2024年10月1日火曜日

備忘録(24/10)

備忘録(2024/10/31
●海外企業決算
ABインベブ、第3四半期決算が予想下回る 自社株買い発表 | ロイター
第3・四半期決算は利益、売上高、販売量が市場予想を下回った。
20億ドル規模の自社株買いを発表したが、株価は4%近く下落している。
米国、メキシコ、欧州、中国でビールの販売が減少。ただ、通期のオーガニックコア利益(EBITDA)の予想は従来の4─8%増から6─8%増に上方修正した。
第3・四半期のオーガニックEBITDAは7.1%増。コスト削減が寄与したが、市場予想の8.6%増を下回った。
売上高は2.1%増、販売量は2.4%減。市場予想はそれぞれ3.4%増、0.4%減だった。
最大の市場である米国ではビールの販売が減少したものの、アナリストによると、市場予想を上回った。
主要市場であるメキシコと欧州では天候不順と消費低迷を背景に販売量が1桁前半の落ち込みを記録した。
中国では売上高が16.1%減少。販売量は14.2%減少した。特にバーやレストランなどで売り上げが低迷した。
ステランティス、第3四半期は27%減収 在庫圧縮 | ロイター
第3・四半期の売上高は27%減少した。市場予想をわずかに上回った。積み上がっていた在庫の圧縮を進めた。
ダグ・オスターマン最高財務責任者(CFO)は電話会議で「米国の在庫圧縮は予想以上のペースで進んでいる」とし、米国内のディーラー在庫を目標の11月末よりも早く10万台削減できるとの見通しを示した。
同社は先月、通年の業績見通しを下方修正。業界の状況悪化、米事業の見直しに伴うコスト増、電気自動車(EV)を巡る中国メーカーとの競争などを理由に挙げた。
第3・四半期の売上高は330億ユーロ(358億ドル)。ロイターがまとめた市場予想の311億ユーロを上回った。
出荷台数は21%減の117万台。
9月30日時点の在庫は計133万台。前年同期から12万9000台減少した。米国では6月30日─10月30日にディーラー在庫が8万台以上減少した。
英シェル、第3四半期利益は予想上回る 精製低迷もLNG販売増 | ロイター
第3・四半期決算は利益が60億ドルとなり、前年同期比で3%減少したものの、アナリスト予想の53億6000万ドルを上回った。石油精製とトレーディングが低迷した一方、液化天然ガス(LNG)販売が増加した。
世界の精製マージンは、経済活動の低迷とアジアとアフリカにおけるいくつかの新しい製油所の立ち上げを受け、ここ数カ月で急激に低下。また、原油価格は同四半期に17%下落した。
同社は今後3カ月間でさらに35億ドルの自社株買いを実施すると発表。これまでの四半期と同じ水準だ。配当金は1株当たり34セントで変更はない。
LNG販売量は前四半期の1640万トンから1700万トンとなり、同部門の調整後利益を第3・四半期に4%押し上げた。
石油・ガス生産部門の利益は5%増加。生産量が2%拡大した。
好調な上流部門とLNG部門は、57%の減益となった精製・化学部門の影響を相殺した。石油トレーディングも低調だったという。
仏ソジェン、第3四半期純利益が4倍以上に 国内リテール回復 | ロイター
第3・四半期決算は、純利益が前年同期の4倍以上となる13億7000万ユーロ(14億9000万ドル)だった。同社がまとめたアナリスト予想(12億2000万ユーロ)を上回った。
収入は10.5%増の68億4000万ユーロで、予想を約2億ユーロ上回った。国内リテール事業が回復。投資銀行部門も株式トレーディングが10%増となったことで予想を上回った。
純金利収入(NII)は43%増だった。
有形株主資本利益率(ROTE)は9.6%。アナリスト予想の8.2%を上回り、9─10%とする2026年目標に沿う水準となった。
<経営陣刷新も発表>
ソジェンは経営陣刷新も発表。クレア・デュマ最高財務責任者(CFO)が退任し、スペインのライバル銀行バンコ・サバデルで同職を務めているレオポルド・アルベアル氏が来年1月7日付で後任に就く。
国内リテール事業を担ってきたフィリップ・アイメリッヒ副最高経営責任者(CEO)が今月31日付で退任。同事業はスラボミール・クルパCEOが直接統括するという。
BNPパリバ、第3四半期純利益は予想と一致 投資銀行部門が堅調 | ロイター
第3・四半期決算は、純利益が前年同期比7.8%増の28億7000万ユーロ(31億1000万ドル)となり、同社がまとめたアナリスト予想(28億6000万ユーロ)とほぼ一致した。投資銀行部門が堅調だった。
収入は3.1%増の119億ユーロ。こちらも予想と一致した。不良債権に備えたリスク費用は7億2900万ユーロで、アナリスト予想の8億5900万ユーロを下回った。
株式・プライムサービス収入は13%増、債券・為替・コモディティー(FICC)部門は12%近い伸びを示した。
グローバルコーポレートファイナンス・アドバイザリーサービスは6%近い伸びとなった。
一方、コマーシャル・コンシューマーファイナンス部門CPBSは2.6%の減収。中古車販売価格の下落が続く中、自動車リース子会社「Arval」が不振だった。
BNPパリバの純金利収入は1.7%増だった。
2023年比で2%以上の収入伸び率、112億ユーロ以上のグループ純利益を盛り込んだ24年目標は据え置かれた。
サムスン、高性能半導体の販売本格化へ 第3四半期利益は前期下回る | ロイター
第3・四半期決算は、半導体部門の利益が前期比40%急減し、同社は収益性改善に向けて高性能半導体の生産に注力する方針を示した。
サムスンはアナリスト会見で、人工知能(AI)用チップセットに使用される第5世代広帯域メモリー(HBM)のHBM3Eについて「以前から予告していた通り、HBM3Eの販売開始は遅れているが、主要顧客との製品認証試験では大きな進展があった」と説明。「これにより、第4・四半期には(HBM3Eの)売り上げが改善すると予想しており、複数の顧客に販売を拡大する計画だ」と述べた。
このコメントを受け、サムスン株は一時3%を超えて上昇した。
アナリストによると、HBM3Eの認定テストは米エヌビディアが実施したという。
NHインベストメント・アンド・セキュリティーズのシニアアナリスト、リュウ・ヨンホ氏は「サムスンのコメントは、同社がようやくHBM3Eチップをエヌビディアに供給し、HBM事業の大きなハードルを乗り越えるとみられることを示唆する」と述べた。
同社は「第4・四半期はモバイルやPC(パソコン)向けのメモリーチップ需要が軟調になる可能性があるが、AIの成長により需要は堅調な水準を維持するだろう」とし、「こうした背景からHBMと高密度製品の販売拡大に注力する」と述べた。
第3・四半期の営業利益は9兆2000億ウォン(66億6000万ドル)と前年同期の2兆4000億ウォンから増加したものの、前四半期の10兆4000億ウォンを下回った。同社が今月上旬に示した見通し(9兆1000億ウォン)はやや上回った。ただ、この見通しはアナリスト予想を下回っていた。
元大証券のアナリスト、ベク・ギルヒョン氏は「サムスン電子は競合他社ほどHBMを効果的に商品化していないため、第3・四半期の業績と第4・四半期の見通しが市場予想に届いていない」と指摘。「業績が予想に沿うまでにはしばらく時間がかかるだろう」と述べた。
同社は今月8日、主要顧客への最新半導体の供給遅延などを背景に業績が低迷していることについて異例の謝罪を行っていた。
半導体市場においてAIは唯一の明るい要素だが、サムスンは米エヌビディア(NVDA.O), opens new tabがAIチップセットに採用する高性能半導体の供給に苦戦。このため、サムスンはパソコンやスマートフォン向け従来製品の需要低迷の影響を受けやすくなっている。
半導体部門は営業利益が3兆9000億ウォンと、前年同期の3兆8000億ウォンの赤字から黒字に転じた。ただ、前期の6兆4500億ウォンからは減少。従業員へのインセンティブ提供など一時的な費用や、ドル安による為替の影響が響いたと説明した。
同社は第4・四半期の半導体需要も同様のトレンドを見込むとした。
競合する韓国SKハイニックスは第3・四半期の営業利益が7兆ウォンとなり過去最高を更新。台湾積体電路製造(TSMC)も同期に好調な業績を上げている。どちらもエヌビディアへのAI用半導体の販売が寄与した。
サムスンは主力の半導体メモリーとロジック半導体を扱うファウンドリー(受託生産)の両事業で劣勢に立たされている。ファウンドリーは第3・四半期に赤字が拡大したとアナリストは指摘する。
携帯端末部門は営業利益が2兆8000億ウォンと、前年同期の3兆3000億ウォンから減少した。
インテル、第4四半期売上高見通し予想上回る 第3四半期は純損失 | ロイター
第4・四半期の売上高見通しは市場予想を上回った。これを受け、株価は取引終了後の時間外取引で約12%上昇した。
インテルは第4・四半期の売上高を133億─143億ドルと予想。LSEGがまとめたアナリスト平均予想は136億6000万ドルだった。
第3・四半期は同社帰属の純損失が166億ドル。減損費用と構造改革関連費用が重しになった。前年同期は約3億ドルの純利益を計上していた。
部門別の売上高は、パソコン向け半導体などを含むクライアント・コンピューティング部門が7%減の73億ドル。アナリスト予想は73億8000万ドルだった。
人工知能(AI)半導体を含むデータセンター部門は9%増の33億ドル。アナリスト予想は31億6000万ドルだった。
受託製造事業(ファウンドリー)は44億ドルに減少した。
調整後の粗利益率は18%。アナリスト予想は37.9%だった。
メルクが決算受け下落 ガーダシルの売上が予想下回る=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
メルク<MRK>が下落。取引開始前に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。主力薬のキイトルーダが好調だった。
ただ、株価は軟調な反応。通期のガイダンスで1株利益の見通しを下方修正したほか、売上高の予想レンジを縮小し、やや下方修正している。また、HPVワクチン「ガーダシル」の売上が予想を下回り、第4四半期にも改善する見込みはないと述べたことも嫌気されている。
アナリストは「ガーダシルは依然として収益への懸念があり、今後も中国での問題による影響を受ける可能性が高い」と述べている。また、「またもや未達となれば、同社の長期ガイダンスや、さらなる落ち込み緩和のために短期的に何ができるのか、疑問の声が高まり続けるかもしれない」とも語った。
コムキャスト、ケーブル事業のスピンオフ検討=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ケーブルテレビ大手のコムキャスト<CMCSA>は、ケーブル事業をスピンオフし、新会社にすることを検討していることを明らかにした。CATV業界全体に広がる加入者解約の波に対応する。
カバノー社長は既存株主向けに「CATV事業ポートフォリオで構成する資本力の高い会社を創立するのは良い構想かどうか、検討を始めるつもりだ」と述べた。ただ、配信サービスのピーコックや放送ネットワークはこの対象ではないという。
同社の発表によると、7-9月期(第3四半期)に流出したCATV契約者は36万5000人。同社のケーブルネットワークにはニュース専門局MSNBCや経済ニュース専門局CNBCなどが含まれる。
同社は7-9月期決算(第3四半期)も発表し、売上高と1株利益は予想を上回った。夏季オリンピックの広告収入が14億ドルに達し、NBCユニバーサル部門を支えた。
アップル、四半期業績が予想上回る 新型iPhone販売好調 | ロイター
アマゾン四半期売上高は予想超え、クラウド事業好調 株価6%高 | ロイター
[BWA] ボルグワーナー 3Q減収営業減益 売上高5%減34.4億ドル、営業益1%減2.70億ドル、EPS1.04ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GWW] WWグレインジャー 3Q増収増益 売上高4%増43.8億ドル、営業益3%増6.86億ドル、EPS9.94ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[K] ケラノバ 3Q減収増益 売上高1%減32.3億ドル、営業益10%増4.56億ドル、EPS1.05ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MA] マスターカード 3Q増収増益 売上高13%増73.6億ドル、営業益4%増40.0億ドル、EPS3.53ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EL] エスティローダー 1Q減収赤字転落 売上高5%減33.6億ドル、営業赤字1.21億ドル、配当0.35ドルへ減配 - 株探(かぶたん)|米国株
[COP] コノコフィリップス 3Q減収最終減益 売上高9%減136億ドル、純利益26%減20.5億ドル、配当0.78ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[BMY] ブリストルマイヤーズスクイブ 3Q増収最終減益 売上高8%増118億ドル、純利益37%減12.1億ドル、EPS0.60ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PH] パーカーハネフィン 1Q増収最終増益 売上高1%増49.0億ドル、純利益7%増6.98億ドル、EPS5.34ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[IP] インターナショナルペーパー 3Q増収最終減益 売上高2%増46.8億ドル、純利益9%減1.50億ドル、EPS0.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ICE] インターコンチネンタルエクスチェンジ 3Q増収増益 売上高25%増30.3億ドル、営業益31%増11.0億ドル、EPS1.14ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WEC] WECエナジー 3Q減収減益 売上高5%減18.6億ドル、営業益19%減3.83億ドル、EPS0.76ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MO] アルトリアグループ 3Q微減収増益 売上高微減62.5億ドル、営業益2%増31.5億ドル、配当1.02ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CMCSA] コムキャスト 3Q増収減益 売上高6%増320億ドル、営業益10%減58.5億ドル、EPS0.94ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[XYL] ザイレム 3Q増収増益 売上高1%増21.0億ドル、営業益47%増2.80億ドル、EPS0.89ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ETN] イートン 3Q増収最終増益 売上高8%増63.4億ドル、純利益13%増10.0億ドル、EPS2.54ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MRK] メルク 3Q増収最終減益 売上高4%増166億ドル、純利益34%減31.5億ドル、EPS1.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CMS] CMSエナジー 3Q増収増益 売上高4%増17.4億ドル、営業益35%増3.67億ドル、EPS0.84ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LIN] リンデ 3Q増収営業増益 売上高2%増83.5億ドル、営業益2%増20.8億ドル、EPS3.22ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[XEL] エクセルエナジー 3Q微減収 売上高微減36.4億ドル、営業益微減9.11億ドル、EPS1.21ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[X] USスチール 3Q減収減益 売上高13%減38.5億ドル、営業益83%減4800万ドル、EPS0.47ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AAPL] アップル 2024年9月通期は増収営業増益 売上高2%増3910億ドル、営業益8%増1232億ドル、配当0.98ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[JNPR] ジュニパーネットワークス 3Q減収増益 売上高5%減13.3億ドル、営業益7%増9410万ドル、EPS0.28ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMZN] アマゾン 3Q増収増益 売上高11%増1588億ドル、営業益56%増174億ドル、EPS1.43ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EMN] イーストマンケミカル 3Q増収最終増益 売上高9%増24.6億ドル、純利益1%増1.80億ドル、EPS1.53ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[INTC] インテル 3Q減収最終赤字転落 売上高6%減132億ドル、最終赤字166億ドル、EPSマイナス3.88ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
アーム株急落、バーンスタインが売り推奨-上値余地乏しいと指摘 - Bloomberg
ボーイングとスタバの新CEO、似通うメッセージ - WSJ
スエズ運河航路の利用再開、来年以降にずれ込み=マースクCEO | ロイター
デンマークの海運大手マースクは31日、今後数カ月間、世界各地で旺盛な海運需要が続くとの見通しを示した。
ただ、スエズ運河航路の利用再開は「2025年に入ってもかなりの期間」見込めないと指摘した。
マースクなどの海運会社はイエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶への攻撃を回避するため、アフリカの喜望峰を回る迂回ルートを取っており、長距離航行により運賃が押し上げられている。
ビンセント・クラーク最高経営責任者(CEO)は記者団に「事態が沈静化する兆しはなく、船舶や船員が危険にさらされる。現時点の予想では、この状況は25年に入ってもかなりの期間、続くだろう」と述べた。
同社は第3・四半期について、特に中国と東南アジアからの輸出にけん引される形で需要が旺盛だった一方、世界のサプライチェーン(供給網)は引き続き中東情勢の影響を受けたと説明した。
21日に発表した堅調な第3・四半期決算速報値の内容を確認。同日には通期見通しも上方修正している。
同社は「第3・四半期のコンテナ輸送は引き続き好調だった。需要は前年同期比で4─6%増加したと推定される」とした。
中国経済については、引き続き製造部門の過剰生産能力と輸出主導型成長への依存が目立ち、内需と消費者信頼感が依然として低迷しているとの認識を示した。
クラーク氏は、今後数カ月間で欧州や北米からの貨物量が鈍化する兆候は見られないと述べた。    
コラム:サムスンの技術的優位が低下、第3四半期決算で鮮明に | ロイター
●日本企業
ニコン、通期業績を下方修正 半導体市況の回復遅れ | ロイター
トヨタとNTT、通信基盤で30年までに5000億円投資 28年にも実用化 | ロイター
日本精工、一転営業減益見通しへ 自動車生産台数下振れで | ロイター
デンソー、通期営業益5500億円へ下方修正 車両販売不振が影響 | ロイター
事件当時は野村証に勤務、広島強殺未遂容疑の29歳男性-共同 - Bloomberg
損保4社に課徴金20億円、公取委が9案件で違反認定-保険料調整 - Bloomberg
山陽特殊鋼の4〜9月決算、純利益7割減 欧州事業が低調 - 日本経済新聞
イビデン25年3月期、純利益24%減 半導体部品回復鈍く - 日本経済新聞
オークマの25年3月期、純利益36%減に下方修正 - 日本経済新聞
NTNの25年3月期、一転最終赤字に 国内外で軸受け低迷 - 日本経済新聞
ルネサスの1〜9月決算、26%最終減益 産業機器向け落ち込み - 日本経済新聞
●米大統領選挙
米大統領選の鍵、ヘイリー支持者の票はどこに向かう? - WSJ
【オピニオン】ハリス氏を見捨てる高齢の白人有権者 - WSJ
今年の米大統領選で勝敗の一番大きなカギを握る有権者層は、最も見落とされている層だ。カマラ・ハリス副大統領は、黒人やヒスパニック系および若年層の有権者の取り込みで苦戦していることが自身の劣勢の理由だと確信し、選挙戦の最後の数週間をこうした有権者の支持獲得に費やしている。しかし、ドナルド・トランプ前大統領がリードを保つとすれば、それは高年齢層の白人有権者がハリス氏にチャンスを与えたものの、結局はトランプ氏を支持すると決めたから、ということになるだろう。
高年齢層や白人の有権者の間で終盤に起きたこうした変化は、エマーソン大学の世論調査で目立っている。ハリス氏が民主党の大統領候補に指名されてから1カ月足らずの8月15日時点では、ハリス氏は白人有権者の支持率でトランプ氏に12ポイント差をつけられ、60歳以上の有権者の支持率では並んでいた。それ以降、これら有権者はハリス氏から逃げた。10月26日の調査では、トランプ氏のリードが白人の支持率で22ポイント、高年齢層では8ポイントとなった。
一方、黒人およびヒスパニック系のトランプ氏支持率は横ばいで、18~29歳の有権者層のトランプ氏支持率は7ポイントしか上昇しなかった。だが、この間に全体的な支持率でトランプ氏が初めてハリス氏を上回り、現在は48.9%対48.8%でリードしている。つまり、トランプ氏の最近の支持率上昇に貢献した度合いは、若年層や非白人の有権者よりも高年齢層や白人の有権者の方がはるかに高い。
マイノリティーや若年層におけるシフトを強調する「民主党が中南米系の取り込みに苦戦している理由」「2024年にMAGA(米国を再び偉大に)に投票する30歳未満の男性有権者」などの見出しは、どうしたことだろう。
このような変化は現実にあるが、ここ数カ月よりも過去8年間の変化の方がはるかに顕著だ。2016年と2020年の大統領選に比べると、トランプ氏は民主党寄りの傾向のあるグループ、特に黒人やヒスパニック系の男性、さらに若い白人男性からの支持を拡大している。しかし、ハリス氏が7月に大統領候補になって以降、トランプ氏が獲得した新たな支持の大半は高年齢層や白人の有権者からのものだ。
あらゆるところに人種差別や性差別を嗅ぎつける進歩的なエリートは、高年齢層の白人には黒人で女性の大統領は受け入れがたいため、ハリス氏を見捨てたのではないかと考えている。ニューヨーク・タイムズは先週の記事でこの傾向を次のように考察した。「一部の民主党員は、有権者の一部が世論調査で回答するであろう内容にかかわらず、性別や人種が理由でハリス氏支持に抵抗感を持っているかもしれないと懸念している」
つまり進歩派は、一部の有権者が移民、経済などの面でハリス氏を批判したとしても、それを言葉通りに受け取れないと考えている。なぜなら、彼らからの批判は彼らの古くからの偏見を隠す煙幕でしかないからだ。この理論に従うと、民主党員はハリス氏の敗北を偏見のせいにする準備をしている。
しかし、偏見では、高齢の白人が最近、ハリス氏支持から離脱したことを説明できない。こうした人々のうち、もっと多くがハリス氏を支持していた8月の時点で、彼女は既に黒人女性と分かっていたからだ。実際、同氏が選挙戦を始めたとき、多くの有権者が彼女について知っていたのは、副大統領であること以外には、人種と性別くらいだった公算が大きい。もしかしたら、カリフォルニア州出身ということは知っていたかもしれない。それにもかかわらず、高年齢層や白人の有権者からの彼女の支持率は当初、選挙戦撤退直前の調査で出たジョー・バイデン氏の支持率を上回っていた。
より良い説明は、白人高齢者の多くは当初、バイデン・トランプ両氏に代わる候補としてハリス氏を歓迎したが、彼女のことをよく知るようになったことで心変わりしたというものだ。それは彼女のイメージよりも、争点に対する姿勢に関連している可能性がある。
アメリカン・エンタープライズ研究所で世論の動向を研究しているダニエル・コックス氏は、ハリス氏の進歩派寄りの姿勢が、高齢者の支持をそれ以外のグループの支持以上に損なったと考えている。コックス氏は「司法改革や、警察予算の削減、社会保障関連機関への資金移転といった施策を支持すれば、最も高齢な層の人々の中で、反発する者の比率が大幅に高まるとみられる」と語った。重要政策のうち、有権者の間でバイデン氏よりもハリス氏の評価が低い数少ないものの一つである移民政策についても、同じことが言える。
白人高齢者層の支持を失うことは、政治的に大きな痛手となる。彼らの投票率は他の層よりも高い傾向があるからだ。また、ウィスコンシン、ミシガンのような重要州では、彼らの比率が相対的に高い。報道機関は投開票日までずっと、若者とマイノリティーの有権者に注目し続けるだろう。今年の大統領選でこうした対応を取れば、最大の勝敗の要因を見逃す可能性はこれまで以上に大きくなる。
トランプ氏の財務長官候補、歳出削減でマスク氏と協力する考え - WSJ
富豪で著名投資家のジョン・ポールソン氏(68)は、第2次トランプ政権が誕生し、自身が財務長官に起用された場合、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と協力して大規模な歳出削減に取り組む考えを示した。
ドナルド・トランプ前大統領の盟友であるポールソン氏はインタビューの中で、最優先すべき課題はトランプ氏が2017年に導入した減税措置の期限延長だとし、その次に「マスク氏と協力し、連邦政府の歳出を削減する」ことだと述べた。特にバイデン政権が成立させた「インフレ抑制法」(ポールソン氏は「グリーン・ニューディール」と呼んだ)によるグリーンエネルギー補助金を廃止すべきだという。
「太陽光や風力など、非効率的で不経済なエネルギー源に対する税優遇措置を全て撤廃する。そうすれば歳出を削減できる」とポールソン氏は述べた。
米大統領選の候補者と親しい人物が、当選後の政権で果たすかもしれない役割について公然と語るのは、比較的異例のことだ。財務長官は特に重要な閣僚ポストであり、ウォール街や企業リーダーの面々、外国首脳とも接触する機会がある。
ポールソン氏は10年以上にわたりトランプ氏と親密な関係にある。事情に詳しい複数の関係者によると、トランプ氏や側近らが検討している財務長官候補は数人いるが、ポールソン氏はその一人だという。
財務長官になる人物は、2025年末に一部が期限切れとなる2017年税制改革法(いわゆるトランプ減税)の延長や、広範囲に及ぶ新たな減税など、トランプ氏の重要政策の指揮を執る公算が大きい。金融市場は、結果的に生じる財政赤字が、金利の上昇圧力となる可能性を懸念している。
トランプ氏と関係が近く、共和党の政治に長年関わってきたことからポールソン氏の見解には影響力がある。同氏は政治資金管理団体「上院リーダーシップ基金」のような共和党の政治活動に寄付を行っている。また同じヘッジファンド界の大物であるポール・シンガー氏が会長を務める保守系シンクタンク「マンハッタン研究所」の理事も務める。
ポールソン氏はインタビューで、自身が任される可能性のある職務はエネルギーや貿易問題にも及ぶとの見方を示した。トランプ氏と協力して「エネルギー生産を促進し、主要エネルギー生産国」になることや「戦略的関税」の導入に取り組むと述べた。
もしトランプ氏が中国からの輸入品に60%、その他の輸入品に一律10~20%の関税を課す計画を実現すれば、インフレが加速し、経済成長が阻害されると、エコノミストは予測している。トランプ氏が実際にこれほどの高率関税を課すのか、または交渉の道具に使っているのだけなのかは不明だ。ポールソン氏はインタビューで、関税を巡る警告は、譲歩を引き出す戦術の側面があることを示唆した。
トランプ氏は大統領選に勝利すれば、「政府効率化委員会」を設置し、マスク氏をトップに据えると約束している。同委員会は政府支出をいかに削減するかをトランプ氏に助言することになる。ポールソン氏はマスク氏とチームを組むことについてまだ話し合っていないと述べた。
マスク氏は今週、連邦予算を少なくとも2兆ドル(約306兆円)削減できると述べたが、その方法は明らかにしなかった。議会予算局(CBO)によると、米政府の昨年度歳出額は6兆7500億ドルで、その半分余りが社会保障やメディケア(高齢者向け医療保険制度)、国防費、国債の利払いに充てられた。トランプ氏は社会保障やメディケアには手をつけないと約束している。同氏は前政権下でも歳出削減を公約していたが、結局は大幅な歳出増を招いた(新型コロナウイルス流行前でも増加していた)。
マスク氏はトランプ氏にとって重要な支持者となっている。トランプ氏の選挙活動に同行しているほか、同氏を支援するスーパーPAC(特別政治活動委員会)に約1億2000万ドルを寄付し、言論の自由と武器所持の権利を支持する請願書に署名した有権者の中から無作為に選んだ人に100万ドルを提供している。
マスク氏にコメントを求めたが、返答はなかった。
米シンクタンク、タックス・ファンデーションによると、クリーンエネルギー関連の税優遇措置を廃止すれば、10年間で約9210億ドルの歳入増となる可能性がある。ただしトランプ氏が一方的にそれを実施することはできない。法律やそれに伴う税額控除を廃止する場合は、議会で立法化する必要がある。
ポールソン氏以外の財務長官候補としては、投資会社キー・スクエア・グループ創業者でやはりトランプ氏のウォール街の盟友であるスコット・ベッセント氏や、元米通商代表部(USTR)代表のロバート・ライトハイザー氏、元証券取引委員会(SEC)委員長のジェイ・クレイトン氏などが検討されている。
ポールソン氏が候補に挙がること自体、ヘッジファンドマネジャーだった同氏の著しい躍進の表れでもある。同氏は2007~09年の金融危機時にサブプライムローンの破綻を予測した空売りで推定30億ドルを稼ぎ、一躍有名になった。
もしポールソン氏が指名されれば、上院の承認手続きで自身の経歴について問いただされる可能性がある。エリザベス・ウォーレン上院議員(民主、マサチューセッツ州)など一部の民主党議員は、同氏のウォール街とのつながりや住宅危機を利用して得た利益に焦点を当てるかもしれない。
「上院で闘うことは予想していない」。ポールソン氏は指名された場合の状況についてこう述べた。「上院の両党議員と良好な関係にある。審査プロセスは厳格だ。それは乗り越えるべきハードルだ。だが審査プロセスを通過すれば、反対は起きないと思う」
米大統領選、「青い壁」3州で接戦続く=世論調査 - WSJ
CNNの新たな世論調査によると、米大統領選の激戦州であるミシガン州ではカマラ・ハリス副大統領がドナルド・トランプ前大統領を5ポイントリードしており、ウィスコンシン州でも6ポイントリードしている。一方、ペンシルベニア州では両候補が接戦を繰り広げている。
双方とも選挙で勝利するには「青い壁」と呼ばれるこれら3州を制することが必要とみられている。
一方、マーケット大学法科大学院の新たな世論調査では、ハリス氏とトランプ氏がこれらの地域で互角の戦いを繰り広げていることが示されている。ウィスコンシン州ではハリス氏が誤差の範囲内である1ポイントリードしている。
またキニピアック大学の世論調査では、ペンシルベニア州でトランプ氏がハリス氏を1ポイントリードしているとされている。
【米大統領選2024】 選挙結果はウクライナやガザ、世界の紛争にどんな意味をもつのか - BBCニュース
アメリカの大統領選挙の投票日が目前に迫った。民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が、激しく競り合う展開となっている。
私たちは、アメリカの世界への影響力の価値が疑問視される世界に生きている。地域の大国は独自の道を歩み、独裁的な政権は独自の同盟関係を築き、パレスチナ・ガザ地区やウクライナなどでの壊滅的な戦争は、米政府の役割の価値について落ち着かない疑問を投げかけている。
だが、アメリカはその経済力と軍事力、そして多くの同盟における主要な役割ゆえに、重要な国だ。この非常に重大な選挙が世界にどんな影響をもたらすのかについて、事情に通じた専門家らの考えを聞いた。
北大西洋条約機構(NATO)のローズ・ゴッテモラー前事務次長は、「こうした警告をきれいな言葉で言い表すことはできない」としたうえで、「ドナルド・トランプはヨーロッパの悪夢だ。NATOからの脱退という彼の脅しが誰の耳にも響いている」と述べた。
アメリカの防衛支出は、他のNATO加盟31カ国の軍事予算の合計の3分の2に相当する。NATOに限らずに比較すると、アメリカは、その次に軍事費の多い中国やロシアなど10カ国を合わせた額よりも多くの軍事費を費やしている。
トランプ候補は、他のNATO加盟国にGDPの2%という防衛支出の目標を達成させるため、強い姿勢で臨んできたと自賛している(この目標を達成したのは今年は23カ国にとどまった)。彼のとっぴな発言は、いまだ動揺を与えている。
仮にハリス候補が勝てば、「NATOはアメリカに関して心配がなくなる」とゴッテモラー氏はみている。ただ、それでも注意は必要だと同氏は言う。「彼女(ハリス候補)はウクライナでの勝利達成のため、NATOや欧州連合(EU)との協力を続けていく用意はある。だが、ヨーロッパへの(支出)圧力という点では、引き下がらないだろう」。
ハリス政権が誕生しても、議会は上下両院を共和党が掌握するかもしれない。もしそうなれば、外国の戦争を民主党ほど支援することにはならないだろう。誰が大統領になるかにかかわらず、議会で巨額の支援案を通すことに議員らは消極的になっており、ウクライナに対しては、戦争から抜け出す方法を見つけるよう圧力がかかるとの見方が強まっている。
ゴッテモラー氏は、どうなるにしろ「NATOが崩壊しなければならないとは思わない」と言い、ヨーロッパが「一歩前に出てリードする」必要があるとする。
次の米大統領は、冷戦後最大の大国間対立の危機に直面している世界で、仕事をすることになる。
シンクタンク「国際危機グループ」のコンフォート・エロ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「平和と安全保障に関して、アメリカは依然として最も影響力のある国際的な存在となっている」と言う。ただし、「紛争を解決する力は弱まっている」とする。
戦争を終わらせるのは、ますます難しくなっている。エロ氏は、「死者を出す紛争は、一段と手に負えなくなっている。大国間の競争が加速し、中堅国が台頭している」と、現在の情勢を説明する。ウクライナで起きているような戦争が複数の大国を巻き込み、スーダンで見られるような紛争は利益を争う地域のプレーヤー同士を対立させている。平和よりも戦争に投資する人もいる。
アメリカは道徳的優位性を失いつつある、とエロ氏は言う。「ウクライナにおけるロシアの行動と、ガザにおけるイスラエルの行動に対して、アメリカが別の基準を適用していることに、世界の国々は気づいている。スーダンにおける戦争ではひどい残虐行為が起きているが、後回しの問題といった扱いをされている」。
ハリス候補が勝てば、「現政権との継続性がみられることになる」とエロ氏は言う。一方、トランプ候補が勝利した場合、「イスラエルに対して、ガザなどの地域でさらなる自由を与えるかもしれない。ウクライナ政府の頭越しに、ロシアとウクライナに関する協定を追求する可能性も(トランプ候補は)示唆している」とする。
中東に関しては、ハリス候補はイスラエルの「自衛権」を断固支持するという、ジョー・バイデン大統領と同じ姿勢をたびたび示している。ただ同時に、「罪のないパレスチナ人の殺害はやめなくてはならない」とも強調している。
トランプ候補も、「平和に戻り、人々を殺すのをやめる」時だと訴えている。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対しては「やるべきことをやれ」と伝えたと報じられている。
トランプ候補は自らをピースメーカー(紛争の仲裁人)だと誇るように言う。27日夜にはサウジアラビアのアルアラビアTVのインタビューで、「私は中東に平和をもたらす。すぐにだ」と明言した。
トランプ候補は、2020年のアブラハム合意の拡大を約束した。この合意は、イスラエルとアラブ地域の数カ国の関係を正常化した。一方で、パレスチナ人を蚊帳の外に置き、結果的に現在の前例のない危機を招いたと、広くみられている。
ウクライナに関しては、トランプ候補はロシアのウラジーミル・プーチン大統領のような強者への憧れを隠さない。そして、ウクライナでの戦争を終わらせ、アメリカの多額の軍事・財政支援を終わらせたいと明言している。最近の集会では、「私は撤退する。私たちは撤退する必要がある」と訴えた。
対照的にハリス候補は、「私はウクライナとの連帯を誇りに思っている。これからもウクライナと連帯していく。そして、ウクライナがこの戦争に勝てるよう努力する」と発言している。
だが、誰が当選しても世界の情勢は悪化するのではないかと、エロ氏は懸念している。
トランプ候補は、中国からの輸入製品のすべてに60%の関税をかけると提案している。これについて、イギリス人の歴史家で、中国研究の第一人者であるラナ・ミッター氏は、「世界経済にとって、ここ数十年で最大の衝撃」だと話す。
中国や他の多くの貿易相手国に高額のコストを課すことは、トランプ候補の「アメリカ・ファースト(自国第一主義)」政策の中でも、最も根強い脅しの一つとなっている。一方でトランプ候補は、中国の習近平国家主席と個人的な強いつながりがあると自賛している。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルには、中国が台湾封鎖に動いてもアメリカが軍事力を行使する必要はないと説明。その理由については、習氏が「私に敬意をもっており、私の頭がおかしいと知っている」からだと述べた。
共和党も民主党も有力者はタカ派だ。双方とも中国について、最も影響力のある大国の立場をアメリカから奪おうとしているとみている。
しかし、いくつかの相違点もあると、ミッター氏は言う。ハリス候補が勝利した場合は、「関係は現在から直線的に発展する可能性が高く」なり、トランプ氏が勝った場合は、より「流動的なシナリオ」になると、ミッター氏はみている。一例として、アメリカから遠く離れた島の防衛に乗り出すことの是非について、トランプ候補はあいまいな態度を示していると指摘する。
中国の指導層は、ハリス候補もトランプ候補も手ごわい相手だと考えている。 ミッター氏は、「エスタブリッシュメント派の少数の人々は、『知っている相手の方がいい』とハリスを支持している。影響力のある少数派はトランプを、予測不可能で、可能性は低いだろうが中国相手に大取引をするかもしれないビジネスマンとみている」と話す。
ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領によって設立された世界の指導者のグループ「エルダーズ」の議長で、国連人権高等弁務官も務めたアイルランドのメアリー・ロビンソン元大統領は、「アメリカの選挙は、その国民にとってだけでなく、全世界にとって大きな意味がある。気候や自然の危機が、差し迫った緊急課題となっているからだ」と話す。
「ごくわずかな方針の変化も、気候変動の最悪の影響を回避し、『ミルトン』のような壊滅的ハリケーンが当たり前になる未来を防ぐためには重要だ」
トランプ候補は、ハリケーン「ミルトン」と「ヘリーン」が猛威を振るうなか、この気候上の緊急事態に立ち向かうための環境計画や政策を「史上最大の詐欺の一つ」と一蹴した。トランプ政権になれば、1期目と同様、2015年のパリ協定から離脱するだろうと、多くの人が予想している。
一方でロビンソン氏は、現在勢いを増している流れをトランプ候補が止めることはできないと考えている。「彼はアメリカのエネルギー転換を止めることはできないし、何十億ドルものグリーン補助金を撤回することもできない。(中略)気候問題に関する、連邦とは無関係の運動を止めることもできない」。
ロビンソン氏はまた、自らのスタンスをまだ具体的に説明していないハリス候補に対し、「リーダーシップを発揮し、近年の勢いを加速させ、他の主要排出国にペースを上げるよう促す」ため、一歩踏み出すことを求めた。
紛争調停のベテランで、最近まで国連事務次長(人道問題担当)兼緊急援助調整官を務めていたマーティン・グリフィス氏は、「米選挙の結果は非常に大きな意味をもつ。アメリカの影響力は、同国が軍事や経済で大きな存在であることにとどまらず、世界的な舞台で道徳的な権威をもって主導する可能性もあることから、比類ないものになっている」と言う。
グリフィス氏は、ハリス候補が勝てばより大きな光が見えると説明。「孤立主義と一国主義を特徴とするトランプ政権への回帰は、世界の不安定性を深めることにしかならない」と話す。
しかし、バイデン氏とハリス氏による現政権についても、中東情勢の悪化をめぐって「ためらい」がみられるとして批判している。
支援機関のトップたちは、イスラム組織ハマスによる昨年10月7日のイスラエル民間人への攻撃を、繰り返し非難している。それと同時に、ガザやレバノンの民間人の深刻な苦しみを終わらせるためにもっと努力すべきだと、アメリカに重ねて求めている。
バイデン氏と米高官らは、ガザへの支援の流入を増やすよう訴え続けており、変化を実現させたこともある。しかし、支援も圧力も決して十分ではなかったとの批判が出ている。アメリカは最近、イスラエルへの重要な軍事支援の一部を取りやめるかもしれないと警告したが、その決定は米大統領選が終わるまで先延ばしになった。
アメリカは国連分担金の最大の支出国だ。2022年には過去最高の181億ドル(約2兆7750億円)を拠出した。
しかし、トランプ候補は大統領1期目で、いくつかの国連機関への資金提供を打ち切り、世界保健機関(WHO)からも脱退した。他の支援国はその穴を埋めようと躍起となった。それはまさにトランプ候補が望んだことだった。
しかし前出のグリフィス氏は、アメリカが不可欠な大国だとなおも信じている。
「世界的な紛争と不確実性の時代に、世界はアメリカが責任ある、原則に基づくリーダーシップを発揮するよう強く望んでいる。(中略)私たちはより多くを求める。より多くを受けるに値する。そして、より多くを恐れずに望む」
ハリス氏、バイデン大統領の「ごみ」発言から距離 民主党関係者は憤慨 - CNN.co.jp
ワシントン(CNN) 米大統領選の民主党候補ハリス副大統領は30日、共和党候補トランプ前大統領の支持者を「ごみ」と呼んだかのようなバイデン大統領の発言から距離を置いた。バイデン氏のこの発言は投票日が1週間後に迫る中、政治的炎上を引き起こした。
ハリス氏は記者団に対し、誰に投票するかに基づいて人々を批判することに「強く」反対すると述べた。バイデン氏のコメントについて本人と話したかとの質問に対し、ハリス氏は、29日の夜に同氏から電話があったが、コメントについては「話さなかった」と述べた。
ハリス氏はアンドルーズ空軍基地で「私の仕事は、人々が私を支持するかどうかに関係なく、すべての人々を代表することだと信じている」と語り、選挙で選ばれたら「米国人全員を代表する」といった、これまでの選挙活動で発言してきた内容を繰り返し訴えた。
バイデン氏は29日、ニューヨーク市のマジソン・スクエア・ガーデンで27日に行われたトランプ氏の集会でコメディアンが「ごみの浮き島」と呼んだ米自治領プエルトリコについて言及した。
バイデン氏はラテン系団体との電話会談で「私の故郷であるデラウェア州では、プエルトリコの人々は善良で、礼儀正しく、尊敬すべき人々だ」と語った。
同氏は「浮かんでいる唯一のごみは彼(トランプ氏)の支持者だ」と言い、ややあってから「彼のラテン系を悪者扱いする態度は非良心的であり、非米国的だ」と続けた。
バイデン氏は29日の夜、X(旧ツイッター)で、自身はトランプ氏の支持者が発言したプエルトリコに対する憎しみに満ちた発言をごみだと言及したと釈明。ホワイトハウスの報道官もこれに同調し、実際にそのように発言していたと主張した。
ハリス陣営はすぐにこうした発言を公に擁護したり、説明したりしようとしたが、陣営内外の非公開の場では、多くの民主党員がバイデン氏の発言に対する不満と懸念をひそかに唱えていた。
選挙陣営幹部らは支持者からの怒りに対処している。関係者によると、これらの声の中にはバイデン氏が投票日までの最後の6日間、公の場から完全に姿を消す方法を見つけるべきだとの意見もあったという。
トランプ氏、ごみ収集車に乗り込む バイデン氏の「ごみ」失言逆手に取る演出 - CNN.co.jp
米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領は30日、波乱に満ちた選挙戦の最終盤に開く集会へ臨むに当たり、一風変わった演出を施した。自身の支持者を「ごみ」呼ばわりしたとされるバイデン大統領の失言を逆手に取り、ごみ収集の作業員を思わせるベストを着用。特製のごみ収集車に乗ってカメラの前に現れるパフォーマンスを披露した。
集会の会場は激戦州の一つ、ウィスコンシン州のグリーンベイ。専用機を降りたトランプ氏は蛍光オレンジと黄色が鮮やかな安全ベストを着て、ごみ収集用のトラックに乗り込んだ。トラックの側面には大きな文字で「TRUMP」と書かれている。トランプ氏はトラックのドア越しに、記者団の質問に答えた。
29日夜に発した上記のコメントの後、バイデン氏はトランプ氏の支持者を「ごみ」と呼んだわけではないと自ら釈明。意味が正確に伝わっていないと述べた。
ホワイトハウスも火消しに追われ、バイデン氏がコメントの中で言及していたのはトランプ氏の集会に登壇したコメディアンだけだったと主張した。このコメディアンは、集会を盛り上げるジョークとして、プエルトリコのことを「ごみの島」と呼んでいた。
ごみ収集用トラックの助手席に座ったトランプ氏は、バイデン氏のコメントについて大統領選の民主党候補のハリス副大統領本人に帰すべきものだと示唆。今回の出来事は2016年大統領選の時よりも悪いと指摘した。同年にトランプ氏と選挙で戦ったヒラリー・クリントン氏は、トランプ氏支持者の半分を「嘆かわしい人々」と形容していた。
当該のコメントを巡ってバイデン氏とハリス氏を攻撃する合間に、トランプ氏は「内なる敵」に対応するため軍隊を「使う必要がある」とは考えていないと明らかにした。「内なる敵」とは、トランプ氏の再選に抗議する可能性のある米国人を指して本人が使った言葉だ。
同氏はまた、「不正の証拠がどこにも見つからなければ、大統領選の結果は受け入れるつもりだ。実際にそうあってほしい」「勝つにせよ、負けるにせよ、引き分けるにせよ、そうあってほしいものだ」と語った。
集会自体にもトランプ氏は安全ベストを着たまま登場し、今回の道具立てについて時間をかけて話した。ごみ収集用トラックに乗ることは、支持者の一人から提案されたという。トランプ氏は実車を即座に用意した人々の仕事の早さに驚きを隠さず、「非常に有能な人たち」と称賛した。トラックの運転手の顔が「最も人気があった時期のケーリー・グラントに似ていた」とも言い添えた。
一方で、何台ものカメラが撮影する中、トラックの座席に上っていくことには不安も覚えたと明かした。もし上れなければ非常に恥ずかしい思いをすることになり、記者から認知機能や身体能力に問題があると言われるのも覚悟しなければならなかったと振り返った。
●その他先進国政治動向
自民党と国民民主党、政策協議入り合意 経済対策・税制巡り - 日本経済新聞
●先進国中銀、金融当局
植田日銀総裁、利上げ判断に「時間的余裕」は使わず-金融政策維持 - Bloomberg
日本銀行は31日の金融政策決定会合で、現行の政策金利の維持を決めた。植田和男総裁は記者会見で、これまで繰り返してきた政策判断に「時間的な余裕はある」との表現を今後は使わないとし、経済・物価情勢を踏まえて予断を持たずに判断していく姿勢を強調した。
今回会合では、無担保コール翌日物金利が0.25%程度で推移するように促す金融市場調節方針を据え置くことを全員一致で決定した。政策金利の維持は9月に続いて2会合連続となる。
植田総裁は、次回利上げ時期の判断材料の一つとして市場が注目した時間的余裕という言葉について、足元で米経済のリスク度合いが少しずつ下がってきているとし、「不要になるのではないかと考えている。今後は使わないと思う」と語った。従来は8月の米経済に対する悲観的な見方と市場急変を日本経済の重要なリスクと判断し、時間的余裕という表現を使ったと説明した。
金融政策運営に関しては「見極めに必要な時間や利上げのタイミングについて予断を持っていない」と指摘。今後の毎回の決定会合で、「その時点で利用可能な各種のデータ情報から経済物価の現状評価や見通しをアップデートしながら政策判断を行っていく」とした。
衆院選での与党の過半数割れによる政局混迷や円安の再進行に加え、米大統領選も来月5日に控えており、日銀の政策スタンスに注目が集まっていた。総裁が国内の経済・物価は順調に推移しているとの見方を示し、時間的余裕との表現を撤回したことを受け、年内を含めた早期の追加利上げ観測が強まる可能性がある。
SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、経済・物価情勢の展望(展望リポート)を見た限り利上げは12月よりも1月の方が可能性が高いと受け止めたが、総裁会見の内容を踏まえると「そこまで1月に振れているわけでもなさそうだ」と指摘。1月の利上げを基本シナリオとする一方、円安が進めば前倒しされるリスクはあると語った。
植田総裁は、追加利上げの重要な判断材料となる賃金・物価情勢に関しては、毎月勤労統計を踏まえて、一般労働者の所定内給与の伸びが「2%のインフレ目標と整合的な範囲に入ってきている」と指摘。10月の東京都区部の消費者物価指数などから、賃金のサービス価格への転嫁の動きが「広がっている」と述べた。
米経済については「少し霧が晴れつつある」としながらも、これまでの利上げの経済・物価への影響など「不透明な部分がまだなお大きいと判断しており、その動向を注視していく必要がある」と語った。
市場では円相場が一時1ドル=151円台後半まで上昇。決定会合で2025年度の物価見通しの上振れリスクの記述を維持したことを受けて上昇し、総裁会見を受けて上げ幅を拡大した。長期国債先物相場は夜間取引で下落。シンガポール市場の日経平均先物も下落している。
新たな展望リポートの消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)の上昇率見通しは、2025年度を前回の2.1%から1.9%に下方修正したものの、26年度まで2%程度で推移するとの従来の想定から大きな変化はなかった。今後の政策展開を探る上で注目されたリスクバランスは、前回リポートで指摘した「上振れリスクの方が大きい」との表現を24年度はなくす一方、25年度は維持した。
金融政策運営は、経済・物価見通しが実現していけば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」方針を据え置いた。その上で、米国をはじめとする海外経済や市場動向を十分注視し、「わが国の経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極める必要がある」とした。
大和証券の末広徹チーフエコノミストは、日銀としては「全体的には今後正常化を進めていくのにオントラック(順調)だという説明になると思う」と指摘。海外経済の不透明性から利上げを見送ったとの見方を示した上で、「円安がさらに進めば、12月にも利上げをするだろうし、今回の展望リポートはその可能性を否定するものではなかった」と述べた。
ブルームバーグが17-22日にエコノミスト53人を対象に実施した調査では、政策変更を予想したのは1人だけだった。次回の利上げ時期の予想は12月が53%、来年1月が32%となっており、両会合で85%を占めた。
今回の会合には赤沢亮正経済財政担当相が就任後、初めて出席した。従来は財務副大臣として1月以降の会合に毎回出席していた。
ECB、インフレの過度な低下リスク回避すべき=イタリア中銀総裁 | ロイター
●先進国経済指標
米PCE価格、9月前年比+2.1%に鈍化 コア3カ月連続+2.7% | ロイター
米商務省が31日発表した9月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.1%上昇し前月の2.3%から鈍化、2021年2月以来の小幅な上昇となった。
前月比は0.2%上昇でエコノミスト予想と一致、8月は0.1%上昇で改定されなかった。
変動の大きい食品とエネルギー成分を除いたコアPCE価格指数は前年比2.7%上昇、3カ月連続で同じ幅で上昇した。前月比は0.3%上昇、前月は0.2%上昇だった。
米連邦準備理事会(FRB)は、インフレ動向を見極める上でPCE価格を重視している。
9月の個人消費は0.5%増でエコノミスト予想の0.4%増を上回った。8月は0.3%増に上方改定された。
米人員削減、10月3カ月ぶり低水準 ボーイングのストでも=チャレンジャー | ロイター
再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスがまとめた10月の米国で発表された人員削減数は、前月に続き減少し3カ月ぶりの低水準となった。来週の大統領選挙を前に雇用市場の堅調さを示した。
10月に企業が発表した人員削減は5万5597人で、9月の7万2821人から23.7%減少した。ストライキが続いているボーイングを含む航空宇宙産業の1万8000人以上の人員削減がなければ、さらに少なかった。
年初来の人員削減数は66万4839人。前年同期を3.7%上回り、コロナ禍に見舞われた2020年の同期間(約216万人)以来の高水準だった。
チャレンジャーのシニアバイスプレジデント、アンディ・チャレンジャー氏は「現在は求人数が減少し、雇用はほぼ横ばいだ。企業は選挙の結果、それに伴う規制や市場環境の変化をにらみ待機状態とみられる」と述べた。
米失業保険申請が減少、5カ月ぶり低水準-ハリケーン影響薄れる - Bloomberg
先週の米新規失業保険申請件数は減少し、5月以来の低水準となった。ハリケーン「へリーン」と「ミルトン」に見舞われた南東部各州で、災害による影響が和らいだ。
新規失業保険申請件数(10月26日終了週)は前週比1万2000件減の21万6000件
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は23万件
前週は22万8000件(速報値22万7000件)に修正
失業保険の継続受給者数(10月19日終了週)は186万人に減少
エコノミスト予想中央値は188万人
前週は188万8000人(速報値189万7000人)に修正
今月は2つのハリケーン襲来で南部各地が壊滅的な打撃を受け、事業にも影響が及んだことから、失業保険申請のデータは通常よりもさらに変動が大きくなっている。またボーイングでのストが同社サプライヤーでの一時帰休の動きにつながったとみられ、それも労働市場の基調的な傾向を一段と分かりにくくしている。
より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は23万6500件に減少した。
季節調整前ベースでも減少。ハリケーンの影響を大きく受けたノースカロライナ州とフロリダ州での減少が目立つ。
新規失業保険申請件数は過去1年にわたって増加傾向にあるが、新型コロナ禍前の2年間の平均に近い水準で推移している。同期間は労働市場が堅調だった。
再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのリポートによると、米国の雇用者が10月に発表した人員削減数は約5万5600人。これにはボーイングでの1万7000人の削減計画も含む。現在までに発表された2024年の人員削減数は前年同期を3.7%上回る。
また同リポートによれば、今年これまでに発表された採用計画は約75万300人で、2016年以来の低水準となっている。
訂正 ユーロ圏CPI、10月速報前年比+2.0% 予想以上に加速 | ロイター
独小売売上高指数、9月は+1.2% 予想外の上昇 | ロイター
豪小売売上高、9月は前月比0.1%増に急減速 減税効果乏しく | ロイター
オーストラリア統計局が31日発表した9月の小売売上高は、前月比0.1%増にとどまった。8月の0.7%増から急減速し、アナリスト予想の0.3%増にもとどかなかった。第3・四半期全体でも小幅な伸びで、7月から実施された減税は消費よりも貯蓄に回されたとみられている。
減税による消費の急拡大を予想していたオーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)にとって、利下げを後押しする材料となる可能性がある。
第3・四半期の小売売上高はインフレ調整後で0.5%増の1046億豪ドル(686億8000万米ドル)で、2四半期続いたマイナスを脱したものの、1人当たりの消費額は前年同期比で1.9%の大幅減だった。1人当たり消費額の減少は9四半期連続。
統計局の幹部は「最近の消費動向は、消費者は価格に対する意識が依然として高く値引きに敏感なことを示している」と語った。
小売売上高の見通しは、インフレ率の鈍化と所得税減税に支えられてきた。
ただ中銀の幹部は「減税で個人消費が目に見えて上向いたことを示す証拠はない。第3・四半期は支出よりも貯蓄の増加が主なテーマとなっている」と指摘。
今四半期と来四半期の消費は中銀の予測を下回り、最終的な利下げ実施の可能性は高まったものの、来年2月までの利下げは考えにくいという。
●金融市場、先進国トピックス
英財務相、景気支援措置を準備 追加の増税回避の方針 | ロイター
リーブス英財務相は31日、一段の景気支援策を準備しており、さらなる増税が必要ないことを望んでいると語った。同相は前日、労働党政権で初となる予算案を発表し、1993年以降で最大規模となる年間400億ポンドの増税計画を示した。
予算案とともに予算責任局(OBR)が示した経済予測は、24年と25年の成長率予測を小幅に引き上げたが26年以降は下方修正した。
リーブス氏はタイムズ・ラジオに「成長率を引き上げるために、さらに多くの計画を進めている」と述べ、春に再び増税するつもりはないとした。
400億ポンドの増税のうち250億ポンドを、国民保険料の雇用者負担率引き上げで手当てすることについて「企業が利益でこの一部を吸収しなければならなくなり、賃上げが他の方法よりも若干少なくなる可能性がある」とBBCに語り、企業に負担がかかるとの認識を示した。
焦点:英財務相、8兆円増税で国再建へ大きな賭け | ロイター
リーブス英財務相はスターマー労働党政権で初となる予算案で、過去30年で最大規模となる年間400億ポンド(約7兆9600億円)の増税計画を発表した。増税で賄った資金で英国を迅速に再建し、同時に原資を負担する企業の憤りに耐えるという大きな賭けに出た格好だ。
リーブス氏とスターマー首相は7月の就任からさまざまな混乱に直面している。英国初の女性財務相となったリーブス氏は成長を阻害することなく、公共サービスを向上させるためにどのような増税が可能なのかの説明を迫られていた。
リーブス氏は「働く人々」を支えるという左派寄りの公約を守ると主張し、増税の多くを企業に振り向けた。併せて富裕層も増税のターゲットとし、相続やキャピタルゲイン、別荘、プライベートジェット、私立学校などの分野に高めの税率を適用した。
リーブス氏は数年間にわたって大企業に対し、政治的および規制的な安定を提供し、成長を手助けするために事業計画に関する規制の簡素化に協力すると約束してきた。それにより、労働者も賃金上昇の恩恵を受けられるようにとの望みを託していた。
これに対し、大企業は増税と賃上げのために支出しなければならないのであれば、事業への投資や生産性の向上はできないと不満を表明していた。
リーブス氏は議会で、財政破綻と公共サービスの崩壊した状況を受け継いだ自身にとって選択の余地はなかったとして「私たちは企業にもっと貢献するように求めている」と言及。さらに「企業の成功は学校の成功に依存する。健全な企業は健全な国民保険サービス(NHS)に依存する。そして強い経済は強い財政に依存する」と訴えた。
労働党のある有力議員は、党は政権奪還後の最初の予算に「悪いニュース」を束ねることで、その後は経済をより強い成長に回帰させ、公共サービスの改善を促し、将来の予算では増税を巻き戻せることに期待していると語った。
もしも経済成長を実現できなければ、労働党政権はより深刻な問題に直面することになる。
英予算責任局(OBR)は、経済成長率が2024年と25年に従来予想をわずかに上回った後、26―28年には下回るとの見通しを示した。
<英国更新>
14年間続いた保守党政権に終止符を打った労働党政権は、巨大な債務と経済成長低迷に悩まされる英国のインフラと公共サービスの更新を任された。
リーブス氏は、2022年のトラス元首相の失脚につながった債券市場の混乱を引き起こすことなく借り入れを増やすことに成功した。投資家がインフラ投資を増やすという同氏の方針を好感したためだ。
しかし、企業側の反応はより厳しかった。
英取締役協会の政策ディレクター、ロジャー・バーカー氏は、大部分の企業が増税の先を見据えるのに苦労するだろうとして、「企業のリーダーらは、これが心機一転をもたらすビッグバン(大爆発)となり、この議会中に二度とこのような大きなショックが起こらず企業がもっと安心して計画を立てられるようになると期待するしかない」と言及した。
また、キャピタルゲインや相続、外国人富裕層への増税は英国の起業家精神を奪う恐れがあるとの批判も出ている。
英北部への投資に特化したベンチャーキャピタル(VC)、パーエクイティのパートナー、アンドリュー・ノーブル氏は、キャピタルゲイン課税の引き上げは「より豊かな未来 」の実現に貢献できる人材をひきつけ、引き留めるのをより困難にするとの見方を示した。
<支出増>
今回の予算案で、今後5年間に国内総生産(GDP)の2%に当たる年間700億ポンド弱の支出増が可能になる。リーブス氏とスターマー氏は、これが08年の金融危機後に保守党が導入した緊縮財政への逆戻りを避けつつ、英国の基盤を立て直すために必要な資金だと訴えている。
英国の多くの公共サービスはそれ以来、大幅な予算削減に苦しんでいる。これは長期にわたる賃金低迷と分裂した政治による国内の怒りに拍車をかけた。
リーブス氏とスターマー氏は今回の予算案で病院と学校、道路、鉄道の運営の改善に着手し、自分たちを選んでくれた有権者に報いることができると期待する。
かつて財務省に勤務していたキングス・カレッジ・ロンドンのジョナサン・ポーツ教授は、政府が投資を後押しするために長期的なビジョンと安定性を提供すれば、大企業は社会保険料の引き上げに対応できる可能性があると指摘。政府は公共サービスを早期に改善するために資金を効果的に使えることを示す一方、長期的な成長を促進するためのインフラ投資も行う必要があると指摘。「この政権を成功させるためには両方に取り組む必要がある」との見解を示した。
米大統領選後の暴力沙汰の可能性、ドルの基軸通貨の地位を脅かす - Bloomberg
米大統領選挙の結果判明が手間取った場合に、支持者による暴力沙汰に発展するというシナリオは、米国の制度の信頼性を米経済の強さの基盤として長年当てにしてきた投資家にとって、価格に織り込まれていないリスクだ。
世界の基軸通貨を保有していることが、米国の借り入れコストや、原油から鉄鋼に至るまでのドル建て商品価格を抑えてきた。また、ライバル国をグローバルな金融システムから排除するという地政学的な力を米国に与えることにもなった。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長やイエレン米財務長官、およびその前任者らによれば、ドルの優位性を支えているのは個々の政治家を超えた法の支配と制度だ。
米国の大統領・議会選挙の投票日までのカウントダウンにおいて、一部の投資家にとって懸念材料となっているのは、法治の精神と制度への敬意の低下だ。ドナルド・トランプ前大統領がカマラ・ハリス副大統領に敗れた場合に、それをおとなしく認めることへの疑念がある。トランプ氏は、2020年の選挙が不正だったと主張し続けているばかりでなく、自身の支持者による米連邦議会議事堂への歴史的な襲撃事件があったにもかかわらず21年の政権移行は「愛と平和」の下で行われたと主張した。
今回最大の懸念は、世界中の投資家が米国の制度に対する信頼を根本的に見直すことだ。米国は世界最大の純債務国であり、外国政府、ファンド、個人は28兆ドル(約4267兆円)の米国債市場と61兆ドルの株式市場、および社債やその他の証券に何兆ドルも投資している。
ロバート・ルービン元米財務長官は30日ビジネス&デモクラシー・イニシアチブが主催したズーム会議で「権力の平和的な移行に真の疑問が生じた場合、それは非常に不安定な状況をもたらすだろう。投資家だけでなく、この国のビジネスや経済活動にとってもだ」と述べた。「ドルの強さは、米国の経済と法の支配に対する敬意に依存しており、そして非常に重要なことに」FRBがその独立性を維持することにかかっている、と語った。
ニューヨーク連銀でキャリアをスタートさせウォール街での30年の経験を持つティエリー・ウィズマン氏は、来年1月の議会による認証まで結果が不透明な状態が続くというシナリオを懸念している。
マッコーリーのグローバル通貨・金利ストラテジストの同氏は「米国の制度に対する信頼をトレーダーが失えば、米国例外主義という物語は終わりを迎えるかもしれない」と述べた。「選挙後、明確な結果が出ないまま数週間が過ぎ、紛争の裁定を委ねられる制度を人々が信頼できない場合」にそのようなことが起こると指摘した。
競合国がドルの使用を減らそうとする動きの中で、ドルが今後も優位性を維持できるのかという懸念もある。
米国の同盟国の中にも、民主・共和両党が保護主義を受け入れ、サプライチェーンを国内に戻そうとしている米国にどう対処すべきか、疑問を抱いている国もある。トランプ氏が大統領が再選された場合の予測不可能性は、そうした懸念をさらに高める。
CFA協会が先週発表したリポートによると、調査対象となった世界中の投資専門家のほぼ3分の2が、今後5-15年の間にドルが準備通貨としての地位をある程度失うと予想している。
1月に上院議員を引退するまで上院銀行委員会のトップを務めていた共和党のパット・トゥーミー氏は今月のインタビューで懸念を強調した。
2021年1月6日のような事件が再び起こると、「世界の支配的な基軸通貨国であり続ける米国の能力が損なわれる可能性がある」と述べ、事件は「米国の評判にとって非常に大きな打撃となった」と指摘した。
今回の選挙後に再び混乱が起こるのではないかという懸念がある理由の一つは、前回起こったことをトランプ氏が認めようとしないことだ。
トランプ氏は10月15日シカゴ経済クラブでのブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューで「平和的な政権移行が行われた」と語り、「愛と平和だった」と述べた。
ブルームバーグの分析によると、ジョージア州での票の集計方法に関する裁判からノースカロライナ州で有権者が使用できる身分証明書の種類に関する裁判まで、23年以降に提起された選挙に関連する訴訟は165件以上に上る。
これらの訴訟の半分以上は、世論調査でハリス氏とトランプ氏の接戦が示された7つの州で起こされている。
このような下地、特に州レベルでの票の再集計の可能性は、「公務員の不正行為の疑惑と、それに対処するための訴訟の窓を開く」と、マッコーリーのウィズマン氏は最近のリポートに記した。
銀行が自己資本を抑える最新手法、次の金融危機の火種にも-社説 - Bloomberg
合成リスク移転(SRT)について知らない読者は、次の金融危機が起こった際に、その詳細を耳にする機会があるかもしれない。
これは、システムを保護するために策定されたルールを大手銀行がうまく利用する最新の方法であり、急速に拡大している。しかし、今のところ規制当局はほとんど気付いていないようだ。
金融システムの強靭(きょうじん)さは、銀行のバランスシートの資本部分に大きく依存している。資本は、債権者とは異なり、損失を吸収することに同意した株主からの資金だ。 
銀行の資本が多ければ多いほど、困難な時期にも融資を続けることができる。しかし、銀行経営陣は負債を多く用いることを好む。なぜなら、負債にはさまざまな政府補助金が付き、好況期には重要な収益指標を押し上げるからだ。
グローバルな大手銀行は最近、自己資本を最小限に抑えることに成功している。米国でも欧州でも、自己資本要件の引き上げを回避している。
その結果、銀行の自己資本は全般的に資産の5-6%程度にとどまっており、専門家や調査機関が深刻な危機を乗り切るために必要と指摘する水準を大幅に下回っている。
しかし、それでもまだ多過ぎると考えている銀行は、2008年のサブプライム危機以前の慣行を復活させた。ローンを証券化し、損失リスクに対する保険を他の金融機関から購入することで、必要資本を少なくする手法だ。
銀行は資産を保有し、リスクは他の場所に移ったことになっている。これがSRT、つまり合成リスク移転(synthetic risk transfer)だ。重要な(significant)リスク移転とも呼ばれる。
SRTは急成長している。23年末時点で、合成証券化資産の関連プールは6140億ユーロ(約102兆円)に達した。7年前はわずか50億ユーロだった。
欧州の企業向け融資が大半を占め、米国の自動車ローンおよびその他の個人向け融資がそれに続く。プライベートクレジット会社や年金基金を含むリスクの引き受け手は8-12%のリターンを得ている。
SRTには銀行のエクスポージャーの再調整など、正当な用途がある。しかし、それには独自のリスクが伴う。株主資本とは異なり、あらゆる損失を吸収するわけではない。
指定された資産のみに適用され、カウンターパーティーが支払えない場合、危機に際して価値がゼロになる可能性がある。08年には、保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)でそうした事態が起こりそうになり、米史上最大級の救済措置が必要となった。
今はさらに悪いことに、ひねりが加わっている。ブルームバーグ・ニュースが報じたように、銀行は保険を提供しているのと同じノンバンク金融機関に融資している。
つまり、全体として見ると、リスクの一部はまったく銀行システムから離れていないということだ。このような「循環取引」の規模を把握するのは難しいが、ノンバンクに対する銀行の信用供与はここ数年急増している。米国では、22年に1兆8000億ドル(約275兆円)を超えた。
規制当局が警鐘を鳴らすだろうとの考えもあるかもしれない。しかし、欧州中央銀行(ECB)は、銀行が取引相手に対するエクスポージャーを十分に理解していないという自らの調査結果があるにもかかわらず、合成リスク移転の促進に取り組んでいる。
欧州は投資を促すために証券化をさらに進める必要があるが、それは価値不明の不透明な契約ではなく、透明性のある資産売却を伴うべきだ。
国際通貨基金(IMF)が強く求めているように、少なくとも規制当局は大部分がプライベート取引である証券化商品とその潜在的なシステミックリスクを評価するために必要なディスクロージャー(情報開示)を義務付けるべきだ。
そして、究極的には、劣悪な代用品で妥協するのではなく資本増強を銀行に求める必要がある。本物に勝るものはない。
60年で8000倍、「マゼラン・ファンド」が日本進出 話題の投信 - 日本経済新聞
英労働党政権が初の予算案発表、400億ポンドの増税 「財政を健全な軌道に」と財務相 - BBCニュース
アメリカのクレジットカード金利21%、過去最高で低所得層直撃 増える延滞 - 日本経済新聞
米主要クレジットカード大手の2024年7〜9月期決算が出そろった。カード利用は引き続き増えて消費全体の底堅さを示した一方、低信用・所得層の間で延滞が増加。高金利下でカード金利は年21%と過去最高になるなど、低所得層の負担は重くなる一方だ。
カード発行会社の7〜9月期決算をみると、中低信用・所得層を中心に延滞率の上昇がみられた。カード発行大手のキャピタル・ワンは、米国内利用の30日以上の延滞率が4.53%と前期比、前年同期比ともに上昇。新型コロナウイルス流行前の19年10〜12月期(3.93%)も上回った。
同社のリチャード・フェアバンク最高経営責任者(CEO)は、延滞増加はコロナ禍の経済支援などで一時的に債務負担が減ったことへの反発とみており「全体的に消費者はまだ良好な状態にある」と指摘する。一方で「一部の消費者の間では、インフレと金利上昇の累積的な影響による圧力が生じている」と解説した。
ディスカバーもカードの30日以上の延滞率が3.84%と前期、前年同期ともに上回った。両社は年会費のかからないカードも提供し、富裕層が中心のアメリカン・エキスプレスなどと比べ中低所得層の顧客が多いとされる。
延滞増加の一因は高い金利負担だ。米連邦準備理事会(FRB)によると、8月時点でカードの平均金利は年率21.76%。データが遡れる1994年以降で最も高い水準だ。全米クレジットカウンセリング財団幹部のブルース・マクラリー氏は「最近のFRBによる利下げはカード金利にまだあまり反映されておらず、物価高も依然消費者に打撃を与えている」と話す。
米国では毎月定額を支払う「リボルビング払い(リボ払い)」の利用が一般的だ。手持ちの資金が少ない低所得層の間でも利用は多く、高い金利負担が重荷になっている。
ニューヨーク連銀の9月調査によると今後3カ月の間に、カードで毎月の最低支払額すら払えない可能性が世帯年収5万ドル未満の層で20%と約4年半ぶりの高水準となった。5万〜10万ドル(12%)、10万ドル以上(8.4%)と比べてもその割合は大きい。
無利子の分割払いが可能で、利用が広まる後払い決済「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レーター)」でも延滞は多い。フィンテックのレンディングツリーによると、BNPL利用者のうち47%が、支払いが遅れた経験があるという。

BNPLはカードを持ちにくい若者や低所得層を中心に存在感を強めている。レンディングツリーの調査では、米消費者の33%が10月にBNPLを利用することを検討していると回答。使い勝手が高い半面、債務増の懸念がつきまとう。
米消費全体は堅調さを維持している。米カードネットワーク大手のビザとマスターカードの7〜9月期決算はそろって増収増益だった。ビザの最高財務責任者(CFO)、クリストファー・スー氏は「低額から高額までの全ての消費者支出が安定した状態を維持した」と解説した。
堅調な消費を支えている中心は富裕層だ。富裕層の顧客が多いアメリカン・エキスプレスの30日以上のカード延滞率は1.3%と前年比ほぼ横ばいで、コロナ流行前の19年末(1.5%)を下回った。「米富裕層の顧客のカード利用は引き続き非常に安定している」。アメックスのクリストフ・カイレックCFOは、7〜9月期の決算会見でこう述べた。
米経済はインフレが落ち着き、景気後退に陥らない「軟着陸」の可能性が高まっている。ただ、仏高級品大手LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの7〜9月期決算で減収になるなど、富裕層の消費にも陰りがみられる。
●中東情勢
原油先物、引け後2ドル超上昇 イランがイスラエル攻撃準備との報で | ロイター
31日の引け後の取引で、原油先物が1バレル=2ドル超上昇した。イランがイスラエル攻撃を準備しているとの報を受けた。
引け後の取引で、米WTI先物は2.15ドル(3.13%)高の70.76ドル。北海ブレント先物1月限は2.10ドル(2.91%)高の74.26ドルとなった。
清算値は、北海ブレント先物1月限が72.81ドル。米WTI先物は0.65ドル(0.95%)高の69.26ドル。
米ニュースサイトのアクシオスは31日、複数のイスラエル関係筋の話として、イランが11月5日の米大統領選前にイラク領内からイスラエルを攻撃する準備をしていると報じた。
●エマージング
中国の大手銀行、第3四半期は増益 一部は純金利マージン低下 | ロイター
中国大手銀行各行が30日発表した第3・四半期決算は軒並み増益だった。だが一部の大手銀行は純金利マージン(NIM)が低下した。
増益率が最も高かった中国農業銀行は純利益が前年同期比5.88%増えた。世界最大手級の商業銀行である中国工商銀行は3.8%増益となった。
中国の銀行は景気低迷と不動産部門の危機的状況が続く中、収益の鈍化傾向と低調な融資需要に苦しんできた。
大手銀行のうち中国銀行、中国交通銀行、中国建設銀行は増益率がそれぞれ4.38%、1.2%、3.79%となったが、3行とも収益の重要な指標であるNIMは低下した。アナリストは、政府の経済対策が実行されるのに伴ってNIMは圧迫され続けると分析している。
中国銀行のNIMは6月末時点の1.44%から9月末には1.41%に低下。中国交通銀行のNIMは同じ期間に1.29%から1.28%に、中国建設銀行では1.54%から1.52%にそれぞれ下がった。
フィッチ・レーティングスのディレクター、ビビアン・シュエ氏は「当社はNIMへの圧力が第4・四半期も続くと予想している。経済を支援するために中国当局が発表した措置は銀行収益への圧力を強める公算が大きいためだ」と述べた。
同氏は「住宅ローン金利とローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)の引き下げがNIMに及ぼす影響は、預金準備率と預金金利の引き下げによって和らげられるが、こうした措置が信用需要を復活させる上で十分かどうかは明らかではない」と付け加えた。
大手銀行のうち4行は9月末時点の不良債権比率が6月末時点から横ばいだったが、中国銀行の同比率は1.24%から1.26%に上昇した。
中国非製造業PMI、10月は50.2に小幅上昇 | ロイター
中国国家統計局が31日発表した10月のサービス業と建設業を含む非製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2と、9月の50.0から小幅上昇した。
景況拡大・縮小の分かれ目となる50を上回った。
製造業とサービス業を含めた総合PMIは50.8だった。
中国10月製造業PMI、6カ月ぶりに50上回る 刺激策の効果か | ロイター
中国国家統計局が31日発表した10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1で前月の49.8から上昇した。景況拡大と縮小の分かれ目となる50を6カ月ぶりに上回り、一連の新たな景気刺激策を巡る当局の楽観的な見方を裏付ける結果となった。
PMIはロイターがまとめた市場予想の49.9も上回った。
10月のサービス業と建設業を含む非製造業PMIも50.2と、9月の50.0から小幅に上昇した。
製造業とサービス業を含めた総合PMIは50.8だった。
不動産市場の落ち込みと消費者信頼感の軟調が投資を抑制する中、政策当局者は9月下旬に発表した追加金融刺激策が中国経済を安定させ、融資と投資を再び活発化させると期待している。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミストであるシュー・ティアンチェン氏は「特に国債発行の加速によって可能となった、財政支援強化の初期的な効果を示すものだ。8月から9月にかけての国債発行額は記録的で、財政支出に結びついた」と指摘した。
国内の製造業は生産者物価の急落と受注減少によりここ数カ月間落ち込んでいる。さらに、唯一の明るい兆しであった輸出は先月低迷し、第3・四半期の経済成長率は2023年初め以来の低水準となった。
<回復の兆し>
しかし、中国当局は景気浮揚に向けて刺激策の強化に舵を切ったと見られ、実際に信頼感が徐々に改善しつつあることを示す兆しもある。
ロイターは29日、11月4─8日に開催する中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会で、当局が経済支援に向け今後数年間で国債など10兆元(1兆4000億ドル)超の追加発行を承認することを検討していると事情を知る複数の関係者の話として報じた。 もっと見る
9月の若年層(16─24歳、学生を除く)の失業率は17.6%と3カ月ぶりに低下。新卒雇用促進に向けた助成金などの策が効果を上げていることが示された。鉱工業生産と小売売上高は予想を上回り、需要が回復し始めていることが裏付けられた。
INGのグレーターチャイナ担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「50.1はPMIの拡大幅としては最小だが、それでも縮小が続くという予想を裏切り、9月に見られた鉱工業生産の持ち直しが続くという明るい兆しだ」と指摘。「今後は、景気刺激策が内需の回復につながり、外需軟化を相殺できるかどうかを見極める必要がある」とした。
ただし、PMIの全体的な改善は大企業がけん引した面が大きい。大企業の指数が51.5で前月の50.6から上昇し、中堅企業が49.2から49.4に上昇する一方で、小規模企業の指数は悪化した。
EU、中国Temuへの正式な調査を開始-デジタルサービス法違反の疑い - Bloomberg
北朝鮮がICBM発射、過去最長の1時間26分飛行か 日本のEEZ外に落下 - BBCニュース
米中関税戦争ならブラジル農産物に恩恵か - WSJ
ファーウェイの1〜9月期、純利益13%減 コスト増加で - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
オレゴン州で豚へのH5N1型鳥インフル感染を初確認=米農務省 | ロイター
スペイン洪水の死者、155人超える 行方不明者の捜索続く | ロイター
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(31日)米国株続落、ドル/円下落、2年債利回り3カ月ぶり高水準 | ロイター
ニューヨーク外為市場でドルは対円で下落し、終盤で152.18円となりました。これは、日銀の植田和男総裁が「タカ派的」な発言をしたことや、米国の経済指標の影響により、FRBが次週の会合で25ベーシスポイント(bp)の利下げを行う見通しが強まったためです。米商務省が発表した9月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.1%上昇し、前月の2.3%から鈍化しています。一方、米国債市場では国債利回りが上昇しており、特に2年債利回りが注目されています。11月のFOMCで0.25%の利下げが織り込まれており、利下げの実施確率は93%となっていますが、米雇用統計次第で見送りの可能性も指摘されています。
米国株式市場は続落し、マイクロソフトとメタ・プラットフォームズがAI投資によるコスト増加を示したことで利益率への懸念が強まり、両社の株価が下落しました。アマゾンとアップルも決算を発表し、好調な売上を記録しましたが、AI投資の拡大への不安が市場に影響しています。また、金相場は月末要因で反落し、原油相場は中東情勢の緊張から買いが優勢となり続伸しました。米PCE価格指数の低調な伸びにより、FRBの利下げ観測が広がり、雇用統計の発表が注目されています。
欧州市場サマリー(31日) | ロイター
ロンドン株式市場は下落して取引を終え、英労働党政権による大型予算発表がインフレを押し上げるとの懸念から、利下げ期待が後退しました。FTSE250指数は1.47%下落し、FTSE100およびFTSE250はいずれも3カ月ぶりの安値を記録。金利に敏感な住宅建設株指数は5.86%安となりました。個別では、医療機器のスミス&ネフューが業績見通しを引き下げ12.5%急落した一方、シェルはLNG販売の増加で3.5%上昇しました。
欧州全体でも株価が続落し、STOXX欧州600指数は3.35%の月間下落率を記録。特にフランスCAC40指数が3.74%と下落が目立ち、テクノロジーおよび不動産株の低迷が影響しました。
ユーロ圏の国債利回りが上昇し、特にドイツ10年債利回りは2.447%に達し、7月以来の高水準となりました。月間では26ベーシスポイント(bp)上昇し、4月以来の最大上昇率です。ドイツ2年債利回りも5月以来の高水準となり、ECBが12月に25bpの利下げを実施するとの市場予測が強まりましたが、大幅な50bp利下げの確率は減少しています。また、イタリア10年債利回りも9月初旬以来の高水準を記録し、独伊10年債利回り格差は125bpとなっています。

備忘録(2024/10/30
●海外企業決算
独VW第3四半期、営業利益42%減 乗用車部門低迷やコスト増で | ロイター
第3・四半期決算は、営業利益が42%減少した。主力の乗用車部門の低迷とモデル刷新などのコスト高が響いた。
1─9月の営業利益率は2%に低下した。アルノ・アントリッツ最高財務責任者(CFO)は発表文で、「大幅なコスト削減と効率化が急務であることが浮き彫りになった」と述べた。
新モデルが徐々に市場に投入され、7─9月に西欧で受注が改善したのは明るい材料だと指摘した。
VWの業績不振の要因としては、複雑な企業統治構造や電気自動車(EV)への不適切な投資、誤った経営判断、中国での販売減などが指摘されている。同社は第3・四半期中に2度、通期の業績見通しを下方修正した。
第3・四半期のEBIT(利払い・税引き前利益)は28億6000万ユーロ(30億9000万ドル)と、LSEGの平均予想である28億ユーロとほぼ一致した。
フランクフルト市場のVWの株価は、0705GMT(日本時間午後4時05分)時点で1.8%安。年初来では20%下落している。
スイスUBS、第3四半期純利益が予想のほぼ2倍 統合効果で | ロイター
第3・四半期決算は、純利益が14億ドルと、会社集計の市場予想(7億4000万ドル)を上回った。買収したクレディ・スイス・グループの顧客口座統合によるコスト削減や収入増が寄与した。
売上高は123億ドルと、コンセンサス予想の115億ドルを上回った。
投資銀行部門はコンセンサス予想の2倍の営業利益を上げた。非中核・旧来部門の損失は予想を下回った。
セルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は米州やアジア太平洋地域の顧客向け事業が強い勢いを保ち、収入が目覚ましく伸びたと説明。クレディ・スイスとの統合を進める上でコストや効率性の目標達成へ着実な進展を図り、リスクを抑えていると述べた。
UBSはコスト削減計画が順調に進んでいるとし、今年のコスト削減幅を従来予想の約70億ドルから約75億ドルへ引き上げた。
第3・四半期の営業費用は103億ドルで、前年同期の116億ドル超から減少した。
シティのアナリストは調査リポートで「全体的に堅調な結果で、ジュリアス・ベアを含む同業他社にとっても追い風となるはずだ」と述べた。
UBSは第4・四半期の市場環境について、米経済のソフトランディング(軟着陸)見通しに支えられ、第3・四半期と同様になるとの見通しを示した。ただ他の地域のマクロ経済見通しは依然として不透明だと指摘した。
「季節性に加え、地政学的紛争と米国の選挙が不確実性を生み出しており、投資家の行動に影響を及ぼす可能性が高い」と分析した。
UBSは5月にクレディ・スイスの買収を完了した。
10月にルクセンブルクと香港を対象とする顧客口座統合の第1弾を完了し、シンガポールと日本は年末までに終える予定だとした。スイスは来年行う。
市場は買収を歓迎しており、UBS株は2023年3月にクレディ・スイス買収を発表して以来、60%超上昇した。
英スタンチャート、第3四半期は大幅増益 業績予想を上方修正 | ロイター
第3・四半期決算は市場予想を上回る大幅増益となった。
ウエルス事業やマーケット事業が好調だった。前年同期は中国へのエクスポージャーに関連して減損処理を行っていた。
同社は今年の業績予想を上方修正。ウエルス事業への投資を倍増する一方、リテール事業を縮小し、収益性を一段と高める方針を示した。
第3・四半期の税引き前利益は17億2000万ドル。同行がまとめた市場予想の平均である14億9000万ドルを上回った。
前年同期の税引き前利益は6億3300万ドル。中国の不動産・銀行セクターへのエクスポージャーに関連して10億ドル近い損失を計上していた。
今年は約10%の増益となる見通し。従来予想は約7%の増益だった。2024─26年に株主に少なくとも80億ドルを還元する計画も明らかにした。従来計画では50億ドルだった。
ウエルス事業ではリレーションシップマネジャーや投資アドバイザーに今後5年で15億ドルを投資する。投資資金はマスリテール部門の縮小を通じて確保する。
同行は戦略的な意味を失った「少数の事業の全てもしくは一部」の売却機会を模索していることを明らかにした。
2026年の有形株主資本利益率(RoTE)の予測は13%近くに上方修正した。従来予想では26年以降に12%としていた。新たな自社株買いは発表しなかった。
ウエルス・ソリューション事業の利益は32%増の6億9400万ドル。主要事業で最も高い伸びを記録した。
グローバル・マーケッツ事業は16%増の8億4000万ドル。主要部門で2番目の高い伸びとなった。
ビル・ウィンターズ最高経営責任者(CEO)は将来の富裕層候補と国際的な顧客を重視するため、マスリテール事業の「再構築」を継続すると表明した。
独ルフトハンザ9%減益、第3四半期 運賃単価低下や外国航空と競争厳しく | ロイター
2024年7―9月期(第3・四半期)決算は、営業利益が前年同期比9%減の13億ユーロ(14億1000万ドル)だった。ただ、同社が調査したアナリスト予想の平均とおおむね一致した。
減益要因は、主力のルフトハンザ航空の運賃単価(イールド)低下に加え、ストライキ関連のコストが増えたことだ。
また、中国や中東湾岸諸国など外国の航空会社との競争も響いた。特に、ロシア領空の飛行が可能な中国航空会社との競争は依然苦戦しており、フランクフルト─北京路線の運休につながっている。アジア太平洋地域におけるイールドは14%低下した。
中東情勢の不安定化に伴う予測不確実性も業績の足を引っ張った。
アナリストらはルフトハンザ航空の場合、企業が社員出張で利用する際の需要低迷も要因という。
カーステン・シュポア最高経営責任者(CEO)は声明で「航空機の納入遅延やドイツのハブ空港での定時運航に関する問題、不利な規制上の条件が大きく響いた」と指摘した。
ただ、同社は24年12月期(通期)営業利益予想を従来の14億─18億ユーロで据え置いた。航空券予約需要が継続していることに加え、来年に航空券価格の安定化や上昇が見込まれる上、コスト削減も進めているためという。
米イーベイの第4四半期売上高見通し、市場予想下回る 株価下落 | ロイター
第4・四半期の売上高見通しは、市場予想を下回った。株価は時間外取引で一時11%下落した。
第4・四半期の売上は25億3000万─25億9000万ドルと予想。LSEGがまとめたアナリスト予想は26億5000万ドル。
2024年度の売上高は102億3000万─102億9000万ドルを見込む。市場予想は103億2000万ドル。
同時に発表した第3・四半期決算は、売上高が25億8000万ドルで、アナリスト予想の25億5000万ドルを上回った。
マーケットプレイスで販売された商品とサービスの総額は2%増の183億ドルだった。
インフレの影響で消費者はオンライン購入に慎重になっている。全米小売業協会の予想では、今年の米年末商戦の売上高は前年比3.5%増と、過去6年で最も低い伸びとなる見通し。
スターバックス、第4四半期は世界既存店売上高が減少 需要低迷で | ロイター
第4・四半期決算は世界既存店売上高が7%減少した。主要市場である米国と中国で高価格帯商品のラテの需要回復に苦戦を強いられていることが背景。
米国に次ぐ第2の市場である中国での既存店売上高は3四半期連続で減少し、第4・四半期には14%減となった。
第4・四半期の海外既存店売上高は9%減。LSEGがまとめたアナリスト予想は6.5%減だった。
純利益は、9億0930万ドル(1株当たり0.80ドル)と前年同四半期の12億2000万ドル(1株当たり1.06ドル)から減少した。
スターバックスの株価は、時間外取引で約1%下落した。
メタ、AI投資の大幅増を警告 第3四半期決算は予想上回る | ロイター
第3・四半期決算は売上高と利益が市場予想を上回った。ただ、人工知能(AI)開発に関連する費用の大幅な増加を警告した。
主力のソーシャルメディア事業のデジタル広告収入の増加で巨額のAI投資を継続的にカバーできるか不透明になっていることを示唆した。
株価は引け後の時間外取引で2.9%下落した。
イーマーケターのアナリスト、ジャスミン・エンバーグ氏は「メタは来年もAI関連コストの増加をカバーし続けられることを証明する必要がある。主力の広告事業が低迷すれば、大規模なAI投資のリターンを待つ投資家は神経質になる可能性がある」と述べた。
メタは第3・四半期にコストを抑制し、総費用は232億ドル、設備投資は92億ドルだった。通期の経費見通しも若干改善し、960億─980億ドルとレンジを縮小した。
ただ、プレスリリースで「拡大したインフラの減価償却費や営業経費の伸び加速を評価する中、来年はインフラ費用が大幅に増加する」とした。
第3・四半期の1株当たり利益は6.03ドル。LSEGがまとめたアナリスト予想の5.25ドルを上回った。
売上高は405億9000万ドル。アナリスト予想の402億9000万ドルを上回った。
傘下サービスのフェイスブック、インスタグラム、メッセンジャー、ワッツアップのいずれかを利用した1日当たりのアクティブユーザー(DAP)は5%増の32億9000万人。第2・四半期のDAPは7%増の32億7000万人だった。
複合現実(MR)ヘッドセット「クエスト」などを手がけるリアリティ・ラボ部門は44億ドルの赤字となったが、赤字額はアナリスト予想の47億ドルよりも小幅だった。
第4・四半期については、売上高が450億─480億ドルになると予想。LSEGがまとめたアナリスト予想は463億1000万ドル。
マイクロソフト、7─9月期決算は予想超え AIでクラウド事業拡大 | ロイター
第1・四半期(7─9月期)決算は、売上高と利益がともに市場予想を超えた。クラウド事業「Azure(アジュール)」の売上高が市場予想をやや上回り、人工知能(AI)への大規模投資が実を結びつつあることを示した。
マイクロソフトはAIを活用した同社のクラウド能力を需要が上回っているとの見方も改めて示した。
Azureの売上高は33%増。ビジブル・アルファが集計した市場予想は32%増だった。Azureの成長に対するAIの寄与度は12%ポイント。前期は11%ポイントだった。
同社株は引け後の時間外取引で当初の高値から下げに転じた。
ブレット・アイバーセン副社長(IR担当)は「当社の現在の能力を上回る需要が引き続き見られる。顧客はクラウド、AI分野で複数年の契約を結び、将来のさまざまなプロジェクトにコミットしている」とし、「AIの機会はまだ非常に初期段階だと感じている」と述べた。
また、今年度後半にAI能力をより顕著に拡大する見通しとし、拡張によって現在の制約に対処できるかは需要の伸び次第だと述べた。
第1・四半期の売上高は16%増の656億ドル。LSEGがまとめたアナリストの予想平均は645億ドルだった。
1株当たり利益は3.30ドル、アナリスト予想は3.10ドルだった。
設備投資額は前期の190億ドルに対し5.3%増の200億ドルと、ビジブル・アルファが集計した市場予想の192億3000万ドルを上回った。
業務用ソフト「オフィス」、「365コパイロット」、AI・音声技術サービスなどを手がけるプロダクティビティー部門の売上高は283億ドル。
基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」や「サーフェス」端末、ゲーム製品・サービスを含むパーソナル・コンピューティング部門の売上高は17%増の132億ドルだった。
米キャタピラー、通年売上高予想引き下げ 北米での需要減退で | ロイター
2024年通年の売上高予想を引き下げた。ただ、販売減速の影響を値上げが一部相殺したことから、通年の調整後営業利益率と調整後1株当たり利益の見通しは維持した。
最大市場である北米での需要減により、3つの主要セグメントに含まれる建設産業と資源産業の2つで売上が減少したほか、アジア太平洋全域の売上高も第3・四半期に7%減少し、26億8000万ドルとなった。
第3・四半期の調整後営業利益率は前年同期の20.8%から20%に低下した。
調整後1株当たり利益は5.17ドルと、LSEGがまとめたアナリストの平均予想5.34ドルを下回った。
総売上高は4%減の161億1000万ドル。市場予想の160億8000万ドルをわずかに上回った。
午前の取引でキャタピラーの株価は2%下落している。
アッヴィが決算受け上昇 リンボックとスカイリッジが好調=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
医薬品のアッヴィ<ABBV>が上昇。取引開始前に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。ガイダンスも公表し、通期の1株利益の見通しを上方修正している。売れ筋の抗炎症薬リンボックとスカイリッジの需要が予想を上回ったことが要因。
アッヴィは、主力薬のヒュミラの売上減少を補うため、リンボックやスカイリッジといった医薬品に注力している。かつては世界で最も売れていたヒュミラだが、昨年特許切れとなり、アムジェン<AMGN>を含む競合他社がより低価格の代替薬を発売したため急減した。
エアバスの1〜9月決算、純利益22%減 通期見通しは維持 - 日本経済新聞
欧州エアバスが30日発表した2024年1〜9月期決算は、純利益が前年同期比22%減の18億ユーロ(約2970億円)だった。24年度の民間航空機の納入を770機程度などとする通期見通しは据え置いた。
売上高は前年同期比5%増の445億ユーロだった。9月末までに顧客に納入できた民間飛行機は497機で前年同期より2%弱増えた。
米イーライ・リリーの7〜9月決算は黒字 24年通期は下方修正、肥満症薬の供給難 - 日本経済新聞
2024年7〜9月期決算は、最終損益が9億7030万ドル(約1500億円)の黒字(前年同期は5740万ドルの赤字)だった。一方、24年通期予想は下方修正した。売上高の4割近くを占める肥満症薬と糖尿病薬の販売が供給難で想定ほど伸びなかったほか、買収伴う関連費用を計上したことが重荷となった。
7〜9月期の売上高は20%増の114億3910万ドルだった。市場予想(約120億ドル)を下回り、30日の米株式市場で株価は下げて取引を開始した。23年11月に米食品医薬品局(FDA)が承認した肥満症治療薬「ゼプバウンド」の売上高は12億5780万ドル、糖尿病薬「マンジャロ」(一般名チルゼパチド)の売上高は前年同期の2倍強となる31億1000万ドルと、それぞれ市場予想を下回った影響が大きい。
マンジャロは減量効果があるとして、米国で肥満症薬としても使用されている。
マンジャロとゼプバウンドの人気は高く、需要に追いつくように生産増加や患者へ直接販売などの対策を打ち出している。だが、7〜9月期はコールドチェーン(低温物流)の複雑さが卸売業者に負担となり流通在庫が減少、販売の伸び悩みにつながったという。
同社は24年12月通期の業績予想を下方修正した。1株当たり利益(EPS)は12.05〜12.55ドルと15.10〜15.60ドルから引き下げた。売上高は454億〜460億ドルと上限を6億ドル下げた。
マンジャロとゼプバウンドの供給難が続くなかで「需要を高める活動には慎重だった」ことや、米バイオ医薬品企業モーフィック・ホールディングの買収に伴う費用を計上したことが下方修正の主因だという。
[IEX] アイデックス 3Q増収減益 売上高1%増7.98億ドル、営業益7%減1.68億ドル、EPS1.57ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ITW] イリノイツールワークス 3Q減収営業減益 売上高2%減39.6億ドル、営業益2%減10.5億ドル、配当1.50ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[ABBV] アッヴィ 3Q増収営業増益 売上高4%増144億ドル、営業益68%増38.3億ドル、EPS0.88ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[VMC] バルカンマテリアルズ 3Q減収減益 売上高8%減20.0億ドル、営業益20%減3.37億ドル、EPS1.56ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[FTV] フォーティブ 3Q増収増益 売上高3%増15.3億ドル、営業益2%増2.95億ドル、EPS0.63ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KHC] クラフトハインツ 3Q減収赤字転落 売上高3%減63.8億ドル、営業赤字1.01億ドル、EPSマイナス0.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LLY] イーライリリー 3Q増収最終黒字転換 売上高20%増114億ドル、純利益9.70億ドル、EPS1.07ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MLM] マーチンマリエッタマテリアルズ 3Q減収減益 売上高5%減18.8億ドル、営業益14%減4.89億ドル、EPS5.92ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ADP] オートマチックデータプロセシング 1Q増収最終増益 売上高7%増48.3億ドル、純利益11%増9.56億ドル、EPS2.34ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BIIB] バイオジェン 3Q減収最終黒字転換 売上高3%減24.6億ドル、純利益3.88億ドル、EPS2.66ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EXC] エクセロン 3Q増収増益 売上高3%増61.5億ドル、営業益7%増11.9億ドル、EPS0.70ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NI] ナイソース 3Q増収営業減益 売上高5%増10.7億ドル、営業益6%減2.18億ドル、EPS0.19ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CAT] キャタピラー 3Q減収減益 売上高4%減161億ドル、営業益9%減31.4億ドル、EPS5.06ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GEHC] GEヘルスケアテクノロジーズ 3Q増収増益 売上高1%増48.6億ドル、営業益10%増6.76億ドル、EPS1.02ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BG] ブンゲグローバル 3Q減収最終減益 売上高9%減129億ドル、純利益41%減2.21億ドル、EPS1.56ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TEL] TEコネクティビティ 2024年9月通期は減収増益 売上高1%減158億ドル、営業益21%増27.9億ドル、EPS10.33ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[OTIS] オーチスワールドワイド 3Q増収営業減益 売上高1%増35.4億ドル、営業益36%減3.63億ドル、EPS1.34ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TT] トレインテクノロジーズ 3Q増収増益 売上高11%増54.4億ドル、営業益19%増10.2億ドル、EPS3.39ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MET] メットライフ 3Q増収最終増益 売上高16%増184億ドル、純利益3.0倍12.7億ドル、EPS1.81ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AWK] アメリカンウォーターワークス 3Q増収増益 売上高13%増13.2億ドル、営業益14%増5.43億ドル、EPS1.80ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CHRW] CHロビンソン 3Q増収増益 売上高7%増46.4億ドル、営業益59%増1.80億ドル、EPS0.80ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ALL] オールステート 3Q増収最終黒字転換 売上高15%増166億ドル、純利益11.6億ドル、EPS4.33ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KLAC] KLA 1Q増収最終増益 売上高19%増28.4億ドル、純利益28%増9.45億ドル、EPS7.01ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[COKE] コカコーラコンソリデーティッド 3Q増収増益 売上高3%増17.6億ドル、営業益5%増2.27億ドル、EPS13.18ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CLX] クロロックス 1Q増収最終増益 売上高27%増17.6億ドル、純利益4.5倍9900万ドル、配当2.44ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[PRU] プルデンシャル 3Q増収最終黒字転換 売上高94%増194億ドル、純利益4.48億ドル、EPS1.25ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AFL] アフラック 3Q減収最終赤字転落 売上高40%減29.4億ドル、最終赤字9300万ドル、EPSマイナス0.17ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SBUX] スターバックス 2024年9月通期は増収減益 売上高1%増361億ドル、営業益8%減54.0億ドル、配当2.32ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[EBAY] イーベイ 3Q増収営業増益 売上高3%増25.7億ドル、営業益31%増5.95億ドル、EPS1.28ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[META] メタプラットフォームズ 3Q増収増益 売上高19%増405億ドル、営業益26%増173億ドル、EPS6.03ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMGN] アムジェン 3Q増収増益 売上高23%増85.0億ドル、営業益1%増20.4億ドル、EPS5.22ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BKNG] ブッキングHD 3Q増収営業増益 売上高9%増79.9億ドル、営業益2%増31.7億ドル、EPS74.33ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MSFT] マイクロソフト 1Q増収増益 売上高16%増655億ドル、営業益14%増305億ドル、配当0.83ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
オーストラリアのコモンウェルス銀行、ベトナム国際商業銀行株を売却 320億円 - 日本経済新聞
【社説】独フォルクスワーゲンにネットゼロの壁 - WSJ
米大統領選に大きな影響を与える「オクトーバー・サプライズ」が今週到来したかもしれない。場所はドイツだ。独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が自動車工場3カ所の閉鎖と1万人の人員削減、従業員の大幅賃下げに踏み切る可能性があるとの知らせは、米バイデン・ハリス政権の気候変動対策の危険性について米国民に警鐘を鳴らしている。
このニュースは28日、VW従業員でつくる労働評議会のトップから従業員たちに伝えられた。これは控えめに言っても、欧州一の経済大国にとって衝撃的な出来事だ。VWグループは、旗艦ブランド「VW」の工場10カ所があるドイツで約30万人を雇用している。VWはここ30年間、強制的な人員削減を回避してきたし、同社の87年の歴史において本国ドイツで工場が閉鎖されたことはない。
自動車業界はドイツの――ひいては欧州の――産業経済の屋台骨である。VWは欧州の大半の国々で工場を運営し、スペインの「セアト」やチェコの「シュコダ」といったブランドを保有している。VWで不調が生じれば、ドイツと欧州にも深刻な不調が生じる。
政治家は予想通り経営陣を非難しており、それには一理ある。同社は「ディーゼルゲート」騒動による評判の低下と財務上のダメージから完全には回復していない。ディーゼルゲートでは、同社が排ガス試験を不正操作するためのソフトウエアを車に搭載していたことが判明した。攻撃的な労働組合が、議決権株の20%を保有するニーダーザクセン州政府と協力して労働コストの上昇を促したことも追い打ちをかけた。
しかし、より大きな責任を負うべきは政治家であり、特に気候変動対策に関してはそうだ。ドイツの自動車産業は、生産コスト上昇の要因であるエネルギー価格の上昇と、販売台数の減少につながる電気自動車(EV)義務化の双方から圧力を受けている。その重圧でVWに亀裂が入っている。
ドイツの大口事業者向け電気料金は、米国・中国・日本は言うまでもなく、欧州連合(EU)の平均をはるかに上回る。これは主に、ドイツ政府が石炭と原子力の利用を控え、より高コストで信頼性に劣る再生可能エネルギーを選択した結果だ。2022年のロシアによるウクライナ侵攻の影響でロシアからのガス供給が激減して以来、天然ガス価格は乱高下している。こうしたコストを避けるためにドイツでの生産を縮小する企業は多く、VWはその最新事例である。
一方で、欧州はEV義務化を引き続き推進している。EUは、2035年までに内燃機関(エンジン)車を段階的に減らし、自動車販売に占めるEVの割合を年々高めることを義務付けている。こうした事情からVWのような企業は、販売が慢性的に低迷しているにもかかわらず、多額の資金をEV生産に振り向けることを余儀なくされている。
この義務化措置によって、欧州の自動車メーカーは中国企業との新たな競争にさらされることになった。中国企業は、EV購入を強いられる欧州の消費者により安価なEVを提供できる。こうした状況を受けてEUは中国製EVに関税を課したが、ドイツ政府は中国との貿易戦争につながることを懸念してこの関税措置に反対した。しかし、VWは中国でも販売不振に陥っている。
ステランティスも、EUのEV義務化措置に反するのを避けるため、自動車生産を削減する可能性があると警告している。米フォード・モーターは、EVシフトのため欧州で数千人の人員削減を進めている。これらはすべて、消費者が望まない類いの車の販売を政治家がメーカーに強いているために起きている。
欧州自動車産業の苦境は、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を目指す気候変動対策が、欧米における1930年代以来最悪の経済的マゾヒズム行為であることの痛ましい証拠だ。少なくとも今回のニュースは、米国民が欧州と同じ過ちを続けたいのかどうかを熟考するのに間に合うタイミングで届いた。
独シーメンス、米ソフトのアルテア買収 1兆5000億円で - 日本経済新聞
機器・システム世界大手のドイツ・シーメンスは30日、米ソフトウエア大手のアルテア・エンジニアリングを100億ドル(約1兆5300億円)で買収すると発表した。アルテアが強みを持つシミュレーション解析技術を取り込み、工場の自動化・効率化などデジタル産業事業を強化する狙いがある。
米スーパー・マイクロ・コンピューター、監査法人が辞任-株価急落 - Bloomberg
アーンスト・ アンド・ヤング(EY)は、経営難のサーバーメーカー、米スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)の監査法人を辞任した。SMCIのガバナンスと透明性に懸念があることが理由だという。
30日公表されたSMCIの当局提出文書によると、同社の誠実さと倫理に対するコミットメントにEYは疑問を提起した。これより先にウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、SMCIが会計規則に違反したとする元従業員の告発について米司法省が調査を開始したと報じていた。
SMCIは新たな監査法人探しに着手したとも、文書では説明している。
監査法人の辞任を受け、SMCI株は30日の取引で一時34%下落した。
●日本企業
オリエンタルランド、上半期は18%営業減益 人件費かさむ | ロイター
住友化、通期営業益予想を上方修正 改善計画進み1100億円上振れ | ロイター
野村HD、相場操縦が呪縛に-わずかな利得の代償大きく - Bloomberg
LIXILが最終赤字 4〜9月決算、米国事業低迷 - 日本経済新聞
LIXILが30日に発表した2024年4〜9月期連結決算(国際会計基準、継続事業ベース)は、最終損益が38億円の赤字(前年同期は2億7600万円の黒字)だった。リフォーム需要の伸びや値上げの効果が現れたものの、米国事業の収益性悪化で繰り延べ税金資産を取り崩し税金費用が増えた。
三菱自動車の純利益44%減 4〜9月決算、円上昇で為替差損 - 日本経済新聞
三菱自動車が30日発表した2024年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比44%減の379億円だった。円相場の急激な上昇で為替差損が生じた。競争が激しい米国で販売対策費用もかさんだ。
売上高は2%減の1兆3073億円、営業利益は13%減の907億円だった。販売台数は40万8千台と5%増えた一方、米国を中心に販売競争が激化。販売奨励金の積み増しで、277億円の減益要因となった。
サイバーエージェント、「ABEMA」など黒字へ 25年9月期純利益29%増 - 日本経済新聞
トヨタ系中堅5社の今期最終、2社下方修正 日中で苦戦 - 日本経済新聞
トヨタ自動車系の中堅部品メーカー5社は30日、2024年4〜9月期の連結決算を発表した。25年3月期の最終損益見通しは大豊工業とフタバ産業の2社が下方修正・赤字に転落した。国内の生産停止に加え、日系メーカーが苦戦する中国での受注減が響いており、各社が警戒を強めている。
エンジン用軸受けの大豊工業は29億円の赤字(前期は17億円の黒字)と、19億円の黒字予想から一転最大の赤字となる。国内で設備投資を進めていた子会社の受注が振るわず、特別損失を計上する。
大豊工業の延川洋二執行役員は同日開いた記者会見で「中国やタイの減少が大きい」と海外での減速を主な要因に挙げた。電動車への部品拡充や生産集約などの合理化を進めて挽回を図る。
トヨタの24年4〜9月の世界生産は前年同期比7%減の470万台だった。前年同期を下回るのは同期間で4年ぶり。国内は車の量産に必要な「型式指定」の認証不正発覚による一部車種の生産停止が響く。
トヨタは5月に発表した25年3月期の生産見通しを1000万台としていた。ただ、4月以降に国内だけでなく、米国でもリコール(回収・無償修理)に伴い一部車種が生産停止になるなどの事例が目立つ。
競争が激しい中国での生産も振るわない。ボディー部品を手掛けるフタバ産業は純利益が前期比53%減の60億円となる見通しだ。中国・天津地区にある部品生産の子会社を2社から1社に集約し、約13億円の特別損失を計上する。
魚住吉博社長は「顧客の中心は日系メーカーで、スリム化はこのタイミングで必須だ」と話した。今後の生産も上向かないとみて再編に着手する。
東海理化と中央発条の2社は上方修正した。価格転嫁などが下支えする。一方で不透明な事業環境は変わらず、先行きへの警戒感を緩めていない。
ばね部品の中央発条は新型部品が寄与し、純利益見通しを前期比15%減の17億円と従来予想の12億円(前期比40%減)から引き上げた。ただ、小出健太社長は生産動向について「トヨタの計画より10%程度保守的にみている」と話す。
トヨタは部品会社に対して、労務費の上昇分を支援するとしている。東海理化の二之夕裕美社長は取引先に対して「労務費の5%分の上昇を支援している」と話した。供給網全体で各社反映は進んでいるが、生産減への対応が急務だ。
エンジン部品を手掛ける愛三工業は今期の純利益予想を過去最高となる前期比11%増の130億円に据え置いた。デンソーから事業譲渡を受けた燃料ポンプが好調に伸びた。加藤茂和副社長は中国で「部品の現地調達化を増やし競争力を高めてきた」とした。
収益を押し上げてきた為替も円安修正が進む。11月5日には米大統領選も控えており、愛三工業の佐藤健二執行役員は「為替動向が不透明だ」と漏らす。
24年4〜9月期の連結最終損益は東海理化やフタバ産業など4社が減益か赤字だった。国内外で車生産が振るわず、部品の納入が伸びなかった。
南海電鉄、鉄道事業を26年に分社化 不動産など成長加速 - 日本経済新聞
南海電気鉄道は30日、2026年4月をめどに鉄道事業を分社化すると発表した。100%出資の新会社を設立し、本体やグループ会社で手がける鉄道事業を移管する。現在の南海電鉄は不動産事業や新規事業などを手掛ける事業持ち株会社になる。経営判断を速めて成長分野を開拓する。
25年6月に開催する定時株主総会での承認や、所管官庁による許認可を経て実施する。連結従業員およそ8900人のうち、鉄道事業に携わる2500人や一部のコーポレート担当社員が新会社に出向する。現在の南海電鉄の社名変更は、新会社の名称とあわせて今後検討する。
不動産事業や「未来探索」と呼ぶ次世代の主力事業を「今後の成長領域と位置づけ、トライアンドエラーも含め、競合に勝てる体制を確立する必要がある」(大塚貴裕・取締役常務執行役員)として意思決定を速める。鉄道子会社では安全性向上や技術承継、働き方改革などへの取り組みに注力する。
●米大統領選挙
アングル:脱線と誇張と虚偽話、最終盤のトランプ氏演説一段と奔放に | ロイター
トランプ集会のコメディアン発言、選挙直前に痛手となるか - WSJ
ハリス氏とトランプ氏の支持率拮抗、激戦ペンシルベニア州=調査 | ロイター
CNNが米大統領選に向け激戦州で実施した支持率調査によると、民主党候補ハリス副大統領がミシガンとウィスコンシン両州でリードしている。一方、ペンシルベニア州ではハリス氏と共和党候補トランプ前大統領の支持率が拮抗し、大接戦となっている。
ミシガン州での支持率はハリス氏が48%、トランプ氏が43%、ウィスコンシン州ではハリス氏が51%、トランプ氏が45%、ペンシルベニア州では48%で同率となっている。
調査は23─28日にかけ、ミシガン州の有権者726人、ペンシルベニア州の819人、ウィスコンシン州の736人を対象にオンラインと電話で実施された。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
米GDP、7-9月は堅調なペースで拡大-個人消費が予想上回る - Bloomberg
米経済は7-9月(第3四半期)に堅調なペースで拡大した。世界的な逆風や11月の米選挙を控えた不透明感にもかかわらず、家計と企業が底堅さを維持した。
実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.8%増
市場予想は2.9%増
4-6月(第2四半期)確定値は3.0%増
個人消費は3.7%増加、市場予想(3.3%増)を上回った
個人消費は2023年初頭以来の高い伸びとなった。
食品とエネルギーを除く個人消費支出(PCE)コア価格指数は2.2%上昇。伸びは米金融当局の目標にほぼ一致した。市場予想は2.1%上昇だった。
純輸出がGDP全体を0.56ポイント押し下げた。港湾労働者のストライキが長引きかねないとの懸念から、小売業者が消費財の輸入を急いだことが背景にある。在庫も0.17ポイントの下押し要因となった。
基調的な需要の強さを測るインフレ調整後の国内民間最終需要は3.2%増と、今年最も高い伸びとなった。
設備投資は年率3.3%増。構造物への投資が足かせとなり、1年ぶりの低いペースとなった。一方、機器への投資は2023年4-6月(第2四半期)以来の高水準。個人消費は全般的に加速した。
住宅投資は年率5.1%のマイナスで、2022年末以来の大幅減となった。住宅市場は物件価格とローン金利の高止まりで低迷が続いている。
訂正 豪CPI、第3四半期は前年比+2.8%で3年半ぶり低水準 コアはなお粘着的 | ロイター
ユーロ圏GDP、第3四半期は前期比+0.4% 予想の2倍の伸び | ロイター
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が30日発表した第3・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は、前期比0.4%増加し、アナリスト予想(0.2%増)を上回る伸びとなった。
しかし工業部門はリセッション(景気後退)に陥り、個人消費もほとんど伸びておらず、依然として弱さが残ることが示された。
前年同期比では0.9%増と、第2・四半期の0.6%から加速した。通年では1%弱となるペースで、潜在成長率を下回っている。
第3・四半期はドイツのGDPが前期比0.2%増と予想外に拡大し、景気後退を回避したことが最大のサプライズだった。フランスとスペインも市場予想を上回る伸びを記録した。
非ユーロ圏加盟国を含むEU全体のGDPは前期比0.3%増と、第2・四半期の0.2%から小幅拡大した。
INGのエコノミスト、カルステン・ブレゼスキ氏はドイツについて「経済が依然停滞していることに変わりはない」と指摘。破産件数の増加や個別企業の雇用再編の発表など危うい兆候がみられると述べた。
イタリアGDP、第3四半期は前期比横ばい 予想下回り先行きに影 | ロイター
独GDP、第3四半期+0.2% 予想外の拡大で景気後退回避 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が30日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.2%拡大した。政府支出と家計支出に支えられ予想外に増加した。
政府支出と家計支出に支えられ、「テクニカル・リセッション(景気後退)」と見なされる2四半期連続のマイナス成長を回避した。
アナリストは0.1%の縮小を予想していた。
アウフホイザー・ランプのチーフエコノミスト、アレクサンダー・クルーガー氏は「ドイツ経済は多くの構造的な課題を抱えているが、回復の兆しが見え始めている」と述べ、「消費者が警戒をやや緩めたことによるものだ」と分析した。
一方で、成長見通しは非常に弱く、極めて緩やかなペースにとどまっているとも指摘した。
第2・四半期のGDPは0.1%減から0.3%減に下方改定された。
ハーベック経済相は「必要水準には程遠いが少なくとも一筋の希望の光」とし、国内経済は以前の予想より力強く予想されたテクニカル・リセッションは回避されたと述べた。
INGのエコノミスト、カルステン・ブレゼスキ氏は「テクニカル・リセッションにはならなかったが経済はコロナ禍が始まった当初とほとんど変わらない規模だ」と述べた。
連邦雇用庁が同日発表した10月の失業者数は季節調整済みで2万7000人増の286万人となった。アナリストは1万5000人の増加を予想していた。
季節調整済みの失業率は6.1%で横ばいだった。
同庁は「労働市場の秋の好転は、今年はほとんど実現しなかった」と指摘した。
第3四半期の仏GDP、前期比+0.4%に加速 パリ五輪が寄与 | ロイター
米10月ADP民間雇用、23.3万人増 予想上回る | ロイター
10月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は23万3000人増だった。ハリケーンやストライキによる一時的な混乱への懸念にもかかわらず急増した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は11万4000人増だった。9月は14万3000人増から15万9000人増に上方修正された。
今週11月1日には政府の10月の雇用統計が発表される。ロイター調査によると、非農業部門雇用者数は11万5000人増、失業率は横ばいの4.1%と予想されている。
独インフレ率、10月は前年比2.4%に加速 予想上回る | ロイター
10月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比2.4%上昇した。前月の1.8%から加速し、アナリスト予想の2.1%も上回った。
●金融市場、先進国トピックス
「AAA」債がデフォルト、米オフィス市場の底知れぬ落とし穴 - Bloomberg
ウォール街の金融関係者にとって、ブロードウェイ1407番地のビルは、考え得る限り最も盤石な資産だった。ニューヨーク市マンハッタンの歴史あるガーメントディストリクトの中心に位置する43階建てのビルは、リッチな企業テナントが尽きることのない収益を生み出すマシンだった。
そのため、2019年の賃貸収入を担保に3億5000万ドル(約540億円)相当の債券が発行された時、その大半は格付け会社から最上級の「AAA」相当の信用格付けを得た。
世界の金融市場の指標となる米国債でさえ、これほど安全とは見なされていない。ブロードウェイ1407番地は景気循環の影響を受けないため、デフォルト(債務不履行)はあり得ない、そんなことは5000年に一度の異常事態だ、と考えられていた。
債券発行から4年と212日後の今年6月17日、AAA格付け債の保有者たちは、その月に支払われるべき100万ドルの利息が満額は支払われないことを知らされた。保有者らは現在、投資した資金の回収を目指してビルを差し押さえようとしている。
シカゴのリバーノースポイントと呼ばれるビルも同様の状況だ。サンフランシスコのカリフォルニアストリート600番地とロサンゼルスのウエスト5番街555番地も同じだ。
マンハッタンに戻ると、ブロードウェイ1407番地から少し歩いたところにある旧MONYビルは正式にデフォルト(債務不履行)している。
この建物は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前と比較し、評価額が激減。一部の債権者は投資資金を全て失い、AAA格付け債の購入者でさえ26%の損失を被った。これは、金融危機以来のことだ。
パンデミックによってひっくり返された世界金融市場のホットスポットの中でも、商業用不動産担保証券(CMBS)市場ほど脆弱(ぜいじゃく)なものはほとんどない。この市場において最も痛手を受けているのは、ブロードウェイ1407番地のような物件が代表する「SASB」と呼ばれる新しいタイプの債券だ。
ブルームバーグが米国のオフィス物件に関連するほぼすべて(150件以上)のSASB債を分析したところ、多数の案件の債権者が当初投資額の一部しか回収できない見通しであることが明らかになった。多くの場合、損失はAAA部分の債券の購入者にまで及ぶ可能性が高い。
SASBは「Single Asset Single Borrower(単一資産、単一借り手)」の頭文字で、何百もの不動産ローンを束ねる従来のCMBSとは異なり、一つの建物に設定された抵当権一つを裏付けとしている。
このコンセプトがどれほどリスクの高いものかということを、パンデミックが明らかにした。しかし、ロックダウン(都市封鎖)やリモートワークが日常的な言葉になる前は、投資家はそれに気付かなかった。
AAA格付けが安心だと信じていた投資家たちは、SASB債を熱狂的に買いあさり、ほぼゼロから10年余りで3000億ドル規模の市場へと成長させた。
「ひどい案件も出てくるだろう。AAA格付け債で損失が発生する可能性もある。基本的に資産の買い手はいない」とTPGアンジェロ・ゴードンの仕組みクレジット・スペシャルティーファイナンス責任者TJ・ダーキン氏は話した。
「投資コミュニティーは不動産が時代遅れになることはないと考えていたが、それは間違いだった」と述べた。
ブルームバーグ・ターミナルのユーザーは、この記事で取り上げた住宅ローン担保証券の詳細について、こちらをクリックしてください。
はっきりさせておくと、SASB債の市場、そしてCMBS市場全体は、ある程度回復し始めている。
最も大きな打撃を受けた案件では損失が積み上がっている一方で、大都市の好立地に位置する新しい建物を裏付とするSASB債への需要は回復しつつある。
今年に入ってからの新規SASB債の発行総額は560億ドルに達しており、これは数年前に市場が停滞する以前の水準にほぼ匹敵する。「商業用不動産担保証券市場は、今まさに持てる者と持たざる者の世界だ」と、バークレイズのCMBSストラテジスト、リア・オーバービー氏は述べている。 
持たざる者の中にも、安定化の兆しが表れ始めている。 
SASB債のディストレスト案件の幾つかは、バーゲンハンターが飛びつく水準にまで値下がりした。 エリントン・マネジメント・グループやビーチポイント・キャピタル・マネジメント、バルベック・キャピタル、そして今年始動したヘッジファンドのマイカ・クリーク・キャピタル・パートナーズは、いずれも積極的な買い手となっている。 
TPGアンジェロのダーキン氏も、購入の機会をうかがっている。
バルベックのポートフォリオマネジャー、マルチェロ・クリコリッツァ氏は「非常に大きなチャンスがあると考えている。しかし、同時に重大な落とし穴もあるだろう」と語った。
どこに最大の危険があるかは、データを一目見れば分かる。
SASBの商業用不動産担保証券の裏付けとなっているオフィスビルの多くが、以前の価値のほんの一部で再評価されている。
例えば、ガスカンパニータワー。ロサンゼルスのウエスト5番街555番地にあるこの超高層ビルは、数年前には6億3000万ドル以上の価値があると評価されていた。
それが今年3月には2億1500万ドルまで評価額が低下。所有者のブルックフィールド・アセット・マネジメントは最終的に物件を債権者に引き渡し、ロサンゼルス郡が最近、管財手続き中のこのビルを2億ドル以下で買い取る予定だと発表した。
ブルームバーグが追跡したもう一つの重要な指標は、業界では評価額引き下げ額(ARA)として知られているものだ。
これは、要するに、新たな評価額に基づいてCMBSの未払い残高が不動産の価値をどの程度上回っているかを判断するもので、優先順位が低い債権者への利払いを減額または停止するために用いられる。
マンハッタンのブロードウェイ1407番地やシカゴのリバーノースポイント、ロサンゼルスのサウスフィゲロアストリート725番地では、ARAが1億7000万ドルから2億2600万ドルに達しており、AAA格付けの債券購入者が大きな損失を被る可能性がある。
また、これらのビルが売却された場合、格付けの低い債券の保有者は投資した全額を失い得る。
市場ウオッチャーは、評価額はビルの最終的な売却価格とは異なる可能性があり、債券保有者への分配前に返済しなければならない追加費用がかかる場合が多いことに触れ、ARAは損失予測の不完全な指標だと指摘している。
苦境に立たされている物件すべてで、最近の評価額やARAが分かっているわけではない。債権者グループは、利子の支払いを受け続けるために評価を遅らせるという既得権益を持っていることが多く、評価が完了した場合でも、新しい価値が常に開示されるとは限らない。
しかし、債券価格は多くの場合、問題の程度を明らかにする。かつては最高ランクの信用格付けを受けていたオフィスビルに関連するSASB十数本の価格は現在、額面1ドルに対して80セント以下で取引されており、これは苦境にあるビルに共通する市場の基準値だ。
アトランタのピーチツリーセンターを裏付けとする債券1億1500万ドルの上位ランクは、額面1ドル当たり55セント前後で取引されている。
この債券は、18年の発行当初はS&Pグローバル・レーティングにより「AAA」の格付けを付与されていたが、その後17段階も格下げされ「CCC」となった。
シアトル郊外では、ブラバーンコンプレックスを裏付けとする債券が80セント前後で取引されている。報道によると、唯一のテナントであるマイクロソフトは、25年に75万平方フィート(約6万9677平方メートル)のリース契約が満了した後は更新しない意向だと昨年発表した。
さらに、多くの債券が債権者への利息の全額支払いを停止しており、その原因は多くの場合、賃貸収入が予想を下回ったり、債務利払いコストが上昇したりしたことだ。
サンフランシスコの有名なエンバーカデロから数ブロックのところにあるカリフォルニアストリート600番地では、商業用不動産データ会社コスター・グループによると、そのスペースの3分の2以上が空いている。
債券保有者には、利息約600万ドルが未払いとなっている。カンザスシティー郊外にあるオフィス ビル、アスピリアを裏付けとするCMBSの保有者には、約1400万ドルの利息が支払われていない。
ブロードウェイ1407番地の所有者であるショーレンスタインの担当者はコメントを控えた。
債権者の代理として介入するために任命された特別サービサーのトーチライト・ローン・サービシズおよび投資家のロード・アベットとパーマー・スクエアは、コメント要請に応じなかった。
リバーノースポイントを所有するブラックストーンは、同社が直面する課題を踏まえ、22年に同物件を事実上償却したという。他のすべてのビルオーナーはコメントを避けるか、コメント要請に応じなかった。
テキサス大学オースティン校のジョン・グリフィン教授(金融学)は「AAA格付けは、通常5000年に一度未満のデフォルト率となる債務証券として設計されている」と説明。
「しかし私たちは今、金融危機からそれほどたっていないのにデフォルトを目の当たりにしている。仕組み金融の主要な問題が解決されたようには見えない」と語った。
実際、SASBも金融危機が残した遺産の一部だ。
CMBSは歴史的に、大量の不動産ローンを裏付けとしてきた。09年と10年には、住宅ローン市場の混乱が信用市場全体に及び、数十億ドル規模の取引がデフォルトに陥った。CMBS組成のためにバランスシート上に大量の商業用不動産ローンを抱えていた銀行は、特に大きな打撃を受けた。
その後数年の間に、プロセスを迅速化しリスクを軽減する試みの一環として、銀行は1棟の建物の購入資金を融資する単一ローンを裏付けとするCMBSの販売に力を注ぐようになった。
投資信託や保険会社、年金基金などの投資家は、数百もの資産ではなく、一つの資産の質を評価する方が容易であると考え、この商品を好んだ。
その仕組みは基本的に従来のCMBSと同じだ。銀行の貸し手が住宅ローンを保有する投資事業体を設立し、投資家は債券の形でその一部を購入する。
その見返りとして投資家は裏付けとなるローンから得られる収入の一部を受け取る。キャッシュフローはいわゆる「ウオーターフォール構造」に従い、最も優先順位の高い債券が最初に支払いを受け、最もリスクの高い部分が最後に支払われる。
格付け会社は、こうした案件の最上級トランシェにいち早くAAA格付けを与え、通常こうしたトランシェは全体の約半分を占めた。
今では、それは間違いだったという意見が多い。
バークレイズのデータによると、当初S&PからAAAの格付けを受けていたSASB債の4分の1以上が格下げされたのに対し、多数の住宅ローンをプールする「コンデュイットCMBS」の格下げは0.4%にとどまった。 
また、クロール・ボンド・レーティング・エージェンシー(KBRA)によれば、AAAのSASB債の17%が格下げされたのに対し、コンデュイットCMBSの格下げは0.3%にとどまった。
「格付け機関は、プールという利点がない単一資産の場合、こうした案件のAAAの格付け方法を見直す必要がある」と、エリントンの商業用不動産債務責任者、レオ・フアン氏は話した。
KBRAの広報担当者は、同社は定期的にその手法を見直しており、現時点ではアプローチを変更する計画はないと述べた。また、同社がAAA格付けを付与したSASB債で損失が発生した例はないと付け加えた。
ブロードウェイ1407番地の案件で唯一の格付け会社であるフィッチ・レーティングスの米州仕組み金融責任者マリア・パウラ・モレノ氏は、同社が格付けしているSASB債のうち、スペシャルサービシング中のローンは4件のみであり「SASB案件自体が問題なのではなく、問題はオフィス物件セクターのストレスだ」と語った。
S&Pの担当者はブルームバーグ・ニュースに対し、同社の7-9月(第3四半期)CMBSリポートを引用し、不動産評価額の急激な下落と賃貸条件の悪化が、多くのオフィスSASB債の格下げにつながったと説明した。
そのうちの最新のものが出たのはほんの数週間前のことだ。アトランタのダウンタウンにあるピーチツリー・センターの債券に関するものだった。
S&Pはすでに過去数年にわたって、ピーチツリー・センターの債務の最上位部分に対する格付けを11段階引き下げ「BB」にしていたが、それさえも明らかに不十分であることが判明した。
この複合施設の入居率は依然として50%を下回ったままだった。さらに、S&Pのアナリストはこのセンターの売却で得られる利益を純額6000万ドルと新たに推計。18年にSASB債が投資家に売り込まれた当時、この複合施設の価値はその4倍以上に評価されていた。
この債券の新しい格付け「CCC」は、あと数段階でデフォルトという位置付けだ。
ドイツ銀行のストラテジスト、エド・リアドン氏は「SASB債は独特だ。たった一つのビルに依存している。その不動産が時代遅れになった場合、それは大きな課題になる」と警鐘を鳴らしている。
アングル:長引く生活費高騰が米有権者の懸案、現政権批判に直結 | ロイター
米大統領選の激戦州の1つ、中西部ミシガン州のデトロイト南西部に住むティエシャ・ブラックウェルさん(24)は、2020年の前回大統領選でバイデン大統領に票を入れたが、今回は共和党候補のトランプ前大統領に投票しようとしている。食品や住宅の価格高騰が主な理由だ。
ブラックウェルさんは以前より良い仕事に就いているものの、前の家を退去せざるを得なくなってから家賃は2倍になり、食費や公共料金の負担も跳ね上がったと話す。
デトロイトで今月開かれた共和党の副大統領候補バンス上院議員の集会に参加したブラックウェルさんは「4年前に比べて自分が貧乏になった訳ではない。だが当時よりも、物価が本当に高い。575ドルだった家賃は1100ドルに上がり、1ポンド当たり2.99ドルだったと記憶している牛肩の挽き肉は今、4.99ドルだ。全てが値上がりしている」と嘆いた。
マクロ経済の視点では、米国がコロナ禍後に経験した景気回復は他の先進国にとって羨望の的だった。力強い消費や企業と政府の投資が、懸念された景気後退の回避につながり、株価は最高値圏で推移。雇用と賃金の伸びは急速で、失業率は低く、22年に大きく上振れた物価上昇率は足元では20年1月と同じ水準で落ち着いている。
一方で、食品や家賃、公共料金、外食などの特別な楽しみのための費用はいずれも19年の水準よりずっと高い。なぜならば労働コストや競争の欠如、サプライチェーン(供給網)関連問題など政府による影響力行使が限られる複雑な要因が絡み合っているからだ。
多くの米国民は今、常に「スティッカー・ショック(商品の価格表示を見て衝撃を受けること)」に見舞われている。
だからこそ7つの激戦州では人々の経済に対する見方が悲観的なのかもしれない。今月公表されたロイター/イプソスによる世論調査によると、これらの州では回答者の61%が経済は悪い方に向かっていると述べ、68%は生活費も上昇傾向だと訴えた。
民主党候補のハリス副大統領とトランプ氏はそれぞれ異なる処方せんを提案している。ハリス氏は便乗値上げの取り締まりや子育て関連の税控除拡大を約束。トランプ氏は残業代への課税軽減、輸入品に対する一律の関税適用で製造業を国内に戻し、大量の移民を強制送還すると表明した。
専門家の多くは、トランプ氏の関税案と移民強制送還はモノやサービスの価格を押し上げるし、ハリス氏の便乗値上げ規制は全米レベルで実効性が証明されていないと指摘する。
それでも、この世論調査では経済問題に関する政策手腕の点ではトランプ氏の支持率が46%と、ハリス氏の38%を上回った。
トランプ氏の政策が実際有効だとは思わないが、有権者の不満は感じ取れる、というのが経済学者の見方だ。
保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のディレクターで以前にトランプ氏の関税政策を批判したマイケル・ストレイン氏は「私は一般の人よりインフレを理解しているし、米連邦準備理事会(FRB)で働いていたこともある。それでも、インフレに動揺させられる自分に驚き続けている。長年通ってきた飲食店で料金が50ドルでなく70ドルになった際には、誰かに顔面を殴られて財布から20ドルを盗まれた気分になる」と語る。
ミシガン州のブラックウェルさんは、輸入品を閉め出して米国の雇用を守るには関税が必要だというトランプ氏の主張に共感している。「確かに関税は消費者にとって物価押し上げを招く恐れはあるが、長期的に何らかの効果が出てくるはずだ」という。
<異なる目線>
ハリス氏による今月28日のミシガン訪問は、民主党大統領候補に指名されて以来、10回目となった。同州は1990年以降に自動車関連雇用の3分の1余りが失われた傷がなお癒えず、2016年の選挙ではトランプ氏が制した。20年はバイデン氏が勝利したとはいえ、得票差は3ポイント弱に過ぎない。
ハリス陣営はミシガン州に、トランプ陣営の4倍近い375人を配置している。ただ、世論調査ではハリス氏の支持率はトランプ氏を1ポイント弱しか上回っていない。
ハリス氏は今月21日、デトロイト郊外のオークランド郡で開いた集会でトランプ氏を強く批判するリズ・チェイニー元共和党下院議員と会談。同州カラマズーでハリス氏が26日に行った集会には人気の高いオバマ元大統領夫人のミシェルさんが合流した。
民主党ストラテジストのアメシア・クロス氏は、ミシガンと全米で数十万人分の雇用を創出したという意味でバイデン政権は評価に値するのだが、生活費の高さが引き続き有権者に大きく影を落としていると認めた。
クロス氏は「雇用統計に反映されない個人的な経済事情の観点で、人々が感じていることは多い」と述べ、電気自動車(EV)が地元自動車業界にもたらす影響を巡る不安や、住宅価格、食費などを挙げた。
「ダウ平均株価の話ではない。大半の人々は手持ちのお金では数年前に可能だったことができなくなっていると訴えている。全ての政治は個人的なものだ。彼らの政治的指向は、日常生活の状況に左右される」と指摘する。
ミシガン州フリントで暮らす大学生のデビン・ジョーンズさん(20)は、ともに退役軍人の両親が物価高騰のあおりで引っ越しを迫られ、インディアナ州ゴシェンにより価格の安い家を買うことになったと明かした。18歳の誕生日にジョーンズさんが生まれたドイツへの旅行に連れて行く約束も先送りされているという。
ジョーンズさんは、牛挽き肉や卵の値上がりぶりは「常軌を逸している」とあきれ返り、トランプ政権時代はこんな高過ぎる物価ではなかったと強調した。
焦点:国内生保、下期の円債投資姿勢に濃淡 脱「円金利一辺倒」も | ロイター
国内の生命保険各社は2024年度下期、金利上昇で投資妙味の高まる日本国債への投資を運用計画の中心に据えている。ただ、投資姿勢には濃淡があり、大手生保の一部には「脱・円金利一辺倒」を模索する動きも出ている。
生命保険契約という超長期の円建て負債を抱える生保会社にとって、年限の長い日本国債は長年、資産運用の柱となってきた。日銀の金融政策正常化を背景に国内金利が上昇する中、24年度下期も超長期国債が運用の主軸との構図自体は変わらないが、持ち過ぎは「リスク」だとして、他の資産と「リスク対比リターン」を比較した上で配分する姿勢を鮮明にする会社も増えつつある。
<規制対応は早くも達成>
こうした円債投資意欲のばらつきの背景には、25年度に導入される新たな資本規制(経済価値ベースのソルベンシー規制)対応の「順調すぎる」進捗状況がある。
現行の規制では保険会社の健全性について、資産を概ね時価で評価する一方、負債(責任準備金)は簿価で評価。しかし経済価値ベースでの健全性評価を目指した新規制では、負債勘定も時価で評価することとなり、金利変動リスクが発生する。このため多くの生保では、資産勘定と負債勘定のデュレーションをなるべくマッチさせて、バランスシート全体の金利リスクを縮小させるため、超長期債の購入を積極的に行ってきた。
第一生命では、前中期経営計画(中計)の期間だった21─23年度の責任準備対応債券(円債)の積み増しを進めた結果、前年度末には金利リスクの削減目標を超過して達成。またほかの大手生保幹部も、ロイターの取材に対し「デュレーションギャップ(資産と負債の年限構成の差)はほぼゼロ」と話している。
<金利上昇でジレンマも>
この新規制の日本での導入に対する意識が強まったのは2019年ごろ。このため生保各社は、日銀のマイナス金利政策のもと長期金利がゼロ近辺、30年金利が0.2─0.4%台と低位で推移していた19年度末から、着実に超長期国債を積み上げていった。
結果として、大手を中心に早くも金利リスク削減目標を達成する会社が相次ぎ、日銀がマイナス金利政策を解除し、新発30年国債利回りが2.2%と、主要生保の負債コストの1.8%を上回る水準に上昇してきた今、少なくとも規制対応目的では「超長期の円債を買う必要がない」というジレンマが生まれている。
明治安田生命の北村乾一郎運用企画部長は「過去数年のように新規制対応でやみくもに買うスタンスはとらない。デュレーションの長いものを大量に買ってしまうと国内金利リスクが上昇し、リスク管理上好ましくない」と話している。
<買い余力残す生保も>
日本生命や第一生命に加えて、太陽生命、富国生命、大同生命などが下期に円債(日本生命は日本国債)残高を増加させる計画で、傾向としては中堅生保により前向きなスタンスが多い印象だ。
かんぽ生命も一時払い終身保険の販売が好調だとして、「今のように(30年金利が2.2%と)水準が悪くないなら、保険料が入ってくれば、素直に着実に超長期国債を購入している」(野村裕之執行役員・運用企画部長)と買い目線でいる。
<30年金利2.5%で買い加速というが>
とはいえ各社とも、金利が一段と上昇して超長期国債の投資妙味が高まる局面では買いを積極化する姿勢を示す。
購入を加速させる目安としては、第一生命や大樹生命、大同生命などが「30年金利で2.5%への上昇」を挙げており、そのあたりが各社の共通目線と言えそうだ。
ただ、その実現可能性は必ずしも高いと見られているわけではない。
住友生命とかんぽ生命では、下期に30年金利が2.5%まで上昇する可能性は低いとの見方から同金利のレンジ上限を2.4%と想定するほか、日本生命と明治安田生命のレンジ上限は2.5%と似たり寄ったりで、大幅な買い余力を残して年度内の金利上昇局面を待っているわけではなさそうだ。
<脱「円金利一辺倒」>
明治安田生命の北村氏は「われわれにとって円債は、あくまで世界的な債券の中の1つのパートでしかない。バランスを取りながら分散投資する。決して円金利一辺倒ではない」と述べ、一本足打法からの脱却を図る考えを示す。
分散投資先としては、ヘッジ付き外国社債のほか、ヘッジコストの変動に耐性のあるローン担保証券(CLO)やプライベートクレジット(ノンバンクによる企業向け融資)などの変動金利資産を挙げる向きが多い。
ゴールドマン、25年末金価格予想を3000ドルに若干下方修正 強気維持 | ロイター
ウォール街幹部、プライベートクレジットと銀行融資の境界は曖昧 - Bloomberg
ウォール街の経営陣の多くが、プライベートクレジットと従来の銀行融資の境界は曖昧になりつつあると考えている。アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)は、1年半後には一部の借り手からは両者の違いが分からなくなっているだろうと語った。
1兆7000億ドル(約261兆円)規模のプライベートクレジット市場は、投資適格ではない非公開企業や、従来型の銀行融資を受けられない企業に資金を提供することで、規模を拡大してきた。しかしアポロやブラックストーンなどの資産運用会社は現在、確立された企業への融資でも、伝統的なウォール街の金融機関に取って代わろうとしている。
「境界線が曖昧になるだろう」と、ローワン氏はリヤドで開催された「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)」のパネル討論会で語った。「投資適格企業への融資で、1年半後にはパブリックとプライベートの違いは分からなくなるだろう。同じタイプ、同じ格付け、同じ規模の企業に貸し付けているだろう」と語った。
シティグループやゴールドマン・サックス・グループのような大手銀行にとって、ダイレクトレンダー(直接融資業者)が顧客を奪い、利益率の高い企業向け融資事業を吸い取ってしまうことは長年の脅威だった。
しかし、大手銀行の経営陣はそのリスクを繰り返し否定してきた。現在でも、多くの銀行は自社のバランスシートを縛ることなく収入を維持する手段として、大手資産運用会社と提携してプライベートクレジット事業に参入している。
例えば、シティグループは先月、アポロと提携して今後5年間に企業およびプライベートエクイティー投資会社向けの250億ドルの資金調達をアレンジすると発表した。現時点では、この提携は投資適格外の融資のみを対象とし北米に重点を置いているが、両社にはこの提携を拡大し対象地域を追加する余地がある。
「明らかにウィンウィンの機会だ。ローワン氏と私はそれを理解していると思う」とシティのジェーン・フレーザーCEOは述べた。「私たちは顧客に、プライベート市場かパブリック市場かの選択肢を与えることができる。アポロとの提携のウィンウィンはそこにあると思う」と語った
「ユニークな組み合わせ」
銀行の中には、投資家である顧客により多くの方法で投資に参加できる機会を提供しているところもある。ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEOによると、同社は資産運用事業の顧客が1400億ドルをプライベートクレジットに投資できるよう支援した。
「当社はかなりの額のプライベートクレジット資産を管理しているが、有力なシンジケーションフランチャイズも持っている」とソロモン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで語った。「つまり、当社は資産運用事業を通じて投資家となるだけでなく、組成や販売を行う能力も併せ持っている。これは非常にユニークな組み合わせだ」と語った。
カーライル・グループのハービー・シュワルツCEOは、自身もゴールドマンの最高幹部であった経験があり、プライベートクレジット業界の成長は、より長期にわたって非公開企業であり続けることを選択する企業と、そうした企業への融資をより困難にする銀行規制に起因していると指摘した。
「これは資金の効率的な供給の問題だ」とシュワルツ氏は言う。「資金は丘を流れ落ちる水のようなもので、おのずと道を見つける。時には詰まることもあるが、最も効率的な道を見つける」と話した。
ドイツ最大労組がスト実施、BMWなど370社に影響 7%賃上げ要求 | ロイター
ドイツ最大の産業別労働組合IGメタルは29日、国内各地で賃上げ率拡大を求めるストライキを実施した。
ポルシェ(P911_p.DE), opens new tab、BMW(BMWG.DE), opens new tab、メルセデス(MBGn.DE), opens new tabなどが影響を受けた。IGメタルは電機、金属などの産業に400万人近い組合員を擁する。
同労組の広報担当者によると、29日のストには7万1000人前後の労働者が参加し、国内各地の約370社が影響を受けた。
雇用主側が27カ月間で3.6%の賃上げを提示したのに対し、IGメタルは7%の賃上げを要求している。
一方、フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE), opens new tabは今週、国内3工場の閉鎖や大規模な人員削減、10%の賃金引き下げを発表する可能性がある。
ショルツ首相は29日、VWのオリバー・ブルーメ最高経営責任者(CEO)を含む企業幹部と会合を開き、国内工業部門の強化に向けた戦略を協議した。
政府報道官によると、成長促進や工業部門の雇用保護、世界の工業ハブとしてのドイツの地位強化に向けた政策を協議するのが狙いで、11月15日に再び会合を開く予定という。
英国、400億ポンド増税へ-現労働党政権が最初の予算案発表 - Bloomberg
リーブス英財務相は30日、スターマー労働党政権で初の秋季財政報告を行い、400億ポンド(約8兆円)の増税を明らかにした。増税規模は数十年ぶりの大きさで、借り入れも増やす。前保守党政権が残した財政赤字の穴埋めに充当するとともに、労働党が選挙公約で掲げた国家再生の10年に乗り出す。
増税はとりわけ企業と富裕層への打撃が大きく、税負担は戦後最高となる見込みだ。リーブス氏は下院で「われわれが引き継いだ事態の深刻さと規模を過小評価してはならない」と述べ、「今日ここに立つ財務相が誰であろうとも、この現実を突きつけられるだろう。そして責任感のある財務相であれば、行動するだろう。だからこそ私は今、財政の安定を取り戻し、公共サービスを再建しようとしている」と表明した。
同氏は800年に及ぶ英財務相の歴史において、予算案を発表した最初の女性財務相となった。財政のゆとりが予想以上に少なく、高債務を見込む予算案の長期的な影響が市場では消化され、英国債価格は下落した。
今回の財政報告によれば、国民保険料率について雇用主側の負担分を2025年4月から1.2ポイント引き上げ、15%とするほか、雇用主が同保険料を負担しなければならない従業員の対象を広げる。
さらにキャピタルゲイン課税の税率を引き上げ、資産運用会社の利益であるキャリードインタレストへの税率も32%に引き上げられる。
英債務管理庁(DMO)によれば、2024-25年度の国債発行額は2970億ポンド。ブルームバーグがまとめた債券ディーラー16人の予想(2930億ポンド)とおおむね一致した。
欧州ESGファンド閉鎖ラッシュ加速、主要市場で資金流入後退の兆し - Bloomberg
欧米の運用会社が今年減らしたESG(環境・社会・企業統治)ファンドは、数百本に上る。ESG戦略が依然として規制の逆風に直面しているためだ。
モーニングスターの分析によると、欧州の投資会社が清算・統合したサステナブルファンドは今年7-9月(第3四半期)だけで102本に上り、年初来で349本となった。これにより、欧州で今年閉鎖されたESGファンドの本数は通年ベースで、昨年の351本を上回る見通しだ。米国では、ブラックロックが運用するファンド5本を含む12本が清算となった。
ESGを巡る誤解を招くような販売手法を取り締まることを狙った新たなルールが導入される中、さらなる混乱が今後起きる可能性は高いとモーニングスターは指摘する。
「欧州連合(EU)のファンド名称ルールなど新たなグリーンウォッシュ防止規制の期限が迫る今後数カ月間、サステナブルファンドを巡る状況はさらに変化すると見込まれる」とリポートで言及した。
モーニングスターはまた、ESGをうたうファンドの解約の動きが米国で減速している一方、欧州ESGファンドへの資金流入が減少していると指摘した。ESG投資市場で欧州が圧倒的な規模を誇るのを踏まえれば、欧州で見られる後退の兆しが持つ意味は大きい。
「ESGファンドの世界的な資金流入状況は改善しているが、地域ごとに微妙な違いが隠れている」とモーニングスター・サステナリティクスのサステナブル投資調査責任者ホーテンス・ビオイ氏はコメント。特に「主要市場である欧州でESGファンドへの流入が増えていない」と指摘した。
同氏は、清算によるファンド本数減少など、こうした動きの背景にある要因を複数指摘している。一方でファンドマネジャーは、「グリーンウォッシュ防止規則に関する不確実性」や、規則の確立が既存・将来のESG投資戦略に及ぼす影響について悩んでいるとも言及した。
モーニングスターによると、こうした懸念が生じる中でインデックス型のESGファンドへの資金流入は、欧州で過去最低の100億ドル(1兆5300億円)に落ち込んだ。一方、アクティブ運用のESGファンドは、5四半期ぶりに純流入に転じている。
世界全体でESGファンドへの新規資金は第3四半期に104億ドルに上り、前四半期の63億ドルから増加した。世界のESGファンド資産の80%以上が集まる欧州では、流入額が111億ドルから103億ドルに減少している。
ドルのヘッジコスト急上昇、22年以来の高水準-大統領選リスクに備え - Bloomberg
来週の米大統領選の後に市場が大きく動くリスクに備え、ドルの変動をヘッジするコストが約2年ぶりの高水準に急上昇した。
ブルームバーグ・ドル・スポット指数の1週間物インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)の指標は30日に上昇し、金融市場に一時的にリセッション(景気後退)懸念が広がった2022年12月以来の高水準となった。これはトレーダーがユーロや円、人民元、メキシコ・ペソなどの主要通貨に対し大幅な変動に備えていることを示しており、そうした変動をしのぐオプションのコストを押し上げている。
バークレイズの通貨ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コーニング氏は「選挙は為替市場にとって二分する出来事であるため、選挙をヘッジする為替取引の需要が高まっている」と指摘。ペソや元、韓国ウォンなどの新興国通貨は「米国の選挙に最も敏感に反応する」とした。
米経済が予想外の強さを示し続ける中でドル指数は10月に入ってからこれまでに3%余り上昇。22年9月以来で最高の月間パフォーマンスとなるペースだ。
デリバティブトレーダーは、米金融当局による積極的な利下げ観測が後退し、米国の利回りが他国よりも高水準でとどまる見通しとなったため、ドルに対して強気な姿勢を見せている。選挙結果を巡る疑問から投資家が安全資産に向かうか、トランプ前大統領の勝利が減税や主要貿易相手国に対する大規模関税の導入につながりインフレ圧力を高める恐れがある場合にも影響する可能性がある。
スタンダードチャータードのグローバルG10為替調査および北米マクロ戦略部門の責任者スティーブ・イングランダー氏は30日のリポートで、「市場はトランプ氏の勝利だけでなく、同氏の関税政策が全面的かつ積極的に実施される見通しを早まって織り込んでいるリスクがある」と指摘した。
●中東情勢
●エマージング
台湾は「捨て石」にされる可能性、トランプ氏発言巡り中国報道官 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
NTTデータグループ、栃木にデータセンター 最大8000億円投資 - 日本経済新聞
NTTデータグループが栃木県栃木市にデータセンター2棟を建設することが30日分かった。投資額は2500億円規模とみられ、2028年度をめどに操業を始める。膨大なデータ処理ができる設備を整え、クラウドサービスや生成AI(人工知能)の需要を取り込む。
スペイン東部で洪水、62人死亡 バレンシア州 - 日本経済新聞
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(30日)米国株下落、ドル軟調、10年債利回り下げ幅縮小 | ロイター
ニューヨーク外為市場では、米雇用統計発表と大統領選挙を控え、ドルが軟調に推移しました。10月の全米雇用報告では、民間部門雇用者数が予想を上回る23万3,000人増加し、GDP速報値は年率2.8%増で個人消費が堅調に推移しました。ドル指数は取引終盤で0.17%安の104.06となり、ドル/円は横ばいの153.42円、ユーロ/ドルは0.36%高の1.0857ドルを記録。米国債市場では10年債利回りがやや下落し、短期債利回りが上昇しました。第3四半期GDPが良好でインフレ緩和が示され、11月のFRB会合で0.25%の利下げが予想されています。
米国株式市場は主要3指数が下落しました。半導体株が売られ、AMDは10.6%、コルボは27.3%下落。スーパー・マイクロ・コンピューターも監査役辞任で32.6%急落。一方、決算発表前のマイクロソフトは0.13%高、メタは0.25%安で引け、アルファベットは決算好調で2.8%上昇しました。
金相場は安全資産として需要が高まり、5日連続上昇し終盤には2800ドルを突破。市場では、米大統領選後も上昇し、来年には3000ドルに達する可能性も示唆されています。
原油先物は需給引き締まり観測で3日ぶりに反発。EIAのデータで原油在庫が予想外に減少し、OPECプラスによる増産延期の可能性も相場を支えました。
欧州市場サマリー(30日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちで取引を終え、FTSE100種指数は約2カ月半ぶりの安値を記録しました。新政権の増税が発表されたものの、予想より厳しくなくFTSE250種指数は0.35%上昇。エンテインは課税変更なしで8.6%高。一方、アストラゼネカとグラクソ・スミスクラインの株価は、それぞれ2.8%、3.1%下落しました。
欧州株式市場は続落し、STOXX欧州600種指数が約1カ月半ぶりの安値に。テクノロジー株と資源株が値下がりし、AMDやキャップジェミニが下落。資源大手アングロ・アメリカンやUBSもそれぞれ売り優勢で安値となり、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの各主要株価指数も下落しました。
ユーロ圏債券市場では、ドイツのインフレ率上昇などの経済指標を受けて短期債を中心に域内国債利回りが上昇しました。ドイツの10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇し、予想の2.1%を上回りました。これにより、12月の欧州中央銀行(ECB)理事会での大幅利下げの見込みが後退し、50bpの利下げ確率は約24%に低下しました。
ドイツ2年債利回りは一時2.282%と上昇し、10年債利回りも4bp上昇の2.377%を記録しました。英国では、リーブス財務相が過去最大規模の増税案を発表し、英国債利回りも上昇しました。英10年債利回りは4.36%、イタリア10年債利回りは3.633%に達し、ドイツとの10年債利回り格差は125bpに拡大しました。

