備忘録(12/30-1/2)
●コロナ
2021年12月31日の新規感染者数(7日移動平均)は38.6万人になり、4日連続で過去最多を更新した。わずか1週間で2倍以上に増え、感染力の強い変異型の「オミクロン型」が急速に広がっているとみられる。
12月31日は米東部のニューヨーク州やニュージャージー州、南部のフロリダ州などの新規感染者数(同)が再び過去最多を更新した。西部のカリフォルニア州でも1年ぶりに最多を更新するなど、地域的な広がりもみせている。
いち早くオミクロン型が確認された南アフリカで感染者数が大幅に減り始めている一方、米国では感染症の専門家から一段の流行を懸念する声が上がっている。
バイデン米政権のファウチ首席医療顧問は21年12月29日の米CNBCで、感染拡大のピークについて「米国の国土の広さやワクチンの接種者と未接種の混在を考えれば数週間以上かかり、おそらく22年1月末までに迎えるのではないか」と述べた。
オミクロン株の広がりに伴い、世界各国で行動制限の強化が相次いでいる。ジンバブエはレベル2のロックダウン(都市封鎖)を1月半ばまで延長する。フィリピンは首都マニラで1月3日から15日まで行動制限を強める方針だ。政府当局者は、過去数日で感染者が「急激に」増えたとしている。
一方、南アフリカ共和国では、オミクロン株が主流の感染第4波で持病や呼吸器疾患を抱える患者の入院が「著しく減少」しているという。同国最大の民間病院ネットワークを運営するネットケアが明らかにした。南アは検査での陽性率が19日連続で20%超となっていたが、当局は感染拡大を抑えるための各措置を緩和した。
人口1300万人の中国・西安市では厳格なロックダウン(都市封鎖)にもかかわらず、デルタ株中心の感染拡大が収まる気配がない。1日に170人余りの感染が確認されたのに続き、2日も新規感染者が120人を超えた。その多くは過去に感染した人との濃厚接触歴がない。
オーストラリアで人口2位のビクトリア州では新規感染者が7172人と、過去最多だった前日の数字を下回った。同州では引き続きオミクロン株が主流となっている。
ドイツの新規感染者は1万2515人と前日の2万6392人の半分未満に減少した。ロベルト・コッホ研究所(RKI)のデータが示した。コロナに関連する死者数は46人増え計11万2155人となった。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
今週始める予定の第5世代(5G)移動通信ネットワークの新サービスをさらに延期するよう要請した。航空機の電子機器に干渉することで安全性へのリスクとなり得ると航空会社から指摘されたことが理由。FAAは12月23日、新たな周波数帯で開始される予定の5Gサービスが航空機の安全な運航に悪影響を及ぼす恐れがあると航空各社や空運業者に警告していた。
実際に減らした場合、地銀の営業経費は全体の2割にあたる5000億円以上圧縮される見通しだ。人口減少が進むなか、店舗効率を高めると同時に経営資源を再配置し、デジタル化などで金融サービスを向上することが地銀経営の課題になる。
米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が出資する米テラパワーと米エネルギー省の開発計画に、日本の原子力機構などが参加する。
テラパワーはワイオミング州に2028年の運転開始をめざして高速炉を建設する。高速炉の出力は34.5万キロワットで、米政府に20億ドル(2300億円)近くの補助金を求めている。プロジェクトにかかる費用の半分程度を占めているという。
高速炉は高速の中性子による核分裂反応を使って通常の原子力発電所よりも効率的にプルトニウムなどを燃やす原子炉。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する核燃料サイクルに欠かせない施設の一つとされる。
●決算関連
2021年12月期の売上高が前期比29%減の6340億元(約11兆4千億円)程度になる見込みだと明らかにした。通年で減収となるのは直近10年間で初めて。米政府による規制の影響で、スマートフォンの出荷が大きく落ち込んだことが響いた。
ファーウェイは米政府が20年9月に輸出規制を強めて以降、スマホに使う高性能な半導体の調達難が続く。同年11月には規制の影響を避ける狙いで低価格ブランド「オナー」を売却し、残る「ファーウェイ」ブランドのスマホの生産も低調なままだ。20年4~6月期にはスマホの世界出荷台数で初めて首位に立ったが、21年に入ってからは5位圏外に転落している。
ファーウェイはスマートウオッチなどの端末の販売や、電気自動車(EV)関連の技術開発などに注力し、スマホ事業の落ち込みを補う狙い。独自に開発した基本ソフト(OS)「鴻蒙(ホンモン、英語名ハーモニー)」の利用拡大にも力を入れており、同OSを搭載した自社端末は2億2千万台、対応する他社の端末は1億台を超えた。
●マクロ・その他
演説は昨年11月11日に党が40年ぶりに「歴史決議」を採択した際に行った。習氏は80年代末から東欧や旧ソ連で次々に社会主義体制が崩壊し「中国でも89年に深刻な政治風波(騒ぎ)が発生した」と天安門事件に言及。「党は断固とした措置で、党と国家の生死存亡がかかる闘争に打ち勝った」と述べ、弾圧を正当化した。
習氏は、当時の最高実力者の故鄧小平氏が「中国の社会主義が倒れさえしなければ、社会主義は世界で生き残れる」と語ったと紹介。「あの時のドミノ倒しのような変化の中で中国共産党による指導体制が崩れれば、中華民族復興の歩みは断たれただろう」と述べた。
欧州委は1日の発表文で未来へのエネルギー移行を促進する手段として「天然ガスと原子力の役割がある」として、両エネルギーを持続可能と位置づける考えをにじませた。
日本経済新聞が入手した原案によると、原子力は生物多様性や水資源など環境に重大な害を及ぼさないのを条件に、2045年までに建設許可が出された発電所を持続可能と分類する方針を示した。
天然ガスは①発電1キロワット時あたりのCO2排出量が270グラム未満②CO2排出の多い石炭の代替とする③30年までに発電所の建設許可を得る――などを条件に持続可能と認める。
原子力依存度の高いフランスやフィンランドに加え、石炭への依存度が高い東欧諸国が原子力やガスをタクソノミーに含めるよう訴えていた。ポーランドは電源構成に占める石炭の割合が約7割を占め、排出減には原子力とガスが欠かせないと主張していた。
同省は声明で「輸出禁止が強制されない場合、1万850メガワットの電力を供給する20の発電所が危機に陥り、国家経済の安定を乱す」と説明した。インドネシアでは電力を安定的に確保するため、石炭事業者に年間生産量の25%を電力企業などに回す国内供給義務を課しているが、守られていないとしている。
インドネシアは発電の6割を石炭火力に依存している。ただ、世界的な電力用の一般炭の需要拡大を受けて、輸出が伸び、国内への供給が追いつかなくなっている。インドネシア政府は2021年8月にも、石炭事業者34社が国内供給義務を順守していないとして、輸出禁止の制裁措置を科していた。
インドネシアは20年に4億トン超の石炭を輸出した。輸出先は中国が3割を占め最大で、インドが24%で続く。日本、韓国、台湾などにも輸出する。ロイター通信はアナリストの見方として「今後、数週間で世界の石炭価格が上昇し、インドネシアの顧客がロシア、オーストラリア、モンゴルに流れる可能性がある」と伝えた。
中国は世界第2位の経済大国に成長した。その陰で格差問題が深刻になった。新たな指導部の経済政策は、社会主義の色彩が強まりそうだ。
クレディ・スイスによると中国富裕層の上位1%による富の占有率は00年に20.9%だったが、15年に31.5%まで高まった。20年は30.6%になったが、過去20年間の上昇幅は日米欧やインド、ロシア、ブラジルよりも大きい。
習指導部はこれまでに小康社会(ややゆとりのある社会)と脱貧困の達成を宣言した。国内の所得格差を縮める共同富裕の推進に重点を置く。
関心を集めるのが、日本の固定資産税にあたる不動産税の試験導入だ。中国の家計資産の6割は住宅だ。複数物件を所有する人の2軒目以降が課税対象となりそうだ。試験期間は5年。習指導部はモデル都市での実験を踏まえ、全国展開を視野に入れる。
ただ、障害は多い。試験都市の候補には広東省深圳市などが挙がるが、北京市は外れる公算が大きい。党高官やその親族が所有する物件が多く、政治的な反発が強いためだとされる。政府の不動産金融への規制強化などでマンション市場が冷え込んだことも逆風だ。
配当や資産譲渡益など資本所得への徴税を強化するとした。ぜいたく品や嗜好品に課す消費税の対象も広げる。この会議の後に、IT(情報技術)企業の創業者らがこぞって寄付を申し出たが、高所得者や成功を納めた企業からの寄付は税制優遇を通じて促す方針だ。
習指導部が分配を重視する背景には、成長率の鈍化もある。中国人民銀行(中央銀行)の試算では、21年に5.7%の潜在成長率は22年に5.5%となり、25年には5.1%まで下がる。中国経済の成熟で機械の導入など資本投資による成長の押し上げ効果が小さくなるとともに、長年の産児制限による働き手の減少が成長の足かせになる。
高齢化は大きな問題だ。20年の国勢調査によると、男性の法定退職年齢である60歳以上の人口は10年から5割近く増えた。22年からは大量退職が本格化する。多数の餓死者を出した大躍進政策後に生まれたベビーブーム世代の男性が60歳に達するからだ。社会保障制度の見直しを含め、急速な少子高齢化への対応は喫緊の課題だ。中国政府は、25年までの5カ年計画の主要課題に法定退職年齢の引き上げを盛り込んだ。
21年の振り返りでは、11月の党の重要会議で習氏の権威を大幅に高める「歴史決議」を採決したと強調。22年は「平穏で健全な経済環境や、風通しの良い政治環境、国民が安心する社会環境の維持に力を入れ、党大会を迎える」として、経済政策に力を入れる考えを示した。
新年を祝う会とは別の国民向け年頭所感も公表し、台湾政策に関して「祖国の完全な統一は両岸(中台)の同胞がともに願っていることだ」と主張した。21年の年頭所感にはなかった発言で、米欧の台湾問題への「介入」に譲らない考えを改めて強調した。
中国の対外債務は昨年7-9月(第3四半期)に167億ドル(約1兆9220億円)増えた。外国人投資家がオンショア人民元建て債の購入を増やしたことが一因。9月末時点の対外債務残高2兆7000億ドルのうち中長期の債務が占める割合は約47%と、6月末時点から3ポイント拡大したと説明した。
オフショア投資家によるオンショア債保有の拡大は、金融市場開放での成果と中国経済見通しに対する投資家の信頼感を反映していると、王氏は指摘した。
王氏はさらに、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や一部先進国で見込まれるテーパリング(資産購入の段階的縮小)が突き付ける課題を指摘。当局は対外債務の規模および構造を注意深く監視し、国境を越える資本移動に伴うリスクへの警戒を続けると述べた。
競合国の生産能力が回復し、輸出金額を押し上げた物価上昇が徐々に和らぐ中で、輸出の増加は鈍る可能性があると指摘。今年の輸出の伸びが大きくなった反動もあるとした。
任次官は為替リスク管理に関する貿易企業の意識や能力を高めると表明。政府は国際物流やサプライチェーン問題による影響を和らげる取り組みも強化するとし、商品供給を積極的に確保する方針を示した。
●市況
日経先物(大証)28865、ダウ先36226、債先151.69、米1.512、独▲0.1815、仏0.193、西0.568、伊1.168、原油75.35、ドル円115.07、墨ペソ20.49、トルコリラ13.2995、墨CDS90
※12/31 NY引け値
備忘録(12/28-30/15:00)
●コロナ
28日の新規感染者数は7日間の移動平均で1カ月前に比べて6割増の約93万人となり、過去最高となった。前回の世界の感染のピークは4月下旬の約82万人だった。世界の新規死者数の7日間の移動平均は約6400人で、1カ月前に比べて約8%減った。「オミクロン型」は、肺では比較的ウイルスが増えにくいとする香港大学の研究もあるほか、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究によると「デルタ型」に比べて入院リスクが40~45%低いといった特性がある。新型コロナワクチンの3回目の接種(ブースター)が有効とされ、欧米などではブースター接種も始まった。
英政府は29日、新型コロナウイルスの1日の感染者が約18万3千人だったと発表した。フランスでも20万人を突破し、英仏ともに過去最多となった。英イングランドでは9割近くが変異型「オミクロン型」で、入院患者の増加ペースは限られている。死者も足元では減少傾向にある。仏政府の28日時点のまとめによると、過去24時間の死者数は290人。20人以下だった11月時点よりは悪化しているが、500人以上が亡くなっていた20年4月と比べると低く抑えられている。
29日の新規感染者数は7日間の移動平均で1カ月前に比べて3.7倍の30万人超となり、過去最多を更新した。累計感染者数は29日に5365万人を超え、1カ月前に比べて約10%増えた。東部ニューヨーク州は1日の新規感染者数が28日に約6万7000人と過去最多を更新した。
感染拡大の最大の理由はオミクロン型の存在だ。米疾病対策センター(CDC)によると、25日時点で全体の58.6%をオミクロン型が占めており、41.1%のデルタ型を初めて上回った。オミクロン型の比率は18日時点の22.5%から2倍以上に拡大した。
29日の新規死者数は7日間の移動平均で1500人あまりにとどまり、感染者数に比べると増加ペースが小さい。米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)は9割以上のオミクロン型の感染者は症状が出ないと指摘している。
●中国不動産
中国恒大集団は日本時間29日に米ドル債2億5520万ドル(約290億円)の利払い期限を迎えた。米ブルームバーグ通信は「支払われた様子はない」と報じた。恒大は中国政府の全面的な関与のもと、外貨建て債務の再編と住宅プロジェクトの完工・引き渡しを目指している。ともに難航が予想され、経営再建には長い時間がかかる見通しだ。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
自社グループの調達網について、強制労働などの人権侵害がないかを確認する監査を2022年度から始める。NTTは約4万社ある取引先のうち、富士通やNEC、米アップルなど約130社の大口調達先からの購入が9割を占める。まず国内外の約130社の大口調達先を中心に、年間40~50社について直接確認する。対応に不備があれば是正を求め、応じない場合は取引停止を検討する。
2019年に施行された法律により、売上高が1億豪ドル(約83億円)を超える企業や投資会社は、サプライチェーンにおける奴隷制のリスクをどう管理しているか詳述し、誰でもアクセス可能なデータベースに報告書をアップロードすることが義務付けられている。企業は問題解決のために取った手順の概要を示す必要もある。これは英国やフランスの法律よりも踏み込んだもので、米国などは今後自国で取り得るアクションのひな型として研究している。
サプライチェーンの細部を追跡することの困難さや、順守しない場合でもペナルティーが科されないことを考えると、豪州の政策は現代の奴隷制をなくすための万能薬ではないとポーター氏らは語る。それでも、同国のプログラムは、アップルやマイクロソフト、ユニリーバといった世界的企業が抱える労働問題を浮き彫りにし、対策を講じる際の企業側の姿勢の変化も明らかにしつつある。
韓国メディアは同国コングロマリット、サムスングループにバイオジェンが身売り交渉中だと報じた。韓国経済新聞が匿名の関係者を引用して伝えたところによれば、バイオジェンは買収についてサムスングループに打診した。
バイオジェンの担当者は市場のうわさや臆測にはコメントしないと述べた。サムスングループのバイオテクノロジー部門、サムスンバイオロジクスの広報担当は報道について、うわさだと述べ、それ以上のコメントを避けた。同社は規制当局への届け出で、買収交渉中だと伝えた韓国経済新聞の報道内容は事実ではないとして否定した。
ブルームバーグの集計データによると、同社の身売りが実現すれば、現時点で今年2番目の規模の買収であるメドライン・インダストリーズ(340億ドル)を上回る見込み。
バイオジェンはアルツハイマー治療薬「アデュヘルム(一般名アデュカヌマブ)」について、有効性を示す証拠が不十分だとする専門家の反対を押し切る形で当局の承認を獲得した。ただその後も効果を巡る議論や年間5万6000ドルのコストを考慮し患者や支払者が使用に二の足を踏んだため、アデュヘルムの売り上げは振るわず、同社は卸売価格を半額に引き下げている。
サムスングループとバイオジェンの間には既に提携関係があり、サムスンバイオロジクスとバイオジェンは低価格のバイオシミラー(バイオ後継品)の製造に注力する合弁会社サムスン・バイオエピスを設立している。
UOBケイ・ヒアン(香港)のエグゼクティブディレクター、スティーブン・レオン氏らマーケットウオッチャーはセンスタイム株の大幅高の一因として、短期の投機的な買いを挙げる。
国信証券(香港)の程嘉偉バイスプレジデントは、「きょうの大幅上昇は妥当なバリュエーションが理由だろう。現時点で市場がホットなテーマを欠く中で、投資家はこうした有名銘柄を買って1日か2日で利益を上げることを望んでいる」と分析。「だが、センスタイムがなお多くの悪いニュースに直面する中、こうしたトレンドは続かないだろう」との見方を示す。
●その他産業
●決算関連
中国の配車サービス大手、滴滴グローバルは7-9月(第3四半期)決算で47億ドル(約5400億円)に上る多額の純損失を計上した。中国当局の一連の措置によってコストがかさんだ。同社は香港市場上場へのシフトを余儀なくされている。
滴滴のアプリは7月上旬、米国での新規株式公開(IPO)直後に中国のアプリストアから削除された。中国のサイバーセキュリティー当局は当時、個人情報の収集・使用の方法に問題が見つかったと説明していた。同社は運転手の待遇改善やデータ管理向上に関する新たな要件対応を迫られ、7-9月の支出が16%増えた。
主力の百貨店事業が9~11月期に5四半期ぶりに営業黒字となった。
店舗別では、外出や出張の自粛で苦戦していた大丸東京店(東京・千代田)や大丸梅田店(大阪市)といった主要駅併設の店舗は、9~11月の売り上げが20年比でプラスに転じたが、コロナ前の19年比ではマイナスが続く。逆に外商顧客に強い大丸神戸店(神戸市)は9~11月の売り上げが19年水準を超えた。今後はいかに富裕層を取り込めるかがさらに重要となる。
●マクロ・その他
英国の欧州連合(EU)離脱「ブレグジット」ならぬ「ポレグジット」という言葉が欧州を駆け巡っている。英国に続きポーランドがEUを離脱するのではとの臆測だ。発端は10月、ポーランド憲法裁判所がEU基本条約の一部が同国憲法と「相いれない」としたことだった。フォンデアライエン欧州委員長は「法的秩序の統合への挑戦」と反発。欧州議会のサッソリ議長は資金支援停止を求めた。
それでもポーランドは「脅迫には屈しない」(モラウィエツキ首相)と簡単には譲らない構えだ。業を煮やしたEUは今月22日、法的措置に着手する方針を発表したが、両者の溝は埋まらずポレグジットはくすぶったままだ。
22年はEUがさらに不安定になる可能性がある。EUの欧州統合を支えてきたドイツ、フランスの2大国が内向きになるリスクを抱えるためだ。
ドイツでは緑の党出身のベーアボック外相は中国やロシアに批判的な姿勢で知られ、経済とのバランスを重視するショルツ氏との足並みの乱れも懸念される。
フランス大統領選(22年4月)の世論調査では2~4位は全員が右派という顔ぶれだ。2位以下の候補が移民規制や排斥を訴える中、マクロン氏も支持獲得に向け移民の管理強化や、自国農業の保護を意識してEUがニュージーランドやチリと進めている貿易交渉を棚上げするようEUに求め始めた。大統領選の結果次第では、フランスがEUの柱である「域内の人の移動の自由」や「自由貿易」のブレーキ役に転じる可能性もある。
EUはセルビアや北マケドニアなどバルカン半島諸国の新規加盟を模索する。東方拡大で人権や民主主義といったEUの基本的な価値観を広げるためだ。一方で加盟国が増えるほどポーランドやハンガリーのように政権が強権化し遠心力が働くかもしれない。
2025年までに世界の先進レベルに追いつき、同産業全体の売上高について年率20%を超える成長を目標に掲げた。米中対立の長期化をにらみ、国際競争力を持つ世界大手をつくりだし、米国の経済制裁に影響されない「製造強国」をめざす。
20年の全体の売上高は1000億元(約1兆8000億円)に達したが、基礎的な技術力や高い技術水準を備えた製品の生産に弱みがあることから、ロボット産業の技術革新の能力を高めることを目標にした。
ロボットを工業、サービス、特殊型の3分類にして成長戦略を示した。工業ロボットでは自動車、航空宇宙、交通、半導体など製造分野を中心に開発に力を入れる。サービス型ロボットでは、手術などの医療用のほか、農業や鉱業、建築現場向けなどを強化する。特殊ロボットでは暴動対応や治安向けなどに注力する。
用途開発では、自動車、電子機器、機械、建材、医薬、物流、教育などを引き続き強化する分野に選んだ。これから用途開発を本格的に開拓する分野としては、鉱山、石油、農業、電力、建築、航空、宇宙、船舶、原子力、治安などを挙げた。
今年のラウンド数は昨年を最大5%上回り、新型コロナウイルス禍前の3年間(17-19年)の平均よりも約20%高くなる見通しだ。
特に注目すべきなのは、新規参入者の35%が女性ということだ。今やジュニアゴルファー(18歳以下の真剣なアマチュア)全体の3割を女子が占める。
そのため、ゴルフ用品会社の売り上げが増加していることも納得できる。「タイトリスト」と「フットジョイ」の親会社アクシネットの7ー9月(第3四半期)の純売上高は前年同期比8%増の5億2200万ドル(約600億円)となった。
米男子ゴルフのタイガー・ウッズのデザイン事業および自身の会社を率いるボー・ウェリング氏は、エンターテインメントとしてのゴルフという考えがビジネスに浸透しつつあると指摘。「トップゴルフはこれまでゴルフ業界に起きたことで最高のことだ」とし、「同社はゴルフクラブを一度も手にしたことがない人を取り込み、おじけづいたり恥ずかしい気持ちにさせない方法を考え出した」と述べた。
香港大学アジアグローバル研究所の陳志武所長は「中国のハイテクセクターにとって最良の時代はもはや終わった。米資本市場にアクセスしなければ、同セクターの歴史は大きく異なっていただろう」と述べた。
一方、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)の創業者、張一鳴氏は今年、純資産が195億ドル増えた。この数字は同社に出資するソフトバンクグループの届け出で示されたバリュエーションに基づく。資産増はバイトダンスが非上場を維持し、市場の混乱の影響を回避したことが一因だが、当局の締め付けが強まる中で張氏が目立たないよう努めてきたことも寄与した。同氏は5月、最高経営責任者(CEO)を退任すると発表し、先月には取締役からも退いた。
習近平国家主席の「共同富裕」の呼び掛けに応じ、個人資産が減っても慈善活動を強化した資産家もいる。 中国のスマートフォンメーカー、小米の創業者、雷軍氏とフードデリバリー事業を展開する美団の創業者、王興氏はそれぞれ22億ドルと23億ドル相当の株式を寄付した。
ブルームバーグ・ニュースがまとめたデータによると、中国の資産家による慈善団体への寄付額は今年1-8月に少なくとも50億ドルと、前年の中国全体の実績を20%上回った。
ジャック・マー氏ら業界の立役者が影を潜める中、中国テクノロジー業界は今後の新たな成長に向け中核的な戦略を刷新する必要があると陳所長は指摘。「過去20年間の栄光の時代をもたらした要因を業界が見直して内省した後、いずれかの時点で再び良い時代がやってくると思う」と付け加えた。
●市況
日経先物(大証)28845、ダウ先36367、債先151.64、米1.543、独▲0.1875、仏0.191、西0.563、伊1.155、原油76.63、ドル円115.15、墨ペソ20.60、トルコリラ13.2226、墨CDS93
※12/30 15時40分頃
備忘録(12/27)
●コロナ
従来は感染から10日間の隔離が必要だったが、無症状の場合は5日間に短縮し、その後5日間はマスク着用を求める。濃厚接触者の隔離期間も見直し、コロナワクチンの3回目の追加接種(ブースター接種)を受けた人は隔離を不要にして10日間のマスク着用を求める。
保健局は子どものワクチン接種を急ぐよう保護者に呼びかけるとともに、5歳未満の感染を防ぐために周囲がワクチン接種や十分な対策を講じるよう求めている。
新型コロナウイルスの陽性率が0.5%を超えたための措置。
ブースター(追加免疫)接種のほか、従来より頻繁な新型コロナウイルス検査を義務付ける。米大手投資銀行でオフィス復帰を最も積極的に推し進めている1行である同行は、ニューヨークで新型コロナ感染者が急増する中でもオフィス復帰方針を堅持する。
●中国不動産
26日夜の発表資料によれば、同社の不動産プロジェクトの92%近くがこれまでに再開された。9月初め時点でこの比率は50%前後だった。建設が再開されたプロジェクトに携わる労働者の数は8万9000人と、9月から31%増えたという。
ウェブサイトに掲示された同資料によれば、許家印会長は自社の会合で、12月に集合住宅3万9000戸を引き渡す目標の達成に向け、「全力疾走」する必要があると発言。ただ、9月以降、同社の月平均引き渡し戸数は1万戸を下回っている。
許会長は「建設と生産、作業をうまく再開できれば、購入者への住宅引き渡しや販売・営業の再開が可能になり、何とか債務を履行できる」と指摘。また、リフォーム業者などの提携先と長年の建材供給業者の80%余りがこれまでに恒大との協力を再開したと述べた。
恒大はドル建て債2本のクーポン、計約2億5500万ドルの支払いが28日に迫っている。2022年にはオンショア債とオフショア債計約74億ドル相当が満期を迎える。同社のオフショア・ドル建て債の大半が額面1ドルにつき23セントを下回る水準で取引されている。
恒大は2023年償還債(表面利率7.5%)で5040万ドル(約57億9000万円)相当、25年償還債(同8.75%)で2億480万ドル相当のクーポンをそれぞれ支払う必要がある。ブルームバーグ・ニュースが確認した起債資料によれば、恒大にはデフォルトが宣言されるまでに30日間の猶予期間がある。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ZHD傘下のヤフーは1日、同社のサービスでのTポイントの利用と付与を終了すると発表
「持続可能な航空業界への、長い道のりの第一歩だ」。米ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は1日、ワシントンDC近郊のロナルド・レーガン空港で、「持続可能な航空燃料(SAF)」を使って飛行した旅客機を前にこう力を込めた。100人超の乗客を乗せた米シカゴ―ワシントン間の運航で、2つあるエンジンのうち1つをSAFのみで満たした。SAFと従来型ジェット燃料に運用上の差がないことを証明した。
SAF活用は喫緊の課題だが、世界の全航空燃料に占めるSAFの比率は1%以下。生産技術やコストの面で欧米メーカーが先行しており、国内航空大手も海外から調達せざるを得ないのが現状だ。
遅ればせながら日本でも、日揮ホールディングスとコスモ石油などが廃食油由来の国産SAFの商用プラントを建設し、25年から供給する。IHIは30年をめどに微細藻類から商用生産を始める方針だ。
東洋エンジニアリングや三菱パワーなども、木質バイオマス原料から生産する計画。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が中心となって、各社の開発を資金面や基礎技術の連携で後押しする体制を整える。
ユーグレナはミドリムシなどを原料にSAFを製造するが、本格的な販売は25年以降になるとみられる。現在の価格は1リットル当たり1万円。海外メーカーなどは同200~1600円程度でコストは高い。25年めどに完成する商用プラントの量産効果と、原料となるミドリムシの培養増などで200円以下まで引き下げる考えだ。
新型コロナウイルスの感染拡大で既に人員不足に陥っているところに、寒波が追い打ちをかけた。
オミクロン変異株を中心とする新型コロナ感染拡大の波が引き続き懸念され、航空株の重しになっている。ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスはオミクロン株に関連する人員配置の問題で、27日のフライトの約2.9%が欠航となったと明らかにした。
滴滴が現・元従業員に対し、保有する自社株の売却を無期限に禁止する措置を講じたと報じた。
6月の新規株式公開(IPO)後180日間売却を制限するロックアップ期間の終了日が27日となっており、これと同日に従業員による保有株の売却禁止措置が講じられたことになる。
ウーバー・テクノロジーズやソフトバンクグループ、テンセント・ホールディングス(騰訊)といった外部投資家は27日に株式を売却することが可能だが、ここ数カ月売り圧力が続いていることから、多額の損失を被る可能性が高いという。
●その他産業
S&Pグローバル傘下のキュージップ・グローバル・サービシズを現金19億ドル(約2180億円)で買収することで合意した。キュージップは株式などの銘柄にCUSIPなどの証券識別コードを付番する。
●決算関連
●マクロ・その他
年初に比べて5割ほど高い。世界的な半導体不足で新品の納入が遅れ、代わりにレンタル市場で調達する動きが増えた。
2020年8月の大統領選では現職のルカシェンコ氏が6選を決めたと発表されたが、直後から政権による不正を訴える大規模な抗議運動が広がった。同氏は国民の不満をかわそうと、21年2月の演説で改憲のための国民投票を行うと表明した。反政権派を排除して7月下旬に素案をまとめ、今回は正式な改憲案を明らかにした。
全ベラルーシ国民会議は政財界や地方、社会団体などの代表が集まる協議機関で、これまでは憲法の規定がなかった。改憲案では「社会と国家発展の戦略的方針を定める国民権力の最高機関」と明記した。大統領が憲法違反や国家反逆の罪を犯した場合に解任できるなど強い権限を持たせる。
ルカシェンコ氏は12月23日、改憲を問う国民投票について、2月後半に実施する方針を示した。改憲後には新たな大統領選や議会選を実施し、自らの権限を委譲する考えも述べてきた。仮にルカシェンコ氏が次期大統領選に出馬しない場合も、全ベラルーシ国民会議を支配することで、院政を敷くことが制度的に可能になる。
2022年に外資系自動車メーカーの乗用車分野の出資規制を撤廃すると発表した。18年に電気自動車(EV)など新エネルギー車、20年に商用車の規制を撤廃済みだ。4年をかけて、計画通りにすべての自動車領域で出資規制がなくなることになる。
自動車分野は従来、外資が中国国内で自動車を製造する合弁会社の出資比率を最大50%に制限し、新エネ車以外を除いて合弁会社数も原則2社までと定めてきた。世界最大の自動車市場となり、海外から早期の開放を求める声が多かった。
規制緩和によって、EV大手の米テスラは全額出資子会社を設立し、19年に中国で生産を始めた。独フォルクスワーゲン(VW)も20年、中国企業と組んだEV合弁会社の出資比率を50%から75%に引き上げた。
今回の規制撤廃を受け、独BMWは中国合弁会社の出資比率を引き上げる見通し。高級車を手掛ける遼寧省瀋陽市にある折半出資会社の出資比率を22年に75%まで高める予定を打ち出している。
トヨタ自動車やホンダ、日産自動車も中国で現地企業との折半出資会社を運営する。経営の自由度は高まるが、「合弁相手である中国側との信頼関係を重視し、出資比率の引き上げは慎重に考える必要がある」(日系大手幹部)との声が多い。
新疆ウイグル自治区のトップである党委員会書記に馬興瑞広東省党委副書記(62)を充てる人事を発表した。学者出身の馬氏は故郷が習国家主席夫人の彭麗媛氏と同じ山東省菏沢市で、順調に出世の階段を上がってきた。今回の人事は習氏の権力基盤固めの一環との見方が多い。
中国で外国からの投資が禁じられている産業に関わる中国企業は、国外上場で規制当局から認可を得る必要がある。来年1月1日発効の外国投資に関する新たなネガティブリストが公表された。
11月の工業利益は前年同月比9%増。10月は24.6%増加だった。1-11月では前年同期比38%増えた。
商品高を背景に、石炭生産や原油供給を手掛ける企業の利益はいずれも1-11月に前年同期比200%超える増加となったが、電力・熱の減益幅は1-10月から拡大した。
統計局のシニア統計学者、朱虹氏は声明で「コスト圧力はなお比較的強い」と分析しながらも、半導体不足の緩和や市場での需要改善で自動車や一般機器メーカーの減益幅は11月に縮小したとも指摘した。
欧州以外の企業によるポーランドメディアの保有について規制を厳しくする内容で、同国議会が12月中旬に可決していた。米メディア大手ディスカバリー系で、政府に批判的なポーランドの独立系大手放送局「TVN」を狙い撃ちにしたとみられており、国内外から批判が出ていた。
米国がこの法案を強く批判していたためで、ひとまず対立激化を回避した。
ドゥダ大統領は27日、「この法律が施行されれば、米国と締結した経済、貿易関係の条約に違反する可能性がある」と懸念を表明した。
年末商戦の消費の底堅さを好感し、百貨店大手メーシーズやホームセンターのホームデポ、高級衣料のラルフローレンなどに買いが集まった。
相場を下支えしたのは、米マスターカードが26日、決済データをもとにまとめた米年末商戦の売上高データだ。
カナダ北部で今季の最低気温となるマイナス51度を記録。米オレゴン州は23日、気温低下や大雪の影響を踏まえて緊急事態宣言を発令した。アラスカ州やカリフォルニア州では大雪などの影響で大規模な停電が発生した。
一方、南米ブラジルでは大雨による洪水被害が広がっている。北東部バイア州の当局によると、11月から続いた大雨の影響で同州の少なくとも18人が死亡し、280人以上が負傷した。25日には2つのダムが決壊し、さらなる被害を引き起こしている。
●市況
日経先物(大証)28882、ダウ先36129、債先151.91、米1.481、独▲0.2415、仏0.125、西0.511、伊1.119、原油75.67、ドル円114.76、墨ペソ20.70、トルコリラ11.5858、墨CDS94
※12/28 9時15分頃
備忘録(12/24-26)
●コロナ
ジョンズ・ホプキンズ大学とブルームバーグの集計データによると、世界の新型コロナ感染者数は2億7900万人、死者数は539万人を上回った。ブルームバーグのワクチントラッカーによれば、世界のワクチン接種は計89億回を超えた。
ニュージーランドでは、クリスマスイブからの2日で感染数が2倍に増えた。アイルランドは買い物や他世帯の人との屋内での接触を避けるよう市民に呼び掛けた。
オーストラリアでは最も人口の多いニューサウスウェールズ州で、クリスマスの感染者数が過去最多を記録した。シンガポールではオミクロン株感染のクラスターが発生。当局は国内感染の広がりを警告した。
CNNによると、米国での1日当たりのオミクロン変異株の感染者数がデルタ株を超えた。フランスでは1日当たりの新規感染数が10万件を超えている。
中国では1日当たりの新規国内感染症例が158件と、1月以来最多となった。なお感染者ゼロを目指す同国政府にとって、陝西省での感染拡大が最大の課題の一つになっている。
●中国不動産
中国恒大集団の許家印会長は26日夜に開いた会合で、12月に集合住宅3万9000戸を引き渡す目標の達成に向け、「全力疾走」する必要があると語った。同社の発表資料で明らかになった。
・装飾関連の提携先と長期的な建材供給業者の80%余りが恒大との協力を再開
・プロジェクト再開と住宅購入者への引き渡しに向けて最大限の努力をすれば、恒大は販売と営業を再開し、債務を履行できると許会長
許家印主席の恒大物業集団株の持ち株比率が60.96%から58.18%へ低下したことが香港取引所に提出された資料で明らかになった。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
クレディ・スイスはこの文書で、米新興建設会社カテラが保証した約4億4000万ドル(約500億円)相当の債券に投資していたと説明。カテラの主要な出資者だったソフトバンクGは「2020年遅くにカテラの債務再編を画策」し、両社はグリーンシルとともに「カテラの売掛債権を帳消しにすることで不適切に合意し、クレディ・スイスに支払われるはずの残額は免除されることになったとされる」と主張した。その代わり、グリーンシルがカテラ関連企業の株式を受け取ったという。
●その他産業
ウォルマートが運営する「サムズクラブ」のアプリで「新疆」という言葉で検索しても何も出てこないことを示すスクリーンショットが拡散された。微博のユーザーはサムズクラブで以前は新疆産のリンゴなどを買ったことがあり、ウォルマートが新疆産品を在庫から除外したと主張している。
●決算関連
●マクロ・その他
中国人民銀行は実体経済への支援拡大を保証し、金融政策をよりフォワードルッキングで的を絞ったものにすると表明した。
金融政策委員会は24日に易綱総裁の下で会議を開催。中銀は不動産セクターの「健全な」成長を促進し、住宅購入者の権利を保護するとともに住宅需要をよりよく満たすよう取り組む目標も再確認した。
当局は適度に潤沢な流動性を保ち、与信の伸びを安定させる方針も重ねて示した。また、経済を安定させるため国内総生産(GDP)に対する負債比率であるマクロレバレッジ比率を基本的に一定に保つ。国内経済が需要減退と供給混乱、期待低下という3つの衝撃に直面しているとの中央経済工作会議の指摘も繰り返した。
25日の声明で、金融政策手段をより「積極的に」活用すると説明。金融政策の量的かつ構造的機能を十分に活用する方針を示した。市場流動性の調整や一部のグループを対象とした政策にも言及した。
インフレ圧力は「経済成長に一段と基づくようになっており」、単にエネルギー価格高騰やロックダウン(都市封鎖)解除による経済再開の結果ではないと分析。市場と中央銀行の両方がそれを認識していると述べ、インフレ圧力の説明で「一過性」という用語の使用を取りやめた米金融当局の判断に言及した。また、「中銀は反応関数を変えており、オミクロン変異株感染の波から来る成長の下振れリスクよりもインフレリスクを優先させている」と指摘した。
