2024年7月1日月曜日

備忘録(24/7)

備忘録(2024/7/31
●雑感
●決算
独アディダス、第2四半期は「イージー」除き北米で増収確保 | ロイター
第2・四半期決算は、撤退した米ラップ歌手との協業ブランド「Yeezy(イージー)」を除く北米の売上高が前年を上回った。
イージーの商品を含む売上高は為替変動の影響を除いたベースで8%減の13億ユーロ(15億1000万ドル)となった。同ブランドの取り扱いを大幅に減らしたことが主因だという。
アディダスは、米ラップ歌手カニエ・ウエスト氏の反ユダヤ的な発言を巡りイージーを打ち切った後、商品在庫の解消に注力してきた。
6月末時点で全体の在庫は1年前から18%減少し、45億ユーロ相当となった。
同期のアパレル売上高は6%増。サッカーユニフォームが2桁台の伸びを記録し、全体をけん引した。
欧州の売上高は為替変動の影響を除いたベースで19%増の19億ユーロとなった。
同社は今月半ばに第2・四半期の決算速報値を発表した際、通期の業績見通しを上方修正した。
英豪リオティント純利益14%増 1〜6月決算、銅など好調 - 日本経済新聞
英豪資源大手リオティントは31日、2024年1〜6月期の純利益が前年同期比14%増の58億ドル(約8800億円)だったと発表した。鉄鉱石部門が不振だったが、銅やアルミニウム事業が好調で全体の利益を押し上げた。
売上高は1%増の268億ドルだった。売上高構成比は鉄鉱石(57%)、アルミニウム(24%)、銅(16%)の順に大きかった。
ドイツのルフトハンザが利益半減 4〜6月決算、ストライキと航空券下落で - 日本経済新聞
2024年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比47%減の4億6900万ユーロ(約760億円)だった。相次ぐストライキに加え、アジア便での航空券価格の下落が収益を圧迫した。採算改善のため、24年冬の運航便を減らすことを検討する。
営業利益に相当する調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は37%減の6億8600万ユーロ、営業利益率は11.6%から6.9%に下がった。4〜6月の乗客数は約3600万人と前年同期比で8%増え、売上高は7%増の100億700万ユーロだった。
減益要因のひとつは、人手不足と高インフレによって頻発しているストだ。欠航や代替交通手段の確保などで1億ユーロの損失が生じた。さらに中国航空大手の攻勢を受け、アジア方面の航空券価格が下がった。
1〜6月の最終損益は2億6500万ユーロの赤字(前年同期は4億1400万ユーロの黒字)となった。カーステン・シュポア最高経営責任者(CEO)は「ストなど特殊要因の影響が大きく、再建プログラムで最適化を進めていく」と述べ、運航便の削減などで利益率の改善を図る考えを示した。
ルフトハンザは10〜12月にイタリア国営航空ITAエアウェイズ(旧アリタリア航空)の株式41%を取得する予定だ。将来的に完全買収も検討している。
シンガポール航空、4〜6月純利益38%減 運賃下落響く - 日本経済新聞
シンガポール航空が31日発表した2024年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比38%減の4億5200万シンガポールドル(約508億円)だった。旅客数は増えたものの、アジア域内の航空各社が積極的に増便したことで競争が激化し、運賃が下落したことが響いた。
イギリスのHSBC4%減益、4〜6月決算 30億ドルの自社株買いを発表 - 日本経済新聞
英金融大手HSBCホールディングスが31日発表した2024年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比4%減の64億300万ドル(約9600億円)だった。フランスやカナダでの事業売却の影響で収益が目減りした。30億ドルを上限とする自社株買いも発表した。
純金利収入は11%減の82億5800万ドルだった。預貸の利ざやを示す純金利マージンが1.72%から1.62%へ縮小した。純手数料収入は30億5400万ドルと1%減った。
貸倒引当金など融資の焦げ付きに備えて計上する予想信用損失は3億ドルと、前年同期の9億ドルから減った。中国の商業用不動産に対する引き当てが少なくなった。
9月に退任するノエル・クイン最高経営責任者(CEO)は「インフレ率の低下で中央銀行は利下げに踏み切っている。成長市場への投資やコスト抑制により、低金利環境でも魅力的な収益を出せると確信している」とコメントした。
スターバックス、冴えない決算も上昇 懸念ほどは悪くなかったとの評価=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
スターバックス<SBUX>が上昇。前日引け後に4-6月期決算(第3四半期)を発表し、既存店売上高の減収が予想よりも若干膨らんだ。米国や中国が予想以上に冴えず、売上高も予想を下回っている。
ただ、株価は上昇。1株利益が予想を上回ったことや、既存店売上高の減収が、警戒していたほどに悪くはなかったとの評価も指摘されている。
同社は2期四半期連続の減収となった。インフレと貯蓄減少に圧迫された消費者が支出を引き締める中、同社の事業は打撃を受けている。店舗数で最大の市場である米国では半額セールや割引セットで顧客を呼び込もうとしている。また、アクティビスト投資家(物言う株主)からの新たな圧力にも直面しながらも、サービスのスピードアップを図っている。
ルゲリCFOは「われわれの効率化努力は予想を上回るペースで進んでいる」と述べたうえで、「慎重な消費者環境に対応するために行った投資を部分的に相殺した」とも語った。それでも、北米における平均的な客単価が大きくなったことが、売上の急減を食い止めた。
同社は通期の既存店売上高の見通しについて、横ばいから1桁台前半の減少との見通しを据え置いた。アナリストは「度重なるガイダンスの下方修正後、今回の通期ガイダンスの維持は、懸念されていたよりも良かった。その意味で短期的に株価を支える可能性が高い」と指摘していた。
また、一部報道でアクティビスト(物言う株主)のエリオットが同社株を取得したとの報道が流れていたが、それについて同社は確認したことを明らかにしている。ルゲリCFOは「エリオットと建設的な協議を行いたい」と述べていた。
ボーイングの決算、格付け「投資適格」維持に黄信号 4〜6月も現金流出 - 日本経済新聞
2024年4〜6月期決算は8四半期連続の最終赤字だった。主力機の事故を受けた品質問題で生産が低迷し、現金流出が止まらない。財務の悪化をうけて社債格付けが「投資適格」から「不適格」に下がり、資金調達のコストが膨らむ事態を経営陣も警戒する。経営再建に向け、おぼつかないシナリオがさらに狂いかねない。
英アーム決算、4〜6月増益も通期予想据え置き 株価一時9%下落 - 日本経済新聞
アーム株急落、年間業績見通しの上方修正見送りで-一時9%余り下落 - Bloomberg
ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社アーム・ホールディングスは、四半期決算がアナリスト予想を大きく上回ったものの、年間業績見通しの上方修正は見送った。同社が将来の成長見通しに自信を抱いていないとの懸念が強まり、同社の米国預託証券(ADR)は時間外取引で急落した。
31日のアーム発表によれば、4-6月(第1四半期)の売上高は39%増の9億3900万ドル(約1410億円)。アナリスト予想の約9億500万ドルを大きく上回った。同社はしかし、通期売上高見通しをおよそ39億5000万ドルに維持。予想平均の40億ドルにわずか届かなかった。
レネ・ハース最高経営責任者(CEO)は、一部市場で弱さがみられると指摘した。これが通期業績見通しの据え置きにつながった。
31日のニューヨーク市場でアームのADRは急落。通常取引後の時間外で一時10%余り下げた。年初から通常取引終了までは92%の上昇。
昨年に待望の新規株式公開(IPO)を実施したアームは、依然として上場企業としての足場を固めようとしている段階にある。投資家は同社について、人工知能(AI)投資ブームから恩恵を受ける主な企業の一つと見ているが、エヌビディアやブロードコムのような企業が記録している売り上げの伸びははまだ達成していない。
ハースCEOは、アームの技術が販売されている他の市場での弱さが、データセンターや高機能スマートフォンでの強さを打ち消しているとインタビューで語った。
4-6月期の一部項目を除いた1株利益は40セントと、市場予想平均の34セントを上回った。7-9月(第2四半期)の売上高見通しは7億8000万-8億3000万ドルと、アナリスト予想とほぼ一致した
メタ、第2四半期売上高が予想上回る ネット広告事業が好調 | ロイター
米マスターカード、第2四半期利益急増 堅調な支出が追い風に | ロイター
第2・四半期決算(6月30日まで)は、実質利益が33億ドルと前年同期(28億ドル)から17%増となった。1株利益は3.50ドルと、前年同期の3ドルから増加した。堅調な支出が追い風となった。
売上高は為替変動の影響を除いたベースで前年同期比13%増の70億ドル。
カード発行国以外でのカードの支出を追跡するクロスボーダー取引量は17%増加した。
好調な決算を受け、同社の株価は午前の取引で約3.4%上昇した。
[BWA] ボルグワーナー 2Q減収営業減益 売上高2%減36.0億ドル、営業益11%減2.97億ドル、EPS1.33ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MA] マスターカード 2Q増収増益 売上高11%増69.6億ドル、営業益10%増40.3億ドル、EPS3.50ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BA] ボーイング 2Q減収赤字拡大 売上高15%減168億ドル、営業赤字10.9億ドル、EPSマイナス2.33ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WEC] WECエナジー 2Q減収減益 売上高3%減17.7億ドル、営業益14%減3.64億ドル、EPS0.67ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MAR] マリオットインターナショナル 2Q増収最終増益 売上高6%増64.3億ドル、純利益6%増7.72億ドル、EPS2.69ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KHC] クラフトハインツ 2Q減収減益 売上高4%減64.7億ドル、営業益62%減5.22億ドル、EPS0.08ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MO] アルトリアグループ 2Q減収営業減益 売上高5%減62.0億ドル、営業益13%減25.3億ドル、EPS2.21ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TEVA] テバファーマ 2Q増収営業赤字縮小 売上高7%増41.6億ドル、営業赤字500万ドル、EPSマイナス0.75ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TMUS] TモバイルUS 2Q増収増益 売上高3%増197億ドル、営業益22%増46.3億ドル、EPS2.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[JCI] ジョンソンコントロールズ 3Q増収最終減益 売上高1%増72.3億ドル、純利益7%減9.75億ドル、EPS1.45ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ADP] オートマチックデータプロセシング 2024年6月通期は増収最終増益 売上高7%増192億ドル、純利益10%増37.5億ドル、EPS9.10ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KKR] KKR 2Q増収最終減益 売上高15%増41.7億ドル、純利益21%減6.67億ドル、EPS0.72ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HUM] ヒューマナ 2Q増収減益 売上高10%増295億ドル、営業益21%減11.4億ドル、EPS5.63ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BG] ブンゲグローバル 2Q減収最終減益 売上高12%減132億ドル、純利益89%減7000万ドル、EPS0.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TT] トレインテクノロジーズ 2Q増収増益 売上高13%増53.0億ドル、営業益17%増10.3億ドル、EPS3.30ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GT] グッドイヤータイヤ&ラバー 2Q減収最終黒字転換 売上高6%減45.7億ドル、純利益8500万ドル、EPS0.30ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AFL] アフラック 2Q減収最終増益 売上高1%減51.3億ドル、純利益7%増17.5億ドル、EPS3.10ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[IR] インガーソールランド 2Q増収 売上高7%増18.0億ドル、営業益微減2.71億ドル、EPS0.45ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AWK] アメリカンウォーターワークス 2Q増収営業増益 売上高5%増11.4億ドル、営業益4%増4.49億ドル、EPS1.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MET] メットライフ 2Q増収最終増益 売上高7%増178億ドル、純利益2.5倍9.12億ドル、EPS1.28ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ES] エバーソースエナジー 2Q減収増益 売上高4%減25.3億ドル、営業益7%増6.02億ドル、EPS0.95ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CHRW] CHロビンソン 2Q増収増益 売上高1%増44.8億ドル、営業益34%増1.78億ドル、EPS1.05ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ALL] オールステート 2Q増収最終黒字転換 売上高12%増157億ドル、純利益3.01億ドル、EPS1.13ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LRCX] ラムリサーチ 2024年6月通期は減収減益 売上高15%減149億ドル、営業益18%減42.6億ドル、配当8.00ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[META] メタプラットフォームズ 2Q増収増益 売上高22%増390億ドル、営業益58%増148億ドル、EPS5.16ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EBAY] イーベイ 2Q増収増益 売上高1%増25.7億ドル、営業益6%増5.49億ドル、EPS0.44ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PFG] プリンシパルファイナンシャル 2Q増収最終減益 売上高21%増43.1億ドル、純利益9%減3.53億ドル、EPS1.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
●日本企業
みずほFGの4ー6月、純利益18%増 大企業向けと市場部門堅調 | ロイター
2024年4ー6月期の連結純利益は前年同期比17.9%増の2893億円だった。
4─6月期の本業のもうけを示す連結業務純益は、前年同期比32%増の3287億円。国内大企業の資金需要の高まりから貸出金残高が1兆円強増加し、貸出収支も改善した。堅調な市場部門も収益を押し上げた。与信関係費用は前年同期に計上した戻入益の剥落(はくらく)により悪化したが、総じて低位に推移しているという。
みずほFGは、日銀による金融政策変更の影響について、今期450億円程度のプラス効果を見込んでいる。財務企画部の峯岸寛部長は、四半期分に当たる110―120億円についてのプラス効果は実現できたと述べた。企業法人の貸出、スプレッドの改善の効果もあったいう。
25年3月期通期に対する進ちょく率は38%。堅調に推移しているが、不動産の売却益が利益を押し上げた面もあり、通期予想は前期比10%増の7500億円のまま据え置いた。IBESがまとめたアナリスト12人による事前予想の平均値は7645億円だった。
アドテストが営業益見通し上方修正 市場予想上回る AI関連需要増 | ロイター
デンソー、通期営業益6920億円へ下方修正 4─6月実績の計画下振れ反映 | ロイター
トヨタ系8社、アイシンなど4社が最終減益 4〜6月
トヨタ自動車系の主要8社が31日に2024年4〜6月期の連結決算(国際会計基準)を発表し、アイシンやジェイテクトなど4社の純利益が減った。25年3月期の純利益予想については、デンソーとトヨタ紡織の2社が下方修正した。国内では自動車メーカーの認証不正の発覚による生産減に加え、海外では中国で顧客の不振が続く。
武田薬品の純利益7%増 4〜6月、潰瘍性大腸炎薬伸びる - 日本経済新聞
DMG森精機、1〜6月最終赤字9億円 ロシア子会社損失で - 日本経済新聞
DMG森精機が31日発表した2024年1〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が9億3300万円の赤字(前年同期は149億円の黒字)だった。1〜3月期に計上したロシアの製造子会社に関わる約150億円の損失が響いた。本業の工作機械の販売は堅調で、営業利益は前年同期比3%増の232億円だった。
売上高にあたる売上収益は前年同期比6%増の2637億円だった。期中平均の為替レートが1ドル=152.3円と前年同期(1ドル=134.9円)より円安に振れ収益を押し上げた。
24年12月期の業績予想は据え置いた。売上収益は前期比2%増の5500億円、純利益は6%増の360億円を計画する。ロシアの製造子会社に関する損失に対する保険金収入は7〜12月期に計上する見通し。受注計画は5300億円と従来予想から100億円上振れする。
JALが4年ぶり最終減益 4〜6月決算、売上高最高でも費用増 - 日本経済新聞
日本航空(JAL)が31日発表した2024年4〜6月期連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比39%減の139億円だった。同期間での損益悪化は新型コロナウイルス禍が直撃した20年以来。円安に伴う燃料費の増加や人件費の増加が収益を圧迫した。訪日客の増加で国際線などが好調で、売上高は同期間で過去最高だった。
売上収益は11%増の4240億円と12年の再上場後で最高だった。国際線の旅客収入が1661億円と13%伸びた。訪日客増に加え、日本発のビジネス需要も回復した。国内線は団体客が減り1247億円と2%増にとどまった。旅客1人を1キロメートル輸送して得る収入(イールド)は国際線が16.8円、国内線が20.6円でいずれも期初計画を上回った。
本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前利益)は221億円と30%減った。円安で燃料費が増えたほか、社員のベースアップや賞与の積み増し、採用拡大で人件費も膨らんだ。営業費用が15%増の4061億円と売上高の伸び以上に増えた。
31日の決算会見で鳥取三津子社長は「EBITは当初計画を達成した。順調なスタートを切ることができた」と語った。1月から導入を始めたエアバス製の新型機「A350-1000」について「4機目を今週内に受領し、25年3月末までに8機体制にする」と明らかにした。
25年3月期の連結業績予想は据え置いた。売上収益は前期比17%増の1兆9300億円、純利益は5%増の1000億円を見込む。
沖縄電力の24年4~6月決算、赤字29億円に半減 需要増で - 日本経済新聞
沖縄電力が31日発表した2024年4〜6月期の連結決算は、最終損益が29億円の赤字(前年同期は57億円の赤字)だった。4〜6月期としての赤字は7期連続。気温が前年に比べて高めに推移して電力需要が増えたため、赤字幅は前年同期と比べほぼ半減となった。
売上高は前年同期比3%減の524億円。石炭など一時高騰していた燃料価格が落ち着いたことに伴い、新電力など他社への販売電力量が減った。
25年3月通期の見通しは売上高が2322億円と従来予想を47億円上方修正した。販売電力量の上振れを見込む。ただ、春先の円安進行により燃料コストがかさむと予想し、純利益は50億円のまま据え置いた。
JR東日本の純利益64%増 4〜6月決算、新幹線利用好調 - 日本経済新聞
●米大統領選挙
ハリス氏、激戦州ジョージアで集会 人気ラッパー登場で新風 | ロイター
トランプ陣営、ハリス氏の勢い止められず-攻撃の戦略仕切り直し難航 - Bloomberg
ハリス陣営は現在、トランプ陣営が狙っている州の多くで、広告攻勢をかけている。中でもアリゾナ州は、バイデン陣営が勝利をほぼ絶望視していた州だが、民主党は今や可能性があるとみている。ハリス氏はわずか1週間で2億ドル(約301億円)の資金を集めており、資金面でのトランプ氏の優位は失われた。
ハリス氏は世論調査でも全米ベースでトランプ氏との差を埋めていることが示されている。
ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトの最新世論調査では、ハリス氏が激戦7州の有権者支持率でトランプ氏のリードを消し去ったことが分かった。
それによれば、ハリス氏の支持率は選挙戦の結果を左右する可能性のある激戦7州全体で見て48%と、トランプ氏の47%を上回った。統計上の大接戦と言える。選挙戦撤退前の時点でバイデン氏はトランプ氏に2ポイントリードされていた。
米実業家100人超、ハリス氏に支持表明 リンクトイン創業者ら | ロイター
全米自動車労組、ハリス氏に支持表明 激戦州で追い風に | ロイター
UAWは37万人の組合員を抱え、その多くは選挙戦で激戦州となるミシガン州に居住し勤務していることから、ハリス氏への追い風となる見通し。
UAWは1月、当時再選を目指す考えだったバイデン大統領を支持。しかし7月に入り、バイデン氏では共和党候補のトランプ前大統領に勝てない可能性があるとして、執行部と突っ込んだ協議を行ったと、関係筋が明らかにしていた。
【コラム】バンス氏は共和党の「お荷物」、候補辞退あり得る-ロペス - Bloomberg
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
焦点:日銀利上げ、来年度にかけ1%も視野か 0.5%超えは難路 | ロイター
日銀が追加利上げに踏み切ったが、日銀内には中立金利を意識し、来年度にかけて1%までの利上げを視野に入れる声も出始めている。植田和男総裁も、政策金利について2006年以降の前回利上げ局面でのピーク0.5%が「壁」になるとは思っていないとする。しかし、秋以降は米大統領選挙など日銀のシナリオを狂わせかねないイベントが相次ぐ。日銀財務への懸念も含めて、利上げ戦略は難路となりそうだ。
<今回の利上げ、実質金利がきわめて低い中での「少しの調整」>
植田総裁は31日、金融政策決定会合後の記者会見で、現状の実質金利が非常に低いことを強調し、0.25%への利上げでも実体経済への影響は出ないと述べた。
この日の声明文には、現在の実質金利が極めて低い水準にあるとの記述が2度登場し、利上げ決定を後押しした要因の1つだったことをうかがわせる。植田総裁は会見で、今回の利上げが実質金利が非常に低い中での「少しの調整」に過ぎず、「強いブレーキが景気等にかかるとは考えていない」と明言した。
植田総裁は、利上げの主たる理由として、経済・物価情勢が展望リポートで示してきた想定に沿って進捗していたことを挙げた。決定会合前、日銀では個人消費の回復がデータで確認できることが必要との声が根強かったが、総裁は「個人消費は底堅い」と発言。賃金上昇が個人消費を支えていくことに期待感を示した。
<年度内にあと2回利上げの声も>
日銀では、経済・物価情勢が順調に進めば来年度にかけて政策金利を1%まで引き上げておくのが望ましいとの声が出ている。7月の追加利上げを踏まえ、年内にあと1回、来年の春闘を見ながら来年1―3月期にもう1回利上げすれば、来年度冒頭に政策金利は0.75%になっているとの予想もある。
こうした見方はいずれも中立金利を意識したものだ。4月展望リポートで日銀は、中立金利導出の前提となる日本の自然利子率についてマイナス1.0―プラス0.5%の範囲と示した。もし、このレンジの下限マイナス1%に物価目標2%を足すと、中立金利の下限は1%になる。
決定会合で議論された展望リポートでは、生鮮食品およびエネルギーを除く消費者物価指数(コアコアCPI)の前年度比上昇率が26年度にかけて2%付近で推移するとの予想が改めて示された。
植田総裁はこれまで「見通し期間後半について、見通し通りであれば政策金利もほぼ中立金利の近辺にある」と述べてきたが、31日の会見ではこの発言を踏襲せず、「政策金利が中立金利付近に行った時、どこでストップするかは大きな課題として残っている」と話し、ターミナルレートがどこになるのかは「走りながら考えている」と語った。
<金利水準上がれば増す難度>
今後の利上げは、金利水準が高くなるに従って難しさが増しそうだ。0.5%は前回の利上げ局面のピーク、0.75%は中立金利の下限が迫り、金融緩和から金融引き締めへの局面転換を見据える水準となる。
日銀では、政策金利が中立金利の下限に迫ってくれば、景気の良好なモメンタムが利上げの必須条件になるとの声が出ている。この点は0.25%への利上げ判断に当たって、個人消費を示す経済指標の明確なピックアップまで待たなかったのと対照的だ。
日銀が0.5%を上回る水準に利上げすると「日銀の収益が悪化し始めるのではないか」(金融機関)との声もある。
大和総研の中村文香研究員によると、日銀が保有する長期国債の残高579兆円の表面利率は平均で0.57%。これに対して、所要準備残高を除く当座預金残高は約536兆円で、日銀当預の超過準備への付利金利が0.62%を超えると、利払い額が利息収入を超えることになるという。
植田総裁はこれまで「日銀の財務配慮のため必要な政策が妨げられることはない」と述べてきたが、日銀の収益性が悪化を始めた場合には国会での追及が一段と激しくなりそうだ。
<米大統領選、市場動向もリスク>
日銀の3月と7月の利上げ決断の背景には、海外経済の緩やかな成長もあった。しかし、11月の米大統領選は米経済や日本経済の先行きも左右しかねず、日銀でも警戒されている。
段階的な利上げが日本経済や物価、マーケットに思わぬひずみを生むのではないかとの警戒感も日銀では出ている。長くデフレ経済が続いた結果、段階的な利上げは絶えて久しく、さまざまなデータの蓄積がないのも事実だ。利上げの決断に失敗は許されず、慎重な対応が必要だとの声が、日銀では出ている。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト(元日銀審議委員)は今後の政策運営について「経済・物価動向ともに不確実性が高いため流動的だが、年内に1回、年明けに1回追加利上げして、1%手前の水準が最終到達点ではないか」と指摘する。「金融市場の波乱など経済・物価情勢が下振れる場合には、マイナス金利の復活ではなく、国債買い入れの拡大など量的政策で対応する公算が大きいとみている」としている。
日銀利上げ、成長型経済への移行が重要という認識に沿うもの=岸田首相 | ロイター
岸田文雄首相は31日、日銀が金融政策決定会合で追加利上げを決定したことについて、デフレ型経済から成長型経済への移行が重要という政府との共通認識に沿って行われたものだとの見解を示した。
官邸で記者団に述べた。
岸田首相は春闘による賃上げや企業収益の増加など、新しい成長型経済への移行の兆しか明確になっているとした上で、金融政策の変更が経済に与える影響について「貸出金利上昇による影響がある一方、1000兆円規模の国民の預貯金の金利増のプラス効果もある」と指摘。
「金融政策の正常化が経済ステージの移行を後押しし、経済ステージの移行が金融政策のさらなる中立化を促すと申し上げているところだが、そうした考え方に基づいて経済ステージの移行を何より重視し、経済・物価動向に応じた機動的な政策運営をこれからも行っていきたい」と語った。
日銀が政策金利0.25%に引き上げ、経済・物価想定通りなら利上げ継続 - Bloomberg
日本銀行は31日の金融政策決定会合で追加利上げを決めた。利上げはマイナス金利政策を解除した3月会合以来。2025年度末までの長期国債買い入れの減額計画と同時に決定した。
政策金利の無担保コール翌日物金利を、従来の0-0.1%程度から0.25%程度に引き上げた。政策金利は08年10-12月の0.3%前後以来の水準となる。7対2の賛成多数で決定し、中村豊明、野口旭の両審議委員が反対した。
植田和男総裁は先月、7月会合までに得られるデータや情報次第では、減額計画と利上げの同時決定も「十分あり得る」との見解を表明。個人消費の弱さを理由に利上げに慎重な声もあったが、基調的な物価上昇率が日銀のシナリオ通りに推移する中で、金融政策の正常化を着実に進める姿勢を明確に示した。
植田総裁は同日の記者会見で、足元の金利水準は非常に低いとした上で、「利上げは景気に大きなマイナスの影響を与えることはない」と述べた。景気や物価に中立的な中立金利に関しては、大幅な不確実性があるとの認識は変わっていないと説明。その上で、政策金利の到達点については、「今回で二度目の利上げの影響を見つつ、歩きながら考える」との意向を示した。
次の利上げのタイミングが何カ月というパスは思い描いていないとしつつ、水準として0.5%を壁として意識するかとの質問には「特に意識していない」と発言。今回と同様に「経済・物価の情勢が私どもの見通しに沿って動いていけば、引き続き金利を上げていく考えだ」と述べ、今後も利上げを継続していく考えを改めて示した。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、今回の決定で「日銀は基調的なインフレを重視していることが確認された」と指摘。景気への懸念で利上げに慎重な「ビハインド・ザ・カーブ」の姿勢から、先回りして政策を進める「アヘッド・オブ・ザ・カーブ」へ確実に変わっているとし、「日銀はレジームチェンジをしてきている」との見方を示した。
日銀は利上げの理由を、日本の経済・物価が見通しにおおむね沿って推移している状況を踏まえ、2%物価安定目標の持続的・安定的な実現の観点から「金融緩和の度合いを調整することが適切であると判断した」と説明した。実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されると指摘。経済・物価見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げ、緩和度合いを調整していく方針を示した。
ブルームバーグが17-22日に実施したエコノミスト調査では、今会合での利上げ予想は29%にとどまったが、9割超がリスクシナリオとしてあり得るとみていた。円安下で金融政策政策の見直しを求める政治家の発言や事前報道などを受け、市場では利上げを織り込む動きが出ていた。
植田総裁は政策変更の主な理由は「経済・物価データがオントラックであったということ」と述べるとともに、「足元の円安が物価に上振れリスクを発生させていることもあった」と説明した。
減額計画
国債購入の減額計画では、これまでの月間6兆円程度を原則として四半期ごとに4000億円程度ずつ減額し、26年1-3月に3兆円程度まで圧縮する。長期金利が急激に上昇する場合は、機動的に買い入れ増額や指し値オペなどを実施する。必要なら決定会合で計画の見直しもあり得るとした。来年6月の会合で中間評価を行う。
エコノミスト調査では、減額計画の決定直後に5兆円に減額し、その後は四半期ごとに購入を縮小して2年後に3兆円まで圧縮するというのが中心的な見方だった。結果は市場コンセンサスに沿った内容となった。
声明と同時に公表した新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、見通し期間の最終年度となる26年度の消費者物価(除く生鮮食品)の予想が前年比1.9%上昇と目標の2%付近を維持。消費者物価の基調的な上昇率が見通し期間の後半に2%目標とおおむね整合的な水準で推移するとのシナリオも変わらなかった。
日銀の結果発表や植田総裁会見を受けて、円相場は1ドル=150円台前半まで上昇した。債券市場では新発10年国債利回りが2.5ベーシスポイント(bp)高い1.02%に上昇幅を縮小。日経平均株価は大幅に上昇し、終値は一週間ぶりの3万9000円台を回復した。
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは今回の利上げについて、昨日までの為替相場が「じわじわとまた円安に戻してきており、今回見送ったらまた円安が進むリスクが払拭できなかったことがベースにはある」と指摘。その上で、「10月か12月には追加利上げをする可能性がある」とみている。
植田日銀総裁が利上げに積極姿勢、タカ派発信で年内追加観測も浮上 - Bloomberg
日本銀行が追加金利を引き上げた31日の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませた。総裁発言をタカ派と受けとめた市場では、早くも年内追加利上げの見方が浮上している。
日銀が決定した政策金利の水準は0.25%程度。植田総裁は、2年以上にわたって目標の2%を超えているインフレを踏まえると、「実質金利は非常に深いマイナスにある」と何度も強調した。低い実質金利を続けることで「急激な調整を強いられる」先行きリスクに早めに手を打った対応との見解も示した。
その上で、現在の政策金利は景気や物価に景気を過熱させず冷やしもしない中立金利に比べてかなり下の水準にあり、今回の利上げは「そこの範囲での調整だ」と説明。中立金利自体に大幅な不確実性があるが、しばらくはその不確実な領域に入ることはないとの認識を示した。過去の利上げ局面において上限となった「0.5%の壁」も「特に意識していない」と語った。
こうした植田総裁の発言は、経済・物価に大きな下振れリスクが生じない限り、当面は粛々と利上げを進め、金融緩和度合いの調整していく考えを示したものといえる。円安が物価に与える影響の強まりを含め、物価の上振れリスクを警戒し、タカ派的な発信を強めている可能性がある。
UBS証券の足立正道チーフエコノミストは総裁発言について「完全にタカ派的だ」とし、次は10月にも利上げがあり得るとみている。日銀が早く金利を上げる意図を示したことで、今後は円高が進行するリスクを意識する必要があると指摘。「企業が値上げできる環境をつぶしてしまう可能性がある。景気に関係なく金利を上げていこうとしており、ますます景気の下振れリスクを高めてしまう」と懸念を示した。
今回の利上げの景気への影響について総裁は、小幅であり、「強いブレーキが景気にかかるとは考えていない」と明言した。一方で、今後の利上げについては「ここまでの利上げの影響についても確認しつつということに当然なる」と説明。力強さを欠く個人消費などが、日銀の見立て通りに持ち直していくのか、まずは夏場の景気とデータが鍵を握る。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員も、次の利上げのタイミングは10月と予想している。植田総裁は予想よりも大きな規模と速さでこれまで正常化を進めてきたとしながらも、「問題は本当に物価と景気が日銀がみているように進んでいくかだ。例えばサービス価格などはそこまでまだ強くはない」とみている。   
日米金利差も左右
31日の海外市場では円が急伸。同日発表の米国の経済指標に反応し、1ドル=149円台と4カ月半ぶりの高値を付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)が同じ日程で開く会合では、金融政策の維持が見込まれる一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が数カ月以内の利下げを示唆する可能性もある。日米金利差が引き続き市場の動向を左右することになりそうだ。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストはリポートで、7月上旬に政府が為替介入に動いた「後詰め」として日銀は利上げをしたとの見方を示す。3月のマイナス金利解除では政策修正が小さ過ぎたため、十分に内外金利差が縮小しなかったと指摘。その上で、「今後、円安が進めば政府と協調して早ければ年内12月頃に利上げをもう一度行う可能性も残る」とみる。
財務省は同日、6月27日-7月29日の為替介入額が5兆5348億円だったと発表した。日米金利差を主因に円安の流れが止まらない中、政府・日本銀行が4-5月に続いて介入を実施していたことが示された。
植田総裁は会見で、円安が物価を想定以上に押し上げる可能性に関して、「重要なリスクと認識して政策判断の一つの理由とした」と説明。一方、為替が今回の利上げの最大の判断材料だったかという質問に対しては「必ずしも最大の要因ではなかった」と答えた。
「日銀の独立性守る」、議決延期請求権使わず 鈴木俊一財務相 - 日本経済新聞
パウエル議長、利下げは「9月のFOMC」で選択肢になる可能性も - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、9月にも利下げに動く可能性があるとの見解を示した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は、7月30-31両日に開催した定例会合で、主要政策金利を約20年ぶり高水準で据え置くことを決定した。据え置きは8会合連続。
パウエル議長は会合後の記者会見で「問題となるのは、データの全体像や変化する見通し、リスクバランスがインフレに対する確信の強まり、そして堅調な労働市場の維持と整合するかどうかだ」と指摘。「そのテストが満たされれば、早ければ次回9月の会合で政策金利の引き下げが選択肢となり得る」と述べた。
ただ0.5ポイントの利下げ見通しに関する質問には、「現時点で考えているものではない」と回答した。
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25-5.5%。据え置きの決定は全会一致だった。
FOMCは声明の文言に複数の修正を加えた。これまでの声明はインフレリスクにのみ焦点を合わせていたが、今回は「2大責務の両面のリスクに留意する」との文言に変更された。
声明では「ここ数カ月、委員会が目指す2%のインフレ目標に向けて一定のさらなる進展が見られた」とし、「雇用とインフレの目標達成に対するリスクは引き続き、より良いバランスへ移行していると委員会は判断している」とした。
当局者らはまた労働市場に対する判断を引き下げ、「雇用の伸びは緩やかになり、失業率は上昇したが低いままだ」と指摘。インフレについては、「この1年で緩和したが、依然として幾分高い水準にある」と記した。
一方、インフレ率が持続的に2%に向かっているとの「確信を強める」まで、政策金利の引き下げは適切ではないとの文言は維持した。
会見でパウエル議長は「経済の展開の仕方次第」で、年内の利下げが「ゼロにも複数回にもなるというシナリオは想像し得る」と説明。
また「今回の会合で動くとすればどのような論拠があるのかについて、行きつ戻りつの真剣な議論があった」とも述べ、「今会合では動かないことを大多数が支持した」と付け加えた。
FOMCはここ2年余りにわたって、2大責務のうち物価の安定に特段の重点を置いてきたが、このところは最大限の雇用を達成する責務を強調する傾向を強めている。この2つの責務を達成する上でのリスクは、よりバランスが取れてきていると当局者らは考えるようになった。
パウエル議長はこの日の会見で、このテーマを強調。労働市場が冷え込むにつれてインフレが予想外に加速するリスクは低下したが、労働市場の下振れリスクは「現在、現実のものとなっている」と述べた。
【FOMC】9月会合で利下げに踏み切るお膳立て-市場関係者の見方 - Bloomberg
◎LPLファイナンシャルのジェフリー・J・ローチ氏:
FOMCは今日の声明を使い、市場に今後の利下げに備えさせた。インフレ率が改善し失業率が上昇する中で、当局は利下げを実施しながらも名目FF金利をインフレ率を上回る水準に維持できる。微妙なトーンの変化に市場は好意的に反応するだろう
◎コメリカ・バンクのビル・アダムズ氏:
失業率は上昇基調にあり、雇用者数と賃金の伸びは鈍化している。米金融当局が重視するインフレ率の指標は低下傾向で、眼鏡を外せば2%にさほど遠くないように見える。これらデータは、米金融当局がブレーキから足を離すべき地点に米経済が近いことを示す確固たる証拠だ
◎ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズのフロリアン・イエルポ氏:
今回の声明は、米金融当局の決定がインフレ率を重視したものから、失業率とインフレ率のウエートをバランスさせたものへとシフトしたことを示している。これにより、確実とは言わずとも9月利下げの扉を開いた
◎GAMインベストメンツのジュリアン・ハワード氏:
利下げ圧力が強まっているが、米金融当局にとって利下げは容易ではない。信用が非常に大切だ
景気が軟化し、インフレがさらに鈍化するうちに米当局が何もしなければ、「夢遊病」とみなされるだろう。その場合、「政策ミス」という恐ろしい言葉が飛び交い始めるだろう。この日の決定は想定外ではなかったかもしれないが、9月の決定が注視されると言えば控えめな言い方だろう
◎インカム・リサーチ+マネジメントのスコット・パイク氏:
この日のFOMC声明文では、インフレの進展と労働市場の均衡を巡る表現がともにややハト派にシフトした。これにより、9月会合での利下げに向けた道筋でわれわれはさらに前進した
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏:
バランスの取れた声明は誰も惑わせない。FOMCは言葉の選択をじっくりと考え、2大責務の両面のリスクを新たに強調することで、ハト派的痛みがわずかに加わり、誰もが期待する9月の利下げへの扉を開いた
◎トレードステーションのデービッド・ラッセル氏:
FOMCは失業率の上昇に言及し、インフレ率は幾分か高いだけに過ぎないとしており、利下げに向けて少し前進した
データはパウエルFRB議長の方向へ動いたため、議長もそれに追随する準備をしている
9月の会合まで時間があることから、現時点では以下のような展開が予想される。8月2日の雇用統計と2週間後の消費者物価指数(CPI)が次の大きなポイントだ。これらが順調なら、8月下旬のジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム)でパウエル議長からより明確なメッセージが出てくるだろう
◎LPLファイナンシャルのクインシー・クロスビー氏:
市場の好反応は、9月会合に利下げが行われるなら、労働市場悪化による緊急性のものではなく、インフレ鈍化基調が継続することによるものだとトレーダーや投資家がみていることを示唆している
◎ルネサンス・マクロ・リサーチのニール・ダッタ氏:
記者会見は声明文よりもややハト派的だった
全体として、米金融当局者はただ待つために待っているような印象を受けた。結局のところ、パウエル議長自身が認めたように、全てのデータはすでに議長が見たい方向を指している
◎バンクレートのグレッグ・マクブライド氏:
インフレ統計が協力的であることが前提だが、米金融当局は9月の利下げに向けてうまく準備を整えた。利下げに踏み切らないとすれば、インフレが目標の2%に向かって一貫して低下しない場合だ
FOMC声明の中には、雇用市場の状況が変化していることを認める文言の変更が4カ所もあった。これから9月会合までの間に、雇用市場が懸念すべきペースで冷え込む兆しが出てくれば、最初の利下げ幅が0.50ポイントになる可能性もある。実際にそうなる場合には、事前に十分な予告があるだろう
◎キー・ウェルスのラジーブ・シャルマ氏:
9月利下げへの扉をさらに開いたが、確約するまでには至らなかった
8月下旬に行われるジャクソンホール会合で、パウエル議長が9月利下げへのシグナルを送ると想定すべきだ。それまでにはあと1カ月分の雇用・インフレ統計も入手できる
◎BOKファイナンシャルのブライアン・ヘンダーソン氏:
経済の観点から言うと、今年2回の利下げならさほど影響はないだろう。経験則では、利上げまたは今回の場合は利下げの効果が経済に完全に浸透するまでには9カ月-1年半かかる。利下げでリセッション(景気後退)を阻止するのは既に遅過ぎるかもしれないが、現時点で不必要に手をこまねいていればリスクを高める
◎カーソン・グループのライアン・デトリック氏:
FOMCは予想通り、9月の次回会合で利下げに踏み切るお膳立てをしている。インフレ率は大幅に改善し、ここ数カ月は賃金も元に戻る状況がみられた
現実にインフレは鈍化しており、FOMCは高金利をこれ以上必要としていない。実際、今後数四半期に渡って景気が減速する可能性があることが非常に懸念され、そのため利下げが必要だ。われわれは年内3回の利下げの公算はかなり大きいと考える
◎ブック・リポートのピーター・ブックバー氏:
パウエルFRB議長はこの日にゴーサインを出したいのはやまやまだが、同時にまだコミットしなくてもいいことを分かっている。さらなるデータを得る時間がまだあるからだ
◎ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏:
米金融当局はこの日に利下げすべきだった
約150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが行われるとの見方を表明
金融当局が利下げを決定する時点では遅過ぎるだろう
自身は金を選好している
経済はさほど堅調ではないと見受けられ、米国の赤字問題は悪化が進んでいる
◎Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏:
この日は単なるプレースホルダーで、市場は9月の利下げを支持する材料をさらに求めていた。FOMC声明からは必ずしも確証は得られなかったが、経済データの弱含みが今後数週間にわたって続けば、当局が方針転換に時間がかかり過ぎたとの観測に論調が移るかもしれない
過去の経緯からみて株式市場が最も不安定な時期に向かう中で、こうした心理は、株式市場の激しい変動性に拍車をかける恐れがある
●先進国、グローバル、金融市場
豪CPI、第2四半期は加速もコアが予想下振れ 年内利下げ観測 | ロイター
オーストラリア統計局が31日発表した第2・四半期の消費者物価指数(CPI)は、住宅や食品の値上がりを受けて前年比の伸びが加速した。ただ、コアインフレ率は予想を下回り、追加利上げ観測が大きく後退。年内にも利下げが実施されるとの見方が高まった。
この日発表の6月の小売売上高は予想を上回る伸びとなったが、第2・四半期全体ではマイナスとなり、引き締め的な金融政策が個人消費抑制の効果を表した格好となった。
豪小売売上高、6月は前月比0.5%増 予想上回る | ロイター
オーストラリア統計局が31日発表した6月の小売売上高は前月比0.5%増と、伸び率は前月の0.6%から鈍化したが、市場予想の0.2%を上回った。販促イベントにより日用品が好調だった。
第2・四半期の小売売上高は前期比0.3%減で、前年同期比では0.6%減となった。オーストラリアの人口が毎年2.6%増加していることを踏まえると非常に弱い結果となった。
三菱UFJ銀、17年半ぶり短プラ引き上げ 3メガの普通預金金利0.1%に | ロイター
三菱UFJ銀行は31日、日銀金融政策決定会合の結果と市場金利の上昇を受けて、短期プライムレート(短プラ)を、従来の1.475%から1.625%に引き上げると発表した。短プラの引き上げは17年半ぶり。
あわせて円の普通預金金利を従来の0.02%から0.10%に引き上げる。適用はいずれも9月2日から。
三井住友銀とみずほ銀行も同日、円普通預金金利を0.02%から0.10%引き上げると発表した。適用はそれぞれ8月6日と9月2日から。
住宅ローン固定金利、三菱UFJや三井住友など大手4銀行が8月から上げ 長期金利上昇 - 日本経済新聞
ユーロ圏7月インフレ率、2.6%に加速 ECBに「厳しい数字」 | ロイター
欧州連合(EU)統計局が31日発表した7月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率(速報値)は前年比2.6%と、6月の2.5%から加速した。市場予想は2.5%だった。
ただ、注目度が高いサービス価格の上昇率は4.1%から4.0%に鈍化した。
変動の激しい食品、エネルギー、アルコール、たばこを除くコアインフレ率は2.9%で、前月と同水準。市場では鈍化が予想されていた。
欧州中央銀行(ECB)は9月と12月に利下げを実施すると広く予想されている。今回の統計だけで政策見通しが変わることはないとみられるが、インフレ目標達成に向けた最後の1マイルに対する懸念は強まりそうだ。
HSBCのエコノミスト、ファビオ・バルボーニ氏は「ECBにとっては厳しい数字だ。モノの価格はディスインフレが終わりつつある。サービスインフレは高止まりしている」とした上で、9月と12月の利下げ見通しに変更はないと述べた。
バリンジャー・グループの為替市場アナリスト、カイル・チャップマン氏は「引き続き9月の追加利下げを予想する。予想を多少上回る変則的なデータがあっても、それほど大きな問題ではないと思う」と述べた。
ECBは個々の指標には惑わされず、インフレ全体のトレンドに注目する姿勢を明確にしている。
仏EU基準CPI、7月は前年比+2.6%に加速 予想は下回る | ロイター
米ADP民間雇用者数、1月以来の低い伸び-賃金も伸び鈍化 - Bloomberg
急成長の直接融資ファンド、アレスが過去最大の340億ドルを集める - Bloomberg
資産運用大手の米アレス・マネジメントは最新の「ダイレクトレンディング(直接融資)」ファンドに340億ドル(約5兆1100億円)近くを集めた。急成長するプライベートクレジット市場で過去最大の規模となった。
「アレス・シニア・ダイレクト・レンディング・ファンドⅢ」はエ-クイティコミットメントとして約150億ドルを調達。目標額の100億ドルを上回った。レバレッジと、別に管理されるアカウントを含めると、同ファンドの総資本はこの額の2倍を超える。アレスでクレジットグループの共同責任者を務めるミッチ・ゴールドスティン氏が明らかにした。
アレスをはじめプライベートクレジット業界全体では、今回の資金調達のような大型ディールが相次いでいる。ゴールドマン・サックス・グループは5月、130億ドルのエクイティキャピタルを含む210億ドルをプライベートクレジット投資資金として集めた。プレキンがまとめたデータによれば、今回のアレスによる資金調達が実現するまでは、これが過去最大だった。
ゴールドスティン氏は「このファンドは世界規模であらゆるタイプを網羅しており、その投資家ベースの規模と質には恐縮している」と述べた。
このように大規模のファンドが設定されるのは、およそ1兆7000億ドルの業界に勢いがあることを浮き彫りにする。大手オルタナティブ資産運用会社はどこも、ウォール街屈指の熱いビジネスに参入しようとしている。金利が高止まりし、規制による縛りで一部の高リスクローンへの銀行参入が難しい時代に、ダイレクトレンディングは企業の借入先として台頭。監視の目が十分に行き届かないエリアで大量に参入してきたため、懸念も生じている。 
米国、中国のAIメモリーチップへのアクセスに新たな制限を検討 - Bloomberg
米国は来月にも、中国による人工知能(AI)メモリーチップとその製造装置へのアクセスを一方的に制限することを検討している。米中間の技術面での対立は一段とエスカレートするとみられる。
事情に詳しい複数の関係者によると、この措置はマイクロン・テクノロジーのほか、韓国のSKハイニックスやサムスン電子が高帯域幅メモリー(HBM)を中国企業に供給しないようにすることが狙い。3社は世界のHBM市場を独占している。関係者は最終決定は下されていない点を強調した。
HBMは、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などが提供するAIアクセラレーターを動かすのに必要。実際に同措置が導入されれば、HBM2や現在生産されている最先端のメモリーチップであるHBM3E、それらを製造するために必要なツールも対象になると関係者は述べた。 
マイクロンはコメントを差し控えた。サムスンとSKハイニックスにもコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。
●中東情勢
ヒズボラ、司令官の生死確認せず イスラエルは殺害と主張 | ロイター
ハマス最高指導者、イランで暗殺 ハメネイ師「報復」宣言 | ロイター
イスラム組織ハマスのイスマイル・ハニヤ最高指導者が、イランの首都テヘランで31日未明、暗殺された。ハマスとイランが確認した。イスラエルへの報復の懸念が高まっている。
ハニヤ氏の拠点はカタールだが、30日に行われたイラン新大統領の宣誓式に出席していた。
イランの革命防衛隊は「テヘランのハニヤ氏の滞在地が襲撃され、護衛1人とともに死亡した」と明らかにした。空爆とみられるという。
ハマスの軍事部門は声明で、殺害は「戦いを新たな次元に引き上げ多大な影響を及ぼす」とした。
イランも報復を表明。最高指導者のハメネイ師は、イスラエルが「厳しい処罰」を下す根拠を与えたとし、イランの首都で起きた殺害への報復はイランの義務と述べた。
イスラエルは関与について言及していない。イスラエル軍は状況を評価中としたが、民間人に対する新たな安全ガイドラインは発行していない。ネタニヤフ首相は午後4時(1300GMT、日本時間午後10時)に安全保障当局者と協議する予定。
ブリンケン米国務長官は、ハニヤ氏暗殺に関する質問に直接答えず、ガザでの停戦合意が地域全体の緊張拡大を回避する鍵だと指摘。また米国は殺害について認識も関与もしていないと述べた。
オースティン米国防長官は、緊張緩和に取り組む考えを示すとともに、イスラエルが攻撃された場合の防衛支援を確約。「戦争が避けられないとは思わない。それは変わらない。外交の余地と機会は常にある」と語った。
イランのメディアによると、イランのペゼシュキアン大統領は「領土の一体性、尊厳、名誉、誇りを守り、テロリストの占領者たちに卑怯な行為を後悔させる」と強調した。
イスラエルは30日、レバノンの首都ベイルートを空爆し、同国に拠点を置く親イラン武装組織ヒズボラの司令官を殺害したと発表したばかり。これに続くハニヤ氏殺害を受け、パレスチナ自治区ガザでの停戦合意の可能性は後退しそうだ
イスラエルのガラント国防相は、戦争をエスカレートしようとしていないとした上で、あらゆるシナリオに備えていると述べた。
ハマスの幹部サミ・アブ・ズーリ氏は「イスラエルによるハニヤ氏暗殺はハマスの意志をくじくことを狙った重大なエスカレーションだ」と非難。ハマスは進んできた道を今後も続けるとし、「勝利を確信している」と述べた。
ガザ停戦協議を仲介しているカタールはハニヤ氏殺害について、紛争の危険なエスカレーションと非難。中国、ロシア、トルコ、エジプト、イラクも暗殺を非難した。
関係筋によると、イランの最高安全保障委員会は近く会合を開き、同国と密接な関係にあったハニヤ氏殺害への対応を決める見通し。
パレスチナ自治政府のアッバス議長はハニヤ氏暗殺を非難。ヨルダン川西岸のパレスチナ諸派はストライキと大規模デモを呼びかけている。
ハニヤ氏は2017年にハマスの最高指導者に選出された。トルコとカタールの首都ドーハを行き来しながら停戦協議の交渉官を務め、イランと対話を続けてきた。
ハマスでは今年に入って、ハニヤ氏の副官の立場だったサレハ・アルーリ氏がイスラエルによって殺害されている
イラン最高指導者、イスラエルへの報復攻撃を命じる-NYT紙 - Bloomberg
ヒズボラ、司令官の死亡確認 イスラエルのベイルート空爆で | ロイター
ハマスとイラン、地域戦争への拡大望まず 犯罪は罰せられるべき=当局者 | ロイター
●エマージング
台湾GDP、第2四半期は予想上回る前年比+5.09% AI好調 | ロイター
ベネズエラで抗議行動拡大、マドゥロ政権退陣求める | ロイター
ベネズエラでは30日、マドゥロ政権退陣を求める野党支持者らの抗議行動が各地に広がる展開になった。
28日の大統領選では、独裁色を強めるマドゥロ政権の影響下にある選挙管理当局はマドゥロ氏が得票率51%で勝利したと発表。これに反発した人々が29日、首都カラカスで大規模なデモを行い、警察と衝突して負傷者も発生した。
30日には幾つかの地域で抗議行動をしていた人々を治安部隊が攻撃する様子をロイターが目撃した。
人権団体によると、大統領選以降に開票作業やそれに対する抗議などに絡んで少なくとも11人が殺害されている。また治安当局は新たに2人の野党指導者を拘束した。
野党側は、独自集計に基づくと自陣営のゴンサレス候補が最大でマドゥロ氏の2倍以上の票を得て大勝したと主張し、マドゥロ氏に敗北を認めるよう要求している。
自らの大統領選出馬を禁じられながら今回の野党連合を率いたマチャド元国会議員は、マドゥロ政権が不正集計を行ったと非難。「われわれが戦っているのは体制側による詐欺行為だ」と訴えつつ、支持者らには平和的な抗議を促した。
ただ野党側が選挙結果を覆せる手段は乏しいように見える。軍のマドゥロ氏支持姿勢に変化の兆しはなく、米国などによる制裁も政権崩壊をもたらしていないためだ。
それでも世界の多くの国は、ベネズエラに集計結果の公表を求めている。複数の関係者の話では、ベネズエラの選挙結果について透明性が高まらなければ、米政府は選挙に関係する個人を対象に新たな制裁を検討するという。
一方マドゥロ氏は国営テレビで放映された演説で、野党の抗議行動参加者が市民に暴力を振るったり、放火したりしていると主張し、マチャド氏とゴンサレス氏は責任を取るべきだと語った。
インドネシアをBBBに据え置き、財政に先行き不透明感も=S&P | ロイター
大手格付け会社の米S&Pグローバル・レーティングは30日、インドネシアのソブリン格付けを「BBB」、格付け見通しを「安定的」にそれぞれ据え置いた。ただ、10月にプラボウォ国防相が大統領に就任した後の財政政策には先行き不透明感があると警鐘を鳴らした。
次期政権移行チームは財政赤字を対国内総生産(GDP)比3%までとする法定上限を守り、公的債務残高の対GDP比も現状水準を維持すると市場に保証している。
S&Pは「財政支出計画を考慮すると、財政赤字は法定上限に近い水準を念頭に置くだろう」と指摘。移行チームは財政規律を守る方針を表明したものの、S&Pは「次期政権が計画の詳細を発表するまで政策の先行き不透明感は残りそうだ」との見通しを示した。
大統領選でプラボウォ氏が掲げた公約の柱には、GDPの約2%に相当する450兆ルピア(276億2000万ドル)を支出し、妊婦や幼児、学生など計8000万人以上に栄養価の高い食事を無料提供することがあった。
次期政権では、住宅供給の拡大や食糧増産により、GDPを現在の約5%増から8%増へ引き上げる方針だが、S&Pの予想では2026、27の両年にいずれも4.9%増に減速する。ニッケルなど主要商品の価格も鈍化が見込まれる。
中国PMI、7月は製造業3カ月連続50割れ 非製造業は50.2に低下 | ロイター
中国国家統計局が31日発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、3カ月連続で景況拡大と縮小の分かれ目となる50を下回った。不動産部門の低迷や雇用不安が長引き景気が減速する中、中国当局が追加刺激策を打ち出す必要があるとの見方が強まった。
7月の製造業PMIは49.4で、前月の49.5から低下した。ロイターがまとめた市場予想の49.3は上回った。
新規受注と新規輸出の動向を示すサブ指数は3カ月連続で縮小した。雇用と卸売価格は引き続きマイナス圏にある。
キャピタル・エコノミクスのアシスタントエコノミスト、ゲーリー・ウン氏は「唯一の明るい兆しは、このところの失速により、当局が目先の政策支援のギアを上げることをより真剣に考えるようになったことだ」とし、それが「今後数カ月の活動の回復を下支えするはずだ」と説明した。
中国指導部は30日、低・中所得層の消費を促すため、所得引き上げに向けた追加刺激策を講じる意向を示したが、具体的な措置は明らかにしなかった。
消費者は高額商品への支出を減らしている。中国の小売売上高で最大部分を占める自動車販売は、6月に3カ月連続の減少を記録した。米スターバックスは、消費者の低価格志向を背景に中国の四半期売上高が14%減少したと発表した。
また、当局が先週発表した超長期国債3000億元(414億ドル)の半分は消費者の下取りプログラムを支援するために割り当てられるが、この金額は国内生産のわずか0.12%、2023年の小売売上高の0.3%にしか満たないため、景気回復を後押しするには不十分と見られている。
一方、7月のサービス業と建設業を含む非製造業PMIは50.2と50を上回ったものの、6月の50.5から低下。国内のサービス需要鈍化を示すとともに、不動産危機の問題を改めて浮き彫りにした。
中国では不動産が家計資産の70%を占めることから、国内消費の低迷は不動産評価額の低下と密接に関係している。
景気好転の兆しがほとんどみられないなか、どの程度の追加刺激策がとられるか、アナリストの間で意見が分かれている。
UBSの中国担当チーフエコノミスト、タオ・ワン氏は、預金準備率と金利の引き下げが実施される可能性があると指摘。「年内は緩やかな政策支援となり、過去数カ月の支援策をほぼ踏襲するが大規模な新規策はないと予想する」と述べた。
中国非製造業PMI、7月は50.2に低下 サービス需要減速で | ロイター
中国の消費低迷、スタバやユニクロ直撃-倹約志向も外国勢には重し - Bloomberg
中国国内の消費低迷が世界経済の成長を脅かす最大級の要因となっており、習近平指導部に対する圧力が強まっている。
国家統計局が31日発表した7月の購買担当者指数(PMI)統計で、非製造業PMIのうち小売業を含むサービス活動を示す指数は活動拡大と縮小の境目である50に低下し、昨年以来の低水準となった。7月のPMIは全般的に弱く、製造業以外にもしつこいデフレ圧力があることが示された。
4-6月(第2四半期)は中国経済の成長に占める消費の割合が、2022年後半以来初めて半分を下回り、低迷が長期化するとの見方が世界中に広がっている。
消費不振は米コーヒー店チェーンのスターバックスやフランスの化粧品会社ロレアル、「ユニクロ」のファーストリテイリングなど、すでに世界的なブランドを直撃。各社の売上高を急落させ、株式バリュエーションの重しとなっている。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当シニアストラテジスト、邢兆鵬氏は、「所得の見通しが暗くなる中で消費者は品質よりも価格に注目している。当局は家計所得を増やす明確な道筋を示していない」と述べた。
消費の喚起が喫緊の課題であることは、中国指導部も認識している。共産党中央政治局は30日開いた会議で、「経済政策の力点を民生に恩恵をもたらし、消費を促進する方向に転換させる必要がある」との見方で一致。年内の政策において個人消費の促進により大きな重点を置くと表明した。
だが、投資家らは懐疑的だ。政府からは力強い詳細な計画が打ち出されていない。米国や欧州連合(EU)が中国の過剰生産能力に不満をぶつけたとしても、今のところ製造業と輸出が中国経済回復の重要な柱であり続けている。
ブランド間競争
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の舒暢チーフエコノミスト(アジア担当)と曲天石エコノミストは、「弱いセンチメントが家計や企業の支出や投資を抑制している。これを是正するのは、あらゆる課題の中で最も難しい。景気刺激策と長期的な改革を成功させるためには、その恩恵が一般の人々に届く必要がある」と指摘した。
何年も続いている住宅不況は家計を圧迫し、多くの中国人に財布のひもを締めるよう促している。JPモルガン・チェースの試算によると、中国都市部の中間所得者層(ミドルクラス)は資産の約60%が不動産に結び付いているという。
消費不況により、グローバルブランドは需要の落ち込みに加え、同じような製品をより安く販売する中国ブランドとの競争に苦しんでいる。
倹約志向もまた、かつて購買力があった中国人買い物客に長く頼ってきた企業の利益や株価、さらには雇用にも打撃を与えている。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アンジェラ・ハンリー氏は、「消費者が洗練され、消費に対してより慎重になるにつれ、事業の成長を促進する上で、どこで生まれたブランドかということはあまり重要ではなくなっていくかもしれない」と語った。
ブラジル中銀、2会合連続金利据え置き 利下げ慎重姿勢 - 日本経済新聞
G7外相、ベネズエラ大統領選への懸念表明 声明を承認 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
米カリフォルニア州の森林火災拡大、ロサンゼルスの面積上回る | ロイター
米カリフォルニア州の消防当局によると、同州で発生している米国最大規模の森林火災は30日、ロサンゼルス市の総面積を上回る600平方マイル(1500平方キロ)超に拡大し、州都サクラメント北部の自然保護区で数千人の消防士が消火活動に当たった。
火災はサクラメントの北約145キロにあるセントラルバレーで発生。カリフォルニア州以外からも消防士が加わり、24時間体制で5500人以上が消火に当たっている。
カリフォルニア州の消防当局者は、枯れ草、低木、木材など「燃えやすい燃料がたくさんあり、現場到達が困難。現場に人を派遣するのに2─3時間かかる可能性がある」と述べた。
米国立気象局の気象学者アシュトン・ロビンソン・クック氏は、30日に雷雨の可能性が少しあるものの、その後降雨はなく極度の乾燥と猛暑が続くと予想。31日には気温が摂氏37.8度に達し、週明けまでこのレベルの高温が続く可能性があるとした。相対湿度は7%まで低下する見込みという。
消防当局者らによると、30日時点の鎮火率は14%で、4000人以上が避難、192棟以上の建物が損壊している。死傷者は報告されていない。
[FT]高まる天災リスク、補償狭める保険会社の株価が上昇 モラル・マネー 投資の新潮流を紹介 -…
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(31日)ドル一段安、S&P・ナスダック上昇 | ロイター
<為替> 米連邦準備理事会(FRB)が次回9月の会合で利下げを決定する可能性を示唆したことを受け、ドルが下げ幅を拡大した。
円は日銀が30―31日の金融政策決定会合で利上げを決定したことを受け、対ドルで4カ月ぶり高値を更新。一時3月19日以来の高値となる149.63円を付けた。終盤の取引では1.87%高の149.91円。
<債券> 期間が長めの国債利回りが小幅低下した。ただ、一時の大幅な下げからは下げ幅を縮小した。一方、短期ゾーンの利回りは上昇した。米連邦準備理事会(FRB)は30─31日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置いた。
指標10年債利回りは1.7ベーシスポイント(bp)低下の4.124%。一時、3月12日以来の低水準となる4.091%を付けた。
取引終盤、30年債利回りは3bp低下の4.369%。一時4.342%と、6週間ぶりの水準に低下していた。
10、30年債利回りとも5営業日連続での低下となった。
2年債利回りは、1.8bp上昇の4.377%。一時、2月2日以来の最低水準となる4.33%まで低下する場面もあった。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス25.5bpとなった。
<株式> 上昇して取引を終えた。半導体関連を中心に買いが入り、S&P総合500種とナスダック総合が2月22日以来の大幅な上昇率を記録した。米連邦準備理事会(FRB)がインフレが鈍化すれば9月にも利下げする可能性を示唆したことも追い風となった。
米半導体大手エヌビディアが13%近く急伸。同業のアドバンスト・マイクロ・デバイセズが今年通期の人工知能(AI)向け半導体の売上高見通しを上方修正したことを受けた。AMDも4.3%上昇し、フィラデルフィア半導体指数は7%高で引けた
<金先物> 中東情勢の悪化懸念を背景に安全資産としての金が買われ、続伸した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比21.10ドル(0.86%)高の1オンス=2473.00ドルと、中心限月清算値ベースで史上最高値を更新した。
<米原油先物> 中東情勢の緊迫化や米原油在庫の大幅減などを背景に買い進まれ、大幅反発した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物の清算値(終値に相当)は、前日比3.18ドル(4.26%)高の1バレル=77.91ドル。10月物は2.96ドル高の76.84ドルだった。
欧州市場サマリー(31日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。石油・ガス株や鉱業株の買いが優勢だったほか、堅調な業績発表などを好材料視した銘柄の上昇も相場を支援した。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。オランダの半導体製造装置メーカーASMLホールディングが大幅に伸びたほか、堅調な決算発表などを好材料視した銘柄の上昇も相場を押し上げた。
オランダの半導体製造装置メーカーASMLホールディンスは5.6%高。米政府による一部の国から中国半導体メーカーへの製造装置の輸出を阻止する権限を拡大する新たな規制に関し、オランダなどからの出荷は除外されるとのロイターの報道を受け、この規制によるASMLの業績への影響が限定的だとして、好材料視された。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが数カ月ぶりの低水準を付けた。7月のユーロ圏インフレ率は予想外に加速したものの、世界的な金融緩和観測が変わることはないとみられる。
終盤の取引で、ドイツ10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)低下の2.313%。一時、2.303%と4月2日以来の低水準を付けた。

備忘録(2024/7/30
●雑感
●決算
英BP、第2四半期は純利益が予想上回る 増配発表 | ロイター
英ディアジオ、通期は予想以上の減収減益 株価急落 | ロイター
通期決算(6月30日まで)は予想以上の減収減益となった。厳しい状況が来年まで続く可能性があるとも表明。同社の株価は9%以上急落している。
連結売上高は0.6%減、連結利益は4.8%減。ともに市場予想をわずかに下回った。
中南米地域の売上高が21.1%減少した。昨年11月にメキシコとブラジルで予想外に売れ残り在庫が積み上がっていることが判明していた。
デブラ・クルー最高経営責任者(CEO)は、中南米地域などで問題解決に向けた措置を講じており、最終的には増収に転じると予想。
ただ、消費者心理の低迷など、業績悪化につながった要因が来年まで続く可能性があり、中期目標である年5─7%の増収にいつ戻れるかは不透明だと述べた。
北米の売上高は3%減。米国内の在庫水準はほぼ正常化したが、消費者は依然慎重という。
英スタンチャート、15億ドルの自社株買い発表 利益予想引き上げ | ロイター
30日、15億ドル相当という過去最大規模の自社株買いを発表した。中核市場であるアジア市場の力強い経済成長とコスト抑制策を背景に今年の利益見通しを引き上げた。
発表後、同行の香港上場株は4%上昇した。
上半期の法定税引き前利益は5%増の34億9000万ドル。前年同期の33億2000万ドルや、同行が集計したアナリスト15人の予想の平均34億6000万ドルを上回った。
為替変動の影響を除いたベースでの営業利益の伸び率を7%超と予想し、5─7%としていた従来の見通しを上方修正した。
同行はアジアで収益の大半を稼いでおり、近年はアジア地域の金利上昇や相対的に高い経済成長と富の創出が追い風となっている。
メルクが決算受け下落 キートルーダは好調も1株利益の見通し下方修正=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
メルク<MRK>が下落。取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。主力薬のキートルーダが引き続きがん治療薬市場を席巻し好調だった。ただ、株価は冴えない反応。通期の1株利益の見通しを下方修正したことが嫌気されている模様。売上高は上方修正したものの予想は下回っている。
キイトルーダが引き続きがん治療薬市場を席巻し、ウォール街の予想を上回っている。しかし、キイトルーダは今後10年、価格圧力に直面することから、同社は新たな成長源を見つけようと巨額の費用を費やしてきた。
同社は昨年、自己免疫疾患の治療薬メーカーであるプロメテウス・バイオサイエンシズ社に110億ドル近くを投じ、第一三共<4568>とは新規がん治療薬の共同開発で220億ドルの契約を結んだ。
同社の次なるブロックバスターは、3月に承認された希少な高血圧治療薬「ウィンレベア」であろう。2021年に同社がアクセロン・ファーマ社を110億ドルで買収した際に獲得したこの薬剤は、米国市場での最初の四半期で7000万ドルを売り上げ、市場の予想を上回った。
ファイザーが決算 通期見通し上方修正 株価は小幅高に留まる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ファイザー<PFE>が取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。ガイダンスも公表し、通期の1株利益および売上高の見通しを上方修正した。同社はパンデミック関連の売上が急落の後、投資家からの信頼回復を図っている。新薬のパイプラインがパンデミック関連の急激な減収を相殺できると投資家を説得しようとしている。
同社は5月に2027年末までに15億ドルのコスト削減計画に着手した。これは、今年末までに40億ドルの支出削減するという以前公表された取り組みに上乗せされたもの。経営陣はこれらの目標を達成できると述べている。
同社は昨年、がん領域に特化したシーゲン社を430億ドルで買収し、成長を取り戻そうとしている。シーゲンの医薬品からの売上高はこの四半期に8億4500万ドル増加。シーゲン社のがん治療薬「パドセフ」は予想を上回る3億9400万ドルの売上を記録した。
同社は今月初めに経口の減量薬の開発を進めていると発表。今年中期に開発に着手する予定。
マイクロソフト、クラウドサービス「Azure」の成長鈍化-株下落 - Bloomberg
インテル、数千人規模で人員削減へ-経費抑制や業績改善目指し - Bloomberg
米インテルは数千人規模の人員削減を計画している。コストを抑制するとともに、業績不振からの脱却と市場シェア回復に向けた野心的取り組みの資金を確保する。
同社の計画に詳しい関係者によると、人員削減は早ければ今週中に発表される可能性がある。同社は8月1日に4-6月(第2四半期)決算を発表する予定で、従業員数は分社化される部門の従業員を除くと約11万人。
パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は、インテルの技術を向上し半導体業界で再び頭角を現すべく、研究開発に多額の資金を投じている。かつて業界で支配的地位にあったインテルは、ゲルシンガー氏の前任者らが率いていた時期にアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などのライバルの追い上げでシェアを奪われた。インテルの広報担当者はコメントを控えた。
人員削減のニュースを受け、インテル株は30日の時間外取引で約1%上昇。一時は31.11ドルに達した。
ゲルシンガー氏はインテルの技術向上に賭け、他のチップメーカー向けに半導体を製造する工場を建設する計画に着手した。先週同社はマイクロン・テクノロジーからナーガ・チャンドラセカラン氏をグローバル・オペレーション担当の最高責任者として採用し、製造全般の責任者に据えると発表した。
インテルは2022年10月に人員削減を発表した後、23年に従業員を約5%削減。他の分野での支出も抑制している。同社はこうしたコスト削減により、25年までに最大100億ドルの節減を見込んでいた。
アナリスト予想では、インテルの4-6月期売上高は前年同期比で横ばいの見通し。24年後半には緩やかに成長を回復し、通期の総売上高は3%増の557億ドルになると予測されている。予想通りなら、通期では21年以来の増収となる。
スターバックス、2四半期連続の減収-米国内外で購入控える動き - Bloomberg
米スターバックスが30日発表した4-6月(第3四半期)決算は、2四半期連続の減収となった。コーヒー購入を控える動きが業績の打撃となった。
4-6月期の既存店売上高は前年同期比3%減となり、わずかながらアナリスト予想平均以上の落ち込みとなった。取引件数は北米と海外の両方で落ち込んだ。売上高も市場予想を若干下回った。中国でも既存店売上高が予想以上に減少した。
同社の株価は通常取引後の時間外取引で一時1.2%上昇した。これは一部の投資家がさらに大幅な業績下振れを予想していた可能性を示すものだ。
インフレと貯蓄減少で圧迫された消費者が支出を引き締めていることが逆風となった。店舗数で最大の市場である米国で同社は半額セールや割引セットで顧客呼び込みを図っている。アクティビスト(物言う投資家)からの新たな圧力に直面する一方、サービスの迅速化も目指している。
4-6月期は一部項目を除いた1株利益が93セントで、市場予想平均をわずかに上回った。一方、営業利益率は前年同期を下回った。販促活動拡大や店舗従業員の待遇改善などが影響した。
焦点:世界の大手企業、通期予想引き下げ 高金利と中国低迷が重し | ロイター
世界の大手企業が通期の業績予想を引き下げている。高金利と中国経済の低迷が消費者心理を圧迫していることが背景で、第2・四半期の増益決算に暗い影を落としている。
投資家はマクドナルド、日産、テスラ、ネスレ、ユニリーバなど多くの大手企業の決算に失望。米欧企業の約40%が決算を発表したが、利益はほぼ予想通りだった。ただ、世界的に株価が大幅に上昇した後だけに「ほぼ予想通り」の決算が投資家の失望を招いているようだ。
ザックス・インベストメント・マネジメントのクライアント・ポートフォリオ・マネジャー、ブライアン・マルベリー氏は「今シーズンの決算は、これまでのところ非常にまちまちだ」と指摘。金利の高止まりが企業を圧迫し、持続的な業績拡大が難しくなりつつあるとの認識を示した。
今週はアップル、マイクロソフト、サムスン電子、トヨタ、エクソンモービル、シェル、ロレアル、アディダスなどが決算発表を予定しており、市場が大きく動く可能性がある。
<高金利と中国経済の低迷>
企業は高金利と中国経済の低迷が利益を圧迫していると説明している。
マクドナルドは中国経済の低迷が響き、世界の既存店売上高が13四半期ぶりに減少。ユニリーバ、ビザ、アストン・マーチンなども中国経済の低迷を指摘した。アナリストは、長引く不動産不況と雇用不安が中国の消費を圧迫する限り、同国の需要拡大は見込めないと分析している。
DWSのポートフォリオマネジャー、ステファン・グエンター・バウクネヒト氏は「中国人は将来に不安があるため、消費に消極的だ」とし、中国は経済成長が上向くまで「主要地域で最弱の国、少なくとも最も予想を下回る国」になるだろうと述べた。
LSEGのデータによると、米国企業の1株利益は前年同期比で12%近く増加し、過去10四半期で最大の伸びを記録。バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズによると、欧州企業は市場予想をわずかに上回る4%の増益と、2022年以来初の増益を確保している。
同社によると、さまざまな業種で消費低迷が報告されており、業績予想の下方修正が増えている。LSEGのデータによると、米国企業は第3・四半期の予想を7月初め時点の前年同期比8.6%増から今月26日時点で7.3%増に引き下げた。
バンク・オブ・アメリカのアナリストはリポートで「第2・四半期決算は全体的にまずまずだが、市場は消費者のストレスの兆しに動揺している」と指摘する。
ネスレとユニリーバの上期の増収率はともに予想を下回った。ユーロ圏の2大経済国でも企業が悲観的な見方を強めており、ユーロ圏経済の回復の鈍さに対する懸念が強まっている。
ネスレのマーク・シュナイダー最高経営責任者(CEO)は電話会見で「消費者の間に割安な商品を求める動きが見られる。特に低所得層はプレッシャーを感じている」と語った。
自動車メーカーは米国で困難に直面しており、高水準の在庫と物流の問題がフォード・モーター、ステランティス、日産の利益を圧迫した。投資家はテスラの決算に失望。電気自動車(EV)の販売は鈍化しており、同社が大幅に過大評価されているとの見方が依然多い。
テスラや現代自動車にEV用バッテリーを供給するLGエナジー・ソリューションは今年20%以上の減収を予想。世界のEV販売が想定以上に鈍化していることが背景だ。ライバルである中国の寧徳時代新能源科技(CATL)も第2・四半期決算が13%の減収だった。
<高い期待がプレシャーに>
好決算を発表している企業も少なくない。
グーグルの親会社アルファベットはクラウドコンピューティング事業の売上高が好調で、今週決算発表を予定している他のハイテク大手企業にとっては良い兆候と言える。
3Mも決算発表を受けて株価が約2年ぶりの高値を付けた。ゼネラル・モーターズ(GM)とジョンソン・エンド・ジョンソンも好決算を発表。JPモルガンは過去最高益を計上した。
アジアの半導体メーカーも、人工知能(AI)ブームを背景に需要見通しに一段と強気になっている。
台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)は「AIは非常にホットだ。当社の全ての顧客がデバイスにAI機能を埋め込むことを望んでいる」と語った。同社の株価は今年56%値上がりしている。
こうした明るい見通しにもかかわらず、アジアの大手半導体メーカーには、市場の高い期待に応えるというプレッシャーがかかっている。これはエヌビディアの株価にも見て取れる。同社の時価総額は今年3兆ドルを突破した後、伸び悩んでいる。
BNK投資証券のアナリスト、イ・ミンヒ氏は「投資家の期待は非常に高く、期待に応えるのは難しいかもしれない。短期的には株価がそれほど上昇しない可能性がある」と述べた。
MSCIインターショナル指数は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測などを背景に今年11%上昇。今月ピークを付けたが、その後反落している。
チェリー・レイン・インベストメンツのパートナー、リック・メックラー氏は「利下げ観測が続く限り、アナリストが全体として来年の業績予想を引き下げることはないだろう」と述べた。
米P&G、売上高が予想下回る 値上げ抑制も需要鈍化 | ロイター
[ITW] イリノイツールワークス 2Q減収増益 売上高1%減40.2億ドル、営業益4%増10.5億ドル、EPS2.54ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PEG] パブリックサービスエンタープライズグループ 2Q減益 売上高横ばい24.2億ドル、営業益27%減5.82億ドル、EPS0.87ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ECL] エコラボ 2Q増収増益 売上高3%増39.8億ドル、営業益36%増6.56億ドル、EPS1.71ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HUBB] ハベル 2Q増収増益 売上高6%増14.5億ドル、営業益5%増3.01億ドル、EPS3.95ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PFE] ファイザー 2Q増収最終減益 売上高2%増132億ドル、純利益98%減4100万ドル、配当0.84ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[SYY] シスコ 2024年6月通期は増収増益 売上高3%増788億ドル、営業益5%増32.0億ドル、EPS3.89ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AEP] アメリカンエレクトリックパワー 2Q増収減益 売上高5%増45.7億ドル、営業益22%減6.83億ドル、EPS0.64ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GLW] コーニング 2Q微増収減益 売上高微増32.5億ドル、営業益33%減1.86億ドル、EPS0.12ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SPGI] S&Pグローバル 2Q増収増益 売上高14%増35.4億ドル、営業益59%増14.5億ドル、EPS3.23ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PG] P&G 2024年6月通期は増収増益 売上高2%増840億ドル、営業益2%増185億ドル、配当3.8286ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[AMT] アメリカンタワー 2Q増収増益 売上高5%増29.0億ドル、営業益47%増12.8億ドル、EPS1.92ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PYPL] ペイパル 2Q増収増益 売上高8%増78.8億ドル、営業益17%増13.2億ドル、EPS1.08ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MRK] メルク 2Q増収最終黒字転換 売上高7%増161億ドル、純利益54.5億ドル、EPS2.14ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SWK] スタンレーブラック&デッカー 2Q減収最終赤字転落 売上高3%減40.2億ドル、最終赤字1120万ドル、EPSマイナス0.07ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CNP] センターポイントエナジー 2Q増収増益 売上高2%増19.0億ドル、営業益23%増4.67億ドル、EPS0.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMD] AMD 2Q増収営業黒字転換 売上高9%増58.3億ドル、営業益2.69億ドル、EPS0.16ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SYK] ストライカー 2Q増収増益 売上高9%増54.2億ドル、営業益9%増10.5億ドル、EPS2.14ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SBUX] スターバックス 3Q減収減益 売上高1%減91.1億ドル、営業益4%減15.1億ドル、EPS0.93ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MDLZ] モンデリーズ 2Q減収減益 売上高2%減83.4億ドル、営業益40%減8.54億ドル、EPS0.45ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MSFT] マイクロソフト 2024年6月通期は増収増益 売上高16%増2451億ドル、営業益24%増1094億ドル、EPS11.80ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
豪資源のBHP、カナダ同業4600億円で買収 銅資産拡充 - 日本経済新聞
オーストラリアの資源最大手、BHPグループは30日、カナダの同業フィロ・コープを買収すると発表した。カナダの別の同業企業と共同で買収する。買収総額は41億カナダドル(約4600億円)となる。フィロ・コープを通じて南米の銅資産を強化する。
デルタ航空、世界的システム障害で補償請求へ=CNBC | ロイター
米地銀レナサント、同業ファースト・バンクシェアーズを買収へ | ロイター
米ミシシッピ州の大手地方銀行レナサントは29日、同州の地銀ザ・ファースト・バンクシェアーズを12億ドル相当で買収することで合意したと発表した。全額を株式交換によって実施する。
実現すれば、米南東部6州にまたがる資産総額約250億ドルの地銀大手が誕生する。米国の地銀業界で進む合従連衡の流れを印象付ける合意となった。
株式交換は、ザ・ファースト・バンクシェアーズ株の26日終値に20.4%のプレミアムを乗せた価格で実施される。買収は来年上半期に完了する見通し。
レナサントは120年の歴史を持つ地銀で、6月30日時点の総資産は約175億ドル。ザ・ファーストの総資産は約80億ドルだった。
ゴールドマンの時価総額、モルガン・スタンレー上回る-2020年以来 - Bloomberg
●日本企業
ムーディーズ、日本郵船を1段階格上げ 「Baa3」に - 日本経済新聞
変更の理由について「物流や液化天然ガス(LNG)船、自動車船など収益の安定性が相対的に高い事業展開を拡大していることを反映した」などと説明した。格付けの見通しは「ポジティブ」から「安定的」とした。
住友生命の一時払い終身保険、予定利率を8月も引き上げ - 日本経済新聞
住友生命保険は契約時に保険料をまとめて支払う一時払い終身保険の予定利率を8月から引き上げる。国内金利の上昇を受け、契約者に約束する利回りを現行の1.10%から1.25%に改める。住友生命は6月にも利率を引き上げていた。予定利率が上がると同額の保険金を受け取るのに必要な保険料が少なくなる。
例えば60歳男性が一時払い保険料1000万円で契約した場合、保険金額は1231万7000円で従来より38万7000円増える。1000万円の保険金を受け取る場合の保険料負担が現行から3%程度減る。
金利上昇を受けて、予定利率を引き上げる動きが相次いでいる。日本生命保険も2024年1月に予定利率を0.6%から1%に引き上げたほか、明治安田生命保険も5月に0.94%から1.1%に改めた。
ニッセイアセット、AIで統合報告書を分析 ESG投資で - 日本経済新聞
ニッセイアセットマネジメントはナウキャスト(東京・千代田)と協力し、企業分析に生成AI(人工知能)を導入する。統合報告書をAIが読み込み、ESG(環境・社会・企業統治)に関する項目などを自動で抽出する。データ収集を手作業から切り替えてアナリストの作業効率を上げ、投資判断を迅速にする。
村田製作所、4〜6月は9四半期ぶり増益 サーバー部品好調 - 日本経済新聞
JR東海の4~6月、純利益32%増 運輸収入はコロナ前超え - 日本経済新聞
四国電力、24年4〜6月期の純利益2倍 原発フル稼働で - 日本経済新聞
LIXIL4〜6月、4年ぶり最終赤字 新築向けが減少 - 日本経済新聞
LIXILが30日に発表した2024年4〜6月期連結決算(国際会計基準、継続事業ベース)は、最終損益が56億円の赤字(前年同期は1億4900万円の黒字)だった。4〜6月期での最終赤字は4年ぶりとなる。新築向けの売り上げ減少と海外事業の不調が響いた。
売上高にあたる売上収益は、前年同期比3%増の3698億円だった。国内事業は新築着工戸数の減少に伴って水回りや建材などの商品は販売が低調だったが、断熱窓やドアなどのリフォーム向け商品の売り上げが堅調で横ばいだった。
事業利益は83%減の6億3900万円だった。円安により原材料の購入費用が上昇しており利益を圧迫した。加えて、人件費や物流費などの増加も重荷となった。
海外事業ではインドや中東以外の需要が低迷している。人員配置の整理など構造改革コストの増加などの影響も受けた。米国では浴槽事業で競合他社よりも苦戦していると認める。一方、衛生陶器と水栓金具では市場シェアを伸ばしている。
25年3月期の通期業績見通しは売上収益が1兆5700億円、当期利益は80億円で従来予想を据え置いた。瀬戸欣哉社長は同日にオンラインで開催した決算説明会で「供給体制の整備と、大胆な構造改革を進めていく」と話した。ショールームの来館者数が増えていることから「下期に向けて期待が高まる」と言及した。
欧州で欧州中央銀行(ECB)が6月に利下げに踏み切ったことを受け、欧州事業は住宅設備などの需要回復の足がかりになるとみている。
みずほ証券の4〜6月期、純利益25%減 投資銀行は好調 - 日本経済新聞
三菱UFJ証券、4〜6月期の純利益14%増 不正影響小さく - 日本経済新聞
ANAHDの増収減益 4〜6月、整備などコスト増重荷 - 日本経済新聞
東京ディズニーのオリエンタルランド、純利益11%減 新エリアの負担増 - 日本経済新聞
TDKの純利益4倍、生成AI搭載スマホ堅調 4〜6月 - 日本経済新聞
TDKが30日発表した2024年4〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期4倍の596億円だった。スマートフォン向けの電池が伸びた。生成AI(人工知能)を搭載する端末の発売と同時に、新型コロナウイルス禍で購入が進んだスマホの買い替え需要が追い風になった。円安も利益を押し上げた。
野村HDの4-6月純利益3倍の689億円-個人・法人部門とも好調 - Bloomberg
日鉄のUSスチール買収に反対、民主副大統領有力候補シャピロ氏 | ロイター
シャピロ氏は「州知事として州の立場から言えば、米国の鉄鋼労働者がこの買収に満足していないのであれば、私も満足できない」とし、「ペンシルベニア州でUSスチールの操業が継続し、拡大する未来が見えなければ、私は満足できず、深刻な懸念を抱いている」と述べた。
●米大統領選挙
ハリス氏の副大統領候補絞り込み、ミシガン州知事ら外れる | ロイター
米民主党の大統領候補に指名される見通しのハリス副大統領が進める副大統領候補選びから、ノースカロライナ州のクーパー知事とミシガン州のウィットマー知事が外れたことが29日明らかになった。
クーパー氏の関係者によると、同氏は副大統領候補選びから身を引いた。理由は不明。
また、ウィットマー氏はCBSの番組で、候補者選考プロセスに参加していないと発言。「2026年末の任期満了まで知事にとどまるつもりだとミシガン州民を含む全ての人に伝えた」と述べた。
ハリス氏の副大統領候補にはこのほかケンタッキー州のベシア知事やアリゾナ州選出のマーク・ケリー上院議員、ミネソタ州のワルツ知事らの名前が挙がっている。
トランプ氏、黒人記者団体の会合出席へ 票取り込み意識 | ロイター
米共和党のトランプ前大統領は、今週シカゴで開催される全米黒人ジャーナリスト協会(NABJ)の年次大会で質疑応答に参加する。同氏の陣営が29日発表した。
トランプ氏は黒人票獲得に取り組んできた。一部の世論調査は同氏が黒人有権者の間で支持を広げている可能性を示している。
NABJ代表のケン・レモン氏は「会員と聴衆にとって最も重要な問題についてトランプ前大統領から話を聞くのを楽しみしている」と述べた。
トランプ氏に厳しい質問を投げかけ、「黒人米国人が求め、必要としている真実の答え」を得られる機会になるとも指摘した。
トランプ陣営はイベントについて、黒人社会が直面する最も差し迫った問題が焦点になるとした。
NABJによると、民主党のハリス副大統領も年次大会に招待されているが、参加は未定という。
米大統領選支持率ほぼ拮抗、ハリス氏のリードわずか1%ポイント | ロイター
ロイター/イプソスが実施した最新の世論調査によると、11月の米大統領選に向けて民主党の大統領候補となる見通しのハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領の支持率がほぼ拮抗している。
28日までの3日間、登録有権者876人を含む米国の成人1025人を対象にオンラインで実施された調査によると、ハリス氏の支持率は43%、トランプ氏は42%で、ハリス氏がわずか1%ポイントリードしている。誤差は3.5%ポイント。
約1週間前の調査では、ハリス氏への支持が44%、トランプ氏が42%となっていた。
ハリス氏はバイデン大統領が選挙戦撤退を表明して以降の10日間で、民主党の大統領候補指名に向けた支持を固めてきた。
調査ではハリス氏に好意的な見方を持つ有権者が46%、好意的でない見方をする有権者が51%となり、過去1カ月でハリス氏の好感度が上がった。7月2日まで実施されたロイター/イプソス調査では好意的な見方が40%、好意的でない見方は57%だった。
この期間にトランプ氏の好感度はほとんど変化せず、最新の調査によると、好意的な見方は41%、好意的でない見方は56%。
調査ではまた、登録有権者が経済、移民、犯罪についてはトランプ氏のアプローチを、医療保険についてはハリス氏の計画を選好していることが分かった。
ハリス氏がトランプ氏のリード消し去る-激戦7州最新世論調査 - Bloomberg
11月の米大統領選で民主党大統領候補指名を確実にしたハリス副大統領が激戦7州の有権者支持率で共和党候補のトランプ前大統領のリードを消し去ったことが、ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトの最新世論調査で分かった。
それによれば、ハリス氏の支持率は選挙戦の結果を左右する可能性のある激戦7州全体で見て48%と、トランプ氏の47%を上回った。統計上の大接戦と言える。選挙戦撤退前の時点でバイデン大統領はトランプ氏に2ポイントリードされていた。
ハリス氏は若年層や黒人、ヒスパニック系の有権者の熱狂の波に乗った形で、アリゾナ、ネバダ両州でトランプ氏のリードを覆し、ミシガン州ではバイデン氏がトランプ氏に対して持っていたリードを2倍余りに広げた。   
最新の数値は、バラク・オバマ氏をホワイトハウス入りさせた有権者層をハリス氏が再結集させる可能性があり、民主党の支持基盤を固めるのに苦戦したバイデン氏よりも当選に向けた道筋が一段と明確であることを示唆している。
ハリス氏が民主党大統領候補指名を確実にしてから1週間ほどで、現職大統領に再選の取り組み断念を促すという同党の歴史的な戦略が期待していたような効果を発揮している早期のヒントが示された形だ。
選挙戦が予断を許さない状況に変わりはない。調査を行ったアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニア、ウィスコンシン各州でのハリス、トランプ両氏の差は統計上の誤差の範囲内だ。
さらに、トランプ氏選挙陣営の世論調査担当者の表現では、ハリス氏は現在、「ハネムーン局面」にあると考えられ、経済運営や移民対策を中心に有権者にとって重要な問題で信頼を勝ち取るという課題に直面して
トランプ氏、過去にハリス氏に献金 米民主党「なんて賢い」 - 日本経済新聞
次期米大統領を待つ「暗雲」、元財務長官2人が警告-ドル安泰でない - Bloomberg
世界金融危機に対応した2人の元米財務長官は、次期米大統領が引き継ぐのは活力がありながらも「暗い」課題を抱えた経済だとの見方を示した。その上で政治家に対し、財政赤字への対応と市場競争の保護を呼び掛けた。
ティモシー・ガイトナー氏は30日、ブルームバーグTVの番組で「次期大統領はいくつかの暗い影を受け継ぐことになるだろう。非常に危険で、はるかに複雑な対応が求められる世界だ」と指摘。隣に並んだヘンリー・ポールソン氏は、政府債務が「暗雲」であり、「抑制されなければ、最終的にわれわれの繁栄を破壊することになる」と語った。
ポールソン氏は、今のところ米経済は「世界で明るいスポット」であり、「追い風を受けている」と発言。ガイトナー氏も「非常に重要な多くの分野で、われわれはイノベーションのフロンティアの頂点に立っている」と続けた。 
しかし両氏とも、連邦政府債務の軌道のほか、保護主義的な圧力や特定分野に成果をもたらすことを意図した政策が過度に強まるリスクを懸念すべき問題として指摘。ガイトナー氏は、グローバルシステムにおけるドルの役割を守る上で、責任ある財政政策が長期的には重要になると述べた。
同氏は「われわれは引き続き安全な逃避先だ。混乱し、かつ危険な世界では安全な避難場所であり、それは非常に大きなメリットだ」とした上で、「政策に携わる人々は、ドルが享受している地位には何の保証もないことを理解しなければならない」と警鐘を鳴らした。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
米民主党上院議員、FRB窓口貸出制度の抜本改革法案を提出 | ロイター
米民主党のマーク・ワーナー上院議員は26日、米連邦準備理事会(FRB)の窓口貸出制度の抜本的改革を目指す法案を提出した。
窓口貸出制度は、金融機関が何らかのストレスを受けた場合、あるいは単純に想定外の流動性不足に陥った際に使える仕組みだが、業界内で「悪評」が広がるのを嫌う銀行がこれまで積極的な利用を避ける傾向があった。
昨年3月に地銀破綻が相次ぎ、金融システムが動揺した局面でも、FRBは窓口貸出制度を通じた対応では不安が残るとして、追加的な流動性供給措置の導入を迫られた。
それ以来、FRBは銀行が安心して利用できるための取り組みを進めており、ワーナー氏の法案はさらに追い風となる可能性がある。
ワーナー氏は「昨年のシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行の破綻で、21世紀の経済に向けた窓口貸出制度の改革が焦眉の急であることが浮き彫りになった。もはや預金取り付けは数日単位ではなく数時間単位で起こりうる」と述べ、この法案が悪評問題を克服し、窓口貸出制度をデジタル時代の課題に対応できるようにする一助になると強調した。
法案は、最小規模クラスを除く全ての銀行に対して窓口貸出制度の試験的な利用を義務づけ、規制当局は銀行の流動性を評価する場合に、窓口貸出制度をどの程度利用できるかを考慮に入れる必要があると定めている。
またFRBは悪評問題の具体事例を議会に報告するとともに、銀行の不安を取り除くためのさらなる措置を講じなければならないという。
●先進国、グローバル、金融市場
アングル:解消に向かう米国債逆イールド、今回は景気後退指標として有効か | ロイター
景気後退のシグナルとされる米国債の長短利回り逆転(逆イールド)は過去最長かつ最大となっているが、解消が近づいている可能性がある。
ドイツ銀行によると、70年の歴史で起きた10回の景気後退のうち9回で、この逆イールド現象が必ず先行していた。しかし今、米経済は長い痛みを回避できるとの楽観論が広がっており、景気後退の予兆としての逆イールドの信頼性を疑問視する声も出ている。
オザイクのチーフ市場ストラテジスト、フィル・ブランカート氏は「現段階で景気後退の様相は見えない。今回は非常に異なる局面ではないかと思う」と語った。
昨年、複数の米大手金融機関は借り入れコスト上昇を理由に景気後退が発生すると予想したにもかかわらず、経済は底堅さを維持。ロイターが今月実施したエコノミスト調査では、向こう2年間で景気拡大が続くとの見通しが示された。今年の債券ストラテジストに対する調査でも、イールドカーブはもはや景気後退のシグナルとして信が置けないとの意見が多数派を占めた。
LPLファイナンシャルのチーフ債券ストラテジスト、ローレンス・ギラム氏は「データが示唆するほど完璧な指標ではないのかもしれない。目下、逆イールドは解消に向かっているが、それは景気後退のせいではなく、単に正常な右肩上がりのカーブに戻りつつあるだけだ」と述べた。
2年債と10年債の逆イールドは2022年7月序盤から続いており、その期間は1978年の最長記録を更新している。ただ逆イールドの幅は縮小し、24日にはマイナス14.5ベーシスポイント(bp)と発生以来で最小となったことが、トレードウェブのデータから分かる。
景気が減速すると市場は米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動くと予想し、短期ゾーンの利回り低下幅が長期ゾーンよりも大きくなるので、イールドカーブは右肩上がりになるのが一般的。足元でも、景気が緩やかに鈍化する兆しが出ている中で、逆イールドが解消に向かってもおかしくない。
それでも一部の市場関係者は、近年のイールドカーブの歴史からは、まだ景気後退の可能性が残されていることがうかがえると警告する。
ドイツ銀が調べた全てのケースでは、景気後退が始まる前にイールドカーブは右肩上がりに戻っている。
2020年、2007─09年、2001年、1990─91年という直近4回の景気後退を見ると、2─10年のイールドカーブは景気後退発生までに右肩上がりに転じた。逆イールド解消から景気後退の開始までの時間差は、直近4回の場合約2カ月から半年までばらつきがある。
ペン・ミューチュアル・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジョージ・チポローニ氏は「われわれは重要なポイントに立っている。なぜならイールドカーブは右肩上がりの方向に進みつつあり、それは通常何らかのトラブルに突入する局面だからだ」と述べた。
デューク大学のキャンベル・ハーベイ教授によると、2─10年のほかに注目される3カ月─10年の期間でも直近4回の景気後退開始前に逆イールドは解消された。ハーベイ氏は、イールドカーブが景気先行指標になるとの考えを唱えた先駆者だ。
3カ月─10年は22年11月に逆イールド化し、26日時点でもなおマイナス109bpと幅が大きい。一方、このゾーンの逆イールド解消から景気後退開始までの最長時間差は22カ月なので、まだ逆イールドが景気後退シグナルとして間違っていると切り捨てるには早過ぎるという
ヘッジファンド、円ショートポジションを大量に解消=UBS | ロイター
米消費者信頼感指数、7月は上昇-景気や労働市場の見通し改善 - Bloomberg
米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した7月の米消費者信頼感指数は上昇した。景気や労働市場に関する見通しが改善した。
米消費者信頼感指数は100.3に上昇
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は99.7
前月は97.8(速報値100.4)に下方修正
今後6カ月の期待指数は78.2と、1月以来の高水準となった。一方で、現況指数は約3年ぶりの水準に低下した。
信頼感指数は前月比で上昇したものの、依然として低迷しており、新型コロナウイルス禍前の水準を大きく下回っている。消費者は生活費の高騰や借り入れコストの高止まり、賃金の伸び悩みに見舞われており、特に低所得層における今年の支出減速の一因になっている。
コンファレンスボードのチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は発表文で、「消費者信頼感は7月に上昇したが、過去2年間にわたって続いている狭いレンジを抜けるには十分ではない」と指摘。「消費者は労働市場に関して比較的前向きな見方を維持しているが、物価や金利の高止まりをなお懸念しているようだ」と述べた。
インフレ期待は横ばいだった。今月公表されたデータでは、米国インフレは6月に小幅な伸びにとどまったことが示されていた。
労働市場に対する消費者の見通しは改善したものの、現状に関する楽観は後退した。雇用が「豊富にある」との回答比率は34.1%と、2021年3月以来の低水準。仕事を「見つけにくい」との回答比率は上昇した。この差は過去3年余りで最小の水準となった。エコノミストは労働市場の強さを測るためこの指標に注目している。
今後6カ月に雇用が増えるとの回答比率は14.5%で、1月以来の高水準となった。
ゴールドマンCEO、年内最大で2回利上げも-ゼロ予想から修正 - Bloomberg
米住宅価格指数、5月は前年比5.9%上昇-低い在庫が押し上げ - Bloomberg
独GDP、第2四半期は前期比-0.1% 予想外のマイナス成長 | ロイター
INGのマクロ部門のグローバルヘッド、カーステン・ブルゼスキ氏は「独経済はスタグフレーション的である一方、ユーロ圏全体は比較的堅調だ。しかしインフレは高止まりしているため、回復が弱まる可能性があることを示している」と述べた。
仏GDP、第2四半期は前期比+0.3% クルーズ船効果で輸出増 | ロイター
イタリア、第2四半期GDP速報値は前期比+0.2% 内需が下支え | ロイター
欧州不動産ファンドに審判の時-投資家の資金引き揚げで資産売却圧力 - Bloomberg
パリからフランクフルトまで、オフィスビルの売却を試みては失敗を繰り返してきたアムンディはやっと、不動産ファンドからの撤退を希望する投資家に支払う資金の調達につながる大規模な売却に近づいた。
事情に詳しい関係者によると、米投資会社ブラックストーンはアムンディから複数のビジネスパークを2億5000万-3億ユーロ(約390億-460億円)で購入することで合意した。ブラックストーンは、幾つかのビジネスパークが物流専用施設に生まれ変われば、将来的により収益性の高い物件になると考えているという。
この取引は、約1660億ユーロの資産を運用する欧州のオープンエンド型不動産ファンドにとってますます危機的なジレンマを浮き彫りにする。オフィスビルに人気のない現在、投資家の解約請求に対応するための数少ない方法の一つは、住宅や倉庫、あるいはそのような用途に転用可能な、オフィスより魅力的な資産を売却することだ。
その結果、ファンド運用会社と残りの顧客には、ますます市場の荒廃したセグメントに集中した資産が残されることになる。解約請求が続いているため一部のファンドが資産売却を余儀なくされ、資産再評価を引き起こしせっかく始まった市場回復を遅らせる可能性もある。これは経済全体に波及し得る。
一部の不動産ファンドやデベロッパーにとって「売却圧力は非常に強い」と、約340億ユーロの不動産と再生可能エネルギーを運用するドイツのファンド、コメルツ・リアルのヘニング・コッホ最高経営責任者(CEO)が述べた。「ファンドは資金流出に苦しんでいる」と指摘した。
モーニングスターによると、欧州のオープンエンド型不動産ファンドからは6四半期連続で資金が流出している。データによれば、欧州中央銀行(ECB)が2022年7月に利上げを開始して以来、投資家は120億ユーロ以上の資金を引き揚げており、純資産は過去5年間で最低の水準となっている。
株式や債券に投資する投資信託の場合、このような償還は痛みを伴うだろうが、証券は定期的に公開市場で値付けされ簡単に売却できるため、流動性や集中の問題は生じない。一方、不動産ファンドは迅速に取引できない大きな資産を購入しているため、再び売却されるまでその現在価値を確認することが難しく、時にはファンドが計上していた価格から大幅に下がっていることもある。
このためオープンエンド型ファンドは投資家が償還を望んだときに資産を売却することが難しく、流動性のミスマッチが生じる場合がある。サビルズによると、今年前半に欧州で完了した商業用不動産取引の総額は約740億ユーロで、5年間の平均を42%下回っている。ファンドが売却する場合、賃貸料の伸びが見込める物件を処分する方が容易で、そうすれば人気のない資産を売却した場合の価格再評価を遅らせることができる。
ドイツでは、簿価を大幅に下回る資産の売却を禁止する規則があるため、多くのファンドが資産の売却ができなくなっている。もし売却した場合はポートフォリオや売却物件の再評価が必要となり、ファンドの価値が急変する引き金になりかねない。現在、資産の再評価と売却の可能性を回避するために、保有不動産を担保に銀行から新たなクレジットラインを確保することを検討しているファンド運用会社もあると、事情に詳しい関係者2人が述べた。
評価額低下を受け入れているファンドもある。ユニオン・インベストメントは先月、40億ユーロのファンドの純資産価値を17%引き下げた。コメルツ・リアルは、ハンブルクの「エルブタワー」プロジェクトへの5000万ユーロの投資を、このプロジェクトの開発会社が倒産した後に償却した。
不動産ファンドが公表している資産価値が、実際の不動産価格とどの程度乖離(かいり)しているかは誰にもわからない。しかし、上場不動産投資信託(REIT)の投資家はその投資口を日々売買することによって不動産市場に対する見解を表明しており、それを見ると乖離が相当なものであることが分かる。そのようなREITは、最近反発し始めたとはいえ2021年初頭から約29%下落している。対照的に、オープンエンド型ファンドの純資産価値はほとんど動いていない。
ECBは昨年、不動産ファンドの問題が商業用不動産市場の下落によるリスクを増幅させる可能性があると警告した。すでに香港のオフィスタワーからカリフォルニアの集合住宅まで、さまざまな不動産が巻き込まれている市場低迷の影響は、世界経済に大きな影響を与える可能性がある。
国際決済銀行(BIS)によると、1990年代に事業用不動産の価値が実質ベースで40%以上下落した際、与信拡大とGDP成長はそれぞれ12ポイントと4ポイント低下した。
BISは報告書で「今回の商業用不動産価格の急激な下落も同様に重大な影響を及ぼす可能性があることを、計量経済学的分析が示唆している」と指摘している。銀行システムには今のところ回復力があるが、オフィスから店舗までの「エクスポージャー」が「過少に報告されていて、価格が予想以上に下落した場合、脆弱(ぜいじゃく)性が明らかになる可能性がある」という。
欧州銀行監督機構(EBA)によると、すでに欧州の商業用不動産ローンの18%近くが銀行によってステージ2に分類されており、信用リスクが大幅に高まっている。ドイツの銀行の商業用不動産ローン不良債権比率は昨年4.8%と22年12月の2.1%から上昇していたという。ECBはドイツの金融機関数社に対し、不動産ローンの債務不履行に対する引当金を増やすよう働きかける見通しだブルームバーグ・ニュースが報じた。
ドイツ銀行は先週、商業用不動産の回復を楽観視し過ぎていたとして、今年の貸し倒れに対、従来の想定よりも多くの額を引き当てると発表した。このニュースを受けて株価は9%安となり、他の金融機関も連れ安となった。
ドイツで不動産ファンドの償還を追跡調査しているバーコウ・コンサルティングの創業者ピーター・バーコウ氏は、金融危機の再来となる可能性は低いとしても、不動産ファンドにとって「さらなる波乱」が起こる可能性はあると述べている。
オフィスや店舗といった伝統的な商業用不動産の主役から、倉庫やデータセンターといった急成長分野に軸足を移さなかったことが、多くのファンドの問題を悪化させている。
フランスの業界団体によると、節税効果の高い貯蓄商品として人気のあるOPCI不動産ファンドの平均的なオフィスエクスポージャーは67%で、倉庫物件はわずか1.7%。対照的に、ブラックストーンの欧州のポートフォリオは現在、55%が倉庫でオフィスは10%未満だ。
アムンディとブラックストーンの取引は、ビルが近代的な倉庫スペースにアップグレードされれば、急成長するオンラインショッピングを追い風にテナントを誘致できるというブラックストーンの計算の結果だと、取引に詳しい関係者が匿名を条件に述べた。物件は現在、オフィス、倉庫、倉庫スペースなどで構成されており、アムンディの主力商品であるOPCIを含むさまざまなファンドによって所有だれている。アムンディとブラックストーンはコメントを控えた。
ドイツ銀の資産運用部門DWSグループの欧州不動産部門最高投資責任者、ウルリッヒ・フォンクレイツ氏は不動産ファンド全般について、「サイクルの遅い段階で市場に参入し、二流の立地の物件を購入したファンドはより大きな課題に直面している。どこかの段階で、プライベートエクイティー投資会社がフランクフルト・ニーダーラートのような二等地にある老朽化したオフィスビルを買収し例えばデータセンターに改修するかもしれないが、そうした取引は大幅な割引価格で行われるだろう」と話した。
ドイツGDPは予想外に縮小、フランスとスペインの好調に影落とす - Bloomberg
ドイツのインフレ率、予想外に加速-ECBの判断難しく - Bloomberg
7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.6%。前月は2.5%だった。ブルームバーグが調査したアナリストは前月と同じペースを予想していた。
エネルギー費用の低下が前月ほど大きくなく、食品価格の上昇圧力は増し、サービスの上昇率は前月から変わらなかった。
ユーロ圏4-6月期GDPは予想以上に拡大、ドイツの縮小カバー - Bloomberg
米で反イスラム主義広がる、雇用差別やヘイトクライムの報告急増 | ロイター
スウェーデンGDP、第2四半期は前期比0.8%減 景気回復兆しも | ロイター
スウェーデン統計局が29日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.8%減で、前年比では変わらずだった。
第2・四半期の数字は予想以上に減少したものの、低迷していた経済活動が回復し始めた兆候が見られるという。
6月単月のGDPは前月比0.9%増加。アナリスト予想は0.4%減だった。
統計局は「6月はプラス成長だったが、四半期全体の伸び率は4月の弱い数字に押し下げられた」と分析した。
ハンデルス銀行はリサーチノートで、「スウェーデン経済の見通しは明るくなり始めている。インフレ鈍化により、金利引き下げと政府による景気刺激策強化に向けた明確な経済政策転換への地ならしができつつある」と述べた。
ハンガリーとポーランド、関係が一段と悪化 外相が非難の応酬 | ロイター
シンガポールのテマセク、今後5年間で米国に300億ドル投資 | ロイター
商品相場、今年の上昇分失う-厳しい中国見通しや食料品値下がりで - Bloomberg
三村新財務官、円安「デメリット目立つ」-為替介入の判断は総合的に - Bloomberg
三村財務官は、為替相場は「円高だろうが円安だろうが、メリットもデメリットもある」とする一方、最近の円安はエネルギーや食品価格の上昇を招いており「デメリットが少し目立つ」と指摘。円安のデメリットを感じている向きが多いからこそ「為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている」とし、財務官として今の状況を念頭に置きながら対応すると話した。
為替介入に関しては、日本経済に悪影響を与え得る投機的な動きを含め、相場がファンダメンタルズから大きく乖離(かいり)している時に必要な手段とする一方、実施の判断は「複眼的、総合的に考える」と述べるにとどめた。為替の水準や今後の見通しについてはコメントを控えた。
為替介入を巡る市場との対話について、三村財務官は「ありのままに言うだけがコミュニケーションではない」と話す。実施の有無を明らかにせず、あえて市場の疑心暗鬼を生む戦略も時には有効との見方だ。実際、2022年9月に24年ぶりの円買い介入が行われた際、神田氏ら通貨当局は直後に介入実施を明らかにしたが、その後の介入については有無を含めて「ノーコメント」のスタンスを貫いた。
三村財務官は、日本の為替介入の実績が月次や日次ベースで定期的に公表されていることから「世界的に見ても他の当局に比べて勝るとも劣らない最終的な透明性は持っている」と強調。その上で、市場との対話は臨機応変に臨む考えを示した。
G20財務相・中銀総裁会議は、過去に共同声明を採択できずに閉幕したこともあり、多様なプレーヤーで合意形成を図ることの難しさが浮き彫りになった。一部でG20の機能不全を指摘する声もあるが、それでも三村財務官はこうした国際会議の意義はあると説く。
「考え方を共有して仲良く一緒に取り組むだけが国際協調ではない。考え方の違う国も含めて一堂に会してお互いの立場について言い合うこと自体にも意味はあり、やり取りを共有するチャネルは非常に大事だ」と話した。
三村財務官はまた、重要政策の一つに経済安全保障の分野を挙げる。外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく届け出や報告は「膨大なデータの宝の山」とし、分析を通じて日本の経済インテリジェンス向上につなげていく考えを示した。
中国対抗へさらなる取り組み必要、米国務副長官が強調 | ロイター
インタビュー:為替介入判断「国際合意の中で」、無秩序なら選択肢=三村財務官 | ロイター
米当局、銀行大株主の監視強化へ ブラックロックなど - 日本経済新聞
米連邦預金保険公社(FDIC)は30日、米銀行の大株主であるブラックロックなど大手運用会社に対し、監視を強化する提案を可決した。運用会社が銀行経営へ影響力を行使できる点に超党派から批判が高まっていた。運用に制約がかかる可能性がある。
現行の制度上、銀行株の10%以上を保有する企業や個人は支配的な立場にあると見なされ、銀行監督当局であるFDICの規制対象となる。ただ、銀行経営に関与しないと確約することで、大株主は当局の規制を受けなくてよいという免除規定がある。ブラックロックやバンガードといった米運用会社が強みをもつ指数連動型のパッシブ投資ファンドは免除規定を活用していた。
今回の提案ではその免除規定を撤廃し、FDICが銀行に対する大型投資を審査することができるようになる。FDIC理事で米消費者金融保護局(CFRB)局長のロヒト・チョプラ氏は30日の公開会議で「監督する銀行の所有と経営を保護するという議会からFDICに託された責任を放棄するのは極めて不適切」と述べ、大株主の監督強化を訴えた。
存在感の高まるパッシブ投資には政治の逆風が吹いている。リベラル派は、実体経済と密接につながる銀行の株式を巨大なパッシブ投資ファンドが握っている状況を批判的にみる。保守派は、気候変動対策に積極的なブラックロックなどの運用会社が投資先の銀行に価値観を押しつけているように捉える。
提案は連邦官報に掲載した後、60日間にわたりパブリックコメントを募る。修正のうえ最終規則にするかどうか検討する。運用業界から反発の声があがるのは必至だ
日銀が追加利上げ検討、0.25%に 量的引き締めも決定へ - 日本経済新聞
日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0〜0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力だ。3月にマイナス金利政策を解除したが、賃金上昇などで物価と景気はなお上向き基調にあると判断した。国債買い入れを減額する量的引き締めの具体策も決め、日本経済は「金利ある世界」へさらに一歩踏み込む。
●中東情勢
ヒズボラとイスラエル、軍事衝突は不可避でない=米国防長官 | ロイター
イラン大統領「西側、尊重と対等な立場を」 就任宣誓 - 日本経済新聞
イスラエル軍、ヒズボラ司令官殺害と発表 ベイルート空爆で | ロイター
イスラエル、レバノンの首都に報復攻撃-ヒズボラ司令官が標的 - Bloomberg
●エマージング
ベネズエラ国債と石油会社債券が一段安、マドゥロ氏勝利で | ロイター
個別国への脅威は世界への脅威、台湾総統が中国けん制 | ロイター
中国、消費主導で内需拡大へ 積極財政と穏健な金融政策を約束 | ロイター
朝鮮半島有事なら半導体供給不足、世界経済は大混乱-ロ朝協力で懸念 - Bloomberg
メキシコ、4~6月のGDP1.1%増 伸び率は鈍化 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
ユーラスエナジーホールディングス、発電所地域のJ―クレジット創出 バイウィルと連携 - 日本経済新聞
豊田通商子会社で風力発電国内最大手のユーラスエナジーホールディングス(東京・港)は30日、国が二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果を認める「J―クレジット」の創出に取り組むと発表した。CO2排出量を取引するカーボンクレジット事業を手がけるスタートアップとの連携を始めた。ユーラス運営の発電所がある地域でカーボンクレジットを創出したり流通を支援したりする。
J―クレジットの申請手続きを支援する新興企業、バイウィル(東京・中央)と連携協定を結んだ。Jークレジットは森林保全や化石燃料の転換などで生み出すもので、両社は手間やコストがかかる手続きや流通を支援し、創出量を増やす。
ユーラスは15の都道府県で風力や太陽光発電所を運営している。電力ネットワークを活用して地域貢献や脱炭素にもつなげる狙いだ。
世界最大規模の浮体式洋上風力発電、中国で完成 中国最前線サイエンスポータル・チャイナから - 日本経済新聞
●小ネタ
都市対抗野球、三菱重工Eastが初V JR東日本東北破る - 日本経済新聞
ソフトバンク、マジック42点灯 今季両リーグ初 - 日本経済新聞
若手求め奨学金肩代わり ALSOKや九電工など2000社超 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(30日)円上昇、S&P・ナスダック下落 | ロイター
<為替> 円が上昇。日銀が31日に開く2日目の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論するという報道が材料視された
NHKや時事通信など国内メディアは、日銀が31日に開く2日目の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論すると報じた。NHKは、9人の政策委員の多くが物価は見通しに沿って上昇しているという見方を示しているものとみられると伝えた。
<債券> 米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を翌日に控え、国債利回りが低下した。連邦準備理事会(FRB)は今回の会合で金利を据え置いた上で、9月の利下げを示唆するとの見方が大勢となっている。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が下落して取引を終えた。ハイテク企業の決算を控え、半導体関連株と大型株が下げた。一方、ダウ工業株30種は反発した。
<金先物> 米国の利下げが9月にも開始されるとの観測が強まる中、上伸した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比26.40ドル(1.09%)高の1オンス=2451.90ドル。
<米原油先物> 中国のエネルギー需要見通しに引き続き警戒感が強まる中、3営業日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物の清算値(終値に相当)は前日比1.08ドル(1.42%)安の1バレル=74.73ドルと、中心限月の清算値ベースで6月上旬以来約1カ月半ぶりの安値を付けた。10月物は0.92ドル安の73.88ドル
欧州市場サマリー(30日) | ロイター
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。決算を好材料に買われた銘柄が相場を押し上げた。今後の金利動向の手がかりを得ようと米連邦準備理事会(FRB)が開く連邦公開市場委員会(FOMC)後の金融政策発表が注目されている。
STOXXユーロ圏銀行株指数は1.20%高。
イタリアの銀行最大手インテーザ・サンパオロは3.5%上昇。四半期利益が予想を上回り、見通しを上方修正したことが好材料視された。オーストリアの銀行大手ライファイゼン・バンク・インターナショナルも四半期利益が予想を上回り、3.7%高だった。

備忘録(2024/7/29
●雑感
●決算
米マクドナルド、2020年以来の減収-来店客数の減少響く - Bloomberg
米マクドナルドが29日発表した4-6月(第2四半期)決算は、2020年以来の減収となった。アナリストは小幅ながら売上高の増加を見込んでいた。
既存店売上高は前年同期比1%減少。各地域セグメントで売上高が減少し、米国では来店客が減ったことが影響した。
一部項目を除いた1株利益は2.97ドル。こちらもアナリスト予想平均には届かなかった。同社は新規出店と営業利益率のガイダンスは維持した。 
マクドナルドの売上高は今年に入り、消費者の節約志向が世界的に強まる中で伸び悩んでいる。米国では手頃感を演出すべく、6月末に5ドル(約770円)のセットメニュー販売を開始。客足が緩やかに改善するなど一定の成果を上げているようだが、増収効果が現れるのは今年後半になる。
米国以外では、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争に関連したボイコットが引き続き中東などで売上高に打撃を与えている。同社は以前、戦争が終結するまで販売不振は続く可能性があると警告していた。この他、中国とフランスでも既存店売上高は減少した。
蘭フィリップス、第2四半期決算は予想上回る 事業再編奏功 | ロイター
第2・四半期決算は、アナリスト予想を上回った。事業再編のほか、レスピロニクス製品を巡る賠償請求に関連する保険金収入が業績を押し上げた。
調整後ベースのEBITA(利払い・税引き・償却前利益)は、9.3%増の4億9500万ユーロ(約5億3740万ドル)となり、同社がまとめたアナリスト予想の4億3300万ユーロを上回った。
調整後のEBITAマージンは売上高の11.1%で、前年同期の10.1%から上昇した。アナリストは9.7%と予想していた。
リコールされたレスピロニクス製品に関連する賠償請求を巡り5億3800万ユーロの保険金収入があった。フィリップスは第1・四半期に、レスピロニクスの呼吸装置と人工呼吸器に関連して米国で提起された全ての人身傷害賠償請求で、11億ドルを支払い和解することに合意したと発表した。
今年の残りの期間の業績目標は据え置いた。
ハイネケン、上期決算が予想下回る 株価7%下落 | ロイター
上期の営業利益は12.5%増と、市場予想の13.2%増を下回った。
6─7月のスポーツイベントで販売が伸びると見込まれていたが、期待外れに終わった。天候不順も影響したという。
これを受け、同社の株価は7%下落している。
中国の資本提携先である華潤ビールの株価下落を受けて、8億7400万ユーロ(9億4800万ドル)の評価損を計上したことも嫌気された。
上期の売上高と販売量も予想をわずかに下回った。
ただ、同社の幹部は上期の業績は堅調だったと指摘。投資を拡大する計画で、通期の営業利益(合併・買収などの影響を除く)予想を4─8%増に上方修正した。従来予想は1桁台前半─後半だった。市場予想の8.2%増は依然下回っている。
[L] ロウズ 2Q増収最終増益 売上高8%増42.6億ドル、純利益3%増3.69億ドル、EPS1.67ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MCD] マクドナルド 2Q微減収減益 売上高微減64.9億ドル、営業益6%減29.2億ドル、EPS2.80ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
アボット・ラボが下落 陪審団から約5億ドルの支払いを命じられる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|…
アボット・ラボラトリー<ABT>が下落。同社の未熟児用粉ミルクが致命的な腸疾患を引き起こす可能性があるというリスクを隠ぺいしていたという疑惑をめぐり、陪審団から約5億ドルの支払いを命じられた。
アナリストは「今回の評決額はセントルイスの司法管轄区では懲罰的損害賠償が認められているため、レキットよりも遥かに多かった」と指摘。
同社の控訴を考えると、この評決や将来の裁判に対する引当金を計上する予定はない。最終的に和解金は2億ー3億ドルの範囲を予想しているという。同社が裁判で勝訴する可能性は低く、賠償額が減額される可能性はあるが、評決が覆ることはないだろうとの見解も伝わっている。
シックスス・ストリートやムニューシン氏企業が損保買収へ-51億ドル - Bloomberg
シックスス・ストリート率いる投資家グループは、損害保険会社エンスター・グループを51億ドル(約7850億円)で買収することで同社と合意した。プライベートエクイティ(PE、未公開株)投資会社による保険会社買収としては今年2番目の規模となる。
●日本企業
千代田化工建設、25年3月期最終黒字150億円 大型案件の進捗で - 日本経済新聞
千代田化工建設は29日、2025年3月期の連結最終損益が150億円の黒字(前期は158億円の赤字)になる見通しだと発表した。カタールの液化天然ガス(LNG)プラント建設や国内の蓄電池設置工事などが順調に進む見通しだ。
24年4〜6月期の決算発表にあわせて25年3月期の業績予想を初めて公表した。今回公表した業績予想では、米国での大型LNG案件「ゴールデンパス」の損益影響を含んでいない。同案件を巡っては、合弁相手の米ザクリ・インダストリアルが5月に日本の民事再生法にあたる米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した。
ザクリはゴールデンパスから離脱する方向で、千代建は今後、顧客とゴールデンパスの完工に向けた遂行プランについて合意する見通し。合意内容によっては業績予想を修正する可能性がある。
25年3月期の売上高は前期比11%減の4500億円、営業損益は170億円の黒字(前期は150億円の赤字)を見込む。同社は「履行義務の充足に係る進捗度」に基づき収益を認識する。工事が完了しなくても進捗度合いに応じて業績に反映する。インドネシアの大型案件が24年中に完成するため、完工後は工事の進捗に応じた売上計上がなくなり前期比では減収要因になる。
同日発表した24年4〜6月期の連結決算は、売上高が前年同期比10%減の1170億円、純利益が18%減の40億円だった。完成工事総利益率が改善し、営業利益は26%増だったものの、為替差損35億円を営業外費用に計上したのが響いた。
日本ガイシ純利益9%減 4〜6月、蓄電池が反動減 - 日本経済新聞
日本ガイシが29日発表した2024年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比9%減の109億円だった。前年同期にあった大容量蓄電池「NAS電池」の大型案件の効果がなくなった。海外子会社の税負担も膨らんだ。主力の排ガス浄化装置は円安効果もあって伸びたが補いきれなかった。
売上高は8%増の1525億円だった。排ガス浄化装置の販売数量は前期からほぼ横ばいだったが、円安効果が90億円強売上高を押し上げた。為替レートは1ドル=157円と前年同期から19円ドル高・円安が進んだ。地域別ではアジアの売上高が13%増えたほか、北米も9%の増収だった。
営業利益は176億円と5%減った。事業別では蓄電池などを手掛けるエネルギー&インダストリー事業の営業損益が17億円の赤字(前年同期は18億円の黒字)だった。前年の大型案件の効果が剝落した。排ガス浄化装置などの事業の営業利益は前年同期比8%増と堅調だった。
25年3月期通期の業績予想は従来予想を据え置いた。同日、100億円を取得上限とする自社株買いの実施も発表した。
コマツ3年連続で最高益 4〜6月、部品など値上げ浸透 - 日本経済新聞
コマツが29日発表した2024年4〜6月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前年同期比4%増の1097億円だった。同期間では3年連続の最高益だった。主力の建設機械・車両部門では景気減速が続く欧州などで販売が振るわなかったが、部品や保守サービスを中心に値上げで補った。為替の円安も利益を押し上げた。
SMBC日興の4〜6月期、純利益2.4倍 個人向けが好調 - 日本経済新聞
日本ゼオンが一転最終増益、4〜9月 ゴム価格上昇などで - 日本経済新聞
日本精工の4〜6月、営業益42%増 円安効果で米州好調 - 日本経済新聞
日本精工が29日発表した2024年4〜6月期の連結決算(国際会計基準、継続事業ベース)は、営業利益が前年同期比42%増の58億円だった。産業機械向け軸受けは設備投資の回復が遅れて低調、自動車向けの軸受けは前年同期並みだったものの、期中平均の為替レートが1ドル=約156円と大幅な円安に振れ、円換算した収益が膨れた。
売上高は7%増の2004億円だった。産業機械向けは6%強の増収だった。米州がメンテナンスや為替影響で増収だったほか、中国で電機や鉄道向けが伸びた。自動車向けは、国内では認証不正問題を受けた生産・出荷停止の影響があったものの、米国で自動車販売が回復、円安効果もあって6%弱の増収だった。
25年3月期通期の連結業績予想は据え置いた。売上高(継続事業ベース)は前期比4%増の8200億円、営業利益(同)は31%増の360億円を計画する。非継続事業を含めた純利益は2.2倍の190億円の見通し。
ムーディーズ、商船三井を「ポジティブ」に引き上げ - 日本経済新聞
格付け会社のムーディーズ・ジャパンは29日、商船三井の格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げたと発表した。変更の理由についてムーディーズは「長期契約で運航する液化天然ガス(LNG)船や不動産など、相対的に安定性の高い事業の拡大に向けた再投資や、エネルギー効率の高い船舶の購入に重点を置いている」などと説明した。
海運大手3社が共同出資するコンテナ船会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」は3月、2024年度(25年3月期)から26年度に株主へ30億ドル(約4600億円)規模の特別配当を計画していると公表した。ムーディーズは「ONEからの配当収入の予測可能性が高まり、キャッシュフローの予見確度も向上する」と評価した。
河西工業、延期していた有報を提出 - 日本経済新聞
農林中金1日に決算、10兆円規模の外債売却を表明後で初-進捗に注目 - Bloomberg
農林中央金庫が2024年4ー6月期(第1四半期)決算を8月1日に発表する。採算の悪化した米欧の国債およそ10兆円規模を売却することで、今期(25年3月期)の純損益は1兆5000億円程度の赤字に陥る見通し。多額の損失計上の見込みを6月に示してから迎える最初の決算開示となる。
市場の関心は3月末時点で56兆円に達した投資ポートフォリオの見直しの進捗(しんちょく)に集まりそうだ。6月末時点での債券やその他の有価証券の評価損益についても公表される予定。22年に米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げを開始した後、評価損は膨らみ、今年3月末時点の有価証券評価損は1兆7698億円に上った。
ただ、農林中金は10兆円規模の外債売却について、24年度末にかけて期間の分散を図りながら実施するとしており、4ー6月決算時点で劇的に変化している可能性は低いとみられる。奥和登理事長らによる記者会見は予定されておらず、資料開示のみとなる。
農林中金では、米国などでの急激な利上げに伴う外貨調達コストの上昇が外債の運用利回りを上回り、採算が悪化した。ブルームバーグ・インテリジェンスのクレジット・アナリスト、プリ・デ・シルバ氏は、農林中金の外債売却の進捗について「外貨建て資金の調達動向によって左右される可能性がある」と指摘する。
ムーディーズ・ジャパンは今月2日、農林中金の長期発行体格付け「A1」を格下げ方向で見直すと発表した。含み損を抱える外債を売却し、多額の損失を計上する見通しを受けたもの。「長期にわたる高金利環境下では、外貨調達コストが大部分の外債の運用利回りを上回ることから、農林中金の収益性の悪化につながるだろう」とした。
一方、「有価証券の評価損益を含む普通出資等Tier1(CET1)比率は24年3月末時点で16.4%と高く、リスクを吸収する一定の余地はあるとみられる」とも指摘した。 評価損はすでに自己資本比率に反映されており、外債売却によって損失処理をしても自己資本の健全性には影響しない。
一方、農林中金は農業協同組合(JA)などの出資者から1兆2000億円規模の資本増強を受けることを計画している。農林中金の広報担当者は、資本協議については順調に進捗しており、決算発表と合わせて状況について報告できる見込みだとブルームバーグの取材に対してコメントした。
デ・シルバ氏によれば、今回の増資は資金調達コストがかさみ、よりリスクの高い高利回り資産を投資ポートフォリオに加えるために行うとみられる。
農林中金は外債に偏ったポートフォリオ構成を見直すため、国内外の債券や株式、プロジェクトファイナンスなどへの新規投資を検討するとこれまでに説明している。企業への融資を束ねて証券化したローン担保証券(CLO)についても、これまでと同様に選択肢の一つとしてリスク・リターンを勘案しながら適切に投資していくという。
トヨタ会長、このままでは来年取締役選任されず-自社メディアで発言 - Bloomberg
●米大統領選挙
アングル:強まるハリス氏への差別的攻撃、共和党の選挙戦略に狂い | ロイター
米民主党への高額献金者、ハリス氏にFTC委員長更迭を希望 | ロイター
トランプ氏、キリスト教徒に投票呼びかけ「今後は不要に」 | ロイター
ハリス陣営、1週間で2億ドル調達 新規ボランティア17万人 | ロイター
【コラム】トランプ氏「終身大統領」発言に偽りなし-オブライエン - Bloomberg
米大統領選、ロシア・イラン・中国が介入狙う-米情報当局が報告書 - Bloomberg
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
米国債起債巡るリポートが物議、FRBと財務省の政策が矛盾と指摘 | ロイター
32時間の中銀ウオッチを控える市場関係者、政策の道筋見極めに腐心 - Bloomberg
主要経済国からの相反するシグナルによる金融市場の混乱を経て、投資家は今週、世界金融政策の短期的動向に関する疑問の答えを必死に探すことになる。
日本銀行は30-31日の日程で金融政策決定会合を開き、米連邦公開市場委員会(FOMC)も同じ日程で開催される。8月1日にはイングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)の会合もある。トレーダーは、日銀が利上げを行うのか、また、米金融当局と英中銀がいつ、どの程度利下げするかを見極めようと苦心している。
焦点は最近の円高とポンド高、そして米短期債利回りの低下だ。金融政策や経済成長の見通しが不確かなため、先週は多くの金融市場で神経質な動きとなった。シンガポールのメイバンク証券の機関投資家向け株式セールス取引部門責任者、ウォン・コクフン氏は「今週はもっと面白くなるし、もっと疲れるだろう」と話した。
今週の各国中銀の動向に関するトレーダー向けのガイドは以下の通り。
日本銀行
長期にわたり金利をほとんど変えなかった日銀が、今後どのような行動に出るのか、市場は不確実性に包まれている。
植田和男総裁は今回、決定会合前に公の場での発言を控え、異例の長さの沈黙を守っている。最新の経済データでは、インフレが加速している一方、個人消費は期待外れの結果となっている。
さらなる金融引き締めはありうるとの見方から先週は円高が進んだ。当局が円安の進行を止めるため市場介入したとの推測もあり、7月11日以降、円は対ドルで約5%上昇した。
不確実性を強調するように、オプショントレーダーが織り込む利上げ確率は先週、40%から90%近くに急上昇した後、その中間あたりで落ち着いた。ブルームバーグの最新調査によると、エコノミストも同様に不確実性を感じている。今週の会合での利上げを予測したのは3割程度にとどまったが、約9割がリスクシナリオとして今会合での利上げもあり得ると回答した。
円で借りた資金で高利回り資産を買うキャリー取引といった、レバレッジを効かせた投資の多くが円と相互に関連しているため、円の急激な変動は瞬く間に世界市場に波及する。このところの円高は、豪ドルやメキシコ・ペソを含むあらゆる通貨戦略を台無しにした。
植田氏が行動を起こさない場合、特に、日銀による国債買い入れの減額幅が期待を裏切る水準だった場合、円強気派は打撃を受けることになる。とはいえ円弱気派も、今週のFOMCで当局が今後数カ月の米利下げ期待を高めるようなことをすれば、脅威にさらされることになる。
今も円弱気派だというサクソ・キャピタル・マーケッツの通貨戦略責任者、チャル・チャナナ氏は「日銀が一回の決定会合で、利上げと同時に国債買い入れ額も調整するとの期待は、本質的にハト派である中銀としては無理があるように思える」との見方を示した。
FRB
投資家は、米金融当局が9月にも利下げに踏み切るとの期待を裏付ける材料がないか、31日のFOMC声明とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言をくまなくチェックするだろう。
このような動きは、年内に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが少なくとも2回行われると完全に織り込んでいるエコノミストやスワップトレーダーの見解と一致する。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は現在、1年前に達したピークである5.25-5.5%に据え置かれている。
政策当局者らは数週間前から、労働市場の均衡とインフレの鈍化を指摘している。世界最大の経済大国である米国で、借入コストを引き下げる必要性が高まっているとの見方を示唆するものだ。
「米金融当局が政策を景気抑制的な領域からより中立的なものへと移行する方針を示す中で、次回のFOMCでは9月の利下げに向けた準備が行われるだろう」とINGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は述べた。
前ニューヨーク連銀総裁のウィリアム・ダドリー氏や、英ケンブリッジ大学クイーンズカレッジ学長のモハメド・エラリアン氏といった一部の市場ウオッチャーは、現在予想されているよりも積極的な金融緩和が必要だと主張している。ダドリー氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムで、今週のうちに利下げを検討すべきだと述べた。エラリアン氏も別のコラムで、米金融当局が長期間にわたり金利を高水準で維持すれば「政策ミス」を招く恐れがあると警告した。
米国債相場は、2021年半ば以来となる3カ月連続上昇で7月を終える勢いだ。利下げへの確信の高まりを受け、ブルームバーグの米国債指数は今月、2年ぶりの高値を付けた。緩和的な金融政策が導入されるとの見方から2年債利回りは低下し、10年債との利回り格差が縮小している。
一方で米国株式市場は、いくつかの企業の決算で消費者の購買意欲に疑問符がつけられたこともあり、やや不安定な足取りで週明けを迎える。S&P500種株価指数は今月、2%以上下落しない連続日数の記録を07年の世界金融危機の初期以来初めて更新したが、24日の大幅下落で記録は途切れた。
イングランド銀行
英中銀が8月1日に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来初の利下げを決め、現行の5.25%から引き下げるかどうかを巡り、市場の意見は分かれている。
物価上昇率は1年前の2桁台から中銀が目標とする2%に落ち着き、失業率は上昇している。ただ、サービス部門の価格上昇率は依然として高く、経済は浅いリセッション(景気後退)から立ち直ってきた。4月に最低賃金が10%上昇し、7月に発足した労働党の新政権が、さらなる引き上げに加え500万人もの公共部門労働者を対象に、インフレ率を上回る昇給を行う方針が物価を押し上げるリスクがある。
7月の選挙以来、MPCのタカ派メンバーのうち3人が金融緩和に反対する立場を表明している。それに反論する意見を表明しているのはハト派2人のうち1人だけだ。
どのような結果になるにせよ、この決定は債券とポンドに影響を与える可能性が高い。26日のスワップレートは、今週中に0.25ポイントの利下げが実施される可能性を50%程度織り込み、同幅の利下げが年内に2回実施される可能性はほぼ確実視されている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ドイツ銀行、野村ホールディングスは、MPCが5対4の賛成多数で今月の利下げを決めると見ている。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)も利下げを予測している。
利下げが実施されれば、金融緩和の見通しや労働党大勝による政治的安定への期待からすでに上げている英国債相場がさらに上昇するだろう。2年債の利回りはこの1年以上で最も低い水準にある。
ポンドにとっては、利下げはそれほど有益ではない。キャリー取引の対象としての魅力が損なわれるからだ。ポンドは今年、G10通貨の中で最もパフォーマンスが良かった通貨で、JPモルガン・チェースやアムンディなどの大手銀行・投資家は、ポンドが現在の水準からさらに5%近く上げ、1ポンド=1.35ドルまで上昇すると予測している。強気の見通しは過去最高を記録している。
FRBの1年間の高金利政策が米経済に及ぼした影響-グラフで検証 - Bloomberg
米金融当局が政策金利を20年余りぶりの高い水準に引き上げてから1年がたち、過熱した米国経済を若干抑制することに成功した。ただ、利上げは幾つかの予想外の影響ももたらしている。
高所得世帯は株式市場の活況や住宅価値の上昇による恩恵を享受している。企業は急ピッチで借り入れし、消費者は支出を続けている。
しかし、その一方で、1年間に及ぶ高金利はついに打撃を及ぼし始めている。米国人の求職期間は長期化し、失業率は上昇している。中小企業は高金利の融資から痛手を受けている。比較的低所得の世帯では、自動車ローンやクレジットカードの延滞が増えている。
シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「ここ2、3カ月に状況は軟調に推移しているが、さらに急速に軟調になり始めたら、米金融当局はかなり懸念するだろう」と指摘した。
米金融当局は30、31両日の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くというのが大方の予想だが、投資家は9月の利下げ開始を予測している。それまでは、米金融政策が経済にどのような影響を及ぼしているのか、あるいは及ぼしていないのかを見極めることが、労働市場に打撃を与えずにインフレ抑制を目指す当局者の指針になるだろう。
住宅市場
利上げは米国の住宅市場に最も明確な影響を及ぼしており、米金融当局の政策は借り入れコストの上昇だけでなく、住宅価格の高騰にも拍車をかけた。家計の住宅購買能力を示す住宅取得可能指数は、過去30年余りのデータで最低水準に近い。
全米不動産業者協会(NAR)によると、住宅ローン金利が7%前後で推移する中、中央値の住宅を購入する人の住宅ローン支払額は5月に2291ドル(約35万2000円)と、3年前の1205ドルから上昇した。
金利上昇は通常、企業投資や成長を減速させることで、株価の重しとなる。しかし、投資家はこうした懸念をほとんどものともせず、その結果、株価は新たな水準に上昇するとともに、米国人の退職金口座の残高も増加した。
米金融当局が2022年3月に利上げを開始して以来、S&P500種株価指数は約25%上昇し、家計資産は約3兆ドル増加した。
しかし、米金融当局がすぐに利下げに踏み切らなければ、「市場は脆弱(ぜいじゃく)になるだろう」とムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は指摘。「現在の株価には投資家の利下げ期待が織り込まれている」という。
労働市場
米国の労働市場は高金利にもかかわらず、何度も減速の見通しに逆行してきたが、ついに冷え込みの兆しを見せている。
雇用の伸びは2年前の過熱した水準から鈍化し、企業の求人数も減少している。米国人の離職率は低下しており、失業者が仕事を見つけるのは一段と難しくなっている。
消費者は高金利にもかかわらず支出を続け、自動車などの大きな買い物を行っており、堅調な経済成長を後押ししている。消費の底堅さは、米金融当局がリセッション(景気後退)を引き起こすことなくインフレを抑制できるとエコノミストらが期待する主な理由の一つだ。
富裕層の世帯や退職者は債券投資や預貯金から絶え間なく収入が得られるため、高金利そのものが消費を支えていると主張する人もいる。しかし、多くの世帯、特に借金で生活費上昇に対応している低所得世帯は、高金利による圧迫を感じている。
高金利にもかかわらず、大企業はこれまでと同水準の借り入れを行っている。各社は、米利下げ前に少しでも高い利回りを確保しようとする年金基金や保険会社などの長期投資家からの旺盛な需要を好機と捉えている。
しかし、中小企業にとっては大きく様相が異なる。フィッチ・レーティングスによると、通常は変動金利であるレバレッジドローンのデフォルト(債務不履行)率は、今年5-5.5%のレンジに上昇すると見込まれている。実現すれば09年以来の高水準となる。
TDセキュリティーズのクレジット戦略担当マネジングディレクター、ハンス・ミケルセン氏は「米金融政策のために大きな痛みが生じており、多くの企業が破綻している」との見方を示した。
●先進国、グローバル、金融市場
フランス一部通信設備に破壊行為 ケーブル切断 26日との関連不明 | ロイター
フランス政府のデジタル担当高官は29日、国内の一部地域で通信網が破壊され、一部の固定・移動通信サービスに影響が出ていると明らかにした。
Xへの投稿によると、通信サービスの復旧作業が続けられている。
警察関係者は、高速鉄道に対する26日の破壊行為と関係があるかは現時点で判断できないと述べた。
通信会社SFRの広報担当者は、国内の5つの地域で29日未明に長距離通信網が切断されたと指摘。ただ、この通信網は通信データを別のルートに切り替えるためのもので、顧客への影響は最小限にとどまっていると述べた。
これに先立ち国内メディアは、SFRとブイグ・テレコムの通信設備が破壊されたと報じていた。
報道によると、フランス南部で電気キャビネットのケーブルが切断されたほか、ルクセンブルクに近いムーズ県とパリ近郊のオワーズにある設備が破壊され、主に固定回線サービスに影響が出た。
フランス高速鉄道への破壊行為、極左関与か 内相が指摘 | ロイター
イタリアと中国の協力関係を「再始動」、訪中のメローニ首相 | ロイター
首相就任後に初めて中国を公式訪問しているイタリアのメローニ首相は28日、中国の李強首相との会談で、今回の訪中は「局面が切り替わり、両国関係が再始動することを示している」と述べた。
昨年に中国の広域経済圏構想「一帯一路」から離脱したイタリアは中国との通商関係の改善を模索している。メローニ氏は中国からの投資で低迷するイタリア経済をてこ入れしようとしている。
メローニ氏はその後、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなど戦略的な産業で両国間の協力を図る期間3年の了解覚え書きに調印。李首相は「造船、航空宇宙、新エネルギー、人工知能(AI)などの分野で中小企業が相互にプラスとなる協力だ」と指摘した。
メローニ氏は今後、習近平国家主席や趙楽際・全国人民代表大会(全人代)常務委員長とも会談する。
基礎的財政収支25年度に黒字化、8000億円程度 内閣府の中長期試算 | ロイター
内閣府は29日に公表した2033年度までの中長期の経済財政試算で、25年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が黒字化する姿を示した。仮に見通し通りとなれば、政府が掲げている目標年度内に初めてPB黒字化が実現することになる。前回1月試算(成長実現ケース)は1.1兆円程度の赤字見通しだったが、税収増や歳出効率化がPB改善に寄与し、8000億円程度の黒字を見込む。
中長期試算は内閣府が年2回公表している。歳入は23年度税収の上振れや経済動向を踏まえた基調的な税収増を想定し、前回1月に比べて1.6兆円程度上振れ。歳出については物価上昇率の上振れなどで0.4兆円程度の歳出増がある一方、歳出効率化努力で0.7兆円程度の効果を見込んだ。
同試算には岸田文雄政権が今秋に策定を目指す経済対策を織り込んでいない。
岸田首相は同日開いた経済財政諮問会議で「『経済あっての財政』の考え方のもと、まずはその前提となる民需主導の成長を実現するため、消費の回復に必要な物価上昇を上回る所得、賃金の拡大に向けた取り組みを確実に実行する」と強調した。その上で、生産性向上や官民連携した戦略的投資などで経済成長を確実にするとともに「財政健全化の取り組みを続けていく」と語った。
<目標達成、先送りの歴史>
PBを巡っては、小泉純一郎政権が01年6月に「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)で黒字化目標を掲げてから、達成時期は先送りされ続けてきた。
小泉政権が06年の骨太で掲げた11年度の黒字化目標はリーマン危機で棚上げされ、政権交代を果たした民主党(当時)が「遅くとも20年度」と、達成時期を後ろ倒しした。安倍晋三政権はPBを20年度までに黒字化させる目標を国際公約に掲げたが、衆院選前の17年9月に先送りを表明。翌年に、25年度とする目標に置き換えた。
バイデン米大統領、最高裁の抜本的改革提案へ 任期18年に制限 | ロイター
バイデン米大統領は29日、連邦最高裁の抜本的改革を提案する。任期制限や判事に対する拘束力のある行動規範が柱。しかし与野党が激しく対立する議会で法制化される可能性はほとんどない。
バイデン氏はテキサス州オースティンで演説し、最高裁の改革に加えて、大統領の広範な免責特権を撤廃する憲法改正を提案する。
29日付米紙ワシントン・ポストに掲載された論説で「この国は単純だが深遠な原則に基づいて建国された。すなわち誰も法の上に立つことはできないということだ。大統領でも最高裁判事であってもだ」と強調した。
連邦裁判所の他の判事と異なり、最高裁判事には拘束力のある倫理行動規範はない。外部からの収入や特定の贈り物は法律で報告を義務付けられているが、食事や個人宅への宿泊などの「個人的な接待」は一般に免除される。
最高裁は保守派のトーマス判事が後援者から旅行などの接待を受けていたことが明らかになったことを受けて、昨年11月に初の倫理規定を発表した。しかし拘束力を持たないことなどから実効性に疑問の声が出ている。
ホワイトハウスによると、バイデン氏は議会に対し、判事らに贈り物の開示、公の政治活動の自粛、判事自身や配偶者に利益相反がある事件からの除外を義務付ける拘束力と実効性のある規則を可決するよう求める。最高裁判事の任期を18年に制限することも提案する。
最高裁判事に任期制限と倫理規定を課すには法案を可決する必要があるが、対立の激しい議会を通過する可能性は低い。
バイデン氏は大統領を務めたことが連邦刑事訴追、裁判、有罪判決、または量刑からの免責を保証するものではないことを明確にする憲法改正も提案する方針。しかし憲法改正はさらにハードルが高い。
ヘッジファンドの円ショート急減、キャリー取引巻き戻しと重なる - Bloomberg
英住宅ローン承認件数、1月以来の低水準 高金利が重し | ロイター
6月の住宅ローン承認件数は1月以来の低水準となった。
消費者向け融資の伸びも過去1年近くで最低。高金利が引き続き借り手を圧迫していることが浮き彫りとなった。
6月の住宅ローン承認件数は5万9976件。上方修正された5月の6万0134件をわずかに下回り、ロイターがまとめた市場予想の6万0400件を下回った。
住宅ローン金利は利下げ観測を背景に低下し始めているが、住宅購入の拡大にはまだつながっていない。
オンライン投資プラットフォーム「ベストインベスト」のアナリスト、アリス・ヘインズ氏は「高インフレ、高金利、実質賃金減少という悪い組み合わせにより、欲しい物件を確保することが格段に難しくなっている」と指摘した。
6月の消費者向け融資の伸びは前年比8.0%と、2023年8月以来の低水準。月間の純増額は11億6200万ポンド(14億9000万ドル)で、市場予想の12億5000万ポンドを下回った。
ただ、6月の住宅ローン融資額は26億5300万ポンドの純増と、純増額が前月から倍増。市場予想の2倍となった。
オプションのボラティリティー上昇、相次ぐ米テク決算や中銀会合控え - Bloomberg
企業の起債ラッシュ、主要中銀の政策決定前に駆け込み-好環境活用 - Bloomberg
今週、世界の主要中央銀行による一連の金融政策会合が開催されるのを前に、企業が資金調達で債券市場に殺到している。
ブルームバーグの集計データによると、29日には10社が高格付け債を起債。少なくとも14件のレバレッジド・ローンの新規売り出しと7本のハイイールド債の起債も始まった。
ロイヤル・カリビアンは既存債務の借り換えで15億ドル(約2300億円)のジャンク(投機的格付け)債を発行する。事情に詳しい関係者によると、シーワールドは15億ドルのローン借り換えを開始した。一方、ネットフリックスは、昨年投機的格付けから格上げされて以来、初の高格付け債を募集する可能性について債券投資家との電話会議を午後に開催する。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の31日の金利決定を前に、借り手はクレジット市場の良好な資金調達環境を利用する。今週は日本銀行とイングランド銀行(英中央銀行)も政策会合を開く。米ハイイールド債市場の平均利回りは今年最低水準で推移しており、高格付け債市場での借り入れコストは今月に入って低下傾向にある。
●中東情勢
イスラエル、ゴラン高原攻撃への報復検討-全面戦争回避に各国動く - Bloomberg
イラン、比較的穏健派のペゼシュキアン大統領を正式認証 | ロイター
ベイルート発着航空便が欠航、イスラエルとヒズボラの緊張受け | ロイター
イスラエル外相がトルコのNATO除名要求、エルドアン氏「介入」発言に反発 | ロイター
原油先物約2%安、イスラエルが中東の全面戦争回避の構え | ロイター
イラン大統領、イスラエルに警告 レバノン攻撃巡り 仏大統領と電話会談 | ロイター
●エマージング
【コラム】日本化しつつある中国、大手高級ブランドも懸念-レン - Bloomberg
世界で最も強靱(きょうじん)な高級品コングロマリット、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンでさえ寒気がする。その風は東から吹き付けている。
パリに本社を置き、「ルイヴィトン」や「ディオール」などを保有するLVMHが先に発表した4-6月(第2四半期)の売上高は1%増にとどまった。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の初期を除けば、世界金融危機が深刻化していた2009年以来の低い伸びだった。営業利益率は低下した。
マイナス金利を名目的に終了しても、止められないほどの円安が主因として挙げられている。高級ファッションの頼みの綱である中国の富裕層は、有利な為替環境を利用して日本で買い物をし、そこでの売り上げを57%押し上げる一方、中国の業績は振るわなかった。
「カルティエ」や「ヴァン クリーフ&アーペル」などブランドを抱えるスイスのリシュモンも、日本での売り上げが大きく伸びたと発表。欧州のファッション産業にとって、日本での好調な売り上げは必ずしも幸運なことではない。コストベースは欧州通貨であるため、円建ての売上高はトップラインや収益性を損ねる。
日本での価格はかなり低い。バーンスタイン・リサーチによると、日本では「ティファニー」や「ブルガリ」「シャネル」が中国に比べて6分の1(約17%)ほど安い。中国勢は世界の高級品市場で26%のシェアを持つが、その3分の1超は海外で消費されている。これらの企業が多額の投資を進めてきた中国で消費が鈍っているのだから、二重の打撃だ。
しかし、円安は世界的な高級ブランドの苦境を招いている根本的な原因ではない。もっと憂慮すべき材料がある。それは日本化だ。中国の消費者は1990年代の日本人のような行動を取り始めている。中国経済が痛みを伴う住宅市場の調整に見舞われる中、消費者は忍耐強く、合理的な買い物客になりつつある。80年代のバブルが崩壊した後の東京を思い出してほしい。
欧州は言うまでもなく、米国でさえ後れを取っているように見えたバブル期とは異なり、日本の消費者は高級ブランドで全身を固める余裕がもはやなかった。このような状況で、消費者は「バリュー・フォー・マネー(金額に見合った価値)」の発想を受け入れ、ローカルブランドが発展する余地を与えた。
ユニクロは98年にパタゴニアの数分の1の価格でフリースを発売し、一躍脚光を浴びた。最新ファッションをいち早く取り入れるファッショニスタも着こなしを楽しんでいた。安価なユニクロや無印良品に高級ハンドバッグを合わせるのだ。JPモルガン・チェースによれば、輸入ファッション販売全体に占めるハンドバッグの割合は1994年の26%から2004年には43%に上昇した。
こうしたスタイルは中国人にも受け入れられている。金銭的に余裕がある若い女性から人気を集め、インスタグラムとピンタレストの要素を組み合わせたプラットフォーム「小紅書」では、日本人のようにそれほどお金をかけなくても見栄えが良くなる着こなし方をビデオブロガーがユーザーに教えている。そのレッスンとはどういうものか。髪型やスキンケア、細かいところが重要なのだという。
返品急増
ソーシャルメディアや電子商取引は、金額に見合う価値という概念を全く新しい水準に引き上げている。欧州ファッションはなお経済的成功の象徴であり、インフルエンサーやファッショニスタらはオンラインで商品を注文し、インスタ映えする写真や、夜の外出でこうしたアイテムを披露し、その後無料で返品するようになった。オンライン小売業界が高級品の返品急増で打撃を受ける中、リシュモンの高級電子商取引プラットフォーム、YNAPは中国から撤退することになった。
また、バーバリーやヴェルサーチェのように、売れ残った商品をプライベートセールやアウトレットなどのディスカウントチャンネルに出しているブランドには幸運を祈る。正規の値段で購入するよう中国の消費者を納得させるには一苦労するだろう。
手頃な価格の商品で多数のファンを獲得し、中国本土に900を超える店舗を持つユニクロでさえ、抜け目のないインフルエンサーからの猛攻と無縁ではない。ユニクロを展開するファーストリテイリングは3-5月に中国で「大幅減益」を記録。消費者がより手頃な価格の代替品に切り替えているとの認識を示した。
考えられる理由の一つとしては、かつて頻繁に行われていたユニクロの販促がなくなりつつあるとの買い物客の不満が挙げられる。そして、似た商品をより安く見つける方法に関する情報がオンラインで出回ったのだ。
中国人は20年もの間、欧州の高級ブランドを購入してきた。彼らに消費したいと思わせるハードルは上がっている。まさに日本の一世代前のように、中国の消費者もそれぞれのセンスと感性を見つけたのだ。
中国の金消費量、上期は前年比-5.6% 価格上昇で宝飾品の購入減 | ロイター
エチオピア、市場ベースの為替制度に移行、通貨ブルは下落 | ロイター
ベネズエラ、大統領再選との当局主張に野党が異議-各国は非難 - Bloomberg
28日投開票のベネズエラ大統領選で、マドゥロ大統領が再選を果たしたと選挙管理当局が発表した。野党はこれを否定、「民意」を守るよう軍に呼びかけ、政治的な緊張が高まっている。
投票終了から結果発表まで大きく遅れた後で、選挙センターはマドゥロ氏の得票率が51.2%。野党連合のエドムンド・ゴンサレス氏が44.2%だったとする結果を公表した。だが、野党指導者のマリア・コリナ・マチャド氏によると、野党連合がアクセスできた開票済みの40%の票では、ゴンサレス氏への票が70%に上っていたという。
マチャド氏は立候補が禁じられ、出馬見送りを強いられた。
選挙センターの発表を受けてマチャド氏は記者団に対し、ベネズエラ軍は「投票で示された国民主権が確実に尊重されるようにする義務がある」と述べた。約3万人の選挙監視ボランティアを投票所に展開させたゴンサレス氏は、抗議活動を避けるよう支持者に促し、次の措置については追って話すと語った。
ベネズエラの軍指導部は長らくマドゥロ氏を支持してきたが独立して動くことが可能で、ある種のやり方で介入することを選ぶかもしれない。ブラジルやコロンビアなど同盟国からの国際的な圧力も今後の展開に寄与し得る。
結果が発表されると、大統領官邸前に集まっていた政府支持派の群衆は手をたたいて喜んだ。一方、中南米では抗議の際に一般的なフライパンや鍋をたたく人も見られたほか、首都カラカス市内の各所で花火のような音も聞かれた。
ベネズエラの2026年ドル建て債は額面1ドル当たり0.9セント下落して20.7セントと、同国に対する投資家の信頼感が既に低いことを浮き彫りにした。
米調査会社エジソン・リサーチが実施した出口調査では、ゴンサレス氏が30ポイント以上の差をつけて勝利するとみられていた。
投票終了から公式発表までかなりの時間を要したことから、国際社会が注目。米国やアルゼンチン、コロンビアなど少なくとも11カ国が、民意を尊重した投票結果であることを確認するようマドゥロ氏に呼びかけた。  
来日中のブリンケン米国務長官は「発表された結果がベネズエラ国民の意思や投票を反映していないことに深刻な懸念を抱いている」と表明。
チリのボリッチ大統領は、この結果を「信じがたい」とし、検証不可能な集計結果は認めないと述べた。ペルーの外相はX(旧ツイッター)への投稿で、ベネズエラ政府による「詐欺的な意図」を批判した。
ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)で米州プログラムのディレクターを務めるライアン・バーグ氏は、「マドゥロ政権は全ての出口調査や野党勝利という当初の兆候と矛盾する結果を発表することを選択した」と指摘した。
選管当局によると、投票率は有権者の59%。これは、野党側でボイコットがあった2018年大統領選の投票率よりは高いが、06年、12年、13年の選挙における70%以上の投票率を大幅に下回っている。ゴンサレス氏は投票率は「非常に高い」と28日に話していた。
選管の発表後、マドゥロ氏は選管当局の通信システムがハッキングされたことが発表遅延の原因だとし、検察が調査し、「正義を実現する」と語った。検察は29日午前に記者会見を開くとしている。
ベネズエラ大統領選、現職マドゥロ氏と野党候補の双方が勝利主張 | ロイター
対ベネズエラ制裁、投票データの透明性を基に決定へ-米当局者 - Bloomberg
選挙結果に疑念や批判の声が上がっている南米ベネズエラ大統領選を巡り、米国はマドゥロ政権が投票データを完全に公開するかどうかで同国への制裁を決定する。複数の米政府当局者が明らかにした。
匿名を条件に記者団に語った当局者らによると、選挙管理当局はマドゥロ大統領が再選を果たしたと発表したものの、米国が確認していた出口調査を含む独立データと一致していないため、公式結果は実際の投票状況を反映していない可能性がある。
国際社会はこれまで、野党指導者のマリア・コリナ・マチャド氏を含む多くの野党候補に立候補を禁じたマドゥロ氏を批判してきた。米国はベネズエラの石油産業に対する制裁を解除する条件として、クリーンな選挙の実施を求めている。
米調査会社エジソン・リサーチが実施した出口調査では、野党統一候補のゴンサレス氏が30ポイント以上の差をつけて勝利するとみられていた。選管の発表後、マドゥロ氏は選管当局の通信システムがハッキングされたことが発表遅延の原因だと説明。また29日には大統領選挙で妨害工作を行ったとして、マチャド氏を非難した。
ブリンケン米国務長官と米国家安全保障会議(NSC)はこれより先、ベネズエラ大統領選の結果について「重大な懸念」を表明。NSCのカービー戦略広報調整官は29日、「なお集計作業が続いており、そのプロセスを尊重したい」とした上で、「結果が出る前に先走って結論を出すつもりはない。実際の集計結果を見るまでは判断を保留する」と語った。
法律事務所エイキン・ガンプ・シュトラウス・ハウアー・アンド・フェルドのパートナーで、米財務省外国資産管理局(OFAC)の元主任顧問であるジェーソン・プリンス氏は「現段階では制裁圧力をさらに強める余地がほとんどないため、事態が劇的にエスカレートするシナリオは考えにくい」と指摘。
「どのような措置を講じ、どのようなメッセージを発信するか」や、選挙の正当性に懸念を抱くパートナー国とどう協調するかなど、政権内で難しい決断を下さなければならないだろうと述べた。
米など、ベネズエラ大統領選に懸念表明 「現職側の選挙操作」 | ロイター
ベネズエラ大統領選挙、マドゥロ氏「勝利」 国民の3分の1流出も - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
アングル:2030年には6億人が飢餓状態に、国連機関トップが警告 | ロイター
米カリフォルニア州で山火事急拡大、24時間で2倍に | ロイター
カリフォルニア州北部で発生した山火事が24時間で2倍以上に急速に拡大し、数千人の消防隊員が27日、消火活動に当たった。
同州の森林保護防火局によると、27日夕方までに州都サクラメントの北約144キロの場所で35万エーカー(14万1640ヘクタール)以上が焼けた。
当局は134棟の建物が焼失したとしている。また、複数の地域に避難命令や警告が出されている。
ホワイトハウス当局者によると、バイデン大統領は状況説明を受け、消火活動の支援に向けあらゆる措置を講じるよう指示した。
この山火事を巡っては、燃えている車を24日に渓谷に落とし、火事を引き起こした疑いで25日に男が逮捕された。
全米省庁合同火災センター(NIFC)によると、この火災は全米各地でこれまでに200万エーカー以上を焼き、現在も続いている数十の山火事の中で最大規模。
洋上風力の「浮体」量産 住友商事や日揮など新連合 - 日本経済新聞
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(29日)S&Pとナスダック上昇、利回り低下・ドル安定的 | ロイター
<為替> ドルが安定的に推移した。週内に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)に加え、日銀とイングランド銀行(英中銀)の金融政策決定、さらに8月2日に発表される米雇用統計に注目が集まる。
終盤の取引で、ドル指数は0.18%高の104.56。
ドル/円は0.13%高の153.995円。ドルは一時0.49%下落したものの、切り返した。
ポンド/ドルは0.01%安の1.28645ドル。
市場では英中銀が8月1日の金融政策委員会(MPC)で政策金利を0.25%ポイント引き下げ、5%にするという見方が大勢となっている。英国債利回りは29日の取引で低下し、ポンドを圧迫した。
<債券> 国債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)が30─31日に開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月利下げサイクル開始を示唆するとの見方が支配的となり、指標となる10年債利回りは2週間ぶりの低水準を付けた。
イールドカーブの中間地点となる5年債と7年債の利回りも3月以来の低水準まで低下した。
午後の取引では、10年債利回りは3.3ベーシスポイント(bp)低下して4.167%となった。一時、2週間ぶりの低水準となる4.151%まで低下した。
30年債利回りは3.7bp低下し4.419%となった。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス22bpだった。
<株式> 不安定な取引の中、S&P総合500種が小幅高で終了した。ハイテク企業の決算発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)を週内に控え、様子見ムードが強かった。
<金先物> 対ユーロでのドル高などを背景に小反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比3.20ドル(0.13%)安の1オンス=2377.80ドル。
<米原油先物> 地政学的リスクに対する警戒感が一服する中、対ユーロでのドル高に圧迫されて売りが優勢となり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物は前週末清算値(終値に相当)比1.35ドル(1.75%)安の1バレル=75.81ドルだった。10月物は1.20ドル安の74.80ドル。
欧州市場サマリー(29日) | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。米国や英国での早期利下げへの期待から不動産関連株が買われてFTSE100種指数を押し上げた。
個別銘柄では、日用品のレキット・ベンキーザーは8.8%と大幅に下落。11年超ぶりの安値を付けた。米裁判で陪審が同業のアボット・ラボラトリーズの未熟児用粉ミルクが原因で乳幼児が腸疾患を発症したと判断したことが悪材料視された。乳児用ミルクを巡り、レキット社とアボット社は計約千件の訴訟を起こされており、経営への影響が懸念されたとみられる。
ロンドン株式市場:
<欧州株式市場> 小幅に反落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)の31日の金融政策決定発表のほか、週内に相次ぐ決算発表などを控え、投資家がリスクを回避する姿勢が目立った。
他の個別銘柄では、オランダのビール大手ハイネケンは10.1%下げた。通期決算の利益見通しを上方修正したものの半期の営業利益が予想を下回ったことが嫌気された。デンマークの同業カールスバーグも4.3%下げた。
一方、オランダの医療機器大手フィリップスは14.6%高と急伸。第2・四半期決算内容が予想を上回ったことで買いが膨らんだ。
<ユーロ圏債券> ドイツの10年国債利回りが低下し、6週間ぶりの低水準を付けた。今週はユーロ圏の消費者物価指数(CPI)のほか、米連邦準備理事会(FRB)とイングランド銀行(英中央銀行、BOE)、日銀の政策決定など、重要イベントが目白押しとなっている。
ユーロ圏債券の指標である独10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下し、6週間ぶりの低水準となる2.35%となった。2.34%を下回れば4月以来となる。
独2年債利回りは、すでに5カ月ぶりの低水準にあったが、さらに2bp低下して2.64%を付けた。
市場では、欧州中央銀行(ECB)による25bp追加利下げ2回を織り込んでおり、次回利下げは9月になるとみられている。