備忘録(2024/10/29
●海外企業決算
米マクドナルド、世界既存店売上高が予想以上に減少 客足低迷 | ロイター
第3・四半期決算は、世界既存店売上高が予想以上に減少した。数年にわたる値上げで離れた顧客を呼び戻すためにプロモーションを強化したにもかかわらず、主要市場全体で客足が減った。 LSEGがまとめたデータによると、第3・四半期の世界売上高は1.5%減と、アナリスト予想平均(0.72%減)以上に落ち込み、減少幅は4年ぶりの大きさとなった。 欧米や中国で価格に敏感な消費者が自炊する機会が増えたことなどが影響している。 需要低迷を受け、ファーストフードチェーンは特に低所得者層の客足を回復させるために、割安なセットメニューや期間限定メニューの提供に力を入れている。 マクドナルドのクリス・ケンプチンスキー最高経営責任者(CEO)は、顧客が出費を控え続ける中、同社は手頃なメニューの提供に重点を置いていると述べた。 先週には、同社のハンバーガー「クォーターパウンダー」に関連する大腸菌集団感染が発生。75人感染し、少なくとも1人が死亡した。全米1万4000店舗のうち約20%でクォーターパウンダーの提供を一時停止した。コロラド州当局はその後、ビーフパティが原因である可能性を否定した。
第3・四半期の米国の既存店売上高は0.3%増。大半の店舗で12月まで延長された5ドルセットメニューが好調で、減収だった第2・四半期から回復した。 海外市場の売上高は英仏の低迷が響き、2.1%減少した。 中国の消費低迷と中東紛争の影響で、現地パートナーが店舗を運営する事業部門は打撃を受け、売上高は3.5%減少。前年同期は10.5%増だった。 調整後の1株利益は3.23ドル。前年同期の3.19ドルから増加した。
英BP、第3四半期は30%減益 石油需要低迷 | ロイター
第3・四半期決算は利益が30%減の23億ドルと、過去4年近くで最低となった。精製マージンの低下と石油トレーディング事業の低迷が響いた。
世界経済の鈍化や中国などの石油需要低迷が背景。
純利益(実質再調達原価利益)は22億7000万ドル。同社がまとめた市場予想の20億5000万ドルを上回った。前四半期の実績は28億ドル、前年同期の実績は33億ドルだった。
石油・ガス生産は前年同期比3%増の日量238万石油換算バレル。精製マージン低下と石油トレーディング事業低迷を補う形となった。
天然ガス価格の上昇も寄与した。ただ、ガスのトレーディング事業は平均的な水準だったという。
1株配当は0.08ドルで据え置いた。自社株買いのペースも今後3カ月で17億5000万ドルに維持した。その後3カ月も同じペースを維持する方針を示した。
今年1月に就任したマレー・オーキンクロス最高経営責任者(CEO)は、急ピッチな再生可能エネルギー事業拡大と石油・ガス生産の削減というバーナード・ルーニー前CEOの方針を転換し、収益性の高い事業に集中する方針を示している。
HSBCの第3四半期10%増益、30億ドルの自社株買いも 株価上昇 | ロイター
第3・四半期決算は、利益が10%増加し、アナリスト予想を上回った。大規模改革に着手する中、予想よりも緩やかなペースでの利下げが資産運用やホールセール部門の利益を押し上げた。
第3・四半期の税引き前利益は85億ドル。前年同期は77億ドル、HSBCがまとめた市場予想は76億ドルだった。
収入は前年同期比5%増の170億ドルだった。市場環境の変化を背景に富裕層向け商品に対する需要が増加した。市場ビジネスでは外国為替、株式、債券が際立っていた。
今年に入り60億ドルの自社株買いを発表しているが、さらに最大30億ドルを行うと明らかにした。
これらを受け、HSBCの香港上場株は29日に3.7%上昇し、2018年8月以来の高値となる71.60香港ドル(9.21ドル)を付けた。
同社はジョルジュ・エルヘデリー新最高経営責任者(CEO)の下、コスト管理と効率性向上に向け大規模再編に着手。一部の業務を統合し、地理的拠点を東西に分割すると先週明らかにした。
エルヘデリー氏は決算発表時に「この計画を直ちに実行に移す」と強調した。詳細は来年2月に発表する。
2024年と25年の業績目標(10%台半ばの有形株主資本利益率)を据え置いたが「金利見通しは変化し、不安定になっている」と説明した。
1株当たり0.10ドルの中間配当を発表した。今年に入り既に2度の配当(計0.41ドル相当)を発表している。
アナリストらは今回の「堅調な」決算を評価しつつ、HSBCは再編計画が財務に与える影響についてもっと説明する必要があると述べた。
ファイザー、第3四半期売上高・利益が予想上回る コロナ治療薬が寄与 | ロイター
第3・四半期決算は、売上高が市場予想を上回った。調整後1株利益も1.06ドルと、アナリスト予想の0.62ドルを上回った。新型コロナウイルス感染症の治療薬「パクスロビド」の売り上げ急増が寄与した。
総売上高は177億ドル。市場予想は149億6000万だった。
「パクスロビド」の売り上げは27億ドルと、アナリスト予想の4億5640万ドルを大きく上回った。同四半期中のコロナ感染率の上昇が影響した。
ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチン「コミナティ」の売上高は14億2000万ドル。LSEGがまとめた予想は合計8億7000万ドルだった。
第3・四半期の決算を受けて、「パクスロビド」と「コミナティ」の年間売上高見通しを従来の85億ドルから105億ドルに引き上げた。
通年の1株利益は2.75─2.95ドルになるとし、下限と上限を共に0.30ドル引き上げた。
ただ、株価は軟調に推移しており、ファイザーの株価は午前の取引で1%超下落している。
ビザの第4・四半期決算、大幅増益に 純収入も12%増 | ロイター
2024年第4・四半期(7―9月期)決算は純利益が53億2000万ドルと、前年同期の46億8000万ドルから大幅に増えた。1株当たり利益も2.65ドルと、前年同期の2.27ドルから増えた。
景気減速への懸念がある中でも、旅行や外食でのクレジットカード利用が好調だったのが増益要因。純収入も前年同期比12%増の96億2000万ドルとなった。
ビザの株価は29日の時間外取引で2.5%上昇した。
決済額は為替変動の影響を除くベースで8%増加。クロスボーダー決済額も欧州域内を除くベースで13%伸びた。
米国では金利上昇にもかかわらず個人消費は引き続き底堅く推移している。アナリストは景気がソフトランディングして信頼感が高まり、消費が再び伸びると予想している。
2025年9月期通期の調整後純収入伸び率は1桁台後半から2桁台前半になると予想している。LSEGがまとめた市場予想は10.8%増。
調整後の1株当たり利益の増加率は2桁台前半になると予想。LSEGがまとめた市場予想は11.7%増を見込んでいる。
米司法省は今年9月、ビザがデビットカード市場で加盟小売店に自社の決済ネットワーク利用を強要したり、ライバルになりそうな企業に対価を支払って参入回避の取り決めをしたりして公正な競争を妨げ、反トラスト法(独占禁止法)に違反したとしてビザを提訴した。ビザは提訴内容について正当ではないと反論している。
アメリカの航空大手7〜9月決算、デルタが一人勝ち LCCは不振 - 日本経済新聞
米航空大手の2024年7〜9月期決算が29日にほぼ出そろった。デルタ航空は高価格帯チケットの販売が増加したことで15%の増益を確保した。一方、格安航空会社(LCC)各社はフルサービスキャリアとの競争が激化するなかで高まったコスト負担をまかないきれず収益改善に苦戦した。
サンタンデール銀、7~9月最高益 個人向け部門が伸長 - 日本経済新聞
スペインの金融最大手サンタンデール銀行が29日発表した2024年7〜9月期決算は、純利益が前年同期比12%増の32億5000万ユーロ(約5300億円)だった。純利益は四半期ベースで過去最高だった。主力とする個人向け(リテール)部門の業績が伸びた。
リテール部門では、純金利収入が69億7400万ユーロと6%伸長した。純手数料収入を含めた総収入は4%増の81億5700万ユーロだった。コスト削減も進み、リテール部門の純利益は20%増の20億3600万ユーロとなった。
グループ全体の純金利収入は0.05%増の112億2500万ユーロだった。預貸の利ざやを示す純金利マージンは2.79%で、前年同期の2.82%から下落した。純手数料収入は2%増の31億8900万ユーロだった。
サンタンデール銀行は24年の目標収益成長率を1桁台半ばから1桁台後半に引き上げたほか、有形株主資本利益率(ROTE)の見通しも従来の16%から16%以上に上方修正した。アナ・ボティン会長は「1株あたり利益(EPS)が19%増加するなど、収益性の高い成長を継続している」とコメントした。
[ECL] エコラボ 3Q増収増益 売上高1%増39.9億ドル、営業益85%増10.4億ドル、EPS2.58ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PFE] ファイザー 3Q増収最終黒字転換 売上高34%増177億ドル、純利益44.6億ドル、配当1.26ドル実施 - 株探(かぶたん)|米国株
[SYY] シスコ 1Q増収営業増益 売上高4%増204億ドル、営業益1%増8.08億ドル、EPS0.99ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GLW] コーニング 3Q増収最終赤字転落 売上高7%増33.9億ドル、最終赤字1.17億ドル、EPSマイナス0.14ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMT] アメリカンタワー 3Q最終赤字転落 売上高横ばい25.2億ドル、最終赤字7.92億ドル、EPSマイナス1.69ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SWK] スタンレーブラック&デッカー 3Q減収増益 売上高5%減37.5億ドル、営業益4.5倍1.68億ドル、配当0.82ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[MCD] マクドナルド 3Q増収減益 売上高3%増68.7億ドル、営業益1%減31.8億ドル、EPS3.13ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CROX] クロックス 3Q増収営業減益 売上高2%増10.6億ドル、営業益2%減2.69億ドル、EPS3.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PYPL] ペイパル 3Q増収営業増益 売上高6%増78.4億ドル、営業益19%増13.9億ドル、EPS0.99ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MSCI] MSCI 3Q増収増益 売上高16%増7.24億ドル、営業益14%増4.01億ドル、EPS3.57ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[RCL] ロイヤルカリビアンクルーズ 3Q増収増益 売上高17%増48.8億ドル、営業益29%増16.3億ドル、EPS4.22ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EQT] EQT 3Q増収赤字転落 売上高8%増12.8億ドル、営業赤字2.81億ドル、EPSマイナス0.54ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMD] AMD 3Q増収増益 売上高18%増68.1億ドル、営業益3.2倍7.24億ドル、EPS0.47ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SNAP] スナップ 3Q増収赤字縮小 売上高15%増13.7億ドル、営業赤字1.73億ドル、EPSマイナス0.09ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CMG] チポトレメキシカングリル 3Q増収増益 売上高13%増27.9億ドル、営業益20%増4.73億ドル、EPS0.28ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MDLZ] モンデリーズ 3Q増収減益 売上高2%増92.0億ドル、営業益16%減11.5億ドル、配当0.470ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[RSG] リパブリックサービシズ 3Q増収増益 売上高7%増40.7億ドル、営業益16%増8.45億ドル、配当0.580ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[SYK] ストライカー 3Q増収増益 売上高12%増54.9億ドル、営業益17%増10.8億ドル、EPS2.16ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[V] ビザ 2024年9月通期は増収増益 売上高10%増359億ドル、営業益12%増235億ドル、配当2.15ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[FSLR] ファーストソーラー 3Q増収増益 売上高11%増8.87億ドル、営業益18%増3.21億ドル、EPS2.91ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DVA] ダヴィータ 3Q増収営業増益 売上高5%増32.6億ドル、営業益8%増5.34億ドル、EPS2.50ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GOOG] アルファベット 3Q増収増益 売上高15%増882億ドル、営業益34%増285億ドル、配当0.20ドル実施 - 株探(かぶたん)|米国株
[DHI] DRホートン 2024年9月通期は増収 売上高4%増368億ドル、純利益微増47.5億ドル、配当1.30ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ブラックストーンが220億ドル集める-新たな直接融資ファンド向け - Bloomberg
米投資会社ブラックストーンは、機関投資家をターゲットとした新たなダイレクトレンディング(直接融資)ファンド向けに、レバレッジを含め約220億ドル(約3兆3800億円)を集めた。ブルームバーグが確認した資料で分かった。
このファンドの構造は事実上、ドローダウンファンドとエバーグリーンファンドのハイブリッド型となる。ドローダウンファンドでは投資家が資本を一定の年数ロックアップすることに同意する一方、エバーグリーンファンドでは運用期間に上限を定めず、投資家は一定期間ごとに資金を引き出したり、追加投資したりすることができる。資料によれば、同ファンドは大型、ミドルマーケットの取引における融資に重点を置いている。
ブラックストーンで最も広く知られている直接融資ファンドは、プライベートクレジットファンド「BCRED」。同社のクレジット事業は他に保険会社や、年金・政府系ファンドといった機関投資家の資産運用も行っている。
今回の資金調達により、ブラックストーンの世界全体での直接融資プラットフォームの規模は7-9月(第3四半期)の時点で1230億ドル超となった。同社ウェブサイトによれば、9月末までのクレジット・プラットフォーム全体での運用資産は4320億ドル。
●日本企業
大和証G、7ー9月純利益は前年比8割増 あおぞら銀の持ち分適用化で | ロイター
日野自動車4~9月、最終赤字2195億円 認証不正で - 日本経済新聞
コマツ、25年3月期連結営業益予想を上方修正 為替円安で | ロイター
●米大統領選挙
アリゾナ州とネバダ州、両候補の支持拮抗 投票先変える有権者も残りわずか(1/2) - CNN.co.jp
米大統領選の行方を左右すると見られている南西部の激戦州アリゾナとネバダで、民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領の支持が拮抗(きっこう)している。CNNが調査会社SSRSに委託した世論調査で明らかになった。すでに多くの有権者が投票を済ませたと報じられるなか、投票先を変えることに前向きな有権者の数は少なくなりつつある。
アリゾナ州では、投票する可能性が高い有権者のうち48%がハリス氏を支持し、47%がトランプ氏を支持した。ネバダ州ではトランプ氏支持が48%、ハリス氏支持が47%だった。1ポイントの差は誤差の範囲で、いずれの州でも明確にリードしている候補はいなかった。
最重要課題に対してどちらの候補がよりうまく対応できるかについて、有権者の見方はおおよそ定まっていた一方で、さまざまな主要属性については、どちらの候補も必要な数の有権者に自分のほうが優れた選択であると確信させていないことが判明した。両州の有権者は、どちらの候補者が自身と同じような人々を気にかけてくれるのかや、国のビジョンの共有、個人の利益よりも国益を優先するなど、狭い範囲での好みで候補者を選んでいるに過ぎない。
ネバダ州の世論調査は8月下旬に行われたときとほとんど変化はなかった。だが、アリゾナ州では、新しい世論調査の結果はハリス氏優位へと傾いた。新しい世論調査では、女性やラテン系、若年層など民主党にとって主要な票田からの支持が回復していた。女性有権者でこの傾向が顕著で、ハリス氏に対する支持はトランプ氏を16ポイント上回っている。一方、男性からの支持はトランプ氏がハリス氏を14ポイント上回っている。
女性からの支持の差はネバダ州ではより小さくなり、ハリス氏支持は51%、トランプ氏支持が46%だった。差が縮まった主な要因は、ネバダ州内の投票する可能性の高い白人有権者の間で男女の違いが相対的に存在しないためだ。トランプ氏は、白人男性からの支持で15ポイント、白人女性からの支持で12ポイント、それぞれ上回っている。
ネバダ州の投票する可能性の高い有権者のうちラテン系では、ハリス氏への支持が48%、トランプ氏への支持が47%とほぼわかれた。35歳未満の若年層の有権者からの支持はハリス氏が53%とトランプ氏の39%を上回った。
両州での無党派層の支持もほぼわかれた。アリゾナ州では45%がトランプ氏支持、43%がハリス氏支持。ネバダ州では46%がハリス氏支持、43%がトランプ氏支持だった。
世論調査は21日から26日にかけてインターネットと電話を通じ、アリゾナ州の登録有権者781人とネバダ州の登録有権者683人に対して実施した。誤差の範囲はアリゾナ州がプラスマイナス4.4ポイント、ネバダ州が同4.6ポイント。
ハリス氏、支持率リードわずか1ポイント 大統領選まで1週間=調査 | ロイター
米大統領選後にインフレリスク、エコノミストが警鐘 - WSJ
米国では2年半に及ぶインフレとの激しい闘いが実を結びつつあるようだ。だが、米大統領選で状況が変わる可能性がある。
利上げに加え、サプライチェーン(供給網)の回復や労働力の流入が大きく寄与し、インフレ率は低下した。しかし、来年も借り入れコストと物価上昇率の低下が続くかどうかは、ドナルド・トランプ前大統領もしくはカマラ・ハリス副大統領が選択する政策次第かもしれない。
トランプ氏とハリス氏はともに経済成長促進策を支持しているため、インフレ低下が進みにくくなる可能性がある。エコノミストだけでなく保守派の顧問も、そうした政策がインフレをあおるリスクを懸念している。トランプ氏が訴える輸入品への一律関税や不法労働者の強制送還、米連邦準備制度理事会(FRB)への利下げ圧力などは特にそうしたリスクが高い。
「これら全てが重なれば、インフレ方向に動きやすくなる。2025年にインフレ悪化を懸念すべきもっともな理由がある」。元共和党上院顧問で現在は保守系シンクタンクのマンハッタン研究所に所属するブライアン・リードル氏はそう指摘する。
さらに、トランプ氏が2期目を勝ち取っても、長らく物価上昇圧力が低く安定していた1期目とは全く異なる経済環境に直面することになる。足元では、トランプ氏が勝利して財政赤字拡大かインフレ加速、もしくはその両方が起きるとの予想から、債券利回りが上昇している。
トランプ政権下で議会担当補佐官を務めたマーク・ショート氏は、経済環境の変化とトランプ氏が政策の対象拡大を訴えていることを踏まえると、2期目にインフレリスクが拡大することを懸念するのは当然だと話す。トランプ氏の案は、インフレ抑制の責務を担うFRBとの新たな対立を招く可能性がある。
インフレは主に世界的要因で起きるもので、大統領個人によってではない。トランプ政権1期目は、08年の世界金融危機の余波で世界的に需要と物価上昇圧力が抑制されていた。新型コロナウイルス流行収束後の経済活動再開に伴い、インフレ率はジョー・バイデン氏の大統領就任直後に急上昇し始めた。
経済再開に伴う旺盛な需要は、超低金利とバイデン氏の財政刺激策によってさらに大きく押し上げられた。こうした状況に、サプライチェーンの目詰まりと労働市場の混乱が重なった。ロシアがウクライナに侵攻し、世界のエネルギー市場を揺さぶると、インフレ率は22年に9.1%に達した。
供給問題が落ち着き、FRBがさらなる過熱やバブルを防ぐために利上げしたことで、インフレ率は着実に低下した。米消費者物価指数(CPI)上昇率は9月に2.4%まで低下し、コロナ前の水準に近づいた。今後も世界の動向が主なインフレ要因となる可能性が高く、大統領は政策を通してそうした要因を強めることもできれば抑えることもできる。
民主党の大統領候補ハリス氏は、住宅建設の促進や価格つり上げの取り締まり、子育て世帯向け税控除拡大を通じて、生活費高騰の問題に取り組むとの公約を掲げる。
同氏は新たな支出プログラムの財源を税収などの歳入増で賄うとしている一方、財政赤字の大幅な削減は提唱していない。マンハッタン研究所のリードル氏は「民主党が政権を維持しても、インフレ率が大幅に上昇するとは思わないが、やや粘着的でしつこいインフレが続く可能性はある」と述べた。
トランプ氏は、25年末で失効する17年減税法の一部延長と法人税のさらなる引き下げを提言。また、チップや残業代、退職者の社会保障給付金を非課税にするよう訴えている。
議会の承認が不要で大統領の裁量権が大きい通商政策と移民政策では、トランプ氏の方が先を読みにくい。
「(トランプ氏が)有言実行した場合、米経済にマイナスの供給ショックが及ぶ。物価は上昇し、経済の財・サービス供給能力は低下する」。ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長はそう話す。
ピーターソン国際経済研究所の調査によると、移民の強制送還は米国内総生産(GDP)の大幅減とインフレ加速を招くことが予想される。労働者が減れば、企業は賃金と価格を引き上げるか、利益率の低下をのまざるを得なくなる。
トランプ氏の移民政策の支持者は、今は外国人労働者が従事している仕事に米国人が就いて所得が増えれば、経済が上向くと主張する。
「労働市場を米国人労働者に限定すれば賃金が上がり、必然的に物価も上がる」。トランプ氏の通商・移民政策を支持するシンクタンク「アメリカン・コンパス」の創設者オレン・キャス氏はそう話す。「これが市場のあるべき姿だと思う」
だが多くのエコノミストは、労働市場はもっと複雑なもので、労働力縮小の連鎖反応を考慮しないのは危険だと指摘する。08~14年にブッシュ政権とオバマ政権が行った強制送還をコロラド大学デンバー校のエコノミストが調査したところ、不法就労者を100万人強制送還するごとに合法就労者8万8000人が失業していた。
これは食品加工や農業、建設、接客などの業種では、移民と米国人は必ずしも仕事を奪い合わないためだ。強制送還で労働力を失った企業はおそらく、米国人を雇う代わりに生産規模を縮小する。売り上げが減れば、その業種に関連する、米国人が就いている高賃金職も減る。
企業幹部とエコノミストは、関税コストを背負うことになるのは米消費者との見方で一致している。米自動車部品小売りオートゾーンのフィリップ・ダニエレ最高経営責任者(CEO)は9月の決算説明会で、「関税コストは消費者に転嫁する」と述べていた。
トランプ氏は一律10%の関税と、中国製品への60%もしくはそれ以上の関税導入を示唆し、対象品目も拡大するとしている。
トランプ氏の顧問は、同氏の関税政策はインフレを引き起こさないと主張している。その理由として、18年と19年に限定的に関税を導入してもインフレが起きなかったことや、関税引き上げは駆け引きのための脅しに過ぎないことなどを挙げる。
トランプ陣営の上級顧問ブライアン・ヒューズ氏は「2016年もそうだったが、ウォール街やいわゆる専門家は、トランプ氏の政策は成長鈍化とインフレ加速をもたらすとみている。(中略)実際の成長率と雇用の伸びはそうした意見を大きく上回った」と述べた。
一部の保守派エコノミストはトランプ氏が公約している規制緩和について、とりわけエネルギー部門で生産の障壁が取り払われてインフレを抑制する可能性があると指摘する。
トランプ氏の議会担当補佐官だったショート氏は、政権1期目は支出が公約通りに削減されなかったと語る。同様に、2期目は1期目ほど一律的な「親ビジネス」ではなくなるリスクを投資家は軽視しているという。
「1期目は極めて規制緩和的だったが、2期目もそうなるかは見通せない。なぜなら(トランプ氏の)取り巻きの大半が明らかに、経済における政府の役割をより拡大的に捉えているからだ」とショート氏は述べた。
FRBにとって、関税引き上げによる負の影響を精査するのは複雑で心穏やかではない作業だろう。インフレを再燃させる要因があれば、利下げペースが緩やかになるか、場合によっては打ち止めになる可能性もある。FRBは20年ぶりの高水準だった政策金利の引き下げを9月に開始した。
大統領在任中に繰り返し利下げを迫っていたトランプ氏は、再選すれば26年に次期FRB議長を指名できる。「FRBとのやりとりでは非常に積極的な大統領になるだろう」とショート氏は予想する。
FRB高官らは、関税は需要を弱める点で増税に似ていると考えるかもしれない。19年の関税引き上げでは株式市場が動揺し、企業投資が冷え込む恐れがあった。FRBは、貿易戦争による経済成長への悪影響はインフレ的な影響を上回ると判断し、利下げに踏み切った。
FRBは中立を維持できると考える高官もいる。トランプ氏が任命したクリストファー・ウォラーFRB理事は夏の会議で、関税で物価が一時的に上昇したとしても、それは「中央銀行が反応すべきではない供給ショックの典型」との考えを示唆した。
一方で、関税がインフレを助長する可能性を懸念する声もある。労働者は物価上昇を理由に賃上げを要求し始めるかもしれない。相手国が報復関税を課して貿易戦争が連鎖的に拡大する可能性もある。シカゴ地区連銀のオースタン・グールズビー総裁は夏のインタビューで、「これは物価水準の一時的変化というより、インフレ要因のように思われる」と述べていた。
しかも、再び物価が上昇したら、FRBは静観しづらいかもしれない。21年の物価上昇を「一時的」と見誤った経緯があるからだ。当時は物価上昇圧力が広がりを見せるまでは動かず、そうなってから急ピッチで利上げし、企業や労働者が高い物価を新常態と考えるのを防ごうとした。ピーターソン国際経済研究所のポーゼン氏は「最初のインフレの直後に2回目のインフレが起きたら、より深刻なものになることを懸念するのは当然だ」と述べた。
財政赤字の拡大は確実に懸念材料だ。両候補は支出・減税に関する公約を増やしており、これが財政赤字の拡大につながるのではないかと警戒するアナリストもいる。政治家は自分の政策費用を低く見積もりがちだからだ。エコノミストは、財政赤字が縮小してFRBが追加利下げできる方が国にとっては望ましいと指摘する。
財政赤字削減を支持する超党派の調査機関「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は、ハリス氏が大統領になれば財政赤字は今後10年間で約3兆5000億ドル(約536兆円)拡大し、トランプ氏なら7兆5000億ドル拡大すると試算する。
トランプ氏の場合、インフレを助長する移民・関税政策と財政赤字の拡大が重なり、債券市場で連鎖反応が起きる恐れがある。投資家は米国債を保有するリスクに対して、より高い利回りを要求するだろう。
世界銀行総裁およびジョージ・W・ブッシュ米政権で国務副長官と通商代表部代表を歴任したロバート・ゼーリック氏は、「(トランプ氏が)FRBと闘い始め、各国が報復し始めたら、どの段階で市場は本気で神経をとがらせるのか」とし、「何らかの経済暴発を招きかねない。力の放出が始まれば、事態は極めて劇的かつ急速にエスカレートする可能性がある」と述べた。
●その他先進国政治動向
日本が内向きに転じる恐れ、与党過半数割れで政策停滞リスクに直面 - Bloomberg
トランプ前大統領の任期とほぼ重なっていた安倍晋三元首相の時代と比較すると、来週の米大統領選で共和党候補がホワイトハウスを奪還した場合、日本の政権は不安定なため米国の要求に応えることは難しいだろう。
トランプ氏は、すべての国からの輸入品に10%の関税を課すことや、日本製鉄による米USスチール買収を阻止すると公言しているが、それ以外にも在日米軍駐留経費の負担増を日本に要求し続けている。この経費負担に関する合意は26年に更新される予定だ。
米ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリース上級研究員は、「連立政権や少数与党では防衛費負担に関する協議を行うだけの政治力がないかもしれない」と指摘。「そうした交渉はより困難になる可能性がある」と語った。
1990年代から2000年代初頭にかけて、日本は首相が次々と代わる「回転ドア」として知られていた。しかし、12年から20年にかけての安倍氏の2度目の首相在任期間で、より安定した政府と国際舞台での自信に満ちた存在へ転換し、その流れは岸田文雄前首相によってさらに拡大した。
安定した政治の下、特に安倍氏はトランプ氏と個人的な関係を深め、両首脳の会談は数十回に及んだ。トランプ氏は貿易で日本に圧力をかけ続けると公言しているが、選挙遊説では現在も22年に銃撃された安倍氏との友情にたびたび触れている。
ジャパン・フォーサイトの創設者、トビアス・ハリス氏は顧客向けのメモで、「石破氏や後継首相が、例えば次期米大統領、あるいは中国や韓国の政府と個人的な信頼関係に基づく外交に真剣にかかわることを期待するのは難しいかもしれない」との見方を示した。
ただ、日米関係に大きな変化が起こる可能性は低い。日本の主流派政党は全て日米同盟を支持している。一部の政党は石破氏のように、協定を一部見直し、同盟関係を両国にとって公平なものにすることを望んでいる。
エマニュエル駐日米大使は、「今回の総選挙は日米同盟に関する国民投票ではない。同盟は選挙前と同様に今も強固で確固としたものだ」と指摘。「実際、日米の協力関係深化がインド太平洋地域およびその他地域の安全保障と集団的抑止力にとって極めて重要であるということは、日本の政治のコンセンサスであることは明らかだ」と述べた。
疑問点の一つは、日本が第二次世界大戦以降で最大規模の防衛費増額をどのように捻出するのかということだ。岸田氏は22年に防衛費を5年間で60%増やすと表明したが、これにより日本の防衛費は世界でも有数の規模となる。
石破氏は防衛増税の開始時期について、年末の税制改正議論で決着させる必要があるとの認識を示しているが、少数与党の弱体化した政権を維持するにはその目標を犠牲にせざるを得ないかもしれない。
笹川平和財団安全保障研究グループ特任グループ長の山本勝也氏は、次期政権の枠組みはまだ分からないが、「防衛増税にゴーを出すのは非常に難しい」と指摘。「こういう政治的な不安定さが出てくると、どうしても外から見たときにリーダーが弱くなってしまったという印象は与えてしまうので、そこは懸念している」と述べた。
●先進国中銀、金融当局
日銀会合注目点:政局混迷と円安で強まる不透明感、政策維持の見通し - Bloomberg
●先進国経済指標
独消費者信頼感指数、11月は-18.3 予想以上に改善=GfK | ロイター
米10月CB消費者信頼感108.7、9カ月ぶり高水準 予想上回る | ロイター
コンファレンス・ボード(CB)が29日に発表した10月の米消費者信頼感指数は108.7に上昇し、9カ月ぶりの高水準となった。労働市場を巡るセンチメントが改善した。市場予想の99.5も上回った。
9月分は前回発表の98.7から99.2に上方改定された
CBのチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は「2021年3月以来の大幅な伸びを記録したが、過去2年間続いた狭いレンジからは依然抜け出していない」と述べた。
10月は、仕事が「豊富」という回答は35.1%と、前月の31.3%から上昇。一方、仕事が「得にくい」は16.8%で、前月の18.6%から低下した。
米住宅価格指数、8月は前月比0.3%上昇=FHFA | ロイター
米連邦住宅金融庁(FHFA)が29日発表した8月の米住宅価格指数(季節調整済み)は前月比で0.3%上昇した。7月は0.2%上昇だった。住宅供給が引き続きひっ迫していることが背景にある。
住宅ローン金利の上昇もあり、購入が手控えられている。前年同月比では4.2%上昇。7月は4.7%上昇と、前回発表の4.5%から上方改定された。
連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック) によると、30年固定住宅ローンの先週の平均金利は6.54%と、前週の6.44%から上昇した。米連邦準備理事会(FRB)が9月に政策金利を引き下げた当初は、住宅ローン金利は低下した。
ただ、堅調な経済指標を受けて市場は11月の50ベーシスポイント(bp)の利下げへ観測を後退させていることを背景に、ここ4週間は上昇傾向にある。
多くの住宅所有者は4.0%未満の金利で住宅ローンを組んでいるため、現在の高金利の中で家を売って買い替えるインセンティブが低下している。
FHFAの調査・統計部門の副部長アンジュ・バジャ氏は「住宅価格の緩やかな上昇が続くほか、(住宅ローンの)固定金利の影響もあり、住宅購入が難しい状況が続いている」と述べた。
8月の地区別の住宅価格は、前年同月から全9地区でいずれも上昇した。
米求人件数、9月は約3年半ぶり低水準 ハリケーンが労働需要圧迫 | ロイター
米労働省が29日発表した9月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が41万8000件減の744万3000件だった。これは2021年1月以来、約3年半ぶりの低水準となる。労働市場の逼迫が大幅に緩和していることが示された。
ただ、減少の大半は南部に集中しており、同地域を相次ぎ襲ったハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」の影響で一時的に労働需要が圧迫されたとみられる。
ロイター調査によると市場予想は800万件だった。
8月分は前回発表の804万件から下方修正され、786万1000件となった。
9月の採用件数は12万3000件増の555万8000件。製造業、小売業、医療・社会福祉が伸びた。
求人率は4.5%と、8月の4.7%から低下し、20年12月以来の低水準となった。
採用率は3.5%と8月の3.4%から上昇した。
9月の失業者1人当たりの求人件数は1.09件と、8月の1.10件からほぼ横ばいだった。
地域別では南部が32万5000件減。西部、東部、北東部でもわずかに減少した。
業種別の求人件数は、医療・社会福祉で17万8000件、州・地方政府(教育を除く)で7万9000件、連邦政府では2万8000件、それぞれ減少した一方、金融・保険業で8万5000件増加した。
解雇件数は16万5000件増の183万3000件となった。解雇率は1.2%と8月の1.0%から上昇し、23年3月以来の高水準となった。
一方、離職者数は減少。離職率は8月の2.0%から1.9%に低下し、20年6月以来の低水準となった。
●金融市場、先進国トピックス
ゴールドマンCEO、米国の基本シナリオはソフトランディング - Bloomberg
ドイツ商工会議所、今年のマイナス成長予想 来年はゼロ成長 | ロイター
超長期中心に円債増加、平準買い基本に金利上昇時はペース加速=第一生命・24年度下期運用計画 | ロイター
第一生命保険は2024年度下期の一般勘定運用で、中長期的なリスク削減の取り組みの一環として、超長期の日本国債を中心に円建て債券の残高を増やす計画を示した。30年・40年国債を中心に「ある程度粛々と積み増す」として平準買いを基本とするが、超長期金利が大きく上昇する場面では購入ペースの加速も検討する。
29日に開催した資産運用計画説明会で、堀川耕平運用企画部長が明らかにした。
円債は、上期に続き金利リスク削減を目的とした責任準備金対応債券の積み増しにより、30年債と40年債を軸とした超長期国債を中心に残高を引き上げる。買い方としては「一定程度は淡々と買っていくが、30年金利が2.5%を超えていくような場合には積み増しペースを上げることも検討する」(堀川氏)という。
日銀の金融政策について堀川氏は「今年度は早ければ年内、もしくは年明けに1回、また来年の春闘をみて来年度にももう1回くらい」の追加利上げがあるとの予想を示した上で、「中立的な金利水準は難しいが、現時点では1%といった水準までは想定しておいた方がいいと思っている」と述べた。
外貨建て債券は、為替ヘッジ付き・オープンともに「既に残高は圧縮済みであり、今後は金利や為替の水準次第でタクティカル(戦術的)に動かす」として、下期の増減の方向性は明示しなかった。
国内株式は上期に続き、経済価値ベースの資本充足率の安定化に向けた株式リスクの削減を目的に売却を行うため、残高は減少を見込む。外国株式については「リスク許容度や株価水準次第」として、増減の方向性は示していない。
オルタナティブ資産は、上期に続き残高を積み増す計画。ヘッジファンドはポートフォリオ全体のリスク分散につながる戦略、プライベートエクイティに投資するほか、プライベートデット(中堅企業向け直接融資)の分野にも注力する。不動産は、上期に続き、用途分散を目的とした新規投資や入れ替えにより残高を増加させる方針。
第一生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で34兆6705億円。うち外貨建て資産は4兆7472億円(13.7%)。
24年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本10年国債利回り  0.70―1.50%(1.20%)
日本30年国債利回り  1.70─2.70%(2.30%)
米10年国債利回り   3.00―5.00%(3.75%)
日経平均株価      3万2000―4万5000円(4万1000円)
NYダウ        3万6000─4万8000ドル(4万4000ドル)
ドル/円        130―160円(140円)
ユーロ/円       144―175円(154円)
ドイツ企業、一段の値上げ計画 インフレ率2%に上昇へ=IFO | ロイター
トランプ氏SNS株急騰、米大統領選勝利オッズ上昇で | ロイター
米国襲う「選挙パニック」 大接戦で高まる恐怖心 - WSJ
ウォール街CEO、米経済の強さを称賛-大統領選は主要リスクと強調 - Bloomberg
サウジアラビアで今週開催される「フューチャー・インベストメント・イニシアティブ(FII)」年次会合に出席するためにリヤド入りした金融界の大物らは、米経済見通しについてはおおむね楽観的だが、欧州の成長が相対的に低迷していることに懸念を示した。
「欧州はそれほど速いペースで成長していない」とスタンダードチャータードのビル・ウィンターズCEOは指摘。欧州の企業利益の伸びは、大部分が大陸以外の市場からもたらされているとし、「これは構造的な問題だ」と続けた。
会議の登壇者らは、11月5日の米選挙も市場が直面する大きな不確実要素の一つだと強調。ハリス副大統領とトランプ前大統領は世論調査で接戦となっている。
「現在の予想では、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスを勝ち取るだろう」とヘッジファンド会社シタデルのケン・グリフィンCEOは発言。「トランプ氏が勝利する可能性が高いが、ほぼ半々の確率だ」と語った。
選挙後に打ち出され得る政策についても、明確な見通しが立っていない。
「米国では選挙を通過して、政策行動に関して明確な感触を得るまで、2025年の金融政策について考えるのは難しい」とゴールドマンのソロモン氏は話した。
公的年金の地共連、オルタナ比率5%近くに-7400億円超へと残高倍増 - Bloomberg
地方公務員共済組合連合会(地共連)は、上場株式や債券といった伝統的資産とは異なるオルタナティブ(代替)資産の構成割合を5%近くまで高めることを目指す。不動産やプライベートエクイティー(未公開株、PE)などへの投資残高を2030年3月末までに現状の2倍以上となる7400億円超に増やす計画だ。
植村哲理事がブルームバーグの取材に応じた。リターン向上に向け運用多様化をさらに進める必要があると判断。時価の変動で読めない部分はあるものの、オルタナ比率を3月末時点の2.1%から向こう数年で運用方針として定めた上限の5%近くまで高めたい考えだ。
地方公務員の年金を運用する地共連の運用資産は3月末時点で約35兆円に上る。資金の出し手である「アセットオーナー」として想定された主要年金の中でも、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に次ぎ日本で2番目に資産規模が大きい。
岸田文雄前首相は運用規模の大きい公的アセットオーナーに、運用力強化に向けた方針の提示を求めた。地共連はそうした要請に対応する一環でオルタナ投資推進を打ち出している。同様の動きは他の公的年金でも見られ、大型機関投資家の間でオルタナ投資強化の機運が今後高まる可能性もありそうだ。
地共連が投資対象とするオルタナ資産は不動産、インフラストラクチャー、PE、プライベートデット、バンクローンと幅広い。具体的な積み増し対象については「リスク分散を含め、どう伸ばしていくか考える」と検討課題としたが、公的年金としてそれぞれの資産で比較的リスクを抑えた商品を中心に上積みする。
オルタナ資産に投資するファンドを通じて、運用資産35兆円のうち17兆円超を占める厚生年金のための積立金で投資してきた。オルタナ資産の構成割合はGPIF(3月末で1.5%)などを上回り、同積立金の2.1%に当たる約3700億円の残高がある。
EU、中国製EVへの追加関税を正式承認 中国は対抗措置へ | ロイター
欧州連合(EU)は、中国製の電気自動車(EV)に対する関税を最大45.3%まで引き上げることを決定した。
従来の10%関税に加えて徴収する。追加関税は29日に正式承認され、30日に発効する予定。
EUの欧州委員会は、優遇融資や補助金、市場価格を下回るバッテリーなどに対抗するため関税が必要だと主張している。
中国のEV生産能力は年間300万台で、EU市場の2倍に相当するという。米国とカナダの関税が100%であることを踏まえると、中国製EVは欧州向けが多い。
中国政府はEU関税は保護主義的で、EUと中国の関係や自動車のサプライチェーン(供給網)に影響を与えると指摘。報復措置としてEU産のブランデーや乳製品、豚肉を対象に独自調査を開始した。
IMF幹部、ファンド融資急増を注視 「情報開示促す」 - 日本経済新聞
●中東情勢
ハマス、新提案協議の用意 ガザからのイスラエル撤退が必須=幹部 | ロイター
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(29日) | ロイター
ロンドン株式市場は反落し、エネルギー株を中心に売りが優勢でした。原油価格の下落やBPの決算発表が影響し、FTSE350石油・ガス株指数は2.38%、BPは5.0%下落しました。BPの第3四半期利益が約4年ぶりの低水準だったことが売り要因となりました。また、ロールスロイスなどの航空宇宙・防衛株も下落しています。一方で、HSBCの好調な決算を受け銀行株指数は上昇しました。ヨーロッパ全体でもBPやノバルティスの低調な決算が株価に影響し、特に旅行関連株が下げましたが、アディダスは中国での売上増加により上昇しました。
ユーロ圏の国債利回りが上昇し、米国債利回りの上昇に追随しました。米大統領選で共和党候補であるトランプ前大統領の再選が予想される中、市場では米国の利回り上昇が影響を及ぼしています。ドイツ10年債利回りは2.34%、フランス10年債は3.07%、イタリア10年債は3.56%となり、独伊10年債の利回り格差は122bpです。また、欧州中央銀行(ECB)はインフレが目標を下回るリスクを警告しており、利下げ観測が高まっています。
NY市場サマリー(29日)S&P・ナスダック続伸、ドル横ばい、10年債利回り一時約4カ月ぶり高水準 | ロイター
ニューヨーク外為市場では、ドルが対円で3か月ぶりの高値をつけましたが、他の通貨に対してはほぼ横ばいでした。日本の政治情勢が円安要因となり、ドル/円は153.47円に上昇。米大統領選や米経済指標の発表待ちで様子見ムードが漂っています。また、米国10年債利回りは4か月ぶりの高水準を記録しましたが、7年債入札の好調を受けて終盤にやや低下しました。オプション市場では共和党の圧勝を織り込み、選挙後の金利変動を見込む動きが強まっています。
米国株式市場では、ナスダック総合が終値で最高値を更新し、S&P500も続伸しましたが、ダウは下落しました。アルファベットの決算が市場予想を上回り株価は引け後も上昇。今週は主要企業の決算が相次ぐ中、投資家は「マグニフィセント・セブン」と他企業の業績差を注視しています。VFコープは2四半期ぶりの黒字決算で株価が27%急騰しました。
また、ニューヨーク商品取引所の金先物相場は米利下げ期待や安全資産としての需要から4日続伸。米大統領選や中東情勢、日本の政局不安も背景に金の買いが続きました。一方、米原油先物は中東の停戦交渉報道で地政学的リスクが緩和され続落。ただ前日の急落による安値買いも入り、下げ幅は限定的でした。

備忘録(2024/10/28
●海外企業決算
蘭フィリップス、売上高予想を下方修正 中国が不振 | ロイター
オランダの医療機器大手フィリップスは28日、中国の需要がここ数カ月で大幅に落ち込んでいるとして、通期の売上高予想を下方修正した。
ロイ・ヤコブス最高経営責任者(CEO)は「(第3・四半期は)中国の病院と消費者の需要がさらに悪化した。ただ他の地域では堅調な成長が続いている」を続けている」と表明。
「中国は基本的にフィリップスにとって長い目で見て引き続き魅力的な成長市場だが、市場環境は依然不透明だ」と述べた。
同社は2024年の比較可能ベースの売上高を0.5─1.5%増と予想。従来予想は3─5%増だった。他の地域では従来予想を達成できる見通しという。
特にパーソナルヘルス部門が不振で、同部門の第3・四半期の売上高は5%減少した。中国で2桁の落ち込みを記録したことが響いた。
病院に医療機器を販売する診断・治療部門は1%の減収。中国以外では「堅調な伸び」を示した。
全体の比較可能ベースの売上高は横ばいの44億ユーロ(47億5000万ドル)。市場予想の2.1%増に届かなかった。
調整後の利払い・税・無形固定資産償却前利益(EBITA)は前年同期比13%増の5億1600万ユーロで、予想と一致。コスト減少を受けて利益率が11.8%に上昇した。
同社は通期のコア利益率が従来の予想レンジ上限である11.5%程度になるとの見通しを示した。
フォード、7〜9月26%減益 EVで事業損失1500億円 - 日本経済新聞
[WM] ウェイストマネジメント 3Q増収増益 売上高8%増56.0億ドル、営業益10%増11.1億ドル、EPS1.88ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[F] フォード 3Q増収減益 売上高5%増461億ドル、営業益22%減8.80億ドル、EPS0.22ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CDNS] ケイデンスデザイン 3Q増収営業増益 売上高19%増12.1億ドル、営業益20%増3.50億ドル、EPS0.87ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ボーイングが増資、2.9兆円調達へ-ジャンク級への格下げ回避図る - Bloomberg
航空機メーカー大手の米ボーイングは、増資により約190億ドル(約2兆9000億円)を調達する。手元流動性のニーズに対応し、ジャンク級(投機的水準)への格下げ回避を図る狙いがある。
28日の発表文によると、ボーイングは普通株9000万株と、約50億ドル相当の預託株を発行する。ブルームバーグ・ニュースはこれより先、同社の資金調達を報じていた。
25日の株価終値に基づけば、普通株売却による調達額は140億ドル弱となる見通し。ブルームバーグがまとめたデータによると、ソフトバンクグループが2020年にTモバイルUSの一部保有株を売却して以降で最大規模となる。
同社は長年にわたる混乱と、7週目に入ったストライキの影響でバランスシートが悪化。ストにより主要な収益源である737MAX旅客機の生産は打撃を受けている。ボーイングは、投資適格級の格付けを維持し、スト終了後の生産拡大に備えるためにも資金を必要としている。
28日の米株式市場でボーイングの株価はニューヨーク時間午前9時35分時点で1.9%安。年初から先週末までは約40%下落し、ダウ工業株30種平均の構成銘柄で2番目に悪いパフォーマンスとなっている。
PJTパートナーズがボーイングのファイナンシャルアドバイザーを務め、ゴールドマン・サックスやBofAセキュリティーズ、シティグループ、JPモルガンが共同リードブックランナーを務める。
米マクドナルド、集団食中毒の原因ビーフパティでないと断定 | ロイター
独VW、国内で大規模人員削減し3工場閉鎖へ 労組幹部表明 | ロイター
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE), opens new tabは、予想を上回る大幅な事業再編を計画しており、国内で少なくとも3つの工場を閉鎖し、数万人の従業員を削減する方針であることが28日、労働組合幹部の話で明らかになった。残りの工場も恒久的に縮小される見通しという。
VW事業所評議会のダニエラ・カバロ委員長はウォルフスブルクで数百人の従業員に対し、「経営陣はこの件に関して完全に本気だ。労使交渉における脅しではない」と指摘。ドイツ最大の企業グループであるVWが国内での事業や資産の売却を開始するための計画だと述べた。
閉鎖される具体的な工場名や削減数は明らかにしなかった。国内のグループ従業員は約30万人。
カバロ委員長は、政府はドイツ産業のための総合計画を早急に策定する必要があると述べた。
政府報道官は、ドイツ政府はフォルクスワーゲンの難局を認識しており、同社や労働者代表と緊密な対話を続けていると指摘。「首相の立場は明確で、過去の誤った経営判断が従業員に不利益をもたらすことがあってはならないということだ。雇用を維持・確保することだ」と述べた。
カバロ氏は、電気自動車への移行の遅れや欧州に進出する中国メーカーとの激しい競争など、多くの欧州同業他社も直面している問題について、従業員と取締役会の間で合意があったと指摘。「問題分析で意見はそれほど離れていない。しかし答えについては大きな隔たりがある」と語った。
ボーイング、新株などで3兆円調達へ 格下げ回避に対策 - 日本経済新聞
経営再建中の航空機大手である米ボーイングは28日、新規資金調達の具体策を公表した。普通株などを新たに発行し、少なくとも約190億ドル(約2兆9000億円)を調達する計画だ。主力工場で労働組合によるストライキが1カ月以上続き、資金が流出している。財務を改善し社債格付けの引き下げを回避する考えだ。
28日、普通株9000万株に加え、転換権付優先株50億ドル分を発行すると発表した。足元の市場価格で計算すると、普通株発行は140億ドル規模の調達につながる。売り出し価格は28日の米市場の引け後に決定される見通しだ。
投資家の需要が大きければ追加売り出しも実施するという。米証券ジェフリーズによると、合計調達額は210億ドル超に膨らむ可能性もある。
増資で財務内容を改善し、手元資金も厚くする考えだ。ボーイングは9月中旬から米国内の主力工場でストが発生し、小型機「737MAX」や大型機「777」の生産が滞っている。2024年10〜12月に40億ドル規模の資金が流出する可能性がある。
同社の手元資金は9月末に約105億ドルとなり3カ月前と比べ2割減少した。このままだと事業運営上、同社が望ましい水準としている100億ドルを割り込む可能性が高い。
同社の格付けは「投資適格級」としてぎりぎりの水準で、あともう1段階引き下げられたら「投資不適格級(ジャンク債)」となる。社債の発行金利が上昇する。
格付け会社は財務体質を改善しなければ格下げの可能性があると警告しており、ボーイングは対策として10月中旬、今後3年で新株や社債の発行などを組み合わせ最大250億ドルを調達する可能性があると公表していた。
ボーイングは1月に小型機の胴体に穴が開く事故が発生し、製造品質問題が発覚。工場の品質改善に取り組んでいる。そのさなかに労使交渉がこじれ、3万人以上が加盟する労働組合のストが発生し、経営が混乱している。
アップル、AI機能が部分的に始動-「M4」搭載「iMac」も発表 - Bloomberg
●日本企業
北海電工、25年3月期一転最高益 ラピダス関連の受注増で - 日本経済新聞
スタンレー電気、4〜9月決算は純利益42%増 通期配当引き上げも - 日本経済新聞
中国電力、島根原発2号機の燃料装荷開始 12月再稼働へ - 日本経済新聞
日本ペイントホールディングス、米化学を6300億円で買収 産業用塗料強み - 日本経済新聞
日本ペイントホールディングス(HD)は28日、米化学企業のAOC(テネシー州)を買収すると発表した。買収額は純有利子負債を合わせて6300億円。AOCはコーティング剤原料など特殊な化学品で高いシェアを持つ。高収益企業を買収し、利益を積み上げる。
AOCの持ち株会社であるLSF11 A5 TopCoの全株式を米ファンドのローンスターから取得する。株式の取得額は23億400万ドル(約3300億円)で純有利子負債を含む買収総額は約6300億円となる。規制当局の審査を経て、2025年上期中に買収を完了する予定。買収資金は金融機関からの借り入れでまかなう。
同日、オンラインで記者会見した日本ペイントHDの若月雄一郎共同社長は「大きな(事業の)柱の構築に資する買収だ。シナジーがなくても大幅な利益増大につながる」と語った。
AOCは多様な化学品で高いシェアを持つことで高い収益性を維持する。産業分野で幅広く使われるコーティング剤や接着剤、着色剤などの原料となるニッチな化学品を製造している。顧客に応じて化学品を配合する技術力と、短納期に間に合わせる製造・物流網が武器だ。同社の売上高に対するEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)比率は3割を超え、日本ペイントHD(15%)を上回る。
AOCが手掛ける製品分野は、業界再編が進んでいる。北米や欧州で上位数社が高いシェアを持つ。一方で、建築やインフラ、自動車など幅広い産業で使われており、1000社以上の大小様々な企業を顧客に抱えている。そのため、特定の顧客に依存せず安定した収益を稼ぎやすい。
23年12月期の連結売上高は前期比16%減の14億ドル、EBITDAは1%減の5億ドルだった。EBITDAは日本ペイントHD(2220億円)の約3割に相当し、日本ペイントHDが経営指標として重視する1株あたり利益(EPS)が大きく増える。EBITDAに対する設備投資負担は2~3%と塗料並みに低く、安定して現金を創出できる点も買収の決め手になった。
同社によると、買収が完了すれば、通年でEPSが15〜17円増える。EPSが増えることを考慮し、30%としていた配当性向は買収完了後に再検討するが減配はしない。
日本ペイントHDは、世界4位の塗料メーカーだ。シンガポールの投資会社ウットラムグループが、日本ペイントHDの株式の過半を保有する。同社の24年12月期(国際会計基準)の売上高に当たる売上収益は前期比11%増の1兆6000億円、純利益は5%増の1240億円を見込む。
これまで世界中で関連会社を買収することで企業規模を拡大してきた。21年には、親会社からアジアの塗料大手を1兆円で買収、その後もフランスの建築用塗料大手やオーストラリアの塗料大手の買収に数千億円を投じてきた。営業利益の9割近くを海外で稼いでいる。
「約束できないが、本件のような(規模の買収)を1〜2年おきに、ぽんぽんやっていく」(若月共同社長)。同業他社による囲い込みが進み塗料会社の買収額が高騰する中、周辺領域も含め、低リスクで利益貢献につながるM&Aの機会を探る。
日東電工の純利益81%増 4〜9月決算、データセンター向け好調 - 日本経済新聞
日東電工が28日発表した2024年4〜9月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比81%増の799億円だった。生成AI(人工知能)の普及を背景に、データセンター向けの回路材料が好調だった。自動車向けは伸び悩んだものの、タブレット端末向けの光学フィルムも堅調に推移した。
売上高にあたる売上収益は16%増の5217億円、営業利益は69%増の1092億円だった。24年4〜9月の為替レートが1ドル=153.6円と、前年同期(1ドル=139.4円)に比べ円安で推移し、営業利益を171億円押し上げた。日東電工は為替が対ドルで1円円安に振れると年間の営業利益が26億円増える。
25年3月期通期の業績見通しは、売上収益が前期比7%増の9820億円、純利益は27%増の1300億円とする従来予想を据え置いた。
下期(24年10月〜25年3月)の想定為替レートは1ドル=140円と、従来の想定レート(1ドル=152円)より円高に見直した。伊勢山恭弘・最高財務責任者(CFO)は「データセンターやタブレット向けが伸びており、為替の影響を厳しめにみても十分にカバーできる」と説明した。
日本企業に「野蛮な来訪者」殺到、買収攻勢 - WSJ
米プライベートエクイティ(PE)投資会社2社による異例の買収合戦が日本で勃発した。日本にとって新時代の到来を示す明らかな兆候だ。
KKRとベインキャピタルが日本のソフトウエア会社、富士ソフトの支配権を争っている。KKRが最初に買収提案を行い、同社取締役会と一部の大株主の支持を得た。しかしベインがその後、7.4%高い提案を行い、同社の評価額は約42億ドル(約6400億円)に達した。
富士ソフト株は現在、KKRの提案価格を上回って取引されており、ベインが勝利するか、またはKKRが提案価格を引き上げるかとの期待感を示している。
これは、日本でグローバルなPE投資会社の存在感が増していることを示す最新事例だ。日本でPE投資会社が関与した案件の総額は2023年に5兆9000億円(390億ドル相当)に達し、前年からほぼ倍増した。2011年から2020年の間の年平均は1兆円未満だった。調査会社プレキンによると、日本に焦点を当てたPEファンドの運用資産残高は今年3月時点で620億ドルとなり、2019年末の2倍以上に増加した。
日本は昨年、アジア太平洋地域最大のPE市場となり、同地域の案件価値の30%を占めた。従来は5~10%だった。
日本のPE市場拡大の主な理由は、企業統治改善に向けた取り組みだ。政府や証券取引所は企業にバランスシートのスリム化と株主還元の改善を促している。これにより企業は買収提案を以前より真剣に検討せざるを得なくなり、また中核事業以外の分離・売却も迫られている。こうした要素がすべて、PE投資会社に買収機会をもたらしている。
株主アクティビズムの台頭も圧力となっている。例えば富士ソフト買収への関心は、アクティビスト投資家が同社に株式非公開化を迫った後に高まった。
日本の産業界の象徴である日立製作所の再編成が成功したことは、よい事例となり得る。114年の歴史を持ち、原子炉から鉄道まで幅広い事業を手掛けるこの企業は、金融危機時に窮地に陥った。当時、日本企業として過去最大の純損失7870億円を計上した。
しかし、日立は過去数年で印象的な復活を遂げた。株価は2018年末以降、約7倍に急騰している。同社は多くの非中核事業から撤退し、その資金を株主に還元するか、自動化や電力設備などのもっと有望な分野の買収に振り向けた。KKRやベインなどのPE投資会社は、日立が分離した物流や半導体製造装置、製鉄などの多くの子会社を買収した。
日本が企業統治の改善を継続的に推進することで、PE投資会社にはさらなる機会がもたらされるだろう。例えば、日本の主要証券取引所は、企業に株価の簿価超えを目指すよう促している。最近の利上げにもかかわらず、日本の金利は低率にとどまっており、同国の案件をさらに魅力的なものにしている。PE投資会社カーライル・グループによると、日本のレバレッジド・バイアウトの資金調達コストは2%から3%程度で、米国の9%から10%と比較して低い。
潤沢な資金と高いリターン、そして多数の潜在的な買収対象により、日本はPE投資会社の新たな遊び場となった。彼らは今後も日本市場に留まる可能性が高い。
東芝パワー半導体、30年に世界シェア「2桁は絶対必要」-子会社常務 - Bloomberg
東芝の子会社、東芝デバイス&ストレージの栗原紀泰常務は、パワー半導体の世界市場における同社のシェアについて、2030年くらいに「2桁は絶対必要」になるとの考えを示した。
栗原氏は16日のインタビューで、2桁シェアを持たなければ独インフィニオンテクノロジーズを頂点とする海外勢と戦っていけないと危機感を口にした。他社と連携することで自社の足りない技術を補完し、シェア拡大につなげられることから、「アライアンスは避けられないのではないか」との見方も示した。
昨年末に非上場化した東芝にとって半導体事業は強化分野の一つで、26年度までの3年間に約1000億円投資する。石川県内の新しい製造棟は本格稼働に向けた準備が進み、フル稼働時にはパワー半導体の生産能力を21年度比2.5倍に高める計画だ。兵庫県やタイの工場の能力も増強する。
連携候補への言及は避けたが、同じくパワー半導体を生産するロームとはそれぞれが新たに整備する工場で製品を融通し合う計画で、経済産業省は両社に最大1294億円支援する。ロームの松本功社長は5月時点で、東芝との半導体事業の業務提携に向けた協議を開始する方針を明らかにしていた。
電気自動車(EV)や家電に使われるパワー半導体は主に電力の制御や供給を担い、効率的に電力を扱うことで省エネにも貢献するため需要が高い。東芝は売価の見直しや固定費の削減を通じて収益構造を見直し、シェア拡大を図る計画だ。
英調査会社オムディアによると、パワー半導体市場における日本勢のシェアは低い。トップはインフィニオンの22.8%で、米オン・セミコンダクター(11.2%)やスイスのSTマイクロエレクトロニクス(9.9%)と続くが、国内メーカーは三菱電機の5.5%、東芝やロームは3.2%にとどまる。
経産省も半導体業界の現状をまとめた昨年11月の資料の中で、半導体・デジタル産業基盤の整備・確保が不可欠だと説いた上で、パワー半導体の分野については国内勢がシェアを分け合う状況であることから、メーカー間の連携や再編が期待されるとした。
英調査会社オムディアの南川明シニアコンサルティングディレクターは、パワー半導体市場は既存の海外勢に加え、中国勢もかなり大規模な投資をしていることから、5年後にはトップ10に入ってくると予想する。
南川氏は、今のままだと東芝に打つ手は少なく、同社が望む規模でのシェア拡大はハードルが高いとした上で、「再編の枠組みを日本だけに限定するのではなくて、むしろ海外勢と検討するべき」だと話した。
●米大統領選挙
情報BOX:米大統領選、当日に勝者判明しない可能性も 激戦州の独自ルールで | ロイター
選挙を左右しそうな激戦州は7つあり、それぞれが投票用紙の取り扱いや集計について独自のルールを設けている。
選挙当日とその後に予想されることは以下の通り。
◎アリゾナ州
アリゾナ州では郵便投票が非常に盛んで、2020年の前回大統領選では有権者の90%近くが期日前に投票し、その大部分が郵便投票だった。アリゾナ州の選挙当局は郵便投票を受け取った時点で処理と集計を始めることができるが、結果は投票終了の1時間後まで公表できない。
選挙当日に投函された郵便投票は、投票所が閉まるまで処理できない。22年の選挙では、州最大のマリコパ郡の全投票数の5分の1が「遅い期日前投票」投票だった。
◎ジョージア州
ジョージア州では早期の期日前投票が盛んで、投票の65―70%が期日前投票所で実施されると当局は見込んでいる。投票のうち5%程度になる可能性がある不在者投票や郵便投票は、選挙当日の2週間前から署名の確認などの手続きをできるものの、それらの集計は投票日まで待たなければならない。
州法によると、直接投票と郵便投票からなる全ての期日前投票は選挙当日の米東部時間午後8時(0000GMT)までに集計され、報告されなければならない。当局は選挙当日の投票も含め、深夜までに全ての票を集計することを目指している。
外国在住者や軍人の投票は11月5日までの消印があれば、選挙の3日後まで受け付ける。このような形で要求された投票用紙は2万1000枚を超えており、これらの票が集計されるまで極端な接戦に決着が付かないかもしれない。
◎ミシガン州
ミシガン州では前回大統領選の後、投票所での期日前投票が導入され、人口が5000人を超える管轄区域では選挙8日前から郵便投票の処理と集計を開始することが認められるようになった。小規模な管轄区域では11月4日から可能となる。
当局はこれらの変更により、郵便投票を事前に処理できなかった前回大統領選よりも迅速に結果を報告できるようになることを期待している。
◎ネバダ州
前回大統領選でのネバダ州の開票作業は遅く、民主党候補だったバイデン大統領に結果の電話があったのは選挙の5日後だった。関係者は、その後の変更によってプロセスが迅速化するはずだと説明している。
最も顕著なのは、各郡が10月21日に郵便投票の処理と集計を始めることが許可されたことだ。加えて期日前投票の集計は投票終了まで待つのではなく、選挙当日の午前8時(1500GMT)に開始できるようになった。
それでも、ネバダ州の結果はすぐに出ないかもしれない。同州では郵便投票の人気が高まっており、遅く到着した郵便投票用紙を受け付ける唯一の激戦州となっている。
11月5日までの消印がある郵便投票でも、4日以内に到着すれば集計される。このように遅く届く郵便投票は民主党にとって有利な票なのが通例で、選挙日の後の集計でハリス氏の票が上積みされる可能性がある。
◎ノースカロライナ州
選挙当局は、選挙日に先立って郵便投票の処理とスキャンを始める。投票終了後、最初に報告される結果は郵便投票と期日前投票が中心となる可能性が高い。選挙当日の投票は夜通しで集計、報告され、深夜までに全体の結果が出る見込みだ。
世論調査の結果が示唆するように選挙が接戦になれば、ノースカロライナ州の結果は1週間以上にわたって明確にならないかもしれない。11月5日に到着する不在者投票や、外国と軍の有権者からの投票用紙は、選挙後10日間の開票期間中に集計される。前回大統領選で各メディアが同州でのトランプ氏勝利を報じたのは、選挙の10日後の11月13日だった。
◎ペンシルベニア州
おそらく最も重要な激戦州のペンシルベニア州は、前回大統領選で選挙日の4日後になるまで勝者がはっきりしなかった。当局が郵便投票用紙の膨大な残りを精査したためだ。同州は、選挙当日の米東部時間午前7時まで作業員が郵便投票用紙を処理したり、集計したりすることを許していない数少ない州の1つだ。
民主党支持者の方が共和党支持者よりも郵便投票をしているため、選挙当日の直接投票に基づく初期の結果はおそらくトランプ氏が優勢となるだろう。だが郵便投票が集計されるのに伴い、トランプ氏のリードは縮まる可能性が高い。
前回大統領選でこのパターンが見られ、トランプ氏は不正を主張した。陰謀説が浮上するのを阻止するために今年は、大部分の郡が選挙日の夜中に集計が終わっていない郵便投票の総数を発表することを義務づけた新法が施行された。
◎ウィスコンシン州
ペンシルベニア州と同様、ウィスコンシン州も郵便投票の処理や集計を選挙日の朝まで認めていない数少ない州の1つだ。このため、郵便投票の結果の報告が遅れる可能性がある。
さらに州内の主要都市の多くは、郵便投票用紙を集中管理した場所へ運んで処理、集計をしているので、投票終了後の早朝に大量の票が一斉に報告されることになる。
前回大統領選では州最大の都市ミルウォーキーで米中西部時間午前3時半(0830GMT)ごろに17万票近い不在者投票の結果を報告後、バイデン氏の票数が急増してトランプ氏を逆転した。
トランプ氏らは事実誤認で不正を主張したが、このような増え方をすることはミルウォーキーでの投票用紙の処理方法と、民主党支持者が郵送で投票する傾向が強いことから予想されていた。今回の大統領選でも同じようなパターンになりそうだ。
●その他先進国政治動向
首相指名の特別国会、11月11日以降で調整=関係筋 | ロイター
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
円金利資産は超長期国債中心に投資、償還多く残高は減少=かんぽ生命・24年度下期運用計画 | ロイター
日本郵政グループのかんぽ生命保険は28日、2024年度下期の一般勘定運用について、円金利資産は保有債券の償還が投資額を上回るため、残高は減少するとの見通しを示した。ただ一時払い終身保険の販売が好調で総資産の縮小ペースは減速しており、超長期国債を中心に「買い入れもきちんと行う」と語った。
28日に開催した資産運用方針説明会で、野村裕之執行役員・運用企画部長が明らかにした。
運用の柱となる円金利資産は、「買い目線」ではあるものの、総資産の縮小が続く中で投資額が保有債券の償還に届かず、上期に続き、残高は減少を見込む。
ただ野村氏は、一時払い終身保険の販売好調を背景に今年度は総資産の縮小ペースが前年度までの3兆円から、半分の1.5兆円程度に減速しているとして、「日本国債と国内事業債については買い入れもきちんと行っていく」との考えを示した。
かんぽ生命の総資産の6割を占める日本国債の主な投資対象は20年・30年といった超長期債で、「相対的に妙味が高まる局面で機動的に対応する」方針という。
30年国債利回りは28日時点で2.2%台だが、かんぽ生命では下期のレンジを1.90─2.40%、年度末の着地を2.25%と想定。また日銀の金融政策は今年度中にあと1回の利上げが行われるとの見通しをメインシナリオに置く。
野村氏は「一時払い終身保険の保険料が入ってくれば、今のように水準が悪くないなら、我々としてはあまりタイミングはずらさず素直に、着実に購入している」と述べた。
さらに10月から、通貨スワップを使って円建てのキャッシュフローに固定した外国社債への投資を、円金利資産の一部としてスタートしたことも明らかにした。投資対象を拡大する狙いがあり、保険の販売状況や金融環境にもよるためターゲットは設けていないが、数千億円程度の残高まで徐々に積み上げたいとしている。
外貨建て債券のうち、為替ヘッジ付きはヘッジコスト控除後利回りの低下を踏まえて、低利回り債券の売却を継続する方針。為替リスクをヘッジしないオープン外債は、「円高見通しの中、慎重にリスクテイクを行う方針」で、残高は微増を見込む。
リスク性資産の株式は、国内外ともに「慎重なリスクテイク」を基本姿勢とし、調整局面を待って買う方針。国内株式の残高は微増、外国株式は横ばいと見込んでいる。
オルタナティブ資産は、上期に続き残高を増やす。投資機会に応じてプライベートエクイティ(PE)などを積み上げる方針という。
かんぽ生命の一般勘定の総資産残高は、3月末時点で60兆8570億円。うち外貨建て資産は4兆0843億円(6.7%)。
2024年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り   0.90―1.40% (年度末1.20%)
日本国債30年物利回り   1.90―2.40% (年度末2.25%)
米10年物国債利回り    3.30―4.50% (年度末3.80%)
日経平均株価        3万5000―4万2000円 (年度末4万円)
ドル/円          130―150円   (年度末140円)
JPモルガンCEO、複数の主要規制を批判 「反撃の時が到来」 | ロイター
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は28日、資本規制やカード決済、オープンバンキングに関するいくつかの主要な規制を批判した。
多くの銀行が罰則を懸念して「規制当局と戦うことを恐れている」とした上で、「反撃の時が来た」と言明。連邦準備理事会(FRB)当局者から、自身の発言や投稿の内容から目を付けられることになることを理解するよう言われたとも明らかにした。
未公開株投資、試験合格なら誰でも可能に? - WSJ
未公開企業への投資は長らく富裕層の特権だった。大きな損失が出てもそれを吸収できるだけの財力が必要とされた。
この市場制限を新たな試験に置き換える取り組みが勢いづいている。それは文字通りの試験だ。
米国の議員グループは、試験に合格した投資家なら誰でも未公開証券を購入できるようにする法案を提出した。新規株式公開(IPO)前のスタートアップ企業の株式や未公開企業向けのローンといった未公開証券は、よりリスクが高いと考えられている。公開証券よりも開示規則が緩く、緊急時に売却が困難または不可能な場合があるためだ。
この構想は、ハイリスク・ハイリターンの投資機会を、富裕層だけでなく、優れた投資家全員に開放すべきだというものだ。ウォール街の関係者や多くの小規模助言会社から高い支持を得ており、一般投資家の退職基金・貯蓄のより大きな割合をプライベートエクイティ(PE)ファンドなどの非伝統的投資に振り向けようとする動きがある。
米上院銀行委員会の有力メンバーで同法案を提出したティム・スコット上院議員(共和、サウスカロライナ州)は「富裕層でなくても、苦労して稼いだお金を自分が住む地域のスタートアップ企業に投資できるようにすべきだ」と述べた。  現在、適格投資家になるには、主たる住居を除いて100万ドル(約1億5200万円)の純資産、または年間20万ドル以上の収入(共同世帯の場合は30万ドル)が必要だ。未公開証券の投資家は、年金基金や大学基金など、人材とノウハウを持つ大手機関投資家が大半を占める。
投資家保護を訴える人々は、この規則を変更すれば、個人投資家に必要な安全装置が弱まり、未公開企業や金融機関の懐を肥やすことになると指摘する。
金融規制の強化を訴える「アメリカンズ・フォー・ファイナンシャル・リフォーム」の政策担当マネジングディレクター、パトリック・ウッドール氏は、「知識だけでは、リスクが高く不透明で流動性の低い未公開証券への投資による潜在的な損失から人々を守れない」と述べた。「それを守れるのは財力だけだ」
この議論は、ウォール街で急成長している分野と、ウォール街に大きな手数料をもたらす投資タイプを巡るものだ。各社は一般投資家向けの商品拡大に躍起になっている。しかし、アクセス面での規制当局の考え方にはほとんど変化がない。
現在の適格投資家の定義は1980年代に定められたもので、実際の金額水準は大きく変わっていない。
収入と資産の基準を満たす人の数は過去40年間で急増している。これはインフレの影響が大きい。米証券取引委員会(SEC)の推計によると、米国では2022年時点で2430万世帯(全世帯の約18.5%)が基準を満たしていた。1983年には150万世帯(同1.8%)に過ぎなかった。
米政府・議会はすでに何度かルール変更に取り組んでいる。
SECは2020年、未公開市場投資への参加資格拡大について投票を行い、エントリーレベル株式ブローカーの免許保有者や未公開企業の「知識のある従業員」にも参加を認めた。株式ブローカーは、4時間近くもかかる恐怖の「シリーズ7」試験に合格する必要がある。
下院は2023年、「適格」かどうかの判断を標準試験に委ねることを支持する法案を可決した。
一般大衆向けのより広範な試験制度をどのように構築するかは、まだ誰にもわかっていない。
上院銀行委員会の共和党メンバーらは9月、金融知識を問う試験で十分な高得点を取った個人は、未公開証券に投資できるようにすべきだと提案した。
スコット議員が提出した新法案では、「高度な金融知識(financial sophistication)」試験の作成をSECなどの規制当局に委ねることになっている。試験では、証券の種類、証券法に基づく開示要件、コーポレートガバナンス(企業統治)、財務諸表、これらの取引に伴う流動性とレバレッジのリスク、などのトピックについて個人に質問する。
問題数はいくつか、不正防止策はどうするのか、試験時にHBの鉛筆はいるのか――。規制当局はこれらの問題も全て解決しなければならない。
ある上院補佐官は、運転免許証の学科試験ほど簡単であってはならないが、合格「不可能」な試験であってもならないと述べた。  スコット議員の法案は、11月の議会選で共和党がより多くの議席を獲得しない限り、可決される可能性は低い。法案支持者は、これが人気のある構想であり、超党派の支持を得られると信じているが、上院では現在、共和党は少数派だ。
債券自警団結集も、選挙や国債発行で利回り5%に現実味-ヤルデニ氏 - Bloomberg
ウォール街のベテランでヤルデニ・リサーチ創設者のエド・ヤルデニ氏は、迫り来る米国の選挙は市場の債券自警団の復活を予兆している可能性があると指摘した。米財務省は新たな債務発行計画を準備している。
これはヤルデニ氏が以前から示している予想だ。同氏は1980年代に、米政府を財政緊縮の道筋に回帰させようと債券を売る投資家を「債券自警団」と名付けたことで知られる。
「債券自警団が確実に増えつつあるというのはあり得るシナリオだ」と同氏は28日、ブルームバーグテレビジョンで発言。「債務に対処するために、また政府の純利払い費用に対処するために財政赤字削減策を講じるという議論は、いずれの候補者からも一切聞かれていない」と述べた。
米国と英国では今後数週間に、一連の債券発行が予定されており、市場は新たな供給を消化することになる。
米財務省は30日に四半期定例入札の規模を発表する。同省は5月以降、中長期債の入札規模を「少なくとも今後数四半期」は維持する見込みだとしており、いくつかの入札規模は既に過去最高水準に達している。ウォール街のディーラーの間では四半期定例入札の規模について、3四半期連続で総額1250億ドル(約19兆円)になると予想されている。
英国の投資家も政府予算の公表に伴う借り入れの増加に備えている。ディーラーの予測によれば、英債務管理局は30日、国債発行の150億ポンド(約3兆円)増額を発表する見通し。
より広く見れば、米選挙戦が終盤を迎える中、トレーダーはハリス副大統領とトランプ前大統領の経済計画に注目している。米10年債利回りは10月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く上昇。選挙関連のトレーディングに加え、堅調な経済指標を背景にハト派的な米利下げ期待を見直す動きが強まったとみられている。
ただ、ドルや株式など他の資産は底堅い展開となっている。
「実際、債券利回りが上昇する一方でドル高が進んでいる」とヤルデニ氏。「債券利回りが5%に上昇することに私が過度な期待感を抱くことはないだろうが、数週間前よりも現実味を帯びてきているのは確かだ」と続けた。
●中東情勢
イスラエル、イラン空爆に戦略的重要性-米大統領選後の攻撃の布石か - Bloomberg
イスラエルの攻撃、イランのぜい弱性浮き彫りに - WSJ
イスラエルが26日早朝に実施したイランへの攻撃では、同国の最先端の防空システムが標的となった。両国が直接対峙(たいじ)する新たな時代へ突入する中、今後の攻撃に対するイラン側のぜい弱性が浮き彫りとなっている。
イスラエル軍は三つの州にあるイラン軍の施設を目がけ数時間にわたり攻撃を実施。ロシア軍がイランに供与した地対空システム「S300」なども攻撃の対象になったと米国やイスラエル政府当局者らは述べた。
イスラエル政府当局者は今回攻撃を実施した四つの全ての防空システムが、使用不能な状態になったとしている。
米国はイランの核および石油施設を攻撃しないようイスラエルに強い圧力をかけており、今回の攻撃はその中で実施された。米政府はイランに対し、事態をこれ以上エスカレートしないよう行動を控えるべきだとも伝えている。
イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は27日の演説で、イスラエルによる攻撃で被害が生じたとしつつも、その詳細には触れなかった。また、イスラエル側は攻撃の成果を誇張していると述べる一方で、攻撃を軽視したり大きな出来事ではなかったと退けたりするのも誤りだとした。
ただし1989年からイランを率いているハメネイ師は、過去に攻撃を受けた後に行ってきたような厳しい報復を約束することは控えた。
イスラエルは、イランの自衛能力を無効化したことで同国との対立における新たな局面を開いた。イランは防空網にぜい弱性が生じ、両国の軍事力の大きな格差が明確になった。イスラエル側はイラン領空を飛行する能力があると主張している。
シンクタンクのワシントン近東政策研究所シニアフェロー、ファルジン・ナディミ氏は、「イランは多くの内省を迫られ、このような新たな脅威を迎撃できる防空システムに多額の資金を費やす必要がある」と指摘。「イランは軍産国家だ。国内には多くの標的があるため、手に入れられるだけの防空システムが本当に必要になってくる」と語った。
何十年もの間、イランとイスラエルは間接的に争ってきた。イランは、紛争を自国の国境から遠ざける方法として、民兵を武装させ訓練し、イスラエルを含む敵に嫌がらせや脅しを行ってきた。イスラエルはイランの核開発を標的にした破壊工作や暗殺、シリアを含むイラン国外のイラン軍への攻撃を通じて、イランに圧力をかけてきた。
だが現在、イランとイスラエルは異なる形の戦いに直面している。直接的で長距離の戦争だ。そして両国の戦いぶりは大きく異なっている。
イランは4月と10月の2回、イスラエルの防空システムを一部突破することができたが、それは一度に数百発のミサイルを発射することでのみ可能だった。
イスラエルは2度、イランの重要な標的を攻撃する能力を示し、その兵器のほとんどが迎撃されることはなかった。4月には防空レーダーを標的とした。作戦に詳しい人物らによれば、26日の攻撃では、イスラエルが保有する最新鋭の航空兵器、F35戦闘機が使用された。F35はレーダーを回避する能力に長けている。
地対空ミサイル「S300」は1960年代と70年代にソ連が設計した地対空ミサイルシステムの系統で、現在は航空機、ドローン、そして一定程度は巡航ミサイルや弾道ミサイルに対する防衛に使用されている。ロシアは2016年にイランにS300のシステムを供給した。これは核交渉と国際制裁により9年間遅延した後のことだった。
システムの詳細は公表されていないが、専門家はイランが注文の一部として40~60基の発射装置を受け取ったと考えている。各発射装置は最大4発のミサイルを搭載できる。
S300システムは、核施設や政府が公式に使用するメヘラバード空港など、高価値な標的の防護に使用されている。同システムの一つは移動可能で、ハメネイ師が東部の故郷マシュハドを訪れる際に同行する。これはナディミ氏の研究によるもので、同氏の研究はイラン国内の情報源と衛星画像に基づいている。
26日の攻撃では、イランの保有するS300のほとんどが攻撃を受けたと考えられている。専門家は、攻撃による被害の全容はまだ評価中だとしながらも、イスラエルがイランの最新鋭の防空システムと最も機密性の高い軍事施設の一部を攻撃できたという事実は重要だと指摘する。
「イランの対空防衛は優勢な攻撃技術に対してぜい弱だ。装備で勝った敵、特にイスラエルからイランの領空を守るには不十分だ」。カリフォルニア州モントレーの海軍大学院でイランの軍事を専門とするアフション・オストバー氏はこう指摘する。「このシステムは簡単には代わりがきかない。イランにはある程度の余剰があるだろうが、それでもイスラエルは、将来の攻撃を容易かつ非限定的なものにする道を開いたかもしれない」
イスラエルの軍事的能力の多くは米国の支援によるものだが、イランは主に国内の技術開発とロシアや中国からの支援に頼ってきた。もろさが露呈したことで、中ロとの同盟関係の限界と恩恵への疑問が浮上している。
イランと中ロとの関係には注意すべき点がある。ロシアと中国はともに、サウジアラビアを含むイランの地域的なライバルとも戦略的な関係にある。ロシアはシリアでイスラエルと一部の利益を共有している。中国はエネルギーの半分を中東から輸入しており、中東の情勢悪化は望まないため、イランへの軍事支援には常に消極的だったと、イスラエル国家安全保障研究所(INSS)の上級研究員、ラズ・ジムト氏は述べる。ただ中国は、イランが米国の制裁を回避するのを支援してきた。
「イランとロシア・中国の関係は場合によりけりで、各国の利益に従っている」と国際危機グループ(ICG)の中東・北アフリカ担当上級顧問、ディナ・エスファンディアリ氏は言う。「つまり、ロシアと中国がイランを助けることが自国の利益にならないと判断する場合もある」
イランによる軍事技術の追求は、中東およびそれ以外の地域の紛争を複雑化させる可能性があると、オストバー氏は指摘する。
「例えば、ロシアがイランに(最新鋭の)S400地対空ミサイルを供給し、それを運用するためにロシア軍を派遣した場合、イスラエルにはさらなる地政学的リスクが加わることになる」と同氏は述べた。
【解説】事態激化か弱腰の印象与えるか……イランの難しい選択 BBC国際編集長 - BBCニュース
イスラエルがイランを攻撃したことで、中東の戦争はいっそう深刻なものになった。これ以上の悪化を避けるか、それとも悪化のリスクを冒すか。これこそが、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師と主な顧問たちの決断の核心を占める。
複数の難しい選択肢の中で、一番悪くないものを選ばなくてはならない。弾道ミサイルで反撃するというのが、最も強硬な反応だ。そうした場合には、イスラエルは再び報復するとすでに警告している。
対照的に最も穏やかな反応は、互いの領土を直接攻撃するという破壊的な応酬に、一線を引くというものだ。しかし、イランがこの道を選んで攻撃を控えた場合、アメリカに支えられたイスラエルの軍事力と政治的な意志の強さにおびえ、自制を選んだかのように、弱く見えるリスクがある。
イランの国営メディアは、イスラエルが攻撃した直前と直後には強気な声明を伝えた。その内容を額面通りに受け止めれば、イランが反応することをすでに決めているかに聞こえた。その言葉遣いはイスラエルの言い分によく似て、攻撃に対する自衛権を主張している。しかし、現在の情勢はあまりに緊張の度合いが高い。それだけにイランは、脅しを実行しないことにする可能性もある。
イギリスのキア・スターマー首相も、その展開を望んでいる。アメリカは、イスラエルがあくまでも自衛権を行使しているのだと力説しており、スターマー首相もアメリカの主張に倣った。
「イランの攻撃に対して、イスラエルに自衛権利があることは明白だ」と、スターマー氏は述べた。「同様に、地域の紛争がこれまで以上に激化する事態を避ける必要があるのも明白なので、すべての当事者に自制を求める。イランは反撃するべきではない」と首相は強調した。
10月1日に弾道ミサイルでイスラエルを攻撃して以来、イランの主張は終始一貫している。イランのアッバス・アラグチ外相は1週間前、トルコのNTVネットワークに対し、「イランに対する攻撃はどのようなものでも、我々にとって重大な一線を越える行為となる。そのような攻撃に我々が反応しないなど、あり得ない」と述べた。
イスラエルの攻撃の数時間前、イラン外務省のエスマイル・バカイ報道官は、「イスラエル政権によるイランへのあらゆる攻撃には、全力で対抗する」と述べた。イスラエルの攻撃が限定的ならばイランは反応しないなど、そのような憶測は「非常に誤解を招くもので、根拠がない」とも述べた。
イスラエル軍機が基地に帰還している最中、イラン外務省は「国連憲章第51条で保障されているように」として、自衛権を主張した。外務省声明は、イランは外国の攻撃行為に対応する権利と義務があると考えると主張する内容だった。
今年の春以来、状況悪化のペースを決めてきたのは、イスラエルの方だ。イスラム組織ハマスによる昨年10月7日の襲撃では、イスラエル人のほか70人以上の外国人を含む約1200人が殺害された。そのハマスにとって不可欠な支援を提供しているのがイランだと、イスラエルはみなしている。それだけにイランは、イスラエルが攻撃の機会を狙っていると恐れ、自分たちは全面戦争を望まないと、繰り返し合図を送った。
だからといって、イスラエルやその同盟国に対してイランが絶え間なく加え続ける圧力を、イランが停止するという意味ではなかった。イラン発のイスラエルに対する圧力は、直接攻撃に比べればレベルは下がるものの、殺傷力があることには変わりはない。そして、イランはこれを止めるつもりはなかったのだ。
イラン政府は、自分たちのやり方は全面戦争よりも有効だと思っていた。イランは全面戦争に打って出る代わりに、「抵抗の枢軸」と呼ばれる同盟国や代理勢力を使って、イスラエルを攻撃した。イエメンの反政府組織フーシ派は紅海で船舶を封鎖し破壊した。イスラム教シーア派組織ヒズボラはレバノンからロケット砲を発射し、そのため少なくとも6万人のイスラエル人が家から追われた。
開戦から半年の時点で、イスラエルの報復のためレバノン南部の家を追われた人数はその倍近くに達した。しかも、イスラエルはそこで反撃を止めるつもりなどなかった。ヒズボラがイスラエル砲撃を止め、国境から後退しないならば、自分たちが行動に出るとイスラエルは警告した。
ヒズボラは砲撃を止めず、後退もしなかった。そこでイスラエルは、範囲は限定的ながらも相手を消耗させようとするイランの戦い方がそれまで形を決めていた戦場から、その外に打って出ることにした。イスラエルは次々と強硬措置を取り、テヘランのイスラム政権を動揺させ、その戦略をぼろぼろに崩壊させた。だからこそ、今回のイスラエルの攻撃を受けて、イラン政府幹部には厳しい選択しか残されていないのだ。
イランが全面戦争に消極的なのは弱さの表れだとイスラエルは解釈し、イランとその同盟国に対する圧力を強めた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相とイスラエルの指揮官たちはリスクを取る余裕があった。イスラエルはジョー・バイデン米大統領の明確な支持を取り付けていたからだ。アメリカはイスラエルに大量の砲弾を供給するだけでなく、海軍と空軍をかなりの規模で増派し、「アメリカはイスラエルを守る」という約束の裏付けとした。
4月1日には、シリアの首都ダマスカスにあるイランの外交施設の一部がイスラエルの空爆で破壊された。イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)幹部モハンマド・レザ・ザヘディ准将と他の高官が、この攻撃で死亡した。
事前連絡がなかったため自国部隊が警戒態勢をとる余裕がなかったと、アメリカは激怒した。しかし、それでもバイデン大統領のイスラエル支持は揺るがず、イスラエルがイランから反撃される事態になってもアメリカは支え続けた。
イランは4月13日、ドローンや巡航ミサイルや弾道ミサイルでイスラエルを攻撃した。そのほとんどはイスラエルの防衛システムによって撃ち落とされたし、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン各国の軍も、イスラエルの防衛を大いに助けた。
この際にバイデン大統領はイスラエルに、「これを勝利と受け止める」ように促したと言われている。拡大を続ける中東戦争において最も危険だった状況を、ここで食い止めようとしてのことだという。イスラエルが反撃をイランの防空拠点に限定したため、バイデン氏の計画はうまくいっているように見えた。
しかし夏以来、イスラエルはイランとその同盟国および代理勢力との戦争を、繰り返し激化させてきた。イランにとって最重要同盟国レバノンを拠点とするヒズボラへの大攻勢が、特に影響の大きいものだった。イランは、自分たちの前方防衛の重要要素として、ヒズボラの武器備蓄を何年もかけて構築してきた。イスラエルがイランを攻撃すれば、ヒズボラがレバノンからイスラエルを攻撃するという前提が、抑止力として作用するという発想によるものだ。
しかし、イスラエルは先手を打った。2006年の戦争でヒズボラと膠着(こうちゃく)状態に陥って以来、進めてきた計画を実行したのだ。イスラエルは、ポケットベル型端末や無線機に爆発物を仕込み、ヒズボラをだまして購入させたうえで、ここぞというときに端末を一斉に爆発させた。続けて南レバノンに侵攻し、ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師を殺害した。ナスララ師は何十年もイスラエルに対する抵抗の象徴だった人物だ。
ベイルート当局によると、イスラエルのレバノン攻撃でこれまでに2500人以上が死亡し、120万人以上が避難した。そもそも経済の大部分が破綻してすでに無力化していた国に、イスラエルはあらためて甚大な被害をもたらしたのだ。
しかし、ヒズボラはなおも戦い、レバノン国内でイスラエル兵を殺害し、多数のロケットを発射している。しかし、指導者と多くの武器を失った今、ヒズボラは動揺している。
自分たちの戦略が崩壊しかけている事態に、イランは反撃する必要があると結論した。味方が戦って死ぬのを座視すれば、中東における反イスラエル・反西側の指導者としての地位が失われてしまうからだ。イランの答えは、10月1日のイスラエルへの大規模な弾道ミサイル攻撃だった。
それに対するイスラエルの答えが、10月25日のイラン攻撃だった。多くの人が予想したよりも、実施するまでに時間がかかった。イスラエルの計画が漏洩(ろうえい)したことが、一因だった可能性もある。
イスラエルは、ガザ北部でも大規模な攻勢を続けている。国連のフォルカー・トゥルク人権高等弁務官は、ガザ戦争の最も暗い瞬間と呼び、イスラエル軍が全住民を爆撃、包囲、飢餓の危険にさらしていると述べた。
イスラエルによるイラン攻撃のタイミングが、ガザ北部から国際社会の注目をそらすためのものだったかは、外部からはわかりようもない。しかし、それが計算の一部だった可能性はある。
攻撃と反撃の連鎖を止めるのは難しい。反撃しなければ、自分たちは弱いと思われる、行動を抑止されていると思われてしまう――と、当事国がこう信じている場合は。そして戦争とは、こうして制御不能に陥るものだ。
少なくともこの戦争の現段階で、イランがこれ以上、反撃せずに済ませる用意があるかどうか。それが目下の問題だ。
10月1日に攻撃されたイスラエルが報復するという決定を、バイデン大統領は支持した。しかし、バイデン氏はまたしても、いっそう致命的な状況悪化を防ぐために、イスラエルに対してイランの核開発、石油、ガス施設を爆撃しないよう公に要請した。それと合わせてバイデン氏は、イスラエルの防衛強化のために終末高高度防衛(THAAD)ミサイル防衛システムを配備し、ネタニヤフ首相はその助言に従うことにした。
11月5日のアメリカ大統領選挙は、イスラエルとイランの双方が次に何が起こるかを計算する上で重要な要素だ。共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が再選されれば、イランへの反撃方法について、核開発、石油、ガス施設を攻撃することの是非を、バイデン氏ほどには気にしないかもしれない。
中東はまたしても、待機している。イランの最重要資産をイスラエルが攻撃しなかったことで、イランは即時に反撃しないで済むかもしれない。そしてその間に、外交官が働く猶予が生まれるかもしれない。先月の国連総会でイランは、新しい核交渉のラウンドを受け入れる姿勢を示していたのだ。
この事態は、中東以外の世界にとっても非常に重要な問題だ。イランは核兵器を望んでいないと常に否定してきた。しかし、核技術と濃縮ウランを手にしたことで、イランの核兵器入手は実現可能なところへきている。イランの指導者たちは敵を抑止する新しい方法を模索しているに違いない。弾道ミサイル用の核弾頭開発も、検討しているかもしれないのだ。
イスラエル首相、アラブ諸国との和平協定拡大を希望 戦争終結後 | ロイター
イスラエルのネタニヤフ首相は28日、イスラム組織ハマスと親イラン武装組織ヒズボラとの戦争が終結すれば、さらに多くのアラブ諸国と和平協定を結ぶことを望んでいるとの考えを示した。
議会演説でネタニヤフ氏は、ハマスがガザ地区を支配しなくなり、ヒズボラが北の国境から撤退する日に向け、「われわれはこの2つの戦線を安定させる計画に取り組んでいる」と言明。さらに自身が数年前に主導した「アブラハム合意のプロセスを継続し、より多くのアラブ諸国との和平を実現することを目指す」との考えも示した。
イスラエルは、米国の仲介によりアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコ、スーダンの4カ国と国交正常化で合意。それ以降、米国の支援を得て、サウジアラビアをはじめとする他の国々との正常化を目指している。
一方、サウジの実権を握るムハンマド皇太子は9月、パレスチナ国家が樹立されない限り、サウジが「イスラエルと国交を樹立することはない」と明言している。
【社説】対イラン攻撃の火ぶた切ったイスラエル - WSJ
イスラエルは26日、イランに報復攻撃を行った。限定的ではあるが、効果的なようだった。イスラエルと米国にその優位を生かす覚悟があるなら、イランの政権は世界やバイデン米政権が考えていたよりもぜい弱だ。
イスラエルは、緊張緩和を常に優先するジョー・バイデン米大統領から課された制約の範囲内で、可能な限りの成果を挙げたかもしれない。イランが10月1日に180発の弾道ミサイルを発射した報復としてイスラエルが行った攻撃後、バイデン氏は「私が望むのは、これで終わりになることだ」と語った。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、米国の支持に謝意を示した。だが、たとえネタニヤフ氏が、米選挙を10日後に控えた時期が紛争拡大のリスクを冒すタイミングではないと判断した可能性があるとしても、イスラエルが何を標的に選んだかを見れば、ここがイランにとっての「ぜい弱性の窓」だと同氏が理解していることがうかがえる。
イスラエルは第1段階として、シリアとイラクの防空網を破壊し、イラン攻撃への障害を取り除いた。第2段階として、イランの防空網を攻撃し、問題なく作戦を実行できるようにした。これには首都テヘランを守るロシアの地対空システム「S300」のほか、重要な石油精製施設や大規模ガス田、主要港湾を守る同システムも含まれる。イランの石油経済は今や無防備になった。第3段階として、イスラエルはイランの弾道ミサイル製造の重要拠点を攻め、イランが核兵器開発を行ってきたパーチンの軍事目標を攻撃した。
イスラエルは数時間にわたり作戦を実施し、100機を超える戦闘機で自国から1000マイル(約1600キロ)離れた20カ所の標的を攻撃した。同国によれば、1機の戦闘機も失わなかったという。イランはこれに反論する証拠を何も出しておらず、防空網は簡単には補完できないだろう。
イランのミサイル生産を止めれば、ロシアがウクライナで使用するミサイルの輸出を減らすことになる。衛星画像ではミサイル生産施設の甚大な被害が確認されている。イスラム教シーア派組織ヒズボラが自らの防衛に注力しているため、イランは想定以上に自国のミサイル備蓄に頼らざるを得なくなっている。
イスラエルは周辺地域とイラン国民に対し、イランの国土がぜい弱であることを示した。イスラエルは、より複雑な作戦のための概念実証ができ、このため次回にこれを実施するのがより簡単になった。
イランの指導者たちは、これを認識しているようだ。彼らは攻撃に対して慎重に対応した。防御態勢が整っていない時にイランが報復すれば、イスラエルに新たなチャンスを与えることになる。報復しなければ、イスラエルは国境の安全を確保しながら、イランの「火の輪」を一掃するという、まれな機会を得る。
限定的な攻撃は恐らく、バイデン氏が要求したような当面のエスカレーションの回避につながる。だが、イスラエルの人々は現在、イランの核開発プログラムをもしかしたら何年にもわたって後退させるようなチャンスが生まれていることを認識している。イランが核爆弾を得ることになれば、今のこの瞬間は後に、機会を逸したように見えるだろう。その場合、とりわけバイデン氏が責任を負うことになる。
バイデン氏は、今回のイスラエル攻撃が最後になることを期待しているが、これは始まりかもしれない。イスラエルはイランが支援するイスラム組織ハマスとヒズボラに壊滅的な打撃を与えることで、中東地域に新たな現実をもたらした。今や防空網を奪われたイランは、ゴールキーパーがいない状態で戦っている。同地域は米政府がこのチャンスに気付くことを待ち望んでいる。
●エマージング
習主席が目指す「文化大国」、ソフトパワー強化を-米主導の秩序に挑む - Bloomberg
中国の金消費量、1─9月は前年比-11% 価格高騰が響く | ロイター
ロシア、ジョージア議会選への介入否定 欧州による介入を指摘 | ロイター
中国から資本流出、1年で39兆円規模か 景気不安で - WSJ
「不規則な事態はどの国の選挙でも起きる」 東欧ジョージアの首相が批判に反論 - BBCニュース
北朝鮮兵士、ロシアの前線到着 戦闘への備えに疑問も - WSJ
焦点:回復の兆し見えない中国経済、戦略転換する外国企業も | ロイター
中国経済は政府の景気刺激策にもかかわらず低迷が続き、外国企業は価格やコストの引き下げや事業の縮小など、戦略の見直しを始めている。
仏エルメス(HRMS.PA), opens new tab、ロレアル(OREP.PA), opens new tab、米コカ・コーラ(KO.N), opens new tab、ユナイテッド航空(UAL.O), opens new tab、英ユニリーバ (ULVR.L), opens new tab、独メルセデス(MBGn.DE), opens new tab などの大手企業は、不動産危機が長引き若者の失業率が高止まりしているため、中国の顧客は支出を抑えていると指摘する。
一部の企業はすでに中国での戦略を転換している。
仏カーボングラファイトメーカー、メルセン (CBLP.PA), opens new tabは先週、現地企業との競争激化を受け、中国の動力伝達製品工場を閉鎖すると発表した。
仏ダノン(DANO.PA), opens new tabやスイスのネスレ(NESN.S), opens new tabなど国際食品会社は値下げを強化したり、ネット販売の拡大に目を向けたりしている。
コカ・コーラのジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は23日の決算説明会で、中国経済は好転していないと述べ、同国の事業環境は依然として厳しいとの認識を示した。
エルメスは中国での客足の減少を宝飾品、皮革製品、男女の既製服の平均購入額を増やすことで補っている。同社は先週深センに店舗をオープンしたのに続き、12月に瀋陽に2店舗目を開き、来年には北京に旗艦店を立ち上げる予定だ。
エルメスのように投資を継続する企業がある一方で、中国での事業が長期的に変化した企業もある。
ユナイテッドは現在、ロサンゼルスから上海へ1日最大3便を運航しているが、近く状況が変わるとは予想していないという。同社のスコット・カービーCEOは、「かつて中国へ1日およそ10便程度運航していたが、そういう時代はすでに終わったと思う。環境は完全に変わった」と語った。
<第3・四半期の暗い見通し>
第3・四半期の決算発表が本格化する中、中国の事業環境の厳しさに関する企業幹部の発言が相次いでいる。
イタリアの高級ブランドグループ、エルメネジルド・ゼニア(JN0.F), opens new tabのエルメネジルド・ゼニア会長兼CEOは、中国での「困難な」時期は少なくとも2025年初頭まで続くとの見方を示した。
景気の不透明感が中間層を圧迫し、富裕層でさえ消費に消極的になっており、高級ブランドは苦戦を強いられている。
仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH.PA), opens new tabは、中国の消費者信頼感が過去最低水準に落ち込んでいると指摘した。
重工業も厳しい状況がまだしばらく続く見込みだ。
スイスのエレベーター・エスカレーターメーカー、シンドラー(SCHP.S), opens new tabのシルビオ・ナポリCEOは17日の決算発表後、中国市場について「今のところ回復は見られず、見通しもないと」と強調した。景気刺激策は経済に必要な「バズーカ」にはならないとの見方を示した。
<持久戦>
ピクテ・アセット・マネジメント(ジュネーブ)のポートフォリオマネジャー、ジリアン・ディーセン氏は、「(中国経済の)構造的な鈍化ではなく、むしろ循環的な減速という声が多くの企業から聞かれる。従って企業は信頼感が回復し、刺激策が本格的に効き始めるのを待っている」と語った。
「政府はこの国がいくつかの大きな問題を抱えていることをはっきりと理解している」と話すのはラショナル・ダイナミック・ブランズ・ファンドのポートフォリオ・マネージャー、エリック・クラーク氏。「問題解決に向けた政府の取り組みは、これまでのところ致命的な傷に絆創膏を貼るようなものだ」と話した。
北朝鮮派兵で欧米が迫られる選択肢、戦争エスカレート以外になしか - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
アングル:スリーマイル原発、AI電力需要で進む前代未聞の再稼働プロジェクト | ロイター
三井物産、アメリカでCO2地下貯留事業 最大年2000万トン - 日本経済新聞
三井物産は米国で同国最大級となる二酸化炭素(CO2)の地下貯留事業(CCS)に参入する。最大で年2000万トンのCO2を30年間にわたって貯留し続けることができる見込みだ。パートナー企業と事業費や実現性について調査を進め、今後5年程度での操業開始を見込む。
●その他
サイクリングしまなみ、3000人超が快走 絶景を満喫 - 日本経済新聞
熊本銀行が郵便局に有人窓口 全国初、天草・牛深で - 日本経済新聞
高等教育で膨らんだ夢、途上国の若者は失望 - WSJ
ここ20年で教育革命が多くの発展途上国に広がった。大都市から小さな町に至るまで、大学が次々に設立された。農民や肉体労働者、牧畜業者らは収入を子どもの高等教育につぎ込み、そうした子どもは弁護士やエンジニア、外交官になる夢を抱いた。
物事はうまく運ばなかった。新興国は卒業生であふれかえっているが、それに見合うほどのホワイトカラーの職を生み出していない。学位や卒業証明書を手に入れても仕事を見つけられず不満を抱えた若者が大量に発生し、新たな中間層の成長を妨げている。
国際労働機関(ILO)の8月の報告書によると、高等教育を受けた若者の失業率は発展途上国では先進国の2~3倍に上る。南アジア、東南アジア、北アフリカ、中東などの低所得国と低中所得国では、高等教育を受けた30歳未満の人口の2割以上が失業している。
これらの国では、基礎教育しか受けていない若者よりも、大学を卒業した若者の方が失業している可能性が高い。
高等教育の専門家によると、多くの新設大学の質が低いことがこうした矛盾を悪化させている。新設大学は名門企業への就職を目指す学生を送り出すが、学生は企業が求めるスキルを持たないことが多い。
カリフォルニア大学サンディエゴ校のカーティク・ムラリダラン教授(経済学)は「ホワイトカラーの仕事への期待が高まっても、仕事と彼らのスキルが釣り合っていない」と指摘する。
失望した卒業生の一部は国外へ渡っている。違法なケースもある。米調査会社ピュー・リサーチの上級人口統計学者ジェフ・パッセル氏による国勢調査データの分析によると、米国に不法入国した25~64歳の新たな移民のうち、学士号以上の学位を持つ割合は2022年は36%となり、2007年の17%から上昇した。
失意の学位取得者が結婚を遅らせ、子ども持つことを先延ばしにするケースは多く、人口構造における「谷」が深まる要因となっている。多くの卒業生は無職の期間を経て小売業やタクシー運転手といった低賃金の仕事に落ち着く。
政府統計によると、中国の若者の失業率は今年15%程度となっている。小遣いと引き換えに両親の世話をする「専業子ども」になるということが、大学卒業生の間で冗談になっている。
インドは特に深刻な状況に陥っている。この20年間で高等教育はかつてない広がりを見せ、大学の学位か同等の資格を持つ若者の割合は3倍になった。その中には、インド南部のテクノロジー産業中心地で活躍する高度な技術を持つエンジニアなどもいるものの、多くが苦戦している。
ILOの3月の調査によると、インドでは30歳未満の大卒者の失業率は2022年は29%だった。これは初等教育を受けていない国民の失業率の約9倍だった。
マニカンタ・Mさん(26)は1年前にインドのベンガルールの大学でテクノロジー分野の学士号を取得し、電子エンジニアになることを目指していた。この1年間、マニカンタさんは数十件の求人に応募し面接にも進んだが、適当な仕事は見つからなかった。結局、現在はIT企業で送迎コーディネーターとして働いている。会社の従業員の送迎を手配し、税引き後で月に約350ドル(約5万2000円)の収入を得ている。
マニカンタさんは「家族は私をエンジニアにするために苦労した」と話す。「良い仕事に就けないことは中間層の家庭にとって最悪だ」
カナダのトロントに拠点を置くコンサルティング会社ハイアー・エデュケーション・ストラテジー・アソシエーツ(HESA)の2022年の報告書によると、途上国の高等教育機関に在籍する学生数は2006~18年に7900万人から1億5000万人へとほぼ倍増した。2018年時点で世界の高等教育機関に在籍する学生の約4分の3が途上国に住んでいた。この割合は2006年は約半分だった。
高等教育の広がりはモンゴルの草原にも及び、牧畜業者らは子どもたちにはもっと楽な生活が待っているとの夢を抱いた。1990年代初めに共産主義体制が崩壊すると、営利目的の大学が急増した。カナダのブリティッシュコロンビア大学で博士号取得を目指すモンゴル人研究者、オルホン・ガントグトク氏によると、2022年までにモンゴルは人口当たりの高等教育機関の数で世界の上位国になった。
モンゴルの大学は価格競争を繰り広げており、授業料の引き下げで学生を引き付けようとしている。オルホン氏は「『卒業証書製造所』があちこちにある」と述べた。
モンゴルの経済は石炭や金の採掘といった天然資源分野が柱となっているにもかかわらず、多くの学生はジャーナリズムや法律など、仕事の少ない分野で学位を取得している。一方で法律分野の教育の質は低いことが多いため、法律事務所は有能な研修生を見つけるのに苦労している。
アズジャルガル・デンベレルさん(37)は牧畜業を営む家庭で育ち、凍えるような朝に牛の乳搾りで水ぶくれができるといったことを子ども時代に経験した。10代で首都ウランバートルに移り、地元の大学でジャーナリズムの学位を取得した。2人のきょうだいは医学と法律の学位を取得した。
現在、3人のうち誰も目指した分野で働いていない。アズジャルガルさんはジャーナリズムの世界から出たり入ったりを繰り返し、現在はアムウェイの家庭用品を販売して収入を得ている。2人のきょうだいは、モンゴルでは専門分野でキャリアの足掛かりをつかめず、韓国に渡った。いずれも家の清掃や引っ越しといった片手間の仕事をしながら、さらに学位を取得することを目指しているとアズジャルガルさんは話す。
似たような状況が他の途上国でも広がっている。中南米では昨年、若者の失業率が2019年から4.5ポイント低下して13.4%になった。それにもかかわらず、多くの大学卒業生が行き詰まりを感じている。
カミラ・オルティス・カラムさん(26)は、アルゼンチンのブエノスアイレス大学で工業デザインを学び、6年間の勉強の末、2023年に卒業した。だが、自分が目指す分野での仕事が少ないため、両親との同居をやめることは先延ばしにし、最終的に香水店で仕事を見つけた。このほか、履歴書でアピールできる仕事として大学で無給の非常勤講師も務めている。
カラムさんは「学校を卒業した後、『さて、これからどうすればいいのだろう』と自問自答した」と語る。
南アフリカでは、全人口に比べ大学卒業者は失業している可能性が低い。ただ、大卒者の失業率は上昇しており、2012年と比べ2倍の12%に上昇している。レア・モコアントレさん(27)は人事関連の学位を生かせず、その代わりにオンラインプラットフォームの事務作業をしている。
モコアントレさんは「学位があってもそれを使って何もできないということに驚いた」と話す。「学校では誰もそのことを教えてくれなかった」
学者の間では、高等教育はもっとゆっくりと慎重に普及させたほうが途上国にとっては良かったとの見方もある。
ボストンカレッジ国際高等教育センターのフィリップ・アルトバック名誉教授は「門戸があまりにも広く、あまりにも無差別で、あまりにも急速に開かれた」と語る。「一定の水準を維持するという考えがしっかりと定着しなかった。すでに起きてしまったことを元に戻すのは非常に難しい」
ATM爆破による現金強奪、ドイツが格好の標的にされる理由とは(1/2) - CNN.co.jp
世界に蔓延する「孤独」、ソウルが拡大抑止に500億円投入 - CNN.co.jp
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(28日)米国株上昇、円3カ月ぶり安値、利回り3カ月ぶり高水準 | ロイター
ニューヨーク外為市場では、衆議院選挙の結果を受け、円が対ドルで7月以来の安値に下落し、一時153.88円を記録しました。10月の円の下落率はG10通貨中で最大の6.4%となりました。為替アナリストのアダム・ボタン氏は、選挙結果が今後の日本の金融・財政政策への不確実性を高め、円の変動性が続く可能性があると指摘しています。
また、米国債市場では、株価の上昇に伴いリスク選好が強まり、国債利回りが上昇しました。10年債利回りは4.274%、30年債利回りは一時4.555%に達し、いずれも3カ月ぶりの高水準を記録しています。
米国株式市場は、週内に大手企業の決算発表や11月5日の大統領選挙を控え、上昇して取引を終えました。イスラエルがイランへの報復攻撃で石油関連施設を攻撃しなかったため、原油供給への懸念が緩和されました。S&P500の主要企業のうち169社が決算を発表予定で、特にAI関連支出への関心が高まっています。
ニューヨーク金先物相場は地政学リスクが意識され、3営業日続伸。イスラエルの報復攻撃は限定的とされ、過度な警戒感が後退しました。
また、米国の原油先物相場は急落し、WTI先物は9月以来の安値に。イスラエルの攻撃が軍事施設に限定されたため、原油供給への懸念が緩和されました。
欧州市場サマリー(28日) | ロイター
ロンドン株式市場は、旅行・娯楽、航空宇宙・防衛関連株が主導し上昇しました。トレインラインとメルローズの株価が大きく上昇した一方、金と原油の価格下落により、貴金属や石油・ガス関連株は値を下げました。英企業の景況感指数は10月に低下し、増税への警戒感が高まっています。
欧州株式市場も上昇しましたが、原油価格の低下で石油・ガス株は下落しました。フィリップスは中国の需要減少を理由に売上見通しを引き下げて急落し、一方、ソノヴァはコストコへの供給再開を材料に上昇。今週はユーロ圏のGDP速報値や米テクノロジー企業の決算発表も注目されています。
ユーロ圏債券市場で、ドイツ10年債利回りが約3カ月ぶりの高水準に達しましたが、終盤には2.285%で推移しました。欧州中央銀行(ECB)の追加利下げ期待が強まっており、12月に25ベーシスポイントの利下げが予想されています。50ベーシスポイントの利下げ確率も上昇しています。
一方で、ECBの一部メンバーは、インフレ率が2%をやや下回るリスクは容認できるとして、急速な利下げは不要との見解を示しています。また、ムーディーズはフランスの財政赤字に対する懸念から格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げました。

