2023年9月2日土曜日

備忘録(23/9)

備忘録(2023/9/29-10/1)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
洋上風力発電業界は、サプライチェーン(供給網)の混乱、風力発電装置の設計上の問題、コストの上昇などが重なり、嵐のような逆風にさらされている。このため数十件の開発プロジェクトに支障が生じており、各国の気候変動目標の達成にも影響が及ぶ恐れがある。
化石燃料への依存度を引き下げる競争により、メーカーや部品サプライヤーには、よりクリーンなエネルギーの需要の高まりに応じるよう圧力が掛かっている。
特に2030年までにエネルギーの42.5%を再生可能エネルギーで賄うという法的拘束力を持つ目標を最終決定している欧州連合(EU)では、プレッシャーが顕著だ。
業界団体のウインドヨーロッパによると、EUが再生可能エネルギーの比率を現在の32%から新たな目標の42.5%に引き上げるには、風力発電容量を今の205ギガワット(GW)から420GWへと2倍以上に引き上げ、洋上風力発電容量は17GWを103GWへと大幅に増やす必要がある。
しかし、今年に入って英国、オランダ、ノルウェーの洋上プロジェクトが、コスト高と供給網の制約のために延期または棚上げになった。また、英国では再生可能エネルギー向け補助金の入札で、洋上風力開発業者からの応札が皆無だった。
ジュピター・アセット・マネジメントの投資マネジャー、ジョン・ウォレス氏は「もし、これがプロジェクトの長期休止につながれば、2030年の再生可能エネルギー目標の多くは、達成が厳しくなるに違いない」と話す。
EUが今年、新たな再生可能エネルギー目標で合意する以前から、オルステッド(ORSTED.CO)、シェル(SHEL.L)、エクイノール(EQNR.OL)、風力タービンメーカーのシーメンス・ガメサといった企業が、洋上風力産業の規模は気候変動目標の達成に不十分だと警告していた。
新型コロナウイルスのパンデミックを発端とする供給網の混乱は、ウクライナ戦争で一段と深刻化。一方で、輸送コストや原材料費の高騰、金利の上昇、インフレで利益が圧迫されている風力発電事業者もある。
ドイツのエネルギー大手RWE(RWEG.DE)のマルクス・クレッバー最高経営責任者(CEO)は交流サイト(SNS)への投稿で、洋上風力発電産業は急速な拡大が予想されるタイミングでさまざまな問題が重なり、気候変動目標の達成が危うくなっているとの見方を示した。
洋上風力発電は過去20年間に急成長を遂げ、一部の国ではコストが化石燃料と同等か、それ以下になった。だが、タービンをより大きく、より効率的にしようとする開発競争が性急すぎたのではないかといった指摘が、経営者やアナリストの中から出ている。
タービンの大きさは10年ごとにおよそ2倍になり、2021年と22年に稼働した最大級のタービンはブレードの長さが110メートル、出力が12─15メガワット(MW)もある。
しかし、大型化すればするほど故障しやすくなると、コンサルタント会社サンダー・サイド・エナジーのアナリスト、ロブ・ウェスト氏は指摘する。ブレードは大きくなればなるほどたわみが大きくなり、より剛性の高い補強材が必要になるという。
シーメンス・ガメサは今年6月、最新の陸上風力タービン2基の品質問題への対処に16億ユーロ(17億ドル)の費用がかかると発表した。
再生可能エネルギー事業向け保険を扱うGキューブ・インシュアランスのフレイザー・マクラクランCEOによると、風力発電事業者からの保険金請求件数はこの1年で減少したが、請求額は大きく増え、深刻さの度合いも高まっている。「洋上風力発電市場への参入は、保険会社だけでなく、メーカー、デベロッパー、サプライヤー企業にとってもリスキーなビジネスになっており、存続の危機に直面している企業もある」と話す。
シーメンス・ガメサのヨッヘン・アイクホルトCEOは、同社の洋上風力発電事業が生産拠点の建設遅れ、供給網の混乱、品質の高い部品の不足など、陸上風力発電とは異なる問題に直面していると述べた。
大手タービンメーカーのベスタスも受注残の解消に苦戦しており、供給網の混乱は年内いっぱい続くと見込んでいる。
一方で、各国政府は洋上風力発電のライセンス入札を強化している。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスによると、2024年末までに世界中で成立する洋上風力発電の契約とリース案件は、総規模が60GW余りに達する見込みだ。
だが、一部の風力発電事業者は入札で提示される電力価格について、コスト上昇という業界が抱える問題を考えると、新規プロジェクトに着手するには低すぎると訴えている。
英国は2030年までに洋上風力発電容量を3倍の50GWに増やすことを目標としている。しかし、8日の入札では風力発電事業者からの応札がなく、見通しに暗雲が垂れ込めたとの声が専門家から聞かれた。
一部の入札では再生可能エネルギー事業者が、環境に優しい資産を求める大手石油・ガス会社に競り負けており、欧州委員会は今月、包括的な支援策を打ち出す方針を示した。
●その他産業
米ゼネラル・モーターズ(GM)など「ビッグ3」に対しストライキを打っている全米自動車労組(UAW)は29日、再びストを拡大すると発表した。GMと米フォード・モーターの組み立て工場1カ所ずつで新たにストを始め、計7000人の組合員が加わる。今回の拡大で、ビッグ3で働くUAW組合員全体の2割弱にあたる2万5000人がストに参加することになる。
今回スト拡大の対象となった工場は、GMとフォードにとって重要な販売台数を持つ中型SUV(スポーツタイプ多目的車)を生産しているが、エンジンやトランスミッション、利益率の高いフルサイズSUVやトラックの工場閉鎖には至っていない。
ストは41の工場で今月15日から続いている。GMとステランティスの米国内の部品配送センターは全てスト中だ。GM、フォード、ストランティスに勤務するUAWの組合員14万6000人のうち1万8000人に影響が出ており、新たなストで計7000人がこれに加わる。米国の伝統的な自動車大手3社で同時にストが行われるのは初めてだ。
GMはUAWのスト拡大には不満をにじませる。発表文で同社は電気自動車(EV)メーカーのテスラや米国に工場を持つ外国メーカーといったライバル企業に言及し、「労組を持たない自動車メーカーを勝たせることにならない」合意を成立させたいと主張した。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
米政府閉鎖の回避のため、9月30日に成立したつなぎ予算にウクライナ支援は含まれなかった。閉鎖阻止を最優先し、ウクライナへの巨額支援継続に反対する野党・共和党の強硬派に配慮した。バイデン政権は引き続き追加予算の早期成立を働きかける。
米国の政府閉鎖が9月30日夜(日本時間10月1日午前)、土壇場で回避された。連邦議会の上下両院は同日、予算執行を11月中旬まで継続できるつなぎ予算案を超党派で可決した。バイデン大統領が署名して成立した。
成立した予算は下院で野党・共和党を率いるマッカーシー議長が主導した。新たな会計年度に入る10月1日から11月17日までの予算執行を可能にする内容だ。
米ニューヨーク市とその周辺地域は29日、大雨に見舞われた。ニューヨーク州のホークル知事は同日朝、緊急事態宣言を発令。住民に警戒を呼びかけた。各地で洪水や停電が発生している。市内を走る地下鉄が一部運休したり、建物内が浸水したりする影響が広がっている。
28日夜から降り続け、特にマンハッタン島の東側に位置するクイーンズ地区とブルックリン地区で深刻な洪水の被害が出た。ニューヨーク市当局は、降雨による被害の大きい地域や地下に住んでいる個人には、避難の準備を進めるよう呼びかけた。
米国立気象局(NWS)によると、今年9月のニューヨーク市の降雨量は14.15インチ(約360ミリメートル)と、1882年9月の16.85インチ(約428ミリメートル)の次に多い記録となっている。
スペインの下院(定数350)は29日、国王が新首相候補として指名していた中道右派の国民党(PP)のフェイホー党首の信任案を否決した。27日に続く2回目の否決で、フェイホー氏が首相に就任できないことが確定した。
フェイホー氏の信任案は賛成172票、反対177票、棄権1票だった。PPは7月の総選挙で下院第1党となった。ただ連立を視野に入れていた極右政党ボックス(VOX)と合わせても過半数の議席は獲得できず、不信任につながった。
今後の焦点はサンチェス現首相の信任投票の行方に移る。国王は次の首相候補としてサンチェス氏を指名するとみられている。
同氏が党首を務める穏健左派の社会労働党(PSOE)など左派の議席数も下院の過半数には届いていない。少数の地方政党の協力を得られるかどうかが信任案の可否を決める。
キャスチングボートを握るのはカタルーニャ自治州独立派で7議席を持つ「共にカタルーニャのために」だ。同党はサンチェス氏への協力の条件として、独立運動を経てベルギーに逃亡中のカタルーニャ自治州元州首相プチデモン氏の恩赦を要求している。独立派への過度な譲歩は有権者が強く反発する恐れもある。
11月下旬までに新首相が決まらない場合は解散・総選挙となり、権力の空白が長引くことになる。
仏シンクタンク「ジャン・ジョレス財団」のラテンアメリカ研究ディレクター、ジャン・ジャック・クーリアンスキー氏は「スペインは欧州連合(EU)の議長国だが、内政の危機のせいでサンチェス氏は十分に責任を果たせていない」と指摘する。
イタリアの財政悪化が欧州経済のリスクとして意識されてきた。28日に同国の長期金利は4.9%と前日比約0.13%上昇し、月末ベースで欧州債務危機後の2012年以来の高水準となった。
米議会は30日、政府機関の閉鎖を回避するため11月17日までのつなぎ予算案を可決した。混乱を招き費用のかかる政府機関閉鎖を土壇場で回避する見通しとなった。
つなぎ予算案は10月1日午前0時の期限を数時間後に控えて上下両院で可決された。ウクライナへの新たな支援は含まれていないが、民主・共和両党は、より長期的な連邦政府予算について交渉する時間を確保した。
バイデン大統領は同日、つなぎ予算案に署名した。大統領は声明で、「今夜、上下両院の超党派の多数決によって政府機能を維持し、何百万人もの勤勉な米国民に無用な苦痛を与えることになる不必要な危機を防ぐことができた」と評価した。
マッカーシー下院議長が土壇場で妥協案を押し通したことから上院での最終的な可決につながった。共和党の右派はマッカーシー下院議長が政府機関を閉鎖しなければ議長解任も辞さない構えを見せていたが、議会の大部分は政府閉鎖について有権者に極めて不人気な措置だとみていた。
つなぎ予算案は12時間足らずで両院を通過し、通常動きが鈍い議会では異例の速さだった。
政府機関閉鎖のリスクを巡ってはここ数日、米国民から世界の投資家までが米議会の動向を注視していた。エコノミストらは、長期的な政府機関閉鎖となった場合に、失業者を出さずにインフレを抑制する米金融当局の取り組みに支障が出ると予想。市場では、審議行き詰まりが米国の統治に関する受け止めをさらに悪化させかねないとみられていた。
つなぎ予算案は、共和党の強硬派が要求する大幅な歳出削減や国境政策を欠く内容だが、激しく分裂するワシントンでは異例の超党派での勝利となった。
民主党のシューマー上院院内総務は採決後に「政府を人質に取ろうとした共和党強硬派は結局、何も得られなかった」と述べた。
ただ、ウクライナ支援が除外されたことは、少なくとも当面、ゼレンスキー大統領にとっては痛手だ。ゼレンスキー大統領は先週、バイデン米大統領や議員らと会談し、F16戦闘機や、長距離ミサイルシステム「ATACMS」など、新たな兵器システムの供与を要求していた。
バイデン大統領は「ウクライナに対する米国の支援が中断されることは、いかなる状況においても許されない」と述べ、マッカーシー下院議長がウクライナ支援策を別途可決することを約束したと付け加えた。
上院での採決結果は賛成88票、反対9票だった。下院は同日午後に、民主党議員ほぼ全員と共和党議員の半数以上の賛成を得て同案を可決していた。ウクライナ支援の予算措置を支持する両党議員は、それについては別途処理できるとの考えを示している。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、米金融当局の利上げは完了した可能性があると示唆した。ただ、インフレ率を目標の2%に押し下げるため、当局は金利を「しばらくの間」高水準で維持するだろうと述べた。
同総裁は「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジはピークかそれに近い水準にあるというのが、現在の私の判断だ」と29日に言明。「しばらくの間、景気抑制的な金融政策スタンスを維持する必要があるとみている」と述べた。発言内容はニューヨーク州ロングアイランドでのイベントに向けて準備した講演原稿に基づく。
総裁はインフレについては鈍化してきているが、依然として高過ぎると指摘。労働市場の不均衡は「縮小しつつある」が、需要のさらなる減少が必要だとの見解を示した。
「金利上昇は今後も続く」という中央銀行からのここ1年の警告を債券市場は先週、ようやく理解したようだ。
米国からドイツ、日本に至るまで、2023年初めにはほとんど想像できなかった利回り水準が今や射程に入っている。債券売りがあまりに極端になったため強気派は降参し、ウォール街の金融機関は予想を撤回せざるを得なくなっている。
どこまで上昇するかが今の問題だ。重要な水準を突破した後、本当の天井が見えない。既に行き過ぎた動きだとする意見がある一方で、「ニューノーマル(新常態)」と呼ぶ人もおり、中央銀行が何兆ドルもの債券を買い入れ市場をゆがめた時代の前の世界に戻ることになるという。
金利上昇の影響は市場だけにとどまらず、住宅ローンや学生ローン、クレジットカードの金利、そして世界経済の成長そのものにまで及ぶ。
債券売りの中心は世界で年限最長の国債で、逆風は強まり続けている。原油価格は上昇し、米政府の債務は膨らみ、再び政府機関閉鎖の危機にもさらされたほか、中国との緊張は高まっている。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのアセットアロケーション担当責任者フレデリック・ドダール氏は、「ここ数カ月の出来事は基本的に、インフレがすぐに減速し中銀が極めてハト派的になると市場が読み誤った」ことを示していると指摘。「インフレが中長期的にどう推移するかですべてが決まるが、超低利回りの状況からは変化したと言っていいだろう」と付け加えた。
ブラックロックのラリー・フィンク氏やパーシング・スクエア・キャピタルのビル・アックマン氏など、世界で著名投資家の中には、現在のトレンドはまだ終わっていないかもしれないと言う人もいる。
債券利回りは既に、節目にどんどん近づいている。独10年債利回りは月間で今年最大の急上昇を記録。日本国債は四半期ベースの下げが過去25年で最悪となり、米30年債利回りは四半期ベースで09年以来最大の急上昇となった。
キャンドリアムのマルチアセット・グローバル責任者ナデージュ・デュフォッセ氏は、現在の市場トレンドが長続きしない可能性があり、徐々に長期債にシフトしていくことを検討していると話す。
ただ、長期債への圧力が和らぎ始めたとしても、世界の中銀の中で政策正常化で出遅れている日本銀行にとっては、別の大きな試練が待ち受けている。政策当局は債券利回り上昇の動きを抑制しようとしているにもかかわらず、すでに数年来の高水準に達しつつある。
ハートフォード・ワールド・ボンド・ファンドのポートフォリオマネジャー、マーティン・ハービー氏は、「日本については当面の問題であり、世界市場にどう影響するか議論が必要だ。金利が一層上昇するのきっかけとなる可能性があり、注視が必要だ」と述べた。
インフレ調整をした実質PCEは前月比0.1%増加した。
コアインフレ率が前月比で低い伸びを維持することは、金融当局者がインフレとの闘いに勝利しているとの自信を強め、追加利上げを見送る余地を生み出すために不可欠だ。
ブルームバーグの算出によれば、住宅とエネルギーを除くサービス業の価格指数は前月比0.1%上昇した。米金融当局が注目するこの「スーパーコア」サービス価格指数は2020年以来の低い伸び。
キャピタル・エコノミクスの米国担当次席エコノミスト、アンドルー・ハンター氏はリポートで、「米金融当局のインフレ見通しが悲観的過ぎるとの当社の見方を裏付ける内容だ」と指摘。前月比でのペースが劇的に再加速すれば話は別だが、労働市場の落ち着きなどを考慮するとその可能性は低いとし、「PCEコアインフレ率は当局の年末予想である3.7%を大幅に下回るとなお予想している」と記述した。
米個人消費は6、7月に爆発的に伸びたが、8月は力強さが消えた。底堅い労働市場が所得を下支えしているものの、物価高やガソリン代の上昇、学生ローンの返済再開などの累積的な影響が支出を冷え込ませる恐れがある。
こうした動きはインフレ圧力をさらに抑制するのに寄与する可能性があるものの、同時にリセッション(景気後退)入りのリスクもはらんでいる。
インフレ調整後のサービス支出は前月比0.2%増。輸送と娯楽がけん引した。財への支出は0.2%減と、3月以来のマイナス。自動車と家具の購入が減少した。
ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー両エコノミストは「所得と消費の年次改定は、今年の家計支出が従来考えられていたよりも少なく、貯蓄は多かったことを示唆している。家計の消費見直しに伴う予防的な貯蓄の特徴だ」と指摘した。
議会が10月1日から始まる新会計年度の予算案で合意するまで、今回のPCEが最後の主要経済統計となりそうだ。予算が成立しない限り、米政府は資金不足に陥り、必要不可欠なサービスを除き政府機関が閉鎖される。
賃金・給与が加速した一方、個人消費を支える実質可処分所得は2カ月連続で前月比0.2%減少した。上昇する金利の支払いも家計を圧迫している。
貯蓄率は年初からの数値が上方改定されたこともあり、8月は3.9%と、8カ月ぶりの水準に低下した。夏季に見られた消費ペースが今秋に持続できない可能性が高いことを示唆した。
連邦準備制度理事会(FRB)の最新の調査によると、所得上位20%を除くすべての世帯で新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)期間に蓄えられた余剰貯蓄が底をつき、流動資産がインフレ調整後の実質ベースで2020年3月の水準を割り込んだ。
米エネルギー情報局(EIA)のデータによると、米国の生産は7月に日量1299万1000バレルに増加。2019年11月に1300万バレルでピークを付けて以来の高水準。増加分の大半をテキサスが占め、同州の生産は過去最高の日量563万バレルとなった。
ユーロ圏の基調的なインフレ率は9月に1年ぶりの水準まで低下した。欧州中央銀行(ECB)が一連の利上げの影響を見極めるため、政策金利を据え置くとの見方を後押しする結果となった。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が29日発表した9月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は、価格変動の激しい項目を除くコアCPIが前年同月比4.5%上昇と、前月の5.3%上昇から減速。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想中央値は4.8%上昇だった。
総合CPIは4.3%上昇と、前月の5.2%上昇から鈍化し、約2年ぶりの低水準となった。市場予想も下回った。エネルギーコストの下落が主な要因だが、サービス価格の伸びも大幅に低下した。
コメルツ銀行のシニアエコノミスト、クリストフ・ワイル氏は顧客向けに電子メールで配信したリポートで、「ECBがこれ以上金利を引き上げる可能性は低い」と指摘。バスレ・スロベニア中銀総裁は29日、スコピエでのパネル討論で、ECBの「利上げは恐らく完了した」と語った。
今回の統計内容は、金融引き締めの際に重要な指標とされてきたコアインフレの着実な減速を強く示した。コアインフレは、ドイツが昨年夏に実施した公共交通機関の大幅な割引の影響で押し上げられていた。
ただ、総合、コアいずれのインフレ率も依然としてECBが目指す2%の2倍余りに上る。
カザークス・ラトビア中銀総裁は29日にリガで、将来の利上げは排除できないとしつつ、金利は現水準付近で恐らく「しばらくの間」とどまるだろうと述べた。当局者が示唆するように、市場は金利が長期にわたり高止まりするとみている。
米国では家計の貯蓄が過去6年間で従来の推計よりも1兆1000億ドル(約164兆円)程度少なかったことが、28日発表の政府統計の見直しで明らかになった。
米商務省経済分析局(BEA)によると、2017-22年の貯蓄率(可処分所得に占める貯蓄の割合)は平均8.3%と、従来の9.4%から下方修正された。会計上の調整で投資信託や不動産投資信託(REIT)からの個人所得が減少したことが要因だ。
ガソリン価格の高騰や10月からの学生ローンの返済再開により消費者に対する逆風が強まる中、家計の状況は今後の経済を占う上で重要な要素となっている。
米国では新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に、政府による大規模給付プログラムもあり、追加的な貯蓄が積み上がったが、その後、コロナ懸念の後退に伴う支出パターンの正常化やインフレ高進により貯蓄が目減りしている。
今回見られた個人貯蓄の減少の多くはコロナ禍前に生じているため、米国人が現在でも追加の資金をどの程度持っていると感じているのかという点への影響は不透明だ。
米カリフォルニア州では夏は終わったものの、ガソリン価格はヒートアップし続けている。こうした事態を受けて、ニューサム知事が冬用ガソリンへの早期移行を当局に指示する中、環境への悪影響も懸念されている。
全米自動車協会(AAA)のデータによると、同州の27日のレギュラーガソリン価格は平均で1ガロン=6.03ドルと、昨年10月以来の高値を付けた。全米の平均価格を2.20ドル近く上回る水準で、8月初めの1.20ドルから格差が拡大。全米平均価格はこの時期としての過去最高値を記録している。
ニューサム知事は同州の大気資源局(CARB)に対し、通常よりも早い時期に冬用ガソリンへの移行を認めるよう指示。オイル・プライス・インフォメーション・サービスのチーフ・オイル・アナリスト、デントン・チンクエグラナ氏によると、これによってスポット価格を1ガロン当たり1.50ドル近く押し下げる効果が期待できるという。
ただ、冬用ガソリンは気温が高いと蒸発しやすく、スモッグが谷間に滞留する原因となる。インフレを抑えるために消費者が大気環境を犠牲にすることになる。
原油価格の高騰により、全米でガソリン価格が上昇。加州は通常、全米で最もガソリン価格が高くなる傾向にあるが、炭素クレジットを含む環境に配慮した取り組みにかかるコストの上昇も一因となっている。オーピスとアーガスメディアのデータによると、同州の炭素クレジットはここ数週間、1ガロン当たり30セント前後と、過去最高水準で推移している。 
29日の米国時間の原油先物は、マクロ経済上の懸念要因のほか、利食い売りが重しとなり下落した。ただ、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の減産で世界的な供給が減少したことで、7─9月期としては約30%上昇した。
原油先物が1バレル=100ドルに迫る中、市場ではマクロ経済上の懸念を踏まえた利食い売りが出ている。ニューヨークのアゲイン・キャピタルのパートナー、ジョン・キルダフ氏は「米原油先物はこれまで注目を一身に集めてきたが、きょうはその輝きを失っている」と語った。
土壇場で回避されたものの、米政府機関閉鎖のリスクはこの先も残っており、トレーダーが今週に向けて神経質になっているのも無理はない。加えて、米10年債利回りは約16年ぶりの高水準で推移しており、リスク資産の魅力をそいでいる。さらに、米連邦公開市場委員会(FOMC)がインフレ対策にどこまで踏み込むかという問題もある。自動車労働者のストライキが拡大していることも、今後の価格変動リスクを高めている。
スティーフル・ニコラウスの株式デリバティブストラテジスト、ブライアン・ドンリン氏は「市場参加者の頭の中には多くの疑問がある。ヘッジ活動が少し強まり、ボラティリティー急上昇のリスクが少し高まった」と述べた。
S&P500種が4週連続で下落し、今年最長の連続安を記録している中でも、取引は秩序を保ち、パニックのようなヘッジの兆候はほとんど見られなかった。それでも、トレーダーはボラティリティーが長引くことを覚悟しているようだ。
スティーフルの9月下旬時点のデータによると、米国に注力する上場投資信託(ETF)の多くで、いわゆるストラドル戦略(同じ権利行使価格と満期のプットとコールを使って、より大きな価格変動に賭ける戦略)の価格が、2カ月平均を上回っている。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は17.52と、FOMCの政策決定が発表される前日だった9月19日の終値14.11を上回っている。ただ、まだ恐怖の兆候をほとんど感じさせない水準であることは確かだ。
パニック売りの特徴の一つである株価の同期的な変動はどこにも見られない。S&P500種銘柄の1カ月の実現相関係数は0.24と、8月下旬の0.29から低下している。ハイテク株からエネルギー株へのローテーションが相関係数を抑制している可能性が高い。
JPモルガン・チェースの米州株式デリバティブ戦略責任者、ブラム・カプラン氏は「投資家の不安は高まっているかもしれないが、それは緩やかなもので、パニックという感じではない」と指摘。「ボラティリティーの上昇は緩やかだ。ヘッジへの殺到を示唆するオプションのボラティリティー・スキューやプット・コール・レシオの急上昇は見られていない」と述べた。
それでも、9月後半は株式の強気派には不利な展開となった。金利を巡る不安の高まりがセンチメントを圧迫しているようだ。S&P500種構成企業の約9割が決算発表前のブラックアウト期間に自社株買いを凍結しており、株式市場から大きな上昇力を奪っていることも影響した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ウクライナの隣国である中欧のスロバキアで9月30日、国民議会(一院制、定数150)選挙が実施された。選管当局の集計によると、ウクライナへの軍事支援の停止を訴えるスメル(道標)が第1党に躍進した。支援継続の姿勢を示す親欧州連合(EU)のプログレッシブ・スロバキア(PS)は第2党となった。
インド洋の島国モルディブで30日に行われた大統領選の決選投票で、野党候補で首都マレ市長のムイズ氏(45)が過半数を獲得し、現職のソーリフ氏(61)を破り勝利した。親インド路線だった同国の外交姿勢が、中国寄りに戻る可能性がでてきた。
ロシアがウクライナ東・南部の4州の一方的な併合を宣言して30日で丸1年となった。4州では9月の選挙で州議会を選出し実効支配を強める。反攻を進めるウクライナから占領地域を防衛するため、ロシアは来年の防衛予算を大幅に積み増し、契約軍人を増強するなど、態勢固めを急いでいる。
中国国家統計局が30日発表した2023年9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.2だった。前月より0.5ポイント高く、6カ月ぶりに好調・不調の境目である50を上回った。生産や新規受注が持ち直した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは29日、米コンサルティング会社幹部が、滞在する中国本土からの出国を約2カ月にわたって中国当局に禁止されていると報じた。数年前の事件の捜査に協力しているという。関係者の話として伝えた。
同紙によると、幹部はマイケル・チャン氏で、企業調査やリスク分析を手がける「クロール」で勤務。7月に中国本土に入った後、会社側へ中国から離れられないと伝えた。捜査対象ではなく、本土内での移動は自由という。香港を拠点に活動し、香港の旅券を所有している。
中国では外国企業の締め付けが強まっており、今年に入って複数の米コンサル会社が国家安全当局の調査を受けるなどした。今月25日には野村ホールディングス傘下の香港法人幹部が中国本土からの出国を当局から禁止されたとも報じられ、外国企業の間で懸念が高まっている。
タス通信によると、アルメニア政府は29日、アゼルバイジャンとの係争地ナゴルノカラバフからアルメニアへの避難民が8万8千人を超えたと明らかにした。多数派のアルメニア系住民約12万人のうち、約3分の2が保護を求めてアルメニアに移動したことになる。
ナゴルノカラバフ側は今月19〜20日にアゼルバイジャン軍の全面攻撃を受け、武装解除を条件に停戦に応じた。アゼルバイジャンからの独立を主張してきた行政府「ナゴルノカラバフ共和国」は28日、行政機関を解散し、来年1月1日までに存在を停止するとの「大統領令」を発表。アゼルバイジャンの支配下に入ることが確実になった。
行政府の首相に当たる国務相を以前務めたベグラリャン氏は29日、住民投票に基づく行政府の解散権限は「大統領」にはなく「無効だ」と通信アプリで主張した。ただ武装解除後の住民避難は止まらず、後ろ盾のアルメニアのパシニャン首相は28日、近日中にアルメニア系住民がいなくなるとの見方を示している。
ナゴルノカラバフのアルメニア系住民は1991年に独立宣言しアゼルバイジャン軍と交戦。94年の停戦後も衝突を繰り返した。2020年の大規模衝突ではアゼルバイジャンが勝利。パシニャン氏は最近、現地をアゼルバイジャン領と認める用意を表明していた。〔共同〕
国家統計局が30日発表した9月の中国の製造業購買担当者指数(PMI)は50.2と、8月の49.7から上昇した。エコノミスト予想の50.1を上回り、活動拡大・縮小の境目となる50を上回った。
サービス業と建設業を対象とする非製造業PMIも51.7と、8月の51から上昇し、ブルームバーグがまとめた予想中央値の51.6を上回った。
投資家やアナリストは、中国が最近実施した景気刺激策が消費者・企業の信頼感低下や進行中の不動産危機によって今年困難な状況に見舞われた景気回復を支えている証拠を探している。中国当局が成長を支える方法を模索する中で、金融政策が緩和されたほか、インフラ整備のための地方政府の借り入れも増加している。
最近の指標は、景気減速の最悪期が底打ちしたことを示唆していた。8月の工業利益は1年余りで最も速いペースでの伸びとなり、輸出のマイナス幅は縮小し、与信は予想以上に拡大した。
それでも経済の先行きは依然として不透明だ。ブルームバーグの最新調査によると、エコノミストは中国の国内総生産(GDP)成長率見通しを下方修正し、政府が設定した5%前後の目標にぎりぎり届くとみている。
習近平国家主席は28日、建国74周年を記念する演説で、経済・社会発展の年間目標を達成するための取り組みを強化すると表明した。経済の「継続的改善」を推進するため、マクロ経済コントロールを高め、内需を拡大するとしたが、具体的な措置は明らかにしなかった。
10月1日に発表された9月の財新製造業購買担当者指数(PMI)は50.6に低下し、活動拡大・縮小の境目の50に接近。エコノミスト予想を下回った。
9月の財新サービス業指数は50.2と、拡大の勢いを失いつつあることを示唆した。中国政府が景気刺激策を打ち出しているにもかかわらず、やや不安定な回復を示している。
ポーランドの首都ワルシャワで1日、右派政権に抗議する大規模集会が開催された。野党指導者のトゥスク元首相の呼び掛けによるもので、市の報道担当者はAFP通信に「約100万人が参加した」と明らかにした。
ポーランドは15日に総選挙が行われる。国内各地から集まった参加者は、ポーランド国旗や欧州連合(EU)の旗を掲げて行進。7時間かけてやって来たという男性(65)は「自由が押さえ付けられる現状は、もうたくさんだ。子供や孫たちのためにも、民主主義を求める」と語った。
現与党「法と正義」はしばしばEUと衝突し、法の支配を侵害しているとの批判も浴びる。ただ、世論調査の支持率は35%前後で首位を走り、トゥスク氏率いる最大野党の27%を上回っている。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドル指数が小幅下落した。ただ、四半期ベースでは年初来最大の上げ幅を記録し、週間でも11週連続上昇となる基調にある。投資家は堅調な米経済の持続と金利上昇長期化の可能性を織り込んでいる。
複数のアナリストがドル高は続くとみている。ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の為替戦略担当グローバルヘッド、ウィン・シン氏は「今日のドル下落は四半期末のリバランスによる可能性が高いとみている。この調整がいつまで続くかはわからないが、投資家は割安な水準で再びドルを買い持ちにする機会をうかがうべきだ」と述べた。
<債券> 国債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを終了するとの見方が強まった。CMEのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場は11月の利上げ確率をわずか14%と見積もっている。1カ月前には40%を超えていた。
<株式> S&P総合500種が下落して取引を終えた。投資家は米インフレ指標が連邦準備理事会(FRB)の金融政策に及ぼす影響を消化した。第3・四半期末のポートフォリオ調整も重しとなった。
USバンク・ウェルス・マネジメントのエリック・フリードマン最高投資責任者(CIO)は「インフレ率は予想より好転しているものの、なお高止まりしている」と指摘。一方で「四半期末を迎え、株式と債券の両市場であらゆる動きが見られる」とした。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。2023年第2・四半期の国内総生産(GDP)が堅調だったことが好感され、中型株で構成するFTSE250種指数(.FTMC)は1.00%高と、7営業日ぶりに反発した。
ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのマルチアセット・ストラテジスト、アンティ・ツヴァリ氏は「英経済は実際に非常に良く持ちこたえており、消費者の回復力も高まっている。つまり、年内に追加利上げが行われ、その後長期にわたって金利が高止まりする可能性があるということだ」と指摘した。
トレーダーは、イングランド銀行(英中央銀行)が11月の会合で再び政策金利の据え置きを決める確率は67%と見ている。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。ユーロ圏の9月のインフレ率が鈍化したことで欧州中央銀行(ECB)が利上げを停止するとの期待感が高まった。
TSロンバードの欧州・グローバルマクロ担当ディレクター、ダビデ・オネグリア氏は投資家向けメモで「我々が考えるようにディスインフレとスタグネーション(景気停滞)が続けば、利下げに関する議論は市場が予想するよりも早く戻ってくるだろう」との見方を示した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。ユーロ圏のインフレ率が予想を下回ったことを受けた。ただ、月間および四半期では利回りは大幅に上昇した。
ジェフリーズのチーフ欧州エコノミスト、モヒト・クマール氏は「重要なのは売りが続くのか、それとも市場を買う好機なのかだ」と指摘。「マクロ的な観点からは、売りはそれほど続かないと見ている」と述べた。
日経先物31840、ダウ先33725、債先145.00、米4.579、独2.8525、仏3.410、西3.950、伊4.777、英4.5015、波5.898、原油90.77、銅8,280、ドル円149.38、ユーロドル1.0572
※9/29 NY引け値

備忘録(2023/9/28)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
イングランド銀行(英中央銀行)は、昨年のような債券市場の混乱の再発を防ぐため、保険会社と年金基金に融資する新制度の設計に着手する。
中銀の市場担当エグゼクティブディレクター、アンドリュー・ハウザー氏が28日明らかにした。
同国では昨年10月、トラス前首相が打ち出した「ミニ予算」を受けて債券市場が混乱し、中銀が対応を迫られた。
ハウザー氏はMNIコネクト主催のイベントで「保険会社と年金基金への融資を可能にする制度の設計に直ちに着手する。新たに強靭性を高めたLDI(債務主導型投資)ファンドも対象になる」と発言。
こうした金融機関は大量の英国債を保有しており、通常は容易に国債を換金できるが、市場の混乱時は国債の買い手が不足する可能性がある。
同氏は、こうした融資制度の対象を時間をかけて幅広いノンバンクに拡大することも検討するが、金融機関が日々のリスクに対する警戒を緩めることがあってはならないと主張。
「安定に対する本当の脅威からシステムを守ることが中銀の仕事だ。相対的に深刻度の低いさまざまなショックから身を守るのは企業の仕事だ」と述べた。
●その他産業
フランス当局は、「グラフィックスカード分野」の問題と述べた以外、どのような反競争行為があったかなどは明らかにしていない。
また当局は今週の捜索について、クラウドコンピューティング業界において中小の競争者の排除が行われているのではないかとの懸念を巡る幅広い調査を踏まえたものだとも説明している。
全米自動車労組(UAW)は3大自動車メーカー(ビッグスリー)に対するストライキを通じて少なくとも30%の賃上げを実現したい考えだ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
UAWは当初40%前後の賃上げをフォード・モーターとゼネラル・モーターズ(GM)、ステランティスに求めていた。同関係者によれば、一般的な賃上げのほか、賃金をインフレ率に連動させる生活費調整(COLA)も考慮に入れている。協議が非公開であることを理由に、匿名を条件に語った
報道を受けて、ビッグスリーの株価は上昇。28日の米株式市場でGMとステランティスは2.5%高、フォードは1.4%高で終了した。GMとフォードの株価は労働協約交渉を巡る不透明性から7月以来急落。一方、ステランティスは年初から36%上昇している。
少なくとも30%の賃上げなら自動車産業の非組合員の関心を呼び起こし、UAWの加入者増加に寄与する見込みだと、関係者は述べた。UAWの組合員数は1970年代には100万人を超えていたが、現在は40万人となっている。
UAWの広報担当者はコメントを控えた。GMとフォード、ステランティスもコメントしなかった。
フォードは既に20%の賃上げに加え、COLAを復活させる案を提示している。UAWも賃上げ率の要求を40%から36%に引き下げていた。
●決算関連
2023年6〜8月期決算は、純利益が前年同期比1%減の14億5000万ドル(約2160億円)だった。減益は7四半期連続となった。広告宣伝費などのコスト増によって採算が悪化した。北米ではインフレが長引き、消費者の購買意欲も減退した。
ただスニーカーやアパレル製品の値上げ効果が予想を上回る利益をもたらした。在庫も10%減少。年末商戦を前に余剰在庫の圧縮が進んでいる様子がうかがえて、今後大幅な値引きを迫られるのではないかと心配していた一部投資家の安心感を誘った。
地域別に見ると、北米市場では米消費者の財布のひもが固くなって卸売業者が発注を減らした影響から、売上高は2%減った。一方中国市場はアパレル製品主導で5%の増収となったが、アナリストが予想した15.4%増ほど伸びなかった。
●先進国、グローバル、金融市場
米欧の長期金利が軒並み上昇(価格は下落)し、米国は16年ぶり、ドイツでは12年ぶりの高水準で推移した。米国の金融引き締めが長引くとの警戒感が根強いほか、フランスやイタリアが打ち出した予算案で財政赤字への懸念が広がり、金利が一段と上がる構図になっている。
欧州では財政赤字への懸念が、投資家の国債売りに拍車をかけた。フランスのルメール経済・財務相は27日、24年の財政赤字を国内総生産(GDP)比で4.9%から4.4%に削減する予算案を明らかにした。エネルギー支援策の打ち切りによって支出は減らすものの、高インフレへの対応で高齢者への年金や低所得層への給付を増やす方針を継続するなど、想定よりも財政赤字の減少幅が小さいとの見方が市場から出ている。
英HSBCのチャンタナ・サム・エコノミストは「フランスの債務の対GDP比は(今後下がらずに)横ばいが続く見通しで、投資家や格付け機関の懸念を引き起こす可能性がある」と分析する。格付け会社のフィッチは4月、仏国債の格付けをダブルAマイナスへと1ノッチ引き下げていた。S&Pグローバルも見通しを将来の格下げの可能性を意味する「ネガティブ」としている。
イタリア政府も27日、24年の財政赤字をGDP比で4.3%と、これまでの3.7%から上方修正すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて凍結されたものの、欧州連合(EU)が加盟国に求めている3%以内に抑える財政基準を両国とも超えている。財政懸念から国債の売りが広がり金利上昇を招いた。
英キャピタル・エコノミクスのトーマス・マシューズ・シニアマーケットエコノミストは「米国の経済指標が予想を上回ったほか、欧州各国での高インフレの継続で長期金利上昇の勢いがさらに増した。24年にかけて多くの中銀が利下げに踏み切ると考えるが、そのペースは想定よりも遅くなりそうだ」と指摘する。
CMEグループが28日に公表した暫定データによると、フェデラルファンド(FF)金利先物11月限の未決済約定残高が27日に急増した。同データは先物の新規ポジションの動向を示す。
約7万枚の増加は、利上げを見込んでいることを示す新規のショートポジションと一致した。同日に11月限の出来高は23万8000枚と、前回FOMC会合の翌日に当たる9月21日の23万3000枚を上回り、過去最高を記録した。
金利スワップ市場は現在、11月会合での利上げ幅を約6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)織り込んでいる。これは25bpの利上げを約25%の確率で予想していることを示している。
ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者で、資産家のレイモンド・ダリオ氏は「米国が債務危機に陥るだろう」と述べる一方、発生スピードは「その需給問題の関数」になるだろうと指摘した。
ダリオ氏は28日に放送されたCNBCとのインタビューで、米経済の「有意の減速」が起きると考えているとした上で、1-2%の違いはあるとしても、経済成長率がゼロ近くに低下する可能性があると語った。
28日の市場では、英国債を中心に世界的に債券が下落。金融引き締めが長期化するとの見方を、世界の投資家が甘受しつつある。
英10年債利回りは一時20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.56%に達した。このまま引ければ、1日の上昇幅として約1年ぶりの大きさとなる見込み。
ドイツ10年債利回りは14bp上昇して3%弱となった。3%の水準は2011年以降付けていない。米10年債利回りは4.69%と、07年以来の水準に上昇した。
この動きは、今月に入り加速した急激なリプライシングの一環だ。今年の市場で好まれていた債券トレーディングの一つが、手痛い目に遭っている。
トレーダーらは景気の急減速に対するヘッジとして、長期債に多額の資金を投じていた。だが、高インフレを持続させかねない原油高などの逆風が吹きつけ、長期債投資の妙味は薄れている。
サクソ銀行のストラテジスト、アルテア・スピノッツィ氏は英国債の売りについて、「金利をしばらく高止まりさせることが政策当局者の視野に入っているのは明らかだ」と指摘した。
市場は債券供給の増加にも直面している。欧州では、欧州中央銀行(ECB)がバランスシートに抱える債券の売却を加速させる可能性がある一方、政府も景気が減速し始める中で支出を支えるため高水準の債券発行を続けると見込まれる。
先進国市場のうち金融緩和を最後まで続けている日本の国債利回りすら、動きつつある。金利を低水準に維持する日銀の能力を投資家が試す中、28日に新発20年物の日本国債利回りは2014年以来の高水準を付けた。
イングランド銀行(英中央銀行)は政策金利を先週据え置いたが、短期金融市場はこれ以降で初めて同中銀の0.25ポイント利上げを完全に織り込んだ。来年の金融緩和観測は後退させ、現在5.25%の政策金利が来年中に5%に低下することをもはや完全には見込んでいない。
英国債は最近アウトパフォームしていたため、激しく売られているという面もある。月初来の利回り上昇幅は英10年債が20bp足らずだが、ドイツ債と米国債は50bp前後に上る。
ジュピター・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、マーク・ナッシュ氏は「米国債や欧州国債に追い付こうとする動きだ」と英国債の下落を説明。「原油価格は上昇している。英国は外国から大規模に借り入れを行っており、資金状況は厳しくなる。利回りは上がらざるを得ない」と語った。
米議会で民主党が主導する上院は28日、過去10年間で4回目となる政府機関の一部閉鎖を回避するため、超党派のつなぎ予算案を前進させた。一方、野党共和党が多数派の下院は、党派的な歳出法案の採決を実施する構えだ。
上下両院の足並みがそろわず、新会計年度が始まる10月1日に政府資金が不足して数十万人の連邦政府職員が一時帰休となり、経済指標発表や食糧給付などあらゆるサービスが停止する可能性が高まった。
上院は連邦政府支出を11月17日まで延長するつなぎ予算案の審議開始を76対22で可決した。国内の災害対応とウクライナ支援向けにそれぞれ約60億ドルを充てる内容。
共和党はすでに上院案を拒否している。
下院は夜に4本の党派的歳出法案を採決する計画だが、民主党の強い反対を押し切って成立させたとしても、それだけでは政府機関の閉鎖を回避することはできない。
マッカーシー下院議長は28日、上院民主党がつなぎ予算案で国境問題に対処することに同意すれば、閉鎖は回避できるとの考えを示した。
一方、上院民主党トップのシューマー院内総務は「議会が閉鎖を回避するには超党派という選択肢しかない」と述べた。
第2・四半期の実質国内総生産(GDP)確報値は、年率換算で前期比2.1%増となった。改定値と一致し、第2・四半期もかなり力強い成長ペースが維持された。市場予想も2.1%増だった。
個人消費の伸び率が従来の1.7%から0.8%に下方修正されたものの、バイデン政権による半導体製造の米国への回帰推進を受けて設備投資が上方修正された。
第1・四半期のGDP成長率は前回発表の2.0%から2.2%に修正された。
インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者(CIO)、クリス・ザッカレリ氏は「ビッグニュースは修正がなかったということではなく、経済が依然として耐性を維持し、インフレ率が高止まりし、連邦準備理事会(FRB)の最悪シナリオであるスタグフレーションが今のところ回避されたということだ」と指摘。「FRBがどれだけ利上げしたかを考えると、経済が依然としてこのペースで成長していることは素晴らしい」と述べた。
JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「全体的に見て、消費者には今回の発表前よりも多くの『超過貯蓄』が残っているようだ。これは経済にとって好ましい兆候だ」と言及。「企業利益に関する最近のデータの上方修正も景気拡大の持続性という点で好ましい」とした。
ただ、米連邦政府が閉鎖されれば第4・四半期に経済の勢いが損なわれる可能性がある。
ゴールドマン・サックスは政府機関の閉鎖により第4・四半期のGDP成長率が週ごとに0.2%ポイント低下すると試算。ただ「閉鎖が短期間なら影響はこれより小さくなり、閉鎖が何週間も続くようなら影響が大きくなる可能性が高い」とした。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
ロベルト・カンポス・ネト総裁は28日の会見で、利下げペース加速に向かうハードルはやや高くなっているとの見方を示した。
中銀は先週、50ベーシスポイント(bp)の追加利下げを決定し、今後数回の会合は同じ幅で政策金利を引き下げる意向をにじませている。
ただカンポス・ネト氏は、金融政策運営は引き締め的な姿勢を維持する必要性も力説。依然として物価上昇率が目標を上回っている現状に中銀は全く満足していないと強調した。
カンポス・ネト氏は、政策金利をどこまで下げるかは言及を控えた。「われわれは海外情勢を含めて不確実性が非常に大きい局面に置かれており、今緩和サイクル全体の規模を明示しても何の得もない」と説明した。
一方でカンポス・ネト氏は、利下げ幅縮小に触れるのも時期尚早だとくぎを刺した。
この日は中銀のガブリエル・ガリポロ金融政策担当理事も発言。現時点での50bpの利下げペースの妥当性を訴えたほか、政策担当者が米国の金利動向や中国経済の最近の情勢を気にかけていると付け加えた。
メキシコ中央銀行は28日の会合で政策金利を11.25%に維持することを全会一致で決定した。金利据え置きは4回連続となった。
一方で総合ベースとコアの物価上昇率予想を上方修正し、当面は現行の政策金利水準が続く公算が大きいと示唆した。
中銀は、物価上昇率の減速が従来の想定より緩やかなので、見通し期間の予想を引き上げたと説明。目標とする3%プラスマイナス1%の範囲に物価上昇率が収まるのは2025年第2・四半期と見込まれ、物価のリスク評価はなお上振れ方向だと付け加えた。
足元までの物価上昇鈍化について中銀は、新型コロナウイルスのパンデミックとロシアのウクライナ侵攻がもたらしたショックの和らぎや、金融引き締めの効果が寄与してきたとみている。ただなおもこれらのショックが特にサービス分野に影響を及ぼし続けているとの警戒感も示した。
フィッチ・レーティングスのソブリンディレクター、カルロス・モラレス氏は、同社は中銀が来年初めまで政策金利を11.25%に維持した後、比較的慎重な姿勢で利下げに動くと予想していると明かした。
キャピタル・エコノミクスのアナリスト、ジェーソン・タビー氏は、中銀がタカ派姿勢を堅持している点を踏まえると、主な中南米諸国で利下げを開始するのはメキシコが最後になるのはほぼ間違いなさそうだと述べた。
●市況
<ロンドン株式市場> 小幅反発して取引を終えた。石油株や鉱業株が買われたのが相場を支えた。ただ、英国債利回りの上昇を嫌気した売りも出て、上げ幅は限られた。
<欧州株式市場> 6営業日ぶりに反発して取引を終えた。資源株が買われて相場を押し上げた。ドイツの9月のインフレ率が予想を下回ったことも投資家心理を高めた。
ドイツの9月消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年同月比4.3%上昇。伸びは8月の6.4%から鈍化した。市場予想の4.5%も下回った。
HSBCグローバル・リサーチのエコノミスト、Christian Fuertjes氏は「まだインフレとの戦いに勝利したわけではなく、ベース効果による追い風は急速に弱まるだろう」との見方を示した。
<ユーロ圏債券> ドイツ債利回りが12年ぶりの高水準を付けた。経済指標でインフレ鈍化が示されたものの、欧州中央銀行(ECB)が政策スタンスを緩和させるかもしれないとの期待には繋がらなかった。一方、独伊債利回り格差は約半年ぶりの高水準となった。
ウニクレディトの債券ストラテジスト、フランチェスコ・マリア・ディ・ベラ氏は「ドイツではインフレが緩和しているが、ECBのスタンスを軟化させるには不十分」と指摘。「主にベース効果による大幅な減速は予想済みだったが、原油価格が上昇を続け中銀のインフレとの戦いはまだ終わっていないとの懸念をあおった」と述べた。
スペインの9月の総合インフレ率は3.5%上昇。エネルギー価格が上昇した。
イタリア10年債利回りは16bp上昇の4.94%。一時約11年ぶりの高水準となる4.96%を記録した。1日の上昇幅としては7月上旬以来の大きさだった。
独伊10年債の利回り格差は196bp。一時199.80bpと6カ月超ぶりの高水準を記録した
<為替> ニューヨーク外為市場では、ドル指数が前日に付けた10カ月ぶり高値から後退したものの、週初の水準と比べるとなお高く、ドルは力強さを維持している。円が対ドルで約11カ月ぶりの安値近辺にとどまる中、 市場では介入警戒感が高まった状態が続いている。
<債券> 米金融・債券市場では、10年債利回りなどが軒並み一時16年ぶりの高水準を更新したものの、その後はテクニカルな要因で上昇が失速した。ただ、経済指標で米経済が引き続きおおむね堅調なことが示され、国債利回りの上昇トレンドに変わりはない。
この日の取引では10年債のほか、5年債と7年債の利回りが16年ぶりの高水準を付けた。30年債利回りは2010年4月以来の水準に上昇。20年債利回りは過去最高を記録した。利回り上昇は短期債にも及び、3年債利回りは2カ月半ぶりの高水準を付けた。
<株式>  米国株式市場は主要3指数が上昇して取引を終えた。投資家が最新の経済指標を消化するとともに、米国債利回りの急上昇が失速したことが背景。
投資家は米議会が政府機関閉鎖を回避できるかどうかも注視している。
ノースウェスタン・ミューチュアル・ウェルス・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、マット・スタッキー氏は、米10年債利回りが4.6%付近で落ち着いたことで安心感が広がったと指摘。過去数日の株価は非常に不安定だったとした上で「3、4日間のかなり大幅な下落の後にやや反発するのは当然だ」と述べた。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米金利先高観を嫌気した売りが優勢となり、4営業日続落した。
<米原油先物> ニューヨーク商品取引所(NYMEX)の原油先物相場は高値警戒感から売りが先行し、3日ぶりに反落した。
日経先物31925、ダウ先33937、債先145.08、米4.585、独2.9240、仏3.486、4.013、伊4.865、英4.5920、波5.951、原油91.69、銅8,247、ドル円149.34、ユーロドル1.0563
※9/28 9時5分頃

