備忘録(12/29)
●中国・ロシア・東欧
中国疾病予防コントロールセンターの疫学首席専門家、呉尊友氏によれば、同センターに設けたチームが超過死亡率を評価する準備に着手した。超過死亡率は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が発生しなかった場合に想定される死者数と、現在の新型コロナ禍での死者数の差を測る指標で、コロナ禍の影響をより包括的に示すスナップショットとして世界各地で使われている。
イタリアのメローニ首相は29日の記者会見で、ミラノで行った検査サンプルの半分について既にゲノム解析を終えたと発表。検出されたのは全てが既知のオミクロン株だったと明らかにし、「イタリアの状況に混乱はなく、差し迫った懸念はない」と述べた。
イタリア当局は中国から最近到着した2便の乗客にコロナ検査を実施し、検査結果のゲノム解析を進めている。乗客の約半数がコロナ陽性となったが、大半は無症状だった。
●中東
ネタニヤフ氏は同日、国会での演説で「統治と平穏、市民の安全を取り戻す」と述べた。現地報道によると28日に公表した新政権の指針は、ヨルダン川西岸や、シリアから奪ったゴラン高原などで「政府は入植を促進する」と宣言した。「ユダヤ人はイスラエルのすべての土地に独占的で議論の余地のない権利を持つ」とも強調した。
パレスチナの反発は必至で、アラブ諸国もイスラエルの強硬策をけん制している。ヨルダンのアブドラ国王は米CNNのインタビューで、エルサレム旧市街にあるユダヤ教・イスラム教共通の聖地の扱いの変更は「レッドライン(越えてはならない一線)」だと警告した。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
下院監視・改革委員会とエネルギー・商業委員会による1年半にわたる調査に関する報告書は、FDAがアデュカヌマブを審査するのに際してバイオジェンとの協力が行き過ぎだったとし、バイオジェンが同薬の年間コストを5万6000ドル(約745万円)と不当に高く設定したとも批判した。
アデュカヌマブを巡っては外部の医療専門家らが有効性に関する矛盾する試験結果を理由に販売承認しないようFDAに勧告したにもかかわらず承認された。その後、諮問委員会の3人が辞任した。さらに、米国のメディケア(高齢者・障害者向け医療保険)はアデュカヌマブの給付対象を大幅に制限。バイオジェンはマーケティングを停止した。
バイオジェンは10年余りにわたりアルツハイマー病治療薬の研究開発にコミットしてきたとし、自社の行動の信頼性に一切問題はないとする立場を表明。FDAは承認プロセスの信頼性に引き続きコミットしていると説明した。●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
欧州疾病予防管理センター(ECDC)は29日、新型コロナウイルスの感染が急拡大した中国からの渡航者について、検査や隔離などの措置を取ることは不適当だと判断した。EUの免疫力が高いため、中国からの流入は大きな影響を与えないなどとしている。
ECDCは域内ではワクチン接種が進んで免疫力が高いと指摘した。中国から流入する可能性のある感染者の数は、EU内の感染者よりも少ないとみている。中国で流行している変異型は、すでにEU内で流行していると説明した。「警戒は続け、必要であれば緊急ブレーキを使う用意がある」とした。
英国やフランスは現時点で水際対策を講じる予定はないとしている。英保健省のクインス閣外相(副大臣級)は中国での感染拡大について「不安を覚えるだろう」としたうえで、「気をつけなければならないのは新しい変異型だ。英国で流行していない変異型が出たとの証拠はないが、引き続き状況を注視する」と述べた。
米国のホリデーシーズンを直撃した歴史的な寒波は、全米で少なくとも60人超の死者を出した。飛行機の欠航や配送の遅延のほか、ピーク時には170万世帯が停電するなど市民の生活を支えるインフラにも混乱が生じた。積雪後の気温上昇が洪水など二次災害につながる恐れもあり、気象当局は警戒を呼びかけている。
電力の供給にも障害が起きている。全米の停電情報を追跡するウェブサイト「パワーアウテージ・ドット・US」によると、28日午後4時時点で西部のワシントン州やオレゴン州など5州の8万7000を超える世帯・事業所が停電したままだ。
ブルームバーグ通信によると、需給の逼迫を受け、テキサス州ヒューストンの卸電力価格は23日に1メガワット時で約3700ドル(約50万円)と、前日の最高値の65倍に高騰した。こうしたコスト上昇分は今後、消費者の払う電気料金に転嫁される可能性がある。
アンデュラン氏は石油消費は長期トレンドを下回っているが、ガスから石油への切り替えによって来年の消費は日量300万-400万バレル押し上げられる可能性があると、ツイッターに投稿した。同氏が運用する主力商品ファンドのリターンは年初から約50%のプラスとなっている。
世界最大の石油輸入国である中国が新型コロナを封じ込める厳格な「ゼロコロナ」政策を緩和したことを受け、原油相場は今月に入り回復した。ただ、中国政府の急な方針転換によって感染が一気に広がったとの懸念から相場は再び失速している。
アンデュラン氏はまた、電気自動車(EV)の普及が石油需要の伸びを抑える可能性が高いとも指摘。1日当たり約60万バレルの燃料使用分がEVでの消費に代わっているという。
●市況
日経先物(大証)26200、ダウ先33332、債先145.65、米3.826、独2.4490、仏2.974、西3.506、伊4.527、波6.894、原油78.59、ドル円132.93、墨ペソ19.48、トルコリラ18.7148、墨CDS131
※12/30 8時45分頃
備忘録(12/28)
●中国・ロシア・東欧
イタリア・ミラノの保健当局は28日、中国からの航空便2便の乗客のほぼ半数が新型コロナウイルス検査で陽性だったと明らかにした。これを受けてイタリア政府は中国から到着する航空便について、全乗客の検査を義務付けることを命じた。
中国がゼロコロナ政策を見直し「開国」に動き始めた。日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、中国の2023年の実質国内総生産(GDP)伸び率の予測平均値は4.7%だった。23年下期にかけて経済の持ち直しを見込むが、視界は不良だ。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
中銀航空租賃(BOCアビエーション)は28日、米ボーイングの小型機「737MAX」を40機購入すると発表した。燃費の良い最新鋭機を買い増し、世界の旅客需要増に備える。厳格な感染対策「ゼロコロナ」の大幅緩和にかじを切った中国でも航空市場の急回復が期待されている。
40機の737MAX8型機を2027~28年に受け取る計画だ。今回の契約を含め、BOCアビエーションは同型機を23~28年に合計80機受け取るという。同社は22年9月末時点で、旧型機「737NG」を70機超保有しており、新型機に順次置き換えるようだ。
BOCアビエーションは今回調達する機体をどの航空会社へ貸し出すか明らかにしていない。同社は22年9月末時点で代理管理なども含め612機を傘下に抱え、38の国と地域に貸し出している。
新型コロナウイルスの徹底的な封じ込め策を敷いてきた中国では航空旅客市場の低迷が続いていた。ただ直近では大幅な緩和に動いており国内線、国際線ともに需要が盛り返す見通し。航空機の稼働率が上昇するため、今後は737MAXの活用も焦点になる。
●その他産業
日銀の政策修正で3メガバンクの苦境の一因となっていた低金利環境が変わる兆しが出てきた。金利がある世界の復活は銀行の融資ビジネスに追い風となる。米国やアジアの有力銀行は融資だけに依存しないビジネスモデルを構築し、事業改革で先行する。3メガの市場評価は低く、海外やデジタルなど成長分野の強化が課題となる。
●決算関連
●マクロ・その他
フィリピンのマルコス大統領による前政権の路線修正が目立つ。30日で就任からちょうど半年になるが、日米と防衛協力関係を強め、外遊先ではフィリピンへの投資を直接呼びかける。経済利益を期待し、中国に融和的だったドゥテルテ前大統領とは異なる。内政では薬物犯罪の関係者の殺害をいとわない「麻薬戦争」を停止し、人権に配慮する。
米疾病対策センター(CDC)によると、中国、香港、マカオから直接、あるいは間接的に米国に入る2歳以上の人がすべて対象となる。航空機に搭乗する2日前までに陰性の検査結果を得て、出発時に航空会社に提示する必要がある。PCR検査のほか、抗原検査も受け付ける。
FTによると、欧州にあるエクソンの子会社が28日にEU司法裁判所の一般裁判所(ルクセンブルク)に提訴した。EUは増税で250億ユーロ(約3兆6000億円)を捻出し、エネルギー価格高騰の対策に充てようとしている。エクソンはエネルギー企業に対する徴税の強化に向けたEUの合意が不当だと主張している。
欧州では棚からぼた餅のように得られた利益を対象にする「ウインドフォール課税」が広がっている。英国政府は2023年1月から、28年3月までの期限つきで石油・ガス会社の利益に対する追加課税の税率を25%から35%に引き上げる予定だ。ドイツやスペインは電力会社の利益に追加課税している。各国政府はエネルギー企業への増税をインフレ対策の財源にしようとしている。
米国でも利益が膨らむエネルギー企業への風当たりが強まっている。バイデン米大統領は10月末、歴史的な好決算を発表した石油メジャーについて「消費者のために価格を下げようとしないなら、超過利潤に高い税金を払うことになる」と指摘した。カリフォルニア州のニューサム知事(民主)も9月にウインドフォール課税を検討すると表明した。
三菱UFJ銀行やみずほ銀行が2023年1月の住宅ローン金利について、10年固定で前月比0.2~0.3%程度の引き上げを検討していることが分かった。三菱UFJは0.2%弱引き上げて3.7%程度とする方向だ。3.7%台に乗れば、13年10月(3.75%)以来の水準となる。
三菱UFJ銀行の鈴木悠太調査役(ニューヨーク在勤)は、日銀の政策修正以降、日本の長期金利は上昇したが、米長期金利はそれ以上に上昇しており、金利差としては開いていると指摘。もっとも、円高の調整も「終盤ではあると思う」とし、「135円は切りのいい数字で、四半期末の日本の実需の円買いなども入るだろう」と話す。
鈴木氏は、28日公表の日銀会合の主な意見では物価上昇を気にするような声が増えてきた感じもあったが、投機筋がいないため円買いにはならなかったと説明。その上で、次の日銀会合が1月18日にあり、日銀公表の刈り込みインフレ指標も2.9%上昇と最高水準を更新している中で、「135円ぐらいでは円買いが入り、円売りは133円ぐらいから入ってくるというのが年内のイメージ」とみている。
シカゴの大豆先物は28日、6カ月ぶり高値に急伸した。中国からの需要拡大の見通しに加え、南米の一部の生産地で干ばつによって供給が脅かされていることが要因。冬小麦先物は米国の寒波で農作物に被害が出るとの懸念から6営業日続伸となった。
世界最大の大豆輸入国である中国は今週、新型コロナウイルス対策として入国者に義務付けてきた隔離措置を来年1月8日から撤廃すると発表し、過去3年に及んだ世界的な孤立からの脱却に前進した。こうした動きは農産物需要を押し上げる見通しだ。
またアルゼンチンのトウモロコシ・大豆生産地の大半が再び干ばつの様相を呈してきている。マクサー・テクノロジーズのリポートによると、今週も限定的な降雨量にとどまる見込み。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は今年、国際社会の制裁をあざ笑うかのように異例の頻度でミサイル発射を繰り返し、核兵器使用を決断する基準も引き下げた。2023年は北朝鮮のこうした姿勢が一層激しさを増す可能性が高い。
今週開催の党中央委員会総会で、金総書記は来年のプランの概要を提示する見通しだ。同総書記は総会で、軍事力を強化する方針を表明したが、国営メディアが元旦前後に報告内容を公開するまで詳細は不明だ。昨年は約8000文字の公式文書が公表された。
新たな制裁の脅威がほとんどなく、無人機や潜水艦、ミサイルを含む兵器のさらなる開発計画が既に進められる現状で、金総書記は米国と同盟国に対し確実に核攻撃を実行できる能力に引き続き磨きをかける公算が大きい。
米中央情報局(CIA)の所属機関「オープン・ソース・エンタープライズ」でアナリストとして約20年勤務したレイチェル・ミニョン・イ氏によれば、金総書記が主導する最近数カ月の行動は、中国とロシアに対するバッファー(緩衝材)として対米関係の正常化を目指す長期的目標からのより大掛かりな転換を示唆する。
それは外交交渉による打開を探るのではなく、困難の長期化に耐えることを想定した政策へのさらなる傾斜を意味するという。
同氏は「年初来の北朝鮮の公式発表とメディアのレトリック、最近数カ月の軍事行動に基づけば、北朝鮮が近い将来に交渉の場に戻ることはありそうにない」と指摘した。
インフレがピークに達した兆しを受けて2023年の世界的な株価回復やドル下落などを見込んだ投資に拍車がかかった一方、人件費の急増が安全資産からリスク資産への資金フローを妨げるとの不安が一部の市場ストラテジストの間で強まっている。
警告サインは至る所にあり、多くの主要国でストライキの脅威が急増している。ドイツのある労使紛争だけでも、同国最大の労働組合と雇用主が8.5%の賃上げで合意するまでに約90万人の労働者がストに参加した。韓国で自動車・石油化学、鉄鋼業界を揺るがしたトラック運転手のストのほか、米シアトルのスターバックスで起きたバリスタのストも注目を浴びた。
日興アセットマネジメントのチーフグローバルストラテジスト、ジョン・ベイル氏は「賃上げが行われればスタグフレーションにつながり、債券・株式両市場にとって逆風となる」と予想。現金の妙味が増す可能性があるとの見方を示した。
AMPサービシズの投資戦略・経済責任者、シェーン・オリバー氏は「金利上昇が長期化すれば債券利回りがさらに上昇する可能性があり、国債や高リスク社債の投資家にとっては悪いニュースだ」としたほか、「ディフェンシブ取引やバリュー取引が続き、グロース株にとって極めてネガティブな環境となるだろう」と指摘した。
インベスコのチーフ投資ストラテジスト、クリスティーナ・フーパー氏は、中銀は「賃金をインフレに絡む方程式の最も困難な部分と考えている」と分析。「労働市場の逼迫(ひっぱく)」で、賃金を巡る労働者の交渉力はずっと強まっていると警告した。
資金を安価に調達できた時代が過去となりつつある現在、こうした問題はまだ始まったばかりかもしれない。ディストレストに分類される債務は過去1年に米国だけで4倍余りに急増。ハイイールド債の発行は欧州ではるかに難しくなり、レバレッジ比率は一部の指標で過去最高に達した。
市場の緊張は、米国など世界各国・地域の中央銀行による積極的な利上げと大きく関係している。こうした利上げは融資環境やクレジット市場を一変させ、各地域の経済をリセッション(景気後退)の方向へと追いやった。市場はまだ、深刻なリセッションの到来を織り込んではいない。
ブルームバーグがまとめたデータによると、ディストレストの領域にある債券と融資は世界全体で約6500億ドル(約87兆4000億円)に上る。これらが全て重なって社債の健全性は金融危機以降で最大の試練に直面しており、デフォルト(債務不履行)が相次ぐ事態につながる恐れもある。
M&Gのプライベート・オルタナティブ資産担当最高投資責任者(CIO)、ウィル・ニコル氏は「やや油断しているのではないかと思われる向きが多い」と指摘。「金利の水準を踏まえれば、デフォルトサイクルが避けられるとは極めて考えづらい」と述べた。
銀行は自らの全般的なクレジットモデルは今のところ堅固だと主張しているが、ブルームバーグがまとめたデータによると、貸倒引当金の増加はすでに始まっている。
金融システムにとって重要な銀行の貸倒引当金は今年7-9月(第3四半期)に前年同期比で75%増加しており、支払いの延滞やデフォルトに銀行が備えている様子が鮮明だ。
エコノミストの多くは来年の小幅な景気低迷を予想している。だが深刻なリセッションとなれば、世界の金融システムが「ひどく過剰なレバレッジ」を抱えている状態のためクレジットで重大な問題が起きる可能性があると、資産家ポール・シンガー氏率いるヘッジファンド運営会社エリオット・マネジメントはみている。
マンGLGのポートフォリオマネジャー、マイク・スコット氏は「市場は米国のソフトランディング(軟着陸)を期待している様子だが、そうならないかもしれない。レバレッジドローン市場は当社も注視している」と明らかにした。
レバレッジドローンでは「過剰または質の低いクレジット」が過去最大規模に膨らんでいると、UBSのストラテジスト、マット・ミシュ氏は指摘。米金融当局が積極的な利上げを続ける場合、デフォルト率は9%に悪化する可能性があると同氏は述べた。
●市況
日経先物(大証)26008、ダウ先33026、債先145.56、米3.871、独2.5080、仏3.046、西3.563、伊4.620、波6.733、原油78.62、ドル円134.11、墨ペソ19.44、トルコリラ18.7271、墨CDS131
※12/29 9時45分頃
備忘録(12/27)
●中国・ロシア・東欧
これまで日米欧の枠組みや各社独自の対策はあったが、模倣の手口は複雑になっている。ブランド力を高めた中国勢や部品流通に強いアリババ集団、公安当局も巻き込み、効果向上やコスト削減につなげる。同様の取り組みが車以外に広がる可能性もある。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米東部時間27日午後3時時点で、同日中の発着を予定していたフライトの6割にあたる約2600便を欠航した。寒波の影響で遅延やキャンセルが相次いでいた米航空各社が通常の運航に戻るなか、同社の回復の遅れは際立っている。米運輸省は大規模な運航の乱れを問題視し、調査に踏み切ると発表した。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
10月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は前年同月比では9.8%上昇した。上昇率が1桁台にとどまったのは2020年9月以来、約2年ぶりで、需要の低迷を受けて価格上昇圧力が弱まったことを示した。
S&Pダウ・ジョーンズ指数のマネジングディレクター、クレイグ・ラザラ氏は「米金融当局が利上げを続ける中、住宅ローン融資が引き続き住宅価格への向かい風となっている」と発表文で指摘。「厳しいマクロ経済環境見通しが続いていることを踏まえれば、価格は下落し続ける可能性がある」と記した。
11月の日本発の航空貨物輸出量(混載貨物ベース)は前年同月比18%減の7万6924トンだった。11カ月連続で前年を下回った。米国や欧州でインフレの高止まりや景気減速による消費減が続き、同地域向けの輸出が低調だ。
中国は新型コロナ対策として入国者に義務付けてきた隔離措置を来年1月8日から撤廃すると表明。新型コロナの管理を巡る分類を従来の最上位から1段階引き下げた。世界的な孤立を招き、国内経済に大きな打撃をもたらした出入国規制の撤廃は世界経済の成長を後押しするとともにインフレを加速させる可能性がある。世界の債券相場にとって今年は歴史的な下落の年となったものの、こうしたリスクが債券の投資対象としての魅力を低下させている。
米資産運用会社アライアンス・バーンスタインの債券共同責任者、ガーション・ディステンフェルド氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「良いニュースは悪いニュースという屈折した世界がなお続いている」とした上で、「経済の制限が解除される中で、中国はわれわれが注目すべき景気循環的要素だ。インフレ減速を米金融当局が望むペースより若干遅らせる可能性がある」と説明した。
●市況
日経先物(大証)26200、ダウ先33422、債先145.67、米3.852、独2.5035、仏3.049、西3.568、伊4.611、波6.742、原油79.75、ドル円133.90、墨ペソ19.49、トルコリラ18.6691、墨CDS133
※12/28 9時55分頃
備忘録(12/26)
●中国・ロシア・東欧
ウクライナ外務省は26日、ロシアを国連から追放し、安全保障理事会の常任理事国の地位を剝奪するよう加盟国に求める声明を発表した。ウクライナ侵攻において大量虐殺を犯しているほか、核兵器の使用をちらつかせることで国際社会を脅していると指摘した。国連追放などの目的のために他の国と協力する用意があるとしている。
声明は2014年にロシアがクリミア半島を一方的に併合したことを念頭に「ウクライナは現在、ロシアによる全面的な侵攻に苦しんでおり、これより前の8年間も武力侵攻に直面していた」と指摘した。「ウクライナ侵攻は国連憲章の目標と原則に反し、平和愛好の原則への復帰を求める国際社会の試みを無視している」とも付け加えた。
