備忘録(2023/5/31)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
2023年3月末時点の米国の銀行預金が22年末比4720億ドル(約66兆円)減の18兆7424億ドルになったと発表した。四半期の減少幅は1984年の集計開始以来、過去最大。シリコンバレーバンク(SVB)などの地銀破綻で、預金を引き出す動きが加速した。
FDICが商業銀行と貯蓄金融機関(S&L)の計4672行の財務状況を集計した。ひとりの預金者あたり25万ドルを上限とする預金保険の対象外となる預金引き出しが全体の減少を主導した。FDICの推計によると保険対象外の預金は22年末比6633億ドル(8.3%)減となり、預金全体でみた減少率(2.5%)を大きく上回った。
3月に経営破綻したSVBとシグネチャー・バンクの預金は、特例により預金保険対象外も含めて全額保護された。ただ、ほかの地銀にも信用不安が飛び火するなか預金者は大手行に送金したり、MMF(マネー・マーケット・ファンド)に資金を移したりした。米投資信託協会(ICI)によるとMMFの残高は1〜3月期に約1割増加して5兆ドルを突破した。
米銀が保有する有価証券の含み損は3月末時点で22年末比16.5%減の5155億ドルとなった。SVBなどでは米連邦準備理事会(FRB)の利上げに伴い長期債の含み損が急速に膨らんでいた。SVB破綻直後に中長期債の利回りが低下(債券価格は上昇)して米銀全体の含み損は前四半期より減少したものの、市場は個別行の含み損の動向を引き続き注視している。
3月末時点の融資総額は22年末比0.1%減の12兆2120億ドルだった。破綻した2行の債権をFDICが引き受けた影響が大きく「債権譲渡を除くと、融資は0.4%程度増加した」(FDICのグルーエンバーグ総裁)という。
米連邦預金保険公社(FDIC)が31日公表した四半期報告書「クオータリー・バンキング・プロフィル」(QBP)によると、財務や運営、あるいは経営上ぜい弱な銀行の数は2023年1-3月(第1四半期)に増加した。
機密の「問題銀行リスト」に掲載された金融機関の総数は1-3月に4行増えて43行となった。こうした銀行が保有する資産総額は580億ドル(約8兆1100億円)と、22年10-12月(第4四半期)の105億ドルから増加した。
問題銀行リストに載った金融機関数はこれまでの高水準と比べれば低いが、過去数四半期続いた減少トレンドが反転する格好となった。今回の報告書はシリコンバレー銀行(SVB)やシグネチャー・バンクなど米銀3行が破綻した時期に当たる。
連邦預金保険公社(FDIC)は31日、第1・四半期の米銀の預金総額が2.5%減少したと発表した。減少幅は過去最大で、流出額は4720億ドルに上ったという。
米地銀シリコンバレー銀とシグネチャー銀行の経営破綻が影響したとみられ、主に預金保険の対象外預金が流出した。保険対象の預金は2551億ドル(2.5%)増加したという。
第1・四半期の銀行の利益は16.9%増の798億ドルだった。破綻した2行の買収による会計上の影響を考慮すると、利益水準は事実上横ばいだったという。
今回の報告で、銀行は評価損額を縮小し、強固な自己資本比率を維持していることが判明した。しかし、4四半期連続で預金流出が加速していることも判明し、FDICは新たに4行を「問題銀行リスト」に追加。これにより同リストには43行が指定されることとなった。これら銀行の総資産額は580億ドルに上る。
FDICのグルーエンバーグ総裁は、金融業界はストレスの中で「非常に耐性がある」との見解を示した。利益水準は横ばいでも歴史的に見て高水準にあり、大手行のトレーディング収入の好調さや金利害収入の堅調な伸びがそれを支援しているとした。
米銀最大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は31日、訪問先の中国で複数の米欧メディアの取材に対し、安全保障や貿易などで米中が対立している現状について「本当の意味での関わりを望む」と述べた。両国の関係改善の必要性を強調し、米中は「デカップリング(分断)はしないだろう」との見方を示した。
米銀最大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は31日、同行は良い時も悪い時も中国にとどまると述べた。政治的緊張が高まる中、同国でビジネスを行うことに引き続きコミットする方針を示した。
ダイモン氏は米当局者と同様、西側と中国のデカップリング(切り離し)は予想していないと述べる一方で、現在の状況は「はるかに複雑」になっていると認めた。
ダイモン氏は、同行の年次イベント「グローバル・チャイナ・サミット」が開催されている上海でブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「時間とともに貿易は減少する」との見通しを示した上で、「これが起きるには何年もかかるだろうが、デカップリングには至らないだろう」と述べた。
米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は31日、公職に立候補することを考えたことがあると明らかにした。JPモルガンを離れた後の同氏の将来については臆測がある。
ダイモン氏は上海で開催されている同行の年次イベント「グローバル・チャイナ・サミット」でブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ「私は国を愛しており、いつか何らかの形で国に貢献する日が来るかもしれない」と語った。
2005年からJPモルガンCEOを務めるダイモン氏は、あと5年は同職にとどまるつもりだと繰り返し述べている。米大統領選挙に出馬するのではないかとの臆測は素早く打ち消してきた。
ダイモン氏は今のところ、米最大の銀行を経営する仕事に集中しており、その役割に「とても満足している」という。「私は自分の仕事を愛している」とし、「JPモルガンは米国民、そして世界各国を助けるために素晴らしい仕事をしている」と語った。
同氏は「企業は善行をなすための力であり得る」との持論を繰り返し、自分は愛国者であり米政府に従うと述べた。
「私が愛国者であることは誰もが知っている。私は精力的で声の大きい、自由企業体制支持の資本主義者だ」と述べた。
2018年に選挙でドナルド・トランプ氏に勝てると発言。「同じくらいタフ」だが自分の方が「頭がいい」と述べたが、大統領選に出馬する気はないとすぐに明言した。
しかし公共政策について忌憚(きたん)なく話すことが、同氏が政治の世界に進むかもしれないという観測を生んでいる。31日には米債務上限を巡る合意について楽観的な見方を示した。
合意の法案は成立すると思うとして、「そう思わなければ今ここにはいない」と話した。
今後数カ月は金融引き締めに起因して生じ得るボラティリティーに備えるべきだとも述べ、「影響は人々が考えているより少し厳しいかもしれないと考えている」と語った。
米銀JPモルガン・チェースは中国事業拡大に想定以上の時間を要しているとしたほか、成長ポテンシャルを生かせる場として日本とオーストラリア市場に目を向けていると明らかにした。
アジア太平洋地域部門の最高経営責任者(CEO)、フィリッポ・ゴリ氏は31日、上海で開催されている同行の年次イベント「グローバル・チャイナ・サミット」でブルームバーグテレビジョンの取材に応じ、「現在のマクロ経済環境では、さまざまな理由から日本と豪州が今後数年に驚異的な好機をもたらすと考えている。両国へのさらなる投資を引き続き模索していく」と語った。
これに先立ち中国部門のマーク・レオンCEOはインタビューで中国について「規模や、事業を行うための評判を少しずつ育てていくのには、われわれが望むよりも多くの時間が必要な見込みだ。しかし、われわれはそのための投資を行い、そこに向かって順調に進んでいる」と話していた。
中国は60兆ドル(約8400兆円)規模の金融セクターを外国企業に開放したものの、景気低迷と地政学的緊張、国内勢との厳しい競争で参入する妙味が薄れており、世界の銀行は中国事業の見直しを進めている。
同時に日本などの市場は中国に代わる好機をもたらすとして、米中間の対立に伴う不透明感などで苦しむ投資家から注目されている。日本の東証株価指数(TOPIX)は今月、1990年以来の高値に達した。
それでもJPモルガンは中国市場に引き続きコミットしており、現在の景気減速は長期的な懸念にはならないとゴリ氏は指摘。ウェルスマネジメント事業の手数料収入が伸びていると述べた。同行は中国でこの4年間に人員を2倍に、ライセンスを4倍に増やしている。
米デルタ航空が2020年以降、「世界初のカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の航空会社」と宣伝してきたのは誇大広告で、消費者保護法などに違反するとして西部カリフォルニア州の消費者が30日、同社を訴えた。集団訴訟を提案している。
原告は訴状で、デルタ航空の取り組みは環境保護活動への資金提供など排出量の一部を相殺する「カーボンオフセット」を含んでおり、「排出量実質ゼロ」は達成できないと指摘した。飛行中に温暖化ガスが排出され続けるにもかかわらず、デルタ航空が自社のフライトは環境に悪影響を与えないという誤解を招く広告を繰り返したと訴えた。
●その他産業
フランクリンはパトナムを所有するカナダの生命保険会社大手グレートウエスト・ライフコにまず9億2500万ドル(約1300億円)を現金と株式で支払う。グレートウエストはパワー・コーポレーション・オブ・カナダが経営権を握る。
両社を後押ししたのが、中国を中心とした新興メーカーの存在感の高まりだ。日本メーカーはタイなど東南アジア市場で優位に立つが、中国企業が猛追し現状を変更しようとしている。電気自動車(EV)では中国勢が瞬く間に東南アジア市場を席巻した。二の舞いを避け雪辱を果たそうという利害で一致した日独連合が、規模を生かして中国勢に対抗する。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
31日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落して始まり、午前9時35分現在は前日比175ドル05セント安の3万2867ドル73セントで推移している。債務上限を巡る合意案の下院での採決を31日夜に控え、結果を見極めたいという雰囲気がある。31日発表の中国の経済指標が市場予想を下回り、世界景気の回復が鈍るとの見方も米株相場の重荷となっている。ダウ平均の下げ幅は200ドルを超える場面がある。
債務上限問題を巡っては、バイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長が27日に合意した案が30日、下院議事運営委員会での採決を7対6の賛成多数で通過した。合意案に対しては、共和党の保守強硬派の一部に根強い反対論がある。31日夜に予定される本会議での採決では可決するとの見方が多いものの、一定の警戒があり、リスク回避の姿勢が広がっている。
中国国家統計局が発表した5月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が48.8と、市場予想(49.7)を下回った。好不況の境目とされる50も下回っており、中国経済の回復が鈍いとの見方から、景気敏感株を中心に売られている。
米国の社債発行市場が急回復している。米企業による投資適格債の発行額は5月1日から18日で約800億ドル(約11兆2000億円)と、既に4月月間を4割上回る。低格付け債の発行額も2月以来の水準まで膨らんでいる。3月の米地銀の破綻に伴う金融不安が後退し、投資家の買い意欲が改善。景気悪化前に資金を確保したい米企業の思惑もあり、起債が膨らんでいる。
小麦の国際価格が下落している。指標となる米シカゴ市場の小麦先物は5月末、一時1ブッシェル6ドルの節目を下回り2020年12月以来の安値を付けた。ウクライナ産穀物の黒海経由の輸出を可能にする関係国による合意が5月中旬に延長され、供給懸念が後退した。世界最大の小麦輸出国であるロシアへの豊作期待も相まって需給緩和観測が強まっている。
米南部フロリダ州のロン・デサンティス知事は30日、出馬を表明した2024年11月の大統領選で野党・共和党の候補者指名争いの初戦となる中西部アイオワ州を訪れた。週内に同州を訪問するトランプ前大統領を批判し、保守的な有権者が多い地域で足場固めを狙う。
4月の米求人件数は1010万3000件に増加した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は940万件だった。前月は974万5000件(速報値959万件)に上方修正された。
5月のシカゴ製造業景況指数は40.4と、前月の48.6から低下した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は47.3だった。
イタリア経済の1-3月(第1四半期)成長率が上方修正された。家計支出の好調が寄与した。
イタリア国家統計局(ISTAT)が31日発表した1-3月の国内総生産(GDP)は前期比0.6%増。速報値は0.5%増だった。
米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は31日、住宅価格の持ち直しはインフレ抑制を目指す米金融当局の仕事に影響する可能性があるとの考えを示した。
ボウマン氏はボストンで開かれたFRB関連のイベントで、「新たなリース契約が算出に組み込まれるにつれ、家賃の下落はいずれインフレのデータに反映されると想定するが、住宅用不動産市場は持ち直しつつあるように見受けられ、住宅価格は最近横ばいになっている。これはインフレ率の低下を目指す当局の闘いに影響を及ぼし得る」と述べた。発言は講演原稿に基づく。
ドイツのインフレは5月に大幅に減速した。ユーロ圏の主要国でも相次ぎインフレ鈍化が報告されている。利上げは終わりに近づきつつあるとの欧州中央銀行(ECB)の一部当局者の見方を裏付ける結果となった。
31日の発表によると、5月の消費者物価指数(CPI)速報値は欧州連合(EU)基準で前年同月比6.3%上昇。前月の7.6%上昇から伸びが鈍化した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は6.7%上昇だった。
ECBは半年に一度の金融安定報告で、金利上昇が家計や企業、政府、不動産市場の強靱(きょうじん)さを試していると論じた上で、こうした状況は無秩序な調整に対して市場をもろくさせると警鐘を鳴らした。
米国やスイスでの最近の金融セクターの混乱に対し、銀行は極めて強靱であることを示したが、資金調達コストの上昇や資産の質低下によって収益性が損なわれる可能性は依然としてあるとも分析した。
ECBが金融安定報告で発した警告は、創設以来25年の中で最も積極的に進めてきた金融引き締めがもたらす包括的な影響についての見解とも受け取れる。
ただ、金融安定や経済成長へのリスクが渦巻く中でも、目標水準へのインフレ抑制を目指すECB当局者は一連の利上げについて、まだ終了していないとの見方を示している。
デギンドスECB副総裁は報告の序文で「物価の安定は金融の安定を持続的に維持するために、これまでと同様に極めて重要」だとした上で、「高インフレへの対処で強いられる金融環境の引き締まりが、経済見通しの見直しと過度に圧縮された資産価格のリスクプレミアムの反転につながっている」とコメント。
「金融環境が正常化するにつれ、金融システムの脆弱性や断層が露呈する可能性がある」と説明した。
カナダ統計局が31日発表した2023年第1・四半期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比3.1%増だった。ロイターがまとめた市場予想(2.5%増)とカナダ銀行(中央銀行)予測(2.3%増)をそれぞれ上回った。
貿易の好調と家計消費の伸びが経済を押し上げた。一方、在庫積み増しの遅れや、住宅投資の減少などが抑制要因となった。
今月発表された他の指標でも経済が予想より過熱していることが示されており、中銀への利上げ圧力となる可能性がある。
5月の消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比6.3%上昇だった。上昇率はアナリストの予想の6.8%を下回り、2022年3月以来の穏やかな伸びとなった。
欧州中央銀行(ECB)は31日、ユーロ圏の住宅価格について、住宅ローン金利上昇で家計には手が届かず、投資家にとっても魅力がないため、「無秩序な」下落に向かう可能性があると警鐘を鳴らした。
金融安定報告でリスクの一つとして指摘した。
ECBは昨年7月以降、インフレ抑制のため過去最低水準から利上げを実施。利上げは今後数カ月続くと予想されている。
