2月後半までしばらくお休みします。
備忘録(2024/1/31)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米地銀株が31日の取引で軒並み下落した。ニューヨーク州を地盤とする銀行持ち株会社ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)(NYCB.N), opens new tabの予想外の赤字決算と減配を受け、地銀の健全性を巡る懸念が再燃した。
NYCBは37.7%急落。KBW地方銀行株指数(.KRX), opens new tabは6%安と、ニューヨークを拠点とするシグネチャー・バンクが破綻した直後の昨年3月13日以降で最大の下落率を記録した。シグネチャーは数日前のシリコンバレー銀行破綻を受け預金が流出していた。
それ以降、預金は安定しているが、一部の投資家は31日の地銀株売りについて、預金維持コストが純金利収入(NII)を圧迫しているなどといった健全性を巡る懸念を浮き彫りにしたと指摘する。
ザックス・インベストメント・マネジメントの顧客ポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏は「このセクターは概して感情的な取引になることが多い。破綻が迫っていると預金者が感じるためだ。しかし、金利上昇で多くの銀行の収益とNIIが圧迫されている」と語った。
バレー・ナショナル・バンコープ(VLY.O), opens new tab、シチズンズ・ファイナンシャル(CFG.N), opens new tab、リージョンズ・フィナンシャル(RF.N), opens new tabは4─7.8%安。
銀行持ち株会社ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)は31日、株価が記録的な下落となった。2023年に起きた地銀危機の勝ち組と目されていたNYCBは、同年10-12月(第4四半期)決算が予想外の赤字となり、配当を引き下げた。商業不動産が次の波乱要因となる可能性を示す前兆だとして、投資家の懸念が広がっている。
23年に破綻した米地銀シグネチャー・バンクから一部を取得したNYCBは、貸し出しリスクに対応するためにキャッシュを積み上げた。問題債権には2件のコープ式物件とオフィス物件向けが含まれる。またシグネチャーの部分買収による規模拡大に伴い、当局の規制が強化されたことも影響した。NYCBの貸倒引当金は5億5200万ドル(約810億円)に急増し、アナリストや株主に衝撃を与えた。
パイパー・サンドラーのアナリスト、マーク・フィッツギボン氏は「行ったことはすべて理にかなっており、長期的には良いことだろう。しかし短期的にみれば、市場はサプライズを好まない」とインタビューで指摘。「ばんそうこうは剝がされた。傷は治る過程にあると思う。ここから問題が悪化するとは考えられない」と述べた。
第4四半期の株主配当は5セントに引き下げられた。アナリスト予想では17セントでの据え置きが見込まれていた。31日のニューヨーク株式市場で、NYCBは一時46%下落。終値は38%安だった。他の地銀株も下落。KBW地方銀行株指数は6%下げ、昨年3月にシリコンバレー銀行(SVB)に取り付け騒動が起きて以来の大幅な下落となった
NYCBのトーマス・カンジェミ最高経営責任者(CEO)は31日、「今回の減配は全ての株主にとって重要であり、またその影響も認識している。決定は容易ではなかった」との声明を発表した。
第4四半期の純損失は2億5200万ドル。アナリスト予想は2億600万ドルの純利益だった。収入は8億8600万ドル。市場や9億3200万ドル近い収入を見込んでいた。
NYCBはシグネチャー・バンクの預金を買い取ったことで、追加資本を必要とする規制カテゴリーに入った。同社によると、これが減配と予想以上の貸倒引当金積み増しの原因となった。貸倒引当金は5億5200万ドルと、アナリストが見込んでいた4500万ドルの10倍を上回った。
NYCB経営陣が過去に資産の質は良好だと述べていたと、RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ジョン・アーフストロム氏は顧客へのリポートで指摘。「何かが見解のトーンをはっきりと変えた」とし、「これは重大なネガティブサプライズだ」と述べた。
米国債市場ではNYCB決算が発表されると、それまでの利回り低下に拍車がかかった。金利動向に敏感な2年債は、利回りが直後に15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下。10年債利回りも一時8bp以上の低下となった。
金利スワップ市場では年内利下げ観測の広がりが見られる。3月利下げの織り込み具合は現在は約3分の2。前日には3分の1だった。2024年全体で150bp近い利下げが現在織り込まれている。
昨年にはシグネチャーを含む地銀3行が相次いで破綻。金利の上昇で保有資産の価値が下がったことが背景にあった。NYCBは傘下のフラッグスター・バンクを通じ、シグネチャーの資産380億ドル(現金250億ドルとローン約130億ドルを含む)を連邦預金保険公社(FDIC)から買い取ることで合意した。
デンマークの製薬大手、ノボノルディスクの時価総額が31日、一時5000億ドル(約73兆円)を突破した。同日発表した2023年12月期決算が大幅な増収増益となり、株価も過去最高値を更新した。肥満症治療薬の販売急増による業績の大幅拡大が市場で評価されている。
●その他産業
●決算関連
年末商戦期間を通じて消費が底堅かったことが追い風になった。マイケル・ミーバック最高経営責任者(CEO)は「労働市場はなお力強く、失業率は低い上に、賃金は上がっている。これらが引き続き個人消費を引っ張る重要な要素だ」と述べた。
第4・四半期の調整後営業費用は10%増の29億ドルで、主として人件費が押し上げる形になった。
サムスンの顧客である米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が前日発表した売上高見通しは予想を下回り、顧客がパソコン(PC)やサーバーなどIT(情報技術)機器の購入を延期しているとの懸念が強まった。
サムスンは決算資料で「金利政策や業界の減産などの要因に伴う変動にもかかわらず、メモリー事業は回復を続けると予想している」と説明した。
ユジン投資証券のアナリスト、イ・スンウ氏は「株価が低迷しているのは、同社が高帯域幅メモリー(HBM)でSKハイニックスの後塵(こうじん)を拝し、ファウンドリー事業で台湾積体電路製造(TSMC)に大きく後れを取っているいるためだ」とし、「サムスンがこれら2つの面で改善すれば、株価パフォーマンスの向上を期待できるかもしれない。しかし、現時点では望み薄だ」と指摘した。
半導体メーカーの米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は人工知能(AI)プロセッサーの今年の売上高見通しを引き上げる一方、1-3月(第1四半期)について軟調な売上高見通しを示した。
30日の発表文によると、1-3月期売上高は約54億ドル(約8000億円)の見通し。アナリスト予想平均は57億7000万ドル。ライバルのインテルと同様、パソコン(PC)とデータセンター用半導体市場に慎重な見方を示した。発表を受け、AMDの株価は通常取引終了後の時間外取引で一時6%余り下落した。
こうした見通しは、PCやサーバー、ゲーム機、プログラマブル・プロセッサーなどAMDの中核市場で顧客の買い控えが起きているとの懸念に再びつながるものだ。同社はエヌビディアが支配的存在となっている人工知能(AI)向けアクセラレーター分野への参入を進めているが、まだ拡大の初期段階だ。
AMDは先月、「MI300」と呼ばれるAIアクセラレーター製品ラインを発表した。MI300の2024年売上高見通しを35億ドル強とし、20億ドルとしていた従来予測から引き上げた。ただ、ウルフ・リサーチのアナリスト、クリス・カソ氏によると、市場は最大80億ドルを見込んでいる。
AMDの昨年10-12月(第4四半期)は一部項目を除いた1株利益が77セントで、市場予想と一致した。売上高は61億7000万ドル、市場予想は61億3000万ドル。
部門別の売上高はPC用チップ部門が14億6000万ドル(市場予想15億1000万ドル)。データセンター部門は22億8000万ドルで、市場予想(23億ドル)にわずかに届かなかった。ゲーミングコンピューター関連部門は13億7000万ドル。市場予想は12億5000万ドルだった。
米半導体大手クアルコムが31日発表した2023年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比5%増の99億3500万ドル(約1兆4600億円)、純利益は24%増の27億6700万ドルだった。縮小が続いていたスマートフォン用の半導体需要が回復し、収益を押し上げた。
実質1株利益は2.46ドルと市場予測を上回った。24年1〜3月期の売上高は前年同期比4%減の89億ドルから5%増の97億ドルを見込む。決算発表を受け、クアルコムの株価は31日の米国株式市場の時間外取引で一時同日終値から3%上昇した。
10〜12月期は携帯端末向け半導体の売上高が16%増の66億8700万ドルだった。自動車向けは31%増の5億9800万ドル、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT向けは32%減の11億3800万ドルだった。
クアルコムは同日、韓国サムスン電子とのスマホ向け半導体の供給契約を数年間延長したと明らかにした。サムスンは1月に発表したスマホの新たな旗艦モデルの最上位機種などにクアルコムの中核半導体「スナップドラゴン」を採用した。
サムスンの新型スマホはデータ通信せずに端末で人工知能(AI)を活用した同時翻訳ができる。スマホ市場が成熟するなか、クアルコムはこうしたスマホのAI機能を強化するための半導体を開発してきた。
米調査会社IDCによると、23年のスマホの世界出荷台数は22年比3%減の11億6690万台で、過去10年で最低だった。サムスンなどスマホ大手はAI機能を搭載した商品を投入し、買い替えを促そうとしている
スペインの金融最大手サンタンデール銀行が31日発表した2023年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比28%増の29億3300万ユーロ(約4660億円)だった。金融引き締めによる利ざやの拡大で金利収入が伸びた。
純金利収入は9%増の111億2200万ユーロだった。欧州を中心とした幅広い地域の金利上昇が追い風となった。純手数料収入は3%減の28億3500万ユーロだった。北米や法人・投資銀行部門が好調だったが、欧州での販促費がかさんだ。
サンタンデール銀行のアナ・ボティン会長は「2024年は地政学的リスクの高まりや世界経済の減速の影響を受けつつも、ビジネスは力強く成長するだろう」とコメントした。
航空機大手の米ボーイングが31日発表した2023年12月期決算は、最終損益が22億4200万ドル(約3300億円)の赤字だった。赤字幅は前の期(50億5300万ドル)から縮小したが、5年連続で最終赤字となった。航空機の開発・納入の遅れでコストが膨らんだ。24年1月初旬の小型機事故を受け、24年12月期通期の業績見通しの公表を見送った。
1月初旬に米西部を飛行する小型機「737MAX9」の機体に穴が開く事故が発生した。デビッド・カルフーン最高経営責任者(CEO)は31日のアナリスト向け決算説明会で「顧客の信頼を取り戻す」と強調。再発防止に向け、品質管理の改善を進める方針を示した。
事故後に同型機の約170機が運航を停止した。米連邦航空局(FAA)が認証した点検方法を終えた機体から飛行を順次再開している。
23年12月期のセグメント別損益では、商用機部門が16億3500ドルの赤字だった。次世代の大型機「777X」の開発費が膨らんだ。中型機「787」は製造品質問題で22年夏まで納入を停止していた。23年は納入が増えたものの、遅延コストの計上が続いた。
防衛宇宙部門では、大統領専用機「エアフォースワン」2機の製造費が上振れした。ジャンボ機「747」をベースにしたエアフォースワンを巡っては、トランプ前大統領が高すぎるとして値切った経緯もある。このほかに宇宙船「スターライナー」や米空軍向けの次期練習機「T-7A」のコスト増加も響いた。
売上高は前の期比17%増の777億9400万ドルだった。「787」などの納入が増加したため、増収を確保した。商用機全体の納入機数は前年比10%増加の528機だった。
24年10〜12月期は最終損益が3000万ドルの赤字(前年同期は6億6300万ドルの赤字)だった。最終赤字は6四半期連続となった。納入機数が増加したことなどで、売上高は前年同期比10%増の220億1800万ドルだった。
足元の生産ペースは「737」が月間38機、「787」が同5機だという。「737」については1月初旬の事故前は25〜26年に月間50機まで生産を増やす計画だったが、FAAは安全を確認できるまで増産を認めない方針だ。
小型機「737MAX」は18〜19年に2度の墜落事故が発生した。20年に生産を再開したばかりで、顧客への納入が遅れている。
●先進国、グローバル、金融市場
ドイツ連邦雇用庁が31日発表した1月の失業者数(季節調整済み)は前月比2000人減の269万4000人と、予想に反して減少した。
ロイターがまとめたアナリスト予想は1万1000人増だった。
同庁のナーレス長官は「雇用と労働需要は一定している。これは景気低迷が続いているにもかかわらず、年初の労働力が安定していることを意味する」と述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスの欧州担当シニアエコノミスト、メラニー・デボノ氏は、「製造業の雇用は着実に減少しており、サービス業の雇用市場も勢いを失いつつあることを購買担当者景気指数(PMI)が示している」と指摘した。
NATOのストルテンベルグ事務総長は31日、米国のトランプ前大統領が11月の大統領選で再選されたとしてもNATOは弱体化しないとの考えを示した。
ストルテンベルグ氏はCNNのインタビューに対し、トランプ氏が再選されても米国のNATO加盟が危うくなるとは考えていないとし、「選挙結果にかかわらず、国益にかなうため米国はNATOの強固な加盟国であり続けると信じている」と語った。
トランプ氏は大統領時代、NATOを激しく批判し、脱退を繰り返し示唆。ストルテンベルグ氏は「トランプ氏と4年間共に働いた。NATO加盟国の拠出金が少なすぎるとの批判に注意深く耳を傾けた」と語った。
その上で、より多くの加盟国がNATOへの貢献を増やしているとし、「欧州の同盟国は一段のことを行わなければならないという米国のメッセージは受け止められ、正しい方向に進んでいる」と述べた
米連邦準備理事会(FRB)は30─31日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置いた。据え置きは4会合連続。声明でインフレ懸念に関する文言を和らげたほか、金利引き上げの可能性を巡る言及を削除し、向こう数カ月の利下げの可能性に向け大きな一歩を踏み出した。
ただFRBは声明で「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」と表明。利下げが間近に迫っていることは示唆しなかった。
物価情勢については「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている」とし、「インフレのリスクを引き続き大いに注視している」と改めて表明した。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、インフレとの闘いは終わっていないと指摘。「われわれは勝利宣言をしない。まだ道のりは残っている」と語った。
その上で、次回3月のFOMCで利下げを実施するタイミングに間に合うよう当局者が十分な確信を持てるとは考えていないとし、様子を見なければならないとしながらも、3月の利下げは政策当局者にとって基本シナリオではないとの見解を示した。
同時に、FF金利の誘導目標は「現在の引き締めサイクルのピークに達している可能性が高い」と言及。FRBは「今年のある時点で」利下げに踏み切る可能性が高いと述べた。ただ、金融緩和がデータで裏付けられるか見極めるには時間がかかるとの考えも示した。
<雇用と物価の「リスクバランス改善」>
FRBは声明で「雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクのバランスが改善しつつあると判断する」と表明。これまでは、リスクは物価上昇の影響の方に傾いているとの見解を示し、利上げバイアスに傾いていた。
今回の声明で「目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある。委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する」と表明。
前回12月のFOMC声明は、インフレ率を目標の2%に戻すために適切な「いかなる追加的な金融政策の引き締めの程度(the extent of any additional policy firming)」を決めるに当たっても、経済と金融の動向を考慮するとしていた。
経済全般については「経済活動は堅調なペースで拡大している」と指摘。労働市場については「雇用の伸びは昨年初旬から緩やかになったが依然として力強く、失業率は依然として低い」とした。
今回の声明には銀行システムの健全性に関する言及はなかった。言及がなかったのは昨年に地方銀行の破綻が相次ぎ銀行システムの強化を余儀なくされて以降初めて。
ペッパーストーン(ロンドン)の市場アナリスト、マイケル・ブラウン氏は、FRBは予想通りに一段とハト派的な一歩を踏み出し、次の動きが利下げになることを唆したと指摘。ただ市場で予想されているほど急速な利下げをFRBが急いでいないのは明らかで、利下げに着手するには一段と有望なインフレデータが必要になるとの見方を示した。
パウエルFRB議長がFOMC後に行った会見の内容は以下の通り。
*経済は良好に進展
*インフレは緩和した
*今後の道筋は不透明
*インフレの2%回帰に完全にコミット
*金融政策は過去2年間で大幅に引き締められた
*政策金利は十分に制約的な領域に到達
*目標達成へのリスクはより均衡
*住宅市場の活動は抑制されている
*労働市場の状況は依然タイト
*雇用の伸びは引き続き力強い
*労働需要は依然として供給を上回る
*インフレは大幅に緩和したが、目標を上回っている
*(昨年)下期のインフレ鈍化を歓迎
*目標回帰を確信するには持続的な確証を得る必要
*高インフレが二大責務双方にもたらすリスクを注視
*制約的なスタンス、経済活動とインフレ双方に下押し圧力
*政策金利はピークに達している公算
*年内の利下げが適切となる可能性高い
*経済見通しは不確定
*必要に応じ、現行の政策金利を長期間維持する用意
*早すぎるもしくは過度に大幅な緩和はインフレの進展を逆行させるおそれ
*同時に、遅すぎる利下げは経済を過度に弱める可能性
*今後入手されるデータとリスクバランスを精査し、決定を下す
*利下げ前にさらなる確信が必要
*引き続き会合ごとに決定する
*インフレが持続的に低下しているとの確信を深める必要がある
*より多くのデータ、良いデータの継続を望む
*インフレ指標、現状見えているものが真のシグナルであることを確認する必要がある
*昨年は非常に力強い成長だった
*1年前は、景気軟化が必要だと考えていた
*インフレ率低下には、必ずしも成長率の低下が必要だとは考えていない
*インフレ低下に対する確信が得られる可能性が高い
*FOMCのほぼ全員が利下げが適切であると信じている
*利下げが可能な段階に到達するには、インフレが持続的に低下しているとの一段の確認が必要
*理論上はインフレ率が低下すると実質金利は上昇するが、政策を機械的に調整することはできない
*中立金利がどこにあるのか分からない
*われわれはリスク管理モードにある
*われわれは動くことが早すぎることと遅すぎることのリスクを管理している
*利下げのタイミングはわれわれの確信に関連している
*雇用減は予想していないが、雇用が悪化すれば利下げする
*労働市場の予期せぬ弱体化が見られれば、利下げは時期は早まる
*労働市場が力強く経済が健全という基本シナリオの下、利下げのタイミングについて慎重になれる
*今回の会合では利下げの提案はなかった
*利下げは積極的に検討されなかった
*委員会では見解が大きく分かれている
*経済はおおむね正常化している
*家賃低下が実現し、浸透すると考えている
*供給網はまだ完全に元に戻っていない
*モノ(財)のディスインフレで追い風を受ける可能性がある
*これまでの進展に勇気づけられる
*勝利宣言はしない
*経済成長の大部分、労働市場やサプライチェーンの回復、パンデミック後の回復によるもの
*状況が悪化なら、制約的な金利の影響はより顕著に表れる可能性
*労働市場は正常な水準、もしくは正常な水準に近づいている
*経済は概ね正常化、そのプロセスには時間要する
*賃金動向の正常化には数年かかる可能性
*インフレが高止まりした状態で安定することを懸念
*ここ6カ月、インフレデータは良好、今後さらに良好なデータになることを期待
*成長の鈍化を引き続き想定
*過去12カ月のインフレは目標を上回っているが、軌道に乗りつつあるもよう
*インフレが一度限りで2%になることは求めておらず、2%で落ち着くことを期待する
*2%以下に固定されるとは想定せず
*労働市場の堅調を維持しつつ、インフレを低下させたい
*FOMCは慎重に行動する
*データに依存し、見極める
*今会合に基づくと、3月利下げの公算が大きいとは考えない
*3月の利下げについて十分な確信を得られるとは思わず
*3月利下げは基本シナリオではない
*全ては経済動向次第
*利下げペースを加速もしくは減速させるリスクがある
*バランスシート縮小、これまでのところ非常にうまくいっている
*バランスシート縮小のペースが注目される時期に差し掛かっている。
*3月FOMCでバランスシートについて詳細な議論を行う予定
*まだそのプロセスは始まったばかり
*金利政策とバランスシート政策は独立したツールだと考えている
*バランスシート縮小を注意深く見守っている
*インフレ安定の確信を得るために何カ月の低インフレ指標が必要か、必要な月数を示す立場にはない
*インフレ低下を示すデータへの信頼は高まっているが、正しく把握する必要がある
*インフレに関する責務を持続可能な形で終わらせたい
*インフレ安定に自信を持てば、秘密にはしない
*インフレ率が再び上昇に向かえば、利下げはもっとペースを遅らせるか時期を遅らせるか、あるいはその両方になるだろう
*成長率が強すぎてインフレ率が再び上昇に転じる可能性はそれほど心配していない
オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、マテウス・ウルバン氏はドイツとフランスのインフレ率について「これが2月1日(発表される)のユーロ圏全体のインフレ率が市場予想の2.8%を下回るとみるのに十分かどうかははっきりしない」とした上で、「しかし、もしもそうであれば欧州中央銀行(ECB)が4月に利下げするとの観測が高まるだろう」との見方を示した。
米労働省が31日に発表した2023年第4・四半期の雇用コスト指数(ECI)は前期比0.9%上昇し、伸びは前四半期の1.1%上昇から鈍化し、2021年第2・四半期以来の小幅な伸びとなった。市場予想の1.0%上昇も下回った。
INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトレー氏は「インフレとFRBによる本格的な政策緩和の見通しにとり朗報だ」と述べた。
シティグループのチーフ米国エコノミスト、アンドリュー・ホレンホースト氏は「利下げへの扉は開かれており、経済活動もしくは労働市場関連データが弱含めば、FRBは速やかに利下げに着手するだろう」と述べた。
世界各地の住宅市場は、高水準の借り入れコストと、価格高止まりの原因となっている在庫不足の板挟みとなっている。世界各都市の最も裕福な地域に広がる高級住宅市場は、コロナ禍後には需要が急増したが、2023年には成長が鈍化した。
それでも、インフレ圧力の緩和は今年、住宅購入者の見通しを明るくしている。中央銀行が利下げする可能性があるため、今年後半に価格が上振れするかもしれないとサヴィルスはみている。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ノース・オブ・サウス・キャピタル新興市場ファンドのパートナー兼ポートフォリオマネジャー、カミル・ディミッチ氏は「債権者にとって公平かつ公正な方法で手続きが進めば、中国企業が市場アクセスを回復する助けになるはずだ」と指摘。「さらに広く見れば、未完成物件が建設能力のあるデベロッパーに売却・譲渡され、顧客への引き渡しが実現すれば、いずれ住宅購入者の信頼が回復するのではないか」と述べた。
UBSの中国・香港不動産リサーチ責任者、ジョン・ラム氏は「中国恒大の清算命令で、他の不動産デベロッパーのドル建て債再編交渉が加速する可能性がある」と指摘。「これまでに発表されたドル建て債の再編策には債務の株式化が盛り込まれており、これは株式の大幅な希薄化を意味する。債務不履行に陥った不動産デベロッパーの株価にはマイナスだ」と述べた。
不動産デベロッパーのドル建て債は取引価格が低迷。債務再編策が昨年10月に承認された融創中国(1918.HK), opens new tabの2027年満期債は額面の11%、海外資産の売却手続きを進めている碧桂園(カントリー・ガーデン)(2007.HK), opens new tabの債務不履行債は額面の8.5%前後で取引されている。
確かに、海外市場では信用収縮が世界中に波及するといった懸念は後退している。調査会社チャイナ・ベージュブックのリーランド・ミラー最高経営責任者(CEO)は、負債は多様な形で中国の金融システム内で分散しており、リーマンショックのような事態にはならないとの見方を示した。
ただ、中国恒大の解体が慎重に進められたとしても、すでに多額の損失が発生していることは事実で、大半の投資家は問題が適切に是正されるまで、不動産セクターや中国市場自体に手を出したくないと考えるとみられる。
VPバンクのトーマス・ルプフ最高投資責任者(CIO、アジア担当)は「未販売住宅がどうなるか分からない限り、消費者の信頼感は回復しない。これが依然として大きな問題だ」とし「購入した住宅が完成しなければ、回復に向けて動き出せない。あらゆる消費者が抱える不透明感がここにある」と述べた。
CCGによると、過去10年間の中国人海外留学生の10人中9人以上が、奨学金に頼らず自費で留学しているという。しかし、家計資産の7割が不動産に投資されている中国では、不動産市場のメルトダウンは、そうした人々の多くにとって突然の暗転を意味する。
エコノミストらによると、こうした留学生の苦境は、中国経済が悪化したときに頼れるものがほとんどないミドルクラスの脆弱(ぜいじゃく)性を浮き彫りにしている。
●中東
米国は何十年もの間、中東各地で基地を運営してきた。2011年にはアフガニスタンに10万人以上、07年にはイラクに16万人以上の米軍が駐留していた。
21年にアフガニスタンから撤退した後、その数ははるかに少なくなったが、それでも約3万人の米部隊がこの地域に点在している。
さらに昨年10月にイスラエルとパレスチナ自治区ガザとの戦争が始まって以来、米国は軍艦を含め、この地域に数千人の追加部隊を一時的に派遣している。
中東最大の米軍基地は、カタールのアル・ウデイド空軍基地。1996年に建設された。この他、バーレーン、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などに米軍は駐留している。
シリアには約900人の部隊を駐留させており、アル・オマル油田やアル・シャッダディといった小規模な基地が主にシリア北東部にある。シリアとイラク、ヨルダンとの国境近くには、アルタンフ駐屯地という小さな前哨基地がある。
イラクには、「ユニオンIII」やアイン・アル・アサド空軍基地のような施設に分散して2500人の要員がいるが、これら部隊の将来については協議中だ。
米軍が中東に駐留している理由はさまざまで、シリアを除いては各国政府の許可を得て駐留している。
イラクやシリアなど一部の国では、米軍は過激派組織「イスラム国」(IS)と戦う目的で駐留しており、現地部隊への助言も行っている。しかし、過去数年間はイランの支援を受けた勢力から攻撃を受け、こうした勢力に対して行動している。
この地域における米国の重要な同盟国であるヨルダンには数百人の軍教官を置き、年間を通じて大規模な演習を行っている。
米軍が中東に駐留している理由はさまざまで、シリアを除いては各国政府の許可を得て駐留している。
イラクやシリアなど一部の国では、米軍は過激派組織「イスラム国」(IS)と戦う目的で駐留しており、現地部隊への助言も行っている。しかし、過去数年間はイランの支援を受けた勢力から攻撃を受け、こうした勢力に対して行動している。
この地域における米国の重要な同盟国であるヨルダンには数百人の軍教官を置き、年間を通じて大規模な演習を行っている。
◎中東の米軍基地はよく攻撃されるのか
米軍基地は高度に警備されており、ミサイルや無人機から守るための防空システムもある。カタール、バーレーン、サウジアラビア、クウェートといった国々にある施設は通常攻撃されない。
カタールやUAEでは、米軍は同盟国を安心させ、訓練を実施するために駐留しており、必要に応じて地域の作戦に加わる。
◎米国には外国の軍事基地があるのか
米同盟国は、米軍の訓練や協力のために部隊を派遣することがあるが、米国内に外国軍の基地はない。
◎タワー22
28日に無人機攻撃があったタワー22は、ヨルダンの戦略的に重要な場所であり、同国とシリア、イラクとの国境において最も北東部に位置する。
タワー22は、少数の米部隊が駐留するシリアのアルタンフ駐屯地に近い。同駐屯地はISとの戦いにおいて重要な役割を担ってきた場所であり、現在はシリア東部におけるイランの軍事力増強を封じ込める米戦略の一環として機能している。
しかし、イラクやシリアに駐留する米軍は近年、頻繁に攻撃を受けている。パレスチナ自治区のイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃した昨年10月7日以来、米軍はイランを後ろ盾とした民兵によって160回以上攻撃を受け、タワー22の攻撃より前の段階で約80人の兵士が負傷していた。
●中南米・アフリカ
メキシコ中央銀行が「当面の間」据え置くと示唆している過去最高の11.25%の政策金利を、次回会合が予定される2月8日に引き下げるのではないかとの観測が広がっている。
パンテオン・マクロエコノミクスのチーフ中南米エコノミスト、アンドレス・アバディア氏は「今回のGDPは、経済活動を窒息させるほど高く、上昇を続けている実質金利水準はもう必要ないことが改めてはっきりと分かる」と指摘した。
キャピタル・エコノミクスの副チーフ新興国市場エコノミスト、ジェーソン・テュベイ氏も、引き締め的な金融政策が与信の伸びを抑える中で、今後もさえない成長が続くと予想し、中銀が次回会合で利下げを開始する確率が高まったとの見方を示した。
南米の中央銀行が利下げを続けている。ブラジルは1月31日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%引き下げて11.25%にすると決めた。チリとコロンビアも同日の会合で利下げを決めた。いずれの国も積極的な利上げの効果でインフレは鈍化しており、景気下支えにシフトしている。
南米コロンビアの中央銀行は1月31日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き下げて12.75%にすると決めた。3年3カ月ぶりの利下げとなった2023年12月会合に続いて2会合連続の利下げとなる。インフレ鈍化を受けて、景気下支えを優先した。
●市況
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが低下し、3週間ぶりの低水準付近を付けた。10年債は1日の低下幅としては12月以来最大を記録した。
10年国債利回りは8ベーシスポイント(bp)低下の3.977%。1月月次ベースでは利回りは19.7bp低下し、2023年10月以来のパフォーマンスを記録した。
CMEのフェドウォッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む3月利下げの可能性は36%と、1カ月前の73%から低下している。一方、5月に利下げが実施される可能性が90%近くに達している。
原油価格の値下がりを受けて石油大手のシェル(SHEL.L), opens new tab、BP(BP.L), opens new tabがそれぞれ1.1%、1.3%下落した。
ボーダフォン(VOD.L), opens new tabは2.1%安。フランスの通信会社イリアドが、ボーダフォンがイタリア事業統合の提案を拒否したと明らかにしたことが嫌気された。
製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)(GSK.L), opens new tabは2.0%上昇。2023年第4・四半期決算が市場予想を上回ったことが好感された。
ヘルスケア株指数(.SXDP), opens new tabは0.45%上昇。2024年も2桁の成長率を見込んだデンマークの製薬大手ノボノルディスク(NOVOb.CO), opens new tabが3.6%上げ、過去最高を更新した。デンマークのOMXコペンハーゲン20指数(.OMXC20), opens new tabは2.32%高と過去最高を付けた。
2023年第4・四半期決算が市場予想を上回った英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)(GSK.L), opens new tabは2.0%上昇。一方、第4・四半期決算の利益が予想に届かなかったスイスの製薬大手ノバルティス(NOVN.S), opens new tabは3.5%下落した。
日経先物36,095、ダウ先38,307、債先146.30、米3,927、独2.1670、仏2.662、西3.105、伊3.714、英3
.8175、波5.195、原油75.91、銅8,621、ドル円147.01、ユーロドル1.0803
※2/1 9時10分頃
備忘録(2024/1/30)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
買収したクレディ・スイスとの統合を進めているスイス金融大手UBS(UBSG.S), opens new tabを巡り、主要株主らがその巨大な規模のために規制当局と衝突する可能性があると懸念していることが分かった。
UBS株を保有する顧客に助言する株主サービス会社エトスは、UBSが将来の銀行規制に与える影響を懸念。ビンセント・カウフマン最高経営責任者(CEO)はロイターに対し「特にUBSの規模がスイス市場と比べて大きいことを非常に懸念している」と語る。
「いくつかの事業における競争のゆがみと、特定の活動におけるリスク集中の可能性を考えている」と指摘。スイスは現在「巨大過ぎてつぶせない(too-huge-to-fail)」問題を抱えているとして、「法規制で資本基盤の強化を求めるべきだ」と述べた。
上位10位の株主に入る別の投資家は匿名を条件に、銀行の規模を巡って規制当局や議員と対立が続く可能性があり、事業の円滑な運営に支障をきたす可能性があると述べた。
UBSは、バランスシートへの注目は誤解を招くと指摘。バランスシートは今後3年間でさらに縮小されるほか、「潜在的な破綻処理に備えるための要素は整っており、統合後の銀行に向けてさらに改善される」とした。
UBS株を0.12%(LSEGデータに基づく)保有するデカ・インベストメントのアンドレアス・トマエ氏は「統合が完了しても、新UBSの規模は旧UBSと比べてあまり大きくならないだろう」とし、「縮小することでUBSはスイスの政治に配慮することになる」と述べた。
統合は数年がかりの作業となり、国内外で数千人規模の人員削減が行われる見通しだ。
2023年10-12月(第2四半期)決算では、売上高が22年以来の高い伸びとなった。人工知能(AI)の新製品への関心がクラウドコンピューティングへの新たな支出を促した。
発表資料によると、10ー12月期の売上高は18%増の620億ドル(約9兆1500億円)。1株利益は2.93ドルだった。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均では、売上高は611億ドルで、1株利益は2.78ドルと見込まれていた。
クラウドサービス「アジュール」の売上高は30%増加した。前四半期の29%増やアナリスト予想の28%増を上回る伸びとなった。
ただ、一部の投資家はクラウド部門のより大幅な成長を期待していた可能性があり、マイクロソフトの株価は決算発表後の時間外取引で約1%下落した。
●その他産業
●決算関連
世界最大のコーヒーチェーン、米スターバックス(スタバ)(SBUX.O), opens new tabが30日発表した第1・四半期(2023年12月31日終了)決算は、売上高が市場予想を下回った。
世界既存店売上高は5%増。アナリスト予想は6.98%増だった。
一方、中国事業が回復の兆しを見せたため、同社の株価は引け後の時間外取引で2%以上上昇した。
ウェルズ・ファーゴはPlacer.aiのデータを基に、10月に米国内店舗の来店者は5.9%増と好調なスタートを切ったが、11月と12月はそれぞれ5.1%減、4.5%減と急速に衰えたと指摘した。
スタバは10月7日に勃発したイスラエルとイスラム組織ハマスの戦争へのスタンスを巡って圧力を受けているグローバルブランドの一つ。
北米の第1・四半期既存店売上高は5%増と、アナリスト予想の5.12%増をわずかに下回った。
一方、中国の既存店売上高は10%増と、前四半期の5%増から加速し、同国におけるコーヒー消費の急速な伸びの恩恵を受けた。
ただ、国際部門の既存店売上高は7%増にとどまり、アナリスト予想の12.07%増には届かなかった。1注文当たりの平均消費額が落ち込んだ。
米製薬大手ファイザー(PFE.N), opens new tabが30日発表した2023年第4・四半期決算は、調整後1株当たり損益が0.10ドルの黒字だった。LSEGのデータに基づくアナリスト予想平均は0.22ドルの赤字だったが、コスト削減の取り組みや、新型コロナウイルス感染症治療薬「パクスロビド」の需要が想定を上回ったことなどがプラスに働いた。
売上高は142億5000万ドルで、アナリスト予想の144億2000万ドルには届かなかった。
主力薬では、乳がん治療薬「イブランス」がライバル製品との競合にさらされ、売上高が12.6%減の11億2000万ドルにとどまり、アナリスト予想の12億3000万ドルを下回った。肺炎ワクチンの「プレベナー」の売上高も16億1000万ドルと、予想の20億ドルに達しなかった。
このため市場関係者の間からは、ファイザーの新型コロナウイルス関連以外の事業動向の先行きを懸念する声も出ている。
一方でファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は、今後は新薬の成長を促すための効率的な経営構造確立により力を注ぐ考えを示した。
同社は24年については、調整後1株当たり2.05─2.25ドル、売上高585億-615億ドルという従来の見通しを据え置いた。
国際貨物輸送大手の米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS) (UPS.N), opens new tabが30日に発表した2024年通期の売上高見通しは920億─945億ドルと、アナリスト平均予想(955億7000万ドル)を下回った。また従業員1万2000人を削減するほか、トラック輸送仲介事業を手掛けるコヨーテの戦略的選択肢を模索すると発表した。
株価は8%安の145.32ドルとなった。
キャロル・トメ最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で、全ての事業で取扱高、売上高、営業利益が減少する「困難かつ失望的な」年を迎えるにあたり、10億ドルのコスト削減を計画していると述べた。
UPSは24年下半期までは事業環境は改善しないと予想している。
ブライアン・ニューマン最高財務責任者(CFO)は、全米トラック運転手組合(チームスターズ)との新たな労働契約による人件費の上昇もUPSの利益を圧迫しており、第1・四半期の連結営業利益率は今年最低になる見込みと述べた。
UPSは年後半には1日平均取扱高が回復すると予想しているが、トメCEOは「アマゾンを除く米国の宅配小包市場の成長率は1%未満しか見込めない」とした。アマゾンは昨年、UPSの売上高の11.8%を占めた。
23年第4・四半期決算は売上高が前年同期比7.8%減の249億ドルとアナリスト予想の254億3000万ドルを下回った。
調整後1株利益は31.8%減の2.47ドルだったが、アナリスト予想をやや上回った。
グーグルの親会社、米アルファベットが30日発表した2023年10-12月(第4四半期)決算で、中核事業である検索広告事業の売上高はアナリスト予想に届かなかった。それ以外は好調だった同四半期の業績に暗い影を落とした。
発表によると、10-12月期の売上高はパートナーへの支払いを除いたベースで15%増の723億ドル(約10兆6700億円)。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の710億ドルを上回った。1株当たりの純利益は1.64ドル。市場予想は1.59ドルだった。
しかし、アルファベットの検索事業の売上高は480億ドルと、アナリスト予想の481億5000万ドルをわずかに下回った。株価は時間外取引で6.5%下落した。
グーグルの検索エンジンを巡っては、不確実性が広がっている。グーグルは長年にわたり世界的にインターネットで支配的地位にあったが、反トラスト法(独占禁止法)訴訟に直面している。また、生成人工知能(AI)の台頭によってマイクロソフトやオープンAIなどが人気の「ChatGPT(チャットGPT)」のような対話型プログラムを提供することが可能になり、グーグルの支配的地位は新たな競争によって脅かされている。
インサイダー・インテリジェンスのアナリスト、エブリン・ミッチェルウルフ氏は「グーグルでは広告が売上高の大部分を占めており、同社が入念に練られたAI計画に全力を挙げる準備を進めている今、その稼ぎ頭が不安定になることは良い兆候とは言えない」と指摘した。
ウォール街はアルファベットのAIへの取り組みに高い期待を寄せており、株価は過去1年間で60%近く上昇し、同社の時価総額は2兆ドル近くに達した。しかし投資家は今や、このテクノロジーが実際に収益に変化を及ぼし始めるのはいつになるのかを見極めようとしている。
●先進国、グローバル、金融市場
1月の米消費者信頼感指数は114.8と、12月の108.0(前回発表の110.7から下方改定)から上昇し、2021年12月以来約2年ぶりの高水準となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は115.0だった。
CBのチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は「1月の消費者信頼感指数の上昇は、インフレ率の鈍化、今後の金利低下への期待、そして企業が労働力をため込み続けていることから雇用情勢がおおむね良好であることを反映しているとみられる」と指摘。「今回の上昇は全ての年齢層で見られたが、55歳以上の消費者が最大だった」とした。
また、信頼感がわずかに低下した年収12万5000万以上の世帯を除き、全ての所得層で上昇した。
今後12カ月間の消費者のインフレ期待は5.2%と12月の5.5%から低下し、2020年3月以来の低水準となった。今年リセッション(景気後退)に陥るとの見方は一段と後退した。
2023年12月の雇用動態調査(JOLTS)の求人件数は前月比10万1000件増の902万6000件となった。ロイターがまとめた予想(875万件)に反して増えた。
11月分は892万5000件と、前回発表の879万件から上方改定された。
今年第1・四半期に米連邦準備理事会(FRB)が利下げを開始するには、労働市場が引き続き活発過ぎる可能性が高いことが示唆された。
ネーションワイド(オハイオ州)のシニア・エコノミスト、ベン・エアーズ氏は「持続的な労働需要があることは、経済成長にはプラスだが、今年の早い時期にインフレを抑制しようとする取り組みに一石が投じられる可能性がある」と指摘。「良いことが多すぎるという兆候が出ていることで、利下げ観測が後ずれする公算がある」と述べた。
コメルツ銀行のエコノミスト、イエルク・クレーマー氏は「楽観論者の頼みの綱である個人消費が最後まで失望を招いた。最近の鉱工業生産の減少や低水準のIFO業況指数は、ドイツ経済が第1・四半期も縮小したことを示している」と述べた。
ハウク・アウハウザー・ランペのエコノミスト、アレクサンダー・クルーガー氏は、GDPは4年前の水準を上回っておらず、「成長が見られないことがこの国の潮流になっている」と指摘。
VPバンクのトマス・ギッツェル氏も、今後数四半期は最高でもゼロ成長だろうとした上で、インフレの鈍化に希望が見いだせるとし「そうなれば欧州中央銀行(ECB)の利下げ余地が生じ、企業、消費者、また特に業績が厳しい建設業が恩恵を受ける」と述べた。
「議会が債務上限の適用先延ばしを続け、正しい行いがもたらす結果を恐れて合意を繰り返す限り、それが米国の政治的構造であり、いずれは債務スパイラルに陥る」と、タレブ氏は29日夜に自身が顧問を務めるヘッジファンド会社ユニバーサ・インベストメンツのイベントで語った。「債務スパイラルは死のスパイラルに似ている」と話した。
タレブ氏は膨れ上がる債務負担を、想定外の「ブラック・スワン」よりも想定しやすい「ホワイト・スワン」と定義。市場で起こり得るサプライズは特定しなかったが、ホワイト・スワンには米国の赤字のほかに、これまでよりもはるかにショックに弱い経済が含まれると述べた。
それはグローバリゼーションによって世界の相互接続性が著しく高まり、ある地域の問題が世界中に波及するようになったからだという。
山積する米国の債務については、タレブ氏のほかにもウォール街の内外で多くの専門家が警告を発している。ロバート・ルービン元米財務長官は24日、米国は連邦財政赤字に関して「ひどい状況」にあると指摘。ブラックロックのヒルデブラント副会長は、デフォルト(債務不履行)となれば国際通貨としてのドルの地位を脅かしかねないと警告した
米国の「スパイラル」は最終的にどうなるのかという質問に対し、タレブ氏は「外から何か入ってくるか、あるいは奇跡が必要になる」と答えた。
「それを思うと、西側世界の政治システム全体について暗たんたる気持ちになる」と同氏は語った。
米テキサス州の製造業活動の指数が、新型コロナウイルス禍初期以降で2番目に低い水準となった。製造業活動の縮小が加速していることを示す地区連銀の調査が相次いでいる。
1月のダラス連銀製造業景況指数は17ポイント低下してマイナス27.4となった。生産と稼働率がともに落ち込んだ。
29日に公表された調査結果によると、企業活動が悪化しているとの回答が全体の3分の1余りに達した。ニューヨーク州のほか、フィラデルフィアやリッチモンド、カンザスシティー連銀の各管轄地区の製造業も景況感が悪化していた
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
イラクの親イラン勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」は、この地域に展開する米軍に対する全ての軍事作戦を停止すると表明した。イラク政府への「困惑」を防ぐことを目的とした決定としている。
米軍を巡っては、28日にシリアと国境を接するヨルダン北東部の米軍基地がドローン(無人機)による攻撃を受け、米兵3人が死亡。米国防総省は最終的な判断を下していないものの、カタイブ・ヒズボラが実施した疑いがあるとしていた。
イラク当局者は匿名を条件に、事態のエスカレーションを防ぐためにイラク政府が米政府当局者とイラク武装集団の双方と集中的に協議を行い、カタイブ・ヒズボラはこうした接触を受けて決定を下したと明らかにした。
米国防総省のパトリック・ライダー報道官はカタイブ・ヒズボラの表明について「行動は言葉よりも雄弁だ」と述べるにとどめ、直接的なコメントは避けた。
バイデン米大統領は30日、ヨルダンの米軍基地へのドローン(無人機)攻撃を巡り対応方針を固めたと述べた。より大規模な戦争を引き起こすことのない報復措置を検討している。
選挙運動のためフロリダ州に向けて出発する際、記者団に語った。方針について詳細は明らかにしなかった。
バイデン氏は、中東での武力衝突拡大は望んでいないとし、イランとの戦争は望まないとした他の政府高官と同様の見解を示した。
バイデン氏は選択肢を吟味しており、報復攻撃が行われるとの予想もあるが、その時期は不明。
イランに責任があるかと問われたバイデン氏は「テロ実行犯に武器を供給しているという意味では、責任がある」と回答した。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、米国が複数回対応する可能性があるとし、「単一の行動でなく、段階的なアプローチとなり、複数回行動する可能性が高い」と述べた。
ハニヤ氏は提案の詳細には触れなかったものの、イスラエルによる攻撃停止とイスラエル軍のガザからの完全撤退がハマスの優先事項と述べた。
ハマスの声明や複数の関係者によると、提案は3段階に分かれており、第1段階では戦闘休止と高齢者や民間人女性、子ども、負傷者などの解放、ガザへの食料・医薬品の提供再開が実施されるという。ハマス側は提案に対するハマス指導者らの意見を集め、「その後、ハマス指導部が会合を開き、議論し、最終的な意見を表明する」とした。
第1段階の戦闘休止期間について、関係者のうち2人は少なくとも1カ月と答えた。
第2段階では女性イスラエル兵や男性新兵の解放、ガザへの支援物資の提供拡大、公共サービスの再開が実施され、第3段階ではパレスチナ人囚人の解放と引き換えに死亡したイスラエル軍兵士の遺体が移送されるという。
この3段階の間は双方の軍事作戦は停止されるという。
当局者は「枠組みの概念については合意が得られているが、各段階の重要な詳細はまだ詰める必要がある」とし、ハマスが提案の枠組みに同意した場合でも、戦闘休止や人質の解放などの詳細を決めるまでに数日から数週間かかる可能性があるとした。
イスラエルのネタニヤフ首相は30日、パレスチナ自治区ガザからの軍撤退も収監している数千人のパレスチナ人囚人の解放もないと言明。
一方、ガザの過激派組織「イスラム聖戦」は声明で、ガザにおける包括的な休戦とイスラエル軍の撤退が確実でなければ、イスラエル人人質に関するいかなる合意にも関与しないと表明した。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派のモハメド・アル・アティフィ軍司令官は30日、声明を発表し、米英との「長期戦」に備えていると明らかにした。
声明は「われわれは暴虐の勢力との長期的な対決の準備ができている。米、英、そして彼らと協調する者たちは、主権を持つイエメンの決断の力と、それに対する議論の余地はないことを理解しなければならない」と述べた。
サウジアラビアは米国との防衛協力強化に向けた協議を再開した。協議に詳しい複数の関係者が明らかにした。同協議は昨年10月初めにイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘開始後、一時中断していた。
匿名で語った関係者の話では、協議は今月初めにサウジ北西部アルウラでムハンマド皇太子と複数の米上院議員との間で行われた。議題となったのは防衛協定に関する交渉再開で、それには当初サウジとイスラエルとの関係正常化が含まれるはずだった。
ムハンマド皇太子の考えに詳しい関係者2人によれば、イスラエルによるハマスへの攻撃が続きパレスチナ自治区ガザで多数の民間人の死者が出ていることにアラブ世界に怒りが広がっているものの、皇太子は引き続き米国との協力拡大の機会があるとみている。
一方、米国はヨルダン北東部の駐留米軍基地への無人機攻撃で米兵3人が死亡した事態などを受け、地域的緊張の高まりのさなかにある。
協議への主な障害はサウジがかねてイスラエルとの関係正常化の条件としてパレスチナ国家の樹立を主張しているのに対し、イスラエルのネタニヤフ政権はこれに強く反対している点で、同国の決意はハマスとの戦闘開始以降、強まる一方だ。
サウジ国防省は質問に対し、同国政府に照会するよう促し、政府の国際コミュニケーションセンターはコメント要請にすぐには応じなかった。米国家安全保障会議(NSC)もコメントを控えた。
●中南米・アフリカ
●市況
CMEグループのフェドウオッチによると、3月利下げの可能性は42%に低下している。1カ月前には約89%だった。
この日は引け後にアルファベット(GOOGL.O), opens new tabとマイクロソフト(MSFT.O), opens new tabが四半期決算を発表した。
チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は超大型7銘柄「マグニフィセント・セブン」の決算発表を控え、警戒感が強まっていると指摘。「株価は信じられないほど好調で、やや慎重姿勢が見られている。おそらく当然のことだ」と語った。
他の個別銘柄では、酒造大手のディアジオ(DGE.L), opens new tabが0.7%上昇。中南米での落ち込みが響いて上半期の売上高が予想を下回ったことから売られる場面もあったが、その後はプラスに転じた。
STOXXユーロ圏銀行株指数(.SX7E), opens new tabは1.81%上昇。スペインのバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)(BBVA.MC), opens new tabが6.2%上げ、2023年第4・四半期の純利益が前年同期比で32%増加したことが材料視された。
STOXX欧州600種自動車・部品株指数(.SXAP), opens new tabは1.06%上げた。自動車メーカーのステランティス(STLAM.MI), opens new tabが3.8%上昇し、米同業のゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N), opens new tabが24年の明るい見通しを示したことが材料視された。
日経先物35,780、ダウ先38,642、債先146.33、米4,035、独2.2640、仏2.758、西3.145、伊3.790、英3.9370、波5.367、原油77.78、銅8,646、ドル円147.52、ユーロドル1.0844
※1/31 8時30分頃
備忘録(2024/1/29)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
航空機リース・ファイナンス業界の会合「エアライン・エコノミクス」が29日にアイルランド・ダブリンで開かれる。米航空機大手ボーイング(BA.N), opens new tabの旅客機「737MAX9]が飛行中に機体の一部が吹き飛ぶ事故を起こして以来初めての関連業界の会合で、事故が大きな波紋を広げる可能性がある。
会合開幕を前に、アセンド・バイ・シリウムのコンサルティング責任者ロブ・モリス氏は航空機の「需要はほぼ好調だが問題はいつ供給が追いつくかだ」と指摘。
「われわれは(そのタイミングが)2026年か27年と予想してきたが、MAXが原因で後ずれするリスクが浮上した」と述べた。
米連邦航空局(FAA)は先週、ボーイングの737MAXシリーズについて生産拡大を認めない方針を示した
18─19年に737MAXが2度の墜落事故を起こし多数の死者が出たことを受け、当局は機体の設計・開発に関する規制を強化している。今回の事故を受けて航空機開発のハードルが上がり、生産ペースが鈍化するとアナリストは予想する。
これは既に大量に機体を発注しているリース会社に朗報となる可能性がある。航空各社は輸送能力の拡大を急いでいるため、リース会社は投資の回収率向上が見込める。しかし、航空会社にとっては、コスト削減などに必要な新技術の導入が遅れ、リース料が上昇する可能性がある。
米ユナイテッド航空(UAL.O), opens new tabがボーイングの「737MAX10」の承認遅延を受け、欧州エアバス(AIR.PA), opens new tabに「A321ネオ」の追加購入について打診したことが複数の業界関係者の話で分かった。
ユナイテッドのスコット・カービー最高経営責任者(CEO)がエアバスの生産拠点がある仏トゥールーズを最近訪問し打診したという。
ボーイングのMAXシリーズを巡ってはアラスカ航空が運航するMAX9の側壁の一部が飛行中に吹き飛んだ事故を受けて、すでに遅れているMAX10の承認取得がさらに不透明になっている。
関係者によると、ユナイテッドはMAX10の代替案についてエアバスと初期段階の協議を行っている。合意には至っておらず、成立する保証もないという。
エアバスとユナイテッドはコメントを控えた。
ユナイテッドはMAX10を277機発注している。カービー氏は先週、注文を取り消していないが社内計画から除外したと記者団に明らかにした。
関係者によると、ユナイテッドとエアバスはA321ネオに関する取引が成立した場合、ユナイテッドが受領を遅らせているA350について再検討することで暫定的に合意しているという。
エアバスは2010年にA350を受注したが、その後にユナイテッドがボーイングの長年の顧客だったコンチネンタル航空と合併。注文が見直され、受領が30年ごろまで延期されている。
ドイツのコングロマリット、バイエルの株価が29日のフランクフルト市場で急落した。米モンサント部門の除草剤「ラウンドアップ」の使用でがんになったとして訴えた元顧客に約23億ドル(約3400億円)を支払うようバイエル側に命じる判断が米国の裁判所で下された。
フィラデルフィア州の裁判所で陪審は、ラウンドアップを巡り5年前から起きている訴訟でこれまでで最大の支払いを命じる評決を下した。
バイエル株は一時5%余り下落。バイエルが2018年にモンサントを買収して以来、70%近く下げている。
オランダのロイヤル・フィリップスは、米国で睡眠時無呼吸症候群に関連する装置と人工呼吸器の販売を停止する。米食品医薬品局(FDA)と欠陥製品販売の問題を終わらせることで合意に達していた。同社の株価は29日の取引で一時6%下落した。
フイリップスはFDAとの「同意判決」での係争決着に伴い、昨年10-12月(第4四半期)に3億6300万ユーロ(約582億円)を引き当て、今年も追加費用が生じると明らかにした。先月のMRI(磁気共鳴画像法)関連のリコールに続き、同社の品質問題に起因する苦境が深まっている。
フィリップスは2年余り前、睡眠時無呼吸症候群を治療する装置内の不備が健康問題を引き起こし得るとの懸念から、約550万台のリコールに着手。
同社はこの問題のため約10億ユーロを引き当て、昨年9月には訴訟の一部を解決するために少なくとも4億7900万ドル(約708億円)を支払うことに合意したが、それでもなお、高額なコスト負担になり得る集団訴訟や数千件の個人訴訟に直面している。フィリップスはまた、この問題で米司法省から調査を受けている。
フィリップス株は一時6%下げ、昨年11月29日以来の下落率を記録。同社株は過去1年で29%上昇している。
●決算関連
オランダのヘルスケア大手フィリップスが29日発表した2023年12月期決算は、最終損益が4億6300万ユーロ(約740億円)の赤字(前の期は16億500万ユーロの赤字)だった。人員削減を含めたリストラ策で9億5600万ユーロのコストを削減し、赤字幅を縮小した。
●先進国、グローバル、金融市場
ウォール街からシリコンバレーに至る全米各地の富裕層は、トランプ前米大統領のホワイトハウスへの復帰を阻止するため、共和党候補指名を争うヘイリー元国連大使の陣営に多額の資金を献金してきた。
彼らが学んだ教訓は「多額の資金を献金しても、少なくともトランプ氏の対抗馬は、共和党候補指名を勝ち取れない。トランプ氏は幅広く有権者の支持を確保している」ということだ。
連邦選挙委員会(FEC)に提出された選挙資金報告をロイターが分析したところ、ヘイリー陣営は過去1年間にトランプ陣営の2倍を上回る資金を支出している。
ヘイリー氏を支持する特別政治活動委員会(スーパーPAC)であるSFAファンドは過去1年間に7000万ドル余りを支出。実業家チャールズ・コーク氏が関連するスーパーPACはヘイリー氏を支援するため約4000万ドルを投じた。
これに対しトランプ氏を支援するスーパーPACのMAGAは同じ期間に支出が約5000万ドルにとどまっている。
それにもかかわらず、トランプ氏は1月15日のアイオワ州共和党党員集会と23日のニューハンプシャー州予備選で大勝した。
反トランプを掲げる献金者やストラテジストら十数人へのインタビューでは、無力感がにじみ出ていた。
金属王として知られるアンディ・サビン氏は「トランプ氏は基本的に入り込めない支持基盤を持っている。選挙資金の問題ではないと思う」と述べた。
反トランプを強く掲げるサビン氏は当初、フロリダ州のデサンティス知事を支持していたが、デサンティス氏の外交政策姿勢を踏まえ、スコット上院議員の支持に回った。
だがスコット氏が指名候補争いから撤退すると、ヘイリー氏支持に切り替えた。サビン氏は24日、ヘイリー氏がニューハンプシャー州予備選で敗北したことを受け、指名候補争いは実質的に終わったと述べた。
反トランプ派の共和党員がトランプ氏指名を阻止できないとみられる状況は、トランプ氏の支持者からの人気を浮き彫りにしている。支持者の多くは、トランプ氏が直面している刑事訴訟を政治的な動機によるものとして意に介していない。
富裕層献金者を無力化することこそ、トランプ氏が共和党を作り直している新たな手法なのだ。同氏は小口献金によって大半の資金を集めている。
反トランプの保守系団体リンカーン・プロジェクトの資金を集めている元共和党コンサルタント、リード・ガレン氏は、仮に反トランプ運動の支出を1年ほど早く始めて、容赦なくトランプ氏を攻撃し、より強力な対抗馬からの追い風があれば、もっと成功していたかもしれないと述べた。
それでもガレン氏は、こうした戦略が「奏功したかどうかさえ分からない」と語った。
反トランプを掲げていた一部の献金者は既に、トランプ氏支持に回っている。
当初はデサンティス氏を支持していた著名献金者のダン・エバーハート氏は現在、トランプ氏を支持している。またサビン氏は、トランプ氏に献金するつもりはないとしつつも、11月の大統領選本戦ではトランプ氏に投票すると話している。
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は29日、ユーロ圏のインフレと成長率は「下振れリスク」に直面していると指摘した。
デギンドス副総裁はマドリードで開催されたイベントで、ディスインフレのプロセスは継続する可能性があるとしながらも、ECBの今後の決定はデータ次第になると述べた。
中国については、金融の波及的な影響よりも、経済成長に対する間接的な影響の方が懸念に値するとの考えを示した。
ゴールドマン・サックスは、欧州STOXX600指数(.STOXX), opens new tab採用企業の増益率予想を7%から3%に引き下げた。原油価格の下落やインフレ率の鈍化が逆風になるとしている。
同社は今年の北海ブレント原油の平均価格を1バレル=81ドルと予想。従来予想は98ドルだった。
26日付のリポートで、原油価格の下落が欧州のコモディティー関連企業の売上高と利益率に悪影響を及ぼすと予想。ディスインフレも株価の課題になると指摘した。ただ、理想的な経済環境では、消費者物価の下落は株価を刺激する可能性があるとの見方も示した。
「物価上昇率が賃金上昇率を下回れば、純利益率に下押し圧力がかかる」と指摘。原油価格の下落は、年間の増収率を5%ポイント、純利益率を10ベーシスポイントそれぞれ押し下げると予想した。
不動産情報サイトのズープラがまとめたデータによると、ロンドンの住宅価格は英労働者の平均収入の13倍。この割合は2016年に付けたピークの15倍超から低下した。英国の欧州連合(EU)離脱や税制変更、住宅価格と賃金の変動がその要因だ
今回の数字は、ロンドンの住宅相場が緩やかに減速しつつあることを示している。それまでは並外れた伸びが続き、多くの若年層にとって手の届かない価格になっていた。値ごろ感の改善は、過去7年間に売買件数が減少し、価格の伸びも鈍化したロンドン住宅市場の需要回復につながる可能性がある
ロンドンの不動産市場は投資家や外国人の買い手に対する課税強化、EU離脱、新型コロナウイルス禍後の労働形態の変化により打撃を受けている。ズープラによれば、ロンドンの住宅価格は2016年以降にわずか13%しか上昇していない。英国全体では34%値上がりしている。
しかし、ロンドンは住宅の買い手にとって同国内では依然として最も割高だ。イングランド中部や北部、ウェールズ、スコットランドの住宅価格はいずれも平均収入の8倍を大きく下回る。
日本証券業協会が社債投資家の権利を守るためのルールの強化を検討し始めた。発行企業が経営危機に陥ると、社債の返済が事実上、銀行ローンに劣後してしまう恐れがある。2023年の不動産会社ユニゾホールディングス(HD)破綻では、この問題が顕在化した。投資家が安心して資金を出せる環境を整え、社債市場の成長を後押しする。
●中国・アジア・ロシア・東欧
プーチン・ロシア大統領は27日、欧州の「ロシア嫌悪」を強く非難するとともに、バルト海諸国に人権問題が存在すると批判した。
プーチン氏は第二次大戦でナチス・ドイツに包囲されたソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)の解放80周年にあたり、レニングラード州で行われた慰霊碑落成式で演説。
「ウクライナ政府はヒトラーの共犯者であるナチス親衛隊を称賛している。多数の欧州諸国がロシア嫌悪の国策を推進している」と述べた。
さらに、当時のドイツの狙いはソ連の資源窃盗と人民の抹殺だったと述べた。
ウクライナ侵攻以来、プーチン氏は同国との戦闘をナチスとの戦いになぞらえて国家発揚を図っている。ウクライナは、こうした比較は侵略戦争のための虚言として反発している
プーチン氏はまた、エストニア、ラトビア、リトアニアから成るバルト三国の移民取り締まりに言及し、「この国々では何万人もが人間並みの扱いを受けず、基本的人権を剥奪され、迫害の標的にされている」と述べた。ロシアは、この三カ国は外国人を嫌悪し、ロシア系マイノリティーを「差別扱い」していると繰り返し非難している。
バルト三国は冷戦時代に旧ソ連支配下にあり、現在は欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)に加盟。ロシアのウクライナ侵攻に特に強く反対している。
カギとなるのは、香港高裁の判決が別の司法制度を持つ中国本土でも踏襲されるかどうかだ。中国恒大の株式とドル建て債券は香港で取引されているが、2420億ドル(約35兆7460億円)相当の資産の大部分は中国本土にある。
中国恒大のような規模を持つ企業が香港の裁判所で清算された前例はなく、同社には複数の部門があり、そのプロセスは紆余(うよ)曲折が予想される。とはいえ、外国人投資家にとって不利な結果となれば、中国に対する深刻な悲観論をさらに悪化させるだけでなく、中国企業にとって不可欠な資金調達拠点である香港の役割も損なわれかねない
香港の破産手続きが中国で認められることは限定的で、中国の裁判所が自らの管轄で管財人を任命する可能性もある。
プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社、カイユアン・キャピタルのマネジングディレクター、ブロック・シルバーズ氏は「清算命令が本土における中国恒大の事業や資産に直ちに影響を与える可能性は低い」と指摘。「清算人はオフショアの資産を管轄することはできるだろうが、本土でその権限は認められないだろう」と述べる。
