備忘録(2025/7/2)
●企業
1日付の英タイムズ紙が複数筋の話として報じたところによると、英製薬大手アストラゼネカ(AZN.L), opens new tabは株式の上場先をロンドンから米国に移すことを検討している。
アストラゼネカはロンドン証券取引所の上場企業の中で時価総額が最大で、実現すれば同証取にとって打撃となりそうだ。同証取はここ数カ月、上場廃止が相次いでいる上、大型の新規株式公開(IPO)を獲得し損ねている。
アストラゼネカが上場先を米国に移せば、米国に投資を誘致したいトランプ米大統領の歓心を買うことにもなりそうだ。
同紙によると、アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)は内々に、上場先を変えたい意向をたびたび口にしてきた。
アストラゼネカの株式時価総額は約1560億ポンド(2130億ドル)。
同社は何年も前から英国の事業投資環境を批判しており、1月には政府の支援が削られたことを理由に、イングランド北部のワクチン製造工場に対する4億5000万ポンド規模の投資計画を撤回した。
一方、同社は過去1年間に米国への投資計画を進め、米国の投資家や議員との関係も強化してきた。米国はアストラゼネカ製品の最大市場で、今年第1・四半期の売上高の約42%を占める。
タイムズ紙によると、ソリオCEOが上場先移転を進めた場合には一部取締役や英国政府の反対に遭う可能性がある。
アストラゼネカはコメントを控えた。
スペイン大手銀行サンタンデール(SAN.MC), opens new tabは1日、同業サバデル(SABE.MC), opens new tab傘下の英銀TSBを全額現金の26億5000万ポンド(36億4000万ドル)で買収することに合意したと発表した。
買収が実現すれば、サンタンデールは個人当座預金残高ベースで英3位の銀行となり、 中小銀行が大手に押される構図の英銀行業界にとっては最大級の再編だ。
サンタンデールの英子会社の収益力もグループ全体の中では低調で、関係者によると一時は英国市場からの撤退を検討していたとされる。
ただアナ・ボティン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で「今回の取引は当社の戦略のみならず英国市場への自信を表している」と語り、引き続き英国を中核市場として重視する姿勢を示した。
サンタンデールは買収によるシナジー(相乗)効果で少なくとも4億ドルの費用を節減し、1株当たり利益も増加すると見込んでいる。
サバデルはTSB売却で得る資金を追加配当に充当する予定。サンタンデールが提示した買収額は手続きが完了する来年第1・四半期までに29億ポンドに切り上がる可能性もあるという。
米大手6銀行は1日、2025年第3・四半期に配当金を引き上げる計画を発表した。各行は先週、米連邦準備理事会(FRB)の25年の銀行ストレステスト(健全性審査)で、深刻な景気後退や失業率の急上昇、市場の混乱などが起きた場合でも耐えることができる十分な資本を有していることが認定された。
最大手のJPモルガン・チェース(JPM.N), opens new tabは配当金を1株当たり1.40ドルから1.50ドルへ引き上げ、500億ドルの自社株買い制度も導入すると発表した。ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「取締役会が決めた今年2回目の増配は、当社の株主への持続可能な資本配分の水準を示しており、好調な財務実績に支えられている」とし、「新たな自社株買い制度は、私たちが適切だと考えているように時間をかけて株主に資本を分配できるようにする」とコメントした。
バンク・オブ・アメリカ(BAC.N), opens new tabは配当金を8%増の1株当たり28セントとし、ウェルズ・ファーゴ(WFC.N), opens new tabは現行の同40セントから45セントへ増配するとそれぞれ発表した。
モルガン・スタンレー(MS.N), opens new tabの取締役会は、期限を定めない200億ドルの新たな自社株買い制度を承認。また、第3・四半期の配当金を1株当たり1ドルへ増配する計画だ。