中国政府は26日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため海外から中国本土に入る際に義務付けているホテルでの強制隔離を2023年1月8日から撤廃すると発表した。感染症の危険度判断の引き下げも決めた。
現在は海外などからの入国者には、5日間の強制隔離と3日間の自宅隔離が義務付けられている。入国後のPCR検査と強制隔離を取りやめる。
感染症を危険度順に分けた「甲類」「乙類」「丙類」の3つのカテゴリーのうち、中国当局は、コロナについてはコレラやペストの際に実施する「甲類並みの管理」を求めてきた。
これを1段階引き下げ、エイズや重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じ「乙類乙管理」としての扱いを徹底するように求める。地方当局が患者を強制的に施設で隔離したり、地域を封鎖したりするのは難しくなる。ゼロコロナの法的な根拠が事実上なくなる。
香港の不動産仲介大手が大規模なリストラに踏み切る。中原地産は従業員を3割減らす方針で、大手各社の人員削減規模は計3千人を超える見通し。住宅取引が歴史的な低水準に落ち込み、コスト削減を迫られた。金利上昇や海外移住、中国マネーの流入減が価格下落に拍車をかける。右肩上がりの市況を前提にした仲介業界は転機を迎え、中小の再編や淘汰につながる可能性がある。
●中東
イスラエルが2020年に国交を結んだアラブ諸国と防衛分野で関係を強化している。アラブ首長国連邦(UAE)に対空兵器を輸出したとみられ、サイバー防衛の協力も進む。対立してきたアラブ諸国に接近し、中東での影響力を高めている。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
米食品大手JMスマッカー株が好調だ。23日の終値は159ドル台半ばと2021年末比で17%上昇。12月下旬に上場来高値を6年4カ月ぶりに更新した。米国での高い認知を背景に、販売数量の減少を値上げによってカバーした。11月に通期の業績予想を上方修正したことで、株高に弾みが付いている。
損害保険会社が巨額の保険金の支払いに備えて払っている再保険料が高騰する見通しだ。2023年に米国の自然災害関連の再保険料は22年に比べ2割程度の上昇が見込まれる。再保険はファンドや年金基金の有力な運用先だったが、米欧の相次ぐ利上げでリスクの低い債券運用にシフトしているためだ。自然災害も多発している。いずれ企業や個人が負担する保険料に跳ね返ってきそうだ。
●決算関連
●マクロ・その他
米国を襲った記録的な寒波による死亡者数が少なくとも57人まで増えたことが26日、わかった。米NBCが伝えた。米東部時間26日午後5時(日本時間27日午前7時)時点で7万を超す世帯・事業所が停電している。航空便の遅延や欠航など経済活動への影響も続いている。
全米の死亡者57人のうち米東部ニューヨーク州エリー郡が27人を占めている。降雪や吹雪によって道路を通行できない状況が続き、自動車の中に取り残された市民などが死亡した。エリー郡の高官は「まだ終わりではない」と述べ、今後も報告される死亡者数が増える可能性があると指摘した。
航空情報サイト「フライトアウェア」の米東部時間午後5時時点のデータによると、米国内の空港を発着する航空便の約6300便に遅延が発生し、約3700便が欠航になった。特に米サウスウエスト航空は26日に同社が予定していた約6割にあたる2500便超が欠航となった。年末の休暇で旅行や帰省を計画していた市民に影響が出ている。
全米の停電情報を追跡しているウェブサイト「パワーアウテージ・ドット・US」によると、午後5時時点でニューヨーク州や米西部ワシントン州など5州で7万を超す世帯・事業所が停電している。同時刻に10万を超す世帯・事業所が停電していた25日よりは減っており、電力供給は一部地域で復旧しつつある。
日本経済新聞社と日本経済研究センターがアジアのエコノミストに経済見通しを聞く「アジア・コンセンサス」によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国の2023年の実質国内総生産(GDP)成長率の予想平均は4.3%だった。9月の前回調査の予想を据え置いた。インフレが和らぐ一方、米国や中国の経済減速を不安視する見方が目立った。
国別ではインドネシアとマレーシアが前回予想を上回った。インドネシアは5.0%と前回比0.1ポイント、マレーシアは4.2%と同0.2ポイントの上方修正となった。インフレが22年のピーク時よりも落ち着き、個人消費など内需が堅調に推移するとの見方が多かった。
下方修正したのはフィリピン、シンガポール、タイ。主要な輸出先である米国や中国の経済が減速する懸念を織り込んだ。カシコン銀行(タイ)のラリター・ティエンプラシディ氏は「世界需要が落ち込み中国の製造業は低迷を続ける見通しで、タイの輸出にも影響が及ぶ」と指摘する。
各国のインフレ率は22年をピークに低下するとの見通しが目立った。メイバンクのスハイミ・イリアス氏は「マレーシアの中央銀行は金融政策を米利上げ対応型から中立型にシフトする」と指摘。各国でも利上げのペースは緩くなるとする予想が多かった。
実質破綻状態でありながら事業を続ける「ゾンビ企業」が一段と増えている。2021年度時点で約18万8000社と新型コロナウイルス禍前の19年度と比べると約3割増えた。コロナ禍に対応した実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」などで過剰債務を抱える企業が増加した。日銀の緩和修正で企業の利払い負担が増える懸念もある。
トヨタ自動車の2022年の世界新車販売が3年連続で世界首位になる見通しとなった。トヨタが26日に発表した1~11月の世界販売台数は前年同期比横ばいの956万台だった。独フォルクスワーゲン(VW、9%減の742万台)を214万台上回った。主力市場の中国や東南アジアでの販売増が全体を押し上げた。一方、半導体不足などに端を発する世界的な生産停滞は続いており、需要をすべてまかなえない状態が依然リスクとなっている。
トヨタ単体の中国での販売は2%増だった。「カローラ」や「カムリ」といった車種が好調だったほか、夏に工場の生産能力を増強し、新型コロナウイルス禍の落ち込みから回復し始めた旺盛な需要を取り込んだ。東南アジアでは多目的スポーツ車(SUV)などが好調で、インドネシア(1割増)やタイ(2割増)などで販売を伸ばした。
VWは中国で6%減と苦戦し、その他のアジア太平洋地域でも6%増にとどまった。中国での都市封鎖(ロックダウン)により、部品供給や海上輸送の混乱が響いた。独北部ウォルフスブルクの本社工場の稼働にも影響し、販売台数が大きく落ち込んだ。VWの新車販売の4割、トヨタでも2割を占める中国市場が明暗を分けた。
成長領域とされる電気自動車(EV)ではVWが先を行く。1~9月に前年同期比25%増の約36万台を販売した。トヨタは11月までで2万台弱にすぎない。トヨタは本格量産EVの「bZ4X」が不具合によりリコール(回収・無償修理)に追い込まれるなど、思うような成果が出せていない。
足元では改善の兆しもある。トヨタの11月の世界生産は1%増の83万台と11月として過去最高だった。ある部品会社幹部は「半導体不足は最悪期を脱した」と語る。生産が正常化すれば、世界で積み上がっている受注残が解消され、長引く納期問題の改善にもつながる。
調査会社の米S&Pグローバルによると、23年の世界新車(乗用車系)販売台数は前年比6%増の約8360万台の見通しだ。半導体不足は緩和されるものの、早くても24年までは影響が残るという。供給網全体で部品を安定調達できるかが問われる局面は続きそうだ。
●市況
日経先物(大証)26385、ダウ先33438、債先145.89、米3.751、独2.3885、仏2.926、西3.458、伊4.501、波6.701、原油80.74、ドル円132.79、墨ペソ19.36、トルコリラ18.6672、墨CDS133
※12/27 8時25分頃
備忘録(12/23-25)
●中国・ロシア・東欧
中国で地下鉄の乗客数が減少している。主要10都市の利用者数は、中国政府が「ゼロコロナ」政策緩和を発表した7日以降の2週間で4割減った。足元では乗客が多い上海の減少が目立つ。感染拡大が人の流れにも影響を与えていることがわかる一方、都市によっては改善の兆しも見え始めた。
中国浙江省政府は25日、新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者が100万人を超えたと発表した。広東省東莞市や山東省青島市も数十万人にのぼり、急増している。中央政府の公式統計は実態を反映しておらず、情報公開への批判が国内外で高まりそうだ。
米政府系のラジオ自由アジア(RFA)は23日までに、中国で今月、総人口の約18%に当たる2億4800万人が新型コロナウイルスに感染したとする中国政府の内部資料が流出したと伝えた。事実なら公式発表をはるかに上回る大規模流行となる。
中国のSNS(交流サイト)に流出したのは国家衛生健康委員会の会議録。来年1月の春節(旧正月)連休に伴う大規模な移動により都市と農村部で感染が同時に広がり、医療逼迫など事態が深刻化する恐れがあると懸念を示している。
中国は来年の主要な外交課題の概要を示す中で、米国との関係を「再調整」し、欧州とのコミュニケーションを増やすよう努力する意向を示した。王毅外相が25日、外交に関するシンポジウムで述べた。
王外相は「我々は中米の首脳間で合意された共通の理解を実行に移し」、二国間関係を正しい方向に戻すよう取り組むと語った。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
ーグ氏が、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙を発行するダウ・ジョーンズ(DJ)の買収に関心を示していると報じた。ワシントン・ポスト紙の買収に動く可能性もあるという。
フランス国鉄で23日、車掌の一部グループが25日までの予定でストライキに入った。旅行者の多い12月の国鉄ストはフランスの"風物詩"だが、人々が家族と集まる1年で最も大事な時期であるクリスマス当日にまで実施するのは珍しい。列車の運休で影響を受ける利用者は約20万人に上るとされ、関係者には怒りが広がった。
地元メディアによると、ストを行ったのは国鉄の車掌約1万人のうち約3500人が交流サイト(SNS)で結成したグループ。伝統的にストを主導する労組は今回、ストを合法とする事前通告を行ったが、グループと一線を画して実施は呼びかけず、異例の状況となった。2018年から同様にSNSを通じて広がり反政権デモを行った「黄色いベスト運動」との類似性が指摘される。
国鉄は今年と来年の2年間で約12%の賃上げなどを提示。しかし、グループは車掌の仕事の見直しと評価が必要だとして納得しなかった。
バイデン米大統領は23日、2023会計年度(22年10月~23年9月)の国防予算の大枠を定める国防権限法案に署名し、成立した。予算総額は8580億ドル(約114兆円)と前会計年度より1割増やし、過去最高となった。台湾の武器調達や軍事演習を支援するために5年で最大100億ドルを使う。
インド太平洋地域に展開する米軍の態勢強化に使う基金「太平洋抑止イニシアチブ」に前会計年度比6割増の115億ドルを計上した。米軍は軍事施設の整備やアジア各国との共同演習、兵器開発などに基金を使う見通しだ。
法案は米軍と台湾軍の共同訓練について「軍事的即応力の向上に向けて重要な要素だ」と指摘し、実施を促した。中国に対抗する姿勢を一段と鮮明にする狙いがある。24年に実施する米海軍主催の多国間海上訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」に台湾を招くよう求めた。22年は参加が実現しなかった。
米政府当局者の台湾派遣の枠組みも盛り込んだ。1人あたりの派遣期間は最長2年間とし、1年目は中国語の習得に当て、2年目は台湾の行政機関や立法院(国会)で職務にあたる。派遣は毎年実施する。
米議会下院は23日、2023会計年度(22年10月~23年9月)の歳出法案を可決した。規模は1.7兆ドル(約225兆円)。すでに上院を通過しており同日午後にもバイデン米大統領の署名で成立する。「つなぎ予算」の期限切れで政府機関が閉鎖になる事態は回避される。
米国の2023会計年度(22年10月~23年9月)の予算が23日、成立する見通しになった。歳出総額は1.7兆ドル(約225兆円)。民主党の指導部は年明けから野党の共和党が下院で多数派となる前に採決を急いだ。もっとも政府債務の法定上限を引き上げる難題は手つかずのまま。米国債の債務不履行(デフォルト)にもつながりかねない火種が残った。
米国が大規模な寒波に見舞われている。米国立気象局は23日、米人口の6割が「歴史的な冬の嵐」により警報や注意報の対象となったとして警戒を呼びかけた。各地の空港を発着するおよそ4000便が欠航したほか、多くの州で停電が発生。クリスマス休暇となる今週末にかけて影響は広がりそうだ。
イリノイ州シカゴなど中西部では気温が氷点下20~30度台まで低下したほか、南部テキサス州でも多くの地域で気温が氷点下になった。国立気象局によると、今週末までニューヨーク州など東部で厳しい寒さが続く見通しだ。
南部ノースカロライナ州やテキサス州、ニューヨーク州など多くの州で停電も発生した。米メディアによると、一時は全米で150万世帯にのぼった。住民が寒さをしのぐために図書館や公民館を開放する動きが各地で広がる。カナダでも大規模な停電が発生した。
米航空情報サイトの「フライトアウェア」によると、23日正午時点で米空港で発着する航空便のうち約3800便が遅延し、およそ4000便が欠航した。24日の航空便もすでに200便以上の欠航が判明している。米航空各社は寒波の影響を受けた顧客に対し発着便を変更する際にかかる手数料を免除する措置を取っている。
米物流大手フェデックスは一部の拠点が被災し、従業員の安全を確保するため、23日と24日の配達が遅れる可能性があると発表した。クリスマスのプレゼントを郵送したりオンラインで買ったりする消費者も多く、影響が広がりそうだ。
米商務省が23日発表した11月の新築戸建ての住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は64万戸と前月の改定値から5.8%増えた。前月比プラスは2カ月連続で、市場予想(60万戸)も上回った。住宅ローン金利の高止まりなど購入条件が悪化するなか、一定の需要の強さを示した。
季節調整前の販売価格(中央値)は47万1200ドル(約6200万円)だった。3カ月ぶりに前月を下回ったが、1年前からは9.5%高い水準だ。
ただ足元の動向を映す前月比でみると、10月と11月は市場予想を上回る伸びが続いた。金利上昇や住宅価格の高止まりなど「住宅の値ごろ感が失われていることを考えれば、意外なほど回復力をみせている」(オックスフォード・エコノミクス)。
パンテオン・マクロエコノミクスは「中古住宅の供給が少なく一部の買い手が新築住宅に流れたほか、住宅メーカーが過剰在庫の解消のため価格を引き下げているといった理由が考えられる」という。最近の中古物件の供給増や住宅ローン需要の低迷などを踏まえれば「新築販売の回復が長続きするかは疑わしい」とみる。
世界鉄鋼協会が23日までにまとめた世界64カ国・地域の11月の粗鋼生産量(速報値)は、前年同月比2.6%減の1億3910万トンだった。中国の生産量は7450万トンと前年同月比7.3%増えた。ゼロコロナ政策や不動産不況を受け、鋼材需要の回復は遅れている。ただ前年に脱炭素政策の影響で大規模な減産が広がっており、前年比でみるとプラスとなった。
鋼材需要が堅調なインドは1040万トンと、前年同月比5.7%増えた。日本は自動車生産の回復が遅れ、前年同月比10.7%減の720万トン。米国は10.5%減の640万トン、韓国は18.1%減の480万トンだった。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は発表文で「インフレ率がここ数カ月の水準から低下するとの見方に消費者は同意するとみられるが、低下の度合いと速さについては大きな不確実性が残る」と記した。
●市況日経先物(大証)26260、ダウ先33352、債先146.15、米3.751、独2.4030、仏2.936、西3.458、伊4.492、波6.701、原油79.35、ドル円132.50、墨ペソ19.36、トルコリラ18.6701、墨CDS132
※12/26 10時00分頃
備忘録(12/22)
●中国・ロシア・東欧
●中東
イランと経済協力を進める中国も12月に習近平国家主席がサウジを訪れて実力者ムハンマド皇太子と会談し、関係強化に動いた。イランと敵対するイスラエルではイランへの強硬姿勢を貫くネタニヤフ氏が首相に返り咲く見通しだ。イランはサウジへの融和的な態度を演出し、深まる孤立に歯止めをかける狙いがあるとみられる。
極右政党に治安担当の閣僚を任せるなどパレスチナ政策が強硬さを増し、イスラエル史上最も右寄りの政権になる。
新政権は11月の総選挙で第1党となったネタニヤフ氏の右派「リクード」を中心に、極右政党の「宗教シオニズム」、「ユダヤの力」などが加わる。地元メディアによるとネタニヤフ氏は連立政権の発足後に、イスラエルが占領するヨルダン川西岸の違法なユダヤ人入植地を承認することで合意した。パレスチナが反発を強めるのは必至だ。
イスラエル政治の右傾化には国内の反対派だけでなく、アラブ諸国や、イスラエルを支持してきた米国からも懸念の声が上がる。バイデン米大統領は将来のパレスチナ国家とイスラエルが共存する「2国家解決」を支持し、入植活動に反対してきた。新政権は出だしから対米関係がギクシャクする可能性がある。
ネタニヤフ氏は極右と手を組んだが、過度に内外を刺激する政策変更は避けるとの観測がある。特にエルサレム旧市街にあるユダヤ教、イスラム教共通の聖地「神殿の丘」は、ユダヤ教徒に有利な形に現状を変更すれば、世界のイスラム教徒の神経を逆なでしかねない。「ベングビール氏が神殿の丘の問題に火をつけるかもしれないが、ネタニヤフ氏は制御するとみられている」と国家安全保障研究所(INSS)のヨエル・グザンスキ氏は指摘した。
国内の宗教右派と世俗派との対立を巡っても、ネタニヤフ氏は13日に「我々は現状を維持する。誰もが自らの信仰に従って生活する」と述べ、バランスをとる姿勢を示している。中東外交ではアラブ諸国との融和を目指す。イランを脅威とみなす姿勢はイスラエルの与野党に共通しており、イランとの対決に変わりはなさそうだ。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
豪英資源大手BHPグループは22日、オーストラリアの銅・ニッケル企業OZミネラルズの全株式を取得することで同社と合意したと発表した。買収額は96億豪ドル(約8500億円)。BHPは車載電池に使われるニッケルや電化に不可欠な銅事業の強化を進める。
大型買収の背景にあるのは、世界的な脱炭素の流れの中でBHPが進める資産構成の見直しだ。同社は1月に南米コロンビアの発電用石炭の炭鉱権益を、6月には石油・ガス事業の売却を完了している。
化石燃料の切り離しに一定のメドをつけるなか、今後は「未来志向」と位置付ける銅やニッケルへの投資を加速させる。特に電気自動車(EV)電池に使われるニッケルは買収だけでなく、自社で新規鉱山の探査も行う見通しだ。
●決算関連
半導体メーカーは受注に見合う生産ができない状態から1年足らずで、製品需要急減に苦慮している。消費者はインフレ加速や景気の不透明感を背景にパソコンやスマートフォンの購入を控えている。メモリーチップの主要納入先であるこうした端末メーカーは今や、積み上がった未使用部品で身動きが取れず、在庫補充に向けた受注ぺースを落としている。
サンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は決算発表後の電話会見で、業界の需給バランスはこの13年で最悪の状態にあると指摘。在庫はピークに達した後、23年半ばごろまでに一段と健全な水準に移行し、下期に同社の売上高も改善するとの見通しを示した。
●マクロ・その他
米労働省発表の消費者物価指数(CPI)では、11月の卵の前年同月比上昇率は49.1%だった。食品全体(10.6%)と比べて上昇が目立つ。
12月前半の消費者物価指数は、前年同期と比べて7.77%上昇した。メキシコ銀行(中央銀行)はインフレはピークを過ぎたと指摘している。市場には中銀が2023年に利上げペースを一段と減速させるという見方が出ている。
インフレ率は直近のピークだった10月の85%からわずかに鈍化している。当局は金利を据え置く中、年末以降に急上昇した前年の反動で今後も物価上昇が緩やかになるとの期待がある。
ただ、インフレの実態は統計局がまとめる公表値よりも厳しいとの声が根強い。エルドアン氏は2023年1月からの最低賃金が22年1月比で2倍の月8500リラ(ネット、約6万円)になると発表した。7月の改定時からは5割増となる。それでも労働組合側は政労使の協議から最後は退席するなどして不満を表明した。