これに加え、中国当局者は過去に、債権者の利益よりも仕掛かり物件の完成や請負業者への支払いを優先する考えを明らかにしている。中国恒大もこれに同意しているようだ。
中国恒大の浮沈は、中国民間企業の発展において香港が果たしてきた中心的な役割も物語っている。会長の許家印氏は1996年、広州で同社を創業したが、不動産開発業者に対する規制強化で財務悪化を招くまで、中国恒大の目覚ましい成長を後押ししてきたのは深い資本市場を持ち、世界の投資マネーへと通じる玄関口となった香港だった。
●中東
イランおよびシリアの国営メディアは29日、イスラエルがシリアの首都ダマスカス郊外を攻撃し、2人が死亡、数人が負傷したと報じた。攻撃を受けた地域にはイランの軍事拠点があったとされるが、ダマスカス駐在のイラン大使はこれを否定した。
イスラエル軍の報道官は、攻撃についてコメントを控えた。
イラン国営メディアは2人が死亡したと報道。ただ身元の特定はしていない。イラン政権に近いタスニム通信は、イスラエルがシリアで「イランの軍事顧問センターを攻撃した」と伝えたが、イランのアクバリ駐シリア大使は、標的に関する詳細を否定した上で、犠牲者はイラン人ではないと述べた。
シリア国営メディアは軍関係者の話として、イスラエルがダマスカス南方の数カ所で空爆を開始したと伝えた。この攻撃で死傷者が出たとしたが、人数は明らかにしていない。
シリア国営シリア・アラブ通信(SANA)は当初、死者には不特定多数のイラン人が含まれていると伝えたが、その後、この表現が削除された。シリア国営メディアによってイラン人の犠牲が報じられるのはまれ。
スナク英首相は29日、ヨルダン北東部の米軍基地で米兵3人がドローン(無人機)による攻撃で死亡したことを受け、中東での緊張の高まりに懸念を表明し、イランに対し緊張を緩和させるよう呼びかけた。
バイデン米大統領は28日、シリアと国境を接するヨルダン北東部の米軍基地がドローン攻撃を受け、米兵3人が死亡したほか、少なくとも34人が負傷したと明らかにし、シリアとイラクで活動する過激な親イラン武装勢力による犯行との見解を示した
スナク氏は、英国はこの攻撃を非難するとし「同盟国と共にこの地域に安定と平和をもたらすために断固として立ち上がる」と表明。イランに対しこの地域の緊張を緩和し続けるよう求めると述べた。
首相報道官は記者団に対し「英国は米国と同様に、今回の攻撃はシリアとイラクで活動するイランが支援する過激派グループが実施したと考えている」とし、「緊張緩和に向け外交を含むあらゆる手段を行使し続ける」と述べた。
イランの国連代表は29日に発表した声明で、イランは今回の攻撃に関与していないと表明。ただイランの情報相は、イランと同盟関係にある地域の武装集団はそれぞれ独自の判断で米国の侵略に対応しているとの見解を示している。
格付け会社S&Pグローバル・レーティングの幹部は、パレスチナ自治区ガザにおけるイスラム組織ハマスとの戦闘が周辺に拡大した場合、イスラエルの格付けを引き下げる可能性があると述べた。
S&Pは昨年10月、イスラエルの格付けを「AAマイナス」に据え置いた。ただ、ハマスとの紛争がより広範囲に拡大し、経済や安全保障に一段と大きな影響を及ぼす可能性があるとして、見通しは「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
EMEA(欧州・中東・アフリカ)ソブリン&公共財政格付けディレクター、マキシム・リブニコフ氏はネガティブの見通しについて「今後1─2年に格下げする可能性が少なくとも3分の1あるという見解を示唆している」とロイターに述べた。
その上で、レバノンの親イラン組織ヒズボラやイランとの直接の衝突など、紛争拡大でイスラエルの安全保障や地政学リスクが高まった場合、格下げにつながる可能性があると指摘。紛争によるイスラエルの経済成長や財政、国際収支への影響が予測を上回った場合も格下げの可能性があるとした。
S&Pはイスラエルの2024年成長率を0.5%、23─24年の累積財政赤字は対国内総生産(GDP)比10.5%と予想しているが、下振れリスクがあるという。
イランが支援する武装グループがヨルダン北東部の駐留米軍基地を無人機で攻撃して米兵3人が死亡したのを受け、バイデン大統領にはイランと直接立ち向かうよう求める圧力が強まっている。
米国の立場に詳しい関係者1人が匿名を条件に話したところでは、攻撃により米兵が死亡したことで米国がこれまでに比べ強い対応を余儀なくされるのは明白だ。大統領がまさに回避したい考えを示していた地域的な紛争拡大につながるリスクがある。
可能性の一つは、米国が隠密作戦でイランを攻撃しても公表はせず、メッセージは同国側に明確に伝えるものだ。このほか、トランプ前大統領が2020年にイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害を命じたケースのように、同国当局者を直接標的とすることも考えられる。
どのような結果になるにせよ、バイデン大統領は政権発足以来、最も重要な判断の一つを迫られる。大統領としては攻撃を実行した武装グループを罰し、地域でのイランの行動を抑止したい考えだ。ただそうした場合、米国がイランの指導部と直接対決することになりかねない。
大統領はさらなる経済的混乱につながる可能性についても熟慮する必要がある。イエメンの親イラン武装組織フーシ派は紅海で商船を攻撃。世界の海運に混乱が広がるとともに、新たな経済的動揺を招くとの不安も生じている。
フーシ派が26日に燃料タンカーを攻撃したのに続き、米兵が攻撃で死亡した事態を受けて、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物は一時1.6%上昇して昨年11月以来の高値を付けた。
米国家情報会議(NIC)の元高官で、現在はワシントンのシンクタンク「大西洋評議会」の中東プログラムでディレクターを務めるジョナサン・パニコフ氏はバイデン政権について、「今回のような出来事の再発を防ぐため、多少の抑止を立て直すのに十分なだけ強力に対応する一方で、紛争をエスカレートさせる対応はしないよう、非常に繊細に取り組まなければならないだろう」と話した。
その上で、「イランの脅威にどう対処するかが一段と広範な課題だ」とコメントした。
イスラエルのネタニヤフ首相は、ガザでの戦闘停止を引き換えにイスラム組織ハマスに拘束されている人質を解放することについて話し合うため28日にパリで開かれた首脳会談について、「建設的」だったとしながらも、なお「大きな隔たり」が残っていると述べた。
イスラエル首相府は声明で、週内にさらに会合を開き、それらの相違点について協議すると説明した。
カタール、エジプト、米国、イスラエルの情報当局トップや政府高官は、ガザでの戦闘を終わらせ、昨年10月7日からガザでの拘束が続く100人超の人質の確実な解放を目指して会合を開催した。
国際メディアによれば、協議されている取り決めには、人質の返還を目的とした2カ月間の戦闘停止が含まれるという。ハマス側は恒久的な停戦を希望。だがイスラエルの認識は異なり、ハマスの軍事・統治機構が解体されるまでイスラエルの安全は確実ではないと主張している。
交渉担当者らは停戦案の作成を試みているが、その内容はハマスからは恒久的、イスラエルからは一時的と見なされる内容だと、イスラエル紙ハーレツは報じた。
同紙によれば、女性、子供、高齢者、負傷者は戦闘停止と引き換えに最初の1ヵ月で返還される。戦闘停止から2カ月目に兵士らが解放される見通し。取引の一環として、イスラエルにいるパレスチナ人の囚人の多くが解放され、ガザへの人道支援が拡大するという。
オースティン米国防長官は29日、ヨルダンの米軍基地へのドローン(無人機)攻撃で米軍兵士が死傷したことを受け、米国と米軍を守るために「必要なあらゆる行動を取る」と言明した。同時に、政権当局者らはイランとの戦争を求めていないとも強調した。
ヨルダン北東部の米軍基地で起きたドローン攻撃では米兵3人が死亡し、少なくとも34人が負傷した。バイデン大統領は声明で、シリアとイラクで活動する過激な親イラン武装勢力による犯行の可能性があるという見解を示した。
オースティン長官は国防総省で北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と会談。冒頭で「バイデン大統領と私は米軍への攻撃を容認しない。米国と米軍を守るために必要とされる全ての行動を取る」と述べた。
ストルテンベルグ氏は「イランはこの地域を不安定化させ続けており、紅海でわれわれの船舶を攻撃するテロリストを支援している」と述べた。
ブリンケン米国務長官は「大統領が昨日述べた通り、われわれは反撃する」と言明。反撃は複数段階に分けて行い、一定期間続く可能性があると述べた。
ただ、政権当局者らは緊張激化を望まないとも強調。国防総省のシン報道官は「米国は戦争を全く望まず、イランが米国との戦争を望んでいるとも思わない」と記者団に述べた。
国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官も、バイデン大統領が対応の選択肢を検討しているとした上で「軍事的な形でイラン政権との衝突を求めているわけではない」と強調した。
今回のドローン攻撃を受けた「タワー22」と呼ばれる施設には当時約350人の兵士がおり、米国はなぜ阻止できなかったのか原因を解明している。
当局者によると、攻撃に使われたドローンの接近と同じころに米国のドローンも基地に近づいていた。また、攻撃ドローンが低空を飛行をしていたことで発見できなかった可能性もあるという。
国防総省のシン報道官は、イラクの親イラン勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」が関与した痕跡があるが、まだ断定はしていないと述べた。
ホワイトハウスによると、バイデン大統領は29日朝、ホワイトハウスの状況分析室でオースティン長官のほか国家安全保障チームのメンバーとの会合を開き、最新の状況について協議した。
専門家によると、選択肢としてはイラン国内もしくは国外のイラン部隊に対する攻撃、または攻撃に関与した親イラン武装勢力のみを標的としたより慎重な攻撃などがあり得る。
有識者は、イラン国内のイラン軍に対する攻撃が行われればイランが強硬に対応することで事態がエスカレートし、米国が中東の大規模な戦争に巻き込まれる可能性があると警告している。
英国のスナク首相は、中東での緊張の高まりに懸念を表明し、イランに対し緊張を緩和させるよう呼びかけている。
イスラエルのイタマル・ベングビール公共治安相は28日に開かれた集会で、ユダヤ人入植者らにパレスチナ自治区ガザへの帰還を呼びかけた。強硬派として知られるベングビール氏の発言は政府の公式見解と対立するもので、パレスチナ自治政府とイスラム組織ハマスは共に反発している。
●中南米・アフリカ
ブラジル中央銀行は1月30─31日の会合で政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き下げると予想されており、CPIはそうした動きを後押しする材料になりそうだ。
ただ市場では、より大幅な利下げもあり得るとの見方もある。パンテオン・マクロエコノミクスの中南米チーフエコノミスト、アンドレス・アバディア氏は「当社は50bpの利下げを予想しているが、レアル高が(景気)回復への脅威となっているため、より大胆な行動も排除できない」と述べた。
●市況
今週はアルファベット(GOOGL.O), opens new tab、マイクロソフト(MSFT.O), opens new tab、クアルコム(QCOM.O), opens new tab、アップル(AAPL.O), opens new tab、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tab、メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tabなどハイテク企業が決算を発表する。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、中国での景気先行き不安が再燃する中、対ユーロでのドル高を背景に売られ、4営業日ぶりに反落した。
北米事業を分離する計画を発表したスイスの建築材料会社ホルシム(HOLN.S), opens new tabは4.7%と大きく伸びた。
一方、ドイツの製薬・化学大手バイエル(BAYGn.DE), opens new tabは4.9%安。除草剤ラウンドアップの発がん性に関連した訴訟で22億5000万ドルの損害賠償を命じられたことが重しとなった。
日経先物36,093、ダウ先38,434、債先146.41、米4,078、独2.2280、仏2.718、西3.119、伊3.736、英3.9170、波5.406、原油77.09、銅8,580、ドル円147.35、ユーロドル1.0835
※1/30 9時10分頃
備忘録(2024/1/26-28)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
世界でデータセンター(DC)の電力消費量が急増している。膨大な計算が必要な生成AI(人工知能)の利用拡大が背景で、国際エネルギー機関(IEA)は2026年の電力消費量が22年から最大で2.3倍になるとの試算を示した。欧米のDC集積地では供給力が逼迫。DCの新設が相次ぐ日本でも電力契約が急増しており、備えが必要になっている。
●その他産業
バークレイズは26日、欧州の高級品セクターの投資判断を「オーバーウエート」に引き上げた。中国の景気支援策や欧州の経済指標改善が理由。
中国はここ数日、預金準備率の引き下げなど、一連の支援策を打ち出している。
同社のストラテジストは中国について「大規模な景気刺激策はまだ予想していないが、経済活動が安定する兆しが増えた場合、(そしてさらなる政策支援が実施された場合)欧州企業を通じた中国への選別的なエクスポージャーで、有益な非対称性が得られると考えている」と指摘。
高級品メーカーはグローバルな多角化を進めており、米国事業の拡大を通じて中国事業と「良好なバランス」を保てるとの見方も示した。
セメントメーカー最大手、スイスのホルシムは28日、急成長している北米事業を分離し、2025年に米国で株式を上場する計画だと明らかにした。同事業の価値は300億ドル(約4兆4450億円)余りと評価している。
5月1日付でホルシムの最高経営責任者(CEO)を退くヤン・ジェニッシュ氏は、300億ドルを超える評価は「適正な範囲」だと28日の電話会見で述べた。ホルシムの株価は昨年38%高騰し、12月には2015年以来の高値に達した。26日終値は64.20フランだった。
世界各地で企業買収を繰り返してきたホルシムは、北米と欧州で規制が異なるため、北米事業の分離を決定した。ジェニッシュ氏によれば、北米事業の売上高は昨年で110億ドル。2022年には同社売上高の3分の1以上を占めた。
米国市場が急成長している背景には、一戸建て住宅の慢性的な不足を解消し、エネルギー効率の規制圧力に応えようとする建設業者の競争がある。
●決算関連
クレジットカード大手のアメリカン・エキスプレス(アメックス)が26日発表した2023年10〜12月期決算は、好調な新規口座の獲得やローン残高の増加による金利収入の伸びを受けて増収増益となった。純利益は前年同期比23%増の19億3300万ドル(約2860億円)だった。
売上高は11%増の157億9900万ドル。国際カード事業における取引高が13%増加し、米国の消費者による支出も同7%増えた。スティーブン・スクエリ最高経営責任者(CEO)は「(年会費の高いカードなど)プレミアム商品に対する需要が大きく、新規口座の獲得が拡大した」と説明した。
カード会員向けのローン残高は1260億ドルと17%増加した。残高増や金利高を追い風に、純金利収入は36億400万ドルと前年同期から31%伸びた。
一方で不良債権比率や延滞率が上昇傾向にあり、貸倒引当金と、融資が焦げ付いた時点で計上する償却費を合計した不良債権処理費用(信用コスト)は積み増した。信用コストは40%増の14億3700万ドルと高止まりしている。
24年通年の売上高が9〜11%増えるなどとした見通しが好感され、26日のアメックス株は一時、前日終値より約9%上昇した。前日に決算を発表した米クレジットカード大手のビザも増収増益と好調な結果だったにもかかわらず、株価は下落していた。
米運用会社ナベリアのルイス・ナベリア最高投資責任者は「個人消費の先行き不透明感が(ビザの)株価には下押し要因になった可能性がある。安定感のある富裕層の顧客が多いアメックスに比べ、ビザはより幅広い層の顧客を抱えている」と分析する。
フランスの高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA), opens new tabが25日発表した2023年第4・四半期決算は、売上高が前年同期比10%増の約240億ユーロ(260億ドル)となった。高級ファッションに対する中国人などからの堅調な需要が追い風となった。
増収率は英HSBCによるアナリスト予想平均の9%を上回った。売上高は昨年第3・四半期が9%増、第1・四半期と第2・四半期はいずれも17%増だった。
ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールのブランドを含むファッション・革製品部門の売上高は昨年第4・四半期に前年同期比9%増え、予想の10%増を若干下回った。
LVMHのベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)はアナリストらに「世界で最も需要が強いのは最高級品だ」と語り、クリスチャン・ディオールなどのオートクチュール(高級注文服)を例示。こうした傾向は今後も続くと付け加えた。
同社や、カルティエを所有するスイスのリシュモンのような最も高価な高級品を扱うメーカーは、個人消費の落ち込みに最も強い。一方で、より低価格な高級品を販売する英バーバーリのような企業は苦戦している。
LVMHのジャンジャック・ギオニ最高財務責任者(CFO)は記者団に、ルイ・ヴィトン事業は欧州における中国人向け販売がコロナ禍前の2019年の70%に達したと説明。「中国人顧客向け事業が大きく伸びており、その勢いは衰えずに続いている」と語った。
●先進国、グローバル、金融市場
米大統領選に向けた共和党候補指名争いは第2戦の東部ニューハンプシャー州予備選もトランプ前大統領が勝利し、本選で民主党のバイデン現大統領と再び相まみえることがほぼ確実になった。
世論調査で支持率が拮抗する中、バイデン陣営は2020年のように再びトランプ氏を打ち負かすため、同氏が米国の民主主義に深刻な脅威をもたらし、人工中絶やその他の個人の自由が危機に瀕していると訴え、無党派層を獲得しようとしている。
81歳と高齢のバイデン氏が2期目出馬という決断を下した大きな理由はトランプ氏(77)との対決を確信したからであり、先月の資金集めイベントでは「トランプが出馬していなかったら私が出馬していたかどうか分からない」と語っている。
バイデン陣営のジュリー・チャベス・ロドリゲス選挙対策本部長は24日、「ニューハンプシャーの結果はトランプが共和党の指名をほぼ固め、選挙を否定する反自由の『MAGA(米国を再び偉大に)』運動が共和党の乗っ取りを完了したことを裏付けた」と記者団に述べた。
出口調査によれば、共和党の有権者の多くはトランプ氏の一連の刑事訴追を気にしておらず、バイデン氏が20年の選挙で公正に勝利していないという事実無根の主張を信じている。
そのため、バイデン陣営の多くはトランプ支持者を取り込もうと努力する必要はほとんどないと確信。同陣営関係者は、ほとんどの国民はトランプ氏が好きか嫌いかのどちらかだと述べ、バイデン氏にも同じことが言えると指摘し、どれだけ票を掘り起こせるかが焦点と考えている。
トランプ氏はこれまで、バイデン氏と民主党は「恐怖を利用している」と非難。今月にはバイデン大統領の仕事ぶりを「弱さ、無能、腐敗、失敗の連続」だったとこき下ろした。
トランプ陣営にもコメントを求めたが、回答を得られなかった。
本選でバイデン氏対トランプ氏が実現すれば史上7回目の再戦となるが、共和党のドワイト・アイゼンハワー大統領が1956年の選挙で民主党のアドレイ・スティーブンソン氏と2回連続で対決して以来となる。
<若年層や黒人有権者にハリス氏対応>
バイデン氏とハリス副大統領は今後数週間、選挙を左右する可能性の高い主要州を訪問する。陣営は現在、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンなど、激戦州と目される7州それぞれにスタッフを配置している。
バイデン氏は主に経済問題に焦点を当て、トランプ氏が民主主義にもたらす脅威について演説する。こうした脅威は資金集めにも生かされている。
ハリス氏は22日、ウィスコンシン州で遊説を開始し、共和党の中絶反対策に焦点を当てた。米国初の黒人副大統領である同氏は、バイデン氏が支持率を落としている若年層や黒人有権者への対応も担っている。
米大統領選の共和党候補指名獲得を目指すヘイリー元国連大使の陣営は、首位を独走するトランプ前大統領がヘイリー氏の献金者に揺さぶりをかけた後も100万ドルの資金が集まっていると明かし、指名争いを継続する姿勢を強調した。
ただ、少なくとも1人の大口献金者はヘイリー氏への献金を停止。金属王のアンディ・サビン氏はヘイリー氏が23日のニューハンプシャー州予備選で逆転できなかったことで指名争いは事実上終わったとし、「チャンスがないと分かっている候補者に資金を提供する人はいない」と述べた。
ヘイリー氏は同予備選での敗北後も選挙戦を続ける方針を表明。これを受けてトランプ氏は24日夜、自身が立ち上げた交流サイト(SNS)に、ヘイリー氏の献金者はトランプ氏の政治から「永久に追放」されると投稿していた。
ヘイリー氏もこれに反応し、X(旧ツイッター)に自陣営への献金のリンクを貼って「それならここに献金して。レッツゴー」と投稿した。
一方、ビジネス向けSNSリンクトイン共同創業者として知られる富豪リード・ホフマン氏のアドバイザーは、同氏もヘイリー陣営への資金提供を打ち切るとロイターに当初明らかにしていたが、25日夜になってこの決定を再考していると語った。
「もしヘイリー氏が(2月24日に予備選が開かれる)サウスカロライナの前に勢いづき、その有権者に支持されれば、(3月の)『スーパーチューズデー』に向けて資金を提供するケースもある」という。
ドイツ連邦銀行(中央銀行)は26日に発表した月報で、第1四半期の経済成長率は最大でも停滞となり、年初のインフレ率は著しく鈍化するとの見通しを示した。
連銀は「国内経済は全般的に第1・四半期はよくて停滞となる」とし、外需が弱く借入コストの上昇が住宅建設を中心に投資を圧迫する一方で、財政政策や気候変動政策の先行きが不透明で経済への重しになっていると指摘した。
労働市場は歴史的な水準から見れば引き続きタイトだが、消費者は依然として支出に慎重という。
また、年初のインフレ率はベース効果を主因に急速に低下する可能性があるとしの見方を示した。
米商務省が26日発表した2023年12月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比2.6%上昇した。伸びは前月から横ばいで、3カ月連続で3%を下回った。物価上昇が鈍化していることで、米連邦準備理事会(FRB)の利下げに向けた動きは軌道から外れない公算が大きい。
前月比では0.2%上昇。11月は0.1%下落していた。食品価格が0.1%、エネルギー製品価格が0.3%上昇した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は前年同月比が2.6%上昇、前月比が0.2%上昇だった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年同月比2.9%上昇。伸びは11月の3.2%から縮小し、21年3月以降で最小となった。前月比では0.2%上昇。11月は0.1%上昇していた。
FRB当局者が注目している住宅を除くコア・サービス価格は前年同月比3.3%上昇。伸びは11月の3.5%から縮小した。
LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は、「インフレ基調は改善しており、FRBに今年の利下げの余地を与えている。しかし、FRBにはさらにやるべきことがあり、『任務完了』と宣言する方向に傾くべきではない」と述べた。
<個人消費0.7%増>
インフレの緩和、賃金の上昇、家計による貯蓄取り崩しなどが相まって個人消費を押し上げ、経済全体を下支えした。米国の経済活動の3分の2以上を占める個人消費は0.7%と大きく増加。サービス、財ともに支出が増加した。11月は0.4%増だった。
サービス支出は、金融サービス料、各種手数料、ヘルスケア、ギャンブルなどで増加した。財では、新車の小型トラックの購入が増えたほか、処方薬、衣料品、靴類、レクリエーション用品、乗用車への支出が増加した。
インフレ調整後の消費支出は、前月と同じ0.5%の増加となった。いわゆる実質消費支出の堅調な増加により、消費は24年第1・四半期に向けてより高い成長軌道に乗ることになる。
このデータは、 米商務省が25日発表した2023年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値に含まれていた。同指標では個人消費が2.8%増と好調だった
ただ、個人消費の伸びは今後数カ月で緩やかになる可能性が高い。12月の個人所得は0.3%増と、11月の0.4%増から伸びが鈍化した。インフレと税金を考慮した後の家計所得は0.1%増と、伸びは前月の0.5%から縮小。消費の一部が貯蓄で賄われたため、貯蓄率は3.7%と、1年ぶりの水準に低下した。11月は4.1%だった。
EYパルテノン(ニューヨーク)のチーフ・エコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「個人消費は今年も堅調に推移すると予想しているが、昨年の堅調な伸びと比べると、やや失速する可能性がある」との見方を示した。
国債入札の不調に歯止めがかからない。1月はここまで5回の利付国債入札があったが、結果は「全滅」だ。背景には日銀の早期政策正常化に対する投資家の警戒感があり、目先は不調が続くリスクも意識されている。
1月に入って行われた10年、30年、5年、20年、40年の入札は、いずれも投資家の需要不足により低調な結果となり、市場では「1月はここまで黒星続き、全敗だ」(国内証券アナリスト)と、落胆の声が聞かれる。
今週は、22─23日開催の日銀政策決定会合と植田和男総裁の会見を受けて3─4月にもマイナス金利が解除されるとの観測が広がった。国債市場では、金利先高観の強まりを背景に売り圧力が強まった。
中でも30年債や40年債は利回りが3カ月ぶりの高水準に上昇するなど、イールドカーブ上では超長期債の割安化が顕著だが、なお投資家の買いの手は鈍い。
30年債の主要投資家は生命保険会社や年金基金だ。負債コストとの見合いで投資を行う生保勢にとって2%弱の利回り水準は投資可能なラインとみられるなか、足元の利回りは1.8%台半ばまで上昇。だが、ある大手生保の運用担当者は「この先、まだ上がるのだとしたら、今あわてて買う必要はない」と静観の構えを崩さない。
財務省が25日に実施した40年国債入札は、比較的波乱が起きにくい「イールドダッチ方式」だったにもかかわらず、応札倍率が12年半ぶりの低さを記録する低調な結果に終わり、市場参加者からは驚きの声が上がった。
<入札環境は2006年の利上げ時を想起>
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「2006年の利上げ局面をほうふつとさせる」と話す。
日銀は06年3月の政策会合で量的緩和解除を決定。同年7月には短期金利の誘導目標を0.25%に引き上げ(ゼロ金利の解除)、07年2月に0.5%への利上げを実施したが「当時は利上げの過程で、半年程度、入札不調が続いたと記憶している」という。金利先高観が買い手控えにつながった点が、今回の入札不調と共通している。
投資家が慎重姿勢を崩さないのは、1月会合終了後の記者会見での植田総裁の発言が背景にある。
展望リポートで2%の物価目標の実現への「確度は少しずつ高まっている」と記したことに加え、総裁が会見で具体的に根拠を説明したことが、マイナス金利解除の時期が近付いていることを投資家に意識させた。
さらにマイナス金利解除後の政策姿勢に関して「大きな不連続性が発生するようなことは避ける」とした発言では、緩和政策からの不連続性を避ける趣旨との受け止めが多いが、一部ではマイナス金利解除後にプラス金利への連続利上げも視野に入れているのでは、との憶測も招いたようだ。
国債入札は来週、2年債と10年債が予定されている。日銀の政策修正観測が市場で根強い状況には変わりがなく、楽観視する向きは少ない。「買い手不在」を背景に、利付国債入札の連続不調記録が続く可能性が意識されている。
NIMの消費専門家ロルフ・ビュルクル氏は「消費者心理の持続的な回復期待があったとしても1月に打ち砕かれた。消費環境は年初に深刻な後退に見舞われた」と述べた。
消費者の貯蓄意欲は年初に急上昇し、2008年8月以来の高水準となった。これが主に全体的な心理の悪化を招いたほか、所得期待と購買意欲の低下も要因となった。
危機や戦争、インフレが持続的な改善の妨げとなっている。
GfKの顧客戦略担当ディレクター、ジョー・ステートン氏は「生活費危機はまだ全国の多くの家計に影響を及ぼしているが、消費者はインフレ鈍化という明るいニュースに勇気づけられているようだ」と述べた。
昨年12月のインフレ率は予想に反し4%に上昇したが、ピークを付けた22年10月の11.1%を大きく下回っている。
GfKによると、1月は信頼感を示す5つの指数が全てが上昇。今後1年の家計見通しを示す指数は2年ぶりにマイナス圏を脱し、ゼロとなった。
消費者の今後1年間の景気見通しを示す指標は、4ポイント上昇しマイナス21だった。
25日の金融市場で、欧州中央銀行(ECB)が4月に利下げを開始するとの観測が強まった。この日のECB理事会で、政策担当者が物価の先行きに対してより安心感を得ていると受け止められたからだ。
ECBは政策金利を4%に据え置くとともに、ラガルド総裁は会見で利下げを議論するのは「時期尚早だ」と2回繰り返した。
しかしECBの物価や賃金への言及からは、以前ほどインフレを懸念していない様子にも見受けられた。例えば今回の声明では、「ユーロ圏域内の物価圧力は、主に単位労働コストの強い伸びによってなお高止まりしている」との表現が削除されており、ECBが賃金上昇ペースが減速するとの自信を深めつつある証拠だ、と市場はみなしている。これまでECBは、賃金上昇こそがインフレにとって最大のリスクだと警告してきた。
ユーロ圏国債市場では、ECBの早期利下げ期待の広がりを受け、金融政策の動きに敏感な2年債利回りが急低下。4月に最初の25ベーシスポイント(bp)利下げが実施される確率の市場想定は、理事会前の約60%から80%強に切り上がった。
また市場が見込む年内の合計利下げ幅も130bp前後から140bpに拡大した。
ドイツ銀行のチーフアナリスト、ピエト・クリスチャンセン氏は「市場から読み取れる重要なメッセージは、4月(理事会)がライブミーティング(状況次第でどう転ぶか分からない会合)ということだ」と述べた。
クリスチャンセン氏は「市場の言い分に従えば、物価と賃金の伸びが落ち着けば、ECBは姿勢を転換して4月の利下げを示唆することになる」と説明し、国債利回り低下は市場の利下げ期待をECBがはっきり抑えようとしなかったことを反映していると付け加えた。
ドイツとイタリアの2年債利回りの低下幅は約10bpと、過去2週間弱で最大になった。
ただ昨年終盤から急激に下がってきた国債利回りが一段と低下する余地は乏しい、と複数の投資家は警告した。
ロンバー・オディエのマクロ責任者兼マルチ資産ポートフォリオマネジャー、フロリアン・イエルポ氏は「当面は利回り低下が十分な域に達していると考えている」と語り、同社としては債券の投資判断をアンダーウエート、株式をオーバーウエートにしていると明かした。株式はまだ金利低下が企業収益にもたらす追い風を織り込んでいないという。
ラガルド氏は、ECBの政策運営はあくまでデータ次第で、利下げは夏場になると示唆した先週の見解を踏襲した。
同氏は以前、十分な賃金データが入手できる時期について「春の終盤」を予想していると発言。ECBチーフエコノミストのフィリップ・レーン氏は、4月に出てくるデータを点検したいとの見解を示しており、そうすると利下げ開始は6月以降という話になる。
ABNアムロやドイツ銀は25日、いずれも利下げは6月という従来の見通しを維持。TSロンバードのグローバル・マクロ担当マネジングディレクター、ダリオ・パーキンス氏は「市場はここからかなり急速にディスインフレが進むと期待し、ECBは過去のデータに目を向けて(物価情勢は)まだ厳しい段階を抜け出せていないと話している」と認識のずれを指摘した。
<後手に回るリスク>
投資家の間には、利下げ開始が遅くなり過ぎると、勢いが弱まっているユーロ圏経済にとって金融環境が過度に引き締められ続ける危険が生じるとの警戒感もある。
ドイツ企業の1月の景況感は予想外に悪化し、同国が景気後退を脱出するのに苦戦を強いられていることがうかがえる。
ECBの今年のユーロ圏物価上昇率見通しは2.7%と、ロイターがまとめた市場予想の2.4%より高い。同時に経済成長率見通しも0.8%で、市場予想の0.5%を上回っている。
アムンディ・インベストメント・インスティテュートのグローバル債券戦略責任者バレンティン・アイヌーズ氏は「6月の利下げは手遅れのリスクを背負うことを意味する。なぜならユーロ圏の成長率は既に低迷し、物価上昇率は著しく鈍化しているからで、つまりECBは賃金に注目することで後手に回る(ビハインド・ザ・カーブ)危険を冒そうとしている」と述べた。
一部の銀行は、ECBが50bp幅の利下げを迫られる可能性に言及。シティバンクは今週、政策金利引き下げ時期が遅れるほど、過度の引き締めを埋め合わせるために一段の利下げが必要となり、50bp幅の利下げはあり得るし、2025年には政策金利が1.5%まで低下してもおかしくないと主張した。
アイヌーズ氏は「ユーロ圏では米国よりもディスインフレのスピードがずっと速いように見えるため、ECBの利下げがあまりに遅くなる恐れがあり、市場はそのリスクを完全には織り込んでいない」と分析している。
米大統領選は23日の東部ニューハンプシャー州の共和党予備選でトランプ前大統領が勝利し、11月の本選で共和党候補のトランプ氏と民主党候補のバイデン大統領が再対決する公算が一段と大きくなった。そのため大統領選後の金融市場の動きを予想しようと、早々に頭を巡らせている投資家もいる。
ただし本選の結果に対する株式、債券、為替の反応を考える際には注意深い態度で臨む必要がある。何よりもまだ年が明けたばかりで本選までかなり間があり、市場で勝敗予想が真っ二つに割れているからだ。またほとんどの投資家は、長い目で見れば結局、連邦準備理事会(FRB)の政策や景気サイクル、企業業績など大統領選以外の要因の方が市場にとって重要だと見ている。
とはいえ、ストラテジストの間では11月の投票前後に政治的な要因で資産価格が動くことへの期待が高まっており、ゴールドマン・サックスは大統領選が「重要な市場イベント」になるだろうと指摘した。
ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニア・グローバル・マーケット・ストラテジスト、サミール・サマナ氏は、バイデン氏とトランプ氏のどちらかが2期目を迎えた場合、トランプ氏は減税、バイデン氏は環境対策など、1期目で重視した課題に一段と注力する可能性があると見ている。「両者はいずれも自分の理念や目標がそれほど変化していない。どちらかといえば、より強く自分の政策に傾倒しているかもしれない」と言う。
今のところ市場は堅調だ。2年間にわたり乱高下したS&P500種総合指数は史上最高値を更新。FRBが年内に利下げに踏み切るとの期待や、景気が底堅く推移していることが背景にある。昨年16年ぶりの高水準を付けた米国債利回りは、利下げ期待によって一転低下した。
<税制に注目>
トランプ氏が勝利し、2017年に打ち出した大型減税を恒久化することに成功した場合、株式市場は幅広く上昇しそうだ。しかし中国との貿易紛争が再燃するのではないかとの懸念が、減税によるプラスの効果を一部打ち消すかもしれないと、TDセキュリティーズのアナリストチームはノートで書いている。トランプ氏は米製造業を強化するとして、輸入関税の一律10%引き上げを提案している。
また、減税は財政赤字拡大への懸念をかき立て、投資家が長期債を保有する際のタームプレミアム(期間のリスクに伴う上乗せ金利)が上昇し、国債価格を圧迫する可能性があると、TDセキュリティーズは指摘した。
格付け会社フィッチは昨年夏、今後数年間に予想される財政悪化などを理由に、米国債の格付けを最上位から引き下げた。
TDのアナリストによると、バイデン氏が勝利すれば法人税の引き上げに動き、それは株価にとってマイナスかもしれない。いずれの候補者もどの程度政策を推進できるかは、議会上下両院の主導権をどちらの政党が握るかに大きく左右されそうだという。
ベーカー・アベニュー・ウェルス・マネジメントのチーフストラテジスト、キング・リップ氏は、再生可能エネルギー関連など金利上昇が重しになっている企業の株価は、バイデン氏が再選されれば追い風を受けると予想。バイデン氏はクリーンエネルギーへの取り組みを後押しすると予想されるためで、「金利が低下し、こうしたプロジェクトに対する政府の支出が高水準に維持されれば、バイデン氏の2期目にクリーンエネルギー産業はかなり好調になると思う」と述べた。
一方、米運用会社ニューバーガー・バーマンのアナリストチームは、共和党が政権を奪取すればインフレ抑制法(IRA)の一環として薬価抑制が実施される可能性が低くなり、大手製薬銘柄に「リリーフラリー(安心感による相場上昇)」が起こりそうだと予想。「国内に特化したヘルスケアサービス・セクターは、トランプ政権の通商政策からの避難所になるのではないか」と、ニューバーガーの株式担当最高投資責任者、ジョセフ・アマート氏は指摘した。
トランプ氏関連銘柄には既に大きく値が動いたものもある。フロリダ州知事のロン・デサンティス氏が大統領選から撤退を表明したことで、トランプ氏のソーシャルメディア・プラットフォームを上場させる際に受け皿となる予定の特別買収目的会社(SPAC)、デジタル・ワールド・アクイジションは22日に株価が急騰した。その後は上昇幅が縮小している。
外国為替市場についてはゴールドマン・サックスのストラテジストチームが、トランプ氏の勝利でドルが上昇する可能性があると指摘した。ゴールドマンは、15日のアイオワ州党員集会で同氏が勝利した後のドル高局面を精査。分析結果は「トランプ氏が大統領に就任した場合、同氏の通商と外交に関する政策は最終的にドルをさらに5%ないし10%押し上げそうだということを示唆している」と22日のレポートに書いている。
しかしいずれにせよストラテジストは、選挙日がまだ遠いため、市場はゆっくりと選挙結果を織り込んでいくだろうと警告している。
ウェルズ・ファーゴのサマナ氏は「過去数回の大統領選は最後まで結果が分からなかった。どちらかが圧勝しそうな情勢にならない限り、市場がどちらかに大きく肩入れすることはないだろう」とくぎを刺した。
米政府は半導体メーカーを対象とした数十億ドル規模の補助金を計画しており、3月末までに発表することを目指している。計画に詳しい関係者が明らかにした。
インテルや台湾積体電路製造(TSMC)、サムスン電子向けの補助金は、2022年の米半導体法に盛り込まれた補助金・奨励金の中核だ。
インテルは、この補助金によってオハイオ州に計画している世界最大規模の施設を含む拡張プロジェクトをどれだけ迅速に進められるかが決まると説明している。
半導体製造拠点の米国回帰を促進することを目的としたこの法にバイデン米大統領が署名してから1年以上たつが、発表された補助金はわずか2件にすぎない。
半導体製造を巡る政策は大統領選挙を控えたバイデン氏の経済メッセージの重要な柱だ。タイミングからして、補助金の発表は3月7日に予定されている大統領の一般教書演説前に行われると見込まれる。ホワイトハウスとインテルの広報担当者はコメントを控えた。
レモンド米商務長官は、先進的なチップ製造施設を支援するための数十億ドル規模の数件を含め、今年中に約12件の補助金交付を発表する計画を示している。補助金、融資、融資保証の組み合わせで交付される可能性があり、プロジェクト費用の最大15%をカバーするという。
ユーロが人気の資金調達通貨として台頭してきたことは、大きな影響を及ぼすかもしれない。過去2年にわたり日本の金利はマイナスだったため円を借りるコストは低く、円は過去数十年で最低の水準まで下落した。しかし、トレーダーらは日本銀行の利上げが近いと確信するようになり、代替通貨を探している。
ゴールドマン・サックスのグローバル通貨・金利・新興市場戦略責任者、カマクシャ・トリベディ氏はユーロについて、ドイツ経済の停滞や民間セクターの活動低迷など「多くの厳しい逆風に直面している」と指摘。「魅力的な資金調達手段であり続ける」と述べた。
ラガルド氏は25日、利下げに対するスタンスは変わらないと主張したにもかかわらず、経済成長の停滞、賃金上昇圧力の冷え込み、ディスインフレの継続を認めたことで、トレーダーは4月の0.25ポイント利下げをほぼ完全に織り込んだ。
オールスプリングのポートフォリオマネジャー、ローレン・バン・ビルジョン氏は「欧州の成長はG10の他の地域よりも不安定に感じられる」と指摘。そのため「ECBが米国や英国に先駆けて4-6月(第2四半期)に利下げする余地が生まれ得る」と述べた。
オールスプリングは今月、世界の債券ポートフォリオ全体でドルに対してユーロをアンダーウエートとするポジションを追加した。ユーロのボラティリティーは低く、対ドルの1カ月物インプライドボラティリティー(予想変動率)は2年ぶり低水準に近い。このため高利回りの新興国通貨のポジションを組むための調達通貨としてビルジョン氏が好む通貨の一つになっている。
ゴールドマンはインド・ルピーに対してユーロが下落するとみており、約3%下げて1ユーロ=88ルピーになると予測している。よりリスクの高い取引としては、メキシコ・ペソとブラジル・レアルに対するユーロ売りを勧めている。
JPモルガンのストラテジストは、米経済の強さ、地政学的リスク、ユーロ圏の弱さがユーロの回復を妨げていると言う。ユーロは年初来で1.6%下落している。
JPモルガンのグローバルFX戦略共同責任者、ミーラ・チャンダン氏は、「中央銀行がハト派に転じる中、ユーロは回復を期待するよりもむしろ資金調達源として利用するのが最善だ」と述べた。
利下げが実際に始まれば、この取引はより成功する可能性があるが、ドルと比較すると既に利益が出ている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、ユーロを借りて高利回りのアルゼンチン・ペソを買った場合、今月は8%のリターンが得られた。ドルを調達通貨とした場合は6%。円を借りた場合のリターンは11%だった。
クレディ・アグリコルCIBのG10通貨調査責任者、バレンティン・マリノフ氏によると、顧客はメキシコ・ペソ、レアル、ルピーに対するユーロのショートについて話しているという。
「第2四半期から日銀とECBの政策サイクルが本格的に乖離(かいり)し始めれば、これらはより魅力的になり得る」と同氏は述べた。
一方、ニューバーガー・バーマンのウーゴ・ランチオーニ氏とCIBCアセット・マネジメントのマイケル・セイジャー氏は、ユーロよりも良い選択肢があるという。両氏は共にスイス・フランを挙げ、セイジャー氏は中国人民元も勧めている。
しかし、日本と欧州の金利差は縮小しようとしており、円からユーロへの転換は可能性が高そうだ。
ナインティワン・アセットのマルチアセットグロース部門責任者、イアン・カニンガム氏は、ユーロが円に対して下落することに賭けている。ユーロで借り入れ、トルコ・リラ、南アフリカ・ランド、チリ・ペソを買っている。
「織り込み済みの動きと比較して、欧州は緩和を、日本は引き締めを余儀なくされるだろう」と同氏は述べた。
2023年の米企業の倒産件数が642件と、金融危機後の10年の827件以来、13年ぶりの高水準となった。高金利に加え、賃金上昇などコスト増も相まって財務が悪化した企業が相次いだ。今年は償還期限を迎える債務が急増する。債務の借り換えが難しくなり、倒産がさらに増える可能性がある。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国で26日、春節(旧正月)に合わせて大勢の人が旅行や帰省で移動する「春運」が始まった。国営メディアによると、国内での移動は40日間で過去最高の延べ90億人と予想されている。
これは厳格な新型コロナウイルス対策が撤廃された2023年の47億人のほぼ2倍となる。
中国中央テレビ(CCTV)は90億人のうち約80%は自家用車による移動で、これも過去最多という。
鉄道の利用は26日に1100万人近くになる見込み。40日間では4億8000万人と前年比38%急増し、新型コロナ流行前の19年から17%増となる。
中央テレビは26日の航空便の利用者が200万人になると伝えた。航空当局はシーズン中の利用者を8000万人と、19年から9.8%増加すると見込んでいる。
最大都市の北京と上海の空港は大混雑が予想される。上海の浦東国際空港と虹橋国際空港は40日間の旅客数が前年比57.6%増、北京の空港は60%以上増加するとみられる。
海外旅行もピーク時には増加が見込まれ、航空当局は日本、韓国、東南アジアを含むアジア向けの国際便を2500便以上増便する。
また国内の人気観光地である北東部のハルビンや南部の海南島などへの鉄道と航空便も増便を予定している。
イエレン米財務長官は26日、北京をこのほど訪問した米財務省の当局者に対し、中国側は金融・不動産市場で混乱が見られているにもかかわらず銀行部門に問題は起きていないことを確認したと述べた。
イエレン長官は記者団に対し、先週開かれた金融分野の作業部会について「金融、銀行部門に対する地方政府の債務問題や不動産部門に起因する圧力に焦点が当てられた」とし、「米当局者は中国の銀行に問題はないという確証を得た」と語った。
また、経済分野の作業部会がまもなく北京で開かれ、中国の経済状況について議論が行われると述べた。
中国の混乱が米経済に波及する可能性について「重要な貿易相手国の成長が鈍化すれば、何らかの波及的な影響が及ぶ可能性はある」と指摘。ただ、影響はそれほど大きくならないとの見方を示した。
米ホワイトハウスのブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は26日、米国は中国経済の減速や紅海での海上輸送の混乱に晒されるリスクはあるものの、それらは抑制されているもようと述べた。
記者団に対し、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶に対する攻撃に伴う潜在的な経済的影響を追跡しているが、「米国のサプライチェーン(供給網)にとっては、世界の他の地域と比較してそれほど深刻ではない」と指摘。「同様に、中国の回復もそれほど力強いものではないものの、この地域の多くの国にとっては重要な要素であり、中国の近隣諸国や他の一部の経済圏は非常に密接な関係にある一方、米経済はそれらよりもはるかに多角的」とした。
また、インフレ率は2%に固定されつつあり、最近の消費者信頼感や消費に関するデータでは米国人がそれぞれの財政面を信頼していることが示されていると言及。住宅価格や医療費など重要な問題が残っており、バイデン大統領はその解決に注力しているとした。
日本製鉄(5401.T), opens new tabに米USスチール(X.N), opens new tab買収については、バイデン氏が「鉄鋼は米国の鉄鋼労働者によって米国内で作られるものであり、国家安全保障への配慮が核心だ」と引き続き考えているとした。
BofAグローバル・リサーチが26日に発表したEPFRのデータを引用したリポートによると、24日までの1週間に約120億ドルが中国株ファンドに流入した。2015年に次ぐ過去2番目の高水準で、低迷が続いていた中国株市場に明るい兆しとなった。
香港株式市場のハンセン指数(.HSI), opens new tabは今週5%近く急伸し、昨年7月以来の上げ幅を記録した。本土市場の優良株も1.5%上昇した。中国当局による一連の支援政策が追い風となった。
BofAのアナリストは、中国不動産株の急落が中国を「世界で最も魅力的な逆張りロング『トレード』」の場にしており、「誰も『投資』だとは思っていない」と指摘した。
このほか、株式ファンドには176億ドル、債券ファンドには142億ドルが流入した。
米国株は人工知能(AI)の「ベビーバブル」が拡大する中、ハイテク株がけん引して最高値を更新している、とBofAは指摘した。
ハイテク株は28億ドルの資金流入を記録。昨年8月以来の大きさだった。
新興国市場株式への資金流入額は121億ドルと過去最高だった。半面、新興国市場債券は3週連続の資金流出となった。
債券市場は過去5週間にわたって資金が流入。過去2週間で国債に約50億ドルの資金が流入したという。
●中東
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリーニ事務局長は26日、昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲に関与した疑いのある職員数人に対する調査を開始したと明らかにした。
ラザリーニ事務局長は、UNRWAのスタッフが「イスラエルに対する恐ろしい攻撃に関与した疑いに関する情報をイスラエル当局から提供された」とし、直ちに契約を解除し、調査に乗り出したと明らかにした。関与した疑いの詳細については踏み込まなかった。
国連のデュジャリック報道官によると、グテレス国連事務総長は「このニュースに衝撃を受けている」とした上で、「UNRWAに対する緊急かつ包括的な独立した精査が行われる」と述べた。
米国務省のミラー報道官は、UNRWAの職員12人がハマスの奇襲に関与したという疑いを踏まえ、「疑いを精査し、国連が問題の対応に向けた措置を講じる間、同機関への追加資金拠出を一時的に停止した」と明らかにした。
●中南米・アフリカ
金利先物市場では、4月30日─5月1日のFOMCで最初の利下げが決定されるとの見方がなお大勢。市場が織り込む5月1日までに利下げが実施される確率は約90%であるのに対し、3月利下げの確率は約48%となっている。
インテルは11.9%下落し、6週間ぶりの安値を付けた。第1・四半期の調整後売上高見通しは約122億─132億ドルと、LSEGがまとめたアナリスト予想平均の145億ドルに届かなかった
フィラデルフィア半導体指数(.SOX), opens new tabは2.9%安。24日の取引では最高値を更新していた。
電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O), opens new tabは0.3%高。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が今年の売上高が伸び悩むとの見方を示したことを受け、前日は12%の大幅安となっていた。
クレジットカード大手アメリカン・エキスプレス(AXP.N), opens new tabは7.1%上昇し、最高値を更新した。通期利益見通しが市場予想を上回ったことが好感された。競合のビザ(V.N), opens new tabは1.7%安。第2・四半期(1─3月)の増収率見通しが市場予想を下回ったことが売り材料となった。
<米原油先物> 3営業日続伸 し、約2カ月ぶりの高値で清算された。米国の経済成長率の伸びや、中国の景気刺激策に よる需要増加の観測が買い材料になり、中東情勢による供給不安が一段と支援した。 英国産標準油種ブレントの中心限月3月きりの清算値(終値に相当)は、1.12ドル (1.36%)高の1バレル=83.55ドルと、昨年11月30日以来の高値。米国産 標準油種WTIの中心限月3月きりは0.65ドル(0.84%)高の78.01ドルで、 同じく11月以来の高値を付けた。
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。欧州企業の好決算を受けて英高級ブランド会社バーバリーや、酒造大手のディアジオが買われたのが相場を押し上げた。
中型株で構成するFTSE250種指数(.FTMC), opens new tabは0.60%上げた。
バーバリー(BRBY.L), opens new tabは4.9%上昇。フランスの高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA), opens new tabの2023年第4・四半期決算の売上高が前年同期比10%増加し、高級品セクターの回復力を示したことから買い安心感が広がった。
一方、衣料小売りのスーパードライ(SDRY.L), opens new tabは2.6%下落。昨年の年末商戦が苦戦し、短期的な市場状況の回復は見込んでいないとの見解を表明したほか、最高財務責任者(CFO)のショーン・ウィルズ氏が今年3月末に辞任すると明らかにしたことも嫌気された。
26日にLVMH(LVMH.PA), opens new tabは12.8%上昇。中国などからの堅調な需要を追い風に2023年第4・四半期決算の売上高が前年同期比で10%増えたことが好感された。
レミー・コアントロー(RCOP.PA), opens new tabは15.2%と急伸し、23年第3・四半期決算の売上高の下げ幅が予想よりやや小さかったことが買い材料となった。同業ペルノ・リカール (PERP.PA), opens new tabは7.9%上げた。
●市況
日経先物35,855、ダウ先38,245、債先146.31、米4,139、独2.3010、仏2.787、西3.202、伊3.818、英4.0010、波5.399、原油78.23、銅8,531、ドル円148.15、ユーロドル1.0854
※1/26NY引け値
備忘録(2024/1/25)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米連邦準備理事会(FRB)は24日、銀行向け緊急融資制度のバンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)を予定通り3月11日に撤廃すると表明した。ただBTFPへの適用金利の即時引き上げも発表し、事実上この制度を打ち切ることを示唆している。
BTFPは昨年春、シリコンバレー銀行をはじめとする一連の大手地銀破綻を受けて広がった預金大規模流出などの銀行システム不安に対処する目的で導入された。今回の動きから、FRBの同システムに対する懸念が収まったことがうかがえる。
一方市場に混乱が見当たらない中でも、銀行にとって金利面で妙味のあったBTFPの利用は着実に増加し、今月17日時点の残高は1615億ドルとなっていた。従来の適用金利では、BTFPで借り入れた資金を、FRBに準備預金として預け入れると利ざやが稼げたからだ。
一方今後のBTFPの新規借り入れ金利は、準備預金金利と同水準に引き上げられ、上昇幅は50ベーシスポイント(bp)弱になるとみられる。
米ブラックストーンは、23億ドル(約3400億円)でのローバー・グループ買収計画について、資金調達支援をダイレクトレンディング(直接融資)業者に打診している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、プライベートクレジットによる約2億5000万ドルの融資確保を目指している。
同関係者によれば、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資大手ブラックストーンは、ペットケアサービスのオンラインマーケットプレイスを展開するローバーの買収資金調達で融資を求めており、金利は担保付翌日物調達金利(SOFR)に約475ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を上乗せしたものになる見込み。
ブルームバーグがまとめたデータによると、ブラックストーンがこの金利水準での借り入れに成功した場合、プライベートクレジットでは過去最低水準の案件の一つとなる。
同関係者によると、少なくとも一部の貸し手はより高い条件を要求している。協議は現在も進行中で、資金調達の詳細は変更される可能性もあるという。
ブラックストーンの担当者はコメントを控えた。ローバーはコメントの要請に返答していない。
事情に詳しい複数の関係者によれば、ローバーの負債対収益比率は約4倍となる見込みのため、今回の買収は他のテクノロジー企業買収案件と比べると保守的だが、この数字は今後変わる可能性もある。こうした買収では通常、被買収企業の負債対収益比率は6倍以上となる。
ローバーの届け出によると、23億ドルの買収金額は、同社の2023年予想収入の約10倍。2億5000万ドルの融資確保を目指していることは、ブラックストーンが他のレバレッジド・バイアウト(LBO)案件よりも借り入れを小さく抑えようとしていることを示している。
ブラックストーンは昨年11月にローバー買収合意を発表。当時の発表資料によれば、両社は24年1-3月(第1四半期)の買収手続き完了を見込んでいる。
●その他産業
●決算関連
第2・四半期(1─3月)の増収率見通しは市場予想を下回った。一方、第1・四半期(2023年10─12月)決算は年末商戦や旅行関連のカード支出が伸びて好調な内容となった。
株価は引け後の時間外取引で不安定な動きとなり、2.7%下落。
第2・四半期の純収入は「1桁台半ば強から後半」の増加率になるとの見通しを示した。LSEGがまとめたアナリスト予想の12.1%を下回った。
第1・四半期は為替変動の影響を除いて決済総額が8%増加。海外旅行需要の指標となる国境を越えた取引額は、欧州域内を除いて16%増加した。前年同期の31%増から鈍化した。
調整後1株利益は2.41ドルと、アナリスト予想の2.34ドルを上回った。
1-3月(第1四半期)の業績見通しは市場予想を下回った。データセンター用半導体で支配的だった以前の地位の維持に引き続き苦戦していることが示唆された。
25日の発表資料によると、1-3月期の売上高は122億-132億ドル(約1兆8000億-1兆9500億円)の見通し。ブルームバーグのデータによると、アナリスト予想平均は142億5000万ドルだった。一部項目を除いた1株利益は13セントを見込む。市場予想は34セント。
この見通しにより、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)がインテルのかつての能力を取り戻す上でまだ長い道のりが控えていることが示唆された。パソコン(PC)事業は回復基調にあるが、利益の上がるデータセンター用半導体市場で同社は勢いを失っている。また、プログラマブルチップや自動運転車用部品部門の需要低迷への対応や、外部委託生産を巡る取り組みも進めている。
インテルは、さらなる経費削減を模索していることも明らかにした。デービッド・ジンスナー最高財務責任者(CFO)は発表資料で、「2024年には一段の効率化を実現できると見込んでいる」と説明した。
同社によると、1-3月期の粗利益率は44.5%になる見通し。これに対し市場予想は45.5%。粗利益率は同社の工場ネットワークの生産性を示す指標。
23年10-12月(第4四半期)は売上高が154億ドル、1株利益は54セント。アナリスト予想はそれぞれ152億ドル、44セントだった。
●先進国、グローバル、金融市場
現段階で有力な副大統領候補に浮上しているのは、サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事や、エリス・ステファニク下院議員、アーカンソー州のサラ・サンダース知事で、いずれも女性。またともに黒人男性のティム・スコット上院議員や、トランプ前政権時代に住宅都市開発長官を務めたベン・カーソン氏の名前も挙げられている。
まだトランプ氏は最終決定をしておらず、側近らに対して頻繁に電話をかけて助言を要請しているもよう。同氏に極めて近いある人物は「毎日、どこからでも『この人をどう思うか。あの人はどうだろうか』といった感じ」で電話があると話す。
共和党候補指名を目指してトランプ氏となお争う姿勢を見せているヘイリー元国連大使については、側近や陣営の間では副大統領候補とすることに拒否反応が広がっているようだ。
特にここ数日、ヘイリー氏がトランプ氏の77歳という年齢や精神状態に攻撃の矛先を向けた点が、ヘイリー氏への反感を強めている。
ヘイリー氏は19日、トランプ氏の副大統領候補になることをはっきりと否定し、トランプ氏もこの日「恐らくは」ヘイリー氏を選ばないと発言した。
ロイター/イプソスの世論調査によると、共和党の最有力候補と目されるトランプ前大統領の支持率が40%、現職で再選を目指す民主党のバイデン大統領が34%となった。
調査は22━24日、全国の成人1250人を対象に実施。1月初旬の調査では両氏の支持率は拮抗しており、トランプ氏がリードを広げた格好だ。
ただ、回答者の約67%が「大統領選で同じ候補者を見ることにうんざりしており、新しい候補者を望む」としており、多くの有権者が大統領選で見込まれる選択肢に満足していない状況も明らかになった。
それでもなお、バイデン氏とトランプ氏のいずれかを選ぶことになれば投票しないという回答は18%にとどまった。
また、回答者の70%(約半数が民主党支持者)がバイデン氏は再選を目指すべきでない、56%(約3分の1が共和党支持者)がトランプ氏は出馬すべきでないとした。
回答者の4分の3は、81歳のバイデン氏が政府で働くには高齢すぎるとみているほか、現在77歳のトランプ氏が大統領に返り咲き、米史上最高齢の大統領に仲間入りすることについても、半数の回答者が同様の見方を示した。
無所属で出馬する反ワクチン活動家のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を含んだ場合の支持率はトランプ氏が36%、バイデン氏が30%、ケネディ氏が8%だった。
また、トランプ氏が支持率で共和党候補指名を争うヘイリー元国連大使を大きく引き離していることも分かった。新たな調査によると、トランプ氏への支持は64%、ヘイリー氏の支持は19%となっている。
再選を目指すバイデン氏の陣営は声明で「トランプ氏が共和党候補になるのは明らか」と指摘。トランプ氏は民主主義に対する脅威だと改めて警鐘を鳴らした。
トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」で、昨年に起訴されたことを受け、バイデン氏と司法省が政治的迫害を行っているという根拠のない主張を繰り返した。
2023年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比3.3%増となった。伸びは前四半期の4.9%増から鈍化したものの、市場予想の2%増を上回った。
米連邦準備理事会(FRB)による積極的な利上げを受け、リセッション(景気後退)に陥る可能性も見込まれていたものの、米経済は堅調な消費支出を追い風に底堅さを示した。
インフレ圧力の緩和も示されたが、FRBによる3月利下げ開始は早すぎる可能性を示唆した。
GDP統計を受け、米金利先物市場では3月利下げの確率が約45%、5月までの利下げが90%となった。
フィッチ・レーティングスの米国地域経済責任者オル・ソノラ氏は「あらゆる角度から見て、好調な経済動向となった1年を締めくくる内容となった」と述べた。
23年通年のGDP伸び率は2.5%と、前年の1.9%から加速し、2年ぶりの高水準。11月の大統領選挙で再選をめざすバイデン大統領は、好調だったGDP統計について「米国の家庭と労働者にとって良いニュースだ」と述べた。
第4・四半期は堅調な個人消費に加え、輸出や政府支出、企業の設備投資の増加が成長を支えた。住宅投資も小幅増加した。
米経済活動の3分の2以上を占める個人消費は2.8%増。伸びは第3・四半期の3.1%増からは減速した。税金やインフレを考慮した可処分所得は2.5%増と、前四半期の0.3%増から加速した。
消費は賃金上昇や利子・配当収入の増加で促進され、政府の社会給付などの減少を相殺。外食や宿泊のほか、娯楽用品などが伸びた。
また、家計が貯蓄を取り崩したことも消費を促進。貯蓄率は4.0%と、前四半期の4.2%から低下した。
PNCファイナンシャル(ピッツバーグ)のチーフ・エコノミスト、ガス・フォーチャー氏は「24年の成長率は鈍化する可能性があるが、経済ファンダメンタルズがしっかりしているため、米経済は今年も景気後退を回避できる」との見方を示した。
<コアPCE2.0%上昇>
インフレを示す指標は1.9%上昇。前四半期は2.9%上昇だった。
FRBが物価の目安として注目する食料とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)指数は2.0%上昇し、前四半期の伸びと並んだ。
ボストン・カレッジのブライアン・ベスーン経済学教授は「引き続きディスインフレモードにある」と指摘。 「インフレに関し残された唯一の問題は居住費だ。需要に対する住宅供給には構造的に重大な欠陥があり、FRBがそれに対しできることは限られている」という認識を示した。
1月の業況指数は85.2で昨年12月の86.3(改定値)から予想外に低下した。
低下は2カ月連続。ロイターがまとめたアナリストの予想は86.7だった。
IFOのクレメンス・フュースト所長は、ドイツ経済がリセッションに陥っていると述べた。
IFOの調査担当責任者、クラウス・ボールラーベ氏はロイターに、企業の間で不透明感が大幅に高まったと述べた。
INGのエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は「昨秋の楽観ムードの復活は非常に短命に終わった」と述べ、今年の成長率が昨年と同様0.3%のマイナスになると予想した
コメルツ銀行のヨルグ・クレーマー氏は「大半のエコノミストはまだ楽観的すぎる」と述べた。同氏も今年0.3%のマイナス成長を見込んでいる。
IFOによると1月の現況指数は87.0で市場予想の88.6を下回った。期待指数は83.5で市場予想の84.8に届かなかった。
在中国ドイツ商工会議所の調査によると、中国市場で事業を展開しているドイツ企業のうち、同市場からの撤退を「進めている」もしくは「検討している」企業が占める比率は9%となり、4年前の4%から2倍強に上昇した。
調査は昨年9月5日から10月6日にかけて566社を対象に実施。ドイツ企業が中国市場で直面する地元企業との競争激化、不公平な市場参入条件、経済的逆風、地政学リスクといった試練が浮き彫りになった。
調査では、中国事業の売却を進めているドイツ企業は全体の約2%、売却を検討している企業は7%を占めた。
さらに全体の44%は、中国に依存しないサプライチェーン(供給網)を構築するなど、中国での事業運営に関連したリスクへの対応策を講じている。
また中国経済が下振れ方向の軌道に直面していると答えたドイツ企業は全体の約86%を占めた。だが大半の企業は、こうした状況は一時的であり、向こう1─3年で景気は回復すると予想した。
「企業は利ざやが若干縮小し、望むほどの速いペースで業績が拡大することはないとの考えを基に、採用をせずレイオフを小幅に増やす。こうしたことから、浅いリセッションが引き起こされる」と語った。
アルワイン氏は、FOMCが5月か6月に利下げを開始すると予想。それを受けてマネー・マーケット・ファンド(MMF)から資金が大規模に流出し、短・中期のクレジットに流れ込むとの見方を示した。
「それより遅い時期に利下げを開始した場合はしかし、リセッションのリスクが高まり始める」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国本土株のCSI300指数は今月に入り大きく下落しており、過去3年間の下落率はほぼ40%に達する。こうした容赦のない下げで、個人投資家が中心の中国株式市場の苦痛は広がる一方だ。