備忘録(2024/7/26-28
●雑感
●決算
メルセデス、乗用車部門の24年利益率見通し下方修正 | ロイター
主力の乗用車部門の年間利益率見通しについて、レンジの上限を引き下げた。ただ下半期は新モデルが中国での厳しい競争への対応に寄与するとの見方を示した。
今年の売上高利益率(調整後)見通しを10─11%とし、従来の10─12%から上限を引き下げた。
第2・四半期の売上高利益率は10.2%だった。
独自動車メーカーは電気自動車(EV)需要の低迷に加え、中国での競争激化、供給のボトルネック、金利の高止まりなどを背景に苦戦している。
第2・四半期の乗用車部門の利益(調整後)は27.5%減少。LSEGがまとめた予想は26%減だった。
グループの利払い・税引き前利益(EBIT)は19.1%減で予想と一致した。
同社は、欧米ではハイブリッドモデルへの需要が高まっており、今年後半にはプラグインハイブリッドの販売台数が増加すると予想している。EVの販売は予想を下回っている。
バーンスタインのアナリストは、一部の投資家は利益の警告を予想していたが、利益率見通しの引き下げにとどまったため、安堵感が広がる可能性を指摘した。
上半期の売上高は6%減、EVは17%減だった。
シティのアナリストは「業績は回復傾向にあるが、全体的な販売台数とトップエンドの販売は依然として弱い」と指摘した。
メルセデスは、経済見通しは不確実性が高いとする一方、欧州の市場動向の改善と米国市場の販売と需要の勢いに手応えを感じていると強調した。
中国については慎重で、エントリーモデルとコアモデルで激しい競争が予想される一方、最高級モデルでは「主導的な地位を守ろうとしている」とした。
オラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)は電話会議で、需要に応じて化石燃料車とEVの両方を消費者に提供する柔軟なアプローチを継続すると述べた。
ただ中国ではEVの導入ペースが速いため、EVでの競争は避けられないという。
英アストラゼネカ、4―6月は17%増収 通期見通し引き上げ | ロイター
第2・四半期決算は、為替変動の影響を除く売上高が前年同期比17%増の129億4000万ドルとなった。中核的な利益は1株当たり1.98ドルで予想平均と同じだった。がんや希少疾病、心臓病などの治療薬の需要が堅調で、通期の売上高と利益の予想を上方修正した。
主力のがん治療薬事業の売上高が為替変動の影響を除くベースで19%増加し、売上高全体に占める比率は41%となった。希少疾病、心臓病、腎臓病の治療薬もそれぞれ売上高が2桁の伸びを記録した。
営業支出は14%増の67億4000万ドルだった。
為替変動の影響を除く今年の売上高と1株利益の伸び率の見通しは10%台半ばとし、1株利益については10%台前半としていた従来の数字から上方修正した。
ブリストルが決算受け上昇 新薬への需要が業績の落ち込みを克服=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
医薬品のブリストル・マイヤーズ・スクイブ<BMY>が上昇。取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を大きく上回った。通期のガイダンスも公表し、1株利益の見通しを上方修正している。新薬に対する需要が業績の落ち込みを乗り越えたことを示唆した。アナリストは「新薬の売上は同社の最近の苦境を考えると心強い」と述べている。
同社は主要医薬品が厳しい競争と新たな価格圧力に直面している中、将来について難しい問題に直面している。革新的な新薬に焦点が当てられる中、前日に財務ガイダンスを引き上げた大手薬4社に続いた。
主要製品の売上高はすべて予想を上回り、抗炎症薬ソティクトゥ、心臓病治療薬カムジオス、貧血治療薬レブロジルの同社の将来を左右する3剤が予想を上回った。
エルキンスCFOは「複数のブランドに渡って、今年後半に向けて良い勢いがあり、2025年に向けて本当に良い準備が整った」と述べている。
米3Mの4〜6月、売上高が予想上回る 株価2割上昇 - 日本経済新聞
4〜6月期決算は、売上高は前年同期と比べ0.4%減の62億5500万ドル(約9600億円)で市場予想を上回った。電気機器や半導体産業向けの部材の販売が寄与した。最終損益が11億4500万ドルの黒字だった。前年同期は訴訟関連の費用がかさみ、最終損益は68億4100万ドルの赤字だった。
為替の影響などを除いた調整後ベースの売上高は前年同期比べ1.2%増の60億ドルだった。訴訟関連費用などを除いた調整後の1株利益は1.93ドル(前年同期は1.39ドル)で、いずれも市場予想を上回った。
アジア地域での電気機器向け産業材などの販売が貢献し、主要部門の「交通・電気機器」の売上高が前年同期と比べ2.6%増となった。
3Mは近年、産業材の需要落ち込みが逆風となり、業績が伸び悩んでいた。だが今年に入り、これまで業績の重荷となってきた有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」や軍事用耳栓の安全問題を巡る大型訴訟で和解が成立した。
4月1日には主要事業部門の一つだったヘルスケア事業の分社を完了し、5月に就任したウィリアム(ビル)・ブラウン最高経営責任者(CEO)の下で「再出発」への地盤を整えた。
ブラウンCEOは決算説明会で投資家に対し、3Mの販売商品が「率直に言って古びてきている」と経営課題を指摘。成長回帰に向け、新製品開発投資や組織効率化などの見直しに取り組む方針を示した。
2024年12月通期の業績見通しは調整後1株利益で7.00〜7.30ドルとし、従来予想の6.80〜7.30ドルから下限を引き上げた。
予想を上回った売上高や新CEOによる改革方針を好感し、26日の米株式市場で3Mの株価は急騰。終値は前日比で2割を超える上昇率となった。
3Mが決算受け大幅高 1株利益、売上高とも予想上回る=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[CL] コルゲートパルモリーブ 2Q増収増益 売上高5%増50.5億ドル、営業益12%増10.9億ドル、EPS0.89ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BMY] ブリストルマイヤーズスクイブ 2Q増収最終減益 売上高9%増122億ドル、純利益19%減16.8億ドル、EPS0.83ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TROW] Tロウプライス 2Q増収増益 売上高8%増17.3億ドル、営業益6%増5.64億ドル、EPS2.11ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MMM] 3M 2Q微減収黒字転換 売上高微減62.5億ドル、営業益12.7億ドル、EPS2.06ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AON] エーオン 2Q増収減益 売上高18%増37.6億ドル、営業益22%減6.56億ドル、EPS2.46ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BEN] フランクリンリソーシズ 3Q増収減益 売上高8%増21.2億ドル、営業益29%減2.22億ドル、EPS0.34ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
エーザイとバイオジェンのアルツハイマー薬、欧州当局が否定的勧告 - Bloomberg
バークレイズ、プライムブローカー業務でシェア拡大 世界5位に | ロイター
英バークレイズが、ヘッジファンド向けにサービスを提供するプライムブローカー部門で米金融大手からシェアを奪いつつある。
ロイターが調査会社BCGエクスパンドから入手したデータによると、同社は6月末までの1年間でプライムブローカレッジ手数料収入が世界5位となり、5年前の7位付近から躍進した。
別の情報筋もバークレイズの5位を確認した。
ノバスコシア銀でシステム不具合、給与振り込まれないとの報告相次ぐ - Bloomberg
カナダ3位の銀行ノバスコシア銀行で26日、オンラインバンキングに不具合が発生しているとの報告が顧客から相次いでいる。ソーシャルメディアには給与が振り込まれていないと訴える投稿が数多く見られる。
サービスの中断や障害をモニタリングするダウンディテクターには、同行の問題に関する報告およそ5000件が掲載された。そのうち約90%は預金に関する内容だった。レディットやX(旧ツイッター)では数十人が、ノバスコシア銀からの給与の自動振り込みを受け取っていないと投稿している。
同行の広報担当ケイティ・ラスキナ氏は、電子メールで「現在技術的な問題が発生しており、現金や小切手の振り込みを含む顧客への入金の一部が口座に反映されていない」とした上で、「可能な限り早急に解決すべく取り組んでいる」と説明した。
ハネウェル、量子コンピューティング会社IPO検討-1.5兆円評価目標 - Bloomberg
米ハネウェル・インターナショナルは、過半数の株式を保有する量子コンピューティング会社クオンティニュアムを来年にも上場させることを検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
同関係者によれば、ハネウェルは米国での新規株式公開(IPO)の可能性をいくつかの投資銀行と協議。クオンティニュアムのバリュエーションとして約100億ドル(約1兆5400億円)を目指す可能性があるという。関係者は情報が非公開であることを理由に匿名を条件に語った。
ブルームバーグ・ニュースによるこの報道を受け、ハネウェル株は26日の米市場で一時2.6%上昇。日中ベースで6月初旬以来の大幅高となった。
協議は初期段階で計画の詳細は変わり得ると、同関係者は述べた。ハネウェルの担当者はコメントを控え、クオンティニュアムの担当者も現時点でコメント要請に応じていない。
クオンティニュアムはケンブリッジ・クオンタムとハネウェル・クオンタム・ソリューションズの統合で2021年に誕生。同社ウェブサイトによると、米英とドイツ、日本に拠点を持ち、従業員数は約500人。
Apple、上位5社から5年ぶり陥落 中国4〜6月スマホ出荷 - 日本経済新聞
●日本企業
三井住友銀、欧州でプライベートクレジットファンド設立 4.5億ユーロ | ロイター
欧州でプライベートクレジットのファンドを設立したと発表した。中堅中小企業向けのLBO(レバレッジド・バイアウト)ローンに投資する。投資金額は4億5000万ユーロで、グループ傘下の三井住友DSアセットマネジメントも参画する。SMBCはファンドに対してファイナンスに関する助言を行う。
オルタナティブ資産への投資家の需要を背景に、ファンドなどによる企業向け融資であるプライベートクレジットの残高は拡大傾向にある。SMBCは2017年に政策投資銀行と共同で、米国でプライベートクレジットファンドを設立。今後はこうした運用を米大陸で拡大させるほか、オーストラリアなどアジア大洋州でも展開していくとしている。
ヒューリック、24年1〜6月期純利益441億円 過去最高 - 日本経済新聞
2024年1〜6月期の連結決算は、純利益が微増の441億円となり、同期間で過去最高を更新した。オフィスビルの賃貸需要が底堅かった。インバウンド(訪日外国人)の回復でホテル・旅館事業も伸びた。
売上高は11%増の2048億円、営業利益は3%増の689億円だった。主力の不動産事業では賃貸オフィスの空室率は1%を下回る。平均賃料も市場平均を上回って推移する。ホテル・旅館事業の営業利益は前年同期比6.8倍の15億円だった。
5月に子会社化したリソー教育の買収や保有する不動産の建替に伴う特別損失などがあり、純利益は微増だった。
24年12月期通期の純利益見通しに対する進捗率は45%だった。下期にかけオフィス賃料の増加や不動産の売却益が見込めるとして、前期比4%増の980億円とする予想を据え置いた。
帝国ホテル、25年3月期純利益上振れ 宴会・宿泊好調 - 日本経済新聞
SGホールディングスの純利益5%増 4〜6月、国際物流で損益改善 - 日本経済新聞
信越化学、25年3月期純利益2%増 塩ビ・半導体材料回復 - 日本経済新聞
日立建機の純利益22%減 4〜6月、欧州や東南アジア不振 - 日本経済新聞
2024年4〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比22%減の245億円だった。同期の減益は4年ぶり。金利の高止まりする欧州や、地方首長選を控え公共投資が鈍いインドネシアなどで建機の需要が減った。
トクヤマ、一時9%高 化成品事業の改善を好感 話題の株 - 日本経済新聞
26日の東京株式市場でトクヤマ株が一時前日比257円(9%)高の3000円まで上昇した。買いのきっかけは、同日午前に発表した2024年4〜6月期連結決算。主力の化成品事業の業績改善を軸に利益が大きく伸びたことが好感され、投資マネーが一気に流入した。
終値は163円50銭(6%)高の2906円50銭。東証プライム市場の値上がり率ランキングで9位に入った。売買代金は64億円と前日の3倍超となり、商いを伴って急騰した。
24年4〜6月期の純利益は前年同期比72%増の74億円となった。主力の化成品事業でカセイソーダの輸出数量が増えたほか、セメント事業の製造コストの改善が進んだ。25年3月期通期の純利益は前期比41%増の250億円と従来予想を据え置いた。
市場の評価は高い。みずほ証券の吉田篤シニアアナリストは26日付のリポートで「半導体向け多結晶シリコンのミックス改善や電子先端材料の収益拡大などが想定を上回り、ポジティブな印象」と指摘した。
予想PER(株価収益率)は8倍台と、同業のデンカ(20倍台)などと比べて割高感はない。化成品事業を中心に稼ぐ力を向上し、目に見える成果を出せれば、株価が一段高となる場面もありそうだ。
エーザイの認知症薬「レカネマブ」、欧州が否定的見解 - 日本経済新聞
●米大統領選挙
ハリス氏、副大統領候補探しを本格化-正式指名の投票迫る - Bloomberg
民主党全国大会(DNC)の代議員は今後2週間以内にバーチャル形式で会合を開き、大統領候補としてのハリス氏とその副大統領候補を決定する。8月1日から7日の間に実施される投票の日程は、大会の共同議長によって決定される。
党大会は8月19日にシカゴで開催される。
ノースカロライナ州のクーパー知事やケリー上院議員(アリゾナ州)、ペンシルベニア州のシャピロ知事、ミネソタ州のウォルツ知事をはじめとする激戦州の知事や上院議員を中心に、選考に関する臆測が飛び交っている。
レモンド商務長官も審査資料を受け取ったうちの1人だと、この件に詳しい関係者は語っている。2020年の大統領選で民主党候補指名争いに参加したブティジェッジ運輸長官は、副大統領候補になることに前向きであると示唆している。
人種と性別が2024年の選挙に影響することを認識した上で、ハリス氏は主に男性の白人候補を検討している。副大統領として歴史に名を残したハリス氏は、米国史上初めて主要政党の指名を獲得した非白人の女性となる。
この選考に詳しい関係者によると、ホルダー元司法長官が審査プロセスのリーダーに起用された。
オバマ夫妻もハリス氏支持、通話動画を公開 選挙戦の追い風に | ロイター
ハリス氏、トランプ氏との支持率の差縮める-出馬表明から約1週間 - Bloomberg
民主党のハリス米副大統領が、共和党のトランプ前大統領との支持率の差を縮めている。
選挙戦から撤退したバイデン大統領に代わる候補として民主党の大統領候補指名獲得を目指すとハリス氏が21日に表明して以来、7つの全国世論調査が行われた。総合すると、民主党が共和党との差をそれまでの約半分に縮めた。
26日に公表された米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のものを含め、注目度の高い世論調査ではハリス氏が統計的にトランプ氏と互角となっている。
25日に公表された米紙ニューヨーク・タイムズとシエナ・カレッジの世論調査によると、第三者を含めるかどうか次第でハリス氏がトランプ氏との支持率の差を6-7ポイント縮めた。
バイデン氏に不満を抱いていた民主党支持層の一部が、ハリス氏出馬で戻ってきたことが主因だ。1カ月前のニューヨーク・タイムズの世論調査では、黒人有権者のバイデン氏(81)支持率は59%だったが、直近の調査ではハリス氏が69%の支持を集めている。ハリス氏はさらに、ヒスパニック有権者の民主党支持を45%から57%に回復させた。30歳未満の有権者の支持率も46%から56%に伸ばした。
WSJの世論調査でも同様の変化が見られ、民主党への支持の高まりが明らかになった。それによると、1カ月前、党の大統領候補としてバイデン氏の支持に前向きな民主党支持者は37%に過ぎなかったが、ハリス氏に対して現在81%に上っている。
共和党全国大会で同党候補に正式に指名されたトランプ氏についても、ここ1カ月の世論調査で多くの変化があった。7月13日の暗殺未遂事件以来、トランプ氏への好感度は上昇しているが、指名受諾後に期待されていた押し上げ効果は、バイデン氏の選挙戦撤退の表明で薄れた。
激戦州で行われた世論調査でも同様の傾向が見られた。エマーソン・カレッジがアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの各州で実施した世論調査でハリス氏の支持率は、わずか1週間前の同大学の調査で示されたバイデン氏支持率よりも3-4ポイント高かった。
ペンシルベニア州の登録有権者1034人を対象に22-24日に実施されたFOXニュースの世論調査では、ハリス氏とトランプ氏の支持率は49%で並んだ。
「子なし猫好き女性」発言が炎上、バンス氏に超党派の非難 - Bloomberg
ハリス氏、副大統領候補を有力3人に絞り込み-7日までに決定へ - Bloomberg
ハリス氏は民主党内の幅広い候補を検討しているが、そのプロセスに詳しい関係者によれば、全国的にアピールできる3人が有力候補に浮上している。
アリゾナ州選出のケリー上院議員、ペンシルベニア州のシャピロ知事、ミネソタ州のワルツ知事の3人だ。
シャピロ氏は、ほぼ間違いなく最も重要な激戦州であるペンシルベニア州の人気知事。ワルツ・ミネソタ州知事は教師と陸軍州兵という経歴の持ち主。ケリー氏のアリゾナ州はメキシコと国境を接する激戦州だ。
トランプ氏、「米国を仮想通貨の首都に」-SEC委員長解任を約束 - Bloomberg
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
財務省、日銀国債購入は銀行保有余力踏まえた減額重要と認識-関係者 - Bloomberg
日本銀行が来週の金融政策決定会合で決める国債買い入れの減額計画に関し、国債の発行当局である財務省は、銀行の国債保有余力を踏まえた減額幅になることが重要で、段階的な実施が望ましいと考えている。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。
関係者によると、財務省は、日銀に代わる買い手として期待される銀行の国債保有余力などを念頭に置いた上で、減額幅を考えていくことが重要との認識だ。減額ペースに関しては、市場の混乱を極力回避する観点から、一度に大きく買い入れを縮小するのではなく、段階的に減らしていくことが望ましいとの考えだという。
財務省の「国の債務管理に関する研究会」で、三菱UFJ銀行は、預金取り扱い金融機関の国債購入余地について、日銀保有の3割前後との試算を示した。日銀の長期国債保有残高である580兆円程度に当てはめれば170兆円程度となる。
他の主体の購入余力が限られる上、今年度並みの35兆円程度の新規国債発行が続くことを前提とすれば、仮に月間3兆円程度・年間36兆円程度の減額なら2年超で余力がなくなる計算だ。財務省の減額に対するスタンスは慎重とも言える。国債管理政策を担う同省の認識は、日銀による減額計画の策定に影響を与える可能性がある。
日銀は30、31日の会合で今後1-2年程度の国債買い入れの減額計画を決める。9、10日に開催した銀行や証券、機関投資家などの国債取引の実務者との会合では、減額幅やペースについて幅広い意見が聞かれた。
植田総裁は6月会合後の記者会見で、減額は「相応の規模となる」と明言した。ブルームバーグが17-22日にエコノミスト48人を対象に実施した調査では、減額計画に関する中心的な予想は、現在月間6兆円の買い入れ額をまず5兆円に減額し、その後は四半期ごとに購入を縮小して2年後に月間3兆円まで圧縮するというものだ。
別の関係者は今週初めに、減額計画について、日銀は市場にサプライズを与えるつもりはないと指摘していた。
財務省の研究会は6月21日の会合で、日銀が国債買い入れの減額方針を打ち出す中、発行年限の短期化によって銀行が保有しやすい環境を整えることなどを柱とした提言案をまとめた。
植田日銀総裁の異例の長い沈黙、決定会合前の利上げ思惑交錯の要因に - Bloomberg
カナダ中銀、政策の軸足インフレ抑制から景気支援に | ロイター
アナリストは、カナダ銀行(中央銀行)が金融政策の軸足をインフレ抑制から成長支援に移しつつあり、今後数カ月で追加利下げを行う可能性が高まっていると指摘する。
中銀は24日、政策金利を0.25%ポイント引き下げ、4.5%とした。利下げは2会合連続。中銀はインフレの下振れリスクが金融政策の討議において重視されるつつあるとした。
短期金融市場が織り込む次回9月会合での利下げ確率は約60%。年末までに44ベーシスポイント(bp)の利下げを織り込んでいる。
IGウェルス・マネジメントのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、フィリップ・ペトゥ・ルソン氏は「カナダ銀行は既に勝利したインフレ対策から、より必要性の高い経済支援へと重点を移した」と述べた。
カナダの国内総生産(GDP)の伸びはここ数四半期、中銀が潜在成長率とみる2.25%を下回っている。第1・四半期の成長率は1.7%だった。
マックレム総裁は「インフレ率を2%に戻す決意があるが、経済を過度に低迷させ、インフレ率が2%目標を下回ることは望んでいない」と利下げ決定後に記者団に語った。
イエレン米財務長官、米国債発行「操作」とのルービニ氏主張を否定 - Bloomberg
イエレン米財務長官「問題は通貨安誘導」 円買いの為替介入は例外か、単独インタビュー - 日本経済新聞
FRB議長は利下げ示唆か-米国、日本、英国が金融政策決定会合 - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
ハイテク株支配の終わりに必要なのは1回の悪い雇用データ-BofA - Bloomberg
パリの鉄道に破壊工作、五輪開幕数時間前-80万人に影響の見込み - Bloomberg
英中銀は来週利下げも、サービスインフレが表向き以上に低下-BE - Bloomberg
長引くインフレについてイングランド銀行(英中央銀行)が注目する指標のいくつかは、来週にも利下げを実施できると示唆している。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の分析によると、英中銀当局者が考慮しない変動の激しい部分やテイラー・スウィフトのコンサートツアーの影響を取り除くと、サービスのインフレは発表された数値よりも減速していたことが明らかになった。
賃金上昇も鈍化しており、この2つを十分な材料として英中銀金融政策委員会(MPC)は8月1日に16年ぶり高水準にある政策金利の引き下げを発表するかもしれない。英中銀は先月の会合で利下げを見送ったが、この決定は一部のMPC委員にとって「微妙なバランス」に立つものだったと説明していた。
短期金融市場は1日に利下げが発表される確率を45%としている。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)とロシアのウクライナ侵攻を受けて2022年には2桁に達した英国の総合インフレ率は、ここ数カ月にようやく目標とする2%に回帰したが、英中銀はインフレが再燃しないか警戒を継続。とりわけ、国内経済の大部分を占めるサービス業の価格上昇の兆しに注意を向けている。
6月のサービスのインフレ率は5.7%で前月から変わらず、英中銀が5月に予測した5.1%を大きく上回った。
だが、航空券やホテル、教育、パッケージ旅行など変動の激しい品目を除いた基調的なサービスのインフレを試算すると、上昇率は5.4%となり5カ月連続で低下したとBEは分析。この試算では、ホテル料金とライブ音楽の価格急騰に寄与した「スウィフト効果」も排除した。
ユーロ圏インフレ期待、6月は変わらず-1月からの減速見通し止まる - Bloomberg
ユーロ圏消費者のインフレ期待は6月に前月から変わらず。1月から続いた鈍化見通しが止まった。欧州中央銀行(ECB)が目指すインフレ率2%の達成にはまだ壁があることがあらためて示された。
ECBが26日発表した月例調査によると、今後12カ月間の物価上昇率は2.8%と見込まれた。3年先の予想インフレ率も2.3%で前月と同じだった。
ECBは過去12カ月間の実感インフレ率は4.5%と、前月の同4.9%から「著しく」低下したと指摘した。
月例調査ではまた、今後12カ月の経済見通しは0.9%縮小と見込まれており、前月の0.8%縮小から若干悲観的になっていることが示された。
ユーロ圏消費者のインフレ予想、低下傾向が止まる 6月2.8% | ロイター
アングル:米市場の「全面高」に急ブレーキ、投資家は取引巻き戻し | ロイター
米KKR、教育ソフトのインストラクチャーを48億ドルで非公開化へ | ロイター
リーブス新英財務相、財政の「混乱収拾」へ 税制では明言避ける | ロイター
フランス高速鉄道で破壊行為、運行乱れ80万人に影響 五輪開会式直前 | ロイター
米PCE価格指数、6月前年比+2.5%に鈍化 コア2.6%上昇 | ロイター
6月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.5%上昇した。前月の2.6%から鈍化し、過去4カ月で最小の伸びとなった。インフレ状況の改善が示され、米連邦準備理事会(FRB)は9月に利下げに着手できる見通しだ。
PCE価格指数は前月比で0.1%上昇、5月は横ばいだった。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前年比は2.6%上昇で、伸びは前月と同じだった。
コアPCEの前月比は0.2%上昇。前月は0.1%上昇だった。
ロイター調査によるエコノミスト予想は、総合・コアとも前月比0.1%上昇、前年比2.5%上昇だった。
<9月利下げ観測高まる>
LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「インフレは引き続き鈍化し、緩やかなペースでFRBの目標に近づいている」と指摘。「FRBは(来週の)次回会合で、雇用の減速を9月会合での利下げ理由の1つとして強調することが予想される」と述べた
フィッチ・レーティングスの米国経済調査責任者、オル・ソノラ氏は、これまでの3カ月間に見られた進展が9月の連邦公開市場委員会(FOMC)まで維持されるかが重要になるとした上で、「このところの労働市場の動向を踏まえると、FRBは来週のFOMCで9月会合での利下げに向けた準備を整える可能性が高い」と指摘。
ネイションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボスティアンチッチ氏は「第1・四半期のインフレ急上昇が一時的なものだったことが示された」とし、「賃貸料の伸びが減速すれば、インフレ率は再び持続的な低下トレンドに戻る」との見方を示した。
<財価格は下落、サービス価格は上昇>
モノの価格は0.2%下落。前月は0.4%下落していた。
自動車・部品は0.6%下落。家具など耐久的な家財道具は3カ月連続、衣料品は2カ月連続で下落した。一方、その他の耐久消費財は1.8%上昇した。
ガソリンやその他のエネルギー商品は3.5%下落。前月は3.4%下落していた。
一方、サービス価格は0.2%上昇。伸びは前月と同じだった。
住宅費や公共料金は0.2%上昇したものの、上昇ペースは前月の0.4%から鈍化し、2023年3月以来最小となった。
金融サービス、保険は0.3%上昇。一方、輸送サービスは3カ月連続で下落した。
<個人消費増加、貯蓄率低下>
米経済活動の3分の2以上を占める個人消費支出は0.3%増。5月は0.4%増だった。
内訳では、サービス支出が0.4%、モノへの支出が0.1%、それぞれ増加した。
インフレ調整後の消費支出は0.2%増。前月は0.4%増だった。
個人所得は0.2%増。5月は0.4%増だった。賃金は0.3%上昇した。前月は0.6%上昇していた。
貯蓄率は前月の3.5%から3.4%に低下し、22年12月以来の低水準を付けた。
米債務上限問題の再燃に早くも備え、Tビルの推定発行額を見極め - Bloomberg
米オフィス向けローンの痛みは始まったばかり-悪いニュース相次ぐ - Bloomberg
借り入れコストの低下によって米国のオフィス不況の痛みが収まるとの期待は、一掃された。
ドイツ銀行は米商業用不動産向けローンの貸し倒れに備え引当金を増み増し、ブラックストーンの不動産投資信託(REIT)「ブラックストーン・モーゲージ・トラスト」は配当金を減額した。ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)はアナリスト予想平均の2倍以上の貸倒引当金を計上し、株価は3月以降で最大の下落を演じた
借り手がローンの条件を修正したり期限を延長したりしながら金利低下によって借り手の痛みが和らぐのを待つことはできなくなる可能性が示唆される。MSCIリアル・アセッツによると、現在940億ドル(約14兆4500億円)以上の米商業用不動産ローンが不良債権となっており、さらに2010億ドルがそのカテゴリーに入る危険性がある。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のジョン・マレー氏とフランソワ・トローシュ氏は「今後2年で1兆5000億ドルのローン満期の壁が立ちはだかり、その影響は甚大だ。貸し手も借り手も『結果を受け入れる』ことを余儀なくされるだろう。 当面は、鑑定評価額と価格指数のさらなる下落が予想され、ローン延長の合理性はさらに薄れるだろう」とリポートで分析した。
ドイツ銀は25日公表したプレゼンテーションで、米国のオフィス部門が今後数カ月、同行の業績に影響を与え続けると明らかにした。ブラックストーン・モーゲージ・トラストは24日、6100万ドルの四半期赤字を発表。配当を24%減額した。
NYCBは25日、主にオフィス向け融資による貸し倒れをカバーするため4-6月(第2四半期)中に引当金3億9000万ドルを積み増したと明らかにした。
ブルームバーグ・インテリジェンスのシニア・クレジット・アナリスト、トル・アラムトゥ氏は業界の見通しについて、「減損損失の増加は、不動産エクスポージャーを持つ金融業者などで資産の再評価がまだ進行している可能性を示唆する」と述べ、「取引量が増加するにつれ、さらなる調整が行われる可能性は否定できない。評価額引き下げは昨年と比べれば小さいかもしれないが、影響はなお大きい可能性がある」と話した。
クレジット投資家は、商業用不動産からの混乱は抑え込まれるとの安心感を維持している。銀行債のリスクプレミアムの拡大は市場全体よりも小さく、銀行債はアウトパフォームしている。
プライベートクレジットを提供する貸し手は、満期の壁が近づくにつれて収益機会が生ずるとみている。調査会社グリーン・ストリートによると、商業用不動産ローンに投資するファンドは目先、約500億ドルの資金調達を目指しており、銀行からの不良債権ポートフォリオ購入を検討しているところもあるという。
ブラックストーン・モーゲージ・トラストのケイティ・キーナン最高経営責任者(CEO)は発表文で「流動性が高く、返済は加速し、投資パイプラインが生じつつある当社は、現在の環境下で資本を積極的に投下し、サイクルを通じて前進を続けることができる好位置にある」と説明した。
ピムコのマレー、トローシュ両氏は、シニア債とメザニン債の双方に投資機会があるとしながらも、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和を始めたとしても、商業用不動産のダメージは長期化するだろうと警告している。
両氏は、フォワードカーブは事業用不動産の価値が2021年の高値より20-40%低くとどまることを示唆していると指摘。「商業用不動産市場への逆風によって、回復は世界金融危機後よりも大幅に遅れるだろう」と付け加えた。
アングル:米ファストフード決算、低価格メニューの効果に注目 | ロイター
今後数週間で米外食業界の四半期決算発表が続く。注目は、マクドナルドをはじめとするファストフードチェーン大手が提供している低価格メニューが業績に及ぼす効果に集まるだろう。
マクドナルド、バーガーキングなどは、物価高のため特に低所得層の外食離れが鮮明化する中で、客足を改善する対策を早急に講じつつある。
BTIGのアナリスト、ピーター・サレー氏は、消費者が低価格メニューにどの程度反応し、こうした値引き作戦をいつまで続ければ消費者を呼び戻せるのかが焦点になるとの見方を示した。
マクドナルドは6月25日に打ち出した5ドルのバリューセットメニューを8月まで延長。バーガーキングも5ドルメニューを開始し、ウェンディーズは3ドルの朝食セットを投入している。
ただ一部アナリストの間からは、業績に何かプラスがあったとしても一時的ではないかとの声が聞かれる。
バースタインのシニアアナリスト、ダニロ・ガルジューロ氏は「宣伝を通じて提供するバリュー商品は『マックダブル』や『マックチキンサンド』といった数商品に限られ、『ビッグマック』やバーガーキングの『ホッパージュニア』ほど魅力はない」と指摘した
低価格メニューは第2・四半期の終盤になってようやく提供が始まった関係で、客足が相応に上向くのはまだ先になるだろう。
あるデータによると、第2・四半期の客足の伸びはマクドナルドが0.4%、バーガーキングが1.6%、ウェンディーズが1.4%だった。
週明け29日に四半期決算を発表するマクドナルドは、6四半期ぶりの減益となる見込み。既存店売上高も前期比で記録的に低調な伸びにとどまりそうだ。
ウェンディーズは来週、バーガーキング運営会社レストラン・ブランズは8月8日にそれぞれ発表する既存店売上高も前年から伸びが鈍化するとみられる。
●中東情勢
●エマージング
メキシコ、1〜6月輸出額2.6%増 米国向け自動車けん引 - 日本経済新聞
メキシコが原油輸入国へ、生産量激減で2030年以降=政府予想 | ロイター
原油の主要生産国メキシコが2030年以降、急速に生産が落ち込み、輸入が必至な情勢にあることが分かった。ロイターが同国エネルギー省の予測文書を入手した。主要産油国では異例の政策転換となる。同省関係者は輸出が停止されるとの見通しを明らかにした。
10月1日に大統領に就任するシェインバウム前メキシコ市長は、風力や太陽光発電への財政支出を掲げるものの、ロペスオブラドール大統領の石油重視のエネルギー自給政策も引き継ぐ構えで、政策運営は難航を極めそうだ。
油田は主にメキシコ湾にあり、生産量は40年以上前の水準に落ち込んでいる。探鉱と生産設備への投資不足が要因だ。しかし、ロペスオブラドール大統領が積極的に資金投入したのは製油所の建設。ガソリンと軽油の輸入依存体質を改めるためで、投資額が170億ドルに及ぶオルメカ製油所(南部タバスコ州)建設に着手した。
ロイターが入手した文書によると、エネルギー省は3つのシナリオに予測をまとめた。楽観と悲観シナリオに間にある中間シナリオでは、深海域に近い浅海のザマ油田と超深海のトリオン油田の生産量は現在、日量計約180万バレル。28年に約224万7000バレルに達するものの、一時的でしかない。楽観シナリオでは最大239万バレル、悲観シナリオで216万4000バレルという。
3シナリオとも油層が新たに数カ所見つかることを前提にしているものの、30年から生産量が急速に減少するとの予測になっている。ある関係者によると、ザマとトリオンだけでなく最近発見された油層も期待外れに終わる恐れがあるという。
3シナリオに詳しい同省関係者は、製油所のほぼフル稼働を念頭に置く場合、早ければ10年後には原油輸入の開始が必須と述べた。
ロペスオブラドール大統領は資源ナショナリストだ。これまで深海探鉱や陸上のシェール開発で入札実施に踏み切って国営ペメックス以外の石油・ガス会社に参入を促したことがない。しかもペメックスには専門知識と資金が不足している。
エネルギー省関係者は「われわれに必要なのは石油精製能力の増強に軸足を置くのでなくブラジル国営石油ペトロブラスが行ったような大規模探鉱戦略だ」と強調した。
米当局、メキシコ麻薬王の息子ら逮捕 合成薬密売で | ロイター
ベネズエラ大統領選、現職マドゥロ氏は公正な選挙実現を=米政府 | ロイター
中国の工業利益、6月に伸び加速-製造業の堅調さ示す - Bloomberg
世界にはより多くのEVが必要-過剰生産批判に中国財政次官が反論 - Bloomberg
●プロファイ、インフラ、自然災害
カナダ西部で大規模な山火事、人気観光地ジャスパーの3分の1焼失 - Bloomberg
カナダ西部アルバータ州のリゾート地ジャスパーを襲った山火事被害の全容が明らかになりつつある。消防は、カナディアンロッキーの象徴的な国立公園を包み込んだ大規模火災の消火活動を続けている。
ジャスパー国立公園は26日、火災で町の約30%が破壊され、1113棟のうち358棟が焼失したと明らかにした。ただ、病院や救急サービス施設、学校、活動センター、廃水処理施設など重要なインフラは全て守られた。 アルバータ州のダニエル・スミス首相によると、住宅や商業施設への被害が最も大きかったのはジャスパーの西側だった。
スミス首相は26日のメディア向けブリーフィングで、「われわれにはまだ多くの仕事が残っており、この事態を乗り越える過程で多くの感情が湧き上がることだろう。特にジャスパーの住民にとってはそうだ」と語り、「火災がまだ収まっておらず、人々が戻るにはまだ安全ではないと留意することが重要だ」と付け加えた。
カナダ国立公園局によると、26日夜の雨が湿度の上昇と気温の低下をもたらし、消防士らの負担を幾らか軽減した。それでも、この地域では最大で風速30キロメートルの風が吹く見込みであり、制御不能となった火災の勢いをさらに強める恐れがある。
カナダ西部一帯が乾燥した気候だったため、同国立公園とその周辺で山火事は1週間もたたないうちに広がった。当局は火の手が22日に制御不能となった後、住民約2万5000人と公園を訪れていた人々を避難させた。火はその後拡大し、カナダで最も人口の多い都市であるトロントの半分超の面積にあたる360平方キロメートルを焼き尽くした。
ジャスパーの山火事による保険損失額は最大7億カナダ・ドル(780億円)に達する可能性があり、観光業からの請求額はさらに大きくなる恐れがあるとモーニングスターDBRSは26日のリポートで分析。平均を上回る山火事シーズンとなっているが、関連損失はカナダの損害保険各社にとってまだ対応可能な範囲だとした。
ジャスパーは、カナディアンロッキーにある広大な国立公園の中心に位置する。人口4100人で、観光地として人気があり野生動物が生息する自然美で知られている。公園局によると、昨年ジャスパーを訪れた観光客は250万人近くに上った。
ジャスパーを横断する新たに拡張されたトランス・マウンテン石油パイプラインの稼働は続いていると、運営会社は26日に電子メールでコメントした。
●小ネタ
BofA証券、アナリスト辻野氏を採用 SOMPOへ4月移籍 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(26日)円急上昇一服、株価上昇 利回り低下 | ロイター
<為替> ドルがほぼ変わらず。この日発表された6月個人消費支出(PCE)価格指数を受け、投資家らは米連邦準備理事会(FRB)による9月金融緩和への道筋は明確になったとみている。
ドル指数は0.04%安の104.29となった。
このところ大きな動きを見せているドル/円は、終盤の取引で0.1%下落し153.77円。円は前日に1ドル=151.945円と約3カ月ぶりの高値に急騰したが、この日は大幅な上昇は一服した。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは3.32%高の6万7440.00ドルだった。
<債券> 指標となる10年国債利回りが1週間ぶりの低水準を付けた。6月の米個人消費支出(PCE)価格指数上昇率が鈍化したことを受けた。
金利動向に敏感な2年債利回りは5.4ベーシスポイント(bp)低下し4.389%となった。10年債利回りは5.6bp低下し4.2%。一時は7月19日以来の低水準となる4.19%を付ける場面があった。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス19bpだった。
<株式> 主要3指数が上昇して終了した。大型ハイテク株に買い戻しが入ったことに加え、インフレ関連の経済指標で米連邦準備理事会(FRB)による利下げが近いとの観測が高まったことで押し上げられた。
CMEフェドウオッチによると、FRBが9月に0.25%ポイントの利下げを決定する確率は88%。LSEGによると、市場ではFRBは年内に2回の利下げを実施すると予想されている。
<金先物> 米長期金利の低下や対ユーロでのドル安を背景に、反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比27.50ドル(1.17%)高の1オンス=2381.00ドル。週間では0.75%安となった。
<米原油先物> エネルギー需要見通しに警戒感が強まる中で売りが優勢となり、反落した。米国 産標準油種WTIの中心限月9月物は前日清算値(終値に相当)比1.12ドル(1.4 3%)安の1バレル=77.16ドルだった。10月物は1.11ドル安の76.00ド ル。
欧州市場サマリー(26日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。堅調な業績が確認された銘柄を中心に買いが優勢だった。
銀行大手ナットウエストは7.0%と大幅上昇。約10年ぶりの高値を付けた。業績見通しを引き上げたことやメトロ・バンクから住宅ローン関連を引き継いだことなどが材料視された。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。堅調な業績が確認された銘柄を中心に買われ、相場を押し上げた。業績への懸念から下落が目立っていた高級ブランド銘柄にも買い戻しの動きが見られた。<ユーロ圏債券> 独連邦債利回りが低下した。一連の経済指標を受け欧州中央銀行(ECB)の利下げペースが加速するとの観測が高まったことで、週間ベースの低下幅は6月中旬以来最大となった。
独10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低下の2.40%。週初からは6bp低下した。
独2年債利回りは1.5bp低下の2.66%。週初からは11bp低下し、週間ベースの低下幅としては6月14日までの週以来最大となった。
独仏10年債利回り格差は69bpにやや縮小。今週は一時71.70bpと、フランス国民議会(下院)総選挙以来の水準に拡大していた。
来週の米主要企業決算 発表ラッシュ アップル、マイクロソフト、アマゾン、メタ そしてアームも - 株探(かぶたん)|米国株
29日(月)マクドナルド
30日(火)P&G,メルク,ファイザー,マイクロソフト,AMD,スターバックス,ペイパル,ピンタレスト
31日(水)マスターカード,ボーイング,ヒューマナ,デュポン,メタ,クアルコム,アーム,ラムリサーチ,メットライフ,AIG,イーベイ,ウエスタンデジタル
1日(木)バイオジェン,アップル,アマゾン,インテル,スナップ,ブッキング
2日(金)エクソンモービル,シェブロン
来週の欧州主要企業決算 BMWにフォルクスワーゲン バークレイズ、ソシエテジェネラル - 株探(かぶたん)|米国株
30日(火)ロレアル,エアバス 
31日(水)アディダス,ダノン 
1日(木)シェル,メルク,BMW,フォルクスワーゲン,ロールス・ロイス・ホールディングス,クレディ・アグリコル,バークレイズ,ソシエテ・ジェネラル

備忘録(2024/7/25
●雑感
●決算
ステランティス、上半期利益が40%減 減産・値下げを計画 | ロイター
上半期決算は利益が予想を下回り、株価が10%下落した。北米などで生産の縮小や価格の引き下げを行うと表明した。
EBIT(利払い・税引き前利益)は40%減の84億6300万ユーロ(91億7000万ドル)と、ロイターがまとめたアナリスト予想の88億5000万ユーロを下回った。
ステランティスのミラノ上場株は約8%下落した。一時2023年8月以来の安値を付けた。年初から時価総額が20%減少しており、欧州の主要自動車メーカーの中で最悪のパフォーマンスとなっている。
調整後EBIT利益率は10%弱に低下した。同社は通期で2桁の利益率を目指している。
フリーキャッシュフローは上半期に約4億ユーロのマイナスとなった。通年ではプラスになると予想している。
ナタリー・ナイト最高財務責任者(CFO)は北米を中心に在庫の削減や物流の改善に取り組んでいると説明した。
「需給を調整することはわれわれにとって重要なことの一つだ」と述べ、北米の生産量を減らし価格を引き下げる考えを示した。
シティのアナリストはメモで、ステランティスの問題は今後も続くとの見方を示した。過剰在庫が通期の利益率を圧迫するとし、この問題を解消しない限り本当の改善は期待できないと指摘した。
アメリカン航空が利益見通しを下方修正、今年2回目-戦略ミス響く - Bloomberg
2024年通期の調整後利益は1株当たり70セント-1.30ドルの見通し。従来予想の最大3.25ドルを大きく下回る。第3四半期については収支とんとんを予想。アナリスト予想は1株当たり49セントの黒字だった。
アメリカン航空が見通しを引き下げるのは今年に入り2回目。今回の大幅な予想下方修正は、国内需要を巡る過度の楽観や、営業戦略を誤り一部の大口法人顧客を遠ざけたことの余波を浮き彫りにしている。
ロバート・アイソム最高経営責任者(CEO)は経済専門局CNBCのインタビューで、「私は数十人のCEOと話をし、当社に対する見方を率直に教えてくれるよう頼んだ」とした上で、「彼らからは、『われわれを支援しなかった。技術面で急ぎ過ぎ、われわれを置き去りにした』と言われたと述べ、満足する回答が得られなかったことを明らかにした。
アメリカン航空は5月、第2四半期の利益と売上高の見通しを下方修正。アイソムCEOは、国内需要を見誤ったことを認めていた。同社はまた、ヴァス・ラジャ最高商務責任者(CCO)を解任。同氏は、法人顧客対応の見直しを推進していた。
アメリカン航空は法人顧客とのビジネス再構築に取り組んでいるが、今年いっぱいはこれまでの戦略が収益を圧迫し続けると、同社は説明した。
アイソムCEOは25日、従業員宛てのメッセージで「こうした戦略転換には時間がかかるが、既に旅行代理店や法人顧客からは前向きなフィードバックが寄せられている」と説明した。
4-6月(第2四半期)の調整後利益は1株当たり1.09ドルと、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均(1.05ドル)を上回った。売上高は143億ドル(約2兆2000億円)で、市場予想と一致した。
RTXが決算受け上昇 旺盛な航空需要が民間航空宇宙部門を押し上げ=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
航空・防衛のRTX<RTX>が上昇。取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。ガイダンスも公表し、1株利益の見通しを上方修正したほか、売上高も予想を上回る見通しを示した。一方、フリーキャッシュフロー(FCF)の見通しは下方修正された。旺盛な航空需要が民間航空宇宙部門を押し上げた。
ミッチルCFOは「FCFの予想を引き下げたのは、訴訟問題の解決と海外顧客との固定価格での開発契約が見込まれるためだ」と述べた。同社は、プラット&ホイットニー部門のギアード・ターボファン・ジェット・エンジン約3000基の大規模なリコールに直面している。このエンジンは、エアバス社の売れ筋であるA320neoファミリーに搭載されている2基のタービンのうちの1基。
この修理により、エアバスのA320neo型機は今後数年間で数百機が欠航することになり、スピリット航空やヨーロッパのウィズ・エアを含む航空会社は混乱することになる。
アナリストは分析プロバイダーシリウムのデータを引用し「修理のための運行停止は約540機で安定している。この集計は、同社が当初予想した最大650機を下回り、第1四半期中に運行停止がピークに達するという予想と一致している」と述べた。
同社また負債圧縮のために積極的にポートフォリオを見直している。今月初めにコリンズ・エアロスペース部門の一部門をアークライン・インベストメント・マネジメントが支援するシグニア・エアロスペース社に売却することで合意した。
ナスダック第2四半期売上高・利益は予想超え、フィンテックが好調 | ロイター
SKハイニックス、時価総額1.5兆円近く失う-決算堅調もAI株安 - Bloomberg
NYCB株、一時17%安と3月以来の大幅安-予想上回る貸倒引当金 - Bloomberg
25日の米株式市場で米地銀持ち株会社ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の株価が下落。一時17%安と、3月以来の大幅安を付けた。4-6月(第2四半期)の貸倒引当金がアナリスト予想を上回ったことが嫌気された。
4-6月期の貸倒引当金は3億9000万ドル(約598億円)と、アナリスト予想平均の1億9300万ドルを大幅に上回った。NYCBの25日発表によれば、オフィスローンを中心とする貸し倒れ償却の増加などが影響した。
NYCBはまた、フラッグスター・バンク部門が住宅ローン・サービシング事業を約14億ドルでミスター・クーパー・グループに売却することで合意したことも発表。
売却は10-12月期に完了予定で、NYCBの普通株等ティア1(CET1)比率は約60ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)押し上げられるという。
ニューヨークの商業用不動産に対する大規模なエクスポージャーが懸念され、NYCBの株価は年初から低迷。ジョセフ・オッティング最高経営責任者(CEO)はバランスシートを見直している。同CEOは、住宅ローン・サービシング事業の貢献は大きかったが、不安定な金利環境下で生じ得る財務上および経営上のリスクも認識していると述べた。
サービスナウが決算受け大幅高 生成AIが業績押し上げ=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
フォードが決算受け大幅安 品質問題で保証費用が急増=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
アメリカン航空、決算受け時間外で下落=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[DTE] DTEエナジー 2Q増収増益 売上高7%増28.7億ドル、営業益26%増5.02億ドル、配当2.04ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[UNP] ユニオンパシフィック 2Q増収増益 売上高1%増60.0億ドル、営業益9%増24.0億ドル、EPS2.74ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ABBV] アッヴィ 2Q増収減益 売上高4%増144億ドル、営業益11%減39.9億ドル、EPS0.77ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NDAQ] ナスダック 2Q増収営業増益 売上高25%増17.9億ドル、営業益11%増4.23億ドル、配当0.24ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[DOW] ダウ 2Q減収最終減益 売上高4%減109億ドル、純利益10%減4.39億ドル、EPS0.62ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KDP] キューリグドクターペッパー 2Q増収増益 売上高4%増39.2億ドル、営業益12%増8.61億ドル、EPS0.38ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TSCO] トラクターサプライ 2Q増収 売上高1%増42.4億ドル、営業益微増5.61億ドル、EPS3.93ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AAL] アメリカン航空 2Q増収減益 売上高2%増143億ドル、営業益36%減13.8億ドル、EPS1.01ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CARR] キャリアグローバル 2Q増収増益 売上高12%増66.8億ドル、営業益7.5倍36.9億ドル、EPS2.55ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CBRE] CBREグループ 2Q増収減益 売上高9%増83.9億ドル、営業益20%減2.46億ドル、EPS0.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HOG] ハーレーダビッドソン 2Q増収増益 売上高13%増13.4億ドル、営業益9%増2.41億ドル、EPS1.63ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[RTX] RTX 2Q増収減益 売上高8%増197億ドル、営業益65%減5.29億ドル、EPS0.08ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NOC] ノースロップグラマン 2Q増収増益 売上高7%増102億ドル、営業益13%増10.9億ドル、EPS6.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DOV] ドーバー 2Q増収増益 売上高4%増21.7億ドル、営業益14%増3.69億ドル、EPS2.04ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LUV] サウスウエストエアラインズ 2Q増収減益 売上高5%増73.5億ドル、営業益50%減3.98億ドル、EPS0.57ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[HON] ハネウェル 2Q増収最終増益 売上高5%増95.7億ドル、純利益4%増15.4億ドル、EPS2.36ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PCG] PG&E 2Q増収増益 売上高13%増59.8億ドル、営業益2.2倍11.3億ドル、EPS0.24ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BKR] ベーカーヒューズ 2Q増収増益 売上高13%増71.3億ドル、営業益62%増8.33億ドル、EPS0.58ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[EMN] イーストマンケミカル 2Q増収最終減益 売上高2%増23.6億ドル、純利益15%減2.30億ドル、EPS1.94ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LHX] L3ハリス 2Q増収増益 売上高13%増52.9億ドル、営業益19%増4.76億ドル、EPS1.92ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[JNPR] ジュニパーネットワークス 2Q減収営業減益 売上高17%減11.8億ドル、営業益68%減4500万ドル、EPS0.10ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NSC] ノーフォークサザン 2Q増収増益 売上高2%増30.4億ドル、営業益96%増11.3億ドル、EPS3.26ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
アマゾンもついに配当開始か、膨らむ手元資金-株主還元はトレンドに - Bloomberg
メタ、EUが競争法違反と判断する見通し-クラシファイド広告問題で - Bloomberg
米小売り大手クローガー、同業との統合交渉を一時停止 - 日本経済新聞
米小売り大手のクローガーが同業アルバートソンズとの統合手続きを一時停止することが25日、わかった。統合の差し止めを求め提訴している西部コロラド州のフィル・ワイザー司法長官が明らかにした。9月に審理が始まる州裁判の結論が出るまでは手続きを凍結する。
●日本企業
野村総合研究所の純利益29%増 4〜6月、デジタル需要が好調 - 日本経済新聞
ソフトバンクが社債型種類株 最大2000億円を発行 - 日本経済新聞
ソフトバンクグループ(SBG)の国内通信会社、ソフトバンクは25日、議決権と普通株への転換権がない社債型の種類株を発行すると発表した。社債型種類株の発行は2023年に続き2回目となる。発行予定額の上限は2000億円。調達した資金は注力する生成AI(人工知能)関連の事業に投資する。
同日、第2回社債型種類株の発行登録を完了した。上場すれば新NISA(少額投資非課税制度)の対象となる。発行予定期間は24年8月2日〜26年8月1日。野村証券や大和証券など5社が引受証券会社となる。具体的な発行価格や期日などは未定としている。
ソフトバンクは23年11月に国内では初めて社債型種類株を発行し、東証プライム市場に上場した。初値は発行価格と同じ4000円だった。25日の終値は3905円で発行価格を下回っている。
社債型種類株は社債の性格を持ちながら、東証に上場することによって普通株式のように売買機会が広く確保できることが特徴だ。格付け会社から調達額の50%で資本性の認定を受けられ資本増強にもつながる。議決権がなく普通株への転換権もないため、既存株主の議決権が希薄化することも避けられる。
キヤノン、純利益27%増に上振れ 24年12月期印刷伸び - 日本経済新聞
事業別では稼ぎ頭でオフィス向け事務機などの「プリンティング」事業が10%増の2兆5702億円と、1764億円上方修正した。販売したカラー複合機から得るサービス関連の収入や、子会社のキヤノンマーケティングジャパンが手がける企業向けIT(情報技術)支援が堅調に推移する。
デジタルカメラなどの「イメージング」事業も13%増の9739億円と739億円引き上げた。デジカメは23年末の商戦で苦戦したが、24年1〜3月期の出荷調整で市場の在庫が減ったことで販売が復調する。下期に投入するプロ向けなどの新製品も貢献を期待する。
日産、米国不振で今期利益を下方修正 4─6月期は99%減益 | ロイター
2025年3月期通期の連結営業利益予想を下方修正した。米国販売の不振で第1・四半期(4─6月期)が前年同期から99%減益となり、在庫の適正化で販売費用がかさむことから通期予想を従来の6000億円から5000億円に引き下げた。IBESがまとめたアナリスト15人の事前予想の平均値5739億円を下回った。
通期の連結純利益予想は3800億円から3000億円に下方修正した。世界の販売計画も、前回予想の370万台から365万台に引き下げた。中国を80万台から77万台へ、北米を143万台から141万台にそれぞれ下振れる。
会見した内田誠社長は、「第1・四半期は日産にとって非常に厳しい結果になったが、課題に対して明確な対策を打ち、新型車の投入を進めることで業績を回復していく」と語った。
第1・四半期の連結営業利益は9億円と、前年同期の1285億円から99%減少した。モデルイヤーの切り替え時期の遅れなどで米国販売が振るわず、在庫が想定以上に増加。特にスポーツ多目的車(SUV)「ローグ」が予定の販売台数を達成できず、「収益を圧迫することになってしまった」(内田社長)という。
米国ではハイブリッド車(HV)の需要が高まっているが、トヨタ自動車やホンダなどと違い、日産は同国でHVの車種を販売していない。26年度中にエンジンで発電し、モーターのみで走行する独自のHVシステム搭載車を米国に投入する予定で、内田社長は投入時期前倒しの可能性も問われたが、明言を避けた。
かねてから不振の中国市場に関しては「非常に厳しい状況が続いており、楽観視できない」と指摘。現地パートナー企業と固定費の最適化の議論を継続中とした。
通期の想定為替レートは1ドル=155円(従来は145円)、1ユーロ=167円(同157円)にそれぞれ円安方向に見直した。
スティーブン・マー最高財務責任者(CFO)は会見で、通期業績予想の下方修正を決めた数日前は「1ドル=155円で安定していた」と説明。足元では円高が進んでいるが、153円や152円の水準でも「今の業績予想は達成可能だ」と語った。
このほか、内田社長はホンダと検討を進めている協業について、「非常に良い進ちょくをみせている」と述べた。ソフトウエアやEV部品など、相互に補完できる領域で「具体性を持った検討の段階に入っている」と語った。
千代田化工建設の純利益2割減 4〜6月期、米LNGの利益計上せず - 日本経済新聞
千代田化工建設の2024年4〜6月期の連結純利益が前年同期比2割程度減り、40億円前後になったもようだ。米液化天然ガス(LNG)プロジェクトで合弁相手が経営破綻して引当金を積んだ影響で、同案件の利益は計上しなかったとみられる。カタールなどの主要な案件では工事が順調に進んだことが奏功し、最終黒字は確保したようだ。
●米大統領選挙
オバマ元米大統領、ハリス氏支持近く表明 民主党大統領候補=報道 | ロイター
オバマ元米大統領が、民主党の大統領候補としてハリス副大統領への支持を近く表明する意向だと、NBCニュースが25日報じた。
オバマ氏は既にハリス氏への全面的な支持を私的に伝え、定期的に連絡を取り合っているという。
また、両氏が選挙活動に共に姿を見せる案を側近が協議しているが、日程は確定していないという。
焦点:トランプ政権誕生ならインフレ再燃、FRBに新たな課題 | ロイター
トランプ前米大統領がホワイトハウスに返り咲いた場合、インフレを抑制する連邦準備理事会(FRB)の取り組みは新たな課題に直面する公算が大きい。FRBは再びトランプ氏の標的となる可能性がある。
輸入品に一律10%の関税を課し、中国製品にはさらに高い税率を課すトランプ氏の計画は、物価を一時的に急上昇させる恐れがある。不法移民を強制送還すれば、賃金が上昇してインフレ圧力が一段と高まるとみられている。
候補者の政策スタンスを反映したオックスフォード・エコノミクスのモデルによると、第2次トランプ政権下では現行の歳出法と政策の下で予想される水準と比べて、コアインフレ率が0.3─0.6%ポイント高い水準でピークを迎える見込み。
一方、民主党候補がバイデン大統領の政策を引き継いだ場合、上振れは0.1─0.2%ポイントにとどまると予想されている。
<政策の影響に大きな違い>
英シンクタンクの公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)の米国議長マーク・ソベル氏は「トランプ氏の経済政策は本質的にインフレを招く」と指摘する。
民主、共和両党の政権下で財務省に在籍した同氏は「関税の大幅な引き上げ、拡張的財政政策、移民の大量送還など、これら全ての要因が相まってインフレ率と金利が高くなるだろう」と述べた。
KPMG USのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏もトランプ氏の関税引き上げと外国人労働者の「大幅な」抑制はインフレを「再燃」させるとし、FRBはおそらく現在の金利水準を「はるかに長期間」維持することになるだろうと予想した。
大統領選で民主党候補に指名されることが確実になったハリス副大統領の通商政策について、TD証券の米国担当チーフ・マクロ・ストラテジスト、オスカー・ムニョス氏はトランプ氏とは大きく異なるとし、インフレと成長予測に大きなリスクにはならないとの見方を示した。
エバーコアISIのアナリストはトランプ氏が勝利した場合、新たな見通しに対してFRBは市場より遅れて反応するとみている。また来年見込まれている利下げの一部を縮小し、2025年終盤の利上げを視野に入れる可能性もあるとしている。
<予測の変化への対応>
米ボストン地区連銀のローゼングレン前総裁は今月、Xへの投稿で、目先の利下げについてもFRBはトランプ氏勝利の可能性を考慮して決定すべきとの考えを示した。
「トランプの勝利が有力視される場合、FRBは現在のデータに基づいて金利を引き下げることが合理的かどうかを検討する必要がある」と指摘。公表している政策が実行されると、インフレショックに対処するために政策を逆転させる必要が生じる可能性があるからだ」と説明した。
これに対し米リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は先週、「将来の政府の行動を予想して政策を策定するのは非常に難しいと思う」と記者団に語った。
パウエルFRB議長は今月議会で、関税引き上げなど将来の政策変更の影響についてコメントすることを控えた。
<インフレは緩やかに上昇か>
オバマ政権で大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたハーバード大学のジェイソン・ファーマン経済学教授は、インフレはゆっくりと変化するとの見方を示した。インフレ率は5%や6%まで上昇することはないが通常よりも高くなり、金融政策も引き締められるだろうと述べた。
大統領選で勝利したトランプ氏が利下げの縮小や撤回に動くFRBにどう対応するかも不確定要素だ。
カリフォルニア大学バークレー校のバリー・アイケングリーン経済・政治学教授は先週ペルーで行われたイベントで、トランプ政権の政策がもたらす副作用にFRBが反対した場合、同氏はFRBの改革に乗り出す可能性があると述べた。
26年5月に次のFRB議長を指名する際に、より従順でインフレ圧力の高まりに厳しく対処しない人物を選ぶこともあり得ると指摘した。
ケイトー研究所の貿易政策専門家スコット・リンシカム氏は「FRBの独立性を弱めようとする試みがあれば、少なくとも何らかの市場の反応が見られるだろう」と述べ、当局者にそうした行動を再考させるきっかけになるかもしれないと語った。
ドル安望むトランプ氏、掲げる政策は自国通貨高をかえって促進か - Bloomberg
ドル安を誘導する米大統領になりたいドナルド・トランプ氏だが、強いドルに基づく政策を有権者に売り込んでいる。
これが、第2次トランプ政権を想定し分析を進めたウォール街のエコノミストらの一般的な見方だ。米国の貿易相手国への関税や、インフレと金利を押し上げる可能性のある減税など、他の条件が同じであれば、ドル高を促すような政策が組み合わされると見込まれている。 
もちろん、2017-20年のトランプ政権では多くの専門家の予測が覆された。共和党から出馬するトランプ氏はポピュリスト的なイメージで同党を完全に変え、オハイオ州選出のバンス上院議員という強いドルへの懐疑論者を副大統領候補に起用した。 
ドル安誘導の簡単なレバーが大統領にはないことを、16年の大統領選を制したトランプ氏は分かっているだろう。
また、今回取り沙汰されているような、米連邦準備制度理事会(FRB)への圧力強化で金利を低く抑えようとしたり、外国政府をけん制してそうした国・地域の通貨を押し上げさせたりすることは、投資家を不安にさせる可能性が高い。
市場が自分の政策をどう判断するかを常に気にしてきたトランプ氏にとって、これは大きなマイナスだ。
TSロンバードのチーフエコノミスト、フライヤ・ビーミッシュ氏は、「トランプ氏と通貨価値の押し下げ(devaluation)の間に立っているのがS&Pだ」と米主要株価指数に触れ、「ドルの価値押し下げに積極的に踏み切れば、世界の金融システムに衝撃が走るだろう」と述べた。
「ビッグな通貨問題」
トランプ氏は大統領として、他国の通貨がドルに対して弱過ぎると非難し、FRBに金融緩和を何度も働きかけた。ホワイトハウスへの返り咲きを目指す今、同氏はブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューで、この問題が依然として最重要課題だと明らかにした。
トランプ氏はフロリダ州パームビーチに自ら所有するゴルフリゾート「マールアラーゴ」でブルームバーグ・ビジネスウィークの独占インタビューに応じた際、米国民に必要な経済とは何かとの質問に対し即座に「ビッグな通貨問題」を挙げた。
同氏は製造業者から「われわれの製品は高過ぎるから誰も買いたがらない」と言われ続けていると語り、外国は輸出で優位に立とうと自国の通貨を「常に弱い」状態に保とうとすると主張。特に日本円と中国人民元の安さへのいら立ちをあらわにした。
インタビューが公表される前にトランプ氏はバンス氏を副大統領候補にして選挙戦を共に戦うと明らかにした。
バンス氏は昨年、パウエルFRB議長に対し、世界の基軸通貨を持つことで一般の米国民がどのような恩恵を受けているのか説明するよう求めた。
モルガン・スタンレーやドイツ銀行などの金融機関は、トランプ氏の大統領選勝利はドルを押し上げる可能性が高いと結論付けている。
トランプ氏が提案した減税の結果、財政が緩めば、FRBは金利を上げ続けなければならなくなり、ドルが上昇する。関税も同様の効果をもたらし、外国製品の魅力を低下させ、貿易相手国の通貨需要を減少させるというのがその主な論拠だ。
とはいえ、ドル高を抑えたいと宣言しているためトランプ氏がどのような策を講じるのか、そして誰にその実行役を託すのか、誰もがその手がかりを探ろうとしている。
トランプ氏と定期的に話をする経済アドバイザーらは、ドルに焦点を絞った通商政策の構想を練っている。その中にはトランプ氏が当選した場合の財務長官候補として名前が挙がっている2人も含まれる。
トランプ政権で米通商代表部(USTR)代表を務めたロバート・ライトハイザー氏は、米国の対外赤字を巡りさまざまな選択肢に前向きだと表明。
ヘッジファンドを運用しトランプ氏の資金調達に貢献したスコット・ベセント氏は、バイデン政権の「フレンドショアリング」政策を拡大し、米国のパートナー国間で段階的なシステムを構築し、ドル安目標の推進に貢献した国には貿易上の優遇措置を与えるとの話をしている。
フレンドショアリングとは、同盟国や友好国に限定したサプライチェーン構築だ。ドルの強さに対抗するため、もっと直接的な方法も幾つかある。
数兆ドル
最も明白な選択肢は、口頭もしくは米財務省がドルを売ることによって、外国為替市場に介入することだ。
同省は5月時点で為替安定化基金に約2060億ドル(約31兆4000億円)を保有。ドイツ銀行のグローバル外為リサーチ責任者ジョージ・サラベロス氏は、効果的な通貨価値押し下げには資本規制の発動だけでなく、「数兆ドル」の売却が必要になると見積もっている。
1985年の「プラザ合意」のように、米国がより広範な国際的な取り決めを主導しようとすることもあり得る。当時、米政府は英国と西ドイツ、フランス、日本の支持を取り付け、相手国の通貨に対してドル安を誘導した。
しかし2024年には、より厳しいハードルが待ち受けている。その一つがグローバル市場の規模が大きくなり、ドルの軌跡に逆らうことが難しくなったことだ。
特に、貿易を巡り米国の同盟国にけんか腰のトランプ氏にとって、この種の結束の再現は容易ではないだろう。そして、合意には参加国の中央銀行の支持が必要だ。
イーブンフロー・マクロの創業者マーク・サマリン氏は「1985年時点では中銀は財務相のニーズにもっと応じていた。今は他国にドル安に協力してもらうには、強制が必要だろう」と述べた。同氏はブッシュ政権(子)で経済政策に携わった。
FRB
米国の中銀であるFRBに威圧を加えるという選択肢もある。政策金利はドルの価値を決定する最も強い要因だ。
「ドルがトランプ氏の政策にどう反応するかを決めるのはFRBだ」と外為市場のベテラン、カーティク・サンカラン氏は指摘。減税や関税、移民規制のどれかがインフレを招くと判明した場合、FRBの一般的な反応は利上げとなり、それがドル高を促進する。
「FRBが利上げに踏み切れないような兆候があれば、ドルは売られるだろう」と同氏は言う。
トランプ氏は言葉でセントラルバンカーをバッシングすることに何のためらいもないことを示したが、それ以上踏み込むことができるかどうかは分からない。
FRBの独立性を抑制するような動きが正式に始まれば、投資家は米国がインフレへの警戒をやめたと判断し、経済と市場に対する信頼が失われる恐れもある。
レバレッジとしての関税
トランプ氏の側近や市場アナリストは、もう一つ選択肢を見ている。関税賦課はそれ自体、ドル高をもたらすかもしれないが、中国などの貿易相手国に自国通貨高を促す強い力として働く可能性もある。
関税のキングだと自称するトランプ氏は、中国製品に50%以上の関税をかけることを提案している。関税の脅威を交渉の切り札として使うことに前向きで、ブルームバーグに関税は交渉の材料になると語った。
ウォール街のエコノミストたちは、トランプ氏が16年以降どのように関税という武器を使ったかを検証している。
サンカラン氏は「トランプ氏がドル安を望むと同時に中国や日本、韓国などがドルの強さに不満を持つような世界であれば、トランプ氏の関税案がアピールできる可能性がある」と分析。
一方、ステート・ストリートのグローバルマクロストラテジスト、ノエル・ディクソン氏は「関税が他国に関与させる十分な武器になるとは思えない。どちらかといえば、貿易戦争を引き起こすだけだ」と指摘した。
基軸通貨
トランプ氏が政権を奪還した場合のドルの問題は、為替レートだけではない。選挙キャンペーンで発表された20の公約の13番目は「ドルを世界の基軸通貨として維持する」というものだ。1945年以後、ドルは世界共通通貨に最も近い存在であり、敵味方双方にとっての基軸通貨だ。
しかし最近では、ドルを介さず国際ビジネスを行う方法が模索されている。その背景には、ロシアや中国といった米国に敵対する国が、自国経済を制裁の対象外に置く方法を探っていることがある。
インドや湾岸アラブ諸国のような同盟国も、ドルではなく自国通貨での貿易拡大に関心を示している。急成長する新興国グループBRICSでは、こうした議論が展開されている。
トランプ氏はこの問題を注意深く見ており、このあたりは基軸通貨としての地位のマイナス面を指摘するバンス氏と異なる点かもしれない。
トランプ氏は3月、「私は各国がドルから離脱するのを嫌う」とCNBCに語った。「各国がドルから離脱することを許さない」というのがトランプ氏の立ち位置だ。
トランプ節も封印か、ハリス氏で番狂わせ-人種・性差別ならアウト - Bloomberg
ハリス氏に向けられた辛辣(しんらつ)な言葉は、大統領候補の指名が今や確実となった同氏の出現が、2024年大統領選にとっていかに番狂わせの展開だったか物語る。トランプ氏陣営はバイデン氏の年齢や移民問題、経済運営の実績に疑問を呈し、対決を準備していた。7月終盤の今回の交代劇でトランプ氏陣営は不意を突かれ、メッセージを書き換えざるを得なくなった。
ハリス氏が民主党の大統領候補になることで、選挙地図も塗り変わる。ジョージア州の黒人有権者はハリス氏に熱意を示し、民主党にとって有利に働くとアブラモビッツ氏は分析する。バイデン大統領は20年に同州で勝利を収めたが、何十年も共和党の牙城だった。
ペンシルベニア州のシャピロ知事やアリゾナ州選出のケリー上院議員、ノースカロライナ州のクーパー知事のいずれかが、ハリス氏の伴走者である副大統領候補に決まれば、激戦州でさらに支持が集まると期待される。
NPR/PBSニュース/マリストの最新世論調査によれば、ハリス氏とトランプ氏は統計上は互角だが、無党派層の5人に1人が「投票先を決めていない」と回答しており、ハリス氏が新たな支持を獲得する兆候も見て取れる。バイデン氏が撤退を決断する前の割合は4%にとどまっていた。
バイデン氏がもはや再選を目指さない今の方が、黒人有権者は投票に出向く可能性が高いことも分かった。
重要な激戦州の有権者を奪い合う両陣営の計算がこれで変わるかもしれない。トランプ氏陣営は、バイデン氏への熱気を欠く状況が低い投票率につながると期待し、共和党支持層にアピールしつつ黒人男性やヒスパニック系のコミュニティーに支持を広げる戦略を描いていた。
そうした目標の達成は今や難しくなった恐れがある。ハリス氏陣営のジェニファー・オマリー・ディロン選挙対策委員長は、全有権者の7%が投票先をまだ決めておらず、ハリス氏への支持を説得できるのではないかと最新の内部文書で指摘した。
【コラム】トランプ氏が「新生」ハリス氏を恐れる理由-ヘンダーソン - Bloomberg
ハリス氏、国家安全保障問題で「中心的存在」=米国防長官 | ロイター
ハリス氏、トランプ氏との違い明確化 経済政策や銃規制巡り | ロイター
ハリス米副大統領は25日、アメリカ教員連盟(AFT)の会合で演説し、労働者の権利強化を訴えるとともに、学校での銃乱射事件発生後も銃規制に消極的な共和党への批判を展開した。共和党の大統領候補であるトランプ前大統領との相違点の明確化を図った。
ハリス氏は「今日、われわれは2つの全く異なる国家ビジョンの選択に直面している。1つは未来に焦点を当て、もう1つは過去に焦点を当てている。そしてわれわれは、未来のために戦っている」とし、トランプ氏は「すでに誤りが証明されたトリクルダウン(富裕層が豊かになれば低所得層にも効果が波及すること)政策や労働組合の破壊、富裕層への減税などにより、わが国を過去に戻そうとしている」とした。
AFTは今週、ハリス氏への支持を表明した。
また、民主党政権を中心とする40人以上の司法省元高官が、ハリスへの支持を表明した。
ロレッタ・リンチ元司法長官などは書簡で「トランプ前大統領は、米国や同盟関係、民主主義の未来に重大なリスクをもたらしている。大統領として彼はたびたび法の支配を無視した」と指摘した。ロイターが書簡を確認した。書簡についてはNBCニュースが最初に報じた。
また、関係筋が25日に明らかにしたところによると、オバマ前大統領はハリス氏と定期的に連絡を取っており、近いうちハリス氏を民主党の大統領候補として推薦する。
米紙ニューヨーク・タイムズとシエナ大学が25日公表した調査によると、トランプ氏の支持率が48%、ハリス氏が46%だった。
ハリス氏は「子なし」と過去に中傷 共和バンス氏に批判 - 日本経済新聞
米国旗焼却は「卑劣な行為」、ハリス氏が親パレスチナ抗議者を非難 | ロイター
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
英中銀、国債市場混乱時のレポ制度発表 保険会社・年金基金向け | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)は24日、英国債市場が深刻な混乱に陥った際に、保険会社や年金基金が英国債を担保に中銀からキャッシュを調達できる新制度の詳細を発表した。
新制度の名称は「コンティンジェント(不測の事態)ノンバンク金融機関レポファシリティー(CNRF)」。今年第4・四半期から申請の受け付けを開始する。
同国では2022年、トラス元首相が打ち出した「ミニ予算」を受けて国債市場が混乱し、中銀が介入を迫られた。今回の新制度は今年3月と昨年9月に中銀が概要の一部を明らかにしていた。 
新制度はLDI(債務主導型投資)ファンド、年金基金、保険会社が利用できる。「英国債市場の深刻な機能不全が英国の金融安定のリスクになると中銀が判断した場合に発動される見通し」としている。
制度の利用に際して支払う金利は、政策金利に一定のスプレッドを上乗せする形で設定する。平常時に割高だが、市場の混乱時には魅力的な水準に設定するとしている。
ECBは利下げ可能なはず、データが今の路線通りなら-独連銀総裁 - Bloomberg
FRB、7月利下げ観測一段と後退 9月開始 GDP統計受け | ロイター
為替介入、まれな「例外的な状況」のみに容認=米財務長官 | ロイター
●先進国、グローバル、金融市場
米新規失業保険申請、1万件減の23.5万件 予想以上に減少 | ロイター
独IFO業況指数、7月は87.0に低下 悲観的見方広がる | ロイター
アングル:円急騰の裏には誰が、深読みする市場 介入の疑心くすぶる | ロイター
外為市場ではこの2週間、歴史的な円安から一転して円買いが進んでいる。日米金利差の縮小観測を材料に、投機筋が過去最大規模の円売りポジションを巻き戻しているため、との見立てが多い。
こうした中、政府・日銀による「小規模・小刻みな円買い介入」の可能性を意識する参加者もいる。現実性には疑問符がつくものの、一方的な円高進行でそれだけ市場心理が揺れている証しともいえ、目先は思惑が増幅する形で、円の戻り高値を試す展開になりそうだ。
<米CPIと介入、円売りドミノ倒しの様相>
161円台と38年ぶり高値圏を推移していたドル/円が急変したのは、7月11日の海外市場。米消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、ドル/円が下落する中で円買い介入と見られる巨額売りが下げを加速し、157円台まで1日で4円を超える急落となった
この円の急伸が、積み上がっていた円売りポジションを相次ぎ飲み込み、大規模な巻き戻しに発展する。その過程では、トランプ前大統領が「円安」と名指ししてドル高に不快感を示した、自民党の茂木敏充幹事長が利上げに言及したといった報道、日経平均の大幅な下げなどが「円の買い戻しにさらなる口実を与えた」(トレイダーズ証券市場部長の井口喜雄氏)という。
円買いが活発化する土壌は十分に整っていた。米商品先物取引委員会(CFTC)がまとめたIMM通貨先物の非商業部門の取組状況によると、投機の円売りは今月に入り、2007年に記録した過去最大に匹敵する水準まで積み上がっていた。
ドルは25日の東京市場で152円台まで下落し、2か月半ぶり安値を更新した。金利差収入を狙う円キャリートレードに伴う円売りは対米ドル以外にも広がっていたため、巻き戻しも広範で、豪ドルは3カ月ぶり、ユーロが2カ月半ぶり、英ポンドとスイスフランが2カ月ぶりの安値を相次ぎ更新した。
<「介入ではないと言い切れない」>
参加者の間でもうひとつ、円買いを誘う要因としてささやかれているのが、継続的な円買い介入への思惑だ。
直近では、日銀当座預金残高に介入と見られる大きな変動があったのは7月11日と12日の2日間のみだが、それ以外で「小規模の介入が行われていないとは言い切れない」(国内銀関係者)との見方がくすぶる。
介入がその後も行われているような形跡は、現在の市場には見当たらない。それでも払しょくされない疑念の根底には、特段の手掛かりがない中で、円高圧力が突発的に高まる局面が多いことがある。特に今週は、東京市場の日中に材料が見当たらないまま、円がじり高となるケースが少なくない。持ち高調整か小口の介入か、背景不明の変動そのものが、市場に不安心理を与えている。
同時に、介入の陣頭指揮にあたる神田真人財務官が「市場の裏をかく巧妙な手法」(外銀幹部)で動いていると見られることも、多くの参加者の疑心を焚きつけている要因だ。これまでの介入と見られる動きは、ロンドン、ニューヨークと市場も時間もいとわず、経済指標の発表直後から円相場に値動きがない最中まで、タイミングもさまざまだった
日本総研調査部副主任研究員の松田健太郎氏は、神田財務官の介入手法は不規則で予測しづらいケースが多いと評する。そのため「例えばきょうも手掛かりに乏しい中で円高が進行しており、小口の介入は可能性としてあり得る」といい、「そもそも、市場参加者にそう思わせることに成功している時点で、当局は目的を達成しているとも言える」と話している。
現在はブラジルで主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議、20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議が開催中だが、こうしたイベント中でも介入実施の障害にはならない、との声も市場で出ている。
米ワイン大手ビンテージが破産法適用申請、飲酒習慣変化で打撃 | ロイター
円の突然の急伸、市場全体に「広範なポジション清算」呼び起こす - Bloomberg
円の急伸は世界の市場を動揺させ、中国人民元も連れ高となった。投資家がレバレッジを効かせたポジションを見直す中、日本株や金、ビットコインなど幅広い資産が売られた。
円は25日、対ドルで2カ月以上で最高にまで上昇したが、これは日米の金利差が縮小する可能性が高いとの見方が急速に高まっていることを反映している。円高は日本の輸出企業に打撃を与えるとみられることから、日経平均株価はテクニカルな調整に陥った。人民元は約1カ月ぶり高値まで上昇し、オーストラリア・ドルなどはキャリートレードの人気後退で打撃を受けた。
金と仮想通貨ビットコインも下落。円を買うためにトレーダーがこれまで人気の高かったポジションを解消している兆候がみられる。
キャピタル・ドット・コムのシニア市場アナリスト、カイル・ロッダ氏は「円のショートスクイーズによって、事実上、大規模なレバレッジ解消が起こっている。さまざまな市場で、広範なポジションが清算を余儀なくされている」と述べた。
人工知能(AI)への熱狂が冷めつつある兆候が既に市場を揺るがしている中で、突然の円高は世界の資産にとって新たな変動要因だ。円は対ドルで、今月付けた数十年ぶりの安値から6%以上上昇している。ただ、円の勢いは来週、米国からの最新データや日本銀行の政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合によって試されることになるだろう。
日本のような低利回り国で調達した資金をメキシコ・ペソやオーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドルのような高利回り通貨で運用する世界的なキャリートレードが大幅に後退したことが、円復調の背景にある。米連邦準備制度理事会(FRB)が早ければ9月にも利下げを実施するとの見方が強まっていることも主な要因だ。
ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのマクロストラテジスト、ユーティン・シャオ氏は、円高によって「他のアジア通貨、特に韓国ウォンやオフショア人民元などの北アジア通貨が下支えされている」と述べた。「キャリートレードの巻き戻しにより、来週の日銀会合に向けて円高が続く可能性がある」とも語った。
スワップ市場では、31日に日銀が利上げを実施する確率が、今週初めの44%から75%に上昇している。
ボラティリティー上昇
クリス・ターナー氏らINGのストラテジストは25日のリポートで「円ショートの巻き戻しが世界的なリスクオフ環境の理由となっていることは間違いない。今後数日間のデータやイベントがドル・円相場にさらなる下落リスクをもたらすだろう」と指摘した。
リスク資産に対する警戒感の高まりを反映し、ビットコインは25日に3%以上下げ、MSCIアジア太平洋指数は2%近く下落した。安全資産だがレバレッジを効かせた取引の対象でもある金は約1%下落。
為替市場では、オフショア人民元が対ドルで0.8%上昇し、中国人民銀行(中央銀行)が金融緩和を強化したにもかかわらず円高の恩恵を受けた。対照的に、今まで人気のあった豪ドルとメキシコ・ペソは売られた。
ブルーエッジ・アドバイザーズでマーライオン・ファンドの運用に携わるカルビン・ヤオ氏は、「夏は気温は高いが流動性は低い。円高が止まらなければ、巻き戻しがクロスアセットでの清算につながる」と話す。これは「ボラティリティーの上昇を招き、エクスポージャーが膨張したボラティリティー・コントロール・ファンドが売りを強いられることなるだろう」と話した。
米GDP、第2四半期+2.8%に加速 個人消費堅調 インフレ圧力緩和 | ロイター
世界金融市場の人気トレード総崩れ、「ばかげた水準」到達で巻き戻し - Bloomberg
ギャブカル・リサーチのルイス・ビンセント・ゲーブ最高経営責任者(CEO)は、「バリュエーションをばかげた水準まで押し上げた人気トレードの巻き戻しが始まっているようだ」と顧客向けリポートに記した。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフ・エコノミスト、トルステン・スロック氏は25日に顧客に対し、「景気が減速し始める場合、減速のスピードが重要になる。より速いペースの減速なら、企業収益にマイナスとなることが示唆され、株式とクレジット市場での売りが強まるだろう」と述べた。
再考を迫られた大前提とこれに伴う顕著な市場の動きを以下にまとめた。
国債市場
債券市場では、こうした世界的な成長見通しの悪化で利下げ観測が強まっている。金融政策が過度に引き締まっていることへの懸念から、投資家は短期の証券を購入。借り入れコストが下がる前に行動している格好だ。
25日には米2年債利回りが10年債利回りを一時わずか12ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る水準まで利回り差が縮小。2022年半ば以来、逆イールド解消に最も近づいた。
来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利下げが実施される確率は極めて低いが、市場は年内のより大幅な利下げを織り込みつつある。
こうしたリプライシングは円の押し上げにもつながっている。円は過去2年にわたり、米金融引き締め政策の大きな犠牲者となってきた。円は今月に付けた安値から一時約6%上昇し、主要10通貨で最大の上げを演じた。
投資家はこれまで、メキシコ・ペソやオーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドルといった利回りの高い通貨への投資資金を調達するために、利回りの低い円で借り入れることを好んできた。しかし今は、日本銀行と他国・地域の中央銀行の政策金利差が縮まる見通しの中、変化が起きつつある。
株式市場
米欧の株式市場は今年、インフレが制御されつつあることから、米金融当局が年内に金融緩和政策にかじを切り、リセッション(景気後退)を回避することが可能になるとのコンセンサスに導かれてきた。
5月中旬までに、ストックス欧州600指数は過去最高値を記録し、投資家に年初来で12%のリターンをもたらした。S&P500種株価指数は最も直近で7月16日に最高値を更新。ハイテク株がけん引役となった。
今では多くの投資家が、インフレが沈静化しているだけでなく、景気が弱くなり過ぎているとして、米金融当局は後手に回っているとみている。中国は景気が低迷する中、既に金融緩和を実施している。
そのため一部市場関係者の間では、米金融当局が近く利下げに踏み切らなければ、今後さらに大幅な引き下げを余儀なくされる可能性があるとの予測も浮上している。
S&P500種構成企業では、ほぼ3分の1がこれまでに第2四半期決算を発表。経済成長の鈍化が顕著になりつつある売上高の数字にますます注目が集まっている。ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによると、売上高が予想を上回った企業は全体のわずか43%で、このまま行けば5年ぶりの低水準となる。
AIを巡る熱狂ももはやそれほどポジティブなものではなさそうだ。投資家は今週、グーグルの親会社アルファベットがAIにどれだけの資金を投じているのかに驚かされた。しかし収益面でその成果はまだほとんど表れていない。
金属
需要とテクノロジー業界に対する悲観論の高まりは金属市場にも波及している。
銅相場は5月中旬に最高値に達して以降、約20%の下落となった。アルミニウムは今週、4カ月ぶり安値を付けた。
生活費高騰、食品や自動車メーカーの業績を直撃-高級品販売も不振 - Bloomberg
新型コロナ禍後のリベンジ消費が世界的に後退しており、企業の売上高と利益を直撃し始めている。
食品メーカーや航空会社、自動車メーカー、高級住宅に至るまで、その影響を示す証拠は山積している。米国の食料品店の買い物客がインフレで疲弊しているのか、中国の富裕層が次の買い物を先延ばしにしているのかにかかわらず、その影響は企業全体に波及している。
世界最大の食品会社ネスレは25日、通期売上高見通しを下方修正した。ユニリーバは売上高が予想を下回り、「ジープ」ブランドを所有するステランティスは利益が急減。24日には米家電メーカーのワールプールが業績予想を下方修正した。
ネスレのマーク・シュナイダー最高経営責任者(CEO)は電話会見で、「消費者は値打ちのあるものを求めている。当社は圧力を感じ続けており、消費財セクターの他の企業も同様のことを報告している」と述べた。
生活費高騰という危機で、買い物客はより安いブランドに買い換えざるを得ず、消費財大手は従来の顧客を呼び戻すのに苦労している。クーポンを提供するウェブサイト、セービングス・ドットコムが米国の人口動態を反映した1000人を対象に最近実施した世論調査によると、買い物客の約80%が食料品への支出を減らしている。
コロラド州オーロラに住む30歳の大学生、ダン・コトウスキさんがそうだ。オーガニックの鶏胸肉をやめ、会員制量販店サムズ・クラブに月に1度買い物に行き、2ポンド(約900グラム)のチキンソーセージと卵白、牛乳、ブルーベリー、ほうれん草を買い込み、冷凍保存するようになった。
コトウスキさんは「生活費は天文学的な数字で、特に食料品にはそう感じている」と語った。
米国の消費者はインフレと金利上昇に対して全般的に耐性があるが、支出方法を選択し、価値のあるものを求めている。ウォルマートやターゲットなどの小売業者はここ数カ月、消費者の財布のひもはまだ緩んでおらず、広範な消費状況は依然として厳しいと述べている。
家電ブランド「メイタグ」を所有するワールプールは、通期ガイダンスを下方修正した際、住宅市場の低迷や経済への悲観的な見方、米大統領選挙を巡る暗い見方がある中、買い物客は高価な買い物を控えていると指摘。北米における主要家電製品の売り上げは、直近の四半期で5.7%減少したと明らかにした。
「フィアット」や「プジョー」などのブランドを所有するステランティスも、高価な買い物を敬遠する動きから打撃を受けた。同社は25日、上半期の売上高急減を発表し、株価が下落。利益はほぼ半減した。
ステランティスのナタリー・ナイト最高財務責任者(CFO)は電話会見で、「ダッジ・チャージャー」など米国から撤退したモデルを再導入し、顧客を取り戻すと発言。特に新製品を投入する際に「段階的な価格調整」を行う可能性が高いと述べた。
フォード・モーターとテスラも今週、期待外れの決算を発表。ポルシェはサプライチェーンの乱れを警告した。
ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)やフェデックスのような宅配業者は、コロナ禍の消費ブームが下火になって以来、宅配サービスの取扱量の減少に悩まされてきた。しかし、これらの企業が目の当たりにしているのは、消費者の購買意欲低下ではなく、より安価な買い物へのシフトだ。
UPSは最近、格安通販「SHEIN」のタンクトップを入れたペラペラのバッグや「Temu」のネコ用おもちゃなど、軽量で利益率の低い商品が配送網で氾濫しているのに気づいた。キャロル・トメCEOは23日のアナリスト会議で、第2四半期に電子商取引の量が「爆発的に増加した」と述べた。
宅配業者にとって、このサプライズは必ずしも歓迎すべきものではない。高価格帯の荷物を狙う戦略は、安価な商品を求める消費者の飽くなき需要に圧倒されている。
外食産業では客足の減少により、チェーン店が需要喚起のためにキャンペーンを開始し、ファストフードは高過ぎるとの認識の転換を図っている。チポトレは24日、直近四半期に売り上げが8%増加したと発表。人気メニュー「チキン・アル・パストール」の復活のような期間限定キャンペーンが、より迅速なサービスと連動して客足を促進したためだ。
苦しむ消費者
ペプシコのラモン・ラグアルタCEOは決算説明会で「米国では困難な状況下にある消費者がいることは明らかだ」と述べた。
リベンジ旅行も減少傾向にある。格安航空会社ライアンエアー・ホールディングスは消費者がより慎重になるにつれて夏季の旅行期間の運賃が下がると発表。株価はコロナ禍の初期以来の急落となった。先週には、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスが航空券価格を引き下げるため、第3四半期の利益はウォール街の予想を下回ると発表していた。
高級品の不調
消費後退は節約志向の買い物客に限ったことではない。
フランスの高級品ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは期待外れの決算となった。中国での高級品需要が冷え込んだことが一因。
ドイツのヒューゴ・ボスから英バーバリー・グループまで、高級品を扱う他の企業も中国需要の影響で売り上げが伸び悩み、利益見通しを下方修正した。バーバリーはジョナサン・アクロイドCEOを更迭し、上半期の赤字の可能性を警告した。
ポルシェのオリバー・ブルーメCEOは24日の決算発表で、「高級車セグメント全体が圧力を受けている」と発言したが、値下げは計画していないと付け加えた。同氏によれば、ポルシェの中国販売パートナーは高級車セグメントについて、「復活する可能性はあるが、いつ、どのように復活するかは誰にも分からない」と語っている。
銀行決算に高い期待、日銀利上げの影響浸透-日本株高の原動力にも - Bloomberg
損保、純投資の共通基準作成へ 政策株ゼロへ透明性確保 - 日本経済新聞
●中東情勢
●エマージング
韓国が減税案、株式市場活性化へ相続税引き下げ 少子化対策も | ロイター
西アフリカにロシアが浸透 「政変ドミノ」の果てに 編集委員 久門武史 - 日本経済新聞
●プロファイ、インフラ、自然災害
カナダ西部で山火事広がる、避難地域拡大 石油生産に影響懸念も | ロイター
カナダ西部ブリティッシュコロンビア州とアルバータ州で山火事が広がり、避難対象地域が拡大している。原油生産に及ぼす影響も懸念されている。
山火事はブリティッシュコロンビア州で433件、アルバータ州ではオイルサンドの主要生産地であるフォートマクマレーの10件以上を含め176件に上っている。
州当局によると、ブリティッシュコロンビア州では今週、5万8000件以上の落雷があり、新たな山火事が多数発生した。
23日にはアルバータ州の人気観光地ジャスパーとその周辺に山火事が迫り、住民や観光客を含む約2万5000人が避難を余儀なくされた。
同州とバンクーバーを結ぶ石油パイプライン、トランス・マウンテン・パイプラインは24日時点で、引き続き安全に操業しているという。
インペリアル・オイルは、フォートマクマレーの北約70キロに位置するオイルサンド生産拠点で、予防措置として人員体制を縮小したことを明らかにした。
現時点で操業に直接的な影響はなく、引き続き状況を注視していくとした。
独フランクフルト空港、環境活動家の妨害で一時運航停止 その後再開 | ロイター
カナダ西部で山火事続く、国立公園などに壊滅的打撃の恐れ | ロイター
●小ネタ
渋谷サクラステージ、岸田文雄首相「新興支援の拠点に」 - 日本経済新聞
NTT西日本など8強入り、2023年優勝のトヨタ敗退 都市対抗野球 - 日本経済新聞
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●市況
NY市場サマリー(25日)円が一時2カ月半ぶり高値、長期債利回り低下 株まちまち | ロイター
<為替> 円が一時2カ月半ぶりの高値を付けた後、伸び悩んだ。日銀が来週開く金融政策決定会合が注目されている。会合では追加利上げの要否について議論する見通しという。
終盤の取引でドル/円は153.84円。円は週初から2.4%値上がりしており、週足で4月下旬以来最大の上げを記録する勢い。円キャリートレードの巻き戻しに加え、このところの世界株安を受けて安全資産とされる円やスイスフランへの投資妙味が増していた。
<債券> 長期債利回りが低下した。24日の株価急落を受けて質への逃避先として債券が大きく買われた。
この日発表された米経済成長指標では、成長率は前四半期から加速したことが示された一方、インフレ圧力は和らぎつつあり、米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ観測は揺らがなかった。
10年債利回りは2.8ベーシスポイント(bp)低下の4.258%。30年債利回りは4.9bp低下の4.5%となった。
短期ゾーン金利は前日の低下から上昇に転じ、2年債利回りは2.5bp上昇の4.441%となった。
2・10年債の利回り格差は、マイナス18.5bp。一時、マイナス11.3と10月23日以来の最小の逆転幅を記録した。
CMEのフェドウォッチツールによると、市場はFRBが7月30─31日のFOMCで少なくとも25bpの利下げを行う公算は低いとの見方を織り込んでいるが、9月の利下げは完全に織り込んでいる。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が不安定な取引の中、下落して終了した。ダウ工業株30種は米国の第2・四半期GDPの伸びが予想を上回ったことが支援要因となり、プラス圏で引けた。
大型株からのシフトを背景に小型株も上昇。ラッセル2000指数は1.3%高と前日の下げの一部を取り戻した。S&P小型株600指数は1.4%高。
超大型ハイテク7銘柄「マグニフィセント・セブン」の中で最初となった両社の決算がさえず、前日はこれらの株が軒並み下落し、ナスダックとS&Pは2022年以降で最悪のパフォーマンスを記録していた。
<金先物> 利益確定の売りが台頭し、3営業日ぶりに反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比62.20ドル(2.57%)安の1オンス=2353.50ドルと、今月2日以来約3週間ぶりの安値に沈んだ。
<米原油先物> エネルギー需要への期待が高まる中を買われ、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物は前日清算値(終値に相当)比0.69ドル(0.89%)高の1バレル=78.28ドルだった。10月物は0.53ドル高の77.11ドル。
欧州市場サマリー(25日) | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。今年上半期の利益が予想を上回った日用品ユニリーバやブリティッシュ・アメリカン・タバコの買いが優勢でFTSE100種指数を押し上げた。金価格の値下がりを受けて貴金属株は売りが優勢だった。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。メディアやテクノロジー、自動車などで決算の下振れが相次いで発表されたことを受け、業績悪化への懸念から投資家がリスク回避の姿勢を強め、売り注文が優勢だった。
STOXX欧州600種メディア株指数は2.99%下落。米大手音楽会社ユニバーサル・ミュージック・グループが23.5%安と急落。第2・四半期決算のストリーミングとサブスクリプション収入が予想を下回ったとの発表を受け、売りが膨らんだ。
テクノロジー株指数は2.75%安。オランダの半導体部材のBEセミコンダクターは14.1%安と大幅下落。第3・四半期の売上高見通しが市場予想を下回ったことが嫌気された。通期の売上高と利益率の見通しを下方修正した欧州半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクスも13.7%下げた。
自動車・部品株指数は1.68%安。上半期決算が予想を下回ったステランティスは8.7%下落。ルノーは7.5%安。企業連合を組む日産自動車の通期見通し大幅引き下げを受け、売りが膨らんだ。
STOXX欧州高級品株10種指数は1.68%下落。フランスの高級ブランド「グッチ」を抱えるケリングは、第2・四半期決算の売上高が予想以上に落ち込んだことなどから売りが優勢となり、7.5%下落した。
欧州株式市場:
<ユーロ圏債券> ドイツ2年債利回りが2月以来の低水準を記録した。軟調な経済指標を受け、欧州中央銀行(ECB)による金融緩和サイクルの加速への期待が高まり、長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」の幅は6カ月ぶりの小ささとなった。
ドイツ2年債利回りは、3.5ベーシスポイント(bp)低下の2.69%。一時、2.365%と2月初旬以来の低水準を付けた。
ドイツ10年債利回りは3bp低下の2.41%となった。ドイツ2年・10年債利回り格差はマイナス26.5bp。取引序盤ではマイナス23.3bpと、1月以来の水準に縮小した。
短期金融市場は、ECBによる50bpの利下げを完全に織り込んでいる。年末までに3回目の利下げが実施される確率は10%未満。
独仏10年債利回り格差は71.70bpに拡大し、フランス国民議会(下院)総選挙以来の高水準となった。

備忘録(2024/7/24
●雑感
●決算
AT&Tが決算受け上昇 携帯加入者が予想を遥かに上回る水準で増加=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
AT&T<T>が上昇。取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益は予想範囲内だったものの、売上高は予想を若干下回った。通期のガイダンスも公表し、1株利益、EBITDAの見通しを維持した。
ただ、携帯の加入者数が41.9万件の純増と予想を遥かに上回る水準で増加したことが好感されている。これは8四半期ぶりの増加で、解約率も0.7%に留まったという。新規顧客と既存顧客に同じキャンペーンを提供するマーケティングが奏功したとしている。
同社によると、高速光ファイバーの顧客の40%近くが携帯電話サービスも契約しているという。スタンキーCEOは声明で「顧客は家庭でも職場でも外出先でもシームレスに接続できる1つのプロバイダーをますます求めるようになっている」と述べた。
TIが上昇 決算は概ね予想範囲内も、今後の回復への期待を示唆=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
テキサス・インスツルメンツ(TI)<TXN>が上昇。前日引け後に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、売上高は予想範囲内だったものの、1株利益は予想を上回った。第3四半期のガイダンスも公表し、概ね予想範囲内の見通しを示している。
ただ、株価はポジティブな反応を示している。アナリストは「第2四半期は概ね予想範囲内だったものの、株高への確信は高まっている。多くのシグナルが、同社の利益が今後2-3四半期以内に元に戻る準備が整っていることを示唆している」と述べた。
同社は過剰在庫を抱えた顧客からの受注鈍化により成長が阻害されていたが、今回のガイダンスで、受注が再び増加するのではとの楽観的な見方も広がっているようだ。
イランCEOは「中国で電子機器メーカーが未使用部品の在庫処理を終え、成長軌道に戻った」と述べた。欧州と日本はまだその過程の初期段階にある。同社の顧客は約半数が依然在庫削減を進めているが、残りの半数はすでに受注増に戻っているという
仏レミー・コアントロー、4─6月売上高が予想より大幅な減少 | ロイター
フランスの酒類メーカー、レミー・コアントローが24日発表した第1・四半期(4─6月)決算は、売上高の減少が予想より大幅だった。
買収を除くオーガニックベースの売上高は15.6%減で、アナリスト予想の13.6%減よりも大幅な減少となった。通期ガイダンスは据え置いた。
同社はこれまでに、コニャックの2大市場である米国と中国での不振で上半期の業績は厳しくなると警告していた。コニャックはレミーの売り上げの約70%を占める。
ただ、コニャック部門の売上高の12.2%減はアナリスト予想ほど深刻ではなかった。リキュール・蒸留酒部門は20.4%減で予想の2倍超のマイナスだった。
米国ではコニャックの需要減退による小売り・卸売り業者の在庫調整、競合他社の積極的なプロモーションなどでより厳しい状況に置かれている。
高インフレを背景とした欧州での売上減、東南アジアでの需要後退、中国での在庫調整も打撃となった。
ドイツ銀、第2四半期は4年ぶり赤字に転落 多額の訴訟引当金で | ロイター
第2・四半期決算は、傘下ポストバンクを巡る訴訟の長期化を受けて13億ユーロ(14億1000万ドル)の引当金を計上した結果、1億4300万ユーロの純損失と、4年ぶりの赤字となった。
クリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)の下で進めてきた経営再建により15四半期連続で黒字を確保してきたが、収益悪化を余儀なくされた。
ただ、アナリスト予想の約2億8000ユーロの損失よりは小幅な赤字にとどまった。前年同期は7億6300万ユーロの黒字だった。
同行は通年の貸倒引当金見通しも引き上げた。
それでもなお、ゼービングCEOは2025年業績と株主還元の目標を達成する見込みと強調した。
ドイツ銀は金融危機時に買収を開始したポストバンクを巡り、支払い額が少な過ぎるとして提訴されており、訴訟が長期化している。同行は4月、過少支払いの主張には強く反対し続けるとしながらも13億ユーロの引当金を計上すると発表。これは市場にサプライズとなり、株価が急落していた。
第2・四半期の部門別では投資銀行部門が稼ぎ頭となり10%の増収を確保。予想と一致した。対照的に、リテール・コーポレートバンキング部門は減収となった。
BNPパリバ、第2四半期利益が予想上回る トレーディング好調 | ロイター
第2・四半期決算は純利益が予想を上回った。
株式トレーディングが急増し投資銀行部門が大幅な増収となった。一方、国内リテール部門は純金利収入(NII)が急減した。
第2・四半期の純利益は報告ベースで前年同期比21%増の34億ユーロ(36億9000万ドル)と記録的な高水準。同行がまとめた市場予想の平均(29億1000万ユーロ)を上回った。
連結収入は約8%増の123億ユーロ。市場予想の119億ユーロを上回った。貸倒引当金は7億5200万ユーロと、予想を下回った。
株式、プライム・ブローカレッジ・サービスが58%の増収となったことが業績に寄与した。
投資銀行部門全体の収入は前年同期比12%増の44億8000万ユーロ。
同行は市場の活動に伴う年間収入が2021─25年に平均7.5%以上増加するとの見通しを示している。
フランスでは今年、同社がグローバルコーディネーターを務めたエクソセンス、プラニスウェアが上場するなど、新規株式公開(IPO)が徐々に復活している。
第2・四半期の債券・為替・コモディティー(FICC)部門のトレーディング収入は7%減。特にコモディティーの需要が後退した。
リテール部門はフランスのNIIが11%減少したことが響いた。
今年はNIIの増加が銀行の大きな収益源となってきたが、アナリストは欧州中央銀行(ECB)の利下げでNIIが鈍化するとの懸念を示している。
通期目標は据え置いた。収入の目標は昨年の分配可能収入との比較で2%以上の増加。連結純利益の目標は112億ユーロ以上。
サンタンデール銀行20%増益、4〜6月 欧州や南米が好調 - 日本経済新聞
スペインの金融最大手サンタンデール銀行が24日発表した2024年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比20%増の32億700万ユーロ(約5350億円)だった。欧州や南米で金利収入が伸びた。
純金利収入は9%増の114億7400万ユーロだった。預貸の利ざやを示す純金利マージンが2.89%と、前年同期の2.73%から上昇した。利下げによる預金金利の引き下げ効果が出た南米や、欧州中央銀行(ECB)による利下げが1回にとどまったスペインなどの業績が改善した。
24年通期の収益見通しについては、前年比の増加率を1ケタ台半ばから1ケタ台後半に引き上げた。24日の欧州株式市場でサンタンデール銀行の株価は、一時前日比3%高となった。
サンタンデール銀行のアナ・ボティン会長は「当行の規模や多角化が、持続可能で収益性の高い成長をもたらし続けている」とコメントした。
仏高級品ケリング、下期利益は大幅減見込む-グッチ立て直し難航 - Bloomberg
仏高級品メーカー大手ケリングは24日、今年下期の利益が急減するとの見方を示した。高級品に対する需要が冷え込んでいるほか、主力ブランド「グッチ」の業績立て直しが難航していることが背景にある。
収益の重要指標である営業利益が下期に前年同期比およそ30%減少する可能性があると明らかにした。グッチの4-6月(第2四半期)既存店売上高は19%減少し、市場予想以上の落ち込みとなった。
傘下の主要ブランドで4-6月にプラスを確保したのはボッテガ・ヴェネタのみだった。ケリング全体では、上期の営業利益が42%減の15億8000万ユーロ(約2600億円)となった。
ケリングの米国預託証券(ADR)は一時9.1%下落した。
高級ブランド業界は需要減退に見舞われており、足元ではこれまで相対的に底堅さを維持してきた仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンにも痛みが広がっている。
伊ウニクレディト16%増益、4〜6月 手数料収入が拡大 - 日本経済新聞
イタリア金融大手ウニクレディトが24日発表した2024年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比16%増の26億7900万ユーロ(約4450億円)となった。
純手数料収入が10%増の21億2000万ユーロとなった。イタリアでの顧客からの預かり資産の増加で投資手数料が伸びたほか、アドバイザリー業務からの収入も拡大した。純金利収入は2%増の35億6500万ユーロだった。貸出金利が上昇した。
24年通期の見通しについては、純収益を230億ユーロ超へ小幅に上方修正した。純利益は85億ユーロ超で据え置いた。
アンドレア・オーセル最高経営責任者(CEO)は「投資が目に見える成果を上げ始めたことで、手数料収入の大幅増を実現できた」とコメントした。
フォード、4─6月利益が予想大きく下回る 品質問題やEV部門赤字で | ロイター
[APH] アンフェノール 2Q増収増益 売上高18%増36.0億ドル、営業益13%増6.98億ドル、配当0.165ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[GD] ゼネラルダイナミクス 2Q増収増益 売上高18%増119億ドル、営業益20%増11.5億ドル、EPS3.26ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NEE] ネクステラエナジー 2Q減収減益 売上高17%減60.6億ドル、営業益40%減16.7億ドル、EPS0.79ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[FTV] フォーティブ 2Q増収営業増益 売上高2%増15.5億ドル、営業益4%増3.01億ドル、EPS0.55ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[IP] インターナショナルペーパー 2Q増収最終増益 売上高1%増47.3億ドル、純利益2.1倍4.98億ドル、EPS1.41ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[FI] ファイサーブ 2Q増収増益 売上高7%増51.0億ドル、営業益26%増14.2億ドル、EPS1.53ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CME] CMEグループ 2Q増収増益 売上高13%増15.3億ドル、営業益19%増10.0億ドル、EPS2.42ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[T] AT&T 2Q微減収減益 売上高微減297億ドル、営業益10%減57.6億ドル、EPS0.49ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[BSX] ボストンサイエンティフィック 2Q増収増益 売上高14%増41.2億ドル、営業益1%増5.20億ドル、EPS0.22ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TEL] TEコネクティビティ 3Q微減収増益 売上高微減39.7億ドル、営業益20%増7.55億ドル、EPS1.86ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[OTIS] オーチスワールドワイド 2Q減収営業減益 売上高3%減36.0億ドル、営業益2%減5.70億ドル、EPS1.02ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PKG] パッケージングコープオブアメリカ 2Q増収減益 売上高6%増20.7億ドル、営業益3%減2.76億ドル、EPS2.21ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ORLY] オライリーオートモーティブ 2Q増収営業増益 売上高5%増42.7億ドル、営業益1%増8.63億ドル、EPS10.55ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[WM] ウェイストマネジメント 2Q増収増益 売上高6%増54.0億ドル、営業益7%増10.0億ドル、EPS1.69ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NOW] サービスナウ 2Q増収営業増益 売上高22%増26.2億ドル、営業益2.1倍2.40億ドル、EPS1.26ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KLAC] KLA 2024年6月通期は減収最終減益 売上高7%減98.1億ドル、純利益19%減27.6億ドル、EPS20.28ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AMP] アメリプライズファイナンシャル 2Q増収最終減益 売上高9%増42.2億ドル、純利益7%減8.29億ドル、EPS8.02ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[IBM] IBM 2Q増収最終増益 売上高2%増157億ドル、純利益16%増18.3億ドル、EPS1.96ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[F] フォード 2Q増収減益 売上高6%増478億ドル、営業益24%減18.8億ドル、EPS0.46ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[RSG] リパブリックサービシズ 2Q増収増益 売上高9%増40.4億ドル、営業益15%増8.13億ドル、EPS1.62ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[NEM] ニューモント 2Q増収最終増益 売上高64%増44.0億ドル、純利益5.5倍8.53億ドル、EPS0.74ドル - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
●日本企業
中央日本土地建物グループ、5000億円投資 再開発やマンションに - 日本経済新聞
神戸製鋼所の勝川四志彦社長「大型電炉、早ければ25年度に判断」 - 日本経済新聞
●米大統領選挙
トランプ陣営が苦情申し立て、バイデン陣営資金のハリス氏移管巡り | ロイター
米大統領選の共和党候補トランプ前大統領の陣営は23日、再選を目指していたバイデン大統領の陣営が集めた資金について、ハリス副大統領が合法的に引き継ぐことはできないとして、連邦選挙委員会(FEC)に苦情を申し立てた。
バイデン氏は21日に大統領選から撤退すると表明し、ハリス氏を民主党の大統領選候補として支持した。ハリス陣営によると、同氏はバイデン陣営の口座を速やかに引き継ぎ、22日には党の候補指名を獲得するのに十分な代議員数を確保した。
ロイターが確認した提出書類によると、トランプ陣営の顧問弁護士はハリス氏が「選挙資金に関する米史上最大の違反」を犯していると主張した。
超党派の選挙監視団体、キャンペーン・リーガル・センターの弁護士ソーラブ・ゴーシュ氏は、ハリス氏がすでにバイデン氏の副大統領候補だったことからバイデン陣営の資金を移管できるとの見方を示している。
いずれにしても、当局は11月の本選までにこの問題を解決できそうにない。
FECは未解決のケースについてはコメントできないとした。
ハリス氏、「極端なアジェンダ」集中攻撃へ-トランプ主義の脅威訴え - Bloomberg
米民主党の大統領候補指名を確実にしたハリス米副大統領は23日、勝利を目指す初の選挙演説に臨み、共和党のトランプ前米大統領の打倒を誓った。
ハリス氏はもう一つの敵、トランプ氏のホワイトハウス復帰に備える極端なアジェンダ(政策課題)の脅威も訴え、攻撃の矛先を向けた。ヘリテージ財団が主導し、100を上回る保守系団体が参加する「プロジェクト2025」だ。
ハリス氏が第一声、トランプ氏と元検事が一騎打ちへ-未来の選択訴え
ハリス氏の演説は、保守系シンクタンク、ヘリテージ財団が中心になってまとめた900ページの保守派マニフェストにいや応なくスポットライトを当てる。トランプ氏の返り咲きで想定される脅威のショーケースを提示する意味合いもある。
トランプ氏はプロジェクト2025と陣営が無関係で、その構想を全て支持しているわけではないと言う。それでも100人余りの中心人物がかつてトランプ政権で働き、提案の多くはトランプ氏および共和党の政策綱領に忠実だ。
気候変動規制の撤廃や勤労者保護の縮小、トランプ氏への忠誠心を選考基準とする公務員の入れ替え、教育省と商務省、国土安全保障省の解体を提案する事実上の政権移行プランは、公表後1年余り批判を浴びてきた。
最近の世論調査によれば、民主党がトランプ氏に対抗するキャンペーンの目玉として、その存在を際立たせた結果、6月後半以降プロジェクト2025への認知度が高まり、否定的な見方が劇的に広がった。
ヘリテージ財団主導で作成され、物議を醸すプレーブックには、メタ・プラットフォームズやドミニオン・エナジー、ベライゾン・コミュニケーションズなどの企業ロビイストも関与した。
ニューハンプシャー州の共和党委員長を務めた政治ストラテジストのジェニファー・ホーン氏は「トランプ主義の制度化を目指し、共和党保守派の最も極端な連中が広く協力している。極端な信念のために行っている部分もあるが、多くが金銭的利益を得ようとしている」と話す。同氏はトランプ氏を支持していない。
プロジェクト2025の寄稿者の多くは、トランプ氏や自分たちが代弁する企業とつながりを持つ。ホワイトハウス改革のセクションは、トランプ前大統領の次席補佐官を務めたリック・ディアボーン氏が執筆した。シェルやベライゾン、アマゾン・ドット・コムといった企業のために同氏は働いている。
ダスティン・カーマック氏もトランプ政権の元当局者で、メタの公共政策ディレクターを現在務める。ヘリテージの研究員として情報コミュニティーの章を書いた後、メタに入社した。退役軍人省の章を執筆したブルックス・タッカー氏は、スペクトラム・グループのロビイストだ。
バイデン大統領が週末に選挙戦からの撤退を明らかにして以降、民主党はプロジェクト2025への対応に一層力を注いでいる。16年の民主党大統領候補、ヒラリー・クリントン氏は、ハリス副大統領への支持表明の中で、ハリス氏が「重罪で有罪評決を受けたドナルド・トランプ候補と、われわれの自由を奪うプロジェクト2025のアジェンダに反対する主張を展開するだろう 」と述べていた。
ロビイストとプロジェクト2025との関係の調査に携わるNPO、Accountable.USのエグゼクティブディレクター、トニー・カーク氏は「プロジェクト2025は、右派の業界プレーヤーに力を与え、大企業や特定利益集団がわれわれの生活を一層コントロールできるようにした。主要機関への政策提言の背後で誰が糸を引いているか国民は知る権利がある」と指摘した。
プロジェクト2025の中心テーマは規制緩和であり、環境および勤労者の保護、ダイバーシティー(多様性)促進、連邦政府による性差別防止といった政府の取り組みを骨抜きにする。提案の多くは企業利益に合致し、政府は関与せず、主に企業に利益をもたらす規則を導入する姿を描く。
プロジェクト2025の共同編集者、スティーブン・グローブス氏は執筆者について、「さまざまな政府機関に関する深い知識と、行政機関での過去の職務経験に基づいて選定した」としており、名前を挙げた以外の多くの人々も寄稿したと説明した。
ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長は「われわれは民間ビジネスを愛し、自由市場を愛している。しかし一般国民に不利な形で、大きな政府と大企業が結託することは好まない」と語った。
ハリス氏支持、若者がけん引 世論調査で「蜜月」の兆し - 日本経済新聞
独首相、ハリス氏勝利「可能性高いと思う」 米大統領選 - 日本経済新聞
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
カナダ中銀が利下げ、2会合連続 追加利下げ示唆 | ロイター
カナダ銀行(BOC、中央銀行)は24日、政策金利を0.25%ポイント引き下げ、4.5%とした。利下げは2会合連続。インフレが想定通り鈍化下し続ければ、追加利下げの可能性もあるとした。
マックレム総裁は記者団に対し「インフレを目標に回帰させる材料は整っているという確信を強めている」と語った。
中銀はインフレが2025年後半に目標の2%に向け持続的に鈍化するという見解を改めて強調。24年のインフレ見通しは2.6%、25年は2.4%とした。
総裁は「インフレが過度に低下しないようにするには、成長の加速が必要だ」と指摘。インフレの下振れリスクが金融政策の討議において重視されるつつあるとし、「インフレが予想以上に上昇するリスクと、経済およびインフレが予想以上に弱含むリスクのバランスを取る必要性が増している」と述べた。
24年の経済成長率見通しは1.2%とし、家計の裁量的支出が減っていることを踏まえ、4月時点の予想である1.5%から下方修正した。
第1・四半期の成長率は年率換算1.7%と、中銀の4月時点の予想である2.8%を大きく下回った。
ただ、利下げを背景とした輸出の拡大や家計支出の回復を追い風に、成長が下期に加速するという見通しを示した。
マックレム総裁は「経済が勢いを増せば、来年から26年にかけて過剰供給は吸収されるだろう」と述べた。
25年の成長率見通しは4月時点の2.2%から2.1%に下方修正され、26年見通しは2.6%とした。
短期金融市場が織り込む次回9月の会合での利下げ確率は52%。年内にあと1回の利下げが実施されるという予想が織り込まれている。
焦点:日銀利上げ、円安にらみ政権・与党内で議論百出 なお残る慎重論 | ロイター
日銀の追加利上げを巡り、政権・与党内で議論が百出している。現職閣僚に続き、党幹部からも円安への危機感から利上げに前向きと受け止められる言及があった。一方、拙速な利上げになお慎重な声も残り、日銀が30、31日の金融政策決定会合でどう判断するかは、これまで以上に注目の度合いを増している。
<円安で被る痛手>
発端となった17日のブルームバーグとのインタビューによると、河野太郎デジタル担当相は「円の価値を高め、エネルギーや食料品のコストを引き下げるために政策金利を引き上げるよう日銀に求めた」とされる。
河野担当相は19日に「今、日銀に対して利上げを直接求めているわけではない」と釈明したが、為替市場で円高要因として材料視された。
自民党の茂木敏充幹事長が発した利上げに関する言及も、日銀に対する異例の注文として波紋を呼んだ。時事通信によると、茂木幹事長は22日に都内で講演し、「段階的な利上げの検討も含め、正常化する方向で着実に進める方針をもっと明確に打ち出すことが必要だ」と述べた。
円安への危機感を強める背景には、家計の所得環境改善にブレーキがかかりかねないという懸念がある。円安が続き、コストプッシュ型のインフレが再燃すれば、「好循環実現」をうたう政権にとっても痛手となる。
年初からの円安は、ピーク時の変動率が一時15%を超えた。内閣府の短期日本経済マクロ計量モデルによると、為替が10%円安に振れれば消費者物価が0.2%程度押し上げられるという。
「日銀の物価見通しは実際より0.数%ポイントほど低く出やすい。手遅れになる前に(利上げの)道筋を付けるべきだ」(中堅幹部)との声も、与党内にはある。
<外圧が足かせに>
とはいえ、拙速な利上げには慎重論もくすぶる。
実質国内総生産(GDP)のうち、直近までの個人消費は4四半期連続のマイナスだった。これだけマイナスが続くのはリーマン危機時の2008年4―6月期から09年1―3月期以来で、「消費は力強さを欠いている。利上げを急げばかえって景気を冷やしかねない」と、政府関係者の1人は語る。
好循環のカギを握る価格転嫁ができていない中堅・中小企業も少なくない。「いずれ必要となる利上げに反対するつもりはないが、タイミングは重要」と、別の関係者は言う。
議論が百出する背景には、9月までに行われる党総裁選を控えているという側面もあるが、首相周辺からは「牽強付会に7月(に利上げ)だ、9月だという話にするのはおかしい。そこは日銀自身が判断する話」との声が聞かれる。河野、茂木両氏は、いずれも総裁候補に取りざたされる。
要人発言に先立つ今月初旬には「国債買い入れの減額計画と同時に、利上げを実施するのではないか」(銀行関係者)とみる向きもあった。
ただ、足もとでは「現職閣僚や与党の有力者から露骨に利上げを求められ、仮に7月に利上げすれば従属感が強まる。直後は、逆に動きづらくなる」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志・上席エコノミスト)との声が浮上。利上げを促す外圧は、かえって日銀の手足を縛る要因になるとの見方も出ている。
●先進国、グローバル、金融市場
英総合PMI、7月速報値は52.7に上昇 予想上回る | ロイター
S&Pグローバルのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「製造業とサービス業が将来について楽観的な見通しを持つようになり、新政権を歓迎する結果となった」と述べた。
将来の生産に関するサブ指数は70.4から74.7と22年2月以降で2番目となる高水準だった。輸出受注が23年3月以来の大幅な伸びとなったことなどに支えられた。
仏サービスPMI、7月速報値は50.7に上昇 五輪効果で | ロイター
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、ノルマン・リープケ氏は、パリ五輪(26日から8月11日まで)に関連してサービス部門が堅調だったと指摘。
「五輪は仏経済の活性化につながっており、サービス部門PMIは3カ月ぶりに上昇した」と述べた。
サービス部門に支えられて仏経済は下半期の回復が見込まれる一方、インフレ加速により依然として投入価格と生産価格の両方が課題との見方を示した。
ユーロ圏総合PMI、7月速報50.1 予想外の低下 | ロイター
オックスフォード・エコノミクスのロリー・フェネシー氏は「7月のユーロ圏PMI速報値は、景気回復が鈍っていることを示す他の先行指標を裏付けている」と分析し「先行指標が期待外れのままであれば成長率予測を下方修正する可能性がある」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのフランツィスカ・パルマス氏はPMIについて「弱い経済と強い物価上昇圧力という組み合わせは欧州中央銀行(ECB)のタカ派とハト派のどちらにも一定の支援材料になる」と指摘し、9月の政策決定を占う上で明確な手掛かりにはならなかったと述べた。
「しかし総合的に判断すると、依然として9月に利下げが行われる可能性が高いと考えている」とした。
独総合PMI、7月速報値は48.7で予想外の50割れ 製造業不振 | ロイター
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「深刻な問題のようだ。ドイツ経済は製造業の急激かつ劇的な落ち込みに引きずられ再びマイナス圏となった。製造業が世界経済の好転から恩恵を受けられるという希望は消え去ろうとしている」と述べた。
独消費者信頼感指数、8月は-18.4へ改善 所得期待高まる=GfK | ロイター
NIMの消費者アナリスト、ロルフ・ビュルクル氏は、所得への期待が消費者信頼感指数の上昇に寄与したが、サッカーの欧州選手権がもたらした高揚感も影響した可能性が高いと分析した。
その上で「この効果が持続可能なのか、それとも短期的な盛り上がりなのかはまだ分からない」と述べた。
「このような高揚感は生まれたかと思えばすぐ消えてしまうこともある」と指摘し、短期的な盛り上がりに過ぎなければ、消費低迷からの脱出は長く厳しいものになるとの見方を示した。
ブラックストーンの商業用不動産REIT、ディストレス増大で減配 - Bloomberg
商業用不動産関連ファイナンスを提供するブラックストーン・モーゲージ・トラスト(BXMT) は、デフォルト(債務不履行)が増加し、借り手がローンの支払いや借り換えに苦戦するなか、配当を24%減額する。
24日の発表によると、34億ドル(約5250億円)規模の不動産投資信託(REIT)であるBXMTの取締役会は減配と同時に、株式価値を高めるため1億5000万ドルを上限とする自社株買い戻しを承認した。
BXMTのケイティ・キーナン最高経営責任者(CEO)は発表文で「戦略的な資本配分の決定を通じて、現在のリターンと簿価の最適化および長期的な収益可能性のバランスを取ることが、株主還元につながると考えている。強力な流動性、返済の加速、新たな投資パイプラインにより、BXMTは、この環境下で資本投下を増やし、サイクルを通じて前進軌道を継続するのに適した位置にある」と説明した。
商業用不動産モーゲージREITは、金利の上昇と不動産価値の下落が、特にオフィスビルなどの所有者や貸し手に新たな債務不履行の波を引き起こしたため、大きなストレスを受けている。今年に入り、KKRリアル・エステート・ファイナンス・トラストは42%、アレス・コマーシャル・リアル・エステートは24%の減配を実施した。
BXMTは配当を47セントと、2015年以来維持してきた水準の62セントから引き下げる。これにより年間約1億ドルのコスト削減が見込まれ、その分を新規ローンやその他の投資に振り向けることができる。
BXMT株はニューヨーク時間24日午前7時28分時点の開場前取引で6.8%安の18.30ドル。年初から23日までで7.7%下落していた。
BXMTが抱える問題ローンの大半は、ローン残高の約4分の1を占める米国のオフィスビル向けローンだった。グリーン・ストリートの商業用不動産価格指数によると、米国のオフィスビルの価値は2022年初頭のピークから37%下落している。これに対し商業用不動産全体は20%の下落。BXMTは24日、過去2年間でオフィスへの正味エクスポージャーを14億ドル削減したと明らかにした。
空売り会社マディ・ウォーターズのカーソン・ブロックCEOは昨年12月に、BXMTが流動性危機に直面する可能性があるとして同社株をショートしていることを明らかにした。今月のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ショートポジションを再確認した。
プライベートエクイティー投資会社の金融工学に投資家が「ノー」 - Bloomberg
プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社は、期待通りに現金化できない投資先からリターンを引き出す時間を稼ぐために一種の金融工学を利用しているが、大手顧客がこれに「ノー」を突きつけるケースが増えている。
アレス・マネジメントは今年、継続ファンドと呼ばれる手法を検討したが、投資家から拒否された。ニュー・エンタープライズ・アソシエーツ(NEA)は顧客と話し合った結果、同様の計画を縮小せざるを得なかった。ある指標によれば、継続ファンドは提案されたファンドの3分の1でしか実行に移されていない。
継続ファンドはPE投資会社が採用する資産シャッフル戦術の一つだ。ファンドは通常、投資先企業を売却することによって投資家に資金を還元するが、現在はディール低迷のためこれが難しくなっている。
継続ファンドを利用する場合、PE会社は売却が難しい資産を古いファンドから新しいファンドに移管する。新しいファンド(継続ファンド)に投資家の出資を募り、その資金で古いファンドの投資家に資金を返還する。顧客への返還額は低くなる場合がある一方、PE会社は引き続き新ファンドから手数料を得られる。
投資家が、継続ファンドが自分たちの利益になると考えるとは限らない。エバコアのデータによると、PE会社による継続ファンドやその他の複雑な取引は昨年、2021年の記録的な680億ドル(約10兆5500億円)から25%減少した。
一部の投資家から見れば、継続ファンドは時間内に仕事を完了させなかった運用会社に報酬を与えることだ。
投資顧問会社メケタ・インベストメント・グループのマネジングプリンシパル、ブライアン・ダナ氏は「当社は12年間のファンドを契約した。約束した期間内に終わらないというのは奇妙な話だ」と述べた。
PEファンドに投資する年金基金や寄付財団の幹部は、ファンドが投資家に資金を返還し手数料を稼ぐために使っている手法について、より詳しく、より懐疑的に見ている。マージンローン(証券担保ローン)などのさまざまな借り入れ、新しい株式クラスの創設、レバレッジとリスクを重ねた複雑な証券化などがあり、投資家はそのコストの全容を理解しつつある。
ダナ氏によれば、出資金を継続ファンドに移すか、それとも資金の返還を求めるかの選択を迫られた場合、同氏の会社では通常、資金を受け取って撤退することを選ぶという。待ち続けるよりはましだと同氏は述べた。
ファンドが保有する資産の価値について意見が一致しない場合も、あつれきが生じる。継続ファンドの場合、売り手と買い手が両方とも同じPE会社がであるため、潜在的な利益相反がつきまとう。元のファンドに投資した年金や寄付基金が、自分たちが損をする取引にうんざりだと不満を漏らすケースも増えている。
今年初め、アレスは2017年に開始したアレス・コーポレート・オポチュニティーズ・ファンドの分配金を生み出すために、一部の資産を継続ファンドに移管することを検討した。しかし主要投資家が既存ファンドに資産を残すよう求めたためアレスはこの案を棚上げにしたと、事情に詳しい関係者は語った。
ベンチャーキャピタルのNEAは昨年から継続ファンドの検討を始めたが、投資家からのフィードバックを受けて移管する企業数を減らしたと、事情に詳しい関係者は語った。同社は対立を緩和し利害を一致させるようにファンドを設計したと関係者の1人は語った。
アレスとNEAの担当者はコメントを控えた。
デボン・パーク・アドバイザーズの創業者でマネジングパートナーのジョン・コステロ氏によると、最近は計画された継続ファンドの約3分の1しか実際に完了していない。市場がもっと小さくて新しかった2018年の約80%が実現していたという。
同氏は、3分の2は恐らく完了されるべきだが、そのような取引が成立するのに十分な資金が投資家の手元にないと話した。「残りの3分の1は恐らく市場に出すべきではなかった」と付け加えた。
PE会社は通常、資産を長く保有することで長期的にリターンを最大化できるというシンプルな売り文句で投資家に継続ファンドを売り込む。 
しかし現実はもっと不透明だ。PE会社が継続ファンドを利用するのは多くの場合、利益につながらない他の売却ルートを検討した後だ。
継続ファンドに出資する新たな投資家は通常、他の投資家が所有していた資産の購入を専門とするいわゆる「セカンダリー」企業で、通常厳しい交渉を展開し値引きを求める。
時には、継続ファンドへの十分な需要がないこともある。元のファンドの投資家の大半は通常、継続ファンドに参加せず現金を受け取ることを選択する。年金基金によっては、意思決定者を何人も通さなければ、継続ファンドに簡単にコミットできない場合もある。
また、ある種の取引では運用会社が一つのファンドから別のファンドに資産を移すだけで、キャリーインタレストと呼ばれる運用報酬を得られる場合がある。ファンドに投資する年金や寄付基金に言わせれば、運用会社が利益を得る資格があるのは投資先企業を売却するか株式を公開した場合だけだ。
PE投資会社を規制するため米証券取引委員会(SEC)は、複雑なセカンダリー取引を設計した会社に対し、投資家が公正な扱いを受けられるように独立監査人を起用することを義務付けようとしたが、裁判所はこれを阻止した。
リミテッドパートナーと呼ばれるPEファンド投資家の業界団体、インスティテューショナル・リミテッド・パートナーズ・アソシエーション(ILPA)は昨年、継続ファンドに関するガイダンスを発表し、ファンド運用会社は透明性を保ち、主要投資家との対立を解決すべきだと主張した。業界担当ディレクターのブライアン・ホーン氏によると、投資家への通知について各社はより一層の努力をしているという。
米企業活動が活発化、総合PMI2年ぶり高水準-サービス需要増 - Bloomberg
米新築住宅販売、6月は予想外の減少-金利・価格の高止まりで - Bloomberg
人民銀の金買い、世界中銀で最大級 止まらぬドル離れ China Gold〜なぜ中国人は金を愛するのか㊦ - 日本経済新聞
ブラックロック、日銀は当面金利を据え置くと予想-日本株の追い風に - Bloomberg
米国のクレジットカード延滞率、統計開始以来の最高水準に上昇 - Bloomberg
米国のクレジットカード残高のうち返済期限を過ぎた分が占める割合が、データでさかのぼれる2012年以降で最高となった。米国経済に亀裂が生じつつある兆候を示す数字が増えている。
フィラデルフィア連銀が24日発表したデータによると、1-3月(第1四半期)はクレジットカード残高の約2.6%が支払期日を60日過ぎていた。この比率は、新型コロナ禍で各種支援プログラムがあった2021年には1.1%にまで下がっていた。
30日延滞と90日延滞の比率も1-3月には上昇し、どちらも2012年以来の高水準となった。
米金融当局がインフレ抑制のための高金利を長期化させる中、エコノミストは家計にストレスの兆候がないかを注視している。新型コロナ禍の時期に積み上がった家計の貯蓄は消費者が物価高を乗り切る助けとなってきたが、そのクッションがすり減っていることで消費の活力が失われ、経済全体に影響が及びつつある。
サマーズ氏、米国は「トラス化」の恐れも-共和党の財政案なら - Bloomberg
●中東情勢
イスラエル・ネタニヤフ首相に「トランプ前大統領復帰願望」 米で反イラン演説 - 日本経済新聞
イスラエル首相、緊張高まる米議会で演説-両国「結束」の必要性訴え - Bloomberg
●エマージング
メキシコ大統領、トランプ氏に書簡 テスラショック警戒 - 日本経済新聞
インド政府債務の積極的削減はソブリン格付けにプラス=ムーディーズ | ロイター
インドは2025―26年度にかけて妥当な財政赤字目標を設定したが、政府債務を積極的に削減すればソブリン格付けの面でプラスに働く――。ムーディーズのソブリンリスク担当アソシエート・マネジングディレクター、ジーン・ファン氏が23日、ロイターのインタビューでこう指摘した。
ファン氏は、インドの歳入は利払い費に回される比率が「非常に高い」ので、経済成長促進という面で財政の寄与が乏しいと主張し、同じ格付けの他国と比べて公的債務が多いと付け加えた。
さらに「債務水準の削減でもっと踏み込めば、われわれがインドの全体的な信用力を見る上で明るい要素になるのは確かだ」と語った。
ムーディーズは昨年8月、インドのソブリン格付けを投資適格級最下位の「Baa3」に据え置き、格付け見通しは「安定的」を維持した。
ファン氏は、インド政府がこの日発表した来年3月までの年度の予算案については、インフラ支出の政府目標は「建設的」だが、そうした支出がより大きな民間の投資を呼び込む機会を生み出すことが重要になるとの見方を示した。
焦点:中国3中全会、政策継続性重視に広がる懐疑的見方 | ロイター
経済の不均衡が深まる中、18日閉幕した中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)では10年前の政策目標が再確認されたが、これに対し実現に向けた懐疑的な見方が広がっている。
中国経済はデフレ圧力と内需低迷に直面、海外では輸出に対する警戒感が高まっていることから、3中全会は構造的な転換よりも政策の継続を選択した
ナティクシスのアジア太平洋地域チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は3中全会について「国内外の今後の問題を考えると、改革という点では明らかにゲームチェンジャーにはならなかった。中国当局はお茶を濁すことを好んでいるかのようだが、問題は対処しなければならない課題が増えたことだ」と述べた。
エコノミストは、公共部門のビジネス環境の改善、資源配分における市場の決定的役割の付与、税収増加といった公約の進展は歓迎する一方、実現は確信していない。
今回の3中全会の議題は、2013年に発表されたものからの逸脱が限定的だった。当時は将来の成長への自信を膨らませ、習近平国家主席を世界の投資家の目に改革者として位置付けた。
しかしエコノミストの多くは、当局が15年の株価急落後に資本規制を強化、近年はハイテク、金融などへの取り締まりを拡大し、市場自由化と民間部門に関して正反対の方向に進んでいると主張する。
内需拡大、農村と都市の格差の原因とされる毛沢東時代の制度の改革、農村部の土地の権利強化、社会保障の改善などの公約は、少なくとも13年からあったものだ。
エコノミストは、実績の乏しい政策課題を再び打ち出すことで政府は10年前にはなかった信頼性の欠如に直面しており、企業や消費者の信頼感回復には早急な行動が必要だと主張する。
3中全会は通常、実施時期をあいまいにするが、今回は29年までに課題を完了する方針を打ち出した。それでも投資家の反応はさえない。
中国銀行の首席研究員のZong Liang氏は「市場の期待を変えるのは簡単ではない」と指摘。
3中全会は前向きな道筋を示したが、トランプ氏の米大統領返り咲きなどの「厄介な外部環境」で中国国内の改革派の声が弱まる可能性があると懸念した。
<長引く不安>
13年との大きな違いの一つは、今回の3中全会の議題が「新たな質の生産力」に重点を置いていることだ。これは習主席が昨年提唱したスローガンで、科学的な研究と進歩革新を通じて製造業を現代化し、新たな高成長時代を促進することを意味する。
中国は、ハイテク輸出製品が新たな成長の原動力となり、インフラ投資のリターン減少や不動産バブル崩壊後の損失拡大を補うことを期待している。
これに対し欧米諸国は、中国政府がさまざな分野における過剰生産で輸出製品の価格を押し下げ、世界の製造業の雇用を脅かしていると非難している。
またエコノミストも、中国は海外市場や債務を膨らませる投資への依存を減らし、内需刺激を重視すべきと主張。消費者主導の発展モデルが長期的な成長可能性にとって不可欠だと指摘している。
ただHSBCのアジア担当チーフエコノミスト、フレデリック・ノイマン氏は「劇的な変化」を期待する世界の投資家が政策の「漸進的な」改変に失望する可能性を指摘する一方、楽観的な見方を示した。
重要な違いは、13年の政策課題は習主席が前任者から受け継いだ目標を反映したものだったが、今回の3中全会は習氏が全面的に支持したもので、より強力に実行される可能性が高まったことだという。
ノイマン氏は、半年程度は改革の動向を見極める必要があるとする一方で、投資家の忍耐は限界に近づいていると警告した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
オーストラリア、原発建設論浮上 25年総選挙念頭に - 日本経済新聞
原子力発電所がないオーストラリアで、国民のアレルギーが強かった原発の建設論が浮上している。野党がエネルギー政策として導入案を提示した。2025年5月までに実施される総選挙を念頭に、電気料金の上昇を抑えて有権者の支持を広げる狙いがある。
世界の石炭需要、24─25年は横ばいに 電力需要が増加=IEA | ロイター
国際エネルギー機関(IEA)は今年と来年の世界の石炭需要がほぼ横ばいとなるとの見通しを示した。一部主要国での電力需要の増加が太陽光や風力発電の急速な拡大により相殺されるとしている。
2023年の世界の石炭消費量は中国とインドの大幅な伸びを背景に2.6%増加し、過去最高を記録した。
IEAのエネルギー市場・安全保障局長の貞森恵祐氏は「現在の政策状況と市場動向を踏まえれば、世界の石炭需要は25年までおおむね横ばいとなる可能性が高い」との見方を示した。
「太陽光・風力発電の急速な普及と中国での水力発電の回復により、石炭使用に大きな圧力がかかっている」としながらも「電力部門は世界の石炭需要の主な要因であり、一部の主要国では電力消費が急激に伸びている」と指摘した。
こうした消費の力強い拡大がなければ、今年の世界の石炭使用量は減少するだろうと述べた。
中国では太陽光・風力発電の導入により石炭消費の伸びが鈍化しているが、今年の電力需要は6.5%増加すると予測されており、石炭消費が減少する可能性は低いとした。
インドでは気象条件が例年並みに戻り水力発電の出力が向上するにつれて、石炭需要の伸びは今年後半に減速すると予想されている。
欧州連合(EU)の石炭発電量は23年に25%以上減少し、今年もほぼ同程度減少する見込み。
米国でも石炭使用量は近年大きく減っているが、電力需要の増加と天然ガスへの切り替えの減少により、今年はこの傾向が鈍る恐れがあるとしている。
世界の平均気温が史上最高、2日連続で記録更新=EU機関 | ロイター
カナダ西部で広範囲の山火事、国立公園などから2.5万人避難 | ロイター
カナダ西部アルバータ州とブリティッシュコロンビア州で山火事が広がり、有名な観光地の国立公園があるジャスパーや、ロッキー山脈周辺地域で約2万5000人が避難を強いられている。
避難指示が出されたのは22日。火災はアルバータ州南部のカルガリーに向かう道路に達する恐れがあるため、住民は西側に逃げるよう伝えられた。
ソーシャルメディアに投稿された動画によると、ジャスパーから脱出する自動車で道路が渋滞している様子が分かる。住民の1人は公共放送CBCに、たった3キロ移動するのに3時間かかったと語った。
ジャスパー国立公園は毎年200万人余りが訪れている。地元当局者の話では、避難指示が出た時点で1万5000人の観光客がいたという。
山火事はアルバータ州で170件、ブリティッシュコロンビア州で375件に上り、このうち275件前後は制御不能と見なされている。当局は、事態がさらに悪化する可能性があると警告した。
●小ネタ
冬季五輪、30年は仏アルプス地方・34年は米ソルトレークシティーで | ロイター
●市況
NY市場サマリー(24日)円が対ドルで急伸、長期利回り上昇 株大幅安 | ロイター
<為替> 円が対ドルで2カ月超ぶりの高値を記録した。来週の日銀金融政策決定会合でのタカ派姿勢を警戒し、円キャリートレードの巻き戻しが出ているという。
ドル/円はこの日、1.07%安の153.92円と5月6日以来の安値を付けた。ユーロ/円も1.16%安の166.915円と5月8日以来の安値を付けた。
ナットウエスト・マーケッツの外為ストラテジスト、ブライアン・デインジャーフィールド氏は「たとえ日銀が現時点の市場予想ほどタカ派的でない内容を示したとしても、円安が発生した場合に当局が介入して円安を阻止するリスクは依然としてある」と言及。「もちろん連邦準備理事会(FRB)が利下げ開始に近づいているようにみえるという現実もある」とした。
コモディティー関連通貨は数週間ぶりの安値に下落。原油や鉄鉱石、銅などの下げを受け、豪ドル/米ドルは一時0.5%安となった。終盤は0.6584米ドルと6月上旬の安値付近。
<債券> 経済の健全性を見極めようと一連の経済指標が消化される中、長期国債の利回りが上昇した。一方、2年債利回りは低下した。
指標10年債利回りは3.9ベーシスポイント(bp)上昇の4.278%。
2年債利回りは3.5bp低下の4.41%となった。
2・10年債の利回り格差はマイナス13.4bpと、10月23日以来の低水準となった。
CMEのフェドウォッチツールによると、市場はFRBが7月30─31日に開くFOMCで少なくとも25bpの利下げを行う可能性はわずかとの見方を織り込んでいるが、9月の利下げは完全に織り込んでいる。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が数週間ぶりの安値に沈んだ。電気自動車(EV)大手テスラとグーグルの親会社アルファベットの四半期決算がさえない内容となり、大型株への投資家の信頼感が損なわれた。
S&P主要11セクターでは通信サービスと一般消費財がそれぞれ3.8%、3.9%下落。一般消費財は22年9月以来最大の下げとなった。情報技術(.SPLRCT), opens new tabは4.1%安と22年10月以来の大幅な下落率を記録。主要セクターの中で最大の下げとなった。
<金先物> 米長期金利の低下を背景に続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比8.40ドル(0.35%)高の1オンス=2415.70ドル。
<米原油先物> 米エネルギー情報局(EIA)の週間在庫統計で原油在庫の減少幅が市場予想を上回ったことを受け、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物は前日清算値(終値に相当)比0.63ドル(0.82%)高の1バレル=77.59ドルだった。10月物は0.66ドル高の76.58ドル。
欧州市場サマリー(24日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。高級品部門のさえない決算を背景に高級ブランド銘柄が売られた。
高級ブランド会社バーバリーは2.1%下落。フランスの同業、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の第2・四半期決算の売上高の伸びが鈍化したことを受け、売りが優勢だった。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。フランスの高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の決算がさえず、高級ブランド銘柄が軒並み売られた。テクノロジー株や銀行株の下落も目立った。
クリスチャン・ディオールは4.7%下落。ケリングは4.5%、エルメスは2.1%、それぞれ下げた。ドイツのファッションブランド、ヒューゴ・ボスは3.4%安だった。
STOXX欧州600種銀行株指数は0.46%安。訴訟関連の引当金計上が響いて第2・四半期決算が赤字に転落したことから、ドイツ銀行は8.3%下落した。
テクノロジー株指数は2.43%下落。オランダの半導体製造装置メーカーASMインターナショナルは、第2・四半期の受注が市場予想を上回り、第3・四半期の見通しを引き上げたものの、9.4%と大幅安となった。 
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。ユーロ圏の企業活動の鈍化を示すデータを受け、欧州中央銀行(ECB)が年内にあと2回追加利下げを実施するとの観測が高まった。
ECBが9月理事会で追加利下げに踏み切るとの見方が強まった。短期金融市場は、ECBによる年内2回の追加利下げの確率は92%という見方を織り込んだ。PMIデータ公表前は80%弱だった。
ドイツ2年債利回りは5.4ベーシスポイント(bp)低下の2.713%。ドイツ10年債利回りは2.441%と横ばいだった。
独仏10年債利回り格差は70.8bp。一時、今月初旬以来の高水準となる71.70bpまで拡大する場面もあった。
イタリア10年債利回りは4bp上昇の3.795%。独伊10年債利回り格差は135.3bpと5bp拡大した。