第3四半期の英国の家計所得は4四半期連続で減少し、生活水準が極めて悪化していることが示された。英政府統計局(ONS)の22日発表によれば、インフレ調整後の1人当たり可処分所得は7-9月に0.5%減少。GDPは前期比で0.3%減少と、速報値(0.2%減)から下方修正された。監査・税務およびコンサルティングを手掛けるRSMのエコノミスト、トーマス・ピュー氏は「英国が1年間続くリセッション(景気後退)に既に入っているのはほぼ確実だ。1990年代初頭に経験したリセッションよりもひどい可能性がある」と述べた。
ユーロ圏経済は冬季にリセッション(景気後退)に陥ると予測されているが、引き締めは続けなければならないと、デギンドス氏がフランス紙ルモンドとのインタビューで語った。インタビューの内容は22日にECBウェブサイトで公開された。
「当面は50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げが新しい標準かもしれない。しばらくの間、このペースで利上げをすると考えてよいと思う」とデギンドス氏は語った。「そうすると金利は景気抑制的な領域に入る」との見通しを示し、「これまでの措置はインフレに影響を及ぼすだろうが、さらに行動が必要だ」と述べた。
中銀会合の日付を対象としたスワップによれば、短期金融市場では中銀預金金利のピークについて来年7月までに3.5%と織り込まれている。これが現実となった場合、同金利は2001年以来の高水準となる。
●市況
日経先物(大証)26105、ダウ先33192、債先146.17、米3.682、独2.3600、仏2.884、西3.424、伊4.470、波6.700、原油78.35、ドル円132.35、墨ペソ19.56、トルコリラ18.6819、墨CDS134
※12/23 8時50分頃
備忘録(12/21)
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
米欧の大手金融機関が人員削減を急いでいる。M&A(合併・買収)の助言など投資銀行業務が振るわず、米ゴールドマン・サックスなどが削減に動く。新型コロナウイルスの流行後に採用を増やした戦略が裏目に出た。米欧景気の後退懸念が深まり、2023年も事業の好転は見込みづらい。各社とも投資銀行の冬の時代の継続を見据え、コスト削減で利益の落ち込みを防ぐ構えだ。
米格付け会社のS&Pグローバルは21日、楽天グループの長期発行体格付けを1段階引き下げ「ダブルB」にしたと発表した。S&Pの格付けで従来の「ダブルBプラス」以下は投機的水準にあたる。携帯電話事業の業績改善が遅れる一方で資本性資金の調達が進まず、非金融事業の業績や財務内容が従来の想定を下回る可能性が高まっていると判断した。
日本鉄鋼連盟の北野嘉久会長(JFEスチール社長)は21日の定例会見で、日銀による長期金利の許容変動幅の拡大決定で円の対ドル相場が上昇していることに触れ、「(個社の立場として)フロー収益は改善に向かうと見ている」と発言した。急な相場変動は事業に与える影響が大きいとして、為替水準の安定も要望した。
高炉メーカーは主原料の原料炭や鉄鉱石を輸入に頼る。ウクライナ危機の影響などで主原料価格は高止まりしており、円安が追い打ちをかける形で収益の下押し要因となっていた。
日本鉄鋼連盟は同日、2023年度の鉄鋼需要の見通しも公表した。22年度の粗鋼生産量は9000万トン前後となる見込みで、23年度は22年度見込みから微増となる見通しだ。
●決算関連
●マクロ・その他
米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した12月の米消費者信頼感指数は市場予想を上回る上昇となり、4月以来の高水準となった。インフレ緩和とガソリン価格下落が背景。
今後6カ月の見通しを反映する期待指数は82.4に上昇し、1月以来の高水準。現況指数は147.2と、3カ月ぶり高水準となった。
消費者の1年先のインフレ期待は5.9%に低下。コンファレンスボードの景気指数担当シニアディレクター、リン・フランコ氏は「12月のインフレ期待は2021年9月以来の低水準に下がった。最近のガソリン価格下落が大きな要因だ」と述べた。
米中古住宅販売、11月は7.7%減の年換算409万戸-市場予想420万戸
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-12-21/RN8XPDDWX2PX01?srnd=cojp-v2
全米不動産業者協会(NAR)が発表した11月の中古住宅販売件数は、季節調整済みで年換算409万戸に減少した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は420万戸だった。
発達した低気圧が米中西部や北東部に向かって進んでおり、週末のクリスマスを前に長距離移動する多くの旅行者の足に影響が及ぶ恐れが出ている。冬の嵐をもたらすこの低気圧は今後さらに発達していわゆる「爆弾低気圧」となる可能性があり、大雪や強風、強い寒波をもたらしそうだ。
米気象庁(NWS)によると、米国における空路の主要拠点の一つであるイリノイ州シカゴでは積雪量は5インチ(約13センチメートル)にとどまるものの、強風のため体感温度がセ氏マイナス37度となる恐れがある。
ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスやデルタ航空、アメリカン航空グループなど航空各社は、旅行者が手数料なしで予約を変更できるよう既に措置を講じている。全米自動車協会(AAA)によれば、今月23日から来年1月2日までに推定で約1億1270万人が80キロメートル以上の長距離を移動すると見込まれている。
米気象予報センターの気象予報士、デービッド・ロス氏は「この低気圧により全米の3分の2を超える地域が何らかの影響を受ける」と述べた。
この低気圧の後には強い寒気が流れ込み、米東部の3分の2の地域で気温が急激に低下する見込み。この寒気は南部テキサス州やフロリダ州中部にまで達すると予想されている。
英シンクタンク、欧州改革センター(CER)は、成長低下が財務省の収入にも影響を及ぼしていると指摘。英国がまだEUの単一市場の一部であれば、秋季財政報告で発表された増税は必要なかっただろうとの見方を示した。
あらためて浮き彫りになったEU離脱に伴う代償は、景気対策に尽力するスナク政権の足を引っ張る。英国の景気低迷は次の総選挙まで続く可能性がある。看護師や救急車の運転手、鉄道会社の従業員などが賃上げを求めてストライキを起こしているが、スナク首相は賃上げ幅を抑える姿勢を譲らない。
CERの副ディレクター、ジョン・スプリングフォード氏は「EU離脱の影響で増税は不可避だった。経済成長が低くなれば、公共サービスや福祉の資金を賄うためにより高い課税が必要になるからだ」とリポートで指摘した。
このリポートによれば、EU単一市場からの離脱で今年4ー6月(第2四半期)の投資は11%、財の貿易は7%それぞれ押し下げられた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が収束して以降、これらの要因で英国の潜在成長率はほぼ全ての主要経済国を下回った。
海外クレジット債投資はスプレッド(米国債に対する上乗せ金利)が結構乗っているとして「スプレッド込みの金利からヘッジコストを引いた金利が日本国債並みかそれ以上確保できるのであれば、分散投資の観点からも引き続き力を入れてやっていきたい」と語った。
●市況日経先物(大証)26447、ダウ先33598、債先146.34、米3.668、独2.3035、仏2.828、西3.386、伊4.425、波6.575、原油78.50、ドル円132.39、墨ペソ19.68、トルコリラ18.6691、墨CDS134
※12/22 9時25分頃
備忘録(12/20)
●中国・ロシア・東欧
首都・北京では予想外の速度で感染症がまん延し、医療を含めた首都の生活関連機能が、ほぼ停止状態に陥りつつある。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
これは米国の左派が抱える2つの問題を浮き彫りにする。1つ目は実利につながる行動より道徳的に正しいかどうかを求める傾向があることだ。
哲学者の多くは、行動の善しあしは結果で判断すべきだと主張するが、中には行動の意図が重要だと言う人もいる。今回の事例では、左派は前者である炭素排出量を大幅に削減するより、後者の自らの信条に妥協しないことをよしとしたのだ。
左派の2つ目の欠点は偽善だ。至る所に「NIMBY(ニンビー)」の本能が見え隠れする。ニンビーは「Not In My Back Yard」(うちの裏庭には勘弁)の略だ。そう考えれば超リベラルなことで知られるサンフランシスコの住宅価格が異様に高いことにも説明がつく。
●その他産業
米スリーエム(3M)は20日、2025年末までに「PFAS(ピーファス)」と呼ばれる有機フッ素化合物群の生産や使用を全廃すると発表した。有害物質として汚染が社会問題になる中、欧米当局による規制強化の動きに対応する。既に使用量の削減を進めており、代替品への切り替えなどを進める。
3Mによると、同社のPFAS関連の年間売上高は13億ドル(約1700億円)。製造・使用の中止に伴い、税引き前ベースで13億~23億ドルの損失計上を見込む。22年10~12月期には7億~10億ドルの損失計上を見込む。
PFASはパーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル化合物群の総称。自然界で分解されにくいことから「永遠の化学物質」と呼ばれる。水や油をはじき、熱に強いといった特性から、半導体や消火剤、食品パッケージ、フライパンなどの日用品まで幅広く使用されてきた。
だが、近年になって環境や健康への有害性が確認され、メーカーに汚染の責任を問う動きが広がっている。バイデン米政権はPFASの規制強化を選挙公約として枠組み作りを進めるほか、欧州当局も規制強化に向けた検討に入った。
欧州委は2019年に始めた調査で、アマゾンがマーケットプレイスで得た小売業者の非公開のデータを使い、自らがオンラインで販売する製品を目立たせたり、価格を変えたりするなどアマゾンに有利になるよう販売戦略を調整していた疑いを持った。
さらに1回のクリックで購入できる「購入ボックス」に表示する商品の購入先に、アマゾンが自社や一部の業者を優遇している疑いもあった。
欧州委の指摘を受けて、アマゾンは非公開のデータを自社の小売事業には使わず、購入ボックスでもすべての出品者を平等に扱うなどと約束した。
2000億円で米投資会社SSWパートナーズから、車の先進運転支援システム(ADAS)事業を買い取ると発表した。買収額は15億2500万ドル(約2000億円)になる見通し。マグナは自社の既存部門とあわせ、2024年にADAS関連ビジネスの売り上げが30億ドルになると見積もる。買収により、成長分野の事業基盤を固める。
ADASは自動ブレーキや車線認識といった、センサーなどを使ってドライバーの安全運転を支援する仕組みを指す。マグナは、買収対象の事業の売り上げは22年に11億ドルで、24年には19億ドルになると見込んでいる。
米消費者保護局(CFPB)は20日、米銀大手ウェルズ・ファーゴに制裁金37億(約4800億円)ドルを科すと発表した。住宅ローンや自動車ローンを巡る顧客への不当な扱いに対応したもの。同社はすでに米通貨監督庁(OCC)などにも制裁金を支払っている。今回の大規模な制裁金に同意することで、2016年から続く不祥事対応を終わらせたい考えだ。
ウェルズは同日、22年10~12月期に今回の制裁金対応を含めて35億ドルの営業損失を計上する見通しだと発表した。7~9月期決算でも過去の不正に関連した補償や訴訟、当局対応費用として20億ドルの営業損失を計上していた。
同社では16年に顧客の承認を得ずに銀行口座を開設したり、クレジットカードを発行したりする不正営業が明らかになって以来、消費者向け銀行業務で不祥事が続いていた。18年には自動車や住宅ローンを巡る不正でOCCとCFPBに制裁金10億ドルを支払い、20年には米司法省と米証券取引委員会(SEC)に対して合計30億ドル、さらに21年にはOCCに2億5000万ドルを支払った。
●決算関連
●マクロ・その他
日本は低金利で資金を調達できる数少ない国とみられていたが、日銀による長期金利の上昇容認で「世界の債券市場のアンカー(金利を低くとどめるいかり)が解除された」(ドイツ銀行)との受け止めが広がった。世界的な金利一段高への懸念から、国債を手放す動きが相次いだ。
日本の投資家は低金利の続いた国内ではなく、海外の金融資産に資金を振り向ける動きを長年続けてきた。日銀の政策修正で国債利回りが上がり、投資先としての魅力が増せば「日本勢は外国債券の売却と日本への資金還流を進める可能性がある」(三菱UFJ銀行のデレク・ハルペニー氏)との見方も浮かぶ。
国民医療制度(NHS)の下で働く看護師による全国的なストライキがあった。ストは15日に続いて2回目。歴史的なインフレが進む中で組合側は19%の賃上げを求めているが、政府はこれを拒否している。政府との協議が22日までに行われなかった場合、1月に再びストに突入するとしている。
●市況
日経先物(大証)26440、ダウ先33206、債先146.32、米3.695、独2.2880、仏2.826、西3.397、伊4.473、波6.758、原油76.25、ドル円131.90、墨ペソ19.77、トルコリラ18.6566、墨CDS133
※12/21 8時45分頃
備忘録(12/19)
●中国・ロシア・東欧
ベラルーシとロシアは21年11月、金融政策など28項目で経済統合を進める計画を承認した。2月に始まったウクライナ侵攻でも、ベラルーシは自国に駐留するロシア軍がウクライナ北部に攻め込むのを容認し、ロシアに一定の貢献をしてきた。
ただ、ベラルーシ軍は参戦していない。自国軍に多くの犠牲が出れば政権基盤を揺るがしかねないからだ。ルカシェンコ氏は小出しにカードを切った。10月にはロシアとの「合同部隊」の設置を発表、動員準備に着手したものの、参戦への意思は曖昧にしたままだ。
ウクライナとベラルーシの国境は約1000キロメートルに及び、大軍の侵入を防ぐのは難しい。キーウ再侵攻が成功しなくても、ウクライナは戦闘が続く東部や南部に加え、北部にも兵力を割かざるをえなくなる。
ロシアによるウクライナ侵攻や脱炭素で世界のエネルギー秩序は再編の時代を迎えた。化石燃料の生産、取引のネットワークは中国、ロシアなど権威主義国グループと、米欧の民主主義陣営の綱引きの主要な舞台となりつつある。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席によるサウジアラビア訪問は、分断時代を象徴する。
ウクライナ空軍は19日、ロシア軍によるイラン製ドローン(無人機)の攻撃が18~19日にかけてあり、30機を撃墜したと発表した。キーウ(キエフ)のインフラなどが損傷した。ゼレンスキー大統領は同日、ロシアがイランから新たにドローン250機を入手したとの見方を示した。
イランはこれまで「限られた数のドローンをウクライナ侵攻前にロシアに供与した」(アブドラヒアン外相)と説明している。
ゼレンスキー氏は会合で「ロシアのミサイルやイランのドローンは主にウクライナのエネルギーインフラを破壊するために常時使われている」とも指摘。防空システムなどの支援の拡充を求めた。会合に出席していたスナク英首相は「我々はこれまで率先してウクライナを支援してきたし、今後もそうしていく」と強調した。
カナダ政府は19日、ロシアの新興財閥「オリガルヒ」のロマン・アブラモビッチ氏が所有する会社の資産を2600万ドル(約36億円)分差し押さえ、没収するための手続きを始めたと発表した。ウクライナに侵攻しているロシアへの制裁の一環。没収した資産はウクライナの復興や犠牲者への補償に活用する方針だ。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
現行のEU-ETSの適用を海運に拡大することに加え、道路輸送のほか、暖房に化石燃料を利用する住宅などの建物を対象に新たな取引制度を併設する。発電事業者や鉄鋼メーカーについては、24-26年の年間排出上限の削減率を現行の2.2%から4.3%に引き上げ、さらに27年からは4.4%とし、排出量の削減ペースを加速させる。
道路輸送と暖房に適用する新制度は27年の導入を目指しているが、天然ガスと原油価格が高騰する場合は緊急停止措置として、1年延期も想定する。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
ラマポーザ氏は2018年2月に大統領に就任した。クリーンな改革派というイメージが強みだが、今年11月末に独立の調査委員会が議会に提出した報告書で自身の不正資金疑惑が再燃し、一時は辞任や弾劾の観測が浮上。予定されていた議長選の行方を危ぶむ声もあった。
12月初旬に議会がラマポーザ氏の弾劾手続き開始を否決し、今回の党首選でも追い上げる対立候補を振り切った。
12月の企業景況感指数は88.6と前月から2.2ポイント上昇した。持ち直しは3カ月連続。ウクライナ危機などに伴うサプライチェーン(供給網)の混乱が解消に向かい、資源高も落ち着きつつある。ドイツの景気後退は浅くとどまる兆しが出てきたが、先行きはなお不透明だ。
今後の見通しを示す「期待指数」は83.2と3.0ポイント上昇した。今秋にかけて資源高の影響で悪化基調にあったのが一転し、持ち直しつつある。足元の業況感を示す「現状判断指数」も94.4と1.2ポイント上向いた。今冬のガス貯蔵にめどがつき、インフレがピークを迎えるとの見方も景況感の悪化に歯止めをかけたもようだ。
業種別の業況指数は製造業がマイナス5.6と5.9ポイント、サービス業もマイナス1.2と4.1ポイントそれぞれ上昇した。ただ全体ではマイナス6.3と6カ月連続でマイナス圏に沈んだ。ウクライナ侵攻前のプラス10台からは大きく下がったままで、本格的な回復は遠い。
先行きはなお不透明だ。ロシアからのガス供給が途絶えるなか、ドイツでは来冬にかけてガス需給が再び逼迫する懸念は根強い。欧州委員会によると、2023年の独経済成長率はマイナス0.6%と22年のプラス1.6%から転落する見込み。インフレも高止まりが続く公算は大きく、景況感は再び悪化基調に転じる可能性がある。
しかし、このボトルネックは突如として解消された。2港への入港待ちの船は、1月の109隻から6月には20隻に減り、ここ数週間はごく少数にとどまった。
クラーク氏によると、仕入れを増やしたがっていた輸入業者が4~6月に入ると突然、過剰在庫を懸念するようになった。そして注文のキャンセルを急いだという。
フレックスポートによれば、その結果ここ数カ月で記録的な数の船便がキャンセルされ、コンテナ船運賃はパンデミック前の水準に急落し、船主は絶頂からどん底へと突き落とされている。
サプライチェーンへの圧力が和らいだことにより、モノの価格の上昇が落ち着いている理由は説明がつくかもしれない。しかし、個人消費に占めるモノの割合は3分の1にすぎず、3分の2をサービスが占める。
また、クラーク氏が指摘するように、港湾労働者、トラック運転手、倉庫作業員などの人手不足は、サプライチェーンにおける人件費の高止まりにつながる。「米国内の労働コストに変動はない。人員削減の大部分はホワイトカラーが対象であって、現場の作業員ではない」という。同氏はこれらの理由から、インフレの脅威は終わっていないとみている。
賃金上昇の可能性をさらに高めているのが、労働組合の交渉力だ。パンデミックの間、海運や鉄道会社などの雇用主が記録的な利益をあげる一方で、労働者はモノの流れが滞らないよう一層力を注いできたため、組合の交渉力は強まっている。
クラーク氏は「激しい」労使交渉が続くと予想する。ただ、輸入業者らはさらに壊滅的な事態が起きる恐れを感じ取っている。パナマ運河を経由するとコストも時間も余計にかかるにもかかわらず、労使紛争が悪化するとの心配から、多くの企業が仕向け港を西海岸からメキシコ湾岸や東海岸に切り替えている。
今年の夏の終わりに、ロサンゼルス港が22年間保持した米国内で最も多忙なコンテナターミナルの座をニューヨーク・ニュージャージー港に明け渡したのは、これが大きな理由だ。
追い打ちをかけるように、アジアのサプライチェーンが中国から東南アジアや南アジアなどの新拠点にシフトし始めている。こうした地域からは、スエズ運河経由で米東海岸に輸送される貨物が増える傾向にある。
この経済地理学的な変化は著しい。それでも、クラーク氏は西海岸の復活を信じている。「人の記憶は短く、通常はコストが優先される」からだ。
米調査会社デカルト・データマインがまとめた11月のアジア発米国向けの海上コンテナ輸送量は、132万4644個(20フィートコンテナ換算)と前年同月に比べ21%減った。減少は4カ月連続で、マイナス幅は10月(18%)に比べ拡大した。家具類や玩具といった消費財が軒並み10%以上減るなど、米国の消費の弱さがうかがえる。
全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した12月の住宅市場指数は31に低下。ブルームバーグがまとめた市場予想中央値は34だった。前月は33。
