2024年11月1日金曜日

備忘録(24/11)

備忘録(2024/11/29-12/1
●海外企業決算
●海外企業
独VW労働者、12月上旬にも全国で警告ストの可能性 | ロイター
米ニューバーガー、日本の未上場株投資に参入 IR助言も - 日本経済新聞
●日本企業
業績悪化の日産マーCFOが近く退任の見通し-関係者 - Bloomberg
日産自動車のスティーブン・マー最高財務責任者(CFO)が近く退任する見通しであることが分かった。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。
関係者は、業績悪化などを背景に早い段階で退任することになるとの見通しを示した。日産を退社するのか降格などになるかについては不明という。
日産は業績が急速に悪化する中、これまで財務の要を務めてきたマー氏抜きで再建を進めることになる。同社ではここ数年で、関潤副最高執行責任者(COO)やアシュワニ・グプタCOOが退社していた。
マー氏は1996年6月に北米日産に入社。中国の合弁会社を含め財務畑を中心に歩み2018年9月に日産本社の常務に昇格。カルロス・ゴーン元会長の逮捕を経て、現在の内田誠社長体制に移行した時期である19年12月からCFOを務めていた。
マー氏と日産の広報担当者はコメントを控えた。
日産はゴーン元会長逮捕後の混乱を経て一時は持ち直したものの、直近では再び業績が悪化。今月7日には今期(25年3月期)の営業利益予想を下方修正し、世界で生産能力の2割削減や9000人のリストラに踏み切るなど抜本的な対策で再建を進める方針だ。 
内田氏は7日の会見で、チーフ・パフォーマンス・オフィサーを任命するほか来年1月と4月に経営体制を変更する考えを明らかにしていた。自身の進退については日産を成長軌道に戻すことが社長としての最大の役割と認識しているとし、報酬を半額返上した上で「果たすべき役目をやり遂げる覚悟」だと述べた。
日産を巡っては今月、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントなどアクティビスト(物言う投資家)の株式保有も判明した。
KDDI、2100億円の社債発行 ローソンTOBの返済で - 日本経済新聞
東芝、早期退職などに3500人応募 成長分野に投資集中 - 日本経済新聞
東京海上の代理店元募集人、1600万円詐取 請求書を偽造 - 日本経済新聞
エヌエヌ生命、住友生命の法人契約情報を漏洩 1965人分 - 日本経済新聞
「ユニクロ」のファストリ、中国での不買リスク注視へ-柳井氏発言で - Bloomberg
衣料品チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは30日、柳井正会長兼社長が英BBCのインタビューで新疆ウイグル自治区産の綿花を使用していないと発言したことを受け、今後中国での不買運動につながるかなど状況を見極める考えを示した。
ファストリの伊藤征慶広報担当はブルームバーグの取材に対し、柳井氏の発言が中国の交流サイト(SNS)で活発に議論されているとし、不買運動につながるリスクやビジネスへの影響について「状況を注視している」と述べた。
BBCは28日に柳井氏の発言を報道した後、中国のコメンテーターらがソーシャルメディア、微博(ウェイボ)でユニクロのボイコットを呼びかけ、何百万人もの人々が「ユニクロ創業者の発言を巡る論争」とのハッシュタグが付いた投稿を読んだと報じた。
ユニクロの世界の店舗数は2509店舗(9月末時点)で、香港、台湾、中国は1031店舗。ファストリの2024年8月期の売り上げは3兆1038億円で、中国圏がそのうちの2割強を占めている。ファストリの伊藤氏は業績への影響について現時点でコメントできないと述べた。
新疆ウイグル自治区で生産される綿花を巡っては、スウェーデンの衣料小売りヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)が21年、ウェブサイトで同自治区の強制労働を巡る報道に懸念を表明したことで中国の一部地域で営業停止に追い込まれた。24年9月には「トミーヒルフィガー」や「カルバン・クライン」の親会社である米国のアパレルメーカー、PVHが新疆綿をボイコットしている疑いがあるとして、中国が調査の実施を発表した。
●先進国政治動向
トランプ氏「非常に生産的」、加首相と国境・貿易・エネ巡り会談 | ロイター
トランプ次期米大統領は30日、カナダのトルドー首相と国境、貿易、エネルギーについて「非常に生産的」な会談を行ったと明らかにした。
交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」で「不法移民の結果として多くの命を奪ったフェンタニルと麻薬危機、米国の労働者を脅かさない公正な貿易取引、米国が抱える対カナダの巨額貿易赤字など、両国が協力して取り組む必要のある多くの重要なテーマについて話し合った」と投稿。「トルドーは米国の家庭に対するこのひどい荒廃を終わらせるためわれわれと協力することを約束した」と付け加えた。
トルドー氏はⅩへの投稿で「トランプ大統領、昨晩は夕食をありがとう。また一緒に仕事ができることが楽しみだ」とした。
カナダ首相府はこの会談についてのコメント要請に応じなかった。
カナダ政府筋が匿名を条件にロイターに語ったところによると、夕食会は3時間にわたり、前向きで広範な内容に及んだ。
トランプ氏、BRICSは「新通貨つくるな」 ドル支持要求 - 日本経済新聞
バイデン氏の意外な中東和平戦略:トランプ氏と協力 - WSJ
米バイデン政権が任期終盤に中東和平合意の仲介を目指す中、意外な協力相手としてある人物が浮上している。ドナルド・トランプ氏だ。
米ホワイトハウスが仲介し、26日に発表されたレバノンの親イラン組織ヒズボラとイスラエルの停戦合意について、トランプ氏と側近らは批判せず、この外交上の進展に関してほぼ沈黙を保っている。一方でバイデン政権高官らは、より困難な課題となるパレスチナ自治区ガザでの停戦に焦点を移している。
トランプ氏の沈黙は、ジョー・バイデン大統領の取り組みに対する賛同を示すまれな例であり、双方に利益をもたらすかもしれない。退任を控えるバイデン氏はレガシー(政治的遺産)となる外交政策の成果を得ることができ、トランプ氏にとっては対処すべき世界的な危機が一つ減ることになる。
しかし、この一時的な協調関係は急速に崩れる可能性もある。
米当局者は、イスラム組織ハマスが来年1月20日のバイデン氏退任前にガザでの停戦に合意する兆しを示していないことを認めている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、共和党のトランプ新政権がハマスとの戦争を継続させるためにさらなる自由裁量を与えてくれることを期待して、民主党政権の任期が終わるのを待つ可能性もある。ネタニヤフ氏は以前からトランプ氏を好む姿勢を示してきた。
シンクタンク、国際危機グループの中東専門家マイケル・ハナ氏は、ネタニヤフ首相が戦闘の恒久的停止に消極的であるため、「トランプ氏の政権移行チームとの調整に関係なく、ガザでの停戦合意は実現しないだろう」と懐疑的な見方を示した。
バイデン氏が今後数週間でイスラエルとハマスの停戦合意を実現したとしても、トランプ氏はそれが自身の手柄によるものだと主張するかもしれない。トランプ氏が次期政権の大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に指名したマイク・ウォルツ氏は26日、イスラエルとヒズボラの停戦について「全ての関係者が(交渉の)テーブルにつくのはトランプ氏のおかげだ」とXに投稿した。
ネタニヤフ氏の側近でもあるイスラエルのロン・デルメル戦略問題担当相は今月、トランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」でレバノンでの停戦を巡る協議について説明した。イスラエル当局者によると、トランプ氏は計画を承認し、来年1月20日に大統領執務室に入る前に合意が成立することに期待を示した。トランプ氏とネタニヤフ氏は今月初めの大統領選以降、少なくとも3回会話を交わしている。
トランプ氏の政権移行チームの報道担当者は、同氏とそのチームが中東外交について行った非公開の協議についてコメントを控えた。
ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は27日、イスラエルとヒズボラの停戦交渉中はウォルツ氏に「あらゆる段階で情報を提供していた」と述べた。バイデン氏の特使アモス・ホッホシュタイン氏は「途切れのない政権移行」を確実にするため、ウォルツ氏などトランプ氏側のメンバーと停戦合意について話し合ったと述べた。
バイデン政権高官によると、トランプ氏の側近らはレバノンでの停戦合意はイスラエル、レバノン、米国にとって良いことだと同意した。同高官は、トランプ氏側近らの見解として「最も重要なのは、後ではなく今(停戦に合意)することで双方の無数の命が救われることだ」と説明した。
トランプ氏はこれまで、ガザでの戦争終結の時期について相反する態度を示してきた。7月にはネタニヤフ氏について「早く終わらせてほしい」と述べたが、10月にはハマスとヒズボラに対するイスラエルの攻撃を支持し、ネタニヤフ氏との電話会談で「やるべきことをやれ」と伝えた。
トランプ氏は大統領選に勝利して以来、バイデン氏と同様に、就任前にガザ危機を収束させることの利点を認識するようになったと見られる。だがそれは容易ではないだろう。
エジプトなどアラブ諸国の仲介者らによると、既に外交活動は活発化している。エジプトの交渉チームがテルアビブで協議を行っており、カタールの首相もカイロで合意確保に向けて取り組んでいる。
エジプト当局者らはトランプ氏のチームと連絡を取り、交渉で障害となっている複数の主要な対立点について、トランプ氏がイスラエルに妥協するよう説得できるかどうかを探っている。対立点にはイスラエルが望む、ガザとの間の「緩衝地帯」設置が含まれる。一方、エジプトはハマスに対し、特にヒズボラがイスラエルとの停戦に合意した後、孤立していると伝えた。また、イスラエル軍の完全撤退を求めるハマスの要求がネタニヤフ氏に受け入れられる可能性は低いとも伝えた。
バイデン氏とトランプ氏は、イスラエルの中東への統合を深めるという点で一致している。米国の役割は、サウジアラビアに安全保障を提供するのと引き換えに、サウジとイスラエルの関係を正常化する交渉を仲介することだ。
バイデン氏は退任前にこうした合意にこぎつける希望を捨てていないが、トランプ氏はその成果を自分の功績にしたいと考えているかもしれない。
【オピニオン】トランプ氏、FRBの政策に異議を唱えるべき - WSJ
ドナルド・トランプ氏が次期米大統領となった今、米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性を損なう危険性についての警告を予期しておく必要がある。金融当局者たちは、長期的な金融の安定に関する決定に政治が一切関与すべきではないと厳かに説明するだろう。FRBの連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ12人のメンバーに権力が集中している状況の方を、われわれはもっと懸念すべきだ。彼らは政策決定を通じて、失業者を減少あるいは増加させたり、インフレ率を低下あるいは上昇させたり、経済成長を抑制あるいは刺激したりできる。
FRBの決定は明らかに政治的な影響力を持ち、一部の人々には恩恵となるが、一部の人には打撃となる。過去4年間の米家計における保有資産増加分の約62%は、上位10%の富裕層が得たものだ。こうした米国の最富裕層の並外れて大きな利益は、金融政策が引き起こした株価高騰の結果だ。株価の上昇は主として既に潤沢な資産を持つ人々に恩恵をもたらした。
このような富の不平等により、有権者は変化を求めるようになる。トランプ氏はこうした不満への対処を柱とする経済政策を構築し、インフレ率と金利の低下、賃金の上昇、経済成長の加速を約束した。だがこれらの目標が、雇用最大化と物価安定というFRBの二つの使命を達成するためのFRBのモデルと整合性を持たない限り、FRBはトランプ氏の政策の効果を損ないかねない。
FRB議長は経済に関する世論に強い影響を与えることができる。大統領選の2日後、FRBのジェローム・パウエル議長は0.25ポイントの利下げを発表した。これは9月に発表された0.5ポイントの大幅利下げに続くもので、同議長はこれについて、「経済が緩やかに成長し、インフレ率が2%に向けて持続的に低下する」中で労働市場が堅調を保つという、FRBの目標達成を進めるための決定だと述べた。
FRBの政策の「再調整(recalibration)」とパウエル氏が呼ぶこの決定は、FRBが米経済への資金および信用の供給量を決める上でサプライサイド(供給側)を重視するモデルに転換しつつあることを示唆している可能性がある。このモデルの考え方は、低失業率と民間セクターの成長はインフレの原因ではなく解決策であり、インフレの実際の原因は需要側からの圧力だというものだ。
FRBがこの理論を受け入れたのであれば、トランプ氏にとって歓迎すべきニュースになる。減税や規制緩和と合わせて借り入れコストを抑制することは、より低負担での資金調達を可能にし、経済生産の増加につながるという点で、同氏の目標と合致する。
問題は、一部のFRB高官が以前の枠組みに戻りたくて仕方ないように見えることだ。このモデルでは、FRBは供給を増やすためではなく、需要を減らすために自らのツールを使う。FRBはインフレ圧力を低減させるため、引き締め的な金利水準と経済成長の抑制を再び選ぶ可能性がある。それは予防的に行われる可能性さえある。
実際にトランプ氏とFRBが闘うのならば、トランプ氏は扱いにくい相手と対峙(たいじ)することになる。英国のリズ・トラス元首相に尋ねてみるとよい。トラス氏はイングランド銀行(中央銀行)を相手に、同じようなサプライサイド重視のキャンペーンを行った。減税を通じて投資と経済成長を促すという同氏の計画は、イングランド銀行によって台無しにされた。同行は、トラス氏の改革の影響で「金融の安定」が脅かされると述べた。これによってトラス氏の政策は実行不可能になり、同氏は首相の座を追われることとなった。
われわれは、専制君主のような大統領がFRBの権限を奪うことを懸念するのではなく、独立機関がなぜ金融環境を左右する巨大な力を握っているのかという点に疑問を感じるべきだ。FRBが購入できる米国債の額に制限がないのはなぜなのか。FRBが発行する通貨の量に制限がないのはなぜなのか。民間銀行がFRBに預け入れている資金に対しFRBが納税者に負担をかける形で付与する金利に制限がないのはなぜなのか。そして、FRBが2%のインフレ目標の達成を目指す過程で、ドルの長期的な信頼性を守る規定がないのはなぜなのか。米議会はFRBのドル減価政策を支持するのだろうか。
FRBの「政治化」を警戒する人々の多くは、金利設定にルールベースの手法を導入することに抵抗している。ジャネット・イエレン氏はFRB議長を務めていた2015年に下院金融サービス委員会で証言し、「私は、FRBが自らを何らかの機械的な規則で縛るべきだとは思わない」と平然と言い切った。規則に縛られないならば、それこそまさに専制だ。
トランプ氏、BRICS諸国に100%関税も辞さず-脱ドル推進なら - Bloomberg
トランプ次期米大統領は、主要新興国で構成される「BRICS」諸国に対し、貿易などで米ドルの代わりに使用する新たな通貨を創設しないという確約を求めると述べ、脱ドル化を進めれば100%の関税賦課も辞さない考えをあらためて示した。
トランプ氏は11月30日に自身のソーシャルネットワーク「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「われわれが傍観している間にBRICS諸国がドル離れを試みるという考えはもう終わりだ」と指摘した。
「新たなBRICS通貨を創設せず、強大な米ドルに取って代わる他の通貨を支持することもしないと約束するようこれらの国々に求める。さもなければ100%の関税に直面し、素晴らしい米国経済への売り込みに別れを告げることになると覚悟すべきだ」と付け加えた。
トランプ氏は選挙遊説中、各国が米ドルから脱却する動きについて高い代償を伴うものにすると公約していた。
高市早苗氏、保守結束に意欲 自民党総裁選「連携なしで勝てず」 - 日本経済新聞
●先進国中銀、金融当局
英中銀、危機時のノンバンクの脆弱性指摘 金融システム全体調査 | ロイター
イングランド銀行(英中銀)は29日、ヘッジファンドなどのノンバンクは依然として突然の金融ショックに脆弱で、危機の際に必要な資金を完全には調達できないとの見方を示した。
金融システム全体を対象とした初のテストの結果を発表した。
ノンバンク部門の回復力が高まったとする一方、危機時に銀行融資に頼ることは「金融の安定性に対するリスクの増大」につながる可能性があると指摘した。
今回の調査は、大手銀行や他の金融機関の危機時のバランスシートを調査する一般的なストレステストとは異なり、銀行、ファンド、保険会社、中央清算機関を含む金融機関のネットワーク全体の動きがどのようにショックを増幅させる可能性があるかを検証した。
調査では非銀行金融機関の継続的リスクが浮き彫りになった。ノンバンクは危機時に銀行からのレポ融資に頼ることを期待しているが、利用できない可能性が高い。
ノンバンクは940億ポンド相当のマージンコールに対応する必要があり、資金調達ができない場合はヘッジファンドなどが資産売却を余儀なくされる状況に追い込まれることが明らかになった。
さらに、ポンド建て社債市場も圧力を受けることが予想され、資金確保のために社債を売却する動きが市場の流動性を急激に低下させるリスクが指摘された。買い手の不足が「流動性の急低下」を引き起こし、企業債券市場全体が影響を受ける可能性があるとしている。
今回のテストは直接的な政策行動を目的とはしておらず、リスクに対する認識を高めることを重視したもの。
植田日銀総裁、利上げは賃金と米国見極め・データ想定通り-日経 - Bloomberg
日本銀行の植田和男総裁は、経済データが日銀の想定通りに推移していることで追加利上げのタイミングが近づいているとした上で、国内賃金と米国経済の動向を見極めたいとの見解を示した。日本経済新聞が30日、インタビューでの発言を電子版で報じた。
植田総裁は28日に行われたインタビューで、追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいているといえる」と述べた。その上で、トランプ次期大統領の政策を含めて米経済の先行きを見極めたいとし、拙速な利上げは避ける考えを強調したと、日経は伝えた。
日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げを続ける方針を示している。植田総裁は12月の金融政策決定会合における政策変更の有無に関しては明確な考えを示さなかったものの、市場で広がる早期の追加利上げ観測を追認した格好だ。
ニューヨーク時間29日の外国為替市場では、総裁の発言が伝わった直後に円が対ドルで上げ幅を拡大し、149円90銭台を付けた。いったん150円台に戻した後、上げ幅をさらに拡大して10月21日以来の高値となる149円47銭まで円高が進んだ。
29日には11月の東京都区部消費者物価が市場予想を上回る強めの結果となり、追加利上げを後押しするとの見方から円が上昇。心理的節目の1ドル=150円を突破していた
総裁は、利上げ判断の重要な要素である賃上げについて、「25年の春季労使交渉(春闘)がどういうモメンタム(勢い)になるか。それはみたい」と指摘。為替に関しては、一段の円安になればリスクが大きいとし、場合によっては対応が必要になるとの認識を示した。
日銀の金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS) 市場で、12月会合で政策金利(0.25%程度)を引き上げる確率は足元で約66%。今月初めは30%程度だった。10月会合前にブルームバーグが実施したエコノミスト調査では12月の利上げを53%が予想。来年1月の32%と合わせると85%に達していた。
植田総裁は18日の講演と記者会見で、これまでの経済・物価情勢は想定通りとの認識を示す一方、米国をはじめとした海外経済や金融市場の動向など見通しを巡る不確実性の大きさも指摘。21日には12月会合前には非常に多くのデータや情報が得られるため、現時点で会合結果を予測するのは「不可能だ」と述べていた。
7月会合での利上げはサプライズと受け止められて市場が乱高下する一因になり、植田総裁は市場との対話を一段と丁寧に行う考えを表明していた。同会合前には政策委員の講演や記者会見など日銀から目立った情報発信はなかった。12月会合を控えたタイミングでの総裁発言を、市場は対話強化の一環と受け止める可能性がある。
●先進国経済指標
カナダGDP、第3四半期は1%成長 大幅利下げ観測高まる | ロイター
カナダ統計局は29日、2024年第3・四半期(7-9月)の国内総生産(GDP)成長率が年率換算で1.0%だったと発表した。市場予想とほぼ一致したものの、カナダ銀行(中央銀行)が予測した1.5%を下回ったため、金融市場では来月の大幅な利下げ観測が高まっている。
家計支出が0.9%増え、政府支出とともにプラス成長を支えた。
エコノミストらは、政府支出の増加と歴史的な人口増加による需要押し上げがなければ、カナダは他の主要7カ国(G7)の一部と同様に景気後退に陥っていたと指摘した。
カナダ中銀は、過去4回の会合で政策金利を計125ベーシスポイント(bp)引き下げて3.75%とした。
年間インフレ率が目標の2%に徐々に近づいており、カナダ経済の成長促進へと政策の焦点を移している。ただ利下げ実施にもかかわらず、成長の鈍さを懸念していた。
金融市場では、来月にカナダ中銀が50bpの利下げを決定するとの観測が発表前の31%から39%前後に高まった。25bpの利下げは、完全に織り込まれている。
9月のGDPの伸びは前月比0.1%となり、市場予想の0.3%を下回った。暫定推定では10月の成長率は0.1%となる見込み。
統計局は、第2・四半期(4─6月)の年率成長率については2.1%から2.2%に上方修正した。
ユーロ圏消費者物価指数、11月速報値は前年比+2.3%に加速 | ロイター
欧州連合(EU)統計局が29日発表したユーロ圏の11月の消費者物価指数(HICP)速報値は前年同月比2.3%上昇し、前月の2.0%から加速した。
ロイターがまとめたアナリスト予想と一致した。
インフレ率の上昇は昨年の例外的に低い数値が除外されたことによるベース効果が主な要因。HICPは前月比では0.3%下落した。
変動の激しいエネルギーや食品を除いたコア指数は前年比2.7%上昇と、前月から横ばいだった。サービス価格の伸びがやや鈍化する一方で、製品価格の伸びが拡大した。
消費者物価指数で最大の項目であるサービス価格の上昇率は3.9%と、前月の4.0%から減速した。過去1年間4%前後で推移している。
ユーロ圏消費者、1年先インフレ期待が小幅上昇=ECB調査 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)が29日に発表した10月の「消費者期待調査」によると、ユーロ圏消費者の1年先インフレ期待は2.5%と、9月の2.4%から小幅に上昇した。
3年先のインフレ期待は2.1%で変わらなかった。ECBは物価上昇率の目標を2%としている。
消費者は経済成長率に対してはさらに悲観的になっている。今後1年間の期待値はマイナス1.1%と、9月のマイナス0.9%から悪化。これに伴い、名目所得の伸び率期待も1.3%から1.1%に低下した。
ユーロ圏11カ国の成人約1万9000人を対象に調査した。
仏EU基準CPI、11月は前年比+1.7% 予想と一致 | ロイター
フランス国立統計経済研究所(INSEE)が29日発表した11月の欧州連合(EU)基準の消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比1.7%上昇と、ロイターがまとめた市場予想と一致した。
食品価格は下落、サービス価格は下落した。10月は1.6%上昇だった。
サービス価格は前年同月比2.5%上昇と、10月の2.3%上昇から伸びがやや加速。エネルギー価格は前年同月比0.7%下落と、10月の0.2%下落から下落ペースが加速した。
工業品とたばこの価格は横ばいだった。
独小売売上高指数、10月前月比-1.5% 予想以上の低下 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が29日発表した10月の小売売上高指数は前月比1.5%低下した。低下幅はロイターがまとめたアナリスト予想(0.3%低下)を上回った。
前年比では1.0%上昇した。
食品は前月比0.1%増加、非食品は2.2%減だった。
ドイツでは小売売上高が大幅に落ち込んでおり、第3・四半期に見られた増加傾向が一部反転している。
パンテオン・マクロエコノミクスのユーロ圏チーフエコノミスト、クラウス・ビステセン氏は、小売売上高指数は失望を招く内容だったが、第4・四半期全体では引き続き増加するだろうと指摘。
ただ「国内総生産(GDP)伸び率は在庫が大きな足かせになる可能性が高い」と述べた。
独失業者、11月は予想ほど増加せず 失業率横ばい | ロイター
ドイツ連邦雇用庁が29日発表した11月の失業者数は予想ほど増加しなかった。
失業者数は季節調整済みで前月比7000人増の286万人。ロイターがまとめた市場予想は2万人増だった。
失業率(季節調整済み)は6.1%で横ばいだった。
同庁は「経済の低迷が引き続き労働市場の重荷となっている」と表明した。
11月の求人件数は66万8000件。前年同月比で6万5000件減少した。労働需要の鈍化が浮き彫りになった。
パンテオン・マクロエコノミクスのユーロ圏チーフエコノミスト、クラウス・ビステセン氏は「ドイツの労働市場は、鈍い経済成長と同様、圧力を受けている」と指摘した。
KfWリサーチのマルティン・ミュラー氏は、経済見通しが低調なため、来年失業者数は増加し続けると予想。「熟練労働者不足や労働生産性の低下が経済見通しを悪化させている」と述べた。
IFO経済研究所は28日、景気の先行きが不透明で、企業が人材の採用に一段と慎重になっていると指摘。11月のIfo雇用バロメーターは93.4ポイントで、10月の93.6ポイントから低下した。
IFOは「企業は短時間労働と人員削減を組み合わせて危機に対処しようとしている」と述べた。
労働市場はこれまで底堅かったが、景気低迷の影響が出始めている。政府予測によると、今年の失業率は6.0%と、昨年の5.7%から悪化するとみられている。
ドイツ銀行リサーチのエコノミスト、マルク・シャッテンベルク氏は、雇用不安が消費者心理に一段の重しとなる可能性があると述べた。
●金融市場、先進国トピックス
補正予算13.9兆円を閣議決定、遠のく「歳出平時化」 PB黒字化へ難路 | ロイター
政府が29日、物価高克服などに向け総額13兆9433億円の2024年度補正予算案を閣議決定したことで、歳出の平時化はさらに遠のいた。財政目標に据える25年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化は難路を迎える。
政府が決定した補正予算案は、1)日本経済・地方経済の成長、2)物価高の克服、3)国民の安心・安全の確保――などに向けた歳出が柱。
これまでに11兆円超の国費を投じたガソリン補助金にさらに1兆0324億円を追加するほか、冬期の電気・ガス料金の負担軽減策として3194億円を計上した。
新設する「AI・半導体産業基盤強化フレーム」には、今回の補正予算で1兆3054億円を投じた。特別会計分や既存の基金活用とあわせ1.6兆円規模の支援となる。
補正予算では、低所得世帯向けの給付なども盛り込み、12月上旬にも臨時国会に提出。年内の早期成立を目指す。
政府は、今年6月の経済・財政運営の指針(骨太方針)で、コロナ前の水準を念頭に「歳出構造の平時化」をうたった。ただ、追加歳出は逆に昨年(13.1兆円)を上回る現状に、市場では「PB黒字化は難しくなった」(SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミスト)との見方が出ている。
政府は「経済あっての財政」との考えに立ち、物価高に負けない賃上げ継続に向けた環境整備を急ぐ構えだが、国際社会から財政規律に厳しい目が向けられるようだと急ピッチな金利上昇を招き、かえって景気を冷やす懸念がある。
加藤勝信財務相は臨時閣議後の記者会見で「財政健全化の旗を降ろさず、歳出改革の努力を行っていくことが重要」と述べた。
<財投追加1兆円超>
「第2の予算」とされる財政投融資では、主要7カ国(G7)で協調して行うウクライナ支援などを盛り込み、24年度計画に1兆1222億円追加することを決めた。
内訳は、1)財政融資1兆0660億円、2)産業投資305億円、3)政府保証257億円――の3本柱。
石破茂政権が推進する地方創生に向け、地場産業の設備投資を後押しするための資金供給や、地方の大学発のスタートアップなどに対し、リスクマネーを供給することを盛り込んだ。
歳出追加に伴い24年度の国債発行計画も見直す。
不足財源を補うため新規国債を6兆6900億円追加。GX(グリーン・トランスフォーメーション)経済移行債の発行額も上積みする。財投債や借換債は、いずれも当初比減額となる。
一方、消化方式別では、金利ある世界への移行で需要が旺盛な個人向け国債を増やす。カレンダーベース市中発行額は当初比2.4兆円増の173.4兆円とする。
ドイツ、ポーランドにパトリオット再配備を申し出 | ロイター
S&P、フランスの格付けを「AA-」に据え置き | ロイター
スタンダード&プアーズ(S&P)は29日、フランスの長期国債の格付けを「AA-」に据え置いた。
見通しも安定的で変更なしとした。同社は5月、財政赤字拡大を理由にフランスの格付けを「AA」から引き下げ、見通しはネガティブから安定的に修正した。
S&Pは「大規模赤字を削減できない場合や、経済成長が長期間当社の予測を下回る場合、格付けを引き下げる可能性がある」と警告。一方で「基本的には、当局は来年、高水準の財政赤字縮小に向けた中期計画の一環として国内総生産(GDP)比1%弱の財政再建を進めると予想している」と指摘した。
S&Pの格付け据え置きは、政権維持が危ぶまれるバルニエ首相にとって朗報となる。極右や左派の反対勢力は2025年予算案の支持を拒否し、法案承認に向けた選択肢がほとんど見当たらない状況となっている。
アルマン経済・財務相は「S&Pの格付け据え置きは、赤字削減と財政立て直しに対する政府の信用を示している。一方で政治的不確実性に伴うリスクを指摘している」との声明を発表した。
アングル:スマホアプリが主戦場、変わる米国の年末商戦買い物事情 | ロイター
米国では今年、ブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日)商戦を待たず、スマートフォンやタブレット端末のアプリで一足先に買い物をする消費者が増えている。小売企業側も数週間前から、テレビや無線スピーカーなどオンラインショッピング向けの値引きを実施し、消費者を取り込む準備を進めてきた。
ウォルマートやターゲットなど小売大手の実店舗は感謝祭当日が休業。一方、デジタル空間慣れした18歳から24歳の若者は、家族と過ごす感謝祭の休暇にソファーに座りながらモバイル端末で買い物をしそうだ。
小売各社が提供するアプリからの買い物は簡単で便利なため、ここ数年人気が高まっている。
セールスフォースの幹部カイラ・シュウォーツ氏は、これまで「消費者はスマホで商品を探すが、その後コンピューターに戻って買うというギャップが常に見られた」と言うが、そのギャップが縮まっている
小売企業が「グーグルペイ」や「アップルペイ」などを利用して決済手段を簡素化するとともに、常連顧客の料金請求や配送手段などを保存したり、顧客に合った商品をお勧めしたりと、モバイル端末アプリの利便性を向上させているからだ。
アドビ・アナリティクスによると、今年11と12月のモバイル端末経由の支出は1281億ドルと、過去最高だった前年から12.8%増加し、オンラインショッピングの53%を占める見通しだ。
モバイル端末経由の消費をけん引しているのはスマホでの買い物や価格比較に慣れているZ世代で、感謝祭で集まった時に家族にもそうした買い物方法を伝授している可能性が高いと、カーネギー・メロン大学・テッパー・スクール・オブ・ビジネスのミンキュン・キム助教は言う。
タリア・ルブランさん(33)は「10回のうち9回は」スマホかタブレットを使ってターゲットや百貨店のノードストロームのアプリで買い物をすると語る。今年の年末商戦には家族への贈り物に2000ドルを使う予定で、大半はアマゾン・ドット・コムのアプリで買うつもりだ。利便性に加え、アプリ独自の割り引きや特典も魅力だという。
ブラックフライデーに混雑した実店舗で長い行列に並ぶのを避けられるという利便性が、消費者をモバイル端末に走らせる大きな要因となっている。アドビによると、11月1─24日にオンラインで行われた買い物のうち、51.6%がモバイル端末経由。前年同期の49.5%から増えた。金額にすると前年同期比13.3%増の399億ドルだ。
サーフィン用品のブランド、ロキシーの幹部、ニュール・ゴーシエン・マーティン氏は、オンライン購入の60%がモバイル端末アプリ経由で、大半はメンバーになっている常連客によるものだと説明。アプリ経由の方が「平均購入額が大きく、コンバージョン率(サイト訪問者のうち、実際に購入する人の割合)も高い」と話した。
同社はここ数年、年末商戦シーズンにアプリのダウンロードを促すキャンペーンを行ってきたという。
モバイル端末による販売で先頭を行くのがアマゾンだ。同社は年末商戦に先駆け、対話型生成AI「Rufas(ルーファス)」を拡大するとともに、「SHEIN(シーイン)」やPDDホールディングス(HD)が運営する「Temu(テム)」など中国発の買い物アプリと競うため低価格ストアの「アマゾンホール」を立ち上げた。買い物客はアマゾンのアプリを介さなければアマゾンホールにアクセスできない。
コンサルティング会社CI&Tの幹部、メリッサ・ミンコウ氏はこの仕組みを見て分かる通り、消費者をモバイル端末に誘導する余地はまだ大きいと指摘。アマゾンで買い物をすることを「習慣」とする人が多いため、モバイル端末アプリ経由の消費も増えそうだと語った。
セールスフォースのシュウォーツ氏は、低価格商品だけでなく、高額商品をスマホから買う人も増えていると言う。小売業者が詳細な商品説明を載せたり、アプリやウェブサイトの機能を向上させたりと対応を強化しているからだ。
アマゾンやファッション通販MANGO(マンゴ)などは年末商戦前の数週間にサイトとアプリの容量を増やし、負荷試験を行うなど準備を行う見通しだ。
シュウォーツ氏は、オンラインショッピングの件数が増えているため「ブランドと小売業者にとって『モバイルファースト(モバイル最優先)』に投資することがますます重要になる」と明言した。
米感謝祭前半のオンライン販売は約4%増、小売の見通しはまちまち | ロイター
米国の感謝祭休暇前半のオンライン販売は、前年比約4%増となった。2023年は2%増だった。セールスフォースが28日発表した。小売業者は今年、節約志向の強い消費者を引き付けるため、大幅な値引きを早期に展開している。
コールズやメイシーズなど百貨店が売り上げの減速により慎重な年間見通しを示す一方、アバクロンビー&フィッチ、ギャップはトレンドに乗った服に対する需要の高まりで見通しを引き上げている。
ウォルマートとアマゾンも、好不調がまちまちな今年のホリデー商戦シーズンで恩恵を受けると見込まれている。
全米小売業協会やデロイトによる別の調査によると、今年の感謝祭からクリスマスまでのホリデー商戦の売上増加率は、過去6年間で最も低いものとなる見通し。
セールスフォースによると、23年の感謝祭当日のオンライン売上高は前年比1%増の75億ドルだった。
同社は20日、感謝祭前の26日から12月2日までのサイバーウィークの世界売上高が3110億ドルに達すると予想した。
東京マンション価格、世界最大の上昇率 オフィス賃料も 世界15都市10月時点 - 日本経済新聞
●中東情勢
焦点:戦闘員数千人失ったヒズボラ、立て直しには膨大な時間とコスト | ロイター
英独仏とイランの核協議、進展なし トランプ氏復帰前の打開模索 | ロイター
欧州とイランの当局者は29日、イランの核開発問題などを巡り本格的協議入りが可能かについて検討を行ったが、特に目立った進展は見られなかった。外交筋が明らかにした。
国際原子力機関(IAEA)の理事会は21日、イランに対しIAEAとの協力を早期に改善するよう求める決議を採択。今回の会談は、イランが英独仏と米国が提案した同決議に反発したことを受けて行われた
イランの国際原子力機関(IAEA)元担当大使であるカゼム・ガリババディ氏はXへの投稿で「英独仏の当局者らと再び率直な協議を行った。近い将来、外交対話を継続することで合意した」と述べた。
欧州当局者は、協議では注目すべき点はなかったが、イラン側は今後数週間で外交がどのように機能するかを探ることに熱意を示したと述べた。
欧州の4人の外交官によると、トランプ米次期大統領のホワイトハウス復帰後には多くの不透明要因がつきまとうため、その前に外交面での進展を図りたい考え。
トランプ氏は、米英独仏中ロの6カ国とイランが2015年に合意した核合意から米国を離脱させ、対イラン圧力を強めた。次期政権でも対イラン強硬派を起用している。
●エマージング
韓国輸出、11月の伸び率は14カ月ぶり低水準 米中向けが減少 | ロイター
インドネシア中銀、当面は通貨安定に重心 25年には利下げも | ロイター
中国11月製造業PMI、2カ月連続で50上回る 景気対策の効果で | ロイター
中国国家統計局が30日発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3と7カ月ぶりの高水準だった。10月の50.1から上昇し、ロイター調査の予想中央値の50.2も上回った。
一連の景気刺激策が効果を上げつつあることを示唆する新たな統計となった。
中国の製造業は生産者物価の下落と受注減により過去数カ月間低迷していたが、PMIが景況拡大と縮小の分かれ目となる50を2カ月連続で上回ったことは景気刺激策によるセンチメント改善を示唆している。
ただ、米国の追加関税が来年新たな逆風となり、製造業に対する楽観論に水を差す可能性がある。
中国国内では一連の景気刺激策が低迷する不動産市場を支援している兆候もみられるが、当局はトランプ氏の米大統領復帰を前に対策に追われている。
トランプ氏は25日、中国製品に対する10%の追加関税を表明した。選挙活動中には中国製品に60%の追加関税を導入する考えを示してきた。
11月の新規受注指数は7カ月ぶりに改善、新規輸出指数は7カ月連続で縮小した。
ピンポイント・アセット・マネジメントのプレジデント兼チーフエコノミスト、Zhang Zhiwei氏は「9月下旬に財政・金融政策が緩和され、経済は最近安定している。しかし2025年の見通しは依然として不透明だ」と述べた。
また同氏は「貿易戦争が迫っており、企業の投資決定が遅れると予想される。投資家は財政刺激策を期待しているが、支出の規模や構成は不透明だ」と語った。
同氏はさらに、12月に開催される中央経済工作会議で政策の見通しが明らかになるかもしれないと付け加えた。
<需要は低迷>
中国物流情報センターのアナリスト、Zhang Liqun氏は「11月のPMIでは景気底入れの兆候がより明らかになった。政策の効果が強まっている」と述べた。
一方、「需要の低迷は依然として企業の生産活動に対する大きな制約となっており、公共投資の効果的な推進を強化する必要がある」という。
サービス業と建設業を含む非製造業PMIは50.0で、10月の50.2から低下した。サービス部門は2か月連続で緩やかに拡大した。
中国当局は今月、地方財政の逼迫を緩和するため10兆元(1兆3800億ドル)の債務対策を発表した。9月には中国人民銀行がコロナ禍以降最大の景気刺激策を導入し、政府の目標である約5%の経済成長達成を目指している。
また政府の経済顧問は、2025年の経済成長率目標を「5%前後」に維持し、さらなる刺激策を導入するよう提案している。
中国最大のMMF、利回りが過去最低付近 経済不振や低金利反映 | ロイター
6億人以上が投資する中国最大のマネー・マーケット・ファンド(MMF)「天弘余額宝」の利回りが過去最低付近まで低下した。中国のさえない経済成長と低金利環境を反映している。
国聯証券のエコノミスト、ロッキー・ファン氏は「中期的に、中国が経済を安定させることができなければ、利回りはさらに低下する可能性がある」と語った。
人気決済アプリ「支付宝(アリペイ)」を通じて販売されている1000億ドル規模の天弘余額宝は、7日間の年率換算利回りが1.294%まで低下。コロナ流行期の2022年11月に記録した過去最低水準をわずかに上回っている。
ブラジルで復権狙うボルソナロ前大統領、トランプ氏の支援期待 - WSJ
ブラジルのジャイル・ボルソナロ前大統領はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、政権への復帰を望んでおり、ドナルド・トランプ次期米大統領がその実現の助けになるとの見方を示した。ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ現大統領に対して経済制裁を科すことが、その手段になるかもしれないという。
2030年まで公職に就くことを禁じられ、クーデターを企てた疑いで起訴にも直面しているボルソナロ氏は、トランプ氏が再選を果たしたことが、自身の将来や中南米の右派政治家にとってゲームチェンジャーになる、との見方を示した。最近、メキシコとウルグアイの大統領選で左派候補が相次ぎ勝利し、中南米の主要国の多くを左派政権が占めている。
「トランプ氏が復帰した。われわれも戻れるという兆しだ」。ボルソナロ氏は今週、首都ブラジリアにある所属政党の本部でWSJのインタビューに応じ、そう語った。
厳重に警備された事務所で、壁に集会の写真が貼られ、2人の親しい議員が両側に同席する中、ボルソナロ氏は11月5日の米大統領選以降、自身と息子のエドゥアルド・ボルソナロ下院議員が米次期政権と緊密に連絡を取っていると述べた。「私は一晩中寝ずに大きなオレンジ色の肌の男を応援していた」。同氏はこう語り、ポルトガル語でトランプ氏を指す愛称「Laranjão(ラランジョン)」を使った。
ルラ大統領率いる左派政権は、ボルソナロ氏の主張についてコメントを控えた。同政権はボルソナロ氏を権威主義者とみなしている。トランプ次期政権の広報担当者はコメント要請に応じなかった。
ボルソナロ氏は2019~22年にブラジル大統領を務めた。トランプ氏と特に親密な外国の盟友の一人でもある。保守対リベラルの「文化戦争」に関して同様の見解を持ち、政治的左派やメディアを軽視する姿勢を共有する両氏は、それぞれの大統領職が重なった2019~20年に絆を深めた。南米ベネズエラの権威主義的指導者、ニコラス・マドゥロ大統領に対し、両氏は共同戦線を張った。
さらにボルソナロ氏は、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領やハンガリーのオルバン・ビクトル首相といった指導者と、地域や世界で右派の関係強化を図っているとも述べた。自身の悪名高い重量級の「ボルソナロ・クラブ」メダルを彼らに授与したという。メダルにはポルトガル語でおおよそ「不滅、男らしさ、手に負えない」と訳せるスローガンが刻まれている。
今年に入り、ボルソナロ氏はパスポートを警察に押収されたが、トランプ氏の元側近、スティーブ・バノン氏と友人関係にある息子のエドゥアルド氏が仲介役を務め、大統領当選を決めたトランプ氏と同氏の米フロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」で合流した、とボルソナロ氏は語った。
「MAAGAの時代――米州全体を再び偉大にする時が来た」とボルソナロ氏は言い、昨年出版された本を誇らしげに見せた。トランプ氏から贈られたその本には「ジャイル、君は偉大だ」との献辞が記されていた。
ブラジルのメディアに「熱帯のトランプ」と呼ばれるボルソナロ氏は、かつてないほど米国の同志を必要としている。だがどの程度の支援をどのような形で受けられるのかは不明だ。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(29日)=S&P500・ダウ最高値更新、円6週間ぶり高値 | ロイター
**為替市場**  
円は対ドルで6週間ぶりの高値を記録。東京都区部の11月消費者物価指数(コアCPI)が予想を上回り、日銀の12月利上げ観測が高まったことで、ドル/円は149.62円まで下落。一時149.47円と10月以来の安値をつけた。週間ではドルは対円で3.38%安、7月以降最大の下落率。ドル指数も105.74と弱含み。  
**米株式市場**  
S&P500種とダウ工業株30種が過去最高値を更新。ハイテク株のエヌビディア(+2%)やテスラ(+3.7%)が主導し、ブラックフライデーの好調な売上予測も追い風となった。一方で、アプライド・セラピューティクスはFDAの承認見送りを受け76%急落。
**債券市場**  
米10年国債利回りは4.176%、2年債利回りは4.163%と低下し、イールドカーブがフラット化。感謝祭の影響で取引は薄かったが、月末の需要が債券価格を支えた。
**コモディティ市場**  
金先物はドル安と金利低下を背景に続伸し、1オンス=2681ドル。一方、米原油先物は4日続落し、WTIは1バレル=68ドルとなった。イスラエルとレバノンの停戦を巡る不透明感が影響。
欧州市場サマリー(29日) | ロイター
**ロンドン株式市場の概要**  
ロンドン市場はほぼ横ばいで終了。鉱業株の上昇(アングロ・アメリカンが5.4%上昇)と、防衛株の下落(BAEシステムズが4.9%下落)がバランスを取った形となった。月間ベースでは、FTSE100種指数が2.18%上昇と3か月ぶりのプラス。
**欧州株式市場**  
STOXX600種指数はハイテク株の上昇に支えられ、月間ベースでも上昇。EU統計局の11月消費者物価指数(前年比2.3%上昇)を受け、ECBの利下げ期待が高まっている。一方、地政学的リスクや関税懸念が投資家心理を抑制。
**ユーロ圏債券市場**  
ユーロ圏国債利回りは4週連続で低下。ドイツ10年債利回りは2.107%、ECBの利下げ織り込みが進む中、フランス政局不安で独仏利回り格差が拡大している。

備忘録(2024/11/28
●海外企業決算
●海外企業
レミー・コアントロー、米国不振で減収予想 経費削減で高関税吸収 | ロイター
仏酒類メーカー、レミー・コアントローは28日、米国市場の回復が鈍いことを理由に、通期売上高が市場予想以上の減少になると予想した。
2025年3月期の売上高を15─18%減少と予想した。LSEGのアナリスト予想コンセンサスは10.6%減少だった。
米国では高金利やインフレで蒸留酒の需要が低迷、レミーは10月に今年の売り上げ回復を断念した。
上期の営業利益(既存事業ベース)は17.6%減。アナリスト予想は20.6%減だった。
トランプ次期米大統領は、欧州などからの輸入品に10%の追加関税を課すと表明している。エリック・バラ最高経営責任者(CEO)は主にコスト削減を通じて米国の追加関税に対応可能だと説明した。
バラ氏は、米国の10%の追加関税はマイナスの影響が出るものの、現在中国が課す関税ほど深刻ではないと述べた。
欧州連合(EU)の中国製電気自動車(EV)への追加関税への対抗措置として中国は欧州産ブランデーに暫定で最大40%の関税を課した。
バラ氏は米関税の影響を相殺するために経費削減と利益率の最適化に注力すると述べる一方で値上げする可能性を示唆した。
●日本企業
トヨタ、10月世界販売1.4%増で最高 世界生産は9カ月連続前年割れ | ロイター
トヨタ自動車が28日発表したトヨタ単体(高級車ブランド「レクサス」を含む)の2024年10月の世界販売は前年同月比1.4%増の90万3103台と、5カ月ぶりに前年を上回り、10月として過去最高となった。
国内外でハイブリッド車(HV)を中心に堅調だった。苦戦している中国ではほぼ前年の水準を回復した。
一方、世界生産は同0.8%減の89万3164台となり、9カ月連続で前年を割り込んだ。
海外販売は0.4%増の75万9555台と5カ月ぶりに前年を上回り、10月として過去最高だった。中国は引き続き価格競争の激化で0.4%減だったが、減少率は9月の9.2%減から改善。新型車や販売促進策が奏功しており、回復しつつある。旧正月前で需要が旺盛だったインドは42%伸びた。中南米や欧州での販売も堅調だった。
日本での販売も7.1%増の14万3548台と10カ月ぶりに前年を超えた。8月末の台風発生で9月分の登録が10月にずれ込んだことも背景にあった。
一方、世界生産のうち、海外は4.9%減の58万7105台となり、8カ月連続で前年を下回った。販売競争の激しい中国では8.7%減だった。
北米での販売は5.3%減、生産は7.2%減だった。エアバッグ性能問題に伴うリコール(回収・無償修理)で6月半ばから停止していたスポーツ多目的車(SUV)2車種の生産が10月21日に再開したものの、影響が今も続いている。
HVや電気自動車(EV)などの電動車の世界販売は29.9%増の42万4699台だった。需要の旺盛なHVは国内で21.5%増え、海外でも30%伸びた。
ダイハツと日野自動車を含むグループ全体での世界販売は0.4%増の97万4245台で3カ月ぶりに前年を上回り、10月として過去最高となった。一方、世界生産は1.3%減の102万1799台となり、3カ月連続で前年を割り込んだ。
名鉄、30年代半ばに名古屋新駅検討 新ビルは27年度着工 - 日本経済新聞
ムーディーズ、日産の格付け見通しをネガティブに 安定的から | ロイター
ムーディーズ・ジャパンは28日、日産自動車の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したと発表した。日産の自動車事業のフリーキャッシュフローと利益率が特に米国でここ数四半期に悪化していることを踏まえた。コスト削減を目指す再建計画についても実行リスクがあるとみている。
ムーディーズは発行体格付け「Baa3」を確認した。
●先進国政治動向
フランス政府、予算案で譲歩検討-不信任回避に向け - Bloomberg
フランスのアルマン経済・財務相は、2025年度予算案について譲歩する用意があると発言した。野党が不信任決議案を提出することを避けたい考えだ。
「問題は、われわれの望む通りの予算ではないとしても予算を組む方がいいのか、それとも予算を組まない方がいいのかということだ」とアルマン氏は28日、RMCラジオの番組で述べた。「われわれが望むものと同じではなくても予算を組む方がよいことは明らかだ。そうしなければ、未知の世界に入ることになる」と語った。
野党議員は予算案を巡り不信任決議で結束する可能性をちらつかせており、バルニエ首相の政府は数週間内に倒れる恐れがある。左派は早ければ来週にもそのような決議案を提出するとしており、バルニエ首相の命運は、決定票を持つマリーヌ・ルペン氏の極右政党、国民連合(RN)の手に握られることになる。
政治不安を嫌気して投資家がフランス資産売りに走り、10年物国債利回りは28日に、初めてギリシャ国債と同等になった。
「今日、われわれはこの国のために予算を組むという重大な責任を負っている」とアルマン氏は述べ、「もう一つの道は未知の世界へとつながり、格下げと国の混乱を招くものだ」と警鐘を鳴らした。
アルマン氏のコメントを受け、フランス債とドイツ債のスプレッドは一時3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小し83bpとなった。27日には90bpまで拡大していた。  
アルマン氏は、政府がどの程度の譲歩を行うつもりなのかについて明言を避けたが、ルペン氏が強く批判している電気料金値上げ計画を変更する用意がバルニエ氏にあることを認めた。ルペン氏は年金支出抑制策や薬代の公的払い戻し率引き下げ策の修正も求めている。
企業投資を維持するために増税を支出削減で置き換える他の方法を見いだすことに政府は前向きだとアルマン氏は説明。「あらゆる分野において、慎重に譲歩する用意がある」と述べた。
社会保障予算案は12月2日に国民議会(下院)に差し戻され、上院での審議終了後12月18日頃には予算案全体が戻される予定。バルニエ氏が下院の採決を経ずに予算案を成立させる憲法第49条3項の特例条項を用いようとすれば、不信任決議への扉が開かれることになる。
バルニエ仏内閣が崩壊危機、来年予算案巡る議会との折衝難航で | ロイター
フランスのバルニエ首相が率いる内閣は2025年予算案の議会承認に向けた折衝で難航しており、前途が危ぶまれている。
複数の政界関係者の話では、極右政党の国民連合(RN)と左派連合のどちらも不信任案で賛成に回った場合、内閣がクリスマス前か、早ければ来週中にも崩壊する可能性がある。
これらの関係者は、バルニエ首相が続投できるとしても、今のところ内閣を支持しているRNから要求されている歳出削減の取り組み圧縮を受け入れた場合に限られると指摘。そうすればフランスの財政基盤をさらに弱め、投資家にとってのフランスの魅力を低下させかねないとの見方を示した。
バルニエ内閣はフランスが半年前のような政治危機に再び陥るのを避けようと、RNや他の政治勢力と精力的な交渉を続けているものの情勢は流動的だ。
バルニエ首相は26日のテレビのインタビューで現在の状況について「極めて憂慮される」と語り、内閣が倒れれば金融市場で非常に深刻で荒れた事態が生じると警告した。
地元紙パリジャンは26日、マクロン大統領が側近に「内閣は崩壊する」と告げたと伝え、大統領府が慌てて否定する場面もあった。
市場ではフランス国債のリスクプレミアムが2012年のユーロ危機以来の大きさになり、銀行株が足を引っ張る形でCAC40指数が下落した。
600億ユーロ(628億5000万ドル)の増税と歳出削減を通じて財政赤字拡大に歯止めをかける措置が盛り込まれた来年予算案は,国民議会(下院)で否決された。現在は元老院(上院)で審議されている。
予算成立期限が12月半ばに迫る中で、バルニエ首相は憲法上の規定を用いて議会の採決を得ずに予算承認手続きを終える意向を示唆。ただ、これを強行すれば不信任案が提出されるのは確実だ。
RNを事実上率いるマリーヌ・ルペン氏と同氏の支持者は、家計や中小企業、年金受給者らの生活を守るためにRNが掲げている要求が通らなければ倒閣に動くとバルニエ氏に圧力をかけている。
【オピニオン】トランプ閣僚人事の「適・不適・劣悪」 - WSJ
11月5日の米大統領選での圧勝から間もなく、ドナルド・トランプ氏は自身の第2次政権の政策を実行するチームの指名を始めた。彼が選んだ顔触れを見ると、米政府に変革をもたらしたいという願望があらわになっている。変革は多くの場所で必要とされている。指名された人々について以下に概説する。ウォール・ストリート・ジャーナル論説委員会によれば、彼らは「適」「不適」「劣悪」に分類される。
ダグ・バーガム氏、クリス・ライト氏、リンダ・マクマホン氏、ブレンダン・カー氏
トランプ氏が最初に選んだ人々の一部は、第1のカテゴリーにまさに当てはまる。例えばノースダコタ州のダグ・バーガム知事が内務長官に、石油サービス会社リバティ・エナジーのクリス・ライト最高経営責任者(CEO)がエネルギー長官に指名された。米国の化石燃料資源を閉じ込めることを主要目標にしてきたバイデン政権当局者たちとは異なり、両氏はエネルギー市場の仕組みを理解している。もう一つの有益な人選は、プロレス団体WWEの元CEO、リンダ・マクマホン氏を教育長官に指名したことだ。教育長官は、連邦政府の官僚機構や教員組合などの特定利益集団に闘いを挑むことが求められる。マクマホン氏はそうした任務にうってつけの人物だ。トランプ氏が連邦通信委員会(FCC)委員長に現職委員の一人であるブレンダン・カー氏を指名したのも、良い選択だ。カー氏は無線周波数帯域を開放し、ブロードバンドの認可手続きを簡素化する一方で、FCCの中核的任務を引き続き重視するだろう。
ビベック・ラマスワミ氏とイーロン・マスク氏
新設される政府効率化省(DOGE)の運営をビベック・ラマスワミ氏とイーロン・マスク氏に任せるという決断は、これまでのトランプ氏のアイデアの中で最良かもしれない。ラマスワミ、マスク両氏は、連邦政府を改革、縮小し、拡大し続ける国家行政機構の息の詰まるような支配から国民を解放するという途方もなく大きな任務を担うことになる。
マルコ・ルビオ氏とマイク・ウォルツ氏
国家安全保障に関するトランプ氏の人選は玉石混交といったところだ。選ばれた人物の大半は確かな実績を持ち、今日の安全保障上の脅威について理解している。国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)は外交問題に関して長年の経験があり、世界における米国のリーダーシップを信じている。これまで中国の脅威に焦点を合わせてきた。今後は対ベネズエラ制裁を復活させ、西半球におけるキューバの悪影響への対抗策を強化する可能性が高い。新たに国家安全保障担当の大統領補佐官となるマイク・ウォルツ下院議員はタカ派的な考えの退役軍人で、かつてイランの敵対行為に対抗する枠組みの構築において共和党議員70人、民主党議員70人からなるグループを率いたことがある。
トゥルシー・ギャバード氏とピート・ヘグセス氏
トランプ氏が閣僚に指名した忠誠心が強い人々の一部は、2期目の目標に集中する妨げになるだろう。特に、国防長官と国家情報長官にそれぞれピート・ヘグセス氏、トゥルシー・ギャバード氏という予測不可能な人物を起用することにこだわるべきかどうか、トランプ氏は検討する必要がある。
トランプ氏は軍幹部に文化戦争を仕掛けるためにヘグセス氏を選んだように見えるが、FOXニュースの司会を務めた同氏には、大きな組織を動かした経験も政府で働いた経験もない。肥大化した国防総省の官僚機構が彼を食い物にする可能性がある。トランプ氏がヘグセス氏を信頼できるのか疑問に思う可能性もある。44歳のテレビ司会者の性的暴行疑惑は、トランプ氏の政権移行チームを驚かせたようだ。
ヘグセス氏の方が注目を集めているものの、国家情報長官に指名された元下院議員のトゥルシー・ギャバード氏も精査に値する。ギャバード氏には、トランプ氏の1期目を成功させた政策に反対した過去がある。武力行使に関するギャバード氏の考え方は民主党のハト派よりも左寄りであり、同氏がこの国の直面する脅威を評価するのに適切な人物であるということは全く示されていない。
ロリ・チャベスデレマー氏
トランプ次期大統領がロリ・チャベスデレマー下院議員を労働長官に指名したことは、教員労組である米国教員連盟(AFT)のランディ・ワインガーテン会長を喜ばせたかもしれないが、労働者に恩恵をもたらすことはほとんどないだろう。チャベスデレマー氏の姿勢は、州に権限を移し、スクールチョイス(学校選択制度)を拡大し、労働者の力を強め、企業活動への規制を緩和するというトランプ氏の考えと相いれない。むしろトランプ氏を屈服させようとする労組幹部らに力を与えるものだ。
ロバート・ケネディ・ジュニア氏
トランプ氏がロバート・ケネディ・ジュニア氏を厚生長官に選んだことは、米国民の健康増進にほとんど貢献しないだろう。ケネディ氏は混乱を広めたり米企業を攻撃したりすることで、公衆衛生を損なう可能性の方が高い。
しかし、マット・ゲーツ前下院議員の司法長官指名が失敗に終わったように、衝動的な指名は撤回される可能性もある。トランプ氏はゲーツ氏指名の失敗から何かを学ぶだろうか。閣僚にふさわしい聡明(そうめい)で信念を持つ保守派は大勢いる。トランプ氏は、資質に欠ける人物の指名承認を共和党上院議員らに無理強いしようとするよりも、こうした人々を閣僚に選んだ方が賢明だろう。
「忠誠心」重んじるラトニック氏、数十年ぶりのボスは次期大統領 - Bloomberg
トランプ氏が支援削減ならウクライナに「死刑宣告」=ロ次席大使 | ロイター
マスク氏、削減望む政府職員を名指し 米連邦職員に広がる恐怖 - CNN.co.jp
トランプ次期米大統領が先日、イーロン・マスク氏とビベック・ラマスワミ氏は次期政権で連邦政府の大幅縮小を提言するだろうと述べた時、米国の公務員の多くは自身の職が危うくなる可能性を悟った。
いま、彼らは新たな恐怖を抱えている。世界で最も裕福なマスク氏、そして大勢のフォロワーによる個人攻撃の標的になる恐れだ。
マスク氏は先週、連日の大量のメッセージに交え、X(旧ツイッター)で二つの投稿をリポストした。その内容は、比較的なじみの薄い気候関連の四つの政府ポストに就く人物の氏名と肩書きを公表するというもの。どちらの投稿も数千万回閲覧され、名指しされた人はありがたくない注目にさらされた。名指しされた女性4人のうち、少なくとも1人はSNSのアカウントを削除した。
マスク氏が政府機関の役職に関して投稿した情報は公共のオンラインデータベースで入手できるが、こうした投稿には、一般市民と直接接する機会のない役職に就く無名の政府職員を標的にする狙いがある。
複数の現職の連邦職員はCNNの取材に、マスク氏が裏方の官僚たちを個人攻撃の対象とすることで人生が永遠に変わってしまい、身の危険が及ぶ恐れを語った。他の職員はCNNに、マスク氏の標的になる恐れから完全離職する可能性も考えていると吐露。そうなれば、政府の縮小をめざすマスク氏の目標は適切な審査すら経ずに達成されることになる。
米連邦職員連盟(AFGE)のエベレット・ケリー会長は「連邦職員に恐怖と不安を植え付ける戦術だ」「恐怖を抱かせ、声を上げることを恐れさせる意図がある」と指摘した。AFGEは230万人を数える連邦公務員のうち80万人以上を代表している。
これはマスク氏としては目新しい行動ではない。マスク氏はこれまでもしばしば、ミスを犯したと主張する人物や、自身の妨げになる人物を狙い撃ちにしてきた。以前マスク氏の標的になった連邦職員の一人は、自分も同じような目に遭ったと振り返る。
ジョージ・メイソン大学で工学やコンピューターサイエンスを教えるメアリー・カミングス教授は「これが彼のやり方。人々を脅して退職を迫ったり、他のすべての機関に『次はお前だ』というシグナルを送る狙いがある」と説明する。カミングス氏は米運輸省道路交通安全局(NHTSA)在籍時、電気自動車大手テスラを批判したことでマスク氏の怒りを買った。
自民・小林鷹之氏、勉強会立ち上げへ 次期総裁選見据え - 日本経済新聞
仏内閣が電力増税方針を撤回 労働者負担軽減求める極右に配慮 | ロイター
フランスのバルニエ首相は28日、来年予算案に盛り込んだ電力増税方針を撤回した。
内閣存続の上で支持が不可欠な極右政党、国民連合(RN)から予算案において労働者への負担を軽減しない限り、倒閣に動くと圧力を受けたことに対応した形。ただRNのバルデラ党首はX(旧ツイッター)への投稿で「われわれはここで立ち止まることはできない。まだ譲れない幾つかの線が残されている」と述べ、内閣不信任を避けるにはなお不十分だとの見解を示した。
来年予算案でバルニエ内閣は、財政赤字穴埋めのために総額600億ユーロの増税と歳出削減を打ち出し、その一環として電力消費税について約30億ユーロの増税を計画した。電力消費税はエネルギー危機に陥っていた過去2年間、税率がほぼゼロまで引き下げられていた。
しかしこの予算案には左派連合だけでなくRNも反対し、内閣は財政規律を緩めてフランスの財政基盤を弱めてしまうか、不信任案可決によって退陣するかの厳しい選択を迫られている。
このまま議会で予算案に対する支持が集まらなければ、内閣は早ければ来週にも憲法上の規定を行使して、議会の承認なしで予算成立を強行する公算が大きい。予算案は12月半ばが成立期限だ。
一方RN指導者マリーヌ・ルペン氏は28日の地元紙ルモンドに対し、予算成立が強行された場合、RNが不信任案を提出するのは避けられないと警告した。
バイデン氏、トランプ氏にメキシコ・カナダ関税の再考促す | ロイター
バイデン米大統領は28日、メキシコとカナダへの関税導入計画は同盟国との親密な関係を「台無しにする」恐れがあるとして、トランプ次期大統領に再考を促した。
バイデン氏は訪問中のナンタケット島で記者団に対し、メキシコとカナダという近隣同盟国との関係を損なうべきではないとし、トランプ氏の関税案は逆効果だと指摘。「考え直してほしい」と述べた。
トランプ次期米大統領は25日、就任初日にメキシコとカナダからの全ての輸入品に25%の関税を課すと表明した
メキシコ大統領、トランプ氏と電話会談 関税巡る緊張の緩和模索 | ロイター
メキシコのシェインバウム大統領は28日、27日に行ったトランプ次期米大統領との電話会談は友好的だったとし、良好な関係を維持することで合意したと語った。主要貿易相手国である両国の緊張緩和を模索したとみられる。
シェインバウム大統領は電話協議前、トランプ氏がメキシコからの全輸入品に25%の関税を課す方針を実施した場合、報復関税を導入する構えを示していた。
これに先立ち、シェインバウム氏は、トランプ次期米大統領との電話会談では、25%の対メキシコ関税に関する具体的な話し合いはなく、関税の理由としてトランプ氏が挙げている不法移民や違法薬物の流入について協議したと指摘。
午前の記者会見で「良い会談だった。今後も会談を続けていく」とし、いずれはメキシコの犯罪組織への米国製銃器の流入についても協議する予定だとした。
トランプ氏は27日の電話協議後、シェインバウム氏が「メキシコ経由の移民流入を止め、実質的に米南部国境を閉鎖することに合意した」と発言。一方、シェインバウム氏は「国境閉鎖ではなく、政府間や両国民の間に橋を架けるのがメキシコの立場だ」と発言。
この食い違いについて、シェインバウム氏は記者団に対し、コミュニケーションのスタイルの違いによるものだと説明した。
ここ数日下落していたメキシコペソは、28日序盤には1%近く上昇した。
●先進国中銀、金融当局
ECB総裁、貿易戦争は「誰の利益にもならず」=FT | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、貿易戦争は米国の関税対象国だけでなく、全ての国にとって実質マイナスになると指摘した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が28日掲載したインタビューで述べた。
「(貿易戦争は)米国、欧州、誰にとっても利益にならない。世界的なGDP減少を引き起こす」と述べた。関税は長期的に世界の成長にとってマイナスになると指摘した。
中国との自由貿易は欧州と中国双方にとって互恵的で有益であればより魅力的との認識を示した。
豪中銀総裁「当面は利下げできず」 コアインフレ依然高水準 | ロイター
オーストラリア準備銀行(中央銀行)のブロック総裁は28日、コアインフレ率が高すぎるため当面利下げはできないと述べ、12月利下げの可能性を事実上排除した。
ブロック総裁は経済関連会合で、第3・四半期のコアインフレ率が3.5%と中銀の目標である2─3%を上回ったとし、目標達成を確信できるまで制約的政策を維持する必要があると指摘した。
「現状、基調的なインフレ率はなお高すぎるため、短期的に政策金利の引き下げを検討することはできない」と指摘。「インフレ率を持続的に2─3%の目標レンジ内に戻すにはまだ時間がかかる」とし、11月の政策声明で示した予測で目標への持続的回帰は2026年と想定していると述べた。
借り入れコストの上昇が消費支出を抑制し、経済の需給はバランスが改善しつつあるが、時間を要しているとの見方を示した。
米欧の中銀などが利下げに踏み切る中、豪中銀は政策金利を今年4.35%に据え置いている。市場は12月10日の次回理事会で0.25%利下げを決める確率は10%とみている。
ブロック総裁は、他国との金融政策運営の違いは、インフレや雇用の目標に関する優先度が異なるためだと述べた。
豪中銀は、パンデミック後の大幅な雇用増加をおおむね維持することを目指し、他国の中銀ほど政策引き締めを実施しなかった。「そのため、インフレ率の目標からの乖離(かいり)幅は他国より大きく、労働市場も逼迫度が高い」とし「現時点で労働市場は、インフレが低位安定する環境下よりも引き締まっていると判断している」と述べた。
総裁は利下げする前にインフレが目標レンジに向かっていることを確認する必要があると指摘。インフレ率が目標レンジ内に入る必要はないが、目標に向かう必要があると述べた。
トランプ次期米大統領が表明している追加関税について、今後半年の国内物価圧力に大きな影響を与える可能性は低いとの見方を示したが、中央銀行はインフレ抑制に注力していると述べた。
NZ中銀、0.25%か0.5%の利下げ議論へ 来年2月=総裁補 | ロイター
ECB利下げ、成長促す水準まで継続する必要の公算大-仏中銀総裁 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁は、ECBは景気をこれ以上締め付ける必要はなく、むしろ経済成長を促す水準まで金利を引き下げる必要があるとの見方を示した。
ビルロワドガロー氏は28日、パリでの講演で、金利がどこで落ち着くかを判断するのは時期尚早だが、生産の重しではなくなるまで引き下げる余地は「まだ十分に」あると述べた。さらに、12月の追加利下げはほぼ確実で、当局者は今後数カ月にわたる利下げのペースや規模についてあらゆる選択肢を残しておくべきだとした。
「近い将来、インフレ率2%を維持できるであろうことに加え、今なお欧州の成長見通しが低迷していることから、金融政策を景気抑制的で据え置く理由は私には見当たらない」と述べ、「成長がなお低迷し、インフレ率が目標を下回るリスクがある場合」にはさらに踏み込んだ措置も選択肢になり得るとも述べた。  
投資家やエコノミストは、年内最後となる来月の会合でECBが4回目の利下げを行うと広く予想している。市場では0.25ポイント利下げが有力視されているが、経済指標の弱さを背景に0.5ポイント利下げに踏み切るとの見方もわずかにある。
ビルロワドガロー氏は「現段階では、12月12日に利下げする理由はいくらでもある」と述べ、「引き下げの規模については、入手するデータや経済予測、リスク評価に応じて選択性を残しておく必要がある」と続けた。
●先進国経済指標
ドイツ、11月のCPI速報値は2.4%上昇-市場予想を下回る - Bloomberg
ドイツ連邦統計局が28日に発表した11月の消費者物価指数(CPI、EU基準)上昇率の速報値は2.4%で、市場予想を下回った。欧州中央銀行(ECB)が利下げを継続すべきだとの見方を裏付ける結果となった。
ブルームバーグの調査では、市場予想の中央値は2.6%だった。統計局によると、食品価格の軟化がエネルギー価格のベース効果による上昇分を相殺したことが、予想を下回る低さにつながった可能性がある。
同日に発表されたスペインの消費者物価上昇率は、上昇ペースの加速を示唆しており、ドイツのデータとは対照的だった。当局者はユーロ圏全体のインフレ率が、今月は上昇すると見込んでいる。10月のインフレ率はECBが目標とする2.0%だったが、ブルームバーグのエコノミストに対する調査では、11月は2.3%になるとの予測が大勢だ。
12月12日に予定されている今年最後のECB政策委員会会合では、0.25%の追加利下げがほぼ確実に行われると投資家やアナリストはみている。それ以降については、中銀預金金利が2%に達するまで毎回の会合で利下げを行うことを望むECB当局者がいる一方、より慎重な意見もある。
ECBのシュナーベル理事は今週、ブルームバーグとのインタビューで、サービス部門における根強い物価上昇圧力と、依然として深刻な地政学的リスクを強調した。
シュナーベル氏は、いわゆる中立的な水準まで「徐々に」金利を下げられるとしながらも、貴重な政策余地を無駄にしないよう、行き過ぎには注意すべきだと警告した。
独インフレ率、11月は前年比2.4% コアインフレ率伸び加速 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が28日発表した11月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比2.4%上昇した。前月の2.4%と同水準だった。
アナリスト予想の2.6%上昇は下回った。エネルギー価格が3.7%下落する一方、食料品が1.8%上昇した。
変動が激しい食品とエネルギー価格を除いたコア指数は3.0%上昇。前月の2.9%から伸びが加速した。
INGのマクロ部門グローバル責任者、カーステン・ブレゼスキ氏は、賃金が上昇する一方でエネルギー価格の下落効果が薄れていくことから、インフレは高止まりするとの見通しを示した。
ZEW経済研究所のフリードリヒ・ハイネマン氏は、来年2月23日の総選挙を前に、食品価格の上昇によりインフレ高止まりが懸念され、消費者の間に不透明感が生じていると指摘。「米国では、インフレがポピュリスト候補を利する結果となった。ドイツでも同様のことが起きる可能性は否定できない」と述べた。
ユーロ圏銀行融資、10月は企業・家計向け共に伸び加速=ECB | ロイター
欧州中央銀行(ECB)が28日公表した10月のユーロ圏の銀行融資は、企業向けと家計向けがいずれも前年比で伸びが加速した。景気が底打ちし、「ソフトランディング(軟着陸)」が進行中という一部の見方を裏付ける形だ。
企業向けの伸び率は9月の1.1%から1.2%に拡大し、2023年半ば以来の高水準となった。家計向けも0.7%から0.8%に上向いた。
マネーサプライM3の伸び率は3.4%。22年12月以来の高水準で市場予想と一致した。
●金融市場、先進国トピックス
円キャリートレーダー、ストレスたまる感謝祭休暇か-荒い値動き警戒 - Bloomberg
円のボラティリティーが再び高まる中で、今年の米感謝祭はキャリートレーダーにとって、十分にくつろぐことができない休暇になる可能性が高い。
利回りの高い資産に投資するために、南アフリカ・ランドからカナダ・ドルに至る通貨に対して、円ショートを構築した投資家は、過去5営業日だけでも2%余りの損失を被った。
過去1カ月間の円キャリーリターンはさらに悲惨な状況で、ブラジル・レアルで約4%、スウェーデン・クローナで3.4%の損失が生じている。
感謝祭の休暇にかけて流動性が薄れる中、一段と激しい円の変動リスクが高まっており、損失の穴埋め、あるいはポジションの積み増しを視野に入れている投資家にとっては、神経質な展開になりそうだ。
キャピタル・ドット・コムのシニア市場アナリスト、カイル・ロッダ氏は「夜も警戒して眠れないような取引状況になっている」と指摘。「ボラティリティーの高さを目の当たりにして、キャリートレードのリスクを抱えている場合は、ほぼ休みがなく、週末までストレスのたまる数日間になるだろう」と語った。
日本銀行が12月の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るとの期待が急速に高まり、今週に入って円はドルに対して2%余り上昇している。
収益性が高いが、潜在的な相場変動リスクをはらむ円を調達通貨としたキャリートレードにとって、日本とその他の国・地域との金利差は重要な要素になっている。
28日のアジア時間の取引では、円はドルに対して一時0.4%安の151円75銭まで下落。前日には1.3%高まで水準を切り上げる場面があった。
MLIVのストラテジスト、マーク・クランフィールド記者
行使価格153円で大量に構築されていたドル・円のオプションが、防衛的なドル買いの動きもほとんどないまま難なく突破されたことも、週初からの円高の勢いを物語っている。ここから先は、1週間後に満期を迎える行使価格143円50銭に集中しているオプションまで、目立ったポジションは見当たらない
米国債「恐怖指数」、2カ月ぶり低水準 不安心理が後退 - 日本経済新聞
アイルランド、法人税収で欧州の「成金」に - WSJ
アイルランド政府はかつてないほど潤沢な資金を集めている。
同国には目下、うなるほど資金があるため、一つのみならず二つの政府系ファンドに現金をつぎ込んでいる。予算監視機関は、資金不足ではなく政府の大盤振る舞いで景気を過熱させる可能性に警鐘を鳴らすほどだ。
首都ダブリンでは、世界で最も高価な小児病院になるかもしれない施設が建てられている。このほか、同国第2の都市コークと第4の都市リムリックを結ぶ自動車道路や、中部の都市シャノンの新たな洪水対策、南岸沖の浮体式洋上風力発電施設の計画もある。議会の外には50万ドル(約7700万円)の費用をかけた新しい自転車置き場があり、ここには36台を収容できる(雨はしのげない)。また、政府は1000万ドルを投じ、子どもたちが学校で携帯電話を触らないための対策を講じている。例えば、気が散るのを防ぐため携帯電話を保管する磁気ポーチを大量に購入するなどだ。
「良い時代が戻ってきた」。パット・ウッズさんはダブリン中心部で経営するパブ「デイム・タバーン」の赤い革張りの長椅子に座り、腕を広げながらこう語る。「何もかもが猛スピードだ」。近くの路上で電子タバコを吸っていた地元の美容師は「支出のたがが外れている」と述べ、目の前で起きていることに驚きを隠せない。
こうした気前の良さを支えているのは、米国の税制と、企業の課税逃れに対する世界的な取り締まりの予期せぬ副次効果だ。米政府と欧州連合(EU)は過去10年間に法律を改正し、多国籍企業が事業を行わず、法人税も支払わないケイマン諸島などの国外の司法管轄区域で利益を計上しないよう圧力をかけてきた。そのため今では多くの米企業が次善の策として、税率の低いアイルランドである程度の従業員を雇って税金を支払い、自国以外で得た利益を保管している。アップルやアルファベット傘下のグーグル、マイクロソフト、製薬大手ファイザーなどが知られている。
その結果、人口540万人の国に莫大(ばくだい)な収入がもたらされている。アイルランドでは現在、大企業に適用される法人税率が15%(米国では21%)で、2024年は375億ユーロ(約6兆円)の法人税収を見込んでいる。10年前の46億ユーロから大幅に増える見通しだ。国民1人当たりに換算すると約7300ドルとなる。隣国の英国では2024年度の法人税収は1人当たり約1300ドルだった。
しかしドナルド・トランプ氏が次期米大統領に決まったことで、アイルランドの税収ブームが続くかどうかは不透明になっている。トランプ氏は米国で製品をつくる企業の法人税率を15%に引き下げると主張しており、そうなればアイルランドの実効税率に並ぶ水準だ。税務専門家は今後どうなるかを確実に語るのは時期尚早だとしているが、トランプ次期政権が米企業に対し、利益や知的財産(IP)を本国に戻すよう実際に促すとしたら、アイルランドへの影響は深刻なものになりかねない。
アイルランド財政諮問委員会は2022年の法人税収額の43%をわずか3社の大手外国企業が占めていたと推計する。またアイルランドの対内直接投資機関によると、同国の労働者の約15%が1000社弱の米国企業に雇用されている。これらの企業とそこで働く労働者が、政府の税収全体の最大60%に寄与している可能性がある。アイルランド勅許会計士協会の講師を務めるコーマック・ルーシー氏は最近そう試算した。
今のところ、アイルランドの指導者たちはこの問題から目をそらすことにしている。
11月29日に実施される総選挙を前に、連立与党は71億ユーロの所得税減税や電気代を支援するための全世帯への現金給付といったばらまき型の予算を発表した。長期的に政府が掲げる大規模な計画もある。2040年の投資計画には、アイルランド第3の都市ゴールウェイの環状道路やダブリンの地下鉄、コークの波止場地域に約3万戸の新築住宅を建てることなどが含まれる。
大きな疑問となっているのは、これが本当に全部実現するかどうかだ。小児病院の建設費用は現在22億ユーロと予想されており、議会の高価な自転車置き場と同様、ダブリンで笑い話になっている。超党派議員で構成する自転車利用者グループは「われわれが求めたのは自転車置き場であってタージマハルではない」と話している。
アイルランドの今年の経済成長率は2.5%、来年は3%近くが見込まれるが、財政諮問委員会のシェーマス・コフィー委員長は最近、政府支出の急増がインフレを加速させる危険があると警告した。また同国は慢性的な住宅不足に悩まされており、住宅建設のためにさらに約8万人の労働者を呼び込む必要があるとも指摘した。
アイルランドは低い税率が魅力的だったことから、米国の大手製薬会社やハイテク企業が欧州本社をここに設立し、欧州連合(EU)へのアクセスと12.5%の法人税率を享受していた。
だが2017年に当時のトランプ政権が米国の法人税率を21%に引き下げ、本国に利益を戻すかどうかにかかわらず外国で得た利益に最低税率10.5%を適用した。その4年後、経済協力開発機構(OECD)主導で合意された世界的な最低税率に合わせ、アイルランドは法人税率を15%に引き上げた。
意外にも、これはアイルランドにとって素晴らしい追い風となった。
米企業は、数千億ドル規模の特許や研究成果などのIPをタックスヘイブン(租税回避地)から自社のアイルランド部門へと移した。アイルランドの税法では、企業がタックスヘイブンから自社のIPを買い入れる費用を将来の利益に対して繰り延べられるため、税負担の軽減が可能だった。
アップルは2015年、同社のIPをアイルランドの税法に基づく法人に移転し、アイルランドの経済成長率を第2次世界大戦後の欧州で最高となる26%へと押し上げた。これは「レプラコーン経済」(レプラコーンはアイルランド民話の妖精)と呼ばれている。アイルランドの実際の経済パフォーマンスとは無関係の高成長だったからだ。
アイルランド政府は税収の規模が今後縮小すると予測している。今年の記録的な税収は、EUの司法裁判所がアップルに支払いを命じた145億ドルの追徴課税によって膨れ上がっているためだ。
米シンクタンク、外交問題評議会のブラッド・セッツァー上級研究員は、米国は財政赤字が拡大し続ける中、現在の税制を見直し、税収をより多く確保しようとする動きを強めるのではないかと指摘した。
ESGファンドまたも期待裏切り、世界で約770本がアダニ関連株保有 - Bloomberg
ESG(環境・社会・企業統治)ファンド運用者は、インド新興財閥アダニ・グループを巡る市場の混乱で、再び打撃を受けることになった。
アダニ・グループの創業者ゴータム・アダニ氏が贈賄の罪で米検察当局に起訴されたことを受け、グループ傘下の再生可能エネルギー会社アダニ・グリーン・エナジーの株価は約25%下落した。同社株を保有しているESGファンドは世界で約770本に上る。
ESGに基づくスクリーニングを通過した同社は、ニュースを聞いた投資家から投げ売りされる結果となった。
再生可能エネルギーに関する同社の主張について財務面の矛盾を以前から指摘していたアクティビスト(物言う投資家)、スノーキャップ・リサーチの共同創設者ヘンリー・キナズリー氏は、「アダニ・グリーンのガバナンスのひどさは誰の目にも明らかだった」と指摘する。
空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチは2023年初め、アダニ・グループについて、株価操作や不正会計を何十年も続けているとリポートで指摘していた。それから2年近くを経た先週、米検察当局は、インドの政府高官に2億5000万ドル(約380億円)強の賄賂を渡すとともに、その事実を米投資家に隠した罪で、アダニ氏らを起訴した。
アダニ・グループは今回の起訴ついて、根拠がないものだとコメントしている。だが投資家がニュースに注目する中、同グループの時価総額は計約270億ドル減少した。同グループが市場に影響する情報の開示義務に違反したかインドの規制当局が調査中とされている。
アダニ・グリーン株を保有するファンドの大半は、欧州連合(EU)のルールの下で、ESG指標を「促進」するかESGを明確な「目的」とするカテゴリーで販売されている。
欠陥指摘する好機との見方
770のファンドの運用資産は計約4000億ドルに上り、世界最大級の運用会社が手掛けているものもある。アダニ・グリーン株の保有比率は平均で純資産額の1%未満にとどまる。
ESGファンドの運用者はESGリスクから投資家を守るため特別なスクリーニングを実施すると想定されており、そのために手数料が通常よりも高くなる場合が多い。それにもかかわらず、ESGラベルは何度も期待を裏切っている。
ブルームバーグはロシアのプーチン大統領がウクライナに侵攻した際、ESGファンドがロシア資産を保有していると報じた。 保有資産は国債や国営石油・ガス会社に及んだ。 ESGファンドはまた、ガバナンスリスクの高まりに対応できず、昨年前半に米シリコンバレー銀行(SVB)が破綻した際も判断を誤った。
シンガポールのSGMCキャピタルのポートフォリオマネジャー、モヒト・ミルプリ氏は、数百本のESGファンドが今もアダニ・グリーンに投資している事実は「驚くべきこと」だと指摘する。同氏は、レバレッジに過度に依存している懸念から22年末にアダニ・グリーン社債を売却したと言う。
ミルプリ氏はアダニ・グリーンについて「現時点で株式を保有する理由はない」とし、ESGファンドによる同社株の保有について、ガバナンスリスクを適切にスクリーニングする能力を「疑わせる」と語った。
ESGと長年距離を置いてきた投資家らは今回の事例を、欠陥を指摘する好機と捉えている。
英ヘッジファンド、アルゴノート・キャピタル・パートナーズの創設者兼最高投資責任者(CIO)のバリー・ノリス氏はアダニ・グリーンの事例について、ESGムーブメントに「不正、ごまかし、悪巧み」が潜み、「道徳の衣」でそうした行為を覆い隠していることを示すと話した。
【コラム】バフェット氏の人生訓、投資術以上の価値-コウィット - Bloomberg
●中東情勢
ヒズボラが停戦合意違反、イスラエルが非難 レバノン南部を砲撃 | ロイター
イスラエルと福音派のジレンマ|ARAB NEWS
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ドナルド・トランプ氏の米国大統領選勝利に狂喜した。トランプ氏の新政権は、国防大臣からイスラエル大使に至るまで、福音派の人材を多く登用する。ネタニヤフ首相は、これを「偉大なイスラエル」という夢を実現する千載一遇のチャンスと捉えている。つまり、パレスチナ人を彼らの土地から追い出し、歴史的なパレスチナの全領土を占領するという夢である。しかし、彼やその救世主的な政府が想像しているような展開にはならないかもしれない。また、福音派がイスラエルの同盟者となるとは限らない。
イスラエル政府内の救世主主義の過激派は、ヨルダン川西岸地区の併合を喜んで行うだろう。すでに、ガザ地区への再入植の話も出ている。トランプ氏は、1期目でゴラン高原の併合に同意したのと同じように、ヨルダン川西岸地区の併合に同意するかもしれない。キリスト教ナショナリズムに駆り立てられ、イスラエルやユダヤ人への愛ではなく、福音派の支持基盤を喜ばせるために、そうする可能性もある。
しかし、重要なのは「その後」である。もしイスラエルがヨルダン川西岸地区を併合した場合、パレスチナ人に対してどのような措置を取るのだろうか? 注目すべきは、国連で国境を確定していない世界で唯一の国がイスラエルであるということだ。イスラエルは併合した土地に対して、国境を確定しないという選択肢を残している。しかし、トランプ大統領の賛同を得て占領地区を併合したとしても、イスラエルの過激派が最終的に目指す「民族浄化」にトランプ大統領が同意するということではない。
今週、イスラエルのべザレル・スモトリッチ財務大臣は、イスラエルがガザ地区を占領し、パレスチナ人の人口を「2年以内に半分に減らす」よう求める主張を繰り返した。1948年や1967年には、民族浄化は現在よりもはるかに隠しやすかった。しかし、ソーシャルメディアや独立系メディアの台頭により、民族浄化のような大規模なものを隠すのは難しくなっている。
一方で、イスラエルはすでに国際社会からの厳しい監視にさらされている。国連のパレスチナに関する特別報告官からはジェノサイドの非難を受けている。フランシスコ法王はジェノサイドの可能性について言及した。国際司法裁判所ではジェノサイドの訴訟が進行中である。国際刑事裁判所は、ネタニヤフ首相と元国防相に対して逮捕状を出している。したがって、世界がもう一度民族浄化の波を許すことはまずないだろう。アラブ諸国も、民族浄化の波は次世代にまで影響を及ぼす問題であることを理解している。
しかし、併合は、トランプ氏がそれをどう表現するかによっては、進歩的な左派を取り込む手段となり得る。進歩的な左派の多くはパレスチナ国家について語らない。彼らはパレスチナの脱植民地化、つまり川から海までを自由にすることを語る。したがって、そこに住む人々すべてが、民族や宗教に関係なく、尊厳を持って、平等な権利を持ち、抑圧から解放されることを可能にするものとして提示されるのであれば、併合は受け入れられるかもしれない。
トランプ氏の国内における主要な争点は、移民の国外追放問題である可能性が高い。そのため、パレスチナ問題に関して進歩派と新たな戦線を展開することは望んでいないだろう。パレスチナ問題は、彼が支持基盤を喜ばせ、同時に反対派をなだめるための手段となり得る。
また、イランを攻撃し、テヘランの体制を転換することを主張するネタニヤフ氏の世界観を、トランプ氏は共有していない。彼は反戦を掲げて選挙戦を戦った。2019年6月にイランがアメリカの無人機を撃墜した際でさえ、彼はイラン攻撃を控えた。イスラエルはトランプの孤立主義傾向を過小評価している。彼はイスラエルのために、この地域で新たな戦争を始めることは望んでいないだろう。
トランプ氏は、ネタニヤフ氏が夢想する人口移動が地域戦争の引き金になりかねないことをよく理解している。300万人のパレスチナ人をヨルダンに追放することは、ハシェミット王国の存続を脅かすことになる。この場合、ハマスが復活し、イランからイラク、ヨルダン、そしてシリアにまで及ぶ戦線が開かれる可能性がある。トランプ氏はこのようなリスクを冒したいだろうか?さらに、米国が民族浄化の新たな波を許せば、国際的にも国内的にも厳しい監視の目に晒されることになるだろう。
ネタニヤフ氏がほとんど注意を払っていないもう一つの要因がある。それは「プロジェクト2025」だ。トランプ氏は大統領の行政権限を強化するつもりである。これは基本的に、議会からの圧力が弱まることを意味する。過去にジョージ・H・W・ブッシュからバラク・オバマまで、大統領がイスラエルに何かを課そうとした場合、親イスラエル派が多数を占める議会から非難されたことが何度かあった。もしトランプ氏が議会を脇に追いやり、イスラエルに圧力をかけることができれば、ヨルダン川西岸地区からの立ち退きを阻止できるだろう。
イデオロギーに目を奪われたこの救世主的なイスラエル政府にとって、併合が目的なのかもしれない。しかし、そのメンバーは、自分の望みが現実になることを慎重に考えるべきである。トランプ氏がそれに同意する可能性もあり、もしそうした場合、それはネタニヤフ氏が想像していたのとはまったく異なるものになるかもしれない。
【解説】 レバノン停戦は小休止に過ぎず、中東問題の解決策ではない……BBC国際編集長 - BBCニュース
レバノンでは大勢が、一刻も早い停戦を願っていた。ローマで開かれている中東関連の会議に私は出席しているのだが、そこでレバノンの著名アナリストは、停戦の時刻が近づくにつれて眠れなかったと話した。
「まるで子供の頃のクリスマス・イヴみたいだった。待ちきれなかった」
ほっとする理由はわかるだろう。レバノンでは、イスラエルの攻撃で3500人以上の民間人が命を落とした。多くの避難民は自宅に戻るため、車に荷物を詰め込んで夜明け前に出発した。戻った先で、自宅は破壊されているかもしれないのだが。
イスラエルの軍事行動によって、100万人以上が避難を余儀なくされた。数千人が負傷し、数万軒の家が破壊された。
しかしイスラエルでは、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラにもっと大きな打撃を与える機会を失ったと感じる人もいる。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、イスラエル北部の自治体の首長たちと会談した。北部からは約6万人の市民が南部に避難し、街はゴーストタウンと化した。
イスラエルのニュースサイト「Ynet」によると、この会合では怒号が飛び交う羽目になった。一部の地方当局者は、レバノン国内にいるイスラエルの敵に対して、イスラエル政府が圧力を緩めたことに怒っていた。イスラエル市民帰還のため直ちに実行する計画を、政府が提示していないことにも不満を抱いていた。
国境に近いキリヤト・シュモナの市長は新聞コラムで、停戦が実現するのか疑問だと書き、レバノン南部に緩衝地帯を設けるようイスラエル政府に要求した。イスラエルのテレビ局チャンネル12ニュースが実施した世論調査では、停戦の支持者と反対者がほぼ同数だった。
調査に回答した半数は、ヒズボラが敗北していないと考えている。30%は、停戦合意が破綻すると予想している。
9月下旬にニューヨークで開かれた国連総会では、合意が間近に迫っているように見えた。アメリカとイギリスの外交官は、今回発効された停戦に非常に近いものが実現しそうだと確信していた。
戦争の全当事者は、2006年のレバノン戦争を終結させるために採択された「国連安全保障理事会決議1701号」の条項に基づき、停戦を受け入れるつもりの様子だった。今回もこの安保理決議に基づき、ヒズボラは国境から撤退し、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)とレバノン軍がその代わりに配置されることになっていた。両軍が進出に伴い、イスラエル軍は徐々に撤退する予定だった。
しかし、ネタニヤフ首相は国連の演壇に立ち、イスラエルの攻勢を一時停止することなどしないと、停戦を拒否する激しい演説を行った。
ニューヨークの国連本部から市内のホテルに戻ったネタニヤフ氏は、ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララ師とその幹部の暗殺を命じる瞬間を、公式カメラマンに撮影させた。首相官邸はその写真を公開し、アメリカの外交努力にケチをつけた。計算ずくの行動だった。
ナスララ師暗殺は大々的なエスカレーションで、ヒズボラにとって大打撃となった。それから数週間にわたり、イスラエル軍はヒズボラの軍事組織に甚大な被害を与え続けた。確かにヒズボラは依然として境界線を越えてロケット弾を発射し、その戦闘員はイスラエルの侵攻部隊と交戦を続けている。しかし、もはやイスラエルにとってヒズボラは、かつてのような脅威ではなくなっている。
「物資補充」の時間だとネタニヤフ首相
軍事的に成功したことが、今こそ停戦の好機だとネタニヤフ氏が判断した一因だ。
パレスチナ・ガザ地区やその他のパレスチナ被占領地でイスラエルが目指していることに比べると、イスラエルがレバノンで目指している目標は限定的だ。イスラエルはヒズボラを北部の境界から押し戻し、自国民が境界沿いの町に戻れるようにしたいのだ。
イスラエルはアメリカから、ヒズボラが攻撃準備をしているようなら軍事行動を取ってもかまわないと、同意書を取り付けている。
ネタニヤフ氏は事前に撮影した声明で停戦決定を発表し、その時期が来た理由を列挙した。イスラエルはベイルートの地面を揺るがしたのだと力説し、今こそ「我々の部隊に休息を与え、物資を補充する機会がある」と続けた。
イスラエルは、ガザ地区とレバノンの連携も断ち切った。昨年10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエルとの戦争を開始した翌日、ヒズボラのナスララ師はイスラエル北部への攻撃を命じ、ガザで停戦が成立するまで攻撃を続けると主張していた。
ガザのハマスは今後、いっそう圧力を受けることになるとネタニヤフ首相は話した。パレスチナ人は、イスラエルのガザ攻勢が再び激化することを恐れている。
停戦のもう一つの理由は、ネタニヤフ氏が「イランの脅威」と呼ぶものに集中するためだった。ヒズボラへの打撃は、イランへの打撃を意味する。ヒズボラは、イスラエルをその国境沿いで直接脅かすためにイランが育て上げたもので、イランの「抵抗の枢軸」内の最強勢力だった。「抵抗の枢軸」とは、イランの同盟国や代理勢力で構成された前進防衛ネットワークを指す。
なぜイランは停戦を求めたのか
生き残ったヒズボラ幹部と同じように、彼らを支援するイランの政府幹部も停戦を望んでいた。ヒズボラは、傷をいやすための休息を必要としている。イランは地政学上の損失続きを食い止める必要がある。「抵抗の枢軸」はもはや抑止力を失っている。ナスララ師の暗殺後にイランはイスラエルをミサイルで攻撃したが、自分たちが受けた傷に見合うほどの効果はなかった。
ヒズボラは、イスラエルがレバノンだけでなくイランを攻撃するのを抑止するよう設計された。しかし、ヒズボラをそういう組織にした2人は、すでに暗殺された。一人は、2020年1月にイラクのバグダッド空港でアメリカのドローン(無人機)攻撃に殺害された、イラン革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官。この命令はドナルド・トランプ氏が、第1次政権の末期に出したものだった。もう一人のナスララ師は今年9月、ベイルート南郊で大規模なイスラエルの空爆によって殺害された。
ヒズボラとイランの抑止戦略は、2006年の戦争終結後、ほぼ20年間にわたりイスラエルの抑止力と拮抗していた。しかし、昨年10月7日にハマスから襲撃されたイスラエルは、自分たちが展開する報復戦争について一切の制約を受け付けないと決めた。これは、10月7日の攻撃が中東情勢にもたらした多大な変化のひとつだ。イスラエルにとって最も重要な同盟国のアメリカも、提供する武器の数量や使用方法にほとんど制限を設けなかった。
ナスララ師とイランは、事態を見誤った。イスラエルがどう変わったのかを理解していなかった。ヒズボラとイランはイスラエルに消耗戦を強いようとしたし、1年近くはそれができていた。しかしイスラエルは今年9月17日、情報機関がヒズボラに購入させたポケベル型端末に仕掛けた小型爆弾を作動させることで、この状況を打破した。
ヒズボラはバランスを崩した。そして、イランに提供された最強の武器でヒズボラが反撃できるより先に、イスラエルはナスララ師とその主要な副官のほとんどを殺害し、武器庫を破壊した。続いて、レバノン南部に侵攻し、境界の村やヒズボラのトンネル網を片端から破壊した。
トランプ次期米大統領とガザと未来
レバノンでの停戦は、必ずしもガザ停戦の前兆ではない。ガザはレバノンとは違う。ガザ地区での戦争は、境界の安全やイスラエルの人質に関することだけを争っているのではない。
ガザ地区での戦争には、報復の側面もある。さらに、ネタニヤフ首相の政治生命や、ネタニヤフ政権がパレスチナの独立への希望を完全に拒絶していることも関係しているのだ。
レバノンでの停戦はもろい。うまくいくため必要な時間を稼ぐべく、わざとゆっくり慎重に進められている。この停戦発効から予定される60日間の停戦期間が過ぎると、アメリカではトランプ氏が再びホワイトハウスに戻る。トランプ次期大統領はレバノンでの停戦を希望するとほのめかしているものの、その具体的な計画はまだ明らかになっていない。
中東各国は、自分たちの地域に次期大統領がどう影響するのか、様子を見ている。1972年の「ニクソン訪中」のような歴史的瞬間を作り出すために、トランプ氏がイランに接触したがるのではないかと、そう期待する楽観主義者もいる。
一方で悲観主義者たちは、イスラエルと並んで独立したパレスチナを創るという、いわゆる「2国家解決」について悲観している。アメリカはこれまで形だけでも「2国家解決」を支持する姿勢を見せてきたのが、そのポーズさえトランプ氏は放棄するのではないかと。そうなると、パレスチナ被占領地の中でイスラエルが欲しがっている地域が、併合される事態につながるかもしれない。その対象には、ヨルダン川西岸地区の大部分とガザ北部が含まれる。
しかし、中東の人たちが今後なお何世代にもわたって戦争と暴力的な死に見舞われないようにするには、地域の根本的な政治的断絶に向き合い、解決しなくてはならない。これは確かなことだ。そしてこの地域における最大の断絶とは、イスラエルとパレスチナの紛争なのだ。
ネタニヤフ首相とその政府、そして多くのイスラエル人は、軍事的勝利に向かって突き進めば、敵を支配できるはずだと信じている。首相は、アメリカの制約を受けずに力を行使し、中東での勢力均衡をイスラエルに有利な形に変えようとしている。
1世紀以上続く紛争の中で、アラブ人とユダヤ人の双方が軍事的勝利による平和を何度も夢見てきた。どの世代もそれを実現しようと挑戦しては、失敗してきた。2023年10月7日にハマスが行ったイスラエル攻撃は、壊滅的な結果をもたらした。そして、イスラエルがパレスチナ人の自決権を否定し続けた状態のままで、この紛争が制御可能だなどという幻想も打ち砕いた。レバノンでの停戦は一時的な小休止に過ぎない。解決策ではないのだ。
●エマージング
ウクライナ全土で停電、ロシアが大規模攻撃 報復とプーチン大統領 | ロイター
インドネシア地方選、大統領派が勝利へ ジャカルタは野党リード | ロイター
韓国中銀、15年ぶり2会合連続利下げ トランプ氏復帰で追加緩和も | ロイター
韓国銀行(中央銀行)は28日、据え置き予想に反して政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、3.00%とした。景気がさえず、トランプ次期米大統領の誕生による貿易リスクにも警戒する中、2会合連続で利下げを決めたほか、追加緩和も示唆している。
2会合連続の利下げは2009年初め以来。金融通貨委員会での表決は5対2だった。
ロイター調査で25bp利下げを予想したエコノミストは38人中4人で、残りは据え置きを見込んでいた。
李昌ヨン総裁はトランプ氏の返り咲きが輸出に依存する韓国経済の見通しを曇らせる中、3委員が今後3カ月以内の追加緩和に前向きだと明らかにした。
記者会見で「主要国との輸出競争は激化しているように見える。トランプ氏勝利後の貿易環境に関する先行きの不確実性にも留意した」と述べた。
新韓投資証券のアナリスト、アン・ジェギュン氏は「反対した委員が2人いたとはいえ、近いうちの利下げに前向きな委員が3人もいたということはさらなる緩和を示唆している。特に李総裁は成長支援に一定の重点を置いていた」と指摘。来年第1・四半期に再び利下げがあると予想した。
第3・四半期の韓国経済はテクニカルリセッション(2四半期連続のマイナス成長)をかろうじて回避。地元メディアが先週報じたところによると、政府は個人消費不振などに対処するため、来年早々に補正予算を編成することを検討している。
<外為市場安定へ政府と協力>
李総裁は今年アジアで最もパフォーマンスの悪い通貨となっているウォンを巡り、さらなる下落圧力への用意があるかどうか尋ねられると、必要に応じて外為市場を安定させるために政府と協力すると答えた。
中銀はまた、経済成長率とインフレ率の見通しをともに引き下げた。
今年の成長率見通しは従来の2.4%から2.2%に、来年は従来の2.1%から1.9%に修正した。
今年の消費者物価指数(CPI)上昇率は2.3%を見込んでいる。従来予想は2.5%だった。
政策に敏感な3年物国債先物は政策決定を受け、一時0.22ポイント上昇して106.63を付けた。ウォンは下落した。
中国船、意図的に錨引きずったか バルト海ケーブル切断 - WSJ
ブラジル・レアルが日中取引で過去最安値、予算案に投資家が失望売り - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
仕事と生活に関する8つの教訓 11年間の取材より - WSJ
11年間も仕事に没頭すると、コツの一つや二つは身に付くものだ。
私は2013年にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)でキャリアとリーダーシップについて書き始めた。通勤は毎日のルーティンだった。2008年の不況の影響が企業生活の随所に残っていた。スキニージーンズが流行(はや)っていたが、職場に履いて行けるのはおそらく金曜日だけだった。
28歳で新婚だった私は、毎朝、自分の小さなアパートからニューヨークのミッドタウンにあるWSJ本社まで歩き、デスクでヒールに履き替えながら、不安と高揚感を同時に感じていた。所属部署では仕事と家庭の両立方法を見いだしたかのようなワーキングマザーたちを観察した。私自身はどうなるのだろうかと考えていた。
何百本もの記事、4回の引っ越し、2人の子ども、1回の昇進を経て、私は愛する「仕事と生活」のコラムに別れを告げることになった。研究を分析し、専門家に質問し、何百人もの働く人たちの話を聞くことができたのは特権だった。それは私の人生を変えた。
以下は、私が学んだ最高の教訓だ。
①欲しいものは手に入れる
ほとんど何でも要求できると分かった。それは手に入らないかもしれない。しかし、正しくやれば自身が傷つくことはないはずだ。交渉のバイブル「ハーバード流交渉術(Getting to Yes)」の共著者ウィリアム・ユーリー氏が言う「BATNA(Best Alternative To a Negotiated Agreement:交渉合意について最善の代替案)」を常に持っておくことだ。言い換えれば、要求する前に確実な代替案を用意しておけばよい。
もし交渉相手の答えがノーだったら、あなたは立ち去るのか、別のプロジェクトに集中するのか、副業を始めるのか? 代替案は要求していることと比べてどれくらい良いものか? 代替案が魅力的であればあるほど、交渉では大きな力を持つことができる。
創造的に考えよう。昇給が必要なのか、それとも今より柔軟なスケジュールや無給の長期休暇が必要なのか? 要求しているのではなく、あなたは会話を始めているのだ。
②昇給と言えば…
給与について同僚と共有しよう。彼らの給与を尋ねよう。さりげなく、慎重かつ巧みに。
確かに、気まずくなる可能性があり、リスクもある。手厳しく断られるかもしれない。それでも、企業の給与プロセスに光を当て、あなたが受けるべき報酬を得るための最良の武器だと私は考えている。
③あこがれの人になろう
私がいつもうらやましいと考えていた同僚は、自然な自信と余裕を見せながら仕事で成功している人たちだった。彼らは緊急でないメールにはおそらく明日まで返信しない。重要なことに忙しいからだ。あまり慌てず、ある種の楽観主義を示し、仕事を…楽しそうに見せる。
私は懸命に仕事をすることに価値があると信じているが、ただ頑張るだけでは何も得られないと思う。自分自身と周囲の人について上手に自慢しよう。集中的な仕事の期間と静かな充電時間を交互に行うなど、「スローな生産性」のいくつかの原則を試してみよう。
そして、不安、すなわち頭の中で「自分は偽物だ」と言う声を捨てよう。企業は、仕事を何よりも優先する不安症の優等生によって運営されている。多くの場合、それは企業にしか役立たない。
④ついていない日々
ジャーナリズムの最初の大きな仕事に応募して選考に落ちた頃、失敗はキャリアの一部だと、誰かが私に教えてくれたらよかったのにと思う。少なくとも、失敗はキャリアの面白い側面だ。一直線にトップまで上り詰める天才でさえ、時には失敗する。だが彼らは気にせず前に進む。
整然と道を進み、常に「イエス」という声ばかり聞いているなら、おそらくあなたは十分に高い目標を設定していないか、大失敗が近づいている。ほとんどの業界で、もはや保証となるものはない。
⑤人生を受け入れる
私が働く親になろうと必死に努力した年月があったからかもしれないが、あなたの人生に二つ愛するものがあるのは素晴らしいことだと思う。
「ある意味で自身の実存上の卵を分散させるようなものだ」。臨床心理学者のヤエル・ションブラン氏はワークライフ・バランスの衝突に関するコラムの取材時に私にそう語った。
仕事と子育てのバランスを取ることが難しくないとか、企業や政府がそれを改善するためにできることがないと言っているわけではない。しかし、それはあなたの人生に大きな視点と深みをもたらし、仕事あるいは子育てをもっと軽く受け止められるようになる。職場の会議で大失態を演じても、家に帰り、笑顔でよちよち歩いてくるわが子を見れば、世界の終わりだとは感じなくなる。そして泣き叫ぶわが子についても、会議で成功すれば世界の終わりだとは感じなくなる。同じことが、好きな趣味に没頭したり、あらゆる種類の個人的な関係を築いたりすることにも当てはまる。
働く親として一番ストレスの多い日々に、私は仕事で最悪だった日を思い出す。体外受精の失敗を経験しながら、職場内保育所について取材した日だ。私はインタビューした母親や父親たちの仲間入りをしたいと強く願っていた。子育ての苦労も含めて。
私はついにその機会を得た。それは贈り物だった。
⑥ゆっくり戻る
育児休暇やサバティカル(長期有給)休暇、あるいは長期のバケーションを取った後は、水曜日に仕事に戻ろう。3日間なら乗り切れる。
⑦どれだけ話すべきか
仕事の場で自分自身をさらけ出すべきか? おそらくそうすべきではない。とはいえ、前述した体外受精に関して、私はオフィスでたくさん泣いた。素晴らしい同僚や上司がいるなら、そのことについて共有しても問題ない。そうでなければ、不妊や心の健康の問題について打ち明けることは慎重に考えよう。多くの職場に偏見はまだ残っている。
アドバイスをする際、私は職場がどうあるべきかという理想と、私たちが実際に生きている現実のバランスを取ろうと努めた。特に女性や有色人種の場合、仕事で自分の実力について主張することについて、スタンフォード大学ビジネススクールのジェフリー・フェファー教授が私に語ったことをよく考える。
「もちろん人々を怒らせるでしょう」と彼は言った。だからといって、それに価値がないとは言えない。
読者の皆さんが、私たち全員のためにより良い状況を作るべく、可能な限り限界を押し上げることを願っている。 
⑧飛躍の時
私はアドバイスを目的としたコラムを書くことで、魔法のような答えがあるケースは少なく、問題について考える際に優れたやり方があるだけだと学んだ。2020年6月にこの仕事のオファーを受けた時、1歳児と2歳児、それに新型コロナ禍の組み合わせで頭が混乱し、断りかけた。
「どうすべきか教えて!」と私は夫や親友、そして聞いてくれる人みんなに懇願した。
ある相談相手が最も役に立った。
「あなたの夢の仕事を想像しなさい」と彼女は私に言った。「この仕事はそれに近づいているのか、それともそこから遠ざかっているのか?」
この仕事は私を夢の仕事にとても近づけた。何年もの間、このコラムを書くことは夢がかなったようなものだった。しかし、目標は変わらないものではない。今、私は本を書くことと家族に多くの時間を費やすことを夢見ている。その機会を得られることに興奮し、怖れさえ抱いている。
あなたの夢は今、新しい肩書き、週4日勤務、あるいは充実した休暇かもしれない。この4年間のコラムがあなたをそこに導くことを願っている。そしてそれを達成したら、ぜひ聞かせてほしい。
福利厚生の新たな戦場「ペットの病気休暇」 - WSJ
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(28日) | ロイター
### 外為市場
- **ユーロ**: 0.2%下落し、1.0546ドル。先日のECBタカ派発言での上昇を一部失った。
- **円**: 1ドル=151.58円まで下落。ただし、週ベースでは2.1%上昇し、米大統領選後の下げを回復中。
- **ドル指数**: 106.21に上昇。前日は105.85と2週間ぶりの安値を記録。
- ECBが25bpの利下げをほぼ確実視される一方、50bp利下げの可能性は13%。
### 株式市場
- **ロンドン市場**: 小幅続伸。保険株が主導し、特にダイレクト・ラインは41%急騰。
- **欧州市場**: 反発。ハイテク株が主導し、特に半導体関連が上昇。
- **フランス政局**: 予算案を巡る不透明感が高まり、政治的リスクが市場に影響。
### 債券市場
- **フランス国債利回り**: 市場の落ち着きにより小幅低下。
- **ドイツ国債利回り**: 10年債が2.126%、8週間ぶりの低水準。
市場全般では、米国が感謝祭で休場していたため取引は薄く、動きは限定的だったことが指摘されています。

備忘録(2024/11/27
●海外企業決算
●海外企業
モルガン・スタンレーの富裕層資産運用、怪しげな顧客取り込む - WSJ
米金融大手モルガン・スタンレーは昨年、長年の証券顧客が2005年に米国の裁判所で有罪となっていたことを知った。罪はテロ捜査に関して虚偽の供述をしたというもので、この顧客は国際テロ組織アルカイダによる米大使館爆破事件とのつながりもあった。
モルガン・スタンレーは法執行機関に通報し、顧客の口座を閉鎖した。その時点で、少なくとも数万ドルがパキスタンのATMから引き出されていた。
しかし、この過失は例外的なものではなかった。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した社内文書によると、あるケースでは、50億ドル(約7700億円)以上の資産を持つと主張する自称プリンセスが、基本的な身元調査や適切なデューデリジェンス(資産査定)が完了していないのにもかかわらず、数週間にわたって同行との取引が許可されていた。
彼女は自身の資産の出所について奇妙な説明をした。ルーマニア最後の王の親族だと語ったり、評価額が数十億ドル相当の製薬会社のオーナーだと主張したりした。最終的には、同行のグローバル金融犯罪対策部門が顧客関係を断つよう促した。
金融犯罪対策部門の従業員の一人は、この混乱した事例について「信じられない。まるでタランティーノ映画のラストシーンみたい…みんなが殺しまくる」と社内のチャットに書き込んだ。
モルガン・スタンレーのウェルスマネジメント(富裕層向け資産運用)部門は約6兆ドルの資産を運用している。同行の総収入の半分近くを占め、重要な利益をもたらしている。
WSJはこれまで、米司法省、連邦準備制度理事会(FRB)、証券取引委員会(SEC)、財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)、その他機関が、同行の審査手続きを巡り、マネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐための十分な管理体制を備えているか調査していると報じてきた。
電子メール、社内チャットの記録、報告書を含む新たに確認された内部文書と、約20人の現・元従業員や幹部への取材に基づくと、同行の日常業務は規制当局が定めた基準を満たしていないように見える。
モルガン・スタンレーは、ベネズエラなど金融汚職や麻薬取引で知られる国々から顧客を勧誘した。連邦捜査当局は、ベネズエラの元政府高官に関連する汚職で得た資金の洗浄に、同行が口座の利用を認めたかどうかを調べている。
複数の文書は、ロシアと制裁対象のロシアの銀行へのエクスポージャーによってモルガン・スタンレーのリスクが高まっていると警告しており、同行は財務省からそれに関する注意を受けた。問題のある口座の一つでは、SECがロシアとつながりのある富豪との取引を調査している。この富豪はロシアのウクライナ侵攻後に英国から制裁を受けた。
モルガン・スタンレーのマネロン防止策の遅延により、数千の口座の審査に滞りが生じたが、その間も取引は継続が許可されていた。
外国の顧客に焦点を当てているにもかかわらず、顧客リスクを評価すべき従業員の中には、必要な言語を理解できなかったり、外国語の書類を理解するためにグーグル翻訳を使用したりした者もいた。モルガン・スタンレーが他行から国際的な富裕層向け事業を相次いで買収する中でも、顧客審査を担当する従業員は解雇された。疑わしい活動や他の危険信号を見つけるために顧客名をグーグルで検索するといった簡単なチェックも行われなかったり、従業員がその結果を見過ごしたりした。
ある2023年の文書によると、資産運用に関わる数千の口座が、マネーロンダリング、脱税、その他の違法の可能性がある行為に関して高リスクである特徴を示していた。ウェルスマネジメント部門は、多くの資産を持つ米国人や外国人を顧客として獲得する取り組みを強化してきた。
これらの口座は、富裕層向け資産運用を行うモルガン・スタンレーの金融アドバイザーの広大なネットワークと、同行傘下のネット証券大手Eトレードに散在している。
問題はほぼ全てのレベルで発生し、長年にわたって悪化している。 
2023年の文書では、モルガン・スタンレーは国外の資産運用口座の24%に当たる4万6572口座について、マネロンのリスクを「高/高+」と評価していた。Eトレードが運用する国外の少なくとも2万5000口座も、高リスクと判断した。
同文書によると、モルガン・スタンレーは自行のマネロン対策について、厳格なデューデリジェンスを巡る「世界的に長年続いている問題」を理由として、評価を「脆弱(ぜいじゃく)」に引き下げた。
モルガン・スタンレーは、マネロン対策やその他のプロセスの改善に進展があったとしている。「過去数年間、われわれの最優先事項の一つは、業界をリードするビジネスの成長に歩調を合わせるため、(マネロン対策、審査、デューデリジェンスに関連する)人材、プロセス、技術に多額の投資を行うことだった」と文書で説明し、「こうした取り組みから具体的な成果が出始めている」と述べた。
モルガン・スタンレーのウェルスマネジメント部門を率いるジェド・フィン氏は、今年初めに開いた従業員との会議で、富裕層部門の問題を修正することが最優先事項だと述べ、これには顧客審査やバックオフィスの手続きの改善、人員増強、技術のアップグレードが含まれるとした。
マイクロソフトを米反トラスト当局調査、数百ページの要求書送付 - Bloomberg
●日本企業
旭化成が総額1000億円の社債発行へ 借入金の返済に充当 - 日本経済新聞
JERA、冬の電力需給対策 石炭火力活用し安定供給へ - 日本経済新聞
ユニチカが繊維撤退 三菱UFJ銀行など、300億〜400億円債権放棄へ - 日本経済新聞
●先進国政治動向
トランプ氏、NEC委員長にハセット氏指名-USTR代表にグリア氏 - Bloomberg
トランプ次期米大統領は26日、ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)委員長にケビン・ハセット氏、米通商代表部(USTR)代表にジェイミーソン・グリア氏を指名した。
トランプ氏は声明でハセット、グリア両氏を称賛した。両氏は新たな関税導入や減税など新政権の主要政策課題を主導する役割を担う。
トランプ氏は声明で、ハセット氏は「バイデン政権がもたらしたインフレで打撃を受けた米国の世帯を立ち直らせる上で重要な役割を果たすだろう。われわれは共に記録的な減税を更新・改善していく」と期待を表明。
グリア氏については「膨大な貿易赤字を抑制し、米国の製造業と農業、サービス業を守り、世界中の輸出市場を開放すること」に集中的に取り組むだろうと述べた。
グリア氏はトランプ政権1期目にUSTR代表を務め、中国などの敵対国と同盟国への巨額の関税賦課を統括したロバート・ライトハイザー氏の下で首席補佐官を務めた。
トランプ次期大統領は通商政策を用いて連邦政府の歳入を増やし、製造業の雇用を米国に戻すよう企業に圧力をかける考えを示唆している。グリア氏の起用は関税がトランプ氏の経済政策課題で中心的な役割を果たすことを示している。
ハセット氏はトランプ政権1期目で上級顧問と大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務め、税制改革を積極的に擁護した。現在はトランプ氏の一連の関税案を支持している。トランプ氏は来年失効する個人や中小企業向け減税措置の更新を公約している。
トランプ氏の関税巡る脅しに「既視感」-1期目踏襲なら交渉幕開けへ - Bloomberg
トランプ次期米大統領が政権1期目の戦略を踏襲するのであれば、米国の主要貿易相手国に関税を課すというトランプ氏の脅しは交渉の終わりではなく始まりとなる。
トランプ氏はソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、移民や違法薬物の流入を理由にカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと発表した。この3カ国は米国の貿易全体の約40%を占める。
この発表はトランプ政権1期目で相次いだ脅し文句と似通っている。トランプ氏は2019年5月、メキシコが米南部国境での移民流入を阻止しなければ、10日以内に5%の関税を課し、徐々に引き上げていくとソーシャルメディアに投稿した。メキシコはこれに従い、関税は課されなかった。
現在の貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」締結の際に交渉に関与したメキシコのフアン・カルロス・ベイカー元経済省通商担当次官は「非常に既視感を抱いている」と述べる。
ベイカー氏は、トランプ政権1期目の貿易相手国は「何かしらを学んだ。そして、その経験は役に立つ」としながらも、「しかし、『トランプ1.0』を経験したからといって、何が起きるのか、どう対応すべきかを正確に把握していると決めつけるのは危険だ」と警告した。
今回の課題の一つは、トランプ氏の就任がまだ2カ月近く先ということだ。自国の経済にダメージが及ぶことも含め、トランプ氏がどこまで踏み込むつもりなのかは未知数となっている。 
コンサルタント会社オリバー・ワイマンのパートナー、ダニエル・タネンバウム氏は26日、ブルームバーグラジオの番組「サーベイランス」で「政権に就く2カ月前のこうした発表は交渉を開始する準備ができていることを明確に示している」と指摘。「新政権チームが発足後に実際に何をするのかを見守る必要がある」と話した。
トランプ政権2期目では大きな相違点が二つある。
一つ目はトランプ氏が権力を用いる手段についてより熟知している点だ。非公開情報として匿名を条件に事情に詳しい関係者が話したところによると、トランプ氏は今回、国際緊急経済権限法(IEEPA)を利用する計画で、非常事態宣言を出した上で関税を迅速に課すという。1期目では調査などで関税賦課に約1年を要していた。
法律事務所トンプソン・ハインで北米と中国の貿易問題に取り組んできた上級顧問、ダン・ウッツォ氏は「テンポは速いだろう」とし、25日夜に発表された関税は「戦術的かつ取引的」で「狙った結果を達成するために設計されている」と分析した。
二つ目はトランプ政権1期目で財務長官を務めたスティーブン・ムニューシン氏や国家経済会議(NEC)委員長だったゲーリー・コーン氏、元国務長官のレックス・ティラーソン氏など市場に友好的な人物が姿を消したことだ。
最近発表された第2次トランプ政権の閣僚人事の大半を見る限り、最も重要な特質はトランプ氏および同氏の体制批判スタンスへの忠誠心と見受けられる。
もっとも、次期財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏は例外かもしれない。ヘッジファンド運用会社を率いる同氏は貿易制限の実施について段階的なアプローチを呼び掛けており、関税の正確な規模について交渉することにオープンとみられている。
トランプ氏の政権移行チーム、米朝首脳会談を検討=関係筋 | ロイター
トランプ次期米大統領の政権移行チームは、トランプ氏と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の直接会談を検討している。北朝鮮に対する新たな外交面の働きかけにより、紛争のリスクを軽減する狙いだ。事情に詳しい2人の関係者が明らかにした。
政権移行チームの数人は現在、トランプ氏からの直接的な働きかけが、北朝鮮との融和を図る上で最も有力な方法だと考えている。
ただ関係筋は、直接会談へ向けた政策協議は流動的であり、トランプ氏による最終的な判断はまだ下されていないと話した。政権移行チームはコメント要請に返答しなかった。
直接会談を申し入れたとしても、金氏側がどのように対応するかは不透明だ。北朝鮮はここ4年間にわたり、前提条件なしでの交渉再開へ向けたバイデン米大統領の呼びかけに応じておらず、現在はミサイル配備の拡大を誇示するとともに、ロシアとの関係を大きく緊密化している。
トランプ氏は2017─21年の1期目の大統領在任中に金氏とシンガポール、ベトナムのハノイ、北朝鮮の軍事境界線がある板門店で計3回会談しているが、具体的な成果を出すには至らなかった。
【社説】関税を振りかざすトランプ氏 - WSJ
さあ行くぞ。ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに復帰するのはまだ2カ月先だが、同氏は既に自分の政治と外交政策の目標を達成するための万能の手段として関税を振りかざしている。市場はそれに慣れなければならないだろう。経済・戦略面の混乱に関係なく、これがトランプ政権2期目のやり方になるのだから。
トランプ次期大統領は25日、ソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルへの投稿で、メキシコとカナダからのすべての輸入品に25%の関税をかけ、中国からの輸入品には10%の新たな関税を課すと約束し、一斉攻撃を行った。トランプ氏はカナダとメキシコに対する関税について、「この関税は、薬物、特にフェンタニルと、すべての不法移民がわが国への侵略をやめるまで有効であり続ける!」と述べた。
最初に注目すべき政治的ポイントは、トランプ氏が関税を正当化する理由が経済に関するものでも、米国での商品の「ダンピング」という不正行為に関する以前からの主張に基づくものでもないことだ。それが経済に関するものだったり、従来の主張に基づいていたりするなら、通常は経済的損害や国家安全保障上の脅威を示すような調査結果が必要となる。
ここで言う関税は、不法移民とフェンタニルの密輸を減らすというトランプ氏が選挙活動中にした約束を果たすためのものだ。彼が約束している一方的な行政措置には、一切の明確な法的根拠がない。トランプ氏は、米国の国内問題の解決を支援しなければ経済的損害を与えるとして、隣国で同盟国でもある2つの国を含む国々を脅している。
これは異例の関税の使い方だが、トランプ氏はこの脅しを2期目に頻繁に用いるつもりだ。彼は1期目にこれの別バージョンを試し、メキシコを国境警備の強化に協力させ、その結果に満足した。メキシコは「メキシコ待機」プログラムに協力し、移民申請に対する判断が下されるまでの間、移民をリオグランデ川の国境のメキシコ側で待機させた。
希望的観測に基づく現在の解釈は、トランプ氏はこうした国々の協力を得るための交渉戦略として、関税を使っているだけだというものだ。その通りなら、こうした国々が薬物や移民の米国への流入を減らすために行動すれば、彼は関税の脅しを取り下げ、国内向けに政治的勝利を主張するだろう。
問題は、この戦略が代償を伴わないわけではなく、二次的な被害が発生する恐れがあることだ。まず、越境貿易に依存して競争力を維持している米自動車産業から考えてみよう。自動車を組み立てる際、車両の部品や原材料は北米内の国境を越えて行き来する。国境を越えるたびに25%の関税が課された場合、価格が上昇し、米国の雇用が犠牲になる。この関税に関するニュースが報じられた26日に、フォード・モーターの株価が2.6%安、ゼネラル・モーターズ(GM)株が9%安と大幅下落したのは偶然ではない。トランプ氏は株価を気にしないかもしれないが、同氏が新たに取り込んだ労働者層の支持者はどうだろうか。
報復を受けるリスクもある。メキシコのクラウディア・シェインバウム大統領は26日、フェンタニルと移民の問題についてトランプ氏と協議することを申し出た。ただシェインバウム氏は、米国からの輸出品に報復関税をかける用意があるとも述べた。メキシコは過去に、関税対象となる米国製品や地域の選定において政治的に抜け目のないところを見せている。二大政党の勢力が拮抗(きっこう)している選挙区や州を考えてみるとよい。
シェインバウム氏は「関税には新たな関税で対抗することになり、一般的な取引関係をリスクにさらすまでその応酬が続くことになる」と述べた。同氏には自国の経済ナショナリストを満足させる必要がある。
決して小さくない問題もある。トランプ氏がこの関税を課した場合、同氏が1期目に交渉し、署名した米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)が破棄されることになる。この協定では、2026年までは見直しができないと規定されており、その後の10年で当事国は新たな条件で交渉するか、同協定を破棄することになる。
2019年にトランプ氏はUSMCAについて、「米国がこれまでに締結した貿易協定の中で、最良かつ最重要な協定」になるだろうと述べていた。彼が自身の短期的な政治目的のために同協定を破棄することになれば、国際協定に関する彼の言葉、ひいては米国の約束が、信用できないというメッセージを世界中に発信することになる。すべての米国の貿易相手国や同盟・友好諸国がこのメッセージを受け取れば、中国は輸出先として米国よりも信頼できる市場を提供すると約束することで、これらの国々を引き付けようとするだろう。中国の重商主義に対抗する上で米国が同盟・友好諸国の協力を期待するなら、これら諸国に貿易面で制裁を科すことは、とりわけ先見の明のない行動だ。
トランプ氏が関税を、単なる場当たり的交渉の道具ではなく、世界の貿易システム全体を作り変える手段と捉えている可能性もある。そうであれば彼は、ほとんどすべての商品を米国内で製造するよう米企業や外国企業に強いる試みとして、高い関税障壁を設けようとするだろう。この戦略に伴う経済的・政治的打撃については、別の機会に取り上げたい。しかし、投資家の立場になれば、こうした政策が取られる可能性を排除できない。そのような力をトランプ氏に与えないようにするのが、米議会にとって賢明な対応だろう。
大統領選期間中にわれわれが指摘してきた通り、関税がトランプ氏にまつわる主要な経済的リスクだ。トランプ氏は大統領選を通じて、自分のことを「タリフマン(関税男)」と称してきた。彼は関税措置を早期に、そして頻繁に利用することを目指している。それが波乱の展開になり得ることを覚悟しておくべきだろう。
フランス内閣、崩壊なら金融市場で嵐招くと首相-予算案否決の恐れも - Bloomberg
フランスのバルニエ首相は、政治的立場を超えて議員らが政府予算案の否決に動き、不信任投票で自らが首相の座を追われることも「可能性は低いがあり得る」と指摘し、その場合には、フランスは金融市場の「嵐」に直面すると警告した。
バルニエ首相はTF1テレビとのインタビューで、不信任案が可決されれば、「金融市場で恐らくかなり深刻な嵐と動揺が起きる」と述べ、内閣が崩壊する場合、緊急措置が取られるとしても、年間の政府支出を賄うことはできないだろうと発言した。
フランス政府は、大企業や富裕層への増税を柱とする606億ユーロ(約9兆7400億円)の収支改善策を盛り込んだ2025年度予算案を10月に公表した。
バルニエ内閣を支える勢力は議会で過半数に届かない。膨らむ財政赤字削減に必要な歳出抑制や増税の実行は難しく、借り入れコスト上昇を招く危険がある。
26日の欧州市場では、フランス国債のリスク指標がユーロ圏債務危機以降で経験のない水準に達した。フランス10年国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を上回り、2012年以来で最も拡大した。
シティグループのストラテジストによれば、バルニエ内閣の崩壊リスクを背景にスプレッドは100bp到達も想定される。アリアンツ・グローバル・インベスターズでマルチアセットのグローバル最高投資責任者(CIO)を務めるグレーゴル・ヒルト氏は「最終的にスプレッドがイタリア国債の水準に達することもあり得る」と予想した。
最終的な25年度予算案と社会保障予算案が提示された段階で、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)が不信任案支持に回るかどうかが、バルニエ首相の政治的命運を左右する。ルペン氏は、家計の購買力保護を強化する要求が満たされなければ、内閣の打倒に動く公言している。
ルペン氏が脅しを実行し、バルニエ首相は間もなく退陣を余儀なくされると思うというマクロン大統領の発言を仏紙パリジャンが報じたが、エリゼ宮(大統領府)はこれを否定した。
バルニエ氏は辞任の意思がないことを示唆し、国民議会(下院)の採決を経ずに法案を成立させる憲法49条3項の特例条項を用いざるを得ない可能性に言及した。
この手段に訴えれば、不信任案提出につながる恐れがあるが、極右と左派連合「新人民戦線」の両方の支持が成立に不可欠と考えられる。政治的に対立する二つの勢力は、いずれもバルニエ氏の予算案を批判している。
ルペン氏は政府が計画する電力消費税の引き上げ、医療費償還の引き下げ、年金の物価スライド延期に強く反発し、移民に関する追加措置も要求している。
ドイツの「債務ブレーキ」緩和すべき=メルケル前首相 | ロイター
ドイツのメルケル前首相は26日、財政赤字比率に上限を設ける同国の「債務ブレーキ」について、世界が深刻な時節にある今、緩和する必要があるとの考えを示した。ベルリンで開かれた回顧録の出版イベントでインタビューに答えた。
2021年に退任して以来3年ぶりに実質的な沈黙を破ったメルケル氏は、「ロシアによるウクライナ侵攻以来、状況は一変した。そしてこのことは、気候(変動)を巡る試練と時を同じくしている」と指摘。「そうした状況である以上、債務ブレーキの範囲内で可能な投資の規模でしのいでいくことは不可能だ」と述べ、投資目的に限って債務ブレーキを解除すべきだとの見解を示した。
メルケル氏は在任中、債務危機に陥った南欧諸国に救済と引き換えに厳しい財政支出削減を迫るなど財政規律派として知られ、今回の発言は驚きを呼ぶ可能性がある。
来年2月に見込まれる総選挙を控え、メルケル氏と同じキリスト教民主党(CDU)の党首で有力な首相候補であるフリードリヒ・メルツ氏は、債務ブレーキ改革について明言するよう迫られている。
メルケル氏は退任時にも人気を維持していたが、ロシア産エネルギーに大きく依存した同氏の政策がロシアのウクライナ侵攻につながったとの批判も出ている。メルケル氏はインタビューで「それが役に立つならメルケルのせいだと言いなさい」と語り、同氏を支持する聴衆の笑いを誘った。
メルツ党首が移民管理の厳格化を主張し、欧州の自由な人の移動を終わらせると批判されていることについては「メルツ氏が望むのはそんなことではない。彼は欧州人だ」と擁護した。
玉木国民民主代表、エネルギー政策で石破首相に申し入れ 原発新増設を | ロイター
トランプ氏とどう付き合う? 難問解いたアップルCEO - WSJ
●先進国中銀、金融当局
NZ中銀、政策金利0.5%引き下げ 追加緩和を示唆 | ロイター
●先進国経済指標
豪CPI、10月は前年比+2.1%で横ばい コアは伸び加速 | ロイター
独消費者信頼感指数、12月-23.3に悪化 雇用懸念が圧迫=GfK | ロイター
市場調査グループGfKとニュルンベルク市場判断研究所(NIM)がまとめた12月の独消費者信頼感指数はマイナス23.3で、小幅下方改定された11月のマイナス18.4から大幅に悪化した。
11月は改善していたが、主要企業が人員削減を発表する中、家計の悲観度が増し悪化に転じた。
12月のマイナス23.3は、5月(マイナス24)以来の低水準。ロイターがまとめたアナリストの予想(マイナス18.6)下回った。
NIMのアナリスト、ロルフ・ビュルクル氏は、企業が発表した人員削減や生産拠点の海外移転が消費者心理を悪化させたと指摘した。
年初に見られた景気回復期待は徐々に後退した。今後1年の見通しに関する指数は4カ月連続で低下し、2月以来の低水準となった。
米GDP、第3四半期改定値は+2.8% 速報値から改定なし | ロイター
米商務省が27日に発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比2.8%増と、速報値から変わらずだった。好調な個人消費を背景に、米経済が第3・四半期に堅調な成長を遂げたことを確認した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は速報値と変わらずの2.8%増だった。
第2・四半期のGDP伸び率は3.0%。連邦準備理事会(FRB)がインフレを伴わない成長率と見なす1.8%を大きく上回るペースで拡大している。
経済の3分の2以上を占める個人消費の伸びは3.5%と、速報値の3.7%から下方改定された。
貿易、在庫、政府支出を除いた国内民間需要は3.2%増。第2・四半期は2.7%増だった。
在庫評価・資本減耗調整を除く税引き後利益は前年比で9.6%増加した。
経済活動を所得面から測る国内総所得(GDI)の伸びは、第3・四半期は2.2%。第2・四半期は2.0%と、従来の3.4%から下方改定された。改定により、GDIとGDPの差は大幅に縮小した。
経済活動を判断する上でより良い指標とされるGDPとGDIの平均は、第3・四半期は2.5%増となった。
米耐久財受注、10月はコア資本財0.2%減 予想外に減少 | ロイター
米商務省が27日発表した10月の航空機を除く非国防資本財(コア資本財)受注耐久財受注は前月比0.2%減となった。市場予想は0.1%増だった。9月分は0.3%増と前回発表の0.7%増から下方改定された。
民間設備投資の先行指標となるコア資本財受注が予想外に減少し、今四半期の企業の設備投資が鈍化したことを示唆した。
コア資本財出荷は0.2%増。前月は0.1%減少していた。
資本財から国防関連を除いた受注は前月の3.5%減から、1.4%増加に転じた。出荷は1.9%減。前月は3.8%減だった。
全体の耐久財受注は0.2%増。前月は0.4%減だった。耐久財受注はトースターから航空機まで3年以上使われるモノを指す。
輸送機器の受注が、前月の1.9%減から0.5%増に増加したことが押し上げ要因となった。
自動車・部品の受注は0.4%減。民間航空機の受注は8.3%増。前月は16.6%減だった。ボーイングのウェブサイトによると、10月の航空機受注は63機。前月の65機から減少した。
民間航空機の出荷は11.8%減少。西海岸のボーイング工場で7週間続いたストライキが影響したとみられる。
米PCE価格、10月前年比+2.3%に伸び加速 インフレ高止まり | ロイター
米商務省が27日発表した10月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.3%上昇し、前月の2.1%上昇から伸びが加速した。インフレ抑制に向けた進展が過去数カ月に停滞していることを示した。
前月比は0.2%上昇。前月も0.2%上昇で改定されなかった。
米連邦準備理事会(FRB)は依然として12月会合で3回目の追加利下げを行うと予想されている。
トレードステーションの市場戦略担当グローバル責任者、デビッド・ラッセル氏は、「12月の利下げの可能性は残っているが、2025年については消えつつある」との見方を示した。
変動の大きい食品とエネルギー成分を除いたコアPCE価格指数は前年比2.8%上昇。前月は2.7%上昇だった。
前月比は0.3%上昇で前月と同じ伸びだった。
10月の個人消費は0.4%増でエコノミスト予想の0.3%増を上回った。前月は0.6%増(速報値は0.5%)に上方改定された。
インフレ調整後の消費支出は0.1%小幅に増加。医療、住宅・公共料金のほか、交通・娯楽などのサービスに対する強い需要に主にけん引された。サービスへの支出は0.5%増。
モノ(財)への支出は横ばい。衣服、家具など耐久消費財の支出は減少した。
貯蓄率は9月の4.1%から4.4%に上昇した。可処分所得は0.6%上昇。賃金の0.5%上昇に支えられた。
インフレ調整後の実質可処分所得は0.4%上昇。9月は0.1%上昇だった。
米新規失業保険申請は2000件減の21.3万件、減少基調続く | ロイター
米労働省が27日発表した11月23日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比2000件減の21万3000件となった。エコノミスト予想は21万6000件だった。
引き続き減少となったものの、解雇された労働者の多くは長期の失業状態にあり、連邦準備制度理事会(FRB)が12月に追加利下げに動く可能性は残っているとみられる。
29日が感謝祭のため、1日早い発表となった。
11月16日までの1週間の継続受給件数は9000件増の190万7000件だった。
今回のデータは11月の雇用統計の調査期間と重なっている。
米中古住宅仮契約指数、10月は前月比2.0%上昇 3カ月続伸 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
加・メキシコ産原油、トランプ関税導入なら値下げへ アジアに恩恵 | ロイター
トレーダーやアナリストによると、トランプ次期米大統領がカナダ、メキシコからの原油輸入に25%の関税を課した場合、両国の石油生産者は値下げとアジアへの輸出を余儀なくされる可能性が高い。
関係筋によると、トランプ氏が表明したメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課す計画では輸入原油も例外にはならない
ゴールドマン・サックスのグローバル商品リサーチ部門共同責任者、ダーン・ストルイベン氏は27日、記者団に「カナダの生産者は、輸出が制約され、これまで米国に輸出していた原油を他の市場に振り向けられない場合、値引きの拡大と収入減に見舞われる恐れがある」と述べた。
カナダとメキシコは主に高硫黄重質原油を輸出。精製は米国やアジアの製油所などで行われている。
シンガポールのあるトレーダーは「関税分は生産者か製油所のいずれかが負担しなければならない」とし、カナダの生産者はアジアの製油所の需要を取り込み、長距離輸送のコストを相殺するため、原油の値下げ拡大を余儀なくされると述べた。
アジアの製油所関係者やアナリストは、トランプ氏が関税を導入すれば、アジアに輸出されるカナダ産、メキシコ産の原油が増えると予想している。
LSEGのアナリスト、アン・ファム氏は「中国やインドでは、製油所の構成がこうした原油を精製できる体制になっているため、相当量が両国に向かう」と述べた。
ただ、一部のトレーダーやゴールドマン・サックスのアナリストは実際に原油が関税の対象になるのか懐疑的な見方を示している。トランプ氏は交渉戦術として関税を利用してきた経緯があり、実際に原油に関税をかければ米国の消費者物価や製油所のコストが上昇するためだ。
アングル:高値更新も暴落に備える米株市場、トランプ政策リスクに警戒感 | ロイター
米国株式市場が選挙を受けた買いで最高値を更新する一方、暴落に備えたプロテクション需要も高まっている。
選挙を巡る不透明感が解消したことで投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は26日、選挙後の最低水準付近となる14.10で取引を終えた。
しかし、ネーションズ・テールデックス(.TDEX), opens new tabやCBOEスキュー(.SKEWX), opens new tabなど、極端な相場変動に対するプロテクション需要を測るいくつかの指数は上昇。投資家が破滅的なイベントを予期していることを必ずしも意味しているわけではないが、来年の貿易戦争に伴うインフレ再燃の可能性など、いくつかのリスクに警戒感が高まっているようだ。
RBCキャピタル・マーケッツでデリバティブ戦略を統括するエイミー・ウー・シルバーマン氏は、投資家は「ファットテール(極端な相場変動が理論値以上の確率で発生すること)」リスクに備えていると指摘。「投資家は全般的に株式ロングを維持しているが、正規分布のテール(尻尾)はよりファットに(太く)なっている。これは地政学的なリスクプレミアムの上昇やトランプ大統領による関税発動の可能性など、潜在的な政策リスクが一因だ」と話す。
「SPDR・S&P500ETFトラスト」が大きく動いた場合に備えたヘッジコストを測るネーションズ・テールデックスは13.64まで上昇。選挙後の最低水準6.68の2倍に達した。
CBOEスキューは25日に167.28と2カ月ぶりの高水準で引けた。
VIXコール・オプションは市場での売りに対するプロテクションを提供するもので、「テールリスク(確率は低いが発生すると影響が大きいリスク)」に対するプロテクション需要の一端を示している。サスケハナ・ファイナンシャル・グループの分析によると、「VIX3カ月物コール・スキュー」はこの5年余りで最高の水準付近で推移している。
サスケハナのデリバティブ戦略担当共同責任者クリス・マーフィー氏は「一般的な考え方では、ボラティリティーがかなり低くなる可能性は80─95%で、それがVIXが相対的に低い理由だが、テールイベントがより多く織り込まれている」と述べた。
UBSの株式デリバティブ担当ストラテジスト、マックスウェル・グリナコフ氏は、政策不透明感など市場は下振れへのヘッジに備える理由があるとし、来年は2018年と類似する可能性があると指摘。この年は年初に株価が最高値を更新したものの、貿易や関税に関するニュースによって成長期待が損なわれ、資産クラス全体でボラティリティーが上昇する中、株価は下落した。
今回のプロテクションに対する需要の高まりについては「正当化されると思う」と語った。
トランプ次期政権による関税引き上げ、米国民の生活に与える影響は - CNN.co.jp
ニューヨーク(CNN) トランプ次期米大統領は第1次政権の任期中、中国との全面的な貿易戦争を開始した。それは、米国の製造業の強化と、米国の国家安全保障上の利益の確保、そして、トランプ氏が考えるところの極めて不均衡な貿易関係の解決を目指すものだった。トランプ氏は現在、米国にとって最大の貿易相手国であるメキシコと3番目の相手国カナダに注目している。
トランプ氏は驚くべきことに、大統領就任初日の来年1月20日にメキシコとカナダの全輸入品に一律25%の新たな関税を課すと約束した。トランプ氏が交渉した米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)により、両国からの商品はほぼすべて無関税で輸入されている。
つまりトランプ氏がこの関税計画を実行した場合、米国民がメキシコとカナダから購入している主要な消費財の一部は値上がりする可能性がある。
ガソリン
ガソリンと灯油に精製される原油は、カナダからの主要な輸入品の一つ。
価格調査会社ガスバディの石油分析責任者パトリック・デ・ハーン氏によると、トランプ氏が提案した25%の関税はガソリン価格に「大きな影響」を与え、1ガロン当たり25セントから75セントの値上げに相当するという。
トランプ氏は米国での石油の増産を目指しているが、その供給がカナダ産の石油に取って代わるには時間を要するとみられる。また、米国のエネルギー企業が石油の大幅な増産を望むかどうかは不透明だ。世界的な需要は鈍化しており、掘削を増やしても利益を得にくくなっているためだ。
農産物
米国の一部では気候変動によって栽培環境が悪化したため、米国は農産物のメキシコへの依存を高めている。
商務省のデータによると、米国は2022年にメキシコから441億ドル(現在のレートで約6兆7000億円)相当の農産物を輸入した。これは米国の農産物全体の5分の1に相当する。
例えば、同年に米国人が消費したアボカドの90%は輸入品であり、その89%はメキシコ産だった。つまり、メキシコに25%の関税が課せられた場合、ワカモレとアボカドトーストの値段が急騰する可能性がある。
自動車
商務省のデータによると、米国は23年にメキシコから447億6000万ドル相当の自動車を輸入し、輸入額1位となった。
中国製品に課せられた関税を回避しようとする自動車メーカーが増え、ゼネラルモーターズ(GM)やフォードなど多くのメーカーが生産拠点をメキシコに移したことで、同国は自動車工場の世界的拠点となっている。
米自動車メーカーの株価は26日、急落。下げ幅が最大となったGMは、9%下落して取引を終えた。
実質的に米国の全自動車メーカーは自動車やトラックの生産にメキシコの部品を使っている。同国の部品は米国製より大幅に安価だからだ。しかし、25%の関税はこの状況を大きく変えるとみられる。
そして昨年、自動車に次いでメキシコから多く輸入された品目は自動車部品だった。
アルコール
米国が輸入するアルコールのほとんどはメキシコ産だ。
例えば、農務省のデータによると、24年度最初の3四半期に輸入したビールの80%以上はメキシコ産だった。
さらに、メキシコ産テキーラとカナダ産リキュールは蒸留酒の「輸入拡大の主要な原動力」になっているという。
結論:米国民にとって打撃
米国がメキシコとカナダに対する輸入依存度を高める中、トランプ氏は新たな関税を課そうとしている。
商務省の貿易データによると、メキシコは昨年、20年以上ぶりに中国を抜いて米国への最大の輸出国となった。中国は現在、2位の輸出国であり、カナダが僅差(きんさ)で中国を追う。中国が最大の輸出国でカナダとメキシコを寄せ付けなかったわずか2年前とは大きく変化している。
このことは、トランプ氏が約束した新しい関税を米国民は事実上回避できないことを意味する。コスト上昇に直面している企業がその負担を消費者に転嫁する可能性は高いからだ。
不動産含み益は25兆円、日本企業への関心高まる-投資ファンドが照準 - Bloomberg
海外のヘッジファンドやプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドが、25兆円に上る不動産の含み益に照準を合わせ、日本企業に注目している。
今年日本で発表されたアクティビスト(物言う投資家)による投資や買収の背景には、日本企業のバランスシートに計上されている不動産の隠れた価値がある。先週、米ヘッジファンドのエリオット・インベストメント・マネジメントが東京ガスの株式5.03%を取得したことが明らかになった。エリオットは東京ガスの保有不動産の価値を最大1兆5000億円程度と同社の時価総額(27日時点で1兆7000億円)に匹敵する規模と推定する。
日本企業がオフィスやホテル、ゴルフ場といった不動産を長年保有し続けていることが含み益につながっている。毎年の減価償却により取得した不動産の簿価が下がる一方、近年、特に大都市圏では不動産の取引価格が急騰している。不動産を売却すれば、企業は簿価と市場価格の差額から大きな利益を得ることができる。
ゴールドマン・サックス証券のチーフ株式ストラテジスト、ブルース・カーク氏は「数十年もの間、日本企業が持つ不動産価値は高いと分かっていたが、その価値を引き出すための鍵をこれまで持っていなかった。だが、今やそれを手に入れた」と指摘する。
ゴールドマンでは、不動産が主な事業でない250社以上の日本企業において、少なくとも25兆円の含み益があると推定。中でも鉄道や建設、公益事業などの企業が含み益を多く抱えているという。
エリオットは、東京ガスに対して不動産売却益の有効活用を求めている。東京ガスは、高級ホテル「パークハイアット東京」が入居する新宿パークタワーを所有する。このビルは、かつてのガス貯蔵施設跡地に建てられた。
独立系ソフトウエア開発会社の富士ソフトを巡っては、複数のPEファンドが買収を打診した。最終的には米投資ファンドのKKRと同業の米ベインキャピタルの間で争奪戦が繰り広げられた。富士ソフトが首都圏に複数のオフィスビルを所有していることが理由の一つだ。非公開化を迫ったシンガポール拠点のアクティビスト、3Dインベストメント・パートーナーズは、富士ソフトが保有する不動産は帳簿価格の845億円に対して、少なくとも1950億円の価値があると試算した。
ジョーンズ・ラング・ラサール・ジャパンのシェイ・グリーンバーグ氏は「企業が保有する不動産の価値を把握するための助言業務が増えている」と語る。「日本企業は伝統的に資産を多く抱えている。長期間保有している資産は減価償却後の簿価と市場価格が大きく異なることが多く、日本の不動産はアクティビストやPEファンドにとって格好のターゲットになっている」という。
不動産含み益の多い国内企業
PEファンドがそうした企業を買収し、不動産を売却するケースは実際に出ている。KKRは2023年に旧日立物流(現ロジスティード)を6700億円で買収した後、同社が保有する1080億円相当の倉庫を自社の不動産資産運用会社であるKJRマネジメントに売却した。また、20年にベインキャピタルが900億円で昭和飛行機工業を買収した後、所有していたゴルフ場を推定1300億円で売却したと報じられた。
保有資産の軽量化を進める企業もある。西武ホールディングスは、旧赤坂プリンスホテル跡地に建設した「東京ガーデンテラス紀尾井町」の売却手続きを進めており、その取引額は4000億円を超える可能性がある。
ゴールドマンのカーク氏は「余剰資金を株主に還元するという簡単な方法は既に実現している。現在はより洗練された価値の創出に取り組んでいる」とした上で「現時点では不動産の含み益という観点が非常に興味深い」と語った。
共和党系11州が米資産運用大手3社提訴 電気料金つり上げと主張 | ロイター
メキシコ「トランプ関税で40万人の米雇用喪失」、報復関税も検討 | ロイター
仏国債スプレッド、ユーロ圏債務危機以来の幅に拡大 予算案巡り懸念 | ロイター
フランスの政権と予算案を巡る懸念から27日午前の欧州市場でフランス株・国債が下落。仏国債の独国債に対する上乗せ幅(スプレッド)は2012年のユーロ圏債務危機以来最大となった。
財政赤字の圧縮を目指し歳出削減と増税を盛り込んだ25年度予算案でバルニエ政権と対立する極右・国民連合(RN)の指導者マリーヌ・ルペン氏は不信任投票で政権を退陣に追い込む構えを見せている。
バルニエ首相は26日、TF1に対し、政権が崩壊すれば財政的に混乱に陥り、予算が成立しなければ、金融市場に深刻な打撃を与えると述べた。
午前のパリ株式市場では、銀行株が売られBNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、クレディ・アグリコルが2─3%下落。
仏10年債利回りは、対独国債スプレッドが90ベーシスポイント(bp)と、12年余りぶりの幅に拡大。ジェフリーズのストラテジスト、モヒト・クマール氏はスプレッド拡大は、バルニエ政権が予算を乗り切れないのではないかという懸念を反映すると指摘。「バルニエ政権は存続するだろうが、予算で一定の譲歩を迫られる」との見方を示した。
仏国債スプレッドは、半年前は現在の約半分の47bpだったが6月にマクロン大統領が解散総選挙を表明すると、政局・財政懸念から80bpを超えた。
上院議会は来週、予算案の審議を開始する。
格付け会社S&Pは29日にフランスの格付け見直しを発表する。前回5月の見直しでは予想以上の財政赤字が債務を拡大させるとの見方から長期格付けを「AA」から「AA─」に引き下げた。
●中東情勢
焦点:ヨルダン川西岸で拡大するイスラエル入植地、「トランプ2期目」に期待の声 | ロイター
イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区で同国による入植活動が過去に例のない拡大を見せた今、入植推進派の一部からはトランプ次期米大統領に期待する声が上がる。目指すは、パレスチナ側が将来の独立国家の中心とみなす同地区にイスラエルの主権を確立するという夢の実現だ。
2年前にネタニヤフ首相が極右連立政権のトップとして返り咲いて以来、西岸地区はユダヤ人入植地の急速な拡大により、その姿を変えてきた。その間、入植者による暴力行為が拡大し、米国による制裁を受けるに至った。
ここ数週間、一部の入植者が西岸地区のヨルダン渓谷で権利を主張する複数の丘の頂上にイスラエル国旗が翻った。地元のパレスチナ住民の多くは、これらの地域でイスラエル側の支配が拡大するのではないかと懸念を募らせている。入植者のあいだでは、投票日を前にトランプ氏の勝利を祈る声があった。
イスラエルによる西岸地区の併合を支持する活動家で執筆活動も行っているイスラエル・メダッド氏は、西岸地区の入植地シロで40年以上暮らしている。自宅でロイターの取材に応じた同氏はトランプ氏の勝利について、「とても期待している。私たちはやや有頂天になっているとさえ言える」と語る。入植者たちにとっては、トランプ氏がイスラエル寄りの発言で知られる人物を政権幹部候補として次々に指名しているのも朗報だ。その1人が、駐イスラエル大使として指名されたマイク・ハッカビー氏。キリスト教福音派であり、西岸地区は占領地ではないとの発言もあり、「入植地」ではなく「コミュニティー」という呼称を好んでいる。
ここ1カ月、米国のキリスト教右派との人脈を築いてきたイスラエル政府閣僚と入植推進派は、かつては過激な主張とされていた西岸地区における「主権の回復」を公式発言においても前面に出すようになっている。ネタニヤフ政権はまだこの件について公式決定を発表していない。首相府広報官は、この記事に対するコメントを控えるとしている。
イスラエルとサウジアラビアの関係正常化に向けた「アブラハム合意」をベースに、もっと広範囲の合意をめざすという米国政府の戦略的野心をリスクにさらすような動きをトランプ次期大統領が支持するかどうか、確かなことは何もわからない。サウジアラビアは、世界の大半の国と同様、西岸地区におけるイスラエルの主権を否定している。
過去に民主党・共和党双方の政権において中東和平交渉を担当してきたデニス・ロス氏は、トランプ氏の外交政策構想についての独自評価に基づき、「アブラハム合意を拡大したいというトランプ氏の希望が最優先になるだろう」と語る。
「イスラエルが公式に西岸地区を併合したら、サウジアラビアがそうした拡大合意への参加を真剣に考えるはずがない」とロス氏は指摘した。西岸地区が併合されればイスラエルとパレスチナが国家として共存する「2国家解決」に向けた希望はついえ、開戦から1年以上を経て隣接するレバノンにも波及しているガザ紛争の解決も困難になる。
トランプ氏は1期目のうちに駐イスラエル米国大使館をエルサレムに移転し、西岸地区への入植は違法であるという米国政府の長年の立場に終止符を打った。だがトランプ氏は2020年、既存の境界線沿いの土地にパレスチナ国家を創設する計画を示し、地区全体でイスラエルの主権を確立するというネタニヤフ首相の狙いを頓挫させた。
トランプ次期大統領はこの地域に関する方針を明らかにしていない。政権移行チームの広報担当者キャロライン・レビット氏は中東政策に関する質問に回答せず、トランプ氏は「世界中で全力での平和の回復を進めるだろう」と述べるに留めた。
もっとも、イスラエル閣僚でも有数の入植推進派として知られるスモトリッチ財務相は先週、早ければ来年にもトランプ政権の支持を得て西岸地区を併合できるよう希望していると発言した。
イェシャ入植者評議会のイスラエル・ガンツ議長はあるインタビューの中で、トランプ政権がイスラエル政府による併合の推進を「容認」してくれるよう願っている、と語った。
ガンツ議長は11月5日の米大統領選挙に先立ち、シロにあるビザンチン帝国時代の古い教会の遺跡で、トランプ氏の勝利を願う祈祷会を主催した。
「米国の人々とイスラエルをより良い日々に導いてくださるよう神に祈った」とガンツ議長。シロは米国の政治家の視察地としても人気があり、ハッカビー氏や、トランプ氏が国防長官に指名したピート・ヘグセス氏も訪れている。
<入植地による包囲網>
シロは、隣接する入植地エリとともに西岸地区の中心部近くに位置する。エルサレムからは、きれいに舗装された高速道路「ルート60」で1時間の距離だ。パレスチナの都市を結ぶ荒れた路面の道とは対照的だ。
近隣のカリュート村出身のパレスチナ人活動家バシャール・アルカーユティ氏は、シロ、エリ両入植地の拡大により、西岸地区中心部のパレスチナ人の村は取り囲まれてしまったと話す。
アルカーユティ氏は、イスラエル政府による公式の許可書を待たずに建設作業に入る入植者が増えていると説明する。この傾向は、入植地問題を追跡するイスラエル側活動家グループ「ピースナウ」も指摘している。
アルカーユティ氏はロイターの電話取材に対し、「これが現地で起きている状況だ」と語った。「西岸地区中心部全体が、今や入植者の支配下に置かれている」
イスラエル人の多くが「ジュデア・サマリア」と呼ぶヨルダン川西岸地区は、長さ約100キロ、幅50キロの腎臓のような形をした地域で、1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領して以来、イスラエル・パレスチナ両者の紛争の中心となってきた。
大半の国はこの地域を戦時占領地であり、入植活動は国際法に照らして違法であると考えている。この立場は、国際司法裁判所も7月に支持している。
国連の推計によれば、1948年のイスラエル建国により難民となったパレスチナ人は約75万人。パレスチナ側は将来のパレスチナ人国家の中心として、地中海に面した南部の飛び地であるガザ地区とともに、西岸地区の領有を主張している。
だが、30年前のオスロ合意以来、西岸地区全域でユダヤ人入植地が急速に広がったことで、この地域は変貌してしまった。
シロは、「出エジプト」により戻ってきた古代ユダヤ人が幕屋を建て、300年にわたり護持した地として崇敬を集める。現代のシロは1970年代に築かれ、閑静な街路と小綺麗な郊外住宅が並ぶ、囲われたコミュニティーの雰囲気を漂わせる。2022年時点での人口は約5000人だ。
ユダヤ人入植地を支持する人々にとって、聖書とのつながりは、国際法がどうであれ、彼らがそこで暮らす権利を与えるものである。
「ビザンチン帝国、ローマ帝国、マムルーク朝、オスマン朝…何者に支配されようとも、ここは私たちの土地だった」とメダッド氏は語る。
したがって入植推進派は「併合」という言葉を拒否する。他国の領土を取得するという意味合いが感じられるからだ。2023年には、西岸地区での入植地建設が過去に例のないレベルに達した。昨年10月にガザ侵攻が始まって以来、多くの道路が新設され造成工事が展開されたことにより、西岸地区の丘陵地帯の風景は目に見えて変わった。
バイデン政権からの批判も、これを制止する効果は全くなかった。
その一方で、シロ周辺も含め、西岸地区のパレスチナ人住民に対するユダヤ人入植者の暴力行為はエスカレートし、国際的な非難が高まり、米国、欧州からの制裁へとつながった。今週も、暴力行為の中心だったとされる個人に対する制裁が追加されている。
ガンツ議長をはじめ入植者の指導者たちは、自分たちの運動に暴力が介在する余地はないとしている。入植者らは、自分たちがパレスチナ側の街や都市に近い地域に展開することで、イスラエルの他の部分の安全保障を担っているのだと主張している。
<「否定できない事実」>
「ユダヤの人民はイスラエルの土地に対する自然権を有する」とする連立合意のもとでネタニヤフ政権が就任して以来、西岸地区におけるイスラエルの立場を強化するために一連の措置が実施されてきた。
「イスラエルがジュデア・サマリアにも存在するという事実を固めるために、現地では多くの改革が行われてきた」と語るのは、スモトリッチ財務相が所属する会派を率いるオハド・タル議長。国会議事堂内のオフィスの棚には、「MAGA(アメリカを再び偉大に)」のロゴが入ったトランプ陣営の赤い帽子が飾られている。
タル議長は、「ジュデア・サマリアで確実に主権を行使し、ここにユダヤ人が存在し、留まり続けるという否定できない事実を確立するために」あらゆる体制を整えた、と語る。
かつてはイスラエル軍が所管していた入植地に関する多くの機能は、すでに文民機関である入植地管理庁に移管された。この機関を直接の指揮下に置くスモトリッチ財務相は、国防省においても、西岸地区の運営を担当する役職に就いている。
ピースナウが10月に発表した報告書によれば、2024年には約6000エーカー(2400ヘクタール)が、入植地を建設しやすい区分である「イスラエル国有地」と認定された。1年間で国有地として認定される面積として過去最大であり、過去30年間の国有地認定総面積の半分に相当する。
ピースナウによる別の分析によれば、過去1年間で少なくとも43カ所の入植用監視所が新たに整備された。なお、1996年以降の平均は年7カ所未満だ。
多くの場合、新規の監視所は既存の入植地に付属する形で、元の入植地の拡張を可能とするよう、近隣の丘陵の頂上に作られ、これを支える数キロメートルの新設道路その他のインフラが整備される。多くはイスラエル国内法によれば違法建築だが、イェシャ入植者評議会によれば、今年は約70カ所に対して政府からの支援が行われているという。
入植地の監視を行っているもう1つのイスラエル団体「イェシュ・ディン」のディレクターを務めるジブ・シュタール氏は、「見た目は非常に退屈だ。ずる賢いやり方だ」と語る。「法律を作って『西岸地区を併合する』と宣言するのではなく、ただ行動に移している」
●エマージング
中国の董軍国防相、汚職の疑いで調査とFT-前任者2人に続く - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
コーヒー豆価格が上昇拡大、アラビカ種先物は1977年以来の高値 - Bloomberg
楽天モバイル、関東の5Gエリア2.1倍に 出力引き上げ - 日本経済新聞
巨額損失の官民ファンド、条件付きで存続認可 有識者委 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
**為替市場**では、感謝祭前の薄商いの中、ドルが下落。ドル/円は1.43%安の150.91円となり、200日移動平均を下回ったことでドル売りが加速。ユーロ/ドルは0.74%上昇し1.0564ドルと1週間ぶりの高値に。ビットコインは5.19%高で96,414ドル。
**債券市場**では利回りが低下。米10年債利回りは約7bp低下の4.234%、2年債利回りは4.21%、30年債利回りは4.419%と、それぞれ数週間ぶりの低水準を記録。米経済指標が概ね予想通りだったことからインフレ懸念が後退し、米国債が買われた。
**株式市場**では主要3指数が反落し、特にナスダックが主導。10月のPCE価格指数が前年比2.3%上昇し、インフレ抑制の停滞が懸念され、FRBの利下げ慎重姿勢への警戒感からテクノロジー株が売られた。デルとHPはさえない業績見通しでそれぞれ12%と11%の大幅安。エヌビディアやマイクロソフトも売られ、フィラデルフィア半導体株指数は下落。
**金先物**はドル安による割安感で買われ、2月物は0.7%高の1オンス=2664.80ドル。
**原油先物**は米ガソリン在庫増加や中東紛争収束期待で3日続落。WTI1月物は0.07%安の1バレル=68.72ドル。
欧州市場サマリー(27日) | ロイター
**ロンドン株式市場**は反発して取引を終えた。トランプ次期米大統領の関税方針で26日に下落した後、金利低下を背景に住宅や不動産関連銘柄が上昇。FTSE250種指数は0.16%高、住宅建設株指数は0.89%高。不動産株指数は1.48%上昇した。英ポンドは対ドルで上昇。
一方、**欧州株式市場**は続落。フランスの政治不安やトランプ氏の関税方針で自動車株が下げ、CAC40指数は0.72%安。テクノロジー株指数は1.37%下落。不動産株は1.72%上昇し、下げを一部緩和。個別では、ジョンソン・マッセイが11.7%安、スペインのグリフォルスは9.1%下げた。
**ユーロ圏債券市場**では、フランス国債のリスクプレミアムが2012年以来の高水準に上昇し、同国の財政懸念が浮上。一方、ドイツ国債利回りは米国債に連動して低下した。独仏10年債利回り格差は一時90bpに拡大後、85bp前後に縮小。
仏10年債利回りは横ばいの3.025%、独10年債は2bp低下の2.177%。仏以外のユーロ圏国債利回りも米国同様に低下。
ECBシュナーベル専務理事は利下げを慎重に進めるべきとの見解を示し、独2年債利回りは一時低水準から1bp上昇し2.047%で終了。イタリア10年債は独国債を上回るパフォーマンスで、利回りは4bp低下し3.42%となった。