備忘録(2024/7/23
●雑感
●決算
米TI、第2四半期利益が予想上回る 安定的な半導体需要で | ロイター
第2・四半期決算(6月30日まで)は利益が市場予想を上回った。家電製品向けの半導体需要などが安定的だったことを受けた。
株価は引け後の時間外取引で4%上昇した。
第2・四半期の1株利益は1.22ドル。市場予想平均は1.16ドルだった。
第3・四半期の売上高予想中央値は41億ドルと、市場予想に一致した。
第2・四半期の粗利益は31.6%増の22億1000万ドルと予想の21億8000万ドルを上回った。
第2・四半期のフリーキャッシュフローは5億0700万ドル。市場予想は4億6180万ドルだった。一方、設備投資は10億6000万ドルと予想の12億5000万ドルを下回った。
米ビザ、4─6月期は20%増益 外食・旅行の支出好調 | ロイター
第3・四半期決算(6月30日まで)は収入が約4年ぶりに市場予想を下回った。金利上昇により個人消費が抑制された。株価は引け後の時間外取引で4.6%下落した。
第3・四半期の純収入は10%増の89億ドル。LSEGがまとめたアナリストの予想(89億2000万ドル)を下回った。収入が市場予想を下回るのは2020年初め以来。
クリス・スー最高財務責任者(CFO)は「米国の高額消費者層では前四半期と比較して安定的な伸びが見られたが、低額消費者層では若干鈍化した」とアナリストに語った。
ランニング・ポイント・キャピタル・アドバイザーズのマイケル・アシュレー・シュルマン 最高投資責任者(CIO)は「ビザは3月には完璧な状況が織り込まれていたが、それ以降、失業や支払い・ローン延滞が増加し、消費者の可処分所得への懸念が高まり、後退している」と語った。
その上で「特に米連邦準備理事会(FRB)が金利を引き下げれば、企業支出や個人消費には伸びる余地がある」と語った。
第3・四半期の決済額は為替変動の影響を除くベースで7%増加。クロスボーダー決済額は欧州域内を除くベースで14%増加し、海外旅行への強い需要を示した。
アジア太平洋市場の決済額は主に中国本土のマクロ経済環境を背景に伸びが鈍化した。
調整後1株利益は2.42ドルで市場予想と一致した。
第4・四半期の純収入伸び率は「2桁台前半」を見込む。前年同期は10.6%だった。同社はまた、通期利益・収入見通しを据え置いた。
コムキャスト、第2四半期利益が予想上回る 動画配信が好調 | ロイター
第2・四半期決算は、利益が予想を上回った。ストリーミングサービス「ピーコック」の拡大に加え、ブロードバンドサービスの顧客減少が予想より少なかったことが貢献した。
ブロードバンド顧客は12万人減少。ただ、ファクトセットがまとめた予想は14万3000人減少だった。AT&TやTモバイルとの激しい競争に耐えていることを示唆している。
ピーコックの有料会員数は38%増の3300万人。同事業の売上高も27.5%増加して10億5000万ドルとなった。
一時的項目を除いた1株当たり利益は1.21ドルとなった。LSEGがまとめたアナリスト予想の1.12ドルを上回った。
売上高は2.7%減の296億9000万ドル。LSEGがまとめたアナリスト予想の300億2000万ドルを下回った。スタジオ事業の売上高が27%減少したほか、テーマパーク事業も10.6%減収となったことが響いた。
LVMH、主要事業が振るわず-中国人旅行者の購入で日本は好調 - Bloomberg
フランスの高級品ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンでは4-6月(第2四半期)に最大部門の売上高が伸び悩んだ。富裕層がルイ・ヴィトンのバッグやディオールの服などを買い控えている状況が浮かび上がる。
23日のLVMH発表に寄れば、主要事業であるファッション&レザーグッズ部門では、既存事業の売上高が1%の伸びにとどまった。アナリストらは1.95%の伸びを予想していた。上期の利益も予想に届かなかった。クリスチャン・ディオールやセリーヌ、ロエベなどを抱える同部門は、昨年同期には売上高が21%伸び得ていた。
中国を含む地域の売上高は第2四半期に14%急減。同国での高級品需要が冷え込む中でも健闘していたLVMHとしては、残念な結果だった。中国での不振は部分的に、中国人旅行者が国外で発揮するおう盛な購買意欲に相殺された。特に日本での販売が強かったという。
23日の米株式市場でLVMHの米国預託証券(ADR)は一時5.1%下落した。
コロナ禍当時は熱狂的な需要に支えられた高級品業界では、消費者の購買意欲低下に見舞われている。カルティエの親会社リシュモンが先週発表した四半期決算では、宝飾品部門が好調だったものの、全体での売上高はほとんど伸びていなかった。
UPS株が約15年ぶりの大幅安、利益が市場予想を大きく下回る - Bloomberg
米宅配大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)が23日発表した4-6月(第2四半期)決算は、利益が市場予想を大きく下回った。賃金インフレと配送需要の弱含みが響いた。発表を受けて、株価はおよそ15年ぶりの大幅な下げとなっている。
調整後の1株当たり利益は1.79ドル。ブルームバーグがまとめた市場予想は1株1.98ドルだった。売上高も市場予想を下回った。
今回の決算は、新型コロナウイルス禍に伴う電子商取引(eコマース)ブーム後の需要低迷という環境下で、人件費高騰による課題が浮き彫りとなった。
UPS株価は同日午前の取引で一時13%余り下落。日中としては2008年10月以来の大幅な下げを記録した。株価は今年、22日終値までに7.7%値下がり。
1日当たりの平均貨物取扱量は小幅増の2093万個。市場予想の2096万個をわずかに下回った
キャロル・トメ最高経営責任者(CEO)は、取扱量が9四半期ぶりにプラスに転じたとして、「当社にとって重要な転換点」と述べた。
米郵政公社との新たな契約が下期にさらなる追い風をもたらす可能性がある。また7-9月(第3四半期)と10-12月(第4四半期)には、ホリデーシーズンの到来に伴い配送需要がピークに達する。
UPSは通期売上高の予想レンジを従来の最大945億ドル(14兆7500億円)から930億ドルに狭めた。また年間約10億ドルを目標とする自社株買いプログラムを再開した。
バークレイズのアナリスト、ブランドン・オグレンスキー氏はリポートで「今回の予想を下回る決算は、投資家にとって先行きへの自信を提供するものではない」と述べた。
米コカ・コーラ、通期見通し上方修正 第2四半期も好調 値上げ寄与 | ロイター
通期売上高と利益見通しを引き上げた。合わせて発表した第2・四半期決算も市場予想を上回った。主に海外市場での値上げが業績に寄与した。
コカ・コーラの株価は米株式市場序盤の取引で約1.5%高で推移した。
通期のオーガニック(為替変動や買収の影響を除く)売上高見通しは9─10%増、調整後利益見通しは5─6%増とした。従来予想はそれぞれ8─9%増、4─5%増だった。
第2・四半期の純売上高は2.9%増の123億1000万ドルで、LSEGがまとめたアナリスト予想の117億6000万ドルを上回った。
調整後の1株利益は0.84ドル。市場予想は0.81ドルだった。
第2・四半期の平均販売価格は9%上昇したものの、需要減退にはつながらず、販売数量は2%増加した。しかし、消費者が支出や外食に慎重となっている北米地域での販売量は1%減少した。
米UPS、利益が市場予想下回る 人件費高騰と需要低迷で | ロイター
第2・四半期決算は、利益が市場予想を下回った。宅配便需要の低迷と人件費の上昇が響いた。
株価は取引開始前の時間外取引で8%下落した。
調整後1株利益は1.79ドルとなり、LSEGがまとめたアナリスト予想の1.99ドルを下回った。売上高も218億ドルと、アナリスト予想の221億8000万ドルを下回った。
通年の調整後営業利益率予想は9.4%に引き下げた。従来予想は10.0─10.6%だった。
エバーコアISIの株式アナリスト、ジョナサン・チャペル氏は「第2・四半期利益の予想下ぶれの大きさと、通期営業利益率予想の大幅な下方修正は、最も弱気の向きですら驚かせるだろう」と述べた。
ただ同社は、人件費上昇分の大半が第2・四半期までに吸収されるため、年後半にはコスト圧力が緩和すると予想している。
米GM、第2四半期決算が予想上回る 通期見通し引き上げ | ロイター
第2・四半期決算は、利益と売上高が市場予想を上回った。通期の利益見通しも今年に入り2度目となる上方修正を行った。価格設定とガソリンエンジン搭載トラックの需要が追い風となっている。
通期の調整後税引き前利益見通しは130億─150億ドル。従来予想は125億─145億ドルだった。
第2・四半期の調整後1株利益は3.06ドルで、LSEGがまとめた市場予想平均の2.75ドルを上回った。売上高は480億ドル。市場予想は455億ドルだった。
純利益は前年同期比14%増の29億ドルとなった。先月のサイバー攻撃で米各地の自動車ディーラーが打撃を受けたが、GMの四半期業績には影響しなかった。
一方、中国事業は1億0400万ドルの損失を計上した。ポール・ジェイコブソン最高財務責任者(CFO)は現地の合弁パートナーと協力して事業再編に取り組んでいくと述べた。
また、同社の幹部は電気自動車(EV)「シボレー・エクイノックス」の生産を拡大しており、今後数カ月で新たなバッテリー駆動モデルを複数発売する予定だと述べた。
ロッキードが決算受け上昇 F-35やF-16やヘリコプターなどの需要が旺盛=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ロッキード・マーチン<LMT>が取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。ガイダンスも公表し、1株利益、売上高とも上方修正している。戦闘機とレーダー・プログラムの需要が好調だった。F-35やF-16といった主力戦闘機やヘリコプター、レーダーなどの需要が旺盛だった。
タイクレCEOは「過去数カ月間、同社の人材、システム、プラットフォームは、東欧、紅海、中東の安全保障を強化する能力を再び実証した」と述べている。
同社は先週、アップグレードの遅れにより出荷が停止されていたF-35の米国への納入を再開した。同戦闘機はテキサス州の駐機場で待機しており、天候による損傷の危険にさらされていた。F-35は依然として最優先事項であり、年内に75―110機を納入する予定だと述べた。
[NVR] NVR 2Q増収営業増益 売上高12%増26.1億ドル、営業益12%増4.95億ドル、EPS120.68ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[FCX] フリーポートマクモラン 2Q増収増益 売上高15%増66.2億ドル、営業益45%増20.4億ドル、EPS0.43ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PCAR] パッカー 2Q減収最終減益 売上高2%減82.6億ドル、純利益8%減11.2億ドル、配当0.30ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[HCA] HCAヘルスケア 2Q増収最終増益 売上高10%増174億ドル、純利益22%増14.6億ドル、EPS5.53ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[GPC] ジェニュインパーツ 2Q増収最終減益 売上高1%増59.6億ドル、純利益14%減2.95億ドル、EPS2.11ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[IVZ] インベスコ 2Q増収営業増益 売上高3%増14.8億ドル、営業益1%増2.06億ドル、EPS0.29ドル - 株探(かぶたん)|米国株
GMが決算受け時間外で上昇=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
[GM] GM 2Q増収増益 売上高7%増479億ドル、営業益39%増38.7億ドル、EPS2.54ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CMCSA] コムキャスト 2Q減収減益 売上高3%減296億ドル、営業益1%減66.3億ドル、EPS1.00ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[LMT] ロッキードマーチン 2Q増収営業増益 売上高9%増181億ドル、営業益1%増21.4億ドル、EPS6.85ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SHW] シャーウィンウィリアムズ 2Q微増収最終増益 売上高微増62.7億ドル、純利益12%増8.89億ドル、EPS3.50ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[PM] フィリップモリス 2Q増収増益 売上高6%増94.6億ドル、営業益34%増34.4億ドル、EPS1.55ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[MCO] ムーディーズ 2Q増収増益 売上高22%増18.1億ドル、営業益41%増7.75億ドル、EPS3.02ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[KO] コカコーラ 2Q増収営業増益 売上高3%増123億ドル、営業益10%増26.3億ドル、EPS0.56ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DGX] クエストダイアグノスティクス 2Q増収営業増益 売上高3%増23.9億ドル、営業益2%増3.55億ドル、EPS2.04ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[AVY] エイブリーデニソン 2Q増収最終増益 売上高7%増22.3億ドル、純利益76%増1.76億ドル、配当0.88ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
[KMB] キンバリークラーク 2Q減収増益 売上高2%減50.2億ドル、営業益5.8倍6.55億ドル、EPS1.61ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[UPS] ユナイテッドパーセルサービス 2Q減収減益 売上高1%減218億ドル、営業益30%減19.4億ドル、EPS1.65ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[DHR] ダナハー 2Q減収 売上高3%減57.4億ドル、営業益微増11.6億ドル、EPS1.22ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[COF] キャピタルワンファイナンシャル 2Q増収最終減益 売上高5%増95.0億ドル、純利益6…
●海外企業
エアバスCEO、機体受注を一部断念-旺盛な需要にも生産間に合わず - Bloomberg
●日本企業
ニデック純利益48%増、1850億円に上振れ 25年3月期決算 - 日本経済新聞
三菱自動車の純利益39%減 4~6月、東南アジア需要低迷 - 日本経済新聞
三菱自動車が23日発表した2024年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比39%減の294億円だった。主力の東南アジア市場で販売店向けの需要が低迷した。競争が激しい北米で販売対策費用がかさんだことも影響した。純利益は市場予想の平均(QUICKコンセンサス、358億円)を下回った。
売上高は1%減の6275億円、営業利益は21%減の355億円だった。営業利益の変動の内訳をみると卸し台数の減少が140億円の減益要因になった。東南アジアの需要が減ったことに加え、欧州で前年同期に法規対応に伴う出荷増があった反動もあった。
販売費も利益を94億円押し下げた。販売奨励金や宣伝費がかさんだ。
松岡健太郎副社長は同日の決算説明会で「既に東南アジアでは小売台数とシェアの改善が見られている。7〜9月期以降に卸売台数に反映できれば業績は挽回できる」と説明した。4〜6月期の東南アジアの小売台数は5万9000台と前年同期並みだった。タイやインドネシアでは減ったが、フィリピンやベトナムが増えて補った。
25年3月期通期の業績予想は従来予想を据え置いた。売上高は前期比3%増の2兆8800億円、純利益は7%減の1440億円を見込む。
●米大統領選挙
アングル:経済変革の偉業目指したバイデン氏、政策理念は継続される可能性 | ロイター
米大統領選挙から撤退を決めたバイデン大統領は国内各地のインフラ整備やさまざまなセクターへの公的助成に大規模な財政資金を投じてもなお、保守的傾向が強い地域でトランプ前大統領への支持を覆すほどの政治的評価は得られなかったかもしれない。
しかもこうした政策は、生産性向上やサプライチェーンの強じん化、気候変動対策としての「先行投資」とうたわれながら、実際に実を結ぶまでには相当な時間がかかるだろう。
批判派からは、バイデン氏が財政赤字を膨らませ、市場に代わって「勝ち組」を選別し、学費ローンや独占禁止法運用の面で連邦政府の権限を過剰に行使したとの声も聞かれる。
それでもバイデン氏の支持派、反対派のいずれも、同氏が2007―09年の金融危機以降温められてきたリベラル的な政策を推進し、経済の面で大きな変革を成し遂げた大統領になることを目指していたという見方に異論を持っていない。
バイデン氏は、一部の急進的な民主党議員が提唱していた資産や所得の再分配を促す税制の導入までには踏み込まなかった。
ただ、いわゆる「産業政策」を復活させ、サプライサイド経済学をリベラル方向に再ブランド化し、半導体内製化などの戦略上、あるいは子育てや学費ローンなどの道徳上で自身が必要だと感じた問題に取り組もうとした。
ブルッキングス研究所のメトロポリタン・ポリシー・プログラムで上席研究員を務めるマーク・ムロ氏は、バイデン氏について、ハイテクやグリーンエネルギー、インフラへの投資という大いなる実験を断行し、このままでは経済社会の停滞や政府への不信感が広がりかねなかった時代を切り開くことができた、と賞賛している。
ムロ氏によると、これらの政策はサンフランシスコやボストンなど伝統的な拠点以外にも技術革新の恩恵を及ぼすことに重点が置かれていたという。
<代償>
その高い代償の一つは、2020年のインフレだ。またアメリカン・エンターブライズ研究所の常任研究員マイケル・ストレイン氏は、バイデン氏の「向こう見ずな」支出によって現在の政府債務が国内総生産(GDP)の6%と、景気後退期並みに膨らんだと指摘。学費ローン免除などで中間層世帯向けの連邦政府の支援の範囲が広がったことも問題視している。
ストレイン氏の分析では、バイデン氏が望んでいたのは、「ニューディール政策」を唱えたフランクリン・ルーズベルトや「偉大な社会政策」を掲げたリンドン・ジョンソンに肩を並べることだったが、一連の政策を新たなレガシーと定義することはできないという。
とはいえバイデン氏の政策は、トランプ氏が歪曲して茶化すようなものではない。バイデン政権下で失業率が4%を下回った期間は1960年代以来で最長の2年余りに達する。賃上げは特に低所得層が最も大きなメリットを享受し、多くの人々の賃金は物価の伸びに劣らなかった。
<金融危機後の教訓>
バイデン氏とトランプ氏の経済政策には1つ重要な共通項がある。それは財政赤字を活用してトレンドより高い成長を維持することだ。
トランプ氏は伝統的な共和党方式にのっとり、歳出削減を抑えて減税を実施。一方でバイデン氏は、民主党としては斬新な手法を用いた。
バイデン氏はオバマ政権の副大統領として07―09年の金融危機対策があまりにも小規模で景気回復に時間がかかり、傷跡が長く残った経緯を目の当たりにした結果、危機の際には対応は迅速かつ大規模でなければならないという教訓を得た。
そこで就任早々に総額1兆9000億ドルの米国救済計画法を打ち出し、トランプ政権時代のコロナ禍対策の多くを継続。これらは超党派で実行されたものの、失業率を4%半ばまで下げるのに要したのは約1年半と、金融危機後に同じ水準へ達するのにかかった7年余りに比べてずっと短くなった。
さらにインフラ整備や半導体の国内生産強化、インフレ抑制法によるグリーンエネルギー生産や電気自動車(EV)に向けた助成措置などが導入された。
それらの一部は、トランプ氏が大統領に返り咲けば撤回されるかもしれない。
しかしムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は、バイデン氏が立ち上げた政策理念の大半は今後も継続される公算が大きいとみている。
ザンディ氏は、米国がコロナ禍を懸念されたよりも小さな経済的ダメージで乗り切り、そのコストがインフレだったとしても、慢性的な失業や生産力の低下といったもっと深刻な事態を免れることができたと強調。インフラ投資や半導体内製化なども成果が見えつつあると付け加えた。
さらにザンディ氏は、バイデン氏の政策はルーズベルトの恐慌対策ほどのスケール感ではなかったとしても、かなりの意義があると話す。伝統的なマクロ経済政策の文脈では革新的とは言えないが、その土俵上でより大規模かつより強力に実行したとの見方を示した。
ハリス氏がトランプ氏批判、中間層構築を目標に 指名獲得へ初演説 | ロイター
米大統領選へ向け民主党の候補指名獲得を目指すハリス副大統領は22日、名乗りを上げてから選挙に関連して初めて演説し、共和党候補のトランプ前大統領を批判した。
元検察官のハリス氏は選挙スタッフに対し「私はあらゆる種類の犯人に対応した。女性を虐待した者、消費者を食い物にしたり、自分たちの利益のためにルールを破ったりする詐欺師だ」と語った。
その上で「ドナルド・トランプのタイプを知っている」と述べ、自身の経験を基にトランプ氏がやってきたことを選挙戦で追及していくと表明した。
ハリス氏は副大統領を務める前にはカリフォルニア州司法長官と連邦上院議員を務めた。
トランプ氏は不倫口止め料の不正会計処理を巡り有罪評決を受け、9月に量刑が言い渡される予定。また、2020年の大統領選結果を覆そうとしたとして起訴されている。
ハリス氏は中絶の権利を保護し、アサルトライフルを禁止することなどを目指すと説明。中間層(ミドルクラス)構築を自身の大統領としての目標にすると述べた。
一方、大統領選からの撤退を表明したバイデン大統領はハリス氏の選挙イベントに電話で参加。デラウェア州の自宅でコロナ感染からの回復に努めているバイデン氏はハリス氏への支持を改めて訴え、自身の撤退は正しい判断だったとの考えを示した。
情報BOX:民主党候補指名有力なハリス氏、重要ビジネス分野での実績 | ロイター
米大統領選からバイデン大統領が撤退し、新たな民主党候補については同氏から後継指名されたハリス副大統領が最有力視されている。ハリス氏の幾つかの重要なビジネス分野に関する過去の発言や行動は以下の通り。
◎ハイテク業界との関係
カリフォルニア州司法長官候補時代にハリス氏は、献金が見込めそうな人々に対して自分は資本主義者だと改めて請け合ったと伝えられている。地元サンフランシスコでは有力なハイテク企業幹部や投資家との関係も総じて親密。フェイスブックの初代トップだったショーン・パーカー氏の結婚式に出席し、義理の兄弟のトニー・ウエスト氏は、ウーバーの最高法務責任者を務めている。
ハリス氏は、有力ベンチャーキャピタリストでリンクトイン共同創業者のリード・ホフマン氏や、ベンチャーキャピタリストのロン・コンウェイ氏らからも献金を受けた。フェイスブックの最高執行責任者だったシェリル・サンドバーグ氏や、富豪でセールスフォース最高経営責任者(CEO)のマーク・ベニオフ氏もハリス氏を支持している。
◎ハイテク規制
ハリス氏はカリフォルニア州司法長官として、2012年にイーベイを提訴した。インテュイットとの間での引き抜き禁止協定が独占禁止法に違反するとの主張で、14年に400万ドル弱の和解金支払いによる合意につながった。
ソーシャルメディア上でのわいせつなコンテンツ、特にいわゆる「リベンジポルノ」の拡散取り締まりにも力を注いできたハリス氏は、フェイスブックやアルファベット傘下のグーグル、マイクロソフトなどに一定の画像を削除するための措置を講じさせるという成果を上げた。
◎気候変動・エネルギー
ハリス氏の気候変動・エネルギー問題への対応は、バイデン氏と相似する。ただハリス氏は政治活動の全期間を通じて、クリーンエネルギーと環境保護を最優先課題として取り組む姿勢を鮮明に打ち出している。
バイデン氏が20年の大統領選でハリス氏を副大統領候補にすると発表した際には、ハリス氏がカリフォルニア州の幹部時代に大手石油会社に厳しい姿勢を示した点を強調した。ハリス氏はサンフランシスコ地区検事だった04―11年と、その後17年までのカリフォルニア州司法長官の在任中、大手石油会社を相手に複数の訴訟を提起。シェブロンとBPの地下燃料貯蔵施設の汚染問題では多額の和解金支払いに同意させている。
ハリス氏は、バイデン氏が提唱した開発区画リースと補助金による洋上風力発電やその他再生可能エネルギーの普及促進を支持しており、化石燃料に肩入れするトランプ前大統領とは対照的だ。
昨年ハリス氏は、国際的な気候変動対策協議に初めて出席し、米国が「緑の気候基金」に30億ドルを追加拠出する方針を表明。副大統領としては、鉛製給水管の交換など懸案となっている環境問題にも取り組んでいる。
◎ウォール街
ハリス氏はカリフォルニア州司法長官時代には、大手銀行に厳しいとして有名だった。11年には、各州の司法長官と大手行が合意した、貸し手側が住宅差し押さえなどで痛手を受けた消費者の救済を義務付ける和解案からハリス氏が離脱し、その後銀行はカリフォルニア州の住宅ローン債務者の負担軽減に向けた4倍以上の資金拠出を約束させられた。
カリフォルニア州はハリス氏の下で、16年にウェルズ・ファーゴが顧客の承認なしに口座開設やクレジットカード発行をした問題を巡り、刑事捜査も開始している。
それでもウォール街の何人かの有力者は、大統領選でハリス氏を支持すると報じられた。セマフォーが21日伝えたところでは、センタービューのブレア・エフロン氏や、ブラックストーンのジョナサン・グレー氏、ラザードのピーター・オルザグ氏とレイ・マグワイ氏、エバーコアのロジャー・アルトマン氏などからの献金が予想されるという。
◎製薬業界
ハリス氏は、ヘルスケア業界の再編について、企業の大規模化は消費者向け製品の値上がりをもたらすとして反対している。
カリフォルニア州司法長官時代には、製薬会社や医療保険会社、病院運営会社などに対する裁判で勝訴。薬価水増しや同州のメディケイドへの過剰請求を巡る訴訟でも、被告企業に和解金支払いを同意させた。
◎人工知能(AI)
ハリス氏は副大統領として、AIの脅威を警告し、AIがもたらし得る危険を防止する「道徳的な」義務がハイテク業界幹部にはあると強調した。
バイデン氏がハイテク業界に対して発した消費者保護強化命令を支持するとともに、具体的な問題としてAIによる詐欺電話やコンテンツにAI製の表示がなされないことなどを挙げた。
トランプ氏は元検事に勝てるか、ハリス氏は女性票も意識-本格始動へ - Bloomberg
11月の米大統領選に向け、民主党候補の指名獲得に必要な過半数の代議員を確保したと伝えられたハリス米副大統領は23日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで集会を開催し、選挙活動が本格的にスタートする。
不安な民主党支持者らが最も気に掛ける問題、共和党候補のトランプ前米大統領をどう打ち負かすつもりかという疑問に答えることを目指す場になる。
バイデン大統領は21日、再選を目指さず、民主党大統領候補としてハリス氏を支持すると明らかにした。それからわずか2日という短い時間で、同氏は党内の主立った面々の支持をほぼ取り付けた。指名獲得に動き出した初日に1億ドル(約156億4000万円)を超える記録的な資金も集まった。
激戦州ウィスコンシン州で政権構想を示すハリス氏にとって、投票日まで100日強という状況で、勝てる選挙戦を展開できると一般有権者を納得させることが最大の課題になる。
それは大きな挑戦だ。自らの存在をあらためて国民に周知させ、世論調査で広がるトランプ氏のリードをいかに逆転できるか示さなければならない。その実現には、バイデン大統領が4年前にホワイトハウスに連れてきた穏健で進歩的な有権者の連合を再構築し、経済運営を巡る不満を克服する必要がある。
元検事のハリス氏は、犯罪と社会正義のスタンスに関し長い公職歴があり、気候変動問題でも激しい主張を行う一方、バイデン政権の学生ローン減免策で若い有権者にアピールしてきた。中間層重視と富裕層増税を打ち出す経済政策「バイデノミクス」の支柱についても積極的に発言してきた。
22日に選挙陣営のスタッフと話した際、トランプ氏の人物像を明確に定義するため、元検察官という自らのバックグラウンドを用いるアプローチにハリス氏は言及した。
「女性を虐待する略奪者、消費者からだまし取るペテン師、自分の利益のために規則を破る詐欺師、あらゆる種類の加害者と私は対決した。だからドナルド・トランプという人物のタイプを知っていると私が言う時、どうか話を聞いてほしい」と同氏は述べたという。
遊説先でハリス氏にとって中心であり続けるに違いない少なくとも一つの問題は、女性のリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)だ。
ハリス氏はその熱心な支持者であり、人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた「ロー対ウェード判決」が2022年に米最高裁で覆されたことを受け、複数の州を回り、その再確立を目指す取り組みに光を当て、「リプロダクティブ・フリー(性と生殖に関する自由) 」への徹底した攻撃に加担したとトランプ氏を非難してきた。
トランプ氏再登板への熱気が薄れる郊外在住の女性票を共和党が思うように確保できない中で、民主党にとって勝利につながる争点となる。
ブルームバーグ/モーニング・コンサルトが7月1日から5日にかけて実施した世論調査の結果によれば、激戦州の有権者の52%が妊娠中絶について、11月の投票で「非常に重要な」問題と考えると回答した。この問題への対応でバイデン大統領をより信頼すると47%が答え、トランプ氏は35%にとどまった。
ハリス氏、支持率でトランプ氏を2%ポイントリード 米大統領選 | ロイター
ロイター/イプソスの世論調査から、11月の米大統領選に向けて民主党の大統領候補となる見込みのハリス副大統領の支持率が、共和党の大統領候補に指名されたトランプ前大統領をリードしていることが分かった。
調査は22─23日、登録有権者1018人を含む全米の成人1241人を対象にオンライン上で実施され、ハリス氏への支持は44%、トランプ氏は42%となった。
1─2日の調査では、トランプ氏がハリス氏を1%ポイントリード、15─16日の調査で両氏の支持率は44%で拮抗していた。
民主党支持者の91%がハリス氏を好意的と見ているほか、4分の3の同党支持者が民主党と有権者はハリス氏を支持すべきと考えていることも分かった。
また、無所属で出馬している弁護士ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏を加えた場合の支持率は、ハリス氏がトランプ氏を42%対38%でリードしている。
トランプ氏、ハリス氏と数回の討論会行う用意と表明 米大統領選 | ロイター
米民主議会トップ2人、ハリス氏に支持表明 大統領候補 | ロイター
米民主党上院トップのシューマー院内総務と下院トップのジェフリーズ院内総務は23日、ハリス副大統領を同党の大統領候補として支持すると表明した。
トランプ氏、財務長官にJPモルガンCEOら「起用検討せず」 | ロイター
トランプ氏もハリス氏も政策は債券市場に弱材料=JPモルガン | ロイター
JPモルガン・プライベートバンクのリチャード・マディガン最高投資責任者(CIO)は、11月の米大統領選挙に向けて民主・共和両党が掲げる政策はともに国債発行や財政赤字増につながる可能性があり、インフレを上昇させ、債券市場に悪影響を与える可能性があると述べた。
23日にロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで講演した。
同氏は「トランプ・ハリス両氏の政策姿勢は大きく異なるが、どちらも国債発行と財政赤字の増加につながる道を進んでいるようだ」とし、インフレと債券市場を悪化させる可能性があると指摘した。
共和党の大統領候補トランプ氏の税制政策が企業利益を押し上げる一方、国の長期的な財政健全性を損なうとの見方に基づく「トランプ・トレード」は、6月のテレビ討論会でバイデン米大統領(民主党)の応答が精彩を欠いたことを受けて勢いを増した。
バイデン氏が21日に大統領選からの撤退を発表し、ハリス副大統領の立候補を支持したことを受けて、今週の株式市場は好調なスタートを切った。投資家は再び大型成長株にシフトし、最近の小型株の上昇は一服した。債券投資家はトランプ・トレードの一部を解消した。
マディガン氏は、S&P総合500種は今年、好調なパフォーマンスを見せたが、今後はこれまでのようなリターンは期待できないとの見方を示した。JPモルガン・プライベートバンクは、同指数が5600に達した時点で、「オーバーウエート」の投資判断を外したとした。
また、大手テクノロジー企業や「マグニフィセント・セブン」として知られる企業の収益は引き続き好調である一方、中小型企業は多額の負債を抱え、収益と利益率が低下しているとも指摘した。また、バリュエーションや政治関連ニュースの影響で、株式市場は今後数カ月でさらにボラティリティーが高くなると予想している。
ハリス氏支持率、対トランプ氏でバイデン氏上回る勢い-選挙戦一変か - Bloomberg
バイデン米大統領が2024年の大統領選を撤退し、その後継者としてハリス副大統領を支持する決断を下したことは、献金や予測市場、支持者数において、今回の選挙戦に即時の影響をもたらした。
世論調査がこれに追随するかどうかは今後数日に分かるだろう。
バイデン氏による21日の撤退表明以来、初の主要な調査となったモーニング・コンサルタントの全米世論調査で、ハリス氏の支持率は45%と、共和党候補のトランプ前大統領(47%)に2ポイントリードされている。ただし、これは誤差の範囲内だ。バイデン氏は離脱前に6ポイントの差をつけられていた。
ハリス氏の名前が投票用紙に載ると、民主党の助けになり得ると考える理由がある。最近の世論調査では、ハリス氏の方がトランプ氏との直接対決でバイデン氏よりも良い結果を出している。
ハリス氏とトランプ氏の代替対決を示す世論調査では、過去何か月にもわたって、ハリス氏はバイデン氏を数ポイント下回っていた。これらにはブルームバーグ・ニュース/モーニング・コンサルトによる激戦州での調査も含まれ、バイデン氏がトランプ氏に4ポイントの差をつけられる中、ハリス氏はトランプ氏に7ポイントのリードを許していた。
6月下旬に行われた討論会でのバイデン氏のパフォーマンスが振るわなかったことで、この構図が変わり始めた。7月初旬までに、トランプ氏との直接対決でハリス氏はバイデン氏を上回り、21日時点でリアルクリアポリティクスの平均値では1.6ポイント優位となった。
一方でトランプ氏は先週の共和党全国大会後に支持率が上昇し、ファイブサーティーエイトの全米世論調査の平均値では、バイデン氏に対してこれまでで最大のリードを築いていた。
しかし、さまざまな人種の血を持つ59歳の候補者という選択肢が現れたことで、これまで傍観者に回っていた一部の人々、特に若者や女性、人種的マイノリティーの有権者が投票に戻ってくる可能性が出てきた。
エマーソン大学の世論調査員、スペンサー・キンボール氏は「これは選挙戦を変える可能性がある。仮定の状況では捉えられない歴史的な意義があるためだ。今はそれを目の当たりにしている。大きな変化をもたらす可能性がある」と指摘した。
バイデン氏がすでに指名確実な候補者だったため、ハリス氏を支持するのをためらっていた民主党員もいたかもしれないと、キンボール氏は話す。そのような有権者は、今やハリス氏を支持するとはっきりと言うことができるだろう。民主党全国大会を8月に控え、党の候補指名を目指しハリス氏に挑戦すると表明している著名な民主党員もいない。
とはいえ、ハリス氏の躍進は長続きしない可能性もある。有権者の支持政党は僅差で割れており、バイデン氏の討論会パフォーマンスやトランプ氏の暗殺未遂事件、共和党大会といった衝撃的な出来事でさえ、世論調査の平均値を合計3ポイントしか動かさなかった。
「選挙戦が一変したことで、どう転ぶかはこれから分かるだろうが、レースが落ち着くには民主党大会までかかるだろう」とキンボールは話した。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
アングル:7月FOMC、インフレの文言修正で利下げ開始示唆か | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)が重視する個人消費支出(PCE)物価指数の前年比上昇率は、2021年の5月から7月にかけて3カ月連続でFRBのインフレ目標である2%の2倍を超える水準を記録した。これを受け、FRBのスタッフと政策立案者は同年9月にインフレについて控えめな表現を改め、「高い(elevated)」という文言を使うようになった。
今ではPCE物価指数の上昇率は2.6%に鈍り、さらに下がり続けるようにも見えるが、連邦公開市場委員会(FOMC)声明には「高いインフレ(elevated inflation)」という表現がまだ残っている。
来週30、31日のFOMCでついにこの表現がなくなれば、FRBが早ければ9月にも利下げに踏み切り、金融緩和サイクルに踏み出すという、これまでで最も強いシグナルになる。
FRBがインフレについての表現を「elevated」からより穏やかなものに変更することで、声明の中のもう一つの重要な表現も変わる可能性がある。 「インフレが持続的に2%に向かっているという確信が深まる」まで利下げを行わないとしている部分だ。
FRBのスタッフリポートはPCE物価指数の上昇率が3%を割り込んだことを受けて、今年1月には既にインフレについて「elevated」との表現をやめている。FRBの政策立案者もインフレが経済全体のより広範囲で減速し、この流れが続くとの確信を深めていると表明している。
政策立案者は政策転換までの距離について「一段と近づいている(drawing closer)」という表現を使い始めている。
アトランタ連銀のボスティック総裁は6月下旬の記者会見で、PCE物価指数の上昇率が2.5%以下になれば、インフレに関する文言の修正を検討すると示唆した。エコノミストの間では、7月26日に発表される6月のPCE統計で物価指数の上昇率がこの水準に達するか、もしくはこれよりも鈍化するとの見方が多い。
リッチモンド連銀のバーキン総裁も先週、記者団に「FOMCに先立って新たなPCEデータが発表される。数値を確認し、適切な調整を行う」と述べた。
<スタッフリポートが先行>
文言の修正は妥当だと感じているエコノミストもいる。
ルネッサンス・マクロの経済調査責任者、ニール・ダッタ氏は最近の分析で「FRBはインフレの鈍化をもっと積極的に認めるべきだ」と指摘。例えば労働統計局が開発した、CPIよりも早く足元の住居費の動きを補足する住宅インフレ指標は、第2・四半期を通じて家賃が下落し、「本格的な減速」を示していると論じた。ダッタ氏は「居住費のインフレは今後さらに鈍化する」とみている。
FRBのスタッフは既に姿勢を変えたことが、最近のFOMCの議事要旨から分かる。
昨年12月の会合では、入手可能なデータでインフレ率が3%であったため、FRBスタッフはインフレ率について「過去1年間で緩和したが、依然として高水準」と表現した。
しかしFRBスタッフの翌月の会合では、12月のPCE物価指数の上昇率が2.6%に鈍化したことを受けて、スタッフリポートからインフレ率について「高い」という文言が消え、「1年の間に著しく鈍化した 」後、「2%超が続いた 」と記述した。
経済に関するスタッフのコメントは注目度が低い。FRBのエコノミストの多くは米国の家計のお金のやり繰りに長期的な影響を与えるような行動を決定する立場にないからだ。しかしスタッフの見解は議論を形成する上、その論調の変化は政策の方向性を示すシグナルとなり得る。
2021年の4月、6月、7月の声明では「インフレ率が上昇した(has risen)」という文言が使われた。PCE物価指数の前年比上昇率は2021年2月にはまだ1.8%だったが、3月には2.7%に加速した。この数字はFRBが同年4月にFOMCを開いた時点ではまだ発表されていなかったが、エコノミストたちは他のデータからこの数字を推測することができた。
FRBスタッフは2021年9月に「高い(elevated)」と表現を変更し、FOMC声明もこの文言を踏襲した。
FRBが重視するインフレ指標はそこからさらに上昇し続け、2022年6月に7.1%でピークを迎えた。それ以降の鈍化は急激で、しかも全面的だ。少なくとも足元では、財の価格は値下がりしている。パンデミック以前の10年間に全体のインフレを抑制していた要因が、再び働き始めた。
賃金の伸びと「硬直的な」サービス価格の上昇は緩やかになっている。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は先週の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、米国は「われわれが望んでいるディスインフレ傾向に近づいている」と述べた。
インフレ・インサイツの代表で物価動向を注視しているオメール・シャリフ氏は、その証拠は明らかだと言う。
シャリフ氏によると、基調ではなく一時的な振れとしか考えられない2024年初頭の高騰を除くと、過去13カ月のうち10カ月で基調インフレ率は平均してFRBの目標とする2%に達している。変動の大きい食品価格とエネルギー価格を除く基調的なインフレ率が低下し始めた昨年夏からの動きを見ると、「高いインフレ」という表現を削除するのは妥当であり、しかも9月のFOMCが最初の利下げの候補であることを示す良い方法になりそうだという。
ECBのサイバー攻撃テスト、一部の銀行で深刻な弱点が明らかに - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)が行ったハッカー攻撃のシミュレーションテストによれば、域内幾つかの銀行で対応力に深刻な脆弱(ぜいじゃく)さが見られた。
ECBは初めて実施した同テストの結果を週内に発表する見通し。今回のテストを巡り10行以上の銀行に助言を行ったKPMGドイツによれば、ECBの暫定報告では金融機関の課題は総じてそれほど深刻ではなかったことが示唆された。
しかし一部の銀行でシステムの再稼働に時間がかかり過ぎたり、ハッカー攻撃に関するコミュニケーションがうまくいかなかったりと、より重大な問題に直面したケースもあったと、KPMGドイツのペーター・ハートライン氏は指摘した。ハートライン氏は同社の金融サービスでサイバーセキュリティー&ITコンプライアンスのディレクターを務めている。
ECBは昨年、ロシアとの間に緊張がある中でサイバー攻撃対応の優先度を引き上げ、今回のテストの実施計画を明らかにした。ECBは銀行の自己資本要件に直接影響を与えるような審査ではなく、銀行のリスク管理を改善するための演習ととらえている。
シミュレーションテストは計109行を対象に実施された。テストは1月に開始。銀行はシミュレーション上のサイバー攻撃を解決し、その対策を報告することが求められた。
ECBは各銀行のテスト結果を公表する予定はないが、ハートライン氏によれば、各行に対して明らかになった問題の解決策を講じるための期限を設定する。
来週日銀会合の利上げ予想3割、最多10月不変も前倒し進む-サーベイ - Bloomberg
日本銀行は来週に開く金融政策決定会合で、国債買い入れの減額計画と共に追加利上げを決めるとみているエコノミストは3割程度にとどまっている。
ブルームバーグが17-22日にエコノミスト48人を対象に実施した調査によると、日銀が30、31 日の会合で追加利上げを行うとの予想は29%となった。6月会合後の前回調査では33%。利上げ時期は10月会合が引き続き最多だったが、前回の42%から35%に減少。9月会合が前回の19%から27%に増加し、予想を前倒しする動きが見られている。
今会合での利上げ見送りを予想する理由として指摘されたのが個人消費の低迷だ。調査では43%が利上げを今するには個人消費が弱過ぎると答えた。SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミストは、「消費の足踏みが継続していることも踏まえれば、追加利上げを講じるにあたっては、夏場にかけての賃上げの消費や物価への波及度合いを見極める必要がある」とみている。
国債買い入れの減額計画との同時決定が利上げのハードルを上げているとの見方も少なくない。減額計画の決定が利上げの可能性を低下させたと思うかとの問いには、「はい」と「いいえ」が41%で並んだ。植田和男総裁は、同時決定も「十分あり得る」と発言している。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、今会合で利上げすれば、市場は4カ月程度に1回の利上げを想定し始める可能性があると指摘。経済・物価情勢が大きく見通しから外れていなければ、いつでも利上げを正当化し得る状態にはあるが、「あえて国債買い入れの減額と同時に行うほど、利上げの切迫した必要性はないと判断するのではないか」とみている。
一方で、リスクシナリオとして最も早い利上げのタイミングを聞いたところ、94%が7月会合と回答した。日銀は経済・物価見通しが実現し、物価の基調が上昇していけば緩和度合いを調整するとしており、今会合で議論する新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)でもシナリオは維持される見通しだ。
野村総合研究所の井上哲也シニアチーフリサーチャーは物価情勢について、基調に近い「第二の力」が作用しているだけでなく、輸入物価上昇を価格転嫁する「第一の力」が想定以上に続くリスクがあり、「利上げを行うことには合理性がある」と主張。 足元の消費の弱さは物価上昇による実質購買力の低下や一部の耐久財の供給制約による面が強いとし、「利上げの制約とはなりにくい」と語った。
減額計画
今後1-2年程度の国債買い入れの減額計画について、植田総裁は6月会合後の記者会見で、「 減額する以上、相応の規模となる」と明言。日銀は減額計画の策定に資するため、債券市場参加者からも意見を聴取し、議事要旨も公表している。
減額の幅とペースに関するエコノミストの中心的な予想は、減額計画の決定直後に現在、月間6兆円の買い入れ額を5兆円に減額し、その後は四半期ごとに購入を縮小して2年後に月間3兆円まで圧縮するというものだ。複数の関係者によると、2年後に月間3兆円程度に縮小されるとの見方が市場の一つの目安になっていることを、日銀も認識しているという。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、減額の規模とスピードに関して「四半期ごとに月間買い入れ額を0.5兆円ずつ減額していくと、2年後の月間買い入れ額は2兆円台に低下する計算。これであれば、相応の規模の減額と言えるのではないか」とみている。
●先進国、グローバル、金融市場
米中古住宅販売、4カ月連続で減少-2010年以来の低水準付近 - Bloomberg
6月の米中古住宅販売件数は2010年以来の低水準付近にとどまった。売り手は住宅ローン金利がさらに低下するのを待ち、買い手は高止まりする価格に二の足を踏んでいる。
原油、来年は供給過剰か ブレント70ドル台=モルガン・スタンレー | ロイター
原油市場は現在、需給が引き締まっているが、来年は供給過剰に転じ、北海ブレントが1バレル=70ドル台半ばから後半の価格帯に下落するとの見通しを示した。今年第3・四半期のブレント見通しは86ドルに据え置いた。
同ノートによると、今年第3・四半期の大半は需給が引き締まった状態が続くものの、第4・四半期までに需給が均衡し、「季節的な需要の追い風が弱まって石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC双方の供給が増加に転じる」と予想した。
来年のOPECと非OPECを合わせた供給量については、需要の伸びを大幅に上回る日量約250万バレル程度増加すると見込んでいる。
製油所稼働率は今年8月にピークに達し、来年7月まで同じ水準には戻らなそうだという。
●中東情勢
パレスチナ各派、「分裂解消」で合意 中国が仲介 - 日本経済新聞
サウジアラビア、16兆円でシェールガス開発へ 石油依存を脱却 - 日本経済新聞
トルコ中銀、金利50%に据え置き ディスインフレの進展を予想 | ロイター
●エマージング
最高額で売れた香港高層ビル、価値急落-中国信用バブル崩壊の象徴に - Bloomberg
香港の73階建て高層ビル「中環中心(ザ・センター)」は、2017年に香港のオフィスタワーとして過去最高額で売却された。売却額が約52億ドル相当(当時のレートで約5870億円)とあまりにも高かったため、投資家はコンソーシアムを結成して過半数の権益を取得し、フロアを分割しなければならなかった。しかし、この決断は急速に重荷となりつつある。
現在、資金繰りが苦しいオーナーらは、中国本土の住宅販売急減を受け、同ビルのテナントや区分購入者から収入を確保しようと競い合っている。これらオーナーの多くは中国の住宅建設業者だ。
その結果、価値は下落し、現在では購入価格を50%近く下回る価格で提供されているスペースもある。一方、不動産仲介業者ナイト・フランク集計のデータによると、18年6月以降、中環(セントラル)地区のオフィス全体の価値は約30%下落している。
ブルームバーグ・ニュースの記者が今年4月にザ・センターを訪れた際、天井のパネルがところどころ欠けているほか、フロアによっては隙間から長い電線が垂れ下がっていた。当時、ある空きオフィスの入り口には、以前のテナントが家賃を払っていないことを示唆する張り紙があった。同じフロアでは、幸運と繁栄の象徴であるパキラ(発財樹)の木の下に枯れ葉が散らばっていた。
同ビルの苦境は、中国政府による過剰レバレッジの取り締まりによって不動産を巡る熱狂に終止符が打たれた後、香港を襲った幅広い信用バブル崩壊を象徴している。デフォルト(債務不履行)の増加に伴い、海外投資家は住宅建設業者の債券を敬遠しており、好況時に多くの不動産開発業者が行っていた債券投資家説明会は、清算を回避するための法廷審理に取って代わられている。
アドミラルティー・ハーバー・キャピタルの最高経営責任者(CEO)で元投資銀行バンカーの劉北(パトリック・リウ)氏は、「資本市場はある程度、中国の不動産バブルに拍車をかけた。当時はデベロッバーが借り入れに熱心である一方で、資金をつぎ込む用意がある裕福な投資家もいた」と話し、「誰もがレバレッジをかけ続けたほか、不動産は中国経済の柱だとして、崩壊しないと踏んでいた」と振り返る。
テナント探しも家主にとっては難題だ。コリアーズ・インターナショナルのデータによると、ザ・タワーのオフィススペースの4分の1余りが空室となっており、中環地区の空室率の2倍となっている。
不動産仲介業者ナイト・フランクによれば、テナントは現在、より快適な設備を備えた新築ビルに集中しており、新しいオフィスビルが完成すれば、競争はさらに激化する。ミッドランド・コマーシャルの仲介業者ジェームズ・マック氏は、今のところザ・センターの賃貸と販売が「不気味なほど静かだ」との見方を示している。
オックスフォード大学中国センターのリサーチアソシエート、ジョージ・マグナス氏は「中国本土が香港の金融機関や勤務者にもたらした不動産ブームは、明らかに終焉(しゅうえん)を迎えた」と指摘。中国の不動産不況は「金融センターとしての香港に永続的な悪影響を及ぼすだろう」と述べた。
韓国与党、新代表に前法相の韓東勲氏 広がる亀裂 - 日本経済新聞
韓国の保守系与党「国民の力」は23日、ソウル近郊で党大会を開き、代表選を実施した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と距離を置く前法相の韓東勲(ハン・ドンフン)氏を新代表に選出した。
韓氏は4月の韓国総選挙(一院制の国会議員選)で非常対策委員長として与党を率いたが敗北した。政治の表舞台から一旦退いたが与党代表として再び復帰することとなった。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
【コラム】東京五輪は大惨事、あの大合唱はどうなった-リーディー - Bloomberg
●市況
NY市場サマリー(23日)円続伸、利回り低下 株小反落 ハイテク決算注目 | ロイター
<為替> 円が対ドルで2日連続続伸した。金融政策の正常化を巡る日本政府関係者の発言が後押しとなり、日銀による追加利上げへの圧力が高まった。
自民党の茂木敏充幹事長は、日銀は「段階的な利上げの検討も含めて、金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と述べた
取引終盤、ドル/円は0.9%安の155.625円。先週18日には、円は1ドル=155.375円と5週間ぶりの高値を付けた。
<債券> 国債利回りが低下した。住宅関連指標が軟調だったほか、好調な2年債入札を受けた。
指標10年債利回りは1.7ベーシスポイント(bp)低下の4.243%。30年債利回りは0.4bp低下の4.474%。
2・10年債の利回り格差はマイナス24.6bp。
2年債利回りは3.6bp低下の4.487%。
<株式> 引け後発表の電気自動車(EV)大手テスラとグーグルの親会社アルファベットの決算をにらみ、小反落して終了した。
ハイテク大手の決算は米株市場が今年の記録的な上昇を持続できるかどうかを左右する鍵となる。また、大型株から、アンダーパフォームしているセクターへの資金シフトが続くかどうかも注目される。
<金先物> 米長期金利の低下などを背景に買われ、5営業日ぶりに反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比12.60ドル(0.53%)高の1オンス=2407. 30ドル。
米長期金利の低下を背景に、金利の付かない資産である金の投資妙味が強まり、金が買われた。また、金塊相場が前日までに4営業日続落していた反動から、この日は買い戻しも入りやすかった。
<米原油先物> ガザ停戦交渉の妥結期待などを背景に売りが優勢となり、下落。米国産標準油種WTI9月物の清算値(終値に相当)は前日比1.44ドル(1.84%)安の1バレル=76.96ドルと、中心限月としては約1カ月半ぶりの安値に沈んだ。10月物は1.41ドル安の75.92ドル。
イスラエルとイスラム組織ハマスの交戦が続く中、バイデン米政権が5月に示した停戦案の実現へ向けた交渉がヤマ場を迎えている。今週は、イスラエルの交渉団が仲介国のカタールを訪問するほか、ネタニヤフ首相も訪米し、バイデン大統領やハリス副大統領と会談する。
また、パレスチナ自治政府のアッバス議長率いる主流派ファタハとハマスの代表者らが21─23日に中国・北京で「和解協議」を行い、「分断の終結と団結強化」をうたった「北京宣言」に署名。これらの報を受け、産油国が集中する中東地域の緊張緩和期待が高まり、相場は早朝以降、ジリ安で推移した。
欧州市場サマリー(23日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。原油や銅の値下がりを受けて商品関連銘柄が売られた。自動車関連株も下落したが、好決算銘柄の上昇で全体の下げ幅は抑えられた。
資源大手のリオ・ティントは1.5%、同業グレンコアは2.2%、それぞれ下げた。中国の需要低迷の懸念から銅価格が値下がりしたことが響いた。
<欧州株式市場> 小幅に続伸して取引を終えた。ドイツのソフトウエア大手SAPの堅調な決算発表などを受け、ITや半導体関連銘柄の買いが優勢だった。一方、コモディティー(商品)価格の値下がりを受けて、資源関連株は下落した。
SAPは7.2%と大幅に上昇。増収とコスト削減効果によって第2・四半期決算の営業利益が予想を上回ったことが材料視された。
他の個別銘柄では、ドイツの高級スポーツカーのポルシェは5.1%下落。アルミ部材の供給不足を理由に通期売上高と利益の見通しを下方修正したことが嫌気された。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。市場では、欧州中央銀行(ECB)の利下げ路線に対する期待が固まる中、米大統領選の新たな展開に注目が集まる。
ドイツ10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)低下の2.44%。前日は2bp上昇していた。
欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は、インフレ率の目標水準への低下を検証する上でECBの新たな予測が「最も重要な」材料になるとし、9月利下げの可能性を示唆した。
金融市場は現在、9月利下げの確率を約80%とする見方を織り込んでおり、年末までにさらに2回の追加利下げが行われる確率も約80%と予想している。 

備忘録(2024/7/22
●雑感
●決算
ベライゾン、4─6月期売上高が予想未達 補助金終了で加入者急減 | ロイター
米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ.N), opens new tabが22日発表した第2・四半期決算は、売上高が予想を下回った。連邦政府のインターネット補助金が終了したことを受け、プリペイド式の加入者数が急減した。
これを受けて株価は6%超下落した。
第2・四半期のプリペイド式加入者は62万4000人減少。その半分以上は、コロナ禍に導入された低所得世帯向けインターネットサービスの補助金(ACP)が終了したためだという。
売上高は328億ドルで、LSEGのまとめた市場予想330億6000万ドルを下回った。携帯電話の買い替え件数が過去最低水準にとどまっていることもマイナス要因となった。
ベライゾンが決算受け下落 売上高が予想下回る=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ベライゾン<VZ>が下落。取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益は予想通りだったものの、売上高は予想を下回った。固定ワイヤレス・ブロードバンド・インターネットの需要に後押しされ、第2四半期のワイヤレス・サービス収入は3.5%増加したが、予想範囲内であった。ワイヤレス機器は予想を下回っている。
同社は固定ワイヤレス製品に注力しているが、第2四半期の個人向けの加入者純増数は21万8000件と、前四半期から7.4%増加し、法人向けは16万件と、四半期ベースで過去最高を記録した。同社の固定ワイヤレス顧客数は380万を超え、約69%増加した。固定ワイヤレスの伸びは、6月に政府の補助金プログラムが終了によるブロードバンド加入者の全体的な減少を相殺している。
アフォーダブル・コネクティビティ・プログラムは、低所得世帯に対し、ブロードバンド・インターネット・サービスの月額30ドルの割引を提供するものであった。
第2四半期のブロードバンド純増数は39万1000件で6.5%減となったが、固定ワイヤレスと有線製品Fiosの増加に後押しされ、予想の35万4000件を上回った。ただ、Fiosインターネット純増数は2万4000件で、予想の3万8100件を下回っている。Fiosは光ファイバーのインフラ整備に時間がかかるため、現在北東部の9州とワシントンDCでのみ利用可能である。
[NUE] ニューコア 2Q減収最終減益 売上高15%減80.7億ドル、純利益56%減6.45億ドル、EPS2.68ドル - 株探(かぶたん)|米国株
米地銀決算、減益相次ぐ 預金コスト上昇や融資需要低迷で | ロイター
一部の米地方銀行・中堅銀行が19日発表した第2・四半期決算は軒並み減益となった。預金コストの上昇や融資需要の低迷が響いた。
米国では今年、大半の銀行が純金利収入の減少を予想。高金利を背景に融資需要が減退していることに加え、顧客をつなぎとめるため、預金コストが上昇していることが背景だ。
ムーディーズの銀行業界担当幹部、クリス・スタンレー氏は「高金利、不透明な経済見通し、オルタナティブ(代替)融資との競争により、伝統的な銀行貸出の需要は引き続き鈍化している」と指摘。「こうした環境下では、銀行は規模にかかわらず、成長の前提を批判的に検証する必要がある」と述べた。
銀行の純金利マージンも3四半期連続で縮小している。
19日に第2・四半期決算を発表したハンティントン・バンクシェアーズ、フィフス・サード・バンコープ、リージョンズ・ファイナンシャル、コメリカはいずれも減益となった。
フィフス・サードの株価は寄り前の取引で1.5%下落。リージョンズとコメリカもそれぞれ3%、11%値下がりした。
複数の銀行幹部は、金利収入が逆風に直面しているため、経費削減に積極的に取り組んでいると述べている。
貸出債権の状況にも注目が集まる。今年はニューヨーク・コミュニティー・バンコープやファースト・ファウンデーションで商業用不動産ローンを巡る懸念が浮上した。
商業用不動産に加え、消費者を取り巻く環境も金利上昇で悪化しており、銀行は貸倒引当金や資本バッファーの積み増しを進めている。
米連邦準備理事会(FRB)のストレステスト(健全性審査)では、銀行のクレジットカード・ローンや法人向け融資のポートフォリオに問題が生じるリスクも示されている。
22日から始まる週にはNYCBやファースト・ファウンデーションが決算を発表する。
●海外企業
テルリアンが急騰 豪ウッドサイドが買収で合意=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
液化天然ガス(LNG)のテルリアン<TELL>が急騰。同社は経営難に陥っているが、豪ウッドサイド・エナジーが約9億ドルで買収することで合意した。ウッドサイドは世界的な液化天然ガス需要の急成長に賭けている。1株約1ドルの現金での買収となる。今回の買収でウッドサイドは米メキシコ湾岸ドリフトウッドLNGプロジェクトを含むテルリアンの全権を取得する。
ウッドサイドは、断続的な再生可能エネルギーの拡大を補完するため、より多くのガスが必要だと主張する最も声高なエネルギー企業の1つ。同社は供給拡大のため、米国でのLNG投資の可能性を探しており、ドリフトウッドはバイデン大統領による承認一時停止の影響を受けていない数少ないプロジェクトの1つ。
【企業概要】
低コストの天然ガス事業を構築し、世界の顧客に天然ガスを収益的に供給することに取り組む。天然ガス生産やLNGマーケティング、およびLNGターミナル施設やパイプラインネットワークを含むインフラ資産のポートフォリオを開発する。米国ルイジアナ州に天然ガス資産を保有する。
米デルタ航空、22日も2割欠航 システム障害の影響なお | ロイター
マテルが大幅高 Lキャタルトンが買収提案と伝わる=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
先ほどから玩具のマテル<MAT>に買いが強まっており、大幅高となっている。投資会社のLキャタルトンが同社に買収提案を持ちかけたと伝わった。ロイター通信が関係社の話として伝えた。同社株は2019年10月以来の日中最高値を更新。同業のハズブロ<HAS>もオファーを出すべきか協議中だという。
【企業概要】
 世界の乳幼児・子供向けに、バービーをはじめとするブランド人形や、フィッシャープライス等の玩具と製品を設計・製造する。おもちゃ車両ブランド、およびトイストーリー等のアクションフィギュアや、ブロック・組立おもちゃ・ゲーム他も取扱う。
世界的システム障害、保険会社への影響は限定的=フィッチ | ロイター
米サイバーセキュリティー企業クラウドストライクのソフトウエア更新が引き起こした世界的なシステム障害について、フィッチ・レーティングスは22日、世界の保険・再保険業界は財務面で大きな影響を回避できる可能性が高いとの見方を示した。
暫定的な推計では、保険金申請は50億ドル─100億ドル未満となり、元受け保険会社の補償範囲にとどまる見通しという。
この結果は、システム障害に起因する賠償請求や訴訟に対する投資家の懸念を和らげる可能性がある。また元受け保険会社はそのリスクの一部について再保険をかけているとされる。
●日本企業
横浜ゴム、米グッドイヤーの鉱山タイヤ買収 1400億円 - 日本経済新聞
横浜ゴムは米タイヤ大手グッドイヤーが手掛ける鉱山・建設機械向けのタイヤ事業を買収すると発表した。買収額は9億500万ドル(約1400億円)。乗用車向けのタイヤは中韓勢との競争が激しくなっており、鉱山向けなどの産業用途で収益源を広げる。
グッドイヤーの2023年の鉱山用タイヤ売上高は6億7800万ドルだった。今回の買収により横浜ゴムの鉱山分野の世界シェアはブリヂストンや仏ミシュランに次ぐ3番手に躍り出る。グッドイヤーは財務体質の改善に向け、23年末にオフロードタイヤなどの分野で事業再編を検討する方針を発表していた。
横浜ゴムは売上高でブリヂストン、住友ゴム工業に次ぐ国内3位。足元では特に乗用車向けのタイヤで中韓勢との安値競争が激しさを増している。
同社は利幅が大きい成長分野として乗用車以外の分野に手を広げている。16年にはオランダの農機タイヤメーカー、アライアンス・タイヤ・グループ(ATG)を約1300億円で、23年には農機用タイヤなどを手掛けるスウェーデンのトレルボルグ・ホイール・システムズ(TWS)を約2700億円でそれぞれ買収し、農機向けタイヤで世界首位のシェアを占めている。
26年12月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画で、高付加価値で利益が見込める分野をM&A(合併・買収)で拡大する方針を示している。
日本郵船、通期予想を上方修正 紅海情勢でコンテナ運賃上昇 | ロイター
2025年3月期の連結純利益予想を2450億円から3900億円に上方修正した。紅海情勢の悪化でコンテナ船の需給がひっ迫し、運賃が上昇していることなどが利益を押し上げる。IBESがまとめたアナリスト10人の予測平均値3114億円を上回った。
物流事業、荷主の要望に合わせて運航する不定期船事業も市況が堅調に推移。円安も追い風となる。連結営業利益の見通しは1650億円から2150億円に引き上げた。
日立、家庭用エアコンの製造から撤退へ-空調合弁を独ボッシュに売却 - Bloomberg
日立製作所は家庭用エアコンの製造から撤退する。日立と米大手電機メーカーのジョンソンコントロールズインターナショナル(JCI)の両社は、家庭用エアコンなど空調事業を手掛ける合弁会社を独ロバート・ボッシュに売却する方向で最終調整している。
ジョンソンコントロールズ日立空調を売却後も、日立はデータセンター向けなど一定の需要が見込める業務用空調事業は続ける。ただ高収益が見込める事業にシフトする戦略を背景に、「白くまくん」の名称で親しまれてきた家庭用エアコンの製造からは撤退することになる。
日立は1952年、日本で初めてウインドー型のエアコンを発売し、京都府内のホテルに納入した。59年には白くまのマークが登場。白くまくんの呼称が正式に採用されたのは75年で、初代は実写だった。
日本冷凍空調工業会によると、2023年の国内の家庭用エアコンの出荷額は7823億円で前年比ほぼ横ばいだったが、台数で見ると3年連続で前年割れだった。ダイキン工業をはじめパナソニックや三菱電機などプレーヤーも多く競争も激しい。
15年に日立子会社とJCIが、ジョンソンコントロールズ日立空調を設立。日立グローバルライフソリューションズが4割を出資する。当時の経営陣は世界の競争に勝ち抜き、前進できると確信しているとコメントしていた。
ただ足元で空調事業を含む「生活・エコシステム」の売上収益は全体の4%程度にとどまる。日立は、鉄道システムといったインフラ関連やデジタル化支援など強みがあり、成長が見込める事業に経営資源を集中する方針にかじを切った。今後、エアコン以外の家電事業をどのように扱うかについて関心が集まっている。
海外での白物家電事業については、20年にトルコ家電大手のアルチェリクと協業する道を選び、合弁会社を設立。アルチェリクが6割を出資する。
日立製作所の加藤知巳最高財務責任者(CFO)は、4日のブルームバーグとのインタビューで、アルチェリクとの合弁について去年は計画通りにいかなかったとし、今年は挽回するため施策を打っていると説明。まずは立て直しや強化を優先するが、「もちろん将来的にはいろんなオプションがある」と述べた。
●米大統領選挙
アングル:米民主党、ハリス氏指名なら歴史的な賭けに 人種・性差別に挑む | ロイター
米民主党が11月の大統領選から撤退を表明したバイデン大統領の後継候補にハリス副大統領を指名した場合、歴史的な賭けに出ることになる。
黒人・女性・南アジア系のハリス氏が人種差別、性差別、政治家としての実績不足という壁を乗り越えて、共和党のトランプ前大統領を打ち負かすというシナリオに賭けることになるためだ。
米国では過去2世紀以上の民主主義の歴史で、有権者が大統領として黒人を選んだのはバラク・オバマ氏1人のみ。女性を大統領に選んだことは一度もない。主要政党で女性初の大統領候補となったヒラリー・クリントン氏は2016年の大統領選でトランプ氏に敗れた。
政治ストラテジストで非営利団体「ブラック・ボーターズ・マター(黒人有権者は大切だ)ファンド」の創設者であるラトーシャ・ブラウン氏は「(ハリス氏の)人種と性別が争点になることは間違いない」と指摘した。
ハリス氏には別の大きな問題もある。大統領候補に指名された場合、選挙戦を展開し、党と献金者をまとめる時間は3カ月しかない。それでも多くの民主党関係者は同氏に期待を寄せている。
ハリス氏はトランプ氏より約20歳若い59歳。若い有権者や進歩派の民主党員が重視する中絶の権利を巡る問題で党をリードする存在だ。同氏の支持者は、ハリス氏が大統領候補に指名されれば、こうした有権者を取り込めるほか、黒人票も固められると主張。鋭い舌鋒でトランプ氏をやりこめることもできると期待を寄せている。
共和党との違いもアピールできる。共和党のトランプ氏と副大統領候補のJ・D・バンス上院議員はともに白人男性。ブラウン氏は「(共和党の2人は)米国の過去を、(ハリス氏は)米国の現在と未来を象徴している」と述べた。
<「無難な」候補の不在>
ただ、ハリス氏を巡っては、副大統領としての実績を疑問視する声や、2020年大統領選の民主党候補者指名争いで早々に撤退した過去を不安視する声も党内の一部で出ている。そしておそらく最大の懸念要因が人種差別と性差別という米国の長い歴史の重みだ。
最近の世論調査ではハリス氏とトランプ氏の直接対決を仮定した場合の支持率は拮抗。今月15─16日のロイター/イプソス調査によるといずれも44%だった。同じ調査ではトランプ氏がバイデン氏を43%対41%でリードしていたが、その差は世論調査の誤差(3%ポイント)の範囲内だ。
バイデン氏を支持するオカシオコルテス下院議員はインスタグラムで「バイデン氏の撤退を望んでいた人々が総意としてハリス氏を支持していると考えるのは間違いだ」とし、「無難な」後任候補はいないとの認識を示した。
ハリス氏の支持者は、同氏が人種や性別に絡んだ不当な攻撃を何度も切り抜けてきたとし、今後も切り抜けられるだろうと語る。
ハリス氏の元側近ジャマル・シモンズ氏は「米国には人種差別や性差別の歴史があり、それが選挙戦に影響するのは間違いない」とする一方、ハリス氏が指名されれば、黒人有権者が活気づくほか、16年の大統領選でヒラリー氏に投票しなかったことを後悔している女性有権者の票なども取り込めるのではないかとの見方を示した。
「人種と性別がハリス氏の追い風になることも事実だ。多くのアフリカ系米国人の支持を得られる可能性がある」と語った。
バイデン氏の後任の大統領候補には、カリフォルニア州のニューサム知事やミシガン州のウィットマー知事などの名前が浮上しているが、ハリス氏は知名度の高さもメリットになるとシモンズ氏は指摘する。
一方、ある元民主党議員は匿名を条件に、人種よりも実績がハリス氏の最大のリスクになるとの見方を示した。
ハリス氏は副大統領就任当初、スタッフの入れ替わりに悩まされ、投票権の保護や中米からの移民への対応といった問題で大きな成果を残せなかった。
この元議員は「いずれにしてもこれはギャンブルだ。だが、たとえハリス氏が候補になるにしても(バイデン氏以外に)賭ける方がいい」と語った。
ハリス氏、民主党の団結へ意欲 「トランプ打ち負かすため全力」 | ロイター
焦点:トランプ陣営、ハリス氏に着々照準 単なる代役にあらずと警戒 | ロイター
米共和党の大統領候補に指名されたトランプ前大統領はバイデン大統領よりもハリス副大統領の方が負かしやすいと豪語したが、ハリス氏の挑戦によってトランプ氏有利と思われていた大統領選は形を変えることになる。
選挙戦撤退を表明したバイデン氏は後継候補としてハリス氏を支持すると述べた。
関係筋がロイターに語ったところによると、トランプ陣営は数週間前からハリス氏が対抗馬になることを想定。ハリス氏をバイデン氏の移民政策と結び付けて批判することを示唆している。
第2の批判ポイントは経済だ。世論調査では常に米国民が食費や燃料費の高騰、高金利に不満を抱いていることが示されている。
トランプ氏のアドバイザーは先週の共和党全国大会で匿名を条件に「彼女はバイデン構想の副操縦士だ」と語った。
トランプ氏を支援するスーパーPAC(政治活動委員会)「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」は21日、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、ペンシルベニアの激戦州で放映する予定だった反バイデンTV広告を取りやめ、ハリス氏を攻撃する広告に差し替えると発表した。
30秒の広告は、ハリス氏がバイデン氏の衰えを隠していたとし、バイデン政権のこれまでの政策をハリス氏のみに押し付ける内容。「カマラ(・ハリス氏)はジョー(・バイデン氏)が仕事をできないことを知っていた。彼女がもたらしたのは国境侵犯、暴走するインフレ、アメリカンドリームの死だ」とナレーターが語っている。
トランプ氏は20日にミシガン州で開いた集会で、ハリス氏に対して侮辱的な言葉を口にした。「私は彼女を『笑いのカマラ』と呼んでいる。笑うのを見たことがあるか?彼女はクレイジーだ。笑うのを見ればよく分かる。彼女は常軌を逸している」。
<支持率は拮抗>
民主党は今後の方針を決定していない。バイデン氏はハリス氏を支持しており、党大統領候補に選ばれる保証はまだないものの、ハリス氏が候補になれば予期せぬ形で選挙戦が変わるかもしれない。
黒人女性でアジア系のハリス氏(59)は78歳のトランプ氏との間にまったく新しいダイナミズムを生み出し、世代・文化的な対照が際立つだろう。米国は248年の歴史で女性を大統領に選出したことがない。
民主党のストラテジストであるロデル・モリノー氏は、元検察官でカリフォルニア州司法長官と上院議員も務めたハリス氏について「長年の訴訟経験を活かし、世論という法廷でトランプを効果的に訴追できるだろう」と話す。
共和党のストラテジストであるチップ・フェルケル氏は、ハリス氏が異なる有権者層にアピールする可能性があるとして、トランプ陣営がハリス氏を単なる代役と考えるのは間違いだと警告した。
一方で、共和党の政治コンサルタント、ジャネット・ホフマン氏はハリス氏について、バイデン氏との親密な関係が足かせになると指摘。「(ハリス氏は)米国が求めている変化の代表ではない」と述べた。
最近の世論調査ではハリス氏とトランプ氏の直接対決を仮定した場合の支持率は拮抗。今月15─16日のロイター/イプソス調査によるといずれも44%だった。
バイデン米大統領が大統領選から撤退すると表明したことを受け、民主党関係者の多くが21日、党の大統領候補としてハリス副大統領への支持を表明した。だが、ペロシ元下院議長やオバマ元大統領ら一部の有力者は支持を明言していない。
バイデン氏自身はハリス氏を支持すると表明。黒人議員連盟やパティ・マリー上院議員ら民主党議員、複数の大口献金者やスーパーPAC(政治活動委員会)がこれに続いた。
リンクトイン創業者で民主党大口献金者であるリード・ホフマン氏のアドバイザーは、ハリス氏が移民の娘であることに言及し「アメリカンドリームの象徴」だと指摘。「ハリス大統領選出に向けて尽力するのが待ちきれない」と述べた。
クリントン元大統領夫妻もハリス氏支持を表明する声明を発表した。
さらに、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏、コロラド州知事のジャレッド・ポリス氏、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー氏、ペンシルベニア州知事のジョシュ・シャピロ氏、アリゾナ州選出の上院議員マーク・ケリー氏、ワシントン州選出の上院議員パティ・マレー氏、サウスカロライナ州選出の下院議員ジェームズ・クライバーン氏、ワシントン州選出の下院議員プラミラ・ジャヤパル氏もハリス氏支持を表明した。
複数の関係者が21日ロイターに明らかにしたところによると、民主党の50州議長全員がハリス氏を新たな党候補として支持を表明した。
テネシー州、ルイジアナ州、サウスカロライナ州、ノースカロライナ州の党代議員団もハリス氏を支持するとした。
一方、ペロシ氏やオバマ氏はバイデン氏の愛国心に謝意を示しつつ、ハリス氏にも他の候補にも支持を表明していない。
オバマ氏は声明で「今後数日は未知の海を航行することになる」とした上で、「傑出した候補が現れるプロセスを党の指導者らが作ることができると強く確信している」と述べた。
バイデン氏の撤退決断を称賛した上院の民主党トップ、チャック・シューマー院内総務も新たな党候補者には言及していない。
ハリス氏が共和党のトランプ前大統領に勝てるかどうかについては民主党内で疑問の声も多い。8月の党全国大会の前にミニ予備選を実施すべきとの意見も出ている。
民主党上院議員で最初にバイデン氏撤退を求めたピーター・ウェルチ氏は、候補指名の「オープンなプロセス」が必要だと訴えた。
トランプ氏にリスク、形勢逆転も-ハリス氏なら差別的発言「封印」か - Bloomberg
トランプ前米大統領は、共和党の自分自身への信頼を実感する全国大会を終えたばかりだが、今度は厳しい現実に対処しなければならない。バイデン大統領が撤退を決断したことで、2024年の大統領選は劇的に難しくなった。
トランプ氏の側近らは、21日の撤退表明に驚いていない。6月27日に行われた第1回候補者テレビ討論会でバイデン氏が精彩を欠き、撤退圧力が高まって以降、トランプ氏陣営は、ハリス副大統領との対決を想定した対応策を準備してきた。
しかしそれらのプランは、幾つかの新たな課題に対応が必要だ。78歳のトランプ氏は、81歳のバイデン氏が大統領をもう1期務めるには高齢過ぎると主張し、何カ月も攻撃を続けてきた。しかし、バイデン氏が支持する59歳のハリス氏だけでなく、民主党候補になり得るほぼ全員が、トランプ氏からその論拠を奪い、形勢逆転が可能かもしれない。
トランプ氏の陣営は、若者や有色人種の有権者を含む幾つかの重要選挙区に浸透を図ってきたが勢いを失い、一部は今やハリス氏か他の民主党候補に流れかねない。ハリス氏に用いるつもりの戦略の一つは、好感の持てない人物に仕立て上げることだが、郊外に住む女性や黒人有権者を遠ざける危険を伴う。
トランプ氏はこれまで、痛烈な侮辱的表現や屈辱的なあだ名でライバルを狙い撃ちしてきたが、女性候補への攻撃は時に性差別や人種差別の領域に踏み込んでおり、一部の有権者を離反させる恐れがある。民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員を実在した先住民女性「ポカホンタス」、共和党候補の指名を争ったヘイリー元国連大使を「バードブレイン(愚か者) 」とやゆしたこともある。
トランプ氏の協力者やアドバイザーらは、ハリス氏が普段の有権者との1対1の交流が苦手なバイデン氏より弱い候補と評価し、一笑に付してきた。
バイデン政権の移民政策への取り組みで果たしてきた主導的役割を取り上げることで、ハリス氏を打ち負かせるとトランプ氏陣営は考えている。陣営幹部のクリス・ラシビタ氏は、ハリス氏を「ボーダーツァー(国境の大家」と呼び、共和党全国大会でもその表現が繰り返し使われた。これを強力な攻撃手段と党が考えている様子がうかがえる。
トランプ氏自身もハリス氏と対決する可能性に備えてきた。ペンシルベニア州の集会での暗殺未遂事件に先立つ9日、ブルームバーグとのインタビューで、「同じような能力の基本レベルと思われ、大きな違いがあるとは考えていない。私は彼女をバイデン氏と全く同じように定義するだろう」と述べていた。
第1回候補者テレビ討論会後の幾つか世論調査で、ハリス氏は全米や主要州でトランプ氏にリードされている。それでも、一部の政治ストラテジストらは、ハリス氏が民主党の大統領候補に正式指名された場合の情勢を予測するものでないとみている。民主党全国大会は8月19日にシカゴで開幕する。
オバマ政権で大統領上級顧問を務めたデービッド・アクセルロッド氏は21日、CNNの番組で、バイデン氏が撤退を決めた時点で「選挙情勢が劇的に変化した」と発言。「トランプ氏は脆弱(ぜいじゃく)な候補であり、負かすことができる」と語った。
米政治は未知の領域に突入、民主党がトランプ氏対抗でハリス氏に賭け - Bloomberg
バイデン米大統領の選挙戦撤退は、現代の米国政治において前例のない動きであり、大統領選挙は未知の領域へと突入した。
バイデン氏(81)は21日に大統領選からの撤退を表明。11月の本選で共和党のトランプ前大統領と対決する民主党候補として、59歳のカマラ・ハリス副大統領を支持した。現職の米大統領が2期目を目指さない決断を下したのは、1968年のリンドン・ジョンソン大統領以来。
バイデン氏の撤退は6月時点では考えられなかったが、今週末にはほぼ不可避となっていた。この驚くべき変化は、民主党の議員や献金者、有権者がバイデン氏ではトランプ氏に勝てないと懸念するようになり、50年にわたって党を支えてきた重鎮に見切りをつけたことがもたらした。多くの民主党員がバイデン氏の決断を歓迎する一方で、11月の大統領選でホワイトハウスを維持できる保証はどこにもないという、非常に不確実な状況に党を陥れている。
最近の世論調査では、特に7月13日にペンシルベニア州で起きたトランプ氏暗殺未遂事件後、同氏のリードが拡大していることが示されている。一部の民主党有力者がハリス氏支持を表明する中で、党全国委員会は新たな候補者を指名するための「透明かつ秩序あるプロセス」を約束した。候補指名で党内からハリス氏に挑む人物が出る可能性もある。
米国政治を揺るがした1週間を経て、民主党は党の大統領候補者を選ぶ方法として、かつての「密室での会合」に代わって予備選・党員集会が導入されて以来、どの政党も行ったことがないことをしようとしている。すでに指名獲得を確実にしていたバイデン氏を排除することで、新しい候補者擁立が、最近まで過去の繰り返しのように感じられていた選挙戦に活力をもたらすという賭けに出る。
バイデン氏は予備選と党員集会で代議員の99%を確保しており、8月19日に始まる党全国大会では、代議員は党規約により「良心に従って、彼らを選出した人々の感情を反映させる」義務がある。事情に詳しい複数の関係者によると、ハリス氏のチームは21日、既に代議員と接触し、自らの陣営に引き入れるため働きかけている。
ハリス副大統領は、バイデン・ハリス陣営のために既に集められた9600万ドル(約151億円)の資金を活用できるという利点がある。ビル・クリントン元大統領とヒラリー・クリントン元国務長官の夫妻をはじめとする著名な民主党員や、主要な献金者がハリス氏支持を表明した。
金融市場はここ数週間、トランプ氏が返り咲きを果たすとの見方を反映する動きを見せていたが、今後はより激しい選挙戦になる可能性から新たな不確実性への備えを迫られている。
トランプ氏をはじめとする共和党の有力者はバイデン氏の動きを直ちに非難し、ジョンソン下院議長はバイデン氏の大統領辞任も求めた。
バイデン氏は今後、大統領として残りの任期を全うすることに専念するとしている。今回の決断を下すまでは、より若い候補者に道を譲るよう求める呼びかけをはねつけてきたが、6月下旬の大統領候補討論会での悲惨なパフォーマンスが響き、民主党の指導部、献金者、有権者の間でトランプ氏に打ち勝って2期目を務めるのは難しいとの懸念が高まった。そして、新型コロナウイルスに感染したことで、重要な時期に選挙活動休止を余儀なくされた。
さらに、バイデン氏は資金力といった重要な優位性の一つを失った。暗殺未遂事件後にトランプ氏への寄付が急増する中で、バイデン氏は献金者の後ろ盾を失っていった。公式文書によると、先月の大幅な支出増で6月に集められた資金の約93%が費やされた。同氏の陣営は7月を9600万ドルの手元資金でスタートした。
バイデン氏は20日夜、デラウェア州レホボスの自宅で、最も近い関係にある家族メンバーと重大な決断を下そうとしていた。大統領に近いアニー・トマシーニ氏、アンソニー・ベルナル氏、スティーブ・リケッティ氏、マイク・ドニロン氏らスタッフが共にいた。夜が更けるにつれ、選挙陣営には全速力で進めと指示されたが、バイデン氏はすでに撤退を考え始めていた。
事情に詳しい複数の関係者によると、21日朝には決定が下された。バイデン氏は、ハリス副大統領、ザイエンツ大統領首席補佐官、ジェニファー・オマリー・ディロン選対本部長にそれぞれ個別に電話し、決断を伝えた。大統領は理由を説明する書簡をチームと共に作成した。
同日の午後1時45分(日本時間22日午前2時45分)、バイデン氏はホワイトハウスの上級幹部や選挙陣営幹部との電話会議を開始。多くはその時初めて、決断を知らされたという。その1分後、撤退を表明する書簡がソーシャルメディアに掲載された。
その後、バイデン氏はハリス氏支持を表明する投稿を出した。ザイエンツ氏はホワイトハウスの上級スタッフと電話会議を行い、午後には閣僚との別の会議を開いた。オマリー・ディロン氏は全員参加による陣営電話会議を開き、バイデン氏の決定に不意打ちを食らったと感じているスタッフの不満や寂しさを認めた上で雇用は維持されると伝えた。大統領は午後、州知事や議員らを含む主要な盟友に電話をかけた。
ハリス氏は初の女性、黒人、アジア系の副大統領として民主党の重要な支持層で人気があり、同党は同氏を候補とすることで勝利の可能性が上向くと期待している。ここ数週間の世論調査では、トランプ氏との争いではバイデン大統領よりもハリス氏の方が良い結果を見込めると示唆する結果が出ている。副大統領就任当初、失言や有権者全般からの不人気を共和党に突かれ、不安定なスタートを切ったが、その後、同氏に対する激戦州の有権者の評価は改善している。
ハリス氏はバイデン氏よりも若く、78歳のトランプ氏よりも若い。年齢の問題はもはや民主党にとって足かせではなくなるが、トランプ氏と共和党にとってはそうなる可能性がある。少なくとも理論的には、ハリス氏の検事としての経歴は、既に34件の重罪で有罪評決を受け、さらに罪状が増える可能性があるトランプ氏と好対照となる。
バイデン氏撤退の発表後、民主党は小口献金が急増したことを明らかにした。
ハリス氏は2020年大統領選では党候補指名レースから早々に撤退し、大統領候補者として試されたことがない。民主党のある幹部は、ハリス氏がミネソタ州のワルツ知事やブティジェッジ運輸長官など中西部激戦州で強くアピールする力を持つ副大統領候補と組むことを期待していると述べた。有力なライバルと目されていたミシガン州のウィットマー知事は21日、出馬の意向はないことを示唆した。
バイデン氏の2期目への執着を疑問視してきたオバマ元政権のアドバイザー、デービッド・アクセルロッド氏は、バイデン氏の動きは選挙戦における「劇的な」変化を意味すると指摘。CNNの番組で、トランプ氏は「脆弱(ぜいじゃく)な候補であり、打ち負かすことは可能だ」と述べた。
カマラ・ハリス氏はこんな人、民主党の大統領候補最有力-QuickTake - Bloomberg
米副大統領のカマラ・ハリス氏が、再選を目指さないと表明したバイデン大統領の後継者として、民主党の大統領候補となる公算が大きい。
高齢のバイデン氏が大統領2期目を狙うと決めた主な理由がハリス氏の不人気だったとみられていることを考えると、驚くべき運命の転換だ。
党内で主な支持を確保した59歳のハリス氏は、副大統領を務める初の有色人種女性として民主党にとって重要な票田に強くアピールする力を持つ。ただ、他の党内実力者が大統領候補の指名争いに挑む可能性も残っている。
ブルームバーグ・ニュース/モーニング・コンサルトが7月上旬に実施した世論調査では、激戦州の有権者の46%が、バイデン氏が大統領の職務を務められなくなった場合、ハリス氏がそれを遂行すると信頼していると回答。
激戦州で民主党を支持している77%が、バイデン氏が選挙戦を継続できなくなった場合の後任としてハリス氏を支持すると答えた。
5月の世論調査では、激戦7州での仮想の直接対決で、ハリス氏が共和党候補に今月正式指名されたトランプ前大統領を7ポイント下回った。バイデン氏の4ポイントより大きかった。
バイデン氏がトランプ氏との討論会で惨敗して以後に発表された世論調査では、ハリス氏にとってに明るい兆しが見えた。
討論会後に実施されたCNNの世論調査によると、登録有権者の間で仮想対決を行うと、トランプ氏を43%対49%で下回ったバイデン氏に対し、ハリス氏は45%対47%だった。討論会前はほとんどの世論調査でハリス氏はバイデン氏より劣勢だったか、同程度だった。
また、データ会社HITストラテジーズのロシュニ・ネドゥンガディ最高調査責任者(CRO)によれば、若者と黒人有権者を対象とした世論調査でも、ハリス氏はバイデン氏より若干良い結果を出している。
経歴
ハリス氏はインド系移民だった母シャマラ・ゴパラン氏(故人)とジャマイカ出身の父ドナルド・ハリス氏の娘。父は大学の経済学教授、母は乳がん研究者で、ハリス氏はしばしば母をロールモデルとしている。
ハリス氏は自身の回顧録「The Truths We Hold: An American Journey(私たちの真実  アメリカン・ジャーニー)」で、幼少期に両親と市民権運動に参加したことを回想している。これは同氏が弁護士となり、その後政治家となった重要な原点だった。
ハリス氏はキリスト教徒だが、母親と共にヒンズー教の寺院にも通って育った。夫のダグラス・エムホフ氏はユダヤ人。米副大統領の配偶者としては初のユダヤ人だ。
ハワード大学で学んだハリス氏は、黒人女性のための社交クラブとしては米最古の「アルファ・カッパ・アルファ」のメンバーでもある。カリフォルニア大学サンフランシスコ校で法律の学位を取得し、1990年にカリフォルニア州オークランドの副地方検事としてキャリアをスタートさせた。家庭内暴力と児童虐待事件を担当した。
副大統領になる前
ハリス氏は、これまで就任したほぼ全ての役職で初の黒人や初の女性だった。2003年にサンフランシスコの地方検事に選出され同ポストに就いた初の黒人女性となった。その後、アフリカ系米国人として、また女性として初めてカリフォルニア州司法長官に選出された。
ハリス氏は自らを進歩派検事と称し、刑事司法改革に重点を置いているとしばしば公言している。ただ、有罪判決の増加を批判する左派もいる。09年の著書「Smart on Crime」では、初犯の非暴力犯罪者への早期介入と更生という自身の哲学について論じている。
16年にはカリフォルニア州の連邦議員選を勝ち抜き、17年に米史上初の南アジア系上院議員となった。 上院司法委員会の委員としてハリス氏は、トランプ政権の高官や指名候補者に辛辣(しんらつ)な質問をすることで知られるようになった。
ハリス氏は国政でのキャリアを通じて、自ら招いたものも含め、さまざまな困難に見舞われた。 20年大統領選出馬を目指すキャンペーンは高い期待と共に始まったが、有権者に明確なメッセージを伝えられず、陣営内の内輪もめに悩まされ、19年12月に撤退。そして、20年8月にバイデン氏の副大統領候補となった。
副大統領就任後
米国とメキシコの国境を越える移民が急増する中、ハリス氏は副大統領として移民の根本原因に対処しようとした役割を巡り、非難も浴びた。就任してしばらくは同氏から離れていく職員も多く、彼女を厳しい上司と評する元側近もいた。
国境警備などの問題ではつまずいたが、女性、特に民主党の支持基盤である黒人女性や、人工妊娠中絶を初めて憲法上の権利として認めた「ロー対ウェード判決」が覆ったことに憤慨する若い有権者の支持を得ている。
世論調査によれば、民主党支持者の中で最も幻滅を覚えているのが有色人種や若者たちだ。ハリス氏はこうした有権者の前に頻繁に姿を見せ、「私はZ世代が大好きだ」と繰り返し語っている。
ハリス氏の副大統領候補
ハリス氏は激戦州の民主党知事から副大統領候補を選ぶというのが常識的な考えだ。
ペンシルベニア州のシャピロ知事やノースカロライナ州のクーパー知事らの名前が挙がっている。ケンタッキー州のビシア州知事、ブティジェッジ運輸長官も言及されている。
挑戦者
カリフォルニア州のニューサム知事やイリノイ州のプリツカー知事、メリーランド州のムーア知事らを大統領候補にと考える民主党議員もいる。 プリツカー氏は資産家で、選挙資金を捻出できるという強みがある。こうした知事らは、実際にハリス氏に挑んだ場合、バイデン政権の経済・政治実績に縛られないという利点もある。
一方、ハリス氏はバイデン氏が撤退を決めた際に陣営の手元に残っていた9600万ドル(約150億円)を使うことができ、挑戦者がゼロから資金集めをしなければならないのに比べ有利だ。
レームダックのバイデン氏、外交で大胆になる余地-政権の遺産作りも - Bloomberg
ハリス氏が民主党大統領候補指名の場合、想定される副大統領候補 - Bloomberg
宙に浮いた「トランプ・トレード」、バイデン氏撤退で仕切り直しか - Bloomberg
ウォール街では極めて重要な選挙の結果を予想し、それに基づいたトレードを試みた過去の事例はあるが、残念な記録しかない。バイデン米大統領が選挙戦から撤退した現在、最新の政治ニュースに基づいた投資に潜む危険性はいっそう鮮明になった。
共和党有利との見方が数週間前から高まるにつれ、一連の「トランプ・トレード」が姿を現している。長期債を中心に米国債をショート、暗号資産(仮想通貨)をロング、小型株などの高リスクの株式と銀行株をロングといった具合だ。しかし今週末の出来事が明らかにしたように、選挙結果が明らかになる4カ月前に仕掛けるトレードは、それが経済に与える意味合いは別として、成功する確率は極めて低いとしか言いようがない。
全米規模の選挙を先取りする危険性について教訓を示したいなら、2016年までさかのぼれば済むことだ。当時はウォール街の事実上全員がトランプ氏の勝利で市場は混乱の海に突き落とされると身構えていた。しかし間もなく減税と規制緩和の楽観が浸透すると、そうした警戒は和らいだ。S&P500種株価指数はその後1年で20%程度押し上げられた。
あれから8年が経過し、さまざまな指標を元に市場の影響を推し量るのはさらに難しくなっている。民主党の候補者がまだ確定しておらず、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策から地政学、市場のバリュエーションに至るまであらゆる要素が予想を複雑にしている。
調査会社ギャブカル・リサーチの共同創業者、アナトール・カレツキー氏は「ウォール街のアナリストやエコノミストたちは『トランプ大統領』誕生が金融市場にどのような影響を与えるかについて、全く反対方向の考えを示している」と指摘。「トランプ氏が勝利すれば、関税によって米国の貿易赤字が縮小するためドル高になるのか、それとも米国は意図的に通貨を下落誘導しドル安になるのかといった具合だ」と述べた。
トランプ・トレードの一部は22日の市場で若干巻き戻された。米国債利回り曲線はフラット化し、ドルは下落した。S&P500種は朝方の時点では小型株のラッセル2000を上回って推移している。
しかしトランプ氏勝利の場合に市場がどう動くのか、ウォール街のコンセンサスはバイデン氏が選挙戦離脱を決める前から崩れ始めていた。
アルパイン・マクロのチーフ・グローバル・ストラテジスト、チェン・ザオ氏は減税がインフレを押し上げるだろうが、トランプが好むもう一つの政策である関税が個人消費を圧迫して、反対方向の効果を及ぼすと指摘する。
「私の見方はこうだ。国内の減税は長期債に弱気の影響を与える一方、関税は強気に作用する」とザオ氏。「同時にこの政策を講じれば、その影響はゼロだ」と述べた。
投資家はトランプ政権でこれを経験済みだ。選挙直後のドルは米国債利回りとともに急上昇したが、貿易戦争が経済楽観論に水を差すまでしか続かなかった。
例えばドイツ銀行やアルパイン・マクロ、バークレイズなど大半のストラテジストはトランプ氏の政策がドルを押し上げると読んでいる。ただジェフリーズのクオンツチームはトランプ氏が連邦公開市場委員会(FOMC)への政治的圧力を強めれば、富保存手段としてのドルの価値が損なわれかねないとしている。
こうした取引と関連付けが難しい他の市場要因もある。最も顕著なのは、予想を下回るインフレ統計を受けて9月にも政策金利が引き下げられる確率が高まったことだ。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントでマルチセクター債券投資を率いるリンゼー・ロスナー氏は、ハリス副大統領が民主党の大統領候補となり、バイデン大統領の政策を継承すると想定すれば、結局イールドカーブはスティープ化する可能性があると指摘する。
「どちらも財政抑制について議論しておらず、それが利回り曲線長期部分に織り込まれている」とロスナー氏。「いろいろなことが起きているので、特定の結果を想定してポートフォリオを組むのは賢明ではない」と述べた。
アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は自身が考える最も確実なトランプ・トレードは小型株への投資だと話す。ただその理由は主に割安なバリュエーションであり、政治とは関係ないという。
トランプ氏勝利の場合に株式指数がどう動くかについては、まったく一致した見解が見えないが、銀行と銃、エネルギーといった銘柄は企業合併には有利になるというのが大半のウォール街の見解だ。
11月までには多数の企業決算と、2回のFOMCがある。かつてのトランプ政権は金融危機後で初の利上げ後に始まった。次の政権は緩和サイクルの始まりととともに始まる可能性が高い。
バンク・J・サフラ・サラシンの株式ストラテジスト、ウォルフ・フォン・ロートベルク氏はブルームバーグ・テレビジョンで「本当に大事なのは現在入手できるマクロデータであり、これが11月の選挙までにかなり変化する可能性がある」と話す。「今は減速サイクルが見られる。これが金利の世界を定義し、それが株式市場全般に影響していく。その影響の方が単なる政治よりずっと重大な影響を市場に与える」と述べた。
元米司法長官、ハリス氏の副大統領候補を精査へ=関係筋 | ロイター
米債市場、「トランプトレード」一部解消 民主勝利の可能性上昇 | ロイター
米債券投資家は22日、米大統領選でトランプ前大統領が再選を果たすシナリオに賭ける「トランプ・トレード」の一部を解消した。バイデン米大統領が大統領選挙から撤退する意向を表明したことで、民主党が勝利する可能性が高まったとの見方が背景。
この日序盤の市場では、長期債利回りが低下。指標となる10年国債利回りは約2ベーシスポイント(bp)低下して4.219%、30年国債利回りは約3bp低下して4.424%となった。
オンライン賭けサイト「プレディクトイット」によると、トランプ氏勝利のオッズは22日朝までの過去24時間で3セント下落して60セントとなった。一方、ハリス副大統領勝利のオッズは13セント上昇して38セントとなった。
バイデン大統領は21日、米大統領選から撤退する意向を表明し、ハリス副大統領を民主党の大統領選候補として支持すると述べた
アメリカ民主党大統領候補、ハリス氏優位に ペロシ氏ら相次ぎ支持 - 日本経済新聞
習近平氏は「トランプ推し」か ちらつく台湾問題の影 編集委員 高橋哲史 - 日本経済新聞
ハリス氏「勝率4割」に急伸 賭けサイト、トランプ氏6割 - 日本経済新聞
政治イベントの予想に賭けるサイトで、11月の大統領選からの撤退を表明した米民主党のバイデン大統領が後継に推したカマラ・ハリス副大統領の勝率が急伸している。22日時点で40%と、バイデン氏の撤退表明前の27%から13ポイント上がった。一方、トランプ前大統領は依然60%台と優勢を保つものの4ポイント落とした。
米株反発、トランプ相場揺り戻し テック買い・資源売り - 日本経済新聞
バイデン米大統領が大統領選からの撤退を表明して一夜明けた22日の米株式市場は、前週の相場を動かしたトランプ前大統領の再選を織り込む「トランプ・トレード」の揺り戻しが見られた。半導体などの銘柄に買い戻しが入り、主要な株価指数は反発した。混沌とする政治情勢が株価に与える影響について市場参加者は吟味を続ける。
ダウ工業株30種平均は前週末比127ドル(0.3%)高の4万0415ドルで引け、多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数も1.1%高だった。上昇が目立ったのがハイテク株の比率高いナスダック総合株価指数で、1.6%高で引けた。
半導体最大手エヌビディアが5%高となり半導体関連銘柄が軒並み大幅高となったほか、マイクロソフトが1%高になるなどIT(情報技術)大手も底堅かった。時価総額が大きく指数への影響度の大きい巨大テック銘柄は、トランプ氏が米ブルームバーグのインタビューで台湾における半導体産業集積を批判したことなどをきっかけに急落していた。
対照的に、石油採掘の規制緩和をとなえるトランプ氏の再選期待を背景に株価が上昇傾向にあった石油・エネルギー大手は、22日は一転してさえなかった。エクソンモービルやシェブロンはともに1%安となった。
高齢問題にスポットライトがあたり支持率が低下していたバイデン氏が選挙戦から撤退したことで「大統領・連邦議会上下両院を共和党が牛耳る『レッドスイープ』の実現可能性は低下した」。米シティグループでクオンツ・グローバル・マクロ戦略を担当するアレックス・ソンダース氏は指摘する。
トランプ氏が当選したとしても、民主党が上下院のどちらかでも多数派となれば、党派色の強い政策はハードルが高まる。トランプ氏再選を当て込み、影響を受けそうな銘柄を先んじて売買した動きは一部巻き戻しを余儀なくされた。
もっとも、大統領選を巡る状況はなお流動的で、トランプ・トレードの対象となった銘柄の値動きからは気迷いも透ける。米国製造業の復活を掲げるトランプ氏がインタビューで挙げた建機大手キャタピラーは、22日朝方に株価が一時前週末比1%あまり下落したものの、結局小幅高で取引を終えた。
バイデン氏が後継候補として支持を表明したハリス副大統領は民主党内での支持を固めつつあるが、党内の候補者選定のプロセスはこれからだ。米ジョーンズトレーディングのマイク・オルーク氏は「世論調査でハリス氏の人気を確認するまで、投資家は確信を持って持ち高を傾けにくい」とみていた。
ハリス氏に米産業界から期待の声 ソロス氏ら支援表明 - 日本経済新聞
バイデン米大統領が大統領選からの撤退を表明したことで、産業界からは民主党の新たな候補として有力視されるハリス副大統領に期待を寄せる声が広がっている。民主党支援者で著名投資家のジョージ・ソロス氏はいち早く支援を表明した。共和党のトランプ前大統領に一時流れつつあった産業界の支持が再び民主党に戻ってくる可能性がある。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
ノンバンクに脆弱性、ショックに見舞わるリスクも=FSB | ロイター
20カ国・地域(G20)の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)は22日、MMF(マネー・マーケット・ファンド)などノンバンクの安全性を高める改革の進展状況がまちまちであり、国際金融システムがさらにショックに見舞われるリスクがあると表明した。
FSBは、新型コロナウイルス流行時に起きた「ダッシュ・フォー・キャッシュ(キャッシュへの駆け込み)」で中央銀行がMMFの安定に向けて流動性の供給を余儀なくされたような事態につながった根本的な脆弱性の多くがまだ残っていると指摘。
FSBのクノット議長(オランダ中央銀行総裁)は今週ブラジルで開くG20財務相・中央銀行総裁会議に充てた書簡で、FSBは投資ファンド・証拠金・流動性の改革を打ち出したが、G20諸国による改革の実施状況がまちまちであり「すでに失速している恐れがある」との見方を示した。
保険会社、プライベート・エクイティ、ヘッジファンド、その他投資ファンドを含むノンバンクはグローバル金融資産の半分近くを占めてる。
クノット氏は「世界の金融システムの強靭性を高めるためには、NBFI(ノンバンク金融仲介)改革を最終調整し、完全かつタイムリーな実施に強くコミットすることが重要だ」と述べた。
カナダ中銀の利下げ予想が9割超、インフレ低下などで=金融市場 | ロイター
金融市場で、カナダ銀行(BOC、中央銀行)が24日の政策金利決定で政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げるとの見方が9割を超えた。最近の指標が消費者物価上昇率のさらなる低下や消費支出の鈍化、さえない経済見通しを示していることが背景にある。
今年の利下げ幅は合計で75bpとみられている。
カナダの6月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は2.7%と、ロイターがまとめた市場予想(2.8%上昇)を下回り、利下げ観測を後押しする内容だった
●先進国、グローバル、金融市場
バンガード、投資適格級社債を選好 景気の急速な悪化に備え | ロイター
米資産運用会社バンガードは、米景気が高い借り入れコストによって想定よりも急速に悪化した場合に備え、リスクの高い高利回り社債よりも投資適格級社債を好ましい投資対象だと考えている。同社のフィックトインカム・アクティブ運用チームが執筆した第3・四半期見通しの報告書で明らかになった。
バンガードは、米連邦準備理事会(FRB)は景気が底堅く推移しているため、今年の大半もしくは全期間にわたって政策金利を据え置くと予想している。だが高利回り社債については、資産配分を今後数カ月にわたって平均より低めに維持する方針であり、慎重な姿勢だ。
バンガードは「われわれは景気循環の転換点に近づいている」と指摘。「懸念されるリスクは、金利が「より長く、より高め」の水準に据え置かれる可能性が「何らかの変調を来すまで、より高め」に維持される事態になることだと強調した。
同社は、経済情勢が悪化すれば、クレジットスプレッドは拡大すると指摘。ただ、利払いや価格の変化を含めたトータルリターンは、FRBの金融緩和に伴う金利の低下によって下支えされるはずだと説明した。
「経済が幅広く悪化すれば、当社のよりディフェンシブな投資方針が奏功するはずであり、社債をより魅力的な価格で買い増す余地をもたらす」とした。
マクドナルド、米国内で5ドルセットの販売期間延長へ-客足増加 - Bloomberg
航空燃料不足の背景に物流問題、地方空港で懸念される事態の長期化 - Bloomberg
信託銀、国内債を3.1兆円買い越し 11年ぶり大きさ - 日本経済新聞
日本証券業協会が22日発表した6月の公社債投資家別売買動向によると、年金勢の売買動向を示す信託銀行が国債や社債などの国内債(国庫短期証券除く)を3兆1006億円買い越した。買い越し幅は2013年3月以来約11年ぶりの大きさ。米国株高や、円安加速を受けた資産価格上昇に伴うリバランス(資産の再配分)需要が債券買いにつながった。
三菱UFJ系、ローン担保証券の投資助言 金利高に耐性 - 日本経済新聞
三菱UFJアセットマネジメントは2025年度にも、企業向け融資を束ねたローン担保証券(CLO)の投資助言を始める。CLOは金利の上昇局面でも価値が目減りしにくいとされる。日本生命保険が分散投資のために今年度から運用を始めるなど、米金利の高止まりで国内の金融機関の関心が強まるなか、需要があると判断した。
LME銅下落、中国の需要懸念続く-他の非鉄金属も軒並み安い - Bloomberg
●中東情勢
イスラエル首相、トランプ氏との直接会談を要請=報道 | ロイター
●エマージング
中国、退職年齢を段階的に引き上げへ 年金財政圧力の緩和狙う | ロイター
中国は現在世界で最も低い水準にある法定退職年齢を段階的に引き上げる。多くの省では年金が赤字となっており、財政負担を軽減する狙いがある。
中国の平均寿命は1960年の約44歳から2021年には78歳に伸び米国を上回った。50年までに80歳を超えると予測されており、年金改革は緊急の課題となっている。
中国当局は「適度な柔軟性を持った自主的な参加の原則に沿って、慎重かつ秩序ある方法で法定退職年齢を段階的に引き上げる改革を進めていく」と表明した。改革は29年までに完了する予定としている。
男性の定年年齢は現在60歳で、ほとんどの先進国より5─6歳低い。ホワイトカラーの女性は55歳、工場で働く女性は50歳となっている。
保健当局は60歳以上の人口が35年までに2億8000万人から4億人以上に増加すると予想している。これは現在の英国と米国の全人口を合わせた数に相当する。
中国、最優遇貸出金利も引き下げ リバースレポ金利下げ発表後 | ロイター
中国人民銀行(中央銀行)は22日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げた。
1年物LPRは3.35%に、5年物は3.85%に、それぞれ10ベーシスポイント(bp)引き下げた。
ロイターが市場関係者36人を対象に先週実施した調査では、64%に当たる23人が両金利の据え置きを予想していた。
中国の新規・既存融資は主に1年物LPRに基づいており、5年物LPRは住宅ローン金利に影響する。
人民銀はこの日、期間7日のリバースレポ金利を1.8%から1.7%に引き下げることも発表した
対ロ制裁すり抜け5分1減少、中国本土や香港経由の先端技術品 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
「仕事より余暇重視」65.7%で過去最高 レジャー白書 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(22日)ドル小幅高、利回りやや上昇 株反発 バイデン氏撤退を消化 | ロイター
<為替> 全般的に薄商いの中、ドルが小幅上昇した。市場はバイデン米大統領の大統領選から撤退する決定を消化する動きとなった。ドル/円は0.3%安の157.10円。
<債券> 国債利回りがやや上昇した。バイデン大統領が大統領選から撤退すると表明したことを受け、政治的な不確実性を見極めようとする動きが出ているほか、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の行方も注目されている。
<株式> 主要株価3指標が反発して取引を終えた。大型グロース株に資金が回帰した。
この日は大型株のアルファベット、メタ・プラットフォームズ、テスラが2.2─5.1%高と軒並み上昇。前週の下げから反発した。
半導体大手エヌビディアも4.8%上昇。新型の人工知能(AI)向け旗艦半導体「ブラックウェル」について、米国の現行輸出規制に沿った中国市場向けのモデルを準備しているとロイターが報じた
トランプ氏に関連する銘柄はまちまち。トランプ・メディア・アンド・テクノロジーは0.8%安、ソフトウエア会社ファンウェアは4%高。
ソフトウエア更新が19日に世界的なシステム障害を引き起こしたサイバーセキュリティー企業クラウドストライクは13.5%急落。下げ幅をさらに拡大した。
デルタ航空は3.5%下落。システム障害からの復旧が難航し、22日も多数の便を欠航とした
通信大手ベライゾン・コミュニケーションズは6.1%安。第2・四半期売上高が予想を下回った
<金先物> 米金利の持ち直しなどが響き、4営業日続落。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比4.40ドル(0.18%)安の1オンス=2394.70ドル。
<米原油先物> 米大統領選に対する不透明感を重しにリスク投資意欲が弱まり、3営業日続落。この日納会を迎える米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比0.35ドル(0.44%)安の1バレル=79.78ドルと、中心限月の清算値ベースで6月中旬以来約1カ月ぶりに80ドルを割り込んだ。9月物は0.24ドル安の78.40ドル。
共和・民主両党のエネルギー政策の違いが注目されているものの、市場参加者の間では米国内の石油やガス生産への影響は限定的との見方も聞かれた。
市場参加者らは中東情勢の先行きを引き続き注視。親イラン武装組織フーシ派は19日、イスラエル中部テルアビブをドローンで攻撃。イスラエルは20日、報復としてフーシ派の重要な輸入拠点であるイエメン西部ホデイダ港を空爆した。フーシ派指導者は21日、イスラエルへの攻撃を増やすとの意向を示した。
欧州市場サマリー(22日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。バイデン米大統領が21日に大統領選挙から撤退の意向を示した影響を投資家が見極めようとする中、個別材料で買われた銘柄の上昇が相場を支えた。
<欧州株式市場> 6営業日ぶりに反発して取引を終えた。前週に下落が目立ったハイテク株が買い戻され、上昇をけん引した。
中国人民銀行(中央銀行)は、経済下支えのため、主要政策金利の引き下げを決めた。予想外の動きを受けて、中国向けの販売比率が高いフランスの高級ブランドLVMHは1.8%、同業ケリングは1.2%それぞれ上昇。ドイツのファッションブランド、ヒューゴ・ボスも4.4%高だった。
<ユーロ圏債券> ドイツ10年債利回りが横ばいで推移した。バイデン米大統領が11月の大統領選から撤退する決定を受け、市場は金融市場や世界の金融政策の見通しにどのような影響を与えるか見極める展開となった。

