラク武装勢力との連携強化、対イスラエルで=フーシ派指導者 | ロイター
米英独など、ハマスに停戦案の受け入れ要請 共同声明発表 | ロイター
ガザで夏に疫病流行リスク、山積ごみが暑さで腐敗=NGO | ロイター
貧困撲滅活動を行う非政府組織(NGO)「アクション・アゲンスト・ハンガー」は、パレスチナ自治区ガザで収集されず山積みになった廃棄物が夏の暑さで腐敗し、前例のない疫病の流行が起きるリスクがあると警鐘を鳴らした。すでに食料不足に苦しんでいる住民が一段の困難に見舞われる恐れがある。
同団体の担当者はロイターに、戦争で荒廃した地域からは廃棄物を撤去できない上、住民もごみ捨て場を利用できないことから、ごみの管理が団体の主な関心事の一つになっていると説明。
「ガザ全体にこれだけの固形廃棄物が散乱している状況は、さまざまな衛生問題を引き起こす。かつてこの地域で発生したことのない疾病が発生する事態を懸念している。そうなれば、特に気温が上昇する夏には地域全体に影響が出るだろう」と述べた。
●エマージング
インドのモディ首相、台湾との関係緊密化に期待表明-中国は反発 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
世界のクリーンエネ投資、今年2兆ドルへ 化石燃料の倍に=IEA | ロイター
国際エネルギー機関(IEA)は年次報告書「世界エネルギー投資」の中で、今年のエネ投資総額が初めて3兆ドルを超え、そのうち約2兆ドルが再生可能エネや電気自動車、原子力発電などのクリーンエネ技術・インフラに充てられるとの見通しを示した。
残りはガス、石油、石炭の化石燃料に向けられるという。
IEAのビロル事務局長は「クリーンエネ投資の増加は、力強い経済、継続的なコスト削減、エネ安全保障上の考慮に支えられている」と述べた。
2024年のクリーンエネ投資は中国が6750億ドルと推計されており、最大のシェアを占める。欧州は3700億ドル、米国は3150億ドルとなりそうだ。
太陽光発電(PV)への投資が他のどの発電技術よりも大きく、太陽電池モジュールの価格下落により、24年の投資額は5000億ドルに拡大する見込み。
世界平均気温、直近1年間は過去最高 「気候地獄」と国連事務総長 | ロイター
5月末までの1年間の世界の平均気温が産業革命前を1.63度上回り、1940年の記録開始以来で最高となったことが、欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が5日発表した調査結果で明らかになった。
科学者は、世界の気温が産業革命前の数十年間の平均より1.5度以上高くなると、取り返しの付かない異常な影響がもたらされると警告している。
これとは別に、国連の世界気象機関(WMO)の報告によると、今後5年間の少なくとも1年に、暦年単位で世界の平均気温が初めて産業革命前を1.5度以上上回る確率は80%と、昨年の66%から高まっている。
グテレス国連事務総長は同日、「世界環境デー」の演説でこうした調査結果を踏まえ、「気候地獄への高速道路から抜け出す出口ランプが必要だ」と発言。2030年までに世界の化石燃料生産を30%削減するべきだと訴えた。
グテレス氏は「1.5度を巡る闘いの決着は2020年代に付く」とも述べ、早急な対応の必要性を強調した。
●小ネタ
NY市地下鉄に「地獄の夏」再来か-渋滞税停止で補修財源に危うさ - Bloomberg
大人のための自転車教室-ロンドン、NYでサイクリング人口増に貢献 - Bloomberg
●市況
NY市場サマリー(6日)S&Pとナスダック小反落、ユーロ上昇、利回りやや上昇 | ロイター
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ユーロが安定的に推移した。広く予想されていた欧州中央銀行(ECB)の利下げ決定を消化し、対ドルでは0.17%高の1.0887ドルとなった。対円では0.09%安の169.57円だった。
<債券> 米金融・債券市場では、10年債利回りが一時約2カ月ぶりの低水準を付けた後、小幅上昇に転じた。米連邦準備理事会(FRB)は年内に利下げに着手するとの観測の中、労働省が7日に発表する5月の雇用統計が注目されている。
<株式> 米国株式市場はS&P総合500種とナスダック総合が小反落して取引を終えた。米雇用統計の発表を控え、前日に付けた過去最高値から後退した。ダウ工業株30種は小幅続伸した。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、翌7日発表の米雇用統計の行方に注目が集まる中、続伸した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米利下げ観測が強まる中で買いが膨らみ、続伸した。
欧州市場サマリー(6日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。欧州中央銀行(ECB)の理事会の政策決定やコモディティー(商品)価格の上昇が押し上げ材料となった。一方、配当落ちの銘柄もあり上げ幅は抑えられた。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。銀行株、テクノロジーとヘルスケア銘柄が買われて相場を押し上げた。ただ、欧州中央銀行(ECB)の理事会の政策決定発表後には、上げ幅を縮めた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。欧州中央銀行(ECB)が中銀預金金利を過去最高の4.0%から3.75%に引き下げたものの、7月の追加緩和について示唆しなかったことが材料視された
ドイツ10年債利回りは5.7ベーシスポイント(bp)上昇の2.552%。先月31日には、2.707%と6カ月半ぶりの高水準を付けた。
市場はECBによる今後の利下げの見通しを後退させており、今回の利下げに加えて年末までに約35bpの追加利下げ幅を織り込んでいる。これは年内にもう1回の利下げが実施された上で3回目の利下げが実施される確率が約40%であることを示唆している。

備忘録(2024/6/5
●雑感
●決算
[CPB] キャンベルスープ 3Q増収減益 売上高6%増23.6億ドル、営業益2%減2.48億ドル、EPS0.44ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DLTR] ダラーツリー 1Q増収 売上高4%増76.3億ドル、営業益微増4.20億ドル、EPS1.38ドル - 株探(かぶたん)|米国株
インディテックス、2〜4月11%増益 ZARA好調で
●海外企業
●日本企業
●米大統領選挙
●先進国中銀
カナダ銀行(BOC、中央銀行)は5日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を予想通り0.25%ポイント引き下げ4.75%とした。利下げは4年ぶりで、今回のインフレ局面で利下げに転じるのは主要7カ国(G7)の中央銀行として初めて。中銀はインフレ緩和が続けば追加利下げの可能性があるとした。
マックレム総裁は「基調的なインフレが緩和しているというさらなる持続的な証拠により、金融政策はもはやそれほど制約的である必要はない」と指摘。「インフレが引き続き緩和し、インフレが持続的に2%の目標に向かっているというわれわれの自信が強まり続けるなら、政策金利のさらなる引き下げを予想するのは合理的だ」とした。
ただ追加利下げの時期は、インフレ低下傾向が続き、経済が中銀の予想に沿って推移するかに左右されると指摘。「われわれは金利決定を会合ごとに行っている」とし、インフレ対策のさらなる進展は不均一になる可能性が高く、リスクは残っていると語った。
米連邦準備理事会(FRB)が年内に実施すると予想されている利下げの回数は1回。エコノミストの間では、米国の金融政策から乖離すればカナダ中銀にとりリスクになるとの見方が出ている。
これについてマックレム総裁は「米国から乖離できる程度に限界があるが、その限界に近づいてはいない」と述べた。
<利下げペースは緩やか>
カナダのインフレ率は鈍化しつつあり、4月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は2.7%と、2021年3月以来、3年1カ月ぶりの低水準を付けた
中銀は基調的なインフレ指標は一段と良好になっていると指摘。マックレム総裁は、利下げペースは利上げを実施してきた際のペースよりも緩やかになるとし、金利水準は新型コロナウイルス感染拡大前よりも高い水準に落ち着くとの見方を示した。
また、経済は供給過剰の状態にあり、全体的なインフレ率が引き続き低下したとしても成長の余地があると言及。需給のミスマッチ、インフレ期待、賃金上昇、企業の価格設定を引き続き注視していくと改めて強調した。
経済がソフトランディング(軟着陸)する可能性はあるかとの質問には「滑走路は見えている。着陸させる必要がある」と応じた。
<市場は7月利下げ想定>
デジャルダン・グループのマクロ戦略責任者ロイス・メンデス氏は「カナダ銀行が7月に再び行動を起こすとの確信が高まっている」と指摘。CIBCのシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏も7月の利下げを予想し、今年は合計4回の利下げが見込まれるとした。
金融市場が織り込む、カナダ銀行が来月政策金利を4.50%に引き下げる確率は35%となっている。
カナダドルは序盤の上昇を吐き出し、一時0.4%安の1米ドル=1.3733カナダドルとなった。
次回会合は7月24日で四半期予測が発表される。
●先進国、グローバル、金融市場
KKR、日本でプライベートクレジット参入検討-日本法人の平野社長 - Bloomberg
円キャリー逆流は杞憂、新興国政治リスクでも日本の個人は円売り堅持 - Bloomberg
ECBの前に立ちふさがるインフレの壁-利下げ困難FRB並みも - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)が米連邦準備制度理事会(FRB)と同じような金利引き下げへの障害に直面するのではないかという懸念が高まっている。
ECB当局者が繰り返し強調するように、物価上昇の要因には米欧で明らかな違いがある。しかし、一部のエコノミストは重要な類似点を見いだし、物価圧力が持続するリスクを過小評価しないよう警告している。
大々的に予告されている6日の利下げは問題ない。中銀預金金利は4%から引き下げられるだろう。問題は、米国のような頑固なインフレが、その後の急速な金利引き下げを難しくすることだ。FRBはすでに、予想を上回る物価上昇の中で金融緩和について再考を迫られた。
INGのマクロ調査グローバル責任者、カルステン・ブルゼスキ氏は「米国の粘着性のインフレ問題は、欧州にも波及する可能性がある。ECBは米国で見られるリフレのリスクを一概に否定せず、慎重な姿勢を崩さない方が賢明だろう」と述べた。