備忘録(2024/11/26
●海外企業決算
コールズが決算受け大幅安 見通し下方修正 アパレル・靴事業が依然低迷=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
百貨店のコールズ<KSS>が大幅安。取引開始前に8-10月期決算(第3四半期)を発表し、既存店売上高が予想以上の減収となったほか、1株利益、売上高も予想を下回った。通期のガイダンスも公表し、既存店売上高の減収見通しを下方修正したほか、1株利益、売上高の見通しも下方修正している。
同社は声明で「アパレルおよび靴事業における売上は依然として低迷している」と述べた。「セフォラ、ホームデコレーション、ギフト、衝動買いなどの成長分野は好調な業績を達成したほか、200の店舗でベビーザらスをオープンした効果もあったが、コア事業の落ち込みを相殺するには至らなかった」とも述べた。第3四半期の業績不振と、競争の激しいホリデーシーズンを予想しており、通期の見通しをより保守的に見直したとしている。
ベスト・バイが決算受け下落 通期ガイダンスを下方修正 需要が依然低迷=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
家電量販店のベスト・バイ<BBY>が下落。取引開始前に8-10月期決算(第3四半期)を発表し、既存店売上高が予想以上の減収となったほか、1株利益が予想を下回った。通期のガイダンスも公表し、見通しを下方修正している。家電製品やその他電化製品の需要が依然として低迷している。
バリーCEOは声明で「第2四半期の後半には、継続的なマクロ経済の不透明感、顧客がセールやイベントを待っていること、そして選挙前の混乱により、買い物客は様子見を続けていた。ホリデーセールが始まり、選挙も終わったことで、需要は増加している」と述べた。
米ベスト・バイ、通期業績予想引き下げ 家電需要の低迷で | ロイター
米家電量販大手ベスト・バイは26日、通期の業績予想を引き下げた。テレビやホームシアターなど高額な家電製品に対する需要の低迷で、ホリデーの買い物シーズンが低調になるとみられる。
通期の既存店売上高の見通しは前年比2.5─3.5%減。従来は1.5─3.0%減としていた。調整後1株当たり利益目標の上限も引き下げた。
第3・四半期決算の米国での既存店売上高は前年同期比2.8%減と、市場予想0.85%減よりも大幅に減った。1株当たり利益は1.26ドルと、LSEGがまとめた市場予想1.29ドルを下回った。
コリー・バリー最高経営責任者(CEO)は決算発表後の電話会議で「セール催事がない期間の需要減は予想していたが、影響は想定以上だった」と指摘。ターゲット(TGT.N), opens new tab幹部による今年の販促への反応がこれまでよりも大きかったとのコメントと符合する形となった。
インフレ圧力は緩和されたものの、顧客は高額な家電や衣類、家具への支出には引き続き慎重で、販促イベントを待つ傾向が続いている。
一方、資金力のより大きいアマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabやウォルマート(WMT.N), opens new tabは堅調な販売を見込む。
ウォルマートは高所得世帯からの需要の伸びなどから通期業績見通しを引き上げるなど、年末商戦を巡って優勝劣敗が鮮明になるとの見方が強まっている。
[SJM] JMスマッカー 2Q増収最終赤字転落 売上高17%増22.7億ドル、最終赤字2450万ドル、EPSマイナス0.23ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ADI] アナログデバイセズ 2024年11月通期は減収減益 売上高23%減94.2億ドル、営業益47%減20.3億ドル、EPS3.28ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BBY] ベストバイ 3Q減収営業減益 売上高3%減94.4億ドル、営業益1%減3.50億ドル、EPS1.26ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[JWN] ノードストロム 3Q増収最終減益 売上高4%増34.6億ドル、純利益31%減4600万ドル、EPS0.27ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HPQ] HP 2024年10月通期は微減収営業増益 売上高微減535億ドル、営業益10%増38.1億ドル、配当1.10ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[DELL] デル 3Q増収増益 売上高10%増243億ドル、営業益12%増16.6億ドル、EPS1.58ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WDAY] ワークデイ 3Q増収増益 売上高16%増21.6億ドル、営業益88%増1.65億ドル、EPS0.72ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
アムジェンが大幅安 肥満薬の臨床試験結果を発表 期待に届かず=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
アムジェン<AMGN>が大幅安。肥満治験薬「マリタイド」の臨床試験(第2フェーズ)の結果を発表し、2型糖尿病ではない肥満または過体重のモニターにおいて、52週目で平均20%の減量に成功し、減量の停滞も見られなかったと発表した。ただ、株価は下落。市場の期待は20-25%の減量で今回の結果はその下限。
アナリストは「全体的な有効性について、投資家は相対的に失望するだろう。強気派は少しがっかりする一方、弱気派は同社はもはや肥満薬では注目すべき主要企業ではないと言うだろう」と述べている。
米当局、ウエスタン・アセットの債券運用トップを詐欺罪で起訴 | ロイター
米連邦大陪審は25日、資産運用会社ウエスタン・アセット・マネジメント(WAMCO)の元共同最高投資責任者、ケネス・リーチ氏(70)が取引配分で一部顧客の口座を優遇したとして起訴した。
ニューヨーク州南部地区連邦地検によると、罪状は4件の詐欺罪と1件の虚偽陳述罪。
ウエスタンの親会社フランクリン・リソーシズは8月にリーチ被告に対する調査が行われていると公表。これに伴い被告は休職扱いとなっていた。
被告は米証券取引委員会(SEC)から民事裁判も起こされており、弁護士が争う考えを示している。
当局によると、被告は2021年1月から23年10月までの間、米国債デリバティブ(金融派生商品)に関し取引初日の好不調で優遇する口座とそれ以外の口座の取引配分を決定していた。「マクロ・オポチュニティーズ」戦略の口座を優遇していたという。
WAMCOの顧客は10月31日までの4カ月間で、同社が運用する資産の約15%に相当する550億ドルを引き揚げている。その大部分は調査公表以降、流出した。
フランクリンの株価は年初から24%下落している。
インテル、米政府から79億ドル確保-半導体先進工場向け補助金 - Bloomberg
米バイデン政権は、半導体メーカーのインテルに79億ドル(約1兆2000億円)近い連邦補助金を支給することを最終決定した。半導体の国内生産を促進するプログラムからの直接補助金として最大規模となる。
合意されたインテルへ補助金は以前に提案されたよりも少ない額ではあるが、同社が米国の4つの州で実施するプロジェクトが交渉で定められた基準を満たせば、インテルは補助金の受給を開始できる。政府高官によると、同社はすでに達成したマイルストーンに基づき、今年少なくとも10億ドルを受け取れるという。
詳細が公表されていないため匿名を希望した関係者によると、具体的にはアリゾナ州、オレゴン州、ニューメキシコ州でのプロジェクトに対してインテルが資金を受け取る。同関係者によると、オハイオ州にあるグリーンフィールド施設は、すでに州から20億ドルの資金援助を受けているものの、数年の遅れが生じているため連邦政府からの支援はまだ受けられないという。
インテルにとって、政府との交渉妥結は最優先事項だった。同社は、深刻な財務難や長年にわたる技術的迷走にもかかわらず大規模な製造拡大を実行できることを、ウォール街と政府に納得させるために数か月を費やしてきた。
これはバイデン政権にとっても重要なステップだ。同政権はトランプ次期大統領による潜在的な政策変更から産業政策イニシアチブを保護するため、2022年のCHIPS・科学法に基づく契約締結を急いでいる。
インテルとの契約により「米国人が設計した半導体が、米国人労働者によって、米国内で、米企業によって製造・パッケージ化されるということが、非常に久しぶりに実現することになるだろう」と、同法の実施を担当する商務省のレモンド長官が述べた。
英FCAがマッコーリーに罰金1300万ポンド、トレーディング管理怠る - Bloomberg
肥満治療を公的保険適用対象に、バイデン政権がトランプ氏に置き土産 - Bloomberg
ドイツ産別労組、ティッセンと交渉拒否 人員削減に反発 - 日本経済新聞
ステランティスが英工場閉鎖、規制対応で別工場に集約 - 日本経済新聞
●日本企業
クシュタール、セブン買収あきらめず-CEO「粘り強く」臨む - Bloomberg
カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールは26日、セブン&アイ・ホールディングス(HD)の創業家らが対抗して総額9兆円規模のMBO(経営者が参加する買収)を提案したものの、セブン&アイ買収の実現を引き続き目指していく考えを改めて示した。
クシュタールのアレックス・ミラー最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で「当社は粘り強く臨み、両社の全ての株主や従業員、主要関係者にとって最も魅力的な結果をもたらすよう友好的なアプローチを継続していく」と述べた。
同社は10月、セブン&アイへの買収案を約470億ドル(現在のレートで約7兆2200億円)に引き上げた。一方、創業家と伊藤忠、大手3メガバンクは出資と銀行融資合わせて総額9兆円規模に上るMBOの具体策に向けた検討に入っている。セブン&アイはこれらの提案に対してまだ回答していない。
ミラーCEOはまた、「われわれは買収の原資を確保し、取引を完了できると依然確信している」と発言。「共に成長し、世界の数百万人の顧客に提供する商品やサービスを向上させる大きな機会があるとの考えを変えていない」と続けた。
クシュタールの業績にはここ1年、逆風が吹いている。厳しい経済状況を背景に、低所得層によるコンビニ店舗や給油所での支出が減っていることが重しだ。第2四半期(10月13日終了)決算は、調整後1株当たり利益が74セントと、市場予想を若干下回った。
Exclusive:石破首相がバイデン米大統領に書簡、日鉄のUSスチール買収に承認求める=関係者 | ロイター
石破茂首相がバイデン米大統領に書簡を送り、日本製鉄のUSスチール買収計画を承認するよう求めたことが分かった。事情を知る関係者2人が明らかにした。
書簡を送ったのは、石破首相が南米歴訪から帰国した後の20日。日本は最大の対米投資国だと説明し、「投資の増勢を維持することが両国の利益となり、同盟の強さを示すことになる」と指摘。バイデン氏の在任中に日米同盟はかつてないほど強固となったとし、「4年間の成果に影を落とさないよう買収計画の承認をお願いする」とした。
バイデン氏は大統領選挙中、全米鉄鋼労働組合(USW)とともに買収計画に反対し、国家安全保障の観点から米国外国投資委員会(CFIUS)に審査を委ねた。審査期限はトランプ氏が大統領に再登板する前の年内で、CFIUSは計画を承認、阻止あるいは再審査を求める可能性がある。
バイデン大統領が石破首相の書簡に返答したかはどうかは明らかになっていない。
ロイターは官邸にコメントを求めたところ、外務省に問い合わせるよう指示された。外務省から現時点で返答はない。在京米国大使館、日本製鉄はコメントを控えた。USスチールのコメントは現時点で得られていない。
石破首相は今月15日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開かれたペルーの首都リマでバイデン大統領と初めて会談した。書簡の中で同会談に言及した石破氏は、時間の制約で経済関係について深く議論することができなかったとし、今の「重要な局面」で同買収計画に改めて注目するよう求めた。
米側に直接働き掛けようとする石破首相の動きは、日本政府のこれまでの姿勢と一線を画す。買収計画は米大統領選の激戦州で政治的な争点になり、岸田文雄前首相は民間企業の案件だとして関与しない方針を示していた。
石破首相は書簡の中で、「日本製鉄はUSスチールの従業員を守ることに深くコミットしており、ともに繁栄する未来を切り開くことを目指している」と説明。「日米の鉄鋼メーカーが先進技術を融合し、競争力を高め、米国の鉄鋼生産能力と雇用の増加に貢献するものだ」と強調した。
日産の格付け見通しを「弱含み」に変更、従来「安定的」=フィッチ | ロイター
フィッチ・レーティングスは26日、日産自動車の格付け見通しを「安定的」から「弱含み」に変更した。日産の北米業績がフィッチの予想を下回ったことなどを反映した。
長期発行体デフォルト格付けは「トリプルBマイナス」で据え置いた。
業績の低迷が継続または悪化する場合、格下げの可能性があり、業績回復の可能性が高まれば据え置く可能性もあるとした。
●先進国政治動向
財務長官指名のベッセント氏、「世界経済再編」に一役買う意向 - WSJ
スコット・ベッセント氏は、過去40年間を経済史の研究に費やしてきた。ドナルド・トランプ次期米大統領から財務長官に指名された彼は今や、経済史に足跡を残す機会を手にしている。
ベッセント氏は、初めは著名投資家ジョージ・ソロス氏の会社で、その後は自身の会社でヘッジファンド・マネジャーとして、地政学的情勢や経済統計を分析して大局的な観点から市場の動きを読んで投資するマクロ投資を専門にしてきた。彼は、通貨や金利、株式など世界中の資産クラスの上昇あるいは下落に賭けることで、何十億ドルもの利益を生み出した。
ベッセント氏は自分の仕事から一歩踏み出す気になり、トランプ氏の選挙戦に関わるようになった。その理由は、一つには米経済が過大な財政赤字や債務から脱し、成長するための時間がなくなりつつあるという考えからだった。
22日午後4時半ごろ、トランプ次期大統領はフロリダ州パームビーチのホテルにいたベッセント氏に電話をかけ、同氏を選んだことを伝えた。ベッセント氏は「マールアラーゴ・クラブ」に向かい、トランプ氏、次期副大統領のJD・バンス氏、次期大統領首席補佐官のスージー・ワイルズ氏と合流した。その場で彼らは握手を交わし、政策戦略を話し合った。
ベッセント氏は指名後の最初のインタビューで、自身の政策の最優先事項は、トランプ氏が公約したさまざまな減税の実施になるだろうと語った。それにはトランプ氏が1期目に実施した減税の恒久化に加え、チップや社会保障給付、残業代への課税撤廃が含まれる。
ベッセント氏は、関税と歳出削減の実施にも重点的に取り組む考えを示し、「世界の準備通貨としてのドルの地位の維持」も同様だと述べた。
ベッセント氏はトランプ氏に最も近いアドバイザーの1人となり、トランプ氏の経済政策に深みを与え、よりアクティビスト的な通商政策を推し進める計画を擁護した。ベッセント氏は減税措置を延長し、米経済の一部の分野で規制を緩和するという次期大統領の計画が「経済的に飛び抜けて素晴らしいもの」を生み出すと主張した。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道によると、トランプ氏が何人かの財務長官候補からベッセント氏を選んだ理由の一つには、政権の政策を実行するという点で、彼を他の候補より信頼していることがあった。指名が決まる前に、イーロン・マスク氏は「代わり映えしない選択」だとしてベッセント氏を批判し、キャンターフィッツジェラルドのハワード・ラトニック最高経営責任者(CEO)の指名を働き掛けていた(トランプ氏はその後、ラトニック氏を商務長官に指名した)。
ヘッジファンドを運営するダニエル・ローブ氏やビル・アックマン氏ら、ウォール街の人々の多くは、ベッセント氏の指名を歓迎した。著名投資家カイル・バス氏はソーシャルメディア・プラットフォームのXで、ベッセント氏が「唯一にして最善の選択」だと述べた。
ベッセント氏と働いたことがある人々は、彼が控えめでプロフェッショナルな人物だと述べる。彼は母校のイエール大学で経済史を教えていたことがある。投資家としては、忘れられた金融業界の類似事例を調べ、現在の出来事について自らの意見を述べることが多かった。
ベッセント氏は6月のイベントで、「われわれはある種の大規模で世界的な経済秩序の再編を迎えざるを得ない。私はそれに関わりたい。それについて研究してきたからだ」と述べていた。
彼は1991年にソロス・ファンド・マネジメントに入社した。そこで彼が行った英住宅市場の低迷に関する研究は、英ポンドの急落に賭けて同社が大成功を収めた要因の一つとなった。
ベッセント氏は2011年から2015年までソロス社の最高投資責任者(CIO)を務め、円安に賭けるなど、日本絡みの投資で成功を収め、10億ドル(現在のレートで約1540億円)以上の利益を上げた。その後、ソロス社を退社して、自身のヘッジファンド会社キー・スクエア・キャピタル・マネジメントを立ち上げ、今も経営に関わっている。
キー・スクエアのヘッジファンドは、何年も目立った運用成績を上げていなかったが、2022年には傘下にある最大のファンドのリターンが約31%に達した。
ある投資家によると、このファンドは2023年と今年これまでのところ10%を超えるリターンを上げている。トランプ氏が勝利すれば相場が押し上げられると見込んでいたこともあり、同ファンドは11月、今年最高の運用成績を収めた。これに対し、S&P500種指数は年初来約25%上昇しているが、マクロヘッジファンドの成績はそれほど芳しくない。
ベッセント氏と夫で元ニューヨーク市検事のジョン・フリーマン氏は2020年以降、主にベッセント氏が幼少期を過ごした家に近いサウスカロライナ州チャールストンで暮らしている。彼らには2人の子どもがいる。
3本の矢
財務長官への指名が承認されれば、ベッセント氏は自身がかつて取引していた種類の米国債の何兆ドル規模にも上る発行を監督することになる。同氏のその他の職務には、財政政策の運営、徴税業務、制裁の執行が含まれる。
ベッセント氏は以前から米国が抱える多額の債務について懸念しており、その主な削減方法は成長を押し上げ、税収を増やすことだと考えている。
同氏は、2010年代に「3本の矢」を柱とする経済政策で日本経済を立て直した安倍晋三元首相に触発され、自身が「3・3・3」と呼ぶ政策を進めるようトランプ氏に提言した。ベッセント氏の「3本の矢」は、2028年までに財政赤字を国内総生産(GDP)比3%に削減すること、規制緩和を通じたGDP成長率3%の実現、日量300万バレル相当の原油および類似資源の増産を目指している。
政府支出を抑制するため、ベッセント氏は2017年に成立した減税・雇用法の延長を支持している。ただし、減税のコストを下げるために「ペイフォー(pay-fors)」と呼ぶ補填(ほてん)策が必要だとの考えだ。これには、どこか他の分野で支出を減らすか歳入を増やすかして、減税の影響を相殺することが必要になる。同氏はまた、国防以外の裁量支出を凍結し、電気自動車(EV)補助金やインフレ抑制法の他の部分の見直しも提案した。
ベッセント氏は今年発行した投資家向けの書簡で、関税は交渉のツールであるとの考えを示し、「関税という銃は常に装填(そうてん)されテーブルの上に置かれているが、めったに発砲されることはない」と述べた。ベッセント氏はそれ以降、特に税収源として関税を支持する主張を強めている。
先月行った「国際経済システムを再び偉大に」と題する講演の中で、ベッセント氏は、国家安全保障を理由に関税を引き上げ、他国に対米貿易障壁の引き下げを促すことに肯定的な立場を主張した。同氏はこれまでの対中貿易政策について、ウォール街を潤し、国内産業の力を弱めているほか、中国経済の改革につながっていないと批判した。
ベッセント氏は、関税を財務省の制裁プログラムのようなものにし、対外関係における米国の利益を促進するツールとするよう求めた。同氏は、構造改革を行う国に対する関税撤廃にオープンな立場を示し、共通する安全保障上の利益があり関税への互恵的アプローチを取る同盟国との公正貿易圏の形成に支持を表明した。
当時事前公表された講演内容によると、ベッセント氏は「実際には自由貿易が望ましいという点でトランプ(次期)大統領は正しい」と述べ、「自由市場の観点からは違和感があるかもしれないが、長期的により自由でより広範な貿易システムを実際に作るためには、対外的にはよりアクティビスト的なアプローチが必要だという点でも、彼は正しい」との考えを示した。
トランプ氏、メキシコ・カナダに25%関税表明 - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は25日、自身が就任した直後に中国だけでなく、米国の最も親密な友好国であるカナダとメキシコにも大幅な追加関税を課すと述べた。同氏は強硬な発言を続けて選挙戦で勝利したものの、今回はその内容を実行に移す意向を最も明確に示した形となる。
トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、就任初日にはメキシコとカナダから輸入される全ての製品に25%の関税を課すと発表。また別の投稿では、中国から輸入される全ての製品に10%の追加関税を課すとも述べた。これは米国がすでに中国製品に課している既存の関税に上乗せされる。
トランプ氏はカナダとメキシコへの関税案に触れ、「フェンタニルを中心とする薬物や、全ての不法移民によるわが国への侵略がやむまで、この関税は有効だ」とした。
これらの関税を課した場合、トランプ氏が1期目にメキシコおよびカナダと交渉した貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」は覆される可能性が高い。米通商代表部(USTR)によれば、USMCAを利用した米国の製品やサービスの貿易額は2022年に推定1兆8000億ドル(約277兆円)に達している。
NEC委員長、ハセット氏が最有力候補=トランプ氏側近 - WSJ
米共和党のドナルド・トランプ次期大統領の顧問や側近によると、同氏のアドバイザーを長年務めたケビン・ハセット氏が国家経済会議(NEC)次期委員長の最有力候補に挙がっている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ただ、これまでの政権移行プロセスと同じく、トランプ氏が考えを変え、他の人材を起用することもあり得るという。
ハセット氏はトランプ政権1期目の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長。3人で構成するCEAは、大統領のために経済データを分析する役割を担う。ハセット氏がNECのトップに立てば、貿易、税制、規制緩和に関する次期政権の政策論議の中心に位置することになる。
ハセット氏とトランプ氏の政権移行チームの広報担当者は、今のところコメントに応じていない。
トランプ氏、どこまで関税引き上げるのか-習氏試す対中政策表明 - Bloomberg
トランプ次期米大統領が中国製品に追加関税を課すと表明し、通商問題を巡る対中政策の一端を示し始めた。中国の習近平国家主席が今直面している問題は、2期目のトランプ政権がどこまで関税を引き上げるかということだ。
トランプ氏は25日、麻薬などの違法薬物の流入を理由に、米国が既存の全ての課税に加えて中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
アジアソサエティー政策研究所中国分析センターで中国政治を担当するニール・トーマス研究員は、「習氏に次のトランプ政権と協調する意思があるかどうかを早い段階で試している」と分析。
習氏が「トランプ氏の要求に同意すれば、痛みを伴う関税を回避できるかもしれないが、それによりトランプ氏が一段と関税を引き上げ、譲歩を引き出そうとする可能性が高まり得る」と述べた。
トランプ氏は大統領選中から保護主義的な政策を公約に掲げていたが、今回の関税を巡る投稿は米中という世界1、2位の経済大国間の対立を一段と激化させるリスクをはらんでいる。  
ワシントンにある中国大使館の劉鵬宇報道官は、中国側は麻薬対策の進展状況を米政府に報告しており、両国の経済・貿易協力は「相互に有益」だとコメント。
中国が故意に合成オピオイドの一種、フェンタニルを「米国に流入させているという考えは事実と現実を完全に無視」しており、「貿易戦争や関税戦争に勝者などいない」とX(旧ツイッター)に投稿した。
中国外務省は26日発表した声明で、フェンタニルを「米国の問題」だとする一方で、麻薬対策に関する米中協力の成果を称賛し、中国は麻薬取引の撲滅に協力してきたと説明。
「中国は平等と相互利益、相互尊重の原則に基づき、米国との麻薬対策協力の継続を望んでいる。米国は中国の善意を大切にし、麻薬対策を巡り苦労して得た米中協力の良好な状況を維持すべきだ」と主張した。
●先進国中銀、金融当局
FOMC議事要旨、「緩やかな」利下げに対して幅広い支持 - Bloomberg
米連邦公開市場委員会(FOMC)が11月6、7両日に開いた会合では、当局者が今後の利下げに対する慎重なアプローチを幅広く支持したことが分かった。経済が堅調さを維持し、インフレが徐々に落ち着いてきていることが背景にある。
26日に公表された議事要旨では「インフレ率が持続的に2%まで低下し、経済が完全雇用に近い状態を維持するなど、データがほぼ想定通りの内容になれば、時間をかけてより中立的な政策スタンスへと緩やかに移行することが適切である可能性が高いと参加者は予想した」と指摘した。
11月会合では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25ポイント引き下げ4.5-4.75%とすることを決定。その前の9月会合では通常よりも大幅な0.5ポイントの利下げに踏み切っていた。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は今月、経済は利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していないと述べた。年内最後のFOMC会合が12月17、18両日に開かれる。
議事要旨によれば、インフレ率が高止まりする場合は利下げを休止し、金利を景気抑制的な水準に維持することもできるとの意見も出た。また、景気や労働市場が悪化した場合、利下げを加速できるとの指摘もあった。
当局者は慎重を期す理由の一つとして、成長を抑制も刺激もしない水準である中立金利が明確でない点も挙げた。
多くの参加者は、中立金利水準に関する不確実性が「金融政策における景気抑制度合いの評価を複雑にしており、政策の引き締め具合を段階的に緩和することが適切だとの見解を示した」と、議事要旨は記述した。
また、経済の借り入れコストに影響を与える二次的な金利である翌日物リバースレポ(RRP)ファシリティーの提示金利について、「テクニカルな調整」が検討されていることも議事録で分かった。
一方、雇用と成長の下振れリスクは「幾分低下した」と判断した。議事録によると、労働市場には「急速な悪化の兆候はない」とおおむね評価された。
インフレについては、物価上昇率がピークから大きく鈍化したとしながらも、食品とエネルギーを除くコアの指標はなお「幾分高い」状態が続いていると指摘した。
当局者は「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信は変わらないと指摘したが、その過程が従来の予想よりも長引く可能性があるとの見解も一部で示された」という
●先進国経済指標
全米の住宅価格指数、9月は伸び鈍化-買い手の交渉力強まる - Bloomberg
S&P・コアロジック/ケース・シラーがまとめた9月の全米ベースの住宅価格指数は、前月から伸びが鈍化した。住宅市場では買い手の交渉力が強まっている。
全米ベースの住宅価格指数は前年同月比3.9%上昇
予想と一致
前月は4.3%上昇
米20都市住宅価格指数は前年同月比4.6%上昇
予想4.7%上昇
前月は5.2%上昇
9月の指数は7月からの3カ月間の動きを追っている。この期間、金利は2年ぶり水準に低下した。またリアルター・ドット・コムによると、9月に新たに売りに出された住宅は前年同月比で約12%増加し、買い手の選択肢が増えた。
リアルター・ドット・コムのシニア経済調査アナリスト、ハナ・ジョーンズ氏は、その期間「市場は買い手に有利な方向に傾き続けた」と分析した。
ただここ数週間は借り入れコストが上昇しており、需要を圧迫する恐れがある。
9月の主要20都市の住宅価格指数は前年同月比4.6%上昇。8月は5.2%上昇だった。上昇率が最も高かったのはニューヨークで7.5%。次いでクリーブランド、シカゴとなった。
米10月新築住宅販売、前月比17.3%減の61万戸 約2年ぶり低水準 | ロイター
米11月CB消費者信頼感111.7、16カ月ぶり高水準 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
【寄稿】トランプ氏の経済計画、インフレ要因だらけ - WSJ
今回の米大統領選で見られた多くの皮肉の中に、次のものがある。ドナルド・トランプ氏がカマラ・ハリス氏を破った主な理由の一つは、2021~2023年の高インフレだった。しかし、11月5日の投票日以前に多くのエコノミストが言っていたように、ほぼすべてのエコノミストは、トランプ氏が提案している政策がインフレを招くと述べるだろう。
関税、減税、不法移民の大量送還という三つの政策が、選挙戦で最も注目を集めた。まずこれを取り上げてから、インフレをもたらす最大の危険要因、すなわち米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性に対する脅威に話を移すことにしよう。
トランプ氏が何度否定しても、関税は(差別的な)売上税だ。輸入品を差別することが関税の目的だ。言うまでもなく、売上税は消費者にとっての価格を押し上げる。調査によれば、米国の消費者は最近の関税引き上げ分のほぼ100%を負担している。
関税がさらに課されることによって、インフレ率はどのくらい上がると予想できるだろうか。米国の輸入は国内総生産(GDP)比で約14%だが、その多くは米企業が使う原材料であり、消費財ではない。平均の関税率が10~20%になる(中国製品に対する関税はより高くなると筆者は予想する)なら、物価は約1.4~2.8%上がる。より重要なのは、これが1回限りの物価上昇になる公算が大きいことだ。トランプ氏であっても、毎年関税率を上げるようなことはしないのではないか。
減税についてはどうか。記憶力の良い読者なら、2017年に多くのエコノミストが減税の影響によるインフレを懸念していたことを思い出せるだろう。財政刺激策は消費を促進するからだ。だが、そうしたインフレは起こらなかった。しかし、皮肉なことに、共和党は2021年から2023年までのインフレ率の急上昇をジョー・バイデン大統領の米国救済計画法のせいにすることに成功した。同法は別の種類の財政刺激策だ。この法律に起因するインフレ率の上昇はわずかにとどまったようだ。同様に、トランプ氏によるさらなる減税に起因するインフレ率の上昇も、小幅にとどまる公算が大きい。
そして、誰もが見て見ぬふりをするが重要な問題になり得るものがある。それはトランプ氏がちらつかせている大量の不法移民の送還だ。これは米国の労働力の供給を制限するため、インフレを誘発するとみられる。しかし、その影響の大きさは想像することしかできない。2期目のトランプ政権は実際に何をしようとしているのか、どのくらいの人数を取り押さえるのか、どのタイミングで行うのか、などだ。政策を判断するのに最も重要な方法でないことは確実だが、インフレの観点で見ると、その影響は誰も予想できない。筆者は最小限にとどまると予想しているが、間違っているかもしれない。
以上のことを総合すると、トランプ次期政権が新たに導入する政策によって、インフレ率は今後2~3年間で合計2~3ポイント上昇、つまり1年当たり1ポイント上昇する可能性がある。
ここでFRBの話になる。トランプ氏はFRBにいじめのような行為、もしくはもっとひどいことをしようとするだろう。トランプ新大統領がFRBの独立性を奪うか、あるいは著しく損なえば、よりインフレ的な傾向が長期化しかねない。
トランプ氏は1期目の任期中、金利を超低水準から徐々に引き上げていたジェローム・パウエル議長とFRBを絶えず非難していた。トランプ氏は自身がパウエル議長を解任できるか尋ねることまでしたが、解任できないと告げられた。FRB議長の任期は4年で、解任できるのは正当な理由がある場合だけだ。FRB議長のポストは政治的な影響を受けないものとされており、政権交代時に解任されることはない。
だが、これはトランプ政権1期目の話であり、当時の政権内にはまだ分別ある人々という形のガードレールがあった。ガードレールのないトランプ政権2期目はどうだろうか。パウエル氏は、トランプ氏の辞任要求には応じない意向を表明している。感心なことだ。パウエル氏は共和党幹部よりも気骨があるところを既に見せている。
次にどうなるだろうか。パム・ボンディ氏が司法長官として、パウエル氏を解任できないと上司である大統領に伝える姿を本当に想像できるだろうか。この問題が法廷に持ち込まれるのを想像する方が容易だ。最高裁の判断に委ねられれば、6人対3人で過半数を占める保守派がトランプ氏の立場を支持するのはあまりにも容易に想像できる。そうなれば、FRBの独立性は失われる。
この恐ろしいシナリオで事態が進むのを止めるものは何だろうか。次期大統領の良識ある判断なのだろうか。笑うのをやめて、読み続けてほしい。
あるいは、1913年にFRBを創設した連邦議会が、トランプ氏が要求する可能性のある連邦準備法の改正に反対するのだろうか。大統領に立ち向かう気骨を議員たちに植え付けることでもしない限り、そうはならないだろう。
それとも、最高裁がパウエル氏とFRBに有利な判断を下すのだろうか。その可能性は低いが残されている。しかしFRBについては、その独立性は言うまでもなく、憲法のどこにも規定されていないことを忘れないでほしい。そして、最高裁で多数派を占める同じ6人の判事は、トランプ氏には大統領在職中の公的行為に対して多くの免責特権が認められるとの判断を下している。
そこで私は、最後の、そして恐らく最も効果的な防衛線にたどり着く。それは市場だ。トランプ氏がFRBを深刻に弱体化させたり、服従さえ求めたりする最初の兆候が見られれば、株式・債券市場は暴落するだろう。トランプ氏を思いとどまらせるには、ダウ工業株30種平均が何千ポイントも下落する必要があるかもしれない。
われわれは、次期大統領が自身の政策や政権運営の評価を探るために株式市場の動向を見ていると知っているが、これは私が通常勧める方法ではない。しかし、FRBに関する対応は、トランプ氏がそうしていることをわれわれが感謝する事例かもしれない。
香港が「金融犯罪の中心地」に、米議員が警鐘 ビジネス関係の再評価求める - CNN.co.jp
財務省、40年債は生保需要減退で相応の減額が適当との意見-PD会合 - Bloomberg
財務省によると、26日に開かれた国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合では来年度の国債発行計画について、40年債は生命保険の需要減退で来年4月から相応の減額をするべきだとの意見が出た。同省幹部が会合後、具体的な意見の内容を明らかにした。
超長期債については異口同音に生保の規制対応の進捗(しんちょく)による需要減退を踏まえ、減額が適当との意見が多く聞かれた
減額の時期については、一部で今年度内から先行して減額を求める声もあったが、相応規模の減額をするなら来年度からで良いという意見が多かった
30年債は40年債に比べれば需要は見込めるが、減額は適当との意見
長期、中期ゾーンは総じて銀行などの追加的な投資需要が見込めるとし、増額余地があるとの意見
短期ゾーンは3カ月物を中心に旺盛な需要を踏まえ増額を求める意見が聞かれた
日本企業、トランプ氏関税に懸念 十倉経団連会長「甚大な影響与えうる」 | ロイター
経団連の十倉雅和会長は26日、トランプ次期米大統領がメキシコとカナダからの輸入品に25%、中国からの輸入品に追加で10%の関税を課すと表明したことについて、日本企業に「甚大な影響を与えうる」と懸念を示した。
十倉会長は「本当にそうなれば日本企業への影響は甚大になる恐れがある」とし、「注視していきたい」と述べた。米国に対し、ルールに基づく自由で開かれた経済秩序を支えるリーダーとしての役割を求めた。
北米には米国、カナダ、メキシコの間に貿易協定があり、日本企業はメキシコに製造拠点を設けて米国へ製品を輸出しているところが多い。
北米で活動する企業からも懸念の声が聞かれた。米企業との提携をこの日発表した空調大手のダイキン工業の十河政則最高経営責任者(CEO)は「現生産ラインは米国向けだが、南米向けの仕様に変えていくこともひとつだと思う」と語った。同社はメキシコに工場を構え、米国に輸出している。
メキシコから米国に年間約12万台輸出しているマツダは「トランプ氏の就任に向けてこれからの動向をしっかりと見ながら冷静に対応していく」(広報)、自動車部品大手のデンソーは「今後の関税を含む政策全般の決定について動向を注視していく」(広報)とした。
独輸出産業の業況、やや改善 トランプ氏の政策見極め=IFO | ロイター
ドイツのIFO経済研究所が26日発表した調査によると、11月の国内輸出産業の業況はやや改善した。海外事業の展開に慎重な企業が多いが、トランプ米次期大統領の通商政策を見極める姿勢が強まった。
11月の輸出見通し指数は10月のマイナス6.5ポイントからマイナス5.9ポイントに上昇。6カ月ぶりに上昇に転じた。
IFOの調査責任者クラウス・ボールラーベ氏は「企業は不安を抱いているが、トランプ氏が最終的にどういった通商政策を導入するのかを引き続き見極めようとしている」と指摘。
「加えて、大統領選後にドル高が進んでおり、輸出企業に有利に働く可能性がある」と述べた。
一部のアナリストは、今後数カ月は関税導入前の駆け込み受注でドイツの対米輸出が増加する可能性があると指摘している。
米投資ファンド、動き出す400兆円 トランプ勝利で企業買収に回帰 - 日本経済新聞
インフレ再燃? 一筋縄ではいかない防衛策 - WSJ
経済が好調で、次期米大統領が減税と関税を約束する中、当然ながら投資家やエコノミストはインフレ再燃の可能性を警戒している。だが残念なことに、一般的なインフレヘッジの一つであるコモディティー(国際商品)の購入、特に原油の購入は通常よりも防衛効果が低い。
よく知られている二つのインフレリスクに、供給ショックと需要の急増がある。中東での戦争はエネルギー供給を脅かす可能性がある。その一方で、ほぼ完全雇用の経済にある中での減税は物価を押し上げるはずだ。
だが、インフレへのさらなる脅威はどちらのモデルにも当てはまらない。関税と不法移民の強制送還はどちらもインフレを押し上げる可能性が高く、経済にも打撃を与えるだろう。ゴールドマン・サックスの資産配分調査責任者、クリスチャン・ミュラーグリスマン氏は「コモディティーはそうしたことから身を守ってくれない」と話す。
この問題は米大統領選後の値動きにすでに表れている。今後5年間の投資家のインフレ期待を示す指標「ブレークイーブン・インフレ率(BEI)」は、ドナルド・トランプ氏の勝利を予想してすでに上昇していたが、選挙結果を受けて約1年ぶりの伸びを記録した。
一方で、金(ゴールド)、原油、銅は軒並み値下がりしている。インフレヘッジ機能を失ったのだろうか。この答えを出すには、三つの異なるインフレ要因について考える必要がある。
第一に、原油だ。確かに原油が、インフレ高進の最も一般的な要因の一つ、すなわち中東の石油施設が攻撃を受けたことによる原油価格高騰に対して、ヘッジ機能を果たしてくれるのは間違いない。しかし、そうしたインフレは格段に起こりにくくなっている。世界の原油供給ショックは、大規模な在庫と過剰生産能力、そして米国が純輸出国になったことで緩和されており、1970年代のインフレ時代と比べて大きく変化している。イスラエルがイランやその代理勢力との戦いを激化させても、原油価格は1バレル=70ドル前後で推移している。
原油価格のほか、トランプ次期大統領の「ドリル・ベイビー・ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」という公約や、石油・天然ガス採掘企業の経営者をエネルギー長官に指名したことは、米国でも価格に下押し圧力がかかることを示唆している。
第二に、より力強い経済成長だ。これもインフレを押し上げるはずだ。通常、原油と銅は需要が増加するため、成長主導のインフレに対するヘッジとして適している。しかし、関税による米中経済のデカップリング(切り離し)がこの効果を妨げる可能性がある。中国は原料需要の最大の源だが、米国の力強い成長の恩恵をあまり受けないかもしれない。もしくは、まったく受けない可能性もある。
第三に、トランプ氏が掲げる関税と移民の強制送還計画だ。どちらもインフレを加速させる可能性がある。
関税はインフレに複雑な影響を与える。すぐに表れる影響としては、売上税と同様に物価を上昇させ、ドルを押し上げることだ。長期的には、増税と同じように経済を減速させ、インフレ圧力を弱めるはずだ。この複合的な影響は、短期的なインフレ期待の上昇となって表れているが、今後5年を超えるインフレ期待にはほとんど変化がない。
このような動きから身を守るのは難しい。関税は原油や工業用金属の助けにはならず、貿易戦争が世界経済の弱体化、ひいては需要の減少をもたらす恐れがあり、むしろ悪影響を及ぼしかねない。金も苦戦する可能性がある。関税がドルを押し上げれば、金価格は下落し、(金価格の押し上げ要因である)利下げの可能性も後退することが多いからだ。
新政権が何百万人もの不法移民を強制送還すれば、企業は低賃金の労働者の代わりを確保しようとするため、最低賃金労働者の賃金は確実に上昇する。貧困層は所得の全てを消費する傾向にあることから、そうした賃上げは支出を押し上げるだけでなく、企業によるコスト上昇の転嫁や消費拡大に伴う新たな需要創出という経路で、物価に波及するはずだ。これもまた、原油や銅とは異なるタイプのインフレだ。 
不法移民労働者への依存度が最も高いのは農業であり、食品価格が最大の影響を受けるとみられる。そのため、農産物の先物がヘッジ手段となる可能性がある。だが農産物の先物相場は変動が激しく、各作物の詳細を理解する必要があるため、臆病な人向けの市場ではない。
確実に機能するインフレヘッジは、米物価連動国債(TIPS)だ。TIPSはインフレに連動したリターンを保証する。ただしそれは、満期まで保有した場合に限る。2022年のように、突然のインフレショックが金利上昇につながれば、TIPSは実質金利(利回り)上昇の影響を受け、価格が下落する可能性がある。
新型コロナウイルス流行後のインフレ時と比べ、TIPSは現在のほうが魅力的に見える。スタート時点の利回りがはるかに高いためだ。しかし、フィデリティ・インターナショナルのマクロ・戦略的資産配分部門グローバル責任者、サルマン・アフメド氏が指摘するように、TIPSは突然のインフレ高進よりも、数年間にわたる高インフレから身を守るのに適している。
以上のことが、さもなければ強気のポートフォリオをインフレから守ることを難しくしている。TIPSの満期保有は理にかなっている。金はスタグフレーションに対する緩衝材となる可能性があるが、最近の相場は米国以外の中央銀行の需要に左右されており、インフレとは無関係だ。アフメド氏は、原油価格に本物のショックが起きれば急伸する可能性があるため、エネルギー銘柄をいくつか保有することを選好すると話す。
他の多くのことと同様、トランプ氏はポートフォリオのインフレ防衛にも不確実性をもたらしている。
ドル高の流れは年初に反転、中国が報復関税の可能性-アリアンツGI - Bloomberg
アリアンツ・グローバル・インベスターズ(GI)は、ドルの上昇が来年初めに反転すると予想した。トランプ次期米政権による関税措置に中国が対抗策をとる公算が大きいためとしている。
同社のマルチアセット最高投資責任者(CIO)、グレーゴル・ヒルト氏は、報復関税が米経済に打撃を与え、ドルの一段高を抑える可能性に市場関係者は備えていないと指摘。トランプ氏が来年1月に大統領に就任したら、このリスクはすぐに現実のものとなると述べた。
同氏は「来年1-3月(第1四半期)に、ドルが逆方向への動きを始める可能性は十分にある」と指摘した。
ヒルト氏はまた、日本銀行が来月にも利上げする可能性があるとして、円を選好するとも述べた。
米自動車メーカーの株価下落、トランプ関税による打撃懸念 - Bloomberg
26日の米株式市場では自動車メーカーの株価が下落。トランプ次期大統領が中国やメキシコ、カナダへの関税を強化する方針を示したのを受け、業界全体でのコスト上昇が懸念されている。
トランプ氏は25日、中国からの輸入品に10%の追加関税を課し、メキシコとカナダに対しても25%の関税を課すと表明。実際に導入されれば、自動車産業の世界的サプライチェーンを直撃することになる。調査会社グローバルデータによると、昨年メキシコから米国に輸入された自動車および小型トラックは約230万台に上る。
米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)として知られる既存の貿易協定の下、トランプ氏の関税案がどのように実行されるかは不透明だが、自動車産業では主要モデルの生産コスト拡大につながる恐れがある。消費者にとっても、すでに高い自動車の価格がさらに上昇するリスクがある。
調査会社コックス・オートモーティブの業界インサイト担当ディレクター、ステファニー・バルデス・ストリーティー氏は「この1年を通じて常に話題となってきたのは値ごろ感だ」と指摘。「すでに自動車購入に苦労している消費者にとって、価格上昇につながるものは何であれ厳しいものになる」と語った。
ゼネラル・モーターズ(GM)の株価は一時8%を超える下落となり、日中ベースでは2022年6月以来の大幅安となった。フォード・モーターとステランティスも安い。
GMとステランティスは、米国で販売するトラックの55%をメキシコとカナダから輸入。フォードは電気自動車(EV)の「マスタング・マッハE」やスポーツタイプ多目的車(SUV)「ブロンコ・スポーツ」などをメキシコから輸入している。
メキシコのシェインバウム大統領は26日、メキシコ側も関税で対応する可能性を示唆。経済的に深刻な影響をもたらすことになると警告した。
定例記者会見でシェインバウム氏は「関税が課されれば関税で対応することになり、それは企業をリスクにさらすまで続く」と指摘。「メキシコから米国に輸出している主要企業はゼネラル・モーターズ、ステランティス、フォード・モーターだ。そうした企業を危険にさらすような関税をなぜ導入するのか」と述べた。
半導体からソフトへ、人気テク銘柄に潮目の変化-関税リスクで明暗 - Bloomberg
ハイテク株ではここ1カ月、大きな潮目の変化があった。人気だった半導体に陰りが見られ、代わってソフトウエアが脚光を浴びている。
ウォール街では、割高なバリュエーションやトランプ次期政権下での貿易戦争リスクを巡る懸念を背景に、半導体株からマネーが流出している。CHIPS・科学法を厳しく批判してきたトランプ氏は25日、中国、カナダ、メキシコに対して追加関税を課す方針を表明した。一方、ソフトウエア株は上昇気流に乗っている。関税リスクへのエクスポージャーが低いことが強みとなって、ソフトウエアに対する地合いが改善。人工知能(AI)による追い風がインフラからサービスへとシフトする見通しであることも期待を高めている。
グレンビュー・トラストのビル・ストーン最高投資責任者(CIO)は「ソフトウエアは出遅れていたが、AIブームにおける次の勝者となる可能性が高い。またトランプ次期政権が規制やM&A(合併・買収)に対して一段と寛容な姿勢をみせれば、恩恵を受けるだろう」と指摘。半面、「不確実性が高まっているにもかかわらず、とりわけAIチップに関する明るいニュースから、半導体のバリュエーションは急上昇してきた」と述べた。
最近発表された決算は、こうしたセンチメントの変化を浮き彫りにした。クラウド技術を活用したビッグデータの保管・分析サービスを提供するスノーフレイクの株価は、好調な売上高見通しが追い風となり急伸。ソフトウエア開発会社パランティア・テクノロジーズはAIへの「揺るぎない」需要が業績を大きく押し上げた。対照的に、エヌビディアは力強い決算を発表したものの、投資家の高い期待を満たすことはできなかった。
主要なソフトウエア上場投資信託(ETF)は11月に入り16%上昇しており、月間で1年ぶりの大幅上昇となる勢いだ。一方、半導体ETFは2%未満の値上がりにとどまっている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のデータによると、ソフトウエアETFへの資金流入は、半導体ETFをはるかに上回っている。
ジェフリーズの株式取引マネジングディレクター、マイケル・トゥーミー氏は、半導体に対するソフトウエアのアウトパフォーマンスは「過去最高の動き」だと指摘。それでも双方のパフォーマンスを比べた「10年間のチャートで見るとそこまで目立たない」とし、この傾向が継続する余地があるとの見方を示した。
半導体からソフトウエアへのローテーションがどの程度まで進むかは、トランプ次期政権下での動向に左右されるだろう。ぺーサーETFディストリビューターズのショーン・オハラ社長は「関税の面で半導体メーカーには多くの不確実性がある」とし、半導体株はすでにAI期待から大きく値上がりしており、ボラティリティーが高まる可能性があると予想。「一方で、AIソフトウエアへの注目が高まるだろう」と述べた。
これまでのところ、AIのテーマはソフトウエア株よりも半導体株に多くの利益をもたらしてきた。企業がAI技術の実行に必要な半導体やサーバーに資金を投じていることが背景にある。ソフトウエア株でAIブームの追い風を受けているのは、パランティアやマイクロソフト、オラクルなど一部の銘柄のみだ。だが、AIの成長ストーリーで、ソフトウエアとサービスは次の転換点となり得る。
さらに言えば、AIトレードの恩恵をいち早く受けたことで半導体銘柄は割高感が出ている。フィラデルフィア半導体指数の予想株価収益率(PER)は現在24倍。10年間の平均である18倍を上回っており、中でもソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社アーム・ホールディングスやエヌビディアの割高感が目立つ。逆風が吹けば、一段と大きな下落リスクがあるかもしれない。
とはいえ、成長の観点から半導体は依然として根強い人気を誇る。BIの分析によると、半導体企業の2025年利益は40%増と見込まれる一方、ソフトウエアおよびサービスでは約12%増にとどまる見通しだ。売上高の伸びも、半導体の方がはるかに高いと予想されている。
ソフトウエア株にとって次の大きな試金石となるのは、12月初旬に予定されているセールスフォースの決算発表だ。米国みずほ証券のハイテク専門家、ジョーダン・クライン氏によると、同社は新たな生成AIエージェント製品を推進するため積極的な採用を進めており、好業績となればソフトウエア銘柄の上昇基調を維持する一助となりそうだ。
●中東情勢
サウジ、大型プロジェクトの歳出続く 石油収入なお依存 - 日本経済新聞
イスラエルとヒズボラ、停戦で合意 - WSJ
イスラエル政府は26日、レバノンの親イラン組織ヒズボラとの停戦案を承認した。1年余りに及ぶ戦闘に終止符を打つ意向を示した。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は停戦案を支持したうえで、イスラエルがイランの脅威に注力することや、イスラエル軍に休息および再装備の機会がもたらされると述べた。またハマスを孤立させることにつながるとも付け加えている。
レバノン政府当局者らは、停戦合意が27日に発効するだろうと述べた。
ネタニヤフ氏はテレビ演説で、「停戦の継続はレバノンでの状況次第だ。われわれは合意を履行し、あらゆる違反に対して強力に対応する」と述べた。イスラエル政府は前日にはベイルートに激しい爆撃を加えた他、地上部隊もレバノン領内深くにまで進軍している。
レバノンでのイスラエルの攻勢により、ヒズボラの最高幹部の多くが殺害され、同組織は武器の備蓄の大部分も破壊された。だがヒズボラによるイスラエルへのミサイルや無人機を使った攻撃は続いており、26日にはレバノンからイスラエルに少なくとも10発の飛翔(ひしょう)体が発射されたとイスラエル軍は述べている。
またイスラエルの爆撃によりレバノンは混乱に陥り、レバノン政府によると100万人以上が避難を余儀なくされている。レバノン保健省によれば、9月にイスラエルがヒズボラに対する攻撃を激化させて以来、レバノンでは3700人以上が死亡している。
一方でイスラエル国内では、ヒズボラのロケットや無人機による攻撃で数万人のイスラエル人が避難を強いられており、イスラエル政府にとってはヒズボラに対抗する圧力となっている。
●エマージング
中国の住宅、値下がり幅になお余地 高まる社会不安 転機の中国 14億人の素顔 - 日本経済新聞
中国、崩れた不動産神話 価格下落で月50万円ローン重く 転機の中国 14億人の素顔③ - 日本経済新聞
ブラジル、インフレ率が加速 追加利上げ可能性高まる | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(26日)米国株続伸、米ドル上昇・カナダドルなど下落、10年債利回り上昇 | ロイター
ニューヨーク外為市場では、トランプ次期大統領が関税政策を発表したことで、カナダドル、メキシコペソ、中国元が対ドルで下落。一方、円は対ドルで堅調で、ドル/円は153.33円に。ドルはメキシコペソで7月以来の高値、カナダドルでは4年半ぶりの高値を記録。
米国債市場では、関税政策によりインフレリスクが懸念され、10年国債利回りが上昇。一方、短期国債利回りは低下。FOMC議事要旨では追加利下げを巡り意見が分かれ、12月の利下げ確率が60%に上昇。専門家は関税や財政赤字がFRBの利下げを制約すると指摘した。
米国株式市場は続伸し、テクノロジー株が買われた。FOMC議事要旨で利下げを巡る意見が分かれる中、短期的な金融政策の具体的な指針は示されなかったが、利下げが継続すると予想されている。
金先物相場は前日の下落から小幅反発。ただ、イスラエルとヒズボラの停戦交渉の行方を注視する姿勢が相場を抑えた。
原油先物相場は、イスラエルとヒズボラの停戦承認報道で中東供給不安が後退し続落。また、トランプ次期大統領の新たな関税政策がインフレ懸念を引き起こし、ドル高が原油価格に圧力をかけた。
欧州市場サマリー(26日) | ロイター
**ロンドン株式市場**では、トランプ次期大統領の関税引き上げ方針を受け、リスク回避の動きが広がり、FTSE250種指数が0.87%下落。資源大手や酒造大手が売られた一方、投資会社メルローズが目標株価引き上げで7.7%上昇。英小売業者の楽観度は雇用コスト増などで2年ぶりの低水準。
**欧州株式市場**は4営業日ぶりに反落。貿易戦争懸念から自動車株が売られ、STOXX欧州600自動車株指数が1.71%下落。自動車メーカーは追加関税による打撃を懸念している。
ユーロ圏債券市場では、域内国債利回りが一時数週間ぶりの低水準に。ユーロ圏の長期インフレ期待を示す指標がECB目標の2%を下回り、利下げ観測が強まっている。
- **ドイツ10年債利回り**:0.5bp上昇し2.21%。一時2.19%と5週間ぶり低水準。
- **ドイツ2年債利回り**:3bp上昇し2.04%。
- **独仏10年債利回り格差**:81.6bp。
- **イタリア10年債利回り**:0.5bp低下し3.46%。一時3.44%と約1カ月ぶりの低水準。
市場ではECBが12月に25bpの利下げを実施するとの予想が優勢で、大幅利下げの可能性も一部で見込まれている。

備忘録(2024/11/25
●海外企業決算
[A] アジレントテクノロジーズ 2024年10月通期は減収増益 売上高5%減65.1億ドル、営業益10%増14.8億ドル、EPS4429553.26ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
VW、コスト削減に人員削減と工場閉鎖は不可避=ブランド責任者 | ロイター
ドイツ自動車大手フォルクスワーゲンの最高ブランド責任者を務めるトーマス・シェーファー氏は独紙ビルト・アム・ゾンタークのインタビューに応じ、40億ユーロ(42億ドル)のコスト削減への取り組みにおいて人員削減と工場閉鎖を回避できる見込みはないとの見方を表明した
シェーファー氏の発言は労働組合との対立をさらに深めた。労組は12月からストライキを実施する可能性をちらつかせており、現在進行中の賃金と生産能力を巡る交渉で、会社に工場閉鎖と大幅な人員削減を除外した解決策を提示するよう求めている。
同氏は「最終的に、どのような解決策でも過剰生産能力とコストの両方を削減しなくてはならない。その場しのぎの対応で先延ばしし続けることはできない。それは後々、深刻な形でわれわれを苦しめることになる」と語った。
またVWで想定される人員削減の大半は、通常の自然削減と早期退職で行われる可能性を示したが、それでは不十分だと付け加えた。さらに事業再編に長時間かけることは意味がなく、競合勢から取り残されないよう、今後3─4年以内に実施すべきだと述べた。
人員削減と工場閉鎖のほか、VWはVW AG部門の従業員に10%の減給も求めている。
シェーファー氏は、現時点で欧州の需要が大幅に回復する見込みはないとし、同社のドイツ拠点における人件費は、同業他社や南欧・東欧の自社拠点と比べて約2倍も高いと指摘した。
メーシーズ、決算発表を延期-従業員の経費隠しが調査で発覚 - Bloomberg
独ティッセンクルップ、鉄鋼部門で1万1000人の削減を提案-業況悪化 - Bloomberg
独ティッセンクルップの鉄鋼部門は25日、人員削減と外部委託を通じて1万1000人の雇用を減らす計画を明らかにした。世界的な過剰生産とエネルギー価格高騰のあおりで多額の損失を出し続けており、事業縮小を余儀なくされている。
鉄鋼部門の取締役会が5000人の人員削減と、6000人の職務を外部委託に移行することを提案した。向こう数年間で人件費の平均10%カットを目指す。現在の従業員は約2万7000人。
同社はチェコの富豪ダニエル・クレティンスキー氏のEPコーポレート・グループ(EPCG)との間で、EPCGの出資比率を現行の20%から50%に引き上げる可能性について協議を行っている。
かつて工業大国ドイツの代名詞だったティッセンクルップは目下、経営再建の途上にある。2020年にはエレベーター部門を172億ユーロ(現在のレートで約2兆7800億円)で売却することに成功したが、鉄鋼部門による一連の損失や評価損で手元資金が大きく減少している。
ティッセンクルップは声明文で「過剰生産能力と、その結果として特にアジアから安価な輸入品が増加していることが、競争力に大きな影響を与えている」と述べた。
グーグルと敵対する米政府、大きすぎる願望 - WSJ
ホリデーシーズンの「欲しいものリスト」は欲張りすぎになることが多い。米グーグルに対する連邦政府のリストには別次元の大きな願望が盛り込まれている。
米司法省が検索大手グーグルの反競争的行為に対して提案した是正措置が20日遅く明らかになった。8月に連邦判事はグーグルの反競争的行為を認定し、同社を世界の検索市場における支配的地位を維持するために違法な慣行を用いた「独占企業」と呼んだ。
今回の司法省の是正案については、一部の内容は予想されていたものだった。例えば、ウェブブラウザー(閲覧ソフト)「クローム」の売却や、米アップルが同社端末上でグーグルの検索エンジンを標準搭載にする見返りにグーグルがアップルに対価を払うことの禁止措置だ。一方で、政府が「シンジケーションとデータアクセスを通じた競争の回復」と説明した提案などは驚きをもって受け止められた。これには、グーグルが自社の検索インデックス(つまりウェブ上の全てのサイトに関する膨大なデータベース)を競合他社や潜在的ライバルに「限界費用」で提供することなどが含まれる。グーグルはまた、競合他社に対しユーザーデータと広告データへの全面的なアクセスを10年間無償で提供することを求められた。
投資家は意表を突かれた。グーグル親会社アルファベットはこの半年間、反トラスト(独占禁止)法違反に対する取り締まり強化への懸念から売り圧力にさらされていたが、株価は21日にさらに4.7%下落した。ロバート・W・ベアードのコリン・セバスチャン氏はシンジケーションに関する司法省の提案について顧客向けのメモで、「政府の要求の中で最もひどいものであり、分析の客観性にさえ疑問符がつく」との見解を示した。エバーコア ISIのマーク・マハニー氏は同日のリポートで、こうした提案を「過酷」と評した。
司法省の提案は全て、実現までにはまだ長い道のりがある。グーグルは政府の要求を「過激な介入主義的政策を推し進める」試みとみなしており、来月に独自の案を提出する予定だ。今回の訴訟の担当判事は、来年8月までに是正案を巡る判決を示す方針を示している。TDカウエンの政策アナリスト、ポール・ギャラント氏は21日のメモで、「司法省はまず全てを要求し、たとえ(是正案の審理を担当する連邦地裁の)メータ判事による絞り込みがあったとしても2025年の夏にはしっかりとした最終パッケージを手に入れるという戦略だ」との見方を示した。
グーグルは判決が出ても上訴する可能性が高いとみられ、ギャラント氏は最終的にどうなるかは少なくとも2026年の夏までは不透明なままだとの見通しを示す。年明けの米政権交代が結果を大きく変える可能性は低い。モフェットネイサンソンのアナリストは21日、「反トラスト法訴訟の和解に対する司法の監督を保証するタニー法は『選挙の鐘で救われる』瞬間を排除している」とした。
このため、グーグルの将来は当分不安定なままだろう。また、反トラスト法を巡り厳しい目にさらされている他のテクノロジー大手にとっても、主要資産の競合他社への売却を強制する判決が下される可能性は懸念としてつきまとうことになる。グーグルの検索エンジンのユーザーも心配しているかもしれない。検索市場での競争に加わろうとする企業にユーザーのデータが無償で提供される可能性があるためだ。司法省の提案は「適切なプライバシー保護措置を講じること」を求めているが、詳細を示していない。21日の政府提出文書には、「プライバシー」という言葉が1回しか登場しない。
グーグルはこれまで、プライバシー保護の模範とは言い難かった。ただ、同社は単にアップルに数十億ドルを支払ったり、基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のスマートフォンのユーザーにサービスを押し付けたりしたことでインターネット検索における圧倒的な存在になったわけではない。最初のアンドロイド搭載スマホがリリースされてからわずか数カ月後の2009年、グーグルはすでに世界の検索市場で90%以上のシェアを占めていた。また、「グーグル」が検索を意味する一般用語として辞書に初めて載ったのは2006年で、初代「iPhone(アイフォーン)」が発売される1年前だった。
こうしたことは、グーグルが自社の技術に多額の投資を行った結果だ。同社はクラウドコンピューティングや人工知能(AI)事業が本格化するはるか以前の2001~10年、年間売上高の平均12%を設備投資に充てていた。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、同じ期間のアップルの設備投資は年間売上高に対する比率で平均3%に過ぎなかった。
司法省の提案の一部は、事実上こうした投資を無駄にするものであり、大きな無理があるように思われる。アナリストらは、政府が望むもの全てを手に入れるとは考えにくいとの見方で一致している。ただ、もし手に入れた場合、グーグルにとって状況が大きく変わる可能性があるとの見方も共通している。エバーコアのマハニー氏はリポートで、データ共有とシンジケーションに関する提案は「グーグルの競合他社の検索プロダクトの品質を大幅に向上させる可能性がある」と指摘した。ベアードのコリン・セバスチャン氏は、そうしたデータを競合他社に渡すことは「グーグルの検索結果の品質を低下させるリスクもある」とした。
グーグルはすでに大きな戦いのさなかにあった。その重大さは一段と高まっている。
【社説】グーグルに対する反トラスト攻勢 - WSJ
バイデン米政権は米グーグルをどれほどひどく罰したいと思っているのだろうか。司法省の反トラスト部門が現在、連邦地裁に対し、たとえ消費者に打撃を与え、中国に利益をもたらす可能性があるとしても、同社の事業縮小を命じるよう求めていることにその思いの強さが表れている。司法省の対応は、この問題を巡る政府の市場への干渉に懐疑的になる一つ目の理由に過ぎない。
司法省は先週、裁判所に提出した文書の中で、グーグルの反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いに対して一連の是正策を提案した。連邦地裁のアミット・メータ判事は8月、グーグルがウェブブラウザー(閲覧ソフト)の開発業者や機器メーカーに対価を払って同社の検索エンジンをデフォルト(初期設定)として利用してもらうことで、検索エンジン市場で違法な独占を維持してきたとの判断を下した。もっとも同判事は、これが同社の成功の主な理由ではないことは認めている。
メータ判事は「グーグルは偶然によって市場の支配を確立したわけではない。何千人もの高度に熟練したエンジニアを雇用し、技術革新を着実に進め、賢明なビジネス上の決定を行ってきた」とし、「その結果、業界で最高品質の検索エンジンが実現し、グーグルはそれを日常的に利用する数億人のユーザーから信頼を得ている」と記している。
それにもかかわらず、政府は今、グーグルの検索エンジンの質を低下させ、グーグルより成功していない競合他社を助けようとしている。まず、人気の高いウェブブラウザー「クローム」の売却をグーグルに求める提案から考える。クロームではデフォルトでグーグルの検索エンジンが使われている。司法省は、グーグルがターゲット広告の効果や検索結果の絞り込みの精度を高めるためにクロームを利用してより多くのユーザーデータを収集していると指摘した。だが、グーグルがクロームを所有していることで広告主とユーザーに利益があるのであれば、何が独占禁止法上の問題なのだろうか。
また、他社システムのデフォルト検索エンジンに選んでもらう対価をグーグルが支払うことを、司法省は禁じたい意向だ。メータ判事は、アップルなどの企業がグーグルを選んだ主な理由は、グーグルが「クエリ(利用者による検索)を収益化する最も可能性の高い方法を提供する」からだと述べたが、これは論外だ。グーグルとの契約で、こうした企業は売上高から取り分を得る。このような契約を禁止すれば、機器メーカーや他のブラウザー運営企業に害を及ぼすだろう。
主に利益を享受するのは、米マイクロソフトの検索エンジン「ビング」になるだろう。同社がビングをデフォルトにしてもらうために支払う金額が少なくなる可能性があるからだ。マイクロソフトの時価総額は、グーグルのそれを50%上回っていることに留意すべきだ。司法省はハイテク大手1社を妨害するために、競争相手の巨人を補強することになる。政府はグーグルが検索エンジン改善のために人工知能(AI)を使用するのを阻止する計画だが、これについても同じことが言える。これは、マイクロソフトのツール「ビングAI」や、独自の検索ツールを開発しているオープンAIを有利にするだろう。
司法省は、グーグルが自社データを社会全体で使えるようにすることも望んでいる。政府は裁判所に提出した文書で、「(グーグルが持つ)利用者側と広告のデータを10年間にわたって無償かつ無差別でライバルおよび潜在的なライバルに提供」させるよう求めている。これに中国のテンセントホールディングスや字節跳動(バイトダンス)といった外国のライバルは含まれるのだろうか。司法省案には「適切なプライバシー保護措置」が示唆されているのだから、心配には及ばないと言うのか。
訴訟に加わった州の司法長官たちは、米国人にグーグル以外の検索エンジンの使用を促すための「全国を対象にした広告・教育プログラム」の資金についても、グーグルに負担させたいと考えている。このプログラムには「短期間のインセンティブの支払い」を伴うケースが含まれる。独禁当局は、ある企業に対し、自社製品に劣るライバル製品を使ってもらうための顧客への支払いを強制したいと考えている。これは当局が明らかに方向を誤っていることを示している。
これとは別の、グーグルの広告事業を巡る反トラスト訴訟については、われわれは判断を控える。しかし、過去40年間にわたって反トラスト法の方向性を定めてきたのは、消費者の利益だった。消費者の利益を重視すれば、規制当局が自らの好みに応じて市場環境を変えるのを防げるからだ。裁判所が司法省の計画にゴーサインを出しても、その計画がうまく機能するかどうかは全く分からない。なぜなら、メータ判事も認めているように、グーグルが市場を支配している大きな要因は技術革新とエンジニアの能力にあるからだ。
そして、これら全ての動きは、米国と中国がAI分野の主導権を巡る重要なレースを繰り広げている中で起きている。グーグルは、AI投資を進める米主要企業の一つだ。反トラスト政策の目的は、市場の著しい乱用の取り締まりであり、経営の成功を理由に企業を罰することではない。
イタリアのウニクレディト、バンコBPMに買収提案 約1.6兆円で - 日本経済新聞
豪BHP、チリの銅開発に110億ドル投資へ 供給不足見据え | ロイター
●日本企業
日特殊陶、東芝マテリアルを買収 約1500億円で | ロイター
大手生保の債券評価損、3月比2倍超の4.4兆円-金利上昇で警戒も - Bloomberg
国内大手生保4社の運用資産の大半を占める国内債券の評価損が、金利上昇を受け増加傾向にある。9月末の4社合計額は4兆4294億円と3月末の2兆508億円の2倍超に拡大した。
各社が25日までに発表した2024年4-9月期決算で明らかになった。国内債券評価損の拡大は、日本銀行による利上げに伴う債券利回りの上昇(価格は低下)が主因。評価損が大きく膨らんだ6月末の5兆6907億円に比べると減少した。
債券の評価損の拡大は減損リスクを高めるほか、一部の債券の評価損は保険金の支払い能力を示すソルベンシーマージン比率の低下要因となり、資産配分でリスクを取りにくい原因にもなる。このため、生保各社は金利上昇によるマイナスの側面として注視している。長期の保険契約に対応するため、債券での運用は原則として長期保有が前提だ。
日本生命の都築彰・執行役員財務企画部長は、債券価格の下落(利回り上昇)について、減損処理が必要な水準は「近くはない」と指摘。ただ、「どのような金利水準になったら、どれくらいの含み損が出てくるのか。今までに経験のないステージなので、全社を挙げて検討を進めている」と金利急騰に警戒を強めている。
住友生命保険の増田光男運用企画部長は足元の金利状況では、減損について「さほど懸念する状況ではない」と指摘。「ポートフォリオ全体の利回りの水準は上がってきている」という。明治安田生命保険の北村乾一郎運用企画部長も現時点では「減損が発生する状況ではないと認識している」と説明した。
10年国債利回りは日本銀行が3月に利上げに踏み切る前の0.7%台から直近では1%台に上昇している。生保は運用ポートフォリオの改善に向け、利回りの低い債券から高い債券への入れ替えを進めている。
現状ではソルベンシーマージン比率の観点からも大きな問題はなさそうだ。例えば日本生命(単体)の場合、9月末の同比率は970.8%と3月末に比べ9.2ポイント低下したが、健全とされる200%を大きく上回っている。
円換算の外国証券運用の利息・配当金収入や海外事業の収益に影響する為替相場の見通しについては、米大統領選などを受け、住友生命が25年3月末で1ドル=148円(従来140円)、明治安田が同145円(従来135円)、第一生命が同153円(従来140円)とそれぞれ米ドルに対して円安方向に見直した。
HISが決算発表延期、子会社が助成金不正受給の可能性極めて高い - Bloomberg
セブンイレブンを欲しがる理由 - WSJ
米国でセブン―イレブンと言えば、「スラーピー」なしに語れない。
高フルクトース・コーンシロップ(異性化糖)に香料と炭酸水を混ぜたレインボー色の飲料(完全な液体でも固体でもないフローズンドリンク)はコンビニエンスストアの定番商品だ。手軽さと甘さ、カラフルさ、1~2ドル(約154~308円)程度の安さが受けている。
スラーピーは一大ビジネスでもある。このドリンクの元祖(1960年代に「アイシー」として発売し、後にスラーピーと改名)を生み出したセブン―イレブンでは2023年の販売数が1億5300万杯に達し、800億ドル規模のコンビニ帝国を支える土台となっている。セブン&アイ・ホールディングス(本社・東京)の傘下にあるセブン―イレブンは、世界19カ国で8万5000店舗を展開している。24時間営業の照明の下に陳列される商品の幅広さもそれに負けていない。ポテトチップスや漂白剤、たばこ、サングラス、パワーステアリング専用のオイルなど、何でも置いている。
セブン―イレブンはその店頭に置かれた飲料ディスペンサーやローラー式機械で提供されるホットドッグのおかげで文化的アイコンと化し、米ロック歌手ブルース・スプリングスティーンやロックバンドのグリーン・デイの歌詞に引用されたほか、テレビアニメ「ザ・シンプソンズ」で風刺されたり、ゲームシリーズ「グランド・セフト・オート」に描かれたりしている。2013年のアニメ映画「スペースガーディアン」では、平和の証としてスラーピーが宇宙人に贈られる。
現在このチェーンを巡り、二大陸にまたがる買い手が巨額の買収合戦を繰り広げている。「サークルK」などのコンビニチェーンを傘下に持つカナダ企業アリマンタシォン・クシュタール(ACT)は、470億ドル(約7兆2400億円)で買収提案を行っている。
セブン&アイはACTが示した当初の提案を拒否した。その案はACTの既存チェーンのブランドを強化し、国際的な事業拡大を後押しする狙いがあった。今月に入ってセブン&アイの創業家からこれに対抗するさらに高額な買収提案を受けた。セブン―イレブンというブランドを引き続き日本で管理し、同チェーンの人気商品であるおにぎりなど地元好みの商品に外国人が手を加えるのを防ごうとしている。
セブン―イレブンは約100年前に米国で誕生した。1990年代に日本企業に買収され、最先端の在庫管理と物流システムを駆使して世界最大のコンビニ小売業者に成長した。緑とオレンジの特徴的な看板はどこに行っても目立つが、その成功の核心は、地域に魅力的な形で特化した店舗にある。例えば、日本ではおにぎり、米中部大西洋岸ならオールドベイ・チキンサンドイッチがこれに当てはまる。
典型的なセブン―イレブンの約280平方メートルの店内は、ごちゃ混ぜの商品をぎっしり並べたように見えるかもしれないが、約3000種類の商品は詳細なデータに基づいて厳選されたもので、各店舗が地域の習慣や好みに合わせて品ぞろえを調整できるようになっている。
また、セブン&アイがフレッシュフード販売で培った経験を生かし、セブン―イレブンは食品小売りの分野で米国流の驚くほど収益性の高い「ダッシュボードダイニング」という領域も開拓している。この用語は、骨なしチキンウイングや、タコ・チーズ・タキート、ホットドッグといった片手で食べられる安価な食品を指し、テイクアウトに適した商品だ。これらは小売業の「金脈」になり得ると、買い手は考えている。
だが、インフレによってコンビニ業界の主力顧客である低中所得層が苦境に追いやられ、セブン―イレブンもその影響を免れなかった(同社は売上高の大半を日本以外で稼いでいる)。ACTが8月に当初提案を行うまでの12カ月間に、セブン&アイ株は13%値下がりしていた。10月には2025年2月期の通期利益予想を40%余り引き下げ、1630億円とした。インフレによる需要低迷を理由に挙げた。
ここにACTは買収機会を見いだした。もし合意できれば、合併後の会社はその規模を生かし、サプライヤーへの影響力を強めたり、店舗配送を統合したりしてコストを削減できるだろう。
セブン―イレブンは長年にわたり、食品の品ぞろえの強化に取り組んできた。同社の戦略は、特にアジアで成功を収めている。日本に次ぐ店舗数2位の国タイでは、タイ風チキンカレーなど伝統的なタイ料理を幅広く取りそろえている。
一方、太平洋の向こう側では、カナダのケベック州に本拠を置くACTが、20年近く前からセブン―イレブンに強い関心を寄せてきた。
1980年にモントリオール郊外のコンビニ1店舗から始まり、カナダ、北欧、ドイツ、香港、米国など、世界31カ国で1万6800店舗を展開するまでに成長した。
ACTの創業者で会長のアラン・ブシャール氏は、仏エネルギー大手トタルエナジーズの欧州小売り部門や米石油大手コノコフィリップスの傘下だったサークルKなどを買収し、会社を成長させてきた。
ブシャール氏は2000年代初め、非公式にセブン&アイの経営陣に接触し、買収に興味があるかと打診したが、断られた。カナダ人ジャーナリスト、ギー・ジャンドロン氏が2016年に出版したブシャール氏の公認の伝記で明かされている。
ACTは燃料・たばこ販売からの多角化を図り、フレッシュフード販売の比率を高める意向だ。スタイフェルの調査報告書によると、フレッシュフードは同社の売上高の12%を占める。一方、セブン―イレブンは日本での売上高の約3分の1を生鮮食品が占めている。
ACTの広報担当者は「両社が一緒に成長し、世界中の大勢の顧客に提供する商品やサービスを強化するための絶好の機会だと、引き続き考えている」と述べた。「必要な資金を調達し、統合を完了させる能力にも依然として自信がある」
米国はACTにとって最大の市場であり、サークルKのブランドで7100店舗以上を運営する。これは米国で約1万3000店舗を展開するセブン―イレブンに次ぐ規模だ。
ACTは今夏、セブン&アイに対し390億ドルの買収提案を示した。セブン&アイ側はこれを拒否し、自社の価値を「著しく過小評価している」と指摘した。
その後、ACTは買収額を約470億ドルに引き上げたが、セブン&アイはなお抵抗している。ACTのアレックス・ミラー最高経営責任者(CEO)とブシャール会長は10月に東京を訪れたが、セブン&アイ幹部との面会は実現しなかった。
先月、セブン&アイの井阪隆一社長は「今後も大きなグローバル成長の可能性を秘めている」と述べ、2030年度にグループ売上高をほぼ倍増の30兆円以上にする目標を示した。スーパーマーケットなど非中核事業の分離(スピンオフ)を含む再編計画も発表した。
先週、セブン&アイ創業者の故伊藤雅俊氏の次男で、副社長を務める伊藤順朗氏が、同社の非公開化に向けた買収提案を行った。これらの提案を検討するために設置された特別委員会を率いる取締役会議長スティーブン・ヘイズ・デイカス氏は、同委員会が「全ての選択肢を客観的に検討する」と述べた。
セブン&アイが今後採るべき道を決断するよう迫る圧力は高まっている。セブン―イレブン幹部は10月、インフレ疲れで客足が遠のく中、北米で約450店舗を閉鎖してコスト削減を図ることを明らかにした。同社によると、たばこの売上高は2019年以降26%減少し、80年ぶりの低さとなっている。
過去1年間、セブン―イレブンは一部のプライベートブランド(PB)食品の改善に取り組み、カプチーノやラテのようなスペシャリティ飲料の販売に活路を見いだそうとしている。これはガソリン・たばこ販売からの多角化に役立つ可能性がある。
大和総研のコンサルタント、吉川英徳氏は、今回の買収合戦における文化的な違いは、単なるおにぎり対スラーピーにとどまらず、大型買収がもたらす重大な影響に関係していると述べた。
吉川氏によると、米国では「取締役会の義務として1円でも高い方へ売ることを努力すべき」だと考える。一方、日本企業は「株主利益というよりは、共同体がどうあるべきか、みたいなところに最初の着目点がいってしまう」という。
生保、主要14社の利益15%増 円安・株高で運用好調 - 日本経済新聞
主な生命保険会社の2024年4〜9月期決算が25日、出そろった。本業のもうけを示す基礎利益は14社・グループの合計で前年同期比18%増の2兆730億円だった。円安で外貨建て資産の利息や配当金が膨らんだ。堅調な決算だったが、トランプ次期米大統領の就任など市場を取り巻く不透明な環境を踏まえて先行きには慎重なコメントが目立った。
25日に発表した日本生命保険の基礎利益は36%増の4866億円で、グループで基礎利益の開示を始めた15年以来で最高益となった。明治安田生命保険や住友生命保険なども株高や円安による好調な運用益が利益を下支えした。外債投資の際に支払うコストが日米金利差の縮小で小さくなったことも各社の利益を押し上げた。
日本生命は25年3月期の基礎利益を前の期比4%減の7300億円と見込んでいたが、好調な運用益などを背景に約9000億円と18%の増益予想に転じた。25日の記者会見で赤堀直樹取締役専務執行役員は「本来であれば喜びたいところだが、マーケットや地政学的リスクを考えると楽観視できない」と話した。
すでに決算を公表した第一生命ホールディングスもグループ全体の修正利益が42%増の2452億円。通期の業績見通しに対する進捗率は72%と高いものの、不透明な市場環境を理由に業績予想は据え置いた。
日産、米生産2割減 販売不振で25年3月末まで減産継続 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
【米政権交代】 農務長官にロリンズ氏を指名、トランプ次期政権の主要閣僚固まる - BBCニュース
波乱の米財務長官人事、トランプ氏はウォール街の意向尊重 - Bloomberg
トランプ次期米大統領がこれまでに次々と発表した閣僚人事は、トランプ氏がエスタブリッシュメントを侮辱することをいとわず、それを望んでいるかのような印象を与えるもので、軍幹部や公衆衛生の専門家、共和党議員さえ冷笑するような顔触れだった。
しかし、トランプ氏が波風を立てたくない相手が少なくとも一つ存在する。ウォール街だ。
トランプ氏は22日、米国債市場や徴税、経済制裁を統括する財務長官ポストにマクロヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループを経営するスコット・ベッセント氏を指名すると発表した。
ベッセント氏は世界の金融システムと外国為替市場に精通しており、それは米国の「債券販売最高責任者」およびドルの管理責任者として投資家に好感される特性だ。
また、次期大統領の関税計画を支持し、トランプ減税の延長のために闘う意向を示しているものの、ベッセント氏はイデオロギー信奉者とはみられておらず、同氏の起用は政治的な点数稼ぎよりも経済と市場の安定を優先するとのウォール街の期待に十分応えた形となっている。
しかし、ベッセント氏はワシントンの泥沼の官僚主義は未経験で、トランプ氏の側近の間でしばしば見られる混沌(こんとん)とした動きには比較的新参者であるため、それらがベッセント氏の成功と影響力を阻む可能性がある。
一方で、トランプ政権の経済トップとしての地位を利用して、次期連邦準備制度理事会(FRB)議長指名に当たり、極めて異例なアプローチを提唱する可能性もある。
ベッセント氏は以前、パウエル現議長の任期が切れるずっと前に次期議長をトランプ氏が指名し、待機している人物を事実上「影のFRB議長」とする可能性を示唆した。
財務長官ポストの選考プロセスは、トランプ氏の他のいかなる注目閣僚候補よりも長引き、はるかにドラマに富んだものとなった。トランプ氏は、ベッセント氏ともう1人の候補者で、結局、商務長官に起用されたキャンターフィッツジェラルドの最高経営責任者(CEO)、ハワード・ラトニック氏との間の内紛に嫌気が差し、候補者の枠を広げた経緯がある。
財務長官の人選は最終的にスタート地点のベッセント氏に戻った。同氏は数カ月を費やして、指名されるための下準備を念入りに整えた。トランプ氏がベッセント氏指名の方針を発表したのは、性的不正行為疑惑を巡る調査で厳しく追及されたマット・ゲーツ氏が司法長官候補の指名を辞退した翌日だった。
ゲーツ氏の騒動は、物議を醸す閣僚候補の人選が裏目に出る可能性があることを、トランプ氏の政権移行チームにまざまざと示した。
ベッセント氏の起用にこれほど時間がかかったのは、トランプ氏が抱く相反する期待にどのように折り合いをつけるかが難しかったからだ。 同氏は、包括的な新関税の導入計画を積極的に受け入れる財務長官を望んでおり、株価上昇を自分の手柄にしたいと望んでいる。だが、トランプ氏の貿易政策に特に熱心な候補者の場合、それが新たなインフレ圧力を生み、世界経済の重しとなることを懸念する投資家をおびえさせる可能性が高かった。
トランプ氏は貿易政策を巡る自身の考えの重要性を反映させる形で、ベッセント氏起用についての22日の発表文で「米国の競争力を高め、不公正な貿易不均衡を是正する私の政策を支えることになる」とコメントした。
ベッセント氏はトランプ氏の政策のメリットを宣伝し、同氏の経済演説策定の一部を手助けするなど、他の候補者よりも多くの項目で点数を稼いだ。こうした言動は「トランプワールド」では次期大統領へのある種の忠誠を示すものと見なされている。
トランプ氏の長年のアドバイザーであるスティーブ・バノン氏は、人選が決まる前に「ベッセント氏は歴史上のこの瞬間に完璧なスキルセットを備えている」と指摘。「彼はトランプ氏に対し、これが米国の成長促進、サプライサイド、経済計画の最後のチャンスだと提言しており、このため私は彼を強く支持する」としていた。
トランプ氏が印象付けたいと考える金融関係者の信認をベッセント氏が得ていたこともプラスとなった。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、ベッセント氏が唯一の適任者とは考えないものの、同氏を高く評価していると事情に詳しい関係者1人は明らかにした。
また、「スコットは財政タカ派であり、経済と市場にとって全体的にプラスになることは間違いない。彼は歳出を抑制したいと考え、財務長官を市場に沿った立場に戻したいと望んでいる」と、ウォール街の債券トレーディングデスクで30年余りを過ごし、現在はミシュラー・ファイナンシャル・グループのマネージングディレクターを務めるグレン・カペロ氏は語った。
ベッセント氏は今後、他の候補者も何日もかけて検討した次期大統領に、自分自身が最適な人選であったことを証明する必要があるだろう。
熾烈な競争
財務長官ポストを巡る売り込み合戦は、トランプ氏のどの閣僚候補の人選よりも熾烈(しれつ)を極めた。
ベッセント氏は今月5日の大統領選投開票日の夜にトランプ氏の邸宅のあるフロリダ州パームビーチで過ごし、その後も数日間滞在した。ベッセント氏がフロリダを去った際、同氏が起用される公算が大きいと受け止められていたが、そこにラトニック氏が割り込む形となった。
ラトニック氏はトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」の作戦室に陣取り、チームがさまざまな役職の候補者について意見を述べられるようにした。ラトニック氏は何カ月もの間、選挙キャンペーンに多額の献金をしながらも、政権の一翼を担うという野心についての質問を避けてきた。
しかし、この件に詳しい関係者によれば、ラトニック氏は財務長官候補に自分の名前を挙げており、ベッセント氏については関税を含む主要な保護主義的公約に弱腰だろうとトランプ氏に話したという。ラトニック氏がこのポストに興味を示したことは、トランプ氏にとって意外だったようだと関係者は語った。
トランプ氏の支持者の一部はラトニック氏のアプローチについて、ブッシュ(子)氏の副大統領候補選考を担当し、最終的に自身が候補となったディック・チェイニー氏のケースになぞらえて否定的に捉えた。
トランプ氏の主要な盟友たちの間でもこの人選をめぐって意見が分かれ、ベッセント氏を推す動きもあれば、イーロン・マスク氏がラトニック氏を支持する一方でベッセント氏を 「いつも通りの人選 」とやゆするなど、選出プロセスは足踏みし始めた。
この状況にトランプ氏をいら立ち、より多くの候補者に門戸を開く一因となったと関係者は話す。ケビン・ウォーシュ元FRB理事やアポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワンCEOらもその一角で、それぞれマールアラーゴを訪れた。
商務長官へのラトニック氏の起用を受けて、トランプ氏は再びベッセント氏と会う機会を得た。一方、関係者の話では、ウォーシュ氏は、財務長官ポストよりも、パウエル議長の任期切れに当たって次期議長に指名されるよう希望していることを明らかにした。また、トランプ氏のアドバイザーは、伝統的な銀行ではなくプライベート・エクイティー(PE、未公開株)投資の業界出身のローワン氏が適切な経験を積んでいないことを懸念したという。
ムニューシン氏の影
トランプ政権1期目はしばしば波乱に満ちたものだったが、当時の財務省は比較的落ち着いた場所だった。当時財務長官だったスティーブン・ムニューシン氏は政権の最初から最後までトランプ氏に仕えた。
ただ、トランプ氏とその周囲の人々は、ムニューシン氏の在任期間を後悔の念とともに振り返っている。トランプ氏が後に不満を抱くようになったパウエル氏のFRB議長指名をトランプに勧めたのはムニューシン氏だった。
さらにムニューシン氏は、「MAGA(米国を再び偉大に)」をスローガンに掲げるトランプ氏の中心的アドバイザーたちの多くから、あまりにもグローバリスト過ぎるとみられていた。同盟国に対する高関税賦課や、政治的利益のためにドル安誘導を狙い外為市場に積極的に介入することを望むなど、トランプ氏の非正統的な保護主義的衝動に対し、ムニューシン氏はしばしば防波堤の役割を果たしていた。
ムニューシン氏の二の舞を避けたいという願望が、トランプ氏が今回検討した候補者の顔触れの共通項となった。
「今回のプロセスで主要かつ不変なのは、誰が就任するにしても関税引き上げについて真剣になることを要求するものだ。このプロセスは、次期大統領が関税にどれだけ真剣に取り組んでいるかを補強するものだ」と、オバマ政権の大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長を務めたジェイソン・ファーマン氏は論評した。
財務長官は大統領が権限を与え、その管理スタイルが許す限りにおいてのみ力を発揮する。例えば、クリントン元大統領はホワイトハウスに国家経済会議(NEC)を創設し、その初代トップであるボブ・ルービン氏はそのスタイルと市場ノウハウによって絶大な信用を獲得した。当時の財務長官はロイド・ベンツェン元上院議員で、影響力は比較的小さかった。ルービン氏はその後、自らも非常に権力のある長官になった。
トランプ氏はまだNEC委員長に誰を指名するか発表していない。しかし、誰であろうと、ムニューシン氏の大きな陰影がベッセント氏の前に立ちはだかるかもしれない。
ナットアライアンス・セキュリティーズの国際債券責任者アンドルー・ブレナー氏は「トランプ次期政権の財務長官の最有力候補として名前が挙がっていた人物の中で、ベッセント氏が最も適任だったと思う。ムニューシン氏ほど良い仕事をする人はいないと思うが、彼はその仕事を望んでいない」とコメントした。
●先進国中銀、金融当局
新たな貿易戦争なら欧米双方に打撃、ドイツ連銀総裁が米関税に懸念 | ロイター
ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁は22日、新たな貿易戦争が起これば欧州と米国双方の成長に打撃が生じ、インフレも加速する恐れがあると懸念した。また、遅れている経済統合を始動させるよう欧州連合(EU)首脳に迫る圧力が高まるとの見通しを示した。
政策担当者らは、トランプ次期米大統領が提案している関税は全ての関係国に損害を与える可能性が高いと訴えている。
フランクフルトで講演したナーゲル氏は「このような関税の導入は国際貿易紛争を再燃させ、われわれの多国間秩序をさらに損なう。他の計画と相まって、米国内外で国内総生産(GDP)を大幅に押し下げる可能性があるほか、おそらく大西洋の両側でインフレ加速につながるだろう」と指摘。
その上で、欧州は今団結し、国家の利益より共通の大義を優先させ、欧州の繁栄モデルを守る経済的枠組みを構築しなければならないと訴えた。
英インフレ上振れ懸念、利下げ段階的に=ロンバルデリ中銀副総裁 | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)のロンバルデリ副総裁は25日、インフレ率が英中銀の予想より低くなるのではなく、高くなるリスクをより懸念していると述べ、利下げは緩やかなペースで行うべきとの見解を示した。
キングス・ビジネス・スクール主催の会議で「インフレの下振れリスクと上振れリスクの可能性はおおむね均衡している」との見方を示した。
「しかし、現時点では上振れリスクが現実化した場合の結果をより懸念している。必要とされる政策対応のコストが大きいからだ」と説明した。同氏の講演は7月の副総裁就任後初めて。
賃金の伸びが3.5─4%程度に減速し、インフレ率が目標の2%ではなく3%程度で安定するというシナリオが企業や消費者の予想として定着すれば、対応するコストがさらに大きくなるだろうと述べた。
一部のエコノミストは、英国のインフレ率が2025年初頭に3%まで上昇する可能性があると予想している。
一方、ラムスデン副総裁は先週、インフレ率が予測を下回る可能性があり、より速いペースでの利下げが必要になり得るとの見方を示した。
ロンバルデリ氏は、先週発表された英購買担当者景気指数(PMI)速報値は国内経済の減速を示唆しているとしながらも、単一のデータから強いシグナルを受け取ることはないと述べた。
政策の効果が現れるまでに時間がかかることを踏まえ、景気が減速する方向に動いた場合に、対応が遅れないことが重要と指摘した。
●先進国経済指標
独IFO業況指数、11月85.7に低下し予想下回る 期待は小幅低下 | ロイター
独IFO経済研究所が25日発表した11月の業況指数は前月の86.5から85.7に低下し、ロイターがまとめたアナリスト予想(86.0)を下回った。現況指数の悪化が響いた。
IFOのクレメンス・フュースト所長は「ドイツ経済は力に欠ける」と述べた。
現況指数は10月の85.7から84.3に低下。期待指数は87.3から87.2に小幅低下した。
ドイツ銀行リサーチのドイツ担当チーフエコノミスト、ロビン・ウィンクラー氏は、過去3週間の政治面での展開を考慮すると期待指数が小幅低下にとどまったことは注目に値すると指摘。「ドイツ企業は米国の貿易政策についてまだ過度に懸念していないか、あるいはこうした懸念がドイツで新たな選挙が行われる見通しによって相殺されているかのどちらかだ」と語った。
IFOによると、小売・卸売業は現況をより良く評価し前月よりも悲観度が低下した。今回の悪化は低下は小売・卸売業を除く全セクターに及んだ。
低水準のエネルギー価格とともに米国の減税と規制緩和がドイツの競争力に及ぼす悪影響が重要だとするのはINGのマクロ部門グローバル責任者、カルステン・ブルゼスキ氏。IFO指数は短期的な事態を一定の遅れで示す傾向があるとし、「この点で米国の選挙結果やドイツ政府崩壊が今後数カ月にわたり引き続きセンチメントに影響を及ぼすリスクは高い」と述べた。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当上級エコノミスト、フランツィスカ・パルマス氏は、「今回の数字は国内経済が依然停滞していることを裏付けた」とし、購買担当者景気指数
●金融市場、先進国トピックス
スペイン・バルセロナで再び抗議デモ、家賃引き下げと生活改善要求 | ロイター
英国の労働環境は欧州最悪レベル、激務や自主性制限で=報告 | ロイター
英国の職場は長時間労働、厳しい締め切り、限られた自主性とともに生産性が向上していないという問題があり、現状では欧州最悪レベルにあるとする報告がまとめられた。
労働党政権は雇用主に対する規則の厳格化を計画している。こうした中で作成された報告によると、労働者の約60%が締め切りが厳しいと感じているほか、約40%が厳しい締め切りを余儀なくされたと答え、欧州で最も高い割合となった。一方、働くペースを選べるとの回答は3割程度にとどまった。
この報告は、英シンクタンクのヘルス・ファンデーションが労働組合代表らと設置した「より健康的な労働生活のための委員会」のために作成したもので、新雇用規則で義務付けられている労働条件の改善を目的としている。
報告をまとめた雇用調査研究所の主任研究員ジョニー・ギフォード氏は「現在優先すべき問題点は、長時間労働、激務、管理または業務における自主性の欠如だ」と指摘した。
米国債価格が上昇、財務長官にベッセント氏指名で | ロイター
米公益企業、AIやEVの旺盛な電力需要に対応し設備投資拡大 | ロイター
米国の大手公益企業は向こう5年間にわたり電力供給網に対する多額の設備投資を計画している。人工知能(AI)を導入したデータセンターや電気自動車(EV)から旺盛な需要が見込まれるためだ。
過去数週間で公益会社約9社が2025年からの3年間にわたる設備投資額の見通しを平均で22%ほど上方修正した。ロイターの分析では、そのうち4社は設備投資額の増加幅が過去最大となった。
カンザス州とミズーリ州で電力を提供しているエバジーは向こう5年間の設備投資額を37億ドル(29.6%)引き上げ、同社として2018年以降で最大の修正率となった。
米国の11州、約500万人に電力を提供しているアメリカン・エレクトリック・パワーは設備投資額を最大540億ドル(25.6%)引き上げた。
だが専門家は、コストの増加を相殺するための料金値上げ計画が、規制上の障壁に直面する可能性があると懸念している。
米エネルギー情報局(EIA)によると、2023年初頭から24年8月までの間に公益企業が申請した料金値上げ計画のうち、規制当局に承認されたのは58%だった。
トランプトレード波乱要因、投資コスト増で上振れも-PCE価格指数 - Bloomberg
トランプ次期米大統領の当選が株式相場の追い風となる中で、米連邦準備制度が選好するインフレ指標に上昇圧力がかかり、金利が高止まりする恐れがある。
大統領選後の株価高騰は、個人消費支出(PCE)価格指数のカテゴリーの一つ、ポートフォリオ管理と投資アドバイスサービスのコスト上昇に反映される見通し。カテゴリーの変動は、連邦準備制度が注視するより広範なサービスインフレの主要メトリックに算入され、金融政策決定に直接影響する。
10月のPCE価格指数(27日発表)全体の上昇率は前月比0.2%、前年同月比2.3%と見込まれる。サービス価格上昇は、PCE指数の構成要素の中でも比較的沈静化しにくい部分だ。エンプロイ・アメリカのエグゼクティブディレクター、スカンダ・アマナス氏は、コアのサービス価格上昇率について、コロナ禍前のトレンドと比較した超過分の3分の1余りが株式市場効果だと推定する。
アマナス氏は「株価が調整するか、米連邦準備制度が利下げペースを落とし、少しタカ派的にならざるを得ないだろう。今月の株式市場がさらに急な調整に見舞われれば、多くの事がずっと容易になる」と指摘した。
11月5日の大統領選に先立ち、S&P500種株価指数はトランプ氏の勝利を見越して上げ、同氏の勝利後も再び最高値を更新した。トランプ次期大統領が来年1月にホワイトハウスに復帰すれば、ビジネス寄りの政策を実行すると期待が高まり、いわゆる「トランプトレード」に投資家が殺到した。
27日の統計でポートフォリオ管理のカテゴリーがどのような数字になるか、エコノミストには大方見当がつく。PCE価格指数が生産者物価指数(PPI)と同様のソースデータを用いているためだ。PPIでは、ポートフォリオ管理費用の10月の上昇率が前月比3.6%と過去半年で最も高くなった。
投資信託や資産運用会社が投資アドバイスの対価として得る収入額の変化に基づくコンポーネントが、2000年代初めに米政府の価格分析に導入された。株式のパフォーマンスが高いほど資産運用会社の手数料が高くなり、約1カ月遅れで株式市場の動向を確実にたどる傾向にある。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏らは株式市場の勢いについて、「トランプ政権下で業況が来年改善されるとの期待を背景に執拗(しつよう)なインフレ要因であり続ける可能性が高い」と先週のリポートで分析した。
クレジット市場、ショートポジションが増加-行き過ぎた楽観に警鐘も - Bloomberg
運用する資金があるのに新規の投資案件が少ない資産運用会社がこぞって購入したことで、社債の信用スプレッドが過去最低に近づいた。一部投資家はこれを、値下がりリスクへのヘッジを購入する好機とみている。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスがまとめたデータによると、機関投資家による社債のロングポジションが10.6%増の4兆6000億ドル(約709兆円)となったのに対し、ショートポジションは25%増え3360億ドルに達した。証券借り入れに基づくデータによると、価格下落を見込むポジションはロングポジションの7.3%相当に達し、1年前の6.4%から増加している。
クレジット市場の楽観度を示す指数は2021年以来の高水準に達し、ディストレスト債の量は今年最低に減少。米経済は悲観論者を驚かせ続けている。しかし、次期米大統領のドナルド・トランプ氏の関税および移民に関する政策がインフレを押し上げることをエコノミストは懸念しており、一部のファンド運用者はリスクヘッジに動いている。
UBSアセット・マネジメントのハイイールド債ポートフォリオマネジャー、ザカリー・スウェーブ氏は「米国および欧州におけるハイイールド債ファンドへの多額の資金流入により、スプレッドが大幅に縮小している」と指摘。債券の空売りは大きな利益を生む可能性があり、クオンツ戦略を採用するヘッジファンドは機会を利用するだろうと述べた。
「マクロ経済の見通しが悪化すれば、ファンドが証券を空売りする正当な理由になる」とも述べた。
懸念材料はある。アポロ・グローバル・マネジメントのエコノミストによれば、米国の財政政策は「持続不可能な道」を進んでいる。S&P500種株価指数構成企業利益の下方向のサプライズは増えており、翌日物レポ市場の資金調達コストは懸念すべき速度で上昇している。さらに、ドイツ経済は停滞し、中国では一連の景気刺激策の後も広範な成長回復はまだ見られない。
にもかかわらず、米国のジャンク債スプレッドは世界金融危機前に記録した過去最低水準まであと30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度にまで低下している。欧州のリスクプレミアムは底値までまだ距離があるとはいえ、過去の平均を大幅に下回っている。
しかし、欧州と北米のジャンク格付け企業の債務をカバーするクレジット・デフォルト・スワップの指数は、それらの債券のスプレッドほどには縮小していない。
経済状況が急激に悪化すれば、空売りは利益を生むだろう。JPモルガン・チェースのクレジットストラテジストは最近「世界は貿易戦争の瀬戸際に立たされている可能性がある」と警鐘を鳴らした。
また、モルガン・スタンレーのストラテジストはこの1週間に、来年下期には「アニマルスピリット」が強まり「定着」するにつれて、社債のパフォーマンスは悪化するだろうと警告した。
COP29閉幕、年46兆円超の気候対策支援で合意 「あまりに不十分で手遅れ」と途上国は非難 - BBCニュース
米感謝祭休暇、旅行者数は最多更新へ 8000万人弱が移動 - 日本経済新聞
米国で11月の感謝祭(28日)から始まるホリデーシーズンの旅行者数が過去最多を更新する見通しだ。米自動車協会(AAA)の予測によれば11月26日〜12月2日の期間の旅行者数はおよそ7986万人と2023年実績より2.1%増える。新型コロナウイルスの感染が拡大する以前の19年を2年連続で上回りそうだ。
米国では感謝祭の休みを利用して家族や友人と過ごすために帰省する人が多い。この期間の人出は米消費のセンチメントを示すひとつのバロメーターとされる。コロナ禍後の旅行需要が支えている面もある。
旅行者の約90%にあたる7174万人が自動車を利用し、前年より130万人増える。19年(7060万人)を上回る。調査に協力した米レンタカー大手ハーツによると、南部ジョージア州アトランタ、西部のネバダ州ラスベガスやカリフォルニア州ロサンゼルスなどでレンタカーの需要が伸びている。ガソリン価格が前年を下回って推移しており、自動車の利用を後押ししている可能性がある。
飛行機による国内の移動は584万人と2%増える。国際線の予約は前年から23%増加した。国際線価格が前年比5%低下した影響があると分析した。バスや電車、クルーズ船を利用する旅行者も9%増える。クルーズ船が特に人気で20%伸びる。
AAAによると、米国内で最も人気が高い旅行先は南部フロリダ州だ。海外の旅行先ではハンガリー、メキシコ、ドミニカ共和国などが人気だ。
運航トラブルの懸念もある。米国では航空管制官が不足しており、航空管理システムの老朽化が頻繁な遅延や欠航を招いた。米連邦航空局(FAA)のウィテカー長官は22日、会見で「人員が不足すれば、(管制)システムの安全性を保つために航空交通量を減らす」と述べた。
●中東情勢
レバノン停戦合意、米仏が36時間内に発表か イスラエル26日閣議 | ロイター
イスラエルとイラン支援下にあるレバノンの武装組織ヒズボラの停戦を巡る合意が間近となった。イスラエル高官によると、イスラエルは26日に閣議を開き、ヒズボラとの停戦合意について検討する予定で、合意は数日中に締結される可能性がある。
複数のレバノン当局者は、米国バイデン大統領とフランスのマクロン大統領が36時間以内にイスラエルとヒズボラの停戦合意を発表するとの見通しを示した。
この件に関して、米ホワイトハウスと仏統領府からコメントは得られていない。
ただ、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、レバノン停戦協議は合意に向け正しい方向に進んでいると指摘。「協議は建設的で、極めて前向きに進んでいる」とし、全てが確定したわけでははいとしながらも、合意に近づいているとの認識を示した。
レバノン側からも慎重ながら楽観的な見方が聞かれる。あるレバノン当局者は米政府から「数時間以内」に合意が発表される可能性があると伝えられたと述べたほか、エリアス・ボウ・サーブ国会副議長は25日、米国が提案した60日間の停戦の実施開始に「重大な障害は残っていない」と明らかにした。
サーブ氏によると、提案には60日以内にイスラエル軍がレバノン南部から撤退し、レバノン正規軍が国境地域に展開することが含まれる。
米ニュースサイトのアクシオスはこれより先、イスラエルとレバノンが停戦条件に合意したと報じた。イスラエル首相府からのコメントは得られていない。
イスラエル政府のデービッド・メンサー報道官は「合意に向けて動いているが、まだ解決すべき問題がいくつかある」と述べた。詳細は明らかにしなかった。
イスラエルのGLZラジオキャスターのXへの投稿によると、イスラエルの駐米大使マイケル・ヘルツォグ氏も「(停戦は)数日以内に実現する可能性がある。最後の詰めを行う必要があるだけだ」と語った。
ムーディーズ、サウジ格付けを引き上げ 脱石油依存政策を評価 | ロイター
米大手格付け会社ムーディーズは22日、サウジアラビアのソブリン信用格付けを従来の「A1」から「Aa3」に引き上げた。経済構造を石油輸出依存から多様化へ移行する政策的取り組みを評価した。
実力者ムハンマド王子が掲げる経済構造改革「ビジョン2030」では数十億ドルが投資され、観光やスポーツ、製造業などの産業活性化に向けたインフラ強化を進めているほか、着実に計画を進展させるため外国資本の導入にも熱心だ。
ただ、国際的な原油価格の下落とサウジの減産により政府の歳入は減っており、ビジョン2030の一部が見直され、延期や縮小される見通しとなっている。
格付けの中期的な見通しについてムーディーズは「ポジティブ」から「安定的」に下方修正した。世界経済の状況や石油市場の動向の先行き不透明感を要因に挙げた。
同社は「(脱石油依存と経済多様化への)継続的な取り組みにより、石油市場動向と長期的な脱炭素経済への移行に伴う影響は徐々に弱まるだろう」と指摘している
●エマージング
ロシア、ウクライナ停戦で次期米政権に期待か ウォルツ氏発言受け | ロイター
ロシアのペスコフ大統領報道官は25日、バイデン米政権がウクライナ紛争をエスカレートさせている一方で、トランプ米次期大統領のチームは和平案について話しているのに留意していると述べた。
次期米政権で国家安全保障担当の大統領補佐官となるウォルツ氏は24日のフォックス・ニュースのインタビューで、トランプ氏がロシアとウクライナの戦闘が激化することを「非常に懸念」しており、戦争は「責任を持って終結」させなければならないと指摘。「われわれが議論すべきは、誰がそのテーブルにつくのか、合意なのか、休戦なのか、どうやって双方をテーブルにつかせるのか、そして取引の枠組みは何なのか、ということだ」と語った。
ペスコフ氏は、ウォルツ氏の発言に関する質問に、クレムリン(ロシア政府)は留意しているとし、プーチン大統領はウクライナをめぐる対話の用意があることを繰り返し示唆していると述べた。「トランプ氏の支持者や次期政権の要職に指名された人々からは『平和』や『平和計画』という言葉が聞かれる」と述べた。一方で「現政権からはそのような言葉は聞かれない。それがわれわれが直面している現実だ」と語った。
アダニ問題が印政界に波及、野党が審議求め議会空転 | ロイター
印マハラシュトラ州議会選、モディ首相の連合が勝利へ=地元TV | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
イギリスで「ストーム・バート」による被害 各地で大雨や川の氾濫 - BBCニュース
山形の洋上風力、経済効果は最大1779億円 県試算 - 日本経済新聞
●その他
中年期の有酸素運動で認知症リスク軽減か、思考速度向上の効果も 新研究 - CNN.co.jp
誰も住んでいないドイツ有数の超高層ビル、その目的は? - CNN.co.jp
ポル・メド・テックなど、豚の腎臓を猿に移植成功 国内初の臨床応用めざす - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(25日)株続伸・ドル下落、利回り低下受け | ロイター
ドルは2年ぶりの高値から反落。トランプ次期大統領がスコット・ベッセント氏を財務長官に指名した影響で、米国債利回りが低下したことが背景。ユーロは反発し、ドル/円は0.37%下落。ベッセント氏は強いドル支持者であるため、ドルの下落は一時的との見方も。ビットコインは心理的節目の10万ドル手前で利益確定売りが出て約5%下落。債券市場では利回りが低下し、10年債利回りは4.269%となり、2年債と10年債の利回り格差はわずかに逆転した。
米株式市場は主要3指数が続伸し、中小型株のラッセル2000指数は過去最高値を更新。一方、原油価格の下落を受け、エネルギー株指数は下落した。金先物はリスク投資の活発化に伴い反落し、1オンス=2618.50ドルに。原油先物も中東やウクライナ情勢の供給不安後退を受け下落し、WTIは1バレル=68.94ドルとなった。
欧州市場サマリー(25日) | ロイター
**ロンドン株式市場**は続伸し、FTSE100は約1カ月ぶりの高値で取引を終了。ただし、キングフィッシャーは増税による利益減見通しで急落。銅価格上昇に伴い資源株は上昇。一方、金価格と原油価格の下落で貴金属株や石油関連株は下落。  
**欧州株式市場**も3営業日続伸したが、エネルギー株の下落が上昇を抑制。イタリア銀行ウニクレディトは買収計画発表で株価が下落。スペインのリサイクル政策を背景にノルウェーのトムラが急騰。  
**ユーロ圏債券市場**では利回りが低下。ドイツ10年国債利回りは2.2%、2年国債利回りは2.004%と、それぞれ低水準を記録。市場は12月のECB理事会での利下げを予想している。

備忘録(2024/11/22-24
●海外企業決算
●海外企業
米ハネウェル、個人用保護具事業を売却 約2100億円で - 日本経済新聞
米衛星放送ディレクTV、同業ディッシュとの合併破談へ - 日本経済新聞
ノルウェー・エクイノール、再生エネ部門で20%人員削減 | ロイター
ノルウェー石油大手エクイノールは21日、ロイター通信に対し、再生可能エネルギー部門の人員を20%削減すると明らかにした。同部門を簡素化し、少数の新規プロジェクトを進めていくという。
関係者によると、エクイノールは世界の洋上風力発電事業で重要な役割を担っているが、コストの高騰や金利上昇、供給上の問題のため、高い目標の達成に向けた取り組みが阻まれている。
欧州の競合他社では、英シェルやBPもここ数カ月で再エネと低炭素事業を縮小させ、より利益の見込める事業に焦点を移している。
エクイノールの広報担当者は「社内の再エネ部門の従業員数を削減することを決めた」と述べ、対象は約250人に相当すると説明した。
エクイノールは今年、ベトナムとスペイン、ポルトガル、フランスでの洋上風力発電事業から撤退。オーストラリアでの洋上風力事業計画も縮小した。
米司法省、グーグルに「クローム」売却強いる必要 市場独占是正で - WSJ
米司法省は20日、オンライン検索市場の独占状態を是正するための裁判所命令の一環として、グーグルに人気のブラウザー「クローム」売却を強制すべきだと述べた。
この要求は、グーグルに対する反トラスト(独占禁止)法違反訴訟で政府が今年勝利したことを受けたもので、同社の中核事業に広範な影響を及ぼす可能性のある法的闘争が激化すると予想される。
政府側の弁護士は、グーグルが検索エンジンをクロームやモバイル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」など、インターネットにアクセスするための製品から分離しない限り、競争を回復することはできないと述べた。スタットカウンターによると、クロームは世界のブラウザー市場の約3分の2を占めている。クロームのアドレスバーでの検索は、ユーザーが設定を変更しない限りグーグルを通じて行われる。
司法省はまた、アンドロイドを使用するデバイスでグーグルが自社の検索エンジンに優先的にアクセスさせることを禁止するよう求めた。政府の提案では、グーグルが将来この規則に違反した場合、アンドロイドも売却しなければならなくなる。
アンドロイドは、グーグルのスマートフォン「ピクセル」や、サムスンなどのメーカーの何十億台ものスマホで使用されている。
ドイツのボッシュ、従業員最大5500人を削減 自動車産業が低迷 - 日本経済新聞
自動車部品大手ドイツのボッシュは22日、今後数年間で、全従業員の1%に相当する最大5500人の従業員を削減すると発表した。電気自動車(EV)の販売不振で、主要顧客である欧州自動車大手の業績が悪化したため。削減する5500人のうち、3分の2超の3800人はドイツ国内の従業員が対象となる。
ボッシュは2月、2027年末までに3500人を削減すると発表していた。想定以上に欧州車産業が悪化しており、「EV向け部品の受注が大幅に減り、運転支援システムも予想ほど需要がない」(同社)として追加のリストラを決めた。
ボッシュは非上場企業。具体的な従業員の削減数などは今後、労働組合に相当する従業員代表との交渉で決めるとしている。23年の労使合意で独国内の工場で働く従業員は27〜29年まで雇用が保障されている。
ただフォルクスワーゲン(VW)は24年9月、29年までの雇用保障協定を破棄しており、ボッシュもこれにならう可能性がある。
ボッシュは人員削減のほか、従業員の労働時間短縮も検討する。25年3月以降、独国内の拠点で働く一部の従業員の勤務時間を週38〜40時間から同35時間に引き下げる。独最大の産業別労組IGメタルは「2300人の従業員が最大15%の減給となる」と試算する。
欧州車大手の業績悪化の影響は、他の車部品大手にも波及している。独シェフラーは5日、全従業員の4%にあたる4700人を欧州全体で削減すると発表した。欧州にある5工場のうち2カ所も閉鎖する。
独ZFは28年までに独国内で1万1000〜1万4000人を人員削減すると明らかにした。
●日本企業
JTB純利益46%減 4〜9月、国内旅行は物価高で4%減収 - 日本経済新聞
大和証券G、「スカイシー」のSkyに100億円出資 - 日本経済新聞
セブン&アイ創業家、KKRなど米ファンドに参加打診 買収資金確保狙う - 日本経済新聞
日本製鉄の買収賛否、USスチール従業員に聞く 非組合員は支持 - 日本経済新聞
三菱UFJ銀、貸金庫担当の元行員が十数億円の顧客資産窃取 | ロイター
●先進国政治動向
トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル氏指名も | ロイター
トランプ次期大統領、予算局長にボート氏 プロジェクト2025策定 | ロイター
米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命令 | ロイター
米テキサス州のアボット知事(共和党)は、金融と安全保障上のリスクを理由に、中国への投資を停止し、できるだけ早く資産を売却するよう州の投資機関に命じた。
11月21日付の書簡で、中国共産党の「好戦的な行動」がテキサス州の対中投資のリスクを高めているとし、投資家に撤退を指示した。州の投資機関が公的資金で新たに中国に投資するのを禁止し、既存の投資は可能な限り早急な引き揚げを求めた。今年に入り、800億ドルの運用資産を抱えるテキサス大学/テキサスA&M大学投資運用会社(UTIMCO)に中国投資の解消を指示したとしている。
このほか、州の投資機関としてテキサス州教師年金システム(TRS)がある。年次報告書によると運用資産は2105億ドル。人民元建ておよび香港ドル建てのエクスポージャーは約14億ドル。中国インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)に時価で3億8500万ドル相当投資している。
22日の中国株式市場は大幅に下落。香港市場のテンセント株は後場に約2%下げた。
ディーラーによると、中国景気刺激策を巡る失望ですでに弱かった地合いが、テキサス州の話で一段と悪化した。
UOBケイヒアン(香港)の幹部は「米国の対中政策が厳しくなると分かっているが、こういうニュースが出るたびに香港のセンチメントを圧迫することになる」と述べた。
アングル:米政権の長射程兵器攻撃容認、背景に北朝鮮兵参戦とトランプ氏の影 | ロイター
バイデン米大統領がウクライナに対して、ロシア領奥深くの標的を米国製長射程兵器で攻撃するのを認めたのは、北朝鮮兵の戦闘参加が直接のきっかけだった。だが5日の米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことも、使用容認を急いで決める原因になった。事情に詳しい複数の関係者はこうした見方を示した。
ウクライナのゼレンスキー大統領から、米国供与の地対地ミサイルATACMS(エイタクムス)の使用制限を緩和してほしいと懇願されていたにもかかわらず、バイデン氏は何カ月も首を縦に振らなかった。北大西洋条約機構(NATO)を核兵器保有国ロシアとの全面戦争に突入させかねないと警戒したためだ。
だが、ある米政府高官や他の2人の関係者はロイターに、ロシアが西部クルスク州の戦場に北朝鮮部隊の投入を決めて戦争の段階が大きく切り上がったことで、米国もそれなりの対応が必要になったと語った。
さらに関係者2人によると、米国のウクライナ支援に極めて懐疑的な考えを持つトランプ氏の当選でバイデン政権には、戦況が不利なウクライナへのてこ入れに向けて長射程兵器の使用制限緩和を含めたさまざまな措置を講じなければならないという重圧が高まったという。
トランプ氏は再三、ウクライナに対する米国の軍事支援を批判しており、大統領就任後には武器供与を止めるかもしれないとの懸念が高まっている。
関係者の1人は、今回のバイデン政権の決断は、ウクライナがトランプ次期政権の下で万が一米国の支援を失う場合に備えて、今のうちにウクライナの立場を強固にしておく効果があると説明した。
米国務省の報道官は、バイデン氏が長射程兵器によるロシア領攻撃を容認したかどうかはコメントを避けたが、ロシアは北朝鮮軍の投入によって戦争をエスカレートさせたと指摘した。
<攻撃はクルスク限定か>
米国側は長射程兵器の使用制限緩和について、オースティン国防長官が12日、ウクライナのウメロフ国防相と電話会談した際に伝えた、と関係者が明かした。
米政府高官の1人によると、その翌日にはブリンケン国務長官がブリュッセルでNATOのルッテ事務総長、複数の欧州当局者、ウクライナのシビハ外相にも米国の決定を伝えた。
ウクライナは19日、初めてATACMSを発射して国境からロシア側に約110キロ入った場所にある武器庫を攻撃したと発表している。
バイデン政権は大統領選後、ほかにも新たなウクライナ支援策を打ち出した。具体的にはウクライナ東部におけるロシアの進撃を遅らせるための対人地雷使用許可や、米国の防衛関連企業がウクライナ国内で米国製兵器の修理に従事するのを認め、ウクライナの人的資源を前線により多く投じられるようにしたことなどだ。
長射程兵器の使用制限緩和に関してある米政府高官は、北朝鮮兵力の投入は受け入れられないとのメッセージをロシアと北朝鮮に送るとともに、ウクライナ軍をクルスク州から撃退しようとする彼らの取り組みを阻むのが狙いだと解説した。
この高官は、使用制限緩和が戦争のさらなるエスカレートにつながる危険を認めつつも、ロシアは今のところウクライナ以外の国に対しては何も行動を起こしていないと付け加えた。
ある米議員のスタッフは、使用制限緩和はクルスク州にだけ適用されると考えていると話す。
「ウクライナはクルスク州からウクライナ軍を追い出そうというロシアと北朝鮮の動きを抑え込むためだけに、ロシア領奥深くへの攻撃が認められている」という。
トランプ氏、財務長官に投資家ベッセント氏指名 減税を支持 | ロイター
トランプ米次期大統領は22日、米経済や国際金融経済に多大な影響力を持つ財務長官に、著名投資家のスコット・ベッセント氏(62)を指名すると発表した。
トランプ氏は自身のソーシャルメディアに、「第79代財務長官にスコット・ベッセント氏を指名することを喜ばしく思う。スコットは、世界最高の国際投資家および地政学的、経済的戦略家の1人として尊敬されている」と投稿した。
トランプ氏は関税を通じて世界貿易を改革する意向を示しており、財務長官人事はウオール街などから大きな注目を集めていた。
財務長官候補には、ベッセント氏のほか、アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)やウォーシュ元米連邦準備理事会(FRB)理事が含まれていた。投資家のジョン・ポールソン氏も有力候補だったが、ウオール街のベテランであるもう一人の候補者ハワード・ラトニック氏が商務省長官に任命されたため、辞退した。
ベッセント氏は米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)に最近寄稿したオピニオン記事で、特に銀行融資とエネルギー生産の促進に向けた税制改革や規制緩和を主張。トランプ氏の大統領選勝利後に米株式市場などが大幅上昇したのは「より高度な成長、より低いボラティリティーとインフレ、そして全ての米国民のための経済の活性化」に対する投資家の期待を示していると述べた。
ベッセント氏は、元ゴールドマン・サックス幹部のロバート・ルービン氏、ハンク・ポールソン氏、第1次トランプ政権のスティーブン・ムニューシン氏らに続く、金融界出身の財務長官となる。女性初の財務長官となったイエレン現財務長官は、連邦準備制度理事会(FRB)議長やホワイトハウス経済諮問委員会(CEA)委員長を歴任した。
<経済のクォーターバック>
財務長官として、ベッセント氏は、財政、国債市場の管理、市場危機への対応や予防を含む金融規制の監督などを担う。
トランプ氏は、来年期限切れとなる減税措置の延長などを選挙戦で打ち出している。これらが実施されれば、財政赤字が大きく膨らむ見通しで、そのかじ取りがベッセント氏の課題になる。ベッセント氏は、トランプ氏の政策はより強力な経済成長をもたらし、歳入を増やし市場の信頼を強化すると主張している。
トランプ氏が支援に消極的な対ウクライナ支援や気候変動対策を巡る対応も、次期政権で方針が変わる可能性がある。
<「影の」FRB議長構想>
財務長官は、政権とFRBの橋渡し役でもある。バイデン政権のイエレン氏もトランプ政権のムニューシン氏も、毎週のようにパウエルFRB議長と朝食や昼食を共にしていた。
ベッセント氏は「影の」FRB議長を創設する案を提唱した。これは、2026年5月に任期が終了するパウエル議長の後継候補をできるだけ早くFRB理事会に送り込み、独自の政策指針を示すことを想定する。「パウエル氏の発言を誰も気にしなくなる」とベッセント氏は先月バロンズ誌に語っている。
FRB理事会で次に空席となるのはクーグラー理事で、任期は26年1月まで。WSJによると、ベッセント氏はその後、影の議長というアイデアは追求する価値がないと考えていると述べた。
<金融から政治へ> ベッセント氏は、夫と2人の子どもとともに主にサウスカロライナ州チャールストンに住んでいる。同州リトルリバーの漁村で育った。父親は不動産投資家で、好況と不況の両方を経験したとベッセント氏は語っている。 ベッセント氏は1980年代後半、空売りで有名なジム・チャノス氏の下で働き、その後、ジョージ・ソロス氏率いるマクロ経済投資会社のソロス・ファンド・マネジメントに入社。ソロス氏と右腕だったスタンリー・ドラッケンミラー氏による最も有名な取引である92年の英ポンド空売りも支援した。この取引では同社に10億ドル以上の利益をもたらした ベッセント氏は2015年、ソロス氏からの20億ドルを含め45億ドルを調達、マクロ経済トレンドで取引するヘッジファンド、キースクエアグループを設立した。メディアの報道によると、キースクエアの主要ファンドは22年に約31%の利益を上げているが、規制当局への提出書類によると、同社の資産は23年12月時点で約5億7700万ドルに減少している。
プロジェクト2025、始動の準備着々-トランプ次期政権に執筆者ずらり - Bloomberg
トランプ次期米大統領が選挙運動中に「最低だ」とこき下ろした政策マニフェスト「プロジェクト2025」。同氏自身が起用する政権人事が明らかになるにつれ、実現する見通しが鮮明になってきた。このプロジェクトに関わった人物、少なくとも5人が次期トランプ政権に加わることになりそうだ。
プロジェクト2025が明るみに出たのは約1年前。選挙運動が過熱していた時期だった。保守系シンクタンクのヘリテージ財団が主導し、反移民や、反リプロダクティブライツ(性と生殖に関する権利)、小さな政府を支持する保守派の意見を取りまとめたのがこの政策マニフェストだった。民主党候補のハリス副大統領はこれをトランプ氏の「過激な」見解と表現し、格好の攻撃材料としていた。
このマニフェストでは気候変動対策ルールの撤廃や、労働者保護の縮小、トランプ氏に忠誠を誓う人材の公職登用、教育と商務、国土安全保障3省の部分もしくは全面解体などが提唱されている。
トランプ氏は選挙運動中、このマニフェストとは距離を置いてみせ、何も知らないと主張。提唱されている中身の一部について「まったくばかげており、最低だ」と非難していた。
このプロジェクト2025に関与した人物で、少なくとも5人が次のトランプ政権に起用される方向だ。
同マニフェストで連邦通信委員会(FCC)に関する章を執筆したブレンダン・カー氏は、そのFCCの委員長に起用された。同氏はプロジェクト2025の中で、コンテンツ規制が厳し過ぎるとして保守派の攻撃対象になっている大手ハイテク企業、とりわけメタのフェイスブックとアルファベットのグーグルについて、保護を限定することを提唱している。同氏は指名を受けた直後にソーシャルメディア「X(旧ツイッター)」に投稿し、「検閲カルテルを解体し、米国人に言論の自由を取り戻す」と訴えた。
マニフェストの中核部分である連邦官僚制度の縮小と、大統領のコントロール強化について執筆したラス・ボート氏は、行政管理予算局(OMB)局長に指名される方向だとCBSニュースが伝えた。ボート氏が重点を置いたのは、政府の規模縮小と、政治任用者の権限を強化し官僚の決定を覆すことができるようにすること。政権スタート時から大統領令を積極的に発令することも奨励。トランプ氏自身もその方針だと、同氏の広報担当ジェイソン・ミラー氏は述べている。
トランプ氏が国境警備・管理と不法移民送還の包括的責任者に起用したトム・ホーマン氏も、プロジェクト2025の協力者リストに含まれる。同マニフェストは数百万人もの不法移民、特に犯罪者の国外追放を強調。トランプ氏は国家緊急事態を宣言することで、移民の強制収容や収容キャンプの警備、国外追放に軍を動員できるようになると述べた。政権1期目でトランプ氏が打ち出した厳しい移民政策の顔となったホーマン氏は、今度はリベラル都市による抵抗を一切容認しないと言明。「協力しないのなら、さっさと出て行け」と、いわゆる「聖域都市」に警告した。
中央情報局(CIA)長官に起用するとの発表があったジョン・ラトクリフ元下院議員も、プロジェクト2025の主要な寄稿者だ。1期目のトランプ政権で国家情報長官を務めた同氏は、米国を中国から守る必要性を常に警告してきた。中国政府は経済と軍事、技術における支配を狙っており、同国の大手企業は共産党の利益のために動いているというのがラトクリフ氏の主張だ。プロジェクト2025は中国の脅威に備える必要性に長いページを割いている。
駐カナダ米大使には、元下院議員で情報委員会のメンバーだったピート・ホークストラ氏が指名された。1期目のトランプ政権で同氏は駐オランダ大使を務めたが、大使館に極右政治家らを招いてパーティーを主催し批判されたことがある。ホークストラ氏もプロジェクト2025の協力者リストに名前を挙げられ、同氏が1990年代に教育省の無駄を批判したことがリポートに記されている。トランプ氏は教育省を解体する意向を明らかにしている。
上述の候補者にコメントを求めたが、誰からも返信がない。
トランプ氏の広報担当者カロリン・リービット氏は「トランプ次期大統領はこれまでプロジェクト2025に一切関わっていない」と言明。「閣僚候補の指名や起用はすべて、トランプ氏のアジェンダに誠実に沿ったものであり、外部グループのアジェンダとは関係ない」と述べた。
プロジェクト2025を執筆、編集した40人のうち、18人が第1次トランプ政権出身者で占められている。国土安全保障省の副長官代理だったケン・クチネリ氏、国防長官代行だったクリストファー・ミラー氏、そして国家通商会議(NTC)委員長を務めたピーター・ナバロ氏が含まれる。
トランプ氏、米司法長官にパム・ボンディ氏指名 元フロリダ州司法長官 - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は、米司法長官にパム・ボンディ氏を指名すると発表した。
トランプ氏が司法長官候補としていたマット・ゲーツ元下院議員は、性的行為疑惑が渦巻く中、指名を辞退すると数時間前に表明していた。
ボンディ氏は、フロリダ州司法長官を務めていたことがある。
トランプ氏はトゥルース・ソーシャルへの投稿で「ボンディ氏は犯罪との戦いやアメリカを再び安全にするという司法省の本来の目的に再び焦点を当てるだろう」、「私は彼女を長年知っている。彼女は賢くてタフで、アメリカ第一の戦士だ。司法長官として素晴らしい仕事をしてくれるだろう」と述べた。
トランプ政権誕生でM&A復活の可能性 買収の可能性のある6社は! - 株探(かぶたん)|米国株
ここに来てM&Aが復活しつつあるようだが、買い手にとって魅力的な株式を検討する良い時期が訪れているのであろう。米大手証券によると、今年2024年1月までの1年間の世界的なM&Aの取引総額は約3兆ドルだった。これは、1年間に6兆ドル以上の取引が行われた2021年からは大幅に減少している。
これは2022年からFRBがインフレ抑制のために金利を段階的に引き上げたことが影響している。多くのセクターで商品やサービスの需要が落ち込み、利益も伸び悩んだ。借入コストも上昇したため、買収側も手持ち資金を守らなければならなかったことも背景にある。その結果、取引は大幅に減少していた。
しかし、取引は回復しつつある。上記米大手証券の最新データによると、過去1年間の取引額は約4兆ドルに達しており、この傾向は来年も続く見通しだという。これに連動するように、経営者向けの専門組織ビステイジ社が発表するCEO信頼感指数は昨年どの時点よりも高くなっている。
この楽観的な見通しを後押ししているのは、トランプ氏の規制緩和に関する発言だけではない、FRBがすでに利下げサイクルに入る半面、経済は依然として底堅く成長している。来年に金利が安定、またはさらに低下するようであれば、案件に対する買い手の資金調達は容易になる。
そこで、米大手証券がオファーを受けそうな銘柄をピックアップした。同証券のダイナミック統計スコアを用いて企業を選別。対象となった銘柄は全体的に時価総額が小さく、潜在的な買い手にとっては手を出しやすい銘柄となっている。
◆コールズ<KSS>
◆ハーレー・ダビッドソン<HOG>
◆ニューウェル・ブランズ<NWL>
◆ラザード<LAZ>
いずれも時価総額が70億ドル以下で、過去1年間に株価が上昇。ここ数年の相場全体の回復に伴い、これらの銘柄の株価は最近やや上昇している。通常、市場での取引価格に大幅なプレミアムを上乗せした買収の提案価格は、該当銘柄の株主にとって魅力的に映る可能性がある。
◆メイシーズ<M>
時価総額は41億ドル。この1年で株価は若干下落したが、市場全体が回復で2023年後半の最安値からはほぼ40%上昇。苦戦を強いられている小売業者は、ここ数年売上減少に苦しんできましたが、他のストラテジストのスクリーンでは、買収候補銘柄として取り上げられたこともあります。プライベート・エクイティ企業が買収する可能性もありますが、他の小売企業やeコマース企業にとっては魅力的ではないかもしれません。 取引の噂は出ていません。
◆アンダーアーマー<UAA>
時価総額は38.9億ドル。この1年で22%上昇しているが、同社は新しいスポーツブランドとの競争に苦戦しており、アナリストは3年連続の売上減を見込んでいる状況。いまのところ取引の噂は出ていない。
米農務長官にロリンズ氏、保守系シンクタンク所長 | ロイター
アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解けない謎 | ロイター
米国の複数の世論調査機関が、今回の大統領選で再びトランプ氏の支持率を過小評価した理由を究明する作業を進めている。
政治やスポーツのデータ分析を手掛けるウェブサイト「538」がまとめた大統領選前の全米世論調査の平均値を見ると、トランプ氏の支持率は民主党候補ハリス副大統領を1ポイント下回っていた。ところが選挙の開票がほぼ終了した時点で、トランプ氏の得票率は50%、ハリス氏は48%だった。
世論調査は、トランプ氏の支持率を3ポイント低く見積もったことになる。538によると、2020年と16年の大統領選でも世論調査で示されたトランプ氏支持率は実際の得票率よりそれぞれ4ポイントと2ポイント低くなった。
さまざまな要素の影響を受ける統計の精度を踏まえれば正常な誤差の範囲内であり、微妙に意見の違う有権者から電話で正確な回答を得るのはとりわけ難しい。
ただ、全米の世論調査が一貫して同じ傾向を示していることから、調査担当者や専門家らの間には、トランプ氏支持者からなかなか回答してもらえず、支持率の過小評価につながっているのではないかとの疑念が浮上しつつある。
米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーのマーケット大学法科大学院で世論調査を担当し、専門家団体「米公共意見調査協会」のために選挙前調査の問題点を洗い出す作業部会に参加するチャールズ・フランクリン氏は「トランプ氏支持者とつながるという面で課題があると考えざるを得ない」と述べた。
世論調査でほぼ正確にトランプ氏の勝利を示唆していたアリゾナ、ジョージア、ネバダ、ノースカロライナといった激戦州でさえ、実際の同氏の得票率は、世論調査よりおよそ1―3ポイント高かった。
また、トランプ氏が世論調査で劣勢ながら最終的に勝利したラストベルト(さび付いた工業地帯)の激戦州ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンでも、トランプ氏の支持率は同様に2―3ポイント過小評価された。
20年の大統領選における世論調査の精度を分析する作業部会の座長役だったバンダービルト大学の政治研究者ジョシュ・クリントン氏は、こうした明らかな「測定ミス」によって、世論調査や政治制度全般に対する世間一般の不信感を増幅させかねないと懸念する。
クリントン氏は「運営方法全体が認められないというのはかなり大きなダメージだと思う」と語る。ロイターは同氏を含め、米公共意見調査協会が過去に行った検討部会に参加した、あるいは今年の部会に加わる予定の4人に話を聞いた。
一部の専門家は、得票率と世論調査における支持率の差が数ポイント以内に収まっているというのは引き続き素晴らしい成果で、調査機関にとって今後さらに改善するのは困難だろうと強調する。さらに電話調査で回答を得にくい要因として、過去数十年で迷惑メールなどが急増したため、勝手に接触してくる相手には応答しなくなったという事情も指摘する。
16年と20年の検討部会に参加したテキサス大学の政治研究者クリストファー・レジアン氏は「20年ないし30年前とは非常に異なる世界になっている」と話す。
<回答しない支持者>
トランプ氏は、自身の政治活動期間を通じて世論調査がずっと同氏に不利な偏見を持ってきたと非難している。
政権移行チームの広報担当者は「世論調査機関やワシントンの評論家、メディアはトランプ氏と彼らの支持者たちの歴史的な連携を常に見くびってきた。唯一意義のある世論調査が行われたのは大統領選の投票日だった」とコメントした。
米公共意見調査協会が20年の選挙後に開催した検討部会は、トランプ氏の支持率を過小評価した原因として、調査に答えた同氏支持者らが相対的に少なかったという可能性を考慮したものの、確たる結論は下していない。
今年の検討部会に参加する専門家2人によると、そうした可能性が再び議論される見通しだ。複数の専門家からは、調査の原数字を加工し、実際に投票する公算が大きいとみなした有権者の回答のウエートを高める作業をする際に、現実とのずれが生じるのではないかといった意見も聞かれる。
<調査機関の取り組み>
世論調査機関にとってトランプ氏の支持を正確に計測するのは特に厄介だ。
トランプ氏が投票対象ではなかった18年と22年の議会中間選挙では、世論調査は共和党の強さを過小評価しなかった。議会選挙だけのときは投票に行かない有権者が、大統領選になると加わって何か違う現象が起きる可能性を示唆している。
フロリダ大学選挙研究所の分析に基づくと、今年の選挙では全有権者の3分の2近くが投票したが、22年の中間選挙では投票率は50%弱だった。
マーケット大のフランクリン氏は今年、トランプ氏支持者と接触するための取り組みを強化した。従来は1つの州を5つの地区に分け、無作為で電話をかけていたが、今年は90地区に細分化し、まず電子メールで答えてくれそうな人に連絡をしてから電話する方式に変更した。共和党と民主党双方の優勢な地域でともに回答率を上げようという試みだ。
同氏の手がけた調査では、トランプ氏の得票率と支持率の差が20年の4ポイントから2ポイント前後に縮まったという。
●先進国中銀、金融当局
独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに」=独紙 | ロイター
ドイツのクキース新財務相は、財政赤字を一定の規模に抑える「債務ブレーキ」と呼ばれる財政規律の改革について、緩やかで対象を絞ったものになるとの認識を示した。22日付のハンデルスブラット紙とのインタビューで述べた。
財政規律の問題は2025年度予算案の協議で対立点となり、規律を重んじるリントナー前財務相の自由民主党(FDP)の連立離脱という事態に発展した。
債務ブレーキの改革に対しては、低迷する経済の支援へ財政出動余地の拡大につながるとの見方がある。クキース氏はインタビューで「何が現実的で、何が政治的コンセンサスになるのか考えなければならない」と指摘し「私の考えでは、穏健で的を絞った改革になるだろう」と述べた。
同氏は、債務ブレーキについて、危機時に財政出動できるよう、平時に規律ある財政運営をするという基本原則は正しいと述べた。その上で、さまざまな提案を検証し、必要な長期的投資ニーズを賄うために何が理にかなっているかを評価することは意義があるとし、「仮に債務ブレーキがなくても、欧州の債務規則に従う必要がある」と述べた。
ショルツ首相は22日、債務ブレーキの「穏やかな改革」が必要との見解を示した。北大西洋条約機構(NATO)加盟国として国内総生産(GDP)の2%相当を国防費を充てる必要があるが、国防費を増額するために社会保障費が削られることがあってはならないとした。ベルリンでの会合で「債務ブレーキを廃止するつもりはない。廃止しようとも思わない。しかしより管理可能になることを願っている」と述べた。
米債務持続性、金融安定への最大リスク インフレ懸念後退=FRB報告 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が22日、半期に一度の金融安定報告を発表した。市場関係者への調査では、金融セクターの安定を脅かす最大のリスクとして、米債務の持続性が指摘された。前回4月の報告書でトップだった「持続的なインフレ」リスクは後退した。
FRBは「米債務の持続可能性に対する懸念が最も多く挙げられたリスクだった」と指摘。「国債発行の増加が民間投資を締め出す、もしくは景気後退時の政策対応を制約する恐れがあることが指摘された」とした。
景気後退および世界貿易戦争の可能性も、懸念事項の上位に浮上した。FRBは「今回の調査ではとりわけ世界貿易のリスクが挙げられた」とした。回答の中には「関税障壁が報復的な保護主義政策を促し、世界貿易の流れに悪影響を及ぼすことでインフレに新たな上昇圧力をかける可能性がある」、「世界貿易の悪化は経済活動を抑制し、景気後退のリスクを高める可能性がある」といった指摘があったという。
ECB幹部、EUの経済結束呼びかけ 「対トランプ」念頭に | ロイター
ラガルド総裁をはじめとする欧州中央銀行(ECB)の複数の幹部が22日、欧州連合(EU)に長らく停滞している経済統合を復活させるよう求めた。米国との貿易戦争が想定される中、欧州経済を守ることが狙いとみられる。
ラガルドECB総裁は22日の講演で、欧州連合(EU)の経済統合を改めて呼びかけた。欧州各国の指導者らが、自国の既得権益を守るため基本的制度の進展を長らく先送りにしており、それがEU全体に損害を与えていると批判。国際貿易を巡る緊張の高まりや米国との技術格差拡大から、早急な行動が求められていると指摘した。
トランプ次期米大統領は、輸入品の追加関税を課す方針で、欧州については数十年にわたり対米貿易で大幅な黒字を計上してきたツケを払うことになると述べている。これがユーロ圏の成長を圧迫し、インフレを押し上げることは間違いないとみられる。
ラガルド氏は、トランプ氏に直接言及はしなかったが「世界的に自由貿易に対する脅威が高まっており、地政学的環境も好ましくないものとなっている」と述べた。
ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中央銀行総裁は「米大統領選の結果は、明らかに新たな警鐘となるはずだ」と指摘。将来的には関税の引き上げや財政赤字の拡大、規制の緩和が進むとの見通しを示し、「これは世界経済にとってさらなるリスクを意味する可能性がある。特に米国におけるインフレの増大、金融の不安定化、貿易の減少、ひいては欧州を含む成長の鈍化だ」と警告した。
ラガルド総裁は中でも、資本市場統合の緊急性が高まっている点を指摘した。
家計には11兆5000億ユーロの現預金があるが、その多くが資金を必要とする企業に回っていない。
「EUの家計の預金と金融資産の比率が米家計並みとなれば、最大8兆ユーロのストックが長期的な市場ベースの投資に振り向けられる可能性がある。年間約3500億ユーロのフローに相当する」と述べた。
ただ実際に資本市場に資金が流入しても、国内にとどまるか、より良いリターンを期待して米国に向かうことが多いと指摘し、欧州は資本市場への投資コストを削減し、資金が最も必要とされる場所に流れやすい規制体制を整える必要があるとした。
そのために、加盟27カ国の国内規則の上にEUとしての規制体制を構築し、特定の発行体がこの枠組みを選択できるようにすることが考えられる。
ラガルド氏は「発行体にとって28番目の制度を作り規制調和の煩雑なプロセスを回避することができる。統一された会社法と証券法の恩恵を受け、国境を越えた証券発行、保有、決済が容易になる」と述べた。ただそれでも、資金調達の厳しさを一因に欧州に進出する革新的な企業が少ないという問題は解決しない。欧州はベンチャーキャピタル投資や新興企業向け与信をしやすくする必要があると指摘した。
ECB理事会メンバーのナーゲル独連邦銀行総裁は、銀行同盟において預金者の保護が均一となるよう、EU共同の預金保証制度を創設する必要性を指摘した。また銀行と登録国の財政健全性との間の過度に密接な関係を制限する規制も必要だとした。
「欧州の繁栄モデルはますます大きな圧力にさらされている。こうした状況下で、欧州がいかにして回復力を強化し、繁栄を維持できるかを自問する必要がある」と語った。
ECBの12月利下げ幅巡る議論待つべき=独連銀総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのナーゲル独連邦銀行総裁は22日、 欧州中央銀行(ECB)が今後1年にわたり追加利下げを実施する見通しではあるものの、12月会合で決定される可能性のある利下げ幅についての議論は待つ必要があるという認識を示した。
ナーゲル総裁は、ECBが正しい軌道に乗っているとした上で、12月12日のECB理事会前に発表される最新のECBの経済見通しが政策決定に極めて重要と述べた。
また、同日発表された11月のドイツHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が2月以来の低水準となったことについて、「独経済が今年停滞しているという全体的な状況を多かれ少なかれ裏付けており、来年初めは間違いなく複雑な状況となるだろう」と述べた。
物価安定が最重要、必要ならマイナス金利復活も=スイス中銀総裁 | ロイター
スイス国立銀行(中央銀行)のシュレーゲル総裁は22日、安全資産であるスイスフランへの需要を抑制する必要がある場合にはマイナス金利を復活させる可能性があるとの考えを示した。
シュレーゲル氏はチューリヒでのイベントで、マイナス金利を好む人はおらず、中銀も好んではいないとした上で、「必要であれば次の措置を講じる用意はある」とした。
この発言を受け、ドルは一時、対フランで18週間ぶりの高値に上昇した。
同中銀は2022年9月にマイナス金利政策を解除している。
また、物価安定目標の維持を引き続き金融政策の最重要課題とする考えを示した。中銀が物価安定の目標としている0─2%の範囲内にインフレ率を抑えることが、ここ数年の堅調なスイス経済の主要な要因であることを強調した。
スイス経済は他国と比較しても堅調に推移しており、「中銀は物価安定を維持することで、好調な経済に貢献してきた」と指摘。「今後も物価安定を確保することで貢献し続けるだろう」と述べた。
同中銀は今年3回利下げしており、インフレ率は10月に0.6%と、3年余りぶりの水準に抑え込まれた。市場では、中銀が今年から来年にかけて追加利下げを行うとの期待が高まっている。
為替介入については、国内の状況に焦点を当てた上で決定するとし、「為替操作国」の認定を巡る懸念を一蹴。「為替操作国」とみなされる可能性を理由に、今後為替介入を控えるつもりはないことも示唆した。
米財務省は2022年、スイスが引き続き「為替操作国」の認定基準を満たしていると指摘したものの、為替操作国には認定しなかった。
トランプ氏が次期米大統領に選出されたことを受け、米国内で起きている変化にスイス中銀はどう対応していくかとの質問については、「われわれの使命は明確で、焦点はスイスに当てられている。任務に従う。それが今後行っていくことだ」と述べた。
FRB金融安定報告、インフレより債務の持続可能性が最大のリスク - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)は22日、半期に一度の金融安定報告を公表し、政府の債務負担を金融の安定性を脅かす最大のリスクに位置付け、根強いインフレよりも大きなリスクだとの見方を示した。
「米財政における債務の持続可能性が、今回の調査で最大の懸念材料に挙がった。次が中東での緊張激化、その次が政策の不透明性だ」と報告書は説明。調査はニューヨーク連銀スタッフによって8月下旬から10月下旬にかけて実施された。
報告書は金融市場関係者を対象とした調査結果に加え、資産バリュエーションや企業・家計の借り入れ、金融セクターのレバレッジ、資金調達リスクなど主要4分野のリスク状況について、FRBの評価を含めている。
銀行セクターは「健全かつ全般的な回復力を」維持しているが、ヘッジファンド全体のレバレッジはデータが入手可能となった2013年以来の最高、もしくはその付近にあると報告書は指摘した。
家計に目を向けると、クレジットカードと自動車ローンの延滞率が平均水準を上回っており、特に信用スコアの低い家計ではそれが顕著だという。家計および企業の債務に対するぜい弱性は全般的に「中程度」と評価した。
「債務全体に占めるこうした借り手の債務は比較的小さい割合で、高い延滞率は一部の家計が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に借り入れを増やしたことも反映しており、家計の返済能力が突然広範囲に悪化したという訳ではない」と報告書は述べた。
FRBは資金調達リスクが低下したものの、依然として「留意に値する」と指摘。ステーブルコイン資産は前回報告時より「著しく伸びた」とし、時価総額が11月初めまでに1700億ドル(約26兆3200億円)を上回り、2022年4月に記録した過去最高に迫ったという。
「こうしたデジタル資産には取り付けに対する構造的なぜい弱性があり、連邦当局による包括的で慎重な規制の枠組みが欠落している」と指摘した。
●先進国経済指標
米ミシガン大消費者信頼感11月確報値、71.8に上昇 共和党支持者で改善 | ロイター
米ミシガン大学が22日発表した11月の消費者信頼感指数の確報値は71.8と、10月の70.5から上昇した。4カ月連続で上昇し、4月以来7カ月ぶりの高さとなった。
米大統領選でのトランプ氏の勝利を受け、共和党支持者による改善が全体を押し上げた。
ただ、ロイターがまとめた市場予想の中央値である73.7は下回り、速報値の73.0も下回った。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は声明で「2020年11月の調査と対称的で、今回は共和党支持者の期待指数が上がり、民主党支持者では下がった。トランプ氏が掲げる政策の経済への影響を巡って支持者間の見解が一致していないことを反映している」と指摘した。
共和党支持者は総合指数では15.5ポイント上昇し、16年の選挙でトランプ氏が勝利して以来の伸び。一方、民主党支持者の間では10.1ポイント下がった。無党派層もわずかに低下した。
1年先の期待インフレ率は2.6%と、20年12月以来の低水準。一方、5年先の期待インフレ率は3.2%と、10月の3.0%から上昇した。
減税や関税引き上げ、移民対策強化などトランプ氏の掲げる経済政策でインフレが再燃するリスクがあると多くのエコノミストが指摘している。
米11月総合PMI2年半超ぶり高水準、次期政権の企業優遇策に期待 | ロイター
米S&Pグローバルが22日発表した11月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は55.3と、2022年4月以来31カ月ぶりの高水準に達した。金利低下見通しと、トランプ次期米政権による企業優遇策への期待が追い風となった。
10月は54.1だった。50が拡大と縮小の節目となる。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「第4・四半期に経済成長が加速している兆候を示している」とし、「金利低下見通しと次期政権の企業寄りの姿勢によって楽観論が高まり、11月の生産と受注の増加につながった」と述べた。
内訳では、新規受注が54.9と、10月の52.8から上昇した。
投入価格は56.7と、前月の58.2から低下。販売価格も52.1から50.8に低下し、20年5月以来の低水準となり、インフレが鈍化傾向にあるという見方を支える可能性がある。
一方、雇用はほぼ変わらずの49.0。製造業での雇用が回復する半面、サービス部門での減少が続いた。
製造業PMIは48.8と、前月の48.5から上昇し、市場予想と一致した。
サービス業PMIは57.0と、55.0から上昇し、22年3月以来の高水準となった。市場予想は55.2だった。
独総合PMI、11月は2月以来の低水準 サービスが縮小に転じる | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のドイツのHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.3で2月以来の低水準となった。アナリストの横ばい予想に対し、10月の48.6から低下した。
サービスPMIも51.6から49.4に低下し、縮小局面に陥った。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「つい最近まで、ドイツ経済は製造業の落ち込みをサービス業がカバーすることで安定を保っていたが、もはやそうではなくなった」と述べた。
ショルツ連立政権の崩壊、2月の選挙という政局の不透明感も重しとなっている。
製造業PMIは43.0から43.2にわずかながら改善したが、好不況の分かれ目の分かれ目である50を依然大きく下回っている。
仏総合PMI、11月は44.8に低下 新規受注が大幅減 | ロイター
S&Pグローバルがまとめた11月のフランス総合HCOB購買担当者景気指数(PMI)速報値は44.8と、前月の48.1から低下し、今年1月以来の低水準となった。
新規受注と事業見通しを示す指数が4年ぶりの低水準だった。PMIは50が好不況の分かれ目となる。
11月のサービス部門PMIは10月の49.2から45.7に急低下。10カ月ぶりの低水準となった。ロイターがまとめた市場予想は49.0だった。
新規受注は4年ぶりの大幅減。特に国外からの新規受注が落ち込んだ。
今後1年間の事業見通しは2020年5月以来初めて悲観に傾いた。
政治的な不透明感が一因となった可能性がある。フランス極右政党、国民連合(RN)の指導者マリーヌ・ルペン氏は、政府予算案にRNの生活費高騰を巡る懸念が反映されない場合、バルニエ首相率いる内閣を不信任投票で退陣に追い込む考えだと警告している
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、タリク・チョードリー氏は「フランス経済は不確実性に揺れている。これは個人消費と投資の決定にとって良いシグナルではない」と述べた。
民間部門の雇用創出はわずかに上向いた。
独GDP改定値、第3四半期は前期比+0.1% 速報から下方修正 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が22日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前期比0.1%増となり、速報値の0.2%増から下方修正された。
家計消費は前期比0.3%増、政府支出は0.4%増。投資は機械・設備が0.2%減、建設が0.3%減だった。
財・サービスの輸出は前期比1.9%減。特に財の輸出は2.4%の大幅減だった。
パンテオン・マクロエコノミクスのユーロ圏チーフエコノミスト、クラウス・ビステセン氏は「ドイツ経済は第3・四半期にほとんど前進せず、ユーロ圏最大の経済が事実上成長しないという傾向が続いている」と述べた。
今年のドイツ経済は2年連続でマイナス成長になると予想されている。第2・四半期のGDPは0.3%減だった。
INGのマクロ担当グローバル責任者、カーステン・ブルゼスキ氏は「ドイツ経済が夏に景気後退を回避したとしても、冬の景気後退が迫っている」と指摘。
ビステセン氏は家計消費について、実質所得の堅調な伸びと高い貯蓄率を背景に増加が続く余地があると述べた。
ブルゼスキ氏は「冬が終わった後のドイツ経済の見通しは、新政権が国内経済を強化できるかに大きく左右される。貿易戦争のリスクや米国の産業政策が一段と強化される可能性がある」と述べた。
英小売売上高、10月は前月比-0.7% 予算案発表控え失速 | ロイター
英国立統計局(ONS)が22日発表した10月の小売売上高(数量ベース)は前月比0.7%減と、予想以上の落ち込みとなった。新政権の予算案発表を控えて消費が手控えられた。
ロイターがまとめた市場予想は0.3%減だった。今年6月(1.0%減)以降で最大の落ち込みとなった。
9月の小売売上高も0.3%増から0.1%増に下方改定された。
統計発表を受け、ポンド/ドルは0.2セント下落したが、その後、値を戻した。
10月は特に衣料品の販売が3.1%減と低迷した。9月は0.3%増だった。英小売協会(BRC)は温暖な天候が原因と分析している。
ONSは、イングランドとウエールズの学校のハーフターム休暇が今年は10月のデータ報告期間に入らなかったことも影響した可能性があるとしている。
10月の小売売上高は前年同月比では2.4%増。9月の3.2%から鈍化し、ロイターがまとめた市場予想の3.4%増を下回った。
リーブス財務相は予算案で個人への大幅な増税を見送り、企業への増税を導入した。
会計事務所RSM・UKの小売り担当責任者、ジャッキー・ベイカー氏は、11月のブラックフライデーと12月のクリスマス商戦で小売売上高が回復すると予想。
「予算案は増税という形で消費者に大きな打撃を与えなかった。また、金利の低下が続き、米国の選挙も終わった。今後、信頼感が強まり、クリスマス商戦への道が開けるだろう」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
Leveraged hedge funds magnified August market sell-off, Fed says
米連邦準備制度理事会(FRB)は金曜日、8月初旬の米国株の急落は、流動性の低い環境で活動する高レバレッジのヘッジファンドが市場ショックを拡大させる可能性があることを示していると述べた。
金融市場は8月第1週に急落したが、これは当時、米国経済と日本の金利上昇に対する懸念を反映したものと見られていた。これは、円キャリーと呼ばれる人気の取引で安く円を借り入れた投資家にとって不利に働いた。 
FRBは報告書の中で、8月の市場ボラティリティの急上昇は、銀行融資からのマージンコールではなく、「レバレッジの高いヘッジファンド」が内部のボラティリティ目標を達成するために持ち高を急速に売却したことが一因であると指摘した。
「この出来事の間、国債市場だけでなく他の市場の流動性は著しく悪化したが、翌週に好ましいデータが発表された後、市場状況は急速に改善した」とFRBは年2回の金融安定報告書で述べた。「しかし、この出来事は、高いレバレッジがいかに悪影響を増幅させるかということを改めて示した。」
連銀は、2024年第1四半期のヘッジファンド全体の平均レバレッジ指標が、ファンドが使用した債務量の追跡を開始した2013年以降で最高水準かそれに近い水準になったと述べた。
中央銀行は、特にストレスの時期に市場の流動性が低下すると、ボラティリティが高まり、影響が悪化する恐れもあると述べた。
FRBは、負債を抱えたヘッジファンドに関する警告にもかかわらず、金融システム全体のリスクについては楽観的であり、総じて銀行は「健全かつ強靭な状態を維持している」と述べた。
FRBの報告書によると、国内銀行の大半は流動資産を大量に保有しており、昨年の地域銀行混乱の引き金となった無担保預金への依存度は低下している。
11月4日までに入手可能なデータと情報を反映したFRBの報告書は、ウォール街の関係者らが、特に財務省が債務返済のために国債をさらに発行し続けなければならない場合の米国の債務負担の持続可能性について懸念していることを示した。
連銀は、この動きにより「長期金利に上昇圧力がかかり、成長がさらに抑制され、国や民間セクターの借り手に負担がかかる可能性がある」と警告した。
インフレとそれに伴う長期金利の上昇に対する懸念は、地政学的緊張の高まりに起因する懸念に取って代わられ、FRBはこれが「リスクテイクからの突然の撤退」につながる可能性があると述べた。 
「こうした展開は資産価格の下落につながり、米国を含む影響を受ける企業や投資家に損失をもたらす可能性がある」と連銀は付け加えた。
Strong dollar set to hit emerging market bonds, warn investors
投資家らは、ドナルド・トランプ次期米大統領の下でドルが強くなれば新興国債券の利回りが破壊され、先進国での長期にわたる高金利ですでに打撃を受けているセクターからさらに資金が流出する恐れがあると指摘している。
JPモルガンのデータによると、今月11月中旬までに投資家はドル建ておよび現地通貨建ての新興国債券に投資するファンドから総額50億ドル近くを引き揚げており、今年の純流出額は200億ドルを超えた。これは昨年の310億ドル、2022年の900億ドルの引き出しに続くものだ。
ここ数週間、世界市場はいわゆる「トランプトレード」に支配されている。トランプ氏の減税や関税政策がインフレを加速させ、ドルと国債の利回りを押し上げるとの見方からだ。
アナリストや投資家は、米国の関税が新興国通貨に下落圧力をかけ、輸出需要が落ち込み、ドル建ての債券投資家の収益が消え去る可能性があると警告している。
「これらすべては新興市場にとってマイナスとなるだろう」と、ファンド会社GAMの新興市場債務マネージャー、ポール・マクナマラ氏は語った。「価格に完全に反映されているとは思わない」
現地通貨建て債券市場はメキシコ、ブラジル、インドネシアなどの国が支配しており、世界貿易の障壁が下がったことで経済が恩恵を受け、信用力が増したため、これらの国はここ数十年で米ドル建ての借り入れからほぼ脱却した。
投資家は今年、こうした国々の多くが米連邦準備制度理事会(FRB)に先駆けて利下げに踏み切ると予想していた。利下げは債券価格を支える可能性が高い。新型コロナウイルスのパンデミックを受けて世界的にインフレが急上昇した際、こうした国々の中央銀行は先進国よりも早く利上げに動いていた。
しかし、今月初めのトランプ氏の選挙勝利により、その取引は一変した。トランプ政権下での関税と減税計画が米国のインフレを刺激した場合、米国の金利はより長期間高いままでなければならないという予想を市場は織り込むようになった。
トランプ大統領の選挙勝利以来、10年国債の利回りは4.29%から4.39%に上昇し、30年国債の利回りは4.45%から4.58%に上昇した。
一方、ドルは主要通貨バスケットに対して4%以上上昇している。南アフリカランドは米ドルに対して4%近く下落し、メキシコペソとブラジルレアルは約2%下落している。
米国の金利が上昇すれば、米国に比べて海外のリスクの高い市場への投資の魅力が相対的に低下し、各国の中央銀行は資本を呼び込むために自らの金利を引き上げざるを得なくなるだろう。
ブラジル中央銀行は今月、利上げペースを速めたが、南アフリカ準備銀行は今週、実質ベースで20年ぶりの高水準だった金利を引き下げたものの、政策については慎重な姿勢を保った。同銀行のレセチャ・クガニャゴ総裁は、この決定後の記者会見で、「世界的に保護主義がインフレを引き起こすようであれば、世界的に中央銀行が反応すると予想される」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスの新興国市場調査責任者、ガブリエル・スターン氏は、現状は完全な危機ではなく「諦め」の雰囲気だと指摘。「ドル高が見込まれ、新興国市場の現地通貨建てリターンにブレーキがかかる」と語った。
JPモルガンの新興国現地通貨建て債券の利回り指数は今年に入って赤字に転落し、約1%下落している。
しかし、米国の新政権の政策は、最終的には時間の経過とともにドル安につながると主張する人もいる。
「財政政策、金融政策、貿易政策、為替レートの結果に関する選好は互いに矛盾している」と、クインシー責任国家政策研究所の上級研究員で為替のベテランであるカルティク・サンカラン氏は述べ、ドル安を招く要因を指摘した。
「ドルが新興国市場のように取引される環境は以前にもあった。つまり、米国債の利回りが上昇し、ドルが下落する環境だ」
しかし、サンカラン氏は、多くの新興国にとって、為替レートの圧力を回避できるほどドル安が早く実現しないかもしれないと付け加えた。「問題は、これらの国の多くで、為替レートが悪い意味で金融状況の重要な要素となっていることだ。」
世界最大級の新興国債券運用会社ピムコは最近、投資家が高利回り国への大規模なマクロ投資で継続的に利益を上げていた時代は終わったと主張した。
同研究所は先月発表した論文で、新興国債券は「高収益を追求する手段としてではなく、主に分散投資の手段として利用されるべき」と指摘した。
また、ボラティリティの急上昇により、ドルに対して自由に変動する通貨を持つことが、長期的に見て新興国や投資家にとって正しい政策であったかどうかも疑問視されている。
インフレ目標や債務管理のための財政規則といったIMFが支持する従来の政策と並んで、介入を通じて対ドルの動きを抑制する固定ペッグ制や管理フロート制とは対照的に、自由フロート制は新興市場の投資家によって何十年もの間有益とみなされてきた。
ピムコの新興市場チーム責任者プラモル・ダワン氏は「メキシコやブラジルなど多くの市場で、柔軟な為替レート制度がどのような効果をもたらすのか疑問だ」と指摘。「2000年代初めに効果があったものは、過去15年間は効果がなく、今後も効果はないだろう」と語った。
日増しに高まるリスクテイク熱-暗号資産やレバレッジ型ETFに資金 - Bloomberg
ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利をきっかけに始まった何でも買いあさる熱狂は、株式や社債といった分野では沈静化しつつある。しかし、ウォール街の投機的な向きの間では、リスクテイク熱は日増しに強くなるばかりだ。
S&P500種株価指数とナスダック100指数の変動がようやく落ち着き始めたこの1週間、暗号資産(仮想通貨)やレバレッジ型上場投資信託(ETF)の活発な取引や大幅な値動きが話題になった。
震源地はビッグテック銘柄などに連動し、資産が1400億ドル(約21兆6700億円)規模に達したレバレッジ型ETFや、マイケル・セイラー氏のビットコイン代替指標マイクロストラテジーなどだ。米大手ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」を含む指数や銘柄で損益を増大させる手段に投機資金が押し寄せている。単一銘柄のレバレッジ商品は今週、860億ドル相当の取引と記録的な規模になった。
これは、底堅い景気とトランプ次期政権の選挙公約のおかげで、リスク資産にとって注目の年となった新たなフロス気味の一幕であり、米金融当局が利下げにどれだけの時間を要したとしても関係はない。
こうした相場を背景に、年末商戦シーズンにちょうど間に合うかのように証券口座が膨らんだ。しかし、この調子でいけばギャンブル熱が高まり過ぎることになり、市場のプロたちも戸惑っている。
ジョーンズトレーディングのチーフマーケットストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「こうした高揚感は2000年のピークに匹敵する投機の広がりだ」と分析。「これほどのレベルで勢いや売買を長期間維持するのは難しい」と述べた。
「災害債」残高最高7兆円 相次ぐ異常気象、マネー流入 - 日本経済新聞
●中東情勢
●エマージング
焦点:ウクライナ巡り市民が告発し合うロシア、「密告と人民の敵の時代再び」 | ロイター
今年1月末、モスクワ北西部の第140総合病院の小児科医ナデズダ・ブヤノワ医師(68)のもとに、ある女性が7才の息子を連れて行った。片方の目の具合が悪かったためだ。
そして、18分間の診察の際にこの医師と女性との間で交わされたとされる会話が、2人の人生を一変させた。医師の方は、訴追され刑務所に送られることになった。
この事件のカギは「密告」だ。ロシアでは、市民が身近な人を、ウクライナ侵攻に対する批判やその他の政治犯罪の疑いで当局に通報する風潮が広がっている。密告の増加がプーチン大統領による反体制派の弾圧を加速させているという批判もある。
息子を受診させた母親アナスタシア・アキンシナさんは、病院を後にした直後に動画を撮影していた。この動画でアキンシナさんは、父親がウクライナでロシアのために戦い命を落としたことで息子がトラウマを抱えていると医師に伝えたと、涙をこらえながら話した。
「医師の返事を想像できるだろうか。『おや、何と申し上げればいいやら。ウクライナにしてみれば、あなたの夫は正当な標的だったのでしょう』」と、アキンシナさんは医師の声色や抑揚を真似しながら続けた。アキンシナさんは苦情を入れたが、病院側が事案をうやむやにしようとしていると感じたという。
「そうなると問題は、この場合、あの女をこの国から叩き出すなり監獄に放り込むなりするには、どこに文句を言えばいいのかということだ」と、アキンシナさんは動画の中で訴えた。
この動画はソーシャルメディアで話題を呼び、彼女は検察側の重要な証人として、注目を集める刑事裁判に出廷することになった。
ブヤノワ医師は公判で、こうした発言はしていないと否定した。だが、アキンシナさんの他に成人の証人がいなかったにもかかわらず、この告発は、同医師の人生と40年にわたるキャリアを台無しにするには十分だった。
4月以来拘置所に収監されていたブヤノワ医師は12日、グレーの髪を短く刈った姿でモスクワの裁判所に出廷した。同医師は、戦時検閲法に基づき、軍に関して「意図的に虚偽の情報を流布した」罪で有罪とされ、遠隔地の刑務所における5年半の禁固刑の判決を受けた。
ブヤノワ医師はウクライナ生まれだがロシア国籍を持ち、30年にわたりロシアで生活し働いてきた。彼女の弁護士オスカル・チェルジエフ氏はロイターに対し、弁護団はアキンシナさんによる告発は、ブヤノワ医師がウクライナ出身であることを理由とする悪意によるものだと考えている、と語った。
この記事のためにアキンシナさんに書簡により質問を送ったが回答はなく、また電話への応答もなかった。
ロシアの独立系メディア「メディアゾナ」による書き起こしによれば、アキンシナさんは裁判で、「私たちはロシア人だ。ブヤノワはロシア人を憎んでいる。彼女は私に対して敵意を抱いている。私はそう考えている」と述べた。
ロシアの人権団体OVDインフォに参加するエバ・レベンバーグ弁護士によると、同団体は2022年にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以来、密告に基づく政治的な動機による事件として21件を記録しているという。
ドイツ在住のレベンバーグ弁護士は、やはりウクライナ侵攻開始後、その他にも175人が密告により「ロシア軍の信用をおとしめた」として行政処分に問われており、そのうち79人が罰金刑を受けたとしている。
ロイターでは、レベンバーグ弁護士が示した数字について独自の裏付けを得られなかった。
このデータや、ブヤノワ医師の事件を含め、訴追の根拠として密告を利用することについてロシア司法省にコメントを求めたが、回答はなかった。プーチン大統領のペスコフ報道官はロイターからの質問に対して、ロシア政府は裁判所の判決についてコメントしないと回答した。
<「クズどもと裏切り者」>
プーチン大統領は、ロシアは西側諸国を相手とする代理戦争を戦っているとして、市民は「内なる敵」の摘発に貢献しなければならないと述べている。侵攻開始から数週間後の2022年3月、プーチン氏は「ロシア国民は常に、真の愛国者とクズども、裏切り者を見分け、たまたま口に飛び込んできたブヨを吐き出すように、奴らを追放することができるだろう」と述べた。
OVDインフォによれば、対ウクライナ戦争の開始以来、さまざまな形で反戦や抗議の声を上げたことにより2万人以上が当局に拘束され、1094人が刑事訴訟の対象となったという。
報道や裁判、ソーシャルメディアでは、近隣住民のあいだでの密告や、教会信徒による聖職者の告発、生徒による教師の密告といった例が見られるようになっている。
その結果として生まれた昨今の状況に、ソ連時代の共産党支配下における相互不信と疑いの雰囲気を重ね合わせる人もいる。
オルガ・ポドルスカヤ氏は、かつてモスクワの南にあるトゥーラ州で副市長を務めていた。本人の説明によれば、当局に対抗する姿勢の独立心に富む地方政治家として「厄介者」との評判を集めていたという。ウクライナ侵攻が始まってからまもなく、同氏は、この侵攻を「前代未聞の残虐行為」と表現する公開書簡の署名人に名を連ね、市民に、侵攻反対の声をあげるよう呼びかけた。
4カ月後、ポドルスカヤ氏は市民による告発を受けた。2020年に参加した抗議行動に伴う罰金を納めるために市民からの寄付を募ったことを受けて、同氏の経済状態に対する調査を行うよう求める内容だった。告発者は「オルガ・ミネンコワ」と名乗っていたが、ポドルスカヤ氏によればそのような人物は確認できず、架空の名義による告発ではないかと疑っているという。ロイターは告発状の写しを閲覧したが、提出者は確認できなかった。
その後も、ポドルスカヤ氏と夫に対する市民による告発が続いた。その当時の心境についての質問に対してポドルスカヤ氏は、1938年、ヨシフ・スターリンによる独裁体制下のソ連で、何者かの密告により処刑された曾祖父のことを考えていたと語る。
「密告と『人民の敵』の時代が戻ってきた。私に、国を出るべきだとほのめかしているのだと理解した」とポドルスカヤ氏は言う。
ポドルスカヤ氏は2023年4月にロシアを離れた。その年9月、同氏は司法省の「外国の工作員」リストに掲載された。身の安全を守るために、同氏はロイターに対し、現在の居場所を明らかにしないよう求めている。
<「昔風の人物」>
アンドレイ・プロコフィエフ医師は2023年、「アンナ・コロウコワ」と名乗る告発マニアの標的になった。勤務先には、外国のニュースサイトに投稿した反戦コメントを理由に解雇すべきだという書簡が届いた。
コロウコワと名乗る人物は昨年、標的の1人にした社会学者アレクサンドラ・アルキポワ氏への書簡の中で、自分の祖父はスターリン体制下の秘密警察NKVD(内務人民委員部)で働いており、告発行為は自分の「血筋だ」と書いている。アルキポワ氏はこの書簡をメッセージアプリ「テレグラム」に転載した。
コロウコワ氏は、開戦後の1年間だけで、外国メディアに意見を述べたロシア人を中心に764人を複数の政府機関に告発した。同氏は自分の活動を「敵船を破壊する潜水艦」に例えている。
コロウコワ氏にコメントを求めたが、回答はなかった。ロイターではコロウコワ氏の活動の範囲や影響について確認することができなかった。
プロコフィエフ氏はロイターの取材に対し、ドイツ在住のため特に影響は受けていないと話している。ただし同氏は、ロシアへの帰国には不安を感じてる。「無事に空港から出られるとは思わない。すぐに刑事訴訟が始まるだろうから」
プロコフィエフ氏はブヤノワ医師の事件には特に関心を持っている。ロシアにいた頃、息子が診てもらっていたからだ。同氏によれば、ブヤノワ医師は物静かで控えめな人物だったという。「昔ながらの人物」で、1本か2本の指でぎこちなくPCのキーボードを叩いていたという。
ブヤノワ医師に対する判決には、若干の反撃も見られる。プロコフィエフ氏は、ブヤノワ医師への連帯を表明する合計1035人の医師による公開書簡に名を連ねた。若者を医学の世界から遠ざけてしまいかねないと警告する内容だった。連帯のメッセージを編集してフェイスブックに投稿された動画に、手術着姿で出演した医師もいる。
ブヤノワ医師支援の他、故アレクセイ・ナワルヌイ氏などの反体制活動家を支援する書簡にも参加したアレクサンドル・ポルパン医師は、少なくとも7人の医師らが、署名に参加した後に警察の事情聴取を受けたと話す。ロイターではこうした事情聴取について裏付けをえることができなかった。またロシア内務省にコメントを求めたが、今のところ回答はない。
ポルパン氏自身は昨年ロシアを離れた。「自分が今にも逮捕されかねないことがはっきりしたから」とロイターに語った。
ニューヨークに本部を置く国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの欧州・中央アジア担当副ディレクターを務めるレイチェル・デンバー氏は、社会的信頼の高い職業にある高齢の被告を訴追することは、ウクライナ問題に関する公式見解を否定することは誰にもできないというシグナルだと語る。
デンバー氏によれば、ブヤノワ医師が実際に、戦場にいるロシア兵をウクライナが標的とするのは当然だと発言していたとしても、国際法のもとでは正しい主張だという。
「それがジュネーブ条約の規定だから」とデンバー氏は言う。
戦争に関する国際法では、一定の状況下で、敵の戦闘員だと明らかに確認できる者に対して殺傷力を行使することが認められている。
公判において検察側は、ブヤノワ医師の携帯電話に保存されていたメッセージや画像の詳細を明らかにした。アキンシナさんとのトラブルとは無関係だったが、ウクライナ寄りで反ロシア的な人物像を描き出すために利用された形だ。
弁護側は、誰か別の人間がその携帯電話を操作しており、検察側が提示したメッセージはブヤノワ医師本人のものではないと主張した。
結審の際の最終陳述で、ブヤノワ医師は涙を流し、自分の年齢と健康状態の悪化、数十年に及ぶ社会貢献を考慮するよう求めた。
ブヤノワ医師の穏やかな風貌をあしらったTシャツを着た支援者らは、判決の際に「恥を知れ」と叫んだ。判決文が読み上げられる前に、ブヤノワ医師は自分を取り巻く状況へのショックを表明した。
ブヤノワ医師は「何が起きているのか分からない」と記者たちに語った。「後になれば分かるのかもしれない」
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アングル:中国輸出企業、ドル保有拡大などでリスク軽減 貿易摩擦を警戒 | ロイター
貿易摩擦に対する懸念で外国為替市場が乱高下する中、中国の輸出企業が為替リスクを軽減するため、ドルの保有拡大、元建て契約の締結、輸入ルートの開拓に動いている。
トランプ次期米大統領は中国製品に60%の関税を課す意向を示しており、輸出企業は取引先を長期的にアジア、中南米、アフリカにシフトさせる準備を進めている。
利益率の低さも企業の頭痛の種だ。リスク管理コンサルティング会社Qian Jingの創業者David Jiang氏は「オフショアでドルを保有したいという声が急激に高まっていることは明らかだ」と指摘。江蘇省を拠点にする年商3億ドルの輸出企業から5%の利益率を為替リスクからどう守るか相談を受けていることを明らかにした。
今月5日の米大統領選以降、ドルは人民元に対してすでに約2%値上がりしている。
現在、大半の企業は輸出代金として得たドルをそのまま保有し、可能であればオフショアの口座で管理している。中国人民銀行(中央銀行)によると、国内の外貨預金は10月末までの1年間で6.6%増加、8365億ドルに達している。
アナリストの来年末の人民元の予想レートは平均で1ドル=7.3元。現在の7.24元前後から下落が見込まれている。
鉱物輸出を手掛ける浙商中拓集団の金融市場事業部ゼネラルマネジャー、Liu Yang氏は「米中の金利差は大きい。これは長期にわたって変わらないだろう。ドル資産の保有は中国の輸出企業にとって自然な流れだ」と述べた。
<双方向の貿易>
中国企業はトランプ氏の関税を警戒し、すでに貿易の再構築を進めているが、その余波は外国為替など金融市場にも及びつつある。
シティ(シンガポール)の通貨トレーディング担当アジア太平洋責任者、Nathan Swami氏は「高関税は長期的に為替ヘッジのフローの構成を変えるかもしれない」とし「人民元が世界の決済・貿易に占める比率は年々高まっており、新たな貿易が一部で非ドル建てになり、為替ヘッジのニーズに変化が生じることが考えられる」と述べた。
国際銀行間通信協会(SWIFT)のデータによると、世界の貿易金融に占める人民元の比率は10月末時点で5.77%と、2020年の約2%から上昇し、ドルに次ぐ2位となっている。
一方、税関のデータによると、米国に輸出される中国製品の比率は近年、着実に減少。東南アジア、インド、メキシコへの輸出が増えている。
一部の輸出業者はすでに人民元建ての契約や、双方向の貿易の確立を通じて為替リスクの回避を図っている。
広東省を拠点に南米やアフリカにLED照明を輸出している実業家Jacky Wang氏は、双方向の貿易で為替リスクを軽減すべきだと指摘。
「輸出代金で現地の商品を購入して中国に輸入し、利益はドルに両替する。これが為替リスクを管理するシンプルで基本的な方法だ」と述べた。
福建省で自動車輸入業を営む傍ら、商品の輸出も行っているHan Changming氏も「双方向の貿易は自然なヘッジになる」と語った。
アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草原は関心薄く | ロイター
米政府、中国29社を禁輸リスト追加へ 強制労働疑惑 - WSJ
ファーウェイの半導体技術進化、中国でアップルの脅威に - WSJ
●プロファイ、インフラ、自然災害
アングル:データセンター対応で化石燃料使用急増の恐れ、再エネ開発追いつかず | ロイター
データセンター関連の電力需要が急拡大している影響で、地球温暖化にとって心配な事態が起きる可能性が高まっている。それは化石燃料の使用が近く大幅増加することだ。
ロイターが各国の電力会社や規制当局者、研究者らに取材したところ、人工知能(AI)の登場とクラウドコンピューティング普及に起因する驚くほどの電力需要の伸びは、天然ガスや、場合によっては石炭を含めた化石燃料で賄われようとしている。背景には、クリーンエネルギーの導入ペースがあまりにも遅く、需要に追いつけていないという事情がある。
世界のデータセンターの3分1が拠点を置く米国では、電力各社が新たな天然ガス火力発電所を建設するとともに、老朽化した化石燃料使用発電所の引退を先送りして、データセンターへの電力供給に対応。ポーランドでは電源構成における石炭の比重がなお大きく、ドイツやマレーシアでも石炭が利用されかねない、と複数の企業幹部や規制当局者、専門家などが明らかにした。
このような見通しは、既に電力の脱炭素化目標達成に苦戦し、アゼルバイジャンで22日まで開催される国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)に参加した世界各国にとって、新たなハードルが加わることにもなる。
COP29では初めてデジタル化と気候変動の関係を議論する機会が設けられ、中国や韓国を含めた68カ国が支持する形で、デジタル化の環境への影響を抑制するとの宣言が打ち出された。
しかしビッグデータを扱う巨大IT企業のグリーン化を巡る約束は物足りない。メタ・プラットフォームズ(META.O), opens new tab、マイクロソフト(MSFT.O), opens new tab、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O), opens new tabなどは再生可能エネルギーを調達し、クリーン電力や炭素クレジットを通じて温室効果ガス排出量を実質ゼロにする決意を示している。とはいえそれらは、どこか別の場所で有効活用できたクリーン電力を送電網から吸い上げるだけの取り組みであることが少なくない。
一方、データプロバイダーが新たなデータセンター用電力を先進的な原子炉、ないしは原発の再稼働で賄うという取り決めは不確かであったり、実現まで何年もかかったりする。
メタの広報担当者は「拡大を続ける需要に追いつくためにより多くの再生可能エネルギーが必要だということは、誰もが認めるだろう。どうやって供給を満たすかについては、電力各社がコメントすべきではないだろうか」と述べた。
アマゾンはロイターに、送電網向けの新たな再生可能エネルギーへの投資は同社の脱炭素化戦略の一環だと説明した。
モルガン・スタンレーの見積もりによると、世界のデータセンター業界が2030年までに排出する温室効果ガスはおよそ25億トンと、ロシアの年間排出量に相当する。
<答えはガス>
米バージニア州北部は世界屈指のデータセンター集積地帯で、地元の電力会社ドミニオン・エナジー(D.N), opens new tabがたどり着いた対応策はガスだ。
ドミニオンは現在、チェスターフィールド郡に1000メガワット(MW)規模の天然ガス発電所を建設中。向こう15年で設定した電源構成における再生可能エネルギーの目標比率を最近になって95%から80%に引き下げている。
広報担当者は「全体として当社のサービス地域での電力需要は未曾有のペースで伸び続けている」と述べた。
ロイターが直近の決算説明を調べたところでは、他の幾つかの米電力会社は化石燃料使用発電所の操業を維持した上で、新規建設にも乗り出している。
例えばエンタジー(ETR.N), opens new tabは過去50年で初めて天然ガス火力発電所の建設に着手した。754MW規模の発電所は、ミシシッピ州にアマゾンが立ち上げる2カ所のデータセンターに電力を供給する。
またニソース(NI.N), opens new tabが29年までに計画している新規設備投資額193億ドルの半分近くは、天然ガス火力発電システムの改善に充当され、インディアナ、オハイオ、バージニア各州で急速に広がるデータセンター市場に対応する。
トータス・キャピタルのシニア・ポートフォリオマネジャー、ロブ・サメル氏は、データセンターにとって天然ガスは明快な回答だと指摘。「最も低コストで、最も信頼度は高く、石炭からの転換という面では脱炭素化になっている。完璧な解決策かと言えばノーだが、これらのデータセンターの電力を完全に賄える方法が果たしてあるのかどうかは分からない」と述べた。
S&Pは、データセンターが30年までに米国の天然ガス需要を日量30億─60億立方フィート上乗せすると予想している。
クリーンエネルギー関連のコンサルティングを手がけるRMIは、そうした動きは米国の排出量削減の成果を場合によっては数十年にわたって悪化させると警告する。
トランプ次期米大統領の政権移行チームに近い複数の関係者は、同氏が掲げる電力システム強化計画では再生可能エネルギーよりも天然ガス開発が優先される公算が大きいと語った。
<石炭も必要>
欧州の一部では、データセンター向け電力に石炭が求められている。
ポーランドの場合、新たなデータセンター設立計画が相次ぐ一方、再生可能エネルギー生産量が依然として少ないため、少なくともその電力需要の一部は石炭などのベースロード電源で充当する必要があるとされる。
国際エネルギー機関(IEA)によると、ポーランドの電源構成に占める石炭の比率は低下傾向にあるものの、昨年時点でも60%を超えている。
ドイツでマイクロソフトが今年発表したのは、ハンバッハ炭鉱近くで32億ユーロ(33億8000万ドル)を投じてデータセンターを拡張する計画だ。
マイクロソフトはこの計画が石炭に依存しているどうかについて言及を控えた。広報担当者は「まだ計画の初期段階というのがコメントしない理由だ」と述べた。
マレーシアでも政府高官によると、幾つかのデータセンターが割高な再生可能エネルギーの代わりに、石炭・ガス火力発電が主流の送電網を利用している。この高官は、今年入札に掛けたグリーン電力の50%弱しか実際に購入されていないと明かした。
●その他
米、NYマンハッタンの「渋滞税」承認 1月5日から1台9ドル徴収 | ロイター
イクラがバブル期以来の高値 「軍艦巻き」外す動きも - 日本経済新聞
ラオスで汚染酒のメタノール中毒相次ぐ、観光客の死者5人に | ロイター
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(22日)株・ドル上昇、長期ゾーン利回り低下 | ロイター
**為替市場:**  
ユーロ圏と英国のPMI悪化でユーロが対ドルで約2年ぶりの水準に下落。ユーロ/ドルは1.0416ドル、ドル指数は0.41%高の107.50。米PMIが31カ月ぶり高水準を記録し、米ドルが堅調。円も先週の156円台からわずかに円高。FRBの利下げ確率は52.7%と1カ月前より低下。  
**債券市場:**  
米10年債利回りは4.408%に低下。2年債は4.373%に上昇し、2年・10年債の利回り格差は4bpに縮小。市場は11月の雇用統計と物価指数に注目。  
**米国株式市場:**  
主要株価3指数は週ベースで上昇。S&P 500は1.68%高、ナスダック総合1.73%高、ダウ工業株30種1.96%高。ラッセル2000指数は1.8%上昇、週間では4.3%高と堅調。ギャップは好調な年末商戦見通しで12.8%急騰。一方、エヌビディア(-3.2%)やインテュイット(-5.7%)は失望売りにより下落。  
**金先物:**  
ウクライナ情勢の悪化で安全資産としての需要が高まり、12月物は1.39%高の1オンス=2712.20ドル。週間では5.5%の大幅上昇。  
**原油:**  
ウクライナ緊迫化で買いが入り、WTI1月物は1.63%高の71.24ドル、2月物は70.77ドルと2週間ぶりの高値。
**その他:**  
ビットコインは過去最高値を更新し、9万9697.17ドルを記録。
欧州市場サマリー(22日) | ロイター
ロンドン株式市場はポンド安を背景にFTSE100が週間で2.46%上昇し、半年ぶりの高い伸び。ユニリーバやアストラゼネカなどが上昇する一方、低調なPMI指標により金融株は下落。FTSE250も1.14%上昇。
欧州株式市場は不動産株の上昇で続伸し、STOXX600が約2カ月ぶりの大幅な上げ。ユーロ圏PMIの悪化で銀行株は下落。ゲームズ・ワークショップが業績見通しで急騰、タレスは汚職調査で下落。
ユーロ圏債券市場では、PMIの悪化を受けてECBの利下げ観測が強まり、ドイツ2年国債利回りが1.979%と2年ぶりの低水準に急低下。ドイツ10年債利回りも2.28%に下落。12月のECB理事会での50bp利下げの可能性が約50%に上昇。フランス国債とドイツ国債の利回り格差は拡大傾向。