備忘録(2024/7/19-21
●雑感
●決算
米アメックス、第2四半期売上高は過去最高 市場予想には届かず | ロイター
第2・四半期決算(6月30日まで)は売上高が9%増の163億3000万ドルと過去最高を記録した。富裕層の旺盛な消費が下支えした。ただ市場予想(165億9000万ドル)には届かなかった。
第2・四半期の利益は、前年同期比39%増の30億2000万ドル(1株当たり4.15ドル)。一時的利益を除く1株利益は3.49ドルと、LSEGがまとめたアナリスト予想の3.24ドルを上回った。
カード利用額の目安であるビルドビジネスは前年同期比6%増。前四半期は7%増だった。
シティグループのアナリスト、キース・ホロウィッツ氏は、売上高が未達となったことで、株価は弱含みで推移する可能性があるとの見方を示した。
通期の1株利益予想は、従来の12.65─13.15ドルから13.30ドル─13.80ドルに引き上げた。
同社の株価は午後の取引で3%超下落している。
[HAL] ハリバートン 2Q増収増益 売上高1%増58.3億ドル、営業益2%増10.3億ドル、EPS0.80ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[SLB] シュルンベルジェ 2Q増収最終増益 売上高13%増91.3億ドル、純利益8%増11.1億ドル、EPS0.77ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[TRV] トラベラーズ 2Q増収最終黒字転換 売上高12%増112億ドル、純利益5.34億ドル、配当1.05ドルへ増配 - 株探(かぶたん)|米国株
●海外企業
米ディズニーランドでストライキ権確立 カリフォルニア - 日本経済新聞
揺れるボーイング、迫るエアバスの翼 大型機も苦戦 - 日本経済新聞
米エリオット、スターバックス株を取得 米紙報道 - 日本経済新聞
ハワイアンエレクトリック マウイ島山火事を巡る暫定合意報道で30%を超える上昇=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ハワイの電力会社ハワイアンエレクトリックインダストリーは、昨年マウイ島で起きた山火事に関する地元住民との訴訟に関して同社及び自治体、通信会社などによる和解金支払いで暫定合意と報じられた。これを受けて同社株は30%高となっている。
クラウドストライク 8%安=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
米大手銀行の半数でリスク管理に不備、通貨監督庁が把握-関係者 - Bloomberg
米通貨監督庁(OCC)は監督する大手銀行の半数で、サイバー攻撃から従業員の不祥事に至る幅広い潜在的リスクの把握において不備があると判断した。事情に詳しい複数の関係者が非公開の情報であることを理由に、匿名で明らかにした。
OCCによる部外秘の評価によると、大手銀行22行のうち11行でオペレーショナルリスクの管理が「不十分」もしくは「弱い」とされた。
関係者らによれば、この結果として大手米銀の約3分の1が総合的な経営の5段階評価で3以下と判断された。昨年に相次いだ銀行破綻を踏まえ、米規制当局は大手銀行のリスク管理レベルを懸念している。
オペレーショナルリスクは銀行の総合的なリスクを評価するカテゴリーの一つ。各銀行の個別評価は開示されないが、当局は他の規制機関や業界との協議において、集計されたデータを用いて問題点を説明することがある。
OCCはオペレーショナルリスクの評価を「CAMELS」と呼ばれる主要リスク指標に反映させる。CAMELSは資本レベルの適切性や資産の質、経営、収益、流動性、市場リスクへの感応度のそれぞれで5段階の評価を行う。こうした評価に基づいて銀行審査や、各行が可能な活動や最低資本水準の度合いなどが決まる。
OCCは非公開の調査結果について具体的なコメントは控えた。声明では、マイケル・スー長官代行が「各行との継続的な協議において、油断することなく積極的にリスクを管理する必要性を指摘し、銀行システムへの信頼性を構築し維持するよう促している」と説明している。
●日本企業
大同生命保険でシステム障害 原因「調査中」 - 日本経済新聞
メルカリ、アメリカ事業の社員半数弱を一時解雇 Temuなど格安EC台頭で不振 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞
日本製鉄、ポンペオ氏をアドバイザーに起用ーUSスチール買収に向け - Bloomberg
●米大統領選挙
「第2次トランプ米政権」に備えよ、世界が奔走-鍵はディール外交 - Bloomberg
11月の米大統領選まで多くのことが変わり得るが、米国の友好国も敵対国も、イデオロギーよりもディールを優先する米大統領の誕生へと備えつつある。これはトランプ氏がウクライナを見捨てる、同盟国との関係を軽視する、中国製品に60%の関税を発動するといったリスクを含め、不安定要素が増えるであろうことを意味する。一方で、こうした分野で外交的な突破口を開く交渉の新たな糸口ともなり得る。
こうした中、世界の指導者はすでに防衛費の増額、ハイテク大手による投資拡大、米国製品の輸入拡大など、想定される取引の一環としてトランプ氏に何を提供できるか検討に着手した。トランプ氏は今回の選挙戦でも1期目と同様、米国がいかに同盟国や主要貿易相手国から搾取されているかに焦点を当てている。ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席からウクライナや台湾を守るとの原則よりも、むしろ金銭的なコストを重視する立場だ。
「トランプ氏は自らを鋭い交渉者だと考えているため、最大主義的な立場をとってから交渉に臨むことが多い」。こう指摘するのは米国防総省の元高官で、シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院のシニアフェローであるドリュー・トンプソン氏だ。「賢明な政府であれば、米国に対する自国の価値を徹底して見直し、次の米大統領が誰であろうと、その価値をどのように明確に提示できるかを検討すべきだ」と話す。
欧州にとって、第2次トランプ政権は複雑な問題を提起する。ロシアが欧州大陸としては第2次世界大戦後で最も破壊的な紛争を続けている時期に、欧州諸国の目前には、米国による追加関税、気候変動対策の野望を巡る隔たり、対米関係の弱体化といったリスクがくすぶる。
北大西洋条約機構(NATO)に対するトランプ氏の立場は冷ややかで、バンス副大統領候補は対ウクライナ支援に公然と反対。アジアに軸足を移すことを提唱している。英国で18日開催された欧州政治共同体(EPC)首脳会議では、集まった40人余りの指導者の間でこの点が大きな議題となった。
一方、欧州ではバイデン氏について、すべてがうまくいっているわけではないとの認識もある。バイデン氏に好意的なある仏高官は、バイデン氏はここ長らく不振で、バイデン氏に関して順風満帆であるかのようなふりをするのはやめるべきだと語った。米国の同盟国はバイデン氏を指導者としても個人としても尊敬しているが、肉体的にも政治的にも日に日に弱っており、この現実が外交の場で劇的な影響をもたらしていると、その高官は明かした。
欧州当局者の間では、国防費増額に向けて共同借り入れを検討する動きも出ている。かつて提案された防衛債は1000億ユーロ(約17兆1300億円)規模が必要だとされてきたが、トランプ氏が返り咲けばその2-3倍が必要になるとの声も上がっている。
米国が内向き志向を強める中で関心を持たなくなる、あるいは要求を強めるといった事態に直面する国・地域も多いだろう。
これはまさに台湾の当局者が考えを巡らせている展開だ。台湾は現在、統一を迫る中国の圧力に直面しながらも、米国からは超党派の支持を確保している。トランプ政権時代も米中の貿易戦争が台湾に利益をもたらしてきた。だが、トランプ氏はブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューで、米国の保護に対し台湾が経費を負担すべきだと語った。
しかしながら、一段と大きな問題は、ウクライナでの紛争でトランプ氏がプーチン氏の勝利を後押しした場合の影響かもしれない。
台湾・東呉大学の陳方隅・助教授(政治学)は、そのようなシナリオとなれば「台湾市民の間で米国懐疑主義が深まるかもしれない」と指摘する。
韓国では、米国の核の傘とは別に核兵器保有の是非に関する議論が再燃している。背景には、同盟国のパートナーとしてトランプ氏の信頼性に対する懸念がある。現地メディアは、韓国が在韓米軍の駐留経費負担を巡る米政府との交渉を加速させ、年内の合意を目指していると報じた。
経済面ではトランプ氏を満足させるために、韓国企業が新たに米国への大型投資を約束しなければならないという認識があると、政府関係者は語った。バイデン氏の看板政策であるインフレ抑制法(IRA)を受けて、複数の韓国企業はすでに数十億ドルを投資しており、容易なことではないという。同法は電気自動車(EV)やバッテリーなど米国での製造回帰を促進するインセンティブを提供するものだ。
アジアのもう一つの重要な同盟国である日本は、それほど懸念していない。自民党の麻生太郎副総裁は4月、トランプ氏に面会。故安倍晋三元首相がゴルフ外交で成し遂げたようなトップレベルの接触で関係の再構築を目指した。 
元駐米大使の藤崎一郎氏は、トランプ氏の返り咲きを心配する必要はないと述べる。トランプ氏は既知の存在であるほか、岸田文雄首相は防衛費を増やし、巡航ミサイル「トマホーク」の購入契約を結ぶなどトランプ氏が好む方向で多くのことを行ったためだという。
また米製造業の競争力強化に向けてドル安を求めるトランプ氏は、日本にとっては追い風になる可能性があるとも指摘。円相場が対ドルで歴史的な安値に沈む中で、日本政府にとっては恵みの雨を提供するとの見方を示した。
情報BOX:バイデン氏撤退なら陣営の選挙資金はどうなるか | ロイター
バイデン米大統領は6月の討論会で精彩を欠いたことで高齢不安が再燃し、与党民主党内から選挙戦撤退を求める声が強まっている。今後実際に撤退した場合、バイデン陣営が集めた資金は差し替え候補にとって大いに役立つ可能性がある。ただ選挙資金に関する法規制上、その使い道には制約がある。
◎バイデン陣営の手持ち資金
先月にバイデン陣営が連邦選挙管理委員会に届け出た5月末時点の銀行口座にある資金は9100万ドル。共和党大統領候補となったトランプ前大統領陣営の1億1600万ドルは下回ったが、相当な金額だ。両陣営とも20日に6月末時点の資金額を公表する。
◎別の民主党候補が入手できるか
選挙資金法専門家の間では、どの程度資金の移管が可能かについて意見が分かれている。超党派の選挙監視団体、キャンペーン・リーガル・センターに属する弁護士のソーラブ・ゴーシュ氏は、バイデン陣営の資金がそのまま新たな候補に移管できるケースとして、ハリス副大統領が大統領候補になるか、別の大統領候補の副大統領候補にとどまるかのどちらかだと指摘した。
ハリス氏は現在、バイデン氏の副大統領候補として陣営の書類に登録されている。ゴーシュ氏は「ハリス氏が大統領か副大統領の候補として残れば、新陣営はバイデン陣営の資金全てを利用できる」と述べた。
◎正式指名前の問題
キャピタル大学教授で共和党員として連邦選挙管理委員を務めたブラッド・スミス氏は、バイデン氏が党候補の正式指名前に撤退すると、ハリス氏が選挙戦を続けてもバイデン陣営の資金掌握が認められないとの法解釈も存在すると話す。
スミス氏はこのケースについて「ハリス氏も正式には指名されていないわけで、同氏の(使える)資金でないという面が出てくる」と説明。過去に連邦規制当局が、そうした事態でも資金移管は認められるとの法的見解を示してはいるものの、共和党側の弁護士が異議を申し立てるかもしれないと予想する。
バイデン氏の撤退が、同氏とハリス氏の党候補指名後であれば、ハリス氏がバイデン陣営の資金を利用する法的根拠がより明確になるという。
◎ハリス氏もいなくなる場合
民主党が大統領と副大統領の両候補を差し替えるとすれば、法規制の面でバイデン陣営の資金のごく一部しか受け取れない恐れがある。バイデン氏は、いったん資金を献金者に返還し、改めてそれらを新陣営に献金してもらう手段はある。だがより現実味の大きいシナリオは、選挙資金を候補者が属する政党には無制限で移管できるルールをバイデン氏が活用することだろう。これならば民主党は、新たな候補支援にバイデン陣営の資金を投じることができる。
◎政党と選対陣営の線引き
候補を支援する目的で政党はTV広告や他の手段に無制限で資金を使えるが、選対陣営に直接用立てられるのは3200万ドルだと連邦選挙管理委員会の規則で定められている。また選挙前60日間は、各陣営にはTV広告料金の大幅な割引が適用されるのに対して、政党や陣営外部の特別政治行動委員会(スーパーPAC)などはそうした特別措置の恩恵は受けられない。
トランプ氏が激戦州ミシガンで選挙集会、銃撃後初-バンス氏も参加 - Bloomberg
トランプ前米大統領は20日、ミシガン州で行われた選挙集会で支持者に対し、自身の対立候補としてバイデン大統領とハリス副大統領のどちらを望むかと訪ねた。それに答えた聴衆の声は、圧倒的多数が81歳のバイデン氏との争いを望んでいることを示唆した。
こうした声は、民主、共和両党の陣営で起きている変化を反映している。ここ数日の新しい世論調査結果は、トランプ氏がバイデン氏に勝利するとの見方を裏付ける数字となっている。
トランプ氏は「今まさに、民主党の指導部は、いんちきジョー・バイデン氏を投票用紙から排除するため自党の予備選結果を覆そうとして必死になっている」とミシガン州グランドラピッズで開かれた集会で発言した。
選挙集会の開催は、トランプ氏が銃撃された先週の事件後では初めて。民主党内でバイデン大統領に11月の大統領選からの撤退を求める声が高まる中で行われた。バイデン氏が撤退した場合、ハリス副大統領は民主党の代替候補として最有力視されている人物の1人。
ミシガン州の集会に先立ち、同州のウィットマー知事ら民主党有力者は、バイデン氏から注目をそらし、トランプ前大統領のアドバイザーらが起草した中絶やその他問題に関する政策の青写真「プロジェクト2025」に目を向けさせようとした。ウィットマー氏はバイデン氏撤退の場合の有力な代替候補の1人とみられている。
トランプ氏は演説でウィットマー氏に触れ、「実のところ対抗馬として私は彼女を望んでいる」とし、「彼女とならとてもうれしい」と述べた。ミシガン州は今年の大統領選の結果を左右し得る激戦州の一つ。
トランプ氏は数分間、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)との関係についても触れた。マスク氏は最近、トランプ氏支持を表明しており、同氏の選挙キャンペーンに多額の寄付を行う計画。
トランプ氏によると、マスク氏との数回にわたる電話での会話で、電気自動車や宇宙ロケットなどマスク氏のビジネス上の関心事について語った。トランプ氏はマスク氏が連邦政府よりもはるかに速いペースで革新を実現できると同氏の努力を称賛。同氏のような「賢い人々にためにわれわれは良い生活を実現しなければならない」と述べた。
トランプ氏の演説に先立ち、共和党全国大会で副大統領候補に指名されたバンス上院議員も約13分間発言した。
米政府再編目指す「プロジェクト2025」とは-トランプ氏の立ち位置は - Bloomberg
バイデン氏、米大統領選から撤退-ハリス氏は指名勝ち取る意向 - Bloomberg
バイデン米大統領(81)は21日、X(旧ツイッター)への投稿で、大統領選から撤退すると明らかにした。その上で、ハリス副大統領(59)を民主党の大統領候補として支持することを明らかにした。
大統領選の投票まで4カ月を切り、民主党全国大会(DNC)を数週間後に控えての決断となった。
バイデン氏は「再選を目指す意向であったが、私が身を引き、残りの任期に大統領として職務を全うすることに専念することが、党と国にとって最大の利益であると信じる」と投稿。今週中に国民に詳細な説明をするとした。
大統領候補指名を受諾せずに残りの任期において現職大統領としての職務に全精力を傾けることを決めたと、バイデン氏は説明した。
「私はカマラ(ハリス副大統領)が今年選挙での民主党の候補者となることを全面的に支持する。民主党は今こそ団結してトランプ氏を打倒する時だ」と投稿した。
ハリス副大統領は、バイデン氏の支持を光栄に思うとした上で、「ドナルド・トランプを打ち負かすことを目指し、民主党とわが国全体を団結させるために全力を尽くす」と声明で述べた。
民主党の有力者は、ハリス氏への支持で固まりつつある兆しが出ている。クリントン元大統領夫妻は、共同でXに声明を投稿。「バイデン大統領とともにハリス副大統領を支持することを光栄に思う。ハリス氏支援のためにできることは何でもする考えだ」と述べた。リベラル派のウォーレン上院議員や激戦州の議員ら数名もハリス氏への支持を表明した。
バイデン氏が撤退した場合の有力代替候補と目されていたカリフォルニア州ニューサム知事とミシガン州のウィットマー知事は、バイデン氏がハリス副大統領を候補として支持したことで、指名を争わない意向だ。CBSニュースが関係者の話として報じた。
オバマ元大統領はバイデン氏の実績を賞賛する声明を発表。だが、同氏の考えに詳しい関係者は、オバマ氏は指名候補が確定するまで、どの候補者も支持するつもりはないと明かした。過去の選挙でもオバマ氏はこうしたアプローチを採ってきたという。
バイデン氏に対しては散々な結果となった第1回討論会の後、選挙に勝てるのか、また再選を果たしてもさらに4年の任期を務められるのかという不安が民主党議員や献金者、有権者の間で広がった。また陣営の選挙運動はバイデン氏の新型コロナ感染でも打撃を受けた。
バイデン氏は、世論調査でトランプ氏のリードが拡大している中での撤退となる。トランプ氏は21日のCNNとのインタビューで、ハリス氏の方が打ち負かしやすいと考えていると発言。バイデン氏については「米国史上最悪の大統領」として記憶されるだろうと述べた。
国際社会や金融市場では、11月の選挙でトランプ氏が勝利し、大きな政策転換がもたらされるとの見方がますます高まっている。投資家はすでに、貿易障壁の拡大やインフレ率上昇を見込んだ「トランプ・トレード」に乗り出している。
バイデン大統領、米大統領選から撤退表明 後継に「ハリス氏支持」 | ロイター
バイデン米大統領は21日、米大統領選挙から撤退する意向を表明し、ハリス副大統領を民主党の大統領選候補として支持すると述べた。
81歳のバイデン氏は6月下旬に行ったトランプ前大統領とのテレビ討論会で精彩を欠き、民主党内から撤退を求める声が広がっていた。
バイデン氏はXに投稿した声明で「大統領として働けたことは私の人生で最高の栄誉だ。再選を目指すつもりだったが、身を引き、残りの任期を大統領としての職務を全うすることだけに集中することが、(民主)党と国にとって最善の利益であると信じている」と述べた。
この声明ではハリス氏に言及していなかったが、数分後にハリス氏への支持を表明。
「カマラ(・ハリス氏)が今年の党の候補者になるよう全面的に支持したい」と述べ、支持者にハリス陣営への寄付を呼びかけた。
59歳のハリス氏が正式指名されれば、主要政党の大統領候補として米史上初の黒人女性となる。カリフォルニア州司法長官、上院議員を務めた同氏は、前回大統領選でバイデン氏と党の候補指名を争い敗れていた。
ハリス氏は声明で「この指名を勝ち取るつもりだ」と表明。「民主党を団結させ、そして国を団結させ、ドナルド・トランプを倒すために全力を尽くすつもりだ」と強調した。
共和党大統領候補のトランプ前大統領は21日、バイデン氏の撤退表明を受け、バイデン氏よりもハリス副大統領の方が負かしやすいとの認識を示した。
<今こそ団結を>
バイデン氏は声明で、米経済の強さを指摘し、社会保障制度や気候変動問題への取り組みなど挙げた。
その上で「国民の皆さんがいなければ、これらは成し遂げられなかった」とした。100年に一度のパンデミックと大恐慌以来最悪の経済危機を力を合わせて乗り越えたと指摘。民主主義を守り、維持し、世界で同盟関係を活性化し、強化してきたと述べた。
今週中に国民に対し、自分の決断についてさらに詳しく話す予定だとした。
ハリス氏について、「2020年の党候補者としての私の最初の決断は、カマラ・ハリス氏を副大統領候補に選ぶことだった。それは私が下した最高の決断だった。今日、私はカマラ氏が今年の党の候補者となることを全面的に支持する」と表明。「民主党の皆さん、今こそ団結してトランプ氏を倒す時だ。ともに頑張ろう」と述べた。
トランプ氏、「ハリス氏の方が負かしやすい」 バイデン氏撤退受けCNNに | ロイター
クリントン夫妻、ハリス氏支持表明 オバマ氏は明言せず - 日本経済新聞
バイデン米大統領が21日、11月の大統領選から撤退すると表明したのを受け、民主党は後継候補の選定に入った。クリントン元大統領夫妻はハリス副大統領を支持すると同日表明した。オバマ元大統領は声明で、後任候補の具体名に触れなかった。
●その他先進国政治動向
仏下院議長にマクロン大統領派が再選、左派に打撃 | ロイター
7日の総選挙(決選投票)後最初のフランス国民議会(下院)が18日招集されて議長選が行われ、中道与党連合でマクロン大統領に近いヤエル・ブロンピベ前議長(53)が再選を果たし、政権運営継続への期待が高まった。一方で、総選挙で最多議席を獲得して首相ポストを目指す左派連合「新人民戦線」(NFP)には打撃となった。
議席総数は577。議長選は接戦で投票は3回に及び、ブロンピベ氏が220票を獲得した。対立候補の共産党のアンドレ・シャセーニュ氏は207票だった。
総選挙で左派連合は、マクロン氏が率いる中道連合や極右政党の国民連合(RN)を予想外に抑え、最多議席を獲得した。ただ、3勢力のいずれも過半数議席に届かず、次期首相ポストがどこから選出されるのかが不透明となっており、議長選は政界の先行きを探る上で試金石となっていた。
とはいえ、マクロン氏の求心力は陰っている上、誰が次期内閣を率いるのか、政権運営の実効性をどのように担保していくのかは見通せず、今後はブロンピベ氏の議会運営手腕が以前にも増して重要になってくる。
ブロンピベ氏は「われわれは協力し、妥協点を見つけなければならない。お互い話し合い、前進しなければいけない」と演説した。
中道連合のアタル首相は辞任したものの暫定首相として職務を続行している。暫定内閣はパリ五輪(7月26日―8月11日)以降も続く可能性がある。
●先進国中銀、金融当局
NY連銀総裁、低い中立金利の長期トレンドは続いていると強調 - Bloomberg
ウィリアムズ氏は19日、ペルーの中央銀行が主催したパネルで景気を刺激も減速もさせない中立金利に関する自身のモデルに言及し、「米国とカナダ、ユーロ圏における『r*(Rスター)』(中立金利)のモデルであるホルストン・ローバック・ウィリアムズの推定値は、コロナ禍前とほぼ同水準だ」と指摘。
コロナ禍前の低金利を支えていた基調的なトレンドが「まだそのまま続いている」ことをこれは示唆すると、同氏は述べた。
ウィリアムズ氏は今週、過去数カ月のインフレデータは心強い内容だが、「インフレが目標の2%に持続的に向かっているとの確信を深めるため、さらに多くのデータを確認したい」と発言。7月から9月の間に米金融当局には「多くの」ことが分かるだろうと語っていた。
米インフレ減速傾向の兆し、FRB利下げ観測をさらに後押しか - Bloomberg
ECB利下げ、年内あと2回を支持=リトアニア中銀総裁 | ロイター
ECBの今後の利下げ、市場予想は「妥当」=仏中銀総裁 | ロイター
●先進国、グローバル、金融市場
GPIF植田CIOに聞く アクティブ運用、リスクを調整 23年度収益額は過去最高 - 日本経済新聞
カナダ公的年金CIO、日本株比率引き上げへ「株高続く」 Foresight - 日本経済新聞
東京都内の代位弁済、25%増の218億円 4〜6月 - 日本経済新聞
システム障害で世界的大混乱、救急電話も不通-航空は2万便余り遅延 - Bloomberg
無風のうちに売り、嵐で買う-波乱の米選挙に備えるヘッジファンド - Bloomberg
マン・グループでエクスターナルアルファ戦略の最高投資責任者(CIO)を務めるアダム・シングルトン氏は「今年ヘッジファンドから聞いているのは、選挙の話が11月よりもずっと早く起こるかもしれないということだ」と指摘。「どちらに転ぶか分からない不確実なイベントに向けては、リスクを減らすことが賢明かつ好ましいポートフォリオ管理だ」と話した。
ヘッジファンドの株式エクスポージャーは通常、大統領選挙にかけて減少する。ファンド運用者はその後、投票直前に素早くレバレッジを再び高めていおいて、投票後もポジションを増やし続ける。ゴールドマン・サックスのデータによれば、現在のネットエクスポージャーは選挙サイクルにおける長期の平均をまだ上回っており、売りの余地がなおあることを示唆している。
「通常、このような大きなイベント周辺では、まずは大きく仕掛けておいて、後で分析することがあり得る」とカプリス氏は述べた。
一般的にヘッジファンドが政治イベントを意識して取引する方法はいくつかある。一つはセクターの観点からで、マネジャーは各候補から恩恵を受けそうなテーマを特定し、投票前にエクスポージャーを削減、投票後に勝利したテーマを買い増すというもの。
もう一つは、市場全体のリスク選好度を測る方法で、これは株価の方向性を示す先行指標として見ることができる。この場合、ファンドはネットエクスポージャーを減らしてから、投資家が勝利候補をどう見ているのか把握しようとする。この様子見アプローチは2016年に奏功した。トランプ氏が勝利すれば相場は下落すると予想されていたが、実際には同氏の勝利で上昇した。
最もリスクが高いアプローチは、どちらが勝つかによって業績が良くなるあるいは悪くなるとの期待に基づき、特定の企業や少数の銘柄に注目すること。勝者が決まると相場が荒い動きになる可能性があるため、これは最も難しい賭けだ。
「多くの運用担当者は、選挙後にどのような地合いになりつつあるのかを見極め、その時点で動き出すだろう」とシングルトン氏は語った。
世界的システム障害、航空便や医療など影響多岐に 脆弱性が露呈 | ロイター
情報BOX:世界的システム障害、事象と要因 IT企業クラウドストライクとは | ロイター
世界的システム障害「保険上の大惨事」、多額の請求予想=専門家 | ロイター
英小売売上高、6月は前月比-1.2% 予想下回る | ロイター
英消費者信頼感、7月は約3年ぶり高水準 予想下回る=GfK | ロイター
世界的なシステム障害、ウィンドウズOS端末850万台に影響 - Bloomberg
ユーロ圏インフレ率、2%達成は2025年の見通し-ECB四半期調査 - Bloomberg
アングル:欧州高級ブランド、中国消費低迷で年後半も収益回復見込めず | ロイター
中国の中間層による高級ブランド品への支出低迷が長引いており、アナリストや企業幹部によると年内に持ち直す可能性は低い。このため欧州ブランド企業の株価は大幅下落し、時価総額はここ数カ月で計2000億ドルほども吹き飛んだ。
今週はファッションブランドの英バーバリーと独ヒューゴ・ボスが業績悪化見通しを示し、スイス高級時計のリシュモンは中国、マカオ、香港での四半期売上高が27%も減少したと発表した。
コンサルタント会社のベインによると、中国は昨年、世界の高級品支出3620億ユーロ(3938億ドル)の16%を占めた。
しかし、中国では長引く不動産不況と雇用不安を背景に、15日に発表された4─6月期国内総生産(GDP)成長率が予想を大幅に下回った。
高級ブランド品業界ではかねて4─6月期の収益への期待が低かったが、暗いニュースが相次いでいるため年後半の回復期待もしぼんでいる。
ベインによると、中国の富裕層は富を誇示することを避け、控えめなファッションを好むようになっている。
LSEGのデータに基づくロイターの計算では、中国を巡る懸念から投資家は高級ブランド企業株を敬遠しており、このセクターの株式時価総額は3月以来で1800億ユーロしぼんだ。この消失分のうち850億ユーロをフランスのLVMHが占めている。同社は6月に欧州企業としての時価総額第2位の座をオランダの半導体製造装置大手ASMLに譲った。
資産運用会社GAMの高級ブランド投資戦略担当共同マネジャー、フラビオ・チェレーダ氏は、裁量的支出が持ち直す兆しは「まだ見られない」と語った。
ルイ・ヴィトンやディオールを傘下に持つLVMHは23日、グッチなどを擁するケリングは24日、エルメスは25日に、それぞれ四半期決算を発表する。ビジブル・アルファがまとめた予想平均を見ると、LVMHもケリングも売上高が振るわない見通しだ。
もっとも、超富裕層は相変わらず高級ブランドに大枚を投じ続けており、四半期決算ではトップブランドの好調ぶりが明らかになりそうだ。
ハンドバッグの価格が1万ドルを超えるエルメスは、過去1年間で株価が上昇した唯一の高級ブランド企業。第2・四半期決算では13%の増収が予想されている。
<中国の長引く景気低迷>
高級ブランド業界は長年、中国人の消費に大きく頼ってきた。
中国がゼロコロナ政策を解除した直後の昨年初めには、中国の富裕層と中間層がバッグやブランドの洋服などを積極的に買ったが、不動産危機の深刻化に伴ってすぐに息切れした。
長引く景気低迷を受け、一部のブランドは中国での事業拡大計画を遅らせる可能性がある。ただ、中国で競合ブランドに出遅れているシャネルは、中国本土での新店舗開設に投資し続けると表明している。
UBSのアナリスト、ズザンナ・プシュ氏によると、今年の夏は五輪で混雑するファッションの都パリから客足が遠ざかることも予想され、高級ブランド企業の業績回復は一段と遅れる可能性がある。同氏は、このセクターのオーガニックな(買収等ではなく内部資源による)売上高の伸びが今年4%、年後半は7%にとどまると予想した。
コラム:米国は欧州との旅行収支が大幅赤字に、観光地としての魅力低下か | ロイター
マンハッタンで石を投げれば、欧州で休暇を過ごそうと準備しているニューヨーカーに当たりそうだ。米国ではイタリア滞在やアイルランドでのルーツ探しを目指し、荷物をまとめて欧州に向かう人が増えており、特に富裕層でこうした傾向が目立っている。しかしその逆の欧州から米国への旅行は低調で、欧米間の旅行収支には過去20年余りで最大の不均衡が生じている。これは米経済の足元の強さを示すが、長期的に見た場合の米国の弱点もまた浮き彫りにしている。
経済学的には米国市民が海外でお金を使えば輸入として扱われる。テキサスからの旅行者がリッツ・パリに宿泊し、ラ・クーポールでぜいたくな食事をすれば、統計上は高級品を持ち帰ったことになる。逆に英国人旅行者がブロードウェイでショーを観たり、エンパイア・ステート・ビルの展望台を訪れたりすれば、統計上は米国の輸出となる。
欧米間の旅行収支は過去何十年もの間、いずれの方向にも極端な振れを示していなかった。しかし米商務省経済分析局(BEA)によると、昨年は米国の赤字が前年比66%増の273億ドルと2000年代で最大となった。米国人の海外旅行の増加ぶりを示す統計は他にもある。米運輸保安局は7月7日の全米の空港での保安検査数が300万人超と、1日の検査数として2001年の創設以来最多を記録した。
新型コロナのパンデミック期に出かけられなかった米国市民が旅行したい気持ちを募らせ、それが海外旅行の増加につながっている面はある。しかし金融面で追い風が吹いているのは間違いない。ドル高、そして米国内の一部の商品やサービスでの物価高止まりは海外旅行の強力な呼び水となっている。海外で同じ商品を安く買えるためだ。
最も象徴的な例として歌手テイラー・スウィフトさんのコンサートツアーが挙げられる。このツアーのチケットを手に入れた人の平均購入価格は米国では2200ドル(約34万7000円)程度。一方、ストックホルムでは最も安い席の価格が300ドル程度だった。ホテル代や食事代も割安になるから、米国人がストックホルムのツアーを聞きに行くのはお金の面では理にかなっている。またバンク・オブ・アメリカによると、テイラー・スウィフトさんのコンサート期間に当たる5月9日から13日にかけて、パリでは個人の国際決済されたクレジットカード利用額が前年同期比で20%超も増加した。
過去にはドル高になっても米国居住者の海外旅行が増えない時期があり、ドルの強さは要因の1つでしかない。今回がこれまでと違うのは、米国経済も好調で、富裕層ほど物価上昇への耐性が強い点。米観光局によると、欧州を訪問した米国居住者は昨年、米国を訪問した欧州居住者よりも700万人多く、その差は2012年以来最大だった。しかも米国からの旅行者は懐具合が豊かだ。昨年に旅行した家計の平均所得は15万4000ドルで、2019年の13万9000ドルから増加した。
欧州の人々は複雑な気持ちだろう。ローマをはじめとする観光地への旅行者の殺到は地域経済の活性化に役立つ一方、物価を押し上げている。イタリアのホテルの平均宿泊料は5月に210ドルとなり、2019年から42%上昇。マドリードでは観光客向けの短期の住宅レンタル料が第1・四半期に50%余りも上がり、バルセロナでは観光客の増加に対する抗議行動も起きている。
パリは夏季オリンピックの開催を控えており、米国からの観光客の流入が止まることはないだろう。一方、ウォルト・ディズニー・ワールドのような米国のテーマパークに欧州の観光客を誘致するのは難しいだろう。たとえ経済的な差が縮まっても、米国が観光客をひきつけるには他にも障害があるためだ。米国旅行協会の依頼でユーロモニター・インターナショナルが実施した調査によると、米国は政府の対応、安全性、旅行のしやすさ、パンデミック後の回復などでみた観光市場の国際競争力が主要18カ国中17位だった。首位は英国だ。
米国の順位の低さは一元的な国家戦略の欠如とお役所的な手続きが原因だ。例えばビザなし旅行を許可している国の数は英国が102カ国に上るのに対して米国は42カ国にとどまっている。また安全性に関する調査でも米国の順位はスペイン、フランス、ドイツ、イギリス、ギリシャより低い13位となっている。
それでも、欧州から米国に観光客を誘致するチャンスはありそうだ。米国は2026年にカナダ、メキシコとサッカーのワールドカップ(W杯)を共同開催し、決勝戦はニュージャージー州で行われる。しかし欧州との旅行収支の不均衡の元になっている金銭的・文化的要因の解消には時間がかかるとみられ、解消するどころか拡大する一方かもしれない。これは長期的に見れば不吉なことではないか。海外への旅行客の増加は強く豊かな経済にとって名誉なことだ。しかしその一方で観光客をいつまでも自国へ誘致できないというのは、圧倒的な世界的大国がその魅力を失いつつあることの表れではないだろうか。
ドルは対ユーロで小幅安、対円ほぼ変わらず-バイデン氏撤退受け - Bloomberg
●中東情勢
パレスチナ自治政府に4億ユーロ緊急支援、EU 崩壊懸念で | ロイター
イスラエル軍、イエメンの港湾都市を空爆-テルアビブ攻撃に報復 - Bloomberg
●エマージング
中国の習近平国家主席、債務抱える地方政府支援を表明ー決定文書 - Bloomberg
中国の習近平国家主席は、債務を抱える地方政府の財政状況を強化する抜本的な計画を明らかにした。
国営新華社通信が21日に発表した文書の中で、習主席は地方当局が受け取る消費税収入の増加を段階的に許可すると表明し、より多くの歳入が中央から地方の財源に移行すると示唆した。
数日前に終了した第20期中央委員会第3回総会(3中総会)では、約400人の共産党幹部が習氏の経済ビジョンを支持した。今回の決定文書は、習氏がリスク管理のために政策を微調整している一方、中国経済を推進するために先進的な製造業に注力する包括的な計画に大きな変化がないことを示唆している。
中国地方政府の資金調達事業体、いわゆる「融資平台(LGFV)」は66兆人民元(約1430兆円)の負債を抱えている。不動産不況で土地の売却収入が減少しているため、地方当局には新たな歳入源が必要になっている。地方政府の財政赤字は昨年に合計で15兆元と過去最高を記録した。今年は今のところ少し縮小しているようだ。
文書によれば、政府関係者は「権限と責任を明確に区分し、財政資源と調整し、地域にとって均衡のとれた中央と地方の財政関係を確立する」と表明。「地方政府の自主財源を増やし、地方政府の税源を拡大する」という。
[FT]インドネシア次期政権、政府債務拡大も - 日本経済新聞
トランプ氏と直接会談で合意 ウクライナ大統領 - 日本経済新聞
ウクライナのゼレンスキー大統領は20日のX(旧ツイッター)への投稿で、米共和党のトランプ前大統領と電話会談したと明らかにした。トランプ氏が共和党の大統領候補に指名されたことに祝意を示した上で、直接会談することでも合意したという。
ゼレンスキー氏は電話会談で、13日に起きたトランプ氏の暗殺未遂事件を非難。米国の民主、共和両党による超党派でのウクライナ支援の重要性を指摘した。「平和を公正で永続的なものにするための措置について話し合うことで合意した」と説明している。
トランプ氏も、ゼレンスキー氏から電話を受けたとソーシャルメディアで明らかにした。ロシアによる侵攻を終わらせ、繁栄へ道筋をつける合意に向け「われわれは協力し、交渉を進められる」と期待を示した。
ベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長が死去 - 日本経済新聞
産銅世界最大手チリ・コデルコ、前年超え生産に自信 | ロイター
ロシア、アルメニアのNATO接近けん制 「地域の不安定化招く」 | ロイター
中国、止まらぬ「国債バブル」 忍び寄る日本化リスク - 日本経済新聞
中国の金利低下が止まらない。市場金利低下によって事実上の政策金利と位置付けてきた最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の形骸化が進み、中国人民銀行(中央銀行)は政策金利の見直しに踏み出した。短期金利をターゲットにした先進国並みの制度整備によって長期停滞を示す「日本化」の阻止を目指すが、その成否は不透明だ。
●プロファイ、インフラ、自然災害
ハリケーン直撃の米フリーポートLNG、積み込み待ちのタンカー増加 | ロイター
ハリケーン「ベリル」が8日上陸した米テキサス州では、米国内2位の液化天然ガス(LNG)輸出会社フリーポートLNGが処理を中止して以来、港の近くで積み込みを待つLNGタンカーが6隻と、上陸前の2隻から増えた。18日発表のデータで明らかになった。積み込みは再開しておらず、一部のタンカーの待機日数は10日を超えた。
フリーポートLNGは7日に3つの液化トレイン(生産施設)3基全てを閉鎖。その後、暴風による被害を報告しており、再開が遅れている。
同社は15日、週内に液化トレインの1つで処理を再開し、その後間もなく残り2基も再開するとの見通しを示した。ただ、施設の修復が続く間は生産量が減るとしている。
イタリアの再エネ発電量、初めて化石燃料由来超える 1─6月 | ロイター
イタリア送電会社テルナは18日付のリポートで、国内で再生可能エネルギーによる発電量が、今年上半期(1─6月)に化石燃料由来の発電を初めて上回ったと明らかにした。
再エネ発電量は、現地時間6月22日午後1時から2時までの1時間に33.2ギガワット(GW)と、過去最高水準に達したという。
リポートによると、上半期の発電量は、再エネ由来が67.3テラワット時(Twh)、化石燃料由来は前年同期比19%減の58Twhだった。
再エネの電源別に見ると、水力発電が前年同期比65%増の約26Twhに達し、過去最高となった。降水量が多かった北部での増加が顕著だった。 また、上半期の再エネ発電容量は3.7GW増加した。前年同期は1.1GW増だった。
●小ネタ
ロサンゼルスのリトルトーキョー、存続の危機 地価高騰や高齢化 Inside Out - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(19日)ドル上昇・株続落、利回り上昇 | ロイター
<為替> ドルが上昇し、2週間続いた下落基調が一服した。19日に世界各国で発生した大規模なシステム障害により幅広い業種が影響を受けたが、為替市場の変動はおおむね抑制された。
ドルは対円で0.07%高の157.48円。週間では0.24%下落した。
<債券> 国債利回りが上昇した。市場では米連邦準備理事会(FRB)が利下げに着手する時期の手がかりを得ようと、来週に発表される経済指標のほか、再来週の連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されている。
ウェルズ・ファーゴのマクロストラテジスト、アンジェロ・マノラトス氏は「市場はFRBが9月に利下げを開始すると確信しているが、FRBは慎重な姿勢を崩していない」とし、パウエル議長が7月のFOMCでどの程度強いガイダンスを示すか注目されていると指摘。パウエル氏の発言内容は「インフレ指標が引き続き良好なら9月にも利下げを開始できる」といった路線に沿ったものになるとの見方を示した。
2年債利回りは4.8ベーシスポイント(bp)上昇の4.509%。16日には4.409%と、4カ月ぶり低水準をつけていた。
10年債利回りは5.1bp上昇の4.239%。17日には4.144%と、4カ月ぶり低水準をつけていた。
2年債と10年債の利回り格差は横ばいのマイナス27bp。15日にはマイナス22bpと、1月以来の水準に縮小していた。
<株式> 主要株価3指数が続落。世界的なシステム障害に絡む混乱が長引き、すでに不安が強まっている市場では不確実性が高まった。
投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックスは4月下旬以来の高水準に達した。
CMEのフェドウオッチによると、金融市場はFRBが93.5%の確率で9月会合で利下げを開始するとの見方を織り込んでいる。
<金先物> ドル上昇に伴う割高感を背景に利益確定の売りが加速し、3営業日続落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前日比57.30ドル(2.33%)安の1オ ンス=2399.10ドル。週間では0.90%下落した。
<米原油先物> 中東の地政学的リスクの後退やドル高を背景に売り込まれ、急落した。米国産標 準油種WTIの中心限月8月物は前日清算値(終値に相当)比2.69ドル(3.25%)安の1バレル=80.13ドル。これは中心限月ベースで6月中旬以来、約1カ月ぶりの 安値水準。週間では2.08ドル(2.53%)下落した。9月物は2.66ドル安の78.64ドル。
欧州市場サマリー(19日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。銅や金などの値下がりを受けて商品関連株が下落したほか、日用品や小売株も売りが優勢となり、相場を押し下げた。週間では3週ぶりの反落となった。
<欧州株式市場> 5日続落して取引を終えた。ハイテクや資源株の売りが優勢で、週間でも下落した。
<ユーロ圏債券> ドイツ国債利回りが上昇した。ただ、域内の経済指標や欧州中央銀行(ECB)理事会の内容が9月利下げ観測の支援材料となり、週間では2週連続で低下となる見通し。
シティのアナリストらは、ラガルドECB総裁は「タカ派とハト派の間で慎重にバランスを取ったメッセージを示しており、どちらの期待も誘導しないという意図が明らかだった」と指摘。「ただ、先行指標や調査データが信頼できるものであれば、理事会が9月に利下げに踏み切る理由を見つけても不思議ではない」と述べた。
ドイツ10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)上昇の2.465%。週間では3.1bpの低下が見込まれる。
イタリア10年債利回りは6bp上昇の3.76%。
フランス10年債利回りは5.8bp上昇の3.12%となった。
来週の米主要企業決算 アルファベット、テスラ、TI - 株探(かぶたん)|米国株
22日(月)ベライゾン
23日(火)コカ・コーラ、UPS、ロッキード、GM、アルファベット、テスラ、
ビザ、テキサス・インスツルメンツ
24日(水)AT&T、IBM、ラスベガス・サンズ、フォード
25日(木)RTX、サウスウエスト航空、アメリカン航空
26日(金)3M
来週の欧州主要企業決算 LVMHにエルメス ドイツ銀行 メルセデスベンツ - 株探(かぶたん)|米国株
23日(火)LVMHモエヘネシールイヴィトン、SAP 
24日(水)BNPパリバ、ドイツ銀行、オランジュ、カルフール 
25日(木)ステランティス、アストラゼネカ、サノフィ、ユニリーバ、ミシュラン、ルノー
26日(金)メルセデスベンツグループ、エルメスインターナショナル、BASF

備忘録(2024/7/18
●雑感
●決算
ブラックストーン、第2四半期が3%増益 予想には届かず | ロイター
第2・四半期決算は、分配可能利益が13億ドルで、前年同期比3%増加した。1株当たりは0.96ドルと、LSEGのデータに基づくアナリスト予想平均の0.98ドルをわずかに下回った。
プライベートエクイティ(PE)部門とクレジット部門の分配可能利益がそれぞれ16%と51%の増加となった半面、不動産部門は19%の減益だった。
高金利がブラックストーンの保有する不動産の価値を圧迫し、割高なコストでのディールを強いたが、クレジット資産の価値は向上した。
不動産についてはオフィス物件を避け、物流施設や賃貸住宅を重視。年初来の投資額は150億ドルと、前年同期比で2.5倍近く増えている。
スティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)は「われわれは未来の価値創出に向けて種をまいているところだ」と述べた。
シュワルツマン氏は、人工知能(AI)も成長が期待できる分野に挙げた上で、ブラックストーンが既に開発されたか建設中のデータセンター資産を550億ドル保有するとともに、この分野へさらに700億ドルを投じる可能性があると説明した。
ブラックストーンの第2・四半期預かり資産は1兆1000億ドルで、前年同期比7%増加して過去最大となった。
ネットフリックス、第2四半期の新規会員800万人 市場予想上回る | ロイター
第2・四半期の新規会員数が800万人超になったと発表した。「ブリジャートン家」などの作品の人気やアカウント共有対策により、市場予想の500万人を上回った。
会員総数は2億7700万人を超えた。
希薄化後の1株利益は4.88ドル。LSEGがまとめた市場予想の4.74ドルを上回った。
売上高は95億6000万ドルで、予想と一致した。
広告付きプランの会員数が前四半期比34%増加したと発表したが、その実数は明らかにしなかった。投資家は同プランの伸びを注視している。
第3・四半期の売上高は前年同期比14%増加すると予想。ただ、アカウント共有対策を開始した前年同期に比べ、会員数の増加は少なくなるとした。
同社はまた、広告販売担当のピーター・ネイラー副社長が退社すると発表した。投資家向けの書簡では「広告ビジネスは順調に成長しており、より有意義に貢献しつつある。しかし、ゼロから事業を立ち上げるには時間がかかるうえ、定額料金収入の規模が大きいことも相まって、2024年、25年に広告が収益成長の主要な原動力になるとは考えていない」と述べた。
[DHI] DRホートン 3Q増収最終増益 売上高2%増99.6億ドル、純利益1%増13.5億ドル…
[PPG] PPGインダストリーズ 2Q減収最終増益 売上高2%減47.9億ドル、純利益8%増5.…
[MMC] マーシュ&マクレナン 2Q増収最終増益 売上高6%増62.2億ドル、純利益9%増11.…
[BX] ブラックストーン 2Q減収最終減益 売上高1%減27.9億ドル、純利益26%減4.44億…
[SNA] スナップオン 2Q減収増益 売上高1%減11.7億ドル、営業益2%増3.50億ドル、E…
ABボルボ、第2四半期営業利益が予想上回る 需要「正常化」 | ロイター
第2・四半期の営業利益は203億クローナ(19億2000万ドル)で、前年同期の146億クローナから増加した。LSEGが集計したアナリスト予想の平均180億クローナも上回った。一方で需要については、高水準だった昨年から「正常化」しているとの認識を示した。
営業利益率は14.5%で、前年の10.3%から上昇。販売台数の減少と研究開発(R&D)投資の増加により利益率が圧迫されたが、昨年実施した値上げにより相殺されたと説明した。
トラックの純受注台数は4万7760台で横ばい。納車台数は前年比8%減の5万8935台だった。
ボルボは、大手は貨物輸送能力のニーズを満たすために車両の入れ替えを続けているが、小規模業者は発注をためらっていると指摘した。
仏ルノー、上半期販売台数は1.9%増 欧州でハイブリッド車好調 | ロイター
TSMC、4~6月の純利益は予想上回る-AI投資拡大 - Bloomberg
半導体の受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が18日発表した4-6月(第2四半期)の純利益は、高めとなっていたアナリスト予想を上回った。世界的に人工知能(AI)投資が拡大している。
AI熱と関連投資に減速の兆しがないことから、TSMCの決算発表までの数週間で市場の期待は高まっていた。
4-6月の純利益は2478億台湾ドル(約1兆1900億円)。アナリスト予想平均は2350億台湾ドルだった。
[ABT] アボットラボラトリーズ 2Q増収営業増益 売上高4%増103億ドル、営業益8%増16.…
●海外企業
●日本企業
【仙台】東北電力、経常益80億円押し下げ 女川原発再稼働の11月延期で - 日本経済新聞
●米大統領選挙
バンス氏は「労働者階級の男」、妻ウーシャさんが共和大会で登壇 | ロイター
世論調査でバイデン氏「勝ち目なし」、ペロシ氏が直接指摘=CNN | ロイター
バイデン氏、健康悪化ならハリス氏に権限委譲いとわず-BETに語る - Bloomberg
バンス氏、筋金入りのポピュリスト路線強く打ち出す-指名受諾演説 - Bloomberg
バンス米上院議員は17日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催中の米共和党全国大会で、副大統領候補の指名受諾演説を行った。トランプ前米大統領の経済課題は「ウォール街に迎合しない」ものだと訴え、前大統領の伴走者としての地位獲得につながった筋金入りのポピュリスト路線を強調した。
バンス氏は大会3日目の最終演説で、大統領返り咲きを目指すトランプ氏の中心的なテーマに言及し、地方の貧しいコミュニティーが米政府や金融業界に見捨てられてきた米国の姿を描いてみせた。
2008年の金融危機を指したとみられるが、バンス氏は「ウォール街の有力者ら」が「経済を崩壊させた」と強く批判。また「何百万人もの不法移民をこの国にあふれさせた」民主党によって、雇用喪失のスパイラルが悪化したと主張した。
トランプ氏はわずか2日前にバンス氏を副大統領候補に起用すると発表。世論調査で大半の有権者にそれほど知られていないバンス氏は今回のスピーチを利用して有権者に自らを売り込んだ。バンス氏(39)はトランプ氏(78)より40歳近く若く、上院議員になったのはたった2年前だ。
バンス氏は、トランプ政権下で共和党が取ってきたポピュリスト路線を鮮明に打ち出し、トランプ氏の確実な後継者としてこの流れの定着を後押しするとみられる。
バンス氏は「ワシントンで権力を持ち安穏としている少数の人々と、それ以外の人々との溝は数十年間、広がるばかりだった」と指摘。
「イラクやアフガニスタン、金融危機、大不況、開放的な国境、賃金停滞など、この国を統治する人たちは失敗を重ねてきた」と語った上で、「もちろん、ドナルド・J・トランプという男が現れるまでだが」と付け加えた。
バイデン大統領については、北米自由貿易協定(NAFTA)のような自由貿易政策を支持し続けた「キャリア政治家」だと激しく批判した。
また、共和党が政権を奪回すれば、「米労働者の賃金を守り、中国共産党が米市民を犠牲にして自国のミドルクラス(中間所得者層)を育むのを阻止するだろう」と述べた。
バンス氏はさまざまな分野に関して中国を批判しており、トランプ氏が当選した場合、より厳しい対中政策を講じると示唆している。
ベンチャーキャピタリストから政治家に転じたバンス氏は、地方での自身の貧しい生い立ちと薬物中毒に苦しむ母親の姿を描いた回顧録「ヒルビリー・エレジー」で一躍有名になった。
バンス氏は労働者階級の有権者にトランプ氏の魅力を深く浸透させ、バイデン氏の経済運営に対して多くの米国民が抱いている不満を取り込む考えで、このストーリーはバンス氏が選挙戦で果たす役割の柱となっている。
バイデン氏、撤退要求を真摯に受け止め 辞退は時間の問題=関係筋 | ロイター
バイデン米大統領は11月の大統領選からの撤退を求める声を真摯に受け止めており、複数の民主党関係者はバイデン氏による候補辞退は時間の問題と考えているという。事情に詳しい関係者が匿名で述べた。
関係者の1人は、バイデン氏は自己を省みており、選挙戦からの撤退について「非常に真剣に検討している」と指摘した。
また民主党議員補佐官は、上院民主党トップのシューマー院内総務などが選挙戦撤退を進言したと報じられたことを受け、「バイデン氏が辞退するかどうかという問題ではなく、いつ辞退するかという問題のようだ」と述べた
オバマ氏もバイデン氏勝利に懐疑的、出馬再考すべきとの考え=新聞 | ロイター
バイデン氏への撤退圧力さらに高まる、オバマ氏も懸念表明との報道 - Bloomberg
17日遅くには、民主党のヒッケンルーパー上院議員(コロラド州)がロイター通信とのインタビューで、バイデン氏が選挙にとどまるかどうかの決断に「向かっている」との見方を示した。バイデン氏の撤退の可能性について問われると、「それはバイデン氏が決めることだが、そうすることが米国の利益にかなうとの見方が増えてきているのは確かだ」と述べた。
また米紙ワシントン・ポストによると、オバマ元大統領はバイデン氏の勝利への道は大きく遠のいたと周辺に語った。同紙によると、バイデン氏が候補者としての自身の能力を真剣に考慮する必要があるとオバマ氏は考えており、バイデン氏の選挙戦の将来を巡る協議について内々に関与している。
内情を知る関係者1人によると、オバマ氏は自身の主要な役割はバイデン氏の相談役だと考えており、バイデン氏と政権の実績を擁護し続けている。とはいえ、今回の報道は苦境に立たされているバイデン陣営にとっては大きな痛手であり、民主党幹部の間で撤退圧力が強まっていることを物語っている。
プライベートエクイティー(未公開株、PE)投資会社ブラックストーンのジョン・グレイ社長は、さらに4年にわたって国を運営することの肉体的負担をバイデン氏には考慮してほしいと語った。グレイ氏は民主党に献金している資産家でもある。
バイデン氏に近い関係者らは、支援者の間で選挙戦の終わりが近い、あるいは撤退が不可避かもしれないとの感覚が高まっていると話している。だが、コロナ感染でバイデン氏が治療のため隔離され、ますます自身に忠実な少数の側近らに頼るようになっている中で、バイデン氏が足元の情勢をどのように受け止めているのかを見極めるのは難しいとみられている。
ニュースサイトのアクシオスによると、民主党幹部や友人からの圧力を受け、バイデン氏が今週末にも選挙戦からの撤退を表明すると、党幹部はみている。
バイエン陣営のクェンティン・フルクス選対副部長は記者団の取材に対し、苛立ちを隠せなかった。フルクス氏は、バイデン氏が「元気」で「仕事を継続している」と主張する一方で、民主党内から高まる撤退圧力ばかりに目を向けているとしてメディアを批判。陣営では「バイデン氏が大統領候補ではないシナリオは検討していない」と述べた。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
FRB、9月利下げの準備進めるーパウエル議長は雇用に軸足移す - Bloomberg
米連邦公開市場委員会(FOMC)は2年余りにわたり、インフレを何よりも優先してきた。そして今、世界市場が待ち望んでいた転換が起ころうとしている。
労働市場へのリスクが高まる一方、物価安定が目前に迫っているとの見方が強まる中、FOMCは9月の会合で利下げに踏み切る構えだ。ここ数週間、金融当局者は講演で利下げに向けた地ならしをしており、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は30、31両日のFOMC会合後の記者会見で、より明確に利下げを表明する可能性が高い。
まだ決まったわけではない。当局者は20年ぶりの高水準にある借り入れコストの引き下げに踏み切る前に、月次のインフレ指数が年率2%の目標に向かって低下傾向を続けることをなお確認したいと考えている。しかし、パウエル議長ら当局者は米経済のソフトランディング(軟着陸)の好機を無駄にしたくないとの強い意志もある。
パウエル議長は10日の下院での証言で、「インフレ率を下げることだけが目的ではない」と発言。「労働市場の動向にも留意する必要がある」と語った。
個人消費支出(PCE)コア価格指数は前年比2.6%上昇まで鈍化し、かつて過熱した労働市場はコロナ禍前のレベルにまで冷え込んでいる。労働市場は堅調だと当局は言い続けているが、求人は着実に減少し、失業率が徐々に上昇しており、転換点に近づいている可能性があるとみている。
ウォラーFRB理事は17日、「政策金利の引き下げが正当化される時期に近づいていると思う」と発言。労働市場は 「スイートスポット 」にあるが、当局はそれを維持する必要があるとの認識を示した。さらに、「失業率の上昇リスクは、これまで長い間見られなかったほど大きい」と付け加えた。
ほとんどの当局者は利下げ開始時期の明言を避けているが、エコノミストや投資家は、当局者のコメントが9月利下げを示唆していると解釈している。
UBSグループの米国担当チーフエコノミスト、ジョナサン・ピングル氏は「FOMC内には、9月に利下げを実施しようという強い勢いがある。これまで強かった労働市場の多くの分野で冷え込みが見られる」と述べた。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はインタビューで、雇用市場の亀裂は早急な対応が必要なほど深刻ではないと話した。それでも当局者は事態が急変する可能性があることを認めている。
デーリー総裁は「労働市場が大幅に弱くなる、つまり失速するような事態は避けたい。というのも、その時にはもう手遅れになっていることが多いからだ」と語った。
失業者1人に対する求人件数は2021年6月以来の低水準にとどまった。ピークは22年の2件。雇用はなお堅調だが、伸びは鈍化し、一握りの産業に集中している。
失業率は6月まで3カ月連続で上昇し、4.1%に達した。これはまだ歴史的には低いが、2021年以来の高水準だ。クックFRB理事は10日の講演で、失業率について「非常に注意している」と述べるとともに、その悪化が見られれば「対応する」と表明した。
ECB政策委、年内利下げあってもあと1回との見方強める-関係者 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)政策委員会の間では、年内にあと1回しか利下げできないのではないかとの考えが強まりつつある。
インフレ圧力が長引く中で、あと2回の利下げに至る道筋が現実的だとの確信が政策委員の中で後退。政策委員らは9月の利下げが決定事項だと市場に捉えて欲しくはないと考えていると、非公表の協議内容だとして匿名を要請した関係者が明らかにした。
関係者によると、6月の利下げを強く約束しすぎたとの反省も政策委員会にあり、9月12日の次回政策判断にあらゆる選択肢を残しておく誘因になったという。6月は政策判断前にインフレが加速したが、政策委員会は利下げを決定した。
そうした雰囲気は、次回会合についてラガルド総裁が18日の記者会見で述べた「全然決定されていない」との言葉にも表れた。総裁は8週間後に判断を下すに当たっては、「受け取る全てのデータ」を活用すると繰り返した。
ブルームバーグの一報が流れると、短期金融市場ではECBの利下げ見通しが後退。年内に見込まれる利下げ幅は44ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、それまでの47bp前後から低下した。ユーロは下げをやや縮小した。
9月利下げ支持の論拠の一つは、4-6月(第2四半期)に弱く、7-9月(第3四半期)も回復が厳しそうな経済状況にあると、関係者は指摘。ただ、サービスのインフレが依然あまりに根強く、利下げを押しとどめる恐れがあるという。
年内にあと2回の利下げ可能性を完全に排除する関係者はおらず、いかなる動きに対してもまだ決定はされていないと、全員が強調した。18日の政策委員会会合では9月の判断の見通しに具体的には踏み込まなかったと、関係者は付け加えた。
ECBタカ派、9月利下げに前向き デフレ継続確認なら=関係筋 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)の9月理事会での決定について、一部のタカ派的な理事でさえも、今後の経済指標でディスインフレ(訂正)継続が確認されれば利下げに前向きであることが複数の関係筋の話で分かった。
ECBは18日に開いた理事会で主要政策金利の据え置きを決定し、前回6月理事会に続く連続利下げを見送った。ラガルドECB総裁は9月理事会について「ワイドオープン(何も決まっていない)」と述べた。
4人の関係筋によると、一部のタカ派ECB理事は夏以降の追加利下げ実施に反対していない。ECBは6月理事会のかなり前から利下げを示唆していたが理事会直前に予想外の経済指標が発表され痛い目に遭ったため、現時点で今後の方針を明確に示すことを避ける必要がある。9月理事会の決定は、経済指標次第でどちらの方向にも転ぶ可能性があるという。
ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨 | ロイター
<米国の関税について>
われわれは、例えば関税の引き上げなど、貿易や金融で強いつながりのある国がユーロ圏外で決定する政策の影響を考慮しなければならない。特に米国の金融市場の規模を考えれば、米国で起きている動きがEU、特にユーロ圏にどのような影響を及ぼすか、非常に注意深く検証されることは明らかだ。
<全会一致>
今回はレーン専務理事の提案を全員が支持した。
<9月の決定>
同じように全会一致で決定されたのは、データに依存すること、会合ごとに決定すること、そして金利の道筋をあらかじめ決めないことだ。9月にどうするかは全く決まっていない。
<ディスインフレへの確信>
現在進行中のディスインフレプロセスが追加データによって実際に確認されれば、われわれの確信はさらに強まるだろう。
<関税と貿易摩擦について>
細分化、分断化から生じるリスクについて、理事会内部で議論することになるだろう。関税は維持か引き上げのどちらかになることは明らかだ。輸出が景気回復の原動力の一つであることを考えると、これは特に重要だ。
<賃金>
賃金は上昇を示唆しているが、これは6月の予測で織り込み済みで完全に考慮されていた。これは驚きではない。インフレに「追いつく」という要素が非常に大きい。
<一時点でのデータに依存しない>
データ依存とは、ある一時点においての依存を意味しない。
<生産性>
生産性回復の要素は限られている。少しは前進しているが、われわれが望むようなものではないのは確かだ。
<インフレは低下する>
(インフレは)来年下半期にかけて目標に向かって低下すると予想される。
<金融状況>
6月に決定した利下げは短期金融市場の金利に円滑に波及したが、金融情勢全般は幾分か不安定だった。これまでの利上げの波及的な影響が続いているため、資金調達コストは引き続き抑制されている。
<インフレ期待>
長期的なインフレ期待の指標はおおむね安定している。
<インフレ>
金融政策が予想以上に需要を抑制したり、世界の他の地域の経済環境が予想外に悪化したりすれば、インフレは下振れする可能性がある。
<賃金上昇は緩やかに>
最新の調査指標は、賃金の伸びが来年を通して緩やかになることを示唆している。
<成長リスクは下振れ傾向>
経済成長に対するリスクは下向きに傾いている。
<労働コストの上昇>
労働コストの伸びは短期的には高止まりする可能性が高い。
<欧州連合(EU)の財政ガイダンス>
われわれはEU加盟国に財政の持続可能性を強化するよう求めた欧州委員会の最近の指針と、ユーロ圏の2025年の財政スタンスに関するユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の声明を歓迎する。
<労働市場>
労働市場は依然として底堅い。
<2024年は成長が緩やか>
不確実性が高まる中、投資指標は2024年の成長が緩やかであることを示している。
<成長は鈍化>
ユーロ圏の経済は第2・四半期に成長したが、第1・四半期よりもペースが鈍化する可能性が高い。
ECB、金利据え置き 9月会合巡り「何も決まっていない」と総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)は18日、主要政策金利を予想通り据え置いた。市場が注目する9月理事会での決定については、ラガルドECB総裁は「ワイドオープン(何も決まっていない)」と述べた。
ECBは声明で「これまでの情報は、中期的なインフレ見通しに関する理事会の前回の評価をおおむね裏付けている」と指摘。「域内物価圧力は依然高く、サービスインフレは高止まり、総合インフレは来年に入っても目標を上回る可能性が高い」とし、前回6月会合に続く連続利下げを見送った。
企業収益は物価圧力の一部を吸収しているが、リスクは残っており、追加利下げに踏み切るには一段の証拠が必要とし、バランスの取れたメッセージを示した。
ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、成長に対するリスクは「下方に傾いている」とし、前回理事会で示した「リスクは短期的には均衡している」という文言から変更した。
「世界経済の弱含みもしくは主要経済国間の貿易摩擦の激化は、ユーロ圏の成長を圧迫するだろう」とし、高金利が予想以上に経済活動に打撃を与える可能性もあるという認識を示した。
さらに、投資指標は2024年の成長が控えめになることを示唆しており、第2・四半期のユーロ圏成長は第1・四半期の0.3%よりも鈍化した可能性が高いと指摘した。 
今後の政策決定については、事前に約束することはなく、今後得られるデータに基づき決定を下すという考えを再表明。「したがって、9月にどのような措置を講じるかはワイドオープンだ」と述べた。
ラガルド総裁は利下げに踏み切った6月の理事会後の会見で、ECBによる金融引き締めスタンスの「縮小」プロセスが進行中である「可能性は高い」と述べていた。今回は同様の見解を示さなかった。
<市場は年内あと2回の利下げを予想>
ラガルド総裁は賃金の伸びについて、景気低迷のほか、賃金交渉がすでに決着していることなどを踏まえると、伸びは鈍化していく可能性があるとし、賃金の伸びは来年にECBのインフレ目標と一致すると予想されると述べた。
この発言は一部市場で、一段の政策緩和が近づいていることを示す控えめな手がかりと受け止められている。
TSロンバードのエコノミスト、ダビデ・オネリア氏は「ECBがハト派的な姿勢を維持していることを示す新たな兆候と受け止めている」とし、「サービス部門のインフレ率が下半期に一段と低下することが先行指標で示されている。実質金利の引き締まりを避けるため、少なくともあと2、3回の利下げが必要になる」と述べた。
EFG銀行のチーフエコノミスト、シュテファン・ゲルラッハ氏は「米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げに着手する公算が大きい中、ECBも同様の行動を取るだろう」と指摘。
コメルツ銀行のエコノミスト、イェルク・クレーマー氏も「インフレ指標がおおむね想定通りの方向を示している限り、9月の理事会で利下げが決定される公算が大きい」とし、「12月と来年3月にも追加利下げが実施される」との見方を示した。
市場では、ECBが年内に約2回の利下げを実施し、来年末までに5回強の利下げを実施するという見方が織り込まれている。
●先進国、グローバル、金融市場
カナダ・トロントで空き物件急増、ローン金利高く売却殺到 | ロイター
カナダで住宅ローン返済額が急増し、支払い不能になるのを恐れた所有者が慌てて売却する動きが広がっている。コンドミニアム市場で国内3分の2を占め、大都市圏の指標となるトロントでは、販売物件在庫が10年ぶりの高水準に達した。
売れ行き不振で空き物件が急増しており、今後数カ月間で値崩れが起きかねない情勢だ。カナダ最大の独立系住宅仲介業者ライト・アット・ホーム・リアルティのジョン・ルシンク社長は「買い手がいない」と悲鳴を上げる。トロントのコンドミニアムは年末までに10%値下がりする恐れがあるという。
物件を手放しているのは、5年前に記録的な低金利で住宅やアパートを購入し、収益性の高い賃貸物件を手に入れた住宅所有者と投資家たちだ。現在更新の時期を迎えようとしているが、足元の住宅ローン金利は5年前よりも随分と高い。カナダ銀行(中央銀行)は6月に約4年ぶりの利下げに転じたものの、依然として住宅所有者らを取り巻く環境は厳しい。
カナダでは、住宅ローンは通常25年間で、3年か5年ごとに更新される。米国では15年か30年の全期間、固定金利となっているのと対照的だ。住宅ローンを比較するウェブサイト「レートハブ」(ratehub.ca)での計算によると、現在のカナダの金利では5年前に物件を購入した場合の住宅ローン払いは2倍の金額になる。
来年、商業銀行が提供した住宅ローンのうち約3000億カナダドル(2193億3000万ドル)が更新期限を迎える。米国に拠点を置く不動産情報プロバイダーのエコノミストは「資金に余裕がなく、物件から手を引きたがっている投資家もいる」と話す。
トロント地域不動産協会によると、今年1―3月の販売物件数は前年同期比約25%増加したが、売上高はわずか5.3%増にとどまった。
カナダ銀行の次回の政策金利決定は来週24日の予定で、25ベーシスポイント(bp)追加利下げし4.50%にすると予想されている。しかし、エコノミストらは仮に100bp引き下げても、更新時期を迎える住宅ローン金利への影響は小さいと指摘している。
豪6月雇用統計、強弱まちまち 予想以上の就業者増も失業率上昇 | ロイター
豪連邦統計局が18日発表した6月の雇用統計は、就業者数が予想より大幅に増加したが、求職者が増えた影響で失業率が上昇するなど強弱まちまちで、追加利上げの必要性を巡り疑問を残す結果だった。
就業者数は前月比5万0200人増加と、市場予想の2万人増を上回った。フルタイムの就業者数は4万3300人増と、2カ月連続で大幅増となった。
失業率は4.1%と、前月の4.0%から上昇。労働参加率は66.9%と過去最高水準近くまで上昇。労働時間は通常より休暇を取る労働者が少なかったため0.8%増えた。
統計発表を受け、市場は豪準備銀行(中央銀行)が8月に利上げするとの見方にやや傾き、スワップが示唆する確率は20%と、発表前の12%から上昇した。
豪3年債利回りは4ベーシスポイント(bp)上昇の4.019%。豪ドルは一時1豪ドル=0.6735米ドルに上昇したが、直近は前日比ほぼ横ばい。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのマクロ経済予測責任者ショーン・ラングケーク氏は「労働市場に緩みが生じ、失業率の上昇傾向が定着しつつある。だが、市場は引き続き非常にタイトな状態だ」と指摘。
「現在の雇用増加ペースは需要が底堅く、コスト圧力が続くことを示唆している。われわれは中銀が金利を据え置くとみているが、8月は間違いなく『ライブ』会合になる」と述べた。
チェコが韓国原発を採用、フランス敗れる | ロイター
チェコ政府は17日、ドコバニ原発の2基新設工事の業者選定入札で韓国の電力会社、韓国水力原子力発電(KHNP)を選択した。フィアラ首相は記者会見で「全ての評価基準で優れており、テメリン原発の2基新設工事についても協議する」と述べた。
チェコは今後10年間で石炭火力発電を段階的に廃止し、原発依存度を現在の約3分の1から、2分の1に拡大する方針だ。政府によると、建設費見積額は1基当たりで現在2000億コルナ(86億5000万ドル) 。発電価格は1メガワット時(MWh)当たり90ユーロ未満になる可能性がある。契約の細部は来年の第1・四半期までにまとめられ、その後調印する見通しだ。
欧州唯一の原子炉建設会社であるフランス電力公社(EDF)も入札に参加し、マクロン大統領自らも売り込みに乗り出したものの敗退した。EDFはポーランドの原発建設入札でも米ウェスチングハウスに敗れたほか、着手済みのプロジェクトでは工事が遅延し、2019年以降新規原発を完工できていない。今回のチェコ入札での敗退は改めて厳しい状況を映し出した。
一方、KHNPはアラブ首長国連邦(UAE)でアラブ諸国で初めての原発建設を手がけ、稼働にこぎ着けるのを支援してきた。チェコでも選定されたことで欧州での新たな足掛かりを得ることになる。
アングル:主要国の巨額債務、国債市場の懸念材料に 次の火種はどこか | ロイター
金融市場では主要先進国の巨額債務が再び不安の種になりつつある。選挙の年で財政見通しが悪化していることが背景だ。
フランスでは予想外の解散総選挙と大規模な歳出計画を受けて国債市場に警戒感が広がっている。米国でも11月の大統領選を控え債務動向に関心が集まる。
債務危機の発生は基本シナリオではないが、投資家は財政が緩み市場を圧迫するリスクを警戒している。
チューリッヒ保険グループのチーフ・マーケット・ストラテジスト、ガイ・ミラー氏は「財政赤字に再び注目が集まっている。特に欧州では債務だけでなく、成長にどう弾みをつけるかにも、もっと注意を向ける必要がある」と述べた。
(1)フランス
フランスの財政悪化に目をつぶっていた投資家は、予想外の解散総選挙で突然たたき起こされた形となった。昨年の財政赤字は国内総生産(GDP)比5.5%で、欧州連合(EU)の是正措置に直面している。
フランス国債の対ドイツ国債スプレッドは先月、下院選で極右の支持が高まったことを受けて、2012年の債務危機以来の水準に拡大した。
最終的には左派連合が勝利し、宙づり議会となることで、左派連合の歳出計画が制限される可能性があるが、財政健全化が妨げられるリスクもある。
フランス会計検査院は15日、財政が悪化しており、同国経済が次のマクロショックに対して「危険なほど無防備だ」と警鐘を鳴らした
カナダ・ライフ・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、デービッド・アルノー氏は「(国債価格には)恒久的に財政プレミアムが上乗せされるだろう」と指摘した。
(2)米国
米国も決して安泰ではない。
米議会予算局(CBO)は公的債務が34年までにGDP比97%から122%に増えると予想。これは1994年以降の平均の2倍以上に相当する。
11月の大統領選でトランプ氏が勝利するとの見方が強まっており、財政赤字拡大とインフレに対する懸念を背景にこのところ米国債利回りは上昇している。
一部の投資家は、トランプ氏が大統領選で勝利し、共和党が上下両院を制することが債券市場にとって最悪のシナリオだと指摘。
リーガル&ジェネラル・アセット・マネジメントのマクロ戦略責任者クリス・ジェフェリー氏はこのシナリオについて「財政赤字は現在GDP比6%で、そこからさらに新たな財政刺激策が打ち出される可能性がある」と述べた。
米国債は安全資産として魅力が緩衝材になっているが、長短金利差は1月以来の高水準付近で推移しており、長期債に圧力がかかっていることを示唆している。
(3)イタリア
投資家はイタリアのメローニ首相が市場に優しいと評価している。だが、昨年の財政赤字はGDP比7.4%とEU加盟国で最大だった。このため、同国もEUの是正措置に直面しており、今後、市場の楽観論が試されることになる。
イタリア国債は他の高債務国の国債をアウトパフォームしている。ただ、フランス国債が売られた6月には一時、利回りが4カ月ぶりの高水準に上昇。不安が急速に拡散するリスクを浮き彫りにした。
今年は財政赤字のGDP比を4.3%に引き下げる目標を掲げているが、このところ財政目標は未達に終わっている。
同国では20年以降、2000億ユーロ以上のコストがかかる住宅改修工事の奨励策が導入されており、今後何年も債務に増大圧力がかかる。欧州委員会は公的債務が現在のGDP比137%から34年には168%まで上昇すると予測している。
ユニオン・インベストメントの債券・為替責任者、クリスチャン・コプフ氏は「イタリアではリスクに見合ったリターンが得られない」と語った。
(4)英国
英国は22年に当時の保守党政権が財源の裏付けのない減税を発表し、国債とポンドが急落。市場への介入と政策の転換を迫られた。
先の総選挙で誕生した労働党政権は緊縮財政を維持しながら経済成長を促すという公約を掲げており、公的債務がGDP比100%近くに達する中、課題に直面している。
英予算責任局(OBR)は昨年、公的債務が2070年代までにGDP比で300%を突破する可能性があると分析。財政リスクとして高齢化、気候変動、地政学的緊張を挙げた。
S&Pグローバルは債務の安定では経済成長の拡大が鍵を握ると指摘している。
(5)日本
日本の公的債務はGDP比で200%を超えており、先進国中最大だが、足元で懸念は浮上していない。
国債の大部分は国内で保有されており、ストレスの初期兆候が表れたからと言って国内の投資家が資金を引き揚げる可能性は低い。外国人の保有比率は約6.5%に過ぎない。
フィッチ・レーティングスは、日本の物価・金利上昇について、インフレで債務負担が軽減されるため、信用力にプラスになる可能性があるとの認識を示した
ただ、懸念要因は残る。
政府は向こう10年間で利払い費が膨らみ、33年度には24兆8000億円(24年度は9兆8300億円)になると試算している
このため、金融政策の正常化で国債利回りが突然跳ね上がることがないかは注目に値する。
焦点:多様な選択肢示す介入、円高を後押し 「原資制約説」も封印 | ロイター
先週末にかけ実施されたとみられる為替介入は、円高に振れた流れを後押しするなど、その手法について多様な選択肢を示すものとなり、投機に隙を与えない戦略と市場参加者の間で受け止められた。4月末からの直近3カ月間のドル売り/円買いは、国内総生産(GDP)の2%を大きく超える見込みで、一部で浮上していた「原資制約説」の封印にもつながりそうだ。
<投機がクロス円に軸足>
「投機によって円安になり、輸入物価が上がってしまい、国民の生活が脅かされるとしたら由々しきこと」。神田真人財務官は12日、介入の有無には言及を避けつつ、足元の円安を問題視する発言を行った。
日銀が公表している資料などによると、政府・日銀は11、12両日にそれぞれ為替介入に踏み切ったと推察される。実際に介入が実施されたかは財務省が今月末に発表する。
市場を驚かせたのは、急速な円安進行時ではなく「円高に被せる形で、円高の動きを加速させることを狙ったタイミングだった」(野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジスト)ことだと、参加者は口をそろえる。
「投機的な動きが円安の背後にあるのは確かだが、介入直前に過度な動きはなかった。円安の水準に対する警戒感の強まりを受け、円安の動きを止めるというよりは水準を押し上げるような意図をうかがわせる介入だった」と、ニッセイ基礎研究所の上野剛志・上席エコノミストは振り返る。
対ドルにととまらず、クロス円に対するレートチェックがあったとされることも今回の特徴だ。
「介入警戒感の強かったドル円を避け、投機がクロス円に円売りの軸足を移していたきらいもあった。当局は、それも容認できないという動きで、多様な対応が可能なことを印象付ける介入だった」と、大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは言う。
<原資巡り、市場に誤解>
推計では、11、12両日で5兆円超のドル売り/円買い介入を実施したとみられ、今回の介入に先立つ大型連休前後の介入額(約9.8兆円)と合わせると15兆円程度に膨らむ。直近の実質GDPとなる2024年1—3月期の実額554.7兆円の2.7%に上り、名目値(597.4兆円)でも2.5%となる。
GDP比2%という水準は、米財務省が「為替操作国」と位置付ける基準の1つに定められ、「国際的に意識される水準」(市場関係者)との指摘がある。
ただ、米当局が2%とする基準は、自国通貨切り下げに伴う利益誘導をけん制する目的とされ、「外貨売り」となる介入は意図していない。また、米当局によると、為替操作国の認定は介入規模のGDP比に加え、過去12カ月のうち8カ月以上の介入が基準の1つとなる。22年秋の為替介入から約1年半が経過し、良好な日米関係を築くなかで「今回の介入で(為替操作国の)指定に近づくとは考えにくい」と、元財務省幹部は語る。
「円高に対抗するより円安是正(に向けた介入)の方が理解を得やすい」(別のOB)との見方もあり、今後の追加介入も正当化しそうだ。
市場では、GDP2%を超える介入に制約があるとの見方も一部で残っていただけに「規模を膨らませることで、市場の誤解に対し、修正を強いる面もあったかもしれない」(大和証券の石月氏)との声も出ている。
神田財務官は17日、共同通信のインタビューで「投機による過度な変動があれば、私としては適切に対応していくしかない」と語り、今後も為替介入を辞さない姿勢を示した。
英賃金上昇率、3─5月は前年比5.7%に鈍化 なお高水準 | ロイター
英国立統計局(ONS)が18日発表した3─5月の賃金上昇率はボーナスを除くベースで前年同期比5.7%と、2─4月の6.0%から鈍化し、市場予想と一致した。2022年夏以来の低い伸び。
ただ、イングランド銀行(中央銀行、BOE)の2%インフレ目標の持続的な達成にはなお高すぎると通常考えられる水準にとどまった。
ボーナスを含む賃金上昇率も5.7%となり、2─4月の5.9%から鈍化し、予想と一致した。
中銀は金融政策委員会の次回会合を2週間後の8月1日に控える。17日発表の消費者物価指数(CPI)上昇率が予想を上回ったことを受け、市場が織り込む利下げ確率は約33%となった。
賃金統計発表後のポンドと金利先物は小動き。
KPMG・UKのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は「賃金上昇率の緩やかな鈍化は8月の利下げを期待している向きにとって一定の好材料となったが、ボーナスを除くベースで5.7%では、中銀が8月に利下げを実施するというリスクを冒したくないと考えるかもしれない。労働市場が十分に沈静化するのを待つかもしれない」と述べた。
ONSは9月に予定していた新方式の労働力調査への移行を延期することも明らかにした。現行方式は回答率が低下しており、新方式への移行を計画しているが、回答者が年配者に偏ったり、部分的な回答しか得られないといった問題が生じているという。来年初めに進捗状況を報告する。
4─6月の求人件数は3万件減と、24回連続の減少を記録。ただ、新型コロナウイルス流行前の水準は依然12%上回っている。
現行方式の労働力調査に基づく失業率は4.4%だった。
情報BOX:米大統領選の注目銘柄、結果が左右「勝ち組・負け組」 | ロイター
トランプ氏のインフレ対策案、かえって物価高招く恐れ-減税裏目に - Bloomberg
今週の米共和党全国大会では、バイデン政権に高インフレの責任を押し付ける発言が相次いでいる。
バージニア州のヤンキン知事は「バイデン大統領とハリス副大統領が放ったインフレはこそ泥だ」と指摘。フロリダ州選出のリック・スコット上院議員は、トランプ前政権下では 「インフレ率と住宅ローン金利は低かった 」と強調。サウスカロライナ州選出のティム・スコット上院議員は「インフレが家計を圧迫している」と述べた。
共和党は正式な選挙綱領で、インフレを終息させ、米国の物価を再び手に届く水準にすると表明した。
だが皮肉なことに、減税や関税引き上げ、移民取り締まりを含むトランプ氏の綱領は物価上昇圧力をあおると受け止めるエコノミストや投資家が多い。米金融当局が金融緩和の開始を準備する中で、さまざまな政策が転換する可能性は2025年の持続的な利下げに対するリスクとして立ちはだかる。
マクロポリシー・パースペクティブズの創設者で元米連邦準備制度理事会(FRB)エコノミストのジュリア・コロナド氏は、「この政策は控えめに言っても大幅なインフレをもたらすだろう」と述べた。
投資家らはインフレ期待の高まりを反映した長期債の利回り上昇を見込む米国債市場の賭けを「トランプ・トレード」と呼ぶ。
もちろん、トランプ氏が多くの提案を実行に移せるかどうかは議会の構成次第だ。また、トランプ氏の政策案の中には漠然とした宣言にとどまるものもあり、当選すれば、特に金融市場関係者の反発があれば大幅に変更される可能性がある。「トランプ政権が実際に矛盾に直面したらどう対処するのかは、本当に不確実性の源だ」とコロナド氏は指摘した。
だが、トランプ氏が打ち出した提案を実行に移した場合、物価にどう影響するのか。以下で分析する。
減税
政府の歳出が税収を上回れば、実質的にマネーを創出し、経済に投入することになり、物価に上昇圧力を加える。近年の財政赤字の拡大はインフレの要因とされている。
トランプ氏は減税を公約に掲げており、それは他の条件が全て同じの場合、財政赤字を増やす。共和党は歳出を抑制すると約束しているが、過去に同党がホワイトハウスと議会の両方を制していた時期には、そうした大幅な歳出制限は実施されなかった。
トランプ氏の公約には、25年末に失効する17年制定の減税の延長や、その他多くの税金の削減または廃止を盛り込んでいる。ブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューでトランプ氏は法人税率を現行の21%から最低15%に引き下げたい考えを示した。
共和党はまた、サービスに対する心づけとして支払われるチップへの課税を廃止することも目指している。超党派の非政府組織(NGO)「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」によれば、財政赤字を10年間で最大2500億ドル(約39兆円)増やす恐れがある。
ダブルライン・キャピタルのジェフリー・シャーマン副最高投資責任者(CIO)は、「減税は採算がとれない」と述べ、市場にとって最悪の結末は、ホワイトハウスと議会の両方を共和党が制することだと指摘した。
関税引き上げ
販売業者や輸入業者、小売業者が追加コストを吸収するために利益率を下げない限り、関税引き上げはすべてのエンドユーザーにとって値上げにつながる。一度限りの関税引き上げは、インフレへの影響は1回限りとなることを示唆するだろうが、共和党が相互通商措置を約束すれば、継続的な関税引き上げの可能性が出てくる。
ブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューでトランプ氏は、関税を政策措置として全面的に支持しながらも、具体的な関税率については明言を避けた。
共和党の綱領は「ベースライン」関税を提唱。トランプ陣営は以前、全世界からの輸入に一律10%の関税を課し、中国からの全輸入品には60%の課税を行う案を打ち出していたが、トランプ氏はインタビューで、こうした具体的数字への支持は控えた。ピーターソン国際経済研究所(PIIE)の報告書によれば、中国からの輸入品にこうした課税を行う場合、平均的な中所得世帯で年間1700ドルの負担になる。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「スタグフレーション型の政策だ。だからエコノミストは関税を嫌う。 インフレと成長に同時に悪影響を及ぼす」と述べた。
移民抑制
近年の歴史的な移民流入は米国の労働力人口の顕著な拡大に寄与しており、エコノミストは賃金上昇圧力を弱めていると指摘する。そうした中で共和党は、不法移民の抑制だけでなく、「米国史上最大の強制送還作戦」の実施を目指している。
そうなればインフレを誘発する恐れがあるが、供給不足がコストを押し上げている住宅などの分野で物価圧力を緩和する可能性もある。 ザンディ氏はトランプ氏が移民を厳しく制限すれば、短期的には混乱を招くだろうと予想。コストや物価を押し上げ、農業や建設業、製造業、運輸業など労働市場がタイトなセクターで人手不足を引き起こす可能性もあると述べた。
フランス、選挙後初の入札に堅調な需要-スプレッドは以前には戻らず - Bloomberg
フランスで今月初めに行われた総選挙後初の国債入札には、堅調な需要があった。
政府は最長で2032年までの4本立ての国債を売却し、目標の上限である115億ユーロ(約2兆円)を調達した。合計で280億ユーロ以上の注文があった。18日には25億ユーロ相当のインフレ連動債の入札も予定されている。
3年債の応札倍率は2.47倍で、6月下旬の同年限の入札時の2.05倍を上回った。他の年限に対する需要も前回よりやや強かった。
マクロン大統領が先月、国民議会(下院)選挙の実施を決めた後、極左または極右の政権下での無制限な公共支出への懸念が高まりフランス10年債のドイツ債とのスプレッドは過去10年以上で最大となった。
しかし、絶対多数を占める政党は現れず、市場は落ち着きを取り戻した。現在は新首相選びの交渉がまとまるまで、暫定内閣が政府を運営している。
スプレッドは66ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後で推移しており、6月下旬に記録した高水準より20bpほど低いが、過去5年間の平均はなお上回っている。
米新規失業保険申請、2万件増の24.3万件 予想以上の増加 | ロイター
労働省が11日に発表した7月13日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2万件増の24万3000件と、予想以上の増加となった。ただ夏休みや工場の一時閉鎖の時期に当たる7月はデータに変動が生じることが多いとされる。
この増加により、失業保険申請件数は年初来のレンジである19万4000─24万3000件の上限に戻った。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は23万件だった。前週は減少し、6月初旬に付けた10カ月ぶりの高水準からさらに遠ざかっていた。
オックスフォード・エコノミクスの米国リードエコノミスト、ナンシー・バンデン・ハウテン氏は「データに見られるノイズを差し引いて考えると、失業保険申請件数は年初来でも上昇傾向にある」と指摘。「これまでの上昇は、解雇の増加というよりはむしろ雇用ペースの鈍化を特徴とした労働市場の沈静化を反映しているように思う」と述べた。
7月6日までの1週間の継続受給件数は2万件増の186万7000件と2021年11月以来の高水準となった。
季節調整前の申請件数は3万6824件増の27万9032件となった。ハリケーン「ベリル」の影響を大きく受けたテキサス州で急増したほか、カリフォルニア州、ジョージア州、ミズーリ州、ニューヨーク州、ペンシルベニア州、サウスカロライナ州でも増加が見られた。さらに自動車組み立て工場の多いケンタッキー州、カンザス州、オハイオ州でも増加し、ニュージャージー州、インディアナ州、マサチューセッツ州の減少を相殺した。
バイデン政権の学生ローン救済計画を全面差し止め=ミズーリ州高裁 | ロイター
【コラム】ドル安望むトランプ氏、言うは易し行うは難し-オーサーズ - Bloomberg
ブルームバーグ・ビジネスウィークとのインタビューでトランプ前大統領が何よりも主張したかったのは、米国を苦しめている最も大きな問題は強いドルだということだった。インタビューの全文を読む価値があるが、その冒頭をここに記す。
「製造業は大事だと思うが、経営者は全員が口をそろえて、もう製造業は無理だという。知っての通り、米国は為替の問題を抱えている。為替だ。自分が大統領だった時は、中国の習近平国家主席、日本の安倍晋三首相と激しく、強力に闘った。ドル高・円安、元安は今や強烈で、大きな為替の問題がある」
この発言は強力な材料となり、ドルをとりわけ対円で押し下げた。トランプ氏は世界の半導体製造集積地である台湾の防衛に消極的な姿勢を示したことから、テクノロジー関連の株式も売られた。ドル指数は米国でインフレがピークを付けた2022年後半に大きく上昇したが、23年初め以降はほぼ横ばいが続き、今や200日移動平均を割り込んだ。
奇妙なことに、トランプ氏は、共和党が綱領で掲げる「米ドルを世界の基軸通貨として維持する」という公約も保持する。一方で関税にも固執し、「関税を導入すれば、全て米国に帰ってくる。極めて簡単だ」と信じて疑わない。
トランプ氏が正しいかどうかという議論は、それほど重要ではない。同氏はドル安を望んでおり、当選すればそれを実現しようとするだろう。「大統領がドルの価値を下げられないというのは、全く信じられない。自国通貨を強くするのは難しいこともあるが、本当に下げようと思えば、いつでも下げられる」と金融市場のベテラン、ケビン・ムーア氏はニュースレターに記した。
米国の製造業空洞化が危機的であることに疑いの余地はない。自由貿易の時代に米製造業は衰退が続いた。1985年までに主に対円で強いドルを維持できなくなり、マンハッタンのプラザホテルに日米など先進5カ国の蔵相・中央銀行総裁が集まってドルに対する他通貨の上昇を容認する「プラザ合意」が結ばれた。
消費者物価インフレの相対的な水準を考慮に入れた広範なベースで、ドルは最盛期に比べてかなり弱くはなったが、プラザ合意の当時よりも今や強い。歴史的な基準に照らすと、極めて強いのは間違いない。
これに対し、円の弱さは目を見張るほどだ。日本製品が米国市場にあふれていた70年代や80年代よりも円は安い。米国の店頭にかつてほど日本製品が並んでいるわけではないが、日本は為替レートのおかげで過去60年間になかった強い競争力を手にしている。
中国経済は、以前のような力強い成長とは程遠い。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟時には世界経済に衝撃が発生し、それ以降も他国経済に甚大な影響を及ぼしてきたが、影響は頭打ちしつつある。
中国の人民元は対ドルで長きにわたり人為的に安値に維持されてきたが、しばらく前に打ち切られた。人民元は昨年大きく下落したが、中国経済の不調が主な理由だ。
グローバリゼーションと自由貿易のデメリットは、今や誰もが認めるところだ。円と人民元は安く見え、ドルは以前よりも高い。従って、トランプ氏の主張を支える材料はたくさんある。だが、為替はゼロサムゲームの連続であるため、価値の切り下げが万能の答えにはなり得ない。米製造業は基盤が既に損なわれている。その回復には、保護関税以上のものが必要だ。
このような状況で、大統領が具体的に何ができるだろうか。ドルが広く利用され、米国の資産が安全な避難先として扱われているのは、世界の基軸通貨としての地位があるからだ。資本規制は恐らく問題外だろう。政府系ファンドを設立し、ドルを山ほど売る用意をすればうまくいくかもしれない。選挙が終わった段階でトランプ氏が支持する利下げを行うことも有効だろう。
より説得力を持つのは、協調介入だ。為替取引は双方向であり、喜んで協力しそうな相手もいる。日本の当局は円の押し上げに躍起で、これまで巨額を投じたがあまり成果は上がっていない。その理由は米国の金利が依然高く、日本の資金を吸い上げているからだ。米国の金利が今後低下に向かいそうな今は特に、そこに共通項があるかもしれない。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのマーク・チャンドラー氏は、米金利が間もなく低下し始めそうな経済サイクルの現時点は好都合だと指摘する。「とりわけ循環的な調整が進行している現状では、口先だけでもドルを押し下げることができるかもしれない」と述べた。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)が行ったファンドマネジャー調査では、金融政策が景気抑制的過ぎるとの見方が世界金融危機以降のどの時期よりも多くなり、利下げが近く見込まれていることが示唆された。
これに対し、トランプ氏の政策綱領には矛盾がある。同氏が実現を目指す経済政策のリストは
1.関税
2.利下げ
3.ドル安
4.財政拡大
5.インフレ低下
1-4のいずれも、5番目のインフレ低下とは相いれない。全ての条件が同じであれば、共和党の政策綱領はインフレ押し上げ策の羅列だ。関税や財政拡大は金利も押し上げ、ドル上昇に寄与するだろう。キャピタル・エコノミクスの副マーケッツエコノミストのジョナス・ゴルターマン氏は、「トランプ氏の問題はドル安を望みつつ、やりたい政策は多かれ少なかれ全てドル高に働くということだ」と指摘。「やりたいことをただ口に出して、自動的に実現するだろうと考えるのは大間違いだ。それが問題の核心だ」と語った。
実際にBofAが調査した米国外の投資家は、上下両院を味方に付けたトランプ新政権はドル高をもたらすと確信している様子だ。
ドルを下落させるのは容易なことではない。トランプ氏が勝利すれば、それを実現させようと試みるだろうが、成功するかどうかは極めて疑わしい。
●中東情勢
UAE、2カ所目の原発建設を検討 国内需要増に対応=関係筋 | ロイター
●エマージング
ベネズエラ野党関係者、当局が拘束 28日の大統領選控え | ロイター
アングル:中国の消費刺激策、家計は反応せず 債務返済や資産運用を優先 | ロイター
中国では家計の預金残高の伸びが鈍化し銀行が金利を引き下げているにもかかわらず、個人消費は政府の刺激策に反応していない。リスクを回避し債務の返済や資産運用を優先していることがうかがえる。
中国人民銀行(中央銀行)のデータによると、家計の新規預金は6月に2兆1400億元増えるなど上半期に9兆2700億元(1兆3000億ドル増加したが、前年比では22%減少した。
6月の家計の人民元建て預金残高は前年比10.6%増加したが、少なくとも過去3年間で最低に近い水準にとどまった。
中国では銀行への預金が鈍っているが、今週発表されたデータでは、これが消費の増加にはつながっていないことが示された。
6月の小売売上高は前年同月比2%増と予想を下回り、1年半ぶりの低い伸びとなった。デフレ圧力により企業が値下げを余儀なくされたためだ。
政府の消費刺激策が十分な効果を上げていないことを示しているとアナリストは指摘する。
OCBC銀行の中国圏調査部門責任者トミー・シー氏はメモで、貯蓄の伸びは鈍化しているが、消費の増加にはつながっていないとし、「これは家計がローンを早期に返済して負債を減らし、預金を資産運用商品に振り向けていることと関係しているかもしれない」と分析した。
預金金利の引き下げは消費と借り入れの促進が狙いだが、家計や企業は貯蓄を資産運用に回し、資産運用会社は資金を債券に振り向けている。
アナリストによると、不動産価格の下落や雇用不安、高債務などが重なり、家計が慎重姿勢を強めていることが個人消費低迷の背景にある。
中国の第2・四半期の成長率は4.7%と予想を下回り、第1・四半期の5.3%から鈍化した。
預金の伸びの鈍化は銀行融資とほぼ一致しており、先週発表された6月の融資残高は、需要が再び低迷していることを示している。
中国の預金残高は長期的には依然として成長の原動力となり得るが、対外貿易が抑制される中、過剰生産能力のリスクを踏まえると、政府は消費者への支援を強化すべきとの声が聞かれる。
6月末の家計の人民元預金は過去最高の146兆3000億元となった。家計、企業、政府の預金を合わせた6月の人民元預金総額は295兆7000億元に達し、中国本土の株式市場の時価総額73兆元や国内総生産(GDP)126兆元を大きく上回った。
メイバンクのアナリストはメモで「政策当局は一時的な刺激策ではなく、消費者のリスク回避行動の根本原因に対処し、消費を促す必要がある」と指摘。「そのためには長期にわたる不動産市場の低迷、不安定な雇用市場、不十分な社会保障、債務負担の増加といった根本的な問題を解決するための構造的な措置が求められる」と提言した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
世銀が「干ばつ債」発行検討、アフリカ支援念頭 | ロイター
●小ネタ
夏休み予算微減、平均5.8万円 物価高・円安で節約志向 - 日本経済新聞
「夏休みの過ごし方」(複数回答)については「自宅で過ごす」が36.9%で最も多く、「国内旅行(宿泊あり)」(19.1%)、「ショッピングや食事など」(18.5%)が続いた。長距離移動は抑え、近場で過ごす傾向が強まっている。
NTT、耳ふさがないヘッドホン 電話向けの特許技術応用 - 日本経済新聞
NTT子会社で音響関連事業を手掛けるNTTソノリティ(東京・新宿)は18日、耳をふさがずに周囲の音も聞こえるヘッドホンを発売したと発表した。固定電話から培ってきた特許技術などを盛り込み、消費者に新たな音の楽しみ方を提供する。NTTグループの課題である研究成果の事業化に弾みをつける狙いもある。
●市況
NY市場サマリー(18日)株大幅安、ドル上昇・長短金利差拡大 | ロイター
<為替> ドル指数が上昇した。米フィラデルフィア連銀業況指数が市場予想を大幅に上回る結果となったことを受けた。一方、ユーロは下落。欧州中央銀行(ECB)理事会は予想通り政策金利を据え置いた。
ドルは対円で0.7%高の157.26円。前日は、6月12日以来のドル安/円高となる1ドル=156.09円に沈んだ。
<債券> 2年債と10年債の利回り曲線がスティープ化した。週間新規失業保険申請件数が予想以上に増加したことで、米連邦準備理事会(FRB)は9月に利下げに着手するとの観測が一段と高まったことが背景。
終盤の取引で2年債利回りは3.4ベーシスポイント(bp)上昇の4.463%。
10年債利回りは4.4bp上昇の4.19%。
2年債と10年債の利回り格差は1bp拡大のマイナス27bp。
<株式> 主要株価3指数が軒並み大幅安。企業の第2・四半期決算発表が本格化する中、大型グロース株から資金が流出し、相場は一時の上げから下げに転じた。
主要3株価指数は全て下落。ダウは連日最高値を更新していたが反落した。ナスダックも前日の大幅安に続き売られた。
S&P500の主要11セクター中、ヘルスケア株の下げが最も大きかった。一方、エネルギー株は唯一上昇した。
ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは2.4%上昇した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は関係筋の話として、同社が低迷する株価の押し上げに向け、動画配信サービスと映画製作事業をテレビ局から分離する可能性を検討していると報じた
<金先物> 米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ期待を背景にいったんは買いが先行していたものの、米長期金利の上昇や対ユーロでのドル高を背景に売りに押され、小幅続落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比3.50ドル(0.14%)安の1オンス=2456.40ドル。
<米原油先物> 前日の上昇の後を受けた利益確定売りと、9月の米利下げ期待を背景とした買いが交錯し、ほぼ横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月8月物は前日清算値(終値に相当)比0.03ドル(0.04%)安の1バレル=82.82ドルだった。9月物は0.14ドル安の81.30ドル。
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。好業績が材料視された銘柄が上昇して相場を押し下げた。
<欧州株式市場> 4日続落して取引を終えた。好決算などを材料とした銘柄の上昇もみられたものの、半導体関連銘柄の下落が続き相場を押し下げた。
STOXX欧州600種テクノロジー株指数は1.80%安と続落。オランダの半導体製造装置メーカーASMLホールディングは3.7%、同業BEセミコンダクターは4.5%、それぞれ下げた。
一方、自動車・部品株指数は1.23%高。スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ・カーは11.0%高と急伸。2024年第2・四半期の業績内容が好材料視された。
第2・四半期の営業利益が予想を上回ったスウェーデンのトラック大手、ABボルボも5.9%上昇。
<ユーロ圏債券> ドイツ国債利回りが数週間ぶりの低水準を付けた。18日の欧州中央銀行(ECB)理事会では主要政策金利が予想通り据え置かれ、次の動きについて示唆を与えなかった。
ドイツ10年債利回りは、1.5ベーシスポイント(bp)低下の2.403%となった。一時、3週間ぶりの低水準となる2.401%を付ける場面もあった。
ドイツ2年債利回りは3.5bp低下の2.74%。
金融市場が織り込む9月の25bpの利下げ確率は約75%、年内の累計の利下げ幅は70bpと、ECB理事会後も変わらなかった。
イタリア10年債利回りは2.5bp低下の3.70%。
独伊10年債利回り格差は128bpと横ばい。同格差は、仏選挙を巡る政治的不確実性から6月に160bpを上回って以来、大幅に縮小している。
独仏10年債利回り格差は65bpと変わらず。

備忘録(2024/7/17
●雑感
●決算
ASML7.7%急落、7-9月見通し期待に届かず-対中規制強化も不安 - Bloomberg
シティグループのアナリスト、アンドルー・ガーディナー氏は「米国がASMLに追加的な制限を迫っているとブルームバーグが報道したこともあって、きょうは決算より地政学的アングルに注目が集まりそうだ。設置ベースのサービス活動を制限する圧力が高まりつつある」と指摘した。
ASML純利益19%減 4~6月、EUV装置の受注は56%増 - 日本経済新聞
オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディングが17日発表した2024年4〜6月期決算は、純利益が前年同期比19%減の15億7700万ユーロ(約2700億円)だった。演算処理向けのロジック半導体など台湾積体電路製造(TSMC)向けの販売減が響いた。
4~6月期としては5年ぶりの減益となった。純利益はQUICK・ファクトセットがまとめた事前の市場予想の平均(14億6400万ユーロ)を上回った。売上高は10%減の62億4200万ユーロ(約1兆700億円)だった。
最先端半導体の生産に欠かせない極端紫外線(EUV)露光装置の受注額は25億ユーロと56%増えた。下期にかけて主要顧客向けに「高NA」と呼ばれる技術を使った次世代EUV露光装置の売り上げを見込む。通期の売上高見通しは従来予想を据え置いた。
地域別売上高では中国向けが49%を占め、前年同期の24%から拡大した。EUVなど先端半導体製造装置については、米国政府からの要請を受けてオランダ政府が中国輸出を制限している。ただ、規制の対象となっていない非先端品の販売が伸びている。最大顧客のTSMCなど台湾向けは11%(前年同期は34%)と縮小した。
用途別では、記憶用のメモリー半導体向け売上高が21億8200万ユーロと前年同期から2.5倍になった。生成AI(人工知能)などの普及で、複数のメモリーチップを積み重ねて高速・大容量のデータ処理を行う「HBM(広帯域メモリー)」と呼ばれる半導体や、半導体メモリーDRAMの新規格「DDR5」向け製造装置の需要が高まっている。
一方で、演算に使うロジック半導体向けの売上高は25億7900万ユーロと45%減った。23年に顧客先への導入が進んだ反動で、新規受注が低調だった。ロジック向けは通期でも減少を見込む。
7~9月期の売上高見通しは67〜73億ユーロとした。市場予想の76億4900万ユーロには届かなかった。金融サービス会社の仏ケプラー・シュブルーのルーベン・デボス氏は「ロジックとメモリーで装置の稼働率が改善することに加え、次世代
ジョンソン&ジョンソンが決算受け上昇 医薬品販売好調も通期1株利益は下方修正=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
ジョンソン&ジョンソン<JNJ>が上昇。取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、売上高とも予想を上回った。医療機器の売上は予想を下回ったものの、医薬品の販売が好調だった。
欧米で低価格競争に直面する抗炎症薬「ステラーラ」の売上減や、ベビーパウダーの訴訟が続いていることを投資家は懸念しており、同社株は今年に入って下落している。
ウォルクCFOは「われわれはいくつかの株価の重荷(オーバーハング)があることを認めている。ステラーラが独占権を失う最初の年であっても、それを管理し、成長するための体制は非常に整っている」と述べていた。
同社は6月にプロテオロジックス社を買収し、7月には非上場のヌマブ・セラピューティクス社から実験的な湿疹治療薬「NM26」を買収。これらの費用により通期の1株利益の見通しを下方修正した。
同社は25年間で60億ドル以上を支払うことで、タルク訴訟の大半の和解を提案している。原告側は7月26日までにこの和解案に賛成票を投じなければならないが、同社が和解を進めるには少なくとも75%の原告の支持が必要。それについて同CFOは「和解が成立することを慎重かる楽観視している」と語った。
株価は時間外で売買が交錯していたが、通常取引に入って買いが優勢となっている。
[NTRS] ノーザントラスト 2Q増収最終増益 売上高55%増27.1億ドル、純利益2.7倍8.91億ドル、EPS4.34ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[USB] USバンコープ 2Q減収最終増益 売上高4%減68.3億ドル、純利益19%増15.1億ドル、EPS0.97ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[CFG] シチズンズファイナンシャル 2Q減収最終減益 売上高6%減19.6億ドル、純利益20%減3.57億ドル、EPS0.78ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[ELV] エレバンスヘルス 2Q微増収最終増益 売上高微増438億ドル、純利益24%増23.0億ドル、EPS9.85ドル - 株探(かぶたん)|米国株
ユナイテッド航空、7─9月利益見通し市場予想下回る 値引き圧力で | ロイター
米ユナイテッド航空は17日、第3・四半期の調整後1株利益が2.75ドル─3.25ドルとなるとの見通しを示した。市場予想(3.44ドル)を下回る。国内市場での座席供給過剰を受けて値引き圧力が高まっていることを理由とした。
通年の1株当たり利益予想は9─11ドルに据え置いた。
第2・四半期の調整後利益は1株当たり4.14ドルと、アナリスト予想の3.93ドルを上回った。
スコット・カービー最高経営責任者(CEO)は「第3・四半期後半には、大手航空会社の中で単位収益がトップクラスになると予想している」と述べた。
●海外企業
仏ペルノ・リカール、ワイン部門の大半を売却へ 蒸留酒に注力 | ロイター
仏蒸留酒大手ペルノ・リカールは17日、ワイン部門の大半をオーストラリアのアコレード・ワインズを傘下に置く投資家連合に売却することで合意したと発表した。不振事業を切り離し中核の蒸留酒に注力する。
オーストラリア、ニュージーランド、スペインのワインブランドをオーストラリアン・ワイン・ホールディング・リミテッド(AWL)に売却する。売却額は明らかにされていない。
ペルノはウォッカ「アブソルート」やコニャック「マーテル」などの蒸留酒、特に高価格帯ブランドに一段と重心を置く。シャンパンや米・仏・アルゼンチン・中国のワインブランドは引き続き保有する。
2023年6月終了年度のペルノーの売上高に占めるワインの割合は4%にとどまった。欧米市場ではワインよりもビールや蒸留酒が好まれ、かつて高成長を遂げた中国でもワインの消費は縮小傾向にある。
AWLは米プライベートエクイティ大手ベイン・キャピタルなどが支援するファンドで構成されている。AWLはペルノーの資産をアコレードに統合するとしている。
ロシュ株価急伸、減量薬候補が初期治験で良好な結果-経口服用型 - Bloomberg
スイスの医薬品メーカー、ロシュ・ホールディングスの株価が17日の取引で6%近く急伸。肥満患者を対象とした初期治験で減量薬候補が有意な体重減少を示したことが好感された。需要が急増する肥満症薬分野への参入に近づいた格好だ。
ロシュが発表した声明によると、経口薬「CT-996」を1日1回、4週間服用した患者の体重は開始時から平均して7%余り減ったのに対し、プラセボ(偽薬)を服用した患者では1%強の体重減少にとどまった。
競争激化への懸念から、肥満症治療薬「ウゴービ」を手がけるデンマークの医薬品メーカー、ノボ・ノルディスク株価は5%余り、「ゼップバウンド」を製造する米製薬大手イーライリリーの株価は約4%それぞれ下落した。
がん、アルツハイマー病治療薬の開発で挫折続きだったロシュは、成長の活路を求めて肥満症薬という医薬品業界で最も注目が集まる分野へとかじを切った。経口薬は減量薬市場において、まだ手つかずの分野の一つだ。
エヌビディア株安に賭けて正解、1日で10億円超稼いだオプション取引 - Bloomberg
トランプ氏再選なら欧州企業収益の伸び消える可能性=米ゴールドマン | ロイター
米ゴールドマン・サックスによると、トランプ前大統領が11月の米大統領選で再選された場合、2025年の欧州企業の収益の伸びが「消える」可能性がある。シャロン・ベル氏率いるゴールドマンのストラテジストらは17日、トランプ氏が公約に掲げている輸入関税を要因として挙げた上で、こうした見解を示した。
トランプ氏は再選された場合に全ての輸入品に10%の関税を課すと述べ、世界の市場で懸念が広がっている。
ゴールドマンは、この措置が実施されれば欧州の域内総生産(GDP)を1%ポイント減らす可能性があると指摘。ゴールドマンは売上高を加重したGDPが1%ポイント下がると、欧州企業の利益の約10%が失われると試算した。
このマイナス影響は、ドル高や欧州通貨安に伴い、ある程度は緩和される。これらを考慮すると、欧州企業の1株当たり利益(EPS)への影響は6─7%ポイントと試算される。ゴールドマンは「25年のEPSの伸びを4%と予想しているため、この影響が来年の伸びを 『消し去る』のに十分以上だ」と言及した。
ゴールドマンの推計では、トランプ氏が再選するとする市場予想は70%程度。
VFが大幅高 「シュプリーム」ブランドを15億ドルで売却=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
アパレルのVF<VFC>が大幅高。イタリアの眼鏡メーカー、エシロール・ルックスオティカ社が、同社の「シュプリーム」ブランドを15億ドルの現金で買収することで合意した。アナリストは今回の売却を前向きに捉えており、バランスシートを改善し、コアブランド、特に「バンズ」の改善に集中できるようになると述べている。
シュプリームを15億ドルで売却することで、資本構成が改善され、満期を迎える負債も解消する。売却価格は予想(17億ドル)を下回ったが、下振れリスクを軽減するという。
同社にはさらなる資産売却の可能性もあるが、株式価値の創造は「バンズ」の再建の成功によってもたらされる。新経営陣、焦点を絞ったマーケティングにより、ブランドの見通しについて楽観的であり、恐らく第2四半期には売上高の変化を引き続き見ることができるとも付け加えた。
●日本企業
住友商事、米バストメディカルホールディングスに出資 糖尿病予防を指南 - 日本経済新聞
住友商事は糖尿病などの予防指南を手掛ける米バストメディカルホールディングスに出資し、持ち分法適用会社にした。投資額は数十億円規模とみられる。利用者の腕に装着したセンサーで血糖値を取得し、体重や血圧などの数値と合わせて分析することで食生活や運動習慣を指南する。米国は人口の約40%が糖尿病患者またはその予備軍とされていて、収益が見込めるとみている。
平和不動産リート、ホテル投資検討 資産の10%以内 - 日本経済新聞
平和不動産リート投資法人は17日、資産の運用を委託する平和不動産アセットマネジメントが運用方針の変更を決めたと発表した。資産全体の10%以内について、ホテルなどを組み入れられるようにする。インバウンド(訪日外国人)需要を取り込む。
これまで資産の比率はオフィスビルと賃貸住宅でそれぞれ原則50%(30〜70%)とし、ホテルを含む「例外的資産」は全体の5%以内にとどめていた。現在ホテルへの投資は行っておらず、新規投資を検討する。
●米大統領選挙
トランプ氏が政権構想明かす、経済・防衛・外交網羅-FRB議長運命は - Bloomberg
トランプ氏が政権に復帰した場合、どのような事態になるか憂慮の声が上がっており、ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレー、バークレイズなどのウォール街の金融機関は顧客に対し、トランプ氏が返り咲いて保護主義的な貿易政策を講じる確率が高まっているとして、インフレ高進見通しを警告し始めている。
アップルやエヌビディア、クアルコムなど米大手ハイテク企業は、中国との対立が深まれば自分たちの企業や、各社が依存する半導体にどう影響するか考えを巡らせている。
欧州やアジアの民主主義各国・地域は、トランプ氏の孤立主義的衝動や西側同盟に対する同氏の不安定なコミットメント、中国の習近平国家主席およびロシアのプーチン大統領とのトランプ氏の関係について不安視している。
そして、世論調査ではいずれも、バイデン氏よりもトランプ氏の経済運営に有権者が好意的であることが示されているものの、トランプ氏を次期大統領に選んだ場合、実際にどうなるかは多くの人々にとって不明だ。
トランプ氏は自身の経済政策「トランプノミクス」の要点は「低金利と低課税」だとし、「事を成し遂げ、ビジネスを米国に回帰させる多大なインセンティブとなる」と話す。
トランプ氏はエネルギー資源の採掘拡大や規制緩和を推進し、メキシコとの国境の警備を強化する方針だ。米国にとって有利な条件を引き出すため、敵対国・同盟国を問わず圧力をかける。暗号資産(仮想通貨)業界の成長を促す一方で、大手ハイテク企業を締め付ける。端的に言えば、米経済を再び偉大にする考えだ。
トランプ氏は1時間半にわたりビジネスや世界経済など、ホワイトハウス復帰の場合の自身の政策課題に関する広範囲の話題についてインタビューに答えた。
トランプ氏はその中で、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の任期満了前に解任を目指さない考えを示した。パウエル議長の任期は2026年5月までで、トランプ氏は「彼に任期を全うしてもらうつもりだ」として、「彼が正しい政策運営を行っていると考えられる場合は特にそうだ」と語った。
その一方でトランプ氏は、米金融当局が11月の大統領選前に利下げして、それが経済およびバイデン大統領への追い風となることを控えるべきだと警告。ウォール街では、選挙前の1回を含め、計2回の年内利下げを完全に織り込んでいるが、トランプ氏は金融当局について「彼らはそれをやるべきでないことを分かっている」とコメントした。
また、法人税率を現行の21%から最低15%に引き下げたい考えを示した上で、その目標達成があまりにも困難だと分かれば、20%への引き下げでも受け入れる意向を表明。「単純明快」な数字であることが理由だとした。
大統領在任中に禁止に追い込もうと試みた中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を巡っては、もはや禁止する計画はないとした。
また、昨年の時点で「非常に過大評価されたグローバリスト」と攻撃していた米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)について、自身の考えを変えたことも明らかにした。
トランプ氏は、政治キャリアも考慮していると受け止められているダイモン氏に関し、財務長官への起用を「考える」ことも想定されると語った。ダイモン氏の広報担当者はコメントを控えた。
台湾を中国の脅威から防衛することなど、長期にわたる米外交政策方針にも疑問を呈する姿勢を表明。トランプ氏は台湾防衛の考えや、ウクライナ侵攻を巡ってロシアのプーチン大統領を罰する米国の取り組みにはクールだ。「私は制裁を好まない」と発言した。
台湾防衛についてのトランプ氏の懐疑的な姿勢は、実際の防衛に当たっての難しさや、米国の保護に対し台湾が経費を負担してほしいとの願望などに根ざしている。同氏は「われわれはいかに愚かであるか。彼らは米国の半導体チップビジネスを全て奪った。彼らはとてつもなく裕福だ」と論じた。
トランプ氏はこのほか、連邦の刑事裁判で有罪となった場合、自身の恩赦を「検討するつもりはない」と主張した。
トランプノミクスの全体像はトランプ氏在任中のものと違いがないかもしれない。新たな要素はそれを実施するに当たってのスピードと効率性だ。適材適所の重要性を含め、権力のレバーに関する理解は深まったと、同氏は確信している。
トランプ氏は経済についての自身のメッセージが11月の選挙で民主党を破る最善のルートだとみている。共和党全国大会初日の15日夜には「富」がテーマとなった。同氏は減税や石油増産、規制緩和、関税引き上げ、外国への金融コミットメント縮小といった型破りな政策方針によって、激戦州で勝利するための十分な有権者にアピールすると考えている。
それはトランプ氏の支持者による21年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件をはじめとする同氏在任中の負の部分を有権者が大目に見るというギャンブルでもある。
既に複数の世論調査では、食品や住宅、ガソリンなどの歴史的な価格高騰を苦にした黒人やヒスパニック系の男性が共和党にシフトしつつある兆候が見られる。バイデン氏は極めて低い水準にある失業率や賃金上昇など、政権の経済的実績を主要な有権者に売り込むのに苦戦している。同氏の高齢に関してもパニックが広がっている。
トランプ氏は大統領選を制する可能性があり、民主党指導部の間では、共和党がホワイトハウスに加え、上下両院の支配も勝ち取るのではないかと懸念を強めている。
そうなった場合、トランプ氏は米経済や世界のビジネス環境、同盟国・地域との貿易関係を形作る上で前例のない影響力を手にすることになる。トランプ氏は在任中、一対一での取り組みを好む傾向を示した。トランプ氏とベストな関係にある企業の経営首脳や世界の指導者は有利となる一方、同氏の敵は不利な扱いを受けて同氏が何をするか恐怖を抱くことになった。
ビジネスウィークがトランプ氏に行ったインタビューで一つ鮮明になった点があるとすれば、同氏はこうしたパワーを十分に認識し、それを活用しようと心に決めていることだ。
インフレ
経済に関してパウエル氏の問題の他にトランプ氏の胸中にあるのはインフレだ。トランプ氏は、バイデン大統領の経済運営責任をこれまで繰り返し批判してきた。しかし、物価高騰と高金利が生む怒りの中に黒人やヒスパニック系の男性といった共和党を通常支持しない有権者を取り込むチャンスを同時に見いだしている。「われわれが持つ流動性の黄金はどこよりも多い」と話すトランプ氏は、石油・天然ガスの掘削拡大に道を開き、価格を下げると言う。
3番目は移民だ。厳しい規制が国内の賃金と雇用を押し上げる鍵になるとトランプ氏は考えている。経済をつくり変えるプロセスで、移民規制を「最大のファクター」と位置付ける。支持獲得を切望するマイノリティー(人種的少数派)に特に恩恵をもたらすという意味もある。「何百万人という人々の入国で、黒人たちは大きな打撃を受けるだろう。彼らは既にそれを感じ取っている。賃金はだんだん減り、仕事を不法移民に奪われている」とトランプ氏は主張する(労働統計局によれば、2018年以降の雇用増の大半は移民ではなく、市民権を得た人々と合法的な居住者だ)。
トランプ氏の言葉は終末論的になる。「雇用や住宅、あらゆるところでこれまで起きたこと、これから起きようとしていることが理由で、この国の黒人たちは死のうとしている。私はそれを止めたい」と訴える。
石油の掘削は別として、トランプ氏は物価引き下げのプランを詳しく説明していない。自ら提唱する強力な関税が思いがけない収入を米国にもたらすというのが個人的な確信だが、主流派の経済学者は同意していない。関税はさらにインフレを助長し、米国の家計にとって増税になると彼らは警告する。ピーターソン国際経済研究所(PIIE)の報告書によれば、トランプ氏の関税制度の下では、平均的な中所得世帯に年間1700ドルの追加的コスト負担が生じる。オックスフォード・エコノミクスは、関税と移民規制、減税延長の組み合わせによってインフレ率が上昇し、経済成長が鈍化する恐れがあると評価する。オックスフォード・エコノミクスの米国担当首席エコノミスト、バーナード・ヤロス氏は、一連の政策のスルーライン(一貫したテーマ)が「インフレ期待の上昇」との見解を示す。
そして財政赤字だ。トランプ氏は大統領在任中の2017年に成立した税制改革法を更新し、法人税をさらに引き下げることを望んでおり、同氏や彼のアドバイザーが説明しない手法がどんなものであれ、それは財政均衡を描き出すものではない。保護主義的政策の結果としてエコノミストが予想する金利上昇圧力も相まって、国の膨らむ債務負担をさらに増大させる恐れがある。
それでも結局、トランプ氏の他の考え方は、ビジネスリーダーたちを味方に付くよう揺さぶるには十分かもしれない。トランプ氏の献金者で、シェール生産会社コンチネンタル・リソーシズの会長を務めるハロルド・ハム氏は「バイデン政権には自由市場へのあからさまな敵意が感じられ、その結果、投資が手控えられている。規制の不確実性に加え、特定セクターへの規制の敵意がむき出しなケースさえある」と指摘し、バイデン政権による液化天然ガス(LNG)プロジェクト停止をその例として挙げた。「トランプ氏が返り咲きを果たせば、手控えられていた投資が再び解き放たれるだろう」と同氏は予測する。
米財界指導者
米企業はトランプ氏の大統領復帰の可能性に適応しようとしているが、企業トップの多くはそれを待ち望んでいるわけではない。多くのトップ経営者と定期的に話をしているイエール大学経営大学院のジェフリー・ソネンフェルド教授は、「彼らはトランプ氏に我慢ならない」と言う。ただ、一方でトランプ氏が再び大統領となり、うまく付き合っていく必要が出てくる可能性が高まっていることを認識している。
トランプ氏は6月にワシントンで、JPモルガンのダイモン氏やアップルのティム・クック氏、バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハン氏ら国内の著名な企業トップ数十人と非公式に会談した。超党派のロビー団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が主催したこの集まりでトランプ氏は、長い間難しい関係にあった数多くの企業リーダーと対面。その多くはトランプ氏に大統領就任当初から警戒心を抱いていた。
2021年1月6日のトランプ氏支持者による連邦議会議事堂襲撃事件の後、クック氏、ダイモン氏、モイニハン氏はいずれもこの暴挙を非難。クック氏は「わが国の歴史における悲しく恥ずべき一章」と呼んだ。しかし、マンハッタンの陪審員団が34件の虚偽記載の罪でトランプ氏に有罪の評決を下したわずか数週間後、誰もがトランプ氏と交わるために集まった。これは紛れもなく、権力のダイナミックスが変化していることを示している。
トランプ氏は米企業経営者たちとの関係のあり方についてきわめて敏感で、彼らの支持を望むか、それとも彼らを自分の意のままにしたいのかで揺れ動いている。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンのベルナール・アルノーCEOが表紙を飾った「ビジネスウィーク」誌7月号をマールアラーゴで見せられたトランプ氏は、世界有数の大富豪であるアルノー氏について「信じられないような男で、私の友人だと思う」と言及し、トランプ氏との関係が話題に上ったかどうか尋ねた。(それはなかった)
トランプ氏は、フォーチュン100企業のCEOで自身の選挙キャンペーンに公に寄付した人はいないと指摘されると、歯切れが悪くなる。(その後、イーロン・マスク氏が資金面での支援を表明した)。トランプ氏は6月のCEOらとの非公式の会合に関してCNBCが報道した際、トランプ氏について「著しく話があちこちに飛び」、「支離滅裂」と非難したあるCEOの匿名コメントを取り上げたことに、まだ頭を抱えている。
むしろ、会合は好意的な空気に満ちていた、とトランプ氏は主張する。「自分が愛されていないときは誰よりも自分がそれを感じる」からだという。トランプ氏によると、CNBCから謝罪の電話があった。(CNBCの広報担当者は「謝罪はしていない。コミュニケーションをオープンに保つことについて前大統領と話した」と説明した)
トランプ氏は、自身の政権が2017年に法人税率を「39%から21%に」(実際には35%から21%)引き下げたことを会合に集まった幹部らに思い出させ、さらに20%まで引き下げると宣言したと説明。「彼らは喜んでくれた」とトランプ氏は振り返る。さらに税率を15%まで下げたいと付け加えた。
しかし、CEOたちがどのような 「愛 」を示したとしても、それは結局のところ私利私欲に基づくものであることもトランプ氏は認識している。CEOたちも他の人々と同じように世論調査を読むことができるからだ。
企業トップが常に共和党候補に冷淡だったわけではない。連邦議会議事堂襲撃でトランプ氏の政治生命が断たれたように見られた中で、共和党を支持する経済界は党の新たな旗手を選ぼうと躍起になっていた。
フロリダ州知事のロン・デサンティス氏、前サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリー氏、バージニア州知事で投資会社カーライル・グループの共同最高経営責任者(CEO)も務めたグレン・ヤンキン氏を筆頭に、ビジネス界に友好的な新世代の政治家たちに資金と注目が集まり始めた。しかし3氏はいずれも脱落し、ビジネスリーダーたちは、トランプ氏が大統領候補に躍り出たことに衝撃を受け、落胆した。
「みんなが状況を読み違えていた」と話すのは共和党のビジネスロビイスト、リアム・ドノバン氏だ。「トランプ氏はもう終わったという思い込みがあった。しかし、デサンティス氏やヘイリー氏がその替わりになることはなかった。人々は新しい時代に移る機会と思って実現しようとしたがならなかった。支持層はトランプを望んでいたのだ」
トランプ氏は反目した相手に恨みを抱くことで知られる。 昨年の保守系政治関連の会議で、トランプ氏は 「報復 」を約束した。しかし嫌いなCEOを仕返しするのかとマールアラーゴで問われた際には「誰に対する報復も考えていない」と答えている。
トランプ氏は、メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)、アマゾン・ドット・コム創業者でワシントン・ポストのオーナーであるジェフ・ベゾス氏との長年の確執を再燃させている。
ワシントン・ポストが、トランプ氏の大統領在任中の虚偽主張(3万573件に上る)を集計したことで、ベゾス氏は特段の怒りを買っている。トランプ氏は、ベゾス氏がポスト紙所有で「自分自身に大きな不利益をもたらし」、「多くの敵」を作ったと主張する。
とはいえ、トランプ氏は企業からの批判や敵が多い割に、役員クラスやウォール街からの支持がないわけではない。キー・スクエア・キャピタル・マネジメントのCEOで、トランプ氏の強い支持者でもあるスコット・ベセント氏は、「役職を問わずうまくいった。マーケットは好調だったし実質賃金は上昇し、とても良い時代だった」と振り返る。
支持者だと名乗り出ていない他の著名なCEOも、トランプ前政権を称賛している。ダイモン氏は1月、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムで、次のように述べた。「彼は北大西洋条約機構(NATO)や移民問題についてある意味、正しかった。彼は経済をかなり成長させた。税制改革はうまくいった。対中政策のいくつかは正しかった」。
トランプ氏はこれを喜んだ。同氏は昨年、自身が立ち上げたソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルでダイモン氏のことを「非常に過大評価されているグローバリスト」と攻撃したが、いまでは政治家としてのキャリアを考えているとされるダイモン氏を財務長官に起用することも想定し得ると方向転換した。トランプ氏は「彼は私が検討すべき人物だ」と発言している。(ダイモン氏のスポークスマンはコメントを控えた)
報復への懸念も
ビジネスリーダーに対して定期的に怒りをあらわにしてきたトランプ氏だが、第2次政権では彼らの登用を熱望しているようだ。ノースダコタ州のダグ・バーガム知事はハイテク企業の元CEOだが、副大統領の最終候補者リストに入り、政権入りする可能性がある。ベセント氏も財務長官候補だ。
少し前まで敵対する可能性があると考えられていた経営者についても、トランプ氏は受け入れている。ヤンキン氏のことを「最盛期にある」と持ち上げ、「私の政権にぜひ迎えたい」と発言している。そしてトランプ氏が最終的に副大統領候補に選んだバンス上院議員はベンチャーキャピタリストだった。
それでも、トランプ氏の返り咲きに不安を感じる経営者は多い。アメリカン・エキスプレスの元会長兼CEOのケン・シュノールト氏は、トランプ氏の脅しが企業のリーダーたちを萎縮させていると言う。「報復があることを大いに恐れているからだ」。
トランプ氏が大統領在任中にAT&Tによる850億ドル規模のタイム・ワーナー(現ワーナー・ブラザース・ディスカバリー)買収に反対したほか、政権に関する報道への不快感からCNNを売却させようとしたとの懸念をシュノールト氏は挙げた。
外交政策
共和党が長年掲げてきた自由貿易支持の正統性を政権1期目に破壊したトランプ氏は関税導入を擁護するとともに、大統領に返り咲いた場合はこれをさらに推し進める考えを示した。
トランプ氏は高率の輸入関税法を成立させたウィリアム・マッキンリー第25代大統領について、「マッキンリー氏は米国を豊かにした。彼は最も過小評価されている大統領だ」と指摘。トランプ氏の理解によれば、「関税王」マッキンリー氏の後任らはニューディールなど多くの支出を必要とする政府プログラムによってマッキンリー氏の遺産を食いつぶし、経済運営の重要な手段を阻害したという。
トランプ氏は関税を導入すれば潜在的な敵対国も関税を撤廃するよう頼みに来るとし、交渉を有利に進められると説明。実に賢明な施策である関税に反対する人が多いのは信じられないと語った。
バイデン大統領はトランプ氏が導入した対中関税を維持し、多くの業界団体や消費者団体を驚かせた。バイデン氏はさらに、鉄鋼やアルミニウム、半導体、電気自動車(EV)、バッテリーなどの関税を引き上げた。超党派の消費者擁護団体、米消費者選択センター(CCC)のヤエル・オソウスキー副ディレクターは5月に「これは全て選挙に向け『タフガイ』政治の名の下で行われたが、全面的な物価上昇をもたらすだろう」と述べた。
しかし、トランプ氏の考えでは、バイデン氏の措置は中国が米国の経済と安全保障にもたらす脅威について自分が正しく認識し、民主党が間違っていたことの証明だということになる。そして欧州の同盟国などに対しても同様の措置を講じる構えだ。トランプ氏は諸外国の米国産品購入が不十分だとして、中国からの輸入品への60-100%の追加関税だけでなく、他の国からの輸入品にも一律10%の関税を課すと述べた。
その上でトランプ氏は「われわれは不当な扱いを受けている。しかし私はその全てを、その文化を変えつつあった」と述べ、大統領に返り咲けば仕事をやり遂げる考えを示した。
台湾・サウジ
外交政策に取引を絡めるトランプ氏の考えと、あらゆるディールに「勝ちたい」という願望は世界中に影響を及ぼす可能性があり、米国の同盟を損ねる恐れさえある。中国から台湾を防衛するという米国のコミットメントについてトランプ氏に尋ねたが、最近の台湾に対する超党派の支持にもかかわらず、中国が侵攻した場合に立ち向かうことに関してはせいぜい鈍い反応だった。
同氏の懐疑的な態度の一部には、経済面の不満がある。「台湾はわれわれの半導体ビジネスを奪った」とし、「われわれはどれほど愚かなのか。彼らはわれわれの半導体ビジネスを全て奪った。彼らはとてつもない富を得ている」と発言。同氏が望んでいるのは台湾が米国に防衛代金を支払うことだ。「保険契約と何ら変わらないと思う。なぜわれわれはこうしたことをしているのか」と問いかけた。
トランプ前大統領が懐疑的になる別の要因は、地球の反対側にある小さな島の防衛には現実的な難しさもあると考えている点だ。「台湾は9500マイル(1万5290キロ)も離れている。中国からは68マイル離れている」とトランプ氏は話す。台湾に対するコミットメントを放棄すれば、米外交政策の劇的な転換を意味することになるが、トランプ氏の発言はこうした関係の条件を根本的に変える用意があるように聞こえる。
対照的に、サウジアラビアについてのトランプ氏の見解はより友好的だ。過去半年以内にムハンマド皇太子と話をしたと述べたが、そのやり取りの性格や頻度に関しては詳しい説明を控えた。
米国の石油・ガス生産が増えた場合、エネルギーにおける優位性を維持したいサウジの動揺を招くことを心配しているかと尋ねられたトランプ氏は、そうは思わないと答え、個人的な関係を再度指摘した。ムハンマド皇太子について、「彼は私を好きだし、私も彼のことが好きだ」と言い、「彼らは常に保護を必要とするだろう。彼らは元来守られていない」とした上で、「私は常に彼らを守る」と語った。
トランプ前大統領はバイデン大統領とオバマ元大統領がサウジとの関係を損ねたと非難し、サウジを主要な対抗者へと追いやったと主張。「彼らはもはやわれわれと共にない」とし、「彼らは中国と一緒にいる。しかし、彼らは中国と一緒になりたいわけではない。彼らはわれわれと共にありたいのだ」と述べた。
トランプ氏にとって、サウジとの関係を緊密化したい理由は米外交政策にとどまらない。多額の金がかかっているのだ。7月1日、トランプ・オーガニゼーションとDARグローバルはジッダにトランプタワーと高級ホテルを建設する計画を発表。娘婿のジャレッド・クシュナー氏が設立した投資ファンドも、サウジ政府系ファンドから20億ドル相当の投資を得ている。
シリコンバレー
トランプ氏は大統領在任中とその後、米テクノロジー業界を頻繁に標的にした。大半の期間にわたり、フェイスブックやグーグルといった企業に対する不満のはけ口として同氏が選んだプラットフォームはツイッター(現X)だった。イーロン・マスク氏による買収前のツイッター自体も標的となった。
トランプ氏は2020年、1996年通信品位法230条に基づくソーシャルメディアプラットフォームの法的保護を縮小する大統領令に署名。政府はアマゾンやアップル、フェイスブック、グーグルに対する反トラスト法(独占禁止法)調査を開始し、バイデン政権下でもそうした動きが継続・拡大している。
巨大テクノロジー企業に対するトランプ氏の攻撃は、必ずしも政策や主義主張を厳格に反映したものではない。同氏の関税案と同様、少なくとも企業やCEOが応じざるを得ない交渉上のポジションを確保するためのてこのような役割を果たしてきた。
かつてトランプ氏ら共和党員が訴えていた不満の中心は、テクノロジー企業が保守派に偏見を持っており、保守派に対しシャドーバンやデプラットフォームを行い、検索結果で右寄りの情報源を抑え込んでいる(とされる)ことだった。現在、トランプ氏はより広くアピールする問題に焦点を合わせている。「テック企業はあまりにも巨大になり、力を持ち過ぎており、特に若者たちに深刻な悪影響を与えている」と同氏は主張している。
こうした姿勢は、テレビドラマがいかに世論を形成し得るかについてのトランプ氏の理解から生じているかもしれない。ザッカーバーグ氏は2月、上院で開かれたテクノロジー企業幹部の公聴会で、ソーシャルメディアの乱用が子どもを自殺に追い込んだと批判され、家族への謝罪を求められた。トランプ氏はこれを選挙キャンペーンに利用し、ソーシャルメディア企業に「若者をだめにしてほしくない。自殺者まで出ている。何が起きているかは明白だ」と語った。
しかし、しばらくすると、トランプ氏は中国のテクノロジー覇権に対する重要な防波堤として、同じプラットフォームの多くを擁護している。トランプ氏が望んでいるのは、そうした米企業に対し優位に立つことで、外国の競争相手がそれらに取って代わることではない。同氏は自らがバッシングしていた企業について、「非常に尊重している。猛然と追及すれば、損なわれるかもしれない。破壊は望んでいない」と述べた。
米テック企業に害を与えたくない、外国企業よりも国内企業を優遇したいというトランプ氏の主張の唯一の例外が、中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」だ。トランプ氏は最近、このプラットフォームで投稿デビューし、既にかなりの人気を得ている。米国でこれを禁止することは、自身が報いたいと考えていない企業と経営トップを利することになると同氏は指摘した。
トランプ氏は「今の考えでは、TikTokを支持している。われわれには競争が必要だからだ。TikTokがなければ、フェイスブックとインスタグラムが使われることになる」と説明。それは同氏にとって受け入れがたい事態だ。同氏は、21年1月6日の連邦議事堂襲撃事件を受けてフェイスブックが同氏のアカウントを凍結する決定を下したことになおも根に持っている。
仮想通貨
トランプ氏は、暗号資産(仮想通貨)に対しても同様のダイナミクスで態度を一変させている。つい最近まで「詐欺」や「大惨事が待ち受けている」として、ビットコインを批判していたが、今やすべての仮想通貨は「MADE IN THE USA!!!(米国産)」にすべきだと主張。自身の方針転換を政策的な必須事項だと位置付け、「われわれがやらなければ、中国がその方法を見つけ出すだろう。中国が握るか、それ以外の国かだ」との見解を示した。
仮想通貨業界は、潤沢な資金流入に恵まれながらも、民主党からは毛嫌いされる傾向にあり、必然的にワシントンとのつながりを求めてトランプ氏に歩み寄る道を見いだしている。
仮想通貨投資会社パラダイムのポリシーディレクター、ジャスティン・スローター氏は、「米証券取引委員会(SEC)による規制措置が大きく影響し、バイデン政権はアンチ仮想通貨色が前面に出てしまっている」と指摘。「調査によれば、仮想通貨を保有する民主党員は約20%で、比較的若年層と非白人による保有が高いことを考慮すると、これは政治的に賢明なことではない」と分析する。
トランプ氏は、政権と仮想通貨業界との溝を埋めるために動き出しており、5月に行ったスピーチでは、「仮想通貨の破滅を招くジョー・バイデンの改革を阻止する」と宣言。その翌月にはマールアラーゴで開いたビットコインのマイニング(採掘)企業数社との資金集めイベントで成果を挙げている。トランプ陣営は現在、仮想通貨での政治献金を受け付けている。
不確実な未来
米企業とその経営陣に対するトランプ氏の考え方が、突如これまでになく重要になってきた。FRB、経済、その他世界中の重要な問題についてもそうだ。
6月27日に行われた米大統領選に向けたテレビ討論会でのバイデン氏の失態は、現大統領の認知能力に対する疑念を一気に高め、民主党を危機に陥れた。その上、多くの世論調査でトランプ氏に明確なリードをもたらした。暗殺未遂事件を乗り越えたこともあり、すでに強固だったトランプ氏の政治的不可侵性をさらに強めた可能性がある。
「討論会は確かに大きな影響を与えた」とトランプ氏は9日、電話取材で述べた。銃撃事件の4日前のことだ。「多くの州が今まさに結果を発表し始めているが、非常に大きな波が起きている」。
バイデン氏が選挙戦から撤退すべきかどうか尋ねられると、トランプ氏は「それは彼が決めるべきことだ。ただ、彼が選挙戦に残るか撤退するかにかかわらず、わが国は大きな危機に瀕していると思う」と答えた。民主党の候補者リストのトップに立つ可能性があるとされているカマラ・ハリス副大統領についても、「あまり違いはないだろう。彼女についても、私はバイデン氏と同じように形容するだろう」と述べた。選挙日まではまだ数カ月あり、選挙戦の流れが変わる可能性は大いにある。
とはいえ、バイデン氏の討論会での失態の数日前、マールアラーゴに戻ったトランプ氏は、高まってきた幸運の予感に乗りつつあるように見えた。インタビュー中、同リゾートで長く働く常務取締役が立ち寄ると、トランプ氏は10月に入会金を70万ドルから100万ドルに引き上げ、新たな会員枠を4つ設けると話した。おそらく、次期大統領に近づくことによる価値の高まりを示唆していたのではないか。
インタビューの最後、トランプ氏は自慢げに「トランプはすべてにおいて正しかった」と書かれた帽子をブルームバーグ・ビジネスウィークに贈呈しようとした。トランプ氏のスローガン「MAGA(Make America Great Again=米国を再び偉大に)」のロゴ入り帽子の新バージョンだ。われわれは丁重にお断りした。最終的に判断するのは有権者だ。
ヘイリー・デサンティス両氏、トランプ氏支持 党大会で結束演出 | ロイター
アングル:トランプ氏、銃の権利擁護崩さず 暗殺未遂でも | ロイター
●その他先進国政治動向
自民・石破茂氏「苦労共にした」 菅前首相との信頼関係 - 日本経済新聞
●先進国中銀、金融当局
ウォラーFRB理事、利下げが可能になる地点に「近づきつつある」 - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は、経済は利下げが可能になる地点に近づきつつあるとの認識を示した。ただインフレが持続的な低下軌道にあることを示す「証左をもう少し」確認したいと示唆した。
「現在のデータはソフトランディング(軟着陸)達成と整合的であり、向こう2カ月ほどはこの見方を補強するデータを探していきたい」とウォラー氏は17日、カンザスシティー連銀で講演。「最終地点に到達したとは考えていないが、政策金利の引き下げが正当化される時期に近づいていると思う」と述べた。発言内容は準備原稿に基づく。
NY連銀総裁、インフレ低下をさらに多くのデータで確認したい - Bloomberg
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、過去数カ月のインフレデータは心強い内容だが、利下げ決定に必要な確信を得るために向こう数カ月でより多くの証拠を確認したいとの認識を示した。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が17日公表したインタビューで、7月から9月の間に米金融当局には「多くの」ことが分かるだろうとウィリアムズ氏は語った。9月は米国で利下げが行われると広く見込まれている。
この発言は、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長や他の当局者がここ数日に表明した見解と合わせ、利下げに近づいてはいるが、まだその用意はあまりないことを示唆する。
直近3カ月のデータは「われわれが求めているディスインフレトレンドに近づいている」ことを示していると、ウィリアムズ氏は指摘。「これは前向きな兆しだ。インフレが目標の2%に持続的に向かっているとの確信を深めるため、さらに多くのデータを確認したい」と述べた。
米連邦準備制度当局者は利下げに近づいていることを示唆しつつ、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長を含む大半は利下げ時期について明言を避けている。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)は今月30-31日に開かれるが、利下げ開始は9月以降になると市場は見込む。
ウィリアムズ氏は「今の政策スタンスはうまくいっているという感触がある。このようなデータがもっと出てくれば、(インフレが持続的に2%へ向かっていると)私自身もっと確信が持てるようになると思う」と語った。
同氏は6月、インフレが持続的に2%の目標に向けて低下することに「より大きな確信」を得た後で、利下げを行うと述べていた。6月の消費者物価主要指標は伸びが2021年以降の最小にとどまり、物価上昇圧力の緩和が示された。
米物価、控えめな上昇 大統領選で先行き不透明感=地区連銀報告 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)は17日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、経済活動は大多数の地域で小幅から控えめなペースで拡大を維持したとの認識を示した。
今後6カ月の見通しについては、大統領選や地政学的要因、インフレを巡る不確実性により活動が鈍化すると予想した。
物価は全体的に「控えめなペースで上昇した」とした。一部の地域でわずかな上昇が見られるにとどまったという。
5月下旬から7月8日までに調査した12の地区連銀の管轄地区のうち7つの地区が活動の増加を報告した一方、5地区が横ばいまたは減少を報告した。前回の報告から横ばいまたは減少を報告した連銀が3つ増えた。企業は雇用市場が引き続き軟化しているいくらかの兆候を報告した。
中でも、11月に迫った大統領選への関心がますます高まっていることが示された。アトランタ地区連銀は、選挙結果を巡る不確実性が再生可能エネルギー分野の投資活動の重しになっていると報告。ダラス連銀は、製造業や建設業、不動産業の見通しの不透明感につながっていると指摘した。
FRBのパウエル議長や当局者は、インフレによるリスクと雇用のリスクが均衡しているとの見解を示している。ただFRB当局者2人が17日、利下げが「近づいている」と発言。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始決定に向けた布石とみられる。
今年の第1・四半期はインフレ率が予想を上回ったものの、第2・四半期はFRBにとって好ましい数字を示している。FRBが重視する5月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.6%上昇だった。
インフレが鈍化し始める中、FRB当局者は労働市場の需給に緩みが見られること強調するようになった。FRBは、インフレが目標である2%に戻ったとしても失業率が低いままで推移する「ソフトランディング」を実現させようとしている。
いくつかの地区では労働市場の需給の緩みが指摘された。ウィスコンシン州ではミネアポリス地区連銀に対し「求人はまだたくさんある」と話す関係者もいた一方、複数の雇用主が採用基準を引き上げ、一部の採用を停止していると報告した。フィラデルフィア地区連銀からは、電気工事の仕事に過去20年間で最多となる20件の応募があったとの声が聴かれた。
当局者は最近、特に外国人労働者の流入により労働市場のバランスが改善されたと述べており、今回のベージュブックでもその点に言及がなされている。ボストン地区連銀は、短期ビザプログラムを通じた外国人労働力の供給が地域の季節労働需要を支えていると述べた。
ECB、政策金利を据え置きへ 市場は9月利下げに照準 - 日本経済新聞
●先進国、グローバル、金融市場
円が1%余り上昇、河野大臣の利上げ要求で全面高-156円台前半 - Bloomberg
MUFGのシニア為替ストラテジスト、リー・ハードマン氏は、この日の円上昇は「円ショートの解消が主導している」と説明。バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアのG10為替戦略責任者、ロベルト・コボ・ガルシア氏は「日銀と米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策会合を前に、機関投資家が一定の利益を確定させていることを示唆する動きが見られる」と述べ、「円安に賭けるホットマネーの流入が数カ月にわたり続いていた。本日はショートスクイーズのような様相だ」との見方を示した
みずほ銀行金融市場部グローバル為替トレーディングチームの南英明ヴァイスプレジデントは、欧州時間に入ってから河野大臣のインタビューに海外投資家が反応していると指摘。米政権による対中半導体規制強化に関する報道もあり、「ゴルディロックス相場で形成された株高や円売りポジションの巻き戻しが進みやすい」と述べた。
米、対中半導体規制で最も厳格な措置検討と同盟国に警告-関係者 - Bloomberg
バイデン米政権は、半導体製造装置大手の東京エレクトロンやオランダのASMLホールディングなどの企業が先端半導体技術へのアクセスを中国に提供し続ける場合、利用可能な最も厳しい貿易制限措置の利用を検討していると同盟国に伝えた。
最近の議論に詳しい複数の関係者によれば、米国は外国直接産品ルール(FDPR)という措置の活用を検討している。このルールは、米国製技術を少しでも使用した外国製品に制限措置を導入することを可能にする。
これは同盟国から極めて厳しい措置と見られているが、実際に講じられれば、半導体産業に不可欠な製造装置を生産する東京エレクトロンやASMLの中国事業を締め付けることになる。非公開の協議だとして匿名を条件に話した関係者によると、米国は日本とオランダの当局者に対し、両国が中国に対する措置を強化しない場合に可能性が高まる結果として、この案を示している。
バイデン政権は微妙な立場にある。米企業は対中輸出規制で不当に苦しめられていると感じており、変更を求めている。一方、同盟国からすれば、米大統領選を数カ月後に控えるタイミングで政策を見直す理由は乏しい。
その目的は、すでに主要装置の一部出荷を制限している同盟国を説得し、中国にある対象装置の点検や修理を行う企業の能力を限定することだ。米国は特定の中国半導体企業に対する追加制裁も検討していると、ブルームバーグは先に報じていた。
ASMLの担当者は国家安全保障会議(NSC)と米商務省産業安全保障局が絡む協議についてコメントを控えた。東京エレクトロンの広報担当者は「地政学的問題」に関して同社はコメントする立場にないと述べた。
安全保障問題で米大統領に助言するNSCの報道官は一連の会合に関する描写について、「われわれがパートナーや同盟国と行っている協議を反映したものではない」と回答。商務省産業安全保障局の担当者はすぐにはコメントしなかった。
中国外務省の林剣報道官は北京で開いた17日の定例記者会見で、米国は「貿易と国家安全保障の概念を政治化した」と非難。「関連諸国はそれぞれの長期的な利益を保護するべく無理な要求に断固抵抗し、公正で開かれた国際貿易秩序を共同して守る」べきだと述べた。
貿易ルールが一段と厳しくなるとすれば、中国の半導体開発に対する統一戦線の試みが十分ではないことを示唆している。米国は2022年10月、中国の軍事力強化につながり得る最先端技術の獲得を阻止する取り組みの一環として、中国への先端半導体と製造装置の販売に広範な制限を課し、その1年後には措置を強化した。
この規制は広範囲に影響を及ぼしている。華為技術(ファーウェイ)や中芯国際集成電路製造(SMIC)など中国企業にとっては、重要な供給品や装置の入手が難しくなった。
だが、こうした政策で米企業も多額の売り上げを失っている。米半導体業界は不当に大きな負担がかかっており、中国が既存の規制を回避する方法を見つけるのを防ぐには、同盟国の協力強化が必要だと主張している。
事情に詳しい複数の関係者によると、アプライド・マテリアルズとラムリサーチ、KLAの米半導体製造装置大手3社は、米当局者との一連の会合で、こうした主張を展開。現在の貿易政策は裏目に出ており、米半導体企業に損害を与える一方、米政府が期待したほど中国の進展を食い止められていないと訴えている。
しかし、こうした企業はバイデン政権がFDPRを活用することを望んでいない。日本やオランダから反発を招き、協力しなくなることを恐れている。また、世界中の企業が新たな制限措置を避けるために、サプライチェーンから米製品を排除するインセンティブも働きかねない。
関係者の一部によれば、日本の政府当局者はすでにそのような取り組みを強行する考えはないと話している。経済産業省の担当者はコメントを控えた。アプライド・マテリアルズとラム、KLAの担当者もコメントしなかった。
米住宅着工件数は増加-集合住宅回復、一戸建て8カ月ぶり低水準 - Bloomberg
米住宅着工件数は6月、集合住宅が堅調だったのを受けて増加した。ただ、一戸建ては8カ月ぶりの低水準に落ち込み、不動産市場が引き続き高金利の逆風にさらされているのを浮き彫りにした。
住宅着工件数は前月比3%増の年率135万3000戸
市場予想の中央値は130万戸
前月は131万4000戸(速報値127万7000戸)に上方修正
住宅建設許可件数は3.4%増の年率144万6000戸
市場予想は140万戸
前月は139万9000戸(速報値138万6000戸)に上方修正
着工件数は集合住宅が19.6%増加。一方で一戸建ては4カ月連続の減少となった。 
建設許可件数も集合住宅の回復が寄与して全体として増加したが、一戸建ては2.3%減少し過去1年余りで最低水準となった。
昨年末には堅調なペースだった一戸建て建設は失速。同統計発表前に公表されたアトランタ連銀の国内総生産(GDP)予測モデル「GDPナウ」では、住宅投資は4-6月(第2四半期)に年率換算で2.8%減少したことが示唆された。  
住宅建設業者のセンチメントも低下基調にあり、全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した7月の住宅市場指数は今年最低の水準に落ち込んだ。
先週発表された6月消費者物価指数(CPI)でインフレが広範囲に鈍化したことが示されたのを受け、住宅業界は早期の利下げ開始を期待している。住宅ローン金利は過去数カ月にわたって7%付近に張り付いている。
住宅建設業者は値下げなどで需要を喚起しようとしており、NAHBによれば、7月に値下げした建設業者は全体の31%。6月の29%から増えた。
欧州高級品メーカー株が下落、中国の需要減退で | ロイター
欧州の高級品メーカー株が中国からの需要減退を受けて下落している。中国は高級品業界の成長をけん引してきたが、景気先行き不透明感から中間層が消費に慎重になる中、こうした状況は変化しているとアナリストは指摘する。
英高級ファッションブランド、バーバリーは15日、最高経営責任者(CEO)を解任し、営業赤字見通しを示すとともに配当を廃止。株価は約10年ぶりの安値を付けた。
16日も5%超安と下げ幅を拡大した。年初来では約50%下落している。
ドイツのファッションブランド、ヒューゴ・ボスは16日、主に中国や英国などの市場での消費者需要減退を受けて、今年の売上高と利益の見通しを引き下げた。
株価は7%超下落し、STOXX欧州600種の下げを主導した。
「カルティエ」などを展開するスイスの高級ブランド大手リシュモンが16日発表した4─6月期決算は、売上高が前年同期比でほぼ横ばいとなり、市場予想を下回った。中国での需要低迷が業績全体の重荷になった。
中華圏の売上高は27%減少した。同社株は0.95%高で引けた。
独高級スポーツカーメーカーのポルシェは最重要市場の中国での業績低迷などを背景に過去3カ月間で株価が20%超下落している。
スイス高級時計業界が深刻な落ち込み、中国などの需要低迷が直撃 - Bloomberg
スイス製高級時計の売り上げが急減している。高価な時計の購入に消費者が慎重になっている上、主要市場の一つで需要が冷え込んだ。
上場企業としてスイスの2大時計コングロマリット、リシュモンとスウォッチ・グループが今週発表した決算は、中国を中心に残酷なまでの買い控えがあることを裏付けた。英バーバリー・グループやドイツのヒューゴ・ボス、仏ケリング傘下の「グッチ」など欧州他国の高級ファッションブランドも中国での不振が響いている。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期間中は空前の好況に沸いた欧州高級ファッション業界だが、直近の決算は驚くほどに暗転。売り上げは2桁台の落ち込みを示した。
パンデミック当時は旅行や外食に行けず資金に余裕ができた消費者が、ソーシャルメディアの華やかな投稿に触発されて高級時計を買い入れた。
需要急増に大半の有名時計ブランドは価格を引き上げ、2桁台の値上げを行ったところもあった。それが今や、時計購入に消費者が二の足を踏む原因にもなっている。
リシュモンが16日発表したところによると、ヴァシュロン・コンスタンタンやジャガー・ルクルト、ピアジェなど時計ブランドの4-6月売上高は13%減。大中華圏では27%の減収だった。
オメガやブランパン、ブレゲを擁するスウォッチは1-6月の中国売上高が30%減。全体の売上高は14%減、営業利益は70%も減少した。
売り上げの落ち込みと生産抑制はスイスの時計業界全体に波紋を広げている。好況期に人員採用と設備投資を慌てて進めた時計部品サプライヤーは、いまや大手時計ブランドからの注文が先送りされる事態に陥っている。一部の部品メーカーは既に、社員に労働時間の短縮や夏季休暇の延長を要請した。
スイスのような小国にとって、合計で6万5000人余りの従業員を抱え国内で3番目に大きい輸出セクターである時計業界は極めて重要だ。
スウォッチ・グループのニック・ハイエック最高経営責任者(CEO)は今週のインタビューで、生産を20-30%抑制する中で、傘下時計ブランドの一部はサプライヤーへの発注を遅らせたと語った。
ハイエック氏は従業員の雇用を維持しているとしつつ、「外部サプライヤーを使っている一部のブランドは注文を遅らせた。われわれだけではない。これは全般的な減少だと言える」と述べた。
2021年に中国に代わりスイス高級時計業界にとって最大の輸出先となった米国は底堅く、日本も円安を利用する観光客のおかげで好調だ。それでも、2番目に大きな市場である中国の落ち込みを埋めるには至っていない。
バーンスタインのアナリスト、ルカ・ソルカ氏はスウォッチ・グループの決算発表後のリポートで、「中国の需要低迷が近く終わる兆しは見えない」と指摘した。
世界のクルーズ旅客、5年後に23年比10%増を予想=業界団体 | ロイター
業界団体のクルーズライン国際協会(CLIA)は、2028年までに世界のクルーズ旅客が、新型コロナウイルスのパンデミック前の水準を超えた23年の3170万人を10%上回るとの見通しを示した。
CLIAのローレン欧州事務局長は、予測される需要に対応するため、業界全体で新たに57隻のクルーズ船を発注したと明らかにした。現在は業界全体で約300隻を運航している。
同時にクルーズ運営会社は、港湾に停泊中には動力源を海水を汚染する船舶燃料から電気に切り替えられるようにするとともに、30年までに欧州連合(EU)海洋環境規制を順守するため、船舶の適合化に取り組んでいる。
ただ、旅行者の増加に伴い、混雑した欧州の港湾都市ではオーバーツーリズムに関する議論が高まっている。スペインのバルセロナでは今月、住民が旅行客に水鉄砲で水を浴びせて抗議する事態が起きた。
CLIAによると、バルセロナを訪れる観光客に占めるクルーズ旅客の割合は4%に過ぎないという。
欧州最大のクルーズ船寄港地であるバルセロナのコルボニ市長はロイターに対し、クルーズ船のバルセロナ港への終日停泊の回数を減らすために同港との新たな取り決めを模索すると述べた。
CLIAのローレン氏は、暴力的な抗議活動が今後のクルーズ旅程に影響する可能性があると指摘。何らかの理由で旅客が適切なサービスを受けられないと考えられる場合には、旅程の調整も検討すると述べ、寄港地をバルセロナに代わる地中海のほかの港や、アジア、北欧、カリブ海に変更する可能性を示唆した。
スペイン成長率、27年まで年平均2%超へ 経済相「EUの原動力に」 | ロイター
スペインのクエルポ経済相は16日、2027年までの経済成長率が年平均2%超と安定的で力強い水準になり、他の欧州諸国を上回る公算が大きいとの見通しを示した。
「スペインは短期にとどまらず将来的にも欧州連合(EU)の成長の原動力となるだろう」と記者団に述べた。
クエルポ氏は先に、上半期の統計が好調だったことから今年の国内経済が2.4%、25年は2.2%成長し、当初の予想を上回る見込みだと述べていた。
さらに、観光部門が好調なだけでなく、他部門の輸出も増加しており、経済の近代化が進み始めていると指摘。「スペイン経済は引き続き速いペースで成長するだろう」と述べた。
米FRB、インフレ考慮し慎重な行動を=JPモルガンCEO | ロイター
米大手銀行JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は17日、インフレが再び上昇する可能性を考慮して米連邦準備理事会(FRB)は金利に関する次の動きには忍耐強くあるべきとの考えを示した。
「インフレは正しい方向に向かっている。しかし現時点でFRBが待つのは良いことだ」とスイス紙NZZに語った。
「インフレ率が将来再び上昇し得る要因は数多くある」とし、「政府支出の増加、世界の再軍備化、グリーン経済への大規模な投資、貿易の再編成」を挙げた。
自身の後継者については、取締役会で決定されるが計画はあると語った。
「取締役会は候補者をよく知っており、全員非常に有能だ。外部の人材も検討しているが、内部から選ばれる可能性が高い」との見方を示した。
英CPI、6月は前年比+2.0%で横ばい 利下げ観測後退 | ロイター
英国立統計局(ONS)が17日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.0%上昇し、伸び率は5月から横ばいとなった。ロイターの調査では1.9%へと小幅に鈍化すると予想されていた。基調的な物価上昇圧力は依然として強く、イングランド銀行(英中央銀行)が来月、2020年以来の利下げに踏み切るとの観測が後退した。
インフレ率が予想を上回った一因はホテル価格の大幅上昇で、サービス部門の価格圧力に対するイングランド銀行の懸念が裏付けられた。6月は米人気歌手テイラー・スウィフトさんを始めとする複数の有名なパフォーマーが英国ツアーを行った。
ONSによるとホテル価格のほか、中古車価格の下落幅縮小も上振れ要因だった。一部のアナリストは、ホテルのような変動しやすい項目を除けば、サービスインフレは下落したとの見方を示した。
デロイトのチーフエコノミスト、イアン・スチュワート氏は、食品やエネルギー価格の高騰が一服する中、英インフレ率は今や米国やユーロ圏よりも低くなっているが、これは一時的なものに過ぎないと解説。「今年に入ってからの英経済の回復は、サービス業がかなり高い水準のインフレを生み出していることを意味しており、英中銀が今年利下げに踏み切る余地が限られていることを示唆している」と述べた。
会計士団体ICAEWの経済ディレクター、スレン・ティル氏は「インフレ危機を脱したことを改めて示すものだが、高水準のサービスインフレは、その後遺症が続いていることを示唆している」と語った。
統計局によると、サービス部門のインフレ率は5.7%で、5月から横ばいだった。ロイターが集計したエコノミスト予想は5.6%。
金利先物によると、投資家は英中銀が次回会合の8月1日に利下げを実施する可能性は3分の1程度とみている。インフレ統計の発表前には、利下げの確率はほぼ半々とされていた。
<スウィフト効果?>
ドイツ銀行のチーフエコノミスト、サンジェイ・ラジャ氏は、ホテル価格の上昇はスウィフトさんのツアーが影響しているかもしれないと指摘。こうした上昇は7月のデータで反転する可能性はあるが、全体として6月のインフレ統計は英中銀にとって心強いものではないだろう。
ラジャ氏は「8月利下げの有無は微妙だと考えている。5月の賃金と失業率のデータ次第だ」と述べた。
<コアインフレ>
変動の激しい食品とエネルギー価格を除くコアインフレは前年比3.5%上昇し、ロイター調査による予想と一致した。中銀は今回の数字から大きな安心感を得ることはないとみられている。RBCキャピタル・マーケッツのエコノミストは、8月の利下げはますます予断を許さないものになったとの見方を示した。
ドナルド・トランプ前大統領、ドル高是正を宣言 製造業大国復活に軸足 - 日本経済新聞
米オンライン小売売上高、約72億ドル 「プライムデー」初日=アドビ | ロイター
米鉱工業生産、6月製造業は0.4%上昇 予想上回る | ロイター
●中東情勢
サウジ成長率見通し、24年・25年下方修正、原油減産で=IMF | ロイター
国際通貨基金(IMF)は16日発表した最新の世界経済見通し(WEO)で、サウジアラビアの2024年の経済成長率を前回の4月見通しよりも0.9%ポイント低い1.7%に下方修正した。また、25年も1.3%ポイント下げて4.7%成長に修正した。いずれも原油減産が主要因。
サウジの成長率見通しの下方修正に伴い、IMFは中東・北アフリカの24年の見通しも0.5%ポイント引き下げ、2.2%と見込んでいることを明らかにした。
石油輸出国機構(OPEC)の盟主であるサウジは原油価格を下支えするため、非加盟国ロシアなどと「OPECプラス」を構成。サウジは協調減産と自主減産の双方を実施している。
「OPECプラス」加盟国全体の減産規模は現在、世界需要の約5.7%に相当する日量計586万バレル。このうち、自主減産はサウジなど有志国が220万バレル規模で実施しているが、6月の協議で10月から1年間かけて段階的に縮小することで合意している。
紅海経由のコンテナ輸送巡る混乱、他航路にも影響拡大=マースク | ロイター
デンマークの海運大手マースクは17日、紅海経由のコンテナ輸送を巡る混乱について、その影響は同社の海洋ネットワーク全体に及んでいるとの見方を示した。
「こうした混乱が及ぼす影響は、主に影響を受けている航路以外にも連鎖的に広がり、極東アジアや西・中央アジア、欧州との通商に不可欠な代替航路や積み替えハブに混雑を引き起こしている」という。
マースクなどの海運会社はイエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶への攻撃を回避するため、昨年12月以降、アフリカの喜望峰を回る迂回ルートを取っており、長距離航行により運賃が押し上げられている。
マースクは、アジア諸国は世界的に主要な輸出国であることから、アジアの輸出は輸入よりも大きな影響を受けていると指摘した。
海上貨物の需要は引き続き世界的に堅調ともした。
イラン新政権、米欧と対話に布石 外相に元核協議担当か - 日本経済新聞
月末に発足するイランのペゼシュキアン政権が米欧との対話に向けた準備を進めている。外相には核協議を担当した元外務次官を起用する方針だ。米国側でイランによるトランプ前大統領の暗殺計画疑惑が持ち上がるなど、早期の緊張緩和は見通しにくい。
●エマージング
1─6月のロシア産ガス輸出、EU向けは24%増 パイプライン経由で | ロイター
インドネシア中銀、政策金利据え置き 第4四半期の利下げに含み | ロイター
ブラジル、財政目標目指さない可能性 大統領が支出削減に疑問 | ロイター
ブラジルのルラ大統領は、政府支出削減には必要性を示す説得が要ると述べ、財政目標達成を目指さない可能性に含みを残した。
ルラ氏はレコードTVとのインタビューで、財政目標について「これはビジョンの問題。より重要な事案がある場合、目標を設定・達成する義務はない」と述べた。
インタビューの一部は16日午後に公開され、同日中に全体が放送される。
財政目標は、国内総生産(GDP)の0.25%ポイントの許容範囲で、基礎的財政赤字をなくすことを目指している。
ルラ氏は、ブラジルは財政目標達成に「必要なことは全て行う」と述べる一方、GDPの0.1%か0.2%の基礎的財政赤字を計上しても「問題ない」と述べた。
経済当局は来週、隔月の財政報告を発表する。財政枠組み順守のために一段の支出削減や停止が必要になる可能性があるため、投資家は注視している。
アジア途上国、24年成長率は5.0%に ADBが予想上方修正 | ロイター
アジア開発銀行(ADB)は17日、今年のアジア開発途上国の成長率見通しを5.0%とし、4月時点の予想(4.9%)から小幅上方修正した。内需と輸出の拡大が成長を後押しするとした。一方、各国の選挙と地政学的緊張による下振れリスクが残ると指摘した。
25年の成長率予想は従来の4.9%に据え置いた。ADBは「主要経済国(特に米国)の選挙に関連する政策の不確実性が見通しを曇らせている」とし、中東とウクライナの紛争が激化する可能性も課題だとした。
中国の24年と25年の成長率予測はそれぞれ4.8%と4.5%に据え置いたが、不動産不況が深刻化し、成長見通しが弱まるリスクがあると指摘した。
アジア地域のインフレ率は昨年の3.3%から24年には2.9%に鈍化すると予想。25年には3.0%に加速するとの見通しを示した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
銀座おのでら、赤坂に国産うなぎ店 980円「うな玉丼」 - 日本経済新聞
高級すし店「銀座おのでら」を展開するONODERAフードサービス(東京・千代田)は19日、ウナギ専門店を東京・赤坂に開業する。ミシュランガイドの星付き店の料理人が監修し、そろえるメニューは980円からと手ごろな価格で国産ウナギを提供するのが特徴だ。赤坂に1号店を出した後、都内の主要地域への拡大や海外展開も視野に入れる。
東京都中央区、1100万円のスーツ仕立券 ふるさと返礼品 - 日本経済新聞
働く高齢者の年金減らす在職老齢年金制度「見直し必要」 政府検討会 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(17日)円急伸、S&P・ナスダック大幅安 | ロイター
<為替> 円が対ドルで急伸し、日本当局が新たな介入に踏み切ったとの観測が広がった。
終盤の取引で、ドルは対円で156.25円。一時、6月12日以来の安値となる156.09円に沈んだ。
<債券> 国債利回りが4カ月ぶりの水準に低下した。米連邦準備理事会(FRB)当局者の発言を受け、9月利下げ観測が高まったことが背景。
この日はウォラーFRB理事やリッチモンド地区連銀のバーキン総裁らが、インフレ軌道の改善と労働市場のバランス改善を踏まえ、利下げが「近づいている」と強調。9月連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始に向けた布石とみられる
10年債利回りは2ベーシスポイント(bp)低下の4.146%と、3月13日以来の低水準。
2年債利回りは1.6bp低下の4.43%。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が大幅安となった。米中貿易摩擦の激化懸念を背景に半導体株が急落した。
一方、ダウ工業株30種は上昇し、3日連続で終値ベースの最高値を更新した。
<金先物> 利益確定の売りが先行し、反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比7.90ドル(0.32%)安の1オンス=2459.90ドル。
<米原油先物> 対主要通貨でのドル下落や米原油在庫の大幅減少が買いを呼び込み、4営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前日比2.09ドル(2.59%)高の1バレル=82.85ドル。9月物は1.73ドル高の81.44ドルだった。
欧州マーケット | 最新欧州マーケットニュース | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。FTSE100種指数は反発。ヘルスケアや日用品関連などディフェンシブ銘柄が相場をけん引した。
個別銘柄では、チリ産銅大手アントファガスタは6.1%下げた。通年の銅生産が予想範囲の下限にとどまるとの見通しが嫌気された。
<欧州株式市場> 3日続落して取引を終えた。米中貿易の緊張への警戒感から半導体関連銘柄の売りが優勢となり、相場を押し下げた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。週間ではここ1カ月で最大の低下幅を記録する見通し。市場では、18日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会で示される年内の政策金利に関するシグナルに注目が集まる。
市場関係者の間では、ECBの金融政策に変更はなく、政策金利は3.75%に据え置かれるとの見方が大勢で、9月理事会での金利見通しが今後の焦点となると見込まれる。
ドイツ10年債利回りは2.425%で横ばい。取引序盤には3週間ぶりの低水準を付けた。週間では6月中旬以来最大となる7bpの低下が見込まれる。
取引終盤、ドイツ2年債利回りは1bp上昇の2.779%。10年債利回りをわずか36bp上回る水準となった。