長引く不動産危機や人口動態上の問題に比べれば、株安はまだ表面的な問題に見えるかもしれない。家計資産に占める株式の割合は不動産と比較すればごくわずかであり、金融の安定を脅かすようなシステミックリスクの兆候も今のところ見られない。
だが、金融関連のコメントや経済データに対する政府の統制が強化されつつある中国では、住宅価格の下落から貿易対立の激化に至るまで、実体経済が抱える問題を公に再認識させることができるのがマーケットだ。株安で個人消費や設備投資が伸び悩み、中国経済の問題がさらに悪化する恐れもある
中国当局が国内株式市場に対してこれほど強い懸念を示すのはほぼ10年ぶりだが、2015年とは経済状況が大きく異なる。
当時、政府は中国経済のけん引役だった不動産に大規模な刺激策を講じる用意もあった。3兆元を超える人民銀の資金を使って、老朽化した集合住宅の取り壊しや新たな物件の建設や販売を進めた。また、当局は大幅に金利を引き下げ、個人消費と設備投資を後押しした。15年10月には一人っ子政策の撤廃が発表され、投資家の関心も再び高まった。公式データでは、15年の国内総生産(GDP)成長率は7%に達した。
23年の中国経済は5.2%成長と、5%前後に設定されていた通年の成長率目標を達成した。だが、GDPデフレーターは3四半期連続のマイナスと、アジア通貨危機以降の最長を記録した。昨年12月の住宅価格は約9年ぶりの大幅下落。輸出が伸び悩んでいるほか、人口は減少し、職のない新卒者も多い。
さらに重要な点は、当局が市場の支援に向けて介入する用意があるように見える一方で、債務増で調達した資金で不動産セクターや経済全般の成長を促す従来の刺激策からの方向転換を明確に示していることだ。
政策措置は控えめで、国家安全が成長と並ぶ優先事項となり、党トップへの権力集中が進んでいる兆候が示される中、政府当局者が危機への迅速な対応に苦慮する可能性もある。
レイリアント・グローバル・アドバイザーズの許仲翔最高投資責任者(CIO)は、非常に多くの融資が不動産に結び付いていたため、中国の政策転換は「市場からの信用撤退」につながったと指摘。つまり、現在の落ち込みは15年よりもはるかに大きいとの見方を示す。
「これは全般にわたって富にマイナスの影響を及ぼす。信頼感が弱まり、より広範なベースで将来に対する悲観論につながる」と許氏は述べた。
ギャブカル・ドラゴノミクスの中国調査担当副ディレクター、クリストファー・ベダー氏は「ここ1年の株式相場の下落は、明らかに中国経済に対する評価だ」と分析。「中国の株式市場は名目の経済成長が加速すると上昇する傾向にあるが、国内外の投資家は今のところそれが起こりそうにないと結論付けている」と語る。
ダルトン・インベストメンツのベリタ・オン会長は、「新型コロナウイルス感染症対策のロックダウン(都市封鎖)の突然の終了など、習氏は迅速な行動が必要な状況下では、素早く行動できることを示してきた。彼がそうすることを選択すれば、事態を好転させることもできる」と話す。
この数十年で最もセンチメントが低迷する中、中国経済が米国を追い抜けるのか、それとも1990年代の日本に根付いたような停滞に向かうのか、議論が激しくなっている。
引くべきレバーが少なくなり、懐疑的な投資家層を納得させる必要があるため、中国当局にとって持続的な好転は難しい注文になるだろう。
ナティクシスのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は「15年よりも状況ははるかに厳しい」と指摘。「大きな刺激策を打ち出す必要はあるが、それを実現するための財政余地があるのか、あるいは十分な利下げができるのかも分からない」と述べた。
UBSのアナリスト、ジョン・ラム氏はメモで「負債を抱える開発業者の流動性リスクを軽減する助けにはなるだろうが、住宅価格と販売、さらに業界全体が回復するには不動産需要が高まる必要がある」と述べた。
また問題を抱えた企業はほとんどの優良商業資産をすで担保に差し出しているとの指摘もある。
債務不履行(デフォルト)に陥ったある開発会社の幹部は、政府が強く圧力をかけない限り銀行は融資しないだろうと語った。
野村はリポートで、中小都市に多く存在する販売済みの未完成住宅が不動産市場回復の最大の障害と分析した。全国でこうした住宅の建設を完了するには3.2兆元が必要としている。
不動産開発業者が住宅を引き渡すために必要な資金を確保するには、商業銀行ではなく中央銀行による資金供給が必要との見方を示した。
香港で25日開かれたアジア金融フォーラムのパネル討論会では、地政学的緊張、米大統領選、中国の政策不透明感を背景に今年も対中投資への自信が揺らぎ、投資家が高収益を求めてインドなど他の市場に関心を寄せるとの見解が示された。
●中東
カタール外務省報道官は24日、同国が進めているイスラエルとイスラム主義組織ハマスの仲介交渉について、イスラエルのネタニヤフ首相が交渉を妨害していると批判した。
これに先立ち、イスラエルのメディア「チャンネル12」は23日、漏えいした録音データを基に、ネタニヤフ首相が人質の家族との会合でカタールに「問題がある」と発言したと報じていた。
カタールの報道官は「さまざまなメディアで報じられているネタニヤフ首相の発言とされるものに、がくぜんとしている」とX(旧ツイッター)に投稿。
「報道された発言が事実なら(ネタニヤフ氏は)イスラエルの人質を含む罪のない人々の命を救うことを優先するのではなく、自身の政治キャリアに役立つとみられる理由で、仲介作業を妨害し台無しにしているだけだ」と述べた。
報道によると、ネタニヤフ氏は「カタールは私にとって、本質的には国連や赤十字と変わらない。ある意味ではもっと問題だ。だが、私は今(人質を)連れ戻す手助けをする仲介者なら誰でも喜んで利用するつもりだ」と発言した。
イスラエル政府報道官は、カタール政府のコメントや、漏えいした録音データは本物かとの質問について「人質解放に向けた取り組みについて詳細を明らかにできない」と述べた。
イスラエルの極右政党党首のスモトリッチ財務相は、カタールは「テロを支援し資金援助している」と非難。ネタニヤフ首相も漏えいした録音データの中で、カタールはハマスに資金を提供しているため、ハマスに影響力を持っているとの見解を示した。
●中南米・アフリカ
ミレイ政権は改革を断行すると表明。ブルリッチ治安相はX(旧ツイッター)に「いかなるストも改革を止められない。われわれを脅かす脅威は存在しない」と投稿した。
備忘録(2024/1/23)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
屋敷氏は今後、注意するべき融資として、LBO(レバレッジドバイアウト)案件、中でも変動金利での借入比率の高いものを挙げた。米欧の不動産市況悪化を踏まえ、不動産ノンリコースローンなどでは貸し出し案件ごとに検証していく方針も示した。
大型LBO案件では経営難に陥ったマレリホールディングス向け融資で大手行が多額の与信コスト負担を強いられる事案が生じた。屋敷氏は、銀行は「長年の低金利下で目先の収益を急ぐあまり、融資規律が緩んでいたのではないか」と指摘する。ただ、地銀も含めたLBO市場自体の活性化はむしろ一部銀行へのリスク集中を回避する観点から望ましいとも述べた。
MBO(経営陣が参加する買収)を中心に最近急増している株式非公開化の動きに関しては、一般論として「銀行は信用リスク管理上、株式市場からの規律が働かない非上場企業に対して、レンダーガバナンス(貸し手による規律)を十全に発揮することが必要」との考えを示した。
屋敷氏は金利環境次第で、債券など保有有価証券で調達コストが運用収益を上回るネガティブキャリーや含み損が発生するのは不可避と分析。処理を先送りする場合でも、処理した前提で健全性維持のための自己資本を確保するほか、年間コア業務純益など一定の期間収益の範囲内にとどめることが望ましいと述べた。
SNS(交流サイト)やスマートフォンアプリの普及により、情報拡散や資金移動がより早く容易になるなど社会環境変化への対応も重視する。このため流動性リスク管理については、大手行だけでなく、金融システムへの影響度合いに応じ、一部の地銀やネット銀行も検証の対象にする。
米シリコンバレー銀行(SVB)は2023年3月、短期間で利用者による預金引き出しが殺到して経営破綻した。この事例はデジタル・ネット社会特有の環境変化として知られている。
●その他産業
●決算関連
日用品・工業品メーカーの米3Mが示した2024年の収益予想は、ウォール街の見通しを下回った。この1年ほど業績の伸びを圧迫してきた個人消費の低迷は、終息の様相を見せていない。
同社が予測する今年の調整後1株当たり利益は、9.75ドル以下と、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均の9.81ドルに届かなかった。既存事業の売上高は前年並み以上2%増以下を予想。アナリスト予想は2.7%増だった。
株価はニューヨーク市場で大幅下落。通常取引開始前の電子取引で一時7.5%下げている。
こうした慎重な見通しとは対照的に、3Mが発表した2023年10-12月(第4四半期)決算では、調整後1株当たり利益がウォール街予想を大きく上回った。事業合理化の強化が奏功した。
第4四半期の調整後利益は1株当たり2.42ドル。アナリスト予想は2.31ドルだった。調整後の営業利益率は20.9%と、市場予想の21.2%をわずかに下回った。
3Mはヘルスケア部門のスピンオフ(分離独立)について、24年上期に完了する予定に変わりはないとの見方を示した。
米ベライゾン・コミュニケーションズでは、2023年10-12月(第4四半期)に個人向け携帯電話の契約数が増加した。個人向け携帯電話の契約はここ数四半期に減少が続いていた。
同社の23日発表によると、コンシューマー・グループの携帯電話契約数は31万8000件の増加。市場予想は9万5900件の増加だった。飽和状態にある市場でAT&TやTモバイルUSとの競争が続く中、ベライゾンのコンシューマー・グループの契約数は過去3四半期にわたって減少が続いていた。
法人グループは引き続き低調。需要鈍化と競争環境が理由だと、ベライゾンは説明した。同社は先週、企業サービス部門の評価額を58億ドル(約8580億円)引き下げていた。法人グループの売上高は3.6%減の76億ドル。携帯電話の契約数は増えたものの、固定通信のサービス・機器の販売が減少した。
無線サービス全体の売上高は194億ドルと、前年同期比3.2%増。ベライゾンによれば、値上げや新しい料金プランの採用などが寄与した。
調整後の1株利益は1.08ドルで、アナリスト予想の平均と一致。売上高は前年同期比0.3%減の351億ドル。市場予想の平均は345億ドルだった。電話を買い換える顧客が減ったことが売上高の減少につながったと、ベライゾンは説明した。
米動画配信サービス大手ネットフリックス(NFLX.O), opens new tabが23日発表した2023年第4・四半期決算は、加入者数が市場予想を上回った。
加入者数の伸びは1310万人と、予想の897万人を大きく上回り、第4・四半期として過去最高を記録。加入者総数は2億6000万人となった。
株価は引け後の時間外取引で8.5%上昇した。
1株利益は2.11ドルで、市場予想の2.22ドルを下回った。為替相場に関連した2億3900万ドルの非現金損失が影響したという。
売上高は88億ドルに増加し、市場予想と自社見通しの87億ドルを上回った。
新規加入者の獲得や広告事業への投資を継続する中、24年通期については2桁の増収を見込んだ。広告事業はまだ売上高の主要なけん引役にはなっていないが、25年までに転換を目指すとした。
バンク・オブ・アメリカのメディアアナリスト、ジェシカ・ライフ・エーリッヒ氏は「ネットフリックスが『ストリーミング戦争』に勝利したことが一層明確になりつつある」と指摘した。
第4・四半期は英王室を描いた「ザ・クラウン」の最終シーズンやデヴィッド・フィンチャー監督のオリジナル映画「ザ・キラー」などのコンテンツが追い風となった。
ネットフリックスは今後の見通しについて「昨年のストライキで一部タイトルの配信が遅れたが、24年は大型作品を予定している」と述べた。
また、大規模なテレビネットワークを抱える企業などの間で業界再編がさらに進む可能性があるとの見方を示した。ただ、自社は伝統的なテレビ資産の取得に関心はないとした。
メディア再編で競争環境が変化する可能性は低いが、ゲームやSNS(交流サイト)も含め視聴時間を巡る競争は続くと予想した。
その上で、番組構成の改善やファン層の開拓を続け、広告やゲームなど新しい分野で地位を確立すれば成長機会があると述べた。ゲーム事業はまだ初期段階だが、エンゲージメントは3倍になったとした。
ハーグリーブス・ランズダウンのリード株式アナリスト、ソフィー・ランドイェーツ氏は「市場は2桁増収を織り込み済みだったが、予想以上の好決算を歓迎している」とし、「加入者数の顕著な増加はアカウント共有対策の影響もあるが、視聴者をひきつける能力の証でもある」と述べた。
ネットフリックスはライブ番組にも引き続き投資する方針で、決算発表に先立ち、ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の番組「Raw(ロウ)」などを25年1月から独占配信する50億ドル超の契約を発表した。
メディアアナリストのジョン・ホジュリク氏は、アカウント共有対策が引き続き恩恵をもたらす見込みで、今四半期の5%増収をけん引すると予想した。
前出のエーリッヒ氏は同対策によって広告付きプランの加入者が増加すると見通した。ネットフリックスは最近の発表で、広告付きプランのアクティブユーザー数が世界全体で2300万人と、昨年11月の1500万人から増加したと明らかにしている
工業製品・事務用品大手の米スリーエム(3M)が23日発表した2023年10〜12月期の決算は、純利益が前年同期比75%増の9億4500万ドル(約1400億円)だった。中国市場の低迷で売上高は約1%減の80億1300万ドルと減収だったが、大幅なコスト削減で増益は確保した。
テキサス・インスツルメンツ(TI)が23日に発表した1-3月(第1四半期)業績見通しは市場予想を下回った。産業機械や自動車向け電子部品の需要低迷が長引いていることが示唆され、TIの株価は時間外取引で一時4%余り下落した。
発表資料によると、1-3月期の売上高は34億5000万ドル(約5100億円)-37億5000万ドルを見込む。ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均は40億9000万ドルだった。1株利益は0.96-1.16ドル(市場予想1.42ドル)の見通し。
業績見通しは、主要セクターからの受注の回復が予想以上に時間を要していることを示唆しており、市場全体には朗報ではないだろう。半導体業界で最大の顧客リストを持ち、最も多様な製品群をそろえるTIの予測は経済全体の需要の指標とされる。
ハビブ・イラン最高経営責任者(CEO)は昨年10-12月(第4四半期)について「産業用製品が一段と弱く、自動車用製品も前四半期に続いて減少した」と発表資料で明らかにした。
10-12月期の売上高は前年同期比13%減の40億8000万ドルで、アナリスト予想平均は41億3000万ドルだった。1株利益は1.49ドルで、前年の2.13ドルから減少。2023年通期売上高も13%減少し、過去10年以上で最大の落ち込みとなった。
スウェーデンの通信機器大手、エリクソンが23日発表した2023年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比44%減の33億9400万クローナ(約480億円)だった。高速通信規格「5G」機器の販売が米国で前年を大幅に下回り、インド市場の成長鈍化も響いた。
2023年10〜12月期決算は純利益が41億3200万ドル(約6140億円)と前年同期に比べて28%増えた。処方薬や医療機器が堅調だったためで、売上高と1株利益はともに市場予想を上回った。
売上高は7%増の213億9500万ドル、1株利益は2.29ドルだった。部門別では主力の「処方薬」が4%増えた。新型コロナウイルスワクチンの反動減や為替変動、買収などの影響を差し引いた場合は7%増だった。多発性骨髄腫向け治療薬の「ダラツムマブ」や前立腺がん治療薬の「アパルタミド」などが好調だった。
手術用の医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」部門は13%の増収だった。22年12月に買収を完了した米アビオメッドが特に大きく寄与したという。同社は心臓の動きを補助するポンプを手掛けている。
24年12月期通期の売上高は前期比4.5〜5.5%増の878億〜886億ドルを見込む。23年12月通期の売上高は前の期比6.5%増の851億5900万ドルだった。
タルク(滑石)を原料に含むベビーパウダーをめぐる集団訴訟の問題に引き続き悩まされている。ジョセフ・ウォーク最高財務責任者(CFO)は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで米42の州が乗り出している調査について、7億ドルの和解金を支払うことで暫定合意を結んだと明らかにした。
一方で、今回の和解は同件をめぐる訴訟のごく一部に過ぎず、まだ約5万2000人以上の原告の訴訟が残っている。
2023年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比12%減の34億6800万ドル(約5140億円)だった。ドル高で打撃を受けたアルゼンチンとナイジェリアのひげそり「ジレット」事業の見直しで、13億ドルの減損損失を計上したことが重荷となった。
売上高は前年同期比3%増の214億4100万ドルと市場予想を下回った。部門別にみると、ひげそり「ジレット」などを国内外で展開するグルーミング部門が6%伸びたほか、主力の洗剤・家庭用品は5%増えた。ヘルスケア用品は4%増えた。
各部門での4〜7%の値上げが売上高を底上げした一方で、全体の販売数量は横ばいだった。販売数量が伸びたのは1%増のグルーミング部門だけで、その他はヘルスケア用品が3%減少したほか、ベビー・女性生理用品部門も2%減と振るわなかった。
粗利益率は52.7%と前年同期に比べ5.2ポイント改善した。値上げの効果に加え、原材料費の上昇ペースが鈍ったことが寄与した。減損損失の影響を差し引いた1株利益は1.84ドルと市場予想を上回った。
アンドレ・シュルテン最高財務責任者(CFO)は23日の投資家向け説明会で、今後の見通しについて「これまでの値上げを考慮して、今後は値上げが売上高にそれほど寄与しないことを予想している」と話した。
24年6月期通期の売上高は前期比2〜4%増の予想を据え置いた。ドル高が10億ドル、原材料費の値下げで8億ドルのプラス要因になる見通し。
2023年10〜12月期決算は、最終利益が15億9100万ドル(約2300億円)となり、前年同期と比べて24%減った。主力の航空機エンジン事業は好調だったが、今後、分社化する予定の再生可能エネルギー事業で赤字が続いたうえ、税費用が増えた。
●先進国、グローバル、金融市場
ドイツ連邦金融監督庁(BaFin)のブランソン長官は23日、銀行の業績ついて、今年は昨年に比べて厳しいとの見通しを示した。商業用不動産が現時点で最大のリスクとしている。
ドイツの商業用不動産は、金利上昇や破産、取引の急激な鈍化を受け数十年で最も深刻な危機に見舞われている。監督庁は業界のリスクについて長らく警告してきたが、長官は一段と悲観的な見方を示した。
同長官はポッドキャスト「Finanz-Szene」で、「超低金利時代にやり過ぎが目立った。このため、必要な調整が訪れている」とし、「一番のリスク」だと発言。
ディベロッパーや不動産会社の問題は価格と取引を「当面」抑制すると語った。
銀行の業績については、昨年は金利上昇とそれに伴う収入では好調だったが、今年は「(昨年より)厳しい」と指摘。
「貸出帳簿の多くのコストは時間差を伴って発生する。2024年やそれ以降に発生するだろう」と述べた。
米銀の間で決算発表後の起債が相次ぐ中、今月は1月として米社債発行額が過去最高を記録しそうだ。
22日にはトゥルイスト・ファイナンシャル(TFC.N), opens new tabとフィフス・サード・バンコープ(FITB.O), opens new tabがそれぞれシニア無担保債の起債を発表した。
今月は地銀や世界の金融システム上重要な銀行(GSIB)が決算発表後に起債する流れが続いている。
先週1週間で地銀のPNC(PNC.N), opens new tab、シチズンズ(CZBC.PK), opens new tab、USバンコープ(USB.N), opens new tabが計72億5000万ドルの債券を発行したほか、バンク・オブ・アメリカ(BofA)(BAC.N), opens new tab、JPモルガン(JPM.N), opens new tab、モルガン・スタンレー(MS.N), opens new tab、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N), opens new tabなどGSIBも起債した。
BofAグローバルの調査によると、こうした銀行の起債が寄与して先週の投資適格債発行額は490億ドルとなった。
また、BMOキャピタル・マーケッツの22日付ノートによると、月初来の投資適格債発行額は既に1510億ドルに達した。
BMOの米投資適格債戦略部長、ダン・クリーター氏は、このペースが続けば今月の発行額は2017年1月の1750億ドルを上回り、1月として過去最高を記録する可能性が非常に高いと述べた。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が23日に発表した12月の豪企業景況感指数はプラス7と、前月から2ポイント低下した。製造業と建設業が低調だった。ただ、物価上昇圧力は大幅に緩和した。
信頼感指数は7ポイント改善してマイナス1だった。鉱業と小売り部門が特に回復した。
労働および生産コストを示す指数は前月の上昇から低下に反転。四半期ベースの小売物価上昇率は前月の1.8%から0.6%と急低下し、2020年終盤以来の低水準となった。
NABのチーフエコノミスト、アラン・オスター氏は「ブラックフライデーやクリスマス商戦時期の小売売上高による影響があるものの、四半期末に物価上昇圧力が和らいだことは明るい兆しだ」と指摘した。
売上高動向を示す指数は3ポイント低下したが、プラス10と引き続き堅調。収益性を示す指数はプラス6で横ばい、雇用指数は1ポイント低下してプラス7だった。設備稼働率は83.6%から82.7%に低下した。
主要な天然ガス産出・輸出国で構成する「ガス輸出国フォーラム(GECF)」のハメル事務局長は22日、トリニダードトバゴで開催された会合で、世界の液化天然ガス(LNG)市場は2026年まで需給が逼迫(ひっぱく)する状態が続くとの見通しを示した。24年の需要は1.5%伸び、50年までに最大22%伸びるとの予想を示した。
GECFには、トリニダードトバゴの他、カタール、ロシアなどが加盟。世界供給の3分の2以上は加盟国によって占められている。
GECFは23年の年次報告で、欧州とアジアのガス価格が最高値を記録したほか、変動幅も大きかったと指摘。各国政府は国民のエネルギー需要を満たすことに重点を置き、エネルギー安全保障への懸念が温室効果ガス削減目標を上回ったとの見方を示した。
会合に出席した英BP(BP.L), opens new tab幹部は22日、ロシアのウクライナ侵攻後に価格が7倍に急上昇したことなどを例に挙げ、LNGの高過ぎる価格に苦言を呈した。
米東部ニューハンプシャー州で23日に開かれる共和党の大統領候補者指名に向けた予備選は、トランプ前大統領とヘイリー元国連大使による一騎打ちという興味深い構図となった。
首位を走るトランプ氏にとっては、指名獲得への勢いが止まらないことを示す好機となり得る一方、挑戦者のヘイリー氏にとってもトランプ氏のもろさを浮き彫りにするチャンスになり得る。
トランプ氏は先週行われたアイオワ州の党員集会でヘイリー氏とデサンティス・フロリダ州知事を30ポイント差で退けたが、ニューハンプシャー州の予備選はもっと接戦になると予想されている。デサンティス氏は21日に選挙戦からの撤退を表明。ヘイリー氏は以前から望んでいた一騎打ちの機会を手に入れた。
トランプ氏とヘイリー氏、両陣営のニューハンプシャー予備選における勝機とリスクをまとめた。
<トランプ陣営>
トランプ氏は予備選に向けてニューハンプシャー州でほぼ毎日のように集会を開き、聴衆が詰めかけている。同氏は通常、開催場所を選んで集会を開きたがるが、今回は極めて慌ただしいペース。その理由は単純で、トランプ氏が強く望んでいるからだ。
トランプ氏陣営は、ヘイリー氏陣営や同氏を支持する有権者、同氏の寄付者、そして選挙戦を報道するメディアに対して、勝負は終わり、候補者はトランプ氏だと認めさせたいと考えている。流れは自分だ、諦めろというわけだ。
トランプ氏がヘイリー氏に大差で勝てば、そうした目的達成に大きな追い風となりそうだ。
逆にニューハンプシャー選が僅差で終われば、共和党の有権者のかなりの数がまだ他の候補者を探しているという逆のシグナルになることも、トランプ氏陣営は分かっている。
その場合、ヘイリー氏は以前知事を務めていた地元サウスカロライナ州で来月行われる予備選に向けて勢いを増しそうだ。資金も集まり続け、選挙戦に踏みとどまることになる。
これはトランプ氏にとって最悪のシナリオだが、それでもトランプ氏が最有力であることに変わりはないだろう。
<ヘイリー陣営>
ニューハンプシャーの戦いでヘイリー氏が勝利すれば、政界に激震が走るだろう。逆転劇によって、トランプ氏が何カ月もにわたりまとってきた「勝って当然」というオーラが消え、党内の反トランプ勢力が勢いづく可能性がある。
ヘイリー氏はサウスカロライナ州選でトランプ氏に代わる有力候補として、党の未来を代表するのは自分で、トランプ氏は過去の人物だという主張を展開することができる。選挙戦は接戦の様相を呈し、最終的な結果は不透明になる。
ヘイリー氏が僅差で2位になった場合は、こうした筋書きを全うする形にはならないが、それでもデサンティス氏が撤退した今、反トランプ票を集めるのは自分だとヘイリー氏が主張することは可能だ。
世論調査によると、デサンティス氏の支持者はヘイリー氏よりもトランプ氏支持に移る公算が大きい。しかしデサンティス氏の撤退でヘイリー氏は、トランプ氏から決別して新世代の指導者を望む有権者を取り込むチャンスを手にした。
ニューハンプシャー州で善戦することが、サウスカロライナ州など今後の選挙戦で最終的にヘイリー氏の追い風となるかどうかはまだ不明だが、レースにとどまる正当な根拠にはなる。
トランプ氏が圧勝すればヘイリー氏は壊滅的な打撃を受け、可能性はついえる。トランプ氏が党内から幅広く支持されていることを示し、同氏を追い落とす望みはほぼ消失する。
シンガポールの政府系ファンド、GICのジェフリー・ジェンスバキCIOは、金利の「より長期にわたる上昇」による企業財務の圧迫や地政学的問題、人工知能(AI)が企業に迫る高コストの調整といったリスクが高まる1年になると予想。これは資本を必要とする企業向けに信頼できる貸し手となる機会が増えることを意味するという。
ジェンスバキ氏は「金利上昇と与信の利用可能性の逼迫(ひっぱく)により、プライベートクレジットの新展開が注目される」と述べ、実物資産によるインフレ・ヘッジが引き続き重要だと付け加えた。また、「不動産では、物流や学生寮、サービス業のファンダメンタルズは引き続き底堅い」との見方も示した。
さらに、気候変動リスクが高まり続ける中、GICはエネルギー転換に役立つ投資に注目している。
ピクテ・ウェルス・マネジメントのセサル・ペレス・ルイスCIO兼投資責任者にとって、エネルギー自給と気候変動対策の推進は取引の重要テーマだ。ただ、それはソーラーパネルや電気自動車(EV)のような自明の分野に結びつくものではないという。
「私が買いたいのは受益者だ。つまりデジタル化を進める企業やインフラ投資を行う企業だ」と述べ、電力設備メーカーのシュナイダーエレクトリックを例に挙げた。
また、中国の不動産や消費、テクノロジー企業がいずれも不安定な動きを続けている中、ルイス氏は中国の見通しに引き続き慎重姿勢で、10年以上前のスペイン住宅危機と多くの類似点があり、現在もその影響が続いていると指摘。「世界の他の地域を好む」と述べ、欧州と日本が投資対象として魅力的な市場であり、特に日本の国内市場向けのデジタルサービス企業や娯楽や消費、ロボット関連企業に妙味があると付け加えた。
シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは、米利下げ観測は米国市場に対して「建設的」だと受け止めており、金融状況の緩和はリセッション(景気後退)リスクを低下させるとロヒト・シパヒマラニCIOは述べた。
シパヒマラニ氏は「特定のセグメントには魅力的な投資機会があるが、バリュエーションの観点からは指数レベルで大幅上昇が見られる可能性は低い」と予想。バリュエーションが「やや伸長している」もののインドを選好しており、東京証券取引所の改革などもあって日本に魅力を感じていると述べた。
紅海での危機的な状況は、自動車からエネルギーまであらゆる輸送を混乱させている。高騰するコストとサプライチェーンのひっ迫が企業の決算に表れるのは時間の問題だ。
既にいくつかの企業はその影響を警告している。電気自動車メーカーの米テスラは出荷遅延によりドイツ工場で2週間の生産停止を計画しているほか、スウェーデンのボルボ・カーはベルギーの工場を3日間操業停止にすると発表した。英小売り大手のテスコやマークス・アンド・スペンサー・グループ、ネクストは小売価格を値上げせざるをえない恐れがあると明らかにした。
全ての背景にあるのは2300隻以上の船舶が、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での攻撃を避けるために長時間の迂回を強いられていることだ。複数の中央銀行当局者は、この影響によるインフレ加速を警戒している。
欧州を中心に多くの企業が輸送時間の増加や運賃・保険料の上昇に直面している。今年の企業利益見通しについて、アナリストは再考せざるを得ない状況だ。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、過去3カ月で自動車メーカーの利益予想のコンセンサスは5%低下した。一方で、一部のルートでコンテナ運賃が300%も急騰したことを背景に、海運会社が勝ち組として浮上しつつある。欧州のMSCI輸送株指数はわずか2週間で7%上昇した。
ラザード・フレール・ジェスチョンの株式責任者トマス・ブレニエ氏は、自動車セクターへのエクスポージャーを縮小。「サプライチェーンが複雑でひっ迫しているため、真っ先に打撃を受けるセクターの一つ」だと指摘した。小売業も「販売商品不足に悩まされる可能性」があるとして避けている。
ブレニエ氏はさらに「この状況があと1-2カ月続けば、これに関連した業績下方修正が出ることは間違いない」との見方を示した。
ユーロ圏のローン需要は金利上昇と景気低迷で1年以上にわたり落ち込んでいたが、底を打ちつつあるもようだ。欧州中央銀行(ECB)が23日、四半期銀行貸し出し調査を発表した。
それによると、2023年10-12月(第4四半期)の企業向けおよび消費者向けローンに対する需要の落ち込みは、前四半期よりも小さかった。銀行は今四半期について、小幅な需要拡大すら見込んでいる。その場合、22年初頭以来となる。
ECBによると、銀行は引き続き与信基準を引き締めたが、そのペースは一段と緩やかになり、24年の序盤にはいっそうゆっくりとしたものになる可能性が高い。
ECB当局者は前例のない急激な利上げによる効果のうち、どの程度がこれから顕在化するのかを見極めようとしている。銀行貸し出しは、ECBが経済活動を抑制しインフレ率を2%に戻すための重要な経路だ。
ECBは「ローンカテゴリー全体において、需要の落ち込みは全般的な金利水準が原因だった」と分析。「さらに、固定投資の減少が企業の資金需要を抑え、消費者信頼感や住宅市場の見通しが低迷したことが家計の需要を減退させた」と説明した。
次回の金融政策決定は25日。ECBは3会合連続で中銀預金金利を4%に据え置くとともに、早ければ4月にも利下げに踏み切るとの投資家の予想を押し戻そうとする見込みだ。
米国はカナダにとり最大の輸出相手国で、カナダのモノ・サービス輸出の75%は米国向けだ。そのため、米国の保護主義へのシフトによる影響は大きい。
また、トランプ氏は大統領在任中の2018年、トルドー首相について弱腰で不誠実とコメントしており、両氏の関係は良好なものではなかった。
今月カナダで実施された調査によると、回答者の約3分の2が、米国でトランプ氏が再選し今後4年間政権を握ることになれば、米国の民主主義は生き残れないという見方を示した。
欧州中央銀行(ECB)は今週25日に理事会を開催する。政策担当者は、インフレとの戦いにおいて勝利を宣言するのは時期尚早との認識を示しており、市場の早期利下げ観測を打ち消すのに躍起になっている。
市場は4月中の利下げ実施を予想しているが、ECBは利下げする前にインフレ率が鈍化している証拠をもっと確認したいと考えている。
2)ECBの転換は近いのか?
市場はそう考えている。トレーダーは利下げ時期の予想を3月から4月に遅らせ、利下げ回数も先月時点の予想より1回減らしただけだ。
ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁のようなタカ派でさえも、今年夏の利下げ実施を排除していない。転換は時間の問題のように思われる。
ECBは3月にインフレ率と成長率の新たな見通しを発表する予定であり、これで利下げの議論がスタートする環境が整う可能性がある。
4)賃金についてはどうか?
ECBは最大のインフレリスクとして賃金を挙げている。失業率はなお記録的な低水準にある。
求人情報のインディードやアイルランド中央銀行のデータによると、賃金上昇率は22年10月の5.2%から低下しているものの、昨年12月には3.8%に上昇した。エコノミストは、これは新たな賃金合意によるもので、この影響は今年に入っても続いているとみている。
ECBは政策転換を示唆する前に、第1・四半期の賃金合意を精査し、インフレ率2%と整合的とされる3%に向かって賃金の伸びが鈍化するかどうかを確認する可能性が高い。
ラガルド氏は晩春までに十分なデータが得られると予想、チーフエコノミストのフィリップ・レーン氏は4月に出るデータを検討することを望んでいる。つまり6月より前の利下げ可能性は低いということになり、ロイター調査では、6月の利下げ開始が最有力と予想されている。
5)ユーロ圏経済はどの程度心配なのか?
ECBは依然として、成長懸念よりもインフレを重視している。
昨年第4・四半期の経済成長率はマイナス0.3%の見込みで、小幅なリセッション(景気後退)にあるとされる中、利下げ開始のタイミングが4月でも夏でも実質的な違いはないとエコノミストは指摘する。
INGのマクロ部門グローバル責任者カールステン・ブレゼスキー氏は「ECBは利下げは(景気押し上げの)役には立たないと考えている。だから、インフレに注力することができるのだ」と分析している。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国当局は、株式売り越し規制の対象を大手投資信託会社から一部の保険会社に広げた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、低迷する株式市場の下支えを当局が試みていることを示している。
規制当局は22日、少なくと2社の国有保険会社に対し、いわゆる「窓口指導」を行い、本土株を売り越さないよう指示した。情報が公になっていないことを理由に関係者が匿名を条件に語った。
これら保険会社がこのような指導を受けたのは今回が初めて。昨年はよく行われていたが、対象は通常、大手の公募基金(公募投資信託)会社のみだった。関係者1人によれば、別の大手保険会社は1月初旬に指導を受けたと明らかにした。
中国当局は株式相場の急落阻止に向け、これまでで最も大胆な計画を検討しているが、投資家の不信感という壁にぶつかっている。低迷する経済を根本的に修復しなければ、相場は反発しても短命に終わると投資家らはみている。
香港取引所のリンク経由でオンショア株式を買い入れる安定基金の活用や、李強首相による市場の沈静化指示など前向きな材料が珍しく重なり、23日に中国株の各指数は上昇した。だが、過去に市場支援策の失敗が続いたことや、厳しい経済状況、長期的な政策の方向性を巡る不透明性が株価上昇の持続性について投資家を懐疑的にさせている。
この上昇が続かなければ、投資家信頼感の悪化スパイラルに拍車がかかる恐れが強まる。本土株が過去最長の3年続落を記録し、世界のポートフォリオに占めるシェアが急速に縮小している状況を踏まえると、これ以上のセンチメント悪化を当局は容認できない。
英オックスフォード大学中国センターのリサーチ・アソシエート、ジョージ・マグナス氏は「株式相場の急落が安定へのリスクだということは、ほぼ確実に習近平国家主席に側近らが指摘しているだろう」と述べ、「投資家はバリュエーションという通常の理由で中国株を売っているのではない。経済政策や政治環境の全体的な退化が理由だ。信頼回復には、恐らくその両方で大きな変化が必要になるだろう」と論じた。
投資家が不信感を募らせるのは無理もない。中国は過去に株式相場の下落を抑え込もうと政治資源を投入しながら、成功した実績はほとんどない。2015年の下落時には国家ファンドが夏季に2400億ドル相当を投じたと伝えられたが、買いが一巡すると株価は再び下落した。
昨年の急落では、株取引の印紙税減税や政府系ファンドによる上場投資信託(ETF)購入など、相場を反転させようとさまざまな取り組みが行われたが実を結ばなかった。一部の仕組み商品で損切りの強制売りが発動するなど、テクニカル要因も下落圧力を強め、新年にかけて売りは加速した。
中国当局は市場に資金を投じることに積極的に見えるものの、経済問題が放置されればせいぜい弱気相場の一時的な上昇にとどまり、トレーダーはますます売りの姿勢を強めるだけだということを、現状は示唆している。
ソシエテ・ジェネラルの大中華圏担当エコノミスト、ミシェル・ラム氏は「政府が株式の買いで介入しても経済問題に対処する大型の刺激策がなければ、相場上昇は必ずしも持続できないことを2015年の経験は示している」と指摘した。
●中東
パレスチナ自治区ガザでの戦闘でイスラエルが提案した最大2カ月の戦闘休止を巡り、AP通信は23日、イスラム組織ハマスが拒否したと報じた。仲介役のエジプト政府筋の話としている。イスラエルは人質全員の解放を求める一方、戦闘終結には応じない方針。終戦と軍のガザ撤退を要求するハマスとの隔たりは大きく、交渉は難航している。
イスラエルとイスラム組織ハマスは、パレスチナ自治区ガザの戦闘を1カ月間休止し、イスラエル人の人質とイスラエルが拘束するパレスチナ人の交換を行うことで大筋合意しているが、恒久的停戦を巡る意見の相違が大筋合意の実現を阻んでいる。複数の関係筋が明らかにした。
カタール、米国、エジプトはここ数週間、イスラエル人人質の段階的解放を探る交渉の仲介に力を入れてきた。民間人に始まり、最終的に兵士を解放するという内容で、その見返りに戦闘を休止し、イスラエルが捕らえているパレスチナ人を釈放するほか、ガザへの支援を拡大する。
関係筋の1人によると、今回の交渉は12月28日から続けられており、戦闘休止の期間についてはハマスが当初提案した数カ月間に対し、約30日で意見がまとまったという。
しかし、6人の関係筋によると、ハマスはそれ以降、恒久的停戦の将来的な条件について合意が得られるまでは戦闘休止の計画を進めることを拒否しているという。
ハマスが恒久的停戦と人質解放を合わせた「包括的合意」を求める一方で、イスラエルは段階ごとに交渉する立場を取っているという。イスラエルとハマスは仲介国を通じて交渉しており、直接協議は行っていない。
ホワイトハウスの報道官は23日、ブレット・マクガーク中東政策調整官がエジプトの首都カイロで、ガザで拘束されている人質の解放について協議しており、人道的な戦闘休止を米国として支持していると述べた。
ハマス幹部のサミ・アブ・ズーリ氏は22日、いかなる提案に関しても協議する用意があるが、合意はまだないとロイターに述べていた。
カタールと米国の仲介で実現した昨年11月の1週間の戦闘休止ではガザで100人以上の人質が解放され、パレスチナ側は約240人が釈放された
イスラエル政府のレヴィ報道官は23日、イスラム組織ハマスとの戦闘休止について、パレスチナ自治区ガザで拘束されている人質が解放されず、ハマスがガザ地区の支配を継続する場合、イスラエルは合意しないと述べた。
レヴィ報道官は、人質解放に向けた取り組みが続けられていると述べたが、人の命がかかっているとして詳細には言及しなかった。
戦闘休止が提案されているとの報道については「ガザ地区におけるハマスの統治と軍事力の破壊」と「全ての人質の帰還」というイスラエルの目標に変更はないとし、「ガザに人質を残し、ハマスの権力が温存されるような戦闘休止はあり得ない」と述べた。
●中南米・アフリカ
ブラジル通貨レアルは22日、ルラ大統領が産業開発計画を発表したことを受けて下落した。補助金や融資により今後10年にわたり国内産業を後押しする計画だが、財政健全化へのリスクになるとの懸念が高まった。
ボルソナロ前大統領は国内産業を犠牲にして農業部門の生産拡大と輸出を重視する政策を行っていたが、ルラ氏はこれを改めようとしている。
税優遇措置や補助金といった支援に加え、持続可能な金融商品やイノベーション、インフラ整備、輸出促進のための信用供与を優先的に行う計画。政府系金融機関のブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)が2500億レアル(500億ドル)を確保し、国の他の財源からも500億レアルを拠出する。
ルラ氏の発表直後にレアルはドルに対して下げを拡大し、1.2%安でこの日の取引を終了した。
証券会社コレパルティのディレクター、ジェファーソン・ルギク氏はルラ氏の計画について「政府の歳出増につながる可能性があり、市場は調整している」と述べた。
●市況
<株式> S&P総合500種が3営業日連続で最高値を更新して引けた。企業の決算シーズンが始まり、ネットフリックスやテスラの決算に注目が集まった。
ネットフリックスは引け後に決算を発表し、3.2%上昇した。
ベライゾン・コミュニケーションズは6.7%高。通年利益見通しや契約者数の伸びが好感された。プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)も第2・四半期利益が予想を上回ったことを受けて4.2%高となった。
一方、スリーエム(3M)は決算を受けて11%安。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も決算で利益が予想を上回ったものの1.6%安となった。
日経先物36,393、ダウ先38,114、債先146.31、米4,137、独2.3395、仏2.847、西3.260、伊3.918、英4.0320、波5.306、原油74.50、銅8,423、ドル円148.26、ユーロドル1.0857
※1/24 8時55分頃
備忘録(2024/1/22)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
非常に複雑な地政学的・マクロ経済的な状況の中で欧州企業の業績予想が数年ぶりの低水準となっている。
バンク・オブ・アメリカの分析によると、昨年10─12月は利益予想を下方修正した企業数がネットで過去3年間で最も多かった。
LSEG/IBESのデータによると、STOXX600(.STOXX), opens new tab構成企業の純利益率は2023年第1・四半期に16.1%でピークに達し、第4・四半期には10.1%まで低下したとみられる。
しかし消費関連景気循環株と同非景気循環株、金融株、工業株は第4・四半期の利益率が前期比で拡大したもよう。
第4・四半期の利益は前年同期比7.1%減、売上高は4.8%減と予想されている。 3四半期連続の減益となる。
紅海での親イラン武装組織フーシ派による船舶への攻撃によりアジアと欧州間の貿易が停滞し、海運会社は喜望峰を経由するルートに切り替えている。
英小売企業ネクストと仏食品グループのダノンは長期的な混乱について警告している。ボルボ・カーとミシュランは欧州の複数の工場で生産を一時停止した。
クイルター・インベスターズの投資ストラテジスト、リンゼー・ジェームズ氏は製造業への依存度がなお高く、さまざまな要因から世界貿易に混乱が続いているため、楽観的になるのは難しいと述べた。
アビバ・インベスターズのグローバル株式ファンドマネジャー、リチャード・サルダーニャ氏は「今決算シーズンはどの企業が基礎的な販売量の伸びを確保したかに注目している。企業にとって売り上げは依然として厳しいだろう」と語った。
高金利も逆風になる可能性がある。
欧州中央銀行(ECB)が3月に25ベーシスポイント(bp)利下げする確率はこれまで市場で100%織り込まれていたが、さまざまな当局者によるけん制や経済指標を受けて20%に低下している。
米航空大手ユナイテッド航空ホールディングは22日、第1・四半期の調整後1株損益が0.35─0.85ドルの赤字になるとの見通しを示した。アナリスト予想の0.21ドルよりも大幅な赤字となる。
同社の見通しはボーイングの旅客機「737MAX9」の運航停止が1月末まで継続することを想定している。
ただ、2024年通年の堅調な見通しを受け、株価は引け後の時間外取引で約6%上昇した。
ユナイテッドによると、MAX9の運航停止は第1・四半期の燃料費以外の営業コストに約3%ポイントの影響を及ぼすという。
24年の調整後1株利益見通しは9─11ドル。アナリスト予想は9.58ドル。
米連邦航空局(FAA)は今月、米アラスカ航空が運航するMAX9の側壁の一部が飛行中に吹き飛んだ問題を受け、安全点検のため同機を運航停止にした。 もっと見る
ユナイテッドとアラスカ航空はMAX9の70%を保有しており、多くの欠航を余儀なくされている
同時に発表した23年第4・四半期決算は、調整後1株利益が2ドルと、アナリスト予想の1.70ドルを上回った。ホリデーシーズンの堅調な旅行需要が寄与した。
ユナイテッド航空は22日、2024年1〜3月期の最終損益が2四半期ぶりの赤字に転落する見通しを示した。運航する米ボーイング社製の小型機「737MAX9」の運航停止の影響で採算が悪化する。
アラスカ航空が運航していた737MAX9で5日、機体の一部が吹き飛ぶ事故が起きた。米連邦航空局(FAA)は安全が確認されるまで同機体の運航停止を命じており、再開のめどは立っていない。米メディアによると、ユナイテッドは運航停止対象の機体を79機運航している。
ユナイテッドは投資家向け資料で、1〜3月期に希薄化後・調整後の1株利益を0.35〜0.85ドル(約52〜126円)の赤字と予想した。1座席を1マイル(約1.6キロメートル)輸送して得られる「有効座席マイルあたり収入」(TRASM)は前年同期比横ばいとみている。
22日発表した23年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比29%減の6億ドルだった。太平洋路線を中心に海外旅行の需要は強い。売上高は10%増の136億2600万ドルと好調だったものの、賃上げなどで人件費が28%増えたのが響いた。
●先進国、グローバル、金融市場
全米企業エコノミスト協会(NABE)が22日発表した調査で、米経済が向こう1年にリセッション(景気後退)に陥る確率を50%以下とした回答が91%を占めた。
昨年10月の前回調査(79%)から増加した。1年前の調査では、米連邦準備理事会(FRB)の利上げを背景に大半が景気後退を予想していた。
今回の調査は昨年12月28日─今年1月9日にNABE会員57社を対象に実施した。
回答者は企業の売上高と利益率が今年上向くとの見方を示したほか、サプライチェーン(供給網)の問題や労働力不足は緩和していると指摘した。インフレ見通しにとって明るい材料となる可能性がある。
原材料の不足はないと答えたのは約63%で、10月の46%から増加した。労働力不足がないとの回答も半数強で、前回調査の38%から増加した。NABEによると、いずれも新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)開始以来の高水準を記録した。
全般的に堅調な今年の業況見通しに対する最大のリスクとしては金利上昇、地政学的不安の増大、コスト上昇を挙げた。一方、見通しに対する最大の上振れリスクは金利低下、コスト低下、労働力の増加とした。
米大統領選に向け民主党候補指名を狙うミネソタ州選出の下院議員、ディーン・フィリップス氏は20日、同党の予備選が23日に控えるニューハンプシャー州の選挙イベントに出席し、再選を目指すバイデン大統領を「弱い」と攻撃した。
フィリップス氏は、ニューハンプシャーの党予備選で健闘できれば得票率が20%を上回る見通しだとし「ゼロから20%台になるというのはすごいことだ」と発言。一方で「悲しいことに、われわれの現職の大統領は弱いということが証明されようとしている」と記者団に述べた。
バイデン氏はニューハンプシャー予備選には正式登録していないが、支持者らは同氏に投票して勝利を確保させようとしている。
55歳のフィリップス氏は、バイデン氏が81歳と高齢であることに触れ、「有権者の声を聞けば、自由主義社会を率いていくことができない年齢になっていると人々が感じている。(共和党の有力候補の)ドナルド・トランプ氏についても同様だ」と述べた。
英規制当局の財務報告評議会(FRC)は22日、上場企業は投資家に開示する情報の正確性を保証するために、内部統制について毎年どのようなチェックを行っているかを2026年1月までに示す必要があると発表した。産業界の反発を受けて厳格な提案を取り下げたことを確認した。
企業はFRCのコーポレート・ガバナンス・コードを順守するか、順守しないことを選択した場合は説明が義務付けられている。FRCは昨年11月、コードの強化を目的とした提案の大部分を撤回すると発表していた。
既存の規定が既に厳しく適用されており、英国が他の金融センターと比べて不利になるとの批判が金融機関や取引所などから出ていた。
FRCは「11月7日に通知した通り、環境・社会・ガバナンス問題に関する監査委員会の役割、多様性と包摂への期待の拡大、オーバーボーディング(複数の取締役職の兼務)規定、委員長の株主との関わりへの期待などに関する以前の規定改定案を取り下げた」と説明した。
モルガン・スタンレーは、今後数週間のデータが下振れするとの予想から、米国債に反発余地があるとみている。JPモルガンは、利回りが既に昨年12月の水準まで上昇していることから、5年債の購入を勧めている。ただ、米連邦準備制度による利下げが早期に開始されるとの見方については、市場がまだ積極的過ぎると警告した。
モルガン・スタンレーのマクロ戦略グローバル責任者、マシュー・ホーンバック氏らアナリストは、20日付のリポートで「これは、われわれが買いたいと思っていた『落ち込み』だ」とし、「財政支援が減り、寒さが厳しくなる中、2月に発表される米経済活動データには下振れリスクがあるとみている」と付け加えた。
JPモルガンは、最初の利下げは5月ではなく6月になると予想。スワップ市場は5月利下げを完全に織り込んでいる。モルガン・スタンレーは、3月半ばに米国と欧州双方の金融当局が注目を集めるだろうと指摘。市場は北半球の春までにほとんどの中央銀行が少なくとも1回の利下げをするとみているという。
欧州北部では21日の強い暴風雨によって停電などの被害が起きており、移動手段に大きな影響が出ている。
英気象庁によれば、21日夜からの突風は一時、風速が時速99マイル(159キロ)に達した。フランスやオランダの北部では警報が出されており、ノルウェー西海岸には洪水・雪崩警報が発令された。
22日朝の時点で、アイルランドの約23万5000戸の家庭や農場、企業が停電している。英国でも数千世帯が停電に見舞われており、一部の電力会社はエンジニアが修理するには安全な状況ではないため23日まで電力復旧はできないと説明している。
アムステルダムのスキポール空港では22日に約130便が欠航となり、英国やアイルランドでも空の便に欠航や遅延が出た。
22日の債券市場では、イタリア債が上昇。ドイツ債に対するイタリア債の上乗せ利回りが2022年4月以来の低水準に縮小した。同利回り差は欧州のリスクを測る主要な指標とみられている。イタリア債は欧州債の中でも特に利回りの高い国債の一つで、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和に踏み切る前に投資家は高金利の確保を急いだ。
ロンドン時間午前8時14分時点で、イタリア10年債利回りは6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下して3.82%。同年限のドイツ債とのスプレッドは152bpに縮小した。昨年10月後半のスプレッドは200bpを超えていた。
今月実施されたスペインとベルギーの国債入札でも需要は旺盛で、イタリア30年債への需要も同年限での過去最高に迫った。大量に見込まれている今年の債券供給に対し、市場は消化できないのではないかとの懸念が和らいだ。
大半の世論調査によると、トランプ氏がニューハンプシャー州で優位を維持している。マンモス大学が22日に公表した最新の調査では、トランプ氏の支持率が52%、ヘイリー氏が34%。調査はデサンティス氏撤退前に実施され、デサンティス氏支持者(8%)が第2候補としてヘイリー氏よりもトランプ氏を選ぶという回答はほぼ倍に達した。
ブレイナード委員長は22日、供給網が過去数年間で多様化したため、米経済は中国の景気回復の停滞で大きな影響は受けていないとの考えを示した。
ブレイナード氏はブルッキングス研究所が主催したイベントで、アジアの他の国や中国経済の発展により密接に関係している国は影響を強く感じていると語った。
「米経済は過去数年でかなり多様化を進め、さまざまなデータにそれが表れている。このため、中国の精彩を欠く回復は米経済に特に強い影響をもたらしていない」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の民間不動産調査大手、中国指数研究院(チャイナ・インデックス・アカデミー)が22日発表した2023年の住宅差し押さえ件数は、前年比43%増加した。
長引く不動産市場の低迷と不安定な景気回復の中で住宅ローンの延滞が増加していることが明らかになった。
38万9000件が競売にかけられ、1500億元(208億4000万ドル)相当の9万9000戸が売却された。
商業用、住宅用、工業用、土地、車庫、駐車場を含む差し押さえ物件の総数は36.7%増の79万6000件と過去最高となった。
昨年競売が最も多く行われたのは南西部の2級都市の重慶と成都。
中国指数は差し押さえ件数が20年以降徐々に増えており、24年も増加が続いていると指摘した。
台湾経済部が22日発表した昨年12月の輸出受注は前年同月比16.0%減の438億1000万ドルと、過去半年で最大の落ち込みを記録した。
世界経済に対する懸念が強まっており、ハイテク製品の輸出見通しは依然厳しい。
ロイターがまとめた市場予想は0.25%減、11月は1.0%増だった。
経済部は1月の輸出受注を前年同月比20.0─15.8%減と予想。世界経済の低迷リスクが高まっており、メーカーが発注に「特に慎重になっている」と述べた。
「物価高・高金利環境が続いており、地政学的な不確実性も残っている。短期的には消費と投資が抑制され、景気回復の妨げになるだろう」と予想した。
紅海の緊張の高まりが世界貿易の懸念要因になっているとも指摘。高性能コンピューティングと人工知能(AI)アプリケーションの需要は拡大が続いているという。
香港上場中国企業株の株価下落が22日の取引で加速し、2005年以来の安値水準近くまで下げた。本土株に対する割安度は15年ぶりの大きさとなった。新たな景気刺激策と市場下支え策の不在で、投資家の悲観的ムードが強まっている。
ハンセン中国企業株指数(H株)は一時5000を割り込み、3.6%安の4943.24を付けた。終値は2.4%安の5001.95と約20年ぶりの安値に近づいた。美団やテンセント・ホールディングス(騰訊)などテック銘柄が下げを主導した。
本土株のCSI300指数は1.6%安。本土市場と二重上場している香港上場銘柄の価格差を表す指数は、09年以降で最大に達した。指数はオフショア市場の36%のディスカウントを示している。
中国で最も影響力があり革新的な企業が上場し、中国政府の干渉がそれほど感じられない香港市場の急落は、中国に対する世界の投資家の心理がいっそう憂慮すべき状態にあることをうかがわせる。
サクソ・キャピタル・マーケッツ香港の市場ストラテジスト、レドモンド・ウォン氏は香港上場株について「H株投資家の多くは海外の機関投資家であり、アジアでの配分を香港から日本や他の域内市場に振り向けている」と話した。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マービン・チェン氏は「短期的な促進材料の不足と、地域のより魅力的な代替投資対象への資金流出」を理由に挙げ、「グローバル市場は半導体セクターで急騰しているが、この分野は地政学的緊張のため中国とそれ以外の国・地域が別々の軌道を走る可能性がある」と指摘した。
中国の資産に対する懐疑的な見方が株式以外にも広がっている。今年は米金融当局のハト派転換が新興国市場の追い風になると見込まれているにもかかわらず、投資家は中国人民元と国債がアンダーパフォームすると予想している。
中国経済が依然停滞していることが最新の指標で確認されたため、同国に対する弱気なセンチメントが強まっている。こうした悲観的な見方が中国人民銀行(中央銀行)の利下げに弾みをつける一方で、金利が数年ぶりの高水準にある他の主要国と比べると、中国の利下げ余地は小さいと投資家は指摘する。
みずほ証券のアジア為替担当チーフストラテジスト、張建泰氏は「今年の中国の成長を巡る弱気な見通しを踏まえると、人民元は引き続き短期的に圧迫されると予想している」とし、「人民銀は緩和バイアスを維持する方針のため、債券は引き続き下支えされる見通しだ。しかし、元安圧力の再燃や、中国の銀行の低い純金利マージン(NIM、利ざや)によって、利下げ余地は限られるだろう」と指摘した。
中国が敬遠される一方で、トレーダーは他の新興国市場に対してよりポジティブになる多くの理由があるとみている。より利回りが高い市場は、予想される米利下げから恩恵を得られる余地が一段と大きくなることが見込まれる。また、韓国とインドが世界の主要債券指数に組み入れられる可能性があることは、両国の資産のさらなる押し上げ材料になるだろう。
●中東
サウジアラビアのファイサル外相は、パレスチナ問題の解決なくしてイスラエルとの関係正常化はあり得ないとの見解を示した。21日に放送されたCNNのインタビューで語った。
信頼できる不可逆的なパレスチナ国家への道筋がなければ正常な関係はあり得ないのかという問いに「それがわれわれに恩恵をもたらす唯一の手段だ。われわれが求める安定はパレスチナ問題を解決することでしか得られない」と答えた。
先週開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)の合間に収録されたインタビューで語った。
外相はパレスチナ自治区ガザでの紛争を緩和し、民間人の死亡を食い止めることがサウジの重要な焦点だと指摘。ガザでのイスラエルの行動は容認できないとした。
ガザの保健省によると、昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃以降、イスラエルによる攻撃で2万5000人以上のパレスチナ人が死亡、6万2000人以上が負傷している。
イスラエルのネタニヤフ首相は20日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘終結後のパレスチナ国家樹立に関するバイデン米大統領の発言について、ガザの安全保障管理を求めるイスラエルの立場と相いれないとの認識を示唆した。
バイデン氏は19日、ネタニヤフ首相と電話会談し、パレスチナ国家樹立に関する見解の相違について協議したと述べていた。
イスラエル首相府は声明で、ネタニヤフ氏がハマス掃討後もイスラエルによるガザの安全管理を継続し、イスラエルに脅威をもたらさないよう図る考えを改めて示したとし、これが「パレスチナの主権への要求と矛盾する」と指摘した。
ネタニヤフ首相がいかなる形のパレスチナ国家樹立にも反対しているかとの質問に首相府は応じていない。
バイデン氏はネタニヤフ氏在任中のイスラエルとパレスチナとの2国家樹立が不可能かとの問いに「ノー」と答え、ネタニヤフ氏は全ての解決策に反対しているわけではなく、可能な形式が複数あると述べていた。
ネタニヤフ氏は18日、「協定があろうとなかろうと、予見可能な将来におけるいかなる取り決めにおいて、イスラエルはヨルダン川の西の全域を安全に管理しなくてはならない。これが必要条件だ。主権の原則と衝突するが、われわれにはどうすることもできない」と述べていた。
英首相府は22日、将来のパレスチナ国家樹立を巡るイスラエルのネタニヤフ首相の否定的なスタンスに「失望」しており、イスラエルと将来のパレスチナ国家が共存する「2国家解決」が「恒久的な平和への最善の道」という英国の立場に変更はないという認識を示した。
ネタニヤフ首相は20日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘終結後のパレスチナ国家樹立に関し、ガザの安全保障管理を求めるイスラエルの立場と相いれないとの認識を示唆した。18日には「協定があろうとなかろうと、予見可能な将来におけるいかなる取り決めにおいて、イスラエルはヨルダン川の西の全域を安全に管理しなくてはならない。これが必要条件だ。主権の原則と衝突するが、われわれにはどうすることもできない」とも述べていた
アクシオスによると、イスラエルは仲介役のカタールとエジプトを通してハマスに提案。イスラエル政府当局者2人の話として、提案された取り決めにはパレスチナ自治区ガザで拘束されている人質全員の解放も含まれると伝えている。
欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は22日、イスラム組織ハマスを壊滅させるというイスラエルの計画はうまくいっていないとし、イスラエルが反対しようとも、EUは将来的なパレスチナ国家樹立による「2国家共存」の実現に向けた取り組みを継続しなくてはならないと述べた。
ボレル氏はEU外相理事会が開かれているブリュッセルで記者団に対し、イスラエルの行動について「全てのパレスチナ人を退去させるというのか。全てのパレスチナ人を殺害するというのか」とし、「ハマス壊滅」に向けたイスラエルの行動で何世代にもわたる憎しみが作り出されていると指摘。イスラエルと共存するパレスチナ国家の樹立につながる国際的な取り組みを進めたいと語った。
今回の外相理事会にはサウジアラビア、エジプト、ヨルダンの外相のほか、アラブ連盟事務局長が参加。イスラエルのカッツ外相とパレスチナ自治政府のマリキ外相も個別に参加している。
イスラエルのカッツ外相は記者団に対し、ハマスが拘束している人質について協議すると同時に、ハマスを解体しイスラエルの安全回復を再確認するためにEU外相理事会に出席すると語った。報道陣の質問は受け付けなかった。
もっともカッツ外相は今回のEU外相理事会で、イスラエル・パレスチナ紛争の二国家解決に関する議論を避け、将来のインフラプロジェクトに関する動画を披露。ボレル氏や他のEU外交筋によると、カッツ外相は理事会で、ガザ沖で構想されている人工島や中東とインドを結ぶ鉄道網に関する動画を流したという。
これに対し、ボレル氏は記者団に対し「カッツ外相はわれわれが議論していた問題とはほとんど、あるいは全く関係のない動画をいくつか見せた」とし、カッツ外相は今回の外相理事会をもっと有効活用できたのではないかと述べた。
外相理事会に先立ち、EUの外交部門はイスラエルとハマスの紛争を巡る和平への道筋を提案する文書を加盟27カ国に送付。EU、エジプト、ヨルダン、サウジアラビア、アラブ連盟が主催し、米国と国連も参加する「和平準備会議」の開催を提案した。イスラエルやパレスチナが参加を拒否しても同会議は開催されるが、和平案の作成に向けイスラエルとパレスチナの双方と各段階で協議するとしている。
●中南米・アフリカ
●市況
今週はネットフリックス(NFLX.O), opens new tab、テスラ(TSLA.O), opens new tab、インテル(INTC.O), opens new tab、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)(JNJ.N), opens new tabなどが決算を発表する。
フィラデルフィア半導体(.SOX), opens new tabは過去最高値を記録。エヌビディア(NVDA.O), opens new tabも最高値を更新した。
個別銘柄では穀物大手アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)が24.2%下落。捜査に絡んだ最高財務責任者の休職や通年業績見通しの下方修正を発表したことが圧迫材料となった。
製薬会社ギリアド・サイエンシズ(GILD.O), opens new tabも10.2%安。がん治療薬研究で主要目標が達成できなかったことを受けた。
日経先物36,705、ダウ先38,182、債先146.96、米4,107、独2.2595、仏2.784、西3.200、伊3.833、英3.9420、波5.246、原油74.58、銅8,327、ドル円148.15、ユーロドル1.0879
※1/23 9時25分頃
備忘録(2024/1/19-21)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
デサンティス氏はX(旧ツイッター)に動画を投稿し、「予備選に参加する共和有権者の大多数がドナルド・トランプにもう一度チャンスを与えたいと思っているのは明らかだ」と述べ、トランプ前大統領への支持を表明した。
ヘイリー元国連大使は19日、トランプ前大統領が指名を獲得した場合、トランプ氏の副大統領候補になるつもりはないと断言した。米メディア各社が伝えた。
米政治専門サイトのポリティコとワシントン・ポスト紙によると、ヘイリー氏は23日に予備選を控えるニューハンプシャー州で遊説した際、有権者に「誰の副大統領にもなりたくない。論外だ」と語った。
スコット氏によるトランプ氏指名は、共和候補指名を争うヘイリー元国連大使にとり痛手となることは必至だ。サウスカロライナ州はヘイリー氏が州知事を務めたお膝元で、ヘイリー氏は州知事時代にスコット氏を上院議員に指名した経緯がある。同州では2月24日に予備選が行われる。
2年前に知事選で地滑り的な勝利で再選を決めたデサンティス氏は、共和党の大口献金者たちから党の将来を担う候補者との評価を受け、全米を舞台に足を踏み出したばかりだっただけに、今回の大統領選からの撤退は同氏の政治的命運を揺るがす打撃となる。
デサンティス氏は「勝利への明確な道筋がないなら、私は支持者にボランティア活動や寄付を求めることはできない」と述べた。
トランプ氏はデサンティス氏からの支持を光栄に思うと述べ、すべての共和党員が自身の立候補を支持し、11月にバイデン氏を打倒する手助けをするよう要請。「ヘイリー氏は米国第一主義を阻止するためなら何でもするグローバリストと民主党の候補者だ。今こそ賢く選択する時だ」と呼び掛けた。
デサンティス氏の撤退発表を受け、ヘイリー氏は遊説先で聴衆に向かい「ロン(・デサンティス氏)に、あなたは素晴らしいレースをしたと言いたい」と語った。
米ニューハンプシャー州のスヌヌ知事は、大統領選に向け23日に行われる同州での共和党予備選でヘイリー元国連大使は勝利しなくても、予備選の次のラウンドまで選挙戦を継続できると語った。