ただ、急速な利上げは10年間の金融緩和で活況を呈してきた不動産市場に影響を及ぼし始めたに過ぎないと強調。
「今後新規の住宅ローン金利が上昇し、特に変動金利型住宅ローンが主流となっている国では、購入がさらに難しくなり既存ローンの金利負担が増加するため、価格の下落が無秩序になる恐れがある」と警告した。
具体的な国名は挙げていないが、ECBのデータによると、ポルトガル、スペイン、バルト諸国は変動金利の住宅ローンの割合が最も高い国とされている。
また、機関投資家が住宅用不動産市場で大きなポジションをとっている地域は、資本が引き揚げられた場合に大きな打撃を受ける可能性があると指摘した。
ベルリン、ドイツ西部の一部、パリ、マドリード、リスボン、ダブリンなどがこれに該当する。
地区連銀経済報告(ベージュブック)で、2023年4月中旬以降の米経済活動は「ほぼ横ばいだった」と総括した。相次ぐ地銀破綻後の融資厳格化や、オフィス需要の低迷が経済活動の重荷になるとの報告が目立った。
全米12地区連銀の管轄地区のうち、ボストンやセントルイスなど6地区では「経済活動は前回から横ばいだった」と報告した。ミネアポリスやアトランタなど4地区は経済活動が緩やかに拡大した一方、ニューヨークとフィラデルフィア地区は経済活動が4月の前回報告から鈍化したという。
サンフランシスコ地区の金融関係者らは金利上昇や与信環境の引き締まり、銀行システム不安などでローン需要が縮小していると報告した。前回報告以降、特に小規模事業所の借り入れ条件の厳格化が目立つという。
オフィス需要の低迷による不動産市場の調整を懸念する声もあった。セントルイス地区の不動産関係者はオフィスの長期契約を結んだにもかかわらず、ほとんど利用されない「シャドー空室」が増えていると報告した。「こうしたオフィスは再契約の見込みが薄い」と懸念を示した。
ミネアポリス連銀も「オフィスの空室率が高く、不動産業に大きなひずみが生じている」と報告した。カンザスシティー地区の不動産関係者は「今までは安定して(長期の)契約を結んでいた大企業もオフィスの縮小や契約期間の短縮を求めている」と報告した。
地銀破綻による米経済の不透明感もくすぶる。ダラス連銀の5月の調査では48%の担当者が「過去6週間に与信条件を引き締めた」と回答した。2017年に調査を開始して以来最多の割合だった。カンザスシティー地区ではリスク分散のため複数の銀行で新たに口座を開いた預金者が増えたという報告もあった。
複数の地区が長期化する高インフレと新型コロナウイルス禍の特別措置の失効が中低所得層の重荷となっていると報告した。アトランタ地区の人材育成企業は「物価高に見合う給料を求めて転職する労働者は依然として多い」と報告した。
ミネアポリス地区の保育士は「現在の給料では生活必需品を買うだけで手いっぱいだ」とコメントした。同地区の牛乳工場で働く出稼ぎ労働者は「自由な時間などない」嘆いた。「他の人が嫌う仕事をしているにもかかわらず、働くか次の日の労働に向けて休むことしかできない」と報告した。
米国と欧州連合(EU)は31日、スウェーデンで開催した閣僚級協議を終えた。共同声明で中国を念頭に、敵対的な国との貿易・投資を制限する「経済的威圧」に共同で対抗する方針を示した。先端技術の軍事転用を防ぐため、企業の対外投資規制の検討も進める。
両党首脳は米東部時間31日夜の下院採決で可決されると自信を表明した。両党の穏健派による支持が背景にある。
27日夜の交渉妥結以降、両党指導部は下院可決に必要な218票を確保しようと電話による働きかけを続けている。
共和党のエマー下院院内幹事(ミネソタ州)はこれより先、賛成票は確保したとの確信を示し、法案は「通過する」と述べた。
民主党のクラーク下院院内幹事はこの日、共和党が「賛成票を確保したかどうかまだ分からない」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の金融機関が海外に融資する債権の焦げ付きが膨らんでいる。2020〜22年に融資条件の再交渉などに応じた事実上の不良債権は768億ドル(約10兆7000億円)で、17〜19年の4.5倍となった。新型コロナウイルス禍やインフレが新興国経済を直撃したためだ。中国は広域経済圏構想「一帯一路」を推進し新興国への影響力を高めてきた。問題債権を放置すれば、自国の金融リスクにも飛び火しかねない。
タイ中央銀行は31日の金融政策委員会で、政策金利(翌日物レポ金利)を従来より0.25%高い年2%にすると決め、即日実施した。利上げは6会合連続。インフレへの対応に加え、14日に実施した下院総選挙で野党が勝利した影響で、景気が過熱することを警戒したもようだ
●中東
トルコ統計局は31日、2023年1〜3月の実質国内総生産(GDP)が前年同期比4%増だったと発表した。大幅な賃上げなどで消費が拡大した。2月には南部で5万人超が死亡する地震が起きたが、経済への影響は限定的だったとみられる。
●中南米・アフリカ
●市況日経先物30793、ダウ先32933、債先148.61、米3.643、独2.2835、仏2.849、西3.328、伊4.064、英4.2190、波6.023、原油69.69、銅8,110、ドル円139.15、ユーロドル1.0695
※6/1 8時5分頃
備忘録(2023/5/30)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
国有の中国商用飛機(COMAC)が単通路機C919の開発に着手したのは2008年。11年後半に製造を開始したが、正式な耐空証明を取得したのは22年9月だった。
COMACは1000機を超えるC919を受注しているが、その大半は確定したものではなく、多くが中国の航空機リース会社から。
COMACは米ゼネラル・エレクトリック(GE)と仏サフランの合弁会社CFMインターナショナルからエンジンの供給を受けるなど、C919の製造にあたってはGEやハネウェル・インターナショナルなど海外サプライヤーにも依存。
C919の飛行は中国国内でのみ認められており、欧州ではまだ審査が続いている。C919の慣例的な割引前の価格は9900万ドル(約139億円)。
SEC調査部門は、3月第1-3週の投資家のやりとりと一部投資会社による資金移転の記録、SVBとの間で交わされた電子メールの提供を求めた。SVBに個人口座を持つ経営幹部が顧客より前に預金を引き出したかどうかや、預金がどこに流れたかも焦点という。
今回の調査は、経営難の銀行に置いた顧客資金の扱いを巡り、ベンチャーキャピタル(VC)とPE投資会社に警告を発するものだ。SECはゲンスラー委員長の下で複数の業界慣行に一段と厳しい姿勢で臨み、手数料の監視強化に加え、大手ヘッジファンド運営会社に情報の早期開示も義務付けた。
●その他産業
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは30日、経営統合することで基本合意したと発表した。両社の親会社であるトヨタ自動車と独ダイムラートラックが株式公開を予定する新たな持ち株会社を設立し、統合する2社を完全子会社とする。両社は2024年12月までの経営統合を目指し、統合後は日野はトヨタの連結対象からはずれる見込みだ。
トヨタとダイムラートラックの持ち株会社に対する出資比率は同規模。4社で協議し、出資比率などは今後つめる。脱炭素につながる商用車の電動化や技術開発、部品や資材の調達で協力し、競争力を高める。
トヨタ自動車と独ダイムラートラックは30日、電動化や自動運転など「CASE」の技術開発、商用車事業で提携すると発表した。トヨタ子会社の日野自動車、ダイムラートラック子会社の三菱ふそうトラック・バスが2024年中に経営統合を目指すことで基本合意した。日野自はエンジン不正問題で経営が悪化していた。脱炭素や自動運転などで開発・投資コスト負担が重くなるなか、再編を通じて事業効率を高める。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
トヨタ自動車など国内の乗用車メーカー8社が30日まとめた4月の世界生産は、前年同月比15%増の188万2千台だった。前年同月は新型コロナウイルス感染拡大で生産が減っていた反動で伸びたほか、半導体不足の影響が和らいだこともあり、3カ月連続で前年実績を上回った。
生産は国内外ともに回復傾向が続く。8社合計の国内生産は24%増の68万台で、海外生産は11%増の120万1千台だった。前年4月は新型コロナの感染拡大を受けた中国・上海市などでロックダウン(都市封鎖)が起こったことで、各社は部品が調達できず、工場の操業ができなくなっていた。海上輸送の遅れも重なって、各社の日本国内での生産に使う部品調達にも影響が広がった。
財務省と金融庁、日銀は30日、国際金融資本市場に関する情報交換会合(3者会合)を開いた。外国為替市場で1ドル=140円前後と円安・ドル高水準で推移している円相場の動向について協議したとみられる。
財務省の神田真人財務官、金融庁の天谷知子金融国際審議官、日銀の清水誠一理事らが午後5時30分ごろから財務省内で協議した。神田財務官は終了後、為替相場の動向について「過度な変動は好ましくない」と述べ「必要があれば適切に対応していく」と話した。為替介入の可能性について問われ「必要があればあらゆるオプションを否定しないが、今どういう状況にあるかはコメントを控える」と答えた。
欧州中央銀行(ECB)は30日、ファンドや保険会社、決済機関などが預金を引き揚げたり問題に直面したりすれば、ユーロ圏の大手銀行が打撃を受ける恐れがあると警告した。
ECBは伝統的な金融機関とファンドなど「影の銀行(シャドーバンク)」の間のリスクの波及について調査結果をまとめた。
融資を含む銀行の債権と預金など負債がユーロ圏の上位13行に集中していることが明らかになった。シャドーバンクが銀行から預金やレポ取引の資金を引き揚げることが最大のリスクとした。これらの資金は銀行の負債の13%を占め、大手行ではさらに高い割合という。
このような資金の引き揚げはシャドーバンク自身が資金流出に見舞われたり、銀行に対する信用が失われたりした場合に起こり得る。
ECBはこうした資金の出し手は銀行の信用力に非常に敏感で、健全性が不安視されれば銀行は資金調達圧力が高まる可能性があると指摘した。
他の波及経路としては、シャドーバンクが資産の売却を余儀なくされるケースで、シャドーバンクと銀行のポートフォリオが関連していることが多く銀行に損失が生じ得るとした。
逆にシステム上重要な金融機関が経営難に陥った場合は、シャドーバンクに問題をもたらすとした。
「(システム上重要な)銀行や銀行グループが問題に直面すれば、恐らくシャドーバンクの多くで流動性と市場リスク管理で大きな影響が出る」との見方を示した。
合意内容を盛り込んだ法案は31日に下院採決が見込まれており、大統領と議長は29日のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)の祝日もそれぞれの党の議員に法案を支持するよう働き掛け、可決に十分な票の確保に努めた。
合意には民主・共和両党それぞれから一部議員の反対が予想されており、法案は下院を通過したとしても、議員1人でも反対があれば時間のかかる審議手続きが必要となりかねない上院に向かう。審議が長引けば、前代未聞のデフォルトの瀬戸際に直面しかねない。
バイデン大統領は29日に記者団に対し、「議会の今後の動きを私は確信しているとは決して言えないが、かなり良い感触がある」と語った。メモリアルデーで現物取引が休場だった米市場でも、株価指数先物が小幅上昇するなどした。
WTI7月物は前週末比3.21ドル(4.4%)安の1バレル69.46ドルで取引を終えた。バイデン米大統領と野党・共和党のマッカーシー下院議長が連邦政府の債務上限問題を巡り、合意したものの、議会での採決を巡る警戒が重荷となった。
合意案は31日にも下院で採決される見通し。ただ、共和党の一部の強硬派議員からは不満の声が出ており、先行きを不安視する見方がある。
ロイター通信は30日、イランメディアの報道として、「高濃縮ウランに関するイランに対する査察で、国際原子力機関(IAEA)は3拠点のうち1つで問題を解決した」と伝えた。市場では「今後、イランの経済制裁の緩和が進めば、原油供給が増え、相場を下押しするとの観測につながった」(プライス・フューチャーズ・グループのフィル・フリン氏)との声が聞かれた。
ニューヨーク金先物相場は上昇した。8月物は前週末比14.0ドル(0.7%)高の1トロイオンス1977.1ドルで取引を終えた。米長期金利が低下し、金利が付かない資産である金の相対的な投資妙味が高まるとみた買いが入った。
3月のS&Pコアロジック・ケース・シラー指数では、全米の住宅価格が前月比1.3%上昇し、2カ月連続の前月比プラスとなった。上昇率は2022年5月以来、10カ月ぶりの大きさだった。季節調整済みでは前月比0.4%の上昇となった。
コンファレンス・ボードが30日発表した5月の米消費者信頼感指数は、前月の改定値から1.4ポイント低下して102.3となった。2カ月連続の前月比マイナスとなり、指数は2022年11月以来の低水準となった。足元の景況感と短期的な見通しを示す指数の両方が低下し、消費者の米経済に対する懸念が強まっていることを反映した。
内訳をみると、足元のビジネスや労働市場の景況感を示す「現況指数」が148.6と前月から3.2ポイント低下し、22年12月以来の低水準となった。雇用に対する見方が悪化し、雇用機会が「豊富にある」と答えた消費者の割合は43.5%と21年4月以来の低い回答率となった。
所得や労働環境の短期的な見通しを示す「期待指数」も71.5と前月から0.2ポイント小幅に低下した。同指数が80を下回ると、景気後退リスクの高まりを示すとされる。
コンファレンス・ボードの経済調査担当シニアディレクター、アタマン・オジルディリム氏は「消費者は引き続きインフレが米経済に大きな影響を与えると考えている」と解説した。
米共和党の強硬派議員らは、米国のデフォルト(債務不履行)回避を目指したホワイトハウスとマッカーシー下院議長の合意に対し、報復すると警告した。保守派の一人はマッカーシー議長解任動議の採決を計画していると述べた。
ビショップ下院議員は30日、マッカーシー氏が民主党に「降伏」したと非難した上で、正式な解任プロセスを開始する計画だと表明。「解任動議が必要だ」と記者団に語った。
31日に予定されている債務上限法案の下院採決前に解任を目指すかとの質問にビショップ議員は答えず、法案への影響は不透明。同議員は「あらゆる道が選択可能だ」と話した。
一方、マッカーシー氏は解任動議の脅しをはねつけた上で、解任はあり得ないと確信していると記者団に発言。共和党にとって債務上限合意の支持はたやすい投票だとも語った。
ただ、たとえ少数でも保守派の解任の脅しは大きな意味を持つ。共和党は下院の多数派を握っているものの議席数は222対213と小差のため、数人の共和党議員が動議に賛成票を投じた場合は、民主議員の支持を得られない限り解任される可能性がある。
ビショップ議員は、債務上限合意に反対する保守派はマッカーシー氏解任へ行動を起こす最善の時期を決めるだろうと話した。ただ他の共和党議員はマッカーシー氏の解任を目指すとはっきりとは公言していない。
ロイ下院議員は30日、下院共和党は合意によって「ばらばらに引き裂かれた」とし、「たとえ何が起きようとも、報いを受けることになるだろう」と語った。
共和党保守強硬派の下院議員連盟「フリーダム・コーカス」の会長を務めるペリー議員は、債務上限を巡る合意は「約束を果たしていない」と発言。「私は議会通過の阻止に集中する」と述べた。
◎BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン、ベンジャミン・ジェフリー両氏(5月19日のリポート):
債務上限に関する「われわれの予測では支払い不履行にならないタイミングで妥結するが、スムーズな展開にはならず、2年債利回りのインプライド水準は4.34%まで上昇」し、買いの好機になるだろう。
◎ゴールドマン・サックス(プラビーン・コラパティ氏ら、5月19日のリポート):
「債券の売り浴びせで米デュレーションをショートにする妙味が落ちるほか、債務上限に絡んだひずみが生じれば短期的な下押しリスクになりかねない」
債務上限を引き上げられずに資金を使い切ってしまった場合、「前代未聞の事態となり、市場の反応はわれわれの想定をはるかに上回る極端なものになる可能性がある」
◎JPモルガン・チェース(ジェイ・バリー氏、5月19日のリポート):
米国債利回りは地銀のストレスが顕在化し始めた3月以来の高水準に近く、債務上限の問題がまだ解決されていないことを考慮し、「現時点でのバリュエーションは魅力的で、5年債のロングを推奨する」
10年債と30年債のスティープナーも引き続き推奨。
◎モルガン・スタンレー(グニート・ディングラ氏、5月20日のリポート)