世界における人民元の影響力増大は、中国が世界経済と結び付きを深めている新たな兆しだ。米国債の代替として中国国債に引き付けられる投資家も増えており、ドルとユーロ、円と共に人民元もグローバル準備通貨の仲間入りを果たすと予想する銀行もある。だが人民元の潜在力を打ち消しているのが、中国自らによる不透明な政策決定や規制を通じた締め付けだ。人民元に近づき過ぎると、しっぺ返しを食らう恐れもある。
「中国は新興国市場の安定や成長見通しにとって極めて重要な要因になろうとしている」とPGIMのプリンシパルエコノミスト、マグダレナ・ポーラン氏(ロンドン在勤)は指摘。「中国からの輸出に依然として大きく依存している中南米やアジア、南アフリカなどの国にとって、成長を安定させるという中国当局の意思は非常に重要だ」と述べた。
ブルームバーグがまとめたデータによると、人民元とMSCI指数構成通貨の相関係数は10年末の0.24から今年9月には週間ベースで0.81に上昇。今月23日は0.72だった。
もちろんこうした相関性は、人民元が下落し始めれば、他通貨を押し下げる可能性を意味する。22年は米国や英国、オーストラリアの中央銀行が引き締めに動くと見込まれる中で、中国人民銀行は金融緩和を進めると予想されており、政策の開きが大きなリスクを生みつつあるようにも見える。
米連邦準備制度が利上げを開始すれば、人民元は特に大きな課題に直面することになる。米利上げがドル高を招き、新興国からの資金流出につながり得るからだ。人民元はそれでも今のところ、国内外の金融政策に対し相対的な強靱さを示している。
JPモルガン・プライベート・バンクによれば、中国経済はここ10年で世界の成長に一段と大きな影響を及ぼすようになると同時に、新興国市場にとっても極めて重要な存在になっている。世界銀行のデータに基づくブルームバーグの算出では、名目ドルベースでの世界の国内総生産(GDP)における中国のシェアは、20年時点で17%と、10年前の8%から倍以上に拡大している。
李克強首相主宰の国務院常務会議を引用し、国営新華社通信が伝えたところによると、中国の景気回復に「重要な貢献」を果たしてきた貿易の急速な伸びは、不確実性や不均衡が増す見通し。このため、中国当局は人民元の安定を確保し、企業が為替リスクを管理しやすい手助けを行う。
人民元は今月に入り、貿易相手国通貨に対して2015年以来の高値を付けており、中国の輸出競争力を損なう恐れが出ている。経常・資本勘定への資本流入で元は対ドルで今年これまでに2.5%上昇している。
中国人民銀行(中央銀行)は今月、外貨預金準備率を引き上げたほか、投機的な動きを防ぐため人民元の中心レートを市場予想より元安水準に設定している。23日の中心レートは14営業日連続でブルームバーグ調査の予想平均より安い水準だった。24日も予想より低ければ、18年以降の集計データの下で最長となる。
新華社によると、銀行には的を絞った形で為替フォワード取引を実行するよう促した。中国が人民元相場をどのように安定させる考えなのか詳細は示されなかった。
農業政策を巡り「いかなる時も食べ物は自分たちの手中になければならない」と食料確保の重要性を強調した。
これを受けて25、26日に北京で開かれた農業政策に関する党と政府の重要会議では、輸入依存度が高い大豆や植物油などの大幅増産を指示。2022年の主食系作物の生産量を6億5千万トン以上とすることを確認した。
政府は介入を否定しているが、対外純資産の急激な落ち込みは、2年余り前にも行われたオペレーションと同様の裏口介入が実施されたことをおそらく示唆している。当時は国営金融機関がリラを支えるためにドルを売った。
ブルームバーグが金融当局の日々のバランスシートを基に試算したところ、先週17日時点で対外純資産は8億1700万ドルだったが、今週21日にはマイナス51億ドルと純負債に転落した。
CEBRは、世界のGDPは新型コロナウイルス禍からの継続的な回復によって押し上げられると予想。ただインフレが持続した場合、各国・地域の政策立案者がリセッション入りを防ぐのは難しい可能性があると指摘した。
「2020年代の重要な課題は、世界経済がインフレにどう対処していくかだ」とCEBRのダグラス・マクウィリアムス副会長は語り、「比較的穏やかなかじ取りで非一過性の要因がコントロールされることを期待する。それが不可能なら、世界は2023年もしくは2024年にリセッションに備えなければならないだろう」と続けた。
欧米は衛星写真などを基に、ロシアがウクライナ国境付近に約9万人の部隊を集結させ、年明けにもウクライナに侵攻する可能性があると主張してきた。今回の撤収が欧米とロシアの間の軍事的緊張の緩和につながるかは不明。
イスラエルのメディアによると、ベネット首相は同日、「バイデン米政権はこの政策に変更がないことを明確にした」と主張した。同時に「ゴラン高原がイスラエルのものであることは言うまでもない」と述べた。
イスラエル首相府は声明で、入植者住宅を向こう5年で7300戸つくるとし「目標はゴラン高原に住む(入植者)2万3千人を倍増させることだ」とした。ゴラン高原にはユダヤ人入植者のほか、シリア系のイスラム教ドルーズ派の住民らが住んでいる。
調査対象期間は11月1日から12月24日。実店舗、オンラインともに売り上げが伸びた。消費者は今年、サプライチェーン問題が小売業者に影響を及ぼしていることを意識して例年より早い時期にギフト選びを開始。店舗側もホリデーシーズンの買い物を活性化させようと販促活動を増やした。
衣料品は前年比47%急増。宝飾品は32%、電子機器は16%それぞれ増えた。この3つのカテゴリーはいずれも、新型コロナウイルス禍前の2019年水準と比べても20%以上伸びたことになる。
百貨店の売上高は前年比21%増、2年前との比較でも11%増を記録した。オンラインでの販売は前年比11%増えた。
新興国が今年の世界の国債パフォーマンスで上位を占めた。2021年の世界46カ国・地域が発行した国債のランキングでは、南アフリカ共和国、中国、インドネシア、インド、クロアチアが上位5位となった。米国債利回りが13年以来の大幅な上昇となり、通貨のキャリー取引や新興国株に打撃を与えたにもかかわらず、これら国債はこうした影響を払いのけた。
●市況
日経先物(大証)28820、ダウ先35832、債先151.88、米1.493、独▲0.2535、仏0.118、西0.517、伊1.121、原油73.72、ドル円114.39、墨ペソ20.62、トルコリラ10.9914、墨CDS94
※12/24 NY引け値
備忘録(12/23)
●コロナ
米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)は23日までに、米国で2022年1月1日~3月1日に合計で新型コロナウイルスの新規感染者が1億4000万人発生するという予測を示した。世界では今後3カ月で30億人以上、ピーク時の1月には1日に3500万人以上が感染する可能性があるという。感染力が高い変異型「オミクロン型」の流行で感染者数が増えるが、重症者数はデルタ型に比べて少なくなる見通しだ。
一方で重症者の比率はこれまでの変異型よりも低くなる見通しだ。IHMEのクリス・マリー博士は「90%以上のオミクロン型の感染者は症状が出ないだろう」と指摘している。多くの感染者は無症状のまま感染に気づかず、検査をしない可能性が高いという。
テキサス州ヒューストン郊外にある大型の製油所で火災が発生し、4人が負傷した。
アストラゼネカ製ワクチンの研究は、同社とワクチンを共同開発した英オックスフォード大学の研究者が独自に実施した。3回目の接種を受けた人の検体を調べたところ、オミクロン型への感染を防ぐ中和抗体の量が、かつて主流だった「デルタ型」に対する2回接種後の水準と同等まで高まった。
●中国不動産
運用会社、北京鼎諾投資管理の張志軍会長によれば、同社は保有していた分が満期となった5月以降は恒大債を購入していない。
張氏は「恒大の本土債の回収率を試算しようとしてみたことがあるが、理財商品やバランスシート外のファイナンシングが多過ぎるので購入は見合わせた」と話した。
張氏はまた、中国の不動産開発業者は販売減速による苦境が続くだろうと指摘。「投資信託と資産運用会社は本土の不動産会社債を大量に売り、債券価格は過去最低に急落している。これが発行市場での借り入れコストのほか、ローンや信託商品のコストを押し上げ、経営難の不動産会社のキャッシュフローをさらに圧迫する負の連鎖が起こるだろう」と語った。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
FDAは23日、米製薬大手メルクなどが開発した新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」について、重症化リスクの高い大人を対象にした緊急使用を承認した。すでに英国では承認されており、米国では22日に承認されたファイザー製に続く2例目となる。既存の点滴薬などに比べて利便性が高く、治療法としての期待が高まっている。
メルクが11月に公表した臨床試験(治験)の最終分析では、入院と死亡のリスクを30%減少させることが確認された。リスクを50%減少させるとした10月公表の中間分析から有効性が低下した。FDAが11月末に開いた第三者委では、一部参加者から有効性の低下やデータ不足などについて懸念の声もあり、承認手続きに時間がかかっていた。
●その他産業
米連邦航空局(FAA)は来月5日に新たな周波数帯で開始される第5世代(5G)移動通信ネットワークサービスが航空機の安全な運航に悪影響を及ぼす恐れがあると警告した。
通信業界や米連邦通信委員会(FCC)はこれまで、5G通信が脅威になることはないとの見解を繰り返しているものの、FAAと航空各社は運航障害やその他の影響があり得るとして警戒感を示している。
●決算関連
●マクロ・その他
ブルームバーグがまとめた船舶位置情報によると、少なくとも10隻のLNGタンカーが欧州に向けて航行中。最終目的地を明らかにしていないものの、大西洋横断に向かっているとみられるタンカーはさらに20隻ある。欧州最大のガス供給国であるロシアからの流入量は減っているが、米国産のLNG供給が不足分を埋める一助になりそうだ。
欧州のガス価格は年初から6倍余りに急騰した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から経済が立ち直り需要が増加する中でロシアの供給が減少したうえ、メンテナンス作業の遅れや発電所の運転停止も拍車を掛けた。欧州の価格は米国の13倍以上にも上り、アジアに比べても珍しく高水準となっている。
イングランド銀行(英中央銀行)は来年1ポイントの利上げをし、年末の政策金利は1.25%になるとトレーダーらが予想している。ポンドのオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)の動きが示唆した。
マネックス・ヨーロッパのシニア市場アナリスト、サイモン・ハーベイ氏は「2022年のインフレ環境と物価上昇圧力の持続性への懸念は妥当だ。世界の中央銀行は過去1カ月にこれを認め始めた。ただ、現況に照らして英中銀の政策金利1.25%はちょっと無理があるようにわれわれには思われる」と話した。
中銀は政策金利が0.5%に達した時点で量的緩和(QE)下で購入した債券の満期償還金の再投資をやめ、1%に達すれば売却もあり得るとしている。
MUFGの通貨アナリスト、リー・ハードマン氏は「市場参加者が1%を大きく上回る政策金利を織り込もうとしないのには、来年の量的引き締め開始見通しについて思案が続いている可能性を示唆している」と指摘した。
「来年に最大4回の利上げを見込む英金利市場は現時点で正しいと思う」とも述べた。
中銀はこの議事要旨で、輸出が増加基調を強めていることから来年は経常黒字が見込まれると予想した。
政府は人権侵害に使われる恐れがある先端の監視技術について米欧などと連携し、輸出規制を検討する。バイデン米政権が監視技術の輸出を管理する多国間の枠組みについて表明したことを受け、協議に入る。顔認証などの監視に使われる製品は日本企業が強みを持つ分野の一つだ。中国やロシアといった強権国家で疑われている弾圧などの人権侵害行為に悪用されるのを防ぐ。
11月の個人消費支出(PCE)物価指数は総合指数が前年同月比5.7%上昇し、1982年7月(5.8%)以来約39年ぶりの高い伸びとなった。変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率も4.7%と89年2月以来の水準に高まった。
インテルは今月、新疆ウイグル自治区の労働力や製品を使用しないようサプライヤーに書簡で要請。その後、中国で同社に対する批判が広がった。
中国共産党系の新聞、環球時報は匿名のアナリストの話として、中国当局による措置はないものの、今回の一件は、中国市場で利益を得たいと考えている一方で中国の核心的利益を損ねようとするインテルなどの外国企業に対する「新たな警報」になると伝えた。
11月の国内ホテルの平均稼働率は、前月に比べ8.8ポイント高い59.2%だった。「Go To トラベル」事業が実施されていた2020年11月を上回り、新型コロナウイルスの感染が広がった同年3月以降で最高となった。需要は回復途上で、価格を下げて稼働率確保を図る動きがみられる。主力市場の東京は52%、大阪は51.6%だった。
2022年1~3月期の国内粗鋼生産量が前年同期比1.9%増の2415万トンになるとの見通しを発表した。前年同期比の増加は四半期ベースで4期連続となる。半導体不足や部品の調達難で減産していた自動車生産が回復し、粗鋼需要が増えるとみる。21年度の粗鋼生産は、前年度比17.3%増の9706万5千トンに増える見込み。新型コロナウイルス感染拡大前の19年度の生産量(9842万トン)には届かなさそうだ。
普通鋼鋼材の部門別は、自動車向けが7.4%増の281万6千トンと伸びる。「自動車メーカーが半導体や部品不足から脱して、(減産分を取り戻す)本格的な挽回生産をするとみている」(松野課長)
需要の落ち込みが続いていた造船向けも、13.9%増と大きく回復する見込み。コロナ禍からの経済や流通の回復で、輸出向けの船舶を中心に受注が増えるとしている。
下振れへの警戒も必要になる。松野課長は「コロナの新型株に加え、車の挽回生産が計画通りに進むかも注視する」と警戒感を示した。世界最大の粗鋼生産国の中国にも言及し、「恒大集団問題による建築向け鉄鋼需要への影響や、冬場の電力制限による鋼材の添加材供給の動向が心配」と述べた。
プーチン氏は会見で「NATOのこれ以上の拡大は受け入れられない」と強調した。ロシアはウクライナがNATOに加盟すれば自国の安保が大きく損なわれると反発してきた。プーチン氏は、東欧諸国を加盟させないというNATOの約束が過去に破られてきたとして「ひどくだまされた」と不信感を口にした。
航空運賃や旅行パッケージの料金、レモンなど食料品の価格が上昇した。上昇率は11月後半(7.7%)よりも低く、事前の市場予想を下回った。
販売価格(中央値)は41万6900ドル(約4800万円)で前年同月比18.8%上昇した。経済調査会社パンセオン・マクロエコノミックスのエコノミストは、中古住宅の値上がりが、新築住宅価格の上昇圧力になっていると指摘。その上で、新築住宅の在庫が増えてきていることから、現在の急騰ぶりは過剰でまもなく調整があるとの見方を示した。
民間航空機・同部品が34.1%伸び、全体を押し上げたほか、自動車・同部品も1.0%増と良好だった。これら変動の激しい輸送関連を除いても受注は0.8%増と堅調だった。同様に変動の激しい国防関連を除くと2.0%増加した。
一方、企業の設備投資の先行指標とされる「航空機を除く非国防資本財」(コア資本財)は0.1%減り、9カ月ぶりにマイナスとなった。
ビジネス機器の受注は軟化したものの前月までは好調が続いており、生産性と生産能力の向上を目的とした民間投資の力強いパターンが依然示唆される。在庫薄と記録的な働き手不足に供給網の問題が重なる中、企業は生産性を上げて強い需要に応じようとしている。
民間航空機の受注は34.1%増加した。ボーイングは11月の航空機受注を109機と発表。前月は10機だった。前月比ベースの耐久財受注は必ずしもこれを反映するとは限らない。
強制労働で生産されたものではないと企業が証明できる場合を除き、中国・新疆ウイグル自治区からの産品の輸入が禁止されることになり、中国との緊張は増しそうだ。
新疆ウイグル自治区は衣服に使用される綿花の主要産地で、太陽光パネルの原材料となるポリシリコンの生産でも重要な地位を占める。世界的なサプライチェーンへの影響が大きい同地域で、イスラム系の少数民族ウイグル族らが抑圧されていることが懸念され、同法案の成立が後押しされた。
この成立で、新疆産の製品を米国で使用している企業は対応を迫られる。成立前からすでに、米インテルが新疆の労働力や製品を使用しないようサプライヤーに要請し、その後謝罪するなど、物議を醸していた。
同法案は、新疆でのウイグル族や他の民族弾圧で中国政府に加担している企業・団体のリスト作成を国土安全保障省に義務付けている。米税関・国境警備局(CBP)局長が例外として認めない限り、同自治区からの全ての産品が強制労働で製造されていると見なす「反証を許す推定」も盛り込まれている。
●市況
日経先物(大証)28820、ダウ先35848、債先151.88、米1.493、独▲0.2545、仏0.118、西0.506、伊1.105、原油73.72、ドル円114.47、墨ペソ20.65、トルコリラ11.3114、墨CDS100
※12/24 8時20分頃
備忘録(12/22)
●コロナ
南アフリカ共和国では現在の新型コロナウイルス感染の第4波で、オミクロン変異株の感染者はその他の変異株などに感染した人と比べ入院に至る割合が80%低い。また、入院に至る場合、重症化のリスクは他の変異株と変わらないと、ニコル・ウォルター氏とシェリル・コーエン氏ら科学者を中心とするリポートの著者は指摘した。
それでも機内の感染リスクはショッピングモールなど地上の混雑した空間と比べ、はるかに低いという。パンデミック(世界的大流行)が始まって以来、航空各社が強調しているように新型旅客機では病院並みの高性能空気フィルターが搭載されているためだ。マスク着用などの規則も機内では厳格に守られている傾向がある。
南アの1日当たりの新規感染者数は12月に入って急増し12日に3万7千人を超えたが、21日は1万5千人あまりに減っている。感染者数に比べ、入院につながる例はさほど増えていない。同研究所は報告書で、オミクロン型に感染した場合はオミクロン型以外の感染例に比べ入院や重症に至る可能性は70~80%低いと指摘した。ただ入院患者が重症化するリスクには違いがないとした。
AP通信は「(感染の)波は短く、入院や死亡に関してはさほど激しいものではない」とする南アのウィットウォーターズランド大学の研究者の見方を伝えた。
一方、スコットランドのデータを分析した英エディンバラ大の研究者らは、オミクロン型に感染して入院する可能性はデルタ型に比べて約3分の1に下がるとの研究結果をまとめた。ただ、オミクロン型の感染力は強く、「重症者の数そのものは増える恐れがある」と指摘している。
新型コロナ感染の発覚後にできるだけ早く、発症から5日以内に服用する必要がある。処方箋があれば入手可能で、数日内にも薬局や病院などを通じて利用できるようになるという。
臨床試験(治験)では、発症後3日以内に投与したところ入院・死亡リスクが89%減った。新たな変異型「オミクロン型」にも有効とされており、初期の治験ではオミクロン型のウイルスの複製を阻止する効果を確認したという。
19年の米国の平均寿命は78.8歳で、第2次世界大戦の影響を受けた1943年(前年比2.9歳減)以来のマイナス幅となった。
新型コロナによる死亡は心臓病とがんに次いで3番目に多かった。死者数は35万人超と、全体の10.4%を占めた。CDCは寿命の縮小について、新型コロナに加えて心臓病や糖尿病、殺人、医療用麻薬「オピオイド」の過剰摂取や交通事故による死亡などが増えたことが影響したとみている。
●中国不動産
中国の不動産市場に関する慎重に調整された当局のメッセージに慣れている投資家にとっては、黒竜江省政府の発表文は注目に値した。不動産業界の成長を促すため「全力を挙げる」よう呼び掛ける内容で、省当局による同セクターへの支援表明としては突出して強い調子だったからだ。
だが、この発表文のスクリーンショットが21日にトレーディングデスクを駆け巡り始めてから間もなく、通信アプリのウィーチャット(微信)の黒竜江省アカウントと政府ウェブサイトからこれが静かに削除された。
投資家にとっての問題は、黒竜江省による今回の声明をどの程度重視するかだ。珠海青竹私募基金管理のマネジングディレクター、チャン・リアンチン氏は省・地方当局が緩和モードへとさらにシフトする一方、政策変更に関しては目立たないようにしていく公算が大きいと分析した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
国際線旅客を対象にした燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を2022年2~3月発券分で引き上げると発表した。燃料価格の上昇を反映し、北米や欧州行きの路線で従来(12~1月発券分)比5900円高い1万7500円と3年ぶりの水準とする。全日本空輸(ANA)も同様にサーチャージを引き上げる。
JALによると、航空機燃料に使うケロシンの21年10~11月の平均価格(シンガポール市場)は円換算で1バレル1万354円と、8~9月から2割上昇した。足元では新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の拡大で原油価格は下落傾向にあるが、11月上旬までは経済の正常化の流れを受けて上昇していた。
ANAホールディングス(HD)が新型コロナウイルス下で傷んだ財務の修復を急ぐ。福沢一郎最高財務責任者(CFO)は日本経済新聞の取材に対し、直近の連結決算で26%まで低下した自己資本比率について「早期に4割の水準を確保したい」と話した。資金流出に備え厚くしている手元資金を業績回復にあわせて減らし、負債を圧縮する。需要の下振れには機材受領の先送りなどで対応しつつ健全化を図る。
空港近くで携帯電話の電波を発信する設備が航空機の運航に影響を与える可能性があるという。
米国の航空会社は航空機の電波高度計などに影響するとの懸念を表明している。業界団体「エアラインズ・フォー・アメリカ(A4A)」は年間で最大35万便の運航遅延などで21億ドル(2400億円)相当の被害が発生する可能性もあると主張している。
●その他産業
高炉の鉄鋼メーカーの鉄鉱石調達価格が8四半期ぶりに下落する。2022年1~3月期は前四半期から5割弱安い。中国の粗鋼減産が響いた。一方、もう一つの主原料である製鋼用石炭(原料炭)の調達価格は、需給の逼迫から最高値を大幅に更新する。副原料の合金鉄なども高騰しており、鉄鉱石が大きく値下がりしても全体のコスト負担は軽くならず、鋼材価格は高値を維持しそうだ。
11月の国内粗鋼生産量が前年同月比10.7%増の804万トンだったと発表した。前年同月を9カ月連続で上回ったが、対前年の増加率は10月から3.5ポイント縮小した。新型コロナウイルスの影響を受けて鉄鋼各社は高炉を一時休止し、20年秋から再稼働を始めた。再稼働による押し上げ効果は一巡しつつある。
鋼種別では用途が広い普通鋼の生産量は622万トンと前年同月比で8.4%増えた。自動車部品など製造業向けが大半の特殊鋼は19.4%増の182万トンだった。
粗鋼生産の増加は続くが、足元では新型コロナの変異型「オミクロン型」への感染が世界で広がっている。鉄連の橋本英二会長(日本製鉄社長)は12月の記者会見で感染拡大が長期化した場合は、「半導体に代表される部品の供給や、物流など経済へ影響を与えるだろう」と懸念を示していた。
TOB(株式公開買い付け)で連結子会社化した新生銀行について「(公的資金の返済に必要な水準までの)株価の大幅な上昇は困難だ。株価と切り離して考えるべきだ」と述べ、将来的に新生銀の非上場化も選択肢の一つとして検討していることを明らかにした。
英豪資源大手のリオティントは21日、アルゼンチンのリチウム権益などを8億2500万ドル(約940億円)で買収すると発表した。世界的に脱炭素の流れが進む中、電気自動車(EV)の電池に使われ需要増が見込まれるリチウム事業を強化する。
●決算関連
●マクロ・その他
欧州各地でガス価格が過去最高値に急騰するなか、液化天然ガス(LNG)を積んでアジアへ向かっていた船が、大幅なプレミアム(上乗せ)を払う用意のある欧州の消費者に供給するために航海の途中で進路を変えている。
欧州連合(EU)に加盟するポーランドの議会は自国メディアの外資規制を強化する法案を可決した。米メディアが実質的に保有しているポーランドのテレビ局の弱体化が狙いにあるとみられ、米国は猛反発している。ハンガリーも言論の自由を脅かしており、中東欧で民主主義の土台が揺らいでいる。
中国はすでにレバレッジ解消の動きを停止し、金融・財政政策をいずれも緩和し始めていると指摘。政府は所得配分の公平性を高めるよう取り組むが、政策当局が経済成長の必要性を明確にしたことで民間企業の地合いも改善されるとしている。
ドイツ銀行やRBCキャピタル・マーケッツ、ノムラ・インターナショナル、みずほインターナショナルのストラテジストは、2月のMPCで政策金利が0.5%に引き上げられると予測。そうなれば、3月に償還期日を迎える280億ポンド(約4兆2360億円)相当の資産が英中銀のバランスシートから外れ、予見可能な将来における中銀の市場介入の終わりを告げることになる。
販売価格(中央値)は35万3900ドル(約4000万円)で、前年同月比13.9%上昇した。強い需要に対し、供給網の目詰まりや人手不足で新築住宅の建設が間に合わず販売物件が足りないことから、価格高騰が続いている。11月末の中古住宅物件の在庫は111万件で、前月比9.8%、前年同月比で13.3%減少した。
NARのエコノミストは、足元の家賃上昇に不安を感じている消費者が、来年以降の金利上昇を見越して、今のうちに住宅を購入して住宅ローン金利を固定しようとしていると指摘した。
コンファレンス・ボードによると、前月に13年ぶりの高さに達した物価上昇への懸念が低下したほか、新型コロナウイルスへの懸念も下がった。調査は16日に締め切られ、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン」型の感染拡大の影響を十分に反映していない可能性があるが、コンファレンス・ボードのエコノミストは「年末にかけて景気の勢いは持続し、2022年初めも成長が続く」との見方を示した。
●市況
日経先物(大証)28630、ダウ先35651、債先151.94、米1.458、独▲0.2920、仏0.076、西0.459、伊1.058、原油72.94、ドル円114.17、墨ペソ20.73、トルコリラ12.0451、墨CDS100
※12/23 9時10分頃
備忘録(12/21)
●コロナ
ジョンソン首相は「オミクロンの重症化率、入院率、ブースター接種の影響など不確定要素はあるが、現時点でクリスマス前の厳しい措置をとる十分な根拠があるとは考えていない」と述べた。一方で「クリスマス後の追加対策を排除することはできない。データを常に注視し、公衆衛生を守るために必要なことは何でもする」とした。
英国の21日の新規感染者は約9万人。オミクロン型は7割を占めるとみられる。感染者数は12月に入って急増しているが、入院患者や死者数に大きな変化はない。入院患者は1月のピークの5分の1、1日の死者は10分の1程度にとどまる。
支持率が落ちる中、重要な行事であるクリスマスを制限すれば国民の反発を招きかねないという事情もある。
ドイツはワクチンを接種済みの人でも、私的な集まりの人数が10人までに制限されるほか、クラブやディスコも閉鎖される。クリスマス後、遅くとも28日までに適用する。
同国の新規感染者数は11月末をピークに減少傾向にあるが、それでも数万人規模の高い水準にある。今はデルタ型による感染が大半だが、英国やデンマークなどで広がるオミクロン型による感染拡大は避けられないとの見方が強まっている。
ポルトガルも同日、ナイトクラブやバーの閉鎖など新型コロナ封じ込め策を公表した。当初は2022年1月上旬から実施予定だったが、感染拡大で前倒しを迫られた。
各国政府はロックダウンに消極的だ。経済への影響が大きい上に、国民の不満も高まるからだ。オランダは19日、欧州連合(EU)加盟国で初めて全国的なロックダウンを再開したが、現時点で後に続く動きはない。ロイター通信によるとオーストラリアのモリソン首相はロックダウン実施を否定したうえで「常識と責任を持ってこのウイルスと付き合っていく」と述べた。
有効期限が切れれば、域内を自由に移動することが難しくなる。自由な移動を続けるには一部のワクチンを除いて、2回目の接種から遅くとも9カ月以内に3回目の接種を受ける必要がある。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
今回のローンはソフトバンクGのビジョン・ファンド2の保有資産が裏付けとなる。条件はまだ最終決定していないが、40億ドルの融資は同ファンドが保有する約400億ドル相当の資産との比較となる見通しだと、関係者の1人が語った。
ローン金利は1桁台半ばとなる見込み。今回の取引ではアポロが出資先の保険会社アテネ・ホールディングスとともに中心的役割を果たすが、ミューチュアルファンドや寄付基金、金融機関も融資に参加するという。
●その他産業
ウォルマートが埋め立て地に危険物を違法に廃棄したとして提訴した。20日付の訴状によると、同社は州の環境法に違反して2015年から期限切れのリチウム電池や殺虫剤など有害物質の廃棄を続け、水質や大気に環境汚染をもたらしたとしている。
検察当局によると違法に廃棄されていたのは、返品、損傷を受けて販売不能な品、期限切れのリチウム電池、殺虫剤、洗剤などの有害廃棄物、医療廃棄物などで、これらの廃棄物は合計で年間約7万2000キログラムにも達したという。ウォルマートはカリフォルニア州内で300店以上を運営している。
ウォルマートは同様の訴訟で、10年にカリフォルニア州に2500万ドル12年にミズーリ州に125万ドルを賠償金として支払っている。
ウォルマートは「われわれは提訴を回避するために何度も州検察と会い、有害廃棄物のコンプライアンス計画を提示してきた。廃棄物処理について検察は州法で義務付けられている以上の水準を要求している。この提訴は不当である」との声明を出し、法廷で争う姿勢を示した。
●決算関連
●マクロ・その他
習近平(シー・ジンピン)の名前を一度も挙げずに無視した不穏な論文が、共産党機関紙である人民日報に堂々と載ったのだ。論文が習の代わりに最大限、評価したのは鄧小平だった。奇妙なことに、これは「中央委員会第6回全体会議(6中全会)の精神を深く学ぶ」と題した文章なのである。
中国を世界第2位の経済大国に引き上げ、第1位の輸出大国とし、世界の工場にした……。鄧小平路線を引き継いだ歴代国家主席である江沢民(ジアン・ズォーミン)、胡錦濤(フー・ジンタオ)時代の業績も事細かに挙げている。
この論文を単独で読めば、上中等収入国の仲間入りをした2010年までに「歴史的な突破」と名付けた中国の経済的台頭は一段落し、12年以降の習近平時代は鄧、江、胡がこしらえた素晴らしいごちそうの食べ残しで食いつないでいるような錯覚にとらわれる。
注目すべきは、書き手である曲青山のポストである。中央党史・文献研究院院長という共産党の過去・現在の歴史解釈の要となる重鎮なのだ。当然ながら「鄧小平超え」を演出した「第3の歴史決議」取りまとめにも関わっていた。しかも曲青山は現職の中央委員(閣僚級)だ。
論争の存在を浮き彫りにしたのは早速、曲青山論文に対する反撃が出たことだ。掲載からわずか4日後、人民日報は同じ理論面に、中央政策研究室主任の江金権による正反対の論調の文章を載せた。タイトルは「党による全面的指導の堅持」。こちらは、習時代より前の分散主義、自由主義を攻撃する第3の歴史決議が醸し出す雰囲気に忠実な習礼賛トーンだ。
習は早速、党内引き締めの動きに出た。再び権力集中の意義と長期にわたる執政の重要性を訴える重要指示を全党に発したのだ。そこで使った習独特の用語は「集中統一指導」「長期執政」「国家の長治久安」だった。
権力集中を志向する「毛・習」と、改革開放を旗印にする「鄧・江・胡」の路線闘争。野心的な「鄧小平超え」に踏み込んだ第3の歴史決議は、闘いに再び火をつけてしまった。そこには減速著しい現下の中国経済にどう対処するかという主導権争いも絡む。今後5年余りを左右する22年秋の共産党大会に向けた闘いは、簡単には終わらない。
ロシアからドイツに向かう天然ガスのパイプライン「ヤマル・ヨーロッパ」経由の供給量が細ったと伝わり、買いを誘った。ロイター通信によると欧州方面の西向きのガス流量は18日から減少をたどり、21日には流れが東向きに転じたという。
欧州は本格的な冬季を迎え、気温低下につれて暖房用などの天然ガス消費が増えてきた。ガス業界団体GIEによると貯蔵能力に対する欧州の在庫率は19日時点で59%台と、同じ日の過去10年平均より16ポイントあまり低い。ロシアからの供給不安を抱えたまま在庫の取り崩しが進んでいる。
海上物流の混乱が長びき、航空輸送への貨物流入が旺盛だ。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の影響で海上輸送が滞れば、航空への流入が続く可能性がある。
航空貨物運賃は高水準にあるものの、以前ほど急激に変動することが少なくなった。大手フォワーダーの担当者は「1年前は数時間先の運賃も読めない状況だったが、高値で安定している」と話す。これまでは荷主と1カ月単位の契約が主流だったが、3カ月など比較的長期の契約も増え始めているようだ。
リラはドルに対し一時20%高を付けた。17日以降の上げ幅は40%を超えた。20日には1ドル=18.3633リラと過去最安値を付ける場面もあったが、イスタンブール時間21日午前には一時11.0990リラとなった。ブルームバーグがまとめたデータによれば、2営業日での上昇は1983年以降の最高になる。
エルドアン大統領が20日遅く、ハードカレンシーに対するリラの下げが銀行の約束する金利を上回る場合、リラ建て預金者が被る損失を政府が補填すると表明したことを受け同日は約23%上昇していた。
トルコ債の5年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドは約624ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と昨年4月以来の高水準付近にとどまり、投資家が依然、トルコの債務返済能力を疑問視していることを示している。
中東やアフリカの石油産業がグリーン化に逆行する懸念が強まっている。「脱炭素」で欧米企業のダイベストメント(投資撤退)が加速し、温暖化ガス削減に必要な技術の移転が進まないためだ。多くの場合、事業を引き継ぐのは産油国の国営会社や中国、ロシアの企業。株主や国際社会の監視の目が届かず、目先の利益優先で地球環境をさらに汚してしまう恐れがある。
1年間の人口増加数は39万3000人弱となった。自然増が約14万8000人、移民の純増が24万5000人弱だった。1990年代は人口が年1%以上伸び、2010年代も年間200万人前後、0.5~0.8%程度の増加を続けてきた。新型コロナウイルス危機で移民増にブレーキがかかった。コロナ禍前の19年7月までの1年間の移民増は60万人近かった。
米国の白人数は今世紀半ばに人口の半数を割り込む。主流から少数派へと転じる恐れは強硬な移民規制を唱えるトランプ前政権を生んだ。さらに新型コロナの感染拡大に伴い、移民の流入は鈍っている。先進国のなかでも人口が安定的に増え、新たな経済成長と競争力向上の源泉としていく循環が崩れつつある。
合計特殊出生率は人口維持に必要な2強を下回っている。
ウクライナにNATOのミサイルが配備されればモスクワを数分以内に攻撃できるため容認できないとし、ロシアにとっては「玄関口」だと語った。
ロシアはNATOの「非友好的な措置には、適切な軍事的・技術的な対応をとり、厳しく対処する」と言明しつつ、兵器の配備と見なす段階について詳しくは述べなかった。一方で「軍事衝突や流血の事態はロシアが望んでいる展開では全くない」とし、「政治的・外交的な手段による問題の解決を希望している」と続けた。
ロシアは先週、新たな安全保障条約に関する提案の一部として、NATOに1997年の状態へと駐留軍を後退させるよう要求した。これは、NATOが東欧の旧ソ連諸国の加盟を認めて勢力を拡大する以前の状態を意味する。
外貨に換算したリラの価値が銀行預金の金利を上回る下落率となれば、政府がその損失を穴埋めするというのが救済策の概要だ。政府がこうしてリラの価値に底を設けることは、投資家の利益を損なう利上げを実行しながらそれを公にしていないことになると、専門家は批判する。
「壮大な利上げが沈黙のうちに実施された」と、ビルケント大学のレフェット・グルカナク教授は語る。「為替レートが大きく動けば財政に重い負担がかかる。こうした負担は通常マネタイズされ、つまり為替レートとインフレ率のさらなる上昇を意味する」と解説した。
トルコ中銀の元副総裁で現在は野党の政治家であるイブラヒム・ターハン氏は、「財政は最後に残ったよりどころだった。利上げはしていないと主張するがために、この財政が犠牲になった」と話す。「こうしてリラ下落のコストは、社会全体が負担することになった」と述べた。
●市況
日経先物(大証)28535、ダウ先35390、債先152.00、米1.452、独▲0.3045、仏0.056、西0.440、伊1.012、原油71.26、ドル円114.04、墨ペソ20.83、トルコリラ12.3683、墨CDS101
※12/22 9時15分頃
備忘録(12/20)
●コロナ
AAAによると、21年の年末休暇の旅行者はコロナ前の19年(1億1930万人)に比べて9割程度まで回復する見通しだ。21年に自動車で移動する人は1億10万人と旅行者全体のうち9割超を占めるという。飛行機で旅行する人は640万人と20年の2.8倍に増える見込みだ。
米運輸保安局(TSA)がまとめる日次の空港通過人数は19日に211万人となり、4日連続で200万人を上回った。20年の約2倍で、19年の8割強の水準まで回復している。
●中国不動産
――恒大集団など不動産開発企業の債務問題は不動産市場に不安を与えています。バブル崩壊の可能性はないでしょうか?