備忘録(2023/9/27)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
英イングランド銀行(中央銀行)は27日、銀行に対する国際的な資本規制「バーゼル3」の最終規則の英国での適用開始を2025年7月に半年延期すると発表した。英中銀は理由を明らかにしていないが、各行との調整に時間がかかっているようだ。
移行期間を4年半に短縮し、2030年1月1日としていた完全実施の日程は後ろ倒ししない。欧州連合(EU)は25年1月、米国は25年7月に導入予定だ。日本では主に海外展開する銀行は24年3月末、それ以外は25年3月末から適用する方針で、一部の銀行は自主的に前倒しで導入している。
米国の鉄鋼大手ニューコアは27日、中規模発電所並みとなる50万キロワットの核融合発電プラントを2030年にも同社の電炉に導入すると発表した。核融合技術を開発する新興の米ヘリオン・エナジーと協力する。クリーンな電力を安定的に調達し、事業の脱炭素化につなげる。
ニューコアはヘリオンに3500万ドル(約52億円)を出資して開発を支援する。ニューコアのレオン・トパリアン最高経営責任者(CEO)は同日、「ヘリオンとの合意はエネルギーの景色を一変させる」とコメントした。
核融合は太陽と同じ反応を地上で再現することを目指す。理論上は1グラムの燃料から約8トンの石油と同じ熱量が得られる。温暖化ガスを排出しないうえ、燃料も無尽蔵の「夢のエネルギー」とされる。
核融合は各国で研究開発が進むが、一般的に実用化には数十年かかるとされる。ヘリオンはスタートアップながら28年の発電開始をめざし、米マイクロソフトと同社に電力を供給する契約を結んだ。生成人工知能(AI)「ChatGPT」を手がける米オープンAIのサム・アルトマンCEOが出資することでも知られる。
米国ではローレンス・リバモア国立研究所が22年12月、投入した分を上回るエネルギーを取り出す実験に初めて成功した。グランホルム・エネルギー長官は10年以内の商用化を目指すとしている。
電炉は鉄スクラップを電極で溶かして製鋼する。原料炭と鉄鉱石を蒸し焼きにする高炉よりも温暖化ガスの排出量が少ないものの、安価でクリーンな電気を安定調達するのは難しい。ニューコアは核融合を活用することで課題の解決を目指す。
ニューコアは核融合以外に、軽水炉型の小型原発「SMR」の活用も模索している。同社は23年5月、新興の米ニュースケール・パワーの小型原発の導入を検討すると発表した。ニュースケールにはIHIや日揮ホールディングス、中部電力が出資し、日本企業と関係が深い。
米国では自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)などが脱炭素化した「グリーン鉄鋼」の納入を求めており、鉄鋼各社は対応を迫られている。
経済や社会の脱炭素化を巡っては、太陽光や風力による発電の商用化が進み、普及期にある。ただ自然エネルギーを使う発電は天候に左右されやすく、供給が不安定になりやすい。従来型の原子力発電はクリーンな電力を安定供給できるものの、安全性に対する批判が強い。
これらに対し、核融合は燃料供給を止めれば反応がすぐ収まるという特徴を持ち、従来の原発より安全とされる。脱炭素の実現へ、安全に膨大なクリーンエネルギーを得られる核融合に対する期待は大きい。
●その他産業
高級ブランド「COACH(コーチ)」などを手掛ける米タペストリーの株価に割安感が出てきた。26日には一時28.04ドルまで下落し、約1年ぶりの安値をつけた。8月に同業他社の買収を発表したが、買収負担の重さが嫌気された。一方で米景気は底堅さを示す。ブランド品消費が想定より落ちない可能性もある。
ソフトバンクグループ(SBG)が米格付け会社S&Pグローバルに信用格付けを据え置かれたことへの反発を強めている。傘下の英半導体設計アームが米ナスダック市場に上場したことで財務指標が回復しており、格上げが妥当だと主張している。S&Pは「格上げの条件を継続的に満たすか、時間をかけ判断したい」との見解だ。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
プライベートアセット(非上場資産)のうち、プライベートデット(企業融資)を扱う投資ファンドに資金が流入している。米調査会社ピッチブックの調査によると、1〜6月はこのタイプのファンドが949億ドルを調達した。
米国の金融引き締めが長期化するとの見方が広がり、米長期金利が約16年ぶりの高水準となった。金利のつかない金の投資妙味が薄れた。
米国の金利上昇や中国の景気不安が、世界の株式相場の重荷になっている。高額消費やハイテク、設備投資関連で株価の下落が目立つ。世界の株式時価総額はおよそ4カ月ぶりに100兆ドルの大台を割った。相場の急変動や、景気の減速に身構えるリスクオフの姿勢が鮮明だ。
米上場企業の自社株買いの減少が鮮明だ。2023年1〜9月は前年同期から1400億ドル(約21兆円)減の3300億ドルに落ち込んだ。世界全体の減少額(2500億ドル)の約6割を占めた。景気減速や金利上昇を背景に現金を確保しようとする動きが広がっており、事業環境の不透明さが企業のお金の使い道にも影響し始めている。
米共和党のマッカーシー下院議長は27日、上院で進められている、政府資金を一時的に手当てする法案を拒否すると表明した。これにより新会計年度が始まる10月1日に一部の政府機関が閉鎖されるリスクが一段と高まった。
上院で26日に超党派の支持を受けた案は11月17日までの政府資金を手当てするもの。新会計年度の予算案について議員が討議する時間を稼ぐことができ、上院共和党トップのマコネル院内総務を含む上院共和党も支持を表明している。
ただ、マッカーシー下院議長は記者団に対し「下院で支持は見られていない」とし、「大統領が介入する必要がある。さもなければ政府機関は閉鎖される」と述べた。
バイデン大統領は「もし政府機関が閉鎖されれば、がん研究から食品安全性に至るまで、多くの重要な科学や健康に関する仕事に影響が及ぶ可能性がある」とし、「下院共和党に仕事をしてもらう必要がある。政府資金を提供してほしい」と述べた。
米大統領経済諮問委員会(CEA)のジャレッド・バーンスタイン委員長は27日、米経済が政府機関閉鎖リスクや学生ローンの返済再開、金利上昇、自動車業界労働者のストライキといった逆風に直面していると指摘した。
シンクタンクの米経済政策研究所のイベントで講演し、政策の誤りや外生的なショックがない限り、経済は「かなり良い状態」を維持するだろうと語った。
「現在、賃金は物価を上回っている。名目賃金は物価よりも速いペースで上昇している。こうした米経済状況はかなり持続的なフライホイール(弾み車)を生み出している」と指摘した。
米共和党のマッカーシー下院議長は27日、上院で進められている、政府資金を一時的に手当てする法案を拒否すると表明した。これにより新会計年度が始まる10月1日に一部の政府機関が閉鎖されるリスクが一段と高まった
米政府機関が閉鎖に追い込まれれば、経済への打撃は当初こそ小さいものの、日増しに深まるだろう。数百万人の政府職員が給与を受け取れないだけではない。民間の請負業者にも代金が支払われず、米政治の機能不全を前に消費者の不安も募るとみられるためだ。
新会計年度が始まる10月1日までに予算が手当てされなければ、イーロン・マスク氏の宇宙開発会社スペースXから連邦ビルの清掃業者に至るまで、政府の請負業者が直面する売上高の損失や遅延は1日当たり最大で19億ドル(約2800億円)に上る。
閉鎖期間中は約130万人の現役軍人に加え、民間部門では200万人の連邦政府職員が給与を受け取れない。国家運営に必要不可欠な業務を担当する職員はそれでも勤務を続けることになる。閉鎖が解除されれば政府職員には自動的に未払い分の給与が支給されるが、これまで契約職員には閉鎖中の給与は支払われてこなかった。
高水準の金利や原油高、労働者によるストライキに対する懸念から、S&P500種株価指数はすでに今月だけで5%余り下落。政府機関の閉鎖が加われば金融市場へのダメージはさらに深まるだろう。米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した9月の米消費者信頼感指数は4カ月ぶりの水準に落ち込んだ。家計や雇用の見通しに対する不安が強まっているためだ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は、閉鎖が1カ月に及べば、10月の失業率が一時的に4%に押し上げられるリスクがあると指摘。
ゴールドマン・サックス・グループのアナリスト、アレック・フィリップス氏は、閉鎖が長期化すれば、その影響は連邦政府職員にとどまらないとし、「長引くほど間接的な影響が大きくなる」と指摘する。
ブルームバーグ・ガバメントの分析によると、2022年度の請負業者に対する連邦政府の支払額で、上位はロッキード・マーチン、RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)、ゼネラル・ダイナミクスなど防衛大手が占めた。
イタリア政府は27日、金利上昇に伴う国内経済への影響を踏まえ、2023年と24年の経済成長率を下方修正した。財政赤字も省エネ住宅関連歳出により当初見通しより拡大するとした。
財務省は23年の国内総生産(GDP)伸び率を0.8%とし、4月予想の1%から引き下げた。24年は1.5%から1.2%に下方修正した。
見通し修正要因として、欧州中央銀行(ECB)による制限的な金融政策とウクライナ戦争を挙げた。
23年の財政赤字の対GDP比率は4.5%から5.3%に引き上げた。景気減速に加えて、省エネ住宅改修を促す補助金などが財政を圧迫するという。
24年の財政赤字の対GDP比は4.3%と、従来の3.7%から引き上げられた。
公的債務は26年までGDP比140%前後で安定的に推移するすると見込む。
米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、政府機関が閉鎖される、あるいは自動車ストライキが長期化する場合には景気が減速する可能性があるため、連邦準備制度理事会(FRB)は物価上昇を緩和する手段を使う必要がなくなるとの見方を示した。
「このような下振れシナリオが米経済を直撃した場合、インフレ率を2%に下げるための金融政策を縮小する必要が生じるかもしれない。政府機関の閉鎖や自動車ストはわれわれに代わって景気を鈍化させる恐れがあるからだ」とカシュカリ総裁は27日、CNNとのインタビューで発言。「そうなることを望んでいるわけではないが、そういった作用はある」と続けた。
ニューヨーク市場の原油先物相場が上昇し、1年ぶりの高値を更新した。米国内最大の原油貯蔵拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫水準が2022年7月以来の水準に低下した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物11月限は、バレル当たり93ドルを突破。クッシングの在庫は2200万バレル弱と、稼働に必要なほぼ最低量まで減少した。
逆ざやになっている期近2限月のスプレッドは、昨年7月以来の高水準となる2ドル付近となっており、現物市場のひっ迫が先物市場に反映されている。
原油相場の上昇で100ドルも再び視野に入ったが、ここ数週間に上昇の勢いは鈍っている。主要消費国のインドは原油高が景気に及ぼす悪影響を指摘、来年の需要見通しに一定の疑問も浮上している。
それでも、大半の地域で在庫は減少を続けている。クッシングの貯蔵施設では、在庫が貯蔵能力の25%に落ち込んだ。
投資家が長期債の保有に対して求める上乗せ利回りの主要指標が2021年6月以降で初めてプラスに転じた。期間長めの米国債利回りの急上昇を反映したものだ。
ニューヨーク連銀が公表する10年債の「ターム(期間)プレミアム」の指標は、過去7年間の大半にわたりマイナス圏で推移していたが、今月25日にプラスに転じた。
米金融当局が政策金利引き上げをほぼ終了したとの見方から、米国債のイールドカーブ(利回り曲線)は逆イールドが縮小しており、10年国債利回りは07年以降で初めて4.5%を超えた。大幅な財政赤字を穴埋めするため米国債供給が増加していることもこの傾向を助長している。
HSBCのアナリストによれば、タームプレミアムの上昇は、高めの金利が長期化する可能性と共に、財政政策の信頼性を巡る懸念を浮き彫りにしているという。
債券調査担当グローバル責任者スティーブン・メージャー氏率いる同行アナリストらは27日付のリポートで、「タームプレミアムの上昇は、長期的な均衡政策金利が将来的に高くなるという見方を反映している」と指摘。一部の新興市場で起きているように、債務が増えれば利回りが上昇するという状況に対する「テールリスクへのヘッジを、米国債のリスクプレミアムの上昇は映しているのだろう」と分析した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
アゼルバイジャン保健省は27日、隣国アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフで19〜20日に行った攻撃でアゼルバイジャン軍と内務省部隊の計192人が死亡し511人が負傷したと明らかにした。タス通信が報じた。またアルメニア政府は27日、ナゴルノカラバフから保護を求めて同国入りした避難民が27日までに5万人以上になったと発表した。
アルメニアは、攻撃によりナゴルノカラバフ側に200人以上の死者と約400人の負傷者が出たとしている。今回の交戦で、6500人以上が死亡したとされる2020年9月に始まった大規模衝突に次ぐ多数の犠牲者が出たことが明確になった。
アゼルバイジャン国境警備隊は27日、ナゴルノカラバフの行政府で首相に当たる国務相を務めていたロシアの元投資家ワルダニャン氏をアルメニア国境で拘束したと発表した。アゼルバイジャンに不法入国した疑いが持たれているという。
タイ中央銀行は27日の金融政策委員会で、政策金利(翌日物レポ金利)を従来より0.25%高い年2.5%にすると決め、即日実施した。利上げは8会合連続。9月上旬に発足した新政権の経済政策を「注視する」とし、景気過熱への警戒感を示した。
●中東
●中南米・アフリカ
ブラジル中央銀行のロベルト・カンポス・ネト総裁は27日の議会証言で、物価上昇率を政府目標に収める必要性を改めて強調した。
カンポス・ネト氏は、コア物価上昇率が「大きく下振れ」し、ディスインフレが進行しつつあるとしながらも、依然として引き締め的な金融政策が求められているとくぎを刺した。
ただルラ大統領や与党関係者、企業界などは高金利を批判。中銀は8月と今月の会合で利下げを実施している。
こうした中でカンポス・ネト氏は、政府が物価上昇率の目標を3%に据え置く決定をしたことを称賛し、それが金融緩和を始めるための重要なステップだったとの見方を示した。
またカンポス・ネト氏は、政府が来年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)赤字を解消することを含めた新たな財政ルールを達成しようとする姿勢を見せるのが大事だと指摘。実際に達成できなくても、市場は政府の努力を評価してくれると付け加えた。
カンポス・ネト氏は、富裕層の優遇につながっている税制度改正の一環として政府がオフショア投資への課税を提案していることも支持した。
●市況
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドル指数が10カ月ぶりの高値を付けた。高金利環境下で米国経済が相対的に他国をアウトパフォームするとの見方が背景にある。円は介入警戒域で推移し、ユーロは約9カ月ぶりの安値に下落した。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇した。10年債利回りはテクニカル要因に押され、16年ぶり高水準を記録。米連邦準備理事会(FRB)の高金利長期化観測が背景となった。
<株式> 米国株式市場はS&P総合500種がほぼ横ばいで取引を終えた。米国債利回りの上昇が相場の重しとなった一方、株価水準が切り下がったため安値拾いの機会を伺う動きも出た。
<ロンドン株式市場> 下落して取引を終えた。ジェフリーズが英首都ロンドンのオフィス市場は「賃貸不況」に陥っていると指摘したことが嫌気されて、不動産株が売られた。
ジェフリーズのアナリストによると、ロンドンのウェストエンド、シティー、カナリーワーフのビジネス街全域で空きスペースが30年ぶりの高水準に達しているという。
FTSE350種不動産投資信託株指数(.FTNMX351020)は2.76%下落した。
<欧州株式市場> 5営業日続落して取引を終えた。ジェフリーズによる英不動産デベロッパーに関する弱気なコメントが嫌気されて不動産株が売られた。
ジェフリーズは英首都ロンドンのオフィス市場は「賃貸不況」に陥っており、ウェストエンド、シティー、カナリーワーフのビジネス街全域で空きスペースが30年ぶりの高水準に達していると指摘した。
主要中央銀行が長期にわたって金利を高止まりさせる可能性があるとの懸念に加え、中国の不動産部門の低迷も市場のムードを悪化させた。
オランダの大手保険会社NNグループ(NN.AS)は18.8%急落し、同業のASRネダーランド(ASRNL.AS)も14.2%下げた。投資連動商品を巡る裁判所の判決により、多額の賠償請求の可能性が再び高まったことがマイナス材料となった。
スイス金融大手UBS(UBSG.S)は2.9%安。ロシア人顧客の制裁逃れを助けたコンプライアンス違反の疑いに関して米司法省が調査を強化したとの報道が嫌気された
<ユーロ圏債券> イタリア国債のリスクプレミアムが約4カ月ぶりの水準に上昇した。イタリア政府の予算案発表を控え、成長率の低下と財政赤字の増加が意識されている。
イタリア10年債利回りは4.6ベーシスポイント(bp)上昇の4.78%と、11カ月ぶりの高水準。独伊10年債利回り格差は195.1bpと、5月5日以来の幅に拡大した。
一部アナリストは、独伊利回り格差はこれ以上拡大しないと予想。コメルツバンクの金利戦略担当責任者、マイケル・ライスター氏は「市場環境は不安定だが、財政赤字が一段と拡大しない限り、(利回り格差が)200bpを上回るハードルは高い」と述べた。
日経先物32110、ダウ先33823、債先145.15、米4.614、独2.8570、仏3.413、西3.961、伊4.786、英4.3915、波5.815、原油93.85、銅8,085、ドル円149.51、ユーロドル1.0505
※9/28 8時50分頃

備忘録(2023/9/26)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
銀行レベルでは2019年以来、4年ぶりの債券発行となる。預金残高が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に記録した高水準から減っていることが背景。
クレジットサイツの米金融責任者ジェシー・ローゼンタール氏は26日のリポートで、「パンデミック時に大量の預金が流入した後、銀行の事業会社の債務は大幅に縮小した」と指摘。「金融政策に伴う預金減少を中心に、コロナ禍の資金調達構成が正常化するにつれ、事業会社レベルのデットファイナンスが徐々に増えるだろう」と予想した。
ここ数カ月にはバンク・オブ・アメリカ(BofA)やモルガン・スタンレー、ウェルズ・ファーゴも銀行レベルの債券を発行している。
米銀の預金総額は6月末時点で約17兆3000億ドル(約2580兆円)となり、前年同期比4.8%減少した。この数字は連邦預金保険公社(FDIC)の年次調査に基づくもので、最新の調査結果は先週発表された。
S&Pの分析結果は、今年に入ってからの銀行の資金流出規模を示すものだ。金利上昇に触発された預金者は当座・普通預金口座から資金を引き出し、より利回りの高い別の選択肢に振り向けた。こうした金利環境を端緒とする一連の銀行破綻も、預金引き出しに拍車をかけた。
最大の預金減少を記録したのはチャールズ・シュワブで、主に証券口座から流出した。S&Pによると、預金残高は31.1%減の3047億9000万ドルだった。金利上昇を受け一部顧客はマネー・マーケット・ファンド(MMF)など同社の他の投資商品に資金を移した可能性が高い。
●その他産業
米ディスカウントストアを展開するターゲットは26日、窃盗犯罪による損失を抑制するため、4州の9店舗を閉鎖すると明らかにした。
対象はニューヨーク市マンハッタンの1店舗、シアトル2店舗、カリフォルニア州北部の3店舗、オレゴン州ポートランドの3店舗。10月21日に閉鎖する。
ターゲットは「窃盗や小売店に対する組織犯罪が当社従業員や顧客の安全を脅かし、持続不可能な業績を招いており、これらの店舗で営業を続けることはできない」と説明した。
同社はここ1年余り、決算会見で組織的な窃盗による損失被害について強い不満を示しており、これが利益率を圧迫していた。
米国ではニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ヒューストンなどの主要都市で小売業者の在庫を狙った組織犯罪が増加し、被害が膨らんでいることが、全米小売業協会(NRF)が26日発表したリポートで明らかになった。
ターゲット(TGT.N)やクローガー(KR.N)など小売り大手や1ドルショップは、在庫の盗難や組織的な犯罪の増加に対する警戒を呼びかけている。
リポートによると、2022年の棚卸し減耗(帳簿上の在庫と実際に棚卸しを行って数えた在庫との差)は1121億ドルで、前年の939億ドルから増加した。
小売業者は小売業者を標的にした犯罪の急増に対処するため、一部店舗の閉鎖、営業時間の短縮、店内の品ぞろえ変更などを迫られているという。
NRFのデービッド・ジョンストン副会長は 「小売店に対する犯罪が横行する中、業者は前例のないレベルの盗難を目の当たりにしており、 状況はいっそうひどくなっている」と述べた。
●決算関連
売上高と利益が市場予想を上回った。食料品など生活必需品の需要が寄与し、高額商品の需要低迷を補った。
第4・四半期末時点で世帯ベースの会員総数は8%近く増加、会費収入は13.7%増の15億1000万ドルとなった。
リチャード・ギャランティ最高財務責任者(CFO)は決算発表後の電話会見で「客足は引き続き非常に好調で、更新率も依然としてかなり高い」と述べた。
ただ、同社株は引け後の時間外取引で2%近く下落した。
インサイダー・インテリジェンスのシニアアナリスト、ザック・スタンボー氏はこれについて、金利上昇を背景に市場全般に広がっている強い懸念を指摘した。
商品調達の改善と在庫管理の強化により粗利益率は42ベーシスポイント上昇し、10.6%となった。
1株利益は4.86ドル、市場予想は4.79ドルだった。
●先進国、グローバル、金融市場
バイデン米大統領は26日、全米自動車労組(UAW)がストライキを続ける米中西部ミシガン州デトロイトを訪問し、UAWへの支援を表明した。現職大統領のスト参加は初めて。次期大統領選に向けて労組票の確保を狙うが、電気自動車(EV)化などを巡る不一致は残ったままだ。
カナダで起きた宗教指導者殺害事件を巡り、米政府が対応に苦慮している。カナダ政府が関与を断定したインド政府に協力を促しつつ、対中国抑止などでインドとの関係を重視する米国は明確な批判を慎重に避けている。週内に予定する米印外相会談でも議題になる見通しだ。
8月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月の改定値に比べ8.7%減の67万5000戸だった。前月比の落ち込み幅は2022年9月以来の大きさだった。住宅ローン金利の高止まりが需要低下につながったとみられる。
地域別の販売件数はニューヨークなどの大都市圏がある北東部で前月比6.7%増えたが、その他の西部、中西部、南部では減少した。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測も2万戸下回った。中古物件の在庫不足を背景に新築住宅の販売需要はなお旺盛だが、足元ではローン金利の上昇が続き、新規購入時のハードルが一段と高まっている。
販売価格(中央値)は43万300ドル(約6400万円)と前月比で1.4%、前年同月からは2.3%、それぞれ下落した。高金利下で購入者を呼び込むために、多くの建設業者が値下げや金利負担の立て替えといったインセンティブを提供したことが価格下落の一因になったとの見方が強い。
米調査会社コンファレンス・ボードが26日発表した9月の米消費者信頼感指数は、前月の改定値から5.7ポイント低下して103.0となった。5月以来、4カ月ぶりの低水準となった。短期的な見通しを示す指数が低下し、消費者の先行き不安を反映した。
コンファレンス・ボードのチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は「ガソリンと食料品価格の高騰が引き続き消費者心理の悪化につながっている。政治情勢や金利上昇に対する懸念も示された」と解説した。原油高によるガソリン価格の高止まりは家計を圧迫している。
日本鉄鋼連盟(東京・中央)は26日、2023年度の国内粗鋼生産予想を下方修正した。5月時点では9000万〜9500万トンとみていたが、9000万トンを割ると予想した。中国鉄鋼メーカーの生産過剰が続いているため輸出がしづらくなるほか、国内でも建設分野などで需要が低迷していることが背景にある。
同日記者会見した北野嘉久会長(JFEスチール社長)は自動車向け鋼材は需要回復で好調だとした上で、「自動車以外では需要が低迷している」と述べた。建設分野では資材高騰や人手不足が響く。
粗鋼生産が世界首位の中国では、経済が失速しているにもかかわらず同国の鉄鋼メーカーの生産量は高水準にある。同国政府は過剰な生産を抑えるように働きかけているが「8月までは生産や中国からの輸出が非常に多い」(北野会長)という。
8月の世界粗鋼生産量(速報値、対象は63カ国・地域)が前年同月比2.2%増の1億5260万トンだったと発表した。プラスは3カ月連続。最大生産国の中国や2位のインドで生産量が増えた。
中国の生産量は前年同月比3.2%増の8640万トンだった。7月の前年同月比6.5%増より上昇幅が縮んだ。中国政府が同国内の粗鋼生産を抑えるよう指示を出した影響が出たと見られる。
2位のインドは国内のインフラ投資などが堅調で17.4%増の1190万トンだった。日本は2.9%減の710万トンと、19カ月ぶりのプラスとなった7月から一転マイナスになった。建設や産業機械向けの需要が減った。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
イスラエルのカッツ観光相は26日、国際会議出席のため国交のないサウジアラビアの首都リヤドを訪問した。イスラエルメディアは同国閣僚のサウジへの公式訪問は初めてだと伝えた。一方、サウジ外交団は同日、ヨルダン川西岸ラマラのパレスチナ自治政府を訪れた。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドル指数が10カ月ぶり高値を付ける中、円安が進み、「介入ライン」として意識される1ドル=150円台に迫った。
主要6通貨に対するドル指数は0.26%高の106.21と、昨年11月30日以来の高値を更新。ドルが広範な通貨に対し上昇する中、日本円が最も大きく下落し、政府・日銀による介入に対する警戒感が高まっている。
<債券> 米債利回りがまちまちとなった。10年債利回りは序盤に付けた16年ぶりのピークから低下し、イールド・カーブ(利回り曲線)はマイナス幅がやや拡大した。利回りが高水準にあることが意識され債券売りのペースが弱まった。
26日に発表された米経済指標はまちまち。エバーコアISI(ニューヨーク)のマネジングディレクター兼マクロリサーチアナリスト、スタン・シプリー氏は「経済に対する認識は変化している。短期的なリセッション(景気後退)からソフトランディング(軟着陸)またはノーランディング(景気減速を伴うことなくインフレも鎮静化)に変わった。いくつかの足かせはあるものの、経済データは予想以上に堅調だ」と述べた。
<株式> 大幅反落し、主要3指数が1%超下げて取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が高い政策金利を長期間維持するとの見方を背景に10年国債利回りが約16年ぶりの水準で高止まりしていることを嫌気した。
<米原油先物> 根強い需給逼迫(ひっぱく)観測を背景に買いが優勢となり、反発した。米国産標準 油種WTIの中心限月11月物の清算値(終値に相当)は前日比0.71ドル(0.79 %)高の1バレル=90.39ドル。
<ロンドン株式市場> ほぼ横ばいで取引を終えた。製薬などディフェンシブ銘柄の下落が重しとなる一方、金融株が買われて相場を下支えした。
電気製品販売会社のRSグループ(RS1R.L)は5.5%高。プライベートエクイティ(PE)が買収に関心を示しているとの報道を受けて買われた。
マネーファームの最高投資責任者(CIO)、リチャード・フラックス氏は「経済はこれまで以上に減速する必要がある」とし「これまでの利上げの影響は、まだ実体経済に完全には浸透していないと言ってよさそうだ」と述べた。
<欧州株式市場> 4営業日続落して取引を終えた。国債利回りの急上昇を受けて、金利動向に敏感なテクノロジー株や不動産株が売られた。中国経済の減速への懸念などから高級品銘柄も下げた。
サクソバンクのストラテジストは「もし米10年債利回りが4.75%になれば、インフレが低下しているという広く見られるシナリオが崩れて、株式市場に亀裂が拡大し始める可能性が高い」との見方を示した。
STOXX欧州高級品株10種指数(.STXLUXP) は1.82%安。フランスの高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA)は1.4%、スイスの同業リシュモン(CFR.S)は3.0%それぞれ下げた。
投資家は中国での新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の回復が期待外れであることや、米国での売り上げが低迷していることを依然、懸念している。
フランスの人工心臓メーカー、カルマット(Carmat)(ALCAR.PA)は30.4%急落した。供給の問題を背景に通期の売上高目標に届かず、10月末までに資金不足に陥る可能性があると警告したことが嫌気された。
<ユーロ圏債券> 世界の主要中央銀行が金利を長期にわたり高水準にとどめるとの観測を背景に、国債利回りが上昇した。
イタリアを巡っては、経済成長見通しが低迷する中、メローニ首相が発表する新たな予算が注目されている。関係筋が25日にロイターに明らかにしたところによると、イタリア政府は、2024年の財政赤字目標を対国内総生産(GDP)比4.1─4.3%とし、4月に設定した3.7%から引き上げる方針という。
日経先物31845、ダウ先33908、債先145.29、米4.534、独2.8110、仏3.365、西3.906、伊4.737、英4.3625、波5.789、原油90.58、銅8,109、ドル円149.04、ユーロドル1.0569
※9/27 時分頃

備忘録(2023/9/25)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米連邦議会上院のエリザベス・ウォーレン議員やバーニー・サンダース議員は米財務省に対して、米金融システムを脅かす気候変動リスクへの対応で金融機関への監視を強化し、より多くの指針を示すよう求めている。
議員らは財務省に送った20日付の書簡の中で、この問題に対する財務省のこれまでの取り組みを評価する一方、増大するリスクを考慮し、一段の緊急対応を求めた。ロイターが書簡を確認した。
財務省は、複数の規制当局が参加する金融安定監視評議会の代表としての役割などを通じて、沿岸部の不動産価格暴落や保険市場の破綻、保険に加入できない山火事を巡るリスクなど、明らかになりつつあるシステミックリスクに対処する必要があると指摘した。
●その他産業
カナダの労働組合ユニフォー(UNIFOR)は25日、米フォード・モーター(F.N)と新たな労働協約を結んだこと受け、米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)との交渉を26日に開始する方針を示した。
ユニフォーは米3大自動車メーカー(ビッグ3)との労使交渉でフォードを最初の交渉相手に選び、最大25%の賃上げを盛った新協約を24日に承認した。
同労組はGMとの交渉について「GM特有の問題に加え、フォード・カナダの組合員が承認しパターンを設定した協約について話し合う」と述べた。
一方、米国では全米自動車労組(UAW)とフォードが交渉を継続。フォードは24日の声明で「主要な経済問題で大きな隔たりがある」と述べた。
社債型種類株は、普通株主に配慮した商品性を持っており、議決権や普通株への転換権がない。発行する企業にとっては、普通株式による希薄化がない一方で、自己資本を拡充できる。購入する個人投資家にとっては、固定配当を得られるほか、5年経過の28年11月以降はソフトバンクによる取得が可能になるため、元本償還の可能性が高い。また、少額投資非課税制度(NISA)の対象となる。
欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会は25日、オンライン旅行会社の米ブッキング・ホールディングスがスウェーデンのエトラベリ・グループを16億ユーロ(約2500億円)で買収する計画を阻止したと発表した。
欧州委は買収阻止の理由について、オンライン旅行代理店市場におけるブッキングの支配的地位を強化し、「ホテルや恐らく消費者のコスト上昇」を招くリスクがあると声明で説明した。
ブッキングは2021年11月、航空券のオンライン販売を中核事業とするエトラベリを買収すると発表。ブッキング・ドットコムやカヤックなどを傘下に置くブッキングは、欧州委の決定に不服申し立てを行う意向を表明した。
米格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは25日、東芝の長期格付けを「ダブルBプラス」から「ダブルBマイナス」に2段階下げたと発表した。日本産業パートナーズ(JIP)らによる東芝へのTOB(株式公開買い付け)が成立したことで財務が悪化すると判断した。
今回のTOBでは、JIPは約2兆円の買収資金のうち1兆2000億円を銀行による融資で賄う。東芝が銀行への返済義務を負うため、S&Pでは2024年3月期の有利子負債・EBITDA(利払い・税引き・償却前利益、金融含む連結)倍率は前期末の1.4倍から6倍超へ悪化すると見込んでいる。
東芝は21日に日本産業パートナーズ(JIP)や国内企業によるTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。同日、格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)も東芝の格付けを下げた。
米国で1ドルショップを運営するダラー・ゼネラルの株価が軟調だ。22日に一時107.72ドルと4年8カ月ぶりの安値まで下落した。直近の決算で売上高などが市場予想に届かなかった。長引く物価高は格安店に追い風になるとの見方があるが、足元では万引きの増加による損失が膨らみ、株価の重荷となっている。
動物用医薬品世界最大手の米ゾエティスが業績を伸ばしている。ミレニアル世代やZ世代のペットの「家族化」による支出拡大を追い風に、2022年12月期の連結売上高は前の期比4%増の80億8000万ドル(約1兆2000億円)だった。米国外の市場にも注力する。戦略をクリスティン・ペック最高経営責任者(CEO)に聞いた。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
米連邦政府の政府機関が閉鎖に追い込まれれば、米国債の「信用面でマイナスだ」と表明した。経済への影響は「短期的」とする一方、金利上昇と債務残高の膨張で年間の返済負担が増え、「財政の柔軟性はさらに低下する」と警告した。
ムーディーズは声明で、政府閉鎖のリスクが高まっていることについて「解決できなければ財政政策の立案を巡る脆弱さが露呈する。長期金利も上昇し(米政府の国債発行体としての)信用格付けと見通しを圧迫する」とつづった。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は20日、米景気に不確実性をもたらす大きな要因のひとつとして原油高や大規模ストライキなどと並べて政府閉鎖を挙げた。9月末の会計期末を控え、政府機関の閉鎖を防ぐ「つなぎ予算」などを巡って与野党の駆け引きが続いている。
米国債の信用格付けについては、8月に格付け大手フィッチ・レーティングスが最上位から1つ下の「ダブルAプラス」に格下げした。今後予想される財政悪化や、債務上限の引き上げを巡る政治の膠着を理由に挙げた。
格付け大手のS&Pグローバル・レーティングは2011年に債務上限を巡る論争が過熱した際、米国債の格付けを「ダブルAプラス」に1段階引き下げた。現状で最上位の格付けを維持しているのはムーディーズのみ。そのムーディーズが、政府閉鎖で格下げにつながる可能性を示唆したため、市場の注目を集めている。
キングスビュー・インベストメント・マネジメントのポール・ノールト氏は25日の顧客向けメモで「投資家は、政策金利が『より高く、より長く』続く状態に適応しようとしている」と指摘した。
米議会が期限までにつなぎ予算案を可決できず政府機関が一部閉鎖されれば、雇用統計や消費者物価指数(CPI)など、主要経済指標の公表が無期限で停止されることになると発表した。
労働省や商務省など、全ての政府機関で指標の発表が停止されることになり、市場にも影響が及ぶ。
9月雇用統計は10月6日、9月CPIは10月12日に発表予定だが、閉鎖された場合はこの日の発表は取りやめとなる。
小売売上高や住宅着工、個人消費などの発表も送れる可能性がある。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は25日、記録的な高水準にある政策金利を十分に長い期間維持することが、インフレ率の2%目標回帰に寄与すると述べた。追加利上げを約束も排除もしないECBのガイダンスを踏襲した。欧州議会での発言。
同総裁は「われわれは、政策金利が十分長い期間維持されることで、インフレ率の目標へのタイムリーな回帰に大きく寄与する水準に達したと考えている」と述べた。
さらに、労働市場の小幅な軟化も指摘。労働市場はようやく調整しつつあるが、もう少し時間がかかるとの見通しを示した上で、「サービス部門の雇用創出は緩やかになっており、全体的な勢いは減速している」としたほか、「最近の指標は、第3・四半期に一段と弱含む動きを示している」とした。
また同総裁は、ECBが現在進めている短期金利の運用枠組みの見直しについて、結論は今年末から来春にずれ込むとの見通しを示した。ECBは昨年12月、銀行部門に滞留する3兆7000億ユーロの過剰流動性を削減する目的などからこの見直しを開始したが、技術的な問題を巡る意見の相違からすでに遅れが指摘されていた。
同総裁は「スタッフは、バランスシートの長期的な最適規模や構成、過剰流動性の適切な水準について分析している。これは金融政策の実施方法にも影響するため、些細な問題ではない」と述べ、延期を示唆した。
独IFO経済研究所が25日発表した9月の業況指数は85.7となり、前月の85.8(改定値)から低下した。低下は5カ月連続。ロイターがまとめたアナリスト予想(85.2)は上回った。
クレメンス・フュースト所長は「ドイツ経済は足踏み状態だ」と述べた。
IFOによると、第3・四半期は縮小する可能性が高い。ドイツ経済は2022年第4・四半期と23年第1・四半期に縮小。再び景気後退(リセッション)に陥るリスクが見込まれている。
INGのマクロ担当グローバル責任者であるカルステン・ブルゼスキ氏は「ドイツの企業、政治家、そして経済全体がより長期の成長抑制期に入るという考えに徐々に慣れてきている」と指摘。今回の指標は中国経済がまだ勢いを増しておらず、高金利が経済活動の重しとなっているほか、エネルギー転換に関する政策の不確実性が続く中、経済情勢に変化がないことを示していると述べた。
9月の現況指数は88.7と、前月の89.0から低下。半面、期待指数は前月の82.7から82.9へとわずかに回復した。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当シニアエコノミスト、フランツィスカ・パルマス氏は「ドイツ経済が極めて弱いことが確認された」とし、国内総生産(GDP)との相関が大きい現況指数はGDPが前四半期比約1%減少することを示しているという。
「家計の実質所得は今後数四半期にわたって横ばいとなり、工業・建設企業は新規受注の急減に直面するため、第4・四半期のGDPはさらに落ち込むと予想される」と述べた。
センチメントはサービス業と建設業でさらに悪化したが、製造業と貿易業では改善した。
米シカゴ連銀のグールズビー総裁は25日、米金融当局がインフレ抑制に向けて金利を引き上げても、米国がリセッション(景気後退)を回避することは可能だとの考えを示した。
グールズビー氏は経済専門局CNBCとのインタビューで、「私はそれを『黄金の道』と呼んできた。それは可能だと考えるが、多くのリスクがあり、その道は長く曲がりくねっている」と述べた。
同氏は先月の失業率が3.8%だった点に言及。インフレ率が現在の2倍余りで、米金融当局が積極的な引き締めサイクルに着手したばかりだった昨年の水準から、まだ非常に近い水準にあると指摘した。
グールズビー氏は今月、コアインフレの月間ベースの数字に進展が見られ始めつつあるとの認識を示していた。この日も、金利をどこまで引き上げるべきかよりも、どの程度長い期間高水準で維持するかを議論する時期に急速に近づいていると改めて表明した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
アルメニアとその後ろ盾であるロシアの間で非難の応酬となっている。アゼルバイジャン領内でアルメニア系住民が多数派を占める係争地ナゴルノカラバフ地域を巡る紛争で事実上敗北したアルメニアは24日、ロシアの責任を追及した。これに反発したロシアが25日にアルメニアを批判する声明を出し、亀裂が広がっている。
ナゴルノカラバフでは「対テロ作戦」を名目にした9月19〜20日のアゼルバイジャン軍の攻撃を受け、アルメニア系住民が武装解除に応じた。アルメニアによると、現地では200人以上が死亡し、約400人が負傷した。両者の間で和平協議が進む見通しになった。
ナゴルノカラバフ地域で同胞を軍事支援していたアルメニアのパシニャン首相は24日、国民向けの演説で「責任は民族浄化の政策をとったアゼルバイジャンと、ロシアの平和維持部隊にある」と厳しく批判した。
旧ソ連末期に始まったナゴルノカラバフ紛争は2020年秋に再燃し、アルメニアと軍事同盟を結ぶロシアが停戦を仲介した。ロシアは2000人規模の平和維持部隊も現地に派遣していた。
パシニャン氏は、平和維持部隊が今月19日の攻撃を防げなかったとして「目的や動機について深刻な疑念を呼び起こす」と非難した。アルメニアの安全保障体制が「効果的ではなかった」とも述べ、ロシアなどとつくる軍事同盟の役割に疑問を呈した。
これに対して、ロシア外務省は25日、「ロシアに対する受け入れがたい攻撃だ」と非難する声明を発表した。パシニャン氏が「内政と外交の政策を破綻させた自らの責任を逃れようとしている」と反発した。
さらにパシニャン氏が「ロシアからの方針転換」を準備し、「新しい西へと向かう」ための措置を取っていると主張した。アルメニアが11日に米国との合同軍事演習を開始するなど欧米に接近していることに危機感を示した。
アルメニアの首都エレバンでは攻撃が始まった19日以降、パシニャン氏の辞任を求める激しい抗議デモが続いている。インタファクス通信によると、地元警察は25日、デモ参加者142人を拘束したと明らかにした。拘束者数は200人を超えたとの情報もある。
アルメニアはロシアなど旧ソ連5カ国との軍事同盟、集団安全保障条約機構(CSTO)に加盟する。20年の紛争再燃や今回の「対テロ作戦」で同盟が機能しなかったとの不満を強めた。CSTOからの脱退などロシア離れがどこまで進むかが焦点になっている。
アルメニア系の住民が多数派を占めるアゼルバイジャンとの係争地ナゴルノカラバフで、住民のアルメニアへの集団的な避難が24日に始まった。アルメニア政府によると25日までに4850人が越境し保護を求めた。タス通信などが報じた。
ナゴルノカラバフのアルメニア系住民は約12万人。迫害を恐れてほぼ全員が移住を望んでいるとされる。アルメニアへの移住が本格化すれば、ナゴルノカラバフを自国領土と見なすアゼルバイジャンによる統合が一気に進む可能性がある。
声明で「司令官を含む将校34人を殺害した。その他に105人を負傷させた」と述べた。また「司令部は修理不能だ」と主張した。
中国の不動産株指数が25日に急落。9カ月ぶりの下落率となった。不動産開発大手、中国恒大集団の清算リスクを巡る懸念が広がり、同業界の苦境があらためて示された。
ブルームバーグ・インテリジェンスが算出する不動産開発銘柄の指数は7.1%安。今年失った時価総額は約560億ドル(約8兆3300億円)に達した。
中国恒大の株価は22%安。同社は主要な債権者会合を直前に取りやめ、再編案の見直しが必要だと22日発表した。1年半ぶりに株式売買が再開された中国奥園集団は、72%安と上場後で最大の下げを記録した。
中国当局は支援に乗り出しているものの、不動産開発企業の資金繰り難は解消されておらず、市場の地合いはここ数日で著しく悪化。開発業者は近く始まる国慶節(建国記念日)連休に望みを託すが、8月下旬に見られた不動産株高は息切れしており、安堵(あんど)感が出たとしても長続きしない可能性を示唆している。
フォーサイス・バー・アジアのシニアリサーチアナリスト、ウィラー・チェン氏は「今回の債務再編計画の変更によって、中国恒大を巡る先行き不透明感はさらに強まる恐れがある」と指摘。「生き残っている開発企業に関して市場が注視しているのは、不動産販売の持ち直しや政策支援だ」と述べた。
短期の香港銀行間取引金利(HIBOR)が25日の取引で16年ぶりの高水準に上昇した。米追加利上げ観測や中国からの資本流出で資金需給が引き締まっている。
翌日物HIBORは67ベーシスポイント(bp)近く上昇し5.75%強と、LSEGのデータが遡れる2006年以来の高水準。1週間物と2週間物物は16年ぶりの高水準となった。
香港では銀行間の流動性を示すアグリゲートバランス(決済性預金残高)が450億香港ドルを割り込み、08年以来の低水準となっている。
新型コロナウイルス後の中国経済の回復が投資家の期待に届いていないため、香港を通じて中国から資金が流出している。
ナティクシスのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は「香港からの資金流出が続き、米連邦準備理事会(FRB)は利上げを継続している。こうした諸々の要因で非常に高いHIBORを説明できる」と述べた。
ドイツ自動車工業会(VDA)は中国に関する新たな見解文で、同国の改正反スパイ法について企業情報の機密性を確保するようドイツ政府は中国政府に働きかける必要があると訴えた。ロイターが文書を閲覧した。
ドイツ政府が7月に公表した初めての対中戦略については、デカップリング(分断)を否定してデリスク(リスク低減)の方針を示したことを歓迎。
一方で、政府は企業の意思決定に介入すべきではないとし、代わりに多角化戦略を支持するよう求めた。
対中戦略が両国間の自由なデータ交換を支持した一方で、国家安全保障に関する情報の移転を禁止し、スパイ活動の定義を広げる内容の反スパイ法には言及しなかったと指摘。
「政府には、企業データの機密性を確保するよう中国政府を促し、同法の影響についても問題提起し、連携して解決策を模索する責務がある」とした。
中国本土に戻り、かつては切望されていた海外での仕事や外国籍を避ける中国の若者が増加している。中国が世界最大規模の億万長者の海外移住と資本流出の増加に直面している半面、地政学的緊張の高まりと、中国人に対する海外での反感が高まっているという認識が、若者たちの考えを変えつつある。
グローバリゼーションが台頭する米中関係の全盛期に生まれた中国のZ世代は現在、当時とは全く異なる保護主義的な世界で成人している。製造業は中国からの生産シフトを進め、米国とその同盟国は中国による最先端半導体へのアクセスを制限し、北京は情報の流れの管理を厳しくしている。技術盗用の可能性があるとして、中国人の企業幹部や学者らが米国で追跡されるケースもある。世界最大の二つの経済圏が切り離されている中で、中国の最も野心的な学生たちは海外でのビザ申請が却下され、国内では若者の失業が増加している。
中国で最も特権を持ち国際感覚を身に付けた若者たちは、富と家族のつながりのおかげで、経済的打撃を免れ、より多くの選択肢を手にしている。それでも、多くの人々は今のところ中国と運命を共にすることを選んでいる。グリーンカード(永住権)を保有していたり、移民のための予備計画があったりするにもかかわらずだ。セーフティ-ネットと経済的資源を手に、逆カルチャーショックに耐え、富裕層に対する突然の取り締まりという継続するリスクに対処しようとしている。
「Z世代は中国にいることの難しさを理解しているが、アジアでビジネスを成長させようとするなら、よりチャンスがあると感じている」と、ファミリービジネスアドバイザリーを手掛けるG・リー・アンド・カンパニーのプリンシパルアドバイザー、マーシャル・ジュン氏は言う。同氏もまた、父親が中国最大級のインターナショナルスクール経営者という資産家出身で、現在は他の第2世代の顧客の相談に乗っている。「彼らは欧州や北米には行きたがらないだろう」と話す。
異文化交流の減少は、「国家安全保障上のとてつもないリスク」をもたらしかねない。20年近く米中学術交流の促進を支援し、現在はハーバード大ケネディスクール(公共政策大学院)のモサバー・ラーマニ・ビジネス・アンド・ガバメント・センターでエグゼクティブディレクターを務めるダン・マーフィー氏はそう述べた。
恒大を巡ってはここ数日に想定外の展開が相次いだ。再編計画の見直しを理由に主要債権者会議を土壇場で中止。資産運用部門の社員が拘束されたほか、新規債券発行のための規制当局の資格を満たせなかった。このため国内で史上最大規模の債務再編を軌道に乗せるための時間が尽きつつあり、清算のリスクが高まっている。
●中東
共同記者会見でアリエフ大統領は、本来はアゼルバイジャンに帰属すべき領土の一部を、旧ソ連当局がアルメニアの領土と見なしたため、ナフチバンが飛び地となり、アゼルバイジャンの主要部分から切り離されたと指摘した。
トルコとアゼルバイジャンはアルメニア南部を通る回廊の設置を望んでいるが、アルメニアは反対している。
●中南米・アフリカ
●市況
保険会社アビバ(AV.L)は1.0%下落。米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N)の英国保険事業を4億6000万ポンド(5億6300万ドル)で買収することで合意したと発表したため、売りが広がった。
<欧州株式市場> 3営業日続落して取引を終えた。政策金利の長期にわたる高止まりや中国経済の減速への懸念から、売りが優勢だった。
世界第2位の経済大国、中国の経済成長に対する根強い懸念を背景にフランスの高級ブランド「グッチ」を抱えるケリング(PRTP.PA)は4.5%、同業LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA)は2.6%それぞれ下げた。
<ユーロ圏債券> 長期債利回りが上昇した。ドイツの10年国債利回りは2011年以来12年ぶりの高水準を記録した。
デリバティブ市場が織り込むECBの追加利上げの可能性はわずか20%となった。
イタリア10年債利回りは7bp上昇の4.65%。一時は22年12月以来の高水準となる4.693%を付けた。
独伊10年債利回り格差は185bpと、5月以来の水準に拡大した。
<為替> 円が対ドルで11カ月ぶりの安値を付けた。ドル指数が約10カ月ぶりの高値に上昇。米連邦準備理事会(FRB)が先週、追加利上げの可能性を示唆したことを受けた。
<債券> 国債利回りが上昇した。米連邦準備理事会(FRB)が当初予想よりも長期にわたって金利を高水準に維持するとの見方が背景にある。
日経先物32468、ダウ先34268、債先145.32、米4.550、独2.8015、仏3.345、西3.876、伊4.659、英4.3625、波5.811、原油89.77、銅8,152、ドル円148.82、ユーロドル1.0594
※9/26 8時35分頃