「市場は債務上限に伴うリスクや地銀のストレス、さらには強い経済データの持続可能性についてあまりにも無頓着だ。最近見られた利回り曲線のフラットニングが弱まっていることが示唆されている」
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の個人や中央銀行が金(ゴールド)の購入を増やしている。中国による宝飾品と地金・金貨の1〜3月の需要は前年同期に比べ16%増え、個人の強い購入意欲を映した。中国人民銀行(中銀)も4月まで6カ月連続で保有量を増やした。個人は人民元建て資産を不安視し、人民銀には米ドル離れの狙いがある。それぞれ目的は異なるものの最高値に近い金価格を支えている。
ロシアの首都モスクワで30日起きたドローン(無人機)攻撃について、与党の有力議員は、プーチン大統領の公邸があるモスクワ郊外の高級住宅地ルブリョフカの上空で3機撃墜されたと指摘した。
ロシア国防省は先に、ウクライナがモスクワに向けて放った無人機8機全てを撃墜したと発表していた。
こうした脅威は仮想ではない。台湾が実効支配する馬祖列島で2月、海底インターネットケーブル2本が中国国旗を掲げた船によって切断され、デジタル通信が遮断された。
2006年の地震でも台湾周辺の海底ケーブル8本が切断の事態となり、復旧に数週間を要し、アジアの多くの地域でインターネットや銀行、国境を越えた取引に支障が出た。この2つの出来事は、紛争や自然災害時に起こり得る状況を容赦なく想起させるものだった。
台湾の災害対策計画には、台湾全域で衛星受信機700台の設置が盛り込まれている。受信機は固定式や移動式になるとみられ、いずれも低軌道(LEO)と中軌道(MEO)にある複数の衛星群からの通信を受信できるように設定する必要がある。
国営新華社通信によると、習氏は共産党政治局員に対し、国家の主要な戦略ニーズを満たす科学コースを提供する世界クラスの大学を設立する必要があると発言。中国は海外からの留学生をより多く呼び込む必要があるとも述べた。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う入国制限で、中国への留学生数は減少。中国と欧米諸国との対立を背景に、個人の自由が報復の犠牲になるとの懸念も高まっている。
政府は「中国の教育能力と国際的影響を強化するため、『中国留学』のブランド構築を積極的に推進」していく方針だなどと新華社が習氏の発言として伝えた。
●中東
トルコの通貨、リラが下落している。30日の外国為替市場では一時1ドル=20リラ台前半をつけて、対ドルで過去最安値を更新した。28日に実施されたトルコ大統領選の決選投票で続投が決まったエルドアン大統領が金融緩和を今後も継続する方針を示唆し、米国との金利差に着目したリラ売り・ドル買いが進んでいる。
アラブ首長国連邦(UAE)は6月1日に法人税を導入する。税制を国際標準に近づけ、一部企業の租税回避につながっているとの批判をかわす狙いがある。税率は9%と他国に比べて低く設定し、外国企業の誘致で優位性を保つ思惑も透ける。
●中南米・アフリカ
南米の反米左派国ベネズエラと周辺国の関係改善が進んでいる。2022〜23年に右派から左派に政権交代したブラジルやコロンビアが外交関係を再開して、経済関係の強化も模索する。関係改善の進展は、ベネズエラのマドゥロ大統領の正統性を認めておらず経済制裁をかす米国の包囲網にとって打撃となる。
●市況日経先物31115、ダウ先33065、債先148.66、米3.696、独2.3435、仏2.897、西3.378、伊4.141、英4.2850、波6.056、原油69.55、銅8,112、ドル円139.80、ユーロドル1.0732
※5/31 8時45分頃
備忘録(2023/5/29)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
家畜やペット向け医薬品を手がける米ゾエティス株が2022年末に比べ上昇している。26日の終値は164.74ドルと12%高い。新製品の開発や収益の伸びを期待した買いが集まった。
シンガポール航空とガルーダ・インドネシア航空は29日、ダイヤや運賃の共同設定を含む「共同事業」と呼ばれる協業をする計画で合意したと発表した。両国の認可が下り次第、実施する。相互に輸送能力を拡大し、格安航空会社(LCC)などとの競争に備える。
蓄電池分野の国際特許の出願件数が広がっている。特許庁によると、2020年に複数の国・地域に出願された特許の件数は10年比で1.7倍の8000件超に増加していることが分かった。
10〜20年の合計を国・地域別にみると、日本が最多の2万6000件で全体をけん引した。電気自動車向けの研究開発が活発になっている。
●その他産業
楽天グループは29日、16日に発表した公募増資と三木谷浩史会長兼社長の資産管理会社などへの第三者割当増資における新規発行株式数が決定し、調達額が合計で2942億円になったと発表した。調達資金は携帯事業の投融資や社債償還などに充て、財務体質の改善につなげる。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
米政権と議会共和党指導部は米国のデフォルト(債務不履行)回避に向けた合意を盛り込んだ法案で支持を得るため、議員への説得工作を強化した。一方、環境保護団体や国防重視派、保守強硬派は、妥協の末にまとめられた合意を批判している。
大統領とマッカーシー下院議長(共和)はともに、法案可決に必要な票の確保に自信を示した。民主・共和両党の穏健派や現実主義者の有力議員は今回の合意に早い段階で支持を表明している。
スウェーデン中央銀行のヤンソン副総裁は通貨クローナの弱さが深刻な問題になりかねず、さらに下落が進めば中銀の金融政策決定に直接影響をもたらすとの認識を示した。
クローナはユーロに対し過去最安値付近で推移している。中銀理事会メンバーは、輸入物価がさらに上昇し、通貨安がインフレ対策に水を差すことを懸念している。
ヤンソン副総裁は国債売却を増やすことについて、政策金利に加え中銀が自由に利用できる2つの手段のうちの1つだと指摘した。一方、外国為替市場への介入は、特別な状況に限って勘案すべき「最後の手段」とみなすべきだとの見解を示した。
ヤンソン氏は「介入を私は実際に好まない」とし、「介入がどれほど効果的かについてもかなりの疑問がある。介入による利益は非常に限定的である一方、非常にコストがかかる恐れがある」と語った。
スペインのサンチェス首相は29日、議会を解散して7月23日に総選挙を実施すると発表した。総選挙はもともと2023年末に行われるとみられていたが、28日の統一地方選で穏健左派の与党・社会労働党(PSOE)が大敗したことを受けて早期の実施を決めた。
地方選で躍進した中道右派の国民党(PP)や極右政党ボックス(VOX)が国政でも支持を集めるかが焦点となる。サンチェス氏はこの日の演説で「昨日の選挙は地方選だったが、投票結果にはそれを超えるメッセージが込められている」と述べ、「首相、そして社会労働党の党首として結果を受け止める」と述べた。
国税庁は29日、信託型と呼ばれるストックオプション(株式購入権)について、給与としての税務処理が必要だとの見解を示した。企業は権利行使で得た株式の売却に対して20%の税金がかかると認識していたが、給与として最大で55%の税金が課され、想定より税負担が増えることになる。
説明会で国税庁は「役職員には金銭の負担がない」として企業の認識している税務処理を否定した。
信託型の株式購入権は利便性の高さから近年、導入企業が増えており、上場企業を含めて約800社が導入している。Q&Aは法令ではないが、見解と異なる税務処理を行った場合は、申告漏れなどを指摘される可能性が高い。
給与にかかわる所得税は従業員の支払い分の一定額を企業が代わりに納める源泉徴収義務がある。説明会では「権利行使で株式が交付されている場合、給与課税の対象となり、源泉所得税の納付が必要」と明言した。「一括納付が困難な場合、申請で分割納付が認められる場合がある」としたが、すでに権利行使が進んでいる上場企業を中心に影響が広がりそうだ。
2022年度決算によると、日銀が保有する国債の時価が簿価を下回り、3月末時点で1571億円の評価損となった。評価損は06年3月末以来17年ぶり。長期金利の上昇で国債の時価が下落したことが響いた。
国債の残高は約581兆7206億円だった。
評価損は一時期より減少したもようだ。日銀の黒田東彦前総裁は2月の国会答弁で、保有する国債の評価損が22年12月末時点で約8.8兆円になったとの試算を明らかにしていた。
決算は好調だった。22年度の経常利益は3兆2307億円と前の年度に比べて8121億円増え、改正日銀法が施行された1998年度以降の最高を2年連続で更新した。保有する上場投資信託(ETF)の運用益や国債の利息収入が増えた。
企業の最終利益にあたる剰余金は2兆875億円で過去最高となった。剰余金から法定準備金と配当金を差し引く国庫納付金も過去最高の1兆9831億円となり、21年度(1兆2583億円)より6割増えた。1兆円を超えるのは4年連続。
米株式市場で、米国株に投資する上場投資信託(ETF)への資金流入が細っている。年初から5月までの累計流入額は、前年同期に比べ8割減った。米国は根強い物価上昇圧力を背景に、追加利上げの観測がくすぶる。景気減速で企業業績が悪化し、株価の下落が懸念されているためだ。相対的に景気の落ち込みリスクが低いとされる日本や欧州に資金が流入。株価の押し上げ要因になっている。
野村ホールディングスの永井浩二会長は世界経済について「米欧での金融不安が飛び火しないかを注意深くみていかないといけない」と指摘した。米連邦準備理事会(FRB)はインフレの抑制を優先する必要があるため「金融引き締めの速度を緩めたり、様子をみたりすることはあるかもしれないが、市場が期待する利下げには至らない」とみていた。
慶応義塾大学の白井さゆり教授は世界経済の動向について「製造業が弱い一方、サービス産業が強く回復している。全体としてみると、どんどん落ち込んでいる感じではないが、強くもないという状況だ」との認識を示した。そのうえで世界経済への影響が大きい米経済について、労働市場が過熱し、金融引き締めを続ける必要があるなかで「景気減速の兆しがでてきているというジレンマに注目している」と語った。
ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長は、半導体業界からみた世界経済の見通しについて、需給調整が進展しながら「しばらく不透明な状態が続くかもしれない」と語った。一方で、人工知能(AI)の利用拡大や脱炭素の動きが投資を促し、景気押し上げに働くと指摘した。
スペインのサンチェス首相は29日、議会を解散し、7月23日に総選挙を実施すると表明した。前日行われた統一地方選挙での国政与党の社会労働党が大敗した。
国政主要野党の国民党が極右政党ボックス(VOX)と一部で協力するなどし、マドリードやバレンシアなどを含め選挙を実施した12地域のうち8地域を制する見込み。
スペインでは地方選挙で勝った政党が国政選挙でも勝利する傾向がある。
サンチェス首相はテレビ放送された演説で、「この結果に個人的な責任を負い、民意に委ねることが必要だと考えている」と述べた。
総選挙の発表を受け、29日のスペイン株は一時の上げを消した。スペイン10年国債は値上がりし、現地時間午前11時44分現在で利回りは9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.52%。
債務上限の適用停止
合意は債務上限の適用を停止するもので、2025年1月まで財務省は事実上、上限に縛られず借り入れられる権限を付与される。その後は、新たな上限引き上げの議会承認が必要になる。これは民主党、特にバイデン氏にとって勝利だ。再選を目指す同氏は来年の大統領選前に債務上限を巡る新たな争いに直面せずに済むからだ。
裁量的支出
合意では、米議会が連邦機関・プログラムに毎年予算を配分する「裁量的支出」の上限が設定される。上限はメディケア(高齢者・障害者向け医療保険制度)や社会保障など義務的プログラムには適用されない。
24会計年度(23年10月-24年9月)の予算上限は国防を含む安全保障で8860億ドル(約124兆円)、それ以外の国内向けで7040億ドル。25年度にはそれぞれ8950億ドル、7110億ドルに引き上げられる。
来年度の国防費は3.3%増となり、バイデン大統領が予算教書で求めた水準並み。だが伸び率はインフレ率を下回っており、共和党内の国防重視派の意向を満たしていない。
就労義務
「補助的栄養支援プログラム(SNAP)」として知られる低所得者向け公的食料費補助では、就労義務の適用年齢上限を現行法で定める49歳から54歳に最終的に引き上げる。現金給付のプログラムでも就労要件を変更する。
ただ退役軍人に加えホームレスなど弱者に対して就労義務の適用除外を確保したと米政権は説明した。適用除外の対象は約50万人で、就労要件厳格化の影響を受ける人数とほぼ同数だと政権当局者1人は指摘した。
就労義務の厳格化は、貧困者向け支援を請求する成人についてより厳しい受給要件を求めた共和党にとって全体としては勝利だ。こうした制度の受給者を減らせば、税金を節約できると共和党は主張する。
だが一部の民主党進歩派は反対票を投じる可能性が高い。進歩派は一般的に、低所得者を社会保障プログラムから排除することに反対している。
エネルギープロジェクト
ホワイトハウスと共和党の交渉担当者は、エネルギープロジェクトについて連邦当局の審査を義務付けている国家環境政策法を小幅修正することで合意。ただ、共和党が求めていたより幅広い修正は盛り込まれなかった。
内国歳入庁の予算
バイデン大統領の署名で成立したインフレ抑制法に盛り込まれた、10年間で800億ドルの内国歳入庁(IRS)予算増のうち200億ドルが別の使途に充てられる。利用者サービス向上と連邦税の不正対策に利用されるはずだったが、米政権のファクトシートによると、この200億ドル分は他の非国防支出に振り向けられる。
プライベートローンの債権を処分する方法は限られているため、信用不安が生じると与信側にとって大きな損失となる可能性がある。そのため、HPSインベストメント・パートナーズやベインキャピタルは、ポートフォリオにストレスが生じることを想定し、再編チームを強化している。
米投資銀行ラザードのケネス・ジェイコブズ最高経営責任者(CEO)は決算を説明する先月の電話会見で、「2021年に比べれば、資金コストははるかに高くなっている」と警告した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
オースティン米国防長官と中国の李尚福国務委員兼国防相は6月上旬にシンガポールで探ってきた会談を見送った。米国防総省が29日、中国が拒否したと明らかにした。米国が李氏に科す制裁をめぐり溝が埋まらなかったとみられる。台湾周辺や南シナ海で偶発的衝突のリスクが拭えない。
会談が実現しない理由は李氏に対する米国の制裁だ。複数の関係者によると、中国は国防相会談の条件として制裁解除を求めた。米国は李氏が制裁対象のままでも会談を開けるとの立場を伝えた。
米国のトランプ前政権は18年、李氏がロシア製の戦闘機や地対空ミサイルシステムの調達に関わったとして制裁対象に指定した。
米国では対中国強硬論が先鋭化する。バイデン米大統領が5月下旬に制裁解除の可能性に触れると、野党・共和党のジム・リッシュ上院議員はツイッターで「許しがたい」と直ちに反発した。国務省は解除を検討していないと、バイデン氏の発言を修正した。
米戦略国際問題研究所(CSIS)のジュード・ブランシェット氏は、米中双方は会談が見送りになった場合に相手を非難するための環境づくりを進めてきたと指摘する。
米中はキューバ危機のような経験がなく、中国は米中対立が高まるとむしろ対話を閉ざす例が目立つ。米軍が2月に米本土へ飛来した中国の偵察気球を撃墜した後、オースティン氏は当時の中国国防相に電話協議を申し入れたが中国が拒否した。
米ブルッキングス研究所のライアン・ハース上級研究員は5月のリポートで、米国は国防トップの対話など危機管理メカニズムの確立に向けた取り組みを休止すべきだと訴えた。対衛星兵器の使用制限など、米国は具体的な協力を提案して信頼を積み上げたほうが衝突リスクを減らせるとみる。
米中の対話が全て失われているわけではない。レモンド商務長官と米通商代表部(USTR)のタイ代表は5月下旬、米国を訪れた中国の王文濤商務相と会談。2月の中国気球問題で停滞していた閣僚級対話を再開させた。
オバマ政権のホワイトハウスで中国部長を務めたエバン・メデイロス氏は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が11月に米サンフランシスコで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議の出席に向けた環境づくりを段階的に進めるとの見通しを示す。