「中国にとって不動産問題は重要だ。他の産業への影響も大きい。不動産分野は政府や地方政府の主要な財源でもあり、銀行貸し出しでも大きな比率を占める」
「中国の不動産市場の問題は、中国の人々がまるで株を買うように投機や投資のために住宅を買っていたことにあった。中国には相続税がないため子供にすべて遺産として相続でき、投資性、投機性が高まってしまった。政府が『住宅は住むためのもの』として投機の抑制に乗り出したのは正しい」
「価格の急落を防ぐことも含め、政府の管理下で市場の調整が始まった。中国政府にはとりうる手段が多く、市場が制御できない状態になる可能性は小さい。『住む需要』も安定的にあり、今後は投機ではなく実需が市場を支える。これまで不動産に向かっていた投資資金は製造業や商業など資金を必要とする他の産業に向かい始めている」
「そもそも中国の不動産市場は『天井』を迎えつつあった。このような状況下で恒大問題が起きたのも必然だ。恒大は投資拡大にのめり込み、2兆元もの債務を抱えている。中央政府にマクロ政策をコントロールする能力がない国家にとっては大変な問題だが、中国にとっては解決可能な問題だ。中央政府が銀行や関連産業、全国の司法機関と連携し、一括して問題を処理することができる」
――最近は中央政府によるIT企業などへの規制強化も経済への将来的な不安定要因としてみられています。
「金融市場は透明性や予測可能性を重視し、不確実性はもっとも嫌がる。様々な政策が一度に出てきてしまったため、彼らに失望を与えてしまったのは事実だろう」
「ただ、中国のネット企業には米国のプラットフォーム企業とは異なる点もある。中国ネット企業の事業はビジネスモデルの応用であり、グーグルやアマゾン・ドット・コムのように革新的な技術力はない。商業サービスが未発達だった中国市場において低コストで急成長を果たした後、独占的地位を利用して他のベンチャー企業の成長や消費者利益を阻害するようになり、メディアもコントロールするようになった。これは不健全な状況といえる」
「政府は彼らをつぶそうとしているわけではない。新たな技術開発に導くのが目的だ。最近では百度(バイドゥ)による自動運転やアリババ集団による半導体産業への進出などの動きがある。3~5年後にはこれらのプラットフォーム企業は革新的なハイテク企業に変貌していると確信する」
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
アルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」について、米国での価格を従来比で約50%値下げすると発表した。これまでは年間5万6000ドル(約630万円)と高額で、民間団体などから一部批判が出ていた。価格を大幅に下げることで、同新薬の普及を促す。
アデュヘルムを巡っては、米食品医薬品局(FDA)が6月、条件付きで製造販売を承認した。ただ、薬価を独自で試算する民間団体などが治療効果に対して高額な薬価を批判。価格の高さなどが足かせとなり、米国での販売実績は9月までで200万ドルにとどまる。
バイオジェンはアデュヘルムが米公的医療保険「メディケア」に採用されるなどの条件が整った場合、22年に約5万人の患者が治療を受けると想定する。
中国西部・新疆ウイグル自治区のイスラム教徒抑圧で用いられている顔認証ソフトウエアの開発に関与した疑いで、米財務省がセンスタイムを投資制限の対象に今月加えたことで、同社の香港IPOプロセスが滞っていた。センスタイムは米国の主張には根拠がないと反論している。
●その他産業
電子カルテなどを提供する米医療情報技術会社サーナーを約283億ドル(約3兆2110億円)で買収することで同社と合意した。医療業界の大規模な顧客ベースをオラクルのクラウド事業やデータベースビジネスに取り込む。
買収は全額現金で行われ、オラクルにとっては過去最大の案件となる。両社の20日発表によれば、オラクルはサーナー1株に対し95ドルを支払う。
BNPパリバは1979年にバンク・オブ・ザ・ウエストを買収し、米銀行子会社と合併させて欧州域外のリテール事業の柱の一つにしてきた。グループ全体の税引き前利益の5%程度を稼ぐ存在だったが、地盤の欧州に経営資源を集中することにした。一方、買い手のBMOは約900億ドルの預金や9千人強の従業員を受け継ぎ、成長戦略に据える米事業の拡大に弾みをつけたい考えだ。
米リテール金融は大手から地銀まで多くのプレーヤーがひしめき、厳しい競争環境下で外資撤退が相次いでいる。
2026年までに平均燃費をガソリン1リットル当たり約23キロメートルに引き上げることを自動車メーカーに義務付ける。8月に公表した従来案からさらに5%の改善を求める。
新たな燃費基準は米国の新車販売に占める電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の比率を20年の2%台から23年に7%、26年に17%まで高めることを前提としている。
●決算関連
●マクロ・その他
親中派が99%にあたる89議席を得た。中国が選挙制度を見直して、事実上民主派を排除。議会は親中派一色になり、政府は統制強化の政策を進めやすくなる。投票率は過去最低に落ち込んだものの、中国政府は「香港の民主制度の新たな一歩」と正当化した。
民主派政党は候補者の擁立を見送り、自ら親中派でないと主張する「自称民主派」は全敗した。
立教大の倉田徹教授は「候補者が審査され、結果が事前に分かる中国式選挙だった」と話す。複数の候補者は日本経済新聞の取材に、中国政府の関係者とみられる人物から繰り返し出馬の意向を尋ねられたり、立候補する選挙区を誘導されたりしたと証言した。中国が選挙の「競争」を演出した可能性がある。
米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国の外相は20日、立法会選を受けて「香港の選挙制度の民主的な要素の侵害に深刻な懸念を表明する」との共同声明を発表した。「選挙制度の見直しによって、政治的な反対意見が封じられた」と指摘。言論の自由の制限など市民社会の締め付けにも懸念を示し、中国に香港で権利や自由を尊重する国際的な義務を果たすよう求めた。
香港立法会(議会、定数90)の選挙結果を受けて、「選挙制度の民主的要素が侵害されていることに深刻な懸念を表明する」とした共同声明を発表した。中国と香港当局に対し政治への信頼を回復させ、自由や権利を擁護する人への不当な弾圧を終わらせるよう求めた。
資材価格の高騰で、企業は事業計画が立てにくくなっている。インフレに対応するため1月に実施する最低賃金の5割アップも急激な負担増につながる。TUSIADは「(通貨安の)恩恵を受けるはずの輸出事業者も困っている」と訴えた。
イスタンブールの大手フェリー会社は19日、燃料費が1カ月で32%、1年で110%それぞれ上がったなどとして、市内の欧州側とアジア側を結ぶ一部航路などの運休を発表した。
エルドアン氏の支持者が多い建設業界からも異論が出ている。建設会社ババジャン・ホールディングのトップはロイター通信に対し、深刻なコスト増を理由に集合住宅の建設事業を相場の安定が期待される2022年4~6月ごろまで延期したことを明らかにした。
エルドアン氏によると、リラ預金をしている人が銀行から金利を受け取っても為替安のためにドルなどの外貨ベースで損失を被る場合、その分を政府が補償する。
エルドアン氏は「国民は今後、為替相場の変動懸念のために預金を外貨に替えなくても良くなる」としてリラ預金を促した。トルコでは通貨安から預金に占めるドルなどの外貨比率は2017年に4割だったのが今年12月には6割を超えた。
政府が預金の価値を保全する仕組みにどの程度の持続性があるかなどには不透明な面もある。20日の閣議後に演説したエルドアン氏は、リラ建て国債への免税や、為替リスクを背負う輸出事業者への金融支援策などにも言及した。
ドイツ連邦銀行(中央銀行)の新しい総裁に、国際決済銀行(BIS)幹部のヨアヒム・ナーゲル氏が就任する見通しとなった。ナーゲル氏は独連銀出身で、政府系のドイツ復興金融公庫(KfW)を経て、BISの銀行業務部門の副責任者に2020年11月に就任した。金融市場に詳しい実務家で、独メディアによると、ドイツで政権を握ったドイツ社会民主党(SPD)の党員だ。
ワイトマン氏のタカ派路線を引き継ぐのか、柔軟路線に転じるのかははっきりしていない。ただ、リントナー財務相は20日にツイッターで「インフレのリスクに直面するなか、安定志向の金融政策の重要性が高まっている」と指摘。ナーゲル氏が経験豊富で「独連銀の継続性を保証する」人物だと評価した。
中国共産党の習近平(シー・ジンピン)指導部はカジノ業界の大物経営者を逮捕したほか、国家安全部門の常駐ポストを新設した。香港だけでなくマカオへの統制も強めている。
20日発表した2021年12月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)は1年物が3.80%だった。11月までの3.85%から0.05%引き下げた。利下げは20年4月以来、1年8カ月ぶりだ。消費の伸び悩みや不動産開発の停滞で景気の減速感が強まっており、金融緩和を強化する。
1年物のLPRは優良企業に適用する貸出金利の参考となる。人民銀は毎月公表し、事実上の政策金利と位置づける。実際の融資金利は貸出先の信用リスクや事務費を上乗せして決まる。住宅ローン金利の目安とされる5年物は4.65%のままで、20年5月から据え置きが続いている。
人民銀は15日、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す「預金準備率」を0.5%下げた。引き下げは7月以来だ。中小零細企業の資金繰りを支援する狙いだ。計1兆2000億元(約21兆円)の長期資金が市場に放出されるという。
人民銀はこれまで預金準備率の引き下げやオペの拡充を通じて、資金供給を増やしてきた。利下げという抜本的な金融緩和にも踏み切ることで、景気減速を食い止める姿勢を鮮明にした格好だ。
海運向けのマーケットプレイスを運営する香港のフレイトスが提供するスポット料金指標では、中国から米西海岸のスポット料金は直近のピークを下回る。だが1FEU(40フィートコンテナ)当たりスポット価格は約1万5000ドル(約170万円)とパンデミック前の10倍だ。特に米国の旺盛な商品需要は他地域にも影響している。海運各社が船賃の高い太平洋横断航路に船舶を振り向けたため、他航路で船舶が不足、中国から欧州への船賃も過去最高に上がっている。
泣きたくなるほど高い船賃に加えて、長期の配送遅延問題がある。これらの大量の貨物をさばくのに慣れていない港湾には、何週間も荷揚げを待つ船舶が長蛇の列をなす。世界の物流は既にトラック運転手や倉庫スペースの不足に直面してきたが、さらに今、世界のコンテナ船の最大15%が世界中の港湾沖で滞留している。米西海岸のロサンゼルス港とロングビーチ港の外で陸揚げを待つコンテナ船の数は注目されている指標で、現在は30~40隻と10月の70~80隻から減っている。だが、これは今では船舶がはるか沖合で待つよう求められるようになったことが大きい(出発地の中国の沖合で待機する船さえある)。つまり、実際に待機している船舶数は100隻を超える。
この滞留が近く解消する気配はなく、混雑が長引くほど解消には時間がかかる。大半の専門家は、中国の2月の春節(旧正月)が終わるまで事態改善の見込みはないとみる。だが混乱は22年末まで続く可能性がある。
コンテナ船不足への業界の対応は、コロナ禍前に起きた業界の構造変化を映している。
前回、コンテナ船の大量発注と貿易の減少、運賃の崩壊、海運各社の大幅赤字が重なったのは16年だ。これを受け大手海運20社は7社に統廃合され、3つの世界的なアライアンスが誕生した。各社は以来、船腹を冷徹に管理することが可能になった。その結果、それまで好不況に翻弄された海運界は景気低迷局面を比較的軽症、かつ短期間で乗り切れるようになった。
金融危機前の数年間、世界貿易が活況を呈していた当時の新造船受注残高は、当時の全海運容量の約6割だった。現在は同2割強と低い。これは海運業界により厳しい炭素排出規制の適用が見込まれるなか、耐用年数25年とされる船舶を新規制に対応させるための技術やコストなどが依然として、不透明なことが一因だ。従って新規発注投資については慎重になる可能性がある。
受注は再び増加に転じてはいるものの、きょう発注された船舶が進水するには2~3年かかる。従って、高い船賃はあと1~2年続くことになりそうだ。
RAMキャピタルの運用担当者オゲダイ・トプチュラー氏は「トルコが勝ち組に戻るには、経済、政治両方のメンタリティーを変える必要がある。金融政策のひねりは短期的に流れを変えることができるかもしれないが、投資家が納得するには不十分ではなかろうか」と分析した。
ゴールドマン・サックス・グループなどのストラテジストは、過去のリラ危機と同じようにトルコ中銀が政策転換を迫られるかどうかを注視しており、利下げに伴う市場のトラウマがより広範な経済に波及する過程で、来年前半のかなり大幅な利上げの可能性が高まりつつあると考えている。
フィデリティ・インターナショナルのマネーマネジャー、ポール・グリア氏(ロンドン在勤)は「今の政権は雇用創出と経済成長が動機付けとなっているようだが、為替相場とインフレの安定にはあまり関心がない。このマクロ優先順位の組み合わせは、オフショア債投資家が現時点で期待しているものと相反する」と指摘した。
2022年3月に就任するボリッチ氏は格差是正を旗印にしており、社会保障の充実を図りたい考えだ。選挙戦では財源として富裕層や鉱山会社への増税を主張してきた。
ボリッチ氏は35歳と若いだけに「経験不足が指摘される中で、財務相やエネルギー相などの人選に注目している」(ブラジル投資銀行大手BTGパクチュアル)との声が出ている。
世界最大の小型無人機ドローンメーカーとなったDJIを巡る懸念は、橋やダムなどの重要なインフラ設備から心拍数や顔認識といった個人情報に至るあらゆる取り扱いの難しいデータが同社の製品を通じ中国の情報機関に送信されている可能性があるというものだ。
バイデン政権は16日、DJIに対する米国からの投資を禁止した。民主、共和両党の議員は連邦機関によるDJIのドローン購入を禁じる法案を検討しており、FCCのブレンダン・カー委員は10月、ドローンによって収集された「膨大な量の機密データ」を理由にFCCはDJI製品の承認禁止を検討すべきだと述べた。
DJIは米ドローン市場の50%余りを握っているとFCCは10月に発表。調査会社ドローンアナリストは、DJIが消費者を対象とした350-2000ドルの無人航空機(UAV)の約95%を販売していると推計している。
米政府の制裁に対するDJIの反撃はかなりシンプルだ。米国のサプライヤーに頼らず、市場に出回っているどの製品よりも優れた手頃な価格の製品を開発し、次世代ユーザーを取り込むというものだ。
DJIのドローンに代替となり得る製品が少ないことは、連邦資金を受け取っている地方の警察にとっては懸念材料だ。ドローン販売事業者を複数抱えているエンタープライズUAS(カリフォルニア州チャッツワース)のルーク・ゴールドバーグ社長によると、ほとんどの米国製商用ドローンはDJI製より最大30%高く、機能も少ない。
クリスマス前の最後の土曜日となる18日は店舗やショッピングセンターへの客足が前年同期比19%増えた。オミクロン株の急速な拡散を巡る懸念は強まっているものの、客足は伸びた。
新型コロナのパンデミック(世界的大流行)期で最初のホリデーシーズンとなった昨年に比べると客足は伸びているが、2019年の水準には完全には回復していない。センサーマティックによると、18日の客足は2年前を26%下回った。
月報で、一部のサービスセクターの活動は「ひどく妨げられている」と指摘。現在の制限はそれほど厳しくなく、比較的短期間であるため、売り上げへの打撃は1年前ほどではないものの、供給制約が追加的な負担をもたらしていると分析した。
今回の公表分では、2022年の初めに想定される天然ガス価格の急騰を理由に、前年比の消費者物価上昇率が今後数カ月は4%を超えるとの予想も示した。
●市況
日経先物(大証)28260、ダウ先34952、債先152.18、米1.421、独▲0.3620、仏▲0.009、西0.359、伊0.928、原油69.19、ドル円113.65、墨ペソ20.76、トルコリラ13.4625、墨CDS101
※12/21 8時50分頃
備忘録(12/17-19)
●コロナ
英保健安全局は19日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染者を新たに1万2133人確認したと発表した。感染力の強いオミクロン型は首都ロンドンなどで増えており、2日連続で1万人を超えた。累計では3万7101人となった。
ロンドンのカーン市長は18日、「新規入院が増えているだけでなく、医療スタッフの欠員がかなり増えている」として重大事態を宣言した。英政府は年末までに18歳以上のブースター接種(追加接種)を急ぎ、オミクロン型の流行に備えている。
ルッテ氏は記者会見で「オランダは再び閉鎖される。第5波に対応するために、避けられない措置だ」と説明。変異型「オミクロン型」が急速に広がっているとして理解を求めた。理由として病院の患者受け入れ体制が逼迫していることなどを挙げた。
閉鎖されるのは、レストランやバーのほか、映画館や美術館、スポーツジム。クリスマスを除き、自宅に招けるゲストの数も2人に制限する。措置は19日以降に適用され、学校は1月9日まで、そのほかは同14日まで続く。
ファウチ氏は「この状況が続けば1~2週間後に医療システムが逼迫する可能性がある」「オミクロン型は非常に強い感染力がある」と指摘した。一方で「ロックダウン(都市封鎖)は現時点では予想していない」とも話した。米NBCテレビでは「これまでの施策を拡大する」と語り、人の移動が増える年末年始の休暇を控えてワクチン接種を加速する必要性を強調した。
ニューヨーク州では19日に26万7422件のコロナ検査の結果が報告され、そのうち8.41%が陽性だった。新規死者数は58人と約200人だった2021年初めや1000人規模に達した20年4月を下回る。感染者は増えているが、ワクチンの効果で重症者の増加は抑えられている。ニューヨーク市のデブラシオ市長は同日の記者会見で南アフリカの感染状況を挙げ、「オミクロン型は急激に増加した後に落ち着き始め、やがて過ぎ去るだろう」と述べ、今後数週間は厳しい状況を迎えるとの認識を示した。
米国ではコロナの感染再拡大の影響で経済活動を制限する動きが出ている。米プロバスケットボール協会(NBA)は19日、合計で5試合を延期すると決めた。ニューヨーク市のブロードウェーでは休演する劇場が増えているほか、従業員が検査で陽性と診断され営業を休止するレストランも増えてきた。
●中国不動産
S&Pは「恒大は利払いについて何ら発表も確認もしていないが、利払いしていないと指摘する広範なメディア報道は信頼できると判断した」としている。選択的デフォルトは「債務者がある特定の債務を選択して不履行としたものの、その他の債務については期日通りに支払いを継続する」とS&Pが判断した場合に付与するという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
中国インターネット通販最大手のアリババ集団は17日夜、2030年までに事業活動における温暖化ガスの排出を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指すと公表した。世界的な脱炭素の流れを意識し、60年までに二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロを目標に掲げる中国政府の方針に対応する。
アリババは20年9月に浙江省杭州市に開設した大規模クラウドデータセンターで、特殊な液体冷却剤の中にサーバーを沈める世界で初めてのシステムを採用。空調に比べ冷却効率を高め、温暖化ガスの排出を抑える取り組みを実践している。
10月にはエネルギー効率を高められる自社開発の半導体チップを発表し、今後はネット通販の包装の軽量化にも本腰を入れる。すでに傘下の金融会社アント・グループも30年のカーボンニュートラルの実現を目標に掲げており、グループ全体で取り組みを加速する。
●その他産業
2022年3月のダイヤ改正で実施する。朝ピーク時の1時間当たりの常磐線快速・常磐線は現行の19本から15本、中央・総武線各駅停車(千葉方面行き)は23本から19本にそれぞれ減らす。山手線も内回りは22本から20本、外回りは21本から18本に減る。山手線、中央線快速、常磐線快速・常磐線、京葉線は日中帯の本数も見直す。
米国の小売業が会社分割の圧力にさらされている。高級老舗百貨店サックス・フィフス・アベニューが3月にネット通販部門を分離したのを皮切りに、メーシーズやコールズも同様の検討を始めた。物言う株主から企業価値を上げるために伸び盛りのオンライン事業を切り離すよう要求されている。実店舗と分離すると相乗効果が得られないとの懸念も残る。
日産自動車などは17日(日本時間18日未明)、スペイン・バルセロナの完成車組み立て工場の売却について、同国の電気自動車(EV)の新興メーカー、QEVテクノロジーズと交渉すると明らかにした。買い手の候補だった中国の長城汽車が交渉から撤退したことを受けて、新たな交渉先を探していた。同工場は12月末に閉鎖する予定だが、年内に合意できるかは不透明だ。
●決算関連
●マクロ・その他
香港で19日、立法会(議会、定数90)選挙の投票が行われた。中国が選挙制度を大幅に見直し、議会が親中派一色になるのが確実だ。主要な民主派政党が参加を見送ったため市民の関心は低く、午後7時半(日本時間午後8時半)時点の投票率は26.49%と、前回(2016年)を17ポイントあまり下回った。投票率は過去最低になるとの見方が出ている。
定数90のうち、40議席は親中派の選挙委員が互選で選び、30議席は業界ごとに選出する。一般市民が選ぶのは20議席にとどまり、立候補には親中派の推薦が必要だ。民主党など民主派政党は候補者を擁立せず、自ら親中派でないと主張する「自称民主派」や「中間派」の候補者は十数人だ。
南米コロンビアの中央銀行は17日、政策金利を0.5%引き上げて3%にすると決めた。利上げは3会合連続。新型コロナウイルス禍からの景気回復で消費は堅調で、インフレが加速しているために引き締めを急いでいる。
中銀はこの日の声明で「第4四半期の国内総生産(GDP)も顕著に成長を続けている。パンデミック(世界的大流行)前の水準を上回る」との見方を示した。2021年の実質経済成長率は9.8%と見込んでいる。
11月の消費者物価指数は前年同月比5.26%上昇した。中銀目標の上限(4%)を上回るのは4カ月連続だ。中銀は21年に5.3%、22年に3.7%のインフレ率を見込んでいる。
2020年に発売された中国製の家庭用の高速通信規格「5G」機器を分解したところ、内製化率が4Gモデルから20ポイント以上増えて約5割になったことが分かった。米中対立で5Gの主導権争いが続く中、米国製で占められていた通信用半導体部品の大部分が内製化されている。大型の基地局でも重要な部品となっており、米国の部品からの置き換えが進むことで、テクノロジーの分断がより進む可能性がある。
最大市場のドイツが32%減の19万台、フランスは3%減の12万台だった。英国は2%増とプラスに転じたが、前年同月が低水準だったことが大きい。半導体不足の影響は徐々に緩和されているものの、車両供給が滞る状況が続く。
1~11月の欧州18カ国の販売台数は973万9781台と新型コロナウイルスに苦しんだ前年同期と比べ0.3%増とかろうじて上回っている。
ボリッチ氏は経済政策では自由貿易協定(FTA)の拡充に慎重な立場で、富裕層や鉱山会社への増税を主張している。チリは市場経済を重視し、中南米の国で有数の自由貿易協定(FTA)網を持つが、今回の選挙が転換点になる可能性もある。
「テーパリング(資産購入の段階的縮小)加速で最も重要な点は、当初予定よりずっと早い3月にプログラムを終了させることだ。それにより3月の会合で政策金利の変更があり得る。テーパリング加速の意図はそこにある」と指摘。「今後入手するデータの内容にもよるが、3月は利上げ開始を決定し得る会合になる」「私の見通しでは、3月に利上げを決定する可能性は極めて高い」とし、「(新型コロナウイルスの)オミクロン変異株による深刻な影響が労働市場の改善や失業率の低下を遅らせるようなことがない限り、3月が利上げ開始検討の重要な時期から外れることはない」と述べた。
この日はサンフランシスコ連銀のデーリー総裁が「来年2、3回の利上げは適切だと思う」と、米紙ウォールストリート・ジャーナルのバーチャル形式のイベントで発言したほか、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁もFOMCは来年の利上げ開始に向け準備を整えているとの認識を示した。同総裁は「実際に利上げとなれば、景気サイクルのどの地点にいるかという観点で前向きな展開を示す兆候となるだろう」と述べた。
株式と株式デリバティブ(金融派生商品)、債券レポ市場の取引は1時間のうちに2回自動的に停止された。同国株の指標であるイスタンブール100指数が一時7%下げたことを受けた。同株価指数は一時5.6%超上昇していたが、一転して下落。トルコ中銀が為替市場に介入したが、リラ安を食い止められなかったことが背景にある。
エルドアン大統領はイスラム教が高利貸を禁じていることを挙げ、「われわれは金利を引き下げている。それ以外のことを私に期待してはならない」とし、イスラムの教えで求められていることを「私はイスラム教徒として実行し続ける」と述べた。
同大統領が現行の金融政策の正当化に宗教を持ち出すのはこの1カ月で2回目。足元の政策は景気てこ入れに向け借り入れコストを低くするという大統領の要求に沿ったものとなっている。リラ安は経済状況の結果だが、新たな経済政策を撤回しないと大統領は述べた。
●市況
日経先物(大証)28220、ダウ先35061、債先152.21、米1.378、独▲0.3820、仏▲0.029、西0.336、伊0.900、原油69.36、ドル円113.51、墨ペソ20.83、トルコリラ16.6871、墨CDS101
※12/20 9時20分頃
備忘録(12/16)
●コロナ
英国からの入国を18日から原則禁じると発表した。観光、ビジネスを理由にした渡航は認めない。英国で新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が急速に広がっていることから、ワクチン接種者も含めて厳格な対応をとることにした。
英国で感染が広がっている新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」について、鼻水や喉の痛みなど通常の風邪に似た症状が多いことが16日、首都ロンドンでの調査で分かった。英全体では同日、過去最多の約8万8千人の新規感染者を確認した。重症化率が低いとしても全体数が圧倒的に増えれば重症者や死者が増えかねないとして、政府は警戒を強めている。
●中国不動産
中国の金融監督当局は、不動産開発会社の世茂集団と複数の信託会社との間で融資延長を巡る交渉を調整している。事情に詳しい関係者が明らかにした。世茂が資金難に陥る状況を当局は回避したいと考えている可能性が示唆された。
非公開情報であることを理由に匿名で話した同関係者によると、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の当局者が間に入り、世茂と国通信託や中国民生信託など信託会社との協議を調整した。
世茂が融資延長を求めてどのような提案を示したのか、またその見返りを信託会社が受け入れるかは分かっていない。関係者の1人は、世茂は銀行からの新たな借り入れも模索していると述べた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米通貨監督庁(OCC)は16日、米国内で営業する大手銀行向けに気候変動リスクの管理指針を公表した。気候変動と低炭素経済への移行が、銀行と金融システムに新たなリスクをもたらすとして、銀行の取締役会に対し、自社への影響を把握するよう求めた。今回の措置はバイデン米政権が銀行に対して気候変動対策を促す最初のステップとなる。
今回の指針案は総資産が1000億ドル(約11兆円)を超える大手銀行を対象としている。中小規模の銀行は作業負担などを考慮し、対象から外した。2022年2月14日まで意見を広く募集する。22年中に最終的な指針をまとめるほか、リスク分野別に銀行に期待することを詳しく策定する。
OCC監督下にある大手銀行は今回の指針に沿って、気候変動リスク管理能力の確立を求められる。OCCは検査業務などを通じて進捗状況を確認する。OCCの広報担当者は「(進捗状況の確認によって)集められた情報は、気候変動リスクに関する監督方針の策定に活用される」と述べた。
OCCは大手銀行の取締役会に対し、気候関連リスクが経営に与える潜在的な影響を評価するよう求めた。経営陣に対しては、気候変動に関連した財務リスク情報を銀行の内部報告、モニタリングのプロセスに組み込むことを要求している。さらに気候変動によって経済や災害分布が変化することを見据え、シナリオ分析によって将来のリスクを把握するよう促した。
イエレン米財務長官が議長を務める米金融安定監視評議会(FSOC)は10月、金融監督当局や金融機関などに対し、気候変動リスクを正しく把握するためのデータの整備や情報開示の充実を求めていた。先に動いたOCCに対し、より大きな権限を持つFRBの出方に関心が集まっている。環境政策を重視する民主党左派からはFRBに対し、OCCの指針作成に加わるよう求める声が上がっている。
●その他産業
米消費者金融保護局(CFPB)は16日、後払いサービス「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」を提供する米決済大手ペイパル・ホールディングスやオーストラリアのアフターペイなど5社を一斉に調査すると発表した。11月下旬の感謝祭明けの米年末商戦ではBNPLの利用が大幅に伸びている。CFPBは消費者が過剰債務を抱えることを懸念し、実態の把握に乗り出す。
BNPLを提供する企業を調査するのは初めてとなる。ペイパルとアフターペイのほか、スウェーデンのクラーナ、米アファーム・ホールディングス、オーストラリアのジップが対象となった。
今回の調査では、どのような商品にサービスが使われているかや利用者の支払い遅延回数などに関する情報提供を求める。利用者のデータについては何を集めて、どう利用しているかを調べる。規制を逃れるようなサービスやデータの取得・利用時の不正がないかどうかを確認する狙いだ。
BNPLは事業者が小売店(加盟店)に立て替え払いをするサービスで、短中期の分割払いでは利用者に手数料や金利負担が発生しない。クレジットカードをつくるための信用スコアが足りない若い世代を中心に市場の拡大が続いている。
一方、安易に利用すると想定外に負債が増え務を抱え、返済に行き詰まることが懸念されている。CFPBのロヒット・チョプラ局長はBNPLについて「商品はすぐに手に入るが、借金も直ちに増える」と指摘した。CFPBは同日、後払いサービスの利用によって信用度合いを測る「クレジットスコア」が低下するリスクも改めて明記し、消費者にサービス内容の的確な理解を呼びかけた。
●決算関連
2021年9~11月期決算は、売上高が前年同期比14%増の235億ドル(約2兆7000億円)で、市場予想の224億1000万ドルを上回った。ネット通販の広がりで取扱量が拡大しているほか、配送価格の上昇も押し上げた。純利益は前年同期比15%減の10億4000万ドルだった。労働市場の逼迫が続く中、人件費のコスト増がかさんだ。
人件費の上昇による追加コストは4億7000万ドルに上る。9月には22年1月から米国内の宅配料金を平均で5.9%上げると発表済みだ。同社は物流網の混乱や新型コロナウイルス禍によるサプライチェーンの制約が「当面は続く」とみる一方、下半期にはコスト増が吸収できるとの見通しを示す。22年5月期通期の1株当たり利益の予想は従来の20.50ドルから21.50ドルに引き上げた。
第1四半期の売上高は約42億3000万ドル(約4810億円)に達する見通し。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均は43億6000万ドルだった。一部項目を除いたベースの利益は1株当たり最大で3.35ドルになるもよう。アナリスト予想平均は3.40ドル。通期の売上高は179億ドル、利益は1株当たり13.70ドルに達する見込み。市場予想は売上高が182億ドル、利益は14.20ドルだった。
アドビは同社の予想について、ドル高などを考慮に入れたと説明した。
同社は長きにわたりプロ向けのウェブデザインソフトウエア市場を独占してきたが、グラフィックスや動画作成を容易にするツールの提供で一般ユーザーの取り込みを狙う中、競争激化に直面している。
●マクロ・その他
16日開いた理事会で、コロナ危機で導入した緊急買い取り制度による新規資産購入を2022年3月末で打ち切ると決めた。総額1兆8500億ユーロ(約240兆円)の同制度の終了で、22年4月以降の資産購入額は現在の半分以下に減る見込みだ。インフレへの懸念が高まるなか、金融政策の正常化に動き出した。
「段階的な資産購入ペースの縮小が許されると判断した」。ECBのラガルド総裁は理事会後の記者会見で、経済と物価が改善するなか、緩やかに緩和縮小を進めていく方針を示した。ただ物価を2%程度で安定させるためには「まだ金融緩和が必要だ」とも述べ、2022年の利上げは「とてもありそうにない」とした。声明文では新型コロナウイルスの感染状況次第で「再開することもあり得る」とした。
購入額の急減で債券市場などが混乱しないように、激変緩和措置として、量的緩和制度による購入額を4~6月は月400億ユーロに引き上げることも決めた。7~9月は月300億ユーロ、10月以降は月200億ユーロとする。
主要政策金利(0%)と中銀預金金利(マイナス0.5%)は当面、現在の水準に据え置く方針だ。早期利上げに向けて量的緩和終了を前倒しする米連邦準備理事会(FRB)と比べれば、緩和縮小のペースはかなり遅い。
ECBは16日公表した新しい経済見通しで、成長率見通しは22年が4.2%、23年が2.9%、24年が1.6%、消費者物価上昇率が22年に3.2%(9月時点は1.7%)、23年は1.8%(同1.5%)、24年は1.8%になるとの予測を示した。
経済の過熱感が強まる米国に比べれば、欧州はまだ需要不足の状態で、失業率も高止まりしている。足元の物価上昇に過剰反応せずに、経済の状況を見ながら慎重に緩和縮小を進めていくというのがECBの方針だ。
問題は、欧州の各国によって財政や経済の状況が異なることだ。政府債務の国内総生産(GDP)比はドイツの69%に対し、ギリシャは207%、イタリアは156%、ポルトガルは135%とかなり高い。金融緩和の手じまいを急ぎすぎれば、南欧の財政不安が高まりかねない。今後の政策方針を巡って南北の溝がさらに深まる可能性もある。