独ユニパー、臨時総会で国有化を決議 政府支援で再建独エネルギー大手ユニパーは19日、臨時株主総会を開き、独政府による国有化を柱とした救済策について、株主の賛成多数で決議した。欧州委員会による承認を経て、年内にも国有化が成立する見通しだ。ロシア産天然ガスの供給停止で経営危機に陥ったが、政府支援で再建を目指す。
欧州連合(EU)は19日のエネルギー相理事会で、足元のエネルギー価格高騰を抑えるため、天然ガス料金に上限を設定することで合意した。一定の条件を満たせば、EUが市場に介入して上限を超えた取引は認めない内容だ。価格高騰に歯止めをかけ、企業や家計に安心感をもたらすねらいがあるが、ガスの安定確保には懸念が残る。
新制度は天然ガス価格指標のオランダTTFが1メガワット時当たり180ユーロを上回ったうえで、世界の液化天然ガス(LNG)価格から35ユーロ高くなり、これが3日間続いた場合に発動されるという内容だ。いったん発動されれば、20日間は続く。
ねらいはガス価格の高騰の抑制だ。TTFは19日、108~109ユーロで取引された。ロシアのウクライナ侵攻後は300ユーロを超える場面もあった。価格高騰は企業経営や家計への負担になり、政治不信につながるとの危機感がある。
23年に価格が高騰すれば、十分なガスを確保できないリスクもある。EUはロシア産エネルギーへの依存解消をめざし、加盟国に需要期の冬を乗り越えるためにガスの十分な貯蔵を義務づけている。制度は特定の国を指ししていないが、念頭にあるのはロシアで、ロシアの反発は確実だ。
ドイツなどは価格上限を設定することで、ガス産出国が欧州を避けてアジアなどに売る懸念があると反対していたが、ガスが不足した場合は上限設定を解除できるなどの措置を導入したことで譲歩した。
12月の住宅市場指数は31となり、前月から2ポイント低下した。5カ月連続で好不況の分かれ目となる50を割り込んだ。指数の低下は12カ月連続。建築コストの高騰や住宅ローン金利の高止まりを受け、年間を通じて住宅需要が冷え込んだ。
12月の内訳は「現在の販売状況」が36で前月から3ポイント低下した。「客足」は20と前月から横ばいだった。「今後6カ月の販売見通し」は35と4ポイント上昇し、8カ月ぶりに前月を上回った。
住宅ローン金利は米連邦準備理事会(FRB)による大幅な利上げを受けて高騰し続けてきたが、やや低下している。一時7%台まで急上昇した住宅ローン金利(週平均)が5週連続で下がり、業況の見通し改善につながったとみられる。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年固定の住宅ローン金利(同)は足元で6.31%と9月以来の低水準で推移している。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディーツ氏は「23年も米住宅市場の低迷は続くと予想する。24年にはFRBによる金融引き締めの緩和を受けてローン金利が低下し、住宅市場も回復していくだろう」と指摘した。
ブラックロックのチーフ債券ストラテジスト、スコット・ティール氏は米インフレ率について、2023年末にかけて3.50%にしか鈍化しないと予想。根強い労働者不足や賃金上昇、在庫減少を理由に挙げている。このような見方は、1年物の消費者物価指数(CPI)スワップが2.38%、10年物のブレークイーブンレートは2.14%となっているのと対照的だ。
ティール氏はインタビューで、「それはあまりにも低過ぎると当社では考えているだけだ」と発言。「CPIの数字のボラティリティーを市場は想定しておかなければならない。月間ベースの数字を予想するのは難しくなるだろう。しかし、7%から5%に下がる方が、5%から3%になるよりも恐らく容易だろう」と述べた。
プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社KKRのヘンリー・マクベイ氏は、投資家は来年、賢明な判断の下でリスクを一段と取る必要があると指摘した。米国のインフレがピークに達し、リセッション(景気後退)懸念が「以前ほど強くない」との見方を理由に挙げている。
●市況
日経先物(大証)27135、ダウ先32989、債先147.80、米3.590、独2.1980、仏2.705、西3.284、伊4.370、波6.783、原油75.88、ドル円136.87、墨ペソ19.79、トルコリラ18.6480、墨CDS133
※12/20 8時35分頃
備忘録(12/16-18)
●中国・ロシア・東欧
米国務省は16日、対中国政策を調整する「チャイナ・ハウス」を新設したと発表した。国務省内外の部局から専門家を集め、情報共有や政策調整の強化によって「より機敏で一貫した政策」の実行を目指すとしている。外交や経済、安全保障分野で国際的影響力を強める中国に対抗する狙いがある。
国務省当局者によると、チャイナ・ハウスは中国・台湾政策などを担当するリック・ウォーターズ国務次官補代理が監督する。中国が影響力の拡大を狙うアフリカや南米を担当する国務省の部局の当局者や、他の省庁からも経済、技術政策などの担当者が参加し、約60~70人の陣容になるという。米中関係、戦略的コミュニケーション、中国の海外活動を担当する3チームで構成する。
2023年の経済運営方針を決める「中央経済工作会議」を終えた。新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策の緩和をめぐり「合理化、調整していく」と指摘。今月7日に発表した緩和策に続く追加措置を示唆した。経済の安定成長を重視する考えだ。
景気回復へ企業や家計のマインド改善に力を入れる。ゼロコロナ政策が足を引っ張った消費の回復を優先課題に挙げた。マクロ経済政策は、積極的な財政政策と緩和的な金融政策を続ける。
「重大な経済金融リスクを効果的に防ぎ取り除く」とも強調した。大きなリスクが住宅市場だ。「住宅は住むものであって投機対象ではない」というバブル抑制の文言は踏襲したが、不動産開発企業の資金繰り支援などで市場の安定成長を促すことに軸を置いた。
劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は15日「不動産の下振れリスクに対して新たな措置を検討している」と明かした。
最近の住宅不況は、資金不足で工事を中断する開発企業が相次ぎ、消費者が不信を強めて買い控える例が多い。政府は資金繰り支援で開発企業の信用回復を促せば、新築物件の取引も持ち直すとみている。
もう一つのリスクが地方財政だ。「地方政府の債務リスクは制御できるようにする」と付け加えた。地方財政に端を発した金融不安の芽を摘む姿勢だ。
ロシアは失業率が既に過去最低付近にあり、人口減少も続いているところへ30万人が戦争に動員され、徴兵回避で多くが国外に逃れた。中銀はこの日、「ロシア経済の生産を拡大する能力は、労働市場の状況により大きく制限されている」と指摘した。
●中東
イラン国内で、中国とサウジアラビアの急速な関係強化への懸念が強まっている。中国はこれまで中東内の対立に不干渉の立場をとってきた。12月上旬に中国と湾岸協力会議(GCC)が発表した共同声明について、イランでは中国の中東政策が転換したのではないかとの見方が出ている。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
12月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合で48.8だった。前月から1.0ポイント上昇したものの、好不況の分かれ目である50を6カ月連続で下回った。インフレの長期化で不透明感は根強い。
製造業は47.8と0.7ポイント、サービス業が49.1と0.6ポイントそれぞれ上昇したものの、いずれも50を下回った。サプライチェーン(供給網)の混乱が解消に向かったほか、資源高の一服も背景に企業のコスト増加が緩やかになりつつある。個人消費関連では、インフレで逆風が強まっていた観光・レジャーも持ち直した。
国別の総合PMIはドイツが48.9と2.6ポイント上昇した一方、フランスは48.0と0.7ポイント低下して1年10カ月ぶりの低水準になった。特にフランスではサービス業の落ち込みがきつく、欧州中央銀行(ECB)の急激な利上げに伴う金利の上昇も企業の重荷となっている。
西村康稔経済産業相は18日のNHK番組で、政府が検討する原子力発電所の建設方針をめぐり「2030年代に本格化していく」と述べ、実際の運転開始までには時間がかかるとの認識を示した。それまでは既存の原発の再稼働と、最長60年と定める運転期間の延長で電力の安定供給を進める考えを強調した。
経産省は今後の建設に関して、まずは廃止が決まった原発を建て替える方針を示している。11年の東日本大震災以降は新増設や建て替えを想定していないとしてきた政策を変え、原発の運転期間を震災後の安全審査に伴う停止期間分などに限って60年を超えても延長できるようにする考えだ。
連邦政府の予算執行を維持するための「つなぎ予算」の期限を実質的に1週間延ばす法案に署名した。新たな期限は12月23日となり、政府機関の閉鎖を一時的に回避した。
金融政策決定会合を開き、政策金利を1%引き上げて12%にすると決めた。利上げは11会合連続。2001年3月以来の水準になる。食料品の高騰などによるインフレの加速、経済が好調に推移しているのに対応した。
前回10月会合でも1%引き上げた。6人の委員のうち4人が1%の利上げに賛成して多数決で決めた。1人は1.25%、別の1人は0.25%の利上げを主張した。
11月の消費者物価指数は前年同月比12.53%上昇した。1999年3月以来の高い上昇率となった。中銀目標の上限(4%)を上回るのは16カ月連続となった。肥料高を受けた食料品の価格上昇が目立っている。
中銀は22年の実質経済成長率を8%と見込んでいる。活発な消費、原油価格の上昇に支えられて堅調に推移している。
電通グループは16日、2022~25年の世界の広告市場の成長率予測を発表した。23年の世界の広告市場は22年比3.8%増の7409億ドル(約101兆円)を見込む。22年に比べて成長率が鈍化する。世界的なインフレやそれに伴う金利上昇によって、個人消費が落ちこむ影響などが出るとみている。
媒体別に見ると、デジタル広告が7.2%増の4228億ドルとなる。動画広告やSNS(交流サイト)向けの広告が好調に推移する。テレビ広告は0.2%増の1827億ドルを見込む。新聞広告や雑誌広告は減少する見通し。
同調査では電通グループが世界58カ国・地域の広告費の成長率を分析している。将来予測と過去データに遡及してロシア市場の数値は除外されている。
●市況日経先物(大証)27257、ダウ先32966、債先148.03、米3.488、独2.1480、仏2.657、西3.240、伊4.284、波6.660、原油74.50、ドル円136.71、墨ペソ19.79、トルコリラ18.6530、墨CDS127
※12/16 NY引け値
備忘録(12/15)
●中国・ロシア・東欧
11月の主な経済統計によると、百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売を合計した社会消費品小売総額(小売売上高)は前年同月を5.9%下回った。マイナス幅は10月の0.5%から拡大した。
新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策による国内の移動制限が響いた。全体の1割を占める飲食店収入が8.4%減少した。家電・音響映像機器と衣類もそれぞれ、17.3%、15.6%落ち込んだ。
工業生産は前年同月比2.2%増加した。伸び率は10月の5.0%から縮まった。ゼロコロナ政策に加え、米欧経済の減速による輸出の落ち込みで、内外の需要が伸び悩んだ。
主要産品の生産量で自動車は9.9%減少し、5月以来6カ月ぶりに前年同月を下回った。パソコンは27.9%減り、マイナス幅が拡大した。インフラ建設の増加が需要を下支えしてきた建材もセメントが4.7%の減少に転じ、鋼材も7.1%増と伸びを縮めた。
マンションなど不動産開発投資は1~11月、9.8%減少し、マイナス幅が拡大した。新築住宅の販売面積も26.2%減った。
2022年11月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは51都市だった。10月から7都市減ったが、なお全体の73%を占める。新型コロナウイルス対応の厳しい移動制限で景気停滞が続き、先行き不安が強い。大都市を含めて住宅購入の需要が伸び悩む。
前月比で上昇したのは16都市で、10月から6都市増えた。横ばいは3都市で1都市増えた。各都市平均の価格下落率は0.2%で、15カ月連続で前月を下回った。
都市の規模別では「1級都市」のマンション価格は平均で前月を0.2%下回った。落ち込み幅は10月の0.1%から拡大した。省都クラスの「2級都市」は前月より0.2%低く、それ以下の「3級都市」も0.3%低下した。いずれも下落するのは3カ月連続だ。
取引価格が比較的自由で市場の需給を反映しやすい中古物件では全体の89%に相当する62都市で価格が下落した。都市数は10月と同じだった。値上がりは5都市だった。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
対話アプリの履歴や個人情報など民間保有のデータについて、経済協力開発機構(OECD)各国は15日までに、政府による無秩序な収集を防ぐための原則をまとめた。安全保障や犯罪捜査など正当な目的で収集する際は、法的根拠のもと監督機関などの事前承認を得ることを明記した。原則を守る国同士で、民間が安心してデータを行き来させられる環境をつくる。
2022年の貿易赤字が過去最大に膨らむ見通しとなった。財務省が15日に公表した11月の貿易収支を踏まえると1月からの累計の赤字額が18兆5124億円に達した。暦年ベースで過去最大だった14年(12兆8160億円の赤字)を超え、12月を含めた年間で上回るとみられる。円安や資源高が化石燃料に依存する日本の赤字を積み上げている。
米国防総省のライダー報道官は15日の記者会見で、ウクライナ軍に高度な実践的訓練を提供すると発表した。米国製武器の使い方を中心に訓練してきたが、戦場での部隊間の連携を重視した訓練に着手する。2023年1月から始めて月500人を対象とする。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、米軍はこれまでに月300人程度のウクライナ兵を訓練しており、規模が大幅に増える。英国などもウクライナ軍への訓練を拡充してきた。ロシアは訓練の乏しい兵士を戦場に送っているとの見方があり、米欧の訓練拡充はウクライナ軍に追い風となる公算が大きい。
英イングランド銀行(中央銀行)は15日、政策金利を3%から3.5%に引き上げると発表した。利上げは9会合連続。幅は0.5%と前会合の0.75%から縮小した。歴史的な物価上昇を抑えるため引き締めを継続しつつ、景気悪化にも配慮した。投票権を持つ9人のうち、ベイリー総裁を含む6人が0.5%の利上げに賛成した。1人は0.75%の利上げが、他の2人は政策金利の据え置きが適切だと主張して反対した。
利上げ幅の縮小は深刻な景気後退への危機感が背景だ。声明文では政策金利の急速な引き上げで「英国経済は長期の景気後退が予想される」とし、失業率の急上昇への懸念を示した。英国の国内総生産(GDP)が24年まで前年比で減少し続けるとした、同銀行による22年11月の経済予測を改めて強調した。
もっとも高インフレの抑制が課題で、利上げが必要との姿勢も崩さなかった。政策金利の水準が3.5%以上の水準に決まるのは、08年10月以来約14年ぶりだ。声明文で「労働市場の逼迫で根強いインフレ圧力が続く証拠があり、より力強い金融政策が正当化されうる」とした。
ECBは15日に4会合連続の大幅利上げを決め、利上げ幅は前回の0.75%から0.5%に縮小した。ただ理事会後の記者会見でラガルド総裁は「我々は政策転換せず、揺らぐこともない」と強調。少なくとも次回以降、3回にわたり0.5%の利上げを続ける可能性を示唆した。
英キャピタル・エコノミクスのジャック・レイノルズ・シニア欧州エコノミストは「大幅にさらに利上げをするとのメッセージは予想以上にタカ派的だった。ECBが金融政策の緩和に踏み切るまでには相当な道のりになることが示唆された」と指摘する。
国債市場ではECBの大幅な利上げ観測から、10年物の国債利回りでドイツが一時約2.12%と前日末の約1.94%から急騰。イタリアは約4.18%と前日比0.3%強、スペインの10年物国債も約3.19%と0.2%強上昇した。それぞれ約1カ月ぶりの高水準だ。
米上場企業会計監視委員会(PCAOB)は15日、米株式市場に上場する中国企業の監査状況を確認するため、中国本土と香港の会計監査法人を検査できるようになったと発表した。中国企業は監査の「質」を担保できずに米国で上場廃止となる懸念がくすぶっていた。今回の進展はそうしたリスクの低下につながりそうだ。
PCAOBは8月の米中証券規制当局の合意に基づき、9~11月に国際会計事務所のKPMGの中国法人とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の香港法人に試験的な検査を実施した。中国国営企業を含む8つの契約案件について、監査状況を調べた。
今回の検査では、監査状況について多数の潜在的な問題点が見つかったものの、そうした点を発見できたこと自体が検査プロセスが正常に機能した証拠だと前向きに評価した。2023年以降も定期的な検査・調査を実施する計画という。今後、中国当局による妨害などがあった場合は、現在の評価をただちに変更する考えも示した。
政策金利を0.5%引き上げて10.5%にすると発表した。利上げ幅は4会合連続で続いた0.75%から小さくなった。減速は今回の利上げ局面で初めて。利上げを0.5%に縮小した米国など主要国と足並みをそろえた。
利上げは13会合連続だった。中銀の5人の委員のうち4人が0.5%の利上げを支持した。残りの1人であるヘラルド・エスキベル副総裁は0.25%の利上げを主張した。中銀は「2022年と23年のインフレの見通しはおおむね減速している」という見方を示した。
中銀は15日に公表した資料で「次回の会合ではまだ政策金利を引き上げる必要があるだろう」と指摘した。次回以降の会合については「追加調整の必要性と幅をそのときの状況に基づき評価する」と述べるにとどめた。
今後は中銀が利上げを停止する時期が焦点となる。中銀が民間銀行など36機関の予測をまとめて1日に公表した調査では、23年末時点の政策金利の見通しは10.25%だった。市場では23年には中銀が利下げに転じる可能性があるという見方がある。
メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)が8日発表した11月の消費者物価指数は前年同月比で7.8%上昇した。5カ月ぶりに8%を下回った。中銀は15日、インフレ率のピークは22年7~9月期だったという見方を示した。インフレ率が政策目標の上限である4%を下回るのは24年1~3月期になるという見通しだという。
市場はすでに0.5%の利上げ幅を織り込んでいた。メキシコ大手銀バノルテはINEGIが11月のインフレ率を発表した翌日、中銀が15日の会合で0.5%の利上げを決めるという見通しを示した。米シティグループ系のバナメックスが6日に公表したリポートでは、調査対象の市場関係者33人全員が0.5%の利上げを予想していた。
11月の米小売売上高(季節調整済み)は、前月比0.6%減の6894億ドル(約94兆円)だった。2カ月ぶりの減少に転じ、市場予想を下回った。インフレ下で迎えた年末商戦では消費者の節約志向が続き、必需品以外の家具や電子機器など裁量支出が軒並み減少した。前年同月比では6.5%増だった。
分野別では13項目中9項目が減少した。内訳をみると、中古車やトラックの価格が低下した自動車と自動車部品が2.3%減り、ガソリン価格の下落を受けてガソリン支出も0.1%減った。自動車とガソリンを除いた売上高も0.2%減だった。
百貨店が2.9%減ったほか、家具が2.6%減、ホームセンターが2.5%減と落ち込みが目立った。電子機器が1.5%減、スポーツ用品が0.6%減、衣料品も0.2%減った。インターネット通販などの無店舗小売りも0.9%減った。
理事会後に記者会見した楊金龍・中銀総裁は、「インフレ率が依然、高い水準にあることを考慮した」と述べた。2022年通年の消費者物価指数(CPI)については、前年比2.93%の上昇になるとの見通しを示した。
南米ペルーの混乱が深まっている。カスティジョ前大統領が反逆容疑で拘束されたことに抗議するデモが全国各地で拡大し、ボルアルテ政権は14日、治安維持のために30日間の非常事態を宣言した。空港が閉鎖され、鉄道も運休に追い込まれた。少なくとも20人の日本人観光客も足止めされている。