スヌヌ知事は共和党の指名候補としてヘイリー氏を支持し、同氏とともに州内各地を回って大規模に選挙活動を展開してきた。今月15日のアイオワ州党員集会でトランプ前大統領とフロリダ州のデサンティス知事に次ぐ3位に終わったヘイリー氏は、ニューハンプシャー州で強い支持を獲得する必要がある。
同知事は21日にブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「アイオワ州を上回る成績を示すことが現時点で最も重要なことだ。指名争いでの候補者を減らし、1対1の争いに持ち込むことだ」と語った。
ニューハンプシャー州は穏健な有権者が多く、無党派層の有権者も共和党予備選に参加できるため、ヘイリー氏にとってはトランプ氏逆転に向けてこれまでで最大の好機となる。
ただ21日に発表されたCNN世論調査では、共和党予備選に行く可能性の高い有権者の間でトランプ氏の支持率が50%だったのに対し、ヘイリー氏は39%にとどまった。
スヌヌ知事は、ニューハンプシャー州とヘイリー氏の地元サウスカロライナ州での序盤戦が指名争いを巡る同氏の命運を左右するとの見方を一蹴したが、予備選が集中する3月5日の「スーパーチューズデー」では勝利する必要があると述べた。
ドイツ全土で極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の移民政策に対する抗議デモが週末に行われ、数十万人が参加した。
デモはAfD幹部が外国出身者の国外追放などを議論する会合に出席したと報じられて以降、勢いを増している。
AfDは以前から反移民政策を掲げているが、調査ニュースサイトのコレクティブは「同化していない市民」を「北アフリカのモデル国家」に送還する案について報じた。一方、AfDはこの計画は党の方針ではないとしている。
21日のデモは、ベルリンやミュンヘン、ケルンに加え、ライプツィヒやドレスデンといったAfD支持者が比較的多い東部でも行われた。ミュンヘンでは参加者が想定以上となったため、予定よりも早くデモを終了した。警察によると約10万人が参加。主催は20万人が参加したとしている。
ドイツのリントナー財務相は18日、国内で極右政党への支持が高まっていることについて、対抗するには支持拡大の背景にある問題に対処するのが最善との見方を示した。ロイターのインタビューで述べた。
具体的には外交政策の失敗や過剰な官僚主義、高すぎるエネルギー価格などを挙げた。
また、中道政党にとって支持獲得が可能な人々の多くはドイツへの無秩序な移民流入を懸念しているとし、「ドイツの国際性を維持しつつ、福祉国家であるわが国への不法移民流入を防ぐ新しい『現実政治』が必要だ」と述べた。
欧州連合(EU)の選挙や独地方選を年内に控え、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の伸長に国内外で警戒感が強まっている。
AfDの支持率は全国調査で2位、今年9月に選挙を実施する東部3州では首位につけている。
リントナー氏はAfDが提案するEU離脱について、ブレグジット(英国のEU離脱)より危険だと指摘。怒りにあおられたグループが世論調査で支持を伸ばしていると懸念を示した。
カナダ・ケベック州のルゴー首相はトルドー首相に対し、州サービスが難民増加により「崩壊点」に近づいているとして、同州への難民流入を食い止め、関連費用を拠出するよう求めた。
ルゴー氏は17日にトルドー氏に送付した書簡で、難民流入により学校が収容人数超過の状態となっているほか、住宅不足が悪化し、ホームレス収容施設が満杯になっていると説明。
「ケベック州に毎月到着する亡命申請者が多すぎて、われわれは崩壊点に近づいている。対応不能な状況だ」と訴えた。
また、ケベック州で2023年1─11月に登録された亡命申請者は約6万人に上り、24年にさらに6万5000人の流入が予想されると指摘。州民1人当たりでは他州の3倍の亡命申請者を受け入れていると述べた。
プライベートクレジット戦略の増強に向け、第三者による25億-30億ドル(約3700億-4440億円)のコミットメント確保のための協議を行っている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
同社は資金調達を目指し、政府系ファンド(SWF)や年金基金、寄付基金、オルタナティブ資産運用会社などをターゲットに、幅広い提携先を模索している。関係者によれば、既に企業債務に投資しているもののプライベート案件へのアクセスが限られているクレジットマネジャーから、最も多くの関心が寄せられている。
関係者の1人は、JPモルガンが一部投資家に対しては少なくとも5億ドルのコミットメントを求めていると明らかにした。
一方で、資金力が豊富な一部の投資家の受け止め方は盛り上がりに欠けると、事情に詳しい関係者は指摘。一部投資家が尻込みしている理由として、JPモルガンに受託者責任がなく、その代わりに同社自体とパートナー、借り手の必要性でバランスを取っている点を挙げた。
大手の確立されたプライベートクレジット投資家も料金やコントロールを巡る懸念がある中で、このイニシアチブにほとんど関心を示していないとブルームバーグは昨年12月に報じていた。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はFOXビジネスのインタビューで、「経済を締め付けないよう、先を見据えて、政策調整がいつ必要なのかを問うのは適切だと考える一方、それが間近だと考えるのは非常に時期尚早だ」と語った
「インフレ率が鈍化しているとの一貫した証拠があるだろうか、あるいは労働市場が軟化し始めていることを示す早期の兆候はあるだろうか」とした上で、「これらのいずれの点でも、現時点で調整が必要だとは考えられない」と話した。
アトランタ連銀のボスティック総裁もFOXビジネスとインタビューし、自分の見通しを変更することにやぶさかでないとしつつも、最初の利下げは7-9月(第3四半期)までないと引き続き予想していることを明らかにした。
ボスティック総裁は「こうした見通しや、いつ利下げ開始が必要になるかについての自分の見解を変えることにオープンだ」と発言。ただ、当局の物価目標に絡み、「景気抑制的スタンスを解除するのに先立ち、2%に向かって順調に進んでいることを確認」したいと述べた。
シカゴ連銀のグールズビー総裁はCNBCのインタビューで、「インフレに関して予想を超える速さの驚くべき進展が続けば、景気抑制の度合いを決める上でそれを考慮に入れなければならない」とし、インフレ鈍化に伴い「対応を評価していくのは明白だ」と述べた。
グールズビー総裁は最初の利下げ時期について直接コメントしなかったが、予想より速いペースの物価上昇圧力の緩和があれば、インフレ調整後の実質金利が上昇し続けることがないよう確保するため、当局として金利を引き下げる可能性があることを示唆した。
「それは基本的にデータに関するものだ。2%目標に向けた道筋にあるとの明確な証拠が得られれば、景気抑制の度合いを緩めることができる」と話した。
金利先物市場の動向を見ると、米金融当局が3月19、20両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げに踏み切る確率はこの数日間に大幅に低下し、19日には50%を割り込んだ。
●中国・アジア・ロシア・東欧
韓国の主要政党は18日、4月の選挙を前に、人口減を食い止めるための取り組みとして公営住宅増設や融資を受けやすくするなどの対策を発表した。出生率が低下する中、「国家消滅」への懸念払拭を目指す。
各党が選挙公約で人口問題に焦点を当てたのは、2006年以来360兆ウォン(約2680億ドル)を超える支出を行っても、記録的な少子化を覆すことができなかったことへの警戒感を反映している。
韓国では25年に人口の5分の1以上が65歳を超える「超高齢化社会」に突入するとされており、政府は総人口が22年の5160万人から72年には3620万人にまで減少すると予測している。
野党「共に民主党」の李在明代表は「国家の消滅は遠い将来に起こることではなく、差し迫った課題だ」と述べた。
最新のデータによると、韓国の出生率(1人の女性が産む子どもの平均数)は24年には0.68に低下し、過去最低だった22年の0.78を超えて少子化がさらに進むと見込まれている。
準備銀行(中央銀行)のダス総裁は18日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で、世界経済の成長鈍化は懸念材料だが、地政学的課題への対処でインドは有利な立場にあると述べた。
「地政学的な対立は続いており、新たな対立も起きている。サプライチェーン(供給網)のボトルネックは完全には正常化していない。インフレは抑制されているが、各国は目標に達していない」と指摘した。
「インドに関しては、こうした環境において国内経済は最近の危機から力強く立ち直った」と述べた。
政府は財政健全化の継続に留意しており、構造改革の勢いを維持しなから健全化を続ける意向だと説明した。
マクロ経済と金融セクター双方が安定しており、経済は引き続き堅調との見方を改めて示した。
●中東
イランは20日、シリアの首都ダマスカスでイランの精鋭部隊である革命防衛隊が基地として使用していた建物が空爆を受け幹部を含む5人が死亡したことについて、イスラエルに報復すると表明した。
空爆ではシリアの兵士も死亡したという。治安情報筋はロイターに、空爆を受けた建物はシリアのアサド政権を支持するイランの顧問が使用していたと語った。建物は「イスラエル軍の精密ミサイル」によって完全に破壊されたとしている。
イスラエルから公式の発表はない。
国営メディアによると、イラン外務省のナセル・カナーニ報道官は、攻撃は「地域に不安定さを広げるための試み」だとし「イランは適切な時と場所において、偽シオニスト政権の組織的テロリズムに対応する権利を留保する」と語った。
シリアの国営メディアは、イスラエルがダマスカスのマゼー地区の建物を空爆したと報じ、シリアの防空網が多数のミサイルを撃ち落としたと伝えた
欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は19日、イスラエルが過去にパレスチナのイスラム組織ハマス創設の資金を提供していたと述べた。スペインの大学で講演した。
イスラエルの反政府派や一部の国際メディアは、イスラエルのネタニヤフ政権が長年にわたり、ガザを実効支配していたハマスに資金援助を行っていたと非難してきた。ネタニヤフ首相はそうした疑惑を否定している。
ボレル氏は「ファタハ率いるパレスチナ自治政府を弱体化させるために、ハマスがイスラエル政府から資金援助を受けていたのは事実だ」と語った
イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラム組織ハマスが提示した新たな人質解放の条件について、受け入れられないとして拒否した。
ネタニヤフ首相はビデオでの声明で、「ハマスが人質解放と引き換えに求めているのは、戦争終結とパレスチナ自治区ガザからのイスラエル軍の撤退だ」と指摘。要求には昨年10月に約1200人を殺害したテロリストの釈放と、イスラエルが壊滅させると宣言しているハマスの存続も含まれていると述べた。
その上で、「もしわれわれがこれに同意すれば、わが国の兵士は無駄に倒れたことになり、10月7日の事態が再現するのは時間の問題に過ぎなくなる」とした上で、イスラエルは人質全員を取り戻す義務があるが、「ハマスが提示している条件は、勝利に代わるものはないという単純なポイントを浮き彫りにしている。完全な勝利だけが、ハマスの排除と人質全員の帰還を確実なものにするだろう」と語った。
人質を取り戻すよう求める世論と政治的圧力は、ここ数日で急速に高まっている。
週末には、家族らが残る人質の「処刑停止」を求め、ネタニヤフ首相の私邸前でデモを行った。
ガザに残された人質は公式には132人とされるが、27人の安否は分かっていない。人質のうち121人がイスラエル人で、11人はタイ、ネパール、タンザニア、フランス、メキシコの国籍を有する。女性は19人。
●中南米・アフリカ
●市況
個別銘柄では、米損害保険会社トラベラーズ(TRV.N), opens new tabが6.7%高。第4・四半期利益が2倍以上に増加した。ステート・ストリート(STT.N), opens new tabも2.1%上昇。第4・四半期のグローバル・アドバイザーズ部門への資金流入が過去最高を記録した
スイス重電大手ABB(ABBN.S), opens new tabが3.7%安。同社の中国での事業に関して米議会の2つの委員会が調査に乗り出したと文書で明らかになったことが嫌気された。
バークレイズが投資判断を引き下げたスウェーデン通信機器大手エリクソン(ERICb.ST), opens new tabは4.0%、フィンランドの同業ノキア(NOKIA.HE), opens new tabは2.9%それぞれ下落した。
日経先物36,387、ダウ先38,084、債先146.78、米4,132、独2.3010、仏2.831、西3.221、伊3.869、英3.9530、波5.286、原油73.10、銅8,387、ドル円148.10、ユーロドル1.0897
※1/22 9時20分頃
備忘録(2024/1/18)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
世界経済フォーラムの年次総会(通称ダボス会議)に出席した金融大手首脳ら数十人が17日、同地で非公式会合を開いた。関係筋によると、最高経営責任者(CEO)が約60人集まり、フィンテック企業や「影の銀行(シャドーバンキング)がもたらす競争上のリスクに懸念の声が広がり、経営に重くのしかかる金融規制強化への不満が噴出した。
関係筋によると、英当局の監督姿勢が特に厳しいとの指摘が出た。その次にやり玉に挙がったのが欧州中央銀行(ECB)だったという。
国際的な規制強化を巡っては、米銀大手が今週、自己資本強化を求める「バーゼル3」の最終化(バーゼル・エンドゲーム)案を導入すれば経済が弱体化すると問題視し、連邦準備理事会(FRB)に抜本的な見直しを要請していた。今回の非公式会合は、こうした動きを受けた形。
ロイターが入手した会合議題の写しによると、主導的役割を担ったのは英大手銀バークレイズのC・S・ベンカタクリシュナンCEOとカナダ保険大手マニュラフのロイ・ゴリCEO。関係筋によると、米JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏ら、世界的な銀行や保険会社などのCEOが出席した。
議題には地政学的な緊張や先行き不透明なマクロ経済、テクノロジーの劇的な変化を背景にしたリスク管理が含まれ、政策金利の変化と累増債務も議論の俎上に上がった。
●その他産業
米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社ブラックストーンのスティーブ・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)は、米金融当局が利下げすると予想し、より多くの投資家がそうした賭けに出ることで、市場に「アニマルスピリット」が戻りつつあるとの見方を示した。
シュワルツマン氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開催されているスイスのダボスでブルームバーグテレビジョンとのインタビューに応じ、米金融当局の利下げのタイミングは不透明なため、投資家の間に「不可解な効果」が生じていると指摘。それでも「金利が下がるという期待が、再びアニマルスピリットを生み出している」と述べ、金融市場で感情が果たす役割について言及した。
同氏はブラックストーンでPE投資のペースが上がっていると述べ、手元資金の確保のために不動産を処分する必要がある負債比率の高い欧州不動産保有者との取引にも関心を持っていると付け加えた。
バイデン大統領が再選された場合の米国の行方についてどう考えるかとの質問に同氏は、国の赤字に言及し、政権の国境政策は多くの人に歓迎されていないと指摘。「率直に言って、この国があと4年もその状況を続ける用意があるかどうかは分からない」と述べた。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
英下院は17日、不法入国した移民をルワンダに強制移送する法案を賛成多数で可決した。ただ、スナク首相は与党保守党内の強い反対意見を押しのけたことで権威に陰りが生じ、党内の亀裂が拡大するという高い代償を払うことになった。
スナク首相はこの間、不法入国者対策で厳格化の新法を求める党内右派に向けて形ばかりの秋波を送って造反を鎮めていた。一方、中間派は厳格化が人権擁護に反する可能性があると懸念を表明。党内が混乱し、スナク首相はリズ・トラス氏による短命政権に続いて党の立て直しに失敗したと批判を浴びていた。
採決の前日の情勢は反対派が約60人に及んだ。ただ、党内では、このまま採決に持ち込んだ場合、政権が崩壊しかねないとの懸念が浮上。結局、採決では反対が11人にとどまった。
総選挙を控えた世論調査で保守党支持率は野党労働党に後れを取っている。保守党議員の一部は、国民の間で不法移民問題を重大視する声もあるだけに、不法移民を減らせる可能性がある法案の否決に二の足を踏む様子を見せていた。
スナク首相は、造反議員を抑えつけ下院で法案が通過したことを梃子に経済立て直しに集中し、3月6日発表の予算案で有権者に減税案を提示する可能性がある。
ただ、移民移送法案は上院で審議が紛糾する可能性があり、不法移民の一掃は容易ではない。
ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持率が急上昇していることについて、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズなど同国企業の幹部が警戒の声を上げ始めた。ドイツ財界はこれまで政党政治から距離を置くのが通例で、AfDについても長らく言及を避けてきた。
しかし先週は移民の大量追放計画を謀る会議にAfD幹部2人が参加したと報道され、全国で批判が巻き起こった。人手不足が成長を阻んでいる現在、外国投資や熟練労働者にとって魅力的な場所というドイツのイメージを悪化させかねない、との懸念も生じている。
インフィニオンのヨッヘン・ハネベック最高経営責任者(CEO)は17日、リンクトインに「われわれの社会に憎悪と排斥を持ち込ませてはならない。移民送還などという考えは非人道的だ」と投稿した。
デュッセルドルフ空港のCEO、Lars Redeligx氏は、移民追放計画を聞いて声を上げる必要に駆られたと発言。「こうした考えは憲法への脅威であり、経済拠点としてのドイツにとって毒だ」と述べた。
AfDは現在、世論調査で支持率2位に付けており、ショルツ首相率いる連立政権の不人気を背景に、6月の市町村選や9月の州議会選挙で善戦すると予想されている。
米大統領選の共和党候補指名争いでトランプ前大統領の優位がさらに強まる中、米国の同盟諸国の間では、米国民が孤立主義に転じるのではないかとの懸念が広がっている。
トランプ氏が圧勝した共和党党員集会が開かれたアイオワ州では、有権者の「内向き志向」が鮮明。エジソン・リサーチの調査によると、「外交政策」が大統領選の最重要問題と答えたのは全体の1割にとどまり、「経済」の4割、「移民」の3割を下回った。
全米レベルの調査でも構図は似ている。2023年12月のロイター/イプソス調査では、戦争や国外紛争を米国にとって最も差し迫った問題として挙げたのは6%に過ぎなかった一方、移民は11%、経済は19%、犯罪は10%だった。
米国の政治は国内事案が中心という構図はずっと前から続いているが、近年は特に共和党内で孤立主義が広がりを見せている。トランプ氏や共和党指導部の何人かが米国のウクライナ支援を批判したり、トランプ氏が米国は世界の戦争に巻き込まれて混乱しかねないと警告したりしているのはその典型的な例だ。
トランプ氏側近らは、同氏が大統領に返り咲けば防衛力に関する欧州向け支援を削減し、中国との経済的な関係を縮小するとともに、外交の主要な手段として再び関税を利用すると表明。ワシントンに駐在する各国の外交官は今、トランプ氏の外交政策を把握しようと躍起になっている。
これらの外交官は、米議会の共和党にも不安の目を向けつつある。バイデン政権が求めるウクライナや、イスラム組織ハマスと戦っているイスラエル、中国からの圧迫が強まっている台湾への追加支援に反対しているからだ。
共和党が優勢な下院は23年11月、イスラエルの支援法案を可決したが、それは連邦歳入庁(IRS)向け予算を削減して財源をねん出したもので、民主党が多数派の上院が承認しなかった。
シンクタンク、シカゴ・グローバル評議会の公論専門家ディア・スメルツ氏は「これまでかなり当然視されてきた米国の同盟の枠組みや世界への関与を巡り、トランプ氏が疑念を高める役割を演じている」と指摘した。
23年9月に同評議会が行った調査では、共和党員の53%は米国が「世界的な問題から距離を置くべき」だと回答。この調査で共和、民主両党員のいずれかの半数以上が孤立主義的な姿勢を示したのは1974年以来となった。
<強まる警戒感>
トランプ氏がまた大統領になれば、国防総省や国務省、中央情報局といった外交・安全保障に関わる行政組織の主要ポストに、自身への忠誠心が高い人物を起用し、同氏の孤立主義的な政策をよりフリーハンドで実行できる体制を整えるとみられる。
欧州連合(EU)のブルトン欧州委員(域内市場担当)は今月、トランプ氏は大統領だった20年当時、複数の欧州首脳に対して欧州が攻撃を受けても米国は決して助けないし、北大西洋条約機構(NATO)から手を引くと伝えていたことを明かした。
そうしたトランプ氏が再び政権の座に就く可能性について、米国と最も親密な同盟諸国からさえも心配の声が聞こえてくる。カナダのトルドー首相は16日、「(トランプ氏の)1期目は(対処するのが)簡単ではなかった。2期目を迎えても、やはり一筋縄ではいかないだろう」と警戒感をあらわにしている。
米共和党のジョンソン下院議長は17日、ウクライナ支援を巡るバイデン大統領と議員らの協議で移民政策の見直しを求めたと明らかにした。
共和党はメキシコ国境の新たな安全保障政策を推し進めるため、バイデン氏が求めたウクライナ向け緊急予算を阻止し、一部政府機関を閉鎖に追い込むと警告している。
全国銀行協会の加藤勝彦会長(みずほ銀行頭取)は18日の会見で、日銀のマイナス金利解除による企業への影響は限定的とする一方で、日米金利差縮小による円安の緩和というプラス面があるとの見方を示した。
加藤会長は、足元の状況について「物価安定目標達成に向けて、賃金・物価の好循環の実現を見極める段階」と指摘。これが見通せるとの判断に至ればマイナス金利解除など金融政策の変更が検討されるとした。
政策変更が行われた際の企業への影響については「マイナス金利解除による実質的な金利上昇幅は、米国に比べると小さい。貸出金利上昇による影響は限定的」との見方を示した。また「日米金利差縮小による過度な円安の緩和も予想されている」とし「原材料の輸入価格が低下して採算改善のプラス面もあると考えている」と述べた。
能登半島地震の影響は、状況を注視する必要があると話した。
世界経済については、2024年は「緩やかな成長が続く」との見通しを示した。欧米では金融引き締めの影響から年前半減速するものの、予想される利下げの効果で年後半から持ち直すと予想。中国は「不動産業界の低迷長期化、消費マインドの落ち込みから成長鈍化するが、財務の下支えがあり大きな落ち込みは避けられる」とみている。
日本については「しっかりとした賃上げ続くと思われ、実質賃金が改善することを受け、個人消費の増加も期待される」と指摘した。
国際通貨基金(IMF)のゴピナート筆頭副専務理事は、早期利下げへの市場期待をあおらないよう各国中央銀行に対し政策転換を慎重に進めるよう注意を促した。18日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に掲載されたインタビュー記事で述べた。
ゴピナート氏は、米国やユーロ圏など世界各地で労働市場が逼迫していることやサービスインフレが高いことから、インフレ率は昨年ほど大幅には鈍化しないと指摘。「入手したデータに基づくと、利下げは今年上期ではなく、下期になるだろう」と語った。
米企業の2023年冬のボーナスが落ち込んだ。米雇用管理サービスのガストの調査によると、23年12月に米企業が支給したボーナス額は平均2145ドル(約32万円)と、前年の水準を21%下回った。経営者は従業員の流出リスクより、景気の先行き懸念から手元資金を温存する傾向を強めている。
調査は米国の中小企業約30万社以上を対象にした。中小企業は米国の民間雇用の半分近くを占める。対象とする22の全業界で平均ボーナスが減少した。額だけでなく、支給された労働者の割合も22年比で2.7%、21年比で6.9%いずれも減った。
調査を担当した主任エコノミストのリズ・ウィルケ氏は、米メディアの取材に「人材確保の難しさが指摘されてきたヘルスケアや食品、小売業などでも冬のボーナスが大幅に削減されたことに驚いた」と語った。企業はボーナス支給などの待遇改善で人員の流出を防ぐことを優先してきたが、潮目は変わりつつある。
●中国・アジア・ロシア・東欧
米国務省グローバル・エンゲージメント・センター調整官兼特使のジェームズ・ルービン氏は18日、国政選挙が続く今年の欧州で、ウクライナ問題を巡る世論操作を狙ってロシアが情報戦を仕掛けるというのが米国の見方だ、と明らかにした。
FTによると、下院外交委員会のインド太平洋小委員会で民主党トップを務めるアミ・ベラ議員と共和党のアンディ・バー議員およびマリオ・ディアス・バラート議員が台湾を来週訪問する。
中国問題を扱う下院の超党派特別委員会で委員長を務めるマイク・ギャラガー議員(共和党)も最初の代表団の後に訪台する予定という。
ロシア外務省は17日、プーチン大統領とイランのライシ大統領が近く新たな二国間条約に調印すると明らかにした。両国は政治・貿易・軍事面で関係を強化しており、米国とイスラエルの懸念材料となっている。
香港の不動産開発会社が年明け後に一段と窮状に追い込まれている。資金調達コストの上昇や、住宅販売および賃貸オフィス市場の低迷が原因。債権者や投資家は、不動産会社の財務の健全性に警戒感を強めている。
4人の消息筋によると、香港の不動産会社は借り入れ比率の高い業者や弱小業者が一部大手行から新規融資を打ち切られ、プライベートクレジット(銀行を介さないファンドによる企業融資)市場でより高コストな融資を求めざるを得なくなっている。
かつて活況を誇った香港の不動産市場は先行き不透明感が強まり、銀行の多くは既存の融資を圧縮したり、不動産業者に担保の上乗せを求めたりしている。その結果、資金調達コストはさらなる上昇が見込まれており、住宅販売の低迷や記録的高水準にあるオフィス空室率を考えると、今年は不動産開発会社にとって昨年以上に厳しい年になりそうだ。
投資家は香港の不動産会社が中国本土の業者のようなデフォルト(債務不履行)に陥るとは見込んでいないが、このセクターがすぐ回復するとも見ていない。
香港の不動産市場はグレードAのオフィススペースの空室率が過去最高の16.4%に達しているほか、住宅価格が今年もスパイラル的な下落を続けると予測され、UBSとシティは既に21年のピークから20%下げた住宅価格がさらに10%下落すると予測している。
UBSのアナリスト、マーク・ルーン氏は「香港の弱小業者の一部が十分なキャッシュバッファーを持てるかどうかは、地元経済の回復スピードと金利低下のタイミングにかかっている」と述べた。同氏は、金利引き下げは下半期以降と見込んでいる。
香港の不動産開発会社は一般的に中国本土の業者よりも負債比率が低く、事業や収益の多様化も進んでいることから、債務不履行を回避できると予想されている。
とはいえ、商業銀行は不動産開発会社の返済能力への懸念を強めており、同セクターへの投融資を圧縮していると、信用市場や不動産業界の関係者は指摘する。
香港金融管理局(HKMA)のデータによると、不動産開発・投資向け融資総額は23年第2・四半期から減少し始め、第3・四半期は第1・四半期と比べて5%減った。
プライベートクレジット市場の関係者は「同市場が銀行からの資金調達の落ち込みを穴埋めしている」と説明。不動産会社は銀行からの借り入れが不可能になり、昨年以来、プライベートクレジットから借り入れる業者が増えていると話した。
「クレジット業界はこのセクターに対して慎重姿勢だが、態度は一律ではない。キャッシュフローが豊富な業者はまだ資金調達に問題が生じていないが、借り入れ比率の高い業者の中には市場からの借り入れが全くできないところもある」という。
3人の消息筋によると、金利は銀行の6%程度に対して、プライベートクレジットは10%ないし20%。市場評価額がさらに下がる事態に備えるため、LTV(総資産に占める負債の割合)は60%以下から30%程度に厳しく抑えられている。
JPモルガンは調査ノートで、香港の不動産セクターで空売りを模索しているヘッジファンドが増えていると分析。「2024年には金利が下がるかもしれないが、住宅価格やオフィス・店舗の賃料が引き続き期待を裏切る可能性があり、大半の投資家は今が香港不動産市場に参入する最良のタイミングだとは感じていない」と指摘した。
●中東
イランとパキスタンの間の緊張が高まっていることを巡り、米政府は18日、双方に自制を呼びかけた。
米国務省のマシュー・ミラー報道官は、隣国との協力関係の重要性に関するパキスタンの発言は生産的で有益だと評価した。
一方、バイデン大統領は、両国の対立はイランが地域内で孤立していることを示すと指摘。「この先どうなるかはわからない」と述べた。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、両国の衝突を注視しているとした上で「南アジアや中央アジアでの事態の悪化を望んでいない。パキスタンのカウンターパートと連絡を取り合っている」と述べた。
イラン外務省は18日、パキスタンと良好な隣人関係を保つと確約する声明を発表した。同時に、パキスタンがイラン領内に「テロリストの拠点」を設置することを阻止する必要があると強調した。
イスラエルのネタニヤフ首相は18日、パレスチナ自治区ガザにいるイスラム組織ハマスの戦闘部隊の約3分の2を壊滅させたとし、「完全勝利」まで戦争を続けると述べた。
●中南米・アフリカ
米国務省は18日、ブリンケン国務長官が21─26日の日程でアフリカ諸国を歴訪すると発表した。各国首脳らとの協議では、昨年ニジェールで発生したクーデターを受け、西アフリカにおける安全保障上の課題が焦点となる見通し。
●市況
<為替> ドルが5営業日続伸。朝方発表された週間の米新規失業保険申請件数が良好な内容となったことを受け、早期利下げ観測が後退した。
CMEフェドウオッチによると、FRBが3月に少なくとも0.25%ポイントの利下げを実施する確率は57.1%。1週間前は73.2%だった。
アトランタ地区連銀のボスティック総裁は18日、インフレ率が予想よりも迅速に低下しているという「説得力のある」証拠が今後数カ月で得られれば、自身の従来想定より早期の利下げに前向きだと述べた
<債券> 米債利回りが上昇した。堅調な雇用関連指標を受け、早期の米利下げ観測が後退した。
パキスタンがイランに報復攻撃を実施したことで中東での紛争が激化するとの懸念から、質への逃避が一部強まり、オーバーナイトでは米債利回りが低下。
ただ、米労働省が18日に発表した13日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は1万6000件減の18万7000件と2022年9月以来の低水準となったことを受け、今週の米債市場の弱気バイアスが再び優勢となった
<株式> 反発して取引を終えた。人工知能(AI)向け需要への拡大期待から、エヌビディアなど半導体関連株が買われた。S&P総合500種は2022年1月に付けた終値での過去最高値まで0.3%に迫った。
半導体受託生産最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の米上場株は約10%急伸。18日の決算発表で、24年はAI向け半導体が好調に推移すると予想し、20%超の増収を確保するとの見通しを示したことが好感された。
半導体メーカーのブロードコム、クアルコム、マーベル・テクノロジーがそろって3%超上昇。フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は3.4%高となり、昨年12月に付けた過去最高値に接近した。
米株はFRBによる利下げへの期待が後退し、下げる展開が続いていた。
医療保険大手ヒューマナは8%下落。2023年第4・四半期の医療保険コストが従来見通しを上回る見込みだと発表した。
地銀キーコープは4.6安。第4・四半期の減益を嫌気した。
<米原油先物> 原油在庫の減少幅が市場予想を大きく上回ったことで需給が引き締まるとの思惑から買いが広がり、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物は前日清算値(終値に相当)比1.52ドル(2.09%)高の1バレル=74.08ドルだった。3月物は1.47ドル高の73.95ドル。
<ロンドン株式市場> 4営業日ぶりに反発して取引を終えた。企業が相次いで好決算を発表したことが相場を支援した。
<欧州株式市場> 4営業日ぶりに反発して取引を終えた。賭け業者フラッター・エンターテインメントや高級ブランド大手リシュモンの決算内容が材料視され、買い注文が優勢となった。
「カルティエなどを展開するスイスのリシュモンは10.4%と大幅に上昇。中国での売り上げが伸びたのを背景に、23年10―12月期売上高が予想を上回ったことが材料視された。
フランスの同業LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は2.5%、「グッチ」を抱えるケリングは2.2%それぞれ上昇。日用品・家庭用品株指数を1.18%高と押し上げた。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが上昇し、6週間ぶりの高水準に達した。欧州中央銀行(ECB)が来週の理事会を控えてブラックアウト期間に入る中、雇用の堅調な伸びを示す米指標が材料となった。
日経先物35,998、ダウ先37,656、債先146.74、米4.162、独2.3135、仏2.848、西3.263、伊3.930、英3.9755、波5.235、原油73.90、銅8,318、ドル円148.01、ユーロドル1.0879
※1/17 9時30分頃
備忘録(2024/1/17)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのパネッタ・イタリア中銀総裁は17日、ユーロ圏の銀行の間で今後、流動性を求める競争が拡大すると指摘、全ての銀行が計画通りに速やかに預金を増やせるわけではないと述べた。
総裁はイタリア銀行協会の執行委員会で、銀行が流動性の確保で対価の支払いを求められるのは「時間の問題だ」と指摘。
ECBがバランスシートを縮小する中、銀行は流動性リスクを注視し、「現実的な」コンティンジェンシー・プラン(不測の事態を想定した緊急対応策)を策定する必要があると述べた。
「イタリアと欧州の資金調達計画を見たが、どれも今後必要な場合に預金を増やせるという可能性に依存している。全ての銀行が同時にそうすることは不可能だ」と語った。
パネッタ総裁は、金融状況は現在の物価見通しに合わせて調整する必要があると指摘。現在の見通しはユーロ圏で「強力なディスインフレ」が起きることを示しているが、これが政策決定前の段階でも当てはまるか、まずデータで確認する必要があると述べた。
紅海の混乱で原材料価格にリスクが生じているが、まだ影響は現実のものとはなっていないとも語った。
米連邦準備理事会(FRB)のウォーラー理事は16日、新たな銀行自己資本規制案に対し業界や議会から反発が出たことについて、大幅な計画見直しの必要性を示していると述べた。
「必ずしも良い規制案ではなかった」とし、いったん取り下げ、見直しを行った上で改めて公表する方が好ましいとの見方を示した。
ウォーラー氏は規制案が公表された時点で反対していた。
同氏は規制案がFRB内で幅広い支持を得る可能性はあるが、大幅な修正が加えられた場合に限ると述べた。
地方銀行は複数のリスクを抱えており、それにより融資能力が限定される見通しだと、グッゲンハイム・パートナーズ・インベストメント・マネジメントのアン・ウォルシュ最高投資責任者(CIO)が指摘した。
ウォルシュ氏は、世界経済フォーラム(WEF)が開かれているスイス・ダボスでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「地方銀行について非常に懸念している」と発言。「現状において地銀はいくつかのリスクを抱えている。商業用不動産と、その分野での借り換えの壁がある。また商工ローン分野での借り換えの壁にも直面している」と述べた。
シリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャー・バンク、ファースト・リパブリック・バンクの経営破綻を受け、2023年に地方銀行が注目されるようになった。南カリフォルニア大学、ノースウェスタン大学、コロンビア大学、スタンフォード大学のアナリストがまとめたリポートによれば、米国の銀行は23年7-9月(第3四半期)末時点で約2兆7000億ドル(約400兆円)の商業用不動産ローン債権を保有している
「地銀の融資能力は非常に限定的となるだろう」とウォルシュ氏は語った。
17日に2023年第4・四半期決算を発表した複数の米大手地銀はいずれも減益となり、米連邦準備理事会(FRB)の利上げによる金利収入増加という追い風がなくなりつつあることが改めて示された。
大半の地銀にとって、預金などへの支払金利と融資から得られる金利の差である純金利収入は中核的な収益源で、FRBによる昨年の利上げがこれまではプラスに働いてきた。しかし銀行間の預金獲得競争が激しくなったり、一部で融資の伸びが低調になったりしたため、様相が変わっている。
チャールズ・シュワブ(SCHW.N), opens new tab、シチズンズ・ファイナンシャル(CFG.N), opens new tab、USバンコープ(USB.N), opens new tabはいずれも、第4・四半期の純金利収入が預金維持コストの増加などで目減りしたと明かした。
今年はFRBが利下げに転じると予想され、地銀業界からは純金利収入が一層圧迫されそうだと警戒する声も聞かれる。
第4・四半期はチャールズ・シュワブが47%の減益で純金利収入は30%減、シチズンズは71%減益で純金利収入は12%減だった。
シチズンズは今年の純金利収入について、23年全体の62億4000万ドルより6─9%少なくなる可能性があるとの見通しを示した。
また12日に第4・四半期決算を発表した大手行と同じく、地銀業界もシリコンバレー銀行の破綻などで痛手を受けた連邦預金保険公社(FDIC)の基金補充の負担が一時的要因として業績の足を引っ張った。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、国際通貨基金(IMF)専務理事時代にワシントンでドナルド・トランプ氏の米大統領就任を間近で観察する機会があった。トランプ氏の2期目のリスクについて遠慮なく警告できるのはそのためかもしれない。冗談めかしてもいるが、同時に非常に真剣だ。
ダボスで行われたブルームバーグテレビジョンとのインタビューで米大統領選挙について質問を受けると、ラガルド氏は即座にコーヒーカップを持ち上げ「ああ、ちょっと一服させて」と言って聴衆を笑わせた。
同氏はそれから、2025年にトランプ氏が大統領に返り咲いた場合、政策当局にとってどれほど厄介なことになるかを説明した。
「もちろん、われわれは皆懸念している。米国は世界最大の経済大国であり、最大の軍事大国であり、民主主義の象徴だからだ」と述べ、「インフレに対してと同じように、細心の注意を払って備えなければならない」と話した。
全ての「もしも」のシナリオを考慮する必要があり、欧州は強くあらねばならず、世界中の友人に頼れると仮定すべきではないと述べた。友人関係は変わる可能性があるからだという。
世論調査によると、11月の米大統領選はトランプ氏とバイデン大統領との再戦になりそうだ。
2019年11月からECB総裁を務めているラガルド氏は、以前からトランプ氏を批判してきた。ラガルド氏がIMF専務理事でトランプ氏が大統領候補だった16年当時、トランプ氏の主要政策の一つだった関税の経済的リスクを強調した。
3年後にワシントンを離れてフランクフルトに移る前には、トランプ氏が仕掛けた中国との貿易摩擦が世界経済の成長を鈍化させたと非難した。
昨年12月の米小売売上高は3カ月ぶりの大幅増加となった。ホリデー期間の消費は堅調な形で締めくくられ、2024年にかけて個人消費の底堅さが続いていたことを示唆した。
キーポイント
米小売売上高は前月比0.6%増
市場予想は0.4%増
前月は0.3%増
データはインフレ調整を加えていない
自動車を除いたベースの小売売上高は0.4%増加した。
13項目のうち9つで増加。衣料品の他、百貨店を含む総合小売店、無店舗小売りでの伸びが目立った。自動車・同部品の売上高は1.1%増。一方、ガソリン価格の下落を背景に、ガソリンスタンドの売上高は3カ月連続で減少した。
今回の数字は、家計支出がおおむね上振れサプライズとなってきた1年間を締めくくるものだ。エコノミストらのリセッション(景気後退)予測は、そうした状況を背景に実現しなかった。しかし、長引くインフレや借り入れコストの高止まり、貯蓄減少に消費者が直面する中、勢いは2024年に鈍るとエコノミストらはみている。
キャピタル・エコノミクスの米国担当次席エコノミスト、アンドルー・ハンター氏は「雇用や賃金の伸び鈍化が広がり、金利上昇の遅行効果が一定の打撃を追加的にもたらすのに伴い、さらなる減速がこの先待ち受けていると当社ではなお考えている。だが、より急激な下降が訪れることを示唆する要素はまだほとんどない」と述べた。
国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は0.8%増加。昨年7月以来の大幅な伸びを示した。
小売売上高は主に財の購入を反映しており、これが全体の消費支出に占める比率は比較的小さい。12月の個人消費支出(PCE)全体の数字は今月下旬に公表される。
英国立統計局(ONS)が17日発表した昨年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比4%となり、10カ月ぶりに加速した。
ONSはたばこ税の引き上げが要因と説明した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は3.8%。11月は約2年ぶりの低水準の3.9%だった。
英インフレ率はここ数カ月、予想以上の鈍化が続いていた。今回の統計はイングランド銀行(英中央銀行)の懸念材料になりそうだ。
中銀は昨年11月、インフレ率が目標の2%に戻るには2025年後半までかかると予想したが、多くのエコノミストはガス卸売価格の下落などにより今年の4月か5月にも実現する可能性があるとみている。
英中銀の元金融政策委員マイケル・ソーンダーズ氏は12月のCPIについて、広範なインフレ低下基調と矛盾しているとは思わないと指摘。BBCラジオで「より大きな構図として、中銀が数カ月前に予想していたよりも急速なペースでインフレ率は低下している」と指摘し、今年半ばごろに利下げが始まる可能性があるとの見方を示した。
ONSは昨年11月下旬から実施されたたばこ税の引き上げをインフレ加速の理由に挙げたが、衣料品、航空運賃、娯楽サービスなど、より広範な物価上昇圧力が見られた。
一方、食品・非アルコール飲料の伸び率は前年比8.0%と22年4月以来の低水準だった。
変動の激しい食品、エネルギー、アルコール、たばこを除くコアインフレ率は前年比5.1%と、11月と同水準。鈍化しなかったのは昨年7月以来。市場予想は4.9%だった。
サービス価格上昇率は6.4%で11月の6.3%から加速した。モノの価格は1.9%と21年4月以来の低い伸びとなった。
12月の生産者物価指数は(PPI)は投入コストが前年比2.8%下落した。7月以来の大幅なマイナスとなり、価格上昇圧力が予想以上に弱まったことが示された。
ハント財務相はインフレ率は直線的に低下していないとの認識を示した。「われわれは借り入れをコントロールするために難しい決断を下したが、現在は曲がり角を迎えている」と述べた。
全米住宅建設業者協会(NAHB)が17日発表した1月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は44と、前月の37から上昇し、2023年9月以来の高水準となった。上昇幅は23年2月以来の大きさだった。住宅ローン金利の低下により値ごろ感が高まった。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は39だった。
NAHBのアリシア・ヒューイ会長は「金利の低下により、ここ1カ月で住宅の値ごろ感が改善し、昨秋に借入コストの上昇で脇に追いやられていた買い手の一部が市場に戻ってきた」と指摘。「24年には一戸建ての着工件数が増加し、市場に必要な住宅在庫が増えることが見込まれる。ただ、建設業者は建築資材のコストと入手しやすさ、土地の供給という点でますます大きな課題に直面することになる」と述べた。
価格を引き下げた建設業者の割合は31%と前月の36%から低下し、8月以来の低水準となった。
米エネルギー情報局(EIA)は16日、風力と太陽光が今後2年間、米国の発電量の伸びをけん引するとの見通しを示した。
EIAは、米国の太陽光発電量は有利な税額控除などを背景に、2023年の1630億キロワット時から25年には75%増の2860億キロワット時に上昇すると予想した。
米国の電力部門では今年、太陽光発電量が約38%増加するとみられている。
EIAは風力発電量について、25年には11%増の4760億キロワット時に達すると予想。ただ、今年の発電量は横ばいで推移するとみている。
一方、石炭発電量は23年の6650億キロワット時から25年には18%減の5480億キロワット時になる見込み。
米国最大の発電源である天然ガスの発電量は、24、25年も1兆7000億キロワット時で横ばいとなる見通し。
昨年の米国での総発電量は約4兆キロワット時だった。このうち、風力と太陽光を含む再生可能エネルギー源による発電量は22%を占めた。
12月の英消費者物価指数(CPI)上昇率が予想外に加速したことを受け、投資家が織り込むイングランド銀行(英中央銀行)の利下げ確率が低下した。
金利スワップ市場の取引は、5月までに中銀が25ベーシスポイント(bp)利下げする確率が50%であることを示している。16日時点ではこの確率は80%だった。
年末までには100bp強の利下げが織り込まれており、前日に予想されていた122bpから縮小。市場が今年5回ではなく4回の利下げを予想していることになる。
デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は17日、今年の米経済は大幅減速を回避できると予想しつつも、インフレが想定以上に根強く、成長の足かせとなる可能性があると警告した。
ソロモン氏はロイターのインタビューで「米経済は予想以上に前向きだ。特に労働、食品、ガスなどのインフレが人びとの予想以上に残るリスクはまだあると思う」と語った。
また、景気が本格的に減速する可能性が高いと思っていたが、実際には予想よりかなり緩やかな減速にとどまっていると述べた。
17日の市場で、投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)(.VIX), opens new tabが一時15.37と、11月10日以来2カ月ぶり高水準を付けた。米連邦準備理事会(FRB)高官の発言を受け、投資家が利下げ期待を後退させたためだ。
長期平均の19.6を大きく下回ってはいるものの、12月中旬に付けた4年ぶり低水準である11.81から上昇したことは、2024年の株式市場が不安定なスタートを切ったことを浮き彫りにしている。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国国家統計局が17日発表したデータによると、12月の新築住宅価格は前月比で2015年2月以来約9年ぶりの大幅な下落率を記録した。当局は信頼感押し上げに向けた一連の対策を打ち出しているが、景気回復がさえず、不動産危機が長期化する中、住宅購入者は慎重な姿勢を崩していないようだ。
ムーディーズ・アナリティクスは「24年は当局がどの程度効果的に不動産市場を反転させられるかどうかにかかっている」と述べた。
HSBCのエコノミストは「住宅政策の緩和継続と一段の支援策が、不動産のソフトランディング(軟着陸)の鍵を握る」と指摘した。
中国国家統計局が17日発表した2023年第4・四半期の国内総生産(GDP)は前年比5.2%増加した。第3・四半期の4.9%から加速したが、アナリスト予想の5.3%増をわずかに下回った。
不動産危機の悪化、デフレ圧力の高まり、需要低迷が背景。市場では中国当局が近く追加の刺激策を打ち出すとの見方が強まっている。
23年通年の成長率は5.2%で、アナリスト予想と一致した。中国政府が設定した23年成長率目標(5%前後)を達成した。
第4・四半期GDPは前四半期からは1.0%増加し、アナリスト予想と一致した。第3・四半期の前期比伸び率は1.5%に改定された。
中国経済は大方の予想に反し、新型コロナウイルス後の力強い持続的な景気回復が進んでいない。不動産危機の長期化、消費者・企業信頼感の低迷、地方政府の膨大な債務、世界経済の減速が背景だ。
チャイナ・ベージュブック・インターナショナルの最新調査は「新型コロナ後の景気回復は終了した。失望を招くものだった」とし「(今年の)景気回復ペースが本格的に加速するには、予想外の世界経済の大幅な好転か、より積極的な政府の政策が必要だ」と指摘した。
国家統計局の康義局長は17日、記者団に対し、昨年の経済成長は「苦労して勝ち取った」ものだが、今年は複雑な外部環境と需要不足に直面すると発言]
第4・四半期のGDP伸び率が市場予想を下回ったことを受け、中国株は5年ぶりの安値付近で推移し、香港株は14カ月ぶりの安値まで急落した。人民元も下落している。
<12月の指標はまちまち>
GDP統計と同時に発表された23年12月の鉱工業生産は前年同月比6.8%増加し、前月の6.6%から伸びが加速。22年2月以来の高い伸びを記録した。ロイターがまとめたアナリスト予想(6.6%)を上回った。自動車生産などが増加した。
一方、12月の小売売上高は9月以来の低い伸びとなった。また、投資の伸びも引き続き低調となった。
小売売上高は前年比7.4%増加。11月の10.1%増から鈍化した。アナリスト予想は8.0%増だった。
1─12月の固定資産投資は前年比3.0%増加し、アナリスト予想の2.9%増をわずかに上回った。1─11月は2.9%増だった。
中国経済のけん引役であった不動産セクターは低迷が続いており、景気回復の足かせとなっている。12月の新築住宅価格は前月比で15年2月以来の大幅な下落率を記録した。
1─12月の不動産販売(床面積ベース)は前年同期比8.5%減少した。需要が低迷する中、不動産セクターの依然として厳しい状況が示された。1─11月は8.0%減だった。
不動産投資は9.6%減。1─11月は9.4%減だった。新規着工(床面積ベース)は20.4%減少。1─11月は21.2%減だった。
UOBのエコノミスト、ウォイ・チェン・ホー氏は「市場は15日に金利引き下げが行われなかったことに失望したとみられるが、当局はより的を絞った措置を検討しているようだ。不動産の問題は幅広い利下げでは解決しない」と述べた。
ムーディーズ・アナリティクスのエコノミスト、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は「年央から少しずつ支援策が打ち出されているが、事態は改善していない。中国経済には明らかに追加刺激策が必要だ」と指摘。
「消費喚起には家計への直接支援が必要かもしれないが、政府は近年、そうした支援に否定的だ。金融緩和のほか、インフラ、エネルギー、製造業プロジェクト向けの新規債発行の可能性の方が高い」と述べた。
<若者の失業率発表再開、人口再び減少>
全国調査に基づく失業率は12月に5.1%と11月の5.0%を上回り、雇用市場が若干悪化したことが示された。先行き不透明感が強く、企業が人員拡大に慎重な姿勢を維持している。
国家統計局は、5カ月間公表を停止していた若年層の失業率の発表を再開した。12月の16─24歳の失業率(大学生を除く)は14.9%。6月は過去最悪の21.3%を記録していた。
最近の指標を踏まえると、年明けの中国経済も不安定な状況とみられる。デフレ圧力が続き、輸出は小幅な増加にとどまっており、製造業が急ピッチで回復する可能性は低い。12月の銀行融資も低迷した。
キャピタル・エコノミクスの中国経済担当責任者、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「短期的には政策緩和で一定の押し上げ効果が見込めるが、年内の景気減速再開は避けられないだろう」とし「政府は『5.0%前後』という23年のGDP目標を達成したが、24年に同じペースを実現するのは、はるかに困難であることが判明するだろう」と述べた。
中国では、人口の減少が長期的な経済成長の見通しに影を落としている。23年末時点の総人口は14億0900万人となり、2年連続で減少した。前年末は14億1175万人だった。
フィッチ・レーティングスは16日、インドの長期外貨建て発行体デフォルト格付けを「BBBマイナス」に据え置いた。見通しは安定的とした。ただ、脆弱な財政状況が格付けに対する「最大の制約」と指摘した。
インド政府は2023/24年度(23年4月─24年3月)の財政赤字を国内総生産(GDP)比5.9%と、前年度の6.4%から引き下げる目標を掲げている。フィッチはこの目標は達成可能と予想しているが、25/26年度までに赤字をGDP比4.5%に引き下げるのは難しいとの見方を示した。
「23/24年度以降、財政の道筋はより確実性を欠き、経済成長と財政再建のトレードオフが深刻になる」と指摘した。
23/24年度の経済成長率は6.9%、24/25年度は6.5%と予想。また、25年度に中銀が政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き下げることで24年末にはインフレ率が4.7%まで低下すると予想している。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は17日、中国は金融サービス企業に対して「非常に一貫した」開放姿勢を見せているが、米国企業にとっての潜在的な利点を見極めることは一段と複雑になっているとの考えを示した。
ダイモン氏は世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)でCNBCのインタビューに応じ、中国進出を考えている投資家は「リスクリワードが劇的に変化した」ため、「やや心配」する必要があると述べた。
一方で、「中国は確実にビジネスへの開放姿勢を維持し、外国企業に対して公平であるよう努めている」とも指摘。ダボス会議で中国の李強首相と会談したと述べ、「彼らがここにいるのは良いことだ」と続けた。
中国株が17日の取引で大きく売られた。経済指標に対する失望が広がり、弱気な見方が市場で強まった。
香港上場の中国企業株で構成するハンセン中国企業株(H株)指数は3.9%安で取引を終了。2022年10月以来の下落率となった。本土株のCSI300指数は2.2%安。外国人投資家の本土株売り越しがここ1年余りで最大の130億元(約2670億円)に膨らんだ。
15日の中国人民銀行(中央銀行)による利下げ見送りにすでに落胆していた投資家らの間には、17日発表の経済統計ででデフレ圧力と不動産危機の持続的な課題が示されたことから、あきらめムードが広がっているように見えた。
カメット・キャピタル・パートナーズの投資責任者デレク・タイ氏は「降参だ」と述べ、「人民銀の足踏みから始まった今週は経済リスク懸念が膨れ上がり、最新のデータはさらに継続的な落ち込みを裏付けている」と指摘した。
中国の人口減少ペースが昨年、加速した。出生数が再び記録的な低水準に落ち込み、デフレ圧力と不動産危機への対応を迫られている政府だが、人口動態の変化という長期的な課題にも直面している。
国家統計局が17日発表したデータによれば、中国の人口は23年に200万人余り減少し、14億1000万人となった。2年連続の人口減で、減少数は22年の倍余り。22年の人口減少は毛沢東初代国家主席の下での大飢饉(ききん)最終年の1961年以来だった。
2023年の死亡者数は1110万人で、前年の1041万人を上回った。政府が22年12月に新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を解除した後にコロナ関連死亡者が急増したためと思われる。
23年に生まれた新生児は902万人で、1949年の中華人民共和国建国以来最低。新生児数は60年代から着実に減少している。政府が「一人っ子政策」を緩和した後の2016年の持ち直しも長続きせず、その後の出産奨励策も減少を食い止めるには至らなかった。
中国国家統計局が17日発表した2023年12月の学生を除く若年層の失業率は14.9%となった。
統計局は昨年8月、若者の失業率について調査方法を見直すとし、その間は公表を停止すると説明。7月分の16-24歳失業率は公表されなかった。16-24歳の失業率は6月に21.3%と、過去最悪を更新していた。
統計局の康義局長は北京での記者会見で、「学生を含まない年齢層別の失業率を算出することで、社会に出てきた若者の雇用状況をより正確に反映できる」と述べ、学生は16-24歳の3割余りを占め、求職ではなく、主に学業に専念していると説明。
アルバイトを探している学生と卒業した学生を混ぜると、不正確なイメージになるとも指摘した。
中国では昨年、若者の失業率が急上昇。景気が低迷する中で、企業が雇用を控えた。かつて多くの若者にとって有利な産業だったテクノロジーセクターに対し当局が行った締め付けの影響が長引いていることも背景だ。
中国の国内総生産(GDP)に対する債務比率が過去最高を更新した。ブルームバーグが中国人民銀行(中央銀行)と中国国家統計局のデータをまとめた。
マクロレバレッジ比率(GDPに占める負債総額の割合)は、2023年10ー12月(第4四半期)に286.1%まで上昇した。家計部門と非金融企業の負債比率は共に低下したが、政府部門は2.3ポイント上昇した。
●中東
ヨルダンのハサーウネ首相は16日、イスラエルとの和平は引き続き戦略上の選択肢だが、パレスチナ人をヨルダンに流入させる行為は「実存にかかわる」脅威になると述べた。
イスラエル軍に後押しされた入植者の暴力によりパレスチナ自治区ガザの紛争がより広範囲に拡大し、多数のパレスチナ人がヨルダンに流入することを同国は懸念している。
ハサーウネ氏は、1994年のイスラエルとの平和条約に言及し、「住民の大規模な避難を引き起こす行動や環境が発生した場合、協定の明確な違反となる」と指摘。
「それは実存にかかわる脅威をもたらすものであり、われわれは対応を迫られることになる。われわれは包括的な和平に強くコミットしており、そのような段階に達しないよう願っている」と述べた。
●中南米・アフリカ
アルゼンチンのミレイ大統領は17日、ダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に登壇した。規制や補助金の導入によって自由主義経済が損なわれ「欧米は危機にひんしている」と持論を展開した。
●市況
<為替> ニューヨーク外為市場では、ドル指数が約1カ月ぶりの高値を付けた。堅調な米小売売上高で米経済の力強さが示され、早期利下げ観測が後退した。
市場では米連邦準備理事会(FRB)は3月に利下げに着手する可能性が高いの見方は変わっていないが、CMEフェドウオッチによると、最初の0.25%ポイントの利下げが実施される確率は53.2%と、前日の65.1%から低下した。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇した。予想を上回る米小売売上高を受け、金融市場では米連邦準備理事会(FRB)が3月に利下げを開始する確率が低下した。
また、英インフレの予想外の加速や市場の利下げ観測をけん制する欧州中央銀行(ECB)当局者の発言を受け、欧州債券利回りが上昇したことにも追随した。
<株式> 米国株式市場は続落。この日発表の2023年12月の小売売上高が予想を上回る好調な内容となり、連邦準備理事会(FRB)が3月にも利下げを開始するとの期待感が後退した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、反発。中国の景気回復の遅れを意識した売りが出やすかったものの、終盤にかけて買いが優勢となった。
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。英消費者物価指数(CPI)や米小売売上高が市場予想を上回ったことを受けて早期利下げ観測が後退した。中国のさえない経済指標を受けてコモディティー(商品)関連株が売られたのも相場を圧迫した。FTSE100種指数(.FTSE), opens new tabの終値は昨年11月下旬以来の安値を付けた。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。欧州中央銀行(ECB)高官のタカ派的な発言が続いたことで早期利下げへの期待が弱まり、売り注文が優勢だった。中国の2023年第4・四半期の国内総生産(GDP)の前年同期比伸び率が市場予想を下回ったことも投資家心理を冷やした。
中国へのエクスポージャーが高いフランスの高級ブランド、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA), opens new tabは2.8%、高級ブランド「グッチ」を抱えるケリング(PRTP.PA), opens new tabは3.5%それぞれ下落。スイスの同業リシュモン(CFR.S), opens new tabは2.4%安だった。
<ユーロ圏債券> 欧米の経済指標のほか、欧州中央銀行(ECB)当局者の早期利下げを牽制する発言を背景に、国債利回りが上昇した。
短期金融市場では今月初め以来、ECBは4月に0.25%ポイントの利下げを実施するとの観測が完全に織り込まれていたが、現在は同確率は約75%に低下している。
日経先物35,455、ダウ先37,458、債先147.09、米
4.109、独2.2830、仏2.813、西3.250、伊3.918、英4.0180、波5.247、原油72.76、銅8,284、ドル円148.15、ユーロドル1.0884
※1/17 8時45分頃
備忘録(2024/1/16)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米金融大手ゴールドマン・サックスが16日発表した2023年10〜12月期決算は純利益が前年同期比51%増の20億ドル(約2900億円)だった。株式のトレーディング業務が好調で、21年7〜9月期以来9四半期ぶりの増益になった。利益水準自体はまだ低いが、過去2年間に及ぶ業績悪化に一定の歯止めがかかった。
事業会社の売上高に相当する純営業収益は7%増の113億ドルだった。トレーディング業務は23年末にかけての米株相場の上昇を追い風に、売買の仲介などを担う株式関連の収益が26%増えた。債券・為替・商品(コモディティー)の取引を担う「FICC」の収益は24%減った。
投資銀行業務の手数料収入は12%減の16億ドルだった。株式や債券の引き受けはそれぞれ4割程度伸びたが、M&A(合併・買収)助言は約3割減った。このほか投資銀行・トレーディング業務に次ぐ柱に育てようとしている資産運用・富裕層向け部門の手数料収入も伸び、利益を押し上げた。
米地銀シリコンバレーバンク(SVB)などの破綻時の預金保護にかかった費用の回収に向け、米連邦預金保険公社(FDIC)は各銀行に特別な負担金を課している。ゴールドマンは約5.3億ドルを費用として計上した。
23年12月期は純営業収益が前の期比2%減の462億ドル、純利益が24%減の85億ドルだった。高金利環境で企業のM&Aが低調になり、投資銀行ビジネスの手数料収入が細った。リテール(個人向け)事業の大幅な縮小に伴うコストもかさんだ。
ゴールドマン・サックス・グループの2023年10-12月(第4四半期)は、株式トレーディング部門がアナリスト予想の3倍となる大幅な増収を記録し、全体の収入が予想を上回った。
資産運用・ウェルスマネジメント部門は、金融管理事業の売却益に支えられ、四半期として過去2年間で最高の収入を記録。債券トレーディングと投資銀行手数料の不調を打ち消すことに寄与した。
デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は16日の発表資料で「23年はゴールドマンにとって実践の年だった。同年に達成した全てのことと、明確かつ簡素化された戦略により、24年に向けてはるかに強固な基盤を手に入れることができた」とコメントした。
ゴールドマンはディールメーキングが低調に推移し、不動産投資と消費者ビジネスの損失が利益を押し下げた1年を過去のものにしようとしている。
同社は他の大手銀行よりもディールメーキングへの依存度が高く、経営幹部はプライベートエクイティー(PE、未公開株)の回復が同事業の長期的な低迷を終わらせる鍵と考えている。23年通年の業績が目標に届かなかった同社は、投資銀行業務と資金運用に再び力を注いでいる。
株式トレーディング収入は26%増の26億1000万ドル(約3800億円)で、予想の約8%増を大きく超えた。
第4四半期の収入は113億ドル(予想108億ドル)、純利益は20億1000万ドル(1株当たり5.48ドル)だった。
資産運用・ウェルスマネジメント事業の収入は、前年同期比23%増の43億9000万ドル。管理手数料が最も大きな割合を占めた。これまで自己勘定取引の影に隠れていたが、今後は管理手数料収入が予測可能な成長を遂げることが期待されている。
管理資産は1年間で10%増加し、過去最高の2兆8100億ドルに達した。
昨年はゴールドマンが誇る株式事業でライバルのモルガン・スタンレーを15億ドル余り引き離し、同事業で業界トップの座を盤石にした。
債券・通貨・商品(FICC)トレーディング収入は20億3000万ドルに減少し、予想を下回った。金利と為替取引の収入が減少した。ゴールドマンはここ数年、市場のボラティリティーに乗じて利益を得てきたが、市場シェアの拡大とファイナンス事業への注力が、トレーディング部門収入の底上げにつながると幹部らはみている。
投資銀行業務の収入は16億5000万ドルで、アナリスト予想平均の16億8000万ドルに届かなかった。資本市場に活気が戻る兆しが見られたことで、株式や債券の引き受け手数料は前年同期に比べ増えたが、債券引き受け手数料収入はアナリスト予想の4億3900万ドルに対し3億9500万ドルにとどまった。
M&A(企業の合併・買収)助言ビジネス復活への期待も高まっていたが、完了した案件からの実現手数料は依然として前年同期を29%下回った。
シリコンバレー銀行とシグネチャー・バンクの破綻に伴う米連邦預金保険公社(FDIC)への追加拠出で5億2900万ドルの費用を計上した。
米金融大手ゴールドマン・サックス(GS.N), opens new tabが16日に発表した2023年第4・四半期の利益は市場予想を上回った。投資銀行部門は軟調だったものの、市場の回復を背景に資産・ウェルスマネジメント部門が好調だった。
株式トレーディング収入が26%急増した。米経済がリセッション(景気後退)を回避するとの見方の強まりや米利下げ観測などを背景に株価が上昇した。
デイビッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は声明で、23年は「ゴールドマンにとって実践の年だった」と指摘。「23年に達成した全てのことと明確かつ簡素化された戦略により、24年に向けてはるかに強固な基盤を手に入れることができた」と述べた。