ゴールドマン・サックス(GS.N), opens new tabは配当金を1株3ドルから4ドルへ、シティグループ(C.N), opens new tabは同56セントから60セントへそれぞれ引き上げる。
FRBのストレステストでは、普通株などのTier1資本が平均で11.6%となり、最低要求水準の4.5%を大きく上回った。大手銀行全てが2桁の自己資本比率を維持した。
一方、FRBはストレステストの実施方法の見直しを進めている。
欧米の高級ブランドにとって、中国は数十年にわたり成長の原動力となってきたが、ここ数年は一転して販売減少に見舞われている。不動産不況で景気が打撃を受けているためだ。一方、こうした状況にもかかわらず、新興の老鋪黄金(ラオプーゴールド)は中間層を対象に指輪やネックレス、ブレスレットなど幅広い金製品を展開し、急成長を遂げている。
中国のジュエリーブランド、ラオプーの売上高は2年連続で2倍余りとなり、株価も1年前の香港上場以降、20倍超に跳ね上がっている。
デジタル・ラグジュアリー・グループのマネジングディレクター、ジャック・ロイゼン氏は「中国の消費者は伝統を重んじるブランドにますます魅力を感じている」と指摘。「ラオプーは歴史と中国の伝統工芸に根差した商品の提供で際立っている」と話す。
ラオプーの台頭は、中国発の高級ブランドへのシフトを象徴する動きとなる。かつては3万元(約60万円)のミニバンで知られた自動車メーカーの賽力斯集団(セレス・グループ)は、BMWやメルセデス・ベンツを追い抜き、今や中国で最も注目される高級車メーカーとなった。同社のスポーツタイプ多目的車(SUV)「Aito M9」は50万元を超える価格帯としては中国でベストセラーだ。
また、フランスのロレアルなど海外勢が中国市場で苦戦を余儀なくされる中、2000年創業の高級スキンケアブランド、毛戈平化粧品の昨年の売上高と利益はいずれも30%余り増加した。
5月にラオプーの商品4点を計9万元で購入した広東省在住の心理療法士、チェン・ティエンミンさん(42)は「欧米は長らく進歩と洗練の象徴とされてきた」としつつ、「欧米の高級ブランドの価格が高過ぎることが多かったことにわれわれは気づいた」と語る。
顧客層の切り崩し
09年に北京の高級ショッピング街、王府井で最初の店舗をオープンしたラオプー創業者の徐高明氏は、精巧な金線細工やエナメル光沢による多彩な色合いを施すといった中国の伝統的な技法を取り入れることを目指した。
デザインにはヒョウタンや仏教のシンボルなどの文化的モチーフを採用しつつ、マット仕上げやダイヤモンド、ルビーの装飾など現代的な要素も融合させた。徐氏は4月に開かれた株主との会合で、「当ブランドは常に伝統を守りつつ、伝統にあらがう姿勢も示してきた」と述べていた。ラオプーは今回の件に関してコメントを控えた。
現在40店舗を展開するラオプーは、今後も中国を軸に運営していく方針だが、最近ではシンガポールに出店し、東京にも進出を計画する。店舗の正面は光沢のある黒い外観で、内装は中国の伝統的な書斎を模しており、カウンターにはジュエリーが並び、椅子には上質な張り地が施されている。
休日や特別プロモーション時には行列ができることも多く、その際には待っている客にスタッフがエビアンの水やゴディバのチョコレートを提供する。ラオプーはカルティエやティファニー、ヴァンクリーフ&アーペルといったグローバル高級ブランドが店舗を構える一流ショッピングモールを中心に出店しており、顧客層の切り崩しを狙っている。
国海証券のアナリスト、チュアンチー・マー氏は「ラオプーは欧米の高級ブランドにとって重大な脅威だ」と分析する。
手頃でも高級感
カルティエやヴァンクリーフ&アーペルを傘下に持つスイスのブランド大手リシュモンのニコラ・ボス最高経営責任者(CEO)は、5月のアナリスト向け電話会議で、ラオプーは国際的な高級ブランドの文化を理解しており、「非常に独自性のある」商品を展開しているとコメントした。
同じ5月には、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのステファン・ビアンキ副CEOが中国本土の消費者の好みが変化しているとし、中国系であることから地場ブランドが急成長していると話したが、ラオプーには言及しなかった。