ロシアのラブロフ外相は29日、ロシア産の穀物と肥料の輸出を巡る障害が解消されない限り、黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)はもはや機能しないと述べた。
訪問中のナイロビで「あらゆることが現状のまま維持され、またそうなることが明らかな場合には、合意がもはや機能していないという事実から話を進める必要がある」と指摘。昨年7月に締結された合意では国連が3年間にわたり、ロシア産の穀物と肥料の輸出に関する障害を解消するよう支援することが求められているが、ラブロフ外相は「まったく」履行されていないと主張した。
●中東
トルコ大統領選の決選投票が28日に実施され、エルドアン大統領(69)の続投が決まった。物価上昇率が40%を超えるなかでの選挙だったが、イスラム教や軍需産業の振興を重視する政策が保守派の根強い支持を集めた。
イランのライシ大統領は28日、トルコ大統領選の決選投票で勝利した現職のエルドアン大統領に対し、祝意を表明した。ライシ師は両国関係について「地域の発展を巡り、より強力で緊密になると確信する」と強調した。
サウジアラビアの国営通信は、サルマン国王がエルドアン氏の再選を祝したと報じた。アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領は「戦略的パートナーシップ強化に向けた協力を楽しみにしている」と表明。イスラエルのヘルツォグ大統領は声明で、「良好な関係の強化と拡大のため、今後も協働できると強く信じている」と述べた。
トルコで28日行われた大統領選の決選投票で現職エルドアン大統領が勝利したことを受け、通貨リラは29日の取引で下落。
リラは一時0.3%安の1ドル=20.03リラと過去最安値近辺に下落した後、イスタンブール時間午前6時40分(日本時間午後0時40分)時点で20.01リラ。
ウォール街は今後のリラの一段安を予想。モルガン・スタンレーは、エルドアン氏が低金利を維持する方針を貫いた場合、リラ相場は従来予想よりも早く1ドル=26リラに達し、年末までに28リラ近辺に下落し得ると警告した。ウェルズ・ファーゴは、今四半期末までに23リラを付けると予想している。
テリマーのストラテジスト、ハスナイン・マリク氏は「エルドアン氏の勝利はどんな外国人投資家にとっても何の慰めにもならない」と指摘。インフレ率が非常に高い一方で、金利は極めて低いほか、純外貨準備高を確保していないため「全ての資産に影響する痛みを伴う危機が到来する可能性がある」と分析した。
スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を巡り、同国とトルコの外相が「近日中に」会談する予定。スウェーデン外務省が29日発表した。
スウェーデンのビルストロム外相は当初、6月1日にオスロで開催されるNATO外相会談でトルコのチャブシオール外相と面会する予定としていた。しかし、チャブシオール氏が外相会談に出席しないこととなり、二者会談は見送られたという。それでもビルストロム氏の広報担当者は、会談は「近いうちに」行われるとの見通しを示した。
敗北した野党統一候補クルチダルオール氏は「ここ数年で最も不公平な選挙」だと述べたが、開票結果に異議は唱えなかった。
エルドアン氏は群衆に「勝者はわれわれの民主主義だ」と語りかけ、「今こそ、選挙戦中の対立や葛藤を脇に置き、国家の目標のために団結する時だ」と訴えた。
政府系新聞など親エルドアン派メディアはエルドアン氏の勝利を称賛する記事を掲載し、「民衆の人が勝利。トルコの世紀への扉を開いた」(サバフ紙)、「勝利は再びエルドアン、勝者はトルコ」(ヒュリエット紙)といった見出しが並んだ。
しかし、エルドアン氏を巡っては、型破りな経済政策が原因で何年にもわたる経済の混乱を引き起こしたとの批判が出ている。リラはこの日、対ドルで20.077リラを付け最安値を更新した。
エルドアン氏への権力集中で民主主義が損なわれているとの主張を展開した野党の打撃は大きい。
バイデン米大統領は29日、トルコ大統領選で勝利したエルドアン大統領に電話で祝意を伝え、トルコが難色を示している北大西洋条約機構(NATO)へのスウェーデンの加盟承認を促した。バイデン氏が記者団に明らかにした。
エルドアン氏はトルコが求める米国製F16戦闘機の購入を議題にしたという。トルコは「テロリスト」と見なすクルド系住民らの身柄引き渡しをスウェーデンが拒んでいると批判しているが、米国からF16の売却承認を引き出すための駆け引きだとの見方も出ている。
ロシアのプーチン大統領は29日、トルコ大統領選決選投票で再選を決めたエルドアン大統領と電話会談した。2国間協力拡大についてのエルドアン氏の貢献に謝意を示し、緊密な関係維持で一致した。ロシア大統領府が発表した。両者の電話会談は28日のエルドアン氏再選発表以降で初めて。
ランの最高指導者ハメネイ師は29日、同国とエジプトの関係修復について「歓迎する」と述べ、和解に前向きな姿勢を示した。テヘランを訪問したオマーンのハイサム国王との会談で語った。3月のサウジアラビアとの外交関係正常化合意に続いて、中東地域の緊張緩和の動きとなる可能性がある。
●中南米・アフリカ
南米ベネズエラのマドゥロ大統領は29日、ブラジルの首都ブラジリアでルラ大統領と会談した。マドゥロ氏のブラジル訪問は2015年1月以来、約8年半ぶりとなった。ベネズエラは米国から経済制裁を受けており、同制裁の緩和に向けてブラジルの支持を求めた。
南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)は29日公表した最新の金融システム半期点検報告で、国内の金融機関と金融システムは最近の世界的な銀行セクター混乱にもなお耐性を発揮したと評価した。ただ内外の複数のリスク要因により、向こう1年で金融安定が脅かされる恐れがあると警告した。
SARBは具体的に(1)再三にわたる停電に伴う電力供給途絶の脅威(2)根強いインフレ(3)資金流出(4)マネーロンダリング(資金洗浄)を巡る問題(5)ロシアへの武器供給疑惑で制裁を科される可能性――をリスク要因に挙げた。
資金洗浄に関しては今年2月、国際組織の金融活動作業部会(FATF)が南アを「グレーリスト(強化監視対象国・地域)」に加えると発表し、適切な資金洗浄防止策やテロ資金対策を講じるよう求めている。
また米国は今月、南アがロシアへ武器を供給している疑いがあると主張。制裁が発動されるのではないかとの観測から、通貨ランドの急落を招いた。
今回の報告でSARBは、制裁が科されればドル建てでの貿易決済や金融取引、投資が不可能になるとの懸念を示した。
●市況
日経先物31288、ダウ先33178、債先148.56、米3.773、独2.4315、仏3.004、西3.496、伊4.277、英4.3715、波6.046、原油72.98、銅8,138、ドル円140.49、ユーロドル1.0707
※5/30 8時35分頃
備忘録(2023/5/26-28)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
米議決権行使助言会社のグラスルイスは26日までに、トヨタ自動車の豊田章男会長の取締役選任議案について反対を推奨した。グラスルイスが独立していると認める取締役の数が少ないことを理由に、「取締役の独立性が不十分である」と指摘。豊田氏の「取締役会議長」としての責任を疑問視した。
シンガポール国際商事裁判所(SICC)は26日、スイス金融大手クレディ・スイス・グループの社員による顧客資産使い込みなどの不正行為に関する訴訟で同社に9億2600万ドル(約1300億円)の賠償金の支払いを命じた。クレディ・スイスの広報担当は「判決は間違っており、法律上非常に重大な問題がある」として上訴する意向を示した。
ジョージアの元首相で実業家のビジナ・イワニシビリ氏が、同行担当者の不正により多額の損失を被ったとして、シンガポールで同社の信託部門を提訴していた。SICCは判決文で「原告は被告が信託資産を保護する義務を怠ったことを立証した」と指摘した。支払額は両者間の和解合意でクレディ・スイスが支払い済みの7940万ドルを差し引くとした。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は26日、3300億円の円建て永久劣後債(AT1債)の発行条件を決めた。発行から5年1カ月と10年1カ月でそれぞれ償還が可能な債券の2種類で、表面利率は5年で1.804%、10年で2.127%となる。主幹事の三菱UFJモルガン・スタンレー証券が発表した。
国債に対する上乗せ金利(スプレッド)は5年で1.65%、10年で1.66%になる。資金は資本金など「普通株等自己資本(CET1)」を補完するかたちで中核的自己資本(Tier1資本)に組み入れられる。資本性のある「TLAC債」とあわせ発行額は5700億円となる。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ホワイトハウスと下院共和党の交渉担当者は27日夜、連邦政府の法定債務上限を実質的に引き上げ、世界経済に激震を与えかねない米国のデフォルト(債務不履行)を回避することで原則合意に達した。
バイデン大統領とマッカーシー下院議長(共和)は同日夕に約1時間半、電話協議を行い、原則合意を取りまとめた。今後は最終的に法案として上下両院での可決にこぎ着ける必要がある。合意には民主・共和両党の強硬派からの反対が予想される。
議長は28日に大統領と再び協議し、31日に採決を行う方針を表明。「まだやるべきことが多く残されているが、これは米国民に価値ある原則合意だと確信する」と、連邦議会議事堂で記者団に語った。
バイデン大統領は27日夜の声明で、マッカーシー議長との間で原則合意に達したと表明した上で、合意内容は妥協の産物であり、「誰もが望むわけではないことを意味する」と説明した。
大統領はさらに、合意によって政権と議会民主党の重要な優先事項と立法面の成果は守られると指摘。交渉担当者が法案テキストの最終的な策定作業を行うとし、上下両院に迅速な可決を訴えた。
原則合意には、債務上限の適用停止に加え、非国防支出を今後2年間にわたりほぼ現行の水準に据え置く歳出合意が盛り込まれた。事情に詳しい関係者1人が匿名を条件に明らかにした。
債務上限適用停止の期間は2025年1月までで、24年11月の大統領・議会選挙後までとなる。枠組みに詳しい一部の関係者は、25年1月1日に適用が再開されるとする一方、別の関係者は正確な日程について、これからまとめられる法案テキスト次第だと論じた。
メディケイド(低所得者向け医療保険)受給に関する就労義務の要件厳格化は盛り込まれなかった一方、「補助的栄養支援プログラム(SNAP)」として知られる低所得者向け公的食料費補助は、就労義務の適用される年齢を段階的に54歳にまで引き上げる。
大統領と議長は27日夕、電話で協議を行った。事情に詳しい関係者2人が明らかにした。債務上限問題を巡る交渉の担当者は合意取りまとめの協議を急いで進めてきた。
電話協議はワシントン時間午後6時(日本時間28日午前7時)ごろに始まり、7時半までに終了したと関係者の1人は語った。バイデン、マッカーシー両氏が最後に対面で会談したのは22日。
議長は電話協議に先立ち、「数時間」以内に合意があるかもしれないし、妥結まであともう数日かかるかもしれないと述べていた。
イエレン財務長官は26日、債務上限の引き上げもしくは適用停止が講じられない場合、財務省は資金繰りを続けるための特別措置を6月5日までに使い切るとの見通しを明らかにした。
共和党交渉担当者の1人であるマクヘンリー下院金融委員長は、「双方の間には大きな相違点が複数ある」と話し、こうした相違点の大半はトップ2人で解決しなくてはならないとコメントしていた。
また、バイデン大統領はまとまりつつある合意について、既にシューマー上院院内総務、ジェフリーズ下院院内総務の議会民主党トップと話をしたと、関係者の1人が明らかにしていた。
大型で強い台風2号(マーワー)が24〜25日未明にかけて米領グアムを直撃し、国際空港が閉鎖した。日本人を含む観光客が足止めを余儀なくされている。空港は災害支援用の貨物輸送を開始したが、一般の旅客機は早ければ30日に運航を再開する予定だとしている。
台風の警報は解除されたが、停電が続いている。グアムの電力公社によると、現地時間27日午後1時時点で必要な電力量の12%が復旧した。グアムにある日系のホテルでは「発電機を使った補助電源に切り替えている」という。
農林水産省と林野庁が近くまとめる花粉症対策の原案が分かった。花粉症の発生源であるスギの人工林を10年間で2割ほど伐採し、30年後に花粉発生量を半減させることを目指す。花粉の少ないスギの苗木やスギ以外の木への植え替えも進める。
米国の夏の旅行シーズンが本格的に始まる。全米自動車協会(AAA)によると、「メモリアルデー」連休を含む25〜29日の旅行者数は2022年比で7%増となる見通しだ。在宅勤務の定着で旅行の日程が組みやすくなった人も多く、今夏も旅行需要の拡大が続く可能性が高い。
米ニューヨーク連銀が米国の「自然利子率(Rスター)」推計の公表を再開したことが、債券市場で話題となっている。新型コロナウイルス禍を経て米国の金利水準の実力が切り上がったとの見方を否定する材料となるからだ。中長期的な金利の落ち着きどころはコロナ前と変わらない可能性が意識され、米国債の買い安心感につながっている。
レモンド米商務長官は27日、中国当局が一部の重要セクターで米マイクロン・テクノロジー製半導体の調達を禁止した最近の決定について、米国は「容認しない」と述べ、これまでで最も厳しい表現で米側の反発を表明した。
レモンド長官は記者会見で、中国の決定が「単純明白な経済的威圧」であると米国として捉えており、「われわれが容認することはなく、それが成功するとも考えられない」と話した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の金融市場に逆風が強まっている。経済再開(リオープン)後の景気回復テンポ鈍化、デフレ懸念、海外マネー人気剝落の3つの逆風が吹き、足元では株安と人民元安が同時に進む。長期金利は約半年ぶりの水準に低下し、再び過去最低水準に近づいてきた。景気下支えのための金融緩和は一段の人民元安につながりかねないため、中国政府は難しい政策のかじ取りを迫られる。
中国国家統計局が27日発表した1-4月の工業利益は前年同期比20.6%減となった。世界2位の経済大国で需要低迷と生産者物価下落の影響が広がっている。
統計局のデータによれば、4月単月では前年同月比3.7%増。3月は19.2%減だった。1-3月では前年同期比21.4%減。
統計局の報道官は「経済社会が完全に回復し、稼働するにつれ、消費水準の上昇とともに工業生産の再開が続き、工業利益の加速につながっている」と声明でコメントした。
ただ、製造業活動が幾らか持ち直したとはいえ、中国の工業企業は昨年の新型コロナウイルス禍による不振からの立ち直りに苦しんでいる。
商品需要も依然低迷し、景気回復は主にサービス業における個人消費がけん引。米国をはじめとする先進国は、「リスク回避」のため中国製品購入の動きを鈍らせている。
生産者物価のデフレも製造業の価格決定力と利益を損ねている。4月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比3.6%低下と、2020年以来の大きな落ち込みを記録した。
ベラルーシの野党指導者ツェプカロ氏は27日、強権的な長期政権を敷くルカシェンコ大統領(68)がロシアのプーチン大統領と密室で会談後、モスクワの病院に救急搬送されたと交流サイト(SNS)に投稿した。ウクライナメディア「ウクラインスカ・プラウダ」などが伝えた。
ツェプカロ氏は、ルカシェンコ氏の状況は「危機的と判断され、対応するため専門医が派遣された」としたが「さらに確認が必要」と説明しており、信ぴょう性は不明。ルカシェンコ氏は最近、公の場に姿を現す頻度が減っていることなどから、健康不安説が指摘されている。
ベラルーシはロシアと強い同盟関係にあり、ウクライナ侵攻を支持している。ルカシェンコ氏は1994年から大統領を務め「欧州最後の独裁者」とも言われてきた。
ツェプカロ氏は2020年の大統領選に立候補を試みたが、有効署名を集められなかったとして阻まれた。この大統領選ではルカシェンコ氏が6選を決め、大規模な抗議デモにつながった。
●中東
14日の投票では、エルドアン氏が事前の劣勢予想を覆して49.5%の票を獲得した。ただ、当選に必要な過半数には届かず、決選投票にもつれこんだ。
大手世論調査会社のコンダが20〜21日に実施した世論調査によると、回答者の47%がエルドアン氏、42%がクルチダルオール氏に投票するとした。ほかの世論調査もエルドアン氏の優位を示すものが多い。ただ、トルコで決選投票が行われるのは初めてで、有権者の行動は読み切れない面もある。