資産・ウェルスマネジメント部門の収入は23%増の43億9000万ドル。同部門はまたウェルスマネジメント事業の一部売却で3億4900万ドルの利益を計上した。
投資銀行部門の手数料は12%減の16億5000万ドルだった。M&A(企業の合併・買収)関連の手数料が減少し、株式や債券の引き受け手数料の増加を相殺した。
債券・通貨・商品(FICC)トレーディング収入は24%減少。住宅ローン商品は堅調だったが、金利商品と為替の取引が低調だった。
第4・四半期の利益は20億1000万ドル(1株当たり5.48ドル)と前年同期の13億3000万ドル(同3.32ドル)から増加。LSEGによると、アナリストの平均予想は1株当たり3.51ドルだった。
ゴールドマンの12月末時点の従業員数は4万5300人で、第3四半期末比1%減少。前年同期比では7%近く減少した。ゴールドマンは23年に数千人の従業員を解雇した。
ゴールドマンはまた、昨年の地銀2行の破綻に伴う米連邦預金保険公社(FDIC)への追加拠出で第4・四半期に5億2900万ドルの費用を計上した。
米金融大手モルガン・スタンレー(MS.N), opens new tabが16日に発表した2023年第4・四半期決算(12月31日まで)は、債券引き受けで投資銀行業務の回復が後押されたことで、収入が予想を上回った。ただ、昨年の中堅銀行破綻に関連して5億3500万ドルの費用を計上したことで利益が圧迫された。
純収入は129億ドルと、LSEGがまとめたアナリスト予想の127億5000万ドルを上回った。
純利益は15億ドル(希薄化後1株当たり0.85ドル)と、前年同期の22億ドル(同1.26ドル)から減少した。
投資銀行部門の収入は前年同期比5%増加し、業界全体を上回った。債券引き受けによる収入は投資適格債の発行増を受け、25%急増した。
ウェルス・マネジメント部門の純収入は前年同期比横ばいの66億5000万ドル。債券・株式からの純収入も横ばいだった。
モルガン・スタンレーは、昨年の中堅銀行2行の破綻を受け160億ドル近くが流出した政府預金保険基金を補充するために特別金を支払っている大手行の1つ。合計5億3500万ドル(規制当局への特別査定費用2億8600万ドル、弁護士費用2億4900万ドル)を負担した。
23年通年の純収入は541億ドルと、前年の537億ドルから減少。希薄化後1株当たりの純利益は5.18ドルと、6.15ドルから減少した。
24年について、シャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)はロイターのインタビューに対し「ガイダンスを変更する計画はない。ソフトランディング(軟着陸)を前提に楽観的に取り組んでいる」と述べた。
米銀モルガン・スタンレーのテッド・ピック新最高経営責任者(CEO)は、市場の手荒い歓迎を受けた。2023年10-12月(第4四半期)はウェルス事業が予想以上の収入を上げたものの、同事業を拡大する目標が達成できるのかに投資家は注意を向けた。
16日の米株式市場で、モルガン・スタンレー株価は昨年10月以降で最大の下げを記録。第4四半期決算でトレーディング事業が予想に届かなかったほか、ウェルス事業で比較的低い利益率が続く可能性があると複数の幹部が発言したことが響いた。
ウェルス事業は通年の税引き前利益率が24.9%。シャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)はアナリストらとの電話会議で、「短期的に利益率は20%台半ばで安定すると見込むことが合理的だ」と語った。
モルガン・スタンレーでは今月、CEOを長年務めたジェームズ・ゴーマン氏の後任としてピック氏が就任、新時代の幕が開いた。だが、競合をしのぐ成長を維持できるのか、ピック氏には多くの疑問が突きつけられている。同氏は16日、成長のけん引役にウェルス事業を挙げ、同事業の税引き前利益率は最終的に30%に達し得るだろうと述べた。
ピック氏はアナリストとの電話会議で「実際、自分にはウェルス事業家としての血が流れている。自分の父も、義理の父もかつてはブローカーだった。そして自分は、子供の頃から同事業を学んで育った。これがモルガン・スタンレーをさらに成長させるエンジンになる」と主張した。
同社株価の下落率は一時4%を超え、KBW銀行指数構成銘柄のうち最悪のパフォーマンス。ただ、同指数は昨年約5%下落したのに対し、モルガン・スタンレーの株価は10%近く上昇した。
10-12月のウェルス事業純収入は66億5000万ドル(約9750億円)。市場予想は64億ドルで、金利上昇を追い風に純金利収入が膨らんだ。だが、同事業の資産純増は2四半期連続で500億ドルを下回り、事業を成長させる上で同社が目標としている年間3000億ドル以上には届かないペースだ。
他事業の業績も失望させる内容だった。債券トレーディング収入は14億3000万ドル、予想は14億8000万ドルだった。株式トレーディング収入はアナリスト予想の22億6000万ドルに対して22億ドルにとどまった。
助言手数料は7億200万ドルと、予想の5億3500万ドルを上回った。株式引受手数料は2億2500万ドルと低空飛行が続いた。
全体の収入は129億ドル、予想は127億ドルだった。
ドイツ銀行のイェームス・フォンモルトケ最高財務責任者(CFO)は16日、厳しいボーナスシーズンとなることを示唆した。
フォンモルトケ氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開催されていダボスでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ「変動報酬は2023年の業績を反映する」とした上で、「特に投資銀行業務のさまざまな分野で見られたように、2023年は難しい市場だった」と語った。
「われわれも競合他社も、業績に見合った報酬を支払いたいと考えており、そのためにインセンティブ報酬体系の管理に努めている」とも述べた。
ウォール街の大手銀行首脳らは、過去2年間の業績を苦しめてきたディールメーキングの不振がようやく底入れするとの見方を示している。
大手銀行幹部らは、2年にわたり利上げを続けた米金融当局の方針転換に伴う業績回復を今後数カ月中に見込む。昨年は投資銀行部門の収入が2012年以来最悪となったが、ウォール街の首脳らは少なくともある時点で好転するとの見通しを示した。
ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、16日の決算説明の電話会見で「私はかなり楽観的だ」と発言。「すぐに10年平均に戻ると言うつもりはないが、かなり改善している。24年には、より重要な新規株式公開(IPO)が見られると思うし、債券発行と株式発行の両方で活発化すると見込まれる」と述べた。
昨年は地政学的緊張が高まり、利上げが続く中で、長期低迷してきた企業の合併・買収(M&A)の回復時期を見定めるのは報われない仕事だったと銀行幹部らは認めていた。だが、16日に10-12月(第4四半期)決算発表を終えた大手2行は、今後の見通しについて楽観的な見方を示した。
ゴールドマンのソロモンCEOは、同行の取引パイプラインは「第4四半期には実に力強い補充と改善が見られた」と述べ、戦略的対話も増えたと語った。
モルガン・スタンレーのシャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)は、リテール客および機関投資家顧客のトーンが一段と前向きになっている点に言及した。テッド・ピック新CEOが就任したばかりの同行では、ディールの助言手数料が7億200万ドル(約1030億円)と、予想の5億3500万ドルを上回った。
両行はまた、ウォール街での事業の好不況を平準化するため重点を置いてきた資産運用・ウェルスマネジメント事業の堅調な業績を示し、ゴールドマンでは特に顕著だった。
ここ数年は不安定なサイクルが鮮明になっていた。21年は低金利と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期の景気刺激策を追い風にディールメーキングが活発化し、人材採用ブームや高額ボーナスの支給につながった。しかし、22年の早い時期に米金融当局の緩和政策は終了し、投資銀行の収入は激減。米銀大手5行では23年の投資銀行部門の利益が21年の半分以下となった。
だが市場では現在、米金融当局による年内6回の利下げが見込まれており、回復の兆しが見え始めている。
モルガン・スタンレーのイェシャヤ氏は16日、「アドバイザリーやIPOパイプラインの充実ぶりを見てもわかるように、CEOや取締役会の楽観的姿勢の広がりは心強い」とコメント。こうした「力強さとセンチメントは、広範なM&Aや資本市場での新規発行を支え、いずれより幅広く市場活動に波及するだろう」と述べた。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
英国企業の破綻件数は2023年に14%増加した。借り入れコストの上昇や成長鈍化が重しとなった。
政府機関の債務超過局(インソルベンシー・サービス)によれば、小売業や建設業、接客業などを中心に23年の破綻件数は2万5159件となった。通常は倒産が少ないとされる12月の倒産件数は前年同月比2%増加した。
国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストで、米ハーバード大学教授のケネス・ロゴフ氏は、米経済が「深刻なリセッション(景気後退)」に陥らない限り、トレーダーが2024年に見込んでいる6回の米利下げが実施されることはないとの見方を示した。
ロゴフ氏は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開催されているスイスのダボスでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、6回の利下げについて「経済がソフトランディングすれば、それは空想になる。実際に起きることはない。利下げは2回か3回だろう」と述べた。
その上で、「深刻なリセッションも当然あり得る話で、そうなれば多くの利下げが実施されるだろう。いかにして深刻なリセッションに陥るか私には分からないが、確率は25%だ。実際にそうなれば利下げは6回ではなく、15回もあり得る」と付け加えた。
一方でロゴフ氏は、このところは多くのことが誤った方向に進んでいるとし、これからの1年が順調に進むとする大勢の見方には同意しかねると指摘。
「ダボスではそうしたコンセンサスが広がっているようだが、米国に関してより全般的に言えば、驚くほど良かった2023年ほど順調にはいかないだろう。ただ24年も悪くはならない。インフレは鈍化し、ソフトランディングを達成する見通しだ」と語った。
1月のニューヨーク連銀製造業景況指数は前月から大幅に低下し、2020年5月以来の低水準となった。受注と出荷の落ち込みが響いた。全米で製造業者が低迷にあえいでいる状況と整合する内容となる。
新規受注の指数は38ポイント余り低下してマイナス49.4と、2020年4月以来の低水準となった。出荷の指数は昨年8月以来の大幅な落ち込み。従業員数の指数はマイナス幅が縮小した。
6カ月先の景況見通し指数は3カ月ぶりの高水準に上昇。製造業が弱い水準で安定することを示唆している。設備投資の見通しを示す指標は昨年4月以来の高水準に上昇し、投資の持ち直しを示した。
仕入れ価格の指数は3カ月ぶりの高水準となった一方、販売価格の指数は前月に比べて若干鈍化した。
NY連銀製造業景況指数は過去2年余り毎月の変動が大きく、昨年7月以降は拡大と縮小の間を行き来していた。 米供給管理協会(ISM)が先に発表した昨年12月の製造業総合景況指数は、14カ月連続で縮小圏にとどまった。
英紙テレグラフに掲載されたユーガブの世論調査によると、年内実施が予想されている英総選挙では、スナク首相率いる与党・保守党が野党・労働党に対し、歴史的な大敗北を喫する見通しだ。
それによると、獲得議席数は労働党が385に対し、保守党は169にとどまる見通し。保守党は、ブレア元首相率いる労働党に惨敗して政権が交代した1997年の総選挙よりも多数の議席を失うと予想されている。
スターマー党首率いる労働党に11.5%の票が移動することになり、与党として1906年以来で最大の敗北になるとテレグラフは指摘した。
調査の回答者は1万4000人で、通常のユーガブ調査に比べて約7倍の人数を対象に行われた。
最近の世論調査では、いずれも保守党が労働党のリードを許している。
スナク首相は最新の調査結果について記者団に対し、「昨年は数多くの調査があった。今後も何百と調査が実施されるだろう。しかし意味を持つのは総選挙の時の投票だけだ」と述べ、実際の選挙では保守党が勝つとの自信を示した。
労働党のスターマー党首は15日、記者団に対し、「常に5%負けている気持ちで闘う」と述べ、慢心を戒めた。
英総選挙は来年1月までに実施する規定で、スナク首相は年内実施を示唆している
米共和党の大統領候補指名争い初戦である15日のアイオワ州党員集会はトランプ前大統領の勝利が確実になった。トランプ氏は過去最大の差を付けて勝利する見通しとなっており、計4つの刑事裁判を抱えながらも指名獲得への独走態勢を鮮明にした。
トランプ氏に代わる候補として注目されていた2位争いはデサンティス・フロリダ州知事が制した。3位はヘイリー元国連大使だった。
トランプ氏は自身が創設した交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に「アイオワよ、ありがとう。みんな愛している!」と投稿した。
エジソン・リサーチによると予想票数の95%を集計した時点で、得票率はトランプ氏が51%、デサンティス氏が21%、ヘイリー氏が19%。アイオワ州共和党党員集会でこれまで最大の得票差で勝利したのは1988年のボブ・ドール氏の12.8%ポイント。
得票率が8%弱に終わった実業家ビベック・ラマスワミ氏は指名争いから撤退すると表明。トランプ氏を支持する意向を明らかにした
エジソン・リサーチによると、トランプ氏は幅広い支持を集めた。男性党員と女性党員の過半数を獲得したほか、保守色の強弱や大卒かどうかにかかわらず過半数の支持を得た。最も関心の高い問題として移民を挙げた党員の過半数、経済を挙げた党員の過半数もトランプ氏を支持した。
アイオワ州を拠点とする共和党ストラテジスト、ジミー・センターズ氏は「トランプ氏による共和党の掌握力の強さが示された。対立候補の集約がなければ、トランプ氏の指名は確実になる」と指摘した。
ただ、デサンティス氏とヘイリー氏はともに戦い続ける意向を示しており、反トランプ票が分散したまま次の党員集会・予備選に向かうことになる。
アイオワ州民は生命を脅かすほどの極寒の中、学校やコミュニティーセンターなど1600カ所以上で行われた党員集会に出向いた。州の一部では氷点下43度の寒気が流れ込むとの予報が出ていた。
エジソン・リサーチは投票総数を12万票前後と予想。2016年に記録した過去最高の18万7000票を大幅に下回ることになる。
トランプ氏を支援する主要な政治活動委員会のスポークスマン、アレックス・ファイファー氏は声明で、「アイオワの人々は今夜、明確なメッセージを送った。トランプ氏が次期大統領の共和党候補になるだろう」と語った。
ウエストデモインの学校で開かれた党員集会に参加したトランプ氏支持者のリタ・ストーンさん(53)は「トランプ氏はかなりのナルシストで自信過剰だが、やるべきことをやる人だ」と語り、大統領在任中にメキシコ国境沿いに壁を建設したことを称賛した。
欧州経済センター(ZEW)が16日発表した1月のドイツの景気期待指数は15.2と前月の12.8から予想外に上昇した。欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が寄与した。ただ現況指数はほぼ変わらずで景気回復ペースが鈍いことを示唆した。
ロイターがまとめたアナリスト予想は12.0だった。
ZEWのワムバッハ所長は「ドイツ経済への期待は再び改善した」とし「欧州中央銀行(ECB)が今年前半に利下げを行うと回答者の半数以上が想定しているからだ」と分析した。
期待指数は昨年半ば以降、緩やかに回復している。
VPバンクグループのチーフエコノミスト、トマス・ギッツェル氏は「景気のバロメーターの継続的上昇は、ドイツ経済が穏やかな回復に向かっていることを示唆する」と述べた。
ただ現況指数はマイナス77.3と0.2ポイント低下した。
パンテオン・マクロエコノミクスの欧州シニアエコノミスト、メラニー・デボノ氏は「調査回答者は、国内総生産(GDP)の大幅な回復は先で、第1・四半期の回復は非常に控えめなものになるとの当社の見方に同意している」と述べた。
2023年は物価高や外需低迷で0.3%のマイナス成長だった。 もっと見る
VPバンクグループのギッツェル氏は世界経済が依然弱いとし「ドイツは国際貿易に依存している。主要貿易相手に目を向けると、状況は良くない」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
フィリピン外務省は16日、マルコス大統領が前日に台湾総統選で勝利した頼清徳氏に祝意を表明したことを受け、「一つの中国」政策を再確認した。
外務省は声明で、マルコス氏のメッセージは台湾が多数のフィリピン人労働者を受け入れていることへの謝意に加え、民主的なプロセスの成功に祝意を示したものだと説明した。同時に「わが国の一つの中国政策を再確認する」とも表明した。
台湾総統選で中国当局が「危険な分離主義者」と見なしている与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳氏が勝利した。今のところ中国の反応は抑制的だが、慎重に対応を練っているとみられ、一部のアナリストは総統就任までの4カ月間も気が抜けないと指摘する。
一部の外交官やアナリストによると、中国は、ここ数カ月落ち着きを取り戻している対米関係のバランスを崩そうとはしていない。
太平洋の島しょ国ナウル共和国は15日、台湾と断交し、中国を承認すると発表。総統選後、台湾から中国に関係をシフトする初のケースとなった。
しかし、これは台湾から外交関係を結ぶ国を引き離す長年の中国の取り組みを受けたもので、締め付けを強めることはまだなさそうだ。
この微妙な情勢について率直に語る中国のアナリストや学者は少ないが、国外の専門家は警戒感を示している。
東アジア研究所(シンガポール)のシニアリサーチフェロー、チー・ドンタオ氏は「中国の反応は今のところ比較的抑制されている。まずは米国に頼氏をけん制してほしいと思っているためだ。米国がそれに失敗すれば中国が介入する可能性がある」と語る。
米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」のノンレジデントフェローで台北に滞在する政治学者、宋文笛氏は、中国によるナウルの取り込みは容易に達成できる成果だと指摘。中国当局は目下、後押ししていた野党の国民党がなぜ総統選で敗れたのかを内部で検証しているとみている。
<多くの選択肢>
頼氏は勝利後に中国との関係を改善したいと述べ、対話に前向きな姿勢を示したが、中国は同氏の発言が変わったり、米中関係が再び冷え込んだりした場合の選択肢を多く抱えている。
西側の外交筋によると、習近平国家主席がトップを務める中国の中央軍事委員会は、台湾周辺で展開している活動以外にも、さまざまな選択肢を提示されているようだという。
中国軍は今回の総統選について直接コメントしていないが、15日に東部戦区が東シナ海での海上戦闘訓練の映像を公開した。具体的な場所は明らかにしていない。訓練の規模は、2022年8月にペロシ米下院議長(当時)が訪台した後に実施した大規模なミサイル訓練などに比べればはるかに小さい。
安全保障の専門家らによれば、中国は台湾のインフラに対してサイバー攻撃を仕掛ける能力も持っている。
また、10年に締結した中台の自由貿易協定(FTA)に当たる経済協力枠組み協定(ECFA)に対する更なる圧力も排除できないとアナリストは指摘する。
中国は先月下旬、台湾から輸入する一部の化学品に対する関税引き下げ措置を終了すると発表。台湾当局者はこれを選挙干渉だと指摘していた。
前出の宋氏は「経済制裁という選択肢は3週間ほど前に試したがうまくいかなかった。そのため中国政府は経済制裁をどのように使うかを再調整する必要がある」と話す。
これまでのところ中国国営メディアの反応は控えめで、英字紙グローバル・タイムズや、台湾問題について頻繁にコメントしている中央テレビ系のソーシャルメディアブログは総統選結果に関する論説を出していない。
中国共産党系紙「環球時報」の元編集長、胡錫進氏は13日のブログで「もし(頼氏が)就任後に自制せずに急進的な路線を進めば戦争を引き起こし、時代の罪人になるかもしれない」と投稿したが、後に削除された。
中国の習近平国家主席は16日、金融セクターの質の高い発展を推進すると強調し、中国の特色ある現代的な金融システムの構築を加速させると表明した。国営の新華社通信が伝えた。
共産党中央党校での勉強会の冒頭、金融監督には「長い牙ととげ」が必要だと指摘。金融規制当局が14日に説明したところによると、この対応には金融犯罪に対する「ゼロ容認」政策が含まれている。
習氏は「金融強国は強固な経済基盤に基づき、世界をリードする経済力、科学技術力、総合的な国力を持つべきだ」と発言。「強い通貨、強い中央銀行、強い金融機関、強い国際金融センター、強い金融監督、強い金融人材チーム」という一連の重要な金融中核要素も基とすべきだと述べた。
また、開放政策の透明性、安定性、予測可能性を高めると表明。金融リスク、特にシステミックリスクの回避に努めるとともに、国内外の金融市場の相互接続をさらに強化し、国境を越えた投資と融資をさらに促進するとした。
中国の李強首相は16日、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会で、2023年の国内総生産(GDP)成長率は5.2%前後となり、「大規模な景気刺激策」に頼らずに政府の成長目標を上回ったと述べた。
李氏はWEFに中国のナンバー2として初めて登壇し、「昨年は中国経済が回復し、上向いた。成長率は5.2%前後と推定され、昨年設定された『5%前後』の目標を上回った」と指摘。「経済発展を促進する上で、われわれは大規模な景気刺激策に頼らなかった」と言明した。
2017年に習近平国家主席がWEFに出席して以降、中国からの出席者で李氏は最高レベルの高官となる。
中国政府がこの景気の勢いを、今年どう維持していくのかに注目が集まっている。事情に詳しい関係者が明らかにしたところによれば、同国は1兆元(約20兆3000億円)規模の特別国債発行を検討している。
中国の国際収支で示される対内直接投資は23年7-9月(第3四半期)に1998年の統計公表開始後で初めてマイナスとなった。これは中国への利益の再投資に企業が以前ほど前向きではないことを反映している可能性があるが、この傾向は米国との利回り格差によって外国の方が投資利益が高いことも一因となっている。
李氏は中国での外資系企業の環境改善をあらためて表明。「クロスボーダーのデータの流れや政府調達への参加といった問題に対する一部の国際企業の懸念については、関連政策の策定に取り組んでいる」と述べた。
中国は1兆元(約20兆3000億円)規模の特別国債発行を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。景気てこ入れの取り組みを強化するため、特別国債発行で追加の資金調達を目指す。
関係者によると、政策担当幹部による議論では、食料やエネルギー、サプライチェーン、都市化に関連した事業の財源として、超長期国債を発行する案が浮上している。
この種の国債発行は珍しい。例えば、1998年のアジア通貨危機後に中国政府は特別国債を発行し、主要国有銀行の資本増強に動いた。直近では2020年に新型コロナウイルス感染症に対応する資金を調達するため、1兆元相当の特別国債を発行していた。
今回検討されている発行は、勢いを欠く中国経済の下支えに向け、債務を抱えた地方から、中央の当局に支出の責任を移す習近平指導部の取り組みを示している。根強いデフレ圧力や不動産危機、低迷する内需がいずれも景気を圧迫しているほか、信頼感を損ねており、エコノミストや投資家からは刺激策の強化を見込む声が上がっていた。
関係者によれば、協議は続いており、特別国債発行計画が変わる可能性もある。財政省にコメントを求めたが、返答がなかった。
中国は昨年も景気支援を目的に追加で国債を発行。この際は23年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比目標を約3.8%に引き上げる異例の措置で対応した。
昨年とは異なり、24年の案は特別国債を用いる。これまでは通常の予算に加えて計上されており、表向きの財政赤字比率には影響しなかった。超長期債であれば、返済も数十年単位で短期的な償還圧力は下げられる。
●中東
サウジアラビアのファイサル外相は16日、パレスチナ国家樹立を含む包括的な合意を得られれば、イスラエルを国家として承認する可能性があるという認識を示した。
世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で開かれた討論会で「地域の平和にイスラエルの平和も含まれるということに同意する。しかしそれはパレスチナ国家を通じたパレスチナの平和によってのみ実現し得る」と述べた。
サウジがより広範な政治合意の一環としてイスラエルを承認するかという質問に対しては「その通りだ」と応じた。
パレスチナ国家の樹立を通じ地域の平和を確保することは「サウジが実際に米政府と取り組んできたことで、ガザの状況を踏まえより関連性がある」と述べた。
関係筋2人によると、昨年10月のイスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの戦闘開始以降、サウジは米国が支援するサウジとイスラエルとの関係正常化計画を凍結した。
イラン革命防衛隊は、イラク北部クルド人自治区の主要都市アルビル近郊にあるイスラエルの「スパイ拠点」を攻撃したと明らかにした。国営メディアが15日に報じた。
イラク治安筋などによれば、有力なクルド人実業家と家族数人が自宅へのロケット弾着弾で死亡し、同自治区の情報活動拠点や情報機関幹部の自宅にもロケット弾が着弾した。
アルビルの空港では航空機の発着が停止されたという。
革命防衛隊はさらに、シリア領内の過激派組織「イスラム国」(IS)に対しても攻撃を行ったと表明。イランで「テロ活動」を展開する勢力を攻撃したとしている。
ホワイトハウスのエイドリアン・ワトソン国家安保会議(NSC)報道官は声明を発表し「米政府の職員や施設は標的となっていない」と説明した。「今後も状況を見極めるが、無謀で不正確一連の攻撃だった」と指摘し、「米国はイラクの主権、独立、領土保全を支持する」と語った。
リヤド:世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に出席するファイサル・ビン・ファルハーン外相率いるサウジアラビア代表団は、2024年度フォーラムに合わせて、WEFの創設者であるクラウス・シュワブ氏と総裁であるボルゲ・ブレンデ氏と会談した。
サウジアラビア外務省の発表によると、この話し合いの中で、サウジアラビアと世界経済フォーラムの協力を強化し、経済および人間開発における当面の課題および将来の課題に対処するための戦略が評価された。
今週、サウジアラビアの代表団は、多くのハイレベル会合や二国間会議に参加する予定である。
さらに、代表団は、豊かな未来のための持続可能な基盤を確立するために、国際社会、民間セクター、非政府組織、学界との協力におけるサウジアラビアの専門知識を披露する予定である。
カタールのムハンマド首相兼外相は16日、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で講演し「イスラエルが2つの国家が共存することに取り組まない限り解決はない」と語った。中東の緊張緩和に向けてイスラエル政府に方針転換を促した。
カタールはイスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスとの衝突で仲介役を務める。2023年11月のパレスチナ自治区ガザでの戦闘休止交渉でも中心的な役割を担った。
ムハンマド氏は「人質交換のために一時的な戦闘休止を呼びかけることが議論の中心となっているが、より大きな問題を無視することはできない」と強調した。その上で「国際社会がイスラエルだけに問題解決を委ねることはできないと認識する必要がある」と訴えた。
ハマスについては「パレスチナの政治システムの一部だ。パレスチナ人だけが政治的決定権を委ね続けるか決めることができる」と述べた。
イエメンの親イラン武装組織フーシによる紅海での商船攻撃にも触れ「世界貿易に影響が出ている」と懸念を示した。一方、米英軍による報復攻撃については「軍事的な解決は問題に終止符を打つことはできず、それどころかさらなるエスカレーションを引き起こす」と否定的に語った。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドルが上昇し一時1カ月ぶり高値を付けた。米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事の発言などを受け、3月の利下げ観測が後退した。
CMEのフェドウォッチによると、FRBが3月に少なくとも25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施する可能性は66.9%。前日は81%だった。
英ポンドは0.79%安の1.262ドル。英賃金の伸びが急減速したことで、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)の年内大幅利下げ観測が浮上した。
<債券> 米債利回りが上昇した。FRBと欧州中央銀行(ECB)当局者から市場の利下げ観測を牽制する発言が相次いだことで、先週末に見られていた国債利回りの低下が連休明けの取引で反転した。
米市場がキング牧師生誕記念日のため休場だった前日は、ECB当局者のタカ派とハト派の双方が早期利下げに慎重な姿勢を示したことを受けユーロ圏の国債利回りが上昇していた
フェデラルファンド(FF)金利先物は現在、年内に合計1.5%ポイントを超える利下げが実施されるとの見方を織り込む水準にある。これに対し、FRBは年内に合計0.75%ポイントの利下げが実施されるとの予測を示している。
<株式> 下落。金融大手モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスの強弱まちまちの決算が銀行株を圧迫したほか、ボーイングとアップルに売りが先行し、S&P総合500種を下押しした。
モルガン・スタンレーは2023年第4・四半期の減益が嫌気され、1カ月余りぶりの安値に沈んだ。ゴールドマンは51%増益を発表後、ほぼ終日小動きで推移した。
S&P500の銀行株指数<.SPXBK>は1カ月余りぶりの安値を記録。他の大手銀の一部が先週末に発表した決算が減益となったことを映した。
<米原油先物> 中東情勢の緊迫化への警戒感が根強い中、ドル上昇に伴う割高感を受けた売りに押され、3営業日ぶりに反落した。米WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前営業日(12日)比0.28ドル(0.39%)安の1バレル=72.40ドル。3月物は0.27ドル安の72.52ドルだった。
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。貴金属株の下落が相場を圧迫し、FTSE100種指数(.FTSE), opens new tabの終値は約1カ月ぶりの安値を付けた。主要中央銀行幹部によるタカ派的な発言も嫌気された。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。ECB高官らの利下げ時期を巡る最近の発言を受け、早期利下げへの観測が後退したのが売りを促した。
個別銘柄では、ドイツのファッションブランド、ヒューゴ・ボス(BOSSn.DE), opens new tabが9.7%下落。2023年第4・四半期暫定決算の利払い・税引き前利益(EBIT)が予想を下回ったことが嫌気された。
一方、スイスのチョコレートメーカー、リンツ&シュプルングリー(LISN.S), opens new tabは6.6%上昇。製品価格の値上げなどで23年通期売上高の伸びが市場予想を上回るとの見通しを示したことが材料視された。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが不安定な動きとなった。ECB当局者がインフレと金利について様々な見解を表明したことを受けた。
金融市場ではECBが年末までに約150ベーシスポイント(bp)の利下げを実施するとの見方が織り込まれている。また4月に利下げを開始するとの見方を完全に織り込んでいる。,
日経先物35,970、ダウ先37,552、債先147.10、米4.064、独2.2475、仏2.752、西3.184、伊3.842、英3.8590、波5.193、原油72.05、銅8,347、ドル円147.32、ユーロドル1.0878
※1/17 9時5分頃
備忘録(2024/1/15)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は15日に公表したリポートで、世界各国の銀行が成長や生産性を高めるための措置を講じれば、今後5年で評価額が7兆ドル拡大する可能性があるとの見方を示した。
各行が成長を促進させて株価純資産倍率(PBR)を改善した場合、評価額は現在の2倍程度になるとの見通しを示した。
BCGは「銀行セクターに対する悲観論の最大の要因は収益性の大幅な低下だ」と指摘した。
銀行株の約75%は2022年のPBRが1倍を下回り、株価収益率は08年のほぼ半分の水準となった。銀行株の株主リターンは主要市場の株価指数のリターンを下回っており、その差は拡大している。
生産性向上に向けた投資や事業の抜本的な簡素化を進めたとしても、資本規制強化やフィンテックなどとの競争激化で銀行の収益は引き続き圧力を受けるとし、「銀行の収益やバリュエーションが金融危機前の水準に戻ることはない」との見方を示した。
米連邦航空局(FAA)は12日、米航空機大手ボーイング(BA.N)の旅客機「737MAX9」の側壁の一部が飛行中に吹き飛んだ事故を受け、追加の安全点検を実施するため、同型機の運航停止措置を延長すると発表した。またボーイングに対する監督を強化する方針も示した。
ユナイテッド航空(UAL.O)とアラスカ航空(ALK.N)は同型機の運航を16日まで停止すると発表していたが、FAAは運航再開を検討するには追加の安全点検が必要だと指摘。同型の40機は再検査しなければならず、同局はその結果を精査した上で、運航再開を許可するかどうかを決定する。
同型機を運航しているユナイテッド航空とアラスカ航空はこの1週間、何百もの便を欠航としなければならなかった。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
米共和党の大統領候補指名争いが15日、中西部アイオワ州の党員集会で幕を開ける。支持率で圧倒的首位を走るトランプ前大統領を、フロリダ州のデサンティス知事とヘイリー元国連大使が追う構図となっており、むしろ2位争いに注目が集まっている。
ヘイリー氏、デサンティス氏にとっては、2位の好成績を収めれば、トランプ候補の指名獲得は必然的な結論ではないという見方が命脈を保つことになる。
特にデサンティス氏は、アイオワ州に資金を投入し全99郡を遊説した。もし3位に終われば致命的な結果となる可能性がある。
高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのワイン・蒸留酒部門を率いえるフィリップ・ショウス氏は14日に小売業協会が主催したイベントで、消費量が供給量を上回っていた2021年と22年の 「活況」を経て、シャンパンの需給はバランスが取れてきたとの見方を示した
ブラックロックのヒルデブラント副会長はブルームバーグTVのインタビューで、トランプ氏の大統領返り咲きは「欧州の視点、ある種のグローバリズム、大西洋主義者の視点から見れば、もちろん大きな懸念事項だ」と語った。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁も先週、トランプ氏が再選されれば欧州にとって明らかな「脅威」になると発言していた。
一方でゴア元米副大統領は、現段階でトランプ氏が共和党の大統領候補指名を獲得すると想定することに慎重な姿勢を示す。
ダボスでのブルームバーグのインタビューで同氏は、アイオワ州党員集会の重要性を過大評価しないようにも警告。「2016年にはテッド・クルーズ氏が勝利したが、その後は全く問題にならなかった。共和党のアイオワ州党員集会で勝利し、その後姿を消した候補者をこれまで他にも見てきた」と語った。
対象者の約56%は世界経済が2024年に減速すると予想した。地域差が大きく、中国や米国では中程度かそれ以上の成長を見込む回答が半数以上だった一方、欧州は弱い成長か非常に弱い成長にとどまるとの見方が大勢だった。
南アジア、東アジア、太平洋の見通しはより前向きで、少なくとも中程度の成長を見込む回答が非常に多かった。
金利がピークを打ったとの主要中央銀行当局者の発言を反映し、調査対象者の70%はインフレ鈍化や労働市場の逼迫改善に伴い金融環境が緩和すると予想した。
AIが世界経済に与える影響については、94%が今後5年間で高所得国の生産性を大幅に押し上げると予想したのに対し、低所得国について同様の予想をしたのは53%にとどまった。
●中国・アジア・ロシア・東欧
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は15日、最高人民会議で演説し、憲法を改正して韓国を別の国と定めるべきだと表明した。また、北朝鮮は戦争を望んでいないが避けるつもりはないとの立場も示した。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が16日に伝えた。
金氏は韓国との統一がもはや不可能というのが自身の最終結論だと述べ、韓国が北朝鮮の政権崩壊と吸収による統一を狙っていると主張した。
KCNAによると、南北統一や南北協力の観光事業などを担う3つの組織を廃止する。
アナリストらは、北朝鮮外務省が今後は対韓関係を担う可能性がり、将来戦争が起こった場合、韓国に対する核兵器の使用を正当化することにもつながりかねないと指摘している
朝鮮中央通信によると、北朝鮮が14日に発射したのは新型の中長距離弾道ミサイル(IRBM)で、ほとんど準備なしで発射が可能な固体燃料を採用した。ミサイルは極超音速弾頭も搭載していた。
北朝鮮は11月、新型IRBM用の固体燃料エンジンについて実験を行ったと発表していた。昨年は固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の実験も、少なくとも3回実施している。
固体燃料技術の特徴と、それが北朝鮮のミサイルシステム向上にどう役立つかを以下にまとめた。
北朝鮮の朝鮮中央通信は16日、最高人民会議(国会に相当)が15日に開かれたと伝えた。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は「中東で起きている無差別な戦争の惨禍を他人のことと思ってはならない」と語った。国防力強化の必要性を強調した。
韓国を和解や統一の相手ではなく、「第一の敵対国、不変の主敵」と憲法に位置づけるべきだと主張した。韓国を「徹底した他国」として位置づける。北朝鮮の主権が及ぶ範囲を法律で「正確に規定する」必要があると表明した。「およそ80年間の北南関係史に終止符を打つ」と宣言した。
韓国側が設定する海上の境界線「北方限界線」を認めないとした。「大韓民国がわが国の領土、領空、領海を0.001ミリメートルでも侵犯すれば、戦争挑発とみなされるだろう」と韓国を威嚇した。
最高人民会議は、南北対話の窓口機関である祖国平和統一委員会など3つの組織の廃止を決めた。1990〜2000年代に韓国人観光客に開放され、中断されていた金剛山の観光事業を担う部局も撤廃する。
ゲオルギエワ専務理事は、15日開幕の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)でCNBCとのインタビューに応じ、中国は短期的に高水準の地方政府債務や不動産セクターの課題に対処する必要があると語った。
その上で「中国に必要なことは経済の開放の継続と成長モデルのバランスをより国内消費に向かわせる構造改革」とし、「国民の信頼感を向上させ、貯蓄ではなく消費に向かわせることだ」と述べた。
●中東
関係筋は「安全に関する助言を得るための運航停止だ。紅海経由が引き続き危険であれば、(アフリカ南端の)喜望峰経由で輸出する。生産停止ではない」と述べた。
イランのアブドラヒアン外相は15日、米国はパレスチナ自治区ガザの軍事衝突でイスラエルを支援しながら自制を呼びかけることはできないと述べ、ガザ衝突の外交的解決を訴えた。
アブドラヒアン外相はインド外相とテヘランで行った共同記者会見で、米国の当局者に対し「米国の安全保障と国益を、倒れつつあるイスラエル首相の運命と結び付けないよう」呼びかけると述べた。
その上で「イエメンの武装組織フーシ派の指導者らは、ガザ地区で大量虐殺が続く限り、イスラエルの船舶やテルアビブへ向かう船舶を阻止するとイランに伝えてきている」と言及。同時に、フーシ派はイランに対し「海上安全保障にいかなる混乱も生じさせない」と確約していると明らかにした。
●中南米・アフリカ
●市況
<外為市場> ドルがほぼ変わらず。米市場がキング牧師生誕祭で休場となる中、慎重な取引となった。一方、週内に主要指標の発表を控え、英ポンドは下落した。
CMEのフェドウォッチによると、市場が織り込む3月利下げの確率は77%と、1週間前の68%から上昇している。
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。高級品や銀行株が売られた。
バーバリー(BRBY.L)は5.7%下落した。先週、高級品の需要減少を理由に通期決算の利益予測を下方修正したことを受け、3証券会社が目標株価を引き下げた。
<欧州株式市場> 下落して取引を終えた。時期尚早な利下げに対する欧州中央銀行(ECB)当局者からの警告を受け、域内国債利回りが上昇した。
コメルツ銀行(CBKG.DE)が0.8%上昇。2019年にいったん破談となったドイツ銀行との合併話が再び浮上しつつあるという
<ユーロ圏債券> 欧州中央銀行(ECB)当局者のタカ派とハト派の双方が早期利下げに慎重な姿勢を示したことを受け、国債利回りが上昇した。
日経先物35,715、ダウ先37,713、債先147.46、米3.983、独2.1975、仏2.728、西3.144、伊3.777、英3.8350、波5.135、原油72.84、銅8,381、ドル円145.63、ユーロドル1.0943
※1/16 9時25分頃
備忘録(2024/1/12-14)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米金融大手JPモルガン・チェース(JPM.N)が12日発表した第4・四半期決算(12月31日まで)は減益となったものの、年間では過去最高利益を達成した。2024年の金利収入も予想を上回る見通し。
同行は経営破綻した米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行の買収で買収で数十億ドルの融資を獲得した。これにより純金利収入(NII)が増加している。
24年通年のNIIは900億ドルと予想。LSEGがまとめた予想の862億ドルを上回った。第4・四半期のNIIは19%増の242億ドルと過去最高を記録した。
第4・四半期の投資銀行業務の手数料収入は13%増加した。株式と債券の引き受けが好調だった。債券部門の収益も8%増加した。
第4・四半期の利益は93億1000万ドル(1株当たり3.04ドル)。前年同期の110億1000万ドル(1株当たり3.57ドル)に及ばなかった。地銀破綻で流出した連邦預金保険公社の預金保険基金(DIF)を補てんするため30億ドル近い費用を計上したことが響いた。収入は12%増の385億7000万ドルだった。
2023年の年間収益は過去最高の496億ドルに達した。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、米国経済は引き続き底堅いとの見解を改めて示したが、インフレは予想以上に高止まりし、高金利は長期化する可能性があると警告した。
米銀最大手JPモルガン・チェースが12日発表した2023年12月期決算は純利益が前の期比32%増の495億ドル(約7.1兆円)だった。通期では2年ぶりに過去最高益を更新した。金利上昇で融資などから得る純金利収入が好調だったほか、破綻した米地銀の買収も利益を押し上げた。
事業会社の売上高に相当する純営業収益は23%増の1581億ドルだった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げを追い風に利ざやが拡大し、純金利収入が892億ドルと34%増えた。JPモルガンは23年5月に破綻した米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)を買収しており、融資や預金残高の底上げにつながった。
非金利収入は11%増の688億ドル。投資銀行ビジネスの手数料収入が減る一方、資産運用などが堅調だった。貸倒損失が2倍以上になり、不良債権処理にかかる与信費用は46%増の93億ドルを計上した。
23年10〜12月期は純営業収益が前年同期比12%増の385億ドル、純利益は15%減の93億ドルで増収減益だった。
米地銀シリコンバレーバンク(SVB)などの破綻時の預金保護にかかった費用を回収するため、米連邦預金保険公社(FDIC)が各銀行に特別な負担金を課したことが10〜12月期の利益を圧迫した。JPモルガンは税引き前損益ベースで28億ドルのコストが生じた。
24年の収益見通しについては、純金利収入がおよそ900億ドルと23年並みの高水準を維持するとの予想を示した。FRBの利下げ開始などによる減収の影響を融資の伸びである程度補うことを想定する。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は声明で「消費者は支出を続け、米経済は引き続き強靱(きょうじん)だ」との認識を示した。
そのうえで環境対策や世界的な供給網の再編など中長期的な要因が「しつこいインフレを招き、金利は市場が見込む以上に高くなるかもしれない」と指摘。FRBの量的引き締めや、ウクライナと中東で続く戦争といったリスク要因も挙げ「我々は(事業運営に)慎重であり続ける」と述べた。
米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)(BAC.N)が12日発表した2023年第4・四半期決算は純利益が31億ドルと、前年同期の71億ドルから大幅に減った。37億ドルの一時的な費用を計上したのが響いた。
1株当たり利益は0.35ドルと、前年同期の0.85ドルから大きく減った。
銀行破綻時向け基金への補充など2つの一時的な費用を除いた1株当たり利益は0.70ドルで、LSEGがまとめた予想の0.68ドルをやや上回った。
アラステア・ボースウィック最高財務責任者(CFO)は報道陣との電話会見で「私たちは経済に関してかなり良い感触を持っている」とコメントした。
トレーディング部門と投資銀行部門は好調で、第4・四半期のトレーディング部門の収入は前年同期比1%増の38億ドル。株式の収入が12%と急増した。投資銀行部門の手数料収入は7%増の11億ドルだった。
純金利収入(NII)は5%減の139億ドルとなった。
米銀大手バンク・オブ・アメリカが12日発表した2023年12月期決算は、純利益が前の期比4%減の265億1500万ドル(約3兆8300億円)だった。利上げで預貸利ざやは拡大したものの、消費者向け融資の延滞増やオフィス向け融資の焦げ付きで与信費用が増加した。
事業会社の売上高にあたる純営業収益は4%増の985億8100万ドルだった。貸し出しなどから得る利息収入と、預金者に払う利息の差を示す「純金利収入」は9%増の569億3100万ドルとなった。米連邦準備理事会(FRB)が22年春に始めた利上げに連動して貸出金利は上昇。23年12月期通期の利ざやは2.08%と、前の期の1.96%から拡大した。
貸倒引当金や貸倒損失を合算した与信費用は43億9400万ドルと前の期比73%増となった。景気減速や金利上昇により、融資先の個人や企業からの返済が滞るケースは徐々に増えている。
消費者向けローンでは返済期日を90日以上過ぎた債権が23年10〜12月期に14億7800万ドルとなり、前年同期比で36%増えた。オフィス向け融資では同四半期に8件の貸し倒れが生じて約1億ドルの損失が生じた。
ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は経営説明会で「貸倒引当金繰入額は23年を通じて増加していったが、それでも過去の平均と比べると非常に良好な水準だ」と説明した。
23年10〜12月期は純営業収益が前年同期比10%減の219億5900万ドル、純利益は56%減の31億4400万ドルだった。FRBの利上げ局面は終盤を迎え、四半期ベースでは利ざやは縮小傾向が続いた。
米連邦預金保険公社(FDIC)はシリコンバレーバンク(SVB)など米地銀破綻時の預金保護にかかった費用を回収するため、各行に特別な負担金を課した。バンカメは21億ドルを負担した。融資で参照していた短期金利指数の算出終了も16億ドル分の利益押し下げ要因となった。
一時的要因を除く1株利益は0.70ドルで、市場予想0.53ドルを上回ったものの、12日の米株式市場でバンカメ株は下落して取引が始まった。前日終値比3%程度下げる場面があった。
米金融大手シティグループ(C.N)が12日発表した2023年第4・四半期決算は18億ドルの赤字となった。特別費用や引当金など38億ドルの費用計上が響いた。マーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は抜本的な組織再編の一環で、今後2年間で2万人を削減すると発表した。
メイソンCFOは、メキシコのリテール部門バナメックスの新規上場に伴いさらに4万人を削減する見通しで、最終的に世界の従業員数を現在の23万9000人から18万人の水準にすることを目指すと述べた。
シティは今年、離職手当や組織再編関連費用として7億─10億ドルを計上すると想定する。
ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は2024年がシティにとり「転換点の年」になると言明した。
シティの株価は序盤の取引で一時3%超上昇。その後は上げ幅を縮小し、約0.6%高で推移している。
第4・四半期の収入は3%減の174億ドルだった。
マーケット部門(トレーディング)の収入は19%減の34億ドル。フィクストインカムが25%の減収となったことが響いた。
バンキング部門の収入は22%増の9億4900万ドル。投資銀行業務の手数料上昇が押し上げ要因となった。
米パーソナルバンキング部門の収入も12%増の49億ドル。リテールバンキングやクレジットカード業務が好調だった。
ウェルスマネジメント部門の収入は3%減の17億ドルだった。
米大手銀行ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)(WFC.N)が12日に発表した2023年第4・四半期決算の1株当たり利益(一時的項目を除く)は1.26ドルと、LSEGがまとめたアナリスト予想の1.17ドルを上回った。一方、24年通期の純金利収入(NII)は前年比7─9%減少する可能性があると警告した。
株価は寄り付き前の時間外取引で一時1.9%下落した。
金利の上昇により、銀行は利益を得てきた。だが、市場関係者は米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始が年内にあると予想しており、金利収入が減り始める可能性がある。
チャーリー・シャーフ最高経営責任者(CEO)は声明で「業績は引き続き金利と米経済の健全性の影響を受けやすい」とコメントした。
Wファーゴは既にコスト削減を図っており、23年第4・四半期に9億6900万ドルの退職金関連費用を計上した。
第4・四半期の総収入は前年同期比2%増の205億ドルだった。
米銀大手ウェルズ・ファーゴが12日発表した2023年12月期決算は、純利益が前の期比40%増の191億4200万ドル(約2兆8000億円)だった。貸出金利と預金金利の差である利ざや拡大が寄与した。クレジットカードや商業用不動産向け融資の焦げ付き増加を背景に与信費用は増えた。
米連邦準備理事会(FRB)の急ピッチな利上げに伴う金利収入の増加が通年の収益を押し上げた。貸し出しから得る利息収入と預金者に払う利息の差「純金利収入」は前の期比17%増の523億7500万ドルだった。預貸利ざやは前年から0.43ポイント拡大して3.06%となった。
預金者をつなぎ留める目的で預金金利も引き上げているため、四半期ごとで見ると純金利収入は23年10〜12月期に127億7100万ドルと前年同期比5%減った。早期利下げ観測が広がるなか、24年12月期通期の純金利収入については前期比7〜9%少ない水準を見込む。
ウェルズのチャールズ・シャーフ最高経営責任者(CEO)は「当社の業績は金利と経済の健全性に影響を受けやすい状態にある」と指摘し、信用状況の悪化に注意を払うとの考えを示した。
23年10〜12月期の純利益は前年同期比9%増の34億4600万ドルだった。22年12月に米消費者金融保護局(CFPB)が手数料の不正徴収などを理由にウェルズに制裁金を科したことで同年10〜12月期は大幅減益となっていた。その反動で前年同期比は伸びたが、23年7〜9月期比では40%減少した。
米地銀シリコンバレーバンク(SVB)などの破綻時の預金保護にかかった費用を回収するため、米連邦預金保険公社(FDIC)が各銀行に特別な負担金を課したことが利益を圧迫した。ウェルズは19億ドルを負担した。9億6900万ドルの解雇手当も計上した。
貸倒引当金と貸倒損失を合わせた与信費用は23年12月期に53億9900万ドルとなり、前の期の3.5倍に膨らんだ。23年10〜12月期では前年同期比で34%増え、商業用不動産向けローンとクレジットカードで貸倒損失が膨らんだ。オフィスなど不動産投資会社は金利上昇や在宅勤務の定着により資金繰りが悪化している。カード事業もインフレなどが重荷となり延滞や不良債権比率が増加した。
米国の大手銀行の収益環境が転機を迎えている。商業銀行業務主体の4行が12日発表した2023年12月期決算は、純利益の合計が前の期比11%増えた。金利上昇で本業の融資が好調だったが、利下げ転換が見込まれる24年は逆風が強まる。不良債権の処理費用も増加傾向で、経営に影を落としつつある。
米大手銀4行の2023年第4・四半期決算は、預金保険基金向けの負担金や人員削減などでコストがかさみ、精彩を欠いた。金利高による収益押し上げ効果が薄れる兆候がみられ、さらに消費者向け融資が一部で焦げ付き始めている。
それでもJPモルガン・チェース(JPM.N)、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)(WFC.N)、バンク・オブ・アメリカ(BofA)(BAC.N)、シティグループ(C.N)の大手4行は、消費者向け融資の不良債権が新型コロナウイルス禍前の水準に戻りつつある中でも消費はなお底堅いとして、米経済に楽観的な見方を示した。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、消費者は支出を続け、市場は経済の軟着陸(ソフトランディング)を期待していると述べた。同時に、政府支出が今後も物価上昇要因になり得ると予想した。
12月の米消費者物価指数(CPI)上昇率が予想を上回ったことについて、「市場の予想よりもインフレの粘着性が強くなり、金利が高くなる可能性がある」と指摘した。
4行は地銀破綻時の預金保護で流出した連邦預金保険公社の預金保険基金(DIF)を穴埋めする負担金として合計で80億ドル余りを計上。
シティグループはこの負担金やアルゼンチンとロシアの為替リスクに対する引当金が響き、同期は18億ドルの赤字となった。
マーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は今後2年間で2万人を削減すると発表した。
Wファーゴは人員削減関連で9億6900万ドル、DIFの負担金として19億ドルを計上した。
BofAは昨年人員削減を実施したと明らかにし、3行による昨年の削減数は1万7700人に上った。
<純金利収入はまちまち>
貸し出しの利息収入と預金者に支払う利息の差である純利金利入(NII)は昨年、金利高で押し上げられたが、連邦準備理事会(FRB)の利上げ停止や融資の伸び鈍化、預金維持にかける費用拡大が利ざやを圧迫している。
BofAは利益が半減。DIFの負担金のほか、預金関連コストの増加でNIIが5%減少したことなどが要因。
Wファーゴは4行の中で唯一増益を確保。コスト削減が奏功して市場予想より大幅な9%増となった。ただ、NIIは5%減少し、24年に7─9%減少する可能性があるとの見通しを示した。
JPモルガンは15%減益となったが、年間では過去最高益を達成し、NIIも19%増となった。
<不良債権>
4行全てが貸倒引当金を増やし、一部の消費者向け融資では回収見込みのない債権が増加した。
最大のリテール銀行を抱えるBofAは回収見込みのない債券が第3・四半期の9億3100万ドルから12億ドルに増加した。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は米連邦準備制度バランスシートのランオフ(償還に伴う保有証券減少)について、「注視すべきダウンサイドリスク」の一つとの認識を示した。
ダイモン氏は、JPモルガンが12日発表した2023年10-12月(第4四半期)決算の資料に、「量的引き締め(QT)は金融システムから年に9000億ドル(約130兆3700億円)余りの流動性を吸収する。その上、われわれは引き締めのフルサイクルを目にしたことがない」と記した。
同行のジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)も、決算発表後の電話記者会見で「QTは明らかに大きな焦点であり、現在の環境における複雑な要素の一つだ」と述べた。
米銀シティグループは従業員2万人を削減すると明らかにした。ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)が推進するリターン押し上げの取り組みの一環で、これにより最大25億ドル(約3600億円)の節減につながる。
同行全体の費用は中期的に510億-530億ドルのレンジに減少すると、シティは説明。2024年は退職手当てやフレーザー氏による広範な組織再編に関連する費用を最大10億ドル見込んでいる。
シティの23年10-12月(第4四半期)決算は、債券トレーディング収入が過去5年で最悪となった。金利・為替事業は昨年の最終数週間に顧客活動が低迷したことによる打撃を受けた。同事業の収入は25%減の26億ドル。
「10-12月期は非常に残念だった」とフレーザーCEOは発表文で指摘。「簡素化と事業売却の道のりをかなり進んでいることを踏まえれば、24年はターニングポイントになる」と続けた。
シティは昨年9月、過去数十年で最大規模の組織再編に乗り出した。
10-12月期の純損益は18億ドル(1株当たり1.16ドル)の赤字。これには事業再編で影響を受けた従業員への退職手当てに絡む7億8000万ドルなど、一時費用が含まれる。同行はまた、昨年に起きた一連の銀行破綻に伴う連邦預金保険公社(FDIC)の資金補充に向けた特別査定に対応するため、17億ドルの営業費用も計上した。
今年のコストは535億-538億ドルのレンジになるとしており、2023年の564億ドルから減少する見込み。
ドイツ銀行は独コメルツ銀行やオランダのABNアムロを含む欧州の競合行を買収する可能性について、内部での検討に最近力を入れている。クリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は、ドイツ銀のバリュエーション向上策を探っている。
事情に詳しい複数の関係者によれば、ゼービングCEOがここ数カ月にわたって議論してきたシナリオで魅力な買収候補と見なされたのは、欧州の少数の銀行。ドイツ銀は規模拡大とシナジー効果を求めており、可能性のある組み合わせに関し、アドバイザーとなり得る企業と非公式会合を開いている。
ただ、買収助言役として投資銀行を正式に起用したり、リストに挙げた欧州の銀行と交渉したりはしていないと関係者は話した。関係者の1人は、ドイツ銀は買収のシナリオを常に検討していると述べた。
ドイツ銀行とコメルツ銀、ABNアムロの広報担当者はいずれもコメントを控えた。
欧州では2023年第4・四半期に風力の発電量が初めて石炭火力を上回り、エネルギー移行の取り組みが大きな節目を迎えた。
シンクタンクのエンバーが公表したデータによると、昨年10―12月期の風力の発電量は193テラワット時(TWh)と、石炭火力の184TWhを超えた。風力は人件費や材料費、調達コストなどの上昇で業界全体が逆風に見舞われたにもかかわらず、発電量が前年同期から約20%増加して過去最高を記録した。
欧州連合(EU)欧州議会は昨年終盤、風力発電タービンメーカーへの融資や開発業者への許認可手続き期間の短縮などを盛り込んだ風力発電産業てこ入れ策で合意している。このため今年は風力がさらに拡大し、今後は石炭に対するリードを広げそうだ。
<石炭の揺り戻しも>
欧州全域では24年以降、風力発電能力が増加すると広く予想される一方、石炭火力の見通しは依然として不透明だ。特に欧州全体の石炭火力発電量の約半分を占めるドイツ、ポーランド、トルコの3カ国の動きは、欧州が最近のクリーンエネルギー移行の勢いを維持できるかどうかを左右する重要な鍵となっている。
ドイツなど欧州の3大石炭消費国はいずれも23年前半に発電用の石炭使用が数年来の水準に減った。電力会社がクリーン電力の稼働を大幅に増やしたほか、欧州の産業活動が低迷し、電力需要全体が抑制されたためだ。
しかし23年後半には暖房需要が回復し、各国は石炭の発電を拡大した。ただ、いずれも石炭の発電量は以前のピークを大幅に下回った。
今後の各国の発電用石炭使用量は経済の大きな流れが主な決定要因になるだろう。もし今年、政府の景気支援策によって製造業活動が拡大すれば、電力消費も増え、電力会社は再生可能エネルギーとともに化石燃料による発電を増やさざるを得なくなるだろう。
重工業(特に化学、鉄鋼、肥料)の生産が持続的に増加すれば、電力システムに負荷がかかり、エネルギー消費の増加に対応するため石炭や天然ガスの発電量を増やす必要に迫られる公算が大きい。
一方、政府の景気刺激策にもかかわらず今年の産業活動が低迷し続ければ、全体的なエネルギー需要は以前のピークに届かず、電力会社は電源ミックスにおけるクリーン電力の比率を引き上げ続けることができるだろう。
<風力に勢い>
欧州の産業消費と産業活動がどう動くかにかかわらず、電力会社は今年、風力発電プロジェクトと送電網接続を加速させる見通しで、とりわけドイツ、英国、スペイン、フランス、デンマークなどの主要市場でこうした動きが広がりそうだ。
EUは風力発電事業が後退を迫られたことを受けて昨年、事業者がプロジェクトに参入する入札制度の改革に合意。今年は陸上と洋上の両方の風力発電でいくつかの政府入札が予定されている。
S&Pグローバルによると、ドイツは年内に8ギガワット(GW)の新規洋上風力発電の入札を予定しており、デンマークも年内に計9GWの洋上プロジェクトの入札に着手する見込み。
フランスも南海岸沖で計画されている合計で最大280メガワット(MW)の浮体式ウィンドファーム2基の建設を支援し、向こう1年程度で風力発電を拡大する予定だ。
こうした計画や他のプロジェクトが実際に稼働すれば欧州の風力発電総量は昨年の604TWhを上回り、クリーン電力の拡大が一段と進みそうだ。
欧州は、短期的には産業活動の回復に伴い石炭火力発電も増える可能性があるが、電力会社が計画中の風力発電プロジェクトを実行に移せば、長期的には電源ミックスにおける風力の石炭に対する優位が常態化しそうだ。
●その他産業
英高級ファッションブランド、バーバリー(BRBY.L)は12日、通期の利益予想を再び下方修正した。クリスマス商戦が不振だった。
午前の株式市場では同社の株価が7%急落。同業のLVMH(LVMH.PA)、ケリングもそれぞれ2%下落している。
バーバリーは通期の調整後営業利益が4億1000万ポンド(5億2300万ドル)─4億6000万ポンドになると予想。
昨年11月にも、当時の市場予想(5億5200万─6億6800万ポンド)の下限付近になるとの見通しを示していた。
昨年12月30日までの13週間の小売売上高は7%減の7億0600万ポンド、既存店売上高は4%減。
中国を含むアジア太平洋地域では3%増だったが、欧州は5%減、米州は15%減だった。
LVMHやケリングなど同業他社も、主要市場で高級品の需要減少を報告している。
インフレに加え、中東の紛争で地政学的な不透明感が増しており、米欧の消費者が支出を控えていることが背景。中国も不動産危機で新型コロナウイルス後の景気回復が予想を下回っている。
●決算関連
米デルタ航空が12日発表した2023年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比2.5倍の20億3700万ドル(約2950億円)だった。太平洋路線を中心としたレジャー需要が引き続き全体をけん引した。燃料コストの増加ペースが鈍ったことも採算向上に貢献した。
売上高は前年同期比6%増の142億2300万ドルだった。主力の旅客収入は121億7400万ドルと12%増えた。レジャー目的の旅行が引き続き人気だった。
地域別では、太平洋路線が45%増の5億5300万ドルと大きく伸びた。大西洋路線は23%増、ラテンアメリカ路線も18%増だった。国内線は7%増と前年同期比で伸び率は横ばいだったものの、デルタのグレン・ハウエンスタイン社長は「国内線も最近は好転している」とコメントした。
全体の運営コストは8%増だった。最も負担が大きい人件費は23%増えたが、燃料費は3%増にとどまった。燃料費は前年同期の42%増から増加率が大幅に縮小した。
23年12月期通期の売上高は前期比15%増の約580億4800万ドル、純利益は3.5倍の46億900万ドルだった。
24年12月期通期については、1株利益が6〜7ドルにとどまるとし、従来予想を下方修正した。サプライチェーンの混乱をうけた納期の延長や、維持補修コストの増加が利益を圧迫すると見込んでいる。この見通しをうけて、デルタの株価は12日、一時8%超下落する場面があった。
●先進国、グローバル、金融市場
2024年に入った米国市場で社債発行が相次いでいる。1月の投資適格債の発行規模は1600億㌦に及ぶと推計され、月次の発行額としては22年3月(約1700億㌦)以来の高水準となる見込みだ。利下げ観測などで調達金利が低下し、米国内外の企業がドル資金確保の好機とみた。社債発行ラッシュは米国債の需給軟化要因ともみられている。
11月の米大統領選を戦う共和党の候補指名争いの初戦が15日に迫った。寒波による悪天候で遊説日程の変更を迫られるなか、各候補が「最後のお願い」に奔走する。
共和党の指名争いは15日、中西部アイオワ州の党員集会で始まる。地元紙デモイン・レジスターとNBCが13日に発表した世論調査によると、トランプ前大統領の支持率はアイオワ州で48%と首位を維持した。
ニッキー・ヘイリー元国連大使の支持率は20%、南部フロリダ州のロン・デサンティス知事が16%だった。投資家のビベック・ラマスワミ氏は8%にとどまった。
前大統領は13日、デモインに入った。記者団に「私たちには多くの支持がある。しかし外はひどい」と語り、悪天候を嘆いた。13〜14日に対面で予定した4回の大規模な支持者集会のうち3回を中止し、一部をオンラインに切り替えた。