ラオプーの商品価格は全般的に欧米の大手高級ブランドより手頃だが、主要なラインアップは約1500-7000ドル(約21万5000円-約100万円)で、3万5000ドルを超えるような高級品もある。一般的なショッピングモールのジュエリー店と比べると価格は明らかに高めだ。
急成長する多くのブランドと同様、中国版インスタグラムとも言われる「小紅書」で大きな支持を得るラオプーは、不動産不況で購買力が落ちた消費者の間でも注目を集める。
モルガン・スタンレーのアナリストらは5月、「ラオプーは大衆ブランドより格段に高級感がありながら、大半の高級ブランドよりも手頃という絶妙な位置に付けている」と評価した。
最大のリスク
モルガン・スタンレーによれば、ラオプーの昨年の中国売上高はカルティエの半分以下にとどまったものの、ヴァンクリーフ&アーペルを上回った。
さらに、ラオプーの成長率は大手高級ブランドに比べて際立ち、同じロケーションで複数店舗を展開するケースもある同社のモール当たりの売上高は、多くの欧米ライバルをしのぐ。24年の売上高は前年比168%増を記録し、リシュモンの大中華圏の売上高が3月までの1年間で23%減少したのとは対照的だ。
金価格が着実に上昇しており、ラオプーの商品も不確実な時代の資金の振り向け先として注目されている。しかし、見方を変えれば、ラオプーにとってこれが最大のリスクとなる恐れもある。金相場が今後下落すれば、価値の保全手段としての魅力を失う可能性もある。
ラオプーは今年、6000店超を抱える老舗チェーンである周大福を抜き、時価総額で中国最大のジュエリーブランドとなった。だが、同社の成功モデルは知られるようになっている。周大福はすでに伝統的な金細工ジュエリーを打ち出し、他の中小ブランドもラオプーを模した路線を採用しつつある。
中国市場で優れたアイデアが模倣されるのに時間はそれほどかからない。ラオプーも今後、国内のライバル企業との競争激化に直面することになるだろう。
●マクロ
国際決済銀行(BIS)が膨らみ過ぎた米ドルの「隠れ債務」に警鐘を鳴らしている。金融派生商品を使ったドル調達法の一つで、銀行だけでなく保険会社や投資ファンドに広がっている。2024年末時点で世界で98兆ドル(約1.4京円)に及び、ショック時に流動性危機が広がりかねない。3メガバンクもなお安定調達に課題が残っている。
ドナルド・トランプ大統領の貿易関税の影響を懸念した低格付け企業が米国市場から資金を逃避するなか、リスクの高い欧州社債の売却が6月に過去最高水準に急増した。
JPモルガンのデータによると、これまで市場へのアクセスに苦労してきた高利回り債(ジャンク債)格付け企業の発行額は、6月に約230億ユーロに増加した。これは、2021年6月に記録された月間最高額を約50億ユーロ上回った。
ピッチブックのデータによると、6月は取引件数も過去最多の44件となった。
「市場は新規取引で溢れている」と欧州の信用ヘッジファンドの投資家は語った。
ジャンク債格付けの企業は投資家の需要増加による借入コストの低下に対応している。投資家の多くは、トランプ大統領の不安定な貿易政策と政府の巨額の借入ニーズへの懸念から、米国資産から資金配分をシフトしている。
米国株式市場は第2四半期に力強く反発したものの、ドル建て債券市場からの資金流出は依然として続いており、ドルは半世紀以上ぶりの低水準で年初から軟調に推移した。一方、バンク・オブ・アメリカのデータによると、欧州の高利回り債券ファンドには7週間連続で資金流入が続いている。
欧州での需要は非常に高く、過去1週間で弾丸製造会社チェコスロバキア・グループやバター代替品製造会社フローラなどの企業が、これまでアクセスが困難だった債券市場への参入を可能にした。
「投資すべき資金は莫大だ。人々が可能性の芸術を探しているような市場だ」とJPモルガンのEMEAレバレッジド・ファイナンス資本市場責任者、ベン・トンプソン氏は語った。
KKR傘下のフローラによる債券発行は、信用格付けの中でも最低ランクの一つであるトリプルC格付けの発行体による債券発行としては、ほぼ1年ぶりの快挙となった。よりリスクの高い債券に対する投資家の需要により、フローラはノルウェーの法律の下で債券を発行することができた。ノルウェーは伝統的に、他の西側諸国の市場に比べて情報開示や保護が緩い制度となっている。