備忘録(2023/9/22-24)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
タリアの銀行は、先月導入され物議を醸した超過利潤税について、追加的な資本準備金を確保すれば支払いを免れることが可能になる。ブルームバーグ・ニュースが確認した政府修正案から明らかとなった。
修正案によれば、普通株式等Tier1比率を強化するために必要な額の2.5倍を分配不可能な準備金に回せば、金融機関は課税を免れることができる。ただ、これらの準備金が後に配当として分配された場合には、銀行は税金の全額と利息を支払わなければならないという。
今回の修正は議会の承認を受けて拘束力を持つとの見方が優勢だ。イタリア銀行株の低迷と欧州中央銀行(ECB)からの批判を受け、同国のメローニ政権は妥協の姿勢を示した形だ。
修正案はまた、課税の上限を銀行の総資産の0.1%ではなく、個別ベースで金融機関のリスク・アセット(RWA)の0.26%としている。この課税は、2023年と2021年の純利息収益の差で測定される銀行の超過利益のうち10%を超える分に40%の税率が適用される。政府にとっては当初案と同額の収入をもたらすように計算されているという。
経済産業省は国内の工場や火力発電所などから出る二酸化炭素(CO2)を回収して地下に封じ込める「CCS」を巡りマレーシアでの貯留に向けて同国と協議を始める。海外に輸送して貯留する初の試みとなる。2028年の実施を目指す。
ロンドンに本部を置く国際環境開発研究所(IIED)によれば、各国はパリ協定が定める最新の気候変動対応計画を提出する期限をほとんど守れていないという。
<気候変動対策の進展はあったか>
一言で答えるならば、「イエス」だ。温室効果ガス排出量の削減を各国政府が約束したおかげで、今後の気温上昇はそこまで極端ではなくなると予想される。
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、産業革命以前を基準とした2100年時点での世界の気温上昇幅は、2010年の予想では摂氏3.7-4.8度だったが、2022年の予想では摂氏2.4-2.6度にまで縮小した。
とはいえ、この上昇幅は科学者が重要な基準としている摂氏1.5度という目標よりまだかなり大きい。1.5度を超えて上昇すれば、熱波や干ばつ、洪水といった気候変動の影響はさらに頻繁かつ深刻になるという。
IPCCは、上昇幅を摂氏1.5度に抑えるという目標を達成するには、2030年までに温室効果ガスの排出量を2019年比で43%削減する必要があると指摘する。
だがIEAによれば、エネルギー部門からの二酸化炭素排出量は2022年に過去最高に達した。二酸化炭素は、人間活動に由来する主要な温室効果ガスだ。
気候変動対策を軌道に乗せるためには、森林破壊の停止はもちろん、たとえば環境汚染の深刻な航空機移動や食肉消費の抑制といった人間の移動や労働、食生活の変革に至るまで、圧倒的なペースアップが必要だ。
<異常気象はニューノーマルなのか>
科学者はこれまで以上に的確に、個々の異常事象と気候変動とを関連付けられるようになっている。
国際的な科学者グループ「ワールド・ウェザー・アトリビューション」は、たとえば2023年7月の欧州と北米における記録的な猛暑は、気候変動の影響がなければ「実質的に不可能」としている。
また同グループによれば、9月にリビアで壊滅的な洪水をもたらした豪雨は、人間活動に由来する温暖化によって、その発生確率が50倍も高まったという。
国連では、異常気象がより頻繁かつ広範なものになる中で、洪水被害の緩和のためのインフラの強化や自然の回復などといった措置に対する途上国向けの支援を最大で10倍にも増やす必要があるとしている。
<気候危機は解決できるのか>
科学者や国連職員によれば、温室効果ガスの排出量を十分な速さで削減し、地球温暖化をペースダウンさせ気温上昇を摂氏1.5度以内に抑えられるチャンスは、徐々に小さくなりつつあるという。
しかしその一方で、ポジティブな転換点もある。
たとえば、電気自動車(EV)が化石燃料自動車と同じ程度の価格になれば、EVの販売台数はすぐに急増するだろう。
保護が適切であれば、森林や泥炭地その他の生態系が繁栄し、人為的に排出された温室効果ガスを吸収してくれる。
IPCCによれば、私たちはすでに気候危機に対する解決策を手にしているが、実現のためには社会全体で、新たな規模とペースで前例のない変革を進める必要があるという。
さらにIPCCは、たとえ将来的に摂氏1.5度を超える温暖化に至るとしても、その上昇幅をせめてコンマ何度かでも低くしておけば、人間と地球環境に対するダメージを限定し、将来的に気温をもっと安全な水準にまで引き下げる上でも有益だ、としている。
●その他産業
石油メジャーの米シェブロンが操業するオーストラリア西部の液化天然ガス(LNG)プラントの労組は22日、労働仲裁機関の待遇改善案を受け入れ、ストを収束させることを決めた。世界のLNG生産の5〜7%程度を占めるプラントのストが終結することでLNGの供給懸念は後退した。
AP通信などが伝えた。ストが実施されていたプラントはオーストラリア西部にある「ゴーゴン」と「ウィートストーン」。プラントで働く計約500人の組合員が待遇の改善を求め、14日から2週間の予定で時限ストを実施していた。
アジアや欧州のガス価格に上昇圧力がかかり、労使交渉の行方に注目が集まっていた。「ゴーゴン」と「ウィートストーン」からは日本の発電会社JERAや東京ガスなどがLNGを調達している。
全米自動車労組(UAW)は22日、米ゼネラル・モーターズ(GM)と欧州ステランティスに対し、ストライキを拡大すると表明した。同日から、2社あわせて38カ所の部品流通施設でストに入ると宣言した。労使交渉に一定の進展がみられるとして、「ビッグ3」のうち、米フォード・モーターはスト拡大の対象にしなかった。
UAWは、3社に対するストを始めた15日から1週間の節目となる22日までに、労働協約の見直し交渉に進展がなければストを拡大すると予告していた。22日午前にUAWのショーン・フェイン会長が交渉の現状を説明し、GMとステランティスでストを広げると話した。
UAWは15日から、GMのミズーリ州の工場とステランティスのオハイオ州の工場、フォードのミシガン州の生産拠点の計3工場でストを打っている。この3工場のストは継続するとしたうえで、GMとステランティスの部品流通センター38カ所で新たにストを始めると表明した。
ストの拡大対象に車両工場は加えなかった。ただし、部品流通センターは車の補修パーツの配送を担っているため、GMなどの販売店のサービスに支障が出る恐れがある。
UAWは3社それぞれと個別に交渉している。フェイン会長は、フォードとの交渉について「なお重要な問題が残っているが、フォードは真剣に合意に達しようとしている」と話した。
労組が外せない要求としている、勤続年数によって労働者の給与体系が異なる格差の是正や、物価に応じて賃金が上がる生活費調整(COLA)の復活について、フォードとは一定の合意がみられると話した。
一方、「GMとステランティスでは話が違う」として、2社との交渉では組合員の待遇改善策を巡り、大きな進展がみられていないと話した。3社で同時に始まったストだが、企業によって今後の展開が異なっていく可能性が出てきた。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は22日、米インテルにEU競争法(独占禁止法)違反で3億7636万ユーロ(約590億円)の制裁金を再び科すと発表した。CPU(中央演算処理装置)の販売を巡り、市場での独占的な地位を利用して公正な競争を損ねたとしている。
欧州委によると、インテルは2002年11月〜06年12月、パソコンメーカー3社に対し、インテル以外のCPUが搭載された製品の発売中止や遅延を迫り、その対価としてリベートを支払っていたという。
欧州委は09年、インテルが公正な競争を損ねたと判断し、10億6000万ユーロの巨額の制裁金を科すことを決めた。当時は販売中止などに対するリベートに加え、自社製CPUの採用の見返りに支払ったリベートなども競争法に違反するとみていた。
インテルはその後、欧州委の判断を不服としてEU司法裁判所に提訴した。22年にはEU司法裁の一般裁判所(ルクセンブルク)が、自社製CPUの採用へのリベートなどについては反競争的だと立証できていないとして無効としていた。
この裁判で制裁金全体も取り消されていた。今回、欧州委は一般裁判所が無効としていない分野に限定し、再び制裁金を科した形となる。
ブティジェッジ米運輸長官はCNNの番組で、バイデン氏は「これまでで最も臆面なく労働者寄り、組合寄りの大統領であることを誇りに思っている」と発言。
「バイデン氏が呼び掛けている双方が満足する合意で、こうした自動車メーカーが繁栄することは可能だ。つまり記録的な利益は、その価値を生み出している労働者にとって記録的な給与や福利厚生につながるべきだ」と述べた。
カナダの労働組合ユニフォー(UNIFOR)は24日、米フォード・モーター(F.N)との3年間の新労働協約が組合員の投票で承認されたと発表した。
フォードは新協約で最大25%の賃上げを提示。初年度に10%、2年目、3年目に2%、3%の賃上げを実施するほか、現役従業員全員に生産性・品質に関する1万ドルのボーナスを支給する。
フォードは19日に組合側と暫定合意に達し、カナダ工場でのストを回避していた
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
欧州中央銀行(ECB)の金融政策を巡り、市場が資産圧縮の行方を注視している。新型コロナ対応で購入した資産は膨張したままで、圧縮が金融引き締めの次の一手になるためだ。タイミングを誤ると、財政不安の根強い南欧で国債の価格急落(金利の急騰)を招きかねない。実現への道は波乱含みだ。
9月のユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合で47.1と前月比0.4ポイント上昇した。5カ月ぶりに改善したが、好不況の境目の50を4カ月連続で下回った。インフレや利上げでマイナス成長の懸念が高まっている。
市場予想は46.5だった。業種別では製造業が43.4と0.1ポイント下がった一方で、サービス業は48.4と0.5ポイント上昇した。ともに50を割ったのは2カ月連続で、新規受注の落ち込みが目立つ。景気回復のけん引役だったサービス業も持ち直しの動きが鈍い。
海外輸出も滞り始めており、インフレで個人消費が冷え込むなか、外需の落ち込みが景気低迷に拍車をかける恐れがある。失業率は過去最低の水準にあるものの、先行き不透明感から企業が新規雇用を手控えつつある。
国別の総合PMIはドイツが46.2と1.6ポイント改善し、フランスは43.5と2.5ポイント悪化した。フランスは2年10カ月ぶりの低水準で、工場生産の落ち込みが目立ち始めている。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「製造業の弱さでフランスはドイツと肩を並べつつある」と指摘。ユーロ圏は7〜9月期に成長率がマイナス0.4%に転落する恐れがあるという。
フランスはユーロ圏でドイツに次ぐ経済規模を持つ。欧州最大のドイツで景気後退懸念が強まるなか、フランスの景気が腰折れすれば、欧州経済の低迷は一段と深まりかねない。
足元では資源高が再燃しており、インフレ圧力の高まりから欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測が再び強まる可能性もある。
デコス氏は「現時点で入手可能な情報に基づき、様々な分析ツールを用いると、現在われわれが到達している金利水準は、十分に長い期間維持されるならば中期的なインフレ目標の達成とほぼ整合的であると言える」と述べた。
一方、「現時点の情報を見る限り、利下げを否定することはできない。しかし私はそれを望んでいないし、確認することもできない」とした。
さらにパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を完全に停止することについては「非常に慎重であるべき」であり、国債の売却を検討することもないと述べた。銀行の預金準備率を引き上げることに「明らかな」メリットはないとも述べた。
モルガン・スタンレーの米国担当チーフエコノミスト、エレン・ゼントナー氏は、米連邦準備制度のインフレ抑制に向けた利上げ政策について、「当局はここで仕事を終えたと強く考えるが、彼らがドアを開いたままにしている」と指摘した。
インフレが落ち着きつつある中で、金融当局は来年の利下げを行う準備が整うまで金利を据え置く公算が大きいとみる。短期的には、予算を巡る議会の交渉が時間切れとなり10月の新年度入りに政府機関閉鎖に陥る恐れがあり、金融当局は意思決定に必要な経済データのすべてを入手できない可能性があり、このことが次回11月の会合で現状維持の姿勢をとる可能性を高めているという。
●中国・アジア・ロシア・東欧
東南アジアの最貧国ラオスで通貨安が止まらない。ロシアのウクライナ侵攻を機に、輸入に頼る燃料や食品の現地価格が高騰しており、経済の疲弊が強まっている。政府は相次ぎ対策を打ったものの焼け石に水の状況だ。
米財務省は22日の声明で、「経済と金融の政策について率直かつ実質的な協議を行い、マクロ経済や金融の発展に関して情報を交換できる継続的かつ構造的な経路が提供される」と作業部会について説明。副長官レベルで定期的に会合し、イエレン米財務長官と何立峰副首相の直属に置かれるという。
米財務省高官によれば、作業部会の設置はイエレン財務長官が7月に中国を訪問した際に合意した。作業部会は双方による行動説明を助け、米国による問題的や解決案の提示を可能にするという。途上国への債務再編から規制や安定といった幅広い議題が話し合われると高官は述べた。
イエレン長官はソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿する予定の声明で「われわれが話し合うことは極めて重要だ。意見が異なる時はなおさら肝心だ」と指摘。「これらの作業部会は米国の関心や懸念を伝え、両国の健全な経済競争を促進し、米労働者と企業にとって公平な競争の場を確保し、世界的な課題に協力して進むための重要なフォーラムとしての役割を果たす」と説明した。
緊張緩和を示唆する別の兆候としては、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と王毅中国外相が最近、米中首脳会談の可能性を話し合ったことも挙げられる。複数の中国側関係者によれば、11月にサンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた首脳会談を実現させるのがこの話し合いの狙い。
●中東
イスラエルのネタニヤフ首相は22日、国連総会の一般討論演説で、サウジアラビアとの国交正常化に近づいているとの認識を示し「バイデン米大統領の指導力の下で達成できる」と述べた。同時に「パレスチナ人に拒否権を与えてはならない」と強調した。
ネタニヤフ氏は2020年に米国の仲介でアラブ首長国連邦(UAE)などと国交を樹立した「アブラハム合意」の成果に触れ「我々はイスラエルとサウジの歴史的な和平というさらに劇的な躍進への入り口にいる」と述べた。「イスラエルとサウジの和平は新たな中東をつくりだす」とも語った。
一方、サウジが国交正常化の前提として求めるパレスチナ問題の解決に関する具体策には言及しなかった。ネタニヤフ政権はイスラエル史上最も右寄りとされ、パレスチナへの強硬策をとり続けている。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は21日の国連総会での演説で「パレスチナ人が完全な権利を享受せずに中東に平和が訪れると考えるのは間違いだ」と述べ、パレスチナ問題を置き去りにしないよう訴えていた。
●中南米・アフリカ
●市況
<ロンドン株式市場> 小幅反発して取引を終えた。ただ、イングランド銀行(英中央銀行)などの主要中央銀行が政策金利の長期にわたる高止まりを示唆したことから、週間ベースではFTSE100種指数(.FTSE)は0.36%安と、5週ぶりにマイナスとなった。22日は、英製薬のアストラゼネカ(AZN.L)が1.5%上昇。開発中の新薬が後期臨床試験で乳がんの進行を遅らせたと発表したことが好感された。FTSE350種製薬・バイオテクノロジー株指数(.FTNMX201030)は0.85%上昇し、相場をけん引した。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。世界で政策金利がより長期にわたって高止まりすることが懸念され、売り注文が優勢となった。
<ユーロ圏債券> ドイツ国債利回りが低下した。9月のユーロ圏PMIで企業活動の縮小が浮き彫りになったことを受けた。ただ、依然として数年来の高水準に近い水準で推移している。
<為替> 世界中の企業活動に関する最新の指標で米経済が他の主要国と比べ優位にあることが示され、ドル指数が上昇した。
<債券> 10年国債利回りが低下した。一時は米連邦準備理事会(FRB)が示したタカ派姿勢を受けて16年ぶりの高水準を付けていた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、年内に追加利上げが行われる可能性は約50%程度にとどまるとみている。
<株式> ほぼ横ばいで取引を終えた。今週は指標10年国債利回りが16年ぶり高水準を更新し、米連邦準備理事会(FRB)がタカ派的な見通しを示すなどしたことを受け、波乱の1週間だった。主要3指数はほぼ横ばいで推移したが、終値は小幅下落となった。
日経先物32255、ダウ先34232、債先145.46、米4.438、独2.7305、仏3.279、西3.804、伊4.588、英4.2850、波5.775、原油90.33、銅8,207、ドル円148.38、ユーロドル1.0648
※9/22 NY引け値

備忘録(2023/9/21)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米ブラックロックなどの資産運用会社は、ESG(環境・社会・企業統治)投資への関心の高まりに乗じようと、サステナブルファンドの立ち上げに何年もかけてきた。しかし今や、政治的な反発と投資家の厳しい目にさらされる中、こうした商品を相次いで閉鎖している。
モーニングスターのデータによると、ステート・ストリートやコロンビア・スレッドニードル・インベストメンツ、ジャナス・ヘンダーソン・グループ、ハートフォード・ファンズ・マネジメント・グループなどが今年、20本余りのESGファンドを閉鎖した。
ブラックロックも9月15日、2本のサステナブル新興国債券ファンドを閉鎖する意向だと規制当局に通知した。両ファンドの資産は合わせて約5500万ドル(約81億円)。
モーニングスターのデータによれば、米国には6月30日時点で656本のサステナブルファンドがあったが、清算の数は前年から増えている。今年閉鎖された米国のサステナブルファンドの数は、過去3年の合計よりも多いことが、同データでは示されている。今年上期には、こうしたファンドからの投資資金引き揚げ額が流入額を上回った。
モーニングスターでサステナビリティー調査のアソシエートディレクターを務めるアリッサ・スタンキーウィッチ氏は「2022年と23年に需要が落ち込んでいるのは確かだ」と電話インタビューで話した。
●その他産業
今回の決定により、8日から「ゴーゴン」「ウィートストーン」施設でのストを招いていた労使紛争は実質的に解決することになった。両施設は2022年に世界のLNG供給の約7%を占めた。
ネットワーク機器大手の米シスコシステムズは、ソフトウエアメーカーの米スプランクを買収することで同社と合意した。スプランクの企業価値を約280億ドル(約4兆1400億円)と評価しており、シスコシステムズ創業以来で最大規模の買収となる。
シスコは1株当たり現金157ドルを支払うと、両社は木曜日の声明で発表した。これは、水曜日のスプランクの終値に対して31%のプレミアムを意味する。声明によると、両社の統合は、サイバーセキュリティの脅威に対する企業の耐性を高めるのに役立つという。合併によってサイバーセキュリティーへの脅威に対する強じん性が増すと両社は考えているという。
両社は過去にも教護したが、昨年の交渉は決裂に終わったとブルームバーグは報じていた。
アームの株価はニューヨーク時間午前11時前の段階でIPO価格の51ドルを割り込み、一時49.85ドルを付けた。上場初日にはIPO価格を25%上回っていた。
米シェブロンは、オーストラリアの主要な液化天然ガス(LNG)輸出施設でのストライキ終結に向けて豪監督当局が提示した労働協約案に合意した。労働組合側は引き続き内容を精査している。
労組も調停案に合意すれば、世界のガス市場に混乱をもたらしてきたLNG施設「ゴーゴン」と「ウィートストーン」でのストが決着する。
シェブロンの発表資料によれば、同社は公正労働委員会が勧告した合意を受け入れた。労組はシドニー時間22日午前9時(日本時間同8時)までに回答する必要がある。協約案の受け入れを拒否した場合、同日午前10時からヒアリングが行われる。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
英イングランド銀行(中央銀行)は21日、利上げを見送ると発表した。政策金利の据え置きは2021年11月以来となる15会合ぶりで、新型コロナウイルス感染拡大後の利上げ局面で初めてだ。インフレが想定以上に鈍化していると判断した。
20日まで開いた金融政策委員会で政策金利を5.25%に据え置くと決定した。同日に発表された8月の消費者物価指数が前年同月比6.7%上昇と市場予想を下回り、1年半ぶりの低水準となった影響が大きい。イングランド銀行のベイリー総裁は「インフレ率が大幅に下落した。喜ばしいニュースだ」とのコメントを出した。
声明文では「金融引き締めサイクル開始からの政策金利の大幅な上昇を考えると、現在の金融政策のスタンスは制限的だ」としたうえで、「十分に制限的な水準を、十分に長い期間保ち続ける」と主張。政策金利の維持が妥当と結論づけた。
ただ投票権を持つ9人のうち、ベイリー総裁を含む5人が利上げ見送りに賛成したが、4人が0.25%の利上げが必要として反対した。英国の賃金上昇率は6月と7月にいずれも前年同月比で過去最高の7.8%となった。労働者の賃上げと企業の値上げの応酬が招くインフレ長期化への懸念は根強い。
量的引き締め(QT)による保有国債の年間削減目標は、23年10月から24年9月に償還と市場売却を合わせて1000億ポンドと、23年9月までの800億ポンドから引き上げた。残高を6580億ポンドまで減らす考えだ。
欧州最大の経済大国ドイツで景気不安が高まっている。欧州委員会がまとめた経済見通しで、2023年の実質成長率はマイナス0.4%と景気後退に陥る想定になった。東西ドイツ統一後、1990〜2000年代にかけて経済低迷が続いた「欧州の病人」に逆戻りするのか。今後の見通しと課題を聞いた。
全米リアルター協会(NAR)が21日に発表した8月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比0.7%減の404万戸だった。410万戸に増加すると見込んでいた市場予想に反して減少した。
中古住宅価格の中央値は前年同月比3.9%上昇の40万7100ドルと、3カ月連続で40万ドルを超えた。住宅の供給不足が続いている中で、住宅価格は上昇した。
最近は住宅ローン金利が再び上昇しており、中古住宅販売戸数はさらに減少する可能性がある。
8月の全体の前年同月比は15.3%減。中古住宅は米住宅市場の大きな部分を占めている。
8月に市場に出ていた中古住宅は110万戸と14.1%減った。
8月の販売ペースに基づく在庫の消化期間は3.3カ月と、前年同月の3.2カ月から延びた。健全な需給バランスは4─7カ月とされている。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「住宅販売戸数が減少している一方で、住宅価格は上昇を続けている」とし、「住宅価格の上昇が和らぐには供給が実質的に倍増する必要がある」と述べた。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は21日、ECBは次回の理事会で政策金利を据え置く可能性が高いと述べた。
国内メディアとのインタビューで「金利は現在、われわれにとって適切な水準にあり、非常に短期的に金利を変更する必要はない」と指摘。「次回の理事会で金利を変更することはないだろう」とした。
また、現在の金利はインフレを抑制するのに十分高い水準にあり、今後2年間でインフレ率を目標の2%に戻すことができると確信していると言及。「現時点ではインフレ率はまだ高すぎるが、2%への道筋がもはや実現不可能であるという説得力のある証拠を見た場合にのみ、われわれは政策を調整する」とした。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は、ECBの政策金利はピークに達した可能性が高く、次の動きは利下げになる見込みだと述べた。再利上げを支持する他の当局者をけん制した格好。
市場はこのガイダンスを、急激な政策引き締めペースの終了を意味するものと受け取った。ユーロ圏北部を中心とする多くの政策立案者は追加利上げを選択肢に入れているが、ストゥルナラス氏は、前回の利上げも必ずしも正当化されるものではなく、過度な引き締めは金融安定化のリスクを生むと述べた。
一方、金利が現在の水準で十分に長い期間維持される必要があるため、政策緩和を議論するのは時期尚早だとも述べた。
9月のユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)はマイナス17.8と、前月のマイナス16.0から1.8ポイント低下した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想はマイナス16.5だった。
EU全体の消費者信頼感指数もマイナス18.7と前月から1.6ポイント低下した。
円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」が1970年以来、53年ぶりの低水準となった。円が1ドル=360円の固定相場制だった時代と同水準で、日本の対外的な購買力の低下が鮮明になっている。
国際決済銀行(BIS)が発表した8月の円の実質実効為替レートは73.19(2020年=100)で、さかのぼれる1970年以来の最低の水準となった。同レートはドルやユーロなどさまざまな外国通貨と比べた円の実力を示し、内外の物価格差を考慮した対外的な購買力を表す。名目為替レートを貿易額に応じてウエート付けし、物価変動分を除いて算出する。
実質実効為替レートの低下は本来、日本企業の輸出競争力の向上を意味するが、海外への生産移転が進み、その効果は薄れている。一方、円の購買力低下は海外からのモノやサービスの購入コスト増を意味する。輸入企業にとって収益悪化要因となり、商品への価格転嫁が進めば物価上昇による実質賃金の低下を通じて家計を圧迫する要因となる。
21日の円の対ドル相場は1ドル=148円台。2011年10月に75円30銭台の史上最高値を付けた後、安倍晋三元首相の経済対策「アベノミクス」と日本銀行の黒田東彦前総裁の異次元緩和の下で円安が進み、その流れは今も止まっていない。名目ベースの円安に加え、物価や賃金が諸外国に比べ低い伸びを続けてきたことが実質実効為替レート低迷の背景にある。
名目ベースの円安進行の理由として、物価高を受けて金融を引き締める米欧と、2%物価目標が未達として超金融緩和を続ける日銀との違いを指摘する声は強い。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは、日本のインフレ率は他国と比べて圧倒的に低いわけではないのに政策金利はマイナスで、「日銀と他の中銀のスタンスの差は極めて明瞭だ」と語る。 
もっとも、日本の金融政策については正常化に向けた動きも意識され始めている。日銀は7月、イールドカーブコントロール(長短金利操作)の上限を事実上0.5%から1%に引き上げた。植田和男総裁は政策修正の理由として、長期金利の上限を厳格に抑えることで為替を含め金融市場のボラティリティーに影響が生じる恐れがあると指摘。円安進行が金融政策に影響するとの見方が強まり、市場は来年1-3月のマイナス金利政策解除を織り込みつつある。
一方、日本の賃金の伸びは成長率や生産性の低さを背景に米欧を大きく下回る。8月の米民間部門の平均時給は前年同月比4.3%増。日本は春闘で約30年ぶりの大幅賃上げが実現したとはいえ、一般労働者の所定内給与(7月の毎月勤労統計)は1.9%増にとどまる。加藤氏は「日本はこんなにも為替レートを減価させてきたのに、それが経済成長に全然結び付いていない」と指摘する。
みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、最近シンガポールに出張した際、コーヒーや飲料水といった日常生活に近い財で内外格差が広がっており、日本の物価情勢との差が大きいことを感じたという。
同氏は、内外価格差の拡大には名目ベースの円安だけではなく、賃金格差とそれに伴う価格設定行動の差が大きく影響しているとみる。その上で、円安が続く背景には金融政策の違いだけでなく、貿易収支の赤字拡大、円買い圧力に直結しない第1次所得収支の黒字、デジタルなどを中心としたサービス収支赤字など「明らかに構造的な要素」があると指摘している。
ヨルダン総裁率いる中銀は政策金利を1.75%に据え置いた。ブルームバーグの調査に答えたエコノミストで据え置きを予想したのは少数だった。
ヨルダン総裁はチューリヒでの記者会見で「ここ数四半期の大幅な金融引き締めは、残存するインフレ圧力の抑えになる」とした上で、「さらなる金融引き締めが必要になる可能性は排除できない」と説明した。
中銀の上限である2%を既に下回っているインフレが大きく再加速する恐れはないと当局が判断していることがうかがわれる。また、最近のフラン上昇の後で、成長に対する懸念がより高まっていることも示唆される。
スイス中銀は四半期に1回しか金融政策を発表しない。今回の決定により、他の中銀との金利差は拡大した。
スイスの政策金利は昨年の利上げ開始以来、合計で2.5ポイント上昇している。ユーロ圏は4.5ポイント、米国はそれ以上の上昇だ。
スイスの消費者物価の伸びは他の先進諸国に比べはるかに低い。最新予測では、2023年と24年のインフレ率は2.2%、2025年は1.9%と見込まれた。
一方、成長は4-6月(第2四半期)に失速し、中銀は今年の成長率が1%程度と、22年の2.1%から低下するとみている。
スウェーデン中銀はこの日、0.25ポイントの利上げを実施。さらに1回の利上げの可能性を排除しなかったものの、中銀の予測はその実現を完全に想定してはいない。
ノルウェー中央銀行は21日、政策金利を0.25ポイント引き上げて約15年ぶりの高水準とするとともに、あと1回の利上げを見込んでいることを明らかにした。景気は既に冷え込みつつあるが、追加措置で金融をいっそう引き締める構えだ。
政策金利は4.25%と、2008年以来の高さとなった。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では全員が0.25ポイントの利上げを見込んでいた。中銀は政策金利の見通しを「若干」引き上げ、24年末まで4.5%前後の水準とした。
バーチェ総裁は、「もう1回の追加利上げがある可能性が高い。恐らく最もありそうなのは12月だ」と述べ、「今後しばらくは、引き締めスタンスを維持する必要がありそうだ」との考えを述べた。
日本とカナダの両政府は21日、電気自動車(EV)向け蓄電池のサプライチェーン(供給網)を共同でつくることで合意した。蓄電池に使う重要鉱物の探鉱や加工でカナダに進出する日本企業を補助金などで支援する。
実現すれば米国で販売する日本のEVが税優遇の対象になりやすくなる。
米連邦議会で野党共和党が多数派を占める下院は21日、8860億ドルの2024年度国防歳出法案の審議開始に向けた法案を216対212で否決した。マッカーシー下院議長による政府機関閉鎖回避に向けた試みが再び阻止された格好となった。
否決を受け、マッカーシー下院議長は記者団に対し「1月から行ってきた同じ戦略、つまり取り組み続け、決して諦めないこと」を追求していくと述べた。
議会が月末までに短期あるいは長期の歳出法案を可決しなければ、政府機関が10月1日から一部閉鎖されることになる。
インドが21日からカナダ人向けビザ(査証)業務を停止したほか、両国公館の公平性を保つためカナダ政府に対し在インド公館の職員数を削減するよう要請した。
カナダでのシーク教徒殺害を巡り外交官を国外追放するなど、両国の関係は悪化している。インドによる欧米諸国への新規ビザ発給の全面停止は前例がなく、両国関係がこれまでで最も冷え込んでいることを示している。
インド外務省のアリンダム・バギ報道官によると、カナダ国民への新規ビザ発給を停止したのはインドの在カナダ領事館職員に対する「安全保障上の脅威」のためという。ただ、その証拠や詳細は示していない。
新興国債券指数「GBI―EM」にインド国債を組み入れると発表した。海外マネーの大量流入につながるとみられる。
GBI―EMの指数群は世界の約2360億ドル規模のファンドのベンチマークとなっている。
インド国債の組み入れ比率はGBI─EMグローバル・ディバーシファイド指数(.JPMGBIEMGD)が最大10%、GBI─EMグローバル指数が約8.7%になる見込みとした。
ここにきて米景気の腰折れを招きかねない3つの出来事が同時に迫ってきた。大手自動車メーカーでのストライキ、政府機関閉鎖のリスク、そして予定される学生ローンの返済再開だ。
コロナ禍に伴う2020年ロックダウン(都市封鎖)が、両親や祖父母と同居する若年成人の割合を過去最高の50%近くに押し上げた。最近では18-29歳の米国人の45%に当たる約2300万人が家族と同居しており、これは1940年代とほぼ同水準。女性は結婚するまで実家、大恐慌の余波で男性も家族経営農場にとどまる傾向が強かった時代だ。
多くの米国人にとって、「アメリカン・ドリーム(夢)」はむしろ「アメリカン・イリュージョン(幻想)」に近く、調査対象の4分の3近くが、若年層は金銭的に成功することを妨げる経済情勢に身動きが取れないと回答した。
08年の金融危機の時期に卒業したミレニアル世代も自活する能力に疑問を持ち、生活が軌道に乗るまで多くが一時的に親と同居していた。ミレニアル世代の大半は現在、自宅を保有する。一方、Z世代も同様に人生の節目の遅れを経験しているのか、この世代のより広い部分が取り残されようとしているかは不明だ。
センター・フォー・ジェネレーショナル・キネティクス(CGK)のプレジデント、ジェーソン・ドーシー氏によると、経済的なニヒリズムの傾向は、若い世代の働き方、投資、消費、そして生き方の選択にも影響を及ぼしている。大学進学の断念、「クワイエット・クイッティング(静かな退職)」、両親と暮らすことがニューノーマルと受け入れる若者たちの波を見れば十分だろう。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国で短期国債の利回りが上がっている。中国人民銀行(中央銀行)が6月と8月に利下げしたが、期間が短い国債の利回りほど上昇幅が大きい。海外投資家による資金逃避や国内企業の資金繰り悪化で短期マネーの需給が逼迫しているとの見方がある。企業や家計の資金需要を刺激して景気を下支えする金融緩和の効果を弱めている。
ポーランドとウクライナが、ウクライナ産穀物の欧州への輸入規制問題を巡って対立を深めている。両国の首脳は国連総会が開かれているニューヨークで批判合戦を繰り広げ、ポーランド側はウクライナへの武器支援の停止にも言及した。背景には安価な同国産穀物の流入に対する東欧各国の危機感があり、欧州連合(EU)も対応に苦慮している。
フィリピン中央銀行は21日の金融政策決定会合で、政策金利の翌日物借入金利を年6.25%で据え置くと発表した。据え置きは4会合連続。消費者物価指数(CPI)が低下傾向にあるためだが、再び物価高となることを警戒する姿勢も示した。
フィリピン中央銀行は21日、4会合連続で政策金利の翌日物リバースレポ金利を6.25%に据え置いた。ただ、物価圧力が根強ければ次回11月の会合で利上げする姿勢を示した。
レモロナ中銀総裁は会見で「11月の利上げが選択肢としてある。引き上げ幅はデータ次第だ。供給ショックが大きければ利上げする用意がある」と述べた。
ロイター調査ではエコノミスト25人のうち23人が据え置き、2人が25ベーシスポイント(bp)の利上げを予想していた。
中銀は、今年の平均インフレ率予想を5.8%、来年は3.5%とし、従来予想(今年=5.6%、来年=3.3%)から引き上げた。最新の予想は、交通料金や電力価格の一段の調整の影響を反映させた。中銀は、供給側のショックがなければ23年第4・四半期までにインフレ率が2─4%のレンジに戻る可能性は依然あると指摘した。25年の予想は3.4%に据え置いた。
ロイターのエコノミスト調査では、中銀は年内は据え置き、次の変更はおそらく24年第1・四半期で利下げを見込んでいる。
インドネシア銀行は7日物リバースレポ金利を4年ぶりの高水準である5.75%に維持。ブルームバーグのエコノミスト調査で27人全員が予想した通りとなった。金利据え置きは8カ月連続。
フィリピン中銀は政策金利を4会合連続で6.25%に据え置き。ブルームバーグが調査したエコノミスト22人中20人が据え置きを想定、2人が0.25ポイントの利上げを見込んでいた。
台湾中銀も政策金利を1.875%に維持した。エコノミスト19人全員の予想通りで、金利据え置きは2四半期連続。
中国の不動産会社は資金難と販売難の双方に見舞われて経営存続に四苦八苦している。ではなぜ、物件を値下げして手元に残る大量の在庫を売り切らないのだろうか。それはやりたくてもできないからだ。2016年に起きた前回の不動産危機後に、住宅価格の一方的な動きを抑えるための規制が導入された。こうした措置がなお残り、中国経済の回復を妨げる要素になっている。
不動産価格の安定を実現させる上で役立ったのは、地方政府が設定した「ガイダンス」だった。そのおかげで、恒大集団(3333.HK)や碧桂園(2007.HK)といった業界最大手クラスの不動産会社が債務再編に苦闘する中でも、主要70都市の新築住宅の平均価格は1年余りにわたって毎月の変動率が2%程度にとどまった。
しかしこのような規制が価格の歪みを覆い隠した。市場が強気ムードに包まれていた局面では、主要都市の上限価格は、人々が喜んで支払おうとした価格よりもずっと低かった。そこで物件募集が始まると多数の買い手が殺到し、運良く住戸を手に入れられた向きは、供給が限られる中古市場で転売して相当な利益を得ることができた。
多くの中国人が価格上限について、住宅の買い手候補に対する「補助金」とみなした理由の一つがこうした状況だった。
ところがあっという間に時間が流れ、今や規制された価格は逆に市場で想定される時価を大きく上回る形に一変している。一部の不動産会社は、駐車場や、はたまた金の延べ棒までおまけにつける実質的な値引きで事態打開に動いたが、昨年の住宅販売は27%減って2017年の水準に戻った。今年の販売はさらに悪化しそうな流れだ。 
だから価格規制を撤廃することこそがもっと明確な解決策になるだろうし、ロイターが今月伝えたように、当局もそれを検討している。財新によると、広州市は既に7年続けてきた新築住宅の価格上限をひそかに廃止した。より多くの都市が追随すれば、手元不如意に陥っている不動産会社は今後、必要な資金を生み出し始めるだろう。例えば碧桂園の場合、昨年末時点で建設中のプロジェクト3000件を含めて、住宅用地として2億0200万平方メートルも保有していた。これらの資産をどれだけ迅速に現金化できるかは、最終的に売却価格の魅力度に左右される。
価格急落は需要を喚起する半面、政府はその大きな副作用に立ち向かう必要が出てくる。現在の住宅所有者は、自宅の価値が見る見る目減りしていくのを喜ばしくは思わないだろう。何しろ中国では持ち家率が2020年までに90%まで高まり、家計資産に占める不動産の割合は7割に達する。実体経済が低調な中で、歪んだ住宅価格の修正がどのように落ち着くか見通せない面もある。それでも市場の底値を見つけだすことこそが、不動産市場復活にとって重要ではないかと思われる。
対象となったのは中国海外宏洋集団(0081.HK)、越秀地産(0123.HK)、中国海外発展(0688.HK)、華潤置地(1109.HK)の各社。
ムーディーズは14日、中国の不動産セクター全体の格付け見通しを、成長鈍化に伴う問題を理由に挙げて「ネガティブ」に下げたばかり。今回引き下げた4社についても、安定的な事業環境や信用力を維持する上で不透明感があるとみている形だ。
●中東
トルコ中央銀行は21日、主要政策金利の1週間物レポレートを500ベーシスポイント(bp)引き上げ、30%とすることを決めた。 ロイターがまとめた市場予想は500bpの利上げで、政策金利見通しは27.5%から31%まで幅があった。
8月のインフレ率が前年同月比で59%弱に跳ね上がり、来年にかけて上昇すると予想されている。中銀は金融引き締めを「インフレ見通しのが大幅に改善されるまで、タイムリーかつ段階的な方法で必要なだけさらに強化する」と表明した。中銀は6月以降、政策金利を計2150bp引き上げてきた。
利上げ決定後に通貨リラはドルに対して下落し、1ドル=27.105リラと先月付けた史上最安値に迫った。
中銀は8月に750bp利上げしていた。市場予想の3倍となる大幅利上げで、インフレ抑制に向けての決意を示したものとみられていた。
ロイターが先週まとめた市場予想は、一段の金融引き締めで年末までに政策金利が35%まで引き上げられるとの見通しで、予想には30%から40%まで幅があった。
中国は中東での外交的な取り組みを強化しており、特に3月にはイランとサウジアラビアが外交関係を回復するにあたって仲介役を果たしている。また、習主席は、パレスチナ自治政府のアッバス議長が6月に北京を訪問した際、イスラエル・パレスチナ紛争に関する国際的な和平会議の開催を提案した。ただ、和平会議に関する進展は今のところみられていない。
アサド大統領は就任して約4年後の2004年に中国を訪れ、胡錦濤前国家主席と会談している。1956年に両国が国交を結んで以降、シリアの国家元首が中国を訪れたのは初めてだった。
●中南米・アフリカ
南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)は21日の会合で、主要政策金利のレポ金利(ZAREPO=ECI)を8.25%に据え置くと決定した。据え置きは2会合連続。ただ、インフレ見通しに対するリスクは継続的に存在していると指摘した。
ロイターが実施した調査では、ほぼ全てのアナリストが据え置きを予想していた。
ハニャホ中銀総裁は、2024年に食料価格の上昇が加速するリスクがあるとし、インフレ見通しに対する上振れリスクがあると評価されたと指摘。エネルギー供が持続的に増加していないことで、電力価格が引き続きインフレリスクにつながるとの見方も示した。
中銀の金融政策委員会(MPC)は、利下げを検討する前に、インフレ率が目標レンジ(3─6%)の中間近辺にとどまっていることを確認する必要があるとしている。
南アフリカ統計局が20日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年比上昇率が4.8%と、7月の4.7%から小幅に加速した。コアインフレ率は前年比4.8%。7月は4.7%だった。
●市況
<為替> ドル指数が軟調となった。ただ、前日に米連邦準備理事会(FRB)が長期にわたり金融政策を制約的に維持する姿勢を示したことで、6カ月ぶりの高値近辺にとどまっている。
日本円は翌日に日銀の金融政策決定会合を控え上昇した。一方、イングランド銀行(英中央銀行)とスイス国立銀行(中央銀行)の金利据え置きを受け、英ポンドとスイスフランは下落した
<債券> FRBが前日に追加利上げの可能性と来年の利下げ幅縮小を示唆したことを受け、10年債利回りが16年ぶり高水準を付けた。
CMEグループのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、11月の利上げの確率は26%、12月までの利上げの確率は45%であることが織りこまれている。
10年債利回りは4.492%と2007年11月以来、2年債利回りは5.202%と06年7月以来の高水準を付けた。
<株式> 大幅続落して取引を終えた。FRBの金利引き締めが予想以上に長期化するとの懸念から、投資家のリスク選好意欲が減退した。
金利動向に敏感な大型株が売られ、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)、エヌビディア(NVDA.O)、アップル(AAPL.O)、アルファベット(GOOGL.O)が売られ、S&P総合500種とナスダックを圧迫、両指数は6月以来の安値で引けた。
グロバルトのシニアポートフォリオマネージャー、トーマス・マーティン氏は、高金利が長期化すれば経済への圧力が強まると指摘、金利上昇の影響が時間差で出てくるとの見方を示した。
物流大手フェデックス(FDX.N)は4.5%高。前日発表した6─8月決算で利益が市場予想を上回ったことに支援された。
<米原油先物> 強弱まちまちの材料を眺めて売り買いが交錯し、ほぼ横ばいとなった。この日から中心限月となった米国産標準油種WTI11月物の清算値(終値に相当)は前日比0.03ドル(0.03%)安の1バレル=89.63ドル。12月物は0.02ドル安の88.32ドル。
 <ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。ただ、イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利の据え置きを決めたことから、相場の下げ幅が縮小する場面もあった。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。世界の主要中央銀行が政策金利を長期間にわたって高水準で維持することを示唆したタカ派姿勢が嫌気され、売りが優勢となった。
<ユーロ圏債券> 利回りが上昇し、指標となるドイツ10年債利回りは12年ぶりの高水準を記録した。米連邦準備理事会(FRB)とイングランド銀行(英中央銀行、BOE)が政策金利を据え置いたものの、さらなる利上げの可能性を示唆したことを受けた。
独10年債利回りは一時2.779%に達し、2011年7月以来の高水準を付けた。終盤は3ベーシスポイント(bp)上昇の2.73%だった。
政策金利期待の変化に敏感な独2年債利回りは0.5bp上昇し3.26%となった。一時は7月中旬以来の高水準を付けた。
日経先物32040、ダウ先34328、債先145.19、米4.495、独2.7325、仏3.274、西3.793、伊4.536、英4.3235、波5.779、原油89.72、銅8,214、ドル円147.65、ユーロドル1.0659
※9/22 9時00分頃

備忘録(2023/9/20)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置いた。ただタカ派的なスタンスを強め、年内の追加利上げを想定。金融政策は2024年を通して従来の予想より大幅に引き締まった水準にとどまるとの見方を示した。
FRBは金利・経済予測で24年の政策金利中央値を5.1%と予想。6月時点は4.6%だった。23年末の政策金利の予想中央値は6月時と同じく5.50─5.75%となった。現行水準よりも0.25%ポイント上回る水準となる。
その先の予想については、6月公表の前回の金利・経済予測で24年末までに1%ポイントの金利低下が予想されていたのに対し、今回の予測では低下幅は0.50%ポイントとなった。
パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「われわれは入手されるデータのほか、進展する見通しとリスクを見極めながら、慎重に政策を進める立場にある」とし、FRBの選択肢はオープンとの姿勢を表明。同時に「適切なら一段の利上げを実施する用意がある。インフレ率が目標に向かって持続的に低下していると確信できるまで、政策金利を制約的な水準に維持する」とも述べた。
<金利・経済見通し>
政策金利は24年末までに5.1%、25年末までに3.9%に低下するとの予想が示されたほか、FRBが主要なインフレ指標として注目する個人消費支出(PCE)価格指数は23年末までに3.3%、24年に2.5%、25年末までに2.2%に低下するとの予測が示された。
FRBが目標とする2%まで低下するのは26年になると予想。これは一部の当局者が可能と考えていた時期よりも遅い。
同時に、経済成長率見通しは大幅に上方修正。これまでの予測では23年の成長率は最低0.4%程度と見込まれていたが、今回の予測では2.1%とした。失業率については、23年は3.8%前後で安定的に推移し、年末には4.1%に上昇するとの見通しが示された。
FRBは声明で「インフレ率は高止まりしている」と指摘。同時に「最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している」とし、「雇用の伸びはここ数カ月間鈍化したが依然として力強く、失業率は低いままだ」とした。
今回の予測は、FRBが景気悪化を引き起こすことなくインフレとの戦いに勝利できると自信を強めていると示しているとも受け止められている。
パウエル総裁は記者会見で「ソフトランディング(経済の軟着陸)は常にもっともらしい見通しだと考えてきた」とし、これは現在でもあてはまると指摘。ただ同時に、FRBの予測は公式見解ではなく、予測は的中しないこともあると述べ、慎重な姿勢も示した。
<ソフトランディング実現に自信>
市場関係者も、FRBは経済の軟着陸シナリオに自信を深めているとの見方を示している。
フィッチ・レーティングスの米地域経済責任者、オル・ソノラ氏は「成長率の上方修正と24年の失業率の下方修正に込められたメッセージは、長期金利の上昇にもかかわらず、FRBがソフトランディングへの予想を上方修正したことを明確に示している」と述べた。
インフレーション・インサイトのプレジデント、オメール・シャリフ氏は、FRBが示した見通しについて「労働市場に関しては奇妙なほど楽観的で、今年のコア・インフレ率については奇妙なほど悲観的だった」としながらも、FRBの見通を踏まえると、金融政策の見通しがタカ派方向にシフトするのは驚くべきことではないとの見方を示した。
北米企業の信用リスク指標であるマークイットCDX北米投資適格指数のスプレッドは、一時70.5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に拡大した。米国の2年国債利回りは2006年以降で最も高い水準に達した。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は20日、米金融当局について、持続的な高インフレの抑制のため向こう数カ月に政策金利の引き上げを継続する必要があるかもしれないとの見解を示した。
ダイモン氏はデトロイト・エコノミック・クラブ主催のイベントで、米金融当局は利上げ開始で「後手に回った」とし、過去1年半もの急ピッチの利上げは単に「追い付く」ためのものだったと指摘した。
ダイモン氏は当局者の金利政策に関し、「彼らは現在よりもさらに高くする必要がある公算が高い。私が話しているのは今から4カ月先、半年先のことで、インフレ率は4%にあってさまざまな理由で鈍化しないだろう」と語った。
2023年8月の消費者物価指数は前年同月比6.7%上昇した。伸び率は前月比で0.1ポイント低下と3カ月連続で鈍化し、1年半ぶりの低水準となった。リフィニティブが集計した市場予想の7%を下回った。
レストラン・ホテルが1.3ポイント減の8.3%、食品・非アルコール飲料が1.2ポイント減の13.6%と、幅広い分野で伸び率が低下した。エネルギーや食品などを除くコア指数の伸び率も0.7ポイント減の6.2%と、5カ月ぶりの低水準となった。
エネルギー価格の上昇で、住宅・水道・電気・ガスは0.2ポイント増の7%と、7カ月ぶりに伸び率が拡大した。
英イングランド銀行(中央銀行)は21日、政策金利を発表する予定だ。これまで14会合連続で利上げを続けてきたが、インフレが想定よりも下回ったことで利上げを一時停止する可能性も浮上する。
もっとも英国の賃金上昇率は7月に前年同月比7.8%と過去最高水準で推移し、インフレ長期化への懸念も続いている。
金利スワップ市場の動向によれば、今回0.25ポイント利上げする確率はいまや50%だ。利上げがあるとしても、それが最後になることが織り込まれている。
スナク英首相は20日、2030年としてきた英国内のガソリン車とディーゼル車の新車販売の禁止を35年に先送りすると表明した。電気自動車(EV)の価格がまだ高いことなどを理由に「より現実的な手法を採用する」と述べた。
スイスのビジネススクールIMDは21日、2023年の世界人材ランキングを発表した。日本は前年より2つ順位が下がって43位と2005年の調査開始以来最低だった。語学力や上級の管理職の国際経験に対する評価が低く、順位を押し下げた。国内総生産(GDP)比でみた教育投資の少なさなども響いた。
日本は2009年に23位まで順位を上げたが、ここ数年は評価が低迷している。IMDの高津尚志北東アジア代表は「デジタル化や事業の持続可能性の重視など経営環境は大きく変わっている」と指摘し、「管理職教育に本腰を入れるべきだ」とする。
同ランキングは64カ国・地域を対象に、自国人材に対する投資育成の手厚さ、内外の人材をひき付けられる国としての魅力、自国人材の能力の高さの3点を評価して順位付けしている。評価は教育の公的支出や物価などの統計値と世界の企業幹部およそ4000人へのアンケート調査を元にしている。
1位はスイス、2位はルクセンブルクなど上位には欧州の国々が目立つ。アジアではシンガポールの8位が最高だった。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の不動産大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の債務問題が、マレーシアでの大型開発プロジェクトに影を落としている。同国の地方政府と共同で手掛ける総事業規模1000億ドル(約15兆円)の複合不動産開発の先行きを危ぶむ声が強まっている。
モルドバのニク・ポペスク副首相が20日、日本経済新聞のインタビューに応じた。「北大西洋条約機構(NATO)との連携を強化する」と語り、軍事面でも西側との協調を進める考えを示した。旧ソ連諸国の同国はロシアによるウクライナ侵攻を受け、安全保障環境が急変している。国内のバランスをとるため憲法で掲げてきた「永世中立」が揺らいでいる。
●中東
バイデン米大統領は20日、ニューヨークでイスラエルのネタニヤフ首相と会談した。イランへの対処やイスラエルの司法制度改革に関して隔たりは大きく、大幅な関係修復は見通しにくい。
バイデン氏は会談で握手を交わし「年内にワシントンでの会談を望む」と語った。関係改善のシグナルを送るものだ。今年3月にはイスラエルの司法制度改革に反発し、ネタニヤフ氏をホワイトハウスに近く招待する考えはないと明言していた。
バイデン氏は「より安定して繁栄する中東」を目指すと強調した。イスラエルとサウジアラビアの国交正常化の仲介に重ねて意欲を示し、ネタニヤフ氏と考えが一致した。
米国は中東でのテロとの戦いから中国やロシアとの競争に軸足を移す。その代わりにイスラエルやサウジの関係を改善させて中東安定に向けた役割を期待する。
ハードルは高い。米紙ニューヨーク・タイムズは19日、米政府がサウジと防衛条約の締結を協議していると報じた。サウジがイスラエルとの国交正常化の条件とする可能性がある。米国はサウジの安保に関与を深めるほど対中国シフトに支障が出るリスクがある。
イスラエルの司法制度改革をめぐり同国と米国の溝は深い。バイデン氏は会談で同改革を念頭に「民主的価値観を含む難しい課題」と指摘した。過去に改革に真っ向から反対してネタニヤフ氏との個人的関係が一段とぎくしゃくする原因になった。
ネタニヤフ政権は7月下旬、裁判所の力を弱める司法制度改革の関連法を国会で与党の賛成多数で可決した。最高裁が人事を含む政府の決定について「合理性」を基準に無効にできる権限を廃止する。
バイデン政権はイスラエルの三権分立を揺るがすと懸念するが、ネタニヤフ氏は会談で「民主主義に関する約束」を共有していると指摘。米国の懸念を否定する発言とみられる。イランを念頭に「大きな危険」に協力して対処すると強調した。
イラン政策でも米国とイスラエルは隔たりが大きい。バイデン氏は19日、国連総会の一般討論演説で「パートナー国とともに地域や世界の安全保障を脅かすイランの活動に対処し、決して核兵器の取得を認めない」と断言した。
米国のトランプ前政権が18年にイランの核開発を制限する国際合意を離脱して経済制裁を再開すると、イランは核合意の義務履行を相次いで停止した。イランは核兵器保有の意図を否定するが、米国やイスラエルが懸念を強めた。
バイデン政権は18日にイランと囚人交換を実現する代わりにイラン保有資産の凍結を一部解除した。関係悪化に歯止めをかけて核合意再建に向けた協議に布石を打ったとの見方が出た。
一方でイスラエルは核合意に反対する。同国首相府は8月に「イランの核関連インフラを解体しない取り決めは核開発計画を止めず、イランが支援するテロ集団に資金提供するものでしかない」と言明した。
核合意が有効になって経済制裁が解除されればイランが原油輸出などで稼いだ資金をミサイル開発や武装勢力支援に使うとイスラエルは懸念する。
イスラエルのネタニヤフ首相は19日、国連総会が開かれている米ニューヨークでトルコのエルドアン大統領と会談した。イスラエル首相府が発表した。両氏はこれまでパレスチナ問題などを巡って対立し、会談は初めてとみられる。経済関係の強化などで合意し、関係改善を強調した。
両氏は近く、互いに相手国を訪問することでも一致した。
トルコは経済の悪化などを受けて近年は関係改善にかじを切った。イスラエルも周辺諸国との融和に動いており、両国は22年8月、互いに大使を復帰させるなど外交関係を正常化することで合意した
首相とライシ氏の会談は2022年9月の国連総会に合わせて会って以来、1年ぶりとなる。
日本はイランと伝統的な友好関係を保っている。首相は「核合意を一貫して支持している」と伝えた。
両首脳はウクライナ情勢についても話し合った。イランがウクライナに侵攻したロシアに攻撃型無人機を供与したとの指摘があり、懸念を伝えたとみられる。
日本にとって中東情勢の安定はエネルギー確保の観点などで重要だ。中国が3月にイランとサウジアラビアの国交正常化を仲介するなど、米中のパワーバランスの変化が浮かぶ地域でもある。
岸田政権は中国・ロシアの陣営に傾斜しすぎないように「新BRICS」各国との対話を重視しており、今回のライシ大統領との会談でも地域情勢について率直に協議した。
●中南米・アフリカ
ブラジル中央銀行は20日開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.5%引き下げて12.75%にすると決めた。3年ぶりの利下げだった前回8月会合に続いて、2会合連続で利下げに動いた。インフレの鈍化傾向が続いていると判断した。下げ幅は前回会合と同じで、9人の委員が全員一致で決めた。
●市況
<為替> ドルが上昇した。米連邦準備理事会(FRB)はこの日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置いたものの、年内の追加利上げを予想するなどタカ派姿勢を強めたことが背景。
<債券> 国債利回りが上昇し、金利に敏感な2年国債利回りは17年ぶりの高水準を付けた。FRBがこの日まで開催したFOMCで金利を据え置いたものの、今後の政策に対するタカ派姿勢を強めたことを受けた。
2年債と10年債の利回り格差はマイナス80bpまで拡大した。
CMEグループのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、11月の利上げの可能性を29%、12月の利上げの可能性を43%と、まだ部分的にしか織り込んでいない。
バンガードのシニアエコノミスト、アンドリュー・パターソン氏は、「24年の利下げ幅縮小は、今回の重要な変化の一つだ。これは、FRBがソフトランディングを成功させ、経済が金利上昇に長く耐えられるとの確信を強めていることを意味する」と述べた。
アナリストは、原油高でインフレ高止まりの懸念が意識され、国債利回りの上昇につながっていると指摘。ただパウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、利回りの上昇は成長率の改善と国債供給増の影響に対する市場の見方を反映しているとの見解を示した。
<株式> 下落して取引を終えた。FRBは予想通り政策金利の据え置きを決定したものの、インフレとの戦いはまだ終わっていないと警告するとともに経済見通しを上方修正したことを受けた。
セクター別では、金利動向に敏感な通信サービスやテクノロジーの下げが目立った。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。8月の英国のインフレ率が市場予想に反して鈍化したことで、イングランド銀行(英中央銀行)が利上げ局面の終了に近づいているとの観測が強まった。
日経先物32718、ダウ先34715、債先145.42、米4.430 、独2.7155、仏3.244、西3.783、伊4.447、英4.2715、波5.657、原油89.32、銅8,341、ドル円148.30、ユーロドル1.0546
※9/21 8時30分頃