備忘録(2024/11/21
●海外企業決算
ディアの25年通期利益見通し、市場予想下回る-農機需要の低迷続く - Bloomberg
農業機器メーカー最大手の米ディアが示した来年の利益見通しは市場予想を下回った。農業従事者がトラクターの購入を増やし始める兆候はほとんど見られていない。
農機セクターは、2022年につけたピーク水準からの売り上げ減少に見舞われている。当時はロシアのウクライナ侵攻を受けて穀物価格が急上昇し、農家には機械への支出を拡大できる余地が生まれていた。
21日のディア発表によると、2025年10月通期の純利益は50億-55億ドル(約7700億-8500億円)になる見通し。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均は58億3000万ドルだった。24年通期の実績は71億ドル。
24年8-10月(第4四半期)の1株当たり利益は前年同期比45%減少。ただし、アナリスト予想は上回った。
ディアは自律型の耕運機や雑草を自動検知する噴霧器など、ハイテク機械にシフトしている。しかし、多くの農家は22年に農機をアップグレードしており、穀物や油糧種子の価格が4年ぶり安値付近で推移する中、機械の購入には消極的だ。
[DE] ディア&カンパニー 2024年10月通期は減収減益 売上高16%減517億ドル、営業益30%減90.3億ドル、配当5.76ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[GAP] ギャップ 3Q増収増益 売上高2%増38.2億ドル、営業益42%増3.55億ドル、EPS0.72ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[INTU] インテュイット 1Q増収減益 売上高10%増32.8億ドル、営業益12%減2.71億ドル、配当1.04ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[ROST] ロスストアーズ 3Q増収最終増益 売上高3%増50.7億ドル、純利益9%増4.88億ドル、EPS1.48ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
VW、コスト削減交渉で労使の溝埋まらず-12月のスト決行に傾く - Bloomberg
ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲン(VW)では再建策を巡り労使交渉が続いているが、双方の隔たりは大きく、全面的なストライキへと発展する恐れが強まっている。
経営陣が工場を閉鎖する考えを示した後で、労働者代表は工場閉鎖を回避するため一部のボーナス返上を含む15億ユーロ(約2440億円)規模のコスト削減策を提案。だが、経営陣が過剰生産能力の調整で必要だと主張する削減規模は、それをはるかに上回る。交渉は21日も続くが、着地点はなお見えず、交渉に圧力をかけることが目的の一時的な「警告」ストが12月に決行される見通しだ。
VWは電気自動車(EV)販売の不振と世界最大の自動車市場である中国でのシェア低下に悩む「フォルクスワーゲン」ブランドで、大なたを振るう方針だ。オリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)は、人件費とエネルギー費用が欧州で最も高い部類に入るドイツでのコスト削減を目指している。
労働者代表は20日、経営陣が目標としている削減総額は170億ユーロで、そのうち人件費は小さな部分を占めるに過ぎないと説明していた。経営陣は労組が容認できる範囲をはるかに超えた、より劇的な措置を検討している。それにはドイツ国内の工場数カ所の閉鎖や売却が含まれ、実行されれば労組との融和的なアプローチで知られるドイツで、タブーが破られることになる。
事情に詳しい関係者によると、経営陣はオスナブリュックとドレスデンの工場売却を提案した。さらに、エムデン工場は契約生産として使うことも検討しているという。非公表の交渉内容だとして、関係者は匿名を要請した。
米マクドナルド、新たなお手頃メニュー導入へ-顧客の呼び戻し狙う - Bloomberg
米ファストフード大手マクドナルドは、節約志向の客層を呼び戻すため、米国で新たなお手頃価格のメニューを導入する。
事情に詳しい関係者によると、新メニュー「マックバリュー(McValue)」には、1品購入するともう1品が追加1ドルで提供されるオファーが含まれる。また、6月に開始した5ドル(約780円)のセットメニューの販売期間を少なくとも2025年半ばまで延長する。
手頃な価格のファストフード店としてのマクドナルドのイメージは数年にわたる値上げで損なわれている。新メニュー導入はイメージ回復を目指す取り組みの要となる。「クォーターパウンダー」に使われたスライスオニオンが原因とされる大腸菌集団感染が発生する前までは、5ドルセットなどにより客足の回復に一定の成果を上げていた。
同社は発表資料で、「価格をできるだけ手頃に保つことに関しては、当社と加盟店は顧客の声をしっかりと聴いている」と述べ、5ドルセットやその他のプロモーションに言及。来年の計画について早く共有したいとした。
マクドナルド株は20日の取引をほぼ横ばいで終えた。今年に入り約2%下落しており、S&P500種株価指数のパフォーマンスを下回っている。
同社はバリュー価格のラインアップ刷新に数カ月前から取り組んでいる。18年に導入した1-3ドルの価格帯のメニューと置き換える。インフレを背景とした値上げにより、現在ではその価格帯前半のメニューはほとんど見られなくなっている。
イアン・ボーデン最高財務責任者(CFO)は10月に決算に関する電話会議で、2025年1-3月(第1四半期)に米国で新しいバリューメニューを導入する計画を明らかにしていた。
同社の既存店売上高は2四半期連続で減少している。中東での戦争をきっかけに米チェーンに対する不買運動が起きたこともあり、米国外で売上高が落ち込んだ。それに対応する措置として米国外でもバリュー商品の提供を拡大している。
ウォルマートとターゲット、明暗分かれる 8-10月期 - WSJ
米最大手の小売企業は同業他社に朗報をもたらす先導者なのだろうか。それとも他のみんなからクリスマスの売り上げを盗む「グリンチ」(童話の意地悪な主人公)なのだろうか。
これまでのところ後者になりつつある。ウォルマート WMTはホリデー商戦に向けて素晴らしいスタートを切った。同社は19日、8-10月期の米既存店売上高が前年同期比5.3%増加したと発表した。アナリスト予想の3.8%増(ビジブル・アルファ調べ)を大きく上回った。米売上高がアナリスト予想を上回るのは、今回で11四半期連続となった。
一方、ターゲットが20日発表した8-10月期の既存店売上高は前年同期比0.3%増と、ウォール街の予想(1.4%増)を下回った。ウォルマートは通期業績見通しについて3度目の上方修正を行い、為替変動を除いた純売上高の予想を4.8~5.1%増とした。3カ月前の時点では3.75~4.75%増を見込んでいた。S&P500種指数を構成する小売企業で既に先頭を走る同社の株価は、19日の決算発表を受けて3%上昇した。一方、通期の業績見通しを引き下げたターゲットの株価は、20日の取引で21%超下落した。
ウォルマートの際立つ業績は明らかに、他の小売企業にとって良い兆候でない可能性がある。それは高所得の消費者を対象にする小売企業と1ドルショップのいずれにも当てはまる。ウォルマートは市場シェアを拡大しており、比較的高所得の消費者の間で最もシェアを伸ばしている。前四半期における同社市場シェアの伸びの75%は、年収10万ドル(約1540万円)を超える世帯によるものだった。そのため、ターゲットの売り上げが奪われている可能性がある。同社が強いことで知られる裁量的支出分野に入る商品に関しても、同じことが言える。ターゲットは、家電や玩具を含む家庭用品・耐久消費財が低調だったと述べていた。対照的に、ウォルマートでは雑貨の既存店売上高が伸び、家庭用品と玩具にも旺盛な需要が見られた。
ウォルマートが売り上げシェアを拡大している理由の一つに「エブリデー・ロー・プライス(毎日安売り)」戦略がある。また、配送の迅速化など利便性の向上も、顧客を引きつける強力な要素になっている。
ウォルマートの好決算は、1ドルショップにも警告サインを送っているかもしれない。1ドルショップは通常、手軽な買い物の場を提供することで顧客を引きつけているが、シティのリポートによると、こうした店もウォルマートに市場シェアを奪われつつある。ウォルマートの利便性向上は、低所得層の顧客に訴求する一因にもなっている。エバーコアの調査によると、有料会員サービス「ウォルマート+(プラス)」会員の約22%はフードスタンプ(補助的栄養支援プログラム)の対象者だ。これに対し、米国に居住する人で同対象者となっているのは約13%。ウォルマートは昨年から政府支援策の対象になっている顧客に対し、有料の会員資格を通常より低額で提供している。
ウォルマートと同等のバリューと利便性を提供するのは、競合する小売企業にとって簡単なことではない。同社はここ数年、多額の投資を行い、店舗の改装を進め、配送とピックアップ(店頭での商品受け取り)の効率化を図ってきた。2021年から今会計年度末までのウォルマートの設備投資額は約720億ドルとなる見通しだ。これは同社の売上高からすれば法外な額ではないが、アマゾン・ドット・コム以外の他の小売企業を圧倒的に上回っている。一方、ターゲットや1ドルショップなど、輸入された裁量品への依存度が高い小売企業は、来年に関税が課された場合、利益への打撃がウォルマートよりも大きくなる可能性が高い。
ウォルマートでは、電子商取引事業の好調な売上高の伸び(前四半期の米売上高は22%増)が利益率の高い収益源の成長を支えている。米国内の広告事業収入は26%増、ウォルマート+の会費収入は2桁の伸びを示しているほか、マーケットプレース事業では、有料の同社「配送サービス」を利用する販売業者が増加している。
このことは、向こう数四半期において、ウォルマートが必要に応じて値下げできる余地があることを意味する。競合他社にはさらなる打撃だ。消費者が慎重になっている限り、ウォルマートにとっては幸せなホリデーシーズンでも、誰もが楽しいというわけではない。
ボーイングCEO「もう間違いは許されない」 - WSJ
米航空宇宙大手ボーイングのケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は20日、従業員に対し、かつて製造業界を席巻した同社は社内文化に深刻な問題を抱えており、もう2度と間違いを犯すことは許されないと述べた。
オルトバーグ氏は8月にCEOに就任した。この日は1時間に及んだ全社会議でボーイングの現状を率直に評価し、肥大化した管理職、無駄の多い支出、内部対立や責任回避の社内文化を指摘した。
「(欧州航空機大手)エアバスに勝つ方法を思案するより、社内での言い争いに多くの時間を費やしている」とし、「ボーイングが抱える問題点の話ばかりで、誰もがうんざりしている。私もここに来てそれほど長くないが、うんざりしている」と語った。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が会議の録音を確認した。
オルトバーグ氏によると、ボーイングは巨額の手元資金が無くなりつつあり、投資家に新たな救済措置を求めることはもはや不可能だ。最近では手元資金を強化するため、新株発行で240億ドル(約3兆7000億円)を調達した。一部の研究開発への支出は遅れる可能性があるという。
キャッシュフロー(現金収支)については、「737」型機の生産を1カ月当たり38機に引き上げるまでプラスに転じることはないと語った。当初は2023年末までに38機に引き上げることを目指していた。
ボーイングは依然として、主要工場を稼働停止に追い込んだ8週間に及ぶ機械工のストライキの余波に対処している。オルトバーグ氏は、ボーイングの官僚的体質を是正し、ビジネスの実態を反映させるため、数千人の従業員を解雇したと述べた。
ドナルド・トランプ次期大統領と会談したことも明かし、トランプ氏が提案する関税が米国有数の輸出企業であるボーイングにもたらす潜在的な影響を巡り議論したと話した。
ボーイングは中国の航空会社にジェット機を販売しているが、米国は中国から航空機を輸入していないため、中国とのいかなる貿易戦争もボーイングに打撃を与える可能性があると警鐘を鳴らした。
「ボーイングは多くの浮き沈みに直面してきた」とし、「今はどん底にいる」と従業員に語りかけた。「今日、われわれには現状から脱却し、真の改善を遂げる機会がある」と続けた。
Google分割案、親会社アルファベット株価が一時7%安 テック株軒並み下落 - 日本経済新聞
欧州電池ノースボルト、米で破産法申請 資金繰り悪化で - 日本経済新聞
●日本企業
日本生命、年金保険などの予定利率引き上げ 約40年ぶり | ロイター
北海道エアポート社長、25年3月期「初の営業黒字達成へ」 - 日本経済新聞
新千歳空港など道内7空港を一体運営する北海道エアポート(HAP、北海道千歳市)の蒲生猛社長は21日、2025年3月期連結決算について「設立以来初となる営業黒字化を達成したい」とコメントした。期初予想では6億円の営業赤字を想定しているが、旅客需要の回復やテナント収入の伸長で黒字転換の可能性が増している。
東京メトロ社長、不動産など非鉄道分野でM&Aを模索-成長加速へ - Bloomberg
常態化する日産のずさんな販売計画、投資家や取引先からの信頼にひび - Bloomberg
日産自動車が今期(2025年3月期)業績見通しを大幅に引き下げたことを受け、当初計画の甘さに改めて厳しい視線が注がれている。年間の販売台数計画と実績がずれることは常態化しており、市場や部品サプライヤーとの信頼関係にも影を落としている。
当初の年間販売台数計画に実績が届かなかったのは23年度までの9回のうち8回に及び、うち4回は1割超の下振れとなった。すでに今期も期初計画比で8.1%下方修正した。
同期間にトヨタ自動車で実績が計画を1割超下回った年は一度もない。20年度にはコロナ禍で先行きの見通しが難しいとして期初に慎重な見通しを示し、逆に実績は1割超上振れた。ホンダも1割超の下振れは、半導体不足の影響があった21年度と22年度の2回にとどまった。
背伸びした計画を立てるのはカルロス・ゴーン元会長の時代からの「日産の体質」だと、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の吉田達生シニアアナリストは指摘する。ゴーン氏が社長を退任してから約7年半が経つが、現経営陣はいまもなおゴーン式経営から脱却できていない。
1999年に経営危機に陥った日産に出資した仏ルノーから最高執行責任者(COO)として送り込まれたゴーン氏は黒字回復など野心的な数値目標を「コミットメント(必達目標)」に掲げ、いずれかでも達成できなければ経営陣全員が辞任すると公約した。全てのコミットメントは前倒しで達成され、業績はV字回復した。
ただゴーン氏のその後の拡大路線はインセンティブ(販売奨励金)拡大による値引き販売でブランド価値の低下を招いた。内田誠社長がゴーン時代に見たそんな悪循環が主力車種の高齢化で魅力的な商品が乏しくなった日産で、繰り返されつつある。
同社にとって最大市場である北米で23年4-9月期に2414億円の営業黒字だったが、今期はインセンティブ拡大による収益圧迫などで41億円の赤字に転落した。
過去10年の時価総額は、約6兆円だった2015年をピークに減少傾向が続く。直近は1.5兆円規模となっており、トヨタ、ホンダ、スズキ、スバルに次ぐ5番目だ。
泥縄式
SBI証券の遠藤功治シニアアナリストは、日産の販売計画の精度が近年「異様に低い」と断じる。計画が未達でリストラなどの対策を「泥縄式」に講じるのが「ずっと続いている感じがする」という。
日産は7日に発表した第2四半期決算で、主力の米国や中国の販売不振を理由に今期の利益計画を引き下げ、大規模なリストラ策も公表。
内田氏は決算説明会で、今期の販売計画が「ストレッチ(背伸び)した台数になっていたというのは結果として否定できない」と述べ、無理があったことを認めた。販売計画の精度を「われわれがきちっと見ていける体制」を構築する考えを示した。
落ちた信頼
有言不実行の日産を、市場もサプライヤーも冷めた目で見ており、今後もこうした状況が続けば信頼関係にさらにひびが入る可能性もある。
週刊ダイヤモンドによると、7月24日から9月17日に自動車メーカーの取引先企業に行ったアンケートで、大手自動車メーカーの「生産計画(内示)の具体性、確からしさ」を5段階評価してもらったところ、日産の得点はトヨタやホンダを下回った。
BIの吉田氏は、日産が示す計画を自身は「ちょっとどころかいつも信じていない」と語った上で、同社の部品サプライヤーも同様だと指摘。日産の示す台数を信じれば損をする可能性があるため「サプライヤーはみんな日産からくる内示台数を割り引いて」実際の対応をしている、と吉田氏は述べた。
●先進国政治動向
トランプ氏には「時間がまだ十分ある」、財務長官の人選で-コーン氏 - Bloomberg
米商務長官指名のラトニック氏、中国との関係がやり玉に | ロイター
仏極右ルペン氏、政権に退陣要求も 生活費高騰に予算対応なしなら | ロイター
フランス極右政党、国民連合(RN)の指導者マリーヌ・ルペン氏は20日、政府予算案にRNの生活費高騰を巡る懸念が反映されない場合、バルニエ首相率いる内閣を不信任投票で退陣に追い込む考えだと警告した。
ルペン氏は、欧州連合(EU)欧州議会から資金を不正受給したとされる疑惑を巡る公判で、フランス検察から5年間の公職追放を求刑されている。同氏は疑惑を否定している。
裁判所が有罪と判断し、求刑通り公職追放を言い渡した場合、2027年の大統領選に出馬できなくなる。このため、現政権の退陣を早期に目指すのではないかと見方が出ている。
ルペン氏は「フランス国民の購買力が再び打撃を受けることは容認できない。このレッドライン(越えてはならない一線)を越えれば不信任投票を実施する」とRTLラジオに語った。
バルニエ氏は、分極化が深まる国民議会(下院)で、憲法の規定を使って採決なしで予算法案を成立させる可能性を示唆している。強行すればRNや左派勢力による不信任投票が必至となる。
ルペン氏はまた、家計や企業家、年金生活者への増税にRNは反対で、これまでのところ、この要求が予算案に反映されていないとした。
急進左派「不服従のフランス(LFI)」による年金改革撤回の提案にRNは賛成票を投じるとも語った。左派勢力は不信任案を提出する方針を明らかにしており、RNが棄権すればバルニエ氏は退陣を回避できる。
ゲーツ氏、米司法長官の指名辞退 「政権移行の妨げに」 - CNN.co.jp
トランプ氏なお決心つかず、財務長官の人選混迷-完璧な候補を追求 - Bloomberg
●先進国中銀、金融当局
NY連銀総裁、物価の落ち着きには「まだ至っていない」 - Bloomberg
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、なお堅調な経済状況の中で物価上昇率は低下しきたが、米連邦準備制度の目標である2%までにはまだ距離があると述べた。
「2%という目標に向けてインフレは大幅に低下している。しかし、まだ目標には達していない」と、ウィリアムズ氏は21日に公表されたバロンズ紙とのインタビューで語っている。
同総裁は「私は、フェデラルファンド(FF)金利をより正常な、または中立的な水準に近づけることが、今後適切になると考えている」と語った。
ウィリアムズ氏は、個人消費支出価格指数に基づくインフレ率が今年通年で2.25%に低下するとの予想をあらためて示した。来年の米成長率は2.5%になると見込んでおり、労働市場は「もう少し冷え込む」と予想している。
労働市場の冷え込みとインフレ率の低下は、現在の金融政策が景気抑制的であることを示しているとウィリアムズ氏は述べ、来年末までには金利がさらに低下するとの見通しを示した。また、雇用環境は軟化しているものの、景気後退の兆候は見られないと述べた。
ウィリアムズ氏は今後の最大のリスクとして、生産性の低下、世界経済を混乱させる可能性のある地政学上の問題、中国が成長の勢いを維持する困難を挙げた。
中国の苦境は「世界の需要に影を落とし、世界中のインフレに影響する可能性」があると指摘した。
12月会合の「予測は不可能」と植田日銀総裁、ライブになることを示唆 - Bloomberg
日本銀行の植田和男総裁は、12月の金融政策決定会合で利上げの是非を巡り活発な議論が行われるであろうことを示唆する、これまでで最も明確なヒントを提供したようだ。
植田総裁は、「現時点で会合の結果を予測するのは不可能だ」と指摘。その上で、次回会合が開かれる12月に向けて「まだ1カ月程度ある。それまでの期間に非常に多くのデータや情報が利用可能となるだろう」と述べた。21日に都内で開かれた「パリ・ユーロプラスファイナンシャル・フォーラム2024」の質疑応答に英語で答えた。
今回の発言は、12月の利上げに自らを追い込むことなく、選択肢を残している。植田総裁は政策は毎回の会合で決定され、事前に決められるものではないとの見解を繰り返し示している。
それでも、ブルームバーグが10月の会合前に実施した調査でエコノミストの約5割が予想した12月の利上げの可能性を強く意識させる内容だった。調査対象の日銀ウオッチャーの8割超は、1月までに利上げがあると予想している。
市場では、次の利上げに動く前に日銀は7月会合で利上げした時よりも明確なシグナルを発信するとの期待が高まっている。7月の利上げは一部の投資家にとって予想外の決定となり、8月の市場混乱につながった一因とみられている。
植田総裁が政策の方向性についてシグナルを発する意図があるのであれば、18日の名古屋市での講演の方が可能性は高いとみられていた。この講演で総裁は、政策判断の鍵を握る注目点として海外経済の見通しと、賃金と物価の好循環の2点を挙げた。
為替が物価・経済に与える影響精査
21日の講演後の質疑応答で植田総裁は、日銀は為替レートが物価や経済に与える影響を精査していく考えをあらためて示した。日銀ウオッチャーの多くは、日銀に利上げを促す最大の要因は円安だとみている。為替市場ではここ数週間で円安が進み、輸入コストの上昇によるインフレ圧力が高まっている。
政府・日銀が為替介入を行った7月以降も円安の流れが続いたことが、日銀が7月会合で追加利上げに動いた主な要因だったと指摘するエコノミストもいる。政府は今年、これまでに15兆円超を投じて円相場を支えてきた。
利上げをすれば軟調な円相場は幾分支えられ、政府は安堵(あんど)するかもしれないが、植田総裁は政治情勢にも目配りする必要がある。
自民・公明両党による連立政権は、衆院で過半数に届かない少数与党となった。12月は政府にとって来年度予算を編成する上で重要な月だ。早期の利上げに反対する野党の協力を必要とする財政政策の重要な時期に、日銀が利上げをできるのか疑問視するエコノミストもいる。
FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢」=NY連銀 | ロイター
米ニューヨーク連邦準備銀行は21日公表した報告書で、連邦準備理事会(FRB)はバランスシート圧縮の取り組み(量的引き締め=QT)を継続する上で何の障害にも直面していないとの見方を示した。
連銀は報告書で、短期金融市場の流動性を探る新たな指標として先月導入した「準備需要弾力性(RDE)」が13日時点でマイナス0.15と、1カ月前の水準から横ばいで推移したと指摘。準備預金残高は引き続き「潤沢(abundant)」だとした。
同指標は、QTの取り組みを直ちに終了する必要がないことを示唆しており、これはFRB当局者の最近の発言のほか、QT終了時期が来年中になるという市場の予想と一致している。
FRBはバランスシートの規模正常化に向け、2年余りにわたり保有債券を減らしてきた。保有資産は2022年夏に付けたピークの約9兆ドルから、足元では約7兆ドルまで減少している。
FRB、一段の利下げ必要 ペースは緩やかに=シカゴ連銀総裁 | ロイター
米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は21日、連邦準備理事会(FRB)は追加利下げを実施しなければならないとの考えに支持を示すと同時に、利下げは一段と緩やかなペースで行う必要があると改めて表明した。
FRBは9月に政策金利を0.50%ポイント引き下げ、利下げに着手。11月の会合では0.25%ポイントの追加利下げを決定した。
グールズビー氏は12月の会合で追加利下げが決定される可能性について言及しなかったものの、政策金利は適切な水準にまだ達していないと指摘。インフレ率がFRBが目標とする2%に向けて低下すると同時に、経済が安定した完全雇用に近づいていることに言及し、金利は約1年後には現行水準より「かなり低くなる」と述べた。
同時に、金利をどの程度引き下げるべきか見解の相違があることを踏まえると、利下げのペースを緩めるのが賢明になるとの見方を示した。
労働市場については、安定しているとの確信が強まったと述べた。
グールズビー氏の発言で、FRB内の議論の焦点が利下げの是非ではなく、利下げのペースと規模になっていることが改めて示された。
●先進国経済指標
米失業保険申請は減少、4月以来の低水準-労働市場の堅調さ示す - Bloomberg
米中古住宅販売、10月に大きく増加-9月のローン金利低下が影響 - Bloomberg
ユーロ圏消費者信頼感指数、11月はマイナス13.7に悪化 | ロイター
10月の欧州新車販売、前年並み HVが16%増で好調維持 - 日本経済新聞
●金融市場、先進国トピックス
ヘッジファンドのツーシグマ、従業員200人削減-事業見直しで - Bloomberg
米企業、在庫確保急ぐ トランプ氏の対中関税にらみ - WSJ
●中東情勢
国際刑事裁判所、イスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を発行 - Bloomberg
サウジ未来都市構想、国の資金不足でピンチ - WSJ
サウジアラビアに巨大な未来都市「ネオム」を建設するプロジェクトが同国の頭痛の種になりつつある。コスト増加やスケジュール遅延に見舞われ、直近では6年間務めた最高経営責任者(CEO)が交代させられた。
その背景には、世界最大の石油輸出国であるサウジが資金不足に陥っていることがある。
サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は経済改革策「ビジョン2030」を掲げ、石油依存からの脱却を目指している。同国には資金が潤沢にあるとされるが、ビジョン2030に関連する華やかな大規模プロジェクトや経済イニシアチブの数々のための資金を捻出できずにいる。
ネオムの取締役会はナドミ・アル・ナスルCEOを突如交代させた理由を明らかにしていない。ネオムの元従業員らによると、ナスル氏は膨れ上がる予算を巡って、ネオムの所有者であり資金提供者の政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」とたびたび衝突していた。遠隔地に巨大都市を建設するための砂漠の整地に数十億ドルが費やされている。
PIFとネオムの担当者はコメント要請に応じなかった。
ネオムの関係者らは、不要な造成工事に資金が浪費されたと批判している。米国のニューヨークからフィラデルフィアまでの距離よりも長い、一対の水平な超高層ビル「ザ・ライン」では、請負業者が60マイル(約96キロ)の範囲に及ぶ砂を掘り出した。プロジェクトの第1段階がわずか10マイルで、後に1.5マイルに縮小されたにもかかわらずだ。
ネオムだけではない。サウジ全土のプロジェクトで同様の事態が起きそうだ。建設業者は低コストの初期作業からプロジェクトの大部分の建設へと移行する中で、多額の資金需要に直面している。
ムハンマド皇太子は2016年、サウジ経済を14年間で刷新する計画として「ビジョン2030」を発表した。スポーツ、ビデオゲーム制作、電気自動車(EV)製造で世界のリーダーになるためのイニシアチブに資金がつぎ込まれた。労働者が民間部門に送り込まれた結果、2023年には国内総生産(GDP)の45%を民間部門が占めるようになった。2016年は40%だった。
ビジョン2030を主導したのは巨大不動産プロジェクトで、その最大の部分を占めるのがネオムだ。サウジ当局は、2030年までに100万人、その数年後には900万人の人口を擁する、車のない垂直都市を砂漠の中に出現させると宣言した。建設費用は5000億ドル(約78兆円)とされたが、複数の元幹部によると、実際には数兆ドルかかる見通しだ。
一方、首都リヤド近郊では、テーマパークや中東最大のウオーターパーク、世界一高いジェットコースターを備えた巨大エンターテインメント地区の工事が進んでいる。さらに、紅海沿岸に300億ドル以上をかけて50のリゾート群を誕生させるプロジェクトや、高さ0.25マイル(約400メートル)の巨大立方体を中心とするリヤドの大型開発プロジェクトも進行中だ。
支出リストは拡大している。サウジは過去12カ月間に、1000億ドルの先端電子機器イニシアチブを発表し、AI(人工知能)投資計画を策定した。さらに、2034年FIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップの開催に向けて11の未来的なスタジアムを建設すると約束した。そのうちの一つはネオムの超高層ビルの屋上に建設される。
これらの計画を全て実現すると、その費用は数兆ドルとなり、運用資産1兆ドル(売却困難な投資含む)のPIFが自由に使える額をはるかに上回る。
サウジは日常的な公共サービスに必要な収入は確保し、債務も控えめな水準に抑えているが、石油価格の低迷により稼ぐ力が大きく失われている。石油収入は歳入の半分を占めるが、ブレント原油価格は1バレル=72ドル程度で推移し、国際通貨基金(IMF)がサウジの財政収支均衡に必要と推定する同96ドルを大きく下回る。サウジ財務省は最近、財政黒字見通しを撤回し、赤字が数年先まで続くとの見通しを示した。
サウジ当局は、経済改革のコストは民間部門が負担すると述べている。
しかし、サウジは昨年、外国からの直接投資が260億ドルにとどまり、2030年までに年間1000億ドルという国家目標に達する兆しすら見えない。投資家は、ネオムなどのプロジェクトの複雑さに閉口し、サウジの法制に警戒感を示している。政府は最近、西側諸国の投資家にもっと魅力的に映るよう法制を見直した。
サウジにはまだ、通貨リヤルのドルペッグ(連動)制を維持するための外貨準備が4000億ドル以上ある。ただ、外貨準備はこの数年で減少し、今年8~10月には7%余り減少した。
米シンクタンク「中東研究所」の非常勤上級研究員、カレン・ヤング氏によると、サウジ政府内には、膨大な数の発表済みプロジェクトを全て実現することは不可能だという認識がある。当局者らは当初から、計画の半分を完了できれば上出来だと明言していたという。
ヤング氏は「今は削減を始める時期に来ている」と述べた。急激な政策変更に慣れている国民にとって、これは物議を醸すことにはならないだろうと同氏は考えている。
サウジのムハンマド・ビン・アブドラ・ジャドアーン財務相は今年、政府として全てのプロジェクト案を検討した結果、資金需要が利用可能な額を上回る「ギャップ」があることが分かった、とポッドキャストで語った。それ以降、未発表のプロジェクトを中止し、他は規模を縮小したという。
しかし、政府は今のところ、多くのプロジェクト削減に踏み切ったとは公表していない。IMFは「投資家や国民に政府の優先順位を明示するために(変更内容を公表することが)重要になる」と述べた。
デンマークの物流大手DSVは10月の投資家向け電話会議で、ネオムとの100億ドル規模の物流事業計画は本格的な作業開始が予想以上に遅れるとの見通しを示したが、実際にどれくらい遅れるかは明らかにしなかった。
DSVのイエンス・ルンドCEOは「状況を見守る」と述べた。「彼らは設定した目標を達成したいはずだ。そうでなければ、何か発表するだろう」
ネオムが新CEO(PIFから送り込まれた幹部)の下で、今後どのような動きに出るのかは定かでない。
現在、ザ・ラインの別の部分で初期の基礎工事が行われている。請負業者は150フィート(約46メートル)の巨大な穴を掘り、さらに地中に数千本のコンクリート柱を設置している。だが、支出が大幅に増え始めるのは、建設という次の段階に入ってからだ。
●エマージング
インド財閥アダニ氏起訴でモディ氏苦境に、緊密関係は「公然の秘密」 - Bloomberg
ロシアがICBM発射、ウクライナ発表-今回の戦争で初の使用か - Bloomberg
南ア中銀、0.25%利下げ決定 世界経済厳しく見通し不透明と強調 | ロイター
トルコ中銀、主要金利50%に据え置き 12月の利下げに期待感 | ロイター
中国で巨大金鉱床発見 埋蔵千トン、13兆円規模か | 共同通信
●プロファイ、インフラ、自然災害
スペイン洪水、第4四半期成長率0.2ポイント押し下げへ=中銀 | ロイター
スペイン中央銀行は20日、東部で先月発生した洪水の壊滅的な被害で第4・四半期の国内総生産(GDP)伸び率が0.2%ポイント押し下げられる公算が大きいとの見通しを示し、緩やかなインフレ加速も予想されるとした。
10月29日に発生した洪水はスペイン近代史上最悪となり、バレンシア地域を中心に200人以上が死亡。豪雨後の鉄砲水で車両、橋、家屋が流されたほか、農作物や工場が大きな被害を受けた。被災地の経済活動は国内の約2%を占める。
中銀は発表で「推定値は大きな不確実性に左右されるが、過去の気象関連事象に基づけば、GDPへの影響は今四半期にマイナス0.2%ポイントと推定され、1年後もマイナス成長が続くとみられる」と予想した。
洪水前、政府は今年の成長率を2.7%と予想し、欧州諸国をはるかに上回ると見込んでいた。
このほか、洪水により消費者物価が0.15%ポイント押し上げられるとの見通しを示した。10月は前年比1.8%上昇だった。
米ワシントン州で暴風、数十万世帯が停電 | ロイター
米北西部ワシントン州が20日、強い嵐に襲われた。数十万世帯が停電し、倒木などにより道路交通が支障を来し、少なくとも2人が死亡、2人が負傷した。
嵐の風速は時速80キロと熱帯性暴風雨並みで、瞬間風速は時速110キロ。ワシントン州のほか、オレゴン州南西部とカリフォルニア州北部でも停電になり、一時は60万世帯以上が影響を受けた。
嵐は20日昼頃にカリフォルニア州に移動しており、気象予報士によると週末までに豪雨をもたらす見通しだ。
●その他
米MIT、年収3000万円まで学費免除 優秀な学生確保へ - 日本経済新聞
健康オタクが支持 「ケネディ厚生長官」で株価翻弄 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(21日)ドル1年超ぶり高値、利回り上昇 ダウ・S&P1週間ぶり高値 | ロイター
ドルは労働指標やFRB当局者の発言を背景に上昇し、ドル指数は約1年ぶりの高値を記録。一方、ユーロは下落。ビットコインは大統領選後の規制緩和期待で急騰し、10万ドルに迫った。米国債利回りは上昇、特に10年債が5カ月ぶりの高水準に。FRBの12月会合での利下げ確率は低下。地政学リスクとしてロシアがウクライナ戦争で初の大陸間弾道ミサイルを発射。円やスイスフランなどの安全通貨は一時的に買われたが、その後弱含んだ。
米株式市場は値動きの荒い展開の中で上昇し、ダウとS&P500は1週間ぶりの高値を記録。セールスフォースが目標株価引き上げを受けて上昇し、半導体指数も堅調。一方、アルファベットは司法省の独占是正策の報道で下落し、通信サービスセクターが軟調。アマゾンもEU調査報道で下落したが、ディアやスノーフレイクは好調な決算で大幅高。地政学リスクから原油高でエネルギー株が上昇し、安全資産として金も買われた。WTI原油先物は供給懸念から上昇。
欧州市場サマリー(21日) | ロイター
ロンドン株式市場は反発し、FTSE100が約2週間ぶりの高値を記録。ポンド安が国際企業を支援し、製薬や石油株が上昇。一方、JDスポーツが業績見通しで急落。FTSE250は北海石油企業の配当発表を受け上昇。CMCマーケッツは利益見通し据え置きで下落。
欧州株式市場も反発し、エネルギーや防衛、テクノロジー株が上昇。半導体関連銘柄やSAPが好調。一方、ユーロ圏債券市場ではドイツ国債利回りが低下し、フランスとの利回り格差が拡大。イタリア国債利回りも小幅低下したが、地政学リスクが影響した。

備忘録(2024/11/20
●海外企業決算
ターゲット株が急落、通期見通し下方修正-ウォルマートと対照的 - Bloomberg
ディスカウントストアを展開する米ターゲットは20日、通期の業績見通しを引き下げた。売り上げが伸び悩み、在庫が積み上がっていることが要因。株価は通常取引開始前の時間外で一時20%下落した。
同社の経営陣は、米消費者が必需品以外への支出を減らしていると述べた。前日に通期業績見通しを上方修正したウォルマートとは対照的。ターゲットの利益は、港湾ストに備えて同社が在庫を積み増したことでも圧迫された。
投資家は、ターゲットが規模に勝る競合他社に市場シェアを奪われているだけなのか、他の小売業者も同様の苦境に直面しているのか疑問視している。
市場分析会社バイタル・ナレッジのアナリスト、アダム・クリサフルリ氏は「ターゲットの業績不振はウォルマートの強みの大部分が市場シェアの拡大にあることを浮き彫りにしている」と指摘。「消費者は『粘り強い』かもしれないが、目の肥えた倹約家でもある。ターゲットの不振はコールズ、ダラー・ゼネラル、ダラー・ツリーにとって好ましくない兆候だ」と述べた。
ターゲットのブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は記者団との電話会議で、業績懸念の払拭(ふっしょく)に務めた。港湾ストなどは一時的な問題だとし、ホリデーシーズンの売り上げには明るい兆候が見えていると語った。
8-10月(第3四半期)の既存店売上高は前年同期比0.3%増にとどまり、ブルームバーグがまとめたアナリストの予想平均を下回った。5-7月(第2四半期)の既存店売上高は前年同期比2%増だった。
同社は通期の1株利益を8.30-8.90ドルと見込む。従来見通しは同9-9.70ドルだった。
マイケル・フィデルケ最高財務責任者(CFO)は「販売減速と一部のコスト圧力により、前四半期に上方修正した利益見通しを再び引き下げざるを得なかったのは残念だ」と述べた。
同社は5-7月に既存店売上高が前年比プラスに転じ、業績回復の兆しが見えていたが、今回の下方修正で投資家の懸念は再燃しそうだ。
米ターゲット、11─1月期業績予想振るわず 年間見通しも下方修正 | ロイター
第4・四半期(11―1月)の既存店売上高および利益見通しは市場予想を下回った。価格に敏感な消費者がウォルマートなど競合店で低価格の必需品を購入したためとみられる。株価は序盤の取引で18%超下落した。
第4・四半期の既存店売上高は横ばい、1株当たり利益は1.85─2.45ドルと予想。アナリスト予想の平均は売上高が1.64%増、1株利益は2.66ドルとなっている。
この見通しは米小売大手ウォルマートの見通しとは対照的だ。ウォルマートは19日、今年3回目となる通期見通しの上方修正を発表している。
ターゲットは年末のホリデーシーズンを前に幅広く値下げを行ったが、これまでのところ集客に効果は見られていない。
インフレの高止まりで消費者が価格に敏感となる中、インテリアや電化製品、家具など利益率の高いカテゴリーが軟調なことが響いている。
第3・四半期(8─10月)の調整後利益は1株当たり1.85ドルだった。アナリストの平均予想2.30ドルを下回った。
来客数は2.4%増加したが、前四半期の3%増に比べ伸びが鈍化した。
店舗ベースの既存店売上高は1.9%減少。デジタル売上高の10.8%増加が補った。
既存店売上高は0.3%増となり、LSEGがまとめたアナリストの平均予想1.4%増を大きく下回った。
ターゲットはまた、第3・四半期の業績が振るわなかったことを受けて年間の1株利益予想を従来の9─9.70ドルから8.30─8.90ドルに引き下げた。
[NVDA] エヌビディア 3Q増収増益 売上高94%増350億ドル、営業益2.1倍218億ドル、EPS0.78ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TJX] TJX 3Q増収最終増益 売上高6%増140億ドル、純利益9%増12.9億ドル、EPS1.14ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TGT] ターゲット 3Q増収減益 売上高1%増252億ドル、営業益11%減11.6億ドル、EPS1.85ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
コムキャストがCATVチャンネル分離へ、MSNBCなど-関係者 - Bloomberg
メディア・ケーブルテレビ(CATV)大手の米コムキャストはニュース専門局「MSNBC」や「CNBC」「USA」などのCATVチャンネルをスピンオフ(分離・独立)する計画だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。視聴者や広告主を失いつつあるCATV事業へのエクスポージャーを減らす。
まだ発表されていないとして匿名を条件に話した関係者によると、コムキャスト傘下の放送ネットワーク「NBC」やストリーミングTV部門「ピーコック」は親会社に残る。人気リアリティー番組を持つケーブルチャンネル「Bravo」もコムキャスト傘下にとどまる見通しだ。
コムキャストによるCATVチャンネルのスピンオフを先に19日報じた米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、分離されるネットワークの年間売上高は約70億ドル(約1兆870億円)。NBCユニバーサルのメディアグループの現会長で、テレビとストリーミングを統括するマーク・ラザラス氏が新会社の最高経営責任者(CEO)に就く。
ブルームバーグ・ニュースがすでに報じた通り、コムキャストは他にも経営陣の見直しを計画しており、NBCの最高コンテンツ責任者ドナ・ラングレー氏がNBCユニバーサルのエンターテインメント・スタジオ部門の会長に就任する一方、同社の消費者向けストリーミング事業を率いるマット・ストラウス氏はラザラス氏が務めていたポジションに就く。
マイク・カバノー社長は10月31日のアナリスト会議で、「攻めの姿勢で臨む機会もあるとみている」とした上で、「われわれは素晴らしい資産やバランスシートを有していると考えている」と語っていた。
コムキャスト、CATV部門スピンオフへ - WSJ
米ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャストは20日にもNBCユニバーサル(NBCU)のCATV部門のスピンオフ(分離・独立)計画を発表する見通しだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
コムキャストは10月にスピンオフを検討中だと明らかにしていた。スピンオフに伴い、「MSNBC」「CNBC」「USA」「Oxygen」「E!」「Syfy」「ゴルフチャンネル」などのエンターテインメントおよびニュースチャンネルを分離するとみられる。これらの資産は9月30日までの12カ月間で約70億ドル(約1兆円)の売上高を計上していた。
「リアル・ハウスワイブス」シリーズなどのリアリティー番組で知られる「Bravo」は、動画配信サービスのピーコックやNBC放送ネットワークとともに、コムキャスト傘下にとどまる見通しだ。
スピンオフは手続き完了までに約1年かかるとみられる。
新会社の最高経営責任者(CEO)には、NBCUメディアグループ会長としてテレビ・ストリーミング部門を統括するマーク・ラザラス氏が就任する予定。NBCUのアナンド・キニ最高財務責任者(CFO)は新会社のCFOおよび最高執行責任者(COO)に就任する見込みだ。
グーグル解体はあり得るか、反トラスト法違反の重い代償-QuickTake - Bloomberg
米アルファベット傘下のグーグルは今年8月、同社を相手取り起こされた最大の反トラスト法(独占禁止法)訴訟で敗訴した。米連邦地裁は、90%近いシェアを握るオンライン検索サービスなどで違反を認定し、同社が事業分割を迫られる恐れも出てきた。
米司法省と訴訟に参加した複数州の司法長官は、判決を下したコロンビア特別区(首都ワシントン)連邦地裁のアミト・メータ判事に対し、 グーグルに事業の一部売却を命じるよう要請する方針だ。ブルームバーグ・ニュースが伝えた。実現すれば、1984年に巨大通信会社AT&Tが事実上解体されて以来で最大の強制的な米企業分割となる。
違法な独占解消を目指す是正案の審理は2025年4月に予定され、メータ判事が担当する。グーグルが自社の検索エンジンをスマホやウェブブラウザーに標準搭載するよう働き掛けるため、260億ドル(現在の為替レートで約4兆300億円)を支払い、競合他社の参入を実質的に阻害したと同判事は認定した。米テック企業との裁判で、米連邦当局の反トラスト法違反の主張が認められたのは、約20年ぶりのことだ。
どのような訴訟か
アップルとサムスン電子を含むテック企業やスマホメーカー、通信業者がグーグルから広告収入の一部を得る見返りとして、同社検索エンジンのモバイル機器やウェブブラウザーへの標準搭載を受け入れたと司法省などは主張。ディストリビューション契約の下で重要なアクセスポイントが独占され、ダックダックゴーやマイクロソフトの「Bing(ビング)」など競合する検索エンジンは、自社製品改善とグーグルへの対抗に必要な量のデータを収集できなくなったと原告側は訴えた。
メータ判事は、グーグルがオンライン検索サービスと、検索結果のページ上位に表示される検索テキスト広告で反トラスト法に違反したとの判断を示した。独占の結果、テキスト広告料を自由に値上げできるようになったと指摘した。
何が起きようとしているか
司法省はワシントンの連邦地裁に10月に提出した文書で、グーグルに事業の一部売却を求める是正案を検討していると明らかにした。インターネット閲覧ソフト「クローム」や基本ソフト(OS)「アンドロイド」、アプリストア「グーグルプレイ」の売却要求、競合他社とのデータ共有の拡大、訴訟の焦点となった排他的契約の禁止を含む選択肢の包括案が提示された。
司法省によれば、検索サービスでの支配的地位を利用し、人工知能(AI)製品で不当に優位に立つことを防ぐ措置も検討されている。
司法省と各州は、是正措置の他の幾つかの側面が市場の競争改善につながらない場合、グーグルにクロームの売却を命じるよう裁判所に求める方針を固めたとブルームバーグが伝えた。競合他社やAIスタートアップに役立つ検索結果およびデータの使用許可、掲載先に関するより多くの情報と裁量を広告主に与えることを義務化する案も示す予定だ。仮にクロームの売却が決まれば、事業価値は最大200億ドルに上る可能性がある。
グーグルは反論しているか
グーグルは連邦地裁の判決を不服として上訴する意向だ。同社の規制問題担当バイスプレジデント、リーアン・マルホランド氏は「このような方法で政府が有利になるよう事を運べば、消費者や開発者のほか、それが最も必要とされる時に米国の技術的リーダーシップに害を及ぼすことになるだろう」と主張した。
米国以外でも監視の目が注がれているか
欧州連合(EU)は今年3月、巨大IT企業にプラットフォーム上での自社サービス優遇を禁じた「デジタル市場法(DMA)」の適用を開始した。異なるサービスの個人データを連動させることや、サードパーティー業者から収集したデータをそれらの業者との競争に利用することも禁止する。
EUの行政執行機関である欧州委員会は、グーグルがアプリストアや検索エンジンに関し、DMAを順守しているかどうか調査を開始した。
米マイクロソフト、AI迅速化とセキュリティー強化で半導体設計 | ロイター
米マイクロソフトは19日、人工知能(AI)の運用迅速化とデータのセキュリティー強化に役立つデータセンター向け半導体2種類を新たに設計したと発表した。
マイクロソフトのエンジニアらは競合する米アマゾン・ドット・コムや米グーグルと同じように、ニーズに合わせてカスタマイズした半導体の設計は性能、価格の両面で利点があると訴えた。カスタマイズした半導体の設計により、マイクロソフトは米大手半導体メーカーのインテルやエヌビディアの製品へ依存する度合いを低減できる。
設計した半導体の1つはデータのセキュリティーを向上させる製品で、もう1つはデータ処理用ユニット(DPU)の製品だ。
マイクロソフトは来年以降、データセンター向けの全ての新サーバーに「アジュール・インテグレーテッド・HSM」と呼ばれる新たなセキュリティー用半導体を導入する。新たなセキュリティー用の半導体は、極めて重要なセキュリティーデータをセキュリティーモジュール内に保持することを目的としている。
DPUは、サーバーの複数の構成部分をクラウドストレージデータに特化した1つの半導体に集約できるのが利点。マイクロソフトは、現在のハードウェアと比べて3分の1の消費電力で4倍の性能を発揮できると説明している。
マイクロソフトは同時に、データセンターのサーバー向け冷却装置の新製品も発表した。この冷却装置は、AIの大規模システム向けに使うことができる。
フォルクスワーゲン労組が工場閉鎖に対案 2500億円の賃上げを一時保留 - 日本経済新聞
創業以来初めてドイツ国内の工場閉鎖を検討しているフォルクスワーゲン(VW)に対し、同社の労働組合は20日、リストラ回避の対案を示した。同国内の賃上げを一時保留して15億ユーロ(約2500億円)相当の支出を抑える代わりに、工場閉鎖や人員削減を行わないよう求めた。
対案では独国内で働く従業員12万5000人への賃上げ要求は取り下げなかったが、引き上げ分は基金として管理するよう提案し、業績が回復するまで支払いに猶予を持たせた。経営陣には工場閉鎖や人員削減でなく、労働時間の短縮などでコストを削減するよう求めた。
VW経営陣は欧州における電気自動車(EV)の販売不振を受け、2026年までに100億ユーロのコスト削減が必要と主張している。労使の隔たりは大きく、今回の対案で妥結する可能性は低い。
VW経営陣と同社の従業員らを代表する独最大の産業別労働組合IGメタルは21日、本社がある独北部ウォルフスブルクで3回目の労使交渉を行う。決裂すればストライキを行使しないと労使で合意した期限である11月末までに妥結できなくなり、労組は18年以来となる大規模ストに踏み切ることになる。
IGメタルの交渉責任者、トルステン・グレーガー氏は20日に開いたメディア向け説明会で「VWの問題は従業員が引き起こしたわけではないが、貢献する用意がある。早期妥結に向け、合理的な限界に挑戦している」と語った。
これまでにVW経営陣は独国内の少なくとも3工場の閉鎖と数万人規模の従業員の削減、月給の10%減などを柱としたリストラ策を公表していた。
米キャンベルスープが社名を変更 「スープ」なしに - 日本経済新聞
フォード、欧州で4000人削減 米国勢もEV不振が深刻 - 日本経済新聞
米フォード・モーターは20日、2027年末までにドイツとイギリスで4000人の人員削減を実施すると発表した。世界の従業員の約2%に相当する。ドイツの電気自動車(EV)補助金停止に伴う販売減や中国勢との価格競争が背景にある。欧州ではドイツなど現地勢だけでなく米国勢でも販売不振が深刻になっている。
米コムキャスト、売上高1兆円「ケーブルTV局」を分離へ - 日本経済新聞
米通信・メディア大手コムキャストは20日、ケーブルテレビ局事業をスピンオフ(分離・独立)する計画を明らかにした。米国では、動画配信サービスの普及を受け、消費者によるケーブルテレビ契約の打ち切りが加速している。年間1兆円以上を稼ぐドル箱事業だが、今後の成長は限定的な「非中核事業」と判断した。
コムキャストは、傘下の経済テレビ局「CNBC」や報道局「MSNBC」、スポーツ中継などを流す「USA」といった主要なケーブル局を切り離し、新会社を設立する。新会社の正式名称は未定。コムキャストによると、分離予定の事業の合計売上高は24年9月までの1年間で約70億ドル(約1兆850億円)に上る。
コムキャストはこうしたケーブル局事業以外にインターネット接続や地上波テレビ、テーマパークなどの事業を手掛ける。ケーブル局事業の大半を分離する一方で、高成長が見込める動画配信サービス「ピーコック」は手元に残す。人気リアリティー番組を持つケーブル局「ブラボー」は、ピーコックのコンテンツ拡充に役立つとみて分離対象から外した。
「変化するメディア環境において、攻勢をかけやすくなる」。コムキャストのマイク・カバノー社長は発表資料のなかで、スピンオフに動く理由をこう説明した。ケーブル局事業の価値が大きく毀損する前に分離し、他社との合併や提携などをしやすくする狙いがあるとみられる。 
米消費者の間では高額なケーブルテレビを解約して動画配信サービスに乗り換える「コードカッティング」が加速している。米調査会社モフェット・ネイサンソンによると、ケーブルテレビなど有料TV契約者の年間減少幅は24年に入って12%を超えた。20〜21年の間はおおむね8〜9%にとどまっていた。
視聴者の縮小は、大切な収入源である広告収入の減少にもつながる。ケーブル局事業を巡っては、24年8月に別のメディア企業であるワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)とパラマウント・グローバルが大型の評価損を計上した。2社合計で約150億ドルの事業価値が消失した。
コムキャストは、ケーブル局事業のスピンオフ作業には1年ほど時間がかかるとみる。傘下の事業はケーブル局、地上波といった枠組みをこえて、報道やスポーツの現場で協力体制を組んできた経緯があり、切り離し作業は簡単ではないとの見方もある。手続きの完了には、取締役会の最終承認や当局の許可などが必要になる。 
今月5日に投開票が行われた大統領選で、トランプ前大統領の返り咲きが決まった。M&A(合併・買収)に厳しい姿勢を示していたバイデン現政権が交代することで、メディア業界でも大型再編が認められるのではないかとの期待が高まっている。新しく誕生する新会社を巡っては、すでにメディア他社との合併やプライベートエクイティ(未公開株)ファンドへの身売り観測などが出ている。
●日本企業
ロンドン地下鉄「エリザベス線」、東京メトロや住商の合弁に運行委託 | ロイター
創業家のセブン&アイ買収案、メガ3行が年内にも融資証明で調整=関係者 | ロイター
カナダのコンビニエンスストア大手から買収提案を受けたセブン&アイ・ホールディングスを巡り、三井住友フィナンシャルグループをはじめとする日本の3メガ銀行が、創業家が検討する非公開化への融資を年内にも確約する方向で調整していることが分かった。複数の関係者が明らかにした。
セブン&アイの時価総額は東証の20日終値で約6兆7000億円。カナダのアリマンタシォン・クシュタールは7兆円程度の買収を提案をしており、創業家による非公開化は同規模以上の資金が必要になる。関係者のうち1人によると、三井住友FG、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ以外の金融機関も融資に加わる可能性がある。
3メガ各行、セブン&アイいずれもロイターの問い合わせにコメントを控えた。
セブン&アイはこの日、創業家側が今年度中の買収完了で調整しているとしたNHK報道について「現時点で何ら決定していない」とのコメントを発表。引き続き、事業の運営や株主価値顕在化に向けた短・中期的な施策の実施に集中するとした。
セブン&アイを巡っては、クシュタールが買収を提案したのに対し、イトーヨーカ堂の創業家である伊藤家が買収によって非上場化することを提案している
西武HD都内ビル売却でブラックストーン有力、4000億円-関係者 - Bloomberg
資生堂が社債100億円 2年ぶり、借入金返済に - 日本経済新聞
エフィッシモの日産株取得、割安評価や親子上場解消への圧力視野か - Bloomberg
【丸の内Insight】みずほが埋めるミッシングピース、反転攻勢なるか - Bloomberg
●先進国政治動向
トランプ次期大統領の量刑言い渡し、任期終了まで延期を検察が容認 有罪評決の裁判で - BBCニュース
長島首相補佐官が20─24日に訪米、トランプ氏に近い党関係者らと会談へ | ロイター
米アイデンティティー政治の動因、人種から階級に - WSJ
米国社会を分断する要因が、人種から階級に変わりつつある。
この変化がドナルド・トランプ氏の大統領再選を後押しした。人種やジェンダーではなく、どの経済的階級に属するかで自己認識する米国民が増えれば、今後も政治環境の変化が続く可能性がある。
「人種は問題ではない」。黒人で建設業の労働組合員であるイリノイ州シカゴ在住のアーロン・ウォーターズさんはこう話す。過去の選挙ではジョー・バイデン氏とバラク・オバマ氏に投票したが、今回はトランプ氏に投票した。「重要なのは、米国民全体で一人一人のために何ができるかだ」
トランプ氏は今回の選挙で、ほぼ全ての人口層で支持を伸ばした。中でも伸びが大きかったのが4年制大学の学位を持たない層で、全ての人種でこの傾向が見られた。この層におけるトランプ氏のリードは2020年には4ポイントだったが、今回は13ポイントだった。この層は有権者の半数以上を占める。大卒者もトランプ氏支持に傾いたが、リードははるかに小幅だった。
民主党支持が根強かった黒人と中南米系の一部が離反した。より顕著だったのが中南米系だ。トランプ氏は教育水準を問わず非白人有権者からの支持が伸びたが、非大卒の伸びは大卒より大きかった。
全体の投票傾向は、今も人種による分断が明白だ。黒人有権者はハリス氏支持が圧倒的に多く、中南米系もハリス氏支持がわずかに上回った。ブルッキングス研究所の人口統計学者ウィリアム・フレイ氏は、投票傾向が変化したことについて、急激なインフレに伴う「一時的現象」である可能性があるとし、「共和党の人種多様化を予測するのは時期尚早だ」と述べた。
投票傾向の変化は今回の選挙前から始まっていたようだ。22年の連邦議会下院選では、黒人が多数を占めるミシガン州デトロイトの選挙区で非黒人候補が選出された。この結果デトロイトは、約70年ぶりに黒人の連邦議会議員がいなくなった。多くの有権者が経済不安を主な投票理由に挙げた。
「これは21世紀前半の衝撃だ」。サウスカロライナ大学のトッド・ショー准教授(政治学・アフリカ系米国人研究)はこう指摘した。多くのマイノリティー(少数派)にとって、経済不安は他の政治的懸念より重くのしかかっており、世界的な新型コロナウイルス禍が多くの労働者階級の有権者に打撃を与えた後では特にそうだという。
米国の従来の人種分類(白人、黒人、ヒスパニック)は、より流動的で複雑なアイデンティティーに急速に細分化しつつある。線引きが曖昧になるにつれ、教育水準や階級など人種以外の要因が生活の質を大きく左右し、投票先を決める要因になりつつある。
国勢調査とセントルイス地区連銀によると、30年前の米国では大卒者が人口の約20%を占め、家計資産総額に占める割合は非大卒者と同じだった。現在は大卒が人口の38%、家計資産総額の73%を占める。
非大卒者の投票傾向が、これまで見られなかった分断を浮き彫りにした。アトランタ郊外の白人女性の間でも、シカゴの黒人建設作業員や中南米系の小売店員の間でも、分断が起きていた。こうした一見共通点がなさそうな有権者が、今回の選挙で一斉にトランプ氏支持に回った。
これは二大政党の数十年来の方向性が変化している表れだ。共和党が労働者階級の庇護(ひご)者へのイメージチェンジにいかに成功したかを示す一方、民主党指導部への警鐘となった。民主党の重鎮であるラーム・エマニュエル駐日米国大使とメーン州知事ジャネット・ミルズ氏は先週、今こそアイデンティティー政治を脱するべきだと語った。
シカゴ在住のアルフレド・ラミレスさんは、オバマ氏に2回、16年にはヒラリー・クリントン氏に投票した。だが直近2回の選挙ではトランプ氏を支持した。
ラミレスさんは、今回投票先を決めた主な理由は人種ではなく経済不安だったと述べた。年収2万5000ドル(約386万円)で米小売りチェーン大手ターゲットで働き、妻と3人の子どもがいる。コロナ前は経済状況がもっとよく、卵でも何でも今より安かったという。
トランプ氏は「米国民のためにより多くのことをしてきた。それに比べて民主党は、自分たちのことしか考えていない」とラミレスさんは話す。自身が中南米系であることは投票に影響しなかったという。「そんなことは関係ない。(中略)われわれはここで自由のために闘っている」
コルビー大学のニコラス・F・ジェイコブス教授によると、米国の政治的分布は過去に大きな変化を経験している。1980年代には、有権者が住んでいるのが国のどの地域か(北東部か南西部か、など)よりも、都市部か農村部かの方が大きな意味を持つようになったという。
ジェイコブス氏は、同様の再編が階級に沿って起きていることが今回の選挙で裏付けられたと考えている。共和党がこの流れにうまく対処していたのに対し、民主党は時に統計の細かい数字を盾に、インフレはそれほど人々を傷つけていない、移民を巡る有権者の懸念には根拠がない、などと訴えていたという。
「階級政治で最も重要なのは、自分が認められていて社会的価値があり、自分の1票を欲しがっている人がこちらの尊厳と価値を認めている、という実感を得られるかどうかだ」とジェイコブス氏は言う。
バイデン氏は、インフラと製造業に投資することで、労働者の間で民主党支持が広がることを期待した。法制化を後押しして道路や橋、工場、電気自動車(EV)充電器などの建設に数百億ドルを拠出した。
シカゴの鉄道改修プロジェクトもその一つだ。だが現場の一部作業員はトランプ氏に投票したと語った。
黒人の労働組合員ニコール・ウィルツさん(52)は、いつもは民主党に投票する。だが、長年シカゴに住んでいる多くの人がホームレスのままであるにもかかわらず、政府が移民問題に多くの資源をつぎ込むのを見て失望したと話す。
ハリス氏に投票するよう労組や友人、家族から圧力を感じることはなかったという。ウィルツさんも、黒人女性だからという理由でハリス氏に投票すべきだとは思わなかった。
「大事なのはそこではなく、今目の前だ」とウィルツさんは話す。民主党に投票するという黒人コミュニティーの伝統は尊重するが、「約束したことを実行しない」政治家にはうんざりしているという。
米国各地のヒスパニックおよび黒人の有権者からも同様の意見が聞かれた。人種に基づく民主党への忠誠という考えは時代遅れで、経済への不安が共和党とトランプ氏への変心につながったと口をそろえる。
フロリダ州ドーラル在住のベネズエラ系米国人ユビセイ・カメロさん(49)は、自身にとって初の米大統領選だった20年も今回もトランプ氏に投票したと語った。理由はインフレと不法移民への懸念で、不法移民は米国に犯罪を持ち込んでいるとカメロさんは話す。
「この4年間で人々はますます希望を失った」とカメロさん。「働けば前に進めた経済ではなくなった」
●先進国中銀、金融当局
貿易巡る緊張、ユーロ圏の金融安定リスクを高める恐れ-ECB - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)は、貿易を巡る緊張の高まりがユーロ圏経済にさらなるリスクをもたらし、域内の金融システムにおける脆弱(ぜいじゃく)性を増幅させる恐れがあると警告した。
ECBは20日、半期に一度の金融安定報告を公表。マクロ経済リスクは、インフレ高止まり懸念から予想を下回る成長に対する懸念へと変化していると指摘した。地政学的な不確実さから、ユーロ圏の見通しは一段と不透明になっている。
ECBはまた、世界的に高まる貿易の緊張は「テールイベントの可能性を高めている」として、「マクロ金融および地政学上の不確実性が高まる状況では、資産の過大評価や金融システムに集中するリスクエクスポージャーによって、リスクセンチメントが急激に反転する可能性がある」と分析した。
欧州の政策当局者は、ドナルド・トランプ氏の米大統領復帰が経済に悪影響を及ぼす恐れがあると繰り返し述べてきた。このことは、広く想定されている12月の追加利下げ後の緩和ペースや規模を決定する上で判断材料になるとみられる。  
「貿易を巡る緊張が世界的に高まっているほか、保護主義的な傾向が今後世界で強まる恐れもあり、世界経済成長やインフレ、資産価格に悪影響が及ぶ可能性があるとの懸念が強まっている」と、ECBは同報告で述べた。
ECBはまた、欧州の景気回復ペースは数カ月前に予想されていたよりも鈍くなる公算が大きいとも指摘した。
バーFRB副議長、「決められた任期を勤め上げるつもりだ」 - Bloomberg
英中銀副総裁、不透明性後退なら「それほど段階的でない」利下げも検討 - Bloomberg
イングランド銀行(英中央銀行)のラムズデン副総裁は20日、今月の金融政策委員会(MPC)の政策決定では4.75%への利下げを支持したと明らかにした。
リーズ大学ビジネススクールで講演したラムズデン氏は、「経済の正常化は続くというのが自分の全体的な評価だ。低く、比較的安定したインフレに向かう最近の傾向は続いている」と述べた。
「MPCが公表した、今後2年間で成長が上向き、インフレが2%目標を若干上回るとの予測は妥当だと思う」としつつ、「しかし不確実性を考慮すると、最近のデフレ傾向が持続する可能性も同じぐらいあると思う」と主張。「これは予測対象期間の前半を通じて2%に近い水準で推移し、後半にはMPCが公表した予測よりも低い、2%を著しく下回る水準に低下するシナリオを示唆する」と続けた。
また、「経済見通しとそれが金融政策に与える影響を分析する上で、自分は慎重かつ感応度の高いアプローチを続けていく。不透明性が後退し、インフレ率が2%を割り込んで持続的に低下する一段のデフレ圧力をより明確に示唆する証拠が出てくれば、利下げについてそれほど段階的ではないアプローチを検討するだろう」と論じた。
トランプ氏は利下げ認めるFRB議長選ぶ可能性-ブリッジウォーター - Bloomberg
●先進国経済指標
英CPI、10月は予想上回る前年比+2.3% 利下げペース慎重に | ロイター
英国立統計局(ONS)が20日発表した10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.3%と、予想以上に加速し、イングランド銀行(英中央銀行)の目標である2%を再び上回った。
国内のエネルギー料金の値上げが主因。中銀が慎重なペースで利下げを進めている理由が浮き彫りになった。
9月は1.7%で、2021年以来初めて目標の2%を下回っていた。
ロイターがまとめた市場予想と中銀の最新予測はともに2.2%だった。
前年比ベースのCPI上昇率が前月からこれほど大幅に加速したのは22年10月以降で初めて。CPI上昇率は6カ月ぶりの高水準となった。
10月のサービス価格上昇率は5.0%。9月は4.9%。中銀の予測は5.0%だった。
エネルギー、食品、アルコール、タバコを除くコアCPI上昇率は前年比3.3%で、9月の3.2%から加速した。
ポンドは統計発表直後に対ドルで約0.3セント上昇。金利先物市場は利下げペースが若干鈍化するとの見方を織り込んだ。
会計士団体ICAEWの経済ディレクター、スレン・ティル氏は「英ガス電力市場監督局(Ofgem)がエネルギー料金の上限を引き上げ、家庭向けの料金が大幅に値上がりした」と指摘。
「サービス価格の圧力がやや強まり、インフレ率を持続的に目標未満に維持するハードルが依然高いことが裏付けられたが、賃金上昇率の鈍化と労働市場の軟化がインフレの持続的な鈍化基調に寄与するだろう」と述べた。
シンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)のアソシエートエコノミスト、モニカ・ジョージ・ミハイル氏は金利が高止まりする可能性があると指摘。先に発表された予算案に起因するインフレ圧力、トランプ次期米大統領の就任など世界経済の不透明感を挙げた。
中銀のベイリー総裁は19日公表された議会への報告書で、利下げペースは緩やかなものにとどまる可能性が高いと強調。予算案に盛り込まれた国民保険料の雇用主負担の引き上げについて「雇用コストの上昇を意味する」とし、物価の上昇や雇用の減少などにつながる可能性があると述べた。
ユーロ圏妥結賃金、第3四半期に伸び加速 利下げに慎重論 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)が20日発表したデータによると、第3・四半期のユーロ圏の妥結賃金の伸びは5.42%と、第2・四半期の3.54%から加速した。労働市場は一部に冷え込みの兆しが見られるものの、依然タイトであるため、ECBは早急な利下げには慎重になるとの見方が強まっている。
今回のデータで12月の追加利下げ観測が後退することはないだろう。だが、タカ派の当局者は、ECBが来年春まで連続して追加利下げを行い、現行3.25%の預金金利が2%かそれ以下に引き下げられるとの市場観測を落ち着かせるために、今回のデータを使う可能性は高い。
また、このデータにはまだ反映されていない直近の妥結賃金の伸びは控えめで、さらなる冷え込みを示唆しているとの見方もある。
ドイツ最大の産業別労働組合、IGメタルは先週、約400万人の労働者を対象に25カ月間で5.5%の賃上げに合意した。
JPモルガンのエコノミスト、グレッグ・フゼシ氏は「来年のユーロ圏の賃金上昇は顕著に鈍化するとの予想に変わりはない。総合インフレ率がかなり低下しているため、実質賃金が十分に回復すれば、名目賃金の伸びもより低くなる」と指摘した。
●金融市場、先進国トピックス
米選挙後のドル高トレンド、「荒波」に突入-ドル売りシグナルが点灯 - Bloomberg
米大統領選でのトランプ氏勝利を受けたドル高が頭打ちになる可能性が幾つかの主要なマーケット指標で示唆され始めている。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は19日までに3営業日続落となった。先週には2年ぶりの高値を付けたが、短期的には上値が限定的であることがモメンタム指標で示されている。
トレーダーによると、投資資金のフローはこれまでよりは一方的でなくなり、ドルの方向性に関する見方はより慎重になり始めているという。
野村インターナショナルのG10通貨スポット取引責任者、アントニー・フォスター氏は「米大統領選後のドル高トレンドは確かに荒波に突入しつつある」と述べた。
世界の基軸通貨であるドルは9月終盤から上昇している。トランプ次期大統領による関税引き上げ方針のほか、同氏の政策がインフレ率を押し上げ、米金融当局による利下げに歯止めがかかるとの見方が背景。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は年初来で5.3%上昇している。
テクニカル面では、モメンタム指標であるドルのスローストキャスティクスが買われ過ぎを示す領域に達している。JPモルガン・チェースのシンガポール拠点で営業・マーケティング責任者を務めるニラジ・アサブレ氏によると、同行の新興国市場におけるFXリスク・アペタイト指数が15日終値でドル売りシグナルを出したという。
他の主要通貨のファンダメンタルズに関する投資家の見方も一因になっている。ユーロは3カ月間にわたる下落局面後にサポートラインの1.05ドルで切り返した。ユーロのさらなるサポートラインは2023年の安値1.0448ドルだ。
野村のフォスター氏は「ユーロに対するセンチメントは今、非常にまちまちで、一部ではパリティ(等価)到達やパリティ割れが指摘されている一方、押し目買いの好機と見る向きもある」と指摘。「ユーロのショートポジションの利益を確定する口座がかなりあるが、全てではない」と語った。
日本銀行の植田和男総裁が18日、12月会合での利上げを明確に示唆しなかったにもかかわらず、ドル・円は上値を試せずにいる。フォスター氏は、ほとんどのケースで「円のフローは双方向だった」と述べた。
ブルームバーグ「マーケッツ・ライブ」のストラテジスト、ガーフィールド・レイノルズ氏は「選挙後のドル高は相対的な利回り動向から判断すると行き過ぎであり、短期的には直近の高値を取り戻すのは難しいだろう」とコメントしている。
米選挙後にドルがユーロやオフショア人民元、円などの通貨に対して上昇するとの見方を当初強めていたレバレッジファンドでさえ、ドル高継続への賭けを減らしているようだ。
JPモルガンのアサブレ氏は「過去1週間では世界的にドルに対する全体的なネットの売りが見られた」とし、「資産運用会社はユーロやポンドに対して若干のドル買いを行ったが、マクロヘッジファンドによる対ユーロでのドル売りで相殺された」と話した。
もちろんウォール街でドル高を見込む声は依然として多い。ヘッジファンドや資産運用会社、その他の投機筋は一段高を見越したポジションを構築しており、米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した12日までの1週間の最新データによると、ドル強気ポジションは約177億ドル(約2兆7500億円)となっている。
ゴールドマン・サックスのストラテジストは今月、ドルが「より長期にわたり」堅調さを維持すると予想する理由を挙げ、長らく保持してきたドル安見通しを放棄。モルガン・スタンレーは25年にはドルがよりレンジ内での値動きで推移するものの、年内は上昇を続けると予想した。
マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏は「新政権の国内政策は経済をかなり活発に保つ可能性が高く、通商政策もドルに幾分の上昇圧力をかけ続けるだろう」と指摘。「これらの政策が実施されなかったり、効果がなかったりすれば、多少の下落余地はあるが、ドルを巡るリスクはなお上方に傾いている」との見方を示した。
首都圏マンション、10月平均価格は9239万円 前年比で40%上昇 | ロイター
英就業者数、100万人過少評価の可能性 シンクタンクが指摘 | ロイター
英シンクタンクのレゾリューション財団は20日、英国の公式労働統計が就業者数を約100万人過少評価している可能性があり、イングランド銀行(英中央銀行)が金利をどの程度のペースで引き下げるべきかの判断を難しくしていると指摘した。
レゾリューション財団のチーフエコノミストであるアダム・コーレット氏は「公式統計はパンデミック以降の英国の労働市場で何が起きたかを誤って伝えており、労働市場について過度に悲観的な見方を描くことで政策立案者を困惑させている」と語った。
英統計局は、コロナ禍以降、調査の回答を得るのに苦慮している。中銀のベイリー総裁は公式データの状況を嘆き、先週「重大な問題」だと指摘した。
レゾリューション財団は、統計局が2019年以降の就労者数の増加を93万人過小評価している可能性があると指摘した。税務署のデータなど独自データを使用して出した推計値に基づくと、雇用率は23年にコロナ禍前の水準まで上昇し、その後24年には19年と同等になると予測している。]
スターマー首相は雇用率を80%まで引き上げることを目指しているが、レゾリューション財団は信頼できる統計の欠如が政策決定を難しくしていると指摘する。
ECB warns low growth and high debt risk Eurozone crisis
(Google翻訳で日本語に直しています)
欧州中央銀行は、ユーロ圏が成長を加速させ、公的債務を減らし、「政策の不確実性」を是正できない場合、新たな債務危機に陥る恐れがあると警告した。
ECBは水曜日に発表した年次金融安定性レビューで、「国家債務の持続可能性に対する市場の懸念」が再び高まる可能性があると警鐘を鳴らした。
同報告書は、「債務水準の上昇と財政赤字の拡大」に加え、最近の「欧州および各国、特にフランスでの選挙結果」による低調な成長と不確実性を指摘した。また、欧州中央銀行(ECB)のルイス・デギンドス副総裁は、一部のEU加盟国政府が「歴史的にEUの財政規則を順守してこなかった」ことも指摘した。
ユーロ圏危機の中心であったイタリアやスペインなどの国の借入コストは、10年以上前の市場混乱時に記録したピークをはるかに下回っている。しかし、フランスなどの国の債務に対する投資家の懸念は最近高まっている。
デギンドス総裁は電話会議で記者団に対し、市場は「財政リスクにもっと注意を払い始めている」と語った。同総裁は「対GDP債務比率が100%を超える国の資金調達コストは、最近の金融市場のボラティリティの高まりの中で著しく拡大した」と指摘した。
中国の10年国債とドイツの10年国債の利回り格差(債務に対する投資家の懸念の度合いを示す)は今月0.78パーセントポイントに達し、今夏の議会選挙を控えた時期に記録した12年ぶりの高水準に近づいた。
ECBは「生産性の低迷などの要因による経済成長への逆風により、債務水準の上昇と財政赤字が債務持続可能性への懸念を再燃させる可能性が高まっている」と警告した。
10年以上前に始まったユーロ圏危機の際、ギリシャは財政安定性への懸念から共通通貨に対する市場の動揺が高まり、債務不履行を辛うじて回避した。この動揺は、当時の欧州中央銀行(ECB)総裁マリオ・ドラギ氏がユーロ圏の崩壊を防ぐために「あらゆる手段を講じる」と約束してようやく沈静化した。
金融安定性レビューは、地域へのリスクに焦点を当てているが、財政リスクに関する警告は以前の版よりも率直になっている。ECBは、公的債務の持続可能性に対する疑念が再び高まる可能性があると言及したが、2023年には「国家債務の持続可能性に対するリスクは、短期的には管理可能であるようだ」と指摘した。
デギンドス氏は、次期米大統領ドナルド・トランプ氏の不透明な財政計画や米国政府の巨額の財政赤字を指摘し、「他の管轄区域からの感染」の可能性を含め、「われわれの前には潜在的な脅威があるということを非常に明確に」ECBは表明すべきだと述べた。
ECBは、マクロ経済ショックにより政府の資金調達コストが上昇する可能性があると述べ、ファンダメンタルズの「弱さ」と、満期を迎える国債がより高い金利で「繰り越される」ことを強調した。EUの推計によると、フランスの利払いは2034年までに2倍以上になってGDPの4%を超え、イタリアは3分の1増加してGDPの6%弱になるとのことだ。
中央銀行は、欧州20カ国圏の低成長と政府債務高により、各国政府にとって防衛費の増加や気候変動対策への投資を賄うことが困難になる可能性があると指摘した。
欧州委員会は先週、ユーロ圏の2025年の成長率予測を1.3%に引き下げ、同地域が米国にさらに遅れをとることになると警告した。
ECBはまた、「高い評価とリスクの集中」が株式市場と債券市場の「急激な調整」を脅かしていると指摘した。
さらに、「最近の市場調整により、株式市場の過大評価や人工知能関連の資産価格バブルの可能性に対する懸念は払拭されていない」と付け加えた。
ECBは、ユーロ圏の消費者や企業がすでに金利上昇に苦しんでいるため、経済低迷の可能性があれば、銀行や投資ファンドのバランスシートも打撃を受ける可能性があると述べ、商業用不動産の損失拡大リスクが高まっていると指摘した。
アングル:米年末商戦、小売各社の見通しまちまち インフレ高止まりで消費者慎重 | ロイター
今年の年末商戦に向け、米小売各社の見通しは強弱まちまちとなっている。米連邦準備理事会(FRB)の利下げにもかかわらず、消費者の動向は慎重で、生活必需品以外への支出は依然低調なことが背景だ。
年末商戦が本格化するブラックフライデー(米感謝祭翌日の金曜日)からクリスマスまでの日数は今年は26日と、例年の31日に比べ少なく、今年の売上高が過去6年で最も低い伸びになるとも予想されている。
小売最大手ウォルマートは今週、11─1月期の売上高と利益見通しを上方修正した。値下げが奏功し、年末商戦に向けオンラインや店舗での販売シェアが高まっていることを反映した。
一方、競合のターゲットは、11─1月期の既存店売上高および利益見通しが予想を下回った。年末のホリデーシーズンを前に幅広く値下げを行ったが、これまでのところ集客に効果は見られず、とりわけインテリアや電化製品など、利益率の高いカテゴリーが軟調という。
全米小売業協会(NRF)によると、11月から12月にかけての年末商戦の売上高は前年比で最大3.5%増と、6年ぶりの低水準になる見通し。
若者を中心にスマートフォンなどによるモバイルショッピングへのシフトも続く見通しだ。アドビ・アナリティクスによると、オンライン売上高は8.4%増と、昨年の4.9%増から伸びが大幅に加速する見通し。同時に、モバイル支出の伸びは12%と「圧倒的な」伸びを達成すると予想されている。
さらに11─12月のモバイルショッピングはオンライン売上高の53%を占め、約1281億ドルに達すると見込まれている。
Mサイエンスのアナリスト、ジョン・トムリンソン氏は「今年のホリデーシーズンにわれわれが注目する大きな変化は、新規顧客獲得のためにどれだけの競争が繰り広げられるかだ」と指摘。「そのため、新規顧客を迅速に獲得するために的を絞った販促が増加するだろう」と述べた。
●中東情勢
●エマージング
アングル:無差別殺傷事件が頻発、景気減速中国で広がるメンタルヘルス問題 | ロイター
ウクライナ、英国製ミサイルでロシアを初攻撃-長距離兵器の使用拡大 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
アルケゴス創業者のビル・フアン被告に禁錮18年の量刑-連邦地裁 - Bloomberg
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(20日)ドル上昇、利回り上昇 株まちまち | ロイター
1. **為替市場**  
   - ドルが主要通貨に対して上昇。ドル指数は0.52%高の106.65、ドル/円は0.43%高の155.31円。
   - ドル高の背景には、トランプ次期大統領のインフレ促進政策観測と、FRBが利下げペースを緩めるとの見方が影響。
   - FRBの12月会合での利下げ確率が下落(1週間前の82.5%から52%に低下)。
2. **FRB政策とコメント**  
   - パウエル議長:利下げを急ぐ必要はないとの姿勢。
   - クック理事:インフレ緩和を指摘し、利下げ継続の可能性を示唆。
   - ボウマン理事:労働市場の堅調さを指摘し、慎重な利下げを求める。
3. **暗号資産**  
   - ビットコインが1.81%上昇し、過去最高値を更新(9万4000ドル台)。トランプ氏関連の仮想通貨取引プラットフォーム買収交渉報道が背景。
4. **債券市場**  
   - 米国債利回りが上昇。20年債入札の需要低下が影響。
   - トレーダーらはFRBの利下げ停止時期や今後の経済指標を注視。
5. **株式市場**  
   - ナスダック下落、地政学リスクや企業決算が重しに。ダウは上昇、S&P500は横ばい。
   - 暗号資産関連株はビットコイン高により上昇。
6. **商品市場**  
   - 金先物:ウクライナ情勢で安全資産として買われ続伸。
   - 原油:在庫増加を受けて反落。地政学リスクで一時上昇する場面も。

欧州市場サマリー(20日) | ロイター
**ロンドン株式市場**  
- **下落**して取引終了。FTSE100種指数は続落。  
- 英国消費者物価指数(CPI)の予想以上の上昇で、イングランド銀行の金利引き下げ観測が後退。  
- 国内志向のFTSE250種指数は0.90%安で、3カ月半ぶりの安値。  
- 一方、FTSE350種テクノロジー株指数は6.15%高で過去最高値。セージ・グループが決算好調で17.9%急伸。
**欧州株式市場**  
- 4営業日続落。不動産株が下落。  
- ウクライナ・ロシア間の緊張が影響。長距離ミサイルの使用や停戦条件のニュースが注目された。  
- 投資家心理を示すユーロSTOXX50ボラティリティ指数は上昇。
**ユーロ圏債券市場**  
- 利回りは神経質に変動。ドイツ10年債は1bp上昇し2.35%。  
- ウクライナのミサイル発射ニュースを受け、利回りは一時低下。  
- ユーロ圏妥結賃金が前期比加速し、ECBの利下げ慎重姿勢が強まった。  
- 市場では12月のECB理事会で25bpの利下げを織り込んでいるが、大幅利下げの可能性も少し示唆されている。

備忘録(2024/11/19
●海外企業決算
米ウォルマート、通期見通し再上方修正 年末商戦での底上げ見込む | ロイター
2025年1月期決算の売上高と利益の予想をいずれも引き上げた。通期見通しの上方修正は今年3回目。年末商戦の本格化を前に、オンラインや店舗での販売シェアを高めていることを踏まえた。
連結売上高は4.8─5.1%増と予想し、従来の3.75─4.75%から引き上げた。調整後1株当たり利益も2.42─2.47ドルとし、これまでの2.35─2.43ドルから上方修正した。
年間所得が10万ドルを超える高所得世帯の伸びが目立っているほか、他の所得層でも全般的にシェアが高まっている。
ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「米国での店舗で販売量が増加している。店舗受け取りの増加ペースがより速く、配達はさらに増加ペースが速い」と述べた。
ウォルマートは、アマゾン・ドット・コムやターゲットなどの小売業者同様、玩具や家庭用品などの商品を値引きするなどして、例年より早く年末商戦を開始している。
第3・四半期決算(8─10月)の米国の既存店売上高は前年同期比5.3%増となり、LSEGがまとめた市場予想3.61%を上回った。
インフレの影響で2年以上も減少が続いていた一般商品を含む全カテゴリーで販売が伸びた。オンラインの総売上高は27%増と、第2・四半期の21%増を上回った。
調整後1株当たり利益は0.58ドル。市場予想は0.53ドルだった。
ウォルマートの株価は午前の取引で約3.9%上昇した。
[WMT] ウォルマート 3Q増収増益 売上高5%増1695億ドル、営業益8%増67.0億ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MDT] メドトロニック 2Q増収増益 売上高5%増84.0億ドル、営業益19%増15.9億ドル、EPS0.99ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KEYS] キーサイトテクノロジーズ 2024年10月通期は減収減益 売上高9%減49.7億ドル、営業益39%減8.33億ドル、EPS3.51ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LOW] ロウズカンパニーズ 3Q減収減益 売上高2%減201億ドル、営業益6%減25.3億ドル、EPS2.99ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米グーグルに「クローム」売却要求へ、独占解消に向け司法省-関係者 - Bloomberg
米司法省は、米アルファベット傘下グーグルにインターネット閲覧ソフト「クローム」の売却を命じるよう裁判所に求める方針を固めた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。実現すれば、世界有数のテック企業に反トラスト法に基づく事業売却を求める歴史的ケースとなる。
関係者によれば、司法省の反トラスト法執行担当者は、コロンビア特別区(首都ワシントン)連邦地裁のアミト・メータ判事に対し、人工知能(AI)とスマートフォンの基本ソフト(OS)「アンドロイド」に関する措置をグーグルに求めるよう要請する方針だ。
メータ判事は今年8月にグーグルがオンライン検索サービスと検索テキスト広告市場で反トラスト法に違反したとの判断を示した。グーグル側は判決を不服として争う構え。
非公開情報を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、反トラスト法執行担当者と訴訟に参加した複数の州当局は20日、独占の弊害解消に向け、データライセンシング(使用許可)要件をグーグルに課す是正案もメータ判事に示す予定だ。
訴訟はトランプ政権下で提起され、バイデン政権でも継続された。判事が是正案を受け入れれば、オンライン検索市場と急成長するAI業界を一変させかねない。マイクロソフト解体に20年前に失敗した後、違法な独占が認定されたテック企業を制限する最も大掛かりな動きとなる。
世界で最も人気の高いウェブブラウザーのクロームは、多くの人々が検索エンジンを利用する際に経由する主要アクセスポイントであり、グーグルの広告事業にとって重要だ。ウェブトラフィックの解析を行うスタットカウンターによると、米市場で約61%のシェアを握る。
ログインユーザーのアクティビティーを把握し、そのデータをプロモーション対象のより効果的な絞り込みに活用するモデルが同社の収入の大部分を占める。クロームは対話型AI「ジェミニ」にユーザーを誘導する手段でもあり、ジェミニはウェブ上でユーザーをフォローするアシスタントに進化すると期待される。
関係者によれば、反トラスト法執行担当者は、グーグルにアンドロイドの売却を求めるより厳しい選択肢を取り下げた。是正措置の他の幾つかの側面がより競争的な市場につながる場合には、クロームの売却が必要かどうか米当局が後日判断することもあり得る。
司法省と各州は、クロームで得られた検索結果とデータの使用許可、グーグルのAI製品によるウェブコンテンツ使用を防ぐ追加の選択肢提供を義務化する是正案で合意に達したという。
グーグルの規制問題担当バイスプレジデント、リーアン・マルホランド氏は「このような方法で政府が有利になるよう事を運ぶことは、消費者と開発者、米国の技術的リーダーシップに対し、それがまさに最も必要とされる時に害を及ぼすことになるだろう」と反論した。
司法省はコメントを控えた。18日の米株市場の通常取引終了後の時間外取引で、アルファベットの株価は一時1.8%下げた。年初来ではこの日の取引終了時までに25%上昇していた。
アルファベット、米司法省が「クローム」売却を裁判所に求める方針 株価への影響限定的
=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
米司法省は、アルファベット<GOOG>傘下のグーグルにインターネット閲覧ソフト「クローム」の売却を命じるよう裁判所に求める方針を固めたと伝わった。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。実現すれば、世界有数の巨大IT企業に反トラスト法に基づく事業売却を求める歴史的ケースとなる。米司法省は、コロンビア特別区(首都ワシントン)連邦地裁のメータ判事に対し、AIとスマートフォンのOS「アンドロイド」に関する措置をグーグルに求めるよう要請する方針。
メータ判事は今年8月にグーグルがオンライン検索サービスと検索テキスト広告市場で反トラスト法に違反したとの判断を示した。グーグル側は判決を不服として争う構え。
米司法省の反トラスト法執行担当者と訴訟に参加した複数の州当局は20日にも、独占の弊害解消に向け、データライセンシング(使用許可)要件をグーグルに課す是正案もメータ判事に示す予定だとも伝えている。
クロームは多くのユーザーが利用しており、米市場で約61%のシェアを握る。
ただ、株価への影響はいまのところ限定的。
ネスレ、27年までにコスト削減4千億円超 事業見直しも - 日本経済新聞
ブラックストーン、米外食チェーン大手買収 1兆円超で - 日本経済新聞
米投資ファンド最大手ブラックストーンは19日、非上場会社のサンドイッチチェーン大手ジャージー・マイクスを買収することで合意した。買収額は未公表だが、米メディアによると負債も含めて80億ドル(1兆2300億円)に上るとみられる。米外食チェーン業界は淘汰再編が進んでおり、資金の豊富なプライベートエクイティ(未公開株=PE)ファンドが買収する例が相次いでいる。
●日本企業
第一生命、中途採用3倍で新卒超え 資産運用の人材確保 - 日本経済新聞
ソニーG、カドカワ買収で協議-関係者 - Bloomberg
農中、今期純損失が従来予想上回る公算-外債売却で2兆円に拡大も - Bloomberg
農林中央金庫の奥和登理事長は今期(2025年3月期)純損失が従来予想の1兆5000億円程度を上回り、最大2兆円規模に拡大する可能性があるとの見通しを示した。収益性の低い外国債券の売却を加速し、将来の収益拡大を目指すためとしている。
19日に発表した24年4ー9月期の連結純損益は8939億円の赤字(前年同期は1444億円の黒字)だった。外債売却などの結果、9月末のその他有価証券評価損(単体)は7973億円と6月末の1兆8555億円の半分以下となった。債券評価損は約1兆5000億円と6月末の約2兆3000億円から8000億円減少した。
農林中金は5月、世界的な金利高により外貨調達コストが増加した外債の売却に伴う損失計上で、今期の純損益が赤字に転落すると発表。6月には純損失が5月時点の見込みから3倍の約1兆5000億円程度に膨らむとの見方を示していたが、さらに拡大する見通しとなった。
奥理事長は決算会見で、来期(26年3月期)の「黒字化が見渡せるまで収支改善できた」と説明。その上で、27年3月期以降の収益拡大に向け「金利上昇などにも備えていきたい」とし、今期の純損失見通しの「1兆5000億円は上回ってでも財務改善をしたい」と述べた。
同氏はその結果として、利益剰余金の範囲内で損失が膨らむ可能性もあるとした。同金庫の9月末の「利益剰余金等」は約1兆2600億円。上期の損失を加えると通期で最大2兆円近い損失計上が可能となる計算になる。
運用資産ポートフォリオの改善を進めたことから、9月末時点の市場運用資産残高は46兆9000億円と6月末時点の54兆1000億円から7兆2000億円と大幅に減少した。 
9月末の運用資産残高の内訳は、債券が57%でこのうち40%が外債だった。クレジット他は39%で大半が海外資産だ。株式は3%だった。保有するローン担保証券(CLO)の残高は6兆5000億円と6月末の7兆3000億円から減少した。   
米トランプ次期政権の政策については、「政策インパクトを巡る不透明感がリスク」であるとし、「インフレ促進的な要素は強く見える」と指摘。「FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げがサイクルの途中で止まる可能性もある」と分析し、米金利反転にも備え、財務健全化を急ぐ姿勢を示した。
農林中金、通期純損失1.5兆ー2兆円規模 資産改善「もう一段」 | ロイター
農林中央金庫は19日、2024年4―9月期の連結純損益が8939億円の赤字(前年同期は1443億円の黒字)になったと発表した。ポートフォリオ改善に取り組んでおり、低利回り資産の売却損を計上した。通期の純損失見通しは、これまで示していた1.5兆円程度を上回り、1.5兆円から2兆円程度とした。
奥和登理事長は会見で「今下期、もう一段踏み込んだポートフォリオの改善をしたい」と述べ、通期見通しに関しては「幅のある財務オペレーションをしたい」とした。25年度以降に安定的な黒字と強固な収益基盤の確立を行うという目標に加え、26年度以降の収支の底上げを図るほか、トランプ氏が大統領に就任する米国で、インフレ促進的な政策が取られ金利が反転上昇するリスクなどにも備える姿勢を示した。
上期時点で欧米国債を中心とした低利回り資産を約7.5兆円売却。下期も低利回り資産の売却を継続し、24年度通期では10兆円を上回る規模の低利回り資産を売却する方針を示した。足元では、低利回り資産の売却、海外中央銀行の利下げにより収支は改善基調に転換したとしている。
9月末の資本増強を土台に、下期は幅広い資産への投資も実施していくとした。
投資先について、北林太郎常務は「国際的な分散投資を行う。短期的には、国内外の債券や株式、プロジェクトファイナンス、証券化商品などにリスク・リターンを見ながら投資していく」と述べた。
25年度の配当に関して、奥理事長は「評価損がどうなるか。市場の状況に影響される」とし「25年度以降、可能な限り早く配当したい」と述べるにとどめた。
損保3社が政策株売却を加速、上期に計1兆2500億円-今期計画上積み - Bloomberg
東京ガス株、エリオットが5.03%保有=大量保有報告 | ロイター
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三井物産、ザンビア銅鉱山の権益獲得に最高額で入札-関係者 - Bloomberg
●先進国政治動向
トランプ氏支えた若者たち-支持基盤奪われた民主党の前途は多難 - Bloomberg
米大統領選投票日の夕方、民主党候補カマラ・ハリス氏の選挙陣営は、主要な激戦州の大学キャンパスで投票率が伸びていると発表した。
ハリス陣営によれば、投票所が閉まろうとする中で、ノースカロライナ大学のシャーロットとウィルミントンにあるキャンパスでは、数時間待ちの列ができていた。
ウィスコンシン州の8つの大学では5日、投票するまでに一時1、2時間待たなければならず、ペンシルベニア州のリーハイ大学では、7時間待ちの列ができていた時間帯もあったという。
しかし、夜が深まるにつれ、副大統領のハリス氏(60)が、前大統領のドナルド・トランプ共和党候補(78)に敗れることがはっきりと示されつつあった。
ソーシャルメディアでの注目やビヨンセらセレブの応援にもかかわらず、ハリス氏は結局、2020年の大統領選を制した現職の大統領ジョー・バイデン氏ほど多くの若者の支持を得られなかった。
エジソン・リサーチが実施した出口調査によると、ハリス氏は30歳未満の有権者で54%の支持にとどまった。04年の大統領選で敗れたジョン・ケリー氏と同じ支持率で、民主党の大統領候補としては20年ぶりの人気の低さだ。
データによれば、トランプ氏は18-29歳の有権者層で得票率を20年から7ポイント伸ばした。
これは特に大きな変化だ。この有権者層はこれまで確実に民主党に投票してきた。若い支持者を失った民主党の前途は多難だ。
トランプ氏は経済政策を強調することで、これら有権者の支持を得た。同氏のメッセージは、学生ローンや食料品から住宅費に至るあらゆるコスト負担に苦しむ若年層に響いたようだ。オンライン上にもトランプ氏を応援するコンテンツが広がった。
聴衆にリーチ
投票日までの世論調査で、有権者にとっての最重要課題として常に挙げられていたのが経済だった。
バイデン政権発足以来、インフレ率は計21%上昇しており、米国民は大きな負担を強いられていた。それに対し、トランプ政権1期目の消費者物価指数(CPI)上昇率はわずか6%だった。
20年の大統領選でバイデン陣営に助言した世論調査の専門家ジョン・デラ・ボルペ氏は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に孤立感を味わった若い有権者が、民主党に関する誤った情報も含むオンラインコンテンツを何時間も視聴したことが大きく影響したと分析している。
一方、20年の大統領選でトランプ氏の戦略的コミュニケーションディレクターを務めたマーク・ロッター氏は、16年の選挙以後、トランプ氏が「放送電波を独占」しており、ほとんどの20代にとって同氏は人生の大きな部分を占めるほど身近な政治的象徴となっていると指摘する。
トランプ政権下の「経済や戦争がない状態を経験したことが、多くの物事に対する思考プロセスを形成している」という。
イスラエルがパレスチナ自治区ガザで展開している戦争は、相当な割合の米国民が支持していない。ハリス氏の集会では、少数派グループやわずか1人の抗議で演説がしばしば中断された。
ハーバード大学が9月に発表した若者を対象とした世論調査では、32%の若者がイスラエルへの武器禁輸に賛同していることが分かった。選挙をボイコットすると訴える声もあった。
タフツ大学市民学習・参加研究センターが分析したデータによると、トランプ氏は20年には41%だった若い男性からの支持を56%に伸ばした。
これは、男性に直接アピールし、メディアの細分化という環境の中で注目を集めるという同氏の手法が成功したことを示している。
トランプ氏は「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」や「インパルシブ・ウィズ・ローガン・ポール」などのポッドキャストに出演。その様子はユーチューブなどのプラットフォームで何百万回も再生され、ソーシャルメディア上のクリップでさらに広がった。
例えば、プロレス団体ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の人気レスラー、ジ・アンダーテイカーとケインのトランプ氏出演動画は、X(旧ツイッター)上のレスリングファンのページで、1400万回視聴された。ライバルのレスラーがハリス氏支持を表明した後だった。
20年の大統領選でトランプ陣営だったロッター氏は、「トランプ氏が知っていることがあるとすれば、それは聴衆にリーチする方法だ」と言う。
若い立役者
事情に詳しい関係者によると、トランプ氏にポッドキャスターやインフルエンサーと関わるよう勧めたのは、27歳のアドバイザー、アレックス・ブルースウィッツ氏だ。
また、2人の関係者によれば、トランプ氏の息子バロン氏(18)も父親にインタビューを受けるよう促したという。
「息子はあなたの大ファンだ」とトランプ氏はコメディアン、テオ・ボン氏のポッドキャストで語った。エジソン・リサーチによると、同氏は、ポッドキャストのリスナー数で5位。
選挙陣営とクリエーターや有名人との橋渡し役を担ったのは、総合格闘技団体アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)のダナ・ホワイト最高経営責任者(CEO)だと、事情に詳しい関係者が明らかにした。
ホワイト氏は、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の動画にトランプ氏が初めて出た際に出演。ティーンエージャーに人気のTikTokで、トランプ氏は数百万人のフォロワーを抱えている。
関係者によると、22歳のソーシャルメディアストラテジスト、ジャック・アドベント氏は、トランプ氏のTikTokアカウント開設・管理を手伝うため、5月後半に陣営に採用された。アドベント氏は共和党指名候補争いから撤退したビベック・ラマスワミ氏の予備選に助言していたという。
アドベント氏はまた、トランプ氏がポッドキャストでローガン・ポール氏と対談する際、その調整も手伝った。
リーハイ大の学生ケビン・カオさん(20)は、選挙戦のさなかに自身のTikTokアカウントでトランプ氏を応援するコンテンツを目にしたと話した。カオさんは移民問題を巡り国境を閉鎖するとしているトランプ氏の政策を支持していると述べ、「それは必要だ」との考えを示した。
用意周到
トランプ氏は22年の正式な立候補表明以後、ハリス氏よりずっと早くから準備を進めていた。ハリス氏が選挙戦に参入したのは投票日まで4カ月を切ってからだ。
ハリス陣営は最終的にトランプ陣営より多くの資金を集めたが、ハリス氏はバイデン氏にうんざりしている有権者たちに、自分が変化の象徴であるとうまく説得できなかった。
ハリス氏は集会で「私はZ世代を愛している」とよく語っていたが、一般的に12-27歳と定義されるZ世代の相当な割合に彼女のメッセージは響かなかった。あるいは、届いてさえいなかったのかもしれない。
ハリス氏のTikTokアカウントは、7月に人気が急上昇した時でさえ、トランプ氏よりもフォロワー数が少なかった。ハリス陣営はコメント要請に応じなかった。
政治コンサルタントでZ世代の政治ニュースレターを執筆しているレイチェル・ジャンファザ氏は「ここ何年もの間、民主党が若い有権者にアピールしようとしてきた多くの試みを見ると、それは非常に意図的なものに見え、時に本気でないようにも感じられる」と説明する。
ハリス氏が若い女性を主なリスナーとするポッドキャスト「コール・ハー・ダディ」に出演した際、話題の中心となったのは人工中絶の権利だった。
ハリス氏はこの問題について圧倒的な信頼を得ていたが、特に民主党支持者が多い都市や州では、中絶法を州に委ねるというトランプ氏の公約に満足した有権者もいたようだとジャンファザ氏は語る。
そのポッドキャストのインタビューで、ハリス氏はバイデン政権の目玉政策である広範な学生ローン返済免除を連邦最高裁が一部認めなかったことについて質問された。
負担軽減を約束したハリス氏だが、自身の公約として大きな誓いを立てることはしなかった。
コラム:トランプ氏の理想の財務長官、相反するものを調和させる人物 | ロイター
トランプ次期米大統領は、自分が選んだスタッフはまるで映画のキャスティングのように役職に完全にマッチしているという言い方を好む。しかし投資家にとって、同氏が選ぶ政策は理想的とは程遠い。
トランプ氏は自身の大統領選勝利を見越して株価が上昇したと豪語しているが、関税への執着はウォール街の正統派には受け入れ難いものだ。
そのため誰を財務長官に選ぶかにスポットライトが当たっている。市場はトランプ政権内に自分たちの意見を代弁してくれる人物を必要としており、同様にトランプ氏も市場を落ち着かせるために信頼できる助言者を必要としている。しかし最終的には相容れないものを調和させることが次期財務長官の仕事になる。
ブロックチェーンベースの予測市場「ポリマーケット」によると、過去数カ月間、財務長官の最有力候補はヘッジファンドマネジャーで選挙アドバイザーのスコット・ベッセント氏だった。しかし政権移行チームのトップであるキャンター・フィッツジェラルドのハワード・ラトニック最高経営責任者(CEO)も関心を示しており、企業家のイーロン・マスク氏からも支持を得ている。
トランプ氏寄りの金融業界有力者にはベッセント氏を支持する声もある。サード・ポイントのダン・ローブ氏らで、財務長官の指名が政権の経済政策の基調を決めることになり、通常よりも大きな影響を与えると指摘している。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、トランプ氏は投資ファンド、アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン共同創業者、ロバート・ライトハイザー元米通商代表部代表、ケビン・ウォルシュ元連邦準備理事会(FRB)理事を候補に加えた。
誰が選ばれても困難な役割を担うことになる。株価を左右する投稿を連発し、強力な保護主義的政策を主張するトランプ氏は異例なまでに混沌(こんとん)とした人物だ。
だが1期目に財務長官を務めたスティーブン・ムニューシン氏はウォール街と緊密な関係を維持し、企業に有利な税制改革を主導した。S&P500種株価指数(.SPX), opens new tabはトランプ政権の4年間で約70%上昇しており、オバマ大統領の2期目やバイデン政権を上回っている。
次期財務長官の仕事はさらに厳しくなるだろう。野村のアナリストによると、輸入品に一律10─20%、中国製品には60%の関税を課す計画が実行されれば、2025年のインフレ率が75ベーシスポイント(bp)押し上げられる可能性がある。これはFRBの利下げの動きと相反する。
財務長官人事でこの状況が変わることはない。ライトハイザー氏のような筋金入りの保護貿易主義者の就任を避けることで市場をこれ以上動揺させないことがせいぜいだ。
しかし、長期債利回りは大統領選後に約70bp上昇しており、トランプ政権のインフレ的な政策を予想している可能性がある。株価は当初の高揚感の後、上昇幅を縮小した。
サード・ポイントのローブ氏によると、市場は一度に一つの主要なリスクに集中する傾向があり、現在はトランプ氏の財務長官人事に注目しているという。もしそうだとすれば、市場は明白な問題を見落としている。つまりトランプ政権のメッセージを伝える人物が誰であっても、メッセージの内容を大きく変えることはできないということだ。
米次期運輸長官にFOXニュース司会者、トランプ氏発表 | ロイター
ゲーツ氏の司法長官承認目指すトランプ氏、上院議員らに直接根回し 情報筋 - CNN.co.jp
トランプ次期米大統領は、自身が司法長官に選出したマット・ゲーツ元下院議員の確実な承認に向け、取り組みを強化している。一部の上院議員に直接働きかけ、ゲーツ氏を支持するよう求めているという。この件に詳しい情報筋2人がCNNに明らかにした。
どちらの情報筋も、トランプ氏が連絡を入れた上院議員の氏名は明かさなかった。ただ彼らが強調したところによると、トランプ氏は周辺に対し、ゲーツ氏の承認に向けた自身の決意を繰り返し表明しているという。
トランプ氏の周囲はまた、上院が休会中、上院の承認なしに閣僚及び政府高官を任命できる法的仕組みを利用することも議論している。
トランプ氏による上院議員への呼び掛けは、米ニュースサイト「アクシオス」が最初に報じた。
【オピニオン】欧州には多分トランプ氏が必要 - WSJ
欧州の友人たちは今年も厳しい年となっている。アムステルダムの街では、ユダヤ系を狙った暴徒による襲撃という、ナチス時代後の欧州で特に衝撃的な集団迫害行為が起きた。フランスの統計によると、2023年の同国の出生数は第2次世界大戦後のどの年よりも少なかった。ユーロ圏の景気は全体的に停滞し、インドがドイツを抜いて世界3位の経済大国になりそうだ。中国の輸出が急増し、欧州の主要産業を脅かしている。苦戦している欧州ハイテク企業は米国、中国、インド、イスラエルの競合他社に一段と後れを取っている。
欧州の安全保障状況も同様に厳しい。北朝鮮の部隊がウクライナでの戦闘に備える中、ウクライナ政策を巡る西側諸国の脆弱(ぜいじゃく)なコンセンサスは崩壊した。ドイツのオラフ・ショルツ首相は、恐らく次の選挙での得票狙いだろうが、欧州首脳間の結束を乱してロシアのウラジーミル・プーチン大統領に電話をかけた。プーチン氏の反応はショルツ氏に都合の良いものではなかった。両氏が電話会談を終えてから、ロシアはウクライナへのミサイル攻撃を著しくエスカレートさせた。大西洋の反対側ではバイデン米政権が、ウクライナが長射程ミサイルを使用してロシア領内の奥深くの標的を攻撃することを認め、ドイツを一段と孤立させた。
さらに悪いことに、欧州はドナルド・トランプ氏が米大統領に返り咲くことによって失うものが最も多い地域になる。安全保障、貿易、技術、気候変動のどれをとっても、トランプ氏のアプローチは欧州の期待や計画とほぼ正反対だ。トランプ氏が計画する関税措置は、主要な欧州企業の業績に打撃を与えるだろう。リオデジャネイロで今週開かれている20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に参加した欧州の外交官らは、政府が多国籍企業からより多くの税収を得る目的で設計された国際課税制度について、崩壊の可能性が高いことを悲しんでいる。アゼルバイジャンで開かれている国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)では、欧州の外交官(とレームダック化したバイデン政権の外交官)が、トランプ政権発足後にパリ協定はどうなるのかについて思いを巡らせながら、心配するだけの状態になっている。欧州連合(EU)が米国製品に「国境炭素税」を課そうとすれば、強い反発が生じるだろう。また、トランプ氏はシリコンバレーのハイテク界の大物との間で個人的に問題を抱えてはいるものの、米国に本拠を置く企業から何十億ドルもの罰金を徴収しようとする欧州の取り組みに賛同する可能性は低い。
こうした問題は、大西洋を挟んだ米欧の関係に間もなく打撃を与える見通しで、欧州の人々はそれをトランプ氏の傲慢(ごうまん)さや保護主義への支持、気候変動に否定的な考え方のせいにするだろう。それは間違いとは言い切れない。だが、根本的な原因はもっと深いところにある。EUは、21世紀のニーズに十分に対応できる経済やハイテク産業、政治システム、安保戦略を構築してこなかった。最近では、欧州の意向にこれまでよりも敬意を払わなくなっているのは、トランプ氏が次期大統領となる米国だけではない。トルコ、中国、インド、ロシア、イスラエル、サウジアラビアといった国々は、いずれも以前ほど欧州の利害に注意を払っていない。世界の多くにとって欧州は模範ではなく反面教師に見えている。インド太平洋地域が世界の政治・経済における極めて重要な舞台として浮上する中で、EUも欧州のどの国もこの地域の問題において重要な役割を果たしていない。
多くの米国人、特に右派は欧州の問題をあざ笑っているが、欧州の衰退は米国にとっての問題だとわれわれは理解する必要がある。欧州の成功は米国の利益だ。ジョージ・マーシャル、ディーン・アチソン、ハリー・トルーマンの各氏は、第2次世界大戦後に欧州の復興と再編を推進した際、自分たちの取り組みによって欧州が強くなり、自立できるようになることを望んだ。彼らは、豊かで活力に満ちた欧州がひいては米国製品の成長市場、国際平和を守るための強力なパートナー、平和的かつ民主的な成功の説得力ある例となることを望んでいた。
現在の欧州は、そうした方向に進んでいない。そして欧州の脆弱性は、世界中で起きている危機の主因の一つになっている。こうした失敗の責任を欧州の人々に押し付けるのは容易だ。そして欧州の選択の責任の大半は、その選択を行った政策決定者が負うべきものだ。しかし米国民も、自分たちが取ってきた行動を振り返ってみる必要がある。大半の欧州諸国の安保政策に関する無責任さは、厳しい選択の必要性を感じないで済むようにした米国の安全保障の傘のせいではなかったか。米国は、過干渉な親のような役割を担い過ぎていたのではないか。コソボ紛争に関し、自分たちの領域での重要な問題の解決を欧州に強いるのではなく、1999年に米国が介入したのがその一例ではないか。
欧州には、第2次トランプ政権発足後に米欧関係が緊張状態となるのを期待しているように見える人もいる。フランスの人々は特にそうだ。彼らは、米国が欧州と距離を置かない限り、欧州が国際情勢に関する重要な役割の担い手に成長することは決してないとの見方を示している。彼らは、トランプ次期政権が一種のモーニングコールとなって、欧州が直面する危機をドイツ人でさえも現実的に捉えるようになることを期待している。
フランスの人々の考えは正しいかもしれない。欧州がまさに必要としているのは、トランプ政権とその支持者からの「愛のムチ」かもしれない。
トランプ氏、商務長官にハワード・ルトニック氏起用 - Bloomberg
トランプ次期米大統領は商務長官にキャンターフィッツジェラルドのハワード・ルトニック最高経営責任者(CEO)を起用すると表明した。次期政権が推進する見込みの大幅な関税引き上げでルトニック氏は中心的な役割を担うことになる。
トランプ氏は自身のソーシャルネットワーク「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「キャンターフィッツジェラルドの会長兼CEOであるハワード・ルトニック氏が商務長官として私の政権に参加すると発表できることをうれしく思う。彼は政権の関税・貿易政策を主導する」とコメントした。
ルトニック氏(63)はウォール街で最も著名なトランプ氏支援者の一人で、トランプ氏のポピュリスト的政策を支持し、金融界への働きかけを助けている。選挙戦中はトランプ氏の支援で全米を飛び回り、製造業雇用の国外流出を嘆き、高インフレを批判した。また政権移行チームの共同責任者として、新政権の政策推進に向け体制づくりを担ってきた。
連邦政府と民間部門の橋渡し役を担う商務省は、トランプ氏の政策実現を目指す上で重要な役割を果たすことになる。
トランプ氏は中国からの輸入品に60%、その他の国からの輸入品に一律10%ないし20%の追加関税を課すとしている。一部のエコノミストはトランプ氏の関税案が実行されれば消費者物価を押し上げる可能性があるとみている。
トランプ次期政権チーム、バイデン政権下の燃費基準大幅引き下げ検討 - Bloomberg
トランプ次期米政権は、現バイデン政権下の電気自動車(EV)向け政策を廃止する一環として、新車や小型トラックの燃費基準の大幅引き下げを検討している。事情に詳しい関係者が明かした。
匿名を要請した同関係者によると、トランプ氏のアドバイザーは、6月に決定された燃費基準を見直す計画だ。また、米環境保護局(EPA)が定めた関連する排ガス規制も標的になるという。
こうした規制は、温室効果ガス排出削減と自動車産業の電動化推進を目的とした、バイデン政権の目玉政策の一つだった。ただ、規則が非常に厳格であるため、批判派は、EVを大量に販売するための事実上の要件と化していると主張してきた。
トランプ氏は選挙運動中、バイデン氏の政策を「EV義務化」と非難し、「根絶する」と繰り返し公言していた。トランプ氏の移行チームは、コメントの求めに回答しなかった。
自動車メーカーは燃費基準を満たすため、新型EVモデルや工場に数十億ドルを投資してきた。また、インフレ抑制法に基づく手厚いEV補助金も活用している。
だが、EV需要の低迷やプラグインハイブリッド車(PHV)の販売減少に伴う大幅な損失により、多くの自動車メーカーは野心的なEV計画を縮小している。一部の業界幹部は、この政策を消費者のEV需要の先取りと批判している。
トランプ氏は大統領1期目の際も、前任のオバマ政権が定めた2025年までに新車の燃費を1ガロン当たり50マイル以上に引き上げるとの基準を、26年までに1ガロン当たり39マイルまで引き下げた。
トランプ氏の政策巡るパウエル氏の静観姿勢、16年当時からは様変わり - Bloomberg
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、トランプ次期政権がどのような政策を実施するのか見守った上で、それが経済にどのような意味を持つのか金融当局として予測したい考えを表明している。
パウエル議長は7日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の記者会見で、「今はモデル化するものは何もない」とし、「推測も臆測も仮定もしない」と語った。
これはドナルド・トランプ氏が2016年の大統領選で当選した際の金融当局の対応とは異なることが、当時の議事録から分かる。トランプ政権1期目発足の1カ月前、金融当局スタッフは、公約された減税が可決されるという前提に基づき、金利上昇によって効果の一部が相殺されることも想定した形で、財政による成長押し上げを予想し始めた。パウエルFRB理事(当時)を含む数人の当局者も財政政策の変更を予測に織り込んだ。
パウエル氏は16年12月のFOMC会合で自身の予測とともに提出したコメントの中で、「17年中に一段と緩和的な財政政策が実現する可能性が高いと考えられる」と指摘。「このため私はスタッフのベースライン予想に従い、暫定的に国内総生産(GDP)の1%相当の個人所得税減税を想定している」と説明していた。]
パウエル氏はさらに、17年の利上げ見通しを0.25ポイントずつの2回ではなく3回に変更したと付け加えていた。
FRBの報道官はコメントを避けた。
トランプ氏の政策が物価上昇圧力を再燃させることが予想され、金融当局者が過去40年間で最も厳しいインフレとの闘いを終わらせるためにまだ取り組んでいることを踏まえると、16年当時と比較したパウエル氏の特別な慎重さは際立っている。
さらにどの程度の利下げが可能かは税制や関税、移民政策が経済に与える影響を当局がどうみるかに引き続きかかっている。
元FRB理事で現在はシカゴ大学経営大学院経済学教授のランダル・クロズナー氏は、規制緩和や企業優遇税制によって景気が上向く可能性がある一方で、インフレ抑制の「仕事はまだ終わっていない」と指摘。景気が上向くにつれて、短期的には「金利の道筋は浅めとなるだろう」との見通しを示した。
政治的リスク
財政刺激策をいつ、どのように位置づけるかは、過去に減税推進の大統領との対立に巻き込まれた金融当局にとって政治的リスクを伴う。その効果を相殺するための利上げが早過ぎたり、大き過ぎたりすれば、政権の政策に逆行しているとの批判を浴びることになる。利上げが小さ過ぎたり遅すぎたりすれば、21年のようなインフレ加速の恐れがある。
8年前、トランプ氏が提案した政策の影響を正確に予測することは困難だった。金融当局は結局、製造業の鈍化とインフレ率が当局目標の2%を下回る水準まで低下したことを受け、トランプ氏の目玉の減税策の成立からわずか1年7カ月後の19年7月に利下げを開始した。
01年のブッシュ(子)政権減税に取り組んだローレンス・マイヤー元FRB理事は、金融当局の現在の対応はスタッフレベルにとどめるべきだとする。減税実施の場合に経済がどう推移するか感覚を得るため「代替的なシミュレーションを行うべきだ」と述べた上で、「何が起こるか分からないものを基準に政策を決定すべきではない」と語った。
それでも、金融当局が対応に時間をかけ過ぎれば、誤りを犯しかねないと心配する声もある。トランプ氏は再び減税を約束し、上下両院を掌握したことで、政権1期目の減税延長が有力視されている。
ブルッキングズ研究所のサラ・バインダー上級研究員は「何が起こるか金融当局がよく理解したいと思うのも分かる。しかし、困難な状況に陥るリスクがある」と述べた。
ウォール街の幾つかの金融機関は静観していない。トランプ氏の当選以降、JPモルガン・チェースやバークレイズ、トロント・ドミニオン銀行のエコノミストは、来年末までの利下げ回数見通しを減らした。投資家も25年の利下げ予想を縮小している。
米金融当局がどのような対応を取るにせよ、本当に必要なのはホワイトハウスや議会からの潜在的な措置に対処するための正規化されたプロセスだと、FRB元上級政策顧問で、現在はデューク大学で経済学の研究教授を務めるエレン・ミード氏は話す。
ミード氏はFRBスタッフの予測・戦略文書「ティールブック」に言及し、「いずれの政党が提案した将来的な政策についても一貫した取り扱いを確保するためには、いつ、どのように将来の財政構想が基本的なティールブック予測に組み込まれるのかを巡り、体系的プロセスを持つことが重要だ」と論じた。
●先進国中銀、金融当局
豪中銀、直ちに金利変更する必要ない 変化に備えも=議事要旨 | ロイター
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は19日公表した11月4─5日の理事会の議事要旨で、1年にわたり据え置いている金利を直ちに変更する必要はないが、見通しの変化に応じて対応できるように備えることが重要だという見方を示した。
理事会は同会合で、現在4.35%にある政策金利について、引き下げと引き上げのほか、長期間にわたり据え置くシナリオを改めて議論した。
シナリオの一つとして、インフレの急減速は利下げの根拠になる可能性があるが、それが持続可能であると確信するには好ましい四半期インフレ指標を複数回確認する必要があると指摘した。
市場は来年の5月までの利下げは完全に織り込んでいない。2月の利下げ確率はわずか38%となっている。ただ、エコノミストの大半は依然として2月の利下げを予想している。
中銀は適宜対応が必要になるさまざまなシナリオを検討した。過去の情報に過度に依存して経済状況の変化への対応が遅れることを避け、将来を見据えた姿勢を維持することが重要だとしている。
現在の金融政策のスタンスが十分に抑制的ではないと判断した場合、引き締めが必要になるかもしれないとし、信用の伸びや銀行の融資姿勢、資産価格などのデータを注視する方針を示した。
インフレ率が目標範囲内に戻る時期は2026年になると予想している。第3・四半期のインフレ率は政府の電気料金の値下げなどにより2.8%に鈍化したが、基調インフレ率は依然として3.5%となっている。
政策変更を巡るその他のシナリオとしては、消費と労働市場を巡る動向が挙げられる。銀行のカード使用状況データによると、減税措置にもかかわらず消費者支出は予想を下回っている。一方、労働市場は予想以上に堅調で、失業率は約半年間にわたり4.1%で推移している。
生産性の伸び悩みによって経済の供給能力が想定よりも大幅に制約される場合、金融政策スタンスの引き締めが必要になる可能性があると指摘した。米経済政策の大きな変化と中国の景気刺激策も注視しているとした。
日銀は12月か1月利上げを「真剣に検討」、再来年2%近くも-渡辺教授 - Bloomberg
日本銀行出身で物価研究が専門の渡辺努東京大学大学院教授は、日銀の追加利上げのタイミングについて12月か来年1月の金融政策決定会合との見通しを示した。その後も段階的な利上げによって2026年までに政策金利が2%に近づく可能性があるとみている。
渡辺氏は19日のフォーリン・プレスセンターでの講演で、「日銀の意図として12月や来年の1月にも政策金利を上げることを、かなり真剣に検討していると思う」と語った。日銀が見通しに沿って経済・物価情勢が推移すれば利上げを進める方針を示している中で、消費者物価が日銀の見通しを上回る現状は「金利をいつ上げてもおかしくない状況」という。
賃金と物価の好循環が強まり、来年の春闘でも高水準の賃上げが展望できるとし、来年も利上げが続いて「来年または再来年のどこかのタイミングで1%を超えていく、あるいは2%に近づけることを日銀は考えている」と指摘。将来の景気悪化局面では利下げの必要に迫られるため、上げられる時にしっかり上げておきたいとの気持ちがあるとの見方を示した。
ブルームバーグが10月会合前にエコノミスト53人を対象に実施した調査では、今回の日銀の利上げ局面におけるターミナルレート(最高到達点)の中央値は1%となった。渡辺氏の発言はこの水準を上回る利上げを想定したものだ。
ただ、渡辺氏は「利上げのし過ぎで経済を殺してしまうことがないよう、日銀は最善の注意を払う」とし、利上げはゆっくりしたペースを見込んでいる。
日銀は10月会合で政策金利を0.25%程度で維持した。トランプ米次期大統領のインフレ的な政策への思惑などから円安が進行しており、市場では12月会合を含めた早期の追加利上げ観測が強まっている。植田和男総裁は18日の講演で、毎回の会合で「利用可能なデータや情報などから、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら政策判断を行っていく」と述べた。
●先進国経済指標
米一戸建て住宅着工件数、10月6.9%減 ハリケーンで南部が低迷 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
銀行のリスク移転商品に資金殺到-ウォール街の錬金術、落とし穴も - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)本部の対岸にあるバージニア州アーリントンのオフィスで、EJFキャピタル創業者のニール・ウィルソン氏は、規制当局によって同社のような投資会社に生み出される機会について熱っぽく語る。
バランスシート強化を求める米規制当局のキャンペーンを背景に、銀行は帳簿上のリスクを軽減する創造的な方法を探っている。 その結果、ウォール街の錬金術とも言えるリスク移転、いわゆる「SRT」に注目する銀行は増えるばかりだ。
リスク移転は自動車や商業用不動産、事業などを担保としたローンで生じた損失の初期をウィルソン氏のような投資家に転嫁する。ローンのパフォーマンスが良好であれば、投資家はかなりの利益を得ることができる。
ウィルソン氏はこの考え方が米国中の銀行経営者の間で今年、「急速に広がり始めている」として、「加速の局面だ」と話す。
実際、JPモルガン・チェースから米国の中規模金融機関に至るまで、SRT取引のニュースは相次いでおり、業界の次の大きなトレンドとなりつつある。昨年の地方銀行での預金流出や商業用不動産市場の亀裂発生によって、バランスシートは強ければ強いほど良いと銀行経営者が認識した結果でもある。
緩衝弁
米規制当局がバーゼル最終合意として知られる資本規制強化案を発表したこともSRT取引を勢いづかせた。規制強化により、大手銀行は損失に対するバッファーを強化せざるを得なくなる可能性があるからだ。
しかし、恐らく最も重要なのは、資本算出においてSRTを認識する方向でFRBが新たな意欲を昨年示したことだ。さまざまな圧力に対する緩衝弁としてSRTが利用できることになる。
SRTの投資家にとって、これはチャンスだ。資産総額1000億ドル(約15兆5000億円)未満の銀行約2800行が今後数年間で、2000億ドルのローンに関するリスクを軽減するための取引を行う可能性があると、ウィルソン氏は予測している。
同氏は今年、米南東部の大型住宅ローンに関連するSRT債を購入している。これは、大手銀行がすでに積み上げている取引に加わるものだ。ほんの数年前までは、米国にはこのような市場はほとんど存在しなかった。
SRT、つまり「重大なリスク移転(Significant Risk Transfer」という名称は、市場で好まれる包括的な用語であり、類似した構造を持つ多様な取引を指す。時には「合成(Syinthetic)」または「信用(Credit)」リスク移転とも呼ばれる。
典型的なSRTでは、銀行がバランスシート上にある貸付債権のプールから生じ得る損失の最初の5-15%分についてクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を購入する。
損失が発生した場合はCDSの売り手がその損失を負担する。欧州などではこのような取引が数年前から行われており、投資家は通常、2桁台前半の堅実なリターンを得ている。
このような案件に投資するオルタナティブ資産運用会社であるコーラス・キャピタル・マネジメント(ロンドン)がまとめたデータによると、SRTの世界での発行額は今年1-9月に記録的なペースで166億ドルに膨れ上がり、年末までに280億-300億ドルに達する可能性もある。 
欧州の銀行が長らく発行額の大半を占めてきたが、今後数カ月から数年で米国の銀行が案件を大幅に増やすことが広く予想されている。
ウィルソン氏の表現を借りれば「欧州のイノベーションがようやく米国にやって来た」ということだ。
しかし、SRT投資のベテランや規制当局者は、市場の成長には痛みを伴う可能性を懸念している。
現在、投資家の需要が供給をはるかに上回っているが、その原因の一つは、待ち望まれている米SRT市場の拡大が何度もつまずいたことにある
FRBのガイド
米国での投資家の関心は、5年前にJPモルガンが新しいタイプの住宅ローン関連のリスク移転商品を設計した時に高まった。このコンセプトは業界で注目を集めたが、資本強化策の一環として米国の規制当局の承認を得るには何年もかかった。
そして昨年、規制当局がバーゼル最終案の策定に着手したことを受け、FRBは一見したところ当たり障りのない「よくある質問」を公表し、どのようなSRT構造が適格となり、どのような利益をもたらすかを概説した。
銀行の取締役会では議論が巻き起こった。投資家はSRTを購入する資金を積み上げ始めた。
だが、FRBの簡潔なガイドには問題があった。一つ一つの取引にFRBの承認を得る必要があるという点だ。このプロセスには1年近くかかる可能性があるため、不満の声が上がった。
また、規制当局がバーゼル最終案の厳格なバージョンを提案した後に資本要件引き上げ幅を大きく縮小させたため、一部の銀行はSRTについてブレーキを踏み、今後の展開を見守ることにした。
5日の大統領選はドナルド・トランプ氏が勝利。同氏が過去に大統領として行った規制緩和の実績を考慮すると、不確実性はさらに高まるかもしれない。
結果的に、意欲的な投資家の需要を満たすには案件が少な過ぎるという状況が生まれた。参加者の多くがSRTに不慣れなため、買い手が緩い条件を受け入れた案件でこの新たな市場がすぐに汚染されてしまうのではないかという懸念が生じている。
ベテラン投資家は例えば、質が低めのローンの組み込れを銀行に可能にさせる条項など、細則を厳しく検証することが重要だと指摘する。
現在、SRTの専門家が周囲を見渡せば、専門知識がバラバラの「通りがかり」の投資家が目に入る。
例えば、ローン担保証券(CLO)の買い手だ。CLOの投資家は以前からSRTへのエクスポージャーがあったが、企業の合併・買収(M&A)が昨年低迷し、魅力的なリターンを生むCLO商品が不足したため、一部の投資家はSRT市場により深く足を踏み入れた。
さらに、資産運用会社の顧客がそれまでSRTに興味を持っていなかった運用会社に投資を促している。
あふれる資金
買い手が増えればスプレッドが縮小し、投資家が負うリスクに対する報酬が縮小する。市場関係者によると、新規SRTの価格は、ベンチマークに対するスプレッドが1年前と比べて少なくとも2ポイント縮小している。
8月にはモルガン・スタンレーがプライベート・マーケット・ファンド向け40億ドル強相当の貸付債権ポートフォリオに関するSRTを販売。事情に詳しい関係者によれば、ベンチマークに対する上乗せ幅は4ポイント未満で、同様の案件でスプレッドがもっと広かった数カ月前と対照的だった。
銀行は、SRTに飢えている投資家が多数いることをよく理解している。欧州で古くからSRT商品を発行しているドイツ銀行では、大型企業取引をシンジケート化する商品で見込まれる買い手リストがすぐに数十社に膨れ上がる可能性があると、事情に詳しい関係者が述べた。 
事情に詳しい関係者によると、「不良債権」化していることが広く知られている債権を組み込もうとした発行体もあるという。ベテランはそうした債権を素早く排除するが、それほど周到でない投資家もいるかもしれない。
「過去10年と比較すると、現在はSRTを求める資金があふれている。これは価格設定がより効率的になることを意味するが、同時に銀行がより創造的になれることも意味する」と、10年以上にわたってSRTを購入しているダイアミター・キャピタル・パートナーズの共同創業者ジョナサン・ルインソーン氏は述べた。
JPモルガンとモルガン・スタンレー、ドイツ銀の広報担当者はコメントを控えた。
理想的なのは、売り手と買い手が、資産プールにどのローンを含めるかについて、特に企業債務や商業用不動産ポートフォリオについて、意見を交わすことだ。そうすることで、経済情勢が変化しても、債務が返済されるまで、何度も更新可能な取引を成立させることができる。
負のループ
しかし、多数の新規投資家の参入で、SRTに対して「量的アプローチ」を採用し、何が組み込まれているか不透明な商品を購入する投資家が増えていると、ダイアミターの共同創業者スコット・グッドウィン氏は説明。
ダイアミターはそうしたことを望まず、SRT対象のポートフォリオの質に細心の注意を払っていると同氏は述べた。
統計や確率に頼る新規参入者は、後に気まぐれな投資家となり、市場環境が変化した時に再投資を拒む可能性がある。そのような場合、貸し倒れリスクが銀行に戻り、バランスシートを損なう可能性がある。
もう一つの懸念はレバレッジだ。借り入れはSRT市場では確立された手法だが、リターンを高めるためにレバレッジが利用されるケースがさらに増えていると専門家は言う。ある運用担当者は、十数行の銀行から融資を受けていると明かした。
国際通貨基金(IMF)は10月の報告書で、ストレスが高まった時に「負のフィードバックループ」が生じる可能性について警告を発した。
銀行の債権ポートフォリオを保証しているSRTの買い手が、銀行からの借り入れでレバレッジを働かせている場合、貸し倒れリスクは実際には銀行システムから出て行ってはいないことになる。
それでも、グッドウィン氏のようなSRTファンは、この金融商品が正しい方向への一歩だと確信している。
2008年の金融危機後に弱体化した銀行は、希薄化につながる増資を避けるためにSRT取引を採用した。政策当局もこれを支持した。銀行の新規融資余力が高まることは、金利を妥当な水準に維持するのに役立った。
「SRTは銀行と投資家双方に利益をもたらす。銀行はより多くの資本で、バランスシートを拡大することができる」と同氏は語った。投資家は質が高い資産プールから魅力的なリターンを受け取り、銀行は引き続きリスクを負うことで、両者の利害関係が一致するというわけだ。
問題は、SRT市場が今後どのように発展していくかだ。リスク移転を前提に融資するというモデルはEJFのウィルソン氏を不安にさせるだろう。
しかし、現在行われている取引はSRT投資家にとって有益だと考える同氏は、ローンが返済されるまで責任を負っているのは銀行だと指摘している。
円とスイス・フランが上げ幅拡大、市場にリスク回避の動き - Bloomberg
短期国債の落札利回り0.4449% 現行のTBで最高 - 日本経済新聞
米国ローン拒否率、自動車・住宅借り換えで過去最高に - 日本経済新聞
米国の消費者が与信を受けにくくなっていることがニューヨーク連銀の18日公表の調査結果でわかった。2024年に融資などの申請者が審査に落ちた割合は21.0%と23年から0.9ポイント上がった。特に自動車ローンの新規申し込みと住宅ローンの借り換えでは拒否率が13年の調査開始以来、最高となった。
ニューヨーク連銀は消費者向け調査の一環として与信の申請・審査状況などを4カ月ごとに聞き取り、結果を公表している。年内最後になる今回調査では24年の傾向をまとめた報告書を発表した。
金融商品別で見ると、自動車ローンの平均拒否率は24年に11.4%と前年から0.4ポイント上昇し、住宅ローンの借り換えは同10.1ポイント上昇し25.6%となり、それぞれ過去最高を記録した。住宅ローンの申請が却下された割合は同8.6ポイント上昇の20.7%、クレジットカードでは同0.5ポイント上昇の20.2%と審査が厳しくなっていることを映した。
報告書によると、あらゆるローンタイプで、与信を断られた割合が新型コロナウイルス流行前の19年を上回ったという。借り手の信用度合いを測る「クレジットスコア」別でみると、680以下と相対的に低い人で拒否率の上昇が目立った。
マルチ戦略ファンド、爆発的な成長の時代は終わった-グリフィン氏 - Bloomberg
独経済停滞の公算、労働市場減速 関税措置も重しに=連銀月報 | ロイター
●中東情勢
トランプ次期大統領の人事は中東政策のヒントになる|ARAB NEWS
ドナルド・トランプ次期大統領は、米国の外交政策を形成する政権の上級職の人事予定をいくつか発表した。候補者の中には、外交政策に関する見解について長い経験がない者もいるが、過去の発言を調べることで、彼らがいくつかの問題にどのようにアプローチするかを知ることは可能だ。中東に関する見解では、イスラエルへの絶対的支持で一致している。
ほとんどの役職は、少なくとも最終的には上院の承認を必要とする。共和党が上院の過半数を占めているため、トランプ大統領が指名する人物の大半は上院の承認を得る可能性が高い。
国務長官にマルコ・ルビオ上院議員、国防長官にメディア・コメンテーターのピート・ヘグセス氏、国家安全保障顧問にマイケル・ウォルツ下院議員、国連大使にエリス・ステファニック下院議員、中東特使に実業家のスティーブン・ウィトコフ氏、国家情報長官にトゥルシ・ガバード元下院議員、中央情報局(CIA)長官にジョン・ラットクリフ氏が指名されている。
中東問題に関する彼らの過去の発言に目を通すと、最も明確な共通点はイスラエルへの揺るぎない支持だ。ルビオ氏は、イスラエルにガザでの戦争をもっと自制するよう説得しようとしている退任政権を批判し、ベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相への支持を表明し、ヨルダン川西岸地区を 「ユダヤとサマリア 」と呼んだ。彼は最近、「歴史的な祖国に正当に住んでいるイスラエル人は和平の障害ではなく、それはパレスチナ人である」と書いた。
他のトランプ氏の選んだ候補も同様の感想を述べている。ヘグセス氏はフォックス・ニュースの「聖地での戦い:戦争中のイスラエル」というシリーズを主導し、親イスラエルの視点を提供した。ウォルツ氏はイスラエルを「われわれが知る限り最も偉大な同盟国」と呼び、ガザ、レバノン、イランへの攻撃を自制するようイスラエルに圧力をかけた現政権を繰り返し批判した。
ステファニック氏は、ガザでの戦争に反対するキャンパスでの抗議活動について大学の指導者たちに詰め寄ったことでメディアの注目を集め、5月のエルサレムでの演説では、ホワイトハウスがイスラエルに十分な支援を提供していないと批判した。最近では、「国連の反ユダヤ主義的腐敗がまたもや全面的に表れている」と述べるなど、強い言葉で国連によるイスラエル批判を非難している。
ウィトコフ氏はトランプ氏の選挙キャンペーンで親イスラエル派からの資金集めに協力し、ネタニヤフ首相を称賛している。ガバード氏はハマスに対するイスラエルの戦争への支持を表明し、ラットクリフ氏はハマスに対抗するためにより多くのことをしなかった現政権を批判している。
トランプ氏はまだ多くの大使を指名していないが、マイク・ハッカビー氏を駐イスラエル大使にすると発言している。ハッカビー氏は福音主義キリスト教徒で、イスラエルを頻繁に訪問するなど、宗教的な献身を示している。彼は2国家解決策に反対し、ヨルダン川西岸地区におけるイスラエルの入植を支持している。実際、彼は「ヨルダン川西岸地区などというものは存在しない-それはユダヤとサマリアだ」、「(イスラエルの)占領などというものは存在しない」、「パレスチナ人などというものは本当に存在しない」と発言している。
イスラエル支持にとどまらず、中東に対するトランプ・チームのアプローチを評価するのはより難しい。国務省、国防総省、国家安全保障会議(NSC)、情報機関の他の高官の任命が、トランプ政権の対中東政策を形成する上で重要になる。
とはいえ、トランプ陣営が中東に直接影響するグローバルな問題にどのようにアプローチするかについては、いくつかの手がかりがある。トランプ政権下の外交政策には、一国主義と孤立主義が混在する可能性が高く、顧問たちはこの2つのアプローチの適切なバランスについてしばしば意見を異にするだろう。候補者たちは、中国に対するタカ派的なアプローチを共有する傾向がある。特にウォルツ氏のように、中国に対抗することに資源を集中させ、中東にはあまり力を注がないことを望む者もいるが、それがいかに難しいかは過去数回の大統領政権が経験している。中東の指導者たちは、ワシントンと北京の関係のバランスをとることがますます難しくなっていると感じるかもしれない。
将来の高官たちの中には、中東に個人的な関心や経験を持つ者もいる。ウォルツ氏はフーシ派を対外テロ組織に指定することを要求し、ホワイトハウスは後にそれを実行した。ガバード氏は議員時代にシリアを訪問し、アサド大統領と会談した際、多くの批判に直面した。ヘグセス、ウォルツ、ガバード各氏は中東に派遣された退役軍人だ。
上院がトランプ大統領の指名を承認すれば、彼らは中東における大統領の政策の形成と実施において重要な役割を果たすことになる。大統領のチームが外交政策にどのようにアプローチするかについては不明な点が多いが、イスラエルに対する無条件の支持は重要な特徴となるだろう。
イラン、核兵器級に近い高濃縮ウランの生産を停止へ-IAEA - Bloomberg
イランは、核兵器に必要な濃度に近い高濃縮ウランの生産を停止することに同意した。核活動を巡る欧米諸国との対立で、イランに解決を図る用意があることが示唆された。
国際原子力機関(IAEA)の査察官は19日、イランが「備蓄の増加を止めることを目的とした」措置を開始したと報告。ブルームバーグ・ニュースが12ページにわたる報告書を確認した。IAEAによれば、イランの技術者はすでに生産量を制限するための措置に着手している。
IAEAのグロッシ事務局長は今月、イランのペゼシュキアン大統領とテヘランで協議した。IAEAはイランのこれまでの活動に関する調査を最終的にまとめる必要があるものの、イランが備蓄に上限を設けることは信頼回復への第一歩として「重要だろう」と、グロッシ氏は報告書で指摘した。
イランは2021年にウランの濃縮度を60%まで引き上げた。欧米諸国では、核兵器製造で必要となる濃度の90%に迫っているとして、懸念を強めていた。
米大統領に返り咲くドナルド・トランプ氏は21年までの1期目で、対イラン制裁緩和と引き換えにイランが核活動を制限する国際的な核合意から米国を離脱させ、イランに対する「最大限の圧力」政策を進めていた。トランプ氏が来年1月に再び大統領に就任したら、米国とイランとの関係がどうなるのか、さまざまな臆測が飛び交っている。
●エマージング
ジョージアで議会選不正訴えるデモ続く、親米欧派大統領は憲法裁に提訴 | ロイター
フィリピン大統領、トランプ氏と電話会談 同盟関係強化を協議 | ロイター
核ドクトリン修正案、必要なら正式決定とロシア大統領府 米に警告 | ロイター
ロシア大統領府は19日、核兵器使用に関するドクトリン(基本原則)の修正案がすでに策定されており、必要に応じて正式決定すると表明した。国営タス通信が伝えた。
バイデン米政権が米国製兵器を使用するウクライナによるロシア領内攻撃を許可したことを受け、改めて警告した形だ。前日にもロシアは米国の「無謀な」決定に対応すると警告していた。
ウクライナ侵攻から1000日となったロシアはこれまで、西側が核保有国の許容限度を探る火遊びをしていると繰り返し警告してきた。
米大統領選の数週間前にロシアのプーチン大統領は核ドクトリンの変更を命じ、核保有国が支援するロシアへの通常攻撃をロシアへの共同攻撃と見なすことができるとした。
修正されたドクトリンの詳細はまだ公表されていない。
タスによると、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ロシアは米国と関係を正常化する用意があるが、「単独でタンゴを踊る」考えはないとの立場を示した。
もはや中国の「裏庭」 中南米で高まる存在感 - WSJ
気候対策の主導権争い、中国が米国を追い抜くこれだけの理由 - CNN.co.jp
バルト海で海底ケーブル2本が切断、「ハイブリッド戦争」の懸念高まる - CNN.co.jp
バルト海で通信用の海底ケーブル2本が突如として切断された。海底ケーブルをめぐっては、米国が最近、主要な海底ケーブルの周辺でロシアが軍事活動を活発化させているのを検知したと発表していた。
リトアニアとスウェーデンをつなぐ海底ケーブルは現地時間17日午前10時ごろに切断された。通信会社テリア・リトアニアの広報がCNNに確認した。
広報によれば、同社の監視システムがトラフィックの中断による切断を検知し、その原因がケーブル自体の物理的な損傷である可能性が高いことを確認した。
寸断されたもう一つのケーブルはフィンランドとドイツを結んでいた。ケーブルの運営に携わるシニア社が明らかにした。問題のケーブルはフィンランドと中欧を結ぶものとしては唯一直接接続されており、全長は約1200キロ。ガスのパイプラインや電力のケーブルなど他の主要なインフラと並んで敷かれている。
米国は最近、海底ケーブルの周辺でロシアが軍事活動を活発化させているのを検知したと発表した。米当局者2人が9月に語ったところによれば、米国は、ロシアがこれらの重要なインフラに対して潜在的な妨害作戦を実施する可能性が高まったとみているという。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
Microsoft、ビデオ会議でリアルタイム翻訳 日本語も対応 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(19日)S&P・ナスダック続伸、ドル上昇、利回り低下 | ロイター
ニューヨーク外為市場では、ロシアが核兵器使用基準を引き下げたと発表したことで、ドル、スイスフラン、円といった安全資産が一時的に買われた。しかし、ロシアや米国の要人発言により市場の警戒感は緩和し、ドル指数は小幅上昇にとどまった(106.25、最高106.63)。  
また、ウクライナが米国提供の長距離地対地ミサイル「ATACMS」を使いロシア領を攻撃し、地政学的緊張が高まる中、米国債などの安全資産への資金流入が進み、債券利回りは低下した。一方、FRBの利下げサイクル停止観測も台頭している。  
**市場背景**  
- ウクライナ侵攻開始から1000日目。  
- ロシア外相の「核戦争阻止のための手段」発言や、ドイツ首相のウクライナ支援方針で市場心理が若干安定。  
- 米国の次回FRB会合では0.25%利下げ確率が59%、据え置き確率が41%。
**米国株式市場**  
- **主要動向**: S&P500とナスダック総合は続伸、ダウは続落。ハイテク株(特にエヌビディア)が上昇を主導。ウォルマートも好調な業績見通しで買われた。  
- **地政学的影響**: ウクライナ情勢の緊迫化で序盤は下落したが、ラブロフ外相の発言を受け下げ幅を縮小。  
- **投資行動**: 流動性の高い大型株への逃避買いが観測された。  
**金先物**  
- **上昇要因**: ウクライナ情勢による地政学リスク増大、安全資産需要が拡大。米金利低下とドルの上値抑制も寄与。  
- **動きの鈍化**: 朝方の上昇後、金融政策の不透明感が影響し、勢いは鈍化。  
**原油先物**  
- **上昇要因**: ウクライナ情勢緊迫化でロシア原油供給への警戒感。  
- **抑制要因**: ノルウェー北海油田の部分再開やイランの核活動停止合意報道で供給不安が緩和。  
**背景**  
ウクライナが米製ミサイルをロシア領内で使用し、緊張が高まる一方、ロシアが核ドクトリンを改定。これらの動きが市場心理に影響を与えている。
欧州市場サマリー(19日) | ロイター
### ロンドン株式市場
- 市場は**方向感を欠く展開**で、FTSE100指数は下落、FTSE250指数は0.16%上昇。
- 背景には、**ウクライナ情勢の緊迫化**や20日に予定されている**インフレ指標発表**を前にした投資家の様子見姿勢がある。
- **安全資産(米ドルや金)**が買われる一方、個人用品株指数は2.98%下落。バーバリーが5.1%、マルベリーが11.0%下落。
### 欧州株式市場
- 欧州株式市場は**3営業日連続で下落**。
- 投資家心理の不安定さを示すユーロSTOXX50ボラティリティ指数は上昇。
- ウクライナ情勢に関する地政学的リスクを背景に、**ポーランド株式指数は2.81%下落**。
- セクター別では、自動車・部品、高級品、銀行株指数がそれぞれ1%超の下落。
### ユーロ圏債券市場
- 債券利回りは**急低下**。特に、ロシアによる核政策改定の発表を受け、**安全資産買い**が加速。
- ドイツ10年債利回りは一時大幅低下し2.269%を記録。
- ロシアが核兵器使用の可能性に言及した一方で、ウクライナは米国製のミサイルでロシアの兵器庫を攻撃。
### 背景
- 市場全体で**ウクライナ戦争1000日目**に関連する地政学的緊張が意識され、投資家の警戒感が高まっている。