政策金利を0.15%引き上げて同日付で年0.25%にすると発表した。利上げは2018年8月以来3年4カ月ぶり。供給制約やエネルギー価格の高騰で物価上昇率が急拡大するなか、金融緩和からの脱却を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大後、利上げしたのは日米欧の主要4中銀で初めて。インフレ抑制へ明確な引き締めにかじを切った。
国債や社債を購入する量的緩和策については、買い入れ枠を8950億ポンド(約135兆円)で維持することを全会一致で決めた。残高はほぼ上限に達しており、新規の買い入れを止めて規模を当面保つ。
緩和策を転換したのは物価上昇が想定を上回るペースで進んだためだ。11月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が5.1%と、11年9月以来10年2カ月ぶりの大きさになり、インフレ目標(2%)の2.5倍を超えた。人手や部材などの供給制約やエネルギー価格の高騰で物価高が止まらず、金融引き締めの必要性が一段と高まっていた。
イングランド銀は物価見通しをさらに引き上げた。CPI上昇率は「冬の間は5%程度にとどまり22年4月に6%程度のピークをつける」とみている。8~10月の失業率は4.2%とコロナ禍前の水準にほぼ近づき、労働需給の引き締まりによるインフレ圧力も強まっている。
議事要旨によると大方の委員は「基調的なインフレ圧力は強く、物価の中期的な安定維持へ金融引き締めの強い根拠がある」との認識を共有した。利上げに1人反対したテンレイロ委員は「オミクロン型の出現に伴う著しい不透明感から2月まで待つことが正当化される」と様子見を主張したが、オミクロン型の拡大がなければ今回の利上げが妥当だったとの見解を示した。
主要政策金利の1週間物レポ金利を1%下げ、年14%にすると決めた。利下げは4会合連続で、インフレはさらに加速するとみられる。政府は最低賃金を50%引き上げるなどの財政出動で市民の不満を和らげる方針だが、効果を危ぶむ声も上がる。
トルコ統計局が発表する直近の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比21%だが、市民のインフレ実感はより高い。左派系エコノミストらでつくるENAグループの独自調査では、CPI上昇率を58%としている。
政策金利を0.25%引き上げて年0.50%にすると発表した。利上げはゼロ金利からの脱却を決めた9月以来3カ月ぶり。ノルウェー経済は回復を続けていると評価し、賃金上昇や輸入品の値上がりが「基調的なインフレを押し上げていく」との見通しを示した。物価安定のため金融正常化を続ける必要性を確認した。
オルセン総裁は声明で「経済が想定に沿って推移すれば政策金利は2022年3月に引き上げられる可能性が最も高い」と述べ、さらなる利上げを予告した。欧州では新型コロナウイルスの感染者数が再び拡大しており、経済への影響を見極める考えも示した。
政策金利は今後数年間で緩やかに高まっていくとの見通しを維持した。声明文は「高水準のインフレが持続する見通しになればより速く引き上げられる可能性がある」と明記した。
ノルウェーの11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で5.1%上昇した。ノルウェー銀は「インフレの基調は目標を下回っている」と説明したが、賃金の伸びや供給制約による今後の物価高に警戒している。
メキシコ銀行(中央銀行)は16日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げて5.5%にすると発表した。利上げは5会合連続。これまでは0.25%の利上げを続けていたが、深刻化するインフレを受けて利上げのペースを引き上げる。
中銀は同日に出した声明で「インフレに影響を与えたショックの規模と多様性、世界的な金融引きしめによる問題を考慮した」と指摘した。
同国の11月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比7.37%と2001年1月以来、約21年ぶりの高水準だった。中銀は1日に発表したリポートで22年1~3月の物価上昇率見通しを6.3%にした。中銀の目標範囲内に入る時期は22年7~9月期としている。ただ米ゴールドマン・サックスは9日のリポートで「物価上昇率は23年の上半期まで中銀の目標上限を上回り続ける可能性が高い」と指摘している。
米国の12月のPMIはサービス業の指数が57.5、製造業が57.8で、いずれも0.5ポイント下がった。インフレ加速で多くの企業が輸送費や原材料価格の上昇を指摘し、コスト負担が広範囲にわたり重みを増している。サービス業における人手不足が深刻なことも景況感を曇らせている。ただ総合指数の水準自体は夏場の低下局面に比べると底堅さを保つ。経済活動再開の動きが続き、12月の企業の新規受注も急増している。IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏は「コロナの感染率上昇や変異型のオミクロン型への懸念があるなかでも、米経済は強い回復力を示している」と指摘する。
12月の製造業景況指数は15.4で、前月から23.6ポイント低下した。大きく上昇した前月からの大幅低下で、2020年12月以来1年ぶりの低さとなった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(30程度)を下回った。
個別項目では「新規受注」が13.7で33.7ポイント下がったほか、「出荷」も15.3で16.8ポイント低下した。
ただ、供給制約を映す「入荷遅延」「仕入れ価格」「受注残」も下がっており、状況が改善し始めたことを示唆した。
11月の鉱工業生産指数(2017年=100)は102.3で前月比0.5%上昇した。2カ月連続のプラスで、伸びは前月の1.7%から鈍化したが、堅調な生産活動が続いた。
製造業は0.7%上昇した。自動車・同部品が2.2%上昇し、2カ月連続のプラスとなり全体をけん引した。これ以外でも幅広い産業がプラスとなっており、供給制約が緩和し始めた兆しとみられる。鉱業も0.7%上昇した。一方、電気・ガスは0.8%低下した。
設備稼働率は76.8%で、前月から0.3ポイント上昇した。
11月の住宅着工件数は167万9000戸(季節調整済み、年率換算)で、前月の改定値から11.8%増えた。3カ月ぶりの増加で、3月以来8カ月ぶりの高水準となった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(156万程度の増加)を大きく上回った。前年同月比では8.3%増えた。先行指数である許可件数は、171万2000戸で前月比3.6%増だった。
12月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は53.4と、前月の55.4から低下した。市場予想も下回り、9カ月ぶりの低水準。サービス業は53.3と、拡大を示す50を上回ったものの4月以来の低さとなった。旅行などの娯楽が避けられたことが背景。
IHSのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「ユーロ圏経済は新型コロナによって再び打撃を受けている。感染者が増えて特にサービス業の成長を抑え、2021年の締めくくりは残念な結果となった」と述べた。
英国の総合PMIは53.2と、前月の57.6から低下。ロックダウン(都市封鎖)のただ中にあった今年2月以来の低水準となった。ホテルや外食、旅行関連業などサービス業の伸びが予想を下回った。新型コロナ感染者数の急増が経済見通しを曇らせている。
中国の人権侵害や軍事開発に関わったとして34団体に事実上の禁輸措置を課すと発表した。バイオテクノロジーや電子機器の研究所、企業などを対象にした。技術流出を阻止するとともに習近平(シー・ジンピン)指導部に圧力を強める。
安全保障上問題がある企業を並べた「エンティティー・リスト」に34団体を17日付で加える。制裁の対象は中国の研究所「軍事医療科学アカデミー」と傘下機関。バイオテクノロジーを使って脳を制御する兵器など軍事開発に関わっていると指摘した。このほか、軍事開発やイランとの取引に関わった電子機器メーカーなどにも禁輸措置を課す。
量的緩和縮小(テーパリング)を加速する米連邦準備理事会(FRB)の政策修正は世界の経済や市場に与える影響が大きい。新興国は物価高への対処と同時に通貨防衛の観点から利上げを迫られている。低格付け企業には債務が積み上がり、株式市場には過熱感がある。金融政策は引き締めに向かうが、長期緩和に慣れきった経済と市場に波乱の芽がある。
米国は中国人民解放軍の科学研究部門をブラックリストに追加したことを明らかにした。軍支援を目的に生体情報を使用しているためだとしている。
米財務省は中国の複数機関に制裁を科す。中国が生体情報を使った監視を行い、国内の少数民族と宗教的少数派を追跡しているためだと説明した。
バイデン米政権は欧州連合(EU)の同盟各国に対し、ロシアがウクライナを攻撃した場合にロシアの銀行やエネルギー企業に対して米国とともに科す幅広い制裁について、最終決定するよう働き掛けている。事情に詳しい関係者が明らかにした。
ロシアのプーチン大統領がウクライナ国境付近に集結した多数の軍部隊を撤退させる兆しがないことで緊急性が増している。米国は具体的な制裁の選択肢について一致することが、プーチン氏に強いシグナルを送ると考えている。
米国と英国、ドイツ、フランス、イタリア、EUとの間で行われた協議について詳しい複数の関係者によると、ロシアによる国債借り換えの能力をさらに制限する措置や、通貨の交換を含むロシア主要銀行の銀行間業務への制限、エネルギー・国防分野の企業への追加制裁、国際銀行間通信協会(SWIFT)など国際取引ネットワークからロシアを締め出すことなどが検討されている。
実施されれば、ロシア債券市場を混乱させ、銀行業務や国境をまたぐファイナンス、貿易などが阻害されるほか、エネルギー・国防企業の取引や輸出、資金調達も制限される。ロシアおよび世界の石油・ガスなどの商品市場にも影響が及ぶ可能性がある。
EU諸国は制裁措置の概要のとりまとめを急ぎ過ぎれば、外交を通じた危機打開の取り組みを損ないかねないとしているが、米国はロシアの行動を抑止する措置が確かなものだと受け止められるには準備が必要だと考えていると、双方の見解に詳しい関係者は述べた。
ベラルーシとの国境沿いに移民流入を抑制するための壁を建設する。年内にも着工し、2022年前半の完成を目指す。EUの執行機関、欧州委員会は移民騒動の背後にロシアの示唆があると疑っており、加盟国の安定を維持するためにも、壁建設を黙認している状態だ。
中国半導体大手、紫光集団の再建案について、同社に49%出資する北京健坤投資集団は15日、異議を唱える声明を発表した。投資ファンド2社が事業を継承する再建案では734億元(約1兆3000億円)の国有資産の流出につながると試算。汚職を取り締まる中国共産党中央規律検査委員会などに通報した。
●市況
日経先物(大証)28782、ダウ先35914、債先152186、米1.426、独▲0.3560、仏0.001、西0.375、伊0.970、原油71.77、ドル円113.75、墨ペソ20.84、トルコリラ15.6945、墨CDS101
※12/17 9時30分頃
備忘録(12/15)
●コロナ
英政府は15日、新型コロナウイルスの新規感染者が約7万8千人だったと発表した。これまで過去最多だった1月8日の約6万8千人を上回った。
新たに4671件のオミクロン型を確認し、累計では約1万件となった。急速に広がっており、ロンドンでは感染者の6割がオミクロン型とみられている。
1月のピーク時は4万人近くの入院患者がいたが、足元は7千人台にとどまる。ピーク時の1日の死者数は1820人だったが、足元では100人前後の日が続いている。ワクチン接種が進んだことで、現時点では重症化が抑えられている。
フランス政府によると15日の新規感染者は約6万5700件と2020年11月以来の高水準だった。オミクロン型は大陸欧州でも広がりつつある。欧州連合(EU)の専門機関である欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、15日時点で27カ国で2629件のオミクロン型の感染を確認した。症状が分かるケースは全てが無症状か軽症で、死者は報告されていない。
●中国不動産
香港に上場している不動産開発会社、世茂集団のドル建て債は15日も売られ、最安値を更新した。
ブルームバーグの集計データによれば、同社の2022年償還債は額面1ドルに対し7.4セント値下がりし56.5セント。前日は15.8セント下落だった。
世茂集団傘下の上海世茂は14日遅く、事業活動は通常通りに行われており、社債元利の返済能力に影響するような出来事はないと説明。親会社はまた最近発表された2つの部門間での取引を擁護した。この取引を巡って、上海世茂は上海証券取引所から少数株主が不利にならないかどうか問い合わせを受けていた。
中国で資金不足の不動産開発会社が記録的なデフォルト(債務不履行)に見舞われる中で、広州富力地産の「イージー・タクティック」部門は来月13日に満期を迎えるドル建て債7億2500万ドル(約824億円)相当の保有者に支払期限の6カ月間延長を要請した。
上海証取に届け出たもので、同社はこの社債の一部を額面に対し17%安い価格で買い戻すことも提案している。
バランスシートの規模では中国恒大集団の3分の1にも満たず、売上高で中国不動産開発会社のトップ10に入らない世茂集団が突然注視されている。
多くの投資家にとって、世茂は今や中国不動産セクター最大の懸念事項だ。同社のドル建て債は15日も値下がり。香港上場株は前日比2.5%安で引け、4営業日続落となった。
ロンバー・オディエのアジアクレジット責任者ディラジ・バジャジ氏は「世茂のデフォルト(債務不履行)は中国恒大よりずっと悪いというのがわれわれの意見だ」と述べ、「中国恒大は大きくレバレッジ(借り入れ)に依存している事業体として知られている。上海などの質の高い市場に焦点を絞った観光業やサービス、開発を手掛ける良質な企業がこの危機を生き残ることができなければ、グローバルな信頼感は永久に失われるだろう」と指摘した。
懸念すべきは、世茂の支払い遅延で起き得る中国不動産セクター自体のリスク再検証だ。格付けが比較的高い不動産開発会社の資金調達コストを押し上げる可能性があるほか、中国恒大の危機を受けて安全と見なされている開発会社に殺到している住宅購入者にも動揺が及ぶ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアンドル-・チャン、ダニエル・ファン両アナリストは15日のリポートで、世茂のような不動産開発会社が財務トラブルに陥ることを防ぎ、社会が不安定化するリスクを抑制するため、中国政府は不動産規制を一段と緩和せざるを得なくなるかもしれないと指摘。
「こうした弱い地合いが投資適格級の民間開発会社に連鎖した場合、業界の販売が急落し、より多くのデフォルトのきっかけとなる可能性がある」と分析、「従って政府は地合いを好転させる取り組みを強化する必要があるだろう」と結論付けた。
2021年11月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落した都市の数は8割超の59で、10月から7増えた。当局による不動産規制の修正で住宅ローンは増加したが、価格下落の流れは続いている。
新築物件の値下がり都市が増加するのは6カ月連続だ。前月比で上昇したのは9都市で、10月から4減った。横ばいは2都市で3減った。70都市の変化率を単純平均すると、0.3%の下落だった。3カ月連続でマイナスとなった。
取引価格が比較的自由で市場の需給を反映しやすい中古物件では、全体の9割に相当する63都市で価格が下落した。10月より1減った。値上がりは3都市にとどまった。単純平均した下落率は0.4%で、4カ月連続で前月を下回った。
中国人民銀行(中央銀行)は13日、11月末時点の住宅ローン残高が1カ月で4013億元(約7兆1400億円)増えたと発表した。増加幅は10月より532億元多く、2カ月連続で拡大したが、マンション価格への影響は今のところ限定的だ。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
世界の航空券予約が急減している。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の急速な流行を受けて、世界の予約件数は10月から2割弱減少した。特に、感染拡大が加速する英国や南アフリカを敬遠する動きが広がる。世界各国はさらなる水際対策の強化に乗り出しており、国際渡航の正常化が一段と遅れるおそれがある。
●その他産業
天然ガスや卸電力価格の急上昇を背景に、この数カ月で半数の企業が退場を迫られた。販売単価の上限規制や安易な固定料金契約で価格転嫁ができず、収支の逆ざやが極まった。
●決算関連
インディテックス(スペイン)が15日発表した2021年8~10月期決算は、純利益が前年同期比42%増の12億2800万ユーロ(約1570億円)、売上高は同22%増の73億9千万ユーロだった。
欧米を中心に新型コロナウイルス対策の行動規制が緩和され、消費が戻った。売上高と純利益はともに、コロナ前の19年を上回った。コロナ禍でオンライン販売を強化しており、ネット経由での売り上げが好調だった。
●マクロ・その他
中国の名目国内総生産(GDP)が2033年に米国を上回るとの試算をまとめた。逆転時期は早ければ28年とした昨年12月の試算より遅れる。さらに50年には米国が再び中国を上回る見通しだ。中国政府による民間企業の規制強化で生産性の伸びが鈍るほか、長期的には人口減少による労働力不足が成長の足かせになるとした。
11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で5.1%上昇した。伸び率は10月より0.9ポイント高まり、2011年9月以来10年2カ月ぶりの大きさになった。供給制約やエネルギー価格の高騰を背景に幅広い品目で値上がりが一段と進んだ。
主な分類別に上昇率をみると「輸送」が12.5%と前月より2.6ポイント拡大した。ガソリンなどの燃料が28.5%と7.0ポイント伸びた。半導体不足による新車の供給減で代替需要が集まっている中古車も、27.1%と4.3ポイント高まった。
物価上昇は幅広い分野に及んでいる。「食品・非アルコール飲料」は2.5%、「衣服・履物」は3.5%上がり、伸び率はそれぞれ1.3ポイント、3.9ポイント拡大した。「レストラン・ホテル」も5.2%と、サービス消費の回復を受けて高い伸びが続く。
変動の大きいエネルギーや食品などを除いた「コア」の指数は4.0%上昇し、前月より伸び率が0.6ポイント高まった。1992年7月以来29年ぶりの高水準を記録した。
報道によると、米財務省が16日にもDJIなど8社を証券投資を禁じる中国企業のリストに加える。同省は10日に中国の画像認識大手、商湯集団(センスタイム)をリストに加えた。センスタイムはこの措置を受け、17日に予定していた香港取引所への新規株式公開(IPO)を延期すると13日に発表していた。
新たにリストに加えられる8社にはDJIのほか、センスタイムと同業の曠視科技(メグビー)、スーパーコンピューター大手の曙光信息産業などが含まれる見通し。人工知能(AI)やクラウドサービスなどを手がけるハイテク分野の企業も対象になる予定だ。
8社はいずれも米商務省が安全保障上の問題がある企業を並べた「エンティティー・リスト(EL)」に含まれ、輸出規制の対象となっている。FTによると、同省も中国のバイオテクノロジー企業など20社超をELに新たに加える方針という。
バイデン米政権は、中国最大の半導体メーカーである中芯国際集成電路製造(SMIC)に対し、より厳しい制裁を検討していると、事情に詳しい複数の関係者が語った。
また英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、米政権が投資禁止リストの掲載企業を増やす方針で、一部の企業は新疆ウイグル自治区の少数民族の監視に関与した疑いが持たれていると報じている。
温暖化ガスの排出ゼロに向け、化石燃料を減らしてクリーンなエネルギー源を拡大する。柱の一つとして2049年までに原則として天然ガスの長期契約を禁止することを打ち出した。水素の利用拡大やビルの脱炭素に向けたルールも提案した。
11月の小売売上高(季節調整済み)は6398億ドル(約73兆円)で前月から0.3%増えた。4カ月連続の増加だが、伸び率は前月の1.8%から大きく鈍化し、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.8%程度)も下回った。
年末商戦は本格化したが、消費の勢いは弱まった。変動の激しい自動車・同部品販売店の売り上げを除いても0.3%増にとどまった。
前月に大きく伸びていた百貨店が5.4%減、家電店が4.6%減といずれも大きく落ち込んだ。オンラインストアは横ばいだった。
供給網の混乱による品不足を避けるため、企業は早期にセールを始めている。消費が前倒しされて大きく伸びた10月の反動で、11月は伸び悩んだ可能性が指摘されている。急激な物価上昇が消費意欲に影響した可能もある。
雇用回復や賃金上昇、政府の景気刺激対策で家計には余裕があり、堅調な年末商戦が期待されている。ただ、品不足などの影響もあり、感謝祭翌日の一斉セール「ブラックフライデー」と大規模なネットセール「サイバーマンデー」の売り上げは大きく伸びなかった。
過去に不吉な前例がある。1965年の初めも米政府がベトナムへの軍事介入を大きく拡大するまでは、連邦準備制度がインフレを懸念する理由はほとんどなかった。その後特需がPCEコア価格指数を急激に押し上げた。追加支出の衝撃は一時的となるはずだったが、将来のインフレ期待から物価と賃金が上昇し始めるインフレ心理が醸成された。
こうした自己増殖的な上昇スパイラルに対し、連邦準備制度が何年も十分積極的な対応を行わなかった結果、70年代末までにインフレ率は2桁に加速した。米経済が2桁の失業率を伴う厳しいリセッション(景気後退)を経験することでようやく、連邦準備制度は物価を再び抑制することができた。
同種のインフレ心理のリスクが今も見て取れる。21年7-9月(第3四半期)の民間部門の給料・賃金は前年同期比4.6%増え、今世紀に入り最も大きな伸びとなった。変動しにくい価格を反映するアトランタ連銀の「粘着価格指数」も急上昇しており、長期の価格設定を行う売り手が高インフレが持続すると予想している様子がうかがえる。
インフレ期待の高まりという脅威に対処するため、連邦準備制度は迅速かつ積極的に行動しなければならない。具体的に言えば、来年上期にFOMC会合ごとの連続利上げを開始し、インフレ率が2%近くに再び落ち着くまで続ける用意が必要だ。
そのような急勾配の引き締め経路をたどれば、フェデラルファンド(FF)金利は金融政策担当者が「中立的」と考える2.5%を優に上回り、彼らの現時点の想定よりはるかに高い水準に達する可能性がある。これは市場にとってショックであり、直ちにある程度の経済的痛みを伴うだろうが、将来はるかに大きな痛みが生じるリスクを取り除くだろう。
12月の住宅市場指数は84と、10カ月ぶり高水準。ブルームバーグがまとめた市場予想に一致した。前月は83だった。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は発表文で「住宅セクターでの喫緊の課題は依然として在庫不足だ」と指摘。「建設活動は上向いているが、業界はなおも制約要因、つまり資材や労働力、用地のコストと入手面の問題に直面している」と説明した。
アルケゴスに絡む問題では、株式をベースとしたスワップを巡り当局の重大な盲点が露呈した。この取引を使えば企業に対する大量の投資ポジションをひそかに積み上げることが可能になる。SECはこの点に対応すべく、新規制を15日に提案した。
新規制では、こうしたデリバティブ取引を行うファンドなどにさらなる情報開示を義務付け、追加規制を設ける計画だ。投資家は身元のほかにスワップ取引や原証券のポジション、さらに関連するローンについても報告しなければならなくなる。
国防予算の大枠と国防政策の方針を盛った国防権限法案を賛成多数で可決した。予算総額は7780億㌦(約88兆7000億円)と21会計年度に比べて5%増やした。中国への対抗に注力する。
法案ではインド太平洋地域で米軍の能力を高めるために使う基金「太平洋抑止イニシアチブ」に71億㌦を計上した。21会計年度に比べて3.2倍に増やした。バイデン政権が5月に公表した予算教書での要求額は51億㌦。議会では中国との競争に向けて増額や内容の組み替えを求める声が多く、政権の要求額を上回った。
ロシアの脅威にさらされるウクライナへの軍事支援に3億㌦を盛った。14年にロシアがウクライナに侵攻したことを受け、欧州防衛強化を目的に創設した「欧州抑止イニシアチブ」にも40億㌦を使う。
●市況
日経先物(大証)28920、ダウ先35922、債先152.07、米1.468、独▲0.3570、仏▲0.013、西0.336、伊0.919、原油71.61、ドル円114.18、墨ペソ21.06、トルコリラ14.7985、墨CDS101
※12/16 9時35分頃
備忘録(12/14)
●コロナ
米国で新たに確認された新型コロナウイルスのうち、変異型「オミクロン型」の比率は11日時点で2.9%だった。1週間前から2.5ポイント増えた。「デルタ型」が96.8%と依然主流だが、オミクロン型に置き換わっていく可能性がある。
オミクロン型の比率が最も高いのは東部ニューヨーク州や同ニュージャージー州を含む地域で、11日までの1週間で13.1%だった。
英国とデンマークの首都では週内にもコロナ全体の過半を占める見通しだ。デルタ型に比べて重症化リスクが低い可能性も指摘されるが、英国などでは死者や入院患者も確認され始め、警戒を強めている。
テドロス氏は記者会見で「オミクロン型は77カ国で見つかったが、実際はほとんどの国に広がっているだろう」との見方を示した。
オミクロン型の毒性にも触れ「重症になることもありうる。症状が軽いと決めつける人がいることを懸念している」と危機感をあらわにした。毒性が弱まっているとの初期の報告で気を緩めないよう呼びかけた。
WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は「全体的にみて、ワクチンは役に立っている。オミクロン型にも一定の防御の役割を果たしているようだ」と語った。
●中国不動産
共産党中央経済工作会議の発表は中低所得者向けに長期賃貸する「保障性住宅」の公共開発プロジェクト推進が、民間企業が開発・販売するマンション(商品房)より優先度が高い事業であると事実上、認定したのだ。
「発表文で保障性住宅が、商品房より前に置かれ、賃貸が購入より前にあるのが何よりの証拠だ。それは『住宅は住むためのもので、投機の対象ではない』という習近平(シー・ジンピン)総書記の金言を体現している」。中国の経済関係者の説明は明快である。
住宅高騰を危惧する習近平が繰り返してきたフレーズは、不動産市場の予想を超す変調を受けて暫時、消えかけていた。だが今回の会議の方針では、多少の調整は必要でも守るべき最低ラインとして明記された。その具体策が保障性住宅の推進である。習としては面目を保った形である。
住宅政策の変化に伴い、民間住宅大手も路線転換を迫られる。ぬれ手で粟(あわ)でもうかった一般のマンション開発・販売事業を今後は大幅に縮小し、本業以外への進出や、保障性住宅事業への参入を検討せざるを得ない。
一方、経済工作会議では、格差是正に重点を置く「共同富裕」(みんなが豊かに)に絡み、もう一つ重要な結論が下された。
中国では夏以降、経済減速が鮮明だった。原因は、共同富裕へ急速にカジを切った様々な経済政策が複雑に影響した「政策不況」である。住宅価格の下落が広がり、地方政府は新築物件の値下げ幅を制限せざるをえない状況にまで陥った。
切迫した経済情勢に危機感を強めた経済担当の副首相、劉鶴(リュウ・ハァ)が習を説得し、マクロ政策では「性急な格差是正と分配重視」という印象を薄めようと腐心した。信頼されている習の側近だからこそできた動きである。
世茂集団と同社不動産サービス部門、世茂服務は香港株式市場で大きく売り込まれている。世茂集団の株価は一時20%安と、このままいけば上場後で最大の下落となる。前日は12%下落していた。
世茂服務株は14日の取引で33%安となる場面もあった。不動産開発大手の中国恒大集団の株価は一時9%を超える下げとなり、上場来安値を付けた。
上海世茂は13日、世茂服務に不動産管理資産を売却すると発表。JPモルガン・チェースのアナリスト、カール・チャン氏は顧客向けリポートで、不動産開発各社が不動産管理部門を「金融手段」として使っているとの市場の懸念をこの取引が裏付けていると指摘した。
同氏は「関連会社同士によるこの取引は、世茂の厳しい流動性環境を暗示しているだけではない。不動産管理会社から不動産開発会社に現金を移しているわけで、コーポレートガバナンス上の危険信号でもある」とコメント。世茂集団と世茂服務の投資判断を「オーバーウエート」から「アンダーウエート」に引き下げるとともに、両社の目標株価を少なくとも69%下方修正した。
上海世茂は17日に満期を迎える本土債(表面利率4.5%)を償還する資金を準備した。同社のメディア担当者がブルームバーグ・ニュースの問い合わせに答えた。ブルームバーグの集計データによると、同本土債の元本残高は3000万元(約5億3600万円)。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
2022年1月~3月(26日まで)の国際線の運航計画を発表した。20年度計画に対する運航便数の割合である運航率は1月が22%、2月と3月は23%とした。新型コロナウイルス感染拡大による入国規制が長引く中、大幅な減便を続ける。
●その他産業
トヨタの豊田章男社長は14日に都内で開いたイベントで、レクサスでは30年までに全てのカテゴリーでEVを用意し、欧州と北米、中国では販売するすべての車種をEVとすることでグローバルで100万台の販売を目指す。さらに35年には世界で販売するすべてのレクサス車をEV化することも明らかにした。
30年にはトヨタブランドの車も含めて世界で年間350万台のEV販売を目指すとし、従来見通しから大幅に引き上げた。販売拡大に向けて、30年までに30車種のEVを展開する予定だという。
トヨタでチーフ・ブランディング・オフィサーを務める佐藤恒治執行役員はEV化でレクサスが先行する背景について、高級車セグメントでは特に「先進技術あるいはEVに対する期待値が急速に高まっている」と指摘。「先進技術をレクサスがフロントランナーとしてやっていく」という会社としてのブランディングを明確にしていく狙いがあると述べた。
トヨタはまた、EVやハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV)などの電動車の研究開発や設備投資のために30年までに約8兆円を振り向けることも明らかにした。そのうちEVに半分の4兆円を充てるといい、車載用電池への投資も従来の1.5兆円から2兆円に増やすとしている。
国内粗鋼生産量は19年度が約9840万トン、20年度が約8280万トンだった。コロナの影響が大きかった20年度は日本製鉄など、鉄鋼大手が高炉を相次ぎ一時休止するなど粗鋼生産は低迷した。一方で、21年度は自動車や機械など製造業向けを中心に需要が回復し、10月まで対前年で2桁増の推移が続く。
ただ、新たな変異型「オミクロン型」が出現するなどコロナのリスクは依然として残る。橋本会長は感染拡大が長期化した場合は「半導体に代表される部品の供給や、物流など経済へ影響を与えるだろうと注視している」と話した。
「ときわ会」がまとめた11月末時点のH形鋼在庫は、全体で18万3700トンと前月末から1000トン(0.5%)増えた。増加は2カ月連続。前年同月比では1万2400トン(7.2%)多く、7月末以来4カ月ぶりの高水準となった。小規模鉄骨造(S造)向けの需要回復が遅れ、出庫量が入庫量を下回った。
建築着工は物流施設などの大規模物件が増加する一方、主に市中の流通業者から鋼材を手当てする雑居ビルなどの中小物件が伸び悩む。「中小物件向けは荷動きが少ない」(関東地方の鋼材問屋)との声が目立つ。
西日本製鉄所の倉敷地区(岡山県倉敷市)の「第4高炉」を13日に再稼働したと発表した。改修工事のため2020年4月から一時休止していた。今回の再稼働で国内の高炉8基のうち、全基が稼働中となった。
一時的に減っていた国内全体の粗鋼生産能力も年約3000万トンと本来の規模に戻った。今後は東日本製鉄所の千葉地区(千葉市)の高炉1基を22年に改修する。23年9月には構造改革のため、同製鉄所の京浜地区(川崎市)の高炉を休止する計画だ。
倉敷地区「第4高炉」の改修には約500億円を投じた。炉の容積は5100立方メートルと改修前から約2%増えた。コークス(石炭)や鉄鉱石などの製鉄原料を高炉内の正確な位置に投入できる機能も強化した。利用が難しかった安価な原料が使いやすくなり、操業コストを低減できる。
JR旅客6社は14日、年末年始期間(28日~2022年1月5日)の新幹線や在来線の指定席の予約席数が13日時点で前年度比81%増の232万席(19年度比では40%減)だったと発表した。6社合計の新幹線の予約席数は前年度比89%増の191万席(同39%減)、在来線は同53%増の41万席(同45%減)だった。
肝心の自動車事業は赤字のまま。利益を自動車ローンなどの金融事業に頼っており、政策金利の「利上げ」が経営再建の打撃につながる危うさもはらむ。
●決算関連
●マクロ・その他
11月の卸売物価指数(最終需要向け製品およびサービス、2009年11月=100)は前年同月比9.6%上昇した。伸び率は前月の改定値から0.8ポイント高まり、比較可能な10年11月以降の最大の伸びとなった。製品は前月比1.2%上昇した。エネルギー価格が2.6%、食品が1.2%それぞれ上昇したほか、これらエネルギーと食品を除いた製品コアも0.8%上昇し、幅広い品目が値上がりした。サービスも0.7%上昇した。輸送・倉庫が1.9%値上がりしたほか、その他も広範囲に値上がりした。
中国汽車工業協会は14日、2022年の新車販売台数が21年見込み比5%増の2750万台となるとの予測を発表した。2年連続で前年実績を上回る見通し。急速に普及する電気自動車(EV)など新エネルギー車の新車販売台数は21年見込みの約1.5倍の500万台に達するという。