備忘録(2023/9/19)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
15年前、金融界は銀行の自己資本比率に取りつかれるようになった。米リーマン・ブラザーズが破綻した後、自己資本と流動性の基準を厳しくするレースが繰り広げられたからだ。
そして、このレースは今もまだ続いている。例えば現在、米政府は国際的な金融規制「バーゼル3」の新ルールを続々導入しようとしており、ウォール街の大物から激しい反発を受けている。
●その他産業
テーマパーク事業への設備投資を今後10年間に計約600億ドルと、ほぼ倍増させると発表した。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
経済協力開発機構(OECD)は19日、2024年にかけて世界経済が減速するとの見通しを示した。各国の金融引き締めに加え、中国の不動産市場の構造問題が響き、24年の成長率を2.7%に下方修正した。中国経済が急減速するシナリオでは世界の成長率を最大1ポイント超、下押しすると試算した。
OECDは23年の世界経済成長率を6月時点の予測より0.3ポイント高い3.0%に引き上げた。23年前半の成長率は年率換算で3.2%で、年後半から減速が始まると見込む。
24年の成長率は同0.2ポイント低い2.7%に引き下げた。6月時点で24年は23年よりやや景気が上向く想定だったが、逆に減速することになる。
OECDは直近の世界経済については「予想を上回る力強さ」と評価した。エネルギー価格の落ち着きや、中国の新型コロナウイルスの規制解除後の経済活動の再開が貢献している。米国では引き続き消費が堅調だったほか、日本では賃金上昇とサービス輸出の拡大が追い風だ。
一方、ユーロ圏と英国は22年のエネルギー価格高騰の影響が尾を引き、経済活動が弱まっている。
中国経済はすでに「モメンタムを失った」とし、23年成長率を前回予測より0.3ポイント低い5.1%、24年は同0.5ポイント低い4.6%に下方修正した。足元では経済再開の効果が早くも薄れ始めているほか、「不動産市場の構造的問題が引き続き内需の重荷になっている」という。
今後はこれまでの各国の金融引き締めによる成長を抑える影響が徐々にあらわれるとみる。20カ国・地域(G20)のインフレ率は23年に6%、24年に4.8%と少しずつ下がるものの、「多くの国で中銀の目標を上回る状態が続く」。
金利の高止まりがスイスの金融大手クレディ・スイス・グループの経営危機のような「金融システムのストレス」を招くリスクにも言及した。
景気の先行きについては「依然下振れリスクのほうが大きい」との見解を示した。インフレ率が再び上昇すれば政策金利が高止まりし、債務負担の増大や失業率の上昇、倒産増加につながる可能性がある。
OECDは中国経済が急減速するケースも分析した。同国の国内需要が想定シナリオに比べ3%減少し、消費が1%、企業投資が5%、住宅投資が8%ほど落ち込んだ場合、世界の国内総生産(GDP)成長率が0.6ポイント下押しされるという。世界の貿易量も1.25ポイント低下し、特にアジアや北米で影響が大きい。
中国経済の悪化は株価の急落など市場の混乱につながる可能性がある。株価が10%下落するなど世界的な金融市場の調整を伴う「複合ショック」の場合、世界のGDP成長率は1.1ポイント下がり、貿易量も3ポイント弱押し下げる。経済の急減速はデフレ圧力を生み、世界のインフレ率を0.4ポイントほど低下させると試算した。
世界経済の強さを取り戻すため、OECDは「世界貿易の復活」を挙げた。特に18年以降、各国が様々な貿易障壁を増やし、機会損失を生み出していると説明した。ルールに基づく開放的な国際市場は「長期的な繁栄と生産性向上の重要な源泉だ」と訴えた。
世界の債務が増加している。国際金融協会(IIF)の集計によると2023年6月時点で307兆ドル(約4京5400兆円)と過去最高額を更新した。銀行規制の強化にかかわらず、プライベートクレジット(ノンバンクによる融資)が拡大したことが債務増加につながった。金利の押し上げ要因になる。
原油相場は2022年の高値を引き続き大きく下回っているものの、米金融当局が景気下降を引き起こすことなくインフレ率を2%の当局目標に押し下げようとする現状にあって、最近の原油高傾向はリスクを突き付ける。
ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「原油高は現時点で私が最も懸念するものだ。100ドルを上回れば、短期間であっても非常に大きな打撃となる」と指摘した。
スティーフル・ファイナンシャルのチーフエコノミスト、リンゼー・ピエグザ氏は「エネルギーコストは金融当局が現時点で直面する大きな不確定要素の一つだ」とし、投資家が想定しているよりも積極的な行動を取るよう当局が迫られる可能性があるとの見方を示した。
サンフランシスコ連銀の調査担当者によれば、米家計部門が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に蓄えた過剰貯蓄は恐らく7-9月(第3四半期)中に底を突く見通しであるほか、クレジットカードの延滞率はコロナ禍前の水準を大きく下回ってはいるものの上昇傾向にある。10月からの学生ローン返済再開も支出の重しとなりそうだ。
多くは原油高がどこまで進むかに左右される。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の商品調査責任者、フランシスコ・ブランチ氏は12日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、原油相場がバレル当たり100ドルを突破すれば、需要に強く響く可能性を懸念してサウジはさらなる相場押し上げに慎重になるだろうと語った。
このような0DTEが人気ツールとなり、個人投資家が一斉に投機に参加しているのは不思議ではない。JPモルガン・チェースなどは熱狂ぶりを見て、戦略リスクが株式市場全般のボラティリティーを高めかねないと警告している。
カナダの消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなり、カナダ国債が売られた流れを受け、米国債相場が下落(利回りは上昇)した
8月の住宅着工件数は128万3000戸(季節調整済み、年率換算)と7月の改定値から11.3%減少し、2020年6月以来、3年2カ月ぶりの低水準だった。小幅な減りを見込んでいた市場予想(144万戸)を大幅に下回った。
最も大きな割合を占める一戸建ての着工件数は94万1000戸と4.3%減、5世帯以上の集合住宅は33万4000戸と26.3%減った。地域別では米西部が約3割減と他地域に比べ突出して落ち込みが大きく「ハリケーンの影響が住宅着工の重荷になった可能性がある」(ゴールドマン・サックス)という。
先行指標である許可件数は154万3000戸と前月から6.9%増え、市場予想も上回った。新築住宅への根強い需要などを背景に「住宅着工は来月以降、回復に向かいそうだ」(バークレイズ)との見方もある。
全米住宅建設業協会(NAHB)が18日発表した9月の住宅市場指数は前月より5ポイント低い45と2カ月連続で低下し、5カ月ぶりの低水準になった。住宅ローン金利の高止まりが需要を冷やすとの見方から建設業者の景況感はじわりと悪化している。
トランプ氏は第1回に続き、この討論会も欠席する見通し。 もっと見る  一方でフロリダ州のデサンティス知事、ペンス前副大統領、ヘイリー元国連大使、スコット上院議員ら6人が参加する
サンソ・インベストメント・ソリューションズの株式・バランス資産運用責任者、ミシェル・メニゴズ氏は「最も明白な影響の1つは、原油高でインフレ鈍化のトレンドが狂い、中央銀行が市場が見込むほど早期に利下げを開始できなくなることだろう」と話す。
エネルギー高が為替レートに与える影響は、石油輸入国と輸出国の間で分かれる。バークレイズの為替分析責任者、テミストクリス・フィオタキス氏は「原油の供給ショックを受けて、ほぼすべての通貨が対ドルで下落している」と指摘。
ユーロ、円、スウェーデン・クローナなどが特に売られやすい地合いにある一方で、ブラジルやカナダなど他の輸出国の一角は、市場全般を見舞う嵐を切り抜けられるかもしれないと述べた。
燃料価格の値上がりは航空各社の利益を圧迫しており、旅行・物流銘柄にも売りが及んでいる。10社で構成するS&Pスーパーコンポジット航空株指数は7月中旬以来20%下落し、ここ数カ月は特に下げがきつかった。
欧州のエネルギー企業には大きな追い風が吹く。英FTSE100指数はエネルギー株が大きなけん引役となっている。FTSE100に占めるエネルギーセクターの比重は約13%だが、構成企業全体の2022年利益のうち26%をたたき出した。
ウォール街ではエネルギー株の人気が復活しており、ゴールドマンやJPモルガン・チェースのストラテジストは「オーバーウエート」を推奨している。
BNPパリバ・ウェルス・マネジメントのグローバル最高投資責任者(CIO)、エドムンド・シング氏は、今後数カ月はエネルギーが好調に推移し、出遅れていた石油大手への資金シフトが起こると予想。「そろそろハイテク株を手仕舞う時だ。例えばエヌビディア。決算後の動きを見ると、買いたい人はすでに全員が買っているようだ」と話す。
高金利が長期化するとの観測を背景に、米国と欧州の国債利回りはじりじり切り上がっている。特に顕著なのが、エネルギー価格の高騰が産業のけん引役に打撃を与えるとの懸念が高まっているドイツだ。独2年債利回りは8月上旬の2.9%から3.2%に跳ね上がっている。
TSロンバードのグローバル・マクロ担当マネージング・ディレクター、ダリオ・パーキンズ氏は「インフレの変動がなくならない」ことを、足元の原油高が市場にあらためて想起させていると述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
在上海米国商工会議所が6月に300社余りを対象に実施した調査によると、今後5年間の中国でのビジネスについて、少なくともわずかに楽観的との見通しを示す回答が全体の52%にとどまった。2022年からは3ポイント悪化し、同調査が開始された1999年以降で最も低い水準となった。
同会議所は19日発表の調査結果に関するリポートで、「地政学や米中関係、中国経済の不振を巡る懸念のすべてが見通しに重くのしかかっている」と指摘。また、今回の調査では、「やや悲観的」または悪化との見通しを示した企業の数が米中貿易戦争さなかの2019年当時よりも増えているという
回答した企業の5分の1近くは、向こう数年以内に現在の業務の一部を中国から他の国・地域に移すことを検討していると回答。最大の理由として米中関係の不確実性を挙げた。
融創中国控股は19日、米国で連邦破産法15条の適用を申請した。米破産法15条の適用申請で、現在手続き中の外貨建て債務再編案の成立を目指す。経営再建中の中国恒大集団も8月に申請していた。
イエレン長官はMSNBCのインタビューに対し、中国は自国の経済に対処するために政策を活用できると指摘。「米国への波及はあるかもしれないが、比較的小さいと考えている。他のアジアの国々の方が大きな影響を受ける」と語った。
アゼルバイジャンは19日、隣国アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフで軍事行動を開始した。アゼルバイジャンは、憲法秩序を回復しアルメニア軍を撤退させるために必要な措置としており、不安定なこの地域で新たな紛争が勃発する恐れがある。
アゼルバイジャン国防省は作戦を発表する声明で「アルメニア軍の武装を解除し、アゼルバイジャンの領土から撤退させ、軍事インフラを無力化する」と表明。アゼルバイジャンの憲法秩序を回復するための措置の一環として、「高精度兵器」を使用した合法的な軍事目標のみを標的とり、民間人は標的にしていないとした。
2020年の紛争の停戦を仲介したロシアは両国に対し戦闘を停止するよう呼びかけている。ロシア大統領府のペスコフ報道官はこの日の記者会見で、ロシアはアゼルバイジャンとアルメニアの両国と連絡を取り合っており、紛争を解決するための交渉を促していると表明。ロシアは今回のエスカレーションを懸念しており、市民の安全確保が最重要課題だと見なしていると述べた。
アゼルバイジャンが19日に係争地のナゴルノカラバフで始めた軍事行動をめぐり、攻撃を受けたアルメニア側は民間人2人を含む25人が死亡し、138人が負傷したと明らかにした。米国は即時停戦を呼びかけ、フランス大統領府は国連安全保障理事会の緊急会合を要請した。
ナゴルノカラバフは国際的にアゼルバイジャン領と認められているが、アルメニア系住民が1991年に「ナゴルノカラバフ共和国」の樹立を宣言した。2020年にアゼルバイジャンが大半を奪還した後も一部を実効支配している。
アゼルバイジャンは19日「対テロ作戦」を開始し、アルメニア軍の撤退と「共和国」政府の解体を要求した。ナゴルノカラバフの中心都市ステパナケルトを攻撃しているもようで、空爆に加えて地上軍も動員しているという。民間人への攻撃は否定している。
アルメニアのパシニャン首相は19日の声明で、ナゴルノカラバフにはアルメニア軍が存在しないと反論した。「現時点では、我々は無計画な強硬措置に訴えるべきではない」とも述べ、アルメニア軍として軍事的に対抗しない考えを示唆した。
ブリンケン米国務長官は19日の声明で、アゼルバイジャンの軍事的行動は「受けいれられない」として即時停戦を求めた。フランスのマクロン大統領はパシニャン氏と電話協議し、安保理の緊急会合を要請すると伝えた。欧州連合(EU)やドイツも同様に対話の再開を促した。
20年の停戦を仲介し、ナゴルノカラバフで平和維持部隊を展開するロシアのペスコフ大統領報道官は両当事国の政府と「連絡を取り続けている」として、仲介を続ける姿勢を示した。タス通信が伝えた。
アゼルバイジャンと民族的に近いトルコのエルドアン大統領は19日の国連総会演説で、「領土の一体性を守るためにアゼルバイジャンが取る措置を支持する」と述べた。
ポーランド政府は、同国内に滞在する約100万人のウクライナ避難民に対する財政支援を打ち切る可能性が高いと発表した。穀物輸入を巡って対立し、緊張する両国の関係がいっそう悪化しそうだ。
ポーランドの与党「法と正義」はウクライナ産穀物の禁輸解除を決定した欧州連合(EU)に逆らって輸入禁止を延長しただけに、支援打ち切りの表明は関係悪化に拍車をかけそうだ。ポーランドでは10月15日に総選挙を控えて
中国の通貨当局は管理フロート制の弾力運用を再開してから現在に至るまでの十数年間、1ドル=7.4元台を超える領域までのドル高・元安を容認したことは一度もない。
ドル高・元安の進行には中国の輸出競争力の向上というメリットがあるものの「中国の通貨当局が一方的かつ急速に進むドル高・元安の進行を容認している」との市場解釈が拡散すると「ホーム・カントリー・バイアス」が元々低いと言われている中国人投資家マネーの海外漏出を助長し、国内市場が不安定化するリスクが高まるほか、中国企業が抱え込んでいるドル建て債務の返済負担が増えるなどの副作用も強まる。
現行の管理フロート制の採用を宣言してから現在に至るまで、中国の当局は具体的な通貨政策の運営ルールを国内外に公表しておらず、過去には何度も事前に何の予告も無いまま運用スタンス変更したこともあった。今後もこれまでと同じ水準を意識したドル人民元相場の安定運用をキープし続ける否かは不透明だ。
ただ、PBOCは今年8月に発行した「四半期金融政策報告」で、人民元相場に関するコラムを特別に掲載し「過去何年間に人民元の対ドル相場は3度も(1ドル=)7元の壁を破ったが、3回とも7元以内に戻っている」、「当局には為替相場を平穏に安定させるために必要な豊富な経験と十分な政策ツールを具備しており、その自信と条件と能力を保持している」などのメッセージを市場に送っていた。少なくとも現時点では1ドル=7.3元台付近に防御線を敷設して、それ以上の元安を許さぬ方針を変えるつもりは無さそうだ。
今秋以降に発表される米国の経済指標で景気の粘り腰が確認されてインフレ率が高止まり、FRBによる追加利上げ期待が残存し続ける場合は、米中金融政策の方向性の違いに着目したドル高・元安圧力はなかなか収まらず、1ドル=7.3元台の壁を超えるドル高・元安の進行を阻止しようとするPBOCと市場の神経質な攻防戦が続くだろう。
米景気に明確な鈍化の証左が表れて米利上げ打ち止め感が広がるまでの間、PBOCは断続的にドル買い・元売り投機を仕掛けてくる市場を相手に「我慢比べ」を余儀なくされる状況が続くだろう。おり、法と正義は農村部の支持確保に努めている。
●中東
イランのライシ大統領は19日、国連総会で演説し、交渉が停滞している核合意再建に向け米国に決断を促した。合意に違反して進めている核開発については、核兵器を保有する意図はないと改めて主張した。
ライシ師は演説で「米国が核合意から離脱したことは約束を踏みにじる行為だ」と批判。「米国は信頼を築くことで、約束を履行し(核合意を再建する)道を最終決定する意思があることを証明すべきだ」と強調した。
バイデン政権とイランは21年に核合意の再建に向けた交渉を始めた。ただ、双方の隔たりが大きく、22年9月にイランで大規模な反政府デモが発生して欧米がイランへの制裁を強化したことなどから、交渉は停滞している。
ライシ師は「イランの防衛政策や軍事政策に核兵器は存在していない」と、核兵器を持つ意図がないことを改めて強調した。一方で「平和目的の核エネルギーを保有するという権利を獲得するために、失敗することはない」とも語った。
ライシ師は演説でロシアによるウクライナ侵攻にも言及し「我々は戦争を止めるあらゆる政治措置を支持する」と主張した。ロシアのウクライナへの攻撃では多数のイラン製ドローン(無人機)が使われており、米欧はイランへの批判を強めている
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドル指数が小幅に上昇した。米連邦準備理事会(FRB)など一連の中銀による今週の金融政策判断が注視されている。
カナダドルは対米ドルで一時6週間ぶりの高値まで上昇。終盤は0.35%高となった。カナダ統計局が19日発表した8月の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は4.0%と、前月の3.3%から伸びが加速した
<債券> 5年債と10年債の利回りが16年ぶり高水準を付けた。原油先物が10カ月ぶり高値を付けたことを受け、商品(コモディティー)価格の上昇でインフレ圧力が高止まりし、FRBは一段の利上げを実施するか、金利を長期にわたり高水準に維持する可能性があるとの見方が出ている
5年債利回りは4.522%、10年債利回りは4.367%と、共に2007年以来の高水準を付けた。
<株式> 反落して取引を終えた。FRBが20日まで開催するFOMCを前に、リスクオフ心理が重しとなった。
FOMCでは政策金利を据え置くと予想されており、市場の関心は政策金利見通しやパウエル議長の記者会見に集まる。
シンプリファイ・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、マイケル・グリーン氏は、金利据え置きが織り込まれているが、金融引き締めが長期化するリスクも高まっていると説明。「仮に(FRBが)ドットチャートを修正して2024年の利下げを排除すれば、非常にタカ派的な据え置きと受け止められる」と述べた。
<米原油先物> 利益確定の売りや、対ユーロでのドル高を背景とした売りが優勢となり、4営業日ぶりに反落した。
米エネルギー情報局(EIA)が20日午前に公表する15日までの1週間の米原油在庫統計で原油、石油製品の在庫取り崩しが見込まれており、相場の下値は限定的だった。ロイターが19日に、ロシア政府が10月1日から全ての石油製品への輸出関税の大幅引き上げを検討中と報じたことも、相場の下支えになったとの見方もあった。
<ロンドン株式市場> 小幅反発して取引を終えた。金融サービスのハーグリーブス・ランズダウンが買われたのが相場を支える一方、英消費者物価指数(CPI)の発表や主要中央銀行の金融政策会合を控えて様子見ムードも強かった。
欧州ホームセンター大手キングフィッシャー(KGF.L)は12.2%と急落。フランスとポーランドでの売上高減少が響き、通期の利益見通しを7%引き下げたことが嫌気された。
市場は今週、米連邦準備理事会(FRB)とイングランド銀行(英中央銀行)の金融政策決定や、英CPIに注目している。
短期金融市場は、英中銀が政策金利の25ベーシスポイント(bp)引き上げを決め、5.5%とする確率は80%と予想している。
ロイターがまとめたエコノミスト調査では、20日に発表される8月の英CPIは前年同月比上昇率が7.0%と、7月の6.8%から拡大すると予想。一方、エネルギーと食品を除くコアインフレ率は6.8%と、前月の6.9%から減速するとみている。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。欧州中央銀行(ECB)当局者のタカ派的な発言を受けた。指標となるドイツ10年物国債利回りは12年ぶりの高水準に接近した。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーで中道とされるビルロワドガロー仏中銀総裁は19日、インフレ抑制のため、政策金利の中銀預金金利を現行の4%に十分な期間維持すると述べた
金融市場は、ECBが年内に追加利上げを実施する可能性は30%程度とみている。
アリアンツ・グローバル・インベスターズのシニア債券スペシャリスト、マッシミリアーノ・マクシア氏は「市場はECBが利上げを終了したと完全に確信しているわけではない。まだ不確定要素が多い」と述べた。
日経先物33070、ダウ先34825、債先145.49、米4.364、独2.7505、仏3.287、西3.811、伊4.514、英4.3885、波5.680、原油90.67、銅8,309、ドル円147.74、ユーロドル1.0682
※9/20 8時45分頃

備忘録(2023/9/18)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
熱波や山火事、洪水で排出ガスの影響がこれまで以上に明白になる中、欧州の有権者の多くが気候変動への対策を求めていることを世論調査は示している。だが有権者は汚染を低減する技術に移行するコストは負担したがらない。
政府には、長期のグリーン目標達成に取り組む一方、インフレが引き続き人々の財布を直撃する中で企業や個人に先行投資の費用を負担させ過ぎないことが求められる。
KKRはインターネットや新世代の人工知能(AI)サービスに必要なサーバーネットワークなどに投資する地域最大の投資家の1社。こうした投資への需要はオープンAIの「ChatGPT」をきっかけに急増している。
KKRは、21年ごろに同社初のアジア太平洋インフラファンド向けに39億ドルを調達。再生可能エネルギーから通信タワーに至るあらゆるものに投資する同地域最大級の資本プールを集めた。
●その他産業
6月に辞めた最高財務責任者(CFO)に続き、3カ月間で2人目の女性幹部の退任になる。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
国際決済銀行(BIS)は四半期報告書で、投資家に対し、金融システムにおける圧力の高まりだけでなく、世界的な金利に関する予測不可能な期間の長期化に備えるよう要請した。
BISの金融・経済部門の責任者、クラウディオ・ボリオ氏は、インフレが高止まりし、米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などの主要中銀が借入コストを現在の高水準に維持する必要が出てくる可能性を過小評価すべきではないと指摘。「金融市場が見ているものと中銀からのコミュニケーションとの間には明らかにまだ若干の違いが残っている」と述べた。
また、一連の危機により世界の一部の中銀がマイナス金利政策を導入し、その後過去1年半の間に急速な利上げが実施されたここ数年間は予測可能だったが、足元では中銀の方向性はもはや定まってないと言及。「インフレが予想以上に頑強になるリスクは排除できない」とし、「そのため、(金利が急速に低下するという)前提に立ったビジネスモデルや戦略は現在の状況に対して特に脆弱」とした。
さらに、借入コストの上昇圧力によって、企業や住宅ローンの借り手が対応できなくなり、銀行や他の貸し手に信用損失をもたらす可能性があると警告。世界の一部の不動産市場では安定化の兆しが見られるものの、経済が軟化している中で不動産市場だけでなく他のセクターでも貸し倒れが発生し、問題を引き起こし続けると予想した。
「問題はこうした損失を吸収するために金融システム全体がどれだけ回復力を持つかだ」と語った。
BISの報告書はまた「マージンコール(担保の追加拠出)」でスパイラル的な状況に陥るリスクも指摘。「米債先物におけるレバレッジを効かせたショートポジションの現在の積み上がりは監視に値する金融の脆弱性だ」とした。
ドイツの産業界が低迷しており、個人消費が経済の押し上げにほとんど寄与していないためだと言及した。
ドイツ連銀は「物価上昇のペースがいくらか鈍化し、賃金は力強く上昇し、労働市場が堅調であるにもかかわらず、家計は依然として支出を控えている」と指摘し、「消費者の支出抑制に加え、産業が一段と落ち込んでいることも経済の重しになっている」と説明した。
欧州中央銀行(ECB)は急速な物価上昇を食い止めるため、中銀預金金利を過去最高の4%に引き上げることを14日に決めた。 
ドイツ連銀は、こうした資金調達コストの上昇がドイツにとって不可欠で広範にわたる産業部門の受注減につながって経済成長を圧迫するとして「低水準にあり、下がり続けている受注と受注残の減少は工業生産に一段と影響を及ぼしている」とした。
市場のエコノミストらによると、輸出に大きく依存するドイツ産業は中国からの需要低迷で特に大きな打撃を受けており、回復の見込みは依然として弱い。
ECB理事会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁は18日、先週の利上げが最後の可能性があるものの、来年3月まで物価動向を見極める必要があり、追加利上げの可能性は排除できないと述べた。
カジミール氏は「インフレが目標に向かって明確かつ着実に進んでいるかは、来年3月の経済予測でしか確認できない。だからきょうの段階で追加利上げの可能性を排除することはできない」と述べた。
同氏は、ECBが政策金利の最終到達点に達したとしても、長期にわたって安定した軌道を描く必要があると指摘。
「仮に(すでに)頂点にいるとしても、そこでかなり長い間、キャンプをし、冬、春、夏を過ごさなければならなくなるかもしれない」とし「したがって、最初の利下げがいつか、市場に賭けるのは時期尚早だ」と述べた。

カジミール氏は「今後発表される経済データと分析によって、これ以上の引き締めが必要ないことが確認されれば、量的引き締めのペース調整を議論する余地がある」と述べた。
アブドルアジズ氏はカナダで開催されている世界石油会議で、中国の需要、欧州の成長、インフレに対処するための各国中央銀行の措置など、先行きが不透明な状況が続いていると述べた。また、需給予測は常に信頼できるものではないと指摘した。
このほか、サウジには水素などのクリーン・エネルギー源の生産、取引を行う意欲があるとし、投資家などとのパートナーシップが必要になっているとの考えを示した。
8月には労働者が仕事に携わらなかった延べ日数である「労働損失日数」が410万日を超え、2000年以来、23年ぶりの高水準となったことが分かった。9月には全米自動車労組(UAW)が米自動車大手(ビッグ3)の一部工場でストを始めており、米国の経済活動への影響はさらに広がる可能性がある。
7月中旬にハリウッドスターから司会者まで16万人が加入する米映画俳優組合―テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)がストを断行。5月からストを続けている脚本家の労組と並行した「ダブル・スト」に突入したことが労働損失日数の拡大につながった。
労働損失日数が400万日を超えたのは、00年8月以来だ。このときは米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズで起きた大規模ストの影響で418万日におよんだが、今回はこれに次ぐ高水準となった。
22年の組織化率は約10%と、米国では労組の存在感はさほど強くない。だが若い世代を中心に格差問題への関心は高く、労組に対する支持率は上昇傾向にある。最近の米ギャラップの世論調査では、米国民の約7割が労組を支持すると回答した。支持率は09年には一時48%まで低下していた。
米労働者の間でストの機運が高まった理由はいくつかある。例えば、新型コロナウイルス禍を経て、働き方や待遇について見直す風潮が高まった。インフレ率の高止まりを受け、生活水準が苦しくなったと感じる人も増えている。
こうした労働者らの不満の高まりを背景に、ストを辞さない強硬派が主要労組のトップに就任した。さらに動画のインターネット配信や人工知能(AI)など新しいテクノロジーの台頭で、従来型の雇用システムへの不安が強まったことなどが要因に挙げられる。
こうした世論の変化をくみ取り、バイデン政権は「親・労組路線」をとる。UAWのスト入りを受けて、バイデン氏は9月15日の演説で「記録的な利益が労働者に公平に分配されていない」と語り、自動車大手側に譲歩を求めた。
親・労組路線は労働者層の支持固めにつながる可能性もあるが、今後ストが多発すれば米経済全体の押し下げ要因になりかねない危険性もはらんでいる。
米国では15日未明にUAWに加盟する約1万2700人の労働者がストを開始。UAWとゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)、フォード・モーター(F.N)、クライスラーの親会社ステランティス(STLAM.MI)の代表者は週末も交渉を続けた。UAWは18日にステランティスと交渉したが合意は得られなかった。
UAWのショーン・フェイン委員長は米公共ラジオ放送NPRに対し「週末には最小限の交渉しか行われなかった。ボールは先方のコートにある。まだ先は長い」と表明。MSNBCに対し、交渉の進展具合は緩慢とした上で、「向こう数日でどうなるか様子を見たい。必要になれば圧力を強める」と語った。
カナダ最大労組ユニフォー(UNIFOR)によると、フォードとの契約が18日午後11時59分で期限切れを迎えるが、見解の隔たりは大きく、現時点でまだ合意に至っていない。このため、組合員にストの可能性に備えるよう伝えているという。
フォードはカナダに組み立て工場1つと、米国で組み立てる「Fシリーズ」などピックアップトラック向けのエンジンを生産する工場2つを持ち、合計約5000人の労働組合員を抱えている。ストによってエンジン工場が閉鎖されれば、UAWがミシガン州やミズーリ州などのトラック工場でストに踏み切らなくても、フォードにとって最も収益性の高い車種の米国生産に支障が出る可能性がある。
米共和党のマッカーシー下院議長は18日、連邦政府の予算を10月31日まで延ばす「つなぎ予算案」について、21日に採決を実施すると発表した。
マッカーシー議長は、連邦政府閉鎖を回避するために「最後まで戦い抜く」と表明した。
今や円に代わる低コストの調達手段が台頭しつつある。中国の人民元だ。ここ1カ月でインベスコやゴールドマン・サックス、シティグループ、TDセキュリティーズが、キャリートレードの資金調達通貨としての人民元の利用を魅力的なオプションとして勧めた。元は過去最安値に向けて下げている。
中国の政策当局が人民元防衛と投機筋の撃退に懸命になっているため、ここ数日間で海外市場での人民元借り入れコストが急騰しているが、人民元キャリートレードの推進者はひるんでいない。こうしたスタンスは、利益やリスク分散の追求とともに、日本と中国の経済が異なる方向に進んでいることにも関係している。
人民元は資金調達通貨として確実なものではない。中国は海外市場で人民元を支えるため積極的な介入を行ってきた。国有銀行が資金調達コストを押し上げるため定期的にオフショア人民元の供給を減らしていることが投機筋へのけん制となっている。先週13日には、3カ月の人民元借り入れコストが一時4%を超え、この5年間で最高となった。
米住宅市場指数は45に低下、予想中央値は49、前月は50
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は発表文で「高水準の住宅ローン金利は、明らかに住宅建設業者の景況感と消費者の需要を損ねている。長期金利が低下するまで物件購入を先延ばし人が増えている」と分析した。
NAHBによれば、回答者の約3分の1は販売押し上げのために価格を引き下げたと説明した。これは2022年末以来の大きな割合だ。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国外務省の毛寧副報道局長は18日の記者会見で、ドイツのベーアボック外相が習近平国家主席を「独裁者」と呼んだとして「強烈な不満と断固たる反対」を表明し、ドイツ側に抗議の申し入れをしたことを明らかにした。
ベーアボック氏は、米FOXニュースのインタビューで「もしロシアのプーチン大統領が戦争に勝つようなことになれば、習氏のような世界の他の独裁者にどのようなサインになるか」と指摘し、ウクライナが勝利しなければならないと強調した。
毛氏は「ドイツ側の発言は極めてでたらめで、中国の政治的な尊厳を著しく冒している」と強く批判した。
●中東
米国とイランが18日にも囚人交換を実行する見通しになった。米国はイラン資産の一部の凍結解除を決め、交換を促してきた。関係悪化に歯止めをかけて核協議の再開を探る。
米政府高官は18日、米国人5人がイラン首都テヘランの空港を出発してカタールに向かったと明らかにした。米国とイランはそれぞれが囚人5人ずつを解放すると大筋合意していた。
イラン外務省報道官も18日の記者会見で囚人交換が同日に実現すると説明した。米国が凍結を解除した資産が同日にイラン側へ渡るとの見方も示した。
ブリンケン国務長官は9月中旬までにイランが韓国に持つ資産60億ドル(約8800億円)の凍結解除を承認し、米議会に通知した。囚人交換を促す狙いがあった。
米国務省は資産凍結の解除をめぐり「米国民5人の解放を確保するために極めて重要な措置だ」と強調。資産はカタールで管理し、食料や薬などに使い道を限定する。イランがミサイル開発や武装組織の支援に使わないよう米国が監視する。
イランのライシ大統領は9月、米NBCテレビのインタビューで米国による資産凍結を「非常に不当だった」と指摘。凍結解除された資産の使途について「イランの権限下にあり、イランがどう使うかを決める」と強調した。
バイデン米政権は囚人交換をきっかけにイラン核合意再建に向けた協議再開を模索する。
米政府高官は記者団に「イランが米国民の拘束を続けるほど外交の推進に向けた土台をつくれないと明確にしてきた」と述べた。核協議再開にコメントを控えつつ、囚人解放に関し「外交の障害を取り除く」と言明した。
米国と英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国は2015年、イランの核開発を制限し経済制裁を解除する国際合意をまとめた。米国のトランプ前政権が18年に合意から離脱して経済制裁を再開。イランは核合意の義務履行を相次いで停止した。
一方で国際原子力機関(IAEA)は16日、イランからIAEAの一部査察官の受け入れを拒否すると通告があったと明らかにした。査察官はイランのウラン濃縮などを検証している。
米欧が9月のIAEA理事会でイランを批判したことや、英仏独が14日、10月に緩和するはずだった制裁の一部を継続するとしたことへの対抗措置とみられる。核合意の再建交渉が膠着するなか、ハードルを上げて米国から譲歩を引き出す思惑もある。
バイデン米大統領は20日、ニューヨークでイスラエルのネタニヤフ首相と会談する。両氏の会談はネタニヤフ氏が22年12月に首相に復帰して初めて。
イランの核兵器保有を認めない方針を確認するとみられるが、ネタニヤフ氏はイランの資産凍結の解除に反発する可能性が高い。
ネタニヤフ氏はイランの軍拡を招くとして核合意に一貫して反対してきた。イランが核爆弾を持てば、中東諸国が追随するリスクが高まる。
米軍はイランに警戒を強めている。7月に中東地域へ戦闘機や艦船を追加配備すると決めた。原油輸送の要衝であるホルムズ海峡周辺でイランによる商船の拿捕(だほ)を阻止する構えだ。
イランはウクライナ侵攻を続けるロシアに大量の無人機を提供し、バイデン政権が批判してきた。米国とイラン関係の悪化に歯止めがかかったとしてもイランがロシア支援を停止する保証はない。
米野党・共和党はイランとの対話に真っ向から反対している。24年11月の大統領選を控え、バイデン政権の対イラン政権を追及していく方針だ。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドル指数が小幅安となったものの、穏やかな地合いの中で6カ月ぶりの高値付近で推移した。今週の日米英中銀会合待ちとなった。
<債券> 10年債利回りが先月に付けた16年ぶりの高水準近辺で推移した。FRBは19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定するとの予想が大勢だが、一段の利上げを否定しない姿勢を示す可能性があるとの見方も出ている。
<株式> 主要3指数ともほぼ横ばいで取引を終えた。FOMCを19─20日に控え、取引材料に欠ける展開となった。
<米原油先物> 原油需給引き締まりへの警戒感が根強い中、3営業日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は前週末比0.71ドル(0.78%)高の1バレル=91.48ドルだった。前営業日に引き続き、昨年11月上旬以来約10カ月ぶりの高値を更新した。取引時間中には一時92ドル台に乗せた。
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。 フランスの銀行ソシエテ・ジェネラル(ソジェン)がスラボミール・クルパ新最高経営責任者(CEO)の下で策定した新たな計画が投資家に失望され、売られたのが相場の重しとなった。
ソジェン(SOGN.PA)は12.1%と急落。計画で今後数年間の年間収入がほぼ増えないとの見通しを示したのが嫌気された。
主要政策金利の25ベーシスポイント引き上げを先週決めた欧州中央銀行(ECB)の政策立案者がタカ派的な発言をし、ユーロ圏全域で債券利回りが上昇。このため、金利に敏感なSTOXX欧州600種不動産株指数(.SX86P)が2.59%下落した。
デンマークの製薬大手ノボノルディスク(NOVOb.CO)は2.4%安。米ノースカロライナ州の工場での品質管理の不備について詳細に記したリポートを米食品医薬品局(FDA)が最近まとめたことが伝わり、嫌気された。
<ユーロ圏債券> 米連邦公開市場委員会(FOMC)などを控え警戒感が高まる中、国債利回りが上昇した。欧州中央銀行(ECB)当局者のタカ派的な発言も利回り上昇につながった。
ECB理事会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁はこの日、先週の利上げが最後の可能性があるものの、来年3月まで物価動向を見極める必要があり、追加利上げの可能性は排除できないと述べた
格付け会社ムーディーズは15日、ギリシャのソブリン格付けを「Ba3」から「Ba1」に2ノッチ引き上げた。一方、見通しは「ポジティブ」から「安定的」に引き下げた。 もっと見る
シティのアナリストは顧客向けメモで「ギリシャ国債利回りは引き続き魅力的になっている」と指摘。ギリシャ国債のリスクプレミアムの大幅な改善はすでに織り込まれていたため、国債利回りにそれほど大きな影響は出なかった。
日経先物33025、ダウ先34946、債先145.48、米4.306、独2.6995、仏3.243、西3.768、伊4.508、英4.4435、波5.626、原油91.08、銅8,366、ドル円147.54、ユーロドル1.0696
※9/19 9時10分頃

備忘録(2023/9/15-17)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を達成し、今世紀中に世界の平均気温上昇を1.5度以内に抑えるには、世界全体で年間2兆7000億ドルの投資が必要になるとの見解を示した。
科学者らは、気候変動による壊滅的な影響を回避するため、今世紀の気温上昇を1.5度に抑えることが理想的と指摘している。多くの国ではこの目標を達成するため、50年までのネットゼロ達成目標を掲げている。
しかし報告書は、大半の国が50年は言うまでもなく、30年までの削減目標に向け軌道にすら乗っていないと指摘している。
国連によると、各国の現行削減目標では、気温上昇を1.5度以内に抑制できず、50年までに2.5度上昇する可能性が高い。
ウッド・マッケンジーは、エネルギー部門の脱炭素化には年間1兆9000億ドルの投資が必要だが、気温上昇を1.5度以内に抑えるには1.5倍に当たる2兆7000億ドル増額する必要があると指摘。このうち4分の3は、電力とインフラ部門に充てる必要があるという。
ウッド・マッケンジーの会長兼チーフアナリスト、サイモン・フラワーズ氏は「気温上昇を1.5度に抑制する目標達成は極めて困難だが、達成は可能だ。この10年間に取る行動に大きく左右される」と述べた。
●その他産業
15日公表された決定によると、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、TikTokが不必要なデータ処理から未成年者を保護せず、透明性のある形で行動しなかったと判断した。TikTokのEU拠点がダブリンにあるため、DPCが同社を監督している。
TikTokは声明で、「今回の決定、特に制裁金の水準に反対する」と表明。DPCの「批判は3年前の時点で導入されていた機能や設定に関するものだ。16歳未満のアカウントは全て非公開を初期設定にするなど、調査開始のかなり前に見直した」と反論した。
ステランティスの北米担当最高執行責任者(COO)であるマーク・スチュワート氏は16日の記者団との電話会議で、同社の申し出は14日の深夜に契約が切れる前にUAWが提案全体を受け入れることを条件としていたと語った。
スチュワートCOOは「われわれは、ベルビディア地域の雇用とベルビディアの解決策について、非常に説得力のある提案をした」とした上で、同案は「契約が切れる前に解決することが条件だったので、全ての項目を再検討する必要がある」と述べた。
これに対しUAWのショーン・フェイン委員長は、ステランティスは「駆け引き」をしており、労働者を交渉の切り札として扱っていると非難した。ベルビディア工場を救う計画の具体的内容についてはコメントしなかった。
これに先立ちUAWは、16日にフォードと「それなりに生産的な話し合い」を行なったと明らかにしていた。
ステランティス、フォード・モーター、ゼネラル・モーターズ(GM)はミシガン州、オハイオ州、ミズーリ州の工場で14日夜に組合員が職場から立ち去った後も交渉を続けてきた。
UAWのショーン・フェイン委員長は声明で、ゼネラル・モーターズ(GM.N)、フォード・モーター(F.N)、クライスラーの親会社ステランティス(STLAM.MI)に宛ててUAWから包括的な対案を送付しており、その回答待ちであることを明らかにした。
また、バイデン大統領が「記録的な企業利益」はUAWとの「記録的な契約」につながるべきと述べたことに同意するとした上で、交渉が決裂したという点には同意しないとした
買収提案は、米3大ネットワークのテレビ局「ABC」に加え、有料局の「FX」と「ナショナル・ジオグラフィック」に対して100億ドル(約1兆4800億円)を払う内容だという。
提案はまだ暫定的なもので今後変更される可能性もあるという。また、アレン氏の提案とは別に、ディズニーが米メディア企業のネクスター・メディア・グループとの間でABCや複数の地方テレビ局の売却について予備協議を持ったことも報じた。
動画視聴の中心がテレビからインターネット配信に移る変化に合わせて、ディズニーは経営改革を進める意向を示している。7月、ボブ・アイガー最高経営責任者(CEO)は「昔ながらのテレビ局は中核的な資産ではないかもしれない」と米メディアのインタビューで語り、視聴者が減る方向にあるテレビ局の一部を切り離す可能性を示唆していた。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
米ミシガン大が15日発表した9月の消費者態度指数(速報値)は67.7と、前月の確報値から1.8ポイント下落した。下落は2カ月連続。1年先の物価見通しを示す予想インフレ率が3.1%となり、2021年3月以来、2年半ぶりの低水準に下がった。
消費者態度指数は、過去最低を記録した2022年6月(50.0)からは大幅に改善している。ただ過去の平均値(86)には届かなかった。「現在の景況」が69.8と、前月から5.9ポイント下がった。「今後の見通し」を示す指数は0.8ポイント上昇した。
予想インフレ率は1年先と5年先ともに前月から下落した。短期的な物価見通しを示す1年先の予想インフレ率は前月から0.4ポイント下落した。
長期的な物価見通しを示す5年先の予想インフレ率は2.7%と、同0.3ポイント下落した。半年ぶりに2%台の予測に下がった。同大の調査分析担当のジョアン・シュー氏は「消費者はインフレが落ち着くとの期待を高めている」と述べた。
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのカザークス・ラトビア中銀総裁は、ECBが来年前半に利下げをすると見込むのは間違いだと述べた。
カザークス氏は、ユーロ圏の賃金上昇はまだピークに達しておらず、基調的なインフレがどの程度のペースで鈍化するかは不透明だと指摘した。先週の10会合連続の利上げ決定によりECBは2%のインフレ目標の25年達成に向けてより強固な軌道に乗ったが、追加利上げの可能性を排除するには時期尚早だ。
カザークス氏はインタビューで「市場は尚早な利下げを期待すべきではない。私がはっきり言えるのは、春か初夏に利下げが行われるという予想は、マクロのシナリオと一致していないということだ」と語った。
次の政策の方向性について、政策委員会メンバーらの見解はさまざまだ。エストニア中銀のミュラー総裁はインフレ率を2%に戻すのには現在の金利水準で十分かもしれないと述べ、ホルツマン・オーストリア中銀総裁とのバスレ・スロベニア中銀総裁はもう一段の利上げを排除することはできないと主張。ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は先週既に金利据え置きを望んでいたことを明らかにした。
カザークス氏は「私は現在の金利に満足しているが、必要であれば適切な決定を下すだろう。今がピークだと言うことはできない」と語った
欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバーであるスロベニア銀行(中銀)のバスレ総裁は15日、追加利上げの可能性を排除できないと述べた。14日には、政策金利がピークに達した可能性が当局者から示唆されていた。
バスレ氏はユーログループ(ユーロ圏財務相会合)が開かれているスペインのサンティアゴでインタビューに応じ、経済成長の鈍化は2%の物価目標を目指すECBの取り組みに追い風となるだろうが、賃金動向と財政政策がなお「重大なリスク」をもたらしていると指摘。最近のエネルギー価格上昇圧力がより持続的になる可能性もある。
「追加利上げが必要になる可能性を否定できないだろう」とし、「この先どうするかは、今後得られる新たな情報次第の面がかなり大きい」と指摘。「12月会合では、追加で一連の新しい情報と新しい予測を得ることになる」と語った。
ラガルド総裁はユーログループ(ユーロ圏財務相会合)の会議後に記者団に対し、金利の水準と高止まりさせる期間が「重要な意味を持つだろう」と述べた。
「繰り返すが、われわれは利下げを決定も議論もしておらず、その言葉を口にすることすらしていない」と同総裁はスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラで語った。
ECBは14日に10会合連続の利上げで中銀預金金利を4%とした。デギンドス副総裁とミュラー・エストニア中銀総裁は15日、インフレ率を2%に戻すには現在の水準で十分かもしれないとの考えを示し、これが最後の利上げとの見方を補強した。
ミュラー氏は15日のブログ投稿で「われわれの知る限り、今後数カ月の更なる利上げは想定されていないことを当局は明瞭にした」とコメントした。
シムカス・リトアニア中銀総裁は、14日の利上げが最後になることを望むと語った。
同氏はバルチック・ニュース・サービス(BNS)が伝えたLRTラジオとのインタビューで、「今年と来年のインフレ見通しは上方修正され、残念だがインフレと闘い、打ち負かすことがまだ必要だ」と指摘。「0.25ポイントの利上げという薬の服用はこれが最後だと期待したい」と続けた。
14日の決定が激しい議論の末であったことを示すかのように、ビルロワドガロー・フランス中銀総裁は15日の講演で、この決定に関するコメントを控えるという異例の行動を取った。
追加利上げを排除しないとの声も上がった。ユーログループ会合に出席したバスレ・スロベニア中銀総裁はサンティアゴ・デ・コンポステラで、経済成長鈍化がインフレ率を2%の目標に戻す取り組みを助けるかもしれないが、賃金動向と財政政策が依然として「有意なリスク」だと主張。
「追加利上げが必要になる可能性を排除しない」とし、「12月の会合で新しい情報、新しい予測を手にする。同会合までに3回のインフレ統計発表があり、経済成長のダイナミクスについてより多くの情報が得られる。これが同会合の重要性を高めると考えている」と語った。
イングランド銀行(英中央銀行)に対する国民の信頼は過去最低に落ち込んだことが、同行が四半期ごとに行う家計の意識調査で分かった。国民は生活費の高騰と金利上昇に直面している。
8月の調査結果によれば、40%が英中銀のインフレ対策には不満だと答え、5月調査の同34%から上昇。満足しているとの回答はわずか19%だった。満足しているとの回答から不満との回答を差し引いた数字はマイナス21ポイントと、1999年の同統計開始以降で最低だった。5月はマイナス13ポイントだった。
消費者はまた、3カ月前に比べて物価上昇がさらに長期にわたり、幅も大きくなると考えている。1年先のインフレ期待は3.6%と、3.5%から上昇。2年先は2.8%(従来2.6%)となった。1年前に一時4.9%まで上昇した1年先のインフレ期待は低下傾向にあるものの、英中銀が目標とする2%を依然として大幅に上回っている。
米レバレッジドローンの指数によると、トータルリターンは年初来で約10%付近で、流通市場における平均価格は額面1ドルに対し96セント弱と、2022年5月以来の高水準となっている。同月にはインフレ率が予想を上回った。
パインブリッジ・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ジェレミー・バートン氏は電子メールで「投資家の間でマクロ的な見通しが改善し、高い確率で『ソフトランディング』シナリオが見込まれていることによるものだ」と説明した。
高い指標金利は変動金利商品の人気を高めるとバートン氏は指摘した。一部の運用者は金利の一段の上昇に備え、長期債を売却して変動利付債を購入しているという。
このような背景の下、投資家の需要は高い。バーガーキングやポパイズなどのファストフードチェーンを所有するレストラン・ブランズ・インターナショナルは今週、51億7500万ドル(約7650億円)をローンで借り入れた。
需要の高さを反映し条件は当初の協議よりも借り手に有利になったため、ローンの規模は2回増額された。ブルームバーグがまとめたデータによると、これは2022年初頭以来最大のローン案件であり、今年最大の借り換えでもある。
投資適格から6段階下という低い格付けの包装資材メーカー、プロアムパックPGボロワーは14日に20億8500万ドルの条件変更・延長に成功し、低格付けの借り手に対する信頼が高まっていることが示唆された。市場が低格付け銘柄に全面的に門戸を閉ざしていた今年前半とは対照的だ。
ニューフリート・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、フランク・オシノ氏は、景気による後押しと高いローンの利息を理由に「今年いっぱいは需要が堅調に推移するだろう」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
2024年3月のロシア大統領選まで半年となった。プーチン大統領は現時点では出馬を宣言していないが、年内にも立候補を表明すると見込まれる。ウクライナ侵攻が続く中でも政権の安定を強調し、通算5選への準備を進める。
大統領選は12月に公示され、24年3月17日に投開票される。プーチン氏は12日の国際会議「東方経済フォーラム」の全体会合で大統領選へ出馬するかどうかを問われ「年末の選挙公示後に話すことになるだろう」との見通しを示した。独立系メディアでは11月に開催するイベントの場で出馬表明するとの見方も出ていた。
ペスコフ大統領報道官は11日のロシアメディアのインタビューでプーチン氏の出馬表明を前提に「現段階で対抗できる人物がいないことは明らかだ」と国民の支持を得ていると強調した。民間世論調査会社レバダセンターによると、プーチン氏の支持率は足元で8割以上を維持している。
ロシア大統領府は大統領選について、プーチン氏の高支持率での「圧勝」シナリオを描いているもようだ。独立系メディア、メドゥーザは大統領府が得票率80%超の目標を設定していると7月に報じた。
前哨戦とも位置づけられた9月の統一地方選では政権与党「統一ロシア」が推すモスクワのソビャニン市長らが圧勝した。ウクライナ側が批判を強める中、一方的に併合したウクライナ東・南部4州でも与党の勝利を主張し、大統領選への準備を整えつつある。
野党の一部には対立候補の擁立を検討する動きもある。ロシア通信は8月下旬、右派の自由民主党がレオニード・スルツキー党首を大統領選に推薦する準備を進めていると伝えた。ただ、有力な対抗馬にはなり得ないとの見方が大勢だ。
国際通貨基金(IMF)は中国経済に関する審査(4条協議)で、国内消費の喚起、不動産部門への対応、地方政府の債務抑制が必要との認識を中国側に示す。
ゲオルギエワ専務理事がロイターとの単独インタビューで明らかにした。債務を原動力にしたインフラ投資と不動産をてことする経済成長モデルを転換し、国内消費を重視する必要があると強く訴える方針。
米欧企業が供給網で脱中国に動いていることに加え、高齢化と生産性低下が経済成長率を「抑制する要因」になっていると指摘。不動産部門の問題が消費低迷の原因になっているとの認識も示した。
ゲオルギエワ氏は「構造改革がなければ、中国の中期的な経済成長率は4%を割り込む可能性がある」と述べた。
不動産部門については、経営難の不動産開発会社を救済するより、購入者がすでに代金を支払ったマンションの建設完了に資金を振り向け、消費者の不動産部門に対する信頼を回復することが重要と主張した。
中国は今年、世界の経済成長の約3分の1を生み出しており、中国の経済成長率は「アジアと世界にとって重要」としている。
「中国から一定の資金が流出している。こうした傾向と今後の動向を注意深く監視する必要がある」とも指摘。
デジタル経済やグリーン技術など投資家にとって依然魅力的な分野はあるとした。中国の強力な電気自動車(EV)の推進については、不公正競争につながる補助金を利用しないことが重要だと述べた。
米ワシントンのシンクタンク、新アメリカ安全保障センターのドゥヨン・キム氏は、両氏は会談によって、二国間の取引上の恩恵のみならず、地政学的恩恵も得ると指摘。プーチン氏にしてみれば「核保有国が軍事的に協力しているという印象を与えることで、ウクライナを支援する米国の同盟国や同志国に、潜在的な影響について警告を送る」ことができ、金氏としては「ロシアが後ろ盾になっていることを米国、韓国、日本に示すことになる」と述べた。
梨花女子大学(韓国)のレイフエリック・イーズリー教授は、単に秘密裡の武器取引が目的なら、わざわざ首脳が直接会う必要はないとし「プーチン、金両氏の外交的誇示は、米国主導の国際秩序への挑戦、中国への過度の依存の回避、ウクライナや韓国に関するライバル国への圧力強化での成功を主張するためのもの」との見方を示した。
国民大学(韓国)のアンドレイ・ランコフ教授は、今回の首脳会談は北朝鮮に関して言えば核・ミサイルを巡る国連安保理決議が、その他の制裁措置と同様、有名無実化したことを示唆するとみる。「安保理決議が気に入らなければ、それを無視すればいいという重大な前例ができた。ロシアだけでなく、主要な国際的プレーヤーに利用されるだろう」と語った。
さらに、両国の防衛協力を前面に打ち出すことで、韓国に対し、ウクライナに直接軍事支援するなという強いメッセージを韓国に送ることができるとも指摘した。ただ、ロシアが、制御不能になりかねない先端技術を北朝鮮に提供する可能性は低いとみている。
ロシア、北朝鮮、そして中国が米国を中心とする西側の包囲網に脅威を感じているのであれば、対抗軸として同盟などを形成し助け合うのは当然だ。しかし韓国外国語大学のメイソン・リッチー教授は、3カ国には過去にそうした関係をうまく機能させたことがあまりないと指摘する。「プーチン、金、習近平(中国国家主席)の3氏が本当に長期的な同盟関係を築けるほど信頼し合えるとは考えにくい。独裁者同士が協力するのは難しい」と語った。
中国の信託大手、中融国際信託は15日遅く、一部の信託商品について期日通りに支払いができなかったと表明した。
投資家筋によると、同社は7月末以降、複数の投資商品の支払いを履行できておらず、同国の不動産危機が拡大するのではないかとの懸念が浮上している。
同社は15日遅くオンラインで発表した声明で「多数の内外の要因により、一部の信託商品の支払いを期日通りにできなかった」と表明。
また、中信信託、建信信託の両社と「委託管理サービス」契約を締結し、両社が「業務・管理について専門的なサービス」を提供すると表明した。これにより「会社の業務・管理効率が改善する」としている。
●中東
イランが2019年以降、核合意の義務を一貫して履行していないことを理由に挙げた。15年の核合意では今年10月18日に核・弾道ミサイル関連の残る対イラン制裁を解除すると規定されていた。
欧州筋は制裁継続について、1)ロシアがウクライナ侵攻でイラン製ドローンを使用、2)イランがロシアに弾道ミサイルを引き渡す可能性、3)義務に違反したイランに合意の利点を享受できないようにするーーという3つの要因を挙げた。
イランは英仏独の決定は「違法で挑発的」だと反発。核合意とそれに関する国連安全保障理事会決議の義務に違反したとし、「適切に対応する」と表明した。
英仏独は、イランが核合意の義務を完全に履行すれば今回の決定を撤回する用意があるとの立場を示した。
国際原子力機関(IAEA)は16日の声明で、イランからIAEAの一部査察官の受け入れを拒否すると通告があったことを明らかにした。査察官はウラン濃縮などを検証している。グロッシ事務局長は「強く非難する」と述べ、査察に深刻な影響が出るとして再考を求めた。国際社会の懸念が一層強まるのは必至だ。
イラン核合意再建に向けた米イランの間接協議が行き詰まる中、欧米側の制裁継続に反発したイランが対抗措置を取ったとみられる。
声明によると、イランは最近、別の査察官の受け入れも拒否している。IAEA査察官の中核グループの3分の1ほどを排除することになるという。グロッシ氏は「前例がない」と批判した。
IAEAが4日にまとめた報告書によると、イランは60%に濃縮した六フッ化ウランを8月19日時点で、推定121.6キロ貯蔵。60%は核兵器級の90%に近づく重大な核合意違反に当たる。
核合意の当事国である英国、フランス、ドイツは14日、イランが合意を守っていないとして、10月中旬に緩和するはずだった制裁の一部を継続するとの共同声明を出した。イラン外務省は14日の声明で「挑発的で悪意がある。適切な反応をする」と反発していた。
●中南米・アフリカ
南米ペルーの中央銀行は14日開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き下げて7.5%にすると決めた。利下げは2020年4月以来となる。インフレの鈍化や経済の悪化を受けて、金融緩和に転換した。
中南米の左派政権が中国との結束を強めている。新興国で形成する国連の枠組み「77カ国グループ(G77)プラス中国」は16日、カリブ海の社会主義国キューバで開いた首脳会議の共同声明を採択した。「米国の裏庭」で同国と距離を置く新興国が歩調を合わせて発言力を高める狙いがある。
●市況
<為替> 米ミシガン大学の消費者信頼感指数の低下を受け、ドルが軟調となった。ただ、週間ベースでは9週連続での上昇となる見込み。円は対ドルで一時147.96円と、10カ月ぶり安値を付けた。
CMEフェドウオッチによると、FRBが19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定する確率は97%。11月のFOMCで0.25%ポイントの利上げが決定される確率は30.6%と、1週間前の43.6%から低下した。
<債券> 利回りが上昇し、2年債利回りが5%を上回った。来週開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、先物は高金利の長期化を予想している。
<株式> 大幅反落して取引を終えた。消費者需要の低迷を懸念して半導体株が下落したほか、国債利回りの上昇がアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)などを圧迫した。
<米原油先物> 需給逼迫(ひっぱく)懸念が続く中を続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は前日比0.61ドル(0.68%)高の1バレル=90.77ドル。前日に続き昨年11月初旬以来約10カ月ぶりの高値を更新した。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。中国の経済指標が市場予想を上回ったことを受けて鉱業株が買われた。世界の中央銀行が金融引き締めの終了に近づいているとの観測も、投資家心理を支えた。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。資源株や自動車関連株が上昇した。予想を上回る中国の経済指標を受けて高級品銘柄も買われ、欧州中央銀行(ECB)が利上げ停止が近づいていると示唆したことも相場を押し上げた。週間ベースでも上昇した。
<ユーロ圏債券> 独連邦債利回りが上昇し、金利見通しに敏感な2年債利回りは一時、6週間ぶりの高水準を付けた。前日の欧州中央銀行(ECB)の利上げを受け、独2年債利回りの週間ベースの上昇率は6月中旬以降で最大となる見通し。
日経先物33045、ダウ先34927、債先145.56、米4.336、独2.6750、仏3.220、西3.742、伊4.460、英4.4080、波5.589、原油90.02、銅8,410、ドル円147.85、ユーロドル1.0660
※9/15 NY引け値