ユーロ圏の5月のインフレ率は2.6%と予想以上に加速した。さらに憂慮すべきは、サービス価格の急上昇と予想外のコアインフレ率上昇だ。
インフレ率は急低下した後に下げ渋っている。目標の2%までの道のりの険しさを覚悟しているECBにとって驚きではなかっただろう。しかし、インフレ動向のこのところのパターンは米国に類似している。最近のブルームバーグの調査では、エコノミストの約3分の1が欧州の物価上昇は米国の傾向に追随しているとの見方を示した。
元々のインフレ要因は、米国では莫大な財政刺激策、欧州ではロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー危機というように異なる。しかし、今後の欧州の物価上昇要因は米国でのインフレ持続の背景にあるものとそれほど違わないかもしれない。
ノムラ・インターナショナルのエコノミスト、アンジェイ・シュチェパニアク氏は、域内総生産(GDP)が予想以上に拡大し、記録的な低失業率に支えられた消費者主導の景気回復が見込まれることで、賃金が大幅に上昇していることを挙げる。旺盛な需要により、企業はコスト上昇分を消費者に転嫁することができる。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のポートフォリオマネジャー、コンスタンティン・ファイト氏は、インフレは世界的に「相関性が高い」として「米国の方が問題が大きいとしても、ユーロ圏が少なくとも軽微な問題を抱えずに済むとは考えにくい」と述べた。
同氏は、シュナーベルECB理事が2022年に行った講演でインフレの「グローバル化」の「目に見える証拠」について述べていることを指摘。
ナーゲル・ドイツ連邦銀行総裁は4月にブルームバーグに、米国の消費者物価インフレの粘着性は「インフレについては謙虚な姿勢で臨むべきだと教えてくれる」と述べている。
ラガルド総裁らは米国と欧州の経済状況の関連性を軽視している。総裁は4月の政策決定後に「米欧のインフレが同じであるという仮定に基づいて結論を出すことはできないと思う。二つの経済は同じではない」と語った。
しかし、ユーロ圏のインフレ率が数カ月遅れで米国のインフレ率に追随しているという事実は無視できない。INGのブルゼスキ氏は、この類似性が続くリスクは高いとみている。
ECB、プライベートエクイティー業界関連の銀行融資を精査 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)は、企業のデフォルト(債務不履行)リスクが高まる中、域内の大手銀行がプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資業界にどのように融資しているかを精査している。
ECBは高債務企業向けの融資について、適切なデフォルト確率を割り当てているかどうかを確認するため、約12の大手金融機関を対象に詳細な評価を行っていると、事情に詳しい関係者が述べた。こうした高債務企業はPEファンドが所有していることが多い。
これとは別に、潜在的な集中リスクを明らかにするため、個々のバイアウト会社に関連する企業への融資の総額に関するデータを銀行から収集しているという。
関係者が匿名を条件に述べたところによると、ECBはレバレッジドファイナンスとして知られるビジネスにおける問題点についての予備的な調査結果を、さまざまな金融機関に提示した。一部銀行に潜在的な貸し倒れに対する引当金の積み増しや資本増強を求める可能性があるという。
中銀による利上げが安価な信用供与の時代に突然終止符を打ち、プライベートエクイティー業界は試練にさらされている。多額の負債を抱えている企業を中心にデフォルト率が上昇し始めている。10年にわたる低金利時代には高バリュエーションでの企業買収が行われてきたため、買収された企業は多くの負債を抱えている。
欧州の一部銀行がプライベートエクイティー関連の融資をする際の過剰なリスクテークやリスク管理の甘さをECBは問題視しており、今回の見直しはこれを抑制するための長期的な取り組みの一歩だ。
規制強化の一環として、ECBは依然にドイツ銀行やBNPパリバなどいくつかの金融機関に追加的な資本要件を適用したが、対象銀行の一部からは不満の声が上がった。
ECBは、レバレッジドローンの大きなポートフォリオを持つ銀行は景気が悪化した時に他の銀行よりも貸倒率が高くなると主張。こうした銀行はそのようなシナリオに備え十分な準備金を積み立てる必要がある論じている。
しかし、ドイツ銀行など一部の金融機関は、レバレッジドファイナンスの要件を厳格化すればプライベートエクイティー業界とは無関係の企業への融資も抑制する恐れがあると主張する。
クレジット・ファイル・レビューと呼ばれる綿密な評価に関して、ECBはいくつかの銀行での作業を終了し金融機関は現在フィードバックを提供しているところだと、事情に詳しい一部の関係者は述べた。調査結果に反論している銀行もあるという。
ヘッジファンドが円のコール購入、日銀QT警戒し戦術転換-関係者 - Bloomberg
スナク英首相と労働党党首、経済巡り激論 総選挙に向け初討論会 | ロイター
英サービスPMI、5月改定は6カ月ぶり低水準 インフレ圧力低下 | ロイター
S&Pのプリンシパルエコノミスト、ジョー・ヘイズ氏は「サービス部門の販売価格の伸びは3カ月連続で鈍化した」とし、「(英中銀の)金融政策委員会にとって非常に心強いことで、サービス価格の軌道が正しい方向に向かっていることを示している」と述べた。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、ノルマン・リープケ氏は「複雑なメッセージとなった。5月の企業活動は若干縮小したものの、全体的な需要は2カ月連続で増加した。また、ペースは鈍化したものの、雇用もさらに改善し、将来に対する強い期待を示している」と述べた。
独サービスPMI、5月54.2で1年ぶり高水準 楽観的見方強まる | ロイター
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ドイツのサービス部門のムードは月ごとに改善している。ドイツが『欧州の病人』ではないという希望が高まっている」と語った。
雇用創出は増加し、投入コストと生産価格の伸びは過去3年間で最低となった。
デラルビア氏は「サービス業はまだ一定の価格決定力を持っている。サービス業の経済的安定に良い兆しだ」と述べた。
ユーロ圏総合PMI、5月改定は1年ぶり高水準 サービス依然好調 | ロイター
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「景気後退の可能性はなくなった。サービス部門が第2・四半期のユーロ圏を再びプラス成長にするだろう」と述べた。
グリーンウォッシュ、EUの摘発不十分 規制当局のリソースなく | ロイター
2023年の出生率1.20、過去最低を更新 東京都は0.99 - 日本経済新聞
厚生労働省は5日、2023年の人口動態統計を発表した。1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.20で過去最低を更新した。出生数や婚姻数も戦後最少だった。経済負担や働き方改革の遅れから結婚や出産をためらう若い世代が増えた。少子化と人口減少が加速してきた。
出生率は16年から8年連続で低下した。これまでの最低は22年と05年の1.26だった。国立社会保障・人口問題研究所が23年4月に公表した将来人口推計の仮定値(中位、1.23)を下回った。
年齢別の出生率をみると、最も落ち込み幅が大きかったのは25〜29歳の女性だった。第1子出生時の母の平均年齢は31.0歳となり、初めて31歳台になった。
地域別にみると、出生率が最も低いのは東京都の0.99だった。1を割り込んだのは東京だけだった。埼玉、千葉、神奈川の首都圏3県はいずれも1.1台にとどまり、都市部で低い傾向があった。最も高いのは沖縄県の1.60だった。全47都道府県で前年を下回った。
外国人を除く出生数は前年比5.6%減の72万7277人だった。死亡数は前年比0.4%増の157万5936人と過去最多だった。出生数は17年連続で死亡数を下回り、出生と死亡の差である自然減は84万8659人。前年よりも5万人多く、人口減少のペースが加速している。
出生率の低下は未婚化や晩婚化など様々な要因が影響している。婚姻数は前年比6.0%減の47万4717組で、戦後初めて50万組を下回った。婚外子が少ない日本では婚姻数の減少は出生数に直接影響する。
21年の出生動向基本調査によると、「いずれ結婚するつもり」と答えた未婚者の割合は15年調査と比べて男女ともに5ポイント近く減った。「結婚したら子どもを持つべき」と答えた人は男性が20.4ポイント、女性が30.8ポイント減った。
教育などの経済的な負担から、子どもを持つことや第2子以降の出産をためらう人もいる。日本総合研究所の藤波匠上席主任研究員は「低賃金や非正規など若い人の雇用環境を改善すべきだ」と指摘する。
子育て支援の先進例とされる国でも少子化が進む。フィンランドの23年の出生率は過去最低の1.26だった。直近で最も高かった10年の1.87から大きく落ち込んだ。フランスは23年の出生率が1.68と、第2次世界大戦後で最低水準だった。10年には2.03まで持ち直していた。
どちらの国も育児休業や託児所の整備などを手厚く支援してきた。経済協力開発機構(OECD)によると、家族関係社会支出の国内総生産(GDP)比はフランスが3%超と最も高く、フィンランドもOECD平均を上回る。
価値観が多様化し、子どもを持つ優先度が相対的に下がっている。女性の高学歴化に伴い出産年齢が高齢化しているとの指摘もある。子育て向けの金銭的な支援を増やしても出生率の改善には限界がある。
東アジアの少子化は日本以上に深刻だ。子どもを持ちづらい背景には高額な教育費や住宅価格などの要因が絡まる。
韓国は23年の出生率が0.72と世界最低水準だった。歴代政権は児童手当や多子世帯への補助金、不妊治療への保険適用などの対策を講じてきた。06年から22年までに投入した少子化予算が332兆ウォン(約37兆円)に達するが、出生率向上はままならない。
受験戦争が激しく、学習塾などの教育費の負担は重い。子育てとの両立が難しい労働環境、住宅価格の高騰なども出産のハードルになっている。
奨励金などで出産を促してきたシンガポールも出生率は23年に0.97と、初めて1を割り込んだ。生活費や教育費が上昇し、多くの人は子育てへの展望が開けていない。23年度予算では男性が任意で取得できる公的な有給産後休暇を前年から倍増して4週間とした。
台湾も23年の出生率が0.87と少子化に悩む。住宅費高騰や高い教育費など、ほかの東アジア諸国と事情は似る。晩婚化が進み、子どもを持たない夫婦も増えた。