備忘録(2024/10/25-27
●海外企業決算
メルセデス・ベンツ、7〜9月純利益が半減 中国で17%減収 - 日本経済新聞
高級車大手のドイツ・メルセデス・ベンツグループが25日発表した2024年7〜9月期決算で純利益は前年同期比54%減の17億1900万ユーロ(約2800億円)だった。S、Gクラスやマイバッハなど「トップエンド(最上級)車」の重要市場である中国で販売が低迷し、中国事業の売上高が17%減ったのが響いた。
全体の売上高は7%減の345億2800万ユーロ、EBIT(利払い・税引き前利益)は48%減の25億1700万ユーロだった。メルセデスは9月、市場環境の悪化を理由に24年12月通期の乗用車部門の売上高EBIT率を7.5〜8.5%に下方修正した。7〜9月の同率は前年同期比7.7ポイント低下の4.7%と大きく落ち込んだ。
主因は中国市場の悪化にある。7〜9月の中国での新車販売は13%減の17万700台、1〜9月の累計でも10%減の51万2200台にとどまった。中国事業の売上高は50億9000万ユーロで前年同期比17%減、直近の24年4〜6月期と比べて20%減少した。
ハラルド・ヴィルヘルム最高財務責任者(CFO)は同日の投資家向け説明会で「需要低迷に加え、モデルチェンジの時期が重なり、Gクラスの旧モデルが在庫切れとなった」と説明した。
もうひとつの原因は電気自動車(EV)の失速だ。グループ全体の7〜9月世界販売台数(バンを含む)は3%減の59万4600台だった。特にEVの落ち込みが大きく、4万6900台と31%減った。
本社を置くドイツが23年12月、EV購入補助金を廃止した影響が今も尾を引く。独事業の7〜9月期の売上高は46億8600万ユーロで、前年同期の4分の3の水準にとどまった。
仏エルメス、第3四半期は11.3%増収 競合勢を圧倒 | ロイター
第3・四半期決算は、売上高が為替変動の影響を除いて前年同期比11.3%増の37億ユーロ(39億9000万ドル)となり、ジェフリーズがまとめたアナリスト予想と一致した。中国の景気低迷で大きな打撃を受けたライバル勢を尻目に、際立った成長を続けている。
エルメスは世界的な経済、地政学、金融面での不確実性にもかかわらず、為替変動の影響を除いた売上高を増やす中期的な見通しを維持する方針を示し、採用活動も続けると表明した。
バーンスタインのアナリスト、ルカ・ソルカ氏は「われわれはエルメスについて、中国の構造的問題によって悪化した世界的な循環的景気減速による困難(な今年下半期)からポートフォリオを保護する上で現在、最高の機会が到来しているとみている」と指摘、時計を除く全ての部門が予想を上回る成長を記録したと説明した。
業界全体の景気低迷は高級ブランド全体に影響を及ぼしているが、エルメスは、有名なクラシックなデザインと生産・在庫の厳格な管理がブランドが持つ独自のオーラを強め、業界で最も安定した業績を上げている企業の1社となっている。
価格が1万ドルを超えるハンドバッグ「バーキン」は富裕層にしか手が届かないが、こうした層は景気変動の影響を受けにくい傾向がある。
[AON] エーオン 3Q増収減益 売上高26%増37.2億ドル、営業益10%減6.23億ドル、EPS1.57ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ブラックロック、運用会社の銀行投資規制に反対-FDICに撤回迫る - Bloomberg
世界最大の資産運用会社である米ブラックロックは、米連邦預金保険公社(FDIC)に対し、運用会社による金融機関への投資規制案を速やかに撤回するよう求めた。規則が変更されれば、インデックスファンドに打撃を与え、銀行の資本調達コストが増大し、経済の混乱を招くと主張した。
上場投資信託(ETF)とインデックスファンドで7兆ドル(約1064兆円)超の資産を管理・運用するブラックロックは、FDICに宛てた24日付の書簡で、規制案の「重大なリスク」に言及し、「規制と市場に不確実性をもたらし、銀行証券への投資を妨げ、マイナスの影響を引き起こす恐れがある」と指摘した。
ブラックロックのような運用会社に持ち分が集中すれば、金融機関に不適切な影響力を行使する余地を与えかねないと懸念し、FDICは運用会社持ち分の規制・監視強化を提案していた。
ブラックロックやバンガード・グループ、ステート・ストリートは、ほぼ全ての米上場企業の上位株主リストに常連として名を連ね、これら運用会社のインデックスファンドの人気が銀行などの株式保有を後押ししてきた。
米国の一部議員や規制・監督当局は、これら運用会社の規模拡大に伴い、公開企業に過大な影響力が及ぶ可能性を警告しているが、運用会社側は、大部分の状況で経営陣を支持してきた投票記録を示し、そうした見方を否定した。
一部の運用会社は現行規則の下で、金融機関の支配を行わないと約束すれば、10%を超える持ち分を認める「受動的合意」を銀行規制・監督当局と締結している。FDICはこれらの合意の規制・監視強化を目指している。
ボーイング、問題抱える宇宙船事業で複数の選択肢を検討-関係者 - Bloomberg
米ウェルズ・ファーゴ、オフィスローンで20億―30億ドル損失引き当て | ロイター
米金融大手ウェルズ・ファーゴのチャーリー・シャーフ最高経営責任者(CEO)は24日イベントに出席し、商業用不動産オフィスローンのポートフォリオで20億―30億ドルの損失が出る可能性があると述べた。
同CEOは商業不動産全体の需要は堅調だが、オフィスは以前ほどではないと指摘。オフィスローンのポートフォリオを巡り「損失金を全て引き当て計上したのでバランスシートはリスクが軽減されているが、今後3―4年の間に損失が発生する見込みだ」と述べた。
マイケル・サントマッシモ最高財務責任者(CFO)が今月初めの決算発表後のオンライン説明会で、同ポートフォリオにおける損失の規模がそこそこの規模になる可能性があると話していた。
不振ボーイング、宇宙船「スターライナー」事業の売却検討 WSJ報道 - 日本経済新聞
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は25日、航空宇宙大手の米ボーイングが宇宙船「スターライナー」事業の売却を検討していると伝えた。スターライナーはこのほど、初めての有人飛行を実施したが、不具合で無人の帰還となりプロジェクトが失敗した。旅客機の品質問題に直面する同社の不採算事業の一つになっている。
初期の検討段階で実際の売却につながるかは不透明という。月面開発用の大型ロケット「SLS」などの宇宙関連事業は継続するとしている。
スターライナーは米航空宇宙局(NASA)から国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士の商用輸送を請け負う事業。初の有人飛行を6月に実施したが、設備の不具合が発生して無人での帰還を余儀なくされた。テストパイロット2人は25年2月に別の宇宙船で帰還する予定だ。
スターライナー事業は開発の遅れもあり、2024年7〜9月期に約2億5000万ドル(約380億円)の追加損失を計上。累計損失は18億ドル超に膨らんでいる。ISSは30年に運用を停止する計画でもあり、宇宙飛行士を基地に輸送する業務の収益性にも懸念が高まっている。
スターライナーはNASAから請け負っている事業なだけに、事業売却が実現すれば米国の宇宙開発計画への影響も避けられない。
ケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は23日に「コア事業の民間機と防衛事業は長期的に会社に残るが、効率化できたりメインの目標から注意を引き離したりする周辺事業もある」と話しており、経営再建に向け、事業売却を進める意向を示している。
ボーイングの財務悪化懸念、スト継続で最優先課題に - WSJ
米航空宇宙大手ボーイングの新最高経営責任者(CEO)ケリー・オルトバーグ氏は、会社の「出直し」戦略で多くの喫緊の課題に直面する。労働争議への対応のほか、説明責任を重視する企業文化の再構築、防衛部門が抱える問題の解決、いかに革新的な航空機モデルを再び生み出すか、などだ。
だがここにきて真剣に対応すべき課題に浮上したのが、悪化の一途をたどる同社の財務状況だ。
ボーイングが23日発表した7-9月期(第3四半期)決算は、純損益が62億ドルの赤字、フリーキャッシュフロー(純現金収支)はマイナス20億ドルだった。9月に始まった労働組合のストライキが打撃となった。同日さらに悪いニュースが飛び込んだ。同社最大の機械工組合が、今後4年間で35%の賃上げ提案を否決したのだ。
23日に1.8%安で引けたボーイング株は、翌24日のプレマーケット取引でも続落した。同社株は過去5年間に54%下落している。
注目すべきは、ウォール街が社債にもそっぽを向き始めたことだ。S&Pグローバル・レーティングは今月、ボーイングの信用格付けを「投機的」に引き下げる可能性があるとして監視リストに加えた。仮に投機的水準になれば、こうした運命をたどる過去最大の企業ということになる。ボーイング社債は、夏には米国債との利回り差(スプレッド)が1ポイント弱だったが、現在では約1.4ポイントに拡大し、「ジャンク」債の平均スプレッドに近づきつつある。
ボーイングは最近まで、真のライバルが欧州エアバスのみということもあって債務不履行(デフォルト)リスクとは無縁に思われた。エアバスだけで世界の航空会社の需要に全て対応することはできない。ボーイングの受注残は5400機、金額にして4280億ドル(約64兆9000億円)に上る。
だが継続中のストライキは、1カ月で約10億ドルのキャッシュが流出するという巨大コストを伴う。市場は2025年と26年に満期を迎える計125億ドルの社債の壁について懸念している。
「当社にはもちろん財務状況に対処する計画がある」。オルトバーグ氏は23日の投資家向け決算説明会でこう述べた。「優先すべきは投資適格級を守ることだ」
確かに、流動性を確保するボーイングの能力は低下していない。ストによる生産停止でも、9月末時点で105億ドルのキャッシュと短期投資を保有していた。すなわち、流動負債に対して流動資産がどの程度あるかを表す流動比率が、引き続き1を上回る健全な状態だということだ(流動比率は、企業の短期的な債務返済能力を示す重要な指標)。さらにボーイングは今月に入り、100億ドルの与信枠を確保した。その結果、アクセスできる未使用与信枠は200億ドルに拡大した。
とはいえ、投資家はこれ以上の債務負担には耐えられない。9月末時点の債務は577億ドルだった。バッファーとなる100億ドルのキャッシュを差し引いた純債務は将来のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の3倍以上に達する(このEBITDAはボーイングが現在の問題を克服し、小型旅客機「737MAX」と中型旅客機「787ドリームライナー」のフル生産にこぎ着けた場合、5年後に見込まれるもの)。これは重すぎる荷物であり、一般的に大企業がこの水準を超えると市場は懸念し始める。一方のエアバスは同じ比率が6月時点でマイナスだった。
23日の決算発表の前には、ボーイングから入手した事前情報をもとに、アナリストらがフリーキャッシュフローは来年プラスに転じ、債務が減少し始め、2028年にはこの比率が再び1を割り込むと予想していた。
だがビジブル・アルファによると、この楽観的すぎるシナリオの下でさえ、多額に上る債務返済が、今後2年間に生み出される見通しのキャッシュを全部、それに続く3年間は約40%を食いつぶすことになる。ボーイングは23日、2025年にキャッシュを燃焼し続ける可能性が高いとだけ述べたが、それはストが同日終結したと仮定した場合の話だ。
それに同社は830億ドルの途方もない在庫を抱えている。2018年に比べて200億ドル増加した。ここには駐機中の787型機30機が含まれ、売却すれば余分なキャッシュを生み出すだろう。だが誤解を招きかねないのは、「完成後」とされる航空機には高い修理費用がかかる多くの不具合があることだ。経営陣はこうした再修理作業を「影の工場」と呼んでいる。
そう考えるとボーイングには手を打つ余地がほとんどない。ある格付け機関のアナリストが言うように「投資適格企業のキャッシュフローはマイナスにならない」。もし格下げという事態になれば、大半の投資ファンドは社債を売却せざるを得なくなる。投機級債券を保有することはファンドの運用規定に反するからだ。
もちろん値下がりした社債を購入できる投資家は得をするかもしれない。ボーイングは依然としてデフォルトする可能性は低い。最悪のシナリオでも、米当局は転落した米産業界の重鎮を経営破綻から守る公算が大きい。ボーイングの防衛産業における重要性を考えればなおさらだ。
本当に苦汁を飲まされるのは株主だろう。近い将来、大きな見返りを得る可能性は非常に低い。ボーイングは債務削減を経て、最終的に新しい航空機プログラムに投資しなければならない。長期的な株価低迷を脱し、2028年の業績を生かしたとしても、ボーイングの企業価値はEBITDAの10倍程度だが、エアバスは11.5倍だ。せめてもの救いは非常に長期的な未来にある。
ボーイングは新株発行で100億ドルを調達する予定だが、今後3年間で調達額を最大250億ドルに増やす可能性がある。最終的にその金額が上限に近づけば、債券保有者ばかりか(直感に反するが)株式投資家も大いに歓迎するかもしれない。株式希薄化の問題は、財務状況の悪化に比べればはるかに小さな懸念だからだ。
●日本企業
日立建機が一転最終減益 25年3月期、米利下げ遅れで - 日本経済新聞
日立建機は25日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比14%減の800億円になる見通しだと発表した。従来予想から180億円下方修正し、一転最終減益を見込む。米国で利下げペースが想定よりも遅く、建機の販売が振るわない。値上げの浸透も鈍化し、円安効果で補えない。
信越化学の純利益2%減 4〜9月決算、電子好調も塩ビ重荷 - 日本経済新聞
信越化学工業が25日発表した2024年4〜9月期連結決算は、純利益が前年同期比2%減の2941億円だった。シリコンウエハーなど電子材料が伸びたが、塩化ビニール樹脂の不振が重荷になった。前年同期より投資有価証券の売却益が縮小したほか、税負担もかさんだ。
UBEの純利益97%減 4〜9月決算、投資損失100億円で - 日本経済新聞
UBEは25日、2024年4〜9月期の連結純利益が前年同期比97%減の3億円になる見通しだと発表した。従来予想より77億円下方修正した。エラストマー(合成ゴム)を手がけるマレーシアの持ち分法適用会社の解散に伴い、約100億円の持ち分法投資損失を計上する。同持ち分法適用会社の累計損失に対して繰り延べ税金資産を計上する。25年3月期通期の業績、配当は従来予想を据え置いた。
車のタイヤ向けなどに使われるエラストマーを生産する持ち分法適用会社を解散する。UBEグループと韓国ロッテケミカルが折半出資していた。中国メーカーの増産などが響き市況が悪化。22年に火災事故があり復旧後の顧客獲得が苦戦していた。清算完了の時期は未定。日本、タイ、中国拠点からのエラストマー供給は続ける。
24年4〜9月期の連結売上高は前期比11%増の2430億円と従来予想より50億円上方修正した。エラストマーの原料価格上昇に伴って販売価格が上がっている。
HIS、虎ノ門の本社社屋を買い戻し 325億円で - 日本経済新聞
●米大統領選挙
米大統領選、共和党員の期日前投票が急増-激戦3州で民主党員リード - Bloomberg
米大統領選の結果で浮沈する5つの業界、それぞれの影響を探る - Bloomberg
大統領選と連邦議会選の結果次第で明確な影響を受ける業界・産業がある。そのうちの5つを取り上げる。
大手銀行
米国の大手8行は、金融ショックへのクッションとして求められる資本要件の引き上げに直面している。資本要件引き上げは、自社株買いや配当を通じて株主に還元できる資金が減ることを意味する。各行は、新たなルールは消費者や企業への融資抑制にもつながると主張している。
大統領選の結果次第で、この要件がどれくらい早期に発動され、どれだけの資本引き上げが必要になるかが決まるだろう。
ハリス氏が勝利すれば、2008年の金融危機を受けた国際的な銀行の新資本規制「バーゼル3」の最終化実施規則を米当局が前進させる公算が大きい。米金融規制当局が新たにまとめた資本規制強化案では、バンク・オブ・アメリカ(BofA)やゴールドマン・サックス・グループ、シティグループ、JPモルガン・チェースなどが求められる資本増強は9%になる。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、民主党政権の場合、2025年7-9月(第3四半期)までにこの要件が最終決定される可能性は60%。
一方でトランプ氏が勝利すれば取り組みは先送りされ、最終的には内容も大幅に弱まるだろうと、BTIGのアイザック・ボルタンスキー氏は指摘する。トランプ氏は他の多くの分野でも金融セクターへの規制を緩和する方向に傾くと同氏はみている。
EV
テスラやリビアンといった電気自動車(EV)専業メーカーや、EV技術に大きな投資を行っているゼネラル・モーターズ(GM)などにとって、大統領選の結果は大きな意味を持つ。  
ハリス氏が勝利すれば、新車のEV購入への最大7500ドル、中古EV購入への4000ドルの連邦税控除は続く公算が大きい。一方でトランプ政権となれば、「バイ・アメリカン」政策の強化を通じてEV税控除は廃止もしくは縮小される可能性がある。実際にトランプ氏は、EVを優遇するバイデン政権の政策を「大統領就任初日」に終わらせると明言している。
テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がトランプ氏支持の姿勢を明確にして以来、同氏はEVに関するレトリックをいくぶん弱めた。それでも選挙運動では、「EV義務化」というレッテルを貼ってバイデン政権の政策を攻撃している。
エバコアISIのシニアマネジングディレクター、サラ・ビアンキ氏は、クリーンエネルギー産業への補助金などを廃止するには、上下両院で共和党が過半数を占める必要があると指摘。ただ、トランプ氏が大統領令などの権限を行使し、規制変更を通じてこうした措置を制限する可能性はあると語った。
小売り
トランプ氏が勝利すれば、消費財への急激な関税引き上げで小売業者は圧力を受けそうだ。関税は販売量と利益率の両方に打撃を与える恐れがあり、とりわけ中国からの輸入品への影響が最も大きいとBIは指摘する。
トランプ氏は全輸入品に一律20%、中国からの輸入品には最大60%の関税を課すとしている。それに対する貿易相手国の報復などにより、関税の引き上げ合戦になる可能性もある。ベーダ・パートナーズの経済政策担当責任者ヘンリエッタ・トレイズ氏は、関税は広範な商品に適用されるため、小売業は他に類を見ないリスクにさらされると語った。
米国アパレル・フットウエア協会(AAFA)によると、米国で販売される衣料品の97%が輸入品であり、靴やその他の履き物も98%を輸入に頼っている。全米民生技術協会(CTA)によれば家電製品は90%超が輸入品だ。
国・地域別で見ると、中国からの輸入品が圧倒的に多い。各業界団体の調査では、輸入衣料品の3分の1以上、靴など履き物の半分余り、ノートパソコンの79%、スマートフォンの78%、ビデオゲーム機の87%が中国製となっている。
トレイズ氏は、ハリス政権になった場合、トランプ氏が計画しているような一律の関税引き上げは行わず、特定の分野や製品、輸出規制に重点が置かれる公算が大きいとみている。
関税は輸入業者が支払うが、増えたコストの多くは小売業者や消費者に転嫁される。
ヘルスケア
医療保険制度改革法(オバマケア)による保険購入のための補助金増額が2025年末に期限切れとなった場合、センティーンやユナイテッドヘルス・グループなどの保険会社は26年に計250億ドルの減収に直面すると、BIでは予想している。
ハリス氏と議会民主党は補助金の延長を強く支持している。一方でオバマケア撤廃を訴えるトランプ氏と共和党にとって、延長は優先事項ではないと、カイザーファミリー財団(KFF)のラリー・レビット氏は語る。
エネルギー
石油、ガス、石炭の生産者は、トランプ氏が勝利した場合にはさまざまな経路で恩恵を受けるとみられ、共和党が議会支配権も獲得すればさらに追い風が吹くだろう。
対照的に民主党がホワイトハウスと議会を支配すれば、クリーンエネルギー生産者が恩恵を受ける。トランプ氏が当選した場合、特に脅威にさらされるのは洋上風力だろう。
トランプ氏とハリス氏、支持率47%で拮抗 米大統領選=CNN全国調査 | ロイター
米大統領選、ヒスパニック男性と白人女性の支持に異変 世論調査 | ロイター
米大統領選挙が11月5日に近づく中、共和党候補トランプ前大統領と民主党候補ハリス副大統領の支持率は依然拮抗しているが、人種や性別による有権者の支持に変化が見られる。トランプ氏がヒスパニック系男性の支持を伸ばす一方、ハリス氏は白人女性の支持を集め、従来の支持基盤を互いに切り崩している格好だ。
ロイター/イプソスの最新世論調査(10月16─21日)によると、ハリス氏の支持率が46%、トランプ氏は43%でわずか3%ポイント差でハリス氏がリードしている。
しかしロイター/イプソスが10月21日までの1カ月と2020年の同期間を比較分析したところ、トランプ氏はヒスパニック系男性の間で支持が拡大。前回20年の選挙戦ではバイデン氏に19ポイントの差をつけられていたが、2ポイント差に縮めた。
一方、前回はバイデン氏より12ポイント多かった白人女性の支持は、3ポイントに低下した。
米国の有権者の中で急速に数が増え選挙に及ぼす影響力が高まっているヒスパニック系は1970年代以降のほとんどの大統領選挙で民主党寄りだった。しかしロイター/イプソスの分析(誤差2─6%ポイント)によると、登録済みヒスパニック系有権者のトランプ氏支持率は37%で20年の30%から上昇。一方、ハリス氏は51%で4年前のバイデン氏の54%を下回る。
20年の選挙でトランプ氏のヒスパニック系の得票率は38%。バイデン氏を21ポイント下回ったが、ピュー・リサーチセンターの20年の出口調査分析やアメリカン・エンタープライズ研究所のデータによると、共和党候補としては04年のジョージ・W・ブッシュ大統領(44%)以来、最も多かった。
<黒人有権者層でも変化>
トランプ氏は、民主党が強みとしてきた黒人有権者層でも支持を広げている。最近のロイター/イプソス調査では、黒人男性の支持率は約18%、黒人女性は8%でいずれも4年前(黒人男性14%、黒人女性4%)から4ポイント上昇している。前回選挙の出口調査でトランプ氏の黒人有権者の得票率は約8%だったが、最近の世論調査では12%となっている。
黒人有権者のトランプ氏支持が拡大していることについて、共和党の選挙戦略担当クリスティン・デービソン氏は、民主党が社会問題で極端過ぎるというトランプ氏の主張が効いていると説明した。
一方、ハリス氏は、白人女性の支持によって接戦状態を維持している。前回選挙で白人女性は有権者の約4割を占め、黒人とヒスパニック系の合計の2倍だった。
白人男性の支持率はトランプ、ハリス両氏ともほとんど変わっていない。だが、ハリス氏が白人女性の支持を伸ばしたことで、白人有権者全体でのトランプ氏のリードは9ポイントと、20年の14ポイントから縮小した。
共和党戦略担当者デービソン氏は、女性有権者がハリス支持に動いた一因として、中絶の権利を選挙戦で打ち出したことを挙げた。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
米ミシガン大消費者信頼感10月確報値、6カ月ぶり高水準 | ロイター
米ミシガン大学が25日発表した10月の消費者信頼感指数の確報値は70.5と、6カ月ぶりの高水準となった。9月の確定値は70.1だった。金利低下を背景に自動車など高額商品の購入環境が改善したことが背景とみられる。
市場予想中央値の69.0を上回ったほか、速報値の68.9からも上昇した。11月5日に控える大統領選で、共和党の政権奪還に自信を深める共和党支持者の間で最も上昇が顕著だった。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は声明で、「来たる選挙は消費者の期待に大きく影響する」と言及。共和党支持者の間で7.8%上昇し、2月以来の大幅な上昇となったほか、無党派層も4.1%上昇と、1月以来の大幅な上昇となった。
一方、民主党支持者では1.3%低下。7月以来初めて低下に転じた。シュー氏は、共和党は大統領候補であるトランプ前大統領が民主党候補ハリス副大統領に勝つとの自信を高めているとの見方を示した。
1年先のインフレ期待は2.7%と、9月から変わらず。パンデミック前2年間の2.3─3.0%のレンジに落ち着いた。5年先のインフレ期待は3.0%と、前月の3.1%から低下した。
独IFO業況指数、10月は予想以上に上昇 悪化にいったん歯止め | ロイター
独IFO経済研究所が25日発表した10月の業況指数は86.5で、前月の85.4から市場予想(85.6)以上に上昇した。
IFOのクレメンス・フュースト所長は「ドイツ経済は落ち込みにいったん歯止めをかけることができた」と述べた。これまでは4カ月連続で悪化していた。
深刻な景気後退への懸念が幾分和らぎ、10月には現状と将来への見方について楽観度合いが高まった。
来週発表される第3・四半期の国内総生産(GDP)では2四半期連続のマイナス成長が見込まれている。
今回の指標は年末に向けて一定の安心感をもたらすものだが、VP銀行のチーフエコノミスト、トーマス・ギッツェル氏は「ドイツ経済は厳しい冬の時期に直面している。外部環境は変えられないが、国内の景気刺激は十分に可能だ」と述べ、経済改革を呼びかけた。
コメルツ銀行のチーフエコノミスト、ヨルグ・クレーマー氏は「冬の半期には停滞が続き、春以降も貧弱な回復にとどまる可能性が高い」と語った。
LBBW銀行のシニアエコノミスト、イェンスオリバー・ニクラシュ氏は「2025年のトンネルの出口に主として金融緩和に伴う一定の光が見えるだけだ」と話した。
10月米雇用者数、ボーイングなどのスト影響か 4万人超下押しの可能性 | ロイター
10月の米非農業部門雇用者数が航空機大手ボーイング(BA.N), opens new tabや大手ホテルチェーンなどのストの影響で、最大4万1000人下押しされる可能性がある。米労働省のデータから25日明らかになった。
ロイターが実施したエコノミスト調査によると、11月1日発表される10月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数は12万5000人増加することが見込まれている。9月は25万4000人増だった。
ストに関する労働省の月次報告によると、ストを行っているボーイング従業員は3万3000人。さらに国際機械工・航空宇宙労働者組合の約5000人がセスナ機などを製造するテクストロンでストを行った。
そのほか、カリフォルニア州とハワイ州のヒルトン、ハイアット、マリオットのホテルやモーテルでは3400人の労働者がストを決行した。
また、米南部などを襲ったハリケーン「へリーン」や「ミルトン」の影響で、10月に最大4万人の雇用が失われたと推定されている。
ただエコノミストらは、米連邦準備理事会(FRB)が11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、10月の雇用統計の内容をさほど重要視しない可能性があるという見方を示している。
●金融市場、先進国トピックス
仏格付け見通し「ネガティブ」に引き下げ、財政赤字懸念=ムーディーズ | ロイター
格付け会社ムーディーズは25日、フランスの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。財政赤字の抑制を巡る不確実性が高まっていることが背景。
ムーディーズは、フランスの財政は予想を超えて悪化しているとし、同程度の格付けを持つ他の国と対照的だと指摘した。
ムーディーズのフランスに対する信用格付けは「Aa2」。
独、景気後退に直面せず 悪化防止策は必要=中銀総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのナーゲル独連邦銀行(中銀)総裁は25日、ドイツは深刻な景気後退に直面していないが、状況悪化を防ぐための措置を講じる必要があるとの見解を示した。
ナーゲル氏は、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会の合間に記者団に対し、すでに合意されている経済成長促進策の実施にドイツ政府が取り組むことが現時点で最も重要とし、「これは成長力の強化に大きく貢献する。2025年に一段の措置が取られれば、中央銀行の観点からは間違いなく歓迎する」と述べた。
また、地政学的状況がドイツにおける不確実性の主因であるとの見方を示した。
ユーロ圏銀行融資、9月も回復続く M3の伸び予想上回る | ロイター
欧州中央銀行(ECB)が25日公表したデータによると、ユーロ圏銀行融資は9月も回復を続けた。
9月の企業向け融資は前年比1.1%増で2023年半ば以来の高水準、家計向けは0.7%増と昨年10月以来の高い伸びとなった。融資総額は家計向けが90億ユーロ、企業向けが190億ユーロ増加した。
マネーサプライM3の前年比伸び率は3.2%と2022年12月以来の水準で、ロイター調査によるエコノミスト予想の3.0%を上回った。
日本国債は平準買いせず金利上昇を待ち投資、償還多く残高は減少=住友生命・24年度下期運用計画 | ロイター
住友生命保険は2024年度下期の一般勘定運用で、超長期債を中心に日本国債を数千億円規模で積み増すものの、償還が多いため、残高は減少するとの計画を示した。国債の買い方については期間を通じた平準ペースでの投資は行わず、金利のさらなる上昇を待って集中的に行う方針。
増田光男・運用企画部長が25日、運用方針説明会で明らかにした。
同社の運用資産の主軸で円建ての負債に対応させる「日本国債等」は、金利リスク削減と収益力向上を目的に、30年国債を中心とした超長期債に「数千億円規模で」投資する。買いのペースは、過去数年続けてきた「平準買い」ではなく、金利上昇時をとらえて機動的に実施する。ただ保有国債の償還が多く、ネットの残高は上期に続いて減少を見込む。
足元で2.2%近辺の利回り水準にある30年国債に対する投資目線について、増田氏は「当社の負債コストを上回っており、十分投資に値する水準」だと前置きつつ、「今後も材料次第でもう少し上昇余地があるとみており、まだ集中的に投資するタイミングではないと判断している」と述べた。
日銀の金融政策について、住友生命では「日銀は政治イベントや価格改定の影響、来年の春闘に向けた動向等を見極め、今年12月か年明け1月に追加利上げを実施する」と想定。その後は「半年に1度のペースで中立金利の下限付近と考えられる1.0%程度まで利上げを行う」とのシナリオを描く。
外国債券のうち、為替リスクをヘッジしないオープン外債は金利や為替動向次第で柔軟に対応するとして、増減は決めていない。
ヘッジ付き外債は、事業債のほか、ヘッジコスト変動による収益への影響を抑制するためにCLO(ローン担保証券)など変動金利のクレジット資産を「数千億円規模で」積み増す。ヘッジ付き外国社債は上期は低利回り債の売却により残高を減少させたが、年度ベースの残高でも増加を見込む。一方、前年度に圧縮したソブリン債については、上期に続いて残高は現状維持とする方針。
国内株式と外国株式はいずれも、増減は株価動向次第だが、「調整局面があれば投資を検討したい」(増田氏)という。
オルタナティブはインフラエクイティやPE(プライベートエクイティ)ファンドへの投資により残高を増加、不動産は投資用不動産への投資により増加させる計画だ。
住友生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で37兆3813億円。うち外貨建て資産は12兆0805億円(32.3%)。
2024年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り  0.50―1.50% (1.00%)
日本国債30年物利回り  1.70─2.40% (2.10%)
米10年国債利回り    3.25―4.75% (3.75%)
日経平均株価       3万2000―4万2000円 (3万9000円)
NYダウ         3万5000─4万4000ドル (4万2000ドル)
ドル/円         135―160円 (140円)
ユーロ/円        140―170円 (155円)
●中東情勢
サウジ、イラン標的の軍事行動「主権侵害」と非難 緊張緩和訴え | ロイター
イスラエルがイランに報復攻撃、ミサイル製造施設など 「限定的被害」 | ロイター
イスラエル軍は26日、イランの複数地域にある軍事標的に対する「的を絞った」攻撃が終了し、軍機が安全に帰還したと発表した。
イランが過去1年にイスラエルに向けて発射したミサイルの製造に使われた施設や、対空装備に空爆を実施したと説明した。
さらに、イランが再び情勢を激化させる過ちを犯せば、イスラエル軍は対応を余儀なくされると警告した。
一方、イラン当局はイスラエルからの攻撃について、防空システムによる迎撃に成功したが、複数の場所で「限定的な損害」が出たと発表した。テヘラン、フゼスタン、イラム各州の軍事目標が攻撃されたという。
イランメディアによると、首都テヘランと近隣の軍事基地で現地時間午前2時(日本時間午前7時半)過ぎから数時間にわたり複数の爆発があった。イスラエルの国営放送は、3波の攻撃が完了したと伝えた。
米政権高官は今回の攻撃について、イランが実施した先の攻撃への相応の対応で、的を絞った形で行われ、民間人に被害を与えるリスクが抑えられたとの認識を示した。また、イランとイスラエルの直接的な砲撃の応酬はこれで終わりにすべきとの考えを示した。また米当局者は、攻撃目標にエネルギー施設や核施設は含まれていないと述べた。
イラン半国営のタスニム通信は、「イランはいかなる攻撃にも対応する権利を留保しており、イスラエルがどのような行動を取って相応の報復を受ける」とする関係筋の話を伝えた。
イスラエルがイランに反撃、テヘラン周辺で爆発音の情報 | ロイター
イスラエル軍は26日、イランの「軍事標的に精密攻撃」を行っていると発表した。イランによる「数カ月にわたる継続的な攻撃」への反撃としている。イランのメディアは首都テヘラン周辺で爆発音がしたと報じた。
イランは今月1日、イスラエルに向けて180発以上の弾道ミサイルを発射。イスラエルは報復する姿勢を示してきた。
イスラエルは、イランや親イラン勢力による攻撃に対抗する権利と義務があると主張。「防衛・攻撃能力を総動員している」と表明した。
攻撃の規模は現時点で不明だが、イスラエル公共放送は戦闘機数十機で軍事標的を空爆しているとした。
NBCニュースとABCニュースの両米メディアはイスラエル関係者の話として、イスラエルによるイランへの攻撃目標に核施設や油田は含まれず、軍事目標のみが対象と報じた。
ABCは関係者1人の話として、イスラエルによる攻撃は一晩続く見通しとも伝えている。
イラン半国営のファルス通信は、首都テヘランの西と南西にある複数の軍事基地がイスラエルの標的になったと伝えた。
イランの国営メディアはテヘラン周辺と近隣のカラジで複数の強い爆発音が聞こえたと報じたが、攻撃の可能性を否定し、通常通りの状況と伝えた。
タスニム通信はイラン革命防衛隊の基地が攻撃されたが被害はないとした。
国営テレビはテヘランにある国際空港で到着便から客が降りる様子を放映した。
シリア国営通信によると、イスラエルはシリア中・南部の複数の軍事施設も空爆の標的にした。
イスラエル首相府によると、ネタニヤフ首相とガラント国防相はテルアビブの軍司令部で作戦を注意深く見守っているという。
米当局者はロイターに、イランへの軍事行動についてイスラエルから事前に通知を受けたが米国は関与していないと述べた。
ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のショーン・サベット報道官は、「イスラエルが自衛目的と10月1日のイランによる弾道ミサイル攻撃への対応として、イランの軍事標的に的を絞った攻撃を行っていると理解している」と述べた。
イスラエルが先月以来、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラへの攻撃を激化させ、首都ベイルートへの空爆や地上侵攻を実施していることから、イランや米国までも巻きこんで紛争が拡大すると懸念が強まっていた。
ブリンケン米国務長官は今週、イスラエルによる報復がさらなる紛争の拡大を引き起こしてはならないと述べていた。
米国防長官、イラン攻撃巡りイスラエル国防相と電話会談 | ロイター
イラン、複数施設で「限定的な被害」 イスラエルの攻撃で | ロイター
イスラエルは止めるつもりはない|ARAB NEWS
●エマージング
中国の景気刺激策、内需拡大と年間成長目標達成が目的-財政次官 - Bloomberg
ヘッジファンド、10月は中国株売りに転じる=ゴールドマン | ロイター
マスク氏、ロシアのプーチン大統領と定期的に対話 - WSJ
●プロファイ、インフラ、自然災害
アングル:連続ハリケーンで米国に大きな被害、洪水マップの見直しを求める声 | ロイター
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(25日)ドル上昇、ナスダック続伸 国債利回りやや上昇 | ロイター
ドル指数が主要通貨に対して上昇し、週足では4週連続の上昇が見込まれています。これは、良好な米国の経済指標によって、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が後退したためです。特に、9月の耐久財受注や10月の消費者信頼感指数が市場予想を上回り、米経済の見通しが改善しました。
ドル/円は0.26%高の152.21円、ユーロ/ドルは0.22%安の1.0803ドルとなり、ドル高が顕著です。今後、10月の米雇用統計や11月の米大統領選が注目されており、特に共和党候補トランプ氏の再選可能性がドルへの追い風となっています。
米国債利回りが小幅上昇しました。投資家はFRBの利下げ方針や、米大統領選、そして来月の雇用統計発表を前に慎重な姿勢を取っています。9月の雇用統計が予想を上回ったことにより、FRBの緩和姿勢が弱まるとの見方が広がり、10年債利回りは23日に約3カ月ぶりの高水準に達しました。10月の雇用統計も注目されており、予測では雇用者数が12.3万人増加するとされています。
CMEグループのデータでは、11月と12月のFOMC会合で25bpの利下げが実施される可能性は75%と見込まれています。10年債利回りは2.4bp上昇して4.226%、2年債利回りは2.8bp上昇して4.094%に達しました。
米株式市場では、ナスダック総合が続伸し、大型株が上昇を牽引しました。エヌビディアはAI向け半導体の需要拡大により時価総額で世界首位のアップルを一時抜き、5.29%上昇しました。また、テスラは好調な販売見通しを受けて3.36%高となりましたが、一方で、銀行株が軟調でゴールドマン・サックスが2.27%下落しました。また、マクドナルドは腸管出血性大腸菌O157の感染問題により2.97%安となりました。
加えて、米中堅地銀ニューヨーク・コミュニティー・バンコープは商業不動産向け融資での損失が響き8.26%下落しました。また、米連邦取引委員会(FTC)がタペストリーのカプリ・ホールディングス買収差し止めを求めた判決が出たことで、カプリは48.89%下落した一方で、タペストリーは13.54%上昇しました。
S&P500の11セクターのうち公益事業を含む大半が下落し、ニューヨーク証券取引所の値下がり銘柄数は値上がり銘柄数を上回りました。市場は来週のアルファベット、アップル、マイクロソフトなど主要ハイテク企業の決算発表に注目しています。
商品市場では、安全資産としての金需要が金価格を支え、12月物の金先物は1オンス当たり5.70ドル(0.21%)上昇して2,754.60ドルで取引を終えました。米原油先物も中東情勢の不安定さや米大統領選を警戒した買いが入り、WTI原油12月物は1バレルあたり1.59ドル(2.27%)上昇して71.78ドルとなりました。
欧州市場サマリー(25日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちで取引を終え、30日に予定される労働党新政権の初の予算案が市場の関心を集めています。FTSE100種指数は週間で1.31%の下落となり、FTSE250種指数も1.56%下げました。医療機器セクターはFTSE350種医療機器株指数が2.45%下落し、スミス・アンド・ネフュー(S&N)が3.0%安で目立ちました。金融業界ではクローズ・ブラザーズが24.5%急落、ロイズも7.3%安と軟調でした。一方で、通期収益見通しを引き上げたナットウエストは0.6%上昇しました。
欧州全体のSTOXX欧州600種指数も週間で1.18%下げ、特に不動産株指数が3.24%の下落で注目されました。自動車関連ではドイツのメルセデス・ベンツが1.0%下落、フランスのヴァレオは通期見通しの下方修正で9.5%急落しました。家電メーカーのスウェーデンのエレクトロラックスも決算が予想を下回り、14.6%安となりましたが、照明機器メーカーのシグニファイは業績内容が予想通りでコスト削減が期待され10.0%上昇しました。
ドイツのIFO経済研究所が発表した10月の業況指数が市場予想を上回ったため、来週予定のドイツGDP発表に市場の関心が集まっています。
ユーロ圏の国債利回りは上昇しました。特にドイツの景況感が予想を上回ったことから、債券の需要が後退しました。10月の独IFO業況指数は86.5で、前月の85.4から上昇し、市場予想の85.6も上回る結果となりました。また、欧州中央銀行(ECB)が公表したデータによれば、ユーロ圏の銀行融資も9月に回復傾向を示しています。
ECBのカザークス・ラトビア中銀総裁は、金融緩和のペースをこれまでの想定よりも早める必要があるかもしれないと発言しましたが、利下げ幅は成長促進に過度に依存しない水準に留めるべきだとしています。市場では、ECBが12月に0.25%の利下げを実施する可能性が完全に織り込まれています。
ドイツ10年国債利回りは3.5ベーシスポイント(bp)上昇し2.289%、2年債利回りは4.5bp上昇の2.143%となりました。また、イタリア10年債利回りも3bp上昇し3.492%、ドイツとイタリアの10年債利回り格差は120.9bpに広がっています。
来週の欧州主要企業決算 31日にソシエテジェネラル - 株探(かぶたん)|米国株
29日(火)サンタンデール銀行
31日(木)INGグループ、ソシエテ・ジェネラル
来週の米主要企業決算 いよいよIT・ハイテク大手が登場 - 株探(かぶたん)|米国株
28日(月)フォード
29日(火)マクドナルド、ファイザー、アルファベット、ビザ、AMD、ペイパル。スナップ
30日(水)イーライリリー、キャタピラー、ヒューマナ、マイクロソフト、メタ、スターバックス、イーベイ、バイオジェン、アムジェン
31日(木)メルク、マスターカード、ウーバー、アップル、アマゾン、インテル
1日(金)エクソンモービル、シェブロン

備忘録(2024/10/24
●海外企業決算
サービスナウ、決算受け最高値更新 ナウアシストが急成長=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
IT管理ソフトウエア開発のサービスナウ<NOW>が上昇し、最高値を更新している。前日引け後に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、1株利益が予想を上回ったほか、重要な指標である進行中の残存履行義務も予想を上回った。売上高の大部分を占めるサブスクは23%増加。ガイダンスも公表し、通期のサブスク売上高の見通しを上方修正した。
同業他社と同様に自社製品に生成AI機能を組み込み、それらのツールを備えた高価格帯を提供している。マクダーモットCEOは「ナウアシストは史上最も急成長しており、利用者の平均契約プレミアムは30%だ」と述べた。
アナリストは同社を、法人向けソフトウェアにおける同社の稀有な地位を証明するものだと述べた。企業のIT支出が厳しい環境下での強力な実行力と、生成AIの早期収益化を要因に挙げている。
同社は、ユーザーの監視なしにタスクを完了できるAIエージェントを強調。一部の顧客はすでにエージェントを試しており、完全に展開されれば、他の製品とは異なる価格設定になるだろうと述べている。
UPSが決算受け上昇 約2年ぶりに増収増益に転じる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
貨物輸送のUPS<UPS>が上昇。取引開始前に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。ただ、通期のガイダンスでは売上高見通しを下方修正している。
取扱量の増加、収益性の高い荷物の増加、人件費の安定化などの恩恵を受け、同社は約2年ぶりに増収増益に転じた。米国内の1日平均取扱量が6.5%増加、価格上昇、航空貨物取扱量の増加などを強調。トメCEOは「1年半の厳しい時期を経て、ようやく増収増益に転じた」と述べた。通期売上高見通しの下方修正については、コヨーテ・ロジスティクスのRXOへの第3四半期の売却完了を反映させている。
宅配業界はパンデミックの最高値からの下落以来、低迷する輸送需要に圧迫されている。一方、顧客はより安価な配送オプションにシフトしており、宅配業者の利益を圧迫。同社は2021年以降、翌日配達の航空便需要が毎年減少している。
一方、同社は労組のチームスターズとの契約初年度に伴う多額の先行人件費から解放されたている。また、9月30日に発効した米国郵政公社との新契約により、同社のネットワークに航空貨物量が加わった。1月にはコスト削減のため、1万2000人の管理職削減で10億ドルを節約する計画を明らかにしている。
UPS約2年ぶりの増収・増益、貨物量が回復-株価急伸 - Bloomberg
米宅配大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が24日発表した7-9月(第3四半期)決算は、前年比で約2年ぶりに増収、増益に転じた。貨物取扱量の回復や利益率の高い貨物の増加、人件費の安定が寄与した。
米国の1日当たり平均貨物取扱量が6.5%増えたことや米郵政公社の航空貨物量が伸びた点を同社は強調した。
調整後の1株当たり利益は1.76ドルで、市場予想の1.63ドルを上回った。売上高は222億ドル(約3兆3800億円)で、予想に一致した。
キャロル・トメ最高経営責任者(CEO)は声明文で「困難な1年半を経て、当社の売上高と利益は成長に転じた」と指摘した。
配送業界は新型コロナウイルス禍の活況から一転して、需要低迷に見舞われた。またインフレ疲れで顧客が安価な配送オプションを選ぶようになっており、業界の利益を圧迫している。
同社は通年の連結売上高見通しを930億ドルから911億ドルに下方修正。コヨーテ・ロジスティクスのRXOへの売却を完了したことも明らかにした。
UPS株価は決算を受けて寄り付きで10%急伸し、2022年2月以来の大幅な上げを記録。年初来の下落率を9%安まで縮めた。
競合のフェデックスも序盤の取引で約3%連れ高。ホリデーシーズンを前に、需要環境が上向き始めたとの投資家の楽観的な見方を示唆している。
仏ケリング、営業利益半減と予想、グッチ不振で大幅下方修正 | ロイター
グッチやサンローランなど高級ブランドを展開するフランスのケリングは23日、2024年12月期の業績予想を大幅に下方修正した。第3・四半期(7─9月)売上高が市場予想を下回り、前年同期比16%減の37億9000万ユーロ(40億8000万ドル)に落ち込んだことなどが響いた。
業績不振の背景には中国の需要低迷に伴って主力のグッチ事業が苦戦していることがある。
同社は今後数カ月間の「大きな不確実性」が需要の重石となると判断。減損処理など一時的要因を除いた継続的な本業のもうけを示す営業利益を通期ベースで約25億ユーロに悪化すると見込む。前年実績47億5000万ユーロからほぼ半減し、数年ぶりの低水準となる。
第3・四半期売上高について英バークレイズが事前に投資家向けメモで記したコンセンサス予想によると、アナリストは11%の減収を予想していた。
ケリングは上半期決算の段階では、下半期は30%の減益予想を示しており、ロイターの計算では、通期ベースで29億7000万ユーロが見込まれていた。
グループ全体の年間売上高の半分、利益の3分の2を占めるのがグッチ事業。しかし減収が続いており、第3・四半期は25%減だった。アナリストのコンセンサス予想の21%減を下回った。
ピノー会長兼最高経営責任者(CEO)は「高級ブランド市場は不運な状態に直面しているが、グッチを中心に広範囲に変革に取り組んでいる」と述べた。グッチの場合は皮革製品部門で見直しを進めており、第3・四半期後半に新製品を多く市場投入したと付け加えた。
仏ルノー、第3四半期は予想外の増収 高価格帯の新モデルが寄与 | ロイター
バークレイズ、7〜9月23%最終増益 投資銀行業務が伸長 - 日本経済新聞
英金融大手バークレイズが24日発表した2024年7〜9月期決算は、純利益が前年同期比23%増の15億6400万ポンド(約3000億円)だった。株式や債券の引受業務などの投資銀行部門が伸びた。英国では融資の純金利収入が増えたほか、与信費用の減少で米国の消費者向け銀行部門でも純利益が拡大した。
アメリカン航空が決算 戦略立て直しに進展 ただ、株価は小幅高=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
アメリカン航空<AAL>が取引開始前に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。ガイダンスも公表し、通期の1株利益の見通しを上方修正している。第4四半期についても予想を上回る1株利益の見通しを示した。
高止まりするコストとの闘いの一方で、販売戦略の失敗からの立て直しが進んでいることを強調。今年2度目の下方修正していた7月とは打って変わって、今回は明るい見通しとなった。今回の決算は、同社が放棄した法人向けビジネスの一部を取り戻し始めていることを示唆している。
イゾムCEOは説明会で「われわれは販売・流通戦略で自らにダメージを与えた。その回復を目の当たりにして本当に満足している」と述べていた。
アメリカン航空、7〜9月最終赤字 通期見通しは上方修正 - 日本経済新聞
米アメリカン航空が24日発表した2024年7〜9月期決算は、最終損益が1億4900万ドル(約226億円)の最終赤字(前年同期は5億4500万ドルの赤字)だった。赤字計上は2四半期ぶり。客室乗務員の賃上げでコストかさんだ。12月期通期については販売動向が改善するとして1株あたり利益(EPS)見通しを上方修正した。
LSEG、第3四半期総利益が予想上回る 株価は過去最高値更新 | ロイター
第3・四半期決算の総利益(回収分を除く)が前年同期比9.5%増と、予想を上回った。資本市場部門の売上高が22.4%増と好調で、業績の伸びをけん引した。
株価は一時、3%超上昇し、過去最高値を付けた。年初来では約18%上昇している。
第3・四半期の総利益(回収分を除く)は為替変動の影響を除くベースで21億2000万ポンド(27億4000万ドル)と、同社がまとめたアナリストのコンセンサス予想21億ポンドを上回った。
RBCキャピタル・マーケッツのベン・バサースト氏はメモで「市場は健全な業績更新と受け止め、LSEGが中期ガイダンスを達成する体制が整っているという見方を裏付けるだろう」と述べた。
LSEGの第3・四半期の年間契約額(ASV)の伸びは6%。クレディ・スイス関連の解約による影響は小さかったと説明した。今年の残り期間も6%前後で推移する見通し。
LSEGは第1・四半期に、スイスの金融大手UBS(UBSG.S), opens new tabに救済買収されたクレディ・スイスとの契約がなくなったことでサービスへの需要が減少し、その影響がまだ続きそうだとの見通しを示していた。
LSEGはロンドン証券取引所を運営し、銀行やその他の機関にデータや分析を提供している。2021年に金融情報サービス会社リフィニティブを買収し、データ大手となった。米マイクロソフトとの合弁事業は引き続き順調だとしている。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
英資産運用会社アバディーン、予想以上の資金純流出で株価急落 | ロイター
[DTE] DTEエナジー 3Q増収営業減益 売上高1%増29.0億ドル、営業益4%減5.17億ドル、EPS2.30ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UNP] ユニオンパシフィック 3Q増収増益 売上高3%増60.9億ドル、営業益11%増24.1億ドル、配当1.34ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CBRE] CBREグループ 3Q増収増益 売上高15%増90.3億ドル、営業益37%増3.68億ドル、EPS0.73ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NDAQ] ナスダック 3Q増収増益 売上高31%増19.0億ドル、営業益4%増4.48億ドル、EPS0.53ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SPGI] S&Pグローバル 3Q増収増益 売上高16%増35.7億ドル、営業益34%増14.3億ドル、EPS3.12ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TSCO] トラクターサプライ 3Q増収減益 売上高2%増34.6億ドル、営業益5%減3.24億ドル、EPS2.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KDP] キューリグドクターペッパー 3Q増収増益 売上高2%増38.9億ドル、営業益1%増9.02億ドル、EPS0.45ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DOW] ダウ 3Q増収最終減益 売上高1%増108億ドル、純利益29%減2.14億ドル、EPS0.30ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CARR] キャリアグローバル 3Q増収増益 売上高21%増59.8億ドル、営業益50%増7.63億ドル、EPS0.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KKR] KKR 3Q増収最終減益 売上高45%増47.9億ドル、純利益56%減6.54億ドル、EPS0.69ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HOG] ハーレーダビッドソン 3Q減収減益 売上高32%減8.76億ドル、営業益49%減1.05億ドル、EPS0.91ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NOC] ノースロップグラマン 3Q増収増益 売上高2%増99.9億ドル、営業益10%増11.2億ドル、EPS7.00ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DOV] ドーバー 3Q増収営業減益 売上高1%増19.8億ドル、営業益1%減3.33億ドル、配当0.515ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[LUV] サウスウエストエアラインズ 3Q増収減益 売上高5%増68.7億ドル、営業益68%減3800万ドル、EPS0.11ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UPS] ユナイテッドパーセルサービス 3Q増収増益 売上高6%増222億ドル、営業益48%増19.8億ドル、EPS1.80ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HON] ハネウェル 3Q増収最終減益 売上高6%増97.2億ドル、純利益7%減14.1億ドル、EPS2.16ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EW] エドワーズライフサイエンス 3Q増収営業減益 売上高9%増13.5億ドル、営業益4%減3.50億ドル、EPS5.13ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DLR] デジタルリアルティトラスト 3Q増収営業増益 売上高2%増14.3億ドル、営業益2.9倍1.68億ドル、EPS0.12ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[COF] キャピタルワンファイナンシャル 3Q増収最終減益 売上高7%増100億ドル、純利益1%減16.9億ドル、EPS4.41ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LHX] L3ハリス 3Q増収増益 売上高8%増52.9億ドル、営業益3%増4.95億ドル、EPS2.10ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
スタバの「原点回帰」、中国事業切り離しよりマシ - WSJ
苦い後味を覆い隠せるブライアン・ニコル氏のような人物こそ、米コーヒーチェーン大手スターバックスにふさわしい。
ニコル氏は22日夜、スターバックスの最高経営責任者(CEO)に就任してわずか6週間で、悪いニュースのダブルショットを提供した。2024年9月期の決算発表の1週間余り前に明らかにした概要によると、7-9月期(第4四半期)の業績はもともと控えめな水準だった予想を大きく下回り、世界の既存店売上高の落ち込みは予想の2倍、利益はアナリスト予想を2割余り下回った。25年9月期の業績見通しは発表を見送った。唯一の救いは、四半期配当をわずかだが引き上げたことだ。
もしニコル氏の不運な前任者ラクスマン・ナラシムハン氏がまだCEOだったら、市場は手厳しく応じ、おそらく株価は数年ぶりの安値に落ち込んでいただろう。スターバックスの時価総額は8月のニコル氏の就任日以降25%(225億ドル=約3兆4400億円)増加したが、株主は「疑わしきは罰せず」の構えのようだ。同氏がメキシコ料理チェーンの米チポトレ・メキシカン・グリルや米ファストフード運営大手ヤム・ブランズで実績を上げてきたためでもあるが、同氏が掲げる極めてシンプルなメッセージへの期待が大きいというのが主な理由だ。そのメッセージとは「スターバックスに戻る(バック・トゥ・スターバックス)」だ。
一つのスローガンとありふれた行動の一部から多くの詳細を読み取るのは難しく、ニコル氏も現状把握に努めている最中であることを認めている。それでも手がかりはいくつかある。同氏がこれまでに示唆したのは、超効率化・デジタル化で人間味の薄れた店舗を、ゆっくりくつろげる「第三の場所」にすることに重点を置く方針で、これはCEOを3度務めたハワード・シュルツ氏が当初から抱いていた考えだ。「人が集まる心地よいコーヒーハウス」(株主向けの録音メッセージ)ということだ。
これを喜ぶ客もいるだろうが、株主は何が犠牲になるかを見極める必要がある。ドライブスルー専用店やデジタル特典、複雑な注文にも対応して省力化できる調理器具などへの多額投資を完全にやめる可能性は低いものの、今よりシンプルだった時代に回帰するかに聞こえる。
一方で、これはナラシムハン氏がCEOに就きインフレが加速した時期に表面化した根本的な矛盾を解消する一助となる。流れ作業で作られ、バリスタの笑顔もない飲み物に高い料金を支払うのはなぜか、という矛盾だ。混雑時にデジタル注文が不具合を起こしたこともあった。
低価格の競合や家飲みコーヒーがスターバックスの事業モデルを破壊するとの予測は、最近まで一貫して見当違いだった。同社のコーヒーが求められていたのは、まさにそれが少し高価だからだ。ささやかな「ベブレン財」(価格が高いほど需要が増す高級品)というわけだ。イメージと顧客体験を厳密に管理したことで、スターバックスは新型コロナウイルス禍までの20年間、売上高が年平均14.8%伸びていた。
「初期化」は同社がけん引力を取り戻すのに役立つかもしれないが、たとえ軌道修正に成功してもこの成長ペースに戻るのはおそらく無理で、株価にもそれが反映されるだろう。1998年当時、スターバックスは至る所にあり、風刺新聞「オニオン」が「スターバックスが新店舗、スターバックス既存店のトイレに」という記事を出すほどだった。この時でも店舗数は2500店未満だった。今では、当時参入したばかりだった中国だけでこの3倍、世界全体では約4万店を展開している。
スターバックスがここからさらに成長するのは、もしスマートフォンが登場する前のような形態に戻るなら、一段と難しいだろう。ナラシムハン氏の失策にもかかわらず、スターバックスのアプリは米国でマクドナルドに次ぐ業界2位の人気を誇り、入金やギフトカードが多額の利益を生んでいる。米国の特典会員のうち、直近90日間に利用したアクティブ会員数は4-6月期(第3四半期)に約3400万人だった。ただ同社は、常連以外の来店客を重視していなかった。
ニコル氏は「われわれはスターバックス特典会員にばかり目を向け、全ての顧客と対話してこなかった」と述べた。
そうかもしれないが、昨今成功しているファストフードチェーンの共通点は、デジタル化と特典会員の囲い込みだ。昔ながらの方法で注文する人の使い勝手を改善しつつ、常連客への特典を減らすのはバランスが難しく、注文1件当たりのコストが増える。コーヒーの販売は食品に比べれば利益率が高いため、それで終わりではないが、それでも影響は皆無ではない。ニコル氏は本物志向と収益性のバランスをどう取るのだろう。
ニコル氏にとって初となる1週間後のアナリスト向け説明会では、ほかにも質問が出るだろう。かつては有望で、遠からず米国を抜くとシュルツ氏が期待していた中国事業はどうか。急成長しているラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)などのチェーン店のほか、多くの地元店や外資系との激しい競争にさらされ、さらにはタピオカティーのブームもあり、中国事業は圧迫されている。7-9月期だけで中国の既存店売上高は14%減少した。
複数のアナリストが、中国事業のスピンオフ(分離・独立)やライセンス化を提言している。ヤム・ブランズは、ニコル氏が幹部だった16年に現地レストランをスピンオフした。当時は中国の経済成長と消費支出が今よりはるかに有望だった。それでも株価はヤム・ブランズより低調で、株価収益率(PER)が低かった。スターバックスは売上高が大幅に減っている。ラッキンコーヒーはこの1年で、スターバックスが四半世紀かけて中国で出店した以上の店舗を出した。こうしたことを踏まえると、中国事業をスピンオフしても期待通りの値が付かず、バリュエーションも上がりにくいかもしれない。
投資家は、少なくとも今は、これについて何かニュースがあると期待すべきではない。ニコル氏ほどの抜け目ない経営者がこの不穏な時期に中国事業を現金化する可能性は低い。スターバックスも資本が不足しているわけではない。増配がそれを裏付けている。
ニコル氏の起用が決まった際の株価上昇は行き過ぎだったか。おそらく若干は行き過ぎだった。ただあの急騰は、ナラシムハン氏のさんたんたる任期終盤の極度の悲観ムードを反映していた。急騰前の株価売上高倍率(PSR)は10年以上ぶりの低水準で、コロナ下の2020年よりも低かった。
ニコル氏が軌道修正に成功したとしても、黄金期の成長率と利益率を犠牲にすれば株価は確実にそれに反応し、足元の上昇の一部を失いかねない。それでも、代替案よりは確実にマシだ。
「オゼンピック」、アルツハイマー病のリスク低下と関連-研究論文 - Bloomberg
デンマークの製薬会社ノボ・ノルディスクの糖尿病治療薬「オゼンピック」を投与されている患者は、アルツハイマー病と診断されるリスクが大幅に低いことが新たな研究で明らかになった。2型糖尿病や肥満以外の疾患に効果がある可能性が新たに示唆された。
研究は米国医療の電子記録を用いて、オゼンピックおよび肥満症治療薬「ウゴービ」の主成分であるセマグルチドについて100万人余りの患者を調査。医学誌「アルツハイマー病と認知症」に24日掲載された論文によると、アルツハイマー病リスクが他の糖尿病治療薬を投与された患者に比べ、40%から70%低いことに関連していると分かった。
「他の糖尿病治療薬と比較して、セマグルチドは一貫してアルツハイマー病発症リスクの低減と関連していることが示された」と、ケース・ウェスタン・リザーブ大学でこの研究を率いたロン・シュー教授(生物医学情報学)は述べた。他の研究者の間でこのメカニズムを解明する研究や臨床試験の資金集めが促進されるだろうと、期待を表明した。
GLP-1受容体作動薬に分類される薬品がアルツハイマー病の治療に役立つかどうかは、これまでも長年にわたり研究されている。ノボ・ノルディスクは現在、セマグルチドが初期のアルツハイマー病患者に有効かどうかについて臨床試験を行っている。
セマグルチドがアルツハイマー病リスクを軽減する理由はまだ明らかになっていないが、今回の研究では神経細胞に作用し、炎症や血管の健康状態に影響を与えることでアルツハイマー病の進行を遅くする可能性が示唆された。
タペストリーのカプリ買収計画、米地裁が差し止め-FTCの主張支持 - Bloomberg
米連邦地裁は24日、高級ファッションブランドのコーチやケイト・スペードを展開する米タペストリーによる同業カプリ・ホールディングスの85億ドル(約1兆2900億円)での買収計画を差し止める判断を下した。
ジェニファー・ロション判事は今回の買収計画が反競争的だと結論付けて取引を凍結した。これにより、米連邦取引委員会(FTC)にはこの合併に関する独自の内部審判を行う時間が与えられる。このプロセスには数カ月を要する可能性があり、計画が破談となる可能性もある。
マイケル・コースの親会社であるカプリの株価は地裁判断を受け、時間外取引で一時56%急落した。
判事は「合併当事者は互いに競合する企業であり、合併により直接的な競争が失われることになる」と指摘した。
米ボーイング労組、会社側の労働協約案拒否 スト継続 | ロイター
米航空機大手ボーイングの国内工場で働く労働組合員は23日、4年間で計35%の賃上げを含む会社側の新たな労働協約案を拒否し、ストライキを継続することを決めた。
同社の最大労組によると、米西海岸の約3万人の従業員のうち64%が会社側の案に反対票を投じた。
組合指導部は、2014年以来となる新たな協約について会社側と直ちに交渉を再開する用意があると表明。「10年間の犠牲の後、われわれはまだ埋め合わせをしなければならない状況にある」とした。ボーイングは当時、従来の年金を打ち切る協約を押し通すために新しい777型機の生産を他の地域に移すと組合に迫った経緯がある。
労組側は40%の賃上げと確定給付型年金の復活を要求してきた。
工場従業員は賃金上昇率が過去10年にわたりインフレ率を下回る一方で、同社が自社株買いに多額の資金を費やし、幹部らに高額の報酬を支払ってきた状況に不満を募らせている。
正式な投票で会社側の提案を拒否したのは2回目。先月に行われた前回は労働者の95%が拒否し、ストにつながった。
9月13日以来のストによってボーイングの小型機737MAX、中型機767、大型機777の生産が止まり、財務を一段と圧迫している。航空機産業の供給網にも響いており、部品大手スピリット・エアロシステムズは従業員700人に21日間の一時帰休を求めたと発表している。ボーイングのストが12月以降も続けば、人員削減や大規模な一時帰休が必要になるとしている。
ボーイング従業員のイリーナ・ブリオネスさん(25)は投票後、「より良い協約を勝ち取るまでストを続ける覚悟はできている」と述べた。
多くの労働者は10年前に結ばれた最後の協約に怒りを感じている。
シアトル郊外の767型機工場で働くドノバン・エバンスさん(30)は投票結果が出る前、「今度こそ望みをかなえるつもりだ」と語り、組合が求める40%の賃上げの実現に向けて反対票を投じたと明らかにした。
ボーイングが反落 協約案を組合員が否決 スト継続へ=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ボーイング<BA>が反落。労働組合はきのう、4年間で35%の賃上げを柱とする新たな労働協約案をスト実施中の組合員が否決した。組合側は特に年金に関する条件の改善を要求しており、ストを継続する。工場の操業停止に伴い巨額損失に直面する同社にとってはさらなる打撃となる。
スト入りしている3万3000人の工場労働者を代表する国際機械工・航空機工労組(IAM)の発表によれば、23日に行われた組合員投票で、約64%が経営側との暫定合意に反対した。IAM751地区のホールデン委員長は「われわれはストを継続する。組合員らはそれ以上の待遇を受けるに値し、声高に訴えてきた」と述べた。
●日本企業
船井電機が破産手続きへ 経営不振、東京地裁が開始決定 - 日本経済新聞
●米大統領選挙
トランプ氏支持率47%、ハリス氏45%=WSJ調査 | ロイター
【寄稿】米大統領選、各候補の「負ける理由」 - WSJ
トランプ氏、ハリス氏をわずかにリード=WSJ調査 - WSJ
米大統領選の世論調査、また失敗を繰り返すのか - WSJ
接戦続く米大統領選 不安募らせる民主党 - WSJ
ハリス氏が対話集会に参加、主なポイント - CNN.co.jp
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
商業用不動産のリスク増大、銀行の融資条件調整で=NY連銀報告書 | ロイター
ニューヨーク連銀は23日公表した報告書で、銀行は損失を隠すために商業用不動産ローンの条件を調整しており、決算日を遅らせることで金融システム全体へのリスクを増大させていると指摘した。
商業用不動産(CRE)セクターは、コロナ禍とその余波により大きな圧力にさらされている。リモートワークの増加でオフィスビルなどの不動産需要が減少し、これまでのところ、同セクターは回復の兆しが見られない。それに加えて、2022年春から23年7月にかけての米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金利引き上げが銀行にさらなる圧力をかけた。
ニューヨーク連銀は「銀行は資本の償却を避けるため、パンデミック後の時期にCREの不良債権を『延長して見せかけ』、信用の誤った配分と金融の脆弱性の蓄積を招いた」と指摘。この融資に関連する問題が発生する可能性があると付け加えた。
連銀当局者は、商業用不動産ローンを扱う銀行の間である程度の管理可能な問題が発生することを認識しているが、金融機関が困難な状況を切り抜けていく中で、どのような問題が発生するとしても、その影響は小さく、小規模銀行に集中し、ゆっくりと進むだろうと予想している。
金融システムは安定、利上げ後も不均衡みられず=日銀リポート | ロイター
日銀は24日、直近の金融システムの状況をまとめたリポートを発表した。利上げ後も金融仲介活動に不均衡はみられず、日本の金融システムは全体として安定性を維持していると結論付けた。
リポートでは、貸出金利が上昇するもとでも企業の資金需要は増加し、金融機関の融資姿勢も引き続き積極的と分析。金融仲介機能に「大きな不均衡は認められない」と指摘した。
銀行勘定の円金利リスク量は低位で推移しているとした。
一方、有価証券の金利リスクを多く抱える金融機関も相応に存在し、「引き続き、注意を払ってリスクを管理していく必要」があることも併せて記した。
米クリーブランド連銀総裁、インフレ抑制の任務まだ完了してない - Bloomberg
ECB、大幅利下げには「強力な」データ必要-アイルランド中銀総裁 - Bloomberg
ドイツ経済は浅いリセッション、年終盤もゼロ成長-連銀が予測 - Bloomberg
ドイツ経済は9月までの2四半期で浅いリセッション(景気後退)を経験し、10-12月(第4四半期)はゼロ成長となる可能性がある。独連邦銀行(中央銀行)が予測した。
連銀が24日発表した月報によると、ドイツの国内総生産(GDP)は4-6月(第2四半期)の前期比0.1%減に続き、7-9月(第3四半期)も恐らく「小幅な」マイナス成長となった公算が大きい。第4四半期はほぼ落ち着くはずだとし、深刻なリセッションに陥る可能性を否定した。
「広範囲にわたる顕著で長引く経済生産の落ち込みという意味でのリセッションは現時点で予想されていないものの、2022年半ばから続く弱い局面から抜け出せないでいる」と連銀は指摘した。
ドイツは欧州最大の経済大国だが、重要な製造業の低迷が長引き、同国の競争力と長期的な成長見通しに懸念が生じている。連銀によると、高い金利と政治的な不透明性も工業と建設業の需要冷え込みに寄与している。
S&Pグローバルが24日発表した10月のドイツ総合購買担当者指数(PMI)速報値によると、同国の民間部門の落ち込みは緩和され、サービス業の製造は続いた。ただ、個人消費は予想されたほど回復せず、懸念は残った。
ECBチーフエコノミスト、ユーロ圏のディスインフレは順調に進行 - Bloomberg
●先進国経済指標
米総合PMI、10月は54.3に上昇 物価上昇圧力は緩和 | ロイター
10月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は54.3と、9月の54.0から上昇した。堅調な需要を背景に米企業活動は拡大したほか、モノやサービスの値上げペースが約4年半で最も緩やかとなり、米経済が第4・四半期に好調な出だしを切ったことを示唆した。
PMIは50が拡大と縮小の節目となっている。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「10月は企業活動が力強く堅調なペースで引き続き拡大し、年初来の経済回復が第4・四半期まで持続した」と述べた。
販売価格に関する指数は51.6と、前月の54.6から低下し、2020年5月以来の低水準となった。
投入価格指数は58.1。前月は58.8だった。
両指数の低下は9月の消費者物価の上昇が一時的なものであった可能性を示唆する。
10月の総合の新規受注指数は54.2と、前月の52.5から上昇した。
製造業PMIは47.8と、前月の47.3から小幅上昇した。ロイターがまとめた市場予想は47.5だった。
サービス業PMIは55.3と、前月の55.2から上昇。市場予想は55.0だった。
米新規失業保険申請、1.5万件減の22.7万件 予想外に減少 | ロイター
米労働省が24日発表した10月19日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比1万5000件減の22万7000件となった。エコノミスト予想は24万2000件だった。
予想外に減少したが、10月中旬の給付受給者数が約3年ぶりの高水準となったことから、失業者が新たな職を見つけるのが難しくなっていることが示唆される。
10月12日までの1週間の継続受給件数は2万8000件増の189万7000件と、2021年11月中旬以来の高水準となった。
今回のデータは10月の雇用統計の調査期間と重なっている。
季節調整前の申請件数は2万2634件減の20万2635件。
地域別では、フロリダ州で4275件増加したが、ジョージア州、ノースカロライナ州、ニューヨーク州、テキサス州、テネシー州、オハイオ州、ミシガン州での大幅減少で相殺された。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの主任エコノミスト、カール・ワインバーグ氏は、「労働市場は軟化しつつあるが、崩壊しているわけではない」とした上で、「連邦準備理事会(FRB)の政策は、景気後退(リセッション)が始まる前に経済と雇用市場を支えることを目的としており、段階的に金融緩和を進めれば、その目標は達成できるかもしれない」と述べた。
米新築住宅販売、約1年ぶり高水準-販促策やローン金利低下が後押し - Bloomberg
9月の米新築住宅販売は前月比で増加し、ここ1年余りで最も高い水準となった。建設業者が販売奨励策を増やしたことや、住宅ローン金利の低下が背景にある。
新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は前月比4.1%増の73万8000戸
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は72万戸
前月は70万9000戸(速報値71万6000戸)に下方修正
住宅販売の増加は長続きしない可能性もある。住宅ローン金利は9月に2年ぶりの水準に低下した後、再び上昇している。米金融当局が向こう数カ月の利下げに対して、より漸進的なアプローチをとるとの見方が広がったためだ。
キャピタル・エコノミクスのアソシエートエコノミスト、ルーベン・ガルガロ・アバルグエス氏は「9月の新築住宅販売の増加は、住宅ローン金利の低下に恐らく支えられた」とリポートで指摘。「ただし、それ以降に金利は上昇しており、新築住宅販売は今後それほど増えないという当社の見解を後押しする」と述べた。
地域別では、南部で販売が大きく増えて2021年4月以来の高水準。北東部でも増加した。
新築住宅販売価格の中央値は前年比でほぼ変わらずの42万6300ドル(6480万円)。ただ19年末と比べると、なお30%近く高い。
米国で住宅購入能力を示す指数が歴史的な低水準となる中、建設業者は値引きなどのインセンティブを提供している。
新型コロナウイルス禍からの回復期に見られた建設ラッシュの後、住宅在庫は過去最高水準付近で推移。建築業者は在庫を減らそうと取り組んでいる。9月末時点で売りに出されていた物件は、前月比0.4%増加し、08年以来の高水準となった。
英総合PMI、10月は11カ月ぶり低水準 予算案巡る不透明感が圧迫 | ロイター
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は、PMIは10月の成長率が四半期ベースで0.1%にとどまったことを示唆するとし「予算案発表時に示された政策が、今後数カ月の経済の方向性に大きく影響する可能性がある」と述べた。さらに中東紛争やウクライナ戦争、米大統領選を巡る不確実性が、企業の景気の先行きに対する不安を増大させていると指摘した。
10月のPMIは、企業のコスト圧力の緩和を示した。投入価格指数は57.8に低下し20年12月以来の低水準となった。雇用は昨年12月以来初めて減少。サービス業は13カ月ぶりの大幅減となった。
ウィリアムソン氏は「投入コストインフレが一段と緩和し、イングランド銀行(英中央銀行)は現在の景気減速がさらに定着すれば、より積極的な利下げ姿勢に転じる可能性が出てきた」と述べた。
ユーロ圏10月総合PMIは2カ月連続50割れ、需要低迷 12月追加利下げ観測 | ロイター
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏はユーロ圏は閉塞状態にあるとし、製造業の縮小をサービス業の小幅改善でカバーし、ほぼ均衡がとれている状況だと指摘した。
INGのバート・コリジン氏は「総合PMIは製造業の持ち直しでわずかに上向いたが、製造業は22年後半から縮小が続いており、とても歓迎できる内容でない」と述べ、サービス業でも新規受注が鈍化したと指摘した。
仏サービスPMI、10月は7カ月ぶり大幅縮小 新規受注が低迷 | ロイター
ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「バルニエ内閣は脆弱で25年度予算も固まっておらず、景況感がさらに悪化している」と述べた。
独総合PMI、10月速報値は48.4へ上昇 予想上回る | ロイター
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「第4・四半期は予想よりも良好なスタートを切った」と述べた。
第4・四半期の成長率がプラスになる可能性があるとの見方を示した。しかしエネルギーコストの高騰、中国との競争、製造業に大きな打撃となっている労働力不足などにより、通年では横ばいにとどまるかもしれないと述べた。
●金融市場、先進国トピックス
朝日生命は20年金利2%、30年2.5%で外債から円債へのシフトを検討 - Bloomberg
クレジットやオルタナ積み増し、金利上昇なら円債も検討=朝日生命・24年度下期運用計画 | ロイター
アジア開発銀の総裁選、神田前財務官のみが立候補 | ロイター
ドイツ経済、縮小しているが賃金の伸びには勢い=連銀月報 | ロイター
ドイツ経済、トランプ氏返り咲きなら高関税で1.5%縮小=IW予測 | ロイター
ドイツ経済研究所(IW)は、11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利し、米欧貿易戦争が勃発すれば、ドイツが大打撃を受けると予想した。
トランプ氏は大統領に返り咲いたあかつきには、輸入品に一律10─20%の関税を課し、中国製品にはさらに高い関税を課す方針を示している。
IWはロイターに提供したリポートで、米がEUに20%の関税を課し、EUが相殺関税措置を取った場合、ユーロ圏の域内総生産(GDP)は2027年と28年に1.3%減少し、ドイツは1.5%縮小すると予想した。
EUのGDPへの影響は25年から28年にかけて強まる見込み。米GDPへの影響は最初の2年間が強く25年は関税10%で1.3%減少、関税20%で1.5%減少と予想した。
このシナリオでは、米国の輸入が輸出よりも減少するため、GDPへの影響は時間の経過とともに和らぎ、貿易収支は改善すると想定する。
ドイツの貿易相手国は8年連続で中国が首位だったが、今年、米国が1位になった。
ブリューゲルとピーターソン国際経済研究所でシニアフェローを務めるヤコブ・ファンク・キルケゴール氏はロイターに、中国の景気刺激策は期待外れに終わり、ドイツは中国の経済回復の恩恵を受けられないと予想。さらに米国が保護主義に傾斜すれば、ドイツの短期的な成長源は非常に乏しくなると指摘した。
ドイツの輸出は23年に0.3%減少し、今年は政府予測で0.1%減少が見込まれている。
ハンス・ベックラー財団マクロ経済研究所の研究によると、関税が20%の場合、導入後2年にドイツのGDPを1%押し下げる可能性がある。
IFO経済研究所の調査では、米中貿易戦争が起きた場合、ドイツの対中輸出は9.6近く減少する可能性がある。また米国が中国製品に60%の関税、その他の国の製品に20%の関税を課した場合、ドイツの対米輸出は14.9%減少することが想定される。ドイツの自動車輸出への打撃は大きく32%減となる。
IWの国際経済政策担当責任者ユルゲン・マテス氏は「関税率が10%でも、関税がもたらす不確実性もあってドイツ経済は痛手を受ける」と指摘し、ドイツ経済が現在抱える主な問題として投資の弱さや、不確実性を感じる人々の消費への消極姿勢を挙げた。
Commercial property’s moment of truth(FT)
シティポイントは、シティ・オブ・ロンドンで最初の超高層ビルでした。1960年代にブリティッシュ・ペトロリアムのオフィスとして建てられたとき、1710年のセントポール大聖堂以来、1平方マイルで完成した最も高い建物でした。
今日、ムーアゲート駅近くのタワーは、再びシティの不動産市場をリードしていますが、その方法は異なります。
カナダの投資グループであるブルックフィールドは先月、シティポイントを市場に投入し、5億ポンド以上のオファーを求めていました。売却すれば、市内で2年以上で最大のオフィスビルとなります。
ディールメイキングの停滞は、2022年3月に金利が上昇し始めた後に始まった商業用不動産の低迷の主な外向きの兆候です。より高い率は不動産取引の生命線である借金を大いにより高価にする。
アナリストの推定によると、店舗、オフィス、ホテル、倉庫などの商業用不動産の価格は、2022年のピークから約20%下落しています。
しかし、2008-10年の金融危機に続くような暴落の予測は、これまでのところ実現していない。苦境に立たされた建物は比較的少なく、不良債権に見舞われた貸し手はほんの一握りです。
問題は、ボロボロの商業用不動産セクターにとって嵐が終わったのか、それとも最悪の事態がまだ来ていないのかということです。評価が遅れているということは、投資家や貸し手が不動産価値の下落に関する悪いニュースにすぐに直面することを避けることができることを意味します。景気後退による財政的ダメージは、市場が回復し始めた後、何年も続く可能性があります。
取引の欠如は、鑑定人が数兆ドルの市場全体でどの不動産が価値があるかを正確に特定することを困難にしています。ロンドンの大手オフィスなど、このセクターの一部では、市場の証拠がほとんどありません。
Citypointは、2023年3月に6億7000万ポンドで貸し手のために最後に独立して評価されました。しかし、格付け機関のS&Pは、2023年秋の4億5700万ポンドから8月には4億3100万ポンドにその価値を下げました。重要な問題は、建物に対して担保されている約4億6000万ポンドの負債以上で売却できるかどうかです。
Citypointの売却は、その高い知名度と、建物にリンクされた商業用住宅ローン担保証券に必要な開示のために、比較的透明性が高いです。
しかし、一部の投資家は、売れ残ったポートフォリオにはもっと悪い現実が潜んでいると警告しています。「私たちの業界の美しさは、非常に不透明で一貫性がないことです」と、プライベートエクイティグループのある上級幹部は言います。
「もっと正直な監督もいるだろう。また、より楽観的な見方をしている人もいます。あちこちに散らばっていると思います。そして、取引量が再び回復するまで、本当のところはわかりません。」
すべての不動産投資家が、Citypointに適用されるような第三者評価を行うわけではなく、代わりに自分自身の評価に依存しています。
私たちの業界の美しさは、それが非常に不透明で一貫性がないことです。一部のマネージャーはもっと正直です。また、より楽観的な見方をしている人もいます。それはいたるところにあると思います
約2000億ドルを運用する米国最大の商業用地主であるプロロジスの最高経営責任者であるハミド・モガダム氏は、一部の経営者が「偽りのバロニー」リターンを投稿しているのは、景気後退期に市場の現実を反映するために不動産価値を書き留めていないためだと述べている。
「その場合の戦略は、値が戻ってきて、それを書き留める必要がないように、十分に息を止めることです」と彼は付け加えます。「しかし、それは投資家に対する正しい扱い方ではないと思います」
古いバリュエーションに「息を止めている」投資家は、空気を使い果たしているでしょう。金利がピークに達したとみられる今、ディールメイキングは持ち直しています。その独特の形状から「ハム缶」として知られるものを含む、他の大きなロンドンのオフィスビルも現在市場に出回っています。倉庫、小売公園、アパートのより大きなポートフォリオが所有者を変えています。
この復活は、投資を実現したい人や割引価格で購入したい人には歓迎されます。しかし、それはまた、価格設定に関する真実の瞬間をもたらします。
アドバイザリー会社グリーンストリートのヨーロッパリサーチ責任者であるピーター・パパダコスは、より多くの不動産が公開市場に押し出されるにつれて、価値が明確になると述べています。
「そこで真実が明らかになるのです」と彼は付け加える。
ブルックフィールドがシティポイントを市場に持ち込んだのは、昨年のクリスマスに高い金利で延長された建物に対する債務が1月に期限が切れるためでもあります。
この建物は、2012年にさかのぼるグループ内のファンドによっても所有されており、残りの資産の大部分を売却しています。全体として、ファンドは好調なパフォーマンスを報告しており、実現された純内部収益率は18%(業界の年間リターンの指標)でした。ブルックフィールドは、ファンド投資家のために建物をどのように評価したかについてコメントすることを拒否しました。
ロンドンのカナリーワーフとマンハッタンの旗艦オフィスを共同所有するカナダのグループは、シティポイントの改善に約4,000万ポンドを投資し、稼働率を約90%に引き上げ、より良い賃料を確保しました。
厳しい時期に売り込もうとしています。
MSCIによると、世界の取引量は2022年から2023年にかけて45%減少し、その後、10年間で最低の水準で横ばいになっています。同社のアナリストは、「流動性が戻るためにはさらに狭まらなければならない買い手と売り手の価格予想のミスマッチ」によって取引が妨げられていると述べました。
米国では、MSCIの不動産関連の財政難の指標は6月に約1,000億ドルに達しましたが、2010年の前回のピークで記録した約2,000億ドルには遠く及ばないままでした。「『私はグレート・プライシング・リセットを生き延びた』Tシャツをまだ手に入れないでください」とMSCIのアナリストは書いています。
また、投資家は、借入コストの上昇や地政学的な出来事によるショックを受けた市場の現在の価格が、資産の長期的な価値を測定する最善の方法であるかどうかについても議論しています。
グリーンストリートは、業界全体で多くの不動産投資信託や機関投資家が、現在達成可能なものよりも約10〜15%で彼らの資産を評価していると推定しています。
状況は大きく異なります。マンション、倉庫、一部の商業施設などの地域では、賃料の上昇と顧客の需要が投資家に自信を与えています。オフィスは、パンデミック後のハイブリッドワークの世界における需要レベルが不透明なこともあって、より問題を抱えています。しかし、価値は場所、年齢、品質によっても大きく異なります。
バリュエーションに対する監視は、ブラックストーンやスターウッドキャピタルなどの不動産大手が管理するいくつかの大規模な投資信託によって厳しく感じられています。
7億8000万ドルの投資家は先月、94億ドルのスライトファンドから引き出したかったのですが、現金で3100万ドルしか受け取らなかった
パンデミックの間、この2つの有名な投資グループは、引き出しの機会が限られている民間資金を使用して、ウォール街で最も裕福な個人からの投資を引き付けることに成功しました。
ブラックストーン・リアル・エステート・インカム・トラストとスターウッド・リアル・エステート・インカム・トラストの2つのファンドは、2017年から2022年の間に合計600億ドル以上を集め、不動産価値が高く、金利がゼロに近かった2020年と2021年にピークを迎える買い占めを続けました。
ブライトとスライトはどちらも資産の評価に関してかなりの余裕を持っており、2022年に金利が急速に上昇し始めたときには、資産価値のマークダウンが遅れていました。
しかし、ファンド投資家は独自の見解を形成し、2022年後半以降、両ファンドから約200億ドルを引き出し、現金を節約し、売却しなければならない不動産の量を減らすために、マネージャーに償還を制限するよう強制しました。
ブラックストーンの幹部は、ラスベガスのベラージオホテルの株式を含む、ブライトの最も収益性の高い資産の一部を売却しました。また、このビークルは2023年初頭にカリフォルニア大学から45億ドルの新規投資を確保し、流動性を強化し、投げ売りを回避しました。しかし、大学が約束したリターンは、ブラックストーンのバランスシートに7億5100万ドルの負債を生み出したことを保証します。
2022年以降、ブラックストーンは270億ドルの不動産を平均4%のプレミアムで売却してきました。ここ数カ月で、償還は急激に減速し、ブラックストーンは投資家の要求を全額支払った。ジョナサン・グレイ大統領は今月、基金が新たな資金を再び引き出し始める軌道に乗っていると述べました。
同社は、ブライトの半液体構造が意図したとおりに機能したと述べました。また、価格の上昇、債務コストの低下、新築活動の低水準は、「商業用不動産の継続的な回復を示している」と付け加えました。
スターウッドは、創業者のバリー・スターンリヒトが不動産市場がパニックモードにあると信じていたため、売却した物件が減りました。約50億ドルの償還要求を満たすために、スターウッドは28億ドルの資産を売却しただけでなく、内部現金も使用し、15億ドルのクレジットラインのほぼすべてを引き出しました。
スターウッドは、投資家に「スライトの総帳簿価額の2%以内」で不動産を売却することができ、負債を含めるとマークが約4%割引されることを示唆していると投資家に語った。
しかし、スターウッドは自己資金で投資家に返済することで財源を使い果たし、5月には四半期ごとの償還額をファンドの純資産の最大5%からわずか1%に制限することを余儀なくされました。この動きは、スライトの投資家の間で大騒ぎを引き起こしました。
公開書類によると、9月にスライトは償還要求のわずか4%を満たしました。投資家は先月、94億ドルのファンドから約7億8000万ドルを引き出すよう注文していたが、現金で受け取ったのはわずか3100万ドルだったと報告書には書かれている。
このファンドは、ここ数週間でアパートや物流施設などの不動産のマーケティングを開始したと、この問題に詳しい2人の人物が述べ、最新の評価額を超えるいくつかの価格表示を受けていると付け加えています。
同社はコメントを拒否したが、シュテルンリヒト氏は以前、投資家に対し、スライトの償還制限は「金利低下と不動産資本市場の状況改善を見越して」2025年半ばまで続く可能性があると語っていた。
不動産の価格設定、そして投資家や貸し手へのダメージが完全に揺さぶられるまでには、おそらく何年もかかるでしょう。
プラス面としては、今回の価格設定のリセットに伴う全体的な債務水準の低下により、2008年の金融危機後の数年間と比較して、このセクターはより回復力のあるものとなっています。
不良債権や問題を抱えた不動産に対する貸し手の態度と寛容さは、マネージャーが不動産価値の谷に完全に対処することなく不況を乗り切ることができるかどうかの重要な要因です。
「ディストレストセールの量自体が商業用不動産の全体的な価格設定に影響を与えるほど、ディストレストセールが十分に大きくなることは決してありません」とグリーンストリートのパパダコスは言います。
「(世界金融危機の)ディストレストセールが多かったため、その価値はさらに赤字に陥りました。
「今回は、バリュエーションは長期にわたって横ばいにまで落ち込むでしょう。たぶん24ヶ月から36ヶ月くらいでしょう」と彼は付け加えます。回復は「長引くでしょう...なぜなら、誰も何も強制されていないからだ」。
英国では、不動産ローンの約80%がローン・トゥ・バリュー・レシオが60%を下回っていたことが、ベイズ・ビジネス・スクールの中間報告書で明らかになりました。デフォルト率は上昇しているが、銀行ローンでは2〜4%、不動産資金を調達するために特別に設立されたデットファンドでは14%にしか上昇していない、とベイズ氏は述べた。
PGIMリアルエステートの共同最高経営責任者(CEO)であるライモンド・アマービレ氏は、貸し手は、現在、彼らに対するローンに比べて価値が低いかもしれないが、堅実な収入があり、金利が下がるにつれて状況が改善している資産に対して「多くの忍耐」を示していると述べています。
一部のサブセクターだけが貸し手にとって頭痛の種となっています。「舞台裏では、オフィス業界で多くのことが起こっています。銀行と話をすると、(実際のまたは潜在的な苦痛の)90%がオフィスで、残りの10%が小売業で苦戦しています」と彼は言います。
「これは市場に大きな苦痛の波を生み出すのでしょうか?いいえ」と彼は理由を述べています、なぜなら、これらの問題を抱えた資産は、商業用不動産全体の中で小さすぎるからです。
元イングランド銀行総裁で、現在はブルックフィールド・アセット・マネジメントの会長を務めるマーク・カーニー氏は今月、FT紙に対し、金融危機後の規制により、銀行はより強くなり、不動産リスクはそれほど集中しなくなったと語った。
「ヒットがあったとき...それはより広く多様化しています」と 彼は言いました。 「商業用不動産には、より深刻なリスクが潜んでいる地域があります。それらはますます認識され、注目されていると思います。"
不動産価値は安定しており、米国の住宅用不動産やヨーロッパの物流などの一部のセクターで上昇し始めています。ほとんどの投資家は、さらなる利下げが実施されるにつれて、前向きなトレンドが勢いを増すと予想しています。
この回復に対する大きなリスクの一つは、中央銀行の金利と実際の借入コストの乖離です。主要な金融市場におけるベースラインの借入コストは、政策金利が据え置かれているか低下しているにもかかわらず、先月上昇しています。
ブラックストーンのグレイ氏は以前、FTに対して、不動産に対する大きなリスクは、世界中の大規模な政府赤字が「インフレとは別に」資本コストの上昇につながった場合だと語った。
「もしそれがあれば、この回復にはもっと時間がかかるでしょう」と彼は言った。
債務返済期限は、不動産を市場に押し出す唯一の要因ではありません。投資マネージャー、特に期間限定のファンドを持つマネージャーは、投資家に現金を還元するというプレッシャーが高まっている。
パパダコス氏は、多くのマネジャーが、特に新たなファンドを調達しようとしている場合、撤退を「切実に必要」としていると述べています。「年金基金に5億ポンドを頼んで回ると、おそらく『2021年に渡した3億5000万ポンドを返せ』と言われるでしょう」と彼は言います。
合意された価格がポートフォリオの残りの部分にマークダウンを意味する場合、売りは両刃の刃になる可能性があります。貸し手や投資家からの圧力の下で、マネージャーは、簿価に近いか、それに近い所有者が変わるそれらのプロパティを売却しようとすることができます。
通常、市場は暴落します。「拡張してふりをする」数年があります。彼らは解決策がないことを認識しています。そして、彼らは[不良債権]販売に行き着きます
借入コストが安定または低下するのであれば、ほとんどの市場アナリストは、商業用不動産が世界金融危機後のような圧迫を経験することはないと予想しています。
PGIMのアマービレは、多くのディストレストローンは、最終的には銀行によって日和見主義のファンドに売却され、オポチュニスティックファンドは後で価値を取り戻すことを期待して額面をはるかに下回ってそれらを購入すると予測しています。
「通常、市場は暴落します。「拡張してふりをする」数年があります。彼らは解決策がないことを認識しています。そして、彼らは最終的に(不良債権の)売上につながってしまうのです」と彼は言います。
ブルックフィールドがシティポイントを買収したのは、ディストレスト債務取引を通じてでした。建物の前の所有者は、市場が暴落する直前の2007年に6億5000万ポンドを支払い、2012年にローンを債務不履行に陥りました。ブルックフィールドは2014年に借金を購入し、2016年に建物を完全に管理しました。彼らが支払った価格は、当時の報道によると、貸し手が彼らのお金を取り戻すのに十分でした。
建物の歴史は、主要な商業用不動産をめぐる取引ゲームには勝者と敗者がいることを思い出させてくれますが、遊びは決して止まりません。
米ファンド5社、融資で大手行超え 危うさはらむ急成長 - 日本経済新聞
米大手ファンド運営会社の融資が大手行に匹敵するようになってきた。主要5社のクレジット運用資産は直近1年で2割増え、単純合計では米銀最大手の融資残高を上回る。豊富な資金力や柔軟な融資条件で存在感を高め、銀行も商機と見て連携に動く。ただ、銀行のような厳しい資本規制はなく、金融システム上の火種にならないか規制当局は警戒する。
ニッセイアセットが仕組み債投信 - 日本経済新聞
破綻瀬戸際のNY市タクシー保険会社、ディストレス投資会社が着目 - Bloomberg
規模30億ドル(約4600億円)の米投資会社マーブルゲート・アセット・マネジメントは、債務超過に陥っているニューヨーク市のタクシー保険会社から資産を継承する可能性について、州の規制当局と協議している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
マーブルゲートはタクシー営業許可証「メダリオン」の最大保有企業であり、その貸し手でもある。同社はまだ正式な取得案を提示していない。同社以外にも複数企業がニューヨーク州金融サービス局(DFS)にタクシー保険のアメリカン・トランジット・インシュアランス(ATIC)について問い合わせている。
ニューヨーク市のタクシーとライドシェアの運転手を顧客とする保険最大手ATICでは、数十年前から支払い不能の状態が続いている。州当局は先月、ATICでは保険金請求に応じる資金が「圧倒的に不足している」との監査結果を発表した。同社の4-6月(第2四半期)決算は、7億ドルの純損失を計上した。
この損失額は保険会社を規制するDFSが介入し、ATICを管理下に置く、あるいは清算することを選択できる法的基準に達している。
DFSはATICに対し、直ちに資本を調達するとともに身売り先を模索するよう命じた。経営破綻となれば数万人のドライバーが保険と収入源を失い、破滅的な打撃を受けかねないと警告した。
マーブルゲートはATICから支払い不能の保険証ポートフォリオを買い取る可能性を協議していると、交渉が部外秘であることを理由に匿名で関係者らは話した。
ディストレス投資などを専門とするマーブルゲートは、大量のメダリオンを購入することでタクシー業界に参入。これに関するローンの価値は、ウーバー・テクノロジーズやリフトの普及で急落した。
●中東情勢
フーシ派の船舶攻撃、ロシアが標的情報を提供 - WSJ
ロシアは今年に入り、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海を航行する船舶をミサイルやドローン(無人機)で攻撃する際に、標的のデータを提供していた。フーシ派が世界貿易の大動脈で攻撃を展開し、同海域に混乱をきたす支援をしていた。
フーシ派は昨年末、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃の報復として船舶攻撃を開始した。事情に詳しい関係者1人と欧州の国防当局者2人によると、フーシ派は攻撃を強化するに伴い、ロシアの衛星データを利用し始めた。関係者の1人によると、データはフーシ派に同行していたイランのイラン革命防衛隊(IRGC)のメンバーを通じて渡された。
ロシアによるフーシ派への情報提供はこれまで報じられていなかった。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、米国主導の西側の経済・政治秩序を弱体化させるために、どこまで踏み込むつもりかを示している。今回のケースで、ロシアはフーシ派が世界有数の交通量を誇る紅海で一連の攻撃を行うのを支援していた。米政府はフーシ派をテロ組織に指定している。
アナリストらによると、ロシアは中東からアジアに至る地域の不安定化を招き、米国に問題をもたらそうとしている。昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲が引き金となった中東地域での紛争拡大は、米国がロシアと中国の脅威に注力したい時期に、米政府のリソースと注意を奪っている。
●エマージング
米空軍の対中国シフト、拠点「分散」の実態 - WSJ
●プロファイ、インフラ、自然災害
ケッペル、データセンターをアジア・欧州で拡大 - 日本経済新聞
シンガポールの政府系複合企業、ケッペルはアジアと欧州でデータセンター事業を拡大する。データセンターの規模を示す電力容量は現在、同社が開発中のセンターも含めて総量で650メガワットにのぼる。3〜5年後には現在比85%増の1.2ギガワットにする。人工知能(AI)データセンターの需要増に対応する。
●その他
ヤンキース対ドジャース、43年ぶり決戦でチケット高騰-300万円超も - Bloomberg
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(24日)ドル高一服、利回り低下・ナスダックとS&P上昇 | ロイター
為替市場でユーロと円が上昇し、ドルが3カ月ぶりの高値から一服しました。発表されたPMI指数がFRBの利下げペースの鈍化を示唆したため、ドルは一時下げ止まりましたが、その後は対円で0.6%安の151.83円で取引を終えました。また、日銀の植田総裁は円安による物価影響について慎重に分析する姿勢を示しました。
ユーロは対ドルで0.39%上昇し1.0823ドルに回復。トランプ前大統領が大統領選で再選され、インフレ高進につながる政策が実施される可能性が、ドル高の一因ともなっています。
債券市場では、10年債利回りが4.199%に低下。最新の経済指標が予想以上に良好だったことで、国債利回りは一時的に低下幅を縮小しました。
米国株式市場では、ナスダック総合とS&P500が反発し、取引を終了しました。これは、テスラの好調な業績見通しと米国債利回りの低下により市場心理が改善したためです。テスラは第3四半期の好調な決算に加え、来年の納車台数の成長率が20〜30%に達するとの予想で21.9%急騰し、時価総額が1400億ドル以上増加しました。
一方、IBMは第3四半期の売上高が市場予想を下回ったため6.17%下落し、ハネウェルも年間売上高の見通しが低調で5.1%下げました。ボーイングも労働協約の問題で1.18%安となりました。
その他、金先物は米大統領選と中東情勢の不透明感から「安全資産」として買われ、0.71%上昇し1オンスあたり2748.90ドルに。米原油先物は中東情勢の不透明感によりリスク投資が控えられ、続落して1バレルあたり70.19ドルとなりました。
欧州市場サマリー(24日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちの展開で取引を終え、FTSE100指数が反発しました。決算内容が好調であったことや、経済指標がイングランド銀行の追加利下げ観測を強めたことが要因です。一方、FTSE250指数は0.19%下落しました。
個別銘柄では、ユニリーバが第3四半期決算の収益が予想を上回り2.9%上昇、バークレイズも4.2%高となりました。また、アングロ・アメリカンは銅とダイヤモンドの生産見通しを維持し2.9%上昇しました。資産運用会社Abrdnは顧客資金の流出が想定以上で、11.2%と大幅に下げました。
欧州全体では、企業の決算発表が市場を支える場面もありましたが、需要の低迷が重しとなりほぼ横ばいでした。ユーロ圏の10月PMI速報値は2カ月連続で50を下回りました。
ユーロ圏債券市場で国債利回りは2日連続で低下しました。ユーロ圏の10月総合PMIが発表され、製造業とサービス業を合わせた指数が2カ月連続で50を下回るなど成長の低迷が示され、ECBが追加利下げを行うとの見方が強まりました。市場では、12月のECB理事会での25bp利下げが織り込まれており、50bpの大幅利下げの確率は43%とされています。
ドイツ10年債利回りは2.242%(7bp低下)、ドイツ2年債は2.086%(5bp低下)、イタリア10年債は3.46%(6.8bp低下)とそれぞれ下がりました。一方、英国債は英国の財務ルールに関する新たな発表を受けて売られ、10年債利回りが4.227%(2.6bp上昇)となり、欧州国債と比べて劣後しました。

備忘録(2024/10/23
●海外企業決算
ボーイング最終赤字9400億円 7〜9月決算、ストライキ打撃 - 日本経済新聞
航空機大手の米ボーイングが23日公表した2024年7〜9月期決算は最終損益が61億7400万ドル(約9400億円)の赤字だった。前年同期(16億3800万ドルの赤字)から大幅に悪化した。16年ぶりのストライキの発生で工場の稼働が停止したほか、新型機開発も遅れて民間機と防衛宇宙の両部門で大型損失を計上した。
ボーイングは製造品質問題が響き、22年7〜9月から赤字が続く。赤字幅としては新型コロナウイルス禍が直撃した20年10〜12月以来の大きさだった。ケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は23日、「文化を根本的に変革して事業を安定させ、将来への礎を築く」とコメントした。
同社は労働組合との賃上げ交渉がこじれて24年9月中旬からストが発生した。このほか1月には飛行中の小型機の胴体に穴が開く事故が発生し、工場の品質改善に取り組んでいた。
売上高は前年同期比1%減の178億4000万ドルだった。営業キャッシュフロー(現金収支)は13億4500万ドルの赤字(前年同期は2200万ドルの黒字)だった。9月末の手元資金(現金・現金同等物と短期債の合計)は105億ドルで、3カ月前に比べて約17%減った。
民間機部門は40億2100万ドルの赤字だった。ストで工場が停止したほか、次期大型機「777X」の納期が1年遅れたため損失を計上した。防衛宇宙部門は23億8400万ドルの赤字となった。軍用練習機や空中給油機、新型宇宙船などの開発・生産が遅れたため。
ストを巡りボーイングは新たな賃上げ案を提示しており、労組は23日に組合投票で諾否を決める。
ボーイングは数カ月内に全世界の従業員の10%を削減してコストを減らす。今後3年で新株と社債の発行で最大250億ドルを資金調達して財務体質の改善も急ぐ。
ボーイングが決算受け下落 FCFが予想以上の赤字=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ボーイング<BA>が下落。取引開始前に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、売上高は予想範囲内だったものの1株損益の赤字が予想以上に膨らんだほか、フリーキャッシュフロー(FCF)も予想以上の赤字だった。
同社は声明で、スリムな組織を作るために優先順位をリセットすると言及したほか、未使用の200億ドルの信用枠を現在保有していることも明らかにした。787型機のプログラムは現在、月産4機体制で進行しており、年末までに5機体制に戻す計画を維持するとしている。
オータバーグCEOは、多額の負債や深刻な業績不振など、解決に時間を要する問題に直面し、新たな航空機開発を検討する以前に解決すべき課題を抱え、岐路に立っているという率直な見解を示した。最も差し迫った課題として、数週間に渡って機能を麻痺させたストライキの終結を挙げた。従業員は本日、合意案を承認するかの投票を行いう。
同CEOは問題悪化を防ぐために、経営陣が工場現場での作業に密接に関わる企業文化の再構築を含む4つの計画を提示。また、本格的な危機に発展する前に業務上の問題を洗い出すことを目的とした詳細な業務評価も復活させた。そして、事業を安定化させる一方で、新型機の開発に焦点を絞り続けることができるとも主張している。
スターバックス、暫定決算受け下落 25年度の通期見通しの公表見送り=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
スターバックス<SBUX>が下落。前日引け後に7-9月期(第4四半期)の暫定決算を公表し、既存店売上高が予想以上の減収となったほか、3四半期連続で売上が急減したことを受け、2025年のガイダンスの公表を一旦停止すると発表した。新CEOのニコル氏が直面する問題の深刻さが浮き彫りとなった。特に米国の売上が10%減、中国は14%減と低迷ぶりが顕著だった。
同社は25年度のガイダンス公表を一旦停止することで、同CEOは事業を再評価し、業績回復計画を固める機会を与えることができると述べた。ニコル氏は9月9日にCEOに就任して以来、社内の体制を一新し、カフェをより魅力的にし、バリスタの経験を向上させ、モーニングサービスを迅速化することで成長を促進する計画の大枠を発表した。
今回の件を受けてアナリストは第4四半期を非常に悪いと表現し、最近の投資家の考えと完全に一致するものではないと述べている。最終的な損益はさらに悪化すると考えているという。「どれほど多くの木材を伐採しなければならないかを思い起こされる」とも表現している。
英銀ロイズ、第3四半期利益は予想上回る 通年業績見通し据え置き | ロイター
第3・四半期決算は利益が予想を上回った。2024年の業績ガイダンスを再確認した。
英国最大の住宅ローンの貸し手であるロイズの税引前利益は18億ポンド(23億4000万ドル)で、前年同期の19億ポンドから減少したものの、アナリスト予想の16億ポンドを上回った。
ロイズのような金融機関はここ数年、金利上昇の恩恵に浴していたが、現在は金利が低下する中でリターンを維持するという課題に直面している。
ロイズは堅調な四半期業績の要因として、継続的なコスト管理、資産の質の高さなどを挙げた。
貸出残高は主にクレジットカード・無担保ローンの伸びにより、前期比46億ポンド増の4570億ポンドとなった。
ロイズは今年の住宅価格が3.1%上昇するとの見通しを示した。
通年については有形自己資本利益率が13%前後、純金利マージンが2.9%強と見込んでいる。
ドイツ銀、不良債権見通しが再び悪化-貸倒引当金見通し引き上げ - Bloomberg
ドイツ銀、第3四半期は黒字回復 訴訟引当金戻し入れで | ロイター
第3・四半期決算は、傘下ポストバンクを巡る訴訟引当金の一部戻し入れや投資銀行部門の好調が寄与し、黒字回復した。
第2・四半期は訴訟の長期化を受けた多額の引当金計上が響き、4年ぶりに赤字に転落していた。ただその後、一部の原告と和解が成立し、引当金のうち4億4000万ユーロ(4億7500万ドル)を第3・四半期に戻し入れた。
ドイツ銀はポストバンクを巡る問題で保留していた自社株買いを申請したことも明らかにした。
株主帰属純利益は前年比42%増加し、14億6100万ユーロとなり、予想とほぼ一致した。第2・四半期は1億4300万ユーロの赤字だった。
クリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は「この3カ月間、過去の訴訟問題を解決する上で重要な進歩を遂げ、同時に営業事業で過去最高の第3・四半期利益を達成した」と述べた。
第3・四半期の最大の稼ぎ頭は投資銀行部門。前年同期比11%の増収となり、予想の6.5%増収を上回った。
一方、ポストバンクを含むリテール部門の収入は横ばいで、市場予想と一致。法人部門は3%の減収で、市場予想の1%弱の増収を下回った。
両部門とも、ここ数四半期は金利上昇が増収要因となっていたが、欧州中央銀行(ECB)の利下げで増収効果が薄れるとみられる。
投資銀行部門では、債券・為替トレーディング業務が11%の増収と、予想の4.6%増収を上回った。
オリジネーション、アドバイザリー業務は24%の増収と好調で、予想の19%増収を上回った。
ドイツ銀行は、今週から来週にかけて四半期決算を発表する欧州の大手銀行のうちの1行。銀行セクターは利ざやが縮小し、個人や法人の融資需要が低迷しているが、投資銀行業務が好調で、引き続き収益を上げると見込まれている。
ここ数週間、イタリアの銀行ウニクレディトがドイツ銀行の国内競合であるコメルツ銀行(CBKG.DE), opens new tabと提携に向け動いているとのニュースが注目を集め、ドイツ銀行が合併・買収でこの競争に参戦するのではないかとの憶測を呼んでいる。しかし、ドイツ銀行の幹部は自社の戦略に注力しているとし、こうした見方を否定している。
仏ロレアル、第3四半期は売上高が予想下回る 中国で需要減少 | ロイター
第3・四半期決算は売上高が増加したものの、市場予想を下回った。中国の消費マインド低迷で美容製品への需要が減退した。
為替変動の影響を除いた既存店売上高は102億8000万ユーロ(111億1000万ドル)で、前年同期比3.4%増加した。ジェフリーズによると、ビジブル・アルファの予想コンセンサス(6%増)を下回った。
RBCのアナリストはロレアルの増収率について、コロナ禍の2020年第3・四半期以来の低い伸びだと指摘した。
バークレイズのアナリストは「投資家は決算発表前に神経質になっていたが、今回の決算は懸念されていた以上に弱かった」とし、ネガティブな反応を予想した。
中国を中心とする北アジアの売上高は6.5%減少。前期の2.4%減からマイナス幅が拡大した。
ニコラス・ヒエロニムス最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会見で、消費者の購買意欲を高めるために新製品の投入を目指す方針を示した。
欧州の売上高も伸びが鈍化した。北米はヘアケアとフレグランスの需要に支えられ、5.2%増収と前期から伸びが加速した。
米ボーイング、第3四半期の損失60億ドル超 CEO「根本的変革を」 | ロイター
米航空機大手ボーイングは23日、第3・四半期決算で純損失が60億ドル超になったと発表した。ケリー・オルトバーグ最高経営責任者(CEO)は同日、経営不振や長引くストライキに苦しむ中、経営再建に向けて「根本的な企業文化の変革」を表明した。
ボーイングは、民間機737MAX、777、767の生産停止や、防衛、宇宙部門の低迷により、2024年に入っての損失額は80億ドル近くに達している。今月には、大幅な人員削減計画を発表していた。
株価は2%超下落した。
オルトバーグ氏は従業員に向けた書簡で、業績が低迷し顧客の信頼を損なって「岐路に立っている」ボーイングを安定させつつ、防衛事業や737MAXと777での業績を改善する必要性を強調。「これは大きな船で方向転換には時間がかかるが、実現すれば再び偉大になる能力がある」と述べた。
オルトバーグ氏は経営陣と企業文化の変革に関して議論したとし、「問題の悪化を防ぎ、根本原因を特定、修正、理解するために、より緊密に協働する必要がある」と述べた。「変革プロセスは進行している」と言及し、事業の安定化、開発プログラムの遂行改善、得意分野に集中するためのポートフォリオの合理化、財務改善などを列挙した。
第3・四半期の民間航空機部門の赤字は40億ドルで、防衛・宇宙・セキュリティー部門は23億8000万ドルの赤字。売上高は前年同期比1%減の178億4000万ドルだった。
現金を消費する速さを示す「キャッシュバーン」は第3・四半期が19億6000万ドル。前年同期は3億1000万ドルだった。
米コカ・コーラ、24年通期売上高10%増目指す 米需要堅調で | ロイター
米飲料大手コカ・コーラは23日、2024年通期の為替変動や買収影響を除いたベースの売上高が約10%増になるとの見通しを公表した。米国での需要が底堅く推移していることが要因。
従来見通しは9─10%増としており、これまでの見通しの上限の達成を目指す。
ただ、通期の調整後利益見通しを5─6%増に据え置いたため、株価は寄り付き前の時間外取引で一時0.5%下落した。
第3・四半期決算の純売上高は前年同期比0.3%増の119億5000万ドルだった。LSEGがまとめた2.62%減の116億ドルとの市場予想を上回った。
調整後の1株当たり利益は0.77ドル。市場予想は0.74ドルだった。
平均販売価格は10%上昇したものの、ケース単位販売数量は1%減少した。
コカ・コーラの株式を保有するF/m インベストメンツの上級ポートフォリオマネージャー、クリスチャン・グライナー氏は、投資家は販売量の伸びを期待していたが、販売量は中東や中国の価格を重視する消費者の影響を受けたとの見方を示した。
北米の売上高が12%増だった一方、欧州、中東、アフリカは7%減、アジア太平洋地域では4%減だった。
米IBM7〜9月期、売上高1%増 年金特損で赤字転落 - 日本経済新聞
[APH] アンフェノール 3Q増収増益 売上高26%増40.3億ドル、営業益25%増8.19億ドル、EPS0.48ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GD] ゼネラルダイナミクス 3Q増収増益 売上高10%増116億ドル、営業益12%増11.8億ドル、EPS3.35ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NEE] ネクステラエナジー 3Q増収増益 売上高6%増75.6億ドル、営業益56%増28.5億ドル、EPS0.90ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BA] ボーイング 3Q減収赤字拡大 売上高2%減178億ドル、営業赤字57.6億ドル、EPSマイナス9.97ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NTRS] ノーザントラスト 3Q増収最終増益 売上高14%増19.6億ドル、純利益44%増4.48億ドル、EPS2.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CME] CMEグループ 3Q増収増益 売上高18%増15.8億ドル、営業益25%増10.2億ドル、EPS2.50ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KO] コカコーラ 3Q減収減益 売上高1%減118億ドル、営業益23%減25.1億ドル、EPS0.66ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ROP] ローパーテクノロジーズ 3Q増収増益 売上高13%増17.6億ドル、営業益11%増4.96億ドル、EPS3.40ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AVY] エイブリーデニソン 3Q増収最終増益 売上高4%増21.8億ドル、純利益31%増1.81億ドル、EPS2.25ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WAB] ウェスティングハウス 3Q増収増益 売上高4%増26.6億ドル、営業益17%増4.33億ドル、EPS1.63ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[T] AT&T 3Q微減収最終赤字転落 売上高微減302億ドル、最終赤字2.26億ドル、EPSマイナス0.03ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BSX] ボストンサイエンティフィック 3Q増収営業増益 売上高19%増42.0億ドル、営業益6%増7.33億ドル、EPS0.32ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TMO] サーモフィッシャー 3Q微増収減益 売上高微増105億ドル、営業益1%減18.3億ドル、EPS4.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PKG] パッケージングコープオブアメリカ 3Q増収増益 売上高13%増21.8億ドル、営業益26%増3.27億ドル、EPS2.64ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ORLY] オライリーオートモーティブ 3Q増収 売上高4%増43.6億ドル、営業益横ばい8.96億ドル、EPS11.41ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MORN] モーニングスター 3Q増収増益 売上高10%増5.69億ドル、営業益65%増1.15億ドル、EPS2.77ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GL] グローブライフ 3Q増収最終増益 売上高5%増14.5億ドル、純利益18%増3.02億ドル、EPS3.44ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LRCX] ラムリサーチ 1Q増収増益 売上高20%増41.6億ドル、営業益24%増12.6億ドル、配当2.30ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[IBM] IBM 3Q増収最終赤字転落 売上高1%増149億ドル、最終赤字3.30億ドル、EPSマイナス0.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMP] アメリプライズファイナンシャル 3Q増収最終減益 売上高12%増45.6億ドル、純利益41%減5.11億ドル、EPS5.00ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NOW] サービスナウ 3Q増収増益 売上高22%増27.9億ドル、営業益81%増4.18億ドル、EPS2.07ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TSLA] テスラ 3Q増収増益 売上高8%増251億ドル、営業益54%増27.1億ドル、EPS0.62ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NEM] ニューモント 3Q増収最終増益 売上高85%増46.0億ドル、純利益5.8倍9.22億ドル、EPS0.80ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TMUS] TモバイルUS 3Q増収増益 売上高5%増201億ドル、営業益33%増47.9億ドル、配当0.88ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ブラックストーンCEO「日本で人員大幅増強」-業容拡大に意欲 - Bloomberg
クアルコムの株価は、アームが主要ライセンスを破棄するとの報道を受けて5%下落
要点
英国の半導体設計会社アーム社が米クアルコムに対する重要なライセンスを廃止しようとしているとブルームバーグが報じたことを受け、クアルコムの株価は市場前取引で下落した。
問題のライセンスにより、Qualcomm は Arm アーキテクチャに基づくチップを設計できるようになります。
ライセンスが取り消された場合、クアルコムはArmの設計に基づく製品の販売を停止しなければならない可能性がある。
ボーイング、山積する問題解決に時間要する-オートバーグCEO - Bloomberg
米航空機大手ボーイングのケリー・オートバーグ最高経営責任者(CEO)は、巨額の債務から深刻な操業遅延に至る数々の試練で同社は岐路に立たされていると率直な見解を示した。新たな航空機を開発する前にこれらの問題に対処する必要があるという。
オートバーグ氏は「ボーイングが前に進むには乗り越えなくてはならない大きな障害が複数ある」と述べ、変革の必要性を強調した。最も差し迫る課題は数週間も操業をまひさせているストライキを終わらせることだという。最新の労使協約案を巡り、労組組合員はこの日採決を予定している。
「ボーイングがかつての名声を取り戻すには時間がかかるが、事業の重点を正しく見据えて企業文化を正せば、もう一度象徴的な企業となって航空宇宙業界を率いることが可能だ」と同氏は23日、従業員へのメッセージで述べた。
経営陣と現場の距離を縮めることで「問題の拡大」を防ぐ企業文化の立て直しを含め、オートバーグ氏は4つの計画を提示。全面的な危機に発展する前に業務上の問題点を把握することを目的とした詳細な事業点検も再開する。事業を立て直しながらも、新型航空機を開発するという焦点は外せないと同氏は主張した。
「ボーイングは航空機メーカーだ。しかるべき将来に新しい航空機を開発しなくてはならない」とオートバーグ氏は投資家に発言。「しかしその前にやらなくてはならないことが山積している」と述べた。発言内容は事前原稿に基づく。
23日のニューヨーク市場でボーイング株は一時4%近く下落。同社は今月すでに7-9月の暫定業績を発表しており、低調な業績はすでに織り込まれていた。
同社は50億ドル(約7600億円)の会計費用を計上売上高はアナリスト予想を下回る178億ドルだった。フリーキャッシュフロー(純現金収支)は20億ドルのマイナス。年初からの現金燃焼(キャッシュバーン)は102億ドルに達した。
●日本企業
●米大統領選挙
アングル:マスク氏の100万ドル贈呈、法の限界に挑戦 専門家の見解割れる | ロイター
アングル:「トランプ氏推し」のロシアメディア、ロ大統領府は冷静 | ロイター
トランプ勝利に賭けるプロ投資家 - WSJ
米大統領選が目前に迫る中、勢いの変化を感じ取った大手ヘッジファンドや資産運用会社の一部が、ドナルド・トランプ前大統領がカマラ・ハリス副大統領を破った場合に利益が出るトレードに乗り出している。
大半の世論調査で両者の支持率は拮抗(きっこう)したままだが、過去数週間にこうした変化が市場全体に広がり、共和党勝利で恩恵を受けそうな資産の価格を押し上げている。例えば、民間刑務所運営会社GEOグループの株価は月初来で21%上昇しており、月間上昇率が2022年以来の高水準となる勢いだ。暗号資産(仮想通貨)ビットコインの採掘を手掛けるライオット・プラットフォームズは同34%高だ。
著名ヘッジファンドマネジャーのダン・ローブ氏は今月、トランプ氏が勝利する可能性が高まったと述べた。ローブ氏率いるヘッジファンド運営会社サード・ポイントは、トランプ氏勝利が追い風となるポジションを株式・オプションの購入によって積み増す一方、逆風となる企業を敬遠している。
ローブ氏は投資家宛ての書簡で、「『米国第一』政策案に盛り込まれた関税が、国内製造業・インフラ支出・特定の原材料およびコモディティー(国際商品)価格を押し上げるとわれわれは考えている」とし、「また、規制全般の緩和、特にバイデン・ハリス政権の積極的な反トラスト(独占禁止)姿勢の緩和が、生産性と企業活動の波を解き放つと考えている」と述べた。
資産運用会社RBCブルーベイ・アセット・マネジメントのRBCブルーベイ・フィクスト・インカムで最高投資責任者(CIO)を務めるマーク・ダウディング氏は9月末以降、トランプ氏勝利に関連したトレードを強化している。ダウディング氏は金利と通貨に焦点を合わせている。
ダウディング氏は「ドル高」と「利回り曲線のスティープ化(長期金利が短期金利よりも大きく上昇すること)」に賭けている。また、「ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI、実質的に物価上昇圧力を計る債券市場指標)の拡大」も見込んでいる。
これら三つの賭けは、トランプ氏の政策が主に関税を通じてインフレをあおる、というダウディング氏の見方を反映している。トランプ氏は輸入品に10~20%の包括的な関税を課し、中国製品には60%以上の関税を課すと公約している。コスト増加分は通常、消費者に転嫁されるというのがエコノミストの見方だ。
ダウディング氏は先週、ロンドンから米国に飛び、政策立案者やロビイストと会談した。「想像していた以上の自信を共和党関係者が抱いていることに驚いた」と同氏は言う。「週初めにその話を聞き、『形勢は思っていた以上にトランプ氏に傾いている』と考え始めた」
一部投資家の選挙トレードに対する意欲は、数週間前とは大違いだ。その多くは当時、接戦すぎて予測不可能だとして、代わりに金利や企業業績に注目していた。賭け市場でトランプ氏の勝率が上昇し始めると、選挙がより重視されるようになった。
バークレイズの外為・新興国マクロ戦略部門グローバル責任者、テモス・フィオタキス氏は「相場を動かす要因として『選挙』がはるかに大きな存在になったと言っても過言ではない」と話す。同氏によれば、最近の中国人民元安とメキシコペソ安はトランプ氏の勢いと関連がある。トランプ氏は最近、メキシコからの輸入車に200%の関税を課す可能性があると述べた。
フィオタキス氏は、値動きが大きく、(オプション市場の)予想変動率も大きいとし、ドルに対する元やペソの売りは「2、3週間前のような安価で確実な選択肢ではなくなった」と言う。
投資家の間では、11月5日の投票日が近づくにつれ、競争力学の変化に警戒を強めているとの声がある。その多くは、当日やそれ以降に想定外の事態が起こり、選挙結果に対する異議申し立てや開票の遅れなどが起きるのではないかと考えている。
ヘッジファンド運営会社ロングテール・アルファの創業者、ビニア・バンサーリー氏は「(未来が見える)水晶玉を持っているわけではない」とし、「われわれのアプローチは、市場に織り込まれていないものを探すことだ」と述べた。2016年にはそうしたアプローチが奏功したという。
バンサーリー氏は最近、株価が上昇すると利益が出るコールオプション(買う権利)を購入した。市場は現在、ハリス氏を劣勢とみているため、同氏が勝利すれば、バンサーリー氏はより大きな利益を得られる。
「市場は一般的に、トランプ氏勝利は市場にとってプラスで、ハリス氏勝利は市場にとってマイナスと予想している」とバンサーリー氏は言う。「私はハリス氏が勝利すれば、市場は上昇するのではないかとみている」
バンサーリー氏はオプションを利用することで、投票日後に株価が乱高下した場合でも利益を得られる可能性がある。これは選挙結果が不透明な場合に備えた賭けだという。
それでも、一部のファンドマネジャーは安全策を取っている。ヘッジファンド調査会社ピボタルパスのジョン・カプリス最高経営責任者(CEO)によると、ヘッジファンドの多くは、大きな賭けに出て今年の好調な運用成績を台無しにするのは避けたいと考えているようだ。ピボタルパスが算出している指数によると、ヘッジファンドの年初来リターン(9月末まで、手数料控除後)は8.3%となっている。
「まだかなり不確実と思えるものに大きな賭けをしたいという意欲は、ヘッジファンドにも、その投資家にも起きていない」とカプリス氏は述べた。
ヘッジファンド運営会社ピンブルック・キャピタルの創業者、ザカリー・カーズ氏は、投票日前に一部のポジションを縮小する見込みだと述べた。選挙結果とそれに対する市場の反応は全く予測不可能だからだという。「メキシコの選挙も、インドの選挙も、フランスの選挙も、悪い意味でのサプライズとなった」
トランプ氏再選なら、世界貿易は様相一変の危機に - WSJ
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ前大統領は、最初の任期中に関税を経済外交政策の手段として復活させた。他国との通商で有利な条件を引き出すために関税発動を利用した。その結果、世界の貿易システムに多少の摩擦は生じたものの、全体的に大きな影響はなかった。
トランプ氏が今回の選挙遊説で訴えている政策を再選後の第2次トランプ政権下で実行するとなれば、状況は全く異なるはずだ。単なる交渉の手段にとどまらず、関税引き上げ自体が目的になるだろう。ある試算によると、関税は1930年以降で最も高水準になる可能性がある。
短期的には、米国で一部の価格が上昇し、輸入品への新たな課税に消費者や企業が適応する中で、経済成長が阻害されるかもしれない。長期的な影響は、他の国々が報復するかどうか、トランプ氏が交渉にどの程度応じるつもりかで決定的に変わってくる。その結果としては、全面的な貿易戦争のほか、中国に不満を募らせる米同盟国が新たな貿易システムを作るなど、さまざまな事態が起こり得る。
次期トランプ政権は「20世紀末の世界貿易システムは持続可能でない」という考え方を前提とする可能性がある、と米保守系シンクタンク「アメリカン・コンパス」の創設者であるオーレン・キャス氏は指摘する。同シンクタンクは、トランプ氏の顧問らの考えに近く、同氏の関税案を支持している。「ここでの最終目的は1995年に逆戻りするような交渉ではない」と、同氏は世界貿易機関(WTO)が発足した年を挙げた。むしろ、それは「根本的なリバランス(不均衡の是正)だ」
1995年以降、トランプ氏が大統領就任した2016年まで主流だった自由貿易のコンセンサスは、たとえ民主党候補のカマラ・ハリス副大統領が大統領選で勝利しても戻ってこないだろう。ハリス氏は第1次トランプ政権下で実施された対中関税と、バイデン大統領の下で導入された製造業支援策を組み合わせ、拡充するかもしれない。だがそれは追加的な変更にとどまる。これに対し、トランプ氏が再選した場合、世界貿易システムを根本的に作り変える可能性がある。
トランプ氏の関税案は不確実性に覆われたままだ。一律10%の輸入関税を課すと主張し、その後に10~20%の関税を提案している。50~200%と述べたことも少なくとも一度ある。
中国製品には60%の関税を課すと主張しているが、さらに高率になる可能性もある。一方で互恵主義、すなわち米国の関税を貿易相手国の関税と同等にする案も掲げている。そのためトランプ氏の最初の任期中に交渉・締結された米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に基づき、米国製品に関税をかけていないメキシコとカナダは、米国の輸入関税を免除されるはずだ。だがトランプ氏はそれとは別に、メキシコから輸入する自動車に100%の関税を課すと述べている。メキシコは米国製自動車に関税をかけていない。
要するに、トランプ氏が何を考えているかは誰にも分からない。
中国に対する関税が60%になり、それ以外の国々への関税が10%になれば、米国の平均関税率(輸入額による加重平均)は次期トランプ政権下で17%に跳ね上がる(投資銀行エバーコアISIの試算による)。2016年の平均関税率は1.5%、23年は2.3%だった。その通りならば、大恐慌以来の高水準となる。当時、米国が関税を大幅に引き上げるスムート・ホーリー法(1930年)を成立させ、それを機に世界中で貿易障壁が急激に高まっていた。
その場合は、米国の関税が主要経済国の中で最低水準から最高水準へと変わる。もし他の国々が報復措置を講じれば、世界の貿易障壁の高まりは、近年では前例のない規模になるだろう、とダートマス大学の貿易史家ダグ・アーウィン氏は言う。
関税引き上げは、たとえ将来の大統領が間違いだと結論づけたとしても、何年も続く公算が大きい。「こういうものは課すのは容易だが、取りやめるのは難しい」とアーウィン氏は指摘する。「大恐慌期に累積した貿易障壁を撤廃するのには数十年を要した」
トランプ氏の関税案を巡る最大の疑問は、譲歩と引き換えにどの程度税率を引き下げるつもりかだ。第1次政権下では、中道派の顧問らが同氏の保護主義的な衝動を和らげ、同氏は最終的に貿易相手国と協定を再交渉するために関税を用いることにした。
北米自由貿易協定(NAFTA)はUSMCAになり、韓国は米韓自由貿易協定の修正に同意し、日本は米国の農産物に対する貿易障壁を引き下げた。
だが、第2次政権がこれに倣うかどうかは不明だ。トランプ氏とその顧問らはまちまちのシグナルを出している。ソロス・ファンド・マネジメントの元最高投資責任者で現在はトランプ氏の経済顧問を務めるスコット・ベッセント氏は7月、ブルームバーグとのインタビューで、トランプ氏の関税案を一気に実施するわけではないと述べた。「徐々に導入されるだろう。また他の国々には市場開放の機会も与えられると思う」
第1次トランプ政権の貿易戦略を練り、今も影響力を持つ顧問であるロバート・ライトハイザー元米通商代表部(USTR)代表は、関税の目標は米国の貿易赤字解消とするべきだと主張する。そうならば、たとえ他の国々が譲歩に応じても、高率関税はいつまでも続くかもしれない。トランプ氏は、関税引き上げを他の税金を引き下げるための資金源だと述べており、同氏自身も関税を恒久的措置と考えている節がある。
ライトハイザー氏の元部下で、トランプ前政権で経済担当の大統領副補佐官を務め、現在はエイキン・ガンプ法律事務所の弁護士であるクリート・ウィレムズ氏によると、最も可能性の高い結果は、交渉と最終的な関税引き上げを組み合わせることだろうという。
「関税環境はより高率になるだろう。だがあらゆる設計の決定には議論の余地がある」とウィレムズ氏は言う。「関税マンとしてのトランプ氏については話したが、(同時に)彼が交渉の達人だということを忘れないでほしい」
焦点は報復
次期トランプ政権下で同氏が発動する関税の経済的影響は、関税を最終的にどの程度引き上げ、他国がそれに報復を行うかどうかにかかっている。関税は輸入業者が支払う税金の一つであり、通常はそれを顧客に転嫁しようとする。
いくつか影響を和らげる要因もある。輸入業者は調達先を影響のない別の国に変える可能性がある。第1次トランプ政権下では対中関税を回避するため、多くの企業がベトナムやメキシコに拠点を移し、価格への影響を抑えた。中国は通貨安を容認し、さらに影響を弱めた。
トランプ氏の意図する通りに、関税が国内製造業に恩恵を与えるためには、価格が上昇することで、消費者が輸入品から離反し、国内メーカーが増産する契機となる必要がある。
無党派の連邦機関・米国際貿易委員会(ITC)によると、トランプ氏が2018年に各国からの鉄鋼・アルミニウム輸入に関税を課したことで、鉄鋼・アルミ価格はそれぞれ2.4%と1.6%上昇した。これは国内メーカーを実際に支援し、年間売上高は28億ドル(現在のレートで約4200億円)増加した。一方で、鉄鋼・アルミを原材料にする国内企業への打撃はそれ以上に大きく、年間生産額は34億ドル減少した。
エコノミストは、トランプ氏が提案するより広範な関税が実施されれば、同様に価格を押し上げ、経済成長に差し引きマイナスに働くとみている。モルガン・スタンレーは最近の報告書で、中国に60%の関税、他の全ての国々に10%の関税を課した場合、消費者物価を0.9%上昇させ、それが国内総生産(GDP)を累計で1.4%押し下げると試算した。
トランプ氏と側近らは、他の国々は米国が彼らを必要とする以上に米国市場を必要としているため、報復は行わないと主張する。
「まさにスムート・ホーリー関税法の二の舞いだ」。ジョージタウン大学の貿易法専門家ジェニファー・ヒルマン氏はこう反論する。「米国に対し、あえて関税を引き上げる国はないとの思い込みがあった。それで何が起きたか。全ての国々が関税を引き上げた」
第1次トランプ政権下で中国や欧州連合(EU)、カナダ、メキシコは実際に報復した。一方、日本と韓国は報復しなかった。EUが再び標的になれば「彼らはそれを分析し、報復するだろう」。EUの執行機関である欧州委員会でトランプ前政権時代に通商担当委員を務め、実際にそうした対応を行ったセシリア・マルムストロム氏はそう語る。「自分たちは貿易戦争を望まないが、相手がそれを始めれば、黙って見過ごすわけにいかない」というメッセージを発信するためだという。
WTOは貿易紛争を解決する独立仲裁機関として設立された。だがトランプ、バイデン両政権の下で、米国はWTOの紛争解決メカニズムがその権限を越えていると主張。WTOが機能するのを拒んでいる。そのため国際仲裁機関が介入できないまま、米国と貿易相手国の間で関税と報復の破滅的な応酬を繰り返す可能性が高まっている。
ピーターソン国際経済研究所の調査によると、米国と主要貿易相手国との貿易の流れは、報復次第では恒久的に1~4%減少する可能性がある。
一方、トランプ氏再選の場合、同氏の顧問たちは別のシナリオを想定している。それは米国が最終的に、中国には一連の関税を課し、中国への不信感を共有する米同盟国にはごく範囲の狭い関税を課すというものだ。実質的に、米国が再び市場志向の民主主義国による貿易システムの中心となり、1940年代から冷戦終結までの仕組みを再現することになる。
米同盟国がこれを貿易戦争シナリオよりも好むだろう理由は二つある。第一に、彼らも米国と同様、中国に対する不満や懸念を深めていることだ。中国は国内消費の抑圧や国内有力企業に対する政府の手厚い支援、技術の不正入手など、WTOが抑制できなかった多種多様な政策を通じ、外国に向けて安価な工業製品の輸出攻勢を強めている。
「中国が今まで行ってきたことの規模と重大さは、ルールに基づくシステムで対処できる範囲を超えている」とヒルマン氏は述べた。
第二に、ロシアによるウクライナ侵攻や中国による近隣諸国への好戦的な振る舞いなど、世界がトランプ前政権の時期よりも危険になっていることだ。その前線に位置する日本やドイツ、韓国などの同盟国はかつてないほど米国の安全保障の傘を必要としており、再選後のトランプ氏の経済的挑発に反応する気がなくなる可能性がある。
ウィレムズ氏はこう話す。「わが国とパートナーや同盟国との間に緊張が生じても、それを乗り越えて大局に集中できた事例は、歴史上に山ほどある」
【社説】トランプ氏の関税公約と経済リスク - WSJ
ドナルド・トランプ氏は最近、「信頼」や「愛」を除けば、「関税」は辞書の中にある最も美しい言葉だと述べた。この信念について、彼には一貫性があるようだ。従って米国のすべての輸入品に10%もしくは20%の普遍的基本関税を課し、さらに中国製品に60%の関税をかけるというトランプ氏の大統領選における公約は、真剣に受け止める価値がある。
まず疑問なのは、トランプ氏がこの公約を本当に実行に移すかどうかだ。この公約は彼が過去に実施した関税よりもはるかに大規模になるからだ。米シンクタンク、タックス・ファウンデーションによると、米国の全輸入品の平均関税率は現在約2%で、トランプ氏の案はこれを「大恐慌以来の高水準」に引き上げる可能性がある。大恐慌時の高関税は1930年に施行された悪名高いスムート・ホーリー関税法に基づくものだった。
トランプ氏は大統領1期目を、経済成長の促進につながる規制緩和や税制改革で始めた。同氏は2018年に一連の関税引き上げに着手し、鉄鋼、アルミニウム、洗濯機、太陽電池、さらにさまざまな中国製品に対象を絞って課税した。米商務省が外国製自動車を安全保障上の脅威と見なす報告書を作成したにもかかわらず、トランプ氏は外国製自動車に対する最大35%の追加関税の実施を見送った。
証拠は明らかに、関税が実際に負担を生じさせたことや、彼の他の政策によって加速した成長を低減させたことを示している。他国が報復措置を講じたため、リンゴからウイスキーに至るまでのあらゆる品目で米国内の生産者が打撃を受けた。政府は何十億ドルもの補償金を農家に支払った。ハーレーダビッドソンは競争力を維持するため、海外の顧客向けの生産をタイに移すことを強いられた。
製造業の雇用には、大きなブームが生じなかった。鉄鋼を生産する仕事よりも、鉄鋼を使う仕事の方が多いため、ある調査によれば、鉄鋼価格の上昇によって7万5000人分の製造業の雇用が失われた。企業が関税のコストを転嫁したため、消費者は多くの製品に対して、より多くの金額を支払うようになった。こうした点に関する経済的な研究は大量にあるのに、トランプ氏とその顧問たちがそれを無視するのであれば心配だ。
次に、トランプ氏に一律の関税を課す権限があるのかという問題がある。合衆国憲法は貿易に関する権限を、大統領ではなく、議会に与えている。トランプ政権時には保護主義が支持を得ていたものの、すべての輸入品を対象にした新たな広範囲の関税案が議会を通過する公算は小さい。
しかし、議会は既にかなりの権限を大統領に委譲している。具体的には、「不公正」な貿易慣行に対する条項(通商法301条)と「国家安全保障」上の脅威に関する条項(通商拡大法232条)についてだ。トランプ氏は1期目でこうした権限を行使した。とりわけ232条の運用には積極的で、また行使するのは間違いない。
さらに大きな危険は、トランプ氏が国際緊急経済権限法(IEEPA)を使う可能性があることだ。この法律は、国外からの「異例かつ特別な脅威に対処するため」の国家緊急事態の宣言後に、大統領に広範な権限を付与するものだ。これまで、ベネズエラの資産凍結やイランへの禁輸にIEEPAが利用されたことはあるが、関税を課すために使われたことは一度もない。トランプ氏は2019年、メキシコに対し、IEEPAに基づいて関税を適用すると脅したが、「メキシコ待機」移民政策の拡大が合意されたことを受け、引き下がった。
だが、トランプ氏があらゆる国からのすべての輸入品に緊急事態宣言を出して関税を賦課することが、法的に認められるとは考え難い。それができるなら、IEEPAは制裁法から貿易に関する無制限の権限を大統領に与えるものへと変わることになる。進歩主義者は炭素税という考えを好む。ジョー・バイデン大統領が、外国の炭素排出量に緊急事態を宣言し、一方的に関税を課すことはできるだろうか。
もしトランプ氏がそれをやろうとすれば、法廷、おそらくは最高裁で争うことになるかもしれない。現在の米最高裁は、バイデン大統領による4000億ドル(約60兆5000億円)の学生ローン免除案など、大統領権限を乱用する同様の取り組みを無効とする判断を下している。
トランプ氏は、関税とは単に貿易の相互主義を実現する手段だとの見方を示すことも、時々ある。日本が米国製品に対する関税をゼロにするなら、米国も日本に対し同じ対応をするということだ。しかし、関税をゼロにするのは、たとえ可能だとしても、難しい対応になる可能性が高い。いったん関税が導入されると、その恩恵を容易に手放そうとはしない企業、労組勢力が形成される。外国製トラックに対して米国が今も課している25%の関税は、1964年に導入されたものだ。
その一方でトランプ氏の発言が、高関税の壁そのものの有用性を信じ切っているように聞こえることもある。それは、関税によって米国に製造業を呼び戻し、外国との競争から保護するという考え方だ。トランプ氏の通商アドバイザーで筆頭格のロバート・ライトハイザー氏も同じ考えを持っているようであり、共和党副大統領候補のJD・バンス氏の考えも同じかもしれない。
輸入代替工業化政策の名で知られるこの経済成長モデルは、インドの世界に対する競争力を何十年にもわたって損なってきた。この政策を取れば、消費者物価が上昇し、米企業の競争力が徐々に低下していくことは間違いないだろう。トランプ氏がそこまでやるならば、金融市場が拒絶反応を示すとわれわれは予想する。
もう一つのリスク、そして特別なケースとなるのは、中国との貿易だ。第1次トランプ政権の対中関税によって中国の行動が変わることはなかった。しかしトランプ氏は、対中関税のさらなる引き上げを、以前よりずっと強く決意しているように見える。中国の重商主義と知的財産権の侵害は、外国企業の対中投資削減につながっている。それは妥当な行動だ。経済面での戦略的なデカップリングは、正当化できる。しかし、中国との全面的な貿易戦争は、米国側にも大きなコストをもたらすだろう。
トランプ氏の全般的な経済政策は、税金、支出、義務化、規制に特徴付けられるカマラ・ハリス氏の経済モデルより優れている。しかし、トランプ氏が掲げる関税は、経済成長を脅かしかねない不確定要素であり、第2次トランプ政権にとって大きな経済的リスクになるだろう。金融市場と議会が、最悪の事態を防いでくれることを期待せざるを得ない。
●その他先進国政治動向
アングル:「脱アベノミクス」は困難か、どうなる衆院選後の経済政策 | ロイター
27日の投開票へ終盤戦に入った衆議院選挙は、報道各社の情勢調査で与党の劣勢が伝えられ、自民党の単独過半数割れにとどまらず、石破茂政権が勝敗ラインに設定した自公で過半数を維持できない可能性も浮上している。来夏に参院選を控える中、政府や与党、市場関係者からは積極的な財政出動と金融緩和で景気を支える「アベノミクス」的な経済政策を脱するのは難しいとの見方が出ている。
<メインシナリオは>
「霞が関、永田町では財政出動圧力が強くなるというのがコンセンサス。石破首相も参院選に向けてお金で国民の気持ちをつなぎとめるしかないということになるのではないか」と、自民党関係者は話す。
22日までに国内の主要報道各社が実施した衆院選の世論調査では、いずれも公示前に247の議席数を保有していた自民党が単独過半数233議席を維持できるか不透明と予測。情勢調査が現実となれば、自公は旧民主党に政権交代を許した2009年以来の歴史的大敗を喫することになる。
クレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフ・エコノミストは「政治基盤が弱い石破政権は『経済あっての財政』の方針をしばらくは維持する」とみる。引き締め方向に向かおうとしている金融政策についても、政府内から「日銀の利上げはもともと難しい環境にあるが、さらに難しくなりそう」(内閣府幹部)との声が聞かれる。
歳出拡大の兆候はすでに出ている。石破首相は選挙戦の第一声で「去年は国費13兆円、事業総額37兆円だったが、それを上回る大きな補正予算を国民の皆様方に問い、国会の審議をたまわり成立させたい」と大型の補正予算の編成を明言。さらに22日、首都圏で相次ぐ強盗事件を受け、補正予算で防犯体制の拡充を検討する方針を明らかにした。
公明党の石井啓一代表も物価高対策として低所得者世帯に10万円程度の給付が必要との考えをテレビ番組で示しており、 経済官庁の関係者は「経済対策は最低15兆円だが、この選挙情勢なので20兆円程度に膨らむ可能性十分ある」と解説する。
石破首相が年内決着を掲げる防衛費増額の恒久財源確保にも影を落としそうだ。政府は22年末に23─27年度の防衛費を総額43兆円と定め、最終年度までに法人・所得・たばこで総額1兆円を増税する案を盛り込んだが、自民党内の反対で実施時期は定まっていない。財務省関係者は「防衛族の中で石破首相は例外的に増税に理解があったが、自民単独過半数割れならば、党内の増税慎重論に配慮せざるを得ない」と懸念する。
<自公でも過半割れの現実味>
公明党と合わせた与党では過半数を維持するというのが現時点のメインシナリオとみる向きが多い一方、自公で過半数を割り込む可能性も浮上している。朝日新聞は20日、自民が50議席程度減らして単独過半数を割り込み、自公合わせても過半数を維持できるか微妙な情勢と報じた。
与党関係者によると、自民党内ではすでに国民民主党との連携を模索する議論が出ている。自民党の森山裕幹事長は18日のテレビ番組で「公明党と連立で過半数をしっかりとることが最初の目標だ」としつつ、「政策的に一致することができれば、会派を同じくして日本の発展のために一緒に頑張るということも大事なことだ」とし、第3党との連携を完全に否定はしなかった。
当の国民民主党は連立に参加する意向を否定しているが、大和証券の末広徹チーフエコノミストは「国民民主が議席を伸ばしてキャスティングボードを握る流れとなれば、国民が主張する歳出拡大と金融緩和継続が意識されやすい」とみる。 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストも「国民民主との連立とならば、よりリベラル色の強い政策となりそうだ」と予測する。
<自民単独で過半数なら>
報道各社の情勢調査からは自民党が単独過半数を維持する可能性は低そうだが、考え方の近い野党、無所属の議員を選挙後に取り込んで実現するシナリオはある。自民党は派閥の政治資金パーティーを巡る問題で、12人の候補者を公認しなかった。愛知学院大学総合政策学部の森正教授は「当選した『裏金議員』を公認することでぎりぎり単独過半数を確保する可能性もある」と語る。
山梨大学大学院総合研究部の藤原真史准教授は、自民単独で過半数になれば「石破政権として相当な信認を得たことになり、アベノミクスの金融緩和や財政出動の見直しの加速が可能になる」と話す。クレディ・アグリコル証の会田氏は、財政規律の目標を現在の基礎的財政収支(プライマリーバランス)から利払費を含んだ収支黒字化に変化させるなど財政再建に舵を切るとみる。「12月の自民党の税制調査会で石破政権の増税路線が明確になる」と予想する。
●先進国中銀、金融当局
カナダ中銀が50bp利下げ、高インフレ時代の終了示唆-軟着陸見込む - Bloomberg
カナダ銀行(中央銀行)は23日、政策金利を50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ3.75%とした。利下げのペースを加速させるとともに、新型コロナウイルス禍後の高インフレ時代は終わったと示唆した。
50bpの利下げ幅は、コロナ流行初期の2020年3月以来の大きさで、市場の予想通りだった。
カナダの9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.6%上昇に伸びが鈍化。物価圧力はもはや広範囲にわたるものではなくなり、インフレ期待も正常に近づいている。
ティフ・マックレム総裁は記者会見向けの原稿で「これらの事柄はすべて、低インフレに戻っていることを示唆している」と指摘。今後は低く安定したインフレを維持することに注力する考えを示した。さらにインフレ見通しに対する上振れと下振れのリスクは「妥当なバランスが取れている」との認識を示した。
最新の経済予測では、深刻なリセッション(景気後退)を伴わずにインフレが正常化する「ソフトランディング(軟着陸)」の実現を見込む。今年の国内総生産(GDP)伸び率は1.2%にとどまるが、来年には2.1%に加速すると予想。一方、インフレ率は1-3%の目標レンジの中間付近で推移する見通しとした。 
ノンバンクシステム監視、ツール改善が必要=英中銀総裁 | ロイター
米企業、景気は堅調ながらも利益率低下と指摘=地区連銀報告 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が23日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、ほぼ全ての地区で経済活動は横ばいとなった一方、2地区が緩やかな成長を報告した。インフレ圧力は引き続き緩和し、物価は大半の地区でわずかまたは緩やかなペースで上昇したとした。
一方で、全般的に投入価格が販売価格よりも速いペースで上昇し、企業の利益率が圧迫されていることも示した。
米経済は堅調な所得の伸びと十分な家計貯蓄に支えられている。労働市場の勢いは鈍化しているものの、解雇は歴史的に低い水準にあり、賃金の上昇を支えている。9月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数の前月比は過去6カ月で最大の伸びを示した。失業率は4.1%で、前月から低下した。9月の小売売上高も底堅く増えた。
堅調な労働市場の状況は今回の報告でも反映され、前回より多くの地区でわずかもしくは緩やかな成長が報告された。
ただ、労働需要はやや鈍化している。ミネアポリス地区連銀の報告では、ミネソタ州の供給会社の関係者は埋めるのに苦労していた高技能の運転手に関する求人への引き合いの多さに「椅子から転げ落ちそうになった」と語った。
一方、解雇は引き続き限定的で、明らかな悪化の兆候はほとんど見られていない。サンフランシスコ地区連銀は、一部の雇用主が過去1年間保留にしていたポジションの採用を開始したと言及した。全体として賃金は「控えめまたは緩やかなペースでおおむね上昇を続けた」と報告された。
11月5日に大統領選挙を控え、インフレをはじめとする経済が有権者の重視する問題となっている。報告では「不確実性が高まっているにもかかわらず、長期的な見通しはいくらか楽観的だった」と言及した。楽観的な見通しの理由として、借入コストの低下と今後のさらなる利下げへの期待が挙げられた。
同時に、選挙やインフレ見通し、金利の動向を巡る不透明感は、依然として多くの地域で重しとなっている。ニューヨーク連銀は「大統領選挙を巡る不透明感から企業は雇用に関する決定をためらっている」と述べた。
報告によると、大半の地区で販売価格はわずかもしくは非常に緩やかな上昇にとどまったが、卵や乳製品など一部の食品価格はより大幅に上昇した。これまでの報告と同様に消費者は価格により敏感になっている。
投入価格はおおむね緩やかに上昇。複数の地区で、販売価格の引き上げ分を上回って企業利益を圧迫する要因となった。保険料や医療費の上昇による圧力が特に強かったと指摘された。
FRBは9月17─18日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き下げることを決め、4.75─5.00%とした。通常よりも大幅な利下げだった。その後、個人消費や雇用、インフレに関する経済指標で予想を上回る数値が相次ぎ、金利引き下げのペースと規模に対する市場の見通しは後退した。
11月6─7日に開かれる次回のFOMCでFRBは0.25%ポイントの利下げを決定し、12月も同規模の追加利下げを決めると市場は予想している。
日銀追加利上げは12月予想がなお半数超、今月は現状維持-サーベイ - Bloomberg
日本銀行による追加利上げのタイミングについて、なお日銀ウオッチャーの半数超が12月の金融政策決定会合を予想している。今月30、31日の会合では、ほぼ全員が金融政策の現状維持が決まるとみている。
ブルームバーグが17-22日にエコノミスト53人を対象に実施した調査によると、日銀が現在0.25%程度の政策金利を引き上げる時期に関して、53%が12月を予想した。次いで来年1月が32%となり、両会合で計85%を占めた。9月会合前の前回調査では12月が今回と同じ53%で、1月は19%。前回は15%だった今月会合での利上げ予想は今回1人にとどまった。
植田和男総裁が9月会合後の記者会見以降、政策判断に「時間的な余裕はある」との見解を重ねて示していることや、日本の衆院選と米大統領選という日米の重大な政治イベントを控えた不透明感の強まりなどが、今月会合での政策維持を見込む背景となっている。その一方で、全体としてエコノミストによる早期の追加利上げ期待は維持されていると言える。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、今会合の注目点について、経済・物価情勢の展望(展望リポート)や総裁会見で「12月会合での利上げの可能性があることを示唆するかどうかだ」と指摘。見通しの確度が高まっているとの記述があったり、総裁が9月会合以降の円安進行で物価の上振れリスクが高まっているなどの見解を示したりすれば、「市場は次回会合での利上げを意識するだろう」とみる。
複数の関係者によると、日銀は今月の会合で追加利上げを急ぐ必要性は乏しいとの認識を強めている。もっとも、物価情勢は2%目標の実現に向けて着実に前進しており、その後の追加利上げの可能性は排除されない状況だという。日銀は経済・物価が見通しに沿って推移していけば、政策金利を引き上げて金融緩和の度合いを調整していく方針を示している。
日米選挙は接戦予想
市場で意識されている大きな不確実性が、日銀会合を挟んで行われる衆院選と米国の大統領選だ。投開票は衆院選が27日、米大統領選が11月5日で、両選挙とも与野党の接戦が予想されている。結果次第では日米で政治が不安定化し、金融市場が大きく変動する可能性も否定できない。
野村証券の松沢中チーフ・ストラテジストは、「日米の選挙結果とその後の政策運営によって経済・物価見通しが大きく変わってしまうリスクが相応に高い」とし、展望リポートの経済・物価見通しやリスク判断は7月の前回からほぼ据え置かれると予想。足元の円安再進行を踏まえ、日銀の情報発信は「ハト派に偏り過ぎ、円キャリートレードを再燃させることは避けねばならない」と語った。
衆院選では、石破茂首相が勝敗ラインとしている自民党と公明党の与党での過半数を割り込む可能性も報道されている。政権基盤を揺るがす選挙結果となった場合の金融政策への影響は、「利上げは難しくなる」と「ほとんど影響ない」がいずれも32%で、「判断し難い」が30%となった。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、選挙を受けて政権が弱体化すれば、「不安定な政治環境の下では、利上げは困難」との見方が市場に広がり、その結果として円安が進む可能性を指摘。その場合、日銀は利上げに向かわざるを得なくなるかもしれないとし、「必ずしも、政権の弱体化により、利上げが遠のくということではない」との見方を示した。
石破首相が政権発足直後の2日、植田総裁との会談後に「追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言したことを受けて円安が進行。首相が発言を軌道修正した経緯がある。政権が日銀の利上げ容認に転じる為替相場の水準に関する質問では、中央値が1ドル=155円となった。
●先進国経済指標
米中古住宅販売件数、ほぼ14年ぶり低水準-金利低下や価格下落待ち - Bloomberg
9月の米中古住宅販売件数はほぼ14年ぶりの水準に減少した。購入希望者は住宅ローン金利のさらなる低下と価格下落を待つ格好となった。
中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月比1%減の384万戸
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は388万戸
8月は388万戸(速報値386万戸)に上方修正
多くの買い手と売り手は、住宅融資コストが現在の6%台半ばから低下するのを待っている状態だ。9月に2年ぶりの低水準に落ち込んだ住宅ローン金利は上昇に転じている。最近の雇用とインフレに関するデータを受け、米金融当局が借り入れコストをより緩やかに引き下げるとの見方が強まっていることが背景にある。
中古住宅市場は過去2年間、大きな動きがなく、月次ベースで年率400万戸を大きく上回ったり下回ったりすることはほとんどない。その主な要因は、住宅所有者が保有物件を売りに出して、低い住宅ローン金利を手放すのを望まない、いわゆるロックイン効果だ。
統計発表元である全米不動産業者協会(NAR)のチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は、9月の販売件数が低調だったものの、「通常、住宅販売件数の増加につながる要因が進展している」と発表文で指摘。「消費者にとって在庫の選択肢が増え、住宅ローン金利は1年前より低下し、雇用は増え続けている」と分析した。
9月の中古住宅販売在庫は139万戸となり、前年同月比で23%増加した。ただ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を下回っている。
現在の販売ペースで見た場合、在庫消化に要する期間は4.3カ月と、過去4年余りで最長となった。
9月の販売価格中央値は前年同月比3%上昇の40万4500ドル(約6200万円)。
地域別
地域別では、4地域のうち3地域で減少。南部は1.7%減少し、2012年初頭以来の低水準となった。
中西部では2.2%減少し13年ぶりの低水準となり、北東部では4.2%減少した。一方、西部ではカリフォルニア州とアリゾナ州がけん引し、販売件数は4.1%増加した。
9月に販売された住宅のうち57%は、売りに出されてから1カ月未満で買い手が決まった。8月は60%だった。20%は提示価格より高く売れた。平均売り出し期間は28日間。前月は26日間だった。
権原保険大手ファースト・アメリカン・ファイナンシャルの次席エコノミスト、オデタ・クシ氏は先週のリポートで、住宅ローン金利が一部の予想通り来年5.8%まで低下すれば、1200万世帯の賃貸人が中央値価格の中古住宅を購入できると指摘した。
しかし「84%の住宅ローンは金利が6%を下回っているため、経済的に売却意欲を刺激される売り手の数は限られたままであろう」と分析した。
中古住宅販売件数は米住宅市場の大半を占め、契約が成立した時点で算出される。24日には、9月の新築住宅販売件数が発表される。
米住宅ローン申請指数、8月以来の低水準-金利上昇が影響 - Bloomberg
ユーロ圏消費者信頼感指数、10月はマイナス12.5に改善 | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
嵐の前の静けさか、米株に山積するリスク要因-投資家は身動き取れず - Bloomberg
円債は超長期国債を平準買い、上期の償還多く年度では残高減=明治安田生命・24年度下期運用計画 | ロイター
明治安田生命保険は2024年度下期の一般勘定運用について、超長期国債を中心に円建て債券を平準買いで積み増す計画を示した。ただし上期の国債償還が多かったことから、年度全体では残高減少を見込む。
北村乾一郎・運用企画部長が23日、資産運用方針説明会で明らかにした。
このうち円金利資産の核となる円建て債券は、金利リスク削減と長期安定的な利息配当金収入の確保に向けて、20年物と30年物を中心に超長期国債を積み増す。買いペースに緩急をつけない「平準買い」を基本とする。
金利が上昇した局面では積み増す方針だが、足元で2.22%近辺の利回り水準にある30年国債に対する投資目線について、北村氏は日銀の政策の方向性が利上げであるとした上で「非常に平準的なペースで買い入れを行う程度。今のところ、この水準で大量に買い入れる想定ではない」と述べた。
明治安田生命では上期も平準ペースでの円債投資を実施したが、償還が多かったことから残高が減少した。下期は国債償還の規模がそれほどではないため、平準買いを行えば半期ベースの残高は増加する見込みだが、上期と合わせた年度全体では円債残高は「やや減少」するという。
北村氏は「デュレーションの長いものを大量に買ってしまうと国内金利リスクが上昇し、リスク管理上好ましくない。われわれは今までのように25年度導入の新規制(経済価値ベースのソルベンシー規制)対応でやみくもに買うスタンスはとらない」などと述べ、「円金利一辺倒ではない」姿勢を強調した。
日銀の金融政策見通しについて、同社では「非常に緩やかなペースで、金融環境を見ながら慎重に利上げをしていくと思う」として、今年度はせいぜいあと1回、0.5%への利上げがあると想定。タイミングは「円安や米国など環境次第で日銀が決めること。12月か1月か3月かだが、決め打ちはしない」(北村氏)という。
外債のうち為替ヘッジ付きソブリン債は、高水準のヘッジコストを受けて新規投資を抑制して残高横ばいとする方針だが、上期はオープン外債からヘッジ外債への入れ替えにより残高が増えたため、年度ベースでは残高増加を見込む。
一方、為替オープンのソブリン債は、為替や金利の水準次第だが、現時点では残高の増減を見込まない。ただ上期は残高が減少したことから、年度ベースでは残高は減少する見通し。
またヘッジ付きの海外クレジットは、自社のニューヨーク拠点での直接投資を含めてインハウスで、スプレッドの取れる米国を中心に資産を積み増す。
ドル/円のヘッジコスト(3カ月物の為替予約)について、同社は年度末時点で4.60%(上期末実績は4.75%)との想定を示し、「日米金利差縮小により着実に低下していく」(北村氏)との見方を示した。
外国投信がメインとなる外国株式は、こちらも自社のニューヨーク拠点を活用してインハウス運用で取り組むほか、外部委託運用で海外プライベート・エクイティ(PE)を中心に積み増し、残高増加を見込む。
一方、国内株式についてはトータルリターンの向上につながる銘柄入れ替えを実施するが、上期に続いて残高は減らす方針。
このほか投資用不動産は、市況を見極めながら大都市圏を中心に優良物件を厳選して積み上げ、残高を増やす計画。
明治安田生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で46兆8232億円。うち外貨建て資産は14兆9120億円(31.8%)。
2024年度下期の相場見通し(レンジと年度末中央値)は以下の通り。
日本国債10年物利回り  0.80―1.40%(1.00%)
日本国債30年物利回り     非 公 表  (レンジ上限は2.50%)
米10年国債利回り    3.40―4.80%(3.80%)
日経平均株価       3万5000―4万3000円(3万6000円)
NYダウ         3万6000─4万3000ドル(3万8000ドル)
ドル/円         132―150円(135円)
ユーロ/円        142―162円(145円)
米経済の単純な説明、外れ続ける理由 - WSJ
投資家は分かりやすい説明を好み、エコノミストは進んでそれに応えようとする。一つだけささいな問題がある。新型コロナウイルス流行後、米経済に関する単純明快なストーリーが当てはまらないことがたびたびあることだ。
そうした単純な説明は三つの基本前提の上に成り立っている。政府支出が影響する、金融政策が影響する、成長・失業・インフレの間には自然な関連性がある、というものだ。この4年間は当てはまらなかったものの、どれも自明の理で、経済構造に組み込まれているとさえ思える。要するに、分かりにくいのだ。
この三つの前提はそれぞれが議論の的となってきた。
政府支出が最初にインフレへの警鐘を鳴らした。ローレンス・サマーズ元米財務長官とオリビエ・ブランシャール元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストは2021年、ジョー・バイデン米大統領の1兆9000億ドル(約287兆円)の景気刺激策について、経済に余剰生産力がないことを理由に、あまりにも大規模すぎると指摘した。
実際に物価が高騰し、両氏は正しかったと思われた。経済が既に過熱している時に大規模な支出を行えば、インフレを招く。単純明快だ。
それでも米政府は過熱した経済への支出を続けた。この2年間はコロナ対策の景気刺激策がとうに終わっていたにもかかわらず、連邦政府の財政赤字の対国内総生産(GDP)比は、08年のリーマン・ブラザーズ破綻後の深刻な景気後退とコロナ期を除くと第2次世界大戦以降で最大となった。1四半期を除き、GDPも米連邦準備制度理事会(FRB)が試算した長期的に持続可能な水準を上回るペースで拡大し続けた。それならインフレは上昇し続けるはずだが、そうはならなかった。
ブランシャール氏は、景気刺激策の多くが貯蓄に回り、その効果が時間をかけて平準化されたため、当初予想されたほどの影響がなかったと説明している。
ただ物価高騰は、サプライチェーン(供給網)の混乱が長引いたことで簡単に説明がつく。ジェローム・パウエルFRB議長は当初これを「一時的」な問題と呼んだが、あまりに長期にわたったため、この表現は間違いだったように思われた。この問題が解消するとインフレは落ち着いた。
金融政策もそれほど予測の役には立たなかった。FRB当局者が言うように、金利を1年余りでゼロから5%超に引き上げたら経済はどうなるかと尋ねられたら、定評のあるエコノミストなら一人残らず、深刻な景気後退に陥ると予測するだろう。実際は全て順調だった。
FRBは需要を抑制することでインフレを抑え込もうとしたが、利上げ開始後も、インフレ調整後の消費支出で見た消費者の需要はコロナ前と同じペースで拡大し続け、加速すらしているように見える。もし金利上昇が需要に影響するなら、成長ペースは少なくとも鈍化しているはずだ。
ミルトン・フリードマンの貨幣数量説の信奉者は、FRBによる貨幣供給量が多いとインフレになると主張し、ひとまず予測が当たった。米国で最も広義の通貨総量の指標「M2」によると、預金通貨が急増。貨幣主義者はこれをインフレの確実な前兆とみなした。
インフレが極めて高水準となり、この説は有効と思われた。M2はその後、現代史上初めて前年比で減少し、深刻な問題が差し迫っていることを示唆した。おそらくはデフレと、言うまでもなく景気後退だ。今のところこの予測は外れている。
労働市場も理屈に合わない。失業とインフレのトレードオフ関係を示すフィリップス曲線は大半のマクロ経済モデルに組み込まれているが、うまく機能していない。コロナ後は失業率と賃金の間にも失業率とインフレ率の間にも関連性が見られない。ブランシャール氏とベン・バーナンキ元FRB議長は、求人1件当たりの失業者が何人かを加味した新たなモデルを考案したが、インフレ率をここまで引き下げるには労働市場がもっと弱くなる必要があると考えていた。
以上の経緯について、エコノミストは「いやいや、状況は複雑なんだ」と言うだろう。その通り! 問題は、複雑さは後にならないと分からず、投資家は一度に一つのことに気を取られがちだということだ。今なら分かるが、どうやら生産性が急ピッチで向上し、大規模な移民流入が労働力人口を押し上げたことで、「バーナンキ・ブランシャール方程式」に狂いが生じ、賃金上昇圧力を抑えつつ生産を拡大させたようだ。
経済予測を今も盲信している投資家は、1年前と2年前と3年前のコンセンサス予測を見るべきだ。
コンセンサス・エコノミクスの2021年10月の定期調査によると、22年の米GDP予想成長率は4%だった。
22年10月には同年の予想成長率は1.7%に低下し、エコノミストは景気後退入りが迫っていると確信した。FRBの「ドットチャート(政策金利・経済見通し)」中央値はさらに悲観的で、22年の予想成長率はわずか0.2%だった。民間エコノミストは23年の成長率を0.2%と予想していた。
最新データによると、22年の実質GDP成長率は2.5%だった。エコノミストは23年10月までに同年の予想成長率を2.2%に引き上げた(それでも低すぎた)が、今年についてはわずか0.9%とみていた。現在はどうか。今年分の予想を2.6%に引き上げたが、来年分はわずか1.7%だ。
最近の実績を見ると、エコノミストの予想が今回は当たるとしても、それは判断力というより運によるものだろう。経済は基本モデルが示唆する動きとたびたび逆行してきた。その理由(景気刺激策からの貯蓄、サプライチェーンの混乱、生産性、移民)が一過性なのか、来年は別の理由で予想が外れるのかは、誰にも分からない。
単純明快な説明は市場の動きを読み解くには非常に便利だが、経済を解き明かしてはくれないと思った方がいい。
●中東情勢
米国務長官、サウジ皇太子と会談 ガザ・レバノン・スーダン巡り | ロイター
●エマージング
ロシア派遣の北朝鮮兵3000人、家族隔離も 韓国分析 - 日本経済新聞
BRICS、「パートナー国」を創設 米欧対抗へ陣営拡大 - 日本経済新聞
ロシアや中国など有力新興国で構成するBRICSの首脳会議は23日、「パートナー国」制度の創設を決めた。ウクライナ侵略などをめぐり米欧の制裁を受ける中ロは、グローバルサウス(新興・途上国)を取り込んで枠組みを広げ、世界の多極化を印象づける狙いだ。
ロシアのプーチン大統領は同国西部カザンで開いた23日の全体会合の冒頭「BRICSは多極化が進む中で世界の安定と安全保障の分野における情勢にプラスの影響を与えている」と主張した。経済成長や参加国の拡大によってBRICSの国際的な影響力が高まっているとの見方を示した。
BRICSは中ロに加え、インド、ブラジル、南アフリカが参加する枠組み。今年1月にエジプトやイラン、アラブ首長国連邦(UAE)、エチオピアが加わった。
ロシアのウシャコフ大統領補佐官によると、今回の首脳会議には36カ国が参加し、うち首脳級は22人が出席する。23日に発表した共同宣言にはこれまでの加盟国に加えて、新たに「パートナー国」の創設を支持すると明記した。
ウシャコフ氏は23日、パートナー国として13カ国のリストが合意されたとロシアメディアに語った。ブラジル紙によると、トルコやインドネシア、マレーシア、タイ、キューバなどが含まれている。
ロシアや中国はBRICSを欧米への対抗軸と位置づけている。ロシアが重視するのが国際的な金融決済だ。欧米による金融制裁を回避するため、BRICSの枠組みを使った新たな決済システム構築について協議する見通しだ。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は「多極主義」を掲げる。BRICSの勢力を拡大し、西側諸国に対する「防波堤」にしたい考えだ。習氏は23日の首脳会議で「世界は新たな激動と変革の時代に入った。BRICSをグローバルサウスの団結と協力を促す主要な推進力へと育てるべきだ」と強調した。
国際通貨基金(IMF)によると、2005年に10%だった世界の国内総生産(GDP)に占めるBRICSのシェアは、新規加盟した4カ国を含めて24年に26%超となる見通し。BRICSは存在感を増すグローバルサウスの国々を取り込んで、国際社会で発言力を確保したい考えだ。
もっとも、BRICS内は一枚岩ではない。インドは日米とオーストラリアの枠組み「Quad(クアッド)」にも参加し、BRICS拡大に慎重な姿勢を示してきた。欧米とも親密な関係を維持する「全方位外交」が基本姿勢だ。
ブラジルもイランなどの友好国をBRICSに引き入れる中国の動きを警戒し、抵抗してきた。ブラジルメディアによると、同国は首脳会議でBRICSの参加基準の明確化を求める立場を強調するという。
新規に加盟を申請・希望する国々もまとまりに欠け、政治的なスタンスは「反欧米」だけではない。
米欧中心の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)の一員であるトルコはBRICS加盟によってアジアやアフリカとの経済協力の拡大を狙っている。エルドアン大統領は「加盟によりトルコがNATOを放棄することにはならない」と明言した。
タイも経済的な実利を重視している。新型コロナウイルス禍で傷ついた経済の回復が遅れ、21年以降の成長率は1〜2%台と東南アジアの最低水準だった。BRICSは自動車やコメの輸出先で、自国経済の立て直しにつなげる狙いだ。
マレーシアは国際社会における自国の発言力を高めようとしている。イスラム教徒が多く、中東での戦線を広げるイスラエルを支援する米国への不満が強まったこともBRICSへの加盟申請を後押しした。
●プロファイ、インフラ、自然災害
ノルウェー・エクイノール、日本の洋上風力入札に参加=関係者 | ロイター
北海道電力、檜山沖で114万キロワットの洋上風力計画 - 日本経済新聞
北海道電力が道南部の檜山沖で計画している洋上風力発電について、出力が最大114万キロワット規模になることが23日分かった。同日、せたな町で開いた住民説明会で明らかにした。1万5000〜2万キロワットの設備を最大76基設置する。今後、国が事業者の代わりに風況や海底地盤などの基礎調査を担う「セントラル方式」の調査結果や、法定協議会の状況を踏まえて風車の配置など詳細を詰める。
米フロリダ州の柑橘類、ハリケーン被害で収穫量が過去最低も | ロイター
エネルギーの第一人者ダン・ヤーギン氏は、大手テック企業が原子力発電の復活を推進していると語る
要点
米国では、原子力発電が長年の挫折を経て復活しつつあるようだ。そしてその原動力となっているのは大手テクノロジー企業だ。
マイクロソフト、アマゾン、グーグルなどのテクノロジー大手がAI革命をリードしようと競い合う中、急成長するテクノロジーを動かすために必要なデータセンターは、かつてないほど多くのエネルギーを消費している。
エネルギー市場のベテランであるダン・ヤーギン氏は、この好転はまさに驚異的だと評した。
●その他
4684億円回収できず コロナ貸付事業で検査院 - 日本経済新聞
西武池袋本店、2025年の福袋なし 都内元日の風物詩休止 - 日本経済新聞
頭なしで18カ月間もニワトリは生きた - BBCニュース
C919に乗ってみた 中国初の国産旅客機、エアバスA320に対抗(1/2) - CNN.co.jp
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(23日)ドル3カ月ぶりに153円台、株下落・利回り上昇 | ロイター
為替市場では、ドルが約3カ月ぶりに153円台に達しました。米国経済の堅調さと主要中央銀行の金融政策の違いが意識され、ドル高が進んでいます。ドルは一時153.18円を記録し、終盤では152.56円で取引を終えました。日本の衆院選で自民党が過半数を失う可能性があり、日銀の政策運営に影響を与えるとの懸念があります。
また、米大統領選を巡る不透明感が強まっており、トランプ前大統領が再選された場合、インフレを加速させる政策が再び導入されるリスクが高まっています。この影響もドル高の要因となっています。主要通貨に対するドル指数は104.57と7月以来の高値を更新しました。
債券市場では、米10年債利回りが3カ月ぶりの高水準で4.242%となり、2年債利回りも上昇しています。トランプ氏の再選が近づく中、経済への影響が懸念されています。
株式市場は下落して取引を終えました。国債利回りの上昇と連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測の後退が、大型株に圧力をかけました。特に金利に敏感なハイテク株が下落し、エヌビディアが2.81%、アップルが2.16%、メタが3.15%、アマゾンが2.63%それぞれ下落しました。これにより、ナスダック総合指数も下押しされました。
マクドナルドは食中毒の報道を受けて5.12%下落し、コカ・コーラも利益見通しを据え置いたことで2.07%下落しました。テスラは引け後の決算で利益率が予想を上回り、時間外取引で8%上昇しました。
金先物は、米大統領選を巡る不透明感が和らいだことで7営業日ぶりに反落し、1オンス=2,729.40ドルとなりました。米原油先物も、原油在庫の大幅増加が嫌気され、WTIの12月物が1バレル=70.77ドルに下落しました。
欧州市場サマリー(23日) | ロイター
ロンドン株式市場は下落して取引を終えました。英国の予算案発表や米国大統領選挙を控え、投資家は慎重姿勢を取っており、鉱業株と貴金属株が売られました。FTSE100種指数は4日連続で下落し、ドル高に伴い銅や金の価格が下落したことが影響しました。米大統領選でトランプ前大統領が再選されると、インフレを引き起こす可能性があると懸念されています。さらに、イングランド銀行の会合での利下げが期待されています。
欧州市場でも資源株の下落が主導し、ドイツ銀行やロレアルの業績が投資家心理を圧迫しました。欧州中央銀行(ECB)は、最近の経済指標がユーロ圏経済の弱さを示していると発表しています。
ユーロ圏債券市場では、ドイツ2年債利回りが6ベーシスポイント(bp)低下し、2.144%となりました。これは欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を加速し、12月の理事会で50bpの大幅利下げを行うとの見方が強まったためです。ECBのビルロワドガロー仏中銀総裁は、経済成長が低迷すればインフレ率が目標を下回る可能性があり、ECBが利下げのタイミングを逃すリスクがあると述べました。
ドイツ10年債利回りは2.322%で横ばい。米独10年債利回り格差は192.2bpで、米国の成長と金利高止まり予想により拡大傾向にあります。イタリア10年債利回りは2bp低下し、独伊10年債利回り格差は121bpとなっています。