ロシアがウクライナ国境に軍を集結させ、地政学的な危機の様相が強まりつつある。米国とウクライナの情報当局によると、ロシアが侵攻するとすれば、欧州の真冬の時期になる可能性がある。侵攻が実際に起きれば、論争を呼んでいる海底パイプライン「ノルドストリーム2」の稼働が遅れるばかりでなく、他の供給にも支障を来しかねない。欧州のガス備蓄は危険なほどの低水準にある。
欧州連合(EU)は16日に首脳会議を開き、エネルギー危機や再流行する新型コロナウイルスへの対策、ウクライナ情勢を話し合う。さらに、ロシアが好むガス供給の長期契約を打ち切る期限をEUは設定したい考えだ。
シティグループのアナリスト、アントネラ・ビアンケッシ氏は「スポットのガスと電力価格は4倍になった。冬季のガス不足への市場の不安を反映している」と指摘した。
IEAは最新月報で、 石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」の生産引き上げ計画継続や戦略的石油備蓄の放出、来年想定される米国とカナダ、ブラジルでの記録的生産などを背景に世界中で供給が回復していると指摘。その上で、オミクロン株出現に伴いジェット燃料需要が減りつつある中で、世界の石油在庫が2022年序盤の数カ月間に日量170万バレルのペースで膨らむ可能性があると予想した。
「今月から世界の石油供給が需要を上回る方向で、タイトな市場に対する待望の救済が進行中だ」とし、「着実な供給増加が需要緩和に重なり、バランスをかなり緩めた」とコメント。その上で「コロナの新規感染急増は今進んでいる石油需要回復を一時的に遅らせるが、反転させることにはならないと見込まれる」との見方を示した。
IEAは来年1-3月(第1四半期)の世界石油需要見通しを日量60万バレル下方修正した。
投資家の不動産離れが進み、同国の株式・債券相場の押し上げにつながるとフランスの資産運用会社アムンディの幹部はみている。
大中華圏部門の鍾小鋒会長は「不動産から資本市場への投資資金のシフトが予想される。政府は金融市場への資金流入を促している」と語った。
IMFは年次の経済審査の終了に伴う声明で「英国にとって困難な1年だったが強力な政策を支えに回復力を示した」と、コロナ禍からの経済回復を評価した。
そのうえで物価高のリスクに触れ、金融政策をめぐり「不作為は目標に戻すための費用を高めるだろう」と指摘した。「政策変更はインフレ期待を弱める重要なシグナルを発することができる」とも付け加え、1~2年先の効果をにらんで政策を判断するよう促した。
利上げ幅は前回10月会合と同じで、大幅な利上げを実施した。新型コロナ対策として政府が導入した収入保護の支援策や、その政策に伴って労働市場に十分に人材が戻ってきていないこともインフレ要因となっている。
11月の消費者物価上昇率は6.7%と、2008年12月(7.1%)以来、約13年ぶりの高い水準となった。中銀目標の中心値(3%)を8カ月連続で上回っている。
金融市場では中銀は利上げを続けるとの見方が多い。米ゴールドマン・サックスは22年末の政策金利を5.75%と予測している。
中銀が民間エコノミストの予測をまとめて公表した見通しによると、21年の実質経済成長率は11.9%が見込まれている。主要輸出品である銅の需要拡大を背景に、経済は回復している。22年12月のインフレ率見通しは4.5%と予測されている。
米国とUAEは安保政策で連携を深めてきたが、最近は中国の扱いをめぐり隔たりが目立つ。米メディアによると、中国はUAEで軍事向けと疑われる施設の建設を秘密裏に進めていた。バイデン米政権は2国間関係が傷つくとUAEに警告し、最近になって建設が中止になったという。
当局者によると、ECBは22年のインフレ率見通しを9月に予想した2.2%から引き上げるものの、その後の予測期間ではインフレの鈍化を見込んでいる。予測内容は部外秘だとして当局者は匿名を条件に語った。
「規制強化による中国の成長見通しへのリスクは残っているが、中国株市場は既にそれらのリスクの一部を反映しているため、バリュエーションは魅力的でもっと買われていい状態が続いている」と分析した。
JPモルガンが挙げた2022年のトップトレードのうち3つは中国資産に関する強気の案で、MSCI中国指数の38%上昇予想が含まれていた。
中国最大の半導体メーカーである中芯国際集成電路製造(SMIC)に対し、より厳しい制裁を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。高度な技術への中国のアクセスを制限する取り組みを強化する。
検討中の提案はSMICへの輸出に対する規則を厳格化する内容。提案の一つが採用されれば、アプライド・マテリアルズやKLA、ラムリサーチなどがSMICに半導体製造措置を供給する能力は厳しく制限される。
●市況
日経先物(大証)28450、ダウ先35603、債先152.05、米1.443、独▲0.3650、仏▲0.020、西0.327、伊0.934、原油70.36、ドル円113.78、墨ペソ21.22、トルコリラ14.3909、墨CDS100
※12/15 9時40分頃
備忘録(12/13)
●コロナ
米ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンの2回接種では、オミクロン変異株の有症状感染に対する有効性が22.5%にとどまる可能性があるものの、重症化を阻止できることが、南アフリカ共和国の研究施設での試験で示された。
米国では直近の1日あたり新規感染者数(7日移動平均)が11万人を超え、前週に比べて4割近く多い。11月下旬の感謝祭シーズンに旅行をしたり、大勢で屋内に集まったりしたことで、感染拡大が加速したとの見方が出ている。とくに北東部ニューハンプシャー州や中西部ミシガン州など寒冷地で感染者の急増が目立つ。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国での感染の99%はデルタ型だ。ただ、オミクロン型の症例も10日時点で25州で確認されるなど、徐々に広がっている。
英国ではオミクロン型が急速に広がる。13日には新たに1576件を確認し、累計では4713件となった。前日は1239件が確認されており、2日で2倍以上になっている。英国の1日の感染者数は5万人台でほとんどがデルタ型だが、12月中には感染者全体の半分以上がオミクロン型に置き換わるとみられている。
デルタ型に続き、オミクロン型の感染が広がれば、経済活動への影響は避けられない。米バンク・オブ・アメリカが12月4日までの1週間のクレジットカード利用状況を分析したところ、航空会社への支出が大幅に減少していた。主に海外旅行を取りやめた影響とみられる。検索大手米グーグルは社員に出社の再開を求める時期を先延ばしすることを決めた。
ジャビド保健相は「新型コロナの変異型がこれほど速く広がったことはない。ロンドンではすでに(感染者の)44%を占めており、48時間以内に主流になるだろう」と述べ、今後2日以内に主流になる可能性があると指摘した。
ワクチンを2回接種した人の血液サンプルでオミクロン株を検査した調査では、中和抗体が大幅に低下。特にデルタ株との比較で低下が目立ったという。
この結果は、特にオミクロンの感染力が高いことを示す証拠がみられる中、ブースター(追加免疫)接種の必要性を強調する他の調査結果とも合致している。ただワクチンが重症化を回避できるかどうかという別の重要な問題に対しては、結論が得られなかった。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
バイオ製薬のアリーナ・ファーマシューティカルズを約67億㌦(約7600億円)で買収すると発表した。消化器系の難病治療薬などに複数の新薬候補を持つアリーナを取りこみ、同分野での品ぞろえを強化する。2022年前半の手続き完了を目指す。
ファイザーはアリーナ1株あたり現金100ドルを支払う。アリーナは、潰瘍性大腸炎の治療薬など複数の新薬候補が臨床試験(治験)の中期~後期段階にある。
ファイザーは新型コロナウイルスのワクチン販売で得た豊富な手元資金を活用し、将来の収益多角化に向けた事業買収を進めている。11月には、血液がんの免疫治療薬候補を持つ米トリリウム・セラピューティクスを約23億㌦で買収した。
タイの電炉大手2社を2022年に買収する方針を固めた。電炉は日鉄の主力生産設備の高炉より二酸化炭素(CO2)排出が少ない。製造業で最もCO2排出量が多い鉄鋼業として温暖化ガスの抑制を急ぐ。世界的に電炉活用が活発になってきた。
同社は香港上場で7億6700万ドル(約870億円)の調達をめざしていた。すでに投資家の募集を始め、公開価格を決めるタイミングで米国が証券投資を禁じる中国企業のリストに同社を追加した。13日の発表で「すぐに上場するとの約束を維持する」としたうえで、上場のスケジュールなどは改めて発表すると説明した。
米メディアによると、来年4月までに上場しない場合は、センスタイムがソフトバンクGの保有株を買い取る必要がある。
●その他産業
電動バイク部門をブランドと同名の「ライブワイヤー」として独立させ、上場時に17億7000万ドル(約2000億円)の企業価値を見込む。事業分割の流れが老舗の二輪車メーカーにも広がった。
2022年半ばまでにSPAC経由で株式を上場し、ハーレーが株式の74%を保有する。ハーレーのヨッヘン・ツァイツ会長兼最高経営責任者(CEO)が新会社の会長を兼務し、最長2年間はCEO代理も務める。ツァイツ氏は13日、「電動車両の専門メーカーとして商品開発に資金を集中し、市販モデルの投入を加速する」と述べた。
ハーレーは先進国の若者のバイク離れなどで主力の大型バイクが伸び悩んでいる。テコ入れのために新興国向けの低価格モデルの拡充と電動バイクの開発を進め、21年に電動バイクの専門ブランド「ライブワイヤー」を発足した。客層や商品サイクルが異なる電動バイク事業を分社し、焦点を絞った販売戦略で新市場の開拓をめざす。
北京汽車集団は13日、独ダイムラーの株式の10%弱を2019年から保有していると発表した。これまでの公表は5%だった。長期的な戦略関係の強化が狙いだとしている。中国勢によるダイムラーへの出資は浙江吉利控股集団と合わせて約2割となる。
ダイムラーには18年に中国民営自動車大手の吉利も10%弱を出資した。ダイムラーは北京汽車集団が最重要パートナーだとしているが、小型車「スマート」を吉利と合弁に移したり、エンジンの調達を決めたりするなど吉利との関係を深めている。北京汽車集団は出資比率を拮抗させることでバランスを保つ狙いもあったとみられる。
一定のリスクをとる代わりに中長期的に年3%程度の利回り確保をめざす機動的な保険商品づくりにつなげる。
●決算関連
●マクロ・その他
ジョンソン英首相は13日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に感染後の死者1人を確認したと明らかにした。英BBCなどが報じた。
英国では12日、オミクロン型の感染が新たに1239件判明し、累計で3137件となった。同国では2~3日で2倍になるペースで増えており、ジョンソン英首相は軍も活用して、ワクチンの接種を加速させると表明している。
アマゾン・ドット・コムやフェデックスの一部の拠点が被災した。現状では物流の混乱は限定的だが、完全復旧までは時間がかかりそうだ。
6人の死亡が確認されたアマゾンのイリノイ州の物流センターは建屋の壁が崩落するなど被害が大きく、復旧のメドは立っていない。同センターではクリスマス商戦の商品配送で多くの従業員が夜勤で勤務していた。
物流大手のフェデックスもテネシー州の物流センターが被害に遭った。同センターは中西部と南部の配送センターを中継し、国際貨物も手掛ける同社の主力拠点だ。同社は11日、顧客に「異常気象の被害により、国内と国際の双方の配送に遅れが生じる」と通達した。
製造業の主要工場やエネルギー産業の拠点への被害は確認されていない。トヨタ自動車は12日、竜巻被害が大きかったケンタッキー州の完成車工場を13日から通常通り操業することを決めた。現時点では部品メーカーを含めたサプライチェーン(供給網)への被害は確認されておらず、従業員にも影響はなかったという。
同工場は全米の4割近い55万台の年産能力をもつ。竜巻被害があったテネシー州とミシシッピ州に完成車工場をもつ日産自動車も部品メーカーを含めて現時点で被害はなく、13日から通常通り操業するという。
企業活動は13日から本格化するため、新たな影響が判明する可能性もある。
石油価格の高騰を背景に財政収支は国内総生産(GDP)の2.5%に相当する900億リヤル(約2兆7000億円)と9年ぶりの黒字を見込む。政府系ファンドの国内向け投資を10年で35倍にふくらます野心的な計画も示したが、産業多角化の改革はなお石油頼みなのが現実だ。
習主席は「共同富裕」(共に豊かになる)というスローガンへの言及を増やし、国家としての優先課題を強調。貧富の格差を悪化させたと判断された中国企業はトラブルに見舞われ、一方で格差是正に寄与したと見なされた企業に対する需要が膨らんだ。
ただ投資家が学びつつあるように、習主席のビジョンは格差是正にとどまらない。中国経済の「高水準の発展」を推進しながら、共同富裕を育む取り組みが行われることを明確にしている。
つまり、政府の目標に沿って良好なパフォーマンスで推移し得る多くの株式セクターがあるということだ。ネット関連銘柄の株主は、過度の影響力を持ったり、社会的な調和を乱したりする企業は罰せられるという教訓を得た。
ゴールドマン・サックス・グループの劉勁津(キンガー・ラウ)ストラテジストは「目標の全容を把握するためには共通と富裕という2つの言葉を個別に見る必要がある」と指摘。「所得再分配は重要だが、高度化されたテクノロジーによる持続可能な成長と繁栄は少なくとも同様に重要だ。これこそ再分配を行うために必要になる」と述べた。
消費財:消費関連銘柄は高級品や派手なブランドではなく、生活必需品や耐久消費財が優位になると見込まれる。
産業:注目を集める高度製造業の一つの側面が半導体だ。アナリストらはロボット工学と通信ネットワーク、ビッグデータ分野の企業にも好機を見いだしている。これらは全て国家主導の投資の恩恵にあずかるはずで、北京兆易創新科技や杭州立昂微電子、科大訊飛、国電南瑞科技などを注視すべきだ。
ヘルスケア:共同富裕はまた、医療と医薬品をより手頃な価格にし、同時に中国のバイオテクノロジーを進化させるようとしている。このことは投資家にとって、最先端のイノベーション(技術革新)を持つ製薬会社のバリュエーション上昇、政府が基礎的医薬品の価格押し下げを図っていることから後発医薬品(ジェネリック)メーカーはバリュエーション低下という意味を持つことになる。
再エネ:エネルギー安全保障は中国の経済成長に不可欠と考えられており、電気自動車(EV)と風力・太陽光などの再生可能エネルギー源は、高度な発展とよりクリーンな環境を求める習主席の方針に一致している。
日銀が13日に公表した12月の企業短期経済観測調査(短観)における「企業の物価見通し」によると、企業が想定する消費者物価(CPI)の前年比上昇率は平均で1年後が1.1%上昇と1%台に乗せ、2015年9月調査(同1.2%上昇)以来の高水準となった。プラス幅の拡大は4期連続で、拡大幅の0.4ポイントは調査を開始した14年3月以降で最大。3年後と5年後も前回からプラス幅が拡大した。
原油など世界的な原材料価格の高騰が続いていることが、インフレ期待の上昇の背景にある。今回の短観でも仕入価格判断DI(上昇-下落)は大企業の製造業がプラス49、非製造業がプラス25と前回からそれぞれ12ポイント、8ポイントもプラス幅が拡大した。
一方の販売価格判断DIは大企業の製造業がプラス16、非製造業がプラス10とそれぞれ6ポイント、4ポイントの拡大にとどまったが、大企業全体の水準は1980年8月調査以来の高さだ。日銀の調査統計局は、短観調査で企業から原材料コストの上昇を懸念する声が幅広く聞かれたとしているが、経常利益計画は上方修正され、増益が見込まれている。
15日のFOMC会合終了後、当局者18人(1人欠員)の最新の経済予測が公表される。このうち金利予測分布図(ドット・プロット)について、来年2回の利上げが行われるとの見通しが中央値で示されると、エコノミストの半数余りが予想していることが今回の調査で分かった。9月公表の前回予測では、現行の事実上のゼロ金利からの利上げ開始時期を22年と予想する当局者の数と23年と見込む当局者の数が同数だった。
米金利先物市場は来年末までに66ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後の利上げの可能性を織り込んでいる。
ブルームバーグが調査したエコノミストの半数余りは、当局が来年1月からテーパリングのペースを月額300億ドル(約3兆4000億円)に倍増し、3月に完了することを今週のFOMCで決めると予想した。
米金融当局者は最新の経済予測で22年に2回、23年は3回、24年には2回の利上げをそれぞれ予想すると見込まれている。これはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジ(現行0-0.25%)の上限が24年に2%に達するとのエコノミスト見通しと一致する。
トルコは金利を引き上げない決意だとネバティ新財務相が13日述べた。トルコ中央銀行の政策決定に圧力を加えているエルドアン大統領の方針に沿った発言だ。
同中銀は16日の会合で、政策金利を再び引き下げると見込まれている。インフレ率が20%に上昇する中での金融政策緩和を受け、通貨リラは対ドルで繰り返し最安値を更新している。
ADBは14日、2022年のアジア新興国のGDPの前年比伸び率が5.3%になりそうだと発表した。従来予想よりも0.1ポイント下方修正した。中国を含む東アジアの成長率を5%と、9月の従来予想から0.1ポイント下げたことが響いた。
ADBが同日発表したアジア経済見通しの改訂版で中国の経済成長は「当初予想より弱含んでいる」とし、従来予想を0.2ポイント引き下げ5.3%とした。輸出の伸びが鈍化し各産業の成長が低下する可能性があるとした。オミクロン型など新型コロナの変異型は不透明な点が多く、感染が拡大すれば「現在中国で採用されている(新型コロナを徹底的に抑え込む)ゼロコロナ政策は経済活動を混乱させる可能性がある」と言及した。
一方で東南アジアの22年の成長率は5.1%とし、従来予想を0.1%上方修正した。21年に一時新型コロナが急拡大したが、新規感染者数は現在は低減しており移動・行動制限も緩和している。インドネシアの成長率は5%、フィリピンは6%とそれぞれ0.2ポイント、0.5ポイント上方修正した。
2022~26年に適用する金融政策の枠組みを発表した。枠組みは5年に1度見直しており、インフレ目標は2%を中心に1~3%の範囲内に収めるという方針を変えなかった。政策運営で雇用の回復も重視し、「持続可能な最大雇用の達成を積極的に追求する」との考えも示した。
共同声明では気候変動リスクへの取り組みにも言及した。「金融政策は気候変動の脅威に直接対処することはできない」としつつ、気候リスクがカナダの経済や金融システムに与える影響を測定する手法を開発することで関与を深める考えを示した。
英国の民間銀行に求める自己資本比率の必要水準に対する上乗せ幅を、現行のゼロから1%へ引き上げると発表した。1年後の2022年12月13日から適用する。新型コロナウイルスの感染拡大を受けてゼロにしていたが、銀行システムは健全だとみて非常措置の解除を決めた。
経済環境が良好な期間に自己資本を余分に積ませる「カウンターシクリカル資本バッファー(CCyB)」の比率を引き上げる。
新型コロナ禍による経済活動の急激な縮小を受け、金融機関の融資の余力をより多く確保する一手として、20年3月に1%からゼロへ即時に引き下げられていた。
経済が見通しに沿って推移すれば、22年4~6月期にCCyBの2%への引き上げを決める見通しだ。英大手銀は十分な自己資本比率を確保しており、変更による影響は出ないとみられる。
ロシアとドイツを結ぶ新たなパイプライン「ノルドストリーム2」をめぐり、米政権が稼働阻止を辞さない姿勢を示したことで供給不安が意識された。
買いを呼んだのはブリンケン米国務長官の発言だ。12日に米NBCテレビでノルドストリーム2について、ロシアがウクライナに侵攻すれば「(ガス輸送は)非常に難しくなる」と述べ、ロシア側をけん制した。
パイプラインは既に完成しているが、ドイツが11月に認可手続きを中断して稼働に至っていない。トラス英外相が11月に英紙への寄稿で「ノルドストリーム2は欧州の安全保障を損なう」と批判するなど、ロシア依存をさらに強めるとして反対論も根強い。市場で早期稼働への期待はしぼんでいたが、ウクライナ情勢の緊迫でロシアからの供給不安が再び強まってきた。
●市況
日経先物(大証)28552、ダウ先35716、債先152.13、米1.426、独▲0.3855、仏▲0.038、西0.306、伊0.906、原油71.06、ドル円113.56、墨ペソ20.99、トルコリラ13.8273、墨CDS100
※12/14 9時35分頃
備忘録(12/9-12)
●コロナ
米国の9日の新規感染者数(7日移動平均)は約11万8000人。感染が一時期落ち着いていた10月下旬に比べると7割近く増加している。米疾病対策センター(CDC)によると、デルタ型が大半を占めている。また、入院患者数(同)は約5万4000人。およそ7週間ぶりに5万人を超える日が続いている。感染が広がる東部や中西部などで医療機関の病床が埋まりつつある。
東部メーン州最大規模の病院のICU患者のうち未接種者は9割を占める。接種済みの患者の大半は高齢者で基礎疾患を持っているという。
保健安全局がオミクロン型に感染した581人を調べた。ワクチンを2回接種した人は、発症を防ぐ効果がデルタ型に比べて低かった。だが追加接種をすると70~75%の抑制効果を示した。初期データのためさらなる調査が必要だとしている。
新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者が2万497人に上ったと発表した。2万人を超えたのは4月以来。新たな死者は118人だった。欧州全体で感染が再拡大する中、同国の状況も悪化。これまでに新変異型オミクロン型の感染は26人確認された。
イタリアではワクチン接種対象である12歳以上の85%が規定回数の接種を完了した。20歳以下の若い世代で新型コロナ感染が広がっているといい、今月から18歳以上への追加接種が始まった。
昨年11月のピーク時には1日当たりの新規感染者が4万人を超えていた。
●中国不動産
マクロ政策では、積極的な財政政策と緩和的な金融政策を続ける。財政では新たな減税やコスト削減策を実施する。減税の内容は明らかにしていないが、コスト高で収益が悪化する中小零細企業などを支援する。財政支出の進捗を早めて、インフラ投資を前倒しすることで、早期に需要を作り出す方針も盛り込んだ。
最近の経済減速の一因となっている不動産規制は続ける。「住宅は住むものであって投機対象ではない」との文言を踏襲した。一方で、中低所得層向けの住宅開発をてこ入れするなど「新たな成長モデルを模索する」と強調した。規制の修正で、マンション購入の実需を満たすとともに、規制強化で資金繰り難に陥った不動産業の安定成長を促す。
「共同富裕(共に豊かになる)」にも言及。「まずはパイを大きくしてから、合理的な制度に基づいて分配する」と指摘した。成長と分配のバランスを重視する姿勢を示し、社会主義的な傾向が強まるとの懸念を払拭したいとの思惑がありそうだ。
中国は住宅開発プロジェクトの買収などを使途とする社債の発行を優先的に認める。中国恒大集団が9日、部分的な債務不履行(デフォルト)に陥り、購入者から将来の住宅の引き渡しを不安視する声が高まっている。社債発行の円滑化を通じて恒大など苦境に陥っている不動産会社を間接支援し、社会不安の高まりや金融システムへの波及を回避する。
フィッチは中国不動産大手の恒大集団の長期外貨建て発行体格付けをシングルCから部分的な債務不履行を意味する「RD」に引き下げた。恒大はグループ会社が発行した米ドル債の利息8249万ドル(約93億円)を期日の11月6日までに支払わず、30日間の猶予期間に入っていた。日本時間の12月7日午後に猶予期限が切れたが、複数の報道によると恒大は利払いを実行していなかった。フィッチは「恒大に利払いの(有無の)確認を求めたが、回答がなかったため、払われなかったと想定した」という。
リフィニティブによると、恒大の米ドル債の発行残高は約195億ドル(約2兆2000億円)にのぼる。恒大の負債総額は中国の名目国内総生産(GDP)の2%に相当する規模に膨らんでおり、米ドル債も中国企業として最大規模とみられる。
恒大は中国政府の全面関与のもとで、住宅購入者の保護や取引先の連鎖破綻回避を優先しながら、経営再建の道を探る見通しだ。一方、米ドル債の投資家は元本毀損や金利減免など相応の負担が避けられず、債務再編案の内容次第ではこうした投資家の反発を招きかねない。
海外債権者との債務再編協議がまとまらない場合、中国の破綻法制である「企業破産法」を適用し、法的整理に移行する選択肢がある。その場合、恒大にお金を貸している銀行や人民元債の投資家のほか、恒大の債務の約半分を占める取引先などが債権カットの対象となる可能性がある。
中国共産党は習近平総書記(国家主席)をはじめとする中央政治局常務委員が参加する中央経済工作会議を3日間開催。国営新華社通信が10日に報じたところによると、指導部は同会議の閉会に際して「来年の経済運営では、安定の確保が最優先課題だ」と表明。政府は「住民の合理的な需要を満たすために商業住宅市場を支援する」と約束した。
2022年の経済政策にとって最も重要な言葉は「安定」だと党中央財経委員会弁公室の韓文秀氏が11日語った。「全ての地域と機関が経済の安定を支え、中国経済の安定化につながる政策を積極的に導入する責任を担う必要がある。また、縮小効果のある措置の採用には慎重でなければならない」と会議での決定についてのオンライン説明の場で指摘した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ビジョン・ファンド(SVF)が欧州企業への投資を増やしている。フィンテックなどで有力企業が相次ぎ生まれているためだ。中国政府が自国のテック企業への締め付けを強めており、SVFの主要出資先である中国企業は価値が低下している。欧州企業への積極投資で中国リスクを分散する意味合いもある。
中国の画像認識大手、商湯集団(センスタイム)への米国人による証券投資を禁じると発表した。同社の顔認証技術が中国の少数民族ウイグル族を監視し、人権侵害に使われていると問題視した。
証券投資を禁じる中国企業のリストにセンスタイムを加えた。規制は2022年2月8日以降に発効する。
センスタイムは12月17日に香港取引所への上場を予定する。米国の規制が上場計画に影響を与える可能性がある。同社にはソフトバンクグループ傘下の「ビジョン・ファンド」が出資している。
バイデン政権は6月、通信など59社の中国企業への証券投資を禁じると発表した。軍事開発だけではなく人権侵害に関わる企業も対象に加えたリストをつくり、資金の流れを阻止する狙いだ。
財務省はこのほか、中国やロシア、ミャンマー、北朝鮮など個人15人と10団体に制裁を科すと発表した。ウイグル族の弾圧など人権侵害に加担したとして資産凍結などの措置をとる。
2020年度の温暖化ガス排出量は前年度比5.1%減った。リーマン・ショック後の09年度以来の下げ幅だが、新型コロナウイルス禍の影響を踏まえると小幅との見方もある。原子力発電所が定期検査などで停止したため総発電量に占める火力の比率が76.3%と0.7ポイント増え、電源の脱炭素化は遠のいた。
2022年1月5~31日の国内線の運航計画を発表した。計画に対する運航便数の割合である運航率(1月全体)はANAが20年度計画比で95%、JALが21年度計画比で97%とした。ビジネスや観光といった需要の回復を見込み、新型コロナウイルス禍以前に近い運航規模とした。
●その他産業
ダイムラートラックは新型コロナ前の2019年の販売台数が52万台とトラックメーカーとして世界最大。同年の売上高は462億ユーロだった。傘下に三菱ふそうトラック・バスや米最大手のフレートライナーなどを持ち、全世界で約10万人の従業員を抱える。今後は水素を燃料に使う燃料電池トラックなど乗用車では重視されなかった技術に積極投資する。
課題は売り上げを利益につなげる力だ。調整後の売上高EBIT(利払い・税引き前利益)比率は19年が5.8%、20年が1.9%だった。競合するボルボ(スウェーデン)の11.1%、8.4%に大きく見劣りする。25年に19年比で固定費と設備投資・研究開発費をそれぞれ15%削減し、調整後の売上高EBIT比率を8~9%に引き上げることを目指す。
●決算関連
売上高は同17%増の494億1700万ドル。既存店売上高は15%増で、市場の事前予測(約13%増)を上回った。主力の米国は14.9%増、カナダは17.2%増えた。ネット通販も14.3%増と好調だった。年会費は10%増の9億4600万ドルだった。クレイグ・ジェリネック最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「納入業者の協力と当社の購買力により、商品の確保に努めている」と述べた。
●マクロ・その他
暫定結果では反対票が96.5%となり、2018年、20年に続き独立は三たび否決された。投票の延期を求めた先住民ら独立派の多くが投票をボイコットし、賛成票はわずか3.5%だった。投票率は43.9%で、20年(85.7%)から40ポイント以上下落した。
独立は否決されたが、今後の混乱を懸念する声も出る。ニュージーランド(NZ)メディアは、独立派の幹部らが12日の投票への反対を国連に訴えるためニューヨークに出向いたと報じた。投票結果を巡る混乱が生じれば、22年4月の仏大統領選で対立候補らにマクロン氏への批判材料を与えることになる。
南太平洋では中国がインフラ支援を通じて存在感を強めており、ニューカレドニアが独立すれば中国が影響力を及ぼすとの指摘が出ていた。仏軍事学校戦略研究所(IRSEM)は10月に発表した報告書で、米国やその同盟国の太平洋における影響力をそぐために、中国がニューカレドニアで独立運動を支援しているとの見方を示唆した。
米IT(情報技術)大手が強いクラウドサービスなどの海外への支払い超過が1~10月に1.1兆円を突破した。DX加速は待ったなしだが、中長期的には基幹システムを海外に頼らざるを得ない国内産業の弱さをどう克服するかも課題となる。
枠組みでは監視技術が強権国家で広まるのを防ぐ輸出規制を検討する。輸出を禁じる際の基準を定めた「行動規範」をまとめ、参加国は国内法に基づいて規制をかける。
強権国家は監視カメラや顔認証、スマホから情報を抜き取るスパイウエアなどの監視技術を使って、反体制派やジャーナリストを弾圧している。半導体などハイテク製品の輸出を規制し、監視技術の利用拡大を食いとめる。
米国は中国によるウイグル族弾圧を問題視してきた。監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などに事実上の禁輸措置を課した。
米主導の枠組みは米国単独ではなく、多国間で輸出規制を実施することで強権国家への圧力を高める狙いがある。ハイテク産業を持つアジアなど多くの国が参加するかが実効性を左右する。
戦略石油備蓄から1800万バレルの売却を17日に実施すると発表した。計5000万バレルの備蓄を放出する計画の一環。エネルギー省は米エクソンモービルに480万バレルを貸し出す計画も承認した。将来、備蓄に戻すことが前提となる。
FRB監督・規制部門のディレクター、マイケル・ギブソン氏は金融機関に送った書簡で「ファンド債務返済能力を判断するため、規模や(借り入れを活用した)レバレッジ、最大または最も集中したポジション、(ファンドにサービスを提供する)プライムブローカー数について、詳細かつ十分な頻度で情報を入手すべきだ」と指摘した。投資会社が情報提供を拒んだ場合、厳しい契約条件を課すよう促した。
SECはデリバティブ取引の規制強化に動く。15日の会合で新規則を提案する見通しだ。委員会で可決すれば、意見公募を経て導入となる。アルケゴスはデリバティブ取引の一つ、「トータル・リターン・スワップ」を活用し、現物株の保有を回避しながら過大なリスクをとっていた。新規則には有価証券を裏付けとしたスワップ取引の報告義務などが含まれる。
バイデン氏は声明で「物価やコストを下げなくてはならない。政権の最大の目標だ」と強調。「11月にデータが収集された後の数週間の動きを見ると、我々が望むほど急速ではないが、物価やコストの上昇は鈍化している」と指摘し、ガソリン価格が足元で落ち着き始めたことなどに触れた。物不足による価格上昇の原因となっている「供給網(サプライチェーン)上の課題は進展がみられる」と述べた。
11月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.74%上昇した。03年11月(11.02%)以来、18年ぶりの高い上昇率となった。干ばつによる不作、通貨安に伴う輸入物価の上昇で、インフレは加速している。食料品ではコーヒーや鶏肉、チーズ、ビールの上昇が目立つ。
原油の高騰を受けてガソリンの販売価格は1年前に比べて5割以上上がった。通貨レアルは1ドル=5.6レアル程度と、1年前から1割強下落している。
中央銀行は8日、7会合連続の利上げを決めて、政策金利は9.25%となった。利上げ幅は2会合連続で1.5%と大きかった。3月からの累計の上げ幅はすでに7.25%に達している。干ばつが響いて経済状況は悪化しているが、中銀は来年2月の次回会合での大幅利上げの継続を強く示唆している。
オランダ大手銀ラボバンクは、22年第1四半期末までに政策金利は11.75%まで上がると予測している。
12月の消費者態度指数(速報値)は70.4で、10年ぶりの低水準だった前月から3.0ポイント上昇した。3カ月ぶりの上昇で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(68.0程度)を上回った。
調査担当者によると、賃金が上昇するとの予測から、所得下位3分の1の層の景況感が大きく改善した。一方、中間・上位層の景況感はわずかに下がった。
消費者景況感は、強いインフレに、新型コロナウイルスのオミクロン型の感染拡大への懸念が加わり、低迷している。現金給付や失業保険給付の上乗せなどの景気刺激対策の効果が残っており、感謝祭明けの年末商戦は堅調だが、調査担当者は「今後は賃金と物価の動向に消費者の焦点が向く」と指摘した。
11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が6.8%に達し、歴史的な高水準となった。
いつ供給制約による物価上昇圧力は弱まるのか。10月には米国の輸出が過去最高を記録するなど、モノの動きには回復も見えつつある。「半導体を入手できる可能性がこの2カ月でいくらか高まった」(地区連銀経済報告)との声も出てきた。