13日のオンライン集会でヘイリー氏を「グローバリストだ」と言明した。自身の政策理念である「米国第一」と対比し、ヘイリー氏が米国を最優先しないと主張。「大統領になるには力強さが足りない」とも評した。
「(世論調査で)大幅にリードしているし、こういう天気だから投票に行かなくても良いと思うかもしれない。だが投票に行く必要がある」と強調した。勝利を過信せずに投票するよう支持者に念押しした。
ヘイリー氏は13日、対面の支持者集会で前大統領について「彼は混乱を招く。みんな分かっているでしょう」と改めて訴えた。「民主党が混乱するなかで共和党も混乱すれば(大統領選に)勝てない」と唱えた。
デサンティス氏は「みなさんは15日夜にこれまでの選挙で見たことのない大きな衝撃を与えられる」と話し、支持を求めた。同氏は多くの遊説日程をアイオワ州に割き、少なくとも2位に入らないと指名争いで苦しくなるとの見方がある。
アイオワ州では12日に広い範囲で大雪が降り、ヘイリー氏とデサンティス氏は同日の対面形式の支持者集会をキャンセルしていた。
地元メディアによると、党員集会を開く15日の気温は氷点下20度を下回る見通しだ。米紙ニューヨーク・タイムズは「天候は過去の党員集会で最悪だろう」と予測し、投票率が下がる可能性がある。
アイオワ州の勝者が共和党の大統領候補になるとは限らない。共和党では現職を除き、アイオワ州を制して大統領候補になったのは2000年のブッシュ氏(第43代大統領)までさかのぼる。
共和党の大統領指名争いの2戦目は23日に東部ニューハンプシャー州で予定する。西部カリフォルニアや南部テキサスなど15州の予備選が集中する3月5日の「スーパーチューズデー」でヤマ場を迎える。
輸送コストの高騰や原油価格の上昇を受けて、世界的にインフレ圧力の再燃を巡る不安が高まっている。
インフレが収束するはずだった2024年に入ってわずか数日で、製造業者や小売企業は輸送の遅れや費用上昇に再び見舞われている。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での度重なる攻撃で、スエズ運河を通る主要な輸送ルートが混乱しているためだ。アジアから欧州への海上輸送運賃は過去4週間に2倍余りに跳ね上がった。
12日には中東地域での戦闘拡大懸念で原油価格が上昇。米英軍が前日、紅海でのこうした攻撃に対応し、フーシ派の軍事拠点を空爆したことが背景にある。北海ブレント原油先物は一時4.3%値上がりし、1バレル=80ドルを突破した。
過去1年間のインフレ率低下の主因は、エネルギーコストの下落に加え、サプライチェーンがコロナ禍のひずみをほぼ解消したことだった。紅海の混乱は、中央銀行がインフレ抑制への取り組み終了に役立つと期待していたこうしたディスインフレの動きをともに反転させつつある。
英ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長のモハメド・エラリアン氏は12日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「そもそも世界的に、供給サイドが脆弱(ぜいじゃく)だ。加えて、こうした衝撃を受けている」と述べた。同氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストでもある。
中南米のパナマ運河では、干ばつの影響で通航できる船舶の数が制限されている。
今回の輸送混乱はコロナ禍に経験したレベルにはほど遠いものの、世界で最も重要な貿易航路2本が支障を来しているため、サプライチェーンはこれまでと変わらず脆弱だと産業関係者は警鐘を鳴らしている。
米国アパレル・フットウエア協会(AAFA)のプレジデント、スティーブ・ラマー氏は「サプライチェーンが引き続き極めて脆弱であることを改めて強く示した」と指摘。「貨物産業全体にインフレの影響をもたらす」と話した。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「世界的に輸送コストは急騰し、原油価格はバレル当たり数ドル値上がりしている。これが最悪の影響になる可能性が高く、そうだとしたら世界的な消費者物価の上昇に大きくはつながらないだろう」と述べた。
今週末にかけ大規模な冬の嵐に見舞われる見通しの米国で12日、空の便に乱れが出ている。航空機の運航状況を追跡するウェブサイト「フライトアウェア」によると、午前の段階で1600便超が欠航、1200便超が遅延となっている。
デルタ航空(DAL.N)は「中西部でこの日と明日に予想される天候によって、運航上の問題が発生する見通し」とした。
サウスウエスト航空(LUV.N)も、シカゴ、デトロイト、オマハの一部の便に影響が出る可能性があるとした。
また、ユナイテッド航空はこれまでに258便を欠航した。アラスカ航空(ALK.N)が運航していたボーイング(BA.N)製旅客機「737MAX9」の側壁の一部が吹き飛んだ事故を受けた点検のため、ユナイテッドはすでに同型機の多くの運航を欠航。さらに運航予定便を他の機種に切り替えて運航するという。
米連邦航空局(FAA)は11日、同型機に関する正式調査を開始すると発表した。
米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、利下げを時期尚早に行えばインフレ率が不安定になる可能性があると指摘し、連邦準備理事会(FRB)の2%目標に向けたインフレの改善が今後数カ月で鈍る公算が大きいとの認識を示した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が14日報じた。
今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つボスティック氏は、インフレ鈍化の進展が今後「かなり緩やかになると見込む」とした上で、「完全に行き詰まるリスクもある」と語った。
2023年はインフレ圧力が想定以上の速さで緩和したと認めながらも、今年末時点のインフレ率は2.5%近くにとどまり、2%の目標達成は25年になる公算が大きいとみているとした。
昨年12月のFOMC後、同氏は今年の夏過ぎまで金利を据え置く必要があるとの考えを示していた。FTに対しては、米経済が直面している不確実性が、このような慎重姿勢をを正当化していると話した。
「インフレ率は2%の目標にしっかりと確実に戻る必要がある」と強調し、FRBの利下げ開始によってインフレ率が上下に動く不安定な状況となれば経済の先行きに関する人々の信頼を損ねるという「悪い結果」を招くことになるとした。
2024年全体では、スワップトレーダーは0.25ポイント利下げを少なくとも6回想定しており、金融当局者が昨年12月に四半期予測で示唆した利下げの2倍以上を織り込んでいる。その後、労働市場の逼迫(ひっぱく)とインフレ緩和を示す証拠がトレーダーを活気づけ、今年の積極的な緩和策に賭ける動きが続いているが、年内の利下げ幅予想は主要指標の発表前後で起伏がみられる。
この議論がどちらかに決着するまでは、多少の波乱が予想される。根底にある不確実性は長期債利回り予想の幅広さにも表れており、大きな勝者と敗者を生み出す下地となっている。祝日で営業日の少ない今週に発表されるデータや米金融当局者の発言で何らかの確実性が出てくる可能性は低いだろう
PGIMフィクスト・インカムのチーフ投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏はブルームバーグテレビジョンの番組で、米金融当局はディスインフレの「証拠が確実に得られるまで長期間待つつもりだ」と指摘。「証拠となるデータには起伏がある。そのため、レンジ取引の環境が見込まれる中では今は比較的中立的な姿勢で臨むのが理にかなう」との見方を示した。ティップ氏によれば、10年債利回りは4%台を中心に推移するだろうが、年限によって利回りの変動が激しくなり、投資家に取引機会を提供しそうだ。期間が2年から30年の国債利回りはいずれも4%の上下約30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以内にある。
長期的には、米国債の供給や地政学的緊張、今後の選挙との兼ね合いもあり、緩和シナリオがどう展開されるかを巡る不確実性は続く。
アポロ・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は先週のリポートで、こうした未知の要素が長期金利予測に大きな食い違いをもたらしており、市場にとって「忙しい年」になる下地となっていると指摘した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
13日に行われた台湾総統選で、与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳副総裁が中国の圧力をはねつけ勝利した。頼氏は「台湾の民主主義の歴史に新たなページを刻んだ」と勝利宣言した。
民進党は現選挙制度下で前例のない3期目の政権を担うことになる。
頼氏は、中国との関係は現状を維持するとしながらも、「中国からの脅威や脅しから台湾を守る決意だ」と述べた。中国は選挙に向けて、頼氏を危険な分離主義者として非難していた。
頼氏はまた「対立に代わる」対等な立場での中国との協力と対話の必要性を強調したが、具体的な内容は明らかにしなかった。
蔡英文現総統は4年前の選挙で50%以上の得票率で地滑り的再選を果たしたが、頼氏の得票率は4割程度にとどまった。
中国政府は選挙結果が出た後すぐ反応、台湾世論の主流を民進党は反映していないことを示したと強調した。台湾との関係を巡る方向性が変化することはないとし、台湾は中国の一部だと改めて指摘した。
頼氏は、民進党が議会で過半数を失ったことにも言及。法案や予算を通すのが難しい状況にあり、総統選を争った最大野党・国民党の侯友宜氏、第3政党・台湾民衆党の柯文哲候補と、台湾が直面する問題を解決するため協力すると語った。
バイデン米大統領は13日、米国は台湾の独立を支持しないと述べた。同日行われた台湾総統選では中国と距離を置く与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統が当選した。
バイデン氏は台湾の選挙について受け止めを問われ、「われわれは独立を支持しない」と答えた。
選挙に先立ち米政府は、いかなる国であれ台湾の選挙に干渉することを容認しないとしていた。
一方、ブリンケン米国務長官は選挙結果を受けて頼清徳氏に祝意を表明。米国は「台湾海峡の平和と安定を維持し、相違点を強制や圧力によってではなく、平和的に解決できるよう取り組む」と強調した。
頼氏や台湾各政党の指導者らと協力し、「米国の一つの中国政策と一致した長年の非公式な関係」を推進することを期待しているとも述べた。
13日投開票の台湾総統選で、民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統が当選を決め、民進党が3期連続で政権を担うことになった。中国は、米国との関係を重視する頼氏を戦争を扇動していると批判してきた。
頼氏の得票率は40.1%。ここ数十年で最も厳しい総裁選を制した。最大野党の国民党から出馬した侯友宜候補は2位、初めて総統選に挑んだ台湾民衆党の柯文哲候補が最下位となった。
頼氏は台北で同日夜に行った勝利演説で、「われわれは国際社会に対し、民主主義と権威主義の間で民主主義の側に立っていくと宣言する」と述べ、観衆からは大きな熱烈な拍手が送られた。
また、米中間の緊張の元となっている台湾海峡の平和を維持するとも表明し、台湾はこれからも世界の民主主義国家と肩を並べて歩んでいくとの姿勢を表明した。
バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は昨年11月、米カリフォルニア州で会談。安定化の兆しが最近見えてきた米中関係だが、今回の頼氏勝利であらためて試されることになる。
習主席は頼氏を「トラブルメーカー」「分離主義者」などと批判してきた。中国は台湾を領土の一部と見なしており、習氏は新年のメッセージで台湾との「祖国統一は歴史的必然」だと述べていた。
バイデン氏はこの日、短いコメントを発表し、米国は台湾の独立を支持しないと語った。
一方、中国は早い段階での反応では当選者の名前への言及を避けた。台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は選挙結果について、民進党が人口2300万人の「台湾で主流の民意を代表していない」ことを示していると述べた。
中国外務省は、「台湾でどのような変化が起ころうと」台湾の独立には反対していくとの姿勢を示した。
台湾の安全保障担当者は、総統選直後に中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を行うとは想定していないと説明。ただ、頼氏が5月に総統に就任する前に中国が別のやり方で圧力を強めてくるとみている。
退任する蔡英文総統を台北駐米経済文化代表処代表(駐米大使に相当)として支え、副総統候補として選挙戦を戦った蕭美琴氏も頼氏と共に登壇。世界中が今回の総統選に注目する中、頼氏のスピーチは英語で同時放送され、海外に伝えられた。
ブリンケン米国務長官は13日に声明を発表し、今回の選挙は台湾の民主主義の強さを示すものだとし、米国は「台湾海峡の平和と安定を維持し、強制や圧力とは違う平和的な解決にコミットする」姿勢を繰り返した。米国は今後も頼氏および台湾の全政党のリーダーらと協力していくとした。
頼氏は中国と協力する意向も示唆したが、民進党政権の過去8年にわたり中断していた中国との協議を再開できる可能性は低い。中国共産党はこうした中台対話の前提条件として、「一つの中国」で合意することを台湾側に要求しているが、民進党には受け入れられない条件だ。
台湾の有権者が対米関係重視の頼氏を支持したことは、中国と距離を置きたいという考えが、不動産価格高騰や賃金伸び悩みといった内政に対する不満の高まりを上回ったことを浮き彫りにしている。
経済問題では頼氏は、台湾積体電路製造(TSMC)を中心とする半導体業界のさらなる発展を「力強く」支援することを公約。最先端技術のグローバル・サプライチェーンの中での台湾の極めて重要な役割は、中国の軍事行動を抑制するための「シリコンの盾」と呼ばれている。
国民党の侯氏は同日夜、頼氏の勝利をたたえるとともに、有権者を失望させたと謝罪。侯氏は当選すれば中国との対話を再開させる方針を示していた。
ただ、立法院(議会)選挙では民衆党が8議席を獲得、国民党も議席を増やし、民進党は過半数を維持できなかった。
日本の外務省は13日夜、台湾総統選の結果について外相談話を発表。民主的な選挙の円滑な実施と頼氏の当選に祝意を表した。
談話では、台湾は日本にとって「基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人だ」と指摘。「政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ、日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていく考え」だと表明した。さらに、台湾を巡る問題が対話により平和的に解決され、地域の平和と安定に寄与することを期待するとした。
13日投開票の台湾総統選は与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳・副総統が当選する一方、立法委員(国会議員)選は民進党が少数与党に転落した。台湾の人々は今回の選挙をどう受け止めたのか。統一圧力を強める中国への対応はもとより、経済が大きな争点となった。
オールスプリング・イントリンシック・エマージング・マーケッツ・エクイティーのポートフォリオ・マネジャー、ゲイリー・タン氏は「選挙結果は現状維持のシグナルとほぼ言えるだろう」とした上で、市場は誰が立法院長に指名されるかに注目していると説明した。同氏は選挙結果による「台湾株への重要な影響」はないとみている。
サクソ・マーケッツの中国担当チーフストラテジスト、レドモンド・ウォン氏は、民進党が議会の過半数を失ったことで頼氏の政権運営は弱体化する公算が大きく、国民党などが法律制定に影響力を持つことになるだろうと指摘。また予算案を精査する重要な権限も持つことになり、「その結果、一連の激しい論戦や対立が生じ、今後4年間の台湾政策がより中道的な方向に向かう可能性がある」と分析した。
ただ、国民党の議席も過半数に届かず、市場は中国が今後どう動くかに注目している。中国の台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の報道官は選挙結果について、民進党が人口2300万人の「台湾で主流の民意を代表していない」ことを示していると述べた。
オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)の為替ストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「次期総統が誰になるかという不確実性は解消されたものの、両岸関係の不確実性はリスクとして残る」と指摘。為替は地政学的要因のほかに輸出動向、ハイテク産業の見通し、米金融政策などに左右される見込みだとした。
●中東
イエメンを拠点とする武装組織フーシ派を屈服させることを意図した空爆により、米国とその同盟国は、親イラン武装組織のネットワークを意味する「抵抗の枢軸」を直接相手にすることになった。
これはイランが数十年かけて描いてきた筋書きでもある。イランはこれまで、イスラエルと米国に反発する勢力のネットワークを構築しようとしてきた。しかし、フーシ派からパレスチナ自治区ガザのハマスやイスラム聖戦、レバノンのヒズボラ、イラクやシリアの民兵に至るまで、イランの影響力が及ぶ勢力がこれほど大規模に、かつ緊密に連携したことはかつてなかった。抵抗の枢軸の構成メンバーはハマスによるイスラエル急襲に乗じ、まさにその時が到来したと感じているはずだ。
この先の展開はイランだけでなく、米国との対決をいとわないフーシ派の指導者、アブドルマリク・フーシ氏(44)の存在にも大きく左右されるとみられる。同氏は汎(はん)イスラムの支配者になる運命だと信じており、世界の超大国である米国に挑むことはその実現に向けた一歩だとみている。イエメンの現・元当局者を含む約20人への取材で分かった。
海上輸送の要衝にまたがる地域で武力衝突が繰り広げられる中、フーシ派を支援してきたイランはここにきて投資の見返りを得ようとしている。
イエメンの研究者アドナン・アルガバルニ氏は「フーシ派はいまや抵抗の枢軸のゲームチェンジャーとなった」と話す。「イラン自身もフーシ派の実力に驚いている」という。
イランの地域戦略を研究してきたアナリストによれば、イランはフーシ派を思想的にも組織的にも、とりわけヒズボラといった他の枢軸メンバーと結びつけることに成功している。
イランはフーシ派に武器やミサイル技術、専門知識を提供するだけではない。前出のアルガバルニ氏によると、ヒズボラとイランの革命防衛隊の幹部は、指導者のフーシ氏が率い、指揮統制の役割を果たす「ジハディ評議会」の会合に参加している。
昨年10月7日のハマスによるイスラエル急襲後、枢軸による初の全面的な共闘においてフーシ派が果たした役割は、潜在的な「第二のヒズボラ」としての信頼を高める以上の成功を収めた。こう指摘するのはワシントン近東政策研究所のハニン・ガダール上級研究員だ。
それはまた、ヒズボラ指導者のナスララ師が長年唱えてきた枢軸メンバーによる「戦場と戦線における結束の実現」への一助ともなった。
ガダール氏は「彼らは国境をわれわれと同じようには見ていない」と指摘。10月7日以来、フーシ派がこれほど重要な役割を担っていることは、ヒズボラが再びイスラエルとの本格的な戦争に巻き込まれるのは避けたい思惑があるイランには役立っていると述べる。
イスラエルにとっては、イランとの争いは新たな局面を迎えている。イランの代理勢力が共闘態勢を強める中、とりわけフーシ派が長距離ミサイルやドローンを直接イスラエルに向けて発射し、紛争に加わった影響は大きい。
米軍は12日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の拠点を再び空爆した。当局者2人が明らかにした。米英両軍による前日の攻撃に続くもので、バイデン大統領はフーシ派が紅海で商船や軍艦への攻撃を継続するなら追加攻撃も辞さない考えを示していた。
当局者の1人は追加攻撃でレーダー施設を標的にしたと述べた。
米英両軍は11日夜、イエメン領内のフーシ派支配地域を攻撃。目撃者によると、首都サヌアの空港に隣接する軍事基地やタイズ空港近くの軍事拠点、ホデイダにあるフーシ派海上部隊基地、ハッジャ州の軍事拠点などが標的になった。
フーシ派系テレビ局はサヌアが米英軍による攻撃で標的になったと伝えた。
フーシ派は報復と紅海での商船攻撃の継続を表明し、中東地域で紛争がエスカレートする懸念が高まっている。
バイデン大統領はペンシルベニア州で記者団に「フーシ派がこの暴挙を続けるならば確実に対応する」と強調した。
米軍によると、米英軍は28カ所で60の標的を攻撃した。国防総省はフーシ派の攻撃能力を低下させたと発表した。米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、今回の攻撃はフーシ派のミサイルや無人機の保管、発射、誘導能力を標的としたもので、その影響を評価中と述べた。
フーシ派は、計73回の空爆によって、戦闘員5人が死亡したと発表。イスラエルの攻撃を受けているパレスチナ人を支援するために、報復と船舶攻撃を継続すると言明した。
イエメンでは、米英軍による攻撃に対する大規模抗議集会が開かれ、複数都市で数万人もの人々が集会に参加し、フーシ派幹部の米英に対する非難に聞き入った。
<非難の応酬>
国連安全保障理事会が開いた緊急会合で、米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「フーシ派が船舶・商船に無謀な攻撃を続ける能力を阻害し、減滅させる」ためだとしてイエメンでの攻撃の正当性を主張した。
ロシアのネベンジャ国連大使は先に、米英が「独断で」パレスチナ自治区ガザの紛争が他に波及する引き金を引いたと非難した。
イラン国営メディアによると、イラン外務省の報道官は「米国と英国がイエメンの複数都市に対し行った軍事攻撃を強く非難する」とし、地域の「不安定性」を煽ると警告した。
今回の攻撃を巡り、全ての米国の主要同盟国が攻撃を支持したわけではない。
オランダ、オーストラリア、カナダ、バーレーンが情報(インテリジェンス)とロジスティクス面で支援を提供。これら6カ国にドイツ、デンマーク、ニュージーランド、韓国を加えた計10カ国が今回の攻撃を正当化する共同声明に署名する一方、イタリア、スペイン、フランスの3カ国は、攻撃を正当化する共同声明への署名も拒否した。
供給混乱への懸念から、12日の取引で北海ブレント原油先物は一時2ドル超上昇したが、その後に上げ幅を縮小した。
バイデン大統領は中東の戦闘が原油相場に与える影響を「非常に懸念している」と述べた。
フーシ派の商船攻撃を背景とした紅海の物流混乱によるサプライチェーンの混乱やインフレ高進を巡る懸念もくすぶる。
米電気自動車大手テスラ(TSLA.O)は11日、独ベルリン近郊の工場で今月29日から2月11日まで自動車生産の大半を停止すると発表。紅海で相次ぐ商船への攻撃と、それに伴う海運ルートの変更が影響し、部品不足に陥っているとした
米国防総省幹部は12日、米英軍は前日にイエメン国内の約30カ所を150発を超える砲弾で攻撃したと明らかにした。
米英軍は11日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の関連施設を攻撃。国防総省幹部が示した数字はこれまでの公表より多い。
国防総省のダグラス・シムズ統合幕僚監部作戦部長は記者団に対し、今回の攻撃の標的には都市部から離れた場所に設置されていたミサイル発射台なども含まれていたため、多数の死傷者が出たとは予想していないと述べた。
また、フーシ派が報復を試みると米政府は予想しているとしながらも、フーシ派が9日に紅海で実施したような攻撃を再現できるとは考えていないと指摘。フーシ派はこの日、対艦弾道ミサイルを発射したが、どの艦船にも命中しなかったと述べた。
米英軍が11日に実施したイエメンの親イラン武装組織フーシ派の関連施設への攻撃への参加を見送ったイタリア、スペイン、フランスの3カ国が、同攻撃を正当化する共同声明への署名も拒否していたことが分かった。海運の要衝で船舶に対する攻撃を続けるフーシ派への対応で、西側諸国の間に分断があることが改めて浮き彫りになった。
米当局者によると、米英軍の11日のフーシ派に対する攻撃に、オランダ、オーストラリア、カナダ、バーレーンが情報(インテリジェンス)とロジスティクス面で支援を提供した。これら6カ国にドイツ、デンマーク、ニュージーランド、韓国を加えた計10カ国が今回の攻撃を正当化する共同声明に署名。フーシ派が引き下がらなければ、紅海の海運を守るために一段の行動を取ると警告した。
イタリア首相府の関係筋は、イタリアは共同声明の署名を見送ったため、フーシ派に対する攻撃への参加を要請されなかったと説明。ただ政府関係筋は、攻撃参加の要請はあったものの、参加するには議会の承認が必要になるほか、紅海の情勢を「沈静化」させる政策を優先しているため、参加を拒否したとしている。
イタリア政府はその後「世界貿易の流れと人道支援のために、自国の船舶を守る権利を持つ同盟国の活動を支援する」との見解を表明した。
フランス政府関係者は匿名を条件に、フランスは米国主導の攻撃に参加することで、レバノンに拠点を置く親イラン組織ヒズボラとイスラエルと間の緊張を和らげるための協議で影響力を失うことを恐れたと語った。フランスはここ数週間、イスラエルの北隣のレバノンでのエスカレートの防止に外交の重点を置いている。
スペインのロブレス国防相は、スペインは平和の促進を願っているため紅海での軍事行動に参加しなかったと説明。マドリードで記者団に対し「どの国も自国の行動について説明する責任がある。スペインは常に平和と対話のために尽力する」と述べた。
米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、フランスは攻撃への参加を拒否したかとの質問に対し、外交的なやりとりについてコメントはしないとした上で、「実際の攻撃に積極的に関与していなくても、米国の多くのパートナー国が作戦以外の支援を申し出た」と指摘。米国は「今回の攻撃を実施するためにバイデン大統領が行使した法的権限に自信を持っている」と述べた。
米国は昨年12月、紅海で商船の安全を守るための有志連合を創設。イタリア、スペイン、フランスの3カ国はこれに参加しておらず、今回のフーシ派に対する攻撃以前から分断は存在していた。
アル・ムッカラー:イランが支援するイエメンのフーシ派は、米国がイエメンで新たな攻撃を行ったことを受け、「強固で効果的な対応」を取ると警告した。米国がフーシ派による攻撃から船舶を保護すると宣言したことで、緊張が高まっている。
レーダーサイトを攻撃したという米国の最新の攻撃は、イエメンのフーシ派施設に対する、数十回にわたる米英軍の攻撃が発生した翌日に行われた。
フーシ派のナスルディーン・アメル報道官は、「この新たな攻撃は、確固とした、強力で効果的な対応を受けることになる」と述べ、攻撃による負傷者や「物質的な被害」はなかったと付け加えた。
同じくフーシ派の報道官であるモハメド・アブドゥル・サラム氏は、サヌアの軍事基地を攻撃したものを含む今回の攻撃は、紅海とアラビア海を通過するイスラエル関連の船舶の通行を阻止する同組織の能力には大きな影響を与えていないと述べた。
ハンス・グルンドベルグ国連イエメン特使は、イエメンにおける「すべての当事者」に最大限の自制を求め、地域での状況がますます不安定になっていると警告した。
グルンドベルグ氏は、国連が仲介した平和努力により、イエメンの当事者が平和へのロードマップを支持することで合意したが、紅海における最近の緊張の高まりにより、それが損なわれるリスクがあると述べた。
さらなる行動は、すでに困難な状況にあるイエメンをさらに悪化させ、海上貿易ルートの安全を損ない、地域の緊張を高めることにつながるかもしれないと彼は警告した。
彼のオフィスは、グルンドベルグ氏が「地域情勢がますます不安定になり、イエメンの和平努力や地域の安定と安全保障に悪影響を及ぼしていることに、深刻な懸念を抱いている」と伝えた。
国際的な仲介者たちは、フーシ派支配地域に対する米国の攻撃が、イエメン民兵を国連の仲介による和平交渉から離脱させ、国内での武装行動を開始させることを懸念している。
アメリカ中央軍(CENTCOM)司令部は13日、米海軍駆逐艦「カーニー」が同日午前3時45分、イエメンのフーシ派のレーダー拠点に向けてトマホーク巡航ミサイルを発射したと発表したが、標的となった場所は明かしていない。さらに、フーシ派支配地域への最新の攻撃と以前の攻撃は、同組織の軍事力に影響を与え、海上航行の交通を脅かすことを防ぐことを目的としていると付け加えた。
フーシ派は、13日の攻撃はサヌア北部のアル・ダイラミ空軍基地を標的にしたものだと述べた。
フーシ派は、イエメンへの攻撃は「罰を免れるものではない」とし、攻撃を「露骨な侵略」と非難し、同組織に対し、パレスチナ人を支援する立場を放棄するよう強いることを目的としていると主張した。
米英軍は12日、紅海でフーシ派が民間船や海軍船をミサイルやドローンで攻撃したことへの報復として、サヌア、ホデイダ、タイズ、サダ、ハッジャ、ダマールの60以上の標的に対して数十回の空爆を行った。空爆の標的は、指揮・統制拠点、弾薬庫、発射システム、生産施設、防空レーダーシステムなどであった。
フーシ派は、米国が同民兵組織に、イスラエルに関連する船舶やイスラエルに向かう船舶への攻撃を停止させようとしていると非難している。フーシ派によるこれらの攻撃は、イスラエルにガザ地区の封鎖を緩和させる意図があるとみられている。
ジョー・バイデン大統領は、米国はイランに対し、フーシ派の攻撃に関する明確なメッセージを送ったと述べた。
「私たちはメッセージを送った。私たちの準備はできていると確信している」と、バイデン氏はホワイトハウスで記者団に語った。
これとは別に、イエメンの正統政府は、西部ホデイダ県でのフーシ派との戦闘で兵士2人が死亡したと発表した。
フーシ派は12日、ホデイダのハイス地区でイエメン政府軍に砲撃を行い、攻撃を開始した。これにより激しい戦闘が起き、政府軍の2人の兵士と複数のフーシ派メンバーが死亡した。
イエメン各地の戦場での敵対行為は、国連の仲介で2022年4月に停戦協定が発効して以来、大幅に減少している。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> 昨年12月の卸売物価指数(PPI)が前月比で予想外に下落したことで早期利下げ観測が高まり、ドル指数が上げ幅を縮小した。
<債券> 米債利回りが低下した。この日発表された2023年12月のPPIが前月比で予想外に下落したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)による年内早期利下げ観測が高まった。
PPI発表を受け、2年債利回りは昨年5月以来の低水準となる4.119%まで低下。終盤は11.8ベーシスポイント(bp)低下の4.142%だった。週間では13.1bp低下とここ1カ月で最大の低下幅となった。
LSEGによると、米金利先物市場ではFRBが3月に利下げを決定する確率が約80%となった。PPIを受け11日終盤の71%から上昇した。年内には0.25%ポイントの利下げが少なくとも6回実施され、年末までにフェデラル・ファンド(FF)金利が3.6%に低下するとの見方が織り込まれている。
<株式> ほぼ変わらず。米PPIの予想外の下落を受け、米利下げ期待が強まる半面、銀行の決算が強弱入り混じる内容となったことで、相場は上下に振れる展開となった。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)(BAC.N)は1.06%安。四半期決算では、37億ドルの一時的な費用計上が響き、大幅減益となった
米大手銀行ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)(WFC.N)も3.34%安。24年通期の純金利収入(NII)が前年比7─9%減少する可能性があると警告した
一方、シティグループ(C.N)は1.04%高。第4・四半期は18億ドルの赤字となったものの、組織再編の一環で、今後2年間で2万人を削減すると発表したことが材料視された
JPモルガン・チェース(JPM.N)は0.73%安。四半期決算は減益となったものの、年間では過去最高利益を達成した
S&P銀行株指数(.SPXBK)は最大1.7%下落した後、下げ幅を縮小し1.26%安で終了した
<米原油先物> 中東地域の紛争拡大懸念を背景とした買いに続伸した。米国産標準油種WTIの 中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.66ドル(0.92%)高の1バレル=72.68ドル。週間では1.53%下落した。3月物は0.70ドル高の72.79ドルだった。
<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。コモディティー(商品)関連株が上昇し、英高級ブランド会社バーバリーの下げを相殺した。
地政学的緊張の高まりを背景に英防衛大手BAEシステムズ(BAES.L)は2.2%上昇。エンジンメーカーのロールスロイス(RR.L)、投資会社メルローズ(MRON.L)はそれぞれ2.7%、2.1%上げた。
一方、バーバリー(BRBY.L)は5.5%下落。高級品の需要減少を理由に通期決算の利益予測を下方修正し、高級市場の変革戦略を実施するにあたり、前途多難であると警告したことが嫌気された。
<欧州株式市場> 4日ぶりに反発して取引を終えた。米卸売物価指数(PPI)が前月比で上昇するとの市場予想に反して低下したのを受け、米連邦準備理事会(FRB)など主要中央銀行が早期に利下げするとの期待が高まった。
個別銘柄では、欧州航空機大手エアバス(AIR.PA)が3.7%高。23年の民間航空機の受注が過去最高に達し、納入機数が前年比11%増加したことが好感された。航空宇宙・防衛指数(.SXPARO)は2.84%上昇した。
<ユーロ圏債券> 利回りが低下した。米国の12月PPIが下落したことを受け、投資家はECBによる利下げ観測を強めた。
日経先物35,538、ダウ先37,748、債先147.51、米3.939、独2.1530、仏2.677、西3.092、伊3.733、英3.8320、波5.099、原油72.79、銅8,300、ドル円144.93、ユーロドル1.0949
※1/12 NY引け値
備忘録(2024/1/11)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
アルゼンチンとロシアなど米国外の通貨エクスポージャーに13億ドルの引当金を積むほか、リストラ関連費用として7億8000万ドル、シリコンバレー銀行破綻に伴う連邦預金保険公社(FDIC)基金補充費用としておよそ17億ドルを計上する。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドルは対ユーロ・対円で値を下げた。ただ、12月の米消費者物価指数(CPI)上昇率がエコノミストの予想を上回ったことを受け、安値からは戻した。米連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げに踏み切るとの観測が後退した。
<債券> 不安定な取引の中、国債利回りが低下した。12月の消費者物価指数(CPI)の伸びが予想を上回ったものの、FRBによる利下げ観測はほとんど後退しなかった
<株式> ほぼ横ばいで取引を終えた。インフレ統計が市場予想を上回ったほか、労働市場のデータも底堅さを示し、FRBによる早期の利下げに対する期待が後退した一方、米国債利回り低下が下支え要因となった。
シティグループ(C.N)は1.77%安。12日に発表する23年第4・四半期決算について、特別費用と引当金として計38億ドル前後を計上すると明らかにした
<米原油先物> 中東情勢の緊迫化を背景とした買いが優勢となり、反発した。米WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比0.65ドル(0.91%)高の1バレル=72.02ドルだった。3月物は0.65ドル高の72.09ドル。
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。昨年12月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を上回り、米国株が下落したことが投資家心理を冷やした。英小売大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)が売られたことも相場の重しとなった。
<欧州株式市場> 3日続落して取引を終えた。米労働省が発表した昨年12月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率が加速し、市場予想を上回った。この結果を受けて世界の主要中央銀行が早期に利下げを開始するとの観測が後退し、売り注文が優勢となった。
<ユーロ圏債券> 指標となるドイツ10年国債利回りが低下した。この日発表された昨年12月の米消費者物価指数(CPI)を受け、一時は1カ月ぶり高水準をつける場面もあった。
日経先物35,235、ダウ先37,898、債先147.51、米3.962、独2.1920、仏2.737、西3.101、伊3.800、英3.8790、波5.081、原油73.29、銅8,377、ドル円145.00、ユーロドル1.0982
※1/12 8時50分頃
備忘録(2024/1/10)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米地銀は2024年の増益確保が厳しいと見込まれている。預金者に対して大手行よりも預金金利を高く設定するよう迫られる一方で融資需要は依然弱い。さらに、金利見通しが不透明な中で保有証券の含み損が新規融資や高利回り資産への投資の足かせになるとみられる。
ゴールドマン・サックスは地銀6行の純金利収入が今年、1桁台半ばの減少になると予想。同社の銀行アナリスト、リチャード・ラムズデン氏は「厳しさが増すだろう」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、連邦準備理事会(FRB)が3月に利下げを開始し、24年末までに政策金利(FF金利)を現行水準から約1.4%ポイント引き下げるとの見方を織り込んでいる。
それでも、フィッチ・レーティングスは金利が高止まりし、中堅・中小行が預金維持のために大手に比べて高い金利を支払うよう迫られると予想する。
フィッチの北米銀行格付け責任者であるクリストファー・ウルフ氏はこれが銀行の金利収入と金利マージンにとって「引き続き課題であり、足かせとなるだろう」と述べた。
米銀2位のバンク・オブ・アメリカ(BAC.N)が一般預金者に平均0.34%の金利を支払っているいるのに対し、ユタ州に本社を置くジオンズ・バンコープ(ZION.O)は、預金と有利子負債に約2.10%の金利を支払っている。
LSGEがまとめたアナリスト予想では、資産規模500億─1000億ドルの地銀11行の24年の1株利益は減少すると見込まれている。ジオンズのほか、ニューヨーク・コミュニティ・バンコープなどが含まれる。
このうち4行は純金利収入が減少し、その他はわずかに増える見通し。
昨年はシリコンバレー銀行を含む3つの地銀の破綻を受けて、中堅・中小行から大手行に預金が流出した。
JPモルガンでは昨年、当座預金口座の新規開設が差し引きで約200万口座に上った。バンク・オブ・アメリカは口座数が50万増え、新規口座が19四半期連続増となったとブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)が投資家に明かしている。
一方、FRBが利下げに踏み切れば預金金利の引き上げ圧力が緩和され、大手行の純金利収入をさらに押し上げるとみられる。
米銀の第4・四半期決算は1月12日に始まる。
<格下げ>
格付け会社S&Pとムーディーズ・インベスターズ・サービスはここ数カ月の間に、米銀の格下げや見通し修正を相次ぎ発表した。資金調達リスクや収益低迷で銀行部門の信用力が試される局面になると予想している。
S&Pは8月に預金流出と金利上昇を理由にUMBファイナンシャル(UMBF.O)とコメリカ銀行(CMA.N)の格付けを引き下げており、収益が頭打ちになっていることを理由にキーコープ(KEY.N)も格下げしている。
UMBは格下げに関連し、地銀が直面しているとされる圧力は顕在化しなかったと指摘し、流動性や規制資本水準、融資の質、資金の調達源は業界全体、とりわけUMBで引き続き強固だとした。
キーコープのクラーク・カヤット最高財務責任者(CFO)は、純金利マージンと純金利収入が年後半を中心に改善すると予想していると12月に述べていた。
銀行に融資・預金金利設定ソフトを提供するノミス・ソリューションズが推計した預金ベータ(FRBの金利動向に対する預金金利の感応度)は大手行で15─19%にとどまったのに対し、地銀やコミュニティー銀行では60%台前半となった。
先行きは不透明だが、オハイオ州を拠点とするハンティントン銀行(HBAN.O)は、融資の約60%が変動金利で、同業他社よりも自動車ローンや住宅ローンの金利を迅速に引き上げられるため、高金利の恩恵を受けてきた。
「金利が上がれば、私たちの資産の価格も上がる」とスティーブン・スタイナーCEOは語り、全ての銀行がそうであるわけではないとした。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ドイツの鉄道運転士労組GDLが10日未明から3日間の全国ストライキに突入した。数十万人の乗客に影響が出ている。
同国では貨物列車の運転士も9日夜からストを実施。補助金削減に反対する農家も道路を占拠する抗議活動を行っている。
ドイツ鉄道は運行本数を減らした臨時ダイヤで対応。長距離高速鉄道は通常の2割しか運行しておらず、各地の鉄道も運行本数を大幅に間引いている。同社は不要不急の旅行を中止・延期するよう呼びかけている。
GDLはシフト勤務者の労働時間を週38時間から35時間に短縮し、賃金を維持することを要求。ドイツ鉄道は勤務時間の柔軟化を提示したが、賃金を引き下げない労働時間短縮は拒否している。
同国では今週、農業補助金の削減計画に抗議する農家が抗議デモを行い、トラクターやトラックで各地の道路を占拠した。ドイツ農民連盟(DBV)は10日、抗議活動を強化する方針を示した。
貨物列車の運転士のストも混乱を引き起こすとみられており、ドイツ産業連盟(BDI)は供給網に問題が生じると警告している。
米海洋大気局(NOAA)が9日発表した年次報告によると、米国で2023年に発生した被害額10億ドル超の異常気象による災害は28件で、2020年の22件を抜いて過去最多となった。昨年の平均気温は歴史上5番目に高かった。
昨年はハワイ州のマウイ島で山火事が発生し、過去100年余りで最大の死者数を記録したほか、カリフォルニア州で大洪水、中部州で2つの竜巻が発生。2月に北東部が猛吹雪に見舞われ、8月にはハリケーン「イダリア」が襲来した。
28件の被害総額は約930億ドルで、12月に起きた暴風雨や東海岸の洪水の分を加えるとさらに膨らむ見込み。
米本土の昨年の年間平均気温は華氏54.4度(摂氏12.4度)で、観測記録のある過去129年間の平均より2.4度高かった。
また12月の平均気温は観測史上で最も高かった。ルイジアナ、マサチューセッツ、ミシシッピ、ニューハンプシャー、テキサスの5州は年間平均気温が過去最高で、他の6州は過去2番目に高かった。
NOAAのチーフサイエンティスト、サラ・カプニック氏は、何百万人もの米国民が果てしなく続くと思われる気象・気候災害の猛威にさらされていると指摘。こうした極端な現象は「気候変動によって悪化し続ける」と予想した。
フィッチのチーフ・エコノミスト、ブライアン・コールトン氏は、米連邦準備理事会(FRB)は年内に3回の利下げを実施する公算が大きいとの見方を示した。
また、フィッチの米州ソブリン格付け部門責任者、シェリー・シェティー氏は今年も米国の高水準の財政赤字が続くと予想。政治的二極化を理由に財政赤字削減への実質的な転換は起こりそうにないとし、今後の一般政府債務の「顕著な増加」は米国の債務格付けにとってマイナスになるとした。
イングランド銀行(英中央銀行)当局者のナサニエル・ベンジャミン氏は9日、低金利時代の終わりがプライベート・エクイティ(PE、未上場株)やプライベート・クレジット(ファンドなどの企業向け融資)に与える影響について「大いに注目すべき」だと指摘した。
企業がコストの少ない資金調達方法を選好し、投資家が高利回りの投資先を求めた結果、これらの分野は低金利環境下で急速な拡大を遂げたと述べ、同分野への銀行のエクスポージャーを定量化することは困難だとした。同氏の金融行政委員会(FPC)委員任命に関する議会財務委員会の公聴会で語った。
「他地域のプライベート市場におけるリスクの顕在化が英機関に波及する可能性がある」との見解も示した。
FPCは中銀と金融行動監督機構(FCA)のメンバーで構成され、金融システムのリスクを特定し、規制の方向性を定める役割を担う。
ベンジャミン氏はまた、気候変動が金融に与える影響はFPCの責務の重要部分だとしたほか、金融サービスにおける人工知能(AI)の利用についても詳しく検証する考えを示した。
米資産運用会社アレス・マネジメントは、200億ユーロ(約3兆2000億円)を超える史上最大のダイレクトレンディング(直接融資)ファンドを準備している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者によると、アレスは投資家から少なくとも150億ユーロを調達する計画。それに加えて約50億ユーロのレバレッジを活用する見込みだという。アレスの担当者はコメントを控えた。
マイク・アロゲティ最高経営責任者(CEO)は昨年10月の決算説明会で、アレスは年末までに新ファンド「アレス・キャピタル・ヨーロッパⅥ」に対して110億ユーロ相当のコミットメントを得る見込みだと述べていた。欧州クレジット部門の共同責任者であるブレア・ジェイコブソン、マイケル・デニス両氏が共同でこのファンドを運営する。
欧州では最近、アレスが英国の個人保険会社2社の合併を支援するため、約10億ポンド(約1850億円)の直接融資を行った。同社はスポーツ案件にも関心があり、昨年はサッカーのイングランド・プレミアリーグのチーム、チェルシーFCに5億ポンドを提供した
1兆6000億ドル(約232兆円)規模のプライベートクレジット市場は、レバレッジドバイアウトのための伝統的な貸し手である投資銀行が金利上昇期に融資に慎重になったため、ここ数年で急速に拡大した。景気減速が懸念される中、新規案件への取り組みに慎重な銀行も多い。
多くの企業がプライベートクレジット・チームを立ち上げ、このブームに乗ろうとしているが、市場の成長をけん引しているのは、アレス、HPSインベストメント・パートナーズ、ブラックストーンといった一握りの大手だ。
業界調査会社プレキンのデータによると、欧州での融資機会を狙うアレスの新ファンドは、過去最大のダイレクトレンディング・ファンドになる見込み。
ロイター/イプソスが10日発表した11月の米大統領選に関する世論調査によると、再選を目指す民主党のバイデン大統領と共和党候補となる公算の大きいトランプ前大統領の支持率が拮抗している。
調査は3─9日にかけ、全国の成人4677人を対象に実施。バイデン氏に投票する、トランプ氏に投票するという回答はともに35%で並んだ。
回答者の3分の1近くはどちらの候補も支持しない、約13%は投票しない、9%は別の候補者を支持する、8%は分からないとした。
バイデン氏もしくはトランプ氏いずれかを選ばなくてはならない場合、どちらを支持するかという質問に対しては、両氏への支持はともに48%で拮抗した。
また、無所属で出馬する反ワクチン活動家のロバート・ケネディ・ジュニア氏への支持は18%で、ケネディ氏を含めた3者対決の場合のバイデン氏の支持は29%、トランプ氏の支持は30%に低下した。
調査では、民主党支持者の76%が11月の選挙でバイデン氏に、共和党支持者の76%がトランプ氏に投票すると回答し、米政治の二極化を反映する内容となった。
11月の米大統領選に向け共和党候補選びの初戦となるアイオワ州党員集会を来週15日に控える中、トランプ前大統領への支持が49%と、他の候補者を引きはなし、圧倒的リードを維持している。ロイター/イプソスが10日発表した世論調査から分かった。
冬の嵐に見舞われている米東部で10日、フロリダ北部からメーン州までの広い地域で約50万戸の住宅や企業が停電となった。空の旅にも影響が出ており、航空機の運航状況を追跡する「フライトアウェア」によると、午前中だけでも1400便超が遅延もしくは欠航となっている。
米国立気象局(NWS)によると、中西部オハイオ州東部から中部大西洋沿岸地域、北東部の広い地域にかけ、9000万人超の住民に対し強風や洪水注意報が出されている。
ニューヨークやフィラデルフィア、ボストンなどの主要都市では、洪水を招くおそれのある大雨は午前中には弱まるものの、時速80キロを超える突風によって、樹木や電柱が倒れるなどの被害が出る可能性があるという。
当局や地元メディアの報道によると、南部のアラバマ州、ノースカロライナ州、ジョージア州では暴風雨により少なくとも3人が死亡したほか、一部地域では竜巻が発生した。中西部ウィスコンシン州とミシガン州では大雪の影響で2人が死亡した。
また、太平洋岸北西部は別の冬の嵐に見舞われており、標高の高い地域では吹雪となるおそれがあるという。
米小売り大手ウォルマート(WMT.N)は10日、停電の影響で約12店舗を一時的に閉店したと発表。ただ事業への影響は最小限とした。
米ホームセンター大手ホーム・デポ(HD.N)は、ニュージャージー州の1店舗で9日夜に数時間早く閉店したが10日朝には影響を再開。米ホームセンター大手ロウズ(LOW.N)は一部地域の店舗は予備電源で営業しているという。
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は10日、インフレの2%目標到達にはなお道半ばとし、利下げ着手は時期尚早という見解を示した。
総裁はまた、銀行部門の流動性水準は、米連邦準備理事会(FRB)がバランスシートの縮小を止める必要性を示唆するものではないとの見方を示した。
インフレ圧力が弱まる中、利下げは理にかなっているとしつつも、利下げ開始時期については「答えられない」とした。
ウィリアムズ総裁は講演で「経済の均衡を取り戻し、インフレを抑制する上で有意義な進展が見られた」としながらも、「われわれの仕事はまだ終わっていない」と述べた。
FRBはインフレ抑制でかなりの進展を遂げ、「われわれは明らかに正しい方向に進んでいる」と述べると同時に、「物価安定の目標達成にはまだ程遠い」とした。
その上で「目標を完全に達成するには、しばらくの間、制約的な政策スタンスを維持する必要があると想定している」とし、「制約的な政策の度合いを縮小するのが適切となるのは、インフレが持続的に2%に向かっていると確信できたときのみだ」と言明した。
経済見通しは引き続き「非常に不確実」とし、今後の金融政策は「今後入手されるデータや見通しの動向、リスクのバランス」を総合的に見極め会合ごとに決定すると強調した。
インフレは今年2.25%、来年に2%まで鈍化すると予想。さらに制約的な金融政策により、今年の成長率は約1.25%に鈍化し、失業率は現在の3.7%から4%に上昇するという見通しを示した。
総裁は講演後に記者団に対して、金融政策の短期的な見通しに対する市場観測についてコメントを控えた。
「制限的な政策スタンスを変える前に2%(のインフレ率)に向かっていると確信することが重要だと思う」とし、利下げがいつ実施されるか「予測はしない」と述べた。ただ、FRBはデータを取り入れ、次の動きを検討するのに「良い状況」にあるとも述べた。
FRBのバランスシート縮小は順調に進んでおり、これまでのFRBの取り組みを中止させるような流動性問題の兆候は見られないと述べた。
欧州での債券発行額が今週これまでに1080億ユーロ(約17兆2500億円)超と、あと2営業日を残して既に週間ベースの過去最高記録を更新した。
ブルームバーグの集計データによれば、プライマリー市場での今週の発行額の半分余り(650億ユーロ)はSSA(国際機関債や準ソブリン債、政府系機関債など)。スペインとイタリア、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の規模が特に大きかった。金融機関による発行額は310億ユーロ、他の企業は120億ユーロ近くとなっている。
有利な市場環境と強い投資家需要を生かそうと、債券発行が相次いでいる。週内にはアイルランドの30億ユーロ起債なども明らかになるとみられる。
米国のインフレ率は今年さらに鈍化し、米金融当局が目指す2%の目標近辺で1年を終えそうだ。新型コロナウイルス禍に伴う経済的混乱の影響はさらに薄れ、財価格は下落する項目もあるとみられるためだ。
インフレ鈍化の流れは米金融当局を確実に利下げへと向かわせており、早ければ3月にも利下げに踏み切ると予想されている。一方、再選を目指すバイデン米大統領にとっては、インフレ低下が景気減速と並行するようであれば、選挙戦で実績を誇示することが難しくなりそうだ。
UBSインベストメント・バンクのエコノミスト、アラン・デトマイスター氏は「今年は物価が非常に抑制される可能性が高い。供給状況の改善による価格下押しの影響もなお続く可能性が高い」と指摘。「目先は多くの減速が見られ、さらに先では一段と緩やかな減速になるだろう」と述べた。
インフレの低下自体は、11月の大統領選に向けてバイデン大統領の追い風になるはずだ。世論調査によると、有権者は最大の関心事として物価と経済を一貫して挙げている。
しかし、UBSやウェルズ・ファーゴを含め、今年は金利上昇が成長と雇用に打撃を与えるとの見方が多く、バイデン氏にとっては、雇用市場の弱含みがインフレ鈍化の恩恵を打ち消すことになりかねない。
ウェルズ・ファーゴのハウス氏は「インフレ率だけでなく、雇用市場の伸びをどの程度持続できるかが、消費者信頼感の行方を左右することになる」とみている。
トランプ前米大統領にとって、経済はバイデン大統領の問題だ。世論調査によると、有権者は経済問題に関して、民主党の現職バイデン氏よりも共和党のトランプ氏を圧倒的に信頼している。12月に行われたブルームバーグ・ニュース/モーニング・コンサルトの調査では、激戦区7州の有権者が、住宅、金利、インフレ、予算均衡など、懐事情に関する幅広い問題に取り組むトランプ氏の能力に、より大きな信頼を寄せていた。
トランプ氏の非公式アドバイザーであり、保守系シンクタンク、ヘリテージ財団の客員研究員でもあるスティーブン・ムーア氏は、2024年大統領選でのトランプ陣営の主要な攻撃材料について、インフレと中間層の状態だと指摘。「『4年前より裕福か』ということに尽きる。それが選挙戦の主要テーマのひとつになりそうだ」と話した。
経済問題に関するトランプ氏の相談役には、クドロー元国家経済会議(NEC)委員長やハセット元大統領経済諮問委員会(CEA)委員長がいる。
トランプ氏のアジェンダには、政権1期目との継続性を示す要素もあれば、貿易などの分野で衝撃と畏怖を示す要素もある。以下は、トランプ氏が大統領に返り咲いた場合に予想される政策。
貿易と投資
トランプ氏は「米国第一主義」をさらに強化する方針を明らかにしている。米国の産業を10%の関税で囲い込むというアイデアを持ち出しているが、これはサプライチェーンに新たな混乱の波をもたらすだろう。1期目に用いた手法のように、このような動きはカナダ、メキシコ、さらには日本をも含む同盟国に圧力をかけ、譲歩を求める交渉のテーブルに着かせるだろう。
中国
関税だけでなく、トランプ氏は中国の最恵国待遇の撤回を含む措置で二大経済大国のデカップリング(切り離し)を推し進めるだろう。そうなった場合、中国からの輸入品に対して関税を引き上げ、他の貿易障壁を設ける可能性がある。中国への投資や資本流入に対する追加的な制限もあり得る。トランプ氏のタカ派的な通商政策を議会が支持する兆しもある。超党派の議員グループは昨年12月、中国からの物品に対する関税を引き上げ、中国への投資をさらに制限するよう提言した。
税金
トランプ氏のチームは、1期目に導入し2025年に失効する所得税減税の恒久化を計画している。この減税は、主に富裕層や中小企業経営者、不動産業界関係者に恩恵がある。ムーア氏によれば、トランプ氏は減税の延長や強化の財源として、追加関税からの収入を充てる可能性がある。トランプ大統領の任期中、政権と議会の交渉により法人税率は35%から21%に引き下げられた。トランプ氏の計画に詳しい関係者によると、労働者層や中間層の支持を得るためのキャンペーンを展開しており、1期目就任当初の目標であった15%へのさらなる税率引き下げは行わないとみられる。
移民問題
トランプ氏が政権に返り咲いた場合、移民を制限する大規模な大統領令が出される可能性が高い。米国で生まれた非正規移民の子どもに対する自動的な市民権付与を廃止する命令もあり得るが、その場合は法的な問題に直面する可能性が高い。トランプ氏は11月の集会で、「彼らは米国の納税者の汗と貯蓄を食い物にしようとしている。そんなことはさせない。直ちにすべてを終わらせる」と発言している。
財政政策
トランプ氏は財政緊縮では知られていない。2017年の減税は財政赤字を爆発的に拡大させた。長期的な財政赤字拡大の主因の一角である社会保障制度とメディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)にも手をつけようとしなかった。選挙戦でトランプ氏は外国支援や気候変動問題関連の補助金、移民などに対する過剰な政府支出を抑制することを公約している。有権者へのメッセージの一部は、孤立主義的な姿勢によって財政負担の大きい国外紛争への関与から米国を解放し、税金を節約するというものだ。
規制緩和
トランプ氏は連邦取引委員会(FTC)や連邦通信委員会(FCC)などの規制機関を大統領権限下に置くことを提案。新たな規制が1つ提案されるごとに既存の規制を2つ削減すると宣言している。連邦政府職員は連邦権力の限界に焦点を当てた新しい公務員試験を受ける必要も出てくるだろう。
気候
トランプ氏は燃費や排ガス基準などのエネルギー規制の撤廃を含む措置によって、バイデン氏の気候政策を否定するだろう。世界の平均気温を産業革命前に比べて2度未満に抑えるというパリ協定からも再び離脱するとみられる。
FRB
大統領在任中、トランプ氏は連邦準備制度理事会(FRB)を声高に非難していた。2019年には、利下げを拒否するFRBを「頑固な子供」のように繰り返し批判した。トランプ氏が復権すれば、こうした圧力が再び強まる可能性がある。FRB当局者は2024年末までに利下げが実施される可能性を示唆しているが、しばらくは景気抑制的政策が続くと注意を促している。トランプ氏は、2026年に任期が切れるパウエルFRB議長を再任しない意向を明らかにしている。
エネルギー
「私がホワイトハウスに戻ったら、親米的なエネルギー政策をついに復活させる」と、トランプ氏は11月に発表したビデオメッセージで語った。再選されれば、米国内での石油・天然ガスの掘削を大幅に拡大するためのあらゆる障害を取り除くと約束している。シェールガスの一大産地「マーセラス・シェール」へのパイプラインの認可を早めることも公約している。もうひとつの優先課題は、米国を電気自動車とクリーンエネルギーの方向へ誘導するための優遇措置を廃止することだ。
欧州連合(EU)統計局が10日公表した2023年7〜9月期のユーロ圏の住宅価格指数は前年同期比2.1%下がった。下落は2四半期連続。欧州中央銀行(ECB)の急激な利上げで不動産ローンの金利が跳ね上がり、住宅市況の悪化が鮮明になっている。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ブルームバーグ・エコノミクスは2つのシナリオをモデル化した。一つは、中国による侵攻で米国が局地的な戦争に巻き込まれること、もう一つは封鎖で台湾が世界との貿易から遮断されることだ。半導体供給への打撃や地域輸送の混乱、貿易制裁や関税、金融市場へのインパクトを考慮し、GDPへの影響を試算するために同モデルを用いた。
当事国・地域や他の主要国、世界全体にとって最大の打撃は半導体不足となる。台湾のハイエンド半導体を必要とするノート型パソコンやタブレット、スマートフォンを生産する工場ラインはまひ状態となるだろう。自動車などのセクターへの影響も大きくなると考えられる。
貿易障壁や金融市場の著しいリスクオフショックで、コストはさらに膨らむことになる。
戦争のケース
台湾経済は大きな損害を被る。比較可能な最近の戦争に基づき、ブルームバーグ・エコノミクスはGDPに40%程度の打撃が及ぶと試算。人口や産業が沿岸に集中すれば、人的・経済的コストはさらに増える
中国は主要貿易相手国との関係を断たれ、先端半導体へのアクセスも失い、GDPは16.7%相当の打撃を受ける
米国は地理的に離れているものの、アップルのアジア電子製品サプライチェーン依存など、なお多くのリスクを抱えており、GDPは6.7%下押しされる
世界全体ではGDPが10.2%減少。日本や韓国など東アジア経済が最も大きな影響を受ける
このシナリオでは、中国に対する協調した厳しい経済制裁に向け、米国が同盟国などの結束に成功することが主要前提となる。
22年8月に当時のペロシ米下院議長が台湾を訪問。これに対する中国側の反応は、他の主要7カ国(G7)に戦争リスクが現実にあることを再認識させる一助になったと米当局者は話す。ペロシ氏の訪台を受け、中国は封鎖に向けた予行練習とみられる大規模な海軍演習を実施した。
米国務省の元対中国政策当局者で、現在はユーラシア・グループの中国担当マネジングディレクターを務めるリック・ウォーターズ氏は、「ペロシ氏訪台に対する中国のレトリックや人民解放軍の反応は、企業の緊急時対応計画やシナリオ立案の波を静かに引き起こした」と語る。
ブルームバーグ・エコノミクスはまた、中国が1年にわたり台湾を封鎖した場合の世界経済への影響をモデル化した。
貿易を通じて成長を遂げた台湾のGDPは1年目に12.2%減少
中国と米国、世界全体にとっては、GDPが最初の年にそれぞれ8.9%、3.3%、5%減少することになる
戦争シナリオと比べて影響が小さい理由は、世界経済がなお台湾の全ての半導体へのアクセスを失う一方、米国勢と中国の間の関税やアジアでの海運混乱、金融市場の影響などのショックは小さくなると想定されるためだ。
今回の試算結果は各シナリオ前提によって大きく左右され、不確実性の範囲は広い。戦争あるいは封鎖がより短期間で、半導体供給や貿易の混乱が相対的に抑えられれば、影響もその分小さくなる。
台湾総統選の結果が即座に危機の引き金になるわけではないとしても、両岸関係を方向性を決定付けることにはなるだろう。
現在の蔡英文政権で副総統を務め、与党・民主進歩党から出馬した頼清徳氏は中国との関係を乱すつもりはなく、継続を訴える候補として自身を打ち出そうとしている。
だが、頼氏は過去に自らを「台湾独立の実務工作者」と表現したことがある。台湾を自国の領土の一部と見なす中国にとって、独立を正式に推進するなら、それは越えてはならない一線を越えることになる。習主席はバイデン大統領との会談で、頼氏が勝利する可能性に関して深い懸念を示したと、政権高官は明かす。
一方、最大野党・国民党候補の侯友宜氏と野党第2党、台湾民衆党の柯文哲氏は対中関係の改善に向け実利的な措置を公約している。
米当局者らは中国が軍事侵攻、経済制裁、サイバー攻撃を含むグレーゾーン戦術など、台湾総統選への反応を多面的に計画している可能性があると話す。
今回の総統選に勝利した候補が新総統に就任するのは今年5月だ。それまでの期間は次期総統の取り囲みを狙った中国の行動を巡り危険な時期になると、米台の当局者らは指摘した。
誰が勝っても、中台関係を巡り変化した困難な現実に対処しなければならない。
米国が台湾に代わって中国と外交関係を結んだ1979年に、米国のGDPは中国の10倍あった。また、中国軍は近代化の初期段階にあり、台湾はまだ一党支配下だった。
現在では、中国経済が米国との差を大きく縮め、中国の軍事力も高まり、台湾の自由民主主義は中国の権威主義体制とは対極をなしている。
米中首脳の発言で摩擦が強まっている。
習主席は台湾問題について、「世代から世代へと引き継ぐ」問題ではないと何度か述べてきた。軍の近代化に向けた取り組みに加え、この発言で習氏が任期中に台湾統一を実現したい考えなのではないかとの観測が広がり、米情報機関や軍当局者からは27年が危険な年になるとの見方も浮上する。
米高官によると、習主席はバイデン大統領との会談で、中国軍が27年までに侵攻に向けた準備を整えることを目指しているとの見方に不満を示し、それは誤りだと述べたという。
一方、バイデン大統領は、中国が台湾に侵攻した場合には台湾を支援すると表明してきた。こうした率直な態度は、米国の立場に関して慎重に築かれた曖昧さを損ねる一方、米国が独立支持の騒ぎを強めているとの怒りや懸念が中国で広がった。
中国外務省が使用した警告の文言や中国軍による台湾の防空識別圏(ADIZ)への進入に基づくブルームバーグ・エコノミクスの台湾ストレス指数は、この1年半にわたり高止まりしていることを示している。
投資家や企業はすでに最悪の事態に備えている。株式投資ファンドのカークランド・キャピタル会長で、アジアのテクノロジー企業の専門家でもあるカーク・ヤン氏は、台湾でのポジションが今ではゼロに近いと説明。地政学的な緊張で「投資縮小を加速させる動機が強まっている」と指摘する。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏も昨年1-3月、地政学リスクを理由にTSMCの持ち分を全て売却し
企業や政府も対策を進めている。米国や日本、ドイツが半導体の供給源を多様化するために資金を投じる中で、工場や販路を一から構築するグリーンフィールド投資は22年にエレクトロニクス・電気機器分野で1810億ドルに急増。20年は480億ドルにとどまっていた。
ブルームバーグ・エコノミクスによる今回の分析でプラス面があるとすれば、危機の推計コストが10兆ドルと、どの国や地域にとってもあまりに甚大なために、危機を回避する動機がその分強く働くという点であろう。
現状維持は誰にとっても理想的な結果ではないかもしれないが、台湾や中国、米国にとって代替案はもっと悪い。このため、状況が変化したとしても、台湾の曖昧な自治が均衡を保つ結果であり続けるのかもしれない。
米議会上院で少なくとも28人の与野党議員が、13日に総統選と立法委員選を控えた台湾の民主主義の支持を改めて表明する決議案の成立を目指している。
ロイターが10日に確認したところ、決議案には「上院は米国の国力として有するあらゆる要素を駆使した有効な抑止力を通じて、台湾の自衛権と人々の自由を支えることを決意した」などの表現が盛り込まれた。また、台湾の「法の支配や活動的な市民社会、多様な経済、安定した政治制度」を称賛した。
決議案提出を主導した共和党のダン・サリバン議員や民主党のティム・ケイン議員らは、週内に全会一致で可決されることを期待している。
サリバン氏は「米国が超党派の形で、台湾の民主主義に対する着実かつ断固とした支持とコミットメントを披露し、台湾海峡の抑止力を強化する政策を遂行し続けることが非常に重要だと考えている」と述べた。
さらに同氏はロイターに、この決議案推進派は決して台湾の総統選で特定の候補の味方をしているわけではなく、中国による強圧的な行動に選挙が悪影響を受けないような公正な手続きを確保する上で、こうしたコミットメントが必要なのだと強調した。
●中東
エジプトとヨルダンは10日、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ再占領に反対の意を表明し、パレスチナ人住民の帰還を許可するよう求めた。アラブ諸国首脳はこの日、ヨルダン南部アカバでパレスチナ自治政府のアッバス議長と会談した。