フローラは月曜日、4億ユーロの債券を8.625%の利回りで発行した。これは、同様の格付けの他の未償還債務よりも約4%低い。同社は昨年、別の債券発行契約を取り下げざるを得なかった。
プラハに拠点を置くCSGは先週、5年物のドル建ておよびユーロ建ての新規債券をそれぞれ6.5%と5.25%の利回りで発行することができた。これは、同社が11月に7億7500万ドルの債券を発行して以来、借入コストが劇的に低下したことを意味する。この債券は、フィナンシャル・タイムズ紙が報じたように、民間信用機関に11%を超える金利で売却された。
投資家に新たなユーロ建て債券を提供している市場には、世界最大のクルーズ運航会社でジャンク債格付けのカーニバル社もある。同社は過去数年間、クルーズ船を担保にした取引の価格を2桁の金利で設定せざるを得なかった。
ICEバンク・オブ・アメリカのデータによると、高利回りスプレッド(リスクの高い借り手が国債に対して支払わなければならない追加利回り)は4月の4パーセントポイント以上から6月末には3.1パーセントポイントまで低下した。
「今は、かなりハイリスクな銘柄を非常に魅力的な金利で発行できる。市場は活況だ」と、あるハイイールド債投資家は語った。「米国以外の分散投資を模索する動きが活発化しており、市場に資金が流入している」
トランプ大統領の貿易政策により、不確実性が高まったため、多くの大手投資家は米国への圧倒的な優位性を再考するようになった。
「この資産クラスには巨額の資金が流入している。大手運用会社が欧州に重点を置くようになり始めている」とトンプソン氏は述べた。
問題を抱えた過去を持つ債券発行者や、利子を元本に組み入れて満期時に返済するペイメント・イン・カインド債などの複雑かつ劣後的な債券を発行する発行者も、多額の現金を運用できる投資家から熱烈に歓迎されている。
靴グループのスケッチャーズは先週、10億ユーロの債券と、現物支払いの特色を持つ22億ドルの債券の発行価格を決定した。ユーロ部分は当初の発行額7億5000万ユーロから増額された。
「経営者たちは投資に必死だ」と、あるレバレッジド・ファイナンスの銀行家は語った。
住宅ローン金利は先週、4月以来の最低水準に下がり、現在住宅を所有している人たちは貯蓄を模索している。
住宅ローン借り換えの申請件数は、全米抵当銀行協会(MBA)の季節調整済み指数によると、先週は前週比7%増加した。需要は前年同期比で40%増加した。
30年固定金利住宅ローンの平均契約金利は、ローン残高が80万6500ドル以下のコンフォーミングローンで、6.88%から6.79%に低下しました。また、20%の頭金の場合、手数料を含めたポイントは0.63から0.62に低下しました。これは、1年前の同じ週と比べて24ベーシスポイント低い水準です。
「この減少は、借り換え申請の増加を促しました。これは、通常ローンの申請が10%増加し、VAローンの借り換え申請が22%増加したことが要因です」と、MBAの副社長兼副チーフエコノミストであるジョエル・カン氏は述べています。「借入額が大きい借り手は金利変動に敏感になる傾向があるため、借り換え申請の平均融資額は、過去6週間平均30万ドル未満だったのに対し、31万3,700ドルに増加しました。」
しかし、住宅購入者は金利の低下にそれほど影響を受けなかった。住宅購入のための住宅ローン申請件数は、今週わずか0.1%増加したが、前年同期比では16%増加した。
「全体的な不確実性が引き続き住宅購入者を市場から遠ざけているため、購入活動は今週は基本的に横ばいだった」とカン氏は付け加えた。
モーゲージ・ニュース・デイリーの別の調査によると、住宅ローン金利は今週初めにさらに低下した。その後、火曜日に発表された求人件数データで再び増加が示されたことを受け、金利は横ばいとなった。
「他の条件が同じであれば、求人数が予想より多ければ金利は通常上昇する」と、モーゲージ・ニュース・デイリーの最高執行責任者マシュー・グラハム氏は記し、このデータによる変動は、政府が月例雇用報告を発表した木曜日に見られた変動とは比べものにならないと付け加えた。