14日の投票で脱落した極右候補オアン氏(得票率5.2%)の政党連合は分裂し、オアン氏はエルドアン氏を、別の極右政党「勝利党」はクルチダルオール氏の支持に回った。
サウジアラビアとイランの接近による中東の雪解けで蚊帳の外に置かれたのが、イスラエルだ。安全保障上の脅威とみなすイランの勢力拡大を警戒し、けん制を強める。イランはイスラエルの孤立を狙う。域内屈指の軍事力を持つ両国の対立という中東のリスクが、改めて鮮明になっている。
●中南米・アフリカ
ブラジルのルラ大統領は26日、ロシアのプーチン大統領と電話で協議した。6月にサンクトペテルブルクで開く国際経済フォーラムへの招待に感謝を伝えたうえで、参加しない考えを示した。ツイッターに「現在はロシアを訪問することはできない」と書き込んだ。
2023年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)の確定値は、前四半期比で1.0%増だった。4月に公表した速報値から0.1ポイント下方修正した。サービス業が好調だったほか、主力産業である自動車生産も回復している。
23年1〜3月期の分野別は、金融・サービス業などの第3次産業が前四半期比で1.5%増、製造業や鉱業などの第2次産業が同0.6%増だった。一方で農業などの第1次産業は同2.8%減だった。米国などへの出稼ぎ労働者からメキシコに住む家族らへの送金が飲食業などの国内消費を下支えしている。
23年1〜3月期は前年同期比では3.7%増だった。第1次産業が同2.9%増、第2次産業が同2.4%増、第3次産業が同4.2%増だった。8四半期連続でのプラス成長となった。
●市況
日経先物31455、ダウ先33125、債先148.60、米3.795、独2.5100、仏3.093、西3.568、伊4.368、英4.3715、波6.150、原油72.87、銅8,138、ドル円140.60、ユーロドル1.0728
※5/26 NY引け値
4/26~5/25については都合によりお休みです
備忘録(2023/4/25)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)株が一時前日比51%安まで急落し、3月に付けていた上場安値を更新した。前日発表した2023年1〜3月期決算で期末の預金が22年末比で4割超減った。市場想定を上回る大規模な流出で、同行の経営不安が再燃した。
預金引き出しに対応するため3月末時点の借入金は22年末時点の7倍に膨らんだ。1〜3月期は最終黒字を確保したが、シティグループのアナリスト、アレン・シガノビッチ氏は25日付リポートで「資金調達コストが高いため今後は最終赤字に陥る可能性がある」と指摘。同銘柄に対する投資判断を「売り推奨」とした。
FRCのマイケル・ロフラー最高経営責任者(CEO)は24日の決算説明会で「戦略的な選択肢を模索する」と述べ、他行への身売りや出資要請を示唆した。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は関係者の話として、大手行による救済や米連邦預金保険公社(FDIC)の公的管理入りが案として浮上していると伝えた。株式の希薄化や減資のリスクも株安を後押しした可能性がある。
資金面で脆弱なほかの地銀株にも売りが波及した。ノーザン・トラストとパックウエスト・バンコープはともに前日比9%安となった。25日に決算発表した両行の3月末時点の預金は22年末比でそれぞれ8%減、17%減だった。地銀株全体の値動きを映すKBW地銀株指数は前日比4%安で引けた。
米ブルームバーグ通信は25日、FRCが経営再建に向けて、満期までの期間が長い債券や融資債権など最大1000億ドル規模の資産売却を検討していると報じた。金利上昇で含み損が膨らんだ債権も多いとみられ、売却の条件交渉などで難航する可能性もあるという。
米銀ファースト・リパブリック・バンクは保有する長期証券など、500億-1000億ドル(約6兆7000億-13兆4000億円)相当の資産売却を模索している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
資産売却は同行の資産と負債のミスマッチ改善に寄与すると、この関係者らは発言。情報が非公開であることを理由に匿名を条件に語った。関係者の1人によれば、大手米銀を含む潜在的買い手は、市場価格を上回る額で資産を購入するインセンティブとして、ワラントか優先株を受け取る可能性がある。
金融庁・日銀は、日本の金融機関の資本基盤やバランスシート構造を踏まえ、同様のケースが発生するとはみていない。しかし、米欧の金融システムを巡る不確実性が高まる中、機動的に対応できるリスク管理体制の整備が不可欠と判断した。金融庁・日銀が連携し、内外市場の動向やそれが金融システムに与える影響などについて強い警戒感を持って注視していく方針という。
金融庁の天谷知子金融国際審議官は24日のインタビューで、シリコンバレー銀の破綻を招いた預金流出について、「銀行側も当局側も取り付けという状況になりそうになる前の段階で、どれだけ迅速な対応ができるかが重要」と説明。インターネットの普及によって翌朝や翌週までじっくり考える時間はなく、「今までのオペレーションサイクルとは全く違うサイクルで対応していかなければいけない」と語った。
日銀はシリコンバレー銀について、1口座当たりの預金残高の大きさや、預証率の高さなどが突出する特殊な資産・負債構造になっていたと21日公表の金融システムリポートで指摘。低⾦利下の⽐較的短い期間で有価証券を積み増しており、預⾦が流出し始めると、評価損を抱えた満期保有⽬的の有価証券まで現⾦化する必要に迫られ、売却損計上と急速な預⾦流出の悪循環に陥ったとみられる、と分析した。
●その他産業
●決算関連
米宅配大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)は2023年通期の売上高について、同社ガイダンスの下限になるとの見通しを示した。米小売販売の減速が宅配需要への重しになっている。
25日のUPS発表によると、売上高は同社が1月に示した970億-994億ドル(約13兆-13兆3000億円)の下限になる見込み。1-3月(第1四半期)の調整後利益は1株当たり2.20ドルと、アナリスト予想と一致した。売上高は229億ドルで、こちらも市場予想に一致した。
キャロル・トーム最高経営責任者(CEO)は発表文で「第1四半期は米小売売上高の減速を背景に、取扱量が当社予想を下回る結果となった。アジアでの需要も弱い状況が続いている」と説明した。
調整後の営業利益率は11.1%と、前年同期の13.6%から低下。通期の利益率についても、1月に示したガイダンス12.8-13.6%の下限になると見込んでいる。
エルモッティCEOはブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、資金流入はUBSに対する「顧客からの信頼の証」だとし、クレディ・スイス顧客から流れた資金ばかりではなく、流入の中心は米国だったと説明した。
クレディ・スイスは24日、ウェルスマネジメント事業から1-3月に約530億ドルが流出したと明らかにした。その多くがUBS以外に流れており、顧客が両行へのエクスポージャーを縮小しようとしていることがうかがわれる。
こうした純流入にもかかわらず、ウェルスマネジメント事業の収入は1-3月に47億9000万ドルと、予想の49億ドルを下回った。最近の市場混乱が響き、顧客の活動が弱かったと同行は説明。その状況が4-6月(第2四半期)にも続き得るとの見方を示した。エルモッティ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、年内または来年の早い時期にリセッション(景気後退)に陥る可能性を排除していないと述べた。
投資銀行部門では、株式トレーディング収入が前年同期比23%減ったものの、債券トレーディングは0.8%増収となった。資本市場業務の収入は37%減、助言業務は21%減。投資銀行部門の収入は23億5000万ドルと、市場予想の24億3000万ドルを下回った。
UBSによると、クレディ・スイス買収は5月に完了する見込みで、それに伴い大幅な会計上の利益が生ずる見通し。UBSが合意した買収価格は30億スイス・フラン(約4500億円)だが、クレディ・スイスの適正価値の差から「相当額の」評価益が生じるという。クレディ・スイスの純資産は3月末時点で540億フラン。さらに、スイス国内事業のスイス・ユニバーサル・バンク部門だけで、UBSがグループ全体の買収額として支払った価格をはるかに超える価値があるとアナリストは見積もっている。
2023年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比52%減の10億2900万ドル(約1380億円)だった。米国の住宅ローン担保証券(RMBS)に関わる訴訟費用として6億6500万ドルの引当金を積んだことが減益要因となった。
UBSによると富裕層の資産管理ビジネスでは1〜3月に280億ドルの資金流入があった。そのうち70億ドルは3月19日に同業のクレディ・スイス・グループの救済買収に合意してから月末までの10日間に流入したとした。
クレディ・スイスとの統合に関してUBSはこの日開示した四半期報告書で「スイス金融市場監督機構(FINMA)、英健全性監督機構(PRA)、米連邦準備理事会(FRB)から承認があったほか、様々な当局から競争法に基づいた承認、あるいは異議の不存在を確認した」とした。「統合は2023年第2四半期の完了を予定している」という。
2023年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比1%増の25億7100万ユーロ(約3800億円)だった。金利上昇による利ざやの改善で欧州を中心に稼いだが、スペイン政府が打ち出すインフレ対策による一時的な課税の影響で利益の伸びが抑えられた。
貸出金の利ざやにあたる純金利収入は17%増の103億9600万ユーロだった。世界的な金融引き締めで市場金利が上がったことで、ポルトガルやポーランドなどで大きく増えた。南米での住宅ローンと消費者金融がけん引して融資残高は3%増の1兆413億ユーロと伸びた。純手数料収入も8%増の30億4300万ユーロとなった。
スペイン政府のインフレ対策による銀行への一時的な課税で、2億2400万ユーロの費用が発生した。景気の不透明感の高まりで貸倒引当金は55%増の33億100万ユーロとなった。
2023年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比3%増の697億8700万ドル(約9兆3200億円)、純利益は8%減の150億5100万ドルだった。景気減速に伴い企業が販売促進費を抑制する傾向が続き、主力のインターネット広告は2四半期連続の減収だった。
2023年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比9%減の80億3100万ドル、純利益は同25%減の9億7600万ドルだった。パソコン(PC)や携帯電話の需要が減った結果、3Mの主力製品である電子機器用部材の販売が低迷した。ロシア事業からの撤退やマスクの販売急減も響いた。地域別の売上高はアジア太平洋が21%減、欧州・中東・アフリカ地域が10%減、米州は1%減だった。
従業員6000人の追加削減を含む大規模なリストラ計画を発表した。1月にも工場従業員2500人削減を発表しており、累計の削減数は全従業員の約1割に相当する。経営効率を改善し業績の立て直しを急ぐ。
人員削減は全事業部門で中間管理職などを対象に進める。重複部門の統廃合に加え流通販売網も見直し、一部では直接販売から現地企業への委託に切り替える。リストラ関連費用として23〜24年にかけて7億〜9億ドル(約938億〜1206億円)の特別費用を計上する。
4〜6月期について「消費者向けは需要の伸び悩みが続く」と予想した。23年通期見通しは、売上高で前年比3%減〜横ばいとした前回の予想を据え置いた。
2023年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比7%増の528億5700万ドル(約7兆700億円)だった。市場予測は上回ったが、伸び率は2四半期連続で10%を下回った。企業のIT(情報技術)投資の手控えで主力のクラウドサービス事業の鈍化が続いている。
純利益は9%増の182億9900万ドルで、1株利益は2.45ドルと市場予想を上回った。22年10〜12月期よりは持ち直しているものの、主力のクラウド基盤「Azure(アジュール)」などの売上高は前年同期比27%増にとどまり、売り上げの成長率は10〜12月の31%増から縮小した。
世界的なパソコンの需要冷え込みも響いた。基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の売上高は前年同期比で28%減となり、「Surface(サーフェス)」などの端末も30%減少した。新型コロナウイルスの感染拡大期に増加したパソコンの買い替えが一巡したことが響いた。
2023年1〜3月期決算は純利益が前年同期比3%増の22億9300万ドル(約3100億円)だった。心不全治療薬「エンレスト」や多発性硬化症薬など、主要製品の販売が好調だった。
1〜3月期の売上高は3%増の129億5300万ドルだった。製品別の売上高ではエンレストが28%増の13億9900万ドルとなったほか、多発性硬化症薬「ケシンプタ」が2倍、乳がん治療薬「キスカリ」が74%増えた。
新薬の投入効果も踏まえ、同日、23年12月期の通期予想を上方修正した。従来、1桁台前半としていた前期比の増収率見通しを1桁台半ばに引き上げた。分離上場を計画する後発医薬品子会社サンドに関し、4〜6月期に分割を完了する見込みを示した。
2023年1〜3月期決算は、売上高が10%増の178億4600万ドル(約2兆3800億円)だった。販売数量は事業全体で2%減少したが、16%の値上げをしたことで増収を確保した。22年1〜3月期にジュース事業の売却益を計上した反動で、純利益は19億3200万ドルと54%減った。売上高と1株利益はいずれも市場予想を上回った。
ラモン・ラグアルタ最高経営責任者(CEO)は、人手不足やサプライチェーン(供給網)制約の緩和を踏まえ「22年よりもよい状況にある」と話した。先行きの消費者動向や新興国の為替相場には不透明感が残ると指摘した。
2023年1〜3月期決算は、売上高が144億8600万ドル(約1兆9000億円)だった。同社は1月にヘルスケア事業の分割を完了している。同事業を除いた継続事業ベースでは前年同期比14%の増収となった。主力の航空機エンジンが好調で全体をけん引した。
航空機エンジン事業の売上高は69億8100万ドルと前年同期比25%増となり、全体をけん引した。旅客需要が堅調で、新規の受注やメンテナンスなどが伸びた。
風力発電などの再生可能エネルギー事業の売上高は1%減の28億3700万ドルだった。固定費の削減を進めているが、最終損益は4億1400万ドルの赤字(前年同期は4億3400万ドルの赤字)となった。GEは再エネや電力事業で「GEベルノバ」を24年に分割する予定で、その後は航空機事業に集中する。
2023年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比19%減の23億9500万ドル(約3200億円)となった。3月に募集を始めた早期退職プログラムの一時費用を計上し、3四半期ぶりの減益となった。主力の北米、南米での自動車販売は堅調で、通期のEBIT(利払い・税引き前損益)の見通しは引き上げた。
23年1〜3月期の売上高は399億8500万ドルで、前年同期比で11%増だった。主力の北米での販売台数は18%増の70万台で、南米も17%増の10万台だった。一方、中国での販売は低調で、販売台数は25%減の46万台。同国が足を引っ張り、世界販売台数は3%減の138万台となった。
また同社は、これまで電気自動車(EV)の主力車種だったシボレーの「ボルトEV」の生産を23年内にやめる方針を示した。これから相次ぎ新型EVを投入する予定で、車種の新陳代謝を進める。
2023年1~3月期決算は、最終損益が9300万ドル(約124億円)の赤字(前年同期は15億6900万ドルの黒字)だった。売上高は前年同期比22%減の118億5900万ドル。幅広い製品で需要が落ち込んだほか、コスト削減に向けたリストラ費用も重荷となった。
事業全体では販売量が前年同期比11%、現地通貨ベースで販売価格が同10%それぞれ落ち込んだ。需要の縮小は梱包材から建財まで幅広い製品分野で見られ、3つの事業部門である「パッケージ材・特殊プラスチック」「産業中間財・インフラ」「高機能材・コーティング」のすべてで売上高が2割超減った。