給付中心の政策を転換し、改善傾向にあるのがドイツだ。働き方の改革を進め、30年間で子どもと両親が一緒に過ごす時間は1.5〜2倍近くまで増えた。移民の受け入れも進めており、22年の出生率は1.46と長期的には上向いている。
米国は移民を受け入れて経済成長につなげている。日本は外国人との共生が米国などと比べると進んでいない。与野党とも出生率と人口減、経済成長の複合的な問題に真正面から取り組む機運が乏しい。
米ADP民間雇用、5月は15.2万人増 1月以来の低い伸び
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が5日発表した5月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は15万2000人増加した。予想の17万5000人を下回り、伸びは今年1月以来の低水準になったほか、過去1年間の平均である19万4000人も大幅に下回った。
4月分は前回発表の19万2000人増から18万8000人増に下方改定された。
雇用者数の増加をけん引したのは大規模企業(従業員500人以上)で9万8000人増。中規模企業(従業員50─499人)の雇用者数は7万9000人増と、前月の5万9000人から増加した。
業種別では、サービス部門に増加が集中し、貿易、運輸、公益、さらに教育、金融がそれに続く形となった。レジャー・接客業が1万2000人増加したが、同業界としては11月以降で最小の伸びとなった。
一方、小規模企業(従業員1─49人)の雇用者数は1万人減少。製造業では2万人減と昨年7月以来最大となった。
転職した労働者の賃金上昇率は前年比7.8%。一方、在職者の賃金上昇率の伸びは3カ月連続で5%と横ばいとなった。教育、レジャー・接客業では、転職しなかった労働者の賃金上昇率は5.5%と平均を上回った。
米ISM非製造業総合指数、5月は53.8 予想上回り8月以来の高水準
5月の非製造業総合指数は53.8と4月の49.4から上昇し、拡大・縮小を示す50を上回った。ロイターがまとめた市場予想中央値の50.8も上回り、昨年8月以来の高水準となった。
事業活動を示す景気指数が10.3ポイント上昇し61.2と2022年11月以来の高水準を付けた。上昇幅は21年3月以降で最大となった。
新規受注指数が3カ月ぶりに上昇に転じ、価格指数は低下。雇用指数は47.1と4月に付けた4カ月ぶりの低水準から改善したものの、50は下回った。
ジェフリーズの米国担当エコノミスト、トーマス・シモンズ氏は、5月のISM非製造業総合指数は「業界全体での幅広い改善を示しており心強いが、ISMのプレスリリースで示された回答者のコメントははるかに控えめで慎重だ」と述べた。
米ISM指数、活発なサービス業況示す-9カ月ぶり水準に上昇
ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は「調査への回答からは、ビジネス全般が拡大しているものの、成長ペースは業種や企業によってまちまちな状況が続いていることがうかがわれる」と発表文で述べた。
「雇用面での課題は残り、退職者が出た後の補充や労務費管理の難しさがその主な原因だ。ビジネス状況を改善しにくくしているのは、インフレと現在の金利だという回答が大半だった」と述べた。
[FT]化石燃料タンカーに座礁資産リスク 英大学調査
来年にはドルがキャリー取引の調達通貨になる可能性-マッコーリー
2025年にはキャリー取引の主要調達通貨としてドルに目が向かう可能性がある。新興国の利回りが高止まりする一方で、米金融当局が金利を引き下げるからだと、マッコーリー・フューチャーズの世界通貨・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏が予想した。
ウィズマン氏は5日のインタビューで、「来年には米当局が緩和モードに入り、ドルに対してショートする方が興味深くなる状況になり得る。特に世界経済が強い場合にはそうだろう」と述べた。
米国の金利が一段と長期にわたり高水準で維持されることにトレーダーは賭け、それが年初から米国債利回りを支えてきただけに、こうしたシフトはドル相場の急激な反転をもたらすだろうと、ウィズマン氏はみている。
円はキャリー取引の共通した調達通貨だが、介入リスクがあるため「円に対するドルのロングは非常に危険」との見方をウィズマン氏は示した。
「これまで目にしたボラティリティーにもかかわらず」、メキシコやインド、チリなど成長力と比較的高い利回りのある市場について同氏はロングにしているという。
モルガンS、企業買収活発化を予想-資金取り戻したいPE投資家が圧力
ベルリンで開かれているプライベートエクイティー(PE、未公開株)関連会議「スーパーリターン・インターナショナル」の参加者によれば、今年はディールメーキングが加速する見通しだ。PEおよびプライベートクレジット・ファンドは投資家への還元で新たなプレッシャーに直面している。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントのプライベートクレジット・アンド・エクイティ部門世界責任者であるデビッド・ミラー氏は、ベルリンでブルームバーグTVのインタビューに応じ、「PEのリミテッドパートナーは資金を取り戻したがっている」として、企業買収は「年内と来年にかけて活発になるだろう」と述べた。
また、英投資ファンド、ペルミラのクレジット部門共同責任者であるデービッド・ヒルシュマン氏は別のインタビューで、買い手と売り手の間にはまだバリュエーションの期待値に隔たりがあるものの、「その差は縮まっており、明らかに企業買収活動は活発化している」と指摘した。
ヒルシュマン氏によれば、過去12カ月から18カ月の間に行われるはずだった取引はパイプラインに入っている。以前から中規模案件の取引に強みを持つプライベートクレジット・ファンドは現在ではより大規模な案件に食い込む競争力を備え、投資機会はここ数年増加しているという。
モルガン・スタンレーのミラー氏は、今年はシンジケートローン市場が復活したおかげで借り手の選択肢が増えたものの、投資銀行は大型案件の取り扱いに偏っており、プライベートクレジット企業には有利な傾向だとみている。
ミラー氏は「プライベートクレジットにとってコアな中間市場は今も当然行き着く場所だ」と述べた。
●中東情勢
●エマージング
財新・中国サービスPMI、5月は54.0に上昇 雇用上向く | ロイター
5月の中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は54.0と4月の52.5から上昇した。雇用は1月以降で初めて上向いた。
好不況の分かれ目である50を17カ月連続で上回り、2023年7月以来の高水準となった。
サービス部門と製造部門を合わせた総合PMIは前月の52.8から54.1に上昇し、1年ぶり高水準となった。
新規事業の増加がサービス部門の活動を支えた。新規事業は23年5月以降で最も速いペースで増加し、新規輸出事業も同様に増加した。
企業の雇用者数は昨年9月以降で最も高い水準となった。
一方、コスト負担が増す中、企業は値上げを行い、価格圧力は強まった。
世界経済の先行きと物価高への懸念から、企業の信頼感も7カ月ぶり水準に低下した。
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メキシコ財務相、公的債務の削減方針表明 投資家の懸念払拭図る | ロイター
メキシコのラミレス財務・公債相は4日、次期政権でも続投し、公的債務の削減と財政規律の維持に取り組むと述べ、投資家や市場の懸念払拭に努めた。
2日投票のメキシコ大統領選挙で、与党・国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長が圧勝。これを受け、連立与党が議会で圧倒的多数を確保し、憲法改正を推し進めるとの観測から国内株式・通貨市場が圧迫されている
ラミレス氏はアナリストと非公開で電話会見した。ロイターが入手した音声によると、10月に発足する新政権で財務相としての職務を「無期限」で続けると表明。経済の安定や財政健全化などメキシコの優先事項について、格付け会社や投資家とのコミュニケーション「一新」を目指すと述べた。
また、会見後に財務省が発表した声明で、「(新政権は)2025年までに年間債務の対国内総生産(GDP)比率を中期的に持続可能な3%程度に合致する水準まで低下させる」ことを目指すとした。
中央銀行の独立性を守り、法の支配を順守するほか、国内外の民間投資を促進するとも述べた。
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●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
●市況
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。FTSE100種指数は3営業日ぶりに反発。6日の欧州中央銀行(ECB)理事会での政策決定が注視される中、米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ観測を裏付ける経済指標が材料視された。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。オランダの半導体関連メーカーなどテクノロジー銘柄が買われて、相場を押し上げた。
<ユーロ圏債券> ドイツ10年債利回りが低下した。米指標で労働市場の減速が改めて示されたことを受けた。市場は6日に行われる欧州中央銀行(ECB)理事会を注視している。
<為替> ドルが上昇した。米供給管理協会(ISM)が発表した5月の非製造業総合指数が予想を上回り、昨年8月以来の高水準となったことを受けた。
<債券> 指標10年債利回りが2カ月ぶりの低水準を付けた。7日に発表される米雇用統計を控え、企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した民間部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受けた。
CMEのフェドウオッチによると、市場は現在、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの可能性を69%近くとみている。先週は50%前後だった。
指標10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下の4.289%。一時、4月1日以来の低水準となる4.287%を付けた。
2年債利回りは4bp低下の4.731%。一時5月16日以来の低水準となる4.726%に達した。
2・10年債の利回り格差はほぼ変わらずのマイナス44bp。