備忘録(2023/9/14)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ECBは中銀預金金利を0.25ポイント引き上げ、過去最高の4%とした。エコノミストと投資家は4%が今回の引き締めサイクルでのピークとみているが、ラガルド総裁はピークに達したかは「言えない」と述べた。
総裁は記者会見で「現在の判断では、今日の決定でインフレ率を適時に目標に戻すために十分な貢献をしたと考えている」とし、「焦点は恐らく若干、期間へと移るだろう。しかし、これがピークだと言っているのではない。そうは言えないからだ」と語った。
ラガルド総裁は、政策委員会の「確かな過半数」が利上げを支持したと述べたが、何人かは利上げ停止を望んだと明かした。会合前に当局者らは今回の判断が2022年7月の利上げ開始以降で最も微妙に均衡していることを認めていた。
政策委員会は金利を「十分に景気抑制的な水準に必要な限り」維持すると、あらためて表明。インフレが予想以上に長く高止まりした場合の追加利上げの余地を残した。
総裁は将来の利下げ可能性について、「そのような言葉を口にすることさえしなかった」と強調した。
利上げ決定は、執拗(しつよう)なインフレ圧力を抑えるために経済活動にさらなる制限を加え、景気に新たな打撃を与えることを意味する。
ラガルド総裁は「インフレは低下したが、われわれは低下が続くことを望んでいる」と述べ、「リセッション(景気後退)を引き起こしたくてやっているのではない。物価安定を望んでいるのだ」と説明した。
ラガルド総裁はECBスタッフによる最新の経済予測を発表し、景気は今後数カ月「弱い」状態が続くとの見通しを示した。
ユーロ圏が「緩慢で弱い成長の時期にあることは明らかだ。今は困難な時期だ」と述べた。
最新の経済予測では、2023-25年の成長率予想が顕著に下方修正された。インフレ率は24年に3.2%、25年は2.1%になると予想した。コアインフレ率は25年に2.2%と予想されている。
UAWとビッグスリーが米東部時間14日午後11時59分(日本時間15日午後0時59分)までに合意に至らない場合は、UAWはまず3社の業務と収益性にとって最も重要な工場でスト実施を目指す。UAWによるビッグスリーでの同時ストは初めてとなる。
フェイン委員長は13日の組合員15万人を対象としたフェイスブックのライブ放送で、「われわれの重要な優先事項に関して、まだ大きくの隔たりがある」として、「これらの企業がかつて経験したことのない方法でストを行う用意がある」と語っていた。
同委員長は対象となる工場の最終決定は、スト発表直前の米東部時間午後10時に下されると述べた。
ファーリーCEOはUAWがフォードからの4つの提案について、まだ「きちんとした対案」を示していないと述べた。
バイデン政権はスト突入に備えて準備を進めている。ストは米経済全体や業界サプライヤーに打撃を与えるほか、自動車価格を押し上げる可能性がある。
ホワイトハウスは14日、バイデン大統領がフェイン委員長および自動車会社首脳と交渉の現状について話し合ったと明らかにした。
BOKファイナンシャルのトレーディング担当シニアバイスプレジデント、デニス・キスラー氏は、「原油の上昇は、最終的には需要崩壊につながるだろう。ただ、それが90ドルなのか100ドルなのかはわからない」と述べた。
一部の市場関係者は、原油価格は年内に1バレル=100ドルに達する可能性があると予測している。
8月の小売売上高(季節調整済み)は前月比で0.6%増えた。増加率はロイターがまとめた市場予想の0.2%を上回り、ガソリン価格上昇が押し上げ要因となった。
7月分は当初発表の0.7%増から0.5%増へ下方改定された。
8月の前年同月比は2.5%増加した。
FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフ・エコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「米経済は今のところ良好な状況にあるが、消費需要は穏やかでインフレが再び活発になるほどではない」と述べた。
8月のガソリンスタンドを除いた小売売上高は0.2%増にとどまり、ガソリン価格高騰が低所得者層の家計を圧迫した可能性が高い。
ガソリンスタンドを除く小売売上高は0.2%増加。自動車は0.3%増加した。オンライン売上高は横ばい。7月は1.5%増だった。アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)が7月に実施した有料会員向けセール「プライムデー」が過去最大規模となったほか、新学期向けの買い物が早めに開始されたことで支出が一部前倒しされたとみられる。
家具は1.0%減となったが、電気・家電は0.7%増加。衣料品店は0.9%増加した。建材・園芸用品は0.1%増加した。
一方、スポーツ用品・趣味・書籍・楽器への支出は抑えられた。スーパーや百貨店は増加した。サービス部門として小売統計に唯一含まれる飲食店は0.3%増。7月は0.8%増だった。
8月の自動車、ガソリン、建築資材、外食を除くコア小売売上高は0.1%増。7月分は0.7%増と、当初発表の1.0%増から下方改定された。
コア小売売上高は国内総生産(GDP)統計の個人消費の動向を反映する傾向がある。8月のコア小売売上高は小幅な伸びにとどまったものの、旺盛なサービス消費が個人消費をけん引する見込み。2023年第3・四半期のGDPは年率換算で前期より最大5.6%増えることが予想されている。第2・四半期は2.1%伸びていた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
だが今の問題は、単なる循環的な動きというより、1990年代後半の新興国資産急落後に生まれた投資の流れの変化と、政治的な不透明感に通じるものがある。
当時はアジア全域や他の新興国地域で政治と通貨を巡るリスクが急激に高まり、予見可能性が消滅。米国の資金は国内に逃げ戻り、シリコンバレーの企業に流れて、2000年のハイテクバブル醸成の一因になった。
もちろん中国はこの時、まだ世界全体における投資対象としての存在感は小さかった。現在は米国の経済的覇権に対する強力な挑戦者で、25年前の新興諸国とは全く異なる。
それでも最近の劇的な地政学リスクの大きさにより、基本的なリスク計算のやり方が変わってしまった点に共通する部分がある。世界各地の資産運用会社や金融関係者はもはや、落ち着かない気持ちをかなり公然と表明している。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は今週、4年ぶりとなった先の中国訪問で得た感触を「非常に高い警戒感」と表現し、同社の事業に関するリスク・リワードは悪化したと付け加えた。
前米証券取引委員会(SEC)委員長のジェイ・クレイトン氏は12日の下院中国特別委員会で、米大手上場企業は中国関連リスクを開示し、投資家や政策担当者の判断要素にするべきだと提言。「リスク増大が示されれば投資家は資金を引き揚げる」と説明した。
先週には、世界最大級の1兆400億ドルを運用するノルウェー政府系ファンドが、中国投資は継続するものの、中国唯一の上海事務所を閉鎖すると発表した。またカナダ最大の年金基金CPPインベストメンツも香港事業を縮小し、中国での案件から手を引きつつある。
これに対して中国側も西側投資家をつなぎとめようと動いている。先週には中国の証券監督当局が、シンガポールの政府系投資会社テマセク、米資産運用大手ブラックロック、有力ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーターを含めた内外の投資家と会合を開いたと明らかにした。
フランクリン・テンプルトンのジェニー・ジョンソンCEOは今週、中国に対する悲観論は行き過ぎていると話した。
一方でHSBCプライベート・バンキング・アンド・ウエルスのウィリアム・セルズ最高投資責任者は、中国のインターネットや観光、国内サービス、ゲーム、電気自動車(EV)といったセクターで注目すべき明るい要素が見られ、いつ収益が上向いてもおかしくないとみなしているが、中国市場全体への中立的な姿勢は変えていない。
セルズ氏は「ただ1つ欠けているのは、素早く回復するきっかけだ」と述べ、向こう3─6カ月単位では米株やドル、ヘッジファンドが、より長期的なテーマとしてはインドとインドネシアなどの方が好ましいと付け加えた。
米国は来年の大統領選を控え、中国との政治的緊張を緩和する意欲も低いかもしれない。先月のロイター/イプソス調査によると、与野党支持者双方の大半が中国製品への関税強化に賛成し、米国は中国からの軍事的脅威に備える措置を講じる必要があるとの見方を示した。
中国経済が好転しても、同国向けの投資再開を促す政治的な機運が到来するにはしばらく時間がかかるのではないだろうか。
同氏はゴールドマン主催の会議の合間にロイターに対し「リーマン・モーメントは金融不安がいかに大きな損害をもたらすかを教えてくれる。その後何年にもわたる経済低迷は甚大なものだった」と指摘。
「中国の政策当局はそうした事態を回避することを非常に重視している。不動産市場の低迷で直接打撃を受けている銀行などのセクターに積極的な金融支援を行うだろう」と述べた。
同氏は、リーマン・ショックを悪化させた規模の金融レバレッジや広範なデリバティブの利用は中国では見られないと指摘。
ただ、人口の伸び悩みや高齢化などを背景に中国経済は長期的に減速し、1990年代の日本の経済停滞のような状態になるとの見方を示した。
中国人民銀行(中央銀行)は一部の国内大手銀行に対し、顧客との外貨取引で生じたドル売りポジションをすぐに反対売買で解消することを控えるよう窓口指導した。特定の水準に到達するまでスポット市場で持ち高を維持するよう求めており、人民元の下落圧力を和らげる狙いがある。
●中東
米国とバーレーンは13日、安全保障・経済における戦略的合意に調印した。ブリンケン米国務長官は、これにより防衛・情報分野での両国の協力が拡大するとの考えを示した。
米国務省で行われたブリンケン氏とバーレーンのサルマン皇太子兼首相との会談で調印が行われた。
ブリンケン氏は「合意の中核となる共通目標は、より安全で繁栄する地域の構築に向けた協力だ。この合意を、地域の安定と経済協力、技術革新の強化を望む他の国も参加できる枠組みとしたい」と記者団に述べた。
イスラエルとパレスチナの和平を目指した1993年のオスロ合意は、13日に調印から30年を迎えた。イスラエルが占領するパレスチナ自治区ヨルダン川西岸一帯にはコンクリート製の検問所や分離壁、兵士らが点在し、合意では和平を実現できなかった事実を改めて認識させられる。
オスロ合意は、信頼を築き、恒久的な和平合意に向けた余地を生み出すための一時的な措置と位置付けられていた。しかし、その後手直しのないまま、長期にわたり終わりの見えない紛争を単に管理するだけの仕組みに成り果てている。
西岸地区は混乱し、イスラエルでは民族主義的な政権がパレスチナ国家樹立の見通しを否定、自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスはガザ以外でも実力行使に出ており、和平の見通しはかつてないほど遠のいているように見える。
パレスチナ自治政府を率いるアッバス議長(87)が死去すれば政治的な空白が生じ、危機が深刻化しかねない。
市民活動家で1990年代の和平プロセスの際にパレスチナ代表団の報道官を務めたハナン・アシュラウィ氏は、「パレスチナとイスラエルの両方、そしておそらくこの地域全体が、ひとつの時代の終わりを迎えている。相互承認、2つの国家、協議による決着、平和的な解決などについて協議してきた時代がパレスチナにおいて幕を閉じようとしている」と話す。
国連の統計によると、現在ヨルダン川西岸地区と東エルサレムには約70万人のユダヤ人入植者が住み、入植地の建設が急速に進んでいる。パレスチナ人の推計居住者数は西岸が320万人、ガザが220万人。
西岸とイスラエルでは過去1年半にパレスチナ人による攻撃で民間人や兵士を含めイスラエル人数十人が殺害され、ユダヤ人入植者がパレスチナの町や村を襲撃した。イスラエル軍・治安部隊との毎日のような衝突で死亡したパレスチナ側の戦闘員や民間人も多数に上る。
またジェニンやナブルスなどの町では旧世代のパレスチナ人指導者たちとはほとんどつながりのない、新しい武装集団が出現している。
国連のトーア・ウェンズランド特別調整官は今週の会合で、「30年近くこの地域に関わっているが、情勢はこれまででもっともひどい」と述べた。
2007年にハマスが分裂し、ガザの支配権を失ったパレスチナ自治政府は、イスラエルから見れば、なお総じて好ましいパートナーと言える。ただ、外国からの資金に依存し、選挙を行う権限がなく国民からの支持も低いため、パレスチナを代表する組織としての役割と、イスラエルとの窓口としての役割の間でどっちつかずの存在になっている。
オスロ合意調印の際には、当時のクリントン米大統領が見守る前でパレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長とイスラエルのラビン首相が歴史的な握手を交わし、一時的に楽観論が台頭した。しかし、ラビン氏は1995年にイスラエルの右翼に暗殺され、アラファト氏は2004年に死去した。
元法務大臣でイスラエルの交渉担当だったヨッシ・ベイリン氏によれば、和平が失敗したのは歴代のイスラエル政権が本来は一時的休戦だった枠組みを恒久化しようと望んだからだ。さらに、今のネタニヤフ政権は司法制度改革を巡って社会の分断化を引き起こしたため、イスラエル国内が一致して和平に取り組む展望は見えない。
ベイリン氏は「イスラエルの現政権は恒久的な合意を目指す意思を全く示していない。だから恒久的な合意について語るには政権交代に触れざるを得ない」と説明する。
イスラエル政府高官は、アッバス氏が死去すれば、ハマスが西岸に進出してますます活動を活発化させるか、あるいは指導者争いで無政府状態になるのではないかと懸念している。
一方、イスラエル政府筋から西岸の完全併合が公然と語れることもあるが、そのような動きは現実的には難しい。完全併合なら、パレスチナ人にもイスラエル国民としてユダヤ人と同じ待遇を与えてユダヤ人国家から別の国に衣替えするか、民主主義と相いれないようなパレスチナ人への差別待遇を行うかどちらかを選ばなければならないからだ。
既にパレスチナ人や多くの国際人権団体は、イスラエルが西岸で人種隔離を行っていると非難している。
リベラル系シンクタンク、イスラエル・デモクラティック・アライアンスのローテム・オレグ氏(29)は、共存の重要性を強調。「同じ土地に留まり続け、互いに殺し合うことなく、ユダヤ人の民主国家を維持するための手立てを見出す必要がある」と訴えた。
●中南米・アフリカ
●市況
<債券> 国債利回りが上昇した。この日発表された8月米小売売上高や卸売物価指数(PPI)は市場予想を上回った。ただ、その要因となったガソリン価格高騰の勢いは今後数カ月で弱まるとみられている。 
マッコーリーの経済部長、デビッド・ドイル氏は「インフレ率が奇跡的に低下し、その後も低下し続けるとは考えていない。インフレ率が持続的に2%の目標水準に戻るには時間がかかるだろう」と述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、20日まで開催のFOMCでFRBが金利を引き上げる可能性を3%程度織り込んでいる。FF金利の誘導目標は2024年6月まで5%を上回ると予想され、大幅利下げは翌月以降になるとみられている
<米原油先物> 需給引き締まり観測が再燃し、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は前日比1.64ドル(1.85%)高の1バレル=90.16ドル。90ドル台の節目に乗せるのは、昨年11月初旬以来約10カ月ぶり。11月物は1.73ドル高の89.61ドルだった。
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。欧州中央銀行(ECB)が利上げ打ち止めの可能性を示唆したことが好感された。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートのシニア投資ストラテジスト、アン・カトリン・ピーターセン氏は「焦点は現在、政策金利がどの程度高くなるかということより、その水準がどのくらいの期間、維持されるかに移っている」とし、「労働市場が逼迫し生産性が低調な中でインフレ率は依然として十分高い水準にあるため、ECBは2024年まで利下げをしないとわれわれはみている」と述べた。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で中銀預金金利を4.00%に引き上げることを決める一方で、金融引き締め終了に近づいていると示唆したことがプラス材料となった。コモディティー(商品)価格の上昇で資源株やエネルギー銘柄も買われた。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル流動性市場ストラテジスト、マイク・ベル氏は「経済成長率の鈍化を背景にECBは次回会合では利上げを一時停止する可能性があり、成長見通しの悪化が続けば一時停止からピーク金利へ変わる可能性もある」との見方を示した。
自動車・部品株指数(.SXAP)は0.43%下落。ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)、メルセデス・ベンツ(MBGn.DE)、BMW(BMWG.DE)が0.4―1.5%下落した。
国の補助金の恩恵を受けている中国からの輸入電気自動車(EV)に対する関税導入を巡って欧州連合(EU)欧州委員会が調査を開始したと発表し、中国当局は保護主義的で経済関係に悪影響を及ぼすと警告したのが嫌気された。ドイツの自動車業界も懸念を抱いている。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが低下した。
独10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)低下の2.594%。ECBが理事会での決定を発表する前は2.638%だった。
イタリア10年債利回りは12bp低下の4.341%。独伊10年債利回り格差は約173bpと、ECB決定発表前の178bpから縮小した。
市場関係者はECBが再度利上げする公算はほとんどないと予想。ベレンバーグのチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は「金利をどの程度の期間にわたりピークにとどめるかが今後のECBの討議の焦点になる」とし、「米連邦準備理事会(FRB)は来年春にも利下げを開始すると予想されているが、ECBは来年も金利を据え置くだろう」と述べた。
日経先物33225、ダウ先35291、債先145.54、米4.281、独2.5945、仏3.132、西3.647、伊4.337、英4.3130、波5.585、原油90.80、銅8,445、ドル円147.38、ユーロドル1.0640
※9/15 9時20分頃

備忘録(2023/9/13)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306.T)は、米国でプロジェクトファイナンスを拡大する。バランスシート上の負担になることから米銀は減らす傾向にあるが、バイデン政権の「インフレ抑制法(IRA)」で再生可能エネルギーやデジタル化関連へ融資対象が広がる中、これまで積み上げてきた実績とノウハウが生かせるとみている。
IRAはエネルギー安全保障と気候変動対策に関連した北米での投資を税制面で優遇するもので、昨年8月に成立して以降、電気自動車(EV)などへの投資が加速している。プロジェクトファイナンスの対象も電力、資源、従来型のインフラから、再生可能エネルギー、データセンター、EVバッテリーなどに広がっている。
中浜文貴執行役常務・グローバルCIB事業本部長はロイターとのインタビューで「IRA成立でプロジェクトファイナンスが対象とするビジネスの領域が広がってきた」と述べた。金利上昇で企業の運転資金ニーズが強まらない中でも、IRA関連の投資はおう盛で、特定のプロジェクトに対して融資を行い、そこから生み出されるキャッシュを返済の原資とするプロジェクトファイナンスの需要は強い。
MUFGは、主幹事として融資組成を手掛けた米国プロジェクトファイナンスの融資額規模で13年連続首位。中浜常務は、主幹事として扱う案件にフォーカスしていることや、新しい投資領域はマージンが高いため「収益的には大きく改善している」と語った。
これまでブラジルのリオ・グランデがテキサス州で進める液化天然ガス(LNG)案件や、ジャックダニエルがバージニア州の蒸留工場でウイスキー残渣(ざんさ)をバイオガスに変換するプロジェクトなどを手掛けた。
LSEGによると、2022年の北米市場全体のプロジェクトファイナンスの融資額は21年比70%以上増加した。
米銀はリーマン・ショックなどを経て、バランスシート上のリスクアセット圧縮のためプロジェクトファイナンス事業から撤退、もしくは縮小した。日本でも、リーマン・ショック後はグローバルで首位を争っていた三井住友フィナンシャルグループ (8316.T)が今年5月に出した中期計画で、プロジェクトファイナンスを見直し、低採算案件を削減する方向を打ち出している。
金融庁は8月に公表した金融行政方針で「邦銀のプレゼンスが高い海外プロジェクトファイナンスは、長期にわたりエクスポージャーを保有することが多いという特性を踏まえ、適切なリスク管理を行うことが重要」と言及した。
これに対しMUFGは事業縮小ではなく、組成したローンを機関投資家などに売却する「Originate(組成) & Distribute(販売・転売)」と呼ばれる資産回転型のビジネスを強化。保有するローンの残存期間を短くし、バランスシート上の負担を軽減した。
販売先は米国のほか、日本やアジアなどの投資家に広げる方針。日本では生損保のほか、大手行や地銀などへの拡大を視野に入れている。
MUFGは世界で約360人がプロジェクトファイナンスに関わっており、そのうち米国は約90人。同チームを率いるジョナサン・リンデンバーグ米州投資銀行部長は、09年にシティグループ(C.N)から移籍した。かつてのシティのメンバーもその後にMUFGに移ってきたという。また、11年には英ロイヤルバンク・オブ・スコットランドから約50億ドルのプロジェクトファイナンス貸出資産を買収した。
脱炭素化やデジタル化の流れは米国に限ったものではなく、プロジェクトファイナンスの潜在需要は世界的に高まる可能性がある。中浜常務は「欧州も新たな息吹がおきている。今後5年間のうちにEVバッテリーを作るメガファクトリー、ギガファクトリーが20から25ぐらい建設されると言われている」と語った。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は早ければ年内にも、アジアの発展途上国の脱炭素プロジェクトを対象に、官民が協力して投融資する「ブレンデッド・ファイナンス」を用いた新たなファンド構想を公表する。これまでリスクが高く民間金融機関が手を出しづらかった領域で資金の呼び水とする。
グローバルCIB事業本部長を務める中濱文貴執行役常務は、ブルームバーグとのインタビューで「ある程度、関係者とプロジェクトの議論を始めている。12月半ばまでに絵姿を示したい」と述べた。金額規模やファンドに参加する具体的な金融機関名は明言を避けた。三菱UFJ銀行は6月、日本貿易保険(NEXI)とブレンデッド・ファイナンスに関する基本協定書を締結し、詳細な検討を進めていた。
世界的に脱炭素の必要性が叫ばれる中、特に電力需要が旺盛で石炭火力発電への依存度が高いアジアの途上国では、脱炭素への移行に向けた資金ニーズは大きい。ただ、こうしたプロジェクトへの投融資はリスクが高く、民間金融機関だけで資金需要に応えるのは困難だ。このため、公的資金と民間資金を組み合わせてリスクを分散するブレンデッド・ファイナンスの手法が注目されている。
中濱氏は「政府には、民間側の事業者や金融機関が一定程度の経済合理性を確保できるだけのサポートを頂く」と説明した。具体的には、NEXIが保証を付けた上で、MUFGが案件の発掘や投資家への呼びかけを行い、ファイナンスの仕組みも考える。アジア以外では、アフリカなどの発展途上国を支援するために、国連の関連組織とも協議を進めている。
一方、米国では中小型のM&A(企業の合併・買収)アドバイザリーなど「ミドルマーケット」を強化する。資本提携しているモルガン・スタンレーが米国で大型のM&A関連業務に強みを持っており、役割分担で収益につなげる。中濱氏は「われわれが小さいところを手掛け、例えばIPO(新規株式公開)する際には、その分野に強いモルガン・スタンレーにつなげる」と述べ、連携強化に自信を見せた。
MUFGは、昨年に米地銀大手のユニオンバンクを売却して以降、米事業の再編を行っている。ユニオンバンクが手掛けていたミドルマーケットをMUFGが直接担当することで、これまでよりも機動的な対応が可能になったという。
採用も強化する。中濱氏は「アーリーステージから大企業まで、ホールセールバンキングをそろえたかった。スタートアップ・中堅中小のわれわれが得意な領域で、採用していきたいと思っている」と強調した。具体的な採用人数や時期は明言を避けた。
ドイツ銀行は、レバレッジドファイナンス事業に対し欧州中央銀行(ECB)から課された自己資本要件の上乗せが緩和される公算が大きい。ドイツ銀と監督当局の間のあつれきが和らぎそうだ。
事情に詳しい関係者によると、ECBは来年に向け個別銀行の自己資本要件をまとめているところで、ドイツ銀はレバレッジドファイナンスに関連するリスクの抑制で前進していることから、当局は恐らくこの事業に絡む自己資本上乗せ幅を縮小させる見込み。ただ、ドイツ銀はまだ完全なコンプライアンス(法令順守)には至っておらず、上乗せの大きな部分は維持される可能性が高いという。関係者は非公表の情報だとして匿名を要請した。
重債務企業向け融資は魅力的な利益を見込める事業だが、ECBは監督を強化。これを過剰な干渉と見なす銀行からの反発を呼び、昨年には争点となった。ドイツ銀のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は、レバレッジドローンのリスクをどう処理すべきかについて規制当局の警告は必要ないと発言。しかし、ECB銀行監督委員会トップであるエンリア委員長は先週ブルームバーグに、ECBは手を緩めるつもりはないと語った。
ECBは今年後半、各銀行に個別の自己資本要件を伝えることになっており、緩和される場合の幅はドイツ銀の努力次第だと関係者は語った。ECBはまだ各行の要件について決定しておらず、ドイツ銀がどれだけ前進したかによって見解を変える可能性があると関係者の1人が述べた。
ドイツ銀が今年課された要件はリスク加重資産の2.7%で、昨年の2.5%から上昇した。この引き上げは「レバレッジドファイナンス業務に起因するリスク」に対する監督当局の評価によるものだと、同行は説明している。
●その他産業
日本生命保険は13日、傘下のはなさく生命保険に400億円出資すると発表した。はなさく生命は開業から約4年と日が浅く、新設保険会社の特性で新契約の獲得コストが先行する。複数の保険を取り扱う乗り合い代理店やインターネットなどのダイレクト市場での成長を見据え、財務基盤を強化する。累計の出資額は1000億円を超えた。
日本の法定会計は新契約獲得にかかる費用を初年度に一括して計上するため、新設の保険会社はコストが先行しやすい。はなさく生命の23年3月期の決算は本業のもうけを示す基礎利益が約246億円の赤字だった。開業以来、赤字が続いている。
住友生命保険は13日、シンガポールの関連会社シングライフに追加出資すると発表した。英保険グループのアビバが持つ約26%の株式を9.3億シンガポールドル(約1000億円)で取得し、出資比率は約23%から約49%になる。シンガポールをアジア事業の中核市場と位置付けており収益基盤の拡大を図る。
●決算関連
2022年11月〜23年7月期の連結決算は、最終損益が56億円の赤字(前年同期は332億円の赤字)だった。3年半連続で赤字となる。新型コロナウイルス対策の緩和で国内旅行の取り扱いは復調したものの、主力の海外旅行の取り扱いは戻りが鈍い。
●先進国、グローバル、金融市場
米社債発行が急増、9月1200億ドル 市場安定で駆け込み米国で大型の社債発行が相次いでいる。5日には389億ドル(約5兆5000億円)の社債が発行され、1日としては今年最大の規模となった。米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げへの警戒感が残るなかで、債券市場が安定しているうちに駆け込みで起債する動きが強まっている。
8月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比3.7%上昇した。伸びは2カ月連続で加速し、市場予想の3.6%も上回った。ただ、食品・エネルギーを除くコア指数は約2年ぶりの小幅な伸びにとどまり、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利が据え置かれる可能性が高まった。
前月比は0.6%上昇し、昨年6月以来最大の伸びとなった。市場予想とは一致した。ガソリン価格が8月に入り高騰し、第3週にピークに達したことが背景にある。前月比の伸びは過去2カ月0.2%にとどまっていた。
ガソリンは前月比10.6%上昇と、前月の0.2%上昇から急加速し、CPIの伸びの半分以上を占めた。
食品は2カ月連続で0.2%上昇した。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比4.3%上昇した。伸びは7月の4.7%から鈍化し、2021年9月以来最小となった。
コアは前月比で0.3%上昇。過去2カ月は0.2%上昇だった。中古車・トラックが1.2%下落したものの、住居費や自動車保険料、家具などが上昇したことに押し上げられた。
コア財価格は0.1%下落。前月は0.3%下落していた。
コアサービスは0.4%上昇と、2カ月連続で上昇した。
住居費は0.3%上昇。持ち家の帰属家賃は0.4%上昇したものの、前月の0.5%上昇からは鈍化した。
CMEのフェドウオッチによると、米連邦準備理事会(FRB)は来週の会合で金利を据え置くという予想が大勢。
ただ、サービスインフレは依然高止まりしており、ファースト・シチズンズ・バンクの市場・経済調査ディレクター、フィリップ・ノイハート氏は「FRBが今月の会合で金利を据え置く公算が大きいが、今後数カ月の間にもう一回利上げを実施する可能性は残っている」と述べた
家賃を除くサービスインフレは0.5%上昇と、7月の0.2%上昇から伸びが加速した。
また、一部のエコノミストの間からは、インフレリスクは上向きに傾いているという声が聞かれる。統計の算出方法の変更に伴い、CPIに含まれる健康保険料は10月から来春にかけて上昇する見通しであるほか、自動車業界でストが1カ月以上続けば、サプライチェーンが混乱し、自動車価格が上昇するおそれがある。
◎プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト、シーマ・シャー氏
今回の数字は来週の連邦公開市場委員会(FOMC)会合を利上げに傾けるほどではないが、11月会合での休止か利上げかという疑問が完全に払拭された訳でもない。最近のエネルギー価格の上昇を踏まえれば、総合CPIの上昇は驚くことではなく、金融当局もこの数字は気にしないだろう。しかし、コアインフレは減速しないまでも横ばいというのが広く予想されていた。それだけに、上振れサプライズは恐らく金融当局に後味の悪さを残し、まだやるべきことが残されているという考えを捨てさせないだろう。
◎ノースエンド・プライベート・ウェルスの最高投資責任者(CIO)、アレックス・マクグラス氏
8月CPI統計が短期的に重大な影響を与えることはないだろう。ただ、9月と10月のCPIが引き続き高水準で推移すれば、米金融当局はもう1回利上げを行う可能性が高いとわれわれは考える。
◎インディペンデント・アドバイザー・アライアンスのCIO、クリス・ザカレリ氏
これは投資家が期待していたゴルディロックス的な数字ではないが、市場はなおレンジ内での取引となり得る。インフレは米金融当局が行動を続けるのに十分なほど高い一方で、「当局の仕事はほぼ終わった」というシナリオを撤回するほどには高くないからだ。景気が底堅く推移し、インフレが再燃しない限り、相場は季節的に弱い9月と10月を過ぎれば年末にかけて上昇する可能性がある。
◎ロンバー・オディエ・アセット・マネジメントのマクロ調査担当責任者、フロリアン・イエルポ氏
8月CPI統計により、米金融当局はより違和感なく様子見姿勢を取れる。予想より若干高かったインフレはエネルギー価格の変動によるもので、金融当局が現時点で過度に心配する必要はない。
◎ミトン・グループのファンドマネジャー、ヒュー・グリーブス氏
総合CPIが前年同月比では2カ月連続で加速したが、コアCPIが前年同月比で引き続き鈍化したことに米金融当局は安堵(あんど)するだろう。彼らが懸念するのは、エネルギーコストの上昇が経済全体に波及し始め、年末にかけてコアインフレが再び上昇するリスクが高まり、さらなる利上げを余儀なくされることだ。
市場は依然として来週の会合で金利が据え置かれるとみているが、11月会合については利上げをほぼ五分五分の確率で織り込んでいる。
特に家賃、自動車保険料、航空券の値上がりがCPIの押し上げ要因となった。新車価格は5カ月ぶりに上昇。中古車価格やコンサート・映画の入場料は下がった。
最大のサービス項目で総合CPIの約3分の1を占める住居費は0.3%上昇にとどまった。ホテル宿泊費の下落が全体を抑制した。コアインフレの持続的な鈍化には、住居費の上昇ペース減速が不可欠だ。
ブルームバーグの算出によれば、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.4%上昇と、ここ5カ月で最大の伸び。前年比では4%上昇した。パウエル議長をはじめとする金融当局者は、インフレの軌道を精査する上でこの指数に注目しているが、金融当局は別の指標からインフレ軌道を算出している。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、アナ・ウォン、スチュアート・ポール両氏は「米金融当局者はエネルギー価格の上昇はそこまで重大視しないだろうが、輸送サービスについても同様の対応を取るかは分からない」と指摘。航空券価格は変動が大きいとして重視しないかもしれないが、自動車保険料については数カ月にわたって上昇が続いていることを指摘した。
米家計の大半は依然として厳しい状況にある。エネルギー費用は幅広く上昇し、特にガソリンは先月10%余り跳ね上がった。光熱費も上昇した。食品価格も上昇したが、前年比の伸びはここ2年で最も小さかった。
一方、財の価格の伸びは減速しており、インフレ率の低下に寄与している。食品とエネルギーを除いたコア財価格は3カ月連続で下落した。
インフレ期待は安定しており、雇用市場もおおむね底堅いが、米消費者は経済に対して悲観的な見方を強めている。とりわけ生活必需品の価格は高止まりしており、多くの人がクレジットカードや貯蓄に頼らざるを得ない状況にある。また、学生ローンの返済再開が間近に迫っており、多数の借り手にとって新たな負担となるだろう。
賃金上昇率はようやくインフレ率を上回ってきたが、その差は縮小し始めている。13日に公表された別のデータによると、インフレ調整後の平均時給は前年同月比0.5%増と、2カ月続けて伸びが減速した。
ドイツ政府は今年通年の国内総生産(GDP)見通しを下方修正し、最大0.3%のマイナス成長に陥る可能性があるとの予測を示す方針だ。通信社ブルームバーグ・ニュースが複数の関係筋の話として13日伝えた。4月末時点の予測では0.4%のプラス成長を見込んでいた。
改定見通しによると、GDPは第3・四半期に縮小し、第4・四半期も小幅な拡大にとどまりそうだという。
英国経済は7月に7カ月ぶりの大幅な縮小となった。ストライキや悪天候が経済活動に予想以上の打撃を与え、リセッション(景気後退)懸念が再燃した。
英政府統計局(ONS)の13日の発表によると、7月の国内総生産(GDP)は前月比0.5%減。前月は0.5%増だった。エコノミスト予想は0.2%減だった。サービス、建設、製造業はいずれも縮小した。
国際通貨基金(IMF)は13日、2022年の世界の債務残高は対国内総生産(GDP)比で238%となり、2年連続で低下したと発表した。21年は248%、20年は258%だった。
22年と21年に大幅に低下したのは、力強い経済成長と予想を上回るインフレが要因。ただ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による世界債務の増加分の3分の2程度しか取り戻せていない。債務比率は依然、19年の229%を大きく上回っている。
中国はここ数十年、借り入れが経済成長を上回り、債務が膨張している。世界的な縮小傾向と逆行し、22年には272%と21年の265%から増えた。
米国は22年に274%と、21年の284%から低下した。
最近の3年間は、世界は債務がいったん上昇後に低下する「ジェットコースター」のような動きを示していた。ただ、債務は中期的に再び増加する可能性が高く、IMFは各国政府に対して公的債務、家計債務、非金融企業債務のいずれでも債務の脆弱性を和らげる戦略を実施するように促した。
IMFは「世界債務が今後再び増え始めれば、パンデミック以降の債務のジェットコースターは、長期的な上昇傾向から一時的に逸脱したものに過ぎなくなるだろう」とも指摘した。
欧州中央銀行(ECB)は13日、イタリア政府が提案した銀行に対する超過利潤税を批判した。銀行の長期的な見通しを考慮しておらず、一部の銀行が不況の影響を受けやすくなる恐れがあるとしている。
ECBは拘束力のない法的見解で「今回の特別税の規模は、信用機関の長期的収益性と資本創出能力に見合わない可能性がある」と指摘。
「特別税が一般的に適用される結果、支払い能力の低い信用機関や貸し出し業務を相対的に重視している信用機関(小規模銀行など)、また資本予測が厳しい信用機関は、景気悪化による潜在的な下振れリスクを吸収しづらくなる恐れがある」との見方を示した。
これに対し、イタリアのメローニ首相は銀行への超過利潤税を擁護した上で、30億ユーロ(32億2000万ドル)弱の税収が維持されることを条件に一部の変更を容認すると発表。「修正すべき点があれば修正することは可能だが、撤回は望んでいない」とした。
「総資産」の計算方法が明確でない部分があり、銀行が2024年半ばに税金を支払う際に損失や減益につながる可能性があるとの見通しを示した。
また金利上昇による銀行へのプラスの効果は、景気が悪化した場合に貸し出しの減少や資金調達コストの上昇、貸倒損失によって相殺され得ると指摘。「個々の信用機関が強固な資本基盤を構築する取り組みに、超過利潤税が影響を与えないように注意しなければならない」とした。
イタリア議会には今週、同税の影響を和らげる修正案が提出される見通し。銀行に控除を認める案や課税額の上限を総資産ではなくリスク資産を基準に決める案が浮上している。
米連邦準備理事会(FRB)は最近公表した2つの研究論文で、ヘッジファンドの「ベーシス取引」によって米国債市場で混乱が起きる事態に警鐘を鳴らした。
ベーシス取引は、国債の先物と現物の価格差に着目し、レポ市場で資金を調達して先物売りと現物買いのポジションを組んで収益を稼ぐ裁定取引。新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年3月に起きた米国債市場の機能不全に拍車をかけた要因の一つともみなされている。
このベーシス取引に絡むヘッジファンドの国債先物の売り建てポジションがこのところ高水準に膨らんでいるとされる。
FRBが論文で懸念を示したのは、金利が上昇し、金融政策運営を巡る先行き不透明感が広がっている足元で、市場を脆弱化させるリスクをはらんだこうした取引が活発化している事態だ。
8月30日付の論文には「市場全般の価格調整が進む中で、ベーシス取引のポジションが再び緊張状態にさらされる恐れがある。これらのリスクを踏まえれば、取引を継続的かつ注意深く監視するのが妥当だ」と記されている。
また今月8日の論文は、レポ市場の調達コスト増大に伴ってヘッジファンドがベーシス取引の巻き戻しを迫られる際に市場にもたらされるリスクに言及。市場のボラティリティーが拡大し、現物や先物、レポの各市場で資金偏在が加速しかねないと述べた。
ドイツ銀行の米金利ストラテジスト、スティーブン・ゼン氏は、FRBとしてもベーシス取引の蓄積を好ましいとは思わず、いずれ抑え込みたいだろうが、ヘッジファンドを直接監督する規制手段を持ち合わせてない点が悩みどころだとの見方を示した。
20年3月にはベーシス取引の大規模な巻き戻しが米国債市場の流動性を極端に低下させる局面が見られ、今後も同じ状況は起こりえる、というのが一部市場参加者の不安だ。
バークレイズは12日のノートで「ベーシス取引は2つのリスクに対してもろさを抱えている。1つは先物売りに関する証拠金コストの増大、もう1つは現物買いに関する調達コストの増大だ」と解説した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ポーランド政府がズロチの急落に歯止めをかけようと動き、通貨を押し上げるため介入すると約束した。同国の中央銀行はちょうど1週間前に予想外の大幅な利下げを決定し、市場の不意を突いていた。
モラウィエツキ首相側近のパベル・ボリス氏は13日、ブルームバーグとのインタビューで、ズロチを「最適な水準」まで押し上げる手段が政府にはあると主張。6日に予想された幅の3倍の利下げを実施した中銀を叱責(しっせき)し、将来の判断では為替に及ぼす影響を考慮するよう求めた。
中銀のグラピンスキ総裁は先週、インフレ後退と景気鈍化で大幅な利下げが正当化されると弁明したが、その後のズロチ急落を政府が懸念していることをボリス氏の発言は浮き彫りにした。今や5週間以内に迫った総選挙を控え、中銀の決定は与党「法と正義」を助ける政治的な動きだったとの非難も招いた。
ボリス氏は「為替レートを最適な水準にする取り組みでは、2022年にすでに効果を発揮した手段が政府にはある」と、昨年の介入に言及。「ズロチの流動性はすでに低下した。それも、ズロチを落ち着かせるはずだ」と続けた。
インタビュー内容が伝わるとズロチは上昇し、一時1.1%高の1ユーロ=4.6063ズロチを付けた。このズロチ上昇では流動性を得るためにズロチとユーロのベーシススワップが使われ、市場は介入が進行中であることを示唆した。
公式統計が少ないため包括的な見解を得るのは難しいが、業界ウオッチャーの調べによると、いわゆる「1級都市」で回復の勢いが弱まっているようだ。
中国不動産大手、中原地産の張大偉アナリストが自身の調査を基に推計したところでは、刺激策の効果が最も顕著だった北京でさえ、中古住宅販売は先週末で約1700戸と、支援策発表直後の週末の2600戸から35%減少した。北京で販売された新築住宅も同じようなトレンドを示している。
ウクライナ軍は、13日未明にクリミア半島の港湾都市セバストポリにあるロシア海軍の資産および港湾インフラに対する攻撃を実施し、成功したとテレグラムで発表した。最大規模の攻撃という。
●中東
●中南米・アフリカ
2023年8月の消費者物価指数は、前年同月比124.4%上昇となった。1991年8月(144.4%)以来、32年ぶりの大きな上昇率だった。中央銀行が8月に通貨を切り下げたため、輸入物価の上昇でインフレが加速している。
●市況
<債券> 国債利回りが低下した。この日発表された8月消費者物価指数(CPI)の伸び率が加速したものの、食品・エネルギーを除くコア指数は約2年ぶりの小幅な伸びにとどまったことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置く可能性が高まったとの見方が広がった
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、同金利が12月に5.45%近くに達し、2024年7月下旬まで5%を下回らないことを織り込んでいる。
中南米金融市場では、域内通貨の大半が上昇した。コモディティー価格の上昇を受けた。
ドル指数が不安定な地合いの中で小幅高となったにもかかわらず、MSCI中南米通貨指数は0.8%上昇し約2週間ぶりの高値を付けた。
コロンビアペソは1.0%高となり、域内通貨の上昇を牽引。メキシコペソは0.7%上昇した。
銅価格の上昇に追随しチリペソは1.1%高。ペルーソルは横ばいだった。
鉄鉱石先物が3日続伸したことを受け、ブラジルレアルは0.7%上昇した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが米インフレ統計を受けて上げ幅を縮小した。ただ、欧州中央銀行(ECB)がインフレ見通しを引き上げるとのロイター報道を背景に上昇を維持した。
市場では、ECBが14日に0.25%の利上げを決定する確率が約63%となっている。11日には約40%、1週間前は25%だった。
日経先物32740、ダウ先34930、債先145.56、米4.246、独2.6405、仏3.182、西3.703、伊4.457、英4.3955、波5.613、原油88.73、銅8,395、ドル円147.34、ユーロドル1.0734
※9/14 8時50分頃

備忘録(2023/9/12)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
RTXは12日、P&Wが2015〜21年に生産したエンジン「PW1100G」を回収・修理すると発表。高圧タービンディスクなどの製造で使用された金属に不具合があり、運航を続ければ亀裂につながる。
7月にも不具合が発覚していたが、対象が拡大した。ロイター通信などによると、修理・点検の期間も従来は60日間を見込んでいたが、300日間に延長される見通しになった。
「PW1100G」はIHIや三菱重工業なども国際共同開発・生産に参画。エアバスの小型機「A320neo」シリーズに搭載する。24年前半に最大650機が運航できなくなりそうだ。欧州市場でエアバスの株価も12日、約2%安となった。
「A320neo」シリーズは23年だけで1000機以上を受注したベストセラー。エアバスによると、これまで約2900機を納入・運航中だ。2種類のエンジンを搭載でき、P&W製以外に、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と仏サフランが製造するエンジン「LEAP」も選べる。
航空会社の運航に影響する可能性もある。ロイターによると、米国で影響が大きいのはスピリット航空やジェットブルー航空、ハワイアン航空。デルタ航空は同日、「P&Wと緊密に連絡を取り合っている。運航に影響はない」とコメントした。
一方、アメリカン航空は日本経済新聞に「P&Wのエンジンを使用していない」と回答した。
P&Wは相次ぐ製造品質問題を受け、今後のエンジンの受注が落ち込み、GE・サフラン連合の受注が伸びる可能性もある。
エアバスのライバルであるボーイングの小型機「737MAX」は、GE・サフラン連合のエンジン「LEAP」しか選択できない。「737MAX」はエンジンの納入が遅れて増産が思うように進まなかった経緯もあり、GE・サフラン製エンジンの需要増加により、航空機の供給網に一段と負荷がかかる恐れもある。
IHI(7013.T)は12日、米RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)(RTX.N)の航空機エンジンの欠陥を巡る問題で、2024─26年度の売上高と営業利益に影響が見込まれると発表した。現段階では業績への影響を正確に評価することは難しく、今後の見通しが明らかになった時点で公表するとしている。
IHIは、RTXでは今後数年間で30億─35億ドルの費用負担が生じると見込んでいる。IHIはRTXのエンジンプログラムに約15%のシェアで参画している。
RXTは11日、傘下のプラット・アンド・ホイットニー(P&W)が手掛ける「ギアード・ターボファン」方式エンジンで見つかった製造過程での欠陥の影響が、当初の想定より大きくなると明らかにした。
●その他産業
米半導体製造受託大手のグローバルファウンドリーズは12日、シンガポール工場の新棟を開設した。40億ドル(約5900億円)を投資し、同国での生産能力を4割強増やす。足元の市況低迷を受け、全面稼働は2025年末から26年初と、当初予定より遅れる見通しだ。
米小売り最大手ウォルマートのダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は、今年のホリデーシーズンが「かなり良好」なものになるとの予想を示した。米国の個人消費が、同社の年初時点での想定よりも堅調に推移していることが理由。
マクミロンCEOは12日、ゴールドマン・サックス・グローバル・リテーリング・コンファレンスで「米国の状況は、年初時点で私が想定していたより順調だ」とし、「ホリデーシーズンはかなり良好なものになると考えている」と述べた。
米国の消費者が受ける圧力は来年も「ほぼ同様」となる可能性が高いと、マクミロン氏は予想。今年の早い段階では消費者のバランスシート悪化と食品の一部品目におけるインフレを懸念していたが、雇用と賃金の伸び、価格上昇ペースの鈍化にうれしい驚きを感じていると語った。
小売店では万引き防止策の強化に迫られている。英小売協会(BRC)によれば、インフレ高進の中で昨年は店舗での盗難事例が英国の10大都市で27%増加した。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
今年11月にイングランド銀行(英中央銀行)の金融安定担当の副総裁に就任するサラ・ブリーデン氏は、追加利上げの必要性を判断するためにバランスの取れたアプローチを求めるとし、金融政策委員会(MPC)の中道派になることを示唆した。
カンリフ副総裁の後任となるブリーデン氏は議会の財務委員会の公聴会で、成長率と失業率の双方向にバランスの取れたリスクがあると見ていると指摘。今後数年間は経済生産が横ばいになる可能性が高いとした。
また副総裁就任後は「2つの要因、すなわち、より持続的かつ二次的な影響によってインフレが定着するリスクと引き締めの影響とのバランスをとることに非常に注意を払っていく」とした。
インフレ率に関しては「8月時点のインフレ予想に対するリスクは上方に偏っているというMPCの見解に賛同する」とした一方、インフレ率は「2年後には目標の2%前後になる」と見込んだ。
日銀のマイナス金利解除が予想より前倒しになるとの思惑から進んだ円高が、早くも反転し始めた。日本の10年債利回りは9年8カ月ぶり高水準へ到達したものの、ドルは前日の145円台から147円目前まで切り返した。日銀が利上げしても大きく広がった日米金利差はさほど揺らがないこと、緩和的なスタンスを強調する「ハト派的な利上げ」となる公算が高いことなどが、円高観測をそいでいる。
植田総裁の発言を受けて、エコノミストの間ではゼロ金利解除の予想時期を前倒しする動きが出ている。ドイツ証券は、これまで来年12月と予想していたマイナス金利政策の終了時期を1月に前倒しした。「インフレの想定以上の高止まりや、円安に対する警戒が(総裁の)タカ派的発言の背景」(チーフエコノミストの小山賢太郎氏)になったとの見方だ。
根強いインフレ抑制のため利上げを続ける主要国間で、大きく出遅れた日本がいつ引き締めに転じるかは、グローバル市場で最も大きなテーマのひとつ。それにもかかわらず円高が限られた要因は、一向に縮小しない日米金利差にある。
12日の円債市場では、10年債利回りが0.720%と2014年1月以来の水準へさらに上昇したほか、金融政策をより反映するとされる2年債利回りも一時0.050%と、今年1月につけた8年ぶり高水準へ接近した。しかし、米国の2年債利回りは現在5%近くを推移しており、円金利の上昇が金利差に与える影響はごくわずかだ。
さらに、日銀がマイナス金利の解除に踏み切る際は「これまでと同様に、その措置が引き締め的ではないと説明する『ドビッシュ・ハイク(ハト派的な利上げ)』となるだろう。米景気が強いままなら、結果的に円相場への影響はあまりない」(BNPパリバ証券のチーフエコノミスト、河野龍太郎氏)との意見もある。
市場の話題の中心はすでに、13日に米国で発表される8月消費者物価指数(CPI)へと移行している。「市場予想を上回れば日米金利差が再び拡大し、ドル/円が上昇へ転じる可能性も残っている」(みずほ証券のチーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏)という。
石油輸出国機構(OPEC)が12日公表した月報によると、世界の石油市場は10-12月期に日量300万バレル超の供給不足に直面する見通し。サウジアラビアの自主減産延長により、過去10年余りで最大の供給不足となる可能性がある。
原油市場はすでにタイト化しているが、サウジは先週、日量100万バレルの自主減産を12月まで継続する方針を明らかにした。
世界の石油市場では7-9月に供給が急減したが、OPECの予想では10-12月は日量約330万バレルの不足になる。ブルームバーグの分析によれば、実際にそうなった場合は少なくとも2007年以来最大の供給不足となる可能性がある。
世界的に経済成長の勢いが弱まる中にあっても、北米企業の最高財務責任者(CFO)は、2022年1-3月(第1四半期)以降で最も楽観的だ。
12日に公表されたデロイトの調査結果によれば、北米企業のCFOは収入と利益、国内採用の伸びの通期見通しを上方修正する一方、配当と設備投資、国内賃金については引き下げ、7-9月(第3四半期)は差し引きで自社の財務の先行きに楽観的見方が強まった。
楽観論の背景には、求人状況の改善やインフレの緩和、生成AI(人工知能)を含む新たなテクノロジー導入などさまざまな要因が働いている。企業の40%余りが生成AIを試し、15%が戦略組み入れに動く。
楽観的見通しに力づけられる結果、リスクテークを拡大する良い時期と考えるCFOの割合は41%と4-6月(第2四半期)の33%から増え、2年平均を上回った。
8月の中小企業楽観度指数は91.3と、前月比で0.6ポイント下がった。下落は4カ月ぶり。人手不足や売り上げ見通しの減少が景況感の重荷となった。
項目別に見ると、今後6カ月の事業環境について「悪化する」と応えた経営者の割合は「改善する」を差し引きで37ポイント上回り、前月から7ポイント上昇した。企業経営者の先行き見通しの悪化を示す。
売り上げも悪化している。過去3カ月で名目ベースの売り上げが「増えた」と回答した割合は全体の14%となり、2020年8月以来の低水準に落ち込んだ。
人手不足も続く。40%の経営者が「埋められない求人がある」と回答した。前月比では2ポイント下がったものの、依然として高水準にある。特に建設業やサービス行、製造業で従業員の確保が難しいとの声が上がった。
全米自動車労組(UAW)と米自動車大手の労使交渉が大詰めを迎えている。4年間の労働協約の更新に向け、労使は7月中旬から交渉を重ねてきたが、隔たりが大きい。UAWは14日深夜の現行協約の失効までに合意できなければ、ストライキに突入する方針を示している。一斉にストに入れば影響は大きく、10日間で56億ドル(約8200億円)の経済損失が発生するとの試算もある。
ドイツ経済に対する投資家の信頼感は9月に2カ月連続で改善した。ただ、欧州の中でも成長が低迷している国という立場に対し高まる懸念を払拭(ふっしょく)するには至らない水準にとどまっている。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が12日発表した9月の期待指数はマイナス11.4と、前月のマイナス12.3から上昇し、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想を上回った。長期的な平均は依然として下回っている。一方、現状指数はマイナス79.4に低下した。
ZEWのバンバッハ所長は発表文で「ドイツの経済見通しが上向いたことは、世界的な株価動向に対する楽観の高まりと並行している」と指摘。「これは少なくとも一部は、ユーロ圏および米国の金利横ばいを予想する調査回答者の割合が増えていることに起因するものだろう。加えて、専門家は中国の金利政策のさらなる緩和も見込んでいる」と説明した。
石油輸出国機構(OPEC)は12日に発表した月報で2023年の世界石油需要が前年より日量244万バレル増、24年に日量225万バレル増になるとの8月の見通しを据え置いた。高水準の政策金利やインフレの高止まりなどの逆風にもかかわらず、主要国経済が予想されていたより堅調なのが要因。
中国が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)対策として導入していた厳しい制限を解除したことが、23年の石油需要が増えるとの見通しを後押ししている。OPECは24年も相対的に上向きの見通しを維持し、国際エネルギー機関(IEA)などの予測よりも力強い需要増を見込んでいる。
OPECは報告書で「特に観光と航空旅行の回復、堅調な自動車移動を踏まえると、現在の世界的な経済成長が石油需要をけん引すると予想される」とし、「23年の世界石油需要は新型コロナ禍前の水準を超える」との見方を示した。
欧州中央銀行(ECB)は最新の見通しで来年のユーロ圏の物価上昇率を3%超と想定している。内部の議論に詳しい関係者の1人が12日、ロイターに明かした。
ECBの事務方が13日の理事会に提出する最新見通しは、来年の物価上昇率が3%を上回っている。これは6月時点の3%ちょうどから上方修正され、ロイターがまとめたエコノミスト予想の2.7%も上回る。以前考えられていたよりもインフレ抑制が難しくなる可能性が改めて認識された形で、追加利上げを後押しする材料になりそうだ。
関係者によると、今年の来年のユーロ圏経済成長率はいずれもほぼ市場予想並みに引き下げられる見通し。
ロイターがまとめたエコノミスト予想では、今年の成長率は0.6%、来年は0.9%となっている。
アドビが12日発表した8月のデジタル物価指数は前年同月比3.2%低下と、2020年4月以来の大幅なマイナスを記録。同指数はこれで12カ月連続の低下となった。
8月はアドビが追跡している主要18カテゴリーの半分以上が前年比で値下がり。コンピューターが14.2%減、電子機器が11.6%減、家電製品が7.3%減となった。
アドビの統計では、まだ大きな下落を示していないカテゴリーの1つがオンライン食料品価格。ただ8月は前月比では0.2%低下し、2021年5月以来のマイナスとなった。
●中国・アジア・ロシア・東欧
米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)が12日に公表した9月のファンドマネジャー調査によると、世界的なシステミック・クレジット・イベント(信用事由)の原因となる可能性が最も高いとみられているのは中国の不動産だった。
中国の成長見通しについて投資家が過去1年以上で最も悲観的なことも示された。
最大の信用イベントリスクとして33%が中国不動産を挙げ、米国と欧州連合(EU)の商業用不動産(32%)を上回った。
今後12カ月で中国の成長が加速するとの回答は差し引きゼロ%と2月の78%から急低下した。また厳しい新型コロナウイルス抑制策のさなかの1年前の水準も下回った。
中国共産党・政府は12日、中国と台湾の「両岸」の発展を加速するため、中国東部の福建省にモデル地区を建設する方針を発表した。中台の人的往来や貿易・投資を拡大し、台湾統一につなげる狙いがある。
韓国財閥企業がインドを輸出拠点に育てている。現代自動車は米ゼネラル・モーターズ(GM)の工場を買収するなどして生産能力を年140万台まで高める。サムスン電子もスマートフォン工場を拡張し、サプライヤーの集積が進む。韓印両政府の経済協力を追い風に、インド国内だけでなく中東やアフリカを攻める足掛かりとする。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
<債券> 米消費者物価指数(CPI)など重要指標の発表を控え、国債利回りが狭いレンジ内で推移した。2年国債利回りは5%を上回った。
市場がフェデラルファンド(FF)金利が2024年6月まで5%を上回ると織り込む中、金利上昇期待を反映しやすい2年国債利回りは0.6ベーシスポイント(bp)上昇し5.001%となった。
先物市場はまた、FRBが来年7月末まで25bp以上の利下げを行わないことを織り込んでおり、FRBが経済のソフトランディングに成功するとの期待にもかかわらず、金利はより長く高止まりすることを示唆している。
<株式> 3指数とも下落して取引を終えた。13日に発表される米消費者物価指数(CPI)を前に、原油価格の高騰により物価上昇圧力が持続するとの懸念が深まった。
前日に市場予想を下回る業績見通しを発表した米ソフトウエア大手オラクル(ORCL.N)が13%超急落し、6月以来の安値を付けた。
クラウド大手のアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)とマイクロソフト(MSFT.O)も1%超下落。オラクルの弱い見通しや米国債利回り上昇が重しとなった。
アップル(AAPL.O)は1.7%安。iPhone(アイフォーン)の新型機「15」シリーズを発表したが、世界的なスマートフォンの販売不振を考慮して値上げは見送った。
中南米金融市場では、ブラジルレアルが下落した。消費者物価の上昇が予想を下回ったことでブラジル中央銀行が来週の決定会合で再度利下げを行うとの見方が台頭したことが背景。ただ、原油高を受け、中南米の株価と通貨は全般的に上昇した。
ブラジル中銀は8月に利下げに着手したが、来週の決定会合で2回連続となる0.5%ポイントの利下げを決定すると予想されている。BBVAの中南米ストラテジスト兼外為グローバルヘッド、アレハンドロ・クアドラド氏は「インフレ率が軟調に推移すれば、中銀が利下げ加速させる余地が生まれる」と述べた。
チリぺソは0.2%安。銅価格の下落を受け一時は昨年11月以来の安値を付けたが、その後、下げ幅を縮小した。
チリ中央銀行のウェブサイトに掲載されたアナリスト調査によると、中銀は次回の決定会合で政策金利を8.75%に引き下げると予想されている。中銀は先週、0.75%ポイントの利下げを決定した。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。英国の労働市場の弱まりを示す経済指標を受け、英ポンドが下落したことが好感された。
中型株で構成するFTSE250種指数(.FTMC)は0.11%高。
英国立統計局(ONS)が発表した5─7月の失業率は4.3%と、4─6月の4.2%から悪化した。ただ、5─7月のボーナスを含む賃金は前年比8.5%増と、伸び率が4─6月の8.4%から拡大し、新型コロナウイルス流行時を除くと記録がある過去20年超で最高となった。 もっと見る
ハーグリーブス・ランズダウンの金融・市場部門責任者、スザンナ・ストリーター氏は「英国の賃金上昇率は依然として高く、熱はあまり下がっていない」とし、「自信を持って利上げを一時停止する前に、雇用主の抑制を示すさらなる証拠が必要なイングランド銀行(英中央銀行)にとっては、あまり安心材料にはならなかった」と述べた。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。ドイツのソフトウエア大手SAPが下落し、米同業オラクルの低調な業績見通しが嫌気された。
欧州航空機大手エアバス(AIR.PA)は2.4%下落した。米航空機エンジンのプラット・アンド・ホイットニー(P&W)が同社製ジェットエンジンの欠陥により、数百機のエアバス機が運航停止となる可能性を警告したことがマイナス材料となった。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが安定的に推移した。今週の欧州中央銀行(ECB)理事会で追加利上げが決定されるとは限らないものの、市場では利上げ観測が徐々に強まっている。
今週14日のECB理事会での利上げに対する市場の見方はほぼ互角。ESTR先物では0.25%ポイントの利上げが決定される可能性が前日の約40%から約50%に上昇した。
スペインの8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.6%上昇した。一方、欧州経済センター(ZEW)が発表した9月のドイツの景気期待指数は予想に反して前月より改善した。
欧州経済センター(ZEW)が12日発表した9月のドイツの景気期待指数はマイナス11.4と、前月のマイナス12.3から予想外に改善。利上げ停止への期待を受けた。
日経先物32535、ダウ先34993、債先145.51、米4.288、独2.6405、仏3.178、西3.693、伊4.403、英4.4655、波5.617、原油88.85、銅8,389、ドル円147.09、ユーロドル1.0757
※9/13 8時45分頃