2023年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比4%増の58億9780万ドル(約7900億円)、純利益は63%増の18億230万ドルだった。高インフレ下の米国で消費者の節約需要を取り込みながら、メニュー改定に伴う値上げで収益を伸ばした。
●先進国、グローバル、金融市場
英政府は25日、巨大ITを規制する新たな法案を発表した。商品に関する偽の口コミやサブスクリプション(定額課金)などの取り締まりを強め、悪質な違反には世界売上高に対して最大10%の制裁金を科せるようになる。
対象は世界の売上高が250億ポンド(約4兆円)を超えるか、英国内の売上高が10億ポンドを超えるIT企業で、米グーグルや米メタ(旧フェイスブック)などが含まれそうだ。英メディアによると2024年の制定が見込まれている。
2月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は、前年同月比で4.0%上昇した。上昇率は2022年3月から鈍化しており、14年9月以来の低い伸びにとどまった。前月からは0.5%上がった。住宅需要の低迷を受けて価格上昇圧力が弱まっている。
S&Pコアロジック・ケース・シラー指数では全米の住宅価格が前月比0.2%上昇し、22年6月以来、8カ月ぶりに前月比プラスとなった。米PNCフィナンシャル・サービシズのエコノミストは「米連邦準備理事会(FRB)がフェデラルファンド(FF)金利を高水準に保ち続けるなか米経済は減速し、住宅市場の調整は23年末まで続くだろう」と指摘した。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのクレイグ・ラザラ氏は「予測はまちまちだが、今後数カ月は金利の高止まりと景気悪化の見通しが住宅価格にとって逆風となるだろう」との見方を示した。
コンファレンスボードが発表した4月の米消費者信頼感指数は101.3に低下した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は104だった。前月は104(速報値104.2)に下方修正された。
借り入れコストの急上昇を受けて多くの購入見込み客が様子見姿勢となり、米国全体で住宅市場は減速している。一部では需要が上向き始めたが、市場に出ている物件が不足しており、販売への下押し圧力となっている。
ムーディーズは過去30年にジャンク級(投機的水準)に格下げされた国が、どのように対応したかを調査した報告書を発表。この中で、ジャンク級への格下げがあり得る目立った候補としてイタリアを挙げた。イタリアの格下げが起こる可能性について、ムーディーズは見解を示していない。
ケルビン・ダーリンプル、スコット・フィリップス両氏を含むムーディーズのアナリストは、「イタリアは現在、格付けが『Baa3』で見通しがネガティブな唯一のソブリンだ」とし、「低い経済成長率と資金調達コストの上昇で、イタリアの財政状況はいっそう悪化する可能性がある」と説明した。
ムーディーズはイタリアの格付けについて、5月19日に次回の見直しを発表する予定。S&Pグローバル・レーティングは先週、イタリアの格付けをムーディーズよりも1段階高い「BBB」で据え置き、見通しも「安定的」とした。フィッチ・レーティングスもS&Pと同様の見解を示している。
米債務残高は今年1月に法定上限の31兆4000億ドル(約4206兆円)に到達。財務省はそれ以降、特別措置を活用してデフォルト(債務不履行)を回避してきた。イエレン氏はデフォルトの事態となれば「経済的および金融的な大惨事」が起こると再度予測した。
デフォルトの危険が現実的になる前に債務上限を引き上げる時間がどの程度議会にあるのか、イエレン長官は今週末までに新たなガイダンスを示す見通しだ。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
●市況日経先物28435、ダウ先33722、債先148.09、米3.400、独2.3695、仏2.922、西3.395、伊4.273、英3.7185、波5.910、原油77.30、銅8,528、ドル円133.76、ユーロドル1.0978
※4/26 7時40分頃
備忘録(2023/4/24)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
旅行予約サイト大手の米ブッキング・ホールディングスの株価が好調だ。年初から右肩上がりで上昇し、足元は2022年末比で3割超高い。中国政府による「ゼロコロナ政策」の緩和を背景に、旅行予約件数の増加が収益の拡大につながるとの期待がある。
鉄鋼部門の売却などを検討するメルツ氏に対し、労働組合や経営陣の一部が反発していた。
フランスの高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンも注目を集めた。同社の時価総額は欧州企業として初めて、5000億ドル(約67兆3000億円)を突破した。
●決算関連
2023年1〜3月期に顧客からの預かり資産が612億スイスフラン(約9兆2000億円)減少したと発表した。預かり資産全体の5%にあたる。同行に資産管理を託していた富裕層の資金が流出した。預かり資産は22年末も21年末比で2割減少していた。今回の発表で今年に入って一段と顧客離れが進んだことが明らかになった。
クレディ・スイスが同日発表した23年1〜3月期決算は、最終損益が124億スイスフランの黒字だった。スイス金融市場監督機構(FINMA)の指示によりAT1債を無価値化したことで債務負担が減少し、会計上の利益と認識した。22年10~12月期まで5四半期連続で赤字を計上していた。
23年1〜3月期は顧客の預金も前期末に比べて672億スイスフラン減少した。預金や預かり資産の減少、リストラなどにより23年通期は「税引き前ベースで大幅な損失が見込まれる」とした。預かり資産や預金の流出は足元で緩やかになっているものの、まだ続いているという。
今週は25日にソフトウエアのマイクロソフトと検索サイトのアルファベット、26日に交流サイトのメタプラットフォームズ、27日にネット通販のアマゾン・ドット・コムなどハイテク大手の決算が相次ぐ。前週は動画配信のネットフリックスや電気自動車のテスラが決算発表後に売られており、時価総額の大きいハイテク株の動向が注目される。ダウ平均の構成銘柄では航空機のボーイングやバイオ製薬のアムジェン、建機のキャタピラーなど10社以上が業績を発表する。
朝方発表した1〜3月期決算で1株利益などが市場予想を上回った飲料のコカ・コーラが高い。機械のハネウェル・インターナショナルなど景気敏感株にも買いが入っている。一方、アナリストが投資判断を引き下げたマイクロソフトが安い。
米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)は24日、2023年1〜3月期決算を発表した。3月末の預金は22年末比4割減の1044億ドル(約14兆円)に急減。資金調達コストがかさみ、純利益は前年同期比33%減の2億6900万ドルとなった。従業員を最大25%削減するほか、身売りを含めた再編を模索する。
マイケル・ロフラー最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、3月10日の米地銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻以降、「前例のない預金流出に見舞われた」と述べた。新型コロナウイルス禍で預金が急増し、預金保険の対象外となる預金の比率が高いなど、SVBと似た特徴があった同行を不安視する預金者がこぞって預金引き出しに動いた。
JPモルガン・チェースなど大手米銀11行はFRCの信用不安を抑えるため、3月16日に合計300億ドルをFRCに預金した。ロフラー氏は4月以降に預金引き出しは落ち着きつつあると説明したが、21日時点の預金は1027億ドルと3月末時点よりさらに2%弱少ない水準にあるという。
預金引き出しに対応するため借入金が急増し、3月末で前年同期比7倍の1066億ドルに膨らんだ。借入金の金利は預金より大幅に高いため、受取金利と支払金利の差である利ざやは1.77%と、前の四半期から0.68ポイント縮小した。
収益環境の悪化に伴い、各種のコスト削減策を実施する。4〜6月期に従業員数を20〜25%減らす。同行の従業員数は22年末時点で約7200人だった。ロフラー氏は「戦略的な選択肢を模索する」とも踏み込んだ。具体策については言及を避けたが、他行への身売りや出資要請を想定しているとみられる。決算発表後、24日の時間外取引でFRC株が同日終値比20%あまり下げる場面があった。
●先進国、グローバル、金融市場
3月の日本発の航空貨物輸出量(混載貨物ベース)は前年同月比29%減の7万2930トンだった。15カ月連続で前年を下回り、下落率は2月(33%)から小幅に縮小した。欧米や中国など、広い地域向けに減少が続いている。
地域別では、米国向けが前年同月比43%減、中国向けが26%減、欧州向けが18%減だった。
大手フォワーダーによると「中国など他のアジアから北米向けの輸出量は徐々に回復しているが、日本発は回復が鈍い。日本発の便の空きスペースを埋めようと他の地域から日本に集約して送ることもある」という。
下落が続いていたコンテナ船のスポット(随時契約)運賃が底入れした。主要航路である上海発米国向けは2週連続で上昇した。2週間続けて上がったのは1年3カ月ぶり。安値からの上昇率は2〜4割に達する。輸送需要は鈍いものの、海運各社の減便で船腹の需給が引き締まった。上昇が続けば、大口荷主との年間契約運賃の押し上げ要因になる。
1-3月(第1四半期)決算では、為替変動や買収の影響を除いた本業ベースの売上高の伸びが市場予想を上回った。消費者を遠ざけることなく、商品を値上げしたことが奏功した。
本業ベースの売上高は1-3月期に12%増加。アナリストの予想平均は9.6%増だった。調整後利益は1株当たり68セントと、こちらもアナリスト予想の65セントを上回った。
北米では、商品全体の平均価格が11%上昇。ユニットケース販売数量は3%増えた。同社は「市場への継続的な投資」や家庭向け以外での強さを理由に挙げた。
通期の本業の売上高は7-8%増になるとの見通しを維持した。ウォール街の予想平均は7.8%増。
4月の独企業期待指数は92.2と、前月の91(改定値)から上昇。ブルームバーグが調査したエコノミストの予想は小幅低下だった。現況指数は前月から低下した。
Ifoのクレメンス・フュースト所長は発表文で「ドイツ企業の懸念は後退しつつあるが、経済は依然、ダイナミズムを欠いている」とコメントした。
市場の不透明感を高めていた複数の要素がなくなったわけではない。トレーダーは5月、6月両方の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利上げがあり得ると賭けるポジションを増やしている。米政府がデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に追いやられるまで米連邦債務上限を巡る対立は解決されないとの懸念も強まっている。投資家の信頼を高めるために銀行が与信を引き締める可能性も経済見通しを不透明にしている。
スワップトレーダーはFOMCが5月と6月にそれぞれ0.25ポイント利上げを決める確率を約20%織り込んでいる。これまでのところ景気は堅調に見える一方、インフレ率が迅速に2%の目標に戻るようには見えないからだ。
都築氏はYCCの修正時期について、今週末の金融政策決定会合だと「総裁が代わった直後でタカ派のイメージがついてしまう」と指摘。日銀は6月に動き、10年金利の許容変動幅を現在のプラスマイナス0.5%から同1%に拡大すると予想した。春闘でしっかり賃上げが行われ、物価上昇率も想定以上の数字になっており、YCC修正も「やりやすいのではないか」と言う。
超長期債への投資スタンスについては、30年債利回りで1.5%から2%に接近すると非常に投資妙味が出てくるが、足元の1.3%程度では「あまり魅力の高い水準ではないため、6月にYCC修正を見込む中、ペースはゆっくりめにスタートしたい。金利が上がったところでその分を追加で投資したい」と述べた。
22年度はヘッジコストの上昇を受けてヘッジ付き外債の残高を2兆4000億円減らす一方、国内債券等を3兆900億円積み増した。23年度はヘッジ付き外債の残高は横ばいにとどめ、国内債券の残高は増やす方針。しかし、積み増し額は前年度を下回る見込みという。新規の投資資金は前年度からほぼ横ばいの1兆円強を予定する。
1-3月のマンハッタン住宅購入では約57%が現金一括払いで、不動産鑑定会社ミラー・サミュエルとダグラス・エリマンが14年に支払い方法の調査を開始してから最高となった。住宅ローン金利が過去最低水準に近かった21年初頭は39%だった。借り入れコストが2022年の早い時期の約2倍の水準で推移する中、多くの一般購入者も住宅ローンを回避している。一方、物件の需要が低調だと判断している売り手は、取引を迅速に成立させる機会に飛び付いている。
不動産会社ダグラス・エリマン・リアル・エステートのエージェントで、マンハッタンやハンプトンズで販売するフランシス・カッツェン氏は「市場にあまり流動性があると感じられない時は、現金が常に王様になる傾向がある」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
メキシコ政府がスペイン企業に命じた巨額の罰金の波紋が広がっている。2022年のスペインからメキシコへの直接投資額は16億ドル(約2200億円)と21年比6割減。ロペスオブラドール政権は対内投資で保護主義を強めており、日本企業にも対岸の火事ではすまない進出リスクが顕在化している。
汚職や資金洗浄でペルー当局から追われていた同国のトレド元大統領(77)が23日、滞在していた米国からペルーに送還され、身柄を拘束された上で首都リマの国家警察施設に収容された。同じ施設にはフジモリ元大統領、カスティジョ前大統領も捕らわれている。
2001〜06年に大統領を務めたトレド氏は、公共事業でブラジルのゼネコン大手オデブレヒトに便宜を図った見返りに巨額の賄賂を受け取った疑いを持たれている。本人は無実を主張している。
南米チリのボリッチ政権は、電気自動車(EV)車載電池の主要原料であるリチウム生産について、民間企業とのパートナーシップ(共同出資)契約で今後は政府が支配権を握り、過半数の権益を取得する方針を明らかにした。
世界2位の供給国チリが、リチウム産業を国有化すると伝えられたことを受け、21日の株式市場では、世界最大のリチウム原料生産会社、米アルベマールの株価が10%、チリの同業SQMも14.7%それぞれ急落し取引を終えた。
チリ政府はこれら2社との既存の合意を尊重するが、2030年と43年に契約が失効した段階で国営モデルに移行する。契約切れを待たずに企業側が権益譲渡を選択する可能性も想定する。
チリは世界最大の銅生産。コデルコは国内の銅生産を独占しているが、リチウムは生産していない。グラウ氏は「コデルコはアタカマ塩原で操業する企業、特に2030年に契約終了となるSQMとの協議を今期中に開始する予定だ」と説明した。
43年に契約が切れるリチウム生産大手の米アルベマールについても進展を期待していると述べた。
アルベマールとSQMはチリで唯一リチウムを生産している企業で、チリのリチウム埋蔵量の90%を占めるアタカマ塩原で操業している。両社の株価はリチウム産業の国有化発表を受けて21日に大幅下落した。
4月前半の消費者物価指数は、前年同期比で6.24%上昇した。3月前半(同7.12%上昇)に比べて伸び率が縮小した。市場にはメキシコ銀行(中央銀行)が5月の金融政策決定会合で0.25%の利上げを続けるという見方がある。
農畜産物とエネルギー価格を除くコアインフレ率は7.75%だった。コアインフレ率に含む「農畜産物を除く食料品と飲み物、たばこ」は前年同期比で12.38%上昇した。コアインフレ率に含まない「果物と野菜」は同2.83%の上昇にとどまった。「畜産」は同7.81%上昇した。
●市況
日経先物28688、ダウ先33994、債先147.74、米3.477、独2.4985、仏3.070、西3.540、伊4.383、英3.8170、波6.000、原油78.60、銅8,748、ドル円134.08、ユーロドル1.1056
※4/25 8時50分頃
備忘録(2023/4/20-23)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
ロトフィ・カルイ氏らゴールドマンのストラテジストは20日付のリポートで、米国は他国に比べて資本を銀行に依存する度合いが低いと指摘、貸し付け基準が引き上げられても借り手への影響はそれほど大きくない可能性があるとの見方を示した。