<株式> 続伸して取引を終えた。この日発表された経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が高まる中、S&P総合500種とナスダック総合は過去最高値を付けた。
<金先物> 米雇用関連指標が予想を下回ったことや米長期金利の低下などを背景に買い進まれ、反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比28.10ドル(1.20%)高 の1オンス=2375.50ドル。これは中心限月ベースで5月下旬以来約2週間ぶりの高値水準。
各国の中央銀行が引き続き金塊を積極的に購入していることも相場の支援要因。産金業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が5日までに公表したリポートによると、4月の世界の中銀による金の純購入量は33トン。トルコ、カザフスタン、インドなど8カ国の中銀が金1トン以上を購入した。このうち、トルコ中銀が最大の8トンを購入。中国人民銀行は購入ペースが大幅に減速しており、2トン未満にとどまった。
<米原油先物> 労働市場の軟化を示唆する新たな統計の発表を受けて米利下げ期待が高まり、6営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.82ドル(1.12%)高の1バレル=74.07ドル。8月物は0.76ドル高の73.82ドルだった。

備忘録(2024/6/4
●雑感
●決算
●海外企業
米J&Jに2.6億ドルの支払い命令、米オレゴン州陪審 健康被害巡り | ロイター
米オレゴン州巡回裁判所の陪審は3日、米日用品・医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の製品原料タルク(滑石)に含まれるアスベストが原因で中皮腫を発症したと女性が訴えていた裁判で、J&Jに2億6000万ドルの支払いを命じる評決を下した。
補償的損害賠償が6000万ドル、懲罰的損害賠償が2億ドルで、原告と夫への損害賠償も含まれる。
J&Jの訴訟担当副社長エリック・ハース氏は「(評決は)タルクが安全で、アスベストを含んでおらず、がんを引き起こさないことを確認した数十年にわたる独立した科学的評価と矛盾する」と述べた。同社は上訴する意向で、評決が覆えると確信しているという。
同社の弁護士は原告が育った場所の近くの工場で使われていたアスベストが罹患の原因だと主張した。
J&Jはタルクを巡り6万1000人以上の原告から訴えられている。大半は卵巣がんに関するもので、中皮腫はごく少数にとどまり、ほとんどで和解している。
欧州海運APモラー・マースク、再び業績上振れ 紅海危機で運賃上昇 - 日本経済新聞
ヒンデンブルグがデジタル銀アクソス空売り 商業用不動産リスク指摘 | ロイター
空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチが4日のリポートで、融資基準の緩さなどを理由にデジタル銀行アクソス・ファイナンシャルの株式を空売りしていると公表し、アクソス株が一時急落した。終値ではやや戻し、前日比4.2%安の50.25ドル。
ヒンデンブルグは、アクソスが最もリスクの高い資産クラスを保有し、他の銀行が規模を縮小している商業用不動産(CRE)向け融資を拡大していると指摘。3月末時点の同融資残高が、3年前の55億ドルから99億ドルに増えたと述べた。
さらにアクソスの商業・マルチファミリー部門の顧客ベースは「他の銀行からローンを受けられない借り手」で構成され、問題融資につながっているとの見方を示す一方、アクソスの株価有形資産倍率が業界水準を35%も上回って割高化していると分析した。
これに対してアクソスは、ヒンデンブルグのリポートは不完全で誤解を招く内容だと反論し、CRE向けローンポートフォリオの大半で高い返済順位を確保しているなどと説明した。
(アクソス概要、日経より)
1999年に設立されたネバダ州ラスベガス拠点の金融サービス企業。
個人顧客、法人顧客に対し金融商品、金融サービスなどを提供する。主な事業は、住宅ローン、シングル・マルチファミリー不動産、商業用不動産、自動車・レクリエーショナルビークル(RV車)など。
●日本企業
●米大統領選挙
●先進国中銀
日銀、早ければ今月会合で国債購入減額を具体的に検討も-関係者 - Bloomberg
日本銀行は早ければ来週に開く金融政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額についてより具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する可能性が大きい。複数の関係者への取材で分かった。
関係者によると、13、14日の会合では月間6兆円程度の買い入れを継続するとしている現在の長期国債の買い入れについて、減額が適切な市場環境かどうかを慎重に見極める。新たな方針の下で購入を縮小する場合でも、市場の大きな変動を回避する観点から、緩やかで段階的な減額の方向性が示される公算が大きい。
ブルームバーグの報道を受けて、外国為替市場では円が対ドルで一時1ドル=155円ちょうどまで上昇し、5月16日以来の高値を付けた。
●先進国、グローバル、金融市場
米国のミドルクラス、3分の2が経済的に苦しい-民間調査 - Bloomberg
米国でミドルクラス(中間所得者層)とされる市民のほぼ3分の2が、経済的苦境に直面しており、これからの人生に変化は期待できないと考えている。全米トゥルー・コスト・オブ・リビング連合が委託した世論調査で分かった。
多くの米指標では、米経済の力強さが示されている。労働・住宅・株式市場が堅調で、国内総生産(GDP)も着実に伸びている。だが、こうしたデータは、将来を心配し、貯蓄をすることができない何百万もの世帯の経済的不安を捉えていない。
シンクタンクのアーバン・インスティテュートが成人2500人を対象に行った世論調査によると、4人家族で少なくとも年収6万ドル(約935万円)と、しばしばミドルクラスと見なされる人々の65%が、経済的に苦しいと回答した。 
高所得の米国人でものかなりの割合が、経済的不安を感じている。連邦政府が定める貧困水準(FLP)の5倍以上、つまり4人家族で15万ドル余りの年収を得ている人の4分の1が、請求書の支払いを懸念。
全体では、所得水準に関係なく、回答者のほぼ10人に6人が現在、経済的に苦しいと感じている。
「景気は好調だが、多くの米国民はまだ経済面で息切れ状態だ」と世論調査を依頼したチームの一角を成す擁護団体プロテスタント福祉団体連盟のジェニファー・ジョーンズ・オースティン最高経営責任者(CEO)は指摘し、「今のニーズを超えて計画を立てるだけの余裕がない」と述べた。
回答者の約40%は、次の給料日以降の予定を組めず、46%は500ドルの貯蓄もなかった。調査では、回答者の3分の1が負債は全くないと答え、金利上昇の影響から免れている無借金世帯と、膨れ上がるローンやクレジットカードの支払いに追われている家庭との間の格差も浮き彫りとなった。
貯蓄に関する回答にも大きな差が見られた。約5人に1人は少なくとも1万ドルの貯蓄があるが、28%は全く貯蓄がないと明らかにした。全体的に6人に1人が、定期的にどの請求書から先に支払うか、厳しい決断を迫られていると答えた。
全米トゥルー・コスト・オブ・リビング連合のデービッド・ジョーンズ共同代表は「共和党支持者であれ無党派層であれ民主党支持者であれ同じような問題を抱えている。誰が大統領になっても、この問題はなくならない」と述べた。
米求人件数、21年以来の低水準-労働市場の緩やかな減速と整合 - Bloomberg
最近のデータは労働市場の減速を示唆しているが、その減速は人員削減ではなく、採用ペースの鈍化による緩やかなものとなっている。米金融当局は、需要を抑制しインフレを緩和させる上で、失業者を多く出さずにそうした減速傾向が続くことを望んでいる。
雇用率とレイオフ率は共に前月から変わらず。レイオフは歴史的な低水準にとどまり、雇用は減速傾向にある。これは、従業員の数が需要に見合った適切な水準にあると企業が判断していることを示唆している。
自発的離職者の割合である離職率は20年以来の低水準にとどまった。
失業者1人に対する求人件数は1.2件に減少し、21年6月以来の低水準。米金融当局が注視する同件数は過去1年間に顕著に減ってきている。22年のピーク時には2件だった。
ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール氏は、失業者1人に対する求人件数について「コロナ禍前に見られた水準とほぼ一致している」と指摘。「求人件数が急速に減少していることを踏まえると、同件数は今夏遅くに2019年の水準に戻るだろう」と述べた。
ECB、複数の独銀行に商業不動産ローンの引当金積み増し要請へ - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)はドイツの複数の銀行に対して、商業用不動産(CRE)ローンの貸し倒れリスクに備え、引当金を積み増すよう近く要請する見通しだ。複数の関係者が明らかにした。
ドイチェ・ファンドブリーフバンク(PBB)や地銀の一角といったCREローン債権を大量に抱える銀行が重点対象の1つに挙がっているが、最終的にどの銀行が引当金の積み増しを求められるかは定かではないと、関係者は述べている。
ECBが進めている審査では、幅広い事業モデルを展開するドイツの銀行大手よりも、商業用不動産へのエクスポージャーが大きい銀行に焦点が当てられている。情報の部外秘を理由に匿名を条件に語った関係者によると、ECBは他国の銀行も審査しているが、ドイツの銀行が最も大きな影響を受けることになる見通しだ。 
ECBは向こう数カ月間に、銀行に対して引当金積み増しの要請を通知する予定だと、関係者は述べた。引当金の増加に伴い、今年の収益に影響が出る可能性が高いという。
ECBは約3年前、32行のCREエクスポージャーに関する審査を開始。その後、ドイツ、フランス、イタリア、キプロス、スロベニアなどの15行に対象を絞り込んだと、事情に詳しい関係者は語った。ECBは建設コストの増大、金利の上昇、一等地とそれ以外の地域にある物件の評価額の差など、さまざまな要因を考慮したという。
フランクフルトの超高層ビル向けローンでデフォルト-再編合意できず - Bloomberg
フランクフルトで有名な超高層ビルの韓国人オーナーが、同ビルに関連する債務の再編計画に合意できず、デフォルト(債務不履行)に陥った。
ソウルを本拠とするIGISアセット・マネジメントが管理するファンドが、フランクフルトにあるトリアノン・タワーに関連する債務でのデフォルトを確認した。IGISアセットのウェブサイトによると、ローンはビルを部分的に保有するファンドが貸し手と交渉する間スタンドスティル(据え置き)協定下にあったが、交渉は決裂し協定は失効した。