備忘録(2023/9/11)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米規制当局が一連の経営破綻などを受けて提案している銀行資本規制の厳格化を強く批判し、銀行による融資引き揚げを促して経済成長を阻害しかねないと警告した。
ダイモン氏はこの提案について「非常に失望している」と述べ、当局がその妥当性を明確に説明できていないとこき下ろした。
さらに「私が望む全ては公正さと透明性、開放性」だと主張。当局がこの提案で達成しようとしていることへの疑念を示した。
一方中国市場についてダイモン氏は、以前ほど魅力的でなくなったとの見方を披露。5月に中国を訪問して警戒感を強めたと明かした。
米経済に関しても、ダイモン氏は相対的に慎重な姿勢を取り、「リアルタイムの指標を読み取る上で人々は誤っていると思うし、将来に目を向けていない」と指摘。ウクライナで戦争が続いていることや、今後米連邦準備理事会(FRB)の大規模緩和の巻き戻しによる「量的引き締め」が効いてくる点を挙げて、この先何年も好況で推移すると想定するのは大間違いだと付け加えた。
●その他産業
シェブロン(CVX.N)のオーストラリア法人は、同国にある液化天然ガス(LNG)施設2カ所に関する労働組合との交渉で妥結がもはや見込めないため、全面ストライキ回避に向け政府の労使裁定機関である公正労働委員会に介入を要請すると発表した。
同社の「ゴーゴン」と「ウィートストーン」のLNG施設の従業員は8日、直前の労使交渉で合意がまとまらなかったことを受け時限ストに入った。14日からは24時間ストを2週間実施すると警告している。
シェブロンは公正労働委に対し、労使交渉の解決が困難であると認定するよう申し入れると表明。認定されればストが終わり、同委が労働協約の内容を決められるようになる。
同社の広報担当者は発表文で、労組側が相場を大きく上回る条件を提示したため、合意に達することができなかったとした。
公正労働委は今年6月から施行された新法によって、労使交渉の妥結が困難な場合に介入して合意をまとめる権限を与えられたばかりで、今回のケースが重要な試金石となる。
市場が本当に心配するのは業績好調の裏で進む世界最大の自動車市場である中国リスクだ。
米食品メーカーのJMスマッカーは、スポンジケーキ菓子「トウィンキー」のメーカー、米ホステス・ブランズを約56億ドル(約8200億円)で買収することで同社と合意した。買収額には債務9億ドルが含まれる。
11日の発表文によれば、投資家はホステス・ブランズ株1株につき現金・株式合わせて34.25ドルを受け取る。これは、ホステス・ブランズ株の8日終値を22%上回る水準。
 ロイター通信は8月25日に、ホステス・ブランズが身売りを検討していると報じていた。同社の時価総額は先週末時点で約37億ドル。
スマッカーによると、買収手続きは今年度の第3・四半期中に完了する見通し。ホステスの2023年業績予想に基づくと調整後の利払い・税・償却前利益(EBITDA)の約17.2倍の金額を支払う形になるという。
JPモルガンのアナリストチームは11日のノートで「JMスマッカーの視点ではこの取引が好ましいとは言えない。何よりもまずは買収額が高過ぎる。われわれはJMスマッカー(でも誰でも)がこんな金額を支払おうとすることにびっくりしている」と述べた。
ただ大手加工食品業界の間では、ブランド製品の拡充を目的とする合併・買収の動きが続いている。製品の値上げがもたらすプラス効果が一巡し、今後は販売数量を増やす方針に転じているためだ。
既に米インスタント食品大手キャンベル・スープ(CPB.N)は、食品会社ソボス・ブランズ(SOVO.O)を27億ドルで買収することに合意。英食品・日用品大手ユニリーバ(ULVR.L)は、フローズンヨーグルトの米ヤッソを買収すると表明している。
●決算関連
2023年6〜8月期決算は売上高が前年同期比9%増の124億5300万ドル(約1兆8200億円)だった。イーロン・マスク氏の新会社と契約するなど人工知能(AI)関連の需要を取り込んだが、企業のIT(情報技術)投資抑制でクラウドコンピューティングサービスの成長は鈍化した。
●先進国、グローバル、金融市場
低金利を背景に拡大してきた有利子負債が、世界の企業の重荷になってきた。2008年の金融危機から15年となり、世界約7700社の有利子負債残高は約13兆ドル(約1900兆円)と危機直後に比べ2倍弱に膨張した。
欧州委員会は11日発表した夏の経済見通しで、ユーロ圏20カ国の2023年の実質成長率を0.8%と前回5月から0.3ポイント下方修正した。ドイツはマイナス0.4%と景気後退に転落する見込みで、欧州経済の失速が鮮明になった。
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委はユーロ圏や国別の経済見通しを季節ごとに公表している。ユーロ圏の成長率の下方修正は3期ぶりだ。ウクライナ侵攻の前後までは2%台の成長を見込んでいたのが一転、景気持ち直しの鈍さが目立つ。
国別の成長率はフランスが1.0%と0.3ポイントの上方修正で、イタリアは0.9%と0.3ポイント引き下げた。ドイツは0.6ポイントの下方修正だった。
足元では景気回復のけん引役だったサービス業でも景況感が急速に悪化している。高インフレで個人消費が振るわず、利上げによる景気悪化に備えて欧州企業が減産に動く懸念も高まる。欧州委は「金融引き締めが想定以上に経済活動の重荷になる可能性がある」と指摘した。
23年の物価上昇率はユーロ圏で5.6%と0.2ポイント小幅に下方修正した。国別ではドイツが6.4%と0.4ポイント引き下げた一方、フランスは5.6%と0.1ポイント上げた。資源高の一服で物価上昇率は峠を越えたものの、食品やサービスを中心にインフレ圧力は強く年内は高止まりが続く見込みだ。
先行きは不透明感が強まる。24年のユーロ圏の物価上昇率は2.9%と0.1%引き上げ、成長率は1.3%と0.3ポイント下方修正した。特に厳しいのがドイツ経済で24年は1.1%まで持ち直す見通しだが、フランスの1.2%やスペインの1.9%を下回る想定だ。
ドイツは国内総生産(GDP)に占める製造業の割合がおよそ2割と、フランスなどの1割台より高い。エネルギー価格の急騰や利上げによる金利の上昇は製造コストや設備投資の負担増につながり、インフレの影響が色濃く出やすい。
ハレ経済研究所(IWH)によると、8月の企業破産件数は1007件と前年同月比で4割増えた。
ECBは欧州委の経済見通しも踏まえ、14日の理事会で利上げ継続の是非を慎重に判断する。インフレ抑制を優先する構えだが、急激な金融引き締めが欧州景気を過度に冷やすリスクもあるだけに利上げ見送りも視野に入れる。
今週14日の欧州中央銀行(ECB)理事会で利上げが停止されるか実施されるか市場の見方が割れている。インフレの粘着性が高い一方、経済活動が急減速しているためだ。
(1)利上げの有無
市場の見方は割れているが、利上げ停止を見込む向きが相対的に多い。利上げの確率は40%。この確率は変動が続いている。
多くのエコノミストにとって一つはっきりしているのは、追加利上げを実施するなら、9月が最後のチャンスになる可能性が高いという点だ。
(2)ECBは経済成長とインフレのどちらを懸念しているのか。
これは難問だ。食品やエネルギーなど変動の激しい項目を除く8月のコアインフレ率は5.3%と、予想以上に鈍化したが、ECBの目標である2%を依然大きく上回っており、労働市場の過熱も続いている。
一方で経済活動は急速に縮小しており、累積425bpの利上げで資金調達環境が悪化している。融資の伸びは鈍化し、7月のユーロ圏のマネーサプライは2010年以来初めて縮小した。
センテノ・ポルトガル中銀総裁などハト派は、慎重な対応が必要と主張。シュナーベル専務理事やホルツマン・オーストリア中銀総裁などタカ派は、利上げ停止は決定事項ではないと警告しているが、利上げへの支持を明言していない点は重要だ。
(3)9月の理事会後の見通し
ECB当局者は利上げ局面が終了に近づいており、金利は当面、高水準に維持されるとすでに指摘している。
ブルゼスキ氏は「もし利上げならハト派的な声明を出すだろう。利上げ停止ならタカ派的な声明を出すだろう。ECBが利上げ終了を公式に宣言するとは思えない」と述べた。
市場はヘッジをかけており、年内の追加利上げの確率は約70%となっている。
トレーダーは来年後半からの利下げを予想しているが、ラガルド総裁がそうした見方を肯定することはないだろう。
(4)ECBの新たな経済予測
利上げの選択肢を排除していないタカ派も、14日発表のECBの経済予測が決定を左右すると指摘している。
チーフエコノミストであるレーン専務理事は、コアインフレ率の鈍化は6月の予測に沿ったものだと述べた。
エコノミストの間では、ECBが短期的なインフレ予測を引き上げ、経済成長予測を引き下げるとの見方多い。
また2025年のインフレ予測が2.2%から下方修正されれば、利上げ停止の論拠となる。
(5)PEPPの再投資
ECBは7月にバランスシート縮小を加速し、資産購入プログラム(APP)の下で買い入れた債券について満期償還資金の再投資を停止した。
インフレは高止まりしており、量的引き締めで市場が混乱している形跡は現時点で見られない。このため、タカ派はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)についても、再投資の終了時期を現在予定している来年末から前倒しすることについて、議論を求め始めている。
ブルーベイ・アセット・マネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、カスパー・ヘンス氏は「利上げを見送る場合、タカ派がバランスシートの縮小を早めたいと考えるリスクがある。これは周縁国(イタリアなどの高債務国)にとって痛みを伴う措置になる」と述べた。
株式市場がどの程度、先行きのインフレへの期待を織り込んでいるのか、リトマス試験紙のひとつと目されるのが金利動向に敏感な不動産株の反応だ。不動産株は8月後半から脱デフレを先取りするかたちで上昇基調にあった。日銀修正の思惑が短期筋の利益確定の口実になったのは「インフレに対する市場の確信がまだ未熟なためだろう」(東洋証券の大塚氏)との声がある。
本来、インフレは資産価格の上昇を通じ、不動産株にはプラスに作用しやすいが「コストプッシュのインフレから、内需の強さに伴うデマンドプルのインフレに移行しなければ、インフレによる業績押し上げ効果は期待しにくく、金利が上昇する局面では不動産株はやはり売られやすいだろう」(三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジスト)とみられている。
中国人民銀行(中銀)は投機的投資家に対し、人民元を不安定化させないよう強い警告を発した。日本銀行の植田和男総裁は、賃金と物価の好循環を見極める情報やデータが年内にもそろう可能性があるとの見解を示し、市場はマイナス金利解除などの政策正常化の前倒しを意識し始めた。
両中銀の動きを受けてブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.6%下落し、8月以来の大幅安となった。
BNPパリバの大中華圏為替・金利戦略責任者、王菊氏は「ドル高を抑えるためには、アジアの中銀による協調した介入が必要だ。アジアの中銀は取り組みを強めている」と述べた。
投資家はまた、米連邦準備制度の政策方針に関する次の手掛かりを得るために、今週発表される米国の重要なインフレ指標に注目している。その結果、ドル安は短期的なものになるとみる向きもある。
クレディ・アグリコルCIBのストラテジスト、デービッド・フォレスター氏(シンガポール在勤)は「エネルギー価格の上昇は、米国のインフレ率のさらなる低下を防ぎ、ドルを幾らか下支えするだろう」と述べた。「欧州中央銀行(ECB)によるタカ派的据え置きのリスク」も、ドルの支援材料になるだろうと語った。
経済成長の最も重要なけん引役である個人消費について、回答者526人の半数以上が2024年の早い時期に縮小すると予想。さらに21%の回答者は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期の余剰貯蓄が底をつく一方で、高い借り入れコストが家計を圧迫することを理由に、消費の落ち込みはより早期の今年10-12月(第4四半期)に起きるとみている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏は年末までにリセッションが始まると予測。「大きな問題はこうした消費の力強さが持続可能かどうかだが、持続可能ではない。というのも、大ヒット映画やコンサートツアーへの支出といった一過性の要因が原動力だからだ」と分析した。
逆風は迫りつつある。サンフランシスコ連銀の研究員によれば、消費者が物価上昇を乗り切るのを支えてきた余剰貯蓄は7-9月(第3四半期)中に底をつく見通しで、MLIVパルス調査回答者の4分の3がこの意見に同意している。
ジェフリーズの米国担当エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は、消費者は全体として物価上昇の重圧に耐えることができているとしながらも、「それがもはや不可能になる時が来るだろう」と語った。
米金融当局による計5ポイント超の利上げが家計を圧迫する中、クレジットカードや自動車ローンの延滞率が上昇しつつある。コロナ禍で猶予されていた学生ローンの返済再開も迫っている。
MLIVパルス調査では、大多数の投資家が、今後数カ月間に消費者にとって最大の障害となるのはクレジットの利用可能性の低下と信用コストの上昇だと指摘した。
回答者の約4分の3は、過剰貯蓄の減少や与信引き締めに対して最も弱いのは自動車株や小売株だと答えた。米ゼネラル・モーターズ(GM)やフォード・モーターが今年の株高の流れに乗れずにいる一方で、テスラ株は2倍余りに値上がりしている
良い先行指標になるのは何かとの質問に対し、回答者からは小売売上高やクレジットカードの延滞率といった最も標準的な指標から、航空券の予約状況やペットの里親あっせん、後払い決済の「バイ・ナウ・ペイ・レイター(BNPL)」プランの利用状況など、あらゆるものが挙がった。
それは、恐らくここ数年の混乱の中で、従来の指標がしばしば当てにならないことが証明されてきたからだろう。
トゥルーイスト・ウェルスのキース・ラーナー共同最高投資責任者(CIO)は「パンデミック後のこの環境の中で、経済と市場に関する従来の戦略は厳しい」と語った。
ヘッジファンド運営会社ヘイマン・キャピタルの創業者、カイル・バス氏は、米国では職場環境の変化や金利上昇などでオフィス不動産市場に痛みが生じており、米銀行業界は同市場へのエクスポージャーから数千億ドル規模の損失を被る恐れがあるとの見方を示した。
同氏は11日のブルームバーグTVとのインタビューで「米国の銀行はいずれオフィス市場で2000億-2500億ドル(約29兆3000億-36兆6000億円)を失うだろう」と述べた。
バス氏は商業用不動産市場のうち、産業用不動産や集合住宅は堅調を維持するが、損失を計上する主なセクターがオフィスになると指摘。米経済については「今後6-8カ月の間に賃金を巡って厄介な状況に陥り、景気は下降線をたどるだろう」と語った。
1年先のインフレ期待(中央値)は8月に小幅上昇して3.6%。7月は3.5%だった。3年先のインフレ期待は2.8%(前月2.9%)に低下。5年先のインフレ期待は3%(同2.9%)に上昇した。
家計に関する消費者の見方にはより顕著な変化があった。「現在の信用状況を巡る認識と将来の状況に対する期待はいずれも悪化した」と同連銀は発表文で指摘した。
調査ではこの他、失業率は1年後に上昇する可能性が高いと考えているとの回答が示された。向こう1年間に職を失うとみられる確率は2ポイント上昇して13.8%と、2021年4月以来の高水準となった。向こう1年間に自主的に転職する確率は1.9ポイント上昇して18.9%。両質問ともに比率の伸びが目立ったのは、学歴が高卒以下で年収が5万ドル(約730万円)未満の人々だった。
消費者はクレジットを利用できる能力に関して懸念を強めており、1年前と比べて信用へのアクセスがかなり難しい、あるいはやや難しいと回答した比率は13年6月の調査開始以来最も高い水準となった。信用を得るのが今後1年間に難しくなると答えた人も増えた。
ハント英財務相は11日、金利の上昇が公的財政を圧迫しているとして、秋季財政報告に減税やばらまきを盛り込める「可能性は低い」と述べた。
ハント氏は訪問先のインドのニューデリーでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、インフレがより「根強く、国債の利払いがかさんでいる」として余分な予算はないと主張、11月22日公表の秋季財政報告はインフレの抑え込みが最優先事項だと続けた。
同氏は「経済や国民の懐に余分な資金を注ぎ込まないよう気をつける必要がある。それこそが物価を押し上げ、インフレを長期にわたって高止まりさせ得る」と語った。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国政府には経済に短期的に対応するリソースがあるが、人口動態や高債務といった長期的な経済構造問題に対応しなければならないと指摘。「このような問題への中国の対応は時間の経過とともにはるかに困難なものになる」とした。
また、中国経済は「大きな逆風」に直面しているとし、「中国経済の減速は影響を及ぼすだろうが、そのほとんどは近隣諸国への影響だ」と語った。
中国が保有する米国債を売却する可能性に関する質問に対しては「米経済の好調さを考慮すると、中国の景気減速が米国に与える影響よりも近隣諸国や欧州に与える影響をより懸念している」と回答。中国の一部の決定は特定の企業に影響を与えるだろうが、「米国には(中国に対する)エクスポージャーがある程度あるが、それは限定的なものだ」とした。
さらに中国に対し経済を民間部門に開放するよう要請。それによって競争が生まれ、経済が活性化する可能性があるとした。
中国人民銀行(中央銀行)が国内企業による大規模なドル買いに対する監視を強化していることが分かった。事情に詳しい関係筋3人が11日に明らかにした。
同筋によると、人民銀は週末に一部商業銀行と会合を持った。5000万ドル以上を買い入れる必要がある企業は人民銀の承認が必要になる。
人民銀はすでに、法人顧客に代わって大量のドル買いをする一部銀行に警告を発していたという。
人民元は今年に入ってから対ドルで約6%下落している。
関係筋は「最近の元下落は急激で、1ドル=7.5元を超えて元安が進むとの見方も多い」と述べた。
中国人民銀行(中央銀行)が11日発表した8月の新規人民元建て融資は1兆3600億元(1861億8000万ドル)で、7月の3459億元のほぼ4倍に拡大した。市場予想(1兆2000億元)も上回った。
国内外の需要低迷を受けて人民銀が打ち出した景気支援策が信用拡大につながった。
新規融資は前年同月の1兆2500億元も上回った。
上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「政策措置が景気の安定化に寄与したため、信用の伸びがやや改善した」と指摘。「住宅ローンが持ち直しており、これは利下げや不動産関連の規制緩和が購入者の心理改善につながったことを示している」とした。
ANZの中国担当シニアストラテジスト、Zhaopeng Xing氏は、家計向け融資の増加は不動産市場の回復を示唆しているが、主要都市の新築住宅販売は依然低迷しており、結論を出すの時期尚早との見方を示した。
中国では住宅購入規制を撤廃する都市が増えている。
アナリストの間では、人民銀行が早ければ今月にも金利や銀行の預金準備率を引き下げるとの見方が浮上している。
中国外務省は11日、英議会の調査員ら2人が中国のためにスパイ活動したとの容疑を否定した。毛寧副報道局長が記者会見で「でっち上げだ。反中政治工作と悪意ある誹謗(ひぼう)中傷をやめるよう強く促す」と述べた。
中国汽車工業協会が11日発表した8月の新車販売台数(輸出を含む)は、前年同月比8.4%増の258万2千台だった。前年同月の実績を上回るのは2カ月ぶり。同日記者会見した協会幹部は2023年通年の販売が22年比で3%増えるとした当初予測を上振れる可能性があるとの見解を示した。
ロシア大統領府は、金総書記がプーチン大統領の招待で数日中にロシアを訪問すると発表した。北朝鮮国営朝鮮中央通信(KCNA)は、両者が「会って話をする」と報じた。
米国はロシアと北朝鮮の接近を警戒している。特に憂慮しているのは、北朝鮮がロシアに武器を供与し、それがウクライナで使用されることだ。
ロシアで10日投票が締め切られた統一地方選は、政権与党「統一ロシア」が圧勝した。地方選はロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ4州でも行われた。
欧州の主要人権団体「欧州評議会」は、地方選は明確な国際法違反と批判。ウクライナや同盟国もロシアがウクライナ南部・東部で違法な支配強化を目指していると非難した。
今回の選挙では有力な野党候補が当局から出馬を阻止されるなど、競争が制限された。ロシア政府から「外国の代理人」に指定された選挙監視NGO「ゴロス」の共同代表は、国内の多くの地域で不正投票が行われ「本当の選挙ではない」と主張。野党候補が拘束されたり、野党候補の車が破壊されるなどの事例が報告されていると述べた。
統一ロシアは、候補を立てた全ての州知事選で勝利。プーチン氏の盟友であるモスクワ市のソビャニン市長も再選された。モスクワ市は国内で野党の支持者が特に多い地域とみられているが、ソビャニン氏は事実上、対立候補がなく、開票初期の段階で得票率が75%を超えている。
ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナのドネツク、ルガンスク、ザポロジエ、へルソン州でも、ロシア政権与党系の候補が勝利した。
ロシアの当局者によると、統一ロシアは各地域で少なくとも70%の票を獲得。詳細な開票結果は現時点で公表されていない。
米国務省のミラー報道官は11日の記者会見で、ロシアのプーチン大統領が北朝鮮に軍事支援を「懇願している」と言明した。武器取引を進めれば制裁を科すと重ねて警告した。
ミラー氏は「我々はロシアによる戦争を財政支援する国や団体に制裁を科して責任を取らせると常に考えている」と断言した。ロシアが北朝鮮に「引き換えとして何かを提供するかもしれない」とも語った。
取引の詳細についてコメントを避けたが、北朝鮮が弾薬を提供してロシアから人工衛星や原子力潜水艦に関する技術を受け取るとの見方がある。ロシアはウクライナ侵攻を継続するために弾薬の確保が重要課題になっている。
アルメニアと米国は11日に合同軍事演習「イーグル・パートナー」を開始したと発表した。アルメニアは隣国アゼルバイジャンとの関係が緊迫している。
アルメニアに軍事基地を持ち、この地域の安全保障を担っていると自負するロシアは不快感を示している。
アルメニアとアゼルバイジャンは、ソビエト連邦崩壊後の30年間に2度の戦争を経験。過去1週間には、互いに相手国が国境付近に兵力を増強していると非難している。
●中東
●中南米・アフリカ
メキシコ財務省が8日発表した2024年予算案によると、来年の経済成長率は今年見込み(3%)並みの2.5―3.5%と想定されている。多額の債務に苦しむ国営石油会社ペメックスへの追加的な公的支援も盛り込まれた。
メキシコ中央銀行が予想する来年の成長率は1.3―2.9%と、政府よりもやや慎重だ。
予算案で示された物価上昇率は今年が4.5%で、来年末までに3.8%まで鈍化するという。
通貨ペソの来年末の対ドル相場は1ドル=17.6ペソと、7年半ぶりの高値となっている足元の水準とほぼ変わらず、ペソ高基調が続くと予想していることが分かる。
来年の石油輸出価格は、今年1―8月平均の1バレル=約68ドルより大幅に低い平均56.7ドルと見積もられた。
ペメックス向け予算は今年と比べて36%削減される。一方でペメックスに対して1450億ペソ(82億5000万ドル)の資金を新たに注入する措置が講じられた。先に関係者の1人はロイターに、こうした資本注入はペメックスによる来年の債務返済に充当されると明かした。
ブラジルのルラ大統領は11日、2024年に予定する同国での20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にロシアのプーチン大統領が対面で出席する場合、逮捕するかどうかは司法の判断になるとの見方を示した。9日にはインドメディアに「逮捕されることはない」と述べており、発言を修正した。
南米チリで11日、1973年の軍事クーデターから50年の節目となる式典が開かれた。70年に民主的に選ばれた世界初の社会主義政権を率いたアジェンデ元大統領は、ピノチェト将軍らによるクーデターで打倒された。ボリッチ大統領は「暴力が民主主義の議論に代わることは決してない」と強調した。
リビアで、北東部の主要都市ベンガジなどが暴風雨に見舞われている。同国東部を支配する当局によると、東部の都市デルナでは洪水により少なくとも2000人が死亡した。
リビア東部を支配するリビア国民軍(LNA)のアフメド・ミスマリ報道官は、デルナで上流のダムが決壊したと述べた。行方不明者の数は5000─6000人に上るという。
●市況
<為替> 円が対ドルで大幅に上昇した。前週に報道された植田和男日銀総裁の発言を受け、マイナス金利政策からの脱却観測が高まった。
ドル/円は一時約1.3%下げ、9月1日以来の安値となる145.89円を付けた。終盤は0.89%安の146.50円となった。ドル/円の1日の下落率としては7月12日以来最大となる見通し。
<債券> 国債利回りが上昇した。投資家は13日に発表される米消費者物価指数(CPI)待ちとなっている。CPIは米連邦準備理事会(FRB)が来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置くとの見方を強めるものとみられている。
<米原油先物> 利益確定の売りに押され、反落
中南米金融市場では、メキシコペソを中心に域内通貨が上昇した。ドル安に加え、中国の好調な経済指標を背景に金属価格が上昇したことを受けた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。日本の10年債利回りが9年以上ぶりの高水準を付けたことを受けた。
RBCキャピタル・マーケッツのチーフ欧州マクロストラテジスト、ピーター・シャフリック氏は日本の利回りが上昇したことで、ユーロ圏の利回りも上昇した可能性が高いと指摘。「データの面では何もない」と述べた。
日本の投資家は外債の主要な保有者で、一部のアナリストは日本の金利が上昇すれば、資金が日本に回帰し、欧州債市場から資金が流出する可能性があると懸念している。
日経先物32435、ダウ先34998、債先145.52、米4.298、独2.6355、仏3.172、西3.690、伊4.393、英4.5290、波5.518、原油87.28、銅8,405、ドル円146.69、ユーロドル1.0748
※9/12 9時00分頃

備忘録(2023/9/8-10)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米連邦預金保険公社(FDIC)は8日、5月に破綻した米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)について、同行の流動性リスクなどに対する自らの評価が「甘かった」とする報告書を出した。監督当局としての不備を認めた。FRCの経営陣に対して「より効果的に異議を唱え、金利リスク軽減を奨励することができたはずだ」とつづった。
●その他産業
12日にアップルの本社から全世界に配信される予定の製品発表会は、同社最大の国外市場である中国での複数の論争が影を落とす恐れがある。中国では政府職員の間でiPhoneの使用禁止の動きが広がっているほか、中国の華為技術(ファーウェイ)による新しい携帯電話の発売は同国内での競争激化につながる。
しかし、アップルにとって最大の潜在的脅威は、もっと漠然としたものかもしれない。つまり、中国でナショナリズムが再燃し、消費者がiPhoneや他の外国ブランドの製品を敬遠するようになる可能性があることだ。
アップルは以前にもそうした脅威に直面したことがある。約5年前、同社は発売したばかりの「iPhone XS」と「XR」のホリデーシーズンの売り上げが中国での不振で予想を下回った。同社は公式には、米中貿易摩擦と中国経済が原因だと説明したが、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は同社の取締役会に宛てた社内メールで、中国のナショナリズムや現地のライバル企業との競争激化も理由に挙げた。
当時は、トランプ政権がファーウェイをブラックリストに掲載したばかりで米中間の緊張が高まっていたため、中国に深く依存する企業には厳しい状況だった。アップルの中国売上高は2019会計年度と20年度に減少した後、21年度に回復した。アップルは売上高の約2割を中国から得ており、同国は同社のサプライチェーンの中心でもある。
今の問題は、アップルが19年のような事態に再びに直面するかどうかだ。政府による禁止措置の拡大は不吉な兆候だ。政府機関や国有企業の職員が職場でiPhone使用を禁止されるケースが増えている。このニュースを受け、アップルの株価は2日続落し、時価総額は1900億ドル(約28兆円)が吹き飛んだ。
米国の議員らはファーウェイのサプライヤーに対する監視を強めており、米国からの同社向け輸出を全面停止するよう求める声も聞かれる。最近は中国の大手半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)に厳しい目が注がれている。SMICはファーウェイの新型携帯電話に高度な部品を供給し、米国の制裁に違反したようだと米議員らは指摘している。
こうした状況下で中国のソーシャルメディアでは反アップル感情が広がっている。中国の携帯電話事業者チャイナモバイル(中国移動)が次期モデル「iPhone 15」を仕入れないとの臆測まで流れたが、同社は否定した。
中国は昨年、政府機関や国有企業に対し2024年までに外国製コンピューターを国産代替品に置き換えるよう命じた。ただ突き詰めて考えれば、中国にはiPhoneの販売禁止を過度に推進しない動機もある。アップルは中国国内で何百万人もの労働者を支えており、同国政府が自国民に打撃を与えずに同社を懲らしめるのは難しいとみられる。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
米自動車メーカーや経済全体が新型コロナウイルス禍や半導体不足の影響から脱却しつつある中で、全米自動車労組(UAW)が長期ストライキに突入すれば、インフレ率の上昇と経済的打撃を招く恐れがある。
ミシガン州ランシングを拠点とする経済コンサルタント会社アンダーソン・エコノミック・グループによれば、ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーター、ステランティスの3社でストが10日間実施された場合、米国内総生産(GDP)は56億ドル(約8200億円)減少し、ミシガン州経済はリセッション(景気後退)に追い込まれる可能性が高い。また、一部の車種が品薄になり、記録的水準から下がり始めていた価格を押し上げる可能性もある。
UAWのショーン・フェイン委員長が14日に3社全てでスト突入も辞さない構えを見せており、実行に移せば、その影響は広範囲に及ぶ。長期にわたればサプライヤーと労働者を直撃し鉄鋼などの主要商品の価格を軟化させる。ミシガン州やオハイオ州、ウィスコンシン州の経済に打撃を与えれば、2024年の米大統領選挙で現職のバイデン氏が激戦州で厳しい闘いを迫られかねない。
アンダーソン・エコノミックのパトリック・アンダーソン最高経営責任者(CEO)は「2023年に長期ストが発生すれば、ミシガン州と中西部の一部はリセッションに陥る」と予想。「19年にGMの従業員がストを行った際、ミシガン州では第4四半期の州GDPが減少したが、他の地域ではほとんど影響がなかった。仮にUAWが3社全てでスト突入の警告を実行に移せば、今回はそれでは済まないだろう」と語った。アンダーソン・エコノミックはGMとフォードを顧客としている。
バイデン政権はストに神経をとがらせている。自動車産業は米国のGDPの約3%を占めるが、五大湖周辺地域経済にはより大きな役割を果たしており、民主党にとってミシガン州とウィスコンシン州での勝利が政権維持の鍵になる。大統領はオバマ政権とクリントン政権で国家経済会議(NEC)委員長を務め、ミシガン州出身でもあるジーン・スパーリング氏を自動車メーカーと労組の調整役に起用した。
3月から全米自動車労組(UAW)の委員長を務めるショーン・フェイン氏は、米3大自動車メーカー(ビッグスリー)に対して「宣戦」布告し、46%賃上げや、従来型の年金への復帰、週32時間労働制の導入など、自身でさえ「大胆」だとする契約要求を行った。
UAWの要求には、大幅な昇給や週労働時間の短縮に加え、生活費手当の復活、新人労働者の賃金が比較的低くなる段階的賃金制度の廃止、退職者医療制度の復活、年金支給額の引き上げなどが含まれている。
欧州の天然ガス先物が8日に急伸。米シェブロンが運営するオーストラリアの主要施設2カ所の従業員が同日、労使協議が物別れに終わったことを受け、部分的なストライキを始めた。
欧州天然ガス先物の指標、オランダTTF期近物は一時13%高となった。部分的なストはパース時間午後1時から「ゴーゴン」、「ウィートストーン」の施設で開始。両施設は2022年に世界の液化天然ガス(LNG)供給の約7%を占めた。
労組「オフショア・アライアンス」の組合員によれば、14日からは2週間にわたり全面ストに突入する予定だ。
部分ストには作業停止や残業禁止などが含まれる。オフショア・アライアンスは8日、シェブロンの交渉姿勢を批判し、「組合員はもうたくさんという思いだ」とフェイスブックに投稿した。
イタリアのメローニ首相は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する投資協定から離脱する方針を中国の李強首相に非公式に伝えた。
インドでの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席した両首相は9日に会談し、メローニ首相がイタリアの離脱方針を李首相に語った。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。イタリアは2019年、一帯一路協定に正式に署名していた。
消費者物価の伸びを抑えつつ、リセッション(景気後退)を回避したいと期待を示していたことについて問われ、イエレン氏は「私はこの予測について非常に良い感触を持っている」と発言。「まさにそのような軌道を進んでいると言わざるを得ないだろう」と話した。
米家計の純資産は4-6月(第2四半期)に増加し、過去最高水準となった。不動産と株式の値上がりが寄与した。
米連邦準備制度理事会(FRB)が8日発表した報告書によると、家計純資産は5兆5000億ドル(約812兆円)、率にして3.7%増加し、154兆3000億ドルとなった。
株式保有額が約2兆6000億ドル増加。家計が保有する不動産の価値は25億ドル増えた。
住宅販売はローン金利の上昇や供給不足が足かせとなっているものの、依然として旺盛な需要が価格を高止まりさせている。
企業の債務残高と住宅ローンを除く消費者信用残高は4-6月に、いずれも20年末以来の小幅な伸びとなった。住宅ローン債務は上向いた。
「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」に関する覚書は、EU、インド、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、米国、その他G20パートナーによって署名された。
米国は世界的なインフラ整備で中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗しようとしている。
バイデン米大統領は今回の覚書について、2つの大陸の港を結ぶ「真のビッグディール(大きなこと)」であり、「より安定・繁栄し、統合された中東」につながると述べた。
米当局者によると、この構想は中東諸国を鉄道で結び、港でインドと接続させることで輸送時間やコスト、燃料の使用量を削減し、湾岸諸国から欧州へのエネルギー・貿易の流れを後押しすることが狙い。
覚書によると、IMECはインドとアラビア湾を結ぶ東側回廊と、アラビア湾と欧州を結ぶ北側回廊の2回廊で構成されることが想定されている。
鉄道ルートに沿って、参加国は電力・データ回線用のケーブルや、発電に使用する再生可能エネルギー由来の水素パイプラインを敷設する予定だ。
米国が2026年の20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国を務めることに、中国が反対していることが分かった。英フィナンシャル・タイムズ(電子版)が9日報じた。米中の相互不信の深さを指摘している。
同紙によると、中国はインドで同日開幕したG20首脳会議の共同宣言案を巡る事前協議の場で、米国の議長国就任に関する記述を削除するよう求めた。英国など西側諸国が反対し、試みは失敗に終わったという。
少なくとも115人が死亡した米ハワイ州マウイ島の山火事は8日、発生から1カ月を迎えた。一時は千人超とされた行方不明者数について、グリーン州知事は66人に減ったと明らかにした。死者のうち50人以上の身元が判明していない。被害が大きかった島西部の観光地ラハイナでは立ち入り規制が敷かれ、再建のめどは立っていない。
植田総裁は「マイナス金利の解除後も物価目標の達成が可能と判断すれば(解除を)やる」としたうえで、現在は来年の賃金上昇につながるか見極める段階だとして「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではない」となどと発言した。
ドルは前週末NY市場終盤の147円後半から気配値を1円近く切り下げて、146円後半で週明けの取引が始まり、146円半ばまで下落する場面があった。現在は147円前半へ切り返している。
●中国・アジア・ロシア・東欧
バイデン氏は20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を終えて訪れたベトナム・ハノイで記者会見し、サミット中に中国の李強首相と会談したと明らかにした。中国の習近平国家主席と過去10カ月会談していない理由を記者に迫られると、習氏は「今、手いっぱいのようだ」とバイデン氏は答えた。習主席はG20への出席を見送った。
中国は「国際的な成長とその欠如、同国が実施してきた政策に関連したさまざまな理由で、現在厳しい経済問題を抱えている」とバイデン氏は指摘。「これが中国を台湾侵攻に向かわせるとは思わない。実際には恐らくその逆で、中国に以前と同じ能力はないだろう」と付け加えた。
バイデン氏はまた技術革新を巡る米中の緊張激化にも触れた。
「核兵器の製造を増やしたり、防衛活動に従事したりする能力を高めるような部材を中国に売るつもりはない」とバイデン大統領は語った。
「中国の封じ込めは望んでいない」と言明し、中国と信頼できる、良好な関係を持つことを確認したいだけだと述べた。
バイデン氏はベトナム共産党の最高指導者チョン書記長とハノイで会談。「われわれには極めて大きなチャンスがあると考えている」と話した。「ベトナムと米国はこの極めて重要な時期に、極めて重要なパートナーでいる。これは心底思うから言っているのであり、儀礼ではない」と述べた。
ベトナムは10日の会談で米国との関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に正式に格上げした。ベトナムの外交関係においてこれは最上位に位置し、米国は中国、インドと並んだ。
国家統計局が9日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.1%上昇。7月は0.3%低下と2021年2月以来のマイナスだった。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは0.8%上昇。
生産者物価指数(PPI)は前年同月比3%低下。7月の4.4%低下からマイナス幅が縮小した。生産者物価のデフレは約1年続いている。
経済の一部が上向く兆候は今月発表された中国の他の経済指標にも見られた。8月の製造業購買担当者指数(PMI)は7月から改善。8月の輸入の前年同月比減少率は低下し、輸出の減少率も市場予想を下回った。
ただ、引き続き警戒は必要だ。新型コロナウイルス禍後の景気回復をけん引した非製造業のPMIは8月に51と7月(51.5)を下回り、家計支出を後押しするにはさらなる政策支援が必要なことが示唆された。
ロイターが自動車メーカーや部品サプライヤーの幹部10人と工場労働者7人に行ったインタビューによると、コスト削減は部品から電気代、賃金まであらゆる面に及び、それが他の経済分野での支出も圧迫している。
問題は、多額の国家補助金によって生産能力へのばく大な投資が行われている一方で、国内の自動車需要は停滞し、家計所得が圧迫され続けていることだ、とエコノミストは指摘する。
今年1─7月に中国国内で販売された自動車は1140万台、輸出は200万台だった。輸出が81%急増した半面、広範な値下げにもかかわらず国内販売は1.7%増にとどまり、その成長はほぼ海外からもたらされた。
●中東
●中南米・アフリカ
北アフリカ・モロッコ中部で8日深夜(日本時間9日朝)に発生したマグニチュード(M)6.8の地震で、内務省は9日深夜、死者が2012人、負傷者が2059人に上ったと発表した。被害の全容は分かっておらず、犠牲者はさらに増える可能性がある。負傷者のうち重傷は1404人。
●市況
<為替> ドル/円が一時0.4%高の147.83円を付けた。昨年日本の当局による介入が行われた145円台を上回って推移している。ドル指数はこの日小動きながら週間では8週連続高となった。
UBSのFXストラテジスト、バシリ・セレブリアコフ氏は、ドル高が8週間も続くのは異例だが、ドルの上昇は毎週小さくなっていると指摘。「市場はすでにかなりドルを買い持ちにしており、上昇幅は小さい。これ以上のドル急伸は難しいのではないか」と述べた。
<債券> 国債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)高官らの利上げサイクルの一時停止を示唆する発言を受けた。
FRB当局者の最近のコメントは全体として、9月19日─20日に開催される次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を維持する方向であることを示唆しているが、インフレとの戦いが終わったと宣言するには時期尚早とみられる。投資家は、13日に発表される米消費者物価指数(CPI)を注視している。
CMEのフェドウォッチによると、20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、約93%の確率で金利が据え置かれると予想されている。一方、11月会合での利上げの確率を53.5%織り込んでいる。
<米原油先物> 需給逼迫(ひっぱく)懸念を受けた買いに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物は前日清算値(終値に相当)比0.64ドル(0.74%)高の1バレル=87.51ドルと、中心限月ベースで昨年11月中旬以来約10カ月ぶりの高値となった。週間では1.96ドル(2.29%)上昇。11月物は0.66ドル高の86.81ドル だった。
中南米金融市場では、MSCI中南米通貨指数が0.2%下落した。週間では1%超の下落となり、下落幅は過去4週間で最大となった。このところのドル高と中国の成長懸念に圧迫された。
チリペソは1.6%下落し、9カ月ぶり安値。同国の8月のインフレ率が前年比でほぼ2年ぶりの低水準に鈍化した。ウェルズ・ファーゴ証券の国際エコノミスト兼為替ストラテジスト、ブレンダン・マッケンナ氏は、チリ中銀はおそらく最も早く金融緩和を行う中央銀行の一つになるとの見通しを示した。
米国の堅調な経済指標によって高金利の長期化観測が高まり、欧州と中国の軟調な経済指標を受けて世界経済の健全性への懸念が強まったことで今週の世界の株式市場は下振れ圧力を受けた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが小幅に低下した。ただ週間では上昇する見込み。インフレ懸念と欧州中央銀行(ECB)当局者によるタカ派発言を背景に追加利上げが実施されるとの見方が強まった。金融市場が織り込む、ECBが来週の理事会で0.25%ポイントの利上げを決定する確率は約40%程度と、先週の20%から上昇した。
日経先物32485、ダウ先34934、債先146.10、米4.260、独2.6085、仏3.139、西3.645、伊4.345、英4.4660、波5.574、原油87.23、銅8,231、ドル円147.82、ユーロドル1.0700
※9/8 *時**分頃