備忘録(2024/11/18
●海外企業決算
[ADM] アーチャーダニエルズ 3Q減収最終減益 売上高8%減199億ドル、純利益98%減1800万ドル、EPS0.04ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米LCCスピリット航空、破産法申請 コロナで需要減 - 日本経済新聞
米格安航空会社(LCC)大手のスピリット航空は18日、日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条(チャプター11)を申請した。新型コロナウイルスの影響による需要減少や価格競争を背景に赤字が続いていた。
ニューヨーク南部地区の連邦破産裁判所に申請した。発表によると既存の債権者から3億5000万ドル(約540億円)の株式投資を受けることで合意した。
破産申請手続き中も運航やチケット販売は継続するとしている。英ロイター通信によると、同社は裁判所への提出書類で資産と負債は「10億ドルから100億ドルの範囲」と報告している。
同日の声明でスピリットは「破産手続きは債権保有者の過半数に支えられており、債務を削減し、財務の柔軟性を高めることが可能だ」と述べた。
スピリットは新型コロナ以降の需要減少で航空機の売却やパイロットの人員削減などを進めたが、人件費の高騰や同業との価格競争が続いていた。2024年4〜6月期決算では11四半期連続の最終赤字を計上した。
スピリットの経営再建を巡っては、LCCのフロンティア航空が22年2月に買収する契約を結んだが、同業のジェットブルー航空が買収提案したため、破談となった。
その後、スピリットはジェットブルーとの合併協議を続けていたが、こちらも3月に破談。10月には再びフロンティアと合併協議に入った。フロンティアとの合意はスピリットの破産手続きを通じた債務再編が前提となっていた。
コロナ禍以降では、フィリピン航空やタイ国際航空、英ヴァージン・アトランティック航空など世界で複数の航空会社が破産法を申請し経営再建の手続きを進めたが、米国内の航空会社の破産申請は初めてとなる。
米サウスウエスト航空機、離陸走行中に銃撃 操縦室付近に命中 - CNN.co.jp
米サービスナウ、日本で3100億円投資 データ拠点増強 - 日本経済新聞
英ディアジオ、中国でウイスキー蒸留所開業 高級シングルモルト「雲拓」生産 - 日本経済新聞
●日本企業
日鉄副会長、USスチール組合員に書簡-米国外から鉄鋼持ち込まず - Bloomberg
日本製鉄はUSスチールの労働組合メンバーに対し、米国外で生産された鉄鋼は米国内に持ち込まないと約束している。141億ドル(約2兆2000億円)でのUSスチール買収を成立させる取り組みの一環。
日鉄の森高弘副会長兼副社長は18日、USスチール主要2拠点で働く全米鉄鋼労働組合(USW)の組合員に書簡を送付。米国市場には鉄鋼を輸出しないとの約束は、その中で強調した点の一つとなっている。労組指導部はこれまで、日鉄がいずれ米国内で鉄鋼を生産するよりも、米国外から持ち込んだ方がコストを抑制できると判断する恐れがあると指摘。日鉄の進出が米国の鉄鋼産業を脅かすと繰り返し主張してきた。
同書簡の大部分は日鉄が昨年すでに表明した内容を繰り返したものだが、買収反対を唱えるUSWのデービッド・マッコール国際会長ら組合幹部への反論にもなっている。マッコール氏は先週、日鉄が労組組合員と会合を持つことの合法性に疑問を呈していた。
森氏は書簡で「日本製鉄とUSスチールのパートナーシップについて、それがあなた方にとって何を意味するのか、多くの誤った情報が出ている」と指摘。「我々がここに来ているのは、マッコール会長が示唆したような交渉を行うためではなく、皆さんに情報を伝えるためだ。私はマッコール会長に会談を求めており、直近では11月11日に要請した。返事を待ちたい」と記した。
森氏は今週、ピッツバーグの工場を訪問し、ニューヨークや首都ワシントンにも立ち寄る予定。書簡では、ピッツバーグでの労働組合代表との会談の申し出に対する返答はまだないが、話し合いのテーブルに着くことで同意が得られれば「迅速かつ誠実に」動く用意があるとしている。  
函館線、19日始発から運転再開 JR北海道「レールが腐食」 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
米財務長官人事が混迷、有力2候補が競って売り込み-代替探しも - Bloomberg
トランプ次期米政権の財務長官の人選は週末に混乱状態に陥った。有力候補とされる2人が競って売り込みに動き、次期大統領の側近は代替候補探しに奔走。トランプ氏自身は舞台裏の混迷が公の場に表面化したことに立腹している。
資産家イーロン・マスク氏は財務長官候補として、キャンターフィッツジェラルドのハワード・ルトニック最高経営責任者(CEO)への支持を表明。これを受け、トランプ氏が起用を検討しているキー・スクエア・グループ創業者スコット・ベッセント氏はマスク氏と会談したと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
財務長官の職務は28兆ドル(約4335兆円)規模の米国債市場と経済制裁の監督を含む極めて重要な閣僚ポストだが、トランプ氏自身もこうした内部対立にいら立ちを見せているようで、スタッフは代替候補を模索している。
具体的には、トランプ政権1期目で米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザー氏やハガティ上院議員(共和)、アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワンCEO、連邦準備制度理事会(FRB)元理事のケビン・ウォーシュ氏らの名前が挙がっているという。
財務長官以外では、ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)委員長も羨望(せんぼう)の重要経済ポストの一つで、トランプ政権1期目で国家通商会議(NTC)委員長を務めたピーター・ナバロ氏らの名前が過去数日に浮上していると複数の関係者が語った。
マスク氏
マスク氏は自身のソーシャルメディアプラットフォームであるX(旧ツイッター)で、ベッセント氏と比較しつつ、ルトニック氏について大きな変化をもたらす人物だと評価した。ベッセント氏は15日にトランプ氏と面会している。
ベッセント、ルトニック両氏の支持者はトランプ氏に訴えようと、それぞれ電話攻勢を強めているが、そうした状況が緊張を生み、別の候補者が台頭する可能性を高めていると、意思決定に詳しい複数の関係者は述べた。
ルトニック氏は選挙戦の終盤でトランプ氏の資金調達を支えたほか、政権移行チームを率いる重要な役割を担っている。そうした背景もあり、財務長官ではない場合、大使職などルトニック氏が引き受ける可能性のある他の要職について一部の主要アドバイザーは検討していると、事情に詳しい複数の関係者は語った。
マスク氏はベッセント氏について、「代わり映えしない選択肢」とする一方、ルトニック氏については「実際に変化をもたらす」と投稿した。
関係者らによれば、ベッセント氏の支持者は16日、同氏とマスク氏との電話会談を急きょ設定した。同日夜には、マスク氏はトランプ氏とニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで総合格闘技団体アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)の試合を観戦。トランプ氏はその後、政権移行チームが本部を構えるフロリダ州パームビーチに戻ったという。ベッセント氏は現在パームビーチにいると、関係者らは語った。
ベッセント氏はコメントを控えた。マスク氏にもコメントを求めて連絡を取ったが、これまで返答は得られていない。
ベッセント氏は先週、FOXニュースとのインタビューで、トランプ氏の経済政策を称賛し、「今後4年間は黄金時代を迎える可能性がある」と指摘。製造業の米国への回帰、米国のエネルギー優位性、テクノロジーブームなどを挙げた。
一方、ルトニック氏はベッセント氏に反発する人物の1人で、事情に詳しい関係者によると、同氏について関税を含む主要な保護主義的公約に弱腰だとコメントしているという。
トランプ次期米大統領、マスク氏に近いカー氏をFCC委員長に起用 - Bloomberg
トランプ次期米大統領は連邦通信委員会(FCC)委員長に共和党側委員のブレンダン・カー氏を起用することを決めた。
カー氏は2012年にFCC入り。のちに委員長を務めたアジット・パイ氏のアドバイザーや法務顧問を務めてきた。トランプ氏は第1次政権の17年にカー氏をFCC委員に指名した経緯がある。
トランプ氏は声明で「カー委員は言論の自由の戦士であり、米国人の自由を抑制し経済を停滞させてきた規制と戦ってきた」とコメントした。
FCCは連邦議会が監督する独立機関で、州際・国際通信を規制する。カー氏はトランプ氏の大統領選勝利後に声明を出し自身が追求する優先事項を挙げ、「ビッグテック制御、公共の利益に則した放送局運営の確保、経済成長の促進といった重要な役割」をFCCは果たすべきだと強調していた。
カー氏はイーロン・マスク氏との緊密な関係でも知られており、同氏率いる宇宙開発企業スペースXのロケット打ち上げを見るためテキサス州を訪問したこともある。
昨年12月にはポッドキャスト番組とのインタビューで、インターネットへのアクセスがない地域にネットをつなげる方法として、マスク氏の衛星インターネットプロバイダー「スターリンク」のコスト補助が考えられるとの見方も示していた。
アングル:米国防長官候補ヘグセス氏、州兵時代に危険視された上腕のタトゥー | ロイター
トランプ米次期大統領が国防長官に指名したピート・ヘグセス氏に関し、米州兵のデリコ・ゲイザー曹長は2021年1月14日、「非常に不穏な情報がある」と警告する電子メールを送っていた。宛先は21年1月20日のバイデン氏の大統領就任式のために首都ワシントンの警備強化を支援していたワシントンDC州兵司令官のウィリアム・ウォーカー少将だった。
ゲイザー氏によると、ヘグセス氏の上腕に「Deus Vult」と書いたタトゥーがあり、インターネットで検索すると右翼過激派に関連があるキリスト教の表現だと分かったという。「Deus Vult」はラテン語で「神がそれを望まれる」を意味し、中世のキリスト教十字軍が唱えていた。
ゲイザー氏は、当時米FOXニュースの司会者になっていたヘグセス氏の上半身裸の写真を同封し、そこにはエルサレム十字架を描いた別のタトゥーがあった。エルサレム十字架は、最近では一部の極右グループによって西洋文明の戦いのシンボルとして利用されている。
州兵でセキュリティーの責任者だったゲイザー氏は「これは内的脅威の基準にあてはまる」と指摘した。ゲイザー氏は州兵から既に退役している。ロイターはメールの文面を入手した。
これまでに報道されていなかったこのメールは、ヘグセス氏にとっての転機となったようだ。もはや自分を必要としていない軍からの拒絶だと受け止めた。
ヘグセス氏は著書の中で「この感情は双方向だった。私ももはや軍を必要としていなかった」と記している。
州兵側はヘグセス氏のタトゥーや、宗教的・政治的信条を理由に標的にされたという同氏の主張、ワシントンDC州兵から解任されたのかどうかについてコメントしていない。トランプ大統領の政権移行チームはコメント要請にすぐに返答しなかった。
しかし、ワシントンDC州兵の当時のメンバー(現在は既に退役)は、ヘグセス氏のタトゥーが審査対象になった理由であり、州兵内でタトゥーに関するメールのやり取りがあったことを認めた。
この元メンバーによると、ヘグセス氏は過激派だと断定されたわけではなかったが、トランプ氏が扇動したとされる21年1月6日の連邦議会襲撃事件を受け、州兵の指導者らは慎重を期すことを選んだ。
トランプ氏が国防長官にヘグセス氏を指名したことは、米政府を驚かせた。ヘグセス氏はこれまでに国防総省幹部による政策を「(社会正義に目覚めた)ウォーク」として批判。女性の戦闘参加に反対し、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長がこの職にあるのは黒人だからではないかと疑問を呈した。
米議会上院で国防長官就任が承認された場合、ヘグセス氏は「ウォーク」と見なした将軍たちを米軍から排除するトランプ氏の選挙公約を実行に移す可能性がある。
<「下がっていい」>
ヘグセス氏がどのようにして反「ウォーク」論者になったのかはまだ明らかにされていない。しかし、ヘグセス氏が21年1月に岐路に立たされたことは次第に明らかになっている。
ヘグセス氏は今年10月のポッドキャストで、大統領就任式の警備のために首都ワシントンに行くように命じられていたが、ワシントンDC州兵に加わる前日に上司の1人からの電話で「下がっていい。君は必要ない。もう大丈夫だ」と告げられたと語った。
ヘグセス氏はなぜ自分が必要とされなくなったのか当時は聞かされていなかったが、最新刊の著書の執筆中にその元上司に連絡を取ったという。著書にはこう記されている。
「彼は言った:私は理由を99.99%知っている。来るなと言ったのは、私はメールを見たし会議にも出席したが、あなたの胸にあるエルサレム十字架のタトゥーを誰かが特定したからだ。過激派のタトゥーだと特定され、あなたは過激派、特に白人至上主義者の可能性があると見なされた」
これに対し、ヘグセス氏は「それはタトゥーのせいか、おそらく違うだろう。私がFOXで働いていたからか、それは分からない。トランプ氏を支持しているからなのか、それは分からない。それらはどれも受け入れがたい理由だ」と書いている。
そして「もう十分だと思った瞬間だった」と打ち明けている。
前出のゲイザー氏は、ヘグセス氏のタトゥーに関する情報を指揮系統へ送り、上層部の判断を仰いだ自身の決断は正しかったと明言した。自身の任務は州兵の安全を確保することだったとして「私はリーダーとしてやるべきことをやったまでだ」と訴えた。
トランプ氏、財務長官の新たな候補リスト検討 - WSJ
トランプ次期米政権の財務長官ポストを巡り熾烈な争いが繰り広げられる中、トランプ氏自身も内部対立にいら立ちを見せており、同氏の陣営は新たな候補者リストを検討している。
事情に詳しい複数の関係者によると、財務長官候補にはジョージ・W・ブッシュ大統領の経済政策顧問で後に米連邦準備制度理事会(FRB)理事を務めたケビン・ウォーシュ氏と米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)の名前が挙がっている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は先に、トランプ陣営がローワン氏に接触し、同氏もこれを認めたと報じた。事情に詳しい複数の関係者によると、ローワン氏はまだトランプ氏と職責について話し合っておらず、財務長官の座に就くために積極的に動いているわけではないという。ウォーシュ氏は今年に入りFRB次期議長の有力候補の1人として名前が挙がり、現在はトランプ陣営から財務長官候補として取り沙汰されている。
ウォーシュ氏はコメント要請に応じていない。同氏はトランプ氏の政権移行チームのメンバーで、経済政策と人事を担当している。
新政権におけるホワイトハウス報道官に指名されているキャロライン・レビット氏は「トランプ次期大統領は第2次政権の人事をまとめている」とし、「決定次第、顔ぶれを発表する」と述べた。
トランプ氏に近い勢力には、ビル・ハガティ上院議員(共和、テネシー州)を財務長官に推す声もある。
財務長官の有力候補として以前から名前が挙がっている投資家のスコット・ベッセント氏と、富豪で実業家のハワード・ルトニック氏も引き続き候補に残っているものの、新政権における他のポストでの起用も検討されている。
トランプ氏側近、財務長官にウォーシュ氏起用支持を示唆-関係者 - Bloomberg
トランプ次期米大統領の側近数名は、次期財務長官としてケビン・ウォーシュ氏への支持を示唆している。ウォーシュ氏は連邦準備制度理事会(FRB)の元理事。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ウォーシュ氏は政権移行チームが拠点を置くトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ・クラブ」に招かれており、今後数日中に次期大統領との面接に臨むと関係者は話した。
ただ、ヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループ創業者のスコット・ベッセント氏もトランプ氏側近らの支持をまだ得ているが、代替候補としてウォーシュ氏(54)の起用にオープンだという。
トランプ氏はまだ決定を下しておらず、財務長官のポジションを巡るここ1週間ほどの内輪の争いにいらだっている様子だと、関係者らは語った。
トランプ氏は、経済チームの他のメンバーについても絞り込みを進めている。トランプ政権1期目で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたエコノミストのケビン・ハセット氏がホワイトハウスの国家経済会議(NEC)委員長候補だと関係者らは述べた。
政権移行チームはコメント要請に返答しなかった。関係者によれば、ウォーシュ氏は5日の米選挙日以降、政権以降チームと過ごしており、経済政策や人事に関する決定で助言している。
トランプ氏は2017年にウォーシュ氏をFRB議長に指名することを検討していた。
ウォーシュ氏は先週時点では次期財務長官候補として名前が挙がっていなかった。しかし、ベッセント氏とキャンターフィッツジェラルドのハワード・ルトニック最高経営責任者(CEO)それぞれが自らを売り込むなど混乱が広がったことを受け、トランプ氏のチームが代替候補探しに動いたと関係者は話した。
●先進国中銀、金融当局
緩和度合い調整、物価目標の持続・安定的な実現に資する-日銀総裁 - Bloomberg
日本銀行の植田和男総裁は18日、金融緩和度合いを今後調整していくことは物価安定目標の持続的・安定的な実現に役立つとの見解を示した。注目の追加利上げ時期については具体的な言及はなかった。名古屋市内で講演と記者会見を行った。
植田総裁は、経済や物価の改善に併せて緩和度合いを少しずつ調整していくことは成長を支え、「物価安定の目標を持続的・安定的に実現していくことに資する」と指摘。タイミングについては「先行きの経済・物価・金融情勢次第」とし、毎回の金融政策決定会合で「利用可能なデータや情報などから、経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら政策判断を行っていく」と述べた。
日銀の経済・物価見通しが実現すれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくと改めて表明。もっとも、日銀の見通しを巡る不確実性は高いとし、米国をはじめとした海外経済や金融資本市場の動向が、「見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある」とした。
日銀は10月会合で政策金利を0.25%程度で維持することを決めた。植田総裁は会合後の会見で、政策判断に「時間的な余裕はある」との表現を今後は使わないと語った。トランプ米次期大統領のインフレ的な政策への思惑からドル高・円安が進行する中、市場には早期の追加利上げ観測が強まっているが、今回の講演と記者会見では12月会合での利上げを強く示唆する発言はなかった。
タイミング待ちとの見方も
大和証券の岩下真理エグゼクティブエコノミストは、総裁講演について、12月会合に向けて利上げを強く示唆するものはなく期待外れだったと指摘。まだ会合まで1カ月あり、「12月にやると決め打ちはしていない状況に見える」とし、それでも10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)の見通しに沿った動きが続けば金融緩和度合いの調整は可能で、「あとはタイミング待ち」との見方を示した。
植田総裁の講演後、円相場は一時1ドル=155円台に下落した。足元では154円台半ばで推移している。債券相場は上昇(金利は低下)に転じている。
植田総裁は、日銀が政策判断で重視している賃金と物価の好循環に関しては、今後の労使交渉の展開に加え、賃金上昇の物価への波及、特にコストに占める人件費の比率が高いサービスの価格がしっかり上がっていくかを注目点に上げた。
米経済に関しては、景気減速を回避しながらインフレ率を抑制する「ソフトランディングシナリオが実現する可能性は高まる」とする一方、今後の景気展開や政策運営次第で「インフレが再燃する逆方向のリスクも否定できない」とした。質疑では、トランプ次期政権の政策に関して「世界経済に影響の大きいアメリカの政策であり、大変注目してみている」とも語った。
オントラック
その後の会見では、12月会合での利上げの可能性を問われ、「その時点で適切な判断をする」と説明。円安の影響に関しては、その背後にある経済要因を含めて見通しやリスクへの影響を分析して「各会合で判断していく」と語った。
足元の日本経済は前進が見られているとし、実質金利が低水準にある中で、見通しに応じて緩和調整をしなければ「どこかでインフレ率が急に加速し、急速な金利の引き上げを迫られるという可能性もゼロではない」と指摘。利上げした7月会合以降の経済・物価は「オントラック(想定通り)」とし、時期が遅れて後手に回る「ビハインド・ザ・カーブに陥らないように適切に政策判断する」と述べた。
ECB副総裁、高債務によるリスク警告-長期的な課題克服の妨げに - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス総裁は18日、高水準の政府債務が長期的な経済課題への対応を妨げ、低成長に甘んじる結果になりかねないと警告した。
フランクフルトで開催された「ユーロ・ファイナンス・ウィーク」で講演したデギンドス氏は、プライマリーバランス(PB)の赤字が膨らみ、債務負担が増加すると、気候変動対策や国防支出、デジタル化、生産性向上といった分野への支出余地が欠如する恐れがあると述べた。
同氏は「財政の遅れや財政再建の道筋を巡る疑問は、ソブリンリスクのさらる見直しを引き起こす可能性がある」と述べ、「また、現在の大幅なPB赤字は、不測の事態が発生した場合に政府が経済を支えることをより困難にする」と指摘した。
ECBは今週、半期に一度の金融安定報告を公表する。この報告では、欧州の企業にとって主要な資金調達源である銀行が直面するリスクが評価される。経済見通しに対する不透明感から、最近では投資が低迷。ドナルド・トランプ氏の米大統領再選も新たなリスク要因となっている。
「マクロリスクのバランスは、高インフレ懸念から経済成長懸念へと変化した」とデギンドス氏は述べた。  
ECBは来月に年内最後の政策会合を控えており、4回目となる0.25ポイント利下げが広く見込まれている。その先の道筋についてECB当局者は追加利下げを示唆するものの、その規模やペースについては手掛かりを示していない。
トランプ関税、インフレへの影響は軽微に=独連銀総裁 | ロイター
米家賃インフレ、26年まで収まらず-クリーブランド連銀のモデル示唆 - Bloomberg
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、住宅インフレは「まだ完全に正常化していない」とし、当局者らが注視し続けていると述べた。
実際、消費者物価指数(CPI)における家賃インフレが新型コロナ禍前の標準的水準に落ち着くには、2026年半ばまでかかる可能性があることが、クリーブランド連銀の調査で明らかになった。一部には新規契約の家賃が下落傾向にあることが示唆されているが、引っ越しをして新たな契約を結ぶ人は減っているため、CPIの調査サンプルでは実態が十分に把握できないと、同連銀の調査担当者は指摘した。
住居費はCPIの最大カテゴリーで、10月は総合CPIの前月比上昇率の半分以上を占めた。クリーブランド連銀が予測するように、住居費があと1年半にわたって高水準で推移すれば、インフレでの進展を利下げの主要な論拠に挙げている米金融当局に課題を突きつけることになるだろう。
インフレーション・インサイツのオメイア・シャリフ社長は「たとえ家賃のような遅行データであっても、インフレ上昇の兆候はコミュニケーションを難しくする。最終的に利下げをより困難にする可能性がある」と指摘。「既に1人が反対票を投じていた。CPIの上昇にもかかわらず利下げ継続を主張すれば、反対票がさらに増えるだろう」と話した。
シャリフ氏は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で0.5ポイント利下げに反対したボウマンFRB理事に言及。ボウマン氏はより小幅な利下げを支持した。FRB理事としては異例の反対票となった。今月の0.25ポイント利下げ決定は全会一致だったが、12月以降の見通しは不透明だ。
パウエル議長は14日、ダラスでの講演で、最近の米経済が「目覚ましく良好」に推移しているとし、慎重なペースで政策金利を引き下げる余地が生じていると発言。経済データが許せば、利下げをゆっくり進めるのが賢明だろうとの認識を示した。
FRBは個人消費支出(PCE)価格指数という別の指標に基づいてインフレ目標を設定している。同指数は住宅のウエートがCPIほど高くない。PCE価格指数が当局目標の2%に傾向的に近づきつつあるのは、それが一因だ。ただし、PCEはCPIの数字を用いて独自の住宅指標を算出しているため、進展の遅れは両方の指数に影響を及ぼす可能性がある。
JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「3%を突破するような上昇傾向となれば、事態は深刻に複雑化するだろう」と述べた。
同氏は食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数に言及した。同指数は9月に前年同月比2.7%上昇。10月については2.8%上昇への加速がエコノミストの間では予想されている。10月の数字は今月下旬に公表される。
●先進国経済指標
英住宅売却希望価格、例年以上の落ち込み=ライトムーブ | ロイター
米11月住宅建設業者指数46に上昇、7カ月ぶり高水準=NAHB | ロイター
全米住宅建設業者協会(NAHB)が18日発表した11月のNAHB/ウエルズ・ファーゴ住宅建設業者指数は46と、10月の43から上昇した。今年4月以来7カ月ぶりの高水準となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想43を上回った。
現在の販売状況を示す指数も上昇。向こう6カ月間の販売予測を示す指数は2022年4月以来、2年7カ月ぶりの高水準だった。
米大統領選で共和党候補トランプ前大統領が勝利し、議会選挙でも共和党が上下両院の過半数を占めるとの結果を受け、住宅建設増につながる規制変更への期待が高まったことが背景にある。
NAHBのカール・ハリス会長は「選挙が終わって共和党が権力を握り大幅に業界の規制が緩和され、住宅やアパートの建設増加につながるだろうとの期待感が建築業者の間で高まっている」と指摘した。
ただ、共和党は積極的な規制緩和を公言しているが、建築業界に影響する規則は州・地方レベルで決定されるものが多い。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディーツ氏は、景況感は改善したものの、業界は依然として労働力不足や建築用地の供給不足、資材費の上昇という逆風に直面していると言及。建築業界は移民労働者の最大の雇用主の一つで、トランプ氏が移民規制強化を掲げていることから、業界の労働力供給はさらにひっ迫する可能性がある。
また、米連邦準備理事会(FRB)による9月以降の政策金利の引き下げ後も住宅ローン金利は高止まりし、値下げなどの対応を迫られる動きも出ている。
●金融市場、先進国トピックス
感謝祭休暇の米旅行者、過去最多の8000万人に=業界団体 | ロイター
全米自動車協会(AAA)は18日、感謝祭を含む11月26日から12月2日までの旅行者数が8000万人弱と、前年同期比約170万人増え、過去最高を更新するとの見通しを明らかにした。
アメリカン航空は、21日から12月3日の乗客数が昨年を約50万人上回る830万人に達すると見込む。デルタ航空は感謝祭期間中の12日間の乗客数が前年比5%増加し、過去最高の650万人になると予想している。
サウスウエスト航空とアメリカンは12月1日に旅客数がピークを迎えるとの見通しを示した。
ユナイテッド航空は、28日の感謝祭に続く週末3日間の乗客数は前年から20%増えたが、週明け2日間の需要は横ばいと明らかにした。13日間の総旅客数は過去最高の620万人を見込んでいる。
旅行予約アプリ「ホッパー」によると、今年の国内旅行の平均航空運賃は10月末時点で273ドルと、前年を9%上回っている。しかし、2022年や新型コロナ前の水準よりも低い。
AAAによると、国際線の予約数は昨年の感謝祭と比較して23%増加しているが、平均航空運賃は5%下落している。
<自動車旅行>
AAAは自動車による国内旅行者を前年比130万人増の7170万人と予測している。
原油価格の下落により、21年以来初めて全国平均ガソリン価格が1ガロン=3ドルを下回る可能性がある。
<バス、クルーズ、鉄道旅行>
AAAによると、バスなど他の交通手段で移動する人は230万人弱と前年比9%増加し、19年からは18%増となる。
これはクルーズ人気の高まりによるところが大きく、国内外クルーズの予約は昨年の感謝祭に比べて20%増加している。
鉄道大手アムトラックの広報担当者は、昨年は11月18─26日の利用者が100万人を超えたが、今年はさらに増える見込みだと述べた。
世界のIPO、10月は前年比2.5倍の199億ドル=LSEG | ロイター
世界のM&A、10月は前年比27%減の2375億ドル=LSEG | ロイター
ESG社債ブーム陰り、初の発行減少 トランプ氏で逆風も - 日本経済新聞
北欧諸国、「戦争を生き延びる」ため国民にあらためて助言 世界情勢の変化受け - BBCニュース
スウェーデン政府は18日、何百万人もの国民に対し、戦争や予期しない危機が生じた場合について、備えと対処方法に関する助言をまとめた、新しいパンフレットの配布を開始した。
「もし危機や戦争が起きたら」と題したパンフレットは6年前にも配布されたが、最新版はサイズが2倍になっている。スウェーデン政府は安全保障状況の悪化、つまりロシアによるウクライナ全面侵攻を受けて、パンフレットの内容を更新した。
隣国フィンランドの政府もまた、「異変と危機への備え」に関する独自の新しい助言をオンライン上で発表したばかり。
ノルウェー政府も最近、異常気象や戦争やその他の脅威発生から1週間は自力で何とかするため、備えをしておくようにと呼びかけるパンフレットを国民に配布した。
フィンランドのデジタル・パンフレットは、軍事衝突が起きた場合について、細かく説明している。武力衝突が起きた場合に政府と大統領がどう対応するか詳述するほか、当局が「自衛のために十分な備え」をしていることもパンフレットは強調している。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、フィンランドとスウェーデンは北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請を申請し、フィンランドは昨年4月に加盟が実現した。スウェーデンは今年3月に加盟したばかりだ。ノルウェーはこの西側防衛同盟の原加盟国のひとつ。
フィンランド政府はパンフレットの配布には「何百万ユーロもかかる」ほか、デジタル版の方が更新しやすいことを理由に、スウェーデンやノルウェーのように印刷したものを各家庭に配ることはしなかった。
気候変動などでリスク増加
ノルウェーの国民保護総局(DSB)のトーレ・カムフィヨルド氏は、「各家庭に1部ずつ、合計220万部を発送した」と語った。同氏は、国民がそれぞれ危機に備えるよう推進するキャンペーンの責任者。
いざという時のために各自が自宅で備えるべきものとして、ノルウェー政府が挙げる品目には、豆の缶詰やエナジーバー、パスタといった長期保存が可能な食品や、原発事故を想定したヨウ素剤などの医薬品が含まれる。
同政府は2018年にも、一つ前のバージョンのパンフレットを国民に送っている。しかし、カムフィヨルド氏によると、気候変動や、洪水や地すべりといった異常気象が増加したことで、今は以前よりもリスクが高まっているという。
「攻撃されても諦めない」
スウェーデン国民にとっては、市民向け緊急事態冊子の配布は目新しいことではない。「もし戦争が起きたら」という冊子の初版は第2次世界大戦中に作成され、冷戦時代にも内容が更新された。
かつて冊子の中ほどに掲載されていたメッセージが、今回は前の方に移されていた。「スウェーデンが他国から攻撃されても、私たちは決して諦めない。抵抗をやめろと促す情報は、すべて偽りだ」というのが、その内容だ。
フィンランドとスウェーデンのインフラと「総合防衛システム」は冷戦時代のものだが、両国はつい最近まで中立政策を堅持していた。
スウェーデンのカール=オスカル・ボーリン民間防衛相は先月、世界情勢が変化したことから、スウェーデンの一般家庭向けの情報にもその変化を反映しなければならないと述べた。
ボーリン氏は今年1月の時点で、「スウェーデンで戦争が起こるかもしれない」と警告していたが、当時は「総合防衛」再構築の動きが遅すぎると感じてあえて警鐘を鳴らしたものと受け止められていた。
「戦争は起こり得る」という意識
ロシアと長い国境を接し、第2次世界大戦で旧ソヴィエト連邦との戦争を経験したフィンランドは、常に高水準の防衛を維持してきた。一度はインフラを縮小したものの、近年になって再び強化を開始した。
「フィンランドから見れば、これは少し奇妙なことに思えるはずだ」と、スウェーデン防衛大学のイルマリ・カイヒコ戦争学准教授は言う。
「(フィンランドは)戦争は起こり得ると、決して忘れたことがない。それに対してスウェーデンでは、それが実際に起こり得るのだと国民に理解させるため、国民を少し揺さぶる必要があった」のだと、フィンランド出身の准教授は指摘する。
フィンランド出身でスウェーデン・ヨーテボリで学ぶメリッサ・イヴ・アヨスマキ氏(24)は、ウクライナで戦争が起きて、自分の不安が増したと話す。「今はそれほど心配していないが、戦争が起きたらどうしようという思いは今も頭の片隅にある。特にフィンランドには家族がいるので」。
フィンランドのパンフレットは、いくつかのシナリオを想定し、危機的状況に陥った場合に少なくとも当面の間は自力で生きていけるようにしておくよう国民に求めている。
フィンランドでは冬になると、気温がマイナス20度にまで落ち込む。停電が数日続いたらどう対処するのかなどを、パンフレットは国民に問いかけている。
国民にはヨウ素剤のほか、簡単に調理できる食料、ペットフード、予備電源などの備えも呼びかけている。
発生後72時間分の食料・水を
一方でスウェーデン政府は、ジャガイモやキャベツ、ニンジン、卵に加えてボロネーゼソースの缶詰、ブルーベリーとローズヒップのスープなどを、用意しておくよう奨励している。
スウェーデンのエコノミスト、インゲマル・グスタフソン氏(67)は、旧バージョンのパンフレットを受け取った当時をこう振り返る。「私は事態をそれほど心配していないので、かなり冷静に受け止めている。どう行動すべきか、どう備えるべきか、情報を得るのはいいことだが、全部を自宅で用意しているわけではない」。
最も重要な助言の一つは、発生から72時間分の食料と飲料水を確保しておくことだ。
しかし、これは全ての人にとって現実的なことなのか。前出のカイヒコ准教授は疑問視している。
「大家族で狭いアパートに住んでいる場合、一体どこにしまっておけばいいのだろう」
米利下げあと75bpで終了、トランプ氏の政策ミックス影響-BofA - Bloomberg
米小売り決算、年末商戦とトランプ関税の影響が焦点-消費の行方占う - Bloomberg
欧米百貨店に再編の波 主戦場アジア、日本勢は脱百貨 世界最前線㊤ - 日本経済新聞
●中東情勢
米のイスラム団体、トランプ人事に失望 親イスラエル派起用で | ロイター
フランクリー・スピーキング:パレスチナ人はトランプ新大統領の誕生をどう受け止めているのか?|ARAB NEWS
ドバイ:ドナルド・トランプ次期米大統領の前政権はイスラエルの強固な同盟国と見られていたが、パレスチナのバーセン・アガベキアン・シャヒン外務・移民担当国務大臣によると、パレスチナ人はトランプ氏のホワイトハウス復帰に期待を寄せているという。
その理由の大部分は、パレスチナの国家化の問題を取り巻く国際情勢が、トランプ前政権時代とは根本的に異なっているという認識によるものだ。
「私たちは希望を持ち続けなければなりません」と、アラブニュースの時事番組『フランクリー・スピーキング』に出演したアガベキアン・シャヒン氏は、トランプ次期大統領が両極化した米国の選挙戦で強力な支持を獲得した1週間後に語った。
しかし、彼女の楽観論は、イスラエルの占領下でパレスチナ人が感じてきた数十年にわたるフラストレーションからきている。「私たちが望んできたのは、これまで通り、私たちの主権と自決を伴うパレスチナ国家です」と彼女は『フランクリー・スピーキング』の司会者ケイティー・ジェンセンに語った。
トランプ氏の最初の任期は、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、アメリカ大使館をテルアビブから移転させるなど、物議を醸すような動きが目立ったが、アガベキアン・シャヒン氏は、変化の可能性が残されていると信じている。
「アメリカの次期大統領になっても、私たちの希望は変わらない。トランプ大統領がよりバランスの取れたアプローチをとり、パレスチナ人の権利を議題として取り上げてくれることを期待している」
前政権時代、トランプはアブラハム合意に基づくアラブ諸国とイスラエル間の正常化協定を支持した。しかし、アガベキアン・シャヒン氏は、「パレスチナ人の権利が考慮されなければ、和平は持続不可能だ 」と言う。
トランプ前政権とは対照的に、アガベキアン・シャヒン氏は、同盟関係の変化やガザでのイスラエルの行動に対する国民の怒りの高まりによって、パレスチナの国家化を支持する世界的な機運が高まっていると言う。
「今の時代は、2、3年前とは違うと思う」とアガベキアン・シャヒン氏は言う。
「ガザで続いている大量虐殺、ヨーロッパの各首脳の間で高まっている圧力と不満……そして今日、サウジアラビアが主導するパレスチナ国家の具体化に関するアリアランス……これらは無視できない新たな次元です」
イスラエルによるガザへの軍事作戦は、10月7日にハマス主導でイスラエル南部が攻撃され、1,200人以上が死亡、250人が人質となった事件への報復として行われた。パレスチナの小さな飛び地での紛争は、43,700人以上の死者と190万人の避難民を出した。
ガザにおける破壊の規模に対する国際的な批判は、この1年で強まり、イスラエルの国際法遵守を疑問視する声も多い。イスラエルの指導者たちは、国際司法裁判所や国際刑事裁判所において戦争犯罪に問われる可能性がある。
東エルサレムを首都とする独立したパレスチナ国家がイスラエルと平和的に共存することを想定している。
サウジアラビアの外交的・人道的努力を称賛するアガベキアン・シャヒン氏は、2国家間解決を促進するために王国が主導する新しい国際アライアンスは、パレスチナ人にとって希望の源であると述べた。
この野心は、11月11日にサウジアラビアの首都で開催されたアラブ連盟とイスラム協力機構の合同首脳会議で、57カ国のアラブ・イスラム諸国の首脳がイスラエルに対し、数十年来の紛争の終結を交渉するよう呼びかけたことでさらに重みを増した。
「サウジアラビアは、パレスチナ人への援助とその支援において、非常に重要な役割を果たしてきました。リヤドで開催されたサミットは、非常に重要なメッセージです。この会議には57カ国が参加し、明確な決定がなされ、占領の終結に焦点が当てられました」
サウジアラビアは、イスラエルとの関係正常化とパレスチナの国家化の進展を明確に結びつけている。アガベキアン・シャヒン氏は、この立場は 「非常に重要な一歩であり、前進させるものであり、パレスチナの人々に多くの希望をもたらすものです 」と述べた。
先日の共同サミットでは、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が、イスラエルのガザでの行動をジェノサイド(大量虐殺)と表現した。とはいえ、イスラエルの西側同盟国の多くを含め、この言葉の使用を避けている国もまだいくつかある。
アガベキアン・シャヒン氏は、ガザでの人的被害の大きさを認めつつも、正確な用語は、起きている残虐行為に対処することよりも重要ではないと述べた。
「たとえ30万人がガザで殺されたとしても、神が禁じられたとしても、それをジェノサイドと呼ばない国もあるでしょう。起こっているのは人道的大惨事なのです。… 政府も人々も、このような残虐行為を続けることはできないと、ますます認識するようになっています」
ガザを襲った大虐殺の引き金となった責任はハマスにあるのか、と問われたアガベキアン・シャヒン氏は、パレスチナの過激派グループを真っ向から非難することはせず、暴力の連鎖に拍車をかけている根本的な状況に焦点を当てた。
「何よりもまず非難されるべきは、70年以上にわたってパレスチナの人々の生活を窒息させてきた好戦的な占領です。人間として追い詰められ、トンネルの先に光が見えないとき、明らかに暴力が噴出します」
状況の厳しい現実と、戦争をしている側の間の激しい敵意にもかかわらず、アガベキアン・シャヒン氏は、紛争を解決するための外交と国際法の遵守の重要性を強調した。
「いかなる側からの暴力も容認できません。私たちは暴力を脇に置き、国際法に従って解放に近づくメカニズムに頼る必要があります」
この平和的解決策を求める姿勢は、アガベキアン・シャヒン氏の学歴、人権擁護活動、パレスチナ交渉団のベテランメンバーとしての豊富な経歴と一致している。
4月に大臣に任命される以前は、パレスチナ大統領府の能力・制度構築プロジェクトのディレクターやパレスチナ独立人権委員会のコミッショナー・ジェネラルなど、さまざまな職務を歴任した。
エルサレムのアルメニア人コミュニティの一員であるアガベキアン・シャヒン氏は、エルサレムの少数民族が直面する圧力を目の当たりにしてきた。彼女は旧市街のアルメニア人地区の重要性を強調するが、この地区は極右のユダヤ人入植者たちによって、ますます大きな脅威にさらされている。
「問題の土地はかけがえのないものです」と彼女は言い、アルメニア総主教庁とオーストラリア系イスラエル人の開発業者との間で、高級ホテルを建設するためにアルメニア人地区の土地を貸し出すという、現在進行中の苦しい法的紛争について言及した。
「この土地は、エルサレムにおける数十年にわたるアルメニア人の遺産の一部です。このコミュニティには、イスラエルの弁護士と国際的な弁護士からなる非常に優秀なチームがあり、この裁判に取り組んでいます」
エルサレム旧市街のアルメニア人居住区は、この地域におけるアルメニア人のアイデンティティと存在の象徴であった。アガベキアン・シャヒン氏は、アルメニア人だけでなく、エルサレムの多文化遺産にとっても、その保存は不可欠だと考えている。
キリスト教コミュニティがパレスチナや中東から広く流出したことは、それ自体がこの地域における宗教的多元主義の衰退を示すものである。アガベキアン・シャヒン氏は、この傾向を占領下の生活苦のせいだと考えている。
「人々は占領にうんざりしています。彼らは子供たちのためにより良い未来を望んでいます。占領が終われば、経済的な展望が開け、人々が見据えることのできる未来があります」
パレスチナ人が世界的な舞台での明瞭さを待ち望むなか、アガベキアン・シャヒン氏は断固とした態度を崩さない。「私たちが今日望んでいるのは、イスラエルの隣で平和に暮らすパレスチナの主権国家です」
しかし、パレスチナ人にとってだけでなく、和平がつかみどころのない中東全体にとって、賭けは大きい。アガベキアン・シャヒン氏は、次期米政権は紛争の根本原因に対処しなければならないと考えている。
「パレスチナ人に正義がもたらされなければ、持続可能な和平はありえないのです」
サウジ未来都市構想、国の資金不足でピンチ - WSJ
●エマージング
【社説】ATACMSとプーチン氏とトランプ氏 - WSJ
ジョー・バイデン米大統領は、ロシア領内の軍事目標への攻撃にウクライナが米国製長距離ミサイルを使うことを、ようやく容認した。しかし、ロシアのウクライナ侵攻が始まってから今回の決断に至るまでに、既に1000日近くが経過していた。ウクライナのエネルギーインフラに対するロシアのとりわけ残虐なミサイル攻撃の後、米当局者が17日、このニュースをメディアにリークした。
米当局者によれば、1万人の北朝鮮兵がロシア入りしたことがバイデン氏のこれまでの考えを変えさせたという。ロシアのクルスク州からウクライナ軍を駆逐するための戦闘で、北朝鮮兵は捨て駒にされるとみられる。ウクライナ軍はこれまで、ロシア領内の標的への攻撃に、ドローンや自国製ミサイルを使ってきた。しかし米国製の陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)の使用が可能になれば、これまでロシア軍の聖域だったロシア領内のより深部の標的を、ウクライナ軍が攻撃できるようになる。
米政府は明かしていないが、バイデン氏は自身の退任前にウクライナの立場を強化しようとしている。直近の支援計画で議会承認されたすべての軍需品を供与することで、ウクライナの力を強めたいと同氏は考えている。バイデン氏があまりにも長い間、高性能兵器の供与と使用に関してウクライナに制限を設けてきたことは悲劇と言える。
ドナルド・トランプ氏は、この戦争をすぐに終わらせるよう努めると述べているが、その方法はまったく明確になっていない。ただ、ATACMSの使用に関する決定と軍事支援によって、ウクライナが交渉の上でより強い立場に立てば、和平合意を促進する一助となるかもしれない。
トランプ陣営によると、前大統領で次期大統領でもあるトランプ氏は最近の電話で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、ウクライナで戦争をエスカレートさせないよう要請した。プーチン氏のそれに対する答えは、北朝鮮兵の投入と、週末に行われたミサイル集中攻撃という無遠慮なものだった。冬が近づく中で、ウクライナのエネルギー供給網を破壊しようと試みることはとりわけ残酷だ。ロシアの独裁者はまた、自らの立場を強め、現在支配しているウクライナ東部の一部を手放す取引を迫られないようにするため、ウクライナ兵をロシア領から追い出したいと考えている。
プーチン氏はトランプ氏に、自らの和平合意の条件が厳しいものになると伝えている。トランプ氏はそれに合わせて、自らの政策を調整する必要があるだろう。
ロシアの戦争継続、「死の経済」が果たす役割 - WSJ
ロシアの貧困地域では、戦争に行くことが合理的な経済的選択となっている。
ウクライナでの戦争で人的損失が膨らむロシアは、高給やボーナスを提示して新兵を確保しようとしている。貧困が特に深刻な地域では、兵士の給与が国内平均の5倍に達するケースもある。前線で死亡した兵士の家族は政府から多額の補償金を受け取る。
遺族にとっては、人生を変えるほどの金額となる。ロシアの経済学者ウラジスラフ・イノゼムツェフ氏の試算によると、35歳の男性が1年間戦闘に参加し、その後戦場で死亡した場合、軍人の給与と死亡補償金として家族が受け取る金額は約1450万ルーブル(約2300万円)に達する。一部の地域では、これは60歳まで民間人として働いて得られる収入の累積額を上回る。家族はその他にも一時金や保険金などの受給対象になる。
イノゼムツェフ氏は「前線に行って1年後に殺されるほうが、男性のその後の人生よりも経済的には得になる」と述べ、これを「デスノミクス(死の経済)」と呼んでいる。
ロシア兵の死者は膨大な数に上り、死亡補償金などの支払いは6月までの1年間で300億ドルになった。こうした支払いは、戦争がロシアの社会と経済にどのような変化をもたらしているかも浮き彫りにしている。ロシアはウクライナへの侵攻をきっかけに軍事支出をソ連崩壊後の最高水準に引き上げ、西側による制裁の影響の一部を相殺する形になった。兵器工場は24時間稼働し、雇用と高賃金をもたらしている。
ロシアの貧困地域の一部では、戦争継続のために政府が必要とする兵士を供給することと引き換えに、戦死に伴う受取金が増加し、富の流入が起きている。公式統計によると、現在の貧困水準は1995年の統計開始以降で最低となっている。軍に入隊することの意味にも変化が生じている。
ソ連崩壊後、ロシアでは軍で働くことは熟練職に就けない才能のない男性のキャリアとみなされがちだった。大きな戦争がなく、多くの兵士は軍事基地で書類整理や雑務をこなすだけだった。
ところが、ウクライナでの戦争が始まり、戦う意思のある兵士にとって状況は一変した。収入だけでなく社会的地位も向上した。政府要職に就く軍人を育成することを目的とした「英雄の時代」と呼ばれる新たなプログラムも立ち上げられた。
ロシア各地の学校では、前線から戻ったばかりの兵士による講演が行われている。戦死した地元の「英雄」をたたえるために設けられた空席には兵士の略歴が刻まれ、生前の所持品なども置かれている。
一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、さまざまな特権や政界への近道が得られる「新エリート」層が軍人から生まれていると称賛している。人々を鼓舞するこうしたやり方は所得格差による社会的緊張を和らげる役割を果たしており、これまでの大統領令や所得再分配計画ではできなかったことだ。ロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」の調査によると、ウクライナ戦争前と比べて国が正しい方向に向かっていると考えるロシア人の割合は顕著に増加している。
ロシア政府にとって、軍人を対象に支払いを大幅に増やすことは本格的な動員令の回避に役立つ。2022年に発令した部分動員令は国内で動揺を招き、多くの若い男性が国外に逃亡した。
ウィーン国際経済研究所のエコノミスト、ワシリー・アストロフ氏は政府の支払いについて、「後進地域のほとんどの人々が生涯で見たことのない金額であり、多くの人々が受け入れるのも不思議ではない」と話す。「クレムリンにとって、兵士に高給を与えることは国内の高い支持を得ながら戦争努力を維持する唯一の方法になっている」
ロシア当局者の間では、戦死によって経済的利益がもたらされるという考え方を積極的に支持する動きもある。
ロシア極東のある地域の知事は、戦争の影響を受けた子どもへの支援を目的とした会議で、戦死という父親の英雄的行為のおかげでアパートを手に入れることができたことを子どもは理解すべきだと主張した。子どもはそれによって愛国心が強化されるとの見方も示した。
西側の推定によると、ロシアは戦争開始以降、60万人以上の死傷者を出した。兵士の補充や入隊奨励のために、政府はウクライナで戦う兵士に月給として最低21万ルーブルを支払っている。これはロシア全体の平均である7万5000ルーブルを大幅に上回る。
さらに、攻撃作戦への参加や戦場での功績に対してボーナスが与えられる。地方政府も追加の支払いを行う。戦死した兵士の家族は、連邦・地方レベルと保険による補償金として15万ドル以上を受け取ることができる。
英国防省は9月、ロシアが結果的に1日約1000人の男性を集めることができているとした。支払い増加は年内の採用水準を押し上げるとの見通しも示した。ただ、ロシアの損失は極めて大きい。トニー・ラダキン英国防参謀総長は10日、ロシア軍が10月に1日平均1500人の死傷者を出したと英BBC放送に語った。
軍人家族への資金流入には経済全般に関わるリスクもある。
研究グループ「Re:Russia」の分析によると、こうした支払いは2024年6月までの1年間で国家支出の約8%を占め、財政赤字を拡大させている。支払いが高インフレの一因となったため、ロシア中央銀行は政策金利を過去最高に迫る21%へ引き上げた。また、前線に向かう男性が増えたことで労働力不足が深刻化し、企業では溶接工や運転手、建設作業員などが足りなくなっている。
一方、ロシアの辺境地域では戦争に伴う資金流入が大きな変化をもたらしている。
始目前の2022年1月以降、銀行預金残高が151%増加した。この伸び率はロシア国内で最も高く、人々が相当な額を貯蓄に回していることが示されている。トゥバ共和国では建設ブームが起きており、首都クズルでは高層住宅が次々と建設されている。
貧困が特に深刻な地域では消費も増えている。ロシア南部のアルタイ地方では今年、レストランやバーの売上高が前年比で56%増加し、ロシア全体の9%増を大幅に上回っていることが公式統計で示されている。
「ロシアで最も貧しい地域が戦争から最も恩恵を受けている」。そう語るのはフィンランド銀行移行経済研究所のシニアアドバイザー、ローラ・ソランコ氏だ。こうした地域の人々は「過去にこうした機会がほとんどなかったため、変化の速度は劇的だ」と同氏は話す。
戦争がロシア人の生活にもたらした変化の顕著な一例はブリヤート共和国で見受けられる。同共和国はシベリアの山岳地帯に位置し、モスクワから地理的に非常に遠いため、多くの住民は、自分たちのアイデンティティーは国境を接するモンゴル北部のほうが近いと考えている。
2022年9月の動員令はブリヤート共和国に社会的混乱をもたらした。同共和国からは数万人の男性がウクライナに出征し、戦争の犠牲者に関する調査を行っているロシアの独立系メディア「メディアゾナ」によると、10月時点でそのうち少なくとも1719人が死亡した。地元ニュースサイトは毎日、戦場で死亡した男性の追悼記事を数件掲載している。ただ、戦死を受け入れる姿勢が全体的にあると語るのは、民主化推進団体を運営するアレクサンドラ・ガルマザポワ氏だ。
ロシア国外に住む同氏は「ブリヤートに帰ってくる遺体の数は人々が戦争に抗議するきっかけになると予想していた」とした上で、「しかし、逆の効果をもたらしている」と述べた。
その理由の一つは、貧困にあえぐこの地域で大規模な富の蓄積が進んでいることにありそうだ。ブリヤート共和国では2022年1月以降、銀行預金残高が81%増加している。住宅建設は今年32%増加しており、全国平均の2%を上回る。
モンゴルとの国境からわずか約40キロの距離にある小さな村に住むリュドミラさん(54)は息子と夫を戦争で失った。ブリヤート共和国のこの村では他に5人の男性がウクライナで死亡したと言う。リュドミラさんは家族のために同共和国の首都ウラン・ウデでマンションを購入するために何年も貯金をしていた。戦死に伴い受け取った資金で、マンション2戸と娘のアリーナのために車を購入することができた。
リュドミラさんは「息子と夫が血で稼いだお金」と話した。葬儀は4カ月の間を置いて行い、地元の墓地に2人の像を建てるための支払いも行った。村の学校には、ウクライナで戦死した「英雄」をたたえる2枚の記念プレートを設置するための費用も払った。
リュドミラさんは受け取った金額を明かさなかったが、家族にささげられた国家勲章メダルも渡されたと述べた。メダルには「ロシアのために命をささげた戦士の家族に」との文が刻まれていた。
バイデン氏、ウクライナにロシア領内への長距離ミサイル使用許可 - WSJ
ジョー・バイデン米大統領はウクライナに対し、欧米諸国が製造した長距離兵器をロシア領内への攻撃に使用することを初めて容認した。複数の米当局者によると、これによりウクライナ政府はロシアからの防衛力を高めることができる。
今回の決定は、ウクライナがロシア西部クルスク地域の拠点を標的にできることを意味する。ロシアはこの地域に5万人余りの兵力を集結させており、そのうち約1万人は北朝鮮の兵士だ。ウクライナ軍は今年に入り、この地域を制圧していた。
複数の米当局者や協議に詳しい関係者によると、数千人規模の北朝鮮兵士が戦場に投入されたこと、想定されるクルスク地域での作戦によってバイデン氏が判断を変えた。これは、米紙ニューヨーク・タイムズが先に報じていた。関係者の1人によると、バイデン氏は14日に大統領としての最後の外遊の一つである南米訪問に出発する前に決定を下した。
ウクライナ政府は数カ月にわたってロシア領内への攻撃を許可するよう訴えており、そうした中で陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS)の使用制限緩和が実現した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と側近らは公私の場で、この制限によってロシア政府が戦争で優位に立っていると主張していた。
だが、バイデン政権当局者らはこれまで、ロシアにとっての「レッドライン」を越え、より大規模な紛争を引き起こす可能性があるとして、攻撃の容認を躊躇(ちゅうちょ)していた。一部の米当局者は、米国の在庫が十分でなく、ウクライナが使用するATACMSを補充できないことも懸念していた。
ウクライナ軍は一部の長距離攻撃にドローンを使用してきたが、ATACMSの方がより効果的だと考えていた。移動式発射車両から発射される地対地ミサイルシステムであるATACMSは、システムのモデルによって100~190マイル(約160~305キロ)先を攻撃可能で、ロシア軍の防衛線の遥か(はるか)後方まで届く。
バイデン氏、米製長距離ミサイルを使ったロシア領内攻撃をウクライナに許可 米報道 - BBCニュース
アメリカのジョー・バイデン大統領は17日、ウクライナがアメリカから供給された長距離ミサイルを使用してロシアを攻撃することを許可した。米メディアなどが報じた。この前日にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が国内メディアに、ドナルド・トランプ次期大統領の政権になれば戦争は「より素早く終わる」だろうと話していた。
ロシア大統領府(クレムリン)は18日午前、もしもアメリカが提供したミサイルがロシア領内の奥深くまで撃ち込まれたとしたら、ロシア政府はその場合、その攻撃はアメリカそのものによる攻撃と受け止めると声明で述べた。
長距離ミサイルのロシア領内使用についてアメリカ当局者は、アメリカの政策にとって大転換となるこの動きを、BBCが提携するCBSニュースに対して認めた。ミサイルの使用許可は、ウクライナが夏に侵攻したロシア西部クルスク州内でウクライナ軍を防衛するためにのみ、限定されるものという。
ゼレンスキー大統領はここ数カ月間、「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS、エイタクムス)」として知られるミサイルの使用制限を解除し、ウクライナが自国の国境外を攻撃できるようにするよう強く求めてきた。
ゼレンスキー大統領はミサイル使用に関するアメリカの報道について、「そういうことは、発表されるたぐいのものではない(中略)ミサイルそのものが雄弁に語る」と述べた。
これについてクレムリンは18日、アメリカ製ミサイルがロシア領内の奥深くまで撃ち込まれた場合、ロシア政府はアメリカそのものによる攻撃として受け止めると声明で述べた。
ロシア政府はさらに、これまでロシアとウラジーミル・プーチン大統領は自分たちの姿勢をきわめて明確に示してきたので、今回のアメリカ政府の決定は、紛争に対するアメリカの新しいレベルの関与を示すものだとも述べた。
ロシア政府は、任期満了を目前にしたバイデン政権が、「火に油」を注ごうとしており、この紛争のエスカレーションを挑発しようとしているのは「明らかだ」とも非難した。
プーチン大統領は9月の時点で、西側の長距離ミサイルを使ってウクライナがロシア領内を攻撃するような事態は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国によるウクライナ戦争への「直接的な参加」を意味する、と述べていた。
北朝鮮兵の参戦に対する措置か
アメリカのATACMS使用許可は、8月にウクライナが奇襲して侵攻したロシア西部クルスク州内で、ウクライナ軍を防衛するためにのみ限定されている。
これにより、バイデン政権はウクライナに対して事実上、現在占領しているロシア領の一部の維持を支援したことになる。この占領地は、将来的な交渉のための強力な交渉材料になる。
キーウに拠点を置くウクライナ安全保障協力センターのセルヒイ・クザン会長はBBCに対し、バイデン大統領の決断はウクライナにとって「非常に重要」だと語った。
「戦争の行方を変えるようなものではないが、これまでよりもウクライナ軍の戦力がロシア軍の戦力に均衡するようになるだろう」
米紙ニューヨーク・タイムズと同ワシントン・ポストはともに、匿名のアメリカ政府高官の話として、バイデン氏がウクライナによるATACMSの使用を承認したのは、ロシアが北朝鮮の兵士をウクライナで戦わせることを認めたことへの対応だと伝えた。
クザン氏は、今回の決定が、ロシア軍と北朝鮮軍による大規模な攻撃の開始前に間に合ったことを指摘。両軍は、ウクライナ軍をロシアのクルスク州から追い出そうとしており、数日内に開始される見通しだという。
ウクライナは以前、クルスクには1万1000人の北朝鮮兵士がいると推定している。
またバイデン氏の決定により、イギリスとフランスが最終的に、ウクライナにロシア国内での長距離ミサイル「ストーム・シャドウの使用を許可することになるという、副次的な影響もあるという。
イギリスもフランスも、バイデン大統領の決定に対してまだ反応を示していない。
ATACMSは最大射程距離が300キロメートルに達し、高速で飛翔するため迎撃が難しい。
ゼレンスキー大統領は先月、ウクライナがアメリカから供給された長距離ミサイルを初めて使用し、自国東部にあるロシア軍の標的を攻撃したことを認めた。
ウクライナはこの数カ月間、東部ドンバス地方の主要都市ポクロフスクに向けて徐々に進軍するロシア軍を押し戻すために戦ってきた。ポクロフスクは、ウクライナ軍の主要補給拠点となっている。
ロシアは、ウクライナに対するドローン(無人機)攻撃の回数も大幅に増やしている。ウクライナ参謀本部によると10月には、開戦以来最多の2000回以上が実施された。
16日夜にも、ロシアはここ数カ月で最大規模とみられる一斉攻撃を行い、少なくとも10人が死亡した。ゼレンスキー氏によると、ミサイル120発のドローン90機が発射された。
17日夜にも攻撃は続き、ロシア国境に近いスーミの当局者は、ミサイルが住宅ビルを直撃し、子供2人を含む8人が死亡したと報告した。
ウクライナは、同盟国の支援が不十分で、ウクライナが自国を効果的に自衛できずにいると主張してきた。
来年1月にホワイトハウスを去るバイデン大統領は、ウクライナへの追加支援を迅速化しようとしている。
ドナルド・トランプ次期米大統領については、ウクライナへの追加支援を減速または停止させるのではないかという懸念がある。トランプ氏は、軍事支援をアメリカの資源の浪費と表現。大統領選中には、次期大統領として戦争を「一日で」終わらせると繰り返し約束していたが、その具体的な方法についてはまだ明らかにしていない。
アメリカはウクライナへの最大の武器供給国。ドイツのキール世界経済研究所によると、戦争開始から2024年6月末までの間にアメリカが供給した、もしくは供給すると約束した武器や装備は総額555億ドル(約8兆5700億円)に上る。
しかし、ウクライナ軍事支援についてアメリカ国内世論の支持は、特にトランプ氏が説得した共和党支持者の間で、弱まっている様子。
ゼレンスキー氏、トランプ次期米大統領について
バイデン政権が長距離ミサイルの使用を認めたという報道に先駆けて、ゼレンスキー大統領は、トランプ氏が大統領に就任したあかつきには、ロシアとの戦争は「より早く終わると確信している」と述べていた。
ゼレンスキー氏は16日、ウクライナのメディア「Suspilne」のインタビューで、米大統領選後にトランプ氏と行った電話会談で「建設的な意見交換」を行ったと述べた。
また、ロシアとの交渉についてトランプ氏から何か要求があったかどうか、ゼレンスキー氏は触れなかったものの、ウクライナの立場を損なうような発言はトランプ氏からなかったとも述べた。
「今後ホワイトハウスを率いるチームの政策で、戦争は確実に、より素早く終わるはずだ。それが(トランプ陣営の)姿勢で、国民に約束してきたことだ」と、ゼレンスキー氏は話した。
また、ロシア軍が戦場で前進していることを受け、「ウクライナは、この戦争が来年、外交手段によって終結するように、あらゆることをしなくてはならない」と付け加えた。
トランプ氏とゼレンスキー氏の関係は、以前から複雑にからみあっていた。トランプ氏は2019年、バイデン米大統領の家族に関する不利な情報を掘り起こすようゼレンスキー氏に圧力をかけたという告発により、弾劾された。
これまでの立ち位置は大いに異なるものの、トランプ氏は、自分はゼレンスキー氏と非常に良い関係を築いてきたと主張している。
9月にニューヨークで会談した際、トランプ氏は「多くのことを学んだ」と述べ、戦争を「とても素早く解決する」と述べた。
ロシア「新たな緊張段階」と警告、 米の長射程攻撃容認報道で | ロイター
ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日、ウクライナが米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを米政府が許可すれば、緊張が高まり、米国は紛争に直接関与することになると指摘した。バイデン米政権は退陣を前にウクライナ紛争をエスカレートさせていると批判した。
ロイターは17日、関係筋の話として、ウクライナが米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することをバイデン政権が許可したと報じた。
ペスコフ報道官は、ロイターなどのメディアの報道に関する質問に、報道はいかなる公式声明にも基づいていないと指摘し、「もしそのような決定が下され、ウクライナ政府に伝えられたのであれば、新たな緊張段階となり、この紛争への米国の関与という観点で新たな状況だ」と述べた。
プーチン大統領は9月に、西側諸国がウクライナに供与した長射程兵器でロシアに対する攻撃を認めれば、西側諸国はロシアと直接戦うことになると警告。先月は、米国と北大西洋条約機構(NATO)同盟国がウクライナを支援して西側諸国の長射程ミサイルでロシアを攻撃した場合に備えて、国防省がさまざまな対応策を検討中であると述べた。
ロシア与党「統一ロシア」のマリア・ブティナ議員は18日、バイデン米大統領がウクライナに米国製兵器を使用してロシア領内を攻撃することを容認すれば、第3次世界大戦を引き起こすリスクがあるとけん制した。
米製兵器で攻撃容認なら第3次大戦のリスク、ロシア議員がけん制 | ロイター
西側はロシアと「直接」戦争、長距離攻撃容認なら プーチン氏が警告 | ロイター
ロシアのプーチン大統領は12日、西側諸国がウクライナに供与した長射程兵器でロシアに対する攻撃を認めれば、西側諸国はロシアと直接戦うことになると警告した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、米国製の長距離ミサイル「ATACMS」や英国製巡航ミサイル「ストームシャドー」などを利用した攻撃を容認するよう西側諸国に要請している。
プーチン氏はこれについて、ミサイルの飛行経路のプログラミングなどは北大西洋条約機構(NATO)の軍人が行うことになるため、ウクライナに長距離ミサイルを供与している国が直接戦争に引きずり込まれることになると警告。「決定が下されれば、米国、欧州諸国を含むNATO加盟国がウクライナ戦争に直接関与することになる」とし、これにより「紛争の本質そのものが大きく変化する」と述べた。
ただ、ロシアが具体的にどのような対抗措置をとるかは明らかにしなかった。
ウクライナのロシア領攻撃、米長距離砲使用は重要な決定=独外相 | ロイター
ウクライナによるロシア領内への攻撃で、バイデン米政権が米国製兵器の使用を許可したとされる問題で、ドイツのベーアボック外相は18日、重要な決定との認識を示した。同時に、西側の戦略転換ではないと強調した。
欧州連合(EU)外相会合を前に、「米国の決定は現時点で非常に重要だ。これは(これまでの方針の)再検討ではなく、他のパートナー国がすでに実施してきたことを強化するものだと強調したい」と述べた。
ロシアのプーチン大統領の支持者に警告を発し、EUはイランに対する新たな制裁を準備しているほか、中国によるロシアへの無人機(ドローン)支援についても検討していると明らかにした。
フランスのバロ外相は、ウクライナがフランス製の長距離ミサイルを使ってロシア国内の軍事目標を攻撃することを認める可能性があることを示唆した。
ロシア領内の攻撃拠点に対し、ウクライナがフランス製ミサイルを使用することを容認するのは選択肢の一つとこれまで表明してきたと指摘し、新しい問題ではないと記者団に述べた。
独首相、米の決定に「追随せず」 ウクライナの長距離攻撃容認巡り | ロイター
中国の若年失業率、10月は17.1%に低下=国家統計局 | ロイター
中国碧桂園、オフショア債務再編案を債権者に提示=関係筋 | ロイター
中国・上海市、不動産取引税を引き下げへ=国営メディア | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
東京センチュリーとオムロン、太陽光の収入保証サービス - 日本経済新聞
東京センチュリーはオムロンと組み、太陽光発電事業者向けに一定額の収入を保証するサービスを始める。蓄電池などを使って有利な条件で市場で電力を売買し、保証額を上回る収益を見込む。蓄電池の設置や充放電の制御も代行し、事業者の売電収入の変動リスクやコストを抑えることで、蓄電池併設の太陽光が増えるとみている。
中国の太陽光ブーム、国内大手なぜ苦境 - WSJ
太陽光発電設備の世界大手、中国の隆基緑能科技(ロンジ・グリーンエナジー・テクノロジー)は現在、絶好調でも不思議はない。
ロンジなど一握りの中国企業が世界の太陽光発電市場で圧倒的な地位を占めている。中国は太陽光発電ブームに沸いており、容量は今年上半期だけで100ギガワット以上増えた。
ところが、中国の太陽光発電ブームは関連企業に苦境をもたらしている。
ロンジの会長、鐘宝申氏(56)が昨年予想していた業界の災厄は現実のものとなり、同氏は損失を食い止めようと必死になっている。鐘氏は当時、供給過剰がやがて業界を苦しめることになるとみていた。
一方、米国では他国とは異なり、太陽光パネルの価格がまだ高水準を保っている。鍾氏は米国の需要を取り込もうとしたが、地政学的な障害にぶつかった。米国で同氏は、中国の国家的野心に対する猜疑(さいぎ)の目にさらされている。
ロンジは米国の政治にどう対応するかを学ぶために「数十億ドルの授業料を支払った」と鍾氏は語る。
鍾氏の経験は、中国の産業における成功とリスクの教訓となっている。同氏が大学の物理学科の友人2人と共に築いた会社は、価値が一時800億ドル(約12兆円)に達した。ロンジは単に欧米や日本の技術を模倣したのでなく、業界を変えるような技術革新に果敢に取り組んだ。
政府の急激な政策変更は太陽光パネルの市場創出を後押しすると同時に、鍾氏の会社を2度にわたって窮地に追い込んだ。1度目は10年以上前で、2度目は今年だ。
パターンは同じだった。中国政府は再生可能エネルギーの拡大を推進し、地方政府は地元から有力企業を生み出そうと新規参入企業を補助金で支えた。供給能力は拡大し、競争は激しくなり、業界では企業が採算を取れなくなった。
太陽光パネルの素材、多結晶シリコンの価格は今年上半期に40%余り下落した。ウエハーと太陽電池セルの価格は半分になった。
ロンジは上半期に7億4000万ドルの赤字を出し、株価は最近は持ち直しているものの、一時はピークから80%下落した。業界では企業の淘汰(とうた)が避けられないとみられるが、鍾氏は生き残れると信じているという。多くの企業は難しいだろう。
業界のトップに
2003年の夏のある日、大学時代の友人だった李振国氏が鍾氏に電話をかけ、太陽光発電という新たな産業があり、急成長していると伝えた。李氏は半導体用のシリコンインゴットを扱う事業に携わっていた。
それぞれ起業家としての道を歩んでいた両氏は3人目の同級生と共に、太陽光パネルメーカーにインゴットなどの材料を販売する事業を始めた。
ロンジを中国の太陽光発電業界のトップに押し上げたのは、過去10年間における技術面での二つの賭けだった。
太陽光パネルの製造では、石英からシリコンを抽出して円柱状のインゴットを形成し、それをウエハーとしてスライスし、化学処理してセルを作る。ロンジは単結晶シリコンから作られた単結晶セルを使う決断をした。業界では大半が多結晶セルを使っていた。
単結晶の素材はエネルギー変換効率の点で優れていたものの、当時は製造コストが高かった。ロンジは効率を高めて製造する方法を考え出した。
ウエハーの切断に使うダイヤモンドコーティングされたワイヤーソーも画期的だった。ロンジと同社のパートナーは、合成ダイヤモンドパウダーの粒子を成長させることでワイヤーソーの強度と耐久性を向上させることに成功した。
こうした取り組みにより、ロンジは2012年から2016年の間に製造コストを3分の2削減した。
ロンジは2020年、約25ギガワットの太陽電池モジュールを出荷した。これは同年に米国全体の設置容量を上回る水準だった。中国の習近平国家主席はその年、気候変動対策として野心的な目標を達成する計画を示した。グリーンエネルギーの拡大が達成の鍵になるとみられた。
ロンジの年次報告書によると、直接的な政府補助金は同社の年間売上高の1%を超えたことはなく、一方で売上高の約6%を自社の研究開発に費やしている。
ロンジのような企業は政府支援のおかげで成功したと、多くの米国人が考えていることを鍾氏は知っている。だが同氏の見方は、「中国企業は勤勉さ、技術、完結したサプライチェーン(供給網)のおかげで成功した」というものだ。
中国では昨年までに、数百億ドル規模の資金が国内のクリーンエネルギー分野に流れ込んだ。乳製品会社でさえ太陽電池工場を建設した。
中国の新規発電容量の3分の2は太陽光発電が占めることが政府統計で示されている。米国のこれまでの容量とほぼ同じ規模が中国では1年で追加されている。ただ、太陽光パネル価格の急落を受け、ロンジの売上高は今年上半期に40%減少した。
米国での事業拡大
エネルギーコンサルティング会社ウッドマッケンジーのヤナ・フリシュコ氏は太陽光発電市場について、現在利益を上げることができるのは米国でのみと指摘する。
ウッドマッケンジーによると、米国では関税による保護や「インフレ抑制法」に基づく補助金といった要因で、太陽光パネルは中国や欧州と比べて3倍の価格になる。
ロンジが販売する太陽電池モジュールのうち、米国が占める割合は10%未満に過ぎない。米国で事業を拡大することはますます困難になっている。
米国は強制労働を巡る懸念から制定した法律によって、中国の新疆ウイグル自治区で作られた高品質シリコンを使った太陽光パネルの輸入を事実上停止した。ロンジは、同社のサプライチェーンは強制労働とは無縁であることを米国に証明するために1年近くかかったとし、同社は米国の法令を順守しているとしている。
米国が中国製の太陽光パネルに高関税を課したことに対し、ロンジはマレーシアとベトナムに工場を建設することで関税を迂回(うかい)できると考えていた。そのためにロンジは14億ドル以上を費やした。だが米政府は5月、こうした抜け穴を2年の猶予期間を経てふさいだ。
ロンジにとっては高くつく教訓となった。米国で事業を行うには、同社は米国内で工場を建設する必要があるとの認識に達したと鍾氏は話す。ロンジは昨年、合弁会社「イルミネートUSA」を設立した。出資比率はロンジが49%、シカゴを拠点とする再生可能エネルギー会社インベナジーが51%だった。今年2月にはオハイオ州パタスカラに太陽電池モジュールの組立工場を開設した。インベナジーによると、地元で1500人の雇用創出につながった。
パタスカラでは、一部でロンジと中国共産党との関係を懸念する声が上がった。1月に開かれた市議会の会合では、ある発言者がロンジの合弁会社について、「非常に危険な敵」をコミュニティーに招き入れるようなものだと主張した。
キャロル・ミラー下院議員(共和、ウェストバージニア州)は、ロンジのような企業による米国での事業展開を後押しすることは、「われわれのサプライチェーンにおける中国共産党への依存を高めるだけだ」と述べた。ミラー氏はクリーンエネルギー分野向けの補助金を中国企業が受給することを実質的に禁止する内容の法制定を提案している。
ワイリー・レイン法律事務所の弁護士、ティモシー・ブライトビル氏は米太陽光発電メーカーの業界団体のために働いている。同氏は不公正だと考える貿易慣行を問題視しており、米国は国内太陽光発電産業の大部分を壊滅させることに加わった企業に納税者の資金を提供すべきではないと語った。
ロンジは、同社は民間企業であり、イルミネートUSAは米国企業だとしている。インベナジーはオハイオ州の経済開発機関から400万ドル相当の支援の対象となり、合弁工場は15年間の減税措置を受けている。
インベナジーのジム・マーフィー社長は「米国は太陽光分野の製造の主導権を数十年前に中国に明け渡したというのが現実だ」と述べた。合弁工場については、ロンジの製造技術を活用して、米国が太陽光発電のサプライチェーンの一部を取り戻すことを支援しているとの認識を示した。
鍾氏によると、ロンジは米国で太陽電池セルの工場建設を検討している。
「米国は何を望んでいるのかを明確にする必要がある」と鍾氏は語る。その上で、「再生可能エネルギー部門を発展させたいのであれば、あらゆる技術とノウハウは中国にある。中国の支援を望まないのであれば、発展は難しいだろう」と述べた。
●その他
ネズミの多頭飼育崩壊、引き取り150匹のはずが約1000匹に 米ニューハンプシャー州 - CNN.co.jp
東京都内の病院、半分が赤字経営 建て替え断念で閉院も News潜望展望 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(18日)ドル/円上昇、利回り低下 S&P・ナスダック上昇 | ロイター
ドル/円相場は日銀の植田和男総裁の発言を受けて上昇。総裁は金融引き締めのタイミングを巡る不確実性に言及し、12月の政策決定会合での利上げのヒントを示さなかった。市場は12月会合での0.25%利上げを54%の確率で織り込み中。一方、米国では共和党が上下両院を掌握し、トランプ次期大統領の政策を見極める動きが債券市場に影響。FRBのパウエル議長は利下げの急務性を否定。ドル指数は下落、国債利回りはわずかに低下した。
米株式市場では、S&P500とナスダック総合指数が上昇。テスラは、トランプ次期政権が自動運転規則の緩和を目指すとの報道を受けて5.6%上昇。エヌビディアはAI向け新半導体の過熱問題報道で1.3%下落。投資家は半導体需要やAIブームの持続可能性を注視。エネルギーセクターが1.05%上昇し、S&Pを押し上げた一方、工業セクターは0.17%下落。CVSヘルスは取締役会改革で5.4%上昇。
**金先物市場**: ウクライナ情勢の緊迫化により安全資産としての金需要が高まり、1.73%上昇し1オンス=2614.60ドルに。
**原油市場**: ノルウェー油田の生産停止やウクライナ情勢の悪化で供給懸念が高まり、WTI原油先物は3.19%上昇し1バレル=69.16ドルに。
欧州市場サマリー(18日) | ロイター
**ロンドン株式市場**:  
ロンドン市場はまちまちの展開。輸出企業が多いFTSE100種は1週間ぶりの高値付近で終了。投資会社メルローズが航空部品事業の収益増を受け7.6%高。不動産や建設セクターは下落。FTSE250種は0.40%下落し、インフレ指標発表を控え投資家は慎重姿勢を維持。  
**欧州株式市場**:  
欧州市場は全体として下落。不動産セクターが1.66%下落し市場の重荷に。テクノロジー株も0.28%下落する一方、銅価格上昇を背景に資源株が0.59%高。市場は様子見ムードで、米大統領選の影響が一巡し経済指標に注目が戻りつつある。  
**ユーロ圏債券市場**:  
国債利回りは上昇。独10年債利回りは2bp上昇し2.38%、独伊10年債利回り格差は拡大傾向。ECBの次回理事会での利下げが注目され、特にPMIの結果が鍵を握る。市場では12月の利下げが既に織り込まれており、0.25%利下げが有力視される。

備忘録(2024/11/15-17
●海外企業決算
●海外企業
ケネディ氏登用で製薬株急落 ワクチン反対姿勢に警戒 - 日本経済新聞
トランプ次期米大統領が厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用すると発表したことを受け、製薬株が急落している。同氏はワクチン反対派であるほか、米食品医薬品局(FDA)に対して批判的な立場を示しており、製薬会社のワクチン販売への影響が懸念されている。
シティを米当局が調査、制裁対象ロシア富豪との関係巡り=バロンズ | ロイター
米金融誌バロンズは14日、シティグループが米政府の制裁対象に指定されたロシアの富豪スレイマン・ケリモフ氏との関係を巡り米当局の調査を受けていると報じた。
報道によると、ケリモフ氏の資産を保有するデラウェア州の信託会社ヘリテージ・トラストとシティの関係について、米司法省と米連邦捜査局(FBI)、米内国歳入庁(IRS)が調査している。
シティのマネーロンダリング(資金洗浄)対策や顧客審査についても調べているという。
シティの広報担当は「適用される全ての法規制の順守に最大の注意を払い全業務を遂行することにコミットしている」と表明。「同時に、ロシアの消費者向け銀行業務の終了を進めるとともに、残る法規制上の義務を果たすために必要な業務を除き、ロシアにおける機関投資家向け銀行業務をほぼ全て終了させている」と述べた。
司法省、FBI、IRSはロイターのコメント要請に返答していない。
ケリモフ氏はシリアとウクライナにおけるロシアの行為を受けて2014年と18年に米政府の制裁対象に指定された。
米政府は22年、ケリモフ氏が保有する権益を巡りヘリテージ・トラストに対し執行措置を取った。
ステランティス、イタリアで工場閉鎖や大規模削減せず=幹部 | ロイター
欧米自動車大手ステランティスの人事担当責任者ジュゼッペ・マンカ氏は14日、イタリアでは工場の閉鎖や大量の人員削減は計画していないと述べた。イタリア政府が同国自動車業界を巡る懸念に対処するためにローマで主催した会合での発言。
マンカ氏は「ステランティスはイタリア国内の工場を閉鎖するつもりはなく、大規模な人員削減を実施するつもりもない」と述べた。
会合を主催したウルソ企業相は、2025年から30年にかけて自動車産業を支援するために確保した資金約46億ユーロ(48億6000万ドル)を削減する計画について、労組や企業からの働き掛けを受けて見直す意向を示した。
イタリアの自動車業界は生産台数の減少や工場の生産休止などの問題に直面しており、ステランティスもイタリアのブランドである「フィアット」、「アルファロメオ」、「ランチア」の販売台数が減っている。
労働組合の金属機械労働者連盟(FIM─CISL)は先月、イタリアの年間自動車生産台数が50万台を割り込み、1958年以来最低の水準に落ち込むと予測した。
米当局、グーグルの監督検討=報道 | ロイター
 米紙ワシントン・ポストは14日、米消費者金融保護局(CFPB)がグーグル親会社アルファベットを監督下に置くことを検討していると報じた。これにより、CFPBはグーグルの内部記録にアクセスできるようになる。
同紙が報じた関係者2人の話によると、グーグルは数カ月に及ぶ極秘協議を通じ、この件に激しく抵抗しているという。
同社は既に、事業の一部売却を強制する可能性を持つ当局の措置や、アプリストアを競合他社に開放するよう求める裁判所の命令に直面している。
ディズニーの事業戦略に明るい兆し 7-9月期決算 - WSJ
米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニー DIS 5.46%increase; green up pointing triangleの次の最高経営責任者(CEO)に誰がなるとしても、立て直しの仕事を全て引き継ぐわけではない。だからといって、その仕事がたやすいものになるという意味ではない。
ディズニーが14日発表した7-9月期(第4四半期)決算は比較的好調だった。同社で最も重要な二つの事業部門である動画配信と国内テーマパークはいずれも利益が予想を上回った。また、同社は慣例を破り、今後2年間のより詳細な業績見通しを公表した。
その業績見通しでは、ウォール街にとって特に重要な二つの事柄が明らかになった。一つ目は、ディズニーが、個人消費の減退やNBCユニバーサルがフロリダ州で計画する新たな大規模テーマパーク開設によって、来年夏に自社テーマパーク事業の利益が大きな打撃を受けるとはみていないということだ。ディズニーは2025年9月期に(テーマパークを含む)エクスペリエンス部門の営業利益が6~8%増加すると予想した。ビジブル・アルファがまとめたコンセンサス予想によると、アナリストは25年9月期の営業利益の伸びが1%にとどまるとみていた。
二つ目は、動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」と「Hulu(フールー)」で構成される娯楽ストリーミング事業について、26年9月期に10%の営業利益率を達成するとディズニーが予想していることだ。同事業は終わったばかりの24年9月期に辛うじて黒字転換し、それまでの2年間は合計59億ドル(約9200億円)の赤字を計上していた。ウォール街は同事業の営業利益率について、26年9月期には6.6%に達すると予想していた。
今回の決算と業績見通しを受けて、ディズニー株は14日の取引で前日比6%余り上昇して引けた。これも良い変化と言える。前回2回の決算発表後、株価は急落していた。ディズニーは今回の株価上昇を必要としていた。14日の決算発表前の時点で、同社株の年初来上昇率は14%弱で、ダウ工業株30種平均とS&P500種指数の上げ幅を下回っていた。
ぱっとしないとはいえ、それでもメディア業界の伝統的な競争相手の大半と比べれば、良い方だと言える。業界全体を通して見ると、今年の業績は低迷している。ケーブルテレビは苦境が続き、映画興行もなお予測が困難な状態にある。ディズニーも例外ではない。テレビ放送部門の24年9月期の売上高は9%近く減少し、営業利益は16%減とさらに大幅に落ち込んだ。同部門の売上高には広告収入と系列ケーブルテレビ局への配信料が含まれる。同年度のディズニーの劇場配給収入は29%減少した。
その一方で、7-9月期の映画興行は「インサイド・ヘッド2」「デッドプール&ウルヴァリン」といったヒット作によって大きく押し上げられた。年内にさらに二つの大型作品のリリースを予定している。「モアナと伝説の海2」と「ライオン・キング:ムファサ」の2作品は、極めて好調な興行成績が予想されている。映画チケットのオンライン販売会社ファンダンゴの先月末の発表によると、「モアナと伝説の海2」の前売り券販売初日の売り上げは、「インサイド・ヘッド2」を含む今年上映されたすべてのアニメ映画を上回った。「インサイド・ヘッド2」は全世界で17億ドル近い映画興行収入を記録している。
映画業界全体がまだ新型コロナウイルス流行前の水準になかなか戻れずにいるとはいえ、映画は一つの事業の成功を他の事業の成功につなげるというディズニーの「フライホイール(弾み車)」戦略のカギを握る部門だ。人気の映画は長年、消費者向け製品やテーマパークのアトラクションとして展開されてきた。ディズニーのボブ・アイガーCEOは14日の決算説明電話会見で、人気映画は現在、動画配信事業の成功の源としても作用しており、同事業では話題の新作映画のリリース前に旧作品の視聴が「著しく急増」すると述べた。そうした状況は、同社が動画配信事業について強気の見通しを示す要因となっている。アイガー氏は、今後2年間の「コンテンツ展開計画の見通しはかなり良好だ」と語った。
ディズニーがかつてのような力強い利益を得る魔法を取り戻すカギは、動画配信事業の収益性を改善することだ。同社の事業規模はかつてないほど大きくなっており、24年9月期の売上高は過去最高の914億ドルだった。ただ、営業利益率は17%と過去5年間で最高だったものの、ケーブルテレビ事業の全盛期だった2010年代半ばに同社がたたき出した28%台にはまだ遠く及ばない。
この水準に完全に戻すのは、来年指名されるとみられるアイガー氏の後継者の仕事になりそうだ。ディズニーが14日に発表した目標を達成できれば、新CEOは少なくとも、良い状況でスタートラインに立つことができるだろう。
●日本企業
あおぞら銀行、純利益1%減の119億円 4〜9月決算 - 日本経済新聞
エーザイの認知症薬レカネマブ、欧州当局が承認勧告 - 日本経済新聞
【コラム】セブン&アイと伊藤忠、M&A巡る意外な連帯-リーディー - Bloomberg
不幸は、人に奇妙な仲間と知り合う機会を与える。シェークスピアの戯曲「テンペスト」に出てくるトリンキュロとキャリバンのように、日本企業の経営陣は最近、自分たちが奇妙な仲間たちと一緒にいることに気付いている。
セブン&アイ・ホールディングスの経営権取得に関するニュースが13日に流れたとき、多くの人は耳を疑った。セブン-イレブンの運営会社が身売りするかもしれないということが意外だったわけではない。カナダのアリマンタシォン・クシュタールの買収攻勢をかわしたいセブン&アイにはとっては、あり得る動きだ。
驚きをもって迎えられたのは、セブン&アイに救いの手を差し伸べた1社が米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が投資している日本の大手商社、伊藤忠商事だという情報だ。
ファミリーマートに早くから出資し、2020年に完全子会社化している伊藤忠が、大手のライバル企業を救済しようとしているのは、テスラがゼネラル・モーターズ(GM)を救うようなものだ。
セブン-イレブンの経営手法を学ぶためなのか、それとも、セブン&アイが謎めいたカナダ企業よりも、よく知る相手に身を委ねる方がいいと考えているということか。
長年にわたるコンビニエンスストア業界の統合過程を経て、災害時には重要なライフラインとなるこの業界の規制当局から確実に反対されるであろう大胆な市場支配を、伊藤忠は恐らく狙っているのだろう。
これは、典型的な「門前の野蛮人に対して日本企業が結束する」ケースだと主張する記事が数多く掲載されそうだ。しかし、もし実現すれば、伊藤忠が他社と提携してセブン-イレブンを支援することは、それとは全く異なる形となる。
セブン&アイは三井物産と長年にわたる関係がある。コンビニ大手3社の残る1社、ローソンは三菱商事とのつながりがある。さらに、三井物産と三菱商事にはバフェット氏という共通の株主がいる。
ありそうもない連携
横浜では、しばらく前から奇妙なことが進行中だ。日産自動車は独立性の高い企業として知られるホンダと、ソフトウエアや電気自動車(EV)の共同開発というありそうもない連携を暫定的に強化している。
日産の株主は最近、新たなパートナーが現れたことに衝撃を受けた。シンガポールを拠点とするヘッジファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントに関係するファンドが、経営危機に陥っている日産の株式を買い入れているのだ。
一見したところ、これはエフィッシモの常とう手段のようだ。エフィッシモは、日本でアクティビスト(物言う株主)の先駆けとなった村上世彰氏の下で働いていた2人の元マネジャーによって06年に設立された。
東芝に対するキャンペーンと似たところがある。エフィッシモは長く東芝を追い詰めていたが、東芝が日本産業パートナーズ(JIP)などの連合による買収提案を受け入れたことに伴い、そのキャンペーンを終えた。
日産も同様に長い間、苦戦を強いられている。18年に逮捕される前、カルロス・ゴーン元会長はフランスのルノーとの完全統合を目標にしていることを隠さなかった。
しかし、ゴーン氏の不在によりルノーとの友好関係が薄れつつある今、日産には新たな同盟が必要だ。そして同社の株価は、1990年代後半にゴーン氏が経営再建を託された当時の水準近くまで低迷しており、エフィッシモによる買収は理にかなっている。
日本では状況が変化しているが、大手自動車メーカーが破綻に向かうのを政府が黙って見過ごすことは依然としてないだろう。エフィッシモの日産車体との関係が深いことが、日産株買い入れにつながっているとの指摘もある。エフィッシモは長年にわたり日産車体の相当規模の株式を保有している。
日産車体の浮動株が少な過ぎ、2026年までに上場廃止になる可能性があるとの見方もある。村上氏と旧知の関係にある人物が率いる小規模なアクティビストファンド、ストラテジックキャピタルは、日産に日産車体を吸収合併するよう要求。日産車体の顧客は実質的に日産1社だ。
それだけにとどまらない。東京証券取引所の改革により、あらゆる種類の合併・買収(M&A)やスピンオフ、分割が行われるなど、アクティビズムが盛んになっているのが今の日本だ。
得するのは誰か
オアシス・マネジメントも日本で最も成功したテクノロジー系スタートアップの1社、メルカリへの投資を明らかにしたばかりだが、まだ要求の概要を示していない。これらの動きは、金融専門紙には刺激的な見出しとなる格好の材料だろう。しかし、社会にとっての価値はもっと議論の余地がある。
取締役会が現状に甘んじていると非難されることが多い日本で、そうした状況を揺り動かすことができるアクティビストは歓迎されるべきだ。セブン&アイの案件を含め、報道のほとんどは中立または肯定的なもので、変化を求める声があることを示唆している。
だが、際限のない要求で経営陣を悩ませ、短期的な株主のみに利益をもたらすような提案には警戒すべきである。結局、東芝の長きにわたる解体と上場廃止で誰が得をしたのだろうか。
東芝は数千人の人員削減を行うと報じられている。17年に売却した半導体メモリー部門は今のキオクシアホールディングスだが、同社は長らく延期されていた新規株式公開(IPO)の準備を進める中で、韓国のサムスン電子やSKハイニックスに後れを取っている。
敵対的買収やアクティビスト投資家、そして国を代表するような企業に対する外国勢による買収提案などは、日本では比較的新しい現象だ。長期投資家と日和見主義者の違いを見極め、それらに対処し評価するための適切な枠組みはまだ整っていない。
オーストラリアのような外資買収審査の仕組みが提案されているが、悪くないアイデアかもしれない。豪州は銀行や弁護士だけが利益を得て、案件が何年も長引くという事態を経験している。
規制緩和について議論する際、日本はしばしば英国のサッチャー政権下での「ビッグバン」改革を引き合いに出す。しかし、その結果起きたことにも注意を払う必要がある。
かつては素晴らしかった多くの英企業がどうなったのか振り返ってみるべきだ。英国では今、ブルームバーグの同僚コラムニスト、メリン・サマセット・ウェッブ氏が論じているようにプライベートエクイティー(未公開株、PE)投資会社から企業を守る必要があるという議論が出ている。
日本も、米クラフトフーズによる英チョコレートメーカー、キャドバリー買収のような事態が起こってから自国のルールを変えるのではなく、今すぐにでも行動を起こすべきだ。
日本には魅力的なM&A案件が数多くあり、利益を生む可能性もある。しかし、過去に実現しなかった買収の話を振り返ってみると、例えば米マイクロソフトが任天堂に関心を示していたといううわさが、もし本当だったら良い結果になっていただろうかという疑問が浮かぶ。
全ての提案に応じる価値があるわけではないと指摘する声が、国内の一部から上がるのも当然だ。日本有数の企業があまりにも多く売却されてしまえば、日本は「テンペスト」のプロスペローのように「われわれのうたげは終わった」と言うことになる。
セブンイレブン争奪戦、資金調達以外の問題は - WSJ
セブン―イレブンの親会社セブン&アイ・ホールディングスを巡る争奪戦が始まった。カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールによる買収提案に対抗するため、創業家が日本の投資家とともにセブン&アイ買収に名乗りを上げた。実現すれば過去最大規模の案件になるとみられるが、リスクも高い。どのような結果になるかは、双方が資金をどれだけ調達できるかだけでなく、投資家からどれだけ信認を得ているかにもかかっている。
セブン&アイの創業家が既存投資家や伊藤忠商事とともに同社買収を検討していると12日遅くに伝わった。ブルームバーグによると、買収額は約9兆円に上る可能性がある。このうち3分の1を投資家グループが現金と株式で出資し、3分の2を日本の3大銀行からの融資で賄う方向で協議しているという。
セブン&アイは株式非公開化の提案を受けたことを認めたが、提示額についてはコメントしなかった。セブン&アイの株価は13日に12%上昇し、時価総額は提示額とされる9兆円を上回った。
もしこの提示額が現実味のあるものなら、セブン&アイを外資に渡さないためにかなり高くつく手段に出るということだ。米コンビニ業界でセブン―イレブンに次ぐ2番手のクシュタールは、10月にセブン&アイに対し2回目の買収提案を行った。
9兆円はクシュタールの提示額より約23%高いが、法外とは言えない。セブン&アイの直近12カ月間EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の約9倍だ。同社が数年前に米ガソリンスタンド事業「スピードウェイ」を買収した時の倍率は約14倍で、クシュタールの足元の時価総額は約12倍だ。
それでもこの提示額は驚くべきもので、中でも借入金の規模が際立っている。調査会社ディールロジックによると、2000年以降のレバレッジド・バイアウト(LBO)で借入金が最も多かったのはエナジー・フューチャー・ホールディングスの買収で、245億ドル(約3兆8200億円)だった。セブン&アイ買収案の借入金は約6兆円で、同社のEBITDAの約6倍に相当する。
そのため、日本の銀行にこれを背負えるのかという疑問が生じかねない。だが名前が挙がっている3行には潤沢な資金がある。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほの総資産は、2大米銀JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のそれに匹敵する。日本では借り入れコストが低い分、おそらく負担は減るだろう。
大きな疑問は、株式非公開化案に対抗する術がクシュタールにあるかどうかだ。ウェルズ・ファーゴの株式アナリスト、アンソニー・ボナディオ氏によると、クシュタールは前回提示した買収案でさえ、レバレッジ比率が上がって信用格付けが下がるのを避けるには、負債だけでなく株式による資金調達も必要になる。株式非公開化案と同等にするなら、その約30%分の株式を発行する必要がある。
勝者を決める要因はいくつかある。一つは反トラスト法(独占禁止法)に基づく審査だ。この点では、ドナルド・トランプ氏が次期大統領になる米国での方がはるかにスムーズに事が運びそうだ。同氏は連邦取引委員会(FTC)委員長に、現職のリナ・カーン氏より親ビジネスの人物を充てる可能性が高い。セブン&アイとクシュタールは米国の2大コンビニ運営会社だが、市場シェアは2社合わせてもわずか12%だ。一方、日本勢に伊藤忠が加われば、独禁法審査はより厳しいものになりかねない。伊藤忠は日本のコンビニチェーン2位のファミリーマートを所有している。セブン&アイのウェブサイトによると、ファミリーマートとセブン―イレブンを合わせた店舗数が日本のコンビニに占める割合は、2022年時点で68%だった。
そこで気になるのがシナジー効果だが、これははっきりしない。セブン―イレブン・ジャパンのコンビニ数が最も多いのは日本で、クシュタールに同社とのシナジー効果はない。また米国では、セブン―イレブンのように経験豊富で効率的な運営者との間でコスト削減はしにくいかもしれない。当然ながら、この問題は米国に進出していないファミリーマートにも当てはまる。
もう一つの重要な要因は、双方が投資家からどれだけ信認されているかだ。クシュタールの投資家は極めて大きな成果を得ている。同社株の過去20年間のトータルリターンは3000%超だ。調査会社テッブス・キャピタルのタイラー・テッブス最高経営責任者(CEO)によると、クシュタールはカナダ株式市場の優良銘柄で、同国の年金基金も投資している。テッブス・キャピタルの顧客にはセブン&アイの一部投資家も含まれる。クシュタールにとっては、買収資金を調達するための株式発行のハードルは低いかもしれない。
一方、セブン&アイの投資家は経営陣をそれほど信認していないとテッブス氏は指摘する。同社はクシュタールより低いリターンに甘んじ、積極的に価値を提供しようとしてこなかった。アクティビスト投資家から圧力を受けるまで、非中核事業である百貨店の売却を決めなかったのがいい例だ。つまり、クシュタールがセブン&アイを納得させる額を提示するか、経営陣がクシュタールの提案以上の手を打つかのどちらかだ。どちらも成功しなければ、アクティビスト投資家が再び関与してくる可能性が高いとテッブス氏は述べた。
何らかの手は打たざるを得ないだろうし、それも納得のいくものでなければならない。カナダ勢と日本勢のどちらが勝っても、セブン&アイの投資家には妙味がありそうだ。
トランプ氏、USスチール売却巡り沈黙に転換-日鉄幹部訪米控えるも - Bloomberg
トランプ次期米大統領は選挙戦最終日、ピッツバーグの集会で鉄鋼労働者に囲まれてステージに登壇し、米国の雇用と製造業を守ると約束した。だがスピーチでは、日本製鉄へのUSスチール売却を阻止するという、これまで何度も言及してきた公約には意外にも触れなかった。
141億ドル(現在のレートで約2兆1800億円)規模のUSスチール買収計画で一般労組組合員や政治家から支持を取り付けるため、日鉄の森高弘副社長がピッツバーグ訪問を予定しているが、次期大統領はこの取引について沈黙を守ったままだ。
この取引を支持すれば、選挙戦でのトランプ氏の主張に反することになる。だがこの問題は一部鉄鋼労働者の間でますます物議を醸している。こうした労働者は同氏が激戦州ペンシルベニアでの勝利に向け取り込もうとした労働者層の代表格だ。
全米鉄鋼労働組合(USW)でローカル2227副会長を務めるジェイソン・ズガイ氏は今週のインタビューで、自身とトランプ氏の間で行われた会話を明らかにした。「お願いしたいことがある。全米のテレビやあなたを支持するために集まる数千人の鉄鋼労働者の前で、この取引を阻止する方針とは言わないでほしい」とトランプ氏に話したところ、「OK」との答えが返ってきたという。
この会話はトランプ氏の集会後に楽屋裏で交わされたという。ズガイ氏はトランプ氏に対し、日鉄への売却計画を多くの鉄鋼労働者が支持していることを伝えた。
ズガイ氏によると、トランプ氏は外国企業へのUSスチール売却になお懸念を抱いていると述べたが、ズガイ氏は、この取引は外国から米国に投資を呼び込むというトランプ氏の公約の一つを実現するもので、鉄鋼労働者も仕事を維持するために必要としていると伝えた。
トランプ氏はミシガン州で行われた選挙戦最後の集会でこの計画には言及せず、大統領選勝利後もこの件について公に発言していない。トランプ氏の政権移行チームにコメントを求めたが、返答はなかった。
●先進国政治動向
FOX司会者クドロー氏、次期米政権入り辞退か 要職起用との報道 | ロイター
【コラム】ケネディ厚生長官、公衆衛生に最悪のシナリオ-ジャービス - Bloomberg
米国の公衆衛生に関する最悪のシナリオが現実味を帯びている。トランプ次期大統領が厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用すると発表したからだ。陰謀論を唱え、反科学を売り物にしてきたケネディ氏が、米食品医薬品局(FDA)や米疾病対策センター(CDC)、米国立衛生研究所(NIH)などの機関を監督することになる。
実際に長官に就任するには上院の承認が必要だが、ケネディ氏がこの段階にたどり着いたという事実だけで、公衆衛生には十分な打撃となり得る。
同氏が厚生長官には不適格であることを示す証左は枚挙にいとまがない。公衆衛生の専門知識や経験が欠如しているだけでなく、巨大な政府機関を管理するどころか、その運営に携わった経験もない。反ワクチンやエイズ否認主義で知られ、トランスジェンダー児童に関する攻撃的な理論を支持し、WiFiに発がんリスクがあると示唆し、学校での銃乱射事件は抗うつ剤のせいだと非難している。
ケネディ氏の意見が医療専門家の見解と一致している部分を並べ、厚生長官に適任だと主張する人もいるだろう。米国が小児肥満という深刻な問題を抱え、糖尿病などの慢性疾患が増えていることは同氏の指摘通りだ。予防を重視したり、健康で安全な食品を誰もが入手できるようにしたりする改革に反対する人はいないだろう。
しかし、問題に気づくことと、科学的証拠を精査して適切な解決策を導くことは全く違う。ケネディ氏の証拠分析能力に深刻な欠陥があることはこれまで繰り返し示されてきた。
その中でも特に顕著かつ有害なのは、同氏の代名詞にもなっている反ワクチンの立場だ。ケネディ氏は懸念の火消しのつもりか、NBCの最近の取材に対し、ワクチンを禁止するつもりはないと答えた。「もしワクチンが誰かのために効果があるなら、それを奪うつもりはない」とし、「人々は選択肢を持つべきであり、その選択肢は最良の情報に基づいていなければならない」と語ったのだ。
この「選択肢」という言葉こそ、同氏が厚生長官になるには根本的な問題があることを浮き彫りにしている。ワクチンのような予防ツールは公共財であり、誰もがこれに参加することに同意した場合にのみ機能する。集団免疫により、米国はポリオや麻疹といった恐ろしい病気の根絶を宣言することができた。
大多数の米国民がワクチン接種に参加していることは、衛生当局の多大な努力の賜物(たまもの)だ。それには、ワクチン開発を支える基礎研究の実施と資金提供、安全性と有効性の評価、地域社会との連携による予防接種などが含まれる。
それらの管轄をケネディ氏に任せることは、たとえ特定のワクチンが禁止されないとしても、公衆衛生に直接的な打撃を与える機会を多く与えることになる。
ワクチン接種の重要性に関するメッセージの微妙な変化がもたらす結末を過小評価すべきではない。すでにワクチンに反対している人々の間で不信感を強め、ワクチンの価値に確信が持てずにいる人を反ワクチンに傾かせる可能性もある。
CDCのマンディ・コーエン所長は先にミルケン研究所での講演で「ワクチンが有効であることを思い出すために後戻りしなければならない状況は避けたい」と語り、危機感をあらわにした。後戻りとは、ワクチン接種率が低下し、根絶されていた病気が再び脅威をもたらすことを意味する。また一部の子どもにとっては深刻な合併症を意味する。それが命取りになる場合もあるだろう。
CDCもFDAもNIHも完璧ではない。そもそも完璧な政府機関など存在しないのだ。しかし、公衆衛生の原則を損なう陰謀論者による「改革」は、欠陥を修正するのとは真逆の動きだ。それが国民の健康に及ぼす後遺症は何世代にもわたって残る恐れがある。
トランプ氏、司法省要職に弁護人を起用 不倫口止め訴訟など担当 | ロイター
トランプ次期米大統領は14日、不倫口止め料の不正会計処理に関する刑事裁判などでトランプ氏を弁護したトッド・ブランチ氏を含む弁護団のメンバー3人を新政権の司法省の要職に指名した。
トランプ氏は、ポルノ女優のストーミー・ダニエルズさんへの口止め料支払いを巡り、今年の公判で同氏を弁護したブランチ氏を司法副長官に指名した。
また、同じく弁護団のエミル・ボーブ氏を司法副長官代理に指名。連邦最高裁の訟務長官には、2020年大統領選の結果を覆そうとしたとしてトランプ氏が起訴された裁判で弁護を担当し、在職中の公的な行為に関する免責特権を最高裁に認めさせたジョン・サウアー氏を指名した。
司法副長官は、司法省の11万人以上の職員を日常的に監督し、米連邦捜査局(FBI)やその他の捜査機関も監督する。
司法副長官と訟務長官の指名は上院での承認が必要。
元連邦検察官のブランチ氏は、トランプ氏が20年大統領選の結果を覆そうとした行為や大統領退任後に機密文書を保持していたことを巡る裁判でも弁護人を務めている。
マスク氏発案の米「政府効率化省」は何ができるのか-QuickTake - Bloomberg
トランプ次期米大統領は連邦政府の官僚制度を解体し、少なくとも一つの省庁の廃止を望んでいる。この実現に向け新設する機関が「政府効率化省(DOGE)」だ。
この名称がミーム(インターネット上で急速に拡散された画像や言葉)のように聞こえるとしたら、まさにその通りだからだ。DOGEという名称は億万長者のイーロン・マスク氏の発案によるもので、自身が支持する仮想通貨のドージコインにちなみ、頭字語として使用した。
その野望は大きく、2兆ドル(約313兆円)の歳出削減を見込む。よりスリムで効率的な政府という包括的な目標は、民主・共和を問わず歴代の多くの大統領を悩ませてきたが、マスク氏が主導する取り組みも、これまでの赤字削減に向けた努力を頓挫させたのと同じ政治的な反対に直面する可能性が高い。
この効率化に向けた取り組みはマスク氏に加え、共和党の大統領候補指名をトランプ氏と争った起業家ビベック・ラマスワミ氏の2人が主導する。
政府効率化省とは?
まず伝えたいのは、これが「省」ではないということだ。なぜなら省は恒久的なものであり、議会によってのみ設立(または廃止)が可能だからだ。トランプ氏は、このグループは政府外で運営され、2026年7月までに解散すると述べている。
どのように運営されるのか?
それは不明だ。考えられる仕組みの一つは1972年の連邦諮問委員会法(FACA)によるもので、同法では大統領が官民の参加者で構成される委員会から意見を求めることが認められている。トランプ氏は大統領令によってこのような委員会を設置することが可能だ。その場合、同委員会は約1000ある連邦諮問委の一つになる可能性がある。昨年、連邦諮問委にかかった費用は総額3億9900万ドルだった。
倫理的な問題は?
  マスク氏とラマスワミ氏が連邦諮問委に参加すれば、いわゆる特別政府職員となる。このポジションは無給な上で連邦政府機関またはホワイトハウスで最長130日間働くことが認められる。マスク氏およびバイオテクノロジー企業の元幹部であるラマスワミ氏にとって考慮すべき重要事項の一つは、このようなポジションでは資産を公表したり処分したりする必要がないことだ。
とは言うものの、マスク、ラマスワミ両氏は依然として連邦倫理法の対象で、個人的に影響が及ぶ議論や決定から身を引くことが求められる。マスク氏の米宇宙開発企業スペースXだけでも150億ドル余りの連邦政府との契約を抱えており、事態が複雑化する可能性がある。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の調査によると、マスク氏の企業は少なくとも20の連邦規制当局の標的になっている。
その目的は?
トランプ氏は、このグループが「政府外から助言と指針を提供し、ホワイトハウスおよび行政管理予算局(OMB)と連携して大規模な構造改革を主導し、これまでにない政府への起業家的アプローチを生み出す」と指摘。このイニシアチブを「現代の『マンハッタン計画』」と称した。
どの程度の歳出削減を目指すのか?
マスク氏は2兆ドルの歳出削減を目標に掲げているが、それが年間の削減額なのか、10年間の予算枠での話なのかは不明。トランプ氏は発表の中で「われわれは、年間6兆5000億ドルの政府支出全体に存在する膨大な無駄と不正を排除する」と年間の数字を使用しており、削減額が前者であることを示唆している。
なぜこれまでこのようなことが行われなかったのか?
実施されたことはある。ただこのような形でなかっただけだ。ワシントンには、実施されなかった歳出削減計画が山積している。
2010年のシンプソン・ボウルズ委員会は、社会保障における受給開始年齢の引き上げ、医療費の上限設定、税制優遇措置の廃止などを通じて、約10年間で4兆ドルの削減を提案したが、議会が行動を起こさなかった。
その後、スーパー委員会と呼ばれる新たな議会委員会が11年にオバマ大統領(当時)と共和党の「グランドバーゲン(包括的な妥結)」を模索したが、失敗に終わった。
共和党が予算の見直しを迫るために利用しようとした政府閉鎖や債務上限を巡る複数回にわたる対立は短期的な解決策に終わった。
そしてトランプ氏自身も16年に「かなり早い時期に」財政均衡を実現すると確約したが、21年の退任時には米国の債務は過去最高水準に達していた。
なぜそれほど難しいのか?
深刻な財政赤字の削減には、第2次世界大戦直後以来見られなかったレベルの緊縮財政が必要であり、おそらく社会保障、メディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)、メディケイド(低所得者向け医療保険)、退役軍人への給付金といった人気プログラムの大幅な削減が含まれる可能性が高い。
何が切り捨てられるのか?
トランプ氏は教育省を廃止し、政策と資金調達の管理を州に戻すと約束した。大統領選直後にマスク氏と会談したアイサ下院議員(共和)によると、マスク氏はメディケアに関する不正の発見と撲滅、公有地の売却拡大に特に関心を示したという。
無駄、不正、乱用についてはどうか?
トランプ氏は、この委員会は「膨大な無駄と不正」を対象にすると述べた。しかし「無駄、不正、乱用」の削減は保守派の政治家が長年唱えてきたスローガンであり、その実現に向けた取り組みは、これまで結果がまちまちだった。
米政府監査院(GAO)の推定によると、不正によって連邦政府機関から失われた金額は毎年2330億-5210億ドルに上るという。最大の要因はトランプ氏が20年に署名して成立した新型コロナウイルス対策支出パッケージだ。AP通信が23年に実施した調査では、4兆2000億ドルのパンデミック救済金のうち10%が無駄に使用されていたことが分かっている。
GAOは11年以降、連邦政府内で重複するプログラムの縮小や廃止、およびコスト削減に向けた2018件の勧告を含む14件の報告書を議会に提出。議会はこれらのうち約3分の2を採用し、約6675億ドルを削減した。
DOGEの提案内容を知るには?
連邦法では諮問委の会議は公開が義務付けられており、マスク氏自身も「最大限の透明性を確保するために、あらゆる行動をオンラインで公開する」と言明している。また、ゲームのような形で国民が情報を入手できる可能性も示唆している。
「最もばかばかしい税金の使い方のランキングも用意するつもりだ。これは非常に悲劇的であり、同時に非常に面白いものになる」と述べた。
トランプ氏は議会の承認なしで削減できるか?
トランプ氏はマスク氏起用の承認を議会に求める必要はないが、議会は憲法の下で予算編成権を握っており、いかなる歳出削減にも議会の承認が必要となる。
しかし、トランプ氏は回避策があると考えている。1974年に制定された、現代の連邦予算審議プロセスの基礎をなす「議会予算・執行留保規制法」の重要な条項に異議を唱える方法だ。同法は議会が撤回を決定しない限り、大統領は割り当てられた予算を執行しなければならないと定めている。これに対し、トランプ氏は昨年「執行留保を復活させることでディープステート(闇の政府)を壊滅させ、問題を解決し、戦争を挑発する政治家を飢えさせる重要な手段を手に入れることができる」とし、「執行留保によってわれわれは容易に資金を断つことが可能だ」とコメントしている。
トランプ政策、新興国の貿易に明暗 - WSJ
投資家はドナルド・トランプ次期政権の混乱を招きかねない政策に身構えつつ、どの新興国に投資するかの見極めを急いでいる。
トランプ氏の政策には関税の引き上げや減税が含まれると予想されており、ドル高とインフレの長期化を招く可能性がある。アナリストによると、このため中国やメキシコなどの輸出大国は投資家に危うく映る一方で、インドやブラジルなどが潜在的勝者として浮上している。
トランプ氏の政策が世界に与える影響について投資家がより明確な見通しを得るには、「多くのことが一定の順序で起きる必要があるだろう」。「グローバルX ETF」の新興国市場戦略責任者マルコム・ドーソン氏はそう話す。関税の引き上げなどの予想される政策が、最大の新興国である中国が景気回復に苦戦している時期に実施されることになると同氏は指摘した。
「新興国市場はいい状況にあるはずだが、人々がこうした個別の要因の一つひとつに反発する余地は間違いなく大きい」
ドル高の影響
エコノミストの中には、「トランプ関税」が減税などの政策と併せて実施されれば、米国で物価が上昇し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ余地が制限されるとみる向きもある。そうなればドル高が続き、新興国市場にはプラス・マイナス両方の影響が及ぶだろう。
ドル高が進む中、MSCI新興国市場指数は今月5日の米大統領選以降、下落傾向にある。新興国市場の通貨を含む16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は上昇を続けている。
「ドルが強いときは、金融環境が引き締まり、貿易金融や輸出はより複雑になり、より多くのコストがかかるようになる」。アメリカン大学のバレンティーナ・ブルーノ教授(金融論)はそう話す。
ハーバー・キャピタルのポートフォリオマネジャー、ジェイク・シューマイヤー氏は、ドル高を理由に新興国債券への投資を削減したと話した。
ドル高について同氏は「私たちには恐怖だ」と話す。「新興国市場はドルがより強くなるという事実に対処しなければならなくなるだろう」
中国に対するリスク
トランプ氏が公約した関税の引き上げは為替レートを左右するだけでなく、中国やメキシコ、ベトナムなど輸出に大きく依存する国の主要な収入源を脅かす。
中国は「トランプ関税」の矢面に立つことが予想されている。トランプ氏は中国からの輸入品に一律60%の関税を課すことを公約に掲げており、この政策がそのまま実現すれば、中国が経済の減速に苦しむ中で、米国の輸入業者は他国からの調達を進める可能性がある。
「中国は明らかに最大のリスクだ」とシューマイヤー氏は言う。
米国への輸出に大きく依存するメキシコも、経済の減速を懸念する投資家が注視しそうな国だ。ベトナムも、貿易に関するトランプ氏の厳しい姿勢の犠牲になり得る国に挙げられることが多い。
明るい面としては、米国による関税の引き上げで輸出国が大量の在庫を抱えれば、他の国で安く売ろうとする可能性があると一部の専門家は指摘する。その結果、世界の市場に安価なモノに大量に出回り、一部の国ではインフレの抑制に一役買って、中央銀行が利下げを実施し、経済成長を押し上げることができるかもしれない。
中国は多くの製造能力と在庫を抱えることになり、新たな買い手を探すだろうとグローバルXのドーソン氏は話す。
国際貿易の勝者
インドはトランプ氏の政策がもたらす勝ち組の一角を占める可能性がある。インドは既に経済が好調で、米国の関税でライバルの中国が後退すれば、米国での市場シェアを一気にさらうかもしれない。ナレンドラ・モディ首相は米大統領選後、Xに投稿した祝意を示すコメントの中でトランプ氏を「私の友人」と呼んだ。2人は良好な関係にあるとみられている。
「インドは新興国市場で最大の注目点だ」とドーソン氏は言う。「インドは中国を取り巻く不確実性や中国外への供給の分散化から主に恩恵を受ける国だ」
世界銀行はインドの国内総生産(GDP)について、2025年3月までの1年間に7%成長すると予想している。前年の成長率は8.2%だった。インドの経済見通しにおいて輸出は中心的な役割を果たしている。
アルゼンチンは、やはりトランプ氏と良好な関係にあるハビエル・ミレイ大統領が政権を率いている。ミレイ氏は昨年末の就任以来、財政規律を唱えており、その努力は実りつつあるようだ。公式データによると、同国の12カ月のインフレ率は10月に193%となり、4月の289%から鈍化した。借り入れコストは低下しているが、まだ世界最高水準にある。
ブラジルもトランプ政権下で勝者となり得る国としてアナリストによく言及される。ブラジルは他の新興国と比べて貿易への依存度が低いため、米国が関税を引き上げても大きな問題になりにくい。ブラジルの中央銀行はインフレ再燃を抑制するため利上げを行っている。中国からの輸入品が今後一段と安くなれば、その恩恵を受けるだろう。
一方で、通貨安と株安により、ドルで投資をする投資家にとっては現地の資産が割安に見えるかもしれない。
「ブラジルの見通しは信じられないほど安く評価されていると思う」とドーソン氏は話した。
トランプ氏、内務長官にバーガム氏を指名へ ND州知事 - WSJ
メラニア夫人、ホワイトハウスには住まない公算大 「前回とは違う」(1/2) - CNN.co.jp
トランプ氏の政権移行チーム、FBIの身元調査を回避 一部閣僚の指名で - CNN.co.jp
麻薬や犯罪にうんざり、リベラル派の牙城サンフランシスコさえ右傾化 - Bloomberg
リベラル派の牙城であるサンフランシスコでさえ、米国の右傾化の波に飲み込まれた。
サンフランシスコは保守派の格好の標的となっている。カリフォルニア州務長官のデータによると、5日の米大統領選で、同市の有権者の15%強がドナルド・トランプ氏に投票。共和党の大統領候補としては過去20年間で最高の得票率となった。2016年の初出馬の際は9.3%だった。
この結果は全国的な傾向を反映しているものの、サンフランシスコでは特に大きな意味を持つ。同市では共和党員として登録している有権者が7%にとどまっている上に、民主党候補のハリス副大統領がかつてカリフォルニア州司法長官を務めていたからだ。
今や地元の共和党支持者はこの勢いに乗り、これまで同市に見切りをつけていた富裕層の献金者を取り戻すことができると期待している。
より穏健な都市を目指す共和党系の団体、サンフランシスコ・ブリオネス・ソサエティーの共同創設者、ジェイ・ドンデ氏は「現在、共和党はサンフランシスコでは成功できないという自己実現的な予言があり、だからわざわざ同党を支援する必要はないという考え方がある」とした上で、「これは成功を収められる共和党候補にはチャンスがあることを示している」と述べた。
ただ、サンフランシスコは依然としてリベラル派の牙城であり、すぐに共和党支配に変わる可能性は低い。しかし、ホームレスの問題や路上犯罪、記録的なオフィス空室率といった難題に見舞われる中、今回の選挙結果は、全米で広がる現状への不満を反映する形となった。
大統領選と同時に行われたサンフランシスコ市長選では、リーバイ・ストラウス創業家の相続人で非営利団体(NPO)の幹部を務めるダニエル・ルーリー氏が民主党穏健派の候補として出馬。全く政治経験がないにもかかわらず、現職のブリード市長を破った。ルーリー氏は、就任初日に合成麻薬「フェンタニル」まん延に対する緊急事態宣言を発令する計画だと表明している。
カリフォルニア州全体では40%近くがトランプ氏に投票し、ハリス氏は民主党候補としては過去20年間で最低の得票率を記録した。同州の動向は、2026年の州知事選にも影響を及ぼす可能性がある。現職のニューサム知事が任期満了を迎えるため、既に複数の知名度の高い人物が共和党からの出馬を検討している。
サンフランシスコの共和党系有力弁護士でトランプ陣営と緊密に連携したハーミート・ディロン氏は「リベラル派は強盗に遭ったりすることで、より保守的になっている。これはごく人間的な現象だ」と指摘。「人々はうんざりしているのだと思う。納税者の愛想が尽きたことで、ここではより穏健派的な動きが見られる」と述べた。
自民党、2回連続で比例復活なら名簿下位 衆院選方針 - 日本経済新聞
●先進国中銀、金融当局
ECB、必要以上に政策を引き締めるべきではない-チポローネ理事 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)のチポローネ理事は、ユーロ圏経済への恒久的なダメージを回避するため、金利を過度に高水準で維持するべきではないと述べた。
チポローネ氏は15日、英国での講演で「短期的に景気に対して必要以上の抑制をかけると、一時的だけでなく恒久的な打撃を生じさせる恐れがある」と述べた。
同氏は7-9月(第3四半期)のユーロ圏経済成長が好調だったのはパリ五輪などのイベントが寄与したもので、回復が定着するかどうかはまだわからないとした。また、成長は依然としてセクターによってばらつきがあるとも指摘した。
ボストン連銀総裁、インフレ率は2%に向かう強い軌道にある - Bloomberg
●先進国経済指標
米小売売上高、10月は市場予想を上回る伸び-自動車が押し上げ - Bloomberg
10月の米小売売上高は市場予想を上回る伸びとなった。自動車販売の増加が全体を押し上げた。また、ホリデーシーズンが近づく中で他のカテゴリーも幾分勢いを示した。
米小売売上高は前月比0.4%増加、市場予想は0.3%増、9月は0.8%増(速報値0.4%増)に上方修正
13分野のうち8分野で増加。電子機器や家電の販売店が特に好調だった。自動車販売は3カ月ぶりの大幅増。
電子商取引を含む無店舗小売りは伸びが鈍化した。アマゾン・ドット・コムによる大型セール「プライムデー」での値引きや、ウォルマート、ターゲットが実施した同様のキャンペーンが影響した可能性がある。
10月のデータは強弱が混在しているが、9月分の上方修正は、今年終盤の個人消費が想定されていたより力強いことと、それを背景にホリデーシーズンの消費が堅調に推移する可能性を示唆する。
一方でインフレが根強い上に、一部の小売業者はトランプ次期政権下で輸入品への関税が引き上げられることを見越して既に値上げを検討している。
こうした状況は今後の小売売上高データをゆがめる恐れがある。この統計はインフレ調整をしないため、増加が示されても販売が増えたというより価格の上昇を反映しているに過ぎない可能性があるためだ。
9月分は大幅に上方修正されたが、8月分は逆に0.1%減へと下方修正された。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「個人消費の伸びは若干鈍化するだろう。ひどく悪化するというわけでは全くないが、今回のデータは消費減速という私の見解と整合的だ」とリポートに記した。
コア売上高
国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建設資材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高(コントロールグループ)は、10月に0.1%減少。9月は2023年1月以来の大幅増だった。
ただ、過去3カ月の年率では4.6%増となり、10-12月(第4四半期)の米経済が順調に滑り出したことを示唆している。
今週発表された物価統計がインフレの根強さを示唆したことと併せて今回の小売売上高を見ると、米金融当局は追加利下げに慎重な姿勢を維持する公算が大きい。
ブルームバーグ・エコノミクスのエステル・オウ、イライザ・ウィンガー両氏は「所得の伸びと与信へのアクセスが引き続き個人消費を支えている。選挙後のセンチメント上昇が年内の消費を支えると、われわれはみている。しかし、その後の消費は労働市場の状況に密接に結びついた状態が続くだろう」と指摘した。
小売売上高は主に、消費支出全体に占める割合が比較的小さい財の購入を反映している。小売売上高で唯一のサービス項目である飲食店の売上高は0.7%増となった。
NY連銀製造業指数が急上昇、景気先行きを楽観-関税見越し受注増加 - Bloomberg
11月のニューヨーク連銀製造業景況指数の統計では、景気見通しへの楽観と受注の急増が示された。受注増加はトランプ次期政権による輸入関税の引き上げに備えた在庫積み増しを反映している可能性がある。
ニューヨーク連銀製造業景況指数は43.1ポイント上昇のプラス31.2、2020年6月以来の大幅な伸びとなり、21年12月以来の高水準、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値はゼロ、前月はマイナス11.9
ブルームバーグ・エコノミクスのクリス・コリンズ氏は「製造業企業を対象とした過去数カ月の調査では、選挙を巡る不透明感が活動の見通しを圧迫しているとの言及がよく聞かれた。その不透明感が解消されたことから、調査結果に一定の改善が見られ始める可能性がある」とリポートで指摘した。
新規受注も拡大圏に急浮上し、21年11月以来の高水準。事業活動に関する6カ月先の見通しは22年初期以降で2番目の高水準となった。
西海岸の港湾活動の急増と併せて、今回の数字は東海岸とメキシコ湾岸で来年早々にも起こり得るストライキの影響回避に向けた企業の取り組み強化を示唆している。
米鉱工業生産、10月0.3%低下 ボーイングのストとハリケーンの影響続く | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が15日発表した10月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は前月比0.3%低下と、エコノミスト予想と一致した。
2カ月連続の低下となり、米国を相次いで襲った大型ハリケーンのほか、米航空機大手ボーイング(BA.N), opens new tabのストライキの影響が引き続き響いたとみられる。ただ、11月には、これらの要因による下押し圧力がなくなることから回復する公算が大きい。
9月は0.5%低下と、従来の0.3%低下から下方改定された。
FRBは、ボーイングのストライキの影響で指数が0.2%ポイント押し下げられたと推計。9月は0.3%ポイントとしていた。
10月の鉱工業生産指数は前年同期比では0.3%低下。
製造業の生産指数は前月比0.5%低下。前月は0.3%低下だった。前年同月比では0.3%低下した。
経済の10.3%を占める製造業部門は高水準の金利を背景に低迷しており、当面は横ばいで推移するとみられる。
部門別では自動車・部品が3.1%低下。航空宇宙・輸送機器は5.8%急低下した。
耐久財は1.2%低下。一方、非耐久財は0.1%小幅上昇した。
鉱業は0.3%上昇と、前月の1.9%低下から回復した。公益事業は0.7%上昇。前月は0.3%上昇だった。
鉱工業部門全体の設備稼働率は77.1%と、前月の77.4%から低下。1972─2023年の平均を2.6%ポイント下回る水準にある。
製造業の設備稼働率は76.2%と、前月から0.5%ポイント低下。長期平均を2.1%ポイント下回る水準にある。
スイスGDP、第3四半期速報は0.2%増に鈍化 利下げ後押しへ | ロイター
英GDP、9月は予想外のマイナス 第3四半期も鈍化で新政権に痛手 | ロイター
GDP7─9 月期、年率0.9%増 自動車や飲食料品など寄与 | ロイター
内閣府が15日発表した2024年7─9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期から0.2%増え、2四半期連続のプラスとなった。年率換算では0.9%増。自動車や飲食料品などの消費が増えた。
ロイターがまとめた民間調査機関14社の予測によると、7─9月期実質GDPの予測中央値は前期比0.2%増、年率換算で0.7%のプラス成長だった。
GDPの過半を占める個人消費は前期比0.9%増で、2四半期連続のプラス。予測中央値の同0.2%増を上回った。
1─3月期は一部メーカーの認証不正問題に伴う生産・出荷停止が個人の自動車の買い替えの制約となったが、そこからの持ち直しが続いている。飲食料品は台風や地震など自然災害への備えや、猛暑による清涼飲料水などの消費が伸びたもようだ。
個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資は同0.2%減と、2四半期ぶりのマイナスとなった。工場建築などのコンサルティング業務など行うプラントエンジニアリングなどへの支出が減少したとみられる。
民間住宅は0.1%減、公共投資は0.9%減でともに2四半期ぶりマイナスだった。
内需はプラス0.6%で2四半期連続プラス寄与。外需はマイナス0.4%で3四半期連続のマイナス寄与だった。
国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーター(原系列)は前年同期比2.5%上昇。上昇幅は23年7─9月期の5.3%をピークに縮小している。
雇用者報酬(実質)は前年同期比プラス0.9%と、2四半期連続プラスとなった。24年春闘における賃上げが徐々に実際の給与に反映されてきており、所得環境は改善している。
農林中金総合研究所の理事研究員、南武志氏は「設備投資が弱いが、今焦点になっているのは、所得が増えて消費が増えるということ。そういう姿になっているということを考えると、日銀は12月利上げに向けて動き出すだろう」との見方を示す。
<10─12月期はプラス成長の見通し>
今のところ24年10―12月期の実質GDPはプラス成長となる見通し。日本経済研究センターが13日発表したESPフォーキャスト11月調査(回答期間10月30日─11月7日)によると、民間エコノミスト36人の予測平均は年率1.41%増となっている。
内閣府幹部は国内経済について「賃金と物価の好循環が目指していた方向に回り始めている」と指摘。一方、海外要因についてはトランプ次期米大統領の経済政策も含めて「要注意だ」としている。
10〜12月実質GDP1.4%増、設備投資プラスに 民間予測 - 日本経済新聞
●金融市場、先進国トピックス
12月の米利下げ「五分五分」、金利スワップ市場の織り込み具合が後退 - Bloomberg
トランプ関税の裏をかけ、BofAが中国・欧州株の逆張り買いを推奨 - Bloomberg
世界の美術品販売3割減 景気不安、米サザビーズを直撃 - 日本経済新聞
世界で美術品の売買が低迷している。米中への景気懸念や高金利で懐が厳しくなったコレクターが高値購入に二の足を踏んでおり、2024年上半期の世界のオークション販売額は前年同期比で3割減った。オークション大手の米サザビーズの経営が悪化するなど影響が広がっている。
米の私募ファンド巡る規制、業界団体が次期政権に見直し要望 | ロイター
オルタナティブ投資の米有力業界団体、マネージド・ファンズ・アソシエーション(MFA)は14日、トランプ次期大統領の政権移行チームに対して、「有害な」業界規制の見直しや「成長を後押しする」税制の維持を要望した。
MFAはヘッジファンドや、プライベートクレジット(公開市場を経由しない企業への直接融資)を手がける投資家といった私募ファンドが加盟。バイデン政権下で証券取引委員会(SEC)が新たに導入した私募ファンドに関する一連の規制取り消しを求める訴訟を起こしている。
次期政権にもMFAは、SECの政策課題や最近策定された規制の全面的な撤回を求めている。
MFAのブライアン・コルベット代表は「現在のSECの政策課題を転換し、市場や投資家、実体経済に弊害を及ぼしてきた間違った政策を過去のものにする時が来た」と書簡で訴えた。
バイデン政権の規制当局は財務省が主導する形で、ノンバンクと私募ファンドがもたらすシステミックリスクにも監視の目を光らせてきた。
しかしコルベット氏は政策担当者に、オルタナティブ資産を経済成長のけん引役として前向きに受け入れてほしいと主張。「私募ファンドが提供する多様性は金融市場安定化とリスク分散の両面で重要かつ不可欠な存在だ」と述べた。
共和党が上下両院の多数派となる来年1月の新しい連邦議会で検討される税制についてコルベット氏は、ヘッジファンドなどが受け取る「キャリードインタレスト」と呼ばれる報酬を長期のキャピタルゲイン扱いとしている現行の優遇措置を含む長期投資のインセンティブ制度を撤廃するべきではないと表明した。
保険会社の資本規制、国際機関が承認 25年度に国内適用 - 日本経済新聞
エネルギー貯蔵6倍へ有志国誓約 日本も参加、蓄電技術活用 - 日本経済新聞
●中東情勢
イラン、トランプ氏殺害の意図なし 米に先月通知 - WSJ
中東でまん延する薬物カプタゴン、紛争・犯罪を助長 - WSJ
中東では、緊急の対応を必要とするもう一つの紛争がシリアとヨルダンの国境で展開されている。覚醒剤のアンフェタミンに似た「カプタゴン」と呼ばれる薬物との戦いだ。
カプタゴンは社会階級や国境を超えてまん延している。深夜シフトのタクシー運転手や勇気を奮い立たせたい民兵組織の戦闘員、試験に向けて勉強する学生、長時間働いたりパーティーを楽しんだりしたい企業幹部など、使用者はさまざまだ。
背後には巨額に上る薬物取引が絡んでおり、中東での紛争を助長している。密輸による資金はイランが支援する民兵組織の収入源となっている。レバノンを拠点とするヒズボラもそうした組織の一つで、収入の大半をイスラエルとの戦闘で使う武器に充ててきた。カプタゴンはまた、シリアのバッシャール・アサド大統領を支えている。世界的な巨大麻薬組織に成長したアサド政権にとって、カプタゴンは西側による厳しい経済制裁の影響をある程度緩和する役目を果たしている。
シリアはカプタゴン取引への関与を否定している。
米当局者は、重要な同盟国であるヨルダンとサウジアラビアの長年にわたる安定をカプタゴン取引が脅かしているとして懸念を強める。ヨルダンの治安当局幹部によると、同国は軍の約3分の1を動員し、シリアとの国境経由の薬物流入を抑制しようとしている。薬物の場合と同じネットワークによる武器の密輸にも対処しているという。
当局者や研究者によると、カプタゴンの生産が行われているのは大部分がシリアで、一部はレバノンだという。密輸業者は例えば、シリアから正規の検問所を経由し、薬物をトラックの中や女性・子どもの服・靴の中に隠してヨルダンに運ぶ。砂漠地帯では、国境の壁越しに薬物を投げ込むためにカタパルト(投石機)を使ったり、ドローン(無人機)を利用したりする。霧や砂ぼこりによって夜間の視界が1メートルほどに制限される冬には徒歩でも運ぶ。
米シンクタンク、ニューラインズ研究所の推定によると、世界のカプタゴン市場の規模は約57億ドル(約8700億円)に上り、欧州のコカイン市場の半分以上に相当する。このうちアサド政権が2020~22年に手にした額は年間平均約24億ドルと、シリアの国内総生産(GDP)の約4分の1に匹敵する。この推定は、カプタゴン取引を追跡するシリアとアラブの研究組織である政治経済ネットワーク観測所(OPEN)による。
米財務省は10月中旬、アサド政権とヒズボラを利するためにカプタゴンの違法生産と密輸に関与したとして、3人に制裁を科した。同省によると、そのうちの1人がシリアで所有する工場はフロント企業として機能し、15億ドル以上の価値があるカプタゴン錠剤をロール紙の中に隠して欧州に送っていた。麻薬密輸の取締当局によると、欧州はアラビア半島向けのカプタゴンの主要な中継地点となっている。
ニューラインズ研究所によると、イスラエルがパレスチナ自治区ガザを舞台に戦争を開始して以降、ヨルダン・シリア国境でのカプタゴン押収件数は4倍に増加し、武器の密輸も伴うことが多い。米当局者は、イランからヨルダン川西岸地区のパレスチナ武装勢力への武器密輸が麻薬密輸に伴い増加するとの懸念を抱く。
カプタゴンを巡っては今年1月、ヨルダン国境から約24キロ北にあるシリアのオルマンという小さな村で2回の爆発が起き、家屋1棟が破壊され10人が死亡した。死者には女性5人と子ども2人が含まれていた。
この爆発について、シリアはヨルダンの空爆によるものだと非難した。ヨルダンが外国の領土で軍事行動を実施するのは珍しい。ヨルダンはシリア南部でそのほかに少なくとも4回の攻撃を行った疑いがある。ヨルダンは空爆についてコメントしなかったものの、1月の攻撃後の声明で、麻薬や武器の密輸業者がもたらす危険に今後も対処する方針を示した。
ニューラインズ研究所のカプタゴン取引に関する専門家、キャロライン・ローズ氏は「シリア政権は、制裁下にあり疲弊した国家が大金を稼ぐ方法の一例を示している」と述べた。
カプタゴンの起源
中東出身者の薬物依存症治療を手掛ける英医療機関、OADクリニックで医療ディレクターを務めるオスカー・ダニョーネ氏によると、湾岸諸国では西側諸国で広がっている薬物の大半が手に入りにくいこともあり、歴史的にアンフェタミン類が主要な薬物となってきた。同氏は「カプタゴンは彼らにとってのコカインだ」と述べた。
カプタゴンは1960年代にドイツで製造された薬のブランド名で、もともとは睡眠障害のナルコレプシー、うつ病、ADD(注意欠陥障害)などの治療に使用されていたが、1986年に大半の国で禁止された。1990年代にブルガリアの犯罪組織が生産をレバノンのベカー平原に移した。ヒズボラが拠点の一つとしていた場所だった。
2011年のシリア内戦、さらにレバノンの政治・経済秩序の崩壊に伴い、カプタゴン取引は国境の紛争地帯や無法地帯から地中海の港湾や国際的な輸送路へと拡大した。
アサド政権は国内の支配を強める中で施設を押収し、カプタゴン生産の工業化を進めた。内戦と国際社会による制裁に圧迫され現金の必要性が増すアサド政権はこの10年間で生産を大きく拡大した。
シリア反体制派の支持団体で米ワシントンに拠点を置く「シリア緊急タスクフォース(SETF)」がウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に提供したシリアの生産施設の動画には、ベージュ色の錠剤が複数の機械からプラスチックのかごに次々と吐き出される様子が映っていた。別の動画では、高品質のカプタゴンに使われることが多い、高級車レクサスのロゴ付きのカプタゴン錠剤の袋が山積みになっていた。
カプタゴンの主成分は、かぜ薬に普通に含まれているプソイドエフェドリンだ。国連によると、シリアは2020年、プソイドエフェドリンの輸入見通しを11万ポンド(約50トン)と報告した。この量は英国を上回り、製薬大国であるスイスの報告量のほぼ半分に相当した。シリアは、長引く内戦で国内の医療部門と製薬産業が崩壊しているが、なぜこれほど大量の輸入が必要かは説明しなかった。
米欧とアラブの当局者によると、アサド大統領の弟、マーヘル・アサド氏率いるシリア精鋭部隊の第4機甲師団がカプタゴンの生産と流通の監督をほぼ一手に担っている。
シリア人脱走兵で現在はシリア東部に駐留する米軍と協力しているファリド・アルカセム大佐はアサド政権について、「カプタゴンに完全に依存している」とし、「こうした薬物がなくては機能しない」と話した。
密輸業者はシリア経由で他の種類の薬物も運んでおり、クリスタルメス(結晶メタンフェタミン)が特に多い。
ある軍事基地でヨルダンの情報機関員がWSJに見せた監視映像には、シリア政権の軍事基地内で3人がドローンを発射する様子が映っていた。そのドローンはヨルダン国境に向けて薬物を運んでいると考えられた。
密輸業者はクリスタルメスを運ぶように訓練された伝書バトまで使っている。ヨルダンの情報機関員は、シリアからヨルダンに向かって飛行し捕獲されたハトの写真をWSJに見せた。ハトの両足には白い粉の入った小さな袋が結び付けられていた。
ジョー・バイデン米大統領は2022年12月、カプタゴン法に署名した。カプタゴンの密輸ネットワークを寸断し、中東で法執行機関とのパートナーシップを構築する米国の戦略を策定することが同法で定められた。今年4月には米下院で、カプタゴンの製造業者と密輸業者に対して新たな制裁を科す超党派の法案が通過した。
ヨルダンは昨年、米国の反対にもかかわらず、サウジアラビアやイラクなどのアラブ諸国とともにシリア政府との関係を正常化した。アサド大統領はその前提として、カプタゴンの取り締まりを約束していた。
当初、この取引はうまくいくように見えた。シリアは2023年5月、12年ぶりにアラブ連盟に復帰した。翌日、シリア南部でヨルダンの空爆とみられる攻撃があり、麻薬王として知られたメルヒ・アルラムサン氏が妻と6人の子どもと共に死亡した。その数時間後にヨルダンは、薬物密輸と戦うための合同治安部隊をシリアと結成したと発表し、シリア国営メディアは治安部隊がカプタゴンを100万錠押収したと報じた。その月にサウジアラビアのジッダで開かれたアラブ連盟首脳会議でアサド大統領は熱烈な歓迎を受けた。
それ以降もカプタゴン取引は続いている。ヨルダン当局者らは、シリアの当初の協力姿勢は見せかけに過ぎなかったと話す。ヨルダン外務省によると、アイマン・サファディ副首相が10月にアサド大統領と会談し、薬物の密輸がもたらす脅威について話し合った。
麻薬関連でヨルダンの担当部署が昨年逮捕した人数は約3万5000人となり、前年比24%増加した。ヨルダン当局は今年6月、サウジアラビア向けの約1000万錠、最大で2億ドルの価値がある違法薬物が絡む2件の密輸を阻止した。
満たされない人生
薬物のまん延はアラブ社会に危機的状況をもたらしている。
シリアで生産されたカプタゴンには、割合は不明なさまざまな物質が混ぜられていることが多い。カフェイン、麻酔薬、鎮静剤などで、有毒レベルの亜鉛やニッケルが混じっていることさえある。サウジアラビア向けの錠剤にはバイアグラが含まれていることが多い。
欧州で薬物依存症からの回復を支援する高級クリニックを運営する医療グループ「ザ・バランス」の創業者で最高経営責任者(CEO)のアブドラ・ブーラッド氏は「私の知る限り、カプタゴンの使用はここ数年で倍増した」と述べた。
ブーラッド氏によると、クリニックに来る患者の多くは湾岸諸国の裕福なアラブ人で、西側での留学や仕事から帰国後、相対的に制限の厳しい母国の社会的・法的環境に適応するのに苦労しているという。同氏は「これが満たされない人生を生み出し、そこでカプタゴンの出番となる」と述べた。
サウジアラビアでは、当局がカプタゴンの密輸業者や使用者を摘発するために都市に検問所を設置している。サウジ当局は10月、ヨルダンとの国境近くで、大理石混合材料の出荷物に隠された130万錠のカプタゴンを押収し、首都リヤドでは10人以上の政府職員を含む麻薬密輸ネットワークを解体した。イラクのムハンマド・スダニ首相は麻薬密輸とテロを支える資金の関連性について警告しており、10月には治安部隊がイラク西部の麻薬ネットワークから100万錠のカプタゴンを押収した。
●エマージング
中韓首脳が会談、協力関係など協議 | ロイター
ロシア、濃縮ウランの対米輸出を制限 原発に供給リスク | ロイター
ロシア政府は15日、米国への濃縮ウランの輸出を制限することを発表した。米国は昨年、原子力発電所で使用する濃縮ウランの4分の1をロシアから輸入しており、供給リスクが生じるとみられる。
米国では5月、ロシア産ウランの輸入を禁止する法律が成立した。ロシアは、今回の一時的な制限はこの措置に対応したものだが、供給上の懸念がある場合には2027年まで出荷を継続できる免除条項も含まれるととした。
ロシアは世界第6位のウラン生産国であり、世界のウラン濃縮能力のうち約44%を占める。23年には、米国と中国がロシアのウラン輸入国トップとなった。韓国とフランスがそれに続く。
ロシアのプーチン大統領は9月、西側諸国がロシアに対し導入した制裁措置への報復として、ウラン、チタン、ニッケルなどの輸出制限を検討すべきだと発言している
日米韓の首脳が会談、連携強化へ トランプ氏就任にらみ | ロイター
ジョージアの親ロ派支配地で反対デモ ロシアとの投資協定巡り | ロイター
旧ソ連構成国ジョージア(グルジア)の親ロシア派支配地域アブハジアで15日、中心都市スフミにある議会にロシアとの投資協定批准に反対するデモ隊が乱入した。野党の政治家らは大統領を自称するブジャニヤ氏の辞任を要求した。
デモ隊はトラックで議会を囲む金属製の門を破壊。現場の映像には、金属製の棒をこじ開けて窓から侵入し、廊下で叫ぶ様子が映っていた。
デモ隊は議会と同じ建物にある「大統領府」の建物にも押し入り、少なくとも9人が病院に搬送されたと伝えられた。タス通信によると、ブジャニヤ氏は不在だった。
野党指導者のテムール・グリア氏はロイターに対し、デモ隊は「ブジャニヤ氏の辞任を求め、断固として実現させるつもりだ」とし、「われわれもこうした事態は想定していなかった。当初の要求は投資協定の撤回だけだった」と述べた。
大統領府はロシアとの投資協定について、撤回する準備を進めているとの声明を発表した。アブハジアの一部の人々に不動産市場から締め出されかねないとの不満があるとも言及した。
アブハジアはジョージアからの独立を一方的に宣言し、ロシアは2008年に独立国家として認めた。ただ、世界の大半はジョージアの一部と認識している。
独ロ首脳が電話会談、西側の孤立政策に終止符 ウクライナは反発 | ロイター
ドイツのショルツ首相は15日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナからのロシア軍撤退と戦争終結を促した。ドイツ政府報道官が明らかにした。
ショルツ氏とプーチン氏の直接会談は2022年12月以来。
ドイツでは連立政権が崩壊し総選挙に向かう一方、米大統領選では対ウクライナ支援に批判的なトランプ氏が勝利するなど情勢が大きく変化しつつある中、西側諸国によるロシア孤立政策に終止符が打たれた。
ロシア大統領府も、プーチン氏とショルツ氏の電話会談を確認。会談はドイツの要請で行われたとし、プーチン氏はウクライナ戦争終結のためのいかなる合意も、ロシアの安全保障上の利益を考慮に入れ、「新たな領土の現実」を反映したものでなければならないと伝えたと明らかにした。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、両首脳の電話会談が「パンドラの箱」を開けたと批判。今後も同様の対話が行われる可能性があるとし、「まさにプーチン氏が長年望んでいたことだ。プーチン氏にとって孤立を弱める上で非常に重要だ」と述べた。
ウクライナでの紛争を「公正な平和」で終わらせる努力を損なうことになるという認識も示した。
これに先立ち、ウクライナ大統領府の関係筋によると、ゼレンスキー氏はショルツ氏に対し、ロシアの孤立状態が緩和され戦争継続につながるとの懸念から、プーチン氏との電話会談を控えるよう警告。「プーチン氏は真の平和を望んでおらず、一時的な休戦を求めているだけだ」とし、電話会談はプーチン氏を利するだけだと述べたという。
先週行われた米大統領選でトランプ氏が勝利したというタイミングで行われたこの首脳電話会談について、ある西側外交官は「これは悪いシグナルだ」と語り、自国がドイツ政府にそれは良い考えではないと伝えたことを明らかにした。
トランプ氏はウクライナ戦争を迅速に終結させることができると述べ、ウクライナに対する西側諸国の財政・軍事支援の規模を繰り返し批判してきた経緯がある。
関係筋によると、フランスのマクロン大統領がプーチン氏と会談する予定はない。
ドイツ政府報道官によると、ショルツ氏はプーチン氏に対し、公正かつ永続的な平和を目指してウクライナと交渉する意思を示すよう要請。ドイツは可能な限りウクライナを支援するという立場も強調した。また、北朝鮮がロシアに派遣した兵士をウクライナとの戦闘に投入することは紛争の深刻なエスカレーションにあたると明確に伝えた。
両首脳は今回の電話会談後も連絡を維持することで合意。ショルツ氏はプーチン氏との会話内容を同盟国やパートナー国のほか、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)首脳に報告する。
ロシア大統領府によると、プーチン氏はウクライナ戦争終結を巡る合意について、紛争の根本的な原因に対処するため、ロシアの安全保障を考慮し、ウクライナの領土の一部をロシアが実効支配しているという「新たな領土の現実」を踏まえたものでなくてはならないと伝えた。
プーチン氏が示した見解は6月に表明したものと同一。当時プーチン氏は、ウクライナがNATO加盟方針を放棄し、ロシアが制圧したウクライナの4地域の全てを引き渡せば戦争は終結すると表明した。ウクライナはこうした条件は降伏に等しいとして拒否している。
プーチン氏はこのほか、ロシアとドイツとの関係の「前例のない悪化」について言及。原因はドイツの非友好的な行動にあるとの考えを示した。同時に、エネルギー問題を巡り、ドイツが関心を示せば取引の検討に応じる用意があると伝えた。
ロシアのペスコフ大統領報道官は今回の会談について「ウクライナを巡り詳細、かつ率直に議論した」とし、「かなり大きな見解の相違があるが、対話が行われたということ自体が極めて肯定的だ」と述べた。
独政府高官によると、両首脳は約1時間にわたり会談した。
ショルツ氏はプーチン氏との電話会談前にゼレンスキー氏とも会談しており、プーチン氏との会談後にもゼレンスキー氏と再度会談する。
ショルツ氏がこのタイミングでプーチン大統領と電話会談を行った理由は不明。ポーランド国際問題研究所のダニエル・シェリゴフスキー氏は「総選挙を控える中、ショルツ氏はプーチン氏との対話が国内での自身の立場の強化につながると考えている」との見方を示した。
ドイツでは連立政権の崩壊に伴い来年2月23日に総選挙が実施される。
中国の習近平主席、「歴史に逆行する行為」警告-トランプ関税けん制 - Bloomberg
中国の習近平国家主席は、米大統領選でのドナルド・トランプ氏勝利以降初の主要な演説で、グローバル化を巻き戻そうとする取り組みをけん制した。トランプ氏は中国からの輸入品に最大60%の関税を賦課すると警告している。
中国の王文濤商務相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)最高経営責任者(CEO)サミットで15日に代読した演説によると、習氏は「さまざまな口実で経済協力を阻害し、相互依存の世界を分断することは、歴史に逆行する行為だ」と指摘した。会議はペルーのリマで開催されている。
「世界は混乱と変化の新たな時代に入った」とし、「一国主義と保護主義が広がりつつあり、世界経済の分断が深刻化している。経済のグローバル化は厳しい試練に直面している」と続けた。
APECおよびブラジルで開催される20カ国・地域(G20)の両首脳会議に出席する習氏は、自らが経済グローバル化の擁護者だと示したい考えだ。同氏はトランプ氏の1期目にもこの戦略を採った。トランプ氏が掲げる関税は、中国の脆弱(ぜいじゃく)な景気回復を妨げるリスクがある。
習氏は中国の2024年成長率目標である5%前後の達成に「完全な自信」を表明。景気刺激策を打ち出した後に景気が持ち直し始めたことが、10月のデータで示された。消費の伸びが工業生産にほぼ追いついており、不動産の低迷や需要の弱さ、物価下落に見舞われている同国にとって明るい材料となっている。
習氏はまた、いわゆる「グローバルサウス(新興・途上国)」が世界の問題に関して発言力を増し、全ての国が発展における公平な権利と機会を享受するべきだと呼びかけた。
「われわれは経済グローバル化の発展を正しく導く必要がある。一部の国が覇権を握ることを許す古い道を歩んではならない」と習氏は演説で主張。「経済のグローバル化を推進し、よりポジティブな効果を引き出すとともに、よりダイナミックで包摂的、持続可能な新たな段階へと進む必要がある」と論じた。
プーチン露大統領とショルツ独首相、ウクライナ巡り電話会談 - Bloomberg
韓国最大野党代表に有罪判決、選挙法違反で 大統領選出馬に暗雲 | ロイター
中国、適度な出生水準維持へ努力必要 習主席が党機関誌に寄稿文 | ロイター
北朝鮮とロシアの協力関係に連携して対応へ-日米韓が首脳会談 - Bloomberg
中国の粗鋼生産、10月は前月比+6.2% 5カ月ぶり増加 | ロイター
アリババの純利益58%増 7〜9月決算、クラウドなど好調 - 日本経済新聞
中国新築住宅価格、10月は9年ぶりの大幅下落 底入れの兆しも | ロイター
中国国家統計局が15日発表したデータによると、10月の新築住宅価格は前年比で2015年以来最大の下げとなった。ただ、前月比での下げ幅は縮小し、政府の支援策により不動産セクターが安定し始めていることが示された。
統計局データに基づいたロイターの算出によると、10月の新築住宅価格は前年比5.9%下落し、9月の5.8%に続き16カ月連続で値下がりした。
前月比では0.5%下落した。下落幅は9月の0.7%から縮小し、3月以来の低い下落率となった。前月比の価格は1級、2級、3級都市で下落幅が縮小した。
統計局の調査では、新築住宅価格が今後6カ月以内に安定または上昇すると予想した回答者が75.9%に達し、前回調査から17.6ポイント上昇した。
また、調査対象となった70都市中、住宅価格が前年比で上昇した都市は3都市で、前月の2都市から増えた。
統計局報道官は会見で、不動産市場は安定しつつあり、住宅価格も底入れの兆しが出ていると指摘。不動産開発業者のキャッシュフローは改善しているとし、不動産市場の今後を楽観していると述べた。
この日発表された1─10月の不動産投資は減少ペースが加速したが、不動産販売は減少ペースが鈍化した。
キャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、Zichun Huang氏は「不動産支援策は住宅市場にいくらかの救済をもたらしているようだ」と述べた。
中国当局は昨年以降、不動産セクターの安定に向け開発業者に資金を注入したり借り入れコストを引き下げるなど支援を強化している。
財政省は13日、住宅購入コストを引き下げ、需要を喚起するため新たな税優遇措置を発表した。
中国10月鉱工業生産、予想下回る 消費は好調も不動産投資なお低迷 | ロイター
中国国家統計局が15日発表した10月の鉱工業生産は伸びが前月から鈍化し、予想を下回った。小売売上高は大型連休やインターネット通販セールの押し上げ効果で予想から上振れたが、不動産部門の低迷が続いた。
政府が一連の景気刺激策を打ち出したにもかかわらず、追加策が必要との声が根強い。トランプ次期米大統領は中国からの輸入品に高関税を課し、対中強硬派を政権幹部に指名すると表明しており、中国当局は引き続き景気への対応を迫られるとみられる。
10月の鉱工業生産は前年比5.3%増加と、伸び率は9月の5.4%から鈍化し、市場予想(5.6%増)を下回った。
同月の小売売上高は4.8%増と、9月の3.2%増から加速。市場予想の3.8%増も上回った。
国慶節(建国記念日)の大型連休のほか、10月14日に前倒しで始まった「独身の日」のネット通販セールに押し上げられた。中国の調査会社、星図数据によると、主要EC(電子商取引)プラットフォームのセール期間の売上高は26.6%増の1兆4400億元だった。
キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、Zichun Huang氏は「第4・四半期の期初に想定以上に強い個人消費で中国経済がさらに改善した」と指摘。
「財政出動の加速が今後数カ月にわたり経済活動の循環的な回復を支える」と予想した上で、米大統領選でのトランプ氏の勝利がそれ以降の見通しに影を落としていると述べた。
国家統計局の付凌暉報道官は記者会見で、最近の政策措置が好影響をもたらしているようだと述べ、当局は今後も支援策を強化する考えだと述べた。
また、9月と10月の経済運営の変更により、2024年の成長率目標である5%前後の達成に自信が強まったと語った。
ただ、一部のエコノミストは9月に発表された刺激策が景気回復を下支えするのに十分だったかどうかを判断するのは時期尚早だとした。
上海を拠点とするエコノミスト、ダン・ワン氏は、消費財の買い替え促進策が数カ月前に導入されており、消費に効果が表れているが、「その他の最近打ち出された住宅向けなどの刺激策はまだ効果が出ていない」とした。
統計局によると、買い替え促進策がけん引する形で10月の家電用品の販売は39.2%の大幅増となった。
1─10月の固定資産投資は前年同期比3.4%増加と、1─9月と同じ伸び率だった。市場予想の3.5%増を下回った。
対照的に、1─10月の不動産投資は前年同期比10.3%減少と、1─9月の10.1%減より大幅なマイナスとなった。
1-10月の不動産販売(床面積ベース)は15.8%減と、1─9月の17.1%減少からマイナス幅が縮小した。刺激策が改善につながった可能性があるが本格回復には程遠い。
中国人民銀行が9月に発表したコロナ禍以降最大の景気刺激策や 中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会が決定した地方政務の「隠れ債務」への10兆元規模の対策など、相次ぐ措置について、アナリストは経済活動や需要、物価の短期的な押し上げ効果はそれほど大きくないと指摘する。
中国不動産投資、1─10月は前年比-10.3% 販売面積は減少鈍化 | ロイター
アングル:インド中間層、インフレで支出切り詰め 経済成長圧迫か | ロイター
インドではしつこい高インフレが中間層の家計を締め付けており、都市住民はクッキーからファストフードに至るまで、あらゆる支出を切り詰めている。消費の減速は、同国経済の高成長を脅かしかねない。
都市部の消費は過去3─4カ月にわたって減速。大手消費財企業の収益を圧迫しているだけでなく、インドの長期的な経済的成功の構造にも疑問を生じさせている。
新型コロナウイルスのパンデミックが収束して以来、インドの経済成長は主に都市部の消費がけん引してきたが、現在その状況が変わりつつあるようだ。
飲料・食品大手ネスレ・インディアのシュレッシュ・ナラヤナン会長は「超富裕層は消費しているが、消費はまるで流行遅れになっているかのようだ。かつては中間層が存在し、当社のような日用消費財(FMCG)企業の大半はそこを相手に事業を展開していた。その層が縮小しているようだ」と語る。
キットカットなどを製造するネスレ・インディアは、パンデミックに見舞われた2020年4─6月期以来、初めて四半期決算が減収となった。
インドの中間所得層について公式の定義はないが、概算では人口14億人の3分の1を占めるとされている。
中間層は経済的にも政治的にも重要な層とみなされており、今年の選挙でモディ首相が苦戦したのは中間層の不満が大きな要因だったとみられている。
アジア第3位の経済大国であるインドは、2024年4月─25年3月の会計年度に7.2%と、主要国の中で最も高い成長率が予想されている。
しかし、こうした楽観的な予測とは裏腹に、家計部門では急激な減速の兆しがみられる。
航空便の予約、燃料販売、賃金などの指数から集計したシティバンクの指数によると、都市部の消費は今月、2年ぶりの低水準に落ち込んだ。
シティのチーフ・インド・エコノミスト、サミラン・チャクラボルティー氏は「一部の低下は一時的なものかもしれないが、マクロ経済をけん引する主要な要因は好ましくない状況が続いている」と述べた。
シティのデータによると、インド上場企業のインフレ調整後の賃金コスト上昇率(都市部住民の賃金を示す代理指数)は、今年9月までの3四半期全てにおいて2%を割り込み、過去10年間の平均値4.4%を大幅に下回っている。
チャクラボルティー氏は、都市部の消費に影響を与えた主な要因として、貯蓄の減少や個人向けローンの規制強化に加え、実質賃金の低い伸びを挙げる。
過去12カ月間の消費者物価指数(CPI)上昇率は平均5%だったが、天候不順による野菜や穀物、その他の必需品の価格高騰により、食品価格の上昇率は8%以上で推移した。10月にはCPI上昇率が14カ月ぶり高水準の6.2%を記録し、食品価格は10.9%急騰した。
ノムラは先週のメモで、8月から11月までの祝祭シーズン中の小売売上高は前年同期比で約15%増と、昨年のペースの半分程度にとどまったと指摘している。
夫の月給3万ルピー(約5万5000円)で生活しているラジワンティ・ダヒヤさん(60)は「このお祭りのシーズン中、私たちはまったくお金を使っていない。貯蓄はほとんど底を突いた」と嘆いた。
<縮小する中間層>
シティやIDFCファースト銀行のエコノミストは、都市部の消費低迷により、7─9月期の国内総生産(GDP)成長率がインド準備銀行(中央銀行)の予測7%を下回ると見込んでいる。
こうした見方から消費者関連株は売り込まれ、日用消費財株(FMCG)指数(.NIFTYFMCG), opens new tabは10月1日以降13%下落。NSE指数(ナショナル証券取引所に上場する50銘柄で構成)(.NSEI), opens new tabの7.4%安に比べて大幅な下げとなっている。
FMCG指数を構成する15社のうち、7─9月期に販売数量の伸びが増加したのは1社のみだった。
大都市の消費者はヘアオイルから紅茶まで、ブランド品をより安価なノーブランド品に切り替えている。
消費者は外食も控えており、マクドナルド、バーガーキング、ピザハット、KFCなどのファストフード・チェーンでは既存店売上高が減少した。
バーガーキングを運営するレストラン・ブランズ・アジアのラジーブ・バルマン最高経営責任者(CEO)は、客足は途絶えていないが、より安いメニューが選ばれるようになったと言う。同社は四半期の既存店売上高が3%減少した。
ムンバイの企業で営業担当幹部を務め、中産階級を自認するアビナッシュ・クラストさん(37)は「月々のやりくりのため、お得な割引がある財布に優しい店を好んで利用している」と語った。
新興国株式、トランプ氏勝利でアンダーパフォーム=シティ | ロイター
シティグループのアナリストは14日、米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受けて、新興国株式がグローバル株式をアンダーパフォームするとの見通しを示した。
トランプ氏の通商政策が世界経済の重しになると指摘。これに伴うドル高が新興国資産を一段と圧迫する可能性があるとの見方を示した。
サウジアラビアとインドは相対的に貿易リスクにさらされにくいとし、サウジの投資判断を「アンダーウエート」から「オーバーウエート」に引き上げた。
ただ、インドについては、企業利益の伸び悩みと、中国の最近の政策支援を受けた海外勢の売り圧力を理由に「オーバーウエート」から「ニュートラル」に引き下げた。インドのNSE指数(.NSEI), opens new tabは2025年9月までに直近終値から約6%値上がりし2万5000に達する見通しという。
南アフリカの投資判断は「ニュートラル」から「オーバーウエート」に引き上げた。企業業績の伸びが魅力的で、中国の景気刺激策が追い風になる可能性があるとしている。
韓国の投資判断は企業利益の伸び悩みを理由に「アンダーウエート」に引き下げた。通商政策の不透明感が強まれば、韓国経済の重荷となり、対米輸出に悪影響が出る恐れがあるとしている。
ただ、韓国の総合株価指数は25年半ばまでに現在の水準から16%上昇し2800に達する可能性があると指摘。半導体部門の利益回復や中央銀行の利下げが25年後半にかけて指数をさらに下支えすると予想している。
MSCI新興国株価指数は25年半ばまでに現在の水準から約10%上昇し1210に達する見通し。投資判断は「ニュートラル」で維持した。
中国、トランプ氏と協力する用意ある-習氏がバイデン氏に伝える - Bloomberg
中国の習近平国家主席は16日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のため訪れているペルーのリマでバイデン米大統領と会談し、米中関係の改善に向けドナルド・トランプ氏と協力する用意があると伝えた。第2次トランプ政権発足前にバイデン、習両氏が会うのはこれが最後となる見通し。
習氏はバイデン氏に対し、米中両国は長期的に平和的に共存していくべきだと呼びかけ、人類が困難を乗り越えるためには「連帯と協力」が必要で、「デカップリング(切り離し)もサプライチェーンの混乱も解決策ではない」と述べた。
習氏は「中国には、米国の新たな政権と協力し、意思疎通を維持し、協力を拡大し、相違を管理することで、両国国民の利益のために米中関係の安定した移行に努める用意がある」としながらも、「もし互いを敵として扱い、悪意を持って競争し、互いに傷つけ合うのであれば、米中関係はねじれや曲折、あるいは後退さえも経験することになるだろう」と警告した。
バイデン氏はこれに対し、両国間の進展を「非常に誇らしく思う」と述べ、習氏と長年にわたり頻繁に会談を行ってきたことを振り返り、意見が一致しない場合でも常に率直に話し合ってきたと指摘。
「こうした対話により誤算を防ぎ、米中の競争が紛争に発展しないようにしている」と語り、軍同士のコミュニケーションや人工知能(AI)リスク、麻薬対策における協力関係が改善していると説明した。
バイデン氏は10年以上前の副大統領時代から、まだ国家副主席だった習氏と会談を重ねてきた。2人の公式協議としては最後となる見込みの今回の米中首脳会談は、両国関係の不確実性と緊張が高まっている時期に行われた。
核兵器の管理
首脳会談後、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、米中がAIによる核兵器の管理を避けることで合意したと発表した。
さらに、バイデン氏がロシアの産業基盤への中国の支援に懸念を示し、プーチン大統領が続けているウクライナでの戦争に部隊を派遣した北朝鮮の動きは、欧州のみならずアジアの平和と安全にも影響を及ぼす恐れがあると警鐘を鳴らしたと明らかにした。
サリバン氏は、中国によるとみられる米通信事業者へのハッキングについてもバイデン氏が習氏に提起したと述べたが、詳しい言及は避けた。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は16日、中国政府が支援する米通信システムへのハッキングは、トランプ氏やハリス副大統領の選挙陣営を含め米国の選挙候補者や側近の通話記録ややり取りを盗もうとする一環で、TモバイルUSも対象になっていると報じた。中国は米国の政治に対する干渉疑惑を一切否定している。
習氏は、今回の会談を「率直かつ深みがあり、建設的」と表現。米中共通の利益は縮小するどころか拡大していると指摘した上、バイデン氏に対し、「新たな冷戦」は回避すべきで、悪影響を及ぼすような行動を米国は自制する必要があると語った。
習氏は南シナ海を巡る介入の回避を米国に求め、台湾の頼清徳総統の「分離主義的な性質を認識」すべきだと主張。台湾を自国領土の一部と見なす中国は、必要なら武力行使も辞さないとしている。 
習氏はまた、2026年のAPEC首脳会議を中国で開くと発表。これはトランプ氏が大統領として再びが訪中する可能性があることを示唆している。習氏は「安定し、健全で、持続可能な米中関係を築くという中国の目標は変わらない」と述べた。
ロシア軍、インフラに一斉攻撃 冬場の電力供給標的 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
中部国際空港の純利益2.4倍 25年3月期決算、免税店好調で上方修正 - 日本経済新聞
中部国際空港(愛知県常滑市)は15日、2025年3月期の連結純利益が前期比2.4倍の51億円になりそうだと発表した。従来予想の43億円から上方修正した。空港内の免税店や飲食店の売り上げが好調に推移する。国際線・国内線を合わせた年間旅客数は当初の想定の1080万人を据え置いた。
売上高は33%増の533億円、営業利益は2.9倍の61億円を見込む。10月から実施した、国際線利用客から徴収する旅客保安サービス料の引き上げや、空港の運営費用の抑制も寄与する。
同日発表した24年4〜9月期の連結決算は純利益が32億円だった。前年同期の純利益は58万円だった。売上高は前年同期比42%増の256億円、営業利益は38億円。中部空港によると、営業利益率(15%)は過去最高だという。部門別では、着陸料など国際線の収入が22%増、免税店の売り上げが43%増となった。
業績は好調だが、国際線の回復スピードは鈍い。24年度上期の国際線旅客数は前年同期比79%増の230万人だったが、新型コロナウイルス禍前の19年同期と比べると65%にとどまる。中部空港は25年度に、国際線と国内線を合わせた旅客数を1260万人とする目標を掲げる。達成にはインバウンド(訪日外国人)、アウトバウンド(海外旅行客)の双方の取り込みが欠かせない。
●その他
【ポッドキャスト】マラソンの常識を疑え 横田真人さん語る「教えない指導」 NIKKEIランナーズサロン - 日本経済新聞
住信SBIネット銀行、ATM手数料を完全無料化 アプリ利用で - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(15日)ドル下落、株価続落 利回り上昇 | ロイター
- **ドルの動き**: 米FRBの将来的な利下げ観測やトランプ次期大統領の政策見直しを背景に、ドルはやや下落。ただし、ドル指数は週間ベースで約1.65%上昇し、9月以来の大幅な伸び。
- **パウエル議長の発言**: 米経済や労働市場が堅調で、FRBは利下げを急ぐ必要がないとの見解を示し、積極的な利下げ予想が後退。
- **為替市場**: ドル/円は1.4%下落の154.145円、ユーロ/ドルは1.054ドル付近に上昇。
- **米経済指標**: 10月の小売売上高は前月比0.4%増(予想0.3%増)、輸入物価指数は0.3%上昇(予想外の上昇)。
- **暗号資産**: ビットコインは2.64%上昇、イーサリアムは2.17%下落。
- **債券市場**: 国債利回りが上昇。特に10年債利回りは4.429%、5カ月半ぶりの高水準に達した。
- **利下げ予測**: 12月のFRB会合で利下げ確率は61%(前日63.2%から低下)、見送り確率は39%に上昇。
以下は要約です:
### 株式市場
- **主要指数の動向**:  
  - S&P 500とナスダック総合が2週間で最大の下げ幅を記録。S&Pは週足で2.08%、ナスダックは3.15%、ダウ工業株は1.24%下落。
  - 半導体指数(SOX)は3.4%下落。半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズが9.2%安。
  - 情報技術セクターが2.5%安と最も大きな下げを記録。
- **要因**: パウエルFRB議長が利下げペースの鈍化を示唆したことや、トランプ氏の閣僚人事が影響。
- **市場心理**: CBOEのVIX指数は一時17.55と、不安心理が高まった。
### 金先物
- **価格動向**: 金価格は6日続落し、1オンス=2,570.10ドル。週間では4.63%下落。
- **要因**: 堅調な小売売上高や利下げペース鈍化の見方が金価格を抑制。ただし、ドル高一服により下値は限定的。
### 原油先物
- **価格動向**: 米WTI原油価格は4日ぶりに反落。1バレル=67.02ドルで2カ月ぶりの安値。週間では4.77%下落。
- **要因**: 
  - 中国の経済指標が市場予想を下回り、石油需要減退への懸念が高まった。
  - パウエル議長の発言による利下げ鈍化観測も圧迫要因。
### その他の動向
- **小売売上高**: 米10月の小売売上高は0.4%増(予想0.3%増)。
- **トランプ氏の人事発表**: 新政権の厚生長官にワクチン懐疑派のロバート・ケネディ・ジュニア氏を指名。
全体的に、FRBの利下げペース鈍化の観測が広がり、株式や商品市場に影響を及ぼしました。
欧州市場サマリー(15日) | ロイター
### ロンドン株式市場
- **市場動向**:
  - FTSE100種は反落し、週間で0.11%下落(4週連続の下落)。
  - 中型株指数FTSE250種も同様に下落(週間で0.20%安)。
- **主な要因**:
  - トランプ次期米大統領がワクチン懐疑派のロバート・ケネディ・ジュニア氏を厚生長官に指名した影響で製薬銘柄が下落。
  - アストラゼネカ (-3.1%)、グラクソ・スミスクライン (-3.9%)が大きく値を下げた。
  - 英国9月のGDPが0.1%減少し、第3四半期の成長も鈍化。