「支払不能事由発生から3週間以内に破産手続きを申請する予定だ」と同社は説明した。
欧州の大型オフィスビルや物流施設に投資した韓国の投資家は、金利上昇以降に欧州大陸の商業用不動産市場を襲った急激な調整で、最も顕著な損失を被った。韓国勢は環境面や立地よりもテナントの信用力を重視する傾向があり、企業が最高のアメニティーを備えた近代的で緑豊かなスペースを求めるトレンドから打撃を受けている。
IGISアセットと韓国のハナ・ファイナンシャル・グループは2018年にトリアノン・タワーを約6億7000万ユーロ(約1130億円)で購入し、オランダの銀行INGグループから3億7500万ユーロの融資を受けた。このローンは昨年満期を迎え、オーナーと貸し手はその後、不動産の売却や借り換えを試みたが、評価額急落のために実現しなかった。
金利上昇は、低金利時代に記録的な水準に達していたドイツの不動産価値に特に大きく影響した。トリアノン・タワーの場合、主要テナントであるデカバンク・ドイチェ・ジロツェントラーレが今年退去するため、新しいテナントを誘致するためにビルをアップグレードする莫大な費用が必要となり評価額がさらに下がっている。
ドイツ失業者数が予想以上に増加、速やかな景気回復への期待に冷や水 - Bloomberg
明治安田生命、超長期金利になお上昇余地-急騰なら自分たちの出番 - Bloomberg
明治安田生命保険は超長期金利について、なお上昇余地があると判断し、まだ本腰を入れて国債を買う段階には至っていないとみている。一方、金利がパニック的に上昇するような局面では長期投資家である生命保険会社の出番だとし、金利上昇を抑えるのに一役買う意向だ。
北村乾一郎運用企画部長は4日、ブルームバーグのインタビューに応じ、日本銀行の買い入れが減る中で10年債利回りは数年で2%、日銀の買い入れが少ない30年債は2.5%まで上昇することが「十分考えられる」と述べた。
上昇基調を強める足元の金利動向も「適度な動きであり、まだ上昇余地がある」と分析。中でも超長期債は「最低限必要な量を買っていく段階で、まだ本腰を入れていこうとは思っていない」と言う。
生保が主な投資対象とする30年債利回りは4日午後3時時点で2.22%と、調達コストである予定利率を上回る水準まで上昇している。市場では、国債の買い手として生保に期待する声も出ているが、金利の急変動を受けて多くの投資家は腰が引けており、日銀が国債の買い入れ減額や今後の利上げ方針について明確な方向を打ち出すまでは慎重な投資姿勢が続く可能性は高い。
景気に刺激的でも抑制的でもない中立金利については、自然利子率の近似値である潜在成長率を使うと日銀などの推計で0.7%程度、期待インフレ率にブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)を使うと1.5%程度で、双方を足すと現在の30年債利回りと同じ2.2%になると北村氏は指摘した。
ここから日銀が保有する国債のストック効果の1%程度を差し引くと、現在の10年債の水準も「理屈で説明できる」と語った。
超長期債投資は米国経済の成り行きを見ながら、金利が想定されるピークに近づくのか、そこから下がっていくのかを判断し、「様子を見ながらある程度到達したところで先が見えるようであれば、少し力を入れて買う」と説明。ただし、「それは足元ではない」としている。
日銀の追加利上げに関し北村氏は「半年以上たつとグローバルな金利低下の影響を受けるかもしれないので、7月ぐらいに確実にやっておきたいのではないか」と推察。その場合は今年度内にもう一回の利上げを想定する。
6日には30年債入札を控えている。日銀の国債買い入れ減額を巡る不透明感から超長期債中心に足元の金利上昇ペースが速く、入札に対する警戒感は強い。財務省に対し超長期債の発行減額を求める声も市場の一部で出ているが、北村氏は「30年債は生保業界として非常に必要であり、財務省には安定的な発行を期待している」と言う。
その上で同氏は「何らかの思惑により売りが出て金利が跳ね上がり、理屈から乖離(かいり)した水準では、生保業界が多分買いに入ると思う」と発言。「われわれの需要は潜在的には大きいので、そこはかなり力を入れて金利を抑えていくことが想定される」と述べた。
ピムコ、利回りに「一世一代のリセット」-債券投資の黄金時代復活へ - Bloomberg
株式市場もプライベートクレジットもいったん忘れよう。「利回りに一世一代の上昇リセット」が起きて、債券が他の資産クラスをしのぐ日が来る。というのがパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の見立てだ。
「われわれが長期的に見渡せる範囲でリセッション(景気後退)がなければ、アクティブ債券投資は良好な成績を残せるだろう。リセッションがあれば、さらに成績は良くなる」とピムコのリチャード・クラリダ、アンドルー・ボールズ、ダニエル・アイバシン3氏は4日のリポートに記した。価格が上昇しインフレが後退するため、キャッシュと比較した債券の魅力はさらに高まるというのが3氏の見立てだ。
「市場は著しい景気後退リスクを織り込んでいないようだ。つまり債券はそのリスクをヘッジする安価な手段かもしれない」と分析している。
「急速に成長しているプライベート、および変動金利市場は、過去にデフォルト(債務不履行)サイクルに試された経験がないかもしれない」と指摘し、「テクノロジーや、レバレッジが高く信用格付けの低い企業への直接融資の分野に肩入れし過ぎるリスク」が高まると警告した。
ピムコの運用担当者によれば、株式のバリュエーションに無理が生じている可能性があることは、債券にとって好都合だ。景気を刺激もせず減速させもしない、いわゆる自然利子率(中立金利)を巡る議論は「債券投資家のチャンスが増えることを意味する。すでに織り込まれている利回りが、プラスの実質金利とタームプレミアムの形で緩衝材の役割を果たすからだ」とも説明した。
現在の債券市場は4%に近い中立金利を想定しているが、インフレ率が連邦準備制度理事会(FRB)が目指す目標近くに落ち着けば、FRBが想定する2-3%により近づくとピムコではみている。
同社はそれでも米国と世界の財政見通しと、長めの国債利回りが短期のベンチマークよりパフォーマンスで劣る可能性に慎重だ。米国では5年債に価値があると同社はみており、それより長い期間の米国債が現在同じような水準で取引されているものの、金利リスクはより大きいと指摘した。
リポートはまた、米国の財政赤字が原因で長期債にリスクがあるとした最近の警告を繰り返した。11月になってもそれが変わる可能性は低いとし、「選挙結果にかかわらず、財政赤字は歴史的な高水準を維持する可能性が高い」と述べた。
米国債発行への懸念から10年債利回りが5%に達した、昨年10月の米国債「タントラム(かんしゃく)」に触れ、「当社の基本シナリオでは突然の金融危機は想定していない。しかし財政問題が脚光を浴びれば市場のボラティリティー上昇が繰り返されるリスクはある」とした。
この先5年間、投資家が考慮すべき他のポイントは以下の通り:
・先進・新興国ともに世界的に利回りは「魅力的な水準に戻ってきた」一方、「米国以外の多くの国ではぜい弱性が高いが、財政面ではより良好な状況だ。いずれも債券には好材料だ」
・インフレ軌道がより不安定になる可能性があるため、インフレ連動米国債(TIPS)と商品、不動産の所有が望ましい。「インフレをヘッジする資産であり、新型コロナウイルス禍前より実質金利が高い」
・将来の景気悪化時に政府が利下げやその他の歳出で助けてくれるという期待は「今では財政面でますます理にかなわなくなっている」。ボラティリティーを増長しかねない
・景気悪化時の中央銀行による国債購入が再開される可能性は低い。「調達コストがこうした資産のリターンを上回っており、大規模な証券ポートフォリオを維持する財政的な負担はますます明白になっている」
ドイツ建設産業、今年4%縮小へ 雇用1万人減=業界団体 | ロイター
住宅建設が低迷し、売上高が実質ベースで12%減少する見通し。公共建設も予想を下回るとみられている。
ドイツの建設産業は金利上昇、インフレ、経済停滞で打撃を受けている。
唯一拡大が見込まれるのは商業建設で、売上高は1.5%増加する見通し。ドイツ鉄道、電力網事業者、地方交通機関からの大型受注が寄与するとみられる。
自民党内で岸田文雄首相の退陣要求 横浜市連会長「身を引いて」 - 日本経済新聞
●中東情勢
イスラエル「米国の庇護」下、合意に真剣でない ハマス幹部が批判 | ロイター
ヒズボラは戦争を拡大しないが、必要なら戦う─幹部=報道 | ロイター
ネタニヤフ氏、政治的理由でガザ戦争引き延ばしも─バイデン氏=米誌 | ロイター
●エマージング
インド総選挙、与党が単独過半数割れ-モディ氏は続投の意向表明 - Bloomberg
4日に開票が始まったインド総選挙では、モディ首相率いる与党・インド人民党(BJP)は議会で単独過半数を失う見通しだ。10年にわたり政権を握ってきたモディ氏は与党連合による政権樹立を余儀なくされる。
選挙結果が予想よりもはるかに接戦となり、NSEニフティ50指数は5.9%安と、約4年ぶりの大幅安となった。
モディ氏は、30議席ほどを有するNDAの主要2政党から支持を得る必要がある。この2政党の指導者は支持する政党を変えてきたことがあり、モディ氏と手を組んだのはわずか数カ月前だ。今回も同氏を支持するのか、野党連合に付くかは明確にはなっていない。
モディ氏はソーシャルメディア、X(旧ツイッター)への投稿で与党連合の勝利を「歴史的偉業」と称し、「新たなエネルギー、新たな熱意、新たな決意を持って前進する」として続投の意向を表明した。
その後4日夜には、党本部に集まった支持者らを前に「NDAが3期連続で連立樹立の信任を得たことが裏付けられた。 BJPとNDAへの絶大な信頼を示した国民に心から感謝する」と述べた。
オブザーバー・リサーチ・・ファンデーションのニランジャン・サフー上級研究員は「これは選挙ではなく、政治的な激震のようなものだ」と指摘。「たとえモディ氏が首相を続投しても、同氏の立場は相当弱まるだろう。以前と同じモディ氏ではなくなる」と述べた。
今回の選挙では、ラフル・ガンジー氏を旗振り役に20余りの野党が「モディ降ろし」で結束。格差拡大や失業率の高止まり、生活費高騰に直面し、インドの成長ストーリーから取り残されたと感じる有権者にアピールすることを狙った。
ガンジー氏は野党躍進の選挙結果が明らかになると、モディ氏に国家運営を任せたくない有権者の意思を示したと指摘。野党連合は5日に次のステップについて協議する予定だと述べた。
インド総選挙、与党が過半数 モディ政権3期目入り確実に | ロイター
インド株、海外資金流出が過去最高 総選挙で政策継続性巡る懸念 | ロイター
インド総選挙、与党単独過半数ならず 野党善戦で株・通貨急落 | ロイター