備忘録(2024/10/22
●海外企業決算
米3M、通期利益見通しを上方修正-ブラウン新CEOの下で2度目 - Bloomberg
日用品・工業品メーカー大手の米3Mが発表した7-9月(第3四半期)決算は、生産性向上への取り組みが奏功し、利益がアナリスト予想を上回った。同社は2024年通期の利益見通しの下限を上方修正した。
調整後1株当たり利益は1.98ドルと、ブルームバーグが集計したアナリスト予想平均の1.91ドルを上回った。通期の調整後1株利益は、前回予想レンジの下限である7ドルから少なくとも7.20ドルになるとの見通しを発表した。
ビル・ブラウン最高経営責任者(CEO)が5月に就任して以来、年間利益目標の上方修正は2度目。それでも、3Mの新しい予想の中間値は7.25ドルと、ウォール街の予想7.30ドルを下回っている。
3Mの株価は年初来で約48%上昇し、S&P500種株価指数の23%高を上回っている。
ブラウンCEOはインタビューの中で、収益予想の上方修正の大部分は、優先事項の工場内の生産性向上によるものだと説明。支出削減と自社株買いの効果も寄与したとの見解も明らかにした。
第3四半期の調整後営業利益率は23%と、アナリスト予想の22.4%を上回った。
3Mの株価は数年間で600億ドル余りの時価総額が消失したが、ブラウン氏が最初に再活性化計画を発表した7月下旬以降、回復傾向にある。同氏は3Mの複雑な組織に組み込まれた無駄を省きながら、新製品の開発加速により、伸び悩んでいる売り上げを伸ばしたい考えだ。
米GM、第3四半期決算は予想上回る 通期利益見通しを楽観 | ロイター
米TI、低調な売上高・利益見通し示す-業績は市場予想上回る - Bloomberg
アナログ半導体最大手、米テキサス・インスツルメンツ(TI)のハビブ・イラン最高経営責任者(CEO)は22日、8四半期連続の減収となったが、顧客企業は過剰在庫の取り崩しを進めており、受注回復が近いとの見方を示した。
7-9月(第3四半期)決算発表後の電話会見で語った。イランCEOはTIの主要分野のうち3つは既に回復が始まっているが、売上高が大きい産業用と自動車用チップはなお在庫が過剰だと説明した。
「産業と自動車向け市場全体が加わることが実際に必要だ」と述べた。回復時期の見通しを問われると、「そうした時期に近いが、まだ確認していない」と答えた。
株式市場では楽観的なトーンが材料視され、株価は時間外取引で一時約3%上昇した。10-12月(第4四半期)について低調な見通しを含む決算発表を受けて、株価は下げていた。
発表資料によると、10-12月期売上高は37億-40億ドル(約5600億-6000億円)の見通し。ブルームバーグの集計データによると、アナリスト予想平均は40億8000万ドルだった。1株利益は1.07-1.29ドルを見込む。これは予想平均の1.35ドルを下回る水準。
TIは、幅広い電子機器で単純ながら重要な機能を果たす半導体の最大手。経営陣は通常、業界全体の長期予測を示すことに消極的だが、投資家は同社見通しを業界全体の需要を測る指標に活用する。
7-9月期売上高は8.4%減の41億5000万ドルとなり、8四半期連続の減収。アナリスト予想は41億2000万ドルだった。1株利益は1.47ドルで、市場予想の1.37ドルを上回った。
米ベライゾン、第3四半期売上高は予想下回る 端末買い替え減少で | ロイター
第3・四半期決算は総売上高が333億ドルで、LSEGがまとめた市場予想334億3000万ドルをやや下回った。
サービス加入者数の伸びは堅調だったものの、携帯電話端末の買い替え件数が減少したことが要因。株価は4%超下落した。
高金利を背景に顧客が支出を控えたことで、携帯端末の買い替え件数は前年同期から10%減少した。ワイヤレス機器の販売は約9%減った。
携帯電話の月額課金契約者数は23万9000人増えた。ファクトセットによる予想21万8100人増を上回った。第2・四半期の増加数は14万8000人だった。
顧客がそれぞれの好みに応じてストリーミングサービスを追加できる「マイプラン」の利用が増えたことで、米通信市場で競争が激化する中でも底堅さを維持した。
米ワイヤレス市場が飽和状態に近づく中、各社は高速ブロードバンドインターネット事業の拡大を狙っている。ベライゾンは9月、光ファイバーインターネットプロバイダーのフロンティア・コミュニケーションズの買収で合意した。
ベライゾンのブロードバンドの新規加入は38万9000件。前年同期は43万4000件。ブロードバンド加入総数は1190万件を超えた。
固定ワイヤレスサービスの新規加入は36万3000件。総数は420万件近くとなり、目標の400万─500万件を1年以上前倒しで達成した。
特別要因を除く1株利益は1.19ドルと、市場予想1.18ドルを上回った。
純利益は34億ドルと、前年同期の49億ドルから減少した。
米3M、通期利益見通し引き上げ 需要改善で | ロイター
通期の調整後1株当たり利益について7.20─7.30ドルとなる見通しだと公表した。従来予想の7.00─7.30ドルから利益の下限を引き上げた。
屋根資材や工業用接着剤、電子機器への需要が堅調で、第3・四半期決算の調整後利益は1株当たり1.98ドルと、予想の1.90ドルを上回った。
調整後の売上高は60億7000万ドルで予想をやや上回った。 3Mはポートフォリオを見直し、「いくつかの小規模事業」の売却プロセスを開始したと発表した。株価は寄り付き前の時間外取引で一時5.6%上昇した。
5月に就任したビル・ブラウン最高経営責任者(CEO)は7月、遅れが目立っていた新製品開発に注力する意向を明らかにしていた。
3Mは、主要3事業のうち2つで売上高が伸びた一方、消費者向け事業は梱包や家庭・自動車用品などの需要が低迷したと言及した。
3Mは「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物(PFAS)に関連した水質汚染を巡る訴訟を抱えている。
RBCキャピタルマーケッツのアナリスト、ディーン・ドレイ氏はPFAS関連の負担がかなり大きなリスクとなっているとの見方を示した。
スターバックス、25年度業績見通しの公表停止-既存店売上高減少 - Bloomberg
米スターバックスは22日、3四半期連続の売上高減少を受け、2025年度業績見通しの公表を停止した。ブライアン・ニコル新最高経営責任者(CEO)が直面する問題の大きさが浮き彫りになった。
同日の発表資料によると、7-9月(第4四半期)の既存店売上高は速報ベースで7%減少した。特に米国での落ち込みが顕著で、前年比10%減少。中国では同14%減った。
スターバックスは、今年度の業績見通し公表を取りやめることで、ニコル氏に事業評価と業績回復計画策定の機会を与えることができると説明した。9月9日にCEOに就任して以来、ニコル氏は社内体制の一新を進めており、カフェをより魅力的にし、バリスタの経験を向上させ、モーニングサービスを迅速化することで成長を促進する計画の大枠を発表している。
エドワード・ジョーンズのアナリスト、ブライアン・ヤーブロー氏はインタビューで「業績回復には、一部投資家の予想よりも長い時間がかかると思う」と述べ、「今後、厳しい四半期が続くことになろう」と予想した。
7-9月期の減収はアナリスト予想の2倍の落ち込みで、四半期ベースでは過去4年間で最大の減少率となった。スターバックスは、より多くの新製品を投入し、多数のプロモーションを実施したにもかかわらず、来店客数の増加につながらなかったと説明した。
発表を受けて株価は一時9.1%下落した。
ニコルCEOは22日にスターバックスのウェブサイトに掲載されたビデオで、成長軌道に戻るには「最近の戦略を根本的に変える」必要があると述べた。
スターバックスは10月30日に決算を正式発表する予定。
[GE] GEエアロスペース 3Q増収最終増益 売上高6%増98.4億ドル、純利益7.1倍18.5億ドル、EPS1.70ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KMB] キンバリークラーク 3Q減収増益 売上高4%減49.5億ドル、営業益49%増11.5億ドル、EPS2.69ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MMM] 3M 3Q微増収黒字転換 売上高微増62.9億ドル、営業益13.1億ドル、EPS2.48ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DHR] ダナハー 3Q増収減益 売上高3%増57.9億ドル、営業益19%減9.58億ドル、EPS1.12ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PCAR] パッカー 3Q減収最終減益 売上高5%減82.3億ドル、純利益21%減9.72億ドル、EPS1.85ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NSC] ノーフォークサザン 3Q増収増益 売上高3%増30.5億ドル、営業益2.1倍15.9億ドル、EPS4.85ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GPC] ジェニュインパーツ 3Q増収最終減益 売上高2%増59.7億ドル、純利益36%減2.26億ドル、EPS1.62ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LMT] ロッキードマーチン 3Q増収営業増益 売上高1%増171億ドル、営業益5%増21.4億ドル、配当3.30ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[GM] GM 3Q増収営業増益 売上高10%増487億ドル、営業益21%増36.5億ドル、EPS2.68ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[FI] ファイサーブ 3Q増収営業増益 売上高7%増52.1億ドル、営業益7%増16.0億ドル、EPS0.98ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[VZ] ベライゾンコミュニケーションズ 3Q減益 売上高横ばい333億ドル、営業益21%減59.2億ドル、配当0.6775ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[RTX] RTX 3Q増収黒字転換 売上高49%増200億ドル、営業益20.2億ドル、EPS1.09ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MCO] ムーディーズ 3Q増収増益 売上高23%増18.1億ドル、営業益38%増7.38億ドル、EPS2.93ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NVR] NVR 3Q増収営業増益 売上高7%増26.7億ドル、営業益1%増5.10億ドル、EPS130.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BKR] ベーカーヒューズ 3Q増収増益 売上高4%増69.0億ドル、営業益30%増9.30億ドル、EPS0.77ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TXN] テキサスインスツルメンツ 3Q減収減益 売上高8%減41.5億ドル、営業益18%減15.5億ドル、EPS1.48ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
仏サノフィ、消費者向け部門の株式売却でPE企業と独占交渉入り | ロイター
フランス製薬大手サノフィは21日、消費者向けヘルスケア部門オペラの株式50%を米国のプライベートエクイティ(PE)企業、クレイトン・デュビリエ&ライス(CD&R)に売却する方向で独占的な交渉に入ったと発表した。
サノフィによると、フランスの公的投資銀行BPIフランスがオペラ株の2%程度を取得し、少数株主となる見込み。オペラの市場価値は約160億ユーロ(170億ドル)で、2024年のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)見通しの14倍。
オペラ売却の合意が近づいているとの報道をきっかけに、戦略的な事業が失われるとして政府内から反対の声が上がったほか、従業員がストを展開したり、同じくPE企業のPAIパートナーズがオペラ買収で新たな条件を提示したりと、さまざまな動きが起きていた。
政府筋は20日遅く、サノフィが政府に対して雇用の維持と国内での生産を約束し、株式売却の条件で合意に達したと明らかにしていた。
フィデリティ・インターナショナル、中国で500人削減へ=関係筋 | ロイター
HSBC、事業ラインと地域部門を巡る広範な再編実施-費用削減図る - Bloomberg
ボーイングとインテルの苦境、国家の緊急事態 - WSJ
1世代前なら、米国で最も評価の高いメーカーと言えば、インテルとボーイングが必ず上位に入っていただろう。
今はいずれも窮地に立たされている。半導体大手インテルは配当を一時停止し、人員と設備投資も大幅に削減。さらには買収の標的にもなっている。航空機製造大手ボーイングは墜落事故や飛行中のトラブルに関する調査、生産遅延、ストライキに見舞われている。会社分割や破綻もありえない話ではなくなった。
この5年間で両社の時価総額合計は半減した。これは株主にとっての試練にとどまらず、国家の災難となる可能性すらある。
米国と中国の地政学的対立は、軍事力だけでなく経済力と技術力にも及んでいる。米国の両政党の指導部はそれぞれ、関税や補助金による後押しでこの問題に取り組んでいると主張する。
そうした取り組みに何かしらメリットがあったとしても、ボーイングとインテルに象徴される根本的問題には対処していない。米国は今でも世界で最も革新的な製品を設計しているが、それを製造するノウハウを失いつつある。
1999年末時点で米国の時価総額上位10社のうち4社が製造業だった。今ではゼロだ。唯一の希望は電気自動車(EV)メーカーのテスラで、11位につけている。
インテルとボーイングはかつて、要件の厳しい画期的な製品を安定的に高品質で製造する企業の代名詞だった。今は昔の話だ。
両社は安価な外国製品に押されたのではなく、自業自得だ。優れた工学技術より財務成績を優先する体質に変わったのだ。同じく製造業の代表格だったゼネラル・エレクトリック(GE)も同じ轍(てつ)を踏んだ。
インテルは米アップルの初代スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」のチップ製造を請け負わなかった。割に合わないと考えたためだ。最小の回路をエッチングする最新技術の採用が遅れ、人工知能(AI)ブームにも乗り遅れた。
ボーイングは、売れ行きの良い737型機の後継機を一から設計するより、ソフトウエアを使ってエンジンの燃費を上げる方が安価で手っ取り早いと考えた。これが死者を出す2度の墜落事故につながった。サプライチェーン(供給網)を外注し、新型コロナウイルス禍で熟練技術者を手放したことで、品質問題と納入遅延を招いた。
両社の問題は自ら招いたものである以上、手を貸す気になれないのももっともだ。投資家はおそらくそっぽを向くだろう。マイクロソフト、アップル、画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアの時価総額合計が10兆ドル(約1500兆円)であるのに対し、インテルは1000億ドルに満たない。
問題は、こうしたテック大手のソフトウエアや機器は先端半導体がないと役に立たないことだ。各社は製造を外注しており、主な担い手は台湾積体電路製造(TSMC)だ。もし台湾を支配するという中国の威嚇が数年以内に現実になれば、米国のテック産業全体が中国の意のままになりかねない。
TSMCは半導体支援法(CHIPS法)により66億ドルの補助金を受けて米国に製造工場を建設している。だが、米テック企業が台湾依存を脱するには何年もかかるだろう。そもそも脱することができたとしての話だが。
インテルは米国に拠点を置く企業では唯一TSMCと張り合えるが、今は競争どころではない。
宇宙輸送ではイーロン・マスク氏率いる宇宙開発ベンチャーのスペースXがボーイングを抜いたものの、大型商用旅客機でボーイングに代わる企業は国内に存在しない。ボーイングを抜きにすると欧州エアバスか、最後は中国国有企業の中国商用飛機(COMAC)に頼らざるを得なくなる。COMACは737型機やエアバスA320型機の競合となるC919型機の納入を始めている。
インテルとボーイングのどちらが欠けても、業界全体に影響が及ぶだろう。両社はそれぞれ、設計者や労働者、管理職、サプライヤーの多層的なエコシステムを支えている。このエコシステムはいったん国外流出すると国内回帰はほぼ不可能だ。
情報技術イノベーション財団(ITIF)の代表を務めるロブ・アトキンソン氏はボーイングについて、製造業で米最大の輸出企業であり、「世界有数のエンジニアリング集約型企業でもあるため、巨額の研究開発費を支出している」と指摘する。インテルが破綻すれば、半導体エコシステムを強化し、東アジアから市場シェアを奪還しようとする米国の努力に打撃を与えるだろう。
国の指導層は両社の苦境を放置したがるかもしれないが、そうはいかない。国家安全保障上、米国は航空機と半導体の製造ノウハウを維持する必要がある。
そう考えている国は実際にある。欧州政府はエアバスに多額の補助金を出している。中国はコスト度外視で重要技術における優位性を追求している。戦略国際問題研究所(CSIS)によると、中国政府系ファンド「大基金」はこれまでに半導体に約1000億ドルを投じており、COMACには2020年までに720億ドルを支援した。
アトキンソン氏は、「COMACは世界市場で大きなシェアを獲得するまで巨額損失を出し続け、中国政府によって救済され続けるだろう」と述べた。ITIFはボーイングから支援を受けている。
米国の両政党は、製造業は重要で公的支援に値すると考えている。問題は、どの製造業をどう支援するかだ。
製造戦略の目標は、単なる雇用創出ではなく、世界に通用する優れた製品を生み出すことであるべきだ。米政府は、世界トップクラスのメーカーに米国に拠点を置くよう奨励することでこれに貢献できる。そうなれば米企業も競争力を高めざるを得なくなり、労働力と供給網が育ち、あらゆる企業が恩恵を受ける。CHIPS法は、TSMCと韓国サムスンに米国での工場建設・拡張を奨励することで、米国に拠点を置くインテルや半導体受託生産大手グローバルファウンドリーズ、半導体大手マイクロン・テクノロジーを間接的に支えることになる(いずれも補助金を受けている)。
米大統領選挙の両候補は、全米鉄鋼労働組合(USW)への配慮から、日本製鉄によるUSスチールの買収に反対している。USWは日本製鉄が労働協約を尊重するかどうかを疑問視している。だが、日本製鉄の豊富な資金力と特殊鋼のノウハウがあれば、USスチールは間違いなくより盤石で安定した雇用主になるだろう。
1980年代前半に米自動車メーカーが日本車に押されていた時、ロナルド・レーガン米大統領(当時)はトヨタなどを対象に輸入制限を求めた。その結果、各社は米国に組立工場を設けた。恩恵を受けたのは従業員や顧客だけではない。米3大自動車メーカーは、トヨタ式のリーン生産と継続的な「カイゼン」システムを導入せざるを得なくなった。
トヨタは2010年に工場の一つをスタートアップ企業に売却した。その結果、テスラは最初の工場を手に入れただけでなく、事業の元手、製造を監督するベテラン幹部、さらに「トヨタの伝説的なエンジニアリング、製造、生産の知見」(マスク氏)を手に入れた。
卓越した製造は企業のリーダーと株主にとって最も重要な使命だ。工場の床で寝ることをいとわず、1株利益より製品開発を優先するマスク氏の姿勢から彼らが学べることはある。ボーイングが先週、財務強化のため新株を発行すると発表すると、株価が上昇した。投資家は同社の将来が危機にひんしていることを理解しているようだ。
労働者にもやるべきことはある。先週末に新たな待遇改善案で合意したボーイングの労組幹部は、同社の苦境を経営陣のせいにした。昨年ストライキを行った米3大自動車メーカーの労組もそうだった。だが労働者も呉越同舟だ。ボーイングが今後数年間でどれだけ給料を支払うかだけでなく、1世代後に会社が存続しているかどうかも念頭に置くべきだ。
Water regulator signals further increase to bills in England
Companies pushing for prices to increase by up to 84% on top of inflation over next 5 years to boost investment
Regulator Ofwat has signalled that it will allow water companies to lift bills further than initially proposed after the industry argued that it needed more money to invest in Britain’s ailing infrastructure.
Ofwat said on Tuesday the industry had made a fresh push to increase prices beyond the regulator’s draft decision in July to fund an additional £7bn of investment, which would take the total to £108bn.
“This increased expenditure request will, if approved, increase customer bills compared to our draft determinations,” it said.
Water companies are currently negotiating with Ofwat the extent to which they can raise real terms bills over the five years until 2030, with a final decision expected in December or January.
In July the water regulator for England and Wales angered the sector by rejecting its demand for an average 29 per cent increase in bills in favour of a 19 per cent rise.  
Now companies have come back with a request to raise them by 40 per cent, which would take the average household bill to at least £615 a year in five years' time compared with £439 now — even without inflation. 
Water companies argue that the need for bill increases reflects a rise in the scope of their proposed investment schemes, and increased regulatory costs. They are also facing higher labour, chemical, energy and financing charges.
“Ofwat usually improves its offer between the draft and its final decision and in this case its initial proposals would not have been high enough to finance the need for investment,” said Dominic Nash, analyst at Barclays.
Southern Water has proposed the largest 84 per cent increase in bills after initially proposing a 73 per cent rise. Ofwat had proposed a 44 per cent increase for Southern during its draft determination in July.
Southern said: “We are taking this approach in response to what our communities have told us they want us to deliver.”
However, there is a wide range of requests from companies with Northumbrian Water seeking the lowest rise at just 21 per cent.
Thames Water has gone back to Ofwat to ask for a 53 per cent rise in real terms after the water regulator rejected its proposal for a more modest 44 per cent jump earlier this year.
The troubled water giant, which is teetering on the brink of collapse, had been told in July by the regulator that it would be limited to a 23 per cent increase in household bills.
The company provides water and sewerage services to about 16mn households in London.
Thames Water needs the bill increases to raise new equity after existing investors declared that the business was “uninvestable” under Ofwat’s current regime.
The company is scrambling to find new equity and risks running out of cash by Christmas. It has already warned that its ageing infrastructureis a risk to public safety. 
Thames Water and Northumbrian declined to comment.
Water UK, which represents the industry, said: “Since first submitting their investment plans over a year ago to Ofwat, water companies have new legal additional requirements to fulfil, along with inflation costs to bear.”
米マクドナルドのハンバーガーが集団食中毒に関連、1人死亡-CDC - Bloomberg
米疾病対策センター(CDC)は、同国西部で発生した腸管出血性大腸菌の集団感染にマクドナルドの「クォーターパウンダー」が関連していると発表した。これまでに49人が体調不良を訴え、1人が死亡した。
CDCによれば、子供1人を含む10人が入院。体調不良の症状が出る前にマクドナルドで食事をしたと報告しており、具体的には「クォーターパウンダー」を食べたと述べているという。
マクドナルドの株価は通常取引終了後の時間外で一時9%下落した。
ゴールドマン、米当局が制裁金か クレカ事業巡り - WSJ
米金融大手ゴールドマン・サックスはクレジットカード事業の業務慣行を巡り、米消費者金融保護局(CFPB)に多額の制裁金を科される見通しだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者によると、今回の措置は不正行為や返金への対応など、ゴールドマンの顧客サービス業務を巡る調査に関連しており、クレジットカード事業でのアップルとの提携に焦点を当てている。
ゴールドマンはすでに、こうした規制上の問題に対処する取り組みを進めている。
この措置は早ければ今週中にも発表される見通しだが、具体的な金額は不明。一部の顧客への払い戻しを含めた制裁金の総額は5000万ドル(約75億円)を超えるとみられる。
ゴールドマンは2022年、CFPBが同社の「クレジットカード口座管理方法」について、請求書の訂正やカード利用者への返金にどう対応しているかなどを調査していると明らかにした。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、調査はほぼ全面的にアップルとのクレジットカード事業に焦点を当てていると報じていた。
●日本企業
●米大統領選挙
トランプ氏を直撃 WSJ論説室との一問一答 - WSJ
アラブニュース-YouGovの世論調査、次期選挙でのアラブ系米国人による大量投票を予測、パレスチナが最優先事項に|ARAB NEWS
トランプ政権に仕えた多数の米軍幹部、再選に警鐘  - CNN.co.jp
JPモルガンのダイモンCEO、ハリス氏勝利なら政府要職検討=米紙 | ロイター
主要激戦州の有権者登録データは共和党に有利な影響力の変化を示している | Fox News
「ちょっとうんざり」:ハリス氏、重要な激戦州で裏目に出る可能性のある行動 | Fox News
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
ECB、利下げで後手に回るリスク 機敏な行動必要=仏中銀総裁 | ロイター
ユーロ圏インフレ率、予想より早期に目標達成の公算=ECB総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は22日、ユーロ圏のインフレ率は低下傾向にあるとし、予想より早くECBが目標とする2%に戻る可能性があると述べた。
ラガルド総裁はブルームバーグ主催のイベントで、ユーロ圏のインフレ率は「2025年中に持続可能な形で目標に達すると確信している」と述べた。
ECBは最新の経済予測で25年第4・四半期にインフレ目標が達成されるとの見方を示しているが、これよりも早く達成される可能性はあるかとの質問に対し、「それを望んでいる」と答えた。
ただ、インフレに対する勝利を宣言する段階にはないとし、慎重な姿勢が必要と指摘。今後の利下げペースは経済指標次第になると述べた。また、景気を刺激も冷やしもしない中立金利の水準が明確でないため、予想されるターミナルレート(政策金利の最終到達点)を巡る明言は避けた。
エコノミストは中立金利は2.00─2.25%近辺にあると推測。ラガルド総裁は、現時点の中立金利は数年前よりも高くなっている公算が大きいとしながらも、なお制約的な領域にある現在の政策金利は下回っているとの見方を示した。
インフレ率、予想より早く低下の公算=オーストリア中銀総裁 | ロイター
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
IMF、24年の米成長率見通し引き上げ 中国・日本は下方修正 | ロイター
国際通貨基金(IMF)は22日に公表した最新の世界経済見通しで、米国、ブラジル、英国の2024年の経済成長率予測を引き上げ、中国、日本、ユーロ圏を引き下げた。武力紛争や新たに貿易戦争が勃発する可能性、金融引き締め策の影響といったリスク要因が山積していると指摘した。
世界の成長率予想は3.2%で据え置いた。25年については7月時点の予想から0.1%ポイント引き下げて3.2%とした。中期的には、5年以内にコロナ禍前のトレンドを大きく下回る3.1%に低下すると見込んだ。
IMFチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は、米国、インド、ブラジルが底堅さを示しており、雇用が大幅に悪化することなくインフレが沈静化するソフトランディング(軟着陸)を達成したと述べた。
「一部の国で物価上昇圧力が残っているが、世界的なインフレとの闘いは総じて勝利したようだ」とブログに投稿した。
ロイターのインタビューでは、インフレが落ち着く中、一部の国では金利が引き下げられずに金融政策が「機械的に」引き締め過ぎとなり、成長と雇用の重しとなるリスクがあると語った。
「現在、大半の地域で金融政策が望ましい状況にあると評価しているが、インフレが今後も低下し続けるなら、中央銀行は経済活動の面で何が起きているかに注意を払い始めなければならない」と指摘した。
<米は消費好調で成長率引き上げ>
24年の米成長予測は0.2ポイント引き上げて2.8%とした。賃金や資産価値の上昇で消費が想定よりも強くなると見込んだ。25年も0.3ポイント上方修正し、2.2%とした。
ブラジルについては、24年を0.9ポイント大幅に引き上げて3.0%成長を予想。一方、メキシコは金融引き締め策の影響で0.7ポイント下方修正して、1.5%となった。
中国は24年を0.2ポイント下げて4.8%と予想。不動産部門の長引く低迷や軟調な消費者信頼感を、純輸出の増加が一部補うと見込んだ。25年の予想は4.5%で据え置いた。
日本は24年を0.4ポイント引き下げ0.3%とした。供給寸断の影響が残っているとした。
ドイツは製造業が引き続き苦戦していることから今年を0.2%からゼロに下方修正した。これを受けてユーロ圏の24年の成長率見通しは0.8%、25年は1.2%にそれぞれ低下した。
英国は24年が0.4ポイント引き上げられ、1.1%となった。インフレや金利の低下で消費者需要が喚起されるとの見通しを示した。
<貿易リスク>
世界経済の下振れリスク要因としては、米国とユーロ圏、中国の間で10%の双方向関税、さらに米国がその他の国々に10%の関税を課すシナリオや、米国と欧州への移民減少、金融状況の逼迫につながる市場の混乱を挙げた。これが現実になれば、世界全体の国内総生産(GDP)を25年に0.8%、26年には1.3%低下させると予想。
また、中東とウクライナでの紛争が拡大した場合、原油やその他商品の価格が急騰するリスクにも言及した。
IMF、ドイツのGDP伸び率予想引き下げ 今年はゼロ成長に | ロイター
ノルウェーSWF、第3四半期の投資収益率4.4% 株高が寄与 | ロイター
アングル:衆院選後の円急騰リスク台頭、自公過半数割れで混乱警戒 | ロイター
27日の衆院総選挙に向けて、外為市場で緊張感が高まってきた。政治資金問題を抱える自民党の議席減は広く予想されているものの、世論調査で自公の過半数維持が微妙な情勢と伝わったことで、結果次第で政局の不安定化や先行き不透明感が強まり、株安やリスク回避の円高が急速に進むのではないかと警戒する声が出回り始めた。
<ドル3カ月ぶり高値の裏で円高に備え>
ドルはきょう午後の取引で3カ月ぶり高値となる151円台へ一時上昇した。米利下げ観測の後退を受けて米国の10年債利回りが3カ月ぶり水準へ上昇したことなどを支えに、底堅い展開が続いている。
しかし、そうした値動きとは裏腹に、参加者の間で短期的な円高に備える動きが静かに進んでいるという。
前政権の路線が維持されることの多い日本の総選挙が、円相場に直接影響を及ぼしたことはほとんどない。バークレイズ証券によると、2000年以降に実施された8回の総選挙翌日のドル/円の平均変化率はゼロ%だった。今回もこれまでは「総選挙で円が動くことはまずない」(外銀アナリスト)との見方が主流で、多くの参加者の関心は米大統領選に集まっていた。
ところが、ここ数日で報道機関各社が実施した世論調査で、産経新聞が自公の獲得議席が過半数を割り込む可能性がある、共同通信も与党の過半確保は「微妙」と報じるなど、与党の過半数割れ見通しが浮上してきたことで、予想外の市場急変リスクを警戒する声が少しずつ強まってきたのだ。
仮に与党が過半数を割り込むような事態となれば「想定外の結果を受けて市場が一時混乱に陥り、保有リスク量の削減に向けて株を売り、円を買い込む動きが強まるおそれがある」(外銀幹部)との声も上がっている。
通貨オプション市場では、総選挙をまたぐ1週間物のドル/円の予想変動率(インプライド・ボラティリティー)が9%台と、前週の3カ月ぶり低水準の7%から上昇した。プットとコールオプションの価格差を示すリスクリバーサルも円高警戒方向へ拡大しており、円高リスクを意識する参加者が少しずつ増えていることを示唆している。
<過半数割れでも円高は一時的との見方>
もっとも、与党の獲得議席数が実際に過半数を割り込み、混乱の下で株安や円高が進んだとしても、反応は一時的との見方は少なくない。
相次ぐ世論調査の結果を受けて、市場では日本維新の会や国民民主党が連立政権に参画した場合、今後の経済・金融政策にどのような影響があるのか、幅広い議論が交わされている。
両党とも現時点では自公との連立に慎重姿勢を示しているが、維新は消費税率の引き下げや日銀法改正、国民民主も賃上げや減税などを主張しており、もし連立参画となれば、景気刺激的な政策が押し出される機会が増えて「円安圧力がかかりやすくなる」(みずほ証券チーフ為替ストラテジストの⼭本雅⽂氏)見通しにもなり得るためだ。
ふくおかフィナンシャルグループ・チーフストラテジストの佐々木融氏は、与党の議席数が過半数を割り込めば、目先は政治的な混乱を嫌気する形で株安と円高が一時的に進む可能性が高いとみる。
しかし「政局混乱は日銀の金融引き締めを遅らせることになり、政策もポピュリズム色の強いばらまきが加速しかねない。結果的には円安へ振れるのではないか」と分析している。
ムーディーズ、米銀行システムの格付け見通し「安定的」に引き上げ | ロイター
格付け会社ムーディーズは21日、米国の銀行システムの格付け見通しを従来の「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。利下げと緩やかな経済成長の持続により、銀行の資産の質が安定し、収益性が向上するとの予想を反映したもの。
資産運用会社の利益率、28年にかけて一段と低下も=独zeb調査 | ロイター
投資家が上場投資信託(ETF)などの手数料が低い商品を選ぶ傾向が強まっているのを受け、資産運用会社の利益率が過去2年間低下しており、2028年にかけて一段と低下する可能性が高いことがドイツの金融戦略助言会社、zebコンサルティングの調査で分かった。
調査は米ブラックロック、ステート・ストリート、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスなど世界の資産運用会社40社を対象とした。2023年の運用資産に対する利益率は0.082%となり、21年の0.101%、22年の0.094%から低下した。
調査の基本シナリオによると、運用資産に対する利益率は28年までに0.055%に低下する。最悪の場合には0.039%まで低下する低下する可能性もある。
一方、最良の場合には0.091%へ上昇する可能性もある。
調査の著者の1人であるzebのシニアコンサルタント、フレンク・ハメリウス氏は21日に「良かった時代は終わりを告げた」と述べた。
ここ数年間に金利が上昇したため投資家は株式ファンドから債券ファンドへ資金を移動させ、資産運用会社の利益率が低下した。調査対象企業の運用資産は過去5年間に平均で年率8.8%増加したが、営業利益は年率で0.7%しか増えなかった。
「ゾンビ企業」の淘汰加速か、日銀利上げで耐えきれなくなる公算大 - Bloomberg
30年にわたって日本銀行の超金融緩和政策が続いた後、わずかな利上げでも、支払い不能に陥る「ゾンビ企業」が急増し、淘汰が加速しかねない状況にある。
東京商工リサーチが今月発表した全国企業倒産状況によれば、2024年度上期(4ー9月)の倒産件数は5095件と10年ぶりに5000件を突破。負債総額は約1兆3800億円で、産業別ではサービス業が最多だった。
ゾンビ企業とは、営業利益だけでは借入金の利払いが困難な状況にある企業と定義され、日本の低金利と政府支援のおかげで長年生き延びてきた。投資も人材採用もできないゾンビ企業は、新規企業の誕生を阻害し、雇用の流動性を妨げている。CLSA証券のストラテジスト、ニコラス・スミス氏によると、ゾンビ企業を一掃することはそれほど悪いことではなく、より健全な新規企業が参入する余地を与え得る。
ゾンビ企業はどれも倒産しても「悲しまれることはないだろう」と話すスミス氏は「日本では失業を心配する必要がなく、むしろ深刻な労働力不足が最も懸念される状況になっている」と指摘した。
東京商工リサーチの3月のリポートによると、金利が0.1ポイント上昇すると、利益のほとんどを負債返済に充てているゾンビ企業の数は、約56万5000社から約63万2000社に増加する可能性がある。
そのうちの1社は、国内最大の旅行代理店の一つであるエイチ・アイ・エス(HIS)だ。2023年10月期に14億円の営業利益を計上したが、純支払利息は15億円に上った。
低価格パッケージツアーで知られるHISは、新型コロナウイルス禍後の日本からの海外旅行の低迷で苦戦を強いられている。日本に海外から観光客が殺到しているのとは対照的だ。数十年にわたる低金利政策のもう一つの遺産である円安が一因。ブルームバーグが集計したデータによると、HISは20年以降、負債をさらに増やし、現在は300億円の債務を抱えている。
同社はコメントを控えた。
「ゾンビ企業」という用語は、2008年に星岳雄・東京大学教授を含む3人の教授が作り出した。星教授はゾンビ企業を経営課題に対処せず、政府や債権者からの金融支援で破綻を免れている企業と定義している。
一方、国際決済銀行(BIS)は、設立から10年超で3年以上にわたってインタレスト・カバレッジ・レシオ(年間の事業利益が金融費用の何倍かを示す指標)が1を下回る企業をゾンビ企業と定義している。
今年最大の倒産案件の一つは、三菱航空機の後継会社MSJ資産管理の特別清算で、負債総額は6413億円に上った。その他に環境経営総合研究所、ホクシンメディカル、アサヒフードクリエイトなどがある。
銀行・保険だけでなく、日本のあらゆるセクターや地域でこの6カ月間に倒産件数が増加している。金利が上昇し、運輸や人工知能(AI)、ソフトウエアなどの産業がグローバルプレーヤーとの熾烈(しれつ)な競争にさらされる中、この数字は今後も増え続ける見通しだ。
日本の大企業でさえ、もはや倒産の可能性から免れることはできない。2023年、パナソニック液晶ディスプレイが国内の倒産企業の中で負債総額トップとなった。競争により、液晶ディスプレーパネル事業は自動車および産業分野に重点を移したが、米中貿易摩擦による打撃を受けた。
親会社のパナソニックホールディングスはパナソニック液晶ディスプレイの清算を決定。負債総額は5836億円だった。パナソニックが21年に持ち株会社体制に移行したのは、各部門の説明責任と収益性の改善が狙いだった。経営最高責任者(CEO)の楠見雄規氏は今年5月、「最適な所有者」を見つけることで業績不振部門の改善を図ると述べている。
日本では負債を抱えた企業数が急増しており、そのペースはバブル崩壊後の1992年より速いとのデータもある。東京商工リサーチによると、ゾンビ企業は日本の上場企業の14%を占めている。
またゾンビ企業はレストランやホテル、運輸、観光など国内で労働力不足が最も深刻な業界に集中しているという。
生産性の低い企業は雇用や競争力を維持できず、買収や身売りもできず、利益を生み出すこともできない。特に大都市の人口密集地以外では、経営難が続く企業への投資は難しくなる。
しかし、数十年にわたる低金利の融資や手厚い補助金が破綻寸前のバランスシートを抱える非生産的な企業を次々と生み出してきた。日本政府は新型コロナウイルス禍にこうした企業に巨額の資金を注ぎ込んだ。一部の専門家はこうした「無利子・無担保」の融資が最近の倒産急増の主因になった可能性があると指摘している。
中小企業が倒産するとその従業員が解雇され、別の企業、願わくば収益性や生産性がより高く、収支のバランスが良好な企業に転職できる可能性が出てくる。どちらかといえば、これは日銀の利上げによる自然ながらも意図せざる副産物であり、高齢化と人口減少に伴う労働力不足の進行に歯止めをかけるのに役立つかもしれない。
みずほリサーチ&テクノロジーズの主席エコノミスト、服部直樹氏は「日本は経済環境の大きな転換点を迎えつつある状態で、企業もそのデフレ環境からのマインドチェンジなど意識転換を図っていくことが求められる」と指摘。倒産件数の増加は避けられないが、だからといってこれらの企業全てを倒産に追い込むべきではなく、どの企業をどのように支援できるかを決めることが課題だとした。
各企業は独自の事業を展開しており、それぞれに合わせたアプローチが必要だ。一部の専門家は地元の金融機関がこのようなアプローチに最適な立場にあると主張している。
東京商工リサーチ情報本部の原田三寛部長は「目指すのは倒産増加ではなく、債務の減少だ」とし、これがわれわれの暮らし方を守ることにつながるとの見方を示した。
今のところ、日銀が利上げを急ぐ可能性は低いもようだ。日銀は先月、金融政策の据え置きを決定したが、服部氏は日銀が来年1-3月に金利を最大0.5%まで引き上げると予想している。これは1990年代初頭以来の高水準で、負債を抱えたり倒産したりする企業がさらに増えるかもしれない。
CLSAのスミス氏は、金利が上昇すると円高が進み、インフレが低下し、消費者に一息つく機会をもたらすと指摘。「もちろんストレスは大きいが、世界が金利上昇に対応しなければならない。経済全体としては金利が上昇した方がはるかに良い」と語った。
米株下落の前触れか、エクスポージャーは10%安伴う水準に-シティ - Bloomberg
英独初の防衛協定 兵器開発など、トランプ氏再選に備え - 日本経済新聞
日銀の緩やかな利上げ継続を予想、インフレ持続に確信深める-IMF - Bloomberg
ジャンク債の発行急増、好調な米市場環境に乗じる - WSJ
財務体質の弱い企業が好調な米市場環境に乗じてクレジット市場に殺到している。各社は、既存債務の借り換えや財務体質の強化、株主配当用の資金調達のために、社債やローンを大量に発行している。
調査会社ピッチブックLCDのデータによると、9月だけで、食品流通大手USフーズ・ホールディングやクルーズ船運航大手ロイヤル・カリビアン・グループなどの企業が、ジャンク債(投資不適格債)とローンで計1097億ドル(約16兆5000億円)を借り入れた。月間合計額としては2005年以降で3番目の大きさとなった。
ブルームバーグのデータによると、投資家がジャンク債保有の見返りに要求するプレミアム(米国債に対する上乗せ利回り)は、先週2.85ポイントに低下した。これは2021年に付けた14年ぶりの低水準をわずかに上回る程度に過ぎない。つまり投資家は、近いうちに景気後退入りし、低格付け企業が経営破綻やデフォルト(債務不履行)に陥るとの懸念をほとんど抱いていないようだ。
こうした楽観論が広がったのは、米雇用統計が2カ月連続で好調な結果となり、夏場に懸念されていた景気後退観測がほぼ払拭されたことが大きい。主要株価指数の最高値更新が相次ぐ中、企業の借り入れ急増によってウォール街の強気ムードに拍車がかかり、比較的リスクの高い企業でも必要な時に資金を調達できる環境となっている。
シティグループの米国クレジット戦略部門責任者、マイケル・アンダーソン氏は「クレジットは信頼に左右されるものであり、投資家は現在、高い信頼を示している」と述べた。
企業は最近の借り入れで多くのことを成し遂げた。米連邦準備制度理事会(FRB)が2022年に積極的な利上げを行っていた頃、多くの人は低格付け企業が既存債務借り換えのための資金調達に苦労するのではないかと懸念していた。
しかし現在、モーニングスター米国ハイイールド債指数とモーニングスターLSTAレバレッジドローン指数の対象であるジャンク級社債・ローンのうち、満期がまだ2025年となっているものは650億ドルにとどまる(ピッチブックLCD調べ)。22年末時点の3470億ドルや23年末時点の1810億ドルから大きく減っている。大量の債務が同時に満期を迎える「満期の壁」は2028年以降におおむね先送りされた。
最近の債務発行急増は借り換え目的にとどまらない。ピッチブックLCDによると、9月に発行されたジャンク級ローンでの調達資金のうち、約221億ドルが株主への配当支払いに充てられた。2000年以降の月間合計額としては最大で、2位以下を大きく上回る。
こうした傾向は金利上昇が一因だと、投資家やアナリストは指摘する。高金利によってプライベートエクイティ(PE)投資会社は保有企業の売却が難しくなり、他の手段で投資家にキャッシュを還元するようになっている。
しかしこれは、市場がバブル気味であることの典型的な兆候でもある。投資家はローンの購入に熱心なあまり、企業の収益性向上につながる投資ではなく株主還元の原資に使われる企業の債務を膨らませることに積極的になっている。
資産運用会社ボヤ・インベストメント・マネジメントのパブリック・クレジット部門責任者、ランディー・パリッシュ氏は「市場に資金があり、かなり魅力的な条件もある一方、新たな債務発行が十分でない場合、必然的により積極的な行動が見られるようになる」と述べた。
ピッチブックLCDによると、自動車ガラスの修理・交換を手掛ける英ベルロン・インターナショナルは今月、配当資金の調達を目的とした過去最大規模のジャンク債発行に踏み切った。同社は、既存のタームローン約43億ユーロ(約47億ドル、約7050億円)の借り換えと、株主配当用の資金約44億ユーロの調達のため、90億ドル相当のローンおよび社債を発行した。格付け会社S&Pグローバル・レーティングはこれを受け、ベルロンの信用格付けを引き下げた。重要指標である、利益に対する負債の比率が大幅に上昇したことを踏まえたという。
それでも、ベルロンのドルおよびユーロ建て社債・ローンに対する需要は非常に強く、投資家は当初条件を下回る利回りと貸し手保護を快く受け入れた。
ヨーグルトメーカーの米チョバニは先週、社債6億5000万ドルを異例の条件で発行した。同社は利息を現金で支払うか、社債を追加発行して支払いを繰り延べることができる。同社は、調達資金を間接的な親会社への配当に充て、残りを一般事業目的に使用すると発表した。発行予定額は5億ドルだったが、需要が予想を上回ったため増額することができた。
現在は、多くの企業が前回債券市場で資金調達した時よりも金利が上昇しているため、発行済み社債の平均利率は徐々に上昇している。FRBが利下げを開始した今でも、当面はこの傾向が続く可能性が高い。
ブルームバーグ米国ハイイールド指数の対象債券の平均クーポン(表面利率)は足元で6.34%と、2022年初めの約5.7%から上昇している。
しかしこれは依然として、2010年代の大半で見られた平均水準をはるかに下回っており、一部のアナリストは最近のじり高傾向をそれほど懸念していないと述べている。
シティグループのアンダーソン氏は「企業が借り換えているのは、FRBがゼロ金利政策を取っていたために利率が法外に低かった債券だ」とし、「利率はより高くなっているが、経営や財務を急変させるほどの金額ではない」と述べた。
●中東情勢
カタール、日本と韓国向けLNG供給の新規契約獲得で苦戦 | ロイター
過去数十年間にわたり液化天然ガス(LNG)市場を牛耳ってきたカタールが、世界第2位と第3位のLNG輸入国である日本と韓国へLNGを供給する新規契約の獲得で苦戦している。米国、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーンなど第三国への転売を認める生産国との競争が激化しているためだ。
カタールはかつて日本と韓国向けのLNG供給で首位に立っていた。しかし不要になったLNGの転売が可能な、買い手にとって柔軟な条件で供給に応じる米国などの生産国が台頭。消息筋によると、転売禁止条項を巡りカタールが強硬な姿勢を採っていることから、日韓との契約交渉が行き詰まっている。
取引業界の幹部は「カタールはLNGの販売で市場支配を維持しようと多くを要求するが、UAEのアブダビ国営石油会社(ADNOC)やオマーンなど(他の生産者)は有利な価格を得られれば満足する。ADNOCは供給の多様化が求められている今の状況をうまく利用している」と述べた。
カタールは日本、韓国と新規供給契約を締結できなければ、市場での地位が一段と低下しそうだ。既に2023年には供給面で世界トップの座を米国に奪われた。
日本のLNG需要は、原発の再稼働や再生可能エネルギーの増加、経済の減速を背景に減退している。カタールは日本のLNG市場でのシェアが2018年の12%から23年には4%に低下。半面、同じ期間に米国のシェアは3%から8%に上昇した。
カタールは韓国市場におけるシェアも2018年の32%が23年には19%に低下。この間にオーストラリアのシェアは19%から24%に、マレーシアのシェアは8%から13%にそれぞれ上昇した。
●エマージング
半導体メモリー市場、中国発の過剰供給に懸念 - WSJ
投資家は半導体メモリー市場について、中国企業の大規模な増産が回復を妨げかねないと懸念している。今のところ差し迫った脅威ではないとみられるものの、将来的には中国が状況を一変させる要因となる可能性がある。
半導体メモリー大手の株価は昨年から力強い上昇を見せ始めたものの、今年半ばに急失速した。韓国のSKハイニックスと米マイクロン・テクノロジーは足元ではやや持ち直しているものの、韓国のサムスン電子を加えた3社の株価は7月につけた高値を20~30%ほど下回る水準で推移している。
人工知能(AI)ブームは高性能メモリーチップの需要を大幅に押し上げ、SKハイニックスとマイクロンの製品は特に引き合いが強まった。メモリー市場全体で首位に立つサムスン電子は競合他社に後れを取っている。同社が今月発表した業績は期待外れとなり、不振を謝罪する結果になった。
ただ、業界で最近の懸念材料となっているのは、中国のメモリーメーカーによる積極的な生産能力拡大だ。中でも、半導体メモリーの一つであるDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)に対して中国の長鑫存儲技術(CXMT)が設備投資を強化していることが関心を集めている。調査会社トレンドフォースによると、中国メーカーはシリコンウエハー換算のDRAM生産能力で2022年は世界全体の4%を占めていたが、今年は11%へと大きく伸びた。モルガン・スタンレーは、世界市場における中国のDRAM生産能力の割合は来年末までに16%に達する可能性があると予想している。
ただし、実際の影響は現時点では小さい。調査会社バーンスタインによると、CXMTのビット密度(単位面積当たりの実際の記憶容量)は先端品を手掛ける競合他社のビット密度の55%に過ぎない。歩留まりも低く、問題のないチップを生産能力に見合うだけ生産することは難しい。
供給拡大が影響を及ぼすのは、現時点では主にレガシーチップ(前世代の半導体)だ。こうした低価格帯のチップの価格は下落基調にある。一方で、高価格帯のチップは相対的に底堅さが見られる。低価格帯に力を入れる半導体メモリー会社のほうが株価の下げがきつい理由もここにある。例えば、台湾の南亜科技(ナンヤ・テクノロジー)の株価は年初から43%下落している。メモリー市場のシェアが合計で8割を超えるサムスン、SKハイニックス、マイクロンの大手3社は、低価格帯市場での存在感が比較的小さい。
また、西側の輸出規制によって、中国のメーカーが次世代製品に迅速に移行することは難しくなるかもしれない。バーンスタインでは、CXMTは世界の競合他社と比べ技術的に6~8年程度遅れていると推測する。ただ、中国と西側との間で高まる地政学的緊張の高まりを背景に、スマートフォンメーカーなど中国企業の間では、自社製品にはできるだけ国産のメモリーチップを採用する強い動機がある。この分野に中国政府は資金を投入しており、国内企業は予想以上に早い進歩を遂げる可能性がある。中国は半導体メモリーのメーカーにとって大きな市場であり、JPモルガンによると、世界のDRAM需要全体の約20~25%を占める。
こうした国内需要を満たす上で、中国企業が外国企業に取って代わり始めれば、韓国や米国の企業は過剰生産能力を抱え減産を余儀なくされるか、あるいは世界市場で製品を安値で売りさばくことが考えられる。
半導体メモリー大手は今のところ、中国の競合がもたらす脅威について安心していられるかもしれないが、背後には注意する必要がある。
中国企業、保有外貨の人民元への転換拡大=外為当局 | ロイター
人民元資産に対する海外需要が増えている=中国外為管理局 | ロイター
中国の若年失業率、9月は17.6% 3カ月ぶりに低下 | ロイター
中国国家統計局が22日発表した9月の若年層(16─24歳、学生を除く)の失業率は17.6%となり、3カ月ぶりに低下した。
若年層の失業率は、6月の13.2%から7月には17.1%に急上昇、8月には18.8%と、統計区分から学生を除いて以来の最高水準を2カ月続けて更新。約1200万人の学生が労働市場に参入したことが背景にあった。
統計局は若年層の失業率が昨年6月に21.3%と過去最高を記録したことを受け、いったん公表を中止。同12月に若年層の区分から学生を除く変更を行い、公表を再開した。
大学生を除いた25─29歳の失業率は6.7%で、30─59歳では3.9%だった。
中国、自然災害の経済損失急増 第3四半期は上期の2倍以上 | ロイター
中国では自然災害による直接的な経済損失が第3・四半期に2300億元(323億ドル)と、上半期の2倍以上に達した。超大型台風や洪水などが被害をもたらした。
応急管理省が22日公表した1─9月のデータからロイターが算出した。上半期は931億6000万元だった。
9月は上海市に台風13号(バビンカ)が上陸。同市を直撃した台風としては過去70年で最強となった。海南省には超大型台風11号(ヤギ)が上陸し、100万世帯近くが停電した。
1─9月の自然災害による直接的な経済損失は3232億元。前年同期の3083億元を上回った。
1─9月の被災者は8400万人以上。死者・行方不明者は836人。335万人近くが自宅を追われた。倒壊した家屋は5万軒、損傷を受けた家屋は63万軒。約905万ヘクタールの農地が被害を受けた。
アングル:米大統領選で明暗分かれる中南米諸国、貿易と関税が焦点 | ロイター
米国の政治はハリス米副大統領の下で継続性を保つのか、それとも在任期間中に中南米主要国の市場と経済を不安定化させたトランプ前大統領が返り咲くのか――。中南米諸国は今、11月5日の米大統領選を、かたずをのんで見守っている。
選挙結果は貿易、関税、米金融政策による世界の金利への影響を主な経路として中南米地域に波及しそうだ。とりわけ米国と中国の「経済戦争」が報復合戦に発展した場合には、メキシコに動揺が走る一方、ブラジルには追い風が吹く可能性がある。
より大局的に見ると、トランプ氏が勝利すれば中南米地域全体にショックが広がり、一部の国の通貨と中央銀行にしわ寄せが及ぶかもしれない。ただ、コモディティー産出国や対中貿易との関連が深い国はおおむね打撃を免れる可能性もある。
バイデン政権はトランプ前政権の対中関税を踏襲しているが、その路線を大枠で受け継ぐ計画のハリス氏は「対中ハト派」とみなされている。これに対し、トランプ氏は中国製品への関税を60%程度に急激に引き上げると表明している。
2026年に予定される「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の見直し協議にも、中国は影を落とす。メキシコにある中国企業の工場で生産された製品などは、メキシコ製として扱われなくなる可能性があるからだ。トランプ氏は数週間前、メキシコからの輸入車に最高200%の関税を課すと述べた。
ボントベルの新興市場ストラテジスト兼債券ポートフォリオマネジャー、カルロス・デ・ソウザ氏は「トランプ政権になれば(中国との)貿易戦争が激化するだろう」と予想。トランプ氏が選挙で勝利した場合にはUSMCAの見直し協議を交渉の武器に使い、自動車の「原産地原則」を変える可能性があると語った。
デ・ソウザ氏は、メキシコに関する貿易ルールに厳しい視線が注がれるようになれば、メキシコの資産価格のボラティリティー水準が過去5、6年間に比べて高まりかねないと付け加えた。
投資銀行ラザードは最近の顧客向けノートで、米国への全輸入品に10%の関税をかけるというトランプ氏の提案について、諸外国が米国の親密な貿易相手国に拠点を置くことで関税を免れるのを阻止するのに使われる可能性があると説明した。
メキシコなどの中米諸国に比べ、南米諸国は米国の貿易政策厳格化による影響を回避しやすい立場にあるかもしれない。ラザードは、銅とリチウムの生産大国であるチリについて、これらの資源の対米輸出を代替できる国が少ないため影響をほぼ免れる可能性があると指摘している。
一方、大統領選でハリス氏が勝利した場合には状況が変わってくる。ラザードは先週公表した10月の新興国市場見通しで、民主党のハリス氏が勝利する一方でねじれ議会になった場合、「関税のリスクは下がり、米国の成長率が低下して投資環境が悪化する結果、新興国市場資産のアウトパフォーマンスが維持される可能性がある」とした。
トランプ氏が返り咲いた場合、コモディティー輸出国の多い南米諸国はかえって恩恵を被る可能性もある。
南米諸国はまた、中米諸国ほど米国からの仕送り送金に頼っていないため有利かもしれない。トランプ氏が副大統領候補としているバンス上院議員はこうした送金に対する10%の課税を提案している。
ホンジュラスやエルサルバドルなど中米諸国の一部は、国内総生産(GDP)の20%以上を移民からの送金が占めている。つまり、課税提案が実行されればGDP成長率が年率数ポイント下がりかねない。メキシコの場合、2023年の推計に基づくと資金流入が年間60億ドル余り減る計算だ。
トランプ前政権下で米中貿易摩擦が高まった2018年、中国は米国からの大豆輸入を全てブラジルからに切り替えた。中国は既にブラジルにとって最大の貿易相手国であり、中国との貿易がさらに増えれば恩恵も増すだろう。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州新興国市場担当の最高投資責任者(CIO)、アレホ・チェルウォンコ氏は「関税によって南米諸国が潤う可能性もある。報復合戦になり、1次産品の購入先が米国からブラジルやアルゼンチンに移行する結果だ」と述べ、「関税を巡る不透明感は中南米に悪影響を及ぼすだけ、というのは単純すぎるかもしれない」と付け加えた。
第2次トランプ政権になれば、ハリス政権になる場合よりも財政赤字を膨らませ、インフレ率、ひいては金利の上昇をもたらすと予想されている。世界的に金利が上がれば、中南米の資産も圧迫されかねない。
一方、トランプ氏が返り咲けば、トランプ氏に似た攻撃的なスタイルで知られるアルゼンチンのミレイ大統領にとっては追い風になるかもしれない。ミレイ氏は今年、ワシントン近郊で開かれた保守派の集会でトランプ氏と共に登壇した。
トランプ氏が勝てば、ミレイ氏は米国から追加的な支援を得られる可能性がある。アルゼンチンは現在、国際通貨基金(IMF)による融資プログラムの延長もしくは更新を求めており、米国はIMFの最大出資国だ。
ドイツ銀行の中南米担当首席エコノミスト、フランシスコ・カンポス氏は、トランプ氏は各国に対して個人的なアプローチを強めると予想。「ミレイ氏とトランプ氏は思想が近く統治スタイルも似ているため、トランプ氏勝利のシナリオが実現した場合、アルゼンチンには少し追い風が吹くかもしれない」と語った。
ブラジルのインフレ期待、「非常に大きな」不安定化=中銀総裁 | ロイター
東欧モルドヴァ、EU加盟の憲法修正に僅差で賛成 国民投票 - BBCニュース
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
東証職員がインサイダー取引容疑 監視委が強制調査 - 日本経済新聞
東京証券取引所の職員が証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で強制調査を受けていたことが22日、関係者への取材で分かった。監視委は東京地検特捜部への告発を視野に詳しい取引状況などを調べている。
関係者によると、強制調査を受けたのは東証の若手職員。企業の公開前の適時開示情報を基に株式を売買した疑いが持たれているという。
「うんこクイズ」に頼った金融庁 SNS投資詐欺から若者守れ YOUTH FINANCE⑤ - 日本経済新聞
AI、人の代わりにパソコン操作 米アンソロピックが開発 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(22日) | ロイター
ロンドンと欧州株式市場は、地政学的リスクや米大統領選、世界的な金利引き下げの不透明感が影響し、下落して取引を終えました。特に公益事業株が大きく下落しましたが、ドイツのソフトウェア大手SAPの好調な業績見通しでテクノロジー株は上昇しました。
ドイツ10年債利回りが上昇し、欧州の債券市場にも圧力がかかっています。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待の減少により、米国債利回りの上昇が欧州債券市場に影響しています。
NY市場サマリー(22日)ドル2カ月半ぶり高値、利回り上昇・ナスダック続伸 | ロイター
ドルが2カ月半ぶりの高値に上昇しました。これは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが緩和されるとの見方や、米大統領選を見据えた投資家の動きによるものです。ドル指数は8月以来の高値となり、ユーロと円に対してもドル高となりました。米大統領選では、トランプ氏が再選した場合、関税導入などでインフレが加速する可能性が指摘されています。
米国債利回りも上昇し、特に10年債利回りは3カ月ぶりの高水準に達しました。株式市場ではダウとS&P500は横ばい、ナスダックは小幅に上昇。一方、GEエアロスペースやベライゾンが下落する一方で、GMは好調な決算により急騰しました。
金相場は安全資産としての需要が高まり6営業日続伸、原油価格も中東情勢の緊張や中国の需要期待により上昇しました。

備忘録(2024/10/21
●海外企業決算
[NUE] ニューコア 3Q減収最終減益 売上高15%減74.4億ドル、純利益78%減2.49億ドル、EPS1.06ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
スターボード、「タイレノール」のケンビュー株を相当数取得=関係者 - WSJ
アクティビスト(物言う株主)の米スターボード・バリューは、解熱鎮痛剤「タイレノール」やマウスウォッシュの「リステリン」を手掛ける米コンシューマーヘルス企業ケンビューの株式を相当数保有している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者らによると、スターボードはケンビューに対し、株価の上昇に向けた改革を求めている。ケンビューは昨年、医薬品・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)から分離独立し、時価総額は400億ドル(約5兆9700億円)超に上る。
ケンビューは業界で最高の消費者ブランドを持っているにもかかわらず、独立した上場企業としてのスタートを切った昨年以降、株価は同業他社や市場全体をアンダーパフォームしていると関係者らは述べた。
今年に入りS&P500種指数が約23%上昇している一方で、ケンビュー株はほぼ横ばいとなっている。
スターボードの正確な持ち株比率や具体的な計画は明らかにされていない。
スターボードのジェフ・スミス最高経営責任者(CEO)は22日にニューヨークで開催されるアクティビスト投資会議「13Dモニター・アクティブ・パッシブ投資家サミット」に出席する予定で、その際にケンビューに関する見解を詳述するとみられている。
スターボードは多岐にわたるセクターに投資しているが、特にテクノロジー分野に積極的で、最近では米顧客情報管理(CRM)ソフトウエア大手セールスフォースやエンジニアリング向け設計ソフトウエアを手がける米オートデスク、米マッチングアプリ運営大手マッチ・グループに出資している。
ディズニー、モルガンSのゴーマン氏を会長に 新CEO発表は26年 | ロイター
米マクドナルド、政治には関与しないと表明-トランプ氏がバイト体験 - Bloomberg
●日本企業
第一生命が木造オフィスビル、高さ日本一 25年都内に - 日本経済新聞
第一生命保険と清水建設は21日、東京・京橋で木造の賃貸オフィスビルの建設現場を公開した。柱やはりに計約1000立方メートルの木材を使い、2025年6月末の完成を目指す。構造材に木を取り入れたオフィスでは高さ約56メートルと完成時に国内最高となる。木のデザインと環境配慮を訴え、テナントの確保を狙う。
ビルは地上12階、地下2階で延べ床面積が約1万6000平方メートル。天井やはりなどの内装の大部分にスギやカラマツなどの木材を採用した。製造時に大量の二酸化炭素(CO2)が発生する鉄を減らし、同規模の鉄骨造のビルと比べて地上の構造体の建設に伴うCO2の排出量を約2割削減する。
木は生育時に空気中のCO2を吸収し、炭素を固定しているとみなせる。ビルに使う木材のCO2吸収量は、建物敷地約1300平方メートルの約17倍の広さのスギ人工林が蓄積するCO2量に相当する。
清水建設は耐火性能が求められるはりや耐震性能を高める壁に木材を取り入れた製品を開発した。業務施設設計部の内藤純設計長は「働き手のウェルビーイング(心身の健康や幸福)とサステナビリティーを両立する」と意気込む。
ビルは東京駅から徒歩圏内にあり、木材を取り入れた外観が大通りの交差点に面する。第一生命の不動産部の松永崇不動産開発課長は「テナントだけでなく京橋を訪れる人にも木造ビルに親しんでもらいたい」と語る。
木材の活用により建築コストが上がるものの、第一生命は木材活用などの環境配慮によって将来の収益力が他のオフィスビルより高くなると判断し、投資判断の基準となる最低利回りのハードルを下げて建設計画に乗り出した。既に一部のテナントが決まっている。
林野庁によると、植林から50年以上経過した人工林は全体の6割を超す。治水や防災の観点からも森林を更新する必要性が高まっており、高層ビルなど都市での大規模な木材活用が重要性を増している。東京駅周辺では三井不動産や東京海上ホールディングスなどが相次ぎ木造超高層ビルの建設計画を進めている。
【丸の内Insight】三菱UFJが次期トップ選び本格化、来春に新体制 - Bloomberg
MUFGが次期トップ選定のプロセスを本格化させる。亀澤宏規社長は来春で就任から5年となるが、このタイミングでMUFGとグループ中核の三菱UFJ銀行は新トップの下での体制に移行する見通しだ。金利のある世界の到来や急速に進むデジタル化で経営環境が大きく変わる中、国内最大の金融グループのかじ取りを誰が担うのか。トップレースは最終局面に入る。
指名委員会等設置会社となっているMUFGは、社外取締役を中心に構成する「指名・ガバナンス委員会」が取締役の選解任を決める。5人の委員のうち、亀澤社長以外の4人が社外取で、委員長は筆頭独立社外取締役の野本弘文氏(東急代表取締役会長)が務める。
複数の関係者によると、同委員会は年に4回程度のペースで開かれ、常にサクセッションプラン(後継者計画)を検討しているが、11月から亀澤社長の後任人事と三菱UFJ銀行を中心としたグループ各社の首脳人事に向けた大詰めの議論に入る。執行サイドが提出した候補者リストを基に指名・ガバナンス委が対象者のインタビューを行い、絞り込むという。
二代前の平野信行社長が社長退任後に持ち株会社会長に就いて以降その流れは続き、現在の三毛兼承会長も社長から会長に就任。同関係者らは亀澤社長も三毛会長の後任に就く可能性が高いとしている。亀澤社長の後任には三菱UFJ銀の半沢淳一頭取(1988年旧三菱銀行入行、東京大学経済学部)が有力視されている。
2021年に三毛氏の後を継いで頭取に就任した半沢氏は、この3年半で三菱UFJ銀行の収益力回復に尽力した。就任直前の21年3月期の銀行単体当期純利益は3メガバンク中3位の1445億円と、みずほ銀行の2674億円、三井住友銀行の3380億円に大きく劣後。しかし、24年3月期には8043億円にまで引き上げ、ライバル2行を凌駕(りょうが)する水準にまで立て直した。
MUFGは24年3月期のグループ連結当期純利益で過去最高となる1兆4908億円をたたき出し、収益面での半沢頭取の貢献は大きい。ある役員は半沢氏について、トップになる帝王学を身に付けているとし、本命視する声が多い。
一方で、20年に副社長から社長に昇格した亀澤氏は、同社で初めて銀行頭取を経ずにトップになった。経営のバトンを渡した当時の三毛社長は記者会見で「銀行頭取の経験がMUFGという総合金融グループをけん引していく上で必ずしも必要だとは考えていない」と述べており、半沢氏以外のトップ起用の可能性も残されている。
多士済々の4人の候補者
半沢氏が社長に就いた場合、焦点となるのは三菱UFJ銀頭取の後任人事だ。複数の関係者によると、4人が候補に挙がっている。(五十音順)
常務執行役員でグローバルコマーシャルバンキング事業本部副本部長を務める大澤正和氏(1991年旧三菱銀行入行、東京大学法学部卒)は、デジタル部門と海外部門での経験が強みだ。シンガポールの配車大手グラブへの出資では当時の亀澤副社長の下で出資をまとめるなど、グループのデジタル戦略を引っ張ってきた。
現在は、グループが成長領域として位置付けるアジア地域の責任者を務める。自らの部門に縛られない全社的な目線でものを考えるとの評がある。
代表執行役常務でグループCSO(最高戦略責任者)の髙瀬英明氏(91年旧三菱銀行入行、一橋大学経済学部卒)は、2024年3月期から始まった中期経営計画の取りまとめを担当した。前中計の増加幅3600億円を大きく上回る5000億円以上の営業純益の上積みを図る野心的な計画を練り上げた。
21年に欧州担当になった際には、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後に混乱した欧州事業の再編やリストラ、欧州当局との折衝に力を注いだ。部下の話を丁寧に聞くとの評がある。
代表執行役専務で法人・ウェルスマネジメント事業本部長の宮下裕氏(1990年旧三和銀行入行、京都大学法学部卒)は、海外から法人やリテール業務まで幅広い業務を担ってきた。現在は、従来型の資産運用だけでなく、オーナー企業の事業承継などから派生する業務も富裕層ビジネスとして位置付け、拡大させている。
自ら掲げた目標に対するコミットメントが強いとされ、旧三和銀行出身のエースとしても期待されている。
執行役常務でリテール・デジタル事業本部長兼グループCDTO(最高デジタル・トランスフォーメーション責任者)の山本忠司氏(92年旧東京銀行入行、東京大学経済学部卒)は、グループ横断のデジタル戦略を担う。銀行やカード、証券、消費者金融などグループの各業態を束ねたマスリテール向けのプラットフォーム戦略の巻き返しを図っている。
常に物腰が柔らかく、決して部下を責めることをしない姿勢は、グループ内での信頼感の醸成に一役買っており、グループ各社の一体感が高まっているという。
グローバル競争で勝ち抜くために
MUFGは2024年3月期に続き25年3月期も最高益を更新する見通しだ。マイナス金利政策解除による追い風もあるが、海外を中心とした出資戦略が着実に成果に結び付いている。
その一方で、国内のリテール戦略ではライバル行と比べて出遅れも目立つ。金利のある世界の到来で、粘着性の高い預金の調達基盤となるリテール戦略の重要性は増している。グローバル競争で勝ち抜くためには、マザーマーケットである日本で盤石な体制をつくれるかどうかも課題となる。メガバンクの中で最もグローバル化が進んでいるが、世界の不確実性が高まる中、慎重かつ大胆な判断も求められる。
金融セクターで圧倒的な地位を占めるMUFGは、国内全業種の中でも時価総額でトヨタ自動車の約40兆円に次ぐ約20兆円を誇る。しかし、世界の金融界では13位にとどまっている。さらなる成長を目指してMUFGがどのような新トップにグループのかじ取りを任せるのか。今回の人事が中長期のMUFGの帰趨(きすう)を決めることになる。
●米大統領選挙
アメリカ大統領選挙、投票先「未定」なお15% 政策は接近 - 日本経済新聞
米大統領選トレード活況、その中身は? - WSJ
投資家が米大統領選を見据えた投資を拡大している。
金融アドバイザーは、選挙に関連して大きな投資判断を下すのは控えるよう呼びかけている。また歴史的に見ても、特定の候補者・政党の勝利が市場に及ぼす影響は予測不可能だ。
ラッファー・テングラー・インベストメンツのナンシー・テングラー最高経営責任者(CEO)は「ドナルド・トランプ前米大統領が当選した時、IT株はアンダーパフォームし、金融株とエネルギー株がアウトパフォームすると予想されていた」が、「実際には正反対の結果となった」と指摘する。
それでも投資家は(選挙を利用して)優位に立とうとしている。投資家がどのような手法で、選挙結果から利益を得ようと(あるいはリスクヘッジしようと)しているかを以下に挙げる。
予測市場
選挙結果に賭ける賭博市場は目新しいものではない。米国では最近、裁判所の判断でそうした賭博が合法化された。
米新興企業カルシや米大手ネット証券インタラクティブ・ブローカーズの子会社フォーキャストEXなどの予測市場では、投資家は、選んだ候補が勝利すると約1ドルを受け取り、負けた場合は無価値となる契約を購入できる。契約価格は需要と候補者の勝利確率に応じて変動する。
一部の予測市場では10月初め以降、オッズがトランプ氏優勢へと大きく傾いている。10月初めの時点では、同氏とカマラ・ハリス米副大統領のオッズは、ほぼ拮抗(きっこう)していた。
米国人が利用できない賭けサイト「ポリマーケット」では18日時点で、トランプ氏が勝利した場合に1ドルを受け取れる契約の価格は約0.6ドルだった。ハリス氏が勝利した場合の同契約は0.4ドルだった。
理論上、実際のお金が賭けられている賭博市場を見れば、選挙結果予想がどう変化しているかがリアルタイムで分かる。だが、ポリマーケットで四つの大口口座が最近行った一連の賭けにより、その背後にいる人物について疑念が浮上している。
最新の世論調査では、選挙を左右する主要な激戦州で両候補の支持率がほぼ互角となっている。
DJT株
トランプ氏のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を運営する「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)」の株式は、選挙結果を予測しようとするトレーダーの標的となり、荒い値動きとなっている。ティッカーシンボルの「DJT」で呼ばれることが多い同社の時価総額は60億ドル(約9000億円)近くに達しているが、これはファンダメンタルズ(基礎的諸条件)とはかけ離れている。例えば、同社の直近四半期の売上高は200万ドルに満たなかった。
DJTは「ミーム株(はやり株)」の地位を獲得し、デイトレーダーを引き付けている。その株価はトランプ氏の当選確率と連動して動くことが多い。
9月中旬以降、DJTの株価は2倍になり、賭け市場サイトでのトランプ氏のオッズ上昇と歩調を合わせている。出来高も急増した。
この同時上昇を受けてトレーダーの間では、大口投資家がDJTや暗号資産交換業大手の米コインベース・グローバルなどトランプ氏の当選見通しに連動する株式を押し上げるために、賭け市場でトランプ氏勝利に大きく賭けているのではないか、との見方が浮上している。
コインベースの株価は10月に約25%上昇している。トランプ氏は最近、意外にも暗号資産業界の味方として浮上した。同氏は、米国が「戦略的ビットコイン準備金」としてビットコインを保有する構想や、同業界の取り締まりを主導するゲーリー・ゲンスラー証券取引委員会(SEC)委員長の解任を公約に掲げた。ビットコインは10月に約5%上昇している。
ボラティリティーへのヘッジ
一部の投資家は選挙に伴うボラティリティー(変動)を抑える方法や、結果にかかわらず勝てそうな取引を探している。
UBSは、選挙関連の取引を望む富裕層顧客向けに、いくつかの短期的な取引を推奨している。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの債券部門責任者、カート・ライマン氏は、金融株と公益株なら、どちらの政権下でも好調に推移しそうだと話す。
「公益株は典型的なディフェンシブ・ポジションだ。高配当であり、経済環境にかかわらず比較的安定したパフォーマンスが期待できる」とライマン氏は言う。「また、人工知能(AI)関連のエネルギー需要の恩恵を受けるセクターでもある」
さらに、金融株には割安感があるとし、金融業界は民主党政権下で最近、好決算を発表したと同氏は言う。
「『ハリス政権』が現状維持を意味し、『トランプ政権』が銀行の規制緩和の可能性を示唆するなら、どちらにしても金融株は魅力的だ」とライマン氏は述べた。
選挙結果が争われた場合の混乱や相場の急変を懸念する投資家にとって、典型的なヘッジ手段となるのは金(ゴールド)だ。金は今年急騰しており、投資家が伝統的な金融資産へのエクスポージャーをヘッジしていることがうかがえる。
通貨
ウォール街はトランプ氏が提案する関税が世界貿易を混乱させる可能性に備えているようだ。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ヘッジファンドはこの数週間、人民元とメキシコペソに対する売り持ちを増やしている。「トランプ政権」下で米国の主要貿易相手国の通貨に対する需要が落ち込むとみて、こうした売りを仕掛けているようだ。
この2週間には、賭け市場でのトランプ氏のオッズ上昇と並行する形で、人民元とメキシコペソの対ドルのインプライド・ボラティリティー(オプショントレーダーが予想する将来の変動幅を示す指標、予想変動率)が急上昇している。
ラザード・アセット・マネジメントのアナリスト陣は最近のリポートで、「輸入関税引き上げの現実味が増している」と述べた。「個々の新興国への直接的な影響だけでなく、世界貿易への連鎖的な影響も予想される」
米大統領選の新たな戦線「デトロイト対世界」 - WSJ
ドナルド・トランプ氏は最近の演説で話し始めてから1時間ほどがたった頃、カマラ・ハリス氏が大統領に当選すれば「われわれの国全体がデトロイトのようになってしまうだろう」と述べた。ハリス陣営はそれを政治的な贈り物と受け止めた。
ハリス陣営の副代表を務めるロブ・フラハティー氏は陣営内部のテキストメッセージのスレッドについて、「誰かが『ワオ』とメッセージを送っているのを見た。何のことかと調べてみると、そのことだった」と話す。「『彼がデトロイトでデトロイトを侮辱したなんて信じられない』という感じだった」
その翌日、ハリス氏の陣営は、地元で人気のあるスローガン「デトロイト対世界(Detroit vs. Everybody)」を「デトロイト対トランプ氏」に変えた広告を発表した。
大統領選の投票日まで2週間余りとなった現在、激戦州ミシガンでのほとんどの世論調査でトランプ氏とハリス氏の支持率はほぼ互角だ。両候補は18日、同州最大の都市デトロイトとその周辺を含む州内各地を駆け回った。ハリス氏は19日、ジャケットの下に「デトロイト対世界」のロゴが入ったシャツを着ていた。ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン各州で民主党支持を象徴する「青い壁」を守るための戦略の一環として、同氏はデトロイトで民主党支持者の投票率を上げようとしている。ハリス陣営はトランプ氏の発言について、何十年にもわたる都市部の衰退を経て、復興を続けていることを誇りにしている地域で有権者の心を逆なでするものだと考えている。
一方、トランプ陣営は彼の言葉がハリス氏によって文脈から切り取られたとし、発言はデトロイトで犯罪率や貧困率の高い状態が続いていることを指摘したものだと述べた。
トランプ氏は18日に再度デトロイトを訪れ、支持者に対し、自身の政権が同市を立て直すと約束した。「光り輝く新しい工場の上にわが国の旗が再び誇り高くはためくようになり、世界中がミシガンの再生を目撃することになる」と述べた。支持者たちは「デトロイトを再び偉大に」との文字を掲げた。
ミシガン州でトランプ陣営の選挙運動に携わる人々は、トランプ氏がデトロイトを開発途上国になぞらえたことについて、無遠慮だが正直だと話す。また同氏の発言は、黒人が80%近くを占める都市部の支持獲得にはマイナスだとしても、同氏の支持者、とりわけ同州の農村部や郊外に住む労働者階級の白人有権者の心には響く可能性があると言う。
トランプ氏の発言はデトロイトの産業界で話題になっており、市民団体や企業のリーダーが怒ったり困惑したりしている。同市は2013年の財政破綻以降、巨額の投資を受けて大きく前進してきたと主張する人もいる。
「トランプ氏がなぜデトロイトの悪口を言うことにしたのか、その戦略が理解できない」。デトロイトの投資会社シックスティーン42ベンチャーズの会長兼最高経営責任者(CEO)で、民主党系の元デトロイト市長の息子でもあるデニス・アーチャー・ジュニア氏はこう話す。「デトロイトで今起きていることを見れば、あの発言がどれほどばかげているか誰でも分かるだろう」
共和党員の中には、デトロイトにはまだ改善の余地があるというトランプ氏の指摘は正しいと言う人もいる。
子どもの頃からデトロイトに住む黒人のバーノン・グライムズさん(65)は「状況は悪い。悪いが、次第に良くなってきている。状況を良くするために動いている人は、誰かが真実を話しても気にしない」と語った。グライムズさんは自宅の前庭にトランプ氏支持のサインを誇らしげに掲げており、トランプ氏支持のポロシャツを着ることが多い。
デトロイトの一部住民は、犯罪は依然として懸念材料だと話す。市内の殺人件数は新型コロナウイルス下で急増したが、2023年には1966年以来最少となった。公立学校の状況を懸念する住民も多い。全米学力調査(NAEP)では、デトロイトの公立学校は他の25の大都市圏との比較で最低レベルに位置し続けている。同市の今年8月の失業率は平均8.8%で、全米の4.2%を上回っていた。貧困率は、入手可能な同市の最新統計である2022年の数値で33.8%だった。米国勢調査局によると同年の全米の貧困率は11.5%だった。
トランプ氏は今月、デトロイト経済クラブで講演し、デトロイトの自動車産業に「ルネサンス」を起こし、不公平な貿易協定の是正に取り組むと明言した。ただ、こう付け加えた。「米国全体が――本当のことを知りたい?――デトロイトのようになるだろう。彼女が大統領になったら、国全体がデトロイトのようになってしまうだろう」
さらにこう続けた。「めちゃくちゃになるだろう。彼女はサンフランシスコを破壊した。この国に対して同じことはさせない」
その後の15日、シカゴでのトランプ氏の発言はエスカレートしたようだ。デトロイトは「ひどい」状態になっていると述べ、「40年前からデトロイトは復活すると言われてきたが、まったく復活していない」と話した。
ハリス副大統領の側近らは、トランプ氏が以前、ボルチモアやミルウォーキーといった都市を軽んじていたことに目を付けており、それが作戦のヒントとなった。ハリス陣営は、ミシガン州知事グレッチェン・ウィットマー氏(民主)など州および地元のリーダーの発言を活用し、迅速に広告制作に動いた。デトロイト出身の俳優コートニー・B・バンス氏はトランプ氏がデトロイトで演説した日の夕方に広告のナレーションを引き受け、陣営は一夜でスポット広告を編集・制作した。
「ここは勝者の都市であり、有望な人材、創造者の都市だ。このモーター・シティは、より大きく、より良い街になっていく」とバンス氏は広告で語った。この広告は、大リーグ(MLB)デトロイト・タイガースのプレーオフとナショナル・フットボールリーグ(NFL)デトロイト・ライオンズの試合中継中に流された。
ハリス陣営のフラハティー氏は「彼は今回の大統領選に決定的な影響を与え得る都市についてコメントしている」と述べた。
ミシガン州在住の富豪、ダン・ギルバートさんはX(旧ツイッター)上でデトロイトの写真を付けてトランプ氏にこう反論した。「あなたが言いたかったのは、米国のデトロイト以外の地域がデトロイトのようになるにはどうすればよいかということだと思う」
ハリス、トランプ両氏が取り込み狙う残り少ない浮動票-選挙戦最終盤 - Bloomberg
米大統領選投開票日まであと15日となり、共和党候補のトランプ前大統領は派手なイベントや異例のメディア出演といった集中的なキャンペーンを通じ、いつもは政治に関心がないような有権者に支持を働き掛ける。
一方、民主党候補のハリス副大統領は同党が優勢な「ブルーウォール」と呼ばれるペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州の死守に焦点を絞り、選挙結果を左右する可能性のある残り少ない浮動票の獲得を目指した新たなメッセージを発信する。
それぞれのアプローチは両候補の根本的な違いを浮き彫りにするものだ。トランプ氏は巧みなメディア戦略などを通じ米政治に大きな影響力を発揮してきたのに対し、ハリス氏は計画的かつ整然とした手法で急速に存在感を増した。
ただ、歴史的に見て今年の大統領選が互角の大接戦の様相を呈しているという点では、両候補は同様の現実に直面している。
両氏の陣営の担当者らは、激戦7州でどちらの候補が支持者および、まれにしか投票しない有権者を最も多く動員することができるかで勝敗が決まるとみている。
トランプ氏は共和党候補選びの予備選の段階から用いてきた戦略として、選挙までの約2週間に若年男性や黒人男性、ラテン系の有権者の支持を固めたい考えだ。 
ハリス氏はこれに対し、郊外在住の女性や黒人のほか、トランプ氏の言動などに不快感を抱く共和党中道派の間での支持積み上げを目指す。
ペンシルベニア州のシャピロ知事は「1ポイントないしそれ未満」の小差での勝負になるとの見方を示した。
ブルーウォール3州ではいずれも民主党のシャピロ知事、ミシガン州のウィットマー知事、ウィスコンシン州のエバーズ知事が過去1週間に州各地遊説のためのバスツアーを行った。
シャピロ知事はハリス氏がペンシルベニア州で勝利するときっぱりと話し、エバーズ知事はウィスコンシン州でのハリス氏勝利に「自信」を感じると表明。ウィットマー知事もミシガン州はハリス氏の勝利だとの予想を示した。
ただハリス氏の陣営は、先月のトランプ氏との討論会後に高まった世論調査での支持率が失速したとして切迫感を抱いている。反トランプ派の共和党支持層にハリス氏をアピールするため、同氏と共に先週のイベントに臨んだ同党のリグルマン元下院議員は大統領選を「デッドヒート」と表現する。
リグルマン氏は「まだ誰に投票するか決めていない人々は多くない。それはトランプ氏には投票したくないが、ハリス氏に投票するか決めかねている層だ」と指摘した。
トランプ氏と共和党圧勝でも米国債への影響限定的-モルガンS予想 - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)の現在の政策見通しを踏まえれば、ドナルド・トランプ氏の共和党が米選挙で圧勝しても、それをきっかけに米国債が急落する可能性は低い。モルガン・スタンレーが予想した。
モルガン・スタンレーは11月5日の投票に向けて投資家が米国債に対して中立的なスタンスを維持することを推奨。2016年に共和党が上下両院で勝利した後に見られたような激しい反応を市場が示す可能性は低いとの見方を示した。当時は金融政策が大幅に引き締められるとの観測が強まったが、今回は状況が異なると同社は論じた。
マシュー・ホーンバック氏らストラテジストはリポートで「多くの投資家は、共和党が上下両院を制するという選挙結果が米国債にとって最も弱気な材料になるとみている」が、「現在のFRBの政策に対する期待と2016年当時の期待を比較すると、米国債利回りの上昇は当時よりも抑制されると当社は考えている」と説明した。
米国債2年物と10年物の利回りは、16年の投票の翌月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上上昇した。共和党の圧勝でトランプ氏は減税や関税賦課などでより強力な権限を手にした。これを受けてFRB当局者と市場の両方が、2年間でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が125bp引き上げられるという見通しを立てた。
今回もトランプ氏は同様の政策を掲げて選挙戦を戦っており、一部の投資家はこれがインフレを招き、米国の財政を悪化させるという懸念を強めている。
しかしモルガン・スタンレーは、16年と同様の金利見通しの上方修正は起こりそうにないとみている。市場は現在、来年末までに約140bpの利下げを織り込んでいる。
「市場参加者は、FRBが直ちに利下げを停止し、25年まで利下げをしないことを想定しなければならないことになる」が、それは「非常にありそうもない」とストラテジストは指摘。
トランプ氏が全勝した場合、投資家はFF金利目標の予想を引き上げる可能性が高いが、それは「その方向への投資を正当化する」のに十分ではないと論じている。
米大統領選、予測市場でトランプ氏勝利に外国人が巨額賭け金 | ロイター
ブロックチェーンベースの予測市場「ポリマーケット」で、今年の米大統領選で共和党候補トランプ前大統領の勝利に多額の賭け金を投じ、オンライン上で話題となっている4つのアカウントの所有者について、関係者は18日、米国人でない人物だと明らかにした。
世論調査をみれば、大統領選はトランプ氏と民主党候補のハリス副大統領の大接戦となりそうだ。しかし、ポリマーケットで見込まれる確率は異なっており、ハリス氏40%に対して、トランプ氏が60%の勝率で大きく先行している。
関係者によると、総額3000万ドル以上の賭けをした4つのアカウントによって大統領選を巡る取引が動かされている。政治専門家やソーシャルメディアのユーザーは、特定の著名米国人がこの動きの背後にいるのではないかと疑問を呈してきた。
しかし、ポリマーケットは米国人が米国の選挙で賭けをすることを許可していない。関係者も、ポリマーケットのユーザーは国際的な存在だと認めており、ポリマーケットは全てのトレーダーを認証し、どの国からアクセスしているかを分かりにくくすることを目的としたVPN経由でのログインをさせないようにしている。ロイターは、4つのアカウントが、単独のトレーダーか複数なのかは特定できなかった。
ポリマーケットは、この賭けの規模と影響を考慮し、外部の専門家と連携して、この動きを調査している。ポリマーケット上のトランプ氏に対する3000万ドルの賭け金は、大統領選に関連するこのプラットフォーム上の取引量の約1%に相当する。
米国人は、オンラインで米国の選挙に賭けることを厳しく規制されている。
遠のくアメリカンドリーム、中間層に疲弊の色-選挙覆う経済的断層 - Bloomberg
米大統領選が近づく中、インフレは概ね落ち着き、賃金上昇によって所得は増加している。それでも、選挙の最大の争点が依然として経済問題であるのには大きな理由がある。中間層としての生活がもはや実現不可能と感じる国民が増えているためだ。
ブルームバーグの計算によると、住宅価格の中央値に相当する家を購入するに当たり頭金20%を支払う場合、一般的な家庭では年収の83%の負担額となる。2016年の選挙直前には、その数字は65%だった。
世帯収入が中央値の家庭が新車購入費用を捻出しようとすれば、8年前に比べて2週間ほど余計に働かなくてはならない。育児にかかる費用は当時、収入の4分の1程度だった。それが今や3分の1を超える。
世帯収入が中央値の家庭であれば、私立大への進学には年収の75%、同じ州内の公立大学でも同30%余りを支払うことになる。これは、現在は親となっている世代の大学進学当時と比べると大幅な上昇だ。
住宅や自動車の購入、そして高等教育を受ける機会は、長期的な経済安定の基盤であると同時に勤勉と努力の結晶でもある。それが今では多くの家計を圧倒している。アメリカン・ドリームは再考を余儀なくされているのだ。  
米連邦準備制度理事会(FRB)が進めてきた利上げで住宅ローンや自動車ローンの支払いがより厳しいものになった面はある。しかし、消費者にのしかかっている圧力の多くは、それよりずっと以前から強まってきたものだ。大学進学や育児にかかる費用は何年も前から上昇しており、住宅価格の高騰は10年余りに及ぶ供給不足を反映している。
消費者は、新型コロナ禍の時期に積み上がった余剰貯蓄が底を突き、労働市場が減速する中でこうした逆風にさらされている。
11月の選挙に向け、有権者は常に経済を最優先課題として挙げており、世論調査では深い悲観が示されている。しかし民主党候補ハリス副大統領が勝とうが、共和党候補トランプ前大統領が返り咲こうが、経済への不満は解消されない公算が大きい。
というのも、今の政治状況は、より持続的な「経済的断層」を生み出しているように見えるからだ。住宅や教育を受ける余裕のある人と、そうでない人を分ける断層だ。
「人々がアメリカン・ドリームを実現できないと感じるようになれば、誰を支持するのか、何を支持するのかに影響することになる」と、プリンストン大学の社会学者アレクサンダー・アダメス氏は語った。同氏は、中間層入りするためのコストの上昇と、その影響について研究している。
金利は下がれども
ブルームバーグの委託でハリス・ポールが8月に実施した調査では、中間層のうち、経済が自分たちの味方になっているとの回答は42%にとどまった。それに続く同月末の世論調査では中間層の60%余りが、家賃など生活費の高騰が自分たちの経済的充足感を損なっていると回答した。
米金融当局は利下げに転じたものの、消費者の行動がすぐに変わることはなさそうだ。8月の調査では、中間層のほぼ半数が、金利が下がれば大きな買い物をするつもりだと答えた。ただ、そうした大型支出を検討している人の8割超は、ローン金利が5%を下回るまで待つとしている。借り入れ金利が3%を下回る水準になるのを期待している人も3割ほどいた。
現在、30年物固定住宅ローンの契約金利は6%を超えている。次の大きな危機が発生しない限り、住宅ローン金利が3%以下になる公算は小さいとの声がエコノミストの間では聞かれる。
不動産ウェブサイト運営大手ジロー・グループのシニア・エコノミスト、オルフィ・ディボンギー氏は「少なくとも私の知る限り、住宅ローン金利が大幅に低下したのは、ドットコムバブルの崩壊、世界金融危機の始まり、そして世界的なパンデミックの始まりの時だけだった」と語った。
子どもや孫の未来
ハリス氏もトランプ氏も、有権者が抱える経済への不安を強く意識している。
ハリス氏は、強力な中間層を築くことを目的とした「機会の経済」に焦点を当てており、初めて住宅を購入する人への補助金2万5000ドルや、新規住宅300万戸の建設などを打ち出している。トランプ氏は、住宅建設用にさらに多くの連邦政府所有地を振り向けるとし、自身の計画通りに多くの不法移民を国外追放すれば不動産需要が緩和されると主張している。
しかし、そうした対策がどれほどの効果を生むか、またどれほど迅速に住宅コストを下げられるかは定かではない。
有権者を最終的に動かすのは具体的な政策アイデアではなく、経済的な安定が実現するかもしれないと感じられるかどうかだろう。
かつて銀行で働いていたリサ・プレスコットさん(76)は数年前、元公認会計士の夫と共にミシガン州アナーバーに引っ越した。息子や孫の近くに住むためだ。引っ越しに際してオレゴン州の家を売却し、アパートを購入した。住宅コストの上昇によって節約志向になり、以前ほど自由に旅行ができなくなったという。
しかし、プレスコットさんが最も心を痛めているのは、息子や孫たちの将来だ。
「20代、30代、40代の人たちにとって、住宅を購入できる可能性はどの程度あるのだろうか。こうした基本的なことが、手の届かないものになりつつある。健全な中間層の未来について、私は悲観的だ」とプレスコットさんは語った。
ハリス氏とトランプ氏、激戦州で大接戦続く=米調査 | ロイター
11月5日の米大統領選まで約2週間と迫る中、民主党候補のハリス副大統領(60)と共和党候補のトランプ前大統領(78)は7つの激戦州で引き続き接戦を繰り広げている。ワシントン・ポスト紙とジョージ・メイソン大学が共同で実施した調査で21日、分かった。
調査は9月30日から10月15日にかけて5016人の登録有権者を主な対象に実施。誤差はプラスマイナス4.5%ポイントだとしている。
ハリス氏の支持率はジョージア州で51%と、トランプ氏の47%を上回った。ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州でもハリス氏がリードしている。
一方、トランプ氏はアリゾナ州で49%と、ハリス氏の46%をやや上回ったほか、ノースカロライナ州でもリード。
ネバダ州では両候補がいずれも48%となっている。
他の調査結果でも同様に7州で接戦が続いているとの内容が示されている。ただ、いくつかの調査では、全国的にはハリス氏やや優勢となっている。
ワシントン・ポスト紙の世論調査では、有権者全体ではハリス氏支持が49%、トランプ氏支持が48%。 先週発表されたロイター/イプソスの調査では、ハリス氏の支持率が45%、トランプ氏は42%だった。
ただし大統領選は獲得した選挙人の数で勝者が決定する。これまでの調査では、激戦州7州が勝敗を左右する可能性が高いとみられている。
●その他先進国政治動向
国民民主党・玉木雄一郎代表、衆議院選挙後の自公政権入り「全くない」 - 日本経済新聞
国民民主党の玉木雄一郎代表は21日、衆院選後に政策の実現や入閣を条件に自民、公明両党の連立政権に加わる考えは「全くない」と明言した。「選挙後はどういう形になるかわからないが、いま一切考えていない」とも話した。
都内で記者団に語った。衆院選で自公が過半数割れした場合、連立の枠組みを広げて政権の維持をめざすかどうかが焦点になる。
自民の森山裕幹事長は20日、枠組みの拡大について「同じ政策をもって国の発展を図ろうという政党との協議は前向きにしていくべきだ」と発言した。
●先進国中銀、金融当局
米労働市場悪化なら、利下げ加速も=ミネアポリス連銀総裁 | ロイター
今後も追加利下げ継続、QT終了は急がず=ダラス連銀総裁 | ロイター
●先進国経済指標
米住宅着工件数は減少、集合住宅の落ち込み響く-予想にほぼ一致 - Bloomberg
米住宅着工件数は9月に減少した。集合住宅が落ち込み、一戸建て住宅の持ち直しの影響を打ち消した。
住宅着工件数は前月比0.5%減少の年率135万4000戸
エコノミストの予想中央値は135万戸
前月は136万1000戸(速報値は135万6000戸)に上方修正
住宅建設許可件数は2.9%減の年率142万8000戸
一戸建て住宅の着工件数は2.7%増の年率103万戸となり、5カ月ぶりの高水準。一方、集合住宅の着工件数は9.4%減少し、4か月ぶりの低水準となった。
一戸建て住宅の着工件数は4地域のうち2つで増えた。南部は6.6%増え5カ月ぶり高水準。北東部は10.6%増だった。
一戸建て住宅の許可件数は0.3%増の97万件だった。
一戸建て住宅の建設は増えたが、2021年後半から22年前半にみられた高水準からは下がっている。当時は住宅ローン金利が3%近くで、中古住宅物件が著しく不足していたため新築住宅への需要が急増していた。
だがその後、米金融当局が20年ぶりの水準に金利を引き上げたことで需要が低下。建設業者はここ16年で最大の新築物件在庫を抱えることになった。
7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)統計で、住宅建設は2022年以来の大幅な下押し要因となりそうだ。今回の統計発表前の時点で、アトランタ連銀の「GDPナウ」は、7-9月GDPへの寄与度で住宅投資は0.43ポイントのマイナスと予測していた。4-6月(第2四半期)は0.11ポイントの下押しだった。
一戸建て住宅の完成物件数は5.7%減の年率168万戸。建設中のプロジェクト数は2%近く減少し約3年ぶりの低水準となった。
独PPI、9月前年比-1.4% エネ価格下落 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が21日発表した9月の生産者物価指数(PPI)は前年比1.4%下落した。エネルギー価格の下落が主な要因で、市場予想(1.0%下落)を上回る下落幅で15カ月連続の下落となった。
エネルギー価格は6.6%下落。鉱物油製品は14.4%下落した。
エネルギーを除いたPPIは1.2%上昇。資本財、消費財、中間財が上昇した。
●金融市場、先進国トピックス
日本国債ツイストフラット化、追加利上げ後の景気警戒感を反映 - Bloomberg
日本の債券市場で、政策金利の先行きを反映する中期金利が上昇する半面、超長期金利が低下し、イールドカーブ(利回り曲線)がねじれた状態となるツイストフラット(平たん)化が起きている。日本銀行の追加利上げ観測が根強い中、同時に景気の先行き警戒感も強まっている複雑な投資家心理を反映したものだ。
ブルームバーグのデータによると、前週は2年債と5年債の利回りが1-2.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇してともに約2カ半ぶりの高水準を付けた一方、30年債は約2bp、40年債は5bpそれぞれ低下した。米国で堅調な経済統計が相次ぎ、日銀が追加利上げに動きやすくなるとの見方が広がったことが背景にある。
ツイストフラット化は金融引き締め局面で起きる現象で、日本の金融政策も正常化の流れにあることを示唆する。利上げに伴い短中期金利は上昇する一方、先行きの景気や物価上昇率は今後鈍るとの見方が強まると、超長期金利には低下圧力がかかりやすくなる。生命保険会社などの投資家は、超長期金利が目安とする水準に届かないまま買いに踏み切らざるを得なくなる可能性がある。
金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)を見ると、12月と来年1月の利上げ織り込みは21日時点で3割と6割強。今月初めの3割弱、5割弱からそれぞれ上昇している。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「短期金利が上がれば長期金利も上がるとなんとなく思っているが、いろいろなファクターがあり、利上げをしても長いゾーンが上がるとは限らない」と話す。
りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャーは、「中期債は保有していると価格下落リスクがあるので、長いゾーンが持ちやすくなる」と指摘。30年や40年などの超長期債は生保の需要が高まらないとの見方が根強いが、来年度の国債発行計画で減額対象となる可能性が高く、需給面で買いが入りやすくなるとの見方を示した。
今年度下期に入り株式市場で日経平均株価が一時4万円台を回復し、為替市場ではドル・円相場が一時150円台に上昇したことで、債券には年金基金のリバランス(資産配分の見直し)を目的とした買いも期待される。投資家はベンチマークに沿って買っていくため、インパクトが出やすい超長期ゾーンを中心に買いが入りやすい。
今週は24日に20年国債入札を控える。今月に入って30年利付国債入札、流動性供給入札ともに順調に終え、超長期債に対する需要を示している。
投資家はプライベートクレジット投資拡大に前向き-ゴールドマン調査 - Bloomberg
多くの投資家はプライベートクレジットへの現在の投資配分が不十分だと感じており、1兆7000億ドル(約225兆円)規模の市場からより多くの利益を得る方法を模索している。ゴールドマン・サックス・グループのプライベートマーケット調査から分かった。
調査は資産運用会社、民間の年金運用会社、保険会社、寄付基金、公的年金基金など、プライベートクレジット業界でリミテッドパートナー(LP)と呼ばれる投資家と、ゼネラルパートナー(GP)と呼ばれるプライベートクレジットファンド運用会社を対象に実施。190社のLPと45社のGPから回答を得た。
21日に公表されたリポートによると、プライベートクレジットが記録的な資金を集める中で、多くのLPはこの資産クラスへの投資を拡大したいと考えている。
プライベートクレジットの世界が拡大し、他の形態の融資も含まれるようになるにつれ、差別化されたエクスポージャーをLPに提供するためGPはセカンダリーや共同投資などの戦略に頼りつつある。
セカンダリー投資では、プライベートクレジットファンドの持ち分をより容易に買い増したり売却したりでき、流動性が高くなる。共同投資では、LPはファンドを通じてではなく、直接案件に参加することができる。
ゴールドマンのオルタナティブキャピタルフォーメーション部門のグローバル共同責任者、ステファニー・レイダー氏によれば、調査対象となったLPのほぼ半数が現在、セカンダリーおよび共同投資戦略に資金を振り向けており、これは昨年と比較して「かなり大幅な増加」だという。「オルタナティブポートフォリオ内の資産クラスとしてプライベートクレジットが確立されつつある」と同氏はインタビューで語った。
銀行がレバレッジドローンに回帰し競争が激化する中、シンジケートローンに対するダイレクトレンディング(直接融資)のプレミアムは縮小している。
通常プライベートローンより低金利の融資を提供できる銀行から顧客を奪い返すために、ダイレクトレンダーはより魅力的な条件を提示しようとしている。
調査では、回答したLPのほぼ40%がプライベートクレジットへの投資配分を増やしている一方で、21%は減らしたり保留にしたりしていた。また、4分の1はクレジットに対してそれほど強気ではなくなっていると回答した。
LPがより少なく、より大きなコミットメントを行い、既存の関係に基づく投資に重点を置くにつれ、市場ではより多くの統合が見られるようになっているとリポートは指摘している。
超長期債中心に円債積み増し、ヘッジ外債は横ばい=太陽生命・24年度下期運用計画 | ロイター
T&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は、2024年度下期一般勘定資産運用計画で、国内債券の残高を増加させる方針を示した。超長期国債や事業債を中心に円債を積み増す一方、外国債券の残高は横ばいを予定している。また、政策株からの振替銘柄を中心に、内外株式の残高を減少させる。
常務執行役員の清友美貴氏が18日、ロイターとのインタビューで述べた。
<20年債利回り1.7%は買い検討>
国内債券は、超長期債や事業債などの残高を積み増していく。上期の残高は増加した。円金利が想定よりも上昇したことから「(上期は)積極的に買っていった」(清友氏)という。
下期の日本国債10年債利回りのレンジは0.60―1.10%と想定し、年度末は0.90%と予想。欧米の利下げに伴う海外金利の低下の流れが波及し、10年債利回りが節目の1%へ近づくにつれて超長期債を含めて金利が伸び悩むとみる。年度末の20年債利回りは1.7%、30年債利回りは2.1%を想定。「同利回り水準であれば、20年債を中心に買いを検討する」(清友氏)という。20年債利回りが2%を超える局面があれば、さらに積み増す可能性もある。
日銀の金融政策については、株価など市場が落ち着きを取り戻していることから、年内に1回の追加利上げを実施すると予想。年度末(来年3月末)までにさらに1回の追加利上げを行う可能性はあるとみているものの、米国の利下げペースや経済状況次第とみる。
<ヘッジ外債の残高は横ばい>
外国債券は、横ばいを予定している。上期の残高は減少した。米10年債利回りが一時3%半ばまで低下したことで、前倒しで残高の削減を進めた。
清友氏は、株価の急落リスクに備えてヘッジ外債の残高はゼロにはしないとの考えを示す。ヘッジコストの低下もあり現行の米利回り水準が維持されれば、下期の残高は横ばいにとどめる予定だ。上乗せ金利(スプレッド)がつく米国の事業債への投資が中心になる。
下期の米10年債利回りのレンジは3.00%─4.50%、年度末は3.60%を予想。雇用や個人消費の底堅さを背景に米国経済が失速するまでは至らず、米連邦公開市場委員会(FOMC)では会合ごとに25ベーシストポイント(bp)の利下げを実施することをメインシナリオとしている。ただ、インフレ再燃への警戒感から、米連邦準備理事会(FRB)が「(利下げを)スキップする可能性も高まってきた」(清友氏)という。
今年度のドル/円の想定レンジは130─160円とし、年度末は140円を予想する。米FRBは利下げを、日銀は利上げをそれぞれ急がないとみられることから、目先は急速に円高は進まないと見込む。
外貨エクスポージャーは横ばいの見通し。市況動向に応じて機動的に対応していく。上期は円高が進行した局面で、一部エクスポージャーの拡大を図り、残高は増加した。
<内外株式の残高減少を継続>
株式については、国内、海外ともに残高は減少する見通し。政策株からの振替銘柄を中心に削減する。上期は、予定通り外国株式の残高は減少。国内株式は政策株からの振替銘柄を中心に削減した一方、8月の株価急落時に押し目買いを入れたため、結果的に微減となった。下期はタイミングをみていったん利益確定することを視野に入れており、残高は減少する予定だ。
日経平均株価の想定レンジは3万3000─4万5000円。8月の株価急落後からは落ち着きを取り戻しているものの、年度末は4万0000円と4月時点(4万3000円)から、やや慎重な見方に修正した。
オルタナティブは増加する見通しで、超過収益の獲得を目的に銘柄の入れ替えを進めていく。上半期はアロケーションの一部変更に伴い、残高減少した。貸付金は減少する見通しで、流動性の観点から選別していく。不動産は横ばいの見通し。
清友氏はリスクシナリオとして米国のインフレ再燃を挙げ、米FRBが再び金融引き締めを行えば米金利が上昇し、円金利にも上昇圧力が波及するなど「逆戻りになってしまうリスク」を警戒する。
このほか、石破政権が24年度の補正予算を23年度(13兆1992億円)を上回る規模にするとの考えを示したことを受けて、目先は超長期債の金利上昇圧力がかかりやすい。ただ、海外の金利低下圧力が円金利の上昇圧力を和らげるほか、財政プレミアムは徐々に落ち着くとみており「仮に20年債利回りが2%、30年債利回りが2.5%程度まで上昇すれば、投資家の買いが入る可能性がある」(清友氏)として、急激な金利上昇圧力はかかりにくいとの見方を示した。
24年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 0.60―1.10%(年度末0.90%)
米10年債利回り    3.00─4.50%(同3.60%)
日経平均        33000─45000円(同40000円)
米ダウ         36000─48000ドル(同43000ドル)
ドル/円        130―160円(同140円)
ユーロ/円       145―175円(同160円)
FOMC、11月は金利据え置きの可能性高まる-アポロのスロック氏 - Bloomberg
●中東情勢
ネタニヤフ氏「国益に基づき決断」、トランプ氏との電話で再表明 | ロイター
●エマージング
中国の株購入支援の資産交換制度、初回20社と500億元相当交換 | ロイター
中国人民銀行(中央銀行)は、株式市場の活性化を目的に創設した流動性供給措置のスワップ制度を初めて実施し、証券会社など20社と500億元(70億3000万ドル)相当の資産を交換したと発表した。
スワップ制度では、人民銀が証券会社、資産運用会社、保険会社から株ETFなどのリスク資産を担保として受け入れ、株式購入用として信用力があり換金性の高い国債や中銀手形を提供する。規模5000億元で18日に開始した。初回の20社には中国国際金融(CICC)、中信証券、華夏基金管理、易方達基金管理などが含まれる
もう一つの株式市場支援措置として18日に発表された、自社株買いなどのための特別融資制度は、国有の中国石油化工集団や中国招商港口など20社余りが利用計画を発表した
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(21日)ダウ・S&P下落、ドルと利回りは上昇 | ロイター
ドルが上昇した主な要因は、米国の堅調な経済指標を受けて、連邦準備理事会(FRB)が利下げを急ぐ必要がないという見方が広がり、米国債の利回りが上昇したことです。また、11月の米大統領選を控えてポジション調整も進んでいます。ドルは対円で一時150.83円の約9週ぶりの高値を記録し、取引終盤で0.84%高の150.77円となりました。
FRB当局者の発言では、ダラス地区連銀のローガン総裁が追加利下げを予想しており、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁も緩やかな利下げを見込んでいます。ドル指数は0.53%上昇し、ユーロはドルに対して0.5%下落しました。
米国債市場では、指標となる10年債利回りが4.18%に上昇し、12週間ぶりの高水準に達しました。市場は米経済が堅調で、連邦準備理事会(FRB)のハト派的な姿勢が後退する可能性を織り込んでいます。トレーダーたちは、年末までに41ベーシスポイントの利下げが行われると予想していますが、今後のFRB会合で2回連続の25ベーシスポイント利下げの可能性は低いと見ています。
2年債利回りも7ベーシスポイント上昇して4.025%となり、2年債と10年債の利回り格差は15.1ベーシスポイントに拡大しました。
米国株式市場では、ダウ工業株30種とS&P500が反落しました。国債利回りの上昇を受けて、高値警戒感が広がり、投資家は主要企業の決算発表を待つ姿勢を見せています。一方、ナスダック総合は、半導体大手エヌビディアが4.14%上昇し過去最高値を更新したことで続伸しました。
決算シーズンは好調にスタートしており、今週発表予定のS&P500採用企業114社の決算に注目が集まっています。航空機大手ボーイングは、労働組合員が会社の新提案に対する投票を行うニュースを受けて3.1%上昇しました。
金先物市場では、中東情勢の緊迫化が背景にあり、5営業日連続で上昇し、1オンス=2738.90ドルと史上最高値を更新。米原油先物も、中国の景気刺激策や中東情勢の影響で買いが増え、WTIの11月物は1.94%上昇し、1バレル=70.56ドルとなりました。
欧州市場サマリー(21日) | ロイター
欧州株式市場は反落して取引を終えました。週内の主要企業の決算発表を控え、相場が方向感を欠き、不動産株が大きく下げました。不動産株指数は1.90%下落した一方で、原油価格の安定を背景に石油・ガス株指数は0.64%上昇しました。
ドイツのDAX指数とフランスのCAC40指数はそれぞれ約1%下落し、イタリアのFTSE・MIB指数とスペインのIBEX指数も0.71%安となりました。今週はドイツ銀行、ロイズ、バークレイズの決算に注目が集まっています。
ソフトウェア大手SAPは第3四半期決算を発表し、DAX指数全体の時価総額の約15%を占めるため、その業績が市場の関心を集めています。また、オランダの半導体製造装置メーカーASMLの業績が期待外れだったため、SAPの結果が安心材料とされています。
保険株指数は1.12%下落し、特にミュンヘン再保険は投資判断の引き下げを受けて3%安でした。一方、フランスの自動車部品メーカー、フォルビアは中国のBYDや小米科技との新たな取引を発表し、5.3%上昇しました。
ユーロ圏の国債利回りは、原油価格の上昇を背景に上昇しました。ドイツの10年債利回りは9ベーシスポイント(bp)上昇し2.275%となり、ドイツ2年債利回りも7.5bp上昇して4日連続の低下を止めました。これにより、先週の下落から一部反転しています。
アメリカの堅調な経済指標を受け、長期債の利回りは上昇傾向にあり、一方でユーロ圏のデータは低調です。市場は、24日発表予定のユーロ圏PMI速報値や25日のドイツのIFO業況指数に注目しています。
イタリアの10年債利回りは13bp上昇し3.481%と、1日で4月以来最大の上昇幅を記録しました。ドイツとイタリアの10年債利回り格差は121bpに拡大しています。また、フランス10年債利回りも10bp上昇し、ドイツとの利回り格差は72.2bpとなりました。