### 欧州株式市場
- **市場動向**:
  - 欧州株は全体的に反落。STOXX欧州600種テクノロジー株指数は2.82%下落。
  - ノボノルディスク (-5.4%)、サノフィ (-3.3%)など製薬銘柄の下げが目立つ。
  - ババリアン・ノルディックが第3四半期の利益予想を下回り、17.4%急落。
- **主要企業動向**:
  - ASMLホールディング (-5.5%)はアプライド・マテリアルズの低調な売上見通しの影響を受けた。
  - 技術セクター全体が圧迫。

### 債券市場(ユーロ圏)
- **利回り動向**:
  - ドイツ10年債利回りは2.346%で安定。2週連続ほぼ横ばい。
  - イタリア10年債利回りは3.54%に低下し、4週間で最大の低下幅。
  - 独伊10年債利回り格差は119.5bpと縮小。
- **主な要因**:
  - ECBは経済のソフトランディングを支援するため、利下げの可能性を議事要旨で示唆。
  - 市場では50bpの利下げ確率が20%と上昇。

### 背景要因
- トランプ次期政権の政策不透明感。
- パウエルFRB議長が「利下げを急ぐ必要はない」と発言したことが市場全体に影響。
【米国市況】トランプ氏当選の熱狂冷め、株が下落、ドル一時153円台 - Bloomberg
### **株式市場**
#### 米国市場
- **S&P500種指数**: 15日に週間で2.1%下落し、約2カ月ぶりの大幅安。ハイテク株を中心に売られ、特に「マグニフィセント・セブン」の主要企業(アマゾン、エヌビディア、メタなど)が軒並み下落。
- **パウエルFRB議長の発言**:
  - 利下げを急ぐ必要性がないと表明。
  - 12月のFOMCで25ベーシスポイント(bp)の利下げは「選択肢」との見方が優勢ながら、確実性は低下。
  - これを受け、利下げ期待が後退し株価が圧迫。
#### 欧州市場
- **FTSE100種指数**: 製薬株の下落が主因で反落。週間では0.11%安、4週連続の下落。
  - 製薬大手(アストラゼネカ、グラクソ・スミスクラインなど)が3%以上の下落。
  - 背景にトランプ次期米大統領がワクチン懐疑派のロバート・ケネディ・ジュニア氏を厚生長官に指名したことが影響。
#### ナスダック100指数
- 週間で3%以上下落。
- アプライド・マテリアルズはAI以外の半導体製造装置の需要低迷が懸念され、1カ月ぶりの大幅安。
### **債券市場**
- **米国債利回り**:
  - **10年債利回り**: 一時4.5%を超えたが、その後4.40%付近に下落。
  - 強い経済データ(9月の米小売売上高の大幅上方修正)とFRBの利下げ観測後退が影響。
  - 「株価下落=逃避需要」として債券が支持される場面も。
- **ユーロ圏国債**:
  - ドイツ10年債利回り: 2.346%で横ばい。
  - ECBはインフレ対応として利下げ可能性に言及。
### **商品市場**
#### 原油
- **NY原油先物(WTI)**:
  - 4日ぶりに反落し、1バレル=67.02ドル。
  - ロシア・ウクライナ間の緊張緩和報道で供給過剰懸念が台頭。
#### 金
- **金スポット価格**:
  - 週間で4%以上下落し、2021年以来の大幅安。
  - 来月の利下げ観測後退で売り圧力が高まる。
### **外為市場**
- **ドル指数**: 週間で1.4%上昇。
- **円相場**: 一時対ドル153円台まで上昇。
  - 日本政府は急激な為替変動に適切な対応を示唆。
### **全体観**
市場ではインフレ、財政赤字拡大、政策金利見通しを巡る不透明感が拡大し、株価に下押し圧力が続く一方、債券市場では逃避需要が見られます。利下げを巡るFRBやECBのスタンスが引き続き注目されます。
来週の米主要企業決算 小売大手、そしてエヌビディア  - 株探(かぶたん)|米国株
19日(火)ウォルマート、ロウズ
20日(水)ターゲット、エヌビディア
21日(木)ギャップ

備忘録(2024/11/14
●海外企業決算
シーメンス、通期で最大7%増収と予想-データセンター活況が追い風 - Bloomberg
ドイツのエンジニアリング会社シーメンスは14日、2025年9月期の通期売上高が最大で前年比7%増加するとの予想を示した。電力消費量の多いデータセンターのブームで同社の変圧器や送電網技術への需要が高まり、堅調な収益成長を見込んでいる。
シーメンスの24年9月期の通期売上高は前年より3%増加し、純利益は過去最高の90億ユーロ(約1兆4800億円)に達した。同社は配当金を11%増の1株当たり5.20ユーロに引き上げた。
人工知能(AI)への投資が急増し、大量のエネルギーを必要とするデータセンターが増加したことにより、シーメンスの電力供給製品に注文が殺到した。この需要増が、中国経済の低迷に起因する工場自動化事業の落ち込みを相殺しているという。
シーメンスのローランド・ブッシュ最高経営責任者(CEO)は「デジタル化と人工知能の継続的なブーム、より高い強靭(きょうじん)性に対する需要の高まり、完全な電化と脱炭素化に向けた取り組みが、全製品に非常に大きな機会を提供している」と述べた。
シーメンスの株価は欧州時間14日午前に一時9%値上がりし、取引時間中として22年3月以来の大幅な上昇となった。過去12カ月間で株価は約40%上昇した。
中国の長引く景気低迷により、工場自動化機器の販売が打撃を受けているシーメンスや他の産業用機器メーカーは、減税を含めた中国政府の景気刺激策に期待を寄せている。
製造工程の自動化のための機械やシステムを製造する、シーメンスで主力のデジタル産業部門は、24年9月期通期で売上高が10%減少した。ラルフ・トーマス最高財務責任者(CFO)は14日、同部門は25年9月期の下期には回復に向かう可能性が高いと述べた。
ASML、強気の長期売上高見通し堅持-AI半導体需要の急増を想定 - Bloomberg
オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングは14日、人工知能(AI)関連の半導体需要急増を見越し、強気な長期売上高見通しをあらためて示した。
投資家説明会向けに発表された資料によると、同社は以前と同じく2030年の売上高を440億-600億ユーロ(約7兆2400億-9兆8700億円)と見込んでいる。30年の粗利益率は約56-60%との想定だ。
ASMLの今年7-9月(第3四半期)受注高はアナリスト予想を大きく下回り、同社株を含め半導体関連企業の株価が急落していた。
英バーバリーが再建計画発表、トレンチコートに回帰 半期は赤字 | ロイター
英高級ファッションブランド、バーバリーのジョシュア・シュルマン新最高経営責任者(CEO)は14日、業績が振るわない中、再建計画を打ち出した。主力商品であるトレンチコートやスカーフに焦点を戻し、バッグや靴については高価格を追求し過ぎないなどの方針を表明。英国の伝統をアピールすることで、顧客を取り戻すことを目指す。
2024/25会計年度の上半期は赤字を計上。4000万ポンド(5100万ドル)のコスト削減計画を発表した。
上半期の調整後営業損失は4100万ポンドで、通年で黒字になるかどうかを判断するのは時期尚早だとした。
第2・四半期(9月28日までの3カ月間)の売上高は第1・四半期と同じペースで減少。上半期の売上高は為替変動の影響を除いたベースで20%減だった。
第2・四半期はアジア太平洋地域が最も不振で、売上高は28%減。米州は18%減、欧州、中東、インド、アフリカは10%減だった。
米ディズニー、24年第4・四半期の利益が予想上回る | ロイター
2024年第4・四半期決算は、調整後1株当たり利益が1.14ドルと、LSEGがまとめた市場予想1.10ドルを上回った。
売上高は226億ドルと、市場予想の224億5000万ドルをやや上回った。
マーベル・スタジオが公開した映画「デッドプール&ウルヴァリン」のヒットによるチケット販売などがけん引した。
25年通期も明るい見通しを示し、株価は寄り付き前の時間外取引で一時、約7.4%上昇した。
25年通期の調整後1株当たり利益の伸び率は1桁台後半と見込む。約80億ドルの設備投資のほか、約30億ドルの自社株買いも計画している。
22年11月に最高経営責任者(CEO)に復帰したボブ・アイガー氏は積極的にコスト削減を進め、映画やテレビ部門の立て直しに努めた。
24年第4・四半期の営業利益は前年同期比23%増の約37億ドルだった。
映画やテレビ、ストリーミングを含むエンターテイメント部門の営業利益は11億ドルと前年同期の2倍以上となった。
主力の動画配信サービス「ディズニープラス」の契約者数(インドを除く)は1億2270万人超。前四半期から440万人増えた。
テーマパークや消費者向け製品を含むエクスペリエンス部門の営業利益は6%減の16億6000万ドル。
ESPNネットワークなどを含むスポーツ部門の営業利益は5%減の9億2900万ドルだった。
[CWCO] コンソリデーテッドウォーター 3Q減収減益 売上高33%減3339万ドル、営業益55%減488万ドル、配当0.110ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[AMAT] アプライドマテリアルズ 2024年10月通期は増収増益 売上高2%増271億ドル、営業益3%増78.6億ドル、EPS8.61ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DIS] ウォルトディズニー 2024年9月通期は増収最終増益 売上高3%増913億ドル、純利益2.1倍49.7億ドル、EPS2.72ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
イタリア政府、モンテ・パスキ株をさらに売却-国内銀行統合を促進 - Bloomberg
イーライリリーの肥満症薬「チルゼパチド」、糖尿病抑止で高い効果 | ロイター
米製薬大手イーライリリーは13日、肥満症治療薬「チルゼパチド」の注射を週1回、3年間続けた患者は99%近くが投薬後に糖尿病を発症しなかったとする研究結果を発表した
チルゼパチドは同社の糖尿病薬「マンジャロ」と減量薬「ゼップバウンド」の有効成分。イーライリリーは8月に臨床試験データの概略を発表済みで、今回詳細を公表した。
米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されたデータによると、チルゼパチドは血糖値や心血管代謝危険因子、健康面の「生活の質(QOL)」改善などと関連があり、効果が3年にわたり持続した。
前糖尿病と肥満症の成人1032人が参加した後期臨床試験では、プラセボ(偽薬)群と比較して2型糖尿病への進行リスクが94%減少。週1回の注射を受けた患者は体重が平均で最大22.9%減り、その状態が3年余りにわたって維持された。
エール大学肥満研究センターのディレクター、アニア・ジャストレボフ氏は「体重と糖尿病リスクが持続的に低下した度合いを考えると素晴らしい結果だ」と評価した。
米アムジェン、肥満症薬と骨密度低下の関連を否定 | ロイター
米バイオ医薬品会社アムジェンは13日、同社が開発する肥満症治療薬「マリタイド」と骨密度の変化の間に関連はないと発表した。
キャンター・フィッツジェラルドのアナリストらが12日、同薬の初期臨床試験のデータを検証した結果、骨折のリスクを高める可能性のある骨密度の低下が見られたと発表。これを受け、同社株価は一時7%下落した。
アムジェンは、マリタイドの将来性を確信しており、年内に中期試験のデータを発表する計画だと述べた。グローバル臨床開発責任者のナリモン・ホナルプール氏はUBSヘルスケア会議で、第2相臨床試験データではっきりするだろうと強調した。
投資家は1500億ドル規模と推定される減量薬市場において競合薬とみられる薬剤のデータを待ち望んでいる。
キャンターのアナリストらによると、2月に公表された結果と共に発表された補足データを検討した際、骨密度の低下が判明した。
ホナルプール氏は研究ノートが不注意に公表された一部「未確定」のデータから「不適切な推論」を行ったと指摘した。
マリタイドはデンマーク製薬大手ノボノルディスクの「ウゴービ」や米イーライリリーの「ゼップバウンド」と同じGLP-1受容体作動薬というクラスに属する製剤。
チャールズ・シュワブが5日続伸 10月のコア純資産が246億ドルに達したと報告=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
メタにEUが7.98億ユーロの制裁金、個人間売買の広告事業で競争阻害 - Bloomberg
COACH親会社、米同業の1兆円買収断念 差し止め判決で - 日本経済新聞
●日本企業
3メガ銀、今期3.7兆円と最高益更新へ-利上げ効果や株売却寄与 - Bloomberg
メガ3行の決算好調、見通し上方修正 みずほは16年ぶり自己株取得 | ロイター
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループの大手銀行3グループは14日、そろって2025年3月期通期の連結純利益見通しを上方修正した。3社合計の純利益見通しは、過去最高を更新する予定だった従来予想を12.7%上回る3兆7300億円。日銀の利上げや政策保有株の売却が利益を押し上げる。業績が好調な中、みずほFGは16年ぶりの自己株取得を公表した。
MUFGは、通期の連結純利益見通しを従来予想の1兆5000億円から1兆7500億円(前期比17.4%増)に引き上げた。IBESがまとめたアナリスト14人のコンセンサス予想平均値1兆6620億円を上回った。
三井住友FGとみずほもそれぞれ通期純利益見通しを、1兆1600億円(同20.5%増)、8200億円(同20.7%増)に上方修正した。三井住友FGの中島達社長は会見で「非常に好調な決算」と総括した上で、政策株売却と為替の円安の影響で利益はげたを履いているが、それを除いた実力値ベースでも業容が拡大している、と評価した。
<政策保有株の売却が利益押し上げ、利上げ効果も>
加速する政策保有株の売却が業績に大きく貢献している。
SMFGは政策株の売却について、計画の倍のペースで削減が進んだとして今回新たに24年からの5カ年で6000億円削減する目標を公表した。これにより簿価残高は、SMBC設立時から累積で9割超が削減されることになる。中島社長は「長く取り組んできた政策株の削減はいよいよ最終局面を迎えつつある」との見方を示した。
MUFGもトヨタ自動車やホンダなどの政策株を売却。未売却の売却合意残高は4360億円となっている。24─26年度に3500億円分を削減する計画だったが、売却目標金額を倍増して7000億円とし、今中計期間中に保有残高を半減させる方針を新たに示した。
MUFGの亀澤宏規社長は決算を振り返り、金利高と円安の追い風はあったもののベースとしての稼ぐ力が増しているとして、「相応の数字が出せた」と話す。
MUFGは、日銀による7月の政策金利の引き上げで、年間350億円のプラスの影響を見込む。亀澤社長は、今後日銀が25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施した場合、年間約1000億円程度のプラス影響を期待できるとして、「金利のある世界では口座の数や預金の額が生きる世界になるので、しっかり対応していく」と述べた。
中期経営計画の最終年度目標については、初年度での達成を目指して通期業績を上方修正、今後、中期経営計画の見直しも検討するという。
<自己株取得、成長投資と株主還元の「新しいステージに」>
3社とも、好調な業績を踏まえて株主還元を強化するための自社株買いの再開や取得枠の拡大を公表した。
みずほFGは、08年以来16年ぶりに自己株取得を再開。1000億円を上限に取得する。年間配当も130円に増額し、木原正裕社長は、「成長投資と株主還元を強化する新しいステージに入った」と述べた。今後も機動的に自己株取得を検討する。
みずほFGは長く資本の充実を図ってきたが、コスト構造を変革するなどし、資本水準が改善。24年9月末のCET1比率(普通株式等Tier1比率、完全実施ベース)は11.2%となっている。
SMFGは、自己株取得を年間2500億円に引き上げた。取得額は過去最高となる。MUFGも3000億円を上限とする追加の自己株取得を決議し、年間4000億円とした。
関西電株が過去最大の下げ、5000億円超の増資嫌気-電力が下落率1位 - Bloomberg
三井住友FG、通期純利益予想を1.16兆円に上方修正 市場予想上回る | ロイター
MUFG、通期純利益を1.75兆円に上方修正 予想上回る | ロイター
ゆうちょ銀、9月末の国債保有比率は19.0% CLOは減少 | ロイター
日本郵政グループが14日発表した2024年4―9月期決算によると、ゆうちょ銀行の国債保有残高は9月末時点で44兆7852億円だった。運用資産に占める割合は19.0%で6月末と変わらず。法人向けローン証券化商品(CLO)への投資(取得原価)は2兆5735億円で、6月末の2兆6751億円と比べ減少した。
9月末の運用資産額は235兆5879億円。6月末の235兆3616億円から2263億円増えた。
かんぽ生命の国債保有額は36兆5229億円と、6月末の36兆2203億円から3026億円増加した。運用資産に占める割合は60.1%となった。
「丸亀製麺」のトリドールHD一転最終減益 25年3月期決算、海外苦戦で 業績サプライズ - 日本経済新聞
高砂熱学工業の純利益36%増 4〜9月、施工効率が改善 - 日本経済新聞
八十二銀行・東邦銀行…地方銀行の4〜9月決算、7割が最終損益改善 通期上振れ相次ぐ - 日本経済新聞
電通グループ純利益下振れ、アメリカなど減速 24年12月期決算 - 日本経済新聞
東急や近鉄GHDなど私鉄大手11社が純利益上振れ 25年3月期決算、訪日客好調 - 日本経済新聞
各社に共通する好調の要因は、円安に伴う訪日観光客の鉄道・ホテル需要の回復だ。東急は25年3月期の純利益が前期比16%増の740億円と、従来予想から140億円引き上げた。今期の運輸収入は3%増の1497億円で、19年3月期を6%上回りそうだ。
半面、物価高による日本人の旅行意欲の減退もあり、旅客の上積みには天井感も見えつつある。松井証券の窪田朋一郎氏は「ホテルの単価や稼働率も上限に近づいている印象で、コロナ後の急回復という局面は峠を越えつつある」と指摘する。旅客動向に左右されにくい収益基盤の「仕込み」の巧拙が来期以降の明暗を分けそうだ。
アサヒGHD増益、欧州でビール好調 豪州は販売低迷 - 日本経済新聞
国内ビール大手上場3社の2024年1~9月期の連結決算(国際会計基準)が14日出そろい、海外事業で明暗が分かれた。欧州ではインフレが鈍化し、基盤を持つアサヒグループホールディングス(GHD)の業績を後押しした一方、オーストラリアや北米では消費低迷が各社の業績の足かせとなった。
第一生命HD、希望退職1000人募集 50歳以上が対象 - 日本経済新聞
第一生命ホールディングスは14日、第一生命保険で1000人の早期希望退職者を募ると発表した。50歳以上で勤務期間が15年以上の社員などが対象になる。2025年1月20日から31日まで募集する。受理されれば25年3月末付での退職になる。退職金に加えて基本給の最大48カ月分の支援金を支払う。再就職も支援する方針だ。
早期の希望退職者の募集は初めて。営業職員は対象外となる。募集する1000人が退職する場合、25年度の人件費は約90億円減少する見込み。人材への投資を増やすため、人件費総額への影響はないとしている。
第一生命HDの和田京子執行役員は「コストカットが目的ではない」と述べた上で、今後の人的投資の具体的な中身については「回答を控えたい」と話した。
同日発表した24年4〜9月期の連結決算は純利益は前年同期比48%増の2331億円だった。運用する株などから得られる利息配当金が寄与した。株主還元の原資として同社が算出するグループ修正利益は42%増の2452億円だった。
東芝最終黒字1163億円、送配電事業が好調 4〜9月決算 - 日本経済新聞
東芝が14日発表した2024年4〜9月期連結決算(米国会計基準)は最終損益が1163億円の黒字(前年同期は521億円の赤字)だった。4~9月期として2年ぶりに黒字となった。送配電事業が好調だったほか、4割を出資する半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスの業績が回復したことが寄与した。
売上高は前年同期比8%増の1兆6219億円、営業利益は3.2倍の705億円だった。人工知能(AI)の普及に伴いデータセンター向けの電力需要が急増し、送配電網に活用する機器の販売が伸びた。市況の回復を受け、ハードディスクドライブ(HDD)事業も堅調だった。
東芝は15年に不正会計が発覚し、16年に米原発子会社の巨額損失が明らかになった。17年に財務基盤を立て直すために増資を実施したが、複数のアクティビスト(物言う株主)が大株主となり、株主の意向に経営方針が左右される事態に陥った。23年12月に株式を非公開化し、日本産業パートナーズ(JIP)傘下で経営再建を進めている。
日産、経営再建へ猶予は1年-26年に迫る過去最高の「社債償還の壁」 - Bloomberg
日産自動車では2026年に社債の償還額が過去最高に達する見通しだ。経営不振で資金調達能力に懸念が高まる中、向こう1年で業績と信用力を安定させる必要がある。
ブルームバーグのデータによると、日産とグループ会社は26年に総額56億ドル(約8700億円)近くの社債が償還期限を迎える。これはデータを確認できる1996年以降で最も多い。「償還の壁」が迫る中、日産の信用リスクを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は2023年3月以来の高水準に達し、円建ておよびドル建て社債のスプレッド(上乗せ金利)は今年最高水準に拡大している。
直近の日産株は乱高下している。今期(25年3月期)業績予想の下方修正と9000人の人員削減を発表し急落したが、その後はアクティビスト投資家による株式取得が判明して急騰した。クレジット市場では海外で投機的等級に格下げされ、いわゆる「堕天使」になりかねないとの懸念が投資家心理を悪化させている。米国の大統領選挙でトランプ前大統領が勝利し、日本の自動車メーカーなどが関税引き上げに直面するとの警戒感も高まっている。
SMBC日興証券の原田賢太郎チーフクレジットアナリストは、「現在の状況下では日産は格下げのリスクがある」とし、投資家から「相応のスプレッドが要求される可能性がある」と話す。フィッチ・レーティングスかムーディーズ・インベスターズ・サービスのいずれかで格下げとなると外貨建て社債はジャンク級となる公算が大きく、投資適格債指数から除外されると指数に組み入れられている銘柄のみを対象とする投資家は投資できなくなると言う。
日産広報の永井志朗氏は、9月末時点で自動車事業におけるネットベースの現金が1兆3000億円を超え、十分な流動性を有しているとコメントした。自動車および販売金融事業の両方で国際的な主要行と信用供与枠契約を結んでおり、9月末時点の利用可能額は1兆9000億円以上だと説明。利益を上げている販売金融事業からの配当や新規社債の発行を含め、今後5年間に満期を迎える社債の元本返済については「多くの資金源」 があると述べた。
ブルームバーグのデータによると、日産の格付けはムーディーズが「Baa3」、フィッチが「BBBマイナス」で、いずれも投資適格級で最も低い。一方、S&Pグローバル・レーティングは「BBプラス」と既に投機的等級となっている。格付け見通しはいずれも「安定的」で、当面は格付け変更の可能性は低いことを示唆している。
懸念の一つは自動車部門からのフリーキャッシュフロー(FCF)が4-9月期に赤字に転落したことだ。S&Pはリポートで、4400億円超の赤字は業績の悪化と投資負担の増加によるものだとした上で、今後も中長期的に電気自動車(EV)の開発や自動運転など次世代技術開発のための多額の投資負担が続くため、業績を早期に安定化させてFCFの黒字化基調を維持できない場合、格付けへの下方圧力が強まるとの見解を示した。
日産はまた、日本の自動車メーカーの中で収益に対する借入金が圧倒的に多い。ブルームバーグが集計したデータによると、前期のEBITDA(支払利息・税金・償却・減価償却前利益)に対する借入金の比率は8倍。一方、トヨタ自動車は4.9倍、ホンダは4.7倍、日経平均採用企業の平均は3.3倍だった。
CMAのデータによると、日産のCDSは今月初めに23年3月以来の高水準となる約178ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に上昇した。日本の大手企業の中でCDSが日産よりも高い債務不履行リスクを示すのは3社しかない。
社債価格も同様の動きとなっている。ブルームバーグのデータによれば、30年に満期を迎えるドル建て債のスプレッドは234bpと、今年の最低水準から50bp急拡大した。金融部門が発行した27年満期の円建て債も、スプレッドは今年の最低水準である約51bpから約80bpまで急騰した。
日産にとって主要市場の一つである米国では、次期大統領のトランプ氏がメキシコで生産された自動車の輸入に対して200%を超える高関税率を課す意向を示している。同国は日産にとって重要な製造拠点と販売市場である上、トランプ氏は他の国々からの輸入品についても関税を引き上げる可能性を示唆している。
S&Pの美澄祐太アソシエイトディレクターは、「自動車業界全体について見通しをやや慎重に見る局面になってきている」とした上で、もともと収益性が弱かった会社が環境悪化の影響をより受けやすい部分はあると話した。
日本製鉄の森副社長が訪米へ、USスチール組合員との会合を来週計画 - Bloomberg
●先進国政治動向
「いつでも電話してくれ」-すでに始まっているトランプ流外交 - Bloomberg
次期米財務長官候補、ラトニック氏とベッセント氏有力=関係筋 | ロイター
トランプ次期米政権の財務長官候補として、キャンター・フィッツジェラルド最高経営責任者(CEO)のハワード・ラトニック氏が投資家のスコット・ベッセント氏とともに有力候補に浮上していることが分かった。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。
ラトニック氏はトランプ氏と長年の親交があり、政権移行チームの共同委員長も務める。関係者によると、トランプ氏側近のうち影響力を持つ少なくとも1人が財務長官ポストに推している。
ベッセント氏も引き続き有力候補に残っており、財務長官選びは現段階でこの2人に絞られているようだが、他の有力候補が浮上する可能性もあるという。
メディアではこのほか、FOXビジネス・ネットワークのパーソナリティでトランプ氏のアドバイザーであるラリー・クドロー氏、ジェイ・クレイトン前米証券取引委員会(SEC)委員長らの名前も挙がっている。
トランプ氏の国防長官人事に驚きと困惑、共和党議員には支持も | ロイター
トランプ次期米大統領が国防長官に退役軍人で、保守系メディアFOXニュースで司会者を務めたピート・ヘグセス氏(44)を起用すると発表したことに、米国防総省では驚きの声が上がった。欧州の同盟国には困惑も広がるが、共和党議員の間には支持する動きも見られる。
ヘグセス氏は政府で要職を務めた経験がない。これまでに国防総省幹部による政策を「(社会正義に目覚めた)ウォーク」として批判。女性の戦闘参加に反対したほか、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長がこの職にあるのは黒人だからではないかとも述べている。
ヘグセス氏の起用に国防総省では衝撃が走った。複数の幹部が個人的な見解としてヘグセス氏の資質に疑問を呈し、ある幹部はもっと下位の官職でも務めるのは困難だと述べた。
民主党議員の間でも、ヘグセス氏が130万人の米軍を率いるのは難しいとの見方が出ている。ジェイソン・クロウ下院議員は「(国防長官は)テレビ司会者が就くような、入門レベルの職務ではない。上院はこの指名を拒否すべきだ」と述べた。下院軍事委員会の民主党トップのアダム・スミス議員もヘグセス氏の起用に反対の立場を表明した。
ヘグセス氏が国防長官に就任すれば、トランプ氏の公約通りに、保守派が批判している多様性の促進など「進歩的な政策」を進める軍幹部を一斉に解任する可能性がある。
欧州の複数の高官はロイターの取材に、ヘグセス氏の見解や、重要な課題での立ち位置についてはほぼ何も分からないと語った。欧州の国防当局高官は「彼のことは聞いたことがない。よく知るためには直接会う必要がある」と述べた。また別の高官は、最も適任だとは思えないが、「どの国にも閣僚を選ぶ権利があり、必要であれば対応する」とした。
ヘグセス氏は安全保障上の主要な問題に対する自分の考えを具体的に明示していないが、北大西洋条約機構(NATO)については明確に懐疑的な見解を示している。
共和党議員の中にはヘグセス氏を支持する動きもある。上院軍事委員会で共和党トップを務めるロジャー・ウィッカー議員はCNNテレビでヘグセス氏の国防長官起用について、「心配していない。一緒に働けることになってうれしい」と述べ、資質に問題はないとの見方を示した。共和党ではケビン・クレーマー上院議員がヘグセス氏は「素晴らしいやつだ」と述べたほか、テッド・バッド上院議員も「すごい人物だ」と評した。
米国務長官指名のルビオ氏、イランやベネズエラ制裁強化に足かせも | ロイター
トランプ次期米大統領が国務長官に起用するマルコ・ルビオ上院議員は、イランとベネズエラに対する制裁をより厳格に実行する方針を打ち出す可能性がある。ただ中国による対抗措置を巡る懸念や、移民対策に与える影響などが強硬姿勢の足かせになりかねない。複数の専門家は13日、こうした見方を示した。
長らく上院外交委員会に属してきたルビオ氏はかねてイランや中国に対して米国がより厳しく臨むべきだとの主張を掲げ、ベネズエラのマドゥロ大統領にも批判的だ。米政府もマドゥロ氏の2回にわたる再選の正当性に異を唱え、石油関連の制裁発動につながっている。
第1次トランプ政権下ではイランの石油生産を標的にした制裁が効果を発揮し、同国の石油輸出はごくわずかに落ち込んだが、バイデン政権になって輸出量は増加に転じた。制裁の実行度合いが弱まった上に、イランが制裁回避手段の確保に成功し、中国が大口の買い手になったためとみられる。
こうした中でジョージ・W・ブッシュ政権でエネルギー顧問を務めたラピダン・エナジーのボブ・マクナリー社長は「ルビオ氏はイラン、ベネズエラ、中国に対するタカ派としての一貫した強烈な履歴を持っている」と指摘。ルビオ氏はバイデン政権時代に中国向けの比率が増大したイランの石油輸出に圧力をかけるトランプ氏の計画を熱心に実行すると予想した。
しかしクリアビュー・エナジー・パートナーズのエネルギー政策アナリスト、ケビン・ブック氏は、強硬な制裁は中国を怒らせ、石油取引においてドル建てが支配的となっている枠組みを揺さぶるなどの報復に動く恐れがあると指摘する。
トランプ氏は9月、中国と、制裁がドルにもたらすさまざまなリスクに言及している。
アトランティック・カウンシルの制裁・マネーロンダリング対策専門家、キンバリー・ドノバン氏は、米政府には既存の強力な制裁措置があり、ルビオ氏は外国のパートナーにもそれを履行するよう迫る可能性があるとした上で、制裁は国家安全保障を追求する上であくまで一手段に過ぎず、常に最善策というわけではないと話す。
「第2次トランプ政権はまず外交政策の目標を決定し、制裁がそうした目標達成の役に立つかどうか判断しなければならない」という。
米政府に各種制裁を統一的に実行するための司令塔となるポジションは存在しない。またルビオ氏は、トランプ氏の意向を何よりもくみ取る必要がある。
<移民対策への影響>
ベネズエラ首都カラカスのコンサルティング企業サラ58のルイス・ピチェ・アルテアガ氏は、ルビオ氏の国務長官指名は、米国とベネズエラの関係改善がありそうにないという意味だと説明し、対決姿勢が採用される確率が高いようだと付け加えた。
ブッシュ政権で中南米政策の顧問だったホセ・カルデナス氏は、第2次トランプ政権が最優先する政策はベネズエラへの石油制裁と、米国や外国の石油企業にマドゥロ政権とのビジネスを許容している制度の見直しになると述べた。
バイデン政権は2022年以降、シェブロンやレプソル、ENI、リライアンス・インダストリーズなど一部の企業やベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の顧客らがそれぞれ米国と欧州、インドに石油を輸出するのを認めてきた。
そのおかげで先月のベネズエラの石油輸出は日量95万バレルと4年ぶりの高水準に達している。
カルデナス氏は「こうした許可の撤回はマドゥロ氏のほか、ベネズエラの野党や欧州連合(EU)などにも米国がベネズエラにおける民主化に真剣だという強いメッセージを送ることになる」と指摘する。
もっともこの場合もルビオ氏には制約が加わる。専門家からは、制裁をより厳格化すればベネズエラはトランプ氏が目指す不法移民の送還に協力を拒否してもおかしくないとの見方が出ている。
米民主党州の知事ら、トランプ氏政策に対抗する連盟結成 | ロイター
米イリノイ、コロラド両州の知事は13日、トランプ次期米大統領の政策に抵抗するため、主に民主党が率いる州の知事らによる連盟、「民主党を守る知事たち」を結成して両氏が共同会長を務めると発表した。
連盟にはイリノイ州のプリツカー知事とコロラド州のポリス知事をはじめとする民主党知事らや州司法長官が参加し、移民から環境保護の巻き戻しまで、トランプ氏のあらゆる政策に抵抗していく。
ポリス氏は記者会見で「単に願っているだけではわれわれの民主主義を守れないため、(グループを)結成した」と述べ、力を合わせる必要性を強調した。
連盟は超党派のグループだと説明している。プリツカー氏は記者会見で、共和党高官らと「良い対話」を行ってきたと述べたが、高官らの具体名は示さなかった。
トランプ政権移行チームのキャロライン・リービット報道官は連盟の結成について、トランプ氏は「自身に投票しなかった人々も含め、全ての米国民に奉仕する」と述べた。
民主党州はトランプ氏1期目に何度も同氏の政策と闘ってきたが、同氏はエネルギー政策から移民制限に至るまで、非常に保守的な政策を押し通すことができた。
【米政権交代】 第2次トランプ政権の顔ぶれは、指名された一部を紹介 - BBCニュース
トランプ新政権に対中強硬派、中国が安堵する理由 - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は、マルコ・ルビオ上院議員(共和、フロリダ州)とマイク・ウォルツ下院議員(同)を閣僚級ポストに指名し、対中強硬派が「ドリームチーム」と呼ぶ政権の布陣を整えつつある。
両議員とも中国への厳しい批判で知られる。トランプ氏は13日、ルビオ氏を国務長官に指名したと正式に発表した。この人事が承認されれば、ルビオ氏は中国の制裁対象となり同国への渡航を禁止されている初の現職国務長官となる。一方、国家安全保障問題担当の大統領補佐官に指名されたウォルツ氏は、議会では反中派の代表格だ。両議員とも、トランプ政権下で緊張が高まることを警戒する中国の習近平国家主席にとって大きな不安要素となりそうだ。
とはいえ、中国政府の立場からすれば、もっと悪い事態もあり得た。
中国政府高官と協議している複数の関係者によると、中国政府は少なくとも現時点では、共産党が特に脅威と考えるマイク・ポンペオ前国務長官など複数の共和党関係者が閣僚候補に入っていないことに安堵(あんど)している。
米シンクタンク、スティムソン・センターで中国プログラム担当ディレクターを務める孫韻(ユン・スン)氏は「中国は閣僚の人選を好ましく思っていない」とした上で、「ただ今のところは、対話の余地がまだあるようだ」と述べた。トランプ氏が中国共産党の核心的利益と権力掌握を直接脅かすような人選を行っていたら、「中国の観点からすれば、対話の余地は完全に失われていた」と言う。
ポンぺオ氏は2020年夏に行った演説で、中国国民に対し共産党の行動を変えるために米国と協力するよう呼びかけた。その後、ポンペオ氏の回顧録「ネバー・ギブ・アン・インチ」(一歩も譲るな)の一文が習氏の怒りを買ったと、事情に詳しい関係者は言う。それは、米国は台湾を外交的に完全に承認すべきだと主張するもので、回顧録の内容は2023年初めに中国政府内に伝わった。中国は、自国の領土と見なす台湾に干渉しないよう米国に繰り返し警告してきた。
中国が特に警戒しているもう一人の共和党関係者は、第1次トランプ政権で国家安全保障問題担当補佐官を務めたロバート・オブライエン氏だ。同氏は、米国が取り組むべきは、ロシアのウクライナ侵攻を終結させ、その後ロシアを中国から引き離すことだと示唆している。
中国外務省の林剣報道官は、予想される人事についてはコメントしないと述べた。
米首都ワシントンの政治ストラテジストによると、ルビオ氏とウォルツ氏という2人の閣僚級人事によって、中国政府がトランプ氏の取引を好む傾向を利用することが難しくなり、米中経済の切り離しを加速させたい人々の追い風になる可能性がある。
そうした人々の一人が、第1次トランプ政権で米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザー氏だ。トランプ氏は側近に、ライトハイザー氏を通商担当トップに起用する方針を示した。ライトハイザー氏は、中国による米国の市場・技術・資本へのアクセスをほぼ完全に遮断することを公然と提唱してきた人物だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は12日、同氏が商務省やUSTRを含む政権全体の通商政策を監督することになる可能性が高いと伝えた。
習氏と側近らは数カ月にわたり、米政府との経済的緊張の高まりに備えてきた。中国は欧州やアジアの米同盟国の取り込みを強化したり、中国経済の強化に向けて中央集権的な統制を強めたり、中国製品を米市場から締め出す動きに対抗するための手段を準備したりしている。
一方、中国政府高官はトランプ氏の外交政策チームの対中強硬派に対抗するため、米国のビジネスリーダーへの働きかけを強化する計画だ。政府高官と協議している関係者はそう話す。特に関心が持たれているのが、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)だという。同社はEVの半数を中国で生産している。
テスラは先週、上海工場で生産する全車両が自動車データのセキュリティーに関する中国の基準に適合していることを示す「自動車プライバシー保護」認証を取得し、同認証を中国で最初に取得した自動車メーカーの1社となった。これにより、中国の個人や企業、さらには政府機関によるテスラ車購入が増える可能性がある。
トランプ氏は選挙戦で中国からの輸入品に最大60%の関税を課すと公約した。これが実施されれば、習氏の製造業重視の経済政策は危うくなる。同政策の結果、中国製の安価な鉄鋼・EV・太陽光パネルなどが世界中に氾濫した。
中国指導部は過去1年間、米バイデン政権や他国の当局者からの政策変更要請をほぼ無視してきた。トランプ次期政権との間で大規模な貿易戦争が起きる可能性があるため、中国は生産増強と他国への依存度低減に一層取り組んでいる。
ルビオ氏は、2020年に中国から2度制裁を科された数少ない米当局者の一人だった。米中は当時、新疆ウイグル自治区でのジェノサイド(大量虐殺)疑惑や香港での人権弾圧を巡って対立していた。ルビオ氏は新疆で製造された製品の輸入を防ぐ法案を提出し、後にジョー・バイデン大統領が署名して成立した。
北京の中国人民大学で国際関係学を教えるワン・イーウェイ教授は、中国はルビオ氏が制裁を回避できる方法を見つけるだろうと述べた。制裁は個人としてのルビオ氏に適用されるかもしれないが、国務長官としては適用されない可能性を指摘した。
かつて米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」に所属し、アフガニスタンでの従軍経験があるウォルツ氏は、2021年に「われわれは中国共産党と冷戦状態にある」と述べた。
トランプ氏の通商に関する立場とは対照的に、台湾が中国から侵攻された場合に米国が防衛に乗り出すべきかどうかについて、ウォルツ氏の見方はより曖昧だ。トランプ氏は先月のWSJ論説委員会によるインタビューで、台湾を巡って取引的なアプローチを示唆し、中国が台湾を武力で支配するのを阻止する手段として関税を用いる可能性があると述べた。
中国指導部にとって、トランプ氏の関税に関する脅威に加えてもう一つの懸念は、「逆ニクソン」シナリオだ。かつてリチャード・ニクソン元米大統領が冷戦時代にソ連に対抗するために中国を利用しようとしたように、今度は米国がロシアを中国に敵対させようとするかもしれず、これは習氏の安全保障重視の政策に大きな戦略的打撃を与えかねない。
ロシアは西側諸国の制裁を回避しウクライナへの侵攻を続けるため、中国への依存を強めている。中国指導部は、トランプ氏の公約通り米国の仲介でウクライナ戦争が終結し、米ロの緊張緩和への道が開け、中国が取り残される可能性を懸念している。
現時点では、トランプ氏の閣僚候補リストにポンペオ氏とオブライエン氏が含まれていないことは、中国にとってわずかな慰めにしかならないとみられる。トランプ氏は9日、ポンペオ氏を次期政権に招かない考えを示した。
ルビオ氏とウォルツ氏もオブライエン氏と同じく、ロシアのウクライナ侵攻を終結させるトランプ氏の取り組みを支持している。また、米国の最大の地政学的ライバルとされる中国に対して一段と厳しい経済的・軍事的姿勢をとることも支持している。
ルビオ氏は2022年に保守系シンクタンクのヘリテージ財団で行った演説で「今世紀を決定づける脅威は中国だ」と述べた。
【寄稿】第3次大戦回避へ、米国防総省に残された2年 - WSJ
中国の習近平国家主席は人民解放軍に対し、台湾を掌握する準備を2027年までに整えるよう命じている。習氏が台湾侵攻を始めるかどうかは、ドナルド・トランプ米次期大統領が起用する国防長官次第かもしれない。トランプ氏が次期国防長官に指名した退役陸軍州兵でFOXニュース司会者のピート・ヘグセス氏は、上院で承認されれば、欧州と中東における抑止力の崩壊や、資源に制約を課す連邦議会の対応、新兵募集の課題、インド太平洋地域のパワーバランスの悪化などの問題に立ち向かうことが求められる。平和を促進する唯一の方法は、初日から戦争に突入することだ。ただし、相手は中国でもロシアでもイランでもなく、国防総省の官僚機構だ。
最初の任務は米海軍の立て直しになる。米国は、中国の海事産業基盤に対抗できる同様の基盤を必要としている。国防総省が定める海洋資産の建造要件に関わる利害関係者は、あまりにも多く、まとまりがない。国防総省は艦船1隻当たりのミサイル搭載数といった戦闘要件を定めているが、そうした艦船の重心などの相互依存関係にある技術仕様を考慮していない。技術仕様が戦闘要件としっかりかみ合っていない場合、その不整合のために性能不足や想定外のコスト、時間がかかる事態を招くことがある。国防総省は、1960年代まで海軍に役立っていた委員会モデルに立ち返るべきだ。かつての海軍には上位の利害関係者で構成する会議があり、委員長は要件と仕様の両方を決定する権限を与えられていたため、この二つが調和した形で機能するようになっていた。
海軍はまた、米空軍や米宇宙軍の迅速能力開発室(Rapid Capabilities Office)のような、特定の戦闘技術の開発および配備の迅速化に特化した部署を設置する必要がある。次期長官は、無人の戦車、戦闘機、潜水艦を迅速かつ大規模に提供するプロセスをより柔軟にするよう主張すべきだ。また、議会と協力し、造船施設への人材の呼び込みと維持を支援する必要がある。
海事産業基盤の再建はまた、機能不全に陥る恐れがある米英オーストラリア3カ国の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を救うことにもつながる。オーカス協定に基づき、米海軍は2030年代初めまでに少なくとも3隻のバージニア級攻撃型原子力潜水艦を豪州に売却する方針だ。この目標を実現するには、海軍は船体建造能力を現在の年間1.2隻より引き上げ、艦隊の40%近くが使えない状況を引き起こしている整備待ち艦船の数を減らすことが必要だ。こうした課題に対処するには途切れることのない資金調達が必要となるが、それは国防長官が海上戦力の重要性を明確にし、一貫した造船計画を提示してこそ可能になる。国防長官は、米潜水艦の豪西部への配備を加速させ、米艦艇に乗り組む豪州人水兵を増員し、キャンベラに海軍の原子炉に関する組織を設置することで、オーカスを生命維持装置から外すことができる。
長官は、西側諸国の重要な弾薬、とりわけ防空ミサイルの不足にも対処する必要がある。中国との紛争が起きれば、米国は1週間以内に一部の在庫を使い果たす恐れがある。次期長官は米国の弾薬庫を立て直さなければならない。そのためには、長距離対艦ミサイル(LRASM)、統合空対地スタンドオフミサイル(JASSM)の射程延伸版、先進中距離空対空ミサイル(AMRAAM)、「ハープーン」「スタンダードミサイル6」などの生産スピードを最大限にする必要がある。可能な限り、これらのシステムには先進エネルギー物質を取り付けて、射程と破壊力を増強すべきだ。
船舶、潜水艦やミサイルはどれも高価だ。次期長官は予算節約のため、固定価格契約を実行し、民間の請負業者に対し、米国の税金ではなく自らの資金を使って研究開発を行った製品やサービスの確保を迫る必要がある。国防総省の原価加算契約モデルはコストを急増させた一方で、競争とイノベーションを破壊した。元上院議員のジョン・マケイン氏は2016年に民間との固定価格契約を義務付けたが、その5年後に議会が撤回した。それは同氏が死んだ後のことだった。議会は、固定価格契約を復活させ、すべての原価加算契約を国防長官の承認制にすることで、この過ちを正すべきだ。
より多くの資金を捻出するため、国防長官は民間組織、統合参謀本部、国防長官室や将官組織、多様性・平等性・包摂性に関わる官僚主義などへの支出を減らすことができる。国防長官は、ゴルフコースなど戦闘と無関係の資産を売却するとともに、2015年の国防総省の研究報告の提言を復活させることもできる。同報告は、5年間で1250億ドル(約19兆5000億円)を節約する方策の概要を示した。
米議会は、1994年連邦調達合理化法(FASA)の規定を国防総省に順守させるため一定の役割を果たせる。同法は、民間企業から購入できるものを連邦政府が無駄な資金を投じて開発するのを防ぐ目的があるが、国防総省は同法にたびたび違反してきた。米航空宇宙局(NASA)は「ファルコン9」ロケットの製造費用を40億ドルと見積もっていたが、イーロン・マスク氏のスペースXは、これをはるかに下回る4億ドルで同ロケットをつくり上げた。この例は、同法の民間開発優先の規定を国防総省が順守していれば、年間何百億ドルも節約できるという主張の裏付けになる。加えて米議会は、予算配分されながら実際には支出されなかった年間100億~150億ドルの資金を活用する権限を、国防総省に与えることもできる。
中国が台湾侵攻準備のスケジュールに固執するという想定なら、次の国防長官に残された第3次世界大戦を防ぐための時間は2年ということになる。この戦争を防ぐために彼は、戦時のペースで仕事をこなせない、もしくは進んでこなそうとしない官僚を解雇し、国防総省に臨戦態勢を取らせなければならない。国防総省の説明責任がないがしろにされている状況が、米軍指導層に対する信頼感を損なってきた――アフガニスタンからの恥ずべき米軍撤退、ロシアによるウクライナ侵攻を阻止できなかった失態、現国防長官による政府に無断の職場放棄などの状況だ。次の国防長官が大胆な政策を打ち出せば、米国民の信頼を取り戻し、米国の敵を再びおびえさせることができるだろう。
マスク氏の「政府効率化省」 最大の難題は - WSJ
トランプ政権を待つ市場、2016年の教訓は - WSJ
トランプ・トレード(取引)は終わった。市場は今、トランプ・インベストメント(投資)を検討している。
難しいのは、ドナルド・トランプ次期米大統領がいったい何を行うつもりなのか、そしてそれをどの順番で行うのかを、単なる選挙アピールと区別することだ。米誌アトランティックは2016年大統領選の結果が出る前に、こう指摘した。トランプ氏を支持する人は彼の言うことを真剣に受け止めるが、文字通りには受け止めない。一方、トランプ氏を批判する人は彼の言うことを文字通りに受け止めるが、真剣には受け止めない、と。
市場は現在、市場にとって良いことは全て真剣に受け止め、悪いことは全て単なる選挙アピールとして退けている。これは行き過ぎた楽観主義のように思えるが、前回も同じ間違いを犯した。
トランプ氏は2017年1月に大統領に就任した後、市場には悪材料となることを優先した。移民政策、特にイスラム教国からの移民排除に素早く取り組み、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から撤退し、メキシコおよびカナダとの貿易協定を再交渉した上、オバマケア(医療保険制度改革法)を廃止しようとしてエネルギーを浪費した。
トランプ氏は国境の壁の建設費用を文字通りメキシコに負担させることはなかったが、不法移民を減らすことには真剣だった。投資家が期待していた減税は2017年末まで実現せず、規制緩和もすぐには実現しなかった。
今回も同じ四つの大きな政策が掲げられている。そしてまた、二つは投資家にとっておおむね悪く、二つはおおむね良い政策だ。移民の取り締まりと高関税は経済に悪影響を与えるが、法人税率の引き下げと規制緩和は経済成長と株価を後押しするだろう。
それらがどの順番で実施されるかが重要であり、順番については何も分からないままだ。それでも投資家は、小型株を中心に米国株を買い、米国債を売りながら楽観的な見通しを積み重ねてきた。経済成長の加速と規制緩和に賭けている格好だ。
これはトランプ取引ではなく単なる取引に過ぎないかもしれない。最も明白で、筆者の見立てでは非常に欠陥のあるトランプ取引は、既に崩壊している。トランプ氏のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)の株価は11月8日午前に急落した。10月下旬にはトランプ氏勝利を見込んだ買いで上昇していたが、そこから株価が半減した。その後はやや値を戻したが、大統領選の投票日翌日に付けた高値から30%下落している。当初、銀行株とドルは急騰し、メキシコペソは急落したが、いずれも大きく反転した。
2016年の大統領選後にはトランプ取引がもっと長く続いたが、トランプ氏がホワイトハウス入りする前にすたれた。当時と同じように、先週の株高は一時的な反発に過ぎないのだろうか。
こうした株高は選挙後によく起こるものだが、今回は上昇が増幅された、という議論がある。投票前には先の展開が読めないことがいくつもあった。世論調査の結果は五分五分で、多くの投資家がトランプ氏は敗北を認めないのではないかと心配していたからだ(その後、世論調査には重大な欠陥があることが明らかになった)。シカゴ・オプション取引所(Cboe)のボラティリティー指数(VIX、恐怖指数)は10月末に23に達し、その後15へ急低下した。投資家は不確実性を嫌うという決まり文句には一定の真実味があり、そうしたVIXの低下はほぼ自動的に株価を押し上げる。
米運用会社リサーチ・アフィリエイツのクリス・ブライトマン最高経営責任者(CEO)によると、過去の選挙後には、不透明感の解消に伴って株価が20営業日ほど上昇し、その後は効果が薄れていった。
もう一つの議論は、トランプ氏からすれば、減税や規制緩和を実施するよりも、市場が好まないことを実行する方がはるかに容易だというものだ。トランプ氏は大統領令を通じて関税を速やかに課したり移民を制限したりできる。文字通り軍を使って不法移民を一斉検挙・強制送還する可能性は非常に低いとしてもだ。減税は議会の承認が必要であり、規制緩和は法廷闘争に発展するに違いない。
タイミングは考慮せず、トランプ氏の任期を通じて投資する覚悟があるとしても、同氏の主要政策がどのように相互作用するかは定かでない。移民排除や関税引き上げによる供給ショックは原則として短期的なインフレ要因となる。だが、長期的には経済成長を鈍化させ、株価と米国債利回りを押し下げるはずだ。
減税はインフレを招く上、政府債務をさらに膨らませるため、株価と米国債利回りを押し上げるだろう。悪い規制を撤廃すれば、生産性が高まり、経済はインフレを伴わずに成長率が加速し、結果として米国債利回りが上昇するはずだ。法令順守コストの低下は株価の追い風になる。
さらに悪いことに、トランプ氏が自身の政策をどこまで推進するかは分からない。同氏が掲げた関税の規模を文字通り受け止めるべきか、あるいは1期目でいくつかの関税について後に判明したように、それが単なる交渉戦術なのかは不明だ。同様に、移民の取り締まりは既にバイデン政権が実施している。確かにトランプ氏は国境警備を強化することはできるが、文字通り数百万人を強制退去させない限り、経済にそれほど大きな影響は及ばないだろう。
税制についても、トランプ氏の言うことを真剣に受け止めながらも、文字通りに受け止めるべきではなかった。例えば、トランプ氏は2016年、相続税を廃止するとうたっていたが、実際には維持し、税控除を大幅に拡大した。全体的な方向性がさらなる減税とトランプ減税(2017年成立の減税・雇用法)の延長にあるのは明らかだが、トランプ氏が(非常に問題のある)チップ課税廃止という約束を実行するとは思わないでほしい。
トランプ氏は富豪のイーロン・マスク氏を「効率の皇帝」に任命すると話すなど、ニクソン政権より前の、規制が少なかった時代への回帰を示唆している。しかし、有権者はきれいな空気や水、安全な自動車、信頼できる銀行を好む。どの規制を廃止し、どの規制を維持するかを判断するには多大な時間がかかるだろう。大なたを振るえば、多くの支持者が離反しかねない。
トランプ氏をテーマにした「取引」が「投資」に変わるかどうかを判断するのは、今回も2016年と同じくらい難しい。今は正しい賭けが自明のように思えるかもしれないが、当時もそうだった。
トランプ氏、厚生長官にロバート・ケネディ氏起用と発表 | ロイター
米共和党が大統領職と議会上下両院の多数派を制する「トリプルレッド」を達成したことで、近年市場の混乱を招いてきた連邦債務上限を巡る政治的対立がトランプ次期大統領の政権下で起きる懸念は小さくなった。その意味で、投資家は安心するかもしれない。ただ、長期的には国債に圧力をかけかねない、財政拡大の可能性も高まっている。
エジソン・リサーチによる13日段階の予測に基づくと、来年1月に始まる新議会で共和党は上下両院の多数派の地位を獲得できる見通しだ。
第2次トランプ政権は、トリプルレッドのおかげで減税や輸入湯関税などの政策を実現できる余地が広がる。これは成長を加速させる半面、インフレ再燃や財政赤字拡大につながる恐れもあり、市場にとって必ずしも好材料ばかりとは言えない。
だが議会と政府を同じ党が支配すれば、債務上限引き上げの合意は容易になる可能性がある。昨年は債務上限に関する与野党の激しい対立が続き、株式や債券が売られたほか、米国がデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に追い詰められ、信用格付けが打撃を受けた。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの米金利戦略責任者を務めるジョナサン・コーン氏は「(トリプルレッドで)先行きの財政の持続可能性の問題は解決しないが、債務上限に対する懸念は少なくなり、より短期的な不安は払しょくされる」と説明した。
指標となる米10年国債利回りは大統領・議会選直後の6日、4カ月ぶりの高水準を記録した。共和党の躍進を受けて投資家が成長上振れだけでなく、物価上昇と財政赤字の拡大に備えている様子がうかがえる。
一方で米国のデフォルトに対する保険料を示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは選挙後に急低下。S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータに基づくと、5日に49ベーシスポイント(bp)だった期間1年のスプレッドは、13日時点で18bpに縮小した。
選挙にかけてスプレッドは急速に上昇していて、大統領と議会を与野党勢力が分け合い、来年債務上限問題がまた紛糾しかねないと市場が想定していたことが分かる。
マッコーリー・グループのグローバル為替・金利ストラテジスト、ティエリー・ウィズマン氏は「米ソブリンCDS(のスプレッド)縮小は、議会と大統領職を同じ党が支配する限り、債務上限危機がクレジット事由やデフォルト事由となるリスクが低下したことを映し出しているのは間違いない」と述べた。
昨年は民主党のバイデン大統領と共和党が優勢な下院が、何カ月にもわたる政治的なチキンレースの末にようやく債務上限(31兆4000億ドル)の適用一時停止に合意し、かろうじてデフォルトを回避した。
しかしこの騒動が米国の信用力を傷つけた。フィッチは最高水準だった米国債の格付けを1段階引き下げ、ムーディーズは格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更。ムーディーズは理由の1つとして、議会の二極化によって財政改革で合意する能力が制限されている点を挙げた。
債務上限は来年1月2日に復活する見通しだ。複数のストラテジストの見立てでは、上限問題が解決されなければ、来年後半には財務省の手元資金が枯渇して債務返済に応じられなくなる。
ただJPモルガンのストラテジストチームは、債務上限についての最も激しい論争は「民主党のホワイトハウスと共和党の下院の間で起きた」以上、今回は昨年のような対立が生じる公算は低いと記した。
それでも債券投資家には別に心配の種がある。既に成長加速とインフレ再燃の観測を背景に、市場は米連邦準備理事会(FRB)による来年の利下げ幅の想定を縮小し、債券価格を圧迫している。
トリプルレッドはこの重圧を強めかねない。主要格付け3社で唯一、米国債の最高格付けを維持するムーディーズは先週、米国の財政健全性に対するリスクが増大していると警告した。
日興アセットマネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、フィンク直美氏は、財政赤字の拡大は最終的に投資家が米国債保有に際してより高いプレミアムを要求する事態につながってもおかしくないと指摘。「外国の投資家が米国の対外赤字を穴埋めするためのプレミアム上乗せを求めれば、債券市場は混乱するかもしれない」と述べた。
アングル:「トリプルレッド」で米債務上限巡る政治対立は回避か | ロイター
JPモルガンのダイモンCEO起用せず、トランプ次期大統領が表明 | ロイター
トランプ氏の「ゲーツ司法長官」人事、政界揺るがす - WSJ
●先進国中銀、金融当局
豪金融政策、引き締め姿勢維持 インフレ改善確信まで=中銀総裁 | ロイター
どの程度利下げすべきか不確実性を指摘-米地区連銀総裁が相次ぎ発言 - Bloomberg
銀行の信用コスト、低位に抑制されている=内田日銀副総裁 | ロイター
日銀の内田真一副総裁は14日、国際預金保険協会の年次コンファレンスで講演し、日本の銀行の信用コストは低位に抑制されていると述べた。コロナ後に企業のデフォルト率が再び上昇したが、金融機関の貸出債権のポートフォリオの質については「企業間のばらつきに留意する必要はあるものの、企業財務が改善を続けるもとで全体として維持されている」とした。これまでの日本の金利上昇は欧米に比べてかなり緩やかで、銀行ビジネスや金融システムに与える影響も同様だと話した。
内田副総裁は、全体として日本の金融システムは安定性を維持していると指摘した。金融機関はグローバルな金利上昇シナリオや国際金融危機型のストレスを含め、各種リスクに耐え得るだけの充実した資本基盤と安定的な資金調達基盤を有しており、金融仲介活動は引き続き円滑に行われているとの認識を示した。
2023年には米欧の一部金融機関で経営問題が発生した。内田副総裁は、経済・金融情勢とそれに伴うリスクを理解していても、「将来起こり得るショックがどのようなものになるか、予測することは困難だ」と述べ、平時から他の中央銀行や金融機関と緊密なコミュニケーションを取っておくことが重要だと強調した。その上で、金融システムのグローバルな連関の高まりやノンバンクの存在感の高まり、デジタル化などに留意する必要があると述べた。
ECBは一段の利下げへ、インフレ目標達成の見通し=副総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は14日、インフレ率が目標の2%に達する軌道にあることを最近のデータが示しているとして、ECBは一段の利下げの方向に進んでいるとの見解を示した。
マドリードで開催された銀行関連のイベントで、インフレ率が実質的に目標に向かって低下し、ECBの予測が実現すれば、金融政策は12月や来年1月以降もそれに合わせて調整されるとの見方を示した。
ユーロ圏ではインフレに関する最近のニュースは「良い」が、経済指標は「それほど良くない」と述べた。
「インフレ率はかなり低下しており、コアインフレ率に関する全ての指標は正しい方向に向かっている。だがサービス業に関しては不確実な要素がある」と指摘した。
ECB、プライベート市場へのリスク管理強化を各行に要請 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は13日、ユーロ圏の金融機関は急成長しているプライベートクレジット・エクイティ市場へのエクスポージャーを十分に把握していない可能性があるため、銀行監督当局が新たなリスク管理に関する期待事項をまとめる予定だと表明した。
「スーパービジョン・ニュースレター」で「プライベートクレジットファンドからも借り入れを行っている企業へのエクスポージャーを総体として適切に把握できていないことは、このエクスポージャーがほぼ間違いなく過小評価されており、集中リスクが適切に特定・管理できていないことを意味する」と指摘した。
重要な問題は、ある銀行がプライベートクレジットファンドにも依存している企業に対して共同融資を行っている可能性があることで、その場合は同じ銀行が別のチャンネルを通じてエクスポージャーを持つ形になりかねない。プライベートクレジットファンドは近年、銀行融資も利用しながら急速に伸びている。
その他の問題点としては、ファンドが提供するバリュエーションへの過度の依存や、プライベートエクイティ・クレジット市場の不透明な性質に伴うデータ不足が含まれるという。
ECBは各行に対し、リスク管理手法に関する情報のほか、ECBの期待事項に対するギャップ評価の提出を求め、その後は個別にフォローアップを行う。
情報BOX:パウエル米FRB議長の発言要旨 | ロイター
米12月利下げ確率が約56%に低下、FRB議長発言受け-スワップ市場 - Bloomberg
●先進国経済指標
ユーロ圏鉱工業生産、9月は前月比-2.0% 予想以上の落ち込み | ロイター
欧州連合(EU)統計局が14日発表した9月のユーロ圏鉱工業生産指数は前月比2.0%低下し、市場予想(1.4%低下)を下回る結果となった。
主要国の中でドイツの落ち込みが最も大きく、景気回復が遅れる可能性が浮き彫りとなった。
前月は1.8%上昇から1.5%上昇に下方修正された。
9月は前年同月比で2.8%低下し、こちらもエコノミスト予想の2.0%低下を下回った。1年以上続く低迷が深刻化していることを示唆した。
ドイツの鉱工業生産は前月比2.7%の落ち込みとなった。フランスとイタリアもマイナスを記録した。
資本財の生産の減少が最も大きく、エネルギー生産も減少した。
ユーロ圏雇用、第3四半期0.2%増 GDP伸び率は速報と変わらず | ロイター
米新規失業保険申請は4000件減の22.7万件 減少に転じる | ロイター
米10月PPI、前年比2.4%上昇に伸び加速 インフレ抑制失速示す | ロイター
米労働省が14日発表した10月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比2.4%上昇した。伸びは前月の1.9%から加速し、市場予想の2.3%を上回った。
13日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)も前年比2.6%上昇と、伸びが加速しており、インフレ抑制に向けた進展の失速を改めて示唆する内容となった。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)が12月に追加利下げを実施するという観測を変えるには至っていない。
PPIの前月比は0.2%上昇で、予想と一致。9月は当初発表の変わらずから0.1%上昇に上方改定された。
キャピタル・エコノミクスの北米担当デピュティチーフエコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は「今週発表されたインフレデータは、インフレ圧力がFRBの想定以上に強いことを示唆している」と述べた。
バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズの米国エコノミスト、スティーブン・ジュノー氏は「われわれは依然としてFRBが12月に25ベーシスポイント(bp)の利下げを行うと予想しているが、景気回復とインフレの根強さを考えると、利下げサイクルは浅くなるリスクが高まっているようだ」と述べた。
サービスの価格は0.3%上昇。9月は0.2%上昇していた。ポートフォリオ管理費が3.6%急伸し、サービス価格全体の伸びの3分の1超を占めた。
航空運賃も3.2%上昇。前月は1.1%上昇していた。
病院の外来診療費は0.6%上昇。前月は横ばいだった。
ポートフォリオ管理費、医療費、ホテルなどの宿泊料、航空運賃などは、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標の1つとして重視する食品・エネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数の算出に含まれる。
モノの価格は0.1%上昇と、前月の0.2%下落からプラスに転じた。食品は0.2%、エネルギー商品は0.3%それぞれ下落した。
食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いた狭義のコア指数は、前年比3.5%上昇、前月比0.3%上昇。前月はそれぞれ3.3%、0.1%上昇していた。
消費者物価指数(CPI)とPPIのデータからエコノミストが推定する10月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は、0.28─0.32%上昇の範囲となった。13日のCPI発表直後の0.2─0.26%の範囲から上昇した。
10月のコアインフレ率は前年比2.8%上昇すると予想される。ここまで3カ月連続で2.7%上昇していた。
CMEのフェドウオッチによると、金融市場が見込む12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイント利下げの確率は約79.1%、金利据え置きの確率は約20.9%。一部のエコノミストは12月の利下げはぎりぎりの判断になるとみている。
JPモルガンのエコノミスト、マイケル・ハンソン氏は「経済の継続的な正常化と労働市場のバランス改善の動きにより、コアPCEインフレは今後数四半期にわたり緩やかな下降軌道に戻るだろう。しかし大幅な関税引き上げの可能性により、来年の見通しには上振れリスクがある」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
円安深刻化の芽、日本からの資本流出が過去最高の経常黒字上回る - Bloomberg
低成長の日本からの資本流出を受け、円安圧力が強まっている。
米国のトランプ次期大統領がインフレ的な政策を打ち出す可能性が高いことを踏まえ、日米金利差を持続的な円安要因と見る為替市場関係者は多い。ただ金利差ほど目立たないが、貿易と投資に伴う資金フローも同様の影響力を持つ。
日本は第3四半期(7-9月)、過去最高の8兆9700億円の経常黒字となったが、直接投資と証券投資の流出額はそれを上回る規模だった。9月にトレーダーが円キャリートレードを解消したことで円は対ドルで一時1年2カ月ぶりの高値を付けたものの、その後は約10%下落し、14日にはおよそ4カ月ぶりに1ドル=156円台を付けた。
経常黒字が高水準でも円高になりにくいのは、「直接投資や証券投資が経常黒字を相殺する状況になっている」ためだとBofA証券の山田修輔主席FX・金利ストラテジストは説明する。「経常黒字のうちのほとんどは所得黒字によるもので、海外に再投資される部分が大きい。経常収支だけで見ると見間違える」と話す。
経常収支は輸出入のほか、雇用者報酬や直接・証券投資からの収益など国境を越える資金の流れを測定する。日本は第3四半期に、過去最大となる12兆2000億円の第一次所得収支の黒字を計上した。これにより、貿易・サービス収支の赤字が相殺され、経常黒字が増加した。
「貿易・サービス収支が不足する場合、外貨の手当てにより円売りになる」と東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは指摘。今後も「そうした傾向は続く」とみる。
日本からの直接投資の流出額は、1996年以降ほぼ全ての四半期で流入額を上回る。ブルームバーグが国際通貨基金(IMF)のデータを分析したところ、6月末時点での海外から日本への直接投資残高は国内総生産(GDP)の8.3%と、経済規模の大きい20カ国の中で最低だった。英国では99%、米国は57%に上った。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、「海外企業の参入障壁が大きい」と話す。「海外企業が日本で事業を始めると手続きが煩雑」だと指摘し、「日本は成長率が低いので市場が広がっていかない」とも述べた。
日本の潜在的な経済成長率は過去20年間停滞しており、日本銀行による直近の推計では0.6%にとどまる。これは、資本流出がさらに加速する可能性を示唆する。
日本では海外からの証券投資残高がGDPの90%に上り、海外からの直接投資残高をはるかに上回る。
しかし、こうした証券投資の資金流入について、三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、ほとんどが為替ヘッジ付きのため、円高にはつながりにくいと話す。また「短期の投機的なフローが多く、長期保有は進んでいない」ことからも円高効果が発揮されていないと説明した。
日本の金利は他国よりもはるかに低い。日本に投資する海外投資家は円安をヘッジすることで自国との金利差からリターンを得られるため、為替ヘッジ付きで投資する場合が多い。
一方で東海東京の柴田氏は、日本の対外証券投資について「国内に投資先がないので、米国債や米国株に投資した際の配当金や償還金は、海外に再投資される場合が多い」と話している。
情報BOX:ユーロ下落の要因と今後 ドルと等価はあるか | ロイター
外国為替市場ではユーロがドルに対して約1年ぶりの安値に下落し、節目の1ユーロ=1ドルに達するとの観測が復活した。米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことで、米国が関税を引き上げるとの見方が強まった。関税の引き上げは欧州経済に打撃となる可能性がある。
ユーロは9月には過去1年余りで最高の水準まで値上がりしていたが、欧州経済の見通しが悪化したため下落に転じ、足元では1ユーロ=1.06ドル近辺で推移している。
ユーロ/ドルは世界で最も活発に取引される通貨ペアだ。ユーロ下落の要因と今後の展望を探ってみた。
1.ドルと等価になり得るか
可能性はある。ユーロはドルとの等価よりわずか6%高い水準にある。ユーロが現在の水準より低かったのは2000年代序盤と22年の数カ月間だ。22年当時は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて欧州はエネルギー価格の高騰に見舞われ、米国の金利はユーロ圏よりも速いペースで上昇していた。
トレーダーにとって1ユーロ=1ドルは心理的に重要な水準だ。ユーロが1ドルを割り込めば、ユーロに対する市場心理が悪化して一段安となる恐れがある。
JPモルガンやドイツ銀行を含む大手銀行は、ユーロのドル等価への下落について、トランプ次期政権が関税をどの程度引き上げるか次第で起こり得ると分析している。トランプ氏が掲げる減税も、米国のインフレを誘発して米連邦準備理事会(FRB)の利下げ幅を縮小させ、ドルの魅力をユーロよりも高める可能性がある。
2.企業と家計への影響は
通貨が下落すれば通常、輸入コストは上昇する。輸入コストの上昇は食品、エネルギー、素材などの価格上昇をもたらし、インフレを悪化させる。
ユーロ圏ではインフレ率が2年前には2桁に上昇したが、その後は急速に鈍化したため、現時点では通貨安による物価への影響は大きな懸念材料とはなっていない。大半のエコノミストはインフレについて、今年末には若干不安定になるが、来年には欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%に回帰すると予想している。
一方でユーロ安により、ユーロ圏からの輸出品は割安になる。これは欧州の自動車メーカー、工業会社、高級ブランド会社や、外国から収入を得ている個人・投資家にとっては朗報だ。
特にユーロ安はドイツにとっては明るい材料だ。長期にわたって欧州の輸出けん引役を担ってきたドイツの経済は、中国の景気低迷など多くの逆風に苦しんでいる。
3.ユーロは独歩安なのか
必ずしもそうではない。米国の多くの貿易相手国の通貨はここ6週間、関税を巡る不安から値下がりしている。
ユーロは4.75%下落した一方、メキシコペソは約5%安、韓国ウォンは5.4%安となった。1期目のトランプ政権下ではユーロは6%上昇した。2016年の米大統領選の結果判明後にユーロは約6%下落したが、その後に持ち直している。
円はドルに対して年初来で約9%下落しているが、ユーロの下落率はその半分に満たない。
4.ユーロの見通しはそれほど悪いか
誰もがユーロに対して長期的に弱気な見方をしているわけではない。多くの銀行はユーロとドルの等価について、実現の可能性はあるが可能性が高いわけではないとしている。
ECBがFRBより速いペースで利下げすれば、ユーロにとっては売り手掛かりとなるが、利下げによって経済成長見通しが改善することで、長期的にはユーロを下支えする可能性がある。
ユーロ圏の域内総生産(GDP)は第3・四半期に前期比0.4%増加して市場予想を上回り、ユーロを下支えする要因となった。ドイツの政権崩壊は、次期政権下での成長を促進する経済対策に道を開く可能性があり、これもユーロの支援材料となり得る。
エドモン・ドゥ・ロスチャイルドのベンジャマン・メルマン最高投資責任者(CIO)は「誰もが欧州に対して悲観的で、われわれは悲観視される理由を理解しているが、予想に反して明るい材料が出る可能性もある」と述べ、ユーロが現在の水準から大きく下落するとは考えていないと付け加えた。
5.ECBにとっての意味
ECBはユーロが前回、急速に下落した2022年よりも好ましい状況下にある。当時はインフレが急騰したためユーロは1ドルを割り込み、ECBへの利上げ圧力が強まっていた。
これに対し現在はインフレが鈍化基調にある。ユーロがドルと等価にまで下落しても、ECBがそれほど憂慮することはないと考えられる理由はほかにもある。
ECBは主要貿易相手国の通貨バスケットに対するユーロの動向に、より強い注意を払っている。貿易相手国との貿易額で加重平均したユーロの実効レートはこの1週間で1.25%下落したが、22年の水準を大きく上回っている。
エコノミストはまた、通貨安によるインフレへの波及は比較的小さいと考えているため、ユーロ安がECBの利下げを阻むことは当面なさそうだ。
世界の高級品売上高2%減予想、値上がりや景気不透明感で=調査 | ロイター
世界的なコンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーが13日発表した調査リポートによると、現在の為替レートが続いたと仮定した場合、今年の世界の高級品売上高は前年比2%減少し記録的な落ち込みとなる見通しだ。値上がりや景気の先行き不透明感から、顧客離れが起きたのが要因。
高級品市場は3630億ユーロ(3860億ドル)の規模がある。中国はかつて裕福層や成長する中間層が高額消費の牽引役だったが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後は全体の足を引っ張っている。中国での売上高は今年20─22%減少する見通しだ。
ベインのパートナーであるフェデリカ・レバト氏はロイターに「パンデミック(の時期)を除けば、個人向けである高級品業界の低迷は世界金融危機だった2008─09年以来だ」と述べた。
各社がブランド価格帯を従来よりも引き上げたことや、戦争、中国の景気低迷、世界各地での選挙による消費者信頼感の低下が重なり、若者を中心に多くの顧客が消費を手控えている。
レバト氏は「過去2年間で、高級品の消費者数は約4億人から5000万人減少した」と指定した。
ただ、米国ではこの先、トランプ前大統領の返り咲きにより、金利の引き下げや減税で支出増を支える可能性があると述べた。
ノルウェー石油・ガス投資、今年は過去最高に 来年さらに増加も | ロイター
今年の米と世界の原油生産予想引き上げ、需要も増加へ=EIA | ロイター
米為替報告書 日本は「監視リスト」継続 操作国の認定なし | ロイター
欧州ガス再び上昇 冬到来で在庫減、アジア価格に影響も - 日本経済新聞
●中東情勢
●エマージング
トランプ・トレードのアジア版、韓国防衛株が急騰 - WSJ
朝鮮半島は長い間「火薬庫」と呼ばれてきた。平時としては世界屈指の重武装地域だ。今のところは静けさを保っているが、韓国の防衛関連企業は世界的な軍事費増加の恩恵を受けている。第2次トランプ政権の誕生によって、この波は続く可能性がある。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、世界の軍事費は2023年に前年比6.8%増となり、伸びが09年以来の大きさとなった。22年のロシアによるウクライナ侵攻は欧州諸国に安全保障戦略の見直しを迫った。さらに中東で緊張が高まったことで、各国はいっそう軍備増強に走った。
そして今、ドナルド・トランプ氏の米大統領返り咲きが決まったことが、世界の軍事費の新たな押し上げ要因になる可能性がある。トランプ氏はウクライナや中東での和平の実現を求めているが、これらの地域では緊張継続の可能性が高いこともあり、そうした要請が軍事費の削減につながるとは限らないだろう。同氏はさらに、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して軍事費を増やすよう圧力をかけ続けると予想される。
世界的な軍備増強によって、韓国という意外な勝者が誕生した。韓国の防衛請負業者は「競争力のある価格で納期を守る」という点で傑出している。他の分野でアジアの製造業者が抜きんでているのと同じ理由だ。欧州の請負業者が域内で官僚主義と生産のボトルネックに直面しているため、このことは特に重要だ。SIPRIによれば、韓国は2019~23年に世界の武器輸出の2%を占め、2014~18年の1.7%からシェアを広げた。
ロシア・ウクライナ戦争を「最前列」で目撃しているポーランドは2022年、韓国企業から戦車とりゅう弾砲を購入する58億ドル(約9000億円)の契約を締結した。韓国はすでにこれらの兵器の一部を納入し始めており、今後2~3年で納入を完了する見込みだ。韓国はその後、ジェット戦闘機からロケット砲に至るまで、さらに多くの兵器の購入契約を獲得した。韓国企業はルーマニアやペルーなどの国からも受注している。
その結果、これらのメーカーの株価は急騰している。K9自走りゅう弾砲「サンダー」や多連装ロケット砲「チョンム」を手掛けるハンファ・エアロスペースの株価は、2021年末以降に約8倍となった。K2戦車「ブラックパンサー」を生産する現代ロテムの株価は3倍だ。JPモルガンによると、韓国防衛企業の売上高に輸出(通常より利益率が高い)が占める割合は30~50%となり、2022年の5~18%から拡大する見通しだ。トランプ氏の再選後、これらの銘柄は一段高となっている。
日本の防衛関連株も今は絶好調だが、それは防衛費が増加傾向にあるという国内情勢によるところが大きい。三菱重工業の株価は今年、3倍近くになっている。
米国の投資家は近いうちに、この上昇相場に簡単に乗れるようになるかもしれない。ハンファ・エアロスペースの姉妹会社であるハンファ・アセット・マネジメントは、韓国の防衛関連株に連動する上場投資信託(ETF)の上場申請を米国で行った。韓国で上場している同様のファンドは年初来で84%上昇している。
株価は確かに割高感が増している。例えば、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによれば、ハンファ・エアロスペースの予想株価収益率(PER)は22倍で、5年平均の13倍を上回る。とはいえ、攻勢をかけようとしている投資家が韓国防衛関連株の爆発的な成長を目の当たりにしたら、買わずにいるのは難しいだろう。
中国、ちらつく格下げリスク 財政政策カードは温存 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
平井一夫ソニー元CEO「リーダーは心の知能指数を高めよ」 名古屋でLBSイベント - 日本経済新聞
マンハッタン「渋滞税」導入へ、来年1月=米NY州知事 | ロイター
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(14日)米国株下落、ドル1年ぶり高値、利回り上昇に転じる | ロイター
ニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対して上昇し、1年ぶりの高値を記録しました。トランプ氏の米大統領選勝利による政策期待が背景にあり、ドル/円は1ドル=156円台に上昇。ユーロとポンドも下落し、ユーロ/ドルは2023年11月以来の安値となりました。
債券市場では、FRBのパウエル議長の発言により、米国債利回りがほとんどの年限で上昇。短期利回りは上昇を続け、2年債と10年債の利回り格差は9.4ベーシスポイントに縮小しました。パウエル議長は、安定した労働市場とインフレの高まりを受け、利下げを急がない姿勢を示しています。
米国株式市場は、FRBのパウエル議長が利下げを急ぐ必要はないとの発言を受け、年内の追加利下げ期待が後退し下落しました。防衛関連株やEVメーカー株が売られ、テスラやリビアンは大幅下落しました。一方、ウォルト・ディズニーは好決算により約6%上昇しました。
金先物相場は、利下げ鈍化とインフレ再燃懸念が重しとなり、5日続落しました。トランプ次期大統領の政策によりインフレ懸念が広がる中、ドル高が進み金の売りが続いています。
原油先物は米原油在庫の増加により一時下落しましたが、安値拾いの買いでプラス圏に浮上し3日続伸しました。
欧州市場サマリー(14日) | ロイター
ロンドン株式市場は上昇し、特に中型株指数FTSE250が0.80%高となりました。バーバリーが18.7%急伸し、CEOのシュルマン氏による再建計画が好感されました。一方、ドル高の影響で金価格が下落し、貴金属株指数は1.86%安となりました。また、リーブス財務相やイングランド銀行総裁の発言にも注目が集まっています。
欧州株式市場も反発し、ハイテク株や石油・ガス株が牽引しました。特にASMLが年平均8–14%の増収見通しを示し7.0%上昇。ドイツテレコムも利益上振れで3.3%上昇し、シーメンスは好決算を受け4.9%上昇しました。
ユーロ圏の債券市場では、米国債利回りの上昇が鈍化した影響で国債利回りが低下しました。トランプ氏の大統領再選により市場は不安定な状況が続いています。ドイツ10年債利回りは3ベーシスポイント低下して2.358%、2年債利回りも4ベーシスポイント下がり2.113%となりました。
ソシエテ・ジェネラルのケネス・ブルー氏は、ユーロ圏が経済の弱さやECBの金融緩和、米国の財政・貿易政策への警戒感の間で難しい立場にあると指摘しています。ドイツの10年物スワップスプレッドは少なくとも20年ぶりの低水準となるマイナス9bpに達し、来年の追加借り入れの可能性が背景にあります。
市場では、12月のECBによる25bpの利下げが完全に織り込まれており、50bp利下げの可能性は約20%と見られています。イタリア10年債利回りも6bp低下して3.571%となり、独伊10年債利回り格差は121bpで横ばいでした

備忘録(2024/11/13
●海外企業決算
ABNアムロ、第3四半期利益は予想上回る 純金利収入が増加 | ロイター
第3・四半期決算は、純利益が前年同期比9%減の6億9000万ユーロ(7億3230万ドル)となったが、同社がまとめたコンセンサス予想の5億2800万ユーロは上回った。純金利収入(NII)が引き続き改善したほか、手数料収入も堅調だった。
ロバート・スワーク最高経営責任者(CEO)は報道機関向けの文書で「オランダ経済の回復と住宅市場の活況が業績に寄与した。住宅ローン残高は第3・四半期に16億ユーロ増加し、年初来の新規融資額では引き続き市場をリードしている」と述べた。
第3・四半期のNIIは7%増の16億4000万ユーロ。通年のNIIは64億ユーロを上回ると予想し、従来予想を若干引き上げた。
CET1比率は14.1%に低下した。アナリスト予想は13.9%だった。
ABNアムロは、自社株買いの可能性を含め、資本状況の評価を2025年第2・四半期の決算まで延期すると発表した。同行が最後に自社株買いを実施したのは23年で、規模は5億ユーロだった。
[OXY] オクシデンタルペトロリアム 3Q微増収最終減益 売上高微増71.7億ドル、純利益17%減9.59億ドル、EPS0.98ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KODK] イーストマンコダック 3Q減収営業赤字転落 売上高3%減2.61億ドル、営業赤字800万ドル、EPS0.15ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CSCO] シスコシステムズ 1Q減収減益 売上高6%減138億ドル、営業益45%減23.5億ドル、EPS0.68ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
スーパー・マイクロ、決算報告書提出遅れ 2回連続 - 日本経済新聞
ボーイングが解雇対象者に通知開始 1.7万人の削減計画で | ロイター
●日本企業
日鉄による買収に反対、労組トップは現場と温度差 - WSJ
全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長(72)は数カ月にわたり、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収に反対するよう組合員や政治家に働きかけてきた。同社の1万人の組合員にとって、日鉄より国内オーナーの傘下の方が良いと考えているためだ。
マッコール氏の活動が実を結ぶかどうかはまもなく分かるだろう。だが一部の組合員は買収を支持するようになり、組合の団結にひびが入り始めている。
昨年のクリスマスの1週間前に発表された141億ドル(約2兆1800億円)での買収案は、USWの反対で難しい状況に置かれている。ドナルド・トランプ次期大統領とカマラ・ハリス副大統領はいずれも選挙運動中にこの買収に反対を表明した。ジョー・バイデン大統領も反対しており、国家安全保障を理由に買収を阻止するかどうかを数週間以内に決定するとみられている。
マッコール氏とUSWの望み通りになれば、USWは組合員の雇用主との対立に直面することになる。USスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)は9月、買収が破談になればペンシルベニア州ピッツバーグ近郊にある最も古い工場を閉鎖する可能性が高いと述べた。そうなれば数千人の組合員が仕事を失う。
元機械工のマッコール氏は「売却する必要はない」とインタビューで語った。「USスチールは堅実で存続可能な会社だ。自力でやっていける」
だがそれほど確信を持てない鉄鋼労働者もいる。USスチールが閉鎖をちらつかせているモンバレー工場の従業員は特にそうだ。工場の組合の一部幹部は日鉄による買収を支持しており、賛同する組合員が増えていると話す。日鉄が老朽化した工場への投資予定額を30億ドル近くに引き上げると、工場周辺の町の指導層も支持を表明するようになった。
「不確実性が極めて高い。われわれは雇用の保障がほしい」。モンバレーのコークス用炭工場の従業員1100人が加盟するUSW支部のバイスプレジデント、リチャード・タイキー氏はこう述べた。
タイキー氏は選挙戦終盤にトランプ氏支持を表明した鉄鋼労働者の1人だ。同氏ら組合員は先月ペンシルベニア州の集会でトランプ氏と話をした際、USスチールの古い工場には日鉄が約束している投資が必要であり、買収を支持していると伝えたという。
USスチールが今後も独立を保てれば、労働協約を交渉する際、マッコール氏は米国の政治的・公的支援を引き出す上で影響力を振るうことができる。日鉄に売却すれば、これまでのような影響力は持てなくなる。イリノイ大学のロバート・ブルノ教授(労使関係学)はこう指摘する。
近年は労組が経営陣と対決するケースが増えており、自動車・航空宇宙・運輸の各業界でとりわけ顕著だ。
ブルノ氏はUSWの反応について、「反対は常に予想されていた」と述べた。「組合労働者は合併のたびに膨大な富が奪われることを懸念してきた」
家族代々
インディアナ州ゲーリー出身のマッコール氏にとって、鉄鋼業は家族代々の仕事だ。祖父、母親、おじは皆USスチールで働いた。
マッコール氏は1980年代からUSWの指導部を務め、経営破綻した鉄鋼会社の雇用や年金の救済に尽力してきた。
同氏はUSW内でも手ごわい交渉者として知られる。中西部で組合支部トップを務め、政治的手腕にも定評がある。中西部では製造業が州の政治に関わっていることが多い。
USWはマッコール氏がトップに就いた2023年9月までに、米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスによるUSスチール買収に支持を表明していた。クリフスは最終的に日鉄に競り負け、今秋になってカナダの鉄鋼メーカー、ステルコ・ホールディングスを25億ドルで買収した。
労組幹部は外資との合弁事業や外資による米企業買収が失敗するケースを目にしてきたため、国外鉄鋼メーカーの米国進出を警戒してきた。マッコール氏や米鉄鋼会社の幹部は長年、日本などの不当に安い鉄鋼が国内にあふれていると主張し、輸入関税を課すよう求めてきた。
USスチールはコスト削減策として、21年にアーカンソー州の新しい製鉄所を買い取り、比較的少人数の労組非加盟の従業員を配属した。1世紀以上操業してきた一部の古い工場を休止し、アーカンソー州で増産を始めた。数千人の組合員が仕事を失った。
同じ頃、新型コロナウイルス禍が最悪期を脱して鉄鋼価格が急騰し、USスチールは過去最高益を更新した。人員削減に憤っていた労組幹部は、同社がクリフスからの当初の買収提案を拒否したことで一層怒りを募らせた。
「彼らに所有してほしくない」
そこへ日鉄が現れた。同社は米鉄鋼市場に商機があるとみている。USスチール同様、大半の鉄鋼を溶鉄から生産している。
日鉄の森高弘副会長兼副社長はインタビューで、中国による過剰生産と低コストでの輸出がアジアの鉄鋼市場を圧迫しているとし、米国での価格はアジアより高いと説明した。トランプ次期米政権が関税を引き上げれば、米国の鉄鋼はさらに値上がりするとみられる。
日鉄はUSWとUSスチールの労働協約を尊重し、現行の契約が終了する26年末まで人員削減も工場閉鎖もしないと約束している。
USWは、日鉄の労働者保護と投資に関する約束がUSWの労働協約を満たしていないとの法的申し立てを行ったものの、主張は認められなかった。
昨年12月以降、マッコール氏と森氏は2時間しか会談していない。森氏はもっと頻繁に会談したいと述べ、日鉄がUSスチールを買収したいのは米国で鉄鋼を生産するためだと語った。「国外からUSスチールの施設に輸入するつもりはない」
マッコール氏は森氏の呼びかけに応じる予定はないと述べた。「彼らはわれわれの組合員のことを気にかけていない」とし、「彼らにこの会社を所有してほしくない」と述べた。
モンバレー工場では多くの従業員がマッコール氏に日鉄と交渉してほしいと考えている、とUSW支部のタイキー氏は語った。「完全なこう着状態だ。進展してほしい」
三越伊勢丹、4─9月期営業益72%増 インバウンド・国内顧客とも好調 | ロイター
関西電力が公募増資、最大5049億円調達 火力発電所など設備更新 | ロイター
セブン&アイがMBO検討と報道、伊藤忠など出資 9兆円規模 | ロイター
日本経済新聞とブルームバーグは13日、セブン&アイ・ホールディングスがMBO(経営陣が参加する買収)を検討していると報じた。
ブルームバーグは、9兆円規模で全株式を買い取ると伝えている。セブン&アイ株8%超を持つ同社の創業家や伊藤忠商事などが3兆円程度を出資、主力取引行の三井住友フィナンシャルグループなどメガバンク3行が6兆円規模を融資する方向で協議しているという。日経によると、セブン&アイはフィナンシャル・アドバイザーとリーガル・アドバイザーを選定した。
セブン&アイはカナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けている。セブン&アイが当初の提案額5.8兆円を拒否すると、クシュタールは7兆円程度まで引き上げた。MBOの規模はこれを上回る。
セブン&アイはロイターの問い合わせに「報道は認識しているが、当社が発表したものではない」とコメントした。伊藤忠、三井住友FG、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループはいずれもコメントを控えた。
浜岡原発、防潮堤6mかさ上げ 南海トラフ想定見直しで - 日本経済新聞
みずほ、楽天カードに15%弱出資 オリコなども業務提携 - 日本経済新聞
博報堂DYホールディングスの4〜9月、最終赤字49億円 グループ再編検討 - 日本経済新聞
山梨中央銀行、仏クレディ・アグリコル幹部40人と意見交換 - 日本経済新聞
セブン&アイHD、創業家が買収提案 アリマンタシォンに対抗 - 日本経済新聞
楽天グループ決算、17四半期ぶり営業黒字 携帯事業は赤字縮小 - 日本経済新聞
楽天グループが13日発表した2024年7〜9月期の連結決算(国際会計基準)は、営業損益が5億円の黒字(前年同期は544億円の赤字)だった。営業黒字は携帯電話事業に本格参入した20年4〜6月期以来17四半期ぶり。携帯事業の赤字が縮小し、電子商取引(EC)や金融事業の利益で吸収した。
24年1〜9月期決算は売上高にあたる売上収益が前年同期比8%増の1兆6176億円、最終損益は1503億円の赤字(前年同期は2084億円の赤字)だった。
セブン&アイの経営陣による買収提案、史上最大のバイアウト案件に - Bloomberg
セブン&アイ・ホールディングスの経営陣が同社を非公開化するために提示した約9兆円の買収提案額は、これまでのバイアウト案件の最大額を上回る。
ブルームバーグが集計したデータによると、取引が成立すれば、KKRとTPGキャピタルがエナジー・フューチャー・ホールディングス(旧TXU)買収に支払った金額を上回ることになる。また、億万長者のイーロン・マスク氏がツイッターを買収した際の440億ドル(約6兆8000億円)という金額も上回る。
ブルームバーグ・ニュースは、創業家である伊藤家と伊藤忠商事などが出資し日本の大手銀行も融資すると報じていた。事情に詳しい関係者によると、アリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイの買収をより積極的に進め、株式公開買い付けを行う場合、株主に対してこの提案をオプションとして提示できる可能性がある。
創業家による買収提案は、クシュタールのアプローチに対する統一された抵抗の意思表示となるが、その規模を考えると、この取引を成立させるのは難しいかもしれない。また、クシュタールが手を引けば、この取引は実現しない可能性が高い。
●先進国政治動向
アングル:トランプ氏、移民規制強化へ就任初日に大統領令 | ロイター
トランプ次期米大統領は来年1月20日の就任初日に、移民規制強化のため一連の大統領令を出す公算が大きい。具体的措置の実行役はトランプ氏から国境管理責任者、いわゆる「国境の皇帝」に指名されたトム・ホーマン元移民・税関捜査局(ICE)局長代行ら共和党の対移民強硬派だ。事情に詳しい3人の関係者がロイターに明かした。
関係者の話では、これらの大統領令により、国境警備当局は犯罪歴のない移民を逮捕できる裁量が広がるほか、米・メキシコ国境に配置する州兵の規模を拡大したり、国境沿いの壁建設を再開したりできる。
国境警備の現場を長く経験し、第1次トランプ政権下の2017―18年にICE局長代行を務めたホーマン氏は、米国の移民制度を熟知している。
トランプ氏は、バイデン大統領が導入した人道的な移民の期間限定受け入れプログラムの撤廃も命じる見込み。このプログラムにより近年、米国に何十万人もの移民が合法的に流入した。さらに同プログラムの有効期限を過ぎた移民の自主的な出国を促すことになるという。
第1次トランプ政権で移民対応に当たったマーク・モーガン氏は「これらの措置は必ず政策のテーブルに載せられる」と述べた。モーガン氏は、自分はトランプ政権移行チームの代弁者ではないとしている。
一連の大統領令は、トランプ氏が公約に掲げる不法移民の大量強制送還への序奏となるだろう。
米国土安全保障省が見積もった不法移民の数は22年時点で1100万人だが、今はもっと増えているかもしれない。移民を積極的に受け入れてきたニューヨークやシカゴ、デンバーといった一部の都市では移民用の住居や支援態勢の確保に苦戦を強いられている。
トランプ氏は選挙戦で、バイデン政権が不法移民の大幅な増加を許したと訴えてきた。実際、バイデン政権の全期間で見ると、逮捕された移民は過去最大を記録している。ただ今年になってバイデン氏が国境警備を厳格化する措置を講じ、メキシコも対策に乗り出したため、不法移民の流入は劇的に減少した。
それでもトランプ氏は不法移民をさらに減らそうとしており、逮捕や拘束、大量送還のために政府組織全体を活用する構えだ。
人事面ではホーマン氏を国境管理責任者に起用すると発表したほか、第1次政権で大統領上級顧問を務め、やはり対移民強硬派のスティーブン・ミラー氏が大統領次席補佐官に充てられる、と11日にバンス次期副大統領が認めた模様だ。
トランプ氏は、国土安全保障長官には中西部サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事を抜擢する方針。サウスダコタはメキシコよりカナダとの国境に近いが、対移民強硬派のノーム氏は近年わざわざメキシコ国境を何度か訪れ、今年1月には同国境を「戦争地帯」とまで表現している。
<執行権限拡大や壁建設>
トランプ氏は大統領就任初日の命令で、不法移民の逮捕・拘束に関する執行権限を拡大する見込み。
バイデン政権が打ち出した指針では、重大犯罪記録がある人物を優先的に強制送還し、犯罪歴がない人への執行は制限されてきたが、トランプ氏はこの基準を撤廃すると関係者は見ている。重罪で起訴されたり、米国滞在資格を喪失したりした人々の強制送還を引き続き優先しつつ、当局者がそれ以外の不法移民を送還するのを禁止しない内容になるという。
ICEの推計によると、米国内には強制退去を最終的に命じられた移民が140万人存在し、次期政権はこの対応を優先課題とするだろう。
ホーマン氏は11日のFOXニュースで「連邦裁判所の判事が『出て行かなければならない』と宣告したのに、彼らは出国しなかった」と語った。
2人の関係者は、パレスチナ自治区ガザの戦闘を巡ってイスラム組織ハマスを支持し、学生ビザの要件に違反した外国人留学生なども優先的な送還対象になり得ると述べた。
ICEは強制送還に軍用機を利用し、他の政府機関にも支援を要請する可能性がある、と関係者の1人は話す。
トランプ氏は国境警備強化についての命令も出し、州兵を国境に派遣するとともに、国境の壁建設資金を確保するため不法移民問題を国家の緊急事態と宣言する意向と見られている。
特に民主党のケイティ・ホブス知事が反対しているアリゾナ州での壁建設が優先されてもおかしくない。
バイデン政権が導入した期間限定で移民の合法的な滞在と就労を認めるプログラムも、トランプ氏は打ち切る。同プログラムの対象者には、メキシコ国内にいる移民希望者のうち米国内にスポンサーがいるなどの条件を満たした人々が含まれていた。
トランプ氏は、このプログラムの有効期限が切れても自主的に国外に退去する移民には罰則を設けない方針とされる。
同氏はメキシコと協議し、メキシコ人以外の移民希望者は米当局の審査が終わるまでメキシコ国内にとどめる仕組みの復活にも動きそうだ。
米下院選、共和党216議席に 過半数に迫る=エジソン予測 | ロイター
トランプ氏、ライトハイザー氏を通商政策トップに起用へ - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領は側近らに対し、米通商代表部(USTR)の代表を務めたロバート・ライトハイザー氏を次期政権の通商担当トップに起用する方針を示した。事情に詳しい関係者らが明らかにした。
ライトハイザー氏はトランプ氏の主要なアドバイザーとして知られ、第1次政権の際も関税政策の実施を支えたことで知られる。
トランプ氏はライトハイザー氏に絶対的な権限を与える意向。関係者らによれば、同氏は商務省やUSTRを含む政権全体の通商政策を監督することになるとみられる。
ライトハイザー氏の役職は上院での承認を必要としないため、来年1月にトランプ氏が大統領に就任した直後から、同氏が提案している関税措置を実施する権限を得ることになる。
ただしトランプ氏が考えを変え、財務長官や商務長官、または国家経済会議(NEC)委員長など、他の要職にライトハイザー氏を起用する可能性もある。
事情に詳しい関係者によれば、ライトハイザー氏はまだ正式な打診を受けていない。英紙フィナンシャル・タイムズはこれまでに、ライトハイザー氏にUSTR代表のポストが提示されたと報じたが、同氏に近い関係者はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、トランプ氏と政権入りについて話し合いはあったものの、具体的な役職の提示はなかったと述べていた。
ライトハイザー氏とトランプ氏の政権移行チームの広報担当者からは、今のところコメントは得られていない。
トランプ氏がライトハイザー氏を正式に起用すれば、同氏は移民政策で重要な発言権を持つことになるトム・ホーマン氏と並び、次期政権で大きな権限を持つ。トランプ氏は世界各国から米国に入ってくる輸入品に関税をかけることを公約に掲げ、選挙戦を繰り広げていた。
同氏は米国の輸入品全般に最大20%の関税を課すことを提唱。また中国からの輸入品には60%、メキシコからの自動車には少なくとも200%の関税を提案している。さらに相手国の関税と同水準の関税を米国も課す考えも示している。
ライトハイザー氏は北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の制定に尽力したことでも知られる。
【米政権交代】 マスク氏を「政府効率化省」トップに起用、トランプ次期大統領が発表 ラマスワミ氏も抜擢 - BBCニュース
アメリカのドナルド・トランプ次期大統領は12日、自らの新政権で「政府効率化省(DOGE)」を新設し、そのトップに実業家イーロン・マスク氏を起用すると発表した。
マスク氏は宇宙開発企業「スペースX」や電気自動車メーカー「テスラ」の創業者。大統領選ではトランプ陣営に巨額の献金をした。
最近では、政府予算のほぼ3分の1に当たる少なくとも2兆ドル(約310兆円)を、連邦政府の支出から減らすよう求めた(具体的に何を減らすべきかには言及していない)。また、連邦政府機関には責任の範囲が重なっているものが多いとし、何百かの機関を廃止するよう提案している。
トランプ氏は、バイオテクノロジー分野の投資家ヴィヴェク・ラマスワミ氏も、政府効率化省でマスク氏と仕事をすることになると説明した。ラマスワミ氏は、大統領選の共和党予備選に出てトランプ氏と戦ったが、撤退してトランプ氏支持に回った。
ラマスワミ氏は予備選で、連邦政府職員の75%以上を解雇し、教育省や連邦捜査局(FBI)、アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局など、いくつかの主要連邦機関を閉鎖すると主張していた。
トランプ氏はこの2人の役割について、「大規模な構造改革を推進する」方法をホワイトハウスの外から助言するものだと述べた。また、ホワイトハウスや行政管理予算局と協力し、年間6兆5000億ドル(約1000兆円)の政府支出における「大規模な無駄や不正」と闘うとした。
トランプ氏はさらに、マスク氏とラマスワミ氏は2026年の7月4日(アメリカ独立記念日)までに仕事を完了することになると説明。「より効率的で官僚主義の少ない小さな政府は、独立宣言250周年を迎えるアメリカへの完璧な贈り物になる」とした。
この発表に先立ち次期大統領は、国防長官にはFOXニュース司会者で、米陸軍の州兵としてイラクやアフガニスタンで戦闘経験があるピート・ヘグセス氏(44)を指名すると明らかにした。米メディアによると、ヘグセス氏は第一次トランプ政権中の2019年、アフガニスタンで民間人を殺害するなど戦争犯罪を問われた米兵に恩赦を与えるよう、大統領に働きかけたという。
次期大統領は、中央情報局(CIA)のトップには、連邦下院議員(テキサス州)と連邦検事を務めたジョン・ラトクリフ氏を指名するとした。どちらもかねて、トランプ氏を強く支持してきた経緯がある。
トランプ氏はまた、国土安全保障長官にクリスティ・ノーム・サウスダコタ州知事を指名した。ノーム氏は今年、副大統領候補に一時取りざたされていた。当時公表した自伝で、かつて自分の犬を「訓練できず」「危険だ」という理由で射殺していたことを明らかにしており、話題になった。
「マンハッタン計画」になぞらえる
トランプ氏は政府効率化省の任務について、「政府官僚主義の解体、過剰な規制の削減、無駄な支出の削減、連邦機関の再編」を支援すると説明した。
同省の頭字語「DOGE」は、マスク氏の好きな暗号通貨ドージコイン(Dogecoin)にかけたものとされる。ドージコインはこの1週間で価値が急騰している。
正式な政府省庁には議会の承認や数万人のスタッフが必要だが、政府効率化省はそれとは異なる。
トランプ氏は政府効率化省を、第2次世界大戦中に最初の核兵器開発を極秘に進めたアメリカ政府の「マンハッタン計画」になぞらえた。
「官僚主義への脅威」とマスク氏
マスク氏はトランプ陣営が出した報道発表で、「これはシステム全体と、政府の無駄遣いに関わっている人たち、つまり多くの人たちに、衝撃を与えるだろう」とした。
トランプ氏による発表の後には、マスク氏は自身のソーシャルメディアのXに、「民主主義にとっての脅威? いや、官僚主義にとっての脅威だ!!!」と投稿した。
マスク氏は、トランプ氏が大統領選で勝利して以来、フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の邸宅で毎日、同氏と過ごしているとされる。最近あったトランプ氏とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との電話協議にも参加した。
一方、ラマスワミ氏は、トランプ氏の発表をソーシャルメディアに再投稿。「自分たちは、穏やかなやり方などしない」とした。
米教育省の廃止求めるトランプ氏、それが意味するものとは - CNN.co.jp
トランプ次期米大統領は、教育省の廃止を公約に掲げている。
大統領選での選挙活動中、トランプ氏は再三同省に言及し、連邦政府による過剰な干渉の象徴だと指摘。同省が米国人家族の日常生活に介入し過ぎているとの見解を示していた。
9月のウィスコンシン州の選挙集会では、教育省自体を最終的に消し去ると宣言。「我々は政府による教育の問題を取り除き、あなた方納税者の税金の乱用をやめさせる。それらの税金により米国の若者は、聞かせたくないあらゆる内容を吹き込まれている」と訴えた。
教育省は1979年、当時のカーター大統領が署名した法律によって作られた。それ以前、連邦政府の教育プログラムは他の複数の機関が担当していた。
トランプ氏はこれまでのところ、具体的にどのようにして教育省を廃止するのか、またその場合に連邦政府が資金拠出する教育プログラムがどうなるのかについて明言していない。
州と学校に資金を流す
教育省が担う最大の仕事の一部には、議会が割り当てた小中高校向け連邦助成金の管理や、学生ローン及び財政支援プログラムの運営が含まれる。
学校向けの資金拠出プログラムで特に大規模なのは、低所得世帯の子どもの教育支援や、障害のある子どもの必要を満たす目的で学校に資金を供給するプログラムとなっている。
こうしたプログラムは、教育省が掲げる「あらゆる個人へ向けた平等な教育機会へのアクセス確保」という目的の達成に寄与する。
連邦政府からのプログラムで供給される資金は年間約280億ドル(約4兆3000億円)だが、これは学校向けの資金全体のおよそ10%でしかない。残りは州や地方の税金によって賄われている。
ただ過去4年間では追加の連邦資金も各学校に支給され、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)からの回復支援に充てられた。
監督の実施と規制の策定
教育省は監督業務と連邦規則の策定にも取り組んでいる。
たとえば傘下の公民権局は、小中高校並びに大学で差別の申し立てがあった場合これを調査する義務を負う。昨年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲以降、そのような申し立ては著しく増加している。
バイデン政権下の教育省は、トランスジェンダーの生徒の保護を強化した。同政権による学生ローン免除の規程の作成にも教育省は関わったが、これらの施策を巡っては現在裁判が行われている。
これとは別に、第1次トランプ政権は、マイノリティーの生徒が学校で不公平な罰則を受けないよう定めたオバマ政権時代の指針を撤廃した。
一方で州や各地の学校が持つ権限が教育省に取って代わられることはなく、たとえばパンデミックの期間、同省が各学校に対し閉鎖や対面授業の継続を義務づけることは不可能だった。
教育省終了でも政府の教育資金は維持か
低所得世帯の子どもや障害のある子どもを支援する前出のプログラムは、仮に教育省が廃止されても他の省庁に移行される可能性がある。
教育財政政策に特化したジョージタウン大学の研究センター、エデュノミクス・ラボのマーガレット・ローザ所長も、各学校が突然資金を失う事態にはならないとの見方を示している。
ローザ氏によると、低所得世帯の子どもに向けた財政支援プログラムは、党派にかかわらず議員らの間で相当に人気が高いという。
過去に大統領が教育省の予算削減を提案した際には、議会がこれを拒否してきた。ブルッキングス研究所の分析によれば、議会が大統領の要望を上回る予算を割り当てたケースは、全体の約71%を占めるという。
第1次トランプ政権による教育省の予算削減提案に対してさえも、共和党が多数派だった当時の議会は最終的に予算を拡大している。
議会が省の完全廃止を認める公算は小さい
注目すべきは、省庁の廃止に当たって議会の行動が必要になるという点だ。
教育省の廃止や他の省庁への再編を求める声が上がるのは、今に始まった話ではない。共和党のレーガン大統領(当時)が同省の廃止を呼び掛けたのは、省としての稼働開始からわずか1年後の1980年だった。しかし議会での支持はほとんど得られなかったようで、廃止要求は撤回された。
第1次トランプ政権では教育省と労働省の合併が提案されたが、議会の上下両院を共和党が抑えていた当時でさえ、この案が実現することはなかった。
来年1月の連邦議会で上院は共和党が多数派を握る見通し。下院の勢力分布はまだ確定していない。今回新たに選出された共和党の上院議員、バーニー・モレノ氏(オハイオ州)とティム・シーヒー氏(モンタナ州)は、共に教育省の廃止案を支持している。
しかし、仮に共和党が下院を抑えたとしても、今回連邦議会で教育省の廃止が十分な支持を得られるかどうかは依然として不透明だ。
米上院共和党、院内総務にスーン氏 トランプ氏から一定の独立性 | ロイター
米上院共和党は13日、院内総務にジョン・スーン議員(63、サウスダコタ州)を選出した。上院共和党トップの院内総務を史上最長の約17年間務めたミッチ・マコネル氏(82)の後任となる。
親トランプ派選出を求める世論の圧力ではなく、議員本人の資質を重視した選択となった。
スーン氏が、ジョン・コーニン議員(テキサス州)や実業家イーロン・マスク氏の推薦を受けたリック・スコット議員(フロリダ州)を抑えて勝利したことは、上院がトランプ氏から一定の独立性を保つ可能性があることを示している。
スーン氏は穏健な制度派であり、党内に幅広く緊密な人脈を持つ経験豊富な議員とみなされている。「この共和党チームはトランプ次期大統領の政策の下に団結しており、われわれの仕事は今日から始まる」との声明を発表した。
広報担当者によるとスーン氏は、同じく長年制度派として活躍してきたコーニン氏を29対24で破った。
スコット氏は第1回投票で敗退した。スコット氏には、トランプ氏の盟友マスク氏のほか、保守派評論家で熱心なトランプ氏支持者でもあるショーン・ハニティ氏など外部の有力者が支持を表明していた。
スコット氏の出馬により、通常は内輪の選挙にすぎない院内総務選びが、トランプ政権下での上院の独立性に対する最初の試金石の様相を呈していた。
バイデン氏とトランプ氏が会談、中東問題の比重高く | ロイター
トランプ次期米大統領は13日、ホワイトハウスでバイデン大統領と政権移行を巡り会談した。来年1月20日のトランプ氏の就任に向け、両氏は円滑な政権移行を進める考えで一致した。
バイデン大統領は会談の冒頭、「スムーズな政権移行を期待している」とし、トランプ氏が必要とするものを確実に提供できるよう「全力を尽くす」と約束した上で「ようこそ、おかえりなさい」とトランプ氏を歓迎した。
トランプ氏は「政治は厳しく、多くの場合、あまり良い世界ではないが、今日の世界は良い」とし、「可能な限りスムーズに政権移行が行われることに感謝する」と応じた。
記者団は相次いで質問を飛ばしたが、すぐに退出するよう要請された。
ホワイトハウスのジャンピエール報道官によると、会談は約2時間に及び、「実質的なものだった」という。米国や世界が直面している重要な国家安全保障と国内政策の問題が議題となった。
サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)によるとバイデン氏は、ウクライナ支援が米国の国家安全保障上の利益になると強調。強く安定した欧州が米国を戦争に巻き込むのを防ぐと述べたという。
トランプ氏はニューヨーク・ポスト紙に対し、バイデン氏との会談で「中東についてかなり話し合った」ことを明らかにした。同紙は「われわれの現状について彼の見解を知りたかった。そして彼は私にそれを教えてくれた。とても親切だった」との発言を報じた。
伝統的に、現大統領は退任前に次期大統領をホワイトハウスに招待して会談を行う。トランプ氏は2020年の前回大統領選で自らの敗北を認めず、バイデン氏を招待しなかった。
バイデン大統領との会談に先立ち、トランプ氏は下院の共和党議員らと会合。「勝つことは良いことだ、下院は非常によくやった」とし、議員らの労をねぎらった。エジソンリサーチの予測によると、下院でも共和党が過半数の218議席に達する見通しとなった。
米大統領選でトランプ氏を支持した実業家イーロン・マスク氏が、13日午前に行われた下院共和党の会合にトランプ氏と共に出席した。
米司法長官に保守強硬派ゲーツ下院議員、トランプ氏が指名 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
インタビュー:政治の変化などでボラティリティ高い、過度な動きには対応=神田内閣官房参与 | ロイター
石破茂政権の経済政策に助言する神田真人内閣官房参与はロイターとのインタビューで、世界的に金融政策が転換期に差し掛かり、主要国の政治も変化する中、為替など金融市場のボラティリティが高まっているとの見方を示した。投機が変動を助長しているとし、「行き過ぎた動きには適切な対応を取る」と語った。
7月に財務官を退任し、現在は財務省顧問も務める神田氏は「為替相場の過度な変動は家計や企業の経済活動に悪影響を与えて望ましくないと考えており、円安・円高どちらでも、行き過ぎた動きには適切な対応を取る必要があるという考えに全く変わりはない」と述べた。
神田氏の財務官在任時に160円台に乗せたドル/円は、日本当局の度重なる円買い介入、さらに米国が利下げ、日本が利上げサイクルに舵を切ったとの観測から、9月中旬に140円前半まで下落した。しかし、11月5日の米大統領選が近づき、市場がトランプ前大統領の勝利を織り込み始めると為替は再びドル高・円安に振れ、選挙から1週間が経った足元は150円台半ば近傍で推移している。
神田氏は、株高とドル高・円安の「トランプトレード」が起きている背景として、財政赤字増大による米金利上昇や関税の引き上げ、移民制限によるインフレと金利引き上げの可能性といった憶測があると指摘。これをあおる投機の存在がある、との見方を示した。
「相場には神羅万象が影響し、金利だけで決まるわけはない。足元は過剰流動性で行き場をなくしたマネーが投機の思惑で動いている」とし、「中長期的には人為的に為替水準を維持することはできず、通貨価値を守りたいなら強い経済にしていかなくてはならない」と述べた。
神田氏は日本の長期金利に上昇圧力がかかりやすくなっていることにも言及し、「日本のマーケットの信任を維持する努力は絶対に必要というメッセージであるのは間違いない」と語った。
11日に発足した第2次石破内閣は少数与党となり、近くまとめる経済対策をはじめ市場は拡張的な財政政策が続くとみている。トランプ氏の大統領就任を見越して米金利が上昇している影響もあり、日本の長めの金利にも上昇圧力がかかりやすくなっている。
神田氏は「今後の財政不安、インフレに対して金利が上がるかもしれないという懸念からも(国債や社債など)フィクストインカムの長いレンジでいろいろ動きがある」と述べた。
神田氏は、関税引き上げなどを公約に掲げて米大統領選を戦ったトランプ次期政権の政策について、日本経済と金融市場に与える影響を含めてしっかりと注視する必要があるとの考えを示した。「どんな場合でも、ルールに基づいて、自由で開かれた国際秩序が必要であり、引き続き日本とアメリカで緊密に意思疎通を行って、必要な政策上の調整を行っていく事となろう」と語った。
今月中にアジア開発銀行(ADB)の次期総裁に選出される見通しの神田氏は、域内の膨大なインフラ不足や気候変動など地球規模の課題に取り組んでいくと抱負を述べた。
中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)との役割分担については、「AIIBは3割が協調融資でADBのプロジェクトに資金ギャップを支えてくれており、アジア太平洋地域の膨大なインフラ投資ニーズに対処する一助になっている。ADBはAIIBは組織の性格が全く違う」と語り、ライバル関係との見方を退けた。
●先進国経済指標
米CPI、10月は前年比2.6%上昇に伸び加速 予想と一致 | ロイター
米労働省が13日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年比2.6%上昇し、伸びは前月の2.4%から加速した。インフレ鈍化に向けた進展は幾分失速しているもようで、来年の米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが鈍る可能性がある。
前月比では4カ月連続で0.2%上昇した。
前年比、前月比とも市場予想と一致した。
変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは、前年比3.3%上昇し、伸びは前月と同じだった。前月比でも3カ月連続で0.3%上昇した。
CMEのフェドウオッチによると、金融市場が織り込む12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の0.25%ポイント利下げの確率は約58.7%、金利据え置きの確率は約41.3%となった。
豪賃金、第3四半期は前年比+3.5%、2022年終盤以来の低い伸び | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
円ヘッジ付きの米国債利回り、2年ぶりプラスに転じる見通し - Bloomberg
円ヘッジ付き米国債利回りが2年ぶりにプラスに転じる見通しだ。共和党のトランプ氏の勝利で米長期金利が上昇する一方、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ転換を受けヘッジコストが低下していることが背景にある。
ドルの対円での下落リスクをヘッジするコストを考慮した10年米国債利回りは13日、マイナス13ベーシスポイントまで回復した。 同利回りは、FRBの利上げでドルショート(売り建て)が割高になったことから、2022年9月以降マイナス圏で推移している。
米国債利回りが上昇する中、日本の投資家はFRBの金融緩和サイクル下で同国債を再び選好するのか、トランプ氏の関税引き上げや減税により利回りが一段と上昇するとみて投資を控えるのか、市場の争点となっている。
米財務省のデータによると、日本の投資家は今年1ー3月は米国債を買い越していたが、それ以降、売り越しに転じている。1ー8月の期間では、244億ドルを売却した。
もっとも、日本の投資家はこの間、10億ドル以上の米機関債・社債を購入していた。高水準にとどまるヘッジコストを埋め合わせたり為替リスクを吸収したりするため、利回りの高い債券にシフトしていることをデータは示唆している。
ドル下落をヘッジする上で投資家が負担するコスト(3カ月)は、昨年のピーク時の6.01%から4.56%に下落している。
ウエストパック銀行の金融市場戦略部門の責任者マーティン・ウェットン氏は、「為替ヘッジは依然としてコストがかかり過ぎるが、ヘッジ後の利回りがプラスになれば状況は多少変わるかもしれない」と言及。一方で「10年日本国債の利回りが1%前後なのを踏まえると、ヘッジ後の米国債利回りはまだ日本国債には及ばない」とも指摘した。
フランクリン・テンプルトンの債券部門最高投資責任者(CIO)ソナル・デサイ氏は為替ヘッジコストの低下について、「投資適格証券や課税対象の地方債などへの日本の需要に影響を与える」と指摘。「ヘッジコストが下がれば、米国市場のさまざまな部分がより魅力的に見える」と話した。
巨額損失の官民ファンド、存続へリスク管理 有識者委 - 日本経済新聞
ドイツ経済諮問委員会、今年と来年の経済成長予測を下方修正 - Bloomberg
ドイツ経済は今年通年でマイナス成長に落ち込み、来年もほとんど成長しない。循環的な景気の弱さに根本的な問題が追い打ちをかけると、ショルツ首相の経済諮問機関が指摘した。
独立した専門家で構成される経済諮問委員会(通称5賢人委員会)は13日公表した半期に一度のリポートで、来年の国内総生産(GDP)成長率をわずか0.4%と予測した。ドイツ政府は先月発表した最新の経済予測で、来年の成長率を1.1%としていた。同国の成長見通しについては、他の予測機関も引き下げている。
経済諮問委は5月に発表した前回のリポートで、今年は小幅な成長にとどまるものの、来年は0.9%に成長率が上向くと予想していた。今回のリポートで、今年の成長率はマイナス0.1%に下方修正された。
ドイツは製造業の長引く低迷を主因に、成長で国際的に後れを取っている。製造業の不振はエネルギーや労働コストの高さといった継続的な要因が大きく寄与していることを示唆していると、経済諮問委員会は論じた。
同委員会のモニカ・シュニッツァー委員長は「産業界の不振と低迷期間の長さは、景気循環だけでなく構造的な問題がドイツ経済を圧迫していることの証左だ」と述べた。
今回のリポートによると、過去数年のインフレを補うため所得は増加したが、それでも家計は消費に消極的な姿勢を続けている。これはドイツ経済を巡る不透明性の継続や悲観的な見通しが影響しているかもしれないという。
委員会は政府に対し、長年にわたって国際平均を下回っていたインフラや防衛、教育などの分野への公的支出を持続的に増やすことを提言。憲法で支出を制限する「債務ブレーキ」を見直す必要もあるかもしれないとの見方を示した。
トランプ氏の関税策、導入ならドイツGDPは1%減も-独連銀総裁 - Bloomberg
ドイツ連邦銀行(中央銀行)のナーゲル総裁は、米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏が掲げる関税措置は、ドイツ経済を脱線させるリスクがあると警戒感を示した。
ナーゲル氏は、13日付の独紙ツァイトに掲載されたインタビューで「関税計画が実施されれば、国内総生産(GDP)の1%を失う恐れがある」と語り、「もし実際に新たに関税が課された場合、ドイツはマイナス成長に陥る可能性さえある」と続けた。
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーでもあるナーゲル氏は、ECBの金融政策について問われ、「物価上昇圧力は依然として顕著であり、主にサービス業の賃金に起因している」と指摘、「この価格圧力はエネルギー価格の下落によって覆い隠されている」とも述べた。
●中東情勢
トランプ氏はガザとレバノン戦争にどう対処するか|ARAB NEWS
ネタニヤフ首相はGCCよりもICCを選び、おそらくは望み通りの結果を得ることになるだろう|ARAB NEWS
●エマージング
【解説】中国で相次ぐ悲惨な事件、真っ先に封じ込めに走る当局 - BBCニュース
台湾中銀、トランプ関税に危機感 ハイテク産業の競争阻害 | ロイター
テンセントの純利益47%増、7〜9月 国内外ゲーム好調 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
大リーグ・レイズ、25年は本拠地使えず ハリケーン被害 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(13日)ドル1年ぶり高値、ダウ・S&P小反発 | ロイター
米ドルが主要通貨に対し、トランプ氏の米大統領選勝利や10月の消費者物価指数(CPI)が予想通りであったことを受けて、1年ぶりの高値に達しました。ドル指数は一時106.53を記録し、終盤には106.44に。円も下落し、1ドル=155.46円となりました。
また、ビットコインはトランプ氏勝利による期待感から初めて9万ドルを超え、終盤では9万0734ドルでしたが、イーサリアムは3.11%安の3178.60ドルで取引を終了しました。
債券市場では、CPIの発表を受けて利下げ予測が強まり、2年債利回りは低下。一方、10年債や30年債など長期債利回りは社債の大量発行で上昇しました。
以下の要約です:
米国株式市場では、ダウ工業株30種平均とS&P500種が小幅反発しました。10月の消費者物価指数(CPI)が市場予想通りとなり、FRBが12月に利下げを行う可能性が支えとなりました。個別銘柄では、経営危機にあるスピリット航空が連邦破産法第11条の申請準備報道を受けて59%急落。また、新興EVメーカーのリビアンは、フォルクスワーゲンによる出資拡大が発表され、13.7%急伸しました。
金先物はドル高の影響で4日連続の下落、中心限月12月物は1オンス=2586.50ドルとなり、約2カ月ぶりの安値です。米原油先物も序盤は売られたものの、その後のショートカバーにより反発し、WTI12月物は1バレル=68.43ドルで取引を終えました。
欧州市場サマリー(13日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちの動きで取引を終え、FTSE100は小幅上昇、FTSE250は0.34%下落しました。アメリカのCPIが予想通りでFRBの利下げ観測が支えとなりましたが、イングランド銀行のマン委員は、イギリスのインフレ圧力が続いていると指摘。スミス・グループは業績見通しの引き上げで10.4%急伸しました。
欧州株式市場は続落し、STOXX600は約3カ月ぶりの安値で終了。エネルギー株が上昇する一方、不動産やハイテク株が下落しました。ECB理事会のビルロワドガロー仏中銀総裁は、トランプ氏の政策がインフレリスクや経済成長の阻害要因となると警告しました。個別銘柄では、シーメンス・エナジーが19%急伸、RWEは自社株買い計画で6.1%上昇、ジャスト・イート・テイクアウェイは米グラブハブ売却発表で16%急伸しました。
以下の要約です:
ユーロ圏の国債利回りは上昇しましたが、米10月の消費者物価指数(CPI)発表後に上げ幅を縮小しました。CPIは前年比2.6%増で、12月のFRB利下げ観測に変化はないものの、来年の利下げペースは鈍る可能性が指摘されています。ECBの政策見通しも大きな変化はなく、市場では中銀預金金利が来年7月までに1.95%に達すると予想されています。
ドイツ2年債利回りは取引終盤で1.3ベーシスポイント上昇の2.142%、10年債利回りは3.4ベーシスポイント上昇の2.385%で取引を終えました。