アングル:メキシコ初の女性大統領、「象徴」に終わるとの懸念も | ロイター
中国、天安門事件35年で広場の警備強化 SNSも写真変更できず | ロイター
韓国、南北境界線沿いで軍事活動を全面再開へ 合意停止決定受け | ロイター
インドネシア首都移転、担当トップが辞任 計画に懐疑的な見方広がる | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(4日)円が3週間ぶり高値、利回り低下 株小幅高 | ロイター
<為替> ドル指数が小幅上昇した。7日に発表される5月雇用統計を控え、値固めの動きとなった。
<債券> 国債利回りが約3週間ぶりの水準に低下した。4月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数が予想以上に減少したことで、景気の冷え込みを受けFRBが利下げに着手するとの観測が高まった。
終盤の取引で10年債利回りは7ベーシスポイント(bp)低下の4.332%。一時は4.314%と、5月16日以来の低水準を付けた。
2年債利回りは5bp低下の4.773%。一時は4.749%と、5月16日以来の低水準を付けた。
<株式> 小幅高で取引を終えた。予想を下回る雇用関連指標を受け、FRBによる利下げ観測が再確認された。
アマゾン・ドット・コム、アルファベット、エヌビディア、マイクロソフトなど大型株は序盤の安値から切り返してプラス圏で引けた。
一方、石油大手のエクソンモービルは1.6%、シェブロンは0.8%、それぞれ下落。需要懸念から原油価格が下落した。
<金先物>  対ユーロでのドル高を背景に反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比21.90ドル(0.92%)安の1オンス=2347.40ドル。
<米原油先物> 需給緩和懸念が強まる中で売られ、5営業日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月7月物は前日清算値(終値に相当)比0.97ドル(1.31%)安の1バレル=73.25ドルと、2月初旬以来約4カ月ぶりの安値を付けた。8月物は1.03ドル安の73.06ドル。
欧州市場サマリー(4日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 下落して取引を終えた。コモディティー(商品)価格の値下がりを受けて資源関連銘柄の売りが優勢となり、相場を押し下げた。
S&Pグローバルが信用見通しを引き下げた石油大手のBPは3.8%安。シェルは2.1%下げた。
<欧州株式市場> 4営業日ぶりに反落して取引を終えた。コモディティー(商品)価格の値下がりを受けて石油・ガス株と資源株の売りが優勢となり、相場を押し下げた。
シティグループが投資評価を「中立」に引き下げたドイツの保険大手アリアンツは3.2%程度下げた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。軟調な経済指標と原油価格の下落を背景に、市場では欧州中央銀行(ECB)の利下げに対する期待が高まった。

備忘録(2024/6/3
●雑感
●決算
●海外企業
廃棄物処理の米ウエイスト、ステリサイクル買収へ-現金58億ドルで - Bloomberg
北米最大の廃棄物処理企業、米ウエイスト・マネジメントは、医療廃棄物処理サービス会社のステリサイクルを約58億ドル(約9100億円)の現金で買収することで合意した。
今回の買収は廃棄物管理分野では最大規模。発表資料によればウエイスト・マネジメントは1株当たり62ドルを支払う。これはステリサイクル株の前営業日終値を20%上回る。
際立つエヌビディアの利子収入、金が金を生むー米企業に高金利の恩恵 - Bloomberg
米企業の最高財務責任者(CFO)は数十年ぶりの高水準にある金利の恩恵により、「金が金を生む」ことを実感している。
S&P500種株価指数を構成する非金融企業のうち、約1割が債務コストを上回る利子収入を1-3月(第1四半期)に計上した。金利コストを公表している指数構成企業を対象にブルームバーグがデータをまとめた。この割合は前年並みだが、アルファベットやテスラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)を含むこれらの企業が得た利子収入は約60%増加した。
米企業の手元資金は新型コロナウイルス禍で膨らんだ。米政策金利が現在5%を超える中、マネー・マーケット・ファンド(MMF)や米国債、譲渡性預金(CD)に手元資金を振り向けることで、米企業はより高い収益を得ている。米金融当局は長期間にわたり高金利を維持する意向を示しており、こうした傾向は今後も続く見通しだ。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の証券事業で米金利戦略責任者を務めるマーク・カバナ氏は「企業は現金を保有することでより多くの利益を得ている」と指摘。「多くの企業は、足元の経済状況や潤沢な手元資金に満足している。それに見合ったリターンを得ているからだ」と述べた。
とりわけ突出しているのが、半導体メーカーのエヌビディアだ。1-3月の利子収入は前年同期からおよそ倍増となる3億5900万ドル(約560億円)と、6400 万ドルの金利負担を補って余りあった。また配当金9800万ドルもこれで手当てしており、S&P500種構成銘柄の中で唯一、1-3月に利子で配当金を賄うことができた企業となった。
利払いを上回る利子収入を報告した企業全体でみると、利子収入は前年同期から約60%増の69億ドルに達した。一方、利払いは5%増の28億4000万ドルにとどまった。
エヌビディアの現金保有は、人工知能(AI)チップへの需要急増を追い風に、ここ数四半期で急増している。同社の現金、現金同等物、短期投資の合計額は314億ドル超と、前年同期の153億ドルから大きく増加した。
エヌビディアはMMFに資金を投じており、保有額は1-3月に50億ドル余りに上った。報告書によると、この他、米国債や社債、CDも保有している。同社はそれ以上のコメントを控えた。
機関投資家のMMF保有額は、2022年以降およそ20%伸び、5月29日時点で約3兆6300億ドルに達した。カバナ氏によると、その大部分が企業による保有だとみられている。
米マイクロソフト、「アジュール」部門で人員削減=報道 | ロイター
●日本企業
ブラックストーンがアリナミン製薬売却検討、約3000億円-関係者 - Bloomberg
米投資会社ブラックストーン・グループが、武田薬品工業から2021年に買収した一般医薬品(大衆薬)事業を手がける「アリナミン製薬」(東京都千代田区)の売却を検討していることが3日、分かった。複数の関係者が明らかにした。
ブラックストーンはファイナンシャル・アドバイザーを起用し、アリナミン製薬の売却の検討を進めており、評価額は約3000億円となる可能性がある。アジア拠点のMBKパートナーズやスウェーデンのEQT、欧州系のCVCキャピタル・パートナーズなどのプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドが関心を寄せているという。
関係者の1人によると、ブラックストーンはアリナミン製薬について売却のほか、新規株式公開(IPO)することも選択肢として考えられるという。現在も検討は進められており、PEファンドが買収を断念する可能性も残っている。
ブラックストーンの広報担当者はコメントを控えた。MBKとEQT、CVCの各ファンドの広報担当者もコメントを控えた。
ブラックストーンは21年に武田薬から約2420億円で旧武田コンシューマーヘルスケア(現アリナミン製薬)を買収。同社の主力商品にはビタミン剤の「アリナミン」や風邪薬の「ベンザブロック」などがある。
アリナミン製薬はブラックストーンの傘下入り以降、22年に「茶のしずく」ブランドで石鹸やスキンケア製品を展開する悠香ホールディングスを買収したほか、24年4月には武田薬の子会社でアリナミンブランド製品の一部などの製造を受託していた日本製薬の買収を発表している。
アリナミン製薬の決算公告によると、23年3月期の売上高は639億円と買収時の2年前(533億円)に比べて20%増えた。
トヨタなど5社も認証試験で不正、トヨタにあす立ち入り-国交省 - Bloomberg
永谷園ホールディングス、MBOで非公開へ 買い付け価格は1株3100円 - 日本経済新聞
トヨタ豊田章男会長「全体像把握できず」 会見一問一答 - 日本経済新聞
全日空社長、航空機の新規発注を検討-国際線が戦略の中核に - Bloomberg
国交省、トヨタ本社にきょう立ち入り検査 型式指定の不正で | ロイター
●米大統領選挙
●先進国中銀
●先進国、グローバル、金融市場
米ISM製造業総合景況指数、5月は48.7に低下-市場予想を下回る - Bloomberg
米国の製造業活動は5月に縮小ペースが加速した。生産がほぼ停滞し、受注がおよそ2年ぶりの大幅な落ち込みとなったことが響いた。米供給管理協会(ISM)が3日、データを発表した。
ISM製造業総合景況指数は前月比0.5ポイント低下の48.7、3カ月ぶりの低水準
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は49.5、前月は49.2
指数の内訳では、新規受注が3.7ポイント低下の45.4と、2022年6月以来の大幅な落ち込みとなった。1年ぶりの水準に沈んでおり、経済全般の需要が弱まっていることを示唆した。また生産は50.2に低下した。
今回のデータは高水準の借り入れコストや設備投資の抑制、個人消費の弱含みによって、米製造業がなかなか回復できないでいる状況を映し出す。また、投入コストの高止まりも逆風だ。
仕入れ価格は57に低下したが、それでもここ2年ほどで2番目に高い水準にとどまっている。
業種別では、木製品やプラスチック・ゴム製品、機械などを筆頭に7業種が活動縮小を報告。7業種は活動が拡大した。
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は声明文で「企業は現行の金融政策やその他の状況により、投資に二の足を踏んでおり、需要は依然として見通せない」と指摘。「企業による投資には、サプライヤーへの発注確約、在庫積み増し、設備投資などが含まれる」と述べた。
イタリア製造業PMI、5月は2カ月連続50割れで悪化 生産など減少 | ロイター
英製造業PMI、5月50超え 販売価格1年ぶり大幅上昇 | ロイター
ユーロ圏製造業PMI、5月改定47.3 難局脱した可能性 | ロイター
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「これは製造業にとってターニングポイントになるかもしれない。2023年4月以来続いている製造業の生産減少に近く歯止めがかかりそうだ」と指摘。「心強いことに、将来の生産に関する企業信頼感も22年初め以来の高水準にある」と述べた。