備忘録(2024/10/18-20
●海外企業決算
ABボルボ第3四半期、調整整利益が予想以上に減少 | ロイター
第3・四半期決算は、調整後営業利益が141億スウェーデンクローナ(13億4000万ドル)と、市場の予想を下回った。
前年同期の193億クローナから減少した。LSEGがまとめたアナリスト予想は156億クローナだった。
売上高は前年同期比12%減少した。大型トラックの受注は7%減だった。
販売台数の減少に加え、研究開発費の増加や販売構成の変化が利益を圧迫したと説明した。
顧客は引き続き慎重な姿勢で、来年の需要はほぼ横ばいになるとの見通しを示した。
2025年の欧州の大型トラック市場は29万台、北米は30万台と予測した。
今年の欧州市場は30万台と予想し、7月時点の29万台から引き上げた。北米は29万台に据え置いた。
P&Gが決算受け軟調 スキンケア冴えず売上が鈍化 中国でSK-IIが低迷=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
P&G<PG>が軟調。取引開始前に7-9月期決算(第1四半期)を発表し、1株利益は予想を上回ったものの、売上高は予想を下回った。スキンケアやベビーケアなどの主要分野が冴えず、売上の伸びが鈍化した。中国で販売されている高級ブランド「SK-II」が低迷。一方、洗濯用洗剤「Tide」などの製品は好調で、それらを一部相殺した。ガイダンスでは25年度通期の見通しを維持している。
シュルテンCFOはインタビューで「中国と中東の景気低迷が影響し、売上が比較的軟調な四半期となった。中東での戦争は不買運動を引き起こし消費を減退させた一方、中国では消費者の信頼感が低下した。この2つがまさに逆風だが、事業の中心は堅調だ」と述べた。
しかし、同社が近年経験したような速いペースでの拡大を取り戻すのは難しい状況であるほか、中国が依然として大きなハードルであることも改めて示している。
同社は全身用デオドラントや部位別カミソリなどのプレミアム製品で業績を伸ばそうとしている。同CFO氏は「Oral-bの電動歯ブラシなどの高価格帯の製品が好調で、より低価格の新バージョンも投入している」と述べた。同CFO氏はまた、「値上げは難しくなっているが、値下げが始まることは予想していない」とも述べた。
[SLB] シュルンベルジェ 3Q増収最終増益 売上高10%増91.5億ドル、純利益6%増11.8億ドル、EPS0.83ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AXP] アメックス 3Q増収最終増益 売上高8%増166億ドル、純利益2%増24.7億ドル、EPS3.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PG] P&G 1Q減収営業増益 売上高1%減217億ドル、営業益1%増57.9億ドル、EPS1.61ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ボーイング、35%賃上げ含む新労働協約で暫定合意-政府が交渉支援 - Bloomberg
米ボーイングと同社最大の労働組合は米政権の支援を受け、新たな労働協約で暫定合意した。組合員3万3000人が参加し、事業運営をまひさせているストライキに終止符を打つ重要性を浮き彫りにした格好だ。
国際機械工・航空機工労組(IAM)がウェブサイトに19日掲載した発表資料によると、シアトルで夜間にまとめられた提案には、4年間で35%の賃上げ、少なくとも4%の年間賞与保証、組合員が労働協約を承認した場合に7000ドル(約105万円)の追加ボーナス支給が含まれる。組合員の投票は23日に実施される予定だ。
新労働協約が承認されれば、双方の非難応酬が相次いだ長期の行き詰まりが打開されることになる。米政権は団体交渉プロセスを支援するためスー労働長官代行をシアトルに派遣。代行は膠着(こうちゃく)状態を打開するため、労組、ケリー・オートバーグ最高経営責任者(CEO)の両方と複数回にわたって協議した。]
労使双方が暫定合意を確認したことを受けてホワイトハウスは声明を発表し、「バイデン大統領は、労働者が良い結果を得るには団体交渉が最善の方法だと考えており、最終的な決定は労組組合員の判断に委ねられる」と表明した。
ストが終結すれは、8月にボーイングに入社し、業務改革を任せられたオートバーグCEOにとって弾みとなる。ボーイングが7-9月(第3四半期)決算を発表する23日に同CEOはアナリストや投資家に向けて初めて話す予定だ。
もっともボーイングと労組の暫定合意は、組合員がそれに従うことを保証するものではない。双方が支持した最初の提案が先月、投票にかけられた際には、圧倒的多数で否決された。
米ボーイングの最大労組、16年ぶりにスト実施-労働協約案を拒否 (1)
その後、ボーイングは条件を2回引き上げた。1回目は30%の賃上げ、今回の提案は最初の条件より10ポイント高い水準となっている。
ボーイングは発表資料で、「交渉によってまとめられた提案に従業員が賛成することを期待している」と表明した。
加たばこ訴訟で240億米ドルの和解案、フィリップモリスやJTなど3社 | ロイター
たばこの健康へのリスクを巡る責任が問われたカナダでの訴訟で、被告のフィリップ・モリス、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、日本たばこ産業の3社が325億カナダドル(236億ドル)を支払う和解案が提示された。フィリップ・モリスが18日明らかにした。
この訴訟でケベック州の裁判所は2015年、3社のカナダ法人に、喫煙者や元喫煙者約10万人に賠償支払いを命じた。19年に控訴裁が判決を支持。3社のカナダ法人は破産申請に追い込まれ、以降、裁判所の監督下で和解に向けた調停が続けられていた。
フィリップ・モリスは、和解金を3社でどう分担するかはまだ決まっていないとしている。和解案に関する採決が12月に行われる予定で原告が同意すれば、和解案の承認を検討する聴聞会が来年前半に開かれる予定という。
英BP、洋上風力事業の少数権益売却を模索 再エネ縮小の一環 | ロイター
英石油大手BPが洋上風力発電事業の少数権益の売却を検討している。関係者4人が明らかにした。オーキンクロス最高経営責任者(CEO)による再生可能エネルギー事業縮小の一環という。
同社は再エネ事業で利益が減り、石油・天然ガスの利ざやが拡大する中で、2020年から取り組むエネルギー移行戦略が投資家から批判されている。
今年1月に就任したオーキンクロス氏は、再エネ拡大と石油・ガス生産削減というルーニー前CEOの方針を転換し、より収益性の高い事業に集中すると発表。
ロイターは6月、BPが新規の洋上風力事業への投資を停止したと報じた。
BPは先月、米国の陸上風力事業の売却計画を明らかにした。 BPは現在、操業中の洋上風力事業を保有していない。ただ、英国やドイツ、米国、アジアで洋上風力事業の権益を保有しており、開発中の案件の発電容量は6月末時点で9.6ギガワットだった。
CVSヘルスが暫定決算受け下落 ガイダンス取り下げ 新CEOを任命=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ドラックストアや医療保険管理などを手掛ける総合ヘルスケア大手のCVSヘルス<CVS>が下落。取引開始前に7-9月期(第3四半期)の暫定決算を公表し、予想を大幅に下回る1株利益の見通しを示した。また、通期のガイダンスを取り下げると発表。医療給付事業における医療費の高騰圧力が継続していることを踏まえ、同社の過去のガイダンスを当てにしないよう警告した。
医療給付事業では、第3四半期の保険料収入に対する支払いの割合を示す給付損失率は95.2%と予想しており、これは予想を大幅に上回る。また、この結果には、超過医療費をカバーするための保険料不足の準備金として11億ドルの費用が反映されている。
さらに、同社はジョイナー氏を新CEOに任命する人事も発表。現在のリンチCEOの激動の在任期間に終止符を打った。長年幹部を務めてきたジョイナー氏は昨日付けで就任した。今回の人事は、同社が目標を再三に渡り達成できなかったことを受け、ここ数週間に株主の間に広がった不安が表面化したことを受けて行われた。
同社は11月初旬に第3四半期の決算発表を予定しているが、その電話会議で投資家に最新情報を提供する予定。
米医療保険シグナ、ヒューマナとの合併交渉を再開-関係者 - Bloomberg
米医療保険会社のシグナ・グループは同業ヒューマナとの合併交渉を再開した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。両社の交渉は価格で折り合いがつかず、昨年末に打ち切られていた。
関係者によると、両社は最近、合併の可能性を巡り非公式協議を行った。非公表の交渉だとして匿名で明らかにした。交渉は初期段階だという。
18日の米株式市場時間外取引でヒューマナは一時5.6%高を付けた。シグナは約5.3%下落した。
連邦政府によるメディケア(高齢者・障害者向け医療保険)コスト抑制圧力が続く中で、合併交渉が再開した。ブルームバーグ集計データによると、合併が実現すれば医療保険業界で5本の指に入る規模になる公算が高い。
関係者の一人によると、シグナは他の取引に着手する前に、向こう数週間で「メディケア・アドバンテージ」事業の売却完了を目指している。この売却により、反トラスト当局の審査対象になる重複分野がなくなり、合併承認に道が開ける可能性がある。
関係者によれば、まだ決定は下されておらず、シグナないしヒューマナが取引を来年以降に持ち越すか、あるいは合併を断念する可能性もある。両社の担当者はいずれもコメントを控えた。
18日通常取引終了時点でヒューマナの時価総額は約320億ドル(約4兆7900億円)、シグナは940億ドル。
●日本企業
●米大統領選挙
情報BOX:米大統領選、なぜ一部の激戦州が結果を左右するのか | ロイター
〈注目の激戦州は〉
激戦州の7州は、ペンシルベニア州と中西部ミシガン州、ウィスコンシン州のラストベルト(さびた工業地帯)3州と、西部アリゾナ州、ネバダ州、南部ジョージア州、ノースカロライナ州のサンベルト(温暖な地帯)の4州だ。
ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州は民主党候補にとっては何十年もの間、「青い壁」として機能してきた。しかし、16年の大統領選でトランプ氏はこれら3州全てを僅差で制し、民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官に大方の予想に反して勝利した。
バイデン大統領は20年の前回大統領選ではこれら3州で勝ち、歴史的には共和党の牙城だったジョージア、アリゾナ両州でも予想を覆す勝利を収めて大統領に就任した。
バイデン大統領は20年の前回大統領選ではこれら3州で勝ち、歴史的には共和党の牙城だったジョージア、アリゾナ両州でも予想を覆す勝利を収めて大統領に就任した。
〈今回の大統領選はどれほど僅差なのか〉
差は限りなく小さい。
米紙ニューヨーク・タイムズの世論調査トラッカーによると、今月16日現在で7つの激戦州すべてでデッドヒートが繰り広げられている。アリゾナ州ではトランプ氏が2%ポイントの僅差でリードしているが、残る6州はいずれも平均で1%ポイント以内だった。
前回大統領選では3つの州で計4万3000票がバイデン氏ではなくトランプ氏に投じられていれば、トランプ氏が再選を果たすのに十分だった。今回の大統領選は、それよりさらに接戦のようだ。
〈なぜペンシルベニア州がそれほど重要なのか〉
最も簡単な答えは、ペンシルベニア州が他のどの激戦区より多い19の選挙人票を持っているからだ。
ペンシルベニア州は、ハリス氏とトランプ氏のどちらかが勝利するのかが決まる上で極めて重要と広く見られており、「ティッピングポイント(転換点)」州(候補者の獲得選挙人票数が269を超える州)になる可能性が最も高いと考えられている。
もしもハリス氏がペンシルベニア州で敗れた場合、ノースカロライナ州またはジョージア州、つまり過去40年間の大統領選で選挙人が民主党候補に投票したのが計3回にとどまる2つの州のいずれかを制する必要がある。
逆にトランプ氏がペンシルベニア州で負けた場合はウィスコンシン州かミシガン州のどちらかで勝つ必要がある。ウィスコンシン州では1980年代以降で選挙人が共和党候補に投票したのは1回だけで、それはトランプ氏が勝利した16年大統領選だった。
両陣営ともペンシルベニア州を最重要州と位置づけ、ハリス氏とトランプ氏は他のどの州よりも多くの時間を費やしている。追跡調査会社のアドインパクトによると、両陣営と協力勢力が今月7日までに投じた放送広告費はペンシルベニア州で計2億7930万ドルで、2位のミシガン州に7500万ドル超の差を付いてる。
〈なぜネブラスカ州の1選挙区がこれほど注目されているのか〉
48州は勝者総取り方式で選挙人票を与えている一方、中西部ネブラスカ州と東部メイン州の2州は各選挙区で勝者に1票の選挙人票を割り当てている。前回大統領選でバイデン氏はネブラスカ州の5票のうち1票を獲得し、トランプ氏はメイン州の4票のうち1票を獲得した。
接戦となっているオマハを中心とするネブラスカ州第2選挙区の選挙人票の1票について、独立系アナリストはハリス氏が獲得すると予想している。両陣営はオマハ地区で計数百万ドルの放送広告費を投じてきた。
この1票が極めて重要な意味を持つ可能性がある。もしも激戦7州のうちハリス氏がミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの3州を制し、トランプが残る4州で勝つという十分にあり得る展開となった場合、ネブラスカ第2選挙区は大統領選が引き分けに終わるか、ハリス氏が勝利するかを決めることになる。
ハリス氏、新たな切り口でトランプ氏を攻撃-「年齢問題」再び焦点に - Bloomberg
トランプ氏、台湾有事なら「中国に最大200%の関税」 軍事力は使用せず=WSJ | ロイター
米大統領選共和党候補のトランプ前大統領は、中国が「台湾に侵攻」した場合、中国に追加関税を課す意向を示した。18日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。
WSJのインタビューでトランプ氏は「もしあなたが台湾に侵攻するなら、申し訳ないが、150―200%の関税を課すつもりだと言うだろう」と述べた。
中国による台湾包囲に対して軍事力を使用するかとの質問に対しては、習近平国家主席は自分に敬意を抱いており、そのような事態にはならないと回答。
「私は彼と非常に強い関係を築いていた」と述べ、「彼は私を尊敬しており、私が著しくクレイジーであることも知っているので、私が(軍事力を使う)必要はないだろう」との見方を示した。
ロシアによるウクライナ侵攻についても語り、自分がまだ大統領職にあったなら、プーチン大統領は侵攻を開始しなかっただろうと改めて主張。
「私はプーチン大統領にこう言った。『ウラジーミル、我々には素晴らしい関係がある。もしあなたがウクライナを攻撃するなら、私はあなたを、信じられないほど激しく攻撃するだろう。モスクワのど真ん中であなたを攻撃するつもりだ』」と語った。
【米大統領選2024】 ハリス候補、敵対的なFOXに初出演  - BBCニュース
(1)謝罪要求
インタビューは移民問題から始まった。司会者は、メキシコ国境を越えてアメリカに不法入国し、その後に拘束を解かれた人物に娘(12)を殺害された母親の、気持ちのこもった映像を流した。
ハリス候補は、不法移民に殺害されたアメリカ国民の家族に謝罪すべきだと思うかと問われると、「彼女のことをとても気の毒に思う」、「悲劇的な事件だ」と答えた。
司会者は、ハリス候補が2019年に、越境行為を犯罪ではなくすべきだと主張したことについても質問した。これは、ハリス候補が手のひらを返したと非難されている問題の一つだ。
ハリス候補は、「私は越境行為の非犯罪化を支持しないし、副大統領として、そうしたことはしていない。そして、大統領としてもしない」と述べた。
さらに、トランプ候補が今年、議会下院の共和党議員らを説得し、国境管理を強化する法案を否決させたと非難。「彼は問題を解決するのではなく、問題を選挙利用することを選んだ」とした。
(2)受刑者の性別適合手術は
ハリス候補は、受刑者の性別適合手術への公費投入について質問された。同候補は以前、これを支持すると発言している。
司会者が、大統領として公費投入を進めるかと問うと、ハリス候補は「法律に従う」と答えた。
詳しい説明を求められると、トランプ候補の大統領在任中にすでに受刑者にそうした手術が提供されていたと答えた。だが実際には、トランプ政権の期間、連邦刑務所でトランスジェンダーの手術が行われたことはなかった。
米連邦刑務所局はBBCヴェリファイ(検証チーム)に、連邦刑務所ではこれまでに、受刑者2人が性別適合手術を受けたと説明した。1人目は2022年で、2人目は2023年だったという。
ハリス候補は2019年に民主党の大統領候補指名を争った際、公民権団体からのアンケートで、刑務所や移民施設に収容されているトランスジェンダーを自認する人が「必要なすべての外科的治療を含む、性別移行に伴う治療」を受けられるよう、大統領の権限を行使するかと聞かれ、そうすると回答した。
ハリス陣営はこれについて、今回の大統領選で「本人が提案していることでも、問題にしていることでもない」としている。
(3)バイデン氏との距離
ハリス候補は先週のインタビューで、ジョー・バイデン大統領と自身による現政権がしてきたことについて、変えたいと思うことは「ひとつもない」と発言した。FOXはこの時の映像を流した。
するとハリス候補は、「はっきり言っておくが、私の政権はジョー・バイデン政権の延長にはならない」と主張。これまでよりも強く、バイデン氏と距離を置く姿勢を示した。ただ、詳しい説明はしなかった。
司会者が、トランプ候補を支持し続ける有権者は「ばか」なのか、あるいは「認識が誤っている」のか質問すると、ハリス候補は「アメリカ国民について、私はそんなことを決して言わない」と答えた。
司会者がさらに、副大統領を3年以上も務めているのに、なぜ公約のひとつが「ページをめくる」なのかと聞くと、ハリス候補はトランプ候補批判に話を転じた。
(4)バイデン氏の認知機能は
ハリス候補は、バイデン氏の認知機能について質問されると、これをはぐらかした。
司会者が、バイデン氏の認知能力が「低下しているように見える」のに最初に気づいたのはいつかと尋ねると、ハリス候補は「私は大統領執務室からシチュエーション・ルーム(危機管理指令室)まで、いろいろな場面でジョー・バイデンを見てきたが、アメリカ国民を代表して非常に重要な決断をするたえに必要な、判断力と経験を備えている。そして、(バイデン氏は)まさにそうしてきた」と答えた。
さらに追及されると、ハリス候補は、「投票用紙にジョー・バイデンの名前はない。でもドナルド・トランプのはある」と述べた。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
米アトランタ連銀総裁「辛抱強くなる」、追加利下げ急がない姿勢強調 - Bloomberg
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
主要国の財政健全化、IMFが強く訴え-全世界の公的債務100兆ドル - Bloomberg
主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するためここ数日中にワシントンに向かう当局者は、既に国際通貨基金(IMF)から緊縮財政を求められている。
今後の時代を左右する米大統領選を2週間後に控え、世界がインフレ危機からようやく立ち直りつつある中で、財務相・中央銀行総裁はできる間に財政を立て直すことを強く要請されている。
21日にワシントンで年次総会が始まるIMFは、世界経済について発表する一連の予測・研究結果で強調したいテーマを、既にいくつか指摘した。
23日に発表されるIMFの「財政モニター」は、中国と米国を中心に世界全体の公的債務が今年100兆ドル(約1.5京円)に達すると警告する内容になる見通し。IMFのゲオルギエワ専務理事は17日の講演で、こうした膨大な債務が世界の重しになりつつあることを強調した。
「われわれの予測では、低成長と高債務という容認できない組み合わせが示され、困難な未来が待ち受けている」と指摘。「政府は債務を削減し、次のショックに備えて防御策を再構築しなければならない。それは今後、確実に起こり、その時期はわれわれの予想より早いかもしれない」と警鐘を鳴らした。
今週中に一部の財務相はさらに注意を受ける可能性もある。リーブス英財務相は、債務が安定しなければ市場が反応しかねないとIMFから既に警告を受けている。22日に発表される統計は、同相が30日に予算案を発表する前の最後の財政データとなる。
一方、ムーディーズ・レーティングスは、投資家の厳しい目にさらされているフランスについて、25日にリポートを発表する可能性がある。フランスに関するムーディーズの格付けは同業他社より1段階高いため、格付け見通し引き下げの有無が市場で注視されるだろう。
借り入れが多い国に関しては、全ての国・地域の問題だという厳しい警告がIMFが既に公表したリポートの一部でなされている。
IMFは「中国や米国などのシステム上重要な国で高い債務水準と財政政策を巡る不確実性は、他国・地域の借り入れコストと債務関連リスクの上昇という形で、重大な波及をもたらしかねない」と論じた。
一方、今週は中央銀行の動きとして、カナダの利下げとロシアの利上げがエコノミストの間で予想されている。
日本に米議員が圧力、半導体製造装置の対中輸出規制強化求める - Bloomberg
米国の有力議員が日本に対し、半導体製造装置の対中輸出規制の強化を求めた。日本が行動しない場合、米国は日本企業に独自の規制を課したり、中国に輸出するメーカーが米国の半導体補助金を受け取れないようにする可能性があると警告している。
米下院中国特別委員会の共和・民主両党の幹部2人は、山田重夫・駐米日本大使に宛てた15日付の書簡で懸念を伝えた。書簡の内容をブルームバーグが確認した。
同委員会を率いる共和党のジョン・ムーレナー議員と民主党のラジャ・クリシュナムルティ議員は現行規制により東京エレクトロンなどの半導体製造装置メーカーは既に大きな打撃を受けているとの主張を否定。中国の半導体開発の野望を抑えるには日米オランダの協力が重要だと強調した。
これらのメーカーが現行規制によって打撃を受けているという指摘は「精査に耐えるものではない」と両議員は書簡で述べた。同委のスポークマンに書簡に関するコメントを求めたところ、その箇所を指摘した。日本大使館にコメントを求めたが、すぐには返答はなかった。
中国はすべての半導体製造装置メーカーにとって依然として重要な市場であり、利益も大きい。このため日本とオランダの当局者は規制強化に慎重だ。一方、米企業は米国のみの規制強化は海外の競合企業に不当な優位性をもたらすと主張している。
バイデン政権は中国の軍事力向上につながる人工知能(AI)へのアクセスを阻止する取り組みの一環として、これまでも日本とオランダに対して半導体規制強化を迫っていた。
米国が求める半導体技術の対中輸出規制強化に日本とオランダが難色を示している背景には、両国とも既存の規制措置が定着するのを待ちたい考えで、11月の米大統領選の結果を見極めたいとの意向もあるとみられる。特に日本は、中国が新たな規制に反発して日本の自動車メーカによる重要鉱物へのアクセスを制限する可能性を懸念している。
9月のブルームバーグ報道によると、中国高官は日本側と行った数回の会合で、中国企業への半導体製造装置の販売および関連サービスの提供をさらに制限すれば厳しい経済的報復措置を講じると示唆した。
輸出規制に関する議論はこれまで中国の最先端半導体の製造能力に焦点が当てられてきた。しかし、今回の書簡では、最先端以外のプロセッサーの製造能力についても懸念が示された。
イタリアの格付け見通し、安定的からポジティブに引き上げ-フィッチ - Bloomberg
格付け会社フィッチ・レーティングスは18日、イタリアの長期発行体デフォルト格付け(IDR)見通しを従来の「安定的」から「ポジティブ(強含み)」に引き上げたと発表した。メローニ首相にとって予想外の朗報となった。
イタリアのIDRはジャンク級の2段階上の「BBB」に据え置かれた。フィッチはIDR見通しを引き上げた理由として、「最近の財政パフォーマンス改善と欧州連合(EU)財政ルールへのコミットメント」を挙げ、これは「イタリアの異例に高い債務水準に起因する中期的な財政・資金調達リスクが軽減した可能性を示唆している」と声明で説明した。
米格付け会社S&Pグローバル・レーティングもイタリアの「BBB」格付けを維持し、格付け見通しを「安定的」に据え置いていた。
数日前にメルーニ政権は閣議で2025年度予算を承認し、26年までに財政赤字の対国内総生産(GDP)比率をEUが定める3%以下に引き下げるという野心的な財政目標を確認していた。ただイタリア政府の推定によると、130%を超えている政府債務の対GDP比率は今後も上昇し、低下に転じるのは27年以降になる見通しだ。
フィッチは「イタリアの計画は現行の法律の下で欧州委員会の要件に沿っているため、順守できないリスクは限定的だとわれわれはみている」とした。
米財政赤字、24年度は1.8兆ドル超で過去3番目の規模 利払いが圧迫 | ロイター
米財務省が18日に発表した2024年度(23年10月─24年9月)の財政赤字は1兆8330億ドルに拡大し、コロナ禍の時期を除き最大となった。債務の利払いは初めて1兆ドルを超え、社会保障、医療、軍への支出も膨らんだ。
財政赤字は23年度の1兆6950億ドルから8%(1380億ドル)増加。20年度の3兆1320億ドル、21年度の2兆7720億ドルに次ぎ、過去3番目の規模となった。
23年度の赤字はバイデン大統領の学生ローン返済免除計画が連邦最高裁で差し止められ、その関連費用3300億ドルを取り崩すことで縮小した。これがなければ2兆ドルを超えていた。
24年度の財政赤字の対国内総生産(GDP)比は6.4%で、前年度の6.2%から悪化した。大統領選を11月5日に控え、トランプ氏より優れた財政運営を主張するハリス氏にとって逆風となる可能性がある。
24年度の歳入は前年比11%(4790億ドル)増の4兆9190億ドルで過去最高。個人所得税と法人税の増加が寄与した。歳出は10%(6170億ドル)増の6兆7520億ドルだった。
連合、来年春闘で5%以上の賃上げ要求へ 芳野会長「政労使会議の開催を」 | ロイター
アングル:25年春闘、4%台の着地か 賃上げモメンタムは維持 | ロイター
米地銀決算、軒並み予想超え 投資銀行手数料が預金コストを相殺 | ロイター
米地方銀行の第3・四半期決算が、軒並み市場の予想を上回っている。企業の合併・買収(M&A)や社債発行が回復して投資銀行事業の手数料収入が急増し、預金の利払い負担増を相殺した。
地銀持ち株会社ハンティントン・バンクシェアーズ、同トゥルイスト・ファイナンシャル、同M&Tバンクが17日に発表した第3・四半期決算は、いずれも利益が市場予想を上回った。
株価上昇と景気の底堅さ、米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げへの期待が相まって、社債の引き受けとM&Aが勢い付いた。
トレードステーションのマーケットストラテジー担当グローバル責任者、デービッド・ラッセル氏は「今後6カ月から12カ月にわたって金利が低下しそうなため、M&Aが増える可能性は非常に大きい」と話す。
今回の決算は、地銀にとって投資銀行業務の重要性が増していることを示した。投資銀行サービスはウォール街の大手金融機関の牙城だが、地銀は中堅企業のニッチな案件を掘り起こしている
アーガス・リサーチの金融サービスアナリスト、スティーブン・ビガー氏は「クレジットスプレッドの改善と金利低下が起債を支えている一方、株価バリュエーションの高さは新規株式公開(IPO)の追い風となるはずだ」と語った。
地銀は、顧客がマネー・マーケット・ファンド(MMF)などの代替商品に流れるのを防ぐために預金金利の引き上げを迫られている。ビガー氏は、FRBの利下げが進めばそうした負担も和らぐ可能性があると述べた。
消費者がコロナ禍で積み増した貯蓄を使い果たしているのに対応し、地銀は貸倒引当金を積み増しているが、警戒を要する状況ではないと幹部らは言う。
フラッシング・ファイナンシャルのジョン・ブラン最高経営責任者(CEO)は、業界全体でみられる貸倒引当金の増加について「クレジットが広範に悪化しているというより、(コロナ禍からの)正常化が主な原因だ」と述べた。
米ハーバード大への寄付3割減 「反ユダヤ」対応に非難 - 日本経済新聞
米ハーバード大学が17日発表した2024年6月期の収支報告によると、同期の大学基金への寄付額が3億7000万ドル(約550億円)で前年同期と比べ34%減ったことが明らかになった。パレスチナ自治区ガザでの衝突をめぐって発生した学生の反ユダヤ主義的な言動への対処が「甘い」との批判が拡大し、大口献金者が大学への資金提供を縮小したことが原因とみられる。
「銅は足りなくなる」シティグループ・ラビ氏 Foresight - 日本経済新聞
銅相場が上昇に転じている。世界経済減速に伴う需要懸念から5月に付けた最高値水準から下落していたが、足元で復調した。米シティグループで金属・鉱業の調査を務めるエフレム・ラビ氏は、中国は不動産の低迷が続く一方、再生可能エネルギー関連向けに伸びる余地があると分析。足元の供給過剰が解消され「2026年以降銅は供給不足に転じる」と指摘した。
巨額損失の官民ファンド リスク管理など課題を整理 - 日本経済新聞
官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)の経営改善策を議論する国土交通省の有識者委員会は18日、課題をまとめた報告書を公表した。個別の投資事業を検証し、投資のリスク管理や損失を計上するタイミングなどに課題があったと指摘した。
JOINは2024年3月期までに955億円の累積損失を出した。米テキサスの高速鉄道事業やミャンマーでの都市開発事業などで損失が出た。有識者委は年内をめどに存続か廃止するかを盛り込んだ最終報告をまとめる。
個別事業の振り返りでは米テキサスの高速鉄道事業で、JOINが日本の民間企業の参画がないままに出資を進めていた。ほかにも共同で出資していた他の日本企業よりも損失計上が遅れた事業もあり、損失計上の時期や情報開示のあり方に問題があったと指摘した。
豪州・グリーン水素事業、視界不良 オリジンは事業停止 - 日本経済新聞
オーストラリアが国を挙げて推進する水素事業の停滞が鮮明になっている。豪州最大の電力会社オリジン・エナジーは事業停止を決め、エネルギー最大手ウッドサイド・エナジー・グループも一部で事業化を断念した。製造費が高く採算が見込めていない。豪州は水素産業の振興目標を変えていないが、視界不良は続いている。
●中東情勢
ネタニヤフ首相宅に無人機攻撃、負傷者なし-ヒズボラが激しい攻撃 - Bloomberg
ハマス最高指導者後任、イランに近いハイヤ氏指名の公算大 - Bloomberg
ハマス最高指導者後任、ガザ地区外から選出か シンワル氏殺害受け | ロイター
中東停戦期待遠のく、ヒズボラ「対イスラエル戦は新段階に」 | ロイター
シンワル氏殺害で岐路に立つイスラエル、勝利宣言か戦争継続か - WSJ
イスラム組織ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏の死は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザでの戦争に勝利したと宣言し、幕引きをする好機となる。
今のところ、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は複数の選択肢を残している。
「戦争はまだ終わっていない」。ネタニヤフ氏は17日のテレビ演説でこう断言した。シンワル氏殺害は、ガザに容赦ない軍事圧力をかける自身の政策が正しいことを証明しているとして、軍事圧力を継続する可能性をうかがわせた。
一方で、同氏の演説には、イスラエルの目標をハマス残存勢力の壊滅から、ガザで今も人質となっている101人のイスラエル人の解放へと移す可能性を示す手がかりもあった。
ネタニヤフ氏はすでに米国から、シンワル氏殺害を一つの転機と捉え、人質解放を実現する停戦に向けて、行き詰まった交渉を再開するよう圧力を受けている。イスラエルの軍や情報機関もそれが望ましいとの立場だ。
だがハマスと合意を結ぶことは、ネタニヤフ氏率いる連立政権の極右勢力や同氏を支持する多くの有権者には受け入れがたいだろう。
ネタニヤフ氏がどう決断するかは、中東でのより広範な戦争の行方やガザの人質、イスラエルの国際社会との関係、ネタニヤフ氏自身の命運を左右する可能性がある。
いずれにせよイスラエル軍の戦車の砲撃でシンワル氏が殺害されたと17日に確認されたことは、多くのイスラエル人にとってうっ積した感情を解き放つ「カタルシス」の瞬間であり、ハマスには重大な打撃を与えた。
ネタニヤフ氏がたどり得る二つの道筋は以下の通りだ。
勝利宣言
シンワル氏は、戦争の引き金になった2023年10月7日のハマスによる攻撃の首謀者であり、その殺害はガザで1年に及ぶ戦闘を繰り広げるイスラエルが挙げた最も具体的な成果だ。イスラエルはハマスに大打撃を与え、パレスチナ人が暮らすガザを荒廃させた。だがイスラエルが掲げるハマス壊滅と人質解放という戦争の目的は依然達成されていない。
イスラエルはこれで、シンワル氏の弟のムハンマド・シンワル氏を除き、ガザのハマス最高幹部を事実上全て排除した。ムハンマド氏はハマスの日常的な軍事作戦を監督しており、次の最高指導者になる可能性がある。他方、ハマスの戦闘員の多くは生き残っており、ガザの一部地域で組織再編と新メンバーの勧誘を行っている。
イスラエルの軍・治安当局は何カ月も前から、ハマスを完全に壊滅させることは非現実的であり、今も生存する人質を救出するには停戦が唯一の道だと主張してきた。
シンワル氏は今年ずっと、イスラエルが容認できる条件での停戦に抵抗してきたと、米・イスラエル両国の当局者は話す。カタールに拠点を置くハマスの政治指導部は、シンワル氏に比べてそれらの条件に現実的に向き合い、カタールやエジプトからの圧力を受け入れやすい傾向がある。両国は米国と共に戦争終結に向けた合意を仲介しようと努めてきた。
米政府高官らは17日、シンワル氏が死亡したことで人質解放や戦争終結への道が開かれるとの見方をにじませた。
ジョー・バイデン米大統領は「ハマスが支配者ではないガザの『あした』と、イスラエル人・パレスチナ人の双方により良い未来をもたらす政治的決着の機会がいま訪れている」と述べた。
カマラ・ハリス米副大統領は「この瞬間が、ガザの戦争についに終止符を打つ機会をもたらす」と、ウィスコンシン州で行われた選挙イベントで述べた。人質は解放されなくてはならず、ガザでの民間人の苦しみは終わらせるべきで、パレスチナ人は自決権の下で生きる必要がある、と同氏は訴えた。数日前、バイデン政権はイスラエルに対し、ガザの人道状況の改善を求め、そうでなければ武器売却を停止する可能性があると警告していた。
ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、シンワル氏は停戦と人質解放で合意するための唯一の障害ではなかったが、大きな障害ではあったと記者団に語った。「われわれはこの新たな機会を捉えたいと考えている」
テルアビブ大学付属国家安全保障研究所(INSS)の所長で元イスラエル軍情報局長のタミル・ハイマン氏は、イスラエルにとってはガザでの戦争だけでなく、多面戦争を縮小する機会にもなると話す。
イスラエルはこの機にイランに対し、もしイスラエルとの直接戦争を避け、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの残存勢力を救いたければ、ハマスが交渉のテーブルに着くよう圧力をかけなくてはならないと告げるべきだ、とハイマン氏は述べた。
戦争継続
ネタニヤフ氏はこの1年間、イスラエルが米国の軍事支援に依存しているにもかかわらず、米バイデン政権に逆らうことをいとわない姿勢を続け、イスラエルの治安当局からの圧力にも抵抗してきた。
ガザでの紛争は、ネタニヤフ氏が首相として監視する中でイスラエル史上最悪の安全保障上の失態を引き起こしたのではなく、むしろイスラエルの敵をたたきつぶす覚悟を持った指導者という自身のイメージを作り出すのに役立ってきた。
世論調査によると、今すぐ選挙が行われれば、ネタニヤフ氏は恐らくまだ敗北する可能性が高いが、右派有権者の間では着実に支持を回復しているようだ。最近イスラエルがヒズボラに一連の軍事的打撃を与えたことが寄与している。停戦合意を目指す方向にかじを切った場合、同様に支持されるかどうかは不明だ。
ネタニヤフ氏は17日、シンワル氏の死は、自身が今年下した決断の正しさを証明するものだと語った。米国に反対されてもそれに逆らい、ガザ最南部ラファ付近まで軍事侵攻すると決めたことだ。シンワル氏は16日夜、ラファで殺害された。
「われわれが戦争を終わらせないと主張した理由は今や、イスラエルでも世界でも、誰の目にも明らかだ」とネタニヤフ氏は述べた。「あらゆる圧力に抵抗し、シンワルや多くの殺人者が隠れていたハマスの要塞(ようさい)化された前哨基地ラファに向かうことをなぜ主張したのかが」
シンワル氏の死は重要な象徴的出来事だが、だからといってイスラエルが今戦争を終わらせてよいことにはならない。ネタニヤフ氏の下で国家安全保障顧問を務め、現在は米首都ワシントンにある米国家安全保障ユダヤ研究所(JINSA)のフェローであるヤコブ・アミドロール氏はそう述べた。同氏によると、これはむしろガザ全域で軍事圧力を継続するイスラエルの戦略が機能していることの表れだという。
ハマスは依然として強力で、ガザを代わりに支配する勢力を十分攻撃できるとアミドロール氏は指摘する。「引き続きハマスの軍事能力を低下させ、重要性を失わせる必要がある」
アミドロール氏は、第2次インティファーダと呼ばれる、ヨルダン川西岸地区のジェニンで起きたイスラエルに対するパレスチナ人の大規模な蜂起を鎮圧するのに4年かかったと話す。同氏はガザでの戦闘は少なくともあと1年続くと予想した。
多くのハマス指導者が殺害されたため、交渉を行い、合意を守る権限を持つ人物を見つけるのがより困難になる可能性もある。この問題は、イスラエルがヒズボラの指導者の大半を暗殺した後にも直面する可能性がある。
イスラエル軍がハマスとヒズボラに対する戦術上の勝利を積み重ね、両者の後ろ盾であるイランに対する攻撃を準備する中、問題はネタニヤフ氏が戦闘停止を望むかどうかだ。停戦と人質解放で合意に至らずに、この戦争をどう終わらせるかについて、ネタニヤフ氏も他のイスラエルの指導者たちも言及していない。
【社説】シンワル氏の死、生前の行いの妥当な裁き - WSJ
米極秘情報が流出か イスラエルの対イラン攻撃計画めぐり - CNN.co.jp
NATOは中東諸国との関係改善を優先すべきである|ARAB NEWS
●エマージング
アングル:中国金融業界、規制強化で相次ぐ人材流出 お笑いに転身も | ロイター
中国9月鉱工業生産は前年比5.4%増、予想上回る 小売売上高も加速 | ロイター
中国国家統計局が18日発表した9月の鉱工業生産は前年比5.4%増加し、8月の4.5%増から加速した。
ロイターがまとめた市場予想(4.5%増)も上回った。
9月の小売売上高も3.2%増と、8月の2.1%増から加速。市場予想は2.5%増だった。
1─9月の固定資産投資は前年比3.4%増加。市場予想は3.3%増、1─8月は3.4%増だった。
中国不動産投資、1─9月は前年比-10.1% 販売面積も17.1%減 | ロイター
中国国家統計局が18日発表した1─9月の不動産投資は前年同期比10.1%減少した。1─8月は10.2%減だった。
不動産販売(床面積ベース)は17.1%減。1─8月は18.0%減だった。
新規着工(床面積ベース)は22.2%減。1─8月は22.5%減少していた。
中国の不動産デベロッパーが調達した資金は20.0%減。1─8月は20.2%のマイナスとなっていた。
中国GDP、第3四半期は4.6%増に鈍化 不動産低迷の影響続く | ロイター
中国国家統計局が18日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比4.6%増と、市場予想の4.5%増をやや上回った。第2・四半期(4.7%増)からは減速し、2023年初め以来の低い伸びとなった。
9月の鉱工業生産と小売売上高は予想を上回ったが、不動産部門の低迷が引き続き大きな課題となっている。
政府は先月下旬から景気刺激策を相次ぎ繰り出しているが、市場はその詳細な規模や景気立て直しに向けた明確なロードマップを待っている。
第3・四半期のGDPは前期比では0.9%増加。市場予想は1.0%増、第2・四半期(改定値)は0.5%増だった。
JLLのチーフエコノミスト、ブルース・パン氏は「内需、住宅市場、輸出の低迷を踏まえると、市場予想に沿った水準だった。9月末に発表された刺激策は効果が出るまでに今後数四半期かかる」と指摘した。
国家統計局は発表後の会見で、追加の支援策と銀行預金準備率のさらなる引き下げにより、政府の年間成長目標である約5%を達成できるとの見方を示し、「われわれの総合評価によると、第4・四半期は9月に見られた安定と回復の傾向が続くと予想される。通年の目標達成には完全に自信を持っている」と述べた。
ロイター調査では今年のGDPは4.8%増、来年は4.5%増と予想されている。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、張智威氏は「(第3・四半期のGDPは)第2・四半期から小幅な鈍化にとどまったが、この傾向が続けば政府目標5%の達成は難しいだろう」とし、「財政刺激策のさらなる詳細を待っている」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、ベティ・ワン氏は、9月の鉱工業生産と小売売上高が予想を上回ったことについて「不動産・家計部門の構造的な弱さが依然としてほとんど解決されていないことを踏まえると、それほど重要視しない」と指摘。「最近発表された刺激策は来年の成長の下振れリスクを和らげる可能性はあるが、構造的な低迷を反転させる見込みは低い」と述べた。
<不動産部門なお低迷>
また、国家統計局がこの日発表した1─9月の不動産投資は前年同期比10.1%減少した。不動産販売(床面積ベース)は17.1%減となった。
不動産セクターにはこの1年に支援策が講じられてきたが、市場が回復する兆候はほとんど見られていない。この日発表された9月の新築住宅価格も前年比5.8%下落し、下落率は15年5月以来の大きさとなった。
当局は低迷する不動産市場の支援策を強化しているものの、同セクターは依然として経済の大きな足かせとなっており、消費低迷につながっている。
中国の倪虹・住宅都市農村建設相は17日、不動産セクターの支援に向け、「ホワイトリスト」と呼ばれる銀行融資を受けられる住宅プロジェクトの対象を拡大し、融資規模も4兆元に増やすと表明した。
ただ、第一生命経済研究所の主任エコノミスト、西濱徹氏は今回のGDPについて、中国が供給過剰と需要不足に直面していることを裏付けたとし、本格的なデフレに陥るとの見通しを示した。
中国新築住宅価格、9月は前年比-5.8% 15年5月以来の大幅下落 | ロイター
中国国家統計局が18日発表したデータに基づいたロイターの算出によると、9月の新築住宅価格は前年比5.8%下落した。下落率は8月の5.3%から拡大し、2015年5月以来の大きさとなった。
前月比では0.7%下落。8月と同じだった。マイナスは15カ月連続となる。
当局は低迷する不動産市場の支援策を強化しているものの、同セクターは依然として経済の大きな足かせとなっている。
中国の倪虹・住宅都市農村建設相は17日、不動産セクターの支援に向け、「ホワイトリスト」と呼ばれる銀行融資を受けられる住宅プロジェクトの対象を拡大し、融資規模も4兆元に増やすと表明した。
調査対象の70都市で9月に前年比で価格が上昇したのは2都市だった。
18日序盤の中国株式市場では、不動産市場の低迷を受けて、CSI300不動産指数が3%近く下落。
S&Pグローバル・レーティングは18日のリサーチノートで、「過剰な在庫と低すぎる信頼感の不均衡に対処することが中国不動産市場を安定させる鍵になるだろう」と述べた。
「今年の全国不動産販売は約8兆5000億─9兆元に減少し、来年はさらに8兆─8兆5000億元に減少するだろう」としている。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
世界最大のフードデリバリー市場、中国で配達員が崩壊の瀬戸際 「本当に切迫している」(1/3) - CNN.co.jp
米メタ、食事クーポンで歯磨き粉買った従業員を解雇 メディアが報道 - BBCニュース
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(18日)ダウ・S&P最高値、ドル下落 利回り低下 | ロイター
この記事は、ドルの下落について説明しています。中国が株式市場支援のために新たな金融政策を導入し、これによりリスク志向が高まった結果、中国株を中心に世界的な株式市場が上昇したことが背景にあります。
主要6通貨に対するドル指数は0.3%下落し、9月下旬以来の最大の下げ幅を記録しましたが、週間では依然として0.6%上昇しています。ドル/円は0.5%下落して149.51円になりましたが、今週は約0.8%上昇しています。
米国大統領選でトランプ氏が勝利する見通しが強まり、彼の経済政策がドルを支援しています。ユーロや豪ドル、英ポンドも上昇しています。ビットコインはトランプ氏の当選期待から2.8%上昇しました。
この記事は、米国債利回りの低下について説明しています。予想以上に強い経済指標が続いていたため、連邦準備理事会(FRB)のハト派姿勢が弱まるとの見方から利回りが上昇していましたが、現在はその動きが一服し、値固めの局面に入っています。
FRBは今後の会合で25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施すると予測されていますが、11月の米大統領選や中東の地政学的緊張が影響を与える可能性があります。10年債の利回りは2.1bp低下して4.075%、2年債は3.2bp低下して3.955%となりました。
市場は年末までに合計44bpの利下げを見込んでいますが、2回の会合でそれぞれ25bpずつの利下げが行われる可能性は低いとされています。
この記事は、米国株式市場の動向について報じています。S&P500種指数とダウ工業株30種は最高値で取引を終え、ナスダックもプラス圏を維持しました。これはネットフリックスやテクノロジー株の上昇が主な要因です。
ネットフリックスは、新規会員数が予想を上回り、11.1%急騰しました。また、アップルも新型iPhoneが中国で好調な売れ行きを示し、1.2%上昇しました。エヌビディアもバンク・オブ・アメリカによる価格目標の引き上げを受けて0.8%上昇しました。
一方、アメリカン・エキスプレスは第3四半期の収入が予想を下回り、3.1%下落しました。S&Pエネルギーセクターも0.4%下落しました。
金先物は地政学的リスクを背景に安全資産としての需要が高まり、4日連続で上昇しました。米原油先物は、中国経済への懸念から売りが膨らみ、反落しました。
欧州市場サマリー(18日) | ロイター
この記事は、ロンドン株式市場の動向について述べています。市場はまちまちな結果となり、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの下落がFTSE100指数の重荷となりましたが、イングランド銀行による金利引き下げ観測から、週間では上昇しました。
FTSE100種指数は前日に約5カ月ぶりの高値を記録したものの、反落しましたが、週間では1.27%上昇し、約2カ月ぶりの上昇率となりました。一方、国内志向の強いFTSE250種指数は0.23%上昇し、週間では1.85%上昇しました。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコは3.2%下落しましたが、これは同社を含む3社がカナダでのたばこ訴訟で和解金を支払う合意に達したためです。
金価格の上昇に伴い、貴金属株や鉱業株も上昇しました。また、英国の9月の小売売上高が予想に反して増加し、消費者の増税懸念と対照的な結果となりました。インフレ鈍化により、英中銀が11月に利下げを行う可能性が強まっています。
この記事は、欧州株式市場が続伸して取引を終えたことについて説明しています。テクノロジー株の上昇が相場を押し上げ、STOXX欧州600種指数は週間で0.58%上昇し、2週連続で上昇しました。欧州中央銀行(ECB)の利下げ決定や企業の堅調な決算発表が市場を支えました。
テクノロジー株指数は18日に2.00%上昇しましたが、週間では4.17%下落しました。オランダの半導体製造装置メーカーASMLホールディングは4.8%上昇し、他の半導体関連株も上昇しました。資源株や高級品株も銅価格の上昇やフランスの高級ブランド株の回復により堅調でした。
一方で、フィンランドの通信会社エリサは第3四半期の売上高が予想を下回り、4.7%下落しました。
この記事は、ユーロ圏の国債利回りが低下したことについて述べています。欧州中央銀行(ECB)がインフレ抑制から経済成長の保護へと焦点を移したため、市場では金融緩和への期待が高まっています。ECBはユーロ圏でのインフレが抑制される一方で、景気見通しが悪化していることを認識し、中銀預金金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、3.25%としました。
ドイツの2年債利回りは4bp低下して2.103%、10年債利回りも2bp近く低下して2.183%となりました。市場では、2025年6月までに中銀預金金利が2%を下回るとの見通しが強まっており、来年の夏までにECBが複数回の利下げを行うことが織り込まれています。
また、12月の理事会で25bpの利下げが予想されており、50bpの大幅利下げの確率も上昇しています。イタリアの10年債利回りも4bp低下し、独伊10年債利回り格差は横ばいでした。
来週の米主要企業決算 テスラ、ボーイングなど主要企業の発表が続く - 株探(かぶたん)|米国株
22日(火)GEエアロ、ベライゾン、RTX、ロッキード、3M、GM、テキサス・インスツルメンツ、シーゲイト
23日(水)コカ・コーラ、AT&T、ボーイング、テスラ、IBM、ラムリサーチ、ラスベガス・サンズ
24日(木)ハネウェル、UPS、ダウ、ウエスタンデジタル、サウスウエスト航空、アメリカン航空、ハーレー・ダビッドソン
来週の欧州主要企業決算 ドイツ銀行 - 株探(かぶたん)|米国株
23日(水)ドイツ証券取引所、ドイツ銀行

備忘録(2024/10/17
●海外企業決算
TSMC、24年売上高見通し引き上げ-来年は設備投資増の公算大 - Bloomberg
半導体の受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)は17日、2024年の売上高伸び率見通しを引き上げた。7-9月(第3四半期)の純利益は、アナリスト予想を上回った。世界的な半導体需要や人工知能(AI)ハードウエアブームの持続力を巡る懸念を和らげた。
黄仁昭最高財務責任者(CFO)は会見で、25年の設備投資が今年を上回る公算が非常に大きいと説明。TSMCは24年の設備投資が300億米ドル(約4兆4900億円)をやや上回ると見込んでいる。今年の売上高については米ドルベースで約30%増と予想。従来見通しは20%台半ば程度の伸びだった。
TSMCの新たな見通しで、投資家がAIや半導体需要を見誤っているとの懸念は和らぐと考えられる。オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングが先に発表した7-9月の受注額はアナリスト予想の半分程度にとどまり、市場を驚かせていた。
ネスレ、1─9月売上高が予想下回る 海外部門再編を発表 | ロイター
スイスの食品大手ネスレは17日、経営幹部を刷新し、海外部門を再編すると発表した。同時に発表した1─9月期のオーガニック売上高(為替変動や買収の影響を除いた売上高)は値上げが響き、市場予想を下回った。
同売上高は2%増と、市場予想の2.5%増を下回った。
2024年通年のオーガニック売上高の伸び率見通しも従来の3%以上から2%前後に引き下げた。
海外部門は中南米と北米を統合し、中華圏はアジア・オセアニア・アフリカ部門に吸収する。また、執行役員の数を減らす。
1─9月の値上げ率は1.6%で、市場予想の1.7%を下回った。販売量は0.5%増と、予想の0.8%を下回る伸びにとどまった。
9月に就任したローラン・フレイシェ最高経営責任者(CEO)は「消費者需要はここ数カ月で低下し、今後も需要環境が軟調に推移する見通し」とコメント。同社は8月、販売低迷の長期化を受けてCEO交代に踏み切った。
仏ペルノ・リカール、7─9月は予想以上の減収 中国不振 | ロイター
第1・四半期(7─9月)の売上高は、中国の不振が響き予想以上に減少した。一方、2024/25年度全体では売上高が増加に転じるとの見通しを示した。
売上高は27億8300万ユーロ(約30億2000万ドル)。既存店ベースで5.9%減で、アナリスト予想の4.8%減よりも大幅なマイナスだった。
アレクサンドル・リカール最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、24/25年度について「中国に関しては前の年度より悪いと予想している」と語った。中国での売上高は前年度は10%減少、今年度第1・四半期は26%減少した。
さらに、中国は先週、欧州連合(EU)産のブランデーに対する暫定的な反ダンピング(不当廉売)措置を発表。一段の逆風となった。
リカール氏は、関税の影響を軽減するために、マーケティング費用を再配分する予定だと説明した。
エレバンス・ヘルスが決算受け大幅安 医療保険業界の問題を浮き彫りに=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
マネージドケアプランを提供するエレバンス・ヘルス<ELV>が大幅安。取引開始前に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、売上高は予想を上回ったものの、1株利益は予想を下回った。保険の収入に対する支払い比率を示す給付費比率が89.5%と予想を上回った。また、通期のガイダンスも公表し、1株利益の見通しを大幅に下方修正している。
今回の決算は医療保険業界の問題を浮き彫りにした。長年政府のプログラムに成長を依存してきた同業界にとって、先行きが不透明になっていることを示唆している。今週はライバルのユナイテッドヘルス<UNH>も期待外れの見通しを発表し、すでに問題を予期していた投資家たちをさらに驚かせていた。
各州はパンデミック終息後、数百万人をセーフティネットプログラムから排除し、保険会社は残った加入者の医療ニーズに対して州政府からの支払いが不十分であると述べている。
医療保険会社はパンデミックの間、好調な利益と堅調な成長を記録していた。その期間、各州がプログラムへの適格性を確認する日常的なプロセスを停止したためメディケイドプランの加入者が増加。一方で、多くの患者はウイルス感染するのを恐れて医療機関への通院を控えた。ただ、これらの傾向はパンデミックの終息で、患者が手術やその他の治療のために病院に戻ってきたことで逆転し、メディケイドの適格性確認も再開された。
ネットフリックス、会員数の伸びが予想上回る-スト影響でも - Bloomberg
動画配信サービスの米ネットフリックスの7-9月(第3四半期)決算では、会員数が500万人強の純増となった。ハリウッドで昨年あったストライキの影響で新しい番組計画が影響を受けたが、財務面のあらゆる主要指標で予想を上回る結果となった。
17日の株主宛て書簡によると、7-9月期売上高は15%増の98億3000万ドル(約1兆4800億円)。1株利益は5.40ドルに増加した。会員数のアナリスト予想は452万人の純増だった。
ネットフリックスの株価は2022年5月の水準から4倍以上に達した。当時、同社の成長鈍化を受け株価が低迷し、事業を巡る投資家の不安が高まった。その後、パスワード共有の厳格化や広告付きの割安プラン導入で、会員数は6000万人余り増えた。
同社はこの日、会員増と値上げにより来年の売上高は11-13%増の最大440億ドルに達するとの予測も示した。18日にスペインとイタリアで料金を引き上げる予定で、ブラジルでは年内に低価格プランの一つを段階的に廃止すると明らかにした。
10-12月(第4四半期)については会員数の伸びが7-9月期実績を上回る見通しも示した。
ブラックストーンは増益決算、好調なクレジットが会社最大部門に成長 - Bloomberg
ブラックストーン、融資が主力事業に 9月末資産53兆円 - 日本経済新聞
米大手投資会社ブラックストーンが17日発表した2024年7〜9月期決算で、プライベートクレジット(ファンドによる融資)を含むクレジット部門の期末運用資産は前年同期比22%増の3547億ドル(約53兆円)となり、同社最大の事業部門となった。金利水準の低下で融資実行額が増えた。ファンドへの資金流入も続く。
部門別の運用資産は不動産が2%減の3251億ドル、プライベートエクイティ(未公開株=PE)が12%増の3447億ドルだった。クレジット部門の運用資産が最大となるのは18年9月末以来、6年ぶり。全社の運用資産は10%増の1兆1076億ドルとなり、過去最高を更新した。
クレジット部門は7〜9月期に投資家から214億ドルの新規資金を調達した。プライベートクレジットの戦略への資金流入が調達額の大半を占めた。プライベートクレジットの直近1年間の投資収益率(手数料控除後)は12.4%。流動性が低い代わりに高めの利回りが機関投資家や富裕層のマネーをひき付ける。
一方、期中の融資実行額は184億ドルとなり、前年同期比の3倍強に膨らんだ。米連邦準備理事会(FRB)の利下げを背景に米国債利回りが低下し、M&A(合併・買収)などに関わる企業の借り入れニーズが高まった。ジョン・グレイ最高執行責任者(COO)は決算説明会で、買収資金以外にも「高格付け企業向けの融資需要は劇的に増加している」と説明した。
FRBの利上げ局面で逆風が吹いていたPEも、金利水準の低下や株式相場の上昇を受けて事業環境が好転してきた。7〜9月期の新規資金調達額、新規投資実行額ともに前年同期比で3倍前後となった。
ブラックストーンは全社的に投資活動の加速に動いている。投資実行額と投資を確約した額の合計は540億ドルとなり、2四半期連続で500億ドルを突破した。9月にはアジア太平洋地域で最大のデータセンター運営事業者、豪エアトランクを240億豪ドル(約2兆4000億円)で買収すると発表した。
「米長期金利がピークを付けた23年10〜12月期から、投資ペースを大幅に引き上げている」。スティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)は説明し「良好な環境下で将来の価値創造に向けた種まきを実施している」と述べた。
ブラックストーンの7〜9月期の純利益は前年同期比41%増の7億8083万ドルとなった。運用環境の好転で手数料収入が増加したのが増益の主因。株主還元へ充てられる分配可能利益も市場予想を上回り、17日の米株式市場では株価が前日比8%程度上昇する場面があった。
[NFLX] ネットフリックス 3Q増収増益 売上高15%増98.2億ドル、営業益52%増29.0億ドル、EPS5.40ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ELV] エレバンスヘルス 3Q増収最終減益 売上高5%増451億ドル、純利益21%減10.1億ドル、EPS4.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TRV] トラベラーズ 3Q増収最終増益 売上高12%増119億ドル、純利益3.1倍12.5億ドル、EPS5.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BX] ブラックストーン 3Q増収最終増益 売上高44%増36.6億ドル、純利益41%増7.80億ドル、配当0.86ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[KEY] キーコープ 3Q減収最終赤字転落 売上高56%減6.83億ドル、最終赤字4.46億ドル、EPSマイナス0.47ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SNA] スナップオン 3Q減収増益 売上高1%減11.4億ドル、営業益3%増3.24億ドル、EPS4.70ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MMC] マーシュ&マクレナン 3Q増収増益 売上高6%増56.9億ドル、営業益11%増11.0億ドル、EPS1.51ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ロンドンの地下鉄職員が来月ストへ、賃金など交渉まとまらず | ロイター
英鉄道運転士労働組合(ASLEF)は16日、ロンドン地下鉄の運転士を含む職員が、賃金と労働条件を巡り来月にストライキを計画していると明らかにした。11月1日から16日の期間にさまざまなストが予定されているという。
ストを統括するASLEFのフィン・ブレナン氏は「組合員は、何カ月も交渉が長引いて実質的な進展がない中でも極めて忍耐強く対応してきた」と指摘。
また「残念ながら、地下鉄の経営陣はストライキの見込みがなければ合意に真剣に取り組まないことが改めて明らかになった」と述べた。
ロンドン交通局(TfL)は、賃金や労働条件を巡る最近の協議を受けた上でのスト発表は残念と表明。これまでに提示額を引き上げたほか、来週の再協議参加を労組側に呼びかけていたと説明した。
米ディズニー、テーマパークに400ドル優先パス導入-待ち時間回避 - Bloomberg
エアバス、防衛・宇宙部門で最大2500人削減へ | ロイター
豪BHP、7─9月鉄鉱石産出量が市場予想上回る | ロイター
ステランティス、第3四半期出荷台数は前年比20%減と予想 | ロイター
第3・四半期の連結出荷台数が前年同期の143万台から20%減少の115万台になるとの見通しを示した。同社は業績悪化に見舞われており、先月には通期利益とキャッシュフロー予想を下方修正した。
減少幅は「製品ポートフォリオの移行とディーラーの在庫削減の取り組みによる一時的な影響」により、予想の15%を上回ったと説明した。
収益の柱である北米で、第3・四半期の出荷台数は36%(17万1000台)減少したが、このうち10万台強は、2024年終盤から予定されている新型車発売前の計画的な減産によるもの。
ただ、ステランティスの第3・四半期の米国市場シェアは上昇し、9月末時点で8%となった。在庫は前期比5万台減少した。
欧州連合(EU)域内の出荷台数は、主にシトロエンの小型車「C3」などの一部の製品発売の遅れにより、17%(10万台)減少した。
ボーイングとエアバスの納入遅れ改善されず=IATA事務局長 | ロイター
国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務局長は16日、ダブリンで開かれた会合で、欧州の航空機大手エアバスと米同業ボーイングの航空機納入が遅れている問題について「極めていら立たしい」と指摘した上、依然として改善されていないと批判した。
欧州では多くの航空会社が、納入遅れの結果として輸送力が抑制されていると訴えている。アイルランドの格安航空大手ライアンエアは、納入遅れのため来年の旅客輸送見通しを下方修正しなければならなくなると表明した。
ウォルシュ氏は、納入遅れの問題は「航空会社の経営者にとって極めていら立たしく、大きな影響を及ぼしている」と指摘。「向こう数年にわたって問題になると思う。航空会社の経営者から伝えられたメッセージは『状況は悪化しているわけではなく、底打ちして横ばいとなっているが、依然として改善はされていない』という内容だ」と述べた。
ボーイングとエアバスはサプライチェーン(供給網)の問題を抱える中、納入目標の達成で苦戦している。さらにボーイングは、継続中の労働者のストライキにより、納入遅れの問題が一段と悪化するのではないかと懸念されている。
米マッキンゼー、中国で数百人削減 再編進める - WSJ
エヌビディアまたも一人勝ちへ 米テック大手決算で - WSJ
出ていくものが入ってくるものよりも注目されるのは、決して良い兆候ではない。
世界的にも巨大な米テクノロジー大手は、少なくともこの状況に慣れてきているはずだ。いわゆるAI革命が始まって1年以上が経過し、最も目を見張る変化はキャッシュフロー計算書に表れている。マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、グーグル親会社アルファベット、フェイスブックとインスタグラムの運営会社メタ・プラットフォームズの4社による今年上半期の設備投資は合計で1062億ドル(約15兆8000億円)に達した。前年同期比では49%増で、投資の大半は生成AI(人工知能)サービスに欠かせない米半導体大手エヌビディアのチップや他のインフラに向けられた。
3カ月前にこれらのテック大手はいずれも設備投資を加速する考えを示していた。このため、ウォール街は7-9月期の合計設備投資額は前年同期比56%増の600億ドル超になるとみていることがビジブル・アルファのコンセンサス予想で示されている。投資額は10-12月期にも大幅な2桁増が見込まれている。年間では合計約2310億ドルとなり、2023年を約49%上回る見通しだ。
来年になれば落ち着くとみられているわけでもない。「2025年のクラウド関連設備投資額は実質ベースでアポロ宇宙計画全体に匹敵する」。モルガン・スタンレーのアナリストらは今月のリポートでそう予測した。
テック大手のこの壮大な計画はエヌビディアにとって朗報だ。エヌビディアのデータセンター部門の売上高は、同社決算で第3四半期に当たる8-10月期に前年同期比97%増の286億ドルに達すると予想されている。ただ、エヌビディアの主要顧客であるテック大手にとって、巨額投資からそれなりのリターンが得られるのはかなり遠い未来になるとみられる。生成AIサービスがどのように売上高の伸びに寄与しているかについては、マイクロソフトが唯一、限定的ながらも開示を行った。とはいえ、これはさほど大きな意味を持たなくなるかもしれない。マイクロソフトは8月、業績開示方法の変更を発表した。変更は同社決算で第1四半期に当たる7-9月期から適用され、決算発表は10月30日に予定されている。
グッゲンハイムのアナリスト、ジョン・ディフッチ氏は先週のリポートで、マイクロソフトに対する投資家の見通しはばらつく可能性が高いとし、不透明な決算内容がマイクロソフトにとって有益になり得る複雑な時期にはそれが重要になるかもしれないとの見解を示した。同氏はさらに、業務用ソフト「マイクロソフト365」向けAIアシスタント「Copilot(コパイロット)」について、需要は「さえない」とみられると指摘した。コパイロットは生成AIを使ってスプレッドシートの分析やパワーポイントのプレゼンテーション作成などを支援する。
他のテック大手もそれぞれ独自の問題を抱える。アマゾンに関しては、人工衛星関連の野心的なプロジェクト向けの投資が響き、営業利益は今年と来年の市場予想を下回る可能性があり、営業利益率の拡大ペースが鈍化するとの見方がアナリストの間で広がっている。
グーグルとメタはオンライン広告市場の活況から恩恵を受けているとみられるものの、グーグルは現在、同社を分割しようとする米政府の動きが不安材料となっている。一方、メタはTemu(テム)やSHEIN(シーイン)といった中国のネット通販企業による広告支出抑制の影響が大きくなる可能性がある。金融サービス会社ロバート・W・ベアードのコリン・セバスティアン氏は、巨額の設備投資が将来の利益の重荷となる減価償却費をどれほど押し上げるかという点を投資家は十分に考慮していないと指摘する。同氏はアルファベット、アマゾン、メタの10-12月期の営業利益はウォール街のコンセンサス予想を1~4%下回ると予想している。
アップルは初めてAIを搭載した「iPhone(アイフォーン)」の販売が期待外れとなっているもようで、苦戦している。先月発売が始まったiPhoneの新型「16」シリーズについて、複数のアナリストが初期需要は低調との推計を示した。アップルはハードウエア中心のビジネスモデルのため他のテック大手のような設備投資競争には加わっていないものの、同社も生成AIを大きな機会と捉え、相応の支出を行っている。 ファクトセットの推計によると、アップルの2024年9月期通期の研究開発費は前年比約6%増となる過去最高の315億ドルに達するとみられる一方、売上高の伸びは2%弱にとどまるとみられる。
ウォール街では、AIがテック大手の業績を押し上げる可能性に対して今でも前向きな見方が多い。ファクトセットによると、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタの4社は平均して担当アナリストの91%から「買い」の投資判断を与えられている。また、モルガン・スタンレーが400社以上を対象に実施した調査では、生成AIサービスを導入したと回答した企業の約40%が、投資に対するリターンは期待を上回っているとした。
「それでもなお、概念実証から本番稼働に移行した生成AI導入プロジェクトはまだほとんどない」とモルガン・スタンレーのリポートに記されている。
テック大手のAI投資が金鉱になるのか、それとも金食い虫になるのかはまだ分からない。
ノキア、中国で2000人・欧州で350人削減 コスト削減で=関係筋 | ロイター
●日本企業
クシュタール会長、7&iHD全体の買収に関心-日本事業は維持 - Bloomberg
セブン&アイ・ホールディングス(HD)に買収提案したカナダのアリマンタシォン・クシュタールの創業者で会長のアレイン・ブシャード氏は、7&iHD全体の買収に関心があるほか、買収した場合でも同社の日本における事業については維持していく考えを示した。
ブシャード氏とアレックス・ミラー社長らが17日、都内でのインタビューに応じた。買収が仮に合意に至った場合、世界最大のコンビニエンスストア企業が誕生するため規制当局が懸念を示す可能性もあるが、ブシャード氏は我々は答えを持っていると自信を示した。
ブシャード氏は7&iHD買収を通じて巨大な価値創造が見込めると説明。また今回の訪問は、クシュタールという企業をよく知ってもらう目的だと明らかにした。今回のクシュタール幹部の訪問は、同社の真剣な姿勢を反映したものといえる。
今回の訪問で7&iHDの幹部と会うことはできなかったものの、7&iHDで買収提案を検討する特別委員会のスティーブン・ヘイズ・デイカス取締役会議長とは、時期を明らかにしなかったが面談したと明かした。
ブシャード氏は「日本文化についてより理解を深めたいと思っているが、今はこの取引に関する日本側の懸念事項について理解したい」と話す。
7&iHDの担当者は、クシュタールの要請に従って協議については非公開としてきたとコメント。自社のスタンドアローンでの価値を認識し、規制上の懸念を払拭する協議には真摯(しんし)に対応するが、引き続き非公開の協議を望むとした。
インタビューに同席した同社のフィリペ・ダ・シルバ最高財務責任者(CFO)は、資金調達にも自信を持っていると強調。すでに日本のメガバンクの1行と協議をしていると明かした。また買収後も7&iHDに必要な投資を続けていくことや、信用格付けを維持できると確信していると話した。
クシュタールは9月、1株あたり18.19ドル(約2700円)で買収を再提案したと事情に詳しい関係者は述べていた。企業価値が高まる可能性を反映していないと7&iHDが反対した、当初提案の14.86ドルや足元の株価と比べて約2割高い水準だ。7&iHDは再提案があったことは認めたが、中身や対応は非公開としている。
クシュタールの買収提案は、外資による合併・買収(M&A)は難しいと見なされてきた日本企業が変化に対応できるかどうかを占う試金石と位置づけらている。買収が実現した場合、海外企業による日本企業の買収として過去最大規模となる可能性がある。
7&iHDは事業の多角化で企業価値が過小評価される「コングロマリット・ディスカウント」からの脱却をアクティビストから求められ続けてきた。クシュタールの提案は、株価低迷から抜け出す機会になると市場は好意的に受け止めるが、7&iHDは自力で企業価値を引き上げる施策をアピールする。
10日にはコンビニ事業に集中するための組織再編計画の具体案を明らかにした。社名を「セブンーイレブン・コーポレーション」に改め、スーパー関連などの31の非中核事業は、新たに設置した中間持ち株会社に集約する。
ただ株主からは反発の声も上がる。米資産運用会社アーチザン・パートナーズは、7&iHDが提示した事業再編計画の結果得られる評価よりも、クシュタールの買収提案額の方が優れていると指摘。買収再提案に応答すべきだと促す内容の書簡を取締役会宛てに送った。
クシュタールは過去2回にわたり7&iHDにアプローチしてきたが、いずれも拒否されてきた。
クシュタールは、日本で最も愛されているブランドの一つである7&iHDを台無しにするようなことはしないとブシャード氏は強調。「従来のモデルは変えないで、われわれが適応する」とした上で、現在の経営陣にも残ってもらい、クシュタールの文化を共有するような役割を担ってもらいたいとした。
ディスコ、4―12月期は39%営業増益予想 生成AI向けがけん引 | ロイター
アングル:日本企業の中間決算、上方修正の期待 株高連動か不透明 | ロイター
2025年3月期決算企業の中間決算シーズンが近づく中、市場では、業績予想の上方修正の動きが広がるかどうか注目されている。第1四半期の発表時に続いて業績の上振れが示されれば、上値の重さが意識される相場全体にとっても刺激材料になり得る。もっとも、市場の目線は高いだけに、株価上昇に弾みがつくかは不透明との見方もある。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「外部環境は悪くない。グローバル輸出企業にとって多少の円高なら数量効果でカバーできるだろう。企業業績は基本的に上目線でよさそうだ」との見通しを示す。
期初に比べて米国での利下げペースに対する市場の思惑は後退してきたが、米経済の強さの裏返しだとして、今回の中間決算での上方修正の企業の比率は「少なくとも例年並みは期待できる」と井出氏は指摘する。
TOPIX500採用銘柄で3月決算企業(金融を除く)のうち、会社予想と市場予想のデータが過去10年中9年以上で利用可能な企業306社を対象に井出氏が集計したところ、中間決算時に上方修正した企業の比率は平均で34.9%となっている。
とりわけ今年4─6月期の上方修正企業の比率は14.4%と、過去10年の平均9.3%の約1.5倍と大きく上回った。過去には4─6月期に上方修正した企業の3分の2が、中間決算でさらに上方修正する傾向がみられるという。
<半導体関連株にリバウンド期待、中国リスクと背中合わせ>
セクター別で株価の上伸余地がありそうなのが、半導体関連株だ。株価は秋口の底入れがうかがわれ、足元では戻り歩調にある。中間決算で先行きの業績への期待が高まれば「リバウンドに弾みがつきそうだ」と、岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストはみている。日経平均への寄与度の高い銘柄群でもあり、株高基調が鮮明になれば指数の押し上げにつながる可能性がある。
東京エレクトロン(8035.T), opens new tabなどの装置メーカーにとって、半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の設備投資計画が重要となる。17日の決算では来年度の具体的な計画は示さなかったが、今年度より高水準になるとの見通しを示した。AI向けの先端品の生産はフル稼働に迫っているとみられ「(先行きも)拡張投資にかなり積極的だろう」(斎藤氏)という。
半導体関連株の株価は春先のピーク時から3─4割下落した。株価収益率(PER)は20倍台に低下し、割安感も意識されている。「かなり悲観的なシナリオは織り込まれた。AI関連の増勢が確認されれば、戻り歩調は強まる」(斎藤氏)とみられている。
一方、国内の製造装置メーカーは、非先端品向けの需要が旺盛な中国向けの比率が高い。例えば東京エレクトロンの中国向け売上高は49.9%に高まっている。米国による輸出規制が強化されれば、売上高が大きく減少しかねないリスクと背中合わせといえる。米大統領選の行方への目配りも重要になる。
<消費関連は「二極化」>
賃上げとインフレの好循環への思惑を背景に、内需株は「極端な円安がなければ業績は底堅そうだ」と三木証券の北沢淳商品部投資情報グループ次長はみている。ただ、消費関連では生活防衛の意識も根強く「二極化の様相がうかがわれる」(北沢氏)という。
先立つ小売り企業の決算では、生活必需品や食品を手掛けるイオン(8267.T), opens new tabなどのスーパーやコンビニでは節約志向がみられた一方、ユナイテッドアローズ(7606.T), opens new tabやパルグループホールディングス(2726.T), opens new tabなど「消費者の支持を集める独自商品を手掛けたり、インバウンド需要を取り込める企業は好調」(北沢氏)となり、濃淡が生じた。
7─8月にはインバウンド客数の伸びが鈍化した。円高の影響だけでなく、南海トラフ地震臨時情報の発出や巨大台風が迷走したことなどの影響があったとみられる。一時に比べ足元では円高が一服しており、客足の戻りが確認されるか、経営陣による先行きの見通しも材料視され得る。
インフレ好循環が続き、インバウンドの伸びが継続するなら、回転ずしチェーンなどの外食産業や土産菓子を手掛ける寿スピリッツ(2222.T), opens new tabなども有望視され得るという。
<底入れ探る自動車>
輸出関連株の代表格となる自動車株は、為替見通しの円高方向の修正や生産の戻り具合が焦点になるとして「下方修正含み」と東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストはみている。
日産自動車(7201.T), opens new tabはドル/円の想定レートを155円としており、円高方向に修正されると為替差益が目減りしかねないと想定されている。
トヨタ自動車(7203.T), opens new tabを含め、在庫水準が高まったことで、生産の伸びが会社の期初の想定を下回った可能性があるとみられており「先行き在庫調整が進んで値引きの悪影響が縮小するかどうかを確認する必要がある」と東海東京の杉浦氏は話している。とりわけ北米で在庫が積み上がっている日産やマツダ(7261.T), opens new tabは値引きが目立っており、業績へのネガティブインパクトが大きくならないかが警戒される。
株主還元拡充への思惑は根強く、決算に併せて発表があれば物色材料になり得る。日産やマツダの配当利回りは5-6%程度と高く、株価の下値を支える可能性がある。一方、トヨタの決算は米大統領選と日程が重なることもあって、発表直後は織り込みにくさも意識されそうだ。
<銀行株は往来相場か>
日銀による利上げの思惑に振らされてきた銀行株について、岡三証券の田村晋一金融セクターアナリストは「決算自体は良好だろう。貸し出しが増え、利ザヤは改善傾向だし手数料は伸びている。持ち合い解消が加速し、売却益は急増する」との見方を示す。業績の上振れ分を増配や自社株買いに回す動きも想定され、決算を受けて個別物色が強まりそうだ。
一方、株主還元は例年実施しており、事前に織り込まれる可能性もある。「同じパターンと捉えられると株価反応は限られるおそれがある」(田村氏)という。
好材料に基づく物色があっても、その持続力は不透明ともみられる。年末年始にかけて日銀の追加利上げの思惑がくすぶるが、流通する国債が少ない中では金利が上昇すればすぐに買い尽くされて金利が低下するといった循環になる可能性があるといい、「長期金利が1%を超えていかなければ(銀行株は)売られないにしても上がりにくそうだ」(田村氏)という。
<高い市場の目線>
期初に比べ為替が円高方向に振れたことで、保守的な見方を示しがちな日本企業の一角は想定レートを引き下げる可能性も意識されている。アナリスト予想の前提レートからの下方乖離もうかがわれ、ポジティブサプライズの余地は限られるとの見方もある。
国内の主要証券会社による通期予想は経常利益ベースで7ー8%程度の増益見通しの一方、会社予想は1%超程度の増益にとどまっている。9月日銀短観で示された24年度のドル/円想定レート(全規模・全産業)の145.15円に対し、アナリスト予想では150円程度の前提となっている。
「アナリスト予想の方が目線は上方にある。企業の予想がこれを上回るにはハードルが高そうだ」と、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーはみている。「失望はないだろうが、指数の上昇に弾みがつくほどではないのではないか」と話している。
●米大統領選挙
アングル:米大統領選、トランプ氏の敗北受け入れ拒否で混乱も | ロイター
【米大統領選2024】 黒人と中南米系有権者の票をめぐる争い ハリス候補優勢だがトランプ候補に勢い - BBCニュース
トランプ氏対ハリス氏の選挙戦、「男女間の分断」際立つ - WSJ
市場が織り込むトランプ氏再選 ソロス氏盟友も「確信」 米州総局 三島大地 - 日本経済新聞
17日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。前日比161ドル高の4万3239ドルで終え、史上最高値を更新した。米大統領選まで20日を切るなか、市場の注目を集めている銘柄がある。トランプ氏が立ち上げたSNS「トゥルース・ソーシャル」の運営会社、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)株だ。
●その他先進国政治動向
フランス極右政党RN、政府に独自予算案の受け入れ要求 | ロイター
フランスの極右政党、国民連合(RN)のジョルダン・バルデラ党首は16日、政府が先週提出した2025年予算案に対抗してRNが策定した予算案の受け入れを政府に要求するとともに、拒否されれば発足したばかりのバルニエ首相率いる新内閣を不信任案で退陣に追い込む姿勢をちらつかせた。
政府の25年予算案には、膨張しつつある財政赤字に対処するため、歳出削減や富裕層と大企業に対する増税などによる600億ユーロ(656億8000万ドル)の収支改善策が盛り込まれた。
だが連立与党は国民議会の議席数が半数に満たないため、バルニエ氏は国民会議(下院)の採決なしで予算法案を成立させる憲法の規定を使わなければならなくなる公算が大きい。こうした措置が取られれば、内閣不信任案が提出されそうだ。
RNが16日提出した「対抗予算案」には、外国人に対する一部の社会福祉関連給付金の削減や、自社株買いと富裕層を対象とする増税などが盛り込まれた。RNはこれによりさらに150億ユーロ収支を改善できると主張している。
バルデラ氏はパリ自動車ショーの会場で記者団に「もしバルニエ氏がマクロン大統領の政策に追従し続けるなら、この政府は陥落するだろう」と述べ、RNは「大惨事をもたらすような」マクロン氏の財政政策に終止符を打つよう要求すると付け加えた。
●先進国中銀、金融当局
ECB0.25%追加利下げ、13年ぶり2会合連続 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は17日、ユーロ圏でインフレが一段と抑制される一方、景気見通しは悪化しているとの認識を示し、中銀預金金利を0.25%ポイント引き下げ3.25%とした。
利下げは今年3回目。ロイターによるエコノミスト調査でも利下げが予想されていた。9月も同じ幅で金利を引き下げており、2会合連続での利下げは13年ぶり。ユーロ圏の経済成長が2年連続で米国を大きく下回る中、連続利下げが決定されたことは、ECBの焦点がインフレ抑制から経済成長の保護にシフトしたことを示している。
ECBは次の動きについて新たな手がかりは示さず、今後のデータに基づいて「会合ごとに」決定を下すと改めて表明。「必要な限り十分に制約的な政策金利を維持する」とした。
声明では「インフレに関する新たな情報は、ディスインフレのプロセスが順調に進んでいることを示している。インフレ見通しは最近の経済指標の予想外の下振れにも影響されている」と指摘。
また「賃金が依然高いペースで上昇するなか国内インフレ率は依然高い。同時に労働コスト圧力は徐々に緩和を続けるとみられ、利益がインフレへの影響を部分的に緩和する」との見方を示した。
ラガルドECB総裁も理事会後の記者会見で「われわれはディスインフレーションのプロセスが順調に進んでいると見なしている。過去5週間に入手された全ての情報が同じ方向、つまり、下方を向いていた」と述べた。
ユーロ圏では企業活動や景況感調査のほか、9月のインフレ指標などがいずれも予想をやや下回っており、こうしたデータ受け、ECB内の見解が利下げ支持に傾いた可能性が高い。
ラガルド総裁は、11月の米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利した場合に欧州製品に対する高関税が導入される可能性について、いかなる貿易障壁も欧州にとって「下振れ要因」になると指摘。「欧州のような開放された経済にとって、いかなる制約、不確実性、貿易障壁も影響する」と述べた。
また、ECBは中東紛争に関連する原油価格の動きも緊密に注視していると言及。ユーロ圏経済については「リセッション(景気後退)に向かっていない。ソフトランディング(軟着陸)をなお予想している」と述べた。
ラガルド総裁は今後の政策決定について具体的なことは示さず、入手されるデータに基づき会合ごとに決定を行っていくとの従来の姿勢を改めて表明。ただ、ラガルド氏がデータが予想を下回ったことや、インフレ率が来年には目標とする2%で安定化するとの見通しをなどを強調したことを受け、ECBは利下げを継続するとの見方が強まっている。
EFGアセットマネジメントのシニアエコノミスト、ジャンルイジ・マンドルザート氏は「インフレ圧力が緩和する中、成長に対する下振れリスクが出ていることは、(次回理事会が開かれる)12月に加え、2025年に入ってからも利下げが続くことを示している」と指摘。景気を刺激も冷やしもしない中立金利について、ECBは2%近辺にあると見なしているとし、政策金利がこの水準に達するまで利下げは続くとの見方を示した。
ECB、2会合連続で利下げ-悪化する経済下支え - Bloomberg
●先進国経済指標
米小売売上高、9月は予想を上回る伸び-個人消費の堅調さ示す - Bloomberg
9月の米小売売上高は広範囲の分野で増加し、市場予想を上回る伸びとなった。個人消費の堅調さが示された。
米小売売上高は前月比0.4%増加
市場予想は0.3%増加
8月は0.1%増
データはインフレ調整を加えていない
自動車とガソリンを除いたベースでは0.7%増加した。
13分野のうち10分野で増加した。生花店やペットショップなどを含むその他小売りが特に大きく伸び、衣料品や食品・飲料の販売も堅調だった。
一方、ガソリンスタンドは、ガソリン価格の下落を反映して減少。自動車販売はわずかな増加にとどまった。
9月の小売売上高が強めの内容となったことで、7-9月(第3四半期)の経済成長も底堅さを示す可能性が高い。
今回の小売売上高統計を受けて、米連邦公開市場委員会(FOMC)が11月会合で25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施するとの見方が覆ることはほぼないと思われる。同時に、米経済が大幅に下降している兆しはこれまでのところほとんど示されておらず、今回の統計でそのことがあらためて裏付けられた。
国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建設資材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高(コントロールグループ)は0.7%増加。3カ月ぶりの大幅な伸びを示した。
コア売上高は3カ月間の年率では6.4%増と、2023年序盤以来の力強い伸びとなった。
ブルームバーグ・エコノミクスのエステル・オウ、イライザ・ウィンガー両氏は「倹約志向の消費者はホリデーシーズンに向けてより安価な商品を求め、中高所得者層でさえ家計が圧迫されている兆候がある。こうした中でも、労働市場の急激な落ち込みがなければ、消費支出は引き続き緩やかに拡大すると、われわれは予想する」とリポートに記した。
小売売上高の数字は物価変動の調整が加えられていないだけでなく、消費支出全体に占める割合が比較的小さい財の購入を主に反映している。今月末に発表される9月の個人消費支出(PCE)統計では、財とサービスへのインフレ調整後の支出がより詳細に示される見通しだ。
小売売上高で唯一のサービス項目である飲食店の売上高は1%増え、ほぼ1年ぶりの大幅増となった。
米鉱工業生産指数、9月は前月比0.3%低下-市場予想を下回る - Bloomberg
9月の米鉱工業生産指数は前月比0.3%低下した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.2%低下だった。前月は0.3%上昇。速報値は0.8%上昇だった。
製造業の生産指数は前月比0.4%低下した。市場予想は0.1%低下だった。前月は0.5%上昇。速報値は0.9%上昇だった。
設備稼働率は鉱工業全体が77.5%。前月は77.8%。製造業は76.7%。前月は77.1%だった。
米失業保険申請が減少、ハリケーンの被害で振れやすい状況続く - Bloomberg
米失業保険の新規申請件数は先週、予想外に減少した。前週はハリケーン「ヘリーン」の被害を受けた南東部で急増していた。向こう数週間は数字が大きく振れやすくなる可能性がある。
新規失業保険申請件数(10月12日終了週)は前週比1万9000件減少の24万1000件
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は約25万9000件
前週は26万件(速報値25万8000件)に修正
失業保険の継続受給者数(10月5日終了週)は約187万人に増加
7月以来の高い数字
エコノミスト予想中央値は186万5000人
前週は185万8000人(速報値186万1000人)に修正
ヘリーンの2週間後に南東部を襲ったハリケーン「ミルトン」の被害で多くの労働者が就労できなくなり、失業保険の申請もできなかったと考えられる。申請件数はそのため、今後短期的に変動を続ける可能性があるが、エコノミストらはそうした変動はいずれ落ち着くとみている。ここに至るまで申請件数は低水準にあり、失業する労働者の数が比較的低かったことがその一因だった。
季節調整前ベースでは2022年2月以来の大幅減少となったミシガン州が目を引く。同州では製造業でのレイオフが響き、それまでの2週間に大きく増加していた。
より変動の少ない新規申請件数の4週移動平均は23万6250件に増加し、8月以来の高い数字だった。
先週の新規申請件数は季節調整前でも減少。フロリダ州とノースカロライナ州で特に減っていた。
ユーロ圏、9月のインフレ率下方修正-ECBの利下げの根拠が堅固に - Bloomberg
ユーロ圏の9月のインフレ率は速報値から下方修正され、欧州中央銀行(ECB)による2会合連続利下げの根拠がさらに堅固になった。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が17日発表したと9月のユーロ圏消費者物価指数(CPI、改定値)は1.7%上昇と速報値の1.8%上昇から下方修正された。8月は2.2%上昇だった。
ECBは17日に中銀預金金利を0.25ポイント引き下げ3.25%にすると見込み。予想より急速なインフレ低下と経済状況の悪化で、17日の利下げはほぼ確実視されている。
さらなる利下げも見込まれているが、今後のペースや規模は未知数だ。よりハト派的な当局者は迅速な利下げを主張しているが、一部のタカ派は域内インフレ率は依然として高いとして慎重な対応を求めている。
タカ派の議論に反するように、サービス業のインフレ率は3.9%に低下している。4%を下回ったのはここ2年でわずか2回だ。
一方、変動の激しいエネルギーと食品を除いたコアインフレ率は速報値と同じ2.7%。
豪9月就業者数は再び予想上回る、失業率横ばい 利下げ観測後退 | ロイター
豪連邦統計局が17日発表した9月の雇用統計は、就業者数の伸びが6カ月連続で市場予想を上回った。失業率は横ばい。労働市場が引き続き逼迫しているとの見方が高まり、年内の利下げ観測が後退した。
9月の就業者数は前月比6万4100人増と、市場予想の2万5000人増を大幅に上回った。フルタイム就業者が増加の大半を占めた。8月の就業者数は4万2600人増に下方改定された。
失業率は4.1%で8月改定値から変わらず。労働参加率は67.2%に上昇し、過去最高を更新した。
豪ドルは対米ドルで0.5%高の0.6698米ドルと、1カ月ぶりの安値から反発。3年債利回りは7ベーシスポイント(bp)上昇して3.829%を付けた。
市場が織り込む12月の利下げ確率は統計発表前の46%から30%に低下。来年2月の確率も75%となり、利下げを巡る不透明感が高まった。
INGのアジア太平洋地域調査責任者、ロバート・カーネル氏は「来年第1・四半期まで利下げは開始されないというわれわれの見通しを変える材料は見当たらない。この見通しでさえ積極的すぎる可能性がある」と述べた。
統計局の労働統計責任者、ビョルン・ジャービス氏は求人広告が高い水準を維持しており、さまざまな業界で職を見つけて労働力に加わる人が依然として多数いると指摘した。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は昨年11月以降、政策金利を4.35%に据え置いている。雇用の伸びを維持しながらインフレを目標の2─3%に抑制するのに十分に制約的な水準と判断しているが、基調的なインフレ率は依然として高止まりしており、労働市場の減速は緩やかなペースにとどまっている。
統計では9月の労働時間は0.3%増加した。8月は0.4%増加していた。不完全雇用率は0.1%ポイント低下して6.3%となり、いずれも労働市場の堅調さを示した。
米住宅建設業者の業況感、4カ月ぶり高水準-新築需要の見通し楽観 - Bloomberg
10月の米住宅建設業者の業況感は上昇し、4カ月ぶりの高水準となった。住宅ローン金利が低下するとの見通しから、来年の新築住宅需要に対する楽観が強まっている。
10月の住宅市場指数は43に上昇
市場予想は42
前月は41
同指数は50を上回ると、事業環境を悪いとみるよりも良いとみる住宅建設業者が多いことを示す
全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した
今後6カ月の販売見通し指数は4月以来の高水準に上昇。購買見込み客足指数と販売の現況指数も上昇した。
ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月に0.5ポイントの利下げを行った後に発表された労働市場とインフレのデータは予想を上回り、金融当局者からは今後の利下げペースがより緩やかになることが示唆されている。住宅ローン金利は足元、9月につけた2年ぶりの低水準から上昇に転じている。  
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は「今後数四半期の住宅ローン金利は起伏を伴って低下すると予想している」と発表文に記した。
NAHBによれば、値下げしている建設業者の割合は前月から変わらずの32%。値下げ率の平均は6%と前月から上昇し、長期的なトレンドに戻った。販売インセンティブを提供した業者の割合は62%に上昇した。
●金融市場、先進国トピックス
ロックフェラー・センター所有者、34億ドルの大型CMBS発行目指す - Bloomberg
米ニューヨーク市の象徴的なクリスマスツリーやラジオシティ・ミュージックホールがあることで知られる複合施設ロックフェラーセンターの所有者は、過去10年間で最大級の商業用不動産担保証券(CMBS)発行を通じて借り換えを行う。
事情に詳しい関係筋によると、不動産会社ティッシュマン・スパイヤーと投資会社ヘンリー・クラウンの関連会社は、17日に価格決定予定の取引で34億ドル(約5090億円)のCMBSを発行する。
完了すれば、2014年以降に発行されたシングルアセット・シングルボロワー(SASB)型のCMBS案件としては上位5位内に入る。また、21年のエクステンデット・ステイ・アメリカ関連の560のホテル物件の抵当権を担保とした46億5000万ドル規模のCMBS発行以来、最大の案件となる。複数の所有者による広大な不動産ローンポートフォリオとは対照的に、SASB型は通常、単独の抵当権、借り手、または不動産に関連するCMBS。
今回の案件で主幹事を務めるウェルズ・ファーゴとバンク・オブ・アメリカ(BofA)の担当者はコメントを控えた。ティッシュマン・スパイヤーもコメントしなかった。ヘンリー・クラウンの従業員にメッセージを残したが、すぐには返信はなかった。
投資家は現在、CMBSを熱狂的なペースで広く購入しており、ブルームバーグ・ニュースの集計データによれば、今年に入ってからのCMBS発行額は昨年を160%強上回っている。
理由の一部には、23年初めに投資家がオフィス用不動産危機の余波を懸念し市場が事実上ストップしたことがある。オフィス用不動産の苦境で今年、マンハッタン区ミッドタウンにあるオフィスビル「1740 ブロードウェイ」を担保とするSASB型CMBSの最高格付けのトランシュが、金融危機以来初めての損失を出したとブルームバーグは報道している。
投資家の懸念は現在、特定の不動産に集中する傾向にあり、ロックフェラー・センターのような最高級物件に関連するCMBSは依然として資金運用者が購入するだろうと、今回の案件について詳しい関係者は述べた。同案件は、調達予定額を上回る注文を集めているという。
クロール・ボンド・レーティング・エージェンシーの事前報告書によると、今回の調達資金は、30億ドルの既存債務の借り換えと、2億4700万ドルの準備金確保、ティッシュマン・スパイヤーとヘンリー・クラウンへの1億8000万ドルの返還に充てられる。
英国債をゴールドマンやアムンディが選好、新予算は規律維持との見方 - Bloomberg
ゴールドマン・サックス・グループやアムンディなど、金融各社の間で英国債への選好が広がっている。スターマー新政権が景気対策を優先して財政を脅かすことはないという自信の表れだ。
アムンディは英国債を購入するためユーロ圏債のエクスポージャーを引き下げた。ゴールドマンはリーブス財務相が今月30日に予算案を初めて発表する前の英国債購入を顧客に推奨した。ブラックロックは英国債の投資判断を「中立」から「オーバーウエート」に引き上げ、リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)やアビバ・インベスターズなどのファンドもエクスポージャーを増やしている。
英国債への投資は、リーブス財務相が公共サービスの改善に充てる資金を確保しつつ220億ポンド(約4兆2800億円)に上る財政赤字の穴埋めに成功するとの見方からだ。市場には2022年のトラス政権が発表した「ミニ予算」で引き起こされた混乱の傷跡がまだ残り、当時から国の債務は増え続けている。
メディオラヌム・インターナショナル・ファンズの債券責任者、ダニエル・ラフニー氏は、「リーブス氏は財政規律が保たれているというある種の印象を維持したいと考えるだろう」と指摘。同氏は英国債をオーバーウエートとしている。
イングランド銀行(英中央銀行)が利下げペースの加速を余儀なくされるとの見方も、英国債への強気を後押しする。16日に発表された英インフレ率は大きく低下し、利下げ加速への期待は高まった。
欧州最大の資産運用会社であるアムンディのマルチアセット投資ソリューションズ責任者、ジョン・オトゥーレ氏は「英国はインフレ鈍化と財政規律の恩恵を受けるはずだ」との見解を示した。  
英国債はここ1カ月、さえない値動きを続けている。9月半ば以降に英10年債利回りは30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上昇し、ドイツ債や米国債に対する上乗せ利回りは1年ぶりの高水準付近にある。
だが、ジョージ・コール氏らゴールドマンのストラテジストは英国債の低調は長続きしないと予想、「英国債にはかなり優しい」予算が同国債の回復を後押しするだろうと述べた。
日本国債は超長期債への投資継続、低利回り債は売却=日本生命・下期運用計画 | ロイター
日本生命保険は、2024年度下期の一般勘定運用で、日本国債を上期に続いて一定程度積み増す一方、低利回り債の売却を進める。国債で主な投資対象とする30年債については、足元の利回りが負債コストを上回って一定の魅力があるものの、年間アロケーションに沿った投資にとどめる考えを示した。
都築彰・執行役員財務企画部長が17日、資産運用方針説明会で明らかにした。
円金利資産の柱となる「国内債券等」には日本国債(JGB)のほか、通貨スワップを使って円建てのキャッシュフローに固定した外国社債が含まれる。
このうちJGBについて、都築氏は「下期も金利は一定の上昇は見込んでいるので、金利が上がったところではしっかり買って下がったところでは少し控えるなど、タイミングを見て買っていく」と説明。
日本生命が主な投資対象とする30年国債の利回りは17日時点で2.135%と、同社の負債コストの平均である1.7%を上回っている。都築氏は、水準的には「十分魅力がある」としたが、「これまで円金利リスクの削減として取り組んできた円金利資産の長期化はもうほぼ対応できているので、金利水準が低いところで買うインセンティブは少なくなった」との見方を示した。
日銀の金融政策については、今年度は年末か年始に25ベーシスポイント(bp)の利上げ、来年度にもさらに2回の利上げがあるとのシナリオを想定し、10年金利(長期金利)は今年度末に1.4%に上昇すると予想している。17日時点の10年金利は0.960%。
一方、円金利化した外国社債については低利回り債の売却を進め、残高を圧縮する。同社はJGBの買い増し規模と円金利化した外国社債の売却規模についてはコメントを控えたが、それらを合計した「国内債券等」としては残高減少を見込む。
外国債券のうち為替ヘッジ付き外債は、中長期的視点で妙味のある社債等に投資を行うほか、ヘッジコストの変動に耐性がある変動金利資産であるプライベートクレジット(ダイレクトレンディング、CLO、インフラデット)を拡充して、残高を増やす。一方、オープン外債は為替や金利水準次第だが、残高は横ばいから減少を見込む。
このほか、国内株式の残高は概ね横ばい、オルタナティブを含む外国株式は、利回り向上と分散投資の観点から残高を積み増す。国内不動産は物件のリニューアルに投資するなどして、残高は横ばいの計画。
日本生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で82兆3232億円。うち外貨建て資産は21兆0901億円(25.6%)。
2024年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。
日本国債10年物利回り  1.00―1.80%(1.40%)
日本国債30年物利回り    非 公 表   (2.00─2.50%)
米10年国債利回り    2.30―5.30%(3.80%)
日経平均株価       3万2000―4万4000円(3万8000円)
NYダウ         3万5000─4万7000ドル(4万1000ドル)
ドル/円         130―160円 (145円)
ユーロ/円        140―170円 (155円)
日本生命は円建て債券の残高削減、10年金利は年度末1.4%-下期計画 - Bloomberg
国内超長期債、30年金利2.5%なら積み増し前倒し=大樹生命・24年度下期運用計画 | ロイター
大樹生命保険は17日、2024年度下期の一般勘定資産運用計画で、国内の超長期債投資について、30年金利が2.5%を上回るようなら積み増しの前倒しを実施する考えを示した。オープン外債は、外貨建て保険の新商品発売を踏まえて、上期より多めとなる1000億円程度を積み増す。
同社の運用統括部長の中村寛氏が、運用説明会で語った。中期の運用計画で先々には積み増す計画だとした上で「現在の2.1%程度は平準的に積み増せる水準。2.5%などの水準になれば、前倒しなども考えていく」と述べた。
現時点の計画では年度末の30年金利は2.2%―2.3%程度との前提を置いており、現時点では「平準ペースで(の積み上げを)考えている」(中村氏)。下期は上期と同様に100億円超を積み増し、年度で計250億円程度の増加を見込んでいる。
ただ、「仮に日銀がよりアグレッシブに利上げを早めるようなら、30年金利もより上がり得る」とみている。日銀の追加利上げは、今年度は12月に1回とみており、来年度は2回を想定している。]
外貨建て保険の販売動向と連動しやすいオープン外債投資は下期に1000億円積み増す考え。日本生命保険と共同開発する外貨建て保険の拡販を見込んでおり、上期の700億円を上回る水準を計画する。ヘッジ付き外債は、上期と同様に下期も横ばいを見込む。金利水準やヘッジコストの状況によっては、削減もあり得るという。
国内外の株式投資は上期に100億円程度増やしており、下期も同じ程度の積み増しを想定している。ESG投融資は上期に200億円積み増しており「重要課題と位置付け、進めていきたい」(中村氏)とした。
2024年度末の市場見通し(レンジと中心)は以下の通り。
日本国債10年物利回り 0.80―1.40%(中心1.10%)
米10年債利回り    3.10─4.20%(同3.60%)
日経平均        3万5500─4万2500円(同3万9000円)
米ダウ         3万8000─4万4000ドル(同4万1000ドル)
ドル/円        126―146円(同136円)
ユーロ/円       140―160円(同150円)
ドイツ首相、工業活性化に向けた会議開催を表明 | ロイター
ドイツのショルツ首相は16日の連邦議会での演説で、同国の工業活性化に向けた新たな政策の策定のために会議を今月開き、主要な経済団体と労働組合に参加してもらうと発表した。
エネルギー価格の高騰、世界的な需要低迷、温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けた移行、中国との競争激化によって輸出主導型工業のドイツ経済は岐路に立たされている。このため、企業トップらは政府による支援拡充を切望している。
大手自動車メーカーのフォルクスワーゲンが同社として初めてドイツ国内の工場閉鎖を検討していると9月に発表したことで、ドイツが工業国の基盤を失うのではないかとの懸念が高まった。
ショルツ首相は「私たちは特にここ、ドイツの産業のために戦わなければならない」とし、「ドイツは工業国だ」と訴えた。
その上で、重要な問題の1つはいかにして安価なエネルギーを確保するかだと指摘した。
ドイツは昨年、全ての製造業を対象に電力税を欧州連合(EU)法で認められている下限まで引き下げることで合意した。また、国際的な競争力を持ち、国外移転のリスクが最も高い350社への補助金を引き上げ、5年間延長することでも合意した。ショルツ氏は、それでも今までに十分な企業がこのような措置の恩恵を受けていないと言及した。
一方、EUが自由貿易協定(FTA)の締結に乗り出すことが必要だとし、個々の国の気まぐれに翻弄されないことを確実にしなければならないとも強調。ショルツ氏は「貿易協定がこれ以上合意されなくてもいいと言って、通商政策の権限を欧州(EU)に渡したわけではない」と訴えた。
また、EUが中国製電気自動車(EV)に追加の輸入関税を課す決定を下したことを批判し、他の17カ国は懐疑的であり、自身が話した全ての自動車メーカー幹部も懐疑的だったとして「私は中国とEUの間で合意することを要求している」と語った。
ショルツ氏は、ドイツが工業以外の分野も育成するための方法を議論する必要があるとして「アップル、マイクロソフト、アマゾン(・ドット・コム)、メタ、オープンAIはいずれも欧州企業でも、ドイツ企業でもない」と指摘した。
「寡占」の米カード業界 民主・共和が批判の矛先に - 日本経済新聞
11月5日の米大統領選が迫るなか、民主・共和両党でカード業界の寡占や高金利の是正を探る動きが起きている。消費者の利便性が損なわれているという長年の問題意識があるほか、選挙前に有権者の支持獲得につなげようという思惑も透ける。
共和党のトランプ前大統領は9月下旬、大統領選で勝利すればクレジットカードの金利上限を一時的に10%にすると表明した。米連邦準備理事会(FRB)によると、2024年8月時点のクレカの平均金利は21.76%。データが遡れる1994年以降で最も高い水準だ。
94年以降で最も低かった水準でも11%台で、仮に10%の上限設定が実現すれば大幅な金利引き下げになる。現状では連邦レベルで金利に上限を課す法律はない。
カード金利は誰が決めているのか。カード大手の米ビザや米マスターカードといった会社は、消費者と企業、銀行の間で決済が円滑に進むようネットワークを構築し、主にカード決済を受け付ける加盟店から手数料を得ている。クレカの金利を設定するのはカードの発行会社となる銀行で、顧客の信用情報などに基づいて決めている。
クレカの平均金利はFRBがインフレ対応の利上げを始める直前の22年2月時点と比べ7%超上がった。米国消費者連盟(CFA)の金融サービス部門ディレクターのアダム・ラスト氏は「利上げだけでなく、大手銀を中心に過剰な金利水準を設定している面もある」と解説する。
高金利が重荷となり、返済に窮する人は増えている。ニューヨーク連銀によると、4〜6月期の米家計のカード債務残高は1兆1400億ドル(約170兆円)と過去最高を更新し、同期間で新たにカードの支払いが30日以上遅れた割合を示す延滞率は9%超と13年ぶりの高水準になった。
全米クレジットカウンセリング財団幹部のブルース・マクラリー氏は「21年後半から債務返済が困難だと感じる消費者が増え続けており、足元では債務負担が短期間で大きく増加している」と指摘する。
米国でカード金利が消費者を圧迫する理由のひとつが、毎月定額を支払う「リボルビング払い(リボ払い)」の浸透度合いの高さだ。日本と異なり米国ではカード所有者の多くがリボ払いを利用しており、主流の決済方法となっている。カードの未払い残高に対して課される金利負担を抱えやすくなっている。
金利上限が設定されれば特に中低所得層の間で負担が一時的に軽減されるが、現実には課題も多い。米投資銀行TDカウエンのジャレット・セイバーグ氏は「銀行が債務不履行のリスクに見合った価格を設定できなくなり、低所得者層への信用供与が制限される懸念がある」とみる。
米国では1978年まで州レベルでクレジットカードやその他の消費者ローンの金利に上限を設ける動きもあった。しかし同年の最高裁判決で、規制の緩い州に拠点を置く銀行が定めた金利を他の州でも適用できるようになった。金利上限は事実上機能しなくなった経緯がある。
共和党のジョシュ・ホーリー上院議員は23年に金利上限を18%に定める提案をしたが、実現に至っていない。「規制当局は議会の関与なしに一方的に金利上限を設定する権限を持っていない。現在の司法が保守的であることを考えるとトランプ氏の案が実現する可能性はほぼないだろう」とTDカウエンのセイバーグ氏はみる。
民主党のバイデン政権もカード業界の寡占がもたらす問題にメスを入れようとしている。
米司法省は9月下旬、ビザがデビットカード決済事業で競合他社を排除しているとして、同社を反トラスト法違反の疑いで連邦地方裁判所に提訴した。同社が独占的な地位を利用して競合を排除したことで他の決済事業者の成長が妨げられ、加盟店や消費者の手数料負担が上がったとしている。
訴状によると、米国内のデビットカード取引の60%以上はビザのネットワークを経由している。ビザは自社ネットワークを使った取引から手数料を得ており、年間70億ドル以上にのぼる。
格差是正を掲げるバイデン政権は発足当初からビザとマスターカードによる市場の寡占状態に厳しい姿勢を示している。大統領選が近づくなか、加盟店手数料の上昇がコスト転嫁で消費者にも影響を与えている状況に、当局が再び目をつけた。
全米小売業協会(NRF)は司法省の訴えを「歓迎する」としたうえで、「ビザへの対応は氷山の一角にすぎない。破綻した市場を正常化するための大きな前進だが、これが最後であってはならない」とする声明を出した。
ビザのジュリー・ロッテンバーグ最高法務責任者は「司法省の訴えには利益がなく、法廷でしっかりと争う」と対抗する構えだ。法廷闘争は数年続くとの見方もあり、大統領選終了後もカード業界と政治の攻防は長引く可能性がある。
エチレンの9月稼働率80.2%、目安の90%割れ最長に並ぶ - 日本経済新聞
高級ブランドに暗雲、LVMHも失速 - WSJ
ルイ・ヴィトンを傘下に持つフランスの高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは、中国の消費者が財布のひもを締め、同社のブランド群を見放すスピードに不意を突かれたようだ。成長のために頼るべき場所は他に見当たらない。
LVMHが15日発表した7-9月期(第3四半期)決算は市場予想を下回った。これを受け、翌朝に株価は7%下落した。LVMHの最も重要な収益源であるファッション&レザーグッズ部門(ハンドバッグを含む)の売上高は、前年同期比5%減少した。同部門のブランド、クリスチャン・ディオールの需要はルイ・ヴィトン以上に減速した。イタリアのサプライチェーン(供給網)を巡る当局の捜査の影響が出た可能性がある。
だが減速の主な理由は、中国の消費者が買い控えたことだ。中国は過去20年間、高級ブランドの成長を支える巨大市場だった。UBSの推計では、世界高級品売上高に占める中国人顧客の割合は2000年にはわずか1%だったが、現在は3分の1を占めている。
LVMHは中国人の欧州高級ブランド品に対する購入意欲が失われたとは考えていない。だが、持ち家の価値が急落するのを目にした中間層の消費者は、高級ハンドバッグや時計に何千ドルもつぎ込む気分にはなれない。英金融大手バークレイズの試算では、中国の不動産危機で中国人の家計から平均6万ドル(約900万円)相当の純資産が消えたとみられる。
LVMHの痛手に追い打ちをかけるのは、欧州連合(EU)が中国製電気自動車(EV)に関税を課すことへの対抗策として、中国政府が欧州産高級ブランデーに反ダンピング(不当廉売)措置の暫定的な関税を課すと決めたことだ。LVMHのコニャック「ヘネシー」は貿易戦争の「巻き添え被害」を受ける、と同社経営陣は話す。ヘネシーは売上高の約2割を中国市場で稼いでいる。
欧州高級ブランド株は、中国政府が先月下旬に景気刺激策を発表した際に値上がりした。だがここにきて疑念が湧いている。景気刺激策の規模に関する詳細が明らかでないうえ、新たな消費喚起策は高級ブランドよりも生活必需品メーカーに恩恵を与える公算が大きい。
他地域の消費者がその穴埋めをする可能性は低い。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のクレジットカード支出データによると、8月に米国の高級品支出は前年同月比6%減少した。欧州の高級品支出は2023年初めにピークに達し、それ以降は低下傾向にある。中国を合わせた三大市場の消費者が世界の高級品支出の約70%を生み出している。
中間層の消費者にはインフレと金利上昇が重荷となっている。これは高級品業界にはどうしようもない問題だ。だがブランド各社は成長エンジンを値上げに頼りすぎている。HSBCの推計では、高級品の平均価格は2019年に比べ60%上昇している。高級品に憧れる消費者を店舗に呼び戻し、再び支出を促すには、現実的な価格帯の新製品を投入する必要がある。
需要が減速すれば、高級ブランドが利益率を維持するのは難しくなる。大手ブランドは非常に高額な店舗家賃などの固定費が高く、ブランドイメージを損なわないためには高い広告費を今すぐ削ることもできない。そのため売上高のわずかな減速でも、直ちに収益悪化に結びつくだろう。
LVMHは高級品業界でも有数の安全な投資先だと長くみなされていた。同社の減速は、同業ケリング傘下の伊グッチや、英バーバリーなどのより不振のブランドにとっては、悪い兆候だ。両ブランドはイメージ刷新に取り組んでいる最中だが、需要が干上がる中でそれをやり遂げるのは一段と難しくなる。LVMHの決算から何か読み取れるとすれば、同業者の7-9月期決算は大いに低迷が予想されることだ。
債券版「恐怖指数」生みの親、米選挙後の利回りは歴史的大揺れを予想 - Bloomberg
注目の米大統領・議会選挙が投開票される11月5日後の数日間、利回りの歴史的な大揺れに投資家は身構えていると債券版「恐怖指数」の考案者は指摘した。
債券市場のボラティリティー(変動性)リスクを示すICE・BofA・MOVE指数を1994年に考案したハーレー・バスマン氏は、選挙直後の米国債利回りは全ての年限で約18ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)変動するとの見方がオプション価格に示されていると述べた。選挙後1カ月でみた残りの期間では、1日当たりの平均変動は6bpと見込まれているという。
この規模の変動は近年では珍しくない。特に連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を引き上げていた2022年と23年には顕著だった。しかしそれをオプション市場が予想しているのは異例だとバスマン氏は言う。
「これほど大きな『イベントデー』はこの仕事に就いてから多分見たことがない」と米国債市場40年のベテランは語る。「とてつもなく大きい事だ」とシンプリファイ・アセット・マネジメントのマネジングパートナーであるバスマン氏は述べた。
投票日まで3週間を切った現在、共和党候補のトランプ前大統領と民主党候補のハリス副大統領は接戦を繰り広げている。
2016年にトランプ氏がヒラリー・クリントン氏を破って予想外の勝利を収めた際、10年債利回りは1日に37bp変動し、それまでの10年余りには見られなかったボラティリティーを記録した。20年にトランプ氏は再選を逃したが、コロナ禍での郵便投票が多かったこともあり、結果が判明するまでに数日かかった。
MOVE指数は1カ月物米国債オプションのインプライドボラティリティーに基づいて算出される。同指数は今月7日に100から124に急伸。1日の動きとしては2020年以来の大幅となった。投票日が近づき、30日間の算定範囲に入ったためだ。
15日には127に達し、昨年12月以来の高水準となった。2016年と20年の選挙前数週間では、60前後で推移していた。
これに匹敵する「未知の既知」イベントとして、バスマン氏は1991年1月が思い出されると指摘。当時は国連がイラクに求めたクウェート撤退の期限が近づいていた。
「何が起きるのか誰にも分からない」とバスマン氏。「だからこそ投資家はプロテクションの購入を求め」、想定ボラティリティーを押し上げるのだと説明した。
世界経済、中期的に停滞へ 高債務が先行きに影=IMF専務理事 | ロイター
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は17日、IMFの新たな予測に基づき、世界経済の成長率が中期的に停滞し、貿易摩擦が激化すると同時に債務が高水準にとどまるという厳しい見通しを示した。
来週のIMF・世銀年次総会を前に講演し、「われわれの予測は、低成長と高債務の容赦ない組み合わせ、つまり困難な未来を示している」と述べた。
その上で、成長促進や債務削減、経済の耐性強化に向けまだ多くのことができると指摘した。
物価高が貧困層に過度に大きな影響を与えたり、中東情勢の緊迫化で地域経済や国際商品市場が不安定化するリスクも挙げた。
また、軍事費増加が途上国支援などの優先事項に利用できる資金に与える影響にも懸念を示した。
一方、世界的なインフレ圧力の後退といった良いニュースも幾つかあると説明。米国は景気後退には陥っておらず、失業者数も比較的低い水準にとどまる見込みとした。
ただ、高い水準で増加を続ける公的債務が見通しにさらなる影を落としていると指摘。景気悪化シナリオでは債務の国内総生産(GDP)比が現在の予想から20%ポイント上振れする可能性があるとした。
方向転換して成長を一段と促進するには、各国が債務を削減し、次のショックに備えたバッファー(緩衝材)を確保するほか、支出を削減して生産性を高める必要があると訴えた。
米FTC、サブスクの「1クリック解約」義務化 - 日本経済新聞
米社債、景気敏感銘柄に資金 上乗せ金利19年ぶり低水準 - 日本経済新聞
米社債市場に投資マネーが流入している。景気の先行きへの楽観論が広がり、社債に対する強気の見方から、発行企業の信用リスクを映すとされる国債利回りとの差である「スプレッド」が19年ぶりの低水準だ。中でも米キャタピラーなどの景気変動に敏感な企業が発行した社債が買われている。
●中東情勢
ハマス指導者のシンワル師、ガザで死亡した可能性-イスラエル軍 - Bloomberg
湾岸諸国が中東の安定に果たす役割|ARAB NEWS
米大統領「世界に良い日」、ガザ戦闘終結の好機 ハマス指導者死亡受け | ロイター
米、ガザ戦闘終結への取り組み強化へ シンワル氏死亡で=国務長官 | ロイター
●エマージング
中国株下落、調整局面入り-政府の記者会見に再び失望 - Bloomberg
ポーランド首相、国境守ると宣言 難民申請権の停止を正当化 | ロイター
中国、住宅プロジェクト融資規模を4兆元に ホワイトリスト拡大 | ロイター
中国景気対策で習氏が決断、その舞台裏 - WSJ
中国経済が深刻な不振に陥る中、習近平国家主席は先月ついに、何か手を打つ必要があると判断した。
習氏は経済のテコ入れへ強力な措置を講じるよう求める声を2年間かわし続けたが、9月下旬についに折れ、利下げなどで成長を下支えするよう命じた。
だが担当者に一任したわけではない。意思決定に近い当局者や政府顧問によると、習氏が望んでいるのは破綻寸前の地方政府の救済と株式市場の浮揚であり、国家主導で自国を産業・技術大国にする方針から大きくそれることは望んでいない。
また、習氏の目先の目標は、大規模な需要喚起ではなく、金融危機の発生を防ぐ「デリスキング(リスク低減)」であり、経済全体を安定させて今年の成長目標(5%前後)を達成することだという。
その結果、どのような刺激策を導入するかについてのメッセージが一貫性を欠き、投資家を混乱させている。市場は当初、中国人民銀行(中央銀行)による利下げなどの緩和策に色めき立ったが、別の当局の記者会見で詳細が示されなかったことで期待感がしぼんだ。
投資家は世界金融危機時のような大規模な刺激策を期待していた。だが政府が発表したのは「漸進的な政策パッケージ」で、これをどう解釈すべきか判断しかねている。
つまり、産業強化に国の資源を振り向けて外国の脅威に対抗するという習氏の包括的な方針は実質的に変わっていない。国内外のエコノミストや投資家は、製造業と家計消費のバランスが取れた経済政策を求めてきたが、その声はおおむねかき消されている。
戦略的というより戦術的なこの転換を担うのは主に人民銀と国庫で、中国経済の資金調達の要となる地方政府と大手銀行の流動性を支える。
政策のもう一つの焦点は、4年近く低迷が続く株式市場を救うことだ。人民銀は、証券・保険会社や上場企業に人民銀や商業銀行から資金調達して株式を購入するよう促すという、前例のない措置に出た。
家計消費の主な支援策は住宅ローン金利の引き下げで、数年に及ぶ不動産市場の低迷を食い止めるための対策強化の一環となる。アナリストの試算によると、この引き下げで住宅購入者が支払う利息は約1500億元(約3兆1500億円)減る。ただ、中国の年間家計消費は数兆ドル(数百兆円)に上るため、わずかな救済に過ぎない。
習氏が意思決定の中央集権化を進めたことで、政策はたびたび急転し、政府の経済政策は一段と不透明になり予測しにくくなった。中国への投資はリスクが減るどころか増える可能性がある。
政府が経済のテコ入れへ追加措置を講じると発表した9月末以降、多くの投資家は相場上昇に乗り遅れることへの恐怖と高値つかみの恐怖の間で揺れている。追加刺激策の有無を見極めるため、政府の会見をひたすら待つ投資家もいる。
「中国への投資は以前はこうではなかった」。中国株が専門の米資産運用会社スティルポイント・インベストメンツの創業者エリック・ワン氏はこう話す。「以前は企業のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)に基づいて投資するだけでよかった。今はどんな発表があるのか推測するのに、こんなにも苦労している」
2022年末に習氏は突然、2年余りにわたって国を孤立させ、経済に大きな打撃を与えた厳格な新型コロナウイルス関連規制を撤廃した。国内各地の大都市で抗議デモが起きた後のことだった。医師らはこの突然の方針転換を知らされておらず、病院は患者の殺到に対応する準備ができていなかった。
経済政策の転換も同じく突然だった。
中国がコロナ関連規制を解除してからの数年間、エコノミストや投資家は政府に対し、成長テコ入れへ強力な措置を求めてきた。政府の先の介入で幅広い民間部門が活気を失い、不動産ブームが崩壊していたため、対策は待ったなしだった。
経済政策の実務担当者は緊急会議を開き、不動産市場崩壊と地方政府の資金難に対処する方法を議論した。
それでも習氏が動く気配はなかった。
習氏が指名した李強首相は、コロナ後の国内経済について語る際、回復期の患者に例えていた。李氏は6月下旬時点でも、成長を支えるために「強い薬」を使うのは避けるべきだと力説していた。
同氏は「漢方の理論」を引き合いに、「この時点で強い薬を与えることはできない。正確にゆっくりと調整し、徐々に(患者の)基礎(体力)を回復させるべきだ」と述べた。これを受けて中国株は急落した。
だが9月中旬には、経済が悪化していることが明らかになった。「倦怠(けんたい)感」が広がっていた。
不動産問題は深刻化し、暗い経済見通しを背景にすでに低迷していた消費がさらに落ち込んだ。
16~24歳の失業率は上昇し続け、中国指導部が重視する社会的・政治的安定に影を落とした。中国本土株の指標であるCSI300指数は、前例のない4年連続の下落に向かっていた。
さらに、中央政府の意思決定に近い当局者や政府顧問によると、各地で流動性危機が悪化しているとの報告が上がっていた。財政が苦しい地方政府は、公務員や国有・民間の委託業者への支払いに苦慮していた。
「地方政府は深刻な資金難に陥っている」。状況を知る関係者はこう語った。「危機の本格化を回避するために何かすべきだ」
だが重要な決定は習氏が下す必要がある。同氏が経済について懸念する様子は最近までほぼ皆無だった。
9月下旬までに悪いニュースの騒音があまりにひどくなり、習氏は行動を決意した。
9月24日にまず人民銀が利下げなどの措置を発表し、経済成長と株式市場を下支えする姿勢を示した。
緩和措置が広範囲にわたっていることに一部の金融当局者も驚いた。
特に意外だったのは、人民銀の潘功勝総裁が、上場企業に自社株買い資金を融資するよう商業銀行に促す制度を設けると発表したことだった。
一部のアナリストはこの制度の合理性に疑問を呈した。自社株買いは通常、自己資金で行うもので、借入金は使わない。中央政府の意思決定に近い当局者や顧問によると、これは株式取引を再び活性化したいという習氏の意向を反映したものだ。
9月24日の人民銀の会見直後、香港・本土間相互取引(ストックコネクト)の対象となる中国株が急騰した。ゴールドマン・サックス・グループやブラックロックなどの米企業は、中国株の投資判断を引き上げる一方、長期的には同国経済に課題が残るとして警戒感を示した。
中国国営メディアは、国内の証券口座開設数が過去最高に達したと報じた。
市場の活況ぶりを目にした投資家やアナリストは、「習おじさんの強気相場」と呼ばれた2015年の状況を思い出した。当時は政府が株式投資を奨励した結果、同年上半期に相場が高騰した。今回の上昇は持続するのか、それとも15年のように一過性で終わるのかを誰もが知りたがっている。
そのため投資家は政府の一言一句に耳を傾けている。
今月8日の中国国家発展改革委員会の記者会見は、成長促進を約束したものの具体的な内容に乏しく、市場に失望感が広がった。同委員会は電気自動車(EV)などハイエンド製造業を引き続き支援する意向を表明したものの、こうした産業重視の政策は国内で過剰生産を招き、西側諸国との貿易摩擦を悪化させている。
12日に財政省が記者会見を行うと、相当規模の財政支援が近く発表されるとの期待が再燃した。
米資産運用会社マシューズ・アジアの中国担当ストラテジスト、アンディ・ロスマン氏は「習氏の政策チームが前例のない一連の記者会見を行ったのは、中国経済が誤った軌道に乗っていること」と「現実的な軌道修正が早急に必要だということを、習氏が認識したということだ」と述べた。
様子見の投資家もいる。
長期投資に特化した米資産運用会社ファースト・イーグル・インベストメンツの運用担当者イダンナ・アッピオ氏によると、同社は中国政府が動き始めた後も中国資産への投資配分を見直していない。
同氏は「不動産の供給過剰や関連する債務リスク、地方政府の高い不動産依存に取り組まない限り、より根深い中国の経済的課題に対処するには不十分かもしれない」と述べた。
これまでに発表された追加措置の多くは、経済を直接刺激することより、地方財政を安定させることで金融システム全体と経済を安定させることに重点を置いている。
2週間ほど前の記者会見の後、人民銀はスワップ・ファシリティーを新設した。証券会社や保険会社、資産運用会社などが、株式などの資産を流動性の高い国債と交換できる制度だ。
意思決定に詳しい関係者によると、これは刺激策ではなくリスク低減策だ。
中国政府はこれを導入するに当たり、2008年の世界金融危機の際に米国が行ったことを参考にした。米当局は当時、投資銀行などが資産を担保にして流動性を確保することを容認した。
中国の銀行はいつでもインターバンク市場からの借り入れで流動性を維持できるが、証券会社や保険会社はこの仕組みを利用できない。新設したスワップ・ファシリティーは、危機時にこうしたノンバンクに流動性を供給することを目的としている。
藍仏安財政相は12日の記者会見で、今回の財政支援の主な目的は、地方政府の予算補てんや地方債の借り換え支援、大手国有銀行の資本基盤強化だと示唆した。
消費喚起のための大規模な措置は発表されていない。財政省に近い関係者によると、そうした措置は検討されているが、まだ形にはなっていない。
アナリストらは、中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会が月内に開催する会議で、約2840億ドル(約42兆4000億円)規模の特別国債の発行を承認すると予想している。調達資金の大半を地方債借り換えと銀行への資本注入に充てるとみられる。
中央政府は一部の財政難の地方政府に対し、支援と引き換えに予算の制約を課している。意思決定に近い当局者や顧問が明らかにした。そうした地方政府が支出を削れば、国全体のデフレ問題が悪化する可能性がある。
それでも方針転換は方針転換だ。中央政府が地方政府を救済して金融部門を安定させようとしていることは経済安定に近づく一歩だと、多くのアナリストや投資家は受け止めている。
中国経済の本格回復までの道のりは長い。優先すべきは支援の方向転換で、軸足を製造業から家計に移すことだと多くのエコノミストが指摘する。
「中国指導部は、需要を力強く回復させてデフレを終わらせるために必要な『バズーカ砲』を打つ用意ができていない」。ニューヨークに拠点を置く22Vリサーチで中国調査部門を率いるマイケル・ハーソン氏はこう述べた。「それでも、成長を安定させてテールリスクを低減させるために重要な対策を講じている」
●プロファイ、インフラ、自然災害
米石炭火力の排出量削減巡る新規則、最高裁が差し止め請求認めず | ロイター
ソーラーエッジが下落 アナリストが目標株価を10ドルに設定 前日終値よりも46%低い水準=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
太陽光発電のインバーターシステムを手掛けるソーラーエッジ<SEDG>が下落。アナリストが投資判断を「売り」に引き下げ、目標株価を10ドルに設定した。前日終値よりも46%低い水準。
欧州市場の住宅用インバーター市場における中国サプライヤーの攻勢に対して、同社は対抗策を持っておらず、欧州における製品ラインナップの抜本的な見直しが必要だと述べている。また、米国では蓄電機能付きセグメントにおいて、恐らくテスラ<TSLA>のパワーウォール3に市場シェアを奪われるだろうとも述べた。
同社の現金流動性は来年第3四半期には3億ドルを下回る可能性があるとも指摘。これは、同社の規模の企業としては危険水準であり、経営陣の予想よりも事業回復が遅れた場合に、ほとんど余裕がないことを示すという。
中ロが拠点築く極北の島、地政学的競争の最前線に - WSJ
ノルウェーの北方、北極海に浮かぶスバールバル諸島は、ホッキョクグマが何百頭も生息し、オーロラの絶景を望める場所だ。
だが人口3000人に満たないこの場所が今、北極圏の貿易ルートを西側諸国に代わって支配し、軍事プレゼンスを拡大しようとするロシアと中国の試みの最前線に浮上している。
米東部ウェストバージニア州ほどの広さに山々や氷河、フィヨルドが集まるスバールバル諸島は、正式にはノルウェーの領土だが、特異な立場に置かれている。1920年に締結された条約はノルウェーに主権を与える一方で、ソ連を含む署名国が資源開発や調査を行うことを認めていた。
だが近年、この奇妙な取り決めがロシアや中国にとって、ウクライナ侵攻を巡り西側との緊張関係が悪化するなか、北極圏での足場を固める手段となっており、ノルウェーや北大西洋条約機構(NATO)の同盟国は警戒を強めている。
最近の例としては8月、中国の代表団がスバールバルを訪れ、ロシア当局者らと会談した。議題の一つは、同諸島にあるピラミデンと呼ばれるかつてのロシア人居留地だった。ソ連時代に活気のある炭鉱の町だったピラミデンは現在、ゴーストタウンと化し、人けのない通りを白いホッキョクギツネが歩き回っている。ロシアは目下、中国とともに研究拠点を作ったり、「ソ連時代の遺物が残るディズニーランド」(ある現地ロシア人従業員いわく)に観光客を呼び込んだりすることで、この町を復活させようとしている。
ウクライナで戦争を開始して以降、ロシアは軍隊式パレードを行い、規定違反となる東方正教会の十字架を立て、スバールバルでのロシアの動きに逆らわないようノルウェーを強くけん制している。9月にはロシアのある議員がこの地にテロリストを収容する刑務所を建設することを提案した。侵攻のわずか1カ月前には、スバールバルの近海で海底光ファイバーケーブルが切断された事件について、ノルウェー当局はロシアの関与を疑っていた。
一方、ノルウェー当局者は、中国がレーザー研究施設の建設を提案するなど、スバールバル諸島の土地取得に関心を高めていると指摘。また彼らによると、中ロ両国にとって同諸島はスパイ活動の標的として重要性を増しており、ノルウェー企業は従業員に対し、ロシアの管理下にある居住施設に出向く際は、携帯電話の電源を切るよう助言している。
「北極圏の地政学的競争が再燃しており、スバールバルはそのパズルの重要なピースだ」。ノルウェーのエスペン・バット・アイデ外相はインタビューでこう述べた。
スバールバル諸島をめぐる競争は、激しさを増す北極圏の勢力争いの縮図となっている。この地域には世界中の石油・天然ガス埋蔵量の最大2割が眠っており、それ以外の鉱物資源もある。氷が溶ければ、中ロ両国は渋滞するスエズ運河やマラッカ海峡を避け、より距離の短い北極海航路で物資を運びたいと考えている。
ロシアは北極圏にある数十カ所の旧ソ連軍基地を再開した。中国は北極圏から約1450キロ離れているにもかかわらず、2018年に自国を「近北極国家」と位置づけ、新たな砕氷船を建造している。
ロシアのウクライナ侵攻は、スウェーデンとフィンランドという二つの北極圏の国がNATOに加盟するきっかけとなった。一方、後れを取る米国は挽回を期すものの、砕氷船の不足が北極圏での活動能力を制限している。
スバールバル諸島のロシア領事アンドレイ・チェメリロ氏は、北極圏の資源や貿易ルートを考えると、その重要性は「どれほど評価しても足りないほどだ」と語った。またロシアは北極圏を平和的な領土として保つことに注力しているとも述べた。
スバールバルについて、チェメリロ氏は「中国代表団が同諸島や科学協力の発展に関心を高めていると感じた」と述べた。
中国外務省にコメントを求めたが返答はなかった。
スバールバル諸島は、ノルウェー本土と同諸島間の重要な海上交通路「ベア・ギャップ」の北端に位置する貿易の要衝だが、一方でロシアが北方艦隊(同国の原子力潜水艦の大半が所属する)の拠点を置くコラ半島の北方にも位置している。ロシアの地上戦力はウクライナの戦争でひっ迫しており、ロシアの抑止力は北方艦隊とその核戦力に依存を強めている、と当局者は言う。
ノルウェーのアイデ外相は、紛争が起きれば、ロシアはベア・ギャップを封鎖して米国の艦船が西側から進入するのを阻むかもしれないと指摘。ロシアは昨年の訓練で戦略的な位置に艦船を配備し、同盟諸国が近づくのを阻止する能力を見せつけた。今年6月にはロシアの原子力潜水艦が目の前のバレンツ海にある標的にミサイルを発射する訓練を行った。
「今はそのような状況にはないが、ロシアは着々と準備を進めているはずだ。われわれも対抗策を考える必要がある」とアイデ外相は述べた。
ノルウェーは今年、新型潜水艦や偵察ドローン、北極圏を監視する新たな宇宙での能力などさまざまな分野に投資するため、軍事予算を大幅に拡大した。この地域に関して米国との情報共有も増やしている。スバールバルではノルウェー警察がロシア人居留地に以前より頻繁に出入りしているとノルウェー当局者は話す。
ロシアのトロール漁船が2022年1月、スバールバル諸島を結ぶ重要なインターネット用ケーブルを意図的に切断した疑いが持たれている。この船は切断箇所の真上を交差するように100回以上通過していた。ノルウェー当局は正式に結論を出していないが、安全保障当局は故意に傷つけられたものと考えている。
「彼らは望めば何でもできるという、相当大きなシグナルだった」とノルウェー当局者は言う。「こちらとしては脆弱(ぜいじゃく)性を明確に示すものだった」
チェメリロ領事はいかなる容疑なのか、ロシア政府と何の関係があるのかは不明だと述べた。
昨年、ロシアはスバールバル諸島の町バレンツブルグで、ノルウェー当局者が軍国主義的パレードと呼ぶものを実施した。1920年の条約には「好戦的な」行為を禁じると明記されており、スバールバル諸島でこれまで見られなかったものだ。トラックやトラクター、スノーモービルなど約50台の車両が連なって人口300人ほどの町の中を移動し、その多くがロシア国旗を掲げていた。ロシアは無許可で(ソ連が開発した)Mi-8ヘリコプターを飛ばしたとして罰金を科された。
その後、ロシア当局はピラミデンに巨大な正教会の十字架を立てたが、これもスバールバル諸島の規定に違反している。今年、彼らはバレンツブルグとピラミデンでソ連の国旗を掲揚した。ピラミデン港の石炭積み出しクレーンもソ連の国旗を掲げていたが、以前はノルウェー国旗だった。
チェメリロ領事は、ロシアはスバールバル諸島いでのいかなる挑発行為にも関与していないと述べた。
今年2月、ロシアのユーリー・トルトネフ副首相はノルウェーに対し、ウクライナでの戦争を持ち出す前に、スバールバルでのロシアの権利を尊重すべきだと警告した。
「現在、祖国の主権のために血を流している兵士らがいる」とトルトネフ氏は述べた。「この地での活動もまた、われらの主権を守る戦いだ。ロシアとロシア人の権利のための戦いだ」
一方、中国は、スバールバル諸島のニーオルスン北部の「黄河」と呼ばれる中国人居留地で研究施設を運営している。ノルウェー当局者は、そこで行われる研究が軍事転用される可能性があると懸念を示している。
そこに置かれた組織の一つ、中国電波伝搬研究所は、国営IT大手の中国電子科技集団(CETC)の一部門だ。CETCは自らを「中国の軍用エレクトロニクス産業の主力」と称しており、CETCのウェブサイトには、同研究所が「国防のための技術支援とサービス保証を提供している」と書かれている。同研究所は対話アプリ「微信(ウィーチャット)」の公式アカウントで、たびたび軍とのつながりに言及し、ある投稿では「科学と技術を通じて国に奉仕し、軍を強化する使命がある」と述べている。
CETCにコメントを求めたが、返答はなかった。
ノルウェー政府は7月、中国による買収かもしれないと懸念が広がる中、3億ドル(約440億円)余りで土地を売却する計画を阻止した。ノルウェー当局によると、中国の関係者は他の土地の購入も目指しており、レーザーを使った3次元マッピング技術「ライダー(LiDAR)」の研究施設を設置する案を提示しているという。この技術は自動運転車に使われることも軍事的用途に使われることもある。
ロシアと中国は、ウクライナ侵攻が始まって以降、エネルギー投資や安全保障上の連携などの面で、北極圏での結びつきを深めている。中国の沿岸警備隊は昨年、ロシア連邦保安局(FSB)と法執行における協力を強化することで合意した。8月には、中国の砕氷船が初めてロシアのコラ半島のムルマンスクを訪れた。
平和共存の暮らしで知られるスバールバル諸島の住民は、最近この群島への地政学的関心が高まっていることに不安を覚えている。
「ロシア人はわれわれの催し物にやってきたし、われわれは彼らのパレードを見に行き、彼らのウオッカを飲んだ」。スバールバル諸島の行政の中心であるロングイェルビーンのタリエ・アウネビック市長はそう話す。「突然、2022年2月に全てが劇的に変わった。かつての信頼関係はもう崩れている」
●その他
オースティン、勝負強く決勝ソロ DeNAがCS4連勝 - 日本経済新聞
米Z世代向け経済アドバイザーは27歳 - WSJ
履歴書で重宝される「ハンバーガー店勤務」 - WSJ
CFA証券アナリスト試験、レベル3合格率は48%-過去平均下回る - Bloomberg
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(17日)ドル上昇、利回り上昇 ダウ最高値更新 | ロイター
17日に発表された米小売売上高が堅調で、ドルが一時11週間ぶりの高値を記録しました。これは、米経済が安定していることを示す一方、今後1年半にわたる連邦準備理事会(FRB)の緩やかな利下げが見込まれているためです。ドル指数は0.3%上昇し、ドル/円は150円を突破。また、ユーロは11週間ぶりの安値を更新し、欧州中央銀行(ECB)が利下げを継続する可能性が高いとされています。トランプ氏の勝利が予想される米大統領選もドル高の要因となっています。
米国債利回りは、一連の堅調な経済指標を受けて上昇しました。9月の小売売上高が予想を上回り、新規失業保険申請件数も減少したことで、連邦準備理事会(FRB)が積極的な利下げを続ける見通しが後退しています。FRBには利下げ余地があるものの、急ぐ必要はないとの見方が広がっており、年内の利下げ幅の予想は縮小しつつあります。10年債利回りは4.095%に上昇し、2年債や30年債の利回りも上昇しました。
ダウ工業株30種は上昇し、過去5営業日のうち4日で終値ベースで最高値を更新しました。9月の小売売上高が予想を上回り、消費の堅調さが示されたことが主な要因です。また、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が強気の見通しを発表し、半導体株に買いが広がりました。TSMCの米上場株は9.8%急伸し、エヌビディアも0.9%上昇。フィラデルフィア半導体株指数は1%上昇しました。
さらに、保険会社トラベラーズ・カンパニーズと資産運用のブラックストーン・グループも第3四半期の利益が市場予想を上回り、それぞれ9%、6.3%上昇しました。一方で、一部の地方銀行株が下落しましたが、全体としてS&P銀行株指数は5日連続で上昇しています。
金先物は、米大統領選や中東情勢の不透明感からリスク回避としての需要が高まり、3日連続で上昇しました。12月物の終値は1オンス=2707.50ドルとなり、史上最高値を更新。米大統領選ではハリス副大統領とトランプ前大統領が接戦を続けており、安全資産としての金が買われています。また、イスラエルによるハマス指導者の殺害確認も影響し、金相場は上昇しました。
一方、米原油先物は5営業日ぶりに反発。米エネルギー情報局(EIA)の発表で、原油在庫が予想外に減少したことが背景にあり、需給懸念が和らいだためです。ただし、米経済指標の強さによるドル高が、ドル建て商品の割高感を生み、原油相場の上値を抑えました。
欧州市場サマリー(17日) | ロイター
ロンドン株式市場は続伸し、FTSE100種指数は約5カ月ぶりの高値で取引を終えました。これは、イングランド銀行(英中央銀行)が11月に利下げを決定するとの期待が高まっているためです。中型株のFTSE250種指数も0.58%上昇しました。
個別株では、害虫駆除大手レントキルが8.8%上昇し、新しい最高執行責任者(COO)の任命が好感されました。また、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測を背景に金価格が最高値を更新したことで、ホックシールド・マイニングが9.4%、センタミンが4.6%上昇しました。
英国の9月消費者物価指数(CPI)の伸び率が大幅に鈍化したことも、利下げ期待を高める要因となりました。さらに、オンラインカジノ運営のエンテインは、中核利益が予想の上限に近づく見通しを発表し、2.8%上昇しました。
欧州株式市場は反発し、STOXX欧州600種指数は過去最高値に迫りました。これは、欧州中央銀行(ECB)が理事会で予想通り中銀預金金利を0.25%引き下げたことが背景です。ドイツのDAX指数は最高値を更新し、フランスやイタリアなど他の主要市場も上昇しました。
セクター別では、STOXX欧州600種航空宇宙・防衛指数が2.48%上昇し、特に目立ちました。堅調な業績発表も市場を押し上げ、フィンランドのノルデア・バンクが業績見通しの引き上げと自社株買い計画を発表し、6.3%上昇しました。また、フランスのザルトリウス・ステディム・バイオテックは、予想を上回る受注が評価され、17.7%の急伸を見せました。
ユーロ圏の国債利回りはまちまちな動きを見せました。この日、欧州中央銀行(ECB)は予想通り25ベーシスポイント(bp)の利下げを決定しました。9月の前回理事会以降、低調な経済指標や予想を下回るインフレ率が影響し、追加利下げの観測が強まっています。
市場は、12月の理事会で50bpの追加利下げが行われる可能性も見込んでいます。ドイツ10年債の利回りは3.5bp上昇し2.21%、一方でドイツ2年債利回りは1.5bp低下し2.15%となりました。イタリア10年債の利回りは横ばいの3.41%で、ドイツとの利回り格差は118bpに縮小しています。