6月に顕在化した自動車販売の減速は、トランプ大統領による貿易戦争の激化と貿易相手国への新たな関税発動に伴う関税引き上げを回避しようと、消費者が全国のディーラーに殺到した春の駆け込み需要の余波が主な原因です。自動車価格の高騰と経済の不確実性の高まりを受け、業界調査会社JDパワーは、今年後半も販売が低迷すると予想しています。
ブルームバーグはJDパワーの最新レポートを引用し、消費者が価格上昇前に新車購入に駆け込んだことが第2四半期の販売台数を前年同期比2.5%増に押し上げたと報じた。しかし、この勢いはすぐに失速し、6月の年間販売台数は4月の1,760万台から1,500万台に落ち込み、過去12ヶ月で最低の水準となった。
「パーティーは終わった」と、調査会社コックス・オートモーティブのチーフエコノミスト、ジョナサン・スモーク氏はインタビューで語り、「減速している。価格が高騰し、供給バランスを保つために生産を減らさざるを得ない状況になっているためだ」と付け加えた。
スモーク氏は、自動車販売台数の年率換算月間ベースが、上半期の1,630万台から下半期には1,500万台前後に落ち着くと予想している。昨年、アメリカ人は約1,600万台の乗用車と小型トラックを購入した。スモーク氏の見解では、これは主に自動車の購入しやすさの悪化に起因する、明らかな減速を示している。
コックスのデータによれば、新車の平均価格は上昇しており、6月は前年同月比1%増の4万8799ドルとなり、2019年の価格と比較すると28%の増加となっている。
「関税の影響を考えると、価格はより速いペースで上昇し始める可能性が高い」と、コックスのシニアエコノミスト、チャーリー・チェスブロー氏は最近指摘した。「新車市場では、車両価格の上昇が始まっている。」
一方、マンハイム中古車価値指数は再び上昇し始めており、価格高騰への懸念が続く中、新車の代わりに中古車が選ばれるケースが増えていることを示しています。また、中古車市場の供給が逼迫していることも示唆しています。
良いニュースもある。ゴールドマンのジャン・ハチウス氏は顧客向けメモの中で、連邦準備制度理事会が9月に金利引き下げを開始し、年末までに25ベーシスポイントの引き下げを3回実施すると予想していると述べた。
今年の夏に関しては、自動車価格の高騰と価格高騰という、自動車市場にとって有害な状況が続いています。
ピーター・ティールは、私がこれまで聞いた中で最も衝撃的でクレイジーなインタビューを行った。
すごく劇的なので、まだ何をどう考えたらいいのかわかりませんが、みんなに聞いてほしいと思います。
そこで私はそれを一つ一つ分析し、整理して結論を導き出しました。
見逃せないのがこれです:
1. 行き詰まっている
ティールは依然として「停滞論」を信じている。彼の主張は? 200年間続いた加速的変化の時代は終わったということだ。1750年から1970年は、物理的な現実における画期的な進歩の時代だった。船舶、鉄道、自動車、飛行機の高速化だ。そして、その頂点に立ったのがコンコルドとアポロ計画だ。
しかし、それ以来は?何も。
「ビットの世界」(インターネット、モバイル、AI)ではわずかな進歩を遂げてきましたが、それは物理的な世界を再構築することとは異なります。例えばバイオテクノロジーやがん研究においては、進歩はごくわずかか、あるいは過度に専門化されすぎて追跡不可能な状態です。
ティール氏はこう言う。「[我々が進歩しているかどうか]に答えるのが非常に難しいという事実自体が、懐疑的な見方を生む原因なのです。」
2. 私たちの未来は奪われた。それは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とは全く違う
『バック・トゥ・ザ・フューチャー II』では、 2015 年を空飛ぶ車、スケートボード、そして劇的な変化の世界として描いています。
代わりに私たちが手に入れたのは、見た目が同じスマートフォンと車でした。
ティールの子供たちは、1985年をスクリーンで観ても、今と区別がつかなかった。「世界は結構似ているように見える
それは文化的停滞の証拠です。1985 年から 2025 年にタイムトラベラーが到着した場合、携帯電話には戸惑うでしょうが、その他のすべては馴染み深いものに感じるでしょう。
では、経済指標はどうでしょうか?ミレニアル世代に聞いてみてください。「両親と比べてどうですか?」ほとんどの回答は「悪い」です。
3. もっとリスクを取る必要がある