備忘録(2023/9/7
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米連邦預金保険公社(FDIC)は7日、米銀の2023年4〜6月期の預貸利ざやが2四半期連続で縮小したと発表した。地銀破綻などで生じた預金減少はペースが大幅に鈍ったものの、預金者つなぎ留めを狙った預金金利の引き上げが響いた。
FDICは商業銀行と貯蓄金融機関(S&L)の計4645行の財務状況を集計した。貸出金利と預金金利の差を示す利ざやは3.28%で、前四半期比0.03ポイント縮小した。米連邦準備理事会(FRB)の利上げに伴い貸出金利は上昇したが、預金金利の引き上げ幅の方が大きかった。各行が預金金利を引き上げたのは預金流出を食い止めるためだ。
預金金利引き上げが奏功して4〜6月期の預金減少額は前四半期8割減の986億ドル(約14兆円)にとどまった。
4〜6月期の純利益の各行総計は前四半期比90億ドル(11%)減の708億ドルだった。FDICによると、FRCなど銀行破綻の影響を除くと「ほぼ前四半期並み」という。7日会見したグルーエンバーグ総裁も「混乱の時期を経てもなお、銀行業界は強靱(きょうじん)であり続けている」と述べた。
ただ、グルーエンバーグ氏は、金利上昇が米銀経営に与える影響を注視していく考えも改めて示した。預金急減という流動性危機はひとまず沈静化したものの、商業不動産向けの貸し出しなど、他の分野でも金利上昇の痛みが顕在化していく可能性があるためだ。
今回の集計では、銀行が保有する有価証券の含み損が5584億ドルと、3四半期ぶりに前四半期比で増加に転じたことも明らかになった。長期金利の指標である10年債利回りは8月に約16年ぶりの高水準まで上昇(債券価格は下落)しており、含み損は7〜9月期にさらに拡大する可能性もある。
●その他産業
シェブロンとオーストラリアの労働組合との交渉期限がさらに延長された。労組はスト回避の可能性は低いとしており、天然ガス市場は不安定な状況に置かれている。
新たな交渉期限はパース時間8日午後1時に設定された。7日の交渉は午後10時に終わったため、期限前に残された時間は8日午前しかない。
労組「オフショア・アライアンス」はシェブロンが提示したパッケージは要求を満たしておらず、合意に達する可能性は極めて低いと考えている。労組代表者の1人が、組織の方針に従って匿名を条件に明らかにした。
シェブロンの「ゴーゴン」と「ウィートストーン」両施設は昨年、合わせて世界の液化天然ガス(LNG)の約7%を供給した。労組は交渉が決裂した場合、まずは部分的ストを開始する計画だ。
欧州のガス価格はこの報道を受け、一時7%余り上昇した。
日本生命保険は7日、劣後特約の付いたドル建て社債を9億3000万ドル(約1300億円)発行すると発表した。ドル建ての資本調達は約2年ぶり。米国で銀行不安などが後退し、調達環境が改善したと判断した。幅広い調達手段の確保とともに、財務基盤の強化を図る。
●決算関連
2023年2〜7月期連結決算は、純利益が前年同期比11%減の924億円だった。米国の住宅ローン金利の上昇を受け、これまで業績をけん引してきた海外の戸建て住宅事業の減速が目立つ。資材価格高騰で、国内の戸建て住宅事業も振るわなかった。
●先進国、グローバル、金融市場
東京都心で大型オフィスビルの開業が相次ぐなか、在宅勤務の定着や外資系企業の事業見直しなどで空室率は6%超と10年ぶりの高水準に迫っている。賃料が3年前より約3割下がった地域も出てきた。
オフィス仲介の三鬼商事(東京・中央)によると東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は8月時点で6.4%。供給過剰の目安とされる5%を31カ月連続で上回った。大阪は4.6%、名古屋は5.5%と、他地域もコロナ前水準を超えて推移する。
不動産サービス大手のコリアーズ・インターナショナル・ジャパン(東京・千代田)の川井康平リサーチディレクター&ヘッドは「22年と比べて企業がオフィスを探す勢いが弱まっている」と指摘する。
背景に在宅勤務の一定程度の定着がある。東京都の調査によると、都内企業のテレワーク実施率は7月で45%を超える。6割を超えたピーク時よりは下がったが、コロナ拡大前の20年3月(24%)を大きく上回る。
都心のオフィス需要を支えてきた外資系企業の勢いも鈍い。デロイトトーマツグループは21年にオフィスを縮小。米IT大手は米国内外で人員削減を相次ぎ進める。「日本でも入居予定を見直したりオフィス規模を縮小したりしている」(三幸エステートの今関豊和チーフアナリスト)
大手不動産による大規模オフィスの新規供給で中小ビルの需要が奪われている側面もある。コリアーズ・インターナショナル・ジャパンによると、中小オフィスの多い品川・港南エリアの4〜6月の平均賃料は1坪(3.3平方メートル)あたり2万4800円と3年前に比べて1万円ほど下落した。
大手の新築ビルの需要は堅調だが、中小を中心にテナント確保のために値下げするところもある。業界関係者は「都心部でも駅から徒歩10分程度で中小のオフィスビルは入居企業の減少が進む」と指摘する。
一方で賃料が低下すれば、これまで都心部にオフィスを構えにくかったスタートアップにとっては、都心部に移転するきっかけにもなる。
東京商工リサーチによると不動産業は6月まで8カ月連続で倒産件数が前年同月を上回って推移した。三鬼商事と日本不動産研究所は、27年に都心5区空室率は7.2%まで悪化すると予測する。空室率の上昇と賃料の下落が進めば、中小を中心に淘汰が進む可能性がある。淘汰が進めば、体力に勝る大手に優良な物件とテナントが集中することになる。
9月2日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は21万6000件で、前週(改定値)の22万9000件から1万3000件減少した。ロイターがまとめたエコノミストの予想は23万4000件だった。
申請件数は4週間連続で減少し、2月11日までの週以来の低水準。他の指標で労働市場の軟化が始まった可能性が示唆される中でも、なお引き締まった状態にあることが示された。
8月26日までの1週間の継続受給件数は167万9000件で前週(改定値)の171万9000件から4万件減少。7月15日までの週以来の低水準となった。
6─8月に調査した産出価格上昇率予想は4.9%と、5─7月の5.2%から低下。ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月以来の低水準だった。
変動の激しい単月のデータでは7月の5.5%から4.4%に低下。現在の利上げ局面が始まる前の2021年10月以来の低水準となった。
企業の最高財務責任者(CFO)2000人以上を対象に実施した中銀の「意思決定者パネル調査」で明らかになった。
消費者物価上昇率予想は4.8%と、7月の5.4%から低下した。
賃金上昇率予想は5.0%で横ばいだった。
経済が今年0.4%のマイナス成長になるとの見通しを示し、6月の予想を据え置いた。
IFOの予測部門責任者ティモ・ボルマーショイザー氏は「これまでの予想に反して、今年の後半は回復が見込めないだろう」と述べた。
にもかかわらずIFOが予想を据え置いたのは、連邦統計局が第1・四半期の国内総生産(GDP)を0.3%減から0.1%減に修正したことが理由と説明した。
「この修正がなければ今年の経済成長率予測は0.3%ポイント引き下げ、マイナス0.7%としていた」と述べた。
第2・四半期のユーロ圏域内総生産(GDP)確報値は前期比0.1%増となった。
前年比では0.5%増と、速報値の0.6%増から下方修正された。
アルバニージー氏はインドネシアで開催された国際会議で中国の李強首相と会談。両国は「妨げのない貿易」の再開に向けて前進しているが、さらなる前進が必要だと述べた。
両国の価値観が必ずしも一致するわけではないが「対話は絶対に重要だと理解している」とも発言した。
会談後、アルバニージー氏は記者団に対し、中国で拘束されているオーストラリア人記者の問題など人権問題を提起したと発言。会談の焦点は全ての国が「平和で安全で繁栄する地域」にいかに関心を持っているかだったと述べた。
協議に詳しい関係者によると、新たな関税は市場外商慣行で利益を得ている中国からの輸入に焦点が絞られる。中国以外に対象となり得る国や関税のレベルなど、措置の範囲についてはまだ協議中。また将来的に他の国々が参加するための枠組みを提供することも期待されているという。
この協定が成立すれば、EUとバイデン政権が2021年から交渉を続けている「持続可能な鉄鋼・アルミニウムに関するグローバル・アレンジメント」の一部となる。この協議は、トランプ前大統領が国家安全保障へのリスクを理由に欧州からの金属輸入に関税を課したことに起因する、紛争の解決を目指している。
米国は2018年から25%の輸入関税を課しており、EUは独自のセーフガード措置に基づき一連の鉄鋼輸入に同率の関税を適用している。
両者は2021年に相互の輸入品を対象とした懲罰的措置を一時停止し、今年10月末までに紛争の恒久的解決策を見いだすことを目指している。現在の一時的な措置停止が延長されない場合、100億ドル(約1兆4700億円)を超える輸出品を対象としたトランプ政権時代の関税とEUの報復措置が自動的に復活することになる。
ハリス氏は、バイデン氏に不測の事態が起きた場合に大統領職を引き継ぐ準備はできているかと聞かれると「もちろん。必要ならば」と返答。しかし続けて「だがバイデン氏はうまくやるだろう。一つ言えるのは、私は毎日バイデン氏と仕事をしている(のでよく分かっている)」と語った
今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送ることが「適切になる可能性」はあるが、インフレ率を適切な時期に2%に戻すにはさらなる引き締めが必要になる公算が大きいとの見方を示した。
「予測は本質的に不確実だ。まだやるべきことがあるというのが私の基本シナリオだ」と講演原稿で述べた。「受け入れ難いほど急速な物価上昇が過去数年続いたため、過度なインフレを退治できたという確信をまだ持てていない」とした。
マックレム総裁は7日、インフレ率を目標値まで引き下げるには金利が十分高くない可能性があると述べた。
同総裁は、インフレ率が目標を上回っている理由の一つとして、利上げの効果が発現するまでに時間がかかっていることが考え得ると指摘。もう一つの可能性として「金融政策が物価の安定を回復させるのに十分なほど制約的でないこと」を挙げた。
その上で「残念なことに、長引けば長引くほどインフレ率を下げるのは難しくなるだろう」とし、高インフレが続くことは借入コストの上昇よりも国民にとって悪影響があるとの認識を示した。
また、金融政策は効果を現しており、インフレ目標も「見えてきた」と述べた。「これ以上利上げする必要はないかもしれないし、利上げするかもしれない」とした。
講演後、記者団に対し「リセッション(景気後退)に陥っているとは思わない。低水準のプラス成長を見込んでいる」と語った。
金融市場では、次回10月下旬の理事会での利上げの可能性は14%とみられている。
ウィリアムズ総裁は7日、失業率は今後数カ月に4%強まで上昇するとの見方を示した。ブルームバーグのインタビューで述べた。
ただ、こうした上昇は過去の景気後退期に見られたものとは一致しせず、現在のインフレの動きも「伝統的な」経済学とは一致しないと指摘。「景気後退が起きそうだという話はすべて消えた」とし、多くの人の見通しに変化が起きていることを指摘した。
また、金融政策が経済に影響を与えるには1─2年かかるとした上で、インフレ率を2%に戻すことに絶対的なコミットメントを表明した。
米投資会社サーベラス・キャピタル・マネジメントが過半数株式を保有する中古車ディーラー、オフ・リース・オンリーが7日、米連邦破産法11条に基づく会社更生手続きを申請した。「自動車小売業界の状況における前例のない変化」を理由に事業を段階的に縮小する計画を明らかにした。
オフ・リース・オンリーは声明で、破産申請前に他の選択肢も検討したが、金利高と物価上昇で中古車需要が低迷し、消費者が入手しにくくなったため、最終的に会社更生手続きの申請を決めたと説明。また、在庫不足やサプライチェーンの混乱、数年にわたる新車生産減少も痛手になったとした。この問題は他の同業者も圧迫している。
オフ・リース・オンリーは今年に入って米破産法の適用を申請した大手中古車ディーラーとして少なくとも2社目。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の貿易黒字が縮小している。2023年8月はドル建てで前年同月を13.2%下回り、4カ月連続で減少した。輸出の停滞が長引き、貿易で稼いだ資金の流入が細っている。国内経済の回復が鈍いため海外からの債券投資も低調で、人民元には下押し圧力がかかりやすくなっている。
中国の不動産不況が新たな段階に入った。大手開発会社のデフォルト(債務不履行)によって金融機関の損失が膨らむ事態になれば、中国国外の金融システムにも危機が飛び火する。中国経済の低迷はアジアや世界にも逆風となる。
「業績が悪化すればクロスデフォルトが発生する可能性がある」。中国不動産最大手の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は8月末、投資家に注意を促した。
碧桂園をはじめ、多額の負債を抱える不動産会社数十社がデフォルト(債務不履行)の回避に苦慮する中で、国際的な資産運用会社はコーポレートガバナンス(企業統治)や情報開示が弱い(悪化しているとの声も多い)ことが中国本土の借り手を長期的に遠ざける要因だと指摘している。その結果、今後何年にもわたって資金調達へのアクセスが細り、借り入れコストが上昇する恐れがあり、すでに低迷している中国経済のさらなる足かせになると専門家は警告している。
バジャジ氏は「グローバルな投資業界では、こうした状況はもはや容認されない」と指摘。「情報開示基準や直接的で分かりやすい情報伝達が欠如しているため、ハイイールド債を発行する多くの中国企業に対しわれわれは寛容ではなくなってきている」と述べた。
企業統治の弱さが中国投資のリスク要因だと承知していると言う国際的マネーマネジャーは多いが、特に債権者との一貫したコミュニケーションに関する基準は経営難が深刻化する中で悪化の一途をたどっているという。
米格付け会社S&Pグローバル・レーティングの企業格付けシニアディレクター、ローレンス・ルー氏は「クレジット市場の利用は決して1回限りの取引ではない。いずれ資本市場に戻りたいのであれば、中国の発行体は考え方を変える時期に来ている」と指摘した。
マレーシア中央銀行は7日、成長率とインフレが鈍化する中、予想通り政策金利を3%に据え置いた。現状維持は2会合連続。
声明で「現在の政策金利の水準で金融政策のスタンスは引き続き景気を下支えし、インフレと成長の見通しに関する評価と一致している」との認識を示した。
バンク・ムアマラット・マレーシアのチーフエコノミストMohd Afzanizam Abdul Rashid氏は、政策スタンスを「やや緩和的」とした7月の声明以来、中銀がよりハト派的なスタンスを採っていると述べた。同氏は政策金利が年内は3%に据え置かれると予想した。
●中東
今後数カ月間のトルコの金利予想を引き上げ、財政支出計画とインフレ加速により、今後2回の中銀政策決定会合で合わせて10%ポイントの利上げが行われるとの見通しを示した。
JPモルガンはノートで「利上げが前倒しされ、9月と10月にそれぞれ500ベーシスポイント(bp)引き上げられるとみている。財政支出と大幅なインフレ加速を考慮するもので、前回の250BPから上方修正となる」と説明した。
また、政策金利の今年末時点の予想を現在の35%から、来年末時点の予想も45%からそれぞれ「引き上げるリスク」があるとした。
●中南米・アフリカ
今年の国内総生産(GDP)予想の上限を、それまでのプラス0.25%からゼロ成長に下方修正した。下限予想はマイナス0.5%に据え置いた。
下方修正にあたり、ここ数カ月間に発生している鉱山の操業上の問題が生産を直撃していることによる影響を考慮したという。
一方、非鉱山部門は年内に活動が拡大する見通しとした。
来年には景気が回復し、1.25─2.25%のプラス成長になるだろうとした。
メキシコの与党・国家再生運動(MORENA)は6日、2024年6月の大統領選の公認候補にクラウディア・シェインバウム前メキシコシティ市長(61)を指名したと発表した。大統領選は与党が優勢で、左派政権による保護主義が続く可能性が高まっている。
●市況
<債券> 国債利回りが低下した。米経済指標を受けて一時上昇する場面もあったが、米連邦準備理事会(FRB)高官の発言が多く予定されていたため、それらを注視する展開となった。
<株式> S&P総合500種(.SPX)とナスダック総合(.IXIC)が続落して終了した。中国で政府職員に対するiPhone使用禁止が拡大されたとの情報を受けアップル(AAPL.O)が売られ、半導体関連株にも売りが広がった
<米原油先物> 対ユーロでのドル高を背景とした売りなどに押され、10営業日ぶりに反落した
中南米金融市場では、チリペソやメキシコペソなどが軟調となる一方、コロンビアペソなどは上昇し、まちまちとなった。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。中国政府が職員に対する米アップルのiPhoneの使用制限を拡大するとの報道が嫌気されて半導体関連銘柄が売られた。金属価格の値下がりを受け、資源株も下げた。 もっと見る
STOXX欧州600種テクノロジー株指数(.SX8P)は1.96%安。
アップル(AAPL.O)のサプライヤーである欧州半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(STMPA.PA)は4.1%下落した。ノルウェーのノルディック・セミコンダクター(NOD.OL)は6.3%安。
いずれもオランダの半導体製造装置メーカーのASMインターナショナル(ASMI.AS)、BEセミコンダクター(BESI.AS)、ASMLホールディング(ASML.AS)は3.1%─3.8%下げた。ドイツの半導体大手インフィニオン・テクノロジーズ(IFXGn.DE)は2.6%下げた。
日経先物32615、ダウ先34552,債先146.16、米4.250、独2.6095、仏3.135、西3.645、伊4.338、英4.5235、波5.699、原油86.68、銅8,310、ドル円147.25、ユーロドル1.0702
※9/8 9時25分頃

備忘録(2023/9/6
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
格付け据え置きの理由としてS&Pは、モバイル事業の赤字縮小や設備投資の削減により、非金融事業のフリーオペレーティング・キャッシュフローの赤字が今後1年─1年半で縮小すると見込んでいることを挙げた。
ネガティブのアウトルックについては、非金融事業の業績回復が進む一方で、2024─25年に満期を迎える大量の社債償還のための資金調達が依然として十分ではないためとしている。
オフィススペースの賃料水準についてビルの保有者と再交渉する方針を示した。全世界約700カ所に及ぶ拠点ほぼすべてが再交渉の対象になると通告した。事業継続に黄信号がともるなか、費用削減で財務てこ入れを狙う。米商業用不動産や日本への影響は大きそうだ。
2023年4〜6月期に営業費用の3分の2以上を占めた賃料負担について、声明は「高すぎて、現在の市況から大きく逸脱している」と説明した。再交渉がうまくいかなければ「不採算の拠点からの撤退を想定している」と明らかにした。
在宅勤務の定着や資金調達コストの増大により、ウィーワークは経営難にある。8月8日には、最終赤字の持続と手元資金の減少に伴い、事業継続に「重大な疑義」が生じていると開示していた。賃料の再交渉には、事業規模の縮小を通じて資金流出に歯止めをかける狙いがあるとみられる。
米国の商業用不動産は苦境が一段と深まりそうだ。ウィーワークは18年時点で「ニューヨーク・マンハッタン地域で最大のオフィステナントになった」と発表していた。英バークレイズのリー・オーバービー氏はウィーワークが破産した場合「不動産のキャッシュフローのリスクが非常に高まる」と指摘する。
米連邦準備理事会(FRB)が22年に始めた利上げにより、オフィスビルの保有者はローン借り換えに苦戦している。都市部のオフィスビル向け融資では延滞や債務不履行(デフォルト)が散発する。大手テナントであるウィーワークの事業縮小はこうした流れに拍車をかける。
日本での影響も出てきそうだ。ウィーワークの4〜6月期の国別売上高で日本は5400万ドル(約80億円)。米国(3億4400万ドル)と英国(1億3100万ドル)に次ぐ3番目だ。拠点数が減ればシェアオフィス利用者にしわ寄せがいきかねない。
クローガー(KR.N)とアルバートソンズ・カンパニーズ(ACI.N)は、400余りの店舗をC&Sホールセール・グローサーズに約20億ドルで売却する方針だ。これにより、クローガーがアルバートソンズを245億ドルで買収する計画が米規制当局に承認されると期待している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
店舗が売却されれば、卸売業中心のC&Sは店舗網を大きく拡大できる。C&Sは現在、「グランド・ユニオン」と「ピグリー・ウィグリー」のブランドで約24店舗を展開している。
関係者の話では、ソフトバンクグループ(SBG)(9984.T)が店舗売却計画の一部に対する金融支援についてC&Sと協議している。
SBGはハイテク関連の企業買収に関与することが多いが、C&Sのリック・コーエン会長と結び付きがある。SBGは倉庫自動化を手がける米シンボティック(SYM.O)と合弁会社を設立するが、シンボティックの最高経営責任者(CEO)をコーエン氏が務めているためだ。
クローガーとアルバートソンズが売却する店舗は、太平洋沿岸北西部と山岳地帯の州が中心で、カリフォルニア、テキサス、イリノイの各州や東海岸の一部店舗も含まれるという。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
K2の調査責任者ジョージ・ブーブラス氏は「ドルをショートするのはあまりに危険なように思われる」と言う。同氏はオーストラリア・ドルなどリスクセンチメントに敏感な通貨に対してドルが上昇するとみている。より高くより長くという米金融政策のテーマが市場で優勢になり、「市場は2024年の米利下げ観測を何回も織り込んでは失敗するだろう」と話した。
さらに、中国経済の勢いが弱まっているため、逃避先としてのドルの需要が高まりそうだ。また、ユーロなどには成長の弱さから下押し圧力が続くだろう。ユーロは7月のピークから5%下落、オフショア人民元は先月11月以来の安値水準。日本と米国の金利差のために円は今四半期に5%以上下落した。
個人消費や住宅投資など、予想よりも力強い一連の経済統計発表を受け、複数のエコノミストはそれぞれGDP見通しを上方修正している。アトランタ連銀の経済予測モデルGDPナウが示唆する7-9月(第3四半期)のGDP伸び率は年率5.6%となっている。 
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「6、7両月の個人消費は力強く、第3四半期はこの時点で実質的に織り込み済みだ」と指摘。7-9月期のGDP伸び率を3.7%と予想する同氏は「5%は高過ぎるように見受けられるが不可能ではない」としている。
GDP伸び率が四半期ベースで3.2%を上回れば、新型コロナウイルス禍の初期的ショックから米経済が急回復していた21年以来の高成長となる。不動産危機の深刻化に伴い、この数週間に経済見通しが下方修正されている中国とは対照的な成長加速と言える。
6月14日に発表されたFOMC参加者の前回予測では、23年のGDP伸び率見通しは中央値で1%とされ、この数字自体、年内の景気の急激な落ち込みを意味する3月時点の予測(0.4%)から上方修正されたものだった。
調査会社インフレーション・インサイツ創業者のオメイア・シャリフ社長は、今月19、20両日のFOMC会合後に発表される最新予測について、GDP伸び率見通しが恐らく1.8%ないし2%に上方修正され、失業率予想は下方修正される可能性があると見込んでいる。
シャリフ氏はさらに、GDP予想の引き上げに伴って、金融当局者が24年中に予想する利下げ幅も0.75ポイントと、6月の前回予測の1ポイントから圧縮されるかもしれないと話した。
KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「米景気は夏にかけて加速したものの、金融当局は9月が過ぎ去るのを待つ方針だ。ソフトランディング(軟着陸)ないし、ソフティッシュランディング(やや柔らかめの着陸)が今は最も可能性が高いシナリオだ」と語った。
リセッション(景気後退)の確率が低下したとしても、10-12月(第4四半期)の成長鈍化見通しにおおむね変更はない。迫りつつある逆風としてはガソリン価格の上昇や学生ローンの返済再開、連邦政府機関閉鎖の可能性などが挙げられる。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏は「第3四半期のGDPが強い数字となる可能性について、BEではソフトランディングの可能性が高まることを示唆するとみておらず、第4四半期がマイナス成長となる確率が高まると認識している」と論じる。
その上で、第4四半期にはその前の四半期に匹敵するような力が見込まれず、「学生ローンの返済再開に加え、消費者ローンの延滞率上昇や労働市場の軟化を考慮すると、第4四半期の個人消費は弱いものとなる公算が大きい」との分析を示した。
TDバンク・グループのシニアエコノミスト、トーマス・フェルトメート氏は学生ローンの返済再開について、「2700万人強の借り手が月ごとの返済を開始しなければならず、個人消費に多少の重しとなるだろう」と話す。
同氏また、「最近数カ月に金利が上昇し、信用状況が引き続きタイトであることを特に踏まえると、今後数四半期には企業の設備投資も幾分勢いを失うと見込まれる」とコメントした。
同氏は共同執筆したリポートで、米国の実質国内総生産(GDP)成長率は2.4%の「上振れサプライズ」となるとし、8月エコノミスト調査のコンセンサス予想である2%を上回る伸びになるとの予想を示した。来年のインフレ率については、米金融当局の目標である2%を上回る2.7%と予想している。
6日に発表予定の同報告書では、投資家は金やインフレ連動国債、不動産投資信託など従来のヘッジ手段以外にも目を向けるべきだと指摘。アセットベースファイナンスや不動産、データセンターや光ファイバーといったインフラなどの実物資産の方が、インフレ環境にかかわらずより高いリターンが期待できるとした。
コリンズ氏はボストンでのイベントで講演し、「政策サイクルのこの局面では、進路を維持する中、忍耐強さや総体的なデータ評価が求められる」と発言。「政策金利のピークに近い、もしくはそこに達しているかもしれないが、今後発表されるデータ次第では一段の引き締めが正当化される可能性がある」と話した。発言は講演原稿に基づく。
米金融当局は「金利を景気抑制的な水準でしばらく維持する必要があるだろう」と同氏は指摘。需要は鈍化しつつあるが、引き続き供給を上回っており、物価圧力に拍車をかけていると説明した。
その上で、コアインフレは「小幅」に減速しただけだとし、労働市場の需給バランスをさらに取り戻す必要があるとの考えを示した。
「期待の持てる進展はあるが、需要の強さが続いていることを踏まえれば、最近の改善をインフレが2%に戻る持続的な軌道にある証拠として捉えるのは時期尚早だというのが私の見解だ」と続けた。
8月の非製造業総合指数は54.5と前月の52.7から上昇し、2月以来の高水準となった。新規受注が堅調に推移したほか、価格指数も上昇した。
非製造業は米経済の3分の2以上に相当。指数が50を上回ると拡大を示す。
ロイターがまとめた市場予想は52.5だった。53.9を超える数値を予想するエコノミストはいなかった。
新規受注指数は7月の55.0から57.5に上昇。価格指数も56.8から58.9に上昇した。
PNCフィナンシャル・サービシズ・グループのシニア・エコノミスト、カート・ランキン氏は新規受注の好調を踏まえ「米国の消費者や企業活動は金利上昇や債務の蓄積、貯蓄の枯渇といった重力に逆らい続けている」と指摘した。
ウェルズ・ファーゴのシニア・エコノミスト、ティム・クインラン氏は「労働市場全体で賃金の上昇は緩やかになってきたが、高止まりが続きそうだ」とみる。
バークレイズのエコノミストチームは「インフレの減速が持続するかどうかは不確実性が高いことを強調する内容だった」と指摘した。
マックレム総裁率いるカナダ中銀は、政策金利である翌日物金利を22年ぶり高水準の5%で維持した。ブルームバーグのエコノミスト調査でも据え置きが予想されていた。政策の現状維持を決めるのは現行の引き締めサイクルにおいては3度目。借り入れコストは2022年3月以降、475ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げられている。
「経済において過剰需要が和らぎつつある兆候が最近見られる中、金融政策の遅行効果を踏まえ、政策委員会は政策の現状維持を決定した」と同中銀は説明。しかし、当局者らは「基調的なインフレ圧力の根強さを引き続き懸念している」とし、「必要に応じて政策金利をさらに引き上げる用意がある」と表明した。
欧州中央銀行(ECB)はインフレ率を2%に確実に戻すため、もう1回利上げを行う必要があると、政策委員会メンバーのカジミール・スロバキア中銀総裁が述べた。
来週の会合では利上げと利上げ停止の選択肢があるが、カジミール氏は利上げの方が望ましいとの考えを示した。
電子メールで配布した論説で、9月利上げは「より簡単で効率的な解決策だ。ターミナル金利について市場により明瞭なシグナルを送ることになるし、インフレ率が目標に向かって持続可能な下降線をたどっているかどうかをわれわれが判断する時間が増える」と説明した。
カジミール氏は「後悔するより安全な方がいい」と述べ、「8月のユーロ圏インフレ動向は、インフレに対する勝利を宣言するのは明らかに早過ぎることを再確認させた。インフレ率は頑強に高止まりし、インフレ期待も2%の目標を大幅に上回っている」と指摘した。
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁によると、市場は恐らく9月のECB利上げの可能性を過小評価している。
クノット氏は6日、アムステルダムでのインタビューで、域内の景気減速が需要を減退させることは確実だが、ECBが来週発表する最新のインフレ見通しは6月時点とさほど変わらないだろうと述べた。
インフレ率が中期的には目標に戻ることしか予想していないその見通しが、連続10回目の利上げを正当化するかどうかは「微妙なところだ」という。
クノット氏は「私は、2025年末にインフレ目標の2%を達成することが、最低限すべきことだと考え続けている。その期限をさらに先延ばしにするような展開には明らかに違和感を覚える。少し前倒しになったとしても気にならない」と語った。
クノット氏の発言を受けて市場は13、14両日の政策委員会での利上げ決定の確率35%を織り込み、発言前の約30%から上昇させた。
クノット氏の発言は、13、14日の会合前1週間の沈黙期間が始まる数時間前のもので、決定に関する最後の手掛かり一つだが、内容は会合の行方が依然として予断を許さないことを確認するものだった。中銀預金金利は現在3.75%。
「市場はせめぎ合っている。恐らくわれわれも来週、同様にせめぎ合うだろう。しかしその果てには確実に決定がある」と語った。
クノット氏は「われわれは引き締めサイクルの微妙な段階に入った。「引き締め、つまり追加利上げの可能性はまだあるが、確実ではない」と述べた。
市場は欧州での製造業に続くサービス業の低迷や中国経済を揺るがす問題に注目しているが、ECBが7月以降に入手した主要なハード指標は4-6月(第2四半期)の域内総生産(GDP)だけだ。
労働市場は底堅さを見せ、実質所得は回復を始め、住宅市場にも底打ちの兆しがある。
「悲観的になり過ぎないようにと促したい。今話題になっているのは景気の弱さであって全面的な景気後退ではない」とクノット氏は述べた。
インフレの動向についての判断も難しいが、基調的な物価圧力は横ばいとなったようであり、今後数カ月で「大幅に低下するだろう」と予想した。
賃金交渉と企業の価格決定行動が、インフレ率がどれだけ早く目標に戻るかのカギを握るだろう。
「2025年末までに2%を目指すディスインフレプロセスにおいて、賃金の伸びが目に見えて減速することは極めて重要だ」とクノット氏は指摘。「現在の賃金協定を見ると、インフレ2%、生産性上昇率0.5%という状態との長期的な整合性からはまだかなりかけ離れている」との見方を示した。
インフレ期待は依然として「よく抑えられている。ただ一部は私が納得できる範囲の上限にある」と付け加えた。
ビルロワドガロー氏はテレビ局BFMビジネスに対し、「9月14日の決定について今日話すつもりはない。今度の会合に限らず、その後の会合においてもわれわれの選択肢がオープンであることを踏まえればなおさらだ」と述べた。その上で同氏は「われわれが金利のピーク地点に近い、あるいは非常に近いことは確信している」と続けた。
同氏はまた、金利を高い水準で十分な期間維持することは、再び「大幅な」引き上げを実施するよりも重要だとの認識を示した。
ドイツの製造業受注は7月に大きく減少した。欧州最大の経済が直面する苦境が7-9月(第3四半期)に入っても続いていることを示唆した。
受注は前月から11.7%減少し、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想(4.3%減)より大幅な落ち込みとなった。ただ、6月の大口受注の影響で前月比では減少したものの、これがなければ0.3%増となっていた。
ドイツのショルツ首相は6日、下院で演説し、経済面でここ数年広がっている「お役所仕事、リスク回避、失望というカビ」を払拭するため国内の団結を呼びかけた。
「市民はこの行き詰まりにうんざりしており、私もそう思っている」と強調。官僚主義を排除し、新規建設承認プロセスを迅速化するほか、政府サービスへのアクセスデジタル化を目的とした一連の措置を盛り込んだ新しい「ドイツ協定」を発表した。
協定には風力発電所や交通・データネットワークに関する迅速オンライン協議プロセスなど、強力な地方政府との話し合いによって達成されるさまざまな目標を定めている。
高いインフレ、資金調達コスト、輸出の落ち込みと闘う経済を押し上げるための新たな景気刺激策は否定。政府はすでに記録的な額を投じていると述べた。
自動車や宝飾品に使う貴金属プラチナ(白金)の需要が伸びている。国際調査機関、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が6日発表したリポートによると、2023年4〜6月の世界の総需要量は217万1000トロイオンス(約68トン)と、前年同期に比べ31%増えた。
みずほのエネルギー先物担当ディレクター、ボブ・ヨーガー氏は「米国内の原油供給量はかなり少なく、数週間にわたる大幅な原油在庫減が価格を押し上げている」と述べた。
ここ数カ月に米国の女性が達成した歴史的な労働力増加は、失速あるいは逆転の危機にひんしている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に保育事業者に与えられた生命線が断たれるからだ。推定7万もの保育プログラムが閉鎖に追い込まれる恐れがある。
240億ドル(約3兆5400億円)の政府援助は9月末に失効すする。すでにコスト高と労働力不足に苦しむ保育事業者に、打撃を与えることになる。センチュリー財団が最近試算したところによると、およそ320万人の子どもたちが行き場を失う可能性がある。
保育環境の悪化によって、保護者、特に女性は労働時間を減らし、拘束時間の少ない職務に移る、あるいは労働市場から完全に撤退する恐れがある。
ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は育児コストの上昇は「職場への復帰、あるいは仕事を続けることの価値について、多くの親の計算を狂わせる」と述べた。
米地区連銀経済報告:経済と雇用の伸び鈍化、大半が「成長緩慢」
ベージュブックは「大半の地区の調査先が、経済成長は緩慢だったと指摘した」と記した。
また、ほぼ全ての地区で企業は「賃金の伸びが短期的に広い範囲で鈍化するという、これまで実現しなかった予想をあらためて示した」としている。 
先週発表された8月の米雇用統計は、雇用が広範囲に増加したにもかかわらず、労働市場の一部が冷え込みつつあることを示唆した。平均時給は前月比の上昇率が、昨年早期以来の低い伸びにとどまった。
ベージュブックによると「大半の地区は物価上昇が総じて減速したと報告した。減速ペースは製造業と消費財のセクターでより速かった」。その一方で、「いくつかの地区では、過去数カ月間に損害保険料が急激に上昇したと調査先が指摘した」と記している。
今回のベージュブックは12地区連銀が8月28日までに集めた情報を基に、カンザスシティー連銀がまとめた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
碧桂園は複数の人民元建て債で元本支払いの3年延長を提案。これに関する投票が7日に始まり、11日に終わる。最も差し迫っているのが元本残高14億3500万元(約290億円)のプッタブル債で、14日には投資家の償還要求が可能になる。
このため、今回の債権者投票の結果は、碧桂園の今後を大きく左右する。承認の獲得に失敗すれば、14日にも数カ月で最大規模の返済に見舞われる可能性がある。今月24日には、より規模が大きい元本残高20億元のプッタブル債でも繰り上げ償還の要求が可能となる。
ルクロー・アナリティクスのシニアクレジットアナリスト、レナード・ロー氏は6日、「碧桂園の将来的なデフォルト(債務不履行)リスクはなお非常に高く、今後の利払い期限はいずれもリスクイベントになり得る」と指摘。「これから償還期限を迎えるオフショア債についても、碧桂園は延長や再編を探らなければならないだろう」と分析した。
●中東
大統領は「金融政策引き締めの支援を受け、われわれはインフレ率を1桁台に押し下げ、経常収支を改善する」と語った。トルコ政府はこの日、向こう3年の経済目標を公表した。大統領はまた、政府として消費者需要を抑制すると述べた。一方で「経済成長に関して譲歩するつもりはない」とも語った。
サウジアラビアは5日、ロシアの輸出制限とともに自主減産の延長を表明し、市場の価格に大きな影響をあたえる自国の力を誇示した。長期的な関係修復をのぞみながらも、足元ではインフレ克服に苦しむ米国を露骨に挑発している。政治的な影響力をねらって主張を強めるサウジの動きは、世界経済の波乱要因となる。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドルが一時6カ月ぶり高値を更新した。一時は下落していたものの、米ISM非製造業指数が予想外に強い内容となり、根強いインフレ圧力を示唆したことを受け、切り返した。ただ、午後に入り商いが薄くなると、上げを一部削る展開となった。
<債券> 国債利回りがおおむね上昇した。米供給管理協会(ISM)の8月の非製造業総合指数が予想外に上昇し、インフレ圧力がなお力強いことが示された。
<株式> ナスダック総合(.IXIC) を中心に主要3株価指数が続落して取引を終えた。予想を上回る米サービス部門の経済指標を受け、依然として根強いインフレが利上げ長期化につながるとの懸念が強まった。
<米原油先物> 需給逼迫(ひっぱく)懸念が広がる中を、9営業日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は前日比0.85ドル(0.98%)高の1バレル=87.54ドル。前日に続き、中心限月ベースで昨年11月中旬以来10カ月ぶりの高値を付けた。11月物は0.78ドル高の86.79ドルだった。
中南米金融市場では、メキシコぺソを筆頭に域内通貨が総じて下落した。米国の堅調な経済指標を受けてドルが6カ月ぶりの高値を記録した。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。世界的な成長鈍化や政策金利の高止まりへの懸念が重しとなった。債券利回りの上昇も株価を圧迫した。
STOXX欧州高級品株10種指数(.STXLUXP)は3.11%下落。中国へのエクスポージャーが高いフランスの高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA)が3.6%下げた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが2週間ぶりの高水準を付けた。欧州中央銀行(ECB)の調査で消費者のインフレ期待が上昇し、再利上げの可能性が高まったことを受けた。
金融市場では、9月14日の理事会で0.25%ポイントの利上げが実施される確率が40%程度となった。先週は約20%だった。
日経先物32925、ダウ先34470、債先145.96、米4.298、独2.6545、仏3.185、西3.704、伊4.400、英4.5820、波5.556、原油87.67、銅8,365、ドル円147.71、ユーロドル1.0724
※9/7 8時45分頃

備忘録(2023/9/5
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
スイス銀行協会は5日、国内銀行全体のバランスシートが2022年に6.9%縮小し、3兆3397億スイスフラン(3兆7600億ドル)になったとする年次報告書を公表した。
大幅な縮小はこの10年で初めて。「大手銀行の落ち込みは特に大きく、おそらくクレディ・スイスの顧客資金のシフトが主因だろう」としている。
●その他産業
アームは5日、米証券取引委員会(SEC)に提出した文書で、9550万米国預託株式(ADS)を1ADS当たり47-51ドルで売り出す計画を示した。ブルームバーグの算出によれば、この計画はアームの企業価値を最大約545億ドルと評価するものとなる。引き受け会社は追加で最大700万ADSを購入するオプションがある。
アームは以前、80億-100億ドル規模のIPOを目指していたが、ソフトバンクGがビジョン・ファンドが保有する25%の株式を買い取り、さらに多くの株式を保有することを決めたため、目標が引き下げられた。
届け出によると、ソフトバンクGはIPO完了後も、アーム株の約90%を保持する。
IPO価格が仮条件の下限となっても、アームのIPO規模はジョンソン・エンド・ジョンソンのコンシューマーヘルス部門ケンビューによる43億7000万ドルを上回り、今年世界最大となる。
調達額はロードショー(機関投資家向け説明会)での投資家の需要次第でさらに変動する可能性がある。アームは13日にIPO価格を決定し14日から取引を開始することを考えている。
アップル、エヌビディア、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、アルファベット傘下のグーグル、インテル、聯発科技(メディアテック)、台湾積体電路製造(TSMC)のTSMCパートナーズ、シノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズを含むアームの顧客10社がアンカー投資家となり最大7億3500万ドル相当のADSを購入する意向を示している。
超大型株膨張の危険性を警告することで知られるアーノット氏は、そうした脅威を緩和するパッシブ運用プロダクトの設計者でもある。年初から232%上昇したエヌビディア株は、コンピューターサイエンス革命の流れに乗っているのかもしれないが、「大いなる市場の妄想として教科書で説明するような話だ」とリポートで指摘した。
「過信に陥った市場は逆説的に、ビジネスの輝かしい未来をもっと輝かしい現在の株価水準に変えてしまう」とアーノット氏は110倍近辺の株価収益率(PER)を引き合いに説明。「エヌビディアはそうしたジャンルの典型だ。偉大な企業が完璧を超えた価格で評価されている」と述べた。
エヌビディアが急落すれば、市場全体を道連れにするだろうかとの問いかけに対し、アーノット氏は「その可能性は十分にある」と、インタビューで答えた。
アーノット氏がバブル疑惑を指摘して厳しい意見を述べるのは、これが初めてではない。同氏は巨大企業による影響を限定する手法で従来の株価指数を組み直す、いわゆるスマートベータシステムを設計した人だ。テスラが新規採用銘柄として過去最大の時価総額を持ってS&P500種に組み入れられた後の2020年12月、同氏はテスラがS&P500種株価指数を押し下げると予測していた。実際にはテスラ株とS&P500種はいずれも、この予測後に約20%上昇している。
アーノット氏によれば、多くの投資家はざっと1兆2000億ドル(約177兆円)という規模から「安全な投資対象」と思い込み、エヌビディア株を買っている。しかし「大き過ぎて倒れない」のではなく、「大き過ぎて成功しない」のだと同氏は話した。
「われわれの読みが外れ、エヌビディアが信じがたいような繁栄へ向かい、株価が今後10年でまた10倍に跳ね上がるというリスクは考えられる」と、アーノット氏。「はっきり言ってその信ぴょう性は乏しい。だからこれをバブルと呼んで差し支えないだろう」と述べた。
空調や冷蔵設備を扱う米レノックス・インターナショナルの株価が好調だ。1日には一時前日比2%高の383.59ドルと上場来高値を更新した。世界的なESG(環境・社会・企業統治)の潮流を背景に、環境負荷の低い空調機が今後拡大するとみる投資家の買いが続いている。
訴訟では、アマゾンが外部出品者に代わって物流サービスを提供するフルフィルメント・バイ・アマゾンと、外部出品者によるウェブサイトでの価格設定を標的としており、アマゾンを解体する可能性のある「構造的救済策」を提案する予定だという。
アマゾンはオンラインプラットフォーム上で外部出品者を冷遇しているなどと批判されてきた。FTCの調査はトランプ前政権下で開始。アマゾンが独禁法違反の指摘に対処する提案を行わなかったため、FTCは提訴に踏み切るとみられている。
サウジアラビアの通信会社サウジ・テレコムは5日、スペインの同業テレフォニカの9.9%株式を取得したと発表した。
サウジ・テレコムは届け出の中で、今回の取引は「有望な市場で付加価値の高い戦略的資産の株式を取得することによって事業を拡大する 」という戦略に沿ったものだと説明している。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ウォラー氏は経済専門局CNBCとのインタビューで、「差し迫ってすぐに何かをする必要があると示すものは一切ない」と発言。次回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で金利据え置きを支持することを示唆した。その上で、「何もしないで、データを待つことが可能だ」と述べた。
ウォラー氏は7月13日、「インフレ率が当局目標に向け鈍化し続けるためには、年内に0.25ポイントずつ、あと2回引き上げる必要があるとみている」と話していた。同氏は7月会合で利上げに賛成票を投じた。
この日のインタビューでは、年内の追加利上げを支持するかどうか明言を避け、今後発表されるデータ次第になると語った。
今後12カ月のインフレ期待は前回調査と同じ3.4%にとどまった。3年先については2.3%から2.4%に上昇し、3年後もインフレ率がECB目標の2%を上回るとの予想があらためて示された。
先週発表された8月のユーロ圏インフレ率は総合、コアともに5.3%だった。
短期金融市場は14日の4%への利上げ確率25%を織り込んでいる。
ECBチーフエコノミストのレーン理事は5日、物価について慎重ながらも楽観的な見通しを示した。アイルランドのウェブサイト「カレンシー」とのインタビューで、当局が注目するコアインフレは「秋の間を通して低下すると予想している」と述べ「モノのインフレとサービスインフレに幾分の鈍化が見られたという事実を強調しておきたい。これは望ましい展開だ」と語った。
ECBの調査によると、消費者は今後12カ月間の経済成長率予想を6月のマイナス0.6%からマイナス0.7%に変更。やや悲観的になっている。
5日発表された別のデータによると、ユーロ圏の8月のサービス業購買担当者指数(PMI)改定値は速報から下方修正された。製造業が低迷する中でリセッション(景気後退)回避に貢献してきたサービス業の弱さが鮮明になった。
政策委員会メンバーのビスコ・イタリア中銀総裁は同日のイベントで「金融政策の将来の見通しを考えるに当たって、非常に慎重にならなければならないだろう」と語った。
ハッチウス氏の15%というリセッション確率見通しは、ブルームバーグのコンセンサス予想の60%を大きく下回っている。また、ゴールドマンは米経済成長率についても同業他社よりも楽観的で、24年末までの成長ペースを平均2%と予測している。ハッチウス氏は、米金融当局による9月利上げは「検討されていない」ほか、11月利上げのハードルは「大きい」と指摘した。
「米利上げが終了したとの確信は、ここ1カ月で強まっている」とし、失業率の上昇や賃金の伸び鈍化などが、米金融当局の金利据え置きを後押しするだろうと同氏は付け加えた。
「とはいえ、今後数四半期にわれわれの予想以上に成長が鈍化しない限り、米金融当局が緩和に向けて迅速に動く可能性は低い」とハッチウス氏は分析。「したがって、24年4-6月(第2四半期)から四半期当たり25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の極めて緩やかな利下げにとどまる」との見通しを示した。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5日の政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を4.1%に据え置くことを決定。ロウ総裁は在任中最後となる今回の会合で、引き締め姿勢を維持した。
ロウ総裁は政策発表後の声明で、「合理的な時間枠でインフレ率が目標に戻るよう万全を期すには、金融政策のさらなる引き締めが必要となる可能性があるが、それは引き続きデータと進行中のリスク評価次第になるだろう」と指摘した。
ロウ総裁は経済やインフレを巡る「見通しにはかなりの不確実性がある」としたほか、豪州でサービス価格インフレが長期化するリスクを強調した。
ソフトランディング(軟着陸)への道筋は「狭い」との認識を示しつつ、インフレ率を目標に戻すために必要な措置を取るとあらためて表明した。
求人サイトを運営するインディードのエコノミスト、カラム・ピカリング氏は「豪経済は年後半も引き続き鈍化し、失業率は4%に向かうと予想される。それによって国内インフレ要因の一部を解消することができれば、豪中銀の引き締めサイクルは終わる可能性がある」との見方を示した。
オーストラリアで米英との安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を巡り懸念が浮上している。与党労働党は8月、政権交代後初めて開いた党大会で、白熱した議論の末にオーカスへの党内の支持をまとめた。だが党内部でもオーカスで進める原子力潜水艦配備に関わる巨額投資や軍備拡張競争を不安視する声は根強く、今後の配備計画の火種となる可能性は残る。
ロンドンに次ぐ英国第2の都市のバーミンガム市議会は5日、事実上の財政破綻を宣言した。賃金格差の是正などに関する支出が膨らみ、財源が足りなくなった。困窮者の保護や法定サービス以外の財政支出をただちに停止する。
インターナショナル・ファイナンシング・レビュー(IFR)のデータによると、5日には少なくとも21件の投資適格債の発行が予定されている。英食品・日用品大手ユニリーバや米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)(PM.N)、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)などの名前が上がっている。
9月は1000億─1500億ドルの新規債券発行が見込まれるという。
TDセキュリティーズUSAの米国金利戦略責任者、ゲンナディ・ゴールドバーグ氏は「9月は供給が非常に多くなる傾向があり、新発債の購入余地を作るために国債や既存の債券を売却する人が多い」と述べた。
モルガンは「中国人民元の一段安を見込んでおり、中国のマクロ面でのリスクが軟調な世界(経済)成長や新興国中央銀行の緩和サイクルへの一段の圧力になる」とし、新興国通貨の見通しを変更した。
一方、「新興国市場の金利とクレジットは、中立スタンスを維持する」としている。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国不動産開発大手の碧桂園が、ドル建て社債2本の利払いを猶予期間内に実施したと債権者に通知した。非公開情報だとして匿名を条件に同社債保有者が明らかにした。同社にとって初のデフォルト(債務不履行)は回避された。
同社は本来の期日までに利払いを実施できず、30日間の猶予期間内に計2250万ドル(約33億円)の利息を支払う必要があった。当初の利払い期限だった8月6日は日曜日で、事実上の期日が8月7日となり、猶予期間は9月5日か9月6日に終わることになっていた。
だが、今後も試練が待ち受けている。碧桂園は年内に20億ドルを超える可能性がある社債元利払いをなお控えている。
碧桂園はさらに8本の人民元建て債について、償還期限を3年延長することを提案した。同社アドバイザーから説明を受けたとする保有者が明らかにした。
ロイターによると、政府系の中国集成電路産業投資基金は同基金としては3つ目となるこれまでで最大規模のファンドを設立する。この数カ月で当局から承認を得ており、財政省が600億元を拠出する可能性があるという。このプロセスは時間を要する恐れがあるほか、投資家候補や立ち上げ時期は不明だとロイターは伝えた。
ユニオンバンケールプリヴェ(UBP)のマネジングディレクター、ベイサーン・リン氏は「サプライチェーンは長く、高度に集積され、専門的で絶えず向上しており、どれだけの資金を投じたとしても、アクセスが制限されている最先端の技術に中国が追い付ける可能性は極めて低い」と分析。「5年遅れにとどまるだけでも大変なことだ」と述べた。
中国が領土や領海を示す最新の地図を公表したことを巡り、フィリピンとマレーシア、台湾、ベトナムのアジア4カ国・地域が31日、一斉に抗議の声を上げた。
中国はこれまで「九段線」と呼ぶ独自の境界線を設定し、係争地域の多さで世界屈指の南シナ海の広大な地域を領土・領海に含めてきたが、最新地図では境界線が「十段線」に改められ、南シナ海のほぼ90%に中国の権益が及ぶとされている。
財務省を統括するセター首相を待ち受けている課題の一つが、10月1日から始まる新会計年度の予算確定だ。政府はすでに生活費の負担を緩和し、5000億ドル(約74兆円)規模の経済への投資を促進する対策の一環として、エネルギー価格と市内電車運賃を引き下げ、農民の債務返済を一時的に停止する計画を発表している。
セター首相のタイ貢献党は16歳以上の国民約5500万人に対し、現金160億ドル相当を支給する計画を推進すると表明。首相によると、いわゆるデジタルウォレット計画は消費と投資の刺激が狙い。
香港の商業ビルの処分を検討する資産運用会社が増えている。金利上昇により不動産ローンの支払い負担が大きくなっているためで、一部では返済額が家賃収入を上回っている。
コロナ後の香港では、金利上昇や世界経済と中国経済の低迷により商業用不動産の販売・賃貸は予想より回復が鈍い。
オフィスの価格は2019年のピークから30%以上下落し、多くの国際企業が拠点を縮小したり撤退したりした。クッシュマン&ウェークフィールドのデータによると、平均賃料も34%下落し、空室率は6月末時点で17.3%に上昇した。
不動産業者によると、金利コストの上昇によりキャッシュフローがマイナスになったため、投資家がビルを保有する動機はほとんどないという。
香港当局は香港ドルを米ドルと連動させているため、金融政策で米国と歩調を合わせている。このため銀行間金利が今年急上昇し、現在は09年の水準で推移している。
商業ビルの購入意欲も落ち込んでいる。高水準の金利を巡る不透明感や厳しい信用状況、高い借り換え需要により投資家がより慎重になっているためだ。
不動産コンサルタント会社CBREによると、第2・四半期の商業用不動産投資額は65%減の47億香港ドルと、四半期ベースでは過去14年間で最低となった。上半期は09年以来の低水準を記録した。
クッシュマン&ウェークフィールドの香港資本市場担当エグゼクティブディレクター、トム・コー氏は「市場には現在、より多くの資産が存在するが取引が増えるとは限らない。買い手と売り手の期待が離れている上に、不動産購入のための資金調達が難しいからだ」と指摘した。
インドの8月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)は60.1と、前月の62.3から低下した。
ただ、高いインフレ圧力にもかかわらず、全体としては好調を維持しており、力強い外需を背景に輸出は過去最高を記録した。
ロイターがまとめた市場予想は61.0。好不況の分かれ目となる50を25カ月連続で上回った。2011年8月以降で最長となる。
S&Pグローバルの経済アソシエートディレクター、ポリアンナ・デリマ氏は「海外需要の急増が過去13年間で有数の良好な販売動向を支え、人員と生産の拡大を促した」と指摘。
「需要の力強さも先行きの楽観度を高める要因となっており、経済成長見通しに良い兆しが出ている」と述べた。
需要全体を示すサブ指数は60.0と引き続き高水準だったが、前月の13年ぶり高水準(62.2)からは小幅に低下した。
外需は14年9月の調査開始以降で最高だった。
今後1年間の事業見通しは昨年12月以降で最も良好。雇用創出ペースは過去9カ月で最高だった。
産出価格指数は6月に記録した高水準に並んだ。投入価格の上昇率は鈍化した。
同氏は「好調な需要動向を背景にインドサービス業の販売価格の上昇率は約6年ぶりの高水準に並んだ。政策当局が注目し、利下げが遅れる可能性がある」と述べた。
●中東
国営サウジ通信(SPA)によれば、サウジは日量100万バレルの自主減産を12月まで継続する。産油量は日量約900万バレルと、7年ぶりの低水準となる。ロシアも日量30万バレルの輸出削減を年内続ける。
ブルームバーグが先週まとめたトレーダーとアナリストを対象にした調査では、サウジは自主減産を1カ月延長すると回答者25人中20人がみており、今回のサウジの決定は市場予想を上回る内容だった。
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の主要メンバーによるこうした動きを受け、北海ブレント原油は昨年11月以来となるバレル90ドル台に上昇した。
トルコ中央銀行がリラ預金を為替相場下落の影響から保護する制度(KKM)の解除に乗り出したことに伴って、これまでにKKM口座から流出した資金の大半が外貨預金に戻っている。各種データや銀行関係者の話で明らかになった。
KKMは2021年終盤、リラ安を防止する対策として導入された。ただそれ以降もリラは下げ続け、KKMの運営負担が重くなるなどの問題が浮上。エルドアン大統領の再選後、経済・金融政策の正常化が進められる下で、この制度も見直されることになった。
国務省によると、ブリンケン長官はネタニヤフ首相とイスラエルの地域統合の拡大のほか、イランによる脅威への対抗などを巡り協議した。
アッバス議長との会談では、ヨルダン川西岸で続いている暴力について懸念を表明。「2国家共存」への支持のほか、その存続を危うくする行動への対応についても協議した。
米国は目下、サウジに国家としてイスラエルを承認させる見返りとして、米国がサウジに安全保障を確約することを目指した枠組みに取り組んでいる。
●中南米・アフリカ
2023年第2・四半期の国内総生産(GDP)は前期比(季節調整済み)で0.6%増えた。農業と鉱業がそれぞれ伸び、市場予想の0.1%増を上回った。第1・四半期は0.4%増えていた。
第2・四半期の前年同期比は1.6%増。
エコノミストらは南半球の冬季に計画停電が増えて成長率が抑えられると予想していたが、電力会社エスコムが計画停電の水準をいくらか緩和した。
統計局によると、第2・四半期に10業種のうち6業種が前期比でプラスになった。
スタンダード・チャータードのアフリカ・中東担当チーフエコノミスト、ラジア・カーン氏は「電力に依存する鉱業や製造業は停電に強いことが証明され、電力分野のメンテナンスが強化されつつある中で、この強さが続くことが少なくともいくらかは期待される」との見方を示した。
南アフリカ準備銀行(中央銀行)は23年の経済成長率が0.4%となり、中期的にはわずかな上昇にとどまると予想している。
チリ中央銀行は5日、主要金利を0.75ポイント引き下げ9.5%とした。最近の自国通貨安でインフレ圧力のリスクが再燃する中、利下げのペースを緩和した。
チリ中銀の政策決定は全会一致。ブルームバーグの調査ではアナリスト22人中13人が0.75ポイントの利下げを予測。他の9人は2会合連続での1ポイント引き下げを予想していた。
チリとブラジル、ウルグアイ、パラグアイは早期で積極的な金融引き締めの恩恵を受け、利下げを開始した最初の中南米諸国。エコノミストはペルーやメキシコ、コロンビアが今後数カ月以内に追随すると予想している。 
●市況
<為替> ドルが主要通貨バスケットに対し上昇し、6カ月ぶり高値に迫った。中国をはじめ、世界の成長鈍化を巡る懸念から、安全資産としてのドルへの投資妙味が強まった。
豪ドル/米ドルは1.29%下落し、10カ月ぶり安値を更新。中国の経済成長減速を巡る懸念に加え、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が5日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを4.10%に据え置いたことが材料視された。
<債券> 国債利回りが上昇した。指標となる10年債は約1週間ぶりの高水準を付けた。この日発表された指標を受けた。
米商務省が5日発表した7月の製造業新規受注は前月比2.1%減少した。予想の2.5%ほど大きく減少しなかった。
<米原油先物> サウジアラビアとロシアによる供給削減方針の延長を背景に需給逼迫(ひっぱく)懸念が強まり、8営業日続伸した。米国産標準油種WTI10月物の清算値(終値に相当)は、前週末比1.14ドル(1.33%)高の1バレル=86.69ドル。中心限月ベースでは昨年11月中旬以来10カ月ぶりの高値となった。11月物は1.26ドル高の86.01ドル。
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。振るわない経済指標を受けて英国の消費需要減退への懸念が高まった。
S&Pグローバル/CIPSが発表した8月の英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は1月以来初めて、好不況の分かれ目となる50を下回った
また、英バークレイズが公表したデータも8月の英個人消費の伸びが鈍化し、景気低迷の兆候を示した。
中国の8月のサービス部門PMIが低調だったことを背景にコモディティー(商品)関連銘柄が売られ、FTSE350種鉱業株指数は0.79%下げた。
JPモルガンが食料品価格の下落の可能性を理由に欧州の食品小売セクターを警戒したことから、英国と欧州全域で小売業銘柄が下落。小売株指数は1.02%下げた。
<欧州株式市場> 下落して取引を終えた。中国とユーロ圏それぞれのサービス業景況感が低迷し、世界経済の成長鈍化への懸念が強まった。一方、石油・ガス株が上昇したことで下げ幅は抑えられた。
中国への依存度が高いSTOXX欧州高級品株10種指数は1.15%下げた。STOXX欧州600種建設・資材株指数も1.01%下落。
<ユーロ圏債券> 欧州中央銀行(ECB)のインフレ期待を巡る調査結果を受け、国債利回りが上昇した。
ECBが5日公表した調査結果によると、3年先のインフレ率予想は7月に2.4%と、6月の2.3%から上昇した。いずれもECBの目標2%を上回っている。
ただ、ECBが14日に開く理事会でいかなる決定を下そうと、市場ではECBの利上げサイクルは終了に近づいているとの見方が織り込まれているため、アナリストは借入コストは現在のレンジで推移すると予想している。
短期金融市場では、ECBが14日の理事会で0.25%ポイントの利上げを決定する確率は約30%と見込まれている。また、短期金融市場で予想されているECBのターミナルレート(政策金利の最終到達点)見通しが3.9%であることを踏まえると、60%の確率で年末までに利上げが実施される見通し。
日経先物32912、ダウ先34700、債先145.92、米4.260、独2.6185、仏3.147、西3.665、伊4.338、英4.5495、波5.555、原油86.83、銅8,465、ドル円147.58、ユーロドル1.0722
※9/6 9時20分頃