ストラテジストらは「本格的な金融危機のリスクが一段落した今、議論の焦点は3月の銀行破綻の余波を消化する経済と市場の実力に移った」とし、「大手企業や高格付け企業は財務に高い柔軟性があることから、より厳しい銀行の融資基準に対応できる」と論じた。
(FRB)が米銀の保有する債券の含み損について、会計処理方法の見直しを検討していることが21日分かった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えた。一定規模の資産を持つ銀行は、時価評価した債券の価値の目減り分を資本増強などで穴埋めする必要が出てくる可能性がある。
米地銀破綻に関して「預金残高が伸び、似た状況の銀行は多い。今後も何か起こる恐れはある」と述べ、金融不安は終わっていないとの認識を示した。米利上げで米経済が減速するとした上で「新たな投資機会が出てくる」とも語った。
●その他産業
●決算関連
フリーキャッシュフローは10億ドル(約1348億円)で、ブルームバーグがまとめた市場予想(30億2000万ドル)を大きく下回った。AT&Tは通期のフリーキャッシュフローを160億ドルと見込んでおり、1-3月はその約6%ということになる。
予想を下回るフリーキャッシュフローを受け、AT&Tが電話端末の在庫や通信網構築などでの高いコストに苦慮しているとの懸念が再燃しそうだ。同社は下期についてはフリーキャッシュフローの水準が高まるとし、このままいけば通期目標を達成、ないし上回るとの予想を示した。
●先進国、グローバル、金融市場
金融庁は資産運用業の経営課題を分析したリポートをまとめた。日本の大手資産運用会社の約7割でトップの在任期間は3年未満で、グループ内の他社の出身者も約7割を占めている。資産運用会社は岸田文雄首相が掲げる「資産所得倍増」のカギを握るが、「資産運用会社としての成長より、グループ内の人事上の処遇を重視しているとの懸念をもたれる」と問題視した。
米金融安定監視評議会(FSOC)は21日、ファンドや保険会社を含むノンバンクへの規制・監督の強化策を公表した。トランプ前政権時代の2019年に業界の要望を反映して実施した規制緩和を巻き戻す。3月の米地銀破綻で広がった金融不安を受け、危機の発生を未然に防ぐ体制を強める。
米金融監督当局は、ノンバンク企業の監視に活用するツールの強化を提案した。ノンバンクをシステム的に重要な機関として指定するのを困難にしていたトランプ前政権のガイダンスを変更することが含まれる。
「2019年に出された既存のガイダンスは、指定プロセスの一部として不適切なハードルを生じさせていた」とイエレン氏は指摘。「こうした追加の措置は米金融規制改革法(ドッド・ フランク法)で義務付けられていない上、有益でも実行可能でもない。一部は金融危機がどのように始まり、どんな代償を強いるかなどについて、誤った見方に基づいている」と述べた。
さらに、そのような指定プロセスは完了するのに6年かかる可能性もあるとし、「非現実的な工程であり、手遅れになる前に金融安定への新たなリスクに対応するFSOCの行動を妨げる恐れがある」と同氏は続けた。
3月の中古住宅販売価格(中央値)は37万5700ドル(約5000万円)で前年同月比0.9%下落した。下落率は2012年1月以来、約11年ぶりの大きさを記録した。前年前半まで続いた価格上昇の反動や住宅ローン金利の高止まりで、足元の取引価格に下落圧力がかかっている。
2022年度の国内粗鋼生産量が前年度に比べ8.1%減の8784万8千トンだったと発表した。減少は2年ぶり。半導体不足などで自動車向け需要が伸び悩んだほか、世界的な利上げを背景に海外経済が減速し鋼材輸出が振るわなかった。
VIXは期間23ー37日のデリバティブを用いて計算されるため、超短期のセンチメントを反映するのは難しいというのが、その考え方だ。つまり、ゼロDTEの時代には新しい恐怖指数がウォール街で必要とされ得るということだ。そこで、VIXの期間1日バージョンが登場する。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
チリ政府はリチウム生産を担う国有企業を設立する。23年後半に国有企業を設立するための法案を議会に提出する。今後は国有企業がリチウム生産を主導するが、ボリッチ氏は民間企業の投資も部分的に認める方針を示した。国有企業と民間企業が共同出資会社を設立する場合、国有企業が過半出資する見込みだ。
ロイター通信によると、チリのSQM社は30年、米アルベマールは43年までチリでのリチウム生産が認められている。ボリッチ氏は「チリ政府は既存の契約を尊重する」と説明している。両社は契約が切れるまでは従来通りリチウム生産を続けられる見通しだ。
チリは中南米で最も早く中国と外交関係を結んでおり、同国との経済関係も深い。ボリッチ氏は22年に中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談し、中国との経済関係を強化する意向を示した。中国のリチウム大手の天斉リチウム業は18年、SQMの発行済み株式の約24%を取得した。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によれば、日本の炭酸リチウムの輸入国としてチリは最大で、20年は輸入量の75%を占めた。チリの国有化の動きは日本の調達戦略に影響を与える可能性がある。
希少資源の保有国では保護主義が広がっている。メキシコ議会では22年、リチウムを国有化する法改正が成立した。新たに設立した国有企業が生産を独占する。メキシコはリチウム採掘の実績がないが、米地質調査所によると埋蔵量は世界10位に入る。インドネシアも20年からニッケルの未加工鉱石の輸出を禁止している。
●市況日経先物28630、ダウ先33929、債先147.62、米3.568、独2.4760、仏2.987、西3.519、伊4.346、英3.7830、波6.056、原油77.95、銅8,787、ドル円134.13、ユーロドル1.0990
※4/21 NY引け値
備忘録(2023/4/19)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米銀大手が融資の縮小に動き始めた。JPモルガン・チェースなど商銀4行合計の3月末の融資残高は2年ぶりに前の四半期を下回った。急速な米利上げで住宅ローンなどの需要が細った。米地銀の相次ぐ破綻で景気の先行き懸念が強まり、銀行側も貸し出しに慎重な姿勢に傾いている。
HSBCはアジア事業の分割案を「経営戦略の基盤となっている国際的なビジネスモデルを著しく弱める。株主価値の重大な損失をもたらす」と批判した。顧客に対する国際的な金融サービスの管理負担増や調整不足を引き起こすとともに、IT(情報技術)システムや資金調達費用が大きくなると指摘した。
中国平安保険はHSBC株の約8%を保有する。分割上場後のアジア事業を担う新会社は香港を本社とし、親会社をHSBCとすることを提案していた。収益性の高いアジア事業に専念できる体制を整えることで多くの株主利益を生み出す利点があると主張していた。
シュローダーズの米債券商品管理責任者、デービッド・ナットソン氏は大手銀の債券は景気減速へのエクスポージャーが恐らく低いとして、起債では「健全な需要」を集める可能性が高いと指摘。ブルームバーグがまとめたデータによれば、18日の金融機関の社債スプレッドは平均154bpと、より広範な高利回り債のスプレッドを約22bp上回った。
ナットソン氏は「最近の金融システムを巡る問題は金融危機時とは正反対のものだったと市場は気づきつつある」と述べ、「当時は大手銀行が問題だったが、今の問題は小規模な銀行だ」と続けた。
米地銀の相次ぐ破綻で景気の先行き懸念は強まっている。フィラデルフィア地区では複数の銀行員がSVBの破綻を受け、融資条件の厳格化や方針の変更を議論していると報告した。
シカゴ地区の大手銀行の行員は「小規模銀行の経営状況がこの先はっきりすれば、新たに流入した預金が引き出されるかもしれない」と懸念を示した。セントルイス地区の銀行員らは地銀破綻を受け流動性に重点を置く銀行が増えたと指摘した。
カンザスシティ地区の不動産業者らは商業不動産の開発向けの融資は「ほぼ完全に止まっている」と報告。同地区の貸し手は「以前から低リスクの融資を重視してきたが、これからは基準をさらに厳しくする」と話した。
2023年2月下旬以降の米経済は「横ばいだった」と総括した。全米12地区連銀の管轄地区のうち、ボストンやニューヨークなど5地区では「経済活動に変化はなかった」と報告した。ミネアポリスやアトランタなど4地区では「緩やかに拡大した」という。残り3地区では経済活動が前回報告と比べわずかに鈍化したと報告した。今後は融資環境の引き締まりが企業活動や消費にどう影響するかが引き続き焦点になる。
●その他産業
●決算関連
1〜3月期決算は、純利益が前年同期比19%減の29億8000万ドル(約4000億円)だった。企業の資金調達や市況の低迷で株式・債券の引き受けなどの投資銀行部門が苦戦した。富裕層向け資産運用は利ざや拡大で好調だったが、全体の落ち込みを補えなかった。
投資銀行部門の利益は33%減の14億7800万ドルだった。株式と債券の引受手数料はそれぞれ22%減、6%減となり、M&A(合併・買収)助言手数料も32%減った。トレーディング収入も振るわなかった。期中の金利変動は大きく債券トレーディングは堅調だったが、株式や為替、商品は顧客の取引量が減った。
ジェームス・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「進行中のM&A案件はすでに増えており(債券などの)新規発行の兆しも見えている」と話した。
年金基金や事業法人向けの資産運用部門の利益は34%減の1億3400万ドルだった。顧客の解約や市況の影響を受けて運用資産規模が6%減少したことが響いた。
一方、富裕層向け資産運用部門の利益は8%増の13億7600万ドルとなった。運用報酬は市況低迷に伴い減ったものの、金利収入と資金の調達コストの差である「純金利収入」が4割増となり、部門利益を支えた。
シャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)はウェルスマネジメント部門の資産純増について「200億ドル程度は3月の出来事によるものだ」と説明。その上で、大半は投資の成功に起因するとして「当社のビジネスモデルの持続可能性が業績に表れている」と述べた。
同社は成長著しいウェルスマネジメントと資産運用事業が、業績の振れ幅が大きいトレーディングと投資銀行業務を補うとのメッセージを強調している。
2023年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比でほぼ横ばいの142億5200万ドルだった。部門別にみると、19年に買収したソフトウエア大手のレッドハットを含むソフトウエア部門の売上高が3%増の59億2100万ドル、コンサルティング部門が3%増の49億6200万ドルだった。一方で、企業の基幹業務で使うメインフレーム(大型汎用機)の販売などを手掛けるインフラ部門は30億9800万ドルと4%の減収となった。世界的な景気減速懸念で顧客企業が情報技術(IT)分野への投資を控えたことでインフラ部門が振るわなかったほか、ドル高も重荷となった。
純利益は26%増の9億2700万ドルだった。特殊要因を除いた1株利益は1.36ドルと、市場予想(1.26ドル程度)を上回った。コスト削減努力が奏功した。
アービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は決算会見のなかで、「(足元では)コンサルティング部門の一部で減速感がある」と語った。
●先進国、グローバル、金融市場
英国の2023年3月の消費者物価指数は前年同月比10.1%上昇した。伸び率は2月に比べて0.3ポイント下がり、2カ月ぶりに鈍化した。自動車の燃料代が下落した影響が大きいが、食品の上昇は続いており高インフレのピークアウトが見通しづらくなっている。
リフィニティブが集計した市場予想は9.8%だった。2カ月連続で10%を下回る予想が出ていたが、2月に続いて上回る結果となった。エネルギーや食品などを除くコア指数の上昇率は6.2%で、前月比で横ばいだった。
上昇率は輸送が0.8%と2.1ポイント下がった。ロシアのウクライナ侵攻で前年同月に急騰したエネルギー価格が一服し、ガソリンや軽油などの燃料代が下落した。住宅も26.1%と0.5ポイント下がった。暖房用の燃料価格が下落したことで、光熱費が抑えられた。
食品・非アルコール飲料は19.1%と1.1ポイント加速した。パンや果物、チョコレートや菓子などの価格上昇が大きかった。娯楽・文化や健康の伸び率も高まった。
CPIの発表を受け、イングランド銀が40年ぶりの急ピッチで進めてきた利上げサイクルがまだ続くとの見方に市場は傾き、追加利上げの織り込みに早速動いた。金融政策委員会(MPC)メンバーはインフレ圧力が収束すれば利上げ停止もあり得ると示唆していたが、この日の統計は、英国の物価上昇の勢いは米国やユーロ圏を上回っていることを示した。
短期金融市場が織り込むイングランド銀のピーク金利は5%を超え、今年に入り最高の水準に上昇した。中銀会合の日付と連動するスワップによれば、5、6月の両会合はいずれも0.25ポイントの利上げが見込まれている。
ナットウエスト・マーケッツの英金利戦略責任者イモジェン・バクラ氏は、「債券に実需が戻るには、インフレが決定的に低下するという明確なシグナルが市場に必要だ」と述べた。同氏は英国債が今後さらに売られ、10年債利回りは現在の3.8%前後から4.3%に上昇すると予測する。
みずほインターナショナルのエブリン・ゴメスリヒティ氏は、「市場やイングランド銀が考えていたほどインフレは制御されていない可能性がある」と指摘。「今回のデータは、同中銀に明らかなメッセージを突きつけている。利上げ停止にはまだ早い、ということだ」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
国連人口基金(UNFPA)が19日公表した世界人口白書は、2023年にインドが人口規模で中国を上回るとの推計結果を盛り込んだ。世界の成長をけん引してきた中国だが、近年は伸びに陰りが出てきた。インドへの期待は高まるものの、社会発展にはなお課題を抱える。
米アップルがインド市場の開拓に注力している。このほど同国初の直営店を開き、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は相次ぎ現地財閥トップと会談した。現地で2024年までにiPhoneを年産2000万台にするとの試算もある。製造、販売面ともに体制を強化して「最後のフロンティア」であるインドを開拓する。
国連人口基金(UNFPA)は19日、インドの人口が2023年半ばに中国を抜いて世界最多になるとするデータを公表した。インドは14億2860万人、中国は14億2570万人と推計しており、インドが約290万人上回る。医療水準の改善などで増加が続くインドと、少子高齢化で人口減に転じた中国との差が鮮明となった。
余向栄氏率いるシティのエコノミストは18日の調査リポートで、「消費の回復は引き続きセクターごとに開きがあり、サービス業が他のセクターよりも良好だった」と指摘。「貯蓄の正常化や雇用の改善」が「上振れの余地」をもたらしたと続けた。
GDPの伸びは「景気刺激策の必要性を恐らくさらに低下させるだろう」と述べ、4月の共産党政治局会合では「特に大きな動きは予想していない」とした。
今年は「政策当局者にとって、低迷する民間部門の信頼感や若者の失業、地方政府の債務など構造的問題に取り組む好機」になり得るとの見方も示した。
●中東
●中南米・アフリカ
任期は2028年までの5年間。ディアスカネル氏の再選は既定路線だとみられていた。キューバ革命後に生まれた初の大統領が2期目に入る。
●市況日経先物28515、ダウ先33994、債先147.43、米3.591、独2.5135、仏2.998、西3.523、伊4.348、英3.8875、波6.157、原油78.87、銅8,970、ドル円133.74、ユーロドル1.0950
※4/20 8時25分頃
備忘録(2023/4/18)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
HSBC側は分割上場案に対して、かねて反対を表明している。反対理由として挙げるIT(情報技術)システムや資金調達費用の増加に関して中国平安保険は「(HSBC側が)多くのコストとリスクを誇張していた」として批判した。
●その他産業
●決算関連
2023年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比15%増の81億6100万ドル(約1兆900億円)だった。金利上昇により預貸利ざやが拡大した。景気の先行き不透明感が増すなか与信費用は増えた。