備忘録(2024/7/16
●雑感
●決算
モルガンS、第2四半期利益は予想上回る 富裕層向け事業は伸び鈍化 | ロイター
第2・四半期決算(4─6月期)は利益が市場予想を上回った。投資銀行業務の収益が急増する一方、主力である富裕層向けウェルスマネジメント事業 は成長が鈍化した。
ウェルスマネジメント事業の収入の伸びは2%に鈍化した。前年同期は16%増だった。新規純資産は360億ドルで、前年同期の895億ドルを下回った。同部門の収入は67億9000万ドルで、LSEGがまとめた市場予想をわずかに下回った。
投資銀行業務や株式・債券関連業務を担う機関投資家向け証券部門の総収入は23%増の70億ドルとなった。投資銀行業務の収益が51%増の16億2000万ドルとなったことが寄与した。
純利益は31億ドル(1株当たり1.82ドル)で、前年同期の22億ドル(1株当たり1.24ドル)から増加した。LSEGがまとめたアナリストの1株当たり利益予想は平均で1.65ドルだった。
総収入は150億2000万ドルとなり、市場予想の143億ドルを大きく上回った。
テッド・ピック最高経営責任者(CEO)は声明で「資本市場環境が改善する中、4─6月期も好調だった」と述べた。
シャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)は、投資銀行業務は「回復の初期段階」にあり、幅広い分野や地域で成長が見られると語った。
新規株式公開(IPO)などの回復により、株式引き受け収入が56%増の3億5200万ドルとなった。債券の引き受け収入は71%増の6億7500万ドルだった。
株式および債券トレーディング部門の収入も予想を上回った。株式の純収入は前年同期比18%増、債券の純収入は同16%増となった。
米BofA、第2四半期は減益も予想上回る NIIの年内回復想定 | ロイター
第2・四半期(6月30日まで)決算は減益となったが、アナリスト予想を上回った。金利収入が減少したものの、投資銀行業務とトレーディング業務が好調だった。
一方、貸し出しの利息収入と預金者に支払う利息の差である純金利収入(NII)の第4・四半期見通しが市場予想を上回ったことから、株価は午前の取引で4%超上昇した。
ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は声明で「当行の主力であるコンシューマーバンキング事業の強さと収益力はグローバルマーケッツ、グローバルバンキング、ウェルスマネジメント事業の成長と収益性によって補完されている」と述べた。
投資銀行部門の手数料収入は29%増の16億ドル。
セールスおよびトレーディング収入は7%増の47億ドル。前年同期比での増加は9四半期連続となった。
第2・四半期の利益は7%減の69億ドル(1株当たり0.83ドル)。市場予想は1株当たり0.80ドルだった。
ウェルス・インベストメントマネジメント部門の収入は6%増。顧客の資産残高は10%増の4兆ドル超と過去最高を更新した。
第2・四半期のNIIは3%減の137億ドル。ただ、BofAは年後半のNIIの回復を予想しており、第4・四半期のNII予想は145億ドルと市場予想の144億ドルを上回った。
高級ブランドのリシュモン、4─6月売上高が予想下回る 中国低迷 | ロイター
4─6月期決算は、売上高が前年同期比でほぼ横ばいとなり、市場予想を下回った。中国での需要低迷が業績全体の重荷になった。
為替変動の影響を差し引いた売上高は1%増の53億ユーロ(57億7000万ドル)。前年の19%から伸びが鈍化したが、「引き続き不透明なマクロ経済・地政学的環境」下で底堅い結果だったとした。
ビジブルアルファのコンセンサス予想(2%増)も下回った。
足元の為替レートに基づくと、売上高は1%減少した。
地域別では欧州が為替変動の影響を除くベースで5%増、南北米大陸が10%増となり、日本は59%増と最も大きく伸びた。一方、中華圏の27%減が響き、アジア太平洋は18%減と、唯一マイナスだった。
[SCHW] チャールズシュワブ 2Q増収最終増益 売上高1%増46.9億ドル、純利益3%増12.1億ドル、EPS0.66ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[OMC] オムニコム 2Q増収減益 売上高7%増38.5億ドル、営業益7%減5.10億ドル、EPS1.65ドル - 株探(かぶたん)|米国株
ユナイテッドヘルスが決算受け上昇 支払い医療費が予想以上も販管費の減少で相殺=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
医療保険最大手のユナイテッドヘルス<UNH>が上昇。取引開始前に4-6月期決算(第2四半期)を発表し、1株利益、経常収益とも予想を上回った。通期1株利益のガイダンスも予想以上の見通しを維持した。
支払い医療費の水準であるメディカルケア・レシオが85.1%と予想以上だったことで、発表直後は時間外で株価は下落していたが、買い戻されている。販管費の減少で相殺した。
支払い医療費については、年初のサイバー攻撃でシステムがダウンしている間、事前承認のルールを一部停止したことが医療費の増加に繋がった。南米での活動やメディケア資金の減少の影響も含まれているという。同社はそれに伴う一時的なコストがメディカルケア・レシオを0.65%ポイント押し上げたと説明。
同社は5月に米国でのメディケイドの支払い率が患者の医療費に追いつかない危険性があり、波乱が起きそうだと警告していた。このセーフティネット・プログラムの受給資格要件は、パンデミックの終息以降厳しくなり、各州は数百万人の加入者を削減できるようになった。同社はまた、何百万人もの高齢者を対象とするメディケア計画の管理に対する報酬の制限にも直面している。
アナリストは「投資家は医療費高騰を覚悟していたかもしれないが、販管費の減少によって相殺された。一方、オプタムヘルスサービス部門は、処方箋管理サービスオプタムRxが特筆すべき注目点であり、業績を伸ばした」と述べた。
[PNC] PNCファイナンシャルサービシズグループ 2Q増収最終増益 売上高2%増54.1億ドル、純利益1%増13.6億ドル、EPS3.39ドル - 株探(かぶたん)|米国株
[STT] ステートストリート 2Q増収最終減益 売上高3%増31.9億ドル、純利益10%減6.55億ドル、EPS2.15ドル - 株探(かぶたん)|米国株
米大手行の株式トレーディング収入、軒並み予想超え-「復活」主張も - Bloomberg
米大手金融機関の株式トレーディング収入は四半期ベースで軒並み予想を上回った。しかも驚くほど大きな差でだ。
大手銀行全体の株式トレーディング収入は18%増と、アナリスト予想の3倍強の伸びを示した。電話会見で業界リーダーらは、残高拡大とデリバティブ(金融派生商品)などの取引増加に言及した。大口顧客にけん引される形となった。
モルガン・スタンレーのテッド・ピック最高経営責任者(CEO)は16日の電話会見で、「機関投資家向け株式分野でわれわれは復活した」と述べ、30億2000万ドル(約4800億円)を確保したことを誇示した。
ピック氏は、ウォール街で最大の株式トレーディング事業とモルガン・スタンレーがかつて主張していた株式部門で昇進を重ねてきた。ここ数年、ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースがトップ級に躍り出た。ゴールドマンは4-6月(第2四半期)の株式トレーディング収入が31億7000万ドルと首位に立ち、モルガン・スタンレーは2位だった。S&P500種株価指数は上期(1-6月)に14%強、上昇した。
デービッド・ソロモンCEOは15日、「活動や残高などは、今年の株式相場上昇から明らかに恩恵を受けている」と語った。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)は市場関連事業の向上を目指す中、株式トレーディング収入が同行の4-6月(第2四半期)として過去最高を記録した。アラステア・ボースウィック最高財務責任者(CFO)は16日、記者団との会見で、より幅広い部門の見通しが「建設的」だと述べた。
●海外企業
●日本企業
東海カーボン、日欧で黒鉛電極生産能力を削減 国内は半減へ | ロイター
世界的な鉄鋼生産低迷で電極需要が減少、欧州・アジア市場では安価な中国・インド製品の流入で市況が悪化している。
●米大統領選挙
アングル:反トランプから一変、バンス副大統領候補の政治信条とは | ロイター
民主党員や一部の共和党員はバンス氏の転身について、政治思想ではなく日和見主義に基づいている可能性を指摘する。
一方、トランプ氏や同氏の助言役の多くはバンス氏の転身が「本物」だと感じている。一国主義と経済ポピュリズムをミックスさせたバンス氏の政治信条がトランプ氏と一致し、両氏ともに外交タカ派や自由市場の伝道師が影響力を持つ党の旧勢力と意見が対立していると指摘する。
バンス氏が師と仰ぐワイオミング州選出のジョン・バラッソ共和上院議員はロイターに対し、バンス氏がトランプ氏に対する見方を変えたのは「大統領として国にもたらした成果を見たからだ」と説明。
ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援に反対するバンス氏の姿勢は、トランプ氏の最も保守的な盟友を喜ばせた。
保守派コメンテーターのタッカー・カールソン氏は、バンス氏が「トランプ氏の主張を理解し、同意している」とロイターに語った。
<異例の経歴>
バンス氏はオハイオ州南部の貧しい家庭に生まれた。近郊のペンシルベニア州やミシガン州などを含む「ラストベルト(さびた工業地帯)」でトランプ氏の得票を押し上げるとの期待もあるが、バンス氏の保守的見解が穏健派を遠ざける可能性もある。
海兵隊に所属後、エール大ロースクールを経てサンフランシスコでベンチャーキャピタリストとして勤務。2016年に出した回想録「ヒルビリー・エレジー」がベストセラーとなり一躍有名になった。同著では故郷が直面している社会経済的問題を探求し、貧困にあえぐ白人の間でトランプ氏が人気を集める背景を説明しようと試みた。
16年大統領選やトランプ氏の1期目序盤において、バンス氏は同氏を強烈に批判。16年の同僚宛てのフェイスブック上のメッセージで「トランプ氏はニクソン(元大統領)のような単なる皮肉屋のろくでなしで、結果それほど悪くなくむしろ役に立つ可能性があるのか、それともアメリカのヒトラーと見なすべきかどうかで揺れている」と書いている。
ヒトラー発言が最初に報じられた22年、広報担当者は否定することなく、もはやバンス氏の見解ではないと述べた。
バンス氏は22年に上院議員選に出馬。その時は既にトランプ氏に忠誠心を示しており、トランプ氏の推薦を受けて予備選で勝利した。
バンス氏はメディアのインタビューで、トランプ氏に対する見方が変わった「決定的瞬間」はなかったと語っている。
6月にニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで「私はトランプ氏の発信スタイルに注目するあまり、外交政策や貿易、移民問題で違いを鮮明にしていたことに完全に気づいていなかった」と述べた。
例えば、自由貿易が国内製造業を壊滅させて中間層の空洞化を招いたという見解や、歴代大統領が拙速に外国の戦争に巻き込まれたという主張に同意しているとした。
バンス氏は今回、ロイターの取材に応じなかった。
同氏がトランプ氏と意見が一致しているとみられる政策の一つは人工中絶への対応だ。
バンス氏は21年のインタビューで、レイプや近親相姦の被害者でも出産するよう義務付けられるべきとの考えを示唆し、昨年11月にはオハイオ州憲法に人工妊娠中絶の権利を明記することになった住民投票の結果を「腹を殴られた」と表現した。
<トランプ氏との関係>
事情に詳しい複数の関係者によると、バンス氏はトランプ氏と関係を築く前に、同氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏と親密になった。
このうち1人によると、バンス氏が22年のオハイオ州上院選共和党予備選でウクライナ支援に反対し、他の候補と意見が対立したことがジュニア氏の目に留まったという。
バンス氏とトランプ前大統領の個人的な関係は、今年初めの大統領選予備選の間に進展。バンス氏は今回副大統領候補に名前が挙がった複数人の一部よりも早い23年1月にトランプ氏支持を決め、忠誠心を鮮明にしていた。
資金調達活動に詳しい関係者によると、バンス氏は舞台裏で富裕層の献金者にトランプ氏への寄付を働きかけてきた。
バンス氏の国内大企業への懐疑的姿勢、関税支持、外交関係への意欲の低さ、そしてその若さは、支持者の目に大企業よりも労働者階級を重視する新しい共和党の代表として映るだろう。
バラッソ上院議員は「共和党の候補者として米国の家庭が感じている痛みを他の誰よりもうまく表現できるはずだ」とバンス氏を評した。
情報BOX:関税引き上げや不法移民送還、トランプ氏「2期目」の公約 | ロイター
◎貿易
トランプ氏は全ての輸入品に10%以上の関税をかける案を示している。貿易赤字を無くすためだとしているが、消費者物価の上昇と世界経済の不安定化を招くとの指摘もある。
同氏はまた、米国からの輸入品に関税をかけている国に対して、より高い関税をかける権限を自身が持つべきだとも述べている。一部の輸入車には200%の関税を課すと脅している。
特に標的にしているのは中国で、電子機器、鉄鋼、医薬品など中国からの輸入を4年間で段階的に削減することを提案。中国企業がエネルギーやハイテク分野で米国の不動産やインフラを所有することを禁止しようとしている。
◎連邦政府職員
トランプ氏は、数千人の連邦政府職員を再分類して解雇できるようにする大統領令を通じて「ディープステート」の撲滅を図ろうとしている。同氏は、密かに自分たちの目的を達成しようとしている連邦政府のキャリア職員らを想定してディープステートと呼んでいる。
これは法廷で争われる可能性が高い。トランプ氏は国家安全保障に携わる腐敗した人物を解雇し、政敵を「根絶やしにする」と宣言している。
全ての連邦政府職員に、自らが作り出す新たな公務員試験への合格を義務付けると述べているが、そのための実際的な権限は限られている。
同氏の側近も、政策の実行に当たる公務員志願者を吟味するだろう。トランプ氏は2020年の選挙が不正選挙だったという自身の信念に、公務員は従わなければならないと示唆している。
トランプ氏は、通常は法律で保護されている連邦政府の内部告発者を弾圧し、米情報機関を「監視」する独立機関を設立するだろう。
◎政敵の調査
トランプ氏は時折、連邦の法執行機関を使って政敵を調査すると表明している。
バイデン大統領を調査するため、特別検察官の任命を検討するとも述べているが、調査の根拠は明示していない。
トランプ氏はまた、一部の地方検事が違憲の選択的強制執行を行っているため、司法省が調査するとも述べている。
自身の命令に従わない検事の解任を検討するとも話しており、これは、連邦法執行機関の独立という長年の米国の方針との決別を意味する。
トランプ氏の盟友らは、司法省の独立性を制限し、同省を大統領に忠実な政治任用者だらけにする計画を練っている。
◎エネルギー
トランプ氏は掘削許可プロセスを緩和し、天然ガスパイプラインの新設を奨励することで、化石燃料の生産量を増やすと宣言している。アラスカの北極圏国立野生生物保護区での石油掘削を再び認める方針だ。
また、世界的な温室効果ガス排出量削減の枠組みであるパリ協定から再び離脱し、原子力エネルギーの増産を支持すると述べている。バイデン氏が導入した電気自動車(EV)への移行義務付けや、自動車による排出量削減を目的としたその他の政策も撤回するだろう。
◎経済
トランプ氏は、雇用創出を制限していると自身が考える連邦規制の削減を約束している。大統領在任中の17年に署名した広範な減税措置の継続も約束。同氏の経済チームは、1期目に実施した個人・法人減税の拡大について議論している。
トランプ氏はまた、サービス業従事者を支援するため、チップ収入に対する課税を廃止すると表明。米連邦準備理事会(FRB)に利下げを迫るだろうとも述べている。
メディケア(高齢者・障害者向け公的医療保険)や社会保障の削減、受給年齢の引き上げはしないとしている。
暗号資産(仮想通貨)に関しては、規制する民主党の取り組みを終わらせ、ビットコインの採掘権利を守る構えだ。
◎移民政策
トランプ氏は不法移民を標的とした第1期の政策を復活させ、バイデン氏の親移民政策を後退させて抜本的な新規制を進める方針。
メキシコ国境における亡命を制限し、米国史上最大の強制送還に乗り出すとしている。しかし、これは法的正当性が問われ、議会民主党からの反対にも遭うだろう。
同氏は目的達成のために州兵や、必要であれば連邦軍を動員すると述べており、強制送還のために収容所を設置する可能性も排除していない。
移民から生まれた子どもが自動的に市民権を得られる制度を廃止するとも述べているが、これは長年続いてきた合衆国憲法の解釈に反する動きだ。
イスラム教徒が多数を占める国からの入国を制限する措置も再導入するという。
◎中絶
連邦最高裁判事のうち、人工妊娠中絶の権利は憲法で守られているとの判断を覆した多数派に属する3人は、トランプ氏が任命した人物だ。同氏は今後も中絶制限を支持する連邦判事を任命し続けるだろう。
同時にトランプ氏は、連邦政府による中絶禁止は不要であり、この問題は州レベルで解決されるべきであるとも述べている。共和党の一部で支持されている妊娠6週以降の中絶禁止は厳しすぎるとし、レイプや近親相姦、母体の健康を考慮した例外規定を設けるべきだと主張。また、アリゾナ州で裁判所が認めたさらに厳しい禁止令にも反対を表明している。
とはいえトランプ氏は、各州が選択すれば、女性の妊娠を監視し、許可された期間以降に中絶手術を受けた場合は起訴することができるとも述べている。
同氏は体外受精(IVF)、避妊、出産前ケアなどを推進する政策を支持している。
◎外交
トランプ氏は、ロシアとの戦争を巡るウクライナへの米国の支援に批判的であり、当選すれば24時間以内に戦争を終結させることができると述べている。ただ、その方法は示していない。
また、米国は北大西洋条約機構(NATO)の「目的と使命」を根本的に見直すとも述べている。具体的な政策提案はほとんど行っていないが、昨年のロイターのインタビューでは、ウクライナは和平合意のために領土をある程度割譲する必要があるかもしれないと語っている。
トランプ氏はウクライナに対する610億ドルの支援策に数カ月間反対し、共和党議員の一部も反対した。議会は4月末、ついに支援策を承認し、トランプ氏はそれ以来、ウクライナの安全保障は米国の重要な国益であると示唆している。
トランプ氏は、イスラム組織ハマスと戦うイスラエルを支持する一方、ネタニヤフ首相の初期対応を批判している。
麻薬カルテルと戦うためにメキシコに軍隊を派遣することも提案している。
また、米本土全域に巨大なミサイル防衛システム「アイアンドーム」を構築すると示唆した。
◎教育
トランプ氏は、大学に「米国の伝統と西洋文明を守る」ことを義務づけ、多様性プログラムを廃止すると公約した。また、人種差別を行った学校に対する公民権訴訟を司法省に指示すると述べた。
幼稚園から高校卒業までの教育期間については、保護者が公的資金を私的または宗教的な教育に使えるようにするプログラムを支持するとしている。
◎犯罪
トランプ氏は人身売買や麻薬密売を行う犯罪者に死刑を科すという。
米国の都市で凶悪犯罪が減少しているという連邦統計については、信じられないと発言。また、21年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件に関連して有罪判決を受けた者全員の恩赦を検討すると述べている。
バンス副大統領候補、「真の課題」は中国-米国に最大の脅威 - Bloomberg
米共和党の副大統領候補に起用されバンス上院議員(オハイオ州)は指名後に受けたインタビューの一つで、米国にとって中国が最大の脅威だと指摘した。当選した場合、同党の大統領候補として正式に指名されたトランプ前大統領と共に中国に対してタカ派的な姿勢を取っていく可能性が高いことが強く示された。
バンス氏は15日のFOXニュースのインタビューで語った。ウクライナでの戦争について聞かれると、同氏はトランプ氏ならロシア、ウクライナと交渉し、「この問題を速やかに決着させるだろう。そうすれば米国は真の課題、つまり中国に集中することができる」と述べた。同氏はまた、「米国にとって中国が最大の脅威であるにもかかわらず、われわれはそこから完全に目をそらしている」とも述べた。 
トランプ氏は大統領に返り咲けば、対中関税を全面的に引き上げると約束。中国からの全輸入品に60%の課税を行うと宣言している。
【コラム】バンス氏起用、MAGAで米国の未来変える布石か-ロペス - Bloomberg
イランによるトランプ氏暗殺計画情報、米政府は事前に入手=報道 | ロイター
米国はここ数週間にわたり、イランによるトランプ前大統領暗殺計画に関する情報を得ていた。CNNが16日、関係筋の話として報じた。
ただCNNは、13日にトランプ氏を銃撃したトーマス・マシュー・クルックス容疑者がこの計画に関連していることを示す証拠はないとしている。
ホワイトハウスもクルックス容疑者に国内外の共犯者がいたことを示す兆候はないとした上で、CNNの報道に関するコメントを控えた。
CNNの記者は米国家安全保障当局者の話として、米国のシークレットサービスとトランプ氏の陣営は、銃撃事件が起きた13日の集会前にこの計画について知らされていたと伝えている。
シークレットサービスのアンソニー・グリエルミ報道官はCNNに対し、トランプ氏の警護を増強したと述べた。
米当局は長年にわたり、トランプ氏が2020年1月にイランのソレイマニ司令官殺害を命じたことに対してイランが報復するのではないかと懸念。米国家安全保障会議(NSC)のエイドリアン・ワトソン報道官は「数年にわたり、トランプ政権の元高官に対するイランの脅威を追跡してきた。これらの脅威はイランがソレイマニ氏殺害に対する復讐を望んでいることから生じている。われわれはこれを国家および国土安全保障上の最優先事項と捉えている」とした。
一方、ニューヨークのイラン国連代表部はロイターへの声明で「これらの非難は根拠がなく悪意のあるものだ」と指摘。「イランの観点からすると、トランプ氏はソレイマニ司令官の暗殺を命じた罪で法廷で起訴され処罰されなければならない犯罪者だ。イランはトランプ氏を裁きにかけるために法的な道を選んだ」とした。
トランプ氏、無所属ケネディ氏に自身への協力打診 電話内容が漏洩 | ロイター
アングル:米副大統領候補バンス氏、ウクライナ巡りトランプ氏より「過激」との声 欧州で警戒感 | ロイター
11月の米大統領選に向け、ウクライナ支援に反対姿勢を示すJ・D・バンス上院議員が共和党の副大統領候補に選ばれたこで、欧州当局者の間で警戒感が強まっている。
選挙戦でトランプ前大統領が返り咲きを果たせば、トランプ・バンス政権の下、米国がウクライナ支援を打ち切るか縮小し、ウクライナが和平交渉に追い込まれることが懸念されている。
ドイツのショルツ政権の一端を担う「緑の党」のラング共同党首は、バンス氏の副大統領候補への指名について「欧州にとり憂慮すべきこと」と述べた。
バンス氏は今年2月のミュンヘン安全保障会議で、ロシアのプーチン大統領は欧州にとり実存的な脅威ではなく、欧米がウクライナの勝利のために十分な軍事支援を供与することできないと主張。米国の戦略的優先事項はアジアと中東にあると示唆していた。
緑の党のラング氏はこうしたバンス氏の見解について、トランプ、バンス両氏がいかに早く「ウクライナをプーチン氏に引き渡す」かを浮き彫りにしていると述べた。
ドイツ社会民主党(SPD)のシュミット外交問題報道官もロイターに対し、「バンス氏はウクライナ問題でトランプ氏よりも過激な立場を取っており、軍事支援の終了を望んでいる。外交政策の点では、トランプ氏よりも孤立主義的だ」という認識を示した。
バンス氏は今年4月に米国で成立したウクライナ支援法の採決で反対票を投じた。2022年には「ウクライナで何が起ころうと、あまり気にしていない」と述べていた。
しかし、ラストベルト(さびた工業地帯)と呼ばれるオハイオ州の貧しい労働者階級出身のバンス氏について、性急に結論を出すことを警告する声もある。
ウクライナ支援を訴える米国拠点の慈善団体「ラゾム・フォー・ウクライナ」の幹部は、バンス氏の生い立ちを考えれば「米国のウクライナ支援が唯一の選択肢と結論付けるのではないか」とし、「副大統領としてバンス氏の見解が進化していくことを期待している」と述べた。
フランスの外交官も、米大統領選はまだ終わっていないと強調。「自己達成的な予言を作り出すのをやめる必要がある。トランプ氏はまだ勝ってはいないし、バイデン氏は負けてない」とくぎを刺した。
トランプ氏、パウエルFRB議長の任期満了前に解任目指さない - Bloomberg
パウエル議長の任期は2026年5月まで。トランプ氏は「彼に任期を全うしてもらうつもりだ」として、「彼が正しい政策運営を行っていると考えられる場合は特にそうだ」と語った。
その一方でトランプ氏は、米金融当局が11月の大統領選前に利下げして、それが経済およびバイデン大統領への追い風となることを控えるべきだと警告。ウォール街では、選挙前の1回を含め、計2回の年内利下げを完全に織り込んでいるが、トランプ氏は金融当局について「彼らはそれをやるべきでないことを分かっている」とコメントした。
トランプ氏はまた、昨年の時点で「非常に過大評価されたグローバリスト」と攻撃していた米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)について、自身の考えを変えたことも明らかにした。
トランプ氏は、政治キャリアも考慮していると受け止められていいるダイモン氏に関し、財務長官への起用を「考える」ことも想定されると語った。ダイモン氏の広報担当者はコメントを控えた。
政治的暴力への懸念強まる、トランプ氏暗殺未遂で-融和の姿勢続くか - Bloomberg
トランプ氏、財務長官にJPモルガンCEO検討 再選時 - 日本経済新聞
イラン、トランプ氏の暗殺計画か 米報道 - 日本経済新聞
イランがトランプ氏暗殺計画か、米政府当局が情報入手し警備を強化 - Bloomberg
バンス副大統領候補、「真の課題」は中国-米国に最大の脅威 - Bloomberg
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
●先進国、グローバル、金融市場
IMF、24年の世界成長3.2%を維持 ソフトランディングに期待 - 日本経済新聞
欧州委、仏にEU財政規則の順守求める 総選挙受け財政悪化懸念 | ロイター
欧州連合(EU)の欧州委員会とドイツ当局者は15日、仏政府に対し、債務と赤字削減に関するEU規則を順守する必要があると述べた。
今月初めに行われたフランス総選挙では、より緩い予算政策を支持する左派連合が最多議席を獲得したことから、財政悪化懸念が浮上している。
欧州委員会のパオロ・ジェンティローニ委員(経済問題担当)は記者団に対し、「権限がより制限された仏暫定政権によって生じる制度上の困難をわれわれは認識している」とした上で、「フランスに財政調整が必要なのは明らかだ」と指摘した。
EUは加盟国に、債務残高を国内総生産(GDP)比で60%以下、財政赤字は同3%以下に抑えるという財政ルールを課している。
2023年のフランスの財政赤字はGDP比5.5%で、22年の4.8%から拡大した。公的債務は23年にGDP比110.6%だった。欧州委員会は同国債務が今年はGDP比112.4%、25年は113.8%に拡大すると予想している。
米6月小売売上高、前月から横ばい 減少の予想上回る | ロイター
6月の小売売上高(季節調整済み)は前月比横ばいだった。ロイターがまとめた市場予想は0.3%減だった。
5月分は0.3%増と前回発表の0.1%増から上方改定された。6月の前年同月比は2.3%増だった。
6月の小売売上高は横ばいだったものの、基調は堅調のため、2024年第2・四半期の経済成長率見通しを押し上げる可能性がある。第1・四半期の経済成長率は1.4%。第2・四半期の予想は小売売上高が発表される前は約2%となっていた。
コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムス氏は「経済はかなり好調だ。低・中所得層が消費を手控えるなど、一部で軟調な兆しが見られるが、富裕層の積極的な消費が経済全体の前進を支えている」と述べた。
オンライン売上高は1.9%増加。5月は1.1%増だった。ガソリンスタンドは3.0%減。ガソリン価格の下落が響いた。
建築資材と園芸用品店は1.4%増。サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は5月の0.4%増に続き0.3%増となった。
家具は0.6%増。電子機器・家電は0.4%増、衣料品は0.6%増となった一方、スポーツ用品・趣味・楽器・書籍は0.1%減少した。
自動車・部品が2.0%減。自動車ディーラーやメーカーにソフトウエアを提供する米CDKグローバルへのサイバー攻撃が影響した。
6月の自動車、ガソリン、建築資材、外食を除くコア小売売上高は0.9%増と大幅に伸びた。5月は0.4%増だった。コア小売売上高は、国内総生産(GDP)統計に含まれる消費支出と密接に関連している。
LPLファイナンシャルのチーフグローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「極めて重要な米国の消費者は、購入に関してますます慎重になっているが、引き続き堅調なペースで消費している」と指摘。「今回の小売売上高は、もちろんインフレ関連データが物価上昇を示さない限りだが、連邦準備理事会(FRB)が9月の会合で利下げを行うとの見方を否定するものではない」と述べた。
ただ、大手小売りやメーカーの業績などからは、価格重視かつ基礎的な購買にとどめようする消費者の動向が読み取れる。米飲料・食品大手ペプシコのラモン・ラグアルタ最高経営責任者(CEO)は先週、低所得層は生活が「苦境に立って」おり、「月末までの生活費をやりくりするためにさまざまな工夫をしている」と指摘した。
多くの世帯は新型コロナウイルス禍で消費が滞ったことで生まれた貯蓄を使い果たし、クレジットカードの負債を抱えている。労働市場の需給が緩んだことで賃金の伸びも緩やかになっている。
IMF、24年世界成長率見通し3.2%に据え置き インフレリスク指摘 | ロイター
国際通貨基金(IMF)は16日に公表した最新の世界経済見通しで、今後2年間に緩やかな成長が見込まれるとした。米国の経済活動が鈍化する一方、欧州で景気が底を打ち、中国の消費・輸出が拡大する見通しが背景だが、リスクも多いと指摘した。
ディスインフレの勢いが鈍化しており、金融緩和がさらに遅れ、途上国に対するドル高圧力が続く可能性があると警告した。
2024年の成長率予測は3.2%と4月時点から据え置いた。25年は0.1%ポイント引き上げて3.3%とした。
米国については第1・四半期の消費が予想より弱かったことを反映し、24年の成長率予測を0.1%ポイント引き下げ2.6%とした。25年は1.9%に鈍化するとの予想を維持。制約的な金融政策による労働市場減速と支出鈍化が背景とした。
IMFチーフエコノミストのピエール・オリビエ・グランシャ氏は「主要先進国は需給ギャップが縮小するにつれて、成長の足並みが一段とそろいつつある」と述べ、米国では景気減速の兆候が強まっている一方、欧州は景気改善が見込まれると指摘した。
中国については今年の成長率予測を4月時点の4.6%から5.0%に上方修正し、政府目標と一致。第1・四半期の民間消費回復と堅調な輸出を反映させた。25年の予測も4月時点の4.1%から4.5%に引き上げた。
<中国リスク>
しかし、中国国家統計局が15日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年比4.7%増と市場予想を大幅に下回った。長引く不動産不況と雇用不安が内需を圧迫した。
グランシャ氏はロイターとのインタビューで、新たなデータは消費者信頼感の弱さと不動産部門の継続的な問題を示しており、IMFの予測に下振れリスクをもたらすと語った。
「中国の国内需要が弱まれば弱まるほど、対外部門に成長を依存するようになるだろう」と述べ、貿易摩擦の激化につながるとの見方を示した。
ユーロ圏の成長率予測は24年を0.1%ポイント上方修正し、0.9%とした。25年は1.5%で据え置いた。
IMFはユーロ圏は「底打ち」し、上半期にサービス業の成長が強まったと指摘。実質賃金の上昇が来年の消費の原動力になるほか、金融緩和が投資を促すとした。
日本については主要自動車メーカーの工場稼働停止による供給障害や第1・四半期の民間投資低迷などを理由に24年の成長率を0.9%から0.7%に引き下げた。
<インフレリスク>
IMFは、労働集約型部門の賃金上昇を背景にサービス価格が高止まりする中、短期的にインフレが上昇するリスクがあると警告。貿易摩擦と地政学的な緊張の再燃でサプライチェーンを通じて輸入品のコストが上昇し、物価上昇圧力が高まる可能性があるとしている。
「インフレ上昇リスクにより、金利がさらに長期にわたって高止まりする見通しが強まり、対外・財政・金融リスクが高まっている」と報告書で指摘した。
グランシャ氏は、先月の米消費者物価指数(CPI)は下落したが、インフレ面のサプライズを回避するために米連邦準備理事会(FRB)は利下げ開始をもう少し待つ余裕があると述べた。
<保護主義リスク>
またIMFは、多くの国で今年選挙が行われることで経済政策が変わり、世界に悪影響を及ぼす可能性があると警告。「こうした潜在的な変化は財政の浪費リスクを伴い、債務状況を悪化させ、長期的な利回りに悪影響を及ぼし、保護主義を助長する」と述べた。
例えば、米大統領選では共和党候補のトランプ前大統領が全ての輸入品に10%の関税を課すことを提案しているほか、バイデン大統領は中国の電気自動車(EV)などへの関税を大幅に引き上げたが、IMFは両候補を名指ししなかった。
しかし、関税引き上げや国内産業政策の拡大は「国境を越えた有害な波及効果を生み出すだけでなく、報復を誘発し、結果としてコストのかかる底辺への競争につながる可能性がある」と指摘した。
IMFは政策当局者が物価安定の回復に粘り強く取り組み、段階的な金融緩和を実施し、パンデミックで枯渇した財政バッファーを補強するとともに、貿易促進と生産性向上に向けた政策を追求することを提言した
FRB、利下げ急ぐ必要ない 労働市場なお堅調=IMFエコノミスト | ロイター
独ZEW景気期待指数、7月は予想下回る41.8 1年ぶりの低下 | ロイター
7月のドイツ景気期待指数は41.8となり、前月の47.5から低下し、ロイターがまとめた市場予想の42.3を下回った。
指数の低下は1年ぶり。ドイツ経済の回復が平坦ではないとの見通しが示された。
ZEWのワムバッハ所長は「経済見通しは悪化している」と指摘。5月の輸出減少、フランスの政治や欧州中央銀行(ECB)の金融政策を巡る不透明感が原因だと指摘した。
現況指数はマイナス68.9と、前月のマイナス73.8から小幅に上昇した。ユニオン・インベストメントのエコノミストは、実質所得が増加しローンが組みやすくなっており、景気回復の兆しだと指摘。しかし、11月にトランプ大統領が誕生する可能性が高まりドイツ経済には不安があるとし、景気回復が緩やかなことは明らかとの見方を示した。
パンテオン・マクロエコノミクスのユーロ圏チーフエコノミスト、クラウス・ビステセン氏は、「この1週間で市場の関心は米連邦準備理事会(FRB)の利下げに移り、これは差し迫った景気後退の兆候ではなく、むしろプラス材料として歓迎されている」と述べた。
ユーロ圏の家計、融資需要が2年ぶりに増加=ECB銀行貸出調査 | ロイター
米住宅建設業者、3カ月連続でセンチメント低下-高金利の圧迫続く - Bloomberg
米住宅建設業者のセンチメント低下は7月で3カ月連続となった。依然高いローン金利が販売を抑制し、建設資金の調達を厳しくしている。
7月の住宅市場指数は42に低下、今年最低の水準
30年固定の住宅ローン金利はこの数カ月、7%付近で推移している。購買希望者の多くは金利が下がるのを待っており、近い将来にある程度は購買しやすい環境になる可能性がある。
NAHBによれば、7月に値下げした建設業者は全体の31%。6月の29%から増えた。平均的な値下げ幅は13カ月連続で6%。販売インセンティブを設けた業者は61%で、前月と変わらなかった。
ここ数カ月に住宅ローン金利が上昇したため、新築住宅の需要は若干落ち込んだが、中古住宅販売市場に比べれば引き続き根強い需要が見られると、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ドゥルー・リーディング氏は先週のリポートで指摘した。
英2年債利回りが4%下回る、今年初めて-食品価格の伸びが減速 - Bloomberg
カナダ6月CPI、2.7%に鈍化 利下げ観測を後押し | ロイター
カナダ統計局が16日発表した6月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は2.7%と、ロイターがまとめた市場予想(2.8%上昇)をわずかに下回った。
5月のCPIは2.9%だった。コア指標も小幅に鈍化したことから、金融市場では25ベーシスポイント(bp)の利下げが実施されるとの観測が強まった。
6月CPIの前月比は0.1%下落と、12月以来初めて前月比で下落した。予想は横ばいだった。
統計局によると、ガソリン価格の伸び鈍化が総合インフレ率の減速に寄与した。
今回のデータ公表後、金融市場が織り込むカナダ銀行(中央銀行)が7月24日の政策会合で利下げを行う確率は88%と、公表前の82%から高まった。
中銀が重視するコアインフレ指標の一つであるCPI中央値とCPIトリム値の平均上昇率は前年同月比2.75%と、前月の2.8%から伸びが若干下がった。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比2.9%、サービス価格は4.8%、それぞれ上がった一方、財価格の上昇率は5月の1%から0.3%に鈍化した。
低格付け債、投資家保護へ新規則 親会社変更で早期償還 - 日本経済新聞
日本証券業協会は社債を持つ投資家の権利を守るため、新たなルールを導入する。低格付け社債を発行する企業が組織再編したり、親会社が変わったりする場合に、投資家が満期前に早期償還を受けられるようにする。
2023年に不動産会社のユニゾホールディングスが経営破綻した際は、取引銀行が先んじて債権回収や担保設定に動いたため、社債投資家の対応は後手に回った。財務などに関わる情報が銀行側に優先的に渡る事態も起きた。こうした事案が再び起きるのを防ぎ、投資家が安心して社債を購入できる環境を整える。
日証協が16日にまとめた報告書に、社債を発行する企業側の義務や制限を定めた財務制限条項(コべナンツ)の設定に関する提言を盛り込んだ。信用格付けが投機的水準とされる「ダブルB」以下の企業の社債について、2種類のコベナンツを「基本的に付与すべきだ」と明記した。
一つは組織再編や大株主の異動、非上場化といった重大な変更があった場合に、社債投資家があらかじめ定めた値段で早期償還を要求できる「チェンジ・オブ・コントロール(COC)」条項だ。希望する投資家は満期前に資金を回収できるため、仮にその後に企業が破綻しても、社債のデフォルト(債務不履行)によって影響を受ける事態を避けることができる。
もう一つが投資判断を左右する重要事案が発生した時に、社債投資家への報告を義務付ける「レポーティングコベナンツ」だ。非上場化した後に情報開示や投資家向け広報(IR)がおろそかになる恐れがあるため、その対策と位置付ける。法定開示の対象になっていない第1・第3四半期の決算や業務提携、固定資産の譲渡・取得、筆頭株主の異動などを報告対象として例示した。
ダブルBよりも信用力があるトリプルB格の企業についても実質義務化の対象とするものの、格付けがダブルB以下に下がった際にコベナンツの効力が発生する形式も認める。
日証協は、社債の引き受け審査を務める証券会社に課す引受規則やガイドラインなどにコベナンツ義務化に関する具体的な規定を設ける方針だ。コベナンツを付与しない企業には理由の説明を求める。社債を発行する企業がコベナンツに抵触した際に、どのように対応すべきかを盛り込んだ文書も今後策定する。
16日発表の報告書では、社債権者集会についてオンライン開催を可能にする制度的手当てや事前の議決権行使の電子化の必要性も提起した。
一方、COCやレポーティングコベナンツ以外のコベナンツについては義務化の対象としない方向だ。米国で一般的な負債の制限、資産処分の制限といった条項を幅広い企業に共通ルールとして適用するのは難しいと判断した。
日本の社債の発行残高は2023年時点で90.4兆円。ここ数年は右肩上がりで増えているものの、発行水準はなお米国の10分の1に満たない。日証協はデフォルト時に返済が銀行融資に比べて劣後する懸念などを解消することが、社債市場の発展には不可欠とみて、23年12月から社債のコベナンツに関する検討を進めてきた。COCやレポーティングコベナンツは米国では一般的な条項として浸透している。
野村アセットマネジメントで社債運用を担当する宇治田達哉氏は、コベナンツの拡大について「これまで公募社債の発行実績がない信用力が低い企業も社債を出しやすくなり、市場の厚みが増す」と評価する。「純資産維持条項など多様なコベナンツを付与できるようになれば、さらに社債の購入を検討しやすくなる」と指摘する。
企業買収やMBO(経営陣が参加する買収)などによる非上場化の件数は今後も高水準で推移する可能性が高い。COCなどのコベナンツの有無が、今後社債投資を検討する際の重要情報の一つとなる見通しだ。
●中東情勢
イラン、核合意巡る米国との協議再開に前向き=外相代行 | ロイター
●エマージング
インド新車販売3%増、乗用車は過去最高 4〜6月 - 日本経済新聞
中国・明陽智能、V字型にタービン並べた大型洋上風力 - 日本経済新聞
中国、石炭火力発電部門の排出削減で行動計画 新技術採用など | ロイター
中国除く新興国、昨年の総資本流入は2018年以来の高水準=IMF | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
六本木アマンド、17日に改装開業 インバウンドを意識 - 日本経済新聞
従業員が「退職代行」利用、東京都内大企業の2割が経験 - 日本経済新聞
みずほFG、「自ら学ぶ社員」に集中投資 1人最大40万円 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(16日)ダウ終値で最高値、ドル上昇・利回り低下 | ロイター
<為替> ドルが上昇。この日公表された米小売売上高は予想以上に堅調だったものの、米連邦準備理事会(FRB)による年内利下げ期待を維持できないほど強い内容ではなかった。
<債券> 米利下げが近いとの見方の高まりを背景に国債利回りが低下し、10年債利回りは4カ月ぶりの低水準を付けた。
10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)低下の4.167%と、3月13日以来の低水準。
2年債利回りは0.5bp低下の4.447%。一時は4.409%と、3月8日以来の低水準を付けた。
<株式> ダウ工業株30種が終値で最高値を更新した。朝方発表された米小売売上高統計は、連邦準備理事会(FRB)が景気後退を回避しつつインフレを抑制し、金融緩和サイクル開始に近づいているとの見方を裏付けた。
第2・四半期の決算シーズンが本格化している。利益が予想を上回ったユナイテッドヘルス・グループは6.5%上昇し、ダウ平均とS&P500ヘルスケア指数を押し上げた。
バンク・オブ・アメリカも5.3%上昇した。第2・四半期決算は減益だったが、アナリスト予想を上回った。金利収入が減少したものの、投資銀行業務とトレーディング業務が好調だった。
モルガン・スタンレーはウエルス・マネジメント部門の収入が期待外れだったものの、0.9%高となった。
<金先物> 米連邦準備理事会(FRB)高官らの発言を受けて年内利下げ観測が強まる中、買いが膨らみ、続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比38.90ドル(1.60%)高の1オンス=2467.80ドル。中心限月ベースで5月中旬以来約2カ月ぶりに史上最高値を更新した。
<米原油先物> エネルギー消費大国である中国の景気先行き懸念を背景に、3営業日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比1.15ドル(1.40%)安の1バレル=80.76ドルと、中心限月の清算値ベースで6月下旬以来約3週間ぶりの安値水準。9月物は1.13ドル安の79.71ドル。
欧州市場サマリー(16日) | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。FTSE100種指数は続落。前日急落した高級ブランドのバーバリーが大幅続落した。
高級ブランドのバーバリーは5.3%下落した。
石油大手シェルは0.9%、資源大手グレンコアは2.7%、それぞれ下げた。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。資源株や高級ブランド銘柄の売りが優勢だった。
STOXX欧州600種資源株指数は1.70%下落。資源大手のリオ・ティントは2.3%安。24年第2・四半期の鉄鉱石出荷量が市場予想を下回ったことが売り材料視された。
STOXX欧州高級品株10種指数は1.09%下落。ドイツのファッションブランド、ヒューゴ・ボスは7.5%と大幅に下げた。世界的な消費者需要の低迷で通期の売上高と利益の見通しを引き下げたことが嫌気された。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが2日連続で低下した。市場では、今週予定される欧州中央銀行(ECB)の政策発表が注視される。
18日に開かれるECB理事会では、金利据え置きが広く予想されている。今後の利下げ見通しは経済の動向次第との見方も強い。
ノルデア銀行の主任アナリスト、アンダース・スベンセン氏は、ECBが政策金利の決定はデータ次第との見方を示していることから、「十分なデータの裏付けがなければ、ECBが9月の利下げを示唆するとは思えない」と述べた。
LSEGのデータによると、先物市場は今週のECB理事会で利下げが実施される確率を10%未満、9月に25ベーシスポイント(bp)の利下げが行われる確率を約85%と織り込んでいる。
取引終盤、ドイツ10年債利回りは3.5bp低下の2.437%。ドイツ2年債利回りは2.5bp低下の2.768%と、6月21日以来の低水準に下がった。
市場では引き続きフランス政局に注目が集まる。マクロン仏大統領は、18日の国民議会の初召集で現政権の辞任を受け入れるとみられている。
フランス10年債利回りは2bp低下の3.091%。独仏10年債利回り格差は65bpと横ばい。

備忘録(2024/7/15
●雑感
●決算
ゴールドマン、4-6月期利益は2.5倍増-トレーディングが好調 - Bloomberg
4-6月(第2四半期)決算は、トレーディング部門をけん引役に大幅な増益となった。債券および株式トレーディング収入はいずれもアナリスト予想を上回った。
その一方で、M&A(企業の合併・買収)助言手数料収入は米JPモルガン・チェースを下回った。この事業でトップクラスのゴールドマンがライバル行に後れを取るのは異例と言える。
多くの企業がM&Aの機会を求めているが、米国では大統領選挙が近づきつつあり、取引のペース回復はさらに遅れる可能性がある。コンシューマーバンキングへの進出拡大を諦めたゴールドマンにとって、M&Aは投資銀行業務での強みや資産運用事業の成長をアピールする上で重要だ。
4-6月期の純利益は30億4000万ドル(約4800億円)、収入は127億ドルだった。利益は前年同期の2.5倍に拡大。前年同期は業界全体でディールメーキングが低迷していたほか、不動産投資やコンシューマーバンキング事業の損失によって利益が大幅に減少していた。
債券トレーディング収入は31億8000万ドル。金利・通貨が寄与した。株式トレーディング収入は31億7000万ドルだった。
投資銀行収入は17億3000万ドルと、アナリスト予想平均の18億ドルを下回った。M&A助言業務の手数料収入は6億8800万ドル。JPモルガンが先週発表した4ー6月期決算によれば、同手数料収入は7億8500万ドルだった。
資産運用・ウェルスマネジメント事業の収入は38億8000万ドルと、前年同期から27%増。管理手数料収入は8%増となった。
米ブラックロック、第2四半期末の運用資産が過去最高に | ロイター
第2・四半期の運用資産総額は10兆6500億ドルと過去最高に達した。資産価値の上昇と同社が運用する上場投資信託(ETF)への資金流入を受けた。
前年同期は9兆4300億ドル、第1・四半期は10兆5000億ドルだった。
第2・四半期の資金純流入額は815億7000万ドルと、前年同期の801億6000万ドルをわずかに上回った。
第2・四半期の投資助言・管理手数料は8.6%増の37億2000万ドル。テクノロジーサービス部門の収入は10%増の3億9500万ドルだった。
総収入は8%増の48億1000万ドル。
純利益は15億ドル(1株当たり9.99ドル)と、前年同期の13億7000万ドル(同9.06ドル)から増加した。
ラリー・フィンク会長兼最高経営責任者(CEO)は、エネルギー関連と人工知能(AI)データセンターへの投資に大きな可能性があるとし、「今年以降、想像もできないような成長機会がある」と指摘。「より多くの顧客がインフラ負債を利用するとみられるため、われわれは強気姿勢を強めている」と語った。
●海外企業
バーバリーがCEOを更迭、業績不振で配当停止-株価一時12%安 - Bloomberg
英高級品メーカー、バーバリー・グループはジョナサン・アクロイド最高経営責任者(CEO)を交代させ、配当を停止した。高級品市場の低迷で、同社はシャネルやルイ・ヴィトンなどの高級ブランドに対抗する取り組みに苦戦している。
マイケル・コース、コーチ、ジミー・チュウのCEOを務めたジョシュア・シュルマン氏が後任となる。アクロイド氏のCEO在任期間は2年半足らずだった。
7月に入っても高級品の販売は低迷しており、こうした状況が続けば、4-9月(上期)は赤字となり、通期の利益は予想を下回ると同社はみている。
6月29日まで13週間の売上高は22%減の4億5800万ポンド(約938億円)。既存店売上高は21%減少した。
バーバリーの株価は一時12%下落し、14年ぶりの安値を付けた。
米メーシーズ、買収交渉打ち切り 株価一時16%下落 - 日本経済新聞
●日本企業
戸建て日本勢「主戦場は米国」 積水ハウスは全域で展開 - 日本経済新聞
日本の戸建て住宅メーカーの主戦場が米国に移っている。4月に積水ハウスが米企業を約7500億円で買収。大和ハウス工業、住友林業と3社の米国の年間販売戸数は2023年度に計約3万戸と、日本の合計より3割上回った。日本は人口減少で市場は縮小する。国内の木造建築ノウハウを展開するなど各社独自色を打ち出し、米国で存在感を高めようと奔走する。
四半期決算どう変わる? 4〜6月期から短信に一本化 - 日本経済新聞
上場企業を巡る四半期決算の開示の仕組みが、4〜6月期から大きく変わる。金融商品取引法で上場企業に開示を義務付けていた四半期報告書が廃止され、証券取引所のルールに基づく決算短信に一本化される。重複する作業を省き企業の負担を軽くする狙いがある。開示情報の減少を防ぐため、短信の情報を手厚くする措置も取られている。
●米大統領選挙
トランプ氏、共和党大会開催地に到着 大統領選候補に正式指名へ | ロイター
トランプ氏は「ウィスコンシン州訪問と共和党全国大会を2日間延期するつもりだったが、『銃撃犯』、暗殺未遂者にスケジュールなどの変更を強いられるのを許すことはできないと判断した」と自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
大会では共和党の新星によるテレビ演説や、副大統領候補の指名が注目されるほか、中絶、移民、経済などの問題に対する党の立場が強調される。
トランプ氏の機密文書裁判、起訴取り下げ-連邦地裁判事が指示 - Bloomberg
「ようやく実感」、トランプ氏が銃撃振り返る 団結の好機とも | ロイター
トランプ氏、副大統領候補にバンス上院議員 | ロイター
主要労組、24年米大統領選候補に支持表明しない可能性 バイデン氏に打撃 | ロイター
米共和党、トランプ氏を大統領候補に正式指名 18日に受諾演説 | ロイター
トランプ氏、副大統領候補にバンス上院議員を選ぶ-共和党の新星 - Bloomberg
トランプ前米大統領は15日、副大統領候補にバンス上院議員(オハイオ州)を起用することを決めたと発表した。ベンチャーキャピタリストから政治家に転身したバンス氏は、ポピュリスト的政策を掲げ、一躍共和党の新星として脚光を浴びた。
「熟考に熟考を重ねた結果、そして多くの人々の素晴らしい才能を検討した結果、副大統領に最もふさわしい人物は、偉大なるオハイオ州のバンス上院議員だと判断した」とトランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース」に投稿した。ウィスコンシン州ミルウォーキーでこの日、共和党全国大会が開幕し、同党はトランプ氏を党の大統領候補に正式決定した。
バイデン米大統領は、ラスベガスに向かうため大統領専用機「エアフォース・ワン」に搭乗する際記者団に対し、バンス氏は「幾つもの問題でトランプ氏のクローンだ。何の違いも感じられない」と語った。
バイデン氏はその一方で、バンス氏が「勤労者について大きなことを言っている」と別のソーシャルメディアに投稿。「彼とトランプ氏は、富裕層のさらなる減税を推し進める一方、中間層家庭への増税を望んでいる」と指摘した。
今回の発表は13日のトランプ氏暗殺未遂事件の衝撃がまだ収まらない中で行われた。銃撃事件は大統領が死亡したり、職務を全うできなくなったりした場合に大統領職を引き継ぐ副大統領の重要性を思い起こさせるものだ。
バンス氏は78歳のトランプ氏より約40歳若い39歳と、党の世代交代の可能性を示す。同時にバイデン大統領の地元ペンシルベニア州やミシガン州、ウィスコンシン州などの激戦州で民主党の重要支持基盤だった労働者層へのアピールを強化する共和党の取り組みに新鮮な風を吹き込むと期待される。
スコット上院議員(サウスカロライナ州)やルビオ上院議員(フロリダ州)のほか、強力な献金基盤を持ち、ウォール街やビジネスリーダーの間で人気のある元テクノロジー企業幹部のノースダコタ州のバーガム知事も副大統領候補として名前が挙がっていた。
貧しい生い立ち
バンス氏が最初に注目を集めたのは2016年に出版した自伝「ヒルビリー・エレジー」だった。同氏は自身のオハイオ州での貧しい生い立ちを赤裸々に描き、白人労働者階級が直面する問題について国民的な議論を巻き起こした。
同氏は以前、トランプ氏が白人労働者階級を冷遇している批判していたが、その後、トランプ氏支持に転じた。
バンス氏は22年上院選でトランプ氏の支持を得て共和党候補となり、激戦を制して上院議員となった。同氏は米中貿易摩擦や国境警備強化など多くの重要政策でトランプ氏と一致する主張を行っている。
バンス氏はまた、米国のウクライナ支援に声高に反対する1人でもある。同氏はブルームバーグとのインタビューで、キーウ小児病院への最近のロシアによるミサイル攻撃について、「悲劇的で恐ろしいことだが、米国には世界のあらゆる悲劇に対応する能力も関心もないという私の基本的な考えは変わらない」と述べていた。
ウクライナ支援に関するこの立場は、ジョンソン下院議長やマコネル上院院内総務、共和党内で国家安全保障に関わる重鎮の多くと対立するものだ。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
ラガルド総裁より他の理事、市場が重視するECB当局者発言-調査 - Bloomberg
ブルームバーグはエコノミスト25人を対象に、6人から成るECB理事会のうち発言を最も参考にするメンバー2人を挙げてもらう調査を実施。ラガルド総裁との回答は40%に過ぎず、市場担当理事のシュナーベル氏、チーフエコノミストのレーン氏の方が注目されていることが明らかになった。
ユーロ圏20カ国の中央銀行総裁の中で、エコノミストが最も耳を傾けるのはフランス中銀のビルロワドガロー総裁、オランダ中銀のクノット総裁だ。クノット氏はラガルド総裁の後を継ぐ次期ECB総裁候補との声もある。この2人に、ドイツ連銀のナーゲル総裁が3位で続く。
ECB、レバレッジドファイナンス調査の結果通知を先送りへ-関係者 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)は高リスク融資に対する大規模な調査の結果通知を遅らせる見通しだ。調査について複数の銀行が示した不満を認めた格好になる。
事情に詳しい関係者によると、ECBはレバレッジドファイナンス検証の最終結果通知を少なくとも9月まで延期する公算が大きい。当初は今月あたりの通知を予定していた。
調査対象となった複数の銀行から検証作業の実施方法について異例の大きな批判を受け、ECBは批判への直接的な対応として延期を決定したと、非公表の情報だとして匿名を要請した関係者は述べた。
ECBはまた、銀行に求める貸倒引当金の積み増しを今年に入り銀行側に暫定的に伝えていた規模よりも縮小する可能性が高い。ECBは調査で生じた不満への解決策について、対象の銀行と連絡を続けていると、関係者の2人は語った。
関係者によると、調査はサンタンデール銀行、BNPパリバ、ドイツ銀行、インテーザ・サンパウロ、ソシエテ・ジェネラル、ウニクレディトを含む欧州銀のほか、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、HSBCホールディングス、JPモルガンの欧州部門など合計10数行が対象になった。
HSBCからはコメントの要請に対する応答がなかった。その他の銀行はコメントを控えた。
7月利下げ観測後退、9月含め年内3回の緩和予想 FRB議長発言で | ロイター
インフレ抑制、第2四半期に進展 「確信幾分強まる」=FRB議長 | ロイター
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は15日、第2・四半期の毎月のインフレ指標は、物価上昇ペースがFRBの目標に持続可能な形で戻りつつあるという「確信をいくらか強める」ものだったと述べ、利下げ開始がそう遠くない可能性を示唆した。
パウエル氏はワシントン経済クラブ主催の会合で、インフレ抑制を巡り「第2・四半期にいくらか進展があった」とし、「過去3回のインフレ指標は改善しており、平均するとかなり良い状況にある」と述べた。
その上で「インフレ率が持続的に2%に戻るという確信が強まるまで、政策を緩和し始めるのは適切ではないとこれまでも述べてきた」と言及。「われわれはそうなるのを待っていた。第1・四半期には一段の確信は得られなかったが、先週のものを含め、第2・四半期の3回の指標である程度、確信が高まった」と語った。
このほか、米経済が大きな波乱に見舞われることはないと予想。経済のハードランディングシナリオは「最も可能性の高いものでも、ありそうなシナリオでもない」とした
パウエル氏の説明からは、同氏がインフレはFRBの目標に着実に回帰し、完全雇用を守るための余地が生まれるような均衡状態に戻ったと、主要な点において捉えていることがうかがえた。
「労働市場には緩みはない。基本的に今は均衡している」とする一方、インフレ率が2.5%であることを指摘。失業率が急上昇することなくインフレ率がピークから低下していることは従来の常識では考えられなかったとした。失業率は4.1%で、2%のインフレ目標と整合的な完全雇用を示すFRB当局者の予測中央値より0.1%低い水準にある。
FRB議長、任期「必ず全うする」と表明 | ロイター
パウエル氏の任期は2026年5月まで。ワシントンのエコノミック・クラブで開かれたイベントで、任期を全うするかとの質問に対し、「全うする」と答えた。
11月の大統領選で返り咲く可能性が取り沙汰される共和党のトランプ前大統領はFRBの政策運営を非難してきた経緯がある。
●先進国、グローバル、金融市場
世界の金融市場でトランプトレード強まる可能性、暗殺未遂事件受け - Bloomberg
トランプ前米大統領の暗殺未遂事件を受け、世界の金融市場が再開し始めたときに起きる可能性が高いのは、トランプトレードがさらに勢いを増すということだ。
トランプ氏がホワイトハウスに返り咲き、減税や関税引き上げ、規制緩和を実現させるとの観測に基づく一連の取引は、先月の討論会でのバイデン大統領の精彩を欠くパフォーマンスで再選に向けた取り組みが危うくなって以来、既に勢いを増していた。
しかし、そうした取引がさらに活発になりそうだ。トランプ氏はペンシルベニア州の選挙集会のステージ上で耳を撃たれた後、毅然(きぜん)とした姿勢を示すことで支持者を奮い立たせ、同情を引いている。
ドルはアジア時間の早い段階で、大半の通貨に対して上昇を開始。緩やかな財政政策を背景に債券利回りが上昇を続ければ、さらに値上がりする可能性がある。
ビットコインは6万ドルを突破。トランプ氏の暗号資産(仮想通貨)に優しい姿勢を反映している可能性がある。S&P500種株価指数先物はニューヨーク午後6時5分(日本時間15日午前7時5分)時点で0.1%上昇。
トロント・ドミニオン銀行の外為・新興国市場戦略のグローバル責任者マーク・マコーミック氏は、「われわれにとって、このニュースはトランプ氏が最有力候補であることを裏付けるものだ。われわれは、2024年後半から25年初めにかけてドルの強気を維持する」と述べた。
政治的暴力の出現は、米国の不安定性に対する懸念を深め、投資家を安全資産に向かわせる可能性がある。
米10年債先物はアジア時間早朝の取引で下落したものの、米国債は投資家が一時的な安全を求めると上昇する傾向があるため、トランプ氏の財政・通商政策がインフレ圧力を高めるとの見方から長期債のパフォーマンスが低下し、イールドカーブがスティープ化することを見込んだ国債市場のトランプトレードが歪む可能性がある。
JPモルガン・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は、「政治リスクは二律背反でヘッジが難しく、接戦ということもあって不確実性が高かった。それがボラティリティを高めている。共和党が大勝する可能性がさらに高まったと思う」と指摘。「イールドカーブにスティープニング圧力がかかる可能性がある」と付け加えた。
原油じり高、トランプ氏襲撃で地政学的リスク注視-ビットコイン上昇 - Bloomberg
原油価格はじり高。トランプ前米大統領が選挙集会で撃たれたことで地政学的リスクが再び注目されている。15日には中国共産党の第20期中央委員会第3回総会(3中総会)も開幕する。
北海ブレントは1バレル=85ドルを超え、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は82ドル付近。トランプ氏が襲撃されたことで、米大統領選に新たな不透明要因が加わった。ドルは小幅に上昇。
暗号資産(仮想通貨)ビットコインは6万1000ドルを突破した。15日の取引で一時2.2%高となり、シンガポール時間午前7時3分時点で6万850ドル。
ドルはG10通貨全てに対し上昇。メキシコ・ペソが売られ、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは約2週間ぶりの高値を付けた。こうした動きは、新たなトランプ政権が拡張的な財政政策や関税引き上げを実施するとの見通しを反映している。
米国債は長期債利回りの上昇が大きく、2年債と10年債のスプレッドは1月以来の大きさに拡大。30年債利回りは1月31日以降で初めて2年債を上回った。
アジア株は下落。香港に上場している中国本土企業から成るハンセン中国企業株(H株)指数は下げ幅を拡大した。中国が15日発表した4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)統計は経済成長の鈍化を示した。
S&P500種株価指数先物とナスダック100先物は、米国株が値上がりして始まることを示唆している。
サクソ・キャピタル・マーケッツのマーケットストラテジスト、チャルー・チャナナ氏は「トランプ2.0の可能性が高まったことを市場は織り込み、ドルに追い風が吹く一方、メキシコ・ペソと中国人民元は下落する可能性がある。『トランプトレード』が再び注目されるかもしれない」と述べた。
また、トールバッケン・キャピタル・アドバイザーズのマイケル・パーブス最高経営責任者(CEO)は「トランプ氏の大統領選勝利の見通しがいっそう強まるなら、米国債の利回り曲線はベアスティープ化するだろう」と語った。「株式に関しては、全体的な方向性に変化があるとは思わないが、法人税減税や規制緩和で恩恵を受ける銘柄もあるだろう」と指摘した。
再度のトランプ政権がいわゆるトランプトレードに連動するエネルギー企業株などの資産をどのように押し上げるか、投資家は見極めている。
三菱UFJ銀行シンガポールのストラテジスト、ロイド・チャン氏は「一般的にリスクオフ環境からドルが恩恵を受けると想定される」と指摘し、神経質な相場展開でドルが1日を通じ上昇を続ける可能性があると予想した。投資家は引き続き円買い介入リスクに神経をとがらせている。
NY連銀製造業指数、8カ月連続で縮小圏-販売価格が1年ぶり低水準 - Bloomberg
7月のニューヨーク連銀製造業景況指数は8カ月連続で縮小圏となった。販売価格指数は1年ぶりの低水準に落ち込んだ。
ニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス6.6
予想中央値はマイナス7.6
前月はマイナス6.0
指数はゼロが活動の拡大と縮小の境目
仕入れ価格指数は2ポイント上昇してプラス26.5。販売価格指数は1ポイント低下のプラス6.1。
新規受注はマイナス0.6とほぼ変わらず。前月はマイナス1.0だった。雇用者数の指数は改善したものの、なおマイナス7.9と縮小圏にある。
6カ月先の景況見通しはプラス25.8に低下し(前月はプラス30.1)、製造業者が景気の先行きについて楽観的な見方をやや弱めていることが示唆された。新規受注と出荷の6カ月先見通しも、いずれも拡大圏ながら鈍化した。
円の弱気トレンド脱却、今月の日銀利上げだけでは不十分との見方 - Bloomberg
明らかな円買い介入に加え、米国債利回りの低下が全般的にドル相場の重しになったにもかかわらず、円の対ドル上昇率は先週、2%弱にとどまった。このことは、円が下落トレンドから決定的に抜け出すためには、政府・日銀のさらなる支援が必要であることを示唆している。
年初来で11%の円下落は国内のインフレ圧力に拍車をかけており、日銀が7月31日に追加利上げに踏み切る可能性を残している。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、日本のインフレ率は6月に2.9%に上昇し、日銀目標である2%を大幅に上回ったもようだ。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、7月の日銀会合に向け円安が続けば、日銀は国債買い入れの減額ペースを決めつつ、早めの利上げ検討も必要だとみている。明らかな介入で、日銀に引き締め圧力がかかり続けていると野村は11日のリポートで指摘した。
スワップ市場では、日銀が10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを行う確率が51%に低下。日銀の利上げで円が上昇する余地はあるが、弱気トレンドから抜け出すには十分ではないかもしれない。
また、もし日銀が国債買い入れ減額発表に加え、利上げした場合、日銀の行動は物価安定という使命に基づいておらず、不安定な為替相場に動かされていると見なされるリスクがあると論じるアナリストもいる。
後藤氏によれば、日銀が15bpの利上げを行えば、円は2、3円上昇するかもしれないが、利上げだけではドル・円の方向性を変えるには不十分である公算が大きい。スワップは、15bp利上げの確率を35%程度と織り込んでいる。
バークレイズ銀行は、日銀が今月、政策金利を0.25%に引き上げると想定しているものの、ドル・円への影響は限定的で、1ドル=160円で今四半期を終えると予測。12日は158円前後での推移だった。
ブルームバーグが日銀当座預金残高の見通しを分析したところ、政府・日銀は11日に約3兆5000億円の円買い介入を実施したもようだ。
バークレイズのアジアFX&EMマクロ戦略責任者ミトゥル・コテチャ氏(シンガポール在勤)は、「円安が今月の日銀利上げ見通しを高める一方で、国内外の利回り格差は円高への持続的な反転には広過ぎるとわれわれは考えている」と明らかにした。
円強気派は、16日に発表される6月の米小売売上高が米経済減速のシグナルとなることを期待するかもしれない。実際にそうなれば、米国債利回りはさらに低下し、ドル相場の重しになる。だが、もし強めのデータが出れば、人々の関心はすぐに日銀の政策決定に戻るだろう。
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)の為替戦略責任者レイ・アトリル氏(シドニー在勤)によると、「金利に変化がなければ、円売り再燃の可能性」がある。
バイデン氏、家賃値上げ率の上限設定を提案=米紙 | ロイター
メキシコ・ペソ下落、暗殺未遂事件でトランプ氏復権の予想強まる - Bloomberg
ペソは一時約1.3%安となった後、下げ幅を縮小して1ドル=17.8ペソ。予想変動率を示す指標は急上昇した。ペソは、トランプ氏の選挙公約と、先月の議会選で左派与党が圧勝したことに伴う一連の国内政策変更という二重の脅威に直面している。 
ウェルズ・ファーゴのマクロストラテジスト、アループ・チャタジー氏(ニューヨーク在勤)は「トランプ氏が返り咲いた場合、ペソの見通しにわれわれは弱気だ」と指摘。同氏が掲げる広範な関税案や移民規制強化を求める訴えは相場下落を引き起こすことも多いが、「6月の選挙を受けたメキシコ国内情勢をより強く懸念していることに変わりはない。選挙によって急進的な制度改革に道が開かれた」との見方を示した。
ドル買いはいわゆる「トランプ・トレード」の一環。前大統領の2期目が貿易保護主義、インフレ圧力、大幅な財政赤字などにつながり、期間長めの債券相場が下落して米国債のイールドカーブがスティープ化することに賭けた戦略のことで、ペソに逆風となっている。
企業年金、国債の運用比率増加 金利高受け2010年以降初 - 日本経済新聞
米国「ローン拒否」21.4%、1年ぶり高水準 審査厳格に - 日本経済新聞
米国の消費者が融資やクレジットカードといった与信を受けにくくなっていることがニューヨーク連銀の15日公表の調査結果でわかった。過去1年間で融資などの申請者が審査に落ちた割合は、6月調査で21.4%と前回の2月調査から2.7ポイント上がり、2023年6月以来、1年ぶりの高水準になった。
ニューヨーク連銀は消費者向け調査の一環として与信の申請・審査状況などを4カ月ごとに聞き取り、結果を公表している。今回は、米地銀の破綻が相次ぎ金融機関が与信を引き締めたことで5年ぶりの高水準を記録した23年6月以来の高水準となった。
与信を断られた割合は「40歳以下」「41〜59歳」「60歳以上」と各年代でそろって前回調査から上昇した。借り手の信用度合いを測る「クレジットスコア」別でみても「680以下」「681〜759」「760以上」とすべての層で断られる割合が上昇し、全般的に審査が厳しくなっていることが分かった。
金融商品別では、自動車ローンを断られる人が18.5%と前回から17ポイント跳ね上がった。クレジットカードの申請や限度額の引き上げも、拒否される割合が増えた。住宅ローンの新規借り入れ審査のみ、断られる割合が前回から減少した。
●中東情勢
●エマージング
中国の4-6月GDP、前年同期比4.7%増-予想下回る - Bloomberg
中国の4-6月(第2四半期)経済成長率が予想を下回った。小売売上高が鈍化し、5四半期ぶりの低成長となった。中国共産党は15日から第20期中央委員会第3回総会(3中総会)を開催する。
国家統計局がこの日発表した4-6月の国内総生産(GDP)は前年同期比4.7%増。ブルームバーグが実施したエコノミスト調査での予想中央値は5.1%増だった。1-6月(上期)の成長率は5%と、政府の年間目標である5%前後に沿った水準となった。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期によるゆがみのない四半期指標となった今回、データに反映された減速が成長刺激の取り組みを強化するよう中国政府に求める声を強める可能性がある。18日まで4日間開催される3中総会では今後数年間の主要な経済・政治方針が決められる。
国家統計局は声明で、中国は「発展における困難や課題、不確実性を十分に見極め」、同時に今後の経済への信頼性を高め、健全な成長を促進するためにマクロ経済政策を適切に実施する必要があると表明した。
小売売上高の伸びは2022年以来最も鈍いペースとなり、自家用車や家電製品の買い替えを助成・奨励する政府のプログラムにもかかわらず、消費者が支出に消極的であることが浮き彫りとなった。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏は「きょう発表された全ての月次統計で、注目すべきは小売売上高だ」と述べ、「家計消費が依然として非常に弱い。買い替えブログラムは支出を押し上げることができなかった。雇用主が給与を削減し、若者の失業率が高く、家計は今後も慎重を期すだろう」と予想した。
中国の住宅価格、6月も下落-最近の不動産支援策は改善に寄与せず - Bloomberg
中国の住宅価格は6月も下落し、デベロッパーや経済に打撃を与えている不動産不況を食い止めることが政策担当者にとっての課題であることが浮き彫りになった。
国家統計局が15日発表したデータによると、70都市の新築住宅価格(政府支援住宅を除く)は、6月に前月比0.67%下落。5月は0.71%下げ、2014年10月以来の大幅な落ち込みとなっていた。6月の中古住宅価格は前月比0.85%下落。前月は1%下落していた。
こうした数字は、5月に発表された当局の救済策が不動産市場のセンチメント改善にほとんど寄与していないことを示す新たな証拠だ。しかし、15日開幕する中国共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回総会(3中総会)で、より積極的な対策が打ち出されるとはほとんど予想されていない。デベロッパーや住宅所有者が住宅を売却するために大幅な値引きに頼る中、価格圧力は続く公算が大きい。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、クリスティ・フン氏とモニカ・シー氏は最近のリポートで、「新築・中古住宅の過剰在庫が、さらなる価格下落への圧力となっている」と分析した。
●プロファイ、インフラ、自然災害
焦点:鳥インフルの牛への感染広がる米ミシガン州、農家は対策に消極的 | ロイター
高病原性鳥インフルエンザの乳牛を介したヒトへの感染が報告された米ミシガン州は、感染拡大防止策の導入を積極的に進めている。しかし一部の農家は負担が増すなどとして抵抗している。
米国では3月末に牛の鳥インフル感染が初めて確認され、その後牛を介したヒトへの感染が4人確認されている。うち2人はミシガン州で感染し、いずれも酪農場の従業員だ。
ミシガン州は鳥インフルの牛への感染が確認された12州で検査数が最も多く、その積極的な取り組みは他の州から注目を浴びている。
しかしミシガン州の生産者、州保健当局者、研究者、業界団体への取材と初期的データから、酪農家の感染抑制策や研究への参加は限定的なことが明らかになった。地元保健当局からの連絡は無視される場合があり、酪農研究資金は手付かずの状態で、作業員は追加的な感染防護策を講じないまま搾乳を続けている。
ミシガン州マーティンの酪農家のブライアン・デマンさん(37)は、今回の鳥インフル感染拡大は新型コロナウイルス感染症のパンデミックを思い出させると話した。デマンさんは、州の鳥インフル抑制策は義務ではなく推奨策とした方が農家に広く受け入れられると考えている。
「こうした対策に効果があるかどうかは誰にも分からない」と、農家の間に広がる不信感を代弁。「2020年のようにあれこれ指示されたくない」と言う。
農家や農業労働者によると、今年の春に多くの酪農家は従業員に追加の防護策提供を行わず、政府の勧告に従わなかった。デマンさんも、ウイルスの拡散経路がはっきりしないという理由でマスクのような防護策に資金を投じなかった。
<手薄な対策>
ミシガン州には約900戸の認可酪農場が点在。乳牛は開放型の牛舎で飼育され、飼料は保護用のシートで覆われており、重しは古タイヤだ。
ミシガン州農業局長のティム・ボーリング氏は、農家が牛の鳥インフル検査に消極的なのは、偏見を持たれ、経済的に不利益を被るのではないかとの懸念が原因だと指摘する。
ミシガン州は感染した群れを持つ農場に研究参加を促すために最大2万8000ドル(約452万円)を支給しており、州によるとこれまでに十数カ所の農場が計画に関心を示したという。また連邦政府も資金支援を行っている。
米農務省は鳥インフルの検査を強化するため、酪農家が毎週牛乳タンクを調べることができる任意のプログラムを開始。6州で6つの酪農家がそれぞれ1つの乳牛群を登録しているが、ミシガン州の酪農家からの申し込みはまだない。
<新たな脅威>
ミシガン州農業局によると、200人強の人員が家禽および牛の鳥インフル感染に対応しており、感染拡大の調査で農務省と協力。「ミシガン州は診断や感染の特定で素晴らしい仕事をしている」(ノースカロライナ州の州獣医師、マイク・マーティン氏)と、他州の獣医師から評価されている。
一方、酪農家は、次は自分の乳牛が感染するかもしれないと常に心配しているが、どのように感染を防ぐべきか確信が持てない。
ミシガン州レムスの酪農家、ダグ・チャピンさんは、従業員にウイルスのリスクを知らせるためにミーティングを開いた。作業員に保護眼鏡を着用させようとしているが、これまでは牛乳が飛び散ったら眼鏡を拭かなければならないと反対された。
ミシガン州は血液検査で酪農作業員の過去の感染を調べる全米初の試みを計画している。すでに数千人規模を対象に鳥インフル症状を監視。複雑な接触追跡システムを駆使して1日に3回テキストメッセージを送信していると、イオニア郡保健局の保健官であるチャド・ショー氏は語った。
しかし一部の酪農家は地元保健当局への協力に消極的だ。
ブランチ・ヒルズデール・セントジョセフ地域の保健当局者によると、鳥インフルの感染者が確認されたため、季節労働者に医療を提供しようと農場に連絡を取り始めたが、ほとんど反応がないという。
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(15日)株続伸、ドル小幅安・長期債利回り上昇 | ロイター
<為替> ドルが小幅安。米利下げ開始がさほど遠くない可能性を示唆するパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の発言が材料視された。
ドルはパウエル議長の発言を受けて一時急落した。終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.07%安の104.22。パウエル議長の発言前は、104.31まで上昇していた。
トランプ前大統領の暗殺未遂事件を受け、同氏が11月の選挙戦で勝利する可能性が高まったとの見方か広がる中、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは約6%高の6万3808ドル。一時、3週間ぶりの高値となる6万3838.86ドルを付けた。イーサも7%以上上昇し、3417.20ドルとなった。
ドル/円は157.89円と横ばい。パウエル議長の発言を受けて157.15円まで下落し、6月17日以来の安値を付けた。
<債券> 共和党のトランプ前大統領が11月の大統領選で返り咲く可能性が高いとの見方が高まったことで、長期債利回りが上昇した。トランプ氏が再選されれば、経済成長の加速、インフレの上昇、政府債務の増加につながるとみられている。
長期国債の利回り上昇が短期国債利回り上昇を上回ったことで、2年債と30年債の利回り「逆転」が1月以来初めて解消した。
<株式> 続伸して取引を終えた。暗殺未遂事件を受けトランプ前大統領が再選するとの見方が強まり、規制緩和に対する期待が高まった。米連邦準備理事会(FRB)が9月にも利下げを始めるとの観測もリスク選好度を押し上げ、相場を支援した。
<金先物> 反発した。米金融政策の先行きを探る上で、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の発言が注目を集めたが、内容に新味はなく、値動きは限定的だった。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比8.20ドル(0.34%)高の1オンス=2428.90ドル。
<米原油先物> 中国のエネルギー需要見通しへの警戒感から売りが優勢となり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物は前週末清算値(終値に相当)比0.30ドル(0.36%)安の1バレル=81.91ドルだった。9月物は0.18ドル安の80.84ドル。
欧州市場サマリー(15日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 4営業日ぶりに反落して取引を終えた。高級ブランドのバーバリーが急落し、約14年ぶりの安値を付けたことが響いた。
商品価格が値下がりしたほか、13日に起きたトランプ前米大統領の暗殺未遂事件を受け米国の政治的な不透明感の高まりも重荷となった。
<欧州株式市場> 4営業日ぶりに反落して取引を終えた。高級ブランドを手がける銘柄が業績発表を受けて売られたほか、13日に起きたトランプ前米大統領の暗殺未遂事件を受け、米国の政治的な不透明感の高まりも重荷となった。
高級腕時計ブランドを抱えるスイスの大手腕時計メーカー、スウォッチ・グループは9.8%下げた。2024年上半期の収益が大幅低下したとの発表が重しとなった。
これらの下落を受け、STOXX欧州高級品株10種指数は3.03%、STOXX欧州600種日用品・家庭用品株指数は2.06%、それぞれ下げた。
洋上風力開発中止を公言するトランプ米前大統領の返り咲きへの懸念を背景に、ドイツのエネルギー大手シーメンス・エナジーは4.9%、デンマークの風力発電用タービンメーカーのベスタス・ウィンド・システムズは6.4%それぞれ下落した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが小幅低下。市場は、トランプ前米大統領への暗殺未遂事件の影響を消化する展開となっている。
市場では18日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会に注目が集まる。
デリバティブ市場は、ECBが少なくともあと1回利下げを実施するという見方を織り込んでいるほか、年末までにさらにもう1回追加利下げが行われる可能性も十分にあると予想している。

備忘録(2024/7/12-14
●雑感
●決算
米BNYメロン、第2四半期利益は予想上回る 手数料収入が好調 | ロイター
第2・四半期決算は、利益が市場予想を上回った。好調な投資サービス手数料収入が利息収入の減少を相殺した。
これを受け、12日午前の市場で株価は約4%上昇した。
第2・四半期の純利益は11億4000万ドル(1株当たり1.52ドル)に増加。前年同期は10億4000万ドル(1株当たり1.31ドル)だった。収入は2%増の46億ドルとなった。
調整後1株利益は1.51ドルと、LSEGがまとめた予想の1.43ドルを上回った。
運用資産額は前年比7%増の2兆0500億ドル。カストディーおよび管理資産は6%増の49兆5000億ドルとなった。
第2・四半期の投資サービス手数料は5%増の23億6000万ドルとなった一方、証券、ローン、預金からの利息収入は6%減の10億3000万ドルとなった。
同行の株価は今年約18.1%上昇している。
米Wファーゴ、第2四半期は減益 金利収入が市場予想下回る | ロイター
第2・四半期決算は減益となった。預金コストが上昇し、利息収入がアナリスト予想を下回った。午前の市場で同社の株価は7%超下落した。
純利息収入(NII)は9%減の119億2000万ドル。LSEGがまとめたアナリストの予想平均は121億2000万ドルだった。平均預金コストは1.84%に上昇した。前年同期は1.13%だった。
同社は今年のNIIが7─9%減少する可能性があると改めて表明した。
第2・四半期の純利益は49億1000万ドル。前年同期は49億4000万ドルだった。
1株当たり利益は1.33ドルだった。LSEGがまとめたアナリスト予想の1.29ドルを上回った。
チャーリー・シャーフ最高経営責任者(CEO)は「手数料収入の伸びがNIIの減少を相殺している」と述べた。投資銀行業務の収益は38%増加し4億3000万ドルとなった。
シティ、第2四半期利益が予想上回る 投資銀業務など好調 | ロイター
第2・四半期(6月30日まで)決算は、投資銀行業務などが好調だったことで利益が市場予想を上回った。
1株当たり利益は1.52ドルと、LSEGがまとめたアナリスト予想の1.39ドルを上回った。
収入は前年同期比4%増の201億ドル。5月に実施したビザ株の転換と一部売却による4億ドルの利益が一部押し上げ要因になった。
バンキング部門の収入は38%増の16億ドル。投資銀行業務の手数料上昇が60%増加したことで押し上げられた。
サービス部門の収入は3%増の47億ドル。この部門にはシティが最重要事業と位置付ける財務・貿易ソリューション事業が含まれる。同事業は180カ国で業務を展開する多国籍企業向けに1日当たり5兆ドルの決済を処理。収入は横ばいの34億ドルだった。
マーケット部門(トレーディング)の収入は6%増の51億ドル。株式取引収入が37%増加したことで押し上げられた。
ウェルスマネジメント部門の収入は2%増の18億ドル。
米国のパーソナルバンキング部門の収入は6%増の49億ドル。
営業費用は2%減の134億ドル。組織再編で構造を簡素化したことが経費節約につながった。
通年の費用については、見通し(535億─538億ドル)の上限になるとの予想を示した。
シティは現在、ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)の下で抜本的な組織再編を実施。再編の一環として向こう2年間で従業員2万人の削減を目指している。
JPモルガン、第2四半期は過去最高益 投資銀行部門が好調 | ロイター
第2・四半期決算(6月30日まで)は過去最高益を更新し、市場予想も上回った。投資銀行部門がディールメイキングの回復と資本市場の活発化の恩恵を享受した。
投資銀行部門の収益は前年同期から46%増加して25億ドルとなった。自社の当初予想を上回った。
ただ、ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は慎重な姿勢を崩していない。「市場価格やクレジットスプレッドはむしろ良好な経済見通しを反映しているようだが、潜在的なテールリスクについては引き続き警戒している」と指摘。リスクには地政学的状況の変化も含まれており、これは依然として第2次世界大戦以降で最も危険な状況だとした。
また、巨額の財政赤字や貿易の再編などにより、インフレと金利は市場想定より高い水準を維持する可能性があると述べた。
第2・四半期の貸倒引当金繰入額は31億ドルと第1・四半期から62%増加した。
貸し出しの利息収入と預金者に支払う利息の差である純利金利入(NII)は4%増の229億ドル。高金利を受け貸し出しが引き続き好調だった。
利益は前年同期比25%増の181億5000万ドル(1株当たり6.12ドル)。クレジットカード大手ビザ(V.N), opens new tabの株式交換に伴い約80億ドルの利益を計上した。
一時項目を除く1株利益は4.26ドル。市場予想は4.19ドルだった。
トレーディング収入が好調で前年同期比10%増となった。債券トレーディング収入は5%、株式トレーディング収入は21%それぞれ増加した。
商業・投資銀行部門の上半期の収入は過去最高の355億ドルに達した。
ジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は、合併・買収、株式資本市場のパイプラインは堅調だが、年後半の債券資本市場の動向については慎重だと述べた。また、新規株式公開(IPO)市場も回復の兆しを見せているものの、本復には至っていないとした。
米銀決算に景気減速の影 金利収入減、貸倒損失6割増 - 日本経済新聞
米企業決算は増益見通し、エヌビディアやマイクロソフトなどに期待 | ロイター
米企業の四半期決算発表シーズンを迎える中、半導体大手エヌビディアやマイクロソフトなどテクノロジー大手の決算への期待が高まっている。
12日時点のLSEGのデータによると、S&P総合500種構成企業の2024年第2・四半期の利益は前年同期比10.1%増となり、第1・四半期の8.2%増から加速すると予想されている。4月初めの第2・四半期の利益予想10.4%増からはやや下がった。23年第2・四半期には前年同期比で低下したが、それ以来はハイテク関連企業の伸びや人工知能(AI)への期待を背景に改善傾向にある。
エヌビディアが5月に発表した24年度第2・四半期(5─7月)の売上高見通しは市場予想を上回った。
チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長はAI関連企業の業績予想の伸びに言及して「期待が持てる決算シーズンを迎えている」と指摘した。
米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げを開始するとの投資家の見方も株価を支えてきた。
●海外企業
AT&Tにまたサイバー攻撃、半年分ほぼ全ての携帯記録が標的に - Bloomberg
米通信大手AT&Tは12日、新たに顧客データへの大規模なサイバー攻撃があったことを明らかにした。2022年5月1日-10月31日の6カ月間に行われた携帯電話利用者ほぼ全員の通話とテキストメッセージの記録などが標的となった。同社は今年4月にも個人データの流出を報告している。
監督当局への届け出によれば、今回のデータ流出にはAT&Tのネットワークを利用した同社以外の携帯電話サービス事業者の顧客データも含まれている。同社は4月にサードパーティーのクラウドプラットフォーム上のワークスペースで情報が不正にダウンロードされたことを知ったという。
流出したデータには通話・メッセージの内容や生年月日などの個人情報および通話時刻などは含まれていないが、「流出があった期間にAT&Tまたは仮想移動体通信事業者(MVNO)の携帯電話がやりとりした電話番号は特定されている」という。
米連邦通信委員会(FCC)は、今回のサイバー攻撃について調査を行っていることを明らかにした。連邦法執行機関は国家安全保障や公共の安全に対する潜在的リスクを考慮し、AT&Tと協力して事件の公表を遅らせたと述べた。
AT&Tもブルームバーグに対し、法執行機関による調査の障害となるのを避けるために発表を遅らせたと説明。事件に関連して少なくとも1人が身柄を拘束されたとみているとも述べた。
AT&Tの顧客数は約1億1500万人。
米AT&T、1億1000万人分の顧客情報が漏洩 今年2度目 - 日本経済新聞
シティ、カード事業の損失急増で対策強化-口座解約や回収力の増強 - Bloomberg
米銀大手シティグループはクレジットカードの返済延滞が増えている問題について、その対処として使用されていないクレジットカード口座を解約している。
損失を管理する取り組みとして、延滞債務の回収能力も増強したとマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は12日、記者団との電話会見で述べた。使用されていないカードについては利用可能額を減額するほか、信用スコアの高い顧客に新たな口座が行き渡るよう引き受けの厳格化も対策に含まれるという。
メイソン氏は「当行では顧客の支払い意思を注意深く観察している」と説明。「常に監視し管理している」と述べた。
顧客が請求書の支払いに苦労している兆候が見え始めた場合、シティグループのような大手銀行はその対応で共通の定石に従う傾向がある。早めの与信枠引き下げや未使用口座の解約など、銀行は問題を抱えた顧客にとって最後の貸し手にならないよう注意している。
国内最大級のクレジットカード発行会社であるシティの取り組みは、他の大手銀行が今後陥る事態の前兆となり得る。
シティグループのクレジットカード貸倒引当金は4-6月(第2四半期)に25億ドル(約3900億円)と、前年同期の18億ドルから増加。同行の米個人金融部門に関連した純信用損失19億3000万ドルがこれに含まれる。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)当時に政府から支給された資金を消費者が使い果たしたことが、現在の状況の背景にあるとメイソン氏は説明。消費者の状況悪化にもかかわらず、シティの米個人金融部門では収入が増加したという。
シティは特異な存在ではない。ウェルズ・ファーゴやJPモルガン・チェースもそれぞれのクレジットカード事業で、第2四半期の純償却額が前年同期を60%余り上回った。
シティのジェーン・フレイザー最高経営責任者(CEO)は「個人消費は減速している」と指摘しつつ、同行の四半期決算には何ら心配な点はないと述べた。「基本的な数字が示す消費と成長エリアの多くは、裕福な顧客がもたらしている」と話した。
●日本企業
松屋、通期業績予想を上方修正 免税売り上げが拡大 | ロイター
ビックカメラ、通期業績予想を上方修正 インバウンドなど好調 | ロイター
SBI新生銀、NECキャピ株をNECなどから取得-計33.32% - Bloomberg
●米大統領選挙
バイデン氏撤退なら「まさかの人物」が出馬?トランプ氏に圧勝できる人物の名前(ダイヤモンド・オンライ…
バイデン米大統領、トランプ氏攻撃で形勢逆転目指す-激戦州で演説 - Bloomberg
バイデン米大統領は12日、自身の失言が不当に標的にされていると述べ、共和党のドナルド・トランプ氏と同氏の政策アジェンダに「スポットライトを浴びせる」と誓った。
選挙戦に大きなダメージを与えた討論会でのパフォーマンスからの脱却を目指すバイデン大統領はこの日、激戦が見込まれるミシガン州のデトロイトで開かれた集会で演説。「これからはトランプ氏の話で持ち切りになる」と支持者に語った。
バイデン氏は2期目最初の100日間の計画概要を示したほか、トランプ氏の法的問題について露骨に攻撃。「やめないで」と大合唱する支持者らに対し、「私は出馬し、勝つつもりだ。それを変えるつもりはない」と述べ、選挙戦継続の意思をあらためて表明した。
また、トランプ氏支持者らがまとめている政権移行構想「プロジェクト2025」をバイデン氏は批判。同構想には大量の国外追放や保守的政策、連邦政府機関の削減などが盛り込まれており、ニュースメディアが81歳という自身の年齢を巡る懸念を取り上げるばかりで、トランプ氏の政策プランや失態を看過していると指摘した。
バイデン氏はさらに、トランプ氏が2020年大統領選での敗北を覆そうとした「敗者」だと述べ、同氏が返り咲いた場合は独裁者として振る舞いたい考えだと批判。そうしたことは「私の目の黒いうちは絶対にさせない」と誓った。
ただ、身内の民主党議員らから選挙戦撤退を求める声が高まっており、バイデン氏は自身の適性を巡る有権者の懸念を払拭する必要に迫られた。
選挙集会前にデトロイトの飲食店に集まった有権者にバイデン氏は「約束しよう。私は大丈夫だ」と語りかけた。
選挙戦撤退を求める一部民主党議員らについては、民主党予備選で投票した有権者の意思を踏みにじっていると批判。「あなた方が私を候補者にしたのであって、他の誰でもない。マスコミでも評論家でもインサイダーでも献金者でもない。有権者であるあなた方が決めたことであり、他の誰でもない」と強調した。
マスク氏がトランプ氏に献金、巨万の富活用で24年選挙を左右も - Bloomberg
トランプ氏、副大統領候補最大5人から選考-リアリティー番組に例え - Bloomberg
ドナルド・トランプ氏は12日、11月の大統領選挙で自身の伴走者となる副大統領候補について、共和党全国大会の開幕まであと数日となった時点でも最大5人を検討していることを明らかにした。トランプ氏は副大統領候補の選考発表を、かつて自身が出演したリアリティー番組「アプレンティス」になぞらえた。
共和党の大統領候補指名が確実なトランプ氏は、さまざまな候補者を検討するうちに考えが変わったと述べ、最終的に選んだ候補を15日にウィスコンシン州ミルウォーキーで開幕する党大会中に発表したいと語った。しかし、党がトランプ氏とその伴走者を正式に指名する必要がある大会のシステム上、それは難しいかもしれないとも認めた。
トランプ氏は12日のラジオインタビューで「アプレンティスの高度に洗練されたバージョンのようなものだ」と語った。
最終選考に残っている人数についてトランプ氏は「4人か5人だと思うが、私は彼らのことをよく知っている」とコメント。「それほどうまくはいかないだろう」と思う候補者の何人かは候補から外れたと語った。また、「最終的には直感だが、直感が働く前にすべての事実を知っておきたい」と付け加えた。
トランプ氏が12日に言及したのは、スコット上院議員(サウスカロライナ州)、バンス上院議員(オハイオ州)、ルビオ上院議員(オハイオ州)とノースダコタ州のバーガム知事で、それぞれを称賛した。候補発表のタイミングについてトランプ氏はインタビューで「党大会の最中か、その少し前にしたい」と話した。
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演説中のトランプ氏、警護が駆けつけ降壇させる-耳から出血か - Bloomberg
バイデン降ろしに資金、ノボグラーツ氏らが寄付-撤退求めた議員支援 - Bloomberg
バイデン氏出馬巡る紛糾続く、有力民主議員は支持 「新リーダーと前進の時」との声も | ロイター
米民主党の有力議員2人は12日、バイデン大統領が11月の大統領選にとどまることに支持を表明した。一方、これまでに少なくとも19人の民主党議員が撤退するよう公に訴えており、バイデン氏出馬を巡る混乱は収まる様子をみせていない。
黒人有権者の支持を集める重鎮のクライバーン下院議員は米NBCの番組「トゥデイ」で、「バイデン氏がどの方向に進もうとも支持する」と述べた。
83歳のクライバーン氏は30年以上にわたり議会で活動するベテラン。2020年のバイデン氏の大統領選での勝利に主導的な役割を果たした。
民主党のホープと目されるカリフォルニア州のニューサム知事(56)もバイデン氏に対する支持を表明。CBSが公開したインタビューの抜粋で「(バイデン氏に)全てを賭けている」と語った。
一方、11日夜に少なくとも3議員、12日には新たに2議員がバイデン氏に選挙戦から撤退するよう呼びかけ、バイデン氏への撤退圧力は続く。
うちレビン下院議員は「新たなリーダーとともに前進する時だ」と呼びかけた。
側近らによると、バイデン大統領は12日、「バイデン離れ」阻止に努める中、ヒスパニック系、アジア系、中道派議員らと個別に電話会談を行った。ヒスパニック系議員グループの指導部2人はバイデン氏を支持しているものの、他のメンバーは立場を明確にしていない。
下院民主党のジェフリーズ院内総務は議員連盟に宛てた書簡で、バイデン大統領と11日夜に非公式会合を行い、民主党としての「今後の道筋」を巡り協議したと明らかにした。書簡で「バイデン大統領との対話で、議員連盟が共有する今後の道筋を巡る幅広い洞察や率直な見解、結論を直接伝えた」と述べた。
こうした中、民主党の主要献金者の一角が、バイデン氏支持派のスーパーPAC(政治活動委員会)「フューチャー・フォワード」に対し、バイデン氏が選挙戦にとどまるようであれば、約9000万ドルの資金提供を保留するよう促したと、米紙ニューヨーク・タイムズが12日、関係筋の情報として報じた
また、バイデン大統領の11日の失言について、欧州各国のメディアでは11月の米大統領選で共和党のトランプ前大統領に勝てないことを示す新たな証拠との受け止めが広がった。
バイデン氏は11日、記者会見でハリス副大統領とトランプ氏の名前を混同。ハリス氏に対する信頼について問われ「彼女に大統領になる能力がなければ、トランプ副大統領を副大統領には選ばなかっただろう」と述べた。この数時間前には北大西洋条約機構(NATO)首脳会議関連会合でもウクライナのゼレンスキー大統領を「プーチン大統領」と言い間違えたばかりだった。
「バイデン氏は終わった」と欧州メディア、失言巡り 欧州首脳は擁護 | ロイター
ドイツのショルツ首相は、バイデン氏がゼレンスキー氏とプーチン氏を混同したことに関する質問に対し、「失言は起こるものであり、あらゆる人を常に監視していれば、十分な量の失言が見つかるだろう」と述べた。
フランスのマクロン大統領とオランダのシューフ首相も同様の意見を表明した。
スペインのサンチェス首相は、バイデン氏は「元気そう」で、他の首脳らとは異なり全ての会合に出席したと言及。イタリアのメローニ首相は控えめながらもバイデン氏による「非常に良い首脳会談」を称賛した。
これとは対照的に、英紙タイムズは「疑念を抱く人たちを納得させるチャンスだったが、バイデン氏はそれを逃した」と報道。イタリア紙イル・ジョルナーレも「バイデン氏の道は終わった」と伝えた。
独紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングはバイデン氏の記者会見について「屈辱的だ。厳しい言い方をすれば、大統領の威厳は取り返しのつかないほど傷つけられた」と評した。
英紙ガーディアンも同様に、記者会見について「見るに堪えず、ブラッドスポーツ(闘牛や闘鶏など動物の血が流れる競技)のようだ」とした。
スイス紙ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングは11月の米大統領選で民主党が共和党のトランプ氏に勝利できる唯一のチャンスはバイデン氏が選挙戦から撤退することだと断言。「年老いた男が政治的な力を誇示し、か細い声を張り上げても力強さは伝わらない。バイデン氏は2期目にふさわしくない」とした。
全米自動車労組委員長、トランプ氏がバイデン氏を破る勢いと示唆 - Bloomberg
米民主党下院議員、バイデン大統領に会議で選挙戦撤退を直接要求 - Bloomberg
トランプ氏は「無事」 演説中に発砲音で、米メディア - 日本経済新聞
米国のトランプ前大統領が13日、東部ペンシルベニア州で演説中に銃撃とみられる数発の発砲音がなった。演台のトランプ氏に向けたとみられる。米メディアは、トランプ氏は「無事」で現地施設で検査を受けていると報じている。
トランプ氏は護衛に抱えられるように車に乗り込み、現場から退避した。支持者に向けて手を挙げる姿は見せた。トランプ氏の顔からは血のようなものが見えた。
米メディアによると、要人警護を担う「シークレットサービス」の広報担当者は事件後のトランプ氏について「安全だ」と語った。それ以上の詳細は明かしていない。
トランプ氏の広報担当者は「トランプ氏は元気で、地元の医療施設で検査を受けている」と説明した。「この凶悪の行為の間に、迅速に行動してくれた法執行機関に感謝する」と加えた。
バイデン米大統領はトランプ氏の事件について報告を受けた。ペンシルベニア州のシャピロ知事はX(旧ツイッター)への投稿で、州警察が現場で対応していると説明した。
米国では政治家を標的としたテロや暗殺が繰り返されてきた。
1963年にケネディ大統領が遊説先のテキサス州ダラスでパレード中に狙撃され死亡した。68年には、弟のロバート・ケネディ上院議員も大統領予備選の遊説中に銃弾に倒れた。
81年にはレーガン大統領がワシントン市内で演説後、ホテルの車寄せで銃撃される暗殺未遂事件が起きた。胸部に銃弾が命中し緊急の摘出手術を受け、一命を取り留めた。
日本では2022年7月に安倍晋三元首相が奈良市内で街頭演説中に銃撃を受け、亡くなった。
バイデン氏、米国民に結束呼びかけ-銃撃事件が選挙戦略に影響も - Bloomberg
●その他先進国政治動向
フランスの左派連合、首相候補選べず-マクロン氏は大連立呼びかけ - Bloomberg
フランスの国民議会(下院)で最多議席を獲得した左派連合の「新人民戦線」は、団結して首相候補を選ぶことができずにいる。
誰を選ぶかよりも、グループ内の意見の相違の方が重要な問題かもしれない。マクロン大統領の中道派を含めた他のグループに、穏健なメンバーを引き抜く機会を与えることになるからだ。
緑の党のマリーヌ・トンデリエ党首は12日RMCラジオで「物事が行き詰まっているので、考えを広げて、異なる解決策を提案する必要がある」と述べた。社会党、緑の党、極左の「不屈のフランス」、共産党で構成される左派連合の外の誰かということもあり得ると述べた。
フランスは、7日の第2回投票の結果、国民議会が左派連合とマクロン大統領の中道勢力、マリーヌ・ルペン氏の極右の「国民連合(RN)」の3つの派閥に分裂。政治的まひ状態に陥っている。新人民戦線は最大派閥となっているが、過半数には程遠い。
左右両派の政党はマクロン大統領の大連立の呼びかけを拒否しているが、安定した政府を作るのに十分な議席数に近づくには、異なるグループ間の何らかの同盟が必要だろう。
マニュエル・ボンパール議員は12日のTF1テレビで、首相候補は左派連合内で最も多く議席を持つ政党から選出されるべきだと述べた。それは同議員が属する不屈のフランスのように見えるが、議会の勢力図が確定するのは来週になるだろう。同氏は、話し合いのスケジュールについて明言を避けた。
同氏とトンデリエ氏は共に、マクロン氏が地方紙に掲載された書簡で訴えている「共和主義勢力」の結集は拒否し続けていると述べた。マクロン氏の提案では事実上、RNと不屈のフランスは除外される。
フランスの憲法では、大統領は首相を任命する権限を持っているが、議会は政府に不信任を突きつけることができるため、選択は難しい。マクロン大統領は、政党間の話し合いが実を結ぶ機会を与えるために首相指名を待つとしている。
マクロン派のカール・オリーブ議員によれば、現在の状況はしばらく続くかもしれない。「アタル氏が首相である状態がまだ数週間は続くかもしれない」とオリーブ氏はテレビ局Cニュースの番組で語った。マクロン氏はパリで開催のパラリンピックが終わるまでアタル氏が首相を続ける可能性を示唆しているという。パラリンピックは9月8日に終了する。
オドクサとバックボーン・コンサルティングがフィガロ紙のために行った世論調査によると、回答者の43%が連立政権を支持。これに対し、テクノクラート政権を望む人は29%だった。また、約43%がマクロン派が左派と連携する案を支持した。
●先進国中銀、金融当局
0.5ポイントもレーダー内、9月の米利下げに備え始めた米国債市場 - Bloomberg
米国債市場では9月利下げの観測が広がっているが、標準的な25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ではなく、50bpの利下げを織り込み始めている。
この現象はフェデラルファンド(FF)金利先物市場で見られている。11日に発表された米消費者物価指数(CPI)が予想より弱かったことに端を発した10月限の買いは、12日も続いている。10月末に期限を迎える同限月はすでに、9月18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの利下げが決定することを100%の確率として織り込んでいる。
高い価格での買いは、標準を上回る幅での緩和サイクルが始まるとの見方に賭けるトレーダーが増えていることを意味する。
7月31日と9月18日の両FOMCで25bpの利下げが決まれば、このポジションにはプラスに作用する。しかし7月利下げの期待は数週間前に消えており、ウォール街の主要銀行でもそうした予想はない。
CMEグループがまとめた先物建玉データには、11日の買いに新たなリスクが生じていることを示唆する。出来高は26万枚弱で、10月限としての過去最大規模に迫った。12日午前の時点でもなお買い意欲は強く、ニューヨーク時間午前10時30分時点で15万枚弱。
前日のCPIに比べればPPIによる影響はわずかだったため、市場に織り込まれている米金融政策見通しはこの日、ほとんど変わっていない。
FOMCの決定によって決済価値が決まるスワップ取引は、9月の25bp利下げと、年内合計60bpの利下げを完全に織り込んでいる。つまり25bpの利下げ2回に加え、同幅での3回目があることを40%の確率としている。
●先進国、グローバル、金融市場
米PPI、6月は予想を若干上回る伸び-利幅拡大が影響 - Bloomberg
南仏地中海沿岸で高級不動産ブーム、柔軟に働く米富裕層の需要で拍車 - Bloomberg
リモートワークの柔軟性を持つ裕福な米国人がフランス南東部地中海沿岸のコートダジュールにある高級住宅を買いあさっており、美しいビーチや豪華なヨット、華やかなカンヌ国際映画祭で知られるこの地域の不動産価格を高騰させている。
フレンチ・リビエラとも称されるコートダジュールでは、1500万ユーロ(約26億円)以上の評価額の住宅の価格は2023年までの5年間で15-20%上昇し、同時期のロンドン(13%上昇)を上回る値上がりを記録したことが、不動産ブローカー、ビーチャム・エステートのデータで分かった。
調査によると、新型コロナウイルス禍後に外国の購入者、特に米国や中東からの買い手がリモート勤務可能なセカンドハウスを求める動きが再び強まっていることが値上がりを後押ししている。ビーチャムのカンヌ在勤マネジングディレクター、エイドリアン・ウィリング・ラミー氏によると、このような超高級住宅地の需要は、最近の仏国民議会(下院)選挙による政治的混乱でも損なわれる可能性は低い。
外国の購入者は、フレンチ・リビエラやドバイ、マイアミのような太陽が降り注ぐ富裕層の集まる地域で1年のうち長期にわたり居住可能な長期投資用の住宅を探している。「最近の仏下院選は意思決定には関係なく」、「選挙の前も後も、フレンチ・リビエラで最も人気のあるトロフィー・ハウスの需要は安定している」とウィリング・ラミー氏は話す。
コートダジュールの不動産ブームは、他の高級住宅地がここ最近低迷しているのとは対照的だ。
米国や欧州では借り入れコストの上昇と景気後退懸念が一部の高級住宅市場の妨げとなっている。不動産コンサルタント会社ナイト・フランクによると、24年1-3月(第1四半期)のニューヨークとロンドンのプライム不動産(市場の上位5%と定義)の価格は、前年同期比で2%余り下落した。
しかし、フレンチ・リビエラのカップフェラやサントロペ、カップダンティーブといったリゾート地は外国のハイブリッドワーカーの需要を引きつけており、沿岸部の7万カ所以上の不動産が現在は外国人のセカンドハウス購入者によって所有されている。
ビーチャム・エステートの創業ディレクター、ガリー・ハーシャム氏は「裕福な買い手たちは、世界中どこにいても仕事ができるようになり、自宅でビジネスができるようになった」と指摘。「フレンチ・リビエラでの購入や賃貸を検討している人々は、純粋な夏の別荘ではなく、セカンドハウスを持ちたいと考えるようになってきている」と述べた。
ブローカーのサヴィルスによると、英富豪ジョン・コードウェル氏ら大物デベロッパーが開発を手掛けるカップダンティーブでは、500万ユーロ以上のプライム住宅物件の取引件数が過去2年間で倍増している。
たそがれ迫るPE業界、米クリアレイクの資産価値に疑問符-負債拡大 - Bloomberg
米プライベートエクイティー(未公開株、PE)投資会社のクリアレイク・キャピタル・グループは、英サッカー、イングランドプレミアリーグのチェルシーFCを所有していることで知られ、最新ファンド向けに資金を調達中だ。だが、一部の投資家や債権者は企業買収ブーム絶頂期に同社が関与した資産の価値について疑問を投げかけている。
2020年当時、クリアレイクは6本目の旗艦ファンドへの出資を断るほど人気があった。カリフォルニアを拠点とする同社は、リミテッドパートナー(LP)として資金を拠出している年金基金や保険会社などの出資者に最高級のリターンを提供してきた。ヘルスケアソフトウエア会社のプロベーションやセルフストレージ事業のジャナス・インターナショナルなど、従来ファンドの出資先企業がクリアレイクとそのLPに素晴らしい利益をもたらしていた。
しかし、6号ファンドで70億ドル(約1兆1300億円)以上を調達後わずか数年で、世界は大きく変わった。20年代初めのころは投資家から集めた新たな資金で投資を続け、バリュエーションが高い時期に企業を買収。買収先企業の負債を積み上げた。今日、高止まりする金利がそうした資産の多くに重くのしかかっている。
バイアウト業界の同業他社の多くも同じ困難に直面している。投資家はこれまでのクリアレイクの実績を評価し、最新の150億ドルの資金調達にも大挙して参加している。
しかし、クリアレイクは20-22年に巨額の資金を投じたPE投資各社が現在直面している課題の縮図になっている。ブルームバーグが6月末に集計したデータによると、同社はPE投資会社の中で、債務100億ドル以上が不良債権となっている投資先企業を最も多く抱えている。額面1ドルに対して80セント以下で取引されているローンや、価格が80セント以下でスプレッドが10ポイント以上の債券を不良債権として計算した。
ムーディーズ・レーティングスのアソシエートマネジングディレクター、クリスティナ・パジェット氏は、PE投資会社の買収全般について「21年のようなピーク時の買収は、価値を実現しようとする時に外れの資産になるだろう」と述べた。
投資家やバンカー、競合他社などでクリアレイクに詳しい人々との会話からは、合併・買収(M&A)ブームの頂点で購入された資産、特に6号ファンドの購入についての懸念が浮き彫りになっている。
クリアレイクが20-22年に買収した企業は、投資ソフトウエアメーカーのコンフルエンス・テクノロジーズや企業ITに特化したクエスト・ソフトウエアなど多くが苦境にある。一部のLPは、クリアレイクが破竹の勢いで成長した結果、過大な負担を抱えたのではないかと疑問を抱いている。
クリアレイクはまた、自社が運用する新たなファンドに資産を売却するという疑問のある慣行で知られ、そうした売却を過去に5件行っている。現在、6件目としてデジタルマーケティング企業コンスタント・コンタクトの取引について検討していると、事情に詳しい関係者は語っている。
事情を知る他の関係者は、投資家が支持している証拠として最新の記録的な資金調達の進展を指摘した。6号ファンドについて批判的な投資家でさえ追加資金を出している。投資家は、クリアレイクが巧みな財務戦術で、バイアウト会社にとって厳しい時期を乗り切ると期待している。
他のPE投資会社と同様に、クリアレイクは買収先企業が窮地に陥った場合その貸し手に対して強硬手段に出ることが多く、自社のLPを大きな損失から保護している。
栄光の日々
クリアレイクは06年にホセ・E・フェリシアーノ、ベハダ・エグバリ両氏によって設立され、伝統的なバイアウトとディストレスト投資を通じてテクノロジーや消費財、工業などの企業に投資してきた。10年代の終わりに本格的な軌道に乗り、低金利と低インフレで、資金を大量に抱えた年金基金がプライベート市場に投資する栄光の時代に入った。
長期にわたるM&Aブームで資産価格はどこもかしこも上昇し、PE投資会社はより多くの資金を確保するため、繰り返し資金を調達した。
クリアレイクは15-21年に2、3年おきに新しいバイアウトファンドを設定。そのたびに規模が約2倍になるような調達を行ったため、同社の資産は800億ドル以上に膨れ上がった。
ジョンズ・ホプキンズ・キャリー・ビジネススクールで最近まで教えていたジェフ・フック氏は「複数のファンドを持ち、2、3年ごとに新しいファンドを立ち上げていると、あっという間に資金を使い果たしてしまう」と述べた。
コネティカット州はクリアレイクの複数のファンドに投資しているが、同州が最近出したデューデリジェンス(資産査定)リポートは、クリアレイクの運用資産急増について「規律と集中の欠如による戦略ドリフトの懸念を引き起こす可能性がある」と指摘している。
同州の年金コンサルタントは、クリアレイクが「歴史的に投資先企業で高いレバレッジレベルを利用しており、現在の市場環境では懸念が生じる」とも分析。多くの同業他社と同様、同社は金利変動に対して十分なヘッジを行っていなかった。
フェリシアーノ氏とエグバリ氏による最新のLP開拓努力は、投資家の不安をよそに順調に進んでいるようだ。クリアレイクは昨年、8本目のバイアウトファンドの資金集めに乗り出し、22年にクローズした7号ファンドで集めた140億ドルを超えることを目指すとしていた。
1年後の現在、150億ドルの目標に対して100億ドル近いコミットメントを獲得しており、投資家に特別なインセンティブを提供する必要はないと事情に詳しい関係者は語っている。
問題点
最新ファンドにどれだけコミットすべきか思案中の投資家の一部は、過去数年間の投資に通常より注意を払っており、特に20-22年の活況期における投資に目を向けている。
その期間の投資先企業の多くは苦境に立たされている。21年に買収したコンフルエンスはムーディーズによって格下げされた。ムーディーズは「高レバレッジの資本構造と弱い流動性」が「攻撃的な財務戦略」を示唆していると指摘した。
クリアレイクはまた、6号ファンドが買収した中で高債務を抱えるクエストとサイバーセキュリティー企業、RSAセキュリティーの一部を統合して新事業とし、株式を売却することも検討している。以前にRSAの1部門を売却し、その資金を投資家への資金還元に充てたことに対し、RSAの一部貸し手は眉をひそめた。
そのほか21年に買収したヘルスケアの電子請求書作成会社フィンスライブ、6号ファンド以外の資産では18年に買収したカスタムホイール企業のホイール・プロズ、20年代初頭に買収されたプラスチックボトルメーカーのプレティアム・パッケージングも苦境に直面した。
チェルシー買収は一部の投資家には不評だったが、財務的に判断するには時期尚早だ。チームは昨年、税引き前で9010万ポンド(約187億円)の赤字を計上したが、同年12月31日時点のチームの評価額は、クリアレイクが買収に投じた額をわずかに上回った。
チームのオーナーらは若いタレントへの巨額の出費が最終的に報われ、マンチェスター・シティなどのエリートクラブと競えるようになることを期待している。
忍耐強い資本
このような忍耐強さを求める声は、より広範なビジネスにも当てはまる。PE投資の性質上、クリアレイクのようなバイアウト企業は長い時間をかけて投資を行うことができる。四半期に一度しか資産評価をする必要がなく、1件の投資の大成功で多くの不発を補うことができる。同社は、ウェルスマネジメントのフィンテック企業ベータNxtなど最近の投資先については意気軒高だ。
バイアウト会社のもう一つの特徴は、不良債権をリファイナンスする際、しばしば貸し手の犠牲の上に、自社とそのLPのリターンを守るために並々ならぬ努力をすることだ。
クリアレイク傘下のボトルキャップメーカー、バルコア・パッケージングの債務再編を例にとると、同社は最近、新たな資金を提供すると約束した債権者グループに対し額面1ドルに対し90セント以上での債務交換を提示。グループに加わらない債権者は返済順位の最後に追いやられ、60セントでの交換もあり得る。
こうした強硬なアプローチは、状況が悪い中でもリターンを守るのに寄与している。ペンシルベニア州職員退職年金基金の昨年12月の報告によると、クリアレイクが継続ファンドに売却したホイール・プロズの投下資本倍率(MOIC)は5倍以上、プレティアムは2倍以上だった。
コネティカット州の資料によれば、6号ファンドの正味IRR(内部収益率)は昨年12月31日時点で24%で、同州の年金制度はデューデリジェンス報告書の後でも、クリアレイクの8号ファンドに2億ドルをコミットしている。
一方、PEファンドが投資家にどれだけ還元しているかを示すDPI(実現倍率)という指標は、比率が1であれば投資家は資金を取り戻したことになるが、コネティカット州の資料によると6号ファンドのDPIは昨年末時点で0.1。同ファンドがポートフォリオから価値を実現するためにどれだけ多くの仕事が残っているかを示している。
数週間前にクリアレイクがLP向けの年次総会を開催した際、講演者として元英首相のボリス・ジョンソン氏を招いた。同氏はPE投資と同様に、10年代から20年代への変わり目に人気のピークを迎え、その後は勢いを失った。同氏も業界も、絶頂期の高みに戻るのは容易ではない。
アングル:スペインで住宅不足深刻、観光ブームも追い打ち | ロイター
EU加盟国の総人口、2023年は2年続けて増加 移民流入で | ロイター
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が11日発表したデータによると、2023年のEU加盟27カ国の総人口は前年の4億4760万人から4億4920万人に増えた。EU域内は死亡数が出生数を上回り続けているが、移民の流入が人口を押し上げた。
EUの総人口は新型コロナウイルスのパンデミックの影響で2020年と21年に減少したが、その後は2年連続で増加した。
流入した移民を国別にみると、ロシアとの戦争から逃れてウクライナから避難してきた人が目立った。
欧州では2012年以降、出生数から死亡数を差し引いた数がマイナスもしくは停滞傾向を続けている。高齢化も踏まえて、労働力不足や将来の福祉財源が懸念されている。
米国債の年初来リターン、数カ月ぶりにプラス圏に | ロイター
米ミシガン大消費者信頼感、7月速報値は低下 インフレ期待は改善 | ロイター
米ミシガン大学が12日発表した7月の消費者信頼感指数(速報値)は66.0と、前月の68.2(確報値)から低下した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は68.5だった。
消費者調査ディレクターのジョアン・シュー氏は「消費者のほぼ半数が今後数年間でインフレが継続的に緩和すると予想している」ものの、依然として物価高の影響にさらされていると述べた。
1年先と5年先のインフレ期待は、いずれも2.9%と、前月の3.0%から低下した。
オックスフォード・エコノミクスの米国担当副チーフエコノミスト、マイケル・ピアース氏は「実際にインフレ率が低下していることも踏まえると、9月の利下げ開始に道が開かれる」と述べた。
米6月PPI、前月比+0.2%と予想上回る 9月利下げ観測は変わらず | ロイター
米労働省が12日発表した6月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比(季節調整済み)0.2%上昇と市場予想(0.1%上昇)を若干上回った。サービス価格が上昇した。ただ米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを開始するとの見方は変わらなかった。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「工場の現場では消費者物価指数(CPI)に影響を及ぼすようなインフレ圧力はあまり感じられない」と指摘。「卸売物価の圧力は弱まりつつあるが、その傾向は劇的というよりはむしろ弱々しいものだ」と述べた。
5月の前月比は変わらずだった。
6月の前年比は2.6%上昇と2023年3月以降で最大の伸びを記録。市場予想は2.3%上昇、5月は2.4%上昇だった。
6月はサービス価格が0.6%上昇した。5月は0.3%上昇だった。
卸売業者や小売業者が受け取るマージン(利ざや)の尺度である最終需要貿易サービスが1.9%上昇したほか、ポートフォリオ管理費が前月の0.8%下落から一転1.0%上昇。航空運賃も前月の3.9%下落から1.1%上昇に転じた一方、宿泊費は前月の2.7%上昇から0.2%下落となった。
財の価格は0.5%下落。5月は0.8%下落だった。ガソリンが5月の7.3%下落に続き5.8%下落した。食品も0.3%下落。5月は変わらずだった。
変動が大きい食品とエネルギーを除いた財のコア指数は変わらず。5月は0.2%上昇だった。
食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いたコア指数も変わらず。5月は0.2%上昇していた。前年比では3.1%上昇。5月は3.3%上昇だった。
食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.4%上昇、前年比3.0%上昇。市場予想は前月比0.2%上昇、前年比2.5%上昇だった。
PPIとCPIに基づくと、FRBが重視するコア個人消費支出(PCE)は6月に約0.13%上昇となる見通し。5月は0.1%上昇だった。
前年比では2.5%上昇となる見込み。5月は2.6%上昇だったが、エコノミストによると小幅に下方改定される可能性があるという。
キャピタル・エコノミクスの北米チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「9月の利下げが見込まれているが、7月に予想外の動きが起こる可能性も完全には排除できない」と述べた。
円が対ドルでまた急騰、一時157.30円 対ユーロでも1円超 | ロイター
アングル:介入にレートチェック、円安阻止へ総動員か 投機の円売りは当面休止 | ロイター
世界の信用環境、今後3カ月で悪化する見通し=調査 | ロイター
国際信用ポートフォリオマネジャー協会(IACPM)が11日公表した四半期調査によると、世界の大手金融機関のポートフォリオマネジャーは信用環境が今後3カ月で悪化すると予想している。
調査では、企業の債務不履行増加と信用スプレッド拡大の見通しが広がっていることが示された。
IACPMの総合クレジット・デフォルト指数は第2・四半期にはマイナス36.5だったが、第3・四半期開始時点ではマイナス44.1に低下した。同指数は水準が低いほど、債務不履行の増加と信用スプレッドの拡大が見込まれていることを示している。
IACPMの幹部は「金利は長期にわたって高めの水準で推移しており、借り手は継続中のインフレがもたらす困難と苦痛を実感し始めている」と述べた。
IACPMによると、調査に回答したポートフォリオマネジャーはまた、中東などにおける地政学的緊張を注視している。ただ回答者の過半数は、米国などが景気後退に陥るとは予想していない。
富裕層課税強化へ支持求める、大統領・首相経験者がG20に書簡 | ロイター
世界の大統領・首相経験者らで構成するNPO「クラブ・オブ・マドリード」のメンバー19人はこのほど、20カ国・地域(G20)の現職の大統領・首相に富裕層への課税を世界全体で強化する政策を支持するよう求める公開書簡を送った。
書簡にはチリのバチェレ元大統領やオーストラリアのギラード元首相などが署名。バイデン米大統領が打ち出した富裕層への課税強化案を高く評価し、最富裕層による課税逃れとの闘いで協力を進めるよう呼びかけている。
富裕層への課税強化はG20が2月にサンパウロで開いた財務相・中央銀行総裁会議で浮上。議長国のブラジルは7月下旬にリオデジャネイロで開く財務相・中央銀行総裁会議の声明に盛り込むべく支持を集めようとしている。
ブラジルの提案は著名経済学者のガブリエル・ズックマン氏が起草した。保有資産10億ドル超の富裕層に年2%の税率で課税すれば、約3000人から最大で年2500億ドルの税収を集めることができるとしている。
これまでにフランス、スペイン、コロンビア、ベルギー、南アフリカなどが賛意を表明する一方、ドイツのリントナー財務相は国際課税の分野に新たな検討項目を設けることには極めて懐疑的だと述べたほか、イエレン米財務長官も否定的な見解を示している。
ドイツ企業、今年の見通し悪化 売上増は25年と過半数が予想=調査 | ロイター
ドイツの製造業者の半分以上が2024年について悲観的な見方を強めており、名目売上高の増加が実現するのは来年と考えている。ドイツ機械工業連盟(VDMA)が11日に公表した調査で分かった。
それによると、今年の売上高が減少するとみている企業は全体の約40%、停滞を予想する企業は23%に上った。
VDMAの経済アナリスト、ラルフ・ビーチャーズ氏は「24年下半期の好調に期待した企業は少なくないが、受注に関しては多くにとってそれが実現していない」と述べた。
調査対象となった932社のうち22%が、計画の安全性と信頼できる経済・政治環境の欠如から今年は投資が減少すると予想。一方、半分以上が25年に投資を増やすと予想している。
また企業の約3割が自社の状況を「悪い」または「非常に悪い」と評価、29%が「良い」または「非常に良い」と評価した。
ビーチャーズ氏は、年初には企業の半数強がより楽観的だったが、全般的な見通しはよりネガティブな方向に傾いていると述べた。
「新時代」のプライベートクレジット、透明性欠如=ムーディーズ | ロイター
米格付け会社ムーディーズは、プライベートクレジット市場が従来の領域を超えて拡大する「新時代」に入っており、不透明な性格が浮き彫りになっていると指摘、規制当局が米経済に対する将来のリスクを懸念する可能性があるとの報告書を11日にまとめた。
報告書では規制当局や業界団体の見解が引用されている。
プライベートクレジットでは、ノンバンクが貸し手となり主に中堅企業(ミドルマーケット)に非公開市場で融資する。銀行は数年前からこうしたノンバンクとの競争激化に見舞われている。
ムーディーズによると、最近はプライベートクレジットの貸し手が投資家の需要拡大を背景に、資産担保融資などミドルマーケット以外のオルタナティブ融資に進出。銀行も対抗して融資を増やしており、プライベートクレジットの貸し手は投資収益の低下を受けて、投資適格級の資産担保融資など新たな事業機会を模索している。
「この非常に多様な資産クラスは、売掛債権やリースから得られる広範囲なキャッシュフローに支えられており、ミドルマーケット融資の潜在的な成長力をしのいでいる」という。
ムーディーズによると、規制当局はこうしたプライベートクレジットの成長の「新時代」が「リスクの相互連関の拡大」を引き起こすと懸念。特に銀行や保険会社がプライベートクレジットの貸し手と提携したり、貸し手の資金調達に参加している点が懸念要因という。
プライベートクレジット部門を持つ上場大手オルタナティブ資産運用会社4社(ブラックストーン、KKR、アポロ、カーライル)のクレジット運用資産は2019年第4・四半期のわずか4810億ドルから24年第1・四半期には1兆3000億ドルに拡大した。
透明性の欠如も引き続き最大の課題の1つとなっている。米連邦高裁は5日、プライベート(私募)ファンドの透明性を強化する米証券取引委員会(SEC)の新規則を巡りファンド業界が提訴していた裁判で、規則がSECの権限を逸脱しているとして無効化する判決を下した
ムーディーズはこの判決について「プライベートファンド業界の規制監督強化が遠のいた可能性を示唆」していると指摘した。
政府、24年度成長率1%前後に小幅下方修正へ=関係筋 | ロイター
政府は来週後半にも公表する年央試算で2024年度の実質成長率見通しを1月時点の1.3%から1%前後に小幅下方修正する見通し。円安・物価高による消費下振れが主な要因。今回初めて公表する25年度の実質成長率見通しは1%台前半とする見込み。複数の政府関係者が明らかにした。
1月の従来見通しでは24年度は前年比で個人消費が1.2%増、民間住宅投資が0.3%減、設備投資が3.3%増、政府支出が0.7%増を予測していた。今回の見直しでは、賃上げが円安・エネルギー価格上昇による物価高に追いつかないことを受けた消費の低迷が想定以上に長引く可能性などを織り込む。
ただ政府は賃上げの浸透や定額減税、エネルギー補助金の延長・復活などによる実質賃金のプラス転換や消費の回復に期待しており、24年度の実質成長率見通しは、民間予測(日本経済研究センター集計のESPフォーキャストは0.4%)と比較して強めとなっている。
仏EU基準CPI、6月改定値は前年比+2.5% 小幅減速 | ロイター
スウェーデン、6月は予想以上にインフレ鈍化 追加利下げ後押し | ロイター
スウェーデン統計局が12日発表した6月の総合インフレ率は前年同月比1.3%と、5月の2.3%から鈍化し、3年以上ぶりの低水準となった。中央銀行による追加金融緩和を後押しする。
市場予想(1.6%)以上に低下。中銀の予測(1.5%)も下回ったほか、中銀目標の2%を2021年7月以来初めて下回った。
中銀が現在注視しているエネルギー価格を除いたインフレ率は2.3%で、21年12月以来の低水準。市場予想と中銀予測は2.5%、5月実績は3.0%だった。
スウェドバンクはノートで「インフレ率は再び予想を下回りそうで、リスクは現在のわれわれの予想(8月、11月、12月の利下げ)よりも多くの(そしてより迅速な)利下げに傾いている」と指摘した。
スウェーデン・クローナは指標を受けて軟調。
統計局によると、衣料品、ホテル滞在、文化サービスの価格低下がインフレ鈍化につながった。
ロンドン証券取引所上場ルール、30年ぶり大幅改定 IPO低迷で - 日本経済新聞
資産運用立国実現へかじ取り 金融庁長官の井藤英樹氏 このヒト - 日本経済新聞
LNG供給25%減想定、電力に影響 台湾危機で机上演習 - 日本経済新聞
大手の夏ボーナス98万円、1次集計で過去最高 経団連 - 日本経済新聞
ドイツ政府、26年末までにファーウェイ排除 5G通信網 - 日本経済新聞
ドイツ政府は11日、国内の通信会社に対し、2026年末までに高速通信規格「5G」の通信網で中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の利用を禁じるよう命じたと発表した。27年末までに他社の製品・サービスに切り替えるよう義務づけた。
欧米各国と比べ対応に遅れていたドイツがようやく脱中国依存にかじを切った。
独政府は同日までに独国内で事業を展開するドイツテレコム、英ボーダフォン、スペインのテレフォニカの主要通信3社と協議し、ファーウェイとZTEの排除で合意した。
通信行政を担当するドイツのフェーザー内相は「これまでとは異なり、安全保障上のリスクを軽減し、一方的な依存を避けなければならない」とコメントした。
他社への切り替え期間が短いと「数十億ユーロのコストがかかる」と通信大手が主張したのを踏まえ、2年以上の猶予を設けた。
ファーウェイは「セキュリティーリスクを引き起こす検証可能な証拠はない」とし、独政府の決定に反発している。
デンマークの調査会社ストランド・コンサルトによると、ドイツで普及する中国製通信機器の比率は4G通信網の57%(20年時点)。5G通信網では59%(22年時点)に上る。
スウェーデンやノルウェー、デンマークなど北欧各国は脱中国で先行し、4Gで5〜8割だった中国製比率を5Gでは軒並みゼロとした。
英国は20年7月、ファーウェイ製品を27年末までに排除する方針を決めた。フランスやベルギーも5Gで中国製比率を下げている。
中国企業への依存度が高いドイツはファーウェイ排除に消極的だとみられていた。
ファーウェイは通信基地局で世界シェア3割を占める最大手だ。各国の通信大手にアンテナやシステムなどを一括提供している。情報流出の懸念からファーウェイ排除の流れが強まっていた。
●中東情勢
イスラエル兵役3年に延長へ、安全保障内閣が承認=現地メディア | ロイター
トルコ、持続的なディスインフレ局面に 中銀総裁・財務相が見解 | ロイター
トルコのカラハン中央銀行総裁とシムシェキ財務相は11日、経済は持続的なディスインフレの局面に入りつつあるとの認識を示した。外国人投資家やトルコの企業・銀行幹部向けのプレゼンテーションで述べた。
イスタンブールで開催されたJPモルガン主催のイベントで、カラハン氏は投資家に対して、トルコが「持続的なディスインフレの局面に差し掛かる中」、中銀は引き締まった政策スタンスを維持すると表明。
シムシェキ氏は同じイベントで、よりバランスが取れて持続可能な成長に向けた「構造改革」の一環として、徴税の近代化と支出の見直しを進めると語った。
両者は、金融・財政の引き締め政策を通じて、高騰するインフレへの対処に取り込んできた。6月の消費者物価指数(CPI)は前年比上昇率が72%を割り込み、5月の75%超から鈍化した。
●エマージング
EXCLUSIVE インド、民営化路線修正へ 国営企業改革を計画=政府筋 | ロイター
中国鉄鉱石輸入、6月は前月比4.3%減 季節的な需要低迷見通しで | ロイター
中国銅輸入量、6月は14カ月ぶり低水準 価格高騰や内需低迷で | ロイター
アングル:北朝鮮のごみ風船とGPS妨害、韓国領空での飛行にリスク | ロイター
中国の与信拡大、6月は予想下回る-マネーサプライも低迷 - Bloomberg
中国、15日のGDP発表で記者会見開かず-3中総会開幕日と重なる - Bloomberg
中国、4~6月に成長鈍化した公算-3中総会開幕日にGDP発表 - Bloomberg
中国、1─6月の自然災害による損失は130億ドル 19年以来で最大 | ロイター
中国政府は12日、今年上半期の自然災害により931億6000万元(128億3000万ドル)相当の直接的な経済損失を被ったと発表した。上半期は洪水、干ばつ、異常気温に見舞われた。
応急管理省のウェブサイトの公開データによれば、上半期の災害損失は2019年以降で最大。
中国は今年、年初に寒波と大雪に見舞われ、北西部の新疆ウイグル自治区ではマグニチュード7.1の地震が発生、南西部では地滑りが起き、黄河や南部の省では洪水が発生した。
1月から6月にかけて、少なくとも3238万人が自然災害の影響を受け、死者・行方不明者は322人だった。
約85万6000人が緊急避難を余儀なくされ、2万3000棟の家屋が倒壊、約317万ヘクタール分の農作物が被害を受けた。
昨年上半期の自然災害による経済損失は382億3000万元、死者・行方不明者は95人で、今年は前年同期より被害が大きい。
昨年通年では約4876万人が自然災害の影響を受けている。
NATOを攻撃する準備はしていない=ロシア | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
カナダのオイルサンド産業中心地で山火事、石油・天然ガス生産に影響 - Bloomberg
米テキサス州、ハリケーン「ベリル」で120万戸超が停電 | ロイター
大半の石油・ガス関連企業の操業は通常に戻ったものの、電力復旧の遅れで、同州最大のエネルギー拠点であるフリーポート周辺などの一部企業の再開が遅れている。
ロンドン証券取引所グループ(LSEG)によると、液化天然ガス(LNG)事業を運営するフリーポートLNGは11日、少量の天然ガス引き込みを再開した。
フリーポート港は、11日に日中の航行制限が解除されるだろうと発表した。
米化学大手オーリンは10日、ベリルでフリーポートにある複数の施設が被害を受けたとして、一部の製品と出荷に対して不可抗力条項を宣言した。
同州のヒューストン港、ガルベストン港、テキサスシティー港は11日に再開した。一部はまだ制限があるものの、まもなく解除される見込み。
米分析会社カレン・クラークの概算では、ベリルによる被害で米保険会社が支払う保険金額は約270万ドルに上る可能性がある。
INPEX、豪州で再エネ開発2000億円 グリーン水素拠点に - 日本経済新聞
●小ネタ
ブラジルで日本祭り 19万人参加、世界最大の日系人社会 - 日本経済新聞
【プロ野球】日本ハム2軍本拠地、北海道へ移転検討 千葉・鎌ケ谷から - 日本経済新聞
プロ野球日本ハムが、千葉県鎌ケ谷市の2軍本拠地を1軍と同じ北海道へ移転する検討をしていることが13日、球界関係者の話でわかった。球場の老朽化や、1、2軍施設間のアクセスが悪いことが背景にある。候補地には恵庭市や千歳市などが挙がっている。
日本ハムは1997年から鎌ケ谷スタジアムを2軍の本拠地とし、球場に隣接して若手選手の寮も設置している。1軍は2004年に東京ドームから北海道へ本拠を移したが、2軍は鎌ケ谷にとどまっていた。
松屋フーズ、深夜料金7%加算 「牛めし」は30円値上げ - 日本経済新聞
牛丼チェーン「松屋」ととんかつ専門店の「松のや」を対象に16日から深夜料金を導入すると発表した。午後10時から翌日午前5時にかけて商品の金額に7%を加算する。同日午後3時から松屋で主力の「牛めし」など約40品目を対象にした値上げも実施する。原材料価格や光熱費、人件費などの上昇を受けて価格を転嫁する。
●市況
NY市場サマリー(12日)円4週ぶり高値、S&Pとダウ日中最高値 | ロイター
<為替> 円が対ドルで約4週間ぶりの高値を付けた。市場では2日連続で政府・日銀によるドル売り/円買い介入があったのではないかとの見方が広がった。
終盤の取引で、ドル/円は0.56%安の157.91円。 一時、6月17日以来の安値となる157.3円を付けた。
CMEグループのフェドウオッチによると、市場は9月に利下げが実施される確率を94%と織り込んだ。11日のCPI発表前は73%だった。
<債券> 米債利回りが横ばいから小幅低下となった。この日発表された経済指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを実施するとの見方が強まった。
指標10年債利回りは小幅低下の4.186%。週間の低下幅は8.6bpと約1カ月ぶりの大幅な下げとなる勢い。
30年債利回りも小幅低下の4.398%。週間では6.9bp低下。6月10日の週以降で最大の低下幅となった。
2年債利回りは4.7bp低下の4.459%。一時4.458%と4カ月超ぶりの低水準を付けた。週間では13.9bp低下と過去4週間で最大となった。
ブリンマー・トラストの債券部門ディレクター、ジム・バーンズ氏は「市場は、単にシグナルがまちまちだったという理由で、PPIのデータにあまり関心を示さなかった。詳細を見てみると、それほど悪くはなさそうだ」と指摘。「最近の軟調な経済データとより穏やかなインフレ率が相まって、引き続き米債利回りの重しになっている。これは単に早期の利下げ期待が高まっていることを反映しているだけだ」と述べた。
<株式> S&P総合500種とダウ工業株30種が取引時間中の史上最高値を更新し、上昇して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げに踏み切るとの見方が台頭した。アップルエヌビディアが1%超上昇した。
この日、まちまちの決算を発表した大手銀行株は振るわず。米金融大手JPモルガン・チェースは1.2%、ウェルズ・ファーゴは6%、シティグループは1.8%、それぞれ下落した。
LSEG IBESのデータによると、アナリストはS&P500企業の第2・四半期利益は9.6%増になると予想している。テクノロジー企業の成長は大きいが、不動産、工業、素材の利益は減少するとみられている。
<金先物> 前日に1カ月半ぶりの高値まで上昇した後を受けた利益確定の売りが先行し、4営業日ぶりに小反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比1.20ドル(0.05%)安の1オンス=2420.70ドル。週間では0.96%高となった。
<米原油先物> 需要先行きを巡る懸念がくすぶり、3日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.41ドル(0.50%)安の1バレル=82.21ドル。週間では1.14%安だった。9月物は0.36ドル安の81.02ドル。
欧州市場サマリー(12日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 3日続伸して取引を終えた。米国の6月の卸売物価指数(PPI)の前月比の伸びは市場予想を若干上回ったものの、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを開始するとの観測はおおむね変わらなかった。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。企業の好決算に加え、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを開始するとの投資家の楽観的な見方を背景に買いが優勢だった。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが小幅上昇。6月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)が予想を上回ったことを受けた。
取引終盤、ドイツ10年債利回りは3ベーシスポイント(bp)上昇の2.5%。前日は7bp低下していた。週ベースでは約6bp低下する見通し。
ドイツ2年債利回りは2bp上昇の2.82%。前日は10bp低下していた。
市場は、欧州中央銀行(ECB)が来週の理事会で追加利下げに動く可能性は極めて低いとみている。
フランス10年債利回りは3bp上昇の3.155%。週間では6bpの低下が見込まれる。
独仏10年債利回り格差は65bpと変わらずだった。
イタリア10年債利回りは3.793%と横ばい。独伊10年債利回り格差は小幅縮小し130bpだった。
15日(月)ゴールドマン
16日(火)ユナイテッドヘルス、バンカメ。モルガン・スタンレー、
17日(水)ジョンソン&ジョンソン、ユナイテッド航空、アルコア
18日(木)DRホートン、ドミノ・ピザ、ネットフリックス
19日(金)アメックス、トラベラーズ、ハリバートン