備忘録(2024/11/12
●海外企業決算
アストラゼネカ、通期予想引き上げ 第3四半期決算が予想上回る | ロイター
第3・四半期決算は市場予想を上回った。
同社は通期の売上高・利益予想を上方修正。がんや希少疾病の治療薬の需要が底堅く、過去4カ月弱で2度目の上方修正となった。
2024年通期の売上高と1株当たりコア利益は為替変動の影響を除くベースで10%台後半の伸びとなる見通し。従来予想は10%台半ばだった。
第3・四半期のコア利益は1株当たり2.08ドル、売上高は135億7000万ドル。同社がまとめた市場予想はそれぞれ2.04ドル、131億ドルだった。
がん治療薬事業の売上高は為替変動の影響を除くベースで22%増の55億7000万ドル。
同社は研究・製造拠点を拡大するため、26年末までに米国に35億ドルを投資する方針も示した。
アストラゼネカの株価は中国事業の捜査を巡る懸念で過去3カ月で17%下落。同社は先週、中国法人の王磊(レオン・ワン)社長が中国当局に身柄を拘束されていると明らかにした。拘束理由は不明という
米ホーム・デポ、通期売上高の減少率は縮小の見通し | ロイター
2024年第3・四半期決算の既存店売上高は前年同期比1.3%減と、減少率は22年第4・四半期以来の小ささだった。LSEGがまとめた市場予想の平均3.25%減より小さかった。
24年通期の既存店売上高の伸び率は前期比2.5%減の見通し。従来予想の3─4%減から減少率を縮小した。専門業者からの堅調な需要や、ハリケーンに絡んだ消費による押し上げ効果が見込まれている。 第3・四半期の1株当たり利益は3.67ドルで、市場予想の3.64ドルを上回った。
テッド・デッカー最高経営責任者(CEO)は「天候が通常に戻り、季節商品や屋外作業の需要が改善した。ハリケーン対応に絡んだ売り上げも増えた」と述べた。9月下旬から10月初めに2つのハリケーンが米南東部を襲来し、発電機や電池、ベニヤ板などの資材等が買い込まれた。 幹部は会見で、ハリケーンに絡んだ需要の押し上げで第3・四半期の売上高が2億ドル増えたのに加え、10月には既存売上高がプラスに転じたと言及した。 ホーム・デポはこの2年間、不安定な需要下で苦戦してきた。インフレ率の高止まりや金利の上昇などで大規模な住宅リフォームは保留されていたことなどが背景にある。 今年3月に米建材供給SRSを182億5000万ドルで買収するなど、専門業者向け事業を強化している。
[HD] ホームデポ 3Q増収 売上高7%増402億ドル、営業益微増54.1億ドル、EPS3.67ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
シェルがオランダの控訴審で逆転勝訴、温室効果ガス排出削減巡り | ロイター
アクティビストのバリューアクト、メタ株10億ドル取得-関係者 - Bloomberg
エリオット、ハネウェル株を50億ドル超取得-会社分割求める - Bloomberg
米ケイデンス、半導体開発支える黒子 株価19年末比4倍 - 日本経済新聞
メタ、欧州で「パーソナライズ度の低い広告」提供へ - WSJ
アムジェンに売り強まる マリタイドの骨密度のリスクデータが指摘される=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
終盤になってアムジェン<AMGN>に売りが強まっている。同社の肥満治療薬「マリタイド」の初期臨床試験における骨密度のリスクを示す隠匿データが指摘されている。
アナリストは「隠されていた補足資料ファイルに、メカニズムが不明でリスクも大きいマリタイド(AMG-133)の骨密度(BMD)のデータが示されているようだ」と指摘。「データにはマリタイドの臨床試験(フェーズ1・12週間)における420mg投与群の骨密度減少率が4%であったことを示唆している」とも付け加えた。
ユナイテッドヘルス、米司法省が反トラスト法違反で訴訟=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
医療保険最大手のユナイテッドヘルス<UNH>が下落。米司法省がきょう、在宅医療およびホスピスサービス市場における競争を阻害するとの懸念から、同社によるアメディシス社の33億ドルでの買収阻止で反トラスト法違反の訴訟を起こしたと発表した。
メリーランド州連邦裁判所に提出された訴状によると、この合併により、ユナイテッドヘルス傘下のLHCグループの主要な競合相手であるアメディシス社が存在する23州およびワシントンDCにおいて、在宅医療の価格が上昇する可能性があると述べている。同社は昨年LHCを買収。メリーランド州、イリノイ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州の司法長官も訴訟に加わっている。
ファイザー、病院向け薬剤サービス部門の売却検討と伝わる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ファイザー<PFE>が同社の病院向け薬剤サービス部門の売却を検討していると報じられてい。ロイター通信が関係者の話として伝えた。報道によると、同社はゴールドマンをアドバイザーに採用し、プライベート・エクイティや他の製薬会社を含む潜在的な買い手から初期の関心を調査しているという。ただ、本日の同社株は小動きに終始している。
●日本企業
三井住友建設、2年ぶり最終赤字 大型工事で再び損失 - 日本経済新聞
INPEXの営業益下振れ 24年12月期、ガス生産トラブルで - 日本経済新聞
三井住友トラストグループの24年4〜9月決算、純利益3倍 投資家向け好調 - 日本経済新聞
日産株が午後急騰、エフィッシモ系のファンドが大株主に浮上 - Bloomberg
日産自動車の株価が12日午後の取引で上昇幅を拡大し、一時前日比21%高の444.6円とブルームバーグの記録に残る1974年以来で最も大きい日中上昇率を記録した。アクティビスト投資家であるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントと関係が深いファンドが同社の大株主に浮上したことが伝わり、連想買いを集めたようだ。
日産が11日に公表した半期報告書で、「サンテラ(ケイマン)リミテッドアズトラスティオブイーシーエムマスターファンド」が大株主のリストに掲載された。9月30日時点で9781万5000株(発行済み株式総数の2.5%)保有していたとしている。
イーシーエムマスターファンドは電気機器メーカーのサンケン電気が2021年3月に公表した同社株の株式公開買い付けで買い手と位置付けられ、同ファンドの運用者はエフィッシモとされていた。エフィッシモの関係者は日産株の2.5%を保有したことは事実だと認めたが、それ以上のコメントは控えた。エフィッシモに電子メールで問い合わせたが、現時点で回答を得られていない。
報告書によると、9月末時点での日産の筆頭株主は約39%を実質的に保有する仏ルノーで同ファンドは名簿上では第5位の株主となっている。前期(24年3月期)の有価証券報告書にはサンテラの名前は大株主リストにはなかった。
日産広報担当の永井志朗氏は、日産は機関投資家や証券会社のアナリストと継続的な対話を行っているほか、世界中のさまざまな投資家向け情報配信の場で会社の取り組みについて積極的にコミュニケーションを図っていると指摘。「日産の可能性を支持し信じてくださる既存の株主および新しい株主の皆さまに感謝する」と述べた。
日産は18年のカルロス・ゴーン元会長の逮捕以降の混乱を脱し、一時は業績を持ち直していた時期もあったがここにきて再び低迷。7日には今期(25年3月期)の営業利益予想を下方修正してその後の2日間で株価は10%以上株価が下落していた。日産は決算と同時に世界で9000人の人員削減なども公表し、再建を進めていく考えだが、アクティビストファンドが大株主に名を連ねることになれば経営陣の戦略への制約も強まることになる。
株価上昇続く可能性
アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、決算発表後に株価が大きく下げたことから「ショートカバーが入りやすいところもあった」とした上で、アクティビスト投資家であるエフィッシモが株式を保有したことを受け、日産が他社との合併や構造改革を迫られる可能性はあるとの推測から、株価の上昇は続くだろうと話す。
一方で、自動車業界が激変期を迎えている中で日産の商品開発スピードなどが劣後しているのは「否定できない事実」とも指摘。投資に向けるべき資金が生み出されていない状況を踏まえると、同社が構造的に変われるかについては「割り引いて考えた方がいい」との見解を示した。
アシンメトリック・アドバイザーズのストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は、サンテラの狙いについて、日産に自動車の製造を止めさせたり資産を切り売りしたりして利益を得る可能性を指摘した上で、日産が抱える問題はアクティビストが力を貸すことができるレベルをはるかに超えていると述べた。
ソフトバンクG、第2四半期純利益は1兆1796億円-SVF好調 - Bloomberg
ソフトバンクグループが12日発表した7-9月(第2四半期)連結純利益は1兆1796億円と、前年同期の9311億円の赤字から大幅に改善した。2022年7-9月期以来2年ぶりに四半期純利益が1兆円を超え、「反転攻勢」に向けて準備が整いつつある。
ビジョン・ファンド(SVF)事業の税引き前利益は3731億円と好調で、前年同期(2589億円の赤字)と比べて大きく回復した。投資の実現損益は390億円の赤字だったが、未実現評価損益が6465億円の黒字と大きく上回った。インドの電動二輪車大手オラ・エレクトリック・モビリティーなどが新規株式公開(IPO)したほか、韓国の電子商取引(EC)クーパンや、中国の配車サービス滴滴グローバルの株価が上がった。
ペイペイなどレイターステージの投資先の公正価値合計は340億ドル(約5兆2000億円)とIPOのパイプラインもそろいつつある。Tモバイルの株価上昇などで、持ち株会社投資事業からの投資利益1兆5488億円も計上した。
第2四半期の投資額は20億ドルと直近9四半期では最多となった。反転攻勢に向けて動きつつある同社だが、今後の投資計画については明らかになっていない。すでにソフトバンクGは人工知能(AI)検索企業のパープレキシティAIやオープンAIに投資しているが、 人間の1万倍の知性を持つ人工超知能(ASI)を信奉する孫正義社長が、今後どのような投資戦略をとるのか注目が集まる。 
後藤芳光CFOは12日に開いた決算会見で、「新規投資に向け常に構えている」と強調。投資すべき企業などをグループ全体で見極めていくとした。
SVFの体制変更も明らかにした。ラジーブ・ミスラ氏のソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ(SBIA)の共同最高経営責任者(CEO)退任に伴い、アレックス・クラベル氏が単独でCEOとなる。後藤CFOはミスラ氏は主要な役割からは降りたとし、今後経営メンバーや役員を兼務しないと説明した。
金融アドバイザリー会社のアストリス・アドバイザリー・ジャパンのシニアアナリスト、カーク・ブードリー氏は、米国のIPOパイプラインが再開すれば、ミニブームが起きるかもしれないとした上で、「より重要なのはソフトバンクGがAIを使って何をしようとしているかだ」と指摘した。
りそなHD、今期純利益1750億円に上方修正-追加の自社株買いも - Bloomberg
東エレク、今期営業益6800億円へ AI関連好調で再び上方修正 | ロイター
●先進国政治動向
トランプ氏、ルビオ氏ら対中強硬派起用へ-国務長官と国家安保補佐官 - Bloomberg
トランプ次期米大統領は、中国を厳しく批判してきた共和党議員2人を新政権の外交・安全保障の要職に起用する構えだ。マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)を国務長官に指名する見通しで、ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官にはマイケル・ウォルツ下院議員(同)を充てる方針。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
共和党の副大統領候補の最終リストにも残ったルビオ氏は、経済大国として台頭する中国に強硬姿勢を示す。民主派弾圧に伴い香港への優遇措置撤廃などにトランプ政権が動いた2020年には、中国の制裁対象となった。ルビオ氏の入国を禁止した同国政府は制裁見直しを含め難しい対応を迫られる。
一方のウォルツ氏(50)は、主要な国家安全保障機関の調整役で、大統領へのブリーフィングや政策実行の任務を負う担当補佐官への起用が見込まれる。グリーンベレー(米陸軍特殊部隊)にかつて所属した同氏は、アフガニスタンなどに派遣された経験を持ち、中国を米国にとって他のどの国より「大きな脅威」と見なす。
外交・安全保障の主要ポストにルビオ氏とウォルツ氏が選任される見通しとなったことは、トランプ政権2期目においても米中関係が再び緊張するとの観測を高めるものだ。両国は18年から貿易戦争を繰り広げ、領事館を相互に閉鎖するなど緊迫した状態が続いた。
中東情勢を巡っては、ルビオ氏はイスラエルのパレスチナ自治区ガザでの戦争やレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラへの攻撃を支持してきたが、北大西洋条約機構(NATO)の強力な擁護者という側面も持つ。
トランプ氏は、エリス・ステファニク下院議員(ニューヨーク州選出)を国連大使として政権入りさせる意向も示しており、政権主要ポストへの下院議員の登用が続く。
先の下院選(定数435)は最終結果がなお確定せず、AP通信によると、11日時点で共和党214、民主党204。下院議員2人が政権入りすることで、過半数218議席を共和党が確保できても、民主党と僅差になる状況は避けられそうにない。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が先に報じたところでは、外交政策・国家安全保障チームの編成を急ぐトランプ氏が、土壇場で考えを変える可能性は残るが、ルビオ氏に落ち着いたもよう。ルビオ氏の広報担当は、NYT紙の取材に対し、コメントを控えた。
トランプ氏、国土安全保障省長官にノーム氏起用=CNN | ロイター
CNNは12日、関係筋の話として、トランプ次期米大統領が国土安全保障省長官にサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事を起用すると報じた。
ノーム氏は11月の大統領選で副大統領候補の1人と目されていた。新型コロナウイルスが流行した際に州全体でマスクの着用を義務付けることを拒否し注目を集めた。
今年4月には回顧録で「訓練不可能」で「大嫌い」だった犬を家族の営む農場で射殺したことを明らかにし批判を浴びた。トランプ氏の側近によると、ノーム氏はこれを受けて副大統領候補から外れたとみられている。
国土安全保障省は、国境警備、入国管理、災害対応、シークレットサービスなどを管轄する。
トランプ氏が新政権の「国境管理責任者」に起用する意向を示したトム・ホーマン元移民・税関捜査局(ICE)局長代行は11日、国家安全保障に脅威を与える不法移民の強制送還が優先課題になると述べた。
米共和党、下院でも多数派を確保=デシジョン・デスクHQ | ロイター
第2次トランプ政権、米ビジネスのあり方どう変わる - WSJ
ドナルド・トランプ氏が5日の米大統領選で勝利したことを受け、経営者らは次期政権が環境からテクノロジー、法人税に至るまで、政策をどのように再構築するかに考えを巡らせている。
トランプ氏が掲げる目標には、新たな気候関連規制の凍結、ハイテク産業を中心とした米国製品に対する保護主義的措置の導入、連邦政府の官僚主義と費用の合理化などがある。
共和党が上院を制したことで、政府機関の人事や監視委員会指導部の迅速な承認といったトランプ氏の取り組みが後押しされるだろう。
トランプ次期政権がバイデン現政権の戦略を転換、あるいは覆す可能性のある主要分野を以下にまとめた。
テクノロジー関連
AIの規制緩和――トランプ氏はAI(人工知能)分野の連邦レベルでの監督において、ビジネスフレンドリーなアプローチを取る可能性が高い。大手テクノロジー企業やスタートアップ企業は、イノベーション(技術革新)が促進されるとしてAIの安全性と透明性に関して緩やかな規則を求めている。バイデン政権は昨年、AIモデルのトレーニングやアウトプットの監視などが含まれる大統領令を発令したが、トランプ氏は撤廃する方針を表明している。
大手テクノロジー企業が資金提供するシンクタンク「情報技術イノベーション財団」のバイスプレジデント、ダニエル・カストロ氏は、この大統領令を撤廃すれば、規制が緩和され製品の発表が加速するかもしれないと述べた。一方で、AIモデルの安全性調査の責任を負うことになる企業にとっては、状況が厳しくなる可能性がある。
半導体製造の国内回帰――バイデン大統領が2022年に署名した超党派の半導体支援法(CHIPS法)は最近、連邦政府の役割を批判するトランプ氏をはじめ共和党から非難されている。CHIPS法は国内の半導体製造施設に約530億ドル(約8兆0900億円)の補助金と税控除を提供することを目的としている。
サイバーセキュリティー対応の優先順位――法律事務所デカートでサイバーセキュリティー・プライバシー・AI部門の責任者を務めるブレンダ・シャートン氏は、次期政権が消費者保護を目的とした取り組みを縮小し、国家安全保障関連の案件を優先する可能性が高いとの見方を示した。
連邦機関の再編――マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院のスチュアート・マドニック教授(情報技術)は、サイバーセキュリティー規制を担当する連邦機関の寄せ集め状態について、次期政権が解消に取り組むとの見方を示し、「トランプ氏は他の多くの人よりも、こうした問題に対処する可能性が高いと思う」と語った。
トランプ前政権の関係者の多くが作成に携わった保守派の政策アジェンダ「プロジェクト2025」は、米国土安全保障省サイバー・インフラ安全局(CISA)の責任を他の機関に分散させることで大幅な再編を提案している。トランプ氏は公の場ではプロジェクト2025と距離を置いている。
サイバー攻撃の脅威――トランプ前政権時代の国土安全保障省高官、ブライアン・ハレル氏は、次期政権が中国を含む外国の敵対勢力からのサイバーセキュリティーに対する脅威や、AIや量子コンピューティングなどの技術に対して、より積極的なアプローチを取る可能性が高いと指摘した。同氏は軍事・情報機関のサイバー能力強化に投じる資金が増えると予想している。
「これには、外国の敵対勢力からのサイバー攻撃を抑止し、対応するための攻撃的・防御的サイバー作戦が含まれる」。現在はエネルギー企業アバングリッドの最高情報セキュリティー責任者を務めるハレル氏はこう述べた。
金融規制関連
バイデン政権時代の規則の見直し――ウォール街のロビイストらは6日、大手銀行の自己資本要件や消費者金融保護など、バイデン現政権の議論を呼ぶ提案の一部について、次期政権が厳しく精査することを期待していると述べた。
ゲンスラーSEC委員長の去就――政権交代により、証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長の任期が終わる可能性が高い。任期は2026年までだが、新政権が発足するとSEC委員長は辞任するのが通例だ。
ゲンスラー氏は上場企業に炭素排出量と気候関連リスクの開示を義務付ける取り組みを含め、野心的なルール作りを進めてきた。暗号資産(仮想通貨)業界についても、詐欺行為がまん延しているとして厳しく取り締まり、多くの法的措置を主導した。トランプ氏はゲンスラー氏を批判し「就任初日」に解任すると表明している。
小規模なプライベートエクイティ(PE)企業のためにロビー活動を行う「スモールビジネス投資家連合」のトップ、ブレット・パーマー氏は新政権について、ゲンスラー氏や米連邦取引委員会(FTC)のリナ・カーン委員長よりも金融サービス業界に友好的な指導者を任命する可能性が高いとし、その見通しに「プライベート市場はかなり色めき立っている」と述べた。
個人投資家に向けたPE推進――トランプ氏の大統領選勝利は、個人投資家から資金を調達しようとするPE業界の取り組みを後押しすると見られる。これは業界の優先事項だ。トランプ前政権時代、SECはPEファンドに出資できる個人投資家の範囲を拡大し、労働省は退職金制度へのPE組み入れを導入しようとした。
キャリードインタレスト課税――議会を共和党が制したことで、来年見込まれる税制交渉を巡るPE業界の不安が軽減される。民主党からしばしば批判されるキャリードインタレスト(投資マネジャーが利益から受け取る報酬)への課税の扱いが大きく脅かされる可能性は低下する一方、2017年に成立した減税・雇用法の業界に有利な主要条項は延長される可能性が高くなるとロビイストらは述べている。
気候関連
インフレ抑制法の今後――トランプ氏は選挙期間中、バイデン政権の看板政策であるインフレ抑制法(IRA)について全て、または一部を撤回すると公約した。ただジェフリーズのアナリスト、ジュリアン・デュムーラン・スミス氏は、共和党がIRAの完全撤廃を目指すかどうかは不透明だと語った。同法は共和党を支持する多くの州に資金を投入しており、新規投資の恩恵を受けた選挙区の一部議員から支持を得ている。
環境保護局の排出規制――環境保護局(EPA)が今年発表した乗用車・バス・大型トラックの排出規制は、次期トランプ政権で精査の対象となりそうだ。EPAのより厳格な排ガス規制は数年にわたって段階的に実施されるもので、2027年から2032年までの目標が設定されている。トラック業界も同様のスケジュールで排出量を削減することになっている。業界団体はこの義務付けに対して法的措置を取っており、米国トラック協会は現在のゼロエミッション技術の状況では達成不可能だと主張している。
SECの気候開示規則――SECはバイデン政権下で、企業に温室効果ガス排出に関する開示を義務付ける規制を提案した。しかしこの規則は法的な異議申し立てにより頓挫し、法律事務所アーノルド・アンド・ポーターのパートナー、クリスチャン・シュルツ氏は、トランプ政権が同規則を「実を結ばずに」終わらせる可能性が高いと述べた。
パリ協定からの再離脱――前政権時代と同様に、トランプ氏は温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を表明している。エネルギー案件を専門とする法律事務所ブレースウェルのポリシー・レゾリューション・グループ部門パートナー、スコット・シーガル氏は、世界最大の温室効果ガス排出国の一つである米国が協定から脱退すれば、気候問題における米国のリーダーシップに懸念が生じると指摘した。
貿易関連
関税政策を巡る議論――トランプ氏が選挙遊説中に語った新たな関税計画は、世界中のモノの流れをリセットしかねない、極めて対立的な通商体制を米国にもたらす可能性を高めている。関税を「最も美しい言葉」と呼ぶトランプ氏は、全ての輸入品に10~20%、中国からの輸入品に60%以上、メキシコからの一部輸入品には最大100%の関税を課す方針を示している。これにより米国の輸入業者にとっては商品コストが上昇し、他国が同様の措置を取れば、米国の輸出業者が海外市場に進出する際に一段と大きなハードルに直面するかもしれない。
トランプ氏、国務長官にルビオ氏起用へ 安全保障補佐官にウォルツ氏 - WSJ
トランプ政権初日に「できること、できないこと」 - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領が就任「初日」に予定している野心的な政策や人事を実行に移すための準備が進んでいる。それには不法移民の大規模な強制送還や軍幹部の解任などが含まれる。
政権移行チームと外部の政策助言グループが、トランプ氏の提案の一部を実施する大統領令の作成を支援している。移行チームはまた、同氏の構想を各機関の計画に組み込む作業を進めている。
トランプ氏が就任初日に行うと公約している政策・人事の一部は以下の通り。
移民
トランプ氏は、就任と同時に「米国史上最大の強制送還プログラム」を実施すると主張している。このような大規模送還の実行には時間がかかりそうだが、同氏の計画に詳しい複数の関係者によれば、国土安全保障省などの機関に不法移民の送還を命じる大統領令を事前に作成しておき、トランプ氏が就任した時点で署名する可能性が高い。
トランプ氏が就任初日に実施しようとしている政策の多くは、ジョー・バイデン現大統領時代の移民政策の多くを反転させ、自身の移民政策の一部を実現して、ゼロ・トレランス(不寛容)政策を改めて主張する取り組みが中心になるだろう。
トランプ氏の上級顧問の一人であるジェイソン・ミラー氏は最近NBCニュースに対し、トランプ氏は「スイッチを切り替えるだけで」自身のかつての移民政策を再び実施できると述べた。「それには議会の対応は必要ない」
トランプ氏は、難民申請者に米国の移民裁判所での審理が終わるまでメキシコにとどまることを義務付ける「メキシコ残留」政策を就任初日に再導入する方針だ。また、米・メキシコ国境沿いの壁の建設を再開する考えも示している。トランプ氏は壁建設をバイデン政権が継続しなかったことを繰り返し批判してきた。
トランプ氏は、米国に不法入国した者の子どもへの出生地主義に基づく市民権付与について、これを廃止する大統領令を就任初日に出す考えも示している。これは法的な異議申し立てに直面する可能性が高い。
就任初日のみ独裁者
トランプ氏は就任「初日」のみ独裁者になるという大胆かつ曖昧な宣言を行った。FOXニュースの司会者、ショーン・ハニティー氏に対し、「国境を閉じたいし、(石油を)掘って掘って掘りまくりたい」からだと説明した。
特別検察官の解任と連邦議会襲撃犯の恩赦
トランプ氏は、2020年大統領選の結果を覆し、大統領の座にとどまろうとしたとして首都ワシントンで起訴された件を巡り、この事件を管轄するジャック・スミス特別検察官を即座に解任する予定だと述べている。
スミス氏はトランプ氏に対する連邦刑事裁判の凍結について司法省と協議を始めた。スミス氏は、機密文書の違法な持ち出しや、それをフロリダ州の自宅から回収しようとした当局への妨害行為でトランプ氏を起訴した件については、凍結を検討していない。
トランプ氏はさらに、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件に関連して起訴された1000人の多くを就任後直ちに恩赦すると断言している。同氏は起訴された人々を「人質」や「政治犯」と呼んでいる。
気候変動
トランプ氏は、国連気候変動枠組み条約の目的達成に向けた国際合意「パリ協定」から米国を再び離脱させる大統領令に署名すると表明している。同氏は2019年にパリ協定から離脱したが、バイデン氏が大統領就任初日に復帰していた。
トランプ氏に近い複数の関係者は、この大統領令は草案が作成されており、就任初日には署名の準備が整っているだろうと述べた。
外交政策
トランプ氏は米国の利益を最優先にするための措置をいくつか講じる構えだ。また、ウクライナや中東など世界中で起きている紛争を就任前に終結させると断言している。そうした措置の一環として、同盟・友好国を支援するために数十億ドルを支払うことよりも米国の安全保障と経済利益を優先し、国内の雇用創出を刺激するために輸入品に高い関税を課すと述べている。
トランプ氏は、形勢が不利なウクライナを交渉の場につかせることができるかもしれないが、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領だけでなくイスラム組織ハマスとイスラエルも、それぞれの紛争で戦闘終結を目指している兆しはない。
トランプ氏はさらに、「就任式当日の正午」までに、アフガニスタンからの米軍撤退に関与した軍幹部の辞任を要求すると述べている。
トランプ氏の側近、財務長官にベセント氏を推す-選挙戦で尽力 - Bloomberg
トランプ次期政権の経済運営で自ら名乗り、ラトニック氏野心隠さず - Bloomberg
次期米財務長官候補、ベッセント氏有力か ポールソン氏が外れる | ロイター
米投資家ポールソン氏、トランプ政権の財務長官候補を辞退 - WSJ
トランプ氏の主要アドバイザー、財務長官にベセント氏を推す - 株探(かぶたん)|米国株
自民と14日に税制協議、基礎控除引き上げ最重点=玉木国民民主代表 | ロイター
ドイツ総選挙、25年2月で与野党合意 信任投票は年内に - 日本経済新聞
ドイツの議員、来年2月23日の総選挙実施で合意-当局者 - Bloomberg
ドイツのショルツ首相が所属する社会民主党(SPD)と野党の議員らは、来年2月に早期総選挙を実施することで合意した。協議に詳しい複数の政府当局者が明らかにした。
非公開の協議内容を話しているとして匿名を条件に語った同当局者によると、総選挙はもともと来年9月28日に予定されていたが、2月23日に前倒しで実施される見通しとなった。
ショルツ首相は12月16日の信任投票を目指す意向で、これにより総選挙実施への道筋を付ける。
欧州最大の経済規模を持つドイツでは、連立与党の一角を占めていた自由民主党(FDP)のリントナー財務相をショルツ首相が先週解任。連立政権は崩壊し、政局混迷に陥った。連立与党内では対ウクライナ軍事支援を強化するための資金調達を巡り、意見が対立していた。
自動車産業をはじめ製造業の低迷でドイツの経済見通しは暗い。そこに政治的危機が追い打ちをかける。ドイツ政府はまた、返り咲きを果たしたトランプ次期米大統領にも向き合う必要がある。トランプ氏は欧州諸国に関税を賦課する強い姿勢を示しており、過去のドイツ首相らとの関係も良好とは言えなかった。
世論調査では、野党のキリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)が選挙では優勢と示唆されているが、ショルツ氏は10日、2021年の選挙では不利を示唆する事前の世論調査を覆し逆転で首相の座を勝ち取ったことを引き合いに出し、勝利する自信はあると明言した。
CDU・CSUの首相候補、メルツ氏は12日の会見で、「いわゆる進歩的な連立の3年を経て、今こそ首相は新たな選挙に道を開く時だ」と述べ、「ドイツは眠れる中間国家であり、積極的な中間国家になる必要がある」と続けた。同氏はさらに「私は、欧州のための新たな欧州のリーダーとなることを保証する」と表明した。
●先進国中銀、金融当局
FRB議長、トランプ氏が解任に動けば法廷闘争辞さず - WSJ
ECB、12月利下げの可能性高い-フィンランド中銀総裁 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのレーン・フィンランド中銀総裁は、12月利下げの可能性は高く、さらなる利下げもあり得るが、慎重さを保ち一歩ずつ進んでいくべきだと語った。
レーン氏は12日、ロンドンでブルームバーグ・テレビジョンのインタビューに応じ、ユーロ圏のディスインフレは「順調に進行中」で、成長見通しは「弱まりつつある様子」だと発言。「それが12月利下げの論拠を強めている」と続けた。
その後について、金利の方向性は明らかだとしつつ、「そのスピードと規模は今後入ってくる情報とわれわれの分析に左右されるだろう」との認識を示した。
ユーロ圏の7-9月域内総生産(GDP)成長率は予想を上回り、10月のインフレ率は市場予想をやや上振れした。追加緩和に注意を促すECB政策委員会のタカ派寄りメンバーにとって追い風となった。
12月に0.5ポイントの利下げがあるかとの問いに対し、レーン氏はECBには「行動の自由」があると主張し、明確な回答を避けた。
一方で、ECBは「来年、2025年の春か冬のいつかに景気抑制的な領域を出ることになるかもしれない」と述べた。
リッチモンド連銀総裁、どのような経済でも当局は適切な対応が可能 - Bloomberg
●先進国経済指標
豪企業景況感指数、10月は約2年ぶり高水準 物価上昇圧力緩和で | ロイター
豪消費者信頼感、11月は前月比5.3%上昇 2年半ぶり高水準 | ロイター
独ZEW景気期待指数が低下、現況4年半ぶり低水準 米大統領選影響 | ロイター
欧州経済センター(ZEW)が12日発表した11月のドイツ景気期待指数は7.4と、10月の13.1から低下した。
米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことやドイツの連立政権が崩壊したことで先行き不透明感が強まっている。ロイターがまとめた市場予想は13.0だった。
ZEWのワムバッハ所長は「現在の調査では経済センチメントが悪化している。米大統領選の結果が主因である可能性が高い」とした上で「調査期間の最後の数日では、ドイツの経済見通しが総選挙を控えて改善するとの楽観的な声も聞かれた」と述べた。
現況指数は10月のマイナス86.9からマイナス91.4に低下、コロナ禍だった2020年5月以来の低水準となった。ロイターがまとめた市場予想はマイナス85.9だった。
ハウク・アウフホイザー・ランペのアレクサンダー・クルーガー氏は、新政権誕生の見通しは再び信頼できる経済政策への期待につながっているとの見方を示した。
英賃金上昇率、7─9月は前年比+4.8% 約2年ぶり低い伸び | ロイター
英国立統計局(ONS)が12日発表した7─9月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比4.8%だった。2022年6月以来約2年ぶりの低い伸び。
イングランド銀行(英中央銀行)が先週公表した予測と一致した。ロイターがまとめた市場予想は4.7%だった。
中銀内でインフレ圧力の低下が続くとの見方が強まる可能性がある。
民間部門の賃金上昇率(ボーナス除く)も4.8%で、中銀の予測通りだった。
求人数は21年5月以来の低水準。労働市場が軟化していることが一段と浮き彫りになった。
統計発表を受け、ポンドは対ドルで8月中旬以来の安値となる1ポンド=1.28ドル付近まで値下がりした。
コンサルティング会社キャピタル・エコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、ポール・デールズ氏は「民間部門のボーナス除く賃金上昇率が鈍化しており、中銀は緩やかな利下げを継続するだろう」とし、12月は利下げを見送り、来年2月に利下げを実施するとの見方を示した。
中銀は7日、政策金利を5%から4.75%に引き下げることを決定。2020年以降で2度目となる利下げで、新政権による初の予算案によるインフレ上昇や経済成長見通しを受け、今後の利下げは緩やかなものになるとの見方を示した。
米消費者の1年先インフレ期待、2020年10月来の低水準-NY連銀調査 - Bloomberg
米消費者のインフレ期待は小幅に低下し、個人所得の見通しは横ばいで推移、労働者は雇用市場に関して自信を強めていることが、ニューヨーク連銀の調査で明らかになった。
同連銀が12日に発表した調査結果によると、消費者の1年先のインフレ期待は10月に2.9%と、前月から0.1ポイント低下。2020年10月以来の低水準となった。3年先のインフレ期待は2.5%と、0.2ポイントの低下。5年先のインフレ期待は2.8%で、0.1ポイント下げた。
今回の結果は、消費者のインフレ期待が引き続き安定しているといういくらかの安心感を与えるとみられる。これは米金融当局が利下げペースを判断する上で観察しているシグナルだ。こうした景況感調査は科学的予測ではないが、期待が自己実現する可能性があるため、将来の行動に関する情報となり得る。
インフレ率の上昇を予想する消費者は通常、より高い給与を要求する傾向がある。これはエコノミストが「賃金・物価スパイラル」と呼ぶ状況につながり得る。賃金コストの上昇に直面した雇用主が、利幅を維持するために値上げを図るという状況だ。
消費者のインフレ期待は落ち着いているが、米企業経営者のインフレ期待は2024年10-12月(第4四半期)に上昇したことが、クリーブランド連銀のインフレ・リサーチ・センターによる最新調査で示された。企業の最高経営責任者(CEO)らの1年先のインフレ期待は3.8%と、7月時点の3.4%から上昇した。
雇用見通し
ニューヨーク連銀の調査によれば、1年先の個人所得の伸びに関する見通しは10月に中央値で2.8%と、前月から変わらず。この数値は今年に入って2.7-3%の狭いレンジで推移しており、雇用主にとっては人件費の予測において一定の確実性が得られている。
労働市場の見通しは改善。失業率上昇の可能性は低下しており、解雇された場合に再就職できる可能性は高くなっているとの見方が示された。
米中小企業「見通し不透明」10月過去最高 大統領選で - 日本経済新聞
全米自営業者連盟(NFIB)が12日発表した統計によると、10月の中小企業の先行き懸念を示す指数が1986年の集計開始以来最も高くなった。米大統領選に加え、米南部を直撃したハリケーンの影響で懸念が高まった。
先行き懸念を表す「見通し不透明度指数」(1986年=100、季節調整済み)は110と前月比7ポイント上昇した。不透明度指数は回答者である中小企業の経営者が28問中6問以上に「分からない」または「不確実」と答えた数を基に指数化する。
NFIBチーフ・エコノミスト、ビル・ダンケルバーグ氏らは「大統領選が接戦で勝者が見通せなかったことが重荷となった」と指摘する。
中小企業の景況感を示す楽観度指数は前月から2.2ポイント上昇し93.7となった。「調査対象の経営者には共和党員が多く、同党の勝率が改善したことを反映した数値となった」(調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのシニア米国エコノミスト、オリバー・アレン氏)との見方がある。
項目別に見ると、過去3カ月と比較し販売ペースが「悪化した」と答えた経営者の割合は「改善した」を差し引きで20ポイント上回った。2020年7月以来の高水準となった。
今後6カ月の事業環境について「悪化する」と答えた経営者の割合は「改善する」を差し引きで5ポイント上回った。今後3カ月の売り上げ見通しは「減少」が「増加」を4ポイント上回った。
雇用に関し、報酬を「増やした」と回答した経営者の割合は「減らした」を差し引くと31%で21年4月以来の低水準を記録した。
今後3カ月の間に採用を増やすとの回答割合は前月同様の15%。「ハリケーン『ヘリーン』や『ミルトン』の影響が採用鈍化の一因」(ウェルズ・ファーゴの調査グループ)との見方がある。21年には28%まで上昇していたが24年は11〜15%で推移している。
予定していた新規採用数に届かなかったと答えた割合は35%だった。公募を出している回答者(53%)の内87%が有能な候補者が「いなかった」または「少なかった」と答えたという。
短期のローン金利の回答者平均は前月から0.4ポイント下がり9.7%となった。ウェルズ・ファーゴの調査グループは「政策金利利下げが早くも効力を発揮し資金調達をしやすくしている」と分析する。
●金融市場、先進国トピックス
鉄鉱石先物が下落、1トン=100ドル割れ-中国の需要巡る懸念で - Bloomberg
鉄鉱石先物は12日のシンガポール市場で下落。1トン=100ドルを割り込み、今月の最安値を更新した。中国の成長支援策が投資家の期待を下回ったことや、鉱山会社の操業拡大が続いたことが響いた。
鉄鉱石は今年、価格が25%強下落と、最もパフォーマンスが低い主要コモディティーの一つとなっている。中国政府は景気悪化の阻止と、長期化する不動産危機の収拾に取り組んでいるものの、中国経済は減速している。
一方、大手鉱山会社は鉄鉱石生産を増やしており、中国の港湾在庫はこの時期としては過去最高水準となっている。
鉄鉱石先物はシンガポール時間午後1時35分(日本時間同2時35分)時点で0.7%安の100ドルで推移している。一時99.90ドルを付けた。中国では、大連で人民元建ての鉄鉱石先物相場が下落し、上海では鉄鋼先物が値下がりした。
PE会社、来年は英国でのM&A増加と予想=調査 | ロイター
プライベートエクイティ(PE)各社は来年に英国での企業合併・買収(M&A)が増えると予想している。投資銀行ドイチェ・ヌミスが12日公表した調査結果によると、回答したPE会社の84%は来年に少なくとも5─10件の案件を手がけることになると見込んでいる。
昨年の調査では、既存事業を補完・強化することを目的としたボルトオン型M&Aを執行する可能性が「極めて高い」としていたPE会社は全体の12%にとどまっていた。
調査に回答した200人のPE会社幹部は、英国では公的部門および民間部門のディールへの関心が大きく高まると予想。今後手がける案件の中心が公的部門になるとの回答は全体の26%を占め、比率は昨年の14%から上昇した。
PE各社はまた、M&Aの案件が大型化することも予想している。
LSEGのデータによると、英国での今年に入ってからのM&A件数は前年同期より28.3%増。金融、工業、消費財の各セクターがけん引役となっている。
ドイツ銀行の欧州・中東・アフリカ(EMEA)地区M&A部門共同責任者、アレック・プラット氏は「PE投資家は来年、改善が続いている金融市場に支えられる形でM&Aの動きが活発化すると予想している」と述べた。
現金ため込むバフェット氏、何を示唆? - WSJ
世界で最も注目される投資家が慎重姿勢を強めている場合、他の人々は心配すべきだろうか。
株式保有の好ましい期間は「永遠」だと冗談めかして語る米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、米国企業への多額の投資を継続している。ただ、投資に回さない資金が現在ほど膨らんだことはない。同氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの現金および現金同等物は3250億ドル(約50兆円)で、主に米財務省短期証券(Tビル)の形で保有する。
この資金がどれだけ巨額であるかを理解するには、バークシャーが企業買収のために小切手を振り出すと想像してみるとよい。時価総額の上位25社程度を除く米国の上場企業全て――ウォルト・ディズニー、ゴールドマン・サックス、ファイザー、ゼネラル・エレクトリック(GE)、AT&Tといった有名企業を含む――を買っても、現金はまだ余る。バークシャーは配当と利息をバランスシート上に積み上げるだけでなく、ここ数カ月間で主要保有銘柄であるアップルとバンク・オブ・アメリカの株式の一部を売却した。さらに、バークシャーは直近の四半期は自社株買いを実施しなかった。これは6年ぶりのことだ。
こうしたことは、一般投資家が市場に慎重になるべきだということを意味するのだろうか。その可能性はあるが、むしろバークシャーについてより多くのことを物語っている。
バフェット氏と同氏の長年のビジネスパートナーだった故チャーリー・マンガー氏が市場全体を140倍上回るパフォーマンスを記録したのは、取引のタイミングを見極めることに秀でた「マーケットタイマー」だったためではない。おそらくマンガー氏の最も有名な言葉は、複利運用の第1法則である「不必要に中断してはいけない」だろう。バークシャーを観察し、その魔法が少しでも自らのポートフォリオにも及ぶことを期待する投資家は同社が何を売り買いするかに特別の関心を払うが、いつ売買するかという点に関してはそうでもない。
常に楽観的で忍耐強いように見えるバフェット氏でも、過去には慎重姿勢に転じたことがある。有名な例では1969年、市場が過熱しすぎていると判断し、大きな成功を収めていた投資パートナーシップを解散した。また、世界金融危機に先立つ数年間に現金を大きく積み上げ、好機が訪れるのを待ちながら投資した。
ニューハンプシャー州の資産運用業者で、バークシャーに関する著書があるバフェット研究家のアダム・J・ミード氏はバフェット氏について、「市場は乱高下し、極端に振れるという事実をわきまえている」と語る。
株式の価値が大きく高まっているからといって、暴落や弱気相場が迫っているわけではない。むしろ大局的見地から、好不調の波がある今後数年間のリターンについて現在のバリュエーションが何を示唆しているかに関心を向けるべきだろう。ゴールドマン・サックスのストラテジスト、デービッド・コスティン氏は最近、S&P500種指数の今後10年間のリターンは年平均でわずか3%になるとの予測を示した。これは戦後平均の3分の1以下だ。
コスティン氏のリポートは楽観的な見方が広がる市場に冷や水を浴びせる格好になったが、他の予測とも共通点が見られる。資産運用大手バンガードは最近、今後10年間の年間リターンについて、大型米国株は3~5%、グロース株は0.1~2.1%との予想を示した。また、米イエール大学のロバート・シラー教授の「CAPEレシオ(景気変動調整後の株価収益率)」もインフレ調整後の平均リターンが年間約0.5%であることを示しており、コスティン氏の予測と似ている。
もっと単純な「バフェット指標」もあり、これは「オマハの賢人」バフェット氏が以前、「どんな時でもバリュエーションを示す恐らく最良の単一指標」と呼んだものだ。いくつかのバリエーションがあるものの、基本的には米経済全体の規模に対する全上場株式の時価総額の比率となる。ウィルシャー5000指数を使った計算では現在は約200%で、ITバブル期のピーク水準を上回っている。
Tビルの利回りは足元で株式の予想リターンを上回っており、バフェット氏はリスクのある株式に上昇余地がないとみて、できる限り多くの資金を引き揚げているように映る。ただ、資金を投じる意欲はあると同氏は表明している。
2023年のバークシャーの年次総会でバフェット氏は「われわれが本当にやりたいことは、素晴らしい事業を買うことだ」とし、「500億ドル、あるいは750億ドルや1000億ドルで企業を買収できればそうするだろう」と語った。
そうした規模の取引でなければ、時価総額が約1兆ドルのバークシャーにとって大した影響はない。バフェット研究家のミード氏によると、2010年の鉄道会社バーリントン・ノーザン・サンタフェの買収、あるいは1998年の保険会社ゼネラル・リーの買収に匹敵するような取引は、現在のバランスシートに当てはめると1000億ドルの規模になる。
これはまた、次に起こり得る危機や市場全体の過熱に備えてバフェット氏が資金の温存に価値を見いだしているということを意味するのだろうか。その可能性はあるが、同氏は何も語っていない。また個人投資家には同氏よりも多くの選択肢がある。まず、バークシャーが企業を買収する場合とは異なり、個人投資家は市場価格に20%かそれ以上を上乗せしたプレミアムを支払う必要はない。また、別の市場や小型株に目を向けることができる。例えば、バンガードによるリターンの10年予測は、米国以外の先進国市場の株式は年7~9%、米国の小型株は5~7%となっている。バフェット氏は日本の大手商社に投資して大きな利益を上げているが、近年は資金の大半は米国内向けであり、今後もその方向性は変わらないと思われる。
ただ、バークシャーにとって、変化は避けられない。バフェット氏は現在94歳であり、その驚異的なキャリアも終わりに近づいているからだけではない。バフェット氏は、自社株買いを柱とした株主への利益還元に二の足を踏むことはなかったが、自社株でさえも割高だと考えるようになっているのは明らかだ。
バークシャーはまた、利益を再投資し、市場全体を上回るパフォーマンスを記録するというこれまでの実績を再現するには困難な規模に成長している。ミード氏は、同社はおそらく配当という形で利益を還元する必要に迫られる可能性が高いとみている。複利運用もいずれは中断しなければならないだろう。
今回の選挙結果、米企業の業績予想へのリスクが高まったとの指摘 - 株探(かぶたん)|米国株
米大手証券のストラテジストによると、米国株の先行きを左右するのは企業業績の伸びであり、今回の選挙結果によって企業の業績予想にまつわるリスクは高まったという。
同ストラテジストは2025年のS&P500企業の1株利益の伸びを11%増の268ドル、2026年は7%増の288ドルを予想している。しかし、トランプ政権の政策によっては上振れリスクも下振れリスクもあると見ているという。
トランプ氏は国内の法定法人税率を現在の21%から15%に引き下げることをキャンペーンで掲げていた。その税率が1%ポイント下がるごとにS&P500企業の1株利益は1%弱押し上げられるという。
一方、関税は潜在的な下振れリスクで、中国からの輸入品に対する平均20%ポイントの関税引き上げが予想されているが、米国の実効関税率が5%ポイント上昇するごとにS&P500企業の1株利益は約1-2%減少する可能性があると述べている。
OPEC、24・25年世界石油需要予想を再度引き下げ | ロイター
●中東情勢
●エマージング
中国、財政・金融刺激策と元安で対抗か-トランプ氏の関税政策 - Bloomberg
ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス返り咲きを踏まえ、中国は自国経済への悪影響を打ち消すため、より積極的な景気刺激策を導入するとともに、製造業を強化し、人民元の下落を容認し得ると市場関係者はみている。
ブルームバーグ・ニュースが先週の米大統領選後に調査した19人のエコノミストのうち15人は、こうした措置により第2次トランプ政権の4年間、トランプ氏が打ち出すであろう政策の中国経済成長率への影響を毎年平均1ポイント未満に抑えられる可能性があると答えた。
3人は国内総生産(GDP)成長率が1-2ポイント下押しされると予測したが、1人は大きな影響はないと回答した。
スコープ・レーティングスの中国担当プライマリーエコノミスト、デニス・シェン氏は「次のトランプ政権により、中国は成長が鈍化するだろうが、そうした落ち込み分は予算・金融面での刺激策により部分的に打ち消される」と予想した。
トランプ氏は中国製品に60%の関税を課すと示唆しており、そうなれば米中貿易は壊滅的な打撃を受け、中国にとって今年数少ない明るい材料だった輸出への影響も必至だ。
数年にわたる不動産市場の低迷と根強いデフレ圧力に見舞われている経済を安定化させようとする中国政府の取り組みは、一段と難しくなりそうだ。
財政出動
一方、貿易戦争拡大の可能性が高まるにつれ、輸出の落ち込みを補うため、中国当局が内需を刺激するより積極的な景気浮揚策を講じるとの期待も高まっている。
8日に発表された財政政策パッケージは、消費を刺激するもっと直接的な措置を望む投資家を失望させたが、藍仏安財政相はより大胆な措置を来年採用する可能性を示唆した。
圧倒的多数のエコノミストが、トランプ氏の政権復帰を受け、中国が財政赤字の大幅拡大を容認すると答えた。これは、調査で提示された政策オプションの中で最も多い回答だった。
次いで多かったのは、金融緩和と住宅支援策強化、先端製造業への投資拡大だ。直接的な現金給付との答えはほとんどなかった。
通貨切り下げ
回答者の半数以上は、中国が元安誘導に踏み切る可能性があり、そうなれば中国輸出品の競争力が高まり、潜在的な関税の一部を打ち消すのに役立つだろうと説明。
しかし、そうした通貨切り下げの程度については意見が大きく分かれ、2025年の元相場見通しは1ドル=7.3-8元と開きが生じた。
ANZ銀行の楊宇霆氏ら一部のエコノミストは、中国は通貨の切り下げ競争よりも安定を望んでいると分析。中国は少なくとも1990年以降、外国からの直接投資が増加しているが、今年は純流出に転じる可能性がある。元安は資本流出を促す。
報復
中国が関税措置の報復として米国側に打撃を与える可能性があるかどうかについては、回答者の意見はそれほど明確ではなかった。
回答者の大多数は、報復関税の対象となる可能性が最も高い品目として農産物を挙げた。
中でも最も標的になりそうなのは大豆で、牛肉、トウモロコシ、そして自動車がそれに続く。レアアース(希土類)や電気自動車(EV)用バッテリーの輸出を制限する可能性もあるとみている回答者もいた。
一部のエコノミストは、中国の製造業は米国の関税を回避するため、国外の生産拠点への投資を増やす公算が大きいと想定している。
ただ、中国の輸出企業が米市場での損失を補うために米国以外への出荷を増やそうとすれば、それらの国々からも反発を招く恐れがあると警告する関係者もいる。そうなれば、中国は多方面にわたり貿易戦争激化の種をまくことになりかねない。
「これは貿易相手国の反発を引き起こし、中国からの輸入増加に対し国内産業を守ろうとする動きが出てくるだろう」とキャピタル・エコノミクスの中国経済責任者ジュリアン・エバンスプリチャード氏は述べた。
中国が住宅購入時の減税検討、市場活性化に向け財政措置-関係者 - Bloomberg
中国は低迷する住宅市場の活性化に向けた財政支援策として、住宅購入時の減税を計画している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
上海や北京といった大都市の当局が購入者に対して課す不動産取得税を、現行の最大3%から最低1%に引き下げることを認める案を当局が検討中だ。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
それぞれの市当局には規制を微調整する余地があるという。
藍仏安財政相が示唆していたこの計画は、低迷する経済を支えるため金融緩和と共に財政政策を重視する当局の方針を示している。
同相は8日、地方政府向けの10兆元(約213兆円)規模に上る債務スワップを発表。その後、来年は「より強力」な財政政策を実施すると表明し、第2次トランプ政権発足後に大胆な措置が取られ得るとのシグナルを発した。
関係者によると、最新案では、いわゆる「1級都市」では一般住宅と高級住宅の区別廃止が認められる見通し。これにより、価格が高めの住宅への住み替えを望む人々の購入コストが大幅に引き下げられることになる。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
ドイツ銀行、猛反発呼んだ出勤義務厳格化で労使合意-在独行員が対象 - Bloomberg
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(12日) | ロイター
ロンドン株式市場は、11月13日の取引で反落し、約3カ月ぶりの安値で終了しました。米国の次期大統領であるトランプ氏の政権での人事や政策が中国関連に懸念を生んだことや、一部企業の業績が市場で嫌気されたことが背景にあります。具体的には、FTSE100種指数が下落し、FTSE250種指数も1.43%安となりました。
特に中国関連の懸念は、強硬派のルビオ上院議員が国務長官に就任する可能性により高まり、これが影響して銅価格が下がり、FTSE350種鉱業株指数は2.99%の下落を記録しました。また、ボーダフォンがドイツ市場での業績悪化を発表したことから、同社株価は8.2%下落しました。
欧州全体の株式市場も同様に下落しており、STOXX欧州600種指数は約3カ月ぶりの安値で終了しました。特に、金属価格の下落が資源株に影響し、STOXX欧州600種資源株指数は3.72%下落しました。また、中国市場の影響を受けやすい高級ブランドを含む個人・家庭用品株指数も2.41%下げました。
債券市場では、ユーロ圏の国債利回りはほぼ安定していましたが、トランプ氏の政策が欧州経済に打撃を与える懸念から、ドイツの景気期待指数が低下しました。ドイツ10年債利回りは一時的に10月30日以来の低水準となり、終盤には2.331%で取引を終えました。また、12月に予定されている欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げ予想が市場に織り込まれ、ドイツ2年債利回りはわずかに低下しました。

備忘録(2024/11/11
●海外企業決算
●海外企業
アッヴィが大幅安 統合失調症治療薬の中間試験で主要目標達成できず=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
医薬品のアッヴィ<ABBV>が大幅安。統合失調症治療薬の2つの中間試験で主要目標を達成できなかった。同社の発表によると、統合失調症治療薬「エムラクリジン」が、精神疾患の症状の重さを測る尺度において統計的に有意な改善を示さなかったという。同社は次のステップを決定するためにデータを分析する予定だとしている。
投資家たちは同社の今回の臨床試験失敗を、9月下旬に70年ぶりの新型統合失調症治療薬の承認をFDAから取得したブリストル・マイヤーズ スクイブ<BMY>にとっては朗報と捉えているようで、ブリストル株は大幅高となっている。
アナリストは「今回の結果は重要なデータが出る前に会社を買収した場合に買い手が直面する大きな失望のもう1つの例だ」と指摘した。
何十年もの間、統合失調症の治療薬はドーパミン受容体に焦点を当ててきた。しかし、これらの薬が効く患者は限られている。また、体重増加や眠気などの不快な副作用のために、薬を飲み続ける患者は半数以下となっているのが現状。
トランプトレードが続く中、銀行株が堅調に推移 資金流入が活発化=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
きょうも米株式市場はトランプトレードが続く中、銀行株が堅調に推移している。トランプ氏が勝利したことで金融機関への規制緩和を期待しているほか、インフレ再燃の観測から長期金利が上昇。半面、FRBは利下げペースこそ緩やかになるとの見方が強まっているものの、少なくとも利上げ再開まではない状況。それは長短金利差拡大を意味し、銀行にとっては純受取利息(NII)が拡大する余地が高まる。
代表的な銀行株指数であるKBW指数は過去4営業日で11%上昇し、1995年以来最大の年間上昇率を記録している。アナリストによると、先週の水曜日は2012年のデータ開始以来、金融ETFに最大の資金流入があり、SPDR・S&P地銀ETF<KRE>も過去10年間で最大の資金流入を記録したという。
「投資家は特に規制の面でのより良好な事業環境を期待しており、銀行株には非常に楽観的トーンが広がっており、選挙後も間違いなく再評価が加速している」と述べている。
ステランティス、デトロイト部品工場でも400人削減 米事業再編で | ロイター
ルルレモンが不景気の中国で快進撃、ヨガパンツ2.3万円でも大ヒット - Bloomberg
ルルレモンの150ドル(約2万3000円)のヨガパンツや600ドルの上着は飛ぶように売れている。同社製品の「コピー商品」が3分の1の価格で販売されているにもかかわらずだ。
これらのブランドは、規制強化や不動産不況、厳しいコロナ対策による深い不安感を背景に中国の消費者の間で見せびらかしや衒示(げんじ)的消費と距離を置く動きから主な恩恵を受けている。また、コロナ禍での在宅勤務ブームは、ゆったりとした快適なシルエットの時代をもたらし、各地でアスレジャーブランドを後押ししている。
かつては5000ドルの高級ハンドバッグや5つ星リゾートを見せびらかしていたソーシャルメディアのアカウントも、今ではワークアウトのルーティンや瞑想(めいそう)のマントラを自慢するようになっている。
「健康とウェルネスは、中国で新たなぜいたくカテゴリーになっている」と語るのは、上海を拠点とする小売りコンサルティング会社ブライタービューティーのジェシカ・グリーソン最高経営責任者(CEO)だ。かつて最先端のオフィスファッションの中心地であった金融センターでさえも、「スニーカーとアスレジャーの街」になりつつあると話す。
ルルレモンほど、こうした追い風をうまく利用しているブランドは他にない。その戦略は、西洋のブランドが中国で成功を収める方法の一端をうかがわせる。ルルレモンは、中国市場で素早く現地化に対応し、現地のニーズに合わせた商品のラインアップを強化した。
先月、アナリストとの3時間にわたる会議のために上海を訪れたカルビン・マクドナルド最高経営責任者(CEO)と側近らは、現地市場向けに商品をカスタマイズする戦略が功を奏していると説明。中国販売の最大35%は同国市場向けにカスタマイズされた商品が占めたと、ン氏はブルームバーグに語った。
これには、コロナ禍後のハイキングやアウトドア活動のブームに対応して開発された「ハイク」コレクションや、中国の旧正月や七夕節(中国版バレンタインデー)向けの同国本土限定カプセルコレクションなどが含まれる。「アジア・フィット」ラインは、スリムで小柄な体形に合うように地域限定で販売されている。
●日本企業
日本生命、就業不能保険の販売停止へ 不正対策 - 日本経済新聞
日本生命保険は入院の長期化により、契約者が収入減に備えて入る就業不能保険の新規取り扱いを2025年1月2日に停止する。給付金を多く受け取れるように、入院期間を調整するといった不正が増えているためだ。
販売を停止するのは21年7月から取り扱っている「収 NEW 1」(シュウニューワン)という就業不能保険。入院期間が14日以上になった場合、一時金を給付することで入院費用の負担を軽減できる点を訴求していた。
同社が給付金の支払い実績を調査したところ、給付金を受け取れる「14泊15日」の入院事例が国民全体の平均と比べて約2倍に膨らんでいた。加入者の一部が給付金を得ることを目的に、意図的に入院期間を延ばしている可能性がある。今後は新規契約を停止する一方、既契約の更新には応じる方針だ。
日本生命は23年4月にも不正対策を講じていた。新型コロナウイルスの感染が広がるなか、発症の自覚症状がありながら感染の事実を告げずに保険加入して給付金を申請する「モラルリスク」が広がったためだ。
コーセー、中国不振で純利益3割減へ 持ち株会社を検討 - 日本経済新聞
コーセーは11日、2024年12月期の連結純利益が前期比31%減の80億円になる見通しだと発表した。従来予想から46億円引き下げた。消費が低迷する中国での店舗閉鎖をはじめとした構造改革費などが響き、増益としていた従来予想を一転減益に下方修正した。
24年1〜9月期連結決算は売上高が前年同期比9%増の2387億円で、純利益は28%減の94億円だった。北米を中心に若年層向け化粧品が好調で売上高を押し上げた一方、収益性の高い免税店での化粧品販売を指す「トラベルリテール」や中国国内での事業が減速した。
消費者の節約志向の高まりに加え、現地企業の台頭で価格競争が激化したことが響いた。中国国内の不採算店舗の閉鎖や在庫調整などで、特別損失を45億円計上した。
苦戦する中国とトラベルリテールについては、小林一俊社長は「中国市場への高い依存から、成長領域のグローバルサウス市場へシフトする」と話した。
日産化学25年3月期純利益上振れ、半導体材料など好調 - 日本経済新聞
大日本印刷が最高益、4〜9月最終18%増 株売却益などで - 日本経済新聞
ブリヂストン、1〜9月純利益5%減 南米・欧州不振 - 日本経済新聞
ブリヂストンが11日発表した2024年1〜9月期の連結決算(国際会計基準)は、継続事業ベースの純利益が前年同期比5%減の2524億円だった。南米を中心にタイヤの販売が不振だった。欧州での減損損失や再編費用も利益を押し下げた。
売上高にあたる売上収益は2%増の3兆2694億円。円安のほか、米国などで単価が高いタイヤの売れ行きが伸びた。一過性の損益を除いた調整後営業利益は3%減の3531億円だった。アルゼンチンはインフレで需要が低迷した。ブラジルは廉価品との競争が激しく、いずれも減益要因になった。円安による増益で補えなかった。
欧州事業で採算低迷が続いていることを踏まえ、減損損失は6月末時点から118億円積み増して195億円となった。さらに欧州の工場再編費用として86億円を計上した。
同日の決算説明会で石橋秀一最高経営責任者(CEO)は「今年、来年にかけて再編再構築をやっていき、欧州全体の事業構造をそのものを変える」と語り、構造改革を急ぐ考えを示した。
木曽路の4〜9月、最終赤字8.8億円に拡大 人件費重く - 日本経済新聞
日本精機の4〜9月期、純利益55%減 原材料価格が上昇 - 日本経済新聞
●先進国政治動向
トランプ次期大統領、週内に財務長官候補者リスト絞り込みへ-関係者 - Bloomberg
トランプ次期米大統領は今週中に財務長官候補者リストを絞り込む方針で、経済や税制、銀行政策に大きな影響力を持つ同ポストに、ウォール街の経歴を持つ人物を起用する方向にある。トランプ氏の計画に詳しい複数の関係者が明らかにした。
財務長官候補として名前が挙がっているのは、米投資銀行キャンターフィッツジェラルドのハワード・ルトニック最高経営責任者(CEO)、ヘッジファンドの大富豪ジョン・ポールソン氏、著名投資家ジョージ・ソロス氏のマネーマネジャーを務めたスコット・ベッセント氏、カーライル・グループ元幹部で現バージニア州知事のグレン・ヤンキン氏らだ。
ベッセント氏は8日、フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の邸宅「マールアラーゴ」で同氏と会ったが、この会合は財務長官ポストの面接ではなかったと、プロセスに詳しい複数の関係者は語った。
5日投開票の大統領選で民主党候補のハリス副大統領に圧勝したことで、トランプ氏は2期目に向けて直ちに政策や人選に軸足を移すことができ、政権移行計画は急ピッチでスタートしている。
プロセスに詳しい複数の関係者の話では、トランプ氏のウォール街の盟友たちは、財務長官に金融業界に深い知見を持つ人物を起用するよう促しており、次期大統領のチームはこのアドバイスに従う意向を示している。来年は幅広い減税措置が期限切れとなるため、トランプ氏は2017年の減税の場合と同様、財政政策を幅広く策定する機会を得ることになる。  
財務長官や国務長官は通常、次期大統領が最初に人選を行う注目度の高い重要ポストだ。しかし、トランプ氏は1期目にジェフ・セッションズ氏を司法長官、ジム・マティス氏を国防長官に選んだことについて後悔の念などを表明しており、今回は真剣に人選を進めると、同氏の盟友は予想している。
ハガティ上院議員も財務長官と国務長官の候補に挙がっているが、トランプ氏のチームは一時的にでも共和党の議席を減らしたくないため、上院議員をトップポストに起用することには消極的だ。
大半の場合、空席となった上院議員の補欠候補を州知事が指名するが、この手続きによって共和党は数週間から数カ月にわたり何人かの議員を欠く可能性があり、政権初期における同党の法案通過やトランプ次期大統領の政治任命者を承認する能力に支障をきたす恐れがある。
人選プロセス
面接はマールアラーゴで行われる。このプロセスに詳しい複数の関係者によれば、トランプ氏は各閣僚ポストの候補者として5-8人のリストを受け取り、それぞれの人物についてパワーポイントを使ったプレゼンテーションが行われる予定という。
各候補の横には、誰が推薦したかが記されており、トランプ氏は候補者が自分の最側近らにとってどれほど重要な人物かを考慮することができる。トランプ氏の家族、献金者、元ホワイトハウス補佐官らが候補者名を提出している。
トランプ氏の広報担当カロリン・リービット氏は「次期大統領は間もなく第2次政権を担う人々の選考を開始する。これらの人選は決定次第発表される」と声明で説明した。
トランプ氏は既に、大統領選で陣営の選対本部長を務めたスージー・ワイルズ氏を女性初の大統領首席補佐官に起用した。ワイルズ氏は政権移行を監督し、連邦政府の約4000の政治任用職を埋めるため政権移行共同委員長のルトニック氏がまとめた数千人のリストから人選を進める見通し。
ルトニック氏は数カ月かけて議員、献金者、企業経営者、保守派指導者、元トランプ政権当局者らと面会し、トランプ氏に忠実な人物を素早く指名して政権の主要ポストに充てるためのデータベースを作成した。  
ポスト争いは既に公のリークやカウンターリークの形で顕在化している。
トランプ政権1期目で米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザー氏も財務長官候補の1人だ。だが、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が最近報じたところでは、ライトハイザー氏は以前と同じ仕事をオファーされたとされる。
このプロセスに関与している一部の人々はこれについて、ライトハイザー氏を財務長官ポストから遠ざけようとする動きとみている。一方で複数の関係者によれば、トランプ氏はライトハイザー氏にUSTR代表のポストはオファーしなかったという。
ライトハイザー氏は既に中国と欧州連合(EU)に絡んだ関税計画を策定し始めており、ホワイトハウスで政権全体の通商政策を監督する幅広いポートフォリオを持つ可能性があると、プロセスに詳しい関係者は語った。
トランプ氏が金融業界のベテランを財務長官に起用し、ライトハイザー氏に通商問題の権限を与えた場合、政権1期目と同じような形で政策論争が展開される可能性が高い。
当時は意思決定プロセスの一部として議論を好むトランプ氏の面前で、大統領執務室のほか、時には報道陣や外国代表団が同席する場で、激しい意見の衝突が繰り広げられた。
米プロレス団体ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)のリンダ・マクマホン共同創業者はルトニック氏と共に政権移行共同委員長を務めており、関係者によると、トランプ氏が政権初期に打ち出す可能性のある移民、貿易、エネルギー、その他の分野に関する一連の大統領令の草案をスタッフと作成している。
このグループは、来年の包括的な税制法案の議会通過に向けて戦略を練っているという。トランプ政権1期目で中小企業庁(SBA)長官を務めたマクマホン氏は、商務長官候補にも挙がっている。
なおトランプ氏は13日、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談する予定だ。
アングル:身構える米国防総省、トランプ氏が「大規模粛清」か | ロイター
米大統領選中に共和党候補トランプ前大統領は、米軍のいわゆる「目覚めた(woke)」将軍たちを追放すると表明していた。そのトランプ氏が次期大統領に決まったことで、国防総省内では同氏がさらに踏み込んだ「大規模粛正」を敢行するのではないかとの疑念が広がっている。
2期目のトランプ氏は、北大西洋条約機構(NATO)の意義を疑問視し、米国内の騒乱に軍の出動を辞さないとする自身の考えにことごとく抵抗する国防総省に対して、1期目よりもずっと厳しい目を向ける見通しだ。
トランプ氏批判の急先鋒は1期目政権の軍上層幹部や国防長官などで、彼らの一部は同氏をファシストと呼び、大統領にふさわしくないと言い切る。これに怒り心頭のトランプ氏は、批判派の1人である前統合参謀本部議長のマーク・ミリー氏を反逆罪で死刑にする可能性があると脅している。
米政府の現役高官や元高官によると、トランプ氏が2期目で最重要視する人事の基準は忠誠心で、自らに従う気がないと見なす軍高官や文民幹部らは根こそぎ排除するだろうという。
上院軍事委員会のリード委員長(民主党)は「あからさまに言うとトランプ氏は国防総省をぶち壊す。中に入ってきて、憲法を守る将軍たちを解雇しようとする」と懸念を示した。
トランプ氏は6月にFOXニュースで、「目覚めた」将軍たちをクビにするかどうか聞かれると「彼らを辞めさせる。目覚めた軍などあり得ない」と語った。
この目覚めたとは本来、人種や社会の公正さを重視するという意味で生まれた言葉だが、保守派はそうした公正さを上から押しつけるリベラル派の政策を軽蔑する用語として使っている。
そして今、トランプ氏の政権移行チームがブラウン統合参謀本部議長を標的にするのではないかと心配されている。
ブラウン氏はパイロット出身で幅広く尊敬される人物。ただ黒人である同氏は議長就任前、2020年5月にミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害された事件の数日後、軍内部に向けた動画メッセージで差別撤廃と多様性の重要さを訴えていた。
次期副大統領のJ・D・バンス氏は昨年上院議員として、ブラウン氏の議長指名人事に反対票を投じたほか、国防総省内にトランプ氏の命令への抵抗勢力があるとの批判を続けている。
バンス氏は大統領選前、FOXニュース元司会者のタッカー・カールソン氏のインタビューで「自分の政権で命令に従わない人々がいるなら排除し、大統領がやろうとすることに応じる人々と交代させる必要がある」と語った。
トランプ氏は今回の選挙戦で、南北戦争時の南軍指揮官にちなんだ米軍基地名を復活させると約束した。フロイドさん殺害事件後、基地名は変更されていた。
またトランプ氏は、出生時の性と自認する性が異なるトランスジェンダーの人々を目の敵にしており、1期目には一時軍入隊を禁止。今回もXに投稿した選挙広告でトランスジェンダーを弱者と描写し「われわれは目覚めた軍隊を決して持たない」と宣言している。
<合法的命令>
トランプ氏は自身が優先する多くの政策において軍が重要な役割を果たせると提案。例えば州兵や場合によっては現役兵士を不法移民の大量強制送還に活用したり、彼らを国内の騒乱鎮圧に動員したりするとしている。
こうした提案に警鐘を鳴らす専門家によると、市街地に米軍を派遣すれば違法であるばかりか、なお広く存在する国民の軍に対する敬意の気持ちを失わせかねないという。
オースティン国防長官は、大統領選結果を認め、軍は文民指導者からの「あらゆる合法的命令」に従うと強調した。しかし複数の専門家は、トランプ氏が幅広い法解釈によって米軍が倫理的に正しくないと考えるような「合法的」命令を発出すれば、それを拒否できなくなるとの見方を示した。
保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュートのコリ・シェイク氏は「軍は不道徳な命令に従わなくて良いという間違った見解が流布している。これは実際には真実ではない」と述べ、トランプ氏の2期目は論争を呼ぶ政策が推進され、高官のクビ切りが相次いでもおかしくないと予想。政策と人事の両面から2期目は大きな混乱が起きると見込んでいる。
<失われる専門知識>
国防総省の文民幹部たちも、トランプ氏への忠誠心を試されるだろう。
同氏側近らは、大統領令や法規則改正を通じて現在の多数の文民職員を保守派の仲間に置き換えると明言している。
ある国防総省幹部はロイターに、省内にはトランプ氏が今の文民職員を一斉追放するのではないかとの懸念が増しつつあると語り、複数の同僚が今後の雇用が保障されるかどうか不安を漏らしたと付け加えた。
国防総省に勤務する「背広組」の職員は95万人弱で、その多くは専門的な経験や知識を有する。
1期目にトランプ氏がメキシコの麻薬製造拠点壊滅のためミサイルを発射するという過激な方針を検討した際には、国防総省の事務方が押しとどめたおかげもあって実行にされずに済んだケースもあった。
前出の国防総省幹部は「今度は2016年よりひどくなる。恐れているのはトランプ氏が(国防総省の)職員と専門知識を空洞化させ、組織に取り返しの付かない痛手を負わせてしまうことだ」と述べた。
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仏ワイン生産、24年は23%減に 悪天候で予想下方修正 | ロイター
ドイツ商業用不動産価格、第3四半期は前年比-4.7% 前期比は上昇 | ロイター
独ファンドブリーフ銀行協会(VDP)が11日発表した第3・四半期の商業用不動産価格は前年同期比4.7%下落した。
一方、第2・四半期からは0.7%上昇し、引き続き安定の兆しが見られた。
前期比で2四半期連続の上昇となったが、VDPは視界が晴れたと判断するには時期尚早との認識を示した。今後数四半期は価格が横ばいとなる可能性があり、経済の弱さと地政学的リスクを踏まえると下落もあり得る。
VDPの最高責任者(CEO)であるイェンス・トルクミット氏は、「不動産市場の持続可能な好転の始まりについて語るのはまだ早い」と述べた。
米投資適格級の社債スプレッド、98年以来の低水準に 大統領選後 | ロイター
米投資適格級の社債スプレッドが7日、1998年以来の低水準に縮小した。投資家の間で米経済に対する自信が強まっていることや大統領選でトランプ前大統領が勝利し、株式などのリスク資産が上昇していることが背景。
投資適格級社債の値動きを示すICE・BofA米社債インデックスのスプレッドは7日、78ベーシスポイント(bp)まで縮小し、98年以来の低水準となった。先月末は86bpだった。
ジャンク債の値動きを示すICE・BofA米高利回りインデックスのスプレッドも7日に273bpに縮小。07年以来の低水準となった。先月末は288bpだった。
トランプ氏の政策は減税と規制緩和を通じて企業に利益をもたらすと見込まれている。
BMOキャピタル・マーケッツの債券戦略ディレクター、ダニエル・クリーター氏によると、投資適格級社債のスプレッドは1週間で8bp縮小。週間ベースでは23年6月以降で最大の縮小となった。
スペイン格付け見通し「ポジティブ」に引き上げ=フィッチ | ロイター
格付け会社フィッチは8日、スペインの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げた。構造的な改善が同国経済の潜在成長力を押し上げ、外部ショックへの耐性を引き上げる可能性が高いとした。格付けは「A-」に据え置いた。
フィッチは「移民の純増と積極的な改革、競争力の向上、マクロ金融の不均衡がないことが後押しする労働市場の明るさが、スペインが当面は他のユーロ圏諸国をアウトパフォームし続けるという当社の評価を裏付けている」と説明した。
スペイン経済は、観光業を中心としたサービス業と製造業の活況に支えられ、ユーロ圏の中でも好調ぶりが目立っている。
第3・四半期の国内総生産(GDP)は前期比0.8%増で予想を上回り、前年比では3.4%増と他の欧州諸国を上回った。
フィッチは2024年のスペインの実質成長率を2.9%、25年と26年の平均成長率を2.2%と予想した。
しかし国内政治では、少数与党のサンチェス政権の政策実施リスクが高まり、課題は残っている。サンチェス政権は、税制改革による中期財政目標達成を目指しているが、歳出圧力に直面するとフィッチは指摘する。
半導体・AI支援に10兆円、ラピダス念頭 石破首相が表明 - 日本経済新聞
石破茂首相は11日夜の記者会見で、2030年度に向け、半導体や人工知能(AI)分野に複数年度で10兆円以上の公的支援をする方針を明らかにした。11月にまとめる経済対策に盛り込む。次世代半導体の量産を目指すラピダスなどを念頭に置く。
石破首相は「今後10年間で50兆円を超える官民投資を引き出すための新たな支援フレームを策定する」と表明した。補助金のほか、政府機関を通じた出資や民間の金融機関からの融資への債務保証を想定する。
30年度までを見据えた新たな枠組み「AI・半導体産業基盤強化フレーム」を打ち出す。政府は経済全体への波及効果を160兆円と見込む。
経済産業省はラピダスへの政府機関を通じた債務保証や出資を可能とする法案を準備し、25年の通常国会へ提出を目指す。
政府は経済安全保障の観点からも半導体分野での最先端技術の確立が必要とみている。単年度で補助金を逐次投入する手法では予見可能性が低いため、複数年の計画的な支援に切り替える。
新たな枠組みのもと、27年に量産開始を目指すラピダスの資金調達を多様な手段で支援する。同社には量産開始までに計5兆円の資金が必要とされ、政府はこれまでに9200億円の補助を決めている。
●中東情勢
希望の新時代: トランプ大統領の復帰と安定の約束|ARAB NEWS
ドナルド・トランプ前大統領の再選は、米国と国際社会の双方にとって楽観主義と可能性の新時代の到来を告げるものである。間近に迫ったトランプ大統領の復帰は、米国経済を活性化させ、米国民の幸福を優先させるという確固とした決意を示すものだ。実績のある実業家として、トランプ氏は経済的繁栄と具体的な成果に焦点を当てた実践的な統治アプローチをもたらす。
前任期中、トランプ氏の政策は経済成長を促し、失業率を低下させ、企業にとって有利な環境を作り出した。彼が重視した規制緩和と税制改革は、さまざまな分野に新たな息吹を吹き込み、投資と雇用創出を促進した。米国民は、国の経済基盤をさらに強化することを目的とした、こうした戦略の継続を期待できる。
経済以外にも、トランプ氏は一貫して伝統的な家族の価値観を支持し、有害なイデオロギーから若者を守る意向を明らかにしている。ウォーク運動に反対する彼の姿勢は、文化的価値を守り、社会基盤を侵食する恐れのあるアジェンダから若い世代を守ることへのコミットメントを示している。このようなリーダーシップのあり方は、米国にとって極めて重要であるだけでなく、世界中の若者の模範となる。
国際面では、トランプ大統領の外交政策の特徴は、平和と安定を重視することである。
アブラハム合意に代表される中東における合意の仲介における彼の政権の成功は、対話の促進と緊張緩和に対する彼のコミットメントを強調するものだった。
ウクライナとロシア間の紛争が人命を奪い、世界的な不安定を生み続けている中、トランプ大統領はその外交手腕を発揮して、この危機に終止符を打つことができるような交渉を促進すると確信している。
中東特有の安全保障上の課題へのトランプ大統領の取り組みは明確だ。彼のリーダーシップの下で、米国と湾岸協力理事会のパートナーシップが更新されれば、湾岸諸国全体の安定が強化されるだろう。GCC諸国との戦略的同盟関係は、共通の脅威に対抗し、地域の安全保障を促進するという共通のコミットメントを反映している。UAEのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領は先週、トランプ大統領に祝辞を述べ、この協力関係の重要性を強調した: 「UAEと米国は、進歩への共通の野心に基づく永続的なパートナーシップによって団結している。UAEは、すべての人々にとっての機会、繁栄、安定の未来に向け、米国のパートナーと引き続き協力していくことを楽しみにしている。
安定が最優先される中東において、同盟関係の強化と過激派勢力の抑制に重点を置くトランプ大統領は、前進への道筋を示している。彼のリーダーシップは、この地域の安全で豊かな未来に投資するすべての人々にとって心強い兆候である。
トランプ大統領の外交政策は中東にとどまらず、アジアの主要国にも及んでいる。北朝鮮や中国との外交関係は、軍事的対立から経済協力への転換を示唆している。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との画期的な会談は、懐疑的な見方もあったが、長い間眠っていた意思疎通のチャンネルを開いた。
トランプがかつて言ったように、「戦いに負けることで、戦争に勝つための新しい方法を見つけることもある」。この感情は、彼のリーダーシップへのアプローチに特徴的な弾力性と適応性をよく表している。
世界の指導者たちは、トランプ大統領との新たな協力関係について楽観的な見方を示している。キア・スターマー英首相は、トランプ氏の「歴史的勝利」を称賛し、不朽の英米同盟を強調した。欧州委員会のアーシュラ・フォン・デア・ライエン委員長は、EUと米国の「真のパートナーシップ」を再確認し、トランプ氏の大統領就任中に共通の課題に取り組むための強力な大西洋横断アジェンダを強調した。
ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、トランプ大統領の再選の重要性を認識し、「米国におけるウクライナへの強力な超党派支援」への期待を表明した。彼のメッセージは、トランプ大統領のリーダーシップがより平和でバランスの取れた国際秩序に貢献するだろうという世界各国が感じている楽観論を反映している。
最初の選挙戦でトランプ氏を支持したことを振り返ると、私は彼のビジネスマンとしての経歴がアメリカの政治に新鮮な変化をもたらすと信じていた。著名人を含む一部の人々はトランプに反対したが、個人的な偏見を捨て、彼のビジョンを実現するチャンスを与えることが重要だった。その後の彼の功績は、現実的でビジネス志向のアプローチの有効性を実証した。
今日、彼の再選によって、私たちは明るい未来へのチャンスを手にしている。私は、すべての関係者が個人的な違いを脇に置き、この道を選んだ米国民の声に耳を傾けながら、建設的に関与することを強く求める。
今後を展望すると、トランプ次期政権と湾岸諸国との同盟関係は、この地域を不安定化させようとする者たちがもたらす脅威に対抗する上で重要な役割を果たすだろう。経済協力と安全保障協力に改めて焦点を当てることで、私たちは、私たちが大切にしている価値観を反映した豊かな未来を実現することができる。
結論として、トランプ氏の再選は米国にとっての勝利であるだけでなく、世界にとっての希望の光である。実践的な経験と結果重視の考え方に基づいた彼のリーダーシップは、国内外の課題に対処する態勢を整えている。私たちが前進するとき、安定と安全、そしてすべての人のための成長の未来を築くために、この瞬間をとらえよう。
●エマージング
中国の隠れ債務対策、世界商品市場は失望隠さず-銅や鉄鉱石で売り - Bloomberg
中国政府から新たな景気対策が発表されたが、世界商品市場は身動きが取れない状態だ。この対策は急務の地方政府債務再編に焦点を絞ったものだが、内需を直接押し上げるような内容には至らなかった。
財政省が8日午後に発表したこの措置は「隠れ債務」借り換えを目的とし、規模は1兆4000億ドル(約215兆円)。ただ具体的な消費喚起策は示されなかった。
こうした規模の大きさから原材料は恩恵を受けるかもしれないが、発表を受け、銅や鉄鉱石、原油相場は軒並み下落した。
キャピタル・エコノミクスの商品エコノミスト、ハマド・フセイン氏はリポートで、「中国から待望の財政政策発表が新たにあったが、しっかりした景気刺激策を期待していた向きにはまた期待外れとなった」と指摘した。
中国が9日発表した10月の消費者物価指数(CPI)はこうした悲観論をさらに深める可能性がある。生産者物価指数(PPI)は2年1カ月連続で前年割れとなったほか、消費の伸びもさえない。
石油や鉄鋼など「オールドエコノミー」の商品需要は今年低迷しており、これら市場は現時点で構造的な下振れ局面にある可能性が高い。
当面、エコノミストやアナリストは今後を見据え占うしかない。銅やアルミニウムなど非鉄金属は鉄鋼や鉄鉱石といった建設資材よりも優位に立つ公算が大きい。一方、食料品や燃料は経済成長加速が正味でプラスに働く見通しだ。原油は脱炭素化が足かせとなるリスクがある。
中国の「トランプ関税」対応策 2度目は通用せず - WSJ
関税はドナルド・トランプ次期米大統領にとって「辞書の中で最も美しい言葉」かもしれないが、不動産市場の崩壊や内需の弱さに苦しむ中国にはさらなる頭痛の種となる。
トランプ氏が選挙遊説中に候補者として発言したことが、大統領就任後にどの程度実際の政策になるのかは見通せない。だが最初の任期を見る限り、大規模な関税発動をためらわないことは確かだ。今回は中国からの輸入品全てに60%以上の関税を課し、他国からの輸入品にも一律10%の関税を課すことを掲げている。
今回、中国の対応には限界がある。特に自国通貨の大幅な下落を容認するリスクは大きい。
トランプ氏は関税を交渉材料に使う可能性がある。前回は実際にそれをちらつかせて中国が2021年末までに米国製品を追加で2000億ドル(約30兆円)購入する約束を取りつけた。だが中国は最終的に合意を守れず、目標額には全く届かなかった。ピーターソン国際経済研究所によると、中国の輸入総額は約束した金額の58%にとどまった。新型コロナウイルスの影響もあっただろうが、最初から達成の難しい目標だった。それ以降、バイデン政権もトランプ氏の対中関税の大半を引き継いでいる。
2018年の貿易戦争はそれまでの貿易パターンの一部を変えた。CEICによると、中国の輸出品で米国が直接の仕向け地(発送先)であるものは現在15%に満たない。2017年は約19%を占めていた。ただ、一部の米国向け輸出品は、関税を回避する目的で東南アジアやメキシコなどを経由している可能性がある。
中国の今年1~9月の東南アジア向けとメキシコ向けの輸出は、2017年の同期間に比べていずれも2倍余りに増加している。一方、米国向け輸出は同期間に22%増となっただけだった。特に東南アジアは中国の輸出先として今や米国を抜き、全輸出額の16%を占める。だが、増加分のうち最終目的地が東南アジア市場だった割合は不明であり、その多くが米国に運ばれた可能性が高い。
とはいえ、このような方法で輸出先を切り替えるのには限界がある。今回、米当局が監視を強化すれば、なおさらそうだ。そのうえ、輸出先を切り替えても中国は無傷ではなかった。例えば、ゴールドマン・サックスの試算では、2018年の貿易戦争は中国の国内総生産(GDP)を累計で0.65ポイント押し下げたとみられる。今回、60%関税による影響はGDPを2ポイント押し下げる(第三国経由による関税回避の効果は除外)とゴールドマンは試算する。
過激な関税引き上げを実施すれば、米国の物価上昇と最終需要の低下をも引き起こす。JPモルガンは、中国からの輸入品に60%の関税を課せば、米国の物価水準を1.1%押し上げ、一律10%の広範な関税を含めれば、2.4%に上昇するとの見方を示した。
教科書的な経済学によると、自国通貨が下落すれば、輸出品が安くなるため、関税の影響の一部を乗り越えるのに役立つと考えられる。実際、2018年初めから2019年末にかけて人民元は約10%下落した。モルガン・スタンレーはそれが追加関税の影響の約3分の2を相殺したと推計している。
だが今回は関税引き上げ幅がより大きいため、人民元ははるかに大きく下落する必要がある。また元の対ドルレートはすでに2019年末に比べ3%安い。中国政府はこの1年、急激な元安は資本流出を引き起こしかねないと懸念し、過度の下落を防ごうとしてきた。中国の10年物国債利回りは現在、米10年債を2.3ポイント下回っている。2018年初めには1.5ポイント上回っていた。急激な元安が見込まれれば、資本流出に弾みがつく可能性がある。
中国の最終的な答えは恐らく国内にある。輸出需要を埋め合わせ、国内に投下された資本の収益を確保するためには、強い国内経済が必要だ。中国はすでに大規模な景気刺激策を計画しているが、アナリストは国内の消費支出を喚起するのに十分でない可能性があると警告する。恐らく第2次貿易戦争の脅威が高まれば、中国は本気で取り組むだろう。
中国、米同盟国に秋波 トランプ次期政権にらみ - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領が中国製品を米国市場から締め出し、中国経済に打撃を与えると公約する中、中国政府はその対応として米国の同盟国に接近する方法を模索している。
トランプ氏は選挙戦で、中国製品に最大60%の関税を課すと表明。これは習近平国家主席が推進する経済成長モデルを脅かすことになる。習体制は製造業の拡大と輸出で景気低迷を脱することを柱に据えている。
中国政府は経済がすでに不安定な中、潜在的な打撃を相殺する方法を検討。欧州とアジアの米同盟国に対して関税引き下げやビザ(査証)免除、中国からの投資などのインセンティブ提供を検討していると、事情に詳しい関係者らは述べている。
関係者らによれば、中国政府はトランプ政権が発足すれば対話に応じる用意がある一方で、米国との競争が激化する中で時間とレバレッジを得るため、米国の伝統的なパートナーに接近する機会をとらえようとしている。
だが中国政府はこの戦略を推し進めることにも苦戦。欧州連合(EU)はここ数年、中国に対する姿勢を硬化させており、ウクライナ戦争で中国がロシアを支援していることに怒りを示している。
また日本、韓国、フィリピンを含むアジアの米同盟国も、強引な姿勢を取り続ける中国に警戒を強めている。
中国政府はここ数カ月の間に、すでにオーストラリア、ニュージーランド、デンマーク、フィンランド、韓国など約20カ国からの旅行者に対するビザ要件を撤廃。各国に対し、これら動きに直ちに報いる必要はないとしている。
中国政府内では「一方的な開放」と呼ばれているこの戦略は、長年にわたり経済・外交面での見返りを重視してきた指導部にとって戦術的な変化を意味する。
習氏の経済ブレーンである何立峰氏は最近になり、欧米各国のビジネスリーダーらとの会合を複数回開催。同氏はその中で、欧州やその他のアジア諸国との外国投資と貿易を促進するため、さまざまな分野で「積極的な」関税引き下げを検討していることを示唆したと事情に詳しい関係者らは述べている。
また関係者らによれば、中国は、対象とする相手国を考慮し、電気・通信機器や水産物、その他の農産物などの分野に焦点を当てているという。
一方で欧州の指導者らは中国からの提案を警戒。すでに懸念されるトランプ政権との亀裂が、さらに深まるような立場に追い込まれることは避けたい考えだとみられる。欧州の当局者らは以前から、中国政府が過去の貿易に関する約束を履行していないと指摘。さらに市場アクセス拡大が、中国企業による欧州の技術盗用の隠れみのになる可能性も懸念している。
習氏は7日、トランプ氏に祝賀メッセージを送ったものの、中国との新たな経済的対立を招かないよう暗に警告。「両国は協力から利益を得、対立から損失を被ることは歴史が示している」と述べている。
関係者によると、欧州・アジア諸国は、トランプ氏が1期目によくやったように米国の同盟・友好国に敵対姿勢を示すことを警戒しており、中国政府は新たな開放戦略を通じてそうした懸念を利用しようとしている。トランプ氏が今年の選挙活動中に、北大西洋条約機構(NATO)に十分な資金を拠出しない国を攻撃するようロシアを促すと述べたことで、欧州全体に不安が広がった。
関係者によれば、中国は主導権を握ることで米国に圧力をかけ、その同盟・友好国を分断させようとしている。中国は米国から閉め出される可能性がある市場の多様化を進めることが急務となっている。中国は発展途上国には進出しているが、欧州・アジア市場へのアクセスが拡大すれば、より大きな影響力を持つことになる。
中国指導部はトランプ氏の再選を好機と捉えている。意思決定に近い複数の関係者によれば、指導部の考えはこうだ。トランプ氏は不安定なディールメーカー(取引者)である。習氏は米国が唯一の世界大国としての地位を徐々に失っていくと考えており、トランプ氏がそれを加速させる可能性がある。米国にさらなる政治的・社会的混乱が起き、バイデン氏が取り戻した同盟・友好国も離れていき、中国が欧州諸国などとの関係を再構築する上で追い風となる、というものだ。
トランプ氏は2018年初め、中国による国家主導の経済慣行を是正させるために同国に関税を課し始めた。中国政府はその都度、同様の措置を取り、ビジネスマンから大統領に転身したトランプ氏が最終的に引き下がると考えていた。
その後は報復の応酬となった。トランプ氏の1期目に中国からの輸入品に対する米国の関税は、平均3%から4倍の同12%へと引き上げられた。
それでも新型コロナウイルスが流行すると、中国の輸出企業は米国からの強い需要による恩恵を受けた。米消費者が政府から現金給付を受けた際と、人民元相場が急落して中国製品が国外で割安になった時だ。
政策による押し上げを受けた中国の輸出は現在の中国経済の数少ない明るい材料の一つだ。そのため、トランプ氏が関税公約を実行に移せば、中国経済への影響は1期目よりもはるかに大きくなる可能性がある。
米共和党の一部ストラテジストによると、トランプ氏は就任後、米中が2020年に署名した「第1段階」の貿易協定を完全に履行しなかった中国に焦点を当てて、関税公約を実行し始める可能性が高い。この協定では、中国が2年間で米国からの製品・サービス購入を2000億ドル(約31兆円)増やすことが求められている。米国はこの協定に基づき、中国が順守しなかった場合に対中関税を引き上げる権利を有している。
経済調査会社ガベカル・ドラゴノミクス(龍洲経訊)の最近のリポートによれば、中国の輸出は60%増加し、世界輸出に占める中国のシェアは、第1次トランプ政権が関税を課す前の2017年よりも2ポイント高くなった。
マッコーリーの中国担当エコノミスト、ラリー・フー氏の推計によると、米国が関税を60%引き上げた場合、その後12カ月間の中国の経済成長率を2ポイント押し下げる可能性がある。「貿易戦争2.0によって、輸出と製造業が主な成長エンジンである中国の現在の成長モデルが終わりを迎えるかもしれない」とフー氏は言う。
中国の貿易当局は今年、EUによる中国製電気自動車(EV)への関税回避にぎりぎりまで取り組んだ。それでもEUは今秋、これらの関税を最大45.3%に引き上げ、最近の貿易措置の中で最も厳しい対応を取った。
中国政府は関税を回避するため、EUにアメとムチを示した。新たな投資やEU製品への関税をちらつかせたりしたのだ。
中国とEUのどちらも、関税の代替案を見つけるために交渉を続ける意向を示している。
EUの米国との経済関係は重要であり、輸出額は中国への輸出額の2倍以上だ。しかし、中国市場へのアクセスが拡大すれば、EUはトランプ氏のチームとの難しい貿易交渉で、一定の交渉力を得る可能性がある。
欧州の指導者を引き付けるために、中国は小さなアメを提供することができる。例えば、過去1年間に始めたEU産乳製品・豚肉製品輸入に対する貿易調査を終了したり、最近課したEU産ブランデーに対する一時的な関税を撤廃したりすることだ。さらに、中国の政府調達市場へのアクセスを容易にしたり、EU諸国への投資を拡大すると約束したりするかもしれない。
しかし、中国が対EU投資を増やすという約束は、EU加盟国間で分裂を引き起こすリスクがある。ドイツのシンクタンク、メルカトル中国研究所の外交プログラム責任者であるアビゲイル・バセリエル氏はそう話す。
EUが中国に求めている主なことは、欧州市場への低価格製品の流入を抑える効果的な措置と中国によるロシア支援の打ち切りだと同氏は述べた。どちらの点についても「現時点で中国に対応する力はない」。
インド中銀、ルピー防衛でドル売り介入のもよう=市場関係者 | ロイター
中国新規銀行融資、10月5000億元に減少 景気対策でも需要伸びず | ロイター
アングル:新興国市場、適温相場シナリオにトランプ氏の影 不透明感高まる | ロイター
市場関係者は来年の新興国市場について、長年の世界的な利上げに終止符が打たれ、ゴルディロックス(適温)相場が期待できると予想していたが、米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受けて、先行き不透明感が大きく高まっている。
市場では大統領選の開票結果を受けて、ドル高が進行。次期トランプ政権による関税の引き上げや、財源の裏付けのない歳出拡大、米利下げペースの鈍化に対する懸念が浮上しており、一部の新興国通貨・債券の重しになっている。
欧州最大の資産運用会社アムンディの新興国市場グローバルヘッド、イェルラン・シジコフ氏は「当社は今年、新興国資産に前向きで、パフォーマンスも好調だが、来年のことを考え、現地通貨建てとハードカレンシー建ての双方で慎重な姿勢を取る必要がある」と指摘。共和党が大統領選と上院選に加え、下院選でも勝利すれば「形勢が少し変わってくるだろう」と述べた。
国際金融協会(IIF)のデータによると、新興国株式・債券への純資金流入額は2022年には事実上ゼロだったが、今年は9月時点で2500億ドル弱に回復。昨年通年の1770億ドルを上回った。
パインブリッジ・インベストメンツのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、アンダース・フェールゲマン氏は「大統領選前は新興国市場について楽観論が多かった」とし、新興国と先進国の成長格差が10年ぶりの高水準にあることを指摘した。
JPモルガンの新興国ハードカレンシー建て債券指数は今年のリターンが6%前後。現地通貨建て債券は小動きで推移している。
アリアンツ・グローバル・インベスターズは、16年の大統領選ではトランプ氏が予想外の勝利を収め、新興国通貨が矢面に立たされたが、今回も同じような状況になる可能性があると指摘。
フェールゲマン氏も、トランプ氏の勝利で中国にプレッシャーがかかっているほか、ポーランドズロチやハンガリーフォリントといった新興国通貨が、貿易依存度の高さやトランプ関税を受けて、リスクに見舞われるとの見方を示した。
メキシコペソもトランプ氏の勝利を受けて一時3.6%値下がりしたが、その後は急速に値を戻した。16年には8%近い下げを記録していた。
市場関係者は次期トランプ政権の歳出計画に注目し、米金融政策への影響を見極めようとしている。財政赤字が拡大すれば利下げペースが鈍る可能性がある。
フランクリン・テンプルトン・フィクスト・インカムのソナル・デサイ最高投資責任者は「金利上昇とドル高は逆風だ。関税など一部の政策も逆風になる」と述べた。
<根強い楽観論>
ただ、一部の市場については楽観論が根強い。
アムンディのシジコフ氏は、トランプ氏の対中強硬政策でインドなどが恩恵を受けるのではないかと予想。アルゼンチンも歳出削減や改革を受けて投資家が戻ってきていると述べた。
UBSアセット・マネジメントの新興国・アジア太平洋債券部門責任者、シャマイラ・カーン氏は「一部のセクターや国は、トランプ氏の勝利で恩恵を受ける可能性がある」とし、新興国への投資で多額の利益を上げることは可能だとの見方を示した。
ウクライナの国内総生産(GDP)連動ワラント債は、トランプ氏の勝利を受けて、ロシアとの戦争の終結が早まるとの期待が広がり、大幅に上昇した。
アルゼンチンの株式・債券も上昇。過激な主張で知られる同国のミレイ統領とトランプ氏の関係が緊密になるとの見方が背景だ。
<不安と乱高下>
金融関係者は今年の起債ブームが来年も続くのではないかと期待していたが、例年、起債が集中する1月にトランプ氏の就任式があるため、その前後にボラティリティーが高まり、発行市場に影響が出るリスクがあると一部で懸念されている。
バークレイズは、新興国が国際資本市場で発行するソブリン債が今年最大1600億ドル、来年は1300億ドル前後になると推定している。
借り入れコストの高さが新興国の資金調達力を圧迫するとの見方もある。
ただ、市場関係者によると、全体としては、トランプ氏が勝利した16年の大統領選後の不安感、市場の乱高下、リスク回避傾向が再来する可能性は低く、好材料がある新興国は資金流入が続くとみられている。
アムンディのシジコフ氏は「われわれは以前にもトランプ氏を経験した。一度見た映画であり、われわれは乗り越えてきた」と述べた。
中国貿易黒字、年1兆ドルに迫る勢い-トランプ次期政権との摩擦必至 - Bloomberg
中国の貿易黒字は今年、過去最高となる見通しだ。世界貿易の不均衡を悪化させ、トランプ次期米大統領による対抗措置を招くリスクを高めそうだ。
ブルームバーグの推計によると、中国の輸出と輸入の差額は、今年に入ってからのペースで拡大が続けば、通年でほぼ1兆ドル(約154兆円)に達するとみられる。先週発表されたデータによると、1月から10月までの10カ月間の物品貿易黒字は7850億ドルに及んだ。同時期としては過去最高で、前年同期から約16%増加している。
最新のデータによると、対米貿易黒字は前年同期比で4.4%増加した。対欧州連合(EU)の黒字は9.6%、東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国に対する黒字は約36%増加した。
米外交問題評議会(CFR)シニアフェローのブラッド・セッツァー氏は、X(旧ツイッター)で「中国からの輸出は価格下落が続いているが、数量の伸びが著しい。全体的な傾向としては、輸出が再び経済成長をけん引している」と指摘した。
国内需要の低迷を補うため、中国は輸出への依存を強めている。中国政府は10月にようやく、景気刺激策を導入し始めた。
10月の貿易黒字は過去最高だった6月に迫る史上3番目の規模。人民元建てて計算すると、貿易黒字は今年9月までで名目国内総生産(GDP)の5.2%に達する。過去10年間の平均を大きく上回り、2015年以降で最高だった。
こうした偏った状況はますます多くの国々からの反発を招いている。米国のトランプ次期政権は中国製品の流入を減らそうと、関税を課す可能性が高い。南米から欧州に至るまで、各国は鉄鋼や電気自動車(EV)などの中国製品に対する関税を既に引き上げた。
外国企業は中国から資金を引き揚げつつある。8日遅くに発表されたデータによると、1-9月の外国直接投資は流出超となった。この傾向が年末まで続けば、比較可能なデータが存在する1990年以降、年間で初めての流出超になる。
中国政府は8日、対外貿易の着実な成長を後押しするとともに経済発展と雇用安定を促す目的で、産業向けの補助金を増強すると発表した。
中国企業はここ数年、輸出実績を伸ばしている。一方、経済の減速、電化の進展、外国製品から国内製品への置き換わりの増加により、輸入需要は低調だ。
●プロファイ、インフラ、自然災害
米国でデータセンター建設支出が急増、AI急成長で新たなブームに - Bloomberg
人工知能(AI)分野で競争が激化する中、米国の企業はデータセンターの建設に多額の資金を投入している。
米国勢調査局の最新データによると、民間部門のデータセンター建設支出は年率換算で300億ドル(約4兆6000億円)近くまで急増している。 これはオープンAIの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」が一般公開された2022年終盤の水準の2倍余りとなっている。
米企業は現在、データセンターにどのカテゴリーよりも多くの建設予算を割り当てている。昨年まではホテルや小売店、レジャー施設などの分野により多くの資金が投入されていた。
米資産運用会社KKRによると、米国はデータセンターへの投資急増をけん引しており、世界全体の支出は年2500億ドルに達する見込みだという。AIの進歩と従来よりも大規模な計算能力の必要性の高まりを背景にデータセンターの需要が増加している。
これは電力需要の急増も招いている。ハイテク大手からの需要増が家計やその他企業のエネルギーコスト負担の増加につながるとの懸念がある。
米国勢調査局がデータセンターの個別の数値を公表し始めたのは今年7月からで、それまではオフィス部門に含まれていた。データセンターがオフィス部門の建設全体に占める割合は、昨年初めは6分の1未満だったが、現在では3分の1を上回る水準となっている。
●その他
室内用のカメムシ捕獲器 鳥取の土木会社WESTが開発 - 日本経済新聞
「モペット」販売時に免許確認 違反増加、警察庁が指針 - 日本経済新聞
中野サンプラザ再開発、26年度以降着工 基本計画見直し - 日本経済新聞
LINEヤフー、置き配指定でポイント付与 2024年問題で - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(11日)米国株式市場は3指数が最高値更新、ユーロ/ドル下げ幅拡大 | ロイター
ニューヨーク外為市場ではユーロ/ドルが下落し、約7カ月ぶりの安値を記録しました。これは米国の関税引き上げがユーロ圏経済に悪影響を及ぼす懸念によるものです。ドル指数も上昇し、7月以来の高水準となりました。
米株式市場では、トランプ次期大統領の政策が株価に好影響を及ぼし、主要3指数が過去最高値を更新。テスラ株は、マスクCEOとトランプ氏の関係への期待から時価総額が9%増加し、金融株も買われました。一方、マイクロソフト、アマゾン、メタなどの大手テクノロジー株は約1%下落しました。
ニューヨーク商品取引所の金先物相場は、ドル高が圧力となり続落しました。ユーロ売り・ドル買いの流れが強まり、ドル建て商品の割高感から金の売りが進みました。また、トランプ次期大統領の関税導入によるインフレ再燃の可能性が、米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースの鈍化観測を生み、金相場の弱材料となっています。
同時に、原油先物相場も続落。中国の景気刺激策が期待外れだったことや、10月の中国消費者物価指数の低調な伸びから需要への懸念が拡大し、原油売りが進みました。さらに、バンク・オブ・アメリカは、OPEC非加盟国の原油生産量が今後増加する見込みと報じ、市場での需給バランスの悪化も指摘されています。
欧州市場サマリー(11日) | ロイター
ニューヨーク外為市場では、ユーロ/ドルが約6カ月半ぶりの安値を付けました。ユーロはドルに対して0.7%下落し、ドイツの政局不安も影響しています。ドル指数は上昇し、トランプ次期大統領の政策によるインフレ・債券利回り上昇予測が、ドルをサポートしています。ドル/円は円安となり、日本の介入警戒感が高まりました。ビットコインは最高値の8万3000ドルを超えました。
ロンドン株式市場では反発が見られ、FTSE 100は上昇。一方、鉱業株指数は中国の景気刺激策への失望で下落しました。欧州株式市場でも上昇があり、防衛関連株がトランプ氏の政策期待で高騰しました。ノボ・ノルディスクなども大きく上昇しています。
ユーロ圏債券市場では、トランプ次期米大統領の政策とドイツ連立政権崩壊の影響を見極めたいとの見方から、域内国債利回りが低下しました。ドイツ10年債利回りは4ベーシスポイント低下し、約2週間ぶりの低水準の2.33%となりました。米国市場が祝日で休場だったことや経済指標の少なさもあり、取引は低調でした。
トランプ氏の関税案が欧州経済に打撃を与えれば、欧州中央銀行(ECB)は利下げを検討する可能性があり、利回り低下要因となります。市場では、ECBが12月に0.25%の利下げを行うと予測されています。スペイン10年債利回りは5ベーシスポイント低下し3.06%、イタリア10年債利回りも7ベーシスポイント低下し3.59%となりました。

備忘録(2024/11/8-10
●海外企業決算
豪ANZ、通期利益が市場予想下回る 競争激化とコスト増が響く | ロイター
2024年度(9月末終了)通期決算は、キャッシュ利益が67億3000万豪ドル(44億9000万米ドル)となり、前年度の74億1000万豪ドルから減少した。ビジブル・アルファがまとめた市場予想の68億2000万豪ドルも下回った。
預金や融資事業における競争激化とコスト増の影響で利幅が縮小した。最終配当は1株当たり0.83豪ドルとし、前年度の0.94豪ドルから引き下げた。
シェーン・エリオット最高経営責任者(CEO)は声明で「(中核である銀行業務)セクターは引き続き競争が激しく、特に住宅ローンと預金でその傾向が顕著だ」と説明した。
営業収入は208億1000万豪ドルと前年度からわずかに減少したが、市場予想の207億7000万豪ドルより高い水準だった。
融資の利ザヤを示す純金利マージンは前期から13ベーシスポイント(bp)低い1.57%。期末時点における普通株式などの「ティア1」自己資本比率は1ポイント余り低下して12.2%となった。
エールフランスKLM、第3四半期営業利益が市場予想下回る | ロイター
第3・四半期決算は、営業利益が前年同期比1億6200万ユーロ減の11億8000万ユーロ(12億7000万ドル)となり、市場予想の12億4000ユーロを下回った。
第3・四半期はユニットコスト(1座席・1マイル当たりのコスト)が前年同期比3.4%増えた。パリ五輪の影響で外国の観光客がパリ訪問を回避したことやフランス市民が休暇を先送りしたことも収益を圧迫した。
同社はまた、今年通期のユニットコストが前年比約3%増えるとの見通しを示し、従来の予想(2%増)を上方修正した。
バーンスタインのアナリストグループは資料でユニットコストの増加について「主に(オランダの)KLMにおける人件費と整備費の増加と輸送力の低下に関係している」と記した。
KLMは10月、コスト削減と投資延期を発表した。理由として、航空業界が直面している機材コストの増加、人手不足、空港使用料の値上げを挙げた。
エールフランスKLMのベンジャミン・スミス最高経営責任者(CEO)は声明で「KLMでは、根強いコスト面の試練が想定以上に増大し、ビジネスモデルの一部で圧力が高まるとともに、より抜本的な構造改革の必要性が強まった」と説明した。
アムステルダムのスキポール空港は来年4月から航空会社に課す空港使用料を41%引き上げる。KLMは、これによる来年の営業利益への影響を6500万-1億1000万ユーロと推計している。
エールフランスKLMは、フランス政府が提案している航空券連帯税の引き上げが来年の営業利益に及ぼす影響を9000万-1億7000万ユーロと見積もっている。
スミス氏は記者会見で「直接的な影響は航空運賃の値上げとなる可能性があり」、客足が遠のきかねないと述べた。
さらに同氏は、顧客へのコスト転嫁は難しいかもしれず、コスト増を一部吸収する必要があると付け加えた。
第3・四半期の売上高は前年同期比3.7%増の89億8000万ユーロ。
高級ブランドのリシュモン、7─9月は1%減収 中国不振も宝飾品好調 | ロイター
第2・四半期(7─9月)の売上高は為替変動の影響を除くベースで1%減の48億1000万ユーロ(51億9000万ドル)となった。
中国の販売が不振だったが、米州、日本、中東は大幅な増収となった。アジア太平洋地域は18%の減収。
HSBCによると、市場予想は47億8000万ユーロだった。
ヨハン・ルパート会長は「不確実性が常態化した世界で当社は持続的な底堅さを示した」とし、宝飾品部門が好調を維持したと述べた。
宝飾品部門は4%の増収。時計部門は19%の減収だった。
上期の純利益は15億1000万ユーロから4億5800万ユーロに減少。傘下の高級ブランド通販サイト、ユークス・ネッタポルテを独同業マイテレサに売却することで合意し、12億7000万ユーロの評価損を計上したことが響いた。
[BAX] バクスターインターナショナル 3Q増収営業黒字転換 売上高4%増26.9億ドル、営業益1.55億ドル、EPS0.27ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
テスラ時価総額1兆ドル台、約2年ぶり トランプ次期政権下で優遇か | ロイター
米LNG開発企業、政権交代で事業拡大に自信 環境団体は対抗へ | ロイター
米大統領選のトランプ氏勝利を受け、新たな輸出プロジェクトの承認を待っている液化天然ガス(LNG)開発企業は事業拡大を進めやすくなると自信を示している。
バイデン大統領は自由貿易協定(FTA)締結国以外への新規輸出認可を一時停止し、新規LNGプロジェクトが気候や経済に与える累積的影響をより広範に評価するようエネルギー省に指示。トランプ氏は同省の審査を終わらせると公約している。
LNG・パイプライン事業者エナジー・トランスファーのマーシャル・マックレア共同最高経営責任者(CEO)は電話会見で「理性的で合理的な人々がこの国を運営することになる」と指摘。政権交代により、ルイジアナ州のLNG輸出施設(130億ドル規模)にゴーサインが出ることは確実だと述べた。
ルイジアナ州キャメロン近郊に100億ドル規模の施設を開発中で、LNG輸出認可を1年半以上待っているコモンウェルスLNGは、FTA非締結国への輸出が承認されるのを心待ちにしているとした。
テキサス州を拠点とする「ポート・アーサーLNG」の第2期建設を計画しているセンプラLNGは現在、来年6月までに輸出認可を得られると見込んでいる。
一方、環境保護団体は新規プラントの阻止に向け圧力をかけ続けると表明。シエラ・クラブの担当者マヒャール・ソロア氏は「汚染された水や空気から人々を守る措置を踏みにじろうとする動きに対抗するため、できることは何でもやる」と語った
ボーイング、航空ナビ部門9100億円で売却検討  米報道 - 日本経済新聞
航空機大手の米ボーイングが航空ナビゲーション部門の売却を検討していることが分かった。売却額は約60億ドル(約9100億円)に達する可能性もあるという。資産売却で債務を圧縮し、財務体質を改善する。米ブルームバーグ通信が伝えた。
ボーイングの航空ナビ部門は「ジェプセン」というブランドとして知られる。1930年代に創業し、2000年に約15億ドルで買収され、ボーイングの傘下に入った。
航空図や飛行計画策定ソフトなどを航空会社やアマチュア操縦士向けに開発し、販売している。報道によると、部門売却は検討の初期段階だが、25年前半にも実現する可能性があるという。
製造品質問題に揺れるボーイングは9月中旬から約50日にわたりストライキが発生した。手元資金が流出し、負債も膨らんでいる。
●日本企業
日産、半年で業績改善の兆しなければ信用力に下方圧力=S&P | ロイター
S&Pグローバル・レーティングは8日、日産自動車について業績改善の兆しが今後6カ月程度でみられない場合、信用力への下方圧力が強まるとの見解を示した。日産の現在の長期格付けはBBプラス、アウトルックは安定的。
日産は7日、米国や中国市場の販売不振で悪化した収益構造を改善するため、世界で生産能力を20%、人員を9000人削減すると発表。費用の算定が困難とし、3000億円を予想していた2025年3月期の純損益予想を取り下げた。営業利益の見通しは7割引き下げた。
S&Pは日産の業績が改善基調に転じるタイミングは、S&Pの従来想定より遅れるとみている。日産が計画する生産能力や人員削減を通じたコスト削減策は、日産の収益性を高める一方、構造改革費用が巨額となる場合は一時的な業績下押し要因にもなると指摘。健全な財務基盤は引き続き格付けの下支え要因だが、その余力は従来より低下する可能性が高まっているとの見方を示した。
三井不動産の純利益32%減 4〜9月決算、前年物件売却の反動 - 日本経済新聞
クボタ純利益7%減 24年12月期、米欧苦戦で下方修正 - 日本経済新聞
川崎重工が下方修正 四輪車不振で純利益730億円に - 日本経済新聞
●先進国政治動向
トランプ政権2期目、司法さらに保守傾斜へ-自由と権利脅かすとの声 - Bloomberg
返り咲きを果たしたトランプ前大統領は、1期目に司法機関の空席を相次ぎ埋め、連邦判事の構成を右派へと大きく傾けた。大統領が任命した判事を承認する上院は共和党が奪還することが確定しており、トランプ氏は2期目で再び影響力を行使できる機会を手にした。とりわけ米社会で重要かつ意見が分かれる問題について扱う高裁判事の人事で、保守色が一段と強まりそうだ。
現時点で、高裁判事の空席は2つしかない。しかし、ブルッキングス研究所のガバナンス研究プログラムのラッセル・ウィーラー非常勤上級研究員が収集したデータによると、現職の高裁判事177人のうち、トランプ政権2期目に共和党任命の34人と民主党任命の29人が引退する可能性がある。
これによりトランプ氏は民主党任命の判事を入れ替えることで、高裁のバランスを大きく変えることができるはずだとウィーラー氏は指摘。「司法を巡って一定の混乱が生じる可能性が高い」と述べた。
トランプ氏の支持者にとって、司法のさらなる保守傾斜は、トランプ氏が2017年に着手した取り組みが結実することを意味する。トランプ政権1期目で判事任命の管理を共同で担当していたロブ・ルーサー氏(現在はジョージ・メイソン大学教授)は「判事の任命は、トランプ氏1期目で最も成功した政策イニシアチブであり、トランプ氏の返り咲きは連邦裁判所の変革を確実なものにする」と話す。
「公民権や市民の自由、リプロダクティブ(性と生殖)に関する自由など、これらすべてがトランプ氏が新たに任命する判事によって一段と脅かされるだろう」。こう指摘するのは、進歩派の権利擁護団体「ピープル・フォー・ザ・アメリカン・ウェイ」のシニアフェロー、エリオット・ミンクバーグ氏だ。また、トランプ氏の任命する判事が高裁レベルで増えることで、行政機関の弱体化というトレンドが継続することになるという。「最高裁判所は行政機関の権限について下級裁判所が積極的に再評価するよう明確なシグナルを送った」と同氏は指摘した。
連邦判事は終身制で、任命した大統領が退任した後も長期にわたって職にとどまるのが一般的だ。そのため、判事の影響は何十年も続くことになる。
高裁は最高裁ほど注目されないが、金融規制、反トラスト法(独占禁止法)訴訟、人工妊娠中絶の権利など、米社会にとって重大な意味を持つ案件の多くについて最終的な判断を下す役割を担う。
シラキュース大学ロースクールのデビッド・ドリーセン教授(憲法)は最も重要な法的問題は高裁で解決されると指摘する。そのため「これら高裁の支配は極めて重要な意味を持つ」という。
高裁で扱われる5万件以上の訴訟のうち、最高裁に上訴されるのは全体の1割にとどまる。最高裁が審理する訴訟は年間で100件以下だ。 最高裁に上訴されない場合、高裁の判決が確定する。
トランプ氏はまた、最高裁への影響力をさらに強める可能性もある。1期目では、保守派判事3人を任命して最高裁の右派色が大きく強まった。保守派のクラレンス・トーマス判事(76歳)とサミュエル・アリート判事(74歳)が任期中に引退すれば、トランプ氏は後任の任命を通じて最高裁における保守傾斜を今後数十年にわたって持続させることが可能になる。
トランプ次期米政権の経済チーム、主要メンバー候補はこれらの人々 - Bloomberg
トランプ次期米大統領のチームは新政権発足の準備を進めており、トランプ氏はウォール街やビジネス界の重鎮から政権中枢の顧問や閣僚を起用するとみられている。これには政権1期目からの当局者で、少なくとも同氏に付き従ってきた人々が含まれる。
共和党はホワイトハウスだけでなく議会上院も制し、政府部門を完全に掌握する勢いだ。7日時点では下院の過半数も維持する方向にある。トランプ氏が指名する4000人もの政府ポストは20人余りの閣僚人事を含め、上院での承認プロセスを楽々と通過する可能性があるということだ。
トランプ氏の政権移行作業は8月に正式に開始され、米投資銀行キャンターフィッツジェラルドのハワード・ルトニック最高経営責任者(CEO)と、米プロレス団体ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)のリンダ・マクマホン共同創業者が共同委員長を務めている。両氏はトランプ氏と共にフロリダ州にある同氏の邸宅「マールアラーゴ」におり、そこで閣僚候補との面接が行われる見通し。
トランプ氏は7日、大統領選で同氏陣営の選対本部長を務めたスージー・ワイルズ氏を大統領首席補佐官に起用した。ワイルズ氏はワシントンで最も強力な職責の一つを担う初の女性となる。同氏は大統領のスケジュールを直接管理し、政権・議会内の優先順位の高い政策調整を推進する立場になる。
ワイルズ氏は、トランプ氏がしばしば醸成する混沌(こんとん)とした世界に秩序と規律をもたらし、共和党候補者選びの予備選・党員集会と本選挙の両方で同氏を助けたと広く評価されている。
トランプ氏はまた、イーロン・マスク氏やロバート・ケネディ・ジュニア氏を政策方針の一部を推進するために起用する可能性も示唆している。
トランプ氏の政権移行チームは、2017年のホワイトハウス初期の混乱を繰り返さないことを目指し、16年当時よりもはるかに組織化されている。11月末までに財務長官と国務長官を指名する可能性がある。
以下は、誰が選挙期間中にトランプ氏に助言したり、同氏をプロモートしたりしたかや、資金集めに協力した人々、事情に詳しい複数の関係者が過去数カ月に名前が挙がったとする人物らを基にしたリストだ。
財務長官 
財務長官の職務には、世界経済に対する大きな責任が伴う。財務長官は世界の基軸通貨ドルの重要な代弁者、経済のチアリーダー、金融市場の監督者、ドル紙幣の署名者でもある。彼らは政治的な絡み合いをかき分け、国際経済外交の先頭に立ち、金融システムのインフラに立ち入る必要のある危機的状況にウォール街のノウハウを持ち込む。同時に、時には個人的な威厳を通して、投資家を平穏に保つための予測可能性と安定性を醸し出さなければならない。
スコット・ベセント氏:マクロヘッジファンドのキー・スクエア・キャピタル・マネジメントを率いるベセント氏は今年初めにトランプ側近の注目を集めた。重要な経済政策演説の作成に協力し、選挙運動のための資金を集め、テレビに出演してトランプ政権2期目の政策方針を宣伝している。過去数カ月にベセント氏はイエレン財務長官が国債発行に政治的干渉を加えていると非難し、9月の0.5ポイント利下げを巡って米金融当局を批判。保護主義的な政策課題に合わせて米国の通貨政策を推進するアイデアを提示している。
ジェイ・クレイトン氏:米証券取引委員会(SEC)委員長を務めたクレイトン氏は、規則と執行の緩和で上場企業を支援することを党派的な使命としていた。しかし、独立した規制当局であるSECの委員長としては、規則改正に慎重な姿勢を示すことがしばしばあり、民主党側に立つことも多かった。クレイトン氏はテレビ番組に出演し、自分がSEC委員長だった当時の影響を宣伝する一方、業界に対するゲンスラー現委員長の積極的な姿勢の有効性に疑問を呈している。
ビル・ハガティ上院議員:テネシー州出身のハガティ氏は、金融規制問題や金融政策などを監督する上院銀行委員会のメンバーだ。ブッシュ(父)元大統領の経済顧問を務めた後、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資業界に転身。20年の上院議員選挙で当選した。新議会では共和党が上院で多数派になるが、民主党との議席数の差が小さい状況でトランプ氏が共和党議員を起用するかどうかは疑問だ。トランプ政権1期目で駐日大使を務めたハガティ氏は国務長官候補の1人とも考えられる。
ロバート・ライトハイザー氏:ライトハイザー氏は、トランプ政権1期目からの閣僚級顧問の中でも数少ない人物で、トランプ氏の大統領退任後の論争を通じ忠誠を尽くしただけでなく、今年に入ってからも親しい顧問となっている。政権1期では米通商代表部(USTR)代表を務め、米国の対中強硬姿勢の立役者となった。投資家がライトハイザー氏の財務長官起用の可能性を警戒しているのは、対中タカ派の同氏がトランプ氏を大幅関税引き上げに誘導することになれば、市場にどのような影響を与えるか分からないためだ。ライトハイザー氏は商務長官やホワイトハウスの通商顧問としても検討される可能性がある。
ハワード・ルトニック氏:キャンターフィッツジェラルドCEOのルトニック氏は、たちまちトランプ氏の政権移行共同委員長となり、ウォール街のトップチアリーダーとなった。広く献金者を開拓し、あるイベントだけで1500万ドル(約23億円)を集めた。閣僚やその他の高位の政治任用者は資産を公開し、利益相反を引き起こす可能性のあるものは全て手放すことが義務付けられているが、ルトニック氏は特別公務員として働く可能性も考えられる。このポストは無給で、連邦政府機関やホワイトハウスで最長130日まで働くことができ、資産売却や公開は義務付けられていない。
ジョン・ポールソン氏:トランプ氏は、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンの価値下落を見越した投資を行い、150億ドルを稼いだポールソン氏をお金を産む「マネーマシン」と呼んでいる。両氏はともにニューヨーク市クイーンズ生まれで、厄介な離婚問題や法廷闘争を経験し、哲学的にも一致している。
ポールソン氏は、トランプ氏が最初の大統領選に立候補した際の経済諮問委員会のメンバーの1人であり、個人的に寄付を行い、フロリダ州パームビーチの自宅での集会で5000万ドル余りの資金集めに貢献した。これらはいずれもトランプ氏が好む忠誠心を証明するものだ。
一方、ポールソン氏には複雑な事情がある。同氏は住宅ローン大手の連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の優先株を非公開で大量に保有している。財務省のトップに就けば、政府が管理するファニーメイとフレディマックを長官が監督することになるため、株式売却が必要となり、ポールソン氏にとっては損失となる可能性がある。
グレン・ヤンキン氏:現バージニア州知事のヤンキン氏は、カーライル・グループの元幹部だ。ヤンキン氏は21年の自身の知事選の際、トランプ氏とは一定の距離を置いた。5日の大統領選では民主党候補のハリス副大統領が同州を制したが、ヤンキン氏は近年、トランプ支持を強めている。知事任期は25年まで。
国家経済会議(NEC)委員長
大統領の経済チームには、ホワイトハウスの国家経済会議(NEC)委員長が含まれる。この仕事には、政治的な洞察力があり、議会や国民に対して大統領の政策方針を推進できる人物が必要だ。財務長官候補に検討されている人物は、NEC委員長になる可能性もある。トランプ政権1期目で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたエコノミストのケビン・ハセット氏と、連邦準備制度理事会(FRB)理事を強めた経歴を持つケビン・ウォーシュ氏もNEC委員長候補と見なされている。
トランプ氏政権移行チーム、パリ協定離脱を準備=報道 | ロイター
トランプ氏、次期政権の人選開始 エネルギー政策担当ポストなど | ロイター
トランプ次期米大統領は、エネルギー業界の規制緩和に注力する新たなエネルギー政策担当の要職にノースダコタ州のバーガム知事を起用することを検討している。英紙フィナンシャル・タイムズが8日、関係筋の情報として報じた。
同ポストの役割や権限はまだ確定していないという。
バーガム氏のほか、ブルイエット元エネルギー長官も候補に挙がっているもよう。
また、関係筋によると、トランプ氏の1期目に米証券取引委員会(SEC)委員長を務めたクレイトン氏の閣僚入りを巡る交渉が行われている。司法長官もしくは財務長官候補の可能性があるが、クレイトン氏は米中央情報局(CIA)長官ポストに関心があるという。
そのほか、プロレス団体ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の共同創業者で元最高経営責任者(CEO)のリンダ・マクマホン氏が商務長官の最有力候補になっていると、関係筋3人が明らかにした。
トランプ氏、ライトハイザー氏にUSTR代表復帰を打診=報道 | ロイター
トランプ次期米大統領がライトハイザー前米通商代表部(USTR)代表に、新政権下で同ポストに復帰するよう打診した。英紙フィナンシャル・タイムズが8日、関係筋の情報として報じた。
ライトハイザー氏はトランプ氏の1期目にUSTR代表を務めた。関税を強く支持し、中国との貿易戦争や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で主導的役割を担った。
ただ、FTによると、ライトハイザー氏は商務長官など別の役職に関心を示していたという。
一方、関係筋は、この報道は事実ではないと語った。
トランプ氏の政権移行チームからコメントは得られていない。
トランプ氏は来年1月の就任に向け、要職人事を進めており、7日には選対本部長を務めたスージー・ワイルズ氏を大統領首席補佐官に起用すると発表した。
トランプ氏、ヘイリー氏・ポンペオ氏起用せず 新政権で - 日本経済新聞
トランプ次期米大統領は9日、2025年1月に発足する新政権でニッキー・ヘイリー元国連大使、マイク・ポンペオ元国務長官を起用しないと表明した。自身のSNSで2人の名前を挙げ「現在検討中のトランプ政権に招くつもりはない」と記した。
SNSではヘイリー氏とポンペオ氏について「以前、彼らとの仕事を非常に楽しみ、感謝している。米国への貢献に感謝したい」と書き込んだ。
共和党のトランプ氏は5日の大統領選で民主党のハリス副大統領を破り、当選を確実にした。新政権の人事を本格化させており、7日に政権運営の要となる大統領首席補佐官にスーザン・ワイルズ氏を起用すると発表した。政権移行チームを発足させ、閣僚を含む政府高官の主要ポストの人選を急ぐ。
ヘイリー氏は前政権で国連大使を務めた。今年1月に始まった共和の候補者指名を争う予備選でトランプ氏と戦い、大差で敗れた。選挙戦から撤退後にトランプ氏支持を表明したものの、予備選の期間中には同氏が大統領に返り咲けば「大きな混乱がつきまとう」などと指弾した。
ヘイリー氏はトランプ氏の投稿後にX(旧ツイッター)で「国連で米国を守るトランプ氏と協力できたのは誇りだ」と書いた。「今後4年間、より強く、より安全な米国へと前進させるために、トランプ氏らの大きな成功を祈る」と強調した。
ポンペオ氏は第1次トランプ政権で米中央情報局(CIA)長官や国務長官としてトランプ氏を一貫して支えた。退任後はトランプ氏を念頭に「後ろを見るのではなく、前を向くリーダーが必要だ」と批判した。大統領選ではトランプ氏への支持を明言していた。
米鉄鋼大手のUSスチール買収をめざす日本製鉄はポンペオ氏をアドバイザーに起用した。買収に向けた交渉を円滑に進める狙いがあるとみられるが、トランプ氏は買収に反対する方針を繰り返し明らかにしている。
●先進国中銀、金融当局
次期政権との衝突懸念せず、インフレ低下は共通の望み=ミネアポリス地区連銀総裁 | ロイター
米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、民主党も共和党もインフレ率の低下を望んでいるため、米連邦準備理事会(FRB)と共和党のトランプ次期大統領が衝突する可能性を心配していないと語った。
カシュカリ氏はFOXニュースのインタビューで、両党ともにFRBが経済を力強く保ち、インフレを低下させることを望んでいると述べた。
カシュカリ氏は、12月のFOMCでの追加利下げについては見解を示さなかったが、最近の力強い成長と生産性の向上が、そうでない場合よりも高い金利の必要性を示唆している可能性があると指摘。
「経済の回復力には驚いている。もしそれが持続し、今後も構造的により生産性の高い経済が続くのであれば、利下げはさほど必要ないだろう」と述べた。
カシュカリ氏は「FRBが経済に関わる職務に専念できる体制を大いに信頼している。インフレ率の低下と力強い労働市場を誰もが望んでいる」と語った。
気候変動の影響注視しつつ2%インフレ目標維持したい=日銀総裁 | ロイター
日銀の植田和男総裁は9日、スイスのバーゼルで国際決済銀行(BIS)などが主催した気候変動関連の会合に出席し、気候変動が将来の物価動向に長期的なショックを与えるとしても、日銀は2%のインフレ目標を維持したいと述べた。
植田総裁は、気候変動が経済に与える影響や、政府の脱炭素化促進策がインフレ期待に与える影響について、日銀は注視していくと発言。
インフレ期待への影響は心配だとしつつも、気候変動によるショックが起きても「インフレ目標は現在の水準を維持したい」と述べた。
植田氏は、日本は将来的に炭素税を導入する可能性が高く、それがインフレ期待に影響を与える可能性があると指摘した。
また、脱炭素化社会への転換を促すための政府補助金も短期的にはインフレ圧力を生むかもしれないが、基調的なインフレ率は現在まだ2%を下回っているため、日本は「当面はそのようなインフレ圧力に対応できる」と語った。
●先進国経済指標
米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は73.0 7カ月ぶり高水準 | ロイター
米ミシガン大学が8日に発表した11月の消費者信頼感指数(速報値)は73.0と、前月の70.5から上昇し、4月以来7カ月ぶりの高水準となった。共和党支持者の間での見通しが明るくなったことが寄与した。ロイターがまとめたエコノミスト予想(中央値)の71.0も上回った。
消費者期待指数は78.5と6%近く上昇し、2021年7月以来3年以上ぶりの高水準を付けた。
1年先の期待インフレ率は2.6%で、前月の2.7%から小幅に低下し、20年12月以来の低水準となった。一方、5年先の期待インフレ率は3.1%と、前月の3.0%からやや上昇した。パンデミック前の5年間、5年先の期待インフレ率は2.2─2.7%の範囲だった。
今回の調査は、共和党のトランプ前大統領が民主党のハリス副大統領に勝利した米大統領選の前日に実施され、党派的な偏りが顕著に示された。
支持政党別では、将来に対する見通しが最も改善したのは共和党支持者で、期待指数は72.0と17%超上昇し、トランプ氏が前回再選を目指した20年10月以来の高水準となった。全体的な信頼感指数も4月以来の高水準となった。
一方、民主党支持者では上昇幅は2%未満とわずかな改善にとどまった。それでも全体的な信頼感指数は94.9と、7カ月ぶりの高水準を付けた。
無党派層の見通しはより厳しく、全体的な信頼感指数は9%低下の60.1と、4カ月ぶりの低水準となった。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は声明で「所得見通しの改善などに支えられ、個人の財務状況に対する期待が6%上昇した」と指摘。短期的なビジネス環境に対する期待が9%急上昇したほか、長期的なビジネス環境に対する期待もここ約4年で最も良好な水準に改善したと述べた。
●金融市場、先進国トピックス
ドイツの混乱、背景に100兆円超える資本流出-競争力喪失で経済衰退 - Bloomberg
ドイツ経済の競争力喪失が顕著だ。それが経済から活力を奪ってもいる。
ドイツ連邦銀行(中央銀行)のデータによると、化学品メーカーのBASFや自動車部品のZFフリードリヒスハーフェン、家電のミーレなどの企業が国外に資源を移し、2010年以降の純資本流出額は6500億ユーロ(約107兆円)を超える。しかも、この約4割は、ショルツ首相率いる連立政権が発足した21年以降に発生した。
米大統領選挙でトランプ前大統領が歴史的勝利を収めたことにより、ドイツ企業には関税回避の目的で米国への投資を増やすよう圧力がかかる。これが資本流出を加速させる恐れもあるだろう。選択肢に乏しく次期総選挙の予定まで1年を切っていた中、経済再生を巡る論争がもとでショルツ首相はリントナー財務相を更迭。ドイツは05年以来の早期総選挙に向かう見通しとなった。
連立政権が劇的に崩壊した核心には、高いエネルギー価格と時代遅れの技術、過大な負担を課す官僚制度などドイツの問題がある。これが国内優良企業を外へと追いやり、外国資本の呼び込みを頓挫させてきた。
世論調査でリードするキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のメルツ党首は今週初め、「経済は機能していない。巨額の資本が流出している」と指摘し、早期総選挙を呼びかけた。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、マーティン・アデマー氏は「経済政策を巡る目先の不透明性がすでに極めて高かったところ、ショルツ首相は早期総選挙を目指すに至った。こうしたドイツ政府の混乱によってさらに視界不良となり、企業に投資決定の延期を促すだろう」と指摘した。
不満は政府に向けられているが、ドイツの問題は何年も前から蓄積され、資源の移転を助長してきた。
送電網や路面電車、長距離電話線などドイツの革新を主導してきたエンジニアリング会社シーメンスは、2020年以降の投資額が300億ユーロに上るが、そのほとんどは国外での買収と事業拡大に振り向けられた。国内最大のプロジェクトは100年の歴史を持つベルリンの地区再開発だが、投資額は7億5000万ユーロほどでしかない。
「実際、ドイツへの投資を支持できる材料は何もない」と、シーメンスの税務担当グローバルヘッド、クリスティアン・ケーザー氏は10月半ばに同国議会の公聴会で述べ、低成長と重税を挙げた。「当社の最近の投資が外国で行われているのは、それが理由だ」と説明した。
シーメンスは先週、米ソフトウエアメーカーのアルテアエンジニアリングを100億ドル(約1兆5300億円)で買収する合意を締結。同社にとって過去最大級の買収で、外国志向の姿勢が表れた格好だ。
資本流出は弱まる兆しが見えない。自動車大手のフォルクスワーゲンは国内事業の縮小に動き、巨額の補助金を受けるインテルのドイツ東部工場のプロジェクトも問題に突き当たっている。
「これまでのドイツのビジネスモデルは崩壊した。企業はますます外を見るようになっている」と、ケルン経済研究所のエコノミスト、クリスティアン・ルシェ氏は指摘した。
ドイツが国内外の投資家を引きつけ流れを変えることができなければ、停滞は長引き、他の先進国にいっそう後れを取る恐れが生じる。それが有権者を動揺させ、政治的な混乱を繰り返すという悪循環も生まれる。
巨額の資本流出を食い止めるには、行動を急ぐ必要がある。連銀によると、ドイツ企業が2010年以降に外国に投資した額は1兆7000億ユーロに上る。流出は脆弱(ぜいじゃく)なセクターで強まっている兆しがあり、エネルギー集約型の企業は22年の対米投資額が約700億ユーロと、10年前の3倍余りに増加した。
近く退任するBASFのマーティン・ブルーダーミュラー最高経営責任者(CEO)は「他地域に比べて、欧州は競争力を失ったと実感できる」と、今年前半の決算発表で述べ、「欧州の中でも、ドイツはとりわけ競争力を失った」と続けた。
特に問題視されるのは官僚制度だ。何度となく簡素化の試みはあったものの、ドイツ企業が影響を受ける規制はおよそ5万ページと、10年前の3万4000ページからかえって増加した。Ifo経済研究所による1700社余りを対象とした最近の調査では、この問題を理由に過去2年間で約半数の企業が国内でのプロジェクトを延期した。
欧州委員長、米国産LNGの輸入拡大示唆-ロシア産消費削減に向け - Bloomberg
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、域内のロシア産液化天然ガス(LNG)の消費削減に向け、米国からの輸入を増やす案を示唆した。
フォンデアライエン氏は8日、LNGはトランプ米次期大統領との最近の電話会談で「われわれが触れた話題の1つ」だと指摘。「われわれはまだロシアから大量のLNGを輸入している。それをより安価な米国産LNGに変えればエネルギー価格の低下につながる」と述べた。
米国はすでに欧州への最大のLNG供給国だが、ロシアは依然として第2位の座を堅持している。ロシアのパイプラインガスとLNGはおおむね制裁の対象外となっているものの、EU当局はウクライナでの戦争が続く中、ロシアの役割を抑制する方法を模索している。
フォンデアライエン氏は、トランプ氏との会談ではLNGについてあまり詳細に踏み込まなかったと慎重にコメントした上で、LNGは「議論の余地がある問題だ」と語った。
米銀に「パラダイムシフト」とメイヨー氏、トランプ流の規制緩和で - Bloomberg
米大手銀に関する鋭い論考で知られるベテランアナリストのマイク・メイヨー氏は、ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス返り咲きで銀行業界に大きな変化の波が押し寄せるとみている。規制緩和がウォール街の収益力を大幅に押し上げるという。
ウェルズ・ファーゴのアナリストであるメイヨー氏は「銀行にとって厳しい規制のサイクルが長く続いてきた。今期待されているのは、政治よりも経済を優先するパラダイムシフトだ」とインタビューで語った。
こうした楽観論を展開するアナリストは同氏だけではない。トランプ次期大統領が掲げる減税などの公約が経済成長を加速させ、金融業界に新たな追い風が吹くと期待する向きは多い。
トランプ氏が実際に選挙公約を実行に移すかは予断を許さないとの慎重な見方もあるが、一つ明らかなのは、銀行株の見通しがこれほど明るいのは過去数年なかったということだ。
メイヨー氏は「銀行が資本をどう管理するかという点での分水嶺になるかもしれない」と述べた。
米大統領選翌日の6日の株式市場では、ゴールドマン・サックス・グループ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴの株価がいずれも10%余り上昇。KBW銀行株指数構成銘柄の時価総額は計2370億ドル(約36兆1500億円)増えた。
銀行株のセンチメントを改善させているのは規制緩和期待だけではない。アナリストや投資家は、トランプ氏の成長優先政策でディールメーキングや新規株式公開(IPO)の件数が増え、資本市場の活動が全般的に加速するとみている。
一部のアナリストは、銀行株の一段の上昇には懐疑的だ。ベアードは7日の顧客向けリポートで、バリュエーションの高さを理由にJPモルガン株の利益確定売りを推奨した。
メイヨー氏にとっても、銀行株に強気になることはリスクと無縁ではない。トランプ氏の政策が経済を過熱させ、インフレを再燃させる恐れがあるからだ。「異例の大幅減税や関税引き上げ、もしくは金利を急騰させるような動きがあれば、トランプ・ラリーは短命に終わる可能性がある」と同氏は認める。
それでも、見通しは明るいというのがメイヨー氏の見立てだ。「投資家にとって最大の懸念は規制面での不確実性だった。その心配はかなり軽減されることになる」と語った。
米10年債利回りは再び5%も、トランプ氏公約実現なら-JPモルガン - Bloomberg
焦点:トランプ勝利で円安再燃、揺れる利上げ慎重論 介入警戒感も浮上 | ロイター
米大統領選でトランプ前大統領が勝利し、為替は円安に振れた。来年1月の就任に先立ち、トランプ減税や関税強化などの政策を織り込む形でドル高/円安が再び勢いづくことも予想され、今後の動向次第で政府内の利上げ慎重論に揺さぶりをかけそうだ。市場では介入警戒感も浮上している。
<「日銀への期待」明記へ>
トランプ氏の大統領選勝利は、石破茂政権にとって、今月下旬の閣議決定をめざす経済対策に着手した矢先の一報だった。
複数の政府、与党関係者によると、経済対策では、1)物価高の克服、2)日本経済・地方経済の成長、3)国民の安心・安全の確保――という3本柱を想定している。予算や財政投融資、税制などを念頭に、あらゆる政策を総動員する姿を打ち出す。
デフレ脱却に向けては、引き続き日銀と足並みをそろえていく構えだ。素案では「日銀と緊密に連携し、デフレからの早期脱却と物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、一体となって取り組んでいく」と記す。
首相は10月の就任直後に「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と言及。その後、自らの発言を打ち消したが、首相周辺では「個人消費が力強い回復には至っていない」(幹部)ことから、利上げは慎重であるべきとの声が残る。
先の衆院選で少数与党となった現政権は、野党とどう連携していくかも避けて通れない内政面の課題だ。金融政策運営を巡り、秋波を送る国民民主党からは「向こう半年は利上げを急ぐべきではない」(玉木雄一郎代表)との声が上がる。
<再浮上する年内利上げ説>
もっとも、政治サイドがこうした姿勢を維持できるかは見通せない。
トランプ氏が掲げる政策には、代表的な減税措置のほか、関税強化や不法移民の送還なども盛り込まれ、実現すればインフレを促進させることになりかねない。
「インフレが再燃すれば米利下げの着地点が従来想定よりも高くなったり、再び(米国が)利上げに傾くこともあり得る。政策実現性の高まりは円安を誘発し、日銀の利上げを促す材料になる」とニッセイ基礎研究所の上野剛志・上席エコノミストは言う。
円安は、輸出や対日消費を通じメリットが得られる半面、家計や中小企業への負担が膨らみやすい。放置すれば、金看板である「物価高に負けない賃上げ定着」にも黄信号が灯りかねない。
「トランプ氏の選出で米長期金利は低下しづらく、間違いなく円安圧力がかかりやすくなった。さらに円安が進めば12月の日銀利上げもあり得る」と、みずほリサーチ&テクノロジーズの太田智之チーフエコノミストは語る。
<円買い介入に制約なし>
トランプ氏選出に伴う円の先安観を受け、介入警戒感もくすぶり始めた。為替円安を巡り三村淳財務官は7日、投機的な動向も含め、為替市場の動向を「極めて高い緊張感を持って注視する」と語気を強めた もっと見る 。
円相場は7日に一時1ドル=154円71銭と、7月30日以来の安値に下落していた。
三村財務官が極めて高い緊張感という新たな表現と併せ、「行き過ぎた動きに対しては、適切な対応を取っていく」と強調したことで、市場では「円安への警戒感が強まっている」(大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジスト)との受け止めが目立つ。
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トランプ前大統領は今年4月、約34年ぶりのドル高/円安水準となったことを受け、SNS上に「大惨事だ」と投稿した。
就任以降も同様のスタンスをとるなら「円買い介入に制約をかけられることはない」と前出の石月氏は語る。「米国との協調介入もあり得る」と同氏はみている。
米の財政健全性リスク高まる、トランプ氏当選で=ムーディーズ | ロイター
格付け会社ムーディーズは8日、米国の財政状況がより高いリスクにさらされていると指摘した。共和党のドナルド・トランプ氏が次期米大統領に選出された上、議会でも共和党の優勢が予想されるためとした。
複数の推計によると、5日の米大統領選ではどちらの候補が勝利しても米国の財政赤字と政府債務水準は急増するが、民主党のハリス氏が勝利した場合はトランプ氏よりも債務の増加が少ないと予想されていた。
8日の時点では、共和党が議会の上下両院で過半数を獲得する可能性があり、そうなれば新たな政策をより迅速に実施できるとみられる。
ムーディーズは7日付のリポートで「財政赤字の抑制に向けた政策措置がなければ、連邦政府の財政状態の悪化は米政府の信用力にますます重くのしかかるだろう」と指摘。「トランプ氏が公約に掲げた財政政策と、議会の構成の変化によりその政策の成立可能性が高いことを考慮すると、米国の財政リスクは高まっている」とした。
ムーディーズは、3大格付け機関の中で唯一、米政府に対する最高格付けを維持している。
欧州の金融機関、トランプ政権2期目での競争激化に備え | ロイター
欧州を基盤とする金融関係者は「米国の規制緩和と減税への期待は、欧州の厳しい監督と金利低下に伴う苦境とは対照的だ」との見方を示した。
欧州ではトランプ氏2期目に備えた兆候がみられる。スイスのケラーズッター財務相は、英国のリーブス財務相と米国の銀行規制の見通しについて協議したことを明らかにした。
ケラーズッター氏はロイターに対し「米国では規制緩和の波が押し寄せるとあらかじめ言われていた」とした上で、競争力と安定性のバランスを取ることが重要だという点で両財務相が同意したと言及した。
ある銀行幹部はロイターに、米国での規制緩和の波を受け、欧州でも規制緩和を求めるロビー活動の機運が高まるだろうと語った。
アングル:米銀はトランプ次期政権で大きな恩恵か、資本・買収規制緩和に期待 | ロイター
米共和党のトランプ次期政権下で規制当局の資本規制や合併認可が緩和され、銀行業界は大きな恩恵を受けるとの見通しを、業界の専門家やアナリストらが示した。
大統領選でトランプ前大統領が勝利したことで、大手銀行の貸し倒れに備えるために銀行の資本上乗せ義務などを盛り込んだ国際的な銀行資本規制「バーゼル3」最終化実施規則はさらに希薄化される可能性が高い。
銀行側はこれまでにバーゼル3について融資の抑制や景気の悪化を招くと反論し、大幅な譲歩を勝ち取ってきた。それでも米連邦準備理事会(FRB)幹部によると、最終案で最大手クラスの銀行の自己資本は約9%に引き上げられる見通しだ。
銀行規制当局の元トップで、ルドウィッグ・アドバイザーズの最高経営責任者(CEO)として金融機関に助言しているジーン・ルドウィッグ氏は「バーゼル規制の最終的なルールは完全に骨抜きになる可能性がある」との見方を示す。
昨年、米地方銀行3行が経営破綻した数カ月後に発表されたバーゼル3案に大手銀行は激しく反発し、前例のないような活発なロビー活動を繰り広げた。
FRBで金融監督を担当するマイケル・バー副議長は今年9月にバーゼル3案を見直すと表明し、規制案を縮小することで合意した。
AJベルの投資アナリスト、ダン・コーツワース氏は「トランプ氏の下で銀行分野の見通しはより明るくなる」とし、「銀行への制約が軽減し、融資や自社株買いにより多くの金を使えるようになるだろう」との見通しを示した。
FRBはコメントを控えた。
6日に米大型銀行を対象としたKBW銀行株指数は一時11%近く上昇し、地域金融機関を対象とする指数は13.5%急騰した。
ラザードのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ロナルド・テンプル氏は資本規制が緩和されるとの期待感から中堅銀行株が6日に買われたと分析する。
また、反トラスト法(独占禁止法)の規制が緩くなる可能性も取りざたされている。テンプル氏は、米銀キャピタル・ワンによる353億ドルでのクレジットカード大手ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズの買収が認可されるとの見方が両社の株価を押し上げたと指摘した。
モーニングスターDBRSは顧客向けのノートで「銀行にとっての企業の合併・買収(M&A)は、認可までの期間が短縮されることで恩恵を受ける可能性がある」と記した。
4600を超える金融機関が存在する米国では、多くの主要業界幹部らが銀行の経営統合を求めている。統合が実現すれば、小規模銀行が規模で上回る同業他社とより効果的に競争できるようになるからだ。
パイパー・サンドラーの銀行アナリスト、スコット・シーファーズ氏はリポートで「少なくともM&Aを議論に戻すことはできる。過去数年間は懲罰的な規制を背景に、ほとんど起こらなかった」とした上で、フィフス・サード・バンコープ、ハンティントン・バンクシェアーズ、PNCフィナンシャル・サービシズ・グループの3社はM&Aの実施により関心を抱いている可能性があると言及した。
ハンティントンはコメントを差し控えた。フィフス・サード・バンコープとPNCフィナンシャルはコメントの要請に直ちには応じなかった。
オランダでイスラエル人に集団暴行 反ユダヤ主義背景か - 日本経済新聞
米国のインフレ退治、最後の1マイルで難航か-10月はせいぜい横ばい - Bloomberg
アングル:米小売り大手が天候分析の活用拡大、異常気象の影響増で | ロイター
大手ウォルマートなど米小売り大手の間で、天候データを分析してさまざまな分野で生かす取り組みが広がっている。天候は販売動向への影響が大きいが予測は難しい。気候変動によって異常気象が増える中で小売り大手は、かつて専ら在庫管理に利用されていた天候分析を、広告を地域ごとに最適化したり、季節商品の値引き開始時期を判断したりする業務にも役立てるようになっている。人工知能(AI)技術の進化もこうした流れを後押ししている。
ウォルマートはAIソフトウエアによる在庫管理に天候分析を組み込んでいる。同社のスキンケア商品の在庫管理アドバイザー業務を請け負うカービー・ドイル氏によると、今年は米国の一部地域で秋の雨量が平年よりも多くなるとの予測に基づき、地域によって日焼け止めの値引き開始を前倒しした。数年前ならこうした経営判断をすることはなかった。
ドイル氏は 「(天候データは)当初、高レベルの計画のための予測モデルに過ぎなかった」のに対し、「今ではシーズン前の計画立案時やシーズン中にも天候の影響を分析し、販売促進活動のスケジュール立てなどにも利用している」と説明した。
ドイツのメテオノミクスや米国のプラナリティクス、ウエザー・トレンズ・インターナショナルなどの天候コンサルタント企業はクラウドコンピューター技術の進化により、以前では想像もつかなかった量のデータ量を処理できるようになっている。
気候変動による異常気象の増加で、こうしたデータに対する需要は高まっている。全米小売業協会(NRF)は7月に発表したプラナリティクスと共同でまとめた報告書で、小売業者に天候分析への関心をもっと高めるよう促した。
価格に焦点を当てた新しい天候データツールがまもなく市場に登場しそうだ。プラナリティクスと経営コンサルティング企業ベアリングポイントは小売業者が価格設定のための分析モデルに組み込めるソフトウエアの開発を進めている。
ベアリングポイントのライアン・オラボーン氏は先月のイベントで「天候は制御できないが、分析は制御可能で、価格設定は完全に制御できる」と述べた。
今年のように温暖な10月は、年末商戦シーズンを控える小売業者にとって悩みの種だ。ペレットストーブや防寒具といった寒冷気候用製品を手掛け、天候分析を活用しているトラクターサプライのハル・ロートン最高経営責任者(CEO)は先月の決算発表で「第4・四半期にビジネスを成功させるには気温の低下が欠かせない」と述べた。
プラナリティクスのフレッド・フォックスCEOによると、天候分析はトラクターサプライのような企業が冬物商品の値引きのタイミングを決めるのに役立つ。プラナリティクスはスポーツ用品小売り最大手ディックス・スポーティンググッズや家庭用品安売り大手ロス・ストアーズなどを顧客に抱えている。予測通りに11月の気温が昨年より下がるなら、今は値引きに踏み切らない方がよいというわけだ。
ホームセンター大手のロウズのブランドン・シンク最高財務責任者(CFO)氏は8月、24年5―7月の四半期の販売不振は寒冷で雨が多かった5月の天候が原因になったと説明した。
しかし、天候分析を手掛けるウェザー・トレンズの創設者ビル・カーク氏によると、こうした説明は事実に基づいていない。カーク氏のデータによれば、5月は確かに雨量が多かったが、気温は低くなかった。今年は5月としては過去6年間で最も気温が高く、過去40年でみても3番目だった。ウェザー・トレンズは小売り大手ターゲットや衣料品大手ギャップ、トラクターサプライを顧客に持つ。
ロウズはコメントの要請に応じなかった。
<気温が需要を左右>
米海洋大気局(NOAA)によると、米国では今や約3週間に1度のペースで損害額10億ドル超の自然災害が発生し、1980年代の3カ月に1回と比べて発生頻度が高まっている。
小売業者が天候による販売への影響を把握できるよう支援するため、プラナリティクスはコンピュータモデルを駆使している。同社幹部のエバン・ゴールド氏によると、今年は昨年の2倍のモデルを提供する予定で、その数は2019年の9倍となる。
メテオノミクスのステファン・ボルネマン氏は、小売業者は通常、天候によって店舗の客足や売上が影響を受けると指摘。「より厳しい天候パターンが続くなら、その影響も一段と大きくなるだろう」と予想した。
カーク氏は気温が1度変わるごとに特定の製品の売上高がどのように増減するかを分析している。気温が1度下がることに売り上げは、馬用ブランケットで7%、スターバックス(SBUX.O), opens new tabのコーヒーで2%増えるという。一部の顧客は、需要に応じて価格を調整する「ダイナミックプライシング」にカーク氏のデータを利用している。
カーク氏は「小売業者が決算不調の言い訳として天候を持ち出す時代に終止符を打つべきだ」と訴える。「ウォール街はこの種の言い訳を嫌っている。投資家に対して『われわれは事業を管理できない』と宣言するようなものなのだから」
アングル:米低価格住宅不足に「犯罪スコア」が追い打ち、保険料高騰 | ロイター
米国で手頃な価格の住宅が決定的に不足している状態がさらに深刻化するかもしれない。第三者が算定する「犯罪スコア」が一因で住宅保険料が高騰し、一部事業者が撤退に追い込まれかねない事態になっているからだ。
過去5年で米国の住居費は急上昇し、ほぼ全ての地域で低価格の住宅が不足している。長期間続いてきた新築住宅の供給ひっ迫は近年、インフレや人手不足でさらに拍車がかかっている。
全米集合住宅協議会(NMHC)は昨年、高騰する保険料が全米で家賃を押し上げていると警告し、平均の保険料は1年で26%上がるとともに、個人賠償責任保険の保険料も15%上昇したと指摘した。
南部ジョージア州アトランタで低価格住宅を開発・所有しているアビ・ウォルフ氏は、どの物件を取っても採算が取れにくくなりつつあると嘆く。
ウォルフ氏が負担する保険料は、10年前は集合住宅1部屋当たり年間約50ドルだったのに、今では1500ドルになった物件もある。特に所有物件内で暴行傷害事件が起きた際に所有者を訴訟から守るための保険は、事実上加入できなくなった、とウォルフ氏は話す。
同氏がジョージアでまだ利用できる少数の保険会社は、近隣の犯罪発生件数に基づいた「犯罪スコア」を使って物件の保険料を決めているが、どのような尺度でスコアが算定されるか詳しいことは明らかにされていない。
こうした法外な保険料のために所有物件の売却を迫られる業者が増えれば、アトランタの住宅市場は物件の連鎖的な処分が止まらなくなるのではないか、と同氏は心配している。
アトランタ市域の一部を含むデカルブ郡の行政委員長に選出されたロレイン・コクランジョンソン氏は、犯罪スコアをかつて銀行が導入していた「法的なレッドライン設定」にたとえる。この仕組みの下では主に黒人や他のマイノリティが居住する地区への住宅ローン供与はリスクが高過ぎると判断されていた。
コクランジョンソン氏は「これらの地域は最も大規模な再生が求められるだけに、法的な面で関心を向ける必要がある。保険料の引き上げ自体を問題視するものではないが、加入を全く否定してはならない」と訴えた。
<ブラックボックス>
米国損害保険協会のエリック・ゴールドバーグ氏によると、犯罪スコアは民間保険会社が損害リスクを分析する際に用いる手法の1つ。「例えば住宅の借り手や訪問客が敷地内で襲撃されれば、訴訟を起こされる恐れがある。その上、物件が犯罪多発地域にあれば、破壊や放火、盗みなど保険引き受け能力に響きかねない事案のリスクも増大するかもしれない」という。
ゴールドバーグ氏は、物件所有者による警備システム導入などのリスク軽減の取り組みも、保険会社は考慮に入れるだろうと補足した。
バージニア工科大学のジェフリー・ロバート助教は、商業不動産への犯罪行為に関する費用のかかる訴訟を避ける目的で、犯罪スコアに頼る保険会社は増えていると話す。
ロバート氏によると、低価格住宅は犯罪が比較的多い地域に存在することが多く、この点は特に低価格住宅にとって問題になるという。同氏は2020年に執筆したリポートで、犯罪スコアは独自のアルゴリズムを使った外部企業が創出し、国勢調査のデータやさまざまな犯罪の報告を利用しているものの、個別物件に適用できるようなきめ細かい情報を欠いているとの見方を示した。
当該住宅の数ブロック先、ないし地方であれば数マイルも先で起きた襲撃事件でも、この物件の保険料を押し上げるか、保険加入自体が拒否される要因となる可能性があるという。ロバート氏は「あなたが犯罪スコアの高い地域に住んでいるなら、交渉の余地はない」と説明した。
ロバート氏の研究を支援する保険ブローカー、スコット・インシュアランスで低価格住宅部門責任者として顧客のために保険加入交渉を担当するネーサン・カー氏は、保険料高騰に伴い、犯罪スコアへの不満の声が高まりつつあると指摘する。
カー氏は「現在の保険コストは本当に過酷だ。不動産と一般的な損害保険の保険料はわれわれの業界を破壊しつつある」と述べ、犯罪スコア算定手法が「ブラックボックス」になっていると批判した。
ただニューヨークを拠点に活動する非営利団体フェアビュー・ハウジング・パートナーズのエグゼクティブディレクター、トム・アムダー氏によると、犯罪スコアは低価格住宅の保険料高騰をもたらしている要素の一部に過ぎず、自然災害や訴訟増加で経費が膨らんだ保険会社が住宅事業者にコストを転嫁している面もあるという。
アムダー氏は、今の状況が続けば一部の住宅所有者は物件を手放すしかなくなり、オーナー変更や差し押さえを通じてそうした物件に適用されていた取引価格の上限規制が外れるのが「(低所得住宅の)存続に関わる大きなリスク」だと分析。過去1年で当局も介入の必要性を認識し始めたと付け加えた。
連邦政府の住宅都市開発省の広報担当者は、不動産保険料高騰の影響を「深く懸念」し、問題解決のための新たな手段を検討していると述べた。
●中東情勢
トランプ氏、対イランで再び「最大限の圧力」か 制裁強化へ - WSJ
ドナルド・トランプ次期米大統領がイランに対する制裁を大幅に強化し、同国の原油販売を抑制しようとしている。事情に詳しい関係者らが明らかにした。中東地域の過激な代理組織への支援や、イランの核開発プログラムの阻止を狙った積極的な戦略の一環となる。
トランプ氏は1期目にはイランに厳しい姿勢を取り、イランの核兵器開発の抑制を狙った6カ国との合意(包括的共同作業計画=JCPOA)から離脱。「最大限の圧力」と称する戦略を展開し、核兵器開発の野心を放棄することや、米国がテロ組織とみなす組織への資金提供および訓練の停止、またイラン国内の人権状況を改善するよう迫った。
だがトランプ政権の元高官らによれば、トランプ氏は、イランの工作員らが退任後に自身や国家安全保障担当の側近らを暗殺しようとしていたと認識。来年1月20日の就任式後には、このことが新政権の対イラン政策に影響を及ぼすとの見方を示した。
イランは米国による2020年のドローン攻撃で、軍事作戦責任者だったガセム・ソレイマニ氏が死亡したことを巡り、報復を狙っているとみられている。
第1次トランプ政権時に国防総省で中東政策の高官を務めたミック・マルロイ氏は、「人々はそういったことを個人的に受け止める傾向がある」とし、「トランプ氏が特定の国、主要な敵対国に対して強硬な姿勢を取るとすれば、それはイランになるだろう」と語った。
トランプ氏の方針について説明を受け、同氏の側近とも近い関係にある関係者らによれば、新たな政権チームはイランの石油収入を迅速に遮断しようと動き、同国の石油を扱う外国の港やトレーダーも追及する意向だという。トランプ氏は1期目にも同様の方針を採用したものの、その結果はまちまちだった。
ホワイトハウスの元高官は「制裁が再び科され、外交・金融面でイランを孤立させようとする動きがさらに強まるだろう」と指摘。「現在イランは弱い立場にあり、その弱さを利用する機会だと認識されている」と述べた。
トランプ氏の方針に詳しい関係者らは、イランへの圧力をどのように具体的に強化するかについては詳細を明らかにしなかった。
第1次トランプ政権時に国務省でイラン政策を指揮したブライアン・フック氏は7日、トランプ氏はイラン指導者を打倒しようとすることについて「関心はない」と説明。フック氏は現在、国務省のトランプ政権移行チームを率いている。
フック氏はその一方で、米CNNとのインタビューではイスラム組織ハマスやイスラム教シーア派組織ヒズボラ、そして親イラン武装組織フーシ派などイランの代理組織に言及。「あらゆる暴力に資金を提供できないよう、イランを外交的に孤立させ、経済的にも弱体化させる」ことをトランプ氏は掲げていると述べた。
フック氏は第2次トランプ政権で国家安全保障関連の要職に就くと広く予想されている。同氏は第1次トランプ政権では、イランに最大限の圧力をかける方針を支持していた
アラブ諸国が新ホワイトハウスに期待すること|ARAB NEWS
アラブ諸国は、ドナルド・トランプ政権誕生に際し、自国の期待と戦略を再評価する必要に迫られている。
トランプ氏は前任期中に、米国の外交政策の多くの側面、特に中東政策を再構築し、取引的な同盟関係に重点を置いた型破りなアプローチを採用し、イランに対しては厳しい姿勢で臨み、一方で伝統的な外交からは距離を置いた。トランプ氏が再び政権を握ることで、アラブの指導者たちは、同氏が以前の政策を再び採用するのか、それとも進化する地政学情勢に適応するのかを検討している。
ガザ紛争、レバノンにおけるイスラエルの軍事行動、イランの核開発計画など、いくつかの問題がトランプ氏の優先課題として挙げられると予想されている。トランプ大統領の1期目は、前任者たちのアプローチから劇的な転換を遂げ、米国の利益を優先する「米国第一主義」政策を強調した。これにより、米国が中東の同盟国や敵対国と関わる方法に大きな変化が生じ、アラブ諸国にとっての機会と課題の両方が生じた。
おそらく、トランプ大統領が中東に残した最も影響力のある遺産は、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダン、モロッコとの関係を正常化した「アブラハム合意」だろう。これらの合意は、イスラエルとの新たな同盟関係を通じて経済協力と平和を促進することを目的としていた。安定に向けた歴史的な一歩として歓迎された一方で、合意はイスラエル・パレスチナ紛争などの地域の中核的な問題の解決よりも経済的利益に重点を置いていると見る向きもあった。パレスチナ問題を無視することは、この地域の長期的な不安定につながる可能性があると批判する声もあった。
トランプ大統領の中東政策の中心はイランに対するアプローチであった。同大統領は、バラク・オバマ政権下で締結されたイラン核合意である包括的共同作業計画(JCPOA)から離脱し、イランに対する広範な制裁を課すことで、同国の地域的影響力を制限しようとした。この戦略を支持する湾岸諸国もあったが、緊張が高まり、紛争のリスクも増大した。カセム・スレイマニ将軍の暗殺とそれに続く敵対関係の激化は、情勢の脆弱性を浮き彫りにした。
また、トランプ氏は中東における大規模な米軍の駐留の必要性についてもたびたび疑問を呈し、米国の利益に直接関係しないと見なした紛争への関与を減らしたいとの意向を示した。2019年には、シリア北部からの米軍撤退を命じた。これにより、米国の同盟国は懸念を表明し、多くのアラブの指導者は米国の軍事的支援の信頼性を疑問視し、代替的な安全保障体制を模索するようになった。
トランプ大統領の政策はイスラエルに大きく有利なもので、例えば米国大使館をエルサレムに移転し、ゴラン高原のイスラエル主権を承認するなどした。彼の「平和から繁栄へ」計画は、パレスチナ人から広く批判された。パレスチナ人は、この計画が偏っており、彼らの希望を無視していると捉えたのだ。イスラエルの戦略的利益を優先することで、トランプ政権は紛争における中立的な調停者としての米国の役割を低下させ、すでに分裂していた地域をさらに二極化させた。
トランプ氏が大統領に復帰したことで、アラブ諸国は、彼の政策に継続性を見出す可能性がある主要分野がある一方で、変化する地政学的環境に適応するために調整が必要な分野もあるだろう。
トランプ氏は、アブラハム合意を他のアラブ諸国にも拡大することに関心を示している。イスラエルとの関係正常化は、これらの国々にとって、特にテクノロジー、観光、防衛の分野において、大きな経済的機会をもたらす可能性がある。しかし、パレスチナ問題での進展の欠如は、パレスチナ人の権利への支持が根強い多くのアラブ諸国で、国民の反発を招く可能性がある。こうした機会と国民感情のバランスを取ることは、アラブの指導者たちにとって微妙な課題となるだろう。
また、トランプ氏は、大規模な展開ではなく、的を絞った作戦に頼り、中東における米軍のプレゼンスをさらに縮小する可能性もある。そうなれば、地域の国々は防衛能力を強化し、おそらくは独自の安全保障を管理するために新たな同盟関係を結ぶ必要が出てくるだろう。米国のプレゼンスが縮小すれば、ロシアや中国といった他の世界大国の介入を促す可能性もある。これらの国々は、中東地域における影響力を強めており、それ自体が新たな課題となっている。
トランプ氏は経済的圧力を外交政策の手段として用いることで知られているが、これはアラブ産油国にも拡大する可能性がある。湾岸諸国に対して、世界市場の需要に見合うよう石油生産量を調整するよう迫り、地域の経済に影響を与える可能性もある。トランプ氏は米国のエネルギー自立を支持しているが、グローバル市場の相互関連性により、アラブ産油国は同氏の経済戦略に不可欠な存在であり続けるだろう。
トランプ氏の再選は中東に大きな影響を与えると予想されている。選挙戦中、同氏は「力による平和」を示唆し、再選された暁には紛争を終結させるとアラブおよびイスラム諸国の指導者たちに約束した。多くのアラブ人は、バイデン氏が民主党員であることから、イスラエルの首相にガザ地区での軍事行動を停止するよう圧力をかけるには効果が薄いと感じている。一方、トランプ氏はより強い影響力を発揮し、自制を求める要請に応える可能性がある。アラブ世界全体で、トランプ氏は経済成長を促すには中東の安定が不可欠であると考える、経済安定を優先する実務家として認識されている。特に湾岸諸国は、絶え間ない紛争のなかでは発展や関係改善は望めないと考えている。そのため、ガザ地区とレバノンの緊張緩和はトランプ政権の主要な目標と見なされている。
アラブ首長国連邦の指導者らは、トランプ大統領が湾岸協力会議(GCC)諸国との強固な関係を活かしてイスラエルのネタニヤフ首相に影響を与えることも期待している。トランプ大統領は、公の場で非難するよりも、ネタニヤフ首相に特定の譲歩を求める代わりに、アラブ諸国との幅広い関係正常化を提案する戦略的な駆け引きを行う可能性が高い。このようなアプローチは、トランプ大統領の取引重視の外交スタイルに沿ったものとなるだろう。
トランプ大統領の1期目に導入され、娘婿のジャレッド・クシュナー氏によって推進された中東和平案は、依然として論争の的となっている。その詳細が完全に開示されたことはないが、長らく平和の基礎とされてきた2国家解決策から離れた内容であることが示唆されている。この計画では、パレスチナの首都を「東エルサレムの一部」に置き、ヨルダン川西岸地区とガザ地区を結ぶ高速鉄道を含む近代的な交通インフラで結ぶことを提案している。しかし、この計画に対するコンセンサスが欠如していることが、依然として進展の妨げとなっている。
確かなことは、トランプ大統領の政策は、主に米国の利益とみなされるものによって推進されるということだ。
中東におけるトランプ大統領の政策は、機会と課題の両方を提示している。アラブの指導者たちは、潜在的な利益を確保しながら自国の利益を守りつつ、これらの力学を慎重に操っていく必要がある。パレスチナ問題の核心的な懸念に対処せずにこれを軽視することは、緊張を悪化させ、国民の反発を煽る可能性がある。
トランプ大統領が2期目の準備を進める中、アラブ諸国は、イランへの強硬路線、米国の軍事的関与の縮小、経済協定への重点化など、これまでのアプローチをほぼ踏襲する政策を期待できるだろう。これらの政策は大きな機会をもたらす一方で、地域の安定と安全保障に関するリスクもはらんでいる。
●エマージング
中国10月CPI、前年比+0.3% 4カ月ぶりの低い伸び | ロイター
中国国家統計局が9日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年比0.3%上昇し、9月の0.4%から伸びが鈍化、4カ月ぶりの低い伸びとなった。
前月比では0.3%下落した。9月は横ばい、予想は0.1%下落だった。
統計局高官は、食品価格の下落が前月比の消費者物価指数を押し下げたと述べた。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは0.2%上昇た。9月は0.1%上昇だった。
JLLのチーフエコノミスト、ブルース・パン氏は「10月は連休の影響で9月下旬以降打ち出された一連の景気刺激策による内需促進効果はまだ明らかになっていない」と指摘。CPIは上昇トレンドを続け、コアインフレ率は引き続き緩やかになり、当局が来年初めに金利をさらに引き下げる余地が生まれるとの見方を示した。
中国人民銀行は9月下旬、経済成長を押し上げるため、新型コロナ禍以降で最も積極的な金融支援策を発表した。
10月の生産者物価指数(PPI)は前年比2.9%下落し、これは11カ月ぶりの大幅下落となった。9月は2.8%下落、予想は2.5%下落だった。
石油・天然ガス採掘、石油や石炭加工、化学製品製造、自動車製造分野での下落が目立った。
一部のアナリストは、トランプ氏が1月に米大統領に就任するまで、当局は景気刺激策を講じることを控える可能性があると指摘する。
中国、地方隠れ債務対策に10兆元 直接資金は米次期政権まで温存か | ロイター
中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、経済のシステミックリスクとなっている地方政府の「隠れ債務」について10兆元(1兆4000億ドル)規模の対策を決定した。藍仏安財政相は一段の景気支援策を今後発表するとした。
隠れ債務と呼ばれる簿外債務と交換するため地方政府の債務上限を今後3年間で6兆元引き上げる。さらに承認済みの4兆元の発行を5年間で債務交換に充てることを認める。
経済への直接資金投入ではないため、中国はトランプ次期米政権の方針を見極めるまで追加策を温存するとの見方がエコノミストからでている。
全人代常務委員会は、地方政府の特別債発行上限を29兆5200億元から35兆5200億元へ6兆元引き上げることを承認した。
全人代金融経済委員会の徐洪才副主任は8日の会見で、隠れ債務の交換は地方債務リスクの解決を狙った措置と述べた。
藍財政相は会見で、地方政府の隠れ債務は2023年末時点で14兆3000億元だと明らかにした。これを28年までに2兆3000億元に圧縮することを目指す。
債務交換は地方政府の金利負担を5年で6000億元軽減することが見込まれる。
藍財政相は、公的部門による売れ残り集合住宅の購入や未開発住宅用地の取得、大手国有銀行への資本注入に向けた施策を打ち出すと説明したが、規模や時期などは明らかにしなかった。
地方政府債務対策としての債務交換は成長安定化に寄与するが経済成長に弾みをつける措置ではない。
上海安放私募基金の調査ディレクター、Huang Xuefeng氏は「予想を超える内容はない」とし「景気減速や土地売却の落ち込みによる財政不足を考えると規模は大きくない。隠れた債務を好感するために資金が投じられる。つまり新たなワークフローが生まれるわけでなく、成長を直接支援しない」と指摘した。
UBPのアジア担当シニアエコノミストは、売れ残り住宅の在庫減と満期を迎える地方融資平台(LGFV)債務の返済には23兆元のパッケージが必要と推計。今回発表された措置は「必要なのは本質的な措置で市場は失望するだろう」と述べた。
ANZのストラテジストは、財政への直接刺激策がなかったことについて、当局がトランプ政権発足の影響を後に考慮する余地を残していることを示唆しているとの見方を示した。
財政相は、製造設備更新の支援強化や、家電製品などの購入への消費者補助制度拡大の方針を明らかにした。
UBPのエコノミストは、消費を直接対象とした財政刺激策が近く実施されるとは思わないと指摘。実現には一段の痛みが必要だとし、「トランプ大統領の方針がより明らかになるまで力を温存する」との見方を示した。
メキシコCPI、10月は前年比+4.76%に加速 コア指数は鈍化 | ロイター
ペルー中銀、予想通り0.25%利下げ 政策金利5%に | ロイター
ロシアが石油大手の統合計画を協議、メガ企業誕生の可能性-WSJ - Bloomberg
韓国尹政権、失速危機の後半戦 「トランプ対応」に全力 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(8日)S&P初の6000台、ドル上昇 国債利回り低下 | ロイター
ドルが上昇し、投資家はトランプ氏の大統領選後の政策の影響を見極めています。トランプ氏の政策(貿易関税、減税、規制緩和など)は成長とインフレを促すと予想されるものの、具体的な実施内容には不確実性が残ります。ドル指数は上昇し、ユーロや人民元はドルに対して安くなっています。
債券市場では、トランプ氏の勝利を見込んでいた米国債の売りが一時停止され、10年債と30年債の利回りが低下しました。FRBはフェデラルファンド金利を0.25%引き下げ、12月には追加利下げの可能性が高まっています。
米株式市場では、S&P 500が初めて6000台に達し、1年ぶりの週間上昇率を記録しました。トランプ氏の大統領選勝利と共和党が議会で優勢となることにより、企業に有利な政策が期待されています。FRBによる追加利下げも株価を押し上げ、S&Pやナスダック、ダウが大幅に上昇しました。
また、ナスダックは法人税引き下げや規制緩和への期待で3日連続で最高値を更新。不動産や公益事業セクターが好調で、規制緩和の恩恵を受けやすいとされるラッセル2000指数も大幅に上昇しました。一方、エアビーアンドビーやピンタレスト、中国の京東商城、アリババは株価が下落しました。
金先物は追加利下げへの思惑やドル高の影響で売りが優勢となり、週間で下落。米原油先物は供給不安の後退により値下がりしましたが、週間ではわずかに上昇しています。
欧州市場サマリー(8日) | ロイター
ロンドン株式市場は、中国政府の刺激策が市場の期待に届かなかった影響で下落し、FTSE100指数は約3カ月ぶりの安値で取引を終えました。中国関連の銘柄が売られ、住宅建設のビストリー・グループの急落が住宅建設株を押し下げました。FTSE100は週間で1.28%安で3週連続の下落、FTSE250は0.57%安でしたが、週間では小幅上昇しました。
欧州株式市場も下落し、STOXX欧州600種指数は週間で0.84%安。中国経済への懸念が影響し、金属価格の下落で資源株指数や高級品関連株も軒並み安となりました。
ユーロ圏債券市場では、域内国債利回りが低下しました。市場は、主要中銀の政策決定や米大統領選、ドイツ連立政権崩壊といった動きを消化しつつあります。特にドイツ10年債利回りは8ベーシスポイント(bp)低下して2.363%、2年債利回りも2bp下落しました。
米大統領選でトランプ氏が再び選出された影響で米債利回りが上昇し、これに連動してユーロ圏国債利回りの上昇圧力も予想されますが、米国の対欧州関税措置への懸念から、欧州中央銀行(ECB)の利下げペース加速も期待されており、利回りを抑える要因ともなっています。
来週の米主要企業決算 8-10月期が始まる   - 株探(かぶたん)|米国株
12日(火)ホーム・デポ
13日(水)シスコシステムズ
14日(木)ディズニー、アプライド、メーシーズ