政策金利を従来の0.5%から1.0%に引き上げると発表した。利上げは3会合連続で、上げ幅は前回9月の0.75%から0.5%に縮小した。公表した金融政策報告書では、追加利上げを示唆しつつも「来年は経済活動が大幅に抑制される可能性がある」と景気の先行きに警戒を示した。
新たに公表した物価見通しでは、23年のインフレ率を2.4%と予測した。中銀が物価安定の目標とする2%未満まで下がるのは24年前半まで時間を要する見込みだ。11月の消費者物価指数の伸び率は前年同月比で3.0%と高止まりが続いている。
スイス中銀は今後のリスクについて不動産市場の変調に警戒を示したほか、「必要に応じて外国為替市場にも積極的に関与していく」と表明した。
一方、ノルウェー銀行(中央銀行)は15日、政策金利を0.25%引き上げて2.75%にすると発表した。利上げ幅は前回11月と同様で、9月の0.5%からは縮小している。23年1~3月期にかけて追加利上げに動く可能性も示した。
●市況
日経先物(大証)27535、ダウ先33417、債先147.92、米3.463、独2.0790、仏2.581、西3.155、伊4.151、波6.508、原油76.26、ドル円137.74、墨ペソ19.76、トルコリラ18.6514、墨CDS122
※12/16 9時00分頃
備忘録(12/14)
●中国・ロシア・東欧
バイデン米政権は半導体メーカーの長江存儲科技(YMTC)など中国企業30社余りを安全保障上問題のある企業を列挙した事実上の禁輸リスト「エンティティーリスト」に加える計画だと、事情に詳しい関係者1人が明らかにした。
武漢に本拠を置くYMTCは3D(3次元)構造のNAND型フラッシュメモリー生産で中国最大手。スマートフォンやパソコン向けの半導体メモリー供給で韓国のサムスン電子などと競合している。YMTCは米アップルへの供給を巡り協議を進めていたが、その後計画は棚上げとなった。
中国は米国の半導体輸出規制を厳しく批判し、米政府は中国の台頭を食い止めようとしていると主張。世界の貿易とサプライチェーンに混乱をもたらすなどとして、12日に世界貿易機関(WTO)に提訴した。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米デルタ航空は10-12月(第4四半期)の利益見通しを上方修正。売上高については予想レンジの上限をやや下方修正した。小規模の航空会社は旅行需要の鈍化を予想しているが、デルタは強気の見通しを維持している。
経済が来年リセッション(景気後退)に陥るリスクはあるものの、デルタと同業ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスはいずれも事業の拡大継続を見込んでいる。デルタのエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)はこれまで、景気が低迷しても旅行の繰り延べ需要が落ち込む可能性は低いとの認識を示している。ユナイテッドのスコット・カービーCEOは来年の米経済について「緩やかなリセッション」を予想しているが、旅行需要の鈍化は見られないと13日に改めて述べていた。
ただ規模の小さい航空会社にとっては状況は異なるようだ。格安航空会社ジェットブルー・エアウェイズは13日、需要の強さに疑問を呈し、株価が大幅に下落。アラスカ・エア・グループも、「法人の予約がやや軟化している」として第4四半期の売上高予想を引き下げた。
デルタの発表によれば、第4四半期の調整後利益は1株当たり1.35-1.40ドルの見通し。従来予想ではレンジの上限が1.25ドルだった。アナリスト予想は1.15ドル。売上高について同社は7-8%増を予想。従来は5-9%増を見込んでいた。通期利益については最大で1株当たり3.12ドルを予想(アナリスト予想は2.89ドル)。売上高は製油所を除いたベースで最大456億ドル(約6兆1600億円)を見込んでいる。
バスティアンCEOは発表文で、「航空旅行の需要は引き続き力強い」と述べた。23年については利益が1株当たり最大6ドル、売上高は今年との比較で最大20%増を見込んでいる。
23年通期の営業利益率は10~12%になると見込み、22年通期予想の7.7%から改善する見通しだ。燃料費を除いたコストは、22年通期と比べて5~7%減るという。
米国における航空旅行の需要が堅調だ。新型コロナウイルスに関連する渡航規制が解け、飛行機を使った旅行者が増えている。14日に開催した株主向け経営説明会でエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は「これは単なるリベンジ(雪辱)消費による需要ではない。この強い需要は今後も続くだろう」と強調した。
法人客の回復が新型コロナの流行が拡大する以前の19年の水準に達していないことに関しては「19年の水準に戻ることは期待していない。客層は多様化しており、問題ない」と説明した。
一方で米景気後退の懸念が広がり、今後航空旅行の需要も低下するとの見方もある。米格安航空会社(LCC)のジェットブルーは13日、ホリデーシーズンの旅行需要が予想を下回り、10~12月期に見込んでいた売上高は事前予想の下限にとどまると発表した。
大韓航空によるアシアナ航空の買収発表から2年がたつものの、欧州と米国、日本、中国の競争法当局の審査が長期化する。発表当初は2021年中に買収を完了するとしていたが、23年以降に持ち越されることが確実視される。韓国航空のトップ2の統合には、路線の統廃合も避けられない見通しだ。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
ゲオルギエワ専務理事はワシントンでのインタビューで、インフレについて「鈍化の方向に向かいつつある可能性を示す兆候があると、われわれはかなり前から指摘していた」とした上で、「同時に、中銀はインフレ低下に向かう極めて明確な道筋ができるまで方針を維持する必要があるとはっきりさせておきたい」と語った。
10月の時点でIMFは、物価上昇圧力が続く中で中銀にとってのリスクは行動が過度になるより過小にとどまることの方が大きく、政策ミスは中銀の信頼性への打撃となり、物価を抑制するための最終的なコストを増やすだけとの見方を示していた。
米連邦準備制度が金融引き締めペースを緩めようとしていると受け止められ、中国が新型コロナウイルス対策の緩和に動く中で、アジア通貨はここ数週間で大きく反発。
ただ、リスクが差し迫っていると警告するストラテジストもいる。連邦準備制度が積極的な利上げを続ける可能性があるほか、中国経済はコロナ感染急拡大という逆風に直面している。
ゴールドマンのダニー・スワナプルティ氏らストラテジストは13日のリポートで、「大方の予想よりも早く始まった中国経済の再開プロセスは、域内経済に大幅かつ通貨にプラスとなる効果を促す公算が大きい」と指摘。 「中国経済再開を考えると、日本を除くアジアの低金利通貨のアウトパフォームは正当化されそうだ」と論じた。
英政府統計局(ONS)が14日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比10.7%上昇。10月は11.1%上昇と、41年ぶりの高インフレを記録していた。11月のCPI上昇率はエコノミスト予想の10.9%も下回った。
ガソリン・中古車価格の落ち着きがインフレ鈍化の主因。食料品とノンアルコール飲料の価格は16.4%上昇し、1977年9月以来の大きな伸びとなった。
11月のインフレ鈍化は、1年半にわたるほぼ一本調子の上昇基調の小休止を示唆する。ただ、イングランド銀行(中央銀行)の利上げを巡る議論の方向性を変更するほどの影響はなさそうだ。英経済がリセッション(景気後退)に落ち込む一方で、インフレ率は2024年のかなりの期間、目標である2%を上回り続けるだろうと、同中銀の政策担当者は予想している。
イングランド・ウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)の経済担当ディレクター、スレン・シル氏は、「今回の数字はインフレがピークを越えたことを示唆するが、それでも依然として危ういほどの高水準にあり、市民や企業に現実的な影響を及ぼしている」と指摘。「インフレ圧力はさらに裾野を広げている様子で、鈍化ペースはゆっくりとしたものになる公算が大きい」と述べた。
メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、ボリビアの中南米4カ国は12日、ペルーの状況への「深い懸念」を示す共同声明を公表した。4カ国はいずれも左派政権。左派のカスティジョ氏について「非民主的な嫌がらせの被害者だ」と言及し、「投票で示された民意の結果を優先するよう求める」と指摘した。
これに対してペルー外務省は12日の声明で「カスティジョ前大統領による国会解散の決定は憲法や民主主義秩序に反し、クーデターに相当する」と反論した。
●市況日経先物(大証)27940、ダウ先33262、債先147.96、米3.479、独1.9320、仏2.427、西2.966、伊3.851、波6.414、原油77.33、ドル円135.31、墨ペソ19.63、トルコリラ18.6204、墨CDS122
※12/15 8時15分頃
備忘録(12/13)
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
航空機大手の米ボーイングの株価に底入れ感が出てきた。12日まで3営業日連続で上昇し180ドル台と約8カ月ぶりの高値圏で推移。中国の経済活動再開による世界景気の下支えや大型受注への期待が高まっている。
米航空大手ユナイテッド航空は13日、米航空機大手ボーイング製の中型機「787」を最大200機発注したと発表した。米国の航空会社による中大型機の発注機数としては過去最大という。新型コロナウイルス禍から旅行需要が回復するなか、機材の更新を進めて温暖化ガスの削減や燃費改善につなげる。
100機は発注が確定し、100機はオプションとなる。2024~32年に受け取り、老朽化した中型機「767」や大型機「777」を置き換える。「787」は炭素繊維を採用して軽量化し、燃費性能が高い。ユナイテッドの長距離路線は大半が「787」となる見通しだ。機材更新で30年までに温暖化ガスの排出量も1座席あたり25%削減する。
小型機「737MAX」も44機発注のオプションを行使するうえ、56機を追加発注した。合計100機を28年までに受け取る。
欧州エアバスへの発注分も合わせるとユナイテッドは32年まで700機を受け取る予定。24年は毎週3機のハイペースで納入が続く。22~23年は計約3万人を採用し、設備投資額は23~24年に計約200億ドルを投じる。
ユナイテッドの大量発注は航空業界が新型コロナウイルス禍の最悪期を脱したことを示す。中国の航空市場はロックダウン(都市封鎖)で依然として低調だが、米国の国内線はすでに新型コロナウイルス禍前の水準に回復している。スコット・カービー最高経営責任者(CEO)は「発注により(航空業界での)リードを固める」とコメントした。
●決算関連
●マクロ・その他
歴史的な高インフレに直面する英国で、ストライキが深刻になっている。鉄道や救急隊員など年末に向けて多くの業種でストが計画されており、英メディアによると33年ぶりの規模になりそうだ。トラス前政権の経済対策の混乱などで与党・保守党の支持率が低迷するなか、ストの連鎖は発足したばかりのスナク政権の火種になりかねない。
スナク英政権は、ストライキ中に交通網の最低サービスを保証するための法案を議会に提出した。スナク首相は「組合指導者が理不尽な態度をとり続けるのであれば、国民の命と生活を守るための行動を起こすのが私の義務だ」と述べた。ただ同法案が成立したとしても、すでに始まった一連のストにどれほど効果があるか不透明で、野党からは反論も出ている。
ストは鉄道にとどまらず、救急隊員や看護師などの公共サービスも含めた多業種にも波及している。
英首相官邸の報道官は、ストが公共サービスに広がっていることを受けて「混乱を抑えるための計画を確保しており、軍も常に待機している」と述べた。救急車が出動できない場合に、軍隊が急病人やけが人を搬送することなどを想定しているとみられる。
ロンドンのヒースロー空港など国際空港では、入国審査官がクリスマスから年明けにかけて計8日間に及ぶストを計画している。審査官の約75%が組合員だといい、入国ゲートは大混雑が予想される。冬の休暇は空港が混雑する時期で、影響は数十万人に及ぶ見込みだ。軍の600人以上がパスポート審査を代行するために訓練を始めた。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、断続的なストの影響で、12月の労働損失日数は100万日を超える見通しだ。これは、サッチャー政権時の1989年以来33年ぶりの高水準だといい、事態は深刻だ。
英メディアによると、公務員を代表する組合側は10%の賃上げを求めているが、政府と折り合いがつかない。組合の代表者であるマーク・セルウォトカ氏は「困窮して食事を抜くこともあり、暖房もつけられない。政府が直ちに資金を出さなければ状況はエスカレートする」と主張した。公共サービスでストが続けば国民の利便性は下がり、政権の支持率にも響きかねない。
労働者側は待遇改善を求めるものの2桁の賃上げは簡単ではなく、労使交渉は難局が続きそうだ。仮に賃上げできたとしても、賃金上昇がインフレを加速させかねないという懸念もある。
半導体の国際団体SEMIは13日、2023年の製造装置の世界売上高が4年ぶりに減少に転じ、前年比16%減の912億ドル(約12兆5000億円)になる見通しを発表した。インフレなどで世界景気が冷え込むなか、パソコンやスマートフォンの需要が落ち、半導体の需給バランスが急速に緩んでいる。在庫を抱える半導体メーカーが生産を絞るため、製造装置の売り上げも減少する。
都内で記者会見を開いたSEMIのアナリスト、イナ・スクワルツォヴァ氏は「24年には半導体市況が改善し、装置の設備投資も回復する。長期的には半導体需要は伸びていく」と話した。
英イングランド銀行(中央銀行)は13日、既存の金融規制から外れたノンバンクに対するストレステスト(健全性審査)を初めて実施すると発表した。9~10月の英国債暴落のきっかけがノンバンクの英年金基金による投げ売りだったことを受け止め、金融システム混乱の再発防止を目指す。
イングランド銀行が同日公表した金融安定報告書で明らかにした。2023年前半に詳細を公表する予定だ。市場環境の急変などのシナリオに基づいて、ノンバンク自身のリスクや銀行に与える影響を調べて今後の政策立案に生かす。
ノンバンクを巡っては、長期に安定した運用を手がけるはずの英年金基金が、低金利下で運用成績を稼ぐために不透明なファンド経由でレバレッジ(てこ)を膨らませていた。レバレッジの逆回転が英国債の売りの連鎖を招いたことが問題視されている。
OPECは最新の月報で、2023年1-3月(第1四半期)の石油市場は需給が均衡すると予想。1カ月前の予測では供給不足が示唆されていた。燃料消費が鈍化するとの懸念から、原油相場は先週に11%下落している。
中国が「ゼロコロナ」政策を完全に撤回できるかどうかを巡り疑念が強まっているほか、米国では金融引き締めが継続するとみられている。一方でロシアの原油輸出に対する新たな制裁措置は、まだ供給を顕著に押し下げるまでには至っていない。OPECは来年第1四半期における世界の原油需要について、従来見通しより日量38万バレル少なくなると予想した。
OPECの調査部門は月報で「2022年が終わりに近づく中、最近の世界的な経済成長鈍化とその広範囲にわたる影響は非常に明白になりつつある」と指摘。「2023年も多くの不確実性に囲まれた状態が続くことから、警戒と用心が求められる」と記した。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が13日発表した12月の独景気期待指数はマイナス23.3と、前月のマイナス36.7から上昇し、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想も上回った。ただ、消費者や企業がエネルギーコストの上昇に直面する中で、期待指数は長期的な平均値に依然届いていない。現状指数は小幅の改善となった。
ZEWのバンバッハ所長は発表文で「金融市場の専門家は、大多数が今後数カ月間のインフレ率低下を見込んでいる」と指摘。「エネルギー市場の一時的な安定も重なり、景気見通しの著しい改善につながる」との見方を示した。●市況
日経先物(大証)27985、ダウ先34377、債先148.13、米3.501、独1.9205、仏2.392、西2.929、伊3.786、波6.453、原油75.25、ドル円135.47、墨ペソ19.54、トルコリラ18.5853、墨CDS130
※12/14 7時55分頃
備忘録(12/12)
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
買収額は278億ドル(約3兆8100億円)。実現すれば米ヘルスケア業界で今年最大の買収案件になる。
アムジェンはホライゾン社の株式1株について現金116.5ドルを支払う。2023年前半をめどに買収を完了する予定。アイルランドに本社を置くホライゾン社は希少な自己免疫疾患や深刻な炎症性疾患の治療薬などの開発を手掛ける。主力製品には甲状腺眼症治療薬のテプロツムマブ(米国の製品名はテペッザ)を持つ。
製薬大手は高い価格設定が可能な希少疾患治療薬に注目を集めており、ホライゾン社に対する関心は高かった。合併を検討しているとの米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を受け、11月下旬にホライゾン社はアムジェンのほか、仏サノフィ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン傘下の企業とも合併協議を進めていると明らかにした。
●その他産業
ロンドン証券取引所グループ(LSEG)の株式の約4%を取得すると発表した。前週末終値ベースでは、約15億ポンド(2500億円)となる。LSEGはデータ分析サービスをマイクロソフトのクラウド上へ移行させ、LSEG側から対価として今後10年間で28億ドル以上を得る契約も結んだ。
●決算関連
●マクロ・その他
国民や議会内に目立つ選挙の早期実施を求める声に応じて、政情混乱の軽減につなげたい考えだ。
ニューヨーク連銀が12日発表した11月の消費者調査によると、1年先の予想物価上昇率(中央値)は5.2%と前月から0.7ポイント下がった。2021年8月以来、1年3カ月ぶりの低水準を記録した。住宅価格が今後さらに下落を続けるとの見方が強まった。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の米マクロ戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は「TIPSは純粋なインフレヘッジとはならない」と指摘。「分散化していると考えられるかもしれないが、TIPSにも他の債券と同様に基本的な金利リスクがある。TIPS保有者にとっては結局のところ、デュレーションの教訓となった。利回りの開始点が低かったことを踏まえれば、それは恐らく避けられなかった。今年はまれに見る1年となった」と述べた。
11月CPIでは、中古車と医療サービスの価格は低下が予想される一方、住居費が引き続き大きなインフレ要因になるとみられる。10月CPIでは家賃が減速したが、TDセキュリティーズのオスカー・ムニョス氏は11月には小幅な反動があると予想。エコノミストらは、11月CPIは住宅関連項目がワイルドカードになるとみている。
これまでは財の需給不均衡がインフレの主な要因となってきたが、サプライチェーンの状況改善と国内外での需要軟化が物価の落ち着きに寄与している。
インフレ率が米金融当局の目標に戻るかどうかは、最終的には住宅を除くコアサービスの価格動向次第となりそうだ。こうした分野では賃金が重要であるため、エコノミストはさまざまな賃金指標を注視することになる。労働市場は部分的には弱さが見られるものの、全体としてはなお非常に堅調だ。
●市況
日経先物(大証)27972、ダウ先34237、債先148.06、米3.617、独1.9560、仏2.420、西2.959、伊3.831、波6.566、原油73.47、ドル円137.57、墨ペソ19.86、トルコリラ18.6120、墨CDS130
※12/13 8時40分頃
備忘録(12/9-11)
●中国・ロシア・東欧
11月の前年同月比上昇率は1.6%と、10月から0.5ポイント縮まった。なかでも家計の購買力を映す食品とエネルギーを除くコア指数は0.6%まで低下した。新型コロナウイルスを封じ込めるゼロコロナ政策に伴う厳しい移動制限が消費行動を妨げた。
国家統計局が9日発表した。CPI全体の伸びは今年3月以来の低さとなった。中国人の食卓に欠かせない豚肉価格が高騰してきたが、11月の伸びは34%と10月の52%から鈍化した。ガソリンなど燃料も値上がり幅が縮小した。