FRBやIMFも供給制約が和らぐにつれて、インフレが22年後半にかけて落ち着いていくとの見方そのものは変えていない。一方で、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が広がり、供給網の目詰まりが長引くリスクはなおくすぶる。
今後5年の市場の物価見通しを示す期待インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率)は11月に一時、3%台に乗った。いったん上がると下がりにくい家賃など住居費も上昇傾向にある。
11月の雇用統計によると民間の平均時給は1年前から5%近く伸びた。実際に採用できた人数との差が過去最大となった。人手不足による賃金上昇が物価上昇を誘発し、それが雇用コストをさらに高め、物価を連鎖的に押し上げる恐れはないか。イエレン財務長官は「1970年代を経験した我々の最大の懸念」は現時点でみられないとし、FRBが物価安定へ適切に行動すると強調する。
電気自動車(EV)の購入に対する政府の補助金がテコとなり、販売が伸びた。
半導体不足の影響などで11月単月は前年同月比9.1%減の252万2000台。7カ月連続のマイナスだったが、汽車工業協会の幹部は記者会見で「政府の政策で電力不足が緩和し、自動車メーカーも半導体不足への対応に努めている」と話し、今後販売は改善に向かうとの認識を示した。
日本でもエネルギー高を背景に素材などの企業物価が上昇している。日銀が10日発表した11月の企業物価指数は前年同月比9.0%上昇し、オイルショックが尾を引いた1980年12月以来、41年ぶりの上昇率を記録した。消費者物価も上昇する米国に比べると、小売り価格の上昇は一部に目立つ程度だ。価格転嫁が進まないと、企業収益を圧迫しかねない。
消費者物価指数(CPI)はいまのところガソリンや外食など一部に上昇が目立つ程度だ。10月までの上昇率はほぼ0%で推移する。米国と異なり、個人消費は勢いを欠き、企業や店舗は値上げをすると売上高が落ちるとの警戒が根強く、仕入れコストを販売価格に転嫁できずにいる。ただ、キユーピーがマヨネーズやドレッシングを2022年3月から値上げするなど、食品など一部の製品で値上げの動きも出始めた。
民間エコノミストの間では22年にもCPIが上昇するとの予測が多い。モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅氏は「生鮮食品を除くCPIの上昇率は22年春から夏にかけて1%台半ばまで上昇する」とみる。
2021年11月の消費者物価指数は、前年同月比7.37%上昇した。01年1月以来、約21年ぶりの高水準だった。野菜などの食料品やエネルギーの価格が大幅に伸びた。メキシコ人の主食であるトルティーヤの価格も上がっている。メキシコ経済省によると、メキシコシティのトルティーヤの価格は12月上旬に1キログラムあたり18ペソ(約100円)と4月の14ペソに比べて3割近く上がった。タコスの材料となるトルティーヤや野菜の価格が上昇し、メキシコの低所得者層の生活は打撃を受けている。
メキシコ銀行(中央銀行)は利上げを続けているが、インフレの加速を抑えられていない。
一方で市場関係者の間では、インフレは中銀の見通しよりも長引くとの予想もある。米ゴールドマン・サックスのアルベルト・ラモス氏は9日に公表したリポートで「物価上昇率は23年の上半期まで中銀の目標上限を上回り続ける可能性が高い」と指摘した。
これまで7%だった比率を15日から9%に高める。外貨の流動性を下げて、金融機関に手持ちの人民元を外貨に両替するよう促す。元高圧力を緩める狙いだ。
直近の世論調査で、4日に中道右派の統一候補に選出されたパリを含むイルドフランス地域圏のペクレス議長が、マクロン氏に勝利するとの結果が出た。マクロン氏が敗れるとの結果は初めてで、選挙の行方が混沌としてきた。
要因は、1回目で敗れる極右2候補の票の行方だ。1回目投票でルペン氏を支持する人の31%、ゼムール氏を支持する45%が、決選投票ではペクレス氏の支持に回るという。対照的に、極右2候補からマクロン氏に流れる有権者は、2割未満にとどまる。他の調査会社による世論調査でも、ペクレス氏の人気が急拡大している。
同氏はイスラム過激派の国外追放や、移民流入数に上限を設定するといった強硬な治安・移民政策を掲げる。このため、極右を支持する有権者が、マクロン氏よりも指導者として適していると考えているもようだ。ペクレス氏は7日、仏メディアの取材に「すべての国民に、我々の提案が素晴らしいものであるということを訴えたい」と述べ、中道、左派層からの支持獲得も目指す姿勢をみせた。
11月の工作機械受注額(速報値)は、前年同月比64%増の1454億円だった。13カ月連続で前年実績を上回った。世界的な半導体投資や工場の省人化を追い風に需要の拡大が続いている。国内では新型コロナウイルス禍に対応した政府の補助金も受注額の増加を後押ししている。
11月は前年同月を2.3%上回り、上昇率は9月からの2カ月で1.6ポイント伸びた。ガソリンと軽油はそれぞれ前年同月より4割前後高かった。燃料高で運輸コストも増し、食品価格も上がった。生鮮野菜は31%、鶏卵は20%、淡水魚は18%それぞれ上昇した。中国人の食卓に欠かせない豚肉は、アフリカ豚熱(ASF)による供給減の影響で価格が高騰していた20年11月よりは3割ほど安い。それでも価格安定を目的とした政府の備蓄などで、下落率は10月から縮まった。加工食品の分野でも、値上げの動きが出始めている。中国メディアによると、10月以降、食用油や調味料、冷凍食品のメーカーが出荷額を3~20%引き上げた。
食品や燃料は価格が上がる一方、サービス価格などは伸びが高まらない。家計の購買力を反映する食品とエネルギーを除くコアCPIは11月、前年同月比1.2%上昇と、10月(1.3%)より鈍った。要因は大きく2つある。まずは新型コロナウイルスの感染が10月下旬以降、再び広がったことだ。共産党の重要会議や冬季五輪を開く北京市を中心に移動制限が強まり、外食、娯楽、運輸、宿泊といったサービス需要が落ち込んだためだ。
もう1つは家計の懐が潤いにくい点だ。雇用環境が停滞する中、必需品が値上がりすれば、家計は購買力が弱まり、娯楽など余計な消費を切り詰めようとする節約志向が強まりやすい。
11月の卸売物価指数は前年同月比12.9%上昇した。伸び率は約26年ぶりの大きさとなった10月の13.5%よりやや縮まったものの、川下に多い中小零細企業はなおコスト高に苦しんでいる。調査対象に民営企業が多い長江商学院の景況調査によると、企業の融資環境を示す指数も悪化が止まらない。先行き懸念や資金繰りの厳しさから、投資や雇用を増やす余力は乏しい。
英政府が追加的な予防的措置を取らなければ、新型コロナウイルスのオミクロン変異株がイングランドで相次ぐ感染拡大を引き起こし、今冬のコロナ死者が7万5000人近くに達する恐れがある。リポートは室内での会合や集会の参加人数の規制、娯楽施設の一部閉鎖を推奨し、これにより入院患者を5万3000人、死者を7600人引き下げる可能性があるとしている。
●市況
日経先物(大証)28557、ダウ先35981、債先152.06、米1.482、独▲0.3445、仏0.006、西0.364、伊0.964、原油71.95、ドル円113.39、墨ペソ20.88、トルコリラ13.8805、墨CDS103
※12/10 NY引値
備忘録(12/8)
●コロナ
デルタ型が依然として猛威をふるっており、新規入院患者数は1カ月前に比べて3割増えた。東部や中西部では医療体制が逼迫し、緊急性の低い手術の延期などの対応に追われている。
米ファイザーと独ビオンテックは8日、新型コロナウイルスのオミクロン変異株を中和するには、3回目のワクチン接種が必要となる可能性があるとの見方を示した。試験施設での暫定結果として発表した。また、オミクロン株に対応したワクチンの必要性が高まるとみられる。ファイザーによれば、オミクロン株対応のワクチンは2022年3月までに用意できる見通しだ。
●中国不動産
当局は中国恒大の危機による打撃の緩和に乗り出している。中国人民銀行(中央銀行)は6日に預金準備率の引き下げを発表。共産党中央政治局も緩和策を今後講じることを示唆した。
中国恒大の将来を巡っても、債務再編の可能性も含めて政府がより大きな役割を果たす兆候が見られ、無秩序な破綻を巡る投資家の懸念が和らいだのかもしれない。中国恒大は6日、新設するリスク管理委員会メンバーの過半数を政府系の代表者が占めると発表した。
シティグループの劉利剛氏率いるアナリストチームはリポートで、「中国恒大が3日から管理型の再編を正式に始めた中で、同社のデフォルト(債務不履行)が不動産市場の深刻な低迷をさらに悪化させる事態を防ぐため、大幅に強化した政策支援が必要になる」と指摘した。
デフォルトは債券の利払いや償還が約束通りに行われない状態を指す。恒大の社債の発行条件には「イベント・オブ・デフォルト」として、デフォルトの定義が細かく記載されている。今回該当したとみられるのが「支払期日が到来した債券の金利の支払いが不履行となり、その不履行が連続して30日間継続する」という条項だ。通常は当該企業が発表するか、格付け会社が認定することでデフォルトと周知される。
8日午前時点で恒大は何も発表しておらず、格付け会社もデフォルトとは認定していない。日本では手形の不渡りを半年間で2回起こすと銀行取引停止処分を受け、多くの企業は通常の営業が難しくなるが、中国で同様の慣行はない。恒大は事業を継続し、香港取引所でも株式の売買が続いている。
すでに恒大の株価は昨年末比90%近く下落している。社債も額面の20%台と、デフォルトを前提とした取引が続いている。恒大の米ドル債の投資家はハイイールド(高利回り)債ファンドなどが多く、金融システムに与える影響は限られている。市場参加者の関心はすでにデフォルトの有無から、債務再編の具体的な中身に移りつつある。
中国当局が恒大の問題に全面的に関与する姿勢を見せている点も大きい。地元の広東省政府は3日、恒大に監督チームを送り込むと発表した。同省の政府系企業幹部が共同責任者に就くリスク管理委員会の設置も決まった。
中国人民銀行(中央銀行)は企業の資金繰りを支えるため、市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す「預金準備率」を引き下げると発表し、金融緩和に乗り出した。市場参加者は「恒大は個別のケースで、金融市場全体に波及する可能性は小さい」と受け止めている。
恒大は外貨建て債務再編に向けて債権者と協議に入ると発表した。中国政府の全面関与のもとで、取引先の連鎖破綻などを避けつつ軟着陸を探るとみられる。
中国当局は社会不安を避けるため、住宅購入者への物件引き渡しや、取引先への代金支払いなどを優先する意向とみられる。ドル建て社債の保有者は元本毀損が避けられず、債務再編の内容次第では反発を招く可能性もある。合意形成には時間がかかるとの見方が多い。
海外債権者との債務再編協議がまとまらない場合、企業破産法を適用し、法的整理に移行する可能性がある。その場合、銀行や人民元建て債券の保有者のほか、恒大の債務の約半分を占める取引先が債権カットの対象となる可能性がある。さらに住宅購入者にまで影響が及ぶ可能性もある。
米ジェフリーズは「中国政府が恒大を救済する可能性は低い」との見方を示す。市場全体への影響を抑えつつ、経営者の責任追及や事業の大幅縮小などを進めるとの見方が有力だ。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
欧州の鉄鋼大手SSAB(スウェーデン)が生産時に二酸化炭素(CO2)を排出しない鋼材の実用化で先陣を切った。同国のボルボと共同開発した鉱山用運搬車を発表した。製品のライフサイクル全体で「脱炭素」を進めたい自動車や機械メーカーによる採用計画も相次ぎ決まった。再生可能エネルギーを調達しやすいスウェーデン地の利も生かした「グリーン鋼材」で後続各社を引き離す構えだ。
●決算関連
●マクロ・その他
2022年半ばまでは政策金利を現行水準で維持するという先行き指針(フォワードガイダンス)も変えなかった。声明文では新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が「供給網の混乱拡大やサービスの需要減を招き、経済成長の重荷になる可能性がある」と指摘した。
製材品の2022年1~3月期価格は21年10~12月期に比べ1割安い。世界の木材高騰「ウッドショック」を引き起こした米国で相場が下落したためだ。一方、足元では北米を襲った豪雨の影響で米国相場が再び上昇し始めた。日本側の数量確保に不安の声が上がっている。
南米ペルーの議会は7日、カスティジョ大統領の弾劾を求める提案について、反対多数で否決した。野党が「道徳的な能力の欠如」を理由に弾劾を求めていたが、議会(130議席)の投票で反対が76票、賛成は46票にとどまった。
野党は弾劾に相当する理由として、テロ組織と関係のある人物を政府高官に起用したことや、地方政府の資源を大統領選に利用したことなどを指摘していた。
EUと加盟国に経済的な手段を使って圧力をかける第三国に対して、貿易関連の制裁を科せる制度案を公表した。原則として加盟国に諮らず、EUが独自に判断できるのが特徴。
具体的な報復措置としては、商品やサービスへの追加関税のほか、EUから対象国への資金支援の停止、EU内での関連手続きでの認可取り消しなどが想定されている。
念頭には台湾との関係を深めるリトアニアへの圧力を強める中国がある。EUの外相に当たるボレル外交安全保障上級代表とドムブロフスキス上級副委員長(通商政策担当)は声明でリトアニアの貨物が中国の税関で止められているとの情報があるとして「EUはあらゆる政治的圧力や強制的な措置に立ち向かう用意がある」と訴えた。
11月前半の消費者物価指数は前年同月比で10.73%上昇した。中銀の目標上限(5.25%)の2倍を上回る水準で、インフレは加速傾向にある。降雨不足による不作で農作物の値段は上昇しており、新型コロナウイルス禍からの経済再開が進んでいるためサービスの価格も上昇しやすい。
レモンド商務長官は声明で「汚職や人権侵害に厳しく対処し、地域と世界の安全保障を脅かす中国軍の影響を減らすようカンボジア政府に促す」と述べた。
カンボジアは中国との関係が深い。中国がカンボジア南西部にあるリアム海軍基地の拡張を支援していると指摘されている。米国は中国が同基地を軍事利用することへの警戒を強めている。
商務省は中国の人権侵害を理由に中国企業に禁輸措置を課すなど、経済制裁を活用して圧力を強めている。
リードタイムは約22.3週と、前月から4日延びた。リードタイムは同社が2017年にデータ集計を開始した2017年以降で最長となっている。
今回の結果は、電子部品の需要が高まっている業界にとって状況の後退を示している。米アップルやフォード・モーターは、自社製品の需要に対応できず、コストが上昇しているとの見方を示している。10月のリードタイムが小幅な拡大にとどまったことで、状況が改善しつつあるとの楽観的見方が高まっていた。
●市況
日経先物(大証)28830、ダウ先35717、債先151.97、米1.525、独▲0.3220、仏0.037、西0.404、伊1.028、原油72.61、ドル円113.76、墨ペソ20.94、トルコリラ13.6741、墨CDS106
※12/9 9時30分頃
備忘録(12/7)
●コロナ
オーストリアは11月22日から都市封鎖を導入し、最大20日間としていたため、予定通りの終了になる。11月中旬には1日あたりの新規感染者が1万6000人を超える日もあったが、足元では約4500人まで減っている。
英グラクソ・スミスクラインとカナダのメディカゴが開発している新型コロナウイルスワクチン候補は、複数の変異株に対する後期臨床試験で71%の有効性を示した。メディカゴは田辺三菱製薬の連結子会社。試験実施時はオミクロン変異株は広がっていなかったが、同変異株に対する有効性も確認する計画だ。
●中国不動産
中国恒大傘下の景程が発行したドル建て債の保有者2人が匿名を条件に話したところによると、まだ利払いを受けていない。30日間の猶予期間は終了し、同社としては初めてオフショア債のデフォルト(債務不履行)に陥る可能性がある。
中国共産党中央政治局は6日、習近平総書記(国家主席)が主宰した会議で、不動産業界への規制緩和を示唆した。来年後半の第20回党大会を前に、2022年の経済安定化の方針を示した。同国不動産開発業者の流動性危機は債券市場を揺るがせている。
汪涛氏らUBSグループのエコノミストはリポートで「政治局の論調の変化は上級指導者が経済への下押し圧力を認識していることを明確に示している」とし、中銀は「『穏健な』金融政策スタンスをあらためて示したが、RRR引き下げは実際、金融政策緩和の明確なシグナルを送っていると思われる」と分析した。
S&Pは7日の発表文で、「債権者が中国恒大に2億6000万ドル(約300億円)の支払いを求めているということは、中国恒大の流動性が非常に弱いままである状況を示している」と指摘した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ソフトバンクGは社債を額面1ドル当たり約85.6セント、利回り約9.875%で機関投資家に売却する。協議の非公開を理由に関係者が匿名で語った。
このニュースを受け、ウィーワークの他の債券も値下がりした。トレースによると、同社の2025年5月償還債(表面利率7.875%)が額面1ドル当たり94セントと3月以来の低水準となり、7日の米ジャンク債市場で値下がりが目立った。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のクレジット調査ディレクター、ノエル・ヘバート氏はウィーワークについて、赤字が続いており、新型コロナウイルスのオミクロン変異株がさらに業績の重しとなりかねないと指摘した。
ソフトバンクGの広報担当者は「ウィーワークの10月と12月の素晴らしい業績」に言及した上で、今回の売却は同社への信頼を表すものだと説明した。ウィーワークの広報担当者は「投資家基盤を多様化し強固な機関投資家グループと接点を持つ機会を得られる」とコメントした。同社は6日、ソフトバンクGがウィーワーク向けの信用枠を1年延長して2024年にしたと明らかにしたが、これも信頼のサインと言える。
●その他産業
原告側は「フェイスブックは東南アジアの小国における普及率を高めるために、ロヒンギャの人々の命を喜んで取引した」とも非難。不当な死や人身傷害、精神的苦痛や財産の喪失などに対し少なくとも1500億ドルの補償的損害賠償を求めている。これはメタの20年12月通期売上高の1.7倍に相当する。集団訴訟の提起についてメタ側のコメントは得られていない。
米国では第三者が投稿したコンテンツに対するインターネット企業の法的責任を免除する通信品位法230条によって、メタは今回のような申し立てから保護されている。原告側は訴状の中で裁判所に対し、同法とビルマの法律が対立する場合にはビルマの法律を適用するよう求めている。
●決算関連
●マクロ・その他
外相に人権重視派で中国やロシアへ厳しい発言を続ける緑の党のベーアボック共同党首が就任する。閣僚は男性が9人、女性が8人でほぼ同数となる。
ベーアボック氏は、中国政府に圧力をかけるための欧州連合(EU)レベルでの輸入制限をちらつかせるなど、特に中国に対して批判的な姿勢を見せている。経済問題を最優先して人権問題への深入りを避けたとされるメルケル氏の路線には否定的で、中国側もベーアボック氏への警戒を強めている。
一方で、首相になるショルツ氏はメルケル氏の産業界寄りの対中政策を引き継ぐ立場とみられている。実際にはショルツ氏とベーアボック氏の綱引きのなかで、新政権の対中外交の軸足が定まっていく可能性が高い。
財務相には健全財政を唱えるFDPのリントナー党首が就任する。新政権は最低賃金引き上げによる格差是正や温暖化ガスの排出削減などを唱えており、こうした政策を推し進めれば財政は拡張に向かいかねない。リントナー氏は債務膨張に対するブレーキ役になるとみられる。
輸出は前年同月比22.0%増の3255億ドル(約37兆円)だった。増加率は10月の27.1%より縮まったが、昨年10月以降、2ケタ以上の伸びが続いている。主要輸出先である欧州連合(EU)向けが堅調だった。
輸出を品目別に見ると、マスクなど織物が前年同月比10%増えた。リモート需要が底堅いパソコンは18%伸び、新型コロナの感染再拡大が関連製品の出荷を押し上げている可能性がある。労働集約的な玩具や衣類はそれぞれ2割前後増えた。
地域別では、全体の2割近くを占める最大の輸出相手国である米国向けは5%増にとどまった。一方で、米国に次ぐ輸出先となったEU向けは3割超増えたほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けも2割伸びた。
輸入は31.7%増の2538億ドルだった。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は717億ドルで、前年同月比3.4%減少した。新型コロナウイルスがまん延する前の19年11月と比べると、輸出は47%、輸入は38%それぞれ上回った。
オマロバ氏は旧ソビエト連邦のカザフスタン出身で、モスクワ大学で学んだ。共和党議員は同氏が社会主義的な発想を持っていると主張し、反対姿勢を強めていた。
オマロバ氏は2020年10月に発表した論文で、民間銀行の預金を米連邦準備理事会(FRB)に移管すべきだと主張した。地銀などの役割を奪うとして、銀行業界は一斉に反発。地元議員などへオマロバ氏の承認に反対するようロビー活動を強めていたとされる。
法案は上院(定数100)で単純過半数の賛成で債務上限を引き上げられるよう規則を見直す。従来は60票の賛成が必要だった。
22年は石油輸出国機構(OPEC)プラスや米国での原油生産が増加し、世界の供給量の伸びが需要の伸びを上回るという。この結果、22年の平均価格は同70ドルに落ちつくとしている。
輸出は11%増の1579億ドルだった。食料品や産業資材、消費財の輸出がそろって過去最大を記録した。日本や中国、ドイツなどへの輸出が伸びた。新型コロナウイルスの影響が一服した影響も出ている。
コンテナ貨物の輸送量は減少しているにもかかわらず、運賃は前年比2倍と過去最高値をつけている。米中間の旺盛な輸送需要に応えるべくコンテナの回送が増え、輸送スペースが縮小しているためだ。
●市況
日経先物(大証)28715、ダウ先35735、債先152.01、米1.472、独▲0.3720、仏▲0.019、西0.337、伊0.913、原油71.82、ドル円113.44、墨ペソ21.02、トルコリラ13.5286、墨CDS115
※12/8 9時8分頃
備忘録(12/6)
●コロナ
ベラン保健相は「オミクロンが従来の新型コロナウイルスより危険だという証拠はないが、欧州ではあと数カ月で感染の中心になる可能性がある」と説明
米国では5日の新規感染者数(7日移動平均)は12万人超と、約2カ月ぶりの高水準となった。1日に初めてカリフォルニア州で確認されたオミクロン型の感染事例は17州40人に達した。ニューヨークではすでに8人のオミクロン型への感染者が確認されている。
NY市は対面で働く民間企業の従業員は27日までにワクチンを少なくとも1回接種しなければならないとした。医療や宗教上の正当な理由があれば免除も検討する。
連邦政府は100人以上を雇用する企業に、2022年1月4日までに従業員の接種を完了するように求めたが、共和党優勢の州を中心に訴訟と裁判所による差し止め命令が相次いでいる。ニューヨーク市でも企業や従業員の反発を招く可能性がある。デブラシオ氏の後任として22年1月にニューヨーク市長に就く民主党のエリック・アダムス氏が、新たなルールを踏襲するかも焦点となる。
米政府は6日、外国人旅行者の米国入国に関する新たな規制を施行した。ワクチン接種の有無にかかわらず、旅行者は出発の1日以内に受けた検査が陰性であることを証明する必要がある。米国内の飛行機、列車、バス、その他の交通機関では22年3月18日までマスク着用を義務づける。
欧州連合(EU)の専門機関である欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、6日時点で18カ国で212件のオミクロン型を確認した。症状が分かるケースでは全てが無症状か軽症で、死者の報告はない。世界では47カ国・地域で905件を確認した。
本社勤務などの従業員の出社再開を2022年3月まで延期すると明らかにした。年明け1月から出社再開を予定していたが、新型コロナウイルスの「オミクロン型」の感染拡大を受けて延期する。
●中国不動産
S&Pグローバルは6日、不動産開発の中国奥園集団を部分的なデフォルトに相当する「SD」に認定した。借入金などの不払いが他の債務もデフォルトしたとみなす「クロスデフォルト」を引き起こす可能性があるとした。同社が借り入れたか返済を保証した6億5120万ドル(約740億円)を返済しなかったため。今後の債務返済見通しは「非常に不透明」としている。
同社の一部社債は来年1月と同9月に償還期日を迎える。S&Pは流動性の低さなどから返済できない可能性があるとの見方を示した。
中国恒大集団は6日、リスク管理委員会を設置すると発表した。委員会の共同責任者に広東省政府系企業幹部が就く。恒大は広東省政府のほか中国人民銀行(中央銀行)などの全面的な監督・指導のもとで外貨建て債務の再編を目指す。同委員会は恒大の経営再建で重要な役割を果たすとみられる。
リスク管理委員会の主席には恒大創業者で董事局主席の許家印氏が就任する。共同主席に広東省政府系企業の粤海控股集団副総経理の劉志鴻氏が就く。このほか中国の不良債権処理会社である中国信達資産管理の副総裁などが委員となる。
中国の中堅不動産会社、陽光100中国控股(サンシャイン100チャイナ・ホールディングス)は6日、米ドル債の元利金を期限の5日までに支払えず、債務不履行(デフォルト)したと発表した。元金は1億7000万ドル(約190億円)。
同社は「マクロ経済環境や不動産業を取り巻く不利な要因が当社の流動性に問題をもたらした」と説明した。クロスデフォルト条項が発動し、社債権者から早期償還を迫られる可能性があるという。
同社は「すでに投資家と積極的に協議しており、できるだけ早く返済期限の延長やほかの方法での返済で合意したい」としている。
中国の不動産大手、中国恒大集団の株価が前週末比19.6%安となり、2009年の上場来安値を更新した。6日(日本時間7日)に米ドル建て債の利払い猶予期限が迫り、投資家から債務不履行(デフォルト)への警戒感が高まった。
政府は「合理的な住宅需要をよりよく満たすため商品住宅市場を支援」し、政府が扶助する住宅の建設を増やす。また、不動産業界の「健全な発展」を促すという。
今回の発表文には、7月の中央政治局会議後の声明や劉鶴副首相が先月公表した論文で指摘した「住宅は住むためのものであって、投機の対象ではない」との言い回しが含まれていない。7月の声明では住宅価格を統制する必要性が強調されたが、今回はその言及がほぼ見られなかった。
コメルツ銀行の新興国市場担当シニアエコノミスト、周浩氏は「当局は合理的な住宅需要を満たすと発表した。つまり、大都市では価格の指導が続くということだ」と説明。「不動産開発業者にとっては、固定されたわずかな利幅が数年にわたり続くことを意味する。小幅な改善はあるにしても、住宅市場が力強く回復する公算は小さい」との見方を示した。
債権者としての権利行使を一時的に控えるフォーベアランスの正式提案を同社に対して行った。資金繰り難に陥っている佳兆業に時間的な猶予を与え、デフォルト(債務不履行)を回避する狙いがある。
提案が通れば、佳兆業は7日が償還期限の4億ドル(約454億円)相当のドル建て債で正式なデフォルトを免れ、解決策を模索する時間を稼ぐことができる。同社に新たな資金を注入するなどの案が協議されていると、関係者は述べた。この債権者グループは額面で約50億ドルの佳兆業の社債を保有しているという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
サキ大統領報道官は「バイデン政権は22年の北京冬季五輪・パラリンピックにいかなる外交・公式代表も派遣しない。中国がウイグルで大量虐殺や人道上の罪を犯し、その他の人権侵害を続けていることを考慮した」と述べた。米国の選手団は通常通りに派遣し「全面的に支援し、100%応援する」と語った。
在米中国大使館は「政治的な操作であり、五輪憲章の精神を著しくゆがめている。北京冬季五輪を成功させるためには何の影響もない」とコメント
住宅ローン減税を巡り4年延長したうえで、借入残高の1%を所得税などから差し引く現行の控除率を一律で0.7%に引き下げる最終調整に入った。所得要件は現行の3000万円以下から2000万円以下に引き下げる。現在10年間とする期間を対象によって13年間に延ばす
BISのチーフエコノミスト、クラウディオ・ボリオ氏によれば、過去10年の急拡大後にグローバル金融資産全体の約半分を占めるようになった資産運用会社やヘッジファンド、他の投資会社を含むノンバンクの金融仲介機関は、銀行の「取り付け」に相当する流動性の引き揚げに対し、なお十分保護されていない。
BISは、破綻した英金融ベンチャーのグリーンシル・キャピタルが運用していたサプライチェーンファイナンス(SCF)や、ビル・フアン氏のファミリーオフィス、アルケゴス・キャピタル・マネジメントが借り入れに依存し持ち分を開示せずに行っていた株取引などの分野も網羅する幅広い規制の議論を進めるよう提唱している。
新型コロナウイルスの感染拡大が昨年市場を揺るがした際、債券ファンドは投資家の解約請求に応じるため、大挙して資産の投げ売りに動き、既に不足していた流動性の低下と価格圧力に拍車が掛かった。債券市場の支援に当局が動くまで緊張は続き、既存のセーフガード(安全装置)の有効性に疑念が生じた。
BISエコノミストらは報告書で、「流動性バッファー」を資金が潤沢な時期に拡充し、ストレスが高まる時期に放出するなどのアイデアを提案した。
11月の自動車生産台数は24万8960台と前年同月比20%減となった。世界的な半導体不足の影響が続き、5カ月連続で前年の水準を下回った。
コロナ、イフンレ、脱炭素、メタバース、中国
投資家にとってさらに悪いことに、同地域は中国の成長減速懸念や米国の早期利上げ観測にも脅かされている。トレーダーは今週、新変異株の拡散や重症度に関するさらなる情報に加え、中国の輸出・インフレ指標にも注目している。
●市況
日経先物(大証)28017、ダウ先35231、債先152.25、米1.433、独▲0.3810、仏▲0.025、西0.349、伊0.880、原油69.78、ドル円113.46、墨ペソ21.24、トルコリラ13.8107、墨CDS115
※12/7 8時25分頃
備忘録(12/3−5)
●コロナ
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」に対する既存ワクチンの効果について、従来型への効果より低くなるリスクは明白だがどの程度劣るのかはまだ判断できないと述べた。
「ワクチンの有効性が低下するリスクは現実的にあると考えている」とホーグ氏。「分からないのは、それがどの程度かということだ」と述べた。
その上で、「例えば50%低下するということであれば、ワクチンを新たに調整する必要が生じるだろう」と話した。
米ファイザー製のワクチンを2回接種済みだった。健康状態は問題ないが、施設で隔離に入っている。
3人から変異型ウイルスの「オミクロン型」を検出したと発表した。このうち少なくとも1人は児童あるいは生徒で、海外への渡航歴がなく、当局は「市中感染した」とみている。
WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は3日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」について「今のワクチンを変えなければいけないという証拠はない」と語った。変異ウイルスはワクチンの効果を下げる恐れがあると指摘されるが、接種率を高める努力をやめないよう呼びかけた。
米疾病対策センター(CDC)のワレンスキ所長はABCの番組で「さらに増える」と感染拡大の見通しを示した。また、既存のワクチンがオミクロン株にどの程度効果があるかは「まだ分からない」と説明。ただし、米国の新規感染者について「1日当たり9万~10万人いる中で99.9%がデルタ株だ」と強調し、デルタ株に対応するためにもワクチンの追加接種が必要だと呼び掛けた。
ファウチ国立アレルギー感染症研究所長は5日、CNNテレビで、南アフリカからの情報などを踏まえオミクロン株は「重症化の度合いがそれほど高くないようだ」と指摘。「今のところ励みになるシグナルだ」と述べたが、断定するには「時期尚早だ」としてさらなる研究が必要だとの認識を示した。
英メディアによると5日時点では246件となり、前日よりも86件増えた。重症化しやすいのかどうかが注目されるが、欧州連合(EU)によると5日時点では無症状や軽症が目立ち、域内での死亡報告はない。
英国では1日に4万人台の新型コロナの新規感染者が出ており、ほとんどがデルタ型だ。ワクチンが普及して重症者や死者がこれまでのように増えていないことからコロナとの共生路線は変えていない。オミクロン型はまだごく一部だが、今後急速に広まればシナリオが狂いかねないため警戒を強めている。
●中国不動産
中国恒大は3日夜、香港証券取引所への届け出で、現在の流動性の状況から判断して「グループとして債務の返済義務を履行し続けるための十分な資金を確保できる保証はない」と説明。同時点で、2億6000万ドル(約293億円)前後相当の保証義務を果たすよう要請を受けたとも明かした。
広東省政府は中国恒大の取引所への届け出について「非常に懸念」していると表明。中国人民銀行(中央銀行)は同省政府の作業チーム派遣計画を支持するとし、リスクを和らげるために地元当局との取り組みを続ける方針を示した。
人民銀はまた、中国恒大の債務危機が経済に及ぼすリスクは封じ込めが可能だと強調。同社が直面しているリスクは恒大「自らの経営のまずさ」と「無謀な拡大」に起因するとの見方を示した。
中国恒大集団が広東省政府や中国人民銀行(中央銀行)など政府の全面的な監督・指導のもとで、外貨建て債務の再編を目指すことになった。中国政府は金融システム不安への波及や市場の動揺、取引先の連鎖破綻などを回避すべく、軟着陸(ソフトランディング)を探る。ただ債権者平等の原則を重視する海外債権者との交渉は難航が予想される。
「不動産会社と(投機を除く)住宅購入者の相応の資金需要は(満たされるよう)保障する」。四川省の省都、成都市は11月23日、不動産金融の規制緩和を発表した。開発資金の融資や住宅ローンの上限を緩め、速やかに融資を実行する。重点企業には融資期間の延長や金利負担の軽減も認める。
中央政府が直轄する天津市は11月、不動産会社を集めた会議で、値下げ幅を制限するよう指示した。同市政府の関係者によると、新築物件を当局に事前に届け出た価格より15%超値引きすることを禁じる。大規模なセールを行う際も担当部局への報告を義務付けた。