備忘録(2024/7/11
●雑感
●決算
ペプシコ、四半期売上高が予想下回る スナックや飲料の売上鈍化で | ロイター
第2・四半期決算(6月15日まで)は、売上高が0.8%増の225億ドルとアナリスト予想の225億7000万ドルを下回った。度重なる値上げやプライベートブランド(PB)商品との競争により、最大市場である米国でスナック菓子や炭酸飲料の売り上げが鈍化した。
第2・四半期は第1・四半期と同様、商品価格を平均5%引き上げた。一方、全体的なオーガニック販売量は3%減となった。
最大部門である北米の飲料部門の販売量は3.5%減。2番目に大きな事業部門である傘下のスナック菓子子会社フリトレー・ノース・アメリカの販売量は4%減となった。
調整後1株利益は2.28ドル。市場予想は2.16ドルだった。
一方、2024年通期のオーガニック売上高予想を従来の少なくとも4%増から約4%増に修正。これを受け、株価は一時3.4%安の158.03ドルと9カ月ぶりの安値を付けた。
米デルタ航空、第3四半期利益見通しは予想下回る 大西洋便が不振 | ロイター
市場予想を下回る第3・四半期(7─9月期)利益見通しを示した。低価格帯での値引き圧力を背景に価格決定力が低下しているほか、今夏のオリンピック開催に伴う旅費や宿泊費の高騰から旅行者がパリ行きを避けていることから、大西洋横断便が打撃を受けたことを理由とした。
これを受け、11日午前の市場で株価は約6%下落した。
第3・四半期の営業利益率は11%─13%、収益は前年同期比2%─4%増加すると見込んだ。
第3・四半期の調整後1株当たり利益を1.70ドル─2.00ドルと予想しており、LSEGがまとめたアナリスト予想の2.05ドルを下回った。
第2・四半期の調整後1株当たり利益は2.36ドルと、アナリスト予想と一致。同四半期の調整後営業利益は154億1000万ドルと、アナリスト予想の154億5000万ドルを下回った。
旅客収入の約49%を占めるメインキャビンの収益は、第2・四半期は横ばい。一方、プレミアムキャビンの収益は前年同期比10%増加した。
座席供給量の年間増加率の伸びについては、第3・四半期は、前四半期の8%から5%─6%に減ると予想。座席供給量の伸びが鈍化することで、燃料以外の運航コストは前年比1%─2%増加すると予測している。
ファストリ、通期営業益4750億円に上方修正-市場予想上回る - Bloomberg
セブン&アイ、3─5月期営業益27.6%減 国内外コンビニ事業が不振 | ロイター
2024年3─5月期(第1・四半期)連結決算は、営業利益が前年同期比27.6%減の593億円だった。主力の国内外コンビニエンスストア事業の不振が響いた。純利益は同49.5%減の213億円。25年2月期通期の連結業績予想は維持した。
丸山好道常務は会見で、日米のコンビニ事業について、顧客の消費行動の変化やインフレの影響による消費マインドの大幅な低下の中、さまざまな施策を講じてきたが、「想定した効果が得られなかった」と説明し、「変化への対応が十分ではなかった」と振り返った。ただ、要因は明確に把握しているとして「すでに新たな取り組みを進めている」と続けた。
首都圏スーパーストア事業を巡っては、抜本的変革を計画通り進めており「コスト構造改革から本丸といえる売上・利益の改善へと移行している」と述べた。
<「価格志向、高まっている」>
事業別の営業利益は前年同期に比べ、国内コンビニが4.4%減、海外コンビニが78.7%減、スーパーストアは35.1%減だった。計画比でも国内・海外コンビニ事業は下回った。
会見に同席したセブン─イレブン・ジャパンの永松文彦社長は「顧客の価格志向がより高まっている」と分析。値引きによる販促を強化した時は効果が出たものの、その後、売り上げを伸ばし切れなかったとした。
今後は値引きよりも「恒常的に低価格商品を投入」すると説明した。ただ同時に「強みの価値ある商品も訴求するやり方に切り替えていく」と話した。
米国コンビニ事業はマクロ環境の悪化による消費減退が響いた。5月は生活費の上昇が実質賃金の上昇を上回るなど消費者は厳しい状況にあり、インフレの影響は都市部のほうがより大きく、同業他社に比べ都市部の店舗が多いことも現時点では逆風という。今後はオリジナル商品の投入強化で挽回する。
通期営業利益予想は前年比2.0%増の5450億円で、コンビニ事業を中心に増益を確保して過去最高を目指す。IBESがまとめたアナリスト16人の予想平均値は5426億円となっている。
イオンモール、3〜5月純利益8%増 改装で客数増える - 日本経済新聞
2024年3〜5月期の連結決算は、純利益が前年同期比8%増の68億円だった。複数店舗で増床や大規模な改装に取り組み、来店客数が増え専門店の売り上げが伸びた。海外はインドネシアやベトナム、中国の新店を中心に利益が増えた。
●海外企業
ステランティス、米で33万台リコール ベルトセンサーに不具合 | ロイター
コストコ、北米で7年ぶりに年会費引き上げへ | ロイター
米インテュイット、1800人削減へ AI向け投資に重点 | ロイター
ファイザー、肥満症治療薬の開発前進-候補薬は下期に中期段階試験へ - Bloomberg
米製薬ファイザーは、数十億ドル規模の肥満症治療薬市場に参入しようと、減量薬の開発を進めている。
同社の11日発表によれば、1日1回服用型の肥満症治療薬候補「ダヌグリプロン」は今年下期に中期段階の試験に進む予定。
経口薬のダヌグリプロンは、ノボ・ノルディスクやイーライリリーが手掛ける注射剤の肥満治療薬に代わる治療薬として開発された。ファイザーは、最終的には経口薬が肥満症治療薬市場の約3分の1を占めると予想している。
シティが下落 米当局に約1億3600万ドルの制裁金支払いへ=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
シティグループ<C>が下落。データ品質管理とリスク統制に関する問題を巡り、米銀行規制・監督当局に対し、約1億3600万ドルの制裁金支払いに応じる。FRBはきのう、2020年の法執行措置に同銀が違反したことへの制裁金だと説明した。FRBに6100万ドル、通貨監督庁(OCC)に約7500万ドルを支払う。
FRBは声明で「同銀はデータ品質管理の問題改善が不十分であり、継続するリスクを管理する補完的な統制も実行していない」と指摘した。
同銀はこの主張を認めておらず、否定もしていない。FRBによると、同銀は違反の是正と法令順守のための措置を講じるという。
●日本企業
三井物、UAEでLNG事業に参画 出資約880億円 | ロイター
野村アセットマネジメントなど運用7社、株高で18%増益 報酬率縮小と海外委託が重荷 - 日本経済新聞
主要運用会社7社の2024年3月期決算は連結純利益の合計が前の期比18%増の1016億円となった。株高や新たなNISA(少額投資非課税制度)の導入で運用資産が大きく増えたのが主因だ。ただ、指数連動型投資信託の人気で信託報酬率は低下傾向が続くほか、海外運用機関への運用委託コストもかさむ。足元でも株高の追い風が吹く中で、自前で運用力を高めることが急務となっている。
「楽天の全てに絡みたい」みずほの熱視線 深まる三木谷・木原ライン:日経ビジネス電子版
●米大統領選挙
ハリウッドもバイデン氏見限る-「ダムが決壊」とクルーニー氏 - Bloomberg
再選目指すバイデン氏にまた打撃-NATO首脳会議後の会見が正念場 - Bloomberg
11日に別途開かれたイベントでは、バイデン氏がウクライナのゼレンスキー大統領のことを紹介する際に、ロシアのプーチン大統領と言い間違え、参加者の間に緊張が広がる場面があった。バイデン氏はその後、ゼレンスキー氏は「プーチン大統領を打ち負かす」だろうと自らを訂正した。ただ、共和党側は早速、このミスをソーシャルメディアで発信。バイデン氏がこうした言い間違えのミスをしがちであることがあらためて浮き彫りとなった。
バイデン氏が民主党議員や世界のリーダーの不安を払拭するにはNATO首脳会議閉幕後の記者会見で力強いパフォーマンスを見せる必要がある。これに失敗すれば撤退圧力がさらに強まることはほぼ確実だ。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
FRBは年内利下げ開始可能、米でディスインフレ進行=IMF報道官 | ロイター
米CPI発表後に円急騰、政府・日銀が介入と一部報道 | ロイター
米セントルイス連銀総裁、データは物価目標へのさらなる進展示唆 - Bloomberg
アーカンソー州リトルロックでのイベントで総裁は「6月CPI統計はインフレ低下に向けたさらなる前進を示唆している」と指摘。「インフレ率が今後2%に収束していくと見込めるような証拠をさらに探すつもりだ」とした。
シカゴ連銀総裁、CPI統計は「上々だ」-「これこそ2%への軌道」 - Bloomberg
グールズビー総裁は利下げ開始のタイミングについてはガイダンスを与えなかったものの、ここ数カ月に住居費インフレが減速したことの重要性を強調。「強く勇気づけられる」と述べた。同総裁はこれまで、利下げの時期を見極める上でとりわけ住居費を注視してきた。
「連邦公開市場委員会(FOMC)は声明で、2%への軌道に乗っているとわれわれが確信を強めるまで、利下げは想定していないと明確にしている」とグールズビー総裁。「私の見解では、これこそ2%への軌道というものだ」と述べた。
11日の朝方に発表された6月の消費者物価指数(CPI)統計では、食品とエネルギーを除くコア指数が2021年8月以来の小幅上昇にとどまった。長らく待望されていた住居費の減速が一因。グールズビー総裁はこれまで、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ目標を達成するには住居費が鍵になるとしてきた。
JPモルガン、米利下げ開始時期の予想を9月に前倒し-CPI受け - Bloomberg
「よって、われわれは9月に利下げを開始する道が開かれ(従来は11月とみていた)、その後は四半期ごとに利下げが行われると考えている」と記した。
●先進国、グローバル、金融市場
米CPI、6月は前月比-0.1%・前年比+3.0% 鈍化傾向続く | ロイター
米労働省が11日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、前月比でマイナス0.1%と予想外に下落した。前月比でマイナスになるのは2020年5月以来約4年ぶり。ディスインフレが確実に軌道に戻ったことが示され、連邦準備理事会(FRB)の9月の利下げがさらに一歩近づいた。
前年比では3.0%上昇。伸びは5月の3.3%から鈍化し、23年6月以来最小となった。
ロイター調査によるエコノミスト予想は前月比0.1%上昇、前年比3.1%上昇だった。CPIの前年比上昇率は、2022年6月の9.1%をピークに鈍化している。
変動の大きい食品とエネルギー成分を除くコアCPIは前月比0.1%上昇。伸びは前月の0.2%から鈍化し、21年8月以来最小となった。家賃の伸びが0.3%と、21年8月以来最小の水準に鈍化したことで、コア指数の上昇が抑制された。
コア指数は前年比3.3%上昇。伸びは前月の3.4%から鈍化し、21年4月以来最小となった。
<利下げ観測高まる>
CPIが2カ月連続で穏やかになったことで、FRB当局者の間で、インフレが沈静化しつつあるとの確信が強まる公算が大きい。ボストン大学のブライアン・ベスーン教授(経済学)は「7月のインフレ指標が異常な数値を示さない限り、FRBは9月に利下げに動く」とし、「9月利下げの指針は7月の会合で固められる」と述べた。
ウィリアム・ブレアのマクロアナリスト、リチャード・デ・シャザル氏は「FRBが雇用創出の鈍化にこれまでよりも重点を置く方向に微妙に方向転換する中、CPI統計が今回こうした内容になったことで、9月の利下げが確実に視野に入ってきた」と指摘。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「FRBのインフレとの長い戦いが終わり、ようやくトンネルの出口が見えてきた」とし、「今後かなりの回数の利下げが実施される」との見方を示した。
<家賃など広範に伸び鈍化>
6月はガソリンが3.8%下落。前月は3.6%下落していた。家賃を含む住宅費は0.2%上昇と、前月の0.4%から鈍化した。
食品は0.2%上昇と、前月の0.1%上昇からやや加速。生鮮食料品が0.1%上昇した。果物や野菜などが値下がりした一方、乳製品、肉、魚、卵が値上がりした。
医療費は0.2%上昇と、前月の0.5%から鈍化。航空運賃、中古車・中古トラック、新車、通信サービスなどは下落。一方、自動車保険料のほか、家具、娯楽、衣料などは上昇した。
帰属家賃(OER)は0.3%上昇。伸びは前月の0.4%から鈍化し、21年8月以来最小となった。
ネイションワイドのチーフエコノミスト、キャシー・ボスティアンチッチ氏は「長らく予想されていたことだが、家賃インフレがようやく沈静化しつつあることが示唆された」としている。
米国のインフレは6月、広範囲に鈍化。住居費の減速が目立った。米金融当局にとっては近い時期に利下げが可能という自信を一段と深めさせる内容となった。
総合CPIが前月比でマイナスとなったのは、新型コロナ禍の初期以来。ガソリン価格の下落が影響した。
今回の統計は、1-3月(第1四半期)に再燃したインフレが再び鈍化傾向に入ったことを示す新たな証左となった。一方で、経済活動は全般的に減速しているようにみえる。先週5日に発表された6月の米雇用統計では、失業率が3カ月連続で上昇した。今回のCPI統計と併せて考えると、米金融政策は引き続き年内利下げに向けた道筋にあるようだ。
CPI発表元の米労働統計局(BLS)は小数第1位までの表示にしているが、当局者らはインフレの方向性をより包括的に把握するため、細かい数字に注目している。小数第3位までを見ると、コアCPIの前月比は0.065%の上昇だった。
サービス分野で最大部分を占める住居費は0.2%上昇と、21年8月以来の低い伸びにとどまった。持ち家のある人がその家を賃貸する場合の想定家賃である帰属家賃(OER)は、0.3%上昇。同じく約3年ぶりの低い伸び率だった。
住居費の鈍化に加え、6月は航空運賃やホテル宿泊費、入院患者の医療費が全て前月比で低下した。
ブルームバーグの計算によれば、エネルギーと住宅を除いたサービス価格は2カ月連続で低下した。政策当局はインフレ軌道を見極める上で、こうした指標に目を向けることの重要性を強調しているが、実際には別の指標である個人消費支出(PCE)価格指数に基づいてそれを算出している。
食品とエネルギー商品を除く財のコア価格は、4カ月連続で低下した。
40年債が初の3%台乗せ、生保慎重で海外勢も連続売り-日銀会合控え - Bloomberg
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は超長期債について「安過ぎる水準で利回りはドイツより高く、欧米金利並みのグローバルな水準にあるが、7月の日銀会合でどのような減額計画が出てくるのか分からない状況で買いが入らない」と述べた。
8日の日銀支店長会議では高水準の賃上げの中小企業への波及や人件費の価格転嫁の広がりが報告された。今年の春闘の平均賃上げ率は33年ぶりに5%を超え、利上げを後押しする材料が増えている。ブルームバーグが6月下旬に実施した特別調査では、43人のエコノミストのうち33%が7月利上げを予想した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは利上げは時間の問題、同時決定しても長期金利への影響は少ない」との意見もあろうとリポートで指摘した。同時に日銀はわざわざ市場参加者の意見も確認し、1カ月半後に計画を決めるという慎重居士ぶりで、急に大胆な決定を進めるとはイメージしづらいとして、同時決定は見送られる可能性が高いと予想した。
世界の中銀、外貨準備の「武器化」懸念-ドル離れのリスクに拍車も - Bloomberg
UBSグループの調査によると、中央銀行の外貨準備運用担当者は、世界的な地政学的リスクの高まりを理由に通貨資産の安全性について懸念を強めている。
調査に参加した3分の1がいわゆる外貨準備の「武器化」をトップのリスクとして挙げた。UBSが調べた中銀40行の87%が最も懸念しているのは、ロシアとウクライナ、中国と米国、そして中東情勢の緊張がさらに高まることだった。
紛争がエスカレートした場合、中銀の資産が制裁を受けたり、差し押さえられたり、使われたりすることが危惧されている。
今年に入り凍結されたロシアの外貨資産から得た利益をウクライナの復興に役立てようという計画が示されたが、これが危険な前例となり、最も流動的かつ最も安全な資産保全手段を提供している国の地位が失われる恐れもある。
UBSアセット・マネジメントのグローバルソブリン市場責任者マッシミリアーノ・カステリ氏は、「外貨準備がもはや中銀にとって安全な逃避先とは見なされなくなるリスクをこれらの出来事がさらに高める」と述べ、金相場が「地政学的な動向によって、再び活気を取り戻すかもしれない」との見方を示した。
こうした見通しから、ドル建て資産からのシフトに拍車がかかり、ドルの優位性がさらに揺らぐ可能性もある。
世界の外貨準備の半分を管理する中銀の平均ドル保有比率は55%で、1年前の56%からほとんど変化していない。この割合は2021年時点で67%だったが、徐々に低下している。一方、回答者の4分の1がユーロへの配分を増やし、8%が円の保有を増やしたことを明らかにした。
カステリ氏は「地政学的な理由による準備通貨の武器化によって、ドルがダメージを受けるという見方がある」と指摘し、ロシアなどの国々に対する米国の制裁がエスカレートしていることが、他の通貨での取引を促していると付け加えた。
中国人民元建て資産に対する需要は、中国経済の減速懸念から低下。人民元に投資しているか投資を検討していると答えた割合は、昨年の72%から70%に低下し、17年以来の低水準となった。
世界の外貨準備金管理者、経済に楽観的 政治を懸念=調査 | ロイター
米小売り、新学期商戦7月に前倒し アマゾン「プライムデー」意識 | ロイター
オフィス空室率低下、6月都心5.15% 本社移転や増床で - 日本経済新聞
オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)が11日発表した6月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス平均空室率は前月比0.33ポイント低い5.15%だった。本社移転や館内増床の動きが加速し、2カ月ぶりに低下した。
渋谷を除く4区で低下した。千代田区は0.16ポイント低い2.93%、中央区は0.36ポイント低い6.01%、港区は0.60ポイント低い7.16%、新宿区は0.44ポイント低い4.36%だった。一方、渋谷区は0.35ポイント高い4.48%だった。
背景にはオフィスの底堅い需要がある。業績が好調な企業が分散していた本社機能を都心に戻したり、集約したりする動きが相次いでいる。内装工事費や原状回復費といった費用の上昇や工事期間の延長に伴い、同じビル内での増床を選ぶ動きもある。
5区全体の平均募集賃料は前月比35円(0.18%)高い1坪(約3.3平方メートル)当たり1万9979円だった。上昇は5カ月連続。企業移転による強いオフィス需要を背景に賃料を上げる事業会社も増えている。
オフィス仲介大手、三幸エステート(東京・中央)の今関豊和チーフアナリストは「本社移転や内部増床のトレンドは続きそうだ。賃料水準を上げる動きもあり、市場は活況だ」と話す。
マンション建築費が最高 6月0.7%高、型枠工費など増加 - 日本経済新聞
建設物価調査会(東京・中央)が発表した6月の東京地区の建築費指数は、マンション(鉄筋コンクリート造)が2カ月続けて過去最高を更新した。コンクリートを流し込む型枠をつくる専門作業員などの人件費が上がり、建築費を押し上げた。
同調査会は建物の種類別に工事原価を指数化し、毎月公表している。鋼材やコンクリートといった建設資材のほか、それらを組み立てる作業員の人件費など項目ごとにコストを計算している。コストアップが続けばマンションの販売価格がさらに上がる可能性がある。
マンションの建築費指数(速報値、2015年=100)は131.5で、5月比で0.7%、前年同月比では6.7%上がった。指数の内訳では、型枠工にかかるコストが前月比の上昇に最も寄与した。「人手不足で型枠のほか空調ダクトなどの専門工事費が上がっている」(同調査会)
鉄筋に使う小形棒鋼を加工・組み立てする作業費も小幅に上がり、マンションの指数を押し上げた。「建材を加工したり、エレベーターなどの設備を設置したりする施工業者はどこも人手が足りず、建設現場ごとに取り合いになっている」(鉄鋼メーカー)という。
国際的な銅相場の高騰で電線・ケーブルが値上がりしたことも指数の上昇につながった。外国為替市場では円安・ドル高が進んでおり、今後資材の輸入価格がさらに上がる可能性もある。
マンション以外の指数も過去最高だった。オフィスビル(鉄骨造)は前月比0.5%高の132.5、工場(同)は0.6%高い132.3、住宅(木造)は0.2%高の137.6だった。
米新規失業保険申請、1.7万件減の22.2万件 予想以上の減少 | ロイター
労働省が11日に発表した7月6日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比1万7000件減の22万2000件と、予想以上の減少となった。ただ自動車工場が設備更新で閉鎖する時期に当たり、申請件数は不安定になりやすく、労働市場を正確に把握することが難しくなっている。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は23万6000件だった。
6月29日までの1週間の継続受給件数は4000件減の185万2000件となった。
米TB需要に不安、発行急増で-今後の利下げとQTに伴う混乱を警戒 - Bloomberg
米財務省短期証券(TB)の過去1年の発行急増を巡り、資金調達市場の混乱を回避できる十分な需要があるかという議論が起きている。
米財務省は2023年初めからTBを2兆2300億ドル(約354兆円)相当発行。今のところ市場は順調に消化していると見受けられる。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)のような他のリスクフリーレートとの比較でTBのプライシングが比較的安定していることからも読み取れる。
だが今後の米利下げと量的引き締め(QT)として知られるバランスシート圧縮が資金調達市場に緊張をもたらす懸念が存在する。そうした圧力は、米金融当局が介入を余儀なくされた4年前の混乱に似たものになりかねないと心配する向きもある。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏によれば、米金融当局が恐らく9月に利下げ開始に動けば、マネー・マーケット・ファンド(MMF)などからの需要が後退し、短期金利に上昇圧力がかかる恐れがある。
「米当局がQTを進めている時にTB発行残高が膨らめば、資金調達市場で事故が発生するリスクが高まる。それは19年9月のレポ市場で見られた状況だ」と同氏は先週のリポートで警告した。
●中東情勢
●エマージング
中国、「ビッグバン」的な住宅危機対策も-3つのシナリオを考える - Bloomberg
中国は、米連邦準備制度理事会(FRB)並みの資金を供給する「ビッグバン的な解決策」を重要な政策会議で決定し、住宅危機を終わらせる力を持つ。ただ、その引き金を引く可能性は低い。
これがブルームバーグ・エコノミクス(BE)の見立てだ。もし中国人民銀行(中央銀行)が、世界的な金融危機時にFRBが実施したような規模で資金を供給すれば、売れ残った不動産在庫の約7割を購入できる資金が確保されると考えられる。
BEエコノミストの曲天石、舒暢両氏は「ビッグバン的な解決策だが、これに付随する深刻なダメージが生じるため、中国はそこまで踏み込まないだろう」とした上で、「ただ政策的解決の可能性を示している」と指摘した。
中国共産党が15-18日に開く第20期中央委員会第3回総会(3中総会)は、中国にとって最も重要な政治会議の一つ。
成長と回復を妨げてきた長年の問題に対処することを目指した一連の経済改革・政策が発表される見込みだ。不動産不況が引き続き国内経済を脅かす最大の要因となっており、不動産政策は重点分野だ。
人民銀は5月、国有企業による売れ残り住宅購入を支援するため410億ドル(約6兆6300億円)規模のプログラムを発表した。BEのエコノミストは「これは有望なアプローチだが、問題の規模に対処するには今のところ不十分だ」とリポートで分析。この資金で対応できるのは売れ残った住宅在庫の1%未満だという。
BEは人民銀による対応策について3つのシナリオを描いている。
一つ目のシナリオは2008年-14年にFRBが行ったように人民銀のバランスシートを約24兆元(約534兆円)拡大するシナリオだ。この場合、中国の売れ残り住宅在庫の約7割を賄うことができる。
2番目のシナリオとして、欧州債務危機後の09年-12年に欧州中央銀行(ECB)が実施した規模に並ぶ13兆元の拡大では、その割合は約4割となる。
ただ、BEによれば、裏を返せばこの規模の量的緩和は、債務急増や人民元安圧力、インフレ加速、国有企業や地方政府が抱える債務負担の大幅な増大という代償を伴う。
最も可能性の高い選択肢は、15-18年に中国で実施された住宅地域の再開発事業に類似した措置だ。同様の政策で人民銀が市中銀行に3兆6000億元を提供すれば、売れ残り住宅在庫の1割を購入する資金が手当てされる。
BEによると、これにより国内人口の1.6%に低コスト住宅が供給されることにもなる。支援に伴い銀行融資が拡大し、信頼感が向上することで成長率は今年0.2ポイント、25年と26年でそれぞれ1ポイント押し上げられるという。
「当然ながら量的緩和はただではない。人民元の下落圧力は強まり、モラルハザード(倫理観の欠如)が再発するほか、将来の政策余地を狭めるといったコストが生じる」と警告した。
インドネシア次期大統領、債務比率50%まで上昇容認へ=FT | ロイター
中国・北京市長、サウジ政府系ファンドに投資拡大を要請 | ロイター
中国・北京の殷勇市長はサウジアラビアの政府系ファンド(SWF)、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が中国で事業をさらに拡大することを望むと表明した。北京日報が10日報じた。
殷氏は9日の会合でPIFのヤシル・ルマイヤン総裁に対し、中国は多くの投資機会を提供していると述べた。
PIFが両国の企業による双方向の投資を導き、産業投資、グリーン開発、エネルギー転換などの分野で協力を深めることを期待していると語った。
ルマイヤン氏は持続可能な開発と再生可能エネルギーに関する協力に向けて中国側と緊密な対話と交流を続けていきたいと述べた。
景気回復と地政学的リスクをめぐる懸念から一部の西側金融機関は中国への投資を抑制する一方、湾岸諸国のファンドによる対中投資が急増している。
韓国中銀、金利据え置き インフレ低下見極め利下げ時期検討へ | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
●小ネタ
高級腕時計の値下がり続く-株式にリターン劣り一部投資家撤退 - Bloomberg
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に投資対象として人気を博した高級腕時計の価格は先月も流通市場で下落した。2年に及ぶ値下がりが続いている。
最も取引されている50モデルを追跡するブルームバーグ・サブダイヤル・ウオッチ指数は6月、1%未満の下げとなった。
英国を拠点とする時計取引プラットフォーム、サブダイヤルが提供したデータによると、同指数は1年間で8%下落、過去2年では23%の落ち込みだ。米国株の指標S&P500種株価指数がここ1年で27%上昇したのとは対照的だ。
ロレックスやパテック・フィリップ、オーデマ・ピゲを含むスイスのトップブランドは、2022年初めに流通市場で空前の価格高騰となったが、その後状況は一変。ブルームバーグ・サブダイヤル・ウオッチ指数が22年6月までの1年間で40%急上昇した際、S&P500種は約1%下落だった。
最も取引されているモデルの多くは小売価格よりも高い水準で売買され続けているが、高級時計が値上がりし続けると期待して市場に加わった投機的な投資家は、株式や他の投資の方がより良いリターンを提供したことから、市場から退出している。
値下がり局面でも、一部のブランドは価格が上昇している。リシュモンが所有するフランスのジュエリーブランド、カルティエの時計はコレクターの間で人気が高まっているため、カルティエの時計価格を示すサブダイヤル指数は1年間で2%近く上昇。
カルティエの時計は一般的にロレックスやパテック・フィリップ、オーデマ・ピゲよりも安価で、小売価格を下回る評価額で売買される傾向にある。
指数の大半を占めるロレックスのモデルは6月、価格がほぼ横ばいで推移したが、姉妹ブランドのチューダーは下落した。
スウォッチ・グループ傘下オメガとカルティエのブランド別指数と共に、エントリーレベルの高級時計の価格は、6月に小幅な上昇を示した。
●市況
欧州市場サマリー(11日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。公益株が上昇して、相場を押し上げた。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。好調な業績などが好感された銘柄が大幅に上昇したほか、米国の消費者物価指数(CPI)の発表を受けて米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ開始観測が強まったことも相場を下支えした。
ドイツの6月のCPI(欧州連合基準)は前年同月比2.5%上昇と速報値と同じだった。市場予想では欧州中央銀行(ECB)は9月と12月の2回、主要政策金利を引き下げるとみられている。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが急低下した。6月の米消費者物価指数(CPI)が予想外に下落したことを受けた米国債利回りの動きに連動した。
NY市場サマリー(11日)ナスダック急落、円が一時157円台に急騰、利回り低下 | ロイター
<為替> ニューヨーク外為市場では、円が対ドルで一時157円台に急騰する場面があった。6月の米消費者物価指数(CPI)が予想外に下落したことを受け利下げ観測が高まり、ドルが弱含む中、政府・日銀が為替介入を実施したとの報道もあった。
円は一時2%以上上昇した。終盤のドル/円は1.81%安の158.75円。序盤には一時、6月17日以来の安値となる157.4円を付けた。
<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが低下した。11日に発表された米消費者物価指数(CPI)がインフレの鎮静化を示したことを受け、連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを開始するという観測が強まった。
2年、10年債利回りは3月半ば以来の低水準を付けたほか、20年、30年債利回りも2週間ぶりの水準に低下した。
<株式> 米国株式市場はナスダック総合が急落して取引を終えた。予想を下回るインフレ統計を受け米連邦準備理事会(FRB)による9月利下げ観測が高まる中、投資資金が中小型株にシフトし、エヌビディア、アップル、テスラなどが値下がりした。
ナスダックは4月30日以来の大幅な下落率を記録。S&P総合500種も下落した一方、ダウ工業株30種は小幅高で引けた。
CMEグループのフェドウオッチによると、金利先物市場が織り込む9月の連邦公開市場委員会(FOMC)までの利下げ確率は90%超と、前日の約74%から上昇した。
インフレ鈍化の兆しにもかかわらず大型株は売られ、マイクロソフトとアマゾン・ドット・コムは2%超、メタ・プラットフォームズは約4%、それぞれ下落した。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米消費者物価指数(CPI)の発表を受け早期利下げ期待が広がる中、3日続伸した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米国のインフレ沈静化を示唆する統計の発表を好感し、続伸した。

備忘録(2024/7/10
●雑感
●決算
●海外企業
独BMW、上期の販売好調 ライバル引き離す | ロイター
ドイツの高級車大手BMWが10日発表した上半期の総販売台数は2.3%増の約110万台と、ライバルのメルセデス・ベンツやポルシェを上回った。
バッテリー電気自動車の販売も34%増の約18万台と、唯一、大幅な増加を記録した。
メルセデス・ベンツのバッテリー電気自動車の販売台数は前年同期比17%減の9万3400台。メルセデス・ベンツの中核ブランドによる総販売台数は6%減の96万台。
フォルクスワーゲン(VW)傘下のアウディの上半期の販売台数は8%減の83万3000台、バッテリー電気自動車の販売台数は1.3%増にとどまった。
ポルシェは、販売台数が7%減の15万5900台にとどまり、特に中国で約3割の大幅な落ち込みを記録した。
ポルシェ、メルセデス・ベンツ、アウディの3社は新モデルの投入が販売回復に寄与するとの見通しを示している。
3M、パトラワラCFOの辞任を発表=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
3M<MMM>はパトラワラCFOが別の機会を求めて7月31日付で辞任すると発表。同社は後任探しのプロセスを開始した。パトラワラ氏は8月1日付で穀物のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド<ADM>のCFOに就任するとも伝わっている。
パトラワラ氏は同社で4年間財務担当を務め、ヘルスケア事業であるソルベンタム社のスピンオフや、飲料水汚染における同社の役割をめぐる複数の10億ドル規模の和解を通して同社を導いた。
アナリストは今回の件に関して「CEOの4分の3以上は自分のCFOを選びたがる。経営トップの座を狙う優秀な社員を失うという頭脳流出は比較的よく見られる光景だ」と述べた。
ニュースが伝わった直後は時間外で同社株は下落していたが、通常取引に入ると小幅な値動きに留まっている。
次世代iPhone、年内の出荷目標は9000万台超-AI需要で強気見通し - Bloomberg
米アップルは今年後半に次世代スマートフォン「iPhone 16」を少なくとも9000万台出荷することを目指している。事情に詳しい関係者によると、同社はサプライヤーやパートナー企業に対し、新型iPhoneの出荷台数について、前機種と比較して約10%増加を目標としていると伝えた。
2023年下期の「iPhone 15」出荷台数は約8100万台だった。新たに導入する人工知能(AI)サービスが新機種の需要を喚起することに同社は自信を深めているという。内部情報であることを理由に関係者は匿名で語った。
iPhone 16の出荷台数目標は、サムスン電子や小米(シャオミ)などのAI搭載スマホと競争する中でも、アップルが今年の出荷台数に強気となっていることを示唆する。10日の株式市場でアップル株は上昇。ブルームバーグが出荷台数目標を報じた後は一時1.8%高となり、過去最高値を更新した。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、アヌラグ・ラナ氏とアンドルー・ジラード氏は、強気な見通しは「過去2年間のスマホ販売が芳しくなかったことを踏まえると明るい兆候だ」とリポートで指摘した。
調査会社IDCによると、昨年のスマホ出荷台数は全体で3.2%減少。iPhoneは3.7%の増加だった。
中国政府のデータやカウンターポイント・リサーチの推計によると、iPhoneは今年、中国での販売台数が低調な滑り出しとなっていた。しかし一連の値下げなどが奏功して4月以降は需要が力強く回復している。
今後については、AIを巡る中国政府の方針にアップルがどう応じるかが大きな課題になると、カナリスのアナリスト、ニコール・ペン氏は指摘。中国当局の厳しい規制が、AI機能を製品に組み込もうとするアップルの取り組みに水を差す可能性があると語った。
AI分野で出遅れていたアップルは6月にオープンAIとの提携を発表。ただ、中国ではオープンAIのチャットボット「ChatGPT」は利用できないため、パートナーを見つける必要がある。
アルファベットに埋もれた秘宝、ユーチューブには4550億ドルの価値 - Bloomberg
インターネット検索の巨人、そして人工知能(AI)のイノベーターでもあるアルファベットの価値は、株式市場でその価値を2兆3000億ドル(約371兆円)と評価されている。しかしこの巨額の時価総額には、動画投稿サイトのユーチューブが持つ本当の価値が十分に含まれていない。ニーダムのアナリストらが指摘した。
ローラ・マーティン、ダン・メディナ両氏は3日付けのリポートで、ユーチューブこそ世界有数の価値あるメディア企業であり、それだけで4550億ドル以上の価値があると指摘。これは動画配信大手ネットフリックスの時価総額を50%余り上回る。
アルファベットはその構造上、特にユーチューブなどバラバラな事業が十分に評価されていないと両アナリストは主張する。ニーダムによるアルファベット株の投資判断は「買い」、目標株価は210ドルと、5日に記録した過去最高値を10%程度上回る。
「ユーチューブには価値が隠されており、投資家は単体として取引できない。これを閉じ込めているグーグルというコングロマリットには、ほかに多数のリスクがある」とマーティン氏はインタビューで述べた。そのリスクとは、AIが検索を駆逐するかもしれないという脅威だ。この脅威は「ユーチューブとは何ら関係ない」とマーティン氏は話した。
ユーチューブを分離した場合、ストリーミング配信を支配する同事業に資金を投じたい投資家だけでなく、爆発的なAI部門の成長を担うアルファベットをさらに評価する投資家も、恩恵にあずかるだろう。ニーダムによれば、ユーチューブのわずか5%が分離され取引可能となれば、アルファベットの株価を15ドル押し上げる効果がある。
「コングロマリット株は買い手を遠ざける。投資家は『この3事業は良いが、あの事業は良くない。だから買わない』という考え方だ」とマーティン氏は語った。
もちろん、このことに気づいたのはニーダムのアナリストが初めてではない。アルファベットの広大な構造はさまざまな事業が持つ真の価値を不明瞭にしているとして、昔から批判されてきた。長年にわたり会社分割を求める規制当局の姿勢は、多くの投資家から脅威とみなされるどころか喝采を浴びてきた。
LPLファイナンシャルのチーフ・グローバル・ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏によれば、アルファベットや同業の大型ハイテク企業が投資家の声に耳を傾け、近く事業分離を検討する兆候はほとんどない。
「成熟した企業にはヘッジファンドやアクティビスト(物言う株主)がスピンオフを要求することが多い」とクロスビー氏。「大型ハイテク企業にはまだ及んでいないようだ」と述べた。
アルファベット株は今年、マイクロソフトやアップル、アマゾン・ドット・コムなど大型ハイテク企業の大半を上回るパフォーマンスとなっている。ただAI半導体への天井知らずの需要に支えられ、エヌビディアは165%の記録的上昇で突出している。
米ハネウェル、エアプロダクツからLNG技術を買収 - 日本経済新聞
重工大手の米ハネウェル・インターナショナルは10日、産業ガス大手の米エアプロダクツから液化天然ガス(LNG)生産技術を約18億ドル(約2900億円)で買収すると発表した。LNGの世界需要は増加しており、基幹技術の取得で成長を取り込む。
エアプロダクツはLNGを効率的に生産する冷却プロセスの技術を有しており、米国やカタールなど世界中のLNGプラントが導入している。関連する熱交換器の設計・製造も手掛け、同社のLNG部門の従業員は475人。
年内に現金で取得する。買収額は2024年のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)見通しの13倍という。ハネウェルのビマル・カプル最高経営責任者(CEO)は「ガスは低炭素で安価な転換期のエネルギーだ」とコメントした。
LNGの冷却技術はプラントの心臓部。同社の技術を使用する液化設備は少なくとも128系列にのぼり、世界で7〜8割のシェアを誇るとの見方もある。
英BPがこのほど公表した見通しによると、世界のLNG需要は30年に22年比で3〜4割増加する見通しだ。化石燃料のなかでも天然ガスは燃焼しても石油や石炭に比べて温暖化ガスの排出量が少なく、エネルギー転換に向けて需要が底堅いとみられている。
CNNが100人削減、年内に新たなオンラインチャンネル開設へ - Bloomberg
米AMD、欧州のAI新興を1000億円で買収 NVIDIAに対抗
米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は10日、人工知能(AI)開発を手掛けるフィンランドの新興サイロエーアイを6億6500万ドル(約1000億円)で買収すると発表した。ソフトウエア分野を強化し、AI半導体で先行する競合の米エヌビディアに対抗する。
サイロエーアイはAI研究者が2017年に設立した新興企業で、生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)の開発を手掛ける。買収手続きは24年内の完了を見込む。買収後はAMDのAI部門として開発を続ける見通しだ。
サイロエーアイには300人以上のAI専門家が所属し、125人以上が博士号を持つという。6月には欧州の生成AI開発企業として代表格であるフランスの新興ミストラルAIと企業向けのサービス提供で提携すると発表した。
AMDは買収を通じてAIのソフトウエア分野を強化してきた。23年10月にはAI関連の新興企業であるノッド・エーアイの買収を発表し、同社のソフト技術と自社の半導体を組み合わせて提供できるようにした。過去1年間でAI企業に1億2500万ドル以上を投資してきたという。
エヌビディアは「CUDA」と呼ぶソフト開発基盤を強みにAI半導体で約8割のシェアを握る。足元では買収や出資を通じてソフト分野をさらに強化し、競合を引き離そうとしている。4月にはAI関連のデータ分析を手掛けるイスラエル新興を7億ドルで買収すると発表した。
●日本企業
横浜ゴム、グッドイヤーの一部タイヤ事業買収で協議-関係者 - Bloomberg
横浜ゴムが米グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーの産業用車両などに使われるオフロードタイヤ事業を少なくとも10億ドル(約1615億円)で買収する方向で協議を進めている。
匿名を条件に複数の関係者が明らかにした。他の応札企業が取得を断念したことから、鉱山用車両向けなどの製品を手掛ける同事業の買い手の最有力候補に横浜ゴムが残った。買収額は10億ドルから15億ドルになる可能性があるという。ある関係者は、横浜ゴムは買収に向けて資金調達のために銀行と交渉中であることも明かした。
買収交渉は現在も継続中で最終的に合意に至らない可能性もある。協議について横浜ゴムとグッドイヤーの広報担当はコメントを控えた。
国内市場が伸び悩む中、資本財からヘルスケア、テクノロジーなどさまざまな分野の日本企業が事業の多様化と成長を求めて海外企業の資産に目を向けている。
横浜ゴムのウェブサイトによると、同社の製品は乗用車やトラック、バスに加えて産業用車両などに用いられている。
米オハイオ州アクロンに本拠を構えるグッドイヤーは昨年11月、少なくとも20億ドルの資金調達を目指して、化学やオフロードタイヤなどの分野で再編を模索していると発表していた。
グッドイヤーは、競合企業がコストの低い国で生産能力を増強して市場シェア拡大を目指していることから業界内の競争激化について懸念を示していた。同社の競合先には横浜ゴムのほか、ブリヂストン、フランスのミシュラン、ドイツのコンチネンタルAG、韓国ハンコックタイヤ&テクノロジーなどが名を連ねている。
横浜ゴム、米グッドイヤーの鉱山タイヤ事業買収を検討 - 日本経済新聞
横浜ゴムは10日、米タイヤ大手グッドイヤーが手掛ける「オフロード」用タイヤ事業の買収を検討していると発表した。同事業では舗装されていない道を走る鉱山用トラックなど向けのタイヤを主に製造する。成長分野と位置付ける鉱山用などの収益を底上げする狙いがある。
横浜ゴムは同日、グッドイヤーの事業の買収について「検討を進めていることは事実」と開示した。関係者によると買収額は1000億円を上回る可能性がある。グッドイヤーは2023年、オフロードタイヤや化学などの分野での事業再編検討の方針を発表していた。
横浜ゴムは売上高でブリヂストン、住友ゴム工業に次ぐ国内3位だ。足元では特に乗用車向けの一般用タイヤで韓国ハンコックタイヤなどをはじめとする中韓勢との安値競争が激しさを増している。
横浜ゴムは26年12月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画で、高付加価値で利益が稼げる鉱山用トラック向け分野などをM&A(合併・買収)で拡大する方針を示している。ブリヂストンなども同様の戦略を掲げており、現状のシェアは低位だ。
横浜ゴムは利幅が大きい成長分野として乗用車以外の分野に手を広げている。16年にオランダの農機タイヤメーカー、アライアンス・タイヤ・グループ(ATG)を約1300億円で買収。23年には農機用タイヤなどを手掛けるスウェーデンのトレルボルグ・ホイール・システムズ(TWS)を約2700億円で買収した。
印イエス銀株式51%にMUFGやSMFG、中東の銀行が関心-関係者 - Bloomberg
インドのイエス銀行で可能性が浮上している51%の株式売却に、複数の邦銀やアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の銀行、ファースト・アブダビ・バンク(FAB)が関心を示している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
日本製鉄、USスチール買収で米労組と応酬続く 貿易も争点に - 日本経済新聞
日本製鉄のUSスチール買収に反対する全米鉄鋼労働組合(USW)が、日鉄の不当貿易を訴えている。日鉄が日本などから輸出した鋼材を不当な安値で米国市場で販売したと主張する。日鉄はそもそも米向け輸出は少ないうえ、高価格製品しか扱っておらず不当廉売の事実はないと反論する。両者の対立が収束するめどはたっていない。
●米大統領選挙
米民主党指導部、バイデン大統領支持 撤退論受け党内で意見聴取 - 日本経済新聞
米民主党、バイデン氏の選挙戦継続巡り意見分かれる 非公開会合 | ロイター
米議会民主党は9日、バイデン大統領の選挙戦について協議するため非公開会合を開いたが、継続を支持するか撤退を促すかで依然として意見が大きく分かれている。
バイデン氏は先月27日に行われたトランプ前大統領との大統領選候補者討論会で精彩を欠いたことや支持率低迷を受け、選挙に勝利できるかや過酷な職務をさらに4年間担えるかを疑問視する声が党内から上がっている。
民主党上院トップのシューマー院内総務と下院トップのジェフリーズ院内総務は数時間に及んだ非公開協議についてほとんど語らなかった。
マイキー・シェリル下院議員は沈黙を守るにはリスクが大きすぎると述べ、バイデン氏に選挙戦撤退を促した。撤退を公に求める民主党下院議員としては7人目。
シューマー氏は上院民主党議員の昼食会後、記者団に「私はジョー(バイデン氏)に賛成だ」と3回繰り返し、バイデン氏の適性についての質問をかわした。
ジェフリーズ氏は下院民主党議員らが「率直で包括的な」話し合いを行ったと記者団に語った。週を通じて協議を継続するという。
日本の「もしトラ」業種、防衛関連株が上昇機運-米中緊張の再燃読む - Bloomberg
共和党候補のドナルド・トランプ氏が11月の米国大統領選挙で勝つと中国との緊張が再び高まるリスクがあり、日本の防衛関連株は昨年来の上昇を後押しする日本の国防費増強の動きに加え、新たな株価の押し上げ材料を手にするかもしれない。
6月下旬に行われた1回目のテレビ討論会で民主党候補の現職ジョー・バイデン大統領よりも優勢と評価されたトランプ氏は大統領1期目の2017-21年、「米国第一主義」を掲げて中国との対立姿勢を強めた結果、台湾や同盟国の日本との関係は深まった。
海洋進出に熱心な中国やミサイル発射を繰り返す北朝鮮、ウクライナに侵攻したロシアのと接する東アジア情勢など世界的なパワーバランスの変化を背景に岸田政権は22年末に安全保障関連3文書を閣議決定。23年度からの5年間で国防費に総額43兆円を投じ、22年度は1%未満だった対国内総生産(GDP)比率を27年度に2%へ高める計画だ。
シーレーン上の要衝に位置する日本とフィリピン両国は8日、地域の安全保障環境が厳しさを増しており、自衛隊とフィリピン軍の相互アクセスや協力の円滑化を進めるための協定に署名した。
トランプ氏が米大統領に返り咲く「もしトラ」のシナリオに加え、日本を取り巻く安保環境は国内の防衛関連株にプラスに働く可能性がある。ゴールドマン・サックス証券が算出し、防衛費増加の恩恵を受ける日本企業で構成したバスケット指数はブルームバーグが入手可能な20年3月以降のデータを見る限り、最高値圏で推移している。
三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは、トランプ大統領が誕生すれば、「中東や台湾海峡などいろいろと軍事リスクが高まるのではないかとの発想は当然働いている」と話す。
今年に入り34年ぶりに史上最高値を更新した日経平均株価の年初来の構成銘柄パフォーマンスを見ると、上昇率2.4倍で2位の三菱重をはじめIHIや川崎重工業、日本製鋼所など防衛関連銘柄が上位を占めている。
平和政策研究所によると、日本の防衛産業の市場規模は約3兆円。長年の国防費抑制や米国からの輸入品増加などで防衛省からの発注が減り、過去20年間にコマツや横河電機など過去20年間に防衛事業の撤退や譲渡に動いた企業は100社を超えたが、23年度以降の国防予算が22年度までの5年間と比べ6割増えたため、防衛関連株の見直し機運が広がっている。
アクサ・インベストメント・マネージャーズで210億円の日本株ファンドを運用するジョン・ポール・テンパーリー氏は、三菱重株を約3.2%保有しており、日本が防衛予算を倍増させるという事実は三菱重を保有する「強力な原動力」だと語った。同ファンドの成績は今年、競合ファンドの94%に対し上回っている。
とはいえ、政治資金問題に端を発する岸田政権の支持率低迷は野心的な防衛予算にとって逆風だ。さらに9月には自民党総裁選、来年10月には任期満了による衆院選も控えており、国内の政治不安は防衛関連株のリスクになる可能性はある。
ペロシ氏、バイデン大統領に決断促す-選挙戦継続への支持は表明せず - Bloomberg
民主ペロシ氏、バイデン氏に選挙戦継続か決断促す 支持言明せず | ロイター
米民主党の重鎮、ペロシ元下院議長は10日、11月の米大統領選からの撤退論が浮上しているバイデン大統領について、選挙戦にとどまるかどうか早期に決断するよう促し、出馬に支持を表明することを避けた。
共和党のトランプ前大統領と対決したテレビ討論会での低調なパフォーマンスを受け、民主党内からはバイデン氏の撤退を要請する声が相次いでいる。バイデン氏は撤退を否定し、選挙戦を継続する構えを示しているものの、混乱が終息する兆しは見られない。
バイデン大統領の長年の盟友でもあるペロシ氏はMSNBCとのインタビューで「バイデン氏にはやると決めたのであれば何でもやって欲しい」としつつも、バイデン氏に出馬して欲しいと明言することは避けた。その上で「われわれは皆、バイデン氏に決断を下すよう促している。時間はどんどんなくなっているからだ」と語った。
また、民主党の資金集めに大きく貢献してきた米人気俳優のジョージ・クルーニーさんも10日、バイデン大統領は4年前の大統領選を勝ち抜いた時と同じ人物ではないとして、再選を目指す考えを撤回するよう要請した
米俳優クルーニーさん、バイデン氏に大統領選への出馬撤回求める | ロイター
米大統領とのやり取りで認知機能の低下は見られなかった=FRB議長 | ロイター
米上院院内総務、大統領候補差し替えにオープンとの報道を直ちに否定 - Bloomberg
もしトラなら中国に最大のリスクだが、韓国、台湾、メキシコも敏感に - 株探(かぶたん)|米国株
米大手証券の分析によると、トランプ政権の2期目が誕生した場合、中国に最大のリスクをもたらすが、韓国、台湾、メキシコも米国の関税発表に敏感になるという。
トランプ前大統領が勝利する可能性が高まったことで、市場の焦点は関税、移民、規制に関するトランプ政権の政策期待に移る可能性がある。
焦点は2016年のトランプ政権の時よりもメキシコに集中することはないだろうが、この面での不確実性は為替に反映されやすい。一方、中東、北アフリカ、一部の中東欧諸国は、米国の潜在的な関税リスクに対して相対的により影響を受けにくいという。
中国とそれ以外の地域の経済・政策サイクルはかい離しているため、中国から他のアジア株への波及は、関税発表の過去のエピソードよりも小さいはずだとも述べた。
●その他先進国政治動向
●先進国中銀、金融当局
パウエルFRB議長、確信は「まだ」-2%への持続的インフレ率低下 - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレは鈍化しているとの認識を示しつつ、金融当局の目標である2%に向けて持続的に減速しているとの確信はまだ抱いていないと述べた。
議長は10日、下院金融委員会の公聴会で、インフレが後退しているという「確信はある程度ある」とした上で、「問題は、2%に向けて持続的に低下していると十分に確信しているかということだ。私にはまだそう言う用意はない」と語った。
パウエル氏は、最近の物価指標が「緩慢な進展継続」を示しており、「さらなる良好なデータ」が見られれば、インフレ率が当局の2%目標に向けて低下しているという確信が強まると発言。前日の上院銀行委員会の公聴会での証言内容を繰り返した。
議長は利下げのタイミングについて強いシグナルを発することは避けているものの、当局の行動開始が早過ぎても遅過ぎても、リスクを抱えることになると強調している。
そうしたリスクは以前よりバランスが取れていると、パウエル議長は指摘。金融当局はインフレを鈍化させることになおコミットしていると同時に、失業に懸念を抱いてもいるという。
パウエル氏は「インフレに関する仕事は終わっていない。やるべきことはまだある」と言明。その上で、政策当局者らは「労働市場の相当な軟化」にも極めて注目していると付け加えた。
パウエル議長の議会証言は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月30-31日の会合で利下げに動く可能性が低いことを示唆する。
バランスシート
パウエル議長はまた、FRBにはバランスシート縮小に関してやるべき仕事が残っているとの認識を示した。
パウエル氏は下院金融委員会の公聴会で「われわれはかなりの前進を遂げた。道のりはまだ長いと考えている」と述べた。
FRBはこれまでに保有資産を約1兆7000億ドル(約270兆円)減らしてきた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に市場安定と景気支援を目的に米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を購入し、保有資産は大規模に膨らんだが、その放出は続いており、バランスシートはさらに著しく縮小すると当局者は想定している。
米金融当局は6月、国債のランオフ(償還に伴う保有証券減少)ペースを減速させた。パウエル氏はこれについて、債券保有残高が低くなり過ぎないように取り組む上で一段と慎重な行動が可能になるとの見方を示した。準備預金の不足が短期借り入れコストの急上昇を招いた2019年の事態再来は避けたいと、当局者らは考えている。
「ペースを少しゆっくりにした方が、実際にはもっと先に進めるかもしれない」とパウエル氏は話した。
英中銀、利下げ近づくがインフレ圧力は強い=チーフエコノミスト | ロイター
ノルウェーの6月コアインフレ率、予想以上に鈍化 クローネ下落 | ロイター
日銀の国債買い入れ減額、生保など投資家の意見割れる-実務者会合 - Bloomberg
日本銀行は10日、生命保険会社など機関投資家との債券市場参加者会合を開いた。会合では日銀の国債買い入れについて、過度な減額に反対するなどさまざまな意見が出たことが、関係者への取材で分かった。
会合には生保のほか、損害保険会社や資産運用会社など国内外の25社が参加した。流動性への懸念から日銀に緩やかな減額を求める意見が出た一方で、買い入れ自体をやめるべきだとの声もあった。会合の参加者が匿名を条件に明らかにした。
銀行や証券会社などが参加した9日の会合では、メガバンクを中心に日銀に積極的な減額を求める意見が出ていた。
日銀は6月の金融政策決定会合で月6兆円程度としている国債購入の減額方針を決定。市場参加者の意見は、今月末の決定会合で決める「今後1-2年程度の具体的な減額計画」を議論する上での重要な材料となる。減額計画が市場のコンセンサスを上回るペースや額になるかが焦点となっている。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、今回の一連の会合について「意見が集約されている訳ではないことが明らかになった」と述べた。その上で、日銀にとっては市場の意見を聞く姿勢を見せることが大事だったとし、「最初は慎重に減額を進めていくことになるのではないか。いずれにしろ非常に難しい判断だ」と語った。
ブルームバーグが6月の決定会合後に行ったエコノミスト調査では、まず5兆円程度に減額し、半年ごとに段階的に縮小して、2年後に3兆円程度まで圧縮する姿が中心的な見方となった。植田和男総裁は同会合後の記者会見で、「減額する以上、 相応な規模になる」との見解を表明した。
前日の銀行との会合では、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行の3行のうち、1行が早い段階で大きく減額すべきだと発言。別の1行は最終的に月間1兆円への減額を主張し、もう1行は3兆円に減額すべきだと述べた。地銀からはより慎重な姿勢が示された。
また、証券会社などとの会合では、複数の社が8月に即時に3兆円に減額した上で1年間継続するよう要望したほか、1年をかけて徐々に3兆円に減らすことを求めた社も複数あった。日銀は具体的な減額計画を提示しなかった。
●先進国、グローバル、金融市場
ドイツ倒産件数、上半期は前年比41%増 予想大幅に上回る=独紙 | ロイター
独紙ハンデルスブラットによると、今年上半期に倒産したドイツの中・大企業は162社で、前年同期比41%増加した。インフレ、コスト高、需要減退が要因。
コンサルタント会社ファルケンシュテークの分析では、負債総額は1000万ユーロ(1083万ドル)。
同紙によると、年初時点でのアナリスト予想の30%増を大幅に上回る数字となった。
不動産、自動車部品、機械エンジニアリング部門が特に影響を受けている。
倒産が相次いでいる理由としては、パンデミックの余波、インフレ、エネルギー・原材料コストの上昇、需要の減退が挙げられている。世界的な危機、景気見通しの悪さや高金利によって不振企業のリストラや投資がますます魅力を失っているという。
円と人民元、120日間相関係数が過去最高-アジアで通貨安連鎖の恐れ - Bloomberg
アジアで最も重要な通貨である円と人民元の間にかつてないほどの連動性が生じており、執拗(しつよう)なドル高が続く中で、アジア域内に通貨安が連鎖するリスクが高まっている。
ドル・円相場とドル・元相場の相関係数(120日)は今週0.54と、ブルームバーグのデータがさかのぼれる2007年以降で最高水準に達した。同係数は1に近づくに連れて双方の相関が強まることを示す。
みずほ銀行の経済・戦略責任者ビシュヌ・バラサン氏(シンガポール在勤)は、アジア域内では「サプライチェーンと投資が密接に関連しており、相互の依存関係も考慮すると、アジア通貨は円と人民元を売る動きに大きく影響されやすい」と指摘する。
両通貨の相関を背景に、円安主導での元一段安もあり得るが、元安が進めば、アジア域内では輸出競争力を維持するために、各中央銀行が自国通貨安の加速を容認せざるを得なくなる可能性がある。
金ETF、6月は14億ドル流入超 運用資産総額2333億ドル=WGC | ロイター
金(ゴールド)の国際調査機関で金鉱山開発企業が加盟するワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)は9日、現物の裏付けがある金上場投資信託(ETF)が6月に14億ドル(17.5トン)の流入超だったと発表した。欧州やアジアの市場に上場するETFが現物保有量を増やしたためで、流入超は2カ月連続となった。
金ETFは、地金を裏付け資産としており、金への投資需要に応える重要な金融商品となっている。地政学的リスクの高まりや景気の先行き不透明感から、金は安全資産としての需要が高まり、5月20日に1オンス=2449.89を付けて史上最高値を更新した。
運用資産総額は6月に2333億ドルに達した。ただ、金保有量は計3105.5トンにとどまり、依然2020年以来の最低水準に近い状態だ。
今年上半期は欧州と北米のファンドが売りを主導した結果、67億ドル(120トン)の資金流出超となり、13年上半期以来11年ぶりの大きさを記録した。一方、流入超はアジアに限られた。
WGCによると、世界的な金利上昇に伴って金ETFは3年連続で流出超となっており、24年5、6月の流入超は同年上半期の流出をわずかに相殺したに過ぎないという。
NY市では5歳未満が約2割減少-米国の大都市圏で進む少子化 - Bloomberg
米国では家族世帯の大都市離れが続いており、ニューヨーク市では新型コロナウイルスのパデミック初期以降で子どもの数が約2割減ったことが、新たな調査リポートで明らかになった。
シンクタンクのエコノミック・イノベーション・グループ(EIG)が国勢調査データを分析したところ、2020年4月以降に5歳未満の人口はニューヨーク市で18%、シカゴがあるクック郡で15%、ロサンゼルス郡で14%減少した。
同リポートは米国勢調査局が今月に入って公表したデータを分析。コロナ禍では都市部から郊外や地方への人口流出が進んだが、大都市圏が依然としてその「後遺症」に悩まされている姿を映し出している。子どもの地方への流出は鈍化傾向にあるものの、家族世帯の継続的な減少はいわゆる「都市破滅ループ」のリスクを浮き彫りにする。
EIGの政策アナリスト、コナー・オブライエン氏は「ニューヨーク市の子どもの数が39カ月間で18%も減るとすれば、ニューヨークで子どもをつくるのは奇妙なことのように感じるようになる」と指摘。そうした社会通念が急速に勢いを増す可能性があると述べた。
EIGによれば、昨年は大都市圏から計約80万人が流出。コロナ禍前に比べると2倍の水準となる。大都市圏では、地方への転出と出生率の低下が相まって幼児の数が減少している。
ニューヨーク市などの都市部では保育費や住宅費が高騰しており、こうした経済的重圧が特に中所得者層の流出に拍車をかけているのではないかという懸念も持ち上がっている。
左派寄りのシンクタンク、フィスカル・ポリシー・インスティチュート(FPI)が最近発表した別のリポートでは、6歳未満の子どもがいる世帯は、パンデミック後にニューヨークを離れる可能性が他の世帯よりも47%高かったことがわかった。
米国の人口が高齢化する中、幼い子どもが減っているのは大都市圏だけに限らない。EIGによると、全米58%の郡で5歳未満の人口が減少した。
5歳未満の人口が増加している郡もある。レゴランドがあり、ウォルト・ディズニー・ワールドからも近いフロリダ州ポーク郡では20年4月以降、幼い子どもの数が12%余り増えた。
米商業用不動産の急落は機会、米資産選好で他地域の痛み深まる見込み - Bloomberg
ディストレスト資産の投資家は、商業用不動産の価値急落が市場を動揺させ続ける中、問題を抱えた米不動産を購入する数世代に一度の機会が訪れたとみている。
プライベートエクイティー(PE)投資会社はすでにその機会を狙っている。プレキンがまとめたデータによると、不動産投資用に業界が確保している4000億ドル(約64兆4000億円)の資金の約64%が北米を対象としており、この20年間で最も高いシェアとなっている。
他の地域で懸念されているのは、米国偏重で世界の他の地域には同様の需要が集まらず、問題のあるローンや不動産の処理が遅れることだ。
米国のオフィス物件の価格は昨年、在宅勤務の広がりで4分の1近く下落。落ち込みは欧州よりも大きかったため、PE投資会社は米資産の割安さを生かしたいと考えている。米抵当銀行協会(MBA)によると、米国では今年、商業用不動産に関連する約1兆ドルの債務が満期を迎える。借り手が返済できずデフォルト(債務不履行)が増えることで、不良資産の買い手の選択肢が増えることになる。
フロリダ・アトランティック大学教授(金融学)で、オークツリー・キャピタル・マネジメントのアドバイザーを務めるレベル・コール氏は「貯蓄貸付組合(S&L)危機や2008年に比べれば、不良資産に関してはまだ第1、第2ラウンドの段階だ」と語る。「津波が来るところで、浜辺から水が引きつつあるところだ」と話した。
オークツリーの不動産部門グローバル責任者であるジョン・ブレーディ氏は米国についての最近のリポートで「過去40年間で最も重要な不動産ディストレスト投資サイクルの瀬戸際にいる可能性がある。商業用不動産ほど不人気な資産クラスはほとんどないため、掘り出し物を見つけるのに米国ほど適した場所はないと考えている」とはっきり述べた。
米資産を照準を合わせたこの展開は、他の地域での主な買い手候補としては提示額の低い「ボトムフィーダー」しか残らない可能性を意味する。そうなると、欧州やアジアの不動産の価値がさらに下がったり、売り手や貸し手が超低価格での買収提案に応じないため、一部の市場が膠着(こうちゃく)状態に陥ったりする危険性がある。
データ提供会社アルタス・グループの調査ディレクター、オマール・エルトライ氏は、好調な北米経済、より懐の深い市場、そして通貨高が、他の地域の「市場回復の遅れ」につながる可能性があると述べた。
米国では、借り入れコストの上昇と不動産価値の急落を受け、金融機関が商業用不動産から手を引いている。資産運用会社PGIMは、今年返済期限を迎えるローンと新規融資可能額との間に1500億ドル近いギャップがあると見積もっている。これは買い手に機会をもたらす。
カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)のジョン・グラハム最高経営責任者(CEO)はインタビューで「このサイクルに入ると、大きな市場が人々がチャンスを見つける場所になる」と語った。プライベートエクイティーやプライベートクレジット、商業用不動産などすべてにおいて、「米国が最も大きく、最も深い市場だ」と指摘した。
米国では、中小の金融機関は不動産へのエクスポージャーが大きいため、特に脆弱(ぜいじゃく)に見える。このセクターはすでに波乱に見舞われている。ニューヨーク・コミュニティ・バンコープは今年、財務悪化に伴い10億ドル以上の増資を余儀なくされた。パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)によれば、地方銀行の破綻は不動産関連融資が原因である可能性が高い。
オークツリーの分析によると、商業用不動産の価値がピーク時から20%下落しただけで、危機に瀕する米銀の数は08年の金融危機時の水準を上回る。国際通貨基金(IMF)によれば、米国のオフィスビルの価値は昨年23%下落した。
不動産投資会社スターウッド・キャピタル・グループのバリー・スターンリヒト会長も、金融機関にはさらなる問題が待ち受けているとの見方を示している。同氏は5月の決算説明会で地方銀行について「オフィスポートフォリオでどうしてもっと大きな損失が発生しないのだろうと不思議に思う」と語った。
欧州の投資家にとって重要な障害の一つは、不動産やローンの評価に対する疑念だ。欧州保険・企業年金機構(EIOPA)は6月のリポートで「特に市場環境の変化に照らして、資産の真の価値が必ずしも正確に反映されているとは限らない」と指摘している。
例えば、ドイツの銀行は融資した建物の評価額の更新を米国の銀行ほど定期的に行っていないため、問題が表面化するまでに時間がかかる。欧州銀行監督機構(EBA)よれば、融資比率が100%を超える商業用不動産債務の額が1600億ユーロ(約28兆円)に迫っているにもかかわらず、評価額引き下げの遅れが生じている。
これは債務不履行と資産売却の波が押し寄せることを示唆するが、債務の構造上、問題の全容が明らかになるまでには数年かかる可能性がある。
EBAのホセ・マヌエル・カンパ議長はブルームバーグテレビジョンに、不良債権がさらに増加し状況はさらに悪化する可能性が高いとして「この傾向は短期的なものではない」と語った。
ピムコが警告、リスクに見合わないクレジット市場-プレミアムが圧縮 - Bloomberg
クレジット市場での融資リスクに対し投資家が得ている対価は不十分だと、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)が警戒感を示した。わずかな機会を追い求めて資本が増え、リターンが損なわれているという。
ピムコのコア戦略担当最高投資責任者(CIO)、モヒト・ミッタル氏は10日発表のリポートで、流動性の低い投資に求めるプレミアムは100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を下回り、本来提供されるべきリターンの半分以下に縮小したと指摘した。
ミッタル氏は「流動性のプレミアムは、パブリックおよびプライベートクレジット市場いずれにおいても圧縮している。両市場でクオリティーの低いセグメントは景気減速や金利上昇に対する脆弱(ぜいじゃく)さが高まっている」と述べ、「パブリックおよびプライベートクレジット市場全体で企業の社債スプレッドが歴史的な低水準に落ち込み、魅力的とは言えないかもしれないバリュエーションで新規投資が行われつつある」と続けた。
日銀頼みの国債市場に救世主、GPIFの保有残高が急増 - Bloomberg
日本銀行が国債買い入れの減額を検討する中、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国債の重要な買い手として浮上している。
5日発表のGPIFのデータに基づくブルームバーグの分析によると、GPIFの国債保有額は2023年度に前年度比25%増の50兆3000億円に達した。一方で国庫短期証券や非政府債、GPIFが国内債券に分類する為替ヘッジ付き外国債のシェアは減少している。
年金基金は資産価格が下落した場合、アロケーション(割り当て)を基本ポートフォリオの水準に戻す必要がある。GPIFの国債保有額は日銀の10分の1以下だが、日銀の国債買い入れの急激な減少に対する懸念が相場の重しとなる際に、GPIFの押し目買い傾向は相場の下支えとなる。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、GPIFの国債保有額増加は「当然、国債相場の大きなサポートになっている」と指摘。「23年度は株から円債へのリバランスが起きたが、何兆円も社債に投資できないため、国債中心となり、結果的に比率が上昇した可能性がある」とし、今後もリバランスが発生すれば「流動性の観点から国債が買われる可能性が高い」と述べた。
GPIFが保有する国内債(56兆5000億円相当)のうち、日本国債は89%を占め、3年前の81.3%から上昇した。この間、国庫短期証券の比率は4.5%から1%に、その他の債券は14.3%から10%に減少した。
三菱UFJアセットマネジメント戦略運用部の加藤章夫シニアマネジャーは「社債などはスプレッドがかなりタイト化してしまっているため、積み増すという判断になりにくい」と語った。
米国債や欧州国債など、国内債券と分類される為替ヘッジ付きの外債の保有額は21年3月の3兆4100億円から1兆3500億円に減少した。
日本証券業協会のデータをブルームバーグが分析したところによると、年金基金の代理と見なされることが多い信託銀行の過去1年間の国債購入額は、金利リスクを調整したベースで他の投資家を上回っている。
日銀は今月末の金融政策決定会合で国債買い入れを大幅に減らす計画を発表する見込みだ。日銀の減額方針を踏まえて、財務省は国債の発行年限を短期化することを検討している。
ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は「政府として国債管理政策の観点からも、生命保険があまり買わないので、GPIFの買いが期待されてもおかしくない気がする」との見方を示した。
OPEC、24年世界需要予想据え置き 夏の活発な移動見込む | ロイター
●中東情勢
サウジアラムコ、ドル建て債の起債開始-21年以来の社債発行へ - Bloomberg
アラムコの社債発行は2021年以来。事情を知る関係者によると、10年債と30年債、40年債と3本立てとなる。
アラムコは少なくとも30億ドル(約4850億円)の調達を目指しており、投資家の需要次第で発行規模を拡大する可能性があるとブルームバーグは先に報じた。
●エマージング
中国不動産の万科企業、上場来初の最終赤字に 1〜6月 - 日本経済新聞
碧桂園、ムーディーズが格付け取り下げ 「情報不十分」 - 日本経済新聞
国際会計事務所PwC、中国で100人以上削減と関係者-法人顧客流出 - Bloomberg
中国の消費者物価、伸び悩み続く-内需弱く景気回復の妨げに - Bloomberg
中国の消費者物価は6月も伸び悩んだ。デフレ圧力が引き続き景気回復の妨げになっていることを示した。
国家統計局が10日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.2%上昇。ブルームバーグ集計のエコノミスト予想中央値は0.4%上昇だった。5月は0.3%上昇していた。
6月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比0.8%低下し、予想と一致。2022年後半からマイナスが続いている。5月は1.4%下げていた。
中国の景気回復には今年ばらつきがあり、製造業に明るさが見える一方、長引く不動産不況や労働市場の低迷が消費の足を引っ張っている。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは「中国のデフレリスクは後退していない。内需の弱さが続いている」とし、「長期的には中国経済のけん引役として内需の持ち直しが必要だ」と述べた。
中国共産党の重要会議である第20期中央委員会第3回総会(3中総会)が来週開催され、投資家は幅広い問題への対応を巡る指導部の長期的な計画に関する手掛かりを探っている。また、15日には4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)統計も発表される。
●プロファイ、インフラ、自然災害
米テキサス州に熱波、ハリケーン「ベリル」で停電の中 | ロイター
米南部テキサス州の南東部では9日、ハリケーン「ベリル」による大規模な停電で空調機器が使えない中、何百万人もの市民が熱波による高温に耐えなければならなかった。
停電情報サイト「PowerOutage.us」によると、テキサス州では約200万世帯が停電となった。米国立気象局(NWS)によると、9日正午時点で気温は38度を超えた。NWSは「ベリルの被害によりテキサス州南東部の大半で停電が起きている状況下、エアコンが使えず危険な状況になる恐れがある」と伝えた。
ベリルは8日に上陸し、9日には温帯低気圧になった。
9日は全米の約1億2800万人が住む地域に高温注意報が出された。米西部のシアトルからカリフォルニア州を通じてアリゾナ州に至る一帯では、過去最高気温が予想されている。
モハーベ砂漠の中にあるカリフォルニア州テコパでは、気温が全米で最高の54度を記録。ラスベガスは47度、フェニックスは47度、ツーソンは44度に達した。
米テキサスの石油・ガス会社が操業再開、ハリケーン一過で | ロイター
米南部テキサス州に猛烈な暴風雨をもたらしたハリケーン「ベリル」の通過後、同州の石油・ガス各社は9日に一部の操業を再開した。ただ、被害を受けた施設があるほか、電力も全面復旧していない。
ベリルによる石油・ガス生産への影響は限定的と予想されている。ベリルは8日、メキシコ湾沿岸のマタゴルダ近郊に上陸。エネルギー各社はベリル上陸に備えて操業を停止したほか、テキサス州の複数の大型港や航行水路が閉鎖された。
9日には一部の港が再開し、大半の企業と施設が生産を回復させつつある。一方、一般家庭や企業向けの電力復旧に時間がかかっており、一部企業の稼働再開の足かせになっている。
米気象予報会社アキュウェザーは、今回のハリケーンに伴う米国の被害と経済的損失が計280億─320億ドルに上るとした暫定推計を発表した。
米停電情報サイトによると、9日時点でテキサス州で約200万件、ルイジアナ州で約1万2000件の顧客への電力供給が途絶えたままだ。
米国立ハリケーンセンター(NHC)は、ベリルが上陸後に急速に勢力を弱め、9日までに温帯低気圧に変わったと説明。ただ、ミシシッピ州中部からイリノイ、インディアナ、オハイオ、ケンタッキーの各州にまたがる地域では、鉄砲水や竜巻が発生する可能性がまだ残っていると警告した。
テキサスは米最大の石油・ガス生産州。
ゴールドマン・サックスはリポートで「これまでのところ、今回のハリケーンで石油生産や精製に深刻な混乱は生じていない。ただ、複数の石油港の閉鎖が続いているほか、大規模な停電が石油需要を圧迫しうる」と指摘した。
猛暑で一体何人死亡しているのか、正確な数は誰も分からず-把握難航 - Bloomberg
米PGIMのCOO「蓄電池など再エネインフラに投資機会」 Foresight - 日本経済新聞
●小ネタ
NEC、出退勤や食堂決済「顔パス」で 社員証デジタル化 - 日本経済新聞
NECは10日、国内の社員2万人を対象に物理的なカードが不要な「デジタル社員証」を導入したと発表した。デジタル社員証には社員の顔画像がひも付いており、社員は本社の入退場や売店や食堂での決済、オフィスの複合機やロッカーの利用を全て顔認証で利用できる。
デジタル社員証は米マイクロソフトが手掛ける、特定のサービス事業者に依存しない「分散型ID」技術とNECの生体認証を組み合わせた。デジタル社員証と生体認証を組み合わせて導入した事例は珍しいとしている。
社員はカードタイプの社員証を持ち歩く必要がなくなり、紛失防止にもつながる。月内をめどに勤怠管理システムとも連携し、本社への入館、退館と同時に「勤務開始」「終了」も記録できるようにする。
Jリーグと歩む明治安田、知恵を絞り絆深めるパートナー 編集委員 武智幸徳 - 日本経済新聞
サッカーJリーグのタイトルパートナーに明治安田がなって10年がたった。両者の関係は、時に集客を後押しするサポーターであったり、若い世代の献血を増やすといった社会活動の同志であったり、多岐にわたるのだが、その結びつきの濃さを知る機会が先日あった。7月4日に都内で開かれた明治安田の「Kizuna運動」全国代表リーダー研修会である。
三井住友カード、旅行事業に参入 オリーブ経済圏拡大 - 日本経済新聞
米投資会社アルケゴス創業者、有罪評決 銀行への詐欺 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(10日)S&P初の5600台、ドル下落、利回り低下 | ロイター
<為替> ニューヨーク外為市場ではドルが下落。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は10日の議会証言で、利下げ時期は近づいているものの、インフレのさらなる鈍化を確認したという見解を改めて示した。
<債券> 米金融・債券市場では米債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言を受け、FRBが9月に利下げを開始するとの見方が強まった。
<株式> 米国株式市場は、ナスダック総合指数とS&P総合500種が過去最高値を更新して取引を終えた。米半導体大手エヌビディアなど主力銘柄の上昇がけん引した。
ナスダックは7営業日連続、S&P500は6営業日連続で最高値を更新。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言を受け、FRBが9月に利下げするとの期待が高まり、S&P500は初めて5600台に乗せた。
フィラデルフィア半導体が2.4%高で過去最高値を更新。半導体受託生産の世界大手、台湾積体電路製造(TSMC)の決算を好感した。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、対主要通貨でのドル軟化に伴う割安感などを手掛かりに買われ、続伸した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、需給引き締まり観測が強まる中で買い戻され、4営業日ぶりに反発した。
欧州市場サマリー(10日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。貴金属株が上昇して相場を押し上げた。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。不動産株などが幅広く上昇した。好決算を発表した銘柄などが買われ、相場の上昇を支えた。
<ユーロ圏債券> フランスとイタリアを中心に域内国債利回りが低下した。投資家がフランス国民議会(下院)総選挙前に両国に付けていた政治リスクプレミアムを解消しつつあることが示唆された。
取引終盤、フランス10年債利回りは8ベーシスポイント(bp)低下の3.176%。前日は9bp上昇していた。
ドイツ10年債利回りは5bp低下の2.531%。ドイツ2年債利回りは3bp低下の2.898%となった。
独仏10年債利回り格差は63.5bpと6月13日以来の低水準まで縮小。一時、6月下旬に付けた2012年以来の高水準となる85bpまで拡大する場面もあった。
イタリア10年債利回りは9bp低下の3.863%。独伊10年債利回り格差は133bp。取引序盤には6月10日以来の低水準となる130bpまで縮小した。

備忘録(2024/7/9
●雑感
●決算
●海外企業
エアバス、今年上半期は323機納入 前年比+2% | ロイター
欧州航空機大手エアバスは8日、今年上半期の航空機納入が323機と、前年同期の316機から2%増加したと明らかにした。
上半期の総受注は327機、キャンセルを除く純受注は310機だった。
ロイターは先週、同社の6月納機が約67機で、今年上半期の合計は323機ほどになると報じていた。
業界筋によると、サプライチェーン(供給網)の問題からエアバスの生産が少なくとも2カ月にわたり社内予想を下回っており、今月は納機目標を引き下げて生産拡大計画を延期した。
英BP、最大3200億円の減損計上へ 24年4〜6月期 - 日本経済新聞
英BPは9日、2024年4〜6月期に最大20億ドル(約3200億円)の減損損失を計上する見通しだと発表した。主にドイツ西部に持つ製油所が減損の対象となる。BPは3月に将来の石油需要の減退を踏まえ、同製油所での原油処理能力を3割以上減らすと打ち出していた。
●日本企業
不動産の日エスコンが社債にコベナンツ、大株主変更で償還請求も - Bloomberg
分譲マンションの企画、販売を手掛ける日本エスコンが、社債権者を保護するコベナンツ(財務制限条項)を付けた社債を発行する。国内社債市場の活性化のため日本証券業協会がコベナンツ利用を後押しする中で登場した希少案件だ。
主幹事のみずほ証券によると、日エスコンは12日に起債予定の5年債に、会社の所有者が変わった場合に投資家を保護する「チェンジ・オブ・コントロール(COC)条項」を付ける。これにより、同社が大株主である中部電力の連結子会社から外れた場合、社債権者は期限前償還を請求できる。社債管理補助者も設置する予定だ。
みずほ証によれば、国内社債にCOC条項が付くのは2010年以来。日エスコンは09年6月、経営悪化で80億円の公募普通社債がデフォルト(債務不履行)となった経緯があり、一部投資家の間でCOC条項が付いていれば社債購入を検討できるとの声があったという。
日エスコンの広報担当者は、COC条項は同社が中部電力グループの重要な子会社であることを投資家に改めて認識してもらう意図で付けたと説明。中部電の子会社でなくなることは想定していないと表明することで、投資家の評価が高まるのであれば有効だと考えたと述べた。
日証協が主導するワーキンググループは6月、低格付けの社債に適用されるコベナンツの詳細を議論した一連の会合を終えた。格付けがBBBプラスを下回る社債を対象にCOC条項と、デフォルトの可能性が高まった場合に投資家への通知を発行体に義務付ける「リポーティングコベナンツ」を柔軟性を保ちながら適用することで合意した。
大和総研の大橋俊安理事は、「いったんデフォルトした銘柄が復活し戻ってきたことは、社債市場が調達や投資先として重要であることを表している」と指摘。その上で、経営陣による自社買収(MBO)など「今は株主が変わるのはどの会社にもあり得る時代で、コベナンツの必要性に市場が気づくきっかけになるのではないか」と話した。
住友化、単体決算に320億円の特損計上 サウジ社の株価下落で | ロイター
2025年3月期の第1・四半期(4─6月期)単体決算に320億円の特別損失を計上すると発表した。サウジアラビアの持分法適用会社ラービグ・リファイニング・アンド・ペトロケミカル・カンパニーの株価が大きく下落したため。連結業績には影響しない。
●米大統領選挙
●その他先進国政治動向
仏左派連合、中道連合との連携否定 公約実現に意欲 | ロイター
フランス国民議会(下院)選の決選投票で第1勢力となった左派連合「新人民戦線(NFP)」に参加する政党の代表は、多額の歳出を必要とする選挙公約を全て実現する意向を表明、NFP以外の勢力との連立政権樹立を拒否した。
一方、第2勢力となったマクロン大統領率いる中道連合は、過半数議席を確保していないNFPには中道連合との連携が必要だと訴えている。
NFPに参加する各政党の指導者は選挙結果判明後、複数回にわたって非公開の会合を開催。次期首相の人選や政権樹立について協議した。
NFP内で最多議席を獲得した極左「不屈のフランス」のジャン・リュック・メランション党首は8日夜、TF1テレビに対し、最低賃金引き上げ、定年退職年齢の引き下げ、燃料・電力・一部食料品価格の上限設定など、NFPの選挙公約を全て履行すべきだと主張。政策構想を「細切れにすることはできない」とし、NFP以外の勢力との連立を拒否した。
これに対し、中道連合はNFPの政権樹立には中道連合の協力が必要だとし、NFPを分割し、穏健派である中道左派政党、環境政党派、中道政党、中道右派政党で連立政権を樹立できるとの考えを示唆している。
マクロン氏率いるルネッサンス党に所属するセジュルネ外相はLCIテレビに「中道連合は共和的な価値観を共有する全ての政党と交渉する用意がある」とし、交渉の条件として、欧州連合(EU)への支持、ウクライナへの支援、人種差別・反ユダヤ主義の取り締まり、グリーン経済への移行加速、投資先としてのフランスの魅力を高める取り組みの継続を挙げた。
セジュルネ氏は「当然、ジャン・リュック・メランション氏と不屈のフランスは除外される」と語った。
<次期首相の人選>
だが、NFP内で不屈のフランスに次ぐ議席を獲得した社会党のフォール党首は中道連合の提案を拒否。NFPの分割に反対する姿勢を示した。
新政権がいつ発足するかは不透明で、マクロン大統領はアタル首相に対し、国の安定のため、当面留任するよう要請した。
NFPでは次期首相の人選で合意が成立していないとみられる。最多議席を獲得した不屈のフランスとメランション党首は自党から首相を出すべきだと主張しているが、メランション氏は必ずしも自身が首相になる必要はないと述べ、複数の側近の名前を挙げた。
ただ、社会党や環境政党などNFPに参加する他の政党の代表は、メランション氏が首相に就任すれば分裂を招くと主張しており、不屈のフランスから首相を出す必要があるとの見解にも同意していない。
国内メディアでは首相候補として、社会党のフォール党首、左派連合の欧州議会選筆頭候補だったグリュックスマン氏、欧州エコロジー・緑の党(EELV)のトンデリア代表の名前が挙がっている。
フランスの左派、マクロン氏のグループに接近-連立形成で主導権狙う - Bloomberg
フランスの左派連合の一角を担う社会党は、マクロン大統領のグループの一部議員に歩み寄ろうとしている。過半数を制した勝者のいない選挙の後の政治的駆け引きが始まった。
社会党の交渉責任者でフランス西部のナントの市長を務めるヨハンナ・ロラン氏は9日、フランス2ラジオで「われわれは明確なビジョンを持っているがセクト主義ではないので、そのようなベースでわれわれとの交渉を望む人たち(特にマクロン陣営の左派について考えているが)に対して、オープンだ」と語った。
新たな多数派が合意できるテーマとして医師や地方警察官の不足を挙げ、議会がケースバイケースで法案に合意することが可能だと示唆した。
社会党、緑の党、極左の「不屈のフランス」を含む左派連合は、7日の決選投票でのサプライズ勝利の後、主導権を握ろうとしているもようだ。投票によって国民議会(下院)は複雑な分裂状態に陥り、連立与党を形成するための前例のない取引への扉が開かれた。
ロラン氏は、首相候補を提案するための新人民戦線メンバー間での協議にしばらく時間がかかる可能性があるとくぎを刺した。左派の他の議員たちは今週中か来週初めの提案が目標だと発言していたが、協議の複雑さがうかがわれる。
大統領は提案された首相を受け入れる義務はないが、解散総選挙で自国を政治的混乱に追い込んだマクロン氏にとって、首相選びは非常に困難だ。分裂した下院で不信任投票に耐えられる候補を見つける必要がある。マリーヌ・ルペン氏の極右政党「国民連合(RN)」と復活した左派に挟まれ、マクロン氏自身の権力基盤は縮小している。
意外な復活を遂げたとはいえ、左派は過半数に100議席以上及ばず、政権を狙うなら他党にも勢力を広げる必要がある。しかし、極左議員たちは不屈のフランスを過激と呼び親パレスチナの同党を反ユダヤ主義と主張して非難しているマクロン氏との協力に同意しそうにはない。
ロラン氏は9日、不屈のフランスのリーダー、ジャンリュック・メランション氏を首相候補から除外した。
「妥協と議論が必要だ」と述べ、左派連合の首相候補について投票を行うだろうと付け加えた。
緑の党と社会党が2022年の前回選挙に比べて議席を伸ばしたのに対し、メランション氏の不屈のフランスは横ばいで、同氏の勢いと穏健派にアピールする能力には疑問符が付く。メランション氏(72)は8日遅くに、格付け会社と独仏関係が重要だと述べ、攻撃的な姿勢を和らげたように見えた。
同氏はLCIテレビで「安定が必要だ」と語った。
メランション氏は、富裕税のようないくつかの政策について妥協点を見いだすことができると述べると同時に、新人民戦線は依然として健在だと再確認した。新人民戦線は選挙戦で、最低賃金の引き上げと企業や富裕層への増税を公約していた。
マクロン氏の盟友で中道政党、民主運動(MoDem)の党首、フランソワ・バイル氏も8日夜のLCIの番組で、政権の輪郭は不屈のフランスを除いた左派とRNを除いた右派にまたがるべきだとの考えを示した。不屈のフランスの政策は「危険」だとの立場を繰り返した。
マクロン派が新人民戦線の一部および中道右派との中道連立を模索するとの予想の中、後継者が決まるまで留任するアタル首相は9日に党員と会談する。とはいえ、駆け引きの余地は限られそうだ。
マクロン派は7日には168議席を獲得して予想以上の好成績を収めたが、多くの議席は極右の勝利を阻止するための左派との協力の結果だ。極右に対抗するいわゆる「共和国戦線」が、分裂の中で各派が協力する動機付けになるかもしれない。
トルナ・ハリス・インタラクティブが7日の投票終了後に実施した世論調査によると、2027年の次期フランス大統領選の第1回投票ではルペン氏が首位に立つ見込み。
フランスの衝撃、露呈した財政リスクの現実-今や欧州の弱者か - Bloomberg
フランスの政治ショックは、同国の財政赤字が数年先でなく、今ここにある問題だという現実を債券投資家に突き付けた。
ユーロ圏中核国という理由で、フランスの財政赤字がもたらす脅威を投資家は忘れ、同国は長らくその恩恵を享受してきた。その平穏が今危険にさらされている。
マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる反移民の極右政党・国民連合(RN)が欧州議会選で圧勝し、与党連合が大敗したことで、マクロン大統領は先月、国民議会(下院)を解散し、総選挙を実施すると発表。政治的安定への疑念が生じ、フランス国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は、欧州ソブリン債危機以降で最大に拡大した。
7日の決選投票の結果、国民議会は絶対多数政党不在のハングパーラメントとなり、新たに発足する内閣が経済改革を推進したり、財政政策で一致点を見いだしたりすることは難しいだろう。税と政府支出では特に妥協が困難と思われる。
フランス債のドイツ債に対するスプレッドはマクロン首相が先月議会を解散する前は40-50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で推移していた。8日には市場は選挙結果への安堵(あんど)を示したものの、スプレッドは現在も60bp以上で取引されている。
ソシエテ・ジェネラルによれば、左派連合「新人民戦線」が予想に反し、国民議会の最大勢力となったことで、フランス国債のスプレッドは新たなより高いレンジに入った可能性が高い。
トゥエンティフォー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、 ゴードン・シャノン氏は「グリッドロック(行き詰まり)は、さらなる外的ショックに対しフランスをより脆弱(ぜいじゃく)にするという理由からプレミアムに値する。マクロン氏が左派陣営を抑えられると考えるのは少し甘いのではないか」との認識を明らかにした。
ヌビーン、MFSインベストメント・マネジメント、UBSグローバル・ウェルス・マネジメントもフランス債投資に懐疑的な見方を示している。
フランス債への投資意欲を試す次のイベントは18日の中期債入札だ。これは新しい国民議会が初めて開かれる日でもある。
ムーディーズ・レーティングスは8日のポートで、新たな政治情勢が債務状況の重大な悪化につながると結論付けた場合、フランスの信用格付け見通しをネガティブとする可能性があると明らかにした。現在は格付けを「Aa2」、見通しは安定的としている。
「財政再建へのコミットメントが弱まれば、信用力への下押し圧力が強まるだろう」とサラ・カールソン氏らアナリストはリポートで指摘。また、労働市場の自由化や年金改革など、マクロン大統領の政策が撤回され、フランスの潜在成長率や財政軌道が悪化するようなことがあれば、マイナス材料になるだろうと分析した。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ欧州エコノミスト、ジェイミー・ラッシュ氏らは「2024年の財政赤字が国内総生産(GDP)比5%近く、公的債務残高が同111%前後に達すると予想されるフランスは、財政逼迫(ひっぱく)が出発点となり、左派政党が財政再建に協力的なパートナーにならないことは、はっきりしている」と指摘する。
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は先月、財政規律違反を巡り、フランスを含む加盟7カ国に対する「過剰財政赤字手続き(EDP)」開始を欧州理事会(首脳会議)に勧告すると発表した。
どのような内閣が発足するにしろ、単年度財政赤字をGDP比3%以内に抑える新たな道筋について、EUと直ちに交渉を開始しなければならない。
マクロン政権は2023年に5.5%だった財政赤字のGDP比率を今年5.1%に抑制するため、痛みを伴う歳出削減を予定していた。しかし、次の内閣に参加しそうな政党はいずれも歳出増を公約しており、一連の緊縮策は取り下げられる公算が大きい。
独立系シンクタンクのモンテーニュ研究所の推計では、新人民戦線の公約実現には、年間約1790億ユーロ(約31兆円)の追加予算を必要とし、マクロン大統領の与党のプログラムでさえ、210億ユーロ近い追加負担が想定される。
フェデレーテッド・エルメスのポートフォリオマネジャー、オーラ・ガービー氏は「財政赤字と関連リスクについて言えば、隠されていた事が公になったようなものだ。債務の軌道改善に必要な改革を実行できない弱体化した政府が残れば、スプレッドにとって厳しい環境になろう」と分析した。
キャンドリアムで最高投資責任者(CIO)を務めるニコラス・フォレスト氏は、フランス国債のドイツ国債に対するスプレッドが直近のピーク、86ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)を超えて拡大することもあり得ると警告する。
フォレスト氏は「中期的見通しに関わる問題であり、政策面で何が期待できるか、財政赤字について何が期待できるかだ。フランスはヨーロッパの弱者になった」と見解を示した。
ルペン氏、22年仏大統領選で違法選挙資金利用の疑い-検察が捜査 - Bloomberg
仏選挙結果、信用格付けに「マイナス」=ムーディーズ
格付け会社ムーディーズは、フランス国民議会(下院)総選挙の結果は同国の信用格付けにとってマイナスだと警告した。また、大連立政権が樹立されれば意思決定や債務管理がより困難になるとの見方を示した。
ノートで「将来の政府が直面する制約を考慮すると、2025年に歳出ベースの財政再建が実現する可能性は低い」と指摘。フランスは国内総生産(GDP)に対する税収の比率がすでに経済協力開発機構(OECD)諸国の中で最も高いことから、さらなる増税を断行できる可能性は低いとし、「選挙結果の財政的影響は信用にマイナスだ」とした。
ムーディーズのフランスに対する現在の信用格付けは「Aa2」で、フィッチやS&Pグローバルよりも1段階高い。見通しは「安定的」。
格付け会社S&Pグローバルは8日、フランスが総選挙を受け宙づり議会(ハング・パーラメント)となったことについて、政策立案が複雑化する恐れがあるとし、債務拡大もしくは経済成長が持続的に低迷すれば格下げを招く可能性があると警告した
ムーディーズは「現在の前例のない状況はフランスの制度と政策の有効性を試すことになる」とした。
●先進国中銀、金融当局
パウエル議長、雇用市場のリスクを指摘-利下げ時期ヒント与えず
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はインフレ減速の証拠をさらに確認したいと述べつつ、高金利が労働市場に及ぼし得るリスクが当局者の間でますます懸念されていると述べた。
パウエル議長は9日、上院銀行委員会の公聴会で議員の質疑に応答。利下げのタイムラインを示すことは控えたが、雇用市場冷え込みの兆候が増えていると強調した。
「われわれが直面するリスクは高止まりするインフレだけではない」と議長は指摘。「最新のデータは労働市場の状況が2年前に比べて著しく冷え込んだことを示した。過去2つの統計が発表されるまで、このような発言はしなかっただろう」と説明した。
パウエル議長は半期に一度の議会証言に臨んだ。事前に配布された原稿によれば、議長は利下げが少な過ぎる、ないしは遅過ぎた場合、経済と労働市場をリスクにさらす恐れがあると語った。
「さらなる良好なデータ」が見られれば、インフレ率が当局の2%目標に向けて低下しているという確信が強まると議長は発言。また最近のデータはインフレ面での「さらなる緩やかな進展」を示していると語った。
「政策引き締めの緩和が遅過ぎたり、少な過ぎたりした場合、経済活動と雇用を不当に弱める恐れがある」とパウエル氏。一方で利下げが早過ぎたり、多過ぎたりした場合は、インフレ面での進展が失速または反転しかねないとも述べた。
パウエル議長の発言が報じられた後、外国為替市場では円がドルに対して下げ幅を拡大。一時1ドル=161円52銭を付けた。
議長は「さらなる良好なデータが見られれば、インフレ率が2%へ持続的に低下しているという確信が強まる」と語った。パウエル氏は10日には下院金融委員会の公聴会で証言する。
パウエル議長の発言は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月30-31日の会合で利下げに動く可能性が低いことを示唆する。
市場では、9月に初回利下げが実施される確率が70%強となっている。年内については0.25ポイントの利下げが2回あるとの織り込みだ。
パウエル議長はデータが正当化する場合は利上げもあり得るとしつつ、「インフレ面でさらなる進展を遂げ、労働市場が強さを維持する中、適切なタイミングで政策緩和を始めるというのが方向性として可能性が高いように思われる」と語った。
労働市場については「完全にバランスを取り戻したもようだ」とし、最近のデータは「労働市場の状況がかなり冷え込んできたという非常に明確なシグナル」を送っていると説明。
労働市場は「強いが過熱してはいない」とし、FOMCの景気抑制的なスタンスが機能し、需給バランスは改善していると付け加えた。
FRB議長、良好なデータ増えれば「利下げの根拠強まる」 議会証言 | ロイター
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、議会上院の銀行委員会で行った証言で、インフレ率はFRBが目標とする2%を依然として上回っているとの認識を示しながらも、ここ数カ月は改善しているとし、一段と良好なデータが増えれば利下げの根拠が強まると述べた。
パウエル議長は、FRBは現在、金利が長期にわたり高止まりした場合の労働市場と経済へのリスクについて懸念していると言及。「今年は当初、2%のインフレ目標に向けた進展が見られなかったが、このところの月次データで一段の緩やかな進展が示されている」とし、「一段と良好なデータが得られれば、インフレ率が持続的に2%に向かっているという確信が強まる」と述べた。
労働省が先週発表した6月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比20万6000人増と、健全な伸びを示した。ただ、失業率は前月の4.0%から4.1%に上昇した。
パウエル議長はこれを「依然として低い水準」と指摘。同時に「インフレ抑制と労働市場の冷却の双方で過去2年間に見られた進展を踏まえると、高インフレだけがわれわれが直面する唯一のリスクではない」と述べた。
その上で、過度に長期にわたり、過度に引き締め的な政策を維持すれば経済活動と雇用が過度に弱まり、経済成長が損われる恐れがあるとの考えを示した。
ECB、段階的な利下げ継続が可能=イタリア中銀総裁 | ロイター
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのパネッタ・イタリア中銀総裁は9日、ECBは現行のインフレ低下を損なうことなく、段階的な利下げを継続することができると述べた。
ローマでの会議で「マクロ経済の動向がECBの予想と一致し続けるなら、インフレが目標に近づくにつれて、政策金利の引き下げは段階的に進められる可能性がある」と指摘。サービス価格の低下がモノの価格低下に遅れるのは当然とし、サービス価格の高止まりを巡る懸念を退けたほか、賃金上昇も緩やかになると予想した。
パネッタ氏は「過去の利上げは依然として需要、生産、インフレを抑制しており、今後数カ月もその傾向が続くだろう」と語った。
パネッタ氏はハト派として知られる。
米FRB、最大手行の資本負担軽減も 算出ルールの微調整検討 | ロイター
複数の関係筋によると、米連邦準備理事会(FRB)は、国内最大手8行の自己資本負担を総額数十億ドル軽減できる可能性があるルール変更について検討している。
問題になっているのは「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)」に対する上乗せ資本(G-SIB資本サーチャージ)の算出方法。
FRBは2015年に設定した算出に使用する「係数」の更新を検討。係数を経済成長に合わせて調整し、世界経済に対する銀行の規模をより正確に反映させる案を協議している。
係数の更新により、各行のG-SIBスコアが下がり、それに伴い資本サーチャージが減るという。
関係筋によると、FRBの協議は継続中で、決定は下されていないが、FRBが協議を始めたこと自体、以前からサーチャージの軽減を求めてきたG-SIBsにとって大きな前進となる。
各行が自己資本負担を潜在的にどの程度軽減できるかは、ビジネスモデルなどさまざまな要因に左右される。
例えば、ロイターの試算によると、JPモルガンとバンク・オブ・アメリカの場合、0.5%の資本サーチャージは80億ドル以上に相当する。銀行側はその分を融資を通じて実体経済に還流できると主張している。
G-SIB資本サーチャージは09年の世界的な金融危機を受けて、銀行の強靭性を高めるために導入された。
G-SIBsは、世界経済の成長とともに銀行も成長する傾向があるため、古い算出方法では世界経済に対する銀行の規模が実際よりも大きく算出されると主張してきた。
ECB利下げ、自動操縦ではない-ナーゲル独連銀総裁が現地紙に語る - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
豪企業景況感指数、6月はさらに低下 雇用見通しが悪化 | ロイター
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が9日発表した6月の企業景況感指数は前月から2ポイント低下し、プラス4と長期平均を下回った。特に雇用見通しが悪化した。
雇用指数は6ポイント低下してゼロとなった。売上高指数はほぼ変わらずだった。
一方、信頼感指数は6ポイント上昇し、プラス4となった。コスト圧力の緩和が背景。
NABのオーストラリア経済担当責任者ガレス・スペンス氏は「1カ月分のデータにすぎないが、雇用指数は長期平均を下回り、景気減速が労働需要により強く波及していることを示している可能性がある」と述べた。
人件費と仕入原価は鈍化した。3カ月間の小売価格上昇率は1.5%だった。
メガバンクと証券、国債購入の積極的な減額を主張-日銀の実務者会合 - Bloomberg
日本銀行が9日午後に開催した債券市場参加者会合では、メガバンク3行と複数の証券会社が、日銀に国債買い入れの積極的な減額を求めた。複数の関係者への取材で分かった。
関係者によると、銀行との会合で、三菱UFJ銀行と三井住友銀行、みずほ銀行の3行のうち、1行が早い段階で大きく一気に減額すべきだと発言。別の1行は最終的に月間1兆円への減額を主張し、もう1行は3兆円に減額すべきだと述べた。地銀からはより慎重な姿勢が示されたという。メガ3行の広報担当者はいずれも、コメントを差し控えると回答した。
また、証券会社などとの会合では、複数の社が8月に即時に3兆円に減額した上で1年間継続するよう要望したほか、1年をかけて徐々に3兆円に減らすことを求めた社も複数あったという。日銀は現在6兆円程度を毎月買い入れている。
日銀は6月に国債購入の減額方針を決定。市場の意見は30、31日の金融政策決定会合で決める「今後1-2年程度の具体的な減額計画」を議論する上で重要な材料となる。きょうの会合では減額の幅やペースに関する日銀の情報発信や参加者の意見が注目を集めていた。日銀は具体的な減額計画を提示しなかったが、参加者からは積極的な姿勢が示された形だ。
日銀は会合を開催した経緯やヒアリングで寄せられた意見などについて説明した上で、参加者の意見を聞いた。日銀からは金融市場局長や市場調節課長らが出席。10日には機関投資家からも意見を聞く。会合の議事要旨を作成する予定だが、公表日は未定という。通常はおおむね3週間後に公表されている。
植田和男総裁は6月会合後の記者会見で、「減額する以上、 相応な規模になる」との見解を表明。ブルームバーグがその後実施したエコノミスト調査では、まず5兆円程度に減額し、半年ごとに段階的に縮小して、2年後に3兆円程度まで圧縮する姿が中心的な見方となった。それ以上の減額となれば、市場にインパクトを与える可能性がある。
ニッセイ基礎研究所の福本勇樹金融調査室長は、債券市場参加者会合の焦点は「買い入れ額を見極めるためにマーケットがどれくらいの国債発行分をカバーできるかをヒアリングし、懸念点を解消することにある」と指摘。各社にどれくらいの年限でいくら買えるかを質問するとみており、「重要な2日間になる」と述べた。
鈴木俊一財務相は9日午前の閣議後会見で、債券市場参加者会合に関する記者からの質問に対し、協議の場について具体的に説明を受けている訳ではないとした上で、「ある意味、重要な協議」であり、その行方を「注意深く見ていきたい」と語った。特に財務省側から要望することはないとも述べた。
追加利上げ
日銀の減額方針を踏まえて、財務省は国債の発行年限を短期化することで、日銀に代わる買い手となり得る銀行が保有しやすい環境を整えるなどの対応に動き出した。国庫短期証券を除く日銀の国債保有割合が過半を超える中、日銀の購入減は市場に大きな影響を与え得る要素になっており、植田総裁は減額に際して「市場参加者の意見等も伺って、丁寧に進めたい」としている。
次回の決定会合を巡っては、今月初めに38年ぶりの水準となる1ドル=162円台寸前まで進んだ円安による物価の上振れリスクなどを背景に、国債買い入れの減額計画と同時に追加利上げを決めるとの見方も市場に浮上している。
大和証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは8日付リポートで、債券市場参加者会合に関して「日銀からある程度の目線を提供することが期待される」と指摘。その上で、金融政策運営について「市場が減額内容を十分に織り込めば、追加利上げの検討を俎上(そじょう)に載せやすいだろう」とみている。
NATO首脳会議開幕、各国の内政問題が影落とす - Bloomberg
良好なグリーン経済投資、リターンはハイテク除く全セクター上回る - Bloomberg
世界パソコン出荷4〜6月3%増 買い替えでAppleは2割増
米調査会社IDCは9日、2024年4〜6月の世界パソコン出荷台数(速報値)が前年同期比3%増の6490万台だったと発表した。業務用パソコンの買い替えが進んで2四半期連続の増加となった。パソコン側で高速なデータ処理などができて人工知能(AI)機能が使いやすくなる「AIパソコン」に市場回復の期待がかかる
●中東情勢
ガザ停戦交渉、ドーハ・カイロで再開へ 早期合意に向け | ロイター
パレスチナ地区ガザでの停戦に向けた交渉は、9日のバーンズ米中央情報局(CIA)長官とエジプトのシシ大統領との会談後、10日にドーハ、翌11日にカイロで再開される見通し。エジプト国営テレビ局アルカヘラ・ニュースが報じた。
同国高官筋の話によると、エジプト代表団は「可能な限り早期の停戦合意に向け、イスラム組織ハマスとイスラエルの見解を近づけるという使命のために」10日にドーハに向かう。同筋は「多くの点で合意は存在する」という見方を示した。
サウジがG7に反対、ロシア資産押収なら欧州債売却と脅し-関係者 - Bloomberg
主要7カ国(G7)がおよそ3000億ドル(約48兆3000億円)に上るロシア凍結資産の押収を決定すれば、サウジアラビアは保有する欧州債券の一部を売却する可能性があると今年に入り内々に示唆した。事情に詳しい関係者が明らかにした。
サウジ財務省がG7の一部の国に対し、ウクライナ支援を意図したロシア凍結資産の押収案に反対を伝えてきたという。関係者の1人は、サウジのメッセージを遠回しな脅迫だと表現した。サウジは具体的にフランス国債に言及したと、関係者の2人は語った。
5月から6月にかけ、G7はロシア中銀の資産についてさまざまな選択肢を検討していた。米国と英国は直接の資産押収を含むより大胆な選択肢の検討を主張したものの、結局は資産そのものに手を付けず、資産が生む利益を活用することで合意した。
ユーロ圏の一部の国は、ユーロの価値が損なわれる恐れがあるとして、ロシア凍結資産の直接の押収には反対した。
非公開の会話を話しているとして匿名を要請した関係者によると、これらの国の消極的な姿勢にはサウジの影響があった公算が大きい。
サウジが保有するユーロとフランス国債は数百億ユーロ相当に上る可能性がある。売却するとしても相場に大きな違いをもたらすほどではないとみられるが、それでも欧州当局者はサウジの動きに他国も追随する恐れがあると懸念した。
G7が資産押収を回避する案を決定すると、サウジの姿勢は変わったと、関係者の1人は語った。
関係者によると、サウジが資産押収の前例が作られ将来的に別の国にも使われる恐れから自らの利益を考えて行動したのか、ロシアとの連帯から動いたのかは定かではない。石油輸出国機構(OPEC)とそれ以外の主要産油国で構成する「OPEC」プラスをともに率いるサウジとロシアは、ロシアのウクライナ侵攻開始以降、緊密な関係を維持している。
一方でサウジはウクライナとも関係を築き、ゼレンスキー大統領は先月サウジを訪問し、ムハンマド皇太子と会談した。
いかなる動機であれ、国際舞台におけるサウジの影響力の強まりと、G7にとってウクライナ問題でいわゆる「グローバルサウス(新興・途上国)」の支持を確保することの難しさが浮き彫りになる。
サウジとフランスの政府はコメントの要請に今のところ応じていない。
●エマージング
カシミール地方で武装勢力がインド軍の車列を襲撃 兵士5人死亡 | ロイター
ヒマラヤのジャンムー・カシミール地方で武装勢力がインド軍の車列を襲撃し、少なくとも5人の兵士が死亡した。
カシミール渓谷とその周辺地域では、1989年に武装勢力が抗争を開始して以降襲撃事件がたびたび発生している。
メディアによると、武装集団は8日にカトゥア地区で手榴弾による攻撃を行った後に車列に発砲した。軍が反撃しすると武装集団は逃走した。
インドのシン国防相はX(旧ツイッター)に「対テロ作戦は進行中で、わが軍の兵士はこの地域に平和と秩序をもたらす決意を固めている」と投稿し、遺族に哀悼の意を表した。
インドとパキスタンはともにカシミール地方の領有権を主張しているが、現在は分割統治されている。インドの直轄地はヒンドゥー教徒が支配するジャンムー地方とイスラム教徒が支配するカシミール渓谷で構成される。
メキシコ1〜6月自動車輸出10.7%増 過去2番目の高水準
2024年1〜6月の自動車輸出台数は172万1852台と、前年同期比10.7%増えた。新型コロナウイルス感染拡大前の19年に次ぐ過去2番目の高水準で、米国向けを中心に急回復が目立つ。
メキシコのインフレ率、6月4.98% 4カ月連続上昇
6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率(インフレ率)が4.98%と、4カ月連続で前月を上回った。長期化した雨不足による大規模な渇水で農産地が被害を受け、果物や野菜の高騰が続いた。
●プロファイ、インフラ、自然災害
世界最高の空港、米国から1空港がトップ10入り-日本からは3空港 - Bloomberg
●小ネタ
銀行は20年間だまされた 堀正工業の「粉飾」と「見せ金」 - 日本経済新聞
ベアリング販売の堀正工業(東京都、破産手続き中)による融資金詐欺事件では、銀行を欺く巧妙な手法が浮かび上がった。虚偽の借り入れ目的に沿って金融機関ごとに粉飾決算書を作成。信用力を高める「見せ金」の定期預金も積んでいた。銀行側は経営実態を見抜けず、破綻時の金融機関への債務は約50行で計約250億円に上った。
●市況
<ロンドン株式市場> 下落して取引を終えた。銀行銘柄や石油大手のBPが売られて相場を押し下げた。
英銀大手のバークレイズは2.4%、HSBCは0.5%、ロイズは2.0%、それぞれ下落。イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会のハスケル委員が8日、当面金利を据え置くという立場を堅持する姿勢を示したことが売り材料視された。
FTSE350種石油・ガス株指数は1.31%下落。石油大手のBPは4.3%と大幅に下げた。石油精製を巡る利幅の減少や取引低迷が2024年第2・四半期の利益を圧迫する可能性が高いとの見通しを示したことがマイナス材料となった。
<欧州株式市場> 下落して取引を終えた。フランス国民議会(下院)総選挙の投開票を経ても政局の不透明感への懸念が残る中、フランス株が低迷し相場を押し下げた。
STOXX欧州600種テクノロジー株指数は1.58%安。フランスのソフトウエア企業ダッソー・システムズが通期利益目標を引き下げたことから5.2%下落したことが響いた。
<ユーロ圏債券> ユーロ圏金融・債券市場では、域内国債利回りが小幅上昇。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による議会証言後も上昇を維持した。
ドイツ10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)上昇の2.56%付近。パウエル議長の発言前は2.53%だった。
ドイツ2年債利回りは2bp上昇の約2.93%。
フランス10年債利回りは8bp上昇の3.25%。独仏10年債利回り格差は約67bpとなった。6月下旬には、極右派躍進への懸念から2012年以来の大きさとなる85bpまで拡大していた。
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが上昇。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がインフレが進展し、労働市場の過熱が鎮静化しているとの見方を示した一方、利下げ時期が近づいているという明確なシグナルを示さなかったことを受けた。
<債券> 米金融・債券市場では、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言が予想ほどハト派的でなかったことを受け、国債利回りが上昇した。
LSEGによると、先物市場は9月に最初の利下げが実施されると予想。12月末までに合計0.50%ポイントの利下げが予想されている。
<株式> 米国株式市場ではS&P総合500種とナスダック総合が最高値を更新して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が議会証言で、一段と良好な経済データが得られれば、利下げの根拠が強まると述べたことを受けた。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米長期金利の上昇や対ユーロでのドル高を背景にいったんは売りに押されたものの、取引終盤に買いが入り、小幅反発した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ハリケーンの影響による供給混乱リスクが後退する中で売られ、3営業日続落した