食品や燃料の価格上昇が鈍れば、必需品以外にお金を振り向ける余裕が生まれる。需要が増える分、価格は上がりやすくなるはずだ。ただ11月のコア指数の上昇率は0.6%と、3カ月連続で同じだった。21年10月の1.3%を直近のピークに縮小傾向にある。ディスインフレとも言える状況だ。
ゼロコロナ政策が影を落とした。北京市などでは飲食店での店内飲食が事実上禁止となった。接触型消費を控える人も多く、サービス需要が落ち込んだ。
家計の消費マインドも冷え込んでいる。10月の消費者信頼感指数は9月より0.4ポイント低い86.8だった。楽観と悲観の境目である100を大きく下回る。上海市のロックダウン(都市封鎖)で景気が悪化した4月につけた過去最低とほぼ同じ水準だ。
2022年の新車販売台数が前年比2%増の2680万台になるとの予測を明らかにした。従来は3%増と予測していたが、新型コロナウイルスの封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策などの影響を考慮し下方修正した。23年はコロナ対策の緩和が続く可能性を踏まえ、22年比3%増の2760万台を見込む。
同協会の許海東・副総工程師は同日に開いた定例記者会見で、22年の新車販売について「新型コロナウイルス問題やロシアとウクライナの衝突など、複数の想定外の要因があった」と説明した。
23年の見通しについて許氏は「(12月に入り)コロナ対策が緩和されたものの、落ち着くまでに1年以上かかるだろう」と説明。「消費意欲が抑え込まれ、市場動向に影響する恐れがある」と慎重な見方を示した。
政府の包括的な金融支援策に呼応し、国有銀行が相次ぎ不動産会社向け融資枠を設定。総額は3兆1950億元(約63兆円)を超える。9月末の融資残高の約2割強に相当し、信用危機に直面する不動産各社の経営に光明が差す。一方、過剰債務という構造問題の解決は先送りされる。
訪問先のサウジアラビアの首都リヤドで湾岸協力会議(GCC)首脳やアラブ諸国首脳との会議に出席した。習氏は関係強化に向けて「石油や天然ガス貿易の人民元決済を展開したい」と述べた。中国がエネルギーを輸入する際に人民元建ての取引を広げたいとの意欲を表明した。
キルギスで首脳会談を終えたプーチン氏は記者団に、「われわれは検討している」と発言。米国は高精度ミサイルを使って予防的な攻撃を仕掛ける戦略をとっていると主張し、「敵の士気をくじくための攻撃ということであれば、米国側のアプローチをわれわれも取ることを考えるべきだろう」と述べた。
プーチン氏が核問題について話すのは今週2回目。7日には核戦争のリスクが高まりつつあり、ロシアの核兵器は紛争の「抑止要素」だと述べていた。ロシアの軍事ドクトリンでは、核使用は国家の存続が脅かされる場合の最終手段に位置づけられている。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米製薬会社アムジェンは同業ホライズン・セラピューティクスの買収に向け協議を進めていると事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。実現すれば同社として過去最大規模の買収となる。ホライズン買収を目指していた仏サノフィは11日、協議打ち切りを公表していた。
サノフィが「見込まれる買収価格が自社の価値創出基準を満たさない」として買収を断念したことで、アムジェンは唯一の買い手候補となった。J&Jも今月初め、ホライズンに買収提案をしないと表明していた。
アムジェンとホライズンの担当者に通常の営業時間外に取材を試みたが、すぐには連絡が取れなかった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は先に、12日までに両社の合意が発表される可能性があると報じていた。
●その他産業
イリノイ州ベルビディアの工場の操業を2023年2月から止める。1000人を超える従業員はレイオフの対象になるという。ステランティスは韓国電池大手サムスンSDIと組み、中西部インディアナ州に電池工場を設ける。ジープブランドでは、24年に北米で2車種のEVの生産を始める。
●決算関連
●マクロ・その他
ドイツでは12月までの小売売上高が実質ベースで前年同期比4%落ち込む見通しで、英国では消費者の節約志向が鮮明だ。ウクライナ危機に伴うエネルギー不安も重荷となり、個人消費の冷え込みは欧州経済の先行き不安を映し出す。
2023年1月に発足する政権でフェルナンド・アダジ元教育相が財務相に就くと発表した。ルラ氏に近い左派の有力政治家を起用した。低所得者層を重視した社会保障政策を拡充する一方で、財政規律の軽視が懸念される。
アダジ氏は金融機関勤務を経て、教育相やサンパウロ市長を務めた。ルラ氏が出馬できなかった18年の大統領選に労働者党(PT)から出馬しており、現職の右派ボルソナロ大統領に敗北した。今年10月の選挙ではサンパウロ州知事選に出馬して敗北していた。
金融市場では経済閣僚に経済の専門家の指名を期待していた。財政規律の重視派としてメイレレス元財務相、アリダ元中央銀行総裁の名前があがっていた。アダジ氏は労働者党内では穏健派だが、「財政緩和派」(ブラジル三井住友銀行)と位置づけられている。
ルラ氏は選挙戦で低所得者層向けの現金給付を現在と同じ月600レアル(約1万6000円)で維持する考えを示してきた。さらに6歳以下の子供がいる場合は1人あたり月150レアルを給付する意向で、予算措置が必要になる。財政規律とのバランスが注目されている。
財務相が固まったことで、金融市場では「焦点は企画相やアダジ氏のもとで誰が具体的な政策に関与するかにうつる」(米シティグループ)との指摘がある。
ルラ氏は9日に計5人の人事を公表した。外相には職業外交官出身のマウロ・ビエイラ氏が就く。駐米大使を経て、ルセフ政権下で外相を務めていた。現在は駐クロアチア大使を務めている。新興国との連携を重視した外交を展開するとみられている。
官房長官には北東部バイア州知事のルイ・コスタ氏、国防相には元下院議員のジョゼ・ムシオ氏、法相には北東部マラニョン州元知事のフラビオ・ディノ氏を起用する。
11月の卸売物価指数(最終需要向け製品・サービス、季節調整済み)は前月比0.3%上がった。ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(0.2%上昇)を上回った。前年同月比の上昇率は7.4%と5カ月連続で伸び幅が鈍化した。
品目別にみると、製品の価格が前月比で0.1%上昇した。食品の価格が前月比3.3%上昇し、全体をけん引した。今年に入り最も上昇幅が大きかった。特に生鮮・乾燥野菜の価格が38.1%上昇したことが影響した。一方、エネルギーの価格は前月比3.3%低下した。ガソリン価格が6.0%下がったほか、軽油や家庭用天然ガスの価格も低下した。
サービスの価格は前月比で0.4%上昇した。特に証券取引・金融サービスの価格が前月比11.3%上昇した。一方、旅客輸送サービスの価格は5.6%低下した。食品とエネルギーを除いた製品価格指数は前月から0.4%上昇した。
米ミシガン大が9日に発表した12月の消費者態度指数(速報値)は59.1と、前月の確報値である56.8から2.3ポイント上昇した。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(56.5)を上回った。過去最低を記録した6月から9.1ポイント上向いたが、依然として低水準にとどまっている。予想インフレ率や今後の見通しを示す指数も改善した。
1年先の物価の見通しを示す予想インフレ率は4.6%と2021年9月以来、1年3カ月ぶりの低水準となった。前月からは0.3ポイント下がったが、新型コロナウイルス流行前の水準(2%台)と比較すると高水準を推移している。5年先の予想は3.0%と前月から横ばいだった。
「現在の景況」を示す指数が60.2で1.4ポイント、「今後の見通し」が58.4で2.8ポイントそれぞれ上昇した。
同大の調査分析担当のジョアン・シュー氏は「インフレに対する懸念は依然として高いものの、ゆるやかに緩和されている」と分析した。
ロイター通信によると新パイプラインの設置費用は25億ユーロ(約3600億円)と見込まれている。輸送量は年間で200万トンに達する見通し。欧州内のグリーン水素の輸送網の一部として活用することを想定し、設置費用の一部の拠出をEUに求める。
フランス、スペイン、ポルトガルの3カ国は10月、海底パイプラインの新設で合意していた。ピレネー山脈を通るパイプラインの計画もあったがフランスが反対し、代替案として海底を通す計画が採用された。10月時点では天然ガスの輸送も検討していたが、EUへの費用拠出を求めるために水素に限定することになったという。
2022年11月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で5.9%上昇した。5カ月連続で前月の上昇率を下回った。4カ月連続の1ケタ台で、21年2月(5.2%)以来の低い水準となった。原油価格の低下や、燃料・電力にかかる商品流通サービス税(ICMS)の税率引き下げが寄与している。
4月に今回のインフレ局面で最も高い12.13%となったが、その後は下落基調に転じた。ガソリンや電気代は低下した一方で、タマネギや果物などの価格は上昇した。ロシアによるウクライナ侵攻に伴い肥料価格が上がっている影響だ。
国際金融協会(IIF)が各国の統計をもとにまとめた11月の速報値によると、株式と債券をあわせた新興国への資金流入額は374億ドルと前月(95億ドル)から4倍近くに増えた。流入額は2021年6月(558億ドル)以来、1年5カ月ぶりの高水準だった。米国が利上げペースを鈍化させるとの観測を背景に、新興国の経済回復を見込んで株式や債券に資金が流入した。
「住宅市場は健全な状況を保っており、信用力の高い(住宅ローンなどを担保とした)証券化商品には投資妙味がある」とみる。
IMFのゲオルギエワ専務理事は9日、世界成長率の見通しを一段と下方修正する可能性が高いことが指標に示されていると発言。中国の李克強首相と安徽省で会談後に同専務理事は、中国の新型コロナウイルス対策の再調整が同国内と世界の経済にプラスになると述べた。
IMFは現在、2023年の世界成長率見通しを2.7%とし、今年の3.2%から減速すると予測している。
シネマ米上院議員(アリゾナ州)は9日、それまで所属していた民主党を離れ、無所属として登録した。民主党はジョージア州で6日投票が行われた上院選の決選投票で共和党候補を破り、議席数を51に伸ばしたばかりだった。
シネマ議員は民主党所属ではあったものの、党が成立を目指す重要法案で反対姿勢を見せるケースも多く見られた。同議員は無所属として登録するにあたり、中道派としての姿勢を今後も維持することを示唆した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを停止した後も、2023年末までは金利をピーク水準に据え置くだろうと、ブルームバーグの調査に答えたエコノミストらが予想した。同年後半の利下げを見込んでいる市場は失望させられることになる。
FOMCは14日に政策決定と経済予測を発表する。政策金利についてエコノミストは0.5ポイントの利上げを予想。その後2回の会合ではそれぞれ0.25ポイント引き上げるとも予想している。
FOMCメンバーの予測中央値は政策金利が23年に4.9%でピークを打つとしている。この水準はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標4.75-5%のレンジに相当する。9月の予測では4.6%のピークを示していた。
ピークの金利水準は投資家も4.9%前後を想定しているが、23年下期に0.5ポイントの利下げを織り込んでいる。
エコノミスト調査では24年6月までに政策金利が4%に引き下げられ、年末までに3.5%になるとの予想が示された。
●市況
日経先物(大証)27715、ダウ先33498、債先148.18、米3.586、独1.9280、仏2.394、西2.948、伊3.829、波6.444、原油71.59、ドル円136.57、墨ペソ19.77、トルコリラ18.6474、墨CDS133
※12/9NY引け値
備忘録(12/8)
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
●市況
日経先物(大証)27655、ダウ先33798、債先148.15、米3.486、独1.8375、仏2.299、西2.821、伊3.689、波6.448、原油72.00、ドル円136.57、墨ペソ19.62、トルコリラ18.6457、墨CDS135
※12/9 8時45分頃
備忘録(12/7)
●中国・ロシア・東欧
中国は7日、コロナ対策の規制措置を幅広く緩和した。集団隔離施設ではなく自宅での隔離を一部の人に認めたほか、大半の公の場所でコロナ陰性証明の提示義務を撤廃した。これに先立ち、北京や上海、深圳などの主要都市では、大規模検査や厳しいロックダウンなどの措置の緩和に着手していた。こうした厳格な措置は中国の経済成長率を40年ぶり低水準の近くまで鈍化させた。
突然の方針転換は、習指導部が失敗を事実上認めたことに等しい。習氏は就任後の最初の10年間、権力基盤の強化に取り組み、ゴミ拾いといった無害に見える活動のためですら、人々が集まることを阻止した。しかし今や、習氏が独占する政治システムに対する物言いを含め、共産党に対するさまざまな不満に応用し得る手段の新たなモデルを人々は手にした。
「習氏にとって政治的に最大の問題は、人々の要求に屈したことが招く結果だろう」とジョージメイソン大学マーカタス・センターのシニアリサーチフェロー、ウェイフェン・チョン氏は分析。「『習近平はやめろ』と唱えることで要求が満たされたことを目にした人々が今後さらに不服従になると予想すべきだ」と述べた。
中国当局は規制緩和と抗議行動の関連性を否定している。国家衛生健康委員会の梁万年・専門家チーム長は7日の記者会見で、新たな措置は中国のコロナ規制をより科学的にし、的を絞り実行可能なものにすることが目的だと説明した。
2022年11月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比8.7%減の2960億ドル(約40兆円)だった。2カ月連続の減少となり、マイナス幅は新型コロナウイルスの感染が初めて広がった直後の20年2月(41%減)以来の大きさだった。急速な利上げで景気が減速する米欧向けが落ち込んだ。
輸入は10.6%減の2262億ドルだった。10月に続き減少した。輸出入がそろって2カ月連続でマイナスとなるのは、19年8~10月に3カ月連続で減少して以来だ。22年11月の輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は698億ドルだった。
輸出を国・地域別にみると米国向けは約3割減少し、4カ月連続のマイナスだった。欧州連合(EU)向けも11%減り、2カ月連続で前年同月を下回った。東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは前年同月を5%上回ったが、伸びは10月までの2ケタ増から鈍った。
輸入は主要品目である集積回路が28%落ち込み、7カ月連続で減った。化粧品も前年同月を2割下回った。中国では新型コロナの封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で移動制限が厳しく、内需が弱まっている。原油は3割増えた。
国家衛生健康委員会が発表した10項目の措置には、高齢者のワクチン接種を加速させることや住宅区画全体など広い範囲の高リスク指定を地方当局に禁じることなどが含まれる。スマートフォンのアプリを使った健康コードによる接触追跡も国内の移動では不要になる。
中国当局は1カ月前にコロナ対策を調整する20の措置を発表していた。今回の10項目はこれに続くもので、緩和が発表されるペースの速さは、危機的な状況から脱却する道筋を習近平国家主席に求める圧力の高まりを反映している。
自宅隔離容認は先週、感染急増のために集団隔離施設のスペースが足りなくなった北京で採用された。これを迅速に全国に拡大させることは、これまでのコロナ撲滅政策からの大きな転換を意味するとともに、新型コロナを深刻な脅威と捉える国民の認識に変化をもたらし、コロナとの共生を選んだ世界に中国が加わる道を開く可能性もある。
中国共産党は6日、中央政治局会議を開き「防疫措置を合理化する」ことを確認した。党の会議を経て、政府が7日緩和策を公表した。
同会議からは景気停滞への危機感がにじむ。「重大な経済金融リスクを未然に防ぎ取り除かなければいけない」と強調した。これまで重大リスクは金融のみを指してきた。経済も加えたのは、高止まりする若年失業率への警戒感などがうかがえる。
ゼロコロナは経済活動を阻害し、内需を下押ししてきた。中国国家統計局によると、製造業などの設備稼働率は上海市がロックダウン(都市封鎖)に追い込まれた4~6月に75.1%と、コロナ禍初期の2020年4~6月以来の低さだった。22年7~9月も75.6%と、21年平均の77.5%を下回る。
コロナ規制の緩和で経済活動が正常化すれば、内需の回復に伴って中国の輸入も持ち直し、世界経済にプラスとなる可能性はある。中国は購買力平価ベースで世界経済の2割を占める。経済成長が1%上振れすれば、世界経済を0.2ポイント押し上げる計算になる。
第一生命経済研究所の西浜徹氏は「直近は症状がある感染者が増え、規制の緩和を継続できるかは疑問が残る」とみる。緩和で人の移動が活発になると感染も広がりやすい。規制の揺り戻しも否定できない。
感染状況に応じて規制が強まるゼロコロナは、企業や家計の先行き不安を強めてきた。6日の中央政治局会議は来年の経済運営方針をめぐり「市場のマインドを強力に押し上げる」と指摘した。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
浮体式の設備が大規模に商用化された事例は世界でなく、2035年まで原子力発電所15機分に相当する1500万キロワットの浮体式の洋上風力の導入を目指す。再生可能エネルギーの普及で脱炭素化を加速する。
内務省の海洋エネルギー管理局は西部カリフォルニア州沖のリース権の入札を6日から開始し、7日に落札企業が決まった。エクイノール(ノルウェー)や独RWEといったエネルギー企業が落札し、落札額は合計で7億5700万ドル(約1000億円)となった。欧州のオーステッドやシェル、EDF、日本の発電大手JERA、丸紅など43社が事前に入札資格を得ていた。
同州の北部と中部の5つの海域が対象で、合計は約1500平方キロメートル。沖合約40キロメートルに位置し、水深が深いため、浮体式の風力発電を設置する必要がある。内務省は150万世帯分の電力をまかなえる460万キロワットの導入余地があるとみている。サンフランシスコなどに供給される見込みだ。
米国立再生可能エネルギー研究所によると、米国には着床式で15億キロワット、浮体式で28億キロワットの潜在的な導入余地がある。
世界の航空35社の2022年10~12月期の株式市場の利益予想をみると、厳しい新型コロナウイルス対策が続く中国などアジア勢7社が2カ月前より下振れした。上振れが目立つ欧米勢と対照的だ。世界の航空需要は23年にほぼコロナ前に戻るとの予測があるが、アジア勢の収益回復は足踏みしている。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.5%引き上げて4.25%にしたと発表した。利上げは7会合連続。秋以降は利上げ幅を段階的に縮小してきたが、今回は「インフレはまだ高すぎる」として前回の10月の政策決定時と同じ0.5%の引き上げになった。カナダ国債の保有を減らす量的引き締めも続ける。
同日公表した声明文では、カナダ経済の現状について「(物価に押し上げ圧力のかかる)需要超過の状態で推移し、失業率は歴史的な低水準に近い」と指摘した。10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で6.9%上がり、6月(8.1%)をピークに減速しているものの「カナダ人が定期的に購入する商品やサービスの多くは大幅な値上がりを示している」と強調。2%の物価目標を上回る期間が長引くことで物価の先高観が定着し、現実の高インフレも続く展開に警戒感を示した。
一方、個人消費や住宅投資の鈍化を例示して「金融引き締めが内需を抑制しているという証拠は増えつつある」とも指摘した。今後の政策運営については「さらなる利上げが必要かどうか検討することになる」と言及。前回の声明文では「さらなる利上げが必要になると予想している」と表現していた。景気の過度な冷え込みへの警戒感がくすぶるなか、利上げのペース減速や停止時期を探る意向もにじませた。
7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は前期比で0.6%増加した。足元で進むインフレや利上げにより個人消費の伸びが鈍化し、4~6月期の0.9%成長から減速した。
個人消費は前期比で1.1%増となり全体を0.6ポイント押し上げた。コロナ規制の緩和が進み旅行や外食などサービス消費が活発だった。ただ、2.1%増だった4~6月期から鈍化し、規制緩和が始まった2021年10~12月期以降で個人消費の伸び率は最も低くなった。