備忘録(2024/10/16
●海外企業決算
モルガンS、第3四半期利益が予想上回る 投資銀部門好調 | ロイター
第3・四半期決算は投資銀行部門が好調だったことで、利益が予想を上回った。
1株当たり利益は1.88ドルと、LSEGがまとめたアナリスト予想の1.58ドルを上回った。
同社に帰属する純利益は31億9000万ドルと、前年同期の24億1000万ドルから増加した。
テッド・ピック最高経営責任者(CEO)は、第3・四半期は「建設的な環境」の恩恵を受けたと指摘。機関投資家向け証券業務は、市場のモメンタムと堅調な顧客エンゲージメントを背景に好調だったとの見方を示した。
投資銀行部門の収益は56%増。伸びはゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなどの他の米金融機関を上回った
投資銀行と取引業務を含む機関投資家向け証券部門の収益は68億2000万ドルと、前年同期の56億7000万ドルから増加した。
株式トレーディング収益は株式相場の上昇を背景に21%増。債券トレーディング収益は3%増加した。
ウェルスマネジメント部門の収益は72億7000万ドルと、64億ドルから増加。640億ドルの純新規資産を獲得し、顧客資産総額は6兆ドルに達した。
インベストメントマネジメント部門の収益は15億ドルと、13億ドルから増加。資産運用関連手数料の増加が貢献した。
モルガン・スタンレー、トレーディングと投資銀業務好調-32%増益 - Bloomberg
LVMH株下落、一時7.5%安-中国の高級品消費減速が影響 - Bloomberg
16日のパリ株式市場で高級品ブランドを展開する仏LVMHの株価が下落。同社の売上高が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降初めて減少したことが嫌気された。かつて高級品購入意欲が旺盛だった中国人消費者の需要の落ち込みが浮き彫りとなった。
LVMHによれば、主要部門の有機的な売上高は7-9月(第3四半期)に5%減少した。
同社の株価は一時7.5%安。年初来は21%下落している。この日はLVMH以外にもエルメスやリシュモン、ケリングなど主要な高級品銘柄が売られている。
[PLD] プロロジス 3Q増収増益 売上高6%増20.3億ドル、営業益42%増12.5億ドル、EPS1.05ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ABT] アボットラボラトリーズ 3Q増収増益 売上高5%増106億ドル、営業益13%増18.5億ドル、EPS0.94ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MS] モルガンスタンレー 3Q増収最終増益 売上高16%増153億ドル、純利益34%増30.2億ドル、EPS1.88ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[USB] USバンコープ 3Q減収最終増益 売上高2%減68.3億ドル、純利益13%増16.0億ドル、配当0.50ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[CFG] シチズンズファイナンシャル 3Q減収最終減益 売上高6%減19.0億ドル、純利益14%減3.44億ドル、EPS0.76ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PPG] PPGインダストリーズ 3Q減収最終増益 売上高2%減45.7億ドル、純利益10%増4.68億ドル、EPS2.00ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CSX] CSX 3Q増収増益 売上高1%増36.1億ドル、営業益7%増13.5億ドル、EPS0.46ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米大手銀、第3四半期は投資銀行業務が好調 ディール・社債発行増 | ロイター
米大手銀行の第3・四半期決算はディール(取引案件)や社債発行の増加によって投資銀行業務手数料が拡大した。各行は新規案件のパイプラインは健全だとしている。
銀行関係者は、連邦準備理事会(FRB)をはじめとする中央銀行の利下げで借り入れがしやすくなるとして、ディールへの楽観的な見方を強めている。株式市場が活況を呈し、米国経済がソフトランディング(軟着陸)するとの見通しが強まっていることも、ディールメーカーの自信を後押ししている。
大手行の株式を保有するヘネシー・ファンズのポートフォリオマネジャー、デイブ・エリソン氏は「大手銀行は中小銀行に比べて大きな多様性と優位性を持つ投資銀行業務からの収益に助けられ、予想を上回っている」と話した。
ゴールドマン・サックスの投資銀行手数料収入は前年比20%増の18億7000万ドル。パイプラインは第2・四半期末、2023年末のいずれと比べても増加したという。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の同収入は前年比18%増の14億ドル。アラステア・ボースウィック最高財務責任者(CFO)は「パイプラインは良好だ」と述べた。 もっと見る
シティグループでは、投資銀行業務が2四半期連続で明るい話題となり、主に投資適格級債券の発行が収入を31%増加させた。 もっと見る
<トレーディング業務はまちまち>
トレーディング業務はまちまち。株式は強気な市場に後押しされたが、債券・為替・コモディティー(FICC)が一部で足を引っ張った。
ゴールドマンのFICCトレーディング収入は、金利商品とコモディティーの低迷に引きずられ、前年比12%減の29億6000万ドル。株式トレーディング収入は18%増の35億ドルだった。
BofAのセールス・トレーディング収入は12%増の49億ドル。株式が18%増、FICCが8%増となった。
シティでは、株式トレーディング収入が32%増の12億ドルとなった一方、債券トレーディング収入は6%減の36億ドルだった。
11日に発表されたJPモルガンの投資銀行手数料は31%増。伸び率は9月に示されたガイダンス(15%)の2倍に達した。株式がトレーディング収入を8%増加させ、従来見通しの2%増を上回った。 もっと見る
ウェルズ・ファーゴは、投資銀行手数料の増加と好調なトレーディング収入もあり、非金利収入が12%増加した。 もっと見る
グレート・ヒル・キャピタル(ニューヨーク)のトーマス・ヘイズ会長は「緩和サイクルが始まった今、アニマルスピリットが戻ってきている。トレーディングと投資銀行部門の利益は再び加速している」と述べた。
ディールロジックのデータによると、24年に世界で発表されたM&A(合併・買収)は9月30日現在で総額9090億ドル。1年前と比べ22%増となった。
インフォーマ・グローバル・マーケッツのデータによると、今年に入ってからの米投資適格債発行額は1兆3000億ドルと、1年前の時点を29%上回っている。
楽観的な見方の一方で、ディールメーカーは規制や米国の選挙、地政学的状況を警戒している。
アマゾン、小型原子炉開発でデータセンター向け電力確保へ | ロイター
米アマゾン・ドット・コムは16日、次世代原発「小型モジュール炉(SMR)」の開発を通じてデータセンター向け電力を確保するための3件の契約を締結したと発表した。人工知能(AI)の利用拡大に伴ってデータセンターの電力需要が急増している状況に対応する。
アマゾンは、Xエナジーが開発予定のワシントン州でのSMRプロジェクトの事業化調査に資金を拠出する。プロジェクトは州の公益企業連合が主導しており、SMRを活用して発電能力を960メガワット(MW)に拡大し、この拡大分をアマゾンと公益企業連合が利用する取り決めだ。
クラウド部門AWSのマット・ガーマン最高経営責任者(CEO)は「われわれの取り決めは今後数十年にわたるエネルギーを生み出す新たな原子力技術の構築を促進するだろう」と述べた。
XエナジーがSMR開発に投じる5億ドルの資金調達について、アマゾンが主要な出資者となる方針。両社は2039年までに米国内にSMRを通じて5ギガワット(GW)強の電力を新たに供給することを目指しており、これは現時点で最大規模の商用プロジェクトだという。
またアマゾンは、ドミニオン・エナジーとの間でバージニア州にある既存発電所の近くにSMR施設を建設するプロジェクトを進めていくことにも合意した。
ブラックロックが目指す次の覇権 未公開資産の巨人へ 解剖フィンテック ブラックロック㊦ - 日本経済新聞
上場株式や債券といった伝統的資産の運用で巨人と言われるブラックロックが、未公開資産(プライベートアセット)でも覇権を握ろうとしている。6月、未上場企業の株式・債券やインフラ、不動産で圧倒的なデータを持つ英調査会社プレキンを25.5億ポンド(約5000億円)で買収すると発表した。
●日本企業
●米大統領選挙
トランプ氏の頼れる経済顧問、ベッセント氏とは - WSJ
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
●先進国経済指標
英インフレ率、中銀目標下回る-利下げ観測強まりポンド1.3ドル割れ - Bloomberg
●金融市場、先進国トピックス
9月訪日外国人は前年比31%増の287万人、1─9月で昨年累計上回る | ロイター
化石燃料需要、30年にはピークに 「電気の時代」へ移行=IEA | ロイター
国際エネルギー機関(IEA)は16日、化石燃料の需要が2030年にはピークに達すると予測、世界は「電気の時代」に移行するとの見方を示した。
石油と天然ガスが供給超過となり、グリーンエネルギーへの投資が増える可能性があるとしている。
ただ、中東やロシアが紛争で混乱していることや、世界のエネルギー需要の半分を占める国で今年、選挙が行われるため、先行き不透明感も強いと指摘している。
IEAのビロル事務局長は年次報告書に併せて発表した声明で「(20年代)後半は、地政学的な緊張の行方にも左右されるが、石油と天然ガスの供給がより潤沢に、場合によっては供給超過になるとみられ、われわれはまったく違うエネルギーの世界に向かうだろう」と指摘。
化石燃料が供給超過となれば価格が下がる可能性が高く、各国がより多くの資源をクリーンエネルギーに回せるようになり、世界が「電気の時代」に突入する可能性があると指摘した。
ただ、短期的には、中東紛争で石油の流れが途絶えれば、供給が減少する可能性があるとの見方も示した。
IEAは、こうした紛争でエネルギーシステムのひずみに注目が集まり、投資を通じて「よりクリーンでより確実な技術」への移行を急ぐ必要性が浮き彫りになっていると指摘した。
現在の政府の政策に基づくシナリオでは、世界の石油需要は30年までに日量1億0200万バレル弱でピークに達し、35年には9900万バレルに減少する見通し。電気自動車(EV)の普及など輸送セクターの需要減少が主因という。
このシナリオでは原油価格は23年の1バレル=82ドルから50年には75ドルに下落する。
液化天然ガス(LNG)の需要は23─30年に1450億立方メートル増加する見通しだが、同期間に輸出能力は2700億立法メートル増える見込みという。
アングル:住居費高騰深刻な米国、借家人「組織票化」で大統領選左右か | ロイター
米国で深刻な住居費高騰が11月5日の米大統領選で争点として浮上しつつある中、借家人の組合などが全国的な連帯を強化し、重要な「組織票」になる可能性が出てきた。運動の旗振り役を担う団体らは、借家人が政策的な恩恵を勝ち取るチャンスになると期待している。
こうした団体の一つ、ナショナル・ハウジング・ロー・プロジェクト(NHLP)のエグゼクティブディテクター、シェイマス・ローラー氏は「多くの人々が抱える経済的不安の根本に住宅問題があるので、必ずしも明白に見えない形ながらもこれが大統領選の行方を握ろうとしている」と説明する。
ローラー氏はトムソン・ロイター財団に「ここに前途有望な瞬間が存在する。次期政権と議会で本格的な住宅政策の変化を目にできるかもしれない」と語った。
ハーバード大学が6月に行った分析では、住宅価格と家賃の記録的な上昇によって住宅入手可能性の面で「未曾有の危機」が到来し、米国内に手頃な価格の住宅が推定であと730万戸は必要だとされた。
過去の国政選挙を見ると、住宅問題はほとんど関心を集めてこなかった。しかしローラー氏らの話ではそうした状況は劇的に変わっており、選挙結果を左右する可能性すらあるとの見方さえ聞かれる。NHLPによると、米国の全世帯のおよそ36%は借家生活をしている。
NHPLなど複数の団体は6月、大統領・議会選挙を見据えて、借家人の権利を守る全米レベルの法案を発表。家賃の引き上げを妥当な範囲にとどめることや、借家人の組織化容認、立ち退き手続きの正当性に関する徹底した調査を求めた。
大統領選における5つの激戦州で借家人に自分たちの権利のための投票を促す運動を展開する非営利法人、ポピュラー・デモクラシー・イン・アクションは、借家人こそが大統領選の勝者を決める鍵を握ると言い切る。運動の対象には、2020年の選挙で初めて選挙に参加した100万人のマイノリティー有権者も含まれている。
共同エグゼクティブディレクター、ダマレオ・クーパー氏は「米国社会でこれまで機会を逃した、あるいは気にかけてもらえなかった人々のために声を上げられる組織を立ち上げられるよう、問題認識を深める上で今の時期を利用しなければならない」と強調した。
9月に130万戸の新たな公共住宅建設・維持を監督する全米の新たな組織創設に向けた法整備を訴えたポピュラー・デモクラシー・イン・アクションによると、激戦州の借家人の間では住居費は一番の懸念要素で、さまざまな問題の優先順位を巡る判断で住宅は政治家と有権者のずれが最も大きかった。
クーパー氏は11月5日の投票だけでなく、選挙前の組織化を通じて借家人に新しい政治的な力を与えることが大事で、今の行動がこの先50―60年の事態を決めるとの見方を示した。
<両陣営ともに重視>
バイデン政権が7月に特定住宅の家賃に関する全国的な上限の導入を支持し、法人大家による「便乗値上げ」取り締まりを表明すると、大きな反響を呼んだ。
それ以降、民主党大統領候補ハリス副大統領と共和党大統領候補トランプ前大統領双方の陣営とも、重視する政策に手頃な住宅の供給を盛り込むようになった。
ハリス陣営は電子メールで、これまでにハリス氏が300万戸の新規住宅建設や、初めての住宅購入者への現金給付、幾つかの家賃抑制策などを打ち出していると説明。共和党全国委員会の広報担当者は、トランプ氏は不法移民への住宅ローンの禁止、開発規制の緩和、新規住宅取得費の半減、大規模住宅建設に向けた連邦所有地の開放などを実行するとしている。
借家人組合側からも、こうした関心の高さのおかげで借家人の政治的な影響力を高めるまたとない機会が訪れたと喜びの声が出ている。
8月には5つの都市・州単位の組合が初めて連合組織テナント・ユニオン・フェデレーションを結成。支援者の話では、さらに十数の組合と協力関係を築きつつある。
ミズーリ州カンザスシティーで借家人の組織化を進め、テナント・ユニオン・フェデレーションのディレクターを務めるタラ・ラグフビア氏は「家賃は現代の重大な経済問題だ。大半の勤労者にとって毎月の支払額が最も大きい費用であり、物価全体の押し上げに一番持続的かつ相当な規模で寄与している」と指摘した。
不動産業界が大きく変化し、借家人が全米レベルで意見を表明せざるを得ない状況にもなっている。ラグフビア氏は「大家はもはや州ないし市の政府で規制できる事業運営をしていない。彼らの事業は州ごとの線引きを超えてしまっている」と述べた。
同氏によると、これまでずっと手頃な価格の住宅供給はごく地方的問題と片付けられてきたが、ついに構図が変わろうとしている。
「われわれが住戸を回って借家人と話をすると、以前よりも大きな手応えがある。長らく人々が感じてきたことに、ようやく全国的な政治の話題が追いついてきている」という。
モンタナ州ボーズマンの低所得者向け賃貸住宅で暮らすオザー・エコメーカーさん(33)は、過去10年で家賃が3倍に跳ね上がったと述べた。ただこの住宅を19年に買った新たな大家が、必要な修繕を適切なタイミングで行うことを怠ったことを受け、エコメーカーさんは1年前、近隣住民とともに組合を立ち上げ、自分たちの意見を届けられる力を得たことに満足している。
ボーズマンでは現在4つの組合が連携。エコメーカーさんは「加入者は増え続けている。人々はうんざりしているからだ」と語り、借家人は労働に従事して経済を回している以上、声を上げるのに値する存在だと付け加えた。
低所得者向け住宅の拡充に取り組む非営利法人、ナショナル・ロー・インカム・ハウジング・コアリションのコートニー・クーパーマン氏は、各候補者たちは低所得の借家人たちも有権者であり、政治情勢の見通しや優先課題を一変させる可能性を秘めていると認識しなければならないと警告した。
世界のM&A、9月は前年比26%増の3231億ドル=LSEG | ロイター
世界のIPO、9月は前年比64%減の57億ドル=LSEG | ロイター
ECB、21年に利上げ開始していれば物価高騰回避 DIWが指摘 | ロイター
ドイツ経済研究所(DIW)は、欧州中央銀行(ECB)が利上げをためらったせいでユーロ圏のインフレが加速したとする報告書をまとめた。
ロイターが閲覧した報告書でDIWは、ECBが2021年半ばから政策金利を緩やかに引き上げていれば、インフレ率は10%を超えることはなく3%止まりだったと指摘した。
ユーロ圏のインフレ率は21年半ばから上昇基調となり22年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始を機に加速した。ECBが利上げに踏み切ったのは22年7月だった。
執筆者のベン・シューマン氏は「金融政策はエネルギー価格に影響を与えられない、というのが、ECBが対応をためらった理由の一つだった。しかしわれわれの観測が示すように、その想定は間違っている」と述べた。
報告書は、金融政策が国際エネルギー価格に影響を与えたのは、主要金利の上昇がユーロ圏のエネルギー需要を押し下げたからだと指摘。利上げがもっと早ければ、ユーロが対ドルで上昇し、ドル建てで決済されるエネルギー価格も下落したはずだとした。
「利上げによって、ECBはインフレ抑制という決意をより明確にすることができ、ロシアのウクライナ侵攻後のインフレ急加速もなかった」とシューマン氏は述べた。
DIWは、ECBが利上げを躊躇したのは、コロナ禍の後、ユーロ圏諸国の経済状況が悪く、金融当局が金融セクターの安定を懸念したためと推測。より早く利上げを実施していた場合、ユーロ圏GDPは約3%ポイント押し下げられるが23年末までに回復していたとの想定を示した。
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原油・LNG余剰生産拡大、低価格で安定か IEA30年予想 - 日本経済新聞
国際エネルギー機関(IEA)は16日、2024年の世界のエネルギー市場に関する報告書を公表した。2030年に中東やロシアなどの余剰生産能力が急拡大するほか、液化天然ガス(LNG)の世界生産能力も余剰になると予測した。20年代後半は化石燃料の生産が豊富で安価な時期になるとみて、その間にクリーンエネルギーへの投資を促した。
世界各国で現行の環境・エネルギー政策が続くシナリオの場合、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどで構成する「OPECプラス」の原油の余剰生産能力は2030年に日量780万バレルとなり、23年比で320万バレル増える。
余剰生産能力があると原油急騰や天災・紛争の際に機動的に出荷できるため安定供給につながる。
もっとも、エネルギー安全保障の不透明感も高いとした。余剰生産能力のうち8割はホルムズ海峡を通過する必要があるためだ。中東やロシアの地政学リスクは依然として高く、安定供給につながる低炭素技術への投資を呼びかけた。
世界最大の原油輸入国の中国はこれまで需要をけん引してきたが、EVの導入増加でガソリン消費の伸びに急ブレーキがかかる。
EVが増える北米の原油需要も減少に転じ、欧州では減少ペースが加速。この結果、30年まで世界の原油需要はピークを迎え、35年には23年(日量約9900万バレル)の水準に戻る。
LNGについては世界需要増の増加が続くが、米国やカタールなどの生産能力の伸びが上回る。30年の世界需要は23年比で約1450億立方メートル(約1億700万トン)増加する一方、生産能力は同じ期間で約2700億立方メートル(約1億9900万トン)増加する。
この結果、余剰の生産設備が30年には約1600億立方メートル(約1億1800万トン)に上るとみる。23年の5倍の規模だ。
ウクライナ紛争後にLNG需要が急増した欧州連合(EU)の消費は下落に転じるほか、中国の増加ペースが鈍化する。東南アジアとインドが成長をけん引する。
世界の電力需要は急増する。人口増、経済成長、エアコンやEV、工場・商業施設などの需要が増えるため。経済の電化で35年まで毎年、世界で日本1カ国分に相当する電力需要が上積みされる。
この結果、30年の世界のエネルギー消費に占める化石燃料の割合は75%となり、現在の80%から低下する。IEAは世界のエネルギーが産業革命以降は「石炭・石油の時代」だったのが今後は「電力の時代」になるとみている。
もっとも、中東産油国や石油メジャーのエクソンモービルは化石燃料の消費が底堅く推移するとしており、消費国で構成するIEAとは対照的な見方をしている。
IEAによると、世界の温暖化ガスの排出削減ペースは十分ではなく、2100年に産業革命前に比べて2.4度上昇する。環境規制や消費行動の変化が一段と重要になる。
50年に排出ゼロを達成するには35年まで従来の2倍のペースで再生エネや原発といった排出ゼロの電源を建設する必要があるという。
●中東情勢
●エマージング
中国が超富裕層への課税に動く、海外投資利益を対象に-関係者 - Bloomberg
米と「友人になる用意」、習中国主席が円滑な米中関係求める | ロイター
【オピニオン】日本化する中国、「失われた10年」の最中か - WSJ
中国の不動産市場は崩壊しつつある。1月には、深圳に本社を置く不動産開発大手の中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)が、3000億ドル(約44兆7000億円)の負債を抱えて清算に追い込まれた。中国国内では推計9000万戸の集合住宅が空室になっており、その多くは遼寧省瀋陽市や内モンゴル自治区オルドス市といった「ゴーストシティー」にある。英国のバンド「ザ・ヴェイパーズ」は1980年に「日本人になっちゃうよ」と歌った。中国経済は日本化しつつあるのだろうか。
碧桂園(カントリー・ガーデン)、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)、融創中国(サナック・チャイナ)といった他の中国不動産開発会社は混乱状態にある。中国経済は減速している。9月時点で、中国の製造業活動は5カ月連続で縮小していた。国際通貨基金(IMF)は、中国の長期的な経済成長率が低下しつつあると予測している。2010年に10%を超えていた成長率は、現在4%を下回っている。1990年代に日本の成長率は同じように低下した。
2008年に当時のヘンリー・ポールソン米財務長官は、米国の財政出動を「バズーカ」と呼んだ。中国は先月、自前のバズーカを取り出した。金利・住宅ローン金利・預金準備率の引き下げを伴う大規模な景気刺激策だ。主要株価指数の上海総合指数は25%上昇した。危険はなくなったのだろうか。とてもそうは言えない。刺激策が予想より小規模だったとの見方を受け、同指数は上昇勢いを失い、8日以降に約8%下落した。中国の財政相は12日、景気刺激のために政府債務を「大幅に増やす」と表明した。詳細はわずかしか明らかになっていないが、筆者には絶望的に聞こえる。
日本は失われた数十年の間、金融緩和・財政出動で景気浮揚を試みた。だが、銀行は不良債権を大量に抱え込んだ。日本は経済の構造改革や不良債権処理を後回しにした結果、健全そうに見えるが新規融資を停止したゾンビ銀行を生んでしまった。経済は足踏み状態だった。
中国は「日本2.0」なのだろうか。計算してみよう。中国の平均的な集合住宅の広さは970平方フィート(約90平方メートル)で、その価格は1平方フィート当たり205ドルとすると約20万ドルになる。つまり集合住宅の空室9000万戸は18兆ドル分にもなり得る。これらの空き家の建設と購入のためのローンは間違いなく数兆ドル規模であり、不良債権化している。だが中国の公式発表によると、不良債権比率はわずか1.6%だ。これは信じ難い。中国の経済統計は曖昧なことで悪名高いが、集合住宅の空室9000万戸をいつまでも隠しておくのは難しい。
朗報は、中国の国内貯蓄率が高いことだ。それによって、不良債権を覆い隠せるかもしれない。だが、中国経済は依然として、利益率と生産性が低い国有企業に支配されている。中国はかつて一人っ子政策を実施していたせいで、労働力の高齢化に苦しめられている。こうした人口動態上の変化に対しては「生産性のより高い企業」が処方箋となるが、それはまさに、習近平国家主席と中国政府が締め付けを行った、金融・通商・学習塾・ゲーム分野の企業でもある。これは賢明な動きではない。1990年代の日本と違い、中国はまだ富裕国ではない。公式統計による人口1人当たりの国内総生産(GDP)は、メキシコをなお下回っている。
これに加え、ドナルド・トランプ前米大統領が提案している、中国製品に対する60%の関税がある。実現すれば、生産拠点がメキシコやベトナム、インドに大きくシフトしそうだ。カマラ・ハリス米副大統領も対中関税を適用する可能性がある。欧州連合(EU)は最近、中国製の電気自動車(EV)に45%の関税を課した。筆者は中国経済がこれに対応できるか確信がない。関税は、対象を限定した為替操作のようなものだ。
中国は独自の債務問題を抱えている。政府債務はGDP比で85%近くに達する。民間の非金融債務はGDP比205%で、このうち中国のドル建て債務は約1兆1000億ドルに上る。だが、中国はドル離れを進めている。中国の米国債保有高は2013年のピーク時に1兆3200億ドルに達したが、今年7月時点では7760億ドルに減少していた。中国がある程度のドルをオフショアで保有している可能性はあるが、それでもこれが大きな変化であることに変わりはなく、危険だ。
1997年と98年の通貨危機を覚えているだろうか。韓国、タイ、インドネシア、そしてロシアまでもが、自国通貨の急落とドル建て債務の負担増加に直面し、資産の投げ売り以外に返済手段がない状況に追い込まれた。この通貨危機の教訓は「自国通貨の急落を防ぐために準備資産としてドルを保有しておくべき」ということだった。
しかし中国はそうせずに、金や石油、銅などのコモディティー(国際商品)の備蓄を進めている。一部の人々はこうした動きについて、伸びが鈍化している輸出を急増させるための通貨切り下げの前触れだと考えている。それが現実となれば、世界市場が大混乱に陥り、中国からの急激な資本流出が起きるだろう。
米イエール大学のエコノミスト、スティーブン・ローチ氏は筆者に対し、不動産分野の混乱と国有企業の低い生産性のせいで「中国の成長率は受け入れがたいほど低いと言えるかもしれない。貯蓄がどれだけあっても、日本が経験したのと同様の構造的問題から逃れることはできないだろう」と語った。
米経営学誌ハーバード・ビジネス・レビューは2021年、「米国民は中国がどれほど資本主義的なのかを知らない」と題するインタビュー記事を掲載した。中国は本当に資本主義的なのだろうか。習氏はマルクス主義の信奉者であり、「共同富裕」や「中国の特色ある社会主義」といった表現を多用している。こうした発言は、構造的問題の解決に期待を抱かせるものとは思えない。
中国の失われた10年(中国の日本化)が、現在進行中かもしれないと警戒しておくべきだ。民主主義のない資本主義は結局のところ、全く資本主義ではないということになるのかもしれない。
中国景気対策の成否注視、余波に身構えるアジア - WSJ
アジアが中国の異例の景気対策を注視している。域内経済は底堅さを増しているが、中国経済が活性化しなければ、その影響は地域全体に及ぶだろう。
中国はこの30年間、アジアの成長の原動力だったが、経済的苦境が深刻化し、近隣諸国に影を落としている。中国指導部が経済再生に本腰を入れているが、中国が再びアジアの追い風になれるかは今後の政策措置次第かもしれない。
アジア諸国にとっては、中国が成長率目標を達成できるかどうかではなく、経済が安定するのか、あるいはさらなる減速に向かうのかが重要だとアナリストは言う。
ノムラのアナリスト陣は「中国の刺激策の種類が重要だ」とメモで述べている。
ムーディーズ・アナリティックスのエコノミスト、ハリー・マーフィー・クルーズ氏は、近隣諸国が望んでいるのは、5%の年間成長率を達成するための「糖分」を供給する派手な刺激策ではなく、中国経済の構造的な課題に的を絞った支援だと話す。
当局者が若者の失業といった以前からくすぶっている問題や国内需要の低迷に関心を示していることもあって、中国が相次いで発表した政策は前向きな一歩と受け止められている。12日の財政省の記者会見を受けてさらなる財政出動への期待が高まったが、詳細が示されなかったため、中国の取り組みがアジアにとって何を意味するかについての疑念は依然として晴れていない。
クレジットサイツのアナリストのゼルリーナ・ゼン氏とカレン・ウー氏は「(政策)パッケージは消費や不動産・民間セクターを支えるための大胆な政策が不十分だった」とメモで指摘した。
ムーディーズのクルーズ氏によると、アジアが中国に望んでいるのは、地方・中央政府間の財政負担のバランスを改善することや不動産価格の下落に歯止めをかけること、家計が安心して消費できるようにすることだ。
クルーズ氏によると、この種の需要サイドの刺激策は、中国がアジア地域からの購入を続けられるようにしたり、関税や世界的なショックなどの要因で中国経済が変調をきたすリスクを減らしたりすることができる。
しかし、アジア諸国に影響するのは貿易だけではない。
「アジア太平洋地域では、中国が最大の観光客供給源という国は多い。家計が自信を失えば、旅行にあまり行かなくなり、消費額も減る」とクルーズ氏は言う。
国内需要の低迷を受けて中国の製造企業は販売先を国外に求め、歓迎されない競争をアジア地域にもたらしている。
メイバンク・インベストメント・バンキング・グループのエコノミスト、エリカ・タイ氏によると、中国企業が国外で過剰在庫を薄利で売っているため、東南アジアの製造企業は自国内で激しい競争にさらされている。タイの製造企業は中国の安価な輸入品の流入に不満を訴えているという。
しかし貿易には輸入もあれば輸出もある。アジアの中国向け輸出は中国の不動産建設投資と小売り消費の影響を受けていると、ノムラは指摘する。
ノムラによれば、中国がインフラプロジェクトを増やせばアジア諸国が得られる利益は減るかもしれないが、不動産セクター向けの財政出動――事前販売され遅延が生じている住宅プロジェクトに直接資金拠出を行うなど――が行われれば、アジアの輸出回復の裾野が広がり、コモディティー(国際商品)価格が上昇する可能性がある。
中国の政策が成功するか失敗するかによる影響は、金融市場を通じてもアジア諸国に届く。政策発表に関連して株価がこの数週間に乱高下したことは、市場がどれほど神経質になっているか、さらにセンチメントが地域全体にどれほど容易に波及するかを示している。
金融市場の下落はかなりのスピードで広がる可能性があり、「ほとんどの地域、特に香港、台湾、シンガポールにあっという間に打撃を与える」とクルーズ氏は話した。
中国の政策立案が国外に影響を与えることは明らかだが、アジア諸国が中国の景気減速の影響を抑えることは可能で、実際に抑制に成功している。
アジアの成長率は現在、新型コロナウイルス禍前の水準かそれに近い水準にあり、インフレはほぼ抑制されている。
メイバンクのタイ氏によると、インドネシアやマレーシア、フィリピン、シンガポールといった国は中国経済の減速にもかかわらず、予想を覆して高い経済成長率を達成した。
インドネシアは国内需要が旺盛で、シンガポールやマレーシアなどではテクノロジーを中心に輸出ブームが起きており、中国の景気減速の影響緩和に役立ったとタイ氏は言う。数カ国で外国直接投資(FDI)が上向いたことも貢献した。
それでもアジアは中国政府による強力な財政出動を歓迎するだろうとタイ氏は言う。
ムーディーズのクルーズ氏は「われわれが期待しているのは中国経済の順調な成長だ。そのために重要なのは、より多くの建物を建てることではない。構造的な懸念に取り組むことだ」と述べた。
クルーズ氏は悲観一色ではない。
「中国は変わらなければならない。これまでは物を作って窮地を脱することができた。しかし地政学的な緊張が高まり、関税がさらに引き上げられる可能性があるため、もはやそうした成長の原動力に頼ることはできず」国内経済が成長を支える必要がある。クルーズ氏はそう話した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
米ブラックストーン、スペインでデータセンターに投資 82億ドル | ロイター
米投資会社ブラックストーンがスペイン北東部アラゴン州にデータセンターを開設するため75億ユーロ(約82億ドル)を投資する計画だと、州の広報担当者が15日明らかにした。
同地域は欧州の主要なクラウドコンピューティング拠点で、州政府によると、マイクロソフトやアマゾンなどのハイテク大手も州都サラゴサをデータセンター建設地に選んでおり、これまでに19の計画が申請されている。
ブラックストーンはコンピューターサーバーを設置する企業へのリースを目指すという。
州政府は6月、マイクロソフトが同地域のデータセンターに66億9000万ユーロの投資を計画していると発表。アマゾンのクラウド部門AWSも5月、同州に自社のデータセンターを建設するため157億ユーロを投資すると発表している。
アラゴン州には高い風力発電能力があり、アマゾンはデータセンターの電力を再生可能エネルギーで賄うとしている。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(16日)ドル11週間ぶり高値、ダウ最高値・利回り低下 | ロイター
為替市場では、ドルが上昇し、11週間ぶりの高値を記録しました。米大統領選が近づく中、注目が集まっています。ユーロは欧州中央銀行(ECB)の理事会を前に下落し、ポンドも低調なインフレ指標を受けて下落しました。ドル指数は0.3%上昇し、ユーロ/ドルは0.4%下落、ポンド/ドルは0.7%下落しました。債券市場では、国債利回りが低下し、10年債利回りは3営業日連続で下落。9月の輸入物価指数がインフレの緩和を示唆し、利下げ継続の見方が強まりました。
株式市場では、ダウ工業株30種が反発し、最高値を更新しました。小型株の上昇や銀行大手の好決算が支えとなり、前日のハイテク株主導の下げから切り返しました。S&P500種も終値での大台突破が目前に迫りました。モルガン・スタンレーが投資銀行部門の好調で6.5%急伸。小型株では、ラッセル2000指数が1.6%、S&P小型株指数が1.4%上昇し、2021年11月以来の高値で引けました。一方、ハイテク株は下落し、アップルやアルファベット、メタ、マイクロソフトが軟調でしたが、エヌビディアは3.1%上昇しました。
金先物は、新たな材料が少ない中で、米長期金利の低下を受けた買いが入り続伸しました。12月物の清算値は前日比12.40ドル(0.46%)高の1オンス=2691.30ドルとなりました。
一方、米原油先物は中東情勢の緊迫化による供給不安の後退や、エネルギー需要見通しに対する懸念から売りが続き、4営業日連続で下落しました。WTI11月物は前日比0.19ドル(0.27%)安の1バレル=70.39ドル、12月物も0.19ドル安の69.82ドルとなりました。
欧州市場サマリー(16日) | ロイター
ロンドン株式市場は反発して取引を終えました。9月の英国消費者物価指数(CPI)がインフレ鈍化を示し、イングランド銀行が11月の会合で利下げを決定するとの期待が高まりました。中型株で構成されるFTSE250種指数は0.89%上昇、貴金属株指数は3.32%高とセクター別で顕著な上昇を見せました。また、住宅建設株指数も3.00%上昇しました。
英国立統計局が発表した9月のCPIは前年同月比1.7%上昇で、市場予想の1.9%を下回り、8月の2.2%から大幅に鈍化。これを受けてポンドが対ドルで下落し、株式市場に追い風となりました。英中銀の利下げ決定の可能性は約90%と見られています。個別銘柄では、資産運用のキルターが運用額の増加を受けて4.7%上昇しました。
欧州株式市場は続落して取引を終えました。テクノロジー株や高級ブランド銘柄が、業界大手の決算が期待に届かなかったことで下落。欧州中央銀行(ECB)の理事会を控え、投資家は慎重な姿勢を見せました。
STOXX欧州600種テクノロジー株指数は1.49%安となり、1カ月ぶりの安値で取引を終了。オランダの半導体製造装置メーカーASMLホールディングは5.1%下落し、約10カ月ぶりの安値を記録しました。フランスの高級ブランドLVMHは3.7%安となり、第3四半期の売上が低調だったことが嫌気されました。中国市場に依存する他の高級ブランドも下落し、STOXX欧州高級品株指数は1.34%、個人・家庭用品株指数は1.37%下落。
フランスのCAC40指数は0.40%、ドイツのDAX指数も0.27%下落しました。アディダスは通期見通しを引き上げたものの、6.3%下落。一方、スペインのIBEX指数は0.56%上昇し、2010年1月以来の高値で取引を終えました。
ユーロ圏債券市場では、域内国債利回りが1週間ぶりの低水準を記録しました。17日に予定される欧州中央銀行(ECB)理事会での利下げが広く予想されていることが要因です。ドイツ10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下し、2.18%と10月4日以来の低水準に達しました。2年債利回りも5bp低下し、2.168%となりました。
短期金融市場では、ECBが今回の理事会で25bpの利下げを行うとの見方がほぼ確実視されています。また、米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退していることも、域内国債利回りの低下を後押ししています。イタリア10年債利回りは6bp低下し、独伊10年債利回り格差は1bp縮小し123bpとなり、7月以来の低水準を記録しました。
イタリアのメローニ首相は、国内の銀行や保険会社から35億ユーロを徴収する計画を発表しました。

備忘録(2024/10/15
●海外企業決算
米ゴールドマン、第3四半期は45%増益 投資銀部門が好調 | ロイター
第3・四半期決算は45%増益となった。投資銀行部門が好調で、1株当たり利益は市場予想を上回った。
利益は29億9000万ドル。1株当たり利益は8.40ドルで、LSEGのまとめた市場予想の6.89ドルを上回った。
投資銀行の手数料収入は20%増の18億7000万ドル。
債券、為替、コモディティー(FICC)トレーディング収入は12%減少したものの、株式トレーディング収入は18%増加した。
信用損失引当金は3億9700万ドルと、前年同期の700万ドルから拡大した。
また、米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N), opens new tabとのクレジットカード事業撤退に伴う減損を含め、4億1500万ドルの損失を計上した。
アセット・ウェルスマネジメント部門の収入は16%増加した。
第3・四半期の運用資産額は3兆1000億ドルで、過去最高に達した。
従業員数は4万6400人で、6月末時点の4万4300人、前年同期の4万5900人から増加した。
ゴールドマン、45%増益-株式トレーダーとディールメーカーがけん引 - Bloomberg
米ゴールドマン・サックス・グループの7-9月(第3四半期)は45%増益となった。株式トレーディング収入の予想外の増加と投資銀行業務の復活が寄与した。
株式トレーディングは3年余りで最高の四半期収入を記録。通年で過去最高となる勢いだ。ディールメーキングの手数料収入は主要事業分野のすべてで予想を上回った。投資銀行部門全体は債券トレーディング収入の落ち込みにより、伸びが抑えられた。同社は先に、債券トレーディングの減収見通しを明らかにしていた。
ゴールドマン今年、個人向け銀行業務を大幅に縮小し、投資銀行業務の回復から利益を得る体制を整えていた。ウォール街の大手銀行は全体的に、金利引き下げによるリテール事業への逆風をかわしつつ、手数料を押し上げるディールメーキング増加の恩恵を受けている。
14日に過去最高値を更新したゴールドマン株は15日のニューヨーク市場開場前取引で上昇し午前8時3分時点は3.3%高。
第3四半期にはゼネラル・モーターズ(GM)とのクレジットカード提携解消と、その他の小規模なリテール事業からの撤退で、4億1500万ドル(約620億円)の損失を計上した。英バークレイズは14日、GMとの提携事業を引き継ぐと発表した。
デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は先月、ゴールドマンが自社バランスシートからの投資を削減していることから、マネーマネジメント部門における株式および債券投資に関連する収入が大幅に減少する見通しを示していた。同収入は2億9400万ドルで、昨年10-12月の12億ドル超など最近の四半期に比べ大幅に減少した。
純利益は29億9000万ドル(1株当たり8.40ドル)に増加。収入は7%増の127億ドルだった。
7-9月の自己資本利益率(ROE)は10.4%。
株式トレーディング収入は35億ドルに達し、2021年1-3月(第1四半期)以来の高水準。債券トレーディング収入は12%減の29億6000万ドル。
投資銀行業務の収入は18億7000万ドルで、アナリスト予想平均の16億8000万ドルを上回った。合併助言手数料は8億7500万ドルでJPモルガン・チェースを上回った。
株式引き受け業務の収入は3億8500万ドル、債券引き受けは6億500万ドル。
資産運用およびウェルスマネジメント事業の収入は37億5000万ドルで、前年同期から16%増加した。
米シティ、第3四半期は減益 市場予想は上回る | ロイター
第3・四半期は減益となったものの、落ち込みは市場予想より小さかった。投資銀行部門が2四半期連続で好調だったことが寄与した。
純利益は32億ドル(1株当たり1.51ドル)。前年同期の35億ドル(同1.63ドル)から減少した。それでもLSEGがまとめたアナリスト予想の平均1.31ドルは大きく上回った。
企業による社債や株式の発行が増加し、他行と同様に資本市場回復の恩恵を受けた。投資銀行部門の収入は31%増の9億3400万ドルとなった。
ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は「当社が正しい方向に進んでおり、その戦略が勢いを増していることを示す証拠がいくつも含まれている」と述べた。
第3・四半期の総営業費用は2%減少した。
貸倒引当金は約221億ドルと、前年同期の202億ドルから増加した。
サービス部門の収入は8%増の50億ドル。証券サービスの収入が24%増の14億ドルとなったことが寄与した。
株式市場の上昇により、株式取引収入は32%増の12億ドルとなった。一方、債券取引収入は6%減の36億ドルとなった。
フレーザーCEOが成長戦略の重点とするウェルスマネジメント部門の収入は9%増加して20億ドルに達した。
シティ、トレーディングで予想外の増収-ボラティリティーが追い風 - Bloomberg
米銀大手シティグループの7-9月(第3四半期)決算では、トレーディング部門の業績が少なくとも10年ぶりの好調となった。ここ数カ月に資産クラスを超えて急上昇したボラティリティーが追い風となった。
トレーディング部門の収入は1%増の48億2000万ドル(約7200億円)。シティはつい数週間前、この収入が減少するとの見方を投資家に示していた。株式トレーディングの32%増収が寄与した。
第3四半期の利益はクレジットカードローンの不良債権急増に圧迫された一方、サービスとバンキング、ウェルス、米個人向けバンキングの4事業ではいずれも前年同期比で増収となった。
これらを総合すると、今回の決算はジェーン・フレイザー最高経営責任者(CEO)と同氏が率いる事業好転計画の成果と言える。シティは同氏とマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)の下、約2万人の人員削減と競合相手からの幹部引き抜きといった構造改革を行った。
シティの株式トレーディング収入が急激に伸びた背景では、「恐怖指数」として知られるCBOEボラティリティー指数(VIX)が急上昇。トレーダーらは苦戦を強いられた。競合するバンク・オブ・アメリカ(BofA)とゴールドマン・サックス・グループもこの日の決算発表で、同様の好成績を明らかにした。
シティの第3四半期純利益は9%減の32億ドル、1株当たり1.51ドルだった。貸倒引当金は27億ドル。カード事業での損失が膨らんだ。
J&J、7-9月決算は市場予想上回る-がん治療薬の売り上げ急増 - Bloomberg
米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の7-9月(第3四半期)決算は市場予想を上回った。がん治療薬「ダラザレックス」の売り上げが急増した。
同社の15日発表によれば、通期については、医療機器メーカーの買収を考慮しガイダンスを下方修正した。
J&Jは主力医薬品の乾癬(かんせん)治療薬「ステラーラ」の独占販売権の期限切れに直面する中、成長の維持に向け取り組んでいる。今年の夏には、ステラーラのより安価なバイオシミラー(バイオ後続品)が欧州市場に投入された。米国でも来年早期の投入が見込まれている。ただそうした状況において、J&Jはがん治療薬や免疫療法薬の適用拡大につながる新たな承認を獲得し、事業の強化を図っている。
第3四半期の調整後利益は1株当たり2.42ドルと、市場予想の平均(2.19ドル)を上回った。医薬品部門の売上高は5%近く増加し、市場予想を4億ドル(約600億円)余り上回った。多発性骨髄腫の治療薬であるダラザレックスの売上高は20%余り増加した。
J&Jは第3四半期、医療機器メーカーのVウエーブを最大17億ドルで買収すると発表していた。J&Jは今回、2024年通期の調整後利益の予想を1株当たり9.88-9.98ドルに下方修正。従来予想はレンジの下限が同9.97ドルだった。J&Jは下方修正の理由として、Jウエーブ買収による影響を挙げた。
ASML、7-9月受注は予想のわずか半分-来年の見通し引下げ - Bloomberg
オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングスが発表した7-9月(第3四半期)の受注額はアナリスト予想平均の半分程度でしかなかった。2025年業績予想の下方修正も明らかにし、株価は急落した。
ASMLは16日朝の決算発表を予定していたが、1日早く公表された。
同社ウェブサイトに掲載された決算資料によると、7-9月の受注額は26億ユーロ(約4230億円)。ブルームバーグが調査したアナリストの予想平均は53億9000万ユーロだった。半導体業界の冷え込みで、ASMLの製造装置に対する需要が抑制された。
この発表を受け、アムステルダム市場の同社株価は16%安と、1998年6月12日以来の大幅安で取引を終了。急落で取引は一時停止された。売りは他の半導体関連銘柄にも波及し、英アーム・ホールディングスの米国預託証券(ADR)は一時9.2%安、米エヌビディアの株価は6.8%下落した。
ASMLのクリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は決算資料の中で「従来見込まれたよりも、回復は緩やかな様子だ。これが2025年も続く見通しで、顧客は慎重になっている」と述べた。
事情に詳しい関係者によると、ASMLが予定より早く決算を公表したのはミスが原因で、近く説明の発表があるという。
ASMLは併せて来年の業績見通しを下方修正した。従来300億-400億ユーロと見込んでいた純売上高は300億-350億ユーロと、上限を引き下げた。祖利益率は従来予想で約54-56%としていたが、「51-53%になる。主に極端紫外線(EUV)需要の時期の遅れに関連している」とフーケ氏は説明した。
ASMLは欧州で最も時価総額の大きいテクノロジー企業だが、7月に付けた過去最高値から30%余り下落した。半導体業界全般の冷え込みに加え、米国が中国事業への制限を強化するとの見通しが嫌気されている。
中国はASMLにとって依然として最大の市場で、7-9月売上高の47%を占めた。
ジョンソン&ジョンソンが決算 骨髄腫治療薬「ダラザレックス」の販売急増 株価は売買交錯=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ジョンソン&ジョンソン<JNJ>が取引開始前に7-9月期決算(第3四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。骨髄腫治療薬「ダラザレックス」の販売が20%超急増した。通期のガイダンスについては、1株利益は下方修正したものの、売上高見通しは上方修正している。1株利益は下方修正については、心不全の埋め込み型デバイス開発のVウェーブ社の買収に伴う費用を計上した。
同社は主力薬の乾癬治療薬「ステラーラ」の独占権喪失に直面しながらも、成長を維持しようと努力している。ステラーラのバイオシミラーが今夏に欧州市場に参入し、米国での発売は来年初頭に予定されている。それでも同社は、がんおよび免疫学の医薬品の使用拡大につながる新たな承認により、製品が強化されている。
ウォルクCFOは「全体的な業績に満足しており、今年を好調に締めくくるための良い位置につけている」と述べた。
同社は長年に渡り投資家心理に重くのしかかっていたタルク訴訟への対応でも進展を見せている。9月には原告の83%が約80億ドルの和解案を受け入れたほか、今月にはテキサス州の連邦破産裁判官が同社に有利な判決を下し、タルク訴訟を担当する同社の子会社を同裁判所の管轄下に置くことを表明した。これにより、ニュージャージー州控訴裁判所を回避することができ、同社にとって有利な結果となった。
同社は昨年、消費者向けヘルスケア部門をスピンオフし、ケンビュー<>を設立。それにより、より利益率の高い処方薬や医療機器に集中することが可能となった。それ以来、数多くの企業買収を展開している。ウォルクCFOは「われわれはなお大型買収にも前向きだが、より価値の高い小規模な買収案件も探している」と述べていた。
なお、アジア太平洋地域の売上は、韓国で継続中の医師のストライキにより打撃を受けたと指摘している。
LVMH売り上げ減少、中国消費者の需要低迷響く-日本も円高が打撃 - Bloomberg
フランスの高級品ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは7-9月(第3四半期)にファッションおよびレザーグッズ売上高が減少した。売り上げが減ったのは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来。かつて高級品購入意欲が旺盛だった中国消費者の需要低迷が打撃となった。
15日の発表資料によると、ルイヴィトンやクリスチャン・ディオールなどを擁する主要部門の売上高が7-9月に実質ベースで5%減少した。アナリスト予想は小幅増加だった。四半期としては、世界各地でロックダウンが導入された2020年4-6月(第2四半期)以来最悪の業績。グループ全体の売上高は3%落ち込んだ。
LVMHのジャンジャック・ギオニー最高財務責任者(CFO)は四半期決算に関するプレゼンテーションで、「中国本土を含めわれわれの市場の大半が現時点で経済的課題に直面している」とした上で、「現在の中国本土の消費者信頼感は、コロナ禍に記録した過去最低水準並みに戻っている」と指摘した。
RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ピラル・ダダニア氏はリポートで、業績は「予想よりも顕著な減速を示している」と分析した。
LVMHの米国預託証券(ADR)は、発表を受けて一時10%下落。ニューヨーク市場では、ラルフローレンやエスティローダーなど米国勢も下げた。グッチの親会社ケリングのADRも売られた。
LVMHの地域別売上高は、中国を含む地域の売上高が実質ベースで16%減少し、予想以上の落ち込みとなった。同社はそれまで中国の需要低迷に強く耐えていた。日本での売上高も予想より低調だった。円高が、高級品を買い求めて来日した中国人旅行客の消費に水を差した。米国と欧州も期待外れの売り上げとなった。 
NYダウ、反落で始まる ユナイテッドヘルス一時10%安 - 日本経済新聞
[C] シティグループ 3Q増収最終減益 売上高1%増203億ドル、純利益8%減29.2億ドル、EPS1.51ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[JNJ] J&J 3Q増収最終減益 売上高5%増224億ドル、純利益90%減26.9億ドル、EPS1.11ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GS] ゴールドマン 3Q増収最終増益 売上高7%増126億ドル、純利益48%増27.8億ドル、配当3.00ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[WBA] ウォルグリーンブーツアライアンス 2024年8月通期は増収赤字拡大 売上高6%増1476億ドル、営業赤字140億ドル、EPSマイナス10.01ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[STT] ステートストリート 3Q増収最終増益 売上高21%増32.5億ドル、純利益71%増6.82億ドル、配当0.76ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[BAC] バンカメ 3Q増収最終減益 売上高1%増253億ドル、純利益12%減63.8億ドル、配当0.26ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[PNC] PNCファイナンシャルサービシズグループ 3Q増収最終減益 売上高4%増54.3億ドル、純利益3%減13.9億ドル、EPS3.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UNH] ユナイテッドヘルス 3Q増収増益 売上高9%増1008億ドル、営業益2%増87.0億ドル、EPS6.51ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SCHW] チャールズシュワブ 3Q増収最終増益 売上高5%増48.4億ドル、純利益28%増12.9億ドル、EPS0.71ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[OMC] オムニコム 3Q増収増益 売上高9%増38.8億ドル、営業益7%増6.00億ドル、EPS1.95ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UAL] ユナイテッドエアラインズ 3Q増収減益 売上高2%増148億ドル、営業益10%減15.6億ドル、EPS2.90ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ボーイングが最大250億ドルを調達へ、格下げ回避へ財務強化目指す - Bloomberg
米ボーイングは最大250億ドル(約3兆7300億円)の資金調達に向けて一歩を踏み出した。財務を強化することで、長引く労働組合のストライキや一連の品質問題に伴う打撃を乗り越えたい考え。
債券と株式の組み合わせによる発行登録書を15日、規制当局に提出した。ボーイングは格付け会社によるジャンク級(投機的水準)への格下げを回避するため、バランスシートの強化や資金へのアクセス改善を目指している。
ボーイングは今回の申請により「今後3年にわたりバランスシートの強化に向けて、必要に応じさまざまな資本調達の選択肢を柔軟に模索することが可能になる」と、ブルームバーグへの声明で述べた。
同社はまた、100億ドルの新たな信用枠を別途確保したことも明らかにした。
独VW労使交渉、30日から2回目開始 国内工場閉鎖など巡り | ロイター
メタ、数十人の州検事総長から訴訟を起こされる可能性に直面=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
メタ<META>はソーシャルメディアに子供たちを夢中にさせることで若者の精神衛生上の危機を故意に助長したとして、数十人の州検事総長から訴訟を起こされる可能性に直面しているという。
本日カリフォルニア州の連邦判事がソーシャルメディアの有害な影響に関する広範な訴訟において、同社のフェイスブックおよびインスタグラムのプラットフォームに関する一部の主張を認めるという形で34人の検事総長に同意した。
判決を下した米地方裁判所のロジャース判事は、グーグルのYouTube、バイトダンスのTikTok、スナップ、そしてメタを含む少数のソーシャルメディア企業が若者たちの製品への依存から利益を得ていると主張する数百件の訴訟を監督している。
本日の判決は州検事総長が同社に対して提起した申し立てのみを対象としている。
USスチールが続落 トランプ前大統領が改めて日鉄による買収を認めない意向示す=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
クアルコム、インテル買収判断は米大統領選後に持ち越し-関係者 - Bloomberg
半導体メーカーの米クアルコムは、同業のインテルへの買収提案を実行に移すかどうかの判断を、11月の米大統領選挙の後に持ち越す可能性が高い。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
クアルコムは次期政権が反トラスト法(独占禁止法)の状況や米中関係に与える影響を考慮し、誰がホワイトハウス入りするのかがより明確になるのを待った上で、次の行動を決めたい考えだという。関係者は部外秘情報だとして匿名を条件に話した。
関係者の一部によると、インテルが関わる取引には多くの複雑な要素があるため、クアルコムは1月の次期米大統領就任式後まで待った上で、どう進めるかを判断する可能性もある。
クアルコムとインテルは、スマートフォンから電気自動車まで、日常生活を支えるデジタル基盤の要となる製品を手掛けているため、両社が統合する場合、米国と世界の独禁法当局が厳しく精査するのはほぼ確実で、両社にとって重要な市場である中国の当局も関わることになりそうだ。
9月にクアルコムは、業績不振のインテルを買収する可能性について、同社に打診した。クアルコムは同月、中国の独禁法当局に非公式に問い合わせを行い、潜在的な取引に対する当局の姿勢を探ったと関係者の一部は語った。クアルコムは中国当局からフィードバックを受けておらず、当局は同社が実際に正式な買収提案を行うかどうかを見守っていると関係者は話した。
クアルコムの検討は継続中で、インテルへの買収提案を実行に移すかどうかはまだ確定しておらず、時期も変わる可能性があると関係者は述べた。クアルコムとインテルの広報担当者はコメントを控えた。中国の国家市場監督管理総局(SAMR)にコメントを要請したが、返答はなかった。
米インテルとAMD、半導体のソフト動作確実化へグループ結成 | ロイター
●日本企業
●米大統領選挙
アラブ系PAC、大統領選で両候補とも支持せず ハリス氏に打撃か | ロイター
アラブ系米国人の政治活動委員会(PAC)「AAPAC」は14日、今年の大統領選で民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領のいずれも支持しない方針を明らかにした。両氏ともパレスチナ自治区ガザやレバノンでの戦闘でイスラエルを「盲目的に支持」しているためとした。
AAPACが候補者支持を見送るのは1998年の発足後初めて。通常は民主党候補を支持している。
アラブ系やイスラム系米国人は2020年大統領選でバイデン大統領を圧倒的に支持したが、米政府のイスラエル支援に対する強い反対から、民主党への支持が低下している。
アナリストはアラブ系有権者が大統領選で投票しなかったり、第3の候補に投票した場合、ハリス氏に打撃になる可能性があるとみている。アラブ系コミュニティーではガザやレバノンで親族を亡くした人も多く、トランプ氏にもハリス氏にも投票しないよう呼びかけている。
AAPACは「両候補ともガザでのジェノサイド(大量虐殺)とレバノンでの戦争を支持している」とし、「犯罪者であるイスラエル政府を盲目的に支持する民主党のハリス氏にも、共和党のトランプ氏にも票を投じることはできない」と述べた。
ハリス氏、アラブ系支持獲得に苦戦 激戦州ミシガン - WSJ
ハリス氏、支持率3ポイントリード トランプ氏経済政策で優位=調査 | ロイター
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
FRBのデータ依存、修正が必要 - WSJ
投資家はまたしても米連邦準備制度理事会(FRB)にだまされた。市場がFRB高官らのハト派転換を織り込んでは肩透かしを食うといったことを7回繰り返した後、FRBはようやくハト派方向に大きくかじを切った。ところが米国債利回りは急上昇し、投資家は以前の想定よりも利下げ回数は減るとの見通しに傾いた。
何が起こっているのか。
答えは「データ依存」という言葉に要約できる。
FRBは新たに入ってくるデータに基づいて政策判断を行う考えを示しており、特にインフレと雇用関連を重視している。ただ、こうしたデータはこれまでよりもはるかに変動が激しく当てにならなくなっているため、投資家は混乱し急激な方向転換を余儀なくされている。データは経済の弱さを示したかと思えば、その後、時には修正を経て強さを示すのがパターンになっている。
FRBの9月の利下げ以来、予想を上回る経済指標が発表されてきた。景気も力強さを示す。FRBは先月、雇用統計が弱い内容となったことを受けて、通常の利下げ幅の2倍となる0.5ポイントの利下げを決めた。ところが今月公表された雇用統計は一転、今年3番目に強い内容となった。ニューヨーク連銀とアトランタ地区連銀による7-9月期の国内総生産(GDP)成長率の最新予測はともに3%超で、8月下旬時点の2%から切り上がっている。
FRBがデータを注視すべきであるのは当然と言える。だが「データ依存」とは、最近のデータだけを見て、金利が今後の経済にどのような影響を与えるかという予測を無視すること、を意味するようになった。データ依存が債券市場を余計に不安定にしている。
夏の時点では、労働市場が減速中の米経済にとって高金利が(世界的な景気減速や中国での問題、中東と東欧における戦争と並び)逆風になっていることをデータは示唆していた。だが足元では、米経済は順調なように見え、中国は景気刺激策の発動によって世界経済の大きな重荷ではなくなる可能性が芽生え、インフレは思ったよりも長引くとの見通しが強まっている。
直近のデータのみを使えば経済の短期的な縮小と拡大はいずれも誇張され、FRBの金利政策に対する見通しは振幅が大きくなる。米国債にも同様の影響を与える。
投資家は集団思考に追随しており、集団の知恵を反映しているのではない。CMEがフェデラルファンド(FF)金利先物の動きから算出する「FedWatchツール」によると、9月のFOMCを前に0.5ポイントの利下げ期待が高まる中、金利先物市場はFRBが来年6月までにさらに1.75ポイント以上の利下げを行う確率を77%織り込んでいた。
次回からの連邦公開市場委員会(FOMC)会合で「6回連続での0.25ポイントの利下げ(計1.5ポイント)」を上回る利下げが本当に実施される可能性はあるのだろうか。それはない。トレーダーらは現在、確率はゼロに戻ったと話す。これは、7月の雇用統計が弱い内容となったことを受けて市場で一時的に売りムードが強まる前の水準だ。
FRBのデータ依存は、心理学者が言うところの「直近バイアス」を市場において悪化させ、数カ月間の雇用やインフレ関連データの変化が大幅な振幅を招いてきた。
インフレに対するFRBの懸念が非常に強かった頃は、データ依存はある程度理にかなっていた。高インフレが消費者と企業の間の将来のインフレ期待に反映され、自己実現的な上昇スパイラルを招くことをFRBは恐れていた。こうしたスパイラルを断ち切るためにFRBは政策金利を引き上げ、景気後退を引き起こすことによってインフレ期待を抑えられると見込んだ。物価上昇の発表を受けてインフレ期待が将来の物価上昇につながる場合、物価上昇の発表値に焦点を当てるのは合理的と言える。
金利がゼロ近辺に張り付いていた頃に過去のデータを重視することも理にかなっていた。FRBは2007~09年の世界金融危機後に何年にもわたって、景気が上向き始めるまでは忍耐を維持し、利上げする場合は緩やかに行う方針であることを投資家に理解させようとした。その目的は、長期金利を低下させ、利上げ期待の急激な高まりにより景気回復の萌芽(ほうが)が押しつぶされるのを防ぐことにあった。
どちらの場合もうまくいった。米国債の10年物利回りは過去最低水準に低下し、経済指標の改善を受けて投資家は次に開かれるFOMC会合ではなく、もっと先の利上げを織り込んだ。
クリーブランド地区連銀の研究によると、新型コロナウイルス禍後のインフレ局面ではこうした状況は変化した。先物市場のトレーダーは各FOMC会合直前のインフレ指標に過剰に敏感になっていることが同研究で示された。まさにデータ依存だ。
FRBが米経済のソフトランディング(軟着陸)を目指す中で、このような短期的な視点でデータに依存することは意味をなさない。FRBは「ノイズ」が多い月ごとのデータに惑わされず、大局に焦点を当てることができるだろう。労働市場にまだ熱気はあるかもしれないが、もはや過熱はしていない。インフレ率はまだ目標水準を上回っているが、もはや恐ろしいものではない。
データからちょっと離れて考えてみれば、重要な問題となるのはどのようにしてインフレ率をあとコンマ数パーセント低下させるかではなく、金利をどの程度のスピードで、どの程度の水準まで引き下げるかということだ。そのためには、長期的にどの程度の金利水準であれば経済は耐えられるかという予測が必要になる。
FRBの過去の予測はひどいものだったという皮肉屋の指摘は的を射ている。懐疑論者は筆者も含め、金利の最終的な到達点を巡りFRB高官らの間で意見の相違が大きいことを指摘してきた。
ただ、政策金利の変更が雇用やインフレに影響を及ぼすには半年以上かかるものであり、FRBはバックミラー(過去)を見ながらソフトランディングを達成しようという選択をすべきではない。データ依存から脱却し、投資家に長期的な視点を持たせるよう努力すべき時だと言える。
●先進国経済指標
NY連銀製造業は再び縮小圏、5カ月ぶり低水準-受注・出荷が低迷 - Bloomberg
ドイツZEW期待指数、4カ月ぶりに改善-追加利下げ観測が寄与 - Bloomberg
ドイツの景気見通しに対する投資家の信頼感は、10月に4カ月ぶりの改善となった。予想以上に金利が速く低下するとの見通しが背景にある。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が15日発表した10月の期待指数は13.1と、前月の3.6から上昇した。エコノミスト予想では10への上昇が見込まれていた。現状指数は予想外に悪化した。
ZEWのバンバッハ所長は発表文で、楽観的な見通しを後押しする要因として「安定したインフレ率予想と、それに伴う欧州中央銀行(ECB)の追加利下げ観測」を挙げ、「ドイツの輸出市場からも明るい兆しが見られる」とも述べた。
独ZEW景気期待指数、10月は13.1に回復 予想上回る | ロイター
仏EU基準CPI、9月は前年比+1.4% 速報値から下方改定 | ロイター
米消費者、3・5年先インフレ期待低下=NY連銀調査 | ロイター
米ニューヨーク連銀が15日発表した9月の消費者調査によると、1年先のインフレ期待は2.3%で安定して推移するとみられたものの、3年先は2.7%(前月2.5%)、5年先は2.9%(前月2.8%)と、それぞれ低下した。
信用へのアクセスに対する認識と期待は改善したものの、信用の延滞率は引き続き上昇し、4年余りぶりの高水準となった。
消費者が向こう3カ月に債務の最低返済額を滞納すると予想する確率は平均で14.2%と、4カ月連続で上昇。前月は13.6%だった。年収5万ドル未満の人で顕著に上昇したが、最も増加したのは10万ドル以上の人だった。
住宅価格は若干の減少が見込まれるとした一方、食料品の価格上昇圧力は高まると予想。家賃、ガソリン、医療費の上昇予想は低下した。
1年先の所得と支出の見通しが若干低下した一方で、雇用市場の見通しは一部改善がみられた。
●金融市場、先進国トピックス
富国生命、年度内1~2回利上げ想定-20年2%接近で円債投資積極化 - Bloomberg
富国生命保険は、日本銀行が2024年度内に1回ないし2回の追加利上げに動くと予想している。市場が利上げを織り込み、20年債利回りが2%に接近すれば、年度下期に超長期債投資を積極的に積み増す方針だ。
森実潤也財務企画部長は11日のインタビューで、米国経済はソフトランディング(軟着陸)が可能で、日銀は金融緩和度合いの修正を着実に進めていくと予想。「年度内に1、2回の利上げを想定している」とし、金融市場で織り込みが進めば、金利水準は「手を出したい水準まで上がってくる」との見方を示した。
具体的には「10年で1%台に乗り、20年が1%台後半まで行けば、われわれの目線にある程度届く可能性はある」と指摘。20年金利が2%に接近すれば、残高削減を計画している年度全体で積み増しに転じることも「十分ある」と述べた。
富国生命を皮切りに、生命保険会社各社が下期運用方針を公表する。超長期債はこのところ軟調(金利は上昇)に推移しており、需給の悪さが目立っている。超長期ゾーンのメインプレーヤーである生保の買い出動への期待は強いが、足元の金利水準は生保の買い目線にまだ届いていないようだ。
富国生命が4月に示した年度計画で、円建て公社債等の残高は450億円削減する見通しだった。8月上旬の金利低下局面で売却し、上期に残高を800億円削減。下期は650億円の積み増しを計画しており、年度を通じた残高削減は150億円にとどめる。森実氏は、20年や30年のゾーンで2%台前半まで上昇すれば、「キャッシュを取り崩して積み増すことも考えている」と言う。
外債については、ヘッジコストが高く投資妙味のないヘッジ付きは、計画通り残高ゼロを維持。オープン外債は米国の超長期債を中心に上期に250億円積み増した。下期はいずれも積み増さない。森実氏は「米国は利下げを継続するので、われわれが望む収益が高い外債は買えない」と言う。
国内株式などは「高配当銘柄や成長期待が高い銘柄を中心に買い進める中で、8月上旬の株価急落局面を好機と捉え、機動的に買えた」とし、上期に400億円積み増した。下期はリバランスを行いつつ含み益を確保し、年度計画通り300億円積み増しにとどめる。
世界の公的債務、今年100兆ドル突破へ 増加加速も=IMF | ロイター
国際通貨基金(IMF)は15日、「財政モニター」を公表し、世界の公的債務総額が今年中に初めて100兆ドルを上回るとの見通しを示した。
政治的な感情が支出の増加につながる一方で、成長鈍化で借り入れのニーズとコストが増大するため、債務が予想よりも急速に増加する可能性があると警告した。
IMFによると、世界の公的債務は2024年末までに国内総生産(GDP)の93%に達し、30年には100%に近づく。これは新型コロナのピーク時の99%を上回る。またコロナ対応で政府支出が急拡大する前の19年から10%ポイント上昇することになる。
「財政政策を巡る不確実性が高まり、税制に関する政治的なレッドライン(超えてはならない一線)はより強固なものになった」とする一方で、「グリーン化、高齢化、安全保障への懸念、長年の開発課題などに対処するための支出圧力が高まっている」と指摘。将来の債務水準が現在予測されているよりもはるかに高くなる可能性があると考える十分な理由があるとの認識を示した。
債務予測は実際の結果を大幅に過小評価する傾向があり、5年先の債務の対GDP比率は当初予測より平均して10%高くなるとした。
また、米国や中国など重要な経済圏における成長の鈍化や資金調達条件の厳格化、財政・金融政策の高まりにより、債務はさらに大幅に増加する可能性がある。
これらの要因を反映した「最悪シナリオ(Severely Adverse Scenario)」では、世界の公的債務の対GDP比は3年で115%に達し、現在の予測よりも20ポイント高くなる。
IMFは堅調な成長と低い失業率という現在の環境は財政再建の好機だとして、財政再建の強化を改めて求めた。
しかし23年から29年までの6年間で平均してGDP比1%という現在の取り組みでは、高い確率で債務を削減または安定させるには不十分と指摘し、累計で3.8%の削減が必要との見方を示した。米国や中国など債務の対GDPが安定しないと予測される国では、さらに大幅な財政引き締めが必要になるとした。
米国、ブラジル、英国、フランス、イタリア、南アフリカなど債務が今後も増え続けると予想される国は、高いコストを伴う結果に直面する可能性があると指摘した。
IMF財政局副局長のエラ・ダブラノリス氏は、「調整を先延ばしにすれば、いずれはより大きな調整が必要になるだけだ」と述べた。「また債務が高水準で信頼できる財政計画もなければ、市場のネガティブな反応を招き、各国が将来のショックに対処する余地が狭まる可能性がある。従って待つことも危険だ」と語った。
公共投資や社会支出の削減は、燃料のような対象が不適切な補助金よりも成長に大きな悪影響を与える傾向があると述べた。課税基盤を拡大して税徴収の効率性を向上させたり、キャピタルゲインや所得への課税をより効果的にすることで税制の累進性を高めたりできると提起した。
独賃上げ回答、要求大幅に下回る 主要労組はスト含め対応検討 | ロイター
オープン外債、上期250億円増額 下期は積み増し見送り=富国生命・24年度下期運用計画 | ロイター
米独国債利回り差が7月以来最大、弱い欧州経済 米と明暗 | ロイター
ユーロ圏の銀行、融資需要が回復 金利低下が寄与=ECB調査 | ロイター
世界の鉄鋼需要、24年1.7%減に下方修正 製造業など低迷=業界団体 | ロイター
世界鉄鋼協会(WSA)は14日、2024年の世界鉄鋼需要見通しを4月時点の1.7%増から0.9%減の17億5000万トンに下方修正した。製造業と経済成長の低迷が続いており、3年連続で減少する予想となった。
ドイツ鉄鋼連盟のマネジングディレクターで、WSAの経済委員長を務めるマーティン・テウリンガー氏は「世界の製造業は引き続き逆風に苦戦しており、2024年は世界の鉄鋼需要にとって厳しい年となった」とした上で、「中国を含む大半の主要国について、24年の鉄鋼需要見通しを大幅に下方修正する」と述べた。
WSAはまた、回復が見込まれる時期を来年に延期し、25年の需要を1.2%増の17億7000万トンと予想した。
一方、世界最大の鉄鋼生産国で消費国の中国は、鉄鋼の主要な需要元である不動産部門の不振で低迷が続くとみられる。
WSAに加入する企業の鉄鋼生産量は世界全体の約85%を占める。
●中東情勢
イスラエル、第2四半期GDPを下方改定 ガザ紛争が重し | ロイター
イスラエル、標的はイラン軍事施設か 石油施設は回避も - 日本経済新聞
イランの唯一の救いはアラブ諸国との和平である|ARAB NEWS
ヨーロッパは湾岸地域との関係を失わないよう注意しなければならない|ARAB NEWS
●エマージング
中国株「FOMO相場」、飛び乗るのは危険 - WSJ
主要国の株式市場がほんの数週間で底辺から頂点へと急転することは珍しい。
中国が瞬く間に世界で最高のパフォーマンスを誇る株式市場になった今、投資家はこの株価上昇がどの程度、低迷する経済の立て直しに向けた中国政府の取り組み強化によるものか、またどの程度が単なる「FOMO(取り残される恐怖)」によるものかを見極める必要がある。投資家は慎重を期すべきだ。
MSCI中国指数はここ1週間ほどで約10%下落したとはいえ、中国政府が景気刺激策を積極的に打ち出す考えを示して以降の3週間の上昇率は約20%に達する。過去数年間は中国株の持ち高を縮小していた多くの投資家にとって状況の変化は驚くべきものとなった。中国市場は住宅市場の落ち込みや国内テクノロジー大手に対する規制強化が足かせとなってきた。
ゴールドマン・サックスによると、世界の株式を対象とした投資信託による中国株への資産配分は8月末時点で基準の比率を約3.1ポイント下回っていた。こうした投信がベンチマークを下回る運用成績になるのを避けるために持ち高を急いで増やす必要に迫られたことが、中国株全体の上昇を後押しした。香港と中国本土の株式市場ではいずれも出来高が過去最高を記録。ただ、MSCI中国指数は最近の急伸後でも、2021年のピーク時の約半分の水準にとどまっている。
投資テーマとしての中国に向けられる関心は極めて高く、米国の個人投資家は史上最高値更新が相次ぐ米国市場よりも注目している。上場投資信託(ETF)関連の情報提供や分析を手掛ける「ETF.com」によると、先週最も資金流入の多かった上位10本のETFのうち4本が中国ファンドで、外国株ETFが資金流入額で国内株ETFを大きく上回るという珍しい状況となった。中国では、最近の7日間の大型連休中に証券口座開設数が過去最多を記録したことを国営テレビが報じた。
中国株の価格水準は確かに魅力的に見えた。香港上場の中国株で構成するハンセン中国企業指数の予想株価収益率(PER)は9月初めの時点でわずか8倍だった。現在は9.7倍に上昇したものの、まだ10年平均である11.3倍を下回っている。ちなみに、史上最高値を更新したばかりの米主要株価指数、S&P500種指数の予想PERは約24倍だ。
中国政府は国内経済を圧迫する主要問題に取り組む姿勢を強めている。政府には財政赤字を拡大する余力が十分にあり、地方政府が抱える債務問題の解決に向けた大胆な措置を講じる考えだと表明した。地方政府は住宅市場の低迷で土地売却収入が落ち込んでいるため、景気を押し上げる力が低下している。債務の一部は中央政府も負担する必要があるだろう。
地方政府の財政状況が改善すれば、売れ残った住宅が大量に放置されている問題にもっと取り組みやすくなるだろう。中央政府は5月、地方政府がこうした住宅を買い取り、低所得者向けの住宅として活用することを認める方針を示したものの、まだ大規模な実施はみられない。地方政府自体の財政難が続いているためだ。
投資家が景気刺激策の規模を正確に把握するのは難しく、これが最近の相場下落を招く要因になっている。投資家は確かに先走っているのかもしれない。こうした大幅な予算の変更は全国人民代表大会(全人代)での承認が必要となり、具体的な数字が明らかにされるのは全人代常務委員会の今月の会合になるとみられる。
それでもなお、景気対策は投資家の期待を下回る可能性がある。需要喚起に向けて地方政府の財政負担を軽減するプロセスは長い時間を要するとみられる。一方、中国政府は供給重視の経済対策を好む傾向があり、今回、消費拡大を狙った大規模で直接的な刺激策を打ち出す公算は小さい。また、地方政府が売れ残り住宅を買い取る計画がうまくいったとしても、住宅の在庫消化には何年もかかることが考えられる。経済の成長エンジンとして住宅市場に取って代わるものは何か、という問題も無視するわけにはいかない。
中国株の復活を巡っては、ここ数年は肩透かしが続いてきたが、今回はもう少し希望が持てる理由が確かにある。ただ、回復への道のりは緩やかなものになるだろう。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
女子ゴルフ、実力者の米流出が活気生む 編集委員 串田孝義 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(15日)ドル上昇、株反落・利回り低下 | ロイター
ドルは主要通貨に対して小幅上昇し、ドル指数は103.26で、2カ月半ぶりの高値圏にあります。これは、米連邦準備理事会(FRB)の緩やかな利下げ観測が影響しています。ユーロは1.0882ドルで8月以来の安値を記録し、ドルは対円で0.4%安の149.25円でしたが、月初からは対円で3.8%上昇しています。
債券市場では、10年債利回りが3.9ベーシスポイント下落し4.034%となりました。これは、ニューヨーク州の製造業データが予想外に低調だったためです。30年債利回りは5.8ベーシスポイント低下し4.324%、2年債利回りは1.1ベーシスポイント上昇し3.982%でした。
株式市場は反落し、特にナスダック総合が下落を主導しました。半導体株は需要低迷懸念から売られ、エネルギー株も原油価格の下落により下げました。エヌビディアは米政府によるAI向け半導体の輸出規制の検討報道を受けて4.7%安となり、オランダの半導体製造装置大手ASMLが売上高見通しの悪化を発表し、米上場株は16%安でした。フィラデルフィア半導体指数は5.3%下落し、エネルギー株指数も3%下落しました。
金先物は、米長期金利の上昇が一服したことを背景に反発しました。12月物の清算値は前日比13.30ドル(0.50%)高の1オンス=2678.90ドルです。
一方、米原油先物は中東情勢の激化による供給不安が和らぎ、3営業日連続で下落。WTI原油の11月物の清算値は前日比3.25ドル(4.40%)安の1バレル=70.58ドル、12月物は3.23ドル安の70.01ドルでした。
欧州市場サマリー(15日) | ロイター
ロンドン株式市場は反落し、石油株や鉱業株が大幅に下落しました。FTSE 250指数は0.11%安、石油・ガス株指数は3.47%下落し、セクター別で最大の下げとなりました。原油価格の約5%の下落と、イスラエルがイランの石油施設を攻撃しないとの報道が影響しました。また、銅価格が約3週間ぶりの安値となり、鉱業株指数は3.05%安でした。
一方で、住宅建設のベルウェイが8.3%上昇し、住宅建設株指数は3.08%上昇しました。金利低下を背景に、住宅建設戸数の増加見込みが好感されました。
英国の賃金上昇率は低水準でしたが、失業率は4.0%と今年最低の水準に改善。英消費者物価指数(CPI)の伸びが予想より低く、イングランド銀行が11月に金利を0.25%ポイント引き下げるとの観測が約80%に達しています。
欧州株式市場も反落し、特にオランダのASMLホールディングの急落がテクノロジー株に大きな影響を与えました。ASMLの株価は15.6%下落し、1998年以来の大きな1日下げ幅となり、欧州600種テクノロジー株指数は6.54%下落しました。
ユーロ圏の国債利回りは、原油価格の下落によりインフレ圧力が和らいだことから、1週間ぶりの低水準となりました。市場では、今週後半に予定される欧州中央銀行(ECB)理事会での政策金利決定を注目しています。ECBによる利下げ観測は後退していますが、市場ではECBが明確なガイダンスなしに25ベーシスポイントの利下げを実施するとの見方があります。また、年内に50ベーシスポイントの利下げが行われる確率は約90%と見込まれています。
ドイツ10年債利回りは5ベーシスポイント下がり2.22%、フランス10年債利回りは8ベーシスポイント下がり2.95%となり、独仏間の利回り格差は74ベーシスポイントに縮小。フィッチはフランスの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げました。イタリア10年債利回りも8ベーシスポイント低下し、3.47%となり、独伊間の利回り格差は124ベーシスポイントに縮小しました。

備忘録(2024/10/14
●海外企業決算
●海外企業
米スターバックス、値引きを抑制 新CEO方針 - WSJ
米コーヒーチェーン大手スターバックスが販売促進策と値引きを縮小している。8月に最高経営責任者(CEO)に就いたブライアン・ニコル氏は同社の立て直しを目指しており、ここ1年にわたる値引き攻勢をひそかに弱めている。同社幹部や店員らが明らかにした。
外食業界は数年にわたり値上げを続けてきたが、スターバックスだけでなく他のレストランチェーンも顧客を呼び戻そうと、今年に入り値引きへの依存を強めてきた。経営幹部らは、コストと賃金の上昇を補うには値上げが必要だとしている。だが、インフレに疲れた消費者、特に低所得層が外食を控えるようになったため、チェーン店はお得感を強調するようになった。
そうした中でも、ニコル氏は店員の手による高品質なコーヒーを販売するというスターバックスの特色を前面に打ち出し、値引き重視から脱却しつつある。同社はもともと値引きや販売促進策を避けてきたが、このところ客足が鈍り、顧客から価格の高さや待ち時間の長さへの不満が出たことを受けて、アプリを通じた値引きの提供を強化していた。
スターバックスは10月初旬の店舗責任者向けの戦略説明会で、ホリデーシーズン中に大々的な値引きを実施する予定はないとし、代わりに季節限定ドリンクを宣伝する計画を示した。
●日本企業
●米大統領選挙
トランプ氏、イスラエル首相と「2日前」に電話 バイデン氏を批判 | ロイター
ハリス氏、中南米系の支持苦戦 民主地盤に国境対策の影 - 日本経済新聞
米金利いずれ上昇、トランプ氏再選ならより確実 - WSJ
二つの理由から、今後10年間の金利は過去10年間を上回る可能性が高く、それもおそらくはるかに高くなるだろう。
一つ目の理由は比較的無害で、インフレと成長率は新型コロナウイルス流行前ほど低くならないだろう、というものだ。二つ目の理由はそれほど無害ではない。米連邦政府の債務が持続不可能な道をたどっており、大統領選挙後に一段と危険な水準になるかもしれない、というものだ。もしドナルド・トランプ前大統領が勝利し、共和党が議会で過半数を握れば、その公算はより大きくなる。
過去4四半期の米経済成長率は驚くほど力強く2.8%だった可能性がある。これは経済が金利上昇に対して以前ほどぜい弱ではなくなったことを示唆している。インフレ率と失業率を安定させる、いわゆる「中立金利」は上昇しているようだ。昨年12月の時点で、FRB当局者は中立金利を2.5%と考えていた。今年9月までにそれを2.9%に引き上げ、3.5%かそれ以上とする当局者もいた。
中立金利の上昇は正常化に回帰している兆候であり、それだけなら心配する必要はない(住宅ローンを組もうとしている人は別かもしれないが)。
だがそこに連邦政府の債務膨張が重なると、問題になりかねない。米債務残高の対国内総生産(GDP)比は2007年以降、35%から98%に上昇した。大半は08~09年の金融危機とコロナ禍に起因する。インフレ率と中立金利が極めて低かったため、借り入れは債券利回りにそれほど上昇圧力をかけなかった。低金利下で債務の支払いは比較的容易だった。
だが、米政府の2024会計年度(23年10月~24年9月)の財政赤字は1兆8000億ドル(約267兆円)に達した。これはGDPの6.4%に相当し、戦争や景気後退、コロナ禍などの危機時を除くと過去最高だ。利払い費は着実に増加している。米議会予算局(CBO)は、現行法の下で公的債務は34年にGDP比122%に達すると予測している。
長期金利への影響はこれまでのところほぼ目に見えていない。だが間もなく目に入るようになるかもしれない。
大統領選の民主党候補カマラ・ハリス副大統領と共和党候補トランプ氏はいずれも、大幅な債務拡大につながる巨額の財政支出と減税を公約に掲げている。
超党派の「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は勇敢にも、両候補の全公約とその費用を試算した。それによると、26年から35年までの財政赤字拡大幅(中央値)は、ハリス氏の政策が3兆5000億ドル、トランプ氏が7兆5000億ドルとなる見通しだ。
CRFBのマヤ・マクギニアス委員長は「両者とも債務全体に対処する計画らしきものはないが、明らかにトランプ氏の政策はハリス氏の政策よりはるかに悪い」と述べた。
どちらの推計にも大きな不確実性がある。特にトランプ氏は、定期的に新たな政策案を掲げつつ、財源の詳細や説明はほぼない。
それでも、トランプ氏の計画を本気ではないとして退けるのは間違いだ。ハリス氏の計画より費用はかかるが、実現の可能性も高い。
ジョー・バイデン大統領とハリス氏は確かに、自身の政策のためなら債務急増もいとわなかった。だがハリス氏が大統領になる可能性があることで、共和党の上院奪還が支持されやすくなる。共和党が上院を握れば、ハリス氏の巨額歳出案は大半が阻止される可能性が高い(下院は大統領選を制した党が握る傾向にある)。ハリス氏は自党内でも、トランプ氏のような個人的忠誠を得ていない。
ボブ・コーカー元上院議員(共和、テネシー州)は「ハリス氏が望むものを手に入れる可能性は、トランプ氏が望むものを手に入れる可能性よりはるかに低い。ハリス氏は民主党議員に対して、トランプ氏が共和党議員に対して持っているような影響力がない」と述べた。
トランプ氏の影響下で、債務は共和党の優先事項ではなくなってきた。トランプ氏は、社会保障とメディケア(高齢者向け医療保険)の給付削減を議論から退けた。これらの給付金は長期的には最大の赤字要因だ。
17年に成立したトランプ減税の多くは25年末に失効し、新たな大型税制法案が次期大統領の任期のはじめに提出される。トランプ氏は失効する減税措置の延長を望んでいる。そうなれば10年間で4兆ドルの歳入減になるとみられる。同氏が掲げる他の減税は別にして、だ。トランプ氏は望むものを全て手に入れられなくても――社会保障給付金への課税撤廃は特に難しい――その多くを手に入れられる可能性がある。
要因は他にもある。インフレ率上昇は、財政赤字による金利への影響を増大させる。インフレ率低下と、人口高齢化やパニックに陥った投資家による債券需要は影響を和らげる。
それでも、米国の債務が未知の領域に入りつつあることは明らかだ。米ペンシルベニア大学ウォートン校バジェット・モデルの最近の研究によると、米国は管理通貨制を採っているにもかかわらず、債務残高はGDP比175%に近づいており、持続不可能になる可能性がある。まだそこまではいっていないものの、CRFBの選挙後のシナリオが示すように、今後10年間近づき続ける可能性がある。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
ウォラーFRB理事、「慎重な」ペースで利下げに対応するべきだ - Bloomberg
ミネアポリス連銀総裁、「小幅な追加利下げ」適切に-向こう数四半期 - Bloomberg
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
金融庁、メガバンクの海外ファンド向け融資を検証へー屋敷局長が方針 - Bloomberg
金融庁は3メガバンクが米国を中心に展開しているファンド向けビジネスの実態調査に乗り出す。つなぎ資金などの融資が増えていることを踏まえ、リスク管理体制を軸に検証する方針だ。屋敷利紀総合政策局長がブルームバーグとのインタビューで明らかにした。
屋敷氏は、ファンドに投資家から投資資金が払い込まれる間のつなぎ融資(サブスクリプションファイナンス)やファンド資産を担保とするNAVファイナンスが増えていると指摘。「急拡大しているプロダクトについては、それに見合った実効的なガバナンス体制などが構築されているかを確認する必要がある」と述べた。
三菱UFJフィナンシャル・グループなどのメガバンクはここ数年、海外でプライベートエクイティー(PE、未公開株)ファンドや企業に直接融資するプライベートデットファンド向けのビジネスを強化している。このため、金融庁は市場急変時への対応計画の整備などを点検する必要があると判断した。
屋敷氏は「サブスクリプションファイナンスは相対的にリスクは低い」との認識を示しながらも、「例えば融資期間が長くなっていないかといったところは着眼点になるかもしれない」と言及した。
地方銀行については、買収先企業の資産などを担保とするレバレッジドバイアウト(LBO)融資に関するリスク管理体制などの検証を進める方針だ。背景にはLBO融資を含むストラクチャードファイナンス(仕組み金融)を成長領域として強化する地銀の増加がある。
屋敷氏は「企業のニーズに応じたLBO融資の積極的な供与は、地元経済にとっても望ましい」としつつも、実効性のあるリスク管理体制の整備が前提と強調。7月公表の調査では「LBO融資のポートフォリオを会議体に報告すらしていない」地銀もあるとした。また、中途採用を含めた専門人材の確保・育成の必要性も訴えた。
屋敷氏が率いる総合政策局は金融庁にある3局の一つ。同庁の約1600人の職員のうち600人超を抱える最大の局だ。同氏によると、総合政策局は信用リスクなどカテゴリー別のリスク管理の観点から金融機関を検証、監督局では個々の金融機関のビジネスモデルの検証を担う。
メガバンク・地銀の共通課題として屋敷氏は融資規律の強化を挙げる。「中堅企業で長期にわたる粉飾が発覚し、取引銀行が多額の信用コストを計上する事案が相次いでいる」ためだ。帝国データバンクによると、2024年1-9月の粉飾倒産件数は74件と前年同期比で約3割増えた。
屋敷氏は銀行について「超低金利環境の中で目先の収益確保」のために管理部門も含め各部署が「健全な猜疑心と職業的懐疑心を欠いていたとの疑念を拭えない事例が数多く確認されている」と述べた。こうした実態を検証していく考えだ。
屋敷氏は08年から11年まで検査局企画情報分析室長として検査を指揮した。かつての金融検査マニュアルに基づき個別の融資先を細かく資産査定するような手法は取らないと説明。「反省を込めて言うと、その検査手法では金融機関のリスクプロファイルを把握することは全くできないと思う」と当時を振り返った。
●中東情勢
米の世界軍事戦略、ハマス奇襲でどう変わったか - WSJ
●エマージング
中国軍の台湾包囲演習、「主要港・地域制圧」を想定 空母も参加 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●その他
ハーバードより米南部の大学、北部から熱視線 - WSJ
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(14日)ドル150円に迫る、ダウ・S&P最高値 祝日で薄商い | ロイター
薄商いの中、ドル指数は10週間ぶりの高値を記録しました。これは米経済指標が景気の減速を示し、FRBの利下げペースが緩やかになるとの観測が強まったためです。ドル/円は8月以来の高値となり、ユーロ/ドルも10週間ぶりの安値に下落。市場はECBの利下げを予想していますが、焦点はFRBの金融政策にあります。ビットコインやイーサも一時的に2週間ぶりの高値を記録し、今週のECB理事会や米国経済指標に注目が集まっています。
株式市場は上昇し、S&P500とダウ工業株30種平均が最高値を更新しました。特にテクノロジー株が買われ、半導体株や大手企業が堅調に推移しています。半導体株のアーム・ホールディングスは6.8%高、エヌビディアも2.4%上昇し最高値を記録。S&P情報技術指数も1.4%上昇しました。一方、キャタピラーとボーイングは業績不振により下落。今週は企業決算や経済指標の発表に注目が集まっています。
ドル指数は10週間ぶりの高値を記録し、ドル/円も8月以来の高値となりました。これは、米経済指標が景気減速を示唆し、FRBの利下げペースが緩やかになるとの見方が強まったためです。ユーロ/ドルは10週間ぶりの安値に下落。市場はECBの利下げを見込んでいますが、FRBの金融政策に注目が集まっています。ビットコインやイーサも一時的に2週間ぶりの高値を記録し、今週のECB理事会や米国の経済指標に関心が向けられています。
欧州市場サマリー(14日) | ロイター
ドル指数は9週間ぶりの高値を記録し、経済指標が安定していることが背景にあります。ドル/円は149.96円と、8月初旬以来の高値を更新しましたが、日米の金融市場が休場のため薄商いでした。主要6通貨に対するドル指数も103.26に上昇し、8月中旬以来の高値を更新しました。ユーロ/ドルはECBの利下げ観測から下落し、中国人民元も対ドルで下落しました。暗号資産では、ビットコインとイーサが2週間ぶりの高値を付けています。
ロンドン株式市場は、公益株と製薬株の上昇に支えられ、続伸しました。FTSE100種指数は0.5%、中型株のFTSE250種指数は0.3%上昇。今週は重要な経済指標の発表が相次ぎ、失業率や消費者物価指数(CPI)などが注目されています。
欧州株式市場では、ECB理事会を控える中、STOXX欧州600種指数が上昇し、2週間ぶりの高値を記録。市場は低金利が経済回復を後押しすると期待しています。ECBは追加利下げを決定するとの予想が大勢です。個別では、中国市場に依存するフランスの高級ブランドが下落し、防衛大手レオナルドとラインメタルは合弁設立の発表で上昇しました。
ユーロ圏債券市場では、17日に開催されるECB理事会に注目が集まる中、国債利回りはほぼ横ばいで推移しました。米国債券市場が祝日で休場し、主な経済指標の発表もなかったため、市場はECBの0.25%ポイントの利下げ決定を予想しています。ラガルド総裁が今後1年間でさらなる利下げを示唆するかが焦点です。
独10年国債利回りは2.27%、独2年債利回りも2.26%でともに横ばい。イタリア10年債利回りはわずかに低下し、独伊10年債利回り格差は127ベーシスポイントです。フランスの10年債利回りは、フィッチが格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げたものの安定していました。

備忘録(2024/10/11-13
●海外企業決算
米Wファーゴ、第3四半期利益は予想上回る 引当金減少が寄与 | ロイター
第3・四半期決算は利益がアナリストの予想を上回った。貸し倒れに備えた引当金の額が前年同期の12億ドルから10億7000万ドルに減少したことが寄与した。
第3・四半期の1株当たり利益は1.52ドル。LSEGがまとめたアナリスト予想の1.28ドルを上回った。
純金利収入(NII)は前年同期比11%減の116億9000万ドル。アナリストの予想平均は118億7000万ドルだった。第4・四半期のNIIは第3・四半期と同水準と予想。
定期預金(CD)や商業銀行事業の金利が変動しやすい預金の大半で利率が低下。マイケル・サントマッシモ最高財務責任者(CFO)は記者会見で、支払い金利の減少につながるため、NIIにプラスに働くとの見方を示した。
2024年通期の金利収入は9%減少すると予測。米ウォール街の予想8.4%減を上回っている。9月の米連邦準備理事会(FRB)による大型利下げを要因とした。
第3・四半期の収入は2%減の203億7000万ドル。融資額は9103億ドルで、前年同期の9432億ドルから減った。
JPモルガン、四半期利益が予想上回る 投資銀行好調 引当金は拡大 | ロイター
第3・四半期決算は2%の減益となった。貸倒損失などに備えた引当金の拡大が重しとなった。しかし、投資銀行業務は好調で、純金利収入が増加したことから、1株当たり利益は市場予想を上回った。
JPモルガンの株価は午前の取引で約4.5%上昇した。
第3・四半期の利益は129億ドル。1株利益は4.37ドルで、LSEGのまとめたアナリスト予想の4.01ドルを上回った。
投資銀行部門の手数料収入は31%増。経営陣が先月示した予想は15%増だった。
株式市場の好調を追い風にトレーディング収入は8%増と、経営陣による最大2%という予想を上回った。
純金利収入は3%増。通年の純金利収入見通しは925億ドルとし、従来の910億ドルから引き上げた。アナリスト予想は910億5000万ドル。
貸倒引当金を含む信用コストは31億1000万ドルと、前年同期の13億8000万ドルから倍増超となった。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は声明で中東情勢の緊迫化などについて「地政学的状況を注視しているが、最近の状況は危険で、悪化している」とし、経済に関し慎重なトーンを維持した。
また、米連邦準備理事会(FRB)が大手銀行向けの資本規制を見直す方針を示したことについて、ダイモンCEOは「経済に過度の影響を及ぼさず、強固な金融システムを促進する規則を策定できると確信している」と述べた。
ブラックロック運用資産11.5兆ドルで過去最高、ETFに資金流入 | ロイター
運用資産は3四半期連続で過去最高を更新した。株式市場が大きく上昇し、同社のETF(上場投資信託)への資金流入が急増した。
第3・四半期(7─9月)の運用資産残高は11兆4800億ドル。前年同期の9兆1000億ドル、第2・四半期の10兆6500億ドルを上回った。
長期資金がネットで1600億ドル流入。総流入額(ネット)は四半期として最高の2211億8000万ドル。
資金の主な流入先はETFで974億1000万ドル。債券商品にも627億4000万ドル流入した。
ここ数年、金融引き締め局面で現金のような安全資産の魅力が高まり、資産運用会社への資金流入は鈍化していた。ついに米連邦準備理事会(FRB)が利下げに踏み切り、積み上がっていた待機資金が動きだした。
第3・四半期の純利益は16億3000万ドル(1株当たり10.90ドル)。前年同期の16億ドル(1株当たり10.66ドル)を上回った。
[JPM] JPモルガン 3Q増収最終減益 売上高7%増426億ドル、純利益1%減125億ドル、配当1.25ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[WFC] ウェルズファーゴ 3Q減収最終減益 売上高2%減203億ドル、純利益11%減48.5億ドル、配当0.40ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[BK] BNYメロン 3Q増収最終増益 売上高5%増46.4億ドル、純利益16%増11.1億ドル、EPS1.50ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BLK] ブラックロック 3Q増収増益 売上高15%増51.9億ドル、営業益23%増20.0億ドル、EPS10.90ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
イタリア、次世代原発建設で米仏2社のいずれかと提携へ | ロイター
イタリアは国内での次世代型原発の建設にあたり、米原発大手ウエスチングハウス(WH)かフランス電力公社(EDF)のいずれかと組む方向で検討を進めている。事情に詳しい関係者2人が10日明らかにした。
イタリアは1987年と2011年の国民投票を経て原発と決別した。しかしメローニ首相率いる右派政権は「小型モジュール炉(SMR)」や「先進モジュール炉(AMR)」といった次世代型原発の再導入に向けて、年内に新たなルールの草案をまとめる計画だ。政権は鉄鋼やガラス、タイルなどの産業において脱炭素化を進める上で次世代型原が役立つと見ている。
EDFの広報担当者は「当社はイタリアのSMRという選択肢を支援することに関心がある」と述べ、関与に前向きの姿勢を示した。既にイタリアの子会社を通じてイタリアの企業や関係機関と活発に協議しているという。
米ボーイング、1.7万人削減へ 777X初納入も遅延 ストが打撃 | ロイター
ボーイングが従業員10%削減へ-長引くスト、財務体力奪われる - Bloomberg
米消費支出は引き続き堅調、大手2行幹部が楽観的な見方 | ロイター
米金融大手2社の幹部は11日、インフレの高止まりが低所得層の一部を圧迫している兆候があるものの、米消費支出は第3・四半期も堅調に推移したという認識を示した。
消費動向に関する楽観的なコメントは、高金利による消費者への悪影響や景気低迷を巡る投資家の懸念を和らげる可能性がある。
JPモルガン・チェースのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は、支出パターンは「消費者の健全な財務状況や、力強い労働市場、足元の『無着陸(ノーランディング)』の経済シナリオと一致している」と述べた。
ウェルズ・ファーゴのマイケル・サントマッシモ最高財務責任者(CFO)は、クレジットカードおよびデビットカードの支出額は今年初めより若干減少しているものの、依然として「かなり堅調」と指摘。ただ、インフレの高止まりの累積的な影響が低所得層を圧迫しているとし、そのパターンが高所得層の顧客にも広がるか注視していると述べた。
ポルシェも中国販売不振、EVで競争激化-VWは欧米で需要低迷 - Bloomberg
独フォルクスワーゲン(VW)傘下の高級車メーカー、ポルシェの中国販売は7-9月(第3四半期)に低迷した。高級品消費の減少と中国の電気自動車(EV)ブランドへのシフトが欧州の高級車ブランドに打撃を与えている。
ポルシェが11日発表したところによれば、中国の第3四半期納車台数は前年同期比約19%減の1万3279台。同四半期としては10年ぶりの低水準だった。「マカン」や「パナメーラ」、EVの「タイカン」が特に低迷した。
中国での販売不振はドイツの自動車業界全体に大きな打撃を与えており、BMWとメルセデス・ベンツグループも販売減を報告している。各社とも中国では長年にわたり、高級ガソリン車の販売を独占してきたが、EVへのシフトではBYDなどの中国メーカーに後れを取っている。 
親会社VWの第3四半期の世界販売台数は前年同期比7%減。アジアと欧州での減少が響いた。同社はEVへのシフトで苦戦している。VWの完全EV販売は欧州で12%減、米国では40%の減少となった。
ポルシェが販売する2種の完全EVモデルの1つ、タイカンの納車台数は第3四半期に47%減となった。
VWで海外販売を担当するマルコ・シューベルト氏は「中国における競争は特に激しく、それが世界的な出荷数の減少の主な理由だ」と説明した。
テスラ発表の無人タクシー、投資家の反応冷ややか-詳細乏しく - Bloomberg
英BP、第3四半期利益は最大6億ドル下振れへ 精製マージン悪化で | ロイター
英ユニリーバ、ロシア撤退 現地企業アルネストに売却 | ロイター
仏サノフィ、消費者部門売却で合意近い PEに160億ドル=関係筋 | ロイター
消費者部門を約150億ユーロ(164億ドル)で米プライベートエクイティ(PE)企業クレイトン・デュビリエ&ライス(CD&R)に売却する案で合意に近づいていることが、関係者の話で分かった。
サノフィは中核の医薬品部門で新薬開発への投資を増やすために、消費者部門の分離か売却を計画してきた。
●日本企業
ビックカメラ、期末14円増配 インバウンドで業績上振れ | ロイター
楽天G、株評価益1000億円計上 米ASTの会計処理変更で - 日本経済新聞
●米大統領選挙
米大統領選、激戦州で拮抗 経済・移民ではトランプ氏優位=WSJ調査 - WSJ
米大統領選挙の結果を左右する激戦7州の有権者は、最も関心の高い経済と移民問題ではドナルド・トランプ前大統領の方が対応能力が高いとみている。一方、どちらが国を率いるべきかについては、カマラ・ハリス副大統領と支持をほぼ二分している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の最新の世論調査で明らかになった。
激戦州を対象とするこの調査では、ハリス氏がアリゾナ、ミシガン、ウィスコンシン、ジョージア州でわずかにリードしている。これらの州では無所属候補や第三党候補にも投票できる。一方、トランプ氏はネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア州で僅差でリード。ただし、ネバダで5ポイントリードしているのを除くと、いずれもリードは2ポイント以内と誤差の範囲。
激戦州の有権者4200人のうち、トランプ氏支持は46%、ハリス氏は45%だった。ハリス氏はこの調査でリードしている州で勝利すれば、選挙人のぎりぎり過半数を獲得できる。
選挙戦の激しい非難合戦や民主党候補の交代、2度のトランプ氏暗殺未遂などを経て、有権者が党派色を強め、両候補とも対立政党の支持者を獲得できていないことが浮き彫りになった。7州全体で、トランプ氏は共和党支持者の93%、ハリス氏は民主党支持者の93%からそれぞれ支持を得た。
無党派有権者の支持は拮抗(きっこう)し、40%がハリス氏、39%がトランプ氏だった。各州の結果を見通しにくい要因の一つだ。
調査では、サンベルト地帯(南部)の激戦州がハリス氏に勝利をもたらす可能性が示された。これらの州は、ジョー・バイデン大統領が候補だった時は民主党が勝つ見込みはないとみられていた。ハリス氏はアリゾナ州で、3月のWSJ調査でのバイデン氏の支持率を6ポイント上回った。ジョージア州で5ポイント、ノースカロライナ州でも4ポイントそれぞれ上回った。一方、激戦7州のトランプ氏の支持率は3月からほぼ変わっていない。
有権者が候補者選びで重視する課題のうち、最も重要な経済ではトランプ氏の支持がハリス氏を10ポイント上回った。2番目に関心の高い移民・国境警備では、トランプ氏が16ポイント上回った。
トランプ氏は最も差し迫った問題で優位に立ちながら、なぜハリス氏を引き離せていないのか。国の方向性や経済に対する悲観ムードは通常、与党に逆風となる。今回の調査で理由らしき要因がいくつか浮かんでくる。
まず、有権者は経済分野の候補者の指導力について見方が一様ではない。ハリス氏は医療費問題などで優位に立ち、住宅のコストでもわずかにリードしている。
どの候補が「あなたのような人々を気にかけているか」という質問では、ハリス氏と答えた人がトランプ氏より6ポイント多かった。「米国の労働者のために立ち上がるか」ではほぼ互角だった。
有権者は経済について、国と自分が住む州を分けて評価している。国の経済状態について、ほぼ3分の2が「悪い、またはあまり良くない」と答え、「良い、またはすばらしい」は3分の1強だった。だが自分の州については、52%が「良い、またはすばらしい」と答えた。この1年間の自分の経済状態について、悪化したと答えたのは半数、改善はそれを若干下回る46%だった。
ハリス氏が最も優位に立っているのは人工妊娠中絶問題で、支持率はトランプ氏を16ポイント上回った。約61%が、中絶を全てまたは大半のケースで合法とするのが望ましいと答えた。
この分断が、トランプ氏の統治スタイルに対する有権者の疑念を強めている可能性がある。大統領職にふさわしい経験があるのはどちらかという質問では、トランプ氏が優勢だったものの、同氏を「極端すぎる」とみているのは48%、ハリス氏は34%だ。
大統領選の勝敗は、投票先を決めかねている少数の有権者によって左右される。世論調査員は有権者の約16%について、「説得可能」と判断した。現時点で一方に傾いていても、どちらの党にも投票する可能性がある、ということだ。この確率は3月時点の32%から低下した。全米対象では最新の8月のWSJ調査では12%だった。
調査によると、有権者は支持政党の候補を支持しているものの、一部地域の共和党支持者の間でトランプ離れの兆候が見られた。ハリス氏が2ポイントリードしているアリゾナ州では、トランプ氏は共和党支持者の88%の支持しか得ておらず、8%がハリス氏にくら替えした。一方、ハリス氏は民主党支持者の96%から支持されている。
調査は9月28日~10月8日に実施した。この間にノースカロライナ州は、ハリケーン「ヘリーン」により一部が甚大な被害を受けた。被害が大きかった地域への電話での聞き取りは控えた。
聞き取りは7州で登録有権者600人ずつに実施。誤差の範囲は全体でプラスマイナス1.5ポイントで、州単位では4ポイントだった。
アングル:米大統領選、市場は「決まらない」リスク警戒 | ロイター
中東・ウクライナ戦争対応でトランプ氏リード、激戦7州=調査 | ロイター
「ダイモン財務長官」、大統領選ごとに臆測-今年は両党が秋波 - Bloomberg
●その他先進国政治動向
アングル:膨れあがるベビーブーム世代への年金支給、仏政権の改革案は前途多難 | ロイター
膨れあがる財政赤字の削減に取り組むフランス政府が、火中の栗とも言える年金問題に再び挑もうとしている。今回は、年金受給者に支出削減への取り組みへの貢献を求め、また高齢有権者におもねる傾向のある国民議会議員らにも支持を求めている。
エコノミストやアナリストは、フランスが歳出肥大化に真剣に対処するには、1946-1964年に生まれたいわゆる「ベビーブーマー世代」が受け取る年金の改革は避けて通れないと指摘する。フランス政府の歳出に占める年金の比率は4分の1を超えている。
バルニエ首相率いる現内閣は2025年度の予算編成で、インフレを反映した年金増額を2025年1月から同年半ばに先送りすることで40億ユーロ(6511億円)を削減する案を提示している。
だがこうした暫定的な措置でさえ、政界からの反発を呼んでいる。まじめに投票所に向かう年金受給者が、支給額に手を付けようとする政党に反旗を翻すことを恐れているからだ。
極右政党「国民連合(RN)」を率いるマリーヌ・ルペン氏はすかさず、先送りの動きは受け入れがたく、「我が国の高齢から数十億ユーロを盗むに等しい」と述べた。RNは国民議会でも最大勢力の1つで、その暗黙の支持はバルニエ首相にとっても生命線だ。
バルニエ陣営側であるはずのジェラルド・ダルマナン前内相でさえ、増額先送りは愚策になると発言している。一方で、エコノミストやアナリストの間、対GDP比57%と世界有数の高さとなっているフランスの公共支出全体のうち、明らかに支出削減の対象となり得るのは年金との見方が増えている。
「年金にまったく手をつけないまま歳出を減らそうとしても難しい」と、元会計検査官のフランソワ・エカル氏は指摘する。
マクロン大統領率いる仏政府は昨年、年金コスト削減のため、定年退職年齢を2年引き上げて64才とする改革を断行した。その一方で既存の年金受給者を標的にすることはほぼ控えてきた。
フランスの年金制度は勤労者の給与から大きく差し引かれる保険料により支えられており、労働人口に比べて年金受給者の数が膨れあがることで圧迫されつつある。
起業家のラフィク・スマティ氏はX(旧ツイッター)への投稿で、「フランスで触れてはならない問題が1つある。ベビーブーマー世代がその後の世代に残す、信じがたいレベルの負債だ。ブーマーは私たちに借りがある」と指摘した。
若い世代の納税者のあいだでは、痛みを共有しようとしない「ブーマー」への不満が高まっている。X上で「コスタ・ブーマー」と名乗るフランスの風刺系アカウントは、若い納税者があくせく働いているあいだに甘やかされた年金受給者はクルーズを楽しんでいる、と揶揄している。
<膨らむ年金負担>
仏国民議会は各党の勢力が拮抗するいわゆる「宙づり議会」状態で、バルニエ首相としては、倒閣に動く可能性のある有力議員らに配慮せざるをえない。
批判に直面したバルニエ首相は、年金以外で同じ規模の支出削減を実現できるのであれば、年金増額を予定どおり1月に実施することも国民議会の議題になり得ると述べた。
だが、これまでに示された代案は、年金への支出削減には金額の点でまったく及ばない。ルペン氏は移民を支援しているという非政府組織(NGO)への補助金削減を提案しているが、年間7億5000万ユーロ規模にとどまる。
ダルマナン氏は公共放送の予算削減や週35時間の労働時間規制の廃止を提案している。
一部のエコノミストは、前政権が今年1月にインフレ調整として年金支給額を5.3%引き上げたことで、年金支給額抑制のチャンスを逸したと指摘している。
欧州議会選挙の数カ月前に実施されたこの増額により、年間150億ユーロ近いコストが生じ、退職年齢を64才に引き上げたことで節約できた170億ユーロの大半が帳消しになった。
マクロン大統領の与党に属する国民議会議員はロイターに対し、マクロン氏は選挙間近に年金制度に手をつけることは政治的な自殺行為だと考えている、と語った。若者や労働者階級の有権者はすでに与党に見切りをつけており、マクロン支持者の中心は年金受給世代になっている。
アリアンツ所属のエコノミスト、ルドビック・スブラン氏は、「1月の年金増額は、この10─15年のあいだで最悪の経済的判断だった」と語る。「それだけで(前回の)年金改革による財政面での効果を台無しにしてしまった」
この増額によって年金受給者はインフレの影響から守られたが、勤労者の側では、必ずしもこれと同水準の昇給を確保できなかった。
フランス年金理事会によれば、フランスの年金受給者の生活水準は勤労世代の水準に迫るか、むしろ恵まれているほどだが、大半の国では勤労世代よりも低くなっているという。
またフランスの場合、他の経済開発協力機構(OECD)諸国の大半よりも定年退職年齢が低く、平均寿命は長くなっている。そのため年金支給額の対GDP比を見ると、OECD平均が8%であるのに対し、フランスは14%近くに達している。
同理事会は6月、何も手を打たなければ、2023年の改革もむなしく、年金制度は今年中に赤字となり、今後何年も字を解消できないという見通しを示した。
ペンシルベニア大学ウォートン校のエコノミスト、シルバン・キャサリン氏は、「もう1度退職年齢を引き上げる年金改革が必要になるだろう。どの国もそうしているのだから」と予測した。
●先進国中銀、金融当局
FRB、11月と12月に0.25%利下げの観測 PPI受け | ロイター
日銀は政府の子会社ではない、独自の判断ある-石破首相 - Bloomberg
ダラス連銀総裁、「緩やかな」ペースでの利下げをあらためて呼びかけ - Bloomberg
ECB、1カ月前に想定していなかった利下げか-中国GDPにも注目 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)は恐らく今週、再び利下げを実施し、世界的な金融緩和の動きを推進する見込みだ。ECBは9月の政策委員会で追加緩和を行い、10月の利下げはほぼないとしていた。
17日に発表されるとみられる0.25ポイントの追加利下げは、高金利長期化による成長への打撃からユーロ圏を救おうとする当局の行動が加速する兆しとエコノミストらは考えている。
政策委は9月12日時点で10月に利下げする可能性をほぼ除外。その数日後、政策委メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁は10月17日までに得られる「新しい情報がほとんどない」ため、次の利下げは「ほぼ確実に12月まで待たなければならない」と述べていた。
スロベニアの首都リュブリャナ近郊で開催されるECB政策委員会後の記者会見で、ラガルドECB総裁は今後の見通しと、9月の会合から何が実質的に変化したかについて質問を受けるとみられる。  
当局は民間セクター経済の縮小を示す調査データに対応するため、インフレ圧力持続に対する最近の慎重な姿勢を変えたようだ。現在、17日の利下げに反対する意見を公に示しているのカジミール氏だけだが、他のタカ派メンバーが同氏を支持する可能性もある。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のユーロ圏シニアエコノミスト、デービッド・パウエル氏は「10月と12月にECBは25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ずつ金利を引き下げるだろう。その後、当局が中立スタンスを探る中で、四半期ごとの動きを見ることになりそうだ」との見解を示した。
ブルームバーグの調査によると、エコノミストらはECBが緩和策を加速し、2025年末までに経済を圧迫しない水準まで政策金利を引き下げると予測している。
中国の経済統計では、目標を下回る経済状況が続いていることが示されるもよう。また、東南アジアからチリに至る中銀が金利決定を行う。英国のインフレ率はついに2%を下回る公算が大きい。
●先進国経済指標
米ミシガン大消費者信頼感、10月速報値は68.9に低下 物価懸念反映 | ロイター
米ミシガン大学が11日に発表した10月の消費者信頼感指数(速報値)は68.9と、前月の70.1から低下した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は70.8だった。
1年先の期待インフレ率は2.9%と、前月の2.7%から上昇した一方、5年先の期待インフレ率は3.0%と、前月の3.1%からやや低下した。
消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は、「消費者は依然として物価高に対する不満を感じている」と指摘。また、米大統領選挙を11月に控え、「一部の消費者は経済の長期的な軌道について判断を差し控えているようだ」と述べた。
米9月PPI、前年比1.8%上昇 7カ月ぶりの小幅な伸び 予想は上回る | ロイター
米労働省が11日発表した9月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前年比1.8%上昇した。食品価格の上昇を背景に市場予想の1.6%上昇を上回ったものの、7カ月ぶりの小幅な伸びにとどまった。インフレ見通しは引き続き良好で、米連邦準備理事会(FRB)が11月も利下げを継続するという見方を支えた。
前月比(季節調整済み)は変わらず。市場予想は0.1%上昇だった。
8月は前年比が1.9%上昇、前月比が0.2%上昇だった。
キャピタル・エコノミクスの北米チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「来月は0.25%ポイントのより緩やかな利下げを予想する。基調的な物価上昇率は引き続き来年初めまでに目標に向け鈍化すると引き続き想定しており、その見通しへのリスクはもはや下方に傾いていない」と述べた。
モノの価格は0.2%下落。8月は横ばいだった。
食品が1.0%上昇したものの、エネルギーが2.7%下落した。ガソリンも5.6%下落した。
サービスの価格は0.2%上昇した。8月は0.4%上昇していた。
預金サービスが3.0%上昇し、サービス価格全体を押し上げた。航空運賃も1.5%上昇し、8月の1.0%下落からプラスに転じた。ポートフォリオ管理費は0.3%上昇、ホテルなどの宿泊料金は1.3%上昇、外来診療費は0.1%上昇、入院費は0.3%上昇した。
食品とエネルギーを除くコア指数は前月比0.2%上昇、前年比2.8%上昇だった。
食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いた狭義のコア指数は前月比0.1%上昇、前年比3.2%上昇した。8月はそれぞれ0.2%上昇、3.3%上昇だった。
PPIと消費者物価指数(CPI)とのデータからエコノミストが推定する9月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は0.2%上昇。0.3%に切り上がるリスクがあるとした。8月は0.1%上昇だった。ただ、コアPCEの6カ月間の年率換算上昇率は8月の2.4%から2.2%に鈍化する見通しで、インフレが低下傾向にあることを示唆している。
●金融市場、先進国トピックス
無担保コール市場の取引残高が急減、マイナス金利解除で=日銀調査 | ロイター
日銀の3月のマイナス金利解除を境に、無担保コール市場の取引残高が急減したことが分かった。日銀当座預金の3層構造がなくなったことで、都銀等が無担保コール市場での資金運用を取りやめたほか、資金の主な取り手だった地銀・第二地銀が取引を大幅に縮小させた。
日銀が11日、東京短期金融市場サーベイ(2024年8月)の結果を公表した。日銀は同サーベイを2008年に隔年実施で開始し、2013年からは毎年実施している。それによると、無担保コール市場で資金調達サイドの残高は24年7月末時点で前年比21.2%減の31.6兆円、資金運用サイドの残高は同18.8%減の30.3兆円だった。資金調達サイドでは地銀・第二地銀の取引残高が約15兆円から約7兆円と半分以下になった。資金運用サイドでは23年7月時点で約7兆円あった都銀等の残高が24年7月時点では約0兆円と急減した。もっとも、資金調達サイド、資金運用サイドとも過去対比でみれば高い水準となっている。
日銀当預3層構造の下では、マイナス金利の適用を逃れるため、都銀等が資金を無担保コール市場で運用していた。一方、地銀・第二地銀は新型コロナ対応オペの積極活用で金利ゼロ%のマクロ加算残高の上限が拡大したことで、マイナス圏で推移していた無担保コールレートを生かす形で資金を調達し、マクロ加算残高に積むことで収益を得ていた。
サーベイの調査対象先は日銀のオペの対象先に加え、生損保や投資信託委託会社など合計386先。
フランス格付け見通し「ネガティブ」に、財政赤字拡大-フィッチ - Bloomberg
格付け会社フィッチ・レーティングスは11日、フランスの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げると発表した。仏政府は2025年度予算案を前日公表したばかりで、急速な財政悪化に対処するバルニエ首相の取り組みに対して早くも厳しい判断が下された。
フィッチは昨年4月にフランスの格付けを「AA」から「AA-」に引き下げていた。今回、格付け自体は「AA-」に維持した。
フィッチは発表文で、「前回のレビュー以降、財政政策リスクは高まった」と分析。「今年の財政状況が計画から逸脱するとの見通しはフランスをより悪い財政のスタート位置に追い込むものだ。財政赤字が拡大し、28年までに政府債務が対国内総生産(GDP)比118.5%へと急拡大するとわれわれは見込んでいる」と説明した。
フランスの信用力に関する今回の警告は、同国の財政課題の根深さを浮き彫りにしている。低調な税収で予算不足が生じ、マクロン大統領が国民議会(下院)の解散を決断したことで、数カ月に及ぶ政治の不確実性と政策の停滞がもたらされ、24年に状況が急速に悪化した。
こうした事態は投資家にフランス国債の売りを促し、対ドイツ10年債プレミアムは今年前半の50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)弱から80bp近くまで拡大した。
フランス政府は10日、600億ユーロ(約9兆8000億円)規模の支出削減と増税により、財政赤字を今年の見通しである対GDP比6.1%から5%に抑える25年度予算案を発表。当初は24年に財政赤字4.4%を目標としていた。
フィッチは25年と26年の財政赤字が対GDP比5.4%になると予測。29年までに財政赤字を欧州連合(EU)の上限である3%以内に抑えるという政府の公約が達成されるとは見込んでいないとした。
アルマン経済・財務相は11日夜、フィッチによる今回の判断について「われわれがまさに示した25年度予算案は財政の軌道を修正し、債務をコントロールするという政府の決意を反映している」とコメントした。
NYクライスラービル、揺らぐ運営 地主が立ち退き要求 - 日本経済新聞
米ニューヨーク市マンハッタンの中心部に位置する著名な高層ビル、クライスラービルの運営が揺らいでいる。ビルを所有する欧州不動産シグナ・ホールディングスなどが借地料を延滞しているとして、土地所有者が立ち退きを要求する事態に発展している。
●中東情勢
仏伊西など南欧9カ国、イスラエルとヒズボラに即時停戦要求 | ロイター
ロシアとイラン首脳が会談、協力関係強化へ 国際情勢で認識近い | ロイター
イランを攻撃する機会「逃すべきではない」、イスラエルのベネット元首相を取材 - BBCニュース
ベネット氏はイランを生き物の「タコ」になぞらえ、この地域紛争の「あらゆる混乱や死をイランが制御・管理している」と主張した。
一方でベネット氏は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスに打撃を与えたことで、両組織を支援するイランはここ数十年で最も弱体化していると考えている。
「基本的にイランは、ヒズボラとハマスの二つの武器で自国を守っていた。これは攻撃に対する一種の保険だった」とベネット氏は言う。
「しかし今、その二つの武器はほぼ無力化されている」
ベネット氏はさらに、2007年にイスラエルがシリアの核施設を攻撃したことが、バシャール・アル・アサド政権の核兵器保有を防いだと指摘。
イランが核兵器を持てば、それによって中東全体を危機に陥れるはずだと述べ、イラン攻撃の必要性を強調した。
米、イスラエルにミサイル迎撃システムTHAAD配備へ-部隊も派遣 - Bloomberg
米国防総省は13日、イランによる攻撃の可能性に備え、イスラエルに地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を配備するとともに、関連部隊を派遣すると発表した。
THAADの配備によってイスラエル軍の対空防衛システムを強化する。イスラエルは、今月1日のイランによるおよそ200発におよぶミサイル攻撃など、今年に入って少なくとも2回の攻撃に見舞われ、防空体制が限界に近づいている。
バイデン米大統領は13日、フロリダ州を訪問中に、米国がTHAADを配備する理由を記者団に問われ、「イスラエルを守るため」とだけ答えた。
国防総省のライダー報道官は13日の声明で、「今回の措置は、イスラエル防衛に対する米国の揺るぎない決意を明示するものであり、イスラエルにいる米国民を、イランによる弾道ミサイル攻撃から守ることを目的としている」と説明。THAAD配備に伴い「米軍兵士の関連部隊」を派遣することも明らかにした。
●エマージング
中国、政府債務「大幅増加」へ 経済回復を後押し | ロイター
中国の藍仏安財政相は12日の記者会見で、国債発行を「大幅に増やす」と発表した。低所得者への補助金支給や不動産市場支援、国有銀行の資本補充に充て、低迷する経済成長の回復を後押しする。
新たな経済てこ入れ策の規模には言及しなかった。藍氏は、「中国にはまだ債務を発行する余地が十分ある」と述べた上で、景気の変動を抑制するカウンターシクリカル対策を今年さらに講じる予定だと述べた
藍氏は、政府が地方政府の債務問題の解決を支援すると述べた。地方政府には、特別債発行枠や未使用資金など、第4・四半期に2兆3000億元(3255億ドル)の支出余地があるとし、地方政府が不動産開発業者から未使用の土地を買い戻すことが可能になると説明した。
<矢継ぎ早の施策発表>
中国は、不動産市場の急速な冷え込みと消費者信頼感の低迷により強いデフレ圧力に直面、世界の貿易環境が緊迫する中で、輸出への過度の依存によるきしみもでている。
ここ数カ月は各種経済指標が予想を下回り、エコノミストや投資家の間では、今年の政府の約5%の成長目標が達成されない可能性や、長期的な構造的減速が起こる恐れへの懸念が高まっていた。
そんな中、中国人民銀行が9月下旬、預金準備率や住宅ローン金利の引き下げなど、不動産部門支援に向けた一連の措置を公表した。
数日後、中国共産党の意思決定機関、中央政治局が月例会合で経済の逆風に対する危機感を示し、経済運営上、新たな問題が生じていると認めた。ロイターは、中国が新たな経済刺激策の一環として今年約2兆元(2844億3000万ドル)相当の特別国債を発行する計画だと報道。ブルームバーグは、経済を下支えするため、中国が主に新たな国債の発行を通じて大手国有銀行に最大1兆元の資本注入を検討していると報じた。
中国が打ち出す景気刺激策に世界の金融市場が注目し、中国株式市場も上昇した。
<なお見えない具体像>
しかし藍財政相の会見では、特別国債の発行規模など具体的な内容は示されなかった。国債の追加発行は全国人民代表大会(全人代)の承認を必要とする。全人代常務委員会は数週間内に開催される可能性がある。
OCBC(シンガポール)の投資戦略マネジングディレクター、バス・メノン氏は、会見について「強い決意が示されたが、数字的な具体性に欠ける」と指摘。株式市場の上昇維持に向けた超大型財政刺激措置への期待は空振りとなった格好で市場の一部で失望が広がる可能性があると述べた。
多くのアナリストは、脆弱な消費、債務によるインフラ投資への過度の依存など、根深い構造的問題に政府がしっかりと取り組む必要があると指摘している。
中国の景気対策としての財政支出の大半は依然として投資に回されているが、収益は減少しており、地方政府は13兆ドルの負債を抱えている。
藍財政相は会見で、さらなる改革が「段階を踏んで」発表されると述べた。
上海安放私募基金管理のクレジットリサーチディレクターのHuang Xuefeng氏は、需要喚起や投資拡大につながる施策を取らなければデフレ圧力を緩和するのは困難だと述べた。
9月の中国新車販売、1.7%減 国内需要が低迷 - 日本経済新聞
中国汽車工業協会は12日、9月の中国新車販売(輸出含む)が前年同月比1.7%減の280万9000台だったと発表した。前年実績を下回るのは4カ月連続で、国内需要が減少している。一方、輸出は好調を維持しており、2024年は前年実績を2割上回る可能性があると示した。
新車販売のうち、国内販売は前年同月比6%減の227万台だった。新車販売の9割を占める乗用車の国内販売は1.8%減の206万8000台と、5カ月連続で前年を下回った。
電気自動車(EV)など新エネルギー車の新車販売は42.3%増の128万7000台だった。EVが23.8%増の77万5000台、プラグインハイブリッド車(PHV)が84.2%増の51万1000台だった。新エネ車比率は新車販売全体で45.8%、国内市場の乗用車に絞ると54.6%だった。
輸出は21.4%増の53万9000台で、1〜9月累計では前年同期比27.3%増の431万2000台だった。中国汽車工業協会の陳士華・副秘書長は同日の記者会見で「24年の輸出台数は580万台に達する見込み」とした。550万台としていた見通しから30万台上積みした。
中国の23年の輸出台数は491万台で、初めて日本(442万台)を抜き世界首位となった。24年はさらに日本との差が広がる可能性がある。
新エネ車の9月の輸出は、EVが前年同月比3.6%減の8万9000台、PHVが4.9倍の2万2000台だった。EVの輸出について陳氏は「欧州連合(EU)の追加関税を含む様々な障害に直面している」と言及した。
1〜9月累計の新車販売は前年同期比2.4%増の2157万1000台で、国内販売は2.4%減の1725万9000台だった。EVは11.6%増の498万8000台、PHVは84.2%増の332万8000台だった。
中国が不動産支援、支出拡大も示唆-今年も全人代常務委が焦点か - Bloomberg
中国政府は、不動産セクターを対象に新たな支援策を講じる方針を示し、景気を下支えするため政府借り入れの拡大も示唆した。景気減速に歯止めをかけることを目指す。
藍仏安財政相らは12日の記者会見で、地方政府が特別債の活用を通じ、売れ残り住宅を買い取ることを認めると説明。具体的な規模については言及しなかった。藍氏は国債増発余地があると示唆したほか、地方政府の債務負担を軽減するとも表明。今後数週間で予算の修正が行われる可能性がある。
藍財政相は「中央政府には借り入れを進め、赤字を拡大する余地がまだかなりある」と述べた。
藍氏は追加刺激策を講じた場合の具体的な規模に触れておらず、投資家の失望を招く可能性もある。だが、今回発表された措置は不動産セクター危機を抑制し、地方政府が緊縮を余儀なくされていた債務問題にも対処するとのエコノミスト予想におおむね沿ったものとなった。当局者によると、中国は国有大手銀行の資本増強に向けて特別国債も発行する方針で、融資の促進で景気をてこ入れする見込みだ。
ジョーンズラングラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、龐溟氏は「地方債務リスクを軽減し、国有銀の資本不足を補い、不動産セクターを下支えすることを目的に発表された今回の財政支援は、まさに市場や投資家が期待しているものだ」とコメントした。
龐氏や他のエコノミストは、向こう数週間に開催される全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の会議後、国債の増発や年度途中の予算修正などより踏み込んだ詳細が公表されると見込んでいる。
全人代常務委は昨年10月の会議でも、国債の追加発行を承認し、23年の財政赤字の対国内総生産(GDP)比を約3.8%へと引き上げていた。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のシニアストラテジスト、邢兆鵬氏は「前向きなトーンであり、財政省は国債と地方債の枠を追加する可能性が高い」と分析。「1兆元(約21兆円)規模の超長期国債と1兆元の地方債がそれぞれ発表されるとわれわれは予想している」と述べた。
ブルームバーグが藍財政相の記者会見前に実施した調査では、中国政府は最大2兆元の新たな財政刺激策を打ち出すと投資家やエコノミストが見込んでいた。
藍財政相は具体的な規模を明かさなかったが、地方政府のバランスシート外の債務を交換する上限を引き上げる単発の取り組みについて「ここ数年で最大」になるとの見通しを示した。
ゴールドマン・サックス・グループの王立升氏率いるエコノミストチームは、中国当局が地方政府債務の交換計画を複数年で5兆元程度に拡大すると予想した。
中国当局は9月下旬から刺激策パッケージを打ち出し始めたものの、財政面の景気支援策が欠けていた。中国人民銀行(中央銀行)はすでに利下げに加え、不動産や株式市場の下支え策も講じている。
世界2位の経済規模を誇る中国が今年設定した5%前後のGDP成長率目標を達成できない恐れもあり、公的支出の拡大は景気てこ入れに欠かせないと考えられている。
だが、財政省の当局者は会見で、消費への直接的な後押しを限定的にしか示さず、世帯への大規模な給付金の支給を示唆することもなかった。
ANZのシニアストラテジスト、邢氏は「政府が刺激策の軸足を消費に移すにはまだ長い道のりがある」とし、「成長率を高めるか、リスクを防ぐか。現段階では政府は後者を選んでいるように見受けられる」と述べた。
中国、地方政府の隠れ債務解消へ 不動産市場の支援も - WSJ
中国財政省は12日、地方政府の隠れ債務解消に向け近年で最も大胆な措置を講じると表明した。また、低迷する不動産市場を支援するための新たな政策も打ち出す方針を示した。
これらの公約は、注目を集めていた記者会見で発表された。投資家らは、先月の中国人民銀行(中央銀行)による発表が市場のセンチメントを改善させたことから、さらなる経済刺激策を期待していた。
しかし、今回の財政省の発表は、中央政府が計画している潜在的な景気刺激策の具体的数値を示さなかったため、一部の投資家を失望させる可能性がある。
12日の記者会見で藍仏安財政相は、地方政府の債務枠を「比較的大幅に」引き上げ、既存の隠れ債務の借り換えを支えると述べた。
同相は具体的数値を示さなかったものの、立法機関の承認を前提とした債務枠の引き上げを「時宜を得た恵みの雨」と表現。地方政府への圧力を大幅に緩和するとし、近年で最も大胆な債務過剰問題への対策だと述べた。
同相はまた、税制のほか、通常は国主導のインフラプロジェクトの資金調達に使用される債券である地方政府特別目的債を活用し、低迷する不動産市場を支援すると述べた。さらに、中央政府の債務水準や財政赤字の拡大を含む追加的な政策ツールを検討していると述べたが、詳細は明らかにしなかった。
情報BOX:中国、景気底上げへ積極財政出動 財政相会見要旨 | ロイター
中国9月CPI減速、PPIは半年ぶり下落率 デフレ圧力高まる | ロイター
中国国家統計局が13日発表した9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は鈍化し、生産者物価指数(PPI)は過去6カ月で最大の下落となった。デフレ圧力の強まりを示唆し、すでに数々の景気支援策を発表している中国政府はさらなる対応を迫られそうだ。
9月のCPIは前年比0.4%上昇。8月(0.6%上昇)から減速した。ロイターのエコノミスト調査では横ばい0.6%上昇が予想されていた。
PPIは前年比2.8%下落。8月(1.8%下落)から予想以上に下落幅が拡大した。エコノミストの予想は2.5%下落だった。
CPIは前月比横ばい。8月、エコノミスト予想は0.4%上昇だった。
食品価格は前年比3.3%上昇で、8月(2.8%上昇)から加速した。半面、非食品価格は0.2%上昇から0.2%の下落に転じた。国家統計局によると、非食品部門では、エネルギー価格がさらに下落したほか、観光料金が航空運賃やホテル宿泊料金の一段の値下がりで上昇から下落に転じた。
変動の激しい食品価格と燃料価格を除いたコアインフレ率は0.1%で、8月の0.3%から低下。デフレ圧力が高まりを示唆した。
JLLのチーフエコノミスト、ブルース・パン氏は、コアインフレ率が20カ月にわたり1.0%を大きく下回っているのは物価の勢いがないことを反映し、消費を喚起する必要があることを示すと述べた。
藍仏安財政相は12日の記者会見で、景気変動を抑制するカウンターシクリカル対策を年内にさらに打ち出す方針を示したが、景気刺激策の規模は示さなかった。
上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は、「中国は内需が弱いせいでデフレ圧力が根強い」と指摘したうえで、藍財政相が会見で国債増発方針などを示したことを受け「財政政策のスタンス変更は、問題対処の一助になる」と述べた。
中国ウォッチャーは、過剰生産能力や消費低迷といった、より根深い構造的問題に真剣に取り組む必要があると指摘している。
中国軍が台湾周辺で軍事演習、「独立」の企てに対する「厳重な警告」 - Bloomberg
中国人民解放軍は14日、台湾を取り囲む形で軍事演習を開始した。台湾「独立」の企てをやめるよう警告することが目的だとしている。
人民解放軍の報道官がソーシャルメディアに投稿した資料によると、この日の演習には陸海空軍およびロケット軍が参加。国営中央テレビ(CCTV)は、演習が行われた台湾周辺の6つの大きな赤いエリアなどを示す地図を伝えた。
軍事演習は「台湾独立」の分離派勢力に対する「厳重な警告」だと同報道官は述べ、「国家の主権を守り、統一を維持するための正当かつ必要な措置だ」とした。
「聯合利劍-2024B」と呼ばれる今回の演習は、台湾の頼清徳総統に圧力をかける取り組みの一環。5月の頼氏就任直後に実施した演習は「聯合利劍-2024A」と呼ばれた。
中国は2年前、ペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問に反発し軍事演習を実施したが、その時と同じように、人民解放軍は「台湾封鎖」を想定した訓練を実施しているように見受けられる。
頼総統は10日、双十節(建国記念日)の式典での演説で、「併合や主権侵害に抵抗するという公約を果たす」と述べ、中国には台湾を代表する権利はないと語っていた。
「韓国ドローンが平壌上空でビラ散布」、北朝鮮が主張  | ロイター
インドルピー対ドルで最安値、初の84ルピー台 原油高など重し | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
ハリケーン「ミルトン」で少なくとも16人死亡 米フロリダ州 - BBCニュース
ハリケーン「ミルトン」の強大化、人為的な気候変動の影響=研究 | ロイター
増えるハリケーンの「急発達」、何が起きているのか-QuickTake - Bloomberg
アングル:南アジアで国境またぐ水害増加、求められる協力強化 | ロイター
アマゾン、アジアでは再生可能エネルギーを優先-原子力なお調達困難 - Bloomberg
世界の大手テクノロジー企業の間では、エネルギーを大量消費するデータセンターへの電力供給で原子力発電を検討する動きが出始めている。一方でアマゾン・ドット・コムは現時点では、アジアでのプロジェクト向けエネルギー源として、グリーン電力の風力および太陽光しか検討していない。
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のアジア太平洋担当エネルギー・環境政策責任者、ケン・ハイグ氏は「われわれは現在調達可能なものに目を向けている。この地域においては再生可能エネルギーだ」と指摘。「この地域で原子力を調達することは可能だろうか。まだ不可能だ」と述べた。
これとは対照的に米国ではマイクロソフトのほか、アマゾンも自社データセンターへの電力供給において、原発に目を向けつつある。原子力は発電量が不安定な風力や太陽光に比べ、低炭素の電力を24時間供給できるという大きな利点がある。
マイクロソフトは再稼働が計画されているペンシルベニア州のスリーマイル島原発から電力を購入することで合意。アマゾンも最近、同州で原発を動力源とするデータセンターを取得した。
アジアはグリーン電力を取得するのが最も難しい地域の一つだが、最も大きな可能性を秘めた地域でもあると、ハイグ氏は話した。例えば、日本でクリーンエネルギーの調達が以前より容易になっているほか、ベトナムとマレーシアでは購入規制に心強い進展が見られている。
アマゾンでは現在、アジア太平洋地域全体で83の再生可能エネルギープロジェクトが実行可能となっており、推定発電容量は計2.2ギガワットを超える。同社は東南アジアとインドで、より多くのクリーン電力契約の締結を目指している。
●その他
会社勤めを愛する米国の20代 - WSJ
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(11日)ドル横ばい、ダウ・S&P最高値 利回り低下 | ロイター
ドルは主要通貨に対し横ばいで推移しました。米国の経済指標から、連邦準備理事会(FRB)が現行の金融政策を維持するとの見方が強まり、市場はその影響を消化しています。
9月の米卸売物価指数(PPI)は前年比1.8%上昇し、予想を上回る結果となったが、7カ月ぶりの小幅な伸びに留まりました。消費者物価指数(CPI)も前年比2.4%上昇し、予想を若干上回りました。
FRBが11月に0.25%の利下げを決定する確率は91%とされています。主要通貨に対するドル指数は102.91で横ばいでした。ユーロ、ポンド、人民元もそれぞれ小幅な動きで推移しています。
暗号資産では、ビットコインが5.38%上昇し、イーサリアムも3.8%の上昇を見せました。
米国債利回りが低下しました。9月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)の発表を受け、連邦準備理事会(FRB)が11月の会合で利下げを継続するという見方が強まったことが要因です。
労働省の発表によると、9月のPPIは前年比1.8%上昇し、予想を上回りましたが、7カ月ぶりの小幅な伸びにとどまりました。CPIも前年比2.4%上昇し、予想をやや上回りましたが、伸びは控えめでした。
利下げの決定確率は91%、金利据え置きの確率は9%です。10年債の利回りは2.1ベーシスポイント(bp)低下し4.073%、2年債は5.4bp低下し3.945%となりました。一方、30年債は横ばいで4.386%でしたが、週初からは12bp上昇しています。
米国株式市場は、S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均が最高値で取引を終えました。銀行大手の好調な四半期決算が金融株の買いを促し、朝発表されたインフレ指標を受けて、連邦準備理事会(FRB)が11月に利下げを行うとの期待が高まりました。
JPモルガン・チェースは、第3四半期決算で2%減益でしたが、投資銀行業務が好調で、予想を上回る利益を計上。ウェルズ・ファーゴも、貸し倒れ引当金の減少により、予想を上回る利益を発表しました。
週足では、S&Pが1.1%、ダウが1.2%、ナスダック総合が1.1%上昇し、いずれも5週連続の上昇となりました。9月の卸売物価指数(PPI)は前年比1.8%の上昇、消費者信頼感指数は予想を下回る68.9に低下しました。
テスラ株は、ロボタクシーの発表に具体的な計画が示されなかったことから一時8.8%下落しましたが、銀行株は好決算を背景に大きく上昇しました。S&P金融株指数は1.95%、銀行株指数は4.2%、地方銀行株指数は3.4%上昇しました。
金先物は、ドル高が一服したことで需要が高まり続伸しました。12月物の清算値は前日比37.00ドル(1.40%)高の1オンス=2676.30ドルとなり、週間では0.32%上昇しました。米卸売物価指数(PPI)が予想を下回り、追加利下げの観測が維持されたことで、ユーロ高・ドル安に反転し、ドル建てで取引される金が割安に見られたことが要因です。また、中東情勢の不安定さも金需要を支えました。
一方、米原油先物は前日の急伸の反動で利益確定売りが入り反落。WTI11月物は0.38%安の1バレル=75.56ドルで、週間では1.59%高でした。ハリケーンの影響や中東の地政学リスクが下値を支え、エネルギー供給への懸念が続いています。また、中国の追加景気刺激策の観測もエネルギー需要への期待を広げました。
欧州市場サマリー(11日) | ロイター
米国株式市場では、S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均が最高値で取引を終えました。これは、銀行大手の好調な四半期決算が金融株の買いを促し、加えて朝発表されたインフレ指標を受けて、連邦準備理事会(FRB)が11月に利下げを行うとの期待が高まったためです。
JPモルガン・チェースは第3四半期決算で2%減益でしたが、投資銀行業務が好調で予想を上回る利益を計上しました。ウェルズ・ファーゴも、貸し倒れ引当金の減少が寄与し、予想を上回る利益を発表しています。
週足では、S&Pが1.1%、ダウが1.2%、ナスダック総合が1.1%上昇し、いずれも5週連続の上昇となりました。9月の卸売物価指数(PPI)は前年比1.8%の上昇、消費者信頼感指数は68.9に低下し、予想を下回りました。
一方、テスラ株はロボタクシーの発表に具体的な計画が示されなかったことを受けて一時8.8%下落しました。しかし、銀行株は好決算を背景に大きく上昇し、S&P金融株指数は1.95%、銀行株指数は4.2%、地方銀行株指数は3.4%の上昇を記録しました。
欧州株式市場は反発し、上昇して取引を終えました。中国の財政刺激策への期待や、来週の企業決算発表、欧州中央銀行(ECB)の理事会への注目が市場を支えました。STOXX欧州600種指数は週間で0.66%上昇しました。
主要な指数では、ドイツのDAX指数が0.85%、スペインのIBEX指数が0.54%、フランスのCAC40指数が0.48%それぞれ上昇しました。フランス政府は2025年度予算案を発表し、歳出削減と富裕層や大企業への増税で収支改善を目指しています。
個別銘柄では、ステランティスがCEOの退任発表を受けて2.8%下落。フォルクスワーゲンも第3四半期の世界販売台数の減少と、ムーディーズの格付け見通しの引き下げで0.5%安となりました。
また、中国の財政刺激策に関する発表や、来週予定されているオランダの半導体製造装置メーカーASMLの決算が注目されています。
ユーロ圏の債券市場では、フランス10年債利回りが3ベーシスポイント(bp)上昇し、5週間ぶりの高水準である3.058%を記録しました。これは、フランス政府が発表した2025年度予算案で、財政赤字抑制と債務削減を目指す内容が市場に反映された結果です。予算案には歳出削減や富裕層・大企業への増税が盛り込まれています。
同時に、ドイツ10年債利回りも3bp上昇し、2.28%となり、一時は9月初旬以来の高水準である2.299%まで上昇しました。ドイツとフランスの10年債利回り格差は77.5bpとほぼ横ばいでした。
市場では、欧州中央銀行(ECB)が今月17日の理事会で25bpの利下げを実施するとの見方が広がっています。また、イタリア10年債利回りは3bp上昇し、3.57%となっています。
来週の米主要企業決算 決算本格化 - 株探(かぶたん)|米国株
15日(火)ユナイテッドヘルス、ジョンソン&ジョンソン、バンカメ、ゴールドマン、シティグループ、ユナイテッド航空、ウォルグリーン
16日(水)モルガン・スタンレー、アルコア
17日(木)トラベラーズ、ネットフリックス
18日(金)P&G、アメックス。ラスベガス・サンズ、アメリカン航空