バイオテクノロジーは行き詰まっている。「認知症やアルツハイマー病に関しては、40~50年もの間、全く進歩が見られません」とティール氏は言う。科学者たちは、効果がないにもかかわらず資金が集まり続ける、行き詰まった「ベータアミロイド」理論に囚われているのだ。
私たちは、医療、老化、そしてそれ以外の面でも、許容できるリスクを根本的に増やす必要があります。
ティールは、科学が規制ではなく不死を約束していた初期近代(フランシス・ベーコン、コンドルセ)の野望への文化的回帰を望んでいる 。
彼は、1999年にPayPalチームを「冷凍パーティー」に連れて行った時の話を語った。そこでは人々がクライオニクス保険を購入した。「永遠に生きられると信じていた最後の世代だったんです。」
4. ピーター・ティールがイーロンが火星に行くことを諦めた瞬間
2024年、ティールはイーロン・マスクに、もしトランプが勝てなかったら国を出て行くと冗談を言った。イーロンは「どこにも行くところがない」と答えた。
その瞬間はティールの記憶に焼き付いた。かつて文明からの逃避と野望の象徴だった火星は、もはや現実的な選択肢とは思えなくなったのだ。マスクにとっても。
なぜかって?「目覚めたAIと社会主義政府が火星までついてくる」からだ。自由のフロンティアとしての火星の夢は消え去った。もはや科学プロジェクトではなく、政治的なプロジェクトになったのだ。
ティール氏は2024年を「イーロンが火星の存在を信じなくなった年」と呼んでいる。
5. AIは停滞主義になるか?
AIは私たちの停滞に対する唯一の本当の例外だが、ティール氏はそれが停滞を強めるのではないかと懸念している。
彼はAIを「取るに足らないものではなく、完全な変革には至らない」と評する。 1990年代のインターネットのように、AIはGDPを年間1%押し上げるかもしれないが、人類の進歩の原動力を再始動させることはできないだろう。
さらに悪いことに、AIは 従順な知性になる可能性もある。Netflixのアルゴリズムが、そこそこのコンテンツを無限に生成するように、AIは画期的なものではなく、平凡なもので世界を覆い尽くすかもしれない。
「AIがなければ何も起こらない」とティール氏は言う。しかし同時に、AIが「目覚めすぎ」たり、従順になりすぎたりすると、AIが解決すると主張する停滞をさらに深刻化させてしまうと警告する。
6. AI は誇大宣伝なのか、それともトランスヒューマニズムなのか?
ティール氏は現代のトランスヒューマニズムは 野心的ではないと考えている。
身体を変えることが奇妙なのではなく、近世の思想家(さらにはキリスト教)が目指したものと比べると哀れなことである。
「トランスヒューマニズムとは、単に身体を変えることだけです。しかし、魂も変容させる必要があります。」
彼はこう指摘する。 「旧約聖書には『自然』という言葉は 一度も出てこない。ユダヤ・キリスト教の物語は、神の助けを借りて自然を超越することについての物語だ。」
今日の「トランス」思想に対する批判は、行き過ぎているということではなく、十分に行き過ぎていないということだと彼は主張する。
7. 世界統一全体主義国家の危険性:反キリストがいかにして世界を支配するか
ティールは、実存的リスク(AI、核兵器、生物兵器)が世界統治を正当化するために使用されているという、最も終末論的な考えを提示しています。
これは究極の停滞、「反キリストの世界国家」につながります。
論理は魅力的だ。破壊を避けるには、管理を中央集権化しなければならない。核兵器?世界的な機関が管理しなければならない。危険なAI?世界的なコンピューティング規制が必要だ。
ティールのフレーミング:
無神論者のスローガン = 「世界は一つか、それとも皆無か」
キリスト教の枠組み = 「反キリストかハルマゲドン」。
ひねりは?反キリストは革新を伴って現れるのではなく、 規制を伴って現れる。そして「平和と安全」を約束し、人々はそれに従う。
8. ピーター・ティールは反キリストのためのツールを構築しているのでしょうか?
ティール氏の批判者はこう主張するかもしれない。もし誰かが世界的な監視と統制を可能にしているのだとしたら、それはパランティアと軍事技術への投資を通じてティール氏自身ではないのか?