GDPの発表を受けてチャーマー財務相は声明で「豪経済はこれまで困難に耐えてきたが、今後さらに大きな難題が待ち受けている」と述べた。ロシアのウクライナ侵攻を受けた商品価格の高止まりや、主要貿易相手国である中国のコロナ政策の行方、豪州での自然災害リスクなどの影響を受ける可能性があるとした。
さらにインフレと利上げによる住宅ローン負担の上昇が成長の重荷となる懸念がある。豪準備銀行(中央銀行)は5月から8会合連続で利上げを決めた。4月に0.1%だった政策金利は現在3.1%と約10年ぶりの水準となっている。
英調査会社キャピタル・エコノミクスのマーセル・ティエリアント氏は「利上げの影響は住宅ローン金利にまだ十分反映されていない」と指摘。家計の実質可処分所得減少に伴い個人消費が鈍り、経済成長がさらに鈍化するとの見通しを示した。
BEのエコノミスト、スコット・ジョンソン氏は2023年の世界の成長率がわずか2.4%と、今年の推計3.2%から減速すると最新の分析で予測。ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギーショックの影響が続くとしている。
ただ、こうした全体の数字に隠される形で、各国・地域ごとにばらつきが生じる公算が大きい。具体的には、ユーロ圏はリセッション(景気後退)入りで23年を迎え、米国もリセッションに陥ってそのまま1年を終えると見込まれる。
一方、中国は新型コロナを徹底的に抑え込むゼロコロナ政策を予想よりも早期に解除するとともに、危機に見舞われた不動産市場への支援策を講じると想定され、成長率は5%を上回ると予測している。
来年には金融政策面でもばらつきが顕在化するとジョンソン氏は指摘する。
「米国では、賃金上昇を背景にインフレ率は金融当局の目標を上回って推移すると見込まれ、当局は5%のターミナルレート(金利の最終到達点)に向かい、24年1-3月(第1四半期)までその水準に据え置く」との見通しを示した。
また、「ユーロ圏の場合、インフレ率がもっと急ピッチで鈍化することで、ターミナルレートも低めとなり、23年末には利下げの可能性もある」と分析。中国当局については、景気回復のてこ入れを望む一方で、通貨安への懸念もあり、利下げの可能性は「限定的」とみている。
オンライン調査会社ポールフィッシュがウェブサイト、プロパティーマネジメント・ドット・コム向けに1200人を調査したところ、ミレニアル世代(26-41歳)の約4人に1人が親と暮らしている。これは、全米では1800万人程度に相当する。うち半数以上がこの1年間で実家に戻ったと回答した。
この1年に実家に戻った人たちは、家賃高騰を主な理由に挙げた。賃貸住宅に住むミレニアル世代の約15%は、税引き後収入の半分余りが家賃に回るとした。
新型コロナウイルスの流行に伴う混乱が大幅な雇用喪失や住宅コスト上昇を招き、生活環境がかつてないほど激変した。ピュー・リサーチ・センターが2020年9月公表した調査結果によれば、18-29歳の米国人の過半数が親と同居しており、これは大恐慌以来のことだという。
南米ペルーの議会は7日、カスティジョ大統領の弾劾を可決した。野党側は「道徳的な能力の欠如」を理由としていた。弾劾を受けてボルアルテ副大統領が大統領に昇格した。与党と、野党が優位の議会は鋭く対立しており、政情の混乱は今後も続きそうだ。
一院制のペルー議会(130議席)はカスティジョ氏の弾劾について、賛成101、反対6で可決した。弾劾には3分の2以上となる87以上の賛成が必要だった。ボルアルテ氏は7日午後に大統領への就任式にのぞんだ。
カスティジョ氏は7日午前、一時的な議会の閉鎖を宣言した。選挙を実施して新たな議員を選出したい考えを表明した。「新議会が選出されるまで、我々は政令で統治する」と述べ、同日夜の外出禁止令も発動した。
ただカスティジョ氏の行為は国内外から支持を受けることはできなかった。国家警察は憲法秩序を乱したとして、カスティジョ氏を拘束した。国軍と国家警察は声明で「憲法の秩序に反するいかなる行為にも従わない」との声明を公表した。
ランダ外相も「カスティジョ氏による議会閉鎖は憲法違反だ」と指摘し、辞任を表明した。在ペルー米大使館は「議会の権限を妨害するいかなる行為も拒否する」との声明を公表した。
7日開いた金融政策決定会合で、政策金利を13.75%で据え置くと発表した。据え置きは3会合連続。委員が全員一致で決めた。物価上昇率は鈍化しているものの依然として高い水準で推移していることを受けた。
政策金利のレポ金利は0.35ポイント引き上げられ、6.25%に設定された。メンバー6人で構成される同中銀の金融政策委員会は5対1で今回の利上げを決めた。ブルームバーグが調査したエコノミスト39人中、32人がこの結果を予想していた。政策委は金融緩和策からの脱却に引き続き集中することを決めたとダス総裁が明らかにした。
ダス総裁は、インドの経済成長はなお底堅く、インフレは鈍化する見込みだとしながらも、「インフレとの闘いはまだ終わっていない」と指摘した。
インドの消費者物価上昇率は3四半期余りにわたって2-6%の中銀目標を上回っている。10月には3カ月ぶりに7%を下回ったが、物価の安定確保を目指す中銀にとって満足には程遠い。
インド中銀は今年度(2022年4月-23年3月)の国内総生産(GDP)成長率見通しを従来の7%から6.8%に引き下げた。一方、インフレ率の予測は6.7%に据え置いた。
バークレイズのエコノミスト、ラーフル・バヨリア氏は「インド中銀の決定は市場予想に沿っている。利上げ幅の縮小はインフレ見通しへの安心感が強まっていることを示唆しているが、中立にギアをシフトするには不十分だ」と述べた。
幅広く注目されるマンハイム米中古車価格指数は11月に前年同月比14.2%(調整前では12.4%)低下した。自動車競売会社マンハイムが7日発表した。同月の中古車販売が10%減る中、同指数は2021年8月以来の低水準に沈んだ。
中古車値下がりの背景には米金融当局が40年ぶりの高インフレに対応するため利上げを進めていることがある。コロナ禍では半導体不足や他のサプライチェーン問題で新車、中古車ともに価格が急上昇したが、こうした問題が緩和されるにつれ、中古車を中心に在庫が膨らみ始め、カーマックスやカーバナなどレンタカー会社・自動車販売会社の販売価格や利益に下押し圧力がかかった。
●市況
日経先物(大証)27547、ダウ先33628、債先148.38、米3.439、独1.7610、仏2.228、西2.751、伊3.603、波6.503、原油72.59、ドル円136.34、墨ペソ19.68、トルコリラ18.6399、墨CDS126
※12/8 8時50分頃
備忘録(12/6)
●中国・ロシア・東欧
北京市は6日午前、大半の公共施設への入場時の陰性証明を不要にすると発表。防疫政策をより的を絞った形で運営しようと当局者が取り組む中、コロナ検査要件の緩和で上海や深圳などに追随した。
飲食店のほか、高齢者介護施設など高リスクの場所に入るには定期的な検査がなお多くで義務付けられているが、一時は主要都市の隅々にPCR検査ブースが設けられ、北京では子どもが公園に行くにも陰性証明が必要だったころに比べると、検査体制は緩和されている。
中国の債務が膨らんでいる。国際決済銀行(BIS)によると、経済規模と比べた債務残高の比率は6月末に過去最高を更新した。新型コロナウイルス対策の移動制限で景気が悪化し、地方政府がインフラ建設のため債券の発行を増やしている。一方、民間企業や家計は投資や住宅購入に及び腰だ。人口減少が始まり、成長余地が狭まっている。
EUとハンガリーは、同国での司法の独立性の侵害など「法の支配」をめぐる問題で対立。EUの執行機関である欧州委員会は、ハンガリーに対するEUの補助金など総額130億ユーロ超について、十分な改革を実施するまでは交付しないことを提案している。ハンガリーにはウクライナ問題を利用し、EU側に揺さぶりをかける思惑があるとみられる。
●中東
サウジのサルマン国王や同国首相で実力者のムハンマド皇太子らと会談する。習氏のサウジ訪問は中東を歴訪した2016年以来となる。
同通信は習氏の訪問でサウジと中国の「戦略的パートナーシップを強化する」と指摘。「経済協力の見通しなどについて協議する」などと伝えた。1100億サウジリヤル(約4兆円)相当の初期合意を結ぶ見通しという。習氏はアラブ諸国や湾岸諸国との首脳会議にも出席する見通しだ。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
IATAの6日発表の最新業績見通しによれば、航空会社の純利益は2023年に全体で47億ドル(約6400億円)となる。19年実績との比較では5分の1未満の水準だが、それでも前向きな動向だ。IATAの試算では、数年に及ぶコロナ禍の影響による損失は計1900億ドル近くに上る。
ただ回復はまだら模様になると、IATAは指摘。北米の航空会社の利益は114億ドルと、世界的な予測水準の2倍超が見込まれており、欧州と中東も小幅な利益を計上できるとみられている。一方、アジアの航空会社については中国が来年下期に国際線の運航を本格的に再開したと想定しても66億ドルの赤字が予想されている。
リセッション(景気後退)の脅威のほか、金利や原油価格を巡る不確実さも下振れリスクとなっている。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は「航空業界の利益は非常に薄い」と述べ、「航空会社の運営は引き続き厳しく、経済の不確実性を注視していくことが重要だ」と続けた。
今年の航空業界は約69億ドルの損失が見込まれている。6月時点の予想は97億ドルの損失だった。
世界の航空会社が加盟する国際航空運送協会(IATA)は6日、2023年の航空旅客が22年比1割増の42億人になる見通しだと発表した。新型コロナウイルス感染拡大前の水準にほぼ戻る。収益も改善し、23年には世界の航空会社の最終損益がコロナ後初めて黒字化する見通しだ。アジアでは一部で厳しい入国制限が残るものの航空需要は本格回復期に入った。
●その他産業
2023年3月期は対ドルで1円円安に振れると膨らむコストが前期比約2倍の合計約325億円に拡大している。火力発電所の稼働率が高まって石炭などの消費量が増えたほか、火力発電用の燃料価格の高騰や円安で輸入コストも膨らみやすくなっている。
次世代エネルギーとして開発を進める水素事業に関し、2030年度の売上高が4000億円との見通しを発表した。従来は3000億円としていた目標を上方修正した。前年の発表時点よりも水素関連事業が充実し、「去年より精緻な計画になってきた」(橋本康彦社長)ことが背景にある。
40年度に5000億円、50年度に2兆円という長期見通しは据え置いた。ただ、原田英一常務執行役員は「40年、50年の計画は変更していないが、世の中では(水素産業は)去年よりさらに拡大している」との認識を示した。
大気中からCO2を回収する技術では30年までに海外向けの事業化を目指す。回収したCO2を地下貯留する国内での実証実験を24年に始めることを目指し、INPEXと実現可能性を調査している。
●決算関連
●マクロ・その他
南アフリカ統計局は6日、2022年7~9月期の実質国内総生産(GDP)が4~6月期から1.6%増えたと発表した。洪水の影響でマイナス成長に陥った4~6月期を挟んで2四半期ぶりにプラス成長となった。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は6日の理事会で、政策金利を0.25%引き上げて3.1%にすると決定した。利上げは8会合連続。ロウ総裁は声明で「今後一定期間、さらなる利上げを予測する」との見通しを示した。
業界で最も著名なSPACスポンサーの1人であるアレック・ゴアズ氏は5日、ゴアズ・ホールディングスVIIIは材料科学テック企業のフットプリントと合併しないと発表。一方、英銀バークレイズの最高経営責任者(CEO)だったボブ・ダイアモンド氏が会長を務めるコンコード・アクイジションは、ステーブルコイン発行体との提携を取り止め、キャシー・ウッド氏率いるアーク・インベストメント・マネジメントやリテールトレーダーに打撃を与えた。
1時間足らずの間に起きたこの2件の合意撤回は、SPACブームがしぼむ中、未決の案件を抱える業界の大物でさえ合併実現への道が安泰でないことを示唆している。
SPACを中心に不確定要因が比較的大きい業界への市場センチメントは悪化しており、今年に入り55件を超える取引が中止となった。これらは事業を閉鎖する65余りのスポンサーの一角に過ぎず、なお合併を含む提携を検討している約470のチームにとっては不吉な兆しだ。
エンパイア・フィナンシャル・リサーチのエディター、エンリケ・アベイタ氏は先月のインタビューで、「センチメントは、実際に取引を完了できる能力に大きくかかっている」と指摘。持ち分を差し出して資金返還を求める投資家の動向を示す資金返還率が上昇しており、これが合意破棄が増えている大きな理由だと語った。
米証券取引委員会(SEC)による規制強化の懸念を背景に、SPAC市場では混乱が拡大。De-SPAC指数はこの1年で71%下落した。一方、S&P500種株価指数は13%の下げにとどまっている。SPACと合併した約400社中、3分の1余りが1株2ドル未満で取引されている。
短期のドル資金借り入れコストが上昇している理由は、米連邦準備制度がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標引き上げを続けるとの見通しだけではない。当局のバランスシート圧縮の影響が表れ始めているほか、その他の理由も浮上してきそうだ。
政策金利引き上げが今年に入ってからの短期金利上昇の主因であることは間違いない。米金融当局は既に3.75ポイントの利上げをし、停止するまでには少なくともさらに1ポイント引き上げるとトレーダーらは見込んでいる。しかしそれに加えて、短期金融市場で「小さいが重要なシフト」が起こっており、追加圧力を生じさせているとバンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリスト、マーク・カバナ、ケーティ・クレーグ両氏は分析する。
両氏によれば、変化は翌日物レポ市場で明白になり始めている。米国債を担保としたレポ取引は短期金融市場の重要な部分であり、その重要性は増している。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の後継金利と見なされる担保付翌日物調達金利(SOFR)は翌日物レポ金利を基に算出されるからだ。
レポ金利は現在、FF金利に比べて高くなっている。レポ市場での借り入れ需要が高いためだが、その主因は担保となる米国債を銀行などが従来よりも多く保有している一方で、現金は少なくなっていることだ。
米連邦準備制度が金利を抑えるために債券を購入していた間は、レポ取引への需要は比較的低かった。金融システムには資金があふれており、利用できる債券は少なくなっていたため、レポ金利が低下した。今年になって量的引き締め(QT)が始まった後も、当初はこれが続いた。現金は潤沢で米国債の不足は続いたからだ。
しかし最近のレポ金利上昇で、事実上レポ金利の代理的指標であるSOFRは11月末に3.82%と、米連邦準備制度理事会(FRB)のリバースレポ金利を2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回った。この差は2021年3月以来の大きさ。
BofAのアナリストらによれば、レポ金利上昇の理由は証券ディーラーが帳簿上に持つ米国債の急増である公算が大きい。アナリストらはこのトレンドが金利に上昇圧力をかけ続けると見込んでいる。ニューヨーク連銀のデータによれば、ディーラーの財務省短期証券(Tビル)ポジションは11月30日までの週に551億ドルのネットロングと、3月2日以来の大幅な買い持ちだった。
「担保が最近、現金を上回り始めた。これはQT終了まで続くだろう。このシフトについてかねてから2022年下期に予想していたが、今はより明白な証拠が見られる」とアナリストは説明した。
この動きは来年いっぱい続く見込みだ。FRBが保有債券の圧縮を続け、アナリストはさらに1兆ドルの流動性がシステムから吸収されると見積もっている。同時に、Tビルと連邦住宅貸付銀行(FHLB)債の発行増も見込まれる。
アナリストらによれば、債務上限を巡る米議会での議論に備えて財務省が発行を控える公算は大きいが、議会での合意が成立すれば発行は急増する見込み。「債務上限が雑音となるだろうが、Tビルの供給は23年に急増するだろう」とアナリストらは予想した。
中銀は6日に公表した声明で「インフレは非常に高いままだ。中銀目標の3%への収束には依然としてリスクがある」と指摘して、金利の据え置きが長期化することを示唆した。
10月の消費者物価指数は前年同月比で12.8%上昇した。2カ月連続で前月の水準を下回ったものの、引き続き食料品の値上がりが目立つ。中銀目標の中心値である3%を19カ月連続で上回っている。
チリの7~9月の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比0.3%増にとどまった。主力の個人消費が鈍化している。
6カ国は同国とセルビア、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、モンテネグロ。EUは中国やロシアがバルカン半島での影響力の拡大を図っていることを念頭に、EU非加盟の6カ国との関係強化を急いできた。
国際開発協会(IDA)から借り入れが可能な最貧国の債務を分析した。対外債務残高は21年時点で9兆ドルと約10年前の2倍に膨張。21年の債務返済額は462億ドルだった。輸出で得られる金額と比較すると約10年前の3.2%から10.3%に拡大しており、支払い負担は経済規模に比べて重くなっている。
世銀は最貧国の約6割が債務危機のリスクが高いか、すでに危機に陥っているとみている。2023年は金融引き締めの影響で、世界同時不況に陥る可能性が高まっているとも指摘している。
中国やインド、中東諸国などからの借り入れが増えており、日米欧などで構成するパリクラブ(主要債権国会議)の割合は低下している。多国間での協調が必要な債務再編は難航しており、20カ国・地域(G20)も具体的な打開策を示せていない。マルパス総裁は「債務を削減し、透明性を高め、迅速な再編を促進するために、包括的なアプローチが必要だ」と指摘した。
11月の自動車生産台数は27万8824台と前年同月比で8%増えた。7カ月連続で前年同月の水準を上回った。米国向け自動車の主要生産地であるメキシコで、半導体の供給制約で縮小した生産台数が回復しつつある。
11月の輸出台数は前年同月比4%減の23万1126台だった。1~11月の輸出台数は前年同期比6%増の262万2297台だった。11月は生産台数と国内向けの販売台数が増える一方で、米国を中心とした外国への輸出が減少に転じた。
ブラックストーンの大型プライベートクレジットファンド、「BCRED」(資産額500億ドル=約6兆8500億円)は、投資家の資金引き揚げに伴い、 2021年1月のスタート後約2年で初めて償還が四半期の上限(5%)に達した。
BCREDは、リスクの高い中規模企業向け融資やレバレッジドバイアウト(LBO)向けの資金提供を行う非上場ビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC、投資法人)で、設立後2年足らずで世界有数のダイレクトレンディングファンドに成長していた。
届け出によれば、BCREDには9-11月に発行済み投資口(株式に相当)約5%相当の償還請求があった。ブラックストーンは、投資口の買い戻し請求に100%応じる方針で、BCREDには直ちに利用可能な80億ドルの流動性があるとした。
同社の広報担当者は「BCREDは変動金利100%、優先担保付きローン94%、支払い不履行ゼロで良い状態にある。今四半期の純資金フローはプラスだ」と電子メールの発表資料で説明した。
●市況日経先物(大証)27567、ダウ先33635、債先147.91、米3.531、独1.7830、仏2.247、西2.787、伊3.640、波6.600、原油74.44、ドル円136.93、墨ペソ19.77、トルコリラ18.6314、墨CDS126
※12/7 8時30分頃
備忘録(12/5)
●中国・ロシア・東欧
日系自動車大手3社の11月の中国新車販売台数が5日出そろった。トヨタ自動車は前年同月比2割減、ホンダは4割減、日産自動車は5割減と落ち込んだ。新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策が生産や販売に響いた。12月に入りコロナ対策の緩和が一部進むが、販売回復につながるかは不透明感がある。
●中東
アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領は5日、カタールを訪問し、タミム首長と会談した。UAEは2017年にカタールと断交。昨年1月に国交を回復して以降初めての訪問となる。