仏製造業PMI、5月改定46.4に上昇 サブ指数は底打ち示唆 | ロイター
PMIを発表したハンブルク商業銀行のエコノミスト、ノルマン・リープケ氏は「世界の製造業は回復しており、フランスの製造業はそこから利益を得るだろう。内需は間もなく劇的に回復しそうだ」と語った。
独製造業PMI、5月45.4に改善 新規受注の落ち込み和らぐ | ロイター
ハンブルグ商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、「まだ理想的な水準には達していないが、好転の兆しがある。新規受注はなお減少しているが、今後数カ月で需要が増加する可能性がある」と述べた。
多くの企業が需要を過小評価していたため、完成品や中間財の在庫取り崩しを強いられたもよう。
今年の航空業界収益予想引き上げ、IATA アジア好調 | ロイター
国際航空運送協会(IATA)は3日、記録的な旅行者の増加を背景に2024年の世界の航空業界の業績予想を上方修正した。収入は1兆ドル弱を見込む。
半期経済見通しで24年の利益を305億ドルとし、昨年12月時点の257億ドルから上方修正した。同じく上方修正した23年の274億ドルを上回る。
航空業界はコロナ禍の影響で20年には1400億ドルの赤字を計上したが、急速な回復を遂げた。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務局長はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれている年次総会でロイターの取材に応じ、航空業界の環境は、特にアジアで予想以上に良いと語った。
ただ、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱が旅行需要の回復に対応する業界能力に影響する可能性があるとした。
24年の旅客イールド(旅客1人が1マイル当たり支払う平均価格)は23年から3.2%上昇すると予想している。輸送能力の伸びが抑制され、平均運賃が上昇することが一因と説明した。
半面、貨物イールドは17.5%減少を予想。コロナ禍中の急増から平常に戻りつつあるとした。
地域別では、アジアの収益を22億ドルと予想。中国の国際線の回復が鈍いものの、前年から3倍余りの増加を見込む。
北米は横ばいの149億ドル。生活費高騰にもかかわらず消費支出が旺盛で、引き続き最も利益を生む地域とした。
IATAは、航空業界が前例のない整備の問題に直面していると指摘した。RTX傘下プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製エンジンの改修が進まず、数百のエアバス機が今年夏に運航できなくなると予想されている。
IATAは25年の年次総会をインドのデリーで開催すると明らかにした。
米国債、トランプ氏勝利予想なら10年債利回り5%も-クロックタワー - Bloomberg
米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利する確率が上昇し続ければ、10年物米国債利回りは選挙前に5%に近づくリスクがあると、資産運用会社クロックタワー・グループが予想した。
トランプ氏勝利への期待が高まれば「債券市場はより高いレベルの放漫財政を織り込み始めるだろう。経済が減速している時に債券利回りが上昇したらどうなるか。市場が大混乱に陥る可能性がある」と、クロックタワーのチーフストラテジスト、マルコ・パピック氏がリポートで指摘した。
パピック氏の主張は、共和党の大統領の下で議会共和党は常に財政規律が緩むというものだ。同氏はトランプ大統領時代の2017年の減税・雇用法を例に挙げた。
現在のコンセンサスは、トランプ氏勝利の確率25%程度を示唆しているが、クロックタワーは50%に近いとみており、その場合10年債利回りはコンセンサスの4.5%ではなく4.8-5%になると同氏はリポートで試算した。
同社は昨年9月、トランプ氏勝利について「接戦で予測がつかない」から確率60%に引き上げ、この結果はドルや新興国市場など全てに波及する可能性があると警告した。
パピック氏は、トランプ氏の当選は債券にとって「壮大な災難」だとみており、16年の同氏勝利後の2週間に利回りが50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く上昇したと指摘している。
米10年債利回りは現在、トランプ氏が当選した16年11月の水準を250bp余り上回っている。さらに、米国の高金利が長期化するとの懸念から、利回りは4.5%前後で高止まりしており、ボラティリティー上昇のリスクを高めている。
ポピュリストの台頭という潜在的なリスクが債券市場を覆うことになれば「実体経済は成長鈍化と借り入れコストの上昇という悪循環に直面することになる」とパピック氏は分析。
「このような逼迫(ひっぱく)は自律的に悪化する恐れがあり、その後6カ月の成長をさらに抑制する可能性がある」と警戒感を示した。
世界の不動産市況は底入れしたか 米欧運用大手に聞く Foresight - 日本経済新聞
円は156円前半に上昇、弱いISM指数で米金利大幅低下-ドル全面安 - Bloomberg
JPモルガンとモルガンS、米国株で異なる見解-市場の不透明感示唆 - Bloomberg
ミスラフ・マテイカ氏率いるJPモルガンのチームは「米株式相場は夏場に上昇余地が限定的になるとみている。ディスインフレやノーランディング、企業の業績拡大加速に対するコンセンサス予想が一貫していないためだ」と、リポートに記した。
一方、モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、自身の強気シナリオが今のところ有効だと話す。政府債務の増加で支出が引き続き拡大すると指摘。債券市場が緊張の高まりを示唆しない限り、株式を含む資産価格は短期的に上昇すると予想した。
ウィルソン氏のチームはその上で、質が低く、ファンダメンタルズに難がある銘柄が短期的に値上がりするのを追いかけないよう助言。こうした銘柄や消費関連の景気循環株、小型株にハイテク株から本格的なローテーションが起きるとは考えにくいと指摘した。
マテイカ氏は小型株が今年下期に反発するとみているが、それは米国より欧州でより多く見られると予想。「欧州で予想される利下げ開始と域内活動のモメンタム改善が原動力になる」とし、「米国ではこうしたカタリストはそう明確でない」と分析した。
過熱気味のプライベートクレジットに変調か、貸し手犠牲にする動きも - Bloomberg
プライベートクレジット(非公開融資)が1兆7000億ドル(約265兆円)規模の産業に爆発的な成長を遂げる中、この取引は端的に言って比較的安全だというのが業界大手の主張だった。
ハイイールド債市場よりも安全なのは間違いない。また、経営難に陥った企業が投資家保護の脆弱(ぜいじゃく)性を突いてヘッジファンドと手を組み、既存の債権者を犠牲にして大幅な債務再編に踏み切ることがあり得るレバレッジドローン市場よりも安全だろう。
まだそう言えるかもしれない。プライベートクレジットの取引文書は、概して厳格だ。融資は企業やその未公開株保有者と緊密な関係を持つ金融機関の小規模な「クラブ」によって行われ、貸し手は通常、満期まで債権を保有する。これら全てが投資家にとってのリスクを軽減すると、プライベートクレジット支持派は話す。
だがプライベートクレジット業界は今や、状況が暗転した際にどうなるのかを味わいつつある。
事情に詳しい関係者によると、過去数週間では米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社ビスタ・エクイティ・パートナーズの出資を受けるIT教育用プラットフォーム運営会社プルーラルサイトが、ビスタから新たな資金を調達するため担保資産を新たな子会社に移管した。この資産に対する既存のプライベートクレジット貸し手の請求権は、これで弱くなるという。このような物議を醸す手口からプライベートクレジットも逃れられないという事実は、ウォール街関係者にとっても青天のへきれきだった。
金利上昇で、多くの企業にとって債務返済は厳しさを増している。一方でだぶつく資金を有効活用しようと限られた投資機会に群がる貸し手は、めったにないほどの有利な条件を借り手に提示して競い合っている。
これらが将来の問題の種をまいていると警告する声もある。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は先週、プライベートクレジットに問題が生じるだろうと予想、「地獄を見ることになりかねない」と警告した。
プライベートクレジットが持つ最大の強みの一つは、ウォール街の銀行が長年行ってきたような手早く緩い融資とは違うということだった。しかしプライベートクレジットは今、投資家を苦しめたレバレッジドローン市場と同様の問題に突き当たりつつある。
ビスタはプルーラルサイトを2021年に約35億ドル(約5460億円)でレバレッジド・バイアウト(LBO)により買収した。このLBOでは直接金融の貸し手から10億ドル余りを調達した。
それ以降の数年間に金利は上昇し、プルーラルサイトが債務に対して支払う金利は2桁を優に超えた。ビスタは最近、この投資の株式価値全額を償却したと、事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者によると、約5000万ドルの利払いが期限を迎えるに当たり、プルーラルサイトは知的財産(IP)を新たに設立した子会社に移し、これを使ってビスタから追加資金を得たという。これにより既存の貸し手はこのIPに対する請求権が弱くなると、関係者は付け加えた。
プルーラルサイトにプライベートクレジットを提供しているブルー・オウル・キャピタル、アレス・マネジメント、オークツリー・キャピタル・マネジメント、ブラックロックなどの代表者らはコメントを控え、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、ゴルブ・キャピタル、ベネフィット・ストリート・パートナーズはコメントの要請に応じなかった。ビスタはコメントを控えた。プルーラルサイトの広報担当者からコメントの要請に対して返答はなかった。
英総選挙、野党・労働党が圧勝へ 保守党1世紀ぶりの大敗か=ユーガブ調査 | ロイター
保守党の獲得議席数は140席にとどまり、1906年以来の大きな敗北となる見通し。また、スナク内閣で国防相を務めるグラント・シャップス氏ら保守党の重鎮が落選する可能性が高いことも示された。
米基調的インフレ圧力、4月は若干低下=NY連銀 | ロイター
●中東情勢
イラン国会議長が立候補 保守強硬派、大統領選 - 日本経済新聞