中国メディアによると、江蘇省の省都、南京市も値引き販売をした開発業者に市場をかき乱す行為をやめるよう命じた。今年夏以降、すでに20以上の都市が値下げ制限に踏み切った。値下げ制限はこれまで、大都市に比べて経済成長の速度が鈍く、マンションの在庫が高止まりしやすい中小都市が軸だった。
政府の住宅ローン規制などをうけ、住宅価格が下落する都市はこの夏、一気に増えた。中国国家統計局がまとめた主要70都市の新築マンション価格をみると、5月に前月より下がったのは5地域だけだったが、10月には52地域と10倍以上になった。2015年2月以来の多さだ。
マンションの値下がりは、住宅ローンの審査厳格化で購入需要が落ち込んだことだけが理由ではない。政府の規制強化で不動産会社の資金繰りが悪化したことも影を落とす。開発する会社のほか、各社から代金でなく、不動産の現物を受け取った施工業者が現金化を急ぎ、値引き販売に拍車をかけた。
中国の土地は国有制で、地方政府が土地の使用権を不動産開発業者に売り渡し、業者がマンションや商業施設を建てて販売する。売却収入は地方政府の重要財源の1つだ。マンションが値下がりすれば「仕入れ」にあたる土地の価格にも響く。
底堅い需要を見込める優良な土地を売り出す動きもある。北京市は11、12月の競売で市中心の天安門から車で20分ほどの土地を売り出す。
人民銀は11月、10月末時点の住宅ローン残高が1カ月で3481億元(約6兆2000億円)増えたと発表した。増加幅は9月より1000億元ほど多い。四半期ごとに公表してきた住宅ローン残高を単月で示すのは異例だ。不動産規制の微修正を強調する狙いだとみられる。
それでも、1月に始めた住宅ローンなど不動産融資の総量規制は維持している。すでに融資が規制の上限に達し、新規の貸し出しを見送る銀行も目立つ。
中国恒大集団は3日、外貨建て債務の再編案をつくるために債権者と協議に入ると発表した。債務の返済について「十分な資金があるかどうか不確定」なためだ。恒大が本社を置く広東省政府は同日夜、恒大に監督チームを派遣すると発表した。
恒大は3日、債権者から2億6000万ドル(約300億円)の保証履行請求通知を受け取ったと発表。恒大は保証を履行できない場合「債権者から返済の繰り上げを要求される可能性がある」という。中国メディアによると対象は米ドル建ての私募債で、債権者からの要請に対応できないと実質的な債務不履行(デフォルト)とみなされる可能性がある。
恒大は債務再編案の協議について「公平性と法の原則のもと、すべてのステークホルダー(利害関係者)の利益になる形で再編案を策定するため、積極的に海外債権者と話し合う」としている。詳細は明らかにしていないが、外貨建て債務の返済期限の延長や返済額の削減などを求める可能性がある。ただ海外債権者は国内債権者と同等の返済条件を求める可能性が高く、協議は難航が予想される。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
ディズニーが成長戦略に位置づける配信サービス「ディズニー+(プラス)」の9月末の有料会員数が6月末比で2%の増加にとどまり、顧客獲得ペースが鈍っていることが市場の失望を誘った。新型コロナ禍で縮小する映画事業のコンテンツ資産を配信事業の成長にうまく活用できていない。
●決算関連
●マクロ・その他
米国債20年超ETFに1週間で過去最大の25億ドル(約2800億円)が流入した一方、iシェアーズiBoxx米ドル建て投資適格社債ETF(LQD)では、空売り比率が過去最高に接近。iシェアーズiBoxxハイイールド社債ETF(HYG)の資金流出入は、3週連続で出超となった。
市場関係者は「タイトなスプレッドやオミクロンへの懸念、そして米金融当局の焦点が労働市場からインフレにシフトしたことを考慮し、クレジットに対する投資家心理にはじわじわと警戒が広がり始めている」と分析。株式市場については、「ディフェンシブ銘柄が活気づいているはずだ。生活必需品と公益がアウトパフォームするのは想定内だ」と述べた。
ビットコインのような資産の大幅な値下がりは、逆資産効果と称される形でより多くの投資家の信頼感を低下させる可能性がある。仮想通貨投資家が口座で使える金額は全体で、11月26日に株価下落が始まった時より約2500億ドル減った。
「今年の需給方程式の需要面で彼らは非常に重要だっただけに、その不在は強気派にとって歓迎できない展開だ」と指摘する声も
「フォワードガイダンスの条件が満たされれば行動をためらわない」
2022年の利上げの可能性は極めて低いと述べた。インフレ率が同年中に低下すると「強く信じている」とも語った。
11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で21.31%上昇と、前月の19.89%上昇から加速した。ブルームバーグがまとめたアナリスト20人の予想中央値は20.7%上昇だった。前月比のインフレ率は3.51%と、市場予想中央値の3%を上回った。
項目別ではエネルギー価格が11月に前年同月比32.14%上昇、前月は25.76%上昇だった。
CPIの約4分の1を占める食料品は前年同月比27.11%上昇と、前月の27.41%上昇からやや減速した。ただ当局が予想する年末時点での食料品インフレ率(23.4%)を大幅に上回っている。
特に多国間の枠組みにおける影響力や外交政策の有効性などを示す「外交的影響力」は15.5ポイント上昇し、昨年トップだった中国を抑えて首位に立った。
同研究所は米国の評価上昇について「バイデン大統領が率いる新政権が国内の公衆衛生上の危機を抑制し、経済の活性化に重要な貢献をした」ことや、国際的な協力体制の構築に努めたことが主な理由だとの見方を示した。
一方で中国は74.6点と1.5ポイント減少した。APIが初めて公表された18年以降、中国が点数を落とすのは初めてだ。「将来に向けた資産」や「文化的影響力」などが下落した。「急速に進む高齢化、気候変動がもたらす脆弱性、内向きな政治体制など構造的な弱点が今後の見通しの重荷となっている」(同研究所)という。
総資産が10億円以上ならば所得の大小にかかわらず保有資産の状況を提出するよう義務付ける
李克強首相は3日、中国人民銀行が市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率について「適時引き下げる」と述べた。コスト高や景気減速で収益の悪化が続く中小零細企業の資金繰りを支援する狙いがある。
中国経済は「複雑な環境と新たな下押し圧力に直面している」と言及した。緩和的な金融政策を継続し「資金調達コストを安定的に引き下げていく」と強調した。
中国は7月に預金準備率を0.5%下げた。準備率を下げると市中銀行が人民銀行に預けるお金が減り、貸し出しなどに回すお金が増える。人民銀行によると、7月の引き下げで計1兆元(約18兆円)の長期資金が市場に放出された。
台湾をめぐり「中国が数年間にわたり現状を変えようとしてきた」と指摘。「多くの人々や中国をはじめとする誰の利益にもならない恐ろしい結末につながる危機を起こさないように中国の指導者にはとても慎重に考えてほしい」と述べた。
ソーンダース政策委員は3日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」をめぐり「確認されたのはごく最近で、健康ひいては経済への影響についてより多くの証拠を待つことには利点があるかもしれない」と述べた。金融引き締めに前向きな「タカ派」の筆頭とみられている委員から利上げの先送り論が浮上した。
ソーンダース氏は前回11月上旬の金融政策委員会で、政策金利の0.15%引き上げと量的金融緩和策の即時終了に投票した。8月には債券買い入れの継続に唯一反対するなど、現在の局面で引き締めの必要性を最も強く主張してきた。
イングランド銀は16日に最新の金融政策を発表する。市場ではもともと年内の利上げ予想が多かったが、オミクロン型の感染拡大で2022年にずれ込むとの見方が増えた。ソーンダース氏の発言を受けて年内利上げの予想はさらに後退した。金融情報会社リフィニティブによると、金利先物が織り込む12月の利上げ確率は2割程度になった。
値上げや新サービスの登場で、この5年ほどで国内価格は15%上昇し、主要サービスの値段は欧米並みの水準に迫っている。モノの価格の指標のひとつであるマクドナルドの「ビッグマック」が欧米では日本よりも3~6割高いのとは対照的に、サブスク価格は欧米標準に近づいている。
10月の製造業新規受注額(季節調整済み)は5221億ドル(約59兆円)で、前月比1.0%増加した。6カ月連続の増加で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.4%増程度)を上回った。
耐久財が0.4%減ったが、非耐久財が2.4%増え、全体はプラスとなった。全体から変動の激しい輸送関係を除いた場合と、同様の変動の激しい国防関連を除いた場合は、いずれも1.6%の増加だった。
11月の非製造業(サービス業)景況感指数は、前月から2.4ポイント上昇の69.1で、過去最高を更新した。需要が極めて強く、サービス業の好調が続いた。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(65程度)を上回った。
「企業活動・生産」が74.6で4.8ポイント上昇し過去最高を更新したほか、「新規受注」は、過去最高だった前月から横ばいの69.7だった。企業は「需要は記録的に強い」「供給網への不安から、顧客は『ジャスト・イン・タイム』ではなく念のために注文している」などとコメントした。
強い需要に対し、供給面の制約も続いた。「入荷遅延」は75.7で前月と変わらず過去2番目の高さとなった。企業は在庫補充に苦戦しており、在庫量が適正と感じているかどうかを示す「在庫景況感」は36.4で0.9ポイント低下した。
需要と供給の不均衡により物価上昇が続き、「価格」は82.3でわずかに低下したものの依然高かった。
台湾とベトナムは前回に続いて対米貿易黒字など3つの条件に該当したとして、為替操作の「疑い」を高めないよう改善を促していく。
前回、3条件に当てはまったスイスは今回、外れた。①対米貿易黒字②経常黒字③為替介入――の3条件で分析し、今回はサービス貿易を加味するなど調整を実施した。スイスのほか中国や日本など12カ国は通貨安を警戒する「監視リスト」の対象とした。
中国については為替介入のデータを公表していないことなどから「透明性が欠如している」と指摘。国有企業の為替取引などの活動を注視すると強調した。
マカオにも香港と同様に、中国政府が派遣する「国家安全事務顧問」を置くと決定した。新華社電が3日伝えた。中国政府による統制を強める措置。マカオには「一国二制度」が適用されているが、以前から中国政府に批判的な民主派などの存在感は希薄。中国政府は、香港が見習うべき「一国二制度の成功例」だとしている。
習近平指導部は最近、マカオへの統制を一層強め、9月の立法会(議会)選挙では、これまで数議席存在した民主派が完全に排除された。
米S&PグローバルとBNYメロンの「中国米預託証券(ADR)指数」は年初来安値を更新した。3日には中国の配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)が上場廃止を決定し、香港市場の関連株に売りが波及した。
統計が2つの極めて異なる調査により成り立っているという点に注目すべきだろう。事業所調査では11月の雇用者がわずか0.1%増だったことが示唆されるが、家計調査に基づくと0.7%増と大きく伸びたことを示唆している。
「今回の統計はさまざまな要素が散らばっている。非農業部門雇用者数の増加幅は予想を大きく下回ったが、重要なのはそこだけではない。失業率は大幅に低下し、労働参加率は若干上昇した。これは家計調査に基づく雇用者数が110万人増となったためだ。これは極めて大きな伸びだ。家計調査は変動が大きいが、同調査のデータで何か完全な見過ごしがない限り、これが最終的に労働市場に関するやや前向きな統計だと捉えられると想定しないのは困難だ」
「雇用者数は小売りで2万人減(10月は3万8000人増)。娯楽・ホスピタリティーは2万3000人増にとどまった。同分野は10月に17万人増え、過去数カ月の伸びは平均で10万人を大きく超えていた。われわれとしては両分野で雇用が加速すると見込んでいたが、実際には軟調だった。季節的な要因が影響しているのか、ホリデー要素がプラスに影響する時期が変化しているのかは不明だが、今回の雇用統計は全体として、われわれが継続調査している他の労働市場データとは相いれない内容だ」
「非農業部門雇用者数の伸びは期待外れだったが、家計調査でのデータは異なる。週平均労働時間は伸び、労働参加率と雇用率も上昇、平均週給は5%近く伸びており、これら全てを見ると、米金融当局は多くの予想通りテーパリングのペースを速めると考えられる」
ゴールドマンが現在想定する今年の米国内総生産(GDP)成長率を3.8%とし、従来予想の4.2%から引き下げたと説明。来年についても2.9%と、3.3%から下方修正した。
「分からないままの疑問点は多いが、ウイルスがより迅速に広がるものの重症化を防ぐ免疫はほんの少し弱まるだけという若干の下振れシナリオが最も可能性が高いと当社は現在みている」と指摘
オミクロン株について具体的には、サービス支出への影響は若干にとどまるが供給不足を悪化させる恐れがあるほか、勤労者が安心してオフィスに復帰できる時期を遅らせる可能性があると分析。インフレに与える影響はまちまちとし、コロナの影響を受けやすい旅行業などは打撃を受ける一方、供給と人材がさらに不足することでより継続的に物価を押し上げるリスクを挙げた
新型コロナウイルスワクチンの高い接種率や公的および民間支出拡大などが追い風となり、景気が予想以上に拡大するとの見方を示した。格付け見通しは「安定的」とした。
フィッチは発表文で「今年これまでイタリア経済は世界的な供給混乱にかなりの耐性を示しており、こうした状況は続くと予想している」と指摘した。
●市況
日経先物(大証)27810、ダウ先34559、債先152.07、米1.356、独▲0.3940、仏▲0.036、西0.343、伊0.920、原油66.27、ドル円112.82、墨ペソ21.27、トルコリラ13.7030、墨CDS114
※12/3 NY引け値
備忘録(12/2)
●コロナ
オミクロン型、米国内で相次ぎ確認 ミネソタとコロラド
ミネソタ州の男性は11月19~21日にNY市内で開かれた大型イベントに参加。ミネソタ州に戻った22日に発症し、24日にコロナ検査を受けたところ、陽性が確認された。その後の遺伝子検査でオミクロン型だと分かった。米メディアによると、この男性に海外渡航歴はなく、市中感染の可能性があるという。
オミクロン型、欧州で拡大 ノルウェーで集団感染疑い
ノルウェーの首都オスロである企業のクリスマスパーティーに参加した約50人が新型コロナに感染。うち1人がオミクロン型と確認され、オスロ市当局は「さらなる感染者が予想される」と述べた。パーティーは11月下旬に開かれ、約120人が参加。全員がワクチンを接種していた。
フランスでは、パリ首都圏「イルドフランス」と仏東部「オーラン」で2日、オミクロン型にそれぞれ1人ずつが感染していたことが発覚した。これまでアフリカ・マダガスカル近くの仏領レユニオンでは見つかっていたが、仏本土では初めての感染確認事例となった。
米ノババックス、ワクチン生産1月開始 オミクロン対応
米ノババックスは2日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に対応した新たなワクチンの生産を2022年1月に始めると発表した。ウイルスが細胞に侵入するための突起である「スパイクたんぱく」と呼ばれる抗原の作製に着手し、数週間以内にオミクロン型を標的とするワクチンの臨床試験を始める。
新たなワクチン開発と並行して、今後数週間で同社の現行のワクチンがオミクロン型に効果があるかどうかも調べる。ノババックス製のワクチンを接種済みの人の抗体が、オミクロン型を中和できるかどうかのデータをまとめる。ノババックス製のワクチンはインドネシアやフィリピンで緊急使用が認められている。
英、GSKの抗体医薬を承認 オミクロン型にも有効か
英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は2日、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の抗体医薬「ゼビュディ(ソトロビマブ)」を新型コロナウイルスの治療向けに承認したと発表した。
ソトロビマブは体内でウイルスが増殖するのを防ぐ。MHRAによると、臨床試験(治験)では入院や死亡のリスクを79%減らすことが確認された。軽症から中等症の患者を対象に、症状が出てから5日以内に使用することを推奨している。
GSKは同日、初期のデータではソトロビマブがオミクロン型でも効果が維持されたと発表した。ソトロビマブはウイルスの変異を想定して開発された。共同開発した米Virバイオテクノロジーとさらに効果を確かめるとしている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ボーイング機再開が占う米中関係(NY特急便)
ボーイングは中国で主力機「737MAX」の運航が近く認められるとの見通しが伝わり、株価終値は8%高とダウ平均をけん引した。中国民用航空局が2日に同機の運航再開に必要となる是正措置を発表。ボーイングは「中国でのサービスの再開に向けた重要なマイルストーンだ」と声明を出した。
2度の墜落事故を起こした737MAXは19年3月に全世界で運航が停止された。米連邦航空局(FAA)は20年11月に運航再開を承認したが、中国ではそれから1年たったいまも許可が下りていない。
ボーイングにとって中国は米国に次ぐ最大市場であり、未出荷の同機の在庫約370機の3分の1は中国向けだ。18年末に浙江省に同機の仕上げ・出荷拠点を立ち上げたが、直後の運航停止で稼働が止まった。デビッド・カルホーン最高経営責任者(CEO)は10月の決算発表で、中国の停止措置が年内に解除され、22年1~3月期に出荷を再開できる見通しだと説明していた。
バンク・オブ・アメリカのロナルド・エプスタイン氏は「ボーイングは財務の改善が急務な一方、次世代機の開発を後回しにすれば小型機のシェアをさらに失うジレンマに陥っている」と指摘する。ボーイングの業績回復は、中国からの737MAXの受注が戻るかにかかっている。
航空機の取引はもともと政治色が強い。民間航空機(部品含む)は米国にとって中国向けの最大の輸出品だったが、18年に182億ドルあった対中輸出は、20年に43億ドルまでしぼんだ。新型コロナウイルス危機が要因だが、トランプ政権時に米中貿易戦争が広がった影響も大きい。
米産業界は、バイデン政権下で米中関係が緩和に向かうと期待していた。だが、台湾海峡や南シナ海、ハイテク分野などを巡る米中の対立は根深く、産業界が望んだ雪解けは見えてこない。737MAXの動向は、多くの米国企業にとっても中国ビジネスの今後を占う試金石となる。
米半導体大手エヌビディアによる英半導体設計アームの買収計画をめぐり、反トラスト法(独占禁止法)に基づき差し止めを求める訴訟を起こした。両社の統合は「次世代技術の競争を阻害する」などと主張した。アームを傘下に持つソフトバンクグループ(SBG)の戦略にも打撃となる。
FTCは訴状で、幅広い半導体メーカーに設計技術を供与するアームについて「半導体業界のスイスと呼ばれる」と指摘。エヌビディアの競合もアームの技術に依存しており、買収を認めれば「技術支配力を利用して競合他社を弱体化させる能力と動機を与える」と主張した。競争が阻害されることで最終的には品質の低下や価格の上昇を招き、アームの技術を使った製品の恩恵を受けている「数百万人の米国人に損害を与えることになる」と指摘した。乗用車向けの運転支援システムや、クラウドサービスを支えるデータセンター向けCPUの競争などで悪影響を懸念しているという。
提訴の是非を判断する採決に参加した4人のFTC委員は全員が買収阻止に賛成した。提訴に踏み切るまでの調査にあたっては、欧州連合(EU)や英国、日本、韓国の競争当局と緊密に連携したという。FTCは、訴訟は22年8月に始まるとしている。
エヌビディアは同日、「FTCの手続きが次の段階に進むにあたって、我々はこの(買収)取引が業界に利益をもたらし、競争を促進するものであることを示す努力を続ける」と述べた。同社の株価は前日比2.2%高で引けた。アーム側はコメントを避けた。
航空機燃料税の軽減延長へ 苦境の業界支援継続
政府・与党は2022年度税制改正で、新型コロナウイルス対策で導入した航空機燃料税の軽減措置を継続する方針だ。原則1キロリットルあたり9000円と20年度の半分に抑えた現行水準を維持するか、軽減額を縮小するか政府内で詰める。足元の燃料高に加え、新たな変異型ウイルス「オミクロン型」で航空会社の経営に打撃が予想されるため、支援を続ける。
国際線、予約受付再開へ 政府「一律停止」要請撤回
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は2日、日本に帰国する日本人の国際線の予約受付を再開する準備を始めた。3日にも再開する見込みだ。政府は1日から1日あたり入国者数の上限を3500人(従来5000人)に減らしており、各社はこの範囲内で新規の予約を再び受け付ける見通し。外国人については11月30日に政府が全世界からの入国を原則停止している。
JAL、2月の運航率30% 横ばい続く
2022年2月の国際線運航率(便数ベース、ソウル線除く)を事業計画比30%にすると発表した。1月(29~31日のソウル線除く)は28%、11月と12月の国際線運航率はそれぞれ27%、28%だった。新型コロナウイルス禍による入国制限が続く中、国際線の運航率は約30%で横ばいの状況が続く。需要動向が変動すれば、運航規模を修正する可能性もある。
新型コロナの新たな変異型「オミクロン型」の感染拡大などで、需要の見通しは不透明になっている。政府は11月30日、全世界からの外国人の新規入国を原則停止した。日本での外国人の乗り継ぎは可能で、JALはアジアと北米との間の乗り継ぎ需要などを取り込む考えだ。
渡航制限「航空業界を危険にさらす」 IATAトップが批判
ウォルシュ氏は11月に米国が多くの国からの渡航制限を解除したことで、年末に向けて旅行需要の急増が期待されていたと指摘。それがオミクロンの出現で「多くの政府がパニックに陥った」ことで、航空業界の回復が遅れることを懸念する。「すでに世界中でオミクロンが確認されるなか、渡航禁止措置は馬が逃げた後に小屋の扉を閉めるようなもので効果がない」と述べた。
SBG出資のグラブ、SPAC経由で上場 時価総額5兆円超
東南アジア配車最大手のグラブ・ホールディングスは2日、米ナスダック市場に上場した。初値で計算した時価総額は510億ドル(約5.7兆円)を超えた。特別買収目的会社(SPAC)との合併を経由した上場としては過去最大規模となる。競争激化や新型コロナウイルス禍の影響で業績が低迷するなか、ようやく株式公開にこぎつけた。
合併会社は第三者割当増資の形で約40億ドルを調達した。引受先には米大手資産運用会社のブラックロックやティー・ロウ・プライス、フィデリティ、シンガポール政府系ファンドのテマセク・ホールディングスなど有力機関投資家が並んだ。東南アジアの巨大IT(情報技術)企業に対する投資家の関心は高い。
業績は足元で低迷している。21年7~9月期の最終損益は9億8800万ドルの赤字に膨らんだ。赤字幅は四半期決算の数値が遡れる20年1~3月期以降で最大だ。月間の利用者数は2210万人と、新型コロナの感染拡大が本格化する前の20年1~3月期(2970万人)を大幅に下回る状態が続く。コロナ下での行動制限が響いている。
●その他産業
英ウィットブレッド、今年の安値圏 感染再拡大が重荷
ホテル・外食チェーン大手の英ウィットブレッドの株価が今年の安値圏まで下落した。同社は英独などで計800以上のホテルを運営し、パブやレストランも展開する。英国が7月に行動規制を大幅に緩和すると株価は戻り、9月末時点では昨年末比で7%高い水準まで上昇していた。
コーエーテクモHD、自社株TOBとCB発行 プライム狙い
コーテクHDはこの2社からTOB(株式公開買い付け)で発行済み株式総数の約5%分の自社株を取得する。期間は8日から22年1月6日まで。TOB価格は2日か7日の終値のうち安い方より1割低く設定されるため、一般株主からの応募は想定していない。
コーテクHDはロンドン時間の12月20日に総額460億円のユーロ円建てCBを発行し、TOBに使う。満期は24年12月で転換価額は2日終値から1割上乗せする。コーテクHDの株価が上昇し株式への転換が進めば流通株比率は上場維持基準の35%を超えるという。
一般にCBを株式に転換するタイミングは投資家により異なる。浅野健二郎専務執行役員は今回の手法について「大株主が市場に株式を(一気に)放出し、少数株主の株主価値が希薄化することを避けられる」と説明する。市場関係者によれば、自社株TOBとCB発行を組み合わせて流動比率を高めるスキームは国内で初とみられる。
料理宅配の再編加速 米ドアダッシュが欧州同業を買収
米料理・食料品宅配大手のドアダッシュがフィンランドの同業ウォルトを株式交換により81億ドル(約9100億円)で買収する。買収手続きは2022年に完了する見通しだ。
米調査会社グランドビューリサーチによると、世界のオンライン料理・食料品宅配市場は年平均15.4%成長し、25年には636億ドルに達するとみられる。
スマートフォンの普及、生活様式の変化、クイックコマース(即配)の成長、新型コロナウイルスの影響がこの業界の成長に寄与している。
EU、欧州4行に制裁金440億円 外為取引でカルテル
英HSBCホールディングスおよびクレディ・スイス、英バークレイズ、英ナットウエスト・グループ(旧RBS)に総額3億4400万ユーロ(約440億円)の制裁金を科すと発表した。外国為替取引でトレーダーが機微な情報の交換や売買戦略の擦り合わせなどをした過去の行為について、EU競争法(独占禁止法)が禁じるカルテルと認定した。カルテルにはUBS(スイス)も関わっていたが事実関係を当局に申告したため免除された。
欧州委によると、制裁対象の行為は外国為替の直物(スポット)市場で2011~12年に実行された。ユーロや英ポンド、日本円といった約10の主要通貨の取引をめぐり、各社の担当者がチャット機能を使うなどして情報交換していた。これによって各社のトレーダーは売買タイミングの調整が可能になった。他社の取引を阻害しないよう注文を一時的に手控える行為もあったという。
トヨタ、35年に欧州販売車の排出ゼロ EU規制に対応
2035年までに西欧で販売する新車の二酸化炭素(CO2)排出をゼロにすると発表した。販売するすべての車を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に切り替えるもよう。欧州連合(EU)が35年に域内で新車が排出するCO2をゼロにすることを義務づける案を7月に出しており、これに対応する。
●決算関連
●マクロ・その他
米社債に「カナリアの警鐘」 迫る利上げを意識
トルコリラ、再び安値圏 介入効果続かず
トルコ中央銀行が前日、通貨防衛のための為替介入をしたものの、エルドアン大統領の政策に批判的とされるエルバン財務相が辞任。金融政策への不信感が高まり、リラは再び史上最安値圏に落ち込んだ。
ブラジル景気後退、7~9月GDP0.1%減 干ばつ響く
2021年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前四半期比で0.1%減となった。4~6月期(0.4%減)に続いて2四半期連続のマイナス成長となり、定義上の景気後退となった。干ばつによる農産物の不振が響いた。
分野別では、新型コロナの感染者数の減少による経済活動の再開に伴ってサービス業は前四半期比で1.1%増となったものの、農牧畜業が8%減と大幅に落ち込んで全体を引き下げた。GDPは前年同期比では4%増だった。3四半期連続のプラスだった。
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、2020年10月~21年9月の穀物生産量の推定は約2億5200万トンと、前の年度比2%減となった。約90年ぶりとされる歴史的な降雨の少なさで、主力のトウモロコシや豆類といった穀物の生産が低調に推移した。
この結果、インフレも引き起こした。10月の消費者物価上昇率は年率で10.67%となった。5年9カ月ぶりの高い上昇率だ。トマトやジャガイモといった農作物だけでなく、通貨安による輸入品、原油高騰を受けたガソリンの販売価格が上昇しており、収入減とインフレのダブルパンチに直面している市民は多く、生活の水準を引き下げるケースも目立つ。
実質経済成長率見通しの下方修正も相次いでいる。中銀が民間エコノミストの予測を集計して毎週公表する「FOCUS」では、21年通年は4.78%増と、7週連続で引き下げられた。22年については8週連続の下方修正で、0.58%増まで落ち込んでいる。
ブラジルは新型コロナの累計感染者数が世界で3番目に多い。今年6月には1日の新規感染者が11万人超まで増えていたが、足元では1万人前後まで下がった。必要なワクチン接種を終えた比率は人口の6割を超えたが、経済全体は思うようには浮上していない。11月30日には、拡散の勢いはデルタ型を超えるとの懸念がある、新たな変異型「オミクロン型」も確認されている。
[FT]安泰でない中国エリート 名声しのぐ共産党支配
OPECプラス、原油増産ペース維持 WTI一時5%安
現行の原油増産を2022年1月も続けると決めた。毎月日量40万バレルずつ増産する従来の方針を維持する。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」による需要減を警戒し増産を停止する案も取り沙汰されたが、見送った。ニューヨーク市場の原油先物は同日、需給の緩みを警戒した売りで一時、前日比5%下落した。
現行の原油増産ペースを維持するのは、増産を訴えてきた米国など消費国との摩擦を避けるのが得策と踏んだためだ。11月に米国が日本や中国、インド、韓国、英国と国家備蓄の一部放出に動いたのを受け、産油国側には増産の見直し論も浮上していた。
半面、OPECプラスはオミクロン型の拡大を警戒する姿勢も強調した。2日にオンラインで開いた閣僚協議後の声明で「市場を注視し続け、必要なら直ちに調節する」とした。次回協議は2022年1月4日に開く。
OPECはかねて、22年には原油の供給が需要を上回るとみていた。世界の需要は例年、ガソリン消費や暖房機器の燃料向けが増える12月にかけて拡大する一方、1月は減りやすい。ロイター通信によるとOPECは内部分析で1月の供給過剰が日量200万バレル、2月は340万バレル、3月は380万バレルに膨らむと予測する。オミクロン型の影響でアフリカや欧州を中心に航空燃料の需要がしぼむとみる。
米下院、つなぎ予算案を可決 2月18日まで
米議会下院は2日、2022年2月18日までの政府資金を手当てする「つなぎ予算案」を賛成多数で可決した。上院が可決してバイデン大統領が署名すれば成立する。
ただし、上院も速やかに通すかは不透明だ。野党・共和党の一部議員がバイデン政権の新型コロナウイルスワクチンの義務化に反対しており、つなぎ予算案への賛成を表明していない。現行予算が失効する12月3日までに成立しなければ、政府機関が一部閉鎖する恐れがある。
世界食料価格指数、11月は過去最高に迫る-低所得国は輸入困難に
国連食糧農業機関(FAO)が算出する世界食料価格指数は11月に1.2%上昇した。主要国でインフレ加速が一段と顕著になる一方で、低所得国は食料輸入がより困難になり、飢餓が悪化する恐れがある。
食料価格が上昇した要因は、悪天候による収穫への打撃や、出荷コストの上昇、労働者不足、エネルギー危機によるサプライチェーンの問題、肥料価格の高騰など複数にわたる。今回の価格高騰は、世界的な食料危機につながった2008-11年時をほうふつとさせる。
●コロナ
オミクロン型、米国内で相次ぎ確認 ミネソタとコロラド
ミネソタ州の男性は11月19~21日にNY市内で開かれた大型イベントに参加。ミネソタ州に戻った22日に発症し、24日にコロナ検査を受けたところ、陽性が確認された。その後の遺伝子検査でオミクロン型だと分かった。米メディアによると、この男性に海外渡航歴はなく、市中感染の可能性があるという。
オミクロン型、欧州で拡大 ノルウェーで集団感染疑い
ノルウェーの首都オスロである企業のクリスマスパーティーに参加した約50人が新型コロナに感染。うち1人がオミクロン型と確認され、オスロ市当局は「さらなる感染者が予想される」と述べた。パーティーは11月下旬に開かれ、約120人が参加。全員がワクチンを接種していた。
フランスでは、パリ首都圏「イルドフランス」と仏東部「オーラン」で2日、オミクロン型にそれぞれ1人ずつが感染していたことが発覚した。これまでアフリカ・マダガスカル近くの仏領レユニオンでは見つかっていたが、仏本土では初めての感染確認事例となった。
米ノババックス、ワクチン生産1月開始 オミクロン対応
米ノババックスは2日、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に対応した新たなワクチンの生産を2022年1月に始めると発表した。ウイルスが細胞に侵入するための突起である「スパイクたんぱく」と呼ばれる抗原の作製に着手し、数週間以内にオミクロン型を標的とするワクチンの臨床試験を始める。
新たなワクチン開発と並行して、今後数週間で同社の現行のワクチンがオミクロン型に効果があるかどうかも調べる。ノババックス製のワクチンを接種済みの人の抗体が、オミクロン型を中和できるかどうかのデータをまとめる。ノババックス製のワクチンはインドネシアやフィリピンで緊急使用が認められている。
英、GSKの抗体医薬を承認 オミクロン型にも有効か
英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は2日、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の抗体医薬「ゼビュディ(ソトロビマブ)」を新型コロナウイルスの治療向けに承認したと発表した。
ソトロビマブは体内でウイルスが増殖するのを防ぐ。MHRAによると、臨床試験(治験)では入院や死亡のリスクを79%減らすことが確認された。軽症から中等症の患者を対象に、症状が出てから5日以内に使用することを推奨している。
GSKは同日、初期のデータではソトロビマブがオミクロン型でも効果が維持されたと発表した。ソトロビマブはウイルスの変異を想定して開発された。共同開発した米Virバイオテクノロジーとさらに効果を確かめるとしている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ボーイング機再開が占う米中関係(NY特急便)