備忘録(2024/7/8
●雑感
●決算
●海外企業
マイクロソフト、中国スタッフにiPhone使用を指示-安全性理由に - Bloomberg
米マイクロソフトは中国の従業員に対し、9月から業務で使用可能なスマートフォンを米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に限定すると通知した。グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した端末を事実上、職場から締め出すことになる。
ブルームバーグ・ニュースが確認した社内文書によれば、マイクロソフトは近く、業務で使用するコンピューターや携帯電話にログインする際の本人確認をアップルの端末でのみ行うよう中国在勤の従業員に義務付ける。これはマイクロソフトによる世界的な安全性対策の一環で、中国本土の従業員数百人が対象となる。
アップルのアプリストア「アップストア」とは異なり、中国ではグーグルの「グーグルプレイ」が利用できないため、華為技術(ファーウェイ)や小米(シャオミ)といった中国メーカーは独自のプラットフォームを運営している。
同文書によれば、マイクロソフトはこれらメーカーの端末からの社内情報へのアクセスをブロックすると決め、中国内でグーグルのモバイルサービスが利用できないことを理由に挙げた。
ファーウェイや小米などのアンドロイド端末を利用している従業員には、代わりにiPhone15が支給されるという。ニューヨーク時間8日早朝の時間外取引では、マイクロソフトとアップルは小幅高、アルファベットはやや下落。8日の香港市場で小米は約1%安となった。
マイクロソフトは今回の決定について公式には明らかにしておらず、ブルームバーグは決定の理由を質問したが返答は得られなかった。
米中の地政学的な対立が続く中で、中国でのアイフォーンを巡る状況は敏感な問題となっており、あらためて注目を集める可能性がある。中国では昨年以降、安全上の懸念を理由に外国製端末を職場に持ち込まないよう従業員に指示する政府系の企業や機関が増えている
イーライリリー、米バイオ医薬品モーフィックを買収へ-32億ドル - Bloomberg
米製薬大手イーライリリーは、米バイオ医薬品企業モーフィック・ホールディングを約32億ドル(約5145億円)で買収することに合意した。イーライリリーの肥満症治療薬「ゼップバウンド」がもたらす利益の一部を開発パイプラインへと投入する。
発表資料によると、リリーは1株当たり57ドルの現金を支払う。これはモーフィックの5日株価終値を79%上回る。モーフィックの取締役会は、株主に対し、買収案に応じて株式を差し出すことを推奨している。
リリーにとって免疫学は中核分野であり、デーブ・リックス最高経営責任者(CEO)は新技術取得のために初期段階での取引を増やすことを約束してきた。またモーフィックの株主にとっては、臨床試験での低調なデータを手掛かりに昨年9月に株価が大幅下落していただけに今回の買収は前向きな展開だ。
イーライ・リリー、腸疾患の米バイオ医薬買収 5100億円 - 日本経済新聞
米製薬大手イーライ・リリーは8日、米バイオ医薬品のモーフィック・ホールディングを約32億ドル(約5100億円)で買収すると発表した。肥満症薬や糖尿病薬の売り上げが好調ななか、資金を他社の買収に振り向け、薬の品ぞろえの多様化を進める。
発表資料によれば、イーライ・リリーは1株当たり57ドルの現金を支払ってモーフィックを買収する。モーフィックの5日終値と比べ79%の上乗せ幅(プレミアム)となる。2024年7〜9月期に買収を完了する計画だ。
モーフィックは慢性疾患の治療薬を手がけており、慢性の炎症や潰瘍を理由に下痢や腹痛が生じる炎症性腸疾患(IBD)向けの薬の開発を進めている。開発に成功すれば、武田薬品工業の治療薬「エンタイビオ」のライバル薬になると指摘されている。点滴などでの投与が必要なエンタイビオと異なり経口薬であることが強みとなる可能性がある。
モーフィックはこのほか、自己免疫疾患やがん向けの治療薬の臨床試験を実施している。
カールスバーグ、英ソフトドリンク会社買収 ビール以外も強化へ | ロイター
デンマークのビール大手カールスバーグは、英国のソフトドリンクメーカー、ブリットビックを33億ポンド(42億3000万ドル)で買収すると発表した。また英パブグループ、マーストンズとの合弁会社を完全子会社化すると明らかにした。
カールスバーグは、ビール以外の飲料への需要の高まりを受け、ソフトドリンクなどを強化しようとしている。買収に伴い、英国でビールとソフトドリンクを手掛ける会社を設立する計画。カールスバーグ、ブリットビックは米飲料大手ペプシコと提携しており、新会社は提携強化につながる。
カールスバーグは、ブリットビックに対し1株1250ペンスでの買収を提案したがブリットビックが拒否したため、現金と特別配当25ペンスの同1315ペンスに引き上げていた。
一方、マーストンは8日、醸造合弁会社カールスバーグ・マーストンズ・リミテッドの持ち分40%を現金2億0600万ポンドで売却すると発表した。
英シェル、最大20億ドル減損計上へ プラントの建設停止と売却で | ロイター
英石油大手シェルは5日、8月1日に発表する4─6月期決算で最大20億ドルの減損損失を計上する見通しを示した。シンガポールの製油所売却と、オランダでのバイオ燃料施設の建設停止が理由という。
シェルは2日、市況が軟調なことから、オランダ・ロッテルダムで行っているバイオ燃料施設の建設を一時停止すると発表した。同施設は欧州有数の規模とされ、来年に稼働開始する予定だった。 もっと見る
シェルは、この決定で6億─10億ドル規模の減損損失が生じると説明した。
さらに、5月に売却合意したシンガポールの製油・化学プラントについては6億─8億ドルの減損を見込むとしている。
●日本企業
三井住友銀行、インド特区に支店 外貨建て融資可能に - 日本経済新聞
三井不動産、豪州でオフィスビルに参入 中心部で出資 - 日本経済新聞
三井不動産は8日、オーストラリアでオフィスビル事業に参入すると発表した。シドニーで現地企業が開発中の高層ビルに出資する。これまで海外のオフィスビル事業は欧米が中心だったが、経済成長が続く豪州にも広げる。
地場の不動産大手マーバックが手掛ける、シドニーの中心部のビジネス街で開発中の55階建ての高層ビルの3分の2を取得する契約を結んだ。2027年に竣工する。三井不は取得金額を明らかにしていないが、マーバックは同ビルの資産価値を最大20億豪ドル(約2200億円)になる見込みだと明らかにしている。
三井不の海外事業はこれまで欧米ではオフィスや賃貸住宅、アジア太平洋地域では住宅分譲や商業施設を中心に展開しており、豪州では住宅の分譲事業を手掛けていた。同国を成長地域と位置づけ、オフィスビルに参入することで事業拡大を進める。
京都FG社長「政策株は保有継続」、含み益1兆円-投資家に理解訴え - Bloomberg
●米大統領選挙
バイデン米大統領、選挙戦の継続を言明-「最後まで戦い抜く」 - Bloomberg
バイデン米大統領は民主党議員に対し、大統領選に残ると言明した。選挙戦からの撤退を求める党内の動きを抑える狙いがある。民主党議員に充てた8日の書簡でバイデン氏は「私はこのレースに残り、最後まで戦い抜き、ドナルド・トランプを打ち負かすことを固く誓う」とした。
議会休会明けの8日は議員がワシントンに戻ってくる。バイデン氏はそれに合わせて同書簡を議員らに送り、朝にはMSNBCに予定外の電話出演も行った。バイデン氏の精彩を欠いた第1回候補者テレビ討論会を受け、民主党内では選挙で勝てるのか、また再選を果たしてもさらに4年の任期を務められるのかという不安が広がった。
週末には、下院民主党トップのジェフリーズ院内総務が非公開のオンライン会合を開催。同党有力下院議員のうち数人がバイデン氏に撤退を望む考えを新たに示した。
バイデン氏の陣営が公開した同書簡では「どう前進するのかという問題は、もう1週間余り議論されてきた。そろそろ終わりにする時だ」と指摘。「前途の課題について決意が弱まったり、明確さが欠けたりすればトランプを助け、われわれを傷つけるだけだ。今こそ団結し、党として前進し、ドナルド・トランプを打ち負かす時だ」としている。
バイデン氏はMSNBCの番組では、党内から不満の声が漏れていることに苛立ちを見せるとともに、過去数日にウィスコンシン州とペンシルベニア州で行った集会を通じて有権者が自身の選挙戦継続を望んでいることを確信したと述べた。
「私が出馬すべきだと思わない人がいるなら、対抗して出馬すればいい。大統領選に立候補し、党大会で私に挑戦すればいい」とも語り、別の候補者擁立を模索する党内の動きを強くけん制した。
バイデン氏は、党内の不和はニュースメディアや大口献金者があおったせいだとし、予備選のプロセスを無視したものだと批判。しかし、こうした強気な態度は、深刻な政治的危機をバイデン氏が真剣に受け止めていないという懐疑論者の懸念をさらに強めることになりそうだ。
「要するに、われわれはどこにも行かないということだ。私はどこにも行かない」とバイデン氏は発言。「普通の有権者がまだジョー・バイデンを望んでいるという私の考えが正しいことを確認したかった。彼らが私を望んでいると確信している」と語った。
焦点:バイデン撤退に備える市場、候補交代で政策に変化なしとの見方も | ロイター
バイデン米大統領は選挙戦を継続するのか、懐疑的な見方が浮上する中、金融市場ではより強力な民主党候補が現れた場合の潜在的な経済シナリオと取引をシミュレーションする準備をしている。
先月行われた大統領選の第1回テレビ討論会で、バイデン氏が共和党のライバルであるトランプ前大統領と比べて精彩を欠いたことを受けて、債券利回りは上昇した。トランプ氏が大統領に返り咲くとの憶測が高まり、投資家は財政赤字の拡大と高インフレ政策を連想したからだ。
どちらの政党がホワイトハウスを掌握するかによって、貿易、規制、財政政策に関する重要問題が決まる可能性がある。共和党勝利の見通しを踏まえて減税や規制緩和への期待感が広がり、米国株は先週上昇した。
バイデン氏は5日、ABCニュースとのインタビューで、再選を目指す姿勢を強調した。しかし、民主党内ではバイデン氏に選挙活動の中止を求める声も強まっており、ある上院議員はこの問題について話し合うため8日に上院議員による会合を計画している。不確実性は経済の予測を困難にし、市場の変動が大きくなる可能性がある
ランニング・ポイント・キャピタル・アドバイザーズのパートナー兼最高投資責任者、マイケル・シュルマン氏は「株式市場にせよ債券市場にせよ、候補者が変われば不確実性が増す」と指摘。「バイデン氏が候補でなくなった場合どうするか戦略を準備する必要がある」とした。
関係筋によると、バイデン氏が選挙選からの撤退を決めた場合、ハリス副大統領が代わりの最有力候補と目されている。
グレンメードの投資戦略担当バイスプレジデントであるマイケル・レイノルズ氏は、関税や減税などの問題を含めて新たな候補者が何を主張するのか、「市場はリアルタイムで見極める必要がある」と述べた。
ハリス氏がバイデン氏の経済政策を大幅には変更しないと予想する声もある。ノースエンド・プライベート・ウェルスの最高投資責任者アレックス・マクグラス氏は「目立った差は見られないだろう」とした。
調査会社キャピタル・エコノミクスは5日付のメモで、ハリス氏やカリフォルニア州のニューサム知事などの代替候補は「大胆な提案は避け、バイデン氏と似た政策を掲げて選挙活動を行うだろう」と述べた。
<市場が荒れる可能性>
コメリカ・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者ジョン・リンチ氏は、バイデン氏が撤退した場合、割高になっている株式市場は短期的に下落する可能性があると述べた。LSEGデータストリームによると、S&P総合500種指数(.SPX), opens new tabは直近で、12カ月先の予想利益の21.4倍で取引されており、長期平均の15.7倍を上回っている。
「高値圏にある時、市場は荒れやすいものだ」とリンチ氏は語る。
一部の債券投資家は、新たな候補者指名で民主党が勝利する可能性が高まれば、討論会後の国債売りが反転する可能性があると指摘する。
ブランディワインの債券ポートフォリオ・マネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「新たな候補者が出れば選挙戦が激化し、ねじれ議会の可能性が高まる」と述べた。現在は下院は共和党が僅差で優勢、上院は民主党が多数派と「ねじれ」議会となっている。ねじれ状態だと劇的な政策変更の可能性が減り、一般には市場にプラスとみられている。
マッキンタイア氏は、ねじれ議会なら共和党圧勝時に見込まれる過度な財政刺激策の可能性が減るため、国債価格は上昇する可能性があると話す。しかし、今後数カ月は景気減速が共和党の選挙戦に有利に働く可能性があるため、価格上昇は抑制されるかもしれない。
「選挙を材料に構造的な変更を行うのは尚早だが、投資判断や資産配分の決定で選挙の重要性が増していることは間違いない」という。
<株式市場の反応は不透明>
S&P総合500種は6月27日の討論会以来、1%超上昇した。
バージニア州シャーロッツビルのチェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は、討論会を受けてトランプ氏の勝利の可能性が高まったことが、株価上昇の一因となった可能性を指摘。
「一部の投資家の間では、企業寄りの大統領、あるいは少なくともより企業寄りの大統領が誕生する可能性が高いとの見方が、市場に資金を投入するかどうかの判断に影響しているはずだ」と語った。
トランプ氏勝利なら法人税が引き下げられ、米株式市場を押し上げる可能性があるほか、貿易相手国への締め付け強化で国内製造業に恩恵をもたらす可能性があるとみられている。一方、中国製品への関税が引き上げられれば、多国籍企業への重荷となるリスクもある。
前述のシュルマン氏は「非常に微妙で不確実だ。選挙結果を正しく予測したとしても、株価の反応はどちらに転ぶか分からない」と語った。
バイデン氏の固い決意に金は無力、傍観するしかないウォール街富裕層 - Bloomberg
大事な局面で断固たる行動に出ることで勢力の変化を予期できると自負するウォール街の富豪らも、今回は手出しできない。民主党が陥った過去最大級の危機を目前にして、多くの国民と同様、事態を見守るしかない。
大統領選挙に出馬する民主党候補を代えれば、トランプ前大統領に勝つ確率が高まる。この見方は6月27日の討論会後からほとんど変わっていないと、あるウォール街企業の幹部は話した。バイデン大統領自らは候補辞退を明白に否定し、夏季休暇からワシントンに戻る議員らの不満を鎮めようと腐心している。
しかしこうした超富裕層の銀行家や投資家にとって明らかなのは、自分らにはその変化を起こす道がないということだ。ウォール街がバイデンを追い出しているという筋書きを避けるため、傍観するのが賢明な選択肢だと考える者もいる。
通常は金がものをいうのだが、この場合は違うようだ。バイデン氏の選挙陣営には2億4000万ドル(約390億円)の資金がある。暗号資産(仮想通貨)投資会社ギャラクシー・デジタル・ホールディングスの創業者で最高経営責任者(CEO)のマイケル・ノボグラーツ氏をはじめ、バイデン氏に代わる候補者のための資金を集める動きがあるが、とうていこの額には追いついていない。
あるウォール街の上級幹部は匿名を条件に、高齢のバイデン氏が選挙戦を続けることを不安に思う有権者は多過ぎると語った。同幹部はそうした心配を打ち明けるのは家族や友人にほぼ限定しており、潮目を変えられるのはシューマー上院院内総務やジェフリーズ下院院内総務ら民主党首脳部だけだという。
資産家のビル・アックマン氏はソーシャルメディアの「X(旧ツイッター)」への投稿で、自らの見解を説明。同氏は民主党の予備選でバイデン氏ではなく、当選の確率がほぼないとみられるフィリップス下院議員を支持した。
「これから本選までにもっと深刻な健康上の問題が起きない限り、バイデン氏が候補となるのは避けられそうにない」と投稿。「バイデン氏とトランプ氏の対決になるのなら、私は迷いなくトランプ氏に一票を入れる」と述べた。
ワシントンでは今後数日間がバイデン氏の正念場だとの空気が広がっている。候補辞退を求める下院議員の数はすでに9人に達した。9日朝には民主党下院議員連盟の会合が開かれる。
ある献金者は匿名で、バイデン氏が選挙戦を降りるのはほぼ避けられない雰囲気だと語る。問題はそれがいつ、どのように起きるかだという。
バイデン陣営が富裕層からの献金を必要としていることに変わりはない。トランプ氏と共和党が集める資金は、今ではバイデン氏に追いついてきた。バイデン氏は8日、オマリーディロン選対委員長とメリーランド州のムーア知事と共に、大口献金者との電話会議に参加した。
「党の方針は明確だ。民主党の候補は私だ」とバイデン氏。「これ以上、無駄な時間を過ごすことはできない」と訴えた。
バイデン陣営への献金はここ数日で減少傾向にあり、資金集めの状況に詳しい関係者によると、バイデン氏が候補から外れるまでは献金を見合わせると言う富裕層が複数いる。一方のバイデン陣営は、討論会後に草の根的な寄付は急増しており、6月の調達額はこれまでで最高だったとしている。
長年の民主党献金者であるビン・ライアン氏は「強い不満を抱き、選挙資金を出したくないと言っている献金者を多く知っている」と話す。シューナー・キャピタルの創業者である同氏は、「多額の選挙資金が下院と上院の議員選挙に回されるだろう」と述べた。
ライアン氏によれば、バイデン氏に代わる候補が擁立されれば多くの献金者からの支持が集まる見込みだ。もっと若く、明確な弁舌の候補者に賭けたい人は多いという。
民主党の資金調達に携わる2人が匿名で話したところによると、党は討論会の前からすでに激戦区の下院議員選への資金確保を優先し、献金者に訴えてきた。しかしバイデン氏が大統領候補でいることへの不安が募る現在、下院選では民主党候補が大量落選するとの懸念を強めている。
ノボグラーツ氏は8日、「むやみに人に流されて崖から転落しないようにしよう」とXに投稿。「長老制から脱却する時が来た」と続けた。
バイデン氏に辞退を強制できる現実的なすべがなく、トランプ氏の勝利を防ぎたい気持ちから、一部の民主党献金者らは代わりの候補を探すいちかばちかの賭けに出ている。かつてインテュイットとペイパルの最高経営責任者(CEO)を経験しているビル・ハリス氏は、激戦州の有権者を対象にバイデン氏の年齢をどう思うかという世論調査に個人資金を提供した。ハリス氏は2020年にバイデン氏に献金したが、今回はしないことを決めている。
米共和党、全国大会に先立ち政策綱領を委員会が承認-減税や国境管理 - Bloomberg
米共和党全国委員会(RNC)の綱領委員会は8日、大統領候補を指名する来週の全国大会に先立ち、候補指名獲得を確実にしているトランプ前大統領の2期目に向けた優先政策課題の詳細をまとめた2024年政策綱領を承認した。同綱領には移民の流入による国境危機への対応や減税、国内エネルギー生産の促進が盛り込まれている。
事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにしたところでは、トランプ氏がたたき台となる草案を幅広く策定・編集した。これはトランプ氏が党を自身の目指す方向に導いていることをあらためて示している。
バイデン氏「どこにも行かない」、選挙戦撤退改めて退け | ロイター
バイデン米大統領は8日、11月の米大統領選における民主党候補として自身が平均的な有権者からなお望まれていると確信しているとし、大統領選から撤退しないと表明した。
MSNBCで「私はどこにも行かない」とし、撤退を求める者は8月の民主党候補を指名する同党の全国大会で「私に挑戦する」よう求めた。
また主要な報道機関や評論家からの撤退を求める声については「気にしない」とし、自身が「トランプ氏に勝てる最善の候補者だと絶対的に信じていなかったら、出馬していない」と強調した。
7日投開票されたフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票で、事前予想に反し、左派連合が極右を抑えて最大勢力になる見通しとなったことに言及し、「フランスは過激主義を拒否した。米国でも民主党は過激主義を拒否するだろう」と述べた。
これとは別に、バイデン氏は民主党員に宛てた書簡で、懸念されているのは認識しているが、今は団結すべき時と言及。「今後どのように進むべきかという問題は、すでに1週間以上にわたって議論されてきた。そして、それを終わらせる時が来た。われわれの仕事は1つ。それはトランプ氏を倒すことだ」とした。
上院民主党のディック・ダービン議員は記者団に対し、バイデン氏の立候補について「当然のことながら、今週徹底的に議論される」と指摘。様々な見解を持つ十数人の議員と話をしたと語った。
下院民主党のアダム・スミス議員はCNNで「トランプ氏に勝つためには別の選択肢が必要だ」と述べた。
民主党のジョー・モレル議員は記者団に対し「より大きな問題は、討論会でのパフォーマンスから生じた懸念をバイデン氏がどう払拭するかだ」とした。
バイデン氏の討論会での精彩を欠くパフォーマンスから、ろれつが回らなかったり動作が遅くなったりするパーキンソン病などの神経疾患を患っているのではないかとの疑問も浮上している。
ただ、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は8日、バイデン大統領はパーキンソン病の治療を受けていないと述べ、パーキンソン病を専門とする医師が過去1年間にホワイトハウスを8回訪問していたとの報道を否定した
アングル:米大統領選、民主党候補がハリス氏ならトランプ氏に勝てるか | ロイター
11月5日の米大統領選を控え、民主党候補に固まっているバイデン大統領に撤退圧力が高まっている。民主党幹部の間では、現実化すればハリス副大統領が新しい候補者になるのが自然な流れとの声が出るなど、早くも支持の動きが出始めている。ハリス氏は元上院議員で西部カリフォルニア州司法長官も務めた経歴もあるなど知名度は高いだけに、トランプ前大統領を候補者に擁する共和党の献金者は警戒感を高めている。
ハリス氏は59歳。大統領選で勝てば米国初の女性大統領となる。副大統領在任中の過去3年半を振り返ると、スタートはさえなかった。スタッフが相次いで退職し、中米移民対策では大した成果を出せなかった。
ホワイトハウスやバイデン陣営の一角ではつい昨年まで、ハリス副大統領はバイデン氏の選挙運動で足手まといだと陰口をたたかれる始末だった。しかし、民主党関係によると、妊娠中絶の権利擁護の論陣を張って若い有権者層の支持を獲得して以降、ハリス氏を巡る状況は大きく変わったという。
<世論調査でハリス氏支持も>
最近の世論調査を見ると、ハリス氏はバイデン氏よりも票を集める可能性がある。ただ、仮に出馬すればトランプ氏との争いは接戦となる見通しだ。
2日発表の米CNN世論調査では、トランプ氏支持は49%に上り、バイデン氏の43%よりも6%ポイント高い。
しかしトランプ氏とハリス氏を比べた場合、トランプ氏47%、ハリス氏45%で、ハリス氏は劣勢だが、この差は誤差の範囲内にある。無党派層の支持分布で見ると、ハリス氏は43%で、トランプ氏の40%より高かった。民主、共和両党の中道派では、ハリス氏は51%の支持を集め、トランプ氏の39%を突き放した。
バイデン氏が6月27日の第1回大統領選討論会で失速した後に行われたロイター/イプソスの世論調査ではハリス氏支持42%、トランプ氏43%と、ほぼ互角だった。討論会後にバイデン氏陣営が実施した内部向けの世論調査では、ハリス氏がトランプ氏に勝つ可能性はバイデン氏が選挙戦を継続した場合とほぼ変わらないという結果が示された。ハリス氏支持が45%、トランプ氏支持が48%だった。
<民主党有力議員も>
民主党有力議員の一部もハリス氏登板に傾きつつある様子だ。前回2020年大統領選でバイデン氏勝利の鍵を握ったジム・クライバーン下院議員や、ニューヨーク州選出で「黒人議員連盟(CBC)」幹部のグレゴリー・ミークス下院議員、ペンシルバニア州選出のサマー・リー下院議員は、バイデン氏が大統領選から撤退する場合、ハリス氏の候補者指名を最良の選択肢と示唆している。
議会関係者によると、下院少数派の民主党院内総務ハキーム・ジェフリーズ氏も非公式には同僚議員らに同じことを示唆しているという。
民主党の重要な資金調達センターに当たるニューヨークのウォール街の一角でも、ハリス氏支持の声が出始めている。金融サービス会社カーソン・グループのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ソヌ・バルギース氏は「現時点ではハリス氏の方が(大統領選で勝つ)チャンスがある」と話している。
また、民主党員の中には、ハリス氏が出馬すれば民主党寄りの有権者を活気づけて支持拡大につなげられると信じる人たちもいる。黒人有権者や若い有権者、イスラエルとイスラム組織ハマスとの武力衝突に対するバイデン氏の対応を支持しない層は現在、バイデン氏への支持に陰りが出ているが、ハリス氏なら再び民主党に支持を手繰りよせられそうだという。
都市郊外に暮らす民主党や共和党支持の女性も、ハリス氏の方がバイデン氏やトランプ氏よりも安心感を覚えるかもしれないという。
<ガザ問題対応はバイデン氏と同じ>
ただ、パレスチナ自治区ガザで続く戦闘を巡ってはハリス氏の公式の戦略はイスラエルを支持するバイデン氏と全く同じだ。このためバイデン氏支持を取り下げた活動家団体のメンバーは民主党の候補者を差し替えるだけでは懸念の核心に対処できないと突き放している。
また、ビジネス特化型交流サイト(SNS)のリンクトイン共同創業者で民主党の大口献金者、リード・ホフマン氏から資金調達を任されているドミトリー・メルホーン氏は「ハリス氏の最大の弱点は世間でのイメージが民主党の極左と結びつけられていることだ。極左では選挙に勝てない」と懸念する。ハリス氏が大統領選候補になった場合「克服しなければならない課題だ」と指摘している。
●その他先進国政治動向
フランス、極右の政権獲得は回避-新政権成立は極めて困難 - Bloomberg
7日実施されたフランス国民議会(下院)選挙決選投票で、マリーヌ・ルペン氏率いる極右勢力は予想外の敗北を喫した。明確な多数派を持たない分裂議会が誕生したことで、フランスは長期にわたる政治的混迷へと向かっている。
極左グループ「不屈のフランス」を含む左派連合が、下院577議席のうち178議席を獲得して最大勢力となるが、それでも絶対多数に必要な289議席には遠く及ばない。マクロン大統領のグループが2位で、ルペン氏の国民連合(RN)は3位にとどまった。
先月の欧州議会選挙で右派が圧勝したため、投資家は極右による政権奪取を懸念していた。しかし、一部のアナリストはジャンリュック・メランション氏が率いる「不屈のフランス」が政権を獲得することをより懸念していた。メランション氏は財政を不安定にし、市場危機を招くリスクのある政府支出を公約を掲げていた。
選挙結果は、メランション氏もルペン氏も自分たちの計画を実行に移すことができないことを意味し、実行能力のある政権の成立を極めて困難にした。
アドバイザリー会社テネオの政治アナリスト、アントニオ・バローゾ氏は「極端な事態は回避された。しかし問題は、政権成立への簡単な道がないことだ」と話した。
フランス国債とユーロはほぼ変わらず。フランス株の指標CAC40指数は0.3%高。フランス株は最近の下げのほぼ半分を取り戻し選挙発表前の6月9日に比べ3.8%安となっている。
新人民戦線として知られる左派連合は、ルペン氏のグループが過半数を獲得するのを阻止するため、第2回投票の前にマクロン氏の中道派と協定を結んだ。フランス内務省によると、ルペン氏のRNは第1回投票で最大の得票率だったが、最終的にはマクロン氏のグループが獲得した156議席に対して143議席にとどまった。
「フランスで政治が行き詰まり、議会が3つのブロックに分かれるというシナリオは、最もましなシナリオだ」とミラボーのディレクター、ジョン・プラサール氏は述べた。
マクロン大統領は、欧州議会選挙での敗北を受けて呼びかけた総選挙は、フランスの政治状況を明確にするためのものだと述べていたが、選挙はむしろ、可能な政権の形を探る数週間にわたる交渉の幕開けとなった。
第5共和制の選挙規則は膠着(こうちゃく)状態を避けるように設計されているが、フランスは欧州の他の諸国と同様の政治的分断に陥った。
オランダのスホーフ首相は、選挙から約8カ月後の今月就任した。スペインのサンチェス首相は、議会の最大会派である保守党が過半数を形成できなかったため、7つの異なる政党の支持を得て政権を担っている。ドイツではショルツ首相が約半世紀ぶりの3党連立を率いている。
憲法や政治の専門家によれば、フランスで最も可能性が高いのは、大きな変化を目指すことなく国の運営を維持できるような最低限の政策を持つ政権だ。
パリ政治学院(シアンス・ポ)の憲法専門家、メロディ・モックグリュエ氏によれば、1947年-54年のバンサン・オリオール大統領の時代までさかのぼらなければ、同じような状況は見られないという。政権が成立するには「少なくとも数週間はかかるだろう」と同氏は述べた。
アタル首相は7日夜、8日に辞表を提出する意向を表明したが、マクロン大統領はアタル氏に、安定維持のため暫定的に首相にとどまるよう要請した。
メランション氏はマクロン氏に、敗北を認めアタル氏に代わる左派の首相を任命するよう要求。新人民戦線は公約のプログラムを全面的に実施すると支持者に語ったが、社会党のオリビエ・フォール党首はフランス国民のニーズと要求に応えるための「道筋を見つける」のが党の責務だと、より融和的な姿勢を示した。
「議会が分裂しているというだけでなく、政党自体が分裂しているのだ」とテネオのアナリスト、バローゾ氏は述べた。
フランスの憲法では大統領が誰でも好きな人を首相に選ぶことができるが、首相の政党が議会で過半数を占めていなければ、内閣不信任案の影響を受けやすく法案を通すのは難しい。
モックグリュエ氏によれば、マクロン大統領は本格的な交渉を始めるのを18日に国民議会が開かれるまで待つ見込み。新人民戦線を構成する政党は異なるグループを形成する可能性が高く、マクロン氏が社会党や緑の党と交渉する可能性があると同氏は述べた。
次に何が起こるにせよ、フランスの政治家たちはより多くの妥協を伴う新しい活動方法を見つけなければならないというコンセンサスが生まれつつある。議会が大統領のプログラムを淡々と実行することに慣れているこの国では、それは容易なことではない。
首相候補と目されている社会党のラファエル・グリュックスマン氏はTF1の番組で、「われわれはリードしているが、完全な多数派ではない」と述べた。「だから、大人らしく振る舞う新しい時代を始める必要がある。議論と対話が必要だ」と語った。
焦点:仏選挙「極右バブル」はじける、有権者に広がった不安 | ロイター
7日のフランス国民議会(下院)総選挙の決選投票で、大勝利を祝おうと準備万端だった極右「国民連合(RN)」本部は、テレビで予想議席数の第一報が伝えられると、にわかに信じられない現実を突きつけられた。
何日も前から党の顔であるマリーヌ・ルペン氏はRNの過半数議席獲得と、同氏が引き立てたバルデラ党首の首相就任を確信していた。ところがいざ蓋を開けてみれば、第1党になりそうなのは左派連合「新人民戦線(NFP)」で、RNはマクロン大統領が率いる中道連合にも抜かれて3位にとどまる情勢だ。
中道と左派がRNの政権奪取を阻止しようと、決選投票に向けて反極右票を集約するため200人余りの「3位候補」の出馬を取り下げる選挙協力を行った効果が大きい。ルペン氏による入念な党のイメージ向上作戦や、移民と生活費高騰、不十分な公共サービスなどを巡る国民の怒りを取り込む戦略を通じて「向かうところ敵なし」に見えたRNの躍進は、ブレーキがかかった。
過去にもルペン氏とRNは挫折を経験し、直近では2022年の大統領選でマクロン氏と対決したルペン氏が敗北。そこから以前よりも強力な政党として盛り返してきたものの、当面は今回の結果を再び苦い教訓として受け入れなければならない。
「勝利集会」に参加しようとRN本部を訪れたジョスリン・クーザンさん(18)は「結果には失望しているし、彼らはフランス国民の要望を体現できていない」と厳しい口調で話した。
6月の欧州連合(EU)欧州議会選や、下院総選挙第1回投票では、RNの勢いを止めることはできないように見受けられた。
それにもかかわらず決選投票で失速した原因についてルペン氏とバルデラ氏は、反RNの「不名誉な同盟」の存在を挙げた。バルデラ氏によると、これらの同盟がRNを「戯画化」し、RN支持者たちをことさら「見下した」という。
ただ、調査会社のイプソスで世論調査を手がけるブライス・テインチュリア氏は、決選投票前に何人かの候補者が外国人嫌悪を表明したことなどに触れ、RN自らが失点したと指摘。有権者の間に、果たしてRNがより過激的だった過去を本当に捨て去ったのかどうか疑問が広がったとの見方を示した。
テインチュリア氏は「フランス2」テレビで、RNの各候補は政権を担う準備ができていないか、反ユダヤ主義や外国人嫌い、同性愛嫌いであることも選挙期間中に判明したと述べた。
<強気を維持>
北西部ブルターニュの選挙区でマクロン氏陣営の候補に敗れたRNのフロラン・ドゥケルソーソン氏は、一部候補の言動による影響はあったと認めつつも、過半数獲得を見込んでいたRNの傲慢さを有権者が感じ取った可能性もあるとみている。「過半数は実際には実現が非常に難しかったように思われる」と漏らした。
ルペン氏とバルデラ氏は強気の姿勢を崩すまいと必死で、RNの下院議席数は過去最高になったし、政権獲得まで戦い続けると意気込みを見せた。
27年の大統領選で4回目の出馬を目指す公算が大きいルペン氏は「波は上向きだが、今回は十分な高さにはならなかった。われわれの勝利は単に先送りされただけだ」と強がった。
ルペン氏側近でパリ北部の選挙区から当選したフレデリック・ピエール・ボス氏は、決選投票でどの政党も過半数を握れずに「宙ぶらりん議会」となり、フランスの政治混乱が続けば、27年はRNにとってチャンスになると予想している。
焦点:英労働党圧勝、市場は慎重姿勢崩さず 政権安定には期待感 | ロイター
市場関係者は4日の英総選挙で労働党が圧勝したことをとりあえず好感しているが、新政権の経済政策を見極めたいとして長期投資には慎重姿勢を崩していない。
ポンドは選挙の大勢が判明した5日に小幅上昇。FTSE250種株価指数は2022年4月以来の高値を付けた。
ただ、英国では欧州連合(EU)離脱が決まった16年の国民投票や22年のトラス前首相のミニ予算などを受けて市場が混乱した経緯があり、市場関係者は新政権が長期的な信頼を取り戻す必要があると指摘している。
労働党は老朽化したインフラの立て直しや住宅不足の問題に取り組む意向を示しているが、国民の税負担が過去最悪の水準に近づいているため歳出は抑制する方針だ。
それでも、公的債務残高は国内総生産(GDP)比100%を超える見通しで、格付け会社や金融機関が神経をとがらせている。
資産運用会社マールボロのシェルドン・マクドナルド最高投資責任者は「(新政権は)経済成長と公的債務の間で綱渡りを迫られる。国債が増発されるのか、増発が許されるほど経済が成長できるのかを見極める必要がある」と指摘。英国株の見通しは中立だが、利下げが予想されるため、英国債の見通しはややポジティブだと述べた。
保守党政権では首相の交代が相次いだため、市場では政権の安定度が今後高まり、税制・貿易政策の予測可能性も増すとの期待が浮上している。
資産運用会社アルテミスの投資ソリューション責任者、トビー・ギブ氏は「(選挙があれば)不透明感が後退し、海外投資家がこれまでより安心して投資できるようになる」と語った。
明るい兆しの一つとして、ポンド相場は貿易加重ベースでEU離脱の是非を問う国民投票前の水準に戻った。
ギブ氏はポンド高が続くと予想し、英国株に強気の姿勢を示した。
ただ、慎重な見方も根強い。
ジャナス・ヘンダーソンの欧州株式ポートフォリオマネジャー、トム・オハラ氏は「政治が安定すれば全体として漸進的な改善が期待できることは分かるが、どのような変化が起きるのかが分からない」とし、「どの企業がどの政策から恩恵を受けるかなど、具体的な情報が必要だ」と述べた。
ホークスモア・インベストメント・マネジメントのファンドマネージャー、ベン・マッキー氏は「英国の成長」という投資テーマは受け入れ難いとし「国内の株式市場と経済は大きな構造的問題に直面している」と分析。英国株ファンドからの資金流出は「恐ろしいほどネガティブだ」と述べた。
英国の企業投資は経済協力開発機構(OECD)加盟31カ国中28位。海外直接投資や企業の生産性は伸び悩んでいる。
助言会社のオンドラによると、国内年金基金・保険会社の運用資産に占める英国株の比率は2000年の50%から約4%に減った。
ただ、UBSの欧州株式戦略責任者ジェリー・ファウラー氏は、米国やアジアの大手投資家から数年ぶりに英国に関する問い合わせが来ていると指摘。
「関心は広がっている。だが、そうした熱意が目先、非常に良好なパフォーマンスにつながる可能性は低い。多くの資金はまだ動いていないと思う」と述べた。
仏左派連合、政権樹立に意欲 多数派形成への協議難航予想 | ロイター
フランス国民議会(下院)総選挙の決選投票で第1勢力となった左派連合「新人民戦線(NFP)」は8日、改めて政権樹立への意欲を示した。ただどの勢力も過半数の289議席を大きく下回っており、多数派形成に向けた協議は難航が予想されている。
NFPは、極右「国民連合(RN)」の躍進を阻止するため選挙直前に結成され、極左「不屈のフランス」や共産党から社会党、環境派まで幅広い勢力が参加しているため、内部で重要事案についてしっかりした合意が成立していないように見える。例えば、マクロン大統領が率いる与党中道連合と連携するべきかどうかといった問題だ。
実際「不屈のフランス」のジャン・リュック・メランション党首はこれまでのところ、中道と組むことに否定的な考えを表明している。
今後は182議席のNFPが少数与党として政権を立ち上げるか、いわゆる「野合」的な多数派による連立政権が生まれるといった可能性が想定される。ただ少数与党政権では、他の勢力の支持を取り付けられない場合、不信任案が提出されて退陣を迫られかねない。
こうした中で環境派リーダーのマリーヌ・トンデリエ氏も「(政権樹立は)そうすんなりとは行かないだろう」と認めた。
NFPに属する議員の一人もロイターに「われわれには一定の時間が必要だ」と語り、どのような選択肢も複雑さを伴うと付け加えた。
一方「不屈のフランス」のマニュエル・ボンパール氏は社会党や環境派、共産党とNFPの戦略を話し合う会合の前に「大統領は今回の選挙結果を尊重して、われわれ(NFP)に政権運営を委ねなければならない」と強調した。
どの勢力も過半数を握れない「宙づり議会」では主要政策の遂行が妨げられ、欧州連合(EU)におけるフランスの存在感の後退にもつながる恐れが出てくる。
ルメール経済・財務相は「最も差し迫ったリスクは金融危機とフランス経済の衰退だ」と警鐘を鳴らした。
フランスの宙づり議会、政策立案複雑に 格下げ招く恐れも=S&P | ロイター
格付け会社S&Pグローバルは8日、フランスが総選挙を受け宙づり議会(ハング・パーラメント)となったことについて、政策立案が複雑化する恐れがあるとし、債務拡大もしくは経済成長が持続的に低迷すれば格下げを招く可能性があると警告した。
7日投開票されたフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票は、事前の予想に反して左派連合が極右を抑えて最大勢力になる見通しとなった。ただ、過半数には届かず、ハングパーラメント(宙づり議会)に陥る公算となった。
S&Pは5月末、予想以上の財政赤字が債務を押し上げるとの見通しから、フランス国債の格付けを「AA」から「AA-」に引き下げた。
S&Pは仏選挙結果に関するメモで「新政権が有意な政策措置の実施に苦悩し、不信任投票のリスクが続く」と想定。「経済成長が長期的にわれわれの予想を大幅に下回れば、『AA-/A-1+』の格付けは圧迫されるだろう」としたほか、「巨額の財政赤字を削減できず、政府歳入に占める一般政府の利子支払いが現在の予想を超えて増加した場合」も格付けの引き下げにつながる可能性があるとした。
S&Pによるフランスの格付け見直しは11月29日まで行われないものの、状況が正当と判断されれば早期に実施される可能性もある。
●先進国中銀、金融当局
ECBの利下げに関する投資家の期待は妥当-クノット氏が独紙に語る - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は、ECBが今年中にあと1、2回利下げを実施するとの投資家の期待は、インフレと経済成長が予想通りに推移する限り妥当なものだとの認識を示した。
クノット氏は8日に掲載されたドイツ紙ハンデルスブラットとのインタビューで、賃金、企業利益、生産性に関する四半期ごとのデータがECBの最新の予測に沿ったものであれば「私としては政策スタンスや将来の利下げに対する現在の市場の期待に全く異論はない」と語った。
同氏はディスインフレが「十分に定着し進行しつつある」とみているものの、「インフレ上振れリスクは残っているため、当局者は引き続き警戒する必要がある」と述べた。
2024年の金利についての現在の市場予想を、複数の政策委員会メンバーが支持している。
ECBは先月、記録的なインフレを抑えるために前例のない利上げを実施して以降、初めて借り入れコストを引き下げた。しかし、消費者物価の先行き不透明感が強い中、次のステップについては慎重な姿勢を示した。
クノット氏は「前進に満足している」と述べた。インフレ率は、5月に予想を上回る2.6%に上昇した後、6月には2.5%に低下した。
同氏は「今後数カ月の間にインフレ率が予想より多少高くなったとしても、中期的な方向性を見失うことはない」とも述べた。ECBは2025年の最終四半期にインフレ率が目標の2%に戻ると予想している。
「もし、その軌道が新たな障害に直面すれば、現在の市場の想定よりもさらに忍耐強くならなければならないだろう」と付け加えた。
今月の追加利下げはないとの考えを明瞭にし、「再び利下げについて本格的に議論される会合は9月だろう」と語った。
政策金利が3%超である限り、ECBの政策は景気抑制的だとし、「想定し得る将来にわたってそうあり続けるだろう」と述べた。
また、各国政府が財政を健全化させるべき「時が来た」とも論じ「財政政策を抑制できないのであれば、そうでない場合よりも金利を高く維持しなければならない」とくぎを刺した。
パウルFRB議長、高金利批判に直面へ-金融政策巡る今週の議会証言 - Bloomberg
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は9、10両日に金融政策に関する半期に一度の議会証言を行う。議長は金融当局の利下げ開始にしびれを切らしている議員や、ウォール街の金融機関に対するFRBなどの資本要件強化案に不満を持つ議員からの圧力に直面する見通しだ。
2022年3月にインフレ抑制のための利上げに着手した米金融当局は、23年7月に主要政策金利のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%と、二十数年ぶりの高水準に引き上げて以降、この水準に据え置いている。
パウエル議長にとって、金融政策に関する議会公聴会への出席は11月の米大統領選前としてはこれが最後となり、金利をより長くより高く据え置く政策スタンスと、中央銀行として政治からの独立性維持を擁護する必要がありそうだ。
米金融当局者は先月公表の金利予測分布図(ドット・プロット)で年内の利下げ回数見通しを中央値で1回と3月時点の3回から減らし、インフレ率が2%の当局目標に向かっているとのさらなる証拠を待って、金利を据え置く方針を示唆した。
パウエル議長は2日のイベントでこうしたメッセージを繰り返した一方、利下げを開始する可能性のある具体的な時期に関する発言は控えた。
米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、今年早い段階でブレの大きな数字となった後、5月には伸び鈍化が示された。
11日に発表される6月の消費者物価指数(CPI)は、変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数が2カ月連続で前月比0.2%上昇と、2カ月ベースで昨年8月以来の低い伸びとなると見込まれている。
一方、労働市場の需給も緩和しつつあり、当局者の一部はさらなる減速のリスクについて警告を発し始めている。6月の雇用者数の伸びは引き続き堅調だったものの、ヘルスケアと政府部門に集中し、過去2カ月分は下方修正された。また、失業率は4.1%と21年11月以来の高水準に悪化した。
利下げ要求
民主党議員は、物価高で既に痛手を被っている消費者が金利高止まりの打撃を受けているとして、金融当局に利下げを強く求めている。インフレは引き続き有権者の最大の懸念事項であり、利下げの有無やそのタイミングは大統領選を控えてデリケートな問題となりつつある。
民主党のウォーレン上院議員は先月、他の同党上院議員との連名でパウエル議長宛てに書簡を送り、欧州中央銀行(ECB)に倣って利下げするよう呼び掛けており、9日の上院銀行委員会公聴会でも金利引き下げを求める可能性がある。
他方、トランプ前大統領がホワイトハウス返り咲きを果たした場合、米金融当局の権限抑制を目指す恐れがあると報じられており、他の民主党議員はその独立性に干渉しているとの批判を避けるため、慎重に対応している。
パウエル議長は10日には下院金融委員会で証言する予定で、民主党の同委メンバーの1人であるハイムズ議員は、いかなる議員も金融当局に利上げもしくは利下げを求めて圧力をかけるべきでないと語った。
ハイムズ議員は「安定した米経済の礎の一つは独立した金融政策であり、わが党が選挙政治と金融政策とを絡めようとすれば、相手側の党も同じことをし、間もなく安定した経済を失うことになるだろう」と話した。
金融当局への利下げ要求は政治よりも、景気判断に基づく部分が多いとする声もある。民主党のボイル下院議員は「われわれの主張はデータとその分析に基づいている」とし、経済全体の力強さにもかかわらず、現時点では2%の物価目標に達していないことよりも、景気減速に関する心配の方が大きいと指摘した。
ボイル議員はまた、新型コロナウイルス禍前の2倍近くの水準にある住宅ローン金利によって、住宅購入が高根の花となり、転居を望む人々も自宅の売却ができずにいるとコメントした。こうした発言は、米金融当局が不必要に成長を抑制していると主張する一部エコノミストの意見とも一致する。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏はインフレ動向について、物価目標到達のすぐ近くにあり、「全てのトレンドラインは良好と見受けられる」と分析。インフレ率が2%を上回って推移しているのは賃貸料の指標の遅効性による部分も大きいなどとして、直ちに利下げを開始すべきだとしている。
ザンディ氏はさらに、選挙が近づくにつれて利下げするのは一段と複雑になる可能性があると論評。「金融当局者は現行の政治に影響されたくないと強く望んでいるが、彼らが影響を受けているのはほぼ確かだ」と語った。
金融規制
ウォール街の金融機関の資本要件強化に向けた米金融規制監督当局の提案を巡っても、パウエル議長は鋭い質問を浴びることになりそうだ。FRBなど規制当局は昨年7月、大手金融機関8社に対し金融ショックを吸収するクッションとして約19%の資本増強を求める内容の提案を発表したが、パウエル議長は今年3月、「広範かつ実質的な変更」が加えられるとの見通しを示した。
下院金融委のマクヘンリー委員長を含む共和党議員は同案を厳しく批判。同委員長らは昨年9月、同案には「致命的な問題」があり金融システムにリスクをもたらす恐れがあるとして、規制当局に撤回を求めた経緯がある。
パウエル議長は、FRBおよび連邦預金公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)が原案を撤回するかどうか明言していない。ただ、FRB当局者は最近、大手金融機関の負担を大幅に軽減する内容の修正案をまとめた3ページの文書をFDICとOCCに提示した。
こうした中、ウォーレン議員はパウエル議長に最近送付した書簡で、銀行の幹部報酬や資本規制強化案を含む重要政策に影響を与える余地を銀行トップに与え過ぎているとして批判した。
パウエル議長は、政策策定に当たり当局が政治を考慮に入れることはないとの立場を堅持している。議長は先週、民主・共和両党について、「重要問題に関しては、連邦議会の指導部を中心に、連邦準備制度の独立性への支持は極めて高い」とし、「当局としては適切な政策運営に心を砕いている」と話した。
パウエル議長、インフレ鈍化の一層の確認必要と説明へ-今週議会証言 - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今週、上下両院の委員会が開催する公聴会で金融政策に関する半期に一度の証言を行う。経済成長と雇用が減速している兆候は見られるものの、議長は公聴会で、金融当局が利下げへの態勢に入るにはインフレが鈍化していることをさらに確認する必要があると説明する公算が大きい。
利下げに向けた新たな一歩になると予想されるのが6月の消費者物価指数(CPI)だが、同統計が発表されるのは11日で、パウエル議長が議会証言を終えた後となる。パウエル氏は9日に上院銀行委員会で、10日に下院金融委員会でそれぞれ証言する。
失業率が2021年遅く以来の水準に上昇し、その他のデータでも経済成長の減速が示されている。そうした状況を受け、議員らは金融当局が利下げにちゅうちょしている理由をパウエル氏に問いただす可能性が高い。
パウエル議長は2日、最新の経済データはインフレが再び鈍化傾向をたどっていることを示唆していると指摘。ただ、当局者らは利下げに動く前にさらに多くのデータを目にしたい考えだと付け加えた。
市場調査では、食品とエネルギーを除くコアCPIは6月に前月比0.2%上昇と、前月と同率の伸びが予想されている。実際そうなれば、連続した2カ月の伸びとしては昨年8月以来最小となり、金融当局にとってより許容可能なペースとなる。コア指数は、基調的なインフレをより正確に反映すると捉えられている。
総合CPIについては前月比0.1%上昇と、小幅な伸びにとどまる見通しだ。前年同月比では3.1%上昇と、過去5カ月で最も低い伸びとなると見込まれている。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、エステル・オウ、イライザ・ウィンガー、クリス・コリンズ、アナ・ウォン各氏はリポートで、「6、7、8月と弱めのインフレデータが示され、当局としては9月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合までに利下げ開始に向けた十分な確信を得られると、われわれはみている」と記した。
金利据え置き望む、インフレ鈍化の確実性高まるまで=ハスケル英中銀政策委員 | ロイター
イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会のハスケル委員は8日、雇用市場でインフレ圧力が続き、物価上昇圧力がどの程度速く後退するか不透明なため、約16年ぶりの高水準にある政策金利の引き下げは望まないと述べた。
ハスケル氏は8日に行う講演の予定原稿で、「労働市場は引き続き逼迫しており、依然として正常に機能していないのではないかと懸念している」とした上で、「基調的なインフレ圧力が持続的に低下しているという確実性が高まるまで金利を据え置きたい」と述べた。
また、このところの極めて急速な物価上昇を背景に、インフレ上昇圧力もかかっていると指摘。こうした状況が「金融政策委員会が労働市場の状況やサービスインフレなどの基礎的なインフレ指標を注視している理由を説明する一助となることを期待する」とした。
●先進国、グローバル、金融市場
アメリカのファンド大手アレスが日本進出 三井住友銀行からトップ - 日本経済新聞
米投資ファンド大手のアレス・マネジメントが東京に拠点を開き、日本での事業に本格的に乗り出す。国内投資家に運用商品を販売するだけでなく、日本の未公開株や不動産などへの投資を始める。国内外の金融機関が注力するプライベートアセット(未公開資産)の市場拡大につながる可能性がある。
プライベートクレジット、リスク負わないファンドにBISが懸念示す - Bloomberg
プライベートクレジット市場の投資家の「かなり大きな」リスクについて、国際金融の監視機関が懸念を示した。ファンドの約40%が自らリスクを負っていない状況が明らかになった。
国際決済銀行(BIS)が先週公表した年次経済報告によると、多くの運用主体が自己資金の投入を避け、「インセンティブのずれ」が生じている。業界プレーヤーが投資家のリターンより自分たちの利益を優先するリスクが存在する。
BISの推計によれば、金融危機をきっかけに銀行が特定の貸し付けから手を引いた後、プライベートクレジットは2兆1000億ドル(約338兆円)規模に急成長した。このセクターが伝統的な金融機関に与える影響を巡り、規制・監督当局は懸念を強めている。
バリュエーションの不安も高まっており、第三者機関の評価を用いて米証券取引委員会(SEC)にデータを報告しているプライベートクレジットファンドは全体の40%に過ぎない。
BISの報告によると、米国のプライベートクレジット取引量の約78%は、プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社が保有する企業向けだ。欧州の規制・監督当局は、シャドーバンクの相互作用に関し透明性の改善を求める方針だ。
ユーロ圏投資家センチメント、7月は9カ月ぶりに低下 予想下回る | ロイター
調査会社センティックスが8日発表した7月のユーロ圏投資家センチメント指数はマイナス7.3と、9カ月ぶりに低下した。
ロイターがまとめた市場予想は0.0、前月はプラス0.3だった。センティックスは「手痛い後退」だと分析している。
期待指数も10.0から1.5に低下した。センティックスは「予測機関が懸念する可能性が高い」とし「最近の欧州経済の回復に突然、終止符が打たれた」と述べた。
フランスの選挙や今後予定されるドイツの地方選、米大統領選を巡る不透明感が投資家の懸念要因となった。
ドイツの現況指数もマイナス26.3からマイナス32.3に低下。4カ月ぶりの低下となった。
調査は投資家1140人を対象に7月4─6日に実施した。
経常黒字41.8%増、5月は2兆8499億円 配当金が増加 - 日本経済新聞
財務省が8日発表した5月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支は2兆8499億円の黒字だった。前年同月から41.8%増加した。海外からの債券利子や配当金の受け取りが増え、第1次所得収支の黒字幅が拡大した。
経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、旅行収支を含むサービス収支、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支などで構成する。
経常収支の黒字額は、比較可能な1985年以降の5月としては過去最大となった。
第1次所得収支の黒字幅が前年同月比で13%増の4兆2111億円と、比較可能な1985年以降で過去最大となった。海外の金利上昇や円安を背景に受取額が増えた。
貿易収支は1兆1089億円の赤字と、前年同月から赤字幅は7.6%縮小した。資源高や円安により原油などの輸入額が膨らんだ。輸出は自動車のほか半導体関連の製造装置や電子部品が好調で、赤字幅縮小の要因となった。
サービス収支は23億円と、前年同月の1803億円の赤字から黒字に転じた。黒字は2カ月ぶり。訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支の黒字が55.7%増の4417億円と、黒字幅を拡大した。
米消費者の1年先インフレ期待、6月は3%に低下-NY連銀調査 - Bloomberg
投資家の仕事、AIが「かなりの部分」を改善へ-ブリッジウォーター - Bloomberg
●中東情勢
イラン次期大統領、反イスラエル確認 抵抗運動「犯罪的政策」許さず | ロイター
イランのペゼシュキアン次期大統領は8日、中東地域における抵抗運動はイスラエルのパレスチナ人に対する「犯罪的政策」の継続を許さないと述べ、イランの反イスラエル姿勢を改めて確認した。
ペゼシュキアン氏は親イラン武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師に宛てたメッセージで「非合法なシオニスト政権に対するこの地域の人々の抵抗を、イランは常に支持してきた」と言及。
イランのメディアによると、ペゼシュキアン氏は「この地域の抵抗運動は、(イスラエル)政権がパレスチナや、この地域の他の国の抑圧された人々に対し戦争をあおり、犯罪的な政策を続けることを許さないと確信している」と述べた。
イスラエル首相支持へ、連立政権から極右離脱なら=最大野党党首 | ロイター
イスラエル最大野党「イェシュ・アティド」のヤイル・ラピド党首は8日、イスラム組織ハマスとの停戦合意を巡り連立政権内の極右勢力が離脱した場合、議会でネタニヤフ首相への支持を表明すると述べた。
連立政権内の一部の極右勢力は、イスラエルがハマスを壊滅させ人質を解放する前に戦争が終結すれば離脱すると述べている。そうなればネタニヤフ政権は崩壊する恐れがある。
イスラエル極右派閣僚のスモトリッチ財務相は8日、パレスチナ自治区ガザでの戦争終結に向け協議されている、停戦と人質解放を巡る合意はイスラエルにとって「敗北であり屈辱だ」と述べた。
こうした中、ラピド氏は自身が所属する議会派閥の会合で「人質取引が議論されている。ネタニヤフ首相が人質取引と首相継続のどちらかを選ばなければならないというのは真実ではない」と指摘。連立政権内から極右勢力が離脱した場合にネタニヤフ首相に「セーフティーネット」を与えることを確約したとし、ネタニヤフ首相は人質解放に向けて合意すべきとした。
ネタニヤフ首相に反対している立場を考慮すると難しい判断だったが、「最も重要なのは人質を帰国させることだ」とした。
イスラエル議会のウェブサイトによると、停戦合意に最も強く反対する連立政権の2つの極右政党は合わせて13議席。一方、イェシュ・アティドは24議席。
ガザでの戦争終結に向けた協議が続く中、ハマスは8日の声明で、ネタニヤフ首相が停戦交渉に障害を課しているとし、仲介者に対しネタニヤフ首相による「策略と犯罪」に介入するよう求めた。
●エマージング
ポーランド、インフレ再加速へ 25年第1四半期にピーク=中銀 | ロイター
ポーランド中央銀行が5日に発表したインフレ報告によると、2024年上半期に中銀の目標範囲に減速したインフレが一時的に再加速し、25年第1・四半期にピークに達するとみられている。
中銀は24年の消費者物価指数(CPI)上昇率を3.7%、25年が5.2%、26年は2.7%と予想している。24・25年の予測は3月の報告書から上方修正されたが、26年については小幅下方修正となった。
中銀は「インフレの主な原動力は、政府のインフレ対策の一環で導入されたエネルギー輸送業者に対する価格規制の縮小でエネルギー価格が上昇すること」と指摘。
また、賃金上昇や主食に対する5%の付加価値税(VAT)復活による食品価格上昇も挙げた。
中国乗用車販売、6月は前年比6.9%減 3カ月連続でマイナス | ロイター
中国乗用車協会(CPCA)が8日発表した6月の乗用車総販売台数は前年同月比6.9%減の178万台だった。4月の5.8%減、5月の2.2%減に続き3カ月連続のマイナスでペースも加速した。
1─6月は前年同期比2.9%増の993万台だった。昨年来の価格競争で年初は好調だっだが、ここ数カ月は政府の販売奨励策も効果が表れない状況だ。
純電気自動車やプラグインハイブリッド車を含む新エネルギー車の6月販売は国内自動車販売台数の48.1%を占め、過去最高を記録した。
電気自動車(EV)販売全体の伸びは5月の27.4%から9.9%に鈍化したが、プラグインハイブリッド車の販売台数は前月の61.1%増から67.2%増に加速した。
CPCAの別データによると、6月の自動車輸出は前年同月比28%増となった。5月は23%増だった。
しかし、欧州連合(EU)が先週、中国製EVに最大37.6%の暫定追加関税を課すことを確認したため、輸出トレンドは弱まる可能性がある。
CPCAの崔東樹・秘書長(事務局長)は「新エネ車の輸出は現在、一時的な圧力に直面している」と述べた。
6月の新エネ車輸出は前年比12.3%増だったが、前月比では15.2%減少。新エネ車は自動車輸出全体の21%を占め、1年前から3%ポイント低下した。
消費者需要の低迷を裏付けるように、自動車ディーラーの業界団体である中国自動車流通協会がまとめた6月の車両在庫警戒指数は前年同月から8.3%ポイント上昇し、62.3%に達した。
海外投資家、なぜ中国共産党「3中総会」を注視するのか-QuickTake - Bloomberg
中国共産党が定期的に開催する無数の会議の中でも、世界2位の経済大国に潜在的な影響を与えるという点で中央委員会第3回総会(3中総会)は際立っている。
通常5年に1度開催される3中総会は、主要な経済・政治政策の変更を扱う。1978年の3中総会では、主導権を握った鄧小平氏がソ連をモデルとしていた計画経済に市場原理を持ち込み、「改革開放」路線を敷いたことで有名だ。
習近平総書記(国家主席)は15日、異例の開催延期が続いていた第20期中央委員会の3中総会を招集する。投資家は失速しつつある中国の経済成長エンジンを再起動させる取り組みを注視している。
1. 3中総会とは
3中総会とは共産党中央委員会の全体会議だ。党の最も重要な政策と人事を公式に発表するが、実際には、習総書記を筆頭とする党最高幹部から成るより小さなグループによる決定を追認するだけだ。
中央委員会は通常、5年間の任期中に総会を7回開催する。そのうち3回目の総会は、新指導部が経済・政治問題に対する広範な考え方を正確に紹介する最初の機会となるため特に重要だ。
例えば、習氏が総書記に就任した翌年の2013年の3中総会では「一人っ子政策」のさらなる緩和や戸籍制度の変更、国家安全の重視などが打ち出された。
2. どこで開催され、誰が出席するのか
ほとんどの重要な党・政府の会議と同様、3中総会は通常、北京の京西賓館で行われる。この地味で灰色の複合施設は、中央軍事委員会が直接管理している。
3中総会の出席者には、中央委員約200人や中央候補委員170人、党の反腐敗機関幹部らが含まれる。学識経験者や他の党員も招待される可能性がある。
中央委員は党内だけでなく、省や市、中央政府、軍、国有企業などで要職に就いている。今回は205人中44人が軍からとなる。
3. 何が行われるのか
今年は18日まで4日間にわたり、習総書記率いる中央政治局が主催する非公開の会議で政策が話し合われる。3中総会の結果は通常、国営メディアを通じコミュニケで発表され、詳細は後日明らかにされる。
4. これまでの3中総会は
中国を大混乱に陥れた「文化大革命」を経て1978年に開催された3中総会では、中国を経済発展の軌道に乗せ、民間経済の成長を可能する改革開放政策が決まった。
その15年後の3中総会では、「社会主義市場経済」を構築する計画を具体化し、非効率な国有企業の近代化と刷新、社会保障制度の確立、政府による経済への直接介入縮小といった政策がまとめられた。
習体制となった2013年は、地方政府の債務や生産年齢人口の減少など経済が逆風に直面する中で、一人っ子政策の追加緩和や国有企業への民間投資の奨励など、野心的な改革の骨格が示された。
前回2018年の3中総会では、党や政府、軍、その他の公的機関の再編に加え、中央・地方政府の権限バランスを図るとされ、政府の主要人事案も内定した。
5. 今年の3中総会で何が期待されているのか
国営新華社通信によれば、今年の3中総会では「改革の全面深化と中国式現代化の推進に関する決定」案が審議される。
画期的な構造改革への期待は低いが、中央・地方政府間の財政関係や不動産市場の下降スパイラル、低迷する民間セクター、中国のテクノロジー推進、高齢化など長期的な問題に対処する政策の方向性に関する手掛かりを投資家は得ようとしている。
最も注目しているのは財政改革だ。昨年12月に開催された中央経済工作会議では「財政・税制改革の新たなラウンド」を考えているとの発言があり、3中総会で詳細が発表されるのではないかという期待が高まった。
債務リスクの高まりや土地使用権売却収入の減少に悩む地方政府の中央政府との支出責任の分担が変更され、経済成長を促進するために中央政府がより多くの支出を引き受ける可能性もある。
地方当局の収入源を拡大するために消費税が見直され、中国で最大の税収源である付加価値税のさらなる改革を期待するエコノミストもいる。
不動産不況は依然として中国経済にとって最大の脅威であるため、不動産政策も投資家が注目する分野だ。国務院は6月、住宅在庫を吸収する新しい政策を「オープンマインド」で策定し続けるよう当局に要請した。
中国ウオッチャーは、人事異動の可能性にも着目。汚職に関与したと認定した李尚福前国防相と魏鳳和元国防相の党籍剥奪が確認されるだろう。
他にも、秦剛前外相と農業農村相だった唐仁建氏、人民解放軍ロケット軍司令官を務めた李玉超氏が中央委員会から追放される見込みだ。昨年夏以来、中国の国防組織を揺るがしてきた粛清の兆候がさらに見られるかもしれない。
●プロファイ、インフラ、自然災害
米西部で猛暑、「ヒートドーム」現象で3600万人に影響 | ロイター
米国立気象局(NWS)は7日、カリフォルニア州を中心に発生している「ヒートドーム」現象により、人口の約1割に相当する3600万人が記録的な暑さの影響を受けていると明らかにした。
ヒートドームとは上空の高気圧が熱い空気を押し下げてドームのような形を作り、熱を閉じ込める現象
NWSによると、ワシントン州やオレゴン州、カリフォルニア州、アリゾナ州北部、アイダホ州中部では気温が最高記録を更新する見通し。
カリフォルニア州とネバダ州の州境にあるデスバレー国立公園では、12日にかけて最高気温が54度近くに達する可能性があるという。
NWSは、高温や乾燥、強風が重なり、山火事のリスクが高まっているとして警戒を呼びかけている。
ハリケーン「ベリル」、米テキサス州に上陸-150万戸余りで停電 - Bloomberg
ハリケーン「ベリル」は8日、米テキサス州に上陸し、同州では150万戸余りが停電に見舞われている。
ベリルは風速約80マイル(毎秒約36メートル)、5段階のうち一番下のカテゴリー1のハリケーンとして、現地時間8日午前4時(日本時間同日午後6時)前、ヒューストンとコーパスクリスティの間にあるマタゴルダ近郊に上陸した。米国立ハリケーンセンターは、ベリルが州を北上する際に鉄砲水が発生する危険性があるとして注意を呼びかけている。
暴風雨に見舞われたヒューストンでは、フライトがキャンセルされている。ベリルはテキサス州の液化天然ガス(LNG)生産施設の操業にも影響し、欧州の天然ガス価格は8日の取引で上昇した。一部の石油関連施設も操業停止に追い込まれる可能性がある。
●小ネタ
文庫本の「1000円の壁」なぜ消えた 25年で3割値上げ - 日本経済新聞
●市況
欧州市場サマリー(8日) | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。FTSE100種指数は小幅続落。資源関連株の売りが優勢だった。
飲料メーカー、ブリットビックは4.5%高。デンマークのビール大手カールスバーグによる買収に同意したと発表したことが材料視された。
英総選挙が終わり、市場の目下の関心は、イングランド銀行(英中央銀行)の8月の金融政策委員会会合での決定に影響する可能性がある週内発表予定の英国内総生産(GDP)に移りつつある。
<欧州株式市場> ほぼ横ばいで取引を終えた。フランス国民議会(下院)総選挙の決選投票の結果、予想に反して左派連合が極右を抑えて最大勢力となったが、過半数を占める政党がなく議会の空転が懸念され、フランス株が売られた。
フランスのCAC40指数は0.63%安。フランスの金融機関BNPパリバは1.8%、ソシエテ・ジェネラルは1.3%、それぞれ下落した。
<ユーロ圏債券> フランス国債利回りが2週間ぶりの水準に沈んだ。7日投開票されたフランス国民議会(下院)総選挙で予想に反して左派連合が極右を抑えて最大勢力となったことで、ハングパーラメント(宙づり議会)になる見通しとなった
フランス国債のリスクプレミアムは6月下旬、極右政党「国民連合(RN)」の財政政策を巡る懸念から2012年のユーロ圏債務危機以来の高水準を付けていたが、この日約1カ月ぶりの低水準となった。
取引終盤、フランス10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)低下の3.174%。一時、6月26日以来の低水準となる3.166%まで低下する場面もあった。
ドイツ10年債利回りは1bp低下の2.517%。独仏10年債利回り格差は66bp。一時、6月13日以来となる63.7bpまで縮小した。
イタリア10年債利回りは5bp低下の3.891%。独伊10年債利回り格差は137bpと3bp縮小した。
NY市場サマリー(8日)S&P・ナスダックが連日最高値、ユーロ下落、利回りまちまち | ロイター
<為替> ニューヨーク外為市場では、ユーロが下落。ただ、フランスが総選挙の結果、宙づり議会(ハング・パーラメント)となるとの見通しを受け、対ドルでは安値から下げ幅を縮小した。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りがまちまち。利下げ開始時期について新たな手掛かりが示されるか、週内に予定されるパウエル連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言とインフレ指標が注目されている。
指標となる10年債利回りは4.269%と、先週末から小幅低下。一方、金利見通しに敏感な2年債利回りは4.618%と、先週末の4.599%から上昇した。
<株式> 米国株式市場ではS&P総合500種とナスダック総合が最高値を更新して取引を終えた。市場は一連の企業決算や新たなインフレ指標の発表のほか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の議会証言などを注視している。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、利益確定の売りに押され、3営業日ぶりに反落した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ガザ停戦交渉の進展期待などを背景に売りが優勢となり、続落した。
報道によると、イスラム組織ハマスの幹部は7日、これまで大前提としてきたイスラエルとの「完全な停戦」がなくても、同国と人質解放で交渉する用意があるとの意向を表明。これを受け、米国などを仲介役とした間接交渉が進展するとの期待が高まり、このところ強まっていた一段の情勢の緊迫化や紛争拡大に伴う供給不安が後退した。ただ一方で、ロシアは同日、ウクライナの首都キーウなど複数の都市をミサイルで攻撃。また、先週行われたイランや英仏の選挙結果を受け、これらの国々の外交やエネルギー政策に変化があるかどうかにも関心が集まり、相場の下値は固かった。
このほか、米国内では8日朝、いったん熱帯性低気圧となった「ベリル」が再び勢力を強め、ハリケーンとなってテキサス州に上陸。一部の港湾は閉鎖され、広範にわたり洪水や停電が発生している。同州の石油・天然ガス生産は全米最大規模で、関連施設への影響が懸念されている。

備忘録(2024/7/5-7
●雑感
●決算
●海外企業
●日本企業
●米大統領選挙
バイデン氏続投を支持できず、同盟国からも身を引くよう促す声強まる - Bloomberg
バイデン米大統領がうっかりミスや状況判断をしかねる様子を見せたときでも、同氏の年齢を考慮して同盟国首脳は優しくフォローしたものだった。だが、もはやそうではない。
先月27日夜に行われたトランプ前大統領との討論会が散々だったことを受け、バイデン氏に対する外国首脳の見方も変わった。米国の民主党政権を望むブラジルのルラ大統領ですら、問題を公然と話し始めた。ブラジルは次回の20カ国・地域(G20)首脳会議ホスト国。
ルラ氏は「バイデン氏は問題を抱えていると思う」と、ブラジルのラジオ局で指摘。「バイデン氏の動きは以前にも増して遅くなった。質問への回答も長くかかる。米国の選挙は世界全体にとって極めて重要だ」と述べた。ルラ氏自身、トランプ氏と同じ78歳だ。
米国史上最も高齢のバイデン大統領(81)に対し、身を引くよう促す声が強まっているのは米国内だけではない。過去数カ月、数年とバイデン氏の不安定な言い回しや失言を取り繕ってきた諸外国でもそうした声が広がっている。トランプ氏のホワイトハウス返り咲きが西側にとってより大きな脅威と見なされていることが背景にある。
欧州当局者らは、トランプ氏に勝てる見込みがより高く、ウクライナや北大西洋条約機構(NATO)を巡り同盟国との団結を維持する誰かにバイデン氏は道を譲るべきだと考えている。これら当局者はいまや内々に、それでいて強い調子でそうしたことを話すようになった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
米国で来週開かれるNATO首脳会議では、寸分のミスも許さないという視線の中でバイデン氏の一挙手一投足に注目が集まる。そのような場でバイデン氏がどのように振る舞うのか懸念がある。
このような環境では、バイデン氏が非公開の協議で何らかのミスをしたとしても、出席者の口から公にされ、退場圧力が強まるのは確実だろう。バイデン氏を間近で見てきた主要7カ国(G7)の当局者は、テレプロンプターの助けを借りない台本のない場面でのバイデン氏は制御不能な危険人物だと述べた。
個人的な見解を話しているとして匿名を要請したこれらの当局者によると、テレビ討論会でのバイデン氏の振る舞いは、ここ数カ月に居合わせた人々らが目撃してきたバイデン氏の姿が表れたに過ぎない。フランスで6月上旬に開かれたノルマンディー上陸作戦(Dデー)80周年記念式典では、弱々しい様子のバイデン氏がジル夫人やマクロン仏大統領が起立している最中にぎこちなく着席しようとした。
イタリアでのG7首脳会議では、スカイダイビングの実演中に他の首脳からはぐれた様子のバイデン氏が、同国のメローニ首相の助けで集団に戻される様子の動画がソーシャルメディアに出回った。
結束力の強い少人数から成るチームがバイデン氏の本当の健康状態を隠してきたことに対する怒りもあると、これらの当局者は説明。同氏が以前の面影を失い、政策を定めることや統治ができないかもしれないという事実をもはや隠すことは不可能だと、当局者は指摘した。
民主上院議員、バイデン氏選挙戦巡り会合開催か 撤退求める議員団結成との報道も | ロイター
米民主党のワーナー上院議員(バージニア州選出)は今週、民主党の上院議員数人と連絡を取り、バイデン大統領の選挙キャンペーンについて協議するため週明け8日に会合を開く可能性を提案した。関係筋がロイターに対し明らかにした。
米紙ワシントン・ポストは5日、関係筋の情報として、ワーナー議員がバイデン大統領に選挙選からの撤退を求めるために民主党の上院議員グループの結成を目指していると報じた。しかし、関係筋はこの報道については踏み込まなかった。
ワシントン・ポストによると、11月の大統領選に向け先週開催されたテレビ討論会でのバイデン大統領の精彩を欠くパフォーマンスを受け、ワーナー議員はバイデン氏が共和党のトランプ前大統領に勝てる選挙戦を展開できないという懸念を他の議員に伝えた。上院民主党トップのシューマー院内総務はこれに対し、さらなる世論調査のデータが出てくるまで、いかなる行動も控えるよう上院議員らに指示したという。
「選挙戦にとどまり勝利する」、バイデン氏改めて撤退否定 選挙集会 | ロイター
バイデン米大統領は5日、11月の大統領選で激戦州となる中西部ウィスコンシン州で選挙集会を開き、「選挙戦にとどまり、再び勝利する」と表明した。
バイデン大統領は演説で「先週ちょっとした討論会があった。最高のパフォーマンスだったとは言えず、それ以来さまざまな憶測が飛び交っている」とし、テレビ討論会での精彩を欠くパフォーマンスを受けて大統領選からの撤退論が浮上していることを認めつつも、撤退を改めて否定した。
また、共和党のトランプ前大統領をうそつきと呼び、知性を痛烈に非難するなど、討論会でのさえない様子からは一転、力強い姿を見せた。
演説に先立ち、バイデン大統領は大統領専用機に搭乗する際に記者団に対し、トランプ氏に勝てるかと質問され「イエス」と応じていた。
バイデン氏はウィスコンシン州滞在中、ABCニュースとのインタビューに応じる。その模様は米東部時間5日午後8時(日本時間6日午前9時)に放送される予定で、注目が集まっている。
トランプ氏、保守系政策集との関係否定 主張抑制狙いとの見方も | ロイター
米国のトランプ前大統領は5日、保守派グループがまとめた政策集に対し距離を置く姿勢を示した。
政策集「プロジェクト2025」は保守系シンクタンクのヘリテージ財団がまとめた。900ページに及び、連邦政府機関の一部解体や大統領権限の大幅な拡大など、連邦政府の抜本的改革を求めている。
元行政管理予算局(OMB)局長を務めたラス・ボート氏や、トランプ氏の元上級顧問で、同氏が当選した場合に要職に就くとみられているスティーブン・ミラー氏ら、トランプ前政権の高官が関わっている。
民主党はトランプ氏が当選したら打ち出す過激な政策だと指摘しているが、トランプ氏は関係を否定。
自身のSNS(交流サービス)「トゥルース・ソーシャル」に、「プロジェクト2025については何も知らない。誰が黒幕なのかも承知していない」と投稿した。
「彼らの言っていることのいくつかには同意できない」とし、主張の一部は「まったく馬鹿げていて、ひどいものだ」と断じた。
プロジェクト2025の広報担当者は政策集について、次期共和党大統領に提言するものだが、トランプ氏が勝利した場合に実行するかどうかは同氏次第だと述べた。
クレムソン大学のジェームス・ウォルナー政治学教授は、6月27日の討論会を受けてバイデン大統領の選挙キャンペーンが失速していることもあり、トランプ氏はメッセージを和らげようとしている可能性があると分析した。
「トランプ氏は基本的により幅広い層にアピールしようとしている」と語った。
バイデン陣営のスポークスマン、アマル・ムーサ氏は声明で「プロジェクト2025はトランプ氏の2期目のための極端な政策と人事の計画であり、国民を恐怖に陥れるものだ」と訴えた。
バイデン氏に投票予定の民主党支持者、86%に減少=WSJ調査 | ロイター
バイデン氏に撤退迫れるか-激戦州の支持率は改善、苦境深まる民主党 - Bloomberg
11月の米大統領選に向け激戦州を対象にブルームバーグ・ニュース/モーニング・コンサルトが実施した世論調査で、バイデン米大統領と共和党のトランプ前大統領との一騎打ちがきょう行われた場合、どちらに投票するか尋ねたところ、バイデン氏がトランプ氏との差を2ポイントに縮めた。
バイデン氏の精彩を欠いた第1回候補者テレビ討論会への有権者の評価は厳しく、民主党内で動揺が広がった。だが、今回の調査でバイデン氏に投票すると45%が回答したのに対し、トランプ氏は47%とリードしたものの、昨年10月の調査開始以来の僅差となった。
バイデン氏は現時点で、ミシガン州とウィスコンシン州でトランプ氏をリードし、アリゾナ州とジョージア州、ネバダ州、ノースカロライナ州では統計上の誤差の範囲内だが、重要州ペンシルベニア州で最もリードを許している。
激戦州の有権者らは、バイデン氏が討論会で劣勢だったと考えており、81歳の同氏の方が「首尾一貫していた」「精神的に健康そうだった」「優勢だった」と回答した人の割合は20%に届かなかった。
大統領候補を指名する全国大会をわずか数週間後に控え、民主党が途方もない窮地に立たされる中で、今回の世論調査の結果が明らかになった。
バイデン氏は過去にトランプ氏を破っただけでなく、個人的悲劇やホワイトハウスの選挙戦を過去何度も経験し、今回の討論会の失敗も乗り越えられる新たな挫折と捉えており、代議員の放棄を同氏に迫ることは、そのような大統領候補を諦めることを意味している。
しかし今回の調査結果を見る限り、バイデン氏に固執することは、年齢や鋭敏さに有権者が特に深い懸念を抱く候補者を推すことになりかねない。民主党支持者は10人中3人に近い割合でバイデン氏が選挙戦から降りるべきだと答えており、トランプ氏もそうすべきだと回答した共和党支持者の割合(9%)をはるかに上回る。
バイデン氏は選挙を戦い続けると表明し、メディアやワシントンのインサイダーが受け止めるほど、今回の討論会は有権者にとって壊滅的なものでなかったと大統領の陣営は繰り返し主張した。
バイデン大統領は5日、ABCテレビとのインタビューで、討論会での失敗について、「深刻な状態を示す兆候はない。私は疲れ切っていた。準備に関し自分の直感を大事にしなかった。まずい夜だった」と振り返った。
選挙戦の行方が討論会で変わることはめったにないが、6月27日の第1回テレビ討論会は米大統領選のサイクルとしては過去最も早い時期に行われた。つまり、投票先を決めていない多くの有権者はまだどちらに転ぶか分からないということだ。
世論調査が政治イベントに及ぼす影響を研究するテキサス大学オースティン校のクリストファー・ウレジエン教授(政治学)は「これが秋に起きていれば、影響はもっと小さかっただろう」と見解を示す。
「こうした討論会はハードなイベントだ。1時間半もの間スポットライトが当たり続ける。バイデン氏は老け、4年前や8年前、12年前と同じ人物でないという感覚をわれわれの多くが既に抱いていた」と同教授は指摘した。
●その他先進国政治動向
仏下院選、左派が予想外の勝利-ルペン氏極右は第3党の見込み - Bloomberg
フランス国民議会(下院、定数577)選挙は7日、決選投票が行われ、左派連合「新人民戦線」が過半数には届かないものの最大勢力になる見通しとなった。出口調査の結果で明らかになった。過半数を確保して次期政府の組閣を狙っていた極右政党・国民連合(RN)は伸び悩み、実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏は予想外の打撃を被った。
出口調査を行った5社の初期予測によると、穏健派の社会党から極左の「不屈のフランス」まで寄り集まった新人民戦線は172-210議席を得る見通し。過半数の289議席には大きな開きがある。
先週の世論調査で第1党になる見通しが示されていたRNは113-152議席で第3党にとどまる見込み。マクロン大統領の中道連合は150-180議席でRNを上回ると予想される。アタル首相は8日に大統領に辞表を提出する意向を示した。
左派勝利の見通しを受け、シドニーで始まった8日の外国為替市場でユーロは対ドルで下落。一時0.3%安の1ユーロ=1.0807ドルで取引された。
フランスの公的財政状況を懸念する投資家にとって、新人民戦線の勝利は警戒すべき要因となる公算が大きい。選挙戦で新人民戦線が公約に掲げた公共支出の大幅拡大や最低賃金の引き上げ、定年退職年齢の引き下げは欧州連合(EU)との深刻な対立を引き起こす可能性がある。RNはより緩やかな支出増を主張していた。
「不屈のフランス」のジャンリュック・メランション党首は7日、「新人民戦線は政策を実行する」と記者団に表明。「政策に他ならない。政策全てだ」と述べた。
社会党のオリビエ・フォール党首は「われわれが目指しているのはただ一つ、国を再びまとめることだ。今はあまりにもバラバラになっている」とし、「新人民戦線は、この歴史の新たなページを導いていかなければならない」と語った。
新人民戦線が単独で政権を担えるだけの議席を獲得できない場合でも、組閣に向け左派はマクロン氏に新たな支出確約を要求する可能性が高い。
次期首相指名
フランス大統領府の発表文によると、次期首相の指名についてマクロン氏は新議会の構成を見てからさらなる決定を下す。大統領が7日夜に選挙結果に関して話すことはないという。
マクロン氏は先週の第1回投票でルペン氏のRNに圧倒されたが、出口調査の結果通りであれば、議会解散に踏み切った同氏の決定は完全には間違っていなかったことになる。第1回投票で与党連合はRNに得票率で大差を付けられ3位にとどまり、解散の判断は広く批判されていた。
マクロン氏は以前、「極端なグループ」を阻止するため対立する諸政党が連合を組むことも可能だと示唆し、少数の中道連立内閣の可能性に言及した。
獲得議席数の見通しをさらに詳しく各党に分けて予想したトルナ・ハリス・インタラクティブによると、マクロン氏のグループと新人民戦線の穏健派で数字上は306議席に達する見込みで、過半数を優に上回ることができる。 
ただ、これらの政党が協力に前向きかどうかは別問題だ。メランション氏はマクロン氏の陣営と取引することは拒否すると明言していた。
RNの躍進を阻止するため、マクロン氏の与党連合と、左派連合は決選投票の前に当選の可能性がほとんどない候補をそれぞれ戦略的に撤退させる候補者調整「共和国戦線」の取り組みを大急ぎで進めていた。
RNのジョルダン・バルデラ党首は獲得議席を前回選挙の89から大きく伸ばす見通しであることを支持者らに強調する一方で、主要政党の戦略的投票を批判。「孤立した大統領と扇動的な左派が仕組んだ投票の策略は何の効果も生まない」とし、「私は勝利するまであなたたちと共に、あなたたちのために闘う」と表明した。
ルペン氏は国民戦線が単独政党として最多議席を獲得する見込みだと指摘。「潮は満ちつつある。今回はまだ十分ではないかもしれないが、それでも満ちつつある」と前向きの見方を示した。
ユーロが対ドルで下落、仏下院選での予想外の左派勝利見通し受け - Bloomberg
アジア時間8日の外国為替市場で、ユーロはドルに対して下落。7日投開票されたフランスの国民議会(下院、定数577)選挙で左派連合が最大勢力になる見通しが初期の予測で示された。これは予想外の結果で、政府支出の大幅増を求める主張が投資家を不安にさせる恐れがある。
アジア時間の取引開始時にユーロは一時、前週末比0.3%安の1ユーロ=1.0807ドル近辺。数日前には想定からほぼ除外されていた結果を市場は消化し始めた。今回の結果は数週間にわたり再び市場を揺るがす恐れがある。
初期の推計によると、穏健派の社会党と極左の「不屈のフランス」を擁する左派連合「新人民戦線」が170-215議席を得る見込み。マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党・国民連合(RN)の最多議席獲得が広く予想されていたが、マクロン大統領の与党連合に次ぐ第3党にとどまりそうだ。
マネーマネジャーの間では先週ごろからルペン氏が実質的に主導する政権誕生への警戒感が広がっていたが、左派連合の勝利も市場を不安にさせる可能性が高い。ユーロ圏で2番目に大きい仏経済に新たな不確実性が生じ、左派連合が財政政策の大掛かりな緩和を公約していることが背景にある。
既に肥大化するフランスの財政を巡る不安が深まり、同国などの財政赤字削減手続き開始に既に動く欧州連合(EU)と衝突することになりそうだ。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のシニアストラテジスト、ジェフリー・ユー氏は「フランスの政治が再び混乱している。今回の結果を前提とすれば、拡張的な財政政策のリスクが残る」と指摘した。
仏総選挙、左派が最大勢力の勢い 極右は第3勢力か | ロイター
7日投開票されたフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票は、調査会社の予測によると、事前の予想に反して左派連合が極右を抑えて最大勢力になる見通しとなった。ただ、過半数には届かない見込みで、ハングパーラメント(宙づり議会)に陥る可能性が高い。
当初は第1党になるとみられていたマリーヌ・ルペン氏の極右政党「国民連合(RN)」は第3勢力にとどまり、マクロン大統領の中道与党連合がRNをやや上回り第2勢力となる見通しだ。
調査会社イプソスの予想では左派連合「新人民戦線(NFP)」が171─187議席、RN(連携勢力を含む)が134─152議席を獲得する見通し。
エラブの調査では左派連合が182─193議席、RNと連携勢力を合わせて136─144議席と予想されている。
左派と中道連合はRNの勝利を阻止するため多くの選挙区で候補者を一本化していた。
下院は左派、中道、極右という主張の異なる3つの大きなグループに分かれる見込みで、今後の見通しは不透明だ。
左派は燃料や食料品など必需品価格の上限設定、最低賃金や公共部門労働者の賃金引き上げ、富裕層への課税などを掲げる。
調査会社による議席予想を受けてユーロは下落。マネックス・ヨーロッパのFXアナリスト、サイモン・ハービー氏は「フランスの立法能力に空白が生じる」と指摘した。
重要な問題は急伸左派、環境政党、社会党が参加する左派連合が結束を保ち、今後の方針で一致できるかだ。
NFPに参加する急進左派「不服従のフランス(LFI)」を率いるメランション氏はさまざまな党派による幅広い連立を否定し、マクロン大統領は左派連合に政権樹立を要請しなければならないと述べた。
一方、マクロン氏の中道連合では党派を超えた幅広い連立を構想する動きも出ているが、LFIを含めることはできないとしている。
フランス得るため過去を裏切ったルペン氏-極右を主流に近づけた功績 - Bloomberg
今年の初めごろの調査ではフランスの有権者の50%強が、マリーヌ・ルペン氏が事実上率いる極右政党「国民連合(RN)」は民主主義に脅威をもたらすと答えた。同氏は7日の国民議会(下院)選挙決選投票で勝利を引き出そうと、そのように答えなかった残りの半分に訴える。
RNは、絶対多数には手が届かないとみられているが、最多議席は獲得する見込みだ。過半数に届いても届かなくても、フランスの戦後史上前例のない展開であり、マクロン大統領にとっては大きな痛手となり、数年にわたるフランスの混乱につながるだろう。
泡沫(ほうまつ)候補から最有力候補へというルペン氏の躍進は大きな部分を、自身の政治的遺産を否定したことに負っている。父親のジャンマリー・ルペン氏はあからさまな人種差別主義のために、長い政治キャリアにおいて常に政権の座からは遠かった。娘のマリーヌ氏は分断を誘う父親の主義主張を和らげ、自身の経済政策について企業を安心させようと努めた。
2017年までRNの副党首を務めたフロリアン・フィリポ氏は、自分が知っていたマリーヌ氏とはまるで別人だと言う。RNは「今、金融利権を受け入れている。体制に反対していたマリーヌ・ルペン氏の面影を見つけるのは難しい」とフィリポ氏はブルームバーグに語った。
このような戦略は50年にわたる「ルペン主義」の放棄のように見えるかもしれないが、集大成でもある。ルペン一族は3世代にわたって、政治的な風向きの変化に合わせて身をかわし変身しながら、極右を主流派の領域へと導いてきた。ルペン一族は、自分たちの目的に沿わなくなった有権者へ公約であれ身内であれ、邪魔になったものは全て冷酷に切り捨ててきた。
父親のジャンマリー氏が共同設立した党の党首になる運命にはなかったマリーヌ氏がRN党首の座に就いたのは、姉が父の追い落としを画策して失脚したからにほかならない。マリーヌ氏は党首になった後、父親をRNから追放した。
選挙を実施するというマクロン大統領の突然の決断の機を生かすため、ルペン氏はこれまでで最も重大な裏切りを行おうとしている。自身の過去との決別だ。実業界を取り込む策の一環として、RNはより費用のかかる政策のいくつかを放棄した。
フランスの高速道路網の国有化と農産物の価格下限設定の計画は廃止された。定年を60歳に引き下げるという提案は、ルペン氏が10年以上前に発表してアドバイザーたちを驚かせたものだが、今はひっそりと軽視されている。
この戦略が奏功している兆候として、フランスの実業家たちはルペン氏にチャンスを与える用意があるもようだ。先月、RNのジョルダン・バルデラ党首(28)が党の経済プログラムを発表するのを聞いていたフランス産業界のある大物は、同社の幹部らは移民労働者に敵対的な政策など企業に友好的でない政策への嫌悪感を抑える用意があると述べた。
これは、今年初めにはフランス人の半数が外国人嫌いと評した政党を世論調査での第1党に押し上げた有権者の好みの変化を反映しているに過ぎないという。
ルペン氏に対する投資家のスタンスを和らげるのに一役買っているのは、マクロン陣営を抜いて2位に躍進するためにかけ離れた利害を調整することに成功した左派ブロックに対するより大きな恐怖だ。モンテーニュ研究所の分析によると、選挙公約が政府支出を拡大させる度合いは、左派連合、RN、マクロン陣営の順だった。
欧州連合(EU)が支出抑制を求めている中で左派連合はそれを無視しようとしており、左派の躍進は同盟国との緊張を高めるリスクがある。
マクロン大統領は英国がEU離脱を選んだ後、金融関係の雇用をパリに誘致する計画を示し、その作戦はほぼ成功している。閣僚たちはライバル政党への投票が経済の混乱を招くと警告しているが、RNはここ数週間、波風を立てるつもりはないことが理解されるよう努めている。
ルペン氏と仕事をしたことがある危機コミュニケーションのコンサルタント、アルノー・ステファン氏は「政治は考古学にこだわり続けることはできない」と述べた。有権者はRNの物議を醸す過去を気にしなくなっているという。父親のジャンマリー氏のセンセーショナルな経歴を知らない若い有権者は特にそうだ。
ジャンマリー・ルペン氏が社会党のライバルに暴行を加え政界から追放されたことを覚えている人は少ない。若者たちは同氏が戦時中のナチス協力者に共感していることについて年長者のようには憤りを感じず、同氏がホロコーストを歴史の「細部」だと発言したのを耳にしていない。
このような記憶の消失は、首相候補であるバルデラ氏がジャンマリー氏のレガシーの最も好ましくない部分に新しい命を吹き込んだにもかかわらず続いていると、パリ政治学院(シアンス・ポ)の研究員、ジル・イバルディ氏は指摘する。
「バルデラ氏は急進派で『偉大なる代替わり』理論を信じていることを公言してはばからない」とイバルディ氏。これは移民への不安をあおる白人ナショナリストに人気のある考え方だ。しかし、イバルディ氏によれば、党の変化は表面的なものであることによって効果が弱まるわけではない。バルデラ氏は「刷新を体現しており、その若さとルックスは、党を邪悪でなく見せるというマリーヌ・ルペン氏の戦略を反映している」と同氏は付け加えた。ルペン氏自身、RNの支持層拡大の取り組みを「 脱悪魔化」と呼んでいる。
このプロジェクトは、マクロン大統領がサプライズ選挙でフランスを揺るがせた後に始まったわけではない。ルペン氏に近い関係者によれば、13年前に同氏が党首となって以来、ずっと進行中だったという。
ルペン氏の元パートナーでペルピニャンの市長を務めるルイ・アリオ氏によれば、この戦術の始まりは2002年、ジャンマリー・ルペン氏が初めて大統領選の決選投票に進出しフランスに衝撃を与えた年にさかのぼる。ルペン氏はライバルのジャック・シラク氏の4分の1以下の票しか得られなかった。
マリーヌ氏の周囲の人々は重要な教訓を得た。この選挙は、現在の党の形では支持率に限界があることを露呈させた。このままでは主流派になれないと思ったとアリオ氏は話した。これはジャンマリー氏ら負の遺産と決別することを意味した。
ルペン氏への支持は家計の貧しさや教育水準と相関している。しかし、そのような細かな違いを超えて、同氏への支持が全体的に広がっていることを調査は示している。今年初め、フランス人の50%強がRNを民主主義への脅威と表現したとしても、かつてよりは着実に改善していることになる。
つまり、党のブランド再構築は昨日、今日に始まったものではないが、完了してもいない。同党の綱領は依然として、雇用や公営住宅に関する「国民優先」と呼ぶものを積極的に支持している。
これらの提案は最新版ではより曖昧になっている。穏健派への歩み寄りはジャンマリー氏を激怒させ、同氏は自伝の中で末娘のマリーヌ氏とその側近たちが「悪魔が人気を集めているまさにその時に、脱悪魔化を必死で模索している」と批判している。
その批判は公平ではない。マリーヌ氏には、かつてタブー視されていた父親の政治を大衆化した功績があると、敵も味方も口をそろえて認めている。
ブレグジット立役者のファラージ氏、議員に選出 英総選挙で右派政党健闘 | ロイター
英スターマー新首相、組閣に着手 女性初の財務相にリーブス氏 | ロイター
焦点:英総選挙圧勝の労働党、経済立て直しに「魔法の杖」なし | ロイター
4日投開票の英総選挙を受けて次期首相に就任する見通しとなった労働党のスターマー党首は、選挙運動で与党・保守党の「14年間にわたる経済の失敗」を批判してきたが、低迷する経済を手早く立て直す「魔法の杖」が次期政権にあるわけではない。
同国では保守党政権が発足した2010年以降、国民の生活水準が向上しておらず、新型コロナ後の景気回復ももたついている。
公共サービスは疲弊し、インフレが家計を直撃し、住宅が不足する中、企業マインドも冷え込んでおり、スターマー氏には労働党が圧倒的多数を占める議会を通じて、国内に漂う沈滞ムードを打破するよう求める圧力が強まるとみられる。
だが、英国の公的債務残高は国内総生産(GDP)の100%近くに達しており、国民の税負担は第2次世界大戦直後以来の高水準にある。
スターマー氏は事態を好転させるには時間がかかると強調。投票日の数日前に「国を前進させるには非常に厳しいことをする必要がある。魔法の杖はない」と有権者に語っている。
ブレア元首相率いる労働党が総選挙で保守党に圧勝した1997年は、経済成長率が5%近くに達していたが、スターマー氏は当面2%成長の達成もおぼつかない可能性がある。
今年の経済成長予測は1%未満。07─08年の世界的な金融危機、多くの分野での公共支出削減、欧州連合(EU)離脱、新型コロナ、エネルギー高騰といったショック要因が重なり、経済の重しになっている。
だが、保守党のトラス前首相が22年に財源の裏付けのない減税を発表し、国債市場の混乱を招いたことは記憶は新しく、スターマー氏も財務相に就任する見通しのリーブス影の財務相も景気を押し上げるために無謀な借り入れをすることはないとみられる。
労働党は大規模な増税はしないと公約しており、次期政権の財源は乏しい。
資産運用会社abrdnの政治経済専門家、リジー・ガルブレイス氏は「(労働党は)厳しい財政状況を引き継ぐ。課題は山積している」と指摘する。
労働党政権は97年、イングランド銀行(英中央銀行)に金融政策運営上の独立性を付与し、金融市場を驚かせたが、次期政権の経済政策は当初は地味なものになる可能性が高い。
計画では、住宅建設やインフラへの投資を促すため、時代遅れになった都市計画制度を速やかに改革する。生産性の向上を通じて経済成長を支え、税収を増やした上で医療など疲弊した公共サービスに投資する構想の一環だ。
スターマー氏は経済成長を阻む障壁の撤廃を進める方針も示しているが、課題は多い。
abrdnのガルブレイス氏は「次期政権が改革を約束し、政権発足後に骨抜きなることは以前にもあった」と指摘した。
資産運用会社インフラレッドのジャック・パリス最高経営責任者(CEO)は、労働党がグリーンエネルギー分野で民間投資を活用し、交通プロジェクトを加速すると予想。
「新政権の誕生で長期的なインフラ戦略が明確になり、長期投資家にとって英国が再び魅力的な投資先になるはずだ」と述べた。
<大きな効果見込めず>
スターマー氏は新型コロナ後に急増した病気による離職者への対応も進める計画だ。
ボストン・コンサルティング・グループとNHSコンフェデレーションは、20年以降の離職者の4分の3が労働市場に再参入すれば、今後5年間で最大570億ポンドの税収増が見込めると試算している。
スターマー氏はEUとの貿易障壁の一部緩和も計画しているが、EU離脱協定を大幅に見直す可能性は否定している。
エコノミストは現時点の労働党の政策について、大きな効果は見込めず、ましてや、持続可能な経済成長で主要7カ国(G7)をリードする存在になるというスターマー氏の目標達成には程遠いと分析している。
公共投資の拡大は経済成長に寄与するとみられるが、労働党が掲げる移民の削減は経済成長にマイナスになる恐れがある。
ゴールドマン・サックスのアナリストは、労働党の改革案について、25年と26年の経済成長率をそれぞれ年0.1%ポイント押し上げる効果しかないと分析している。
<政治の安定が武器に>
ただ、英国が昨年の景気後退(リセッション)から脱却し、インフレが落ち着いてきたことも事実だ。
スターマー氏は、保守党政権が相次ぐ首相の交代で混乱を招いたとし、政治的な安定が投資を呼び込む助けになると主張。この点には多くの企業経営者も同意している。
また、フランスや米国ではポピュリズムが台頭しており、投資家は英国の政治リスクが相対的に低いことに魅力を感じ始めている。
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのポートフォリオマネジャー、ローラ・フォール氏は、そうした認識の変化が最近の英国株のアウトパフォームにつながっていると指摘。「政治的な観点から見ると、英国ははるかに良い状態にあるように見える」と述べた。
スナク英首相、保守党党首辞任へ 総選挙惨敗受け | ロイター
シン・フェイン党、北アイルランドで最大勢力に 英議会総選挙 | ロイター
4日に投開票された英議会下院の総選挙で、カトリック系シン・フェイン党が初めて英領北アイルランドで最大勢力となった。
過激組織アイルランド共和軍(IRA)の元政治部門であるシン・フェイン党は18議席のうち7議席を獲得し、2019年の前回選挙と同数を保った。
プロテスタント系親英政党・民主統一党(DUP)は8議席から5議席に減らし2位に転落。01年以来最悪の結果となった。党創設者イアン・ペイズリー氏の息子であるイアン・ペイズリー・ジュニア氏が落選した。1970年からこれまで2代にわたって議席を保持していた。
シン・フェイン党は22年の北アイルランド議会選挙で初めて第1党となり、続く23年の地方選でも勝利した。
北アイルランド自治政府のオニール首相はBBCに、「(アイルランド島の)風景が変わりつつあるのは間違いない」と語った。
総選挙でスターマー党首が率いる労働党が圧勝したことについて、英政府、北アイルランド自治政府、アイルランド政府の関係をリセットする好機だと述べた。
アイルランドのマーティン外相は、北アイルランドにおける30年にわたる宗派間の暴力に終止符を打った98年のベルファスト合意(聖金曜日合意)の精神を歴代の保守党政権は「実際には受け入れていなかった」と述べた。
ハリス首相も「今こそ大いなるリセットの時だ」とし、両国の平和プロセスと将来の可能性に対し、スターマー氏と同じだけのエネルギーと注ぎたいと表明した。
英総選挙、現職閣僚ら相次ぎ落選 トラス前首相も議席失う | ロイター
英新首相にスターマー氏、14年ぶり政権交代 「リセット必要」 | ロイター
4日の英総選挙(下院、定数650)で圧勝した労働党のスターマー党首は5日、チャールズ国王からの新政権樹立要請を受け、首相に就任した。14年ぶりに保守党から労働党に政権が交代した
首相官邸前で就任後初の演説を行ったスターマー氏は、英国は自らのアイデンティティーを再発見し、より広範なリセットが必要だと述べ、政治への信頼を回復し、全ての有権者に奉仕するために戦うと約束した。
「わが国は、より大きなリセット、われわれが何者かという再発見を必要としていることは、誰の目にも明らかだ。この国の最大の強みの一つは、歴史の嵐がいかに激しくても、常に、より穏やかな海へと向かう道を切り開く能力だ」とし「それは政治家、特に私のように安定と穏健主義を主張する政治家にかかっている」と述べた。その上で「私の政府は、皆さんが再び信じるようになるまで毎日戦うつもりだ」とし、変革を進める方針を示した。スナク前首相は選挙惨敗を受け、保守党党首も辞任すると表明した
これまでに650議席中648議席の結果が確定。労働党は412議席、33.7%を得票。保守党は121議席に減らした。このほか自由民主党71議席、スコットランド国民党(SNP)9議席、シン・フェイン党7議席、ナイジェル・ファラージ氏率いるリフォームUKが4議席となっている。
バイデン米大統領は5日、電話でスターマー氏に祝意を伝えた。ホワイトハウスは声明で「首脳は米英間の特別な関係と、世界で自由と民主主義を支援するために協力することの重要性を再確認した」と明らかにした。
バイデン大統領はさらに、来週ワシントンで開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会談でスターマー氏を迎えることを楽しみにしていると伝えたという。
ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は、スターマー氏率いる労働党にはロシアとの関係を修復をする意欲はないとみられるとし、ロシアは英国を引き続き敵対国と見なすという認識を示した。労働党はこれまでに、ウクライナへの支援継続を示唆している。
<厳しい道のり>
選挙結果を受け、英ポンド相場と英株式はやや上昇したものの、スターマー氏は国が一連の大きな課題に直面しているときに政権に就く。英国の税負担は第2次世界大戦直後以降で最高水準に達する見込みのほか、純負債は年間の経済生産高にほぼ匹敵。移民対策も大きな課題となっている。
今回の選挙では右派ポピュリスト政党「リフォームUK」を率いるナイジェル・ファラージ氏が初当選。ファラージ氏は英国の欧州連合(EU)離脱運動の火付け役だった。
スターマー氏はEUとの関係改善を確約。ただ、労働党はEU再加盟は検討していないとしている。
スターマー氏はまた、11月の米大統領選挙でトランプ前大統領が返り咲いた場合、新たな米政権への対応も迫られる。トランプ氏は自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を通してファラージ氏に祝意を伝えた。
スターマー氏は国内で変化をもたらすと確約する一方、ロシアの侵攻を受けているウクライナを支持し続けると明確に表明。外交面ではスナク氏の政策を踏襲するとみられている。
●先進国中銀、金融当局
米雇用市場の軟化受け、FRBの利下げ開始論議も視野に | ロイター
米労働市場の軟化が続いていることを示す経済指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)当局者の間でインフレ対策が進展しているとの確信が強まり、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを巡る論議がより活発になる可能性がある。
米労働省が発表した6月の雇用統計によると、失業率は4.1%と前月から上昇した。非農業部門雇用者数は従来の発表値が大幅に下方改定され、直近3カ月間の平均で17万7000人増に減った。FRBのクック理事が最近試算した、移民や他の人口増への対応に必要とされる月20万人増を下回る
また、6月に時間当たり平均賃金は前年比で3.9%上昇。4%に至らず、3年ぶりの低い伸びで、物価上昇圧力が緩和している可能性を示した。
7月末に開かれるFOMCで、政策金利は昨年7月以来の5.25─5.50%に据え置かれるとみられているものの、アナリストらは、インフレが鈍化し景気が減速していることを示唆する他の最近の指標と合わせて今回の指標から、利下げ開始の検討が視野に入る可能性があると指摘した。
雇用統計発表後、金融市場が織り込む9月の利下げ確率は約72%。市場関係者には12月に2回目の利下げが実施される可能性があるとの見方が強まっている。
FRB、金融安定や中銀の独立性に焦点-金融安定報告を公表 - Bloomberg
米連邦準備制度理事会(FRB)は5日、半期に一度の金融安定報告を公表。中央銀行の独立性や金融安定に特に焦点を合わせる内容となった。
報告の中でFRBは、金融システムは健全性と強靱(きょうじん)さを維持しているとしつつ、脆弱(ぜいじゃく)性の兆候も見られると記述。株価が利益予想を上回るペースで上昇し、社債スプレッドが歴史的な低水準付近にあることを指摘した。
また「ヘッジファンドのレバレッジは歴史的高水準に拡大。主として、大手ヘッジファンドによる借り入れが影響している」と記した。
報告ではこのほか、中銀の独立性、透明性、説明責任の重要性を強調。「この取り決めの下では、政府の他の部分ではなく連邦準備制度が、2大責務を達成する上で最も適切な金融政策行動について決定を下す」と記された。
また、ここ数カ月における物価上昇の主な要因でもある根強い住宅インフレにも言及。「市場家賃が緩やかに上昇し続ける限り、住宅サービスインフレは漸進的に鈍化し、最終的には新型コロナウイルス禍前のペースに戻るだろう」と指摘した。ただその上で、「鈍化の時期や、市場家賃のインフレが実際緩やかなものにとどまるかどうかについては、大きな不確実性が残る」とも記した。
FRBのインフレ目標達成、「なお道のり残る」=NY連銀総裁 | ロイター
ウィリアムズ氏はムンバイで開催されるインド準備銀行のイベント向けの講演原稿で「インフレ率の低下には大きな進展が見られた」とした上で「だが、持続的に2%の目標を達成するためには、なお道のりが残っている。この仕事をやり遂げる決意だ」と発言。
「当分の間、引き続き不透明感が、金融政策環境の明確な特徴になるだろう」と述べた。
●先進国、グローバル、金融市場
米6月雇用20.6万人増、失業率上昇 賃金伸び減速:識者はこうみる | ロイター
米労働省が5日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比20万6000人増と、健全な伸びを示した。一方、失業率は4.0%から4.1%に上昇し、賃金の伸びは鈍化した。労働市場が緩和しつつある状況が示唆されたことで、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げを開始する可能性がある。
市場関係者に見方を聞いた。
◎FRBの期待水準に前進
<ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニアグローバル市場ストラテジスト、スコット・レン氏>
経済の減速や失業率の上昇を伴う賃金の若干の伸び鈍化が示され、米連邦準備理事会(FRB)が期待している水準に近づいている。賃金の伸びは4%を下回ったが、FRBは3%台を望んでいる。
これは、最近目にしてきた鈍化の兆候を示唆する多くの指標を裏付けるものだ。
◎9月と12月利下げに道、賃金動向鎮静化
<スパルタン・キャピタル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフマーケットエコノミスト、ピーター・カルディリョ氏>
労働市場では雇用創出が続いている。失業率は民間部門の弱さを反映して上昇したものとみられるが、ここで重要なのは、賃金動向が落ち着きつつあるという事実だ。
今回の雇用統計は米連邦準備理事会(FRB)の安心につながるものだった。来月もこうした状況が続き、賃金の伸びが上向かなければ、9月の利下げに続き、12月に追加利下げが実施されると予想している。
◎年内利下げは1回、今後のインフレ指標次第
<バワーソック・キャピタル・パートナーズの最高経営責任者(CEO)、エミリー・バワーソック・ヒル氏>
比較的良好な内容だったと言える。雇用者数の伸びは市場予想を幾分上回ったが、懸念をあおった5月の数字からは鈍化した。市場に動揺が走るほど悪い内容ではなく、FRBの懸念を誘うほど悪い内容でもなかった。
夏の終わりまでに際立って良好なインフレ指標が出てくれば、年内に2回の利下げが実施されても驚きではないが、われわれの基本シナリオは引き続き1回の利下げだ。FRBも年内1回の利下げを想定していることを極めて明確にしている。
米6月雇用20.6万人増、失業率4.1%に上昇 賃金伸び減速 | ロイター
米労働省が5日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比20万6000人増と、健全な伸びを示した。ただ、政府部門が増加分の3分の1以上を占めたほか、失業率は約2年半ぶりの高水準に達した。賃金の伸びも鈍化し、労働市場の緩みが浮き彫りとなったことで、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げを開始する可能性が強まった。
失業率は前月の4.0%から4.1%に上昇し、2021年11月以来の高水準となった。昨年7月に付けた低水準の3.5%から0.6%ポイント上昇した計算となる。
ロイターがまとめた予想は非農業部門雇用者数が19万人増、失業率は4.0%だった。
5月の非農業部門雇用者数は27万2000人増から21万8000人増に、4月分は16万5000人増から10万8000人増にそれぞれ下方改定され、両月の雇用者数は計11万1000人減少した。
今年上期の雇用者数の伸びは、平均で月間約22万2000人となった。
時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇。5月(0.4%上昇)から減速した。前年比では3.9%上昇で5月(4.1%上昇)から鈍化し21年6月以来の低い伸びとなった。上昇率が3.0─3.5%であればFRBの2%のインフレ目標と一致するとされている。
フィッチ・レーティングスの主任エコノミスト、ブライアン・コールトン氏は「米労働市場の状況は緩慢なペースではありつつも確実に和らぎつつある」と指摘。「最近のインフレ面での改善と相まって、9月に利下げを開始できるという安心感をFRBに与えるだろう」と述べた。
BMOキャピタル・マーケッツの米国チーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「ここ数カ月の失業率の上昇は労働市場の減速を示す明確な証拠となった。金融政策担当者は、消費者物価上昇率が持続可能な形でまもなく目標の2%に戻るという『確信を強める』はずだ」と述べた。
金融市場が織り込む9月17━18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は約72%。12月に2回目の利下げが実施される可能性があるという観測も高まっている。
業種別では、政府部門が7万人増、医療関連が4万9000人増で、全体の伸びを主導した。建設も2万7000人増加した。
一方、小売と製造が減少したほか、専門・ビジネスサービス部門は1万7000人減。将来的な雇用の行方を示すとされる人材派遣は約4万9000人減で、20年4月以来最大の減少を記録した。
LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「現時点で労働市場に破滅的な兆候は見られないが、労働市場が政府の雇用者数によって支えられている状況を投資家は警戒すべきだ」と述べた。さらに雇用者数の増加の「過去2カ月分の下方修正は経済減速と一致している」という見方を示した。
労働力参加率は62.6%で、5月の62.5%から上昇。25━54歳の働き盛りの労働者の労働参加率は83.7%と、前月の83.6%から上昇し、02年2月以来の高水準となった。
また、経済的理由によるパートタイム労働者数は減少した。
インディード・ハイリング・ラボの北米経済調査ディレクター、ニック・バンカー氏は、労働市場が足元順調に推移しているとしつつも、「いずれ失速する可能性があるという証拠は増えている」と述べた。
カナダ失業率、6月は6.4%と2年5カ月ぶり高水準 早期利下げ論強まる | ロイター
独鉱工業生産、5月は前月比-2.5% 予想外のマイナス | ロイター
【米雇用統計】FOMCに9月利下げの確信与える-市場関係者の見方 - Bloomberg
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏:
株式市場はこの日の雇用統計をどう受け止めるべきか、少し悩んでいるかもしれない。前月までの雇用者数の下方修正と失業率の上昇により、9月の米利下げの可能性が高まり、米国債が上昇した。しかし、同じ数字が米経済の方向性に懸念を抱かせずにはいられない。さまざまな経済データは全て軟化を示しており、この日の雇用統計もそうだ。
◎eToro(イートロ)のブレット・ケンウェル氏:
全く悲観的ということはない。失業率は非常に低かったことから、若干上昇するのは時間の問題だった。特に、金融当局が景気を冷まそうとしていることを考えればそう言える。一方でわれわれは現在、景気の軟化を目にしており、金融当局としてはそれが明白な低迷に転じる前に利下げに踏み切るだろう。コンセンサス予想では9月の利下げが見込まれており、今回の雇用統計はそのシナリオに対する投資家の信頼感を高めるだろう。
◎トレードステーションのデービッド・ラッセル氏:
雇用市場はまだ壊れることなく、腰折れしつつある状況だ。これは利下げの論拠を支える。過熱し過ぎてもいないし、冷え込み過ぎてもいない『ゴルディロックス』の状態にある。9月利下げの可能性は十分にある。
◎ロンバー・オディエ・アセット・マネジメントのフロリアン・イエルポ氏:
連邦公開市場委員会(FOMC)に9月利下げの確信を与える可能性がある。インフレ率が依然として目標を上回っているにもかかわらず、雇用市場の冷え込みが鮮明になっているためだ。今回はFOMCが待ち望んでいた類いの雇用統計だ。軟化してはいるが適度に強いデータであり、今年2回の利下げを正当化する可能性がある。
◎LPLファイナンシャルのジェフリー・ローチ氏:
今のところ労働市場に終末的な兆候は見られないが、投資家は政府雇用に支えられている労働市場を警戒する必要がある。4-5月の下方修正は景気の減速と整合する。労働市場の状況や連邦準備制度理事会(FRB)の2大責務の面で適切な政策を維持することの重要性について、当局者から発言がさらに出てくることを期待したい。
◎モルガン・スタンレー傘下Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏:
6月の米雇用統計はならしてみると、米金融当局にとって良いニュースだ。6月の雇用者数は市場予想を上回ったが、5月分の大幅下方修正と失業率の上昇で均衡する格好となった。全体的に、今回の統計は労働市場が減速しつつあることを示唆している。利下げを加速させるほどではないかもしれないが、同当局が9月利下げへの道筋を維持するのには十分かもしれない。
GPIF、前年度運用収益は過去最高の45.4兆円 株高と円安が貢献 | ロイター
ポンドは新政府の財政政策にリスク、金利スティープ化継続へ-UBS - Bloomberg
英総選挙で野党だった労働党が地滑り的な大勝を収めたことを受け、新政府が予想外の財政政策を打ち出すリスクにポンドはさらされる恐れがあると、UBSのストラテジストは指摘した。
為替ストラテジストのイバン・ベルトゥ、シャハブ・ジャリヌー両氏は「労働党の財政責任へのコミットメントに揺らぎの兆しが表れるか、為替市場は細心の注意を払うだろう」と指摘。
「現時点で、市場にあまり友好的でない財政面の動きが表れる可能性を巡り、ポンドの短期物インプライド・ボラティリティーにはリスクプレミアムがほぼ織り込まれていない。この点で、ポンドはサプライズに対して売られやすい可能性がある」との見解を示した。
UBSはまた、英金利市場にはスティープ化圧力がかかり続けるだろうと予想する。
ストラテジスト、エマヌイル・カリマリス氏は「イングランド銀行(英中央銀行)の緩和期待や中期的な財政懸念から、スティープ化圧力は続くだろう」とリポートに記した。
アングル:パリ五輪、ホテルや航空券は予約低調 価格高騰と治安懸念が影 | ロイター
パリ五輪は経済効果にも期待がかかっているが、実際には旅費や宿泊費の高騰、フランスの政情不安や治安への懸念から多くのスポーツファンや観光客がパリ行きを避けており、予約は低調だ。
航空券データ会社フォワードキーズによると、6月6日以降の期間はパリ行き航空券の予約が前年比10%増にとどまる見通しとなっている。2016年リオ大会で海外からの訪問者数が115%増加したのとは対照的で、コロナ禍中に開催された東京大会でさえ20%増だった。
コンサルタント会社MKGのデータからは、五輪開幕前の数週間のホテル予約は昨年から減少しており、6月は約25%の減収となったことが分かる。
旅行代理店やスポーツファン、チケット販売業者への取材からも、熱烈な五輪ファンでさえパリ行きに消極的な実態が見えてきた。
米国を拠点とするスポーツ旅行代理業者のアラン・バチャンド氏は「過去25年間のほとんどのスポーツイベントに比べ、最も低い予約状況になっている」と言う。
こうした状況からは、国際的なスポーツ大会の主催都市が直面する課題が浮かび上がる。大都市はただでさえ混雑して物価が高いため、価格に敏感な消費者は避けて通るようになっている。
予約が低調な背景には、コロナ禍後、旅行者が商品よりも体験にお金を使いたがるようになった流れが、諸々の値上がりを受けて鈍りつつある、という要因もある。
ロンドンは2012年の五輪で似たような経験をした。通常なら夏のロンドンは旅行者であふれかえるが、この年は3%増にとどまった。
とはいえ、パリにとって痛手なのは間違いない。最近のある調査では、五輪によるパリ一帯への経済効果は最大120億ドル(1兆9350億円)と試算されている。
<夜行バスで節約>
エマ・マティソンさん(29)は、8月9日にリヨンで開催されるサッカー女子の3位決定戦のチケットを持っており、翌日にパリで開催される決勝戦のチケットも手に入れたいと考えている。
だが試合後は宿泊せず、夜行バスでロンドンに戻る予定。1泊300ユーロ(5万2250円)以上の宿泊費は予算オーバーだ。「もっとリーズナブルなら、女子の試合やグループステージの試合をもっと見たかった」と悔しがる。
パリ市観光局によると、7月26日から8月11日までのホテルの平均価格は昨年から70%急騰し、1泊342ユーロになった。
裕福な観光客でさえパリ行きを敬遠している。バチャンド氏によると、4つ星ホテルは五輪期間中の料金が1泊最高1000ユーロに跳ね上がったため、多くの客が予約を思いとどまっている。
一方で、米民泊仲介サイトのAirbnb(エアービーアンドビー)では、パリの予約数が過去最高に達している。3月時点で、大会期間中のパリの宿泊予約件数は前年同期比で400%増だった。
<治安に不安>
しかし、仏航空大手エールフランスは1日、旅行者が五輪を避ける結果、夏の売り上げは予想を下回るとの見通しを示した。
高級旅行代理店のグローバル・トラベル・モーメンツ社によると、顧客は旅行を見送る理由として、料金以外にも治安を巡る不安を挙げている。
フランスは五輪開催に加え、議会下院選挙の決戦投票も控えて最高レベルの治安警備態勢を敷いている。
パリのローラン・ヌニェ警察署長は6月、イスラム主義者によるテロが最大の懸案事項だと述べた。
<駆け込みに期待>
一部の旅行代理店は、五輪開幕前の最後の数週間にチケットや宿泊の予約ラッシュが起こったり、値引きが実施されたりする可能性に期待を寄せている。
短期賃貸分析会社エアDNAのチーフエコノミスト、ジェイミー・レイン氏は、旅行客は電車や自動車でパリを訪れる可能性があり、直前に賃貸予約が急増するかもしれないと述べた。
高速鉄道ユーロスターによると、五輪・パラリンピック期間中の切符販売は、7月1日現在で前年同期比7%増だった。
●中東情勢
イラン大統領選、改革派ペゼシュキアン氏が当選 決選投票で | ロイター
イラン内務省は6日、5日投票の大統領選の決選投票で、改革派のペゼシュキアン元保健相が勝利したと発表した。
大統領選はライシ大統領がヘリコプター事故で死亡したことに伴い行われ、同氏と保守強硬派のジャリリ最高安全保障委員会元事務局長が決選投票に臨んだ。内務省は「過半数の票を獲得したペゼシュキアン氏がイランの次の大統領になった」と発表した。投票率は50%程度だった。
ペゼシュキアン氏は、核開発や中東における武装勢力等への支援などを巡り、大きな政策変更を行うことは予測されていない。だが、85歳と高齢で全ての政策で最終決定権を握る最高指導者ハメネイ師の後継問題に影響を与えるとみられる。
ペゼシュキアン氏の当選により、2015年に締結した核合意を巡って停滞した米英などとの交渉などの外交面でより現実的な路線が取られ、社会の自由化などでも前進が見られる可能性があると指摘する専門家もいる。
●エマージング
アングル:インド経済最大のリスクは「水」、高成長の足かせに | ロイター
インドの首都ニューデリーの米大使館に近いスラム街では、共用水道から1日2時間しか水が供給されない。しかも質は悪い。1000人の住民は、飲用や調理用として給水車からそれぞれバケツ1杯分の水をもらってしのいでいる。
西部ラジャスタン州の一部では、水道を利用できるのは4日に1回、しかも1時間しかない。ムンバイに近い農村部の女性や子どもは、水を確保するために1マイル(約1.6キロ)の道のりを移動しなければならない。
ハイテク産業の拠点として知られる人口1400万人のベンガルールも今年、水不足で給水車に頼らざるを得なくなった。
ニューデリーのスラム街で暮らすサンパ・ライさん(38)は「床を洗ったり、洗濯したりする水が時には何日も手に入らない。お皿(を洗う水)さえない。ある分でやっていくしかない」と話す。夜明け前から給水車が到着する場所へ急ぐ毎日だ。
世界最大の人口を抱えるインドは何十年も前から水不足に悩まされてきたが、危機的状況の発生頻度は増加の一途をたどっている。過去最悪の酷暑となった今年は、河川や貯水池が干上がり、地下水位も低下してひっ迫感がさらに強まった。
水不足は農村部と都市部の双方に悪影響をもたらしている。農作業や製造業の活動に支障が出るほか、食品価格の高騰を招き、社会不安が起きるリスクも生じる。インド政府のデータによると、汚染された水のせいで毎年約20万人もの死者まで出ている。
このため水資源の維持や、廃水の再利用方法の開発、特に農業分野で雨期の降水量への依存度を減らすことといった面で、官民は早急な取り組みを迫られつつある。
ムーディーズは先週、インドの来年3月までの年間成長率について主要国で最高の7.2%になると予想しつつ、増大を続ける水資源ひっ迫が成長の足を引っ張りかねないと警告した。
「水の供給減少は農業生産や工業活動を混乱させ、食品価格の上昇をもたらし、関連する業界の企業と労働者、とりわけ農家の所得を目減りさせてもおかしくない」という。
こうした中でインド政府が昨年10月に向こう5年間の優先対策をまとめた文書には、2030年までに水の再利用率を現在の3倍以上の70%に引き上げる計画が盛り込まれた。ロイターが文書の内容を確認した。
国家防災庁(NDMA)高官のクリシュナ・S・バスタ氏も先週のインタビューで、これらの目標の存在を認めている。
政府は地下や河川、貯水池からの取水率も世界最高水準の66%から50%未満に減らす方針。農家に対しては、その地域で利用可能な水量に応じてふさわしい作物の栽培を推奨する全国的なプログラムも今年から始める。
モディ首相は既に、全国785地域ごとに少なくとも75カ所の貯水池を整備するよう関係当局に指示した。専門家の話では、こうした貯水池が地下水位の再上昇につながる。
19年にはモディ氏が農村家庭に水道を行き渡らせる計画を開始し、5年前に17%だった普及率は現在77%に達している。ただ全ての水道管に水が流れているわけではない。
バスタ氏は「これで管理が一層喫緊の課題になる。肝心の水が手に入らなければ、そうした全国的な水道網は維持できない。水道管は空っぽになるだろう」と述べた。
<ひっ迫状態>
農村部の比率が高いインドが水資源として頼みの綱としているのは雨期の降水量で、コメや小麦、サトウキビといった大量の水を必要とする作物は、必要な水の8割余りをそうした降水量に依存している。
しかし十分に雨が降る年でさえ、その大半は海に流れ去ってしまうのに、近年は急速な都市化のせいで集水地域が乏しくなりつつある。
政府の見通しでは、足元でインド国民1人当たりが利用できる水は年間約1486トンだが、31年までに1367トンに減少する。1人当たり1700トン未満は「水がひっ迫している状態」と定義されており、インドは11年からずっとこの状態だ。
調査機関のセンター・フォー・サイエンス・アンド・エンバイロメントのデピンダー・シン氏は「もはや毎年が危機だ。以前は正常な年もあれば干ばつの年もある形だったが、今は水不足の危機がどの年も発生し、深刻度が増している」と指摘する。
一方、民間企業の間では下水処理や水の再利用に投資する動きも見られる。
鉄鋼大手タタ・スチールは、国内工場で使う真水の量を30年までに現在のトン当たり約2.5立方メートルから1.5立方メートル未満に減らす。JSWスチールも同様の方針を掲げている。
専門家によると、家庭に供給される水の90%近くは再利用が可能だが、配水や下水処理のインフラ整備が都市化と最終的に河川に流される廃水の規模に追いつけずにいる。
政府は現在都市部で44%にとどまっている下水処理率を引き上げ、再利用や工業、農業などへ活用できるようにするため、下水施設の拡充に乗り出しているところだ。
こうした取り組みに向け、21年から26年までにおよそ360億ドルが投じられる。
中国人民銀、市況に応じて国債売却方針 価格上昇を抑制へ | ロイター
ロシア、黒海のクリミア拠点失いつつある=ウクライナ海軍司令官 | ロイター
●プロファイ、インフラ、自然災害
アングル:忍び寄る「ヒトからヒト」へ、科学者が恐れる鳥インフルの変異 | ロイター
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(5日)ナスダックとS&P最高値、ドル小幅安 利回り低下 | ロイター
<為替> ドルが小幅下落した。6月の米雇用統計で健全な伸びが示された一方、失業率は約2年半ぶりの高水準に達したことで、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げに動くとの観測が高まった。
CMEフェドウオッチによると、先物市場は現在、FRBが9月に25ベーシスポイント(bp)の利下げを実施する確率を約72%と織り込んでいる。によると1週間前は57.9%だった。
<債券> 指標10年債利回りが低下した。米雇用統計で労働市場の軟化が示されたとの見方が広がり、連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを開始するとの期待が高まった。
指標10債利回りは7.1ベーシスポイント(bp)低下の4.276%。週間では約20bp低下し、6月下旬以来の低水準近辺となった。
30年債利回りは4.8bp低下の4.472%。
2年債利回りは8.9bp低下の4.604%。3月下旬以来の低水準となった。
2・10年債の利回り格差はマイナス33.0bp。
<株式> 主要株価指数が上昇し、ナスダック総合とS&P総合500種が過去最高値を更新した。米労働市場の軟調さを示すデータを受け、早ければ9月にも利下げが実施されるとの見方が強まった。
大手銀行株は来週12日から始まる第2・四半期決算発表を控え下落。バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガンは1.2─1.7%下落。S&P銀行指数は1.6%下げた。
<金先物> 米労働市場の軟化の兆しを示唆する経済指標を受けた米長期金利の低下を背景に、 続伸した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前営業日比28.30ドル(1.1 9%)高の1オンス=2397.70ドル。中心限月の清算値ベースで5月下旬以来約1カ月半ぶりの高値を付けた。週間では2.48%高だった。
<米原油先物> パレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉が進展するとの見方が広がる中を売りが優勢となり、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物は前営業日清算値(終値に相当)比0.72ドル(0.86%)安の1バレル=83.16ドルだった。週間では1.99%高となった。9月物は0.76ドル安の82.26ドル。
欧州市場サマリー(5日) | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。英総選挙で労働党が圧勝したことを受けて英経済が活性化するとの投資家の期待が高まり、FTSE250種指数は上昇した。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。7日のフランス国民議会(下院)総選挙第2回投票を前に投資家が慎重姿勢を強める中、銀行株やエネルギー関連株が下落し相場を押し下げた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。6月の米雇用統計で健全な伸びが示された一方、5月分のデータが下方改定され、賃金の伸びも鈍化したことで、米連邦準備理事会(FRB)による年内の利下げ観測が高まった。
独仏10年債利回り格差は67.6bpと、6月13日以来の水準まで縮小した。
来週の米主要企業決算 大手銀皮切りに4-6月期決算が始まる - 株探(かぶたん)|米国株
11日(木):ペプシコ(2.16)、デルタ航空(2.36)
12日(金):JPモルガン*(4.29)、ウェルズ・ファーゴ*(1.28)、シティグループ*(1.42)

備忘録(2024/7/4
●雑感
●決算
●海外企業
アクサとBNPパリバ、資産運用事業で提携を検討-関係者 - Bloomberg
フランスの保険大手アクサは資産運用部門の選択肢を検討中で、仏銀BNPパリバの資産運用部門との統合を考えていると、事情に詳しい関係者が明らかにした。
関係者が匿名を条件に述べたところによると、両社はアクサ・インベストメント・マネジャーズとBNPパリバ・アセット・マネジメントの合弁会社設立を協議している。両部門の運用資産は合わせて約1兆4000億ユーロ(約244兆円)になる。
協議は現在進行中で合意につながるかどうかは確実でないという。アクサは国内の他の競合他社の資産運用部門との事業統合可能性も検討したと関係者の1人が述べた。
銀行や保険会社の資産運用事業は規模が小さ過ぎるみなされており、世界の資産運用会社は統合を模索している。欧州ではフランスのアムンディなどがライバルを買収して規模を拡大したが、自社にはない資産や戦略を持つ同業者を買収することで新たな分野に進出している運用会社もある。
アラムコとアブダビ国営石油、豪サントスの買収検討中-関係者 - Bloomberg
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコとアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油(ADNOC)は海外でのガス投資拡大を目指し、オーストラリアのサントスに対する買収提案の可能性を別々に検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
アラムコとADNOCは、サントスを買収対象候補として予備的な評価を行っている。部外秘情報だとして関係者は匿名を条件に話した。サントスの株価は4日のシドニー市場で一時、前日比6.5%上昇し、約2年ぶりの高値を付けた。終値は4.2%高。時価総額は260億豪ドル(約2兆8200億円)。
サントスはオーストラリアとパプアニューギニア、東ティモールで液化天然ガス(LNG)プロジェクトを展開しており、需要が急増するアジアとの近さが評価されている。また、豪国内市場に特化したガス事業や、アラスカに従来型石油資産も保有している。
湾岸諸国は、エネルギー転換の重要な橋渡し燃料と目されるガスに多額の投資を行っている。カタールはLNG輸出能力をほぼ倍増させる計画で、サウジとUAEは国内油田に投資し、世界的な取引事業を構築している。
アラムコは6月、米センプラのテキサス州LNG輸出プラントに出資するための最初の合意をまとめており、同プロジェクトからの燃料出荷も合意に盛り込んだ。ADNOCも買収を推進しており、エネルギー業界で最も積極的なディールメーカーの一社となっている。先月にはドイツの化学メーカー、コベストロ買収の可能性について具体的な交渉に入る方針を明らかにした。
HSBCが売却模索の独ウェルス事業、BNPやUBSが関心-関係者 - Bloomberg
英銀HSBCホールディングスが売却を模索しているドイツのウェルスマネジメント事業に、仏BNPパリバやスイスのUBSグループなど複数の同業他社が暫定的な関心を示している。事情に詳しい関係者が明らかにした。HSBCは世界の拠点の合理化を図っている。
関係者によると、HSBCの独ウェルスマネジメント事業は3億-6億ユーロ(約523億-1045億円)と評価される可能性があり、スイスの資産運用会社ジュリアス・ベア・グループも事業内容を精査している。
HSBCは世界的なブランドを持ち、ドイツで既に事業を展開している買い手を求めていると、関係者の1人は説明。同事業の資産はおよそ260億ユーロに上り、KPMGが売却を支援しているという。
一方、HSBCはドイツのファンド管理事業「インカ(Inka)」の売却可能性をバンク・オブ・アメリカ(BofA)の協力を得つつ探っている。インカは管理資産が約4000億ユーロと業界最大級だと、非公表の情報だとして匿名を要請した関係者が語った
HSBCは現在、インカとともに独カストディー(証券保管)事業の買い手候補を探っており、両者の売却額は数百万ユーロとなる可能性があると、関係者の1人は述べた。同事業にはこれまでに、ステート・ストリートやユニバーサル・インベストメントなどが具体的な関心を示したという。
●日本企業
●米大統領選挙
バイデン大統領夫人、選挙戦継続に固い決意 | ロイター
民主党のバイデン米大統領は6月27日、共和党のトランプ前大統領との1回目の討論会で言葉につかえるなどつまずいた。民主党員の一部からは、81歳のバイデン氏は年を取りすぎて2期目は無理だと受け入れてほしいとの声が上がっている。しかし、ファーストレディのジルさんは撤退の考えに「ノー」と語るなど、固い決意で選挙戦継続の態度を貫いている。
ジル夫人はニューヨーク州イーストハンプトンで29日、詰めかけた寄付者に強調した。「(夫の)ジョーは単にこの仕事にふさわしい人物というだけではありません。彼だけがふさわしい人物なのです」
バイデン大統領は今、73歳のジル夫人の支えにかなり頼っている。精神面で鋭敏さを保っているかどうか疑念が湧いても克服し、討論会を契機に政界で巻き起こった嵐を乗り切るには、夫人の支えがないと戦えない。
ジル夫人は2020年、前回の大統領選挙運動中のバイデン氏がロサンゼルスで演説中、壇上に活動家らが走り上がった際、身を挺してバイデン氏を守ったことがある。ただ今は夫に寄り添っているというだけでなく、民主党員間でバイデン氏支持が拡大するよう働き掛けている。
今回のトランプ氏との討論会後には夫に「本当によくやったし、質問全てに答え、情報や知識を全部持っていた」と語りかけた。
28日夜の選挙資金集め集会でジル夫人は、前日の討論会後に夫と交わした会話を披露した。バイデン氏は「何が起きたのか私には分からない。気分がいいとはとても感じなかった」と話したが、ジルさんは「大統領としての4年間は90分間で説明しきれるものではないと私は答えました」と明かした。
ジル夫人の元報道官だったマイケル・ラローザ氏によると、バイデン氏は家族やスタッフ幹部と緊密な関係を保ってきた。そうした輪の中でジ夫人はファーストレディとして影響力があるが「政治的決定者」ではなく、バイデン氏の専門スタッフを信頼しているという。
ラローザ氏は、バイデン氏は今後、恐らく複数のスタッフ幹部の助言も含めて今後の方針を決めるのだろうが「私の考えでは、ジル夫人はそうした決定は気に入らないだろう」と話した。
夫人の広報担当エリザベス・アレクサンダー氏は「どんな夫婦も生活に影響が及ぶ決断を下す時は必ず一緒にするし、彼女は何度も言ってきたことだが、政治はバイデン氏の領域だ」と述べた。
バイデン氏、民主党知事らと会談 NY州などが支持表明 | ロイター
情報BOX:米大統領選の注目銘柄、結果が左右「勝ち組・負け組」 | ロイター
民主党候補のバイデン大統領のぎこちなさが注目された米大統領選の第1回討論会は、共和党候補のトランプ前大統領との間でウクライナやパレスチナ自治区の戦争、中絶、移民、さらにはゴルフの腕前に至るまで論戦を繰り広げた。
11月に投票を控える2人の支持率に今はそれほど差がなく、両氏とも経済運営に関する手腕をアピールしている。米国株はさまざまな銘柄が選挙の影響を受けそうだ。
どちらの候補が勝つかで具体的に各セクターでどのような影響が出てくるか、以下にまとめた。
◎金融株
金融大手のUBSは、トランプ氏が大統領に返り咲いた場合、金融規制が緩和され、銀行の資本・流動性ルールは厳格さが弱まると想定。JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴといった大手行だけでなく、ディスカバー・ファイナンシャルやキーコープなどより規模の小さい金融機関も恩恵を受けるとみている。
◎太陽光発電
JPモルガンは、トランプ氏や他の共和党有力者が「グリーン革命」に反対している点から、2022年のインフレ抑制法に盛り込まれた税制優遇措置に後押しされた再生エネルギーなどクリーンエネルギーへの投資が脅かされるとみている
UBSは、バイデン氏が再選を果たせば、ファースト・ソーラー、ネクストエラ・エナジー、サンランなどの太陽光発電事業者向けのインセンティブは継続されると予想する。
◎クリーンエネルギーと石油企業
バイデン政権の下で電動化や環境負荷のないグリーン水素、ブルー水素への支援が続けば、イートン、クアンタ・サービシズ、テスラ、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズなどの銘柄に追い風が吹いてもおかしくない、というのがUBSの見方だ。
省エネ機器を手掛けるジョンソン・コントロールズ、トレーン・テクノロジーズや、廃棄物処理のウエイスト・マネジメントなども引き続き有利な立場を享受できる。
しかし、トランプ政権なら石油・天然ガス投資や掘削活動の拡大、天然ガス輸出増加などによりエクソンモービル、シェニエール・エナジー、コノコフィリップスなどが「勝ち組」になる。
◎関税
UBSのアナリストチームによると、トランプ氏の下では輸入関税の面で保護主義色が格段に強まり、一般消費財セクターがその影響を受けそうだ。
1期目に中国との関税戦争を始めたトランプ氏は、全ての中国製品に60%ないしそれ以上の関税を適用し、それ以外の地域からの輸入品への関税率も最低10%にすると提案。同氏は、これで米国の貿易赤字を解消すると息巻いている。
中国からの輸入品に対する高率の関税適用は、自動車大手のゼネラル・モーターズやフォード・モーター、鉄鋼のニューコアやスティール・ダイナミクスなど米国のメーカーにとって追い風になる、とUBSのアナリストチームは分析する。
◎トランプ銘柄
トランプ氏の当選確率と連動して推移しそうなのは、同氏が過半数株を持つトランプ・メディア・アンド・テクノロジーや、ソフトウエアのファンウェア、動画共有プラットフォームのランブルなどだ。
◎刑務所運営
不法移民取り締まりと移民受け入れ制限を公約に掲げるトランプ氏が当選すれば、刑務所を運営するジオ・グループやコアシビックなどが恩恵を受ける可能性がある。
◎製薬・医療保険
UBSの想定では、大統領選・議会選を通じて共和党が圧倒的に優勢となれば、薬価引き下げとメディケア・アドバンテージ重視のリスクが低下し、イーライリリーやメルクなどの製薬企業、またヒューマナやユナイテッドヘルスといった医療保険企業にプラスに働く。
◎M&A
トランプ政権が誕生すれば、反トラスト法(独占禁止法)の運用は緩くなる公算が大きい、とJPモルガンのアナリストチームは予想する。
UBSは、M&A(合併・買収)が活発化してゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、ラザード、エバーコアなどの投資銀行が果実を得るとみている。
◎半導体
トランプ氏が返り咲きを果たした場合、半導体分野で中国との競争が激化している状況を踏まえ、アプライド・マテリアルズ、KLA、インテル、テキサス・インスツルメンツなど国内メーカーの支援に動く、とUBSは想定している。
◎農業
トランプ氏が中国からの輸入品に高額の関税を適用すると、貿易戦争のあおりを受けて米国の農産物輸出が減少する可能性がある。連邦政府が農家への支援を強化してもおかしくない。UBSのアナリストチームによると、そうした取り組みが農機メーカーのディアやトラクター・サプライ・カンパニーの追い風になり得る。
プーチン氏、バイデン氏を引き続き支持 討論会受けても | ロイター
ロシアのプーチン大統領は4日、先月末の米大統領選テレビ討論会の一部を見たとし、討論会後も次期大統領として現職のバイデン氏を支持する考えは変わっていないと述べた。
同討論会では共和党のトランプ前大統領と対決したバイデン氏が精彩を欠き、苦戦。プーチン氏は国営テレビの記者に、討論会を受けバイデン氏に対する支持は変わったかと問われ、「何も変わっていない。何が起こるか、われわれには分かっていた」と答えた。
討論会については「一部を断片的に見た」とし、自分には他にやるべきことが「十分ある」と言及。米国は依然として大国であるため無視することはできないとしながらも、同討論会に関する部分的な報道にはほとんど注意を払っていないと語った。
その上で、米国で大統領選に向け活発な選挙活動が行われている間は、ロシアは米国と建設的な対話を行うことはできないと指摘。11月の大統領選の結果を待ち、新指導部がどのような行動を取るかを見守るとした。
トランプ氏が大統領選に勝利すればウクライナ戦争を迅速に終わらせることができると発言していることについては、大統領候補がこうした発言をしたという事実を「ロシアは完全に真剣に受け止めている」と言及。「トランプ氏がどのように実行するつもりなのかは把握していない」としながらも、「トランプ氏が本気で考えていることに疑いはなく、われわれはそれを支持する」と述べた。
トランプ氏、バイデン氏撤退を予想 ハリス副大統領に先制攻撃強化 | ロイター
11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領は、先週のテレビ討論会での低調が取り沙汰されているバイデン大統領が選挙戦から「撤退するだろう」という見方を示した。
トランプ氏は自身のゴルフコースで撮影した動画で「私がバイデン氏を排除した」とも述べた。
さらに、バイデン氏が撤退した場合に最有力候補と目されるハリス副大統領についても「哀れで、ひどすぎる」と述べた。
バイデン氏の陣営はこれに対し、声明で「『ひどい』とは、女性の権利を奪い、選挙に負けて議事堂襲撃をあおること。女性を襲い、税金を払わないこと」とトランプ氏を非難した。
討論会での精彩を欠くパフォーマンスを受けバイデン氏の撤退論がささやかれる中、トランプ氏の陣営と側近らはハリス氏に対する先制攻撃を仕掛けているもよう。
トランプ氏は自身が立ち上げたSNS(交流サイト)にも、2020年大統領選の民主党予備選でハリス氏のパフォーマンスはひどかったなどと投稿した。
トランプ氏を支援する特別政治活動委員会(スーパーPAC)「米国を再び偉大に(MAGA)」は声明で、ハリス氏を「侵略の皇帝」とやゆした。共和党はハリス氏が主導する不法移民対策におけるメキシコや中米諸国との取り組みを巡り、移民流入を抑制できていないと批判してきた。
トランプ陣営の広報は「ハリス氏は無能だ。史上最弱で最悪の副大統領であることが証明されている。バイデン氏が過去4年間に実施したあらゆる破滅的な政策を100%支持してきた」と述べた。
ハリス氏の陣営の広報担当は「ハリス副大統領はバイデン大統領の副大統領候補であることを誇りに思っている」とし、「トランプ氏と過激な側近がどのような虚偽の攻撃を仕掛けても、『バイデン・ハリス』の実績を守り続ける」と述べた。
アングル:トランプ氏勝利なら米利回り急上昇、関税でインフレ加速も=市場筋 | ロイター
エドモンド・ドゥ・ロスチャイルド・アセット・マネジメントのベンジャミン・メルマン最高投資責任者は4日、11月の米大統領選でトランプ前大統領が勝利すれば、米国の長期債利回りが急上昇する可能性があるという認識を示した。
メルマン氏は、トランプ氏の掲げる関税や移民政策によって、米労働市場と経済全体が圧力にさらされると指摘。トランプ氏とその政策は「かなりのインフレを引き起こすだろう」とし「債券市場を巡る環境は強気かもしれないが、米国の政治リスクプレミアムのため、米イールドカーブのロングエンドはさほど強気とは言えない」という考えを示した。
トランプ氏は中国からの輸入品に対し最大60%の関税を課すことを提案しており、これが値上げという形で米消費者に転嫁されれば、インフレが加速する可能性がある。
大統領選に向け6月終盤に開催されたテレビ討論会で、現職バイデン大統領の不調が鮮明となったことを受け、米10年債利回りは3週間ぶりの高水準となる4.5%に迫った。一部アナリストは、トランプ氏の勝利に対する市場予測の高まりを反映していると指摘する。
エドモンド・ドゥ・ロスチャイルドのジャック・オーレリアン・マルシロー株式共同責任者は「トランプ氏が勝利する可能性が高まったことで、市場は即座にそのリスクを織り込んだ」と述べた。
●その他先進国政治動向
独極右AfDとの連立内閣否定、世論調査首位の野党CDU党首 | ロイター
ドイツ連邦議会(下院)選挙を来年に控え世論調査で首位に立つ野党中道右派、キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は3日、記者団に対し、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」と連立内閣を組む可能性を強く否定した。州政府レベルでも同様にあり得ないと強調し「この件で私は1ミリも譲る気はない」と述べた。
メルツ氏は、フランス総選挙の際に中道右派・共和党のシオティ党首が極右の国民連合(RN)との協力を呼び掛けたことに驚きを表明。その上で第2次世界大戦とホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を引き起こしたナチス政権に触れ、「われわれは、特に右派的なポピュリズムや過激な右派主義の面で(フランスと)歴史的背景が異なる」と述べた。
また、メルツ氏はAfDに関し、ドイツの監視機関はナチス信奉の極右過激派が大勢いることを突き止めており、RNと比べてもあまりに過激で、RNですら先月AfDとの関係を断ったと指摘。ドイツの保守派政党は国政、州政府レベルともにAfDと組んで政権を担当することはないと強調した。
インタビュー:ファラージ氏、英政治の現状打破へ長期戦 5年後にらむ | ロイター
英右派政党「リフォームUK」のファラージ党首はロイターのインタビューで、英政治の現状打破を目指す考えを示し、4日実施の総選挙はその第一歩とした。
自身の初当選の可能性については、これまでの7回落選を踏まえ慎重な見方を示しつつも、確率は5割以上と予想した。
ファラージ氏は5年後に予定される次回選挙に照準を合わせ、長期戦を見据えている。「2029年をにらむと同時に、コモンセンス(良識)のための大衆運動を英国全土で起こすことを狙う長期目標に向けた最初の重要な一歩だ」と語った。
自身にとっての成功は、リフォームUKが5年後に、サイレントマジョリティー(物言わぬ多数派)」が望む英中道右派の「劇的な再編」のきっかけになることだという。
英国の欧州連合(EU)離脱運動の火付け役だったファラージ氏は、仏総選挙の初回投票でマリーヌ・ルペン氏の極右「国民連合(RN)」が首位となったことに注目。27年大統領選ではルペン氏が勝利すると予想する。
リフォームUKとRNは経済政策で大きく異なっているが、類似点もあるとし、いずれも国民のために政治エリートに対し立ち上がったと述べた。
リフォームUKが「家族、地域社会、国」に焦点を当て、政権に就く見通しの労働党に対抗する主要な声となった上で、大衆運動を起こすことを目指すとした。
英14年ぶり政権交代へ、労働党が総選挙で圧勝の見通し-410議席獲得か - Bloomberg
スナク政権の主要閣僚とトラス前首相、野党党首・幹部の選挙区と結果判明が予定されるおおよその英国時間は次の通り(選挙情勢はユーガブの調査に基づく)。

5日午前2時(日本時間同10時)
ノースウェストエセックス/ベーデノック・ビジネス貿易相(議席維持か)

2時45分
ハーツミア/ダウデン副首相(議席維持か)

3時
チェルトナム/チョーク法相(自民党に敗れる可能性)
フォレストオブディーン/ハーパー運輸相(労働党に敗れる可能性)

3時15分
キングストン・アンド・サービトン/デービー自由民主党党首(安全圏か)

3時半
ゴダルミン・アンド・アシュ/ ハント財務相(自民党に敗れる可能性)
チチェスター/キーガン教育相(自民党に敗れる可能性)
ラウス・アンド・ホーンキャッスル/アトキンス保健・社会福祉相(リフォームUKと伯仲)
ウェルウィンハットフィールド/シャップス国防相(労働党に敗れる可能性)
ポーツマスノース/Penny Mordaunモーダント下院院内総務(労働党に敗れる可能性)
イーストサリー/クティーニョ・エネルギー安全保障・ネットゼロ相(保守党優位か)
リーズウェスト・アンド・パジー/レイチェル・リーブス労働党・影の財務相(安全圏か)

4時
ブレーントリー/クレバリー内相(保守党優位か)
セントラルデボン/ストライド雇用・年金相(労働党と伯仲)
メルクシャム・アンド・ディバイジズ/ドネラン科学・革新・技術相(自民党に敗れる可能性)
リッチモンド・アンド・ノーサラートン /スナク首相(議席維持か)
クラクトン/ナイジェル・ファラージ氏(リフォームUK党首、保守党から議席を奪う可能性)
トテナム/デービッド・ラミー労働党・影の外相(安全圏か)

4時15分
ホルボーン・アンド・セントパンクラス/スターマー労働党党首(影の首相、安全圏か)

4時半
モンマスシャー/デービス・ウェールズ相(労働党に敗れる可能性)
ノースイーストケンブリッジシャー/バークレイ環境・食料・農村相(議席維持か)

5時
イーリー・アンド・イーストケンブリッジシャー/フレーザー文化・メディア・スポーツ相 (自民党に敗れる可能性)

5時半(日本時間5日午後1時半)
サウスウェストノーフォーク/トラス前首相(伯仲)
情報BOX:仏決選投票、過半数議席の政党不在ならどうなる | ロイター
フランス国民議会(下院、577議席)総選挙の第1回投票が6月30日行われ、欧州連合(EU)懐疑派で反移民派の極右政党、国民連合(RN)が得票率トップとなった。ただ、議席が最終確定する7月7日の決選投票まで、各党は駆け引きにしのぎを削っている。RNは決選投票で勝利しても、過半数の289議席に届かない可能性がある。過半数議席を制する政党がない場合に予想される政権樹立に向けた動きをまとめた。
◎過半数に達する政党がない場合どうなるか
誰も確かなことは分からないとしか言えない。
憲法第8条では大統領が首相を任命することになっているが、どのような基準を用いるべきかが規定されていない。
実際にはマクロン大統領が第1党に首相ポストを提示する見通しで、世論調査や第1回投票の結果からRNが第1党になると予想されている。
◎RNのバルデラ党首は首相に就任するか
RNはバルデラ党首が首相候補だと表明している。しかしRNに加え、協力関係にある党の獲得議席の合計が少なくとも過半数289議席に達しない場合、RNは首相の送り出しを辞退する方針も明らかにしている。
憲法が大統領による首相の選出方法を定めていないため、理屈の上ではマクロン大統領が反RNグループを結成し、RN以外の政党か無所属の人物に首相ポストを提示する可能性がある。
◎バルデラ党首以外の首相候補
憲法には具体的な答えが示されていない。しかし以下の選択肢がある。
例えば、主要政党がまとまって1つのグループを作る可能性がある。今は実現していないが、マクロン大統領は極右勢力を排除するため各政党に団結を要請している。
もう1つの選択肢は、極左の政党や社会党、緑の党などが結束し、世論調査通りに第2位グループとして浮上、マクロン大統領が左派の人物に首相ポストを提示する可能性がある。この場合、左派勢力は少数与党政権を樹立しようとするだろう。
◎どの選択肢がうまくいくか
RNが決選投票でも得票率トップを確保し、首相就任を受諾すれば、マクロン大統領との「コアビタシオン(共存)」の時代に入る。大統領と首相の所属勢力が異なるコアビタシオンはフランス近代政治史で過去3回あったものの、いずれも主要政党間で起きている。この形になればRNは改革案を進める上で苦戦しそうだ。
RNが第1党ながらも野党にとどまる場合、政府提案を阻止または修正できる。憲法は政府に回避手段を付与しているものの限界がある。ただ、RNが過半数を確保すれば首相ポスト獲得は保証されたのも同然となるだろう。
◎グループ間で合意が成立しない場合
極右と中道、左派の3グループがいずれも政権を発足させたり、連立協定を締結したり、少数与党で政権運営したりするのに必要な議席数を十分に確保できない可能性もある。その場合、フランスは政治的麻痺状態に陥る恐れがある。法案はほとんど、あるいは全て採決されず、暫定政府が必要最低限の日常業務を行うことになる。
◎マクロン大統領は辞任するか
マクロン大統領は辞任する意志がないことを表明済み。しかし全てが阻止されれば辞任が選択肢に上がり得る。
◎もう一度総選挙を行うことは可能か
憲法によると、今後1年間は総選挙を実施できない。このため、決選投票後にもう一度すぐに選挙が行われることはあり得ない。
英総選挙、野党労働党が圧勝 保守党は歴史的敗北に=出口調査 | ロイター
英国で4日に投開票された総選挙(下院、定数650)は、出口調査によると、野党労働党が過半数を大きく上回る議席を獲得し、スターマー党首が次期首相に就任する見通しとなった。スナク首相の与党保守党は歴史的な敗北を喫するとみられる。
労働党の獲得議席数は410議席。保守党は131議席にとどまり、議会解散時の346議席を大きく下回る見込み。生活費高騰や相次ぐ首相交代など不安定な政権運営が響いた形だ。
自由民主党は61議席、ナイジェル・ファラージ氏率いる右派「リフォームUK」は13議席をそれぞれ獲得する見通し。
過去6回の総選挙で、出口調査の結果が実際と異なっていたのは2015年の1回のみ。同年の選挙では保守党が過半数を獲得したものの、過半数を制する勢力がない「ハングパーラメント(宙づり議会)」が予想された。
仏極右、第1党も絶対多数獲得ならず 下院選決選投票=世論調査 | ロイター
フランスで7日に実施される国民議会(下院、577議席)選挙の決選投票で、マリーヌ・ルペン氏が事実上率いる極右「国民連合(RN)」が絶対多数を獲得できない見通しであることが4日、新たな世論調査で分かった。
第1回投票で得票率トップとなったRNの過半数議席獲得の阻止に向け、与党連合と左派連合が多くの選挙区で候補者を一本化したことが影響していると見られる。
IFORのフィガロ・LCI世論調査によると、RNが獲得すると予想される議席数は210─240議席。有力政党による候補者一本化前の予想は240─270議席だった。
RNは他のどの政党よりも多くの議席を獲得する見通しだが、絶対多数に必要な289議席には達しない。
左派連合「新人民戦線(NFP)」は170─200議席で2位に付け、マクロン大統領の中道連合は95ー125議席で3位になる見通し。中道右派の共和党(LR)は25─45議席を獲得すると予想された。
●先進国中銀、金融当局
ECB、利下げ決定で長期的なインフレ懸念に目をつぶる-議事要旨 - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)当局者らは先月の利下げ決定時に、長期的なインフレに対する懸念に目をつぶった。インフレについて完全な見通しが立つのを待っていれば、後手に回ると考えた。
4日に公表された6月5、6両日の政策委員会の議事要旨によると、当局者らはエネルギーと食料品の価格上昇率が2026年には長期平均を下回るという見込みは極めて不確実だと見なした。
ECBは「入手可能な情報が望ましいほどの完全なものではなかったとしても、ある時点でそれに基づいて判断する必要があった」と説明した。
ECBは6月、インフレ率が目標の2%に近づく中、過去最高水準にあった中銀預金金利を引き下げた。しかし、消費者物価の伸びは年内いっぱい横ばいで推移する可能性が高く、賃金上昇からフランスの選挙までさまざまな要因で不確実性が高まる中、当局者らは急な利下げに慎重な姿勢を崩していない。
投資家は年内にあと1回か2回の利下げを見込んでいる。
金利について
ある時点で入手可能な情報に基づいて判断する必要があった。たとえその情報が当局が望むほど決定的なものではなかったとしても、そのようなアプローチはデータ依存に矛盾しない。完全な裏付けを待っていれば、ほぼ間違いなく利下げは遅れ、インフレ率が目標をアンダーシュートする大きなリスクを潜在的に生み出すことになるからだ
25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施した後も、自然利子率または中立金利の現在の推定値との比較で、金利は景気抑制的な領域にとどまるだろう
25bpの利下げは、金利を現在の水準に維持するよりも、景気下振れの衝撃に対して大きな保護を提供する
インフレと賃金について
「サプライチェーンの混乱、地政学的な分裂、保護主義、気候変動の力学が頻繁に起こりやすくなった世界では、財のインフレに新たな逆風が吹く可能性がある。従って、将来的に財のインフレが低くなるとしても、サービスインフレのオーバーシュートを確実に補うとは限らない
単月の不利なデータやインフレの数値に過剰反応しないことが重要だ。これらは必ずしも新たなトレンドを意味するものではなく、一時的な要因を反映している可能性があるためだ
2026年の予測は据え置かれたが、これはエネルギーと食品のインフレ率が長期平均を下回るという仮定の上に成り立っていることが指摘された。この2つの要素の不安定な性質と、気候変動やエネルギー移行政策だけでなく地政学の影響にもさらされることを考慮すると、これらに波乱がないとの前提は非常に不確実であると判断された
インフレが正常化すれば、賃金の圧力が鈍化する可能性が高い
経済について
国内政治と地政学的な不確実性の両方が存在する場合、貯蓄率は予想以上に上昇する可能性があるとの懸念が示された。その場合、消費は長期にわたり抑制される可能性がある
●先進国、グローバル、金融市場
スイスCPI、6月は前年比+1.3%に鈍化 追加利下げ観測 | ロイター
スイス連邦統計局が4日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.3%上昇した。5月の1.4%上昇からわずかに伸びが鈍化した。
ロイターがまとめた市場予想は1.4%上昇だった。
市場ではスイス国立銀行(中央銀行)の年内の追加利下げ観測が高まっている。市場が予想する9月の25ベーシスポイント(bp)利下げの確率は前日の44%から53%に上昇した。
UBSのエコノミスト、アレッサンドロ・ビー氏は「今回のインフレ統計は9月の追加利下げを阻むハードルにはならない」と述べた。
CPI上昇率は12カ月連続で中銀の目標レンジ(0-2%)内に収まった。
6月のCPIは前月比では横ばいだった。
中銀は先月、今年2回目となる利下げを実施。基調的なインフレ圧力が低下しているとの見解を示した。
J・サフラ・サラシンのチーフエコノミスト、カルステン・ユニウス氏は、9月の利下げ後にさらに利下げが実施される可能性があると指摘。中銀はデフレリスクの回避も望むだろうとし「物価安定に対するリスクは下向きであり、中銀はインフレ率が下がりすぎないように行動する必要がある」と述べた。
英資産に買い、選挙後の安定を期待-「退屈な」政治が投資に吉 - Bloomberg
英国の有権者が4日の総選挙の投票に向かうなか、資産運用担当者や銀行のストラテジストは選挙後の政治的な安定を期待し、英国市場を選好している。
米シティグループやカナダのトロント・ドミニオン(TD)銀行は、他の国債市場よりも比較的安全だとして英国債の買いを奨励する。バンク・オブ・アメリカ(BofA)が6月に実施したファンドマネジャー対象の調査では、株式投資家が最も選好する欧州の市場に英国が選ばれた。また先月のポンドは対ユーロでの平均相場が約2年ぶりの高水準だった。
英国資産に対する強気な見方は、同国の選挙に対する市場の冷静さを反映している。特にフランスなどでは見通しが不透明だ。投票前の情勢調査では労働党の地滑り的な勝利が示唆され、14年ぶりに政権が保守党から交代するとみられている。英国市場のボラティリティーは数年ぶりの低水準付近だ。
ラボバンクの外国為替戦略責任者ジェーン・フォーリー氏は「退屈な政治は投資には良い」と述べ、「選挙結果を受けてポンドがやや上昇する可能性がある。退屈で安定した政治が数年続き、それに伴う投資の伸び改善への期待が背景だ」と指摘した。
3日のポンドは3週間ぶりの高値を付けたほか、株価指数FTSE100指数は6月20日以来の大幅高となった。英国債も上昇、10年債利回りは約4.17%だった。
TD銀行のストラテジスト、プージャ・クムラ氏は、英国は米国やフランスよりも財政的・政治的に安定するだろうと述べ、30年物英国債の買いと同年限の米国債の売りを助言した。また、ジェイミー・サール氏らシティのストラテジストは、英国債にとっては「退屈が強気」になるとの見方を示し、選挙が英国債の強材料になると予想した。
UBSウェルス・マネジメントのエコノミスト、ディーン・ターナー氏は「選挙戦やその結果、その後起こり得る展開をどう考えたとしても、この選挙は英国が必要としていた確実性をもたらすだろう」と語った。
米労働市場の勢い減退、ADPと失業保険データも裏付け - Bloomberg
3日に発表された米国の2つの雇用関連統計は、米労働市場が勢いを失いつつあることを裏付ける新たな証拠となった。
ADPリサーチ・インスティテュートのデータは米民間雇用者数の増加ペースが6月に一段と減速したことを示した。また米労働省発表のデータによると、失業保険の継続受給者数が9週連続で増え、2018年以来の長期増加局面となった。再就職が一段と困難になっている状況が示唆された。
6月の米雇用統計に先立ち公表された2つの統計は労働力に対する需要の低下を表している。 米供給管理協会(ISM)が3日に発表した6月の非製造業総合景況指数はここ4年で最も速い活動縮小ペースを示唆。景気失速の新たな兆候となった。
ISMの同指数が利下げの必要性を裏付けたことから米国債利回りは低下し、株価は上昇した。
ADPのデータによると、6月の民間部門の雇用者数は15万人増加したが、これは主にレジャーや接客業での雇用増によるものだ。ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は発表文で「雇用の伸びは堅調だが、広範にわたっていない」とし、「レジャー・接客業での回復がなければ、6月は低調な月となっていただろう」と指摘した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2日、ポルトガルのシントラで開かれた欧州中央銀行(ECB)主催フォーラムのパネル討論会で、米国の労働力需要と供給のバランスが改善の方向へ「大きく」動いたと指摘した。
米金融当局者は5日に発表される米雇用統計で労働市場の現状についてさらに詳しい情報を得ることになる。エコノミストは非農業者部門雇用者数が19万人増と、前月の27万2000人増から伸びが減速すると予想している。
早期退職募集、1〜6月は前年比3.6倍 黒字でもリストラ - 日本経済新聞
東京商工リサーチは4日、上場企業が2024年1〜6月に募集した早期・希望退職者数が5364人だったと発表した。前年同期に比べ3.6倍に増えた。企業は業績が悪化する前に収益性の低い事業を手放している。募集規模も大きく、構造改革で雇用が流動化している。
40代以上の中堅やシニア層を対象とすることが多かったが、年齢制限を設けない募集も増えてきた。24年通年は早期・希望退職募集が1万人を超える可能性がある。
ポンド堅調に推移、英総選挙で労働党圧勝の見通し | ロイター
半導体製造装置の24年度販売は15%増予測-26年度には5兆円超へ - Bloomberg
日本半導体製造装置協会(SEAJ)は4日、2024年度の日本製半導体製造装置の販売高が23年度比15%増の4兆2522億円になる見通しを発表した。1月時点の見通し(4兆348億円)からは上方修正となった。
公表資料によると、24年度は年度後半からのメモリー投資回復が見込まれるという。メモリー各社の業績が2023年1-3月期を底に回復していることや、人工知能(AI)サーバー向け画像処理装置(GPU)や広帯域メモリー(HBM)の需要が増えていることを勘案した。
25年度もロジック・ファウンドリー、メモリー全体で堅調な投資が予想されるとして、24年度比10%増の4兆6774億円と予測し、1月時点の4兆4383億円から上方修正した。今回新たに示した26年度については、AI関連半導体の需要押し上げ効果が顕在化するとみて25年度比10%増の5兆1452億円と予測する。
SEAJの河合利樹会長(東京エレクトロン社長)は記者会見で、24年度の予測が上振れた要因について中国市場での堅調な投資とAI関連投資に言及。AI活用が広がることで半導体に対する技術要求がさらに高まり、高性能半導体を形にする製造装置に対する「期待や需要もますます高まっていくことが予測される」と述べた。
生成AIブームを受けてAI向け半導体やデータセンターの需要が高まっており、昨年11月以降上昇が続くフィラデルフィア半導体株指数は最高値の更新が視野に入る。いくつかの工程で高いシェアを持つ日本の半導体製造装置メーカーにとっても追い風が続きそうだ。
ただ、米中対立の長期化など地政学リスクもつきまとう。ブルームバーグは米国が日本やオランダに対し、半導体製造装置の保守・修理についての規制強化を求めると報じていた。河合氏は引き続き動向を注視すると述べた。
●中東情勢
●エマージング
ベネズエラ、大統領選キャンペーン始まる 現職マドゥロ氏劣勢か | ロイター
南米ベネズエラでは4日から、28日の大統領選に向けた選挙キャンペーンが正式に始まる。これまでに実施された各種世論調査によると、3期目を目指す現職のマドゥロ大統領が劣勢に立たされているもよう。
野党連合は当初、指導者のマリア・コリナ・マチャド氏を統一候補としていたが、裁判所が出馬を禁止したことから、元外交官のエドムンド・ゴンザレス氏を新たな候補に擁立。ゴンザレス氏は知名度で劣るが、世論調査ではマドゥロ大統領を20ポイント程度リードしている。
選挙キャンペーンの期間は投票当日の3日前の25日に終了する。
有権者は、生活水準の低下や最低賃金の低迷に不満を強めている。
ただベネズエラは欧州連合(EU)選挙監視団の招致を撤回するなどの措置を取っており、選挙結果が公正なものになるのかは不透明だ。
米、ベネズエラと対話再開 28日大統領選で公正な選挙求める | ロイター
米国とベネズエラの高官は3日、4月以降凍結していた対話を再開した。米政府はベネズエラのマドゥロ政権に対して、7月28日に予定されている大統領選が公正な選挙になるよう求めた。
ベネズエラのロドリゲス国会議長は、オンライン形式で行った協議で、両国が関係改善に取り組み、「建設的で敬意ある」コミュニケーションを維持することで合意したと明らかにした。
米国は、3選を狙うマドゥロ大統領が自由で公正な大統領選挙を実施するという公約を果たすかどうかを懸念している。
米国は4月に大統領選に関してマドゥロ政権が合意を守らなかったとして、ベネズエラへの制裁緩和措置を停止した。
マドゥロ氏は1日、米国からの対話再開の提案を受け入れたと明らかにした。両国高官が最後に協議したのは4月中旬のメキシコでの会談だった。
●プロファイ、インフラ、自然災害
オリックス銀行、再生可能エネルギーに800億円融資 24年度目標 - 日本経済新聞
オリックス銀行は2024年度、再生可能エネルギー分野に800億円を融資する方針だ。発電事業者が特定の大口顧客に電気を直接販売する事業などへの融資を念頭に置く。環境エネルギー事業を手掛けるオリックスグループの知見を生かし、再エネ分野を投資用不動産に次ぐ第2の収益源に育てる。
●小ネタ
●市況
欧州市場サマリー(4日) | ロイター
<外為市場> ポンドとユーロが対ドルで上昇した。4日に実施される英総選挙の投開票や、週末のフランス国民議会(下院)総選挙の決選投票を控える中、米国で低調な経済指標が示されたことがドルの重しとなった。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。医療機器のスミス・アンド・ネフュー(SN.L), opens new tabの上昇がけん引し、FTSE100種指数は0.9%高となった。
スミス・アンド・ネフューは6.9%急伸した。アクティビスト(物言う株主)のセビアン・キャピタルが同社株の約5%保有を明らかにしたことが材料。
自動車・部品セクター指数は1.7%上昇した。業界団体が6月の新車登録台数は小幅増になったと発表した。
個別銘柄では、銀行大手バークレイズが2.8%上昇。ドイツの消費者金融事業をBAWAGグループに売却すると発表した。
<欧州株式市場> 続伸して終了した。米国の経済指標が軟調だったことで利下げ観測が高まっていることなどが押し上げ要因になった。ただ、米金融市場が祝日のため休場となっていることで商いは薄かった。
フランスのCAC40指数は前日に続き上昇し、0.8%高。新たな世論調査で、7日に実施される国民議会(下院)選挙の決選投票で極右「国民連合(RN)」が絶対多数を獲得できない見通しであることが分かった。
これを受け、フランスの金融機関ソシエテ・ジェネラルやBNPパリバなどを含むSTOXXユーロ圏銀行株指数が1.3%高となった。
ウェーデンの通信機器大手エリクソンは1.2%安。第2・四半期に114億スウェーデンクローナ(10億9000万ドル)の減損損失を新たに計上したことが重しになった。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが小幅上昇した。フランスは7日に実施される国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票を前に、国債入札を順調に通過した。
この日フランスは4本立ての国債入札を実施し、計105億ユーロ(113億4000万ドル)を調達した。応札倍率は2.59倍で、マクロン大統領が6月初旬に国民議会(下院)の解散総選挙を発表する前に実施した長期国債入札をわずかに上回った。
入札に対する市場の反応は限定的で、フランス10年債利回りは3.5ベーシスポイント(bp)上昇の3.284%となった。
ドイツ10年債利回りは2.5bp上昇の2.583%。ドイツ2年債利回りは2bp上昇の2.936%となった。
独仏10年債利回り格差は70​​bp以下に縮小した。極右派の総選挙勝利への懸念から、先週は85bpと2012年以来となる大きさまで拡大した。
イタリア10年債利回りは2.5bp上昇の4.009%となった。