備忘録(2023/9/4
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
ノボノルディスクは4日、英国で肥満症治療薬「ウゴービ」の販売を開始した。先行して発売した米国では需要に供給が追い付かない状況になっており、英で発売を「管理・制限」すると表明した。
欧州の主要市場での発売は7月のドイツに続く2カ国目。市場の規模が小さいノルウェーとデンマークでも販売されている。
米国での旺盛な需要に供給が追いつかず、欧州の大半の市場では事実上の発売延期を余儀なくされている。
それでもなお、ウゴービと糖尿病薬「オゼンピック」への強い需要を背景にノボの株価と収益は過去最高水準に達しており、1日の取引で時価総額は仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)を追い抜き、欧州で首位に躍り出た。
ウゴービは週1回注射で投与する。英国のドラッグストア大手は公的医療制度を利用しない顧客への価格を1カ月分で195─299ポンド(246─377ドル)の範囲で設定するとしている。
米国では1カ月分が最高1350ドルで販売されている。
2019年の経済協力開発機構(OECD)の報告書によると、英国では成人の3人に1人近くが肥満で、欧州で最も高い割合となっている。
●その他産業
メルセデス・ベンツは、2030年までに欧州で同社の販売する新車が全て電気自動車(EV)になるとは見通せない――。オラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)は、自動車ショー「IAAモビリティ」会場におけるインタビューでこう語った。
メルセデスは以前から、市場環境が整えば30年までに全新車販売をEV化することを目指しているとしながらも、最終的に欲しい車を決めるのは顧客であり、EV移行にはインフラ整備も不可欠だと主張している。
こうした中でケレニウス氏は、欧州のEV市場は近年著しく成長したと指摘。しかし「30年に欧州自動車市場全体だけでなく、恐らくメルセデス(の新車)の100%がEVにならないのは明らかだ」と述べた。
一方で同氏は「われわれは(100%EV化へ向けて)準備をするだろう。だが戦術的な柔軟性も持ち合わせることになる」と説明し、同じ車種でもEVと内燃エンジン車のどちらも生産する能力に言及した。
今年1─7月の欧州におけるEV販売台数は前年同期比55%近く増加しておよそ82万台と、自動車販売全体の13%前後となっている。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
オーストラリア先住民の地位確立のための憲法改正について、豪紙オーストラリアンが4日公表した世論調査結果によると、賛成が38%、反対が53%だった。7月の前回調査と比べ賛成は3ポイント減り、過去最低となった。反対は5ポイント上昇した。10月14日に国民投票が迫る中、改憲を推進するアルバニージー政権への逆風は強まる一方だ。
アルバニージー政権は8月30日、国民投票の期日を発表。調査はその前後の8月下旬から9月初めにかけて1200人を対象に実施された。改憲案は先住民のアボリジニとトレス海峡諸島民を「最初の豪州人」と明記し、議会や政府に意見具申できる代表機関を創設する内容。
2月時点では賛成が20ポイント近い差でリードしていたが、発議の動きが進むにつれて低下し、賛否が逆転。2月に賛成が7割を超えていた与党・労働党支持層の間でも、今回調査で賛成は61%に減り、政権の足元ですら離反が進んでいる。アルバニージー首相の支持率も7月から6ポイント低下して46%となった。
改憲への支持が低下している原因としては、政権が代表機関の権限や人選方法といった具体像を示していないことや、最大野党・自由党などが「代表機関は国民を分断する」と激しい反対運動を展開していることが挙げられる。国民投票までの約40日間で形勢を逆転させるのは政権にとって険しい道となりそうだ。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は4日、労働・エネルギー市場の変化や地政学的な混乱が物価の変動を引き起こす中、中央銀行はインフレ期待を目標に固定させる必要があると述べた。
ラガルド総裁はロンドンで開催されたイベントで「中銀にとって、こうした相対的な物価変動が起こる間はインフレ期待をしっかりと固定させておくことが重要になる」と述べた。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、中国への訪問を終えるにあたり、同基金と中国が「強力なパートナーシップ」を築いていると語った。中国は多くの新興国にとって最大の貸し手であり、債務や財政の安定性を巡る協議で重要な役割を担っている。
ゲオルギエワ氏は4日に中国のソーシャルメディア、微博(ウェイボ)の認証済みアカウントに投稿した動画で「多くの国が新型コロナウイルスや世界のショックに脆弱(ぜいじゃく)な環境では、IMFがこれらの国々を助ける資金力を持つことが重要だ」とし、「世界の金融セーフティーネットの中心であるIMFの役割を認めた中国に感謝している」と述べた。
エコノミスト調査では、豪中銀は政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を3会合連続で4.1%に据え置くとほぼ全員が予想。借り入れコストは11年ぶりの高水準にあり需要を鈍らせている。ロウ総裁は政策をキャリブレーション(目盛り)で調節する段階に入っており、経済データに応じて微調整を行う可能性があるとしている。
最新統計によれば、7月のインフレ率は4.9%と予想を下回り、ピークだった2022年12月の8.4%から減速している。数日前の発表では、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視する米個人消費支出(PCE)コア価格指数は7月に前月比ベースで小幅な上昇にとどまり、2カ月間の伸びとしては2020年終盤以来の最小となった。
オーストラリア・コモンウェルス銀行のシニアエコノミスト、ベリンダ・アレン氏は、「利上げのきっかけはない」と指摘。過去1カ月のデータの流れと、これまでに実施された大幅利上げからみて9月の政策決定は、予断を許さなかった過去2回の会合とは異なりより明確だろうとの見方を示した。
ロウ総裁は他の先進国中銀より慎重な政策行動をとっており、これまでの利上げ幅は4ポイントと、ニュージーランドや米国の5.25ポイントより小幅。豪中銀は物価上昇率が依然として高く、2-3%の目標内に収まるのは25年後半以降と予想されているにものの、過去2会合で利上げを見送った。
こうしたアプローチは、ロウ総裁が家計の重い債務負担を意識し、豪経済をソフトランディング(軟着陸)させたいと考えていることを映すものだ。エコノミストらは、ロウ総裁が今週、引き締めバイアスを維持すると予想。ブロック次期総裁は先週、豪中銀は「まだ再利上げが必要かもしれない」と述べ、政策当局が月単位で行動すると付け加えた。
短期金融市場は、豪中銀が年内は金利を据え置くとの見通しを織り込んでおり、利下げが完全に織り込まれるのは24年後半になるとの見方を示唆している。エコノミストらは同中銀がもう1回利上げし、政策金利を4.35%まで引き上げるとみており、来年5月に緩和サイクルが始まると予測している。
ハント氏は3日放送された英BBCの番組で、政府が「長期の英経済に正しい判断を下している」とした上で、「それはわれわれが手掛けていることであり、その計画が機能していることが見て取れる」と述べた。
4日の議会審議再開を控えた声明発表後に同氏は発言した。声明で政府はインフレ率を年内に5%程度に抑制という目標を達成するとしている。
新型コロナウイルス流行とロシアのウクライナ侵攻を受けた消費者物価の高騰で、昨年の英インフレ率は一時11.1%と、約40年ぶりの高水準に達した。スナク首相は2025年1月までに行われる総選挙に向けた公約の一つとして、年内にインフレ率を約5%に押し下げると表明している。現在は6.8%で、さらに「一時的な急上昇」の恐れもあるが年末までに目標値に下がるだろうとハント氏はBBCに語った。
イングランド銀行(英中央銀行)は金融政策に関する8月の報告書で、物価がまだ「高過ぎる」と指摘した。中銀はインフレ率が年内に前年同月比で5%程度に減速すると予測している。ただこれは2%という目標をなお大きく上回る水準。
バート・ガイセンス氏らアナリストはリポートで、不動産株が厳しい1年を経て売られ過ぎになったとし、その根拠として低水準の負債と十分な資本を伴うバランスシートを挙げた。
「広範な英エクスポージャーとサブセクターとしてのオフィスが好まれないことは承知しているが、足元のバリュエーションでリスク・リワードは魅力的だ」と指摘。不動産投資開発のハマーソンについて事業再編の進展を評価して投資判断を「オーバーウエート」に引き上げた。同社の株価は4日、一時4.8%上昇した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
謎に包まれていた今夏の「北戴河会議」の雰囲気が明らかになりつつある。それは、習近平(シー・ジンピン)が、中国共産党総書記に就いてから昨年までの過去10年とは全く違っていた。
象徴的なのは、長老グループからの厳しい「諫言(かんげん)」と、それを受けて習が、自らの側近らを叱咤(しった)激励した「怒り」である。内政に混乱の兆しがあるといってよい。
中国の何立峰副首相は4日、低価格住宅の長期的な供給を強化するため、手ごろな価格の住宅を「厳格な管理」の下に置き、転売を禁止するよう呼びかけた。
新華社によると副首相は、手ごろな価格の住宅の建設を「困難で複雑な」体系的プロジェクトとし、建設の合理的なペースを維持しながら、厳格な管理とコスト制御を行うよう求めた。
中国では、経済低迷が雇用見通しや所得に打撃を与え、市民の住宅購入資金の調達が困難になっている。また、住宅が数年後に市場で転売されることも住宅価格の高騰につながっている。
ブルームバーグ・ニュースから委託を受けた調査会社テックインサイツがMate 60 Proを分解したところ、同端末にはSMICが製造した新たな「麒麟9000s」チップが搭載されていた。テックインサイツによると、このプロセッサーはSMICの最先端7ナノテクノロジーを初めて使用しており、中国政府にとっては国内半導体エコシステム(生態系)の構築に向けた取り組みで一定の前進を見せたことを示唆している。
先端半導体を量産、あるいは妥当なコストで製造できるかなど、SMICやファーウェイの進展ぶりについては不明な点がまだ多い。しかし、今回の発見によって、軍事能力の向上に使われる恐れがあるとの懸念から、最先端技術への中国のアクセスを阻む米国主導の世界的な取り組みの有効性に疑念が生じている。
テックインサイツが分解したところ、Mate 60 Proの主要プロセッサーは世界の最新技術から二世代遅れており、中国の半導体製造にはまだ性能面でギャップがある。
●中東
トルコのエルドアン大統領は4日、ロシア南部ソチを訪れてプーチン大統領と会談した。ロシアが7月に停止した、ウクライナ産穀物を黒海経由で輸出するための合意枠組みへの復帰を直接働きかけたが溝は埋まらず、協議を続けるもようだ。
8月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比58.9%だったと発表した。47.8%だった7月に続いて2カ月連続でインフレが加速した。5月の大統領選の後に進んだ通貨下落などが響いた。
6月に就任したシムシェキ財務相はCPIの発表後、X(旧ツイッター)に「インフレとの戦いには時間がかかる。今は移行期だ」と投稿し、国民に理解を求めた。
トルコでは、エルドアン大統領が再選された選挙の前の金融緩和や財政出動の影響で物価が上昇した。選挙後には経済・金融政策の人事を刷新し、金融引き締めに転じたが、足元では金利と物価が同時に上昇する苦境になっている。
中央銀行は7月、2023年末時点でインフレ率が58%になるとの予想を示していた。
インフレの実態は当局の統計より進んでいると指摘する声もある。民間の学者らで独自に物価を調査するENAグループは4日、8月のCPI上昇率が128%だったと発表した。
イタリアのウルソ経済開発相は4日、今年5月に承認された「メイド・イン・イタリー」ファンドへのサウジアラビアの投資について、同国と協議していると明らかにした。
同ファンドは2023年に7億ユーロ(7億5600万ドル)の初期基金が設けられ、来年はさらに3億ユーロが国から拠出される。
関係筋は以前ロイターに対して、イタリアのメローニ首相がファンドを拡充するために政府系ファンドに働きかけていると述べていた。
ファンドは、主要サプライチェーン(供給網)上で事業展開するイタリア国内企業を支援するとともに、重要な原材料の調達と再利用を促進することを目的としている。
イタリアとサウジは4日、経済関係を強化し、エネルギーなど戦略的に重要な分野への投資を促進する協定に調印したと発表した。
ウルソ氏は投資イベントで、世界はわれわれが取り組む価値観と大きく異なるという前提から出発しなければならないと語った。
イスラエル中央銀行は4日、インフレ緩和の兆しがあるとして、政策金利を2006年後半以来の高水準となる4.75%で据え置いた。据え置きは2会合連続で予想通りだった。
これに先立ち、国内ラジオでヤロン総裁がこの日、任期を迎える年末に留任を希望しないと発言すると報じられていたが、イスラエル中銀はこれを否定。「これまで総裁が述べてきたように、総裁は(ユダヤ人の)ホリデーシーズン前後に任期延長に関する決定を下す」とした。今年のホリデーシーズンは9月16日から10月7日となっている。
エコノミストの多くはイスラエル中銀の利上げサイクルは終わり、2024年に利下げを開始すると見込んでいるが、イスラエル中銀はこの日、「インフレ環境が予想通り緩やかな状態を維持しなければ」、将来的に利上げを実施しなければならない現実的な可能性が残っているとした。
また「ここ数カ月のイスラエル通貨シェケルの下落はインフレ率の上昇に寄与しており、今後数カ月の為替レートの動向はインフレの動きに影響を与える」とした。
●中南米・アフリカ
ブラジル中央銀行は1日、政府が2024年度予算で基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字を抑制する方針を示したことを評価し、財政健全化はインフレ期待を公式目標に近づける上で重要だとの認識を示した。
カンポス・ネト総裁は企業団体LIDEがワシントンで主催したイベントで「(財政)目標の維持は極めて重要だ」と述べた。
ブラジル政府は前日、来年の均衡予算を想定した法案を議会に提出した。
中銀が市場関係者を対象に実施した調査によると、24年のプライマリーバランスの赤字は現在、国内総生産(GDP)比0.8%になると予想されているが、総裁は政府の歳入拡大策が議会で支持を集め、条件が改善するだろうと発言。「こうした財政の収れんは健全な金融の収れん、つまり長期の低金利を達成する上で必要だ」と述べた。
中銀のガブリエル・ガリポロ理事(金融政策担当)も、証券会社XPがサンパウロで主催したイベントで、財政健全化はインフレ期待を公式目標に近づける上で重要だと指摘。政府の新たな財政ルールでは歳出の伸び率を歳入の伸び率に応じて抑制するため、歳入が減れば歳出も制限されると述べた。
●市況
中南米金融市場では、ブラジルレアルが上昇し、域内通貨高を主導した。
レアルは0.3%上昇。鉄鉱石価格の上昇などを受けた。
コロンビアペソは0.2%上昇。原油価格の上昇を受け3連騰となった。
チリペソは0.9%下落した。銅の最大消費国である中国の需要懸念などが背景にある
<外為市場> 欧州外為市場では、安全通貨であるドルが下落した。中国の景気刺激策が中国経済を安定させるかもしれないとの期待からリスク心理が改善した。
ラボバンクの外為戦略部門責任者、ジェーン・フォーリー氏は「中国の支援策を背景にリスク選好が改善し、ドルは今日、他のほとんどのG10(主要10カ国)通貨に対して軟調に推移している」と述べた。
<欧州株式市場> ほぼ横ばいで取引を終えた。中国の景気刺激策に対する楽観的な見方が後退する一方、デンマークの製薬大手ノボノルディスクが0.7%上昇し史上最高値を更新した。
日経先物32690、ダウ先34847、債先146.06、米4.205、独2.5765、仏3.099、西3.607、伊4.286、英4.5030、波5.590、原油85.80、銅8,451、ドル円146.51、ユーロドル1.0793
※9/5 8時30分頃

備忘録(2023/9/1-3)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米シリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャー・バンクの経営破綻を受けた新たな資本要件提案を満たすことを目指し、米地銀は6月以来最大の規模で債券市場に戻ってくる構えだ。
米連邦預金保険公社(FDIC)と連邦準備制度理事会(FRB)が先週発表した提案が実施される場合、規模が大きめの地銀は混乱時の損失から身を守るため、長期債のさらなる発行が必要となりそうだ。
クレディットサイツによれば、新たな規則に対応するためにこうした地銀は計約405億ドル(約5兆9220億円)相当の持ち株会社の社債発行が恐らく必要になり、各行は新規則の要件を満たすのに何年かの猶予があるとしても、近い将来に最初のディールが見られるようになる可能性がある。
クレディットサイツのシニアアナリスト、ピーター・サイモン氏は監督強化の対象となる地銀や消費者金融会社について、年内に恐らく少なくとも150億ドル相当の社債を発行すると推計。さらに、「このグループは2024年末までに440億ドル相当の満期を迎え、必要とされる発行額は大きい」と指摘した。
予想される大量発行は最近数カ月の流れとは異なる。比較的規模が小さめの銀行は発行に消極的であったか、それができなかったためだ。SVB破綻後は、格付け会社による格下げの動きが相次ぎ、借り入れが可能であったとしてもコストは割高となった。
ブルームバーグ・ニュースがまとめた暫定データによると、3-8月の地銀の発行は前年同期を40%下回った。ブルームバーグ・インテリジェンスのクレジットアナリスト、アーノルド・カクダ氏は「債券市場での社債発行をやや遠慮していた中規模地銀は発行に動き始める必要があるだろう」としている。
FDICは29日、資産規模が1000億ドル以上の銀行に対し、深刻なストレス時の資本消失を補うのに十分な長期債発行を義務付ける提案を行った。従来はもっと規模が大きい銀行にだけ適用された要件だ。
規模やタイミングがどうであれ、地銀が新たな社債発行に動けば、債券マネジャーはその購入に関心を持つ公算が大きい。
インベスコの北米投資適格債担当責任者、マット・ブリル氏は「地銀が投資適格債市場で最も割安な部分に属する点を踏まえれば、投資家の累積需要があるだろ」と述べ、「ここで重要なポイントは、銀行は借り入れができ、投資家は適正価格でそれができるようにする用意があるということだ」と話した。
平均的な優良企業と特に比較した場合の地銀のリスクプレミアムは4月の時点よりは大幅に小さくなっている。当時は一連の地銀破綻を受けてスプレッドが拡大していた。利回り低下後、高格付け企業の平均的な借り入れコストが先週全般的に下がったことも地銀にとって前向きだ。
ただ、地銀の一部は借り入れコストの一段の低下を見越して、シクリカルな発行増が見込まれる9月ではなく、もっと機が熟するのを待つ可能性もある。
シティグループの北米デット・キャピタル・マーケット担当共同責任者、ピーター・アハーン氏は「スプレッドは過去の基準に照らしてまだ大きい。銀行がこうした市場に駆り立てられるように感じるか確かでない」と話した。
アムジェンによる希少疾患用バイオ医薬品メーカー、ホライゾン・セラピューティクスの買収を認めた。FTCは5月に一部の希少疾患の治療薬を巡り独占的な強みがさらに増すとして買収差し止めを目指して提訴していた。FTCとの和解で買収は実現する見通しだ。
FTCが買収で問題にしていたのは、ホライゾン社が主力製品に持つ甲状腺眼症治療薬のテプロツムマブ(米国の製品名はテペッザ)と慢性難治性痛風の治療薬クリステクサだ。FTCはこれらの薬をアムジェンの製品と抱き合わせで販売しないとする2社の合意を受け入れた。
アムジェンが今後、甲状腺眼症と痛風の治療薬を持つ会社を買収する際には事前にFTCの許可を取ることを条件とした。
両社との和解を受けて、FTCのリナ・カーン委員長は声明で「今後も患者の治療薬へのアクセスを妨げ、薬価上昇につながるような違法行為には対抗していく」と指摘した。製薬会社の合併をめぐるFTCの提訴は約14年ぶりだったという。
●その他産業
●決算関連
5-7月(第2四半期)決算で、パソコン(PC)とデータセンター・ハードウエアの売上高が予想を上回った。企業向けテクノロジー市場の回復への期待を高めている。同社はまた、企業の人工知能(AI)活用を支援する製品への需要が「長期的な追い風だ」と指摘した。
同社の発表資料によると、5-7月期の売上高は13%減の229億ドル(約3兆3300億円)。ブルームバーグが調査したアナリストの平均予想は208億ドルだった。一部項目を除いた1株利益は1.74ドルで、平均予想の1.14ドルを上回った。
コンピューター業界は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期の後、急速な需要減速に見舞われ、困難な1年となった。デルは市場の変化に対応するため、今年に入って販売組織を再編し、約6650人を削減した。 
クラーク最高執行責任者(COO)は決算後の電話会見で、「下期に入り、マクロ環境で見られる幾つかの兆候に勇気づけられている」とし、「特に6月と7月に入り、需要環境は予想以上の速さで改善した」と語った。
マクギル最高財務責任者(CFO)によると、10月までの今四半期の売上高は約230億ドルの見通し。アナリストの平均予想は217億ドル。同CFOによれば、中小企業や政府系顧客からの需要が安定する兆しがある一方で、大口顧客は購入に引き続き「慎重な」姿勢を示している。 
●先進国、グローバル、金融市場
8月の雇用統計で、雇用増に貢献した業種の数が今年1月以来の多さとなったことが分かった。8月は失業率が3.8%に上昇したが、失業率の上昇が労働市場の弱体化を示すものではないとの見方が改めて裏付けられた。
労働省は毎月の雇用統計と共に、雇用を増やしている業種を追跡する雇用ディフュージョン・インデックス(DI)を公表。8月の雇用DIは63.8と、前月の56.8から上昇した。指数が50を上回ると、雇用を増加させた業種が削減した業種を上回っていることを示す。
雇用増が最も顕著だったのは金利に敏感な製造業で、DIは55.6と、前月の47.9から上昇し、昨年11月以来の高水準を付けた。
雇用DIは月ごとの変動が大きく、12カ月移動平均でみると、8月は60.6と、2022年7月に付けたピーク(74.1)からは着実に低下している。
8月の雇用DIの回復が継続するかは不明。ただ、PNCのチーフ・エコノミスト、ガス・フォーチャー氏は「DIは22年の水準からは低下傾向にあるが、景気サイクルを踏まえると想定内」としている。
8月の雇用統計で非農業部門雇用者数は18万7000人増加。失業率は3.8%で7月の3.5%から上昇。2022年2月以来の高水準となった。
8月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数が予想以上に増加したものの、失業率は悪化し、賃金の伸びは鈍化した。労働市場の逼迫緩和を示唆し、米連邦準備理事会(FRB)が今月、利上げを見送るとの見方が強まる可能性がある。
非農業部門雇用者数は18万7000人増加。増加数は過去12カ月の月平均(27万1000人)を大きく下回った。ただ、労働年齢人口の増加に対応するために毎月約10万人の雇用増が必要とされているが、この水準は大きく上回っている。
7月分は18万7000人増から15万7000人増に下方改定。6月と7月の増加分は合計11万人下方改定された。
ロイターがまとめたエコノミストの予想は17万人増加。ハリウッド俳優のストライキや運輸会社の経営破綻があり、伸び鈍化が予想されていた。
失業率は3.8%で7月の3.5%から上昇。2022年2月以来の高水準となった。ただFRBの第4・四半期の予想中央値(4.1%)は下回っている。
8月は73万6000人が雇用市場に参入し、労働参加率は過去3年半で最高となった。
賃金の伸びはやや鈍化。平均時給は前月比0.2%上昇と、伸びは22年2月以来の小ささとなった。7月は0.4%上昇だった。前年比では4.3%上昇。7月は4.4%上昇だった。
大幅な利上げを受け労働市場に減速の兆しが出る中、コメリカ銀行(ダラス)のチーフエコノミスト、ビル・アダムス氏は、今回の雇用統計は「FRBにとって理想的だった」としたほか、FWDBONDS(ニューヨーク)のチーフ・エコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「米経済はゆっくりと、しかし確実に減速している」とし、「FRBが9月の会合で再利上げを行う可能性にとどめを刺すものだった」と述べた。
一方、ロヨラ・メリーマウント大学のスンウォン・ソン教授(金融・経済学)は「物価の面ではこのところ進展がみられているものの、失業率が3.8%と労働市場はなお引き締まっており、政策担当者が大きく安心することはない」と語った。
<予想との乖離>
米国の映画製作の中心地ハリウッドで全米の俳優ら16万人が加盟する組合などがストライキを行っていることに加え、8月上旬のトラック物流大手のイエロー・コーポレーションの破綻で約3万人が失業したことなどを踏まえ、エコノミストは8月の雇用増は鈍化すると予想していた。このため、ロイターがまとめた非農業部門雇用者の増加数のエコノミスト予想のレンジは4万─27万8000人と幅広かった。
例年8月は当初は雇用者数が軟調で、その後9月と10月に上方修正される傾向があることもエコノミスト予想に織り込まれていた。
<サービス業の労働需要堅調>
労働需要は鈍化しつつあるものの、医療、外食、宿泊などの一部サービス業の需要は強い。ヘルスケアが7万1000人増加し、8月の雇用増全般をけん引。レジャー・接客は4万人増加した。
建設は2万2000人増、製造は1万6000人増。専門・ビジネスサービスは1万9000人増。ただ、将来的な雇用を示すとされる人材派遣は1万9000人減と、減少が続いた。
運輸・倉庫はトラック物流大手イエローの破綻を反映し、3万4000人減。情報業はハリウッドのストの影響で減少した。
<労働参加率20年2月以来の高水準>
失業率算出に利用される家計調査の中身はまちまち。家計調査に基づく雇用は22万2000人増加したものの、73万6000人の労働市場への参入者を吸収するには十分ではなく、失業率の上昇につながった。
労働参加率は62.8%と、前月の62.6%から上昇し、20年2月以来の高水準となった。
米国の非農業部門雇用者数は8月に堅調なペースで増加したが、賃金の伸びは鈍化した。労働市場の底堅さと鈍化の両方を示す強弱まちまちの内容となった。
雇用者数の動向には、映画および陸運産業での合計5万4000人の減少を含む。それはエンターテインメント業界でのストライキと大手陸運会社の事業閉鎖を主に反映している。
労働市場は今年、米経済を支え、少なくとも短期的にはリセッション(景気後退)を回避する一助となっている可能性がある。ここ数カ月、求人件数と賃金上昇率はともに後退しているものの、雇用と所得は個人消費を後押しするほど堅調だ。
とはいえ、今回の雇用統計では、前月までの雇用が従来発表ほど好調ではなかったことが示された。6月と7月の雇用者数は11万人下方修正された。労働統計局が8月23日に発表した年次ベンチマーク改定の速報値によれば、3月までの1年間の雇用者増は30万6000人下方修正されそうなことも明らかになっている。
ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー両エコノミストは「8月雇用統計は雇用者数の上振れとは裏腹に、利上げサイクルの一時停止を示唆する弱さがある。時間当たり賃金の伸びは著しく鈍化し、労働参加率は上昇した。特に高齢労働者と働き盛りの年齢層の女性で顕著だ。さらに、過去の数字は再び下方修正された」と述べた。
今回の雇用統計は労働力として復帰している人が増えていることを示し、賃金上昇圧力を和らげる一助となる可能性もある。全体の労働参加率(就業者および求職者の合計である労働力人口の生産年齢人口に占める割合)は3月以来初めて上昇し、62.8%と2020年2月以来の高水準になった。「プライムエージ」と呼ばれる25-54歳の働き盛りの層では過去最高に近づいた。
労働力需給のバランスが取れてきたことで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時の大幅な賃上げも影を潜めた。平均時給は前月比0.2%上昇と、昨年初め以来の低い伸び。前年同月比では4.3%上昇した。
8月の雇用者数の増加は、ヘルスケア、娯楽・ホスピタリティー、建設業にけん引され、広範囲に及んだ。製造業の雇用者数は昨年10月以来の大幅増となり、機械や金属加工の雇用増を反映した。
ハリウッド俳優労組によるストやトラック運送会社イエローの破綻がなければ、雇用者数はさらに増加していた可能性がある。全米自動車労組(UAW)によるストや政府閉鎖の可能性も、今後数カ月の雇用者数に影響する可能性がある。
従業員の削減に動いている企業もある。TモバイルUSやチャールズ・シュワブが新たな人員削減を発表したため、8月のレイオフ者数(発表ベース)は3カ月ぶりの高水準となった。
回答率の低下から雇用統計の正確性を疑問視するエコノミストもいる。給与と賃金のデータを作成する事業所調査の回答率は、8月としては2006年以来の低さだった。
週平均労働時間は34.4時間にわずかに拡大した。需要が弱まると雇用主が人員を削減する前に労働時間を短縮させる傾向があるため、エコノミストはこの指標に注目している。
不完全雇用率(フルタイムでの雇用を望みながらもパートタイムの職に就いている労働者を含む、より広い意味での失業率)は7.1%と、過去1年余りで最高となった。
臨時雇用者数は7カ月連続で減少し、約2年ぶりの低水準。この指標は通常、労働市場の方向性を示す先行指標となっている。
労働力への再加入者は2022年6月以来の高水準となった。しかし、8月に仕事を見つけられなかった人の数は増加した。
◎プラント・モラン・ファイナンシャル・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)、ジム・ベアード氏:
労働市場冷え込みの兆しは依然として良いニュースであり、利上げサイクルの終了が近いかもしれないという希望的観測を支えるものだ。インフレが沈静化し続ければ、米金融当局は今後1年間で利下げに踏み切る可能性がある。
◎CIBCプライベート・ウェルス・マネジメントのデービッド・ドナベディアンCIO:
今回の統計は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月の会合で金利を引き上げる可能性は極めて低いという市場のコンセンサスを支える内容だ。雇用の伸び減速、労働参加率の上昇、所得の伸び鈍化の組み合わせは、米金融当局の視点で見ればほぼ完璧な内容だ。
◎プレミア・ミトン・インベスターズのCIO、ニール・ビレル氏:
市場はピーク金利の到来が早まる兆しと受け止めるだろう。米金融当局は歓迎し、ポジティブに受け止めるのではないか。ただ本当に重要なのは彼らが何を語り、どう行動するかだろう。
◎ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの戦略的アドバイザリーソリューションズ世界責任者、キャンディス・ツェ氏:
雇用市場は引き続き、より広範な経済がソフトランディングに向かう中で需給緩和の兆しを見せている。9月のFOMC会合では金利が据え置かれるとの市場予想を補強するものだ。米国の経済データが堅調を維持し、金融当局が今後の政策の道筋をより明確にしていることを踏まえると、投資家は株式と債券の両方でアルファ(超過リターン)を生み出す機会を見つけられそうだ。
◎バンクレートのシニア経済アナリスト、マーク・ハムリック氏:
9月FOMC会合での政策金利据え置きを可能にする証拠が増えた。ただ、その前に消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)を消化しなければならない。
◎FHNファイナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロウ氏:
前日の米個人消費支出(PCE)コア価格指数の低い伸びに加え、これほどの失業率の上昇は、たとえそれが良い種類の上昇だったとしても、FOMCに11月会合まで様子見させるには十分だろう。
◎グレンミードの投資戦略・調査責任者、ジェーソン・プライド氏:
9月FOMC会合での利上げ一時停止を正当化するには十分な内容とみられる。しかし、約2週間後のCPIも注目すべき指標となる。特に総合CPIは夏の商品価格の上昇で再加速するリスクがある。
8月の製造業総合景況指数は、なお縮小圏ながらも前月から上昇した。製造業活動の低迷はもはや深刻化していないとの期待を抱かせる兆候だ。
生産指数が50と、3カ月ぶりの水準に上昇。雇用や入荷遅延の指標もそれぞれ改善した。
製造業総合景況指数はこれで10カ月連続での活動縮小となったが、今回の数字は状況が弱い水準で安定化しつつあることを示唆している。企業による過剰在庫の削減が進み、財への個人消費が増えるのに伴い、安堵(あんど)感の兆しがいくらか見られ始められている。
ISM製造業調査委員会のティモシー・フィオレ会長は発表文で、「8月の総合景況指数は受注の弱さが続く中で、企業が生産を適切に管理していることを反映しているが、月間ベースでの上昇は改善の兆しだ」と指摘した。
製造業企業の在庫は縮小幅が拡大し、2014年初め以来の大幅な縮小に並んだ。顧客在庫も縮小。これは在庫削減での進展を示す最近のデータと整合する。
顧客在庫は「妥当」だと報告した製造業企業の割合は67.6%に上昇し、20年2月以来の高水準になった。
8月の米製造業景況感指数は、前月から1.2ポイント上昇し47.6となった。好不況の分かれ目となる50を10カ月連続で下回った。依然として低水準が続くものの、雇用や生産活動は前月より改善の兆しをみせる。
指数は6月に2020年の新型コロナウイルス禍に入った時期を除き14年ぶりの低水準となったが、7月からは2カ月連続で改善している。ダウ・ジョーンズまとめの市場予想(46.9)も上回った。英調査会社キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ハンター氏は顧客向けメモで「雇用と生産の伸びが全体の上昇をけん引した」と解説した。
指数の内訳をみると、生産は前月から1.7ポイント上昇し50.0、雇用環境を映す指数も4.1ポイント改善し48.5となった。一方で、新規受注は46.8と0.5ポイント、在庫を示す指数は44.0と2.1ポイント、それぞれ前月から低下した。
調査対象の企業からは「インフレによって消費者の購買意欲が低下している」(食品・飲料・タバコ製品)と需要低迷を指摘する声が聞かれた。「経済環境の不透明さから、顧客は長期的な見通しが立てづらくなっている」(電子機器・部品)と先行き不透明感を懸念する回答者も多かった。
ハンター氏は、今後数カ月は指数の改善が続くとみる一方で「世界経済の減速や消費の鈍化を受けて長期的な製造業の回復の見通しをたてることは困難だ」との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)のゴピナート筆頭副専務理事は1日、金利が世界的に「かなり長期間にわたって」高止まりするとの見方を示した。
供給ショックがより頻繁に起こり得ることを考慮すると、金利が長期間にわたって低水準だった時代には戻らないかもしれないと述べた。
国際貿易の分断が進めば大半の新興市場国は国内総生産(GDP)が5%程度減少する可能性があり、一部の国は10%減る恐れがあると警告した。
貿易を制限する大規模な産業政策の採用が先進国を中心に増えており、2023年だけで6倍近くに増加したと述べた。22年に導入された貿易制限措置は3000件近くで、19年の3倍に達したと指摘した。
中国の構造的なリバランスなど今後のリスクを踏まえると、新興国で大きな混乱が生じる恐れがあるとの見方を示した。各国は金融政策の枠組みをさらに強化し、気候関連の金融リスクを織り込んで金融セクターを保護する必要があると強調した。
新興国は徴税率を高め、構造改革を進め、また貿易を多様化することで歳入拡大を目指し、同時に財政的にも社会的にも持続可能な気候戦略を採用すべきと訴えた。
2023年の米国経済成長率見通しを引き上げる一方、24年の中国経済成長率見通しを引き下げた。米では景気後退のリスクが低下しているが、中国の課題は山積しているとした。
23年の米経済の成長率見通しは1.9%とした。5月時点では1.1%だった。
24年の米成長率見通しは1%に据え置き、高金利が経済のブレーキになると指摘した。
一方、中国については、経済および政策の不確実性、不動産セクターの継続的な苦境、労働人口の高齢化の中で、弱い景況感と消費マインドに起因する「かなりの成長課題」に直面していると指摘。今年の成長率予測は5%に据え置いたものの、24年予測は4.0%に引き下げた。前回は4.5%だった。
米投資運用会社ブラックロックでグローバル債券担当の最高投資責任者(CIO)を務めるリック・リーダー氏は、米労働市場の冷え込みが利上げ打ち止め観測を後押しし、債券の妙味がここ数カ月で最も高くなっていると指摘した。
米労働省が発表した8月の雇用統計について「統計は労働力にたるみが生じている事実を示す新たなベンチマークに使えると思う」とリーダー氏。「しかもこれは、インフレ率が低下しているタイミングで起きている」とブルームバーグテレビジョンで1日に述べた。「連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めは終わったと考えて良いはずだ。この数カ月の状況に比べて、もう少し金利へのエクスポージャーに肩入れしても大丈夫だろう」と話した。
フィデリティ・インターナショナルのチーフ投資ストラテジスト、サルマン・アーメド氏は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が米経済をソフトランディング(軟着陸)に導いたとの見方がウォール街で高まる中でも、リセッション(景気後退)の予測を維持している。
アーメド氏によると、金融引き締めの完全な効果と景気下降は、今後6カ月間の企業債務の借り換えの波を受けて、来年に現実のものになる。「このサイクルの終着点は景気後退だ」と指摘。「FOMCがある時点で手を引かなければ、誰もが高い実質金利を支払わなければならなくなる」と述べた。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を背景にした金融緩和の時期に企業が借り入れた負債は高金利という新たな時代に満期を迎え、引き締めの遅行効果が最終的に景気を崖っぷちに追い込むとの見通しを示した。
債務コストの上昇は他の条件が同じであれば、企業が投資や労働者への給与を支払う余力を減らす傾向がある。高い株式バリュエーションとタイトな信用スプレッドは、来るべき景気後退がまだ市場に完全に織り込まれていないことの表れだ。
アーメド氏は「借り手が金利の圧力を十分に感じていないのは、金利が固定されているためだ。だがその状態がいつまでも続くわけではない。2、3、4%で融資を受けていた企業が、10、11、12%で融資を受けることになる。これは大きなショックだ」と説明した。
フィデリティは、2024年初頭に襲いかかる借り換えの壁に備えるため、過去2カ月にわたって「中立」としていた現金を「オーバーウエート」に引き上げた。株式は引き続き「アンダーウエート」、投資適格債は高利回り債よりも「オーバーウエート」とし、「オーバーウエート」にしていた政府債については9月に「中立」に変更した。
ウォール街のエコノミストの多くが景気後退説を撤回する中、アーメド氏の予測は暗い。
同氏に言わせれば、金利が上昇する中で経済が堅調なのは、金融政策の遅行効果がまだ続いている証拠であり、ソフトランディングの前兆ではないという。
米国の個人消費と労働市場が驚くほど底堅いため、アーメド氏は景気後退の予測を来年に先送りせざるを得なくなり、景気後退の確率を80%から60%に引き下げたが、景気後退がアーメド氏の基本シナリオであることに変わりはない。
同氏の論拠は米金融当局者グループの最近の研究によって裏付けられている。歴史を振り返ると、将来の利上げの有無にかかわらず、企業がすでに実施された利上げの影響を完全に感じるには約1年かかるという。
米金融当局が昨年3月に現行の利上げキャンペーンを開始して以来初めて、引き締めサイクルがようやく終了しつつあると、世界最大規模の債券投資家の一部が判断する程度にまで、労働市場の緩和が顕在化しつつある。
8月の米雇用統計など先週発表された一連の雇用関連データは、金融当局の政策に敏感な米2年債の保有を支持する方向に市場のセンチメントをシフト。ブラックロックのシニアポートフォリオマネジャー、ジェフ・ローゼンバーグ氏は2年債を「screaming buy(絶叫するほどの買い)」と呼んだ。
米金融当局が過去数十年で最も積極的な引き締めキャンペーンの終わりに近づいているとの展望は、イールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化の取引に投資家を促している。当局が金融緩和に転じるかもしれないタイミングに焦点が移り、短期債の方が長期債よりも好パフォーマンスが期待できるというものだ。
こうした戦略は季節的な傾向からも恩恵を受ける可能性がある。企業は米レバーデー後に社債発行に動くのが典型的で、期間が長めの債券相場を圧迫することになるからだ。  
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のポートフォリオマネジャー、マイケル・カジル氏は雇用統計について、「米金融当局が当面は金利を据え置き、恐らくこのサイクルは完了したと債券市場を安心」させる内容だったと指摘する。
その上で、「この利上げサイクルが完了したのであれば、イールドカーブのスティープ化につながる最初の利下げに関心を向けることになる」と話した。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局は現行の引き締めキャンペーンで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを計5.25ポイント引き上げて5.25-5.5%とし、インフレ統計には最近数カ月に鈍化傾向が見られる。
労働市場の強靱(きょうじん)さが利上げ停止の主要な妨げとなってきたが、今では緩和の兆候が見られる。8月の雇用統計では失業率が3.8%と2022年2月以来の高水準に上昇し、賃金の伸びが鈍化した。
このほか先週発表された統計では、7月の求人件数が減少して市場予想を下回ったのに加え、ADPリサーチ・インスティテュートがスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボとの協力でまとめた8月の民間企業の雇用者の伸びも鈍化した。
米10年債は8月に売りを浴び、利回りが07年以来の高水準を付ける場面もあったが、債券投資家は労働省が9月1日に発表した雇用統計を歓迎し、世界的な指標である10年債利回りは4.2%を下回って越週した。
製鋼の副原料に使う金属類の価格が軒並み下落している。レアメタル(希少金属)のバナジウムはおよそ9カ月ぶりの安値圏だ。世界の粗鋼生産の過半を占める中国経済の停滞が強まり、需要が減退したためだ。政府の景気刺激策への期待があっても反応は鈍く、供給過剰感も足かせだ。需要低迷が長期化すれば、世界経済の重荷にもなりそうだ。
オプション取引とは株式などの「売る権利」や「買う権利」を売買するもの。ドイツ取引所グループのユーレックスが8月28日に提供を始めたのは、欧州主要銘柄で構成するユーロ・ストックス50指数を原資産とし、毎日満期を迎えるオプションだ。
石油輸出国機構(OPEC)の8月の生産量は、前月からほぼ横ばいで推移した。サウジアラビアは減産した一方、イランなど他の加盟国では増産となった。
ブルームバーグの調査によると、サウジの生産は日量17万バレル減少し、イランとナイジェリアを合わせた増産分をちょうど打ち消す格好。OPEC加盟国全体の生産量は8月に前月比4万バレル増加の日量2782万バレル。
サウジは日量100万バレルの供給削減を維持した。世界最大の燃料消費国である中国の景気見通しが悪化しつつある中、世界の原油市場を押し上げようと、同国は7月に自主減産を開始した。
ベーカー・ヒューズが発表した週間データ(9月1日までの週)によると、米国内の石油・天然ガス掘削リグ稼働数は前週比1基減の631基で、8週連続で減少し、2022年2月以来の低水準となった。
石油リグの稼働数は512基で横ばいとなり、22年2月以来の低水準にとどまった。天然ガスリグの稼働数は1基減の114基で22年1月以来の低水準となった。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国で地方政府傘下のインフラ投資会社「融資平台」の債務が膨張している。国際通貨基金(IMF)の推計によると、2027年には100兆元(約2000兆円)の大台に乗る見通し。政府の「暗黙の保証」にタダ乗りし、債務を膨張させてきたツケが、住宅不況をきっかけに噴出しかねない状況になっている。
中国で所得格差が拡大している。都市部の世帯では1人当たり可処分所得の上位20%と下位20%の平均値の差が6.3倍と、確認できる1985年以降で最大となった。「ゼロコロナ」政策で失業リスクが高まった飲食店従業員らの収入が伸び悩む一方、問題債権処理の先送りで生じた金利の支払いが、多額の金融資産を持つ富裕層に収入をもたらしている。
7日には8月の中国貿易収支が発表される。ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査の予想中央値は、7月に比べ落ち込みのペースは緩やかになるものの、輸出と輸入が再び前年同月比で減少したと見込まれている。
一方、デフレ的状況は緩和した可能性がある。9日に発表される8月の同国消費者物価(CPI)と生産者物価(PPI)のうち、CPIは恐らくプラスになったと国営メディアが報じている。
エコノミストは中国の成長見通しについて、データ改善の可能性にもかかわらず、依然として確実なものとは程遠いと警告する。
中国の主要輸出市場の製造業指数が低調な水準にあることに反映されているように、中国の物品に対する世界的な需要は引き続き弱い。そして、不動産市場で続く落ち込みで、中国の建材輸入需要は抑制されている。
中国当局は過去数日間に不振の住宅市場をてこ入れするため、一連の措置を新たに講じるとともに、人民元の防衛強化と家計に対する一部減税の拡充に踏み切った。ただ、これらの政策措置の効果が経済統計に顕在化するにはしばらくかかるかもしれない。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は「中国規制当局が発表した既存の住宅ローン金利の引き下げはBEの従来の想定よりも大幅で、不動産バブルをさらに膨らませるのを回避しつつ消費を刺激するよう、うまく設計されている」との分析を示した。
エコノミストは今年の中国の成長率見通しを同国政府が設定した目標の5%前後の近くに下方修正し、インフレ率の見通しも引き下げている。
中国の8月の製造業購買担当者指数(PMI)はインプット・アウトプット価格の加速が示され、PPIのデフレ的状況の緩和が示唆された。シティグループのエコノミストによれば、食品価格の上昇や旅行・外食などサービス支出の増加も8月のCPI押し上げに恐らく寄与したと考えられる。
中国の習近平国家主席は2日、北京で開幕した2023年中国国際サービス貿易交易会へのビデオ演説で、同国として独自の発展路線を追求しつつ、開放を続ける方針を表明した。同国経済を巡り投資家の間には根強い懸念がある。
国営中央テレビ(CCTV)によれば、習主席は「中国は高水準の開放推進や、高品質の発展を伴うあらゆる面での中国式現代化の追求、全世界における開かれた協力のための新たな機会の創造に引き続きコミットする」と語った。
サービスセクターにおける市場アクセスの緩和を約束し、法律や電気通信、観光、専門試験を含む分野でさらに開放を進めると表明。温室効果ガスの自発的排出削減のための全国的な取引市場を整備すると述べる一方、「苦労して手にした自由貿易と多角的貿易システムの保護」を各国に呼び掛けた。
碧桂園が上海証券取引所のディスクロージャー(情報開示)プラットフォームに提出した資料によれば、同社は1日遅くに行われた投票において、39億元(約785億円)の元本支払いの期限を2026年まで延長することに十分な支持を得た。資料はブルームバーグ・ニュースが確認した。この社債は9月2日が償還日で、実質的な償還期限は翌営業日の4日だった。
同社はまた、40日の猶予期間を設定する案についても承認を得た。一方、一部の社債保有者が求める満期時の全額支払い案と、最近の格下げを理由としたデフォルト宣言案については、否決された。
中国不動産業界に広がる債務危機は4年目に差し掛かっており、かつて同国最大のデベロッパーだった碧桂園にとって試練はまだ続く。同社はほかにも債務の期限が迫っており、負債総額は約1870億ドル(約27兆円)に上る。ドル建て債2本の計2250万ドルの利払いを今月5日か6日の猶予期限内に実施しなければ、デフォルトに陥るリスクがある。同社は先月、当初の期限内に利払いを実施できず、市場は動揺。主に建設業者が発行する中国のジャンク級ドル建て債は今年の安値水準に低迷した。
●中東
イラン人女性マフサ・アミニさん(当時22)が頭髪を覆うスカーフ(ヒジャブ)を適切に着用していなかったとして風紀警察に拘束され、その後死亡したことをきっかけに広がった「ヒジャブ・デモ」の発生から9月で一年。指導部はデモ抑制の成果に自信を深め、外交面でも反欧米路線をひた走る。強硬な指導部が自信を深める背景には、中東諸国でいち早く進んだ少子化の影がある。
●中南米・アフリカ
2023年第2・四半期国内総生産(GDP)は前期比で0.9%増えた。ロイターがまとめたエコノミスト25人の予想(中央値は0.3%増)を全て上回った。農業生産は減少したが、家計支出が堅調だったのと、石油と鉄鉱石の生産増が押し上げ要因となった。
GDPの前年同期比は3.4%増と、エコノミスト予想の2.7%増を上回った。
第1・四半期は前期比1.8%増えていた。季節変動のある農業分野が増加に寄与した。
第2・四半期のGDPの伸び率が縮小することは広く予想されていた。ただ、エコノミストらは縮小幅は予想よりかなり小さかったと指摘しており、ブラジル中央銀行による政策金利の引き下げペースを50ベーシスポイント(bp)から拡大する余地はあまりないことを示唆した。
第2・四半期は工業が前期比で0.9%増えた。
サービス業も0.6%増。好調な労働市場と、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後に消費者の趣向がモノ(商品)からサービスへ移行したのが押し上げた。
●市況
<為替> ドルが対ユーロ・対円で上昇した。8月の雇用統計は、一部で労働市場軟化の兆しが見られたものの、依然として堅調であることを示した。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏は「今日の雇用統計は投資家にとって最高の結果をもたらした。労働市場は米連邦準備理事会(FRB)に利上げを停止させるに十分なほど軟化していると同時に、景気後退を防ぐのには十分なほど堅調だ」と指摘した。
CMEのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利市場では、FRBが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置く可能性を93%、11月の利上げの可能性を36%とみている。また市場は、欧州中央銀行(ECB)が9月理事会で金利を据え置く可能性を79%と見ている。
<債券> 国債利回りが上昇した。8月雇用統計はまちまちの結果となり、祝日を控えた投資家がポジションを縮小した。
<株式>米国株式市場は、S&P総合500種とダウ工業株30種が上昇して終了した。8月の雇用統計で失業率が上昇したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)は今月の会合で利上げを一時停止するとの見方が一段と強まった。
メディア・娯楽大手ウォルト・ディズニーと ケーブルテレビ大手チャーター・コミュニケーションズの料金トラブルによりストリーミング配信会社が急落したことで、ナスダック総合はマイナス圏で引けた。ウォルト・ディズニーは2.4%安、チャーター・コミュニケーションズは3.6%安。売りは他のストリーミング関連銘柄にも広がり、メディア大手のワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー(WBD)は12%、パラマウント・グローバルは9.5%、フォックス・コープは約6%、それぞれ下落した。
<米原油先物> 世界的な需給逼迫(ひっぱく)観測の強まりを受け、7営業日続伸した。米国産標準油種WTI10月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.92ドル(2.30%)高の1バレル=85.55ドル。中心限月ベースでは昨年11月中旬以来9カ月半ぶりの高値となった。11月物は1.79ドル高の84.75ドル。
中南米金融市場では、ブラジルレアルが上昇した。ブラジルの第2・四半期の経済成長率が予想を大幅に上回ったことを受けた。一方、為替ヘッジプログラムの段階的な縮小発表が引き続きメキシコペソの重しとなった。
<欧州株式市場> はほぼ横ばいで取引を終えた。資源株やエネルギー関連株が買われた一方、高級品銘柄や自動車株は下落した。
デンマークの製薬大手ノボノルディスクは2.1%上昇。糖尿病と肥満の治療薬の高需要に乗じ、時価総額で欧州企業首位に浮上した。
ドイツの銅精錬大手、アウルビスは6.1%下げ、一時は約10カ月ぶりの安値を付けた。犯罪組織による窃盗の疑いがあり、在庫に「かなりの食い違い」が見つかったとして通期決算の利益見通しを達成できない可能性があると発表したことが嫌気された。
<ユーロ圏債券> 不安定な地合いの中、域内国債利回りが小幅に上昇した。ただ週間では低下。欧米の経済指標で中銀の引き締めサイクル終了が近づいていると示唆されたことを受けた。
日経先物32730、ダウ先34882、債先146.88、米4.181、独2.5380、仏3.069、西3.562、伊4.220、英4.4450、波5.599、原油86.05、銅8,496、ドル円146.23、ユーロドル1.0776
※9/1 NY引け値