備忘録(2024/10/10
●海外企業決算
[DAL] デルタエアラインズ 3Q増収営業減益 売上高1%増156億ドル、営業益30%減13.9億ドル、EPS1.97ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
ボーイング労使交渉決裂、「長期戦になる」と組合側責任者 | ロイター
国際機械工労働組合(IAM)の交渉責任者、ジョン・ホールデン氏は9日、ロイターのインタビューに応じ、賃金交渉が前日に決裂したことを受けて「長期戦になる。組合員もそれを理解している」と述べた。
交渉決裂前に会社側が提示してきたのはわずかな改善にとどまったと説明。組合側はスト期間中、組合員に週250ドルを支払う強力な資金を有しており、会社側の対応を待つ用意があるとした。
ボーイングは8日、労組に提示していた賃上げ案を撤回したことを明らかにした。
ボーイング・コマーシャル・エアプレーンズのトップ、ステファニー・ポープ氏は従業員向けの文書で「残念ながら、組合はわれわれの提案を真剣に検討しなかった」とし、組合の要求は「交渉不可能だ」と述べた。
一方、ホールデン氏は、現在の交渉中断を「行き詰まり」とは表現しないとした上で「できることは多いと強く感じている」と述べた。
BMWとメルセデス、第3四半期の販売減少 中国の低迷響く | ロイター
BMWの第3・四半期の販売台数は13%減。メルセデスは3%減だった。
BMWの中国での販売は約3割減少。メルセデスは13%の減少だった。
メルセデスでは中国で特にハイエンデモデルの販売が低迷した。消費者の裁量的支出が減っていることが背景。国内価格が45万1800元(6万3700ドル)からとなっている「Sクラス」の販売が不振だった。
BMWは中国でのモデル別の販売台数を公表していないが、傘下のロールス・ロイスのリムジンの世界販売は16%減少、MINIブランドの販売は25%減だった。
メルセデスはバッテリー電気自動車(BEV)の世界販売が31%減少したことも明らかにした。BMWのBEV販売は10%増加した。
英製薬GSK、米地裁の「ザンタック」訴訟で22億ドル支払い和解 | ロイター
英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)は9日、胸焼け薬「ザンタック」(既に販売中止)の服用でがんが発症したとして米連邦地方裁判所で起こされた訴訟の大半について、最大22億ドルを支払って和解することで合意したと発表した。
原告を代表する法律事務所10社との間で、約8万件の訴訟について和解に至った。これは全米の地裁で起こされた訴訟の93%に相当する。コネチカット州の研究所が起こした内部告発訴訟についても、7000万ドルを支払って和解するとした。
GSKは、ザンタックの有効成分が、がんの発生リスクを高めたことを示す「一貫した、もしくは信頼に足るエビデンスは存在しない」との声明を出し、自社の落ち度を認めずに和解に合意。和解によって係争継続のリスクが避けられ、自社にとって長期的に最善の利益になるとした。
ザンタックは1983年に米当局の承認を得た薬で、1988年には世界で最も売れた医薬品となった。GSKのほか、米ファイザー、仏サノフィ、独ベーリンガーインゲルハイムが異なる時期に販売しており、ファイザーとサノフィも先に同様の訴訟で和解を発表している。
TDバンク、マネロン対策巡り米当局と和解へ 罰金30億ドル=報道 | ロイター
カナダのTDバンクは、麻薬カルテルによるマネーロンダリング(資金洗浄)を適切に監視しなかったとされる問題を巡り、米国の規制当局と検察との和解の一環として約30億ドルの罰金を支払う見通し。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が9日報じた。
同行の米国部門は10日に罪を認める見込みという。
WSJによると、米通貨監督庁(OCC)は合意の一環として、同行が米国内で一定水準以上に拡大しないよう資産規模に制限も課すとみられている。
また、米司法省と米財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)がいずれも独立した監視役を送り、合意順守を徹底させる方針という。
ドイツテレコム、25年に最大20億ユーロの自社株買い-増配も提案 - Bloomberg
アマゾンの利益率に影、高コストの宇宙開発競争で - WSJ
AMDが新型AIチップ発表、投資家が求める情報は提供せず株急落 - Bloomberg
アングル:「グーグル帝国」解体、実現は不透明 AI革新にブレーキも | ロイター
米政府がアルファベット傘下グーグルのインターネット検索における独占的地位の切り崩しに動く。司法省は8日、ブラウザ「クローム」や基本ソフト(OS)「アンドロイド」などの事業を売却させる是正措置を取る可能性があると明らかにした。決着には数年かかる可能性があるが、グーグルの重要な収益源を弱体化するとともに、AI(人工知能)の進歩を停滞させる可能性もあるとアナリストは指摘する。
連邦地方裁判所は8月、グーグルがネット検索で独占的地位を維持しているとの判断を示した。
この判決を受けて司法省が検討している是正措置は、一部事業の売却だけでない。機密性の高いユーザーデータの収集を禁止し、検索結果とインデックスを競合他社にも共有させること、ウェブサイトのコンテンツがAI製品の学習に利用できないようにする選択肢を設けること、裁判所が任命した技術委員会に報告を義務付けることなども検討されている。
こうした案は、「ググる」という言葉を生んだ「グーグル帝国」の本丸に切り込み、事業収益を減らし、ライバルの台頭に道を開くものだ。
DAデービッドソンのマネジングディレクター兼ソフトウエアシニアアナリストのギル・ルリア氏は「プライバシーやデータ蓄積に関する是正措置は、グーグルが収集した全データの共有を認めるか、でなければデータ収集自体をやめるかという選択を迫るものだ。グーグルはおそらく前者を選ぶだろうが、そうなればライバルが力をつけ、新たな競争を生む可能性がある」と述べた。「司法省はグーグルの成功の公式を逆手にして崩そうとしている」とみる。
アナリストからは、AI関連の是正措置はグーグルのビジネスを混乱させる可能性があるとの警告も聞かれる。AI分野では「チャットGPT」を開発したオープンAIや、AI検索エンジンの「Perplexity」などの攻勢を受けている。
調査会社eマーケターによると、米検索広告市場におけるグーグルのシェアは2025年までに、10年余ぶりに50%を下回ると予測されている。
「グーグルとしては、ライバルが増えているAI分野の競争を規制当局によって不利な条件で戦うことは避けたいはずだ」とバーンスタインのアナリスト、マーク・シュムリックは指摘する。
グーグルのライバルで、プライバシーを尊重した検索エンジンを手がける「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」の広報担当上級副社長カミル・バズバズ氏は「この枠組みは、単一の是正措置ではグーグルの違法な独占を解消できないという理解に立ったものだ。市場を自由にするには一連の行動的および構造的是正策が必要になる」と話した。
<予想される曲折>
グーグルの問題は、OS「ウィンドウズ」を巡りマイクロソフトの分割案が浮上した1999年以来、米国の独占禁止法に関する最も大きな影響を持つ事案だ。ただ、業界専門家からは是正措置の実現性は不透明との声も出ている。
テック業界団体「Chamber of Progress」の創設者アダム・コバセビッチ最高経営責任者(CEO)は「ニュース性はあるかもしれないが、法的には非現実的。司法省が提示しようとしている是正措置は裁判所の判決をはるかに超える内容だ。過去の事例に照らせば、訴訟を続けられないだろう」と述べた。
AJベルの投資ディレクター、ラス・モールド氏は、このリスクは以前から認識されていたとし、「投資家は強制的な分割が起こるとは考えていないようだ」と語った。
●日本企業
OSGの純利益9%減 24年11月期決算、自動車向け回復遅れ - 日本経済新聞
自動車メーカーの認証不正問題の影響が長引き、切削工具の内需回復が遅れる。人件費や原材料価格の上昇も利益を圧迫する。
海外では米航空機大手ボーイングのストライキの影響で、航空機向けの工具販売にも不透明感が出ているという。
SHIFT、24年8月期純利益8%減 オフィス移転費かさむ - 日本経済新聞
主力のソフトウエアテストサービスの需要は底堅かったものの、オフィスの移転やM&A(合併・買収)に関連した費用が増加した。一部エンジニアの稼働率も低下した。
焦点:セブン&アイ、コンビニ集中も成長鈍化 活路は新業態と海外か | ロイター
セブン&アイ、スーパー事業などで中間持株を設立 持分法適用会社化を検討 | ロイター
松屋の純利益63%増 3〜8月決算、インバウンド需要根強く - 日本経済新聞
セブン&アイが減益予想に下方修正、コンビニ低調 | ロイター
セブン&アイ・ホールディングスは10日、2025年2月期の連結営業利益予想を5450億円から4030億円に下方修正した。物価高が続く北米でコンビニエンスストア事業の客数が減少し、前年比2%の増益予想が24.6%の減益に転じる。
連結の純利益予想は従来の2930億円から同27.4%減の1630億円に下方修正した。イトーヨーカドーのネットスーパー事業撤退に伴い458億円、北米コンビニ事業の不採算店閉店で543億円の特損を計上する。
●米大統領選挙
米大統領選、郊外有権者と中間所得層の支持率でハリス氏がリード | ロイター
トランプ氏、エネ生産拡大表明 バイデン氏故郷で労働者にアピール | ロイター
「私はバイデンではない」ハリス氏、違いは語らず - WSJ
【ワシントン】カマラ・ハリス米副大統領は、人気のない上司から距離を置こうとすることが多く、「私はジョー・バイデンではない」と言い切る。
しかし、大統領としてどのように異なるかを具体的に問われても、バイデン氏との違いを詳しく語ろうとはしない。副大統領を務めながら「新たな前進への道」を訴える変革の候補者としての立場を打ち出すという、複雑な状況を巧みに切り抜けている。
ハリス氏は過去3年半、時には自身の政治的資本を犠牲にしてまでバイデン氏への忠誠を優先してきた。バイデン氏の後継候補として大統領や自身が属する政権を批判することに慎重だと側近らは言う。ただハリス氏は、変革を切望する有権者に向けてバイデン氏との違いを明確にすることを視野にアドバイザーたちが作成した、いくつかの経済・国境政策は受け入れてきた。
8日のABCの番組でハリス氏は、自分が大統領なら過去4年間でバイデン氏と異なることをしたかどうかを問われた。最初は「思い浮かぶことはない」と答えたが、インタビューの終わりに、共和党員を閣僚に任命しただろうと述べた。
同じ日にCBSの番組で同様の質問を受けた際は、ドナルド・トランプ前大統領との違いを明確に述べた。「28日後に向けて重要なのは、私はドナルド・トランプではない、ということだ」 トランプ氏は9日にペンシルベニア州での集会で、ハリス氏の「思い浮かぶことはない」という言葉を取り上げた。「わが国がこういう人々によって運営されているということを信じられますか」と聴衆に問いかけ、アフガニスタンからの米軍の混乱した撤退や、国境問題、インフレについてバイデン政権を批判した。
トランプ氏と陣営関係者は、バイデン氏より人気があるというハリス氏の優位性を崩そうとしている。全国世論調査での平均では、ハリス氏の肯定的な評価と否定的な評価の割合はほぼ同じだが、トランプ氏とバイデン氏はどちらも否定的な評価の方が数ポイント高い。
共和党はハリス氏とバイデン氏をひとくくりに見せようとしているが、ニューヨーク・タイムズとシエナ大学の最近の世論調査では、変革を象徴する候補者としてハリス氏がトランプ氏を46%対44%でわずかに上回っている。ハリス氏は大半の全国調査でわずかにリードしており、激戦州の調査ではほぼ互角だ。
それでもハリス氏の今週の反応は、これまでの選挙戦でバイデン氏と微妙に異なる専門的な違いを示していたと考える一部の民主党員を驚かせた。その微妙な差異というのは政策文書を読んでいない有権者には不明瞭かもしれないものではあるが。
「(ハリス氏は)有権者に評価されることをするための機会を逃した」と、民主党系の世論調査専門家エバン・ロス・スミス氏は言う。同氏が率いた調査では、特定の問題でバイデン氏との明確な違いを示したメッセージが、有権者全体と無党派層に最も効果的だったという。一方で、ハリス政権をバイデン政権の仕事の延長だと位置付けるメッセージは最も効果が低かった。
「大統領を裏切る必要はない」と同氏は言う。「有権者にとって非常に重要な特定の問題を選び、明確な違いを示せばいい」
ハリス氏のアドバイザーたちはここ数週間、同氏をバイデン氏よりビジネスに優しく、国境問題に厳しい立場に位置づけるために、政策を徐々に変更することに力を入れている。バイデン氏は経済と移民に関して有権者からの評価が低い。ハリス氏は、バイデン氏が3月に予算教書で示した計画から離れ、キャピタルゲイン課税の最高税率についてそれほど大幅に引き上げない提案をした。全体的な経済政策のメッセージも、バイデン氏が強調した雇用と労働者から、物価と消費者に重点を置いたものにシフトしている。
ハリス氏は南部国境を訪問した際、バイデン氏の最近の国境取り締まりよりも一歩踏み込み、不法越境者の難民申請を阻止する制限を解除しにくくすると述べた。
しかし今週の一連のインタビューでバイデン氏とのビジョンの違いについて直接問われた際、ハリス氏はこうした政策の違いを強調しなかった。代わりに、自身の経済ビジョンや「次世代のリーダーシップの重要性」、そして自身の個人的な経験が大統領職にどのように影響を与えるかについて幅広く語った。
政策はさておき、移民の娘であり初の女性大統領を目指す59歳のハリス氏は、最高齢の現職大統領であるバイデン氏とはそれだけで対照的だ。ハリス陣営の関係者の一部は、バイデン氏との違いを強調し過ぎると、彼に依然愛着を持つ一部の民主党支持者を遠ざけるリスクがあると主張する。また、2人が「同じ歌を歌っている」という最近の大統領のコメントと直接矛盾しかねない。
しかし一部の民主党員は、ハリス氏が少なくとも言葉の上ではバイデン氏と距離を置く余地があると指摘する。それは双方にとって脆弱(ぜいじゃく)な分野といえる中東紛争に関してだ。
レバノン南部でのイスラエルの空爆と地上作戦の拡大により、何十万人ものレバノン人が避難を強いられている。バイデン政権はパレスチナ自治区ガザ地区とレバノンでのイスラエルの軍事行動に不意を突かれたことに不満を募らせている。
ハリス氏は明確な政策の変化を示さないとしても、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対してもっと批判的になることができるとの指摘がある。ハリス氏は最近のCBSのインタビューで、ネタニヤフ氏を「親密な同盟者」と表現することを避けたことで、批判的な姿勢に近づいた。
「私は、ハリス副大統領が反戦有権者の方向にわずかでも歩み寄ることにどれほどアレルギーがあるかに驚いている」。バイデン政権の中東政策に批判的な「アンコミティド・ナショナル・ムーブメント」の共同設立者アッバス・アラウィエ氏はこう述べた。
アラウィエ氏は、中東での政策変更を推進する運動の一環として多くの民主党関係者と話をしてきたとし、ハリス氏がネタニヤフ氏に対してもっと批判的になることを誰もが望んでいると述べた。
「ネタニヤフ氏に対してもっと批判的になることが民主党の票を一票でも失わせるとは思わない。むしろ票を増やすかもしれない」と話した。「多くの民主党有権者を動員すると思う」
トランプ氏、自動車ローンの金利控除を提案 - WSJ
【デトロイト】ドナルド・トランプ前米大統領は10日、自動車ローン金利を税控除の対象とすることを提案した。米国の自動車産業の強化が狙いで、メキシコで車を生産して米国に輸出しようとしている中国の自動車メーカーをけん制した。
トランプ氏はこの日、ミシガン州デトロイトで遊説し、メキシコで生産される中国車への懸念に対処するため、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」について再交渉する構えであると言明。米国がこうした自動車を輸入する場合、100%の関税を課すと主張した。
現在、中国メーカーは米国で自動車を販売しておらず、メキシコから米国に輸出する計画もない。だが中国製の安価な電気自動車(EV)は、欧州や世界各地で人気を集めている。最終的に米消費者がターゲットになる可能性があるとして、米自動車産業の中心都市デトロイトで懸念が高まっている。
多くの自動車メーカーにとって、メキシコは魅力的な生産拠点だ。中国の自動車メーカーにとっては、自国から直接輸出した場合に課される輸入関税を回避する手段となる可能性がある。
共和党支持者が民主上回る 米大統領選にどう影響 - WSJ
多くの米世論調査の注目される結果の陰で、政治的に大きな意味を持つ異例の事態が起きている。共和党支持者を自認する有権者が民主党支持者を上回ったのだ。共和党が30年以上ぶりに政党帰属意識で安定的優位に立ったことがうかがえる。
これは11月の米大統領選挙で再選を狙う共和党候補のドナルド・トランプ前大統領にとって、大きな構造的後押しとなる。ただ、他の要因がより大きく影響する可能性もある。民主党候補のカマラ・ハリス副大統領は多くの世論調査で僅差のリードを維持している。無党派層からの支持が高いことなどが要因だ。
米NBCニュースの調査に携わる共和党系の世論調査専門家ビル・マッキンターフ氏は5月の調査で、共和党支持者と答える有権者が増えていることに気付いた。同氏は「この数十年で初めて、国全体の政党帰属意識で共和党が優勢になった」と指摘。この動向は「見落とされている2024年のゲームチェンジャー」だと述べた。
NBCが今年実施した世論調査を合わせると、政党帰属意識を尋ねる質問に対し、有権者の42%が共和党、40%が民主党と答え、共和党が2ポイントリードしている。2020年、16年、12年は民主党がそれぞれ6ポイント、7ポイント、9ポイントリードしていた。
「共和党が政党帰属意識で5~9ポイント下回るのは、上り坂を走るようなものだ」。マッキンターフ氏はこう話す。「選挙の結果がどうなるかは分からないが、分かっているのは、政党帰属意識が実質的に同等で、わずかでも共和党に傾いていそうなら、共和党が良い結果を出す可能性が高いということだ」
ギャラップの7~9月の調査でも、共和党支持者を自認する有権者が民主党支持者を3ポイント上回った。大統領選前の7~9月に共和党が優勢だったのは、1992年以降のギャラップの調査では初めて。
ピュー・リサーチ・センターが今春実施した5600人に対する調査でも、共和党が1ポイントリードしていた。ギャラップおよびNBCの調査と同様、いずれの党の支持者にも、無党派だが一貫して一方の政党寄りだと答えた有権者が含まれる。
大統領選の出口調査で両党が政党帰属意識できっ抗したのは、2004年が最後だった。同年は、この約30年間で共和党候補が一般投票の得票数で民主党候補を上回った唯一の年でもある。
「確かに異例だ」。共和党が優勢となったことについて、ギャラップの世論調査シニアエディター、ジェフリー・ジョーンズ氏はこう語った。同社によると、政党支持は今年の選挙で共和党が優位に立っている基盤的要因の一つ。経済と移民の問題でも、共和党の方がうまく対応できるとみられているという。有権者はこの二つを最も難しい課題と考えている。
全ての世論調査で共和党が優位なわけではなく、また政党支持で優位でも選挙で勝てるとは限らない。APボートキャストの有権者調査によると、22年の中間選挙では、ペンシルベニア州、アリゾナ州、ミシガン州で共和党支持者の投票者数が民主党支持者を上回った。だが無党派層は民主党支持が圧倒的に多かったため、民主党は3州全ての知事選と、ペンシルベニア州とアリゾナ州の連邦上院選で勝利した。一部の共和党支持者が多くの親トランプ派候補に背を向けたことも、民主党に追い風となった。
NBCの9月の調査では、政党帰属意識で共和党が1ポイント上回ったにもかかわらず、ハリス氏がトランプ氏を5ポイントリードしていた。要因は無党派層の支持と、トランプ氏の「MAGA(米国を再び偉大に)」運動に共感しない共和党支持者の20%超からの支持だ。この層は最終的にトランプ氏支持に戻る可能性がある。
同様に、今週発表されたニューヨーク・タイムズ/シエナの調査では、投票する可能性が高いと答えた有権者の間で共和党支持者が民主党支持者より1ポイント多かったにもかかわらず、ハリス氏がトランプ氏を3ポイントリードしていた。一部の共和党有権者のトランプ離れが影響した。
共和党系の世論調査専門家パトリック・ルフィニ氏は、政党帰属意識で共和党が優勢となったことで、トランプ氏が無党派層や浮動層の票を確保する必要性が薄まるとした上で、今年「トランプ氏が勝てる、ということにはならない」と述べた。
またルフィニ氏は、「それは民主党の実績に失望している人が多いことを大まかに示している」と指摘。「トランプ氏にとっては良い兆候のはずだ。だが22年にそうだったように、候補者は優位性を最大限に生かすとは限らない」
ギャラップのジョーンズ氏は、政党帰属意識は大統領に対する評価に連動する傾向があると話す。ギャラップによると、通年の調査を合計すると、共和党が政党帰属意識でリードしたのは1991年以降でわずか3回だ。ジョージ・H・W・ブッシュ大統領が同盟国を率いて湾岸戦争を指揮した後の1991年、ジョー・バイデン大統領の支持率が下がった2022年と23年だ。
共和党は一時的に優位に立ったこともある。2001年9月11日のテロ攻撃の後もそうだ。有権者は当時ジョージ・W・ブッシュ大統領を支持したが、すぐに離れていった。
世論調査における政党帰属意識は、両党に対する有権者のその時点の見方を切り取ったもので、有権者登録データと一致しない場合もある。多くのアナリストによると、国全体では民主党に登録している有権者が共和党より多いものの、多くの州では有権者登録時に政党名を記録しないため、この数字には推計値が含まれる。
所属政党データを収集する無党派企業L2によると、米有権者の38%余りが民主党員で、32%が共和党員。各州の有権者登録データと、所属政党を登録しない州については同社の推計モデルを使って算出した。
選挙結果から分かるように、ペンシルベニア州などでは、民主党に登録しながら数年間、共和党候補に投票している人もいる。一方、共和党に登録している人の一部は民主党を支持している。これは有権者登録を更新していないためだ。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
NY連銀総裁、金利は「時間をかけて」中立水準に引き下げるべきだ - Bloomberg
●先進国経済指標
米CPI、9月前月比+0.2%で変わらず 前年比+2.4%に小幅鈍化 | ロイター
米労働省が10日発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇した。食品価格の上昇を背景に市場予想の2.3%を小幅上回った。しかし、2021年2月以来約3年半ぶりの小幅な伸びにとどまったことで、米連邦準備理事会(FRB)は11月も利下げを継続する見通しだ。
8月は2.5%上昇だった。
前月比では0.2%上昇し、伸びは前月と並んだ。市場予想は0.1%上昇だった。
食品は0.4%上昇し、8月の0.1%上昇から伸びが加速した。一方、ガソリンは4.1%下落した。
家賃は0.3%上昇。前月は0.4%上昇だった。コアインフレの押し上げ要因として注目される持ち家の帰属家賃も0.3%上昇と、伸びは前月の0.5%上昇から鈍化した。
FHNファイナンシャルのマクロストラテジスト、ウィル・コンパーノレ氏は「CPIは予想以上に上昇したものの、FRBによる来月の0.25%ポイント利下げの軌道を逸脱させるほどは加速していない」と指摘。「インフレ加速を懸念させる要素もあったが、住宅インフレの減速は、今後のコアサービス価格鈍化に向け良い前兆だ」と述べた。
国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長は、インフレ率がパンデミック前の水準に戻り、1600万人の雇用が創出される中、金利が低下し、失業率は低水準にあるなど、米経済は着実に進展を続けていると述べた。
変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは、前年比3.3%上昇した。市場予想は8月と同じ3.2%上昇だった。
前月比では0.3%上昇し、伸びは8月と同じだった。市場予想は0.2%上昇。
中古車・トラックの価格上昇がコアインフレの前月比での上昇を主導した。そのほか医療関連は0.4%上昇、自動車保険は1.2%上昇、衣料品は1.1%上昇、航空運賃は3.2%上昇した。
CMEのフェドウォッチによると、市場が織り込む11月6─7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイント利下げの確率は約87%。金利据え置きの確率は約13%となった。
米CPI、9月は予想を上回る伸び-インフレ鈍化の流れ休止 - Bloomberg
米新規失業保険申請件数、約1年ぶり高水準-ハリケーンの影響も反映 - Bloomberg
米新規失業保険申請件数は先週、2023年8月以来およそ1年ぶりの高水準となった。ミシガン州の増加が顕著だったほか、ハリケーン「ヘリーン」の影響を受けた州でも申請件数が大幅に増えた。
新規失業保険申請件数(10月5日終了週)は前週比3万3000件増の25万8000件
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は23万件
前週は22万5000件
失業保険の継続受給者数(9月28日終了週)は186万1000人
エコノミスト予想中央値は183万人
前週は181万9000人(速報値182万6000人)に修正
新規失業保険申請件数は、ブルーバーグがまとめたエコノミスト予想をすべて上回った。
新規失業保険申請件数は当面、ハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」の影響で振れが大きくなる可能性が高く、労働市場の基調的な動向を米金融当局が正確に把握するのを難しくしている。米南東部ではハリケーン被害で多くの人が働けない状況にあるが、失業手当ての申請が難しいか、遅れている人もいるとみられている。
より変動の少ない新規申請件数の4週移動平均は23万1000件に増加した。
季節調整前ベースでも先週の新規申請件数は増加した。ノースカロライナ州に加え、フロリダ州、サウスカロライナ州、テネシー州などヘリーンの影響を受けた南東部の州で申請件数が急増した。
ミシガン州では2週連続で大幅増となっており、2週間の合計で1万0667件増えた。発表文によると、9月28日終了週の増加は、製造業などでのレイオフによるものだった。10月5日終了週についての言及はなかった。
●金融市場、先進国トピックス
元カーライル大塚氏のファンド、ライオンに出資 パートナーシップ契約締結 | ロイター
大企業特化ファンドのJAC、初投資はライオン 5%弱取得 - 日本経済新聞
世界の小麦生産、天候不順が打撃 価格上昇 | ロイター
英住宅ローン、デフォルト率上昇へ 金融機関が予測=中銀調査 | ロイター
米ベンチャーキャピタル投資、第3四半期は不調 景気の不透明感で | ロイター
米調査会社ピッチブックと全米ベンチャーキャピタル協会(NCVA)が10日発表したデータによると、米国のベンチャーキャピタル(VC)の投資額が第3・四半期に約375億ドルとなり、前期から32%近く減少した。
上場株は好調だが、景気の不透明により投資家はベンチャー投資について慎重姿勢を崩さなかった。
また、ベンチャー投資の流動性が限られていることから、投資家はにより厳しい条件を求めるようになっており、多くのスタートアップが状況が改善するまで資金調達を先送りするようになった。
ベンチャー投資が人工知能(AI)企業の大型資金調達案件に集中していることも業界の課題となっている。
ただ、連邦準備理事会(FRB)の利下げでベンチャー投資が活性化される可能性もある。
ピッチブックのVCアナリスト、エミリー・ジェン氏は「50ベーシスポイントの利下げはベンチャーを活性化させるのに十分ではないが、正しい方向への一歩だ」と述べた。
AT1債人気に陰り、投資家はより堅実志向に-上乗せ利回り大幅縮小 - Bloomberg
過去1年半にわたり活発に取引されてきた「その他ティア1(AT1)債」が失速している。より安全とされる債券に対するAT1債の上乗せ利回りは、かつて大幅に上昇していたが今は過去最低に近い水準に落ち込み、一部の投資家はリスクの高いAT1債から撤退している。
エイゴン・アセット・マネジメントやロベコ・インスティテューショナル・アセット・マネジメントの資産運用担当者は、AT1からより上位のティア2債への乗り換えを進めている。ティア2債は金融危機後に導入されたAT1債のようなリスクは抱えていない。AT1債は、銀行が経営難に陥った際の弁済順位が相対的に低い。従来であればこうした追加リスクはAT1債の大幅な上乗せ利回りにつながったが、もはやそうではない。
エイゴンのポートフォリオマネジャー、アレクサンダ ー・ペルテシュキ氏は「私はフラットかそれに近い利回りでAT1債をティア2債に転換している」と語り、「この先、リスク調整後のリターンのさらなる向上を目指して慎重なリスク管理を行うには、ティア2債への転換が求められる」と指摘した。
ブルームバーグがまとめたデータによると、欧州のAT1債の指数が提供するティア2債に対する上乗せ利回りは3ポイントにも満たない。
AT1債とティア2債とのスプレッドは現在、過去最低をわずかに上回る水準だ。クレディ・スイスがUBSに救済合併された後には、10ポイント近くにスプレッドが拡大していた。だがその後、AT1債を無価値にしたクレディ・スイスのケースは異例だとして利回りの高い同債券にマネーが殺到。これがスプレッドの縮小につながった。ただ足元では、こうした取引が一巡。投資家は利益を確定し、代替策を模索している。
レベコのクレジット責任者ジョープ・コーラー氏は、ここ3カ月で「比較的割高な」AT1債のエクスポージャーを減らしているという。コーラー氏は「われわれはティア2や非優先シニア(SNP)債を選好している」と話した。
ブルームバーグがまとめたデータによると、欧州の金融機関が主要通貨で発行したティア2債のうち、利回りがAT1債指数の平均値を上回っていたのは年初に33本あった。この数は現在80本以上に増加している。
CAT債投資家、最悪の事態は回避-ハリケーン関連損失は予想下回る - Bloomberg
大型ハリケーン「ミルトン」の接近に伴い最悪の事態に身構えていたカタストロフィー(CAT)債の投資家にとって、推定損失額は懸念されていた水準を大きく下回ったようだ。
最大15%の損失が見込まれていたが、最新の予測では1桁台の損失に修正された。ミルトンは当初の予想よりも勢力を弱め、5段階のうち3番目に強い「カテゴリー3」でフロリダ州に9日夜上陸した。
イコサ・インベストメンツは10日、「タンパは懸念されていた直撃のシナリオを免れた」と指摘。「強いウィンドシア(風向や風速が急激に変化する現象)と進路が想定より南にずれたことで、北寄りの進路だった場合と比べて被害が抑制された」と述べた。
イコサでは現在、保険の損害額を200億-600億ドル(約2兆9800億-8兆9000億円)の範囲と予想。これはCAT債投資家の損失が最大4%となることを意味する。ミルトン上陸前の9日時点では、タンパ直撃なら保険損害額が400億-1500億ドルに上り、CAT債投資家の損失は2-15%になると同社は分析していた。
WTO、海運混乱を懸念-25年の世界貿易は当初予想より小幅な伸びに - Bloomberg
日銀利上げほぼ確実、相対価値から債券投資進める-ウエスタンAM - Bloomberg
●中東情勢
サウジ皇太子、リヤドでイラン外相と会談|ARAB NEWS
米政権、イスラエルに不満 イラン報復計画の詳細得られず - WSJ
イスラエル、イランへの報復措置協議-バイデン米政権は自制促す - Bloomberg
イラン、アラブ諸国に警告 イスラエルの報復支援なら標的に - WSJ
【ドバイ】イランは密かに外交ルートを通じ、アラブ湾岸の産油国や中東の他の米同盟国に対し、イスラエルのイラン攻撃で領土や領空が使用された場合、その国を標的にすると警告している。
イスラエルは、イランが10月に入り、弾道ミサイル約180発で攻撃したことを受け、厳しい報復を行うと警告。一部のイスラエル当局者や評論家はイランの核施設や石油施設への攻撃を主張している。複数の当局者によると、イランは、そうなればイスラエルの民間インフラに壊滅的な打撃を与え、攻撃を手助けしたアラブ諸国に報復すると警告した。
アラブ当局者らによると、イランが警告している国には、米軍が駐留しているヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、カタールが含まれる。これらの国はバイデン政権に対し、イランへの攻撃に自国の軍事インフラや領空を米国やイスラエルに使用させたくないと伝えた。
イランによる警告は内容が曖昧だが、エネルギー資源が豊富なペルシャ湾岸諸国の石油施設が標的になることへの懸念は高まっているとアラブ当局者らは述べている。これらの施設は長年、米国の安全保障の傘の下にあると考えられてきた。
また米国の施設や部隊も、世界で最も米軍が集中している地域の一つでリスクにさらされる可能性があると当局者らは指摘している。
中東地域での紛争激化を受けて、イランの軍事的姿勢に反対するアラブ諸国とイスラエルの連携にも緊張が生じている。ヨルダンを含むアラブ諸国は4月にイスラエルに向かうイランの飛翔(ひしょう)体を迎撃する支援を行ったが、イランに対するイスラエルの直接攻撃を支持するのは行き過ぎとなる可能性もある。
米国防当局者らは、中東地域のパートナー国について、その一部はイスラエル軍機の領空通過や米軍の領土内または領空からの攻撃作戦の開始を望まないと伝えてきたことを認めた。一方でアラブ諸国は米軍に対し、自衛目的であれば作戦の実施を許可していると当局者らは述べている。
米国防当局者はその一方で、アラブ諸国からの要請は非公式なものにとどまっているとした。
ジョー・バイデン米大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は9日、8月21日以来となる電話会談で、イランに対する軍事的報復について協議。米当局者らは攻撃の時期や標的に関しては、まだ把握していないと述べている。
湾岸諸国、イスラエルのイラン石油施設攻撃阻止を米に要請=関係筋 | ロイター
中国の安定は、サウジアラビアとの新たな協力の機会をもたらす|ARAB NEWS 
●エマージング
韓国国債の世界国債指数追加、ウォン押し上げや資金流入に期待 | ロイター
指数算出会社FTSEラッセルが韓国国債を来年11月から「FTSE世界国債指数(WGBI)」に組み入れると発表し、市場を驚かせた。短期的に通貨ウォンを押し上げ、向こう数年では韓国国債に膨大な資金が流入すると期待されている。
韓国政府の予想では、WGBIへの追加で国債市場には最大で80兆ウォン(597億ドル)が流れ込む。世界で最も急速に高齢化が進み、社会福祉費用の急膨張が見込まれる同国にとっては待望の資金と言える。
韓国資本市場研究院のアナリスト、キム・ハンス氏は「韓国にとってWGBIへの組み入れは着実で安定的な資金流入を意味し、『コリア・ディスカウント』が縮小する可能性がうかがえる」と述べた。
コリア・ディスカウントは、韓国の煩雑な行政手続きや低配当、不透明な財閥による経営支配を理由に韓国企業の評価が他国・地域の企業よりも割り引かれる状況を指す。
キム氏は「韓国特有の制約がある外国為替市場は常に問題だったが、FTSEラッセルの決定で国際的な投資家が韓国のシステムを是認したことになる」と語り、韓国政府が通貨市場における外国銀行の参入増加に取り組んだ点に言及した。
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尹錫悦政権はコリア・ディスカウントの解消や、韓国の証券がWGBIやMSCIといった先進国指数に採用されることを通じて外国からの資金流入を加速させるための幅広い改革を進めてきた。
ただそれにもかかわらず、ウォンは今年下落基調が続き、韓国株は年初来2.3%安と、力強く上昇してきた米S&P総合500種(や日経平均株価(225種)をアンダーパフォームしている。
昨年に政権が株式空売りの全面禁止措置を復活させたことも、改革の流れに影を落とした。これによりMSCIは6月、韓国株の区分を新興国にとどめ、先進国指数への格上げを見送った。
最近ではゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが、ユーロクリア経由の清算が相応の規模に達していないことを理由に挙げて、韓国国債のWGBI追加は来年に先送りされる可能性があるとの見方を示した。
そのため今回の決定について外為ディーラーの1人は「予想外だった」と語り、ドル/ウォンのオフショア市場では一時的にドル売りが見られていると説明。ウォン建て資産への需要は増えていくと予想した。
香港不動産、在庫一掃急ぐ 新鴻基地産発展はタワマン赤字販売 - 日本経済新聞
【社説】「景気刺激策」に踊らされる中国株 - WSJ
上昇に次ぐ上昇の後には必ず、下げに次ぐ下げがやってくる。このところの中国の状況には特にそれが当てはまる。実際に、最近急上昇していた中国の株価は今週急落した。これは苦境にある経済を救うため「何か対策を講じるべきだ」と、中国政府に要求する声が強まり続ける中での出来事だった。
上海と深圳の主要300銘柄で構成される中国の株価指標CSI300指数は、9日に7.1%下落した。これは1日の下げ幅としては、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来の大きさだった。多くの中国企業の株式を構成銘柄とする香港のハンセン指数は、8日に7.1%下落した。この下げ幅は、2008年10月以来の大きさだった。両指数は依然、1カ月前の水準をかなり上回っているが、投資家らは当初の熱狂が行き過ぎだったのではないかと考え始めている。
これは経済や金融システムに対する脅威というより、中国政府にとっての政治的恥辱だ。中国の株式市場は国家の規模に対して小さく、ほとんどの個人投資家は貯蓄型の長期投資家ではなく短期的な投機家だ。
ただ、この政治的恥辱は中国共産党にとって深刻な問題だ。最近の株式投機のほとんどは政府が打ち出した計画を主な材料としているからだ。中国が不動産主導の経済成長モデルからの脱却という歴史的かつ危険な試みを始めてから、既に4年が経過している。中国政府は最近、当局が不動産市場を下支えするための補助金を投入する、あるいは経済成長を加速させるための他の方法を考案するのかどうか、あるとしたら時期はいつかという新たな観測を起こさせている。
今では収まりつつあるものの、中国株式市場では先月、フロス(小さな泡)が立った。その要因となったのは、政府が住宅ローン金利の引き下げや、売れ残り住宅を地方政府が買い取って公営住宅に転換するための支援といった不動産市場向けの金融面の助成を多数導入したことだった。政府の発表には株式市場対策も含まれていた。資産運用会社の株式購入に対する流動性支援や企業の自社株買い戻しのための融資などだ。
こうした政策はすぐに、さらなる政策を求める要求へとつながった。いつもの面々は、中国政府がケインズ的な財政出動を発表することを望んでいる。政府が資金(1兆元から10兆元=約21兆円から210兆円=の間になるだろう。小さい額であるはずがない)を借り入れ、消費需要を刺激するための無償給付に使うといった方策だ。株主たちは、先週のケインズフィーバーの中で株式市場に流れ込んだ個人投資家を含め、8日の政府の記者会見で追加の刺激策が発表されなかったことに落胆した。
政府がお金を使えば、公式の国内総生産(GDP)のデータは押し上げられるものの、刺激策が効果を発揮すると考える理由はない。ケインズ的な財政出動がその信奉者の約束通りに支出を倍加させ、好循環のようなものを生み出すことは、最善の状況下でもあり得ない。それでも刺激策が実施される可能性はある。習近平国家主席は中国を負債デフレのわなから脱却させる方法を探しているからだ。
しかし、中国が本当に必要としているのは、生産的な民間の起業家精神と投資が新たに勢いづくことだ。習氏は10年以上も経済分野で共産党国家による締め付けを強化してきただけに、こうしたことは起こりそうにない。投資家たちは警戒を怠ってはならない
●プロファイ、インフラ、自然災害
ハリケーン「ミルトン」がフロリダ州横断、勢力弱まる 竜巻発生 | ロイター
米フロリダ州西岸に上陸したハリケーン「ミルトン」は10日、同州中央部を横断して大西洋に抜けた。地元メディアの報道などによると、発生した竜巻によって少なくとも10人が死亡した。
州内では多くの家屋が損壊し、320万戸超が停電している。人口密度の高いタンパベイ地域では倒木や浸水などの被害が出ているものの、懸念されていた壊滅的な洪水は免れたもよう。
米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、ミルトンは5段階のうち3番目に強い「カテゴリー3」の勢力で米東部時間9日午後8時半(日本時間10日午前9時半)にシエスタキー付近に上陸。
上陸時の最大風速は時速195キロだったが、10日未明には時速150キロに弱まり、「カテゴリー1」となった。NHCによると、フロリダ州を横断する間はハリケーンの強さを維持するが、大西洋に抜けた後は徐々に勢力を弱める見通し。
NBCニュースによると、東海岸のフォートピアスでは、高齢者が暮らすコミュニティーを竜巻が襲い、少なくとも4人が死亡した。
セントピーターズバーグでは、米大リーグ(MLB)のタンパベイ・レイズの本拠地であるドーム球場の屋根が吹き飛ばされたほか、建設現場のクレーンが倒れた。しかし、負傷者は報告されていないという。
デサンティス州知事によると、複数の地域で少なくとも19の竜巻が発生し、約125戸の家屋が破壊された。「最悪のシナリオ」は回避されたものの、被害は依然として大きく、洪水が懸念されると警告した。
アングル:米フロリダ拠点の金融関係者、ハリケーン襲来でも移転考えず | ロイター
●その他
仏返還の核ごみ、電力10社が青森県などに受け入れ要請 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(10日)ドル/円下落、株反落・利回りまちまち | ロイター
為替市場ではドルが対円で下落しました。米国のインフレと雇用関連指標により、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを継続する可能性が高まったことが背景です。9月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇しましたが、小幅な伸びにとどまりました。また、新規失業保険申請件数が大幅に増加しました。
ドル/円は一時149.58円まで上昇しましたが、最終的には0.38%安の148.66円で取引を終えました。ユーロ/ドルは0.14%安の1.0925ドル、ドル/スイスフランは0.45%安の0.856フランとなりました。
債券市場では不安定な取引が続き、短期債利回りが低下する一方で、長期債利回りは上昇しました。米消費者物価指数(CPI)と週間失業保険申請件数の発表が影響しています。10年債利回りはCPI発表後に4.12%の高水準に達しましたが、終盤では4.073%で小幅上昇しました。FRBの政策に敏感な2年債利回りは4.968%に低下し、イールドカーブはスティープ化。2年債と10年債の利回り格差は一時12.9ベーシスポイントまで拡大しました。
株式市場では、主要株価3指数がそろって反落しました。9月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことから、投資家は米経済の健全性や今後の金利動向を注視する姿勢を強めました。9月のCPIは前年比2.4%上昇し、食品価格の上昇が影響して市場予想の2.3%を小幅に上回りました。
また、10月5日までの週の新規失業保険申請件数は予想を上回り、25万8000件となり、週間の増加幅は2021年7月以来最大でした。
S&P500の主要11セクターのうち、上昇したのはエネルギーなど3部門のみで、原油価格の上昇がエネルギーセクターを支えました。市場は米銀大手の決算発表にも注目しています。
金先物市場では、米経済指標の発表後、買いが優勢となり5営業日ぶりに反発しました。12月限月の清算値は前日比13.30ドル(0.51%)高の1オンス=2639.30ドルでした。
一方、米原油先物市場では、米南部を襲った大型ハリケーンによる供給混乱への懸念から買いが増え、3日ぶりに反発。WTI原油11月限月の清算値は前日比2.61ドル(3.56%)高の1バレル=75.85ドル、12月限月は2.52ドル高の75.11ドルとなりました。
欧州市場サマリー(10日) | ロイター
ロンドン株式市場は反落して取引を終え、配当落ちの銘柄が相場を押し下げました。FTSE 250種指数は0.55%安、住宅建設株指数は2.54%安で4日続落しました。特に住宅建設のテイラー・ウィンペイが4.9%下落、テスコやキングフィッシャーも約1.3%下落しました。
一方、製薬大手GSKは米国での訴訟の和解発表を受けて3.2%上昇し、製薬・バイオテクノロジー株指数が0.83%上昇。貴金属株指数もFRBの利下げ観測から金価格の上昇を受けて2.69%高でした。
欧州株式市場は反落し、防衛関連や工業株などが下落しました。これは、米国の9月消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことが影響しています。航空宇宙・防衛指数は1.36%、工業株指数は1.16%、テクノロジー株指数は0.93%下落しました。
一方、イタリアの銀行BPERは新事業計画発表により8.2%上昇、ドイツテレコムはAIと自動化による増収予測で1.7%上昇しました。GSKも米国での訴訟和解合意を受けて3.2%上昇しました。
ユーロ圏債券市場では、利回りがまちまちとなりました。米国の経済指標を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まり、ドイツ10年債利回りは一時2.282%の高水準に達したものの、最終的に1ベーシスポイント(bp)上昇の2.26%で取引を終えました。ドイツ2年債利回りは1bp低下の2.25%でした。
市場では、欧州中央銀行(ECB)が年内に50bpの利下げを行う確率が約90%に上昇。イタリア10年債利回りは1bp低下の3.55%となり、ドイツとの利回り格差は128bpでした。

備忘録(2024/10/9
●海外企業決算
●海外企業
グーグル分割を米当局検討、独占の弊害で-マイクロソフト以来の試み - Bloomberg
米司法省は、米アルファベット傘下グーグルのオンライン検索市場独占に伴う弊害の是正に向け、同社に事業の一部売却を求める勧告を検討していると連邦裁判所の判事に伝えた。実現すれば、反トラスト法(独占禁止法)に基づく企業分割の歴史的ケースとなる。
8日の裁判所への提出文書によれば、司法省の反トラスト法執行担当者は、コロンビア特別区(首都ワシントン)連邦地裁のアミト・メータ判事がグーグルに対し、検索結果と人工知能(AI)製品作成のために使用する基礎データへのアクセス提供を命じることも可能と認識を示した。
メータ判事は今年8月、グーグルがオンライン検索と検索連動型広告市場で反トラスト法に違反するとの判断を示していた。
新たな検索アクセスポイントやAIなどの機能を含むグーグル検索と検索関連製品・機能を巡り、競合他社や新規参入企業に対する優位を保つ目的で、インターネット閲覧ソフト「クローム」や基本ソフト(OS)「アンドロイド」、アプリストア「グーグルプレイ」を利用することを防ぐ行動および構造的是正策を検討していると司法省は提出文書で明らかにした。
32ページの提出文書は、是正措置の段階に移行した場合、裁判所の検討対象となり得る選択肢の枠組みを提示した。マイクロソフト解体に20年前に失敗した後、違法な独占が認定された企業の分割に米当局として初めて動く。
反トラスト法執行担当者は、グーグルが他のテクノロジー企業との違法なディストリビューション契約を通じて、自社の検索エンジンをスマートフォンやウェブブラウザー(閲覧ソフト)に標準搭載し、スケールメリットとデータの利益を得たと主張した。
AI製品から離脱するウェブサイトの能力強化をグーグルに義務付ける可能性もある。掲載先に関するより多くの情報と裁量を広告主に与えることを義務化するなど、検索連動型広告での支配的地位に関係する案も検討されている。
検索で競合する他社や潜在的ライバル企業への投資を制限することもあり得るという。
グーグルは司法省の提出書類が「過激」であり、「消費者と企業、米国の競争力に重大な予期せぬ結果を招く」と批判。規制問題担当バイスプレジデント、リーアン・マルホランド氏はブログへの投稿で、「今回の枠組みは、検索ディストリビューション契約に関する判決の法的範囲をはるかに超えると考える」と反論した。
米ファイザー、物言う株主をなだめられず - WSJ
ファイザーとその新たなアクティビスト投資家の問題は、ファイザーにはすぐに自社を立て直せるような簡単な改革があまりないことだ。
ファイザーが、株価を押し上げるほど素早く、RSウイルス(RSV)ワクチンなどの新製品の売り上げを増やすのは難しいだろう。注目を浴びている減量薬の臨床試験(治験)が終わるのは、早くても来年だ。そしてファイザーは債務負担が重過ぎるため、形勢を一変させるような企業買収ができない。
ファイザーはさらなるコスト削減を実施する可能性があるが、既に数十億ドル規模の取り組みの真っただ中にあり、多くの従業員の反発を招いている。
リーリンク・パートナーズのアナリスト、デービッド・ライジンガー氏は「目先は、株価を動かすような大きなパイプライン(新薬候補)に関する材料は期待できない」と語った。恐らくファイザーは同社のパイプラインを紹介するための投資家向けイベントを開く可能性があると、同氏は述べた。
選択肢が限られていることは、革新的だがリスクの高い医薬品事業を強化しようと長年取り組んできたファイザーのマイナス面を示している。同社は動物用医薬品事業やコンシューマーヘルスケア事業といった他の事業を分離・独立させたが、こうした事業は、革新的な医薬品を通じた成長加速を追求するための安定したキャッシュフローを生み出していた。
7日のファイザー株は、スターボードが10億ドル(約1480億円)相当のファイザー株を取得し、改革を求めているとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたことを受け、前週末比2.2%上昇した。同社の株価は2021年のピーク時からおよそ半分に下がり、今年に入ってからは横ばいで推移していた。このため、今回の上昇は久しぶりの明るい出来事となった。
アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は年初に、新型コロナ向け製品の販売予測が楽観的過ぎたと謝罪し、同社の見通し改善のために積極的な改革を行うと誓った。
ライジンガー氏によると、スターボードの動きは意外だった。ファイザーは既に業績回復のための明確な措置を講じており、約15億ドルと少なくとも40億ドルの2件のコスト削減策に着手するなどしていた。一方で、6月30日時点の債務額は575億ドルに上っているため、同社が大型の買収を目指すことは困難な状況にある。
ファイザーのさらなる課題は、同社で最も売上高が多い製品の一部に競争が迫っていることだ。抗凝血薬「エリキュース」や関節炎治療薬「ゼルヤンツ」などだ。
WSJによると、スターボードは改革を進めるため、ファイザーの前CEOであるイアン・リード氏や、前最高財務責任者(CFO)のフランク・ダメリオ氏と接触した。両氏とも改革の支援に興味を示しているという。
状況を知る人物によると、この2人は6日、スターボードによるファイザー株取得が公表される前に、ファイザーの少なくとも4人の取締役と電話で話をしていた。2人は、こうした会話の中で、スターボードが提案している改革案に耳を傾けることをファイザーの取締役らに勧めたという。
ライジンガー氏は、スターボートを納得させるためにファイザーが取り得る行動として、病院向け医療用品などの事業からの撤退を挙げた。この分野は、ファイザーの革新的取り組みの中核とは必ずしも見なされていない。ファイザーはまた、コンシューマーヘルスケア事業を手がけるヘイリオンの株式の売却をさらに進めることも可能だろう。ヘイリオンはファイザーと英GSKの部門合併で誕生した企業だ。
また、ファイザーには、長期的な成長見通しの改善に向け、特に医薬品業界の急成長分野である減量薬の市場で、小規模な買収に乗り出す程度の資金的余裕があるかもしれない。同社はまだ、この分野で成果を出していない。
ファイザーは、もっと大規模な対応策を取ることはできない。このため同社は恐らく、事業の新たな方向性を示す上で、自社のR&D部門に頼らざるを得ないだろう。ライジンガー氏は「ファイザーが自社で開発中の医薬品の中から、新たな大ヒット商品が生まれることも期待できる。しかし、どんな結果になるか見極める必要がある」と語った。
ブーラ氏は、人員削減と製造分野の資源配分の見直しによって、株価を押し上げようとしている。彼は、ウォール街のアナリストを採用するなど、経営幹部の刷新にも取り組んでいる。彼はまた、430億ドルを投じて買収したバイオテクノロジー企業シージェンと、そのがん治療分野での先駆的な独自技術が、ファイザーの業績に寄与する可能性も指摘した。
ファイザーの経営幹部らは、今年はシージェンなどの買収で生じた債務の削減を優先する考えを明らかにしている。ファイザーは、4-6月期(第2四半期)決算の電話会見で、今年の業績見通しを引き上げた。ブーラ氏はその際に、昨年中に9件の新薬が承認されたことを指摘し、同社の医薬品開発の進展を高く評価した。
だが、同社を助ける可能性のあった幾つかの薬は、それどころか最近、後退を余儀なくされた。今夏に実施された、筋肉が衰えるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療に使われる治験薬の後期治験はうまくいかなかった。
ドイツのバイオ医薬品会社ビオンテックと共同開発中の新型コロナとインフルエンザの両方を予防する混合ワクチンは、治験結果にばらつきがあったため、両社は試験注射薬の変更の検討を迫られた。ファイザーは最近、鎌状赤血球症治療薬「オクスブライタ」の販売停止を発表した。
ファイザーは、昨年承認されたRSVワクチン「アブリスボ」の市場シェア拡大を期待している。1年前、アブリスボはライバルであるGSKの新薬に後れを取っていた。
ファイザーは、肺がん治療薬「ローブレナ」が2030年までには年間10億ドル以上の売り上げをもたらすと期待している。この薬は最近、がんの進行を5年間抑えることが研究で明らかになった。同社はまた、年内か来年には、複数の抗がん剤候補のデータが出ると見込んでいる。
それでもアナリストらは、ファイザーには重要な研究成果や有意義な新薬承認など、目先の追い風となり得る大きな起爆剤が欠けていると指摘する。
ファイザーにとって次の重要なイベントは、白熱する減量薬市場への参入を狙う同社の最新の試みについての情報更新だ。投資家たちは、1日1回服用のファイザーの肥満治療薬「ダヌグリプロン」に関するデータを待ちわびている。
ファイザーは現在、最適な服用量を見極めるための研究を行っており、2025年3月までの完了が見込まれている。同社は、研究データの公表を約束しているわけではなく、あくまでもこの薬の開発に関する最新情報を提供するとしている。
同社にはさらなる治験を行う必要があるとみられ、終了までにはさらに何カ月もかかる可能性がある。
TSMC、7-9月売上高は予想上回る-AIチップ需要の堅調示唆 - Bloomberg
テスラ中国部門、四半期の出荷台数が過去最高を更新-補助金が寄与 - Bloomberg
ブラックロック、プライベートクレジット会社HPSの買収検討か - Bloomberg
世界最大の資産運用会社ブラックロックがプライベートクレジット会社HPSインベストメント・パートナーズの買収を検討していることが関係者の話で分かった。実現すれば、ブラックロックはプライベートクレジット市場で上位に浮上する。
非公開の情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、HPSが新規株式公開(IPO)も視野に入れる中で、両社は協議を重ねている。ブルームバーグ・ニュースはこれまで、HPSがIPOに踏み切った場合、評価額は100億ドル(約1兆4900億円)余りになる可能性があると報じた。買収となれば、この評価額に対してプレミアムの上乗せを求められるだろうと一部の関係者は述べた。
合意が間近に迫っているわけではなく、交渉がまとまらない可能性もあるという。
ブラックロックの広報担当者は「市場のうわさや臆測にはコメントしない」と述べた。HPSの担当者は現時点でコメントの要請に応じていない。
HPSを巡っては、ブラックロックだけでなく、複数の買い手候補が取得に関心を示しているという。プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社CVCキャピタル・パートナーズは、HPSとの合併に関心を持ち、断続的に交渉を行っているが、現在正式な交渉は行われていないと関係者は述べた。CVCはコメントを控えた。
ブラックロックは年金基金や政府系ファンドといった顧客から需要が高まっているオルタナティブ資産を含め、投資に関するあらゆる選択肢を提供する「ワンストップショップ」としての地位を確立することを目指しており、プライベートクレジットを成長の優先課題に掲げている。HPSは2016年にJPモルガン・チェースから分離独立して誕生した。
米バークシャー、円債をきょう起債へ-高まる日本株追加投資への期待 - Bloomberg
著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイは10日、今年2回目の円建て債を起債する。調達した資金を活用して日本株への投資を拡大するのではないかとの思惑が市場で広がっている。
同社は3年から30年の7本立て社債の発行条件を決める予定だ。9日まで実施されていた投資家への需要調査によると、発行スプレッド(上乗せ金利)は、3年債を除くすべての年限で4月の前回債よりも高い水準に内定している。10年債は71ベーシスポイント(1bp=0.01%)から82bpに広がり、20年債が91bpと、13bp拡大する見込みだ。
●日本企業
クシュタール、7&iHDに7兆円に引き上げ買収再提案-関係者 - Bloomberg
カナダのアリマンタシォン・クシュタールはセブン&アイ・ホールディングス(HD)に対して、総額7兆円に上る1株18.19ドル(約2700円)の新たな買収提案を行ったことが関係者への取材で分かった。前回の提案や現在の株価を2割超上回る水準となる。
関係者によると、協議開始を目的としたこの提案は9月19日に7&iHDに送られた。ただそれ以降、実質的な交渉は行われていないという。情報が公開されていないことを理由に、関係者は匿名を条件に話した。
7&iHDはクシュタールから法的拘束力のない非公開の再提案を受領したことは事実だが、当社から発表したものではないとのコメントを発表した。同社との議論の機密性を保持しており、今後もそうする予定だとした。
クシュタールから現時点でコメントは得られていない。
7&iHD株は9日の取引で続伸し、一時前日比12%高の2492.5円となり、ブルームバーグのデータが残る2005年9月以来の日中高値を付けた。
クシュタールからの当初の買収提案は1株あたり14.86ドルだったが、7&iHDは買収提案額について、今後の事業戦略で企業価値が高まる可能性を適切に評価していないと反論。自社主導での企業価値向上を進めるため、スーパー事業など傘下企業の一部株式売却などを模索している。
クシュタールが提示した2回目の買収価格は、同社が7&iHDに買収提案していることが判明する前の8月中旬と比べると約53%高い水準となる。7&iは10日に6-8月(第2四半期)決算を発表する予定。
農林中央金庫、米ドル債5億ドルを起債-市場の信頼取り戻す - Bloomberg
イオンの純利益76%減 3〜8月決算、総合スーパーは赤字 - 日本経済新聞
2024年3〜8月期の連結決算は、純利益が前年同期比76%減の54億円だった。主要8事業のうち赤字になった総合スーパー(GMS)など5事業で営業損益が悪化した。独自ポイントの販促やパートなど賃上げに伴う人件費、既存店の改装など経費がかさんだ。前年同期の税効果会計の反動で税負担が増えた。
吉野家HDの純利益23%減 3〜8月決算、人件費高騰続く - 日本経済新聞
●米大統領選挙
ハリス氏、労働者支持固めに苦戦 民主党内で懸念 - WSJ
最近の世論調査では、ハリス氏とトランプ氏はミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州でほぼ互角の状況にある。この「青い壁」3州に加え、ネブラスカ州第2選挙区で勝利することが、ハリス氏にとって270人の選挙人を獲得する最も有力な道筋となっている。「サンベルト地帯」に位置する激戦州の世論調査では、ハリス氏はやや劣勢だ。
米民主党の関係者は、カマラ・ハリス副大統領が「青い壁」と呼ばれる3州、特にミシガン州で労働者階級の支持を固め切れていないことに懸念を強めている。
ドナルド・トランプ前大統領は、コスト高や製造業、米経済への中国の脅威に焦点を当てたメッセージで、労働組合員や非大卒の白人有権者に熱心に支持を訴えてきた。ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事ら民主党の有力者はハリス氏がもっと明確な経済政策の発信をすることを望んでおり、すでにそうした懸念をハリス陣営に伝えている。事情に詳しい複数の人物が明らかにした。ミシガン州での選挙活動により多くの時間を割くことも求めているという。
ミシガン州の民主党員は、政権が行っている自動車産業の育成や新工場建設の取り組みを強調することで、同産業で働く労働者にもっと直接的に訴えかけるようハリス陣営に要請している。
ハリス氏とトランプ氏の差が縮小している主な背景には、共和党が非大卒の男性有権者に強いことがある。公開されている世論調査では、ハリス氏がウィスコンシン州でわずかにリードしている。
ハリス氏はまた、2020年大統領選でのジョー・バイデン大統領ほど労働組合から支持を得ていない。全米自動車労働組合(UAW)や国際サービス従業員労働組合(SEIU)など影響力のある組合からの支持を得ているものの、他の組合は支持を控えている。全米運輸労組(通称チームスターズ)と国際消防士協会(IAFF)は、ハリス、トランプ両候補への支持を見送った。両組合は4年前、バイデン氏を支持していた。
ハリス陣営はIAFFの支持を得ると予想し、先週ミシガン州レッドフォードタウンシップでの集会を計画していた。この計画に詳しい関係者2人が明らかにした。結局IAFFは僅差でハリス氏への支持を見送ったが、陣営は予定通り4日に地元の消防署で労働者に焦点を当てたイベントを開いた。そこでハリス氏はミシガン州消防士組合の代表者から紹介された。
ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州を含む州レベルのチームスターズの一部は、ハリス氏への支持を表明している。
ハリス陣営は、彼女が定期的に「青い壁」3州を訪問し、労働者階級の有権者に焦点を当てた大々的な広告など継続的な働きかけを行っていると強調した。また、便乗値上げ禁止や薬価引き下げなど、これら有権者に訴えかける計画を発表していることも指摘した。
コナー・ラム元下院議員(民主党、ペンシルベニア州)は、ハリス氏は前進しているが、ペンシルベニア州西部のより穏健な無党派層に対してさらに主張を展開する必要があると指摘する。
「われわれが必要とする最後のグループ、大統領選以外で共和党に投票するかもしれないグループを説得するには、対話集会やインタビューを通してハリス副大統領からのもっと直接的なメッセージが必要だと思う」とラム氏は言う。「メッセージは堅実だが、こちらに引き込むためにわれわれがもっと懸命に働きかけねばならない懐疑的な人たちがまだいることは明らかだ」
ハリス氏は4日のミシガン州訪問中にこうした懸念に応えているようだった。ウィットマー州知事とミシガン州出身のバスケットボール界のスター、マジック・ジョンソン氏が出席した同州フリントでの集会で、「全てのガソリン車を終わらせようとしている」と自身を批判するトランプ陣営の広告にこう反論した。「対立候補が言わんとしていることとは違って、私はあなた方にどんな車を運転しなければならないかなんて決して言いません」
UAWのショーン・フェイン会長は、ハリス氏がEVに対するトランプ氏の懐疑的な態度に反論するためにもっと努力する必要があるかという質問に対し、政権の産業政策と、インフレ抑制法を通じて資金提供されているEV工場を挙げた。
フェイン氏は「バイデン・ハリス政権は自らが行ったことについてもっと声高に主張する必要がある」とし、ミシガン州の工場が支援を受けていることに言及した。
ジェームズ・ブランチャード元ミシガン州知事(民主党)は「大きな問題は、人々が彼女(ハリス氏)を知らないことだ。もっと彼女を見る必要がある」と述べ、ハリス氏を同州にとって「完璧な候補者」と評した。
ミシガン州の民主党議員は、2016年と20年の大統領選のように選挙戦の最終盤にどちらにも傾き得る大接戦になるとみている。
ヘイリー・スティーブンス下院議員は「世論調査で接戦になっているので落ち着かない」とした上で、「ハリス陣営は勝利に必要なことを全て行っている」と語った。
トランプ氏とハリス氏の政策で米利上げのリスク-RBCブルーベイ - Bloomberg
●その他先進国政治動向
英保守党党首選、右派2人の一騎打ちに 右傾化も - 日本経済新聞
●先進国中銀、金融当局
米FRB副議長、インフレと雇用のリスクバランス「ほぼ均衡」と認識 - Bloomberg
NZ中銀0.5ポイント利下げ、金利4.75%-景気失速で緩和ペース加速 - Bloomberg
FOMC議事要旨:利下げ幅巡り活発な議論、大幅利下げに異論も - Bloomberg
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
世界経済、脱炭素化に大幅な遅れ 新興国で排出拡大=フィッチ | ロイター
フィッチは「新興国で脱炭素化が進んでいないことは特に懸念される。新興国はGDPの伸びが加速し、世界のエネルギー消費に占める割合が高まっている」と指摘。
原因の1つとして、特に中国を除く新興国でクリーン・エネルギー・プロジェクトへの投資が不足していることを挙げた。
英政府、債務定義変更で借り入れ余地最大200億ポンド確保か=報道 | ロイター
生保は緩やかに円債回帰か、外債投資戦略も焦点-下期運用計画公表へ - Bloomberg
生命保険会社による2024年度下期の債券投資は、緩やかなペースで円債の積み増しが続く見通し。日本銀行が金融政策の正常化を慎重に進める中、金利の上昇は限定的となる可能性が高く、各社は主要投資対象の超長期金利の上昇を待って買いに動く姿勢を維持しそうだ。
生保各社は今週から今年度下期の運用計画を発表する。ニッセイアセットマネジメント債券運用部の三浦英一郎リードポートフォリオマネジャーは、慎重に利上げを進める日銀の姿勢によって金利上昇が限られるため、「円債回帰で買いたいが、金利水準が足りないという状況。しぶしぶ買うということになるだろう」と述べた。
日銀は7月の金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げると同時に、国債買い入れの減額計画を発表した。その後日本の株式・金融市場が荒れ、円相場も急騰したことから、植田和男総裁は追加利上げの判断に時間的余裕があるとの見解を示し、年内の利上げ観測は後退している。30年債利回りは6月に2.3%台を付けた後は頭打ちで、20年債も2%を下回ったままだ。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは「20年債利回りで2%あれば、生保も非常に取り組みやすいだろう」と指摘。ファイブスター投信投資顧問の下村英生シニアポートフォリオマネジャーも「30年債利回りが2.2%まで上昇すれば、買いが出てくる可能性はある」と予想している。
欧米の中央銀行は金融政策を緩和方向に転換した一方、日銀は経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば、金融緩和の度合いを調整していく方針だ。国内生保の合計運用資産額は約388兆円と約258兆円の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回る世界有数の投資主体と言え、国内外の債券市場に及ぼす影響も大きく、各社の運用戦略に対し世界の投資家からの注目度は高い。
生保各社は24年度期初の運用計画で、日銀の利上げで金利が上昇してから投資に踏み切る姿勢を示しており、こうした方針は下期も維持される見通し。一方、外債投資については依然として高いヘッジコストからヘッジ付き外債は抑制的で、オープン外債も横ばいから増加と個別で方針が分かれていた。
ニッセイアセットの三浦氏は、上期から一番相場が変化したのは為替だと指摘。オープン外債については「米国の利下げが既に織り込まれ、日銀の積極的な利上げがなさそうだという中で、急激に円高に動くリスクがなくなっており、多少積み増す動きがあるだろう」と予想する。
円相場は7月に対ドルで161円台で約38年ぶりの安値を付けたが、日本の通貨当局による為替介入と日米金融政策の方向性の違いなどを背景に、8月にかけ低金利の円を売って高金利のドルを買うキャリートレードの強烈な巻き戻しが起き、9月には139円台まで上昇した。
一方、ヘッジ付き外債に対しては引き続き慎重な姿勢を取ることが予想される。ファイブスター投信の下村氏は、米国の利下げによりヘッジコストが低下したとしても「上乗せ金利が国債もクレジットも小さく、値上がり益は限定的で期待できない」とみている。
みずほ証券金融市場部の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは「ヘッジコストが高過ぎる」ため米国債買いに向かわないだろうと分析。「現実的に生保が買うのは米国株式や米クレジットになる」と指摘した。
高級腕時計、中古品市場に底打ちの兆し-米利下げで反転上昇か - Bloomberg
中古腕時計価格の持ち直しは、9月に米連邦公開市場委員会(FOMC)が4年ぶりの利下げに踏み切ったことも影響しているとみられる。中古腕時計の価格はこれまでも金利とは反対に動くというパターンが続いてきた。
世界経済の損失、今後5年で14.5兆ドル 地政学的紛争で=英ロイズ | ロイター
世界的な保険市場ロイズ・オブ・ロンドン(ロイズ保険組合)は9日、地政学的紛争がサプライチェーン(供給網)や保険市場に打撃を与えた場合、世界経済は今後5年間で14兆5000億ドルの損失に直面する可能性があると警告した。
ロイズは声明で、紛争地域のインフラへの致命的な被害と船舶航路のまひにより経済的な影響が出ると指摘。
現在、ウクライナおよびパレスチナ自治区ガザでの戦争により、黒海と紅海の航路にすでに支障が生じている。
ロイズは、世界の輸出入の80%以上に当たる約110億トンの 財(モノ)が常に海上にあることから、地政学的紛争による主要貿易ルートの閉鎖は「経済に必要なリソースにとって最大の脅威の一つだ」とした。
●中東情勢
サウジ皇太子、国王の健康状態巡り不安払拭 肺炎検査で=報道 | ロイター
弱さ露呈のイラン、核開発加速の可能性は - WSJ
イランにとって自国への攻撃の抑止力として特に重要な二つの要素、すなわちレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと弾道ミサイルは、これまで考えられていたほど強力ではないことがイスラエルによって白日の下にさらされた。このため、イランが核開発計画を加速させ、新たな抑止力とするかどうかが次の焦点となっている。
イラン当局は数カ月前から、核兵器製造に必要な知識の大半を蓄積していると主張してきた。また、大量破壊兵器は取得しないとしてきたイラン最高指導者アリ・ハメネイ師の20年来の方針を再考することもあり得るとしている。
イラン原子力庁の元長官、フェレイドゥン・アバシ氏は9月下旬、イランは濃縮度90%の核兵器級ウランの生産を開始する可能性があると示唆した。米当局は、イランは現在保有する濃縮度60%のウランを2週間以内に兵器級に転換できるとの見方を示す。
2015年のイラン核合意は、西側の制裁解除と引き換えにイランの核開発計画を抑制する狙いがあった。米国が核合意から離脱して以降、イランは核開発計画を大幅に前進させ、核兵器の製造実現に限りなく近づいた。
コンサルティング会社ユーラシア・グループのシニアアナリスト、グレゴリー・ブリュー氏は「イスラエルに対抗する能力が低下したことで、イランは新たな抑止力を開発せざるを得なくなり、核計画拡大への圧力は高まるだろう」と語る。同氏はその上で、計画推進は焦眉の急となり、核はもはや平和的利用に限定されないとの警告が増えるとの見通しを示した。
イランは核兵器製造にどの程度近づいているのか
イランは、核開発は純粋に平和的利用のためと主張しているが、非核兵器保有国で高濃縮ウランを生産しているのはイランだけだ。国際原子力機関(IAEA)の最新のデータによると、イランは現在、ほぼ核兵器4発分となる兵器級に近い核燃料を保有している。同国はまた、核兵器の重要な構成要素である金属ウランについての実験を行っている。核合意に基づく国際的な監視は大幅に規模が縮小している。
米情報当局やIAEAは以前、イランは核兵器開発を進めていないと事あるごとに言明していたが、もはやそうしなくなった。米当局は今年の夏、イランは核爆弾製造に必要な知識をさらに蓄積するための活動を開始したと明らかにした。イランの核開発作業を早期に察知するのはますます困難になっている。一部の専門家は、イランは単純な核兵器なら数カ月で製造できるとの見方を示す。
イスラエルと米国はどのような対応が考えられるか
イスラエルはこれまで、破壊工作を通じてイランの核開発計画を阻止しようとしてきたが、ウラン濃縮活動に恒久的な打撃を与えることはできなかった。それでも、核兵器製造を急ぐことはイランにとって大きなリスクを伴う。米国は製造実現を阻止する考えを明確にしている。
イスラエルは最近の攻撃を通じて、イランとその代理勢力に対する情報収集能力の高さを示し、パレスチナのイスラム組織ハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤ氏をイランの首都テヘランの宿泊施設で殺害するなどした。イランが核開発を加速させた場合、イスラエルはイランの核施設攻撃に踏み切る可能性がある。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は先週、同国にミサイル攻撃を行ったイランについて、「大きな過ちを犯した」とし、代償を払うことになると述べた。イラン国民に向けた先週の別の演説では、ネタニヤフ氏は「中東でイスラエルの手が届かない場所はない」と語った。
ヒズボラは世界最強の非国家武装組織であり、イランを守る大きな存在として長らく認識されてきた。ヒズボラは米国によってテロ組織に指定されており、レバノンとイスラエルとの国境に戦闘員を配置している。ところが、最近のイスラエルの軍事作戦で組織は弱体化した。長年にわたりヒズボラを率いてきたハッサン・ナスララ師は殺害され、武器庫も攻撃された。イスラエルは先週、約20年ぶりとなるレバノンへの地上侵攻を開始し、国境近くの村落にあるヒズボラの拠点を攻撃した。
イランのもう一つの重要な抑止力となってきたのは、少なくとも3000発を保有すると推定される弾道ミサイルだ。先週はイスラエルに向けて180発を発射。一部はイスラエルの防空システムを突破したが、大きな損害を与えるほどではなかった。さらに大規模な攻撃を行うとイランは警告している。
イランは4月、初めてイスラエルに対して直接攻撃を行った。発射したミサイルとドローン(無人機)の数は300を超えた。イスラエルは反撃として、イランのナタンズにあるウラン濃縮施設から約20キロメートルしか離れていない防空砲台を破壊した。
イラン原子力庁のモハンマド・エスラミ長官は先週、イスラエルがイラン核施設に脅威をもたらしているとの認識を示すとともに、イランの軍隊はそうした脅威に対して必要な抑止力を作り上げてきたと述べた。
イスラエルはこれまでのところ、イラン核施設を単独で攻撃する考えは示していない。バイデン米政権は先週のイスラエルへの攻撃について、イランは「深刻な結果」に直面することになるとしたものの、11月に米大統領選を控えているだけに、大規模な戦争を望まない姿勢をにじませる。
イランの核開発計画に詳しい関係者は、イスラエルが空爆を行った場合、イランの核濃縮施設に損害を与えることができても、核開発計画の完全な無効化は大きな課題として残るとの見方を示した。ナタンズの地下深くに建設された新施設や、山腹に掘られたフォルドゥの核施設に対し、イスラエルがどれほど深くまで攻撃を届かせられるかははっきりしない。
要塞(ようさい)化した施設以外にもイスラエルには難題があると関係者は指摘する。イランは165キログラムの高濃縮ウランをはじめ、5トン以上の濃縮ウランを保有している。これらは濃縮施設の外に保管されており、迅速に輸送するための移動車両も近くに用意されている。また、核爆弾製造に向けてイランが必要とする作業に対して空爆は限定的な価値しか持たないことも考えられる。イスラエルは過去にそうした作業を阻止するために、核分野におけるイランのトップの科学者数人を暗殺したとみられている。
核拡散防止条約(NPT)脱退の可能性
イランの核開発計画を数カ月か1年程度後退させるだけの攻撃に踏み切ることは、大きな賭けになるとみられる。イラン当局は以前、攻撃を受ければ、北朝鮮のように核拡散防止条約(NPT)から脱退することもあり得ると警告した。
核脅威イニシアチブ(NTI)の核物質セキュリティープログラムのエリック・ブリュワー副代表は、イランが「NPTから脱退し査察官を追放するかどうか」が大きな焦点になると述べた。
イランが核爆弾製造に突き進めば、米国はイランの核兵器保有を阻止するために動かざるを得なくなるかもしれない。
コンサルティング会社ルベックの情報部門責任者、マイケル・ホロウィッツ氏は、イランは当面、核兵器の開発能力獲得に向けた漸進的な取り組みを続けるかもしれないとみている。
「イランは爆弾の製造という劇的でリスクの高い方向に進む前に、まず自国の安全保障を重視するだろう」と同氏は言う。
核開発計画の推進はイランにとって政治的な足かせとなる恐れがある。今年就任したイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は、イラン経済の圧迫要因となっている制裁解除を外交で勝ち取る考えを示している。実現するかどうかは、イランが高濃縮ウランの生産中止に向けて動き、IAEAの査察を容易にする措置を取るかどうかにかかっていると言える。
カーネギー国際平和財団の核政策プログラムのフェロー、ニコール・グラジェフスキー氏は、イランが核開発計画に関する自国の現状をある程度考慮することなしに報復を決断したとは思えないと語る。その上で、イランは核兵器の製造に全面的に取り組むというよりも、必要に応じて迅速に製造できる能力の確保にこれまでよりも力を入れる可能性が高いとの見方を示した。
●エマージング
中国が財政政策で12日会見-景気刺激策が焦点に、投資家期待 - Bloomberg
中国株、4年余りで最大の下げ-12日の財政相会見に注目 - Bloomberg
中国のゴーストタウン、欧州高級ブランドも悩む訳 - WSJ
中国では3000ドル(約44万4000円)のハンドバッグに対する需要と住宅価格の間にどれほどの相関関係があるのだろうか。高級ブランドにとっては残念なことだが、かなり密接であることが分かっている。
中国の政策当局は一部の投資家が期待していた追加の成長刺激策を発表しなかった。これを受け、欧州の高級品株は8日に下落した。それでも景気刺激策が発表された9月下旬以降では平均で10%上昇している。
中国政府は住宅ローン金利と2軒目購入の最低頭金比率を引き下げたことで、低迷する住宅市場を活性化させたい考えだ。中国株を購入する資金を証券会社や保険会社に融資する制度を発表したこともあり、株式相場はひとまず上昇した。
中国の高級品消費は従来、金融市場や全体的な経済成長より住宅価格との相関性が高い。2021年に住宅価格がピークを付けるまで、家計の純資産の約60%が不動産関連だった。バークレイズの推計によると、それ以降の住宅価格下落で家計資産は約18兆ドル失われた。これは1世帯当たり約6万ドルに相当する。
そこに経済全般に対する懸念が重なり、消費者信頼感は悪化。中国国家統計局のデータによると、8月の小売売上高は前年同月比2.1%増にとどまった。来週から世界的高級ブランド企業の7-9月期決算が出始めるが、中国の需要は前回決算時から減速したとみられている。
欧州高級品企業は消費の3分の1を中国に依存しているため、この時期の販売不振は具合が悪い。新型コロナウイルス流行下の数年間は業績が不安定だった。高級ブランド企業とその株主は、中国の消費が回復して欧米の減速分を埋め合わせてくれることを期待していた。
だがそれはますます見込みが薄くなっている。UBSの推計によると、中国人による高級品購入は24年に7%、25年に3%それぞれ縮小する。高級ブランド企業はずばぬけて高い店舗賃料を支払っており、固定費が高額だ。中国という主要顧客の消費減は利益率に大きく響く可能性がある。
高級品業界が中国でこれほど厳しい状況に直面したのは、コロナ禍を除くと14~16年が最後だ。当時の中国政府は汚職取り締まりを強化しており、職務上の便宜と引き換えにルイ・ヴィトンのバッグやロレックスの時計を贈った公務員も対象となった。世界の高級品業界は汚職取り締まりの2年間ほぼ成長せず、中国不動産市場の調整も同じ時期に起きた。他の市場でも消費者がブランド品を買い控えるようになっていたことが追い打ちをかけた。
欧州高級品株は現在、当時より割高に見える。同上場株の予想株価収益率(PER)は平均で14~16年の水準を40%上回っている。
この割高な株価を正当化するには、中国政府の住宅・景気対策が回り回って高級品需要を押し上げる必要がある。これまでの措置は、住宅価格の下落を鈍化させるには不十分かもしれない。ブルームバーグ・エコノミクスの推計によると、中国住宅市場は約6000万戸の供給過剰状態にある。
新たな消費刺激策が近く発表される見通しだが、対象となるのはおそらく白物家電などの量産品だ。中国は今年すでに家電買い替えの補助金に加え、さまざまな消費者向けクーポンも支給している。
いずれも高級品の販売業者にとって大した助けにはならない。ブランドが回復を目にするには、年間7000~4万3000ドルを高級品に費やす中国の消費者が今よりもずっと経済的に良くなったと感じる必要があるだろう。ボストン・コンサルティング・グループのリポートによると、この層の消費は年初来で前年同期比17%減少している。
未完成で放棄された住宅団地は中国政府にとって大きな頭痛の種であり、仏パリや伊ミラノの企業幹部をも悩ませている。高級品企業幹部の盛衰は中国当局の優先事項ではなさそうだが、両者の運命は絡み合っているのかもしれない。
●プロファイ、インフラ、自然災害
アングル:ハリケーン直撃で注目、ハリス氏とトランプ氏の災害対応に大きな違い | ロイター
ハリケーン「ミルトン」、保険損害600億ドルか 再保険料引き上げも | ロイター
9日遅くにも米フロリダ州に上陸する見通しの大型ハリケーン「ミルトン」による世界の保険損害額が1000億ドル程度に達し、2025年の契約更新で再保険料が大幅に引き上げられる可能性が見込まれている。
モーニングスターDBRSのアナリストは、壊滅的な被害をもたらす恐れのあるミルトンがフロリダ州西岸タンパの人口密集地域に直接上陸した場合、保険損害は600億─1000億ドルに上ると試算とした。
1000億ドルに達すれば、ハリケーンによる保険損害として最大となった2005年のハリケーン「カトリーナ」と同水準となる。ただ、アナリストは「相当な額だが壊滅的ではない」という見方を示した。
RBCキャピタルのアナリストによると、保険損害額が600億ドルとなれば、2022年にフロリダ州を襲ったハリケーン「イアン」とほぼ同水準になる。保険業界にとっては「十分に対応可能」という。
スイス再保険研究所によると、ハリケーンでは、イアンが05年のカトリーナに次いで過去2番目に保険損害額が多かった。
世界的な再保険会社であるスイス再保険、ミュンヘン再保などの株価は今週下落しているが、RBCは「契約更新で再保険料が引き上げられるとの見方で株価が回復するのは時間の問題だ」と指摘した。
AIの電力需要で公益事業株に脚光、大型ハイテク銘柄に代わる存在に - Bloomberg
テクノロジー業界の人工知能(AI)への注力が電力需要に拍車をかけている。公益事業銘柄のリターンを膨らませ、S&P500種株価指数の構成セクターに対する従来の認識が揺らいでいる。だが、ウォール街はこの動きがまだ続くとみている。
AIのおかげで公益事業株は年初来で相場けん引役の一角となっているが、その中でも独立系電力会社ビストラとコンステレーション・エナジーの株価はここ1カ月で飛躍的に上昇した。コンステレーションがマイクロソフトに原子力発電による電力を供給するという画期的な取引が要因だ。ビストラはヘッジファンド運営会社サード・ポイントのダニエル・ローブ氏の一押し銘柄で、AIに絡む潜在力が評価されており、株価は年初来で220%余り上昇。エヌビディアの165%高を上回り、S&P500種構成銘柄の首位となっている。
コンステレーションは約130%高で4位につけており、電力会社のNRGエナジーや発電設備を手掛けるメーカーのGEベルノバもトップ10に入っている。昨年は半導体メーカーやサーバーメーカー、メタ・プラットフォームズのようなAI株が上位を独占していた。
トータス・キャピタル・アドバイザーズのマネージングディレクター兼ポートフォリオマネジャー、ロブ・サメル氏は「公益事業企業に加わったのは、この成長要素だ。つまりAIと電力の必要性、さらに重要なのは、かなり大幅な電力成長の可能性だ」と指摘。「AIへの割安な投資方法を模索している投資家は、割高なテクノロジー株を買う必要がないことに熱狂している」と述べた。
当初のAI勝ち組銘柄に対する警戒感が強まり、大手テクノロジー企業が投じるAIへの多額の資金がいつ実を結ぶのかが疑問視される中、公益事業株が大幅な上昇を遂げた。AIブームを後押しするツールを提供するエヌビディアなどの企業が最も明白な初期の勝者だ。しかし、どの企業が半導体を使用し、あるいは最高のAIソフトウエアを開発するかにかかわらず、最終的にはどの企業もさらなる電力を必要とするだろう。
ビストラとコンステレーションの株価は最近、過去最高値を更新した。両社は独立系電力事業者(IPP)であり、規制された電力会社とは異なり、市場価格で電力を販売している。
マイクロソフトとの取引以来、複数のアナリストがコンステレーションの目標株価を引き上げているが、グッゲンハイムのアナリストはIPP株について、最近の上昇の後でも上値余地があるとみている。
シャリアー・ポレザ氏率いるグッゲンハイムのチームは、電力市場の成長余力や大型データセンターとの取引、キャッシュフローの強さにより、さらなる成長が見込まれると記述。セクター全体の投資判断を「買い」とし、ビスタとコンステレーションの目標株価をウォール街最高に設定した。
トータス・キャピタルのサメル氏はさらなる取引を予想している。これらのIPPは、アマゾンやグーグル、メタのような大規模クラウド事業者にとって、最初の電力提供者になり得ると指摘している。
最近のハイテク株の荒い値動きとは対照的に、電力株はディフェンシブ銘柄とみなされるメリットもある。その手堅い配当は利下げの恩恵を受けるはずだ。
こうした要因によって、S&P500種の公益事業指数は年初来で25%上昇し、S&P500種全体をアウトパフォームしている。従来なら退屈とも評される同セクターは年間で2000年以来の大幅高になる勢いだ。
最近の上昇の後でも、公益事業株の双璧をなす同2社はハイテク企業ほど割高ではない。ビストラの予想株価収益率(PER)は約20倍と、ナスダック100指数の約26倍を下回っている。コンステレーションはおよそ31倍。一方、エヌビディアは36倍となっている。
ハリケーン「ミルトン」、フロリダ州に接近-住民600万人に避難指示 - Bloomberg
米大型ハリケーン「ミルトン」、フロリダ上陸へ 保険損失は最大15兆円 - 日本経済新聞
●その他
【社説】EV政策が影落とす米ミシガン州 - WSJ
「この生命保険パンフレット、適法?」 AIで法令チェック - 日本経済新聞
損保ジャパン、就業時間内の「喫煙NG」 25年春から - 日本経済新聞
オリックス、新監督に岸田護投手コーチ 中嶋聡氏の後任 - 日本経済新聞
中嶋聡監督の「電撃退任」で組織に起きうる大変化 令和の名監督の凄さと限界、最後に与えた教え | スポーツ | 東洋経済オンライン
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(9日)ドル2カ月ぶり高値、S&Pとダウ最高値・利回り上昇 | ロイター
ドルは小幅上昇し、2カ月ぶりの高値を記録しました。これは、米連邦公開市場委員会(FOMC)の9月会合の議事要旨が市場で冷静に受け止められ、米連邦準備理事会(FRB)の大幅な利下げが継続しないという見方が強まったためです。先週の雇用統計が堅調だったことも影響し、投資家はFRBの緩和策への期待を後退させました。結果、ドル指数は約0.38%上昇し、ユーロと円に対してドルが強含みました。
米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが予想より緩やかになるとの見方から、米国債利回りが上昇しました。また、10年債の入札が低調だったことも利回り上昇の要因です。10年債利回りは一時4.078%と7週間ぶりの高水準を記録し、2年債利回りも上昇しています。10年債の入札では応札倍率が8月以来の低水準となり、最高落札利回りは4.066%でした。終盤の取引では、10年債利回りが4.071%、2年債利回りが4.019%に達しました。
主要株価指数が続伸し、S&P500種株価指数とダウ工業株30種は終値で過去最高値を更新しました。市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を消化し、今後の米消費者物価指数(CPI)や企業決算に注目しています。しかし、グーグルの親会社アルファベットは、米司法省がグーグルの事業分割を求める可能性を示唆したため、1.5%下落しました。S&P500の最高値更新は今月初で、ボーイングは労働争議により3.4%下落しました。
金先物価格は、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の発表を前に市場が様子見ムードとなり、4営業日連続で下落しました。12月物の清算値は前日比9.40ドル(0.36%)安の1オンス=2626.00ドルでした。
米原油先物も需給のだぶつきを背景に続落しました。WTI原油11月物の清算値は0.33ドル(0.45%)安の1バレル=73.24ドル、12月物は0.39ドル安の72.59ドルとなりました。
欧州市場サマリー(9日) | ロイター
ロンドン株式市場は、不動産株などの上昇が目立ち、反発して取引を終えました。FTSE100指数は約3週間ぶりの大幅な上昇となり、FTSE250指数も0.93%上昇しました。一方、住宅建設株指数は0.36%下落し続落。これは、複数の証券会社が住宅建設会社ビストリー・グループの目標株価を引き下げたことが影響しました。
不動産株指数は0.85%上昇、建設・資材株指数は2.29%上昇しました。個別では、モンディが英国やドイツの包装資産を買収する合意を受けて4.0%上昇しました。また、米国の金利引き下げや8月の英国GDP発表にも投資家の注目が集まっています。
欧州株式市場は、自動車関連株の上昇に支えられ反発しました。投資家は週内に発表される米国の消費者物価指数(CPI)や主要中央銀行の金利引き下げ動向に注目しています。STOXX欧州600種自動車・部品株指数は1.03%上昇し、ドイツの自動車部品大手コンチネンタルは、第3四半期の自動車事業改善見通しで7.2%上昇しました。
一方、INGグループはドイツ銀行が投資判断を引き下げた影響で2.5%下落し、ユーロ圏銀行株指数は0.02%下げました。中国の財政刺激策や企業決算にも関心が集まる中、欧州中央銀行(ECB)が来週の理事会で25ベーシスポイントの利下げを決定するとの見方が強まっています。
また、ドイツのバッテリーメーカー・ファルタは、ポルシェのリチウムイオン電池事業への投資発表を受けて81.3%急伸しました。
ユーロ圏債券の利回りは、来週17日の欧州中央銀行(ECB)理事会を控えて横ばいで推移しました。この理事会で25ベーシスポイント(bp)の追加利下げが見込まれており、経済指標の発表が少ない中、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨に注目が集まっています。
ECB理事会メンバーも25bpの利下げの可能性を示唆しており、エコノミストの予想と一致しています。ドイツの2年債利回りは3bp上昇して2.257%、10年債利回りも1bp上昇し2.255%となり、フランスの10年債利回りも1bp上昇して3.029%となりました。

備忘録(2024/10/8
●海外企業決算
ペプシコ、通期売上高見通しを下方修正-消費者の節約志向続く - Bloomberg
米ペプシコ、24年売上高伸び見通し下方修正 四半期売上高も予想未達 | ロイター
2024年通年の売上高伸び見通しを下方修正した。物価上昇を背景に北米で消費者が炭酸飲料やスナック菓子への支出を控え、安価なプライベートブランド(PB)商品を選好していることが背景。
24年のオーガニック売上高見通しは1桁台前半の伸びとし、従来予想の4%増から引き下げた。
合わせて発表した第3・四半期(9月7日まで)の純売上高は0.6%減の233億2000万ドルで、市場予想の237億6000万ドルを下回った。年初の一部製品のリコールの影響が引き続き重しとなった。
ただ、値上げやコスト管理などが利益を支え、調整後の1株当たり利益は2.31ドルと市場予想の2.29ドルを上回った。
中南米、中国、欧州を含む海外市場でも販売量が減少した。モン・ラグアルタ最高経営責任者(CEO)は、中東紛争を含む地政学的緊張の高まりやマクロ経済的圧力が一部の海外市場で引き続き影響するとい見通しを示した。
[PEP] ペプシコ 3Q減収減益 売上高1%減233億ドル、営業益4%減38.7億ドル、EPS2.13ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
エクイノール、洋上風力発電オーステッドの株式9.8%取得 | ロイター
ノルウェー石油大手エクイノールは7日、デンマークの洋上風力発電事業大手オーステッドの株式9.8%を約25億ドルで取得したと発表した。再生可能エネルギー資産の拡充が狙いだ。
洋上風力発電はコストの高騰やタービンを巡る技術的な問題で厳しい局面にあり、オーステッドの株価は2021年の最高値から69%下落している。
しかしエクイノールのアンドレス・オペダル最高経営責任者(CEO)は「洋上風力発電は現在幾つかの課題に直面しているものの、長期的な先行きには引き続き自信を持っており、エネルギー移行で重要な役割を果たすだろう」と語った。
オペダル氏によると、エクイノールは2030年までに自社の再生可能エネルギー資産による発電能力を12─16ギガワット(GW)にすることを目標としており、今回の取引で1.7GWの上積みになるという。
昨年末時点の再生可能エネルギー資産による発電能力は1GW未満だった。
オペダル氏は、今は「逆張り」で非常に魅力的な資産を手に入れる格好の機会だとの見方を示した。
エクイノールは9.8%の株式取得により、オーステッド株主として持ち分はデンマーク政府の51%に次ぐ第2位となる。10%超の保有は計画しておらず、取締役のポストも求めないとしている。
ボーイング労使交渉継続へ、組合「再開初日は有意義な動きなし」 | ロイター
ボーイングの格付け、ジャンク級への引き下げ方向で見直し-S&P - Bloomberg
米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは、ボーイングの格付けをジャンク級(投機的水準)に引き下げる方向で見直す。ボーイングは長期化するストライキの影響で苦戦が続いている。
S&Pの8日の発表によると、ボーイングはスト関連費用などにより、2024年に約100億ドル(約1兆4800億円)のキャッシュアウトフローが見込まれる。また、日常的な資金ニーズや債務返済資金を賄うために追加の資金調達が必要になる可能性が高いという。
米格付け会社ムーディーズ・レーティングスの先月の発表によれば、ボーイングは25年に40億ドルの債務、26年に80億ドルの債務の返済期限が到来する。
S&Pはボーイングのストが年末に向けて続けば、格下げの可能性が高まると指摘した。現在の同社の格付けは投資適格レベルで最低水準の「BBB-」
アレスが下落 GLPキャピタルの中国以外の事業を買収と伝わる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
米資産運用会社アレス・マネジメント<ARES>が下落。不動産投資を手掛けるGLPキャピタルの中国以外の事業を買収することで合意した。ブルームバーグが関係者の話として伝えた。オルタナティブ資産運用業界の最近の統合案件としては最大級となる可能性があるという。アレスとGLPは早ければ本日中にも発表する見込みだとも伝えている。
両社は、約35億ドルの前払いを含む取引について協議を進めており、特定の目標を達成した場合の最終的な買収額は50億ドル前後に上るとも報じられていた。
●日本企業
Jフロントの3〜8月期、純利益2.3倍 訪日客がけん引 - 日本経済新聞
キャンドゥの3〜8月期、最終赤字2億円 過去決算を訂正 - 日本経済新聞
7&iHD、あす決算発表-苦戦コンビニと企業価値向上策が焦点に - Bloomberg
セブン&アイ・ホールディングスは10日、6-8月(第2四半期)決算を発表する。カナダのアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたことが判明して以降、井阪隆一社長が会見するのは初めて。買収提案への受け止めや企業価値向上施策、不調が続くコンビニエンスストア事業の業績についてどう語るのか、注目が集まる。
クシュタールからの当初の買収提案は1株あたり14.86ドル(約2200円)だったが、7&iHDは買収提案額について、今後の事業戦略で企業価値が高まる可能性を適切に評価していないと反論していた。決算説明会は、クシュタールの提案に好意的な市場に対して、7&iHDが自社主導で企業価値を高められるとアピールする格好の機会となる。
好業績であれば同社の戦略の説得力が増すことになるが、足元では物価高騰などの逆風もあり苦戦が続く。アナリストの7&iHDに対する視線も厳しい。
UBS証券の風早隆弘シニアアナリストは、営業利益の計画未達幅が第1四半期よりさらに広がるとの見方を示し、「通期の業績予想を見直す可能性もある」と述べた。日米ともにコンビニ事業の不調が続くとの認識で、井阪社長が具体的な改善策を打ち出せるかが重要なポイントだとしている。
クシュタールからの買収提案に関しては、「自分たちで企業価値が上げられず、クシュタールからのオファーのプライスが高ければ、受けるべきではないかという声が上がるリスクがある」として、追加的な措置が必要と指摘した。
今期(2025年2月期)通期の営業利益について、ブルームバーグが集計したアナリスト15人の予想の平均は5259億円と、会社計画(5450億円)を下回る。7&iHDが20年2月期以降、中間決算で通期営業利益計画を修正したのは、21年2月期と23年2月期の2度あった。
海外コンビニ事業は第1四半期に、北米で低所得者層の消費が鈍る中、コスト高を転嫁せず商品価格を据え置くことで客足を伸ばそうとしたが、想定した結果が得られなかった。利益のけん引役である国内コンビニ事業も、6月以降既存店売上高が3カ月連続で前年同月を下回っており、他2社と比べると見劣りする状況だ。不調のコンビニ事業に回復の兆しが見えるかが、今後の焦点になりそうだ。
ボーイング9月納入、ストで18%減 日本企業へ波及懸念 - 日本経済新聞
航空機大手の米ボーイングは8日、9月の納入機数が前月比18%減の33機だったと発表した。9月中旬から大型ストライキが発生したことで工場の生産が停滞した。スト開始からまもなく1カ月で影響が広がっている。
9月の納入は小型機737が30機、中型機767が1機、同787が2機、大型機777がゼロだった。737、767、777を製造する米西部ワシントン州の工場は9月13日からストで稼働をほぼ停止し、出荷が滞った。
24年1〜9月の納入機数は前年同期比22%減の291機だった。日本企業は777で21%、767で15%の比率で機体生産に参加しており、影響が波及しそうだ。民間機の主要工場では南部サウスカロライナ州の787の製造工場だけが稼働している。
ボーイングの工場の混乱はストの前から発生している。24年1月に飛行中の737の胴体に穴が開く事故が発生し、製造品質問題が発覚。工場の生産ペースを落として品質の改善を図っていたさなかのストだった。ボーイングは年内に737の生産を月38機に高めたい方針だったが、達成が25年にずれ込む可能性が高まっている。
新規受注も不振だ。24年1〜9月は315機で前年同期比6割も落ち込んだ。
賃上げと年金などを巡る労使交渉がこじれてストは9月13日に始まった。組合員3万人以上が西部ワシントン州シアトル郊外の工場群などでストに入った。
妥結の見込みは立っていない。組合は7日の労使交渉後、「ボーイングと1日中会ったが、報告するような意味のある動きはなかった」と話した。交渉は長引く様相を見せている。
ボーイングは組合に4年間で30%の賃上げを提案。組合は40%を求めており平行線が続く。加えて、組合は14年に廃止された従来型企業年金の復活を要求。ボーイングは確定拠出年金への会社拠出額の増加を提案している。
ボーイングの財務は悪化している。格付け大手S&Pグローバル・レーティングスは8日、格付けを引き下げる懸念があると表明した。ボーイングの格付けは「投資不適格」になる一歩手前の水準。
ストなどの混乱で24年に約100億ドルの現金が流出するという。財務体質を改善するために新株発行による100億ドル規模の資金調達を迫られるとの見方が強まっている。
●米大統領選挙
ハリス氏のリード、3ポイントに縮小 経済でトランプ氏優位=調査 | ロイター
ロイター/イプソスが実施した11月の米大統領選に関する最新世論調査によると、民主党候補のハリス副大統領の支持率が46%で、共和党候補のトランプ前大統領の43%をわずかに3ポイント上回った。
調査は今月7日までの4日間に実施した。先月20─23日の調査ではハリス氏がトランプ氏を6ポイントリードしていた。
経済問題でトランプ氏を支持する声が多かったほか、不法移民が犯罪を犯しやすいとのトランプ氏の主張に一部の有権者が共鳴した可能性がある。多くの専門家は同氏の主張に根拠はないと指摘している。
調査の誤差は約3ポイント。
有権者が最大の課題として挙げたのは経済で、44%が「生活費」への取り組みでトランプ氏が優れていると答えた。ハリス氏が優れているとの回答は38%だった。
次期大統領が取り組むべき経済問題については、生活費が最重要との回答が全体の約70%を占め、「雇用」「税金」「暮らしの向上」との回答はごくわずかだった。いずれの課題でもハリス氏よりトランプ氏を支持する声が多かったが、富裕層と一般市民の格差解消については、42%対35%でハリス氏の支持がトランプ氏を上回った。
移民問題に対する懸念も、トランプ氏の支持拡大につながっているとみられる。有権者の53%は「不法入国した移民は公共の安全にとって危険だ」との意見に賛成。反対は41%だった。
一方、知性の鋭さについてはハリス氏を支持する有権者が多く、「ハリス氏は知的な鋭敏さがあり、課題に対処できる」との意見に同意するとの回答は55%、トランプ氏については46%だった。
激戦州での支持率は互角で、多くが誤差の範囲内だった。
調査は登録有権者1076人を含む全米の成人1272人を対象にオンラインで実施した。
JPモルガンのダイモン氏、米大統領選の支持候補はまだ検討中 - Bloomberg
米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、来月の米大統領選挙で誰を支持するかまだ決めていないと語った。
ダイモン氏は8日、ロンドンで行われたブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、支持候補を「決めるし、投票もする」と話した。
共和党の大統領候補であるトランプ前大統領がソーシャルメディアでダイモン氏がトランプ氏を支持していると投稿したことを受け、JPモルガンは先週、ダイモン氏は支持候補を表明していないと説明していた。
ダイモン氏自身も以前から大統領候補の一人として話題に上ることがあり、この日のインタビューではそうした憶測について聞かれると、同氏は「厄介なことだ」と話した。その上で「少しは嬉しい。私は政府が正しい行動を取れるよう、支えたいだけだ。今以上に米国を良くするためにすべきことはたくさんあるだろう」と語った。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
0.25%は実質マイナス金利、日銀の判断信じる=赤沢経済再生相 | ロイター
赤沢亮正経済再生相は8日、報道各社とのインタビューで、現在の日銀の政策金利0.25%は、物価上昇を考慮した実質ベースではマイナスで十分緩和的だとした上で、今後の日銀の政策運営について「日銀の判断を信じている」と述べた。
赤沢再生相は、デフレ脱却宣言まで日銀の追加利上げを認めないのか、経済状況に配慮した緩やかな利上げなら認めるのか、との質問に対して「後者だ」と回答した。
金融所得課税を巡る石破首相の発言が変節したとの批判に対しては「石破氏は舌足らずな点があり、強化が必要と発言したとき念頭にあったのは超富裕層のみだった」と解説した。
独連銀総裁、ECB追加利下げ検討に前向き 物価2%目標に近づく | ロイター
ECB理事でもあるナーゲル氏は「さらなる利下げが可能かどうか検討することに前向きだ」と述べた。ECBの金利政策がこれまで望ましい物価抑制効果をもたらしていると指摘し「インフレトレンドは良いニュースの一つだ。明らかに2%目標に近づいている」と語った。
ドイツ政府が今年の国内総生産(GDP)伸び率予想をプラス0.3%からマイナス0.2%に下方修正したことに同意すると述べた。EUの中国製電気自動車(EV)追加関税にショルツ首相が批判的なことについて「関税や相互保護主義は欧州の利益になり得ない。私は中国との対話・交渉を支持する」と述べた。
FRB、「時間かけた」利下げが再び適切に─NY連銀総裁=FT | ロイター
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に8日掲載されたインタビューで、連邦準備理事会(FRB)は時間をかけて金利を引き下げることが再び適切になるという見解を示した。
総裁は9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で決めた0.5%の利下げについて「今後の行動のルール」ではないと発言。「個人的には時間とともに金利を引き下げていくことが再び適切になると考えている」と語った。
「金融政策スタンスは現在、見通しにとって非常に良い位置にあると考えている。SEP(FOMC参加者による経済見通し)は非常に良いベースケースだ。経済は成長が続いており、インフレ率は2%に向かっている」と述べた。
米追加利下げ想定、インフレ鈍化の確信増す=ボストン連銀総裁 | ロイター
ボストン地区連銀のコリンズ総裁は8日、インフレは鈍化のトレンドにあり、米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げを実施する可能性が非常に高いという見解を示した。
コリンズ総裁は講演原稿で「政策のさらなる調整が必要となる公算が大きい」と述べた。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表された当局者の金利見通しでは年内に0.5%ポイント相当の利下げが見込まれていたものの、「政策は事前に決められた道筋にはなく、引き続き慎重にデータに依存し、経済動向に応じ調整していくと強調する」とした。
コアインフレ圧力は依然強いものの、インフレがFRBの目標である2%に近づいているという確信は増していると述べた。
同時に、インフレ率をFRBの目標に戻すにはまだ幾分道のりが残っているとも言及。インフレ率は向こう数カ月は現在の水準近辺で推移する可能性が高いとし、2025年下半期ごろまでに目標の2%に向けて緩やかに低下するとの見方を示した。
さらに「予想外に堅調な9月の雇用統計を含む最近のデータは、労働市場が総じて好調を維持し、過熱も過度に冷え込んでもいないという私の評価を裏付けている」とした。
今後については「足元の健全な労働市場の状況を維持することが重要」とし、「経済活動がトレンドに近い水準で拡大し続けることが必要で、それが私の基本見通しだ」と述べた。
また、賃金の伸びは高止まりしているものの、高水準の生産性によってインフレの顕著な要因とならないよう抑制されているという認識を示した。
デフレ脱却最優先で日銀と連携、今の政策判断「信じる」-赤沢再生相 - Bloomberg
●先進国経済指標
豪消費者信頼感、10月は前月比6.2%上昇 2年半ぶり高水準 | ロイター
独鉱工業生産、8月は予想上回る伸び 自動車部門が寄与 | ロイター
ドイツ連邦統計庁が8日発表した8月の鉱工業生産指数は前月比2.9%上昇した。自動車セクターの生産増加が寄与し、市場予想を大きく上回る伸びとなった。
ロイターがまとめたアナリストの予想は0.8%上昇だった。
6─8月の3カ月は5─7月比で1.3%低下した。
連邦統計庁は、自動車セクターの生産は月ごとに大きく変動し、鉱工業生産データに影響を及ぼしていると指摘した。
8月の自動車セクターの生産(季節・日数調整後)は19.3%増加で7月の8.2%減から増加に転じた。エネルギーは2.3%増、建設は0.3%増加。エネルギーと建設を除外した鉱工業生産指数は3.4%上昇した。
7月の鉱工業生産指数は2.4%低下から2.9%低下に下方改定された。
経済省は「現在、鉱工業セクター復活の兆しはない」と指摘した。
キャピタル・エコノミクスの欧州シニアエコノミスト、フランジスカ・パルマス氏は、高いエネルギー価格といった構造的課題、中国の需要減速、自動車業界の電気自動車(EV)事業苦戦が今後も鉱工業生産の重しになると予想した。
●金融市場、先進国トピックス
今週の世界商品市場ウオッチ、注目すべき五つのチャート - Bloomberg
商品指数
ブルームバーグ商品スポット指数は、過去最高値を何度も更新した金相場の上昇などに支えられ、5月後半の高値を回復した。同指数に占める金の比重は17%で、それ以外に農産品・エネルギー・金属市場の24種の先物が組み込まれている。9月末にかけての天然ガスと銅の反発も指数の回復に寄与した。原油先物も中東での戦闘の影響で10月初めにかけ値上がりした。
金の対原油価格比率
今年に入り金は急騰し、金価格との対比で原油は過去3年余りで最も安くなった。中東での衝突激化で勢いはやや鈍ったが、9月26日時点では、金1オンスで購入可能な北海ブレント原油の量は37バレル強と、2021年1月以降で最も多かった。
その後、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの拠点へのイスラエル空爆と、イランによるイスラエルへのミサイル攻撃が原油価格を押し上げたが、金の原油に対する価格比率は、直近の高水準近くにとどまっている。原油が18年ぶりの安値を付けた新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期には、金1オンスで原油87バレル余りを購入できた。
太陽光発電
欧州では太陽光発電容量が大幅に拡大しており、電力需要の伸びが見込まれる冬の間も太陽光発電でかなりの部分を賄える見通しだ。
コンサルティング会社ICISによると、今年10月から来年3月までの電力需要増加分の56%を太陽光発電の増加でカバーできる見込み。太陽光発電は原子力・化石燃料発電より低コストなため設置が急増しており、ドイツがけん引する太陽光発電の拡大は欧州のエネルギー経済を一変させつつある。
アルミニウム
ロンドン金属取引所(LME)ではアルミニウム10月渡しの11月に対するプレミアムが拡大し、アルミ市場の需給が逼迫(ひっぱく)する兆候が見られる。LMEの指定倉庫会社イスティム・メタルズが管理手数料を引き上げて物議を醸す中で、LMEの倉庫からのアルミニウム引き出しで順番を待つトレーダーは、ヘッジポジションのロールオーバーが必要なため、圧力を受けている。
世界的な資源商社トラフィグラ・グループが保有する10月渡しの大規模ロングポジションにも市場は注目している。トラフィグラはイスティムの倉庫に大量のアルミニウムを保管した会社でもある。
穀物
ブラジルのトウモロコシ価格は5週間にわたる上昇局面の後、1月初めの高値圏で推移している。今シーズンのトウモロコシの収穫は、大豆の作付けの大幅な遅れで打撃を受ける恐れがある。さらに主要生産地域の降雨不足で大豆の収穫も遅れており、大豆の収穫後に作付けされるトウモロコシは影響を被りそうだ。ブラジルは世界2位のトウモロコシ供給国。
●中東情勢
イラン外相、8日からサウジなど訪問 イスラエルの「犯罪」阻止 | ロイター
イランのアラグチ外相は、8日からサウジアラビアなど中東諸国を訪問する。イランの国営メディアが報じた。域内問題を協議するとともに、パレスチナ自治区ガザとレバノンにおけるイスラエルの「犯罪」阻止を目指すとしている。
ハマスは「不死鳥のように」復活へ、活動継続と元最高指導者 | ロイター
1996─2017年にイスラム組織ハマスの最高指導者を務め、現在も幹部として影響力を持つハレド・メシャル氏(68)はロイターのインタビューで、ハマスはイスラエルとの戦闘で大きな打撃を受けたものの、灰の中から不死鳥のようによみがえると述べた。戦闘員の勧誘や武器製造を続けているとも明かした。
戦闘の引き金となったハマスによるイスラエル奇襲攻撃から1年を迎える中、メシャル氏は1948年のイスラエル建国に際し多くのパレスチナ人が難民となった「ナクバ(大惨事)」にさかのぼる76年の歴史の一部としてイスラエルとの紛争を位置付ける。
「パレスチナの歴史は周期でできている」とし、「殉教者を失い、軍事力の一部を失う局面もあるが、神のおかげでパレスチナの精神は不死鳥のようによみがえる」と語った。
また「ハマスは弾薬や武器の一部を失ったが、なお若者を集め、かなりの弾薬と武器を製造し続けている」とした。
ハマス指導部で30年近く重要な役割を果たし、現在はハマスの外交の顔とみられているメシャル氏は、最高指導者を退いた後も影響力を持ち続けている。
イスラエルとの和平については、ネタニヤフ政権が続く限り可能性はないと言明。「(イスラエルの)占領が存在する限り、この地域は時限爆弾であり続ける」と述べた。
●エマージング
「クレイジーな」中国株の乱高下、過去最大の取引熱狂引き起こす - Bloomberg
国慶節(建国記念日)に伴う連休明けの8日、中国本土市場が再開すると、株式トレーダーたちは異例の忙しさのセッションに備えた。しかし、取引開始のベルが鳴った直後に始まった取引に備えていた者はほとんどいなかった。
熱狂的な取引により、中国本土株の指標のCSI300指数は取引開始直後に11%急騰したが、1時間もしないうちに上げは半分以下に縮小した。香港では、ハンセン指数の小さな下げがすぐに10%の急落となり、08年以来最悪のパフォーマンスとなった。両市場の取引高は過去最高を記録。証券会社では注文が殺到したため、取引アプリが一時的にフリーズした
アナリストらは、この乱高下の原因の一部は中国本土市場の1週間の休場明けに投資家が香港株から本土株へと乗り換えたことによるものだと指摘した。また、国家発展改革委員会(発改委)当局者による説明で新たな景気刺激策の詳細がほとんど示されなかったことに失望したトレーダーの動きも拍車をかけた。
一部の市場ウォッチャーは、8日に中国株が上げを急速に失ったことは、最近の反発がすでに終焉(しゅうえん)を迎えつつあることを示唆しているとの見方を示した。 複数の市場ウォッチャーが、今回の株価上昇と、15年と1999年に株価が急騰した後に急落した際との類似性を指摘している。
「ほとんどのトレーダーは、30%の上昇の後に香港市場でいずれは利益確定売りが起こるだろうと予想していたが、動きの規模はクレイジーだった」と、メイバンク・セキュリティーズの機関投資家向け株式セールストレーディング責任者、ウォン・コクフン氏は述べた。トレーダーの間では「最近の中国株の急騰がすべてそうだったように、これもまた消え去るだろう」という懸念が高まっているという。
上昇相場が長期的に持続するかどうかは別として、一部の市場ウォッチャーは、目先はさらに上昇すると見ている。
上海申毅投資の創業者で最高経営責任者(CEO)のイー・シェン氏は8日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「恐らく今週いっぱいはあらゆる方向から資金が流入するだろう。今週はかなりの額の資金流入が見られるだろう」と語った。
中国国慶節、旅行者数増加でも消費振るわず コロナ前下回る | ロイター
旅行件数は7億6500万件と、前年同期比5.9%増加した。観光客の支出は7008億2000万元(993億ドル)で6.3%増となった。
しかしロイターの計算によると、1人当たりの支出はコロナ前の2019年より2.09%少なかった。
旅行件数は増加したものの、平均支出は前年比0.38%増とほぼ横ばいで、アナリストの予想と一致した。
中国では旅行意欲が旺盛で、連休に合わせて旅行に出かける人がコロナ前よりも増えているが、旅行中にお金を使うことには消極的だ。
ソーシャルメディアには観光地で食べ物を買う代わりに持参する投稿がいくつも見られた。人気の観光地である黄山の公衆トイレの床に数十人が横たわる写真もあった。ホテル代を払う代わりにトイレで寝泊まりしていたという。
大型連休中の中国住宅販売、前年比23%急増 支援策で心理改善 | ロイター
ただ、昨年の国慶節の直前に当たった中秋節の2日間も勘案すると、今年の連休期間中の住宅販売は27%減少した。
中国株が急伸後に失速、国慶節連休明け-追加刺激策発表なく失望 - Bloomberg
8日の中国株式相場は上昇。国慶節(建国記念日)連休明けのCSI300指数は一時11%高となったが、その後は急速に上げを縮小した。追加の大型刺激策の発表がなく、投資家の失望を招いた。
22Vリサーチのマイケル・ハーソン、ホウズ・ソン両氏はリポートで、発改委の会見について「われわれの控えめな見通しに加え、一見すると投資家の期待も裏切るものだった」と指摘した。
中国頼みで高速鉄道建設、東南アジアで「一帯一路」の評価一変 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
ハリケーン「ミルトン」、9日にフロリダ上陸へ 100万人避難命令 | ロイター
メキシコ湾の大型ハリケーン「ミルトン」が9日にも米フロリダ州に上陸するとみられる中、バイデン米大統領は8日、「生死に関わる問題」として、対象の住民に直ちに避難するよう呼びかけた。
ミルトンは現在、メキシコのユカタン半島を北上中。フロリダ州ではミルトン上陸に備えて100万人以上に避難命令が出されている。フロリダ州は死者200人以上を出したハリケーン「ヘリーン」の被害を受けたばかり。
バイデン氏は「フロリダ州を直撃するハリケーンとしては過去100年で最強のものになる可能性がある」として警戒を呼びかけ、フロリダ州に対しハリケーン上陸前の緊急事態宣言を承認したと明らかにした。
ホワイトハウスによると、バイデン氏はハリケーンに対応するため、予定していたドイツとアンゴラ訪問を延期した。
米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、ミルトンは勢力が5段階のうち最強の「カテゴリー5」から「カテゴリー4」に弱まった。ただNHCは「ミルトンはフロリダ州中西部に記録的な破壊をもたらすハリケーンになる可能性がある」と警告。数日間に及ぶ停電など、甚大な被害が発生する恐れがある。ミルトンがフロリダ州西部のタンパベイ地域付近を直撃すれば、1921年以来初めてとなる。
米航空各社はミルトン上陸に備え、フライトの調整を進めている。 フライト追跡サイト「フライトアウェア」によると、8日午後時点で国内線および米国を発着する国際線の約1311便が遅延、701便が欠航となっているほか、9日に運航が予定されていた1500便超も欠航となった。
ミルトンが直撃する恐れのあるタンパの国際空港は8日閉鎖され、米国で利用客が最多の空港の一つであるオーランド国際空港は9日午前8時に全ての航空機の運航を停止すると発表した。
エネルギー会社もタンパ近辺で対応に追われている。
パイプライン運営大手キンダー・モーガンはタンパからオーランドにガソリンやディーゼル、その他の燃料を輸送するセントラル・フロリダ・パイプライン・システムや、タンパ地域にある他の燃料輸送ターミナルを閉鎖したと発表した。
精製業者シトゴもタンパのターミナルを閉鎖したと明らかにした。
●その他
オリーブオイル危機は緩和へ、最大の生産国スペインで収穫量急増 - Bloomberg
地中海地方全般に2年連続で不作となったため、オリーブオイルは記録的水準に値上がりし、「黄金の液体」と化していた。ただ、収穫量増加の兆しが見えたことから、価格は1トン当たり9000ユーロ(約146万円)を超える高値から2割余り下落した。
ノーベル物理学賞、米国・カナダの2氏が受賞-機械学習の基礎築く - Bloomberg
AIはデフレ招く、それでも豊かな時代に 著名IT投資家  - WSJ
人工知能(AI)の安全性や能力、経済的影響について懸念が広がっているが、ベンチャー投資の先駆者、ビノッド・コースラ氏は今もAIを全面的に支持している。
確かにAIは人間に代わって多くの労働を行う能力を持つようになるだろうが、そのおかげで医療や教育などのサービスの価格は下がる。コースラ氏はインタビューでそう話した。今ある仕事の形態の多くが存在しなくなっても、社会には現在可能なものより強固なセーフティーネット(安全網)が作れるという。
「世界のほとんどの専門知識は、それが構造エンジニアの知識でも、がん専門医のものでも、メンタルヘルスのセラピストや一般診療医、ジャーナリスト、教師のものでも、誰もがほぼ無料で入手できるようになる」。コースラ氏はシリコンバレーのサンドヒルロード沿いにある自身のベンチャーキャピタル会社、コースラ・ベンチャーズのオフィスでそう話した。
コースラ氏によると、経済全体の雇用の80%に関わる仕事の約80%がやがて自動化される可能性があるいう。「したがって全ての雇用の64%はAIに取って代わられる可能性がある」とコースラ氏は話した。
コースラ氏にとってそれ以上に大きな問題は人間がそれを邪魔するかどうかだ。
例えばわれわれが許せば、AIは非常にデフレを引き起こしやすくなるだろうとコースラ氏は言う。「テクノロジーは物事を可能にするが、多くの場合、それが実現するか、しないかを左右するのは政策だ」
経済全般のデフレ、すなわち価格の下落は多くの場合、需要の失速または大幅な落ち込みを反映したものだ。こうしたデフレはこれまでのところ、米国の大恐慌や1930年代初頭のドイツ経済の崩壊など大きな変化と関連している。
しかしコースラ氏によると、今後のAIは同時に今よりも多くの財やサービスの創造を促して、デフレだけでなく豊かさも後押しする潜在的な力がある。
コースラ氏は今後10年間を、世界の政治・社会構造はそれほど変わらない移行期と見ている。AIは効率と生産性を高めるものと認識されるだろう。その後はAI主導の自動化が途中の段階で今の雇用の25%以上が大きな打撃を受け、政府は今よりもはるかに幅広く深い社会サービスを提供することが必要になる。しかしそれを支える経済的な豊かさは十分にあるだろう。
米国の国内総生産(GDP)成長率は潜在的に、25年か50年の間に5%に上昇する可能性がある。これに対して今年第2四半期の成長率は年率2.8%だった。コースラ氏は「GDP成長率のこの超過部分に、経済的に悪影響を受ける人々に対応する余地が大いにあるだろう」と話した。
「医療サービスがもっと安価で、教育サービスがほぼ無料で、高齢者介護が今よりも大幅に安くなれば(中略)、社会のセーフティーネットはずっと構築しやすい」とコースラ氏は話した。同氏は民主党の献金者だ。
コースラ氏の考えでは将来、人々の主な関心事は生計を立てることから意味を見いだすことに変化する可能性がある。AIやロボットが単純労働を担い、人間は総合的な社会的セーフティーネットに支えられて、これまでより自由に探索できる。
コンサルティング大手マッキンゼーは2023年6月発表のリポートで、生成AIなどの既存のテクノロジーには、現在の被雇用者の労働時間の60%から70%が費やされている仕事を自動化する潜在的能力があると指摘した。
しかし経済的合理性や規制当局の審査などを考えると、この潜在能力は必ずしもすぐに完全に実現するわけではない。リポートの執筆者で、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのパートナーのマイケル・チュイ氏によると、今の労働時間のおよそ30%が2030年までに自動化される可能性がある。
コースラ氏はまた、不正なAIができれば被害が生じる恐れがあるが、その場合は、そのようなAIと戦うAIも登場するだろうと話した。「われわれはそうしたリスクを管理しなければならないだろう」
中日、井上一樹氏の1軍監督昇格確実 球団に受諾伝える - 日本経済新聞
中古マンション、都外で売れず 価格高騰・金利上昇の影 価格は語る - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(8日)株反発、ドル堅調・利回りまちまち | ロイター
ドルは先週の7週間ぶりの高値をやや下回る水準で堅調に推移しており、米国の利下げペースを見極める動きが続く中、中東情勢の緊張や中国経済の低迷懸念がドルを支えている。ドル円は0.06%高の148.27円で、円は一時的に安全資産として買われたが、その後押し戻された。ドル指数は0.06%高の102.54、ユーロドルは0.03%安の1.0971ドル。中国元は1ドル=7.0648元に下落し、UBSの専門家は中国の景気刺激策に対する期待が高まっていると述べた。
国債利回りは不安定な取引の中でまちまちの動きを示し、短期債の利回りが低下する一方で、長期債利回りは小幅に上昇しました。連邦準備制度(FRB)の金融政策予測や投資家のポジション調整、経済見通しが影響しています。
午後の取引で、10年債利回りは4.028%に小幅上昇し、一時4.057%と10週間ぶりの高水準を記録。30年債利回りも一時4.342%まで上昇し、最終的に4.319%で終了しました。2年債利回りは4bp低下して3.965%。2年債と10年債の利回り格差は5.6bpで、前日には一時的にイールドカーブの逆転も見られました。
株式市場は反発して取引を終え、ハイテク株への買い戻しが進んだことで前日の下落分を回復しました。今週後半に予定されるインフレ指標や第3四半期の企業決算発表に注目が集まっています。S&P500の中では情報技術セクターが最も上昇し、パランティア・テクノロジーズやパロアルト・ネットワークスが相場をけん引しました。
特に大型ハイテク株がS&P500とナスダックを押し上げ、エヌビディアは4.1%高、アップル、テスラ、メタ・プラットフォームズも1.4%から1.8%上昇しました。一方で、素材セクターは0.4%下落し、中国の景気刺激策への期待が弱まり金属価格が下落したことが影響しました。米上場の中国企業株も売られ、アリババ、京東、PDDホールディングスが5.4%から7.5%安となりました。
金先物は米国の大幅利下げ観測が後退したことで売りが増え、3営業日連続で下落しました。12月物の清算値は前日比30.60ドル安の1オンス=2635.40ドルでした。
米原油先物は中東情勢に対する供給リスクが和らぎ、利益確定の売りが出て6営業日ぶりに反落。WTI11月物は3.57ドル安の1バレル=73.57ドル、12月物は3.49ドル安の72.98ドルでした。
欧州市場サマリー(8日) | ロイター
ロンドン株式市場は下落して取引を終えました。中国が明確な景気刺激策を示さなかったことで、鉱業株が下落し、FTSE100指数は約2カ月ぶりの大幅な下落率を記録し、約1カ月ぶりの安値をつけました。FTSE250種指数は1.06%安、FTSE350種の大半のセクターも下落。特に鉱業株指数が5.09%安で目立ちました。
中国の景気刺激策への期待が薄れ、銅価格が下落したほか、銀行株は2.83%、石油・ガス株は2.75%、住宅建設株は4.16%下落。住宅建設会社ビストリー・グループが利益見通しを引き下げたことで24.3%急落し、同業他社も下落しました。
一方で、インペリアル・ブランズは新商品の売上増加見通しと株主還元の発表を受けて4.1%上昇しました。
欧州株式市場は反落し、中国が明確な景気刺激策を示さなかったことで資源株や高級ブランド銘柄が下落し、全体相場を押し下げました。銅や鉄鉱石の値下がりを受け、STOXX欧州600種資源株指数は4.44%下落。中国への依存度が高いフランスのエルメスやLVMH、ケリング、イギリスのバーバリーも0.6%から4.5%の範囲で下落しました。
さらに、中国がEU産ブランデーに対する反ダンピング措置を発表した影響で、LVMHやフランスの蒸留酒メーカー、レミー・コアントローが6.4%、ペルノ・リカールが4.2%下落。高級ブランドと蒸留酒メーカーの下落がフランスのCAC40指数を0.72%押し下げ、原油価格の下落によりノルウェーのOBX指数も1.42%下げました。
ユーロ圏債券市場では利回りがまちまちの動きを見せました。前日まで米国の好調な経済指標を受けて4営業日連続で利回りが上昇していましたが、ドイツ10年債利回りは0.5ベーシスポイント(bp)上昇して2.25%、一時は2.265%と9月初旬以来の高水準を記録しました。ドイツ2年債利回りはほぼ変わらずで2.237%でした。
市場では、欧州中央銀行(ECB)が10月に25bpの利下げを行う確率を約90%と織り込んでいます。フランスとドイツの10年債利回り格差は77.50bp、イタリアの10年債利回りは0.5bp上昇して3.57%、独伊10年債利回り格差は132bpとなりました。

備忘録(2024/10/7
●海外企業決算
●海外企業
物言う株主のスターボード、米ファイザー株10億ドル取得 | ロイター
アクティビスト(物言う投資家)の米スターボード・バリューは、米製薬大手ファイザーの株式約10億ドル相当を取得し、同社に業績向上を迫っている。複数の消息筋が6日、明らかにした。
スターボードはファイザーのイアン・リード前最高経営責任者(CEO)とフランク・ダメリオ前最高財務責任者(CFO)にも接触し、両者ともスターボードを支援することに関心を示した。
リード氏は、2019年に現職のアルバート・ブーラCEOが就任するまでCEOを務めた。ダメリオ氏は21年までCFOだった。
ファイザーは新型コロナウイルスのワクチン開発で先行したが、パンデミック収束後は業績が暗転。発売した呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチンの売り上げが期待外れで、肥満症薬の臨床試験データも失望を誘い、19年のブーラCEO就任時に1株41ドル近かった株価は4日時点で28.58ドルまで下落している。
ブーラCEOの下で同社は相次いで同業他社を買収しているが、一部の投資家からはこの点にも批判が出ている。
米鉱業大手クール、加シルバークレスト17億ドルで買収 銀需要増加で | ロイター
シェル、第3四半期の精製マージン大幅低下 世界的に需要低迷 | ロイター
英石油大手シェルは7日、第3・四半期の精製マージンが前期比で大幅に低下したことを明らかにした。世界的な需要低迷が背景。
化学品・石油製品部門のトレーディング利益も前期比で減少する見通し。
今月31日の決算発表に先立ち業績動向を明らかにした。
第3・四半期の精製マージンは30%近く低下し1バレル当たり5.5ドルとなったもよう。前四半期は7.7ドルだった。
精製マージンは、中国などの景気減速や新たな製油所の稼働開始を受けて、ここ数カ月、世界的に低迷している。
液化天然ガス(LNG)生産量の予測は従来の680万─740万トンから730万─770万トンに引き上げた。
LNGトレーディングの業績は前四半期並みになる見通し。
上流部門の石油・ガス生産量見通しは日量158万─178万バレル石油換算バレルから174万─184万石油換算バレルに引き上げた。
第3・四半期の石油価格は17%下落した。
BP、石油生産の削減目標撤回 エネルギー転換戦略後退=関係筋 | ロイター
英石油大手BPは、2030年までに石油・ガス生産量を削減するという目標を撤回した。投資家の信頼を回復するため、マレー・オーキンクロス最高経営責任者(CEO)がエネルギー転換戦略を後退させることを決めたという。事情に詳しい3人の関係者らが明らかにした。
20年に発表された当初のBPの戦略は、30年までに再生可能エネルギーを急成長させる一方で、石油・ガスの生産量を40%削減するというもので、この分野で最も野心的なものだった。しかし昨年2月には、生産量の目標削減幅を25%に縮小。投資家がエネルギー転換より目先のリターンを重視していることを意識した。
関係筋によると、BPは現在、石油・ガスの生産量を増やすため、中東とメキシコ湾で複数の新規投資案件を検討中だという。
オーキンクロス氏は今年1月にCEOに就任したが、株価下落を食い止めるのに苦慮。現在の戦略で利益を生み出す能力に投資家が疑問を抱いていることから、BPの株価は今年、ライバルを下回っている。
オーキンクロスCEOは、来年2月の投資家向け説明会で、30年までに石油・ガス生産量を削減するという目標の撤回を含む最新の戦略を発表する予定。新たな生産ガイダンスを示すかどうかは不明だ。
米当局が独SAP、キャラソフトの調査範囲拡大-価格操作の疑い - Bloomberg
ドイツのソフトウエア開発企業SAPとベンダーの米キャラソフト・テクノロジーが、価格操作の疑いで米当局の調査を受けている問題で、検察当局が調査範囲を拡大し、両社と約100の政府機関との取引を調べようとしていることが分かった。
1日にボルティモアの連邦裁判所に提出された書類によると、司法省は、SAP製品の取引がある94の政府機関に関する書類と情報の提出をキャラソフトに要求した。同社は、検察当局の要求について、進行中の民事調査の「劇的拡大」と表現した。両社が2014年以降、20億ドル(現行レートで2940億円)余りに相当するSAP技術調達の際、軍やその他の政府機関に過剰請求したかを巡り、すでに調査が行われている。
これまで報道されてこなかったが、調査が米政府機関全体に拡大したことは、テクノロジー業界の大手ベンダーのキャラソフトと、ドイツ企業で時価総額が最大のSAPが直面している法的リスクの程度を示している。多くの調査は、不正行為の正式な告発なしに終了する。
SAPの広報担当ジョエレン・ペリー氏は、同社と米国を拠点とする子会社SAPナショナル・セキュリティー・サービスは、それぞれ22年8月に司法省から文書提出の要求を受け、民事調査に協力していると述べた。
キャラソフトの弁護士ウィリアム・ローラー氏はコメントを控えた。ローラー氏は1日、「キャラソフトとそのビジネスパートナーに関する、裏付けのない幾つかの重大な申し立て」が含まれている」として、民事調査の拡大範囲を記した記録の非公開を裁判官に要請した。
保険株の売り目立つ ハリケーン「ミルトン」が勢力をカテゴリー5に=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
アーチ・キャピタル<ACGL> 108.62(-6.25 -5.44%)
ヘリテージ・インシュアランス<HRTG> 8.90(-3.29 -26.99%)
アメリカン・コースタル<ACIC> 9.43(-1.78 -15.85%)
HCI<HCI> 97.40(-17.99 -15.59%)
ユニバーサル・インシュランス<UVE> 17.87(-3.14 -14.93%)
ルネサンス・リー<RNR> 254.76(-24.93 -8.91%)
キンセール・キャピタル<KNSL> 455.21(-31.73 -6.52%)
きょうの米株式市場で保険株の売りが目立っている。ハリケーン「ミルトン」が勢力をカテゴリー5に強めフロリダ州に向かっている。この地域は2週間前のハリケーン「ヘリーン」による被害でまだ傷跡が残っている状況。ミルトンは同州のメキシコ湾沿岸とタンパを直撃する可能性があり、7年ぶりの大規模な避難を招く恐れがある。
アナリストは「ミルトンのフロリダ半島への上陸が予想されており、ヘリーンがフロリダの平野部を直撃したのと比較すると、人口密集地であるフロリダ半島の西海岸への上陸が予想され、より大きな損害が警戒される」と述べている。
ミルトンは1月1日の更改期における財産災害リスクの価格設定環境に何らかの影響を及ぼす可能性があると考えているという。
●日本企業
農林中央金庫がドル建て債発行を計画、巨額損失の計上発表後初 - Bloomberg
農林中金のドル建て債のスプレッドは、財務基盤強化に向けて資本増強を実施する方針を5月に明らかにした後に急拡大した。ブルームバーグのデータによると、28年に満期を迎えるドル債のスプレッドは5月中旬の75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から一時140bp程度まで拡大した。
ただ、同債のスプレッドは7日に121bpに縮小。ブルームバーグ指数によれば、米国の高格付け債のスプレッドは4日に約3年ぶり低水準まで縮小している。
●米大統領選挙
インタビュー:米民主党、アラブ系有権者の票失いつつある=緑の党候補スタイン氏 | ロイター
【社説】トランプ氏の実績アピール、本人より巧みなバンス氏 - WSJ
アングル:近づく米大統領選、過激さ増すトランプ氏の移民批判 | ロイター
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
住宅インフレと移民の関連は「論理的推論」=ミネアポリス連銀裁 | ロイター
米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は7日、住宅価格上昇と移民との関連を問われ「人口が増えれば住宅需要も増えるという論理的推論であり、それ以上の詳細な分析は目にしていない」と述べた。共和党の副大統領候補J・D・バンス上院議員の、住宅価格上昇は移民と関連しているという主張を巡り質問を受けた。
カシュカリ氏はまた、住宅インフレのもう一つの要因はコロナ禍以降のサプライチェーンの混乱や労働力不足、在宅勤務の増加だとも指摘した。
●先進国経済指標
ドイツ鉱工業受注、8月は前月比-5.8% 予想大幅に下回る | ロイター
ドイツ連邦統計庁が7日発表した8月の鉱工業受注指数(季節・日数調整済み)は前月比5.8%低下と、予想を大幅に下回った。
今後数カ月、製造業の回復が見込めないとの見方が改めて強まった。
ロイターがまとめた市場予想は2.0%低下だった。
コメルツ銀行のシニアエコノミスト、ラルフ・ソルヴェーン氏は「きょうのデータは、ドイツの工業製品に対する需要が引き続き弱くなっていることを裏付けている。今年後半のドイツ経済が、良くて停滞状態であることを示唆するものだ」と指摘。
ドイツ経済が回復するのは来年以降で、それも非常に緩やかなものになるだろうと語った。
7月に輸送機器(航空機、船舶、列車、軍用車など)の大型受注があったことが8月の指数低下の一因。
8月の鉱工業受注指数は、大型受注を除くベースでは前月比3.4%低下だった。
7月の同指数は2.9%上昇から3.9%上昇に上方修正された。一部の事業所が遅れて大量の受注を報告したことが原因。
6─8月は前期比3.9%上昇。
8月は海外からの受注は前月比2.2%減少した。ユーロ圏外からの受注は3.4%増、ユーロ圏内からの受注は10.5%減少した。
VP銀行のチーフエコノミスト、トーマス・ギッツェル氏は「G7(主要7カ国)諸国の中で、ドイツは国内総生産(GDP)に占める輸出の割合が最も高く、海外からの受注に大きく依存しているとし「ここが不振であれば、経済全体が苦しむことになる」と語った。
先週発表のドイツの9月のHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は1年ぶりの低水準。生産、新規受注が大幅に減少し、雇用も縮小した
●金融市場、先進国トピックス
ドイツ不動産取引、1─9月は若干増加 底打ちの兆しか | ロイター
不動産会社JLLが7日発表したデータによると、1─9月のドイツの不動産取引額はわずかながら増加した。ただJLLは、回復は緩やかなものにとどまると慎重な見方を示している。
1─9月の投資用不動産の取引額は前年同期比5%増の234億ユーロ(約256億6000万ドル)。過去数十年で最悪とされる不動産危機を経て、底打ちの兆しが出てきている。
JLLは、欧米の利下げが状況の安定に寄与していると指摘。
しかし、JLL(ドイツ)のリサーチ責任者、ヘルゲ・ショイネマン氏は「取引の急増にはつながらないだろう。緩やかな回復を期待するだけだ」と話した。
欧州、特にドイツの不動産はかつて、金利の低下で需要が喚起され、活況を呈してきた。しかし、その後は金利と建築費の急激な上昇を背景にデベロッパーの経営が悪化、不動産危機に陥った。
英財務相、政府借り入れに歯止め トラス・ショック再発防止で | ロイター
英労働党が政権を奪還して最初となる年間予算案の発表を30日に控え、リーブス財務相はインフラ投資などに当てる政府の追加借り入れが過大になるのを確実に防ぐ歯止めを導入すると表明した。4日夜に公開された英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビュー記事の中で話したもので、歯止めを「ガードレール」に例えた。
英公的債務の残高は国内総生産(GDP)のほぼ100%に達している。投資家は、財務相が一定程度の増税とともに政府借り入れをどの程度拡大するのかを注視。英国債利回りは過去数週間にわたり、増発懸念から他国の国債よりも高い水準で推移している。
こうした中、財務相は「長期的に慎重で賢明な投資を行う」と説明し、そのための国債増発には歯止めとなる「ガードレールが必要だ」と言明。増発を懸念する投資家に安心感を与えることを狙った。
財務相によると、歳出と税制案の根拠となる予測を行う予算責任局(OBR)と、支出を監視する会計検査院(NAO)が民間投資の呼び水ともなる公共投資計画を精査する。「投資が本当に成長を後押しすることを確認する」と述べた。
また財務相は、財政逼迫に言及し、スナク前政権が予算削減を示唆していたが、そうした事態を回避するためには増税が必要だと述べた。
さらに財務相は「緊縮財政には戻らない見通しだ」と述べ、「この予算の目的は、過去から続く問題を一掃し、歳出圧力と税収について正直な評価を行うことだ」と強調。さらに「前政権は虚構に頼っていた。今度の予算は財政に正直さをもたらす機会だ」と述べた。
スターマー首相と財務相が警戒するのは、かつてのトラス政権(保守党)が引き起こした「トラス・ショック」の二の舞だ。2022年にトラス政権は財源の裏付けなしに大型減税策を打ち出し、英国債相場が急落(長期金利は急騰)し政権は短命に終わった。
スターマー政権は経済成長の加速を掲げる。インフラや温室効果ガスの正味ゼロ経済への公共投資の増加を公約しており、財務相が取りまとめる来年度予算案は公約達成に向けた試金石となる。
ドイツ成長予想、24年-0.2%に下方修正 25年は引き上げ=経済省 | ロイター
ドイツ経済省は2024年の経済成長率見通し(インフレ調整後)を従来のプラス0.3%からマイナス0.2%に下方修正する方針だと、南ドイツ新聞日曜版が伝えた。9日に発表するという。
23年は0.3%のマイナス成長だった。
一方で同紙は、同省が政府による一連の成長刺激策を見込み、25年の成長率予想を1%から1.1%に引き上げ、26年は1.6%と予想する予定と伝えた。
ハーベック経済相は同紙に、やるべきことはまだたくさんあるが、政府の成長策が完全に実施されれば経済は今後2年で「かなり力強い成長」を示すだろうと予想。それには全ての州・地域の支援が必要だと述べた。
経済省はハーベック氏の発言を確認したが、それ以上のコメントは控えた。
ヘッジファンド、15年ぶり大幅下落の直前に円を買い越し - Bloomberg
ポンド10%下落も、G10最強通貨の信頼崩れる-積極的な利下げ観測で - Bloomberg
金の延べ棒がコストコで飛ぶように売れる、金相場は最高値更新でも - Bloomberg
金相場が今年に入って史上最高値を繰り返し更新する中、米会員制量販会社コストコホールセールでは、全米の店舗で金が飛ぶように売れている。
コストコでは「ワンストップショッピング(1カ所で何でも買いそろえられる)」という利便性に加え、従来の貴金属ディーラーよりも安い価格で、かつ最も忠実な顧客には追加の特典を提供することで、金の購入を身近なものにしている。
「全体として素晴らしい経験だ」と言うのはニュージャージー州に住むアナリティクスエンジニアのスーラブ・セティアさん(33)。「私は以前に購入したことがあるため、金の延べ棒が入荷するたびに、コストコから電話がかかってくる。価格が下がっているのを見ると、コストコに急いで買いにいく」と話した。
セティアさんが両親と9月28日に地元のコストコを訪れた際、その店舗ではインドの祭り「ディワリ」を記念する刻印が付いた1オンス(約28グラム)の金塊を宣伝してた。店員に誘導されて店の中央に行ってみると、そこには金がガラスのショーケースに陳列され、2699.99ドル(約40万円)という価格が小さく表示されていた。セティアさんはこの時には購入しなかったが、過去4カ月にこの店舗で2本の延べ棒を購入している。インフレ対策が目的だ。
こうしたセティアさんの例は、金が最高値を更新しているにもかかわらず、金を量販店で買う消費者が増えているというより大きなトレンドを反映している。コストコは金の販売に関してあまり明らかにしていないが、ブルームバーグの調査では、金を陳列棚に確保しておくことが同社にとっていかに難しいかが示された。全米46州の101店舗への電話調査に基づくと、金の延べ棒を在庫として置いているコストコ店舗のうち約77%は10月の第1週に売り切れとなっていた。調査対象となった店舗は全て、数週間前に金を仕入れたばかりだった。
金スポット価格は年初から30%近く上昇し、最高値を更新し続けている。金は最もパフォーマンスが好調なコモディティーの一角となっているだけでなく、米国株や債券をもアウトパフォームしている。こうした金急騰の原動力となっているのは、地政学的および経済的な不確実性の局面における安全資産としての魅力に加え、富を守るための分散投資としての役割だ。先月には米金融当局の利下げを背景に、金は1オンス=2600ドルを突破した。利回りを生まない金は低金利の環境で上昇する傾向がある。
半面、米国では金銭的に苦しい消費者が、金の値上がりに乗じて現金を手に入れようとしている兆候も見られ、ニューヨークの質屋や宝飾店には売り込み客が殺到している。米造幣局のデータによると、小売り購買動向の指標である「アメリカン・イーグル」金貨の販売は1-9月に前年同期比64%急減した。
MKS・PAMPの金属戦略責任者、ニッキー・シールズ氏は、消費者の金購入市場においてコストコは「明るい材料だ」と指摘。「小売り購入者の新たな層が現れている」とし、「コストコが貴金属市場に新たな買い手を呼び込むことに成功しているという事実を踏まえれば、これは中長期的にポジティブな傾向だと考える」と述べた。
●中東情勢
【社説】ハマスのイスラエル奇襲、1年後の教訓 - WSJ
【社説】イランの核施設を守るバイデン氏 - WSJ
●エマージング
ゴールドマン、急騰する中国株はさらに20%上昇も-政策支援に期待 - Bloomberg
中国、10日の台湾総統演説後に軍事演習の可能性=関係筋 | ロイター
ロシア主要国営メディアに前例のないサイバー攻撃=大統領府 | ロイター
ロシア「死の商人」復活 フーシ派に武器売却か - WSJ
インドネシア次期大統領、債務の対GDP比の漸進的引き上げ志向 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
ハリケーン「ミルトン」、カテゴリー5に発達-フロリダ西岸に上陸か - Bloomberg
ハリケーン「ミルトン」は5段階で最上位の「カテゴリー5」に勢力を拡大し、米フロリダ州西部の海岸線に向かっている。ハリケーン「ヘリーン」の被害からまだ回復していない同地域では住民が内陸部へと避難し始めている。
ミルトンの最大風速は時速160マイル(秒速およそ72メートル)に達したと、米国立ハリケーンセンター(NHC)が発表した。
ハリケーンの影響で風が強まり、建物を破壊、木をなぎ倒し、停電を引き起こす恐れががあるという。しかし、ハリケーンが最大勢力を長く維持するのは難しいため、ミルトンはフロリダ州に近づくにつれて勢力を弱める可能性がある。カテゴリー5のハリケーンが米本土を直撃したのは、2018年にフロリダ州北西部のパンハンドル地域を襲った「マイケル」を含めて4回だけだ。
ミルトンの厳密な上陸地点はまだはっきりしていない。コンピューター予測モデルはさまざまな結果を示しており、NHCによれば、上陸前の数日間は100マイルもの誤差が生じる可能性がある。アキュウェザーの気象学者、タイラー・ロイズ氏によると、ミルトンは9日午後5時から9時の間に上陸する可能性が高い。
ミルトンの勢力が急発達しているのは、メキシコ湾の海水温が高いためだ。これは約2週間前にへリーンの勢力拡大にもつながった。ロイズ氏によれば、フェニックスと米南西部全域で記録的な高温をもたらしている高気圧帯が、ミルトンをメキシコ湾の西側から東側への横断という特異な進路に向かわせるのに影響している。1900年以降、このような進路をとった熱帯低気圧はない。
●その他
めがねにも「格差」、進む二極化 フレーム10万円超も 値札の経済学 - 日本経済新聞
職場参観、友人も恋人も JTBやリクルートが対象拡大 - 日本経済新聞
石破内閣の組閣記念写真「軽微な編集処理」 林芳正官房長官 - 日本経済新聞
オリックス中嶋聡監督が退任表明「慣れの部分出た」 慰留を固辞 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(7日)ドル対円で下落、イールドカーブ逆転・株下落 | ロイター
ドルは円に対して0.49%下落し、147.98円となりました。これは日本の三村淳財務官が為替市場を注視していると述べた影響です。一方で、ドルは地政学的懸念のため安全資産と見なされ、他の通貨に対しては堅調な動きを見せています。
ドル指数は102.46で、前週の高値102.69からわずかに下落しましたが、依然として7週間ぶりの高水準です。
米国債利回りは上昇し、10年債利回りが約2カ月ぶりに4%を超えました。また、2年債と10年債の利回りが逆転し、一時的にイールドカーブが逆転しましたが、最終的に戻しました。
これらの動きは、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に対する期待や、今後の入札に向けた投資家の準備を反映しています。
下落の要因には、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測の後退や、中東紛争による原油価格への影響に対する懸念が挙げられます。
アルファベット(グーグル親会社)の株価は、アンドロイドスマートフォンのモバイルアプリ事業の見直しを求める判決が出たことで2%以上下落。これが市場センチメントを悪化させました。
アマゾンとアップルもそれぞれアナリストの評価を受けて株価が下落。アマゾンは3%、アップルは2.3%安でした。
エネルギーセクターのみが上昇しており、これは中東の供給混乱による原油価格の上昇を受けたものです。
ファイザーは、スターボード・バリューが約10億ドル相当の株を取得したという報道を受け、2%以上上昇しました。
金先物は、米国の大幅な利下げ期待が後退したことで続落しました。12月物の清算値は、前週末比1.80ドル(0.07%)安の1オンス=2666.00ドルとなりました。
米原油先物は、中東情勢に対する警戒感が続く中、5営業日連続で上昇しました。米国産標準油種WTIの11月物の清算値は、前週末比2.76ドル(3.71%)高の1バレル=77.14ドルとなり、約1カ月ぶりの高値を記録しました。12月物は2.79ドル高の76.47ドルでした。
欧州市場サマリー(7日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちの動きで取引を終えました。FTSE100指数は石油・ガス株の買いが優勢となり上昇しましたが、貴金属株の下落で上げ幅が抑えられました。FTSE250指数は0.22%下落しました。
中東の紛争拡大や主要産油地域の輸出混乱への懸念で原油価格が上昇し、FTSE350石油・ガス株指数は2.01%上昇しました。シェルは精製マージンの低下予想にもかかわらず2.3%高、BPはエネルギー転換戦略の後退が報じられ1.3%上昇しました。
一方、米国の雇用統計が堅調だったことから、貴金属株指数は3.71%下落し、エンデバー・マイニングはブルキナファソの採掘許可取り消し懸念で5.6%下げました。
欧州株式市場は小幅に続伸して取引を終えました。デンマークの洋上風力発電企業オーステッドが、ノルウェーの石油大手エクイノールによる株式取得を受けて6.0%上昇し、銀行株も堅調でした。STOXX欧州600銀行株指数は0.99%高となりましたが、不動産株指数は金利敏感な動きで1.41%下落し、上昇を抑える要因となりました。
ドイツのDAX指数は0.09%下落。8月の鉱工業受注指数が予想を大幅に下回り、経済省も2024年の経済成長率をマイナス0.2%と下方修正しました。 
個別銘柄では、フランスの高級ブランドエルメス、LVMH、ケリングが1.1%から4.6%上昇し、中国の景気刺激策への期待が背景とされています。また、スイスのリシュモンはユークス・ネッタポルテをドイツ企業に売却することで合意し、2.0%上昇しました。
ユーロ圏の国債利回りは上昇しました。米国の9月雇用統計が予想を大幅に上回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和のペースを緩めるとの見方が強まり、これが利回り上昇の一因となりました。
指標となるドイツ10年国債利回りは4ベーシスポイント(bp)上昇し、2.258%となり、1カ月ぶりの高水準に達しました。FRBが50bpの利下げを行う可能性は雇用統計の結果でほぼ消え、25bpの利下げが有力視されています。
一方、欧州中央銀行(ECB)は来週の理事会で25bpの利下げが予想されており、ドイツ2年債利回りも4bp上昇しました。イタリア10年債利回りは5bp上昇し、独伊10年債利回り格差は130bpとなっています。