備忘録(2024/7/3
●雑感
●決算
●海外企業
スウェーデンの不動産家主SBBを選択的デフォルトに-S&P - Bloomberg
S&Pグローバル・レーティングは、経営難に陥っているスウェーデンの不動産オーナーSBBの発行体格付けを「選択的デフォルト(SD)」と、従来の「CCC」から引き下げた。同社は大幅なディスカウント価格での債務交換を開始した。交換の対象となる無担保優先社債の格付けは「デフォルト」に引き下げられた。
SBB(サムホルスビッグナッズボラゲット・イ・ノルデン)は先月、既存の債券を新たに設立する住宅部門が発行する新証券に交換する債務再編案を投資家に提示した。S&Pは3日、既存債券は平均で額面の60-70%の価格で買い戻されることになると指摘した。
S&Pは発表資料で「SBBによる債務交換提案は、貸し手が受け取る額が額面よりも少ないことから、債務不履行に等しいディストレスト再編だと見なす」と説明した。
金利上昇とそれに伴う不動産価値低下に見舞われたSBBは、償還期限が迫る債務について代替策を模索してきた。割引価格での債券買い戻しに加え、資金調達のために事業を分割し部門の株式を売却するプロセスにも着手している。
SBBは先週、分離した新設の住宅部門を通じて1億1090万ユーロ(約193億円)のユーロ建て新証券と4億1250万スウェーデン・クローナ(約63億円)の国内債券を発行し、投資家が保有する証券と交換すると発表した。
S&Pは、今後6-12カ月の間に「債務不履行が事実上確実」であることを反映し、交換終了後も格付けを据え置くとしている。SBBが再びディストレストと見なされる買い戻しや交換を提案する可能性が高いと指摘した。
アメリカン航空、水素燃料電池エンジンの100基購入で合意 | ロイター
●日本企業
日立CFO、数千億円の大型M&Aに意欲-低収益事業の売却も継続 - Bloomberg
日立製作所の加藤知巳最高財務責任者(CFO)は3日のインタビューで、同社が再び大型の合併・買収(M&A)に乗り出す可能性があると明らかにした。また、利益率の低い事業の売却を含め資産の入れ替えを今後も積極的に進める考えだ。
加藤CFOはここ最近は行っていなかった1兆円規模の大型M&Aを来期(2026年3月期)から始まる次期中期経営計画の期間中はやる可能性があるとした上で、「いずれにしても数千億円ぐらいのM&Aというのは今後もやっていく」と述べた。注力するデジタルの分野では約1兆円で買収したグローバルロジックだけでは足りない部分を補うため、クラウドサービスやデータマネジメント関連のM&Aが考えられるとした。
●米大統領選挙
バイデン氏、討論会低評価でも支持率拮抗=ロイター/イプソス調査 | ロイター
先週行われた米大統領選挙のテレビ討論会で民主党のバイデン大統領が精彩を欠いたものの、共和党のトランプ前大統領と支持率がなお拮抗(きっこう)していることがロイター/イプソス調査の調査で明らかになった。
1─2日に行った世論調査では、バイデン、トランプ両氏の支持率はいずれも40%だった。6月11─12日の前回調査では、トランプ氏が41%対39%でリードしていた。
調査はオンライン形式で1070人の成人を対象に実施した。登録有権者の誤差は3.5%ポイントだった。
有権者の多くはどちらの候補に投票するか決めかねており、5人に1人は誰に投票するか分からない、別の候補者を選ぶ、あるいはまったく投票しないと答えた。
今回の調査には無所属候補のロバート・ケネディ・ジュニア氏への支持に関する質問は含まれていなかった。6月の調査では同氏の支持率は10%だった。
また討論会について、「バイデン氏は言いよどみ、年齢を感じさせた」という意見に民主党支持者の83%、共和党支持者の97%が同意した。トランプ氏のパフォーマンスについて同様の評価をしたのは民主党支持者の58%、共和党支持者は11%にとどまった。
バイデン氏、候補辞退への圧力一気に強まる-再選断念を検討とNYT - Bloomberg
11月の米大統領選で再選を目指すバイデン大統領に対し、候補辞退を求める圧力が一気に強まっている。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、近日中に世論を動かせられなければ断念せざるを得ないかもしれないとバイデン氏が側近に漏らしたと報じた。民主党内からの撤退要求の動きも背景にある。
ホワイトハウスとバイデン陣営は直ちにこの報道の内容を否定した。しかしトランプ前大統領のホワイトハウス返り咲きを阻止する上でバイデン氏に十分な求心力があるのかという不安は民主党当局者や献金者、有権者の間で強まっており、バイデン氏にとって待ったなしの展開となっている。
民主党幹部によれば、数十人の同党下院議員がバイデン氏に大統領選からの撤退を求める書簡への署名を検討している。また民主党議員が代わりの候補を探している可能性を示唆する報道も相次ぎ、バイデン氏を巡る不安は高まるばかりだ。
NYTによれば、バイデン氏は今後のイベントがうまく行かなければ選挙戦は「異なる状況」になると側近に語った。この報道を受けホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は自分はバイデン氏のそのような発言を聞いていないとし、大統領選からの撤退をバイデン氏は検討していないと述べた。
バイデン氏自身もハリス副大統領とともに臨んだ電話会議で、「この選挙戦を最後まで闘い抜く。民主党が団結すればわれわれは常に勝利する」と語った。
バイデン氏は5日にABCニュースのインタビューに応じ、ウィスコンシン州マディソンで集会を開く予定。7日にはペンシルベニア州フィラデルフィアに移動し、別のイベントに参加する。
バイデン氏はこのほか、シューマー上院院内総務やジェフリーズ下院院内総務ら民主党指導部に電話をかけ、議会での支持固めを図っている。現時点では、現役の民主党下院議員としてロイド・ドゲット氏だけがバイデン氏撤退を公に求めている。
しかし、バイデン氏の不人気が自身の再選や民主党の上下両院での多数派獲得を遠ざけるのではないかと懸念する同党議員が連携して撤退を求めれば、バイデン氏は選挙戦を続けられなくなる可能性がある。
ジャンピエール報道官はバイデン氏から民主党議員との電話会談は「力強い」内容だったと聞いたとし、バイデン氏は「大統領として前進しており、自身の選挙戦を推し進めている」と語った。
バイデン氏にとって当面の試練は、急きょ設定された3日夜の民主党州知事らとの会合だ。
バイデン陣営のフルクス副選対本部長はCNNに対し「バイデン氏が全米の民主党員と交わしている対話は、同氏が選挙戦から降りないこと、米国民を安心させる必要性を分かっていること、そしてわれわれの選挙運動が力と規模を増していき11月に勝利することを納得させるものだ」と語った。
ワシントン・ポスト紙は2日、先週の討論会でバイデン氏再選の道がより険しくなったとオバマ元大統領が側近に内々に話したと報じた。
ニューヨーク・タイムズ紙とシエナ大学が3日公表した世論調査によると、トランプ氏の支持率は49%、バイデン氏は43%で、その差は6ポイントに広がった。有権者のほぼ4分の3が、バイデン氏は大統領を務めるには高齢過ぎると回答した。
一方、ロイター通信が公表した最新の世論調査では、バイデン氏が撤退を決断した場合、民主党の最有力後継候補と目されるハリス副大統領は支持率でトランプ氏を1ポイント下回っている。ハリス氏への追い風はこの数日間に勢いが強まっている。
また、ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトの5月の世論調査を見ると、大統領選激戦州の有権者の間でハリス氏への信認が強まっており、バイデン氏が大統領職を続けられなくなった場合、ハリス氏にはそれを引き継ぐ用意があるとの回答が48%に上った。
バイデン氏に撤退要請、民主党議員2人目 討論会不振の余波続く | ロイター
米民主党のグリハルバ下院議員(アリゾナ州選出)は3日、バイデン大統領に対し11月の大統領選から撤退するよう要請した。不振に終わった先週のテレビ討論会の余波が続いており、撤退を求めた民主党議員はこれで2人目となる。
グリハルバ議員は米紙ニューヨーク・タイムズに対し「バイデン氏が候補者となるなら支持するが、これは他の候補を探す機会だと思う」とし、「バイデン氏は大統領の座を維持する責任を負うべきで、選挙からの撤退がその責任の一部だ」と語った。
共和党のトランプ前大統領と対決した6月27日のテレビ討論会では、バイデン大統領は時折声がかすれ、言葉に詰まるなど、精彩を欠いた。 
民主党のドゲット下院議員(テキサス州選出)も2日、「トランプ氏と違い、バイデン大統領の第1のコミットメントは常に自分自身ではなく米国だと認識している。そのため、私はバイデン氏が撤退という辛く困難な決断を下すことを願っている。敬意を込めて、それを要請する」と表明した。 
ホワイトハウスのジャンピエール報道官は3日、バイデン氏が撤退を検討しているかという記者団からの質問に対し、同報道官は「絶対にない」と応じた。
バイデン氏、選挙戦継続巡る懸念を側近に表明と報道 ホワイトハウスは否定 | ロイター
バイデン米大統領が、今後数日中に自分が大統領職にふさわしいと国民を納得させることができなければ、選挙戦を継続できない可能性があるという懸念を側近に打ち明けていたことが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズが3日、関係筋の情報として報じた。
共和党のトランプ前大統領と対決した先週のテレビ討論会での精彩を欠くパフォーマンスによって、民主党内からも再選を目指すべきでないという声が上がっていることが背景にある。
関係筋は先週の討論会の結果に言及し、バイデン氏は「あと2回あのようなことがあれば、われわれは今週末までに全く異なる状況に置かれていると認識している」と語った。
バイデン大統領は引き続き再選に向け注力していると強調した上で、週内に予定されているABCニュースとのインタビューや激戦州ペンシルベニア州での集会などを首尾よくこなす必要があることを理解しているとも述べた。
ホワイトハウスのベイツ報道官はソーシャルメディアへの投稿で、同報道について「完全に誤り」と述べた。
ハリス副大統領が最有力候補、バイデン氏選挙戦から撤退なら=関係筋 | ロイター
バイデン米大統領が11月の大統領選からの撤退を決めた場合、ハリス副大統領がバイデン氏に代わる最有力の大統領候補と目されているもよう。バイデン氏の陣営やホワイトハウスの当局者、民主党全国委員会の幹部ら7人が明らかにした。
共和党のトランプ前大統領と対決した先週のテレビ討論会で、バイデン大統領のパフォーマンスは精彩を欠き、民主党内からもバイデン氏は再選を目指すべきでないという声が上がっている。
関係筋によると、ハリス氏以外にも候補としてカリフォルニア州のニューサム知事、ミシガン州のウィットマー知事、ペンシルベニア州のシャピロ知事らの名前も挙がっているものの、副大統領であるハリス氏をないがしろにし、指名を勝ち取ることは「ほぼ不可能」とみられている。
ハリス氏が大統領候補となれば、バイデン氏の陣営がこれまでに集めた資金に加え、選挙活動の「インフラ」も引き継ぐことになる。また、ハリス氏は候補者の中で最も知名度が高く、民主党支持者の間で最も高い支持率を誇っている。
ロイター/イプソス調査が1─2日に行った世論調査によると、テレビ討論会でのパフォーマンスが低評価だったにもかかわらず、バイデン氏の支持率は40%と、トランプ氏と拮抗(きっこう)している。 
また、2日に発表された調査では、ハリス氏がバイデン大統領に代わり候補となった場合、ハリス氏の支持率は42%、トランプ氏は43%となっている。ただ、1%ポイントの差は世論調査の誤差の範囲内(3.5%ポイント)で、統計的にはハリス氏の支持率はバイデン氏と同等に強い。 
ハリス氏の側近は、バイデン、ハリス両氏を含まない選挙戦に関する憶測を否定。ハリス氏の事務所は声明で「ハリス副大統領は、バイデン大統領とともに2期目を務めることを楽しみにしている」とした。
バイデン氏の候補辞退を警戒するウォール街、ポートフォリオ見直しも - Bloomberg
バイデン米大統領が選挙戦から撤退するか否かを巡る観測はウォール街を揺らしている。トレーダーは、トランプ氏がホワイトハウスに返り咲いた場合に影響を受けるであろうドルや国債、その他の資産の間で資金を移動させている。
ポートフォリオの再調整は、大統領選に向けて6月27日夜に行われた第1回討論会が終わった直後から始まった。同討論会でバイデン氏は一時固まったように見えたり、同じことを繰り返したりする場面があるなど、散々な結果となった。最も大きく反応したのは国債市場で、10年債利回りは翌日以降の数日で一時20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く上昇した。
バイデン氏が候補を辞退するとの観測は急速に高まっており、賭け市場では選挙戦を継続する可能性は50%未満とみられている。投資家は米独立記念日の祝日や週末に何らかの発表がある場合に備え、対応策を急いでいる。
匿名を条件に語ったあるファンドマネジャーは、バイデン氏撤退によって引き起こされるであろうリスク急増に対するヘッジとして、休みの前にポートフォリオのポジションをドルと短期債に傾けていると語った。
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジョナディー・ゴールドバーグ氏は「討論会以降、各市場ではすでに選挙の勝敗予想が見直されており、過去24時間のニュースは火に油を注いでいる」と語った。
トレーダーやストラテジストの間では、トランプ氏がホワトハウスに返り咲けば、財政政策の緩和と保護主義の強化というインフレ誘発型の政策の組み合わせから恩恵を受ける取引に拍車がかかるというのがコンセンサスになっている。ドル高や米国債利回り上昇のほか、銀行株や医療株、エネルギー株の上昇などだ。
米国から遠く離れた豪シドニーでも市場関係者は身構えている。ナショナルオーストラリア銀行(NAB)のストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏によると、バイデン氏の選挙戦撤退に備え、誰もがトレーディングの計画を準備している。
「いずれにせよ、市場はトランプ氏の勝利に賭けている」とカトリル氏。「民主党は非常に難しい選択を迫られているようだ。どの選択も簡単ではなく、より良い結果をもたらしそうなものでもない」と語った。
トランプ氏がリード拡大、バイデン氏高齢不安が影響か-NYT調査 - Bloomberg
米紙ニューヨーク・タイムズとシエナ大学が3日公表した世論調査によると、トランプ前大統領が支持率でバイデン大統領に対するリードを広げた。バイデン氏に対する選挙戦撤退への圧力が強まっている。
トランプ氏の支持率は49%。バイデン氏は43%で、その差は6ポイントに広がった。前回6月の調査ではトランプ氏の支持率が48%、バイデン氏が44%だった。
背景には、バイデン氏に対する高齢不安の高まりがあるようだ。有権者のほぼ4分の3に相当する74%が、バイデン氏は大統領を務めるには高齢過ぎると回答。その割合はテレビ討論会前の水準から5ポイント上昇した。
民主党議員や献金者から選挙戦撤退への圧力が強まる中で、今回の調査結果はバイデン陣営にとってさらなる打撃となる。
バイデン陣営の世論調査を担当するモリー・マーフィー氏は声明で、この世論調査は「選挙戦の流れを根本的に変えるものではない」とコメントした。
NYTとシエナ大が実施する世論調査は、とりわけ米政治において大きな注目を集めており、世論調査の集計分析サイト、ファイブサーティエイトから最高評価を得ている。今回の調査は登録有権者1532人を対象に6月28日-7月2日に実施された。サンプリング誤差は2.8ポイント。
今回示された有権者の傾向は、先週行われた他の多くの全国調査からも総じて裏付けられており、主要な世論調査の平均は一貫してトランプ氏優勢に傾いている。
だが、バイデン氏が抱える問題は、これらの全国調査の結果が示す以上に深刻かもしれない。米大統領選は州ごとに割り当てられた選挙人の獲得数で決まる。勝敗を左右する激戦州の有権者を対象とする世論調査では、アリゾナ、ジョージア、ミシガン、ネバダ、ノースカロライナ、ペンシルベニアの各州で、トランプ氏がここ1週間に平均リードを広げている。ウィスコンシン州は依然として最も支持率がきっ抗している。
●先進国中銀
中立金利は上昇していない、NY連銀総裁が推計値を引用して反論 - Bloomberg
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、「r*(Rスター)」と呼ばれる自然利子率(中立金利)が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降に上昇したとの最近の論評に反論した。同総裁はRスターを深く研究していることで知られる。
ウィリアムズ総裁は3日、ポルトガルのシントラで開催された欧州中央銀行(ECB)フォーラムでパネルディスカッションに参加。米国とユーロ圏のRスターがコロナ禍前の水準に近いとした最近の推計値を引用した。発言内容は事前に公表された原稿に基づく。
「2つの推計値には短期的な振れが見られるものの、過去30年間、Rスターが2ポイント低下し続けてきたことが共通の特徴だ。同じことがカナダにも当てはまる。したがって、これらの推計によればRスターの低い基調は続いている」と話した。
ウィリアムズ総裁は、今年これまでのデータでは中立金利が上昇した「兆候はない」とする5月の見解を繰り返した。
長期自然利子率は、経済がショックに動じず潜在成長率で推移している時に広がる考え方で、金融政策の要となるが、直接測ることはできない。金融当局は中立水準を上回るレベルに政策金利を引き上げることで、景気を抑制しインフレと闘う。
景気が底堅いため、中立金利がコロナ禍以降に上昇し、金融政策が以前考えられていたほど景気に抑制的でないのではないかとの議論が浮上している。
6月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に公表された金利予測分布図(ドットプロット)によれば、金利の長期的な着地点に関する予想は2.8%と、3月時点の2.6%から引き上げられた。同会合の議事要旨は3日午後に公表される。
ウィリアムズ総裁は発言に続くディスカッションの中で、人工知能(AI)が生産性を大幅に押し上げるのか、それともその効果がより緩やかなものになるのかは、時間がたてば分かることだと述べた。生産性の伸びが加速すれば、資本需要が高まる中で中立金利が上昇する可能性がある。
さらに、中立金利の測定に課題があることから、金融政策を決定する際に当局はRスターの推定値に頼るべきではないと述べた。
トランプ氏の関税案、FRBに5回追加利上げ促す可能性-ゴールドマン - Bloomberg
トランプ前大統領が提案する全面的な関税が現実となればインフレ加速を招き、米金融当局による約5回の追加利上げにつながる可能性がある。ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ヤン・ハッチウス氏が予測した。
トランプ氏は大統領に返り咲いた場合、中国からの輸入品に60%余り、また全輸入品に対しても10%の関税を課す計画を示している。
ハッチウス氏は2日、ポルトガルのシントラで行われている欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムでの講演で、トランプ氏の関税案は「米国の平均関税率を16ポイント引き上げ、20%近くにする可能性がある。これは戦後最高となるだろう」と述べ、世界的な報復関税につながり、貿易戦争に発展する恐れがあると続けた。
さらに「貿易戦争がない場合のわれわれの基本シナリオは、ECBと米連邦公開市場委員会(FOMC)は今後2年間で計150-200ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを実施するというものだ。世界的な貿易戦争が起これば、金融政策の乖離(かいり)が拡大する可能性がある」との見方を示した。
円スワップ金利1カ月ぶり高水準、円安止まらず日銀「同時決定」読む - Bloomberg
外国為替市場で円安進行が止まらず、物価上昇を抑えるために日本銀行が追加利上げに動かざるを得ないとの観測から円スワップ金利が上昇している
金融政策を占う上で債券・為替市場関係者が注目する1年先1年物の円スワップ金利は2日、0.6%台と1カ月ぶりの高水準に上昇した。6月の日銀金融政策決定会合以降、7月の会合では国債買い入れ減額の詳細決定と追加利上げを同時に決定するのは難しいとの見方が広がり、一時は0.5%を下回る水準まで低下していた。
みずほ証券金融市場部の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは、1年先1年物の円スワップ金利の上昇について「海外勢の動きが中心」だと分析。円安の影響に加え、7月会合での国債買い入れ減額と利上げの同時決定の可能性がゼロではないことの表れだと見ている。
日銀の植田和男総裁は6月18日の参院財政金融委員会で、7月会合での政策金利引き上げは「十分あり得る」と発言。金利スワップ市場が示す7月利上げの織り込みが回復するきっかけとなり、債券市場でも金利が上昇(価格は下落)傾向にある。
一方、依然として経済が堅調な米国との絶対的な金利差は縮まらないとの見方が根強く、円相場は対ドルで161円台後半と約38年ぶりの安値を連日で更新。市場でも、日銀が7月会合で追加利上げに動くとの観測が次第に高まってきている。
みずほ証の大森氏は、0.6%程度まで上がった1年先1年物円スワップ金利の動きは2026年には政策金利が0.50%になっていることを織り込んだものだと言う。「今回の利上げサイクルで2回の利上げという市場のコンセンサスに沿ったもの」で、当面は現状付近での推移を見込む。
ただし、海外金利の上昇や一段の円安進行により、1年先1年物円スワップ金利には「上昇圧力がかかりやすい」とも語った。
スウェーデン中銀、年内最大3回の追加利下げ想定=6月議事要旨 | ロイター
スウェーデン中央銀行の6月27日の金融政策決定会合で、物価が落ち着いていれば今年後半に利下げを加速することが可能との見解が示されていたことが3日公表の議事要旨で明らかになった。
同会合では政策金利を3.75%に据え置いた上で、5月に続き年内あと2─3回利下げする可能性があると指摘した。
議事要旨によると、テデーン中銀総裁は「私の評価では、年後半の利下げ回数は2回よりも3回の可能性がやや高い」と発言。労働市場の弱含みとインフレ上振れリスクの緩和が利下げを加速させる理由だと述べた。
ただ中銀は、インフレに想定以上の粘着性があるという不確実性も考慮し利下げは徐々に行うべきと強調した。
金融政策は国内要因に基づき決定するスタンスだが、テデーン総裁は「海外のインフレ率が高ければ、その分金利も高くなり、クローナ安につながる可能性がある」と指摘した。
次の政策会合は8月20日。
スウェドバンクは、年内あと3回の利下げを予想し、8月に追加利下げがあるとみている。
ECB、インフレ率低下で追加利下げの余地 IMFが指摘 | ロイター
 国際通貨基金(IMF)のカマー欧州局長はユーロ圏のインフレ鈍化基調は続いており、今週発表された消費者物価指数は欧州中央銀行(ECB)に追加金利の余地があることを裏付けているとの見方を示した。
カマ―氏は「6月のインフレ率などのデータは見通しを裏付けるもので、インフレの減速がわれわれの予想とほぼ一致していることを示している」と述べた。
「つまりECBは政策金利を徐々に引き下げ続けるべきという政策助言を(IMFは)維持するということだ」と語った。
この見通しに基づくと、ECBは2025年第3・四半期までに3.75%の中銀預金金利を「中立的なスタンス」である2.5%まで引き下げる余地があると指摘した。
市場では中銀預金金利が第3・四半期に2.75%まで下がるとみられており、IMFはやや速いペースの利下げを提起している。
ECB当局者らは賃金の伸びがまだ大きく、物価に上昇圧力がかかることを懸念している。だがカマー氏は労働市場はすでに軟化しており、これが物価の抑制につながるとの見方を示した。
「労働市場はすでに緩和している。多くの国でそれが確認されており、金融政策の引き締め的なスタンスが総需要の抑制に効いていることを示している」と分析した。
FOMC、インフレ鈍化のさらなる証拠を待つ-6月議事要旨 - Bloomberg
米連邦公開市場委員会(FOMC)が6月11-12日に開いた会合では、インフレが鈍化していることを示すさらなる証拠を待ちたいとの認識が示された。高金利をいつまで維持するかを巡っては意見が分かれた。7月3日に公表された議事要旨で明らかになった。
議事要旨によると「一部の」当局者は忍耐強く臨む必要性を強調したが、「幾人か」は具体的に労働市場がさらに弱まれば失業率がその分上昇する可能性があると強調した。
インフレ率が2%の目標に向かって下がっているとの「確信を強める追加の情報が得られるまで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを引き下げることは適切ではないとの見方が強調された」という。
足元ではインフレ抑制の緩やかな進展の兆しが出ているものの、幾人かはインフレ率が高止まりするならば利上げも辞さないと主張した。
議事要旨では「経済見通し、および景気抑制的な政策スタンスを維持するのがいつまで適切となるかを巡る不確実性に言及した」と記されている。
雇用とインフレの目標達成に向けたリスクバランスの改善が進む中で、労働市場への警戒感が強まっていることも示された。
米経済は引き続き堅調なペースで雇用を伸ばしているが、失業率はここ数カ月にやや上昇している。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は先週、米国の労働市場は変曲点に近づいているとの見方を示し、さらなる減速は失業率の上昇を意味すると警鐘を鳴らした。 
議事要旨では「労働市場が正常化しつつある中、需要がさらに弱まれば、従来に比べて失業率により大きな反応が生じる恐れがあるとの考えを幾人かが強調した。従来は求人件数の減少を通じて、労働需要の低下を相対的に強く感じていた」としている。
また金融政策がどの程度景気を抑制しているかを巡っても、議論が続いていることが分かった。
「経済が引き続き力強いことやその他の要因を踏まえると、長期の均衡金利がかつて判断した水準よりも高まっている可能性があり、そうであれば、金融政策スタンスも全般的な金融情勢も、見た目よりも景気抑制的ではないかもしれないと一部が言及した」という。
6月会合に合わせて公表された金利予測分布図(ドットプロット)では、景気を押し上げることも抑制することもない政策スタンスを示す長期の中立金利見通し(中央値)が2.8%に切り上がった。
FRBが警戒強める、労働市場の勢いに減退の兆し-経済に影響も - Bloomberg
米労働市場が勢いを失いつつある兆候が見られており、エコノミストや一部の米金融当局者は、労働者に近く痛みが広がる恐れがあるとして警戒を強めている。
失業率が低水準から徐々に上昇し始める中、求人件数は今年に入り減少傾向が続いており、従業員の離職も減少。新型コロナウイルス禍のショックからの急速な回復を特徴付けた、歴史的に見て非常にタイトな労働環境が終わりを迎えていることが示唆される。
雇用の力強さも背景に、米経済は金融当局による積極的な引き締めをこれまで乗り切ってきた。インフレ率はなお当局目標の2%を上回っており、労働環境がさらに軟化した場合、それが急速に悪化し、経済成長をリスクにさらす恐れがある。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏は「労働市場の見通しが変化した場合、経済と金融政策の方向性に重大な影響を及ぼす可能性がある」とし、「一つ確実に言えるのは、状況は極めて急速に変化するということだ」と続けた。
フロリダ州セントピーターズバーグでヘッドハンターを務めるケリー・ボン氏は、支援を求める求職者からの問い合わせが2023年末以降に約30%増加していると語る。21、22年には1-2カ月で職を見つけることができていたが、現在では2-5カ月かかることが多いという。
「雇用主が時間をかけ、採用する人物をより吟味するようになっているのは間違いない」とボン氏。一方、職に就いている人は安定したポジションを離れて新たな機会を求めることにより慎重になっているとし、「彼らは今の市場環境で失業したくはないのだ」と語った。
米金融当局者は労働市場の状況についてなお総じて楽観的だが、リスクが高まりつつあることを認識し始めている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は6月12日、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に記者団に対し、「総じて労働市場はなお非常に強いが、1-2年前のような過熱した状態にはない」と述べていた。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏は最近のリポートで、米労働市場が「変曲点」に立っており、労働需要がさらに軟化すれば求人だけでなく雇用にも打撃を与える段階にあると指摘している。
またサンフランシスコ連銀のデーリー総裁は6月24日の講演で、「今後労働市場が減速すれば、企業は求人のみならず実際に雇用を調整する必要が出てくるため、失業率の上昇につながる可能性がある」と指摘。「現時点で、われわれが直面するリスクはインフレだけではない」と述べた。
7月2日に発表された5月の求人件数は予想外に増加した。5日には6月の米雇用統計が発表され、労働市場の方向性に関してより多くの手掛かりが得られる見通しだ。
●先進国、グローバル、金融市場
ルペン氏の極右政党、絶対多数獲得に向け奔走-ライバル陣営が結束 - Bloomberg
フランスの国民議会(下院)選挙で、マリーヌ・ルペン氏率いる極右の国民連合(RN)は7日の第2回投票で絶対多数を獲得すべく奔走している。ライバル政党はこれを阻止するため結束を強めた。
仏紙ルモンドの集計によると、マクロン大統領の中道グループと左派連合の新人民戦線は、極右に対する票の分裂を避けるため、215の選挙区で候補者を引き揚げた。
これに対してRNは、577議席の下院で過半数を獲得するための同盟相手を模索している。過半数を得れば、年金改革の撤回、付加価値税の引き下げ、外国人に対する一部の援助の削減を含む同党プログラムの実施が可能になる。
RNのジョルダン・バルデラ党首は3日に掲載されたフィガロ紙とのインタビューで、「われわれは絶対多数を確保する」と宣言。「この選挙で敵対するすべての政党が掲げる唯一の目標と野望は、私の勝利を阻止することだ」と苦言を呈した。
同氏は、必要な289議席を獲得するために中道右派の共和党と接触する用意があるという。共和党がマクロン氏や極左の「不屈のフランス」を率いるジャンリュック・メランション氏を含む連立政権に「満足できるはずはない」とみている。エリック・シオッティ氏を筆頭とする一部共和党員は、すでにRNと同盟を結んでいる。
「多数派を拡大する必要があれば、そうするつもりだ」とバルデラ氏は語った。
RNは絶対多数を狙える唯一の政党であり、同党が過半数が確保できなければハングパーラメントとなる。その場合はマクロン大統領が引き続き外交の主導権を握り、内政を担当する首相の人選でも妥協しなければならない。
ルモンド紙によると、左派から132人、マクロン陣営から83人の候補者が、三つ巴と四つ巴の決選投票から離脱した。内務省は水曜遅くに最終集計を発表する予定だ。
候補者調整が「成功したなら、極右の勝利を阻止することが可能だという証拠だ」とアタル仏首相はラジオ局フランス・アンテルに語った。
社会党のオランド前大統領はラジオ局フランスアンフォ・ラジオで、RNが過半数を占めるリスクは「最小化されたが、回避されたわけではない」と警告した。
3日のフランス10年債は小幅上昇。2日は2週間ぶりの好パフォーマンスだった。ドイツ債とのスプレッドはほぼ変わらず。2日には6月13日以来の水準まで縮小した。フランス株の指標のCAC40指数は反発し1%余り上昇している。
アングル:仏選挙の決選投票、左か右か 穏健派に究極の選択 | ロイター
今年80歳になる元教師のデニス・ロレさんにとって、7日にフランスで行われる国民議会(下院)選挙決選投票は、好ましい選択肢が存在しない。
パリ北東部の中間層が集まる小さな町、クレピアンバロワで暮らすロレさんが迫られているのは、マリーヌ・ルペン氏が事実上率いる極右「国民連合(RN)」の候補者か、急きょ結成された左派連合の一角を占める社会党が擁立する候補者かの選択。いずれも絶対的な拒否感があるので「誰に投票したらよいか、率直に言って全く分からない」と困惑する。
RNが政権を握る可能性がある決選投票を前に、フランス全土でロレさんと同じ悩みを抱える穏健派の有権者は多い。
今回の選挙に向けてRNは移民や生活費の問題を重視し、主流の右派政党に衣替えしようと努力してきた。しかし過去に人種差別や反ユダヤ主義との関係があったことから、今も主要政党から「除け者」扱いされている。
6月30日の第1回投票で得票率トップとなったRNだが、決選投票で過半数議席を得て首相を選出し、マクロン大統領との「保革共存政権」を樹立できるかどうかはまだ分からない。
1回目の投票結果を受け、RNの過半数獲得を阻止しようと、反極右票を一本化して「共和戦線」を立ち上げるための選挙協力や候補者調整が進められている。
とはいえ、第1回投票でマクロン氏の与党連合が得票率3位にとどまったことは、同氏による7年間の統治下で有権者の主流政党に対する期待感が失われ、左右両極に支持が流れつつある状況も浮き彫りにした。
穏健的な有権者からすると、妥当な投票先が乏しいことを意味する。
同じクレピアンバロワで隠退生活を送っているシャルル・エデュアエール・パランさんは、自身や知人らは両極の候補者のどちらも選べないため、白票を投じるつもりだと明かした。
クレピアンバロワが属する選挙区は1993年以降、中道右派の共和党が保持してきた地盤で保守色が強い。
その共和党は、左右両極勢力の支持拡大のあおりで党勢が後退。1回目の投票直前には、少数のRN合流組と多数の残留組に分裂し、この選挙区の有権者の票もそうした流れに従った。
<共和戦線が機能するか>
同選挙区からRNの候補者として出馬しているフレデリック・ピエール・ボス氏は第1回投票で得票率42%を得てゆうゆうと勝利。マクロン氏や中道、左派の諸勢力がRNでない候補者への投票を呼びかけているものの、ボス氏は決選投票でも勝利に自信を持っている。
ボス氏の話では、この選挙区で現職の共和党議員だったピエール・バタン氏が決選投票に進めず、左派候補との対決になったことで自分が勝つチャンスが広がったという。
フランス政治が専門の英オックスフォード大学のSudhir Hazareesingh氏は、ボス氏の直感は正しいとみる。左派支持者は総じて極右排除のために中道候補に投票する傾向が強い半面、中道支持者と右派支持者は決選投票でRNに対抗する左派候補に票を入れるのをためらっているとの見方を示した。
元ビジネスマンのパスカル・オダンさん(71)は、第1回投票では「支離滅裂な」極左の当選を阻止するためにRNに投票したと述べ、今は極右にチャンスを与える時期だと主張。「何も壮大な経済政策を望んでいるのではなく、快適な暮らしや生活水準を維持したいだけで、その点で(RNに)賛同できる」と説明した。
クレピアンバロワの選挙区で社会党から出馬したベルトラン・ブラサン氏は、決選投票で勝利する鍵は、左派は嫌いだがRNはもっと嫌いだというマクロン氏の支持者と、残り少ない共和党支持者を取り込めるかどうかだと話す。
ブラサン氏は「多くの有権者にとって私は社会主義者だが、どのような意味でも共和国の社会主義者だ」と訴え、共和戦線が100%機能すれば勝てるが、50%しか機能しないならば敗北が待っていると付け加えた。
米ISM非製造業景況指数、6月は活動縮小示唆-4年ぶり低水準 - Bloomberg
米供給管理協会(ISM)が発表した6月の非製造業総合景況指数は活動縮小を示唆し、4年ぶりの低水準となった。業況感と新規受注の落ち込みが影響した。
非製造業総合景況指数は48.8
前月の53.8から低下
市場予想の中央値は52.7、全ての予想を下回る
50が活動の拡大と縮小の境目
業況指数は11.6ポイント低下と、2020年4月以来の大幅低下。新規受注指数は22年12月以降で初めて縮小圏に落ち込んだ。
前月は総合景況指数が9カ月ぶりの高水準に上昇したが、6月に急反転。経済の最大部分を占めるサービス業の悪化は、景気が息切れしつつあることを示す新たな証左となった。
米ADP民間雇用者数、6月は15万人増に減速-賃金の伸びも鈍化 - Bloomberg
6月の米民間雇用者数は増加ペースが一段と減速したことが、ADPリサーチ・インスティテュートのデータで分かった。賃金の伸びも鈍化し、労働需要が緩やかに冷え込んでいる状況と整合する。
6月の米民間雇用者数は15万人増
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は16万5000人増
5月は15万7000人増(速報値15万2000人増)に上方修正
ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は発表文で「雇用の伸びは堅調だが、広範にわたっていない」と指摘。「娯楽・ホスピタリティー分野での回復がなければ、6月は低調な月となっていただろう」と記した。
ADPの統計は労働市場が緩やかに冷え込みつつあることを改めて示唆している。失業率は5月に4%と、約2年ぶり高水準に上昇した。失業保険の継続受給者数も増加しており、失業した人が仕事を見つけるまでの期間が長引いていることが示唆される。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は2日、労働市場について、労働力需要と供給のバランスが改善の方向へ「大きく」動いたと指摘。雇用市場を引き続き強いと評価しつつ、適切に冷え込みつつあると述べていた。
転職した人の賃金は前年比7.7%上昇と、3カ月連続で伸びが鈍化。同じ職にとどまった人の賃金は前年比4.9%上昇で、2021年半ば以来の小幅な伸びだった。データはADPとスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボが共同で算出した。
6月は天然資源・鉱業と製造業の2業種で雇用が減少。製造業の雇用減は2カ月連続となった。
コスト削減と経済状況の軟化により、企業が人員を減らしている兆候が散見される。再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによれば、企業は6月に4万8786人の削減を発表。新型コロナウイルス禍にあった2020年を除き、6月の数字としては09年以来の多さとなる。
ADPは民間部門従業員2500万人以上の給与データに基づいて調査結果を発表している。
米失業保険の継続受給者数、9週連続で増加-再就職が困難な情勢示唆 - Bloomberg
米失業保険の継続受給者数が9週連続で増え、2018年以来の長期増加局面となった。再就職が難しさを増している状況を示唆する。  
失業保険の継続受給者数(6月22日終了週)は2万6000人増の185万8000人に増加
2021年11月以来の高水準
6月29日終了週の新規失業保険申請件数は前週比4000件増の23万8000件
エコノミスト予想の中央値は23万5000件
前週は23万4000件
速報値は23万3000件
継続受給者数の増加は高金利の重みで景気が減速する中、労働需要がより限られていることを示唆している。また新規失業保険申請件数からは、企業の人員削減が緩やかに拡大していることがうかがわれる。
5日発表される6月の米雇用統計では、非農業者部門雇用者数が19万人増と、前月の27万2000人増から伸びが減速する見通し。
足元では、コスト削減と景気軟化により、企業が人員削減を進めている兆候が散見される。チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、米国を拠点とする雇用主は6月に4万8786人の削減を発表。これは6月の削減数としては、新型コロナウイルスが大流行していた2020年を除くと、2009年以来の高水準。
新規失業保険申請件数は、とりわけ祝日の前後に変動が大きくなる傾向がある。短期的な変動をならした4週間移動平均は23万8500件に増加し、昨年8月以来の高水準となった。
季節調整前の新規失業保険申請件数は約1万3000件増の23万8149件。州別では、ニューヨーク、ニュージャージー、カリフォルニアの伸びが目立った。
米貿易赤字が拡大、2022年以来の大きさ-財輸出の弱さが鮮明に - Bloomberg
英サービスPMI、6月は7カ月ぶり低水準 速報からは上方改定 | ロイター
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのプリンシパルエコノミスト、ジョー・ヘイズ氏によると、英国経済は第2・四半期もプラス成長となる勢いだが、第1・四半期の0.7%より緩やかな伸びになる見通し。
独サービスPMI、6月改定値は53.1に低下 4カ月連続50超え | ロイター
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「サービス部門がドイツ経済を支えている。勢いは若干落ちたものの、サービス業は堅調なペースで拡大している」と述べた。
ユーロ圏総合PMI、6月改定は50.9に大幅低下 サービスなお堅調 | ロイター
ハンブルク商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ユーロ圏の成長は完全にサービス部門に依存している。製造業は6月にかなり落ち込んだが、サービス業は前月とほぼ同様の力強い成長を続けている」と述べた。
仏サービスPMI、6月は選挙控え50割れ 速報からは上方改定 | ロイター
春闘賃上げ率5.10%、33年ぶり高水準 ベアは3.56%=連合最終集計 | ロイター
連合が3日発表した2024年春闘の最終集計によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率は5.10%となった。前年から1.52ポイント上昇し、1991年(5.66%)以来33年ぶりの高水準で着地した。ベア率は3.56%と、集計を開始した2015年以降で最も高かった。
平均賃上げ率の上昇は3年連続。国際的な人材獲得競争や国内の人手不足、インフレ経済への移行などを背景に大手企業が積極的な賃上げを実施し、中小企業でも取り組みが進んだ。
連合は24年春闘方針で「前年を上回る賃上げを目指す」とし、ベア分3%以上、定昇相当分を含めて5%以上の賃上げを目安として掲げていた。
仁平章・総合政策推進局長はこの日の説明会で「一定の結果を出すことができた」と評価しつつ、「働く人の暮らしが本当に良くなったという実感が社会に広がっているのかと言われれば、まだまだそういう人の方が少ない」と指摘。その上で、政府に対して「物価や為替をしっかり安定させて働く者の生活向上につながる環境をつくってほしい」と注文した。
傘下労働組合の要求に対する7月1日午前10時時点の企業側回答をまとめた。「平均賃金方式」で回答を引き出した5284組合の賃上げ額は平均で1万5281円、ベアと定昇を明確に区別できる3639組合のベア分は1万0694円だった。
このうち300人未満の中小組合3816組合のベアと定昇を合わせた賃上げ率は4.45%。前年から1.22ポイント上昇し、92年(5.10%)以来の高水準となった。ベアと定昇を明確に区別できる中小2357組合のベア分は8256円、べア率は3.16%だった。
<実質賃金のプラス転換時期に注目>
前年の春闘で30年ぶりの賃上げ率を達成しながらも、急激な物価上昇に追いつかず、実質賃金は4月まで25カ月連続で前年比マイナスとなっている。家計が景気の回復を実感し、個人消費が持ち直すには実質賃金のプラス転換が必要との指摘が多い。
政府が表明した電気・ガス代料金補助の期間限定再開で物価が押し下げられることもあり、専門家からは「(11月発表の)10月分はかなり高い確率で実質賃金がプラスになるのではないか。日銀も9月、10月にかけて追加利上げしやすい空気感になってくる」(みずほリサーチ&テクノロジーズの主席エコノミスト、河田晧史氏)との見方が出ている。
仏極右、過半数確保できない見通し 7日の総選挙・決選投票=調査 | ロイター
ハリス・インタラクティブの世論調査によると、7日に実施されるフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票で、マリーヌ・ルペン氏が事実上率いる極右「国民連合(RN)」は過半数議席を獲得できない見通し。
世論調査によると、第1回投票で得票率トップとなったRNとその同盟は190─220議席を獲得することが見込まれており、過半数である289議席には届かない。
左派連合「新人民戦線(NFP)」は159─183議席を獲得し、2位に付け、マクロン大統領の中道連合陣営は110ー135議席で3位になると予想されている。
●中東情勢
トルコCPI、予想以上に6月鈍化 財務相「ディスインフレ開始」 | ロイター
●エマージング
バングラデシュ、中国に50億ドル融資要請 外貨準備増強=通信社 | ロイター
中国のレアアース輸出、新規制の施行控え増加へ=政府系調査機関 | ロイター
訂正-ドル流出防ぐために利下げは不可避=韓国大統領 | ロイター
ブラジル中銀総裁が通貨急落にいら立ち、「現実と大きなかい離」 | ロイター
ブラジル中央銀行のカンポス・ネト総裁は2日、通貨急落などが新興国の中で際立ったことに関し、直近の景気データの改善からは「大きなかい離があり、現実と一致していない」と述べ、インフレ鈍化に否定的な市場にいら立ちを示した。欧州中央銀行(ECB)がポルトガルで開いたフォーラムで述べた。
同総裁は、新興国通貨の値崩れが最近起きており、ブラジルが被った打撃はその中で目立ったと指摘。要因について「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)よりも、作り出された数々のノイズに大いに関係があると思う」と述べ、財政と金融の両政策の先行き懸念を要因として挙げた。
ブラジルでは最近、金利先物が急騰(金利先高観の急拡大)した。また、通貨レアルは対ドルで落ち込み、年初来で16%安下落して2022年1月以来の低水準に落ち込んだ。同中銀は6月、政策の先行き不透明感に加え、労働市場の堅調に伴ったサービス価格のインフレへの警戒、食料品価格の上昇圧力を背景に利下げサイクルを一時停止していた。
同総裁は極右のボルソナロ前大統領が任命し、任期は今年12月まで。現職の左派ルラ大統領から最近、批判を受けている。フォーラムでこの点を問われた際には、中央銀行家として政治に深入りするべきではないと答えるにとどめた。
財新・中国サービスPMI、6月は51.2に低下 8カ月ぶり低水準 | ロイター
中国サービス業の民間指標、8カ月ぶり低水準-活動拡大ペース鈍化 - Bloomberg
中国のサービス業活動を測る民間指標が6月に8カ月ぶり低水準となり、活動拡大ペースの鈍化を示した。同国の不動産不況が消費マインドの冷え込みにつながり、景気の先行きに対する懸念が高まっている。
3日発表された6月の財新サービス業購買担当者指数(PMI)は51.2と、前月に記録した10カ月ぶり高水準の54から低下。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想を下回った。PMIは50が活動拡大・縮小の境目となる。
サービス業活動の拡大ペース鈍化により中国経済の先行きへの懸念は強まる可能性がある。同国の住宅市場は政府の支援策が強化されたものの縮小が続いている。また企業景況感と消費者信頼感の低迷でデフレ圧力は衰えていない。
財新サービス業PMIは国家統計局が6月30日に発表した非製造業PMI(50.5)を上回った。財新の調査は統計局と比べてより小規模な企業に重きを置いている。
●プロファイ、インフラ、自然災害
ラニーニャ現象、中南米はハリケーンと干ばつの恐れ 専門家指摘 | ロイター
ブラジル中央銀行のカンポス・ネト総裁は2日、通貨急落などが新興国の中で際立ったことに関し、直近の景気データの改善からは「大きなかい離があり、現実と一致していない」と述べ、インフレ鈍化に否定的な市場にいら立ちを示した。欧州中央銀行(ECB)がポルトガルで開いたフォーラムで述べた。
同総裁は、新興国通貨の値崩れが最近起きており、ブラジルが被った打撃はその中で目立ったと指摘。要因について「ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)よりも、作り出された数々のノイズに大いに関係があると思う」と述べ、財政と金融の両政策の先行き懸念を要因として挙げた。
ブラジルでは最近、金利先物が急騰(金利先高観の急拡大)した。また、通貨レアルは対ドルで落ち込み、年初来で16%安下落して2022年1月以来の低水準に落ち込んだ。同中銀は6月、政策の先行き不透明感に加え、労働市場の堅調に伴ったサービス価格のインフレへの警戒、食料品価格の上昇圧力を背景に利下げサイクルを一時停止していた。
同総裁は極右のボルソナロ前大統領が任命し、任期は今年12月まで。現職の左派ルラ大統領から最近、批判を受けている。フォーラムでこの点を問われた際には、中央銀行家として政治に深入りするべきではないと答えるにとどめた。
いずれの現象も9─12カ月続き、2─7年周期で発生するが、周期は一定していない。
●小ネタ
●市況
NY市場サマリー(3日)円対ドルで38年ぶり安値、S&P・ナスダック最高値 | ロイター
<為替> 円が対ドルで38年ぶりの安値を更新。対ユーロでも過去最安値に沈んだ。円は下落基調にあり、政府・日銀によるドル売り/円買い介入への警戒感が一段と高まっている。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.2%安の105.41。一時、3週間ぶりの安値を付ける場面もあった。
ドル/円は0.1%高の161.64円。一時、1ドル=161.96円と1986年12月以来となる円安・ドル高水準を付けた。
円は対ユーロで0.4%安の174.22円。一時、174.48円まで下落し、最安値を更新した。
<債券> 指標10年債利回りが低下した。製造業や労働市場に関する経済指標が低調で、米経済の減速が示唆された。
指標10年国債利回りは7.7ベーシスポイント(bp)低下の4.359%。30年債利回りは8bp低下の4.529%。
2年債利回りは3.1bp低下の4.708%となった。
この日の米債市場は午後2時までの短縮取引。4日は米独立記念日で休場となり、5日から取引が再開される。
<株式> S&P総合500種とナスダック総合が過去最高値を更新して取引を終えた。この日発表された経済指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)による9月利下げ観測が高まった。
一方、ダウ工業株30種は小幅安となった。
4日は米独立記念日のため休場、この日も短縮取引となった。週を通じて薄商いになると見込まれている
<金先物> 雇用やサービス業関連の軟調な米経済指標の発表を受け、3営業日ぶりに反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比36.00ドル(1.54%)高の1オンス=2369.40ドル。これは6月6日以来、約1カ月ぶりの高値水準。
<米原油先物> 予想を上回る米原油・石油製品在庫の減少を背景に買いが優勢となり、反発した。米国産標準油種WTI8月物の清算値(終値に相当)は前日比1.07ドル(1.29%)高の1バレル=83.88ドルと、中心限月ベースで4月中旬以来、約2カ月半ぶりの高値となった。9月物の清算値は1.11ドル高の83.02ドル。米独立記念日(4日)に伴う休場を控え、商いは薄かった。
欧州市場サマリー(3日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。貴金属株と鉱業株が上昇して相場を押し上げた。市場の関心を集める4日の英総選挙では野党労働党の優勢が伝えられている。
個別銘柄では、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)などの親会社IAGは5.5%上昇。欧州連合(EU)欧州委員会が、ドイツ航空大手ルフトハンザグループのイタリアの航空会社ITAへの出資計画を承認したことを受け、IAGによる同業買収への期待が高まった。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。資源株やテクノロジー株が上昇した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言や米経済指標を受けて9月利下げ観測が強まった。4日に実施される英総選挙、7日のフランス国民議会(下院)総選挙第2回投票が市場の関心を集めている。
フランスのCAC40指数は1.24%上昇。フランスでは決選投票に向け、極右「国民連合(RN)」の過半数議席獲得を阻止しようと政党間で候補者を調整する動きが加速している。AJベルの金融分析責任者、ダニ・ヒューソン氏は「極右の勢いを食い止めるために左派が団結するとの予想から投資家の不安がやや和らいだ。ただフランス議会が機能不全になれば、相場も不安定になるだろう」と指摘した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。6月の米サービス部門指数で急激な減速が示され、米連邦準備理事会(FRB)など他の主要中銀による年内の利下げ観測が高まった。
ドイツ10年債利回りは、6ベーシスポイント(bp)低下の2.549%。ドイツ2年債利回りは、1bp低下の2.899%となった。
ジェフリーズの欧州担当チーフエコノミスト、モヒット・クマール氏はRN党首のマリーヌ・ルペン氏について「この戦略は、ルペン氏が過半数を獲得する可能性を著しく制限するだろう」とし、「極右も極左も極端な政策を推し進めるための議席は確保できないため、このシナリオは市場にとって短期的にはプラスとなるはずだ」と述べた。
終盤の取引で、フランス10年債利回りは8bp低下の3.253%となった。
独仏10年債利回り格差は71bp。一時、6月13日以来の低水準となる67.8bpまで縮小した。
同利回り格差はフランス国民議会選挙の第1回投票後に縮小したものの、マクロン大統領が6月9日に解散総選挙を発表する前より依然として20bp以上高い水準で推移している。


備忘録(2024/7/2
●雑感
●決算
●海外企業
米FDA、イーライリリーのアルツハイマー薬を承認 エーザイに次ぎ2例目 | ロイター
●日本企業
日本生命の顧客情報が漏えい、業務委託先にランサムウェア攻撃 - Bloomberg
インタビュー:日銀利上げ、年度内2回を予想 0.5%程度まで=加藤・みずほ銀行頭取 | ロイター
みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行・ 加藤勝彦頭取は、日銀の金融政策について、今年度中に0.5%程度まで2回利上げする可能性があるとの見方を示した。買い入れを減額する日銀に代わって国債の購入を増やすかどうかについては、市場の動向と資産構成をにらみながら運用に取り組むと話すにとどめた。
日銀は3月にゼロ金利政策の解除を決め、追加利上げの時期とペースが焦点となっている。加藤頭取はロイターとのインタビューで、「年内に0.25%、年度内に0.25%ぐらい」と述べ、来年3月までに計0.5%程度引き上げるとみていることを明らかにした。具体的な利上げのタイミングには言及しなかった。
加藤頭取は、今の日本経済には金利が0.5%程度の成長力があると説明。年度内に0.5%程度というのは、それほど強気の見方ではないないとした。「強く上げてしまうとようやく定着した景気が悪くなる」とし、「あまり拙速に上げることはないと思っている」と語った。
日米の金利差を背景にドル高・円安が進む中、日銀に早期の利上げを望む声が一部で出ていることについては、「総合的な判断が入ってくるかもしれないが、金利政策で(円安是正を)やっていくことはないのではないか」と話した。
日銀が今後買い入れを減額する国債の有力な買い手候補として銀行の動向が焦点となっていることについては、「どのタイミングで、急に増やすということではない」と指摘。運用は「マーケットとポートフォリオを見ながらやっていくことに尽きる」と述べた。
<ブック割れ中堅企業支援を強化>
みずほ銀行は、株価純資産倍率(PBR)1倍割れの中堅上場企業の成長支援を強化している。日本の中堅企業の中には上場後の成長が低迷している企業も多く、加藤頭取はインタビューで「それが結果的にアクティビスト(物言う株主)に株を買われるなどにつながっている」と話した。
上場する対象企業1500社の中から150社を選定し、企業価値向上策などを提案する部隊を7人で立ち上げたが、手ごたえを感じて4月に70名へ拡大。「事業成長支援部」に格上げしたという。
企業からの相談で特に多いのはM&A(合併・買収)に関するもので、関心があっても専門人材の不足などで踏み出すことができなかった事例も多いという。M&Aなど投信銀行関連の案件は、昨年4月の立ち上げから1年で約2割増えた。
加藤頭取は「これまでは企業価値向上に着意が無くても許されていたが、東証の改革や経済が回り始めたことで、環境が一気に整ってきた」と語った。機関投資家の視線が厳しさを増している上、物価上昇によるコスト高が企業に事業構造の見直しを促しているという。
債務者区分の要注意先や赤字企業の再生にも力を入れており、加藤頭取は注力先を24年度に従来の100社から300社に広げる方針を明らかにした。「経済が動き出し、資金繰り倒産よりも人が足りないことの方が問題になっている」と説明。過去10―20年は銀行があまり取り組んでこなかった分野で、若手行員に企業再生のノウハウを継承していくのも狙いの1つと語った。
住友生命、30年債金利は最大2.5%まで上昇も-超長期債投資は控え目 - Bloomberg
住友生命保険の増田光男運用企画部長は、30年債利回りは2024年度内に最大2.5%まで上昇することもあり得るとして、現在はまだ集中的に投資する金利水準には達していないとの見方を示した。
増田氏は2日のインタビューで、主な投資対象である30年債利回りの年度内の上限を2.4%と予想。「最大2.5%ぐらいまではあり得る」として、4月の運用方針説明会で示していた2.2%から上方修正した。
30年債利回りは6月27日に一時2.29%と11年以来の高水準となった。日本銀行の7月の金融政策決定会合を控え、国債買い入れ減額の規模や利上げの有無を巡る不透明感が強く、国内金利に上昇圧力がかかっている。有力な買い手と期待される生命保険会社も金利先高観から様子見姿勢を続けており、金利のピーク感は出ていない。
増田氏は、日銀の利上げ時期は9月ないし10月とみているが、国債買い入れ減額計画の公表と合わせて「7月に利上げする可能性も全くないとは言い切れない」と語る。日銀は来年の春闘などを見ながら今後の利上げを模索していくと予想しており、「中長期的に利上げが継続して行われるとの見方が市場に浸透していけば、金利上昇圧力が強まる可能性がある」と話した。
30年債利回りについても「ここで上げ止まるというよりは、むしろさらに上昇する可能性がある」として、現時点では「集中的に超長期債の買い入れを行う水準ではないと判断している」と述べた。
円相場は4月時点で1ドル=160円までの下落を想定していたが、165円と円安方向に見直した。米国の利下げが始まるまでドル高・円安圧力は弱まりにくいと指摘。為替介入があればスピードは緩やかになるものの、円安圧力は年後半から年明けぐらいまでくすぶり続けるとみて、外債投資は引き続き「慎重なスタンスで臨んでいる」とした。
日銀が7月会合で明らかにする国債買い入れ減額の具体案については、日銀は長期金利の水準は市場に委ねるというスタンスのため、超長期債ゾーンもある程度、減らしていく方向だとみている。
外債からシフトも
買い手不足もあり超長期金利の上昇が続いていることから、財務省が年度内にも超長期債の発行減額に踏み切るのではないかとの期待が市場の一部で浮上している。
増田氏は、25年度の新資本規制に対応するための保有資産のデュレーション(年限)長期化にめどが立ったため、生保各社はもう超長期債を買わないのではないかという議論もあるとした上で、「金利が上がり、リスクリターン面で投資妙味があれば、例えばヘッジ付き外貨建て資産からシフトすることも十分あり得る」と言明。発行額は維持することが望ましいとの考えを示した。
●米大統領選挙
トランプ氏「口止め料」裁判、量刑言い渡しを9月18日に延期 - Bloomberg
バイデン氏「大統領選撤退」を、民主支持者の約3割=ロイター/イプソス調査 | ロイター
バイデン氏に代わる可能性のある候補の中で、トランプ氏をリードできる見通しが示されたのはオバマ元大統領の妻、ミシェル・オバマ氏のみ。トランプ氏を50%対39%でリードした。ただ、ミシェル・オバマ氏は大統領選に出馬するつもりはないと繰り返し述べている。
ハリス副大統領がバイデン氏に代わって候補になった場合、42%対43%でトランプ氏がリード。ただ、1%ポイントの差は世論調査の誤差の範囲内(3.5%ポイント)で、統計的にはハリス氏の支持率はバイデン氏と同等に強い。
民主党のホープで、将来的に大統領選への立候補が予想されているカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は39%対42%でトランプ氏に後れを取った。
一部の民主党献金者が有力候補と見なすケンタッキー州のアンディ・べシア知事については、民主党支持者の約70%が名前を聞いたこともないと回答。36%対40%でトランプ氏に後れを取った。
ベシア氏は共和党が圧倒的に優勢なケンタッキー州で知事選に勝利。比較的無名にもかかわらず、トランプ氏との差がわずかにとどまったことは、民主党支持者がいかにトランプ氏に強く反対しているかを物語っている。
ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事は36%対41%、イリノイ州のプリツカー知事は34%対40%でそれぞれトランプ氏の後塵を拝した。
●先進国中銀、金融当局
パウエルFRB議長、最新データはインフレ鈍化の再開を示唆 - Bloomberg
シカゴ連銀総裁、当局者は利下げに備える必要-インフレ減速続けば - Bloomberg
ECB、年内に「あと数回」の追加利下げへ-ポルトガル中銀総裁 - Bloomberg
神田財務官、金利一段高で国債格付け動向に注意-私的懇談会で報告書 - Bloomberg
神田真人財務官は2日、自身の私的懇談会での議論を取りまとめた。報告書の公表に際し、報道各社の取材に対して、今後、長期金利が一段と上昇する可能性があるとし、日本国債について「気をつけなければいけないのは格付けだ」との見解を示した。
神田財務官は、財政危機に直面したギリシャやポルトガルを例に挙げ、「いったん格下げが始まるとものすごく動きが速い」と指摘。ひとたび変調をきたせば投資適格を失う動きに拍車がかかると語った。
報告書では、日本国債は「直ちに格下げが生じる状況にはないと思われる」と記している。ただ、こうした状況に備えて財政を強靭(きょうじん)化する必要性を訴えた。
赤字基調の貿易収支など日本経済が抱える課題に対する処方箋として、生産性の向上、人的資本への投資、国内投資の促進、財政健全化の四つの柱を指摘。日本が化石燃料依存から脱却するための技術活用では、「再エネの拡大や安全確保を大前提にした原発の再稼働を進めることが喫緊の課題」とした。
懇談会は神田財務官が3月に立ち上げたもので、大学教授や金融機関の専門家20人で構成。貿易収支の基調変化や海外ネットサービスの利用増に伴う「デジタル赤字」の拡大などを踏まえ、課題克服に向けた政策の在り方を議論してきた。現職の財務官が懇談会を主催して政策の改善策を示すのは珍しい。
為替相場では円安傾向が続いているが、神田財務官は今回の議論は為替とは切り離したものだとした上で、足元の動きは「投機で動いている部分が大きい」との認識を示した。
ラガルド総裁、ECBは債券市場を「注視」-仏選挙への言及は避ける - Bloomberg
●先進国、グローバル、金融市場
積水ハウスが大型劣後債、日本企業の円債発行は記録的ペース - Bloomberg
積水ハウスは2日、大型劣後債の発行条件を決定した。日本銀行が追加利上げに踏み切るとの観測が広がる中、国内市場では企業による社債発行が記録的なペースとなっている。
積水ハウスは2本立てで総額2000億円の劣後債を起債した。調達資金は1月に発表した米M.D.C.ホールディングスの買収に伴う借入金の一部返済に充てる予定だ。
日銀の金融政策正常化に伴う金利の先高観から、企業は金利が上昇する前に資金を確保しようと動いている。武田薬品工業と日本製鉄は6月にハイブリッド債を発行。ブルームバーグのデータによると、国内企業の2024年上半期の社債発行額は、同期間として過去最高の総額約7兆8000億円に達した。
積水ハウスが起債した劣後債のうち、最終償還年限が40年で発行から10年後に期限前償還が可能になる40年NC10債の国債スプレッド(上乗せ金利)は145ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。これは、日本の大手格付け会社2社のうち、格付投資情報センター (R&I)の信用格付けが同社よりやや劣る日本製鉄が先月起債した同年限の劣後債の137bpを上回る。
今回の起債は日銀の金融政策を巡る不透明感が強い中で行われた。主幹事の一つ、大和証券は、先月の武田薬品と日鉄の大型案件もあり、ハイブリッド社債市場の需給の緩みが懸念される中での起債だったと話した。
フランス主流派、極右の絶対多数阻止に奔走-候補調整期限迫る - Bloomberg
フランス国民議会(下院)選挙の決選投票を7日に控え、マクロン大統領の中道連合と左派の新人民戦線は、極右の国民連合(RN)の絶対多数獲得を阻止するため戦術的な候補者調整に奔走している。
候補者の届け出は2日午後6時に締め切られる。仏紙ルモンドによれば、これまでに左派から123人、マクロン氏陣営から64人を含む190人が辞退を決めた。
6月30日の第1回投票では、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いるRNとその同盟勢力が33.2%の票を獲得し、得票率首位となった。左派連合の新人民戦線は28%、マクロン大統領の与党連合は20.8%だった。
第1回投票の結果、577選挙区の半数以上で3人が決選投票に進むことになった。このような場合、3位の候補者は、他の主流政党がRNの候補を破る可能性を高めるために、辞退することもできる。
中道派のアタル首相と極右RNのジョルダン・バルデラ党首は1日、仏テレビTF1のインタビューにそれぞれ応じ、支持を求めた。
絶対多数の議席獲得を目指すバルデラ氏は、7日の決選投票でRNの候補者を支持するよう呼びかけ、「過激主義や急進主義を受け入れない穏健な左派有権者」にまでも訴えかけた。一方のアタル氏は、極右勢力の過半数議席獲得を阻止するため、全勢力が力を結集するよう訴えた。
アタル氏は右派、左派を含む政党を団結させ、「法案ごとに」是々非々で立法に取り組む「多元的な国民議会」を呼びかけた。同氏は「われわれは異なる政治を行う必要がある。仏国民と投票結果のメッセージを受け止めたということだ」と述べた。
各政党は決選投票で最大のチャンスを得ようと、激しい駆け引きをしている。マクロン氏は辞任の意向はないとしており、大統領の立場が危ぶまれているわけではない。とはいえ、決選投票の結果次第では、マクロン氏はルペン氏の勢力と共存するか、基本的に膠着(こうちゃく)状態の議会に対処するかを選ばなければならない。
RNが絶対多数を占めれば、バルデラ氏が首相に指名され、同党は法案を容易に可決できるようになる。歴史的に、仏政界主流派は、極右を政権から締め出すために結束してきた。
RNとその同盟勢力が過半数を占めるには、289議席が必要となる。極右勢力の候補は577選挙区中485選挙区で勝利または決選投票に進出した。仏ラジオ局フランス・アンフォによると、極右勢力の候補者はこのうち297の選挙区で、得票率1位または当選を決めた。
TF1に出演した新人民戦線のリーダー、ラファエル・グリュックスマン氏は、党派を超えた政権を支持するかどうかについては明言を避けた。ただ、アタル氏の呼びかけには賛同し、RNの絶対多数獲得阻止に向け全力を尽くすよう有権者と政治家に求めた。グリュックスマン氏は今回の選挙を、フランス人が極右政権を望むかどうかの「国民投票」だと表現した。
TF1は、極右勢力への合流をめぐって分裂している中道右派・共和党のグザビエ・ベルトラン氏にもインタビューした。ベルトラン氏は極右との取引に反対を繰り返す一方、マクロン、アタル両氏への支持も固辞している。
マクロン氏の与党「再生(RE)」は、「共和国の価値観」を尊重する政党が極右勢力に勝利するのを支援するため、第1回で3位だった候補者の立候補を取り下げるとしている。ただ、新人民戦線連合の一角である急進左派「不屈のフランス」は、欧州連合(EU)の予算規則を無視するような支出を提案しており、投資家を不安に陥れる可能性がある。
このため、極左が有利になるような選挙区で与党勢力の候補が撤退するかはわからない。アタル氏は1日、ケースバイケースで検討すると述べた。
ルメール仏経済・財務相は2日、仏紙フィガロとのインタビューで、極左政党である不屈のフランスを支持しないとあらためて表明。「不屈のフランスの価値観でRNと闘うことはしない」と述べた。
ルペン氏は2日のラジオインタビューで、われわれの「政権は完全で、有能なものになるだろう」と述べた。「政権はRNの人々、第1ラウンドの選挙戦に私たちとともに参加した人々で構成されるだろう」と語った。
ユーロ圏インフレ率、6月は2.5%に-目標値への低下軌道を示唆 - Bloomberg
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が2日発表した6月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比2.5%上昇、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値に一致した。前月は同2.6%上昇だった。食品やエネルギーなど変動の激しい項目を除くコアインフレ率は2.9%で前月と変わらず。市場予想では2.8%への減速が見込まれていた。
ECBは6月に0.25ポイントの利下げを実施。政策当局者は、追加利下げに踏み切れるほど域内のインフレは減速しているかどうかを見極めている。年次フォーラムのためポルトガルのシントラを訪問しているラガルド総裁やチーフエコノミスト、レーン理事はインフレの脅威が過ぎ去ったことを示す確定的な証拠はまだないとの見方を示した。
ラガルド氏は「十分なデータを収集し、インフレが目標値を上回るリスクは過ぎたと確信できるには時間がかかるだろう」と語った。
米求人件数、5月は814万件に増加-市場予想794.6万件 - Bloomberg
英小売店頭価格の上昇率、ゼロ近くに低下-2021年10月以来の低水準 - Bloomberg
英国の小売物価上昇率が2021年10月以来初めてゼロに近づいた。英小売協会(BRC)が1日発表した6月の小売店頭価格の上昇率は前年同月比0.2%と、5月の同0.6%から低下した。家計への圧力が緩和していることを示す新たな兆候となった。
テレビなどの一般商品の大幅値引きと、食品価格の伸びが継続的に鈍化したことが一因とみられる。食品価格の前年同月比の上昇率は2.5%と、5月の3.2%から低下した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に記録的高騰となった食品価格上昇率は、バターやコーヒーなどの主要食料品価格の下落に助けられ、21年12月以来の低水準となった。
英食料・雑貨小売り最大手のテスコは6月、食料品価格のインフレが緩和されるにつれ、消費者は店舗やオンラインでより多くの買い物をしているとした。ケン・マーフィー最高経営責任者(CEO)は当時、「消費者心理の緩やかな改善が続いている」と述べ、年末までの同社の基本シナリオではインフレ率が一桁台と非常に低い水準を見込んでいると説明した。
今週4日に総選挙(下院選)の投開票を控えているスナク英首相は6月すでに、英国の物価上昇率がイングランド銀行(英中央銀行)の目標である2%をほぼ3年ぶりに達成したとして、家計圧迫の最悪期は脱したと宣言している。
ドイツとポーランド、防衛協力強化を協議へ ロシアの脅威に対応 | ロイター
ドイツ、ポーランド両国は2日、ロシアの脅威に対応するため、防衛協力の強化について協議することで合意した。共同行動計画で明らかにした。
北大西洋条約機構(NATO)のプレゼンスを東方前線で強化することや対ウクライナ支援での協調について協議する。
共同行動計画は「大西洋両側の政治的結束と、東方前線を含む欧州での北米同盟国の最適な軍事プレゼンスの実現を目指す」と表明。レオパルト2戦車の修理・メンテナンスなど、ウクライナに軍事支援を提供するため、政府レベルで協力を深める方針も示した。
ポーランドはドイツが主導する欧州の共同防空構想「欧州スカイシールド・イニシアチブ」への参加も検討する。
ドイツのショルツ首相は2日、ワルシャワを訪問。ポーランドのトゥスク首相と会談するほか、2018年以来初となる両国の閣僚による政府間協議に参加する。
オランダ新政権発足、首相に官僚 極右ウィルダース氏の影響大 | ロイター
紅海の混乱、第3四半期も続く見通し=海運マースク | ロイター
紅海経由のコンテナ輸送を巡る混乱が第3・四半期も続くとし、輸送業者や企業にとって厳しい状況になるという見解を示した。
マースクなどの海運会社はイエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶への攻撃を回避するため、昨年12月以降、アフリカの喜望峰を回る迂回ルートを取っており、長距離航行により運賃が押し上げられている。
マースクは最近行われた顧客とのオンラインイベントでのビンセント・クラーク最高経営責任者(CEO)のコメントを引用し、「この状況が長引けば長引くほど、われわれのコストはより深く浸透していくだろう」と指摘。
「コストをどれだけの期間、どの程度回収できるかはまだ正確には分からない。現在の高い運賃は一時的なものだ」と述べた。
米・仏など主要経済国、債務水準上昇の抑制困難=S&P | ロイター
大手格付け会社S&Pグローバルは2日、米国やフランスなどの主要経済国が今後数年間に債務水準の上昇を抑制する可能性は低いと警告した。
S&Pグローバルは報告書で、米国、イタリア、フランスが債務を安定させるには基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の国内総生産(GDP)比が累計で2%ポイント以上改善する必要があると推定しているが「今後3年間でそれが実現する可能性は低い」と分析。
「われわれの見解では、選挙サイクルの現段階において主要7カ国(G7)の各国政府がより断固とした財政再建を実施するのは、借り入れ条件が著しく悪化した場合だけだろう」と述べた。
狭まるフランスの選択肢、極右内閣か議会こう着か-視界不良の時代へ - Bloomberg
フランス国民議会(下院)選挙の第1回投票の結果を受け、今後のシナリオは2つに狭まった。いずれも投資家にとっては不透明性の長期化を示唆する。
現時点で議会過半数を狙える位置にあるのは、第1回投票で得票率首位に立ったマリーヌ・ルペン氏の極右政党、国民連合(RN)とその協力政党だけだ。従って、一つのシナリオは極右が支配する新政府の誕生だ。
もう一つは、今週見られている競合政党の候補者調整や選挙協定が奏功し、RNの過半数獲得を阻む展開だ。その場合、RNが議会内の最大勢力を占めるが、どの政党も過半数を獲得できないハングパーラメントとなる。
残ったシナリオは2つとも、政府の安定性や政策、欧州全体への影響で中期的な見通しが不透明だ。1日の市場の反応はそれを物語る。フランス株とユーロは上昇、フランス債とドイツ債のスプレッドは縮小したが、投資家の疑念が戻り上げ幅は縮小した。
ユニオン・インベストメントのポートフォリオマネジャー、ギュンター・ウェルター氏(フランクフルト在勤)は「1つ明らかなことがある。政治の力学は主流派から非主流派に移りつつある」と指摘。「統治はもっと難しくなる。RNが過半数を握っても、過半数に届く勢力がなくてもだ」と語った。
定数577のフランス下院で過半数を握るには、289議席が必要だ。調査会社が予測したRNの獲得議席数は最低が230、最高が305だった。以下、最もあり得る2つのシナリオと想定される市場の反応について分析した。
1.ハングパーラメント
このシナリオの下では、RNが大差で議会の最大勢力になるとしても、バルデラ党首は公約通り少数内閣の首相就任を拒否する。
そこでまず問われるのは、マクロン大統領が誰を首相に指名するかだ。政党に属していないテクノクラートの指名は選択肢の一つになる。だが、そのような人物の指名が可能だとしても、反エリートを掲げる勢力が台頭する議会で指導力を発揮するのは難しいだろう。
中道左派の穏健派など政治的な人物を首相に選んでも、急場しのぎの中道連合の分裂や内閣不信任のリスクになおさらされやすい。
マクロン氏は自らの企業寄りの改革を進めにくくなる。近く退陣する政府はすでに6月30日遅く、失業手当の改革実施を阻止し、マクロン氏がレームダック化しつつある兆しを示した。
フランスの財政赤字は国内総生産(GDP)比5.5%と欧州連合(EU)基準の3%を優に上回り、選挙前から財政政策は投資家に懸念されていた。予算案は常に内閣不信任投票を引き起こしがちな火種で、マクロン氏の現内閣が計画し、左派がこぞって反対する歳出削減は阻まれそうだ。
債券:ハングパーラメントの場合、フランス債とドイツ債のスプレッドは60-65ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に縮小するとジェフリーズは予想。だが、財政面の課題が理由で、選挙前の40-50bpに戻る可能性は低いとみる
株式;債券のスプレッド縮小で、過去3週間に大きく売られた銘柄は反発する公算が大きい。債券利回りへの感応度が高い銀行株が大きく動きそうだ
2.苦い「コアビタシオン」
  RNとその協力政党が十分な大勝を収め過半数を確保する場合には、いわゆる「コアビタシオン(共存政権)」となる。大統領が国防と外交政策を担うが、内政や経済問題は極右が支配する。こうした形は以前にも起きたが、前回は20年以上も前で、政治的な立場がこれほど違う政敵同士の組み合わせは過去に例がない。
マクロン氏は2027年までの任期を全うする考えを示しているが、RN党員らはコアビタビシオンになるならマクロン氏は辞任すべきだと主張している。大統領は議会を解散させることもできるが、前回解散から1年は間を置かなければならない。
過半数確保なら政府はより安定するが、政策見通しはいっそう予測が難しくなる。
バルデラ氏は保守寄りの有権者を安心させようと、ルペン氏が2022年の選挙期間中に打ち上げた大規模な支出の公約を縮小した。それでもRNは依然として公約の柱に掲げる燃料・エネルギーの売上税減税の実現に取り組まなければならない。同党の試算によると、この政策は通年で120億ユーロ(約2兆800億円)のコストが見込まれるが、資金の手当ては難しいだろう。
予算協議は市場の大きな注目を集める見通し。RNは現内閣が描く財政軌道を堅持すると約束しているが、選挙公約をほごにすることなしに必要な歳出削減と増税を行うのは困難だ。ルペン氏は過去に反EUの姿勢を打ち出していたこともあり、EUとの関係もぎくしゃくしそうだ。
債券:RN政府が誕生し、財政規則を巡ってEUと衝突する最悪のシナリオでは、フランス債とドイツ債のスプレッドは最大130bpまで広がるとUBSは予想
株式:少なくとも一時的にフランスと欧州の株式には不透明性が広がり、新政府の政策を見極めようと投資家は様子見姿勢を取るだろう。フランス株は先週の安値を再び試し、フランス市場はアンダーパフォームする可能性
仏下院決選投票、極右の過半数獲得阻止に向け候補者調整が加速 | ロイター
フランスで7日に行われる国民議会(下院)選挙の決選投票に向け、第1回投票で得票率トップとなった極右「国民連合(RN)」の過半数議席獲得を阻止しようと、有力政党の間で候補者を調整する動きが加速している。
地元メディアの見積もりによると、候補者登録の締め切り直前の段階で、既に200人余りの候補者が、第1回投票で得票率がより上だった別の候補者がRNに対して優勢に戦えるよう、選挙から撤退する意向を固めたもようだ。
こうした選挙協力が行われる前の時点でも、RNが過半数の289議席を得られるかどうかは不透明だった。
ただ左派の社会党に属するイダルゴ・パリ市長は「(RNとの)対決はまだ終わっていない。われわれは持てる力の全てを動員しなければならない」と訴え、反RN勢力の結集を改めて呼びかけた。
マクロン大統領が率いる与党連合内には当初、反RN票一本化のために第1回投票で劣勢だった自陣営の候補者を取り下げ、極左「不屈のフランス(LFI)」の候補者に選挙区を譲ることには困惑も見られた。
それでもマクロン氏は1日に開いた非公開の閣僚会合で、最優先はRNの政権獲得を食い止めることで、必要ならLFIの候補者支持もあり得るとの姿勢を示した。
世論調査によると、第1回投票で中道右派勢力を選んだ有権者の過半数は、決選投票ではRNに勝てそうなLFI以外の左派候補には票を入れると答えている。
一方、RNを実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏は2日、決選投票で過半数を確保できなければ政権樹立するつもりはないとの従来の考えを繰り返すとともに、RN単独で過半数に届かない場合でも、連携勢力と組んで多数派を形成する可能性には含みを残した。
アングル:政権奪還確実な英労働党、成長の障壁撤廃に向けEUと再協議へ | ロイター
7月4日の英総選挙で14年ぶりに政権を奪還することが確実な野党労働党のスターマー党首は、すぐに英国の欧州連合(EU)離脱で残された課題に向き合わなければならない。
スターマー氏に求められているのは英国の経済成長を上向かせる仕事だが、その実現にはブレグジット(英のEU離脱)に伴って設けられた幾つかの障壁を取り除く必要がある、というのがビジネス界の見解。つまり英政府として、EUとの持続的な協議再開につながる公算が大きい。
英国は2020年1月、当時の与党保守党を率いたジョンソン首相の下で最終的にEUから離脱。労働党も、EU単一市場や関税同盟への再加盟は否定している。
ただ労働党の主張では、EUとの間に存在する貿易上の障壁を撤廃し、特にコスト増と書類手続きの負担に苦しむ国内の中小企業を支援することはできるという。
労働党の「スターマー内閣」で民間企業相への就任が予定されているジョナサン・レイノルズ氏は、同党は「古傷を再びえぐる」ことはしたくないと話す。
しかし英商工会議所主催のイベントで「われわれが(EUと)より良い合意に到達する必要があるのは明らかで、達成可能な改善項目は存在する」と強調した。同会議所はこれまで、EUとの「薄氷を踏むような」関係性に終止符を打つべきだと与野党に訴えてきた。
英監査法人メンジーズの調査によると、英国企業の3社に1社はジョンソン氏が合意した離脱協定の修正に向けた協議を要望し、次期政権に単一市場再加盟を求める割合と、現在の離脱協定がもたらした障壁が国際事業展開の足かせになっているとみなす割合はともに20%に達した。
<高いハードル>
労働党が早期に実行するとしている約束の一つは、動物性製品の国境検査手続き簡素化につながるEUとの新たな合意締結だ。これらの手続きは英国の農家や輸入業者にとって厄介な問題となっている。また特定の専門資格の相互承認や、アーティストのツアーに関する規制緩和などをも目指す。
同党によると、これらは正式な離脱協定の見直し交渉なしで比較的簡単に実現できる項目だ。
ただEUのある関係者は、そうした小さな問題でも英国は厳しい選択を迫られると警告する。
例えば動物性製品の検査簡素化で合意するなら、英国はEU司法裁判所を通じて紛争解決策を提示しなければならず、これはブレグジット推進派が英国の主権侵害とみなして忌み嫌う措置となる。
この関係者は「同志国や友好国、同盟国とは協力したいと誰もが思う。しかし加盟国と同じメリットを付与するという考えはハードルがいささか高くなる」と指摘した。
シンクタンク、チェンジング・ヨーロッパのアナンド・メンソン氏は、英国と何年も衝突してきたEUが再協議にどれだけ熱意を持っているのか、労働党は見誤っているかもしれないと語る。
EUは既に懸案を多数抱えているし、英国が食品などの技術的問題改善を望んでいるのに対して、話題にしたがっているのは若者を中心とする人の移動の問題、すなわち域内の市民が英国でより簡単に暮らし、働けるようにすることだ、とメンソン氏は説明した。
このため「形式的には大々的な変更があっても、実質的には些細な修正にとどまると思う」という。
保守党は、労働党が英国を再びEU司法裁判所の管轄下に置くことで「ブレグジットの巻き戻し」を図っていると主張。スナク首相は今週の討論会で、労働党がEUとの新たな合意に基づいて人の移動の自由を受け入れようと計画していると批判し、スターマー氏がEUとの合意が移民増加をもたらすとの見方を否定する場面もあった。
労働党のレイノルズ氏は、EUにもメリットを提供して貿易環境の改善を進めたい考えを披露した上で「必ずしも簡単ではないが、達成を見込める交渉や手続きというものが存在する」と訴えた。
●中東情勢
サウジ政府系ファンド、23年は大幅黒字転換 368億ドル | ロイター
サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は1日、規制当局に提出した2023年決算で損益が1381億リアル(368億1000万ドル)の黒字に大きく転換したことを明らかにした。前年は156億ドルの赤字だった。
総収入は前年比2倍以上の883億ドルに急増した。前年は440億ドルにとどまっていた。配当の受け取りが増加したことに加え、銀行や通信、ゲームといった業種への投資と投資に分類されない事業活動がいずれも改善したことが要因。
PIFは同国の実権を握るムハンマド皇太子が事実上けん引する。中東湾岸諸国の経済を石油依存から脱却させるためのファンドで、運用資産は約9250億ドルに上る。長期計画「ビジョン2030」では同国はPIFを通じて紅海沿岸に大規模な都市と産業開発拠点「NEOM(ネオム)」を建設するプロジェクトを進めている。
●エマージング
中国とオーストラリア、太平洋諸島にインフラ寄贈 影響力競う | ロイター
中国がバヌアツに大統領官邸を贈る一方、オーストラリアとニュージーランドは隣国ソロモン諸島に5500万豪ドル(3655万米ドル)を投じて飛行場を建設するなど、太平洋諸島での影響力争いが激化している。
ニュージーランドのピーターズ外相は2日、飛行場を引き渡す式典に出席するためにソロモン諸島を訪れた。
ソロモン諸島のマネレ首相は先週、就任後初の外遊でオーストラリアを訪問した。近く中国を訪れる予定。ソロモン諸島は中国、オーストラリアと安全保障上のつながりがあるが、新政権は安全保障体制を見直していると語った。
中国人民政治協商会議(政協)の胡春華副主席は1日、バヌアツの首都ポートビラで、中国が建設した大統領府、財務省、外務省の建物の引き渡す式典に参加した。
オーストラリアの外交代表部によると、オーストラリアからバヌアツ警察に寄贈された海上監視強化のための船舶一隻が今週ポートビラに到着した。
中国外務省の毛寧報道官は2日の定例記者会見で、「中国はバヌアツやソロモン諸島を含む太平洋諸島諸国との友好協力関係の発展に尽力している」と述べた。
●プロファイ、インフラ、自然災害
アングル:豪、NZの住宅市場に気候変動リスク 保険加入も困難に | ロイター
オーストラリア東部の街リズモアでアンティーク店を営むアダム・ベイリーさんは2年前、この街を襲った大洪水によって貴重な歴史的コレクションを全て失った。
今では、夜に雨が降ると眠れなくなる。近所に新設した店舗と商品に保険をかけようとすれば8万豪ドル(約860万円)近くを保険料として支払う必要があるが、そんなお金はない。
2年前のこの洪水により、人口4万4千人のリズモアの街では、低地にある不動産の価格が30%も下がり、被害地域の住宅や企業は保険加入が難しくなった。オーストラリア全体の不動産市場は現在活況を呈しているが、気候変動に関連した災害のリスクは高まっている。
オーストラリアとニュージーランドの住宅購入者は、水辺や自然の近くで暮らしたい、あるいはより良い物件に買い換えたいとしか考えておらず、気候変動のリスクを勘案していないと政策立案者、研究者、不動産専門家らは警告を発している。
気候変動リスクの専門家企業XDIがロイターに提供したデータによると、オーストラリアの住宅市場は自然災害によって2030年までに約8000億豪ドル、総額の約6.7%を失う可能性がある。
クライメート・シグマ社の調査によると、ニュージーランドでは約20%の住宅が氾濫原に位置している。
XDIの科学技術ディレクター、カール・マロン氏は「このような災害に見舞われるとビジネスに、そしてより広い経済に影響が及ぶ」と警鐘を鳴らした。
不動産における気候変動リスクは世界中で高まっているが、特にオーストラリアとニュージーランドは住宅への執着が強い国だ。このため住宅価格は過去最高に達し、個人の資産が水路や海岸線近くの広大な住宅に投入され、経済、銀行、人々への脅威が拡大している。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、オーストラリア人の不動産資産額は米ドル・ベースで2番目に大きく、ニュージーランドも平均を上回っている。
今のところ、気候変動リスクによって住宅経済がシステミックな問題を抱える兆しはほとんど見られない。しかしリズモアのように苦境に立たされるケースが出始めている。
ニュージーランドでは、同国屈指のワイナリーがある地域に近い海岸沿いの街、ハウモアナが浸水被害を最初に受けた地域のひとつだ。
またオーストラリアの不動産サイト、ドメインの調査によると、山火事の危険度ランクが1段階上がるごとに住宅の価値は2%下がり、水位50センチの洪水の可能性が1%ポイント上がるごとに0.8%下落する。
<保険加入の難しさ>
気候変動リスクに対する保険料は、一部の住宅所有者が払いきれないほど高くなっていると業界の専門家は言う。
現在進行中の政府の調査によると、保険最大手アリアンツ・オーストラリアは、洪水危険度ランキングが最も高い地域に住む顧客の約74%が昨年、洪水保険に加入せず、前年の63%からその割合が増えたことを明らかにした。リズモア一帯など、危険度が高いのに90%が洪水保険に加入していない地域もあるという。
気候評議会(オーストラリア)は、2030年までに同国の不動産の4%が保険に加入できなくなると予想している。今年第1・四半期には保険料が16.4%も上昇した。
ニュージーランドでは2023年の大洪水後、1000件前後の物件が保険に加入できず、当局に買い取られた。
ニュージーランド準備銀行(中央銀行)のケリー・ワット金融安定性評価・戦略担当局長は、気候変動リスクの増大と建設コストの高騰により、保険料は過去10年間で倍増したと指摘。「人々には、購入しようとする不動産の具体的なリスクについて、これからはもっと注意を払うようにして欲しい」と語った。
<リスク冒す投資家>
自然災害リスクによる不動産価格への影響を定量化することは、他の要因、主に需要と住宅ローン金利も絡むため困難だ。
不動産コンサルタント、コアロジック社のデータによると、オーストラリアでは洪水が起こりやすい地域や沿岸部のほとんどの市場で、住宅価格が以前のピークを回復している。モーゲージブローカーによれば、リズモアでさえ、裕福な投資家が大幅に値引きした価格で物件を買い占めている。
リスクを冒してでも水辺に住みたいという住宅購入者もいる。
「ウォータースポーツとボートが好きだ」と言う不動産投資家のジャック・ヘンダーソンさんは、シドニーの川沿いに別荘を設ける計画が2022年の記録的洪水でつぶれた。だが「文字通り水辺の物件が欲しければ、残念ながら洪水は避けようがない」と、あくまでも前向きだ。
●小ネタ
CFA証券アナリスト試験、レベル2合格率は59%-98年以来の高水準 - Bloomberg
●市況
NY市場サマリー(2日)利回り低下、ドル小幅安・株上昇 | ロイター
<為替> 薄商いで相場が不安定な展開となる中、ドルが小幅下落。米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長の幾分ハト派的な発言を受け、年内利下げの観測が高まった。
ドル/円は横ばいの161.48ドル。日米の金利差拡大が意識される中、一時161.745円と約38年ぶりの高値を付ける場面もあった。
円は対ユーロでも、前日に付けた最安値の173.67円を小幅下回る水準で推移。キャリートレードに依然妙味が残る中、円は豪ドルに対しても33年ぶりの安値近辺となった。
<債券> 指標10年債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長による発言を受けた。
指標10年債利回りは3.7ベーシスポイント(bp)低下の4.442%。30年債利回りは2.7bp低下の4.616%。
2年債利回りは3.1bp低下の4.471%。
2・10年債の利回り格差はマイナス30.1bp。一時マイナス27.8bpとマイナス幅は5月上旬以降で最小の水準に接近した。
<株式> 主要株価3指数が軒並み上昇。電気自動車(EV)大手テスラや大型グロース株の上昇が主導した。ただ、週内に独立記念日の祝日と米雇用統計の発表を控え、薄商いとなった。
米国債利回りが低下する中、アップル、アマゾン・ドット・コム、アルファベットといった大型グロース株も買われた。
3日は短縮取引、4日は祝日で終日休場となるため、今週は薄商いになる見込み。
<金先物> 米雇用関連指標の発表を受けたドル買いの動きを嫌気して売られ、続落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比5.50ドル(0.24%)安の1オンス=2333.40ドル。
<米原油先物> ハリケーンに伴う供給不安が後退する中、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.57ドル(0.68%)安の1バレル=82.81ドルだった。9月物は0.41ドル安の81.91ドル。
欧州市場サマリー(2日) | ロイター
<ロンドン株式市場> 下落して取引を終えた。英総選挙を4日に控えて投資家が積極的な買いを控える中、FTSE100種指数は約2カ月ぶりの安値を付けた。
カリブ海で大型ハリケーン「ベリル」の勢力が強まる中、損害保険株指数は2.50%下落。保険のビーズリーが5.2%安と大幅に下げた。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。フランス国民議会(下院)総選挙の第2回投票を7日に控えて投資家は慎重な姿勢を示した。2日発表の経済指標でユーロ圏のサービス部門のインフレ率の高止まりも示され、今後の金利動向への懸念もみられた。
フランスのCAC40指数は0.30%下落。
自動車・部品株指数は0.92%安。フランスの大手タイヤメーカー、ミシュランは3.1%下げ、相場の重しとなった。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが小幅低下した。6月のユーロ圏インフレ率の鈍化を受け、前日の急上昇から一服した。
この日発表された6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率(速報値)は前年比2.5%と、5月の2.6%から小幅に鈍化した。ただ、変動の激しい食品とエネルギー価格を除いたコアインフレ率は2.9%で横ばい。予想の2.8%を上回った。
ECBのラガルド総裁は2日、ユーロ圏でディスインフレが「かなり進んでいる」との見方を示すと同時に、経済成長の見通しにはまだ「疑問符」が残っていると述べた。
ドイツ10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低下の2.59%。ドイツ2年債利回りは1.5bp低下の2.91%となった。
フランス国民議会(下院、577議席)選挙第1回投票では、マリーヌ・ルペン氏の極右政党「国民連合(RN)」が得票率トップとなった。ただ、アナリストらは、最終的に過半数を獲得する政党がない「ハングパーラメント」になる可能性が最も高いと示唆されたことで市場に安心感が広がっており、これが株価とユーロの急騰につながったと述べた。
フランス10年債利回りは2bp低下の3.33%。独仏10年債利回り格差は72bpに縮小した。
ECB理事会メンバーのウンシュ・ベルギー中銀総裁は1日、ECBによる次回の利下げは依然として比較的容易に決められるとしつつ、その後の利下げはインフレ率が2%目標に向かっていることが明らかな場合に限るべきとの考えを示した。
イタリア10年債利回りは3.5bp低下の4.07%と3週間ぶりの高水準を付けた。独伊10年債利回り格差は146bpに縮小した。

備忘録(2024/7/1
●雑感
●決算
●海外企業
ブラックロック、英データ会社プレキン買収 32億ドル | ロイター
エーザイ、ブリストルとの提携解消=米国株個別 - 株探(かぶたん)|米国株
日本のエーザイ<4523>はきょう、米医薬品のブリストル・マイヤーズ・スクイブ<BMY>との抗体薬物複合体を巡るグローバルな提携を解消し、単独での開発に移行すると発表した。エーザイは契約終了により、ブリストルからの預かり金2億ドルのうち未使用分の一部を返金し、残る部分はその他の収益として計上する予定。
●日本企業
アリナミン製薬を約3500億円で買収 MBK、米ファンドから - 日本経済新聞
●米大統領選挙
バイデン氏の選挙撤退求める声に陣営は反論、懸念の火消しに奔走 - Bloomberg
散々な結果となった米大統領選討論会の後、バイデン大統領の選挙戦からの撤退を求める寄付者やコンサルタント、メディアなどからの大合唱に対し、陣営は反撃に出ている。この戦略は、驚くべき先見の明、あるいは途方もない傲慢(ごうまん)さのいずれかとして、後に記憶されるだろう。
側近らは先週末、バイデン氏が立候補を考え直したり、作戦見直しのための劇的な措置をとったりする可能性を公に否定。バイデン一家が短期休暇で訪れた大統領山荘「キャンプデービッド」で選挙戦撤退の意見を受け入れるのではないかとの臆測についても陣営関係者は腹立たしげに否定した。キャンプデービッドでは写真家アニー・リーボヴィッツ氏が苦境に立たされている一家を撮影した。
バイデン氏の代理人たちは、討論会がうまくいかなかったことを一応認めた後、その影響が誇張されており、バイデン氏に代わる候補擁立を模索している人々は、混乱と内紛を招くだけの考えを検討することで民主党に害を与えていると主張した。
陣営関係者は、私的な電話や公的なメモ、メディア出演を通じ、大統領が自ら致命傷を負ったと示唆する人々を、真の米国民とはかけ離れた「未熟者」だとあざけった。民主党有力議員たちは大統領の周りに結集し、トランプ前大統領に勝利する道はまだあると、テレビで相次いで主張した。
ただ、バイデン氏に対する懸念は、より大きく広がっている可能性がある。
CBSニュースが討論会後に登録有権者を対象行った世論調査によると、バイデン氏が大統領選にとどまるべきだと考えている有権者はわずか28%。民主党の登録有権者でも54%にとどまった。バイデン氏が大統領を務められるだけの精神的・認知的健康状態にはないと答えた人は72%にも上った。
メリーランド州選出の有力民主党議員であるラスキン下院議員は、米MSNBCテレビの番組で、今後の方向性について「党内のあらゆるレベルで、非常に率直で真剣かつ厳格な話し合いが行われている」と述べた。
バイデン氏は6月29日夜、資金調達パーティーを終えて専用ヘリコプター「マリーンワン」に乗り込む際、歴史家のジョン・ミーチャム氏に電話していたことが、カメラマンによる携帯電話のズーム撮影でわかった。バイデン氏は、政権が重大な局面にさしかかった時にミーチャム氏に助言を求めてきた。  
大口献金者からの懸念
民主党の献金者で元ヘッジファンド・マネジャーのホイットニー・ティルソン氏は、有力議員らへのメールで、バイデン氏に「台本にない設定」で「公平かつ厳しい質問」に対処させ、「中程度-進行した認知機能低下状態」ではないことを示すよう陣営に働きかけるよう促した。
ティルソン氏はインタビューで、「億万長者や大口寄付者を含め、私が出会った人々は皆、バイデン氏は撤退すべきという点で私と完全に一致している。つまり、バイデン陣営と献金者層の間には完全な断絶がある」と述べた。
民主党と共和党の支持率が拮抗(きっこう)しているジョージア州では、最大手の新聞「アトランタ・ジャーナル・コンスティテューション」編集委員会が、ニューヨーカーの編集者デービッド・レムニック氏やニューヨーク・タイムズの編集委員会といったリベラル派の重鎮と同様、バイデン氏に撤退を促した。
米企業家でつくる団体「リーダーシップ・ナウ・プロジェクト」の創設者であるダニエラ・バロウアレス氏は、同グループが1日に電話会議を開き、別の道について話し合うと述べた。バロウアレス氏は「陣営が伝えていることは、討論会の現実に対する人々の見方とかけ離れている」とし、同グループのメンバーの懸念が、今後の厳しい上下院選挙に与えうる影響にも及んでいると述べた。
陣営の動きの中には、こうした不安をある程度認識していることを示したものもある。マンハッタン、ハンプトン、ニュージャージーで討論会後に開かれた資金調達パーティーで、バイデン氏は討論会での出遅れを認め、より努力すると寄付者に誓った。デラウェア州ウィルミントンでは6月28日午後、全スタッフが招集され、安心させるためのミーティングが開かれた。
さらに29日には、民主党全国委員会のハリソン委員長とバイデン陣営のジュリー・チャベス・ロドリゲス選挙対策本部長が、今後を憂慮する全国の委員と急きょ電話会議を開いた。だが、一部の委員は、かえって不安をあおる結果となり、バイデン陣営は選挙戦の変化に対応する気がないか、それができないかだと述べたとAP通信は報じている。
バイデン陣営の関係者らは、パニックは不必要だと主張している。側近によると、同陣営は27日以降、草の根レベルでの2600万ドルを含め、計約3300万ドルの寄付を集めたという。ジェン・オマリーディロン選挙対策委員長は、今回の討論会が選挙戦に対する「米国民の認識を変えるようなものではなかった」と内部データは示していると述べた。
陣営は、バイデン氏が29日のノースカロライナ州での演説で立ち直ったと主張。大統領選討論会の視聴者数が過去の討論会より大幅に少ない5100万人にとどまったことを示すニールセンの視聴率調査にも励まされている。また、大統領が討論会ですでにトランプ氏に出遅れているように見えた事実には触れず、バイデン氏のパフォーマンスが支持率を深刻には低下させていないことを示す即時世論調査を挙げた。
主な民主党関係者、特にオバマ元大統領や、バイデン氏に代わる候補として最近名前が挙がっている州知事や上院議員から撤退を促す公の発言がなかったことも陣営を勇気付けた。
別のメモの中で、ロブ・フラハティ選対副本部長は、バイデン氏への支持が低下したとしても、それはおしゃべり階級(都市部の中流階級)の「反動的」報道が一時的に影響したに過ぎないと主張した。
フラハティ氏の非難は「独りよがりな」ポッドキャスターにも及んだ。これは明らかに、人気番組「ポッド・セーブ・アメリカ」で、ホストの元オバマ政権高官らが討論会後に警戒感を示したことを指している。フラハティ氏はメモに「速報:人々はバイデン氏が年寄りだと思っている。彼らは討論会が始まるときも、討論会を終えてからもそう思っている」と書いた。
バイデン支持者の2つの真実
こうした反応を総合すると、バイデン支持者について2つの真実が浮かび上がってくる。
支持者はメディアや民主党関係者の発言に深い不信感を抱いており、2020年選挙に向けたバイデン氏の予備選挙キャンペーンがあまり丁重に扱われなかったことに今も怒り続けている。
複数の関係者によると、ニューヨーク・タイムズ編集委員会からのバイデン氏撤退の呼び掛けは、戦意を喪失したスタッフに、むしろ活気を与えたという。同紙が2020年の予備選の際、結果的には選挙にほとんど影響を与えなかったウォーレン上院議員とクロブシャー上院議員で支持を二分していたことを想起したためだ。
一方、バイデン陣営も、バイデン氏本人が選挙戦に残ることを望む限り代替案はほぼなく、手負いの候補者をこれ以上衰えさせないため、スタッフたちは自分たちの信頼と遺産を賭けざるを得ない。
民主党のルールでは、バイデン氏を強制的に撤退させることは実質不可能だ。大統領とその盟友たちは、有力議員との個人的な友好関係を含め、米政界全体に何十年にもわたるつながりを持っている。バイデン氏を公然と糾弾すれば、たとえバイデン氏が挽回できないことが証明されたとしても、仲間の怒りを買い、党から長らく追放されるリスクがある。
ホワイトハウスの高官であり、バイデン氏の政治的メッセージ発信で中心的役割を担う長年の民主党スタッフのアニタ・ダン氏は、MSNBCテレビで、自身とそのチームが「万事心得ている」といわんばかりに傲慢な主張をしてきた結果、バイデン氏のパフォーマンスの失敗につながったとする批評家について問われ、苦笑した。
「それはショックだ」と皮肉を込めて答え、「わたしがバイデン陣営の運営に関わって以来、そうしたことはあり得なかった」と話した。
アングル:バイデン氏の「大失敗」討論会、背後に側近らの判断ミス | ロイター
バイデン米大統領が27日の大統領選討論会で「大失敗」した背景には、最上級顧問らによる一連の判断ミスがあったとみられることが、民主党関係者や献金者、現・元側近らの話で明らかになった。
討論会でトランプ前大統領(78)は、いつものように目に余るような虚偽発言を繰り返した。ところがバイデン氏(81)はそれらに反論できないばかりか、言葉もたどたどしく、民主党内からは再選を断念すべきだとの声や、側近の反省や辞任を求める声が噴き出した。
ある人物は討論会の数日前、バイデン氏の最側近らに同氏を休ませるよう頼んだが聞き入れられなかったと話す。「私が唯一お願いしたのは、討論会の前に彼を休ませてほしいということだったが、彼は(当日)疲れ切っていた。体調を崩していた。病んで疲れ切っているように見える彼を送り出すとは、なんという判断ミスだろう」
もっと鋭い批判もある。
バイデン氏の主要な献金者である弁護士のジョン・モーガン氏は「(事前の)アドバイスと練習が過剰だったと私は思う。そして(上級顧問の)アニタ・ダン氏は、トランプ氏を有利にする舞台にバイデン氏を立たせてしまったのだと思う」と語る。
モーガン氏は、ダン氏や他の側近を「永久に解雇し、二度と選挙運動に近づけさせない」ようにすべきだとの考えを示した。
バイデン氏の討論戦略は、2020年の大統領選で同氏の勝利を助け、今年1月に選挙対策委員長に任命されたジェン・オマリー・ディロン氏の承認を受けている。長年にわたるバイデン氏の側近で、オバマ元大統領の選挙参謀も務めたダン氏がその戦略を支持した。
討論会に臨むバイデン氏陣営は自信に満ちていた。トランプ氏は5月31日に有罪評決を下された。そしてバイデン氏らの側近らも驚いたことに、世論調査でずっと低迷から抜け出せなかった同氏の支持率が、その後の数週間でじりじりと上がり始めていたからだ。
顧問らは、バイデン氏がワシントン近郊の山荘「キャンプデービッド」に6日間缶詰になるという厳しい討論会準備スケジュールを組んだ。
準備に関与したのは、バイデン氏の最初の大統領首席補佐官を務めたロン・クレイン氏、前出のダン氏、長年の側近マイク・ドニロン氏などのほか、政策・政治専門家約12人だった。
バイデン氏陣営は28日、スタッフの交代は検討していないと述べた。
オマリー・ディロン氏は29日に支持者に宛てた電子メールで、内部調査などによると討論会後、激戦州において有権者の見方に変化はなかったと主張。「メディアの大げさな表現ぶり」が「世論調査の一時的な落ち込み」を引き起こすかもしれないが、バイデン氏が11月に勝利することを確信しているとした。
<事実とつっこみ>
最近の外遊、特に6月のフランス訪問におけるバイデン氏の様子を見て、共和党側はソーシャルメディアで同氏の年齢を揶揄する動画を流した。しかしバイデン氏陣営は、国際舞台における強力な指導者ぶりをアピールできたとも考えていた。
6月21日にキャンプデービッドに向かう際、バイデン氏に同行した補佐官たちは上機嫌だった。バイデン氏が最も貴重な政治的資産、つまり「勢い」、「追い風」を背に討論会に臨むと信じていたからだ。
バイデン氏は、地元デラウェア州の別荘で数日間休養するまでの14日間、フランス、イタリア、西海岸などを飛び回っていた。この間、バイデン氏を見た何人かの人々によれば、同氏はぐったりしていたという。
討論会の6日前、バイデン氏とともにキャンプデービッドに着いた側近らは、討論会でのハードルは同氏の方がトランプ氏よりも高いと考えた。トランプ氏は現政権に文句を言うだけでいいかもしれないが、バイデン氏は「ファクト(事実)」を示しつつ当意即妙な指摘も入れる必要がある。
側近らは、トランプ氏が2020年の討論会よりもはるかに準備万端で臨むだろうと考え、矢継ぎ早に飛び出す嘘に対抗する必要があると判断した。
長時間にわたる準備セッションで、側近らはバイデン氏に詳細なファクトに関する質問を浴びせかけ、続いて模擬討論も行った。
この準備を批判する向きからは今、バイデン氏はもっと大きなビジョンに焦点を当てるべきだったし、討論会前に十分な休息を取っていなかったとの声が出ている。
側近によれば、バイデン氏は軽い風邪も引いていた。時差のある場所で長期間仕事をした後には、よくあることだったという。
批判派に言わせれば、その結果としてバイデン氏は最悪の状態で討論会に臨むことになった。
<討論会参加の是非>
今年初め、バイデン氏の側近の間では、トランプ氏との討論自体を避けるべきだとの意見があった。バイデン氏を不利な立場に追い込む舞台をトランプ氏に与えるだけだから、という理屈だった。
しかしバイデン氏自身が4月のインタビューで、討論会に出ると表明。これは一部の側近にとって驚きだった。
討論会翌日の28日、バイデン氏は前進を誓ったが、ダメージは大きい。
民主党のジェイミー・ラスキン下院議員は6月30日、バイデン氏に代わる大統領候補者について議論しているかというMSNBCの質問に「わが党のあらゆるレベルで、真摯(しんし)で真剣、激しい議論が行われている。政党なので、意見の相違はある」と答え、「候補者が彼(バイデン氏)でれ、別のだれかであれ、党大会の基調講演は彼が行うことになる」と付け加えた。
米連邦最高裁、トランプ氏の免責特権を部分的に認める - Bloomberg
バイデン氏の正式候補、米民主党が認定前倒しを検討-大統領選挙 - Bloomberg
米民主党全国委員会(DNC)はバイデン氏を大統領選挙の正式候補に認定する手続きを繰り上げ、早ければ7月21日に前倒しする方向で検討している。事情に詳しい複数の関係者が匿名で明らかにした。先週の討論会を受けて党内で広がった候補者交代の臆測を打ち消す狙いもあるという。
トランプ氏返り咲きにらむウォール街、米債券市場の展開を予測 - Bloomberg
ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、バークレイズなど大手金融機関は、11月の米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利した場合に債券市場でどのような展開になるかを新たな目で見直している。
先週の討論会の結果、バイデン大統領再選の可能性は低下したと受け止められていることを受け、ウォール街のストラテジストらは顧客に対し、根強いインフレと長期債利回りの上昇に備えるよう促している。
モルガン・スタンレーでは、マシュー・ホーンバック氏らストラテジストが週末のリポートで、長期金利が短期金利より相対的に上昇すると賭ける時だと論じた。
同行は6月27日の討論会以降、トランプ氏が世論調査で支持率を伸ばしたことは、さらなる米利下げにつながり得る経済政策と、共和党の圧勝による財政拡大と長期債利回りへの上昇圧力の可能性を投資家は熟考しなければならないことを意味すると分析した。
一方、バークレイズは、トランプ氏勝利の見通しが高まった場合の最善の対応は、インフレヘッジだと指摘。ストラテジストのマイケル・ポンド氏らは28日に、5年物のインフレ連動債(TIPS)証券が通常の5年物米国債をアウトパフォームするという賭けだと述べた。
ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオ・マネジャー、ジャック・マッキンタイア氏のようなバイサイドの投資家は一段と注目している。
マッキンタイア氏は「債券自警団が討論会の結果を受けて早くも出てきていることを懸念している」と述べ、バイデン氏のパフォーマンスや弱めのデータ、原油価格上昇などが重なり、11月に共和党が圧勝する確率は高まるだろうと予想した。
米国債相場は7月1日に下落した。トレーダーによると、トランプ氏返り咲きの可能性が先週高まったことの影響が続いている。また、トランプ氏が2020年米大統領選の結果を覆そうとしたとして起訴された事件を巡る米連邦最高裁の1日の判断も相場の下げを拡大させた。連邦最高裁は免責特権を部分的に認める判断を下したことから、11月の大統領選前に公判が開かれる可能性は低下した。
米国債利回りの上昇を主導したのは長期債。30年債は一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し4.65%と、5月31日以来の高水準となった。
ただ、長期債利回りの上昇とイールドカーブ(利回り曲線)スティープ化は不可避だとウォール街の全員が確信しているわけではない。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジスト、ジョージ・コール氏らは討論会後、共和党勝利の場合に米債券利回りがどう反応するかについては、タームプレミアム拡大を見込む債券売りがコンセンサスとなっているが、フラット化リスクを支持する議論もあると指摘。選挙が近づくにつれ、投資家の関心は財政支出から関税引き上げのリスクへと移り、それが生産性と成長の重しとなる可能性が高いとの見方を示した。
●先進国中銀
米インフレの2%回帰を引き続き確信=NY連銀総裁 | ロイター
ECB総裁、「確信には時間がかかる」-インフレに不透明性残る - Bloomberg
欧州中央銀行(ECB)はインフレの脅威が過ぎ去った十分な証拠をまだ得ていないと、ラガルド総裁が主張した。ECBが今月は利下げを見送るとの期待を高めそうだ。
ECBは1日、ポルトガルのシントラで年次フォーラムを開催。ラガルド氏は開会に際して講演し、ユーロ圏の労働市場が堅調を維持しているため、ECBには最新の情報を分析する時間があると論じた。インフレが一時上振れした後であり、勝利を宣言するのはまだ早いとも述べた。
「利益と賃金、生産性の連環がどのように展開するのか、そして新たな供給側の衝撃にユーロ圏経済が打撃を受けるかどうかといった問題を中心に、将来のインフレについてはいくつかの不透明性がまだある。十分なデータを収集し、インフレが目標値を上回るリスクは過ぎたと確信できるには時間がかかるだろう」と語った。
この発言は今月開催される政策委員会会合での金利据え置きに傾いていることを示唆する。ECBが6月に利下げを開始して以降、その後の利下げペースやラガルド総裁の出身国であるフランスの政治混乱が金融政策に影響する可否を探ろうと、投資家は総裁の言動に注目している。
1日の講演ではフランスへの言及や、ECBの今後の道筋に関する具体的なガイダンスの提示はなく、入手するデータに従って決定していくとの従来の発言を繰り返した。
「労働市場は堅調で、ECBは新たなデータの収集に時間をかけることができる。ただ成長見通しが引き続き不透明であるという事実には留意する必要がある」と指摘。「これら全てが、データに依存し、会合ごとに政策を決定していくわれわれの決意を補強している」と続けた。
●先進国、グローバル、金融市場
マクロン氏と左派連合、ルペン氏の極右封じ込めに奔走 - Bloomberg
フランスのマクロン大統領の中道連合と左派の新人民戦線は、台頭する極右の国民連合(RN)が政権を握るのを阻止するために7日の国民議会(下院)選挙第2回投票で一部の選挙区で候補者を取り下げるかどうかを検討している。
内務省の発表によると、マリーヌ・ルペン氏率いるのRNは6月30日の第1回投票で33.2%の得票率で圧倒的な強さを見せた。新人民戦線は28%、マクロン連立政権は20.8%だった。
RNのリードは幾つかの世論調査が示していたよりも小さく、主流政党が極右の絶対多数獲得を阻止する方法を模索し始めたため、フランス資産は当初上昇したが、投資家の楽観はその後薄れた。
第2回投票でRNが絶対多数を獲得すれば、ジョルダン・バルデラ党首が首相の座に就き、同党が法案を容易に可決できるようになる。伝統的に、フランスの主流派は極右を政権から締め出すために結束してきた。
バルデラ氏は1日、BFMテレビで「RNは絶対多数を得られると思う。その絶対多数を基盤に挙国一致の政府を作り、先に示した回復プロジェクトを実施するつもりだ」と語った。
フランス株のCAC40指数は1日取引開始直後に上昇したが、その後上げ幅を縮めた。フランス国債はドイツ国債をアウトパフォームし、このまま終了すればスプレッドは2週間ぶりの小ささになる。ユーロは一時0.6%上昇し、6月半ば以降で最大の日中上昇率を記録した。
フランスの政党は現在、7日の最終投票での議席獲得の可能性を最大化しようと、2日にわたる激しい交渉に突入している。
アタル首相は6月30日夜「今日の教訓は、極右が権力の入り口に立っているということだ」と支持者に語った。「われわれの目的は明確だ。RNが絶対多数を占めるのを阻止することだ」と強調した。
RN陣営の候補者は577の選挙区のうち485区で勝利したか第2ラウンドに進出した。半数以上の選挙区で3人が決選投票に進んだ。このような場合、3位の候補者は他の主流政党がRNを破る可能性を高めるために、辞退することができる。
第2回投票の候補者届け出期限2日午後6時で、その時点で情勢はより明らかになる。
左派連合、新人民戦線のジャンリュック・メランション氏は、自陣営の3位候補に辞退を促すと述べ、マクロン氏は「第2ラウンドでは幅広く、明らかに民主的で共和主義的な同盟を」と呼びかけた。
メランション氏が率いる極左の「不屈のフランス」は欧州連合(EU)の財政規則を無視するような支出を提案しており、投資家を不安にさせる可能性がある。そのため、極左が有利になるような選挙区でマクロン氏の党が引くかどうかは分からない。
ルメール経済・財務相とフィリップ元首相はメランション氏の党を支持しない考えを示している。
ルメール氏は6月30日にラジオ局フランス・アンテルで「不屈のフランスは国家にとって危険であり、RNは共和国にとって危険」だと主張した。
マクロン氏の大統領の座が正式に危うくなったわけではなく、同氏は辞任の予定はないと述べているものの、第1回投票の結果は、ルペン氏陣営の政権と共存するか、基本的に膠着(こうちゃく)状態にある議会に対処しなければならなくなること意味する。
極右勢力は移民問題や年金改革、EU強化などについて、マクロン大統領の優先事項のほとんどに反対しており、投資家はむしろ膠着状態を望んでいる。
XTBの調査ディレクター、キャスリーン・ブルックス氏は、「議会が空転すれば、フランスでは現在の議会で何かを成し遂げることが難しくなるだろう。投資家はそれを望んでいる」と話した。
ルペン氏の極右が首位、仏下院選第1回投票 マクロン氏に打撃 | ロイター
6月30日に行われたフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の第1回投票は、マリーヌ・ルペン氏の極右政党「国民連合(RN)」が得票率でトップとなり、マクロン大統領にとっては、欧州議会選挙に続く手痛い結果となった。
内務省が1日に発表した得票率は、RN(連携会派を含む)が33%、、左派連合「新人民戦線(NFP)」が28%、中道のマクロン大統領の与党連合が20%。
7月7日の決選投票に向け、左派連合と与党連合は、現実味を帯びる右派政権誕生の阻止に動き出した。左派、与党両連合は30日夜、決選投票について、右派に勝てる候補が別にいる選挙区では自連合の候補を取り下げると明らかにした。
一方、RNは1日、得票率が7%弱にとどまった共和党(LR)の中道右派候補に撤退を促した。
LRは方針を明らかにしていない。同党は選挙前に分裂し一部議員がRNに合流した。
第1回投票で当選した候補者は2日夕方までに決選投票に臨むか確認しなければならない。
仏国債のリスクプレミアムが低下、予想通りの下院選挙受け | ロイター
フランス国民議会(下院)選挙の第1回投票で、予想通り極右政党「国民連合(RN)」が第1勢力になる見通しとなったことを受け、フランス国債のリスクプレミアムが1日に低下した。
フランスとドイツの10年債利回りスプレッドは先週28日に2012年以来の大きさとなる85ベーシスポイント(bp)を記録したが、1日には73bpに縮小した
アナリストは、どの政党も単独過半数議席を獲得しない状況が引き続き基本シナリオで、市場予想とほぼ一致していると指摘した。
ダンスケ銀行のエコノミストは「フランス議会が分裂していることを考えると、新政権がこれ以上の歳出増を支持する可能性は低いと思われる」と述べた。
RNが政権を獲得できるかどうかは、今後数日間の対抗勢力の政治的駆け引きに左右される。
米ISM製造業景況指数、3カ月連続で活動縮小-価格指数低下 - Bloomberg
米供給管理協会(ISM)が発表した6月の製造業総合景況指数は、3カ月連続で活動縮小を示した。仕入れ価格指数は約1年ぶりの大幅低下となった。
ISM製造業総合景況指数は48.5に低下-前月48.7
ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は49.1
50が活動の拡大と縮小の境目
仕入れ価格指数は4.9ポイント下げて52.1。昨年5月以来の大幅低下となり、今年の最低水準となった。
総合景況指数は引き続き活動縮小を示したものの、新規受注は4ポイント近く上昇して49.3と、受注が安定化しつつあることを示唆した。
生産指数は48.5と、前月の50.2から下げて縮小圏に陥った。
こうした数字は、高い借り入れコストや設備投資の抑制、不安定な消費支出を要因に、米製造業活動がなお勢いづいていないことを示している。米金融当局が金利をより高い水準でより長期に維持していることが背景にある。
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は発表文で、「現行の金融政策やその他の状況を背景に、企業が設備投資や在庫投資に消極的な中、需要の低迷が続いている」と指摘。「生産が前月に比べて落ち込んでおり、これが売上高の減少をもたらし、収益を圧迫する可能性が高い」と続けた。
業種別では、繊維や機械、加工金属など9業種が活動縮小を報告。8業種は活動が拡大した。
シュローダーとUBSグローバル、金購入を選好-公的債務リスク懸念 - Bloomberg
米政府の過剰な支出と地政学的な不確実性が、膨らみ続ける公的債務のリスクに対するヘッジとして金を購入するようシュローダー・インベストメント・マネジメントとUBSグローバル・ウェルス・マネジメントを促している。
ロードショー(機関投資家向け説明会)でアジアをこのところ訪れている両社それぞれの投資責任者はインタビューで、今年後半のボラティリティーに備える好ましい取引として金が浮上していると明らかにした。
シュローダーのグループ最高投資責任者(CIO)ヨハナ・カークランド氏は香港で、「財政リスクや地政学的リスク、インフレリスクといった類いのリスクは、金でよりうまくカバーできる。仮に判断が誤った場合でも、かなり良いパフォーマンスという利点がある」と指摘。かつてほど分散投資のメリットを得られない「米国債より、私は金を選好する」と述べた。
UBSグローバルのマーク・ヘーフェルCIOによれば、米国債とドルに対する懸念があれば、金は恩恵を受ける。ヘーフェル氏は香港で、「ウクライナを巡り、ドルや米国の金融システムがある程度武器化されており、各中銀は代替手段を持つべきだと認識している。多くの中銀が金を購入しており、この傾向は続くだろう」と語った。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が最近出したリポートによると、金準備高調査を2018年に開始して以来最も多い約20の中銀が金の保有量を増やすと見込んでいる。
ヘーフェル氏は、金値上がりが続き来年は1オンス=2700ドルまで上昇すると予想。1日のアジア市場では2325ドル前後で小動きだった。
カークランド氏にとって、国債は依然としてポートフォリオの一角を占めるものの、それは利回りという「昔ながら」の理由によるものだ。厳しいインフレと財政状況を懸念する同氏は「これほどの財政支出において、本当に恐ろしいリスクは公的債務の問題だ」と話した。
トランプ氏が勝利ならイールドカーブはスティープ化-モルガンS - Bloomberg
2カ月連続の月間上昇を記録した米国債市場にとって、ポジション調整は見通しを複雑にするかもしれない。トランプ氏は不法移民を強制送還すると宣言し、対中関税引き上げの姿勢を強めているため、トレーダーは成長鈍化とインフレ加速のリスクを織り込んでいる。
ストラテジストは「すでに成長が鈍化している経済状況下で、移民政策や関税政策が変更される可能性が高まっている」ことから、市場は利下げを織り込みやすくなると指摘。同時に「財政赤字がますます注目される中で共和党が政権を奪取する可能性が高まれば、長期金利の上昇圧力が強まるだろう」と分析した。
ストラテジストは米国債の2年物・20年物のスティープナー取引を追加することを推奨した。
モルガン・スタンレーのアナリストは先月のプレゼンテーションで、関税引き上げと移民の強制送還はいずれも米国の経済成長にとってマイナスになるだろうと指摘。経済への打撃は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを促し、短期利回りを低下させるだろうとの見通しを示した。
インフレが加速すればクーポン支払いの価値が目減りするため、長期債にとって悪いニュースだ。
大統領選討論会の結果を受けて、アナリストからはトランプ氏勝利にどう備えるべきかという声が相次いだ。バークレイズは米国債市場でインフレヘッジを購入するよう投資家に勧めている。
野村証券のシニア金利ストラテジスト、小清水直和氏は、トランプ政権は財政拡大とドル安を好むとみている。これは、ハト派の米連邦準備制度理事会(FRB)議長の選択と共に、米国債イールドカーブのスティープ化につながるだろう。
同氏は7月1日のリポートで、トランプ政権が誕生した場合、国債増発の可能性が高まると予想。インフレが再燃して米政策金利が高止まりした場合、利払いの増加は財政赤字の拡大につながると分析した。
ドイツ、6月のインフレ率は3カ月ぶり低下-景況感後退が寄与か - Bloomberg
ドイツのインフレが3カ月ぶりに減速した。同国経済の回復には失速の兆しが見られている。
独連邦統計局が1日発表した6月の消費者物価指数(CPI、EU基準)上昇率の速報値は前年同月比2.5%と、ブルームバーグが調査したアナリスト予想に一致した。前月は2.8%だった。エネルギーコストが下落を続け、モノの価格上昇も和らいだ。現在とりわけ注目されているサービス価格の上昇率は3.9%で、前月から変わらなかった。
6月28日に発表されたフランスとスペインのインフレ率も低下。イタリアはやや上昇したが、インフレ率は1%未満にとどまった。ユーロ圏20カ国全体の6月のインフレ率は2日に発表される予定で、アナリストとブルームバーグ・エコノミクス(BE)がまとめた「ナウキャスト」はいずれも前月の2.6%から2.5%に低下すると見込んでいる。
ドイツのインフレデータは「9月の追加利下げに扉を開く内容だ。ただ、政策委員の中には賃金動向を理由に、次回の利下げを冬まで持ち越したいと考える者もいるかもしれない」と、INGのマクロ部門責任者、カーステン・ブジェスキ氏は述べた。
ドイツは景況感の悪化が物価上昇圧力を弱めた可能性がある。最近の指標では、消費者と企業の景況感は予想されたほど楽観的ではなかった。民間部門の経済活動も予想を下回った。
欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏全体のインフレ率が来年末にかけて目標の2%に戻るとみている。だが、ドイツ連邦銀行(中央銀行)は同国の来年のインフレ率が平均2.2%にとどまると予想する。
ECB政策委員会メンバーのナーゲル独連銀総裁はこれまでに、基調的インフレが「依然極めて根強い」と指摘し、油断は禁物だと呼びかけるとともに、ECBは自動的に利下げを続けるわけではないと強調していた。
ナーゲル氏は1日、フランクフルトで講演。ドイツ経済の見通しの弱さを挙げ、力強い機運を生むための基盤作りを政治家に求めた。
「いくつか希望の光も見え、ドイツ経済は緩やかに回復しつつあるが、多くの国際比較でドイツは成長で大きく後れを取っており、いくつかの場合には最下位ですらある」とナーゲル氏は述べた。
英国債が逆イールド解消、約1年ぶり-中銀の利下げ開始を視野に - Bloomberg
英労働党圧勝か、政権交代に期待と不安-失望誘えばポピュリスト台頭 - Bloomberg
英国は2010年以来14年ぶりの政権交代と政界再編の節目に立つ。4日に投開票が行われる英下院選(定数650)では、スターマー党首率いる最大野党・労働党が地滑り的勝利を収め、スナク首相の与党保守党は壊滅的敗北を喫する見通しだ。
労働党にとって、2019年12月の下院選は第2次大戦後最悪の選挙結果だった。しかし、わずか1回の選挙サイクルでそれを逆転させ、トニー・ブレア元党首の下で政権を奪還した際の最高水位を今回は上回る可能性がある。スターマー党首がダウニング街の首相官邸に入り、一党支配に近い状態を享受すると一部調査会社は予測する。
とはいえ労働党の圧勝が、1997年に「ニューレイバー(新しい労働党)」を掲げるブレア氏の勝利を歓迎した時のような「クールブリタニア(カッコいい英国)」の楽観主義復活につながると考える人はほとんどいない。欧州連合(EU)離脱や新型コロナウイルス禍、歴史的な生活水準の締め付けに伴う悪影響で英国民は傷つき、一部の有権者は保守党を政権から追い落としたいためだけに労働党を応援している
弱い景気の下で新政権の取り得る選択肢は限られるだろう。金融危機以後に経験したことがない「成長の奇跡」を起こせないのであれば、必要な歳出削減規模について、労働党も保守党も有権者に誠実でないとエコノミストは批判的だ。
ブレア労働党政権初期の予期せぬ行動の一つは、イングランド銀行(英中央銀行)に政策金利の決定権を付与する独立性の強化だった。スターマー氏も同じような緊迫感を示す圧力にさらされている。
ロシアのウクライナ侵攻や中東での衝突など国際情勢は厳しい。トランプ前米大統領がホワイトハウスに返り咲きを果たせば、米英の「特別な関係」にひずみが生じる可能性が高い。スターマー氏はEUとの関係改善を望んでいるが、フランスやイタリア、ドイツで台頭する極右政党は利害の共通する味方ではない。
けれども最大の試練が国内に存在することは、ほぼ間違いない。労働党の躍進は、19年以降の保守党の失敗にその土台を置く。保守党のジョンソン元首相は「ブレグジット(EU離脱)をやり遂げる」「(産業衰退後の状況に苦しむ地域)をレベルアップさせる」と公約し、労働党を支持する有権者を説得した。その結果、サッチャー元首相時代以来の大勝利となった。
スターマー氏は、反保守党有権者の連合のために「変革」という一言の約束を果たさなければならない。ブレグジット運動家であり、トランプ氏の支持者でもあるナイジェル・ファラージ氏が党首を務める「リフォームUK」が議席を得て、ポピュリスト的な反移民政策で労働党を不安にするような強力な基盤を勝ち取るかもしれない。
金融危機後の10年の総選挙で下野した労働党は、キャメロン首相とオズボーン財務相が財政再建のため緊縮を続ける状況を傍観することになった。EU離脱の賛否を問う国民投票実施というキャメロン氏の決定は、16年に僅差で離脱が選択され裏目に出た。
労働党が4日の下院選の結果政権を奪還すれば、レイチェル・リーブス氏が英国初の女性財務相になる公算が大きい。リーブス氏は、より大掛かりな政策の予算を要求する同僚らをこれまで抑えてきた。財政規律に関するメッセージを間断なく発信するのは、保守党の攻撃の機先を制し、労働党の考え方からコービン前党首の社会主義色が払拭(ふっしょく)されたと有権者に納得させる狙いがあるためだ。
ハーグリーブス・ランズダウンのマネー&マーケッツ責任者スザンナ・ストリーター氏によれば、トラス前英首相が就任後に示した大型減税案などが財政不安を引き起こした教訓もあり、英国債市場の混乱を招くような事態は避けたいとリーブス氏は考えているようだ。
「マニフェストにサプライズになるようなアナウンスメントはなく、金融市場を動揺させかねない財政ルールや支出の変更を公約することに細心の注意が払われている」とストリーター氏は指摘した。
ブレア氏が97年に首相に就任した当時より明らかに悪い状態で、スターマー氏は政権を引き継ぐことになる。
次期政権が国防や保健、教育などの歳出プランを実現するには、200億ポンド(約4兆700億円)の財源を見いだす必要があるとブルームバーグ・エコノミクス(BE)は予測する。労働党がマニフェストで詳細に示す財源は86億ポンドに過ぎない。
皮肉なことだが、労働党政権は、野党時代の党勢急回復の影響で最も苦しむ恐れがある。リフォームUKのファラージ党首は、英国の諸問題を前提とすれば、労働党には「ハネムーン期間はほとんどない」と予想する。不満を抱く有権者を招き入れる準備を同氏は整えるだろう。
ドイツの右派政党AfD、党員が大幅増加と発表 | ロイター
ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は6月29日、同国西部エッセンで開いた党大会で、党員数が大幅に増えたと発表した。
AfDは欧州連合(EU)欧州議会選挙での躍進を追い風に、今年実施されるドイツ東部3州の議会選挙での勝利を目指している。
AfDのティノ・クルパ共同代表は、同党の党員が昨年1月以降で60%増えて4万6881人になったと発表した。約2万2000人が入会した一方、4000人が退会した。
AfDは昨年、世論調査で支持率が第2位に躍進した。ショルツ首相率いる連立政権の内部対立や、ドイツ経済の不振を巡る不安、ロシアのウクライナ侵攻に伴う影響を巡る懸念といった不満が背景。
6月に実施された欧州議会選挙では、AfDの得票率は15.9%となり、連立与党3党を上回った。
一方、党大会が開かれたエッセンでは大会に反対する抗議活動が行われ、内務省の推計では約2万人がデモに参加した。
オーストラリア、エネルギー輸出収入は今後2年で減少の見通し | ロイター
オーストラリアの産業科学資源省は1日公表した四半期エネルギー報告書で、同国のエネルギー輸出収入が向こう2年間にわたり減少するとの見通しを示した。コモディティー価格がロシアのウクライナ侵攻で跳ね上がった2022年から長期的な水準に戻るためという。
報告書によると、同国のエネルギー輸出収入は2022/23年度は過去最高の4660億豪ドルだったが、23/24年度は10%減の4170億豪ドル(2768億米ドル)となる見通し。
さらに24/25年度は3800億豪ドル、25/26年度は3560億豪ドルと減少傾向が続く見込みだ。
キング資源相は声明で「世界的な供給が着実に改善するのに伴い、コモディティー価格は現在、正常な水準に戻りつつある」と指摘。報告書によりオーストラリアの資源に対する需要は底堅いことが示されたと付け加えた。
報告書は、世界経済は制約的な金融政策に圧迫されて依然として比較的軟調に推移しているが、経済指標からは今年上半期に世界経済が緩やかに改善した可能性がうかがえると指摘。こうした状況がこの先、コモディティー価格を下支えするはずだと強調した。
一方、オーストラリア最大の輸出品である鉄鉱石の輸出収入は23/24年度が1380億豪ドル、24/25年度が1140億豪ドル、25/26年度が1020億豪ドルの見通し。
石炭の輸出収入は23/24年度が900億豪ドル、25/26年度には700億豪ドルに減少すると見込まれている。液化天然ガス(LNG)の輸出収入は23/24年度が690億豪ドル、25/26年度が590億豪ドルと予想されている。
イタリア製造業PMI、6月45.7 3カ月連続の50割れ | ロイター
HCOBのエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「イタリア製造業は依然、確実に縮小している。春に一時的に上向いたが、急速に失速した」と述べた。
仏製造業PMI、6月改定45.4に低下 需要低迷が生産の重し | ロイター
HCOBのエコノミスト、ノルマン・リープケ氏は「先行きに対する自信の度合いが歴史的な平均を下回った。先行指標である仕入れと新規受注が描き出していた悲観的な見方が強まる結果となった」と述べた。
英製造業PMI、6月50.9に下方改定 紅海情勢響き輸出受注低迷 | ロイター
S&Pは「紅海情勢不安に起因する輸送問題、サプライヤーの在庫不足、ベンダーの生産能力不足、港湾の問題が納期長期化につながった」と述べた。
ユーロ圏製造業PMI、6月改定45.8に低下 需要の減少加速 | ロイター
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「6月のPMI指数はイタリアを除く全てのユーロ圏で低下した。ただ、これは長期的な不況の兆候ではなく、一時的な急低下だと考えている」とし「PMI速報値によると、米国、英国、インドなど、他の国では製造業が6月に拡大している。こうした世界的な回復はユーロ圏の製造業の支えになる」と述べた。
独製造業PMI、6月43.5に低下 中国との競争が輸出受注下押し | ロイター
ハンブルグ商業銀行(HCOB)のチーフエコノミスト、、サイラス・デラルビア氏は「新規受注、特に輸出受注の減少が加速した。製造業の回復には数カ月待たなければならないだろう」と述べた。
輸出受注の低迷は、内需低迷で輸出を増やしている中国との競争激化が一因。
デラルビア氏は「この状況はドイツの輸出業者にとって二重の痛手」と述べ、中国向け輸出の減少と共に、新興市場を中心に中国製品との競争が激しくなっていると指摘した。
英消費者信用、5月は4カ月ぶり大幅増 住宅ローン承認は小幅減 | ロイター
英首相、右派に保守党投票での結束と労働党大勝阻止を呼びかけ | ロイター
【コラム】マクロン氏に「Non!」、長い1週間始まる-オーサーズ - Bloomberg
フランスの国民議会(下院)選挙第1回投票では、強硬な右派と強硬な左派がマクロン大統領の政党を3位に追いやり、暫定予想では極右の「国民連合(RN」)が7日の第2ラウンド後に絶対多数を獲得する可能性もある。これは投資家にとって良いことではない。
しかし、マリーヌ・ルペン氏率いるRNは予想より若干成績が悪いようで、膠着(こうちゃく)状態になるか、マクロン陣営と左派勢力が同盟を結ぶ可能性もある。いずれの選択肢も魅力的ではなく、政治的な不確実性は残っている。しかし、RNが絶対多数を得るという最悪の懸念はまだ現実のものとなっていないため、ユーロはアジア市場で若干上昇した。
マクロン大統領のギャンブルがもたらしたリスクを、市場はこれまでのところかなりうまく織り込んできた。しかし、喜んでいられる状況ではない。フランス人のデモ好きを考えれば特に不安だ。
フォーダム・グローバル・フォーサイトのティナ・フォーダム氏は「フランスの極右勢力が『防疫線』を突破したことはさまざまな面での懸念に加え、市民不安を引き起こす可能性が高い」と述べた。
「マクロン大統領が打った大ばくちを正当化するわけではないが、フランス選挙の第1ラウンドで極右政党が好成績を収めるのは珍しいことではないことを忘れてはならない」とも指摘。
7日の第2ラウンドは、ユーロ圏の安定やウクライナ政策などに重大な影響を与える可能性があると付け加えた。
中道と左派が協調できるかどうかはまったく分からない。両陣営は2日が終わるまでに、異なる選挙区から候補者を取り下げることに合意しなければならない。同盟がまとまらない場合、争いは「三つどもえ」となり、いずれの陣営も50%を得られない可能性もある。
シグナム・グローバル・アドバイザーズのニコ・フィッツロイ氏によれば、三つどもえになる選挙区の数は「選挙前の予想をはるかに上回る」ことになりそうだ。そうなると結果の判定はより難しくなり、サプライズの可能性も出てくる。
一方、4日には英国の総選挙で、野党・労働党が地滑り的勝利を収めると予想されている。米国ではバイデン米大統領が最初の討論会でひどいパフォーマンスを見せたため、何らかの形で出馬取り下げに追い込まれるのではないかという臆測が渦巻いている。しかし、このコラムの執筆時点では、辞任を求める声に抵抗しているようだ。
政治は今週いっぱい、運命に翻弄(ほんろう)され続け、明瞭さを欠くだろう。
●中東情勢
●エマージング
財新中国製造業PMI、6月は3年超ぶり高水準 海外需要好調 | ロイター
中国新築住宅価格、6月は5ヵ月ぶり低い伸び=民間調査 | ロイター
民間不動産調査会社の中国指数研究院が1日発表した調査結果によると、6月の国内100都市の新築住宅平均価格は前月比0.15%上昇した。伸び率は5カ月ぶりの低水準。政府による不動産市場支援策の効果が限定的にとどまっている。
5月は0.25%上昇だった。
国内不動産会社上位100社の新築住宅販売額は1─6月で前年同期比41.6%減となった。
当局は5月、頭金要件をさらに引き下げ、住宅ローン金利の下限を撤廃するなど一連の支援策を新たに打ち出した。
100都市の中古住宅平均価格は6月に前月比0.73%下落。26カ月連続のマイナスとなった。
韓国6月製造業PMI、2年2カ月ぶり高水準 世界的な需要拡大で | ロイター
S&Pグローバルが1日発表した6月の韓国製造業購買担当者景気指数(PMI)は52.0と前月の51.6から上昇し、2022年4月以来の高水準を付けた。世界的な需要の拡大を受け、新規受注が伸びた。
PMIは2カ月連続で景気拡大・縮小の分かれ目となる50を上回っていた。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフエコノミスト、ジョー・ヘイズ氏は「6月のデータで世界の産業活動と貿易が回復していることがあらためて示された。韓国はバッテリーや半導体のような主要中間財のサプライチェーンに統合されているため、同国の製造業生産と受注はより広範なトレンドの先行シグナルとなる」と指摘した。
内訳では、新規受注は国内外での需要増加を受け、2022年2月以来の伸びを記録した。海外からの受注は過去5カ月で最高の伸びを示した。
6月は中国、ベトナム、日本を含むアジア諸国や、北米、欧州などで売上が伸びた。
生産は3カ月連続で増加したが、前月より鈍化した。完成品在庫はここ約3年で最も減少し、受注残はここ約2年で最も増加した。
一方、投入価格のインフレ率は過去8カ月で最も急速に加速。企業は為替変動と金属など原材料価格の上昇が要因とした。
今後1年の製造業の先行きに対する楽観度を示す指数は6カ月ぶり低水準に下落。明るい売上見通しにもかかわらず、国内市場の状況が生産の妨げになりかねないとの懸念が高まった。
●プロファイ、インフラ、自然災害
ハリケーン「ベリル」、再び勢力強める-カリブ海グレナダに接近 - Bloomberg
●小ネタ
SBI総会、北尾会長の賛成率61.1% 33ポイント低下 - 日本経済新聞
●市況
NY市場サマリー(1日)ドル/円38年ぶり高値、利回り・株上昇 | ロイター
<為替> ドル/円が38年ぶりの高値を更新した。米長期債利回りの急上昇を受けた。市場では引き続き日本当局による介入が警戒されている。
<債券> 指標10年債利回りが5月下旬以来の高水準に上昇した。今週は4日に独立記念日の祝日があり、低調な商いが想定されている。
指標10年債利回りは13.8ベーシスポイント(bp)上昇の4.481%。30年債利回りは14.2bp上昇の4.644%。
<株式> 上昇。アップルやテスラなど大型グロース(成長)株が買われ、ナスダック総合を押し上げた。4日の祝日を控え薄商いとなる中、ダウ工業株30種とS&P総合500種は小幅高で取引を終えた。
JPモルガン・チェースは史上最高値を付けた。同社は先週、第3・四半期の配当を1株当たり1.15ドルから1.25ドルに引き上げた。取締役会は300億ドルの自社株買いも承認した。 もっと見る
ペット用品オンライン小売りのチューイーは一時、大幅に上昇していたが下げに転じ、6%超安で引けた。個人投資家に人気の「ミーム株」の仕掛け人とされるキース・ギル氏が同社の株式6.6%を保有していることを明らかにした。
<金先物> 新規の手掛かり材料待ちの中を売り買いが交錯し、3営業日ぶりに小幅反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前週末比0.70ドル(0.30%)安の1オンス=2338.90ドル。
<米原油先物> 中東地域での紛争拡大懸念などを手掛かりとした買いが膨らみ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前週末比1.84ドル(2.26%)高の1バレル=83.38ドル。4月26日以来約2カ月ぶりの高値水準となった。9月物は1.68ドル高の82.32ドル。
欧州市場サマリー(1日) | ロイター
<ロンドン株式市場> まちまちで取引を終えた。FTSE100種指数はほぼ横ばい圏だったものの、5営業日ぶりにわずかに上昇した。住宅建設株や貴金属株が相場を支えた一方、4日に英総選挙を控え、積極的な買いが手控えられている。中型株で構成するFTSE250種指数は0.32%下げた。
個別銘柄では、資源大手アングロ・アメリカンが2.8%下げた。火災のためオーストラリアの炭鉱の生産を一時停止したとする発表が売り材料視された。
<欧州株式市場> 5営業日ぶりに反発して取引を終えた。フランス株が相場の上昇をけん引した。
STOXXユーロ圏銀行株指数は2.84%高。フランスの金融機関BNPパリバは3.6%、クレディ・アグリコルは2.8%、ソシエテ・ジェネラル(ソジェン)は3.1%それぞれ上昇した。
<ユーロ圏債券> 独仏債の利回り格差が12年ぶりの高水準から低下した。フランス国民議会(下院)総選挙の第1回投票で、最終的に過半数を獲得する政党がない「ハングパーラメント」になる可能性が最も高いと示唆されたことを受けた。
アナリストによると、投資家は極右政党や極左政党がフランスの財政状況に打撃を与え得る大規模な歳出政策を自由に実施する可能性が低下したことを見込んでいるという。
金融市場には安心感が広がったものの、アバディーンの投資マネジャー、アレックス・エベレット氏は「まだ危機は脱していない」と指摘。「RNは予想を上回った。第2回投票で相対的、あるいは絶対的な多数派を獲得する可能性がある」とした。