イスラエルがガザでの軍事作戦を続ける一方で、アッバス議長やヨルダンのアブドラ国王、エジプトのシシ大統領らは、パレスチナ人住民をガザ地区から追放しようとするいかなる計画にも反対すると表明した。
ヨルダンは、国境を接するヨルダン川西岸地区でユダヤ人入植者によるパレスチナ人への攻撃が増加していることなどを懸念している。
エジプト大統領府は声明を発表し、国際社会はガザでの即時停戦を推し進めるために「断固とした姿勢」を示す必要があると述べた。
声明ではまた、3首脳が「ガザの一部を再占領しようとするいかなる試みも断固拒否することと、ガザ住民を帰還させる必要性」を確認したとした。
アラブ諸国との首脳会談に先立ち、アッバス議長はイスラエル占領地のヨルダン川西岸で中東歴訪中のブリンケン米国務長官とも会談を行った。ブリンケン氏はこの後、エジプトを訪れる予定。
●中南米・アフリカ
メキシコ国家統計地理情報局(INEGI)が9日発表した12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.66%上昇し、2カ月連続で伸びが加速した。
前月は4.32%上昇、ロイターがまとめたエコノミスト予想は4.55%上昇だった。
キャピタル・エコノミクスのアナリスト、ジェイソン・トゥベイ氏は、データの内訳を見ると、12月のインフレ率は食品とエネルギーを含む非コアインフレの加速が原因と指摘。「野菜と果物の価格が2年ぶり高水準となっており、数字は農産物価格の急上昇を示している」と述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスの中南米担当チーフエコノミスト、アンドレス・アバディア氏も最大の伸びはノンコア部門が押し上げたとし、「主な押し上げ要因は非加工食品の価格上昇」と指摘した。
●市況
<為替> ドルが対円で上昇する一方、対ユーロでは下落した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期を巡り、投資家は11日発表の12月米消費者物価指数(CPI)待ちの姿勢を取っている。
<債券> 短期債利回りが小幅に低下した一方、長期債利回りが上昇するなどまちまちとなった。11日発表の米CPIでインフレ鈍化が示されるとの見方を受けた。
最大の焦点は11日に発表される12月CPIで、FRBの利下げ開始時期に関する新たな手掛かりとなる見通し。12日には卸売物価指数(PPI)が発表される。
LSEGによると、米金利先物市場では3月に利下げが行われる確率が約68%となっている。また年内に0.25%ポイントの利下げが約5回行われるとの見方を織り込んでいる。
<株式> 大型株主導で上昇して取引を終えた。ただ、インフレ統計や銀行決算の発表を週内に控え、上げ幅は限定的だった。
<米原油先物> 石油製品全般の在庫増加が嫌気され、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比0.87ドル(1.20%)安の1バレル=71.37ドルだった。3月物は0.85ドル安の71.44ドル。
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。英スーパーマーケット大手セインズベリーが売られ、通期決算の利益予想を上方修正しなかったのが嫌気された。規制当局がプレミアムファイナンス商品の調査を決める可能性があると示唆した報道を受け、保険株が下落したのも相場を圧迫した。セインズベリー(SBRY.L)は6.3%安。昨年のクリスマス時期を含む四半期の基礎売上高が7.4%増加した一方、通期の業績見通しを引き上げなかったことで失望売りが広がった。
CMCマーケッツのチーフ市場アナリスト、マイケル・ヒューソン氏は「生活費への圧力が緩和し続けているにもかかわらず、消費者がクリスマス時期の支出を飲食品に優先させ、より高額な商品への裁量的支出を避けていることは明らかだ」と指摘した
保険のダイレクト・ライン(DLGD.L)や英自動車保険アドミラル・グループ(ADML.L)はそれぞれ7.5%、5.6%と大幅下落。インシュアランス・ポスト紙が、プレミアムファイナンスが「悪質な商品」との認識を示した英金融行動監視機構(FCA)の保険部門責任者の発言を引用したことが売り材料となった。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。資源株や旅行株などが下げた。
<ユーロ圏債券> ドイツ10年国債利回りが小幅に上昇した。市場は欧州中央銀行(ECB)の政策担当者の発言に注目し、利下げ開始時期の手がかりを探っている。
日経先物34,922、ダウ先37,936、債先147.00、米4.003、独2.2290、仏2.745、西3.186、伊3.844、英3.8520、波5.170、原油71.19、銅8,392、ドル円145.62、ユーロドル1.0974
※1/11 9時10分頃
備忘録(2024/1/9)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(銀行監督担当)は、連邦準備制度が昨年の地銀危機のさなかに新設した緊急貸出制度を延長する可能性は低いと示唆した。
ワシントンでのイベントでバー副議長は、連邦準備制度の「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」は金融システムの緊張緩和で意図された通りに機能したと述べた。この臨時の制度は3月11日を期限に打ち切られる予定。
BTFPでは銀行や信用組合が最長1年にわたって資金を借り入ることが可能。3月にも利下げがあるとの観測を背景に選択肢として同制度の魅力が増しており、ここ数週間は銀行の利用額が過去最高に達している。
バー副議長はこの制度は「緊急事態」を想定して設計されたと繰り返し述べた。借り入れは3月11日まで続く見通しだとも語った。
会合では、米大手銀行の資本要件を引き上げる米当局の計画についても質問が出た。この計画が消費者の信用や手頃な住宅ローン利用に与える影響について具体的に問われた。これに対しバー氏は、当局者が意見書を検討中だと述べ、自身は変更を考える用意があることを示唆した。
アラスカ航空が運航するボーイング「737MAX-9」の機体の一部が吹き飛ばされた問題で、米当局による調査では所在を確認できていない4本のボルトが焦点に浮上している。緊急点検を行った複数の航空会社から部品の緩みが報告されており、当局は同機以外にも調査を拡大する可能性があるとの考えを示した。
このボルトは、今回の事故で突然緩んだドアパネルを固定するためのものだった。適切に締めてあれば、パネルを機体に固定する12個のストッパータブを越えてパネルが上方にスライドするのを防ぐ。
米運輸安全委員会(NTSB)のエンジニア、クリント・クルックシャンクス氏は8日夜の記者会見で、「パネルが垂直に動くのを抑える4本のボルトをまだ回収していない」と説明。「ボルトがそこに存在したかどうか現時点で分からない」として、プラグを研究所に持ち帰ることで判明するだろうと述べた。
アラスカ航空とユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスは、米連邦航空局(FAA)による737MAX-9の運行停止と緊急点検の指示を受けて、緩んだボルトが見つかったことを報告していた。
NTSBのホメンディ委員長は8日、他の737MAX機への調査拡大を検討するとの考えを示した。実際にそうなれば、ボーイングと製造工程に対する当局の追及が強まり、長期の運行停止を避けたいボーイングにとっては痛手となりそうだ。
NTSBの調査官によると、今回の事故ではドアパネルが上方に移動して外れ、機体の急速な減圧を引き起こしたと断定された。
●その他産業
石油大手シェル(SHEL.L)は8日、第4・四半期に最大45億ドルの減損処理を行うと明らかにした。売却を検討中のシンガポールの石油精製・化学施設に関連した処理が主な要因という。
米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は、米ネットワーク機器メーカーのジュニパーネットワークスを140億ドル(約2兆210億円)で買収することで合意した。ネットワーキング分野で存在感を高めることにつながる動きだが、アナリストや投資家からは同社の路線を疑問視する声も出ている。
両社の9日の発表によると、データセンター向けハードウエアのメーカーであるHPEは、ジュニパー買収で現金で1株当たり40ドルを支払う。買収価格はHPEの時価総額210億ドルの半分余りに相当し、1株当たりでは買収の観測が浮上する前の8日のジュニパーの終値30.22ドルを32%上回る。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
世界銀行は9日、最新の世界経済見通しを公表し、2024年の世界の経済成長率が2.4%と、3年連続で鈍化すると予測した。多くの途上国が貧困の長期化と高水準の債務に見舞われるとしている。
20年代前半の経済成長率は、5年間としては過去30年間で最悪となる可能性が高い。新型コロナウイルスの流行、ウクライナ戦争、各国のインフレ率・金利の急上昇が背景。
23年の世界の経済成長率は2.6%、22年は3.0%、21年は6.2%だった。
24年の経済成長率は、新型コロナ流行を受けてマイナス成長となった20年を除けば、09年の世界的な金融危機以降で最低となる。
25年は2.7%にやや加速する見通しだが、6月時点の予測の3.0%から下方修正した。先進国の景気減速が予想されるという。
世銀は30年までに極度の貧困をなくす目標を掲げているが、地政学的な紛争により、達成は難しいとみられる。
世界銀行グループのチーフエコノミスト, インダーミット・ギル氏は「大幅な軌道修正がなければ、20年代はチャンスを無駄にした10年として終わるだろう」と指摘。
「短期的な成長は依然弱いままで、多くの途上国、特に最貧国がわなに陥る。債務が麻痺を招く水準となり、3人に1人近くが食料難に直面する」と述べた。
<好調な米個人消費>
23年の世界の経済成長率は6月時点の予測から0.5%ポイント上方修正された。米経済が力強い個人消費を受けて上振れしたことが背景だ。
23年の米経済成長率は2.5%で、6月時点の予測を1.4%ポイント上回った。24年の見通しは1.6%。貯蓄が減少する中、景気抑制的な金融政策が経済活動を圧迫するとみられている。ただ、今回の見通しは6月時点の予測の2倍という。
ユーロ圏経済は相対的にかなり厳しく、23年の経済成長率は高水準のエネルギー価格を背景に0.4%にとどまった。24年の予測は0.7%。信用状況のタイト化を受けて、6月時点の予測から0.6%ポイント下方修正した。
<中国経済は一段と減速>
中国経済も世界経済の重しとなっている。24年の同国の経済成長予測は4.5%。新型コロナ流行の悪影響を受けた20年と22年を除けば、過去30年余りで最低となる。
6月時点の予測から0.1%ポイント下方修正した。不動産部門の混乱が続き、個人消費が低迷していることが背景。25年の経済成長率はさらに鈍化し、4.3%となる見通し。
世銀のアイハン・コーゼ副チーフエコノミストは、中国の景気減速について「人口減少と高齢化、負債増大に伴う投資の制約、生産性向上の機会縮小を背景に潜在成長率が鈍化する道に戻りつつある」と指摘した。
新興市場国・途上国の24年の経済成長率は3.9%と、23年の4.0%から鈍化し、10年代の平均を1%ポイント下回る見通し。
この水準の成長率では、増大する人口が貧困から脱却できず、24年末には途上国の人口の約25%、低所得国の40%が新型コロナ流行前の19年より貧しくなるという。
11月の米大統領選に向けた共和党の候補者指名争いで先頭グループを形成しているトランプ前大統領、米南部フロリダ州のロン・デサンティス知事、ニッキー・ヘイリー前国連大使の3氏は週末、初戦となる共和党党員集会を15日に控えたアイオワ州に入り、舌戦を繰り広げた。
ほとんどの世論調査によると、アイオワでの争いはトランプ氏が大きくリードし、デサンティス氏とヘイリー氏がほぼ同率で2位に付けている。デサンティス、ヘイリー両氏はこれまでの選挙戦でおおむね、自分の生い立ちや職歴などを話題の中心に据え、聴衆から質問されなければトランプ氏を攻撃することを避けていた。互いへの批判も控えめだった。
しかし1週間後に党員集会を控えたアイオワ州ではトーンがヒートアップした。
デサンティス氏は国際機関に懐疑的な保守層の取り込みを狙い、当選すれば国連に資金を拠出しないと断言。「トランプ氏は4年間にわたり喜んで国連に資金を提供してきたし、ヘイリー氏は国連大使だった。そこが(自分とは)対照的だ」と訴えた。
ヘイリー氏は8日にラジオインタビューで、トランプ氏は「カオス」をあおっていると強く批判した。一方のトランプ氏も5、6日にアイオワ州各地で行った選挙イベントでヘイリー氏について、政策面や、金持ちの献金者に人気がある点などを指摘して攻撃を強めた。
各陣営の連邦選挙委員会(FEC)への報告によると、ヘイリー氏のスーパーPAC(政治活動委員会)は1月1日以来、デサンティス氏を批判する広告に400万ドル余りを投入している。またトランプ氏のスーパーPACは同じ期間に200万ドル余りを投じてヘイリー氏を攻撃。デサンティス氏の投入資金は100万ドル超で、ヘイリー氏とトランプ氏の両方を批判している。
アイオワ州はこの週末、猛吹雪に見舞われた。ヘイリー氏は8日に予定していた州西部でのイベントをキャンセルせざるを得なくなるなど、トランプ氏に追い付きたい他の2候補にとって厳しい展開となった。
独連邦統計庁が9日発表した11月の鉱工業生産指数は前月比0.7%低下した。低下は6カ月連続。市場予想は0.2%上昇だった。
10月は0.4%低下から0.3%低下に修正された。
月単位の変動をならした3カ月間で見ると9─11月は前の3カ月に比べて1.9%低下した。
コメルツ銀行のチーフエコノミスト、イエルク・クレーマー氏は「予想外の低下だ。企業が受注減への対応を増やしていることを示している」と指摘した。
内訳では、資本財が前月比0.7%減、中間財が0.5%減、消費財が0.1%減。エネルギーが3.9%増、建設が2.9%減。
INGのマクロ部門グローバル責任者、カールステン・ブレゼスキ氏は、鉱工業生産は新型コロナウイルス流行前の水準を9%以上下回っていると指摘。短期的には楽観できる根拠がないと述べた。
同氏は「米経済はソフトランディングかハードランディング。中国経済にはまだ勢いが見られない。ドイツ鉱工業生産の外需は低迷が続くだろう」との見方を示した。
パンテオン・マクロエコノミクスの欧州担当シニアエコノミスト、メラニー・デボノ氏は「ドイツの鉱工業部門は第4・四半期もリセッションが続いた」と指摘。12月の鉱工業生産が横ばいだった場合、第4・四半期の鉱工業生産は1.7%前後の低下になるとの見方を示した。第3・四半期は2%低下だった。
VPバンクのチーフエコノミスト、トマス・ギツェル氏は、鉱工業部門と個人消費が経済成長に寄与しない場合、ドイツ経済は新たなリセッションに直面する可能性が高いとし「高インフレ、高金利、世界経済の同時低迷は、最終的にはリセッションにしかつながらない有害な組み合わせだ」と述べた。
ウィルソン氏はリポートで「米国株がここから大きく上昇するには、金利が比較的落ち着いている状況で、成長が再加速する必要があるだろう」と論じている。2008年のような企業利益の大幅な落ち込みと株急落が起こるとしていた昨年の見通しからは大きな方向転換だ。実際には米国株は昨年、大きく値上がりした。
ウィルソン氏はここ数カ月、株式に対してより建設的な見方を強めているが、年末時点のS&P500種株価指数の予想は、現在の水準を6%近く下回る水準だ。モルガン・スタンレーでは、ウィルソン氏は見通しを変えていないとしているが、顧客向けのリポートでは同氏の見解に顕著な変化がうかがわれる。昨年12月には、米金融当局のハト派的転換は米国株にとって「強気な展開」と述べていた。
ケトナー氏はブルームバーグTVのインタビューで、緩和観測が後退すればリスク資産の売りが誘発され、今後数カ月でドルはさらに上昇する可能性があると指摘。市場では現在、5月あるいは3月にも緩和サイクルが始まると織り込まれているが、同氏は米金融当局の利下げ開始時期は6月とみている。
ケトナー氏によれば、2024年上期の利下げ観測が後退すればゴルディロックス相場の反転につながる恐れがあり、そうなれば「資産クラス全体の痛み」に拍車がかかるという。
米国の経済データが「かなり堅調なファンダメンタルズ」を示しているにもかかわらず、利下げ観測は過去1カ月で急速に高まったと同氏は指摘。今週発表される昨年12月の米消費者物価指数(CPI)で根強い物価上昇圧力が示される場合には、早期の利下げ観測は後退を余儀なくされるとの見方を示した。
ケトナー氏は、経済見通しと金利見通しのどちらかを修正する必要があるとし、HSBCとしては「金利見通しの方にやや行き過ぎ、かつ若干の熱狂」をみていると説明。これがリスク資産のロングポジション拡大をもたらし、急反転のリスクを高めていると述べた。
同氏は、ゴルディロックス・シナリオが反転した場合に「隠れる場所はほとんどない」と指摘。反転に備えるポジションとしては、英ポンドやスウェーデン・クローナの代わりにドルを保有することや、短期の高格付け債やエネルギー、日本株への投資などを挙げた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
13日に実施される台湾の総統選挙は、どの候補が勝った場合でも米政府に課題を突きつけそうだ。与党が勝利すれば対中関係が一段と緊迫化するのは確実とみられる一方、野党が勝てば台湾の防衛政策を巡って難しい問題が生じるかもしれない。
13日の総統選と立法委員(国会議員)選は、対中関係の安定を目指すバイデン政権にとって今年最初のワイルドカードとなる。
米政府高官らは、台湾の選挙に干渉するように見えないよう慎重を期している。
ニコラス・バーンズ駐中国大使は12月、「われわれが強く望むのは、選挙に脅迫や強制、あらゆる方面からの干渉が無いことだ。米国はこの選挙に関与していないし、今後も関与するつもりはない」と述べた。
米国はこのような「無関心」姿勢について過去に苦い経験がある。オバマ政権は2012年の台湾総統選の前、総統候補だった蔡英文氏が安定した対中関係を維持できないのではないか、との疑念を口にした米政府高官に眉をひそめた。
民主進歩党(民進党)の蔡氏はその年には敗れたが、2016年の総統選に勝って20年にも再選を果たし、実際に中国との緊張が高まった。
蔡総統は任期制限により再出馬できないが、中国は今回の民進党候補である頼清徳副総統に分離主義者のレッテルを貼っており、頼氏が勝てば軍事圧力を強めるだろうとアナリストは予想している。
民進党と最大野党の国民党はともに、平和を守ることができるのは自分たちだけだと主張し、台湾の防衛強化を約束している。両党とも、台湾の将来を決められるのは2300万人の市民だけだとしているが、国民党は台湾独立に強く反対している。
米政府も独立を支持しない姿勢だが、国民党の侯友宜・新北市長が勝利すれば、台湾の軍事的抑止力を強化する米国の努力が損なわれるのではないかとの懸念も政権内にはある。国民党は伝統的に対中融和路線を採りつつも、親中派であることは否定している。
過去に米国在台湾協会台北事務所(非公式の台湾大使)を務めたダグラス・パール氏は「(米)政府高官らは口では中立的だと言うが、中国に関する政策声明全般に現れている本心は、よく分からない国民党ではなく、自分たちが知っている民進党を支持しているというものだ」と解説した。
パール氏によれば、台湾は防衛投資拡大を巡って揺れており、国民党は軍事支出よりも良い平和維持の方法を模索している。軍事支出を増やしても、増税を伴うだけで中国の軍事力に対抗できる見込みはないと考えているからだ。
「ガザやウクライナで戦争が起き、米国の能力は限界に達し、米国内では将来の方向性が議論されている。こうした状況下では、多くの政権関係者にとって(台湾の)現状維持の方が望ましく見える」という。
バージニア州を拠点に米国と台湾の非公式な関係を取り扱う米在台湾協会のローラ・ローゼンバーガー会長は、昨年訪米した頼氏と侯氏の両方に会った。
米国務省報道官は「どの政党が政権を取っても米国の台湾政策は変わらない。われわれは、台湾の有権者が選んだ人物と共に働くことを楽しみにしている」と述べた。
一部の米政府関係者は、だれが勝っても中国は台湾に対して軍事的、経済的、外交的に圧力を強めてくると警戒している。
ある米政府高官は「外交、明確な対話チャネル、そして平和と安定、現状維持の重要性を再確認することが必要な時期が訪れるだろう」と語った。
<侯氏勝利なら防衛の時間稼ぎも>
米国の政策に詳しいある人物は、米高官らは台湾の各候補者と「深い関係を築いてきた」と説明。「重要な政策分野での継続性の重要性」を強調してきたと述べた。
米政府は長年にわたり、台湾自らが自衛に真剣に取り組むべきだと強調し、費用対効果が高く、機動的で破壊されにくい軍事資産に投資することで、中国の軍事行動に対抗し得る「ヤマアラシ」となる戦略を採るよう強く働きかけてきた。
米議会は台湾を強く支持しているが、この支持が損なわれる可能性があるとすれば、裕福な台湾が自衛能力を向上させるための公約を一時停止したり撤回したりした場合だろう、とアナリストは言う。
選挙で台湾の新政権と議会にねじれ現象が生じ、防衛政策が麻痺するようなことがあれば、米政府は当惑しそうだ。
国民党は民進党ほど防衛改革、支出に積極的ではないと懸念する見方がある一方、国民党が勝利すれば台湾海峡の緊張がある程度緩和する可能性もある。中国と台湾との緊張は、米中関係を巡る最も危険な問題だと中国は指摘している。
スタンフォード大学フーバー研究所のカリス・テンプルマン氏は、国民党の防衛協力への覚悟を巡る疑問はもっともだが、果たしてどの候補者が米国の利益にとってベストなのか、米政府内でもはっきり意見は分かれていると説明。「侯総統になれば中国との関係はある程度安定し、目先の脅威レベルが下がり、台湾が防衛改革を実施するための時間稼ぎができるかもしれない」と語った。
総統選挙を13日に控えた台湾で9日、与党民主進歩党(民進党)の頼清徳候補が記者会見を行い、当選した場合は現状を維持し、平等と尊厳の原則の下で中国との関与に前向きな姿勢を取ると強調した。会見には与党の副総統候補である蕭美琴氏も出席した。
中国は台湾は自国の領土と繰り返し主張している。頼氏は中国への関与を続ける考えを示し、対話がリスクを減らし平和的発展が双方にとって最善の利益とした上で「平和はかけがえのないもので、戦争に勝者はいない」と語った。ただ「中国の一元的な提案を受け入れることは真の平和ではない」とも述べ、「主権なき平和は香港と同じ。偽りの平和だ」と主張した。
民進党も最大野党で中国寄りの国民党も、台湾の未来は台湾住民が決めるという点では一致しているが、国民党は台湾独立に強く反対している。
頼氏は、現職の蔡英文総統の政策方針を引き継ぐ考えも強調した。
また、当選した場合は地政学的緊張の中で防衛抑止力を強化し続けるとし、「平和の追求は侵略者の善意ではなく(自らの)強さに依存する」と述べた。
今回の選挙は「民主主義へのコミットメントの証」になるとした。一方で、中国の選挙干渉がこれまでで「最も深刻」だと指摘した。
副総統候補の蕭氏は会見で、世界経済再編の中、台湾は競争力とサプライチェーン(供給網)における重要な地位を維持しなければならないとし、「台湾の経済力が成長するためには世界との一体化が必要だ」と述べた。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、韓国を「主敵」国家と定義する時が来たという認識を示した。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が10日伝えた。
軍需工場を視察した際の発言。韓国が対立と軍備増強をあおっていると非難したほか、自衛と核戦争抑止のための軍事力を強化するよう促したという。
金氏はまた、南北関係の悪化は「変化の新たな段階」であり「避けられない現実」だと指摘。「われわれは朝鮮半島で圧倒的な力によって一方的に大きな事を起こすことは決してしないが、戦争を避けるつもりもない」と述べた。
ポーランド国立銀行(中央銀行)は9日の会合で、政策金利を5.75%に据え置くことを決定した。今後数カ月のインフレ率の大幅な低下を予想しながらも、様子見姿勢を維持した。
声明で「今後数カ月、消費者物価指数(CPI)の前年比の伸びは大幅に低下する一方、コアインフレ率の低下は緩やかになる」と指摘。「同時に、それ以降の四半期のインフレ動向は、特に財政政策や規制政策が物価動向に与える影響やポーランドの景気回復ペースに関連し不確実性を伴う」とした。
ロイターが実施したアナリスト調査では、26人全員が金利据え置きを予想していた。
ヒズボラのナンバー2のナイム・カセム師は9日のテレビ演説で、ヒズボラとしては戦線をレバノンからさらに広げることを望んでいないとし、「イスラエルが(戦線を)拡大すれば抑止に向けた必要最大限の対応は避けられない」と述べた。
一方、イスラエルは北部の住民に対する攻撃を防ぎ、ヒズボラを国境から遠ざけるために外交機会を設けているとし、このような機会が活用されなければ、これらの目的達成に向けて軍が行動を起こすと警告した。
カタールが進めるイスラエルとイスラム組織ハマスの仲介交渉に暗雲が漂っている。イスラエルがハマス幹部を殺害したことなどが背景にあり、カタールはイスラエルを暗に批判した。ハマスとの交渉手段は限られており、国際社会はカタールを通じた交渉に望みをつなぐが先行きは不透明だ。
●中南米・アフリカ
チリ国家統計局(INE)が8日発表した昨年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比上昇率が3.9%と、11月の4.8%を下回って2021年6月以降で最低の伸びにとどまった。同国中央銀行が目標とする3%に接近し、中銀が利下げを続ける余地をもたらした。
INEによると、12月は食品価格とレジャー料金の値下がりが全体を押し下げた。12品目のうち10品目で価格が前月から下がったが、レストラン・ホテルの料金は上昇した。
チリ経済はコロナ禍後の急回復が物価高をもたらし、中銀は2021年から22年終盤にかけて政策金利を合計975ベーシスポイント(bp)引き上げる積極的な金融引き締めで対応。その後はインフレの鈍化に伴って昨年7月に金融緩和に転じ、これまでに政策金利を計300bp引き下げた。
中銀は物価上昇率が24年後半に目標に達すると予想している。
パンテオン・マクロエコノミクスの中南米担当チーフエコノミスト、アンドレス・アバディア氏は「急速なディスインフレの構図は、中銀が今後の会合で金融緩和ペースを加速することを可能にするものだ」と指摘。中銀は現在、金融緩和を実行する「大きな余地」を確保しているとした。
●市況
<為替> ドルがユーロと円に対して上昇した。連邦準備理事会(FRB)が利下げに着手するタイミングを見極めようと、11日に発表される12月の消費者物価指数(CPI)が注目されている。
<債券> 国債利回りが小幅上昇した。週内に実施される国債入札や社債の大量発行が価格への重しとなっている。また、11日発表の12月の米消費者物価指数(CPI)に注目が集まる。
LSEGのデータによると、金利先物市場が織り込む3月利下げの確率は65%超。さらに、年内に0.25%ポイント刻みの約5回の利下げの可能性が織り込まれている。
<株式> S&P総合500種(.SPX)とダウ工業株30種(.DJI)が反落して取引を終えた。今週のインフレ統計発表を控え、投資家が今年予想される米利下げの時期や規模を見極めようとする中、米国債利回りが上昇したことが重しとなった。
航空機大手ボーイング(BA.N)は1.41%安と続落。
通信機器のジュニパー・ネットワークス(JNPR.N)は21.81%急伸。ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)(HPE.N)が130億ドルでの買収に向けて協議していると関係筋が明らかにした。
<米原油先物> 中東情勢悪化への警戒感やリビア産原油の供給懸念を背景に買われ、反発した。米WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.47ドル(2.08%)高の1バレル=72.24ドル。3月物は1.37ドル高の72.29ドルだった。
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。鉱業株が売られたほか、英資産運用会社ジュピター・ファンド・マネジメントが急落したことも相場を圧迫した。
ジュピター・ファンド・マネジメント(JUP.L)は14.6%安。2023年の純流出額が22億ポンド(28億ドル)と予想を上回る見通しとなったことに加え、今夏にベテランのポートフォリオ・マネジャー、ベン・ホイットモア氏が退社すると明らかにしたことも嫌気された。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。欧州域内の国債利回りが上昇する中、投資家のリスクオフのムードが広がり、資源株や銀行株など幅広い銘柄が下げた。
スペインの製薬会社グリフォルス(GRLS.MC)は25.9%と急落し、ヘッジファンドのゴッサム・シティ・リサーチが会計に疑問を呈したのが要因。グリフォルスは不正行為を否定した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。2024年の利下げ観測が後退したほか、域内各国の国債入札に備える動きが出た。
SEBの金利戦略責任者、ユッシ・ヒルヤネン氏は、この日の利回り上昇に特段のきっかけはないとしながらも、米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の利下げに対する予想が支配的な要因になっていると指摘。「米欧での過去2週間のトレンドは市場が利下げ予想を先送りさせることだった。ECBが3月に利下げに踏み切ることを示唆する材料は見当たらない。まだ可能性はあるが非常に不透明」とした。
日経先物33,915、ダウ先37,729、債先147.07、米4.008、独2.1850、仏2.718、西3.157、伊3.836、英3.8190、波5.133、原油72.19、銅8,332、ドル円144.44、ユーロドル1.0932
※1/10 8時55分頃
備忘録(2024/1/5-8)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
欧州の銀行が過小評価されているため、今年は出遅れた分を取り戻す年になるとアナリストは見ている。イングランド銀行(英中銀)と欧州中央銀行(ECB)は第2四半期に利下げに踏みきり、不透明感が解消されるとのコンセンサスが強まると同時に、市中銀行の好業績が期待されている。ストックス600銀行株指数採用行の自己資本利益率(ROE)平均は、2007年以来の高水準にある。
米国ではJPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴ、シティグループの3行が第3四半期に過去最高益を更新したものの、銀行全体では融資の伸び悩みや、昨年の地銀危機後に強化された規制当局の監督、債務不履行の増加で評価損が拡大するといった懸念がある。KBW指数は昨年末に記録的な上昇を見せたにもかかわらず、2022年1月に記録した最高水準からは約34%下落したままだ。
「ワイルドカードはクレジットだ」と、キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズ(KBW)の米銀リサーチ担当マネジングディレクター、クリストファー・マクグラティー氏は話す。「金利が低下すれば信用不安のプレッシャーは一部緩和されるものの」、米国では債務の不履行が増えるだろうとインタビューで述べた。
●その他産業
衣料小売りのルルレモン・アスレティカとアバクロンビー・アンド・フィッチ(アバクロ)、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズが8日、そろって売上高見通しを引き上げた。2023年11-24年1月期(第4四半期)のホリデー商戦が好調で、高インフレや金利高を背景とした個人消費の弱さを巡る懸念を振り払う格好となった。
小売業界ではこれまで慎重なトーンが強かった。ルルレモンのメーガン・フランク最高財務責任者(CFO)は昨年12月、同社は感謝祭の売り上げに満足しているが、今四半期の残り部分については「慎重な計画」を立てたいとし、市場予想より控えめなガイダンスを示していた。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
米ダラス連銀のローガン総裁は6日、金融市場で流動性が乏しくなる中で米金融当局は資産ポートフォリオの圧縮ペースを減速する必要があるかもしれないとの見解を示した。
ローガン総裁はテキサス州サンアントニオで開かれたイベントで、金融システムにはなお十二分な流動性があるものの、個々の銀行は制約を受け始める可能性があると発言。当局がバランスシートのランオフ(償還に伴う保有証券減少)の決定を巡るパラメーターを議論し始めるのに今が「適切な」時だと指摘した。
同総裁は「私の見解では、当局の翌日物リバースレポ(RRP)のバランスが低水準に近づく中で、われわれはランオフのペースを落とす必要がある」と述べた。RRPファシリティーは、マネーマーケット・ミューチュアル・ファンドなどのカウンターパーティーが余剰資金を市場金利で運用できる場所だ。
米金融当局者らは昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、バランスシート圧縮のペースを落とす可能性について議論したことが議事要旨で示されている。
ローガン総裁はまた、消費者需要がインフレ再加速を招くことになれば、当局者にはさらなる利上げを行う必要が生じる可能性があると語った。
ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は発表文で、「経済の不透明感や地政学的イベント、労働力の制約に関連し懸念が広がっている」と指摘した。
またニエベス氏は記者団との電話会見で、「総じて、2024年のサービス業は成長軌道が続くはずだ」と述べた。
12月米雇用統計に関する市場関係者の見方は以下の通り。
◎ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのリンジー・ロスナー氏:
これまでのところ暖冬であること、および雇用の数字は通常、季節雇用によって押し上げられることから、当社ではコンセンサスを上回る力強い数字を予想していたが、それが現実となった。この数字は3月の利下げを巡る市場の確信に疑問を投げかける。3月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合までにはインフレの数字が3回発表される。全ての数字が重要になる。
◎BMOキャピタル・マーケッツのストラテジスト、イアン・リンジェン氏:
雇用者数がまたもや予想を上回った。米金融当局は2024年の早期利下げを遅らせる柔軟性を十分に確保した。
◎バイタル・ナレッジのアダム・クリサフルリ氏:
雇用者数は極めて強い。平均時給の伸びも力強く、労働参加率は低下した。これらはすべて、2024年の米金融政策緩和の織り込みの点で、市場がかなり的外れであることを示唆している。
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は5日、経済が正常化し、インフレの低下軌道に対する確信が強まれば、連邦公開市場委員会(FOMC)は金利を引き下げるべきだと述べた。
今年のFOMCで議決権を持つバーキン総裁は「インフレが目標に低下する説得力のある道筋をたどっているとの確信と自信が高まるにつれ、金利を通常の水準に戻すことに概念的に異論はない」と記者団に述べた。
「経済が正常に戻れば、金利も正常化するべきだ」と話した。
労働市場は弱まっているのではなく、正常化しているのであって、安定した軟化パターンを見せているとバーキン氏は指摘。近年の人材難を考慮すると、景気減速に伴う失業率の上昇はより緩やかなものになるだろうと付け加えた。
バーキン総裁はこれまで、インフレ軌道に懸念を示し、経済がとり得る道筋は数種類あると警告を促してきた。この日の講演では、3日の見解を繰り返し、金利に変更があるとすれば、インフレと経済の道筋が「そのペースとタイミングを左右する」と述べた。
米労働省が5日発表した2023年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比21万6000人増と、伸びは市場予想の17万人を上回った。賃金も引き続き底堅いペースで上昇し、米連邦準備理事会(FRB)が3月に利下げを開始するという観測に疑問を投げかける内容となった。
失業率は3.7%で先月から横ばい。
11月の非農業部門雇用者数は前回発表の19万9000人増から17万3000人増に下方改定された。10─11月の増加分は合計7万1000人下方改定された。
LPLファイナンシャル(ノースカロライナ州シャーロット)のチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「今回の雇用統計はFRBが3月に利下げを行う可能性を低下させた。市場が期待するほどFRBは早期に利下げを開始しないというわれわれの見方を裏付けた」と述べた。
年間の雇用者数は270万人増と伸びは22年の480万人増から大幅に減少した。
業種別では政府部門が5万2000人増。州・地方自治体が教職員の雇用水準をパンデミック(世界的大流行)前まで戻そうとしていることが背景。
政府部門の雇用は23年の月平均で5万6000人増と22年の同2万3000人増から倍加した。
ヘルスケア部門は3万8000人増、建設部門は1万7000人増だった。
レジャー・接客は4万人増。ただ同部門の雇用はパンデミック前の20年2月の水準を16万3000人下回っている。小売は1万7000人増だったが、運輸・倉庫は2万3000人減となった。
時間当たり平均賃金は前月比0.4%上昇し、伸びは前月と並んだ。前年同月比は4.1%上昇し、伸びは前月の4.0%から加速した。
賃金の伸びはパンデミック前の平均を大きく上回り、多くの政策立案者がFRBのインフレ目標2%と整合的と見る3─3.5%の範囲を超えている。
家計調査に基づく雇用者数は68万3000人減。約67万6000人が労働市場から退出した。家計調査に基づく雇用者数は非常に不安定になる傾向がある。労働参加率は62.8%から62.5%に低下した。これは2月以来の低水準となる。
経済的理由によるパートタイム労働者数は21万7000人増加した。より広範な失業率指標(働きたいが求職をあきらめた人やフルタイム雇用が見つからずパートタイムで働いている人を含む)は7.1%に上昇した。11月は7.0%だった。
ロヨラ・メリーマウント大学のソン・ソンウォン教授(金融・経済学)は「労働市場は人々が思うほど逼迫していない」と指摘。FRBが年前半に少なくとも2─3回は利下げを行うとの予想を示した。
FHNフィナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「これらの変化は注目に値するほど大きいが、方向性が同じであるためそれほど懸念するものではなく、大幅減の原因となる季節調整の問題かもしれない。今後数カ月は家計調査に基づく雇用を注視することになるだろう」と述べた。
FF金利先物市場が織り込む、3月に利下げが実施される確率は約50%。雇用統計発表前は約65%だった。また現在5.25─5.50%の誘導目標レンジが年末には4%をわずかに上回る水準まで引き下げられると予想。従来は4%を下回ると見込まれていた。
米商務省が5日発表した2023年11月の製造業新規受注は前月比2.6%増加した。民間航空機の需要が急増したことで、伸びは予想の2.1%を上回った。
10月は3.4%減少していた。11月の前年同月比での伸びは0.7%。
民間航空機の受注は80.1%と急増。前月は43.9%減少していた。一次金属、機械、コンピューター・電子製品、電気機器、家電製品・部品も増加。自動車・部品は横ばいだった。
製造業出荷は0.5%増。在庫は0.1%増。受注残は、航空機受注の急増を反映し、1.3%増加した。
企業の設備投資計画の指標とされる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は0.8%増。国内総生産(GDP)の企業設備投資の計算に使われるコア資本財の出荷は0.2%減少した。
欧州連合(EU)統計局が5日発表した12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率(速報値)は前年比2.9%と、前月の2.4%から加速した。欧州中央銀行(ECB)に対する市場の利下げ期待が弱まる可能性がある。
インフレ率の加速は一部の政府補助金が終了したことなどの技術的要因が影響した。市場予想の3.0%はわずかに下回った。
今回の結果は、ユーロ圏のインフレ率が昨年11月に底を打ち、2024年は2.5─3%の範囲で推移するとのECBの予測に沿う内容。
食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は11月の3.6%から3.4%に減速し、物価圧力が緩和していることを示す結果となった。
ただサービス価格は前月比0.7%、前年同月比4.0%上昇しており、物価圧力が高まる可能性がある。
焦点は、中長期の影響を及ぼし得る賃金交渉の行方や国際政治の緊張に移っている。
ユーロ圏での賃金交渉は、第1・四半期に大方まとまる見込みだが、データが得られるのは5月以降。このため、ECB当局者が情勢を把握できるのは今年半ばになるとみられる。
地政学的緊張は予測が立てにくい。ガザ紛争は今のところエネルギー価格にほとんど影響を与えていないが、紅海情勢不安が輸送コストを押し上げている。
UBSウェルスマネジメントのポール・ドノバン氏は、「問題になっているのは輸送する製品の価値でなく輸送コストだ。海上輸送が世界の経済活動に占める割合は0.3%足らずだ」と述べ、現時点でインフレへの影響は非常に小さいと指摘した。
投資家はECBが今年6回利下げすると予想。最初の利下げは3月か4月とみている。これに対し、ECB当局者は今年前半はインフレが本当に制御されているか見極める必要があると考えている。
コメルツ銀行のエコノミスト、クリストフ・ワイル氏は「インフレを退治したとはとても言える状況にない。ECBの利下げは市場の予想よりはるかに少ないだろう」と述べた。
ECBは、パンデミック後のインフレ高進局面で、当初、物価上昇は一過性だと考えていた。
ノルデアのエコノミスト、アンダース・スベンドセン氏とトゥーリ・コイブ氏は、ECBの見立ては再び誤っているとし、インフレ率は夏の終わりまでに1.5%を下回ると予想する。この予想は、ECBの予想を大幅に下回る。両氏は6月に最初の利下げが実施される可能性がるとみている。
米ニューヨーク連銀が8日発表した12月の消費者調査によると、1年先のインフレ期待が3%と、2021年1月以来約3年ぶりの低水準となった。11月は3.4%だった。
3年先のインフレ期待は2.6%と、11月の3%から低下。5年先のインフレ期待も2.5%と、11月の2.7%から低下した。
調査の回答によると、消費者は大学費用の上昇幅が11月より大きくなると予測する一方、食料品と家賃の上昇幅は縮小するとみている。ガソリン価格の1年先予想上昇率は4.5%で横ばい。住宅価格の上昇率も3%で横ばいだった。
ファニーメイの副チーフエコノミスト、マーク・パリム氏は「注目すべきは住宅所有者と高所得者層が賃借人よりも金利を楽観視していることだ。実際、全国住宅調査開始以降で初めて、住宅ローン金利が上がると考える住宅所有者よりも下がると考える住宅所有者の方が多いという結果になった」と指摘。「住宅所有者は住宅ローン金利の高さが住宅売買に不利な時期である理由のトップと改めて示した。住宅ローン金利の見通しが前向きになれば、自宅を売りに出す人が増え新年の中古住宅供給の増加につながるかもしれない」とした。
欧州中央銀行(ECB)は8日、過去5年間にユーロ圏の世帯間の資産格差が縮小したとの調査結果を発表した。住宅価格が上昇して不動産を所有する中所得者層が恩恵を受けたことが一因だとした。
●中国・アジア・ロシア・東欧
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹で党副部長の金与正氏は7日、敵によるいかなる挑発にも即座に軍事攻撃を開始すると述べた。北朝鮮はこの日、韓国との事実上の海上の境界付近で3日連続となる砲弾発射を行った。
韓国軍によると、北朝鮮は6日、北方限界線(NLL)付近で60発以上の砲弾を発射。7日も約90発を発射した。北朝鮮軍は境界に平行して砲撃訓練を行ったとし、韓国への脅威にはならないと主張した。
与正氏は国営の朝鮮中央通信(KCNA)を通じて発表した談話で「朝鮮人民軍の引き金の安全装置は既に外されたと改めて明確にする」とし、「既に宣言したように、敵が少しでも挑発に出れば、朝鮮人民軍は即座に軍事攻撃を開始する」と強調した。
また、6日に砲弾を発射したとする韓国側の発表を否定し、実際には偽装作戦として爆発物を爆発させたと述べた。
米国の情報は、汚職の影響の例を幾つか挙げている。燃料ではなく水を詰めたミサイルや、効果的な発射を可能とするようにはふたが機能しない中国西部のミサイル倉庫などだ。
米国は、人民解放軍、特にロケット軍内部の腐敗がその能力全体に対する信頼を失墜させ、習主席が掲げる近代化の最優先課題の一部を後退させたと分析している。過去6カ月間の腐敗捜査では軍高官十数人が対象となり、軍への取り締まりとしては現代中国において史上最大とみられている。
ここにきて当局が新たな指示を出した背景には、融資平台がオフショアで364日物の債券を発行するケースが相次いだことがある。
中国証券監督管理委員会(証監会)が2023年1月に出した中長期外債に関する規制では、期間が1年以上のオフショア債発行は当局の承認を得る必要がある。このため、期間を1年未満にして当局への申請手続きを回避したもようだ。
天風証券のデータによると、23年に融資平台が発行した364日物のオフショア債は27銘柄で大半は10月以降に利回り6%超で発行されている。最大の発行体は山東省で12銘柄で10億ドル余りを調達した。
中国指導部はシャドーバンキング(影の銀行)大手の中植企業集団の経営が行き詰まった後、異例のスピードで処理手続きを進めており、中国経済が苦境に陥る中で、金融リスク抑制に当局がますます力を注ぐ状況を浮き彫りにする。
内部事情を理由に複数の関係者が匿名で語ったところでは、中国当局は昨年10月時点で、中植企業集団について、金融市場への影響を抑えるには破産が最も有効な手段と判断した。信託部門が複数の高利回り投資商品で支払いを履行できなくなってからまだ3カ月も経過していなかった。関係者によれば、昨年12月後半に破産を当局が承認し、裁判所が先週開示した。
こうした迅速な対応からは、不動産危機が金融システムの機能を損なう事態を防ごうとする指導部が、リスクをほぼ許容しない様子がうかがえる。中植の債権者は金融機関でなく主に裕福な個人だが、同社の破綻は、既に脆弱(ぜいじゃく)な消費者や投資家のセンチメントをさらに圧迫する危険がある。
北京を拠点とする資産運用会社、中閲資本の創業者、孫建波氏は「金融リスクの波及を防ぐため、中国当局が過去の問題を是正する取り組みを加速させている状況を示唆する。過去数年あらゆる種類のデフォルト(債務不履行)やリスクイベントへの対応で豊富な経験を積み、今回の迅速な行動が可能になった」と分析した。
●中東
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ指導者ナスララ師は5日の演説で、レバノンの首都ベイルートでイスラム組織ハマス幹部サレハ・アルーリ氏がドローン(無人機)攻撃で殺害されことについてヒズボラが対応しなければレバノン全土がイスラエルの一段の作戦にさらされることになると述べた。
ナスララ師はテレビ放映された演説で、アルーリ氏の殺害について「このような水準の暴力について沈黙することはできない」とし、「レバノン全土、全ての都市、全ての村が(危険に)さらされる」と述べた。
その上で、イスラエルがパレスチナ自治区ガザで軍事目標を達成すれば、次はレバノンに向かうと指摘。国境付近の紛争でイスラエル北部の住民にまず影響が及ぶと警告し、レバノンに戦争を仕掛ければ代償を払うことになると述べた。
また、ヒズボラは10月8日以降、レバノンとイスラエルの国境で約670回の軍事作戦を実施し、「イスラエルの多数の車両と戦車」を破壊したと指摘。この軍事作戦によって、イスラエルに占領された領地解放に向けた「歴史的な機会」が開かれたほか、同時にイラクのイスラム抵抗勢力もイラクにおける米国の存在を取り除く「歴史的な機会」を得たとした。
2024年の国際情勢においてもウクライナの戦争とガザの戦闘が引き続き大きな焦点となる。ふたつの紛争で大きなカギを握り、存在感をみせているのがイランだ。しかし「二正面」への対応に追われる宿敵・米国の苦境をうまく生かせない。指導部は経済難に直面する民衆の不満におびえる。
シリアは最後にして最大のサイロであり、予期せぬ結果を生む可能性のある場所だ。この国にはイラン、トルコ、米国、ロシア、中国、イスラエルなど、直接的、間接的当事者すべてが現場に人員を派遣している。
またシリアは独自の交戦規定や奇妙な同盟関係が存在する紛争地帯である。それが最も顕著に表れているのがクルド人民防衛隊(YPG)とアラブ人部族の敵対的な立ち位置だ。前者は米国、後者はトルコが支援しているが、トルコはNATO加盟国でもある。同様にイランとロシアは味方同士であるにもかかわらず、ときおり緊張が生じている様子も見える。2011年以降ずっと、すべての当事者にとって共通の敵であるダーイシュとの戦いが、問題の「冷却剤」の役割を果たしてきた。
しかし現在、シリアは他のどの戦場よりも衝突の激しさと頻度が増してきている。土曜日、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領の軍隊がイドリブ県の混雑したマーケットを標的にし、2人を殺害した。イドリブは現在も反シリア勢力が支配する最後の砦だ。人口450万人のイドリブは、シリア北西部で最も人口密度が高い地域と考えられており、そのうち190万人が国内避難民キャンプに住んでいる。
米国とトルコの不和により、政府の脅威となり得る反体制勢力の統合と再浮上が妨げられている。そしてロシアとイランの争いによって、シリア政府はさらに自由な決定権を獲得し、ひとつの強国の支配下に置かれずに済んでいる。とはいえ、シリア政府は常に―トップ記事の陰で―イスラエルにとって軽微な軍事的脅威であり続けた。そしてイスラエルは常に最大の敵であり続けるだろう。最後にダーイシュ復興の可能性も加味すると、状況は完全なクモの巣となってシリア政府を保護し、シリアが再び浮上してくることを許すだろう。
結局のところ、これらはすべて(暗黙の了解か否かにかかわらず)地域的な協定であり、これらの協定の変更だけが、秩序の変化を引き起こす触媒となる可能性がある。最もあり得るシナリオは以下の2つだ。1つ目は、米国とトルコの間で合意が成立し、シリア政府は団結した反対勢力の深刻な脅威にさらされ、国が完全な混乱状態に逆戻りするリスクにさらされることだ。2つ目は、ウクライナにおける変化と現在言及されている交渉結果の可能性を考慮すると、米国とロシアの合意が挙げられる。もちろん他にも可能性はあるが、現状ではこれら2つが最も現実的である。
ブリンケン米国務長官は8日、サウジアラビアおよびアラブ首長国連邦(UAE)の首脳らと会談後、地域諸国はイスラエルとの関係正常化を追求することに関心があるが、それにはパレスチナ国家への明確な道筋が必要だと述べた。
ブリンケン長官は「この地域では(イスラエルとの関係正常化の)追求に明らかな関心があるが、そのためにはパレスチナ自治区ガザでの戦争の終結が必要であり、パレスチナ国家への現実的な道筋が必要であることも明らかだ」とした。
米国務省のマシュー・ミラー報道官によると、ブリンケン長官はUAEのムハンマド大統領と会談し「イスラエルの安全保障を確保し、独立したパレスチナ国家の樹立を前進させるような永続的な地域和平を確保する」という米政府のコミットメントを強調したという。またスーダンでの紛争終結の重要性についても話し合われたとした。
ブリンケン長官はサウジで記者団に対し、地域の将来について話し合い、いくつかの目標については大筋の合意が得られたと指摘。その中には、ヨルダン川西岸とガザがパレスチナ主導の統治の下で統一されるべきであること、地域は分断や紛争ではなく関係正常化に向けて取り組む必要があることなどが含まれていたという。
ブリンケン長官は「そのためにはパレスチナ独立国家の樹立が必要だ」と語った。
一方、国営サウジ通信(SPA)によると、ムハンマド皇太子は、ガザ地区での軍事行動を停止し、和平への道筋をつけることの重要性を強調。パレスチナの人々が正当な権利を獲得し、公正で永続的な和平を達成できるよう、安定と和平路線を回復するための条件整備に取り組む必要性も強調した。
ブリンケン長官はこの後、イスラエルも訪問。9日に当局者と会談する。ブリンケン長官はこれまでの会談で得た内容をイスラエル指導者らと共有し、ガザでのイスラエルの軍事作戦の先行きについて話し合うと言及。民間人の保護や人道支援の提供、人質解放なども焦点になるという。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドルが円とユーロに対し下落した。強弱まちまちだった先週発表の経済指標が消化される中、連邦準備理事会(FRB)が利下げに着手する時期を見極めようと、週内に発表されるインフレ指標が注目されている。
<債券> 国債利回りが低下した。ニューヨーク連銀が8日発表した12月の消費者調査で1年先のインフレ期待が3%と約3年ぶりの低水準となったことが影響した
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、3月に利下げが実施される確率を64%織り込んでいる。
<株式> ナスダック総合(.IXIC)が今年初めて1%以上上昇して取引を終えた。米国債利回り低下を受けて大型株が買われた。一方、航空機大手ボーイング(BA.N)の急落が重しとなり、ダウ工業株30種(.DJI)は小幅な上げにとどまった。
また、半導体大手エヌビディア(NVDA.O)が6%超、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)(AMD.O)が5.48%、それぞれ大きく上昇し、フィラデルフィアSE半導体指数(.SOX)が3.28%高となった。
<米原油先物> 中東情勢の緊迫化に伴う供給不安が和らぎ、大幅反落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前週末比3.04ドル(4.12%)安の1バレル=70.77ドル。3月物は2.94ドル安の70.92ドルだった。
<ロンドン株式市場> 小幅反発して取引を終えた。ただ、エネルギー株が下落したことから相場は伸び悩み、欧州市場の株価に後れを取った。
今週は米国で企業決算発表が本格化する。英国では英小売大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)(MKS.L)、英スーパーマーケット大手のセインズベリー(SBRY.L)やテスコ(TSCO.L)などの小売企業が決算を発表する。週後半に発表される米消費者物価指数(CPI)や英国内総生産(GDP)も注目されている。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。テクノロジー株や小売株が上げを主導した。一方、原油価格の値下がりを受けてエネルギー株は売りが優勢となった。
個別銘柄では、欧州航空機大手エアバス(AIR.PA)が2.5%上昇。米同業ボーイング(BA.N)の主力旅客機「737MAX9」の飛行中の事故を受け、米連邦航空局(FAA)は安全点検のため同型機の一部の運航停止を指示したことが背景にある。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。利下げ期待が後退した。
金融市場では、欧州中央銀行(ECB)が今年約145bpの利下げを実施するとの見方が織り込まれている。昨年末は170bp、先週4日には168bpだったが、先週5日の堅調な米雇用統計を受け140bpまで低下した。
一部のアナリストはECBの24年の政策方針に関する最近の金融市場の織り込みは野心的過ぎるとみている。
日経先物33,830、ダウ先37,889、債先147.04、米4.025、独2.1425、仏2.666、西3.131、伊3.797、英3.8035、波5.197、原油70.85、銅8,435、ドル円144.18、ユーロドル1.0950
※1/9 8時30分頃
備忘録(2024/1/4)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米製薬大手メルクの株価が堅調だ。2023年11月末に比べた株価上昇率は1割を上回る。主力抗がん剤の適応拡大や新型抗がん剤開発などに伴う収益成長への期待が支えだ。米シティグループが3日に目標株価を140ドルに5ドル引き上げたことも買い手がかりとなったもようだ。
●その他産業
マクドナルドやスターバックス(SBUX.O)など欧米のファストフードチェーン店に対しては、イスラエル寄りの姿勢などを巡りボイコット運動が起きている。
ケンプジンスキー氏はビジネス向けSNS(交流サイト)リンクトインへの投稿で、マクドナルドなどのブランドを取り巻く誤った情報は「落胆させるもので根拠がないものだ」と指摘。「マクドナルドは、イスラム諸国を含め、事業を展開している全ての国で何千人もの同胞を雇用しながら地域社会への貢献や、支援のためにたゆまぬ努力を続けている地元オーナー経営者により代表されている」と述べた。
マクドナルドのイスラエル店舗は昨年10月、イスラエル軍兵士に食事を提供する様子をソーシャルメディアで公開した。
イスラム圏にあるマクドナルドのフランチャイズ店舗経営者は、この行動は自分たちの見解を反映したものではないとしている。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ドイツの12月のHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.3で、11月の49.6から低下した。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「サービス部門の生産は3カ月連続で減少しており、早期に好転する明確な兆候は見られない」と述べた。
製造業PMIも第4・四半期を通して好不況の分かれ目である50を下回り、2四半期連続のマイナス成長となることを示唆している
需要の落ち込みと賃金の急上昇に伴い、サービス企業が従業員数を徐々に削減し、労働市場は悪化した。
サービス企業が請求する平均価格は12月に上昇が加速した。「景気低迷にもかかわらずサービス部門のインフレ率は依然高い。投入価格は驚くほど急速に上昇している」とデラルビア氏は述べた。
政治・経済の不確実性が重しとなり、今後12カ月の成長予測は依然弱い。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは47.8から47.4に低下。6カ月連続の悪化となった。
デサンティス氏は3日、候補者指名争いの初戦としてアイオワ州で15日に開かれる共和党党員集会を視野に、猛烈な選挙イベントを開始した。アイオワ州の党員集会は、共和党の候補者指名争いでトランプ前大統領が大差で首位を走っているとする世論調査の結果が本物かどうかを確かめる最初の試金石となる。
デサンティス氏はアイオワ州での有利な結果を目指して他のどの候補よりも力を注いできた。州内99の郡を全て訪れ、保守的な有権者に熱心に支持を訴えかけ、州知事から支持を取り付けた。
デサンティス陣営の関係者によると、アイオワ州では少なくとも2位以内に入る必要があり、さえない結果なら候補者指名獲得は絶望的となる可能性が高い。候補者指名争いの次戦は1月23日に行われるニューハンプシャー州の予備選だが、世論調査によるとデサンティス氏は同州では支持率でトランプ氏とニッキー・ヘイリー前国連大使の後塵を拝している。
紅海と地中海を結ぶスエズ運河はアジアや中東から欧州に燃料や食料、消費財などを運ぶ最速ルートで、世界のコンテナ貨物の3分の1の輸送に使われている。イケアやウォルマート(WMT.N)、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)なども利用しており、一連の商船攻撃で多くの企業向けの輸送に既に遅れが出ている。
国際貨物の予約・決済プラットフォーム、フレイトス(CRGO.O)によると、アジアから北欧への40フィートコンテナの運賃は今週2倍以上に上昇し、4000ドルを超えた。アジアから地中海への運賃は5175ドルに上昇した。
影響が比較的小さい北米向け運賃も上昇している。米東海岸向け貨物の最大3割がスエズ運河を経由する。物流業界幹部は一部が米西海岸への輸送に変更されるとみている。
アジアから北米東海岸への40フィートコンテナ運賃は3900ドルと55%上昇。フレイトスの調査責任者によると、貨物の迂回を見込んで西海岸向け運賃も63%上昇して2700ドルを超えた。
アステレスのアナリスト、シルバン・バーシンガー氏は「世界の原油価格は昨年と同水準だが、昨年以降、電力価格が上昇し、ガソリンスタンドでの割引も廃止された」とし、今後もエネルギー価格の上昇が続くと予想。
「サービスはCPIの半分を占めており(サービス価格のインフレの方が)懸念要因だ」とも指摘。賃金上昇の影響が出る可能性もあると述べた。賃金上昇分が「価格に大幅に転嫁され始めている」という。
12月の英国のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は53.4で前月の50.9から上昇し7カ月ぶりの高水準となった。速報値の52.7からも上方改定された。
今後の活動に対する期待は5月以来の高水準に上昇。新規事業も過去6カ月で最も強い伸びを示したが、輸出需要は小幅な増加にとどまった。従業員数は過去4カ月で3回目の減少となった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの経済ディレクター、ティム・ムーア氏は、イングランド銀行(英中銀)の利下げや世界経済加速への期待を背景にサービスPMIは2023年を高水準で締めくくったと述べた。ただ、調査した企業の多くは、英経済の停滞や人件費上昇による利益率押し下げ圧力を理由に、引き続き基調的事業環境の厳しさを指摘したという。
投入価格は2カ月連続で上昇が加速。輸送費や原材料費は減少したものの、英中銀が懸念する賃金上昇が押し上げた。
S&Pグローバルがまとめた昨年12月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は47.6と、11月と同水準だった。
速報値は47.0。好不況の分かれ目となる50を7カ月連続で下回った。サービス業の低迷が続いており、ユーロ圏が景気後退(リセッション)入りしていることを示唆している。
サービス部門PMIは48.8と5カ月ぶりの高水準。11月は48.7だった。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「サービス業はまだリセッションの領域ではないが、成長に向かっているとは到底言えない。力強い拡大が直ちに取り戻されることを示す明確なシグナルが欠けている」と指摘。「総合PMIはユーロ圏の景気後退に警鐘を鳴らしている」とし、第4・四半期はマイナス成長になるとの見方を示した。
サービス業の新規事業指数は46.7から47.1に上昇し、5カ月ぶりの高水準だったが、6カ月連続で50を下回った。
総合産出価格指数は昨年6月以来の高水準。
同氏は「サービス部門が停滞する中、サービス業者が増大する投入コストの一部を顧客に転嫁できていることは印象的だ」と指摘。「これは3月の利下げを望んでいる欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーの見解に反するもので、われわれは最初の利下げを6月と予想している」と述べた。
1年先の見通しは改善し、総合将来生産指数は56.0から7カ月ぶり高水準の57.6に上昇した。
データはコロナ禍後の雇用市場が堅調を維持していることを浮き彫りにした。労働力需要に軟化の兆候がいくらか見られるものの、企業は依然健全なペースで人員を雇用しており、失業率は低水準を維持、賃金の伸びは引き続きインフレ率を上回っている。
賃金の伸びがさらに減速したことがデータに示された。同じ職にとどまった人の賃金は中央値で前年同月比5.4%、転職した人の賃金は8%それぞれ上昇。いずれも2021年以来の低い伸びだった。
ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「労働市場はパンデミック(世界的大流行)前の雇用にかなり近い状態に戻りつつある」と発表文で指摘。「最近のインフレは賃金によるものではない。賃金の増加ペースが落ち着いた現在、賃金・物価スパイラルのリスクは消失したも同然だ」と解説した。
労働市場の動向、特に賃金の増加ペースは連邦公開市場委員会(FOMC)が利下げの開始時期を判断する重要材料となる。3日に発表された12月のFOMC議事要旨は、インフレ面で「明確な進展」が見られるとし、参加者の間でインフレの道筋に対する楽観が強まったことが示唆された。
先週の米新規失業保険申請件数は前週比1.8万件減少し、20.2万件となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は21.6万件だった。 前週は22万件。速報値は21.8万件。
より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は20.8万件に減少した。
季節調整前ベースでは26.8万件。前週は27.5万件。
失業保険の継続受給者数は12月23日終了週に3.1万人減の185.5万人。
ドイツ連邦統計庁が4日発表した2023年12月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比3.8%上昇し、ロイターがまとめた市場予想と一致した。伸び率は11月の2.3%から加速し、11月までの鈍化傾向が中断した。
22年12月は政府のエネルギー支援策によってエネルギー価格が低下しており、そのベース効果も23年12月の上昇率を押し上げた。
INGのマクロ部門グローバル責任者、カールステン・ブレゼスキ氏は「欧州中央銀行(ECB)にとり、このインフレの再加速は利下げを巡る決定を急がないという姿勢を強化するものとなる」と述べた。同氏は最初の利下げが6月と予想する。
エネルギー価格は12月に4.1%上昇。11月は4.5%下落していた。
一方、食品価格は12月に4.5%上昇と、伸び率は11月の5.5%からさらに縮小した。
変動が激しい食品とエネルギーを除いたコアインフレ率は12月に3.5%と、11月の3.8%から鈍化した。
キャピタル・エコノミクスのチーフ欧州エコノミスト、アンドリュー・ケニンガム氏は「コアインフレの低下トレンドは継続しており、ECBが今後数カ月以内に利下げを開始するという投資家の期待に影響を与えることはないだろう」と述べた。同氏は第1・四半期もコアインフレの緩和が続き、最初の利下げは4月ごろになると見込む。
ドイツCPIは通常、ユーロ圏のCPI公表の前日に発表されるため、エコノミストから注目されている。
ロイターがまとめた予想では、12月のユーロ圏CPI上昇率は3.0%。11月は2.4%だった
①米消費者の降参はあるか?
②中国政府は住宅危機を抑え込めるか?
③欧州の劣等生
④日本のマイナス金利からの危険な脱却
⑤インドは期待に応えられるか?