彼は皮肉な事実を認めている。自分がそうしているとは思っていないが、自分が開発に携わったツールの多くが、 そうした用途に使える可能性があることを認めている。
彼は、私たちはすでに世界的な規制当局によって、しかも緩やかに支配されていると警告している。FDAは米国だけでなく、世界中で医薬品を規制している。原子力規制委員会も同様だ。
「原子力は21世紀の技術であるはずだった」と彼は言う。「しかし、どういうわけか世界中でその期待は外れてしまった」
9. 私たちはすでに反キリストの穏やかな支配下で暮らしているのでしょうか?
ティールは、ぞっとするような考えを浮かべる。もし反キリストが来るべき暴君ではなく、 私たちがすでに生きている穏やかなテクノクラシーだったらどうなるだろうか?
50年間の「平和と安全」は進歩を犠牲にして実現した。
彼はテサロニケ人への第一の手紙5章3節を引用しています。 「人々が『平和だ、安全だ』と言っているその時に、突然、滅びが彼らに臨みます…」
それでも彼は、私たちには主体性があると主張し、カルヴァン主義と決定論を否定しています。
「人間の自由には大きな可能性がある。ライオンに食べられるまで待つ必要はない。」
最終的な考え:
これは整然とした洗練された世界観ではありません。ティール自身も、自身の思考が「統合失調症的」で、矛盾に満ち、未完成であると認めています。
しかし、だからこそこの作品は価値あるものになる。進歩、崩壊、不滅、停滞、そして権力――これら全てが絡み合い、現代の状況をありのままに問いただしているのだ。
●プロファイ、インフラ、自然災害、不動産
英ロンドンのヒースロー空港が停電で閉鎖する事態となった今年3月の変電所火災について、電力・ガス管理機関の国家エネルギー・システム・オペレーター(NESO)は2日、変電所設備の保守不良が原因だったとの報告書をまとめた。エネルギー規制機関Ofgemは、送電事業者ナショナル・グリッド・エレクトリシティ・トランスミッション(NG.L), opens new tabに対する正式調査を開始したと発表した。
NASOは、変電所内の変圧器の高圧ブッシングという絶縁装置に水が入り込み、変圧器の火災につながった証拠を見つけたとした。2018年に水分測定値が上昇していたが対応が取られなかったし、ナショナル・グリッドの管理体制に問題があるとの見解を示した。
ミリバンド・エネルギー相は、この報告書は「深く懸念される」と述べた。
ナショナル・グリッドの広報は、包括的な資産検査・保守プログラムを策定し、火災以降、さらなる対策を講じてきたと説明した。「セクター横断の強靭性や連携強化の必要性について学ぶべき重要な教訓がある」と述べた。
Ofgemは、調査によって「火災の根本原因が予防可能な技術的欠陥だったことが判明した」と述べた。ナショナル・グリッドが空港周辺の電力システムの開発・保守に関する法規則や事業免許の要件を順守していたか調査するとしている。
豊田通商と子会社のユーラスエナジーホールディングスは2日、エジプトで陸上風力発電所を稼働したと発表した。発電容量は65万キロワットで、両社によるとアフリカで最大の風力発電所という。再生可能エネルギーの需要の伸びが期待される地域で開発を進める。
6月30日に「スエズ湾風力発電所Ⅱ」の営業運転を始めた。2023年から工事を進めていた。発電量はエジプトの一般家庭で約110万世帯の消費電力に相当し、年間約145万トンの二酸化炭素(CO2)の削減効果が見込めるという。
中国の風車製造最大手、ゴールドウインドの風車を104基設置した。1基あたり6000キロワット、7500キロワットの2種類を使った。
発電所には豊通とユーラスがそれぞれ20%を出資するほか、フランスの電力大手エンジーが35%の持ち分を持つ。生み出した電気はエジプト送電公社に25年間売る。売電価格などは非開示としている。
エジプト政府は30年までに全電源のうち再生可能エネルギーの比率を42%にする目標を掲げる。豊通とユーラスは19年に同じエリアで「スエズ湾風力発電所Ⅰ」(約26万キロワット)を稼働していた。
ユーラスは国内外で太陽光や風力など再生可能エネルギーの開発を手掛ける。今回の稼働で合計容量は500万キロワットを超えた。
●その他