備忘録(2024/10/4-6
●海外企業決算
●海外企業
●日本企業
●米大統領選挙
トランプ氏、暗殺未遂現場で再び集会 マスク氏も投票訴え | ロイター
アングル:米大統領選で浮上のチップ非課税案、激戦州ネバダでは関心呼ばず | ロイター
ハリス氏、アラブ系米国人指導者と会談へ 支持回復目指す | ロイター
トランプ氏、大統領選結果受け入れ拒否も バイデン氏が警告 | ロイター
トランプ氏「ダイモン氏が支持」投稿 JPモルガンは否定 - 日本経済新聞
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
米雇用統計「素晴らしい」内容、今後も利下げ継続=シカゴ連銀総裁 | ロイター
米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は4日、この日発表された雇用統計について「素晴らしい」と評価した上で、こうした報告がさらに続けば、米経済が完全雇用と低インフレの状態にあるとの自信が高まるとの見方を示した。ブルームバーグTVとのインタビューで語った。
それでも、グールズビー氏は、雇用市場は幅広い指標から見て冷え込んでおり、インフレ率が連邦準備理事会(FRB)の目標をアンダーシュートする兆候さえあると指摘。今のような状況を今後も維持するよう努める必要があるとの考えを示した。
FRBの政策金利は大半の当局者が最終的な「均衡点」と見なす水準をはるかに上回っており、今後12─18カ月で大幅に引き下げられる必要があると言及した。
ヤフー・ファイナンスのインタビューでは「われわれの目標は、インフレ抑制と失業率低下という二重の使命を両立した状態をほぼ現状のまま維持することだ」とし、「それが中銀にとって最も難しい」と述べた。
また、FRBの政策金利は「このような状況が続けば、来年末までにかなり低くなる公算が大きい」との見方を示した。
欧州労働市場、冷え込みの兆候 成長低下も=ポルトガル中銀総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのセンテノ・ポルトガル中銀総裁は4日、欧州の労働市場は冷え込み始めており、投資や成長の水準低下につながる恐れがあるとの見方を示した。ユーロ圏のインフレは抑制されているとも述べた。
スペインのラトハで開かれた会議で、「欧州の成長問題は中心的課題だ。現在、労働市場に最初の疑念が生じ始めている」と述べた。
欧州企業の求人数は2年前より20%少なく、新規雇用者数は2022年第2・四半期のピークより10%少ないと指摘。「偶然にもこれはECBが利上げを開始した時期と重なる」と語った。
「労働市場の動向はやや冷え込んでおり、これはわれわれが懸念すべき最初の数字だ」と述べた。
「経済サイクルの現段階では、ユーロ圏のような規模の経済が投資なしにその(成長の)将来を考えることは不可能だ」との認識を示した。
「インフレは制御されている」とし、ECBの決定が中期的に2%のインフレ率を達成するためのものであり、金利の決定は予測可能であるべきということを「非常にうまく伝える必要がある」と述べた。
●先進国経済指標
●金融市場、先進国トピックス
米韓が新協定で合意-在韓米軍の駐留経費負担 - Bloomberg
米利下げキャンペーン、年内は終了も-力強い雇用統計受けヤルデニ氏 - Bloomberg
ウォール街のベテランでヤルデニ・リサーチ創設者のエド・ヤルデニ氏は、4日に発表された9月の米雇用統計が力強い内容となり、経済の粘り強い底堅さを浮き彫りにしたことで、米金融当局の緩和キャンペーンは年内は終了した可能性があるとの見解を示した。
その上で、原油相場が反発し、中国が経済のてこ入れを目指す状況にあって、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局がさらなる緩和を進めれば、インフレ高進を招くリスクがあると指摘した。
また、米経済が好調でS&P500種株価指数が最高値近辺で推移している点を踏まえれば、9月の0.5ポイント利下げ決定は「必要なかった」との認識を示した。
ヤルデニ氏は米金融当局について、「彼らにはさらに行動する必要はない。幾人かの当局者はやり過ぎたことを後悔するのではないか」と、電子メールで質問に答えた。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)とJPモルガン・チェースは11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利下げ幅見通しを0.25ポイントと、以前の0.5ポイントから下方修正した。将来の会合の結果に連動したスワップ契約でも同様の動きが見られる
それでも、米金融当局が年内は完全に利下げを打ち止めとするとの予想は、控えめに言っても例外的だ。投資家の多くは先月の利下げについて、一連の積極的な引き締めで政策金利を二十数年ぶりの高水準に引き上げた後、インフレ鈍化を受けて政策を正常化する一歩と捉えている。
ただ、BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者、イアン・リンジェン氏も11月の利下げ見送りの可能性について考えている。リンジェン氏は0.25ポイント利下げを基本シナリオとして維持しつつも、同月6、7両日の会合前に発表される雇用統計やインフレ統計が政策の軌道を決定づけるとみている。
10月の雇用統計が比較的力強い内容となり、インフレ率にも鈍化に向けた一層の進展が見られなければ、金融当局は当面、追加利下げを控える可能性があるとリンジェン氏は指摘した。
「本塁打」級の米雇用統計、FRBの肩の荷軽減-労働市場の懸念後退 - Bloomberg
JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏が「本塁打」と呼んだ統計発表を受け、金融当局が9月の0.5ポイント利下げに続き、11月6、7両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合でも大幅利下げを検討するとのエコノミストや投資家の観測はほぼ直ちに減退した。
以前は大幅な追加利下げを予想していたフェローリ氏だが、4日の顧客向けリポートでは、「今日の発表で米金融当局の仕事も比較的容易になるだろう。われわれは現時点で0.25ポイントの利下げ路線を予想している」とコメントした。
このほかにも、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米国担当シニアエコノミスト、アディトヤ・バビ氏は11月の利下げ幅見通しを0.25ポイントに切り替え、BNPパリバの米国担当シニアエコノミスト、エレーナ・シュルヤティエバ氏も「落ち着いたペース」での利下げを見込むとしている。
シュルヤティエバ氏は顧客向けリポートで、「9月の雇用者数の大幅な伸び加速や失業率の低下は、過去数週間の米経済指標で示された広範な力強さと相まって、底堅さを新たに裏付けるサインとなり、ソフトランディング(軟着陸)の根拠を強める」との見方を示した。
ウォール街の景気悲観派に再び痛手-雇用者数伸び急加速の米雇用統計 - Bloomberg
アングル:消える1ドルショップ、低所得層が「買い物難民」に | ロイター
米テネシー州ナッシュビルで暮らすラトリナ・ベグリーさん(37)は、6人いる娘の1人とほぼ毎日、自宅がある丘を下って1ドルショップの「ファミリー・ダラー」で買い物をしてきた。連邦政府が資金提供している「補助的栄養支援プログラム=SNAP(旧フードスタンプ)」を利用し、ジャンクフードの「ホット・ポケッツ」や冷凍ピザ、あるいは牛乳などの必需品を購入していた。
ところが、この店舗は今年閉店した。8200店を運営するダラー・ツリーが収益改善のため閉鎖を決めた約1000店舗の1つだった。
コロナ禍が終わってSNAP向け予算が削減された影響で、ファミリー・ダラーは売上高が落ち込んでいた。
小売調査会社HSAコンサルティングの分析によると、ファミリー・ダラーでの買い物は100ドル当たり11ドルをSNAP利用分が占める。
ファミリー・ダラーがなくなったことで、ベグリーさんは1マイル(約1.6キロ)圏内の小売店がコンビニエンスストア数店だけになった。いずれも彼女にとって価格帯が高すぎる。
彼女が住む辺りは歴史的に黒人が多く、全体的に所得が低く、新鮮で手頃な価格の食料品は入手しにくい。農務省は「買い物難民地域」に指定している。
ベグリーさんは「私や家族にとって状況は厳しさを増している。仕事帰りにどこかに立ち寄れないと、夕食用に何も手に入らなくなる」と話す。
今のところ母親に子どもの世話を頼み、何とかしのいでいるが、それがなければ食料配給所に駆け込まざるを得なかったという。
ロイターがSNAP利用可能店舗の位置データを分析したところ、閉鎖された1000店近くのファミリー・ダラーの大半はウォルマートなど他の低価格路線の小売業者と競合する地域だった。
しかし、このうち15店が展開していたのは、ベグリーさんが住む地域を含めて貧困率が高く、1マイル以内にコンビニかドラッグストアしかない都市近郊だった。
SNAPを利用しているベグリーさんのような貧困世帯にとって、長引く物価高に続くファミリー・ダラーの閉店は、食料品の購入環境をさらに悪化させる事態だ、と複数の専門家や学者、地域指導者らはロイターに語った。
コンビニやドラッグストアの食料品価格は1ドルショップに比べるとかなり高くなる傾向にある。1ドルショップは低価格の自社ブランドを幅広く提供し、利幅の薄さを販売数量で補う戦略を採用している。
ダラー・ツリーの広報担当者は、宅配アプリのインスタカート経由でファミリー・ダラーに食料品を注文すればSNAPが利用できると説明する。しかし食料品の価格は店舗よりも高くなる傾向があり、配送とサービスの料金支払いにSNAPは使えない。
タフツ大学フリードマン栄養科学政策大学院のショーン・キャッシュ教授は「こうした地域では人々が買い物場所を奪われつつあり、食料品へのアクセスが一段と困難になろうとしている」と指摘する。
<狭まる選択肢>
米国で家族4人の世帯の年収で見た「貧困ライン」は3万ドル。農務省は、人口調査標準地域のうち20%超の年収がこれより少ない場所を低所得地区とみなしている。
ファミリー・ダラーの閉店により、こうした低所得層がまだ近隣で営業を続けるコンビニや雑貨店、ガソリンスタンドの併設小売店などで買える商品は今までよりもずっと少なくなる。
例えばファミリー・ダラーで4.95ドルで売られているホットドッグは、ウォルグリーンだと5.99ドル。はちみつ味のオーツ麦シリアルは、シェルのガソリンスタンドが5.99ドルだが、ファミリー・ダラーなら3.75ドルで手に入る。
ファミリー・ダラーのほとんどの店で生鮮食品は置いていないが、ほかに買い物先が乏しい低所得層は閉店で選択肢がさらに狭まってしまう。ファミリー・ダラーには、安価な洗剤や台所せっけんなどの家庭用品もある。
ナッシュビルで低所得層に食料を配給する非営利団体、ナッシュビル・フード・プロジェクトのC・J・センテル最高経営責任者(CEO)は「1ドルショップ閉店によって、既に存在する問題が深刻化している」と話す。ファミリー・ダラーの2店が閉店したナッシュビル北部には幾つかの雑貨店などが残るものの、そこでは牛乳さえ売っておらず、食料品を扱う店も極めて少ないため、食料品へのアクセスは一層悪化すると警鐘を鳴らす。
ストリート新聞「コントリビューター」販売を仕事にしているスタンリー・チェースさん(64)も、ナッシュビル北部のファミリー・ダラーを閉店まで頼りにしていた1人。自身が住む市営住宅から0.5マイルほどにあり、そこで買った缶詰や肉、卵、牛乳で食事を整えてきた。
退役軍人で車いす生活のチェースさんは、自家用車を持っておらず、SNAPを生活の足しにしている。これからは1時間かけてバスでスーパーのクローガー(KR.N), opens new tabを利用しなければならず、行けない場合は近くのコンビニで8ドルもするホットドッグを買わざるを得ない。価格はファミリー・ダラーの2倍以上だ。
新聞を買ってくれる人からもらうスナック菓子などで次にスーパーに行けるまで空腹を満たすこともあると話す。
別の非営利団体、ローカル・セルフ・リライアンスによると、シカゴやタルサ、オクラホマなど61の自治体は2019年以降、地元の中小食料品店の保護を目的として1ドルショップの展開を制限する法律を導入した影響で、1ドルショップが利用しにくくなっている。
米国全体では1ドルショップは急成長しており、ファミリー・ダラーを手がけるダラー・ツリーと、より大手のダラー・ゼネラル(DG.N), opens new tabが運営する店舗は合計で3万7000近くに上る。
ファミリー・ダラーは2008年の景気後退を機に売上高が急増。パンデミック期も、SNAP拡充で消費者の懐が潤ったことから、食料品だけでなく玩具や衣料品などもよく売れた。
しかし今年3月、ダラー・ツリーは向こう半年で約600店を閉鎖し、さらに370店についてはリース契約満了とともに店を閉めると発表。2月初めから8月初めまでで、既に657店が閉鎖されている。
世界食料価格指数、9月は上昇 砂糖の急騰で=FAO | ロイター
世界的な供給網圧力、9月は低下 港湾スト終結で改善へ=NY連銀 | ロイター
米ニューヨーク連銀は4日、9月のグローバル・サプライチェーン・プレッシャー・インデックス(GSCPI)が0.13に低下したことを発表した。同指標は4月のマイナス0.96から8月は0.2と上昇基調にあった。
米港湾ストライキの終結を受け、世界のサプライチェーン(供給網)圧力が緩和し、インフレの減速が続く公算が大きいとみられる。
新型コロナウイルスのパンデミックの発生当初にみられたサプライチェーンの混乱を背景に、2022年に米国のインフレ率は約40年ぶりの水準に高騰。市場では、米港湾ストライキの長期化によりインフレが再燃し、連邦準備理事会(FRB)が利下げ路線を継続できなくなるとの懸念が広がっていた。
米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は4日、ブルームバーグTVとのインタビューで、この日に発表された雇用統計について「現実的に言って、経済に関してこれ以上良い内容は望めない」と表明。港湾ストライキの終了も相まって、「この2つは経済にとって非常に良いニュースだ」との考えを示した。
FRBの大幅利下げ観測後退、好調な雇用統計受け | ロイター
米9月雇用25.4万人増、失業率4.1%に改善 年内大幅利下げ観測後退 | ロイター
米労働省が4日発表した9月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比25万4000人増で予想(14万人増)を大幅に上回り、過去6カ月で最大の伸びとなった。失業率も改善し、経済がなお勢いを維持している状況が示されたことで、米連邦準備理事会(FRB)が年内に大幅利下げを実施する公算は小さいとみられる。
失業率は4.1%で、前月の4.2%から低下した。
時間当たり平均賃金は前月比0.4%、前年比4.0%、それぞれ上昇した。
8月の非農業部門雇用者数は14万2000人増から15万9000人増に上方修正され、7・8月分は計7万2000人増となった。
一方、9月の週平均労働時間は34.2時間と、8月の34.3時間から減少した。
エコノミストらは、賃金上昇によるインフレ再燃を懸念していない。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、マイケル・パグリーズ氏は「9月の堅調な動きが、現在のインフレ下降傾向を崩すリスクになるとは考えていない。労働市場の基調は依然として緩やかな鈍化に向かっているようだ。生産性の伸びが上向くことで、労働市場から生じるインフレ圧力がさらに和らぐだろう」と述べた。
LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「堅調な」結果とし、「次の四半期も経済がトレンドを上回る成長を続ける可能性が高まった」と指摘。「FRBが今後数回の会合で0.25%ポイントの利下げを実施するというのがわれわれの基本シナリオだ」と述べた。
ただ、先週米南東部を襲った大型ハリケーン「へリーン」や、米ボーイングおよび米港湾でのストなどの影響が10月の米雇用統計に及ぶ可能性がある。
業種別では、レストラン・バーでの雇用が6万9000人増加し、全体の伸びを主導した。ヘルスケア関連は4万5000人増、建設は2万5000人増。政府も3万1000人増加した。
大半の業種で、雇用者数の増加はレイオフ件数の減少を反映している公算が大きい。
複数の仕事に就いている人は12万1000人増加した。失業率の低下は雇用が43万人増加し、労働力人口に加わった15万人を吸収したことを反映している。
経済の雇用創出能力の尺度とされる就業率は60.2%に上昇した。8月は60.0%だった。経済的な理由からパートタイムで働く人が減少した。
TDセキュリティーズの米国マクロストラテジスト、オスカー・ムニョス氏は「労働市場は数カ月間混乱したが、安定を取り戻しつつある」と述べた。
雇用統計を受け、市場ではFRBの大幅利下げ観測が後退。CMEのフェドウォッチツールによると、11月の0.25%ポイント利下げの確率は71.5%から91%に上昇。一方、0.5%ポイント利下げの確率は約28.5%から9.0%に低下した。
ドル/円が148円後半に上昇 強い米雇用統計受け 来週の物価指標も焦点 | ロイター
日銀、よぎる18年前の記憶 意外に高い利上げのハードル 編集委員 小栗太 - 日本経済新聞
●中東情勢
対イラン報復、適切なタイミングで実施 イスラエル軍報道官 | ロイター
世界各地で反戦デモ、10月7日控え ガザ・中東戦闘に抗議 | ロイター
ハマス、ヨルダン川西岸の指導者死亡を確認 3日の大規模攻撃 | ロイター
米軍、イエメンのフーシ派を攻撃 フーシ派「不屈の精神を堅持」 | ロイター
米軍は4日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に関連する標的に対し15回の攻撃を実施したと明らかにした。
中東地域を管轄する米中央軍は、1400GMT(日本時間午後11時)頃にフーシ派を標的に攻撃を行ったと表明。ただ、詳細は明らかにしていない。
これに先立ち、フーシ派が運営するアルマシラTVは、首都サヌアや西部ホデイダにある空港などが空爆を受けたとし、米軍と英軍が実施したと報道。これについて英政府筋は、英国は関与していないとしていた。
アルマシラTVによると、ダマール市南部も攻撃対象となった。地元住民らの話では、中部アルバイダではフーシ派の軍事拠点数か所が標的になったという。
フーシ派の報道官は、攻撃を「必死の試み」と非難し、「イエメンはこれら攻撃に屈せず、敵と対峙(たいじ)する不屈の精神を堅持する」と述べた。
イラン、レバノン停戦を条件付きで支持 外相がベイルート訪問 | ロイター
イラン石油施設攻撃以外の選択肢探る、米大統領 イスラエルの立場なら | ロイター
●エマージング
中国不動産オフショア債に投資家回帰、大型経済対策で先行きに明るさ | ロイター
中国の不動産会社が発行したオフショア社債の取引に、海外や中国の一部機関投資家が再び参入しつつある。経済成長てこ入れと不動産セクター立て直しに向けた政府の取り組みが加速し、先行きが明るくなったとみられているためだ。
1日に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後で最も踏み込んだ景気刺激策が発表されると、投資家が市場に戻り始めた。
アナリストの間では、近いうちに不動産セクターが持ち直すかどうか見方は分かれている。
それでも北京Gキャピタル・プライベート・ファンド・マネジメント・センターのリー・ジェン会長はここ数カ月で初めて「数千万元」相当の不動産社債の買い注文を入れたと明かした。
リー氏は「われわれは不動産セクターを復活させる(政府の)決意を目の当たりにした」と話す。
不動産社債の中では、デフォルト(債務不履行)を起こしていない万科企業や龍湖集団などの値上がりが目立った。
デュレーション・ファイナンスのデータによると、万科企業の2027年11月償還ドル建て債は1日の刺激策発表前は額面1ドル当たり0.49ドルだったが、3日には一時0.70ドルに上昇。龍湖集団の27年4月償還債は同じ期間に0.75ドルから0.84ドルに上がった。
デフォルトに陥った碧桂園のドル建て債も約0.02ドル値上がりした。
香港に拠点を置くヘッジファンド、エンハンスト・インベストメント・プロダクツのジェーソン・ジアン最高投資責任者は、万科企業の27年償還ドル建て債の保有を増やしていると明かした上で「株式の方が反発余地は大きくなる可能性があるが、万科の社債はより安全な利幅を提供してくれる」と説明。7日までの国慶節の大型連休後に発表される住宅販売統計が、市場の次の方向を決める要因になるかもしれないとの見方を示した。
中国住宅販売、国慶節連休中に増加 景気刺激策受け=国営メディア | ロイター
中国国営メディアは5日、9月下旬以降に相次いで打ち出された不動産支援策を受け、国慶節(建国記念日)の連休中の住宅販売が増加したと伝えた。
中国国営中央テレビ(CCTV)によると、1日からの連休中に物件見学数が大幅に増加した。また、程度の差はあるものの、各地で販売が増えたという。
CCTVが住宅都市農村建設省の情報として伝えたところによれば、50都市以上が不動産市場支援策を導入し、1000社を超える不動産会社による約2000の開発プロジェクトが販売促進に参加した。販促に参加した大半のプロジェクトで訪問者数が前年比50%以上増加したという。
21世紀経済報道は、南部深センで多くの不動産販売事務所が夜通しで買い手を勧誘し、物件の取引と見学者数が「大幅に増加」したと伝えた。
中国は先月、コロナ禍以来の規模となる景気支援措置を発表した。また、広東省広州市は住宅購入に関する全ての制限を撤廃。上海と深センは地元住民以外の住宅購入に関する制限を緩和し、初めて住宅を購入する人の最低頭金比率を15%に引き下げると発表した。
ロシア、カザフ産穀物の通過を実質禁止 石油など波及に懸念 | ロイター
カザフスタン政府当局者は3日、ロシアがカザフ産穀物の輸入と通過を事実上禁止し、植物衛生に関する規則違反が理由としていることについて、証拠を示すよう求めたことを明らかにした。
ロシアの農業規制当局は今週、カザフ産の穀物、穀物製品、ヒマワリの種、トマトなどの植物検疫証明書の発行を停止すると発表。9月23日付で有効とした。証明書がなければ、これらの産品をロシアに合法的に輸送することはできない。
ロシアは石油やウランなどカザフの他の輸出品にとっても重要な経由国で、両国の貿易摩擦は市場関係者にとって懸念材料になる可能性がある。
両国はともに穀物の純輸出国だが、カザフは主に小麦を周辺のアジア諸国に輸出しており、欧州や地中海向けの穀物輸出ではロシアを通過するルートに頼っている。
カザフ農業次官はロシアが主張する違反について詳しい情報を求めたものの、回答は得られていないと述べた。ロシア側は3日、違反の裏付けとなる事実を記した回答を送ったと明らかにした。
カザフは今年の収穫量が記録的な水準と見込まれるほか、昨年からの在庫が高水準だとして、8月下旬からロシア産を含む小麦の輸入を全面的に禁止した。
メキシコ新大統領、毎年2桁の最低賃金引き上げ意向表明 | ロイター
メキシコのシェインバウム新大統領は3日、最低賃金を来年から毎年約12%引き上げたいとの意向を示した。
同国の最低賃金はロペスオブラドール前政権による近年の急激な引き上げを受け、現在は日給248.93ペソ(12.81ドル)となっている。今回の計画はこうした前政権の方針を引き継ぐものとなる。
統計当局のデータによると、国内労働人口の約40%は最低賃金以下の収入となっており、インフォーマル労働が依然としてまん延している。
シェインバウム氏は記者会見で、「基礎食料バスケット価格」を基にした最低賃金の指数を現在の1.6から2.5へ段階的に引き上げるとした。
また、同一労働同一賃金を憲法で保障するなど、女性の権利強化に向けた改革パッケージも発表した。
このほか、前政権で成立に至らなかった週労働時間を48時間から40時間に短縮する法案の成立を目指すとも述べた。
●プロファイ、インフラ、自然災害
飽くなきAI電力需要、巨大テックが急ぐクリーンエネ開発 - WSJ
大量のエネルギーが必要なAIデータセンターの建設ラッシュを受け、テック業界は気候変動を巡る約束をほごにする一方、電力企業と協力して新たなクリーンエネルギー源の開発を加速させている。
米ネバダ州では、グーグルが公益企業と手を組み、地熱エネルギーによる電力を購入する取り組みを進める。ノースカロライナ、サウスカロライナ両州では、グーグルやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトが電力大手デューク・エナジーと協力し、小型原子炉などの技術開発を促進する契約を結んでいる。
もう一つの初期段階の技術で、IT業界の支援が得られそうなものとして、クリーン電力を数時間ではなく数日間蓄えられる電池がある。
考えられる解決策の一つがネバダ州で具体化している。新たな料金体系案に基づき、著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイの所有する公益企業NVエナジーが、地熱発電スタートアップ企業のファーボ・エナジーから電力を購入するというものだ。ファーボ・エナジーは地下深くから高温高圧の蒸気・熱水を取り出す坑井を掘削し、その熱を利用して発電を行う。
さらにグーグルが、この電力にかかるコストと、NVエナジーの本来の電力源(よりコストが低い)との差額をカバーする定額料金を支払う。グーグルはそうすることで近隣のデータセンターの電力源として環境に配慮したエネルギーを利用できる上、電力コストの不確実性をいくらか解消できる。
IT企業は膨大なクリーン電力需要を満たすため、次第に原子力発電に狙いを定めている。電力大手コンステレーション・エナジーが約16億ドル(約2300億円)を投じ、米国史上最悪の原発事故が起きたペンシルベニア州のスリーマイル島原発を再稼働させたのに続き、マイクロソフトが20年間にわたって電力を購入することで合意した。またアマゾンは今年、6億5000万ドルを投じて原子力発電によるデータセンターを建設した。
フロリダ州にまた嵐の脅威、ハリケーン「ヘリーン」上陸から2週間弱 - Bloomberg
米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、熱帯性暴風雨「ミルトン」は風速が時速40マイル(約64キロメートル)。10月9日にフロリダ州西部に上陸する見通しで、それまでに少なくともカテゴリー3のハリケーンに発達し、風速は115マイルに達する見込み。タンパやオーランドを含むフロリダ州の多くの地域では、最大8インチ(約203ミリ)の降雨が予想されている。場所によっては12インチに上る可能性もあり、鉄砲水や河川の氾濫の危険性もある。
エンキ・リサーチの災害モデラー、チャック・ワトソン氏によると、現在の予測に基づけば、ミルトンがタンパベイを大型ハリケーンとして直撃した場合、被害額は1000億ドル(約14兆8000億円)から2000億ドルに達する可能性がある。
アングル:米港湾スト終結も残る火種、労組の敵「自動化」問題は依然未解決 | ロイター
米港湾ストライキは3日に終結したものの、労働者の不安を引き起こしている自動化の導入拡大という主要問題は未解決のままとなった。
企業は自動化が利益増につながると考えているが、労働組合は雇用減をもたらすと見なしている。自動化に抵抗する北米の港湾労働者にとって、欧州の港湾労働者を巡る協約が問題解決の糸口となるかもしれない。
米港湾労働者約4万5000人を抱える国際港湾労働者協会(ILA)と使用者団体の米海運連合(USMX)は賃上げについて暫定合意に達したと発表。3日目に突入していた米東海岸とメキシコ湾岸でのストライキを直ちに終了する。
双方は声明で、全ての未解決の問題について交渉するため、基本協約を2025年1月15日まで延長すると述べた。未解決の主要な問題には、労働者が雇用喪失につながると主張する自動化などが含まれる。
ILAのハロルド・ダゲット委員長はストライキ中にニュージャージー州エリザベスのマハー・ターミナルの外で労働者グループに対し、「われわれは自動化や半自動化と闘い続けなければならない」と訴えた。労働者は「機械は家族を養わない」、「自動化と闘い、雇用を守ろう」と書かれたプラカードを掲げていた。
労組側は、アラバマ州モービルの港における自動ゲートシステムの使用は協約違反だと主張している。
この港はUSMXの加盟社でオランダに本拠を構えるAPMターミナルズによって運営されている。ILAによると、この自動ゲートシステムは組合員を介することなく、デジタルスキャンを利用することで港に出入りするトラックを処理できるという。
海運世界大手APモラー・マースク傘下のAPMターミナルズはロイターに対し、ターミナルが08年にオープンして以来、自動ゲートは設置されており、ILA/USMXの基本協約に完全に準拠していると説明した。
USMXはこの件についてコメントを控えた。
<カナダでの闘い>
自動化はカナダの港湾労働争議でもやり玉に挙げられている。
同国にある国際港湾倉庫労働組合(ILWU)第514支部の労働者は6月、ブリティッシュコロンビア州港湾の使用者団体BCMEAが当時最終としていた提案を拒否した。
拒否理由の一つは、物流会社がバンクーバー港の主要操車場で自動化を一方的に導入すると労組に通告したことだ。
ILWUの担当者は今月1日、「労働者が自動化に反対しているのは、雇用喪失が家族や地域社会に悪影響を及ぼすと知っているからだ」と語った。
BCMEAとILWU第514支部は、2022年11月から業界横断的な交渉を進めている。
昨年、自動化がBCMEAとの交渉で争点となり、バンクーバーで7300人以上の労働者がストを決行。ILWUは、港湾に導入された新しい機械を修理するための労働者訓練に関する文言を協約に盛り込むよう求めた。
<欧州の協約>
欧州運輸労連の担当者によると、欧州では1993年にロッテルダムで世界初の自動コンテナターミナルが開設されて以降、港湾労組が自動化に対する保護策を交渉してきた経緯がある。
オランダ最大の港湾労組FNVヘイブンスのニーク・スタム書記は「自動化のために誰かが解雇されることはない」と語った。
同労組は世界で最も技術的に進んだ港の一つとされるロッテルダム港を含むオランダの3つの港で6000人以上の組合員を擁している。スタム氏は「われわれは長年、これ(保護策)を協約に盛り込んできた」と話す。
労組幹部はあらゆる自動化に反対しているわけではない。
ニュージャージー州のクレーンオペレーターでILAのストライキ隊長であるシャヒーム・スミス氏は「われわれの効率を向上させる技術の導入には反対しない。しかし、われわれの仕事を奪うようなものをつくろうとし始めれば問題が起きる」と述べた。
●その他
米軍の急所、太平洋の補給線をどう守るか - WSJ
世界各地で新たな脅威が浮上する中、米国は兵たんの見直しを進めている。米陸軍将校の分析によると、ウクライナ戦争では補給地点がすぐにドローン(無人機)に見つかり、多くが24時間以内に破壊されている。また、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は他国の輸送船を狙う際、ミサイルやドローンを使っている。組織が比較的小規模でも、最新の装備があれば補給線を妨害できる実例だ。
とりわけ太平洋地域で兵たんが喫緊の課題となっている。中国が資金を投じている航空機や艦船、潜水艦、長距離精密誘導ミサイルは、米国の基地や滑走路、輸送隊を攻撃できる。中国のサイバー能力も脅威だ。過去の紛争と大きく異なるのはこうした点で、これまでアフガニスタンやイラクでは、米軍は本格的な脅威にさらされずに配備や補給を行うことができたと、アナリストは指摘する。
渋谷の道はパブじゃない、10月から「路上飲み」NGが通年化 - Bloomberg
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(4日)ダウ最高値、ドル上昇 利回り上昇 | ロイター
為替市場では、ドルが上昇し、対円で一時149円台に達しました。これは9月の米雇用統計が予想を大きく上回り、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測が後退したことによるものです。ドル/円は一時149.02円に達し、8月16日以来の高値を更新。日米金利差が縮まりにくいという見方から、ドルは対円で上昇し、週間ベースで2009年以来の大きな上昇となる見込みです。
ドル指数(主要6通貨に対するドルの強さを示す指数)は102.69と、こちらも8月16日以来の高値に達し、週間ベースの上昇率は2022年9月以来の大きさとなる見通しです。ユーロ/ドルは1.09515ドル、英ポンド/ドルは1.3070ドルと、それぞれ8月と9月以来の安値を更新しました。
米9月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が予想を大幅に上回り、25万4000人増加。失業率は4.1%に低下し、FRBが11月の次回会合で大幅利下げを行うとの観測はほぼ消えました。中東情勢の緊張もドル高の一因となっています。
暗号資産のビットコインは1.95%上昇し、61,958ドルとなっています。
米国債利回りは、予想を大きく上回った9月の雇用統計を受けて上昇しました。この結果、年内の米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げの可能性がさらに低下しました。10年国債利回りは13.7ベーシスポイント(bp)上昇し、3.981%となり、約2カ月ぶりの高水準となりました。また、2年国債利回りも22.5bp上昇し、3.925%に達しました。2年債と10年債の利回り格差は5.5bpに縮小しています。
9月の非農業部門雇用者数は25万4000人増と、予想を大幅に上回り、過去6カ月で最大の伸びとなりました。これを受けて、11月のFOMCで25bpの利下げが行われる確率は99.8%と急上昇し、前日の65%から大幅に上昇しました。利下げなしの確率は0.2%とされています。
また、期待インフレ率を示す10年物のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.16%となり、5年先5年物インフレスワップは2.471%を記録しました。市場の次の注目は、来週発表予定の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)、および米大統領選挙に向かっています。
米株式市場では、ダウ工業株30種が終値で最高値を更新し、ナスダック総合も1%以上上昇しました。これは、9月の米雇用統計が予想を大幅に上回ったことから、景気低迷への懸念が和らいだためです。非農業部門雇用者数は25万4000人増加し、過去6カ月で最大の伸びを記録しました。
これを受け、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイント(bp)の大幅利下げの見込みが低下。CMEフェドウオッチによると、その確率はわずか8%にまで減少しました(当日序盤は31%)。
小型株が相対的に好調で、ラッセル2000指数は1.5%上昇。S&P金融セクターも1.6%高でした。週ベースでは、ダウは0.1%、S&P500は0.2%、ナスダックは0.1%上昇しました。S&Pエネルギーは、原油価格の上昇に伴い1.1%高となり、中東情勢の影響で週間では7%上昇しました。
個別銘柄では、新興EVメーカーのリビアンが3.2%下落。生産見通しの引き下げと予想を下回る納入台数が売り材料となりました。スピリット航空は24.6%急落し、破産申請の可能性を巡る報道が影響しました。一方、他の航空会社は上昇し、フロンティア・グループが16.4%、ユナイテッド航空が6.5%、デルタ航空が3.8%上昇しました。
米雇用統計が予想を大きく上回る内容となり、金先物は反落しました。12月物の清算値は1オンスあたり11.40ドル安の2,667.80ドルとなり、一時は2,652ドル付近まで下落しました。これは、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利下げ観測が後退し、ドルが主要通貨に対して上昇したため、金が割高と見なされたことが背景にあります。ただし、中東地域での紛争拡大懸念により、安全資産としての金の需要が支えられ、下値は限定的でした。市場関係者の間では、地政学リスクが高まれば、金価格が2,700ドルを目指す可能性が指摘されています。
一方、米原油先物は中東の紛争拡大による供給懸念から4営業日続伸し、WTI11月物は1バレル74.38ドルで取引を終えました。週間では9.09%の上昇です。ドル高が原油価格に一時的な圧力をかけたものの、午後にかけて買いが優勢となり、一時75ドル台半ばまで上昇しました。しかし、バイデン米大統領がイランの石油施設への攻撃を否定したとの報道で、取引終盤には上げ幅が縮小しました。
欧州市場サマリー(4日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちな動きで取引を終えました。FTSE100種指数は米国の雇用統計発表後に下げ幅を縮小し、ほぼ横ばいでしたが、週間では0.48%下落。一方、FTSE250種指数は0.77%上昇しましたが、週間では1.60%下落しました。中東情勢の緊迫化に伴う供給懸念で原油価格が上昇し、石油・ガス株指数は0.96%上昇、週間で6.55%の上昇となりました。銀行株は1.97%上昇し、利下げに対する期待が背景にあります。個人用品株指数は3.08%上昇し、ウォッチズ・オブ・スイスが5.5%上昇しましたが、アストラゼネカは1.9%下落し、製薬・バイオテクノロジー株指数も1.30%下落しました。
欧州株式市場は反発して取引を終えました。予想を大きく上回る米雇用統計の結果により、米経済への懸念が和らぎましたが、中東情勢の緊迫化によるリスク回避の姿勢は続き、STOXX欧州600種指数は週間で1.80%下落しました。銀行株指数は1.79%上昇し、主要セクターで最も大きな上昇を見せました。自動車・部品株指数は1.55%上昇し、中国製電気自動車への追加関税案が支持されたことが背景です。
一方、公益事業株指数は0.66%下落しました。個別銘柄では、フランスのゲーム開発会社ユービーアイソフトが、テンセントと創業家による買収の可能性が報じられ、33.5%急伸しました。デンマークの海運大手マースクとドイツのハパックロイドは、それぞれ5.2%と16.0%下落。米東海岸とメキシコ湾岸のストライキが早期に解決し、運賃高騰の懸念が後退したことが影響しました。
ユーロ圏の国債利回りは、米国の9月雇用統計が好調だったことを受けて上昇しました。この結果、米連邦準備理事会(FRB)の大幅な利下げ期待が後退しました。ドイツ2年債利回りは13ベーシスポイント(bp)上昇し、2.201%となり、4月以来最大の上昇幅となりました。ドイツ10年債利回りも8bp上昇し2.219%でした。
リチャード・フリン氏は、FRBの取り組みが完全雇用達成に貢献していると指摘しつつ、利下げペースの減速が市場にとっては良いニュースでない可能性を示唆しました。これを受け、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測も後退し、今月の追加利下げの確率は80%に低下しました。イタリア10年債利回りは4bp上昇し、独伊10年債利回り格差は130bpに縮小しました。
来週の米主要企業決算 大手銀皮切りに7-9月期決算始まる - 株探(かぶたん)|米国株
8日(火)ペプシコ
10日(木)デルタ航空、ドミノ・ピザ
11日(金)JPモルガン、ウェルズ・ファーゴ

備忘録(2024/10/3
●海外企業決算
●海外企業
「バフェット物色」商社の次は金融株か、円債発行で銘柄探し始まる - Bloomberg
ナイキ、傷が癒えるのはまだ先 - WSJ
●日本企業
タリーズ、9万人情報漏洩の可能性 5月に不正アクセス - 日本経済新聞
●米大統領選挙
アングル:急ぐ気候変動の予算消化、トランプ氏勝利なら撤回も | ロイター
バイデン米大統領が、気候変動対策向けに確保した予算の消化を急いでいる。11月5日の大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が当選すれば、気候変動や環境問題の分野でバイデン政権が打ち出した取り組みが全面撤回される恐れがあるためだ。
トランプ氏は大統領選でバイデン氏の気候対策とエネルギー政策を争点化して批判。バイデン氏にとっては、自身がせっかく署名して成立させた関連法と膨大な予算が、選挙結果次第で台無しにされるかもしれない事態となっている。
労組と環境保護団体の連携組織「ブルーグリーン・アライアンス」のケイティー・ハリス氏は「バイデン政権は予算の執行や執行義務化を進めようとしている。これはかなりの大仕事だ」と述べた。
バイデン氏が2年前にインフレ抑制法(IRA)に署名して以来、これまでに数十億ドルが気候変動対策として拠出されたが、まだ相当な規模の予算が待機状態にあり、残された時間は乏しくなりつつある。
ブルーグリーンのハリス氏は、共和党が上下両院で多数派を握れないまま、こうした予算を取り消そうとすれば大混乱が起きると予想。それでもトランプ氏は、返り咲きを果たせば気候変動関連の取り組みの進展を遅らせる可能性があるのは間違いないとみている。
<関連雇用創出>
IRAの下でクリーンエネルギー推進に割り当てられた予算は当初3800億ドル。ただ、風力発電や太陽光発電などの税額控除対象が想定より広がったため、向こう10年の予算総額は1兆ドルに膨らんだ。
米国に拠点を置くNGO「環境保護基金(EDF)」の政治活動部門、EDFアクションのデービッド・キーブ氏は、こうした税額控除のおかげで電気自動車(EV)と電池のセクターだけで2000億ドルを超える民間投資が行われたと評価する。
エネルギー省が最近公表した報告書によると、昨年のクリーンエネルギー関連雇用の伸びは4.2%と経済全体の2%を大きく上回り、計14万2000人分が創出された。
一方、トランプ氏はIRAの未消化予算取り消しを公約に掲げ、これらの予算を「新たなグリーン詐欺」と呼んで否定。共和党のジョンソン下院議長も、IRAの全面撤回は必ずしも必要でないとしつつも、一部予算削減に意欲を示している。
ただ、共和党の姿勢も一枚岩ではない。8月には8人の共和党下院議員がジョンソン氏に、IRAの下で導入されたクリーンエネルギーの税額控除廃止には反対すると表明。廃止は民間投資に打撃を与えて開発をストップさせてしまうため、最悪の場合はこれまでに多額の予算を投じながら納税者にはほとんどメリットがなくなる恐れがあると訴えた。
税額控除廃止には議会の承認が必要だが、トランプ氏は制度の修正や実行延期などによって骨抜きにしようとするかもしれない。
ただ、キーブ氏は「税額控除は導入まで時間がかかるだけでなく適用期間が10年に及ぶ。このような規則の確実性に疑問が呈されれば、われわれが速やかに前進して経済的な恩恵を受ける力が損なわれてしまう」と強調した。
<勝負の数カ月>
バイデン氏がIRAに署名した後、連邦政府の各省庁はフル回転をして、予算執行に関連した推定で350件かそれ以上の行政手続きを行った。
IRAとインフラ投資・雇用法に基づく支出を記録している「クライメート・プログラム・ポータル」を運営するアトラス・パブリック・ポリシーのトム・テーラー氏は「今年はIRAに基づく支出が急速に増えている」と話した。
9月初め時点までに拠出された気候変動対応資金は610億ドルで、その大半が今年の実行分。テーラー氏は、これは税額控除や連邦政府の直接支出、ローンなどは含まれていないので全体の一部に過ぎないと説明した。
テーラー氏によると、今後も予算消化に多大な労力が費やされ、できるだけ早期の執行が目指されるだろうが、バイデン政権が終わる前に全ての予算が消化される可能性はないだろうという。
ブルーグリーンのハリス氏は「誰もが政府職員の健闘を祈らなければならない。彼らはこれから数カ月、とても忙しくなる」と述べた。
激戦州のハリケーン被災、米大統領選の波乱要因に - WSJ
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
ポーランド中銀、政策金利据え置き インフレ高止まり | ロイター
ポーランド国立銀行(中央銀行)は2日、予想通り政策金利を据え置いた。エネルギー価格ショックが収束すればインフレは目標範囲に戻るとの見通しを示した。
9月のインフレ率は4.9%で、中銀目標の2.5%プラスマイナス1%ポイントの上限を大きく上回り、年末にはさらに上昇するとみられている。ただ中銀は、中期的には目標範囲に戻ると予想している。
金融政策委員会は声明で「現在の金利水準でエネルギー価格上昇の影響が薄れれば、インフレは中期目標の範囲に戻るだろう」との見解を示した。
その上で「中期的なインフレ動向はまた、さらなる財政・規制政策措置、国内経済の回復ペース、労働市場環境にも影響されるだろう」と予想した。
同委員会は2023年10月以来、政策金利を5.75%に据え置いている。
政府・日銀が共同声明に沿って緊密連携、日銀総裁が財務相らと確認 - Bloomberg
日本銀行の植田和男総裁、加藤勝信財務相、赤沢亮正経済再生担当相は3日夕、都内で面会し、政府・日銀が共同声明に沿って政策運営に万全を期すことを確認した。3者の面会は石破茂政権が発足してから初めて。
加藤財務相は、政府・日銀が「密接に連携し、共同声明に沿って、デフレからの早期脱却と持続的な経済成長の実現に向けて政策面に万全を期すこと」を確認したと説明。市場動向を「緊張感を持ちかつ冷静に注視する」とともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取ることでも一致したという。面会後、記者団に明らかにした。
植田総裁と会談した石破首相は2日、デフレ完全脱却を最優先課題とし、現在、追加利上げできる環境ではないと発言。植田総裁も時間的な余裕があると改めて表明した。年内の追加利上げ観測の後退から、急速に円安が進んだ。政府は日銀との共同声明の維持を速やかに確認し、足並みをそろえることで、市場の安定化を狙ったとみられる。 
ベイリー英中銀総裁、より「積極的」な利下げの可能性示唆 - Bloomberg
イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は、インフレが抑制された状態が続けば、同中銀は金利引き下げについてより積極的になる可能性があると述べた。
ベイリー氏は英ガーディアン紙とのインタビューで、生活費の圧力が中銀が懸念していたほどには長期化していないという事実に勇気付けられていると述べた。
総裁は、インフレに関する良好なニュースが続けば中銀は利下げのアプローチで「もう少し積極的に」かつ「もう少し活動的に」なることが可能だと述べたという。
ポンドはドルに対して一時1.2%安の1.3106ドルを付けた。
中銀は8月にパンデミック以降で初めての利下げを実施して以来、安定的なアプローチを維持してきた。ベイリー氏自身も、数十年ぶりの積極的な引き締めを巻き戻すには「段階的なアプローチ」が必要だと述べていた。
エネルギー価格急騰で2桁台にまで上昇したインフレ率は、現在は2%の目標値をわずかに上回る程度に落ち着いている。しかし中銀は、エネルギー価格の再上昇により年内に物価上昇率が一時的に回復すると予想している。
中銀は基調的な物価圧力の兆候としてサービス価格上昇と賃金上昇率を注意深く監視している。これらも中銀が満足する水準を上回ってはいるものの、緩やかになっている。
短期金融市場は11月の利下げを完全に織り込んだ。12月の連続利下げの確率も70%と、2日の約40%から上昇した。
ベイリー氏はガーディアン紙に対し、原油価格の再上昇の恐れがあるため、中銀は中東情勢を「非常に注意深く」見守っていると語った。イランが今週ミサイル攻撃を行いイスラエルの報復が見込まれるため、供給懸念から原油価格は3日連続で上昇している。
中東地域は世界の原油供給の約3分の1を担っており、エネルギー施設が攻撃されたり、供給ルートが遮断されたりすれば、原油の流通に影響が出る可能性があるとトレーダーらは懸念している。
ベイリー氏は「もちろん、事態を注視している。最新のニュースが与える影響を非常に注意深く見守っている。しかし、私がこの地域の当局者と交わした会話から感じたのは、現時点では原油相場の安定を保つという強いコミットメントがあるということだ」と述べた。
「事態が本当に悪化すれば、制御が不可能になる限界点があることも認識されている。状況は常に注視する必要がある。なぜなら、悪い方向へ進む恐れがあるからだ」と語った。
日銀追加利上げのハードルさらに上昇か、世界的な金融緩和強化の流れ - Bloomberg
日銀は段階的な利上げを、インフレデータ正当化なら=IMF | ロイター
国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は3日、日銀は引き続きデータに基づき、インフレ見通しに沿って政策金利を段階的に引き上げていくべきという見解を示した。
さらに、日銀がこれまでに金融政策の正常化に向けた重要な措置を講じたとし、2%の物価目標達成に向けた軌道に乗っていると述べた。日本経済は拡大を続けているという認識も示した。
コザック氏は定例記者会見で、「日銀は引き続きデータに基づいて、インフレ見通しで正しい道であることが裏付けられれば、政策金利を段階的に引き上げていくべきだというのがわれわれの助言だ」と述べた。
また、日本の財政政策はバッファーの再構築と債務の持続可能性確保に向け、「成長に配慮した」財政再建に焦点を当てるべきだと指摘。
この財政再建は歳入と歳出の両方の措置によって支えられ、債務の持続可能性に対する市場の信頼を維持するのに役立つだろうとし、「これは日本の成長にとって不可欠だ」と語った。
●先進国経済指標
米新規失業保険申請は小幅な増加、レイオフ限定的な状況を示唆 - Bloomberg
先週の米新規失業保険申請件数は小幅な増加。レイオフ件数が限定的である状況に整合する水準となった。
新規失業保険申請件数(9月28日終了週)は前週比6000件増の22万5000件
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は22万1000件
前週は21万9000件(速報値21万8000件)に修正
失業保険の継続受給者数(9月21日終了週)は182万6000人
前週は182万7000人(速報値183万4000人)に修正
より変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は、22万4250件に減少。6月以来の低水準となった。
今年に入って雇用ペースが鈍化し、失業率が上昇しているにもかかわらず、失業保険申請件数は低水準で推移している。これは主に、雇用主が従業員の雇用をおおむね維持していることが大きい。 
季節調整前ベースでは先週の失業保険申請件数は減少。州別ではジョージアとフロリダの減少が目立ち、ノースカロライナ、サウスカロライナ、テネシーでも小幅な減少となった。これらの州は先週、ハリケーン「へリーン」の上陸による影響を受けており、申請件数は合わせて3000件余り減少した。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は、ハリケーンがなければ全体の申請件数はもっと多かった可能性があると指摘。「ハリケーンの影響は今後は逆方向に作用するとみられる。暴風雨被害で職を失った人々が数週間にわたって申請件数を押し上げる可能性が高い」とリポートで述べた。
再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが3日発表したリポートによれば、米国を拠点とする雇用主が今年発表した人員削減数は昨年とほぼ変わらない。レイオフの大部分はテクノロジー企業によるもので、通常は手厚い退職パッケージが支払われているという。そうした場合、失業保険を申請する可能性は低くなる。
ただ過去数週間では、CVSヘルスが約2900人の削減計画を明らかにするなど、一部大手企業の間でもレイオフの動きは出ている。
今後数週間では、米国の東海岸およびメキシコ湾岸での港湾労働者のストライキにより、海運関連産業での失業保険申請の変動に拍車が掛かる可能性もある。
ブルームバーグ・エコノミクスのイライザ・ウィンガー氏は「ストが長期化すれば、サプライヤーはストに参加していない労働者を一時的にレイオフせざるを得なくなるかもしれない。そうした労働者は失業保険給付の対象となる」と述べた。
独サービスPMI、9月改定値は50.6、6カ月ぶり低水準 | ロイター
9月のドイツのHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は50.6と4カ月連続で低下し、6カ月ぶりの低水準となった。
8月は51.2だった。需要の低下とリセッション(景気後退)懸念が暗い影を落としている。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「サービス部門は経済の支柱としての役割をますます失いつつある」と述べ、受注の急減が特に懸念されると指摘した。
「このまま低下傾向が続けば、景気は再び上向くまで恐らくあと数カ月は下降を続けるだろう」と語った。
9月のサービス部門は人員削減が加速したが、緩やかなものにとどまった。
今後1年の見通しは1年前よりも控えめで、楽観派が25%対23%で悲観派をわずかに上回った。調査対象者の多くが差し迫った景気後退への懸念を表明した。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは47.5と、8月の48.4から低下した。
英サービスPMI、9月改定52.4に低下 販売価格の伸び鈍化 | ロイター
9月の英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は52.4と、前月の53.7から低下したものの、景況拡大・悪化の分かれ目となる50を引き続き上回った。
速報値の52.8から下方改定された。
販売価格は約4年ぶりの鈍い伸びとなった。イングランド銀行(英中央銀行)が歓迎しそうな内容だ。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのエコノミクス・ディレクター、ティム・ムーア氏は「受注改善とインフレ圧力の軟化により、英国経済が依然として明るい軌道にあることが示唆された」と指摘。最も心強いのは販売価格インフレが2021年2月以来の低水準になったことだという。
英中銀は国内経済のインフレ圧力を評価する上でサービス部門の価格を注視。多くの投資家は11月の追加利下げを見込んでいる。
販売価格の上昇ペースは過去平均をなお上回っているものの、鈍化は3カ月連続。8月に43カ月ぶりの低水準だった仕入れ価格は小幅に上昇した。
調査ではまた、主に国内顧客からの受注が好調であることが示され、今後1年間のビジネス期待を高めている。
サービス業とすでに発表された製造業を合わせた総合PMIは52.6と、8月の53.8から低下した。
ユーロ圏総合PMI、9月改定49.6 2月以来の50割れ | ロイター
9月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.6と、前月の51.0から低下し、好不況の分かれ目となる50を2月以降初めて割り込んだ。
速報値の48.9は大幅に上回った。インフレ圧力の緩和も示された。
サービス部門PMI改定値は51.4。前月の52.9から低下したが、速報値の50.5を上回った。
ハンブルク商業銀行のサイラス・デラルビア氏は「一見したところ、ユーロ圏のサービス業はかなり持ちこたえているように見える。拡大が続いており、減速ペースもそれほど急でない」と指摘。
ただ「もう少し掘り下げて個々の国を見ると、スペインを除けば、それほどバラ色とは言えない」と述べた。
フランスのサービス部門PMIはパリ五輪の効果が薄れたことを背景に低下。ドイツとイタリアもほぼ停滞状態となっている。
値上げは小幅なペースにとどまった。ユーロ圏の総合産出価格指数は53.0から51.5に低下、2021年初め以来の低水準となった。
サービス部門の需要は減少しており、短期的に回復は見込めないとみられている。新規事業指数は51.2から49.7に低下。8カ月ぶりの低水準となった。
仏サービスPMI、9月改定49.6 五輪終わり失速 | ロイター
9月のフランスのHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.6と好不況の分かれ目である50を下回った。パリ五輪効果を享受した8月の55.0から大幅に低下した。速報値の48.3からは上方修正された。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「五輪が終わり、サービス部門は失速した」と述べた。調査企業は、顧客の減少、消費意欲の減退、不確実性などが業況に響いたと指摘したという。
それでも、欧州中央銀行(ECB)の利下げもあり、先行き見通しは2022年7月以来の高水準となった。見通しの明るさから雇用が継続。年内、25年にかけて業況が回復すると予想する企業もある。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは53.1から48.6に低下。速報値の47.4は上回った。総合PMIが今年50を上回ったのは、4月と8月の2回のみ。
スイスCPI、9月は前年比+0.8% 追加利下げ観測強まる | ロイター
●金融市場、先進国トピックス
米国のオフィスに津波が押し寄せる-SVPのコスラ氏 - Bloomberg
米国のオフィス不動産には「問題が山積」しており、問題があまりに大きいため債務引き受けが困難だと、クレジット投資会社ストラテジック・バリュー・パートナーズ(SVP)の創業者、ビクター・コスラ氏が述べた。
同氏は3日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「津波が押し寄せてくるような状況だ」と語った。「ニュースの見出しにはあまり出てこないが、債務の満期が問題の津波を引き起こしている」と解説した。
オフィス、集合住宅、その他の商業用不動産の家主は、来年末までに1兆5000億ドル(約220兆円)の債務を返済しなければならないと、仲介業者のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)は推計している。
多くの家主は、より高い金利での借り換えを迫られることになるだろう。特にオフィスは、在宅勤務の増加により需要が落ち込んでいる上、テナントを引き付けるために多くのビルで多額の投資が必要であるため、脆弱(ぜいじゃく)な状況にある。
SVPは過去6-9カ月にオフィス部門の100件の案件を検討したが、投資したのは1件だけだったと同氏は述べた。
その他の発言は以下の通り。
欧州には米国よりもディストレスト投資の機会が多いとみている
景気は表面上は穏やかに見えるが、水面下では多くのことが起こっている
劇的な瞬間は訪れないが、今後3年間、企業が高利回り債務満期の壁を乗り越える中で機会は生まれるだろう
高利回り債のデフォルトは、ディストレスト債を含めると、新型コロナウイルス禍の時期以来見られないレベルにまで上昇している
トレーダー、英中銀の連続利下げ観測強める-総裁がハト派発言 - Bloomberg
●中東情勢
中東で「集団虐殺」、カタール首長がイスラエル非難 | ロイター
焦点:イランのミサイル攻撃、大規模かつ複雑に イスラエル防衛さらに負担 | ロイター
複数の専門家は、イランが1日に実施したイスラエルに対する弾道ミサイル攻撃について、今年4月の攻撃よりも大規模かつ複雑で、より先進的な兵器が使われたと指摘している。
このためミサイル防衛に前回よりも大きな負担がかかり、迎撃を免れた弾頭が増えたという。
攻撃に使われた180発以上のミサイルの残骸は現在も収集・分析中だが、専門家によると、使用されたミサイルは「ファタ─1」と「ヘイバルシェカン」とみられる。射程はともに約1400キロと報告されている。
イランによると、この2つのミサイルは弾頭の操縦が可能で、迎撃が相対的に難しいほか、固形燃料を使用するため発射準備時間が短い。
ミドルベリー国際問題研究所のジェームズ・マーティン不拡散研究センターで東アジア不拡散プログラムのディレクターを務めるジェフリー・ルイス氏は「発射準備が短ければミサイルが一斉に到達し、防衛に一層の負担がかかる」と指摘。
「弾頭は若干の操縦が可能で、迎撃の調整が複雑になる。目標への命中精度も高まる」と述べた。
4月の攻撃では兵器の大半が米国とイスラエルのミサイル防衛システムに撃墜されたが、ファタ─1も一部使われた。
ただルイス氏によると、その際に主に使われたのは液体燃料式弾道ミサイル「エマード」で、故障率は50%に達すると報告され、精度は直径1キロ以上の目標を攻撃できる程度だという。
一方、イランはより先進的な弾道ミサイルの「平均誤差半径」が約20メートルとしている。これは目標に向けて発射されたミサイルの半数が目標の20メートル以内に着弾することを意味する。
国際戦略研究所(IISS)のファビアン・ヒンツ国防・軍事担当研究員はこれについて「イスラエルに到達可能なイランの最新鋭弾道ミサイルだ」と語った。
<今後さらに大規模な攻撃も>
1日の攻撃を撮影した動画には、地上に到達したミサイルの再突入体(弾頭を搭載している部分)とみられる物体が映っている。一部は迎撃されたもので、大気圏上空で撃墜されたものもあった。
米国防総省は、米軍艦艇がイランのミサイルに約12発の迎撃ミサイルを発射したと発表している。
カーネギー国際平和財団のアンキット・パンダ氏は、今回の攻撃と4月の攻撃を直接比較するのは難しいだろうと指摘。兵器だけでなく、攻撃や防衛の構造が全て変わったとの見方を示した。
例えば、4月の攻撃では速度の遅いドローン(無人機)や巡航ミサイルが使用され、防衛する側の準備時間が長かったという。
同氏は「攻撃パターンが変わった。イスラエルの迎撃ミサイル『アロー』の備蓄の減り方は大きかったとみられる。イラン革命防衛隊の航空宇宙軍は、より先進的で性能の高いミサイルを前回よりも多数使ったようだ」と述べた。
被害の報告は限られており、イスラエルは1日の攻撃直後、死者は出ていないと表明した。
ただ、オーストラリア戦略政策研究所のマルコム・デイビス上級アナリストは、攻撃が今後さらに複雑化し、今回の攻撃よりもさらに大量のミサイルが使用される可能性があると指摘。
「イランが格段に大規模な攻撃を行えば、迎撃を免れるミサイルが増える可能性が高い。特に弾道ミサイル攻撃と、巡航ミサイル、ドローン攻撃を連携させた場合はそうだ。今回の攻撃が最大限の規模だったとは絶対に言えない」と述べた。
イスラエルが誇る防空システム、全面戦争を乗り切れるか-QuickTake - Bloomberg
イスラエルが10億ドル規模の資金を投じた世界最高レベルの防空システムが、実力を試されている。イランを後ろ盾とするイスラム組織ハマスが昨年10月7日にイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けて以降、他の親イラン武装組織もロケット弾やミサイル、無人機をイスラエルに向けて発射。イラン自体もイスラエル攻撃を2回実施し、直近では10月1日に約200発のミサイルを次々と撃ち込んだ。
イスラエルにとって脅威は何か?
イラン軍は弾道ミサイルや巡航ミサイル、そして低コストの無人機を大量に備蓄していると考えられている。イランは今年4月、シリアでイランの革命防衛隊司令官らを殺害したイスラエルの空爆に対し、大規模な報復攻撃を開始した際、これら三つの兵器をイスラエルに対し使用。ハマスやレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの最高指導者らが殺害された事件を受け、イランは今月1日にも弾道ミサイルで攻撃した
中東の親イラン武装組織で最強とされるヒズボラとイスラエルは昨年10月7日以降、イスラエルとレバノンの国境沿いで連日のように交戦。イスラエルの評価では、ヒズボラは相当数のミサイルを保有しており、イスラエルの奥深くまで到達し主要都市や軍事基地、空港、電力網、病院などの戦略的資産を標的として狙える長距離ミサイルや精密誘導ミサイルも含まれる。ヒズボラは爆発物を搭載する無人機も保有し、これらはミサイルやロケット弾よりもイスラエルのハイテク防衛システムをすり抜ける能力が高いことが証明されている
イエメンの親イラン武装組織フーシ派もイスラエルに向けて弾道ミサイルや無人機を発射している
イスラエルはどんな防空システムを保有しているのか?
アイアンドーム:イスラエルの防空システムで最も有名で、活発に稼働しているアイアンドームは2011年以降、ヒズボラやパレスチナ自治区ガザの武装勢力が発射した数千発のロケット弾を迎撃してきた。イスラエルのラファエル・アドバンスト・ディフェンス・システムズが開発し、14年以降は米レイセオン・テクノロジーズと共同生産されてきたアイアンドームは、射程が4キロから70キロの短距離の飛翔(ひしょう)体や無人機に対抗できる設計。イスラエル軍によると、アイアンドームは人口密集地域に向かうそれら飛翔体の90%を撃墜できる。イスラエル軍は4月、アイアンドームの海上移動型「Cドーム」が運用可能になったと発表。イスラエルの海洋ガス田や船舶を標的とするヒズボラの攻撃に対抗する際に使用が想定される
ダビデ・スリング:イスラエルは17年にラファエルとレイセオンが共同開発した中・長距離迎撃ミサイルのダビデ・スリングを導入した。弾道ミサイルや巡航ミサイル、無人機を検知し破壊するよう設計されており、射程は最長200キロと伝えられる。これはレバノン南部とガザ地区をカバーする距離だ
アロー:イスラエルは先進的なミサイル防衛システム、アローも保有する。アロー2とアロー3で構成され、開発者によると、最長2400キロ離れた場所から発射されたミサイルを迎撃できる。長距離弾道ミサイルが一時的に通過する大気圏外でも迎撃可能という
アイアンビーム:イスラエル軍はアイアンビームと呼ばれる別のシステムの試験も行っている。アイアンドームより低コストで、近距離から発射された飛翔体をレーザーで迎撃するアイアンビームは25年半ばより前には運用可能とならない見通し
これらの防空システムが突破される可能性はあるか?
ヒズボラは10月以降、自爆型無人機を使いイスラエル北部で被害と多数の犠牲者を既に出した。その多くがイスラエルの防衛システムをすり抜けることができる。
7月19日にテルアビブを襲ったフーシ派の無人機攻撃では、警報が作動せず1人が死亡。イスラエル軍によると、無人機は探知されていたが「人為的ミス」で迎撃できなかったという。
イスラエル軍は多数の飛翔体が同時に発射された場合、アイアンドームを含む防空システムが対処不能になる恐れがあると認めている。全面戦争に突入すれば、ヒズボラは毎日約3000発のロケット弾やミサイルを発射できるとイスラエルは予測する。迎撃システムが想定する能力をはるかに超える数だ。
比較的新しい防空システムの一部は最近になってようやく実戦で試されたばかりだ。イスラエル・エアロスペース・インダストリーズとボーイングが共同開発したアロー3は、23年11月にフーシ派がイスラエル南部に向けて発射したミサイルを撃墜し、初めて戦場で成功を収めた。ダビデ・スリングは23年5月に勃発した戦闘でガザからのロケット弾を迎撃した。
いずれも今年4月のイランによるイスラエル攻撃の際にうまく用いられた。イスラエルと米英など同盟国は、発射された300に上る無人機やミサイルの99%を迎撃。大部分はイスラエルの領空に達する前に撃ち落とされた。
米国は今月1日の攻撃の際にも、再び迎撃を支援。イスラエルと米国は、被害は限定的だったと発表したが、攻撃の様子を撮影した動画を見る限り、イスラエルの防空システムが一部突破された様子がうかがえる。
米、イスラエルのレバノン作戦を支持 紛争拡大リスクでも | ロイター
米国務省のミラー報道官は3日、イスラエル軍によるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する空爆と「限定的な」地上作戦について、イスラエルの当初の目標を超えて拡大するリスクがあると認めつつも、米政権は現時点で支持していると明らかにした。
米、イスラエルとイラン石油施設攻撃巡り協議か ミサイル攻撃の対応で | ロイター
湾岸諸国、イランに中立を保証か 石油施設攻撃懸念を念頭=関係筋 | ロイター
湾岸アラブ諸国は今週カタールの首都ドーハで行ったイランとの協議で、イスラエルと対立を深めるイランに対し、湾岸アラブ諸国の中立性を保証しようとした。紛争拡大懸念が高まる中、石油施設が攻撃の標的になる恐れがあることを念頭に置いた対応という。複数の関係筋が3日、ロイターに明らかにした。
協議はカタール主催のアジア諸国の会合の合間に行われた。関係筋によると、緊急的な緊張緩和が協議の最優先事項だった。
イランは1日、イスラエルに向け多数のミサイルを発射。イスラエルは強硬に反撃する姿勢を示している。こうした中、米ニュースサイトのアクシオスは2日、イスラエルはイランの石油生産施設などを標的に報復する可能性があると報じた。
イランは湾岸アラブ諸国の石油施設を攻撃する姿勢を示していないものの、「イスラエル支持者」が直接的に介入すれば、湾岸諸国の施設も標的になる得ると警告している。
サウジアラビア王室に近いサウジのコメンテーター、アリ・シハビ氏は「湾岸諸国は、イランが湾岸諸国の石油施設を攻撃する可能性は低いと見なしているが、イランは非公式ルートを通してその可能性を示唆している。(湾岸諸国の石油施設への攻撃は)イランが米国と世界経済に対して持つ武器だ」と述べた。
最大の石油輸出国であるサウジは近年イランと政治的和解を果たし、地域の緊張緩和に貢献してきたが、関係は依然として困難な状況にある。
この件に関して、カタール外務省、イラン外務省、アラブ首長国連邦(UAE)外務省、クウェート外務省、サウジアラビア政府広報室からコメントは得られていない。
ドーハで開かれた会合で演説したイランのペゼシュキアン大統領は、イランには対応する準備ができていると表明。「いかなる軍事攻撃やテロリスト行為のほか、われわれのレッドライン(越えてはならない一線)を越えることも、イランの軍隊による断固たる対応に直面する」と述べた。
●エマージング
中国の住宅余剰、人口減が追い打ち - WSJ
(ChatGPTによる要約版)中国では、不動産不況と人口減少により、9000万戸の空き家が存在し、その数は今後も増える見込みです。人口減少が続く中、多くの都市が入居者不足に直面しており、特に経済が停滞している中小都市では、空き家問題が深刻です。政府は銀行を通じて空き家を購入し、手頃な住宅に転換する支援策を講じましたが、効果は限定的です。大都市はまだ対応可能ですが、地方都市では空き家が長期間にわたり放置されるリスクが高まっています。人口減少による不動産の過剰供給問題には根本的な解決策が見つかっていない状況です。
●プロファイ、インフラ、自然災害
NY連銀が洪水リスク警鐘、米北東部3州で10軒に1軒 | ロイター
米ニューヨーク連銀は2日、管轄するニューヨークやニュージャージー、コネティカットの北東部3州に国内で最も深刻な洪水リスクがあり、10軒に1軒の割合で被災する恐れがあるとの報告書を発表した。沿岸部はもとより、内陸部では大雨や突発的な洪水、河川氾濫が要因という。
洪水が以前から多いのは南東部で、最近ではノースカロライナ州でハリケーン「へリーン」が甚大な被害を引き起こしたばかりだが、同報告書は北東部3州の住宅が全米で特に洪水リスクの高い地域の上位25%に含まれていると警鐘を鳴らした。
洪水リスクがあるのは160万世帯の400万人が住む100万軒で、このうち40万軒超は低所得から中所得者の物件という。
同報告書が最悪のリスクがあると挙げたニューヨーク州ロングビーチとニュージャージー州キーンズバーグでは住宅の90%が危険にさらされている。
●その他
70〜74歳の医療費窓口負担3割に 健保連、財政悪化で要望 - 日本経済新聞
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(3日) | ロイター
ロンドン株式市場は下落して取引を終えました。鉱業株が売られた一方で、エネルギー株の上昇はそれを相殺しきれませんでした。FTSE 250種指数は0.21%下落し、FTSE 350鉱業株指数は1.23%、貴金属株指数は0.31%下落。ドル高や中東の紛争、中国の景気刺激策の不透明さが金属価格の下落に影響しました。一方、原油価格の上昇に伴い石油・ガス株指数は1.35%上昇しました。
イングランド銀行のベイリー総裁がインフレ次第で積極的に利下げを検討すると述べたことで、住宅建設株指数は1.31%上昇。個別銘柄では、テスコが通期利益見通しの引き上げと10%の利益増加を発表し、2.6%上昇しました。
欧州株式市場は、中東の地政学的緊張によりリスク回避姿勢が強まり、下落して取引を終えました。エネルギーセクターを除くほとんどのセクターが値を下げ、STOXX欧州600指数は約1週間ぶりの安値を記録。ドイツのDAX指数は0.78%、フランスのCAC 40指数は1.32%それぞれ下落しました。
自動車・部品株指数は2.07%下落し、ステランティスが4.0%下落。CEOが来年の配当削減を示唆し、バークレイズが投資判断を引き下げたことも影響しました。中東情勢による銅価格の下落で資源株も1.68%下落。一方、原油価格の上昇で石油・ガス株指数は0.28%上昇しました。
他の個別銘柄では、ドイツのSAPが米国での価格操作疑惑の捜査拡大を受けて1.5%下落し、ネスレもシティグループの投資判断引き下げで1.3%下落しました。
ユーロ圏の債券市場では、利回りが小幅上昇しました。市場は欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測や中東紛争の激化を織り込みつつ、域内国債の利回りが週初に数カ月ぶりの低水準に達していました。ドイツ10年債の利回りは4ベーシスポイント(bp)上昇し2.14%に、ドイツ2年債の利回りは3bp上昇し2.08%となりました。
市場はECBの25bpの追加利下げが10月17日の理事会で実施される可能性を約95%と見込んでいます。また、米国の経済指標やFRBの政策も市場に影響しており、4日の米雇用統計に注目が集まっています。イタリア10年債の利回りは5bp上昇し3.49%、フランス10年債の利回りは7bp上昇し2.95%でした。ドイツとイタリアの10年債利回り格差は133bp、ドイツとフランスの格差は79bpとなっています。
NY市場サマリー(3日)ドル6週ぶり高値、利回り上昇 株下落 | ロイター
ドルは6週間ぶりの高値に上昇。米経済の堅調さや、中東情勢の緊張、安全資産としての需要がドルを押し上げ、ユーロやポンド、円など他通貨がハト派的スタンスを取っていることもドルを支援。ドル/円は146.85円、一時147.25円まで上昇。米非製造業指数が約1年半ぶりの高水準。市場は11月の利下げ確率を35%と予想。ユーロやポンドは下落し、ビットコインも0.36%下落。
米国債利回りは、米供給管理協会(ISM)の9月非製造業総合指数が約1年半ぶりの高水準となったことで上昇しました。これにより、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ幅が縮小するとの見方が浮上しています。10年債利回りは5.3bp上昇して3.841%、2年債利回りは5.7bp上昇して3.705%となり、両者の利回り格差はほぼ変わらず。市場では25bpの利下げ確率が65%に上昇し、50bpの利下げ確率は35%と見込まれています。また、中東情勢の緊迫や米港湾ストライキもインフレリスクを高めています。
米株式市場は下落して取引を終えました。4日に発表予定の雇用統計を控え、投資家は慎重な姿勢を強めており、中東情勢の緊張も影響しています。新規失業保険申請件数はわずかに増加したものの、ハリケーンや港湾ストライキの影響で短期的な労働市場の歪みが予想されています。主要株価指数は一時的に上昇したものの、その後利益確定の売りが出ました。
市場の不安心理を示すVIX(恐怖指数)は9月6日以来の高水準に達しました。エネルギーセクターは原油価格の高騰を受けて1.6%上昇し、コンステレーション・ブランズの株価は2025年会計年度の見通し据え置きで4.7%下落。第3四半期の決算シーズンも近づいています。
金先物は、翌日に発表される米9月雇用統計を前にポジション調整の買いが入り、反発しました。12月物の清算値は1オンス=2679.20ドルで、前日比9.50ドル(0.36%)高となりました。
米原油先物は、中東情勢の緊張が続く中、買いが進み3日続伸しました。WTIの11月物は前日比3.61ドル(5.15%)高の1バレル=73.71ドルと、約1カ月ぶりの高値を記録。12月物も3.48ドル高の73.17ドルとなりました。
イスラエルとレバノン南部のヒズボラ関連施設への空爆、中東の紛争拡大によるエネルギー供給の混乱懸念が原油価格を押し上げています。一方、リビアは油田や輸出ターミナルの操業再開を発表。OPECにはイランの供給停止を補う生産能力があるとの見方も広がっています。

備忘録(2024/10/2
●海外企業決算
●海外企業
テスラ、四半期販売が今年初の増加-市場予想には届かず株価下落 - Bloomberg
KKR、半導体製造装置メーカーASMPTの買収を検討-関係者 - Bloomberg
オラクル、マレーシアにクラウドサービスセンター建設へ=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ヒューマナが大幅安 4つ星以上のプラン加入の会員の割合が25%に急減=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
●日本企業
●米大統領選挙
アングル:米副大統領候補、穏やかな討論会に意外感 視聴者に一服の清涼剤 | ロイター
米経済の将来をハリス、トランプ両氏の政策から予測-大統領選 - Bloomberg
それでも一つ明白と考えられるのは、いずれの候補が勝利しても、24年度(23年10月-24年9月)末にGDP比99%に達すると見込まれている連邦債務残高が増え続けると見込まれることだ。
BEは、トランプ氏の減税案実施で28年度の連邦債務残高が同116%に膨らむ可能性があり、ハリス氏の控えめの案でも109%に達すると推計する。
激戦州の登録有権者を対象にブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが実施した最新の世論調査によれば、経済運営で誰を信頼するかとの問いでトランプ氏が小幅なリードを保った。
トランプ氏は自身の在任中、新型コロナウイルス禍に見舞われる以前の好景気を実績に挙げる一方、ハリス氏はバイデン政権が推進したコロナ禍後の急回復を掲げている。
大統領選の結果を左右するのは経済だけではないものの、重要な要素の一つであることは確かだ。
トランプ氏の経済政策の柱は、在任中に成立し、25年末に失効する個人所得税率引き下げなど「トランプ減税」の延長だ。共和党は、トランプ氏が返り咲いて議会でも多数派となれば最優先課題だとしている。いずれにしても、中間層世帯や中小企業向けを中心に、一部減税延長には超党派の支持があると考えられる。
トランプ氏は法人税率を現行の21%から15%に引き下げたい意向も示している。残業代や接客業のチップ収入への課税を撤廃し、州・地方税(SALT)税額控除の上限を撤廃するとも明言し、側近は対応に追われている。
ハリス氏は起業費用に関する中小企業の税控除を5万ドル(約720万円)と、現行の5000ドルから10倍に引き上げる案を掲げる。また、児童税額控除は現行の子供1人当たり2000ドルから3600ドルに引き上げ、新生児には6000ドルの大型控除を適用する。
共和党副大統領候補のバンス上院議員も児童税額控除案の一つを支持しているため、この分野でも超党派の合意が成立可能性があると、財政規律を提唱する超党派非政府組織「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」のプレジデント、マヤ・マクギネアス氏は話す。
マクギネアス氏はその上で、両陣営からこれほど多くの税制優遇措置が打ち出される選挙戦は記憶にないと語った。
トランプ陣営は無駄な支出の削減やエネルギー生産の増強、関税率引き上げによって、減税のための財源を確保することができると主張する。
これに対し、ハリス陣営は歳入増のための一段と具体的な案も提示している。法人税率を28%に引き上げるとともに、年収100万ドル以上の投資家に対するキャピタルゲイン課税の税率を28%とする。このほか、企業の自社株買いに対する課税率を4%と現行の4倍とする案も支持している。
●その他先進国政治動向
「現在、追加利上げするような環境にない」と石破首相-日銀と連携確認 - Bloomberg
石破茂首相は2日、日本銀行の金融政策について、現在、追加の利上げをするような環境だとは思っていないと述べた。日銀の植田和男総裁との会談後、官邸で記者団に語った。
石破首相は、政策金利の引き上げに関して「政府としてあれこれ指図をする立場ではない」としながらも、「個人的には現在そのような環境にあるとは思っていない。追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と語った。
「これから先も緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展していく」とし、植田総裁には「デフレの脱却に向けてこれから先経済が推移していくことを期待している」と伝えたという。「市場の動向を緊張感を持ちかつ冷静に注視をしていくとともに、市場とも丁寧にコミュニケーションを取っていく。このために互いに緊密に連携するということを確認をした」とも説明した。
植田総裁は海外経済の不透明感の強まりや不安定な市場動向への警戒感を強めているが、日銀の見通しに沿って経済・物価が推移すれば、政策金利を引き上げて金融緩和の度合いを調整する方針を示していた。デフレからの完全脱却を最優先課題と位置づける石破首相が利上げに慎重な姿勢を明確に示したことで、日銀の再利上げのタイミングが先送りになるとの見方が強まることは必至だ。
これに先立ち植田総裁は、会談では政府・日銀が緊密に連携することで一致したとし、石破首相から金融政策について具体的な指示はなかったと発言していた。
植田総裁は金融政策について、「極めて緩和的な状態でわが国経済をしっかり支えていく」との考えを示した。経済・物価の見通しが日銀の見通し通り実現し、見通しに沿って経済が動けば「金融緩和度合いを調整していくことになるが、本当にそうかどうかを見極めるための時間は十分ある」と述べた。
その上で、日銀の正常化に向けた方針は9月の金融政策決定会合後の記者会見で発言した内容から「変化はない」と説明。石破首相からも「金融政策について具体的にこうしてほしいっていうような話はなかった」と語った。
政権発足後、日銀総裁が新首相と意見交換のために官邸を訪れるのは通例だが、今回の植田総裁の訪問は、石破首相の就任翌日という異例の早さだった。
石破首相は1日の就任会見で、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるものとしながらも、日銀に対し、「デフレを脱却していくために、現在の姿勢というものを期待感を持って見ている」と発言。「これから先も緊密な連携の下に、金融緩和の基本的な基調というものは維持されるべく、期待をしながら見守っている」との見解を示していた。
赤沢亮正経済再生担当相は2日午前の会見で、首相が利上げに慎重なのは「デフレを完全脱却したと思っていないから。私どもがそう思っている間は日銀には慎重にやっていただくということを共有していただきたい」と発言。早期に首相と植田総裁が意思疎通を行い、デフレ脱却最優先の方針を共有してもらいたいとしていた。
植田総裁は、政府・日銀の共同声明(アコード)の扱いについてもこの日の会談で話題に上らなかったことを明らかにした。一方、石破首相は、2013年に発出した政府・日銀はアコードに沿って「引き続きデフレからの早期脱却、持続的な経済成長の実現に向け、政策運営に万全を期す」と述べた。
オーストリア極右政党勝利、社会が反ロシアに閉口=ロシア外務省 | ロイター
マクロン仏大統領、大企業対象の一時的増税を支持 - Bloomberg
フランスのマクロン大統領は2日、大企業を対象とした一時的な増税を支持した。長年の企業寄りの姿勢から離れるものの、新政権の戦略を支持した。
仏政府は2日、拡大する財政赤字の抑制と投資家信頼感改善を目的に、2025年度に約600億ユーロ(約9兆7000億円)の歳出削減と増税を実施する計画を発表した。富裕層や大企業に対する増税、環境税の増税により、200億ユーロ弱の歳入増を見込む。
マクロン大統領はベルリン・グローバル・ダイアログでのパネル討論会で、「必要な取り組みのレベルを考慮すれば、企業への特別課税は1年間の措置なら、大企業には十分に理解してもらえるものだ」と発言。「しかし、限定的なものでなければならない。フランス経済の現実、競争力と立場の現実を忘れてはいけない」と付け加えた。
マクロン大統領は就任後7年間、税負担増の回避を軸とした企業寄りの経済政策を展開してきただけに、今回の支持表明は従来路線とは大きく異なる。6月に実施した解散総選挙の結果、議会で過半数を占めることができなくなった上、フランスの財政状況も大幅に悪化していることが、マクロン氏を追い詰めている。
政府高官は2日、仏財政赤字の対国内総生産(GDP)比を今年の約6.1%から5%に抑制する上で、大幅な財政調整が必要だと説明した。同高官は内部規定に従い匿名を条件に話した。
●先進国中銀、金融当局
ECB10月利下げ、もはや勢い止まらず-エコノミスト相次ぎ予想修正 - Bloomberg
●先進国経済指標
米ADP民間雇用、9月14.3万人増 予想上回る | ロイター
米ADPリサーチ・インスティテュートが2日発表した9月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は14万3000人増と予想を上回る増加となった。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は12万人増だった。8月は9万9000人増から10万3000人増に上方修正された。
●金融市場、先進国トピックス
原油価格、生産制限守らなければ50ドルも サウジが警告=WSJ | ロイター
サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、「OPECプラス」の生産制限が守られなければ、原油価格は1バレル=50ドルまで下落する恐れがあると警告した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が2日、他の産油国高官の発言として報じた。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要な産油国で構成するOPECプラスの他の国が合意を守らなければ、サウジは市場シェアを維持するために価格競争を始める用意があるとの脅しと受け止められているという。
報道によると、アブドルアジズ氏は先週の電話会議で、他の産油国に対し価格下落について警告した。過剰生産についてはイラクとカザフスタンを名指ししたという。
金価格上昇の一方、現物需要は急落 | ロイター
金の価格が上昇している一方で、業界関係者やアナリストによると主要市場での金の現物需要は急落し、一部の個人は保有する金を売却して利益を確定させている。
金のスポット価格は9月26日に1オンス=2685.42ドルを付け、今年に入ってから約29%上昇した。2024年の年間上昇率は14年ぶりの大きさになりそうな勢いだ。
スイスに拠点を置く金精錬会社のアルゴール・ヘレウスで責任者を務めるロビン・コルベンバッハ氏は「一般的に、今や現物需要はどこでも超低水準だ」とし、「8月にインドが輸入関税を引き下げた際に需要が急増したものの、その後は再び落ち込んだ」と指摘した。
中国に次いで世界2位の金地金消費国となっているインドは、密輸対策として7月に金地金の輸入関税を引き下げた。その後、現地での金価格は史上最高値を付けた。
欧州の金の現物投資市場ではドイツが首位を維持しているものの、高金利が投資家に利回り資産への転換を促したため同国とオーストリアの需要は2020年以降に大きな打撃を受けている。
今年の金価格高騰は需要に一段の打撃を与えており、貴金属コンサルティング会社のフラゴールドの創業者のウルフギャング・チェスニョック―ロスバック氏は「トレーダーや銀行の需要は約50%減り、新たに鋳造された延べ棒やコインの輸入は約80%弱減っている」と説明した。
世界の資産価格、急落の恐れ 地政学リスク高まる=英中銀 | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会は2日、世界の資産価格は引き続き高水準にあり、地政学リスクに対する懸念が高まる中で、大幅な下落の恐れがあるとの認識を示した。
英国の金融安定に対する全体的なリスクは6月の前回評価から変わっていないが、資産価格が8月の下落後に急回復したことに安心するのは誤りだと指摘した。
「特に株式など複数の資産クラスの評価額は急速に高値に戻った。市場は依然として急激な調整の影響を受けやすい」と四半期声明で述べた。「地政学的環境や世界的な見通しは不透明で、世界的な脆弱(ぜいじゃく)性は依然として大きい」とした。
英中銀が国内で営業する大手金融機関を対象に年2回実施している調査で、地政学的リスクに対する懸念が2008年の調査開始以来最高水準に高まっていることが明らかになったと指摘した。
6月以降ヘッジファンドの米国債に対する売り持ちが8750億ドルから1兆ドルに増加したことに言及し、リスク認識の変化や損失、他の要因によりファンドがこれらのポジションを解消する必要が生じた場合、「深刻な」ストレスにつながる恐れがあると警告した。
主要国の高水準の公的債務は、投資家が悲観的な見方に転じた場合、金融安定リスクを引き起こす可能性があるとの見方を示した。
英国については、ほとんどの家計と企業は高金利にうまく対処しているものの、中小企業やプライベートエクイティ投資家の支援を受けている企業には一部で困難が生じていると分析した。
来年固定金利の住宅ローンが満期を迎える家庭は、金利の低下により住宅ローンのコストが当初の予想よりも小さくなるとし、全体として金利負担は、世界的金融危機後よりもはるかに小さくなるとの見通しを示した。
金融政策委員会は銀行のカウンターシクリカル資本バッファー比率を2%に据え置いた。
悪名高き10月、米国株は既に不安定な様相-VIXも上昇傾向 - Bloomberg
信用格付けに潜むリスクに懸念高まる、「異常気象脅威」評価が不十分 - Bloomberg
債券投資家の一部は、モデルが示唆する以上のデフォルトリスクに直面している可能性がある。
これは、気候変動の債券市場への影響を調査する研究者の間で高まっている懸念だ。異常気象がソブリン債の保有に及ぼす脅威を、今のところ信用格付けが十分捉えていないとしている。
インターコンチネンタル取引所 (ICE)のデータサービス部門で気候変動やESG(環境・社会・企業統治)を担当するシニアディレクター、エバン・コドラ氏は、「格付け機関は物理的リスクを考慮している。だが、それを格付けに直接組み込んではいないようだ」とインタビューで述べた。
アトランタを拠点とし金融・商品取引所を運営するICEは、国際債券市場への気候リスクの影響について、投資家教育を試みているという。
フェデレーテッド・ハーミーズやニューバーガー・バーマンなど一部運用会社は、気候リスクを受けた債券エクスポージャーの見直しを示している。一方、ICEの調査によると、信用格付けのみに頼っている投資家は、損失リスクを過小評価している可能性が高い。
こうした懸念は、バークレイズやケンブリッジ大学、中国科学院などの研究者が注目するものだ。オックスフォード大学の研究者の調査は、現在の格付けの手法について世界的なソブリン債市場のリスクを「誤って評価」しており、この盲点は「潜在的なシステミックな影響」を及ぼす可能性があると指摘している。
ICEは、気候リスクのスコアが高いとデフォルトリスクも高いことを明らかにした。実際、リスクスコア3.5以上(0が最低、5が最高)の7カ国全てが、1995年から2020年の間に最低一回はデフォルトに陥っている。ICEは、具体的な国名を挙げるのは避けた。
気温が高く乾燥した地域の発行体は、「体系的に高いデフォルトリスク」に直面しているとコドラ氏は述べている。
大手格付け会社は、こうした懸念を認識していると主張する。一方で、多くの要因がソブリン格付けに影響を与えると指摘し、気候変動の役割を過大評価しないよう警鐘を鳴らしている。
S&Pグローバル・レーティングのソブリン格付けグローバル責任者ロベルト・シフォン・アレバロ氏は、信用格付けに関する学術的な結論の多くが「格付けプロセスを単純化し過ぎている」と指摘する。
同氏は、自然災害が常に一国の債務返済能力を損なうわけではないとインタビューで言及。S&Pは「ソブリン信用格付けを提供しており、気候格付けは提供していない」と述べた。
また「われわれが生きている世界は、はるかに実体があるものだ」とし、気候変動よりも大きな影響を持つ要因が数多く存在する」とも話した。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、コメントの依頼に対してすぐには回答しなかった。
フィッチ・レーティングスの広報担当者は22年のリポートに言及した。同社はリポートで「気候変動を理由に明示的に格下げされたソブリンはまだ存在しないが、一部の格付け判断に寄与する要因になっている」と説明している。
ブラックストーンCEO、ファンド融資「黄金期が続く」 - 日本経済新聞
米投資大手ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)は、近年増加している投資ファンドの融資について「黄金期は続く」と述べた。米連邦準備理事会(FRB)による利下げへの転換で、企業の借り入れ意欲が増してくることなどを理由に挙げた。
米新車販売、9月12%減 価格高騰と高金利で需要減 - 日本経済新聞
米新車販売が減少している。調査会社マークラインズは2日、ゼネラル・モーターズ(GM)など主要大手の9月の米国新車販売台数(速報値)が前年同月比で12%減ったと発表した。販売好調が続いてきたトヨタ自動車など日本車4社の販売も1年7カ月ぶりに減少した。9月後半のハリケーンなど一時的な影響はあるものの、新車価格高騰や長引く高金利に伴う消費の息切れが顕在化しつつある。
●中東情勢
【コラム】イランが報復攻撃で犯した致命的ミス-チャンピオン - Bloomberg
初期の報告によると、今回も多くのミサイルが迎撃されたが、イスラエルの防空システムを突破したミサイルは増えた。さらに今回は4月の攻撃で主流だった巡航ミサイルやドローンよりも高速な弾道ミサイル200発が発射されたとみられる。ロンドンにある国際戦略研究所の防衛研究員ファビアン・ヒンツ氏の分析によると、1日の弾道ミサイルは以前よりもさらに近代的で洗練されたタイプだった。
それでも今回の報復攻撃は、4月よりさらに大きな過ちである可能性が高いと思われる。
現時点で死傷者の報告は入っていない。イランの狙いが国家間の戦争を誘発することなく、抑止力の回復を再び意図したものであったとしても、それは明らかに失敗だった。最高指導者ハメネイ師は注意を払っていなかったことの表れでもある。
イスラエルのネタニヤフ首相は「イランは今夜、大きな過ちを犯した。そして、その代償を支払うことになるだろう」と警告。「イラン政府はわれわれの自衛の決意、敵に対して報復するわれわれの決意を理解していない」と付け加えた。今後、どのような報復措置が取られるかが重要となる。
元イスラエル情報機関高官のアビ・メラメド氏は筆者に、イスラエルに報復以外の選択肢はないと語った。メラメド氏の見方ではイスラエルは今回は迅速に動き、4月よりもはるかに大規模な攻撃になる。1日の弾道ミサイル攻撃で死者は出なかったかもしれないが「これはテレビゲームではない」と同氏は言った。イランの2回目の誤算はイスラエルにとっては好機にもなる。
イスラエルの攻撃は4月の時よりも多くの資産を破壊し、はるかに多くの目にさらされることになるだろう。イランは、前回のようにイスラエルの無人機をおもちゃと片付けることは通用しないはずだ。ハメネイ師と軍幹部は何もせずに信頼性と抑止力をさらに失うか、それとも反撃して米国さえ巻き込む恐れのある悲惨な戦争のリスクを負うか、決断を迫られることになる。
ネタニヤフ首相は先週の国連総会での演説で、中東を前向きな形で再構築しようとしているイスラエルこそ支持されるべきであり、それがイラン中枢とその代理勢力の打倒に通じているとの理論を展開した。
ネタニヤフ氏の理論には説得力があった。今のところイスラエルが多くの軍事的成功を収めているのは明らかであり、イランの体制は国民と地域にとってマイナスであることに疑いの余地はない。さらにナスララ師の死はイスラエルだけでなく、ワシントンのタカ派の間でも最終的にはイランと戦うネタニヤフ氏への支持につながった。
中東を再構築しようとするこれまでの試みは、2003年の米国主導のイラク侵攻を含め、あまりうまくいっていない。もちろん今回はそれとは違うだろう。少なくともイラン国内で地上戦が行われることはないとみられるからだ。しかし、エスカレーション抑止のためのエスカレーションが実際にどう展開するかは、依然としてコントロールが難しい。
[社説]中東の両軍事大国は最大限の自制を - 日本経済新聞
イランが1日、イスラエルを約180発の弾道ミサイルで攻撃した。イスラエルは大半を撃墜し、反撃を警告した。中東の軍事大国同士の衝突激化を避けなければならない。双方に最大限の自制を求める。
イランは支援する武装勢力であるパレスチナ自治区ガザのハマス、レバノンのヒズボラの指導者らが殺害された報復とした。1年近くガザで続くイスラエルとハマスの戦闘が終わらないまま、戦線が広がるのを食い止めなければならない。
7月、ハマスの指導者だったハニヤ氏が暗殺され、イランはイスラエルの仕業と断じた。9月にはイスラエル軍がヒズボラの指導者ナスララ師を空爆で殺害し、続いてレバノンに地上侵攻を始めた
イスラエルのレバノン侵攻は2006年以来だ。ガザ攻撃に続き、民間人を巻き添えにする戦闘が広がるのを憂慮する。
イスラエルが一方的に攻勢を強めて地域の緊張を高めるなか、イランが直接の報復を見合わせてきたのがこの夏以降の経緯だった。放置すればイスラエルが勢いづくと危ぶんだのか。ここでイランがイスラエルを攻撃したのは、反撃の根拠を与えたようなものだ。
同国のネタニヤフ首相はイランに「代償を払うことになる」と警告した。代理勢力でなく、イランの国土が標的になる恐れが強い。
原油先物価格は1日に一時、前日比5%も上昇した。イランは主要産油国で、ホルムズ海峡はエネルギー輸送の要路だ。本格的な衝突で原油供給が滞りかねないとの不安が市場で広がった。
イランはペゼシュキアン新大統領が米欧との対話を求め、イスラエルとの全面戦争を望まない姿勢を示している。ならばこれ以上の攻撃は無用だ。
両国間の4月の直接攻撃のように限定的な応酬で収まるかは、イスラエルの出方にかかっている。イランの核開発施設や石油施設を狙うとの観測が報じられた。核施設の危険性はもちろんのこと、石油施設攻撃の余波は世界経済に及ぶ。
イランの再反撃を誘うほどの強い反撃は、大きな禍根を残す。米国はイスラエル支持を改めて鮮明にしたが、最大の影響力を持つ米国こそが、自制を強く促す立場にある。報復の連鎖に歯止めをかけるため、抑制的な対応を国際社会が一致して求めるときだ。
湾岸協力会議、レバノン支持を表明 ガザ地区の即時停戦要求 | ロイター
イラン核施設への攻撃支持せず、イスラエルの報復巡り米大統領 | ロイター
イラン・イスラエル、さらなる攻撃を互いに警告 安保理会合 | ロイター
イスラエル軍にレバノンで死者、地上侵攻で初-G7はイラン制裁計画 - Bloomberg
●エマージング
●プロファイ、インフラ、自然災害
メキシコ沖に熱帯低気圧、ハリケーン「ジョン」被害地域に襲来か | ロイター
米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、1日にメキシコ南部の太平洋沿岸やグアテマラに接近した熱帯低気圧は、2日に内陸に移動すると予想されている。
1日夜により勢力の強い熱帯低気圧に発達する可能性が高く、洪水や土砂災害を引き起こす恐れがあるという。
メキシコでは先週、ハリケーン「ジョン」の影響で南西部沿岸の広い範囲が豪雨に見舞われ、土砂崩れにより少なくとも22人が死亡したばかり。
NHCによると、熱帯低気圧はメキシコのオアハカ州サリナクルス港の南東約121キロに位置している。同港には国営石油会社ペメックスが運営する大規模な製油所がある。
NHCは熱帯低気圧がメキシコ南部の複数の州やグアテマラ西部に100─300ミリの雨をもたらすと予想している。
バイデン米政権、東海岸港湾労働者の賃上げ要求後押し スト巡り | ロイター
バイデン米政権は、東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者が1日にストライキを開始したことを受け、経営側に新たな労働協約の提示額を引き上げ、労組の合意を取り付けるよう迫った。
バイデン大統領は1日遅くにXへの投稿で「港湾労働者はコロナ禍に港が操業を継続できるよう自らを危険にさらした。そのコロナ禍以降、外資系海運会社は記録的な利益を上げてきた」と指摘。その上で海運会社に対し「強力かつ公正な」協約案を提示するよう促した。
港湾労働者約4万5000人を抱える国際港湾労働者協会(ILA)は使用者団体の米海運連合(USMX)との労働協約を巡る交渉が決裂したことを受けて1日にストを開始
USMXは50%の賃上げを提示したが、ILAのハロルド・ダゲット会長はこれを上回る賃上げを要求しており、6年の協約期間中に毎年1時間当たり5ドルの賃上げや、雇用を脅かす港湾自動化事業の停止などを求めていると述べた。
「必要な限り闘う用意がある」と1日に表明した
リスク分析専門企業エバーストリーム・アナリティクスによると、同日時点で米国の港湾では38隻以上のコンテナ船が滞留している。
ニュージャージー州のコンテナターミナルでは数百人の港湾労働者が「ILAと最後まで闘う」などのスローガンを叫びながらデモを行った。
バイデン米大統領、港湾スト長引けば「人為的災害」と警告 - Bloomberg
バイデン米大統領は2日、米東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者のストライキについて、「人為的災害」となる恐れがあると警告し、組合との協議を再開するよう港湾運営業者や海運会社への圧力を強化した。
バイデン氏はハリケーン「ヘリーン」による被害の視察に出発する前にストに言及し、ハリケーン災害が広がる中で最も不要なのは港湾で生じつつある「人為的災害だ」と発言。港湾運営業者などが多大な利益を上げているとし、「交渉の席に着き、ストを終わらせる」時が来たと語った。
国際港湾労働者協会(ILA)は経営側の米国海事同盟(USMX)との労働協約失効後の1日にストに突入。東海岸・メキシコ湾岸の主要コンテナ港は閉鎖されている。労使は賃金に加え、自動化を巡って対立している。
USMXは、ILAが6月に交渉を打ち切って以来、誠意をもって対応していないと主張している。USMXはホワイトハウスに促され、スト期限の数時間前に約50%の賃上げ案を新たに提示したがILAは拒否した。
ILAは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に起きたサプライチェーン危機の際に外資系海運会社が得た利益のより多くの配分を求めており、バイデン氏もこの主張を支持している。
共和党の大統領候補、トランプ前大統領と民主党候補のハリス副大統領も同じ立場で、海運会社側を非難している。
USMXは2日の声明で、交渉を必要とする重要な問題の多くは錯綜(さくそう)していると指摘した上で、交渉の席に戻ることにフォーカスしているものの、そのための「前提条件に同意することはできない」と説明した。
●その他
●市況(ChatGPTによる要約版)
欧州市場サマリー(2日) | ロイター
ロンドン株式市場はまちまちで取引を終えました。中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の上昇でエネルギー株が値上がりし、FTSE100種指数はプラスで引けましたが、紛争リスクで上昇幅は限定的でした。一方、国内志向のFTSE250種指数は0.63%下落。イランの軍事攻撃により原油価格が上昇し、石油・ガス株指数は1.58%上昇。防衛関連株や鉱業株も上昇しましたが、小売りのJDスポーツは利益予想据え置きとナイキ株の急落で6.1%下落しました。
欧州株式市場は横ばいで取引を終えました。中東情勢の悪化により積極的な買いが控えられましたが、原油価格の上昇でエネルギー株が値上がりし、相場を支えました。イランのイスラエルへのミサイル攻撃やイスラエルと米国の報復宣言を受け、STOXX欧州600種石油・ガス株指数は1.58%上昇。また、防衛関連株も上昇し、ラインメタル、BAEシステムズ、サーブが1.1%から2.5%上昇しました。
ユーロ圏の8月の失業率は6.4%で予想通りでした。シティグループは欧州中央銀行(ECB)が10月に利下げを決定するとの見通しを示しました。個別銘柄では、ボルボ・カーズが販売台数の増加を発表しましたが、株価は6.6%下落しました。
ユーロ圏の国債利回りは上昇しました。前日、経済成長への懸念から長期国債利回りが大幅に低下しましたが、この日は反転しました。9月のユーロ圏製造業PMI改定値は45.0と8月から低下し、今年の最低値となりました。ドイツ10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)上昇し2.11%、2年債利回りも3bp上昇し2.05%に。市場では欧州中央銀行(ECB)が今月の理事会で25bpの利下げを行う確率が90%と見込まれています。
NY市場サマリー(2日)ドル上昇、利回り上昇 S&P横ばい 全米雇用報告好調 | ロイター
ドルは対ユーロで3週間ぶりの高値を記録し、対円でも上昇しました。これは米国のADP全米雇用報告で民間部門の雇用者数が市場予想を上回ったためで、4日に発表される雇用統計への期待が高まったことが背景です。また、中東情勢の緊迫化による安全資産の需要増もドルの支援要因となりました。
ドル指数は0.42%上昇し、9月11日以来の高値となる101.68を付け、ユーロは0.27%安の1.1037ドルに。ビットコインはわずかに下落し、60,712ドルとなりました。
国債利回りは上昇しました。中東情勢の緊迫化が注目される中、米ADP全米雇用報告で9月の民間部門雇用者数が14万3000人増加し、労働市場の安定が示唆されました。10年国債利回りは4ベーシスポイント上昇し3.783%、30年債利回りは5.2bp上昇して4.133%。利回りの上昇は前日までの大幅低下の反動と見られています。11月のFOMCでの50bp利下げの可能性は低下し、市場ではその確率を34.7%と予想しています。
S&P500は横ばいで取引を終えました。ハイテク株が買われる一方、中東情勢の緊張と米雇用統計の発表を控え、神経質な展開となりました。エヌビディアが1.6%上昇し情報技術セクターを押し上げましたが、テスラは納入台数が予想を下回り3.5%下落しました。ナイキは通期売上高見通し撤回で6.8%下落、ヒューマナは来年の加入者減少見通しを受け11.8%下落しました。今後の焦点は4日の雇用統計や来週から始まる企業の決算シーズンです。
金先物はドル高を背景に売りが優勢となり反落し、12月物の終値は1オンス=2,669.70ドルで前日比0.77%安でした。一方、米原油先物は中東情勢の緊迫化を受けて強気地合いが続き、WTIの11月物は0.39%上昇して1バレル=70.10ドルとなりました。しかし、米原油在庫の大幅増加や主要産油国の減産縮小の方針から、相場の上昇は限定的となりました。

備忘録(2024/10/1
●海外企業決算
[NKE] ナイキ 1Q減収最終減益 売上高10%減115億ドル、純利益28%減10.5億ドル、EPS0.70ドル - 株探(かぶたん)|米国株
ナイキが通期業績ガイダンスを撤回、今月のCEO交代控え-株価下落 - Bloomberg
マット・フレンド最高財務責任者(CFO)はアナリスト向け電話会議で、ガイダンス撤回は間近に迫ったCEO交代が理由だと説明した。9-11月(第2四半期)の売上高については、前四半期と同程度の8-10%減となる見通しを示した。
アナリスト向け電話会見前のナイキの発表によると、6-8月期の売上高は10%減の115億9000万ドル(約1兆6600億円)で、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均をわずかに下回った。特に北米と欧州、アフリカ、中東を含む地域で売り上げが急減した。「コンバース」ブランドも依然として問題を抱えている。
一方で、中国本土の売上高は市場予想を上回り、4%の減少にとどまった。地域別では最も小幅な落ち込みだった。粗利益率は前年より上昇し、市場予想を上回った。ナイキは製品や倉庫、物流のコスト削減を理由に挙げたほか、昨年実施した価格調整も収益性向上に寄与したと説明した。6-8月期の1株利益は市場予想を上回った。
●海外企業
経営難のテムズ・ウォーター債、ゴールドマンが9月に約1900億円取引 - Bloomberg
米銀ゴールドマン・サックス・グループは、経営難に陥っている英最大の水道会社テムズ・ウォーターの社債の取引を9月に10億ポンド(約1900億円)余り実行した。同社債からの撤退を模索する当初の投資家と、割引価格での購入意欲が強いヘッジファンドなどとのマーケットメーク(値付け)業務が活況となっている。
ゴールドマンの複数のディーラーが顧客宛てに送ったメモによれば、ヘッジファンドやディストレスファンドからは、テムズ債の買い注文が継続。同社債の売買高は9月月間で総額30億ポンド程度だったという。ブルームバーグが9月30日、メモの内容を確認した。
テムズは増資が困難な状況下で、債権者らとの債務再編に向けた交渉を開始。手元資金が早期に枯渇するとの懸念を背景に、先週には格付け会社が最も安全とされるクラスAの同社債務を格下げし、S&Pグローバル・レーティングが5段階、ムーディーズ・レーティングスは6段階引き下げた。両社はよりリスクの高いクラスBの債務格付けも引き下げている。
ゴールドマンはメモの中で、「当初は売りの中心がクラスB債務だったが、最近ではクラスA債務の売り手にもなっている」と説明。短期債と長期債の市場価格差が縮小する中、買い手は流動性が低く現物価格の低い債券を好む傾向にあるとしている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、テムズの2031年1月償還債(発行額10億ユーロ、約1600億円)の価格は額面1ユーロ当たり72.8セントで、9月初めの水準から3セント近く下落している。
メモによると、ゴールドマン自体もテムズ向け融資の一部について、4月以降、行内ディーリングデスクを通じて1億4500万ポンドを取引している。 同行の広報担当者はコメントの要請にすぐには応じなかった。
コメルツ銀新CEO、「独立」戦略を全面支持 行員にメッセージ | ロイター
米CVS、小売り事業と保険事業への会社分割を検討=情報筋 | ロイター
米薬局チェーン・薬剤給付管理(PBM)大手、CVSヘルスは会社分割によって小売り事業と保険事業を分離することなどを検討していることが分かった。情報筋はロイターに対し、CVSが経営難に陥っていることへの投資家からのプレッシャーを背景に、会社分割などの経営再建策を検討していると語った。
情報筋は匿名を条件に、小売り事業と保険事業の分離が有効かどうかを含め、CVSが過去数週間に財務アドバイザーとさまざまな選択肢を議論していると明らかにした。
小売り事業と保険事業を分割する可能性を含めた計画は取締役会でも協議しており、情報筋はCVSが最善の方策をまだ決定していないと説明した。
情報筋によると、CVSは2つの株式公開企業ができる可能性のある会社分割を進める場合、医療プランの薬剤給付管理を手がけるPBM部門を小売り事業に置くべきか、保険事業の傘下で手がけるべきかについても議論している。
CVSの広報担当者は、選択肢を検討するために協議を進めているかどうかについてはコメントを避けた。
CVSは2017年に米医療保険大手エトナを700億ドルで買収することで合意して事業規模を拡大したが、1963年の創業後で最も困難な時期の一つを乗り切るために事実上の解体策を検討することになった。
CVSは今年8月、2024年通期決算の利益見通しを3四半期連続で下方修正しており、ヘッジファンドのグレンビュー・キャピタル・マネジメントなどの投資家が業績改善のために改革を迫っているとされる。
昨年末時点で時価総額が約790億ドルで、約580億ドルの長期負債残高を抱えるCVSは今年8月、24年通期の1株当たり利益予想を6.40―6.50ドルとし、従来予想の最低7.00ドルから引き下げた。
米バークシャーが円債発行を計画、今年2回目-日本株投資に期待 - Bloomberg
米バークシャー、円建て債発行へ 4月以来9度目 - 日本経済新聞
サムスン電子、数千人規模で人員削減へ-世界的なレイオフの一環 - Bloomberg
アブダビ国営石油、独化学大手コベストロを160億ドルで買収へ | ロイター
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)は、ドイツの素材化学大手コベストロを、負債を含めて147億ユーロ(163億ドル)で買収する契約を締結した。湾岸諸国による外国企業の買収としては最大規模の1つで、世界的にクリーンエネルギーへの移行が進む中、石油産業への依存度を減らす取り組みの一環となる。
コベストロ1株に付き62ユーロを現金で支払い、約30億ユーロの負債も引き受ける。買収により、石油化学やガス、再生可能エネルギーでの成長を目指す。ADNOCはコベストロの財務改善を図るため、コベストロの新株11億7000万ユーロ分を追加購入することも明らかにした。
コベストロの株価は上昇し、約3年ぶりの高値を付ける場面もあった。コベストロはバイエルの事業から独立する形で2015年に設立された。買収提案に基づき、ADNOCはコベストロ株の過半数を取得することになる。
今回の取引は、景気が低迷する中、国内の優良企業が外国企業による買収されることについてドイツで議論を巻き起こす可能性がある。ドイツのコメルツ銀行とドイツ政府は、イタリアの銀行ウニクレディトによる買収の動きに反発している。
ADNOCがコベストロの事業売却や大幅な縮小はせず、技術と知的財産を保護することも約束したと、コベストロは明らかにした。コベストロのマルクス・スタイレマン最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、2028年までの任期を務める予定だと話した。
アナリストなどはロイターに対し、今回の買収合意は、中東と欧州の間での企業の合併・買収(M&A)の増加を浮き彫りにしていると指摘する。米国企業に比べて低い欧州企業の価値に魅力があるほか、規制緩和により買収しやすい環境となっているためだ。
ディールロジックによると、中東勢による企業買収としては、イスラエル製薬大手のテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズが2015年に米同業アラガンのジェネリック(後発医薬品)部門を約400億ドルで買収したのに次ぐ、2番目の大型買収となる。
ボーイング、新株発行通じて100億ドル以上の調達を検討-関係者 - Bloomberg
米航空機・防衛大手のボーイングは、新株発行を通じて少なくとも100億ドル(約1兆4400億円)の調達を検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。現在も続くストライキによって一段と減少した手元の資金を補いたい考えだという。
非公開情報を話しているとして匿名を条件に応じた同関係者によれば、ボーイングはアドバイザーと共に選択肢を模索している。同社はストが財務に及ぼす影響を正確に把握したいと考えており、スト解決を前提に1カ月間は増資を行わない可能性が高いという。
ボーイングの広報担当者はコメントを避けた。資金調達の最終的な時期や規模は確定しておらず、実施されない可能性もあると、同関係者は述べた。
同社の信用格付けはジャンク(投資不適格)級の1段階上。これを下回ると債務返済コストが押し上げられることになり、ボーイングには財務を強化し、投資適格級の格付けを維持するようプレッシャーがかかる。ストが3週目に入る中、状況は一段と厳しくなっている。
アポロ、今後5年で100億ドルの年間収益見込む-運用資産1.5兆ドルに - Bloomberg
シュワブのベッティンジャーCEOが年末に退任、ワースター氏が後任 - Bloomberg
●日本企業
●米大統領選挙
米副大統領候補が討論会へ-失点回避し陣営の勢い加速目指す - Bloomberg
●その他先進国政治動向
石破首相、日米地位協定の改定に意欲 「同盟強化」強調 - 日本経済新聞
石破茂内閣が発足、経済対策指示へ 資産運用立国を継承 - 日本経済新聞
経済政策は岸田前内閣の方針を継承する。「賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現するため、成長戦略を着実に引き継ぎ、デフレ脱却最優先の経済財政運営を行う」と語った。資産運用立国の政策も続けて貯蓄から投資の流れを推進する。
赤沢新経財相、日銀の利上げ「慎重に判断を」 - 日本経済新聞
経済財政・再生相に決まった赤沢亮正氏は1日午後、官邸で記者団に対して、日銀の金融政策について「金利の引き上げも慎重に判断いただきたい」と話した。「ありとあらゆる面で経済を冷やすようなことは絶対にここしばらくはやってはならない。デフレ脱却最優先で取り組む」との考えを示した。
石破茂首相は1日夜の記者会見で「金融政策の具体的な手法について政府があれこれ申し上げるべきではない。日銀との意思疎通のもとに、具体的な手法は日銀に委ねられるべきだ」と語った。「金融緩和の基本的な基調は維持される」とも言及した。
日銀は3月にマイナス金利を解除し、7月に政策金利を0.25%に引き上げる追加利上げを実施した。直近9月に行われた金融政策決定会合では政策金利を維持した。次回の会合は10月30〜31日に予定されている。経済財政・再生相は金融政策決定会合に出席することができ、議案の提出や次回会合までの議決延期を求めることができる。
赤沢氏は、デフレ脱却については「賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現する」と意気込んだ。岸田文雄前政権の路線を引き継ぎつつも、2020年代の最低賃金1500円実現に向けて、具体的な政策に取り組む考えを強調した。
赤沢氏は防災庁設置の準備担当も兼務する。同氏は「事前防災を中断することなくできるようにする。亡くなる方を万単位で減らしたい」と話した。今の防災への備えについては「今の体制では全く(人員が)足りないし、専任大臣を置く必要がある」と指摘した。
●先進国中銀、金融当局
FRBが主導する利下げ、2025年の不透明にもかかわらず世界に拡大へ - Bloomberg
世界的なインフレショックの最後の兆候が薄れつつあることから、不確定要素の多い新たな年へと各国・地域が向かう中でも、借り入れコスト低下の傾向が勢いを維持しそうだ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、米連邦準備制度理事会(FRB)が先進国・地域の利下げの仲間入りをした今、消費者物価に関する懸念が次第に後退し世界の成長への懸念が強まる可能性が高い。
先進国の借り入れコストの総合指標は、現在から年末までにほぼ40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、2025年末までにさらにその2倍以上の低下が見込まれている。
FRBが世界的な金融緩和の先頭に立った今、利下げは広範囲に及ぶ可能性が高く、主要7カ国(G7)のほとんどが追随し、ノルウェーやオーストラリアもいずれは利下げに加わると見込まれる。
しかし、11月の米大統領選挙をはじめ、未解決の問題が今後の見通しを曇らせている。来年1月にドナルド・トランプ氏が米大統領に就任した場合にカマラ・ハリス氏の場合と比べてどのような違いが生じるかは予想が難しいが、税制、関税、移民に関するトランプ氏の政策が完全に実施されれば、米経済ひいては金融政策にも大きな影響を及ぼすことになるだろう。
いずれにしても、最近の「より高くより長く」の休止期間とは対照的に、中央銀行が積極的に行動する期間が続く公算が大きい。
注目される23の中央銀行のうち、借り入れコストを今後3カ月間据え置くと予想されているのはわずか3行であり、そのすべてが25年末までに何らかの形で金利を調整すると予測されている。
主流は金融緩和だが、日本とブラジルは引き締めが予想される。
BEのグローバルチーフエコノミスト、トム・オーリック氏は「FRBの0.5ポイント利上げと中国人民銀行の景気刺激策のサプライズにより、中央銀行に関するテーマはインフレ抑制のための利上げから市場を支える利下げへとシフトした。日銀が逆の方向に向かっていること、そしてそれが円キャリー取引にどのような影響を与えるかが、大きな別の流れだ。もう一つの流れは、米国の選挙から生じる可能性がある。もしトランプ氏が当選して同氏の選挙公約である減税、関税、移民の強制送還が実施されれば、それが経済の道筋を変化させ、FRBに再び軌道修正を迫ることになるだろう」と分析した。
ECBの国債購入は例外的なケースに限定するべきだ-ドイツ連銀総裁 - Bloomberg
●先進国経済指標
米ISM製造業景気指数、9月は47.2と横ばい 支払価格9カ月ぶり低水準 | ロイター
米供給管理協会(ISM)が1日に発表した9月の製造業景気指数は47.2と、前月から横ばいとなり、拡大・縮小の分岐点となる50を6カ月連続で下回った。
ただ、ISMが長期的に経済全般の拡大を示すと見なす水準(42.5)は上回って。9月は新規受注が改善したほか、支払価格が9カ月ぶりの水準に低下。金利低下と相まって、向こう数カ月間で経済活動が上向く可能性がある。
先行指標となる新規受注は46.1と、8月の44.6から上昇。生産は49.8と、44.8から上昇した。
一方、雇用は43.9と、46.0から低下。製造業雇用者数に下振れリスクがあることが示された。
支払価格は48.3と、54.0から低下し、2023年12月以来の低水準を付けた。
供給業者の納入を示す指数は52.2と、50.5から上昇。50を超えると納入の速度が遅くなっていることを示す。
米東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者が1日にストライキに突入したことで、供給網が混乱し、原材料価格が上昇する可能性があるとの見方も出ている
米ISM製造業指数、6カ月連続で活動縮小-受注や雇用が低迷 - Bloomberg
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は発表資料で、「需要が依然として抑制されている。米金融政策や選挙の不透明感を要因に、企業は設備投資や在庫投資に消極的だ」と指摘した。連邦公開市場委員会(FOMC)は9月18日に政策金利を0.5ポイント引き下げた。
9月は印刷やプラスチック・ゴム、木材製品など13業種が縮小を報告。5セクターは拡大した。
海外顧客などを含む需要の低迷を背景に、資材などへの投入価格圧力は和らいだ。仕入価格指数は5.7ポイント低下して48.3と、2023年5月以来の大幅な下げを記録し、今年初めて縮小の水準となった。
原油など投入資材の価格低下は、完成品のさらなる値下がりやサービスインフレの抑制につながる可能性がある。そうなれば、米金融当局は労働市場の悪化を防ぐために利下げ継続の方針を維持するだろう。
ISM製造業の雇用指数は43.9に低下。これで4カ月連続の縮小となった。9月の米雇用統計は4日に公表される。エコノミストは製造業の雇用が8月に続いて減少すると予想している。
高い借り入れコストや11月の大統領選を巡る不透明感を一因に、設備投資が抑制されており、引き続き製造業への向かい風になっている。輸出市場も弱い状況だ。輸出受注の指数は低下し、1月以来の大幅な縮小を示した。
在庫も縮小し今年の最低水準。生産者が在庫を抑えていることを示唆している。
米求人件数、8月は804万件に増加 採用低調で労働市場の減速示唆 | ロイター
米労働省が1日発表した8月の雇用動態調査(JOLTS)は、求人件数が32万9000件増の804万件だった。2カ月連続で減少した後に予想外に増加したものの、雇用は軟調で労働市場の減速が示された。
  エコノミスト予想は766万件だった。
7月の求人件数は771万1000件と、767万3000件から上方改定された。
8月の採用件数は9万9000件減の531万7000件。レイオフ・解雇件数は10万5000件減の160万8000件。
米求人件数は804万件、3カ月ぶり水準に増加-市場予想上回る - Bloomberg
仏製造業PMI、9月改定44.6 6月以来の高水準 | ロイター
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「フランスの製造部門は依然として深刻な不況に陥っている」とし「メーカーは将来についてますます悲観的になっている。おそらくフランスの政治的な不透明感が続いていることに動揺している」と述べた。
生産減少の主因は需要低迷の継続。内需と外需は非常に低迷しており、北米のほか、西欧の一部で売り上げが著しく減少した。
また投入コストが引き続き利益率を圧迫しており「需要の停滞を受け、投入コストの上昇分を最終顧客に完全に転嫁することはできない」状態という。
ユーロ圏製造業PMI、9月改定45.0で今年最低 需要急減 | ロイター
9月のユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.0で8月の45.8から低下し、今年最低となった。値下げしたにもかかわらず需要が急減した。
速報値の44.8からは上方修正された。
生産指数は45.8から44.9に低下し9カ月ぶりの低水準。速報値の44.5からは上方修正された。
ハンブルグ商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ユーロ圏の第3・四半期の鉱工業生産は前期比1%程度減少したとみられる。受注が急減しており、年末にかけ生産はさらに落ち込むだろう」と述べた。
産出価格指数が51.1から49.2に低下。製造業各社は値下げに転じた。だが需要は今年最速で減少した。
独製造業PMI、9月改定40.6 受注急減で1年ぶり低水準 | ロイター
ハンブルグ商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「この数字は、産業の空洞化を巡る議論に拍車をかける。驚くほどのペースで受注が減っており、早期回復は考えにくい」と述べた。
新規受注は昨年10月以来の大幅な減少。市場の不透明感、投資の手控え、自動車部門の低迷を反映した。
輸出売上高も、アジア、欧州、北米の需要減少で、11カ月ぶりの落ち込みを記録した。
デラルビア氏は「このような輸出受注の落ち込みは過去30年間、例がない。多くの企業、特に自動車や機械設備分野では、競争の突如とした激化に対する納得のいく解決策を見いだせていない」と指摘した。
人員削減が加速し、工場従業員数は過去4年間で最大の減少となった。
先行きの見通しも7カ月ぶりに悪化に転じた。調査した企業の3分の1以上が、需要減退、地政学の不確実性、自動車部門の問題などを理由に、今後12カ月間の生産減少を予想した。
ユーロ圏インフレ率、ECB目標の2%を下回る-利下げ後押し - Bloomberg
ユーロ圏のインフレ率は、欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%を2021年以降初めて下回った。従来見込まれたよりも速いペースで金利が引き下げられるとの見方を強めそうだ。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が1日発表した9月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比1.8%上昇で、前月の2.2%上昇から低下した。エネルギーコストの大幅下落が寄与した。
食品やエネルギーなど変動の激しい項目を除くコアインフレ率も2.7%に低下。9月の数値は総合、コアともブルームバーグが調査したエコノミスト予想に一致した。
景気低迷と予想外に急速に進行するディスインフレを踏まえ、ECBは金融緩和を急ぐべきだとの見解が投資家の間で広がっており、今回のインフレ統計で投資家はその確信を深めるだろう。
ラガルド総裁は9月30日に欧州議会で、政策委員会はインフレ抑制に対する楽観を強めていると説明し、10月17日の政策判断でそれを考慮に入れると明言した。
短期金融市場はいまや、同会合で今年3回目の利下げが行われる確率を約90%と織り込み、さらに今年の最後の会合となる12月にも0.25ポイントの利下げがある公算が大きいとみている様子だ。10,12月に連続利下げが決定されれば、ECBの中銀預金金利は現在の3.5%から3%に低下する。
ECBの利下げ加速を見込む動きは、9月23日に発表されたユーロ圏HCOB総合購買担当者指数(PMI)が予想を大きく下回り、需要の弱さと価格上昇圧力の低下を示したことがきっかけだった。ドイツ、フランス、スペインのインフレ率も2%未満に低下し、利下げ見通しを後押しした。
ユーロ圏の総合インフレ率は9月に低下したものの、年末に向けて再び上昇する可能性が高い。当局者が域内物価の上昇圧力を判断する材料として注目するサービスのインフレ率は9月に4%と前月の4.1%からわずかな低下にとどまり、依然として高い水準だ。
●金融市場、先進国トピックス
●中東情勢
ヒズボラの「攻撃インフラ」解体の重要性で米と一致=イスラエル | ロイター
アラブ諸国の反応割れる、サウジは沈黙 ヒズボラ指導者殺害 | ロイター
イスラエル軍がレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師を殺害したことについて、スンニ派が支配層を形成するアラブ諸国の多くは沈黙を保っている。
イスラエルに反発する住民がいる一方で、政府がイスラエルと国交を正常化したり、ヒズボラを支援するイランと敵対するなど、分断が生じていることが背景だ。
ペルシャ湾岸諸国とアラブ連盟は2016年にヒズボラを「テロ組織」に指定したが、アラブ連盟は今年、指定を取り消している。
スンニ派が支配層を形成するサウジアラビアは29日遅くの声明で、レバノンの動向を「重大な懸念」をもって見守っていると表明。レバノンの主権と地域の安全を維持するよう求めたが、ナスララ師には言及しなかった。
同じくスンニ派が支配層を形成するカタール、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンはナスララ師の殺害について完全に沈黙を保っている。
UAEとバーレーンは20年にイスラエルとの国交を正常化。バーレーンは11年にシーア派住民による大規模な民主化蜂起を鎮圧した。
バーレーンのイラン寄りのテレビ局ルアルアは、ナスララ師を追悼する小規模なデモ行進が行われたと報道。バーレーン政府がデモ隊を「攻撃」し、一部のデモ参加者が拘束されたと伝えた。
バーレーンの反体制派サイト「バーレーン・ミラー」はナスララ師に哀悼の意を表したシーア派のイスラム法学者が当局に拘束されたと報じている。ロイターはこうした報道の事実関係を確認できていない。
エジプト大統領府の声明によると、同国のシシ大統領はレバノンのミカティ首相と電話で会談し、レバノンの主権に対する侵害を認めないと述べたが、ナスララ師には言及しなかった。
エジプトはイランや代理勢力に批判的だったが、イランとは非公式な接触を続けている
シリアやイラクなどは3日間の喪に服すと宣言している。
イランは「代償払う」、イスラエル首相が報復姿勢鮮明に | ロイター
テルアビブで銃乱射、少なくとも6人死亡 イランによる攻撃直前 | ロイター
イラン、ミサイル攻撃 約180発 イスラエルは報復示唆 | ロイター
アングル:イスラエル格下げ、今後も続く公算大 紛争リスク拡大で | ロイター
イラン、弾道ミサイルでイスラエルを直接攻撃-米国は防衛を支援 - Bloomberg
●エマージング
9月の中国100都市の新築住宅価格、前月比0.14%上昇=調査会社 | ロイター
インド製造業PMI、9月は56.5 8カ月ぶり低水準 | ロイター
メキシコ中銀、大幅利下げ検討も=総裁 | ロイター
ブラジル格付け、投資適格級の一歩手前に引き上げ-ムーディーズ - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
電気代タダでもうかることも? 欧州の再エネ事情 - WSJ
ソフトウエア販売員のイェルン・ファン・ディーセンさんは春から夏にかけての大半の期間、電力を使うことで報酬を得ていた。
時には隣人たちも消費電力を増やすのに協力し、それで受け取る金額が増えた。
ファン・ディーセンさんの置かれた状況は、奇妙だが新しい電力のダイナミズムを映し出す。これは間もなく世界の多くの地域で「標準」になるかもしれない。風力発電や太陽光発電が大幅に増えたことで、電力卸売価格は1年の多くの時間帯でゼロかそれ以下に低下し、人々の電力の使い方は様変わりしている。太陽が出ているか、風が吹いているかで決まるのだ。
現在は大半の人々が、1日を通じて消費電力1キロワット時当たりの固定価格を支払っている。契約している電力会社がこの価格を設定するが、いったん決まった価格は1週間に一度、1カ月に一度、または1年に一度の頻度でしか更新されない。
ファン・ディーセンさんは最近それに代えて、オランダの卸売り電力市場で毎時変動する価格を請求する電力供給会社2社と契約を結んだ。電力価格が十分低下すると、自宅のスマートメーターが自身が所有する電気自動車(EV)2台に充電を開始する。
1日の間でも卸売価格は1時間ごとに激しく変動し、風力・太陽光発電所から送られてくる電力の割合が高いほど、変動幅も大きくなる。風力・太陽光発電所の発電コストはごくわずかなため、地域の電力需要の大部分を再生可能エネルギーでカバーできれば、市場価格はゼロに近づく。
再生可能エネルギー発電会社に、送電網への電力供給を止める誘因が働かない場合(大抵の理由は政府補助金)、電力市場は力学上のバランスが崩れる。そうなると送電網に過剰な電力が流れ込み、価格がマイナス圏に沈むことになる。
ファン・ディーセンさんは過去5カ月間に、車の充電で30ユーロ(約4800円)を稼いだと話す。自宅に電力を供給するノルウェー企業ティバーのサービス利用料金を十分にカバーできる金額だ。
「車の充電がタダになっている」。こう話すファン・ディーセンさんは、「環境オタク(グリーンナード)」を自称するオランダのクリーンエネルギー愛好家のグループに所属している。「これは私にとって、どこまでやれるかを試す趣味やゲームのようなものだ」
米国では、多くの州が現在このようなリアルタイムの価格設定を認めていないが、いずれ変わるとの見方は多い。すでに西欧州やカリフォルニア州など、世界有数の経済圏のいくつかで電力卸売価格がゼロやマイナスになるケースが続出している。
欧州送電事業者ネットワーク(ENTSO-E)が集計したデータによると、欧州大陸全体の卸売価格は、今年の全時間のうちゼロかマイナスになった時間数が6%を占めた。2023年の2.2%、22年の0.3%から大幅に拡大している。再生可能エネルギーの発電能力が大きい市場では、この割合が今年はさらに高く、オランダで8%、フィンランドで11%、スペインで12%となった。アナリストらは、太陽光パネルと風力タービンの設置が進めば、今後も上昇するとみている。
欧州電力市場の変化は、ウクライナの戦争がもたらしたエネルギー危機で加速したが、米国でも数年後、再生可能エネルギーの発電能力が同程度の規模に到達すれば、同じことが起こり得るだろう。2023年には欧州連合(EU)の電力の44%が再生可能エネルギーで発電されたのに対し、米国では21%だった。
米国でも、太陽の降り注ぐカリフォルニア州や強風が吹くグレートプレーンズ(中西部の大平原地帯)、テキサス州といった一部市場では、すでに電力価格がゼロやマイナスに落ち込むことがよくある。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)のデータによると、南カリフォルニアの卸売価格は、太陽光パネル設置ブームの影響で、今年の全時間のうち20%近くがマイナス圏だった。昨年は5%前後だった。
ただ今後、クリーンエネルギーが主体になっても、電気料金ゼロが続くことはなさそうだ。米国では2023年に顧客の支払う電気料金のうち発電コストは平均約60%だった。残りの大部分を送配電コストが占め、今後10年間でこれが急増すると予想される。電気を使った暖房や輸送、データセンター向けに送電網を強化するためだ。
マイナス価格についても、欧州やカリフォルニア州の政府が再生可能エネルギー補助金を削減するのに伴い、今後数年で抑制される可能性がある。各政府はとりわけ多くの市場でマイナス価格が起きている太陽光発電の補助金削減に関心を向けている。
欧州では、エネルギーを大量に消費する製造業者が運用戦略をシフトさせ、価格がゼロ付近かマイナスの時にエネルギー消費を最大化し、価格が高い時には生産量を抑えるようにしている。
英国のエンジニアリング会社リンデは、電力の卸売価格に応じて出力を迅速に調節できる新世代の産業用ガスプラントを建設している。
太陽光・風力発電の電力価格が下がると、リンデのプラントが出力を上げ、生産したガスを大型タンクに送る。電力価格が上昇に転じると、プラントの出力を下げ、タンクに貯蔵したガスを顧客に供給する。
「このタンクは実質的に電池のような機能を果たす」。リンデの研究開発責任者、クラウス・オーリグ氏はこう語る。
EUの新法では、消費者が変動価格の電力契約を結べるようにすることを加盟27カ国全てに義務づけている。時間ごとの卸売価格で電気料金を徴収するノルウェーの電力小売会社ティバーは、北欧諸国やドイツ、オランダで100万世帯余りと契約を結んでいる。
ティバーの共同創業者兼CEOのエドゲイア・アクスネス氏は、顧客が車を充電したり家電を使ったりするたびに変動価格をチェックしなくてもよいと話す。
「当社(のサービス)はこれらを自動化できる。考える必要はない」と同氏は述べた。
米東海岸の港湾スト、消費者への影響限定的=ホワイトハウス | ロイター
米東海岸で港湾スト突入、1977年以来 物流混乱の懸念 | ロイター
米東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者が1日、ストライキに突入した。全米の海運の約半分を担う36カ所の港湾に影響し、食品から自動車に至るまで幅広い物流活動が停滞するとみられる。
港湾労働者約4万5000人を抱える国際港湾労働者協会(ILA)が使用者団体の米海運連合(USMX)と進めてきた新たな労働協約を巡る交渉が9月30日の期限を前に決裂していた。
ILAがストを実施するのは1977年以来で、1日当たり数十億ドルの経済損失をもたらし、物価を押し上げて雇用も脅かすとアナリストは警告する。
ILAのハロルド・ダゲット会長は先に、海運大手マースクとその港湾運営子会社APMターミナルズが適切な賃金引上げを提示しておらず、港湾自動化事業の停止要請にも応じなかったと述べていた。USMXは9月30日の発表文で約50%の賃上げを提示したと表明した。
バイデン米政権の高官らはUSMXとILAの双方と面会して合意を促してきたが、政府が介入してストを阻止する可能性は排除してきた。
全米商工会議所のスザンヌ・クラーク会頭は30日、バイデン大統領に対し「協約を巡る対立が米経済にこれほどのショックをもたらすのを容認するのは良識を欠いている」と述べて再考を促した。
ストに入り、ホワイトハウスはコメント発表していないが、当局者はロイターに、ストが短期で終わることを望むと述べ、9月29日にUSMXとILAが協議が再開し、この24時間に意見の隔たりを縮めたと指摘した。
海上輸送を利用する企業からは懸念の声が上がっている。
自動車の部品調達や輸送を手掛けるHCSインターナショナルのスティーブ・ヒューズ最高経営責任者(CEO)は、ILAが「全米を窮地に追い込んでいる」とし、「ひどいことになると強く懸念している」と述べた。
米小売大手ウォルマートと米会員制倉庫型量販店コストコは影響の軽減に尽力しているとコメントした。
ニューヨーク州のホークル知事は、食品供給業者や生活必需品にすぐ影響が出るとは思わないが、ストが長期化すれば影響が拡大する可能性があると述べた。
海上運賃設定プラットフォーム、Xenetaのチーフアナリスト、ピーター・サンド氏は、「ストライキ自体は政府が介入するまで5─7日程度続くと予想している。しかし、その波及効果は少なくとも1月か2月まで、欧州、アジアに至るネットワーク全体に及ぶ可能性がある」と指摘。「現在、スポット市場では、ヨーロッパから米国東海岸に向かう大西洋横断前線貨物の運賃が約20%上昇している」とした。
マースクは、10月21日から米東海岸とメキシコ湾岸の港湾で取り扱う全て貨物に、1コンテナ当たり1500─3780ドルの港湾混乱サーチャージ(追加料金)を導入するとしている。
アメリカのハリケーン「へリーン」160人死亡、気候変動で内陸部の被害が拡大 - 日本経済新聞
9月26日に米南部に上陸し北上した大型ハリケーン「へリーン」を巡り、米メディアは死者が少なくとも160人に達したと報じた。行方不明者の捜索は続いており、公表される死者数はさらに増える可能性もある。被害が大きかったのは海岸から遠く離れた内陸。気候変動でハリケーンが大型化しやすくなったうえ、地元当局の準備不足を非難する声も上がっている。
へリーンは26日に南部フロリダ州に上陸。バージニア州まで北上した。最も死者数が多かったのはノースカロライナ州で少なくとも73人に上った。普段は行楽客に人気の同州の西部で、アパラチア山脈の山あいに点在する街を結ぶ幹線道路は寸断された。
今回のへリーンでは、内陸部で被害が大きいのが特徴だ。ノースカロライナ州西部は大西洋から400キロメートル以上、メキシコ湾から700キロメートル以上離れているにも関わらず、死者が多かった。
米南部では歴史的に、ハリケーンの多くがメキシコ湾沿岸から上陸するため、ルイジアナ州など同湾沿岸の州で被害が多い傾向にある。上陸後には勢力が弱まるため、内陸の被害は大きくなりにくい。
今回の「異変」の背景には、気候変動で海水温度が上昇した影響で、大気中に蒸発した水分をハリケーンが取り込みやすくなったことがある。水分を多く含んだ雲が上陸後の集中豪雨の発生につながった。
へリーンは上陸後に「熱帯性低気圧」に変化したが、雨量は依然として多かった。直径は約500キロメートルもあり、過去20年にメキシコ湾などで発生したハリケーンの9割を上回る規模の大きさだった。
米国では、海沿いの街ではハリケーン被害に備えていることが多く、例えば、高床式にして高潮に備えている住宅も多い。一方、内陸部では洪水への備えが不十分だったと指摘されている。例えば、アパラチア山脈の街では洪水に備えるという発想に乏しかったという。
当局の準備不足を問う声も浮上している。今回、ハリケーンの襲来に慣れているフロリダ州では住民に早くから避難勧告が出されていたが、内陸ではギリギリまで避難勧告がなかったという。
足元、被災地では食料や水が不足している。米メディアは「上陸前に水をあらかじめ用意すべきだった」などと住民が当局を批判する声を伝えた。ノースカロライナ州のクーパー州知事は30日、「準備はしていたが、ノースカロライナ州西部ではこんなことは初めてだ」と述べた。
インフラや農産物などの被害が広がり、米メディアは経済損失額が1600億ドル(約23兆円)に上るとの推計を伝えた。
ノースカロライナ州は11月の大統領選の激戦州でもあり、ハリケーン被害が選挙戦に影響する可能性もある。バイデン大統領とハリス副大統領は被害の大きかった地域を近く訪問する予定だ。ハリス氏は地方遊説の予定を切り上げて首都ワシントンに戻り、災害の報告を受けた。
一方、トランプ前大統領はバイデン政権の災害対応を批判した。同じく激戦州でハリケーン被害を受けたジョージア州を9月30日に訪問した。
●その他
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移民は財政にプラスか? 最新データが示す答え - WSJ
高齢化が進む西側諸国に移民がもたらす恩恵の一つとして、経済学者がよく挙げるのは財政の健全化だ。移民が増えれば、若く生産性の高い労働者の供給が拡大し、彼らが納税することで高齢者の年金や医療費が賄われるという理屈になる。
だが新たな研究によると、移民による財政への影響はそれほど単純ではない。高技能移民が財政に恩恵をもたらすのは明白だが、低技能移民はさほどでもなく、場合によっては「持ち出し」となる、と一部の研究は示している。
確かに、移民を巡る議論で目下焦点になっているのは財政面の効果だけではない。他にも労働力不足を緩和したり、人口減少に対抗したり、定住するコミュニティーの既存の性質を変えたりするのに移民は一役買っている。
それでも、米国や欧州に過去最高水準の移民が押し寄せる中で、財政効果への関心は高まっている。昨年ギャラップが実施した調査によると、米有権者の相対多数である44%が移民は税の状況を悪化させると考え、改善させるとの答えは18%にとどまった。
実際には、最近の移民急増は全体的に見て米政府の財政赤字を縮小させるだろう。議会予算局(CBO)はそう結論づけた。CBOはこの効果は低技能移民よりも高技能移民の方が顕著だとしつつも、教育水準の低い労働者が増えれば、そうした人々の協力を必要とする高学歴労働者の賃金の伸びが加速するとも述べている。
最近、大西洋両岸に到着した移民のうち、低技能移民(多くは難民申請を行う)が占める割合は異例なほど大きい。CBOは移民急増による州・自治体の財政への影響を試算していないが、これに関するコストは収入を上回るとの見方を示した。
人々が政府に納める税金と政府から受けるサービスは、出身や経歴にかかわらず、生涯を通じて変化する。成人前は教育・医療サービスを受けるが、就業しないため税金は納めない。社会に出ると、公的サービスを受けるよりも税金への貢献度が上回るようになる。退職すると報酬がなくなり、政府給付金や医療・福祉サービスを受ける機会が増える。
財政監視機関である英国予算責任局(OBR)が9月に公表した調査によると、移民労働者の場合、財政への貢献度(純額ベース)は85歳までに平均22万5000ポンド(約4300万円)。これに対し、英国居住者の貢献度はマイナス14万6000ポンドだった。
移民の間でもばらつきは大きい。高賃金移民の貢献度は平均68万4000ポンド、低賃金移民の貢献度は平均でマイナス57万8000ポンドだった。
オックスフォード大学移民観測所のマデリン・サンプション所長は、この報告書の重要ポイントとして「低賃金の職に就く移民を受け入れることは(純粋に財政の観点からは)有益でない」と述べた。
英政府は最近、低賃金移民を抑制する取り組みの一環で、就労ビザに必要な最低給与額を引き上げた。
2件目はアムステルダム大学の依頼による最近の調査結果で、オランダの全住民1700万人の匿名化された詳細なデータを使用した。それによると、初等以下の教育しか受けていない非西側移民は、生涯を通じてオランダの財政に36万ユーロ(約5700万円)のコスト(純額ベース)をもたらす。これに対し、修士号を持つ非西側移民は、生涯で13万ユーロの貢献を行う。
また難民申請者1人当たりの政府のコストは生涯を通じて平均47万5000ユーロ(第2世代のコストも含む)に上る。これは一つには教育水準の低さを反映しており、技能と賃金水準もそれに連動しやすい。調査結果の共同執筆者で独立研究者のヤン・ファン・デ・ベーク氏はそう述べた。
米国では、2017年に米国科学アカデミー(NAS)が移民の財政コストを推計した。それによると、高卒資格を持たない移民が生涯を通じて全レベルの政府から受け取る給付金は納税額を10万9000ドル(約1550万円)上回るという(2012年の物価ベース)。
だが、単に納税額から給付金受取額を差し引くだけでは、移民が財政に与える影響の全体像を捉えられない、と指摘する経済学者もいる。
雇用主が移民を雇うのは、その労働によって資本に価値が加わるからであり、資本所得はその後に課税される。ジョージ・メイソン大学のマイケル・クレメンス教授(経済学)はそう指摘し、従って資本(利益、配当、キャピタルゲイン)課税による収入を、移民の財政貢献度に算入すべきだと主張する。
クレメンス氏の試算では、労働所得1ドルにつき約0.8ドルの資本所得が生み出される。この要因を米国科学アカデミーの計算結果に加えると、高卒資格を持たない移民が生涯を通じて受け取る給付金は10万9000ドルの持ち出しになるのではなく、実は米財務省に生涯で12万8000ドルの貢献をしていることになる。
もう一つの見落としは、低技能労働者の一部が高技能労働者を補完している可能性があることだ。例えば、清掃サービスのおかげで外科医の仕事が可能になり、保育サービスを利用できれば、エンジニアはより長時間働けるかもしれない。
CBOが今年に入り、最近の不法移民が米経済に与える全体的影響をモデル化したところ、財務省が大きな恩恵を受けることが分かった。それは2034年までの10年間で8970億ドルに上る。
米国の成人1人当たりに換算すると約3500ドルになる。クレメンス氏は、経済学者がこの数字を世間に大々的に知らせるべきだと話す。
反対に、米大統領選の終盤を迎えた民主・共和両党の候補者は、越境者や難民申請者の取り締まりを強く訴えている。
高技能労働者と低技能労働者の幅広い組み合わせに焦点を当て、米移民政策をうまく調整すれば、現行制度よりもはるかに大きい経済的・財政的恩恵を得られる可能性がある。だが米議会はこの問題で意見が割れている。米移民法は34年前を最後に本格的な改正が行われていない。それは「誰も携帯電話を持っていない時代だった」とクレメンス氏は言う。
●市況(ChatGPTによる要約版)
NY市場サマリー(1日)ドル上昇、利回り低下 株下落 中東緊迫化 | ロイター
イランがイスラエルに向けてミサイルを発射したとの報道を受け、安全資産とされる通貨が上昇しました。ドル円は報道前の144.53円から一時的に143.7円まで下落。スイスフランも一時的に上昇しましたが、すぐに報道前の水準に戻りました。ドル指数は0.45%上昇し、101.20となりました。11月のFOMCでの利下げの可能性が38%と予想されています。ユーロは欧州中央銀行のハト派的発言を受けて下落し、ビットコインも2.89%下落しました。
イランがイスラエルにミサイルを発射したことで安全資産への需要が高まり、米国債利回りが一時的に低下しました。10年債利回りは3.696%まで下がりましたが、その後は3.739%で取引を終えました。市場はさらなる悪化はないと見て、警戒感が和らいでいます。また、8月の雇用動態調査(JOLTS)では求人件数が増加し、労働市場の減速が示唆されています。30年債利回りは4.078%、2年債利回りは3.617%に低下しました。
株式市場は、イランによるイスラエルへのミサイル発射を受けて下落し、ナスダックは1%以上の値下がりとなりました。一方で、中東情勢の緊迫化により防衛関連株が買われ、宇宙航空・防衛指数は過去最高値を記録しました。防衛大手ノースロップ・グラマンやロッキード・マーチンの株価がそれぞれ3%、3.6%上昇。原油価格の上昇でエネルギー株も上昇し、エクソンモービルは2.3%高。一方、航空株は下落し、デルタ航空は1.6%安となりました。
イランによるイスラエルへのミサイル発射を受け、リスク回避から安全資産である金の需要が増加し、金先物は3営業日ぶりに反発しました。12月限月の金の清算値は前日比30.90ドル(1.16%)高の1オンス=2690.30ドルとなりました。
米原油先物も中東情勢の緊迫化を背景に買われ、反発しました。WTI原油の11月限月は前日比1.66ドル(2.44%)高の1バレル=69.83ドル、12月限月は1.62ドル高の69.39ドルでした。
欧州市場サマリー(1日) | ロイター
ロンドン株式市場は反発し、取引を終えました。イランがイスラエルへの攻撃を準備しているとの報道を受け、中東紛争への懸念が高まり、エネルギー株が買われました。特に、FTSE 350種石油・ガス株指数は2.22%上昇し、貴金属株指数も1.86%上昇しました。航空宇宙・防衛指数も1.00%上昇しましたが、国内志向の中型株で構成されるFTSE 250種指数は0.66%下落しました。
個別銘柄では、高級ブランドのマルベリーがフレイザーズ・グループからの買収提案を拒否したものの、4.8%上昇しました。英国の9月の小売価格が約3年ぶりに大幅下落し、インフレ圧力が弱まる兆候が見られましたが、新政権の予算や中東情勢への懸念が市場に影響を与え、9月の英国製造業PMIは低下しました。
欧州株式市場は続落しました。イランのイスラエル攻撃の動きにより地政学的懸念が高まり、投資家がリスク回避を強めたことで、一時の上昇から下落に転じました。ユーロSTOXX 50ボラティリティ指数は約3週間ぶりの高水準に達し、ユーロ圏国債利回りも低下しました。ほぼ全てのセクターが下落し、特に銀行株指数は2.84%安、個人・家庭用品株指数は1.72%安、小売株指数は1.25%安となりました。
一方、原油価格の上昇を受けて石油・ガス株指数は1.34%高。防衛関連企業のラインメタルとサーブもそれぞれ5.1%、3.5%上昇しました。不動産株指数は1.12%高、公益事業株指数は0.39%高でした。さらに、ドイツのコベストロはアブダビ国営石油会社による買収契約の発表を受けて3.8%上昇しました。
ユーロ圏債券市場では、利回りが低下しました。9月のユーロ圏インフレ率が欧州中央銀行(ECB)の目標である2%を下回ったことから、10月の理事会でECBが利下げに踏み切るとの期待が高まりました。ドイツ10年債利回りは一時2.011%と1月以来の低水準を記録し、終盤では9.5ベーシスポイント低下の2.038%となりました。
短期金融市場は、ECBが10月に25ベーシスポイントの利下げを行う確率を90%以上と見込んでいます。イタリア10年債利回りも10ベーシスポイント低下し、フランス10年債利回りも11ベーシスポイント低下しました。フランス国債のサポート要因としては、新政府が大規模な増税を検討しているとの報道が影響しました。
また、地政学的リスクにも市場は敏感であり、特に中東情勢の動向が注視されています。