ゴールドマンのM&Aグローバル共同責任者スティファン・フェルドゴイズ氏は4日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「非公開企業化の数は実際、記録的な水準にある」とし、「レバレッジド・バイアウト(LBO)に関しては非常に活発だ」と語った。
フェルドゴイズ氏によれば、プライベートエクイティー投資会社は過去5年間のM&A活動全体の約35-38%を占めた。直近1年半は金利上昇や不透明な経済見通しを背景にバリュエーションが落ち込み、潜在的な売り手は市場を避け、M&Aも低調となってきたが、それにも変化が見受けられるという。
「プライベートエクイティー投資会社はリターン現実化に向けて一段の圧力にさらされている」とした上で、「この四半期になるか第2四半期もしくは第3四半期になるかは分からないが、プライベートエクイティー投資会社が極めて多くの売り手と買い手の間を取り持つようになるのは近づいていると楽観している」と話した。
ゴールドマンでは、エネルギーやヘルスケア、テクノロジーの各セクターが2024年のディールを主導すると見込んでいるとも、フェルドゴイズ氏は明らかにした。「対話のパイプラインは見てきた通り堅固だ」とする一方、「取引で合意に達するのが課題だ」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
経営難に陥っている韓国の中堅建設会社、泰栄(テヨン)建設の株式と社債が4日に再び下落した。債務返済の繰り延べ(リスケジュール)を求めている同社に対し、最大の債権者が債務問題への対処で具体的な計画を提示するよう要求した。
泰栄の株価は一時18%急落。2024年償還のウォン建て社債の価格も下げた。土木・建設サービスを手掛ける同社による債務リスケジュール要請を巡る投資家の懸念を反映した。
韓国当局は、金利上昇と景気低迷の圧力にさらされている国内不動産市場の問題に備えている。超低金利時代が終わり、欧州や米国でも同様の問題が見られている。泰栄は韓国建設業界で16位だが、今後起こり得ることの前兆として注目されている。
同社株は4日午後1時26分(日本時間同じ)現在、5.2%安。社債価格は額面の62%まで下落した。社債は過去6営業日中5営業日に下げている。同社は昨年末、ワークアウト(企業構造調整促進法に基づく再建手続き)を申請した。
韓国では建設資金の調達で短期借り入れへの依存が大きい。2022年にはテーマパーク「レゴランド・コリア」のデベロッパーがこの種の資産担保証券で債務不履行に陥り、信用市場を揺るがした。本格的な危機を食い止めるため、政府は介入を余儀なくされた。
泰栄は同業他社よりもプロジェクトファイナンス保証へのエクスポージャーが大きい。同社は先週、債務返済の条件見直しを債権者に要請した。
同社によると、資産売却と担保の提供、リストラ、コスト削減について債権者と協議した。しかし、最大の債権者である韓国産業銀行(KDB)が難色を示し、具体的な自己救済計画を提示するよう求めた。
泰栄の第3四半期の財務報告書には、借入総額が2兆2000億ウォン(2400億円)と記載されており、KDBが最大の借入先。国民銀行や新韓金融グループ、ウリィ金融グループ、ハナ金融グループも債権者リストに入っている。
韓国金融監督院の李卜鉉(イ・ボクヒョン)院長は4日、泰栄は今週中に自己救済計画を提出すべきだと語り、同社と債権者が11日までに合意できるとの見方を示した。ソウルでの記者会見で語った。
中国の対台湾交流窓口機関、海峡両岸関係協会の張志軍会長は3日、台湾で13日に行われる総統選挙・立法委員(国会議員)選挙が「平和と戦争、繁栄と衰退の展望を分ける重要な選択」になるとして台湾市民に「正しい選択」をするよう呼びかけた。
年頭メッセージの中で「台湾同胞は歴史の正しい側に立ち、両岸関係を平和的発展の正しい軌道に戻すために正しい選択をしなければならない」と訴えた。
台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は13日に行われる総統選で中国による干渉に対策を講じており、記録を残して選挙後すぐに分析結果を公表する予定だと明らかにした。
台湾政府は中国による選挙介入の例として、軍事的・経済的圧力や、中国の補助金による台湾当局者の中国訪問などを指摘している。
呉氏は英エコノミスト誌への寄稿で「中国が台湾の選挙結果を変えることに成功した場合、他の民主主義国にも同じ戦術を適用し、自国にとり好ましい国際秩序を推進しようとするだろう」と述べた。
偽情報やサイバー攻撃などのハイブリッド戦争を通じて台湾の民主主義を弱体化させようとする中国に対して国際社会は一段の注意を払うべきだと訴えた。
「われわれの願いは、台湾の経験をルールに基づく国際秩序への貢献に変えることであり、それにより民主主義システムを侵食しようとする権威主義的な大国に対する自由世界の戦いを支援する」と説明した。
中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室は声明を発表し、中国の介入を巡る与党・民進党の非難は、選挙において自党の問題から関心をそらすための「いつものやり方」と主張した。
●中東
パレスチナ自治区ガザで続くイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が中東域内に飛び火している。イランで3日にテロとみられる爆発があり、レバノンでは2日にハマス幹部が殺害された。さらなる緊張の高まりは周辺国を巻き込んだ大規模な衝突に発展するリスクをはらむ。
リヤド:サウジアラビアは水曜日、イランで行われたカセム・ソレイマニ司令官を追悼する式典で100人近くが死亡、多数の負傷者を出した2件の爆発を非難した。
「外務省は、イランで市民を標的にした爆破テロに対する王国の断固とした拒否と非難を表明する」との声明を発表した。
外務省はイランに哀悼と同情の意を表し、負傷者の一日も早い回復を祈った。
イラン国営テレビは、南東部の都市ケルマンにあるソレイマニ司令官が埋葬されている墓地での4周年記念行事で混雑している中、15分後に最初の爆発があり、その後2度目の爆発があったと報じた。彼は2020年にアメリカの無人機によって殺害された。
イランのバフラム・エイノラヒ保健大臣は国営テレビに対し、死者数は103人から95人に減少し、211人が負傷したと述べた。
ベイルート:2日夜、ベイルートのヒズボラ支配地域ダヒエでイスラエルの攻撃によりハマス幹部、サレハ・アルアルーリ氏が殺害された疑いが持たれる中、オンラインサロンやソーシャルメディアのフォーラムでは同じ質問が繰り返されていた。「次は何が起こるのか?」
イランにとって最強の代理勢力であるヒズボラは、レバノン南部の国境地帯でイスラエル軍と交戦を続けており、戦闘は主に限定されたエリア内で行われている。しかし、2日夜に発生した首都への攻撃は、イスラエルの攻撃としては最も北側に食い込むものであり、2006年の戦争以来初のものとなる。
「多くの人々が、ヒズボラおよびイランによる、何らかの報復があると予想しているだろう。しかし、私はそうは思わない。特に、アルアルーリを標的にしたこと、そしてイスラエルがベンヤミン・ネタニヤフ首相顧問を通じて、攻撃はハマスを対象としたものであり、レバノンやヒズボラを狙ったものではないという直接的なメッセージを送ったことから、ヒズボラ書記長ハッサン・ナスラッラー師はこの窮地から抜け出す口実を見つけ出すだろう」と、アメリカン大学ベイルート校の歴史学助教授で政治アナリストのマクラム・ラバ氏はアラブニュースに語った。
ヒズボラは攻撃後に声明を発表し、この行為は「レバノンへの深刻な攻撃」であり「敵対勢力と抵抗枢軸との戦争の課程における危険な発展」だと述べた。同様に、ハマスの指導者イスマイル・ハニエ氏はこれをテロ行為であり、レバノンの主権侵害であると述べた。
この標的攻撃で少なくとも6人が死亡したが、その全員がハマスの一員、あるいはハマスに関与していたと伝えられている。イスラエル軍はコメントを拒否したが、ネタニヤフ首相の顧問を務めるマーク・レゲブ氏は次のように述べた。「それを行った者が誰であれ、これはレバノン国家への攻撃ではないことを明確にする必要がある。これはハマス指導部に対する局地的な攻撃だった」
ラバ氏はまた、この10日間、シリアでイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)の要人や幹部に対する標的攻撃が15回以上行われ、そのうちの1回でレザ・ムサビ上級司令官が殺害されたが、それに対する重要な形の報復はなかったと指摘した。
しかし、中東研究所のアウトリーチディレクター、フィラス・マクサド氏は、これらの攻撃はヒズボラを困難な立場に追い込むことになるため、懸念すべき点があると見ている。
「レバノン国内での暗殺行為に関しては、厳しい対応を余儀なくされるというハッサン・ナスラッラー師の明確な警告を無視することで、イスラエルはヒズボラを難しい立場に追い込んでいる」とマクサド氏はアラブニュースに語った。
「選択肢として、ヒズボラは応戦し、望まないイスラエルとの大規模な戦争に発展するリスクを冒すか、あるいは屈服し、イスラエルに交戦規則を書き換えさせ、その抑止力の欠如により、さらなる暗殺が行われる扉を開けることになるかだ」
「今日(2日)の攻撃の後、ヒズボラにとって、「グレーゾーン戦争」――全面戦争はしないが、イスラエルとの国境は平穏ではない――を恣意的に選択し、これを泥沼化することは非常に難しくなった。ヒズボラは今、報復か降伏かの極めて重要な選択を迫られている」。
10月7日の攻撃で1200人のイスラエル市民が死亡し、その後に行われたガザでの激しい空爆により、女性と子供を中心に2万人のパレスチナ市民が死亡した。この攻撃は世界的に非難されている。
この紛争は長期化すると言われており、まだ平和への道が見えていないが、レバノン首都でのアルアルーリ氏の殺害は、多くの人々にとって軽視できない重要なエスカレーションと見なされるだろう。しかし、他の人々の中には、より広い政治的な枠組みの中で、戦争当事者間の象徴的な打撃にすぎないと見なす者もいる。
「レバノンはこの戦争の一部ではないし、ヒズボラも、私が以前強調したように、ヒズボラは何もしないだろう」と、歴史学教授のラバ氏は付け加えた。
「おそらくヒズボラのグラフィックデザイナーたちは、ナスラッラー師がスピーチを行う際の背景にナスラッラー師の顔と名前を追加しているだろう。彼は、エルサレムへの道のりの中における、いわゆる殉教者のリストに加わることになるのだろう」
テヘラン: 3日にイラン南部で発生した、2つの爆弾を用い、アメリカの爆撃によるイスラム革命防衛隊元司令官ガーセム・ソレイマニ氏殺害から4年を記念して集まった群衆を狙った攻撃で少なくとも95人が死んだ事件について、イランはイスラエルおよびアメリカを非難した。
国営メディアおよび地域当局が「テロ攻撃」と認定した2回にわたる爆発は、イスラエル・ハマス間のガザ戦争や、2日にレバノンでハマス幹部が殺害されるなど、中東の緊張が高まっている中で発生した。
事件が未解決の中、中東地域の対立が広がっていく懸念が高まり、それによって石油価格が3パーセント急騰するなどして世界市場が荒れ、国際社会の非難の声が上がっている。
「アメリカ政府は、今回イランのケルマーンで発生したテロ攻撃にアメリカとイスラエルは関与していないと言う。本当だろうか? 狐はねぐらを最初に嗅ぎ当てるものだ」とイラン大統領政務次官を務めるモハマド・ジャムシディ氏はX(旧ツイッター)に投稿した。
「間違ってはいけない。この犯罪行為の責任はアメリカおよび(イスラエルの)シオニスト政権にあり、テロリズムはツールに過ぎない」と同氏は加えた。
アメリカはアメリカおよびイスラエルの関与を否定している一方で、イスラエルはコメントを拒否した。
「アメリカは一切関与していない。イスラエルが今回の爆発に関与していると我々が信じる根拠はない」とマシュー・ミラー国務省報道官は述べた。
イスラエル軍ダニエル・ハガリ報道官は爆発について聞かれ「我々は専らハマスとの戦闘に従事している」と述べた。
イランのアヤトラー・アリー・ハメネイ最高指導者は今回の攻撃について、同国の「悪逆非道の仇敵」を非難し、「厳しい対応」を誓った。
イブラヒム・ライシ大統領は4日に予定していたトルコ訪問を取りやめ、今回の「凶悪な」犯罪行為を非難し、イラン・イスラム共和国は4日を国家追悼の日に定めた。
2つの爆発には15分の間隔があり、ソレイマニ氏の故郷である南部ケルマーンのサヘブ・アル・ザマンモスクにある殉教者墓地近くで発生した。2020年にバグダッドでアメリカによるドローン攻撃で殺害された同氏を追悼するため、支持者が集まっていた。
国営イラン通信(IRNA)は当初死亡者数は103人と伝えていたが、国営テレビは211人が負傷、複数名が重体と報道していた。
バフラム・エイノラヒ保健相は後日、死亡者数を訂正し「今回のテロ事件の正確な死亡者数が95人である」と発表した。
同氏は103人という当初の数字は「誤って二重に登録された」名前があったからだと述べた。イランの赤新月社によると、死亡者の中には1回目の爆発後に現場に駆け付けた救急隊3人を含むという。
IRNAの報道では、1回目の爆発はソレイマニ氏の墓から約700メートル地点、2回目は約1キロ地点で発生した。
タスニム通信は情報筋の言葉を引用し、「爆発したのは爆弾の入ったかばんで」「実行犯はリモート操作で爆発させたものとみられる」と報道した。
インターネット上の映像では、パニックに陥った群衆が逃げ惑う中、警備員が一帯に非常線を張っていた。
国営テレビは床に横たわる血まみれの被害者に救急車や救助隊が駆け付ける映像を放映した。
イラン学生通信(ISNA)は「私たちが墓地に向かって歩いていると、突然私たちの後ろに車が止まり、爆弾の入ったゴミ箱が爆発した」と語る目撃者を引用して報道した。
「私たちには爆発音が聞こえ、人々が倒れ込むのが見えただけでした。
日暮れまでには、人々は『イスラエルに死を』『アメリカに死を』と唱えながらケルマーンの殉教者墓地に再び集まっていきました」
テヘランでは、ソレイマニ氏追悼のため何千人もの人々が大モサラモスクに集まった。
「私たちは今日発生した痛ましいテロリスト事件を非難します。(中略)事件の犯人が特定され、しかるべき罰を受けることを望みます」とソレイマニ氏の娘・ゼイナブ氏は述べた。
ソレイマニ氏は、イスラム革命防衛隊対外作戦部門のコッズ部隊を指揮し、中東全域での軍事作戦を監督していた。
国連、ヨーロッパ連合およびサウジアラビア、ヨルダン、ドイツ、イランを含む国々が爆発攻撃を非難した。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は爆発攻撃を「強く非難」する、と同氏の事務局が発表した。EUは「このテロ行為による民間人の死傷者数は衝撃的な数にのぼる」と発表した。
EU外相にあたるジョセップ・ボレル外務・安全保障上級代表は、イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相に連絡し、「追悼の意を伝え」、「今回のテロ攻撃を最も強い言葉で非難し、イラン国民との連帯を表明した」と発表した。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ライシ氏とハメネイ氏に宛て「墓地を訪れる平和的な人々を殺害した今回の攻撃は、その残虐で冷笑的な性格において衝撃的だ」と書面を送った。
イランと同盟関係にあるハマスは今回の「犯罪的攻撃」を非難し、サウジアラビア外務省は「今回の痛ましい事件を受け、イランとの連帯」を表明した。
爆発攻撃は、ハマスのナンバー2でイランを支持するサレー・アル・アルリ氏が、イランの支援する武装集団ヒズボラが拠点とするベイルート南部郊外で起きた爆撃によって殺害された翌日に発生した。レバノン当局は爆撃はイスラエルによるものとしている。
AFPのアーカイブによると、3日に発生した爆発は、1978年にイラン南西の町アバダーンで発生し少なくとも377人が死亡したシネマ・レックス放火事件以来最大の死者数を出した。
イランは宿敵イスラエルと水面下の殺し合い・破壊工作の戦争を長く繰り広げてきたと同時に、さまざまなジハード主義者や武装集団とも戦ってきた。
昨年9月には、イランで「テロ工作」を行った容疑のかかるダーイシュ所属主要「工作員」がケルマーンで拘束されたとファールス通信が報道した。
昨年7月には、イラン情報省はイラン全域で「テロ工作」を計画していた「イスラエルのスパイ組織とつながっている」ネットワークを解体した、とIRNAが報道した。
報道によると、計画とされるものにはソレイマニ氏の「墓に爆弾を仕掛ける計画」が含まれていたという。
イランでは、ハメネイ氏が「生ける殉教者」であると定めたソレイマニ氏は、イラクとシリアの両方でダーイッシュを打倒した英雄と広くみなされていた。
アメリカとその同盟国からはかねてから危険な仇敵とみなされていたソレイマニ氏は、シリア、イラクおよびイエメンにおけるイランの政治的・軍事的方針を決定する権力者として、中東地域における最重要人物の一人であった。
国営メディアによると、イラン当局は今回の爆発による犠牲者の葬儀が執り行われる5日に大規模な抗議行動を行うよう呼びかけているという。
イラン革命防衛隊は今回の爆発について「不安を煽り、イスラム共和国に対する国民の深い愛と献身に対する復讐を目的とした」卑怯な行為と非難した
過激派組織「イスラム国」(IS)は4日、前日にイラン南東部ケルマンで発生した爆発について犯行声明を出した。
対話アプリ「テレグラム」の関連チャンネルに投稿された声明によると、ISのメンバー2人が爆発物が入ったベルトを群衆の中で爆発させたという。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者会見で、米国はISの犯行声明を疑う立場にないと述べた。
イランはこれより先、爆発は「テロリスト」による犯行だとして報復を表明。モフベル第1副大統領は「非常に強力な報復が下される」と述べた
ISはイランのイスラム教シーア派宗教施設襲撃で15人が死亡した22年の事件や、イラン国会とホメイニ廟を狙った17年の同時攻撃でも犯行声明を出している。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ニューヨーク外為市場では不安定な値動きとなる中、ドルが大半の通貨に対し上昇した。朝方発表された米雇用関連指標が予想を上回る内容となったことで、米連邦準備理事会(FRB)が年内に積極的な利下げを実施するという観測が後退した。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇し、指標となる10年債利回りが4%近辺で推移した。経済指標で労働市場がなお力強いことが確認され、連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測がやや後退している。
CMEフェドウオッチによると、FRBが政策金利を現行水準に維持する確率は35%と、1週間前の13%から上昇。3月の会合で0.25%ポイントの利下げが実施される確率は60%であることが織り込まれている。
<株式> 米国株式市場はダウ工業株30種(.DJI)が小幅に上昇して取引を終えた。金融株の上げや堅調な雇用データに支援された。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米石油製品在庫の予想外の急増が重しとなり、反落した。
市場参加者の間では、石油製品の弱い需要について、背景に年末年始の休暇シーズン後の落ち着きがあるとみる向きもあった。
これらの統計内容を受け、需給の緩みに対する警戒感が広がり、原油売りが加速。一時71ドル台まで下落した。ただ、中東情勢の緊迫化を背景とした石油供給混乱への懸念もくすぶっており、売り一巡後は下げ幅を縮小する展開となった。
<ロンドン株式市場> 3営業日ぶりに反発して取引を終えた。業績見通しを引き上げた小売りのネクストが大幅上昇した。
<欧州株式市場> 3営業日ぶりに反発して取引を終えた。銀行株と公益事業株が上昇したのが相場を押し上げた。
一方、小売株指数(.SXRP)は0.75%下げた。通期利益見通しを引き下げた英小売りのJDスポーツ・ファッション(JD.L)が23.0%と急落。ドイツのスポーツ用品大手アディダス(ADSGn.DE)は3.0%、プーマ(PUMG.DE)は5.9%それぞれ下落した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが急上昇した。12月の独仏インフレ率の伸びが加速したことを受けた。
日経先物33,257、ダウ先37,762、債先146.76、米4.005、独2.1250、仏2.661、西3.115、伊3.810、英3.7315、波5.280、原油72.27、銅8,482、ドル円144.72、ユーロドル1.0946
※1/5 9時10分頃
備忘録(2024/1/3)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
2023年の米自動車販売台数は約1550万台と、22年の1390万台弱を抜いて、コロナ禍前の19年以来の高水準に達する見込みであることが、コックス・オートモーティブのまとめで明らかになった。
新車需要が持続する中で、供給制約の緩和に伴って各メーカーの増産態勢が整い、販売台数を押し上げた。ただ一部のアナリストは、高金利が今年の需要に悪影響を及ぼすと警告している。実際需要鈍化の兆しとして、23年12月には販売店側が値引きを通じて古い年式の在庫整理を余儀なくされる場面も見られた。
各社別ではゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)の販売台数が前年比14.1%増の260万台前後と、トヨタ自動車(7203.T)のおよそ225万台(6.6%増)を上回って首位の座を維持した。
23年は電気自動車(EV)の販売比率が大きくなったのも特徴の一つ。コックスによると、自動車販売台数全体におけるEV比率は23年が8%前後で、今年は10%前後まで高まる見通しだ。
GMの23年のEV販売台数は7万5883台となった。
トヨタはハイブリッド車(HV)を含めると30.4%増の65万7327台で、米国販売台数に占める割合は29.2%。純粋な電池式EVの販売台数は1万4715台だった。
娯楽最大手の米ウォルト・ディズニーはアクティビスト(物言う株主)の米バリューアクト・キャピタル・マネジメントから取締役候補への支持を取り付けたと明らかにした。バリューアクトはディズニーに業績向上を求めて圧力をかけている。
3日の発表によると、両社はディズニーによる追加情報提供を可能にする秘密保持契約を締結した。
ディズニーのボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)はバリューアクトの支援を得たことで、アクティビストである資産家ネルソン・ペルツ氏に抵抗する姿勢を強める可能性がある。ペルツ氏は自身と元ディズニー最高財務責任者(CFO)のジェイ・ラズロ氏の取締役会参加を提案している。ペルツ氏のトライアン・ファンド・マネジメントは先月、ディズニーに数十年来の懸案である「報酬の不整合性とガバナンス、後継者問題」に取り組む必要を訴えた。
ディズニーは動画配信サービスで数十億ドル規模の損失を出し、劇場映画では期待はずれの作品が相次いだため、投資家から業績改善を求める圧力を受けている。ボブ・チャペック前CEOに代わって昨年11月にCEOに復帰したアイガー氏は、年間数十億ドルの経費削減を約束し、すでに8000人の人員を整理した。
一方で別のアクティビストであるヘッジファンドのブラックウェルズ・キャピタルも、ペルツ氏に対抗する形でディズニーに3人の取締役を送ろうとしていると、ロイター通信が関係者情報として報じた。ブラックウェルズはアイガー氏の経営に理解を示し、新しい取締役は同氏に有利になると考えており、ディズニーの戦略に批判的なトライアンが推す取締役候補の選出に反対しているという。
ディズニーはブラックウェルズからの通知を受け取ったことを確認。ガバナンスと候補者推薦のための委員会を開いて提案を検討し、取締役会に勧告するという。
ディズニーは今年付で、モルガン・スタンレーのジェームズ・ゴーマン会長兼CEOと、スカイの元グループ最高責任者ジェレミー・ダロッチ氏を新取締役に指名している。
ディズニーの株価は2日の米株式市場を0.5%高で終えている。過去12カ月では約2%上昇していた。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
米連邦準備理事会(FRB)が3日公表した2023年12月12─13日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、当局者はインフレ「上振れリスク」が減退したという見解を確認した。さらに「過度に制約的な」金融政策が経済に与える影響への懸念も示した。
バランスシート縮小の停止時期について少なくとも初期の議論が行われたことも分かった。
要旨は「ほぼ全ての参加者が、2024年末までにフェデラルファンド(FF)金利の目標レンジ引き下げが適切であるとの見解を示した」とした。さらに「多くの参加者」が、インフレ鈍化の進展を踏まえ、制約的な金融政策をどの程度長期間維持する必要があるかを巡り不確実性が高まっていることを強調した。
物価上昇率に関して政策立案者が「容認できないほど高い」との表現を使わなかったのは22年6月以降で初めて。
議事要旨によると「数人の」当局者はFRBがインフレの抑制と高い雇用率の維持という2つの目標の間で「トレードオフ」に直面する可能性がある時点に近づいていると感じていると述べた。
「数人の参加者は、労働需要がさらに大幅に弱まった場合、労働市場が緩やかな緩和からより急激な状況悪化へと急速に移行するリスクを指摘した」という。
政策立案者は経済のソフトランディング(軟着陸)を目指しており、どちらかを犠牲にするようなトレードオフの回避を望んできた。
FOMC参加者は、23年中にみられたインフレ率の鈍化を指摘した。
ただ、議事要旨では利下げの開始時期はほとんど明らかにされなかった。参加者は経済の見通しに関して「異例に高い水準の不確実性」を指摘し、さらなる利上げの可能性も依然としてあり得るとした。
一方、インフレ率が引き続き鈍化する中、いかにして経済を守るかに関して議論されたことも示された。
「ほとんどの」参加者は金融政策が家計と企業の支出を抑えさせる効果をあげつつあり、今後も続くと考えていることも分かった。
参加者は「インフレ率が委員会の目標に向けて持続的に低下することが明らかになるまで、しばらくは政策を制約的なスタンスにとどめることが適切だ」と強調した。
同時に経済へのリスクや、予想を超えるインフレ率に留意するとし、今後の決定は「慎重かつデータに依存」するとした。
議事要旨公表後も金利先物市場では、FRBが3月に利下げを開始するとの見方は大きく変わらず、今年末の政策金利は現行水準より1.5%ポイント低い3.75─4.00%と予想されている。
キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミスト、ポール・アッシュワース氏は「議事要旨にはFRBが今年3月から利下げを始めるという予想を妨げる内容は見当たらない」と述べた。
保有資産圧縮の停止時期を巡る初期の議論は、FRBがインフレ抑制の一環として利上げと並行して進めてきた別の引き締め策の転換に政策立案者らが近づいていることを示した。
リビア・シャララ油田の操業停止に加え、レバノンの首都ベイルートでイスラム組織ハマス幹部のサレハ・アルーリ氏がイスラエルによる攻撃で死亡したことを受け、中東地域の緊張拡大への懸念が強まり、原油高につながった。イスラエルはアルーリ氏殺害への関与を肯定も否定もしていない。
米供給管理協会(ISM)が3日発表した2023年12月の製造業景気指数は47.4となり、ロイターがまとめた市場予想の47.1を上回った。ただ、拡大・縮小の分岐点となる50を下回るのは1年2カ月連続となり、2000年8月─02年1月以来の長さとなった。
23年10月と11月はともに46.7だった。生産が緩やかに回復し、雇用が改善する中で12月は縮小幅がやや小さくなった。
先行指標となる新規受注指数は47.1と、11月の48.3から低下。
12月の生産指数は50.3と、11月の48.5から上昇した。12月の在庫指数が50を下回ったため、生産はさらに改善する可能性がある。
12月の価格指数は45.2となり、7カ月ぶりの高水準だった11月の49.9から低下。需要が低調だったのが価格を押し下げた。
供給業者の納入を示す指数は12月に47.0と、11月の46.2から上昇。50を下回ると工場への納品が速くなることを示す。
12月の雇用指数は48.1と、11月の45.8から上がった。製造業の雇用は改善したものの、雇用凍結やレイオフなどで引き続き低調だった。
米社債市場では2日、投資適格企業16社が総額290億ドル以上を調達、2024年は上々の滑り出しとなった。
16社は、トヨタ・モーター・クレジット(TOYOM.UL)、フォード・モーター・クレジット(FMCR.UL)などの国内企業やUBS(UBSAG.UL)、BNPパリバ(BNPP.PA)、ロイズ・バンキング・グループ(LLOY.L)などの欧州銀行。
これらの企業は今年と来年に大量の償還を予定しており、米国債利回りが低く、プレミアム(上乗せ金利)がタイトな環境で大半を借り換えようとしていた。シティのリサーチノートによると、24年の償還到来は約7800億ドル、25年は1兆ドルという。
インフォーマ・グローバル・マーケッツによると、債券シンジケート・デスクが見込む第1週の投資適格債発行水準は平均630億ドル近く。過去5年の同期の平均500億ドルを上回る。昨年は37社が580億ドル調達した。
BMOキャピタル・マーケッツのクレジット・ストラテジスト、ダン・クライター氏はメモで「1月の季節的好パフォーマンスは、今年利回りが低下するとの観測でさらに強まり、年序盤に需要が急増する可能性が高い」と述べた。
シティによると24年の総発行額は1兆3000億ドルで23年の1兆2000億ドルを上回る見込み。ただ償還や買い戻しなどを差し引いたネットでは4750億ドルとなり23年の約5000億ドルを下回るという。
ほんの数日前まで、米金融当局が年内に6回以上の利下げを行うと見込むポジションに殺到していた債券トレーダーだが、早くも考え直し始めている様子だ。
JPモルガンが2日までの週に実施した米国債顧客に対する最新の調査では、米国債のネットロングが2020年5月以降で最も大きく減少したことが明らかになった。この調査には、米10年債利回りが前日比で5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上昇して取引を終えた2日の動きも含まれている。
ポジショニングの変化は、ロングの減少と新規のショートの両方が後押しした。米10年債利回りは先週、3.78%まで低下したが、そこから上昇に転じ、3日の取引では一時4%を上回った。
米人気歌手テイラー・スウィフトのコンサート「エラズ・ツアー」、夏のストライキ、ドラマ「メディア王~華麗なる一族~」のファイナル・シーズン、バランスシート管理の黄金時代など。2023年を象徴する出来事は多い。
だが、コーポレートクレジット投資家が過去1年を振り返るに当たっては、特筆すべきことが一つあるかもしれない。それは、3倍に膨れ上がる資金調達コストを企業が想定外の程度で乗り切ることができたという点だ。
米金融当局はここ数十年で最も速いペースで利上げを進めたが、長らく予想されていた企業デフォルト(債務不履行)の波は押し寄せなかった。それどころか、多くの企業がリセッション(景気後退)の可能性を懸念しながらも、昨年の大半の期間についてバランスシートをさらに補強した。
その結果、23年はコーポレートクレジットにとって驚くほど好調な年となり、社債の格付け引き上げが相次いだ。ムーディーズやS&P、フィッチが格上げした優良社債は約2820億ドル(約40兆4000億円)相当に達した。
しかし、問題はこの好調さが24年も継続するかどうかだ。シティグループのダニエル・ソリッド、ジェームズ・キーフ両ストラテジストは、慎重になる理由があるとみている。
クレジット投資家はこの1年半について「景気後退が回避された期間としてだけでなく、高格付けの米社債発行体でバランスシート管理の黄金時代として、懐かしく思い出すことになろう」と両氏はリポートで指摘する。
ただし24年に向けては、「非金融分野の投資適格企業が債権者に優しい行動を取った異例な時期は終わりを迎えたことが、量的指標で示唆されている」と分析。「24年にEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)が増加から減少に転じなかったとしても、信用指標と格付けがさらに改善する可能性は低いと考える」とした。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は米経済について、インフレを抑制するという金融当局の「決意」が奏功し、「確実」にソフトランディングに向かっているとの認識を示した。
ゲオルギエワ氏は2日にCNNインターナショナルで放送予定のインタビューで、「米経済をリセッション(景気後退)に追いやることなく、望ましい影響をもたらした」と述べた。
2024年米大統領選におけるトランプ前大統領の見通しと、保護主義的な貿易政策復活の可能性についての質問には、政策立案者はグローバリゼーションによって悪影響を被った人々を支援する必要があると、ゲオルギエワ氏は指摘。さもなくば反発と孤立主義をあおるリスクが生じると語った。
「米国や欧州を含めあらゆる地域で、われわれをより豊かに、そしてより安全にしてくれる統合されたグローバル経済に反発する動きを目にすることになる」とゲオルギエワ氏は述べた。
米中間の戦略的ライバル関係が激しさを増す中、IMFは分断による経済的ダメージについて警告している。ゲオルギエワ氏は、分断により将来の環境技術に必要不可欠な鉱物へのアクセスが遮断されるリスクがあると指摘した。
「そうした鉱物にアクセスできなくなれば、急速に変化する世界経済において将来の競争力に劇的な影響を与えかねない」とゲオルギエワ氏は述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラ指導者ナスララ師は3日、イスラム組織ハマス幹部のサレハ・アルーリ氏がイスラエルによる攻撃で殺害されたことについて「われわれが沈黙することのできない重大で危険な犯罪だ」と述べた。
ナスララ師はテレビ放映された演説で、アルーリ氏の殺害は「イスラエルによる明白な侵略」だと非難。イスラエルがレバノンに戦争を仕掛けることを選択した場合、ヒズボラによる戦闘行為に「上限もルールもない」とし、「われわれとの戦争を考える者は後悔する」と語った。
声明は日米のほか、オーストラリア、バーレーン、ベルギー、英国、カナダ、デンマーク、ドイツ、イタリア、オランダ、ニュージーランドが発表。「違法な攻撃を直ちに中止し、不法に拘束された船舶と乗組員を解放することを要請する」とし、「フーシ派が人命や世界経済、この地域の重要な海路における自由な通商の流れを脅かし続ければ、その結果に対する責任をが負うことになる」とした。
中銀はインフレ率は引き続き拡大し、今年5月に70─75%程度でピークとなり、来年末には36%程度に鈍化すると予想した。
エコノミストは、冬期の天然ガス消費の増加や、24年の最低賃金の49%引き上げによって今後数カ月のインフレ率が押し上げられると見込んでいる。
欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は3日、イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争について、すぐに終わらなければ中東全体に拡大すると警告し、国際社会が解決策を提示しなければならないとの考えを示した。
ボレル氏はリスボンで開かれたイベントで「両者は合意に達することができないため、解決策を外部から提示しなければならないことを過去30年間で学んだ」とし、「この悲劇がすぐに終わらなければ、中東全体が戦禍に見舞われる恐れがある」と警告した。
また、イスラム組織ハマス幹部のサレハ・アルーリ氏が2日にイスラエルによる攻撃で死亡したことについては、「紛争のエスカレートにつながる新たな要因になる恐れがある」と懸念を表明。紛争の解決に向けた方法を探るために、レバノンを含む中東を訪問する予定があると述べた
このほか、海運の要衝である紅海の安全保障に貢献するためのミッションの創設案を4日にEU加盟国に提示すると表明。創設には加盟国の全会一致の賛成が必要になるという。
イラン南東部ケルマンで3日、爆発が2回あり、エイノラヒ保健相によると、95人が死亡、211人が負傷した。政府当局者は「テロリストによる攻撃」という認識を示している。犯行声明は出ていない。
国営テレビによると、2020年に米軍の無人機攻撃で殺害されたイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の墓のある墓地で行われていた追悼式典中に爆発が発生した。1回目の爆発から20分後に2回目の爆発があったという。
地元当局者は国営イラン通信(IRNA)に対し、「墓地に通じる道沿いに仕掛けられた爆発物2つがテロリストの遠隔操作によって爆発した」と語った。
ライシ大統領は「凶悪かつ非人道的な犯罪」と非難した。国営イラン通信(IRNA)によると、ライシ大統領は事件を受け、4日に予定していたトルコ訪問を中止した。
最高権力者ハメネイ師は声明で「間違いなく厳しい対応が取られる」と警告したほか、バヒディ内務相も「イラン治安部隊による強力かつ断固たる対応」が取られると言明した。
他国からも非難の声が上がり、ロシアのプーチン大統領は、イラン指導部に哀悼の意を表した上で、罪のない人々に対する攻撃は残虐で衝撃的とし、「いかなるテロ」も非難すると述べた。ロシア通信社RIAノーボスチがロシア大統領府(クレムリン)の声明を報じた。
こうした中、コッズ部隊のガアニ司令官は、爆発が「シオニスト政権(イスラエル)と米国の工作員」によるものと主張。国営テレビは、群衆が夜間に墓地に集まり、「イスラエルに死を」、「アメリカに死を」と叫ぶ映像を放映した。
米国務省のミラー報道官は記者会見で、米国はいかなる形でもイランの爆発に関与しておらず、イスラエルが関与していると信じる理由もないと述べた。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官も、米国はイスラエルが爆発の背後にいた兆候を確認していないと述べた。
イスラエルの最高裁判所は1日、裁判所の権限を弱める司法制度改革法は無効との判断を示した。同法は、国内で大規模な反対デモを引き起こし、西側諸国が民主主義の後退につながると懸念を示していた。
ネタニヤフ政権が推進した司法制度改革は、憲法に相当する基本法を修正し、政府や閣僚の決定を最高裁が非合理とみなせば無効にできる手段の一つを排除した。
最高裁は判決で、基本法の修正は「政府、首相、閣僚の決定の合理性について司法審査を行う可能性を完全に剥奪する」と指摘。「民主主義国家としてのイスラエルの中核的特徴に深刻かつ前例のない悪影響をもたらす」と判断した。
判決は、強硬派のスモトリッチ財務相や改革に反対する中道派のガンツ前国防相やガラント国防相を擁する挙国一致内閣の結束を試すことになる。
ネタニヤフ首相の政党リクードは、判決は遺憾で「特に戦時の統一を求める民意」に反するとする短い声明を発表。今後の対応方針は示さなかった。
スモトリッチ財務相は判決を「極端で分裂的なもの」と非難した。
野党のラピド前首相は、国を分断し歴史上もっともひどい災禍につながった厳しい一年を終わらせる判決と称賛した。
パレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスとの戦闘終了後もネタニヤフ首相に続投を望むイスラエル国民の割合は15%にとどまった。2日発表された世論調査で分かった。
ネタニヤフ首相は、ハマスが拘束している人質解放には強硬な軍事圧力が不可欠としている。
イスラエル民主主義研究所(IDI)が12月25─28日に実施した調査では、人質を取り戻す最善の方法について、軍事攻撃の継続と答えた割合は56%、イスラエルの刑務所にいるパレスチナ人の釈放を含む交換取引との回答は24%だった。
ネタニヤフ首相に戦闘終了後も続投を望む割合は15%にとどまり、ライバルで戦時内閣に参加しているガンツ前国防相に期待する割合が23%だった。約30%は支持する指導者はいないと回答した。
昨年12月の前回調査では、69%が戦争が終わり次第選挙を実施すべきと回答していた。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ニューヨーク外為市場でドルが上昇し、一時2週間ぶり高値を付けた。ドルのショートポジションを減らし利益を確定する動きが続いているほか、米連邦準備理事会(FRB)が今年約6回の利下げを実施するという観測に懐疑的な見方が出ていることが背景。
<債券> 米金融・債券市場では、指標となる10年債利回りが一時4%を上抜けた後下げに転じた。米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かっているかを見極めようと、朝方発表された指標や午後に入り公表された2023年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容を精査する動きとなった。
CMEのフェドウォッチによると、金融市場ではFRBが25%の確率で3月に金利を据え置くという見方が織り込まれ、前日の21%から上昇した。0.25%ポイント利下げの確率は67%。
<株式> 米国株式市場は下落し、新年2日目の取引も軟調となった。2023年に大幅上昇したことから利食い売りが続いた。米連邦準備理事会(FRB)が3日公表した23年12月12─13日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨は市場に漂う懸念を払拭するに至らなかった。投資家は24年に見込まれる利下げがいつ開始されるか注視しており、年初から慎重な姿勢を示している。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、中東紛争の拡大に伴う供給不安が再燃し、5営業日ぶりに反発した。
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。金利上昇を嫌気した売りに加え、鉱業株や日用品株の下落も相場を圧迫した
一方、生活必需品株指数(.FTNMX452010)は0.83%上昇。昨年の年末商戦で売り上げを堅調に伸ばした英スーパーマーケット大手セインズベリー(SBRY.L)、テスコ(TSCO.L)がそれぞれ1.5%、1.6%上げた。
製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)(GSK.L)は2.7%上昇。ジェフリーズが投資判断と目標株価を上方修正したことが好感された。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。幅広い銘柄が売られた。
欧州中央銀行(ECB)が2024年に利下げを開始するとの見方が広がる中、AJベルの投資ディレクター、ラス・モールド氏は「もし台本にないことが起これば、いくらかの失望のリスクがあるかもしれない」とした上で、市場は「ある程度の確証を待っている」との見方を示した。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが安定的に推移した。欧米の金利の道筋を巡る手がかりが示される可能性があるとして、3日公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や週内に発表されるドイツやユーロ圏のインフレ指標に注目が集まっている。
日経先物33,075、ダウ先37,721、債先146.39、米3.918、独1.9980、仏2.561、西2.977、伊3.689、英3.6390、波5.294、原油73.06、銅8,519、ドル円143.10、ユーロドル1.0925
※1/4 8時5分頃
●先進国、グローバル、金融市場
米財務省が2日に公表したデータによると、連邦政府の公的債務残高が初めて34兆ドルに達した。
12月29日時点で公的債務残高は34兆0010億ドル。28日時点の33兆9110億ドルから増加した。連邦債務上限の対象となる債務は28日時点の33兆7940億ドルから29日に33兆8900億ドルに増加した。
税収減と歳出増によって赤字が増大する中、連邦債務は昨年9月に33兆ドルを突破したばかりだった。
議会は来週再開される予定で、現行のつなぎ予算が1月19日と2月2日に期限切れとなるのを前に2024会計年度(23年10月─24年9月)の歳出法案で合意を目指す。
12本ある歳出法案が承認されなければ政府機関が閉鎖に陥るが、11月に大統領選と連邦議会選を控え、妥協点を見いだすのは一段と難しくなるとみられる。
新規受注指数は41.5から42.0に上昇したが、縮小傾向が続いている。「新規受注の低迷ぶりは前月とさほど変わらない」とデラルビア氏は述べた。
製造業の活動がもっぱら既存受注の処理ということを受注残指数は示している。雇用は7カ月連続で減少し、早期の業況好転を予想していないことを示唆した。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、製造業は谷からはい上がろうとしていると指摘。「出口探しは進展しているが、しかるべき道を見つけるにはなお不確実性が残る」と述べた。
生産と雇用は縮小が加速。稼働率が低下し雇用削減が拡大した。
半面、先行きを占う指標は改善基調を維持。新規受注は過去8カ月で最も小幅な減少にとどまり、事業見通しは昨年4月以来初めてプラスに転じた。
翌日物資金調達市場では昨年末に見られたボラティリティー(変動性)が和らぎ、ウォール街の関心は米連邦準備制度理事会(FRB)が深刻な混乱を引き起こすことなくバランスシートの縮小を継続できるかという問題に戻ってきた。
資金の待機場所であるFRBのリバース・レポ(RRP)ファシリティーに、トレーダーから精察の目が向けられている。利用者はこれまで、もっと高い利回りで運用するためにこのファシリティーから資金を引き出してきたが、同ファシリティー利用額がゼロに向かって細るのに伴い、レポ市場のボラティリティーは改めて加熱すると予想される。
先週には担保付翌日物調達金利(SOFR)が過去最高に急伸したが、そうした波乱は今後増え、深刻度を増すとみられている。米国債入札の決済が完了し、年末に向けたタームファンディングのポジションが満期を迎えれば、米国債を担保とする翌日物レポ金利は今週、正常化が見込まれる。ニューヨーク連銀が2日に発表したデータによれば、レポ取引を集計して公表されるSOFRは12月29日時点で5.38%と、過去最高の5.40%から下げていた。
しかしここ最近の変動は、こうした金利が今後迎える事態の予告に過ぎないかもしれない。
ライトソンICAPのエコノミスト、ルー・クランドール氏は「RRPファシリティーが完全に空になるまでFRBがバランスシート縮小を続ける場合、SOFRが描く日々のパターンは数四半期前から見られる安定ではなく、2020年より前に経験した状況に似るだろう」と顧客リポートで指摘した。
2日のRRPファシリティーには約78のカウンターパーティーが合計7049億ドル(約99兆9100億円)を預け入れた。前営業日から3136億ドル減少し、年初の減少としては同ファシリティーが創設された2013年以来で3番目に大きな額となった。
同ファシリティーの残高は2023年が最終週を迎えるまでに1兆4000億ドル近く急減。2021年以来の低水準に落ちていた。米財務省による財務省短期証券(Tビル)の大量発行と、米利上げ終了の確信がこの動きを導いた。
ウォール街のストラテジストらはRRP残高が6月末までに完全に枯渇すると予想。FRBはその時点で量的引き締め(QT)を停止せざるを得なくなる。銀行の準備額が当局想定より乏しいことが判明すれば、その見込みはますます強まる。
だからこそFRBはRRPファシリティーが枯渇する前にバランスシートのランオフをやめなくてはならないと、クランドール氏は述べている。そうしておけば、資金調達市場が急激に緊張した場合でもファシリティーに残されたキャッシュをレポ市場に再投入することが可能になる。
「前にも指摘した通り、この春か夏、日々のRRPファシリティー利用が構造的にプラスにある間にQTを停止することに強い論拠があると考える」と説明した。
為替ファンドの間では、これまでに大きく売られてきて、今後は金利低下の恩恵を受ける可能性がある通貨に注目する向きが増えている。2023年にキャリー取引で得たような大規模リターンを再び狙っている。
割安な通貨を購入して、より割高な通貨に対して上昇することに備えたポジションを取るいわゆるバリュー戦略に賭ける動きが投資家の間で増えていると、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)は指摘する。同行は45兆ドル(約6340兆円)余りの資産フローを俯瞰(ふかん)的に見ている。
こうしたバリュートレードが来年はアウトパフォームすると見込んでいるのは、CIBCアセット・マネジメントやオールスプリング・グローバル・インベストメンツ、ニューバーガー・バーマンなどだ。3社は合わせて1兆ドル超の資産を運用する。
通貨ファンドにとって、これは勇敢なスタンスだ。2008年の金融危機以降、ボラティリティーの低迷とアルゴリズム取引の台頭に見舞われる中、こうしたファンドの80%が市場から撤退していた。各国・地域の金利差を利用するキャリー取引は今年、切望されていた好成績をもたらした。一例として、円で資金を借り入れて、新興国3通貨のバスケットを購入する取引は42%の高リターンを生み出した。これはS&P500種株価指数の上昇率の2倍に近い。一方で、バリュー取引は不振だった。
しかし、世界的に政策当局者らが利下げの方向にかじを切ろうとする中、2024年は異なる展開になるとの見方が強まっている。
CIBCのマイケル・セイジャー副最高投資責任者(CIO)は「当社ではバリュー志向へのローテーションを始めつつある」とし、「バリュー取引での想定リターンは極めて大きそうだ」と述べた。同氏は自身のポートフォリオの原動力がキャリーからシフトするとみている。
この戦略に挽回すべき余地があるのは確かだ。キャリー取引の人気でパフォーマンス急反転の下地も整った。10カ国・地域(G10)通貨の中で最も過小評価されているのは円で、高利回り通貨から大きな利益を得るための資金源として選好されている。国際決済銀行(BIS)が算出する実質実効為替レートに基づいたブルームバーグのランキングによれば、ノルウェー・クローネとスウェーデン・クローナも割安に見える。最も過大評価されているのがドルだ。
実際、一部のバリュー戦略は既に奏功し始めている。クローネとクローナ、円は今月いずれもG10通貨の中では対ドルで最大の上昇を見せた。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のハト派的な発言で米利下げ観測が高まり、最も売られていた通貨に買い安心感が生まれた。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは、対ユーロでのクローネ上昇に賭けるのが確信度の高いバリュー取引だと考えている。シティグループでは、対円でスイス・フランをショートにするのが利益になるとみている。
ニューバーガー・バーマンのファンドマネジャー、ウーゴ・ランチオーニ氏は「バリューは過去何年にもわたってアンダーパフォームしてきたが、遅かれ早かれ、勝つ戦略になるだろう」と指摘。「サイクルの終わりにおいては、バリュ-はキャリーやモメンタムよりもパフォーマンスが好調となる傾向がある」と続けた。同氏は円が最も大きなリターンをもたらすと予想している。
●中国・アジア・ロシア・東欧中国国務院台湾事務弁公室の宋濤主任は2日、新年の辞で、台湾住民に「平和的統一」プロセスの推進を呼びかけ、それが台湾海峡両岸の人々の共通の願いであると述べた。
台湾では1月13日に総統・立法委員(国会議員)選挙が行われる。
習近平国家主席は12月31日の演説で、中国と台湾の「統一」は必然だと述べた。
宋主任は「母国はいずれ再統一される。必然的に再統一される」と述べ、それが両岸の人々の共通の願い、共通の使命であるとした。
さらに台湾の人々が「両岸関係が平和的発展の正しい軌道に戻るようにし、祖国の平和的統一のプロセスを促進」すべきだと述べた。中国は台湾に「一国二制度」の自治モデルを提案しているが、台湾の主要政党はこの案を支持していない。
宋主任は、中国が「一国二制度」を支持し、台湾の正式な独立や「外部勢力による干渉」に反対だと再表明した。
弁公室は1月13日に台湾で行われる総統選挙・立法委員(国会議員)選挙を戦争か平和の選択ととらえているが、新年の辞は選挙に言及していない。
中国の習近平国家主席は31日、新年に向けたテレビ演説で、中国と台湾の「統一」は必然だと述べた。1月13日の総統選挙・立法委員(国会議員)選挙を控え、昨年よりも強い表現となったが、軍事的脅威には言及しなかった。
習主席は「祖国の統一は歴史的必然である」と述べたが、国営新華社通信が公表した公式の英訳では「中国は必ず統一される」と簡潔な表現になっていた。
「台湾海峡両岸の同胞(compatriots)は共通の目的意識で結ばれ、中華民族の復興という栄光を分かち合うべきだ」と主席は述べた。この部分の公式英訳で「同胞」は「全ての中国人」となっている。
昨年は、両岸の人々は「同じ家族の一員」で、両岸の人々が協力して「中華民族の永続的な繁栄を共同で育む」ことを望むと述べていた。
台湾総統選では、与党・民主進歩党(民進党)候補の頼清徳副総統が優位に立っているが、中国は危険な分離主義者とみなし繰り返し批判している。
頼氏は30日の候補者テレビ討論で、中国と対話の用意があるとする一方で、台湾の主権と独立は台湾市民に属するとの見解を改めて示し「中国と中華民国(台湾)は従属関係ではない。これが台湾独立の定義だ」と述べた。
中国国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は31日、頼氏の発言は「対立思考に満ちていた」とし、台湾海峡の平和を破壊する者としての素顔をさらけ出したと指摘した。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は31日、米国と韓国が軍事対決を選択した場合、それを破壊するために最も強力な手段を動員する必要があると述べた。国営朝鮮中央通信(KCNA)が1日報じた。
金総書記は、党本部に朝鮮人民軍の主要指揮官を迎え、2023年の成果を称賛したうえで、米国を含む敵対勢力の工作により、朝鮮半島で武力衝突の危険性が急速に現実味を帯びており、自衛のため「宝刀を研ぐ」必要があると指摘。「敵が軍事対決を選択すれば、わが軍は一瞬のためらいもなく、最も強靭な手段と潜在能力を総動員して、敵を徹底的に全滅させる致命的な打撃を与えるべきだ」と述べた。
金総書記は、党中央委員会拡大総会最終日の30日、2024年に偵察衛星を新たに3基打ち上げるほか、軍事用ドローン製造、核・ミサイル戦力の強化、潜水艦や電子戦能力増強などの方針を示している。
韓国の尹錫悦大統領は1日、ミサイル防衛システムと米国の拡大抑止システムを完成させる作業を加速して「北朝鮮の核・ミサイルの脅威を根本的に抑止」すると表明した。
12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.8と、11月の50.7から小幅上昇し7カ月ぶりの高水準となった。生産と新規受注の伸びが寄与した。ただ、2024年の景況感は依然としてさえない。
PMIは50が景況改善・悪化の分岐点となる。市場予想は50.4だった。
中国国家統計局が先月31日に発表した12月の製造業PMIは49.0で11月の49.4から低下、予想の49.5も下回っていた。
財新のPMIでは生産が5月以来の高い伸びを記録。堅調な需要と顧客の支出回復により新規受注の伸びも10カ月ぶり高水準となった。
新規輸出受注は減少ペースが鈍化した。一部企業が11月からの外需改善を報告した。
24年の見通しについては楽観的な見方を維持したものの、11月から後退。長期トレンドを依然として下回っている。
顧客の予算縮小、厳しい競争、市場低迷などが主な懸念材料という。
完成品の在庫は、顧客への出荷が遅れたこともあり、わずかに増加した。投入コストは12月も上昇が続いたが、インフレ率は4カ月ぶりの低水準に鈍化した。
需要が予想を下回る中、雇用は4カ月連続で減少。減少ペースは5月以来の大きさとなった。
財新智庫のエコノミスト、王哲氏は「市場の需給拡大は雇用増加につながらなかった」と述べ、現在の市場環境下では注文が増加しても既存の生産能力で十分対応できるという声が聞かれたと指摘した。
「新年に向けて財政政策と金融政策にはまだ調整余地がある」とし、雇用市場の圧力を緩和するために雇用を増やす取り組みの強化が必要だとした。
中国の習近平国家主席は31日、新年に向けたテレビ演説を行い、来る2024年は経済回復の前向きな基調を促進し、改革を深化して長期的経済発展を維持すると述べた。
「経済回復の前向きな基調を確固としたものにして強化し、安定した長期的な経済発展を達成する」と表明。「改革と開放を全面的に深化し、発展への信頼をさらに高め、経済の活力強化、教育の促進、科学技術の振興、人材の育成に一層努力しなければならない」と述べた。
一部企業が直面している経営上の困難や、国民の一部が抱える雇用や日々の生活での苦難、一部地域での洪水や地震など自然災害の影響への懸念を指摘。質の高い発展を促進し、発展と安全保障をバランスよく調整していくとした。
中国人民銀行(中央銀行)が2日に公表したデータによると、人民銀の担保付き補完貸出(PSL)による政策銀行への融資残高は2023年12月に3500億元(491億ドル)増えた。PSL融資が月間ベースで増加したのは1年1カ月ぶりとなり、苦境にある中国の住宅分野への支援を強化するとの期待感を高める動きとなる。
12月末時点の残高は3兆2520億元となり、11月末時点は2兆9020億元だった。
人民銀によると、政策銀行である中国開発銀行、中国輸出入銀行、中国農業開発銀行が融資をどのように利用するかについては言及しなかった。
人民銀は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時の経済支援として、22年9月─11月には6300億元を融資した。
PSLは都市再開発への資金供給で不動産不況を支援し、不動産価格を押し上げることを目的に14年開始。15年─18年の再開発ラッシュでは、PSLの融資に大きく依存していた。中国の習近平国家主席は1日、バイデン米大統領に宛てた祝電で、相互尊重と平和共存を堅持することが中国と米国の正しい関係であることを歴史が証明していると述べた。米中がかなり緊張した関係を修復しようとする中で、両国首脳が国交樹立45年の祝電を交換した。
習主席は「過去45年間、中国と米国の関係は嵐を乗り越えて前進してきた。両国の人々の幸福を向上させただけでなく、世界の平和と安定、繁栄にも貢献してきた」と強調した。祝電の内容を中国中央テレビ局(CCTV)が伝えた。
米中関係は、特に中国のロシアとの緊密な関係や台湾に対する姿勢を巡り、なおも脆弱(ぜいじゃく)な状態だ。それでも、習主席が昨年11月にサンフランシスコでバイデン氏と会談し、小さな外交的勝利を収めたことで、関係は改善し始めている。
バイデン氏は祝電で、米中関係が両国のみならず世界の繁栄と機会を育んできたこと認め、「われわれの前任者によってなされた進展を基礎に、米中関係を前進させ続けるためのわれわれの会合と議論を積み重ねていくことを期待している」と表明した。
長引く住宅不況は、債務返済やプロジェクト完了に苦戦するデベロッパーに打撃を与え、中国経済を弱体化させている。需要回復に向けた最新の動きとして、当局は北京と上海の2大都市で住宅購入規制を緩和。中央政府は8月下旬、地方当局に対し頭金要件の緩和を促していた。
政策変更にもかかわらず、市場の低迷は続いており、過去24カ月のうち20カ月で住宅販売は減少。価格下落や建設の遅延、企業の債務不履行などに対する懸念から買い控えが続いている。
●中東
デンマークの海運大手APモラー・マースク (MAERSKb.CO)は2日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での商船への攻撃が相次ぐ中、コンテナ船の紅海航行を当面停止すると発表した。
フーシ派の武装集団が12月31日にマースクのコンテナ船への乗船を試みたことを受け、マースクは紅海の航行を48時間停止していた。
マースクはこの日の声明で「事件の調査が進行中で、変化する状況を精査する間、引き続きこの地域における全てのコンテナ船の通航を一時停止する」と発表した。
ドイツの海運会社ハパックロイド(HLAG.DE)は少なくとも今月9日まで紅海を迂回(うかい)を継続し、アフリカ南端を経由するルートで運航するとした。
イスラム組織ハマス幹部のサレハ・アルーリ氏が2日夜、イスラエルによる攻撃で死亡した。レバノンとパレスチナの治安関係筋が明らかにした。イスラエルはレバノンの首都ベイルート郊外のダヒエにあるイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点を小型無人機(ドローン)で攻撃したという。パレスチナ自治区ガザの紛争が周辺地域に拡大する可能性がある。
イスラエル軍はロイターの取材に対し、外国メディアの報道には答えないと回答。イスラエルのネタニヤフ首相の上級顧問を務めるマーク・レゲブ氏はMSNBCに対し、イスラエルはこの攻撃の責任を持っていないとした上で、「誰が攻撃したにせよ、これは国家としてのレバノンに対する攻撃ではないと明確にしなければならない」とし、「誰が実施したとしても、これはハマス指導部に対する攻撃だ」と述べた。
アルーリ氏はハマスの副政治局長で、昨年10月7日にイスラエルに対する奇襲攻撃を敢行したハマスの軍事部門「カッサム旅団」の創設者の1人だった。イスラエルが10月の奇襲攻撃を受けハマスに対する軍事作戦を開始してから殺害された初めてのハマス政治幹部となる。
最近はレバノンとカタールに滞在していたという。米国は昨年、アルーリ氏に関する情報提供に500万ドルの報酬を支払うと表明していた。
イスラエルは自国民に対する攻撃を巡りアルーリ氏を長年非難してきたが、あるハマス関係者によると、同氏はガザでの戦闘やハマスが拘束している人質の解放などを巡るカタールとエジプトによる交渉でも中心的な役割を果たしていた。
<ハマス指導者「テロ行為」と非難>
ハマスは傘下のアル・アクサ・ラジオを通して、アルーリ氏が殺害されたと確認。アル・アクサ・ラジオはまた、対話アプリ「テレグラム」への投稿で、カッサム旅団の幹部2人も同攻撃で殺害されたと明らかにした。
ハマスの指導者ハニヤ氏はテレビ放映された演説で、イスラエルによるベイルートでの攻撃でアルーリ氏が殺害されたことは「テロ行為」に当たるとし、レバノンの主権を侵害し、パレスチナ人に対するイスラエルの敵意を拡大するものだと非難。ヒズボラも、今回の攻撃は「レバノンに対する深刻な攻撃」で、「敵対勢力と『抵抗の枢軸』との戦争における危険な進展」だとテレグラムに投稿した。
レバノンの国営メディアは、ダヒエにあるハマスの関連施設が2日夜にイスラエルのドローンによる攻撃を受け、6人が死亡したと報道。レバノンのミカティ首相はこの攻撃について、レバノンを戦争に引きずり込もうとするものとし、「イスラエルの新たな犯罪」と非難した。
レバノンは、首都ベイルート南部郊外への攻撃のほか、イスラエルによる全ての「レバノンの主権侵害」に対し、国連安全保障理事会に訴えるとする声明を発表した。
ハマスやヒズボラを支援するイランの外務省報道官は「パレスチナだけでなく、この地域、そして自由を求める世界中の全ての人々の間で、シオニスト占領者と戦う動機に再び火をつけることは間違いない」と述べた。
こうした中、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のラマラでは数百人が街頭に出て報復を訴えた。
<イスラエル軍、いかなる事態にも高度に準備>
イスラエル軍のハガリ報道官は、アルーリ氏の殺害を受け発生する可能性のあるいかなる事態に対してもイスラエル軍は高度な準備態勢にあると表明。イスラエル軍はハマス打倒に集中していると述べた。
アルーリ氏殺害に先立ち、ハマスの指導者ハニヤ氏はエジプトとカタールによる停戦案に対する回答を提示したと明らかにし、ハマス側の条件はさらなる人質解放と引き換えにイスラエルが攻撃を「完全に停止」することだと述べていた。
イスラエル政府関係者は、軍の一部部隊がパレスチナ自治区ガザから撤収し、イスラム組織ハマスに対する攻撃を的を絞った作戦に移行していると明らかにした。また、戦闘長期化が見込まれる中、経済を支えるため予備兵を部分的に市民生活に戻しているという。
同関係者は、撤退する旅団の一部が、イスラエルの北隣レバノンに本拠を置く親イラン組織ヒズボラ対する第二戦線での戦闘再燃の可能性に備えることになるとも述べた。昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲攻撃を受けて開始した戦闘について、イスラエル当局者らはこれまでに3段階で行うと述べている。第1段階は、激しい砲撃で地上部隊の進入路を確保し、民間人の避難を促す。第2段階は地上侵攻で、昨年10月27日に開始した。
関係者は軍が第3段階に移行しているとし「少なくとも半年はかかる。これには激しいテロリスト掃討作戦が含まれる」とロイターに語った。
イスラエルの戦線縮小は、戦術を見直して非戦闘員の保護を強化するよう求める米国からの圧力に対応した動きとみられる。
イラン当局は、イスラム組織ハマスの政治部門幹部サーリフ・アル・アルリ氏殺害を非難し、この事件はイスラエルに対する戦闘意欲とレジスタンスに間違いなく新たな熱を生むと主張した。イラン外務省報道官がテレグラムに声明を掲載した。
この結果に対する責任はイスラエルと同国を支持する勢力にあると、声明は指摘している。ベイルートでのイスラエルによる標的攻撃でハマス幹部が死亡との報道●中南米・アフリカ
メキシコがドル建てのグローバル債を起債し、75億ドル(約1兆600億円)を集めた。同国にとって過去最大規模となる。5年と12年、30年を償還期限とする3本立てだと、公に話す権限がないとして関係者が匿名を条件に語った。
グローバル市場全体のセンチメントはネガティブだったが、需要が200億ドルに達したという。2日に利回りが米国債をそれぞれ115ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、215bp、235bp上回る水準に決まり、当初のガイダンスより引き締まった価格設定になったと関係者は説明した。●市況
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。英長期金利の上昇が嫌気されたほか、金融株の下落も相場を圧迫した。
英製薬のアストラゼネカ(AZN.L)は1.8%高。フランスの製薬大手サノフィ(SASY.PA)と共同開発した乳幼児の呼吸器合胞体ウイルス(RSウイルス)感染症を予防する抗体療法が中国で承認されたことが買い材料となった。製薬・バイオテクノロジー株指数(.FTNMX201030)は1.69%上げた。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。テクノロジー株などの下落が相場を押し下げた。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが上昇して2024年の取引を開始した。昨年最後の2週間は薄商いの中、24年に約160ベーシスポイント(bp)の利下げが実施されるとの観測などを背景に国債利回りは大きく低下していた。
<為替> ドルが上昇した。米10年債利回り上昇が追い風となった。米連邦準備理事会(FRB)の今後の動向を見極めようと、週内に発表される米雇用関連指標や12月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨などに注目が集まる。欧州インフレ指標も発表される。
CMEのフェッドウォッチによると、市場はFRBが3月に利下げを開始する確率を約79%織り込んでいる。
<債券> 市場が見込む米連邦準備理事会(FRB)の今年の利下げ幅の見通しがやや縮小したことを受け、国債利回りが上昇した。
<株式> ナスダック総合(.IXIC)とS&P総合500種(.SPX)が下落して終了した。バークレイズによる投資判断引き下げを受けアップル(AAPL.O)が売られたことに加え、国債利回りの上昇を反映し他の大型ハイテク株が下げたことが重しになった。
<米原油先物> 対ユーロでのドル高などを背景に売りが優勢となり、4営業日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物は前営業日(昨年12月29日)清算値(終値に相当)比1.27ドル(1.77%)安の1バレル=70.38ドルだった。3月物は1.22ドル安の70.62ドル。
日経先物33,247、ダウ先37,985、債先146.59、米3.945、独2.0665、仏2.598、西3.026、伊3.712、英3.6600、波5.286、原油70.41、銅8,540、ドル円142.03、ユーロドル1.0950
※1/3 11時45分頃
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