イランの保守強硬派ガリバフ国会議長は3日、ヘリコプター墜落事故でライシ大統領が死亡したことに伴い28日に実施される大統領選への立候補を届け出た。
国営メディアが報じた。立候補の届け出は3日が締め切り。ガリバフ氏は保守強硬派の牙城、革命防衛隊出身で、有力候補になるとみられる。欧米との対立を深めたライシ師の外交政策を継承する方向だ。
保守強硬派が主導する護憲評議会は、4日から資格審査を行い候補者を選定する。前回2021年の大統領選では穏健派や改革派を相次いで失格にしており、今回もどの程度まで絞り込むかが焦点となる。候補者は11日に決まる見通し。
対外融和路線を進める穏健派からはイラン核合意を支持する実力者ラリジャニ前国会議長が5月31日に名乗りを上げた。前回の大統領選の資格審査で失格になったラリジャニ氏が今回立候補を認められれば、有力候補の一人になりそうだ。
保守強硬派から他に届け出たのはアハマディネジャド元大統領やアハマディネジャド元政権の核交渉の責任者、ジャリリ氏。
資格審査を巡っては、3月の国会選でも穏健派や改革派が大量に失格となり、有権者から「不公平だ」との批判が出た。
中国、ペルシャ湾3島巡る姿勢に変更なしと強調 イランの抗議受け | ロイター
イスラエル極右閣僚、ガザ休戦案巡りネタニヤフ氏が「ごまかし」と非難 | ロイター
ハマス壊滅が最優先課題、人質解放も追求=イスラエル首相 | ロイター
米のガザ休戦案に「前向きに」取り組むことが重要=アラブ諸国外相 | ロイター
●エマージング
メキシコ初の女性大統領、シェインバウム氏勝利 現政権の路線継承 | ロイター
2日投票のメキシコ大統領選挙は、与党・国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長(61)が勝利した。就任は10月1日でメキシコ初の女性大統領が誕生する。
選管当局の抽出速報集計によると、気候科学者でもあるシェインバウム氏は58.3─60.7%と、メキシコの民主主義史上最高の得票率となる勢いだ。
野党候補のソチル・ガルベス上院議員は26.6─28.6%の得票率にとどまり、敗北を認めた。
シェインバウム氏は支持者を前に「共和国200年で初の女性大統領になる」と勝利宣言。財政的責任を果たし、中央銀行の自主性を尊重すると表明した。またロペスオブラドール大統領を「メキシコをより良い方向に変えた、並外れたユニークな人物」と呼んで謝意を表した。
ロペスオブラドール大統領は貧困対策に取り組み、通貨ペソ上昇や低失業率を実現した。同氏の政策路線をシェインバウム氏は継承する方針だが、アナリストは財政赤字が膨らみ、成長が低迷する中では難しいとみている。ただ議会選では上下両院で与党とその連合会派が過半数を獲得する見込みで次期大統領の後ろ盾となりそうだ。
シェインバウム氏は治安改善を公約に掲げたが、具体策はほとんど示していない。アナリストからは、現政権中に組織犯罪グループが拡大し、影響力を強めたとの指摘が多い。
メキシコ・ペソ、3%超える下げ-左派与党の選挙圧勝で不安台頭 - Bloomberg
メキシコ、株・為替・債券のトリプル安 大統領選受け財政悪化に懸念 - 日本経済新聞
2日投開票されたメキシコの総選挙、大統領選挙で国家再生運動(MORENA)など与党3党が地滑り的勝利を収め、3日の為替相場は一時1ドル=17.6ペソ台と2023年11月以来のペソ安・ドル高水準に下落した。財政悪化や国有企業の優遇が続くとの懸念から、株式と債券を含むトリプル安となっている。
インドの格上げ、今後2年の財政状況見極めながら検討=S&P | ロイター
大手格付け機関S&Pグローバル・レーティングのアナリストは31日、インド新政権の今後2年の財政再建状況を注視しながら格付けの引き上げを検討すると述べた。
S&Pは29日、インドのソブリン格付けの見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた。力強い経済成長が格付け評価の指標に建設的な影響を及ぼしているとした。格付けは「BBBマイナス」に据え置いた
S&Pのソブリン・国際財政格付け担当ディレクターのイーファーン・プア氏はオンラインセミナーでの質問に対して「今後2年間、政府の財政再建の道筋が継続するかどうかを注意深く見守っている」と述べた。
インドは、財政赤字の国内総生産(GDP)比率を2023/24年度予想値の5.8%から、25/26年度末までに4.50%に縮小することを目指している。
S&Pはインド準備銀行(中央銀行)が23─24年度に黒字を政府に移転することで財政状況が改善すると見込んでいる。
ただ、プア氏は、政府がこの資金を財政赤字削減に使うのか、もしくは歳出を拡大するのかを見極める必要があると述べた。
また、インドは国内で自国通貨建てで財政赤字を賄うことが可能であり、それが今後の格付けに反映されると説明した。
インド製造業PMI、5月は熱波で3カ月ぶり低水準 外需は旺盛 | ロイター
猛暑でLNG需要拡大、アジアで一段の値上がりも | ロイター
韓国5月製造業PMIは51.6、2年ぶり高水準 世界的な需要拡大で | ロイター
5月の韓国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.6と前月の49.4から上昇し、2年ぶり高水準を付けた。世界的な需要の拡大を受け、生産と受注が伸びた。
PMIは4月まで2カ月連続で景気拡大・縮小の分かれ目となる50を下回っていた。
内訳では、生産は2021年7月以来の伸びを記録。新規受注は新製品の発売、輸出販売の強化、国内顧客の購買意欲の高まりにより、22年2月以来の伸びを示した。
欧米からアジアにいたる各市場で製造業の売上が伸び、新規輸出受注は5カ月連続で増加した。
韓国の輸出は10月以降伸び続けており、貿易依存型の韓国経済の第1・四半期の成長に最も寄与した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフエコノミスト、ジョー・ヘイズ氏は「韓国の製造業は息を吹き返したようだ。新製品の発売も控え、見通しは明るい」と指摘した。
ただ、為替変動やアルミニウム、ニッケル、銅などの原材料価格の上昇を受け、投入価格のインフレ率は過去7カ月で最も急速に上昇した。
製造業の先行きに対する楽観度を示す指数は、ほぼ2年ぶり高水準を記録した4月からは低下したが、それでも22年6月以来で2番目の高水準だった。
5月の中国新築住宅価格、9カ月連続で上昇 支援策が後押し=調査 | ロイター
ジョージア「スパイ法」成立、議長が署名 NGOが提訴も | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
エルニーニョ、年内にラニーニャに移行へ 世界気象機関が予測 | ロイター
世界気象機関(WMO)は3日、エルニーニョ現象が年内にラニーニャ現象に移行する可能性が高いと発表した。
エルニーニョは太平洋東部・中部の海面水温が上昇する現象で、山火事や熱帯低気圧などの異常気象を招く。ラニーニャは海面水温が低くなり、洪水や干ばつをもたらす。
WMOはラニーニャが7─9月に発生する確率を60%、8─11月に発生する確率を70%と予測している。
WMOは「エルニーニョ現象が終息しても、長期的な気候変動が止まるわけではない。地球は温室効果ガスで今後も温暖化が続く」と指摘。2020年から23年初めにかけてはラニーニャ現象が発生し寒冷化効果があったが、過去9年間は記録的な暑さだったと述べた。
●小ネタ
「Nゲージ」関水金属がリアル鉄道パーク 埼玉・鶴ケ島に開設 - 日本経済新聞
鉄道模型の関水金属(東京・新宿)が埼玉県鶴ケ島市と連携し、鉄道と自然を融合させた「ガーデンパーク」を9日にオープンする。小型模型の「Nゲージ」規格の先駆けとなった同社がリアルの鉄道を整備し、地域のにぎわいづくりに貢献する。同社と鶴ケ島市のブランドイメージを高める拠点と位置づけ、イベント開催などを計画している。
デロイトがNVIDIA専門部隊 日本市場開拓で連携 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(3日)ダウ下落、ドル3週ぶり安値、利回り2週間ぶり低水準 | ロイター
<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが3週間ぶりの安値に下落した。5月の米ISM製造業景気指数や4月の建設支出が予想を下回り、連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げを開始する軌道から外れていないことが示された。
<債券> 米金融・債券市場では、米債利回りが低下し2週間ぶりの低水準を付けた。軟調な米製造業指標を受け米利下げ観測が強まった。
指標10年債利回りは11ベーシスポイント(bp)低下の4.402%。一時5月17日以来の低水準となる4.392%を付けた。
<株式> 米国株式市場は不安定な動きの中、ダウ工業株30種が下落した一方、ナスダック総合とS&P総合500種は引けにかけて持ち直し、プラス圏で引けた。ISM製造業景気指数がさえない内容となったほか、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で技術的な不具合が発生し一部の銘柄が一時売買停止となった。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米製造業購買担当者景況指数(PMI)の悪化で長期金利が低下したことを背景に買いが入り、反発した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による段階的な減産幅縮小方針の表明を受け、4営業日続落した。
欧州市場サマリー(3日) | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。FTSE100種指数は反落。製薬銘柄と石油・ガス株が相場を押し下げた。
製薬大手グラクソ・スミスクラインが9.5%と大幅に下落。米デラウェア州の裁判所が胃酸分泌抑制薬「ザンタック」(既に販売中止)の副作用を巡る多数の訴訟案件を進めることを認めたと伝わった。
<欧州株式市場> 3営業日続伸して取引を終えた。欧州中央銀行(ECB)理事会が週内にほぼ確実に利下げを決定するとの観測から、不動産株、通信株などが買われて相場を押し上げた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。5月のユーロ圏の製造業活動が引き続き軟調で、米国でも同じく縮小が示されたことを受け、欧州中央銀行(ECB)が6日の理事会で利下げに踏み切るとの見方が後押しされた。
ドイツ10年債利回りは7ベーシスポイント(bp)低下の2.577%となった。

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