備忘録(2024/11/7
●海外企業決算
[RL] ラルフローレン 2Q増収増益 売上高6%増17.2億ドル、営業益9%増1.78億ドル、EPS2.31ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[APD] エアープロダクツ&ケミカルズ 2024年9月通期は減収増益 売上高4%減121億ドル、営業益79%増44.6億ドル、配当7.06ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[HSY] ハーシー 3Q減収減益 売上高1%減29.8億ドル、営業益17%減6.13億ドル、EPS2.20ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KVUE] ケンビュー 3Q微減収減益 売上高微減38.9億ドル、営業益8%減6.54億ドル、EPS0.20ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TPR] タペストリー 1Q微減収 売上高微減15.0億ドル、営業益微減2.52億ドル、EPS0.79ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BDX] ベクトンディッキンソン 2024年9月通期は増収増益 売上高4%増201億ドル、営業益15%増24.2億ドル、EPS5.93ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CG] カーライルグループ 3Q増収最終増益 売上高3.7倍26.3億ドル、純利益7.3倍5.95億ドル、EPS1.63ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DUK] デュークエナジー 3Q増収増益 売上高2%増81.5億ドル、営業益2%増21.4億ドル、EPS1.59ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PCG] PG&E 3Q増収増益 売上高1%増59.4億ドル、営業益2.6倍10.2億ドル、EPS0.27ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米コーニングのスマホ向け「ゴリラガラス」、EUが独禁法調査へ - Bloomberg
●日本企業
レノバ4〜9月期、1億円の赤字に バイオマスが稼働停止 - 日本経済新聞
住友ゴム、北米工場閉鎖へ 構造改革費用など700億円強 - 日本経済新聞
住友ゴム工業は7日、北米のタイヤ生産子会社であるスミトモラバーUSAでの生産活動をすべて終了し、解散すると発表した。同社製のタイヤは人件費の負担や設備の老朽化で採算が悪化していた。構造改革費用などで700億円強の損失を計上する見通しだ。
2024年1〜9月期の連結決算に465億円の北米構造改革関連損を「その他の費用」として計上する。24年10〜12月期以降にも解雇費用や途中解約違約金などの費用として282億円を計上する見通し。
住友ゴムの北米工場は24年12月期時点で月4720トン(新ゴム消費量)の生産能力を持ち、同社の供給力全体の7%を占める。住友ゴムは15年の米グッドイヤーとのアライアンス解消に伴い、北米工場を取得した。ただ、操業開始(1923年)から100年以上が経過しており、設備の老朽化も目立っていた。北米工場の生産品の連結事業利益はここ数年、100億〜200億円の赤字となっていた。
ニコン純利益70%減、半導体関連が不振 4〜9月期決算 - 日本経済新聞
ニコンが7日発表した2024年4〜9月期の連結純利益(国際会計基準)は、純利益が前年同期比70%減の29億円だった。半導体市況の回復が遅れ、半導体露光装置の販売が振るわなかった。円相場の上昇で為替差損や投資有価証券の評価損も発生した。
半導体露光装置は、顧客の投資の先送りで納入が来期に繰り延べになったケースもあるという。大村泰弘専務執行役員は同日のオンライン説明会で「新品装置の販売は来期以降も極めて限定的だとみている」と話した。
住友生命、中堅社員の収入を最大5割増 脱・年功序列 - 日本経済新聞
住友生命保険は2026年4月から中堅社員の年収を最大で5割引き上げる。社員が持つスキルや役割に応じた評価制度を取り入れ、年功序列の人事制度を見直す。主に30代以上の約4000人が対象になる。中堅の処遇改善は長年の課題で、社員が希望するキャリアを描きやすくなるよう後押しする。
西武HD純利益2.8倍、ホテル好調 4〜9月決算 - 日本経済新聞
テルモの25年3月期、純利益17%増に上振れ 円安寄与 - 日本経済新聞
神戸製鋼、営業利益25%減に下振れ 25年3月期決算 - 日本経済新聞
国内の品質認証問題や中国や東南アジアでの日系メーカーの苦戦により、自動車分野を中心に鉄鋼やアルミ板の販売が減少する。建設機械で価格転嫁が想定より進まないことも響く。
7日記者会見した神戸製鋼の木本和彦取締役は「建設機械は需給環境が当初の想定よりかなり悪化し、価格転嫁が非常にしづらい状況になっている」と話した。
日産、世界生産2割減 9000人削減し三菱自株一部売却 - 日本経済新聞
日産自動車は7日、世界の生産能力を20%削減し、全体の1割弱に当たる9000人規模の人員削減に踏み切ると発表した。さらに提携先である三菱自動車の持ち株34%のうち10%を売却する。米国や中国で商品力が低下し、競合との販売競争が激化していることから採算が悪化したためだ。工場などの大規模なリストラによる立て直しを急ぐ。
日産は日本や中国、米国やメキシコなど世界で幅広く完成車工場を中心に展開している。日産の世界生産能力は20年に約700万台だったのが、現状は500万台弱だ。2割削減すると400万台弱となる。
同日オンラインで記者会見した内田誠社長は、工場の能力削減について「場所と時期については申し上げられない」と話し、具体的な言及は避けた。連結従業員数は13万人のため約7%の削減となる。
大規模な工場整理や人員削減は、世界14拠点で閉鎖や縮小などをし約1万2500人の人員削減を公表した2019年以来となる。当時は元会長のカルロス・ゴーン被告が進めたとされる事業拡大で生産過剰となり、北米や新興国での販売不振も重なって経営危機に陥っていた。
内田氏は11月から報酬の50%を返上すると明らかにした。足元の経営不振の責任をとる形だ。他の経営幹部も報酬を自主返納する。内田氏の24年3月期の報酬は6億5700万円だった。
日産は主戦場の米中で不振に直面している。同日発表した24年4〜9月期の純利益は前年同期比94%減の192億円だった。新型コロナウイルス禍の影響で赤字だった20年以来の低水準に落ち込んだ。
内田氏は収益構造の悪化について「大きく責任を感じている」と述べ、「日産を再び成長軌道に戻す」と強調した。
米国では販売台数の規模を維持するため、販売店に支払う奨励金を積んでいるのが重荷だ。日産はトヨタやホンダと違い、現地で普及が進むハイブリッド車(HV)を展開できていない。在庫が膨らみ、両社より奨励金を出さないと売れない悪循環に陥っている。中国は地場勢などとの競争が激しさを増し販売台数が落ち込んでいる。
米中では稼働率の低迷も深刻だ。英調査会社グローバルデータによると、24年予測の日産グループは米国が60%、中国が43%で、コロナ禍前の19年と比較するとそれぞれ10ポイント、38ポイント低下する。
一連のリストラなどの影響を精査するため25年3月期の通期の最終損益予想は未定(従来は前期比30%減の3000億円)とした。前期に5円だった中間配当は見送り、今期の年間配当予想も25円から未定とした。
25年3月期予想の営業利益は前期比74%減の1500億円。従来予想(12%減の5000億円)からは3500億円下振れし、今期2度目の下方修正となった。今期の世界販売台数見通しは1%減の340万台と従来予想比で25万台引き下げた。
日産は年350万台の販売でも収益性と現金創出を確保できるようにするとしている。3月に発表した27年3月期の世界販売を24年3月期(344万台)比で100万台増やすとした中期計画は実質的に取り下げる形となる。
三菱自株の10%売却については「将来の成長機会に向けて財務の柔軟性を高める」(内田氏)と説明した。三菱自が自社株買いで吸収する。日産にとっては700億円近い資金調達となる。売却後も日産は筆頭株主のままで提携関係も維持する。
日産は24年4〜9月期で自動車事業のフリーキャッシュフロー(FCF、純現金収支)が4483億円のマイナスとなった。(手元現金から有利子負債を除いた)ネットキャッシュは9月末で1兆3641億円あるものの、今後も電動化への投資やリストラに伴う費用がかさむとみられる。三菱自株の売却や配当見直しなどで運転資金を確保する。
帝人の25年3月期、営業赤字800億円 北米で減損損失 - 日本経済新聞
帝人は7日、2025年3月期の連結営業損益(国際会計基準)が800億円の赤字(前期は49億円の赤字)になる見通しだと発表した。190億円の黒字としていた従来予想から一転、赤字になる。自動車部品などを製造する北米の複合成形材料事業で販売減や生産性の悪化に見舞われ、減損損失574億円を計上した。
北米の複合成形材料事業は、24年度内に売却する方向で買い手の絞り込みや売却額の交渉を進めているという。
精査中としていた最終損益は250億円の黒字(前期は117億円の赤字)になる見通し。電子コミック配信サービス子会社の株式譲渡手続きが10月に完了し売却益1015億円を計上する。
売上高にあたる売上収益は前期比5%増の1兆100億円の見通しで従来予想を据え置いた。本業のもうけを示す事業利益は27%増の280億円で従来予想から50億円引き上げた。衣料繊維や電池部材の販売が想定を上回る。
同日発表した2024年4〜9月期の連結決算は、売上収益が前年同期比8%増の5075億円、最終損益は533億円の赤字(前年同期は19億円の赤字)だった。
電子部品4社が純利益予想下振れ 太陽誘電など車向け減 - 日本経済新聞
電子部品大手8社の業績見通しに不透明感が出ている。2025年3月期の純利益予想については、7日発表した太陽誘電など4社が下方修正した。日本や中国、欧州、米国で自動車各社の業績がピークアウトしつつあり、この影響が鮮明だ。人工知能(AI)分野向けは引き続き好調だが、裾野が広い自動車の生産減速を補い切れていない。
ダイセルの25年3月期、純利益9%減に下方修正 - 日本経済新聞
ダイセルは7日、2025年3月期の連結純利益が前期比9%減の510億円になりそうだと発表した。4%増の580億円とした従来予想から一転、減益となる。一酸化炭素プラントのトラブルによる稼働停止や、自動車メーカー各社の認証不正問題に伴うエアバッグ部材の販売減が収益の重荷となる。売上高は8%増の6000億円を見込む。従来予想は9%増の6100億円だった。
ローム12年ぶり最終赤字 EV向け半導体不振、25年3月期決算 - 日本経済新聞
ロームは7日、2025年3月期の連結最終損益が60億円の赤字(前期は539億円の黒字)になる見通しだと発表した。従来は140億円の黒字を予想していたが、一転して赤字に転落する。電気自動車(EV)向けパワー半導体などの販売が想定を下回る。最終赤字はデジタル製品向けが不振だった13年3月期以来、12年ぶり。
売上高は4%減の4500億円になる見通し。従来予想を300億円下回る。営業損益は140億円の黒字から150億円の赤字に転落する見通し。前期の営業損益は433億円の黒字だった。
自動車向け半導体の売上高は前期から微減の2283億円になる見通し。11%増だった従来予想から259億円下振れする。欧州向けは比較的堅調だが、認証試験の不正問題を受けた国内自動車メーカーの減産や、中国のEV市場の減速が響く。
ファクトリーオートメーション(FA)機器メーカー向けの半導体も不振だ。産業機器向け半導体の売上高は前期比19%減の602億円になる見通し。中国景気の低迷を背景に在庫調整が長引いており、本格的な回復は来期以降になる見通しだ。
ロームは省エネ性能の高い炭化ケイ素(SiC)基板を使うパワー半導体に注力しているが、自動車やFA機器向けの需要減速を受けて、設備投資計画を見直す。22年3月期から28年3月期までの7年間でSiC関連で5100億円の投資を計画していたが、4700億〜4800億円に減らす。24年中にSiC基板の生産を開始する予定だった宮崎県国富町の新工場では、稼働開始を25年に遅らせる。
収益力の回復に向けて、今後3年で固定費を年200億〜300億円圧縮する方針を示した。生産拠点の再編や生産の外部委託拡大が柱になる。同日京都市内で記者会見した松本功社長は人員削減については「既に採用の見送りなどに動いている。工場再編のバランスも考え、見極めていきたい」と述べるにとどめた。
ロームはパワー半導体の製造開発などで東芝と7月ごろから協業交渉を進めている。松本社長は「1年をメドにアナウンスしたい」と語った。また、9月にはデンソーと半導体の共同開発などで提携を検討すると発表した。「長い付き合いがあり、話し合いを進めている」(松本社長)とした。
同日発表した24年4〜9月期の連結決算は、売上高が前年同期比3%減の2320億円、営業損益は9億円の赤字(前年同期は298億円の黒字)だった。有価証券の売却益を62億円計上し、純利益は94%減の20億円と最終黒字は確保した。
カナデビア最終赤字11億円 4〜9月、為替差損など響く - 日本経済新聞
カナデビア(旧日立造船)が7日発表した2024年4〜9月期の連結決算は、最終損益が11億円の赤字(前年同期は3億5000万円の黒字)だった。為替差損が生じ、持ち分法による投資損失もかさんだほか、税金費用の増加などが響いた。船舶用エンジンのデータ改ざんの影響については「調査中で、業績への影響が見込まれる場合には速やかに公表する」とした。
売上高は前年同期比16%増の2699億円、営業利益は2.8倍の31億円だった。国内や海外でごみ焼却発電施設などの環境装置の工事が進捗し、収益を支えた。前年同期にあった不採算案件の影響も一巡した。
25年3月期の業績予想は売上高が前期比6%増の5900億円と従来予想から200億円上振れする一方、純利益は5%減の180億円に据え置いた。ごみ焼却発電施設などの工事が順調に進んで想定よりも売り上げが立つと見込むが、コストを考慮し利益は保守的に見積もったとしている。
●先進国政治動向
焦点:歴史的選挙戦戦ったハリス氏、なぜ敗北したのか | ロイター
米大統領選で敗北した民主党候補のハリス副大統領は選挙期間中の9月16日、首都ワシントンにある全米トラック運転手組合(チームスターズ)の本部にいた。米国で最も影響力のある労働組合の一つである同組合幹部と面会し、労組の雇用と組合員の生活を守れるのは共和党大統領候補のトランプ前大統領よりも自分だ、と力説して支持を求めた。
しかし、長年根強く民主党を支持してきた同組合の幹部たちは納得していない様子だった。トランプ氏は労働者階級の擁護者ではないとハリス氏が主張すると、組合幹部はハリス氏を厳しく追及し、同氏とバイデン大統領が組合員のために十分なことをしてきたのかと詰め寄ったと、同労組幹部はロイターに明かした。数日後、同組合は1996年以来初めて民主党の大統領候補への支持表明をしないことを公表。ハリス氏にとって大きな打撃となった。
この日の労組幹部との緊迫したやり取りからは、大統領選敗北につながったハリス陣営の決定的な失敗が浮かび上がる。経済と物価高を懸念する労働者階級の有権者とのつながりを築けなかった、という失敗だ。
バイデン大統領が投票日の数カ月前に劇的に選挙戦から撤退したことを受けて、ハリス氏は選挙運動を急ピッチで展開した。ポピュリスト的な経済政策と生殖の自由を推進する一方で、トランプ氏は民主主義と女性の権利に対する脅威であると主張した。
ハリス氏の登場は、選挙戦をひっくり返した。主要政党の大統領候補に選ばれた初の有色人種女性として歴史に名を残し、熱狂の渦を巻き起こして選挙資金の調達記録を破り、ポップスターのテイラー・スウィフトから俳優で元カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーまで、さまざまな有名人から支持を集めた。
しかしハリス氏は、インフレと移民問題を巡る有権者の根強い懸念を最終的に克服できなかった。ハリス氏の敗北はまた、過去10年間の米国政治の大きな変化を浮き彫りにしている。ブルーカラー層の有権者が共和党支持に傾きつつあり、トランプ氏がその傾向を加速させた、という変化だ。
ハリス氏はまた、現代の米国選挙では前例のない規模の誤情報の氾濫という、トランプ時代のもう一つの特徴への対処にも苦戦した。彼女の経歴に関する大量の誤情報や虚偽情報は、移民犯罪から不正投票までさまざまな問題に関する陰謀説を含め、トランプ氏によって広められ、右翼のウェブサイトやメディアで増幅された。
<経済が最大の懸念>
ハリス氏の側近や顧問によると、ハリス氏は「女性初の米大統領」を目指すというテーマを選挙活動の中心に据えることに抵抗したという。その代わり、中絶の権利から中間所得者層の減税、住宅価格の高騰まで、選挙で女性や黒人有権者にとって重要な問題で有権者の心をつかもうとした。
しかし、有権者の間では、バイデン政権の最初の3年間の物価上昇の印象が根強く、ハリス氏のメッセージはなかなか浸透しなかった。
「大規模な世界的パンデミックの後としてはかなり力強い経済成長があったにもかかわらず、ほとんどのアメリカ人は経済的に前進していると感じていなかった」と、超党派の調査会社パブリック・レリジョン・リサーチ研究所のメリッサ・デックマン氏は指摘。「ハリス陣営は、彼女の政策が中流階級にどう役立つのかを必ずしもうまく説明していなかった。少なくとも、そのメッセージは多くの有権者の心に響かなかった」
データ提供会社エジソン・リサーチが実施した予備的な全国出口調査によると、有権者の多くは経済対策に関してトランプ氏をより信頼していると答えており、その割合は51%、ハリス氏は47%だった。また経済を最大の懸念事項として挙げた有権者の79%はトランプ氏に投票しており、約20%のハリス氏を大きく上回った。
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また、投票先を決める上で経済が最も重要だと答えた有権者は31%なのに対し、中絶問題を挙げた有権者は14%だった。男女の差も大きく、予備的な出口調査によると、ハリス氏は国内の女性有権者の54%を獲得し、トランプ氏は44%だった。
<激戦州で起きた決定打>
ハリス氏にとって選挙戦で大きな試練となった出来事の1つは、9月下旬に発生したハリケーン「ヘリーン」だった。過去50年に米国を襲った最悪のハリケーンの1つで、激戦州でもあるノースカロライナ州などに大きな被害が発生。選挙戦の焦点は、これを機にハリス氏のメッセージからバイデン・ハリス政権による災害対応へと移った。
折しも世論調査でハリス氏の支持率のリードが縮まりつつあった。トランプ氏は即座に攻撃を開始し、民主党政権の災害対応を批判し、自身の最大の課題として主張する移民問題に結び付けた。死者数が増え、ノースカロライナ州が壊滅的な被害を受ける中、トランプ氏はハリス氏が災害支援金を不法移民の住居に使ったという主張など、虚偽の情報を広めもした。
ハリス氏は選挙活動を切り上げて、バイデン氏の緊急事態対応に関するブリーフィングのため9月30日にワシントンへ向かった。ロイターの記者は、ハリス氏が移動する飛行機内で、スタッフ3人が床に座り、ブリーフィングブックを破り、新しいメモをページに書き直している姿を目撃している。
200人以上が死亡したこのハリケーン災害は、選挙戦の転換点となった。政府が死者を隠蔽し、慈善寄付金を没収し、災害基金を移民支援に流用したなどの誤情報が広がり、移民に対するトランプ氏の強硬姿勢が有権者に響きやすくなった。ハリス陣営は、これらの誤情報と、バイデン政権下で急増した不法移民に対する有権者の懸念の両方に対処するのに苦戦した。
ハリス氏にの苦境が端的に示されたのがノースカロライナ州バンコム郡の状況だ。同郡は、ハリケーンで大きな打撃を受けた人口約28万人の地区で、もともと民主党の牙城だった。同郡の民主党委員長によると、ハリケーン後は、誤情報を耳にした共和党支持者が敵対的になり過ぎているとの懸念から、説得できる可能性がある共和党支持者への接触活動を取りやめたという。結局、同州ではトランプ氏が勝利した。
10月にかけて支持率の差が縮小し、世論調査で大接戦が予想されるようになり、民主党の戦略家たちの間で警戒感が広がった。
彼らは民主党が優勢なミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州のいわゆる「ブルーウォール」を強化することに注力した。2016年の大統領選でトランプ氏が民主党候補のヒラリー・クリントン氏に勝利したとき、トランプ氏は3州をそれぞれ1パーセント未満の差で制して「ブルーウォール」を突破した。2020年、バイデン氏はこれら3州を奪還した。この「ブルーウォール」を維持することがハリス氏にとってホワイトハウスへの最善の道だと戦略家たちは考えた。しかし、その際問題となったのがミシガン州とガザ戦争だった。
ミシガン州はアラブ系アメリカ人とイスラム教徒の人口が多く、20年の選挙ではバイデン氏勝利の要因ともなった。だが今回の選挙戦の終盤、イスラム教徒やアラブ系米国人の有権者はロイターに対し、ハリス氏がガザ侵攻中のイスラエルに対するバイデン氏の揺るぎない支持から距離を置かなかったことへの失望を口にしていた。最後の数週間、トランプ陣営は彼らの票を積極的に取りにいった。こうした有権者の多くは選挙には参加しないか、共和党に投票すると述べた。
ハリス陣営は、イスラム教徒とアラブ系の民主党員が感じている幻滅は、同氏にとってリスクだと理解していた。「負け要因になるかもしれない」と、ハリス陣営のミシガン州幹部は7月に語っていた。
陣営は最終的に、これらの有権者を完全に取り戻すのは不可能だと結論付けた。そのロスを補うために、最後の数週間は、国内最大の黒人が多数を占める都市であるデトロイトの労働組合員と黒人有権者から十分な支持を集めることに集中したという。
<インフレの重み>
しかし、ハリス氏を脅かした最大の問題はインフレだった。
ハリス陣営は、パンデミックからの経済回復が勝利への道標となることを期待していた。米国の経済成長は他の主要工業国に比べて著しく力強く、株価指数は過去最高値水準にあったからだ。
だが世論調査をみると、これらの争点をめぐって労働組合員や大学教育を受けていない白人有権者が次々とトランプ氏支持に傾き、民主党への支持が侵食されていったことが分かる。住宅費や食料費の急激な上昇に有権者は不満を感じ、雇用市場の堅調ぶりへの評価を打ち消した。トランプ氏は、ハリス氏とバイデン氏の在任期間中の物価上昇はハリス氏のせいだと非難した。
労働組合の多くは長年民主党候補を支持してきたが、最近では一般労働者がトランプ氏を支持するようになり、それがトランプ氏の勝利を決定づけた。
選挙戦の最後の数週間、ハリス氏の勢いは失速し、世論調査ではトランプ氏に対するハリス氏のリードが縮まっていることが示された。10月中旬までに、選挙戦は重要州で接戦となった。
世論調査では男女間にも顕著な差が生じていた。ハリス氏が白人女性の支持を広げ、共和党が維持してきた白人有権者の支持率の差を縮める一方で、トランプ氏は男性からの支持を拡大していることがうかがえた。
ハリス氏は戦略を変え、より多くの男性と共和党員の支持を獲得しようとした。陣営は10月中旬、男性有権者に訴えかけるため、副大統領候補のウォルズ氏を遊説に派遣した。ハリス氏はまた、共和党の厳しい批判者であり、民主党を支持する最も著名な保守派の一人であるリズ・チェイニー元下院議員と選挙イベントを開いた。数日後、トランプ氏はチェイニー氏が戦闘で銃撃に立ち向かうべきだと示唆し、民主党員らの怒りを買った。
ハリス氏はトランプ氏への攻撃も強めた。10月29日の演説で、ハリス氏はトランプ氏が再び大統領になることの危険性を警告した。明るく照らされたホワイトハウスを背に、ハリス氏は自らを民主主義、団結、自由の擁護者と位置付け、トランプ氏は「不安定」で「抑制されない権力」を求めていると訴えた。
ハリス氏はまた、生活費に関して有権者を安心させようとした。トランプ氏の関税引き上げ案は輸入品に対する「20%の国内消費税」に相当すると主張し、「目立たず、声を上げても届かないと感じている勤勉な米国民を守る」と誓った。
だが、彼女を信じたアメリカ人は十分な数に届かなかった。
アングル:「トランプ外交」再び、戦火の世界が向かうのは混乱か緩和か | ロイター
米大統領に返り咲いたトランプ前大統領は選挙戦でロシアのウクライナ侵攻を24時間以内に終わらせることができると豪語し、中国からの輸入品に追加関税を課すと公約。また、自分が選挙に負ければイスラエルが「根絶やしにされる」と警告してきた。
トランプ氏が勝利宣言したことを受け、同氏が外国政策に関して発してきた脅しや約束、予告が実現するかが国内外の大きな関心事となっている。
外交政策に関する発言は具体性を欠いてきたが、支持者らはトランプ氏の強力な個性や「力による平和」のアプローチで、外国の指導者を自らの意のままに動かし、共和党員が「火に包まれた世界」と呼ぶ緊迫した国際情勢の緩和につながると期待する。
共和党は国際的危機はバイデン政権の弱さにより作り出されたと主張してきた。
一方、米国の友好国と敵対国はともに、来年1月に始動するトランプ政権の2期目が1期目のような混乱と予測不能性に満ちたものになるのではないかと警戒している。
2017─21年の1期目にトランプ氏は「米国第一主義」を掲げて保護主義的通商政策を推進し、北大西洋条約機構(NATO)脱退までもほのめかす一国主義的な発言が外交政策のアプローチを特徴付けた。
その一方で、北朝鮮と首脳会談を実現したほか、イスラエルとアラブ諸国数カ国との国交正常化交渉を仲介して一定の成功を収めるなど、交渉をまとめる力にたけた実業家としてのイメージも演出しようとした。
シンクタンク「欧州外交評議会」のアナリストは選挙期間中、「ドナルド・トランプは外交政策に関しては相変わらず不安定で一貫性がない」とブログに投稿。「欧州の人々はトランプ政権1期目で負った傷がまだ癒えていない。前大統領の関税、欧州連合(EU)やドイツに対する深い敵意を忘れていない」と指摘した。
<ウクライナ戦争の終結>
ロシアのウクライナ侵攻にトランプ氏がどのように対応するかが、今後の政策課題を方向付け、NATOや主要な同盟国とどう向き合うかの前兆となる可能性がある。
ウクライナのゼレンスキー氏はトランプ氏の勝利宣言直後、トランプ氏の「力による平和」のアプローチこそが「ウクライナに公正な平和を実質的にもたらすことができる原則だ」とXに投稿した。
トランプ氏は昨年、もし自分がホワイトハウスにいれば、ロシアのプーチン大統領が22年にウクライナに侵攻することはなかったと主張し、「今でも24時間以内に解決できる」と述べた。しかし、どのように解決するかは言及していない。
バイデン氏のウクライナ支援を批判し続け、自身が大統領になればNATOの目的を徹底的に再評価する考えを示してきた。昨年にはロイターに対し、和平合意にはウクライナの領土割譲が必要になるかもしれないと語ったが、これはウクライナ側が拒否している。
アングル:「トランプ外交」再び、戦火の世界が向かうのは混乱か緩和か
米大統領に返り咲いたトランプ前大統領は選挙戦でロシアのウクライナ侵攻を24時間以内に終わらせることができると豪語し、中国からの輸入品に追加関税を課すと公約。また、自分が選挙に負ければイスラエルが「根絶やしにされる」と警告してきた。写真はウクライナのトレツクの前線で戦うウクライナの兵士。10月25日撮影(2024年 ロイター)
ウクライナを支援するNATOは脅威にさらされている。
トランプ氏はかねてから共通の国防費目標を達成していないNATO加盟国を非難し、選挙戦では「滞納」している国の防衛を拒否するだけでなく、これらの国に対しロシアに「やりたい放題」やらせるとの脅しを口にしていた。
オバマ政権時代に外交政策顧問を務めたブレット・ブルーン氏は「NATOは創設以来最も深刻な存亡の危機に直面するだろう」と語った。
<イスラエルに無条件の支援>
一方、イスラエルについては、イスラム組織ハマス壊滅を掲げたパレスチナ自治区ガザでの作戦に支持を表す一方で、ネタニヤフ首相がこの任務を早く終わらせなければならないと述べている。
イスラエルへの軍事支援は継続するとみられるが、バイデン政権が人道的懸念から限定的な形で圧力をかけたのとは異なり、人道面で条件を付けず支援を行う可能性が高い。イラン対応もイスラエルの裁量に委ねる面が大きくなる可能性がある。
しかし、トランプ氏が18年に核合意から離脱して以来、核関連活動を活発化させているイランが核兵器開発を急げば、トランプ氏は新たな危機に直面する可能性がある。
一方、1期目で着手したイスラエルとサウジアラビアの歴史的な関係正常化への取り組みを再開する可能性が高い。
<中国へのメッセージは首尾一貫せず>
選挙期間中、トランプ氏は中国に対する強硬姿勢を示し、中国製品に対する関税引き上げを公約した。多くのエコノミストは、これが国内の物価上昇を招き、世界の金融市場に影響が波及すると指摘する。
トランプ氏は、対中強硬路線が貿易戦争に発展した1期目よりさらに態度を硬化すると示唆している。しかし、中国の習近平国家主席について「鉄拳」による支配が「非常に賢い」と評するなど、これまでと同様、硬軟織り交ぜたメッセージを発している。
また、台湾は米国に防衛費を支払うべきだと主張し、自身が大統領になれば中国が台湾を侵攻することはないだろうと述べている。
トランプ氏は国防総省、国務省、中央情報局(CIA)の要職に、自身に忠誠心を示す人物を据えるだろうと、現・元側近や外交官は予想する。
その結果、トランプ氏は政策だけでなく、海外での大統領の行動を規定し、時には制約する連邦機関にも大幅な見直しができるようになるとみられている。
アングル:返り咲きトランプ氏、米連邦最高裁の保守派基盤を一段と強化か | ロイター
5日の米大統領選で返り咲きを決めた共和党候補のトランプ前大統領は、1期目の任期中に連邦最高裁判事を指名できる職権を駆使して最高裁を大幅に保守化させたが、2期目には保守派判事の割合を一段と高める機会を手中にしそうだ。さらに、高齢の保守派判事3人を若い保守派判事に入れ替え、同派の優勢を長期間維持しようと図る可能性もある。
保守派判事はクラレンス・トーマス氏が76歳、サミュエル・アリート氏が74歳で、ジョン・ロバーツ長官はトランプ氏が来年1月20日に大統領に就任する直後に70歳を迎える。いずれも共和党の大統領に指名された。最高裁判事は終身制だ。専門家によると、この3人の判事はトランプ氏の大統領就任と共和党による上院の過半数議席獲得を受けて引退を決断する可能性がある。
「トランプ氏の2期目の任期中にトーマス氏かアリート氏、あるいは2人がいずれも退任する可能性は高く、もしかしたら長官も退任するのではないか」と、コーネル大学法科大学院のゴータム・ハンス教授は予想する。その場合、トランプ氏の下で任命された判事が後任候補のリストに載る見通しだという。
また、トランプ氏の在任中にリベラル派判事3人のうち1人が退任すれば判事の構成を保守派7人、リベラル派2人として、さらに保守派を増やすことができる。リベラル派で最年長のソニア・ソトマイヨール判事は70歳で、1型糖尿病を患っている。
連邦最高裁判事は大統領が指名し、上院で過半数の承認を得る必要がある。
トランプ氏が1期目の大統領に就任した2017年当時の最高裁は、アントニン・スカリア判事が16年に亡くなったことで、保守派とリベラル派の判事がいずれも4人と勢力が拮抗していた。トランプ氏は17年にニール・ゴーサッチ氏、18年にブレット・カバノー氏、20年にエイミー・コーニー・バレット氏の保守派3人を判事に指名。現在は保守派が6人、リベラル派が3人の構成となっている。
<肩身狭まるリベラル派>
バイデン大統領は22年にケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏を最高裁判事に指名したが、任期中の判事指名は1人だけ。しかも前任者のスティーブン・ブライヤー氏もリベラル派だったため、リベラル派の判事を増やすことはできなかった。
近年、最高裁のリベラル派判事3人は主要な判決で少数派の反対意見を述べる立場に追いやられることが多くなっている。
イリノイ大学シカゴ校の法学教授スティーブ・シュウィン氏は、トーマス氏、アリート氏、ロバーツ氏が退任を決断するかどうかは、3人がそれぞれ自分の仕事をやり終えたと感じるかどうかにかかっていると見ている。その観点からすると、トーマス氏は退任しそうだが、アリート氏ははっきりせず、ロバーツ氏についてはもっと不透明だという。
ハーバード大学ロースクールの教授であるマーク・タシュネット氏は、3人のうち誰かが引退すれば、トランプ氏は保守的な実績を持ち「オリジナリズム(原意主義)」と呼ばれる、憲法や法令の制定者の意図や解釈を忠実に守るという司法哲学に忠実な考え方をする若い判事を指名する可能性が高いと見ている。
その場合、後任も保守派なので短期的な影響は小さいが「新たに着任した判事は在任期間が長いため、将来的に民主党の大統領がリベラルな政策を推進しようとする際にも最高裁は保守派優勢の状態が続く」という。
保守派判事はゴーサッチ氏が49歳、カバノー氏が53歳、バレット氏が48歳で任命されており、今後数十年にわたり判事に留まりそうだ。
トランプ氏と共和党は連邦最高裁だけでなく連邦の司法制度全体で保守派色を強める機会も手にする。トランプ氏は1期目に234人の判事を指名して承認を得ているが、これは単一任期の指名数として歴代2位だ。
<ソトマイヨール判事の去就>
リベラル派のソトマイヨール判事に対しては民主党が上院で過半数議席を握っていた22年以降、左派から引退を求める声が上がっている。若いリベラル派判事を連邦最高裁に送り込むことが狙いだが、ソトマイヨール氏に引退を検討している兆しは見られない。
「ソトマイヨール氏がすぐに引退し、1月20日までに後任が承認されることはありえない。リベラル派の一部強硬派は即時引退を求めるかもしれないが、ソトマイヨール氏は応じず、上院の民主党も賛同しないだろう」とタシュネット教授は指摘した。
リベラル派の象徴であったギンズバーグ判事も、民主党のオバマ政権時代に引退を求められたが応じず、87歳で亡くなる20年まで在任。結果的に共和党が後任を任命した。
ハンス教授は「民主党は、自党が任命した判事の戦略的引退を実現させるのに成功したことはない。ギンズバーグ判事がその最たる例だ。ソトマイヨール判事が戦略的な引退を考えたなら、もう引退していただろう」と述べた。
ウクライナ問題解決目指すとのトランプ氏発言を「留意」=ロシア報道官 | ロイター
アングル:トランプ氏勝利貢献のマスク氏、狙うは政権への強大な影響力 | ロイター
米大統領選で、実業家イーロン・マスク氏が支持した共和党候補のトランプ前大統領が決定的な勝利を収めて返り咲きを果たした。これによってマスク氏は、自身が率いる企業が次期政権からさまざまな恩恵を享受できるよう絶大な影響力を振るうことができる立場を得たと言える。
ロイターがマスク氏の企業関係者6人やこれらの企業と幅広いやり取りをした経験を持つ政府高官2人に取材したところでは、マスク氏がトランプ陣営に少なくとも1億1900万ドル(183億円)の献金を行った狙いは、傘下企業を規制や行政権執行の対象外に置きつつ、政府からの支援をより手厚く受けることにあった。
マスク氏の事業は電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA.O), opens new tabから宇宙企業スペースX、人間の脳とコンピューターをつないで健康管理を目指す医療ベンチャー企業ニューラリンクに至るまで、いずれも政府の規制や補助金、各種政策に大きく左右されるのが特徴だ。
元スペースX幹部の1人は「イーロン・マスクは全ての規制を自身の事業やイノベーションの妨げになると見なしている。彼はできるだけ早く、やりたいことが何でもできるように可能な限り多くの規制を撤廃するための手段として、次期トランプ政権を利用できると考えている」と指摘した。
マスク氏は、トランプ氏がペンシルベニア州で暗殺未遂事件に遭遇した7月13日に同氏への支持を正式表明。その後の選挙戦を通じてしばしばトランプ氏の応援演説に乗り出し、投票日夜にはフロリダ州にあるトランプ氏の別荘でともに勝利を味わった。トランプ氏は、政府効率化を推進する組織を立ち上げ、トップにマスク氏を起用するとも約束している。
かつてマスク氏は、汚染物質排出を制限できるEVや、いつか滅び行く地球から火星に人類が移住する手段になり得るロケットを生産することで、気候変動問題と戦う男というイメージを主に掲げていた。しかし今は、カリフォルニア地域に長らく根付いてきた左派イデオロギーに反発する形で次第に増えつつあるリバタリアニズム(自由至上主義)を掲げるシリコンバレーの富豪たちの先頭に立つ。マスク氏はいま、こうした左派イデオロギーを「意識高い系ウイルス」と呼んで嘲笑する。
マスク氏の政治への関与が強まるとともに、同氏の「企業帝国」は従業員や元従業員から昔の「金ぴか時代」にたとえられるほど強大になっている。金ぴか時代とは、19世紀後半にJ・P・モルガンやジョン・D・ロックフェラーといった有力資本家らが自分たちの企業や資産に影響する政府の政策を自由自在に動かす力を持っていた時期を指す。
マスク氏のファンや支持者らは、同氏の力が強まりつつあることに興奮を隠さない。同氏のハイテクベンチャーにとって政府は邪魔でしかないと見なし、シリコンバレーのトランプ氏支持を訴えてきたのが彼らだ。その1人でスペースXに投資しているベンチャーキャピタリストのシャービン・ピシュバー氏は、規制をなくせばスペースXの火星到達に向けた取り組みは加速すると話す。
ピシェバー氏は、マスク氏が「米国をスタートアップ企業のように機能させる。米国の歴史でイーロン・マスクより偉大な起業家は存在しない」と言い切った。
<お手盛りの政策>
マスク氏の政治的な存在が高まった背景には、バイデン政権から軽視され、反動でトランプ氏の右派的なポピュリズム(大衆迎合主義)への接近を加速させていったという事情がある。例えば2021年8月にホワイトハウスが開催したEVサミットにテスラは招待されず、呼ばれたのは労組が組織化され、テスラの販売台数よりはるかに少ない数のEVしか生産していないデトロイトの既存メーカーだった。
そのテスラの浮沈は、次期政権がEVと自動運転車に関する政策・規制や補助金などでどのような対応をするかにかかっている。これまで民主党政権はテスラが後押しした多くのEV優遇政策を提唱してきたが、共和党は伝統的にはEVに否定的で、トランプ氏も大統領選でバイデン政権のEV政策をけなしてきた。とはいえマスク氏は、今回の貢献により「既得権益」を守る可能性が見えてきた。
事情に詳しい関係者によると、テスラに関してマスク氏が目指すのは、同社の運転支援システム「オートパイロット」や「フル・セルフドライビング」の安全性を巡って米道路交通安全局(NHTSA)に規制権限を行使させないことだ。マスク氏が、自動運転車やロボタクシー(自動運転タクシー)といったテスラが計画する事業の規制を自社に有利な内容に設定させようと働きかける可能性もあるし、人工知能(AI)企業のxAIではマスク氏がお手盛りで新たな規制を策定したり組織を立ち上げたりしてもおかしくないという。
マスク氏は先月、ハンドルとペダルがない完全自動運転車「サイバーキャブ」の量産化を26年中に開始する計画を表明した。
ただそうした車両生産にはNHTSAの認可が必要になる。また米国では自動運転者についての一律の規制は存在せず、事業者は各州で異なる規制にそれぞれ対応しなければならない。
マスク氏はこうした州ごとの規制の煩わしさを嘆き、連邦レベルの統一された認可制度を導入すべきだと訴えている。
一方でスペースXは現在、政府の資金支援を受けたロケット打ち上げ業界で先頭を走り、テスラは多額の補助金が適用されるEVを年間200万台近く販売している。
<規制緩和の危うさ>
そもそも既にマスク氏の企業に対する規制強化の動きや、現行規制の執行は弱まっている、と先の企業関係者6人は証言する。一部の連邦政府機関は、マスク氏の企業による安全基準違反が指摘されても、これに対処するための政治的意思を結集するのが困難なようだ。その一因は、EVやロケットなど高度に規制され、政治化されている業界でマスク氏がすでに支配的地位を築いていることにある。
例えば米航空宇宙局(NASA)は、ボーイングの有人宇宙船「スターライナー」の推進装置トラブルで飛行士が宇宙ステーションに取り残された問題を解決する上で、スペースXのノウハウに頼らなければならなかった。
スペースXの対政府窓口の事情に詳しいある連邦政府職員は、NASAや他の機関がしばしば、スペースXのご機嫌を損ねないよう努力していると明かし、「NASAがスペースXを必要とする度合いは、スペースXがNASAを必要とする度合いよりも大きい」と付け加えた。
NASAはこれまでスペースXに150億ドル余りを投資。またスペースXは、米情報機関と共同で数百基のスパイ衛星網整備計画も進めている。
ロイターは昨年、スペースXの全米の工場で少なくとも600人の従業員が負傷しており、同社が安全上の規制や基準とすべき慣行に十分な配慮をしていなかった実態を報じた。スペースXの従業員の負傷率は昨年、業界平均をずっと上回り続けたことも判明した。
しかしNASAや、労働者の安全について企業を監督する米国労働安全衛生局(OHSA)は、スペースXに対して従業員の負傷と関連する違反行為を巡る相応の処分を行っていない。
それでもマスク氏は、政府の規制権限行使を弊害が大き過ぎると批判して「常軌を逸した」規制の撤廃を追求すると話している。
既に民間宇宙船分野では、イノベーション促進のため、議会が政府機関による監督を一時的に禁止した。次期トランプ政権はこの分野でさらに規制緩和を進める、というのがスペースXの規制戦略に通じる4人の関係者の見立てだ。
マスク氏とスペースXは、同社の優越的地位こそが政府の監督なしでもうまくやれる証拠だと考えているとされる。
ただ元スペースX幹部の1人は、この業界で規制を緩めようとする姿勢は危険だと指摘。ロケット製造には危険性が伴い、事故などで全ての計画が台無しになれば業界を10年後退させかねない、と警告している。
焦点:トランプ氏勝利でドル高継続か、為替市場に「地殻変動」の兆し | ロイター
トランプ氏が米大統領に返り咲く見込みとなり、ドルに注目が集まっている。ドル上昇が続けば、米国内製造業から新興市場まで、広範囲に影響を及ぼす可能性がある。
大統領選挙で共和党候補のトランプ氏の勝利が確実となり、議会上院では共和党が多数派を奪還、すでに多数派の下院でも順調に議席を積み上げる中、6日のドル指数は8年ぶりの大幅上昇を記録した。
ドルは年初から3.8%上昇し、4カ月ぶりの高値水準にある。ここからさらにどれだけ上昇するかは、トランプ氏の経済政策の核心である減税と関税が実施されると投資家が信じるかどうかにかかっている。これらの政策は成長を押し上げるとともに、インフレを加速させるリスクもあり金利が他国より高い水準にとどまる可能性がある。
相対的な金利の高さはドルの魅力を高める。ただ「強いドル」は米国企業に打撃となり得る。トランプ氏は大統領1期目に国内企業にマイナスになるとして折に触れてドル高を非難していた。「次期トランプ政権が志向することになる支出拡大、景気拡大、高い貿易障壁は全てドル高を意味する」とマネックスUSAのトレーディング部門アソシエイトディレクター、ヘレン・ギブン氏は指摘する。
<FRBの金融政策の影響>
ドルの見通しにとって重要なのは金利の道筋だ。米連邦準備理事会(FRB)は9月に0.5%ポイントの利下げで金融緩和サイクルに入ったが、インフレ懸念が再燃すれば、追加の利下げに慎重になる可能性がある。LSEGによると、来年の利下げ予想は6日時点で約42ベーシスポイント(bp)で先月の62bpから縮小した。
アムンディUSAの債券・通貨戦略ディレクター、パレシュ・ウパダヤ氏は「(投資家は)貿易関税、それが米インフレ見通しや世界成長見通しに及ぼす影響、それにFRBがどう対応するかを考慮しなければならなくなった」と指摘し「通貨市場の地殻変動」と表現した。
今回の選挙では大統領、上下両院を共和党が押さえる「トリプル・レッド」となるとみられ、これはトランプ氏の政策実現性を高める。
ジェフリーズのグローバルFX責任者、ブラッド・ベクテル氏は、トリプル・レッドならドルはさらに5%上昇し、トランプ氏の政策の実現に伴い今後数カ月に一段と上昇する可能性があると考えている。大統領の就任日は来年1月20日。
トランプ氏が勝利した16年、ドル指数は選挙後の2カ月で約6%上昇したが、その後数カ月でその上昇分を失った。トランプ政権が中国やメキシコなどに追加関税を発動した18年2月から20年2月にかけて約13%上昇した。
<副作用>
ドル高は、輸入価格を押し下げインフレを抑制する一方で、米国製品の輸出競争力を損ねるもろ刃の剣だ。海外利益をドルに交換する必要がある多国籍企業の利益も圧迫する。
JPモルガンの調査によると、貿易で加重平均したドルの実効為替相場が2%上昇するごとに、S&P総合500種指数(.SPX), opens new tab構成企業の収益の伸びは1%縮小する。
ドル高が成長の向かい風になれば、トランプ氏はFRBに利下げを要求したり、貿易相手国・地域に自国通貨押し上げ圧力をかけることが予想される。
さらに1期目では使わなかった手段だが、1930年代に為替安定ツールとして創設された約2150億ドル規模の為替安定化基金を活用する可能性もある。だがFRBの支援や各国との協調抜きで、どこまでドル高を抑制できるか、アナリストは懐疑的だ。
ウェルズ・ファーゴは6日付のリポートで「トランプ氏のドル安志向はFRBの賛同と連携を必要とするが、それは見込み薄」と述べた。
国際基軸通貨であるドルの持続的上昇は他の資産に影響を及ぼす。ドル建てで多額の借り入れをしている国は返済負担が重くなり、新興市場国は歓迎しない可能性がある。
ドル高はこれらの国と日本のような先進国の中央銀行に通貨防衛のための利上げを迫るとジェフリーズのベクテル氏は指摘、「過去にも何度かあった通貨戦争の再燃」を予想する。
一部投資家は、関税は企業や消費者の負担を重くし、サプライチェーンの混乱、貿易縮小につながるとして最終的に米国経済にマイナスになると考えている。これらの要因はドル高見通しを後退させることにもなる。
ドイツ銀行の調査によると、トランプ関税が実施された場合、米国の国内総生産(GDP)を約0.25ポイント押し下げる可能性がある。
決済会社Corpayのチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「完全に保護主義的な政策アジェンダは最終的に米国経済に跳ね返り、成長を鈍化させる」と指摘した。
米外交政策は一変、「米国第一」に歯止め利かず-トランプ氏返り咲き - Bloomberg
米大統領への返り咲きを果たしたトランプ前大統領は、敵対国だけでなく同盟国との外交関係も一変させると公言している。しかも1期目に「米国第一主義」政策推進を抑制する方向に働いた歯止めが、今回はほとんど期待できない。
トランプ氏は輸入関税引き上げや対中貿易縮小、同盟国への防衛費増額要求などの公約を掲げて選挙戦に臨んだ。欧州や中東で軍事衝突が続く中で、これらの公約を少しでも実行に移すだけで、新たな政治・経済的混乱を引き起こす恐れがある。
コロンビア大学のエリザベス・ソーンダース教授(政治学)は大統領選前の段階で、「トランプ氏の2度目の当選は警鐘ではなく、火事の警報そのものではなかろうか」と指摘していた。
トランプ氏は1期目の在任中に急進的構想の実現を目指したが、議会や政権メンバーの反対で阻まれた。しかし、それら閣僚・スタッフの多くはその後、トランプ氏を国家安全保障に対する脅威と非難しており、より協力的な人材が閣僚・スタッフのポストに充てられる見通しだ。
ソーンダース教授はトランプ氏について、「確固とした信念はほとんどないが、三つ挙げることができる。第一に同盟関係を好まず、特に大規模な多国間同盟が嫌いだ。2番目は、多国間貿易協定も嫌がり、2国間協定にしたいと考えている。最後に、独裁体制を称賛していることだ」と見解を示した。
ケネディ氏の妹、公衆衛生責任者への起用に警鐘 - CNN.co.jp
トランプ・トレード加速、その疑わしいロジック - WSJ
ドナルド・トランプ前大統領がホワイトハウス復帰後に何をしたいのかについて市場の見方は明確だ。株価は上昇し、ドルと米国債利回りは急騰。銀行株や暗号資産(仮想通貨)のビットコインも上昇している。
これらの動きは全てトランプ氏の公約に対応している。法人税引き下げはほぼ自動的に株価を押し上げる。関税はほぼ自動的に通貨高を意味する。財政赤字拡大は債券利回りを押し上げ、規制緩和は銀行株とビットコインを支援する。
この条件反射的な動きが長期的に正しいと判明するかどうかはまた別問題だ。
第一の問題は、米下院選の結果が判明していないことだ。共和党が過半数を維持し、トランプ氏の政策を推進できるかどうかが今後のカギになる。
減税を遂行し、歳出を増やすためには過半数維持が必要だが、それができなければ、同氏が約束した大幅な関税引き上げによって財政赤字は改善されるだろう(それは大幅増税と同じ効果がある)。その場合、米国債利回り上昇のロジックが疑わしくなる。
米30年債利回りは2020年の新型コロナウイルス流行期以来、1日の上昇率としては最大を記録した。これはバイデン、トランプ両政権の下でたがが外れた財政赤字が無限に続くことを示唆している。
第二の問題は、移民と関税というトランプ氏の二つの主要政策が経済に与える影響だ。不法入国した何百万人もの移民を強制送還する約束をやり遂げれば、大規模な供給ショックを引き起こす。これまで雇用市場の過熱を冷ますのに役立ち、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレを再び制御できていると安心させた要因の一つが反転することになる。
供給ショックはインフレ率上昇と景気減速を意味し、通常は株価に悪影響を及ぼす。インフレ懸念に再燃の兆しがあれば、債券利回りが押し上げられ、それも株価に悪影響がある。
約束された関税引き上げは教科書通りの効果をもたらし、ドル高を招く。関税発動後もドル建て価格を同水準に保つため、外国通貨は値を下げて調整する必要がある。2018年にトランプ氏が対中関税を引き上げた際、まさにそれが起きた。もし外国に一律の関税を発動し、それに加えて対中関税を60%に引き上げ、メキシコ製自動車の輸入に特に高率の関税をかける場合、ドルの上昇率はさらに大きくなるはずだ。
トレーダーはそれを念頭に対応しており、ドルは対ユーロで1.8%上昇している(ただ対メキシコペソでは当初の上げ幅を縮める展開となった)。国内事業が中心で関税の影響を受けにくい中小企業の株にも大量の買いを入れている。小型株で構成するラッセル2000指数は5.8%上昇と、S&P500種指数の2倍の上げ幅だ。
為替への影響は、米国の輸出品に対して外国が課す関税や、報復関税のエスカレートによって起こりうる本格的な貿易戦争によって一部相殺される可能性がある。このことで不利益を被るのは米国よりも他の国々の方だろう。その理由は米国が多額の貿易赤字を抱えているからであり、石油と航空機部品が輸出の中心だからだ。いずれも外国から標的にされる可能性は低い。
貿易戦争が勃発した場合、米国は他の国々ほどひどい打撃を受けないかもしれないが、打撃があることに変わりはない。米国の景気減速は、原則として株価の重荷となり、米国債利回りを押し下げるはずだ。またしても市場の想定とは逆の動きになる。
トランプ・トレードの命運を左右する第三の問題は、出発点だ。2016年当時、株価は今よりずっと割安で、S&P500種指数の予想PER(株価収益率)は16倍だった。現在の予想PERは22倍で、多くの好材料がすでに株価に織り込まれている。同様に10年債利回りは現在4.4%(16年は1.8%)、インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出する米ドル指数は現在105(16年は97)となっている。3者とも2016年の方が上昇余地が大きかった。つまりトランプ氏の政策の方向性やスピードに少しでも失望すれば、マイナスに作用するということだ。
これが第四の問題、すなわち歴史につながる。トレーダーは2016年に少なくとも2度、トランプ氏に対して完全に誤った判断をした。予想外の大統領選勝利を受け、直ちにトレーダーは株式市場で先物を売り払った。そのため一晩に値幅制限いっぱいの5%安となった。それこそ間違った動きだった。11~12月の残りの期間、投資家が1月の大統領就任に備える中、米国債利回りとドルは急騰した。しかし翌17年を通じてドルは下落し、米国債利回りと当時「トランプ・トレード」と見られていた株式市場の動きは後退した。
投資家は今回トランプ氏が何をするのかは百も承知だと思っている。だが彼らが少しでも政治を読み取るのがうまくなったのか、またはトランプ氏自身が少しでも予測可能になったのかは分からない。
トランプ氏勝利は米経済に何をもたらすのか - WSJ
米国の有権者はドナルド・トランプ前大統領を再び大統領に選んだ。その主な要因となったのは、ジョー・バイデン大統領の下での経済状況への不満や、第1次トランプ政権下の低インフレや新型コロナウイルス禍前の状況を懐かしく思う気持ちだ。
有権者たちのこうした希望をかなえるためにトランプ氏が用いる主な経済的手段は、1期目と同じく関税と減税になるだろう。しかし今回は異なる点がある。トランプ氏が計画している関税はより広範でより高率になり、減税は対象を絞ったものになる。
関税引き上げはインフレ率の押し上げ圧力になる一方、減税は経済成長を促し、財政赤字を拡大させることから、全体として金利を上昇させやすいというのが、エコノミストや投資家の一致した見方だ。そして実際に米長期国債の利回りは、力強い内容の経済指標やトランプ氏の支持率上昇を材料に、このところ上昇していた。6日の早い段階では、トランプ氏の勝利が明らかになる中で株価先物指数と共に大きく上昇した。
トランプ氏の1期目の前半は、2016年の大統領選投開票日の夜に多くの人が予想したよりも経済にとっては良かった。今回の予想も同じように外れる可能性がある。一つの理由は、トランプ氏が比較的良好な経済見通しを受け継ぐことだ。成長は驚くほど力強く、物価はまだ高いとはいえインフレ率はピークから大幅に低下している。連邦準備制度理事会(FRB)が7日に今年2回目の政策金利引き下げを決定することは確実視されている。こうした状況はリセッション(景気後退)のリスクを最小限に抑えるはずだ。
トランプ氏自身の計画に関して言えば、同氏はこれまで表明しているほど大幅には関税を引き上げず、貿易戦争よりも交渉を選ぶ可能性がある。議会は減税案を薄めるかもしれない。そもそも大統領が景気を動かす主要因になることはめったにない。今後4年間の景気動向はトランプ氏の政策よりも、何らかの危機や戦争、新技術が引き起こす好景気といった、もっと大きな力や予期せぬ出来事により大きな影響を受けるかもしれない。
まず関税
トランプ氏が経済に影響をもたらす最初の機会は、議会の承認なしに行動できる関税の分野になりそうだ。ただ、行政手続きや交渉によって実施が遅れる可能性はある。1期目には、中国に対する主張を始めてから関税を課すまでに11カ月かかった。関税は、2017年の減税措置の延長に関するより広範な交渉に含められる可能性もある。
1期目の関税はインフレ率に目に見える影響を及ぼさなかった。措置が比較的控えめだったほか、世界的な需要と投資の低迷や労働市場の緩みによって、物価に逆方向の圧力がかかっていたからだ。選挙直前の賃金上昇率は年2.4%にとどまっていた。債券投資家は、将来の平均インフレ率がFRBの目標の2%より低い1.8%になると予想していた。
今回トランプ氏は中国に対して少なくとも60%、その他の国に対して10~20%という、かなり高い関税を提案している。この組み合わせにより米国の関税率は1930年代以来の高水準になる。しかもこの関税引き上げは、需要が旺盛で、サプライチェーン(供給網)が地政学的紛争の影響を受けやすく、インフレの記憶が鮮明な中で実施される。賃金は1年間で3.8%上昇しており、債券投資家は将来のインフレ率が2.3%になると予想している。
これは、関税が1期目より大きなインフレリスクをもたらす恐れがあることを示している。モルガン・スタンレーは、60%と10%の関税が課されれば、米国の消費者物価が0.9%上昇すると予測している。これは1回限りの影響で、インフレ率はいずれ基調的なトレンドに向かって低下していくはずだ。
しかし、他の要因が関税の影響を小さくする可能性がある。輸入業者が関税負担の多くを吸収するかもしれない。ドル高になって輸入価格の上昇分が相殺されるかもしれない。最も重要なのは、トランプ氏は他国の貿易障壁を下げるための交渉戦術として関税を使うつもりだと一部アドバイザーは述べており、実際の関税引き上げ率は本人が言うほど大きくない可能性があることだ。また、関税への懸念で株価が打撃を受けたり金利が押し上げられたりすれば、トランプ氏が妥協するかもしれない。
ゴールドマン・サックスのエコノミスト陣は、トランプ氏は中国に対する関税率を60%ではなく20%にし、他国には一律の関税を課さないとみている。このシナリオでは、食料品とエネルギーを除いたインフレ率が1年後に、FRBの重視する物価指標で現在の2.7%から2.3%に低下する。ベースライン予想は2%だが、この差はFRBに利下げを思いとどまらせる理由にならないだろうと同エコノミスト陣は結論付けている。インフレ率はその水準でも過去3年間の大半の時期より低い。
次に減税
2017年に当時のトランプ大統領と米議会共和党が成立させた減税は、2025年末で一部失効する。その中には、納税申告を行っている個人・法人への税率引き下げが含まれる。トランプ氏と共和党はこの減税の延長を優先項目に掲げている。超党派組織「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」の推計によると、そのコストは10年間で約5兆ドル(約770兆円)に達する。来年は減税延長の手続きに多くの時間を要する公算が大きい。
この減税がすべて延長されても、投資家と一般市民の認識に既に織り込まれているため、経済成長や金利への影響はあまりないはずだ。
トランプ氏の他の政策案はそうはいかない。同氏は法人税率の引き下げや、チップ・社会保障給付金・超勤手当への非課税措置、自動車ローン金利と州・地方税分の税控除などを時折口にしてきた。CRFBによれば、こうした措置は財政赤字を10年間で約4兆ドル増やすとみられる。
関税収入がこうしたコストをいくらか埋め合わせるだろう。支出削減もコスト相殺効果を持つが、トランプ氏は支出増につながる政策も幾つか計画している。
アメリカン・エンタープライズ研究所のエコノミスト、カイル・ポメルロー氏によると、2017年の税法は、所得・利益・投資に対する税率を引き下げ、税控除額を縮小したことによって税制を簡素化したため、長期的な成長に寄与した。しかしトランプ氏の案では、新しい優遇措置によって税制が再び複雑化するため、2017年の税法と同じような効果は見込めないという。
それでも減税には何らかの成長押し上げ効果がある。ドイツ銀行の予測では、関税引き上げがない場合には、共和党が支配する政府・議会の誕生を受けて2025年と26年の成長率がそれぞれ0.5ポイント、0.4ポイント押し上げられる。しかし、中国からの輸入に60%、他のすべての国に10%の関税が課されれば、成長率への正味の影響はマイナスになると同行はみている。
減税は財政赤字の拡大要因ともなり、金利に上昇圧力をかける。JPモルガン・チェースの金利ストラテジスト、ジョン・バリー氏は、現在の米財務省の国債入札スケジュールについて、来年の財政赤字をカバーするのに十分な規模だとした上で、2017年の減税が延長されない場合でも2026~29年には3兆3000億ドルの不足が生じるとの見方を示した。減税が延長され、トランプ氏のさまざまな計画が実現すれば、こうした不足がさらに拡大するという。
拡大した赤字を埋め合わせるために米財務省が国債の入札規模を拡大し始めれば、利回りに上昇圧力がかかる可能性が高い。共和党が政府・議会をともに支配するようになれば、10年債利回りは0.4ポイント上昇するとバリー氏は予想している。このうち0.15ポイントは今月1日に市場は織り込み済みだった。
だが、米国の2024会計年度(2023年10月~24年9月)の財政赤字は1兆8000億ドルと8年前の3倍になっており、共和党が多数派の議会でもトランプ氏の要望をすべてかなえることはないかもしれない。
元共和党議会スタッフで現在は米投資銀行パイパー・サンドラーに勤務するドン・シュナイダー氏は「共和党が多数派の議会になっても、これらの案のメリットとコストの両面から、社会保障給付や超勤手当の非課税措置に全力で取り組むことはないだろう」と言う。「単にそれを実現するだけの賛成票が得られない」
とはいえ、共和党議員に対するトランプ氏の影響力は1期目よりも大きくなっている。トランプ氏は自身の優先事項を強引に押し通せることを示してきた。
規制緩和
トランプ氏は、企業合併や石油・ガス産業などに対する規制緩和を提案している。これは経済成長と企業の景況感を押し上げ、インフレを抑制するはずだ。だがエコノミストらは、その効果を経済全体の中で見極めるのは極めて難しいとみている。例えば、米国の石油生産量とガソリン価格は主に原油の国際価格によって決まる。その国際価格は、石油輸出国機構(OPEC)や経済制裁、中東の紛争、中国の経済成長の影響を大きく受ける。
同様に、不法移民の強制送還というトランプ氏の計画は賃金と物価の上昇圧力を幾分強める可能性があるものの、米国の労働市場の規模を考えれば、その影響は顕著なものではないかもしれない。
トランプ氏の経済政策は、成長だけを問題にするのではなく、地政学的な敵対国である中国への依存を減らしながら、かつて製造業がもたらした良好な雇用と健全な地域社会を取り戻そうとするものだ。米製造業同盟(AAM)のスコット・ポール会長は「もちろんコストはかかるが、多くの場合それに見合う価値があると思う」と語る。
トランプ政権1期目で米通商代表部(USTR)代表を務め、2期目も何らかの役割で政権に復帰する可能性が高いロバート・ライトハイザー氏は昨年、ある論考で「グローバリゼーションは崩壊・混乱・破滅を生む」とし、こう続けた。「それとは対照的に、保守派は伝統的な価値観や制度を守り、社会構造を維持し、家庭や地域社会が繁栄する条件を確保しようとする」
国内総生産(GDP)やインフレ率とは違い、トランプ・エコノミーのこうした指標は簡単に測れるものではない。だが、同じくらい重要なものだ。
トランプ氏のエネ政策に歯止めを、現政権がLNG環境調査の完了急ぐ - Bloomberg
バイデン米政権は、1月から実施している液化天然ガス(LNG)生産による環境などへの影響を分析する調査の完了を急いでいる。返り咲きを果たしたトランプ前大統領は就任早々、新たなLNG輸出ターミナルを承認する方針を示しており、こうした取り組みを難しくする狙いがある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
調査ではLNG輸出の増加が気候変動や経済、国家安全保障に与える影響について検証しており、バイデン政権はその間、新規輸出許可を一時凍結した。トランプ氏は大統領に復帰したら、就任初日にこの凍結措置を解除する公約を掲げていた。今回の調査でLNGの輸出拡大は利益よりも害の方が大きいとの結論が示される、あるいは輸出拡大に新たな条件が加えられる場合、トランプ次期政権が輸出を許可しても法廷で争われる可能性がある。
エネルギー省は月内の調査完了を目指しているが、完了できるかは不明だと関係者は述べている。月内終了の目標はトランプ氏の選挙勝利が決まる前に設定されていた。同省はコメントの要請に応じなかった。
だが、今回の調査によって、化石燃料生産の拡大を掲げるトランプ次期政権の取り組みを遅らせることができても、止めることは難しいとみられている。
トランプ氏関税案、完全導入の公算小 実施ならインフレ再燃=S&P | ロイター
米大統領選で返り咲きを決めたトランプ次期大統領が、輸入品に一律10%、中国製品に60%の関税を課すとした公約は、交渉の出発点に過ぎない可能性が高い。格付け会社S&Pグローバルが7日付のメモで指摘した。
この水準で関税が課される公算は小さいものの、トランプ氏がこの公約を履行すれば、一律10%の関税が米国のインフレ率を1.8%ポイント押し上げる可能性があると報告書は指摘している。また、最初の1年間でインフレが再燃し、生産を1%ポイントほど押し下げるとした。
中国への関税を60%に引き上げるとインフレ率は最大1.2%ポイント上昇し、生産は0.5%ポイント程度低下する可能性があると指摘した。
S&Pは、政治情勢により米国の制度の健全性が損なわれ、世界の主要準備通貨であるドルの地位が揺らいだり、すでに高い米国財政赤字がさらに拡大したりした場合、現在の米国の信用格付けである「AA+」を向こう2─3年で引き下げる可能性があるとの見通しを示した。
トランプ氏の大統領2期目、より制約少なく | ロイター
米大統領選で返り咲きを決めた共和党のトランプ前大統領は、来年1月からの2期目における制約が1期目よりも大幅に少ないとみられる。
トランプ氏の側近らはこの数カ月、政権入りする候補者を選別し、主要ポストを信頼できる戦力で固めることを目指してきた。
民主党が下院で多数を占めた場合には、トランプ氏の議案を阻止できる可能性がある。ただ、これまでの開票状況では、共和党がわずかにリードしている。
共和党は上院で100議席中の52─57議席を占める見通しで、トランプ氏は一部の独自判断で動く共和党議員に左右されずに、上院で指名者の承認を得ることが1期目よりも容易になるとみられる。
元共和党上院スタッフで現在はユーラシア・グループのジョン・リーバー氏は、54議席あれば指名者の大半を承認できるとの見方を記者団との電話会議で示した。
トランプ氏が2016年に予想外に勝利して就任した際は、多くの共和党議員のほか、自政権の中からも懐疑的にみられた。
リズ・チェイニー元下院議員や故ジョン・マケイン上院議員など、トランプ氏に抵抗した共和党議員は、トランプ氏の支持を求めた議員に取って代わられた。ペンス副大統領(当時)は、2021年1月6日にトランプ氏が選挙敗北を覆そうとする圧力を拒否した。
トランプ氏が任命した3人の判事を含む連邦最高裁判所は今年7月、大統領在任中の公的な行為について「免責特権」を認める判断を下した。
10月後半のロイター/イプソス調査によると、共和党有権者の9割近くはトランプ氏を好意的に見ている。
●先進国中銀、金融当局
利下げに備えるFRB、4つの問題に直面 - WSJ
市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が6~7日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利下げを実施するとの見方が大勢だ。より大きな問題は、堅調な雇用市場を維持しつつ、最近のインフレ鈍化を反転させないために、今後どの程度の追加利下げが必要とFRB高官らが考えているかだ。
FRB高官らがこの問題に明確な回答を示すのは難しいだろう。なぜなら、彼らの答えは「状況次第」という形になるからだ。
今週の政策判断は、市場が利下げ幅について確信が持てなかった前回のような緊張感を欠く。そのため、米東部時間7日午後2時(日本時間8日午前4時)に行われるジェローム・パウエルFRB議長の記者会見が最も注目される。
パウエル氏は、論争を呼ぶ政策問題に関する質問を避け、選挙後の注目を浴びないよう努めるだろう。政治的中立を目指しているFRBは、大統領選と金利判断の間隔をさらに空けるため、FOMCの開催を1日遅らせた。
FRBは9月のFOMCで0.5ポイントの利下げを決めた。利下げは4年ぶりだった。19人のFOMC参加者は、年内に想定する追加利下げが1回か2回で意見がほぼ二分した。9人が1回以下を見込み、10人が2回と予想した。FRBは12月に今年最後のFOMCを開催する。
投資家は7日、FRBが12月に再び利下げするハードルの高さについての手掛かりを探すだろう。2018年から22年初めまでFRB副議長を務めたリチャード・クラリダ氏は、12月のFOMCで一段の利下げがありそうだが確実ではないとし、2025年の見通しは特に不透明だと述べた。
ここからは、FRB高官らが直面している四つの問題について考えてみたい。これらの問題は、FRBが意味のある金利ガイダンスを示すことが一段と難しくなり得る理由を示している。
一つ目は、大統領選の結果が経済的な需要やインフレに重大な変化をもたらし、現状とは異なる政策の道筋が正当化されるのでは、という問題だ。FRB高官らは、ドナルド・トランプ次期大統領が税金・関税・移民に関する政策見直し案をどこまで実行するか見極めるまで、政策アプローチを変えないだろう。しかし、共和党が上下両院の主導権を握れば、FRBのスタッフエコノミストが12月のFOMCで一部の基本的な想定を修正し始める可能性がある。
2016年12月のFOMC議事要旨によると、FRB高官とスタッフエコノミストは減税の可能性をモデル化する方法について活発な議論を交わしていた。共和党候補のトランプ氏が大統領選で勝利し、同党が上下両院で過半数を制した直後だった。FRBは当時、政策金利を非常に低い水準から段階的に引き上げていた。
二つ目は、雇用市場の悪化に対する不安は誇張されているのではないか、という問題だ。FRBが9月に利下げした際、失業率は7月に4.3%となり、年初の3.7%から上昇していた。雇用の伸びも鈍っていた。一部のエコノミストは、FRBが政策金利を高止まりさせ、労働市場を無駄に悪化させたのではないかと懸念していた。こうした懸念は、失業率が少し上昇し始めると通常はさらに大幅に上昇する、という経験則によって増幅された。
9月のFOMC以降、そのような懸念はやや後退したものの、決して払拭されたわけではない。9月の雇用の伸びは回復したが、10月はハリケーンとストライキの影響を受けたと見られ、非常に低調だった。失業率は9月に4.1%へ低下し、10月もその水準を維持した。
天候やストライキ、選挙によって経済の不透明感が高まったことで、FRB高官らが今後の計画を明確に示すことは難しくなるだろう。
三つ目は、インフレはどこに向かうのか、という問題だ。FRBが重視する指標でみたインフレ率は鈍化している。9月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で2.1%上昇した。変動の大きい食品とエネルギーを除いた、いわゆるコアインフレ率は2.7%だった。
コアインフレ率は2023年の水準から大幅に低下しており、これを受けてFRBは利下げを開始することができた。だが、インフレ率が下げ止まり、経済が順調に推移しているように見える場合、FRB高官の一部は利下げペースの減速を主張する可能性がある。
四つ目は、そもそも適正な政策金利の水準はどこか、という問題だ。 FRBはインフレ抑制のために2年にわたり急ピッチで利上げした後、政策金利をより「正常な」水準に戻そうとしている。ただ何が正常な水準かは分かっていない。
2008~09年の金融危機以前は、経済を刺激も抑制もしない「中立的」な水準は4%前後だと多くの人が考えていた。現在、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.75~5%だ。しかし、危機発生後の極めて遅い回復を経て、エコノミストらはこの正常または中立的な水準が2%前後まで低下した可能性があると結論付けた。
パウエル氏は9月の記者会見で、米国がそれほど低い中立金利に戻るとは思わないと述べた。「これから分かることだ」とし、「中立金利は当時よりもかなり高い水準にあると感じている」と語った。
FRBが利下げするにつれ、政策金利の最終到達点に関するこの問題は緊急性を増すだろう。経済が好調であれば、中立金利が2%前後より高いと考えるFRB高官はいずれ、政策金利が中立的な水準を下回らないよう利下げペースの減速を望む可能性がある。
英中銀、0.25%利下げ 金利4.75% 予算案受けた物価高予想 | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は7日、政策金利を5%から4.75%に引き下げることを決定した。
2020年以降で2度目となる利下げで、新政権による初の予算案によるインフレ上昇や経済成長見通しを受け、今後の利下げは緩やかなものになるとの見方を示した。
金融政策委の利下げ決定8対1。マン委員は据え置きを主張し利下げに反対した。
ベイリー総裁は声明で、「目標に近いインフレ水準を維持するため、早急な、あるいは大幅ま金利引き下げはできない」と指摘。
その上で「しかし景気が予想通りに進展すれば、徐々に金利は低下を続ける」と述べた。これは9月会合後の声明とほぼ同じだ。
ベイリー総裁は会合後の記者会見で、中銀が物価圧力の主要指標としているサービス部門のインフレ率は依然として高すぎると指摘。「総合インフレ率を目標とする2%にするには、サービス価格の上昇が広範に鈍化する必要がある」と述べた。
同時に、インフレ率が予想以上に低下し続ければ、利下げペースが加速する可能性があると指摘。利下げは緩やかにしか行えないというのが中銀の基本的な立場だとしながらも、インフレ率は8月に示した予想を超えるペースで低下しているとし、「こうした進展が続けば、中銀は対応する」と語った。ただ、「緩やかな利下げ」が四半期ごとの利下げを意味するかについては明言を避けた。
また、予算案の影響で今後の金利の道筋が異なるものになるとは考えていないと述べた。
イングランド銀は、財務相が先週発表した予算案について、来年の経済成長率を0.75%程度押し上げるが、2ー3年の年間成長率はほとんど改善しないとの見通しを示した。
予算案のインフレへの影響については、今後2年強でのピークインフレを0.5%ポイント弱押し上げるとし、2%目標に持続的に戻るにはさらに1年かかると予想した。
今後の利下げを巡る中銀の慎重な表現は過去数カ月と同様で、欧州中央銀行(ECB)に比べ利下げは緩やかとの市場の見方に沿ったものだ。
INGのエコノミスト、ジェームズ・スミス氏は、予算案で大幅な支出増が示されたにもかかわらず、英中銀は将来的な利下げを巡る状況は変わらないとの見解を示したと指摘した上で、12月の会合で金利据え置きが決定された後は、来年2月以降に利下げペースが加速するとの見方を示した。
<今年の成長率見通し1%に下方修正>
英中銀によると、インフレ率は9月の1.7%から年内には2.5%程度に上昇、来年末までに2.7%に達する可能性が高いとし、予測期間3年間の終わりまでには徐々に2%を下回る水準に低下するとの見方を示した。
バス運賃の上限、私立学校授業料への付加価値税、国民保険料の雇用主負担分の引き上げなどの施策はインフレ率を押し上げる可能性が高い。
雇用主負担分引き上げについて中銀は、最低賃金の6.7%引き上げもあり雇用主はコスト上昇に直面するが、従業員解雇や収益減受け入れで対応する可能性があるため、インフレへの全体的な影響については不確かとした。
過去の成長率に対する最近の修正を反映し、今年の平均経済成長率見通しは1.25%から1%に引き下げた。25年の見通しは1%から1.5%に引き上げた。「政府の消費と投資が、増税が成長に与える影響を相殺する以上に強く、また相対的に前倒しで実施されることを反映している」とした。
中銀の成長・インフレ率の見通しには歳出増と増税の影響を勘案しているが、市場借入コストの大幅上昇は事前に想定できなかったため含んでいない。市場金利の上昇を織り込んだ場合、インフレ率と成長率見通しはやや低下する可能性が高い。
中銀はまた、インフレ率を持続的に2%目標に戻すためには、金融政策が「十分に長く制限的」である必要があると改めて表明した。
<声明に米大統領選の言及なし>
英中銀は声明文で、5日に実施された米大統領選で共和党のトランプ前大統領の返り咲きが決まったことについては言及しなかった。
ベイリー総裁は記者団の質問に答える形で、トランプ氏の通商政策を注視すると言及。「世界経済の分断には多くのリスクが伴う」とし、今後の展開を見守りたいと語った。
ICAEWのエコノミックス・ディレクター、スレン・ティル氏は、英予算のほか、米国のトランプ次期政権が導入する可能性がある新たな関税措置などに起因する世界的リスクの高まりがインフレ圧力につながる可能性があるとの見方をを示している。
スウェーデン中銀、予想通り0.5%利下げ 12月と上期に追加緩和 | ロイター
トランプ氏、パウエルFRB議長の任期全う認める公算=報道 | ロイター
米金利先物、12月と来年の追加利下げを予想 FOMC受け | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が6─7日の連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利下げを決定したことを受け、フェデラルファンド(FF)金利先物市場は7日時点で12月も同規模の追加利下げを織り込んでいる。
LSEGの算出では、金利先物は2025年についてもさらに67bpの利下げを示唆している。
トランスユニオンのバイスプレジデント兼米国調査・コンサルティング責任者ミシェル・ラネリ氏は「きょうの利下げはFRBが前回の利下げ後、インフレや経済全体について前向きな兆候を引き続き確認したことを示している」とし、来年にかけて追加利下げが見込まれると述べた。
FF金利先物市場で来月のFOMCでの利下げ確率は72%となっている。
FRB議長、トランプ次期大統領に求められても「辞任しない」 | ロイター
FRB0.25%利下げ、雇用情勢「全般的に緩和」 経済は堅調に拡大 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は6─7日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.50─4.75%とした。決定は全会一致。
FRBは、雇用市場が全般的に減速する中、インフレ率がFRBが目標とする2%に向けて継続的に低下していることを考慮。声明で「経済活動は引き続き堅調なペースで拡大している」とした。
雇用については、前回の声明で毎月の雇用増の鈍化を指摘していたのに対し、今回は労働市場についてより広い観点から言及。失業率は引き続き低水準にあるとしながらも、「労働市場の状況は全般的に緩和している」とした。
ただ「雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクがほぼ均衡していると判断する」とし、この部分は前回声明を踏襲した。
●先進国経済指標
米新規失業保険申請は3000件増の22.1万件、小幅増で予想と一致 | ロイター
ドイツの輸出・鉱工業生産、9月は予想以上に減少 工業の不振鮮明 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が7日発表した9月の輸出と鉱工業生産はともに予想以上に減少した。
9月の輸出は前月比1.7%減。ロイターがまとめた市場予想は1.4%減だった。
貿易収支は170億ユーロ(183億ドル)の黒字。黒字幅は8月の214億ユーロから縮小した。
9月の輸出の大半は米国向け。対米輸出は前月比4.8%増だった。対中輸出は3.7%減。欧州連合(EU)諸国への輸出は1.8%減少した。
対米輸出はドイツの国内総生産(GDP)の約3.8%を占めている。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当シニアエコノミスト、フランツィスカ・パルマス氏は、輸入業者が関税が課される前に駆け込みで製品の購入を増やすことで、ドイツの輸出は増加する可能性があると指摘。しかし実際に関税が導入されれば輸出は減少するだろうと述べた。
一方、9月の鉱工業生産指数は前月比2.5%低下。ロイターがまとめた市場予想は1.0%低下だった。
パルマス氏は、工業部門の危機が独政府が対処しなければならない多くの問題の一つであることが示されたと述べた。
コメルツ銀行のシニアエコノミスト、ラルフ・ソルフィーン氏は「工業部門は経済全体のブレーキであり続けるだろう」との見方を示した。
INGのマクロ担当グローバルヘッド、カーステン・ブルゼスキ氏は「ドイツの鉱工業データはジグザグの動きを示しており、製造業がまだ完全な底入れ局面に入っていないことを示唆している」と指摘した。
7─9月の鉱工業生産指数は前期比1.9%低下。
8月の鉱工業生産指数は速報値の2.9%上昇から2.6%上昇に下方改定された。
ユーロ圏小売売上高、9月は予想上回る 8月も上方改定 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
ドイツ銀、ECB最終到達金利予想1.5%に下げ 関税リスクで | ロイター
ドイツ銀行は、現在3.25%の欧州中央銀行(ECB)政策金利の最終到達水準予想を2.25%から1.5%に下げた。米大統領選でのトランプ氏勝利を受けた米追加関税見通し、マクロ経済の下振れ、インフレ率が目標を下回る可能性を踏まえた。
米国の追加関税の時期、欧州の対応など、影響について不確実性があり、予想に1.0─1.75%のレンジを設けた。
ドイツ銀行は、今後5回の理事会で0.25%利下げを予想。予想には0.5%利下げは含まれていない。
ユーロ圏企業、利益率への圧力続く見通し=ECB調査 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)が7日公表した「企業向け金融アクセス調査」によると、ユーロ圏企業は今四半期も売上高の増加が続くと予想しているが、賃金上昇率は値上げ率を上回る見通しで利益率は引き続き圧迫されている。
ユーロ圏企業の利益率は近年、異例の高水準を記録していたが、足元では大幅に低下しており、人員削減につながるとの懸念が浮上している。
ECBは「あらゆる規模の企業で依然として広範にコスト圧力が存在することが浮き彫りとなった」とし「企業は前回調査との比較で引き続き利益の悪化を報告している」と述べた。
調査は約1万3000社を対象に実施。調査対象企業の大半は従業員数が250人未満だった。
企業は今後1年で販売価格が3%上昇すると予想。賃金については3.5%上昇すると予想している。
企業が予想する販売価格の上昇率はECBのインフレ目標(2%)を大幅に上回る。企業は1年後、3年後、5年後のインフレ率を2.9%と予想している。
企業は、第3・四半期に銀行融資の必要性が減少したが、前四半期よりも融資を受けやすくなったと報告。ただ今後3カ月間については銀行融資の利用可能性について楽観的な見方が減った。
アジアの為替トレーダー、FRBと中国の失望リスクに備え-介入警戒 - Bloomberg
アジアの為替トレーダーは6日のアジア通貨急落からかろうじて回復したばかりだが、すでに次のマクロ面のリスクに備えている。
今週は米金融当局が7日に金融政策を発表するほか、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が8日に会議を終える予定。そのため、アジア全域のトレーディングデスクはさらなる損失の可能性に身構えている。
米金融当局が利下げペースの鈍化を示唆したり、中国当局の発表が投資家を失望させたりした場合、アジア通貨は下押し圧力を受ける可能性が高い。
米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利を受けて、円が対ドルで155円という心理的水準に向かい、オンショア人民元が16年ぶりの安値に接近したことで、アジア通貨の安定性が再び話題になっている。
一部のストラテジストは、米国が貿易相手国に新たな関税を課せば、アジア通貨の切り下げ競争が引き起こされる可能性があると警告している。
みずほ証券の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは「今週はアジアの為替トレーダーにとって休む暇がない」と指摘。「トランプ氏の勝利でドル高はすでに加速しており、米連邦準備制度や中国の全人代でサプライズがあれば、投資家は介入リスクに警戒する必要がある」と述べた。
まずは米連邦公開市場委員会(FOMC)だ。トレーダーらは当局者の発言を分析して今後の利下げペースを探ることになる。米金融当局は7日に政策金利を0.25ポイント引き下げると予想されている。9月に発表された金利見通しの中央値では年内にさらに0.25ポイントの利下げが、2025年には合計1ポイントの追加利下げが見込まれている。
この点に関するいかなるサプライズもドル、ひいてはアジア通貨の混乱につながり、当局が再び介入に踏み切る可能性もある。ブルームバーグドル・スポット指数は前日の取引で2年強ぶりの大幅高を記録。その後、7日は下げに転じた。
韓国当局は市場のボラティリティーが過度に高まった場合には緊急時対応策を実施すると発表している。また、インド中銀がルピー支援に向け介入した兆しがあるほか、インドネシア中銀は6日、市場の変動を緩和する用意があると表明した。
中国人民銀行(中銀)は7日、人民元の対ドル中心レートを約1年ぶりの水準に引き下げたが、当局が人民元の急落を容認する可能性は低いとの見方が依然として根強い。
ING銀の大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「人民銀は過度な人民元安を防ぐために再び介入を強めるだろう」と述べた。
トランプ氏の勝利を受け、投資家がドル高を含むいわゆる「トランプトレード」を再燃させたことでドルは1年ぶりの高値を付けた。これを受け、メキシコ・ペソや韓国ウォンなどの通貨が数年ぶりの安値に沈んだ。
FOMCを無事に乗り切ったとしても、トレーダーは中国に対処しなければならない。全人代常務委は今週の会議後に追加の刺激策を発表するとみられている。
中国政府は経済支援に向け、9月下旬の集中的な政策発表を含め一連の対策を打ち出しているが、アナリストは成長回復には消費を刺激する必要があると指摘している。
政策当局が8日に期待に応えられなければ、トレーダーらは米国の追加関税による打撃を織り込み、人民元が再び下落する可能性がある。
通貨切り下げリスク
一部のアナリストは、トランプ氏の返り咲きによってドル高が続けば、より悲惨な結果を招くと警告している。当局が輸出の競争力維持に向け競い合う中、アジアで通貨戦争が勃発する可能性があるという。
中国はトランプ氏の標的になっているため、米国の関税リスクが高まれば、空売り筋は人民元を標的にする可能性がある。また、韓国ウォンが1ドル=1400ウォンという重要な節目を突破し、インドネシア・ルピアとフィリピン・ペソが数カ月ぶりの安値を付けるなど、リスクはアジアの他の地域にも波及している。
ジェフリーズの外国為替グローバル責任者ブラッド・ベクテル氏は、中国には「ほとんど選択肢がない」とリポートで言及。中国は「トランプ氏の関税に反応して通貨を切り下げるだろうが、その切り下げ幅は自国への経済的影響に関する認識と一致するものになるだろう」とコメントした。
トランプ氏勝利後の米国債急落は一服-焦点はFOMCに移る - Bloomberg
ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利を受けた大規模な米国債売りは7日に一服。投資家の関心が米連邦公開市場委員会(FOMC)やイングランド銀行(英中央銀行)の政策決定に移った。
30年物米国債の利回りは6日に17ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、2020年3月以来の高水準の4.61%となったが、7日はほぼ横ばい。英国債は3日続落から反発しているが、欧州債はドイツの選挙を巡る突然のニュースで下落。
トレーダーは中央銀行から、トランプ氏の減税や高関税政策が世界経済の成長やインフレの見通しにどのような影響を与えるかについての手がかりが得られることを期待している。FOMCは0.25ポイントの利下げを実施する見通しで、決定発表後にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見する。
「現在の経済環境と、次期米大統領が見通しに与えるとみられる影響についてのパウエル議長のコメントは、非常に大きな意味を持つだろう」と、INGの金利ストラテジスト、マイケル・タッカー氏は述べた。
トランプ氏は選挙戦で、米国の貿易相手国に対して高い関税を課すこと、数百万人の不法移民を国外追放すること、2017年の減税措置を延長することを公約していた。
これらの政策が実施されれば、物価上昇圧力が高まる可能性がある。JPモルガン・チェースなどのエコノミストは、選挙前よりも少ないFRB利下げ回数を予想している。
短期金融市場は今後12カ月で合計106bpの米利下げを織り込んでいる。選挙結果が明らかになる前の5日の115bpより少ない。
「債券自警団」ここにあり-米国債利回り急上昇がトランプ氏に通告 - Bloomberg
米大統領選でのドナルド・トランプ氏圧勝を受けて米資産は買われたが、米国債は例外だった。
トランプ政権2期目がビジネスに好影響をもたらし、すでに好調な経済をさらに活性化させるという楽観的な見通しから、米株とドルは急上昇。一方で米国債は売られ、利回りは数カ月ぶりの高水準に達した。
この売りは、有権者の強力な一角からの警告だ。いわゆる「債券自警団」は、減税や関税の政策を実施する「前例のない」権限を国民から負託されたと主張する自称「借金王」のトランプ氏を監視している。
市場は金利を上昇させることによって、インフレを引き起こし国家債務を膨らませる見なされる政策にペナルティーを科すことができる。借り入れコストの上昇は米経済に影響し、成長や他の市場を減速させる可能性がある。
1980年代初頭に「債券自警団」という言葉を考案したベテランストラテジストのエド・ヤルデニ氏は「これは米国にとって、そして債券市場にとって、新たな時代の始まりだ」と述べた。
「トランプ氏がこれほど多くの支持を得て当選したという事実は、同氏に米国だけでなく世界規模でも途方もないほどの権力を与えることになるだろう」と指摘し「債券市場は当然、すでに大幅な赤字を抱えている米国が景気刺激的な財政政策を続けることを懸念している」と語った。
10年物米国債利回りは6日、ほぼ0.25ポイント上昇し一時4.48%と7月以来の高水準に達した。
ヤルデニ氏を含む投資家は、トランプ氏の財政政策が投資家の怒りを買えば10年債利回りが再び5%に達する可能性があるとみている。
債券自警団の活動が再び活発になっているのは米国だけではない。フランスと英国でも最近、財政政策に規律を課そうとする動きがあった。
米国では、超党派の議会予算局(CBO)が6月、慢性的な赤字により米国の負債が2034年末までに約48兆ドル(約7392兆円)に達するとの予測を発表した。
超党派の非政府組織(NGO)「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は先月、トランプ氏の政策により米政府債務は2035会計年度までに、現在の予測レベルから7兆7500億ドル増加すると推計した。
CRFBは増加幅を1兆6500億ドルから15兆5500億ドルと推計しているが、すでに上院は共和党が多数派となり、下院も共和党が優勢となっているため、共和党が議会を独占する可能性が高まっている。そうなると、トランプ氏の計画が政治家によって阻止される可能性は低くなる。
RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのマーク・ダウディング最高投資責任者(CIO)は「財政政策は今日、米国の赤字と債務の規模から、われわれ投資家にとってより重要なものになっている」と述べた。
5日の投票に先立ち、米国の債券利回りおよびインフレ期待はすでに上昇傾向にあった。長期金利の動向を示す市場指標である10年物ブレイクイーブン・レートは4月以来の高水準となる2.43%まで上昇していた。
トランプ氏の政策はインフレを招くものと考えられており、一部のエコノミストは、米連邦準備制度理事会(FRB)が7日に0.25ポイントの利下げをした後、従来予想よりも小幅な利下げを実施する可能性があるとみている。これも債券相場への圧力となる。
投資家が長期債を保有するリスクに対する補償として求めるいわゆる「期間プレミアム」も上昇している。ニューヨーク連銀の10年物期間プレミアムモデルでは、9月のマイナス29ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から、11月4日時点には約22bpに上昇していた。
ニューバーガー・バーマンのシニアポートフォリオマネジャー、ロバート・ディシュナー氏は「政府は、予算管理に注意を払わないと投資家から高い報酬を要求される可能性があることを念頭に置く必要がある」と述べた。
ドイツに国債増発の懸念、10年債利回りがスワップ金利を初めて上回る - Bloomberg
市場「米国第一」で選別 保護主義警戒、アジア通貨下落 - 日本経済新聞
東京都心のオフィス空室率、10月も低下続く 港区けん引 - 日本経済新聞
みずほ銀行、長プラ1.75%→1.85%に 15年ぶり高水準 - 日本経済新聞
●中東情勢
●エマージング
中国、割安なイラン産原油調達困難に トランプ氏が制裁強化なら | ロイター
メキシコ大統領、トランプ氏に祝意 対話と主権尊重促す | ロイター
ブラジル中銀、0.5%利上げ 引き締めペース加速 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
巨大テックが開く次世代原発への道 - WSJ
次世代の原子力発電「小型モジュール炉(SMR)」は長らく、多くの可能性を秘めながらも十分な商業的関心が集まらないムーンショット(野心的プロジェクト)のような位置づけだった。しかし最近、局面が変わった。人工知能(AI)の台頭で電力確保の必要に迫られる巨大テックが、SMRプロジェクトへの支援を相次ぎ表明したのだ。
グーグル親会社のアルファベットは先月、SMR開発を手がける米ケイロス・パワーと電力購入契約を結んだと発表した。最大500メガワットを調達する見込みだという。アマゾン・ドット・コムも先月、ワシントン州の電力会社と進める出力320メガワットの発電事業で、米SMR開発企業のXエナジーと協力すると発表した。だがSMRプロジェクトは一朝一夕にできるものではなく、グーグル、アマゾンともに、最初のプロジェクトが稼働するのは早くて2030年代だと予想する。オラクルも動向が注目される企業の一つだ。ラリー・エリソン会長は9月の決算説明会でSMRを3基備えた1ギガワット超のデータセンターを計画中だと述べた。
SMRとは何か
原発は、原子核を分裂させてエネルギーを生成する。分裂の際に大量の熱が発生するが、この熱を利用して水蒸気を作り、タービンを回して発電を行う。通常はウラン燃料をこのプロセスに使用する。最初にウランを核分裂させるのに外部の中性子が必要になる。ひとたび核分裂が始まると連鎖反応が起き、原子が熱や放射線、さらなる中性子を放出し始める。小型モジュール炉でも同じことが行われるが、工場の中で発電する。通常の出力は350メガワットに満たない。1~10メガワットの小規模なものもある。
SMR技術の種類
国際原子力機関(IAEA)によると、世界中で開発されているSMRの設計やコンセプトは80を超える。それらは規模も冷却材や燃料の種類もさまざまだ。
SMRを開発するニュースケールや日立GEニュークリア・エナジー、ホルテック、ウエスチングハウスなどの企業は、基本的に、既存の原発を改良した小型版を建設することを提案している。これらの設計では、米国で稼働中の原発全てと同様に、水を冷却材として使い、低濃縮ウランを燃料として使用する。
米エネルギー省の先端原子力エネルギーに関する最新報告書は、この種のSMRは既存原発に似ているため、より早期に導入される可能性が高いと指摘する。中でもニュースケールは、許認可プロセスで一歩先を行く。同社は米原子力規制委員会(NRC)の「標準設計承認」を取得した唯一のSMR開発企業だ。
一方、米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が支援するオクロや、マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏が支援するテラパワー、ケイロス・パワー、Xエナジーなどは、異なる種類の冷却材(溶融塩や液体金属、ガス)や、より濃縮度の高い「高純度低濃縮(HALEU)」と呼ばれるウラン燃料の使用を提案している。この中で、ケイロス・パワーは非水冷却炉を設計し、NRCから実証炉の建設承認を受けた最初で唯一の企業だ。建設工事は7月に始まっている。
米エネルギー省によると、これら先端SMR技術は有望な安全機能を備えており、HALEUの場合は燃料寿命も長いという。ただ、現在HALEUの商業規模の濃縮能力を持つのはロシアのみだ。同省は最近、HALEUを製造する複数の企業と最長10年の契約を結んだ。
コスト
原発がコスト超過に陥る理由の一つは、技術そのものよりも、頻繁に建設されないプロジェクトのため、同じ動きを再現する「筋肉の記憶」が乏しく、産業基盤が縮小していることだ、と米エネルギー省の報告書は指摘する。頻度が低いために、訓練を受けた原発作業員が高齢化したり、他業種に転職したりもする。米国で新規稼働したボーグル原発の3、4号機の前に、最後の原発の建設が始まったのは1978年だった。
SMRはモジュール式の工場生産の性質を持つため、企業が経験を積み上げれば、コストは時間と共に低下するはずだ。業界オブザーバーによると、初期のSMRプロジェクトは必ずしも均等化発電原価(プロジェクトの生涯にわたる発電コスト)が従来の原発プロジェクトよりも安くならないとみられる。ウッドマッケンジーの試算では、SMR初号機の均等化コストは1メガワット時当たり180ドル(約2万7000円)になるが、補助金が出れば100ドルに下がる可能性がある。2回目、3回目と繰り返すうちにコストは低下するだろう。米エネルギー省は、1回目と3回目の間に45~60%のコスト削減を見込んでいる。
初期コストを巡る懸念を回避するには、航空機メーカーの手法に倣い、受注残高を一定数確保しておき、初期コストを各プロジェクトに分散させることが一つの方法となる。
また、たとえ1メガワット時当たりのコストがSMRの方が高くても、プロジェクトに必要な絶対的金額が少ないため、コスト超過のリスクは小さい。10億~20億ドルのコスト超過は、約150億~200億ドルの予算超過(ボーグルがそうだった)よりもずっと受け入れやすい。
安全性
原子力エネルギーの重要な安全機能は、核分裂の速度を調整することで、熱やエネルギーが制御不能にならないようにし、炉心溶融(メルトダウン)を防ぐことだ。核燃料棒は通常、水などの冷却材に浸されており、反応速度を制御するために、炉内の中性子を吸収する材料でできた制御棒も使われる。
原発には普通、複数の安全バリアーがある。NRCによると、最初のバリアーはウラン燃料ペレットを収納する金属製の管で、それに続いて厚さ約23~30センチの鋼鉄製の原子炉容器がある。周囲に設置されたコンクリート壁(原発の外から見える部分)が最後のバリアーとなる。
SMRは安全性に優れている可能性がある。SMRは例えば、炉心の冷却に自然循環を用いるなど、受動的な安全システムに頼ることが多い。これはシステムをシャットダウンする際、外部電源や人間の介入をあまり必要としないことを意味する。例えば、福島第一原発の事故は、地震発生によって冷却用電源が使用不能になったことが原因だったが、ニュースケールの場合は、炉心が水の自然循環によって冷却されると説明している。
異なる冷却材を使用する先端SMR技術の場合、さらなる安全機能がある。水を利用した冷却材は沸騰を防ぐために高圧にする必要がある。代替冷却材であれば、水よりはるかに沸点が高いことが多く、原子炉を低圧環境で運転できる。そうすると高圧が引き起こす爆発の可能性を排除できる。ケイロスのマイク・ラウファーCEOは、同社が冷却材として選んだ溶融フッ化物は、核分裂生成物の大半と結合できるため、もう一つの封じ込め手段を提供すると述べた。
大半のSMR開発企業は、さまざまな安全機能があるため、安全性のための緩衝ゾーンが少なくて済むと話している。米エネルギー省によると、原子力エネルギーはすでに他のあらゆる電力源の中でエネルギー出力当たりの面積が最小となっている。1エーカー(約4000平方メートル)当たりの年間発電量は約5万7000MWhと、風力の18倍、太陽光の285倍も土地効率性が高い。SMRは必要なスペースが一段と小さくて済むという利点も加わる可能性がある。
時間
大規模な原発を許可し、建設するには長い時間がかかる。SMRなら許認可プロセスが速くなるのかは不明だが、規模が小さいため、建設期間が大型原発よりも短縮される可能性がある。ウッドマッケンジーのエネルギー移行部門責任者デービッド・ブラウン氏はそう指摘する。同社の試算では、初期のSMRプロジェクトの許認可から建設完了までの期間は10年前後と想定される。
ニュースケールはNRCの設計認証を得るまでに42カ月かかったが、これは過去最速ペースだと同社のクレイトン・スコット最高商務責任者(CCO)は話す。異なる冷却材やHALEUの使用を提案する他のSMR開発企業にとって、それは信頼できる基準ではないかもしれない。だがニュースケールの予想では、大規模原発に比べて建設期間は相当短くなるという。大規模原発の建設には通常、最低でも10年かかる。
今後解決すべき課題
有望な顧客を確保することは、SMR開発企業にとって商業化への重要な一歩となる。グーグルとアマゾンの発表で、上場するSMR開発企業であるオクロやニュースケールの株価が急騰したのはそのためだ。
ライセンスの取得は、もう一つの大きなハードルだ。それには多額の費用もかかる。ニュースケールは、NRCの標準設計承認を得る準備のための試験とエンジニアリングに5億ドルを要し、承認プロセスを終えるためにさらに2億ドルを要した。燃料サプライチェーン(供給網)の構築にも時間がかかるとみられる。
SMRに対する楽観論には理由がある。汚染度の高い石炭火力発電所が廃止される一方で、IT各社はAI向けデータセンターの建設を急いでおり、米国の送電網は今後、24時間供給できる電力を増やす必要がある。
「米テック企業は大きな利益を上げており、計画中のデータセンターは彼らの成長に不可欠だ。電力供給はそれに必要な要素となる」。ウッドマッケンジーのブラウン氏はこう指摘する。「テック業界は恐らく、原発が割高でも資金を出す余裕のある数少ない企業グループだろう」
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(7日)FOMC受けドル下落、利回り低下 S&Pとナスダック続伸 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は0.25%の利下げを決定しましたが、パウエル議長は利下げ停止について明確な示唆をせず、ドルは下落しました。ドル/円は約1.05%下落し、153.01円となり、円も日米金利差で圧迫されています。一方で、イングランド銀行も0.25%の利下げを発表し、利下げペースの緩やかな継続を示唆しました。仮想通貨ビットコインは、トランプ前大統領が再選した場合の規制緩和期待から過去最高値を更新しました。米国債利回りも低下傾向を見せ、FRBによる今後の追加利下げが市場で織り込まれています。
米株式市場では、S&P500種とナスダック総合が続伸し、最高値を更新しました。これは、FRBが追加利下げを行ったことや、トランプ前大統領の大統領選勝利による減税や規制緩和への期待が背景にあります。ダウ平均は横ばいでした。通信サービスセクターは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの好決算を受けて最も上昇し、金融セクターは最大の下落率を記録しました。
また、FOMCの結果待ちの中、金先物は長期金利の低下を背景に反発し、1オンスあたり2,705.80ドルで取引を終えました。米原油先物も売り圧力が和らいだため反発し、12月物は1バレルあたり72.36ドルに上昇しました。
欧州市場サマリー(7日) | ロイター    
ロンドン株式市場はまちまちで終了しました。イングランド銀行が金利を5.00%から4.75%に引き下げたものの、予算案によるインフレ上昇予測やポンド高がFTSE100種指数を0.32%下落させました。一方、中型株のFTSE250種指数は0.92%上昇し、特にRSグループが決算好調で13.2%上昇しました。
欧州株式市場は反発し、テクノロジー株や資源株が上昇しました。STOXX欧州600種テクノロジー株指数は2.26%、資源株指数は3.54%上昇しました。ドイツのDAX指数も1.70%高となり、特にラインメタルが9.3%上昇しました。背景には米大統領選でのトランプ氏の勝利や、ドイツでの連立政権崩壊による防衛支出増の期待が影響しています。また、イタリアの銀行バンコBPMがアニマ・ホールディングの買収計画を発表し、両社の株価がそれぞれ9.0%、11.1%上昇しました。
ユーロ圏債券市場では、ドイツをはじめとする域内国債利回りが上昇しました。ドイツの10年物国債利回りは一時2.498%に達し、7月中旬以来の高水準となりました。これは、ショルツ首相が連立政権の崩壊に伴い財務相を解任したことから、インフレ懸念や国債供給増加の見通しが高まったためです。さらに、ドイツの10年物スワップスプレッド(ASW)は約20年ぶりの低水準であるマイナス5bpを記録しました。
他のユーロ圏諸国もドイツ国債の動向に影響され、フランス、イタリア、スペインの10年債利回りも上昇しました。ダンスケ銀行のアナリストによれば、ドイツの経済再生に向けた政策資金調達のために国債発行が増える見込みがドイツ債の利回り上昇につながっていると指摘されています。