UAEの国営首長国通信(WAM)によれば、会談では、「相互の関心分野と両国関係の強化」について協議。関係修復をアピールする狙いとみられる。
UAE、サウジアラビア、バーレーン、エジプトの4カ国は17年、カタールの「テロ支援」やイランとの融和的な関係などを理由に断交に踏み切ったが、クウェートや米国の仲介で21年に和解した。
サウジの国営石油会社サウジアラムコは、アジア向けアラビアン・ライトの1月積み原油公式販売価格(OSP)を1バレル当たり2.20ドル引き下げ、中東産原油の指標価格を1バレル当たり3.25ドル上回る水準とした。
アラビアン・ライトのOSPは、今年3月以降で最も低い水準となった。ブルームバーグが石油精製業者など5社を調査したところでは、2.10ドルの引き下げが予想されていた。
●感染症
病院など一部の場所を除いて、米国でマスク着用義務は全ての州ですでに撤廃されている。だが、感染拡大を受けて再び導入する可能性が出てきている。中西部イリノイ州では10以上の郡でマスク着用が勧告される高水準の集団感染に達した。
西部カリフォルニア州ロサンゼルス郡では感染の急拡大を受け、保健当局のバーバラ・フェレール氏が2日の記者会見で屋内のマスク着用義務を復活させる可能性に言及した。病床使用率が10%以上になり、人口10万人あたり1日平均の入院患者が10人を上回れば再導入する。
新型コロナに対する警戒感は低下している。英誌エコノミストとユーガブが11月19~22日に米国の成人を対象に実施した共同世論調査によると、重症化するリスクを含めて新型コロナに感染する恐れについて、27%が「全く心配していない」、32%が「あまり心配していない」と答えた。
同じ調査では自宅の外でマスク着用を「全くしない」と答えた人は44%に上り、「必ず着用する」と答えた17%を大きく上回った。専門家の多くは感染予防にマスク着用が効果的だと指摘している。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
2024年3月期の建機需要について「各国の経済成長率の鈍化やインフレ率の高止まりが予測されており、(鉱山向けを除く)一般建機の需要は厳しくなりそう」との見通しを示した。地域別では「欧州や北米が心配な一方、東南アジアなどの新興国は堅調」と話した。
北米は利上げによる住宅着工の減速、欧州はロシアのウクライナ侵攻による供給網の混乱などが住宅関連の需要の下押し圧力になるとみる。一方、資源価格の高止まりを背景に鉱山機械は、世界的に引き合いが強い状況が続くと予想した。
建機の電動化に向けて、24年3月期までに栃木県小山市の工場に約30億円を投資し、水素エンジンや水素燃料電池の試験設備を整備すると表明した。コマツは30年までに水素など多様な動力源に対応した超大型ダンプトラックの市場導入を目指している。
●決算関連
●マクロ・その他
円高予想の多くは米金利が急速にピークに近づいており、当局は景気下降局面に利下げを迫られるという見方に基づいている。ジュピター・アセット・マネジメントやアバディーンなどのファンドは、来年はその可能性が高いとみている。
アバディーン・スタンダード・インベストメンツの植田八大プロダクト・スペシャリスト部長は、米当局が2023年に速やかに比較的ハト派寄りの姿勢へと転換するだろうとみており、円が1ドル=130円まで上昇すると予想。ドルには今年のような上昇の原動力がないと指摘した。
11月の非製造業(サービス業)景況感指数は前月から2.1ポイント上昇し、56.5になった。改善は3カ月ぶりで、低下を見込んだ市場予想を上回った。サービス消費の底堅さは高インフレや米連邦準備理事会(FRB)の利上げの長期化につながるとの観測から、5日の米株式相場は大幅安になる場面があった。
主な項目では新規受注が小幅に前月を下回った半面、企業活動の指数は大幅な伸びを示した。雇用は拡大し、サプライヤーの納期に関する指数は改善をみせた。サービス分野の企業が負担するコストにあたる価格指数は若干下げたものの、高止まりしている。
PNCフィナンシャル・サービシズ・グループのカート・ランキン氏は「ISMのサービス業の指数が50に向けて落ち込むまでFRBはインフレ再燃を警戒し、積極的な金融引き締めが必要と判断しうる」と指摘した。
推定65兆ドル(約8820兆円)の「見えない」ドルを米国外の機関が通貨デリバティブを通してバランスシート外に保有しており、次の金融危機の予測を困難にしていると、国際決済銀行(BIS)が指摘した。
BISの報告によれば、この短期の見えない借り入れは年金基金などが外貨スワップなどのデリバティブで借り入れた「所在が分からないまま膨張しつつある巨額の」債務の一部を成している。
BISがこれを問題視しているのは、外貨スワップが世界的な金融危機と新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期の両方において発火点だったからであり、いずれの危機もドル資金調達にかかるストレスで各国中央銀行は借り手支援の介入を余儀なくされた。
「大規模な簿外債務の存在を何人のアナリストが認識しているかさえ不明だ」と、研究員のクラウディオ・ボリオ、ロバート・マコーリー、パトリック・マグワイア3氏はこうしたドル債務に関する情報の欠落は政策当局者を不利にしていると指摘する。
「従って危機時には、金融システムで円滑な短期ドル・フローを回復するための中銀スワップラインといった政策が、視界不良の中で設定されることになる」と論文で説明した。
豪中銀は6日の政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を0.25ポイント引き上げ3.1%とするとの予想がエコノミストの間で大勢だ。さらに1、2回の追加利上げを見込むエコノミストがいる一方で、豪州経済を過度に減速させることなくインフレを落ち着かせるとの同中銀の目標を踏まえ、来年には同中銀が利上げを一時停止すると予想する向きもある。
これに対し、NZ中銀はここまで合計4ポイントの利上げを実施し、追加引き上げが見込まれている。米連邦準備制度も3月から計3.75ポイント引き上げており、こちらもさらなる利上げが予想される。両中銀はインフレ抑制でリセッション(景気後退)入りリスクも辞さない構えだ。
HSBCホールディングスの豪州・NZ担当チーフエコノミストで豪中銀に勤務した経歴を持つポール・ブロクサム氏は「中銀間の相違は一部経済状況の差と反応関数の違いを反映している。NZのインフレ問題はより根深いものと見られ、住宅市場のサイクルもさらに極端だ」と指摘した。
豪州ではNZと米国が経験しているほどの賃金上昇圧力が見られないことも重要な点だ。NZの労働コスト指数の伸びは年初から3%を上回り続けているが、豪州の統計は前四半期に2%レンジを抜けたに過ぎない。
インフレ率については、豪州中銀の予想は今四半期に8%でピークを打ち、その後の2年間は鈍化傾向となり、2025年になってようやく2-3%目標に戻るとの見方を示している。これに対しNZは、今四半期と来四半期に7.5%でピークとなり、その後は積極的な利上げサイクル見通しを背景により急速に減速すると予想されている。
ブラジルのルラ次期大統領が外交攻勢に動いている。11月にはエジプトでの第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)に参加したほか、月内に訪米してバイデン大統領と会談する意向だ。外交には消極的だった現職のボルソナロ大統領からの「転換」を鮮明にする狙いがある。
米ブラックストーンが運用し運用成績が好調な個人投資家向け非上場ファンドからも資金が流出し始めた。金融危機前の米住宅バブル崩壊とは様相が異なるが、投資家はリスクの高まりに備えている。
●市況
日経先物(大証)27702、ダウ先34029、債先147.69、米3.586、独1.8830、仏2.326、西2.865、伊3.750、波6.681、原油77.50、ドル円136.55、墨ペソ19.73、トルコリラ18.6308、墨CDS126
※12/6 9時00分頃
備忘録(12/2-4)
●中国・ロシア・東欧
ヘインズ米国家情報長官は3日、中国全土で厳しい行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策への抗議活動が広がる中、習近平中国国家主席の指導力が問われているとの見方を示した。行動制限を緩和して国民の不満を和らげるためには、効果が高い欧米製ワクチンを輸入すべきだが、習氏が受け入れに消極的だと非難した。
ヘインズ氏はカリフォルニア州で講演し、中国共産党は感染拡大を徹底的に封じ込める強制的措置を続けることで一党支配の正統性をアピールしてきたと指摘。その上で、ゼロコロナ政策に固執してきた習氏の対応について「西側諸国から良いワクチンを受け入れず、ほとんど効果のない中国製ワクチンに頼っている」と批判した。
また、中国で抗議デモが発生し、公然と政権批判が行われるのは異例の事態だと言及。「中国政府は統制能力が高いという習氏のシナリオに反する動き」だとした上で、打開策を打ち出せるかが「習氏の立場にとって極めて重要だ」と強調した。
EU加盟国のエストニア政府の声明によると、設定価格はまず2023年1月半ばに見直し、定期的に点検する。価格の上限を見直す際は、市場の平均価格よりも5%低くすることで合意した。
上限を1ドル引き下げれば、ロシアの収入が約20億ドル(約2700億円)減るという。当初案は1バレル65ドルだったといい、同国のカラス首相は「戦争のためのロシアの資源を枯渇させることは、我々の存亡にかかわる問題だ」と合意を歓迎した。
EUのフォンデアライエン欧州委員長はビデオ声明で、12月5日時点でEUやG7諸国はロシア産の海上輸送による石油の輸入を停止すると説明。価格上限を設けることで「新興国や途上国が限られた価格でロシアの原油を入手し続けられるようにするためだ」と主張した。
中国の習近平国家主席は同国で現在まん延している新型コロナウイルスについて、致死率が比較的低いオミクロン変異株だとの認識を示した。欧州連合(EU)のミシェル大統領と1日に北京で会談した際の発言だとして、EU当局者が明らかにした。
両首脳の会談について説明を受けたというこの当局者によると、習主席は、オミクロン変異株はより毒性の強いデルタ変異株のようなものではないと述べた。中国当局が新型コロナに関する制限措置を緩和する計画があると、習主席がミシェル大統領に明確に示すことはなかったとも語った。当局者は非公開情報だとして匿名を条件に話した。
情報が正式に確認された場合、この発言は習主席が新型コロナウイルスの弱毒化を初めて公に認めたものとなる。中国の指導部がこれまで3年にわたって続けてきた厳格な「ゼロコロナ」政策を一段と緩和する方向に向かう可能性も示唆する。
ニューヨークの助言会社テネオ・ホールディングスのマネジングディレクター、ガブリエル・ウィルダウ氏は「これは、中国がゼロコロナ政策からの出口戦略の下準備を進めつつあることを示す新たなサインのように見える。習主席ら党指導部にとって、コロナ政策のいかなるシフトも公衆衛生上の判断であり、抗議デモからくる政治面での圧力に基づくものではないと国内外に伝えることは重要だ」と指摘した。
中国・上海市は4日、新型コロナウイルスの規制措置の一部を緩和した。北京や深圳、広州といった中国の一級都市で過去数日間に規制緩和の動きが続いていた。中国各地でロックダウン(都市封鎖)に抗議するデモが広がった後で、当局は本格的な経済再開に向けて政策転換を進めている。
上海市の発表によると、公共交通機関や屋外施設の利用でPCR検査義務付けを5日から撤廃する。中央政府の政策と状況の展開に従って、規制の「最適化と調整が続けられる」という。
多くの省都も新型コロナ規制の緩和を発表した。雲南省昆明は4日から市民がPCR検査の結果を提示せずに公共交通機関を利用することを認める。広西チワン族自治区の南寧ではホテルと観光地を除いて公共の場所に入るための検査義務を撤廃した。
黒竜江省ハルビンは3日遅い段階で、公共の場を訪れる場合に検査結果がもはや要求されないとし、同市を離れる人は48時間以内にPCR検査を一度受ける必要があると発表した。従来は2度の検査が必要だった。
国営中央テレビ(CCTV)によると、新疆ウイグル自治区ウルムチ市のスキー場と歩行者用の通りも4日に再開された。同市では先月の住宅火災で10人余りが死亡し、抗議デモ拡大のきっかけとなった。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフ中国エコノミスト、閃輝氏らは4日のリポートで、主要都市での緩和措置が中国のゼロコロナ政策撤廃とは解釈できないが、「中国政府が出口を準備し、コロナ規制の経済的・社会的コストを最小限にしようと努力している明確な兆候と見ている」と述べた。
中国で新型コロナ規制を緩和する省都が拡大した。中国各地でロックダウン(都市封鎖)に抗議するデモが広がった後で、当局は本格的な経済再開に向けて政策転換を進めている。
雲南省昆明は4日から市民がPCR検査の結果を提示せずに公共交通機関を利用することを認める。広西チワン族自治区の南寧ではホテルと観光地を除いて公共の場所に入るための検査義務を撤廃した。
黒竜江省ハルビンは3日遅い段階で、公共の場を訪れる場合に検査結果がもはや要求されないとし、同市を離れる人は48時間以内にPCR検査を一度受ける必要があると発表した。従来は2度の検査が必要だった。
北京や深圳、広州など中国の一級都市も過去数日間に部分的に規制を緩和した。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフ中国エコノミスト、閃輝氏らは4日のリポートで、主要都市での緩和措置が中国のゼロコロナ政策撤廃とは解釈できないが、「中国政府が出口を準備し、コロナ規制の経済的・社会的コストを最小限にしようと努力している明確な兆候と見ている」と述べた。
3日の深圳当局の声明によると、同市では公共交通機関やドラッグストア、公園、屋外の観光スポットなどを利用する際にコロナ検査証明書はもはや必要ではない。3日終了週は先に北京と南部の広州でも一部制限が緩和された。
●中東
風紀警察は2006年に当時の保守強硬派、アハマディネジャド政権下で取り締まりを始めた。イランでは1979年のイスラム革命以降、女性は公共の場で髪を覆うことが求められている。風紀警察はこうした服装の決まりが守られているかどうかを町中で監視する役割を担う。
風紀警察の廃止が事実なら、当局側はデモ参加者や抗議者に一定の配慮を示した格好になる。ただ、2カ月以上継続しているデモは女性の自由を求めるだけでなく、ライシ政権や最高指導者ハメネイ師への反発につながっており、デモが収束に向かうかどうかは不透明だ。風紀警察に代わる組織が取り締まりを強める可能性もある。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は5日、世界の軍事企業に関する報告書を発表した。2021年の販売額は7年連続で増えたが、新型コロナウイルスの感染拡大によるサプライチェーン(供給網)寸断を受け、低い伸びにとどまった。SIPRIは22年はロシアのウクライナ侵攻が混乱に拍車をかけ、兵器の増産ペースに影響が出るとの見通しを示した。
21年の上位100社の兵器の販売額は5920億ドル(約80兆円)と20年比で1.9%(実質)増えた。新型コロナ感染拡大前の4年間の年平均増加率(3.7%)を下回った。主因は新型コロナによる供給網の制約だ。
米ゼネラル・ダイナミクスや欧州エアバスなど一部の企業は労働力不足に直面した。ユーロ圏の10月の失業率は6.5%と過去最低を記録した。
22年はロシアのウクライナ侵攻で、SIPRIは「供給網の状況は一段と悪化する可能性が高い」とみる。世界の分断が深まり、従来通りの材料調達や生産、輸送が難しくなっているためだ。
ロシアは武器生産に欠かせないアルミニウムや銅、鉄、チタンなどの原材料の主要供給元になっている。西側諸国はロシアに経済制裁を科し、鉄鋼製品の輸入などが制限されている。世界的な半導体不足もなお尾を引いている。
一方で西側諸国は自らの軍備を増強したり、ウクライナに供与したりしているため、兵器需要は急増している。米国は10月までにウクライナに携行型の対戦車ミサイル「ジャベリン」を8500基提供したが、これは通常ならば4年分の生産量に相当するという。
SIPRIのベロシュドロー氏は取材に「軍事企業は政府の増産要求と供給網の混乱の板挟みにある」と語り、生産が需要に追いつくのに数年かかる可能性があるという。
各国・企業は調達先の多様化を急いでいる。北大西洋条約機構(NATO)は10月の国防相理事会で、兵器や装備の備蓄を増やすことを決め、産業界との協議に入った。供給網の混乱は、米欧各国の兵器の補充計画を狂わせ、ウクライナとロシアの戦いにも影響が出る懸念がある。
上位100社を国別で見ると、ロッキード・マーチンを筆頭に5位までを米国企業が独占した。米企業は100社のうち40を数え、販売額も全体のほぼ半分を占めた。6位は英国のBAEシステムズが続き、7~11位には中国企業がつけた。
中国を含むアジア・オセアニア地域の企業は21社が上位100位に入り、販売額は1360億ドルと5.8%増えた。うち、中国企業は8社で地域の総額の8割を占め、アジアの市場拡大をけん引した。日本企業は三菱重工業など4社が入った。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
11月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は市場予想を上回る増加となり、賃金は前月に比べて伸びが加速した。インフレ圧力の根強さが示された格好で、米金融当局が政策金利を一段と引き上げる可能性が高まった。
平均時給は前月比0.6%増と、市場予想の2倍の伸び。今年1月以来の大きな増加率だった。10月分も0.5%増(速報値0.4%増)に上方修正された。11月は前年同月比では5.1%増加。市場予想は4.6%増、10月は4.9%増(速報値4.7%増)に同じく上方修正された。
みずほのエコノミスト、アレックス・ペレ氏らは「今回の統計の要点は、労働市場が依然として極めてタイトで、非常にゆっくりとしたペースで緩和しているに過ぎないということだ」とリポートで指摘。「景気は底堅く、一段の利上げや景気抑制策の長期化に対応可能であることを示唆している」と記した。
11月の雇用者数は娯楽・ホスピタリティーやヘルスケア、政府部門などで特に増加した。一方、小売りや運輸・倉庫などでは雇用が減少した。
予想を上回る雇用者数の伸びは、金利が上昇しリセッション(景気後退)懸念が高まっている中でも雇用市場の強さが続いていることを示す。労働需給のミスマッチがなかなか解消されない状況は、賃金上昇を引き続き下支えしている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、アナ・ウォン、イライザ・ウィンガー両氏は「平均時給の伸び加速は、労働者不足が依然としてインフレ圧力を強めていることを示す」と分析。「労働市場の調整が緩慢であることを踏まえると、米金融当局は9月のドット・プロット(金利予測分布図)で示したターミナルレートの予測を引き上げざるを得ない公算が大きい」と指摘した。
労働参加率は62.1%に若干低下し、4カ月ぶりの低水準。25歳から54歳までの労働参加率は3カ月連続で低下した。女性の参加率低下が目立った。
新たに成立した法律は鉄道労働組合員によるストライキを禁じることで米国の物流のマヒを阻止する目的がある。また、バイデン政権が9月、労使交渉の仲裁のために提示した賃上げなどの条件が盛り込まれている。鉄道労働者の最大の不満のひとつであった有給の病気休暇を法案に追加する措置も検討されたが、上院で否決された。
バイデン氏は「貨物鉄道は米供給網の中枢を担う」と強調し、「法案に署名することで米経済にとって壊滅的な打撃を回避することができた」と述べた。一方、有給の病気休暇が盛り込まれなかったことについて「まだ仕事は残っている。鉄道労働者だけでなくいずれは米国のすべての労働者に有給の病気休暇を提供したい」と表明した。
OPECを主導するサウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は11月21日「現行の日量200万バレルの減産は2023年末まで続く」と改めて表明していた。そのうえで「需給均衡のため減産のさらなる措置が必要な場合、常に準備はできている」と含みを持たせている。
今OPECが警戒を強めるのは、世界の原油需要の減速だ。OPECは11月、22年と23年の需要見通しを日量10万バレルずつ引き下げ、中国のゼロコロナ政策や欧州経済への逆風を理由に挙げた。
日経先物(大証)27690、ダウ先34459、債先147.98、米3.492、独1.8160、仏2.295、西2.859、伊3.758、波6.378、原油80.34、ドル円134.30、墨ペソ19.39、トルコリラ18.6327、墨CDS124
※12/2 NY引け値
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