ボーイングは中国で主力機「737MAX」の運航が近く認められるとの見通しが伝わり、株価終値は8%高とダウ平均をけん引した。中国民用航空局が2日に同機の運航再開に必要となる是正措置を発表。ボーイングは「中国でのサービスの再開に向けた重要なマイルストーンだ」と声明を出した。
2度の墜落事故を起こした737MAXは19年3月に全世界で運航が停止された。米連邦航空局(FAA)は20年11月に運航再開を承認したが、中国ではそれから1年たったいまも許可が下りていない。
ボーイングにとって中国は米国に次ぐ最大市場であり、未出荷の同機の在庫約370機の3分の1は中国向けだ。18年末に浙江省に同機の仕上げ・出荷拠点を立ち上げたが、直後の運航停止で稼働が止まった。デビッド・カルホーン最高経営責任者(CEO)は10月の決算発表で、中国の停止措置が年内に解除され、22年1~3月期に出荷を再開できる見通しだと説明していた。
バンク・オブ・アメリカのロナルド・エプスタイン氏は「ボーイングは財務の改善が急務な一方、次世代機の開発を後回しにすれば小型機のシェアをさらに失うジレンマに陥っている」と指摘する。ボーイングの業績回復は、中国からの737MAXの受注が戻るかにかかっている。
航空機の取引はもともと政治色が強い。民間航空機(部品含む)は米国にとって中国向けの最大の輸出品だったが、18年に182億ドルあった対中輸出は、20年に43億ドルまでしぼんだ。新型コロナウイルス危機が要因だが、トランプ政権時に米中貿易戦争が広がった影響も大きい。
米産業界は、バイデン政権下で米中関係が緩和に向かうと期待していた。だが、台湾海峡や南シナ海、ハイテク分野などを巡る米中の対立は根深く、産業界が望んだ雪解けは見えてこない。737MAXの動向は、多くの米国企業にとっても中国ビジネスの今後を占う試金石となる。
ボーイング737MAX、中国での運航再開に近づく-生産拡大見通し
中国民用航空局(CAAC)のウェブサイトに掲載された同命令書は、MAXの運航再開に向けた安全性関連の最後の障害を取り除くもので、航空各社が運航再開に向け取らなくてはならない措置を示している。
「十分な審査実施後、是正措置は安全でない状況に対応するのに十分だとCAACでは判断する」と説明した。
米ボーイングの広報担当者は「中国での737MAXの安全な運航再開に向けた重要な節目」になると、電子メールでコメント。運航再開に向け、規制当局や顧客と引き続き協力していく方針を明らかにした。
中国での運航再開となれば、来年早期までに737MAX生産を1カ月当たり31機に拡大する計画に道が開かれる。
米当局が中国企業の上場廃止に近づく、新規則の導入計画を発表
米証券取引委員会(SEC)は2日、外国企業に米当局の会計監査受け入れを義務付ける新規則について、導入に向けた最終的な計画を発表した。会計監査を受け入れない場合、3年以内にニューヨーク証券取引所(NYSE)またはナスダックから上場廃止となる恐れがある。米当局は2002年からこの要求を行っているが、受け入れていないのは中国と香港の企業だけだ。
新規則は上場廃止対象となる企業の特定方法や、上場廃止の手続きなどが定められている。導入されれば、200社余りが米市場から締め出される可能性があり、米国預託証券(ADR)が取引されているアリババグループや百度もこれまで米当局の監査を受け入れてこなかった。
アリババADR、上場以来最も割安-中国当局の締め付け響く
アリババADRの株価収益率(PER、発表済み利益ベース)は18.7倍と、2014年の上場以来最も低い水準。ナスダック100指数の平均PERに対するディスカウントも最大となっている。アリババADRは1日に前日比4%下落し、17年5月以来の安値を付けた。香港上場のアリババ株も2日の取引で値下がりしている。
FTC、英アームの買収阻止へ 米エヌビディアなど提訴 中国民用航空局(CAAC)のウェブサイトに掲載された同命令書は、MAXの運航再開に向けた安全性関連の最後の障害を取り除くもので、航空各社が運航再開に向け取らなくてはならない措置を示している。
「十分な審査実施後、是正措置は安全でない状況に対応するのに十分だとCAACでは判断する」と説明した。
米ボーイングの広報担当者は「中国での737MAXの安全な運航再開に向けた重要な節目」になると、電子メールでコメント。運航再開に向け、規制当局や顧客と引き続き協力していく方針を明らかにした。
中国での運航再開となれば、来年早期までに737MAX生産を1カ月当たり31機に拡大する計画に道が開かれる。
米当局が中国企業の上場廃止に近づく、新規則の導入計画を発表
米証券取引委員会(SEC)は2日、外国企業に米当局の会計監査受け入れを義務付ける新規則について、導入に向けた最終的な計画を発表した。会計監査を受け入れない場合、3年以内にニューヨーク証券取引所(NYSE)またはナスダックから上場廃止となる恐れがある。米当局は2002年からこの要求を行っているが、受け入れていないのは中国と香港の企業だけだ。
新規則は上場廃止対象となる企業の特定方法や、上場廃止の手続きなどが定められている。導入されれば、200社余りが米市場から締め出される可能性があり、米国預託証券(ADR)が取引されているアリババグループや百度もこれまで米当局の監査を受け入れてこなかった。
アリババADR、上場以来最も割安-中国当局の締め付け響く
アリババADRの株価収益率(PER、発表済み利益ベース)は18.7倍と、2014年の上場以来最も低い水準。ナスダック100指数の平均PERに対するディスカウントも最大となっている。アリババADRは1日に前日比4%下落し、17年5月以来の安値を付けた。香港上場のアリババ株も2日の取引で値下がりしている。
米半導体大手エヌビディアによる英半導体設計アームの買収計画をめぐり、反トラスト法(独占禁止法)に基づき差し止めを求める訴訟を起こした。両社の統合は「次世代技術の競争を阻害する」などと主張した。アームを傘下に持つソフトバンクグループ(SBG)の戦略にも打撃となる。
FTCは訴状で、幅広い半導体メーカーに設計技術を供与するアームについて「半導体業界のスイスと呼ばれる」と指摘。エヌビディアの競合もアームの技術に依存しており、買収を認めれば「技術支配力を利用して競合他社を弱体化させる能力と動機を与える」と主張した。競争が阻害されることで最終的には品質の低下や価格の上昇を招き、アームの技術を使った製品の恩恵を受けている「数百万人の米国人に損害を与えることになる」と指摘した。乗用車向けの運転支援システムや、クラウドサービスを支えるデータセンター向けCPUの競争などで悪影響を懸念しているという。
提訴の是非を判断する採決に参加した4人のFTC委員は全員が買収阻止に賛成した。提訴に踏み切るまでの調査にあたっては、欧州連合(EU)や英国、日本、韓国の競争当局と緊密に連携したという。FTCは、訴訟は22年8月に始まるとしている。
エヌビディアは同日、「FTCの手続きが次の段階に進むにあたって、我々はこの(買収)取引が業界に利益をもたらし、競争を促進するものであることを示す努力を続ける」と述べた。同社の株価は前日比2.2%高で引けた。アーム側はコメントを避けた。
航空機燃料税の軽減延長へ 苦境の業界支援継続
政府・与党は2022年度税制改正で、新型コロナウイルス対策で導入した航空機燃料税の軽減措置を継続する方針だ。原則1キロリットルあたり9000円と20年度の半分に抑えた現行水準を維持するか、軽減額を縮小するか政府内で詰める。足元の燃料高に加え、新たな変異型ウイルス「オミクロン型」で航空会社の経営に打撃が予想されるため、支援を続ける。
国際線、予約受付再開へ 政府「一律停止」要請撤回
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は2日、日本に帰国する日本人の国際線の予約受付を再開する準備を始めた。3日にも再開する見込みだ。政府は1日から1日あたり入国者数の上限を3500人(従来5000人)に減らしており、各社はこの範囲内で新規の予約を再び受け付ける見通し。外国人については11月30日に政府が全世界からの入国を原則停止している。
JAL、2月の運航率30% 横ばい続く
2022年2月の国際線運航率(便数ベース、ソウル線除く)を事業計画比30%にすると発表した。1月(29~31日のソウル線除く)は28%、11月と12月の国際線運航率はそれぞれ27%、28%だった。新型コロナウイルス禍による入国制限が続く中、国際線の運航率は約30%で横ばいの状況が続く。需要動向が変動すれば、運航規模を修正する可能性もある。
新型コロナの新たな変異型「オミクロン型」の感染拡大などで、需要の見通しは不透明になっている。政府は11月30日、全世界からの外国人の新規入国を原則停止した。日本での外国人の乗り継ぎは可能で、JALはアジアと北米との間の乗り継ぎ需要などを取り込む考えだ。
渡航制限「航空業界を危険にさらす」 IATAトップが批判
ウォルシュ氏は11月に米国が多くの国からの渡航制限を解除したことで、年末に向けて旅行需要の急増が期待されていたと指摘。それがオミクロンの出現で「多くの政府がパニックに陥った」ことで、航空業界の回復が遅れることを懸念する。「すでに世界中でオミクロンが確認されるなか、渡航禁止措置は馬が逃げた後に小屋の扉を閉めるようなもので効果がない」と述べた。
SBG出資のグラブ、SPAC経由で上場 時価総額5兆円超
東南アジア配車最大手のグラブ・ホールディングスは2日、米ナスダック市場に上場した。初値で計算した時価総額は510億ドル(約5.7兆円)を超えた。特別買収目的会社(SPAC)との合併を経由した上場としては過去最大規模となる。競争激化や新型コロナウイルス禍の影響で業績が低迷するなか、ようやく株式公開にこぎつけた。
合併会社は第三者割当増資の形で約40億ドルを調達した。引受先には米大手資産運用会社のブラックロックやティー・ロウ・プライス、フィデリティ、シンガポール政府系ファンドのテマセク・ホールディングスなど有力機関投資家が並んだ。東南アジアの巨大IT(情報技術)企業に対する投資家の関心は高い。
業績は足元で低迷している。21年7~9月期の最終損益は9億8800万ドルの赤字に膨らんだ。赤字幅は四半期決算の数値が遡れる20年1~3月期以降で最大だ。月間の利用者数は2210万人と、新型コロナの感染拡大が本格化する前の20年1~3月期(2970万人)を大幅に下回る状態が続く。コロナ下での行動制限が響いている。
●その他産業
英ウィットブレッド、今年の安値圏 感染再拡大が重荷
ホテル・外食チェーン大手の英ウィットブレッドの株価が今年の安値圏まで下落した。同社は英独などで計800以上のホテルを運営し、パブやレストランも展開する。英国が7月に行動規制を大幅に緩和すると株価は戻り、9月末時点では昨年末比で7%高い水準まで上昇していた。
コーエーテクモHD、自社株TOBとCB発行 プライム狙い
コーテクHDはこの2社からTOB(株式公開買い付け)で発行済み株式総数の約5%分の自社株を取得する。期間は8日から22年1月6日まで。TOB価格は2日か7日の終値のうち安い方より1割低く設定されるため、一般株主からの応募は想定していない。
コーテクHDはロンドン時間の12月20日に総額460億円のユーロ円建てCBを発行し、TOBに使う。満期は24年12月で転換価額は2日終値から1割上乗せする。コーテクHDの株価が上昇し株式への転換が進めば流通株比率は上場維持基準の35%を超えるという。
一般にCBを株式に転換するタイミングは投資家により異なる。浅野健二郎専務執行役員は今回の手法について「大株主が市場に株式を(一気に)放出し、少数株主の株主価値が希薄化することを避けられる」と説明する。市場関係者によれば、自社株TOBとCB発行を組み合わせて流動比率を高めるスキームは国内で初とみられる。
料理宅配の再編加速 米ドアダッシュが欧州同業を買収
米料理・食料品宅配大手のドアダッシュがフィンランドの同業ウォルトを株式交換により81億ドル(約9100億円)で買収する。買収手続きは2022年に完了する見通しだ。
米調査会社グランドビューリサーチによると、世界のオンライン料理・食料品宅配市場は年平均15.4%成長し、25年には636億ドルに達するとみられる。
スマートフォンの普及、生活様式の変化、クイックコマース(即配)の成長、新型コロナウイルスの影響がこの業界の成長に寄与している。
EU、欧州4行に制裁金440億円 外為取引でカルテル
英HSBCホールディングスおよびクレディ・スイス、英バークレイズ、英ナットウエスト・グループ(旧RBS)に総額3億4400万ユーロ(約440億円)の制裁金を科すと発表した。外国為替取引でトレーダーが機微な情報の交換や売買戦略の擦り合わせなどをした過去の行為について、EU競争法(独占禁止法)が禁じるカルテルと認定した。カルテルにはUBS(スイス)も関わっていたが事実関係を当局に申告したため免除された。
欧州委によると、制裁対象の行為は外国為替の直物(スポット)市場で2011~12年に実行された。ユーロや英ポンド、日本円といった約10の主要通貨の取引をめぐり、各社の担当者がチャット機能を使うなどして情報交換していた。これによって各社のトレーダーは売買タイミングの調整が可能になった。他社の取引を阻害しないよう注文を一時的に手控える行為もあったという。
トヨタ、35年に欧州販売車の排出ゼロ EU規制に対応
2035年までに西欧で販売する新車の二酸化炭素(CO2)排出をゼロにすると発表した。販売するすべての車を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に切り替えるもよう。欧州連合(EU)が35年に域内で新車が排出するCO2をゼロにすることを義務づける案を7月に出しており、これに対応する。
●決算関連
●マクロ・その他
米社債に「カナリアの警鐘」 迫る利上げを意識
トルコリラ、再び安値圏 介入効果続かず
トルコ中央銀行が前日、通貨防衛のための為替介入をしたものの、エルドアン大統領の政策に批判的とされるエルバン財務相が辞任。金融政策への不信感が高まり、リラは再び史上最安値圏に落ち込んだ。
ブラジル景気後退、7~9月GDP0.1%減 干ばつ響く
2021年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前四半期比で0.1%減となった。4~6月期(0.4%減)に続いて2四半期連続のマイナス成長となり、定義上の景気後退となった。干ばつによる農産物の不振が響いた。
分野別では、新型コロナの感染者数の減少による経済活動の再開に伴ってサービス業は前四半期比で1.1%増となったものの、農牧畜業が8%減と大幅に落ち込んで全体を引き下げた。GDPは前年同期比では4%増だった。3四半期連続のプラスだった。
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、2020年10月~21年9月の穀物生産量の推定は約2億5200万トンと、前の年度比2%減となった。約90年ぶりとされる歴史的な降雨の少なさで、主力のトウモロコシや豆類といった穀物の生産が低調に推移した。
この結果、インフレも引き起こした。10月の消費者物価上昇率は年率で10.67%となった。5年9カ月ぶりの高い上昇率だ。トマトやジャガイモといった農作物だけでなく、通貨安による輸入品、原油高騰を受けたガソリンの販売価格が上昇しており、収入減とインフレのダブルパンチに直面している市民は多く、生活の水準を引き下げるケースも目立つ。
実質経済成長率見通しの下方修正も相次いでいる。中銀が民間エコノミストの予測を集計して毎週公表する「FOCUS」では、21年通年は4.78%増と、7週連続で引き下げられた。22年については8週連続の下方修正で、0.58%増まで落ち込んでいる。
ブラジルは新型コロナの累計感染者数が世界で3番目に多い。今年6月には1日の新規感染者が11万人超まで増えていたが、足元では1万人前後まで下がった。必要なワクチン接種を終えた比率は人口の6割を超えたが、経済全体は思うようには浮上していない。11月30日には、拡散の勢いはデルタ型を超えるとの懸念がある、新たな変異型「オミクロン型」も確認されている。
[FT]安泰でない中国エリート 名声しのぐ共産党支配
OPECプラス、原油増産ペース維持 WTI一時5%安
現行の原油増産を2022年1月も続けると決めた。毎月日量40万バレルずつ増産する従来の方針を維持する。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」による需要減を警戒し増産を停止する案も取り沙汰されたが、見送った。ニューヨーク市場の原油先物は同日、需給の緩みを警戒した売りで一時、前日比5%下落した。
現行の原油増産ペースを維持するのは、増産を訴えてきた米国など消費国との摩擦を避けるのが得策と踏んだためだ。11月に米国が日本や中国、インド、韓国、英国と国家備蓄の一部放出に動いたのを受け、産油国側には増産の見直し論も浮上していた。
半面、OPECプラスはオミクロン型の拡大を警戒する姿勢も強調した。2日にオンラインで開いた閣僚協議後の声明で「市場を注視し続け、必要なら直ちに調節する」とした。次回協議は2022年1月4日に開く。
OPECはかねて、22年には原油の供給が需要を上回るとみていた。世界の需要は例年、ガソリン消費や暖房機器の燃料向けが増える12月にかけて拡大する一方、1月は減りやすい。ロイター通信によるとOPECは内部分析で1月の供給過剰が日量200万バレル、2月は340万バレル、3月は380万バレルに膨らむと予測する。オミクロン型の影響でアフリカや欧州を中心に航空燃料の需要がしぼむとみる。
米下院、つなぎ予算案を可決 2月18日まで
米議会下院は2日、2022年2月18日までの政府資金を手当てする「つなぎ予算案」を賛成多数で可決した。上院が可決してバイデン大統領が署名すれば成立する。
ただし、上院も速やかに通すかは不透明だ。野党・共和党の一部議員がバイデン政権の新型コロナウイルスワクチンの義務化に反対しており、つなぎ予算案への賛成を表明していない。現行予算が失効する12月3日までに成立しなければ、政府機関が一部閉鎖する恐れがある。
世界食料価格指数、11月は過去最高に迫る-低所得国は輸入困難に
国連食糧農業機関(FAO)が算出する世界食料価格指数は11月に1.2%上昇した。主要国でインフレ加速が一段と顕著になる一方で、低所得国は食料輸入がより困難になり、飢餓が悪化する恐れがある。
食料価格が上昇した要因は、悪天候による収穫への打撃や、出荷コストの上昇、労働者不足、エネルギー危機によるサプライチェーンの問題、肥料価格の高騰など複数にわたる。今回の価格高騰は、世界的な食料危機につながった2008-11年時をほうふつとさせる。
●市況
日経先物(大証)27833、ダウ先34634、債先151.97、米1.444、独▲0.3755、仏▲0.016、西0.377、伊0.952、原油67.23、ドル円113.06、墨ペソ21.29、トルコリラ13.7013、墨CDS118
※12/3 8時30分頃
日経先物(大証)27833、ダウ先34634、債先151.97、米1.444、独▲0.3755、仏▲0.016、西0.377、伊0.952、原油67.23、ドル円113.06、墨ペソ21.29、トルコリラ13.7013、墨CDS118
※12/3 8時30分頃
備忘録(12/1)
●コロナ
感染が確認されたのはカリフォルニア州で、11月22日に南アフリカ共和国から戻った渡航者から検出された。感染者はワクチン接種済みで症状は軽く、改善しつつあり、現在は自己隔離中。濃厚接種があった全員と連絡が取れ、この中に陽性反応を示した者はいないという。
カリフォルニア州のニューソム知事は記者会見で、この感染者が22日にサンフランシスコに到着し、25日に症状が出たと説明した。28日に検査し、その翌日に陽性が判明したが、入院していないという。同知事は「この個人の経過は順調だ」とし、完治が見込まれると述べた。
疫学者らはオミクロン株のこれまでの拡散を踏まえると、米国で最終的に感染者が確認されても驚きではないと指摘していたが、今回の確認は心理的な打撃を伴う。オミクロン株のリスクを巡る早期警告で市場は動揺し、米国が一部の渡航制限を強化したほか他国も水際対策強化に動いた。
WHOの主任科学者、ソーミャ・スワミネイサン氏は新型コロナウイルスのオミクロン変異株について、ワクチンで重症化を防げる公算が大きいとの見方を示した。1日の記者会見で述べた。
同変異株の感染はノルウェーで2件見つかったほか、アイルランドとサウジアラビアでも初めて確認された。
南アフリカ共和国では、過去24時間に新たに確認された新型コロナ感染者が前日のほぼ2倍となった。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
10月6日に付けた年初来安値5888円を割り込んだ。オミクロン株出現によるリスクオフムードの流れが、売りを誘った格好。チャートは底割れしたため、今後は上値の重さが強く意識されるようになると懸念されてる。
日本航空(JAL)など航空連合「ワンワールド」に加盟する航空会社9社はこのほど、脱炭素につながる再生燃料(SAF)の共同調達に乗り出すと発表した。米国の再生燃料メーカーが製造するSAFを2024年からの7年間で130万㌔㍑調達し、米国発の定期便に搭載する。SAFは航空機の運航で出る二酸化炭素(CO2)の大幅な削減につながるが、世界的に供給量が少なく、連携して安定調達につなげる。
廃食油や植物を原料にしたSAFを使うと、化石燃料だけで運航した場合に比べて、実質的なCO2排出量を8~9割削減できる。一方で供給量は世界で必要な航空燃料の1%以下とされ、航空各社が国産化や輸入調達を進めている。
JALは30年に全燃料搭載量の10%をSAFに置き換えることを目指し、米社などからの調達を急ぐ。国内では全日本空輸(ANA)も欧米企業からの輸入調達のほか、国産化に向けた製造事業者への働きかけなどを進めている。10月にはANAとJALが共同でリポートを発信し、SAFの普及や国産化への活動で協力することを表明した。
2027年までの投資計画で合計150億ドル(1兆7000億円)を脱炭素に投資すると発表した。メタンガスの漏洩対策や二酸化炭素の回収・貯留(CCS)、水素、バイオ燃料の新規事業を育てる。
全体の設備投資は27年まで毎年200億~250億ドルを投じる。21年は160億ドルにとどまっていた。27年までの上流部門への投資の9割以上は、原油が1バレル35ドル以下でも利益率が1割以上になるとしている。ダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は「高収益のプロジェクトや排出量の低いビジネス機会への投資を加速していく」とコメントした。
排出削減目標も更新した。同社の企業活動で発生する温暖化ガスの「排出密度」を2030年までに16年比で20~30%削減する。
石油メジャーでは英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは石油・ガスの生産量を減らして排出を削減する目標を掲げており、目標に「排出密度」の削減を掲げるエクソンの姿勢は環境団体などから批判されている。
●その他産業
大手ゼネコンが手持ち工事の採算悪化に備えて、工事損失引当金を積み増している。上場大手4社の2021年9月末時点の残高合計は半年前から3割増え、19年3月末比で2倍に膨らんだ。大型再開発の利幅が低下していることに加え、鉄鋼など建材価格の高騰が響く。手持ち工事の急速な採算悪化は、来期以降の収益性にも影を落とす。
●決算関連
●マクロ・その他
欧州委員会は1日、域外でのインフラ整備を支援する新たな枠組みを立ち上げると発表した。中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗する。環境配慮や透明性の確保をルール化したうえで、2027年までに官民で総額3000億ユーロ(約38兆円)規模の投資をめざす。
計画は「グローバル・ゲートウェー」と呼ばれ、気候変動対策や労働者の人権、投融資の透明性に配慮しながら、デジタル化や健康、エネルギー、教育といった分野のインフラ整備を推進する。
世界の投資家が高い利回りの確保とインフレリスクを抑えるため、中国をはじめとしたアジアの債券への関心を強めている。中国債券に「強気」と答えた投資家が6割と、「強気」が4割前後の先進国や他の新興国債券を上回った。
キャンベル氏は「歴史上、中国のように30年間で広範囲にわたる驚異的な軍事的近代化を進めた国はない」と指摘。極超音速兵器や対衛星システム、サイバー分野の不透明な開発にも触れ「このような行為が続けば、予期せぬ危機や誤解を引き起こす危険性がある」と警戒感を示した。
中国が核軍備管理を巡る対話に応じる用意があるかどうかは「率直に言って分からない」と述べ、米側の提案段階にあるとの認識を明らかにした。11月の米中首脳オンライン会談で議論の前進模索で一致したとされたが、具体的な内容はよく分かっていない。
同報告によると、経済拡大ペースに関する表現は前回とほぼ変わっておらず、同様の景気判断を維持した。一方、物価は「緩やか、もしくは強いペースで上昇している」と指摘した。仕入れ価格が幅広く値上がりした。クリーブランド連銀地区では、聞き取り先企業の8割が直近2カ月の仕入れコスト上昇を報告し、ある物流業者は「ガソリン、電力、食品、原材料、製品すべてが値上がりしている」と伝えた。需要が強いため、企業は顧客の抵抗をほとんど受けずに販売価格を引き上げているという。
雇用増は緩やかだったが、強さが増した地区もあった。企業の労働需要は旺盛で、新規採用や従業員の維持の難しい状況が続いた。レジャー・ホスピタリティー産業と製造業で雇用は改善した半面、依然として多くが人手不足で営業・稼働時間を制限していた。
労働供給が増えない要因として、保育や退職、新型コロナウイルスの感染リスクをあげた。雇用市場の逼迫で、ほぼ全地区が「強い賃金上昇」を報告した。セントルイス連銀地区では、ピザ店が時給15~20ドル(約1700~2300円)の宅配スタッフの求人広告を出したり、輸送会社が夜間スタッフの時給を13ドルから21ドルに引き上げたりする例があった。
消費支出は緩やかに増えたものの、品不足で販売が抑制された品目もあった。新型コロナのデルタ型の新規感染者減少を受けて、レジャー・ホスピタリティー産業の活動は上向いた。ただ今回のベージュブックは11月半ばまでの情報に基づいており、オミクロン変異株の出現は反映していない。同変異株の感染状況次第では、今後数カ月にサービスセクターの回復に悪影響が及ぶ恐れがある。製造業は材料・労働力不足の制約にもかかわらず堅調な拡大が続いた。今後の見通しについて、大半の地区で企業は明るさを維持した。供給網と労働供給の課題が解消する時期に懸念を示す声も聞かれた。
「量的緩和の縮小(テーパリング)を終えた後も緩和的な政策をとっていることが分かるだろう」と語った。FRBはこれまでの資産購入で大量の資金を市中に供給しており、こうした状態が当面続くことを示唆したとみられる。
「現在観察されるインフレはなお、明らかにパンデミック(世界的大流行)関連の要因が関係している」と指摘。「ただ、それが経済のより多くの分野に広がっていることも指摘したい。インフレ高進が根強く続くリスクは明らかに高まったと考えている」と述べた。
その上で、「物価安定は金融当局の2大責務の一つであり、もう一つは最大限の雇用確保だ」とし、「現在のようにこれら2つの責務が緊張関係にある状況では、両者のバランスを取っていく必要がある。われわれが今経験している高インフレが定着しないよう、当局として手段を講じていくことを約束する」と話した。
米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した11月の米製造業景況感指数は61.1で前月から0.3ポイント上昇した。2カ月ぶりの上昇で、製造業の堅調な成長が持続していることを示した。
「新規受注」が61.5で1.7ポイント、「生産」も61.5で2.2ポイントそれぞれ上昇した。「雇用」も53.3で1.3ポイント上昇した。採用の改善を報告する企業が増えたが、同時に離職者の補充の必要性を指摘する企業も増えた。
材料・部品の不足や価格の高騰、輸送の遅れは続いたものの、供給制約はやや緩和する兆しがみられた。「入荷遅延」が72.2で3.4ポイント下がったほか、「受注残」は61.9は1.7ポイント、「価格」も82.4で3.3ポイントそれぞれ低下した。
ISMは「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うグローバルな障害が、引き続き製造業拡大の重荷となっているが、回答企業の景況感は非常に明るい」と指摘した。
非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は53万4000人増えた。3カ月連続で50万人を超え、労働市場の堅調な回復が続いた。
サービス部門で42万4000人の雇用が増えた。前月に続き「レジャー・ホスピタリティー」(13万6000人増)、「専門・ビジネスサービス」(11万人増)、「商業・運輸・公益」(7万8000人増)が堅調だった。
ADPのエコノミストは、直近3カ月平均の雇用増は54万3000人に達し、今年前半よりペースがやや上向いていると指摘。その上で、新型コロナウイルスのオミクロン型が雇用の回復を鈍化させるかどうかは現段階では見通せないとした。
トルコ中銀は声明で「不健全な為替相場が形成されているため(外貨の)売却によって市場で直接介入した」と述べた。トルコ中銀は2018~19年、通貨安に対抗するため国営銀行を介して大規模な間接介入をしたとされるが、直接介入は14年1月以来。通貨リラは発表後、対ドルで一時、前日比8%反発した。
英ブルーベイ・アセット・マネジメントのティモシー・アッシュ氏は顧客向けのメールで「18~19年に1280億ドル(の外貨準備)を無駄にして介入に失敗したのが、どうして今回成功するだろうか」と疑問を呈した。
市場では、トルコ中銀にはいっそうの介入に十分な外貨準備の余力が残っていないとの見方もある。
トルコ中央銀行がリラ急落に歯止めをかけようと約10億ドルを費やして為替介入に動いたことは、エルドアン大統領の経済改革計画に政策担当者がますます不安を募らせていることの表れだ。大統領が利下げを求める中でも、中銀が行動をとることに積極的だという兆しがトルコで初めて見られた。
リラ下落はトルコが工業大国に生まれ変わり、高金利に引かれて国外から流入する短期資金への依存から脱却するためのコストとして、エルドアン氏の目には映る。その壮大な設計図を狂わせる問題が積み上がり始めている。
リラ急落はトルコの中流層に大打撃を与え、投資家をいらだたせ、大統領への不満を高めたことがその一つだ。2023年の次回選挙までにエルドアン氏が経済を立て直すのはほぼ不可能だろうと、アナリストらは指摘する。エルドアン氏がしばしば言い誇るようにリラ安が質の高い製品の輸出拡大に寄与するとしても、2年以内の実現は難しいとアナリストらは述べている。
「リラ安が輸出の助けになるなら、輸出は長年にわたって活況が続いているはずだ」とメドレー・グローバル・アドバイザーズの新興市場ディレクター、ニック・スタッドミラー氏は語った。
中国当局は、海外投資家から資金調達することを目的とした変動持ち分事業体(VIE)と呼ばれる構造を使った外国株式市場への上場を禁じる計画だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。中国のテクノロジー企業が長らく活用してきた抜け穴をふさぐ。
今回の禁止措置は今月中にもまとまる可能性がある国外上場規則の新草案に盛り込まれる見直しの一部。データセキュリティーを巡る懸念への対処が目的の一つだという。いわゆるVIE構造を使う企業は今後も香港で新規株式公開(IPO)を目指すことを認められるとみられるが、規制当局の承認が必要になると関係者は語った。
VIEを通じて米国や香港に現在上場している企業は調整が必要となりそうで、所有構造は外国の投資が認められていないセクターを中心に、当局による審査で透明性が高まる。規則案の詳細はまだ協議されており、変更される可能性もある。
苦境にある中国の不動産業界のローンと社債に投資する新ファンドに2億4500万ドル(約280億円)を集めた。同ファンドはストレストおよびディストレスト資産に投資する。
Tロウ・プライス・グループやアリアンツ・グローバル・インベスターズ、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントなども売り込まれた中国不動産業界の資産に投資機会を見いだしている。
ブラウン氏は発表資料で「中国不動産業界のハイイールド債の急落は魅力的な投資機会を生み出した。今後2、3年に実を結ぶと期待できる」とし、「現在の価格設定は歴史的に高いデフォルト率とシステム全体の危機を示唆しているが、不動産セクターの経済的重要性を考えると政策当局がこれを容認する可能性は低い」と説明した。
調査会社の克而瑞がまとめた暫定データによると、開発上位100社による契約販売は前年同月比38%減の7510億元(約13兆4000億円)。10月の32%減からマイナス幅が大きくなった。
だが、住宅ローン規制を和らげたり、建設企業の資金繰りを改善したりしても、まだ業界の減速に歯止めがかかっていない。
克而瑞は「『問題』がある不動産企業の資金調達環境を大きく改善させることは難しく、資本回転に対する圧力は今後も強まる可能性がある」と分析。今回の緩和措置が追い風になるのは主に国有企業や「質の高い」民間開発業者だとも指摘し、負債に苦しむ開発企業を中心に同業界に関して警鐘を鳴らした。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリストらは1日のリポートで、「全国販売の伸びは今後半年から1年にわたり弱いままとなる見込みだ」とし、「投資家や貸し手が引き続き財務が脆弱(ぜいじゃく)な開発業者を敬遠する中で、タイトな信用環境によって同セクターの借り換えリスクが高まる」との見方を示した。
オミクロン株の出現で「見通しに対する不確実性が増した」と指摘。この変異株の出現により現在不足しているモノやサービスに対する需要が継続する一方で、他の部門の回復が頓挫すれば、「全般的な回復が幾分か鈍化する」ほか、高い需要が見られている部門ではインフレ圧力が増大する恐れがあるとの見方を示した。
●市況
日経先物(大証)27518、ダウ先34024、債先151.98、米1.404、独▲0.3500、仏0.012、西0.399、伊1.017、原油65.72、ドル円112.83、墨ペソ21.51、トルコリラ13.3823、墨CDS118
※12/2 8時00分頃
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