備忘録(2024/11/6
●海外企業決算
仏クレディ・アグリコル、利益が予想上回る-債券トレーディング好調 - Bloomberg
独BMW、利益率が2.3%に急落-リコールと中国需要低迷が響く - Bloomberg
BMW、第3四半期は61%減益 中国の販売不振など響く | ロイター
第3・四半期決算は61%の減益となり、市場予想を下回った。中国の販売不振とブレーキシステムに絡む不具合が響いた。
ただ、調整後の通期の業績予想は達成可能としている。
オリバー・ツィプセ最高経営責任者(CEO)は「第3・四半期は非常に大きな課題に見舞われたが、第4・四半期は年間目標の達成に向け利益が増加する見通しだ」と述べた。
同社は9月、中国の販売不振や自動車部品大手コンチネンタルから供給を受けるブレーキシステムに絡む不具合を理由に通期の業績予想を下方修正した。
10月には第3・四半期の中国での販売が約3割減少したことを明らかにしていた。
第3・四半期の営業利益は17億ユーロ(18億2000万ドル)。前年同期の43億5200万ユーロから61%減少した。市場予想は18億ユーロだった。
売上高は324億ユーロで、前年同期の384億6000万ユーロから15.7%減少した。市場予想の343億ユーロを下回った。
同社は通期の営業利益率が6─7%になるとの見通しを改めて示した。
コメルツ銀行、第3四半期は6.2%減益 市場予想は上回る | ロイター
第3・四半期決算は純利益が6.2%減少した。金利収入の減少とリスク引当金の増加が響いた。
ただ、市場予想は上回った。同行は通期の純金利収入と手数料収入の予想を上方修正した。
第3・四半期の純利益は6億4200万ユーロ(6億9028万ドル)。前年同期は6億8400万ユーロだった。同行がまとめた10月時点の市場予想は平均5億2900万ユーロだった。
イタリアの銀行大手ウニクレディトはコメルツ銀行の買収に意欲を示しているが、コメルツ銀行は買収に抵抗し独立路線を維持する意向を示している。
コメルツ銀行のベッティーナ・オルロップ最高経営責任者(CEO)は今回の決算について「当行の成長に向けた取り組みが一段と成果を上げていることが示された。首尾一貫した戦略の実行が寄与した」と述べた。
通期の純金利収入の予想は従来の81億ユーロから82億ユーロに、手数料収入の予想は従来の4%増から5%以上の増加にそれぞれ上方修正した。
欧州銀大手、7~9月13%最終増益 投資銀行部門が復調 - 日本経済新聞
英アーム、7─9月期予想上回る 高収益の次世代技術が貢献 | ロイター
米クアルコム、10─12月期見通し予想上回る スマホ市場が回復 | ロイター
第1・四半期(10─12月期)の売上高・利益見通しはいずれも市場予想を上回った。画像を生成するチャットボットなどの人工知能(AI)アプリケーション向けにデバイスのアップグレードが進む中、スマートフォン市場が回復していることが追い風となった。
クアルコムが示した第1・四半期見通しの中央値は、売上高が109億ドル、調整後1株利益が2.95ドル。LSEGのデータに基づくアナリスト予想は売上高が105億9000万ドル、調整後1株利益が2.86ドルだった。
第4・四半期(7─9月期)決算は、売上高が102億4000万ドル、調整後1株利益が2.69ドル。アナリスト予想の99億1000万ドルと2.56ドルを上回った。
ノボノルディスク、7〜9月21%増益 肥満症薬好調で - 日本経済新聞
[JCI] ジョンソンコントロールズ 2024年9月通期は増収最終減益 売上高3%増229億ドル、純利益8%減17.0億ドル、EPS2.52ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CVS] CVSヘルス 3Q増収減益 売上高6%増954億ドル、営業益78%減8.32億ドル、EPS0.07ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AEP] アメリカンエレクトリックパワー 3Q増収 売上高1%増54.2億ドル、営業益微減13.5億ドル、EPS1.80ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MCK] マケッソン 2Q増収減益 売上高21%増936億ドル、営業益39%減5.78億ドル、配当0.71ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[QCOM] クアルコム 2024年9月通期は増収増益 売上高9%増389億ドル、営業益29%増100億ドル、配当3.30ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[GILD] ギリアドサイエンシズ 3Q増収減益 売上高7%増75.4億ドル、営業益66%減8.88億ドル、EPS1.00ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
仏ミシュラン、国内2工場閉鎖へ 従業員1250人に影響 | ロイター
フランスのタイヤ大手ミシュランは5日、高コストや安価なアジア製品との激しい競争を理由に、フランス西部のショレとバンヌにある計2工場を閉鎖すると発表した。従業員約1250人が影響を受ける。
発表を受け労組は反発。強硬派の仏労働総同盟(CGT)はミシュランの組合員にストライキを呼びかけた。穏健派の仏民主労働同盟(CFDT)は経営陣と政府に対し、閉鎖を再検討するよう求めた。
ミシュランのメネゴー最高経営責任者(CEO)は仏紙ルモンドに「他の選択肢を検討したが、いかなる代替案も見つけられなかった」と説明。「ミシュランで唯一変わらないのは、常に変化し続けるということだけだ」と述べた。
バルニエ仏首相は国会で、ミシュランの決定を残念に思うと発言。影響を受ける従業員は、あらゆる手段で救済されなくてはならないとした。
欧州の自動車業界を巡っては、欧州最大の独フォルクスワーゲン(VW)が工場閉鎖を検討。独ベアリング製造大手シェフラーも従業員4700人を解雇すると発表した。
●日本企業
セブンがセブン銀のグループ持ち分38%に、今期中に非連結化-関係者 - Bloomberg
野村証、顧客の自宅訪問で事前承認制を導入-元社員の逮捕受けて - Bloomberg
JFEが通期業績予想を下方修正、需要減速で 配当も減額 | ロイター
主力の鉄鋼事業では国内での需要減速のほか、アジア向け自動車鋼材需要の停滞などの影響を受けた。
情報BOX:主要企業の想定為替レート一覧 | ロイター
トヨタ純利益26%減の1兆9000億円 4〜9月決算、生産減響く - 日本経済新聞
MIXI、4〜9月期決算発表を延期 不適切資金を調査 - 日本経済新聞
ホンダ純利益14%減に下方修正 25年3月期決算、中国不振 - 日本経済新聞
ホンダは6日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比14%減の9500億円になりそうだと発表した。10%減の1兆円としていた従来予想から500億円下方修正した。価格競争の激しい中国事業の不振が響き、2年ぶりに最終減益となる。
売上高予想は3%増の21兆円と7000億円上振れした。通期の想定為替レートは1ドル=148円と従来予想比で8円円安にした。円安が寄与するほか、北米の自動車販売の伸びが貢献する。
営業利益の見通しは2期連続の最高となる3%増の1兆4200億円を据え置いた。北米の電気自動車(EV)のてこ入れに向けて販売奨励金(インセンティブ)を1000億円積み増すことが影響する。
一方で、純利益は14%減の9500億円と500億円下振れする。主力市場の一つである中国事業の不振が響く。
中国事業は合弁会社で運営しているため、営業外損益で取り込む。ホンダの前期の中国販売は120万台規模で、今期の販売見通しは開示していない。
だが、4〜6月期決算発表時に22万台下方修正し、今回はさらに7万台を下振れさせた。当初より29万台も下方修正しており、中国事業の苦戦が深刻となっている。
英調査会社グローバルデータによると、ホンダの中国工場の稼働率は24年の予測で61%と、21年(91%)から30ポイントも悪化している。比亜迪(BYD)など現地メーカーに押されており、収益が悪化している。
同日開いた決算説明会で、青山真二副社長は中国市場について「想定以上に販売の減少スピードが早いと認めざるをえない」と説明した。
収益の立て直しに向けて、生産能力149万台のガソリン車工場を96万台まで減らすと表明した。現地従業員について、数千人規模の人員削減も進めている。
合わせて発表した24年4〜9月期の決算は、売上高が前年同期比12%増の10兆7976億円、純利益が20%減の4946億円だった。営業利益は7426億円と7%増え、2期連続で最高を更新した。世界販売は8%減の177万台で、中国を含むアジアでの減少を日米の増加では補えなかった。
世界一のシェアを誇る二輪事業は好調だ。事業別の営業利益でみると、4〜9月期は二輪が29%増の3258億円だったのに対し、四輪は2580億円と14%減った。二輪はインドやインドネシアで台数を伸ばした。前年同期に比べると、稼ぎ頭は四輪から二輪に戻った。
この日のホンダは株式の取引時間中の午後1時に決算を開示した。通例は取引時間後だった。新たに上限を1000億円とする自社株買いも発表した。5月に発表した3000億円の枠(実績は2745億円)から追加する。ただ決算発表後のホンダ株は下方修正が嫌気され、一時前日比8%安となった。
●米大統領選挙
トランプトレード、今後も市場の動き左右し続ける-市場関係者の見方 - Bloomberg
アリアンツ・グローバル・インベスターズ、APAC債券担当最高投資責任者(CIO)、ジェニー・ゼン氏:
トランプ氏の勝利とともに共和党が上下両院を制すれば、米国と相関関係にあるアジアの金利は上昇し、イールドカーブはスティープ化し、リフレ期待と期間プレミアム期待が高まるだろう。議会が二分される場合は、アジアの現地通貨建て債市場の格差がさらに広がる可能性がある。
ロンバード・オディエのスイス担当チーフエコノミスト兼CIO、サミー・チャー氏:
高利回り債と金が好調に推移するとみている。米国株を含むグローバル株式も、企業利益が拡大し、利益率が高水準を維持していることから、今後12カ月で上昇する可能性がある。米市場では、トランプ政権下で金融、テクノロジー、防衛関連が好調に推移するだろう。
カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマースのアジア為替・金利ストラテジスト、マキシミリアン・リン氏:
円のような安全通貨は、米国の利回りや米国株の上昇による「リスクオン」の動きに反応して、引き続き弱含むだろう。一方、人民元のようなリスク通貨は、さらなる関税のリスクにも反応するだろう。
シンガポールのロベコのアジア国債ストラテジスト、フィリップ・マクニコラス氏
為替市場の背景にはドル高がある。そのため、一部の市場では金利引き下げが難しくなる可能性が高く、短期金利は高止まりするだろう。さらに、米国が世界的な問題から撤退を続ける中で、商品やエネルギーの価格やコストに影響が及ぶ可能性を考慮すると、イールドカーブの長期の部分にはより大きなリスクプレミアムが必要になるだろう。
従って、全般的にイールドカーブがスティープ化し、全体的な利回りの水準も高くなる可能性が高い。
サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏:
可能性としてあるのは、共和党が上下両院を制するか、(下院で民主党が多数派となり)トランプ氏が政策を実行できない状態になるかのどちらかだろう。トランプ氏が政策を実行できない状態になれば、減税が難しくなる可能性があるが、関税措置は可決される公算があり、スタグフレーションのリスクにつながる可能性がある。そうなれば、米国株が上昇を維持することは難しくなるだろう。
トランプトレード、あらゆる市場で噴出-株、ドル、ビットコイン - Bloomberg
トランプ氏勝利、FRBの独立性に暗影投じる-経済の先行きにも影響 - Bloomberg
5日投開票の米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利したことは、米経済の先行きに強い影響を与える恐れがある。今後数カ月に米連邦準備制度理事会(FRB)の政策見通しを変化させる可能性があるだけでなく、ホワイトハウス返り咲きでどの程度強い圧力をFRBにかけるかという疑問も再燃している。
トランプ氏は選挙戦で、貿易相手国に対してより積極的に関税をかけ、数百万人の不法移民を強制送還し、2017年に導入した減税の延長を公約した。これらの政策が実施されれば、物価や賃金、連邦財政赤字に上昇圧力がかかるとの試算は多い。
労働市場を保護しながらインフレ率を目標の2%まで引き下げるというFRBの任務が複雑になりそうだ。トランプ氏がパウエルFRB議長を公然と攻撃するこれまでの姿勢を維持すれば、FRBは金融政策の微妙なかじ取りの中で、不快な政治的スポットライトを浴びる恐れがある。
連邦公開市場委員会(FOMC)は6-7日の会合で、政策金利を0.25ポイント引き下げると広く予想されている。9月の会合では0.5ポイントの利下げが実施された。その際に発表された予測中央値によれば、12月にさらに0.25ポイント、2025年には1ポイントの追加利下げが想定されている。
調査会社LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏はFOMCが今後、トランプ氏の経済公約が実際の政策にどのように反映されるかを見極めながら、利下げの時期と幅についてより慎重な姿勢で臨む可能性があるとの見方を示した。
さらに「関税引き上げや移民の減少によって、今後数年間はインフレリスクが高まると考えるかもしれない」とタン氏は指摘。「当局者の間で『もう少しゆっくり利下げを実施し、インフレ期待や労働市場で実際に何が起きているのかを見極める時間をもう少し増やそう』とする心理が働く可能性がある」と述べた。
パウエル議長は7日のFOMC会合終了後の記者会見で、選挙が金融政策の見通しにどのような影響を与えるかという質問を受けるのはほぼ間違いないだろう。
パウエル議長は1期目のトランプ政権時代に大統領の怒りを買うことが多かった。こうした辛辣(しんらつ)な発言は今も続いており、トランプ氏は8月、パウエル議長が金利を動かすのは「少し早過ぎたり、少し遅過ぎたりする」と批判した。
トランプ氏はまた、大統領は金融政策について「発言権」を持つべきだとの考えを示しており、FOMCが9月に政治的な理由から通常より大幅の0.5ポイント利下げを実施したとの見解を示唆した。
10月にブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューに応じた際には、大統領が政策金利の変更を強制できるべきだとは思わないと述べたが、大統領が金利の変更について中銀トップに意見を述べるのは妥当との考えを示した。
しかしこれまでのトランプ氏のレトリックが呼び起こしているのは、FRBの独立性を弱め、行政府の影響を受けずに金融政策を実施するという数十年にわたる慣行を覆そうとしているとの臆測だ。トランプ氏は最初の任期中にパウエル議長の解任を検討したが、そのような前例はなく、法律の専門家によれば法的にも問題があった。
FRBには大統領の干渉に対する防護壁がある。例えば大統領が指名したFRB理事は上院で承認されなければならないし、議会の委員会はFRBを監視している。パウエル議長をはじめとする政策当局者は、金融政策の決定が党派的な政治とは無縁であり、政治的な配慮を考慮することはないと繰り返し国民に表明してきた。
ジョージ・ワシントン大学のサラ・バインダー教授(政治学)は、大統領が公の場でFRBを声高に批判することが、そうした疑念をもたらしている可能性を指摘する。
「構造的な独立性は確かにある」としながらも、「FRBの有言実行に疑いが生じ始めたら、構造的な独立性がどの程度あってもFRBを守ることはできない」と指摘した。
トランプ氏のアドバイザーの中には、同氏がFRBに干渉するのではないかとの懸念に反論する人もいる。
トランプ大統領の経済アドバイザー、スコット・ベッセント氏は10月にブルームバーグ・ニュースとのインタビューで「トランプ氏はFRB会合の場にはいたくないが口だけは挟みたい、というのが私の受けた印象だ」と発言。「トランプ氏は中央銀行の独立性が長期的なインフレ期待を安定させ、それが長期金利を抑制することを理解している」とヘッジファンド、キー・スクエア・グループの最高経営責任者(CEO)でもあるベッセント氏は語った。
トランプ政権1期目に大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたケビン・ハセット氏は、10月に公表されたゴールドマン・サックスとのインタビューで、FRBと行政府が協調しているとの疑惑は「真剣に受け止められる必要があり、次期政権は中立的なFRB指導部を選ぶべきだ」と述べた。
トランプ氏がFRBに影響を与える最も直接的な方法は、今後数年間の主要人事だ。トランプ氏はすでに、2026年5月に議長としての任期が終わるパウエル氏を再任しないと表明している。クーグラーFRB理事の任期は2026年1月までで、パウエル氏の理事としての任期は2028年1月までだ。トランプ氏はそれぞれのポストを指名する機会がある。
ベッセント氏を含むトランプ陣営に近い複数の情報筋は、トランプ氏が最終的にハセット氏をFRB議長に選ぶ可能性があると述べている。
次期大統領は銀行監督を担当するFRB副議長を指名することもできる。2026年7月に任期が終了するこのポストに、バイデン大統領はマイケル・バー氏を起用した。バー副議長は銀行資本要件引き上げの当初案を巡って、銀行業界や共和党から強い批判を浴びた。FRBと他の規制当局は現在、この案の修正を図っている。
JPモルガン・チェースの米国担当のチーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は10月のリポートで、ここ最近の銀行監督担当FRB副議長はいずれも、野党候補の大統領が当選した直後に辞任していると指摘。「バー氏がこの例に倣った場合、次期大統領は金融政策への直接的な影響力は弱くても、規制政策にはすぐに影響を与えることができる」と述べた。
トランプ「MAGA2.0」を取り巻く楽観と警戒、問題は高い代償か - Bloomberg
ドナルド・トランプ氏の米大統領2期目就任に備える投資家は、2つのことを認識している。新政権が「MAGA(米国を再び偉大に)」のスローガンを強硬に推し進めようとすること、結果として極めて高い代償を伴う可能性があるということだ。
大統領選に勝利した共和党候補のトランプ氏は、経済成長を促進し、安い国外製品や労働力の流入から米国を守るため、関税や減税、移民取り締まり強化といった一連の新たな政策を打ち出す構えだ。トランプ氏の1期目も同様の政策が目玉となったが、当時は企業収益の好況期と重なった。これらの政策が今実施されれば、新型コロナウイルス禍の影響が残る中で沈静化に何年もかかったインフレスパイラルが再燃する恐れがある。
市場はトランプ氏勝利に対して、楽観と警戒感の両方を抱えながら反応した。6日の米株式相場は上昇し、S&P500種株価指数は一時2%余り値上がり。規制緩和や積極的な産業政策など、同氏が企業に有利な政策を掲げていることが背景にある。一方、債券市場では米10年債利回りが4.5%に向かって急上昇。トランプ政権下で財政赤字が膨張するとの懸念が広がっている。
利回りの上昇は、リスクテークの株高を圧迫する可能性がある。金利に敏感な株式に打撃を与え、企業の発行体や消費者による新たな資金調達の取り組みを難しくするためだ。
市場分析会社バイタル・ナレッジの創業者、アダム・クリサフルリ氏は「株式は今のところ追い風を受けているが、利回り動向を注視し続けることになる」と指摘。「米国債の下落が続けば、トランプ氏勝利に対する株式相場の盛り上がりが妨げられるだろう」と述べた。同氏はJPモルガン・チェースに10年余り勤務した経歴も持つ。
保護主義のリスクも高まっている。JPモルガンによれば、中国からの輸入品に対する関税を60%に引き上げるだけで、S&P500種構成企業の利益は1株あたり最大15ドル減少する可能性がある。2025年の収益増加分のほぼ半分が帳消しになる計算だ。トランプ氏の関税計画で最大限に当たる全輸入品に一律20%が実施された場合、米国内総生産(GDP)は0.8ポイント押し下げられ、中国だけが報復措置を取った場合でも今後数年に価格圧力が著しく高まると、ブルームバーグ・エコノミクスは予測している。
ドゥブラフコ・ラコスブハス氏らJPモルガンのストラテジストは「関税の大幅な引き上げは、現政権の政策から最も著しく逸脱するものであり、ボラティリティーを引き起こす最大要因となり得る」と今回の選挙結果が分かる前にリポートで指摘。「現在のマクロ環境は8年前と大きく異なる。当時は景気循環のサイクル半ばで、労働市場はそれほど逼迫(ひっぱく)しておらず、インフレも米金融当局の懸念事項ではなかった。成長促進政策1.0は実施しやすく、収益への影響も大きかった時代だ」と続けた。
トランプ政権1期目では、市場との不安定な関係が特徴だったが、特に金融政策や貿易政策における従来の慣習を打ち破ったことで、リスク資産が例外的な活況を呈した。トランプ氏の財政刺激的な姿勢も少なからず寄与した。
だが、今回は経済が健全なペースで拡大し、インフレが今のところは鈍化しつつあり、米金融当局も政策緩和モードにある。こうした中で、政府がどのように財政政策を推進し、短期的なソフトランディング観測に影響を与えるのかは、まだわからない。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストによる9月の推計によると、トランプ氏が連邦法人税率を21%から15%に引き下げるという公約を実行すれば、S&P500種構成企業の収益は約4%増加する可能性がある。しかしこうした恩恵は、膨れ上がった財政赤字の結果として借り入れコストが上昇することで相殺される可能性が高いと、プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏は指摘する。
「株式バリュエーションが既にこれほど割高になっており、景気が減速する見通しの中、トランプ氏勝利後のさらなる利回り上昇は、いずれ市場センチメントへの試練となり得る」とシャー氏は話した。
原油からEVまで、トランプ氏勝利で一変する米国のエネルギー政策 - Bloomberg
米大統領選でのトランプ氏勝利により、米国のエネルギー・環境政策は一変する見通しだ。原油生産や洋上風力発電の開発、電気自動車(EV)の販売などに広範な影響を及ぼすとみられる。
トランプ氏は選挙期間中、民主党の気候変動対策を「新たなグリーン詐欺」と呼ぶなど批判してきた。今回の勝利により、その気候変動対策に狙いを定め、連邦政府が原油増産と発電所の増加に重点を置くよう方針を転換する見通しだ。ただ共和党議員の多くは、インフレ抑制法(IRA)に盛り込まれたエネルギーや製造業の税額控除の全面的な撤廃には反対しており、一部の取り組みは議会を通過しない可能性がある。それでも、トランプ氏は自身の大統領権限を行使して他の変更を実行に移すことが可能だ。石油・天然ガス企業が最も大きな恩恵を受けるとみられている。
油田サービス会社カナリーのダン・エバハート最高経営責任者(CEO)は、「全体として『どんどん掘削しろ』という方針だろう」と指摘。沖合鉱区の借用権売却やパイプラインの建設加速、連邦政府所有地でのフラッキング(水圧破砕法)などが見られるようになるとし、消費者のエネルギーコスト低下に重点を置いた考え方になるとの見方を示した。
政策変更が予想される分野の一部を以下に挙げる。
EV
トランプ氏は、EV販売を促進する一連の政策の廃止を公約に掲げてきた。今回の勝利により、大統領就任初日に政策変更に動く可能性が出てきた。
トランプ氏が特に注目するのは、乗用車やライトトラックの排ガスを規制する環境保護局(EPA)の規定だ。この規制は非常に厳しく、自動車メーカーとしては、長期的にEVやプラグインハイブリッド車販売の大幅増加を強いられる状況になっている。トランプ氏の元顧問やエネルギー関連のロビイストは、EPAに規定の見直しを指示する文言の草案を既に作成しており、大統領令に盛り込まれる可能性がある。
原油・ガス
トランプ氏は「米国のエネルギーを解き放つ」との公約を掲げ、「米国の公有地に広く埋蔵されている液体の金(原油・ガス)をエネルギー開発のために解放する」計画だと発言した。
これは、公有の土地および水域での化石燃料掘削を制限するバイデン大統領の政策からの急激な転換を示唆する。バイデン政権下では、石油・ガスの沖合鉱区の借用権売却について過去最小規模の計画を策定。5年間で予定された入札は3回にとどまった。バイデン政権はまた、アラスカ国家石油保留地(NPRA)の半分以上で掘削を禁止する規制を課した。
トランプ氏は、内務省に対しこれらの政策を直ちに変更するよう指示する可能性がある。ただ沖合鉱区の借用権売却に関する新しく、より安定した計画を施行する上で、必要とされる環境面での精査や手続き要件を同省が完了させるのに最長で2年かかる可能性がある。
LNG輸出
バイデン政権は、一部の国に対する液化天然ガス(LNG)輸出の新規認可を一時停止したが、トランプ氏の勝利により、この方針は白紙に戻ることになる。
トランプ氏は、「政権復帰初日」に新規認可の一時停止措置を撤廃すると公約。手段としては、主要アジア諸国や米国との自由貿易協定(FTA)非締結国へのLNG輸出申請の審査を再開するよう指示する大統領令を、エネルギー省に対して発することが考えられる。
方針変更により恩恵を受けるとみられる企業には、ベンチャー・グローバルLNGやエナジー・トランスファー、コモンウェルスLNGなどがある。
洋上風力発電
洋上風力発電業界に対する政策については、トランプ氏は具体的な方針を説明していない。米東海岸では、洋上風力発電施設の開発が加速している。
ただトランプ氏は、鳥やクジラに影響が及ぶ可能性があるとして批判を繰り広げており、ニュージャージー州で今年開かれた支持者集会では、「初日」に行動を起こすを述べた。内務省に新規プロジェクトの許可停止を指示する可能性もある。
クリーンエネルギーの税額控除
トランプ氏の勝利により、数十億ドル規模のクリーンエネルギー税額控除に新たな不確実性が生じている。議会がバイデン政権下での気候変動対策法における未使用の予算を全て回収したり、IRAに盛り込まれたエネルギーや製造業の税額控除を全て廃止する動きには出ないとみられる。だが共和・民主両党の議員は、2017年に施行された「トランプ減税」延長のための費用を捻出する方法として、IRAのインセンティブの一部を標的に段階的な規模縮小に動く可能性はある。
新たなトランプ政権下では、税額控除の対象となるプロジェクトや企業を定める規定を財務省が修正すると予想されている。それにより税額控除の取得が難しくなったり、化石燃料がより恩恵を受ける内容となる可能性がある。
トランプ氏返り咲き、世界で明暗分かれる-新たな不透明性に各国対応 - Bloomberg
トランプ前大統領のホワイトハウス返り咲きを、世界は衝撃と恐れをもって受け止めた。
中国や欧州などの政府当局者にとって、一方的に関税を課され、安全保障への米国のコミットメントが揺らぎ対米関係が不安定化したトランプ氏1期目の苦い記憶はまだ鮮明に残る。2期目にどのような新たな不透明性がもたらされるのか戦々恐々で、米大統領選の結果に一部のアジア外交官はショックの顔文字で反応した。
トランプ氏の勝利に、欧州ではスターマー英首相ら各国の首脳が祝意を急いで表明した。トランプ氏は選挙期間中にウクライナ戦争を即座に終結させると主張していたため、同国に対しロシアへの領土割譲を強いる可能性への懸念も大きい。フランスのマクロン大統領は6日、ドイツのショルツ首相と電話で「この新たな状況」での協調を話し合った。
トランプ氏の選挙運動は米国内に焦点が当てられ、自陣営への勝利宣言のスピーチでも外交政策への言及はなかった。だが、同氏の1期目の経験から、敵対国にも同盟国にも、今後多くの波乱が待ち受けていることが示唆される。
米国では珍しく共和・民主両党が足並みをそろえて標的にする中国は、同国製品に最大60%の関税を課すとトランプ氏が公約していることから、トランプ新政権でやり玉に上げられそうだ。トランプ氏勝利は「悲観と不透明性を意味する」と、北京の清華大学戦略・安全研究センターの達巍主任は述べた。
中国外務省の毛寧報道官は6日、北京で開いた定例記者会見で、同国の対米政策は一貫しており、「相互尊重」と協力の原則で対応していくと語った。
最悪に備え 
だが、舞台裏では「中国政府は常に最悪に備えようとしている」と、人民解放軍の元研究員で現在は北京のシンクタンク、国観智庫の米国研究ディレクターを務める朱ジュンウェイ氏は指摘。「貿易セクターに多くの不安が生じるだろう」が、トランプ氏返り咲きで懸念があるのは中国だけではないとし、「それが中国の外交余地や機会を広げるだろうか。恐らくそうだろう」と語った。
前途にチャンスを感じ取っているリーダーもいる。「親愛なるドナルド、メラニアへ」で始まり、「歴史上最高のカムバックだ!」との祝辞をX(旧ツイッター)に素早く投稿したイスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスやヒズボラ、イランに対していっそう大胆になれると感じているかもしれない。
開票結果が明らかになる中で、インド政府当局者もモディ首相とトランプ氏の個人的な関係がプラスに働くとみて、楽観的だった。トランプ新政権は外国に住む反体制派へのインド政府の犯罪関与で、責任の追及にあまり厳しくないともみられているという。米国は国内で発生したシーク教分離主義者の暗殺を命じたとしてインド政府当局者を起訴し、カナダは別のシーク教活動家が同国で殺害されたことにインド政府が関与したとして非難している。
AUKUS、台湾
中国の拡張主義に対処するため米英と安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を結んだオーストラリアでは、議員らが内々に諦めたような口調で話していると、事情を知る外交官が明らかにした。望んではいなかったものの、議員らは今回の結果を予想しており、トランプ政権から引き出せる最高の結果を得ることに今や注力しているという。
中国が自国領だと主張する台湾は、トランプ氏の「予測不能と孤立主義」を懸念していると、台北の東呉大学政治科学学科で助教の陳方隅氏は発言。AUKUSや日米フィリピンの安全保障協力が損なわれる恐れもあると指摘した。
中国が台湾を侵攻や封鎖する場合に、米国が支援するのかトランプ氏は疑問を呈したことがある。陳氏は「トランプ氏は依然、台湾を中国との交渉材料か中国問題に付属する何かとしか見ていない」と述べ、「トランプ氏自身は台湾を全く気にかけていない」と続けた。
石破首相、今月にも会談機会か
日本は米国への輸出品に課され得る関税の影響をより詳細に調べることになるだろうと、複数の政府当局者が明らかにした。石破茂首相は今月下旬にブラジルで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議からの帰途で米国に立ち寄り、トランプ氏と会談する機会を得るかもしれない。
北朝鮮の脅威に対抗し、米国、日本と正式な安全保障パートナーシップを結ぼうとしていた韓国でも、安全保障上の懸念は明らかだ。トランプ氏の勝利で年内に日米韓首脳会議を開く見通しは危うくなった。
北朝鮮によるロシア派兵への対応決定は、いまや米選挙結果を踏まえて見直されると、韓国政府の当局者は述べた。
ウクライナの運命  
トランプ氏と共に選挙戦を戦ったバンス副大統領候補は、米国はウクライナよりもアジアにもっと注力すべきだと発言しており、欧州の不安を強めている。欧州連合(EU)加盟国首脳は7日の夕食会で米選挙結果について議論した上で、8日に定例の会議をブダペストで開く。
トランプ氏は米国への輸入品に20%の関税を課す意向を示しており、導入されれば米国への輸出が昨年5000億ユーロ余りに上ったEUへの打撃がとりわけ大きい。トランプ氏が勝利し、懲罰的な貿易措置がとられた場合に報復の標的となり得る米国製品のリストをEUは既に準備していると、ブルームバーグは10月に報じた。
8日のEU首脳会議の議長を務めるハンガリーのオルバン首相は、トランプ氏の返り咲きが世界に「平和への希望」をもたらすと主張している。同首相はウクライナ支援を巡ってEUとたびたび対立しており、ロシアとは緊密な関係を維持している。
米国の支援がなくなればウクライナは補給が絶たれる恐れがあるため、欧州が介入して防衛面の自立を強める必要があるとの別の結論を導く欧州首脳もいる。欧州は米国と前向きな関係を維持することに関心があるが、EUの安全保障と繁栄がかかっている問題を過小評価することはできないと、外交当局の高官は語った。別の外交官は、欧州にとって決定的な瞬間になるかもしれないとの認識を示した。
米大統領選ではロシアのプーチン大統領も勝者だろう。「いずれにせよ、トランプ氏はウクライナでの戦争を終わらせるつもりだ。同氏がロシアに降伏を求めるとは思わない」と、シンガポールの元外務次官で国連安保理議長を務めたキショール・マブバニ氏は述べ、「最大の敗者は間違いなく、断トツで欧州だ」との見方を示した。
ヘッジファンド、米国債や銀行などに注目 トランプ氏大統領選勝利で | ロイター
米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受けた6日、米国債や銀行、原油取引にヘッジファンド各社の注目が集まっている。
RBCグローバル・アセット・マネジメント傘下ブルーベイのマクロヘッジファンドのポートフォリオ・マネージャー、ラッセル・マシューズ氏は、トランプ氏は今回の勝利で法人税減税案を含む政策課題に対処する明確な権限を得たと指摘した。
今回の選挙結果を受け、米国債の利回りは約4カ月ぶりの高水準まで上昇した。マシューズ氏は、投資家が債務増加への懸念から国債を投げ売りしたり空売り(ショート)したりする動きが戻りつつあると述べた。
米30年債利回りは6日に一時4.68%を付け、約半年ぶりの高水準まで急上昇した。
マシューズ氏は「無責任な財政政策と債務の増加に対し、市場が反応し始める段階まで来ている」と述べた。
ブルーベイのヘッジファンド戦略は6日時点で、米30年債を売り(ショート)、独10年国債を買い(ロング)にしていると述べた。ドルをロング、ユーロと英ポンドをショートとも言及した。
米ドルは通貨バスケットに対してほぼ2%上昇している。
フェニックスホールディングスの最高投資責任者(CIO)マテイン・ハリド氏は、債券のイールドカーブの急勾配化が顕著になれば、シティグループといった過小評価されている金融機関の下支えとなる可能性があるとの見方を示した。
トランプ氏の政策案として上げられている金融規制の緩和で、銀行は恩恵を受ける可能性が高いとも言及した。
トランプ氏が環境規制の緩和など石油業界への支援を示していることから、原油相場が軟調な展開になるとの見方もある。
米共和、「労働者階級の党」の地位強固に - WSJ
米国のドナルド・トランプ前大統領は2016年、共和党を白人労働者階級の政治的な基盤に作り変えた。今年の大統領選でトランプ氏は、共和党がそれ以来特に重視してきた目標を実現させた。それは、あらゆる人種の労働者階級の有権者を引き寄せる政党へと成長することだ。
トランプ氏のホワイトハウス返り咲きを後押しする大きな要因となったのは、大学を出ていない有権者の支持層拡大だった。この変化は共和・民主両党の政策課題や、共和党の将来の展望にとって重要な意味を持つ。四年制大学の学位を持たず、主に労働者階級として分類される白人の有権者は米国の多様化と教育水準向上に伴い減少傾向にある。共和党は今回、縮小しつつある特定の集団からできるだけ多くの票を獲得しようとするのではなく、支持層を白人有権者から人種的マイノリティー(少数派)に拡大できることを示した。
今年の選挙で投票した有権者を対象にした大規模調査「APボートキャスト(AP VoteCast)」の暫定結果によると、2020年と比べて今年は黒人とラテン系の有権者、特に男性がトランプ氏支持へと傾いた。支持の割合は黒人がほぼ倍増の15%、ラテン系は6ポイント増の41%だった。トランプ氏支持が強まる傾向は大卒者と非大卒者の両方で見られたが、非大卒のマイノリティー有権者の間における変化は特に目立った。
トランプ氏は、調査対象となった全人種の非大卒有権者からの支持率で民主党候補のカマラ・ハリス副大統領を12ポイント上回った。2020年の選挙では、民主党候補だったジョー・バイデン大統領を4ポイント上回っており、全有権者の約60%を占めるこの有権者層で共和党への支持が強まる傾向が明白になった。一方、大卒有権者からの支持では20年はバイデン氏がトランプ氏を15ポイント上回ったが、今回ハリス氏のリードはそこから1ポイント低下した。
マイノリティーの有権者とさまざまな人種の非大卒有権者がトランプ氏支持に傾いたことは、米国の政治的分断を巡る重要な変化を示唆する。人種や民族の違いによる分断は以前より目立たなくなる一方で、都市部を中心とした専門職階級と労働者階級との間の溝は広がった。
共和党の世論調査専門家ミカ・ロバーツ氏は、非大卒有権者の右傾化という地殻変動が全米規模で起きているとの認識を示す。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースの共同調査によると、政党帰属意識で分類した有権者の割合で2012年は民主党が共和党を9ポイント上回っていたものの、今年は民主党が1ポイント下回ったとロバーツ氏は指摘した。こうした変化は主に労働者階級の白人男性によってもたらされたが、いまや非大卒の黒人やラテン系の男性も加わっていると同氏は述べた。
トランプ氏は2020年の大統領選で敗北したが、一部の共和党員は明るい兆しを見いだした。同氏の得票数はその4年前よりも1100万票増え、共和党を支持する労働者階級の有権者も増えた。当時、共和党の下院議員だったジム・バンクス氏(インディアナ州)は「労働者階級の政党として共和党の地位を固める」と題したメモの中で、機械工の79%と用務員・守衛の59%がトランプ氏に献金したのに対し、大学教授の94%と銀行家の73%がバイデン氏に献金したと指摘した。バンクス氏は企業志向の文化的エリートとその他の米国民との間には分断があると主張し、それはトランプ氏からの「政治的贈り物」であり、共和党の強化につなげることができるとの見解を示した。
バンクス氏は、ヒスパニック系有権者は不法移民の流入阻止を目指すトランプ氏の強硬な政策を支持し、また黒人とヒスパニック系有権者はトランスジェンダーの人々に配慮した民主党的な政策に反対する傾向が強いと主張。これらの問題に対するトランプ氏の姿勢や、米国人の雇用維持を目指す通商政策を継続する方針はこうした有権者の取り込みにつながるとの見方を示した。
下院議員からのくら替えを目指したバンクス氏は5日の上院選で当選した。勝利演説では支持者に対し、父親は退職した工場労働者、母親は元養護施設の料理人で、自身は人生の最初の数年間をトレーラーパークで過ごしたと語った。そのトレーラーパークで現在暮らす人々のために闘うことに精力を注ぐと同氏は述べ、「われわれの仕事を中国やメキシコに送り出している」エリートたちや民主党員に対抗すると語った。
こうしたシフトは共和・民主両党の政策課題に重要な影響を及ぼす可能性がある。APボートキャストの暫定データが最終的にその通りであれば、民主党は今後の方向性について決断を迫られることになる。離反した有権者を取り戻すために、進歩的な政策の一部について政治的中道へと移行することが最善の道なのか、あるいは不満を抱えるリベラル派を奮い立たせる努力をするほうが良いのか。民主党はまた、インフラや半導体工場建設などへの投資を促進するバイデン政権初期に可決した三つの大型法案がなぜ党への追い風にならなかったのかを検討する必要があるだろう。バイデン氏は数カ月にわたって全米を回り、こうした施策は大学の学位がなくても年間10万ドル(約1500万円)以上稼げる仕事の創出につながると訴えた。
一方、共和党は党内の対立に対応することになる。党内には高関税などのトランプ氏の提案を警戒する企業寄りの旧来のグループに加え、関税は米国の雇用を守り、企業はもっと労働者や家族のために尽くすべきだと主張し発言力を高める新興グループが存在する。
APボートキャストのデータは、両党の政策課題に影響を与える可能性のある別の種類の分断も示している。それは男性と女性の差だが、データでは男女ともに共和党支持が強まったためにその差が拡大したかどうかは明確ではない。
ただ、30歳未満の若年層有権者の間では大きな変化があった。若い女性の間では民主党支持がこれまで通り強いながらも2020年と比べ大幅に低下し、一方で若い男性は劇的に右傾化した。APボートキャストによると、20年にバイデン氏は30歳未満の若い男性の支持でトランプ氏を15ポイント上回ったが、今回はトランプ氏がハリス氏を13ポイント上回った。
若い男性有権者の間の変化は、トランプ氏の一部看板政策への支持が高まることを示唆する。WSJの世論調査によると、2025年に期限切れとなるトランプ氏の減税措置の延長について、若い男性は支持し、若い女性は逆の立場を取っている。また、トランスジェンダー関連の一部政策に対して若年層の男性は女性ほど支持が強くない。
白人労働者階級の男性は依然としてトランプ氏の支持基盤の中核を成している。トランプ氏はこの有権者からの支持が68%に達し、民主党候補との差は2020年の30ポイントから今年は38ポイントに拡大した。
黒人とラテン系有権者の間における支持の変化は、米国内の多くの地域で目を見張るものとなった。ペンシルベニア州では、民主党が州内の大票田と見なすフィラデルフィアでラテン系の支持が増え、トランプ氏への追い風となったとみられる。
フロリダ州でラテン系が多数を占めるマイアミデード郡は、以前の大統領選では民主党が共和党に大差をつけていた。2016年のヒラリー・クリントン氏は30ポイント、20年のバイデン氏は7ポイントの差で共和党候補を上回っていた。今回、同郡は大きくトランプ氏支持に傾き、同氏が約12ポイント上回った。同州でトランプ氏はまた、オーランド近郊でラテン系が多いオセオラ郡を僅差で制した。20年はバイデン氏が約14ポイント差で勝利した地域だ。
世論調査専門家のロバーツ氏は「共和党の人種構成における大きな変化」と指摘し、「これはトランプ時代だ。米国の政治において極めて異質な人物が登場し、異なるアプローチを持ち込んで支持基盤を変えている状況にある」と話した。
●その他先進国政治動向
岸田文雄前首相「政策の発信不足」 衆院選の敗因分析 - 日本経済新聞
アメリカのアジア関与、トランプ氏に継続要請へ 石破茂首相は関係構築急ぐ - 日本経済新聞
ショルツ独首相、来年3月末までに解散総選挙実施へ-財務相を解任 - Bloomberg
独首相が財務相を解任、政局不透明感強まる 経済政策巡り対立か | ロイター
●先進国中銀、金融当局
世界経済への下振れリスク増大も、トランプ氏返り咲きで=仏中銀総裁 | ロイター
ビルロワドガロー総裁は、トランプ氏の具体的な政策の動きを見極める必要があるとしつつも、同氏の計画は米財政赤字拡大とインフレ加速につながる恐れがあるとし、「米国の選挙は欧州への警鐘となるはずだ」と述べた。
FRB利下げサイクル、予想より小幅かつ早期終了も トランプ氏勝利で | ロイター
トランプ前米大統領が大統領選で勝利し、米国のインフレ抑制に向けた進展が失速する見通しとなる中、連邦準備理事会(FRB)がこれまで予想されていたほど大幅な利下げを実施しない可能性が出てきた。
トランプ氏は追加関税や減税、移民抑制を公約に掲げている。エコノミストらはこうした政策が経済成長加速や労働市場の引き締まりにつながり、輸入コスト増大に相まって価格に上昇圧力がかかる可能性が高いという見方を示している。
6─7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25%ポイント利下げが実施されることが引き続き予想されている。
しかし、金利先物市場ではFRBが現在の利下げサイクルを来年6月までに終了し、その時点での政策金利は3.75─4%のレンジになるという見方が織り込まれた。これはFRB当局者の大半の予測よりも1年以上早く、1%ポイント高い水準だ。
一方、一部アナリストは、トランプ氏の政策の影響が遅れて表れる可能性やトランプ氏が全ての公約を完全に実行しない可能性もあると警告する。オックスフォード・エコノミクスのアナリストらは「関税と拡張的財政政策によるインフレへの影響が遅行すれば、FRBは2026年まで利下げを継続できる」とし、FRBが26年半ばまでに金利を3%近辺まで引き下げるという見通しを維持した。
貿易戦争、欧州経済見通しを圧迫=トランプ氏勝利でECB副総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は6日、ユーロ圏の経済成長は従来の予想を下回る可能性があるほか、世界貿易への障壁が貿易戦争の悪循環を招き、経済に一段とマイナスの結果をもたらす恐れがあるとの見方を示した。
ユーロ圏の経済は過去1年間ほぼ横ばいで推移しているうえ、トランプ前大統領のホワイトハウスへの返り咲きはユーロ圏にとって打撃となる公算が大きい。トランプ氏先月、自身が勝利すれば、米国製品の輸入が不十分な欧州連合(EU)は「大きな代償」を払わなければならなくなると述べ、関税の発動を警告した。
デギンドス氏は、「関税、貿易障壁、保護主義は世界経済に悪影響を及ぼす」とした上で、「下される決定がいかなる貿易戦争も引き起こさないことを願う」と表明。関税を課すのであれば、相手側の報復を念頭に置く必要があるとし、「それはインフレや関税に関して悪循環を引き起こす可能性があり、最悪の結果を招きかねない」との考えを示した。
●先進国経済指標
独鉱工業受注、9月は大型受注で予想上回る トランプ関税を懸念 | ロイター
マクロ経済政策研究所(IMK)のセバスチャン・デュリエン氏は、統計データは対外貿易の循環的回復を示す好ましいシグナルだが、地政学的情勢が回復を阻む可能性があると指摘。「米大統領選でトランプ氏が勝利の見通しとなったことは、ドイツ製造業にとって脅威で、今後数カ月に深刻な後退が起こる可能性もある」と述べた。
VPバンクのチーフエコノミスト、トマス・ギッツェル氏は、トランプ氏が選挙戦中に欧州製品に高関税を課すと公約していたことを踏まえ、海外からの受注が中長期的に打撃を受けるとの見方を示し、「改革、なかんずく新規投資に係る手続き上の障害を減らすことが製造業の回復に急務た」と述べた。
コメルツ銀行のシニアエコノミスト、ラルフ・ソルベーン氏は、9月のデータは持続的な回復ではなく「せいぜい安定といったところだ」と述べた。
独サービスPMI、10月改定51.6に上昇 需要は低迷 | ロイター
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、ヨナス・フェルドフーセン氏は「ドイツのサービス部門は、製造業の低迷にもかかわらず、依然として底堅い」と述べた。
ただ、新規事業は2カ月連続で減少。雇用は2009年以降で最長となる4カ月連続で縮小した。特に欧州からの外需が低迷していることが背景。
インフレ圧力は緩和した。産出価格の上昇ペースは過去3年半で2番目の低水準。ただ、投入価格は賃上げを背景に小幅に上昇した。
将来の成長については、引き続き慎重ながら楽観的な見方が示された。景気の好転と購買力の向上に対する期待が背景。
ユーロ圏総合PMI、10月改定50.0に上昇 サービス部門が好調 | ロイター
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「現在のユーロ圏の経済状況では『成長』や『安定』といった言葉は連想しにくいが、サービス部門がそうした成長や安定を提供している」とし、サービス部門が景気後退(リセッション)入りを回避する上で非常に重要な役割を果たしていると述べた。
サービス部門の新規事業指数は49.7から49.2に低下したが、同氏は一時的な低下の可能性があるとし「サービス部門の活動は拡大が続くと確信している。インフレ鈍化と賃金上昇は個人消費の拡大を意味し、サービス需要を下支えする」と述べた。
仏サービスPMI、10月改定49.2に低下 新規受注が落ち込む | ロイター
ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「第3・四半期の国内総生産(GDP)伸び率は加速したが、パリ五輪の一過性の効果によるところが大きかった。需要の減退で、サービス業や経済全体が新たな成長のきっかけを見つけるのに苦労するだろう」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
ドル指数が上昇、1年ぶり高値-米国債利回り急伸で資金流入期待 - Bloomberg
●中東情勢
イスラエル首相、トランプ氏の「歴史的復帰」を祝福 | ロイター
イラン政府、トランプ氏勝利の影響「軽微」 革命防衛隊は対決姿勢 | ロイター
イラン政府は6日、米大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利宣言を行ったことについて、イラン国民の生活は米国の選挙の影響を受けないとの見解を示した。
イラン革命防衛隊は、トランプ氏の勝利宣言に直接反応していないものの、イランと地域的な同盟武装組織はイスラエルへの対応で準備ができていると述べ、改めて対決姿勢を示した。
タスニム通信によると、イラン政府報道官は「米国の選挙はイランの問題ではない」とし、「事前に必要な予測を行っており、イラン国民の生活に変化はない」と述べた。
イラン革命防衛隊のアリ・ファダヴィ副司令官は、イスラエルにはイランと対決する力はなく「イランの反応を待つしかない」とし、イスラエルに対する報復攻撃を示唆。イスラエルへの報復を阻止するための米国とイスラエルによるイランに対する先制攻撃の可能性を排除していないとも述べた。
アラブ諸国および西側諸国の当局者はロイターに対し、トランプ氏はイランの石油産業に対する制裁を強化するなどして「最大圧力」をかける政策を導入すると同時に、イスラエルにイランの核施設攻撃などを実施する権限を与える可能性があるとの見方を示している。
イランの通貨リアルは、トランプ氏の大統領就任の見通しを受け下落。イランの通貨追跡ウェブサイトBonbast.comによると、1米ドル=70万リアルと、過去最安値を付けた。
●エマージング
中国、人民元と株が値下がり-トランプ氏政権復帰で関税懸念 - Bloomberg
中国のオフショア人民元は6日の取引で約2年ぶりの大幅下落となり、香港に上場している本土株も大きく値下がりした。米大統領選の開票が進む中でトランプ前大統領の優勢が報じられ、トレーダーらは今後生じ得るボラティリティーに備えた。
オフショア人民元はドルに対し一時1.3%下げ、2022年10月以来の下落率を記録。香港上場の本土株から成るハンセン中国企業株(H株)指数は2.6%安で取引を終えた。
本土株の指標CSI300指数は0.5%下落。さらなる景気刺激策への期待から比較的小幅な下げにとどまった。
トランプ氏は中国製品に最大60%の関税を課す方針を示しているが、こうした措置は中国経済を一段と弱体化させ、グローバルなサプライチェーンを混乱に陥れる恐れがある。
同氏のタカ派的なレトリックに投資家が慣れてきたため、2期目の大統領就任でも中国市場への影響は軽微との見方もあるが、政策の不透明性と高まる緊張感が引き続き市場のボラティリティーを高める可能性がある。
ピクテ・アセット・マネジメントの大中華圏債券責任者ケアリー・ヤン氏は、「トランプ氏の勝利に対する条件反射として、人民元のボラティリティーが短期的に高まる」と予想。長期的な相場動向は、関税実施と米国の利下げ軌道に加え、経済を安定させるため中国が取る政策の規模に左右されると同氏は述べた。
トランプ氏のリードが広がる中で、本土市場の人民元は一時0.9%下げた。
ロシア政府、トランプ氏勝利に様子見姿勢 関係修復の声も | ロイター
ロシア政府は、米大統領選でのトランプ氏勝利宣言を受け、ウクライナ戦争の終結に向けた過去の発言がどう反映されるかを様子見する姿勢を示した。
大統領府のペスコフ報道官は、トランプ氏は選挙期間中、ウクライナ戦争を終わらせたいという重要な発言をしていたが、それが行動につながるかは時間が経てばわかると指摘。米国は非友好的な国で、ウクライナ戦争に「直接・間接的に関与していることを忘れてはならない」と述べた。
またプーチン大統領がトランプ氏勝利を祝福するかわからないとし、米国との関係は歴史的な低水準にあるとの見解を示した。その上で「米国は外交政策の軌道を変えることができる。(大統領就任後の)1月以降にわかるだろう」と語った。
ロシア外務省は、米国には超党派で反ロシア的だとし、トランプ氏について幻想を抱いていないとの見解を示した。
政府系ファンドであるロシア直接投資基金(RDIF)のキリル・ドミトリエフ総裁は、トランプ氏の勝利は関係修復のチャンスとなる可能性を指摘した。同総裁は元ゴールドマン・サックスのバンカーで、過去にトランプ陣営と接触したことがある。
ロシア前大統領のメドベージェフ安全保障会議副議長は、軍事的に米国を最大の後ろ盾とするウクライナにとっておそらく悪いニュースだとし、「トランプがどれだけ戦争に出費するかが問題だ」と述べた。
マレーシア中銀、政策金利据え置き 通貨不安定化を警戒 | ロイター
韓国、次期米政権と完璧な安保パートナーシップ構築へ=高官 | ロイター
ブラジル中銀、2会合連続利上げ インフレ再燃に対応 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
米風力発電需要、大統領選結果関係なく拡大へ=業界首脳 | ロイター
米大統領選で民主党候補ハリス副大統領と共和党候補トランプ前大統領のどちらが勝っても、同国の風力発電需要は拡大する――。洋上風力発電事業世界最大手オーステッドと、世界最大の風力タービンメーカーのベスタスの首脳が5日、相次いでこうした見方を示した。
ハリス氏は、バイデン政権が推進するエネルギー移行の一環として洋上風力発電を積極的に提唱。一方でトランプ氏は返り咲きを果たした場合、大統領就任初日に洋上風力発電プロジェクトの撤回を命令すると宣言している。風力タービンは環境を破壊し、鳥やクジラなどの生物に弊害をもたらすとの理由からだ。
また米国の洋上風力発電業界はまだ誕生間もない段階で、複数のプロジェクト中止や事業区域リース入札延期、初の大型施設建設事業における事故といった逆風に見舞われている。
それでもオーステッドのマッズ・ニッパー最高経営責任者(CEO)は「多くの企業と州では、さまざまな業界のリショアリングやハイテク産業からの需要が増加している」とし、だれが大統領になろうと全てのエネルギー源が必要とされ、利害関係者全員が恩恵を受けられるとの認識を示した。
ベスタスのヘンリク・アンダーセンCEOも、大統領選を巡る投資家の懸念を重大視せず「選挙結果で受注が左右されるとは考えていない」と強調した。
その上で、データセンター向けの新たなグリーンエネルギーは現時点で全般的な需要が供給を上回っていると説明した。
ただオーステッドは、米国の大型洋上風力発電プロジェクトについて建設面の問題やコスト増大が生じていると警告した。
福岡空港、4〜9月の旅客1296万人で最高 訪日客けん引 - 日本経済新聞
福岡空港を運営する福岡国際空港(福岡市)は6日、2024年4〜9月期の旅客数が前年同期比11%増の1296万人だったと発表した。4〜9月期の過去最高を更新した。国際線のインバウンド(訪日外国人)需要がけん引した。25年3月には第2滑走路の運用を始める予定で、今後も旅客増が続きそうだ。
国際線の旅客数が410万人と、4〜9月期で過去最高となった。円安などに伴う旺盛なインバウンド需要が後押しした一方、日本人の海外旅行客は新型コロナウイルス禍前の7割程度の水準にとどまっているという。国内線は886万人で、コロナ禍前の19年同期(905万人)に及ばなかった。
25年3月期通期では国際線と国内線で計2622万人と、過去最高の更新を見込む。25年3月には第2滑走路を運用開始する予定で、発着枠が拡大する。中期事業計画では28年度までに国際線を現在の6割増となる38路線に増やすとしており、東アジアや東南アジアと結ぶ国際線を中心に今後も往来が活発になりそうだ。
受け入れ体制も着々と整っている。利用拡大や利便性向上を目指し、22年5月に着工した国際線旅客ターミナルビルの増改築工事は25年3月までにおおむね完了する。延べ床面積は従来の約2倍となる約13万6000平方メートルで、保安検査場や免税店エリアの拡大、各交通機関に乗り継げるアクセスホールの新設などを予定している。
福岡国際空港が同日発表した24年4〜9月期の単独決算は、最終損益が6億円の黒字(前年同期は4億円の赤字)となった。19年の民営化以降、初の黒字となった。旅客数の増加により着陸料などの航空収入や免税店収入が伸びた。
25年3月期通期の純利益は41億円の最終赤字になる見通しだ。国際線旅客ターミナルビルなどの増改築工事に伴い、撤去費など20億円程度の特別損失を計上するため。従来予想からは29億円上方修正した。
中期事業計画では26年度以降、通期での黒字化を見込んでいる。田川真司社長は「来期は特殊要因がなく、なんとか黒字転換を1年前倒しできるよう努力したい」と話した。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(6日)ドル急騰、利回り大幅上昇 株大幅続伸 | ロイター
米大統領選で共和党のトランプ氏が勝利し、同党が上院で過半数を獲得したことで、米経済政策の変化が期待され、ドルが4カ月ぶりの高値に急騰しました。トランプ氏の移民、税制、貿易政策が経済成長とインフレを加速させると見込まれているためです。
FRB(米連邦準備制度理事会)はインフレ対策として利下げを控える可能性があり、これがドルの上昇を支えています。しかし、トランプ氏はドル安を好む姿勢を示しており、長期的にはドル安の方向に働くリスクもあります。
また、トランプ氏の財政拡大政策が赤字増加やインフレを引き起こし、米国債利回りの上昇につながる懸念も強まっています。特に10年国債や30年国債の利回りが数カ月ぶりの高水準を記録し、米国債の利回り曲線が急激にスティープ化しました。
米大統領選でトランプ前大統領が勝利したことを受け、米株式市場は大幅続伸し、主要3指数(ダウ工業株30種、S&P500、ナスダック総合)が過去最高値を更新しました。市場は、トランプ氏の減税や規制緩和政策に期待を寄せ、「トランプトレード」が広がりました。特に金融セクターが最大の上昇率を示し、銀行株指数も急伸しました。
一方、金利の影響を受けやすい不動産や公益事業は下落しました。仮想通貨ビットコインは過去最高値を記録し、テスラや仮想通貨関連株も上昇。一方で、再生可能エネルギー関連株は下落しました。
また、金先物はドルと金利の上昇により大幅に反落し、WTI原油先物も株高が支えたものの、ドル高と在庫増で下落しました。
欧州市場サマリー(6日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちで取引を終え、FTSE100種指数は一時上昇するも、住宅建設株や貴金属株の下落が全体を押し下げました。中型株で構成するFTSE250種指数は0.38%上昇しましたが、住宅建設株指数は4.06%安となり、パーシモン社の株価が2025年のコスト上昇予測を受けて8.7%下落しました。また、金価格の下落で貴金属株指数も下落しました。
一方、トランプ氏が米国の軍事支援縮小を示唆した影響で、航空宇宙・防衛株指数は3.29%上昇しました。イングランド銀行とFRBの政策決定会合にも市場の注目が集まっています。
欧州株式市場は反落し、トランプ氏の政策への懸念から公益事業株が2.55%下落し、洋上風力発電関連株も大幅に下落しました。また、米国の輸入関税引き上げ懸念でドイツ自動車大手も下落しました。一方、デンマーク製薬大手ノボノルディスクは肥満症薬の販売が好調で0.6%上昇しました。
米大統領選でのトランプ氏の勝利が欧州経済に懸念をもたらし、ユーロ圏債券市場ではドイツ2年債利回りが急低下しました。市場では欧州中央銀行(ECB)が2025年6月までに追加の利下げを行い、預金金利が2%に低下すると予想されており、短期金融市場での金融緩和期待が高まっています。12月のECB理事会での25ベーシスポイント(bp)の利下げは既に織り込まれており、50bpの利下げの可能性も約20%予測されています。
ドイツの2年国債利回りは12bp低下し、2.21%となり、8月初旬以来の大きな下落幅を記録しました。ユーロ圏の基準となるドイツ10年債利回りも2.41%に低下し、2年債と10年債の利回り格差が22年11月以来の水準に広がっています。

備忘録(2024/11/5
●米大統領選挙
【米大統領選2024】 いつ勝者が判明するのか - BBCニュース
アメリカの有権者は5日、次期大統領を選ぶ一票を投じる。
大統領選の結果は、投票締め切りから数時間のうちに大勢が判明することもある。だが、今回は接戦模様のため、もっと長くかかると予想されている。
いつ勝者は判明?
過去の大統領選では、選挙当日の夜遅くか、翌日の早い時間に、勝者が判明することがあった。
だが今回は多くの州で、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と共和党候補のドナルド・トランプ前大統領の大接戦となっており、メディア各社が当選確実を出すにはしばらくかかると見込まれている。
僅差での勝利となれば、再集計となる可能性もある。例えば、重要激戦州のペンシルヴェニア州では、勝者と敗者の得票率の差が0.5パーセントポイント以下の場合、州全体で再集計となる。2020年の前回選挙では、その差は1.1パーセントポイントほどだった。
法的な争いで、時間がかかることも考えられる。選挙前の時点ですでに100件以上の訴訟が起こされている。その中には共和党が起こした、有権者資格や有権者名簿の管理をめぐる訴えもある。
さらに、投票所での混乱なども集計遅延の原因となり得る。
一方で、重要激戦州のミシガン州など一部地域では、開票作業がスピードアップされている。集計に時間がかかる郵便投票も、新型コロナウイルスの大流行と重なった前回に比べると大幅に減っている。
過去にはいつ当確が出た?
2020年は11月3日(火)が投票日で、ジョー・バイデン大統領の当選確実を米テレビ局が報じたのは7日(土)午前だった。ペンシルヴェニア州の情勢判明を受けてのことだった。
それ以前の最近の大統領選では、結果判明にかかる時間はもっと短かった。
トランプ前大統領が当選した2016年は、投票翌日の午前3時(米東部標準時)前に当確が打たれた。
バラク・オバマ元大統領が2期目を決めた2012年は、投票当日の真夜中前に当確が出された。
ただ、ジョージ・W・ブッシュ氏とアル・ゴア氏が争った2000年は例外だった。投票は11月7日にあったが、接戦となったフロリダ州の結果をめぐって両陣営が対立。連邦最高裁が再集計を認めず、ブッシュ氏の当選が決まったのは12月12日だった。
今回の激戦州は?
投票は米東部時間5日午後6時(日本時間6日午前8時)に東部や中西部から順次終了し、同6日午前1時(同7日午後3時)に最後の締め切りを迎える。
注目の激戦7州の中で、最初に投票が終了するのはジョージア州。米東部時間5日午後7時(日本時間6日午前9時)に他の5州や、さらに2州の一部とともに、投票が締め切られる。このころ米テレビ局は、ケンタッキーなど接戦が予想されていない州に関して、勝者を独自に予想して報じ始めるとみられる。
同午後7時半 (同6日午前9時半)には、激戦州ノースカロライナなど3州で投票が締め切りを迎える。
同午後8時(同6日午前10時)になると、激戦州ペンシルヴェニアなど16州およびコロンビア特別区(首都ワシントン)で投票が終了。さらに、激戦州ミシガンなど5州の一部で投票が締め切られる。
同午後9時(同6日午前11時)には、激戦州のアリゾナ、ウィスコンシン両州と、他の12州で投票が終わる。ミシガン州でもすべての投票が終了する。
同午後10時(同7日午前0時)に、激戦州ネヴァダなど3州と、別の2州の一部で投票が終了。ネヴァダ州は、選挙当日に郵送された郵便投票は11月9日到着分まで有効とするため、集計に日数がかかる可能性がある。
軍関係者や海外在住者らの不在者投票や郵便投票は通常、最後に集計される。
結果を受け入れない場合は?
すべての有効票が集計されると、各州の選挙人を誰が獲得するのかが決まる。選挙人の数は州によって異なり、ほとんどの州では州内の勝者が選挙人を「総取り」する。270人以上の選挙人を獲得した候補が次期大統領となる。
各州は12月17日に開かれる州議会などを経て、選挙人の獲得結果を承認する。
翌年の1月6日に連邦議会で上下両院合同会議が開かれ、各州の選挙人の投票結果を集計し、新大統領が確定する。
2020年の大統領選では、トランプ前大統領は敗北を認めるのを拒否。連邦議会でバイデン大統領の勝利を認定する会議が開かれている最中に、自らの支持者らに対し、議会議事堂へデモ行進するよう呼びかけた。このあと、支持者らが議会になだれ込む暴動が発生した。
選挙に詳しい人たちは、今回の大統領選でも、結果の承認を遅らせようとする動きが地方や州のレベルで起こり得るとみている。
トランプ候補や、副大統領候補のJ・D・ヴァンス上院議員、共和党の議会指導者らは、トランプ候補が敗北した場合の結果を受け入れるかどうか、しばしば明言を避けている。
次期大統領は、来年1月20日(月)に連邦議会議事堂の敷地内で開かれる就任式を経て、任期を開始する。
アメリカ大統領選挙、今夜から投票開始 注目ポイントは? - 日本経済新聞
米大統領選は5日朝(日本時間同日夜)、東部各州から投票が始まる。民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領のどちらが勝つのか。決戦の日の行方を追いかけるための注目点をまとめた。
日本時間6日午前8時から順次開票、中西部など2州から
投票は日本時間5日午後7時から東部バーモント州など各州で順次、始まる。6日朝以降に投票を締め切り、即時開票される。
まず午前8時から中西部インディアナ州と南部ケンタッキー州の一部で開票が始まる。同9時をすぎると勝敗の予測が難しい激戦州の開票も進む。南部ジョージア州、次に同ノースカロライナ州、同10時以降に東部ペンシルベニア州や中西部ミシガン州と続く。


選挙人538人を争奪、うち93人の行方がカギ
米大統領選は全米50州と首都ワシントンに人口に応じて割り当てられた選挙人538人を奪い合う間接選挙だ。全米で得票率が高かった候補が勝つわけではない。
各州で1票でも多かった候補がその州のすべての選挙人を得る「勝者総取り」方式を採用する。過半数の270人に到達した候補が当選確実となる。
中西部ネブラスカ州と東部メーン州の2州のみ、州全体の勝者と各選挙区の勝者で割り振る。例えばネブラスカ州全体の得票率はトランプ氏が上回っても一つの選挙区だけでみるとハリスが勝った場合、トランプ氏が選挙人4人、ハリス氏が1人を得る。


両候補が事前の世論調査で優勢と判断されている43州と2選挙区でそれぞれ勝てば、ハリス氏が226人、トランプ氏が219人を確保する見通しだ。僅差で競っている激戦7州の残り93人の行方が焦点となる。


主要な世論調査を平均した政治サイト、リアル・クリア・ポリティクスによると、ハリス氏が4日時点で中西部ミシガン州、同ウィスコンシン州でわずかにリードし、その他の5州はトランプ氏がわずかに上回る。いずれも誤差の範囲内の差だ。
接戦なら時間かかる可能性
激戦州の結果は接戦になる可能性があり、すぐに勝敗が判明しない事態が想定される。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、西部アリゾナ州と同ネバダ州は勝敗判明まで数日かかる見通しだ。


郵便投票を含む期日前投票を済ませた有権者は8000万人を超えた。新型コロナウイルスの感染拡大で利用が急増した2020年からは減る見通しだが、16年の最終的な期日前投票数のおよそ1.7倍に達した。
郵便投票は開票の際に封筒から投票用紙を取り出し、署名と有権者の登録名簿を見比べるなどの手間がかかる。
2020年はバイデン大統領が当選を確実にしたのは4日後だった。今回も時間がかかる可能性もあるが、開票を速めるために新たな規則を取り入れた州があるため、必ずしも前回と同じような決着となるとは限らない。
NYTによると、ペンシルベニアは郵便投票の開票作業を夜中も止めないよう規則を改めた。ノースカロライナは郵便投票について投票日当日の消印を有効としていたが、今回は投票日当日までに届いたものを有効にした。
米大統領選、激戦7州有権者の投票行動を探る-異なる経済状況が鍵 - Bloomberg
2024年米大統領選を巡り、両陣営や専門家は過去数カ月、勝敗を左右する激戦州7州での投票行動の手掛かりとなりそうな世論調査や各種データを分析してきた。その中でも特に有権者の行動に影響を与えるのは7州それぞれの経済状況だろう。
米経済は全体としては、新型コロナ禍による不況から目覚ましい回復を遂げてきた。過去1週間で発表されたデータからは、ハリケーンや労働争議といった一時的要因が労働市場に影響を与えたものの、粘り強い成長が継続したことが示された。
しかし、激戦州7州それぞれの経済状況はより複雑な様相を呈している。同7州は計6100万人の人口を抱え、その経済規模はドイツの国内総生産(GDP)に匹敵する4兆4000億ドルに上る。
アリゾナ、ジョージア、ノースカロライナ各州では、投資と人口流入を原動力とした急速な成長がみられた。一方でラストベルトとも呼ばれるミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの3州では、成長は勢いを欠いてまだら模様であり、人口減少に直面する郡もある。ネバダ州では、新型コロナ禍が観光産業に与えた打撃がなお重くのしかかっている。
激戦州を対象にブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが実施した世論調査では、有権者は一貫して経済を最優先課題として挙げてきた。
経済面で最も信頼する候補者は誰かという設問では、共和党トランプ前大統領が今年の大半にわたって複数の世論調査でリードしてきた。しかし、ハリス副大統領が民主党候補に指名されて以来、その差は縮小してきた。そうした傾向は特定の課題が対象の場合は顕著で、例えば、住宅コストの低下実現ではハリス氏の方が信頼されている。
激戦州経済の主な特徴の一部を以下にまとめた。
9月下旬に発表された公式統計によれば、激戦州7州のうち6州では、4-6月(第2半期)の経済が国全体を上回る伸びとなった。
2020年4月から23年7月までの期間に米国の人口は340万人増えた。人口増加に最も寄与したのがヒスパニック系。一方、白人の人口は210万人減少した。
白人の減少が目立つのが、ブルーウォールとして知られる3州。22年から23年にかけて、白人の人口はペンシルベニア州で19万4000人、ミシガン州で9万1000人、ウィスコンシン州で3万5000人それぞれ減った。
こうした人口動態は、新型コロナ禍からの回復でばらつきが出ていることにも関連している。各州内でも大きな格差が生じている。ペンシルベニア州では、フィラデルフィアなど大都市圏やその郊外では回復が早かった一方、州人口の40%が住む各郡では、22年末までに経済が新型コロナ禍前の水準に回復していなかった。
回復の遅さは人口減少に付随することが多く、ミシガン州とウィスコンシン州でも見られる傾向だ。
そうした郡の多くは2020年の選挙でトランプ氏が制しており、今回も同じ結果となる公算が大きい。
激戦州7州の一部は、米国の他の地域よりも経済的に苦しい状況に直面している。米失業率とインフレ率を組み合わせた「悲惨指数」では、 ミシガン、ネバダ、ペンシルベニア各州が全米でも高い水準にある。
アリゾナ州とネバダ州では雇用が急増している。両州では過去5年で雇用が10%余り増えた。しかし、ネバダ州は失業率も高い水準にある。失業率の上昇は必ずしも解雇の増加を意味するわけではない。また、人口と労働力が地域経済の雇用創出能力を上回るペースで増加しているために失業率が上昇する場合もある。
それでも、10月16-20日にブルームバーグとモーニング・コンサルトが実施した世論調査では、ネバダ州の有権者の約7割は経済が悪い方向に進んでいると回答。激戦州7州の平均値68%を上回った。
失業率が全米平均を上回るのはネバダ州だけではない。ミシガン州の9月の失業率は4.5%で、全米の4.1%よりも高かった。
住宅購入コストの高騰は多くの有権者にとって最大の関心事になっている。中間層としての生活がもはや実現不可能と感じる国民が増えており、アメリカン・ドリームは再考を余儀なくされている。
住宅の賃貸料も上がっている。2019年終盤以降、ノースカロライナ、ネバダ、アリゾナ各州の賃貸住宅入居者は、大幅に上昇した家賃負担に直面している。
投票所に向かう有権者を動かす要因は数多くある。多くの人にとって、投票行動の決め手となるのは経済問題ではなく、リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)、国境警備と移民の問題、外交政策、そして米国の民主主義を巡る状況かもしれない。
しかし、経済を最優先課題としている激戦州の有権者にとっては、最大の争点は全米規模の課題ではなく、地域の課題である可能性が高い。
ヘッジファンド、トランプ氏勝利について再考-ドル下落に賭ける - Bloomberg
これまで共和党候補のドナルド・トランプ氏の勝利が確実視されていたアイオワ州の世論調査が接戦を示したことで、レバレッジファンドは選挙結果について再考を迫られ、4日にはドルに強気のポジションを一部解消した。
複数のトレーダーによると、民主党候補のハリス氏が勝利した場合に米ドルが下落するとみてユーロとオーストラリア・ドルのコールオプションを購入する動きも見られた。
●海外企業決算
サウジアラムコ純利益15%減 7〜9月決算、配当を維持 - 日本経済新聞
アラムコ、第3四半期は15.4%減益 配当は維持 | ロイター
[CMI] カミンズ 3Q微増収増益 売上高微増84.5億ドル、営業益11%増10.5億ドル、EPS5.86ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EMR] エマソンエレクトリック 2024年9月通期は増収最終減益 売上高15%増174億ドル、純利益85%減19.6億ドル、EPS3.43ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DJT] トランプメディア 3Q減収営業赤字拡大 売上高6%減101万ドル、営業赤字2365万ドル、EPSマイナス0.10ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WTRG] エッセンシャルユーティリティーズ 3Q増収営業増益 売上高6%増4.35億ドル、営業益13%増1.55億ドル、EPS0.25ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
英シュローダー、第3四半期は23億ポンド流出 中国市場混乱が打撃 | ロイター
英資産運用会社シュローダーは5日、第3・四半期にネットで23億ポンド(30億ドル)の資金が流出し、大口顧客の契約を失う可能性があると明らかにした。
第3・四半期の資金流出は、中国市場の不安定で中国交通銀行との合弁運用会社の業績が悪化したことが一因。中国合弁会社を除外するとネットの資金流出は3億ポンド。運用遺産は7774億ポンドで横ばいだった。
第4・四半期については、ロイズ傘下スコティッシュ・ウィドウズ(80億ポンド)を含む4社の顧客から約100億ポンドの資金が引き出される見込みを示した。
中堅資産運用会社は近年、ブラックロックなどの大手が販売する低コストの指数連動型との競争や、インフレによるコスト上昇に苦しんでいる。ピーター・ハリソン氏の後任として8日に最高経営責任者(CEO)に就任するリチャード・オールドフィールド氏は「今日の急速に変化する市場環境において、シュローダーにとって立ち止まるという選択肢はない」と述べた。
ボーイングのスト終結、賃上げ案を承認 6日にも生産再開へ | ロイター
Amazon、23年の日本投資1兆3000億円 配送拠点を新設 - 日本経済新聞
アマゾンジャパン(東京・目黒)は5日、2023年の日本国内への投資額が1兆3000億円以上だったと発表した。22年の投資額は1兆2000億円以上としており、前年比で1割ほど積み増したもようだ。配送センターの新設など自社物流網の整備や、クラウド事業向けのデータセンター向けの投資を増やした。
投資額が特に大きかったのは物流分野とみられる。23年には大型倉庫の「フルフィルメントセンター」を2カ所新設したほか、配送物の仕分けを行う中継拠点「デリバリーステーション」を11カ所増やした。翌日配送や「置き配」に対応する地域が広がったという。
同日、日本経済新聞などの取材に応じたアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は「消費者は便利なショッピング体験や迅速で満足のいく配送を求めている。物流ネットワークへの投資を今後も加速する」と話した。
米ブラックストーン、富裕層向け事業で欧州2市場参入へ | ロイター
アストラゼネカ株価が急落、中国当局が調査拡大と一部で報道 - Bloomberg
5日のロンドン証券取引所で、英医薬品大手アストラゼネカの株価が急落し、約140億ポンド(約2兆7700億円)の時価総額を失った。中国当局の調査に対する懸念が強まった。
アストラ株価は午後に下げを加速。トレーダーらは、中国メディアの第一財経によるこの日の報道を指摘した。アストラは「中国で進行中の調査関連も含め、メディアの観測報道」にはコメントしないと発表。要請があれば、「中国当局に完全に協力する」と同社は発表文で説明した。
株価は終値で前日比8.4%安と、1日の下げとして2020年3月以来の大幅安を記録し、3月以来の安値に沈んだ。
中国当局の調査が株価を下押しし続けているが、この日の急落は「行き過ぎている様子」で、まずは売って後で考えるという姿勢をトレーダーらはとっていると、BMOキャピタルマーケッツのエッツァー・ダラウト氏がリポートで指摘した。
アストラは中国法人社長のレオン・ワン氏が当局の調べを受けており、同社として当局に協力していると明らかにしていた。ブルームバーグがこれまでに報じたところによると、調査は肺がん治療薬「タグリッソ」、免疫療法「イジュド」の少なくとも2つのがん治療薬について同社がとっていた強引な販売手法に重点が置かれている。
ワン氏が調査対象となったことは、当局がアストラの中国本土事業に対する調べを大きく引き上げたことの表れだ。第一財経の報道は、調査の拡大を示唆していた。
米ネットフリックス、アムステルダムの欧州本部などに捜索=関係筋 | ロイター
米動画配信サービス大手ネットフリックスのアムステルダムにある欧州本部と、パリ中心部にある複数の社屋が5日、税金の扱いに関連する予備的な捜査の一環として捜索を受けた。フランスの司法関係筋が明らかにした。
フランスでは国家金融検察局(PNF)が2022年11月に捜査を開始。フランスの関係筋は「フランスとオランダの当局は数カ月にわたり協力してきた」としている。オランダの当局はコメントを控えている。
捜査に至った具体的な理由は現時点で明らかになっておらず、フランスでの予備捜査は必ずしも裁判に至るものではない。
●日本企業
日東工業の4〜9月期、46%最終増益 IT投資の受注堅調 - 日本経済新聞
東ソーの25年3月期決算、一転8%減益に 配当は15円増 - 日本経済新聞
中国経済の停滞による市況悪化や半導体関連の需要回復遅れによる機能商品事業での販売数量が減少する。
千代建、4〜9月純利益64%増 インドネシアで引当金戻る - 日本経済新聞
2023年に完工したインドネシアの液化天然ガス(LNG)プロジェクト「タングーLNG」が性能保証試験に合格した。不合格に備えて積んでいた引当金が戻り、工事採算が改善した。
LINEヤフー、4〜9月営業益5割増 企業向け広告好調 - 日本経済新聞
松屋フーズ純利益41%減 4〜9月決算、店舗減損・食材高響く - 日本経済新聞
牛肉など食材の輸入コストや、パート・アルバイトの人件費が上昇した。店舗など固定資産の減損損失を4億700万円計上した影響も出た。
三菱重工の純利益17%増 4〜9月、防衛・原発で成長続く - 日本経済新聞
ライトオン、資本金1億円に減資 利益剰余金の欠損補塡 - 日本経済新聞
カジュアル衣料のライトオンは5日、資本金を65億円から1億円に減らすと発表した。資本準備金も18億円から1億円に減らす。減資分は最終的に繰越利益剰余金に振り替え、8月末時点での欠損額152億円の一部を補塡する。11月29日に開く定時株主総会での承認を前提とする。
財務省、商工中金の自社株買い容認 株式売却の不調受け - 日本経済新聞
米KKR、富士ソフトへの第1回TOB成立、3分の1超確保-関係者 - Bloomberg
●その他先進国政治動向
国民民主党「仲間殺されかけた」 衆議院選挙で競合の立憲民主党に苦言 - 日本経済新聞
●先進国中銀、金融当局
豪中銀、予想通り金利据え置き 根強いインフレ圧力見込む | ロイター
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5日、予想通り政策金利を12年ぶりの高水準となる4.35%に据え置いた。コアインフレが想定通りに鈍化していることが確認されるまで、制約的な政策を継続する必要があると指摘し、政策についていかなる可能性を排除も想定もしていないと繰り返した。
市場の反応は鈍く、豪ドルはほぼ変わらずの0.6590米ドル。金利スワップは年内の利下げをわずかにしか見込んでおらず、最初の利下げは来年5月まで完全に織り込まれていない。
声明文は「総合インフレは大幅に低下し、しばらく低下したままとなる一方、基調インフレはインフレのモメンタムを一段と示しており、依然として高過ぎる」と指摘。「このことはインフレの上振れリスクに対して引き続き警戒する必要性を強めるものであり、理事会は何ら想定も排除もしていない」とした
ブロック総裁は理事会後の記者会見で短期的な利下げの見通しについて問われ「現時点では適切な設定になっている。状況が予想以上に悪化し始めたら、すぐに行動できるよう努める。だが、どうなるかは分からない」と述べた。
金融政策に関する別の声明で、オーストラリアの金融環境について、他の先進国の利下げ後の状況と比べても相対的に引き締まっていないとの認識を示した。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのマクロ経済予測担当責任者、ショーン・ラングケーキ氏は「豪中銀は生産が経済の潜在力に戻るのを待つという忍耐ゲームをしている。これは最近の非常に弱い成長が続く可能性が高いことを意味する」と述べた。
その上で「最初の利下げは2025年第2・四半期に行われるとなお見込んでいるが、リスクバランスはこれが早期に行われるよりも、むしろ後ずれする方向にシフトしている」とした。
AMPのチーフエコノミスト、シェーン・オリバー氏は、中銀の金利ガイダンスは中立的と指摘した。ブロック総裁の会見での発言はそれほどタカ派的ではなかったとし、短期的な利下げの可能性は低いと改めて述べることはなかったことに注目した。
「豪中銀は来年1月末に発表される第4・四半期のインフレデータで基調インフレ率の低下傾向が確認されるのをおそらく待つだろう」とするものの、「インフレ抑制を十分確信し利下げを開始するのに5月まで待たなければならないとは考えにくい」と述べた。同氏は来年2月の利下げを予想している。
<基調モメンタム>
豪中銀は金融政策に関する四半期報告も公表し、コアインフレ率の鈍化ペースが緩やかにとどまるとの見通しを示した。雇用の伸び予測は引き上げ、国内総生産(GDP)成長率見通しは引き下げた。
コアインフレ率の指標として注目する消費者物価指数(CPI)トリム平均値の上昇率は第3・四半期の3.5%から2024年末に3.4%に若干低下すると予想。2─3%の目標レンジを依然上回ることになる。
その後、25年末に2.8%、26年末に2.5%に鈍化すると見通した。
CPI総合指数の上昇率は現在の2.8%から24年末に2.6%に低下すると予想。政府による電気料金の補助が要因。25年半ばに補助が終了すると、CPI上昇率が3.7%に跳ね上がり、その後再び和らぐ見通しとした。
「インフレ圧力は経済の需給がバランスを取り戻すのに伴い和らぐ見通しだが、ディスインフレのペースは緩やかになる見込み」とした。
NZ経済、先行き厳しい 失業増大や企業投資延期=中銀半期報告 | ロイター
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は5日公表した半期金融安定性報告で、国内経済について厳しい見通しを示した。失業が増大しており、企業も資金難で投資を遅らせているという。
中銀は、国内経済活動の弱さが以前よりも顕著になっており、世界経済の低迷と高金利を背景に需要が減少したと指摘。
「失業増大により、一部の家計で深刻な資金面の問題が生じつつある」と述べた。
また、企業は利益率低下と需要低迷に見舞われており、長引くコスト圧力で事業環境が一段と厳しくなっているという。
中銀は第3・四半期の経済が縮小したと予想。8月以降、計75ベーシスポイント(bp)の利下げを実施している。
会見した中銀のオア総裁は、実体経済が利下げに後れを取っており、そうしたラグが生じている期間中が懸念要因だと指摘。予想外のショックで経済が下振れることは望ましくないと述べた。
<金融システムは強靭性維持、リスクなお抑制>
中銀は景気が低迷する中、同国の金融システムは強靭性を保っており、リスクは依然として抑制されているとの認識も示した。
債務返済コストはピークに近付き、下がり始めているとし、住宅ローン金利も過去6カ月で低下しているとした。
各銀行は、不良債権が若干増加するものの、過去の景気後退時に見られた水準以下にとどまると見込んでいるという。
ホークスビー副総裁は「国内の銀行は、潜在的な貸し倒れへの効果的な対処を含め、家計や企業を引き続き支援する態勢が整っている」と述べた。
報告書は、失業増が不良債権の一因となっており、債務返済コストが今のところ総じて高止まりする中、失業率の上昇で今後6カ月の間に住宅ローンの支払いが滞る債務者が増える可能性が高いと指摘した。
また、輸出価格の回復がコスト上昇に直面する農家を支援しているが、より深刻な景気後退は農家にとって依然としてリスクだと記した。
世界的な利下げサイクル、10月も継続 米大統領選控え | ロイター
世界的な金融緩和局面が続く中、10月も先進国と新興国の中央銀行が、今年最大の政治イベントとなる米大統領選を前に金利を引き下げた。
10月に会合を開いた、主要10通貨を管理する4つの中央銀行のうち3つが主要政策金利の引き下げを決めた。ニュージーランドとカナダの中銀はそれぞれ金利を50ベーシスポイント(bp)引き下げ、欧州中央銀行(ECB)は25bp引き下げを決定した。
日銀は金利を据え置いた。米連邦準備理事会(FRB)のほか、オーストラリア、スイス、ノルウェー、英国の中銀は10月には金融政策の会合の開催がなかった。
現在は先進国市場における金利引き下げの規模と期間に注目が移っている。
米国の選挙結果は、今後の米国や世界の金融政策の動向に大きく影響する可能性がある。また、7日にはFRBが25bpの金利引き下げを決定すると見込まれている。
新興国では、ロイターが対象とした18中銀のうち13行が10月に金融政策の会合を開催。うち6行が金利引き下げを決めた。中国、韓国、タイ、フィリピン、チリは25bp、コロンビアは50bp、それぞれ引き下げた。ロシアは200bpの引き上げを決め、残る6行は据え置いた。
新興国の中銀は、先進国に先駆けて今回の利下げサイクルに着手。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのジャン・ボアバン氏は顧客向けのメモで「利下げは間もなく休止される可能性がある」と指摘した。
新興国の動きが寄与し、年初来の利下げは42回で、合計1710bp。昨年は945bpだった。一方、今年これまでの利上げ幅の合計は1300bpとなっている。
●先進国経済指標
米10月ISM非製造業総合指数56.0、2年ぶり高水準 雇用も伸びる | ロイター
米供給管理協会(ISM)が5日発表した10月の非製造業総合指数は56.0と、前月の54.9から上昇した。2022年8月以来の高水準となり、経済が堅調であることを示すさらなる証拠となった。
市場予想は53.8への低下だった。指数は50が拡大と縮小の境目とされる。
新規受注指数は57.4で、9月の59.4から低下した。
価格指数は58.1に低下した。前月は8カ月ぶりの高水準となる59.4だった。
雇用指数は9月の48.1から10月は53.0に上昇。雇用の伸びが強まっていることを示した。これは1日に発表された雇用統計と相反する数字となった。
英サービスPMI、10月改定52.0 予算案発表控え11カ月ぶり低水準 | ロイター
ドイツ化学部門、業況が大幅改善 電気代値下げに期待=IFO | ロイター
ドイツ企業の雇用意欲が減退、4年超ぶり低水準=IFO | ロイター
ドイツのIFO経済研究所が4日発表した10月の雇用バロメーターは93.7で、前月の94.0から低下し、2020年7月以来の低水準となった。
経済の弱さが労働市場に影を落とし、企業の新規雇用意欲が4年超ぶりの低水準となった。
IFO調査責任者のクラウス・ボルラーベ氏は「労働市場の状況はここ数か月、急激ではないが継続的なマイナス傾向にある。企業にとっては欠員補充より解雇の可能性の方が高くなっている」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
●中東情勢
イスラエル首相、ガラント国防相を更迭-2年前から意見対立 - Bloomberg
●エマージング
プーチン氏、日本など西側諸国に「対立求めず」 - 日本経済新聞
中国企業の排除拡大、米半導体業界サプライチェーン - WSJ
米半導体業界でサプライチェーン(供給網)から中国企業を排除する動きが拡大している。背景には、中国が機密性の高い次世代技術に関与することを食い止めたい米政府の指示がある。
半導体製造装置メーカーはサプライヤーに対し、中国から調達している特定部品の代替品を見つけるよう求めており、そうしなければベンダーとしての資格を失うリスクがあると伝えている。事情に詳しい複数の関係者によると、こうした要請を行っている企業にはアプライド・マテリアルズとラムリサーチが含まれる。両社はシリコンバレーに拠点を置く世界有数の半導体製造装置メーカーだ。
また、中国人投資家がサプライヤーに出資したり、サプライヤーの株式を取得したりすることも禁じているという。
中国製以外の代替品を同様の価格で見つけるのは容易ではないため、こうした動きはコスト上昇につながる可能性が高いと業界幹部らは指摘する。
ラムリサーチは、半導体製造のサプライチェーン企業を対象とする米国の輸出規制を順守していると述べた。アプライド・マテリアルズは部品を確実に入手するため、代替となる調達先を特定したという。
米政府は中国からの輸入に対する強硬姿勢を強めている。米大統領選の主要候補はいずれも対中貿易でより厳しく対応すると公約しており、半導体産業は国家安全保障にとって不可欠であるため特に重要視されている。
ここ数年、米国の議員らは中国による最先端の半導体や製造装置の入手を阻止してきた。こうした装置は一般的に台湾、韓国、日本、西欧といった米国に友好的な地域で製造・設計されている。
米商務省は昨年、米国の装置メーカーが技術的詳細や計画を中国のサプライヤーと共有する前にライセンスを取得するよう義務付ける規則を発表した。メーカーには現在のサプライヤーとの取引継続のための一時的なライセンスが与えられたが、これは2025年末に失効する。商務省は今夏、サプライヤーが中国以外の国にあっても親会社が中国に拠点を置く場合は規制対象となることを明確にした。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した書簡によると、ニューヨーク州プレインビューを拠点とする半導体向け加工システムメーカーのビーコはベンダーに対し、新規の中国サプライヤーの使用を直ちに停止し、既存のサプライヤーとの取引については2025年末までに段階的に終了するよう指示した。ビーコはコメント要請に応じなかった。
関係者によると、アプライド・マテリアルズとラムリサーチはこうした指示をベンダーに口頭で伝えており、公式のガイドラインや契約書には記載していない。
中国サプライヤーの代替を見つけるのは必ずしも容易ではなく、中国を公然と排除しようとする動きは、世界最大級の半導体製造装置市場である中国の政策立案者の反発を買うリスクがある。同国はアプライド・マテリアルズとラムリサーチにとって最大の顧客だ。
一方、中国でも米国の技術を排除する動きが進んでおり、金融やエネルギーなどの分野で国有企業がシステム内の外国製ソフトウエアやハードウエアの置き換えに着手している。
これらの規則は中国の請負業者の一部を窮地に追い込んでいる。事情に詳しい複数の関係者によると、アプライド・マテリアルズのサプライヤーである瀋陽富創精密設備(フォーチュン)は今年、米国を含む海外の顧客にサービスを提供できると期待してシンガポールに工場を開設した。 
工場はアプライド・マテリアルズのシンガポールオフィスの近くに設置された。しかし、中国資本であるため、現時点でアプライド・マテリアルズへの供給の認可を得られていないという。
同工場の事業開発責任者であるダニー・ロー氏は、アプライド・マテリアルズとの関係についてコメントを控えたが、工場の顧客範囲は米国だけでなく世界中の装置メーカーに広がっていると述べた。
他の中国サプライヤーは、第三国での合弁会社や持ち株会社の設立といった回避策を模索している。
半導体産業向け部品を製造する中国企業のある幹部は、シンガポールに持ち株会社を設立し、その会社がマレーシア企業との合弁会社を通じてマレーシアで精密部品を製造することを検討していると述べた。目的は米国企業への供給を継続することだという。
中国の李首相、景気回復に自信示す-財政・金融政策の十分な余地ある - Bloomberg
南米チリの経済活動、9月は「ひどい」落ち込み-利下げペース加速へ - Bloomberg
南米チリの経済活動は9月に2022年7月以来の大きな落ち込みを記録した。政府が今年の成長予測を撤回し、中央銀行による追加利下げの可能性が高まっている。
チリ中銀が4日発表した9月の経済活動指数(IMACEC)は前月比0.8%低下。ブルームバーグ調査では、前月比変わらずと見込まれていた。前年同月比では横ばいと、エコノミスト予想の1.2%上昇を大きく下回った。
豪雨や鉱業セクターでのストライキなどの一時的な要因で、チリの経済活動データはここ数カ月不安定な状態だが、それでも、9月の指数発表で市場は動揺。マルセル財務相によれば、政府は24年の経済成長予測を下方修正する方向。
スコシア銀行チリ部門のチーフエコノミスト、ホルヘ・セライベ氏は9月の経済活動指数について、「ひどい」とX(旧ツイッター)に投稿。2年物のスワップ金利は一時6.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。
チリ中銀は最近、景気を抑制も刺激もしない中立的水準に金利を引き下げる計画を以前の予想よりも速いペースで進める方針を明らかにした。23年半ば以降、金利は6ポイント下げられたが、与信需要が依然として弱く、失業率は新型コロナウイルス禍前の水準を上回っている。
マルセル財務相は9月の経済データについて、「期待外れ」で、タイトな金融環境といった課題を反映していると記者団に4日語った。政府は7-9月(第3四半期)国内総生産(GDP)統計を18日に発表した後、現在の24年経済成長率見通し(2.6%)を引き下げる予定。「現実的になる必要がある」と同相は述べた。
韓国、初の豪ドル建て国債発行へ 3億米ドル規模=財政省高官 | ロイター
財新・中国サービスPMI、10月は3カ月ぶり高水準 新規受注増加 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
オーストラリア、高速鉄道建設の準備着手 東部で計画 - 日本経済新聞
オーストラリア政府は5日、同国初の高速鉄道の導入に向け、最大都市シドニーと東部ニューカッスルを結ぶルートの選定作業を始めたと発表した。政府は高速鉄道の導入を検討しており、北東部ブリスベンから南東部メルボルンを結ぶ路線が実現する可能性がある。日本企業にも商機が広がりそうだ。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(5日)ドル下落、利回りまちまち・株反発 米大統領選にらみ | ロイター
ドルが下落し、米大統領選の結果がドル相場に影響を与える可能性がある。トランプ前大統領は投票し勝利に自信を示したが、勝敗の予想は困難。市場は慎重で、主要通貨に対するドル指数は下落した。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げも注目され、追加利下げの可能性が示唆されている。
米国債利回りはまちまちの動き。オンライン予測市場ではトランプ氏の支持が変動し、特に長期債利回りが午後に圧力を受けた。経済指標では非製造業が好調で、米経済の強さが確認された。10年債入札は需要が堅調で、利回りはやや低下した。
株式市場は、堅調な経済指標を受けて反発し幅広い銘柄で買いが入ったが、大統領選の結果待ちでボラティリティーが高まる見通しです。特に工業や一般消費財のセクターが上昇を主導し、トランプ前大統領の関連企業やデータ解析企業パランティアが大きな値動きを見せました。
金先物はドル安を背景に反発し、大統領選の不確実性が相場を支えている中、結果が明確になればさらなる上昇の期待があります。
米原油先物はドル安や熱帯低気圧の接近に警戒した買いにより5営業日続伸しました。
欧州市場サマリー(5日) | ロイター
ロンドン株式市場は、製薬大手アストラゼネカの大幅下落により終値で下落しました。アストラゼネカは中国事業での不正疑惑が報じられ8.4%下落し、資産運用大手シュローダーも資金流出を受けて13.7%急落。一方、英メルローズはシティグループによるキャッシュフロー見通しの引き上げで5.2%上昇しました。英国のサービス業PMIが低下し、11カ月ぶりの低水準となっています。
欧州株式市場も大半は小幅に反発しましたが、決算が予想を下回った複数銘柄が下落。フェラーリが出荷減で7.1%下落、デンマークのベスタスも営業利益の見通しが悪化し12.2%急落しました。
ユーロ圏の国債利回りが上昇し、独10年債利回りは2.42%で3カ月ぶりの高水準に迫りました。米国の10年債利回りも上昇しており、ユーロ圏国債市場への影響が強まっています。米大統領選が終了する前の取引で変動が見込まれ、トランプ氏が勝利して欧州への関税が高まれば、欧州経済に打撃があり、ECBが利下げを加速する可能性があります。
イタリア10年債利回りも上昇し、独伊10年債の利回り格差は124.5bpに縮小しました。

備忘録(2024/11/4
●海外企業決算
豪ウエストパック、通期3%減益 マージン上昇もコスト増が重荷 | ロイター
米マリオット2割減益 7〜9月決算、中国不振で見通し下げ - 日本経済新聞
2024年7〜9月期決算は、純利益が前年同期と比べ22%減り5億8400万ドル(約890億円)だった。売上高は62億5500万ドルと6%増えたが、事業買収に伴う特別費用や金利上昇による利払い負担などコスト増加を補いきれなかった。
販売管理費は前年同期と比べ15%増えた。支払利息も23%増えた。事業買収関連の特別費用や訴訟準備金も重荷となった。
収益力の目安となる一部屋当たりの売上高は3%増だった。地域別では米国・カナダが2%増で、その他の地域は5.4%増えた。欧州ではオリンピック関連の宿泊需要が伸びた。ただ、客室数の1割程度を占める中国(大中華圏)は8%減で、全体の水準を押し下げた。
マリオットのアンソニー・カプアノ最高経営責任者(CEO)は足元の需要環境について、9月末以降にそれまでは好調だったグループの旅行客需要が「前年同期比横ばい程度」(同CEO)に減速したと指摘。理由について「おそらく米大統領選によるマイナス影響だ」と説明した。
24年12月通期の業績見通しは、中国不振や引き続き予想される米大統領選の影響を理由に、1株あたり利益予想を従来の9.23〜9.40ドルから9.19〜9.27ドルに引き下げた。
[PGR] プログレッシブ 3Q増収最終増益 売上高27%増197億ドル、純利益2.1倍23.3億ドル、EPS3.97ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PEG] パブリックサービスエンタープライズ 3Q増収増益 売上高8%増26.4億ドル、営業益16%増6.41億ドル、EPS1.04ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BEN] フランクリンリソーシズ 2024年9月通期は増収減益 売上高8%増84.7億ドル、営業益63%減4.07億ドル、配当1.24ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[FOX] フォックス 1Q増収最終増益 売上高11%増35.6億ドル、純利益2.0倍8.27億ドル、EPS1.78ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MAR] マリオットインターナショナル 3Q増収減益 売上高6%増62.5億ドル、営業益14%減9.44億ドル、EPS2.07ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ZTS] ゾエティス 3Q増収最終増益 売上高11%増23.8億ドル、純利益14%増6.82億ドル、EPS1.50ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[FIS] フィデリティナショナルインフォメーション 3Q増収最終黒字転換 売上高3%増25.7億ドル、純利益2.24億ドル、EPS0.41ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CEG] コンステレーションエナジー 3Q増収増益 売上高7%増65.5億ドル、営業益50%増14.6億ドル、EPS3.82ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[L] ロウズ 3Q増収最終増益 売上高14%増44.6億ドル、純利益58%増4.01億ドル、EPS1.82ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BRK.A] バークシャーハサウェイ 3Q微減収最終黒字転換 売上高微減929億ドル、純利益262億ドル、EPS12.18ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ブラックストーン、リテール・オポチュニティー買収で交渉=関係筋 | ロイター
●日本企業
●米大統領選挙
アイオワ州でハリス氏リード、女性の支持で逆転か=地元紙調査 | ロイター
アイオワ州でハリス氏優勢、最終盤のサプライズに注目 - WSJ
【米大統領選2024】選挙人270人獲得で勝利…両候補の道筋は - BBCニュース
ドル指数が大幅低下、トランプ氏勝利の見方後退示唆か-原油は上昇 - Bloomberg
ドイツ連立政権、内部対立鮮明に 野党は早期退陣を要求 - 日本経済新聞
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
ユーロ圏製造業PMI、10月改定46.0に改善 需要安定化の兆し | ロイター
10月のユーロ圏HCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は46.0だった。好不況の分かれ目である50を28カ月連続で下回ったものの、需要の落ち込みが和らぎ、前月の45.0からは改善した。速報値の45.9から小幅上方修正された。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「生産の落ち込みは前月より緩やかで、新規受注の落ち込みもそれほど激しくはなかった」と述べた。
需要の指標である新規受注指数は42.2から44.2に上昇し4カ月ぶりの高水準となった。
独製造業PMI、10月改定値は43.0に上昇 「底入れの兆し」か | ロイター
ドイツの10月のHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は43.0だった。1年ぶりの低水準だった9月の40.6から上昇し、7月以来の高水準となった。
速報値の42.6から小幅に上方修正された。ただ、好不況の分かれ目となる50は依然として大きく下回っている。生産、新規受注、雇用者数ともに減少幅が縮小した。
ハンブルグ商業銀行(HCOB)のジュニアエコノミスト、ヨナス・フェルドフーセン氏は「景気の谷に達した兆しがある」と指摘。一方、1カ月の改善に過ぎないため、解釈には注意が必要とも述べた。
10月の生産は、9月ほどではないものの急激な落ち込みを示し、現在の18カ月に及ぶ縮小局面の平均よりも速いペースで減少した。
雇用は、9月は約4年ぶりの大幅な減少となったが、10月も減少幅がやや縮小するにとどまった。フェルドフーセン氏は「人員削減の問題は、3工場閉鎖と大規模レイオフが検討されているフォルクスワーゲンだけでなく、労働市場全体でますます深刻になっている」と述べた。
仏製造業PMI、10月44.5に小幅低下 海外需要が急減 | ロイター
10月のフランスのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は44.5で、9月の44.6から小幅低下した。国外を中心に新規受注が低迷した。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「フランスの製造業は依然として深刻な危機に陥っている。先行きは暗く、好転の兆しは見えない」と述べた。
生産指数は44.0から43.1に低下。
地政学的緊張と世界経済の減速を背景に、輸出受注が調査史上最速で減少した。
国内需要も減退。調査企業は、消費者の慎重な態度や建設部門の低迷を指摘した。
●金融市場、先進国トピックス
●中東情勢
フランクリー・スピーキング:リヤドはトランプ氏とハリス氏、どちらを好むのか?|ARAB NEWS
ドバイ:サウジアラビアは、米国大統領選で特定の候補者を支持しておらず、共和党のドナルド・トランプ候補、民主党のカマラ・ハリス候補のいずれとも良好な関係を維持したいと考えていると、サウジアラビアの政治評論家アリ・シハビ氏は述べた。
同氏によると、王国の優先事項は、イスラエル・パレスチナ紛争を含む喫緊の地域問題に対処するために、ワシントンとの関係を活用することである。
「王国は両党と良好な関係を築くという非常に有利な立場にあると思います」と、米国民が投票所に足を運ぶ数日前、シハビ氏はアラブニュースの時事番組「フランクリー・スピーキング」で語った。
「どちらの選択肢も王国にとって良い結果をもたらします。このような状況は、王国にとって非常に特殊な状況です」
シハビ氏は、サウジアラビアは歴史的に共和党寄りの傾向が強かったかもしれないが、近年、同王国と民主党の関係が大幅に改善しているため、今回は状況が異なると述べた。
「民主党とは非常にうまくいっている。誰もが知っているように、当初はうまくいっていなかったが」と彼は付け加え、2019年の大統領選キャンペーン中、ジョー・バイデン大統領がサウジアラビアを「のけ者」にするという脅しをかけたことに言及した。
しかし、「ウクライナとロシアの戦争は、サウジアラビア王国の戦略的重要性を強く印象づけることとなった」とシハビ氏は述べ、バイデン政権はサウジアラビアを地域における安定化要因として捉え、その姿勢を再評価せざるを得なくなったと語った。
「今、本当に、両国の関係は制度的な深いレベルで、可能な限り良好な状態にある」とシハビ氏は「フランクリー・スピーキング」の司会者ケイティ―・ジェンセンに語った。「そして、それは新しい民主党政権でも継続されると予想される」
「民主党の新政権は、バイデン-ハリス前政権が実施した業務のすべてではないにしても、その多くを引き継ぎ、採用することが期待される。同時に、トランプ氏とその周辺の人々との間には非常に友好的な関係がある。つまり、どちらに転んでもサウジアラビア王国にとっては非常に都合が良いということだ。そして、これは通常ではありえない状況だ」
「通常は共和党支持が好まれ、共和党政権下では関係がより緊密になる。しかし、今回はどちらが勝ってもうまくいくと思う」
シハビ氏は、サウジアラビア王国が中東地域において戦略的に重要な国であることが認識されたことで、政権与党がどちらであろうと、米国にとって重要なパートナーとして位置づけられるようになったと述べた。
同様に、サウジアラビアは、イスラエル・パレスチナ紛争の解決に向けて、どちらの候補が勝利しようとも米国の支援を期待している。
サウジアラビア王国は、9月にこの目的のために世界的な連合軍を結成するなど、2国家解決策を推進するために重要な一歩を踏み出している。シハビ氏は、米国の関与は長期的な成功に不可欠であると考えている。
「米国は不可欠な要素であり、米国の圧力も不可欠な要素です。米国が関与しなければ、イスラエルに有意義な解決策を迫る努力は、推進力を得るのに苦労するでしょう。なぜなら、米国はイスラエルに対して独自の影響力を持っているからです」と彼は述べた。
シハビ氏は、米国のイスラエルに対する姿勢が和平の見通しに大きな影響を与えると述べた。「残念ながら、バイデン政権はイスラエルに対してあまり強く、決然とした態度を示していない」と付け加え、米国のより強固な決意の必要性を強調した。
ほんの数ヶ月前には、歴史的な米サウジ安全保障条約が締結される寸前まで来ていた。当時、両国関係はイスラエルとの国交正常化を含む変革的な合意に向けて整えられていたように見えた。
しかし、10月7日に起きたハマスによる攻撃がイスラエルのガザ侵攻につながったことで、政治情勢が変化し、そのような合意やサウジアラビアとイスラエルの国交正常化は当面実現しそうにない。「イスラエル政府の態度に劇的な変化がない限り、当面は完全に白紙に戻るでしょう」とシハビ氏は言う。
正式な協定は先延ばしになるかもしれないが、シハビ氏はすでに協議によって米国とサウジアラビアの安全保障関係が緊密化していると考えている。「この件に関する米国との協議により、サウジアラビア王国と米国は、まだ正式なものではないが、事実上の安全保障体制において非常に緊密な関係になったと思う」と彼は述べた。
サウジアラビアの政治と経済に関する著述家でありコメンテーターでもあるシハビ氏は、次期米国政権(トランプ氏かハリス氏による政権かに関わらず)が正常化交渉を再開する可能性が高いと考えている。実際、両候補とも和平交渉の仲介に関心を示しており、中東におけるサウジアラビアの戦略的重要性を考えれば、これらの議論は今後も継続されるだろう。
しかし、シハビ氏は、次期米国政権がイスラエルにパレスチナ人への実質的な譲歩を迫る意思があるかどうかによって、多くのことが決まると述べた。「イスラエル人は、トランプ氏が完全に自分たちの思い通りになると考えていれば、誤算を犯すことになるだろう」と彼は述べ、前大統領の予測不能な可能性が、彼が再び政権に就いた場合にイスラエルへの新たな圧力につながる可能性を示唆した。
「同時に、ハリス政権はハリス=バイデン政権が実施した膨大な量の仕事を継承することになる。そのため、両党は引き続きこの案件を追及していくことになるだろう」
先月のBRICSサミットに先立って行われたジャーナリストとの座談会で、ロシアのプーチン大統領は、イスラエル・パレスチナ紛争の悪化は米国の責任であり、それは米国による和平プロセスの独占に起因するものだと述べた。
ロシアが中東が切実に必要としている奇跡を起こすだけの影響力を持っているかという質問に対し、シハビ氏は「いいえ。残念ながら、そうは思いません」と答えた。同氏は、イスラエルに最も大きな影響を与えるのは最終的には米国の圧力だと考えている。
「それがカルテットの一員であるか否かに関わらず、最終的にはアメリカ大統領がイスラエルに立ち向かう姿勢にあるのです」と、米国、国連、EU、ロシアによる共同の平和努力について言及した。
シハビ氏は、米国大統領がイスラエルに影響力を及ぼした過去の例として、1956年にアイゼンハワー大統領がイスラエルにエジプトのシナイ半島からの撤退を強要したことや、1990年代にジョージ・H・W・ブッシュ氏が条件付きの融資を提示したことを挙げた。
このような事例は稀ではあるが、米国の影響力が断固とした形で行使されれば、イスラエルの政策を転換させることができることを示していると、シハビ氏は言う。 シハビ氏は、強硬路線を貫く現イスラエル政府が、米国の強力な介入なしに譲歩するとは考えていない。
「イスラエルに対して実質的な影響力を行使できる唯一の国は米国である」ため、この課題は米国に大きな責任を負わせることになる。「問題は、時にイスラエルが米国に影響力を行使し、その逆ではないことだ」
「イスラエル人はアメリカ国内で非常に強い影響力を持っている。彼らは非常に強力なロビー活動を行っている。さまざまな手段を通じて多大な影響力を及ぼしているのだ」
「イスラエル人を軌道修正するために強硬手段を取るようなアメリカ政府は非常にまれだ。起こり得るだろう。大きな期待は持てないが、不可能ではない」
今回の選挙戦で特に驚くべき展開のひとつは、アラブ系米国人有権者の支持が変化していることである。最近の「アラブニュース・Yougov」の世論調査によると、彼らは2パーセントの差でトランプ氏にハリス氏を上回る支持を寄せている。
シハビ氏は、この調査結果は有権者グループが現政権のイスラエルに対するアプローチに幻滅していることを反映している可能性が高いと述べた。「彼らは明らかに混乱している。なぜなら、バイデン政権はイスラエルに対して非常に弱腰で、十分な影響力を発揮することも、イスラエルを適切に抑制することもできていないからだ」と彼は付け加えた。
イスラエルを支援してきたトランプ大統領のこれまでの経歴にもかかわらず、アラブ系アメリカ人の有権者は、彼が再選されればパレスチナ問題に対してより強硬な姿勢を取るかもしれないと考えているようだ。シハビ氏は、この感情はトランプ氏のディールメーカーとしての評判と、国際問題に対する予測不可能なアプローチと関係していると考えている。
「トランプ氏は強力な個性を持つ人物であり、周りに振り回されることを好まないため、私たちを驚かせるのではないかという見方もある」と、シハビ氏は述べた。「彼は今期で任期が終わり、取引をまとめることが大好きで、中東問題の解決を強く望んでいる」
「イスラエル人は、もしトランプ氏が当選した場合、自分たちがまさに望んでいたものを得られないことに気づくかもしれない。彼は私たちを驚かせるかもしれない」と彼は述べた。
アラブ系アメリカ人は特にガザ地区の情勢を懸念しており、世論調査では、この問題は医療や経済などの国内問題よりも重要度が高いことが示されている。
シハビ氏によると、この調査で明らかになったガザ地区への注目は、アラブ系アメリカ人の有権者たちに与えた紛争の感情的・文化的な影響を反映している。「イスラエル人の振る舞いには、あまりにも無謀な犯罪性があり、あまりにも激しい人道的苦痛があったため、多くの人々と同様に彼らにも影響を与えている」と彼は述べた。
アラブ系アメリカ人の票が及ぼす潜在的な影響は、ミシガン州のようなスイングステートで発揮される可能性がある。僅差でも結果を左右する可能性があるのだ。「アラブ系アメリカ人の票が、どちらに転んでも何らかの影響を与えることになれば素晴らしい。なぜなら、それはアラブ系アメリカ人が政治的な影響力を強めつつあることを示すことになるからだ」とシハビ氏は述べた。
彼らの票が勝敗を左右するかどうかはまだわからないが、アラブ系アメリカ人の投票率が上昇するという予測は、このコミュニティにおける政治意識と関与の高まりを示していると彼は付け加えた。
ハリス氏とトランプ氏が異なる世論調査で優勢となっている差は依然として僅差であるため、シハビ氏はどちらが勝者となる可能性が高いかについては明言を避けた。「どちらが勝つかはコインの表裏だ」と彼は述べた。「私たちはただ待つしかない」
イラン大統領、イスラエルへの対応に「影響する可能性」があるとして、停戦の可能性に言及|ARAB NEWS
イラン、イスラエルへの「強力かつ複合的な」反撃を表明-WSJ紙 - Bloomberg
S&P、トルコ長期ソブリン格付けを「BB―」に引き上げ インフレ抑制評価 | ロイター
イラン通貨リアルが下げ加速、過去最安値を更新-年初来で27%下落 - Bloomberg
●エマージング
中国の婚姻数、1─9月は前年比94万組減少 | ロイター
中国、地方政府の「隠れ債務」スワップ案を検討-全人代常務委開幕 - Bloomberg
中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の常務委員会は4日、地方政府が抱える簿外債務の一部を公式の会計に移転する案を検討した。藍仏安財政相が予告していた措置で、財政負担の軽減を目的としている。
国営新華社通信によると、全人代常務委員会は地方政府の債務上限を引き上げ、いわゆる「隠れ債務」のスワップを行う計画について協議した。
世界第2位の経済大国である中国を再活性化させる、新たな景気刺激策を見極めようと、投資家は11月4-8日に開催される全人代常務委員会を注視している。エコノミストらは地方政府の隠れ債務を数年に渡り置き換えるプログラムを中国政府が承認すると予想しており、その規模は6兆-10兆元(約128-214兆円)になるとみている。
藍財政相は先月、地方政府の債務リスクに対処するため、ここ数年で最大規模の取り組みを近く開始すると予告していた。国際通貨基金(IMF)は、昨年時点で約60兆元の地方政府の簿外債務があると推定している。
ブルームバーグ・ニュースは10月、中国が地方政府に対し、簿外債務の借り換えを目的に2027年末までに最大6兆元の債券発行を許可することを検討していると報じた。こうした借り入れのほとんどは地方政府の関連事業体によるもので、地方政府に代わって借り入れを行い、インフラ投資の資金調達を行っている。
債務スワップは中央政府の追加借り入れや消費刺激策を求める市場の期待に応えるものではないが、地方政府が公務員の給与や建設プロジェクトなど、さまざまなニーズに充てる資金の確保にはなる。世界金融危機以降、地方政府はインフラプロジェクトの構築や都市化、住宅需要の促進など経済成長を後押しする上で重要な役割を果たしてきた。
新華社の報道は常務委員会での提案の詳細を明らかにしておらず、その他の財政措置が議論されたかどうかにも言及していない。
中国で深まる高級ブランド市場の低迷、LVMH旗艦店まだ開かず - Bloomberg
LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのベルナール・アルノー最高経営責任者(CEO)は2023年6月に中国を視察した際、北京市内の5階建てビル建設用地を訪れた。同社のトップブランドであるルイヴィトンが24年前半に旗艦店をオープンする予定だった場所だ。
それから1年余り過ぎた今も、建物はフェンスに囲まれている。事情に詳しい複数の関係者によると、同旗艦店のオープンは25年にずれ込む可能性がある。
こうした重要プロジェクトが遅々として進まないことは、同社のような欧州の高級ブランドが中国で直面する逆風を浮き彫りにしている。中国での需要は厳格な新型コロナ規制の解除後には回復すると見込まれていたが、実際には低迷している。今年3月以降、欧州の高級ブランド企業の株式時価総額は約2510億ドル(約38兆1500億円)吹き飛んだ。
中国で高級ブランドの低迷が続く兆候は次々と現れている。エルメスの店舗では、超高級ハンドバッグ「バーキン」を購入するために満たす必要があるとされる購入実績の金額が引き下げられたという。内情を良く知る関係者が明らかにした。同社を象徴する商品であるバーキンでは異例の動きだという。ケリングやバーバリー・グループは在庫を一掃するため最大50%の値引きに踏み切っている。
営業担当幹部らは重要顧客との関係維持に四苦八苦しているようだ。LVMHは今夏、中国の大口顧客をパリ五輪に招待した。コンサルティング会社デジタル・ラグジュアリー・グループによると、24年に中国高級品市場は15%縮小する見通しとなっている。
高級ブランドの販売不振は、中国経済が住宅危機からの回復に苦戦している中でのシクリカルな側面もある。しかし、欧州大手ブランドにとってさらに深刻な懸念は、需要に構造的な変化の兆しがあることだ。習近平国家主席が汚職撲滅や公平な所得分配を掲げる中、富の誇示は時代遅れになっただけでなく、危険も伴うようになった。また中国の若い消費者の間では、ステータスシンボルよりも旅行などの体験に支出する傾向が強まっている。
北京市内でルイヴィトンが計画している旗艦店は、不動産大手の太古地産(スワイヤ・プロパティーズ)が運営する複合商業施設内に位置する。隣接する2つの建物はLVMH傘下のディオールとティファニーにそれぞれリースされているが、オープンの時期は不明だ。LVMHには繰り返しコメントを求めたが、返答は得られていない。
スワイヤ・プロパティーズの広報担当は、ルイヴィトンの店舗工事は予定通り進んでいるとし、工事中の9月には複合施設内の別の場所で仮設店舗をオープンしたと説明。スワイヤは中国本土の高級品小売市場に引き続き「完全な自信」を持っていると述べた。
エルメスの広報担当は、バーキンなどの製品を購入する上で、最低支出額といった条件は設けていないと語った。
仏高級品メーカー大手のケリングは今月、通期の利益が2016年以来の低水準に落ち込む見通しであることを明らかにした。同社利益の大半を占めるグッチの既存店売上高は7-9月(第3四半期)に前年同期比で25%減少した。LVMHの7-9月決算では、中国を含む地域の売上高が実質ベースで16%減となった。
スイス製腕時計の中国輸出額は9月には前年同月比で50%落ち込み、フィナンシエール・リシュモンやスウォッチ・グループには経営面での圧力がかかっている。
米化粧品大手エスティローダーは先に、中国需要の弱さなどを理由に通期の業績ガイダンスを撤回した。
ウクライナ軍が北朝鮮部隊を初めて攻撃、ロシア西部で-詳細は不明 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
スペイン水害死者200人超、視察の国王夫妻に住民が泥投げつけ | ロイター
●その他
「地下鉄サーフィン」の死者6人に、SNSチャレンジで注目集める 米NY市 - CNN.co.jp
米NY市、歩行者による信号無視の「斜め横断」を合法化 - CNN.co.jp
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(4日)ドル下落、利回り低下 株小反落 米大統領選とFOMC控え | ロイター
米大統領選の影響で、ドルが下落しました。トランプ氏が再選するとの見込みが後退し、「トランプトレード」が解消されつつあります。予測市場「ポリマーケット」ではトランプ氏の勝率は約57%で、民主党のハリス氏が接戦しています。
専門家は、共和党勝利ならドルが上昇し、民主党勝利ならドルが弱体化すると予想しています。ドル指数は0.05%下落し、ユーロや円など他の通貨はドルに対して上昇しました。暗号資産ビットコインも2%下落し、トランプ氏の政策がより暗号資産に好意的と見られています。
債券市場では、ハリス氏の支持率が上昇したことを受けて、米国債利回りが低下しています。10年国債利回りは6.6bp低下し、30年債利回りも7.2bp低下しました。
米株式市場は小反落で終え、大統領選とFOMCを控えて不安定な展開が続きました。トランプ氏とハリス氏が接戦で、勝者確定に時間がかかる可能性があるため、市場では「トランプ・トレード」の巻き戻しが進行。ドルや米国債利回り、ビットコインも下落しました。
また、FOMCでの0.25%利下げの可能性が98%と予想され、中小株ラッセル2000が0.4%上昇しました。エネルギーセクターは、OPECプラスが減産縮小を延期した影響で原油価格が上昇し、最も上昇しました。エヌビディアはダウ構成銘柄に追加され、インテルは除外され下落しました。
原油先物もOPECプラスの減産縮小延長を受けて4日連続で上昇し、WTIは2.85%高の1バレル=71.47ドルとなりました。金は様子見ムードの中、3日連続で下落しました。
欧州市場サマリー(4日) | ロイター
ロンドン株式市場は、石油・ガス株の上昇に支えられてFTSE100種指数が小幅に上昇し、中型株のFTSE250種指数はわずかに下落しました。OPECプラスが減産縮小を延期したことを受けて原油価格が上昇し、石油・ガス株が0.67%高となりました。また、イタリアのモンクレールによるバーバリー買収検討の報道により、バーバリー株が4.8%上昇しました。
一方、欧州株式市場は米大統領選やFOMCの利下げ期待の影響でまちまちな動きとなり、銀行株とエネルギー株が上昇する一方、半導体株はモルガン・スタンレーによる投資判断引き下げで売られました。
ユーロ圏の国債市場は、米大統領選や米連邦準備理事会(FRB)の政策金利決定を控えて不安定な週の始まりとなり、国債利回りはまちまちな動きとなりました。米国債利回りが低下した影響で、ドイツの10年国債利回りは1.5bp低下し2.391%に。米国では、民主党のハリス副大統領が支持率でリードしているアイオワ州の調査を受け、米10年債利回りも8bp低下しました。イタリアの10年債利回りは2bp下がり、ドイツとの格差は126bpに。また、ECB金利予想に敏感なドイツの2年債利回りは1.5bp上昇しました。

備忘録(2024/11/1-3
●海外企業決算
石油メジャー、7〜9月純利益4割減 中国景気減速が波及 - 日本経済新聞
欧米の石油メジャー5社の2024年7〜9月期の純利益は前年同期比4割減の計約199億ドル(約3兆円)だった。減益は6四半期連続。中国の景気減速で原油価格が低迷したほか石油製品の需要減退で製油所の利幅が悪化した。
ウクライナ紛争で過去最高益だった22年4〜6月期に比べると純利益は7割減り、ロシアの侵略開始前の水準に戻りつつある。
米原油指標WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は24年7〜9月、1バレル約75ドルで、前年同期(約83ドル)より低かったことが響いた。7〜9月は中東パレスチナでガザ紛争が続き、地政学リスクは依然として高かったものの、中国経済の減速などで石油需要が盛り上がらなかった。
米エクソンモービルが1日公表した7〜9月期の純利益は前年同期比5%減の86億1000万ドルだった。石油生産が過去最高の日量約320万バレルとなり、減益率が5社のなかで最も小さかった。
南米ガイアナの海底油田と米南部のシェールオイルを増産したほか、米シェール開発会社の買収を5月に完了したことも生産を押し上げた。
米シェブロンの7〜9月期の純利益は31%減の44億8700万ドルだった。収益力を高めるためにカナダやアラスカ、アフリカのコンゴの資産を年内に売却する。
26年までに20億〜30億ドルのコスト削減を進める一方、米南部のシェール開発などに注力する方針だ。マイケル・ワース最高経営責任者(CEO)は1日、「生産を増やしながらコストを下げていく」と話した。
欧州メジャーも軒並み減益となった。英シェルの7〜9月期の純利益は、前年同期比39%減の42億9100万ドル、仏トタルエナジーズは66%減の22億9400万ドル、英BPは96%減の2億600万ドルだった。
先行きも楽観視できない。BPのマレー・オーチンクロスCEOは、「厳しい四半期だったが、10〜12月期も同様の状況が続いている」と述べた。
石油輸出国機構(OPEC)などの有志国は自主減産を緩和する意向と報じられており、原油相場は軟調な展開が続いている。世界最大の原油輸入国・中国の経済の弱さが目立っていることも需給を緩くしている。
各社の利益が低下するなか、今後の焦点は自社株買いや配当政策の行方だ。7〜9月期の株主還元はエクソンが約98億ドル、シェブロンが約77億ドルと高水準を維持し、投資家のつなぎ留めに躍起になっている。
米エクソン、第3四半期利益が市場予想上回る 好調な生産量で | ロイター
米シェブロン、第3四半期利益が予想を上回る 生産増が寄与 | ロイター
豪マッコーリー、上期利益は予想に届かず 商品取引部門が低調 | ロイター
上半期(4―9月)決算は、株主に帰属する利益が16億1000万豪ドル(10億6000万米ドル)となり、ビジブルアルファがまとめた予想の17億3000万豪ドルに届かなかった。
エネルギー市場がやや落ち着きを取り戻したことで、柱となる国際商品取引部門の業績が打撃を受けた。マッコーリーは、エネルギー市場のボラティリティーが再び高まってビジネスチャンスが生まれなければ同部門は目先、利益がさらに縮小すると見込んだ。
資産運用部門は14%の増益。エネルギーのグリーン化を背景に再生可能エネルギー向け投資商品の販売が拡大した。
投資部門であるマッコーリー・アセット・マネジメントの利益は68%増の6億8400万豪ドルだった。
中間配当は1株当たり2.60豪ドルと、前期の3.85豪ドルから引き下げた。現在進めている20億豪ドルの自社株買いについては、期間を1年間延長することを承認した。
バークシャーの手元資金、過去最高更新-アップル株を追加売却 - Bloomberg
著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資・保険会社バークシャー・ハサウェイの7-9月(第3四半期)末の現金保有高は3252億ドル(約49兆7600億円)と過去最高を更新した。バフェット氏は最も重要な持ち分の一部を処分する一方で、大型投資は引き続き控えている。
2日の発表文によると、バークシャーは7-9月期もアップル株を追加売却。9月末時点の保有は699億ドル相当と、6月末時点の842億ドル相当から減少した。バークシャーがアップル株の持ち分を約25%減らしたことが示された。
バークシャーは2016年にアップル株保有を初めて開示。計311億ドルを投じて21年末までに同株を9億800万株買い入れた
バフェット氏(94)は今年5月のバークシャー年次株主総会で、アップルは今後もバークシャーの最大の保有株であり続けるだろうと述べ、税金の問題で売却したと示唆。「現在の状況下では、現金保有が積み上がることは全く問題ない」とも話していた。
エドワード・ジョーンズのアナリスト、ジム・シャナハン氏は「ウォーレン・バフェット氏がテクノロジー株に極めて満足しているとは私は思わない」と指摘した。
CFRAのリサーチアナリスト、キャシー・サイファート氏はバークシャーのアップル株保有について、ポートフォリオの「配分が過大になりつつある」とし、「エクスポージャーを若干軽減するのは理にかなっていたと思う」と述べた。
バークシャーの7-9月期の株式売買は346億ドルの売り越しとなった。
株価が上がる中でバフェット氏にとって魅力的な取引が見当たらないため、バークシャーは手元資金を有効に活用できないでいる。年次総会でバフェット氏は、「非常にリスクが低く、多くの利益をもたらすと思われる場合以外は」バークシャーは投資を急がないと述べた。
エドワード・ジョーンズのシャナハン氏は手元現金の金利上昇により「他の投資機会のハードルが若干高くなった」と指摘した。
バークシャーの保険事業の利子を含む投資収入は7-9月期に2倍超に増加し、35億ドルに達した。
同社全体の7-9月期営業利益は保険引き受け利益の低迷が響き、前年同期比6%減の100億9000万ドルとなった。また11億ドルの為替損失も計上した。
保険引き受けの利益はバークシャー・ハサウェイ・プライマリー・グループの赤字拡大により、前年同期比69%減の7億5000万ドルにとどまった。
[PPL] ピーピーエル 3Q増収減益 売上高1%増20.6億ドル、営業益2%減4.28億ドル、EPS0.29ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[D] ドミニオンエナジー 3Q増収増益 売上高3%増39.4億ドル、営業益18%増12.1億ドル、EPS1.14ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TROW] Tロウプライス 3Q増収増益 売上高7%増17.8億ドル、営業益6%増6.13億ドル、EPS2.64ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CHTR] チャーターコミュニケーションズ 3Q増収増益 売上高2%増137億ドル、営業益7%増33.3億ドル、EPS8.82ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CHD] チャーチ&ドワイト 3Q増収赤字転落 売上高4%増15.1億ドル、営業赤字9150万ドル、EPSマイナス0.31ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CAH] カーディナルヘルス 1Q減収黒字転換 売上高4%減522億ドル、営業益5.68億ドル、EPS1.70ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[XOM] エクソンモービル 3Q減収最終減益 売上高1%減900億ドル、純利益5%減86.1億ドル、配当0.99ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CVX] シェブロン 3Q減収最終減益 売上高6%減506億ドル、純利益31%減44.8億ドル、EPS2.48ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
マイクロソフト、FB元幹部採用-データセンター構築の手腕に期待 - Bloomberg
人工知能(AI)製品の需要に見合うほど迅速にデータセンターを稼働できていない米マイクロソフトは、フェイスブックのインフラを支えたエンジニアリング部門元幹部ジェイ・パリク氏を採用した。
パリク氏はマイクロソフトの上級幹部チームに加わり、サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)の直属の部下となる。
ナデラCEOは10月31日に社内向け電子メールで、「今日の最大規模のインターネットビジネスを支える上で必要となる急速な成長と規模拡大を通じ、チームを率いてきたジェイ(・パリク氏)のような経験を持つリーダーは、業界でも非常に少ない」と述べた。
最近までクラウドセキュリティーのスタートアップ、レースワークを経営していたパリク氏は、それ以前にフェイスブック(現メタ・プラットフォームズ)のエンジニアリング部門を率いていた。ナデラCEOはパリク氏の役割の詳細を「今後数カ月以内に」公表すると述べた。マイクロソフトの広報担当者は、CEOの文書以上の詳細についてはすぐにはコメントしなかった。
パリク氏は2009年にフェイスブックに入社し、10年余り勤務。技術インフラやデータセンター・プロジェクトに携わり、同社が世界最大のソーシャルネットワークに成長するのに尽力した。
メタはパリク氏在籍中に世界で12カ所以上のデータセンターを起工。多くのテクノロジー企業が自社のデータセンターを閉鎖し、マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムからコンピューティングパワーをレンタルするようになった中で、メタは最先端のサーバーファームを大規模に構築できる数少ない企業の一角であり続けた。
マイクロソフトは対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」を手掛けるオープンAIとの提携などのおかげで、生成AIに依存するツールを開発する取り組みの最前線にあり、それを支えるデータセンターとチップの構築を急いでいる。
UBSの資本要件、破綻処理準備体制が決定要因=スイス財務相 | ロイター
ボーイングが上昇 IAM執行部がスト終結に向け暫定合意=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ボーイング<BA>が上昇。労使交渉が混迷を極めているが、同社最大の労組の航空機工労組(IAM)の執行部がストライキの終結に向け暫定合意した。
Xに掲載されたIAM751支部の声明によると、執行部が受け入れた新労働協約案は4年間で38%の賃上げを保証するほか、可決時に1万2000ドルの一時金を支給する内容。
これに対する組合員の投票は11月4日に実施する予定。投票で組合員が賛成すれば、オレゴン、ワシントン両州での7週間にわたるストが集結する。IAM751支部は組合員に対し、提案を受け入れてストを終らせるよう呼び掛けている。
B.ライリー出資のFRG、連邦破産法11条の適用申請準備-関係者 - Bloomberg
多角的な金融サービスを提供するB.ライリー・ファイナンシャルが出資する米フランチャイズ小売り事業会社フランチャイズ・グループ(FRG)は連邦破産法11条の適用申請を今週末にも行う準備をしている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。FRGはここ数カ月、損失や、主要株主のB.ライリーを巡る混乱に直面していた。
非公開情報を理由にこれら関係者が明らかにしたところでは、FRGはHPSインベストメント・パートナーを含む上位債権者が経営権を握る更生計画を立てて、連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請する予定。
B.ライリーの混乱の中心にはFRGの問題があった。B.ライリーは昨年、当時FRGの最高経営責任者(CEO)だったブライアン・カーン氏が率いる28億ドル(現在のレートで約4280億円)でのFRGに対するマネジメントバイアウトを支援した。
B.ライリーの広報担当者はコメントを控えた。FRGとHPSの広報担当者に通常の営業時間外にメッセージを残したが返答はなかった。FRGの破産法適用申請に関しては、クレジット関連ニュースのプラットフォーム、9finが先に伝えていた。
●日本企業
三井住友信託銀行、元社員にインサイダー取引疑い 会社発表 - 日本経済新聞
日産自動車、河西工業への出資完了 筆頭株主に - 日本経済新聞
日産自動車は1日、自動車内装大手の河西工業への出資が完了したと発表した。出資額は60億円で、日産は河西工業の議決権の13.05%を持つ筆頭株主となった。河西工業が発行した優先株を日産が引き受けた。
河西工業は自動車のドア内部のパネルやサンバイザーなどの内装品を主に手掛ける。主要取引先の日産の自動車販売減少の影響などで財務状況が悪化。日産は部品調達の安定に向け、5月に河西工業への出資を発表していた。
河西工業は同日、日産子会社のジヤトコ出身の古川幸二氏が社長に就任したことを発表した。当初は9月上旬にも就任する予定だったが、出資の手続きが一部で遅延したため社長交代も先送りとなった。
明治安田生命、代理店から契約者の情報漏洩8000件 - 日本経済新聞
明治安田生命保険は1日、代理店への出向者などが契約者の個人情報を漏洩していたと発表した。2017年6月から21年11月の間に約8000件が漏洩していた。8月以降に社内でヒアリングやメールの情報解析するなど調査を実施した結果、判明した。
匿名化された氏名や保険の証券番号、契約している保険の種類などの情報が漏洩した。出向者が代理店での保険商品の販売動向データを明治安田生命に送信する際に、顧客の情報を削除しないまま送っていた。明治安田生命は「出向者を含めた情報管理教育の強化をはじめ再発防止策の徹底に取り組む」としている。
生命保険業界では代理店への出向者などからの情報漏洩が相次いでいる。損害保険業界で大規模な情報漏洩が明らかになり、生保でも調査を進める中で発覚している。金融庁は業界団体の生命保険協会を通じて、協会に加盟する各社に調査と報告を要請しており、各社は調査結果を報告していた。
野村や大和証券など大手証券の純利益66%増 4〜9月期決算、株急落でも個人部門堅調 - 日本経済新聞
大手対面証券5社の2024年4〜9月期連結決算が1日に出そろった。合計の純利益は4159億円と、前年同期比で66%増えた。8月に日本株の歴史的な乱高下があったものの、投資信託などへの資金流入は途絶えず、個人部門の手数料収益が増えた。政策保有株の売却加速やM&A(合併・買収)の増加を背景に、国内の投資銀行も好調だった。
オリックス不動産、埼玉県三郷市に物流施設新設 全館空調を初導入 - 日本経済新聞
オリックス子会社のオリックス不動産(東京・港)は埼玉県三郷市で新たに2つの物流施設の開発に着手した。高速道路の出入り口に近く、東京都心部まで短時間で配送でき、関東の広域配送にも適しているという。施設はそれぞれ2025〜26年に完成予定で、同社として初めて全館空調を導入するなど作業者の就業環境の改善に配慮した。
新たに設けるのは「三郷Ⅰロジスティクスセンター」「三郷Ⅱロジスティクスセンター」の2施設。26年1月に竣工予定の「三郷Ⅰ」は東京外かく環状道路(外環道)三郷西インターチェンジ(IC)から2キロの場所に立地する。
建物はトラックが各階に乗り入れられる「ランプウェイ型」で、4階建てで最大4社が入居でき、1フロアあたりの面積は約8600平方メートル。三郷市の伝統である藍染めをコンセプトとした専用の休憩スペースを設け、働きやすい職場環境にも配慮する。
25年10月に竣工予定の「三郷Ⅱ」は常磐自動車道三郷ICから2.6キロ。JR武蔵野線三郷駅から徒歩約15分と通勤利便性が高く、雇用確保がしやすいという。建物を1階半面と2階全面、1階半面と3階全面に分け、最大2社が入居できる。
1区画約9000平方メートルで、積み下ろしスペースとエレベーターをそれぞれ設け、荷物の縦移動を1回で済むようにする。事業継続計画(BCP)の観点から主要電気設備を2階バルコニーに設置し、豪雨時の浸水などを防ぐ構造とした。
2つの施設はともに環境に配慮し、太陽光パネルを設けるなど100%再生可能エネルギー由来の電力供給を可能にした。電気自動車(EV)の充電スタンドも設置する予定だ。
●米大統領選挙
アングル:米大統領選で4年前の悪夢再来も、トランプ氏の結果覆す企てに懸念 | ロイター
【米大統領選2024】 世論調査の動きはどうなっているのか - BBCニュース
トランプ氏、「タカ派」チェイニー氏は銃撃されるべきと発言 ハリス氏「大統領に不適格」 - CNN.co.jp
「1月6日が楽しみ」、大統領選結果転覆の準備進めるMAGA活動家 トランプ氏落選なら実行か(1/2) - CNN.co.jp
激戦7州、ハリス氏とトランプ氏の接戦続く=NYT調査 | ロイター
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)と米シエナ大が実施した米大統領選前最後の世論調査によると、勝敗の鍵を握る激戦7州で民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領の接戦が続いている。
10月24日─11月2日に7州の有権者7879人を対象に実施した調査によると、ネバダ、ノースカロライナ、ウィスコンシン各州ではハリス氏が僅差でリードし、アリゾナ州ではトランプ氏がわずかにリード。ミシガン、ジョージア、ペンシルベニア各州では両候補が拮抗している。7州とも誤差(3.5%)の範囲内となった。
回答者の約4割は既に投票を済ませ、これらの有権者の間ではハリス氏が8%ポイントリードした。一方、まだ投票していないが投票する可能性が非常に高いとした回答者の間ではトランプ氏がリードした。
NYTはペンシルベニア州で両候補の支持率が互角だったことについて、これまでの同紙調査でハリス氏が一貫して4%ポイントリードしてきたことから、トランプ氏が勢いを増している表れだと指摘した。
ハリス、トランプ両氏が激戦州で経済政策訴え-世論調査は互角続く - Bloomberg
●その他先進国政治動向
インタビュー:向こう半年は利上げ急ぐべきでない=玉木国民民主代表 | ロイター
国民民主党の玉木雄一郎代表は1日、日銀の金融政策を巡り「向こう半年は利上げを急ぐべきではない」と述べ、早期利上げに否定的な見解を示した。都内でロイターのインタビューに応じた。
玉木代表はインタビューで「いつかは(金融政策を)正常化していくことは必要」と、正常化路線そのものには理解を示した。
一方、物価高に負けない賃上げ定着に向け、現状の金融政策を「急激に変更すべきではない」と強調。少なくとも年度内は追加利上げを見送るべきかとの問いに、「動かすべきではない」と応えた。
利上げが後ずれすることに伴う為替円安にどう対処するかは「(そもそも)為替を目的に(金融政策を)変更すべきではない」とした。為替介入の効果は短期的との認識も示した。
近く策定する経済対策では、災害対応などへの対処を求める考えを示した。トリガー条項の凍結解除については「強く訴えたい」と主張。年収が103万円を超えれば所得税負担が生じる「年収の壁」の水準引き上げについても実現に意欲を示した。
衆院選に先立ち、石破茂首相が開始時期を年内にも決着させる必要があると明言した防衛増税に関しては「防衛力強化は賛成だが、増税しなくても財源を確保できる」と指摘した。
英保守党党首にベーデノック氏、初の黒人女性 党内右派 | ロイター
英最大野党・保守党、ケミ・ベイドノック氏を党首選出 - BBCニュース
イギリスの最大野党・保守党は2日、ケミ・ベイドノック氏(44)を新たな党首に選出した。ベイドノック氏は黒人女性として初めて、イギリスの主要政党を率いる。
保守党は7月の総選挙で、党史上最大の最大の敗北を喫し、野党となった。その後、リシ・スーナク党首の後継者を決めるための党首選が行われていた。決選投票には、ベイドノック氏とロバート・ジェンリック氏(42)が残ったが、得票率56.5%のベイドノック氏が1万2418票差で勝利した。
ベイドノック氏は勝利演説で、「私が愛する党、私に多くのものを与えてくれた保守党を率いる役割を担うのは、何より光栄なこと」だと話した。
また、先の選挙で保守党を見捨てた有権者を取り戻すと宣言。党の「刷新」を約束し、「仕事に取り掛かる時だ」と述べた。
保守党党首は、ここ9年近くで6回も交代している。ベイドノック氏は分裂した党を団結させ、サー・キア・スターマー率いる労働党政権に対抗する役割を担うことになる。
ベイドノック氏は党首選中に具体的な政策を提示せず、保守党員を「最初の原則」に戻すことに焦点を当ててきた。
そのため、同氏がどのような影の内閣を作り、新しい保守党を形成するのかが注目されている。
同氏はジェンリック氏をはじめ、党首選に立候補した全保守党議員に役職を打診するとしているが、党首選3位だったジェイムズ・クレヴァリー氏はすでに影の内閣入りを否定している。
ベイドノック氏は6日までに影の内閣を発表した後、毎週水曜に行われる首相質疑に同日、保守党党首として初めて臨むとみられている。
この日には、労働党政権が先週発表した秋季予算案をめぐる投票も行われる。
この予算案に先立ち、ベイドノック氏は27日付の英紙サンデー・テレグラフに寄稿し、レイチェル・リーヴス財務相の計画を批判。「リーヴス氏は何十億ポンドもの資金を空中から作り出し、インフラ投資に充てようとしている」と述べた。
また、党首選勝利後にも、「労働党は失敗するだろう。保守党がおかした多くの過ちを繰り返し、この破綻したシステムにさらに資金を投入しようとしているからだ」と批判した。
一方のリーヴス財務大臣は、英政治紙オブザーバーに対し、「ベイドノック氏がこの予算案に反対するつもりなら、待機児童の削減のための投資、教師の採用への投資、重要なインフラの構築への投資に反対するつもりなのか、国民に説明しなければならない。労働党はすでに選択した。今度は保守党が選択すべきだ」と述べた。
ベイドノック氏は、尊敬する政治家だというマーガレット・サッチャー元首相と同じように、党内でも支持と批判のある存在だと言われる。
しかしその確固とした意見、人種的偏見や差別問題を意識する「ウォーク」カルチャーに反対する立場、そして実直なスタイルから、保守右派や草の根派の人気を獲得。同じく右派のジェンリック氏に勝利するに至った。
総選挙で保守党が敗北した理由についてベイドノック氏は、「右派的な発言をしながら、左派的な政策を実行していた」からだと指摘。政権を奪還するには「労働党のような行動を止める」必要があると述べている。
オルケミ・オルフント・アデゴケ・ベイドノック氏は1980年、ナイジェリア出身の両親の間に生まれた。父親は一般開業医、母親はラゴス大学の生理学教授だった。幼少期をナイジェリアのラゴスと、母親が教えていたアメリカで過ごし、16歳でイギリスに戻った。
サセックス大学でコンピューター工学の学位を取得後、IT業界で働きながら法学位も取得。その後、金融業界に転身し、クーツ銀行でアソシエイトディレクターを務めた。さらに保守党支持の有力誌「ザ・スペクテイター」のデジタルディレクターとして、編集とは無関係の業務に従事した。
保守党の上院議員アシュクロフト卿の自伝によると、ベイドノック氏はサセックス大学在学中に、左派的なキャンパス文化に反対の方向で「過激化」し、右派の政治思想に目覚めたという。同氏は後に、学生活動家たちを「甘やかされて、特権意識に満ちた、特権階級の都会のエリート予備軍」と表現している。
2005年に25歳で保守党に入党。2015年にロンドン議会議員となり、2017年にサフロン・ウォルデンから下院議員に当選した。2016年の国民投票では欧州連合(EU)離脱を支持した。
議員となってからは政務官などを歴任。また、閣僚経験者のマイケル・ゴーヴ元議員の支持を得て、2022年の党首選にも立候補した。
リズ・トラス政権とリシ・スーナク政権では、国際貿易相、女性・平等担相などを務めた。
ベイドノック氏の議員としての活動は、その率直な物言いと、異論の多い問題に積極的にかかわっていく姿勢が特徴だ。
ボリス・ジョンソン政権下で政務官を務めた際には、イギリスに広範な制度上の人種差別が存在するという考えに異議を唱え、左派を激怒させた。
LBCのインタビューでは、自分が偏見を受けたのは左派の人々からだけだと語っていた。
また、自らをジェンダーに批判的なフェミニストと称し、トランスジェンダーの人々の自認を認める動きに公然と反対している。女性・平等担当相時代には、スコットランドの性別変更手続き簡易化法案を阻止するイギリス政府の先頭に立った。
党首選中には、保守党の価値観が「危機的状況にある」と語っていた。人種、宗教、性別といった特定のアイデンティティーに基づく政治や、国家による絶え間ない介入、そして「官僚が選出された政治家よりも優れた決定を下すことができるという考え」などの、新しい「進歩的イデオロギー」から攻撃を受けていると主張していた。
また、保守党は本来の価値観に立ち返り、こうした現実を認識した新たな政策を打ち出す必要があると付け加えた。
ベイドノック氏はしばしば「文化戦士」と称されるが、自身はそのレッテルを否定している。
時には「誰もいない部屋で争いを始めたいのか」と非難されることもあるが、同氏は、争いは望んではいないが、保守党の原則を守るためなら戦う覚悟はあると話している。
こうした姿勢が保守党議員らに親近感を与える一方で、一部の議員たちを不安にさせている。
こうした議員らはBBCの取材に対し、党首選でベイドノック氏を支持すると語ったものの、閣僚時代の同氏の険悪なやりとりに嫌気がさしていたと話した。
だが、ベイドノック氏の支持者は、新党首のこの部分を重視している。同氏は他の閣僚とは異なり、自分が信じることを下院議員たちに率直に伝え、その主張を堂々と展開していたという。
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
米10月雇用1.2万人増、予想大きく下回る ストや自然災害響く | ロイター
米労働省が1日発表した10月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比1万2000人増だった。市場予想の11万3000人増を大幅に下回り、2020年12月以来の最小の伸びとなった。米航空機大手ボーイングのストライキや大型ハリケーンの被害といった一時的な影響が響いた。
エコノミスト予想レンジは0から20万人増だった。
9月は22万3000人増に下方修正され、8・9月分の増加数は合計11万2000人下方改定された。
失業率は4.1%で前月と変わらず。
10月の時間当たり平均賃金は前月比0.4%上昇、9月は0.3%上昇だった。前年比は4.0%上昇、前月は3.9%上昇だった。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「来週の米大統領選を控え、有権者の生活が4年前よりも良くなっているかどうかを把握するために米国民や市場が必要としていた経済に関する明確な報告書とはならなかった」と指摘。ただ、「雇用者数の伸びの劇的な減速は、経済が転換点に達し、崖から落ちて不況に陥る危険があることは示していない」と述べた。
雇用者数を算出する事業所調査では、毎月12日を含む調査期間中に給与を受け取らなかった労働者は失業者とカウントする。
一方、家計調査ではスト参加の労働者は雇用者としてカウントされるため、失業率は歪みの影響を受けなかった。
労働統計局によると、悪天候のために働けなかった労働者は休業者と分類される。
9月下旬にはハリケーン「へリーン」、その1週間後に「ミルトン」が米南部州を襲った。悪天候のため働けないという回答は計51万2000人と、1月以来最多となった。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「ハリケーンによる10月の雇用への影響は、多くのエコノミストの予想よりもはるかに大きかった」と指摘。ただ、影響を受けた部分の多くは11月には元に戻るとの見方を示した。
労働統計局も、一部の産業でデータの集計がハリケーンの影響を受けた可能性があるとの見解を示した。ただ、影響を数量化することはできないとしている。
業種別では、10月の雇用増加分のほぼ大半は医療関連と政府部門に限られた。ヘルスケア関連は5万2000人増、政府は4万人増だった。
ボーイングのストの影響で、製造業は4万6000人減少。米自動車大手「ビッグ3」の一角のクライスラーを傘下に持つステランティスのレイオフに関連して、自動車産業で6000人減少したことも響いた。
専門・ビジネスサービスは4万7000人減。人材派遣は4万9000人減少した。
レジャー・接客は4000人、小売業で6400人、それぞれ減少した。
就労意欲はあるが求職をあきらめた人や、フルタイムの仕事が見つからずパートタイムで働く人を含む広義の失業率は7.7%と、横ばい。
経済の雇用創出能力を示す指標とされる就業率は60.0%と、前月の60.2%から低下した。
バイデン米大統領は、11月には雇用の伸びは回復するという見通しを示し、「米経済は引き続き好調だ。しかし、やるべきことはまだある」と述べた。
ファースト・アメリカンのシニアエコノミスト、サム・ウィリアムソン氏は「労働市場は引き続き緩やかに冷え込んでおり、連邦準備理事会(FRB)が今月と来月の会合で一段の利下げを行う根拠になる」と指摘。エコノミストの間では、FRBが11月6─7日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、ノイズの多いデータをさほど重要視せず、0.25%ポイントの利下げに踏み切ると予想されている。
米ISM製造業景気指数、10月は46.5に低下 23年7月以来の水準 | ロイター
10月の製造業景気指数は46.5と、前月の47.2から低下し、2023年7月以来の低水準となった。
拡大・縮小の分岐点となる50を7カ月連続で下回った。今回の低下は航空機メーカー大手ボーイング(BA.N), opens new tabの工場労働者によるストライキが影響した可能性がある。
ただ、ISMが長期的に経済全般の拡大を示すとしている水準(42.5)は上回った。
サブ指数を見ると、先行指標となる新規受注は9月の46.1から47.1に上昇した。一方、生産は49.8から46.2に低下。ボーイングのストがサプライヤーに波及したようだ。
支払価格は23年12月以来の低水準だった9月の48.3から54.8に急上昇した。
サプライヤー納入指数は52.2から52.0に低下。50を超えると納入遅れを示す。
雇用は9月の43.9から44.4に上昇したものの、依然として低水準にとどまっている。
英製造業PMI、10月改定49.9 4月以来初の50割れ | ロイター
10月の英国の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.9と、4月以来初めて好不況の分かれ目となる50をわずかに下回った。
新規受注が減少した。予算案の発表を控えて警戒感が強まった。
速報値は50.3。9月は51.5だった。
S&Pのディレクター、ロブ・ドブソン氏は「英製造業は不確かな足取りで第4・四半期のスタートを切った。予算案発表を控えて憶測が飛び交い、投資・支出の決断先送りにつながったと広く報告されている」と述べた。
リーブス財務相は10月30日、スターマー労働党政権で初となる予算案を発表し、400億ポンドの増税計画を明らかにした。国民保険料率の雇用主側の負担分などを引き上げる
PMIによると、製造業の投入価格上昇率は急激に鈍化し、今年最低となった。産出価格は小幅に上昇した。
生産は小幅に増加したが、増加ペースは4月以降で最低だった。新規受注の減少ペースは4月以降で最大。
消費財と中間財の需要が鈍化した。外需では欧州、中国、米国からの需要が低迷した。
スイスCPI、9月は前年比+0.6% 3年強ぶり低い伸び | ロイター
スイス連邦統計局が1日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.6%上昇し、2021年7月以来の低い伸びとなった。
ロイターがまとめたアナリスト予想の0.8%を下回った。食料品や衣料品、日用品が値下がりした。
前月比では0.1%下落した。
CPIを受けてスイス国立銀行(中央銀行)の利下げ観測が高まり、スイスフランは5週間ぶりの安値を付けた。
市場では、次回12月の金融政策決定会合で政策金利を1%から0.75%へ引き下げる確率を72%、来年3月に0.5%へ引き下げる確率を68%と予想している。
J・サフラ・サラシンのエコノミスト、カルステン・ユニウス氏は「インフレ率の低下という状況は、スイス中銀にとって居心地が悪くなっている。12月は確実に25ベーシスポイント(bp)の利下げを行うだろうが、50bpの引き下げがあっても驚かない」と述べた。
「3月に25bp、6月にさらに25bp利下げし、(政策金利を)0.25%にするだろう」と予想した。また、来年初頭にも為替介入を強化するとの見方を示した。
EFG銀行のエコノミスト、ジャンルイジ・マンドルッツァート氏は10月のインフレ率について、第4・四半期に1%とした中銀の予測を大きく下回ったと指摘。
「一時的とはいえ、25年にインフレ率がマイナスになるリスクが明らかに高まったため、中銀が25bpではなく50bpの利下げを検討する可能性も高まった」と述べた。
●金融市場、先進国トピックス
格付け会社2社、英国の厳しい財政状況を強調 新たな予算案受け | ロイター
主要格付け会社2社は1日、英労働党新政権が発表した大型の来年度予算案を受けて、英国の財政が厳しい状況にある点を強調した。
格付け会社S&Pは英国の財政見通しを「制約された」とし、ムーディーズはリーブス財務相による債務増加の発表が「すでに困難となっている財政再建の見通しにさらなる課題」をもたらしたと述べた。
リーブス氏は30日、政策投資に充てるために債務を大幅に増やすとともに、公共サービスを拡充する必要があるとして、過去30年で最大となる増税計画を明らかにした。
新政権で初となった予算案発表を受けて、英国債価格は10月30日と31日に大幅下落。今月1日に若干上昇したものの、金利に敏感な2年物国債価格は週間では1年超ぶりの大幅下落となる見込み。
格付け会社はいずれも格下げは示唆しなかったが、ムーディーズは、2022年に保守党のトラス元首相の下での財源の裏付けがない減税案で金融市場が混乱した経緯を踏まえ、労働党政権が政策判断のミスを犯すことに対して投資家は以前に比べて寛容でないだろうと指摘した。
S&Pは、英国の資金調達ニーズが大幅に増えると以前から予測していたため、予算発表後も将来の債務予測を引き上げていないと述べた。
GPIF、7―9月期は9.1兆円の赤字 4四半期ぶりマイナス運用 | ロイター
公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が1日に発表した2024年7―9月期の運用損益は、9兆1277億円の赤字だった。収益率はマイナス3.57%。マイナス運用は23年7ー9月期以来。
国内外の金利差が縮小し円高が進んだことや、日本株の回復が限定的だったことが影響した。
資産別の収益率は国内株式がマイナス4.92%、外国株式がマイナス5.35%、国内債券がプラス1.42%、外国債券がマイナス5.51%だった。
自主運用を始めた01年度からの累積収益額は153兆6431億円で、6月末の162兆7708億円から縮小した。運用資産額は248兆2274億円だった。
年金特別会計が管理する資産を含む積立金全体の保有比率内訳は9月末時点で国内債券26.74%、外国債券24.30%、国内株式23.98%、外国株式24.98%。
GPIFの宮園雅敬理事長は、7-9月期実績の背景について「日銀が7月に政策金利を引き上げた一方、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)が9月に利下げを行ったことなどから、結果として国内外の長期金利は低下(債券価格は上昇)した」と指摘。「金融政策の方向性の違いから国内外の金利差が縮小したため、為替は対ドル・対ユーロともに円高となった」と説明した。
株式市場については、「米国で景気がソフトランディング(軟着陸)するとの見方が強まり株価が上昇した一方で、日本では8月の大幅な下落とその後の持ち直しが見られる中で円高が進んだことなどから株価は下落し、国内外の主要な株価指数は強弱まちまちな結果となった」と述べた。
日本は財政健全化を、新たな支出への国債発行回避すべき=IMF高官 | ロイター
国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏は1日、日本が追加的な支出を行う場合、国債を発行するのではなく、予算内で賄うべきとの見方を示し、日銀が利上げに乗り出す中、政府が財政健全化を行うことが重要だと指摘した。
ロイターのインタビューで「金融政策の正常化が進められていることを踏まえると、財政側が大幅に遅れている健全化に実際に着手する責任がある」と述べた。
石破茂首相は物価高による家計への影響を和らげるため、新たな大型経済対策をまとめる方針を示している。
スリニバーサン氏は「いかなる支援も的を大幅に絞るべきで、新たな対策は予算内で賄うべきだ」と指摘。「新たな対策に充てるために債務をさらに増やすべきではない」と述べた。
金融政策については、インフレには上振れ、下振れの両方のリスクがあるため、日銀は「段階的」かつ「データに応じた」形で利上げを行うべきとの見方を示した。
「日銀は正しいことをやっている。政策の見通し期間中にインフレ率と期待インフレ率が2%で安定するよう総力を挙げている」と評した。
外国為替相場については、日米の経済見通しについて「かなりの不透明感」があり、円キャリートレードの巻き戻しなど為替変動を助長する要因も存在するため、変動率がやや高まる可能性があると指摘。
その上で、日本当局が円相場の動きに関し「変動相場制に完全にコミットしている」と認識していると語った。
ハイテク大手、AI投資の勢い止まらず-今年の支出は30兆円超えに - Bloomberg
金一段高を見込む市場、接戦の米選挙控え-「誰もが乗りたい箱舟」 - Bloomberg
米金融当局のリバースレポ利用額、21年5月以来の2000億ドル割れ - Bloomberg
米金融当局が設定している翌日物リバースレポ(RRP)ファシリティーの利用額が、2021年5月以来の2000億ドル(約30兆5800億円)割れとなった。流動性をひっ迫させることなく、金融システムからの流動性吸収をいつまで継続できるかという議論が再燃している。
1日のレポ応札には計41の市中銀行やマネー・マーケット・ファンド(MMF)が参加。ニューヨーク連銀のデータによれば、応札・落札額は総額1550億ドルだった。過去最高は2022年12月30日に記録した2兆5500億ドル。カウンターパーティーの数は21年6月以来の少なさだった。
利用減少の背景には調達金利の高止まりがあり、これが資金をRRPファシリティーから遠ざけている。RRPが提示する貸出金利4.8%に対し、この日は調達金利が4.93/4.92%で取引される場面もあった。
「マネーマーケットの投資家が代替手段によって十分な流動性を確保し、他のプロダクトの方がRRPより魅力的だと考えていることを利用減少は示唆している」と、TDセキュリティーズのジェナディー・ゴールドバーグ氏は述べた。
市場関係者はこの制度の残高が減少するペースを注視している。ウォール街の一部では、量的引き締めとして知られる連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート圧縮策の一環として、金融システムから過剰流動性が吸収された結果だとの見方がある。FRBは6月にバランスシート圧縮のペース減速を開始。短期市場金利への潜在的な圧力を緩和し始めた。
東証、現物取引時間を予定通り5日から30分延伸-リハーサル問題なし - Bloomberg
10兆円大学ファンド、運用成績1551億円の黒字 4〜9月 - 日本経済新聞
アングル:欧州で実店舗がじわり増加、「ショッピングは娯楽の一部」 | ロイター
オンラインショッピングの台頭により実店舗の閉鎖が相次いだことで、ショッピングモールやいわゆる「ハイストリート」(目抜き通り) の将来性が危惧されてきたが、このところの欧州では実店舗が復活の兆しを見せ、ネット販売を促進する上でも重要な存在になっている。
欧州の小売各社は、オンライン、実店舗双方の売り上げを刺激するため、実店舗への投資を進めている。背景には、中国発の「SHEIN(シーイン)」など巨大オンライン小売企業との競争激化がある。
さらに欧州の小売各社には、コロナ禍によるロックダウンが終わって人々の来店意欲が回復し、土曜午後のショッピングが再び流行している流れに乗りたいという狙いもある。
「店に足を運んだのは、実物を見て試着し、すぐに入手したかったから」と語るのは、ローマのショッピングセンターで品定め中のフランチェスカ・マリーニさん(28)。オンラインショッピングでは商品到着まで待たされ、ショッピングの楽しみが損なわれると話す。
市場調査会社ユーロモニターのデータによると、2023年の欧州内の実店舗総数は、前の年の492万店から490万店に微減となった。ただし同じデータによると、売場面積は約1%とわずかに増え、2028年には2022年と比較して2.7%増加する見込みだという。
LVMHとアディダスの株式を保有するユニオン・インベストメントでポートフォリオマネジャーを務めるトマス・ジョーケル氏によれば、直接触れ合う機会がなければ顧客をつなぎ止めることは困難であることを、小売各社が痛感しているという。
「オンラインショップだけでなく実店舗もあれば、顧客の引き止めが楽になる」とジョーケル氏は言う。「オンラインショップでは写真を見ることはできるが、感触や匂いも分からないし、誰かに相談することもできない。あるブランドに安心感を持ち、夢中になるのはかなり難しくなる」
<購入前に試着、試用したい>
コロナ禍以降、スポーツ用品業界ではランニングシューズやトレーニング用品の需要が増えている。人々がなるべく屋外での活動を楽しもうとしているからだ。
「アディダスやノースフェイスなどの成功を見れば分かるように、コロナ禍の最中からその兆しはあったが、屋外での活動が増える傾向が確実にあると思う」と、ドイツ銀行でアナリストを務めるアダム・コホラン氏は話す。「人々が外に出て何かやる必要があると気づき、そうした行動の一部がすでに定着したのだと思う」
スポーツ用品小売りの仏デカトロンでグローバル最高顧客担当責任者を務めるセリーヌ・デル・ジーンズ氏によれば、同社は今年、系列店を約80店舗増やしたという。世界全体での系列店舗数は合計約1700店に達した。
イタリアで約160店舗を展開する小売企業シサルファは、ナイキbのサッカーシューズやアンダーアーマーのランニングシャツなどのスポーツ衣料を販売。今年は自国市場で約10店舗の新規出店・改装を予定している。
同社は先日、ドイツのスポルトシェックを買収し、独国内で展開する店舗数は25店舗増えて75店舗となった。
<オンライン、実店舗を使い分ける購入客>
ドイツ銀行のコホラン氏が示したデータによれば、実店舗から車で20分以内の範囲では、オンラインでの売り上げが10-20%増加しているという。複数の購入手段を利用する顧客が増えているからだ。
コホラン氏は「双方向への好影響を示す決定的な証拠がある。実店舗を開設すれば近隣でのオンライン販売が増えるし、逆に実店舗を閉めた場合は、オンラインであれ別店舗への顧客誘導であれ、閉鎖店舗分の売上を完全に回復することはできないというデータがある」と語る。
登山用品小売のオベラルプで最高営業責任者を務めるステファン・ライナー氏は、「あるエリアの店舗数が多いほど、オンラインのブランドへの注目も高まる」と話す。
デカトロンでは買い物客を呼び込むため、用具の修理やレンタル専用の拠点と、顧客が実際にスポーツを楽しめるスペースを用意している。
デカトロンのデル・ジュネ最高顧客責任者はロイターに対し「実店舗は、ショールームや製品との出会いの場といった新しい機能を提供することで、物理的要素とデジタル要素を統合し、商品を吟味、分析、比較しやすくしている」と語った。
ローマのショッピングモールでは、デカトロンの店舗の入り口付近に卓球台が2台用意されており、無料で遊べるようになっている。
プレーしていた若者の1人はロイターに対し「いいアイデアだと思う。ふだんは買い物しかしない場所で遊べるのだから」と語った。その脇ではピンポン玉が飛び交い、友人たちが今のはインだのアウトだのと言い合っている。
ファッションブランドのザラを傘下に抱えるスペインの小売企業インディテックスは、グループ向け試着室を提供し、友人と一緒に入って服を試着できるようにしている。内部にはタッチパネルが用意され、利用者は別のサイズやスタイルをリクエストできる。
ドイツのネット小売企業ザランドが国内に15カ所の実店舗を展開済みで、さらにもう1店舗が南部フライブルクで建設中だ。
ザランドは水着からヒューゴ・ボスのドレスに至るまで多種多様な商品を販売するが、他の小売企業と同じく、シーインとの競争激化に巻き込まれている。
シンガポールを拠点とするオンライン小売企業シーインは、欧州や英国の都市で、数日間限定で営業する「ポップアップ」店舗戦略を採用している。
小売産業の専門家によれば、利用客は、実店舗で購入することによる店員との交流や利便性、その場ですぐ手に入るという即時性を好んでいるという。
RBCの複数のアナリストは「消費者はショッピングに、娯楽としての側面があることを思い出し、実店舗への回帰を選んでいる」と語る。さらに、ネットで注文して実店舗で受け取る「クリック・アンド・コレクト」の便利さも好まれている。オフィス勤務が再開しつつあり、配達時に家にいられるとは限らないからだ。
ユニオン・インベストメントのジョーケル氏は「人によっては、Tシャツを買ってパーティや学校に行きたいだけという場合もある。それだけのために2週間も待つなんて悠長すぎる」と話した。
●中東情勢
イラン、ミサイル長射程化と核政策変更示唆 イスラエルに適時対応 | ロイター
イランのハメネイ最高指導者のカマル・ハラジ顧問は1日、イランが適時に適切な方法で「イスラエルの攻撃」に確実に応じるだろうと述べた。
さらに、イランが弾道ミサイルの射程距離を伸ばす公算が大きいとしたほか、イランが存亡の危機にさらされた場合には核ドクトリンが変更される可能性があると示唆した。
ハラジ氏はレバノンに拠点を置く親イラン放送局アルマヤディーンのインタビューで、10月末にイスラエルがテヘラン近郊などを空爆したことへの報復について、イランは時期と方法を選んで対応すると述べた。
紛争が拡大した場合の対応について、イランは自主的に2000キロに設定している弾道ミサイルの射程距離の制限を伸ばす可能性があると表明。ハメネイ師は核兵器の製造を宗教令(ファトワ)で禁じているが、イランには核兵器を製造する技術力があると語った。
イランは10月1日、イスラエルに向けて180発以上の弾道ミサイルを発射。これに対しイスラエルは26日、イランの複数地域にある軍事標的に対する的を絞った攻撃を実施した。こうした中、米ニュースサイトのアクシオスが31日に関係筋の話として、イランが11月5日の米大統領選前に、イラク領内からイスラエルを攻撃する準備をしていると報じるなど、緊張が高まっている。
イスラエル軍、ベイルート南郊を空爆 停戦に悲観的見方も | ロイター
イランの最高指導者ハメネイ師、イスラエルへの報復を明言 - CNN.co.jp
(CNN) イランの最高指導者ハメネイ師は2日、イスラエルが同国の軍事施設を攻撃したことに対し、厳しい報復に出る考えを明らかにした。
イラン国営プレスTVによると、ハメネイ師は同日、首都テヘランでの米大使館占拠事件から45周年の記念行事に先立ち、学生らとの会合で演説した。
この中で「米国とイスラエルはイランと抵抗戦線への行為に対し、必ず厳しい対抗措置を受けることを認識するべきだ」と言明した。「抵抗戦線」はハマス、ヒズボラなどの親イラン武装組織を指している。
ハメネイ師はさらに「イランが傲慢(ごうまん)な相手に立ち向かうための準備を、全力で進めている」と述べた。
イスラエルがハマスやヒズボラの指導者らを殺害したことへの報復として、イランは先月1日、イスラエルへの大規模なミサイル攻撃を実施。これに対し、イスラエルが同25日にイラン国内の軍事施設を攻撃した。
イランが再報復に出るかどうかが注目されるなか、ハメネイ師は当初、イスラエルからの攻撃について「誇張されるべきでもなければ、過小評価されるべきでもない」と述べ、冷静な対応を示していた。
だが先月30日には、イランの高位の情報筋がCNNに「決定的で痛みを伴う」報復攻撃を予告した。
イスラエル軍関係者は31日、イランの反撃に備えて「高レベルの即応態勢」を取っていると述べる一方、反撃があるかどうかについては、イランの意思決定過程を見定めようとしていると語っていた。
●エマージング
アジア経済、貿易摩擦や中国成長鈍化がリスク=IMF | ロイター
国際通貨基金(IMF)は1日公表したアジア地域の経済見通し報告書で、貿易摩擦の激化、中国不動産業界の低迷、さらなる市場混乱の可能性によりリスクが高まり、見通しが不透明になっていると表明した。
IMFは、中国からの持続的なデフレ圧力が、同様な輸出構造を持つ近隣諸国の産業に打撃を与え「貿易摩擦を引き起こす」可能性があると指摘し、中国政府に対し、より需要主導型の経済回復に向けた措置を講じるよう求めた。
報告書は「中国の景気減速が予想以上に長期化すれば地域経済と世界経済の両方に悪影響を及ぼす。その意味で中国の政策対応は極めて重要だ」とし、中国が不動産部門の調整を促進し、民間消費の強化策を講じる必要があるとした。
アジア経済について、過去の世界的な金融引き締めや地政学的緊張が世界需要に打撃を与え、貿易コストを押し上げて市場を不安定化させる可能性があり、リスクは「下向き」とした。「重大なリスクは、主要貿易相手国間の報復関税の激化」とし、貿易の分断が深刻化し地域の成長を阻害すると指摘した。
さらに、米連邦準備理事会(FRB)の追加の大幅利下げと日銀の段階的利上げを織り込む市場の最近の不安定な動きは、将来のボラティリティー上昇を暗示している可能性があるとした。「政策の方向性に対する予想が突然変化すれば、為替レートが急激に調整され、他の金融市場に波及し得る」とし「ボラティリティー自体は必ずしも有害ではないが、消費者の信頼と投資を抑制する恐れがある」と指摘した。
IMFの最新の予測でアジア経済の成長率は2024年が4.6%、25年は4.4%。ともに4月の予測から0.1%ポイント上方修正されたが、23年の5.0%を下回る。
中国の24年成長率は4.8%と4月の予測から0.2%ポイント上方修正したが、23年の5.2%を下回る。25年は4.5%に鈍化すると予測した。
中国、公的債務の監視強化へ 中央・地方政府に報告義務付け | ロイター
中国は政府債務の監督強化を目指し法改正を計画している。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)法制工作委員会の報道官が1日、明らかにした。
法制工作委の黄海華報道官は全人代常務委員会の改正案について、国務院(内閣に相当)と地方政府に対し、債務管理の進捗状況に関する年次報告を義務付けていると記者団に説明した。
「(常務委は)政府債務を監督し、債務管理のための健全な報告システムを確立すべきだ」と述べた。
4─8日に開かれる常務委員会で改正案が審議される予定で、政府債務管理や金融・経済活動に対する監督権限の拡大を目指すと語った。
常務委はまた、国務院と地方政府の財政・経済活動を監督し、監査で指摘された問題の解決に関する報告書を審査すると明らかにした。
中国新築住宅価格、10月は前月比+0.29%にやや加速=民間調査 | ロイター
民間不動産調査会社の中国指数研究院が1日発表した10月の国内100都市の新築住宅平均価格は前月比0.29%上昇し、伸び率は9月の0.14%からやや加速した。10月は伝統的に需要のピーク期だが、最近導入された市場支援策が早期に効果を上げている可能性を示唆した。
前年比では2.08%上昇。9月は1.85%上昇だった。
当局は9月下旬、低迷する不動産市場を支援するため、住宅ローンの頭金の最低比率を15%に引き下げるなど、一連の規制緩和策を講じた。
こうした景気刺激策が一部の主要都市では奏功しているようで、上海市の住宅価格は前月比1.09%上昇と大きく伸びた。
一方、小規模都市では平均で前月比0.02%下落と低迷が続き、購入者の慎重な心理が浮き彫りになった。
また、国営通信新華社によると、住宅都市農村建設省は1日、国内新築・中古住宅市場の総販売戸数が10月に前年同月比3.9%増加したとするデータを発表。プラスは2月以来だ。
新築が0.9%増、中古が8.9%増で、主要都市での増加率が大きかった。
野村のエコノミストは「1級都市での大幅な上昇は制限緩和策を受けて需要が急増したにすぎない可能性がある」とし、このような需要が持続する可能性は低いと指摘。
「販売済み住宅の引き渡しを確実にすることが、特に低層都市における不動産不況を打開する鍵となる。政府からの直接的な資金援助の方がより効果的だ」と述べた。
財新・中国製造業PMI、10月は50超え 新規受注が拡大 | ロイター
10月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.3と前月の49.3から改善し、ロイターがまとめたアナリスト予想の49.7も上回った。新規受注の増加に伴い生産が拡大した。
中国国家統計局が前日発表した10月のPMIも50.1で前月の49.8から上昇。景況拡大と縮小の分かれ目となる50を6カ月ぶりに上回り、一連の新たな景気刺激策を巡る当局の楽観的な見方を裏付ける結果となった。
10月の財新PMIによると、新規受注が4カ月ぶりのペースで増加。生産も6月以来で最大の伸びとなった。
製造業者の生産見通しも改善し、楽観度を示す指数は5カ月ぶりの高水準に上昇した。
購買活動は新規事業の増加を受けて上昇し、購買在庫増につながった。投入価格と生産価格はわずかに上昇した。
一方、新規輸出受注は前月より減少幅が縮小したものの、3カ月連続で減少した。
また、雇用喪失は昨年5月以来の大幅減少となった。企業が派遣労働者を減らし、離職者の補充を控えたという。
財新智庫のシニアエコノミスト、王哲氏は「労働市場は依然として圧力にさらされており、価格水準は依然として低迷している」と指摘。「今年の成長目標達成は消費需要の持続的回復にかかっている。政策は家計の可処分所得をより効果的に増やすことに焦点を当てるべきだ」と述べた。
アングル:国家予算の3分の1が軍事支出、さらなる増税迫られるロシア | ロイター
ロシア政府は、3年目に入って膨らむ一方のウクライナ戦費を調達するため、さらなる増税を余儀なくされるとの見方が経済学者から出ている。すでに発表されている増収策では十分ではないと彼らは指摘している。
ロシアの2025年度予算案では、総支出の約3分の1、国内総生産(GDP)の6.3%相当が軍事費に割り当てられている。これは冷戦以来の最高水準だ。また防衛費の割合が社会保障費の2倍になるのは初めてだ。
軍事費の大幅な増加はロシア経済にインフレ圧力をもたらしている。金利は2003年以来の高水準に上昇し、ルーブルはドルに対して1年ぶりの安値に下落した。西側諸国の制裁によりモスクワは事実上、国際債券市場から締め出されているため、資金調達の選択肢は限られている。
ロシア政府はすでにウクライナ戦争の資金を調達するために増税を開始している。大規模な税制改革により、25年にはGDPの1.7%に相当する追加歳入が生み出されると予想されているが、経済学者は、これでは十分ではないと指摘する。
ロシア政府は、3年目に入って膨らむ一方のウクライナ戦費を調達するため、さらなる増税を余儀なくされるとの見方が経済学者から出ている。すでに発表されている増収策では十分ではないと彼らは指摘している。
ロシアの2025年度予算案では、総支出の約3分の1、国内総生産(GDP)の6.3%相当が軍事費に割り当てられている。これは冷戦以来の最高水準だ。また防衛費の割合が社会保障費の2倍になるのは初めてだ。
軍事費の大幅な増加はロシア経済にインフレ圧力をもたらしている。金利は2003年以来の高水準に上昇し、ルーブルはドルに対して1年ぶりの安値に下落した。西側諸国の制裁によりモスクワは事実上、国際債券市場から締め出されているため、資金調達の選択肢は限られている。
ロシア政府はすでにウクライナ戦争の資金を調達するために増税を開始している。大規模な税制改革により、25年にはGDPの1.7%に相当する追加歳入が生み出されると予想されているが、経済学者は、これでは十分ではないと指摘する。
ロシア経済は、西側諸国の制裁にもかかわらず、戦争開始以来驚くほど好調を維持している。失業率は史上最低水準で、賃金の伸びが過去最高を記録する中、国民の不満はほとんど見られない。
25年からは、法人税と個人所得税の引き上げや新たな自動車リサイクル税、一連の小規模な税制改革により、3年間で14兆7000億ルーブル(23兆円)の税収が見込まれている。
「これは増税、債務返済コスト、地政学的支出の予算だ」とPEキャピタルのエコノミスト、エフゲニー・ナドルシン氏は語った。
ナドルシン氏は、ロシアから撤退する外国企業に対する「出国税」の引き上げや、こうした企業資産のロシア人購入者から寄付金を集める計画を、政府による新たな税制措置の例として挙げた。
「最近の予算ほど、あらゆる可能な財源から歳入を引き出すことに重点が置かれものはない」とナドルシン氏は述べた。
<他で支出削減>
ロイターが予算案を分析したところ、25年に導入される予定の他の支出削減措置には、中小企業支援の11.6%削減や教育開発プログラムへの資金の11%削減などが含まれる。
公的年金の補填資金を含む社会保障のための地方予算への補助金は31%削減され、社会サービス近代化プログラムへの資金は35%減少する。
「2025年の予算は、プーチン大統領が戦争資金を調達するためにほぼすべての分野で支出を削減せざるを得ないことを示唆している」と、中央銀行の元副総裁で経済学者のセルゲイ・アレクサシェンコ氏は言う。
コリチェフ財務副大臣は、ウクライナ戦争開戦後、軍事費はGDP比の3.0─3.5%増加したが、総支出はわずか2%しか増加していないと指摘した。
「これは優先順位付けを示しており、その他の支出は実質的にGDPの1─1.5%相当が削減されたことを意味する。これが現在の財政健全化策だ」とコリチェフ氏は述べた。政府の優先順位の変更を公に認めるのは異例だ。
元経済副大臣で経済学者のアンドレイ・クレパチ氏によると、プーチン氏の「国家プロジェクト」(戦略的に重要な地域の開発計画)ですら、資金の一部が28─30年に延期されるなど、危機に瀕しているという。
「26年から27年にかけて、一貫性と安定性を確保するために、未分配の資金と準備金を通じて機会を見つける必要がある。そうしなければ、目標パラメータが危うくなるだろう」と同氏は述べた。
韓国製造業PMI、10月は48.3で横ばい 生産が大きく落ち込む | ロイター
10月の韓国製造業購買担当者景気指数(PMI)は48.3となり、前月と変わらなかった。生産が過去16カ月で最も大きく落ち込み、景気拡大・縮小の分かれ目となる50を2カ月連続で下回った。
新規受注の落ち込みペースは若干緩やかになった。
新規輸出受注の減少幅もわずかに縮小。米国、欧州、中国の需要が低調だったという。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのエコノミスト、ウサマ・バッティ氏は「このセクターは世界の輸出指標と見なされることが多く、今回は世界的な貿易と産業活動の緩やかな減速を示唆するものと言えそうだ」と語った。
また、購買活動が2023年8月以来初めて縮小。受注残が23年6月以来最も減少したことも示された。
一方、向こう1年に対する楽観的な見方は改善。景気懸念は根強いものの、各社は自動車や半導体分野での需要回復を期待している。
タイが沈む家計債務の沼 復讐される「タクシノミクス」 編集委員 高橋徹 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
スペイン水害死者205人 50年超で「欧州最悪」 - 日本経済新聞
電力需要が急増、世界はどう対応? 小型原発や火力回帰 - 日本経済新聞
地方の主要32空港、6割が民間への運営委託検討 「具体的検討」は新潟、富山、松本 日経グローカル - 日本経済新聞
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(1日)株価反発、ドルと利回り上昇 | ロイター
ドルが主要通貨に対して上昇しました。10月の米国の雇用統計で非農業部門の雇用者数が予想を下回り、増加は1万2000人にとどまりました。ストライキやハリケーンの影響が指摘されていますが、失業率は4.1%で安定し、労働市場の堅調さが示されました。これにより、ドル指数は上昇し、ドル円相場も高く推移しています。
一方、来週の米大統領選が控え、債券市場では慎重な動きが見られます。トランプ前大統領の当選が予想されており、インフレ促進の懸念から国債利回りは上昇傾向にあります。米財務省は1250億ドル規模の国債入札を予定しており、金利動向に注目が集まっています。
米株式市場では、主要3株価指数が反発しました。予想を下回った10月の米雇用統計が発表されたものの、アマゾンの好調な第3四半期決算が投資家心理を支えました。アマゾン株は6.2%上昇しましたが、アップルは中国での売上減少により1.2%下落しました。
金先物は一時上昇するも、米長期金利の上昇により小幅に下落し、週間では0.20%の下落となりました。
原油先物は、中東情勢の緊迫化による供給不安が支えとなり3日連続で上昇し、WTI原油価格は1バレル=69.49ドルで取引を終えました。
米大統領選の不透明感も影響して、全体的に市場は様子見の姿勢が強まっています。
欧州市場サマリー(1日) | ロイター
ロンドン株式市場は反発して取引を終えました。英国の大型予算案によるインフレ懸念が相場に影響を与えたものの、日用品大手のレキット・ベンキーザーが米国での乳児用ミルクに関する訴訟で責任を問われなかったことが好材料視され、株価が6.6%上昇したことで市場を支えました。また、テスコも自社株買い方針の発表で1.7%上昇しました。今後、英中銀が25ベーシスポイントの利下げを行うとの見方がある一方、インフレ懸念から追加利下げの期待が後退しています。
欧州株式市場も金融関連株の上昇にけん引されて反発しました。STOXX欧州600種指数は約1カ月ぶりの上昇率を記録しましたが、週間では1.52%下落しました。ドイツDAX指数やフランスCAC40指数など主要国の株価指数も上昇し、デンマークの海運大手APモラー・マースクは海運需要の好調な見通しを背景に4.0%上昇しました。
ユーロ圏の債券市場では、ドイツ2年債利回りが低下しました。米国の経済成長が鈍化している兆候として、10月の米雇用統計が予想を大きく下回り、非農業部門の雇用者数がわずか1万2000人増にとどまったことが影響しました。このため、米連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイントの利下げが決定されるとの観測が強まり、米短期債利回りも一時急低下しました。
取引終盤では、ドイツ2年債利回りが4ベーシスポイント低下して2.279%に。ドイツ10年債利回りは1ベーシスポイント上昇し、週間では11ベーシスポイントの上昇を記録しました。他のユーロ圏債券も、米債や英国債の利回り上昇の影響を受けて上昇しており、イタリア10年債利回りは2ベーシスポイント上昇し、週間では約17ベーシスポイントの上昇となっています。
来週の米主要企業決算 クアルコム、アームなどまだまだ続く - 株探(かぶたん)|米国株
4日(月)AIG、ウィン・リゾーツ
5日(火)ヤム・ブランズ、デュポン
6日(水)CVSヘルス、クアルコム、アーム、ギリアド・サイエンシズ、リフト
7日(木)モデルナ、ラルフローレン、タペストリー、アンダーアーマー、エクスペディア、ピンタレスト
8日(金)パラマウント(0.23)
来週の欧州主要企業決算 クレディアグリコル、コメルツ銀行 - 株探(かぶたん)|米国株
6日(水)ウニクレディト、クレディ・アグリコル、コメルツ銀行