純金利収入は前年同期比25%増の144億4800万ドルだった。市場部門の利益も堅調で同6%増の16億8800万ドルとなった。期中の金利変動が大きかったため、債券・為替・商品のトレーディング収益は約3割増えた。投資銀行部門や資産運用部門は市況の影響などを受け苦戦した。
預金残高は1兆9104億ドルと前年同期比8%減、22年末比では1%減となった。MMF(マネー・マーケット・ファンド)など利回りの高い金融商品に預金を移す流れが緩やかに続いた。
融資残高は1兆464億ドルと前年同期比5%増えた。クレジットカード利用や企業向け貸し出しが増えた。貸倒引当金や貸倒損失を合算した与信費用は9億3100万ドル計上した。前年同期は3000万ドルにとどまっていた。クレジットカードの延滞増などが響いた。
2023年1〜3月期決算は、最終損益が6800万ドル(約90億円)の赤字だった。前年同期は51億4900万ドルの黒字だった。ベビーパウダーの健康被害をめぐる集団訴訟や23年中に会社分割する消費者向け部門に関連する費用が重荷となった。
ベビーパウダーの発がん性をめぐる集団訴訟の対応で1〜3月期に69億ドルの訴訟関連費用を計上した。売上高は5.6%増の247億4600万ドルだった。
部門別の売上高では、新型コロナワクチンを含む「処方薬」が4.2%増だった。多発性骨髄腫向け治療薬の「ダラツムマブ」やコロナワクチンの売り上げも増えた。手術用の医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」は7.3%増だった。23年半ば以降に分割予定の日用品や市販薬などの「消費者向け」部門の売上高は7.4%増えた。
23年12月期通期の売上高は前期比5.5〜6.5%増の979億〜989億ドルを見込む。1〜3月期の売上高が好調だったため、22年10〜12月期の決算を発表した1月から上方修正した。通期予想にコロナワクチンの売上高は含まれていない。
ベビーパウダーの集団訴訟をめぐっては、J&Jはこのほど原告団に25年間で89億ドルを支払う和解案を提示した。訴訟が相次いでいる同社製品について、J&Jは一貫して安全問題を否定している。
2023年1〜3月期決算は純利益が前年同期比18%減の32億ドル(約4300億円)だった。M&A(合併・買収)助言など主力の投資銀行業務の低迷が続いた。米地銀シリコンバレーバンク(SVB)の破綻で金融市場が不安定になるなか、株式や債券などのトレーディング収益も振るわなかった。
純営業収益は5%減の122億ドルだった。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続やSVB破綻で景気の先行き不安が強まり、企業が買収や資金調達に慎重になったことで、投資銀の手数料収入は15億ドルと26%減った。M&A助言や株式・債券の引受業務が総じて落ち込んだ。
債券・通貨・商品(FICC)トレーディング収入は前年同期比17%減少。これまでに決算を発表した米銀の中で唯一の減少となった。株式トレーディング収入は予想を上回り、債券不調の打撃を和らげた。FICCトレーディングの不調は通貨と商品業務が主因だった。
消費者金融部門マーカスの約40億ドル(約5400億円)相当のローンブックの一部を売却し、貸倒引当金4億4000万ドルを戻し入れた。これにより利益はアナリスト予想を上回ったが、それでも前年同期比19%減だった。
貸倒引当金は1-3月業績に1億7100万ドルのプラス寄与。アナリストは8億2800万ドルのマイナス寄与を予想していた。
不動産投資は約3億5500万ドルのマイナスとなった。
ゴールドマンは破綻したシリコンバレー銀行(SVB)の増資の取り組みにも関わっていた。デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「第1四半期の出来事は現実世界でのストレステストとなり、ゴールドマンや米大手金融機関のレジリエンスを示した」とコメントした。
2023年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比4%増の81億6150万ドル(約1兆1000億円)だった。会員数は3カ月で175万人増加した。本業のもうけを示す営業利益は前年同期比13%減の17億1431万ドルだった。純利益は同18%減の13億512万ドル。3月末の会員数は2億3250万人で、22年12月末と比べて175万人増えた。1株利益は2.88ドルで市場予想を上回った。
一方で売上高は市場予想である81億7670万ドルを下回った。4〜6月期の売上高予想も前年同期比3%増の82億4200万ドルで市場予想に届かず、18日の米株式市場の時間外取引でネットフリックス株は同日終値より一時8%超下落した。
●先進国、グローバル、金融市場
マーシャル氏は今月の投資家向け書簡で、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻は速やかに処理が進んだが、金融機関を「自己防衛モード」に追い込んだと指摘。「ゾンビ化した銀行システム」では一般的な融資は条件が一段と厳しくなり、商業用不動産は資金調達などの面で特に大きな負担を強いられるとの見方を示字した。
同氏は「リセッション(景気後退)のリスクを大幅に高める極めて深刻な信用収縮に見舞われる公算が大きくなった」とし、「商業用不動産、特にオフィス不動産が次の不安材料だ」と記した。同書簡の内容はブルームバーグが確認した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
1-3月の国内総生産(GDP)は前年同期比4.5%増と、1年ぶりの高い伸び。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は4%増加だった。昨年10-12月(第4四半期)は2.9%成長となっていた。個人消費の増加や生産の回復がけん引役となり、景気の持ち直しが軌道に乗っていることを示唆した。
3月分の経済指標は注意すべき理由を幾つか示している。工業生産は前年同月比3.9%増と、エコノミスト予想の4.4%増に届かなかった。固定資産投資も1-3月に前年同期比5.1%増と予想を下回り、不動産投資の減少も続いた。
フォーサイス・バー・アジアのシニアアナリスト、ウィラー・チェン氏は「不動産投資がなお出遅れ、予想に届いていない。投資が持ち直していない中では不動産市場の回復も短命にとどまる恐れがあるとの広範な懸念と一致している」と指摘。「消費回復を巡る懸念がこれまであったことから、予想を上回る小売売上高の伸びを受けて、地合いは改善するかもしれないが、持続性の問題は残る」と述べた。
労働市場と賃金の伸びもまだ通常の水準に戻っていない。都市部住民の所得は1-3月にインフレ調整後ベースで前年同期比2.7%増にとどまり、5%を超える伸びとなっていたコロナ禍前に比べると大きく見劣りする。若年層の失業率は3月に上昇し、19.6%と過去最悪に近く、中国全土の都市部失業率は5.3%と高止まりしている。
国家統計局の付凌暉報道官は18日、複雑な国際環境と内需不足で中国経済回復の基礎は「まだしっかりしていない」と説明した。
エコノミストの間では、政府が景気の押し上げに向けて追加の刺激策を講じる必要があるかどうか意見が分かれている。中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は先週、今年の成長率目標は達成できる見込みだとの認識を示しており、大規模な刺激策の必要性はないことを示唆している。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏は「中国経済が勢いを増す中、利下げは必要ない」と分析。「人民銀がやらなければならないことは短期金融市場の流動性を十分に保つことだけだ」と述べた。
●中東
シリアのアサド大統領とサウジアラビアのファイサル外相は18日、ダマスカスで会談し、2国間や他のアラブ諸国との関係などについて協議した。両国は2011年に始まったシリア内戦で悪化した関係の修復を加速させている。サウジ外相のシリア訪問は内戦開始後、初めてとみられる。
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物28645、ダウ先34105、債先147.48、米3.578、独2.4835、仏2.980、西3.504、伊4.306、英3.7815、波6.130、原油80.93、銅9,001、ドル円134.06、ユーロドル1.0974
※4/19 7時00分頃
備忘録(2023/4/17)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
資金流出はUBSとの統合後の銀行が顧客をつなぎ留めるのに苦慮することを浮き彫りにしている。流出が最大だったのは買収合意が発表された2日後の3月21日で、8億1300万ドルが引き揚げられた。資金引き揚げはその後減速し、4月5、6両日には約2億3000万ドル相当が流入したという。
2009年にブラジル・リオデジャネイロ発パリ行きのエールフランス機が大西洋上に墜落、乗客乗員228人が死亡した事故で、パリの裁判所は17日、過失致死罪に問われたエールフランスと機体を製造した欧州航空機大手エアバスに、求刑通り無罪判決を言い渡した。フランスのメディアが伝えた。
●その他産業
●決算関連
2023年1〜3月期決算を発表し、期末の預金残高は22年末比で1割超減少した。3月にシリコンバレーバンク(SVB)など米地銀が破綻すると、業態の異なるチャールズ・シュワブでも預金引き揚げが加速した。資金はMMF(マネー・マーケット・ファンド)に退避した。
チャールズ・シュワブは投資待機資金の置き場として預金サービスを提供している。銀行預金と同じく、1口座25万ドルまで米連邦預金保険公社(FDIC)の保護対象だ。3月末時点の総預金は3257億ドル(約43兆8000億円)で、22年末比11%減、22年3月末比では30%減となった。
対照的にチャールズ・シュワブが管理する顧客保有のMMFは3月末時点で3578億ドルと22年末比28%増えた。預金から振り替える動きがみられたほか、ほかの銀行から引き出された預金の受け皿にもなったようだ。
1〜3月期の純利益は前年同期比14%増の16億300万ドルだった。米利上げに伴い、信用取引に関わる金利収入が増えた。資金調達にかかる費用も12億4600万ドルと、前年同期の9倍に膨らんだ。政府系の連邦住宅貸付銀行(FHLB)からの借入金が増えた。
ウォルト・ベッティンガー最高経営責任者(CEO)は「資金調達コストは高まっており、目先の収益に影響を与えることになる」と説明。重荷は今後数四半期にわたり続くとの見方を示した。UBSのアナリスト、ブレナン・ホーケン氏はリポートで「資金調達コストは想定以上だったが、恐れていたほどぶざまなものではなかった」と指摘した。
ほかの金融機関にも預金流出圧力がかかる。同日決算を発表した資産管理業務に強い米銀ステート・ストリートは、3月末の総預金が2236億ドルと22年末比5%減った。米東部ニューヨーク州地盤の地銀M&Tバンクは、総預金が同3%減の1590億ドルだった。
顧客の預金額は3月31日時点で3257億ドル(約43兆6000億円)に減少。アナリスト予想とほぼ一致した。預金額は昨年末比で11%減。
3月に発生したシリコンバレー銀行(SVB)を含む複数の米銀行破綻を受けた「規制面での不確実性」を踏まえ、シュワブは自社株買いを停止すると明らかにした。
ウォルト・ベッティンジャー最高経営責任者(CEO)は発表文で、「1-3月期の最優先事項は顧客とのつながりを維持し、市場で何が起きているのかを顧客が理解するのを手助けすることだった」と述べた。
シュワブの投資商品には引き続き顧客資金が流入した。主要な顧客資産は1-3月に合計1320億ドルの純増。3月のみでは530億ドルの純増と、同月として過去2番目の大きさとなった。
1-3月の調整後利益は1株当たり93セント。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均を3セント上回った。純収入は51億ドル。市場予想は52億ドルだった。
1-3月(第1四半期)は投資商品から260億ドル(約3兆5000億円)の純流出となり、80億ドルの流入を見込んでいたアナリスト予想が大きく外れた。前年同期は510億ドルの純流入だった。
手数料収入は前年同期比9%減、運用資産は同10%減の3兆6000億ドル。同社は1-3月期末の相場が相対的に低かったことや資金純流出に言及した。ただアナリストとの電話会見では、「質への逃避」に伴い同社のマネー・マーケット・ファンド(MMF)は一定の資金流入があったと追加説明した。
ステート・ストリートの株価は、米地銀が巻き込まれた混乱をほぼ免れ、先週までの騰落率は3%のプラスだった。カストディー(資産管理)業務に携わる金融機関の信用リスクが限定的なこともありアナリストは同社に楽観的だった。
電話会見では4-6月(第2四半期)について、顧客がリターン向上を求める中で純金利収入は5-10%減少するが、収入は一定の伸びを確保すると予測した。エリック・アボーフ最高財務責任者(CFO)は、預金は恐らくさらに数十億ドル減少するだろうと述べた。
●先進国、グローバル、金融市場
4月のNY連銀製造業景況指数はプラス10.8-予想はマイナス18、前月のマイナス24.6から35ポイント余り上昇
新規受注は46.8ポイント上昇、出荷も大幅に回復-仕入れ価格は低下
需要を示す指数が大きく改善し、新規受注の指数は過去最大の46.8ポイント上昇となり、25.1と1年ぶり高水準。出荷の指数は37ポイント余り伸びた。
仕入れ価格指数は約9ポイント低下し、投入コストのインフレ緩和が示唆された。一方、販売価格の指数は小幅に上昇した。
雇用者数の指数は雇用者数が3カ月連続で減少したことを示唆。週平均労働時間の指数も縮小圏での推移が続いた。
JPモルガン・アセット・マネジメントやブラックロックは長期債の売り再燃を予想している。両社はユーロ圏のインフレが長期にわたり高止まりするリスクを市場が過小評価しているとみる。
JPモルガン・アセット・マネジメントの欧州・中東・アフリカ(EMEA)担当チーフ市場ストラテジスト、カレン・ウォード氏は、低インフレが戻るとの市場の期待は外れたとし、「現在の利回りがインフレと金利リスクに対して十分な代価を投資家に提供しているとは思わない」と述べた。
ウォード氏は、欧州の各国政府が危機後の緊縮財政から多額の資金を要する気候変動との闘いへと重点を移す中で、同地域の物価圧力は定着するようになるとみる。このためECBはインフレ対策として4%まで利上げをしなくてはならなくなり、10年物ドイツ国債利回りが今後数カ月に3%に上昇する可能性があると考えている。
ブラックロックのグローバルチーフ投資ストラテジスト、ウェイ・リ氏もドイツ債のイールドカーブが、逆イールドが縮小する方向に向かうと予想。ユーロ圏のインフレ率は引き締まった労働市場が理由で、新型コロナウイルス禍前よりも高い水準にとどまると見込むためだ。同氏は期間の短い債券を長期債より選好する。
「ECBは米連邦準備制度よりもインフレを目標に戻す決意が固いと思う。利回りはさらに上昇し、インフレリスクのプレミアムが戻ってくるとみている」と同氏は述べた。
全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した4月の住宅市場指数は前月比1ポイント上昇の45、4カ月連続での上昇となった。中古住宅の限定的な在庫が新築住宅への需要増につながった格好で、住宅用不動産市場が緩やかに回復していることが示唆された。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は発表文で「現在のところ住宅在庫の3分の1が新築物件だ。従来は10%を若干上回る程度が普通だった」と分析。「新築物件を求める人が増えている」とし、「それが年初からの新築住宅販売を支えている」と指摘した。
現況指数は51と、7カ月ぶりの高水準。見通し指数は前月から3ポイント上昇の50と、昨年6月以来の高水準となった。購買見込み客足指数は横ばい。
労働環境や医療など幅広い分野で改革を実行し、約100日後にあたる7月14日に進捗状況を評価するとした。政府が採択を強行したのち施行した年金改革法は国民に「受け入れられていない」と認めた。
憲法院が法案について一部を除き合憲と判断し公布が可能となった14日以来、マクロン氏が国民に向けて発言するのは初めて。給付開始年齢を現在の62歳から64歳に引き上げる年金改革について「何カ月もの協議を経ても合意を形成できなかった」と遺憾の意を示した。
改革は「一人ひとりの年金給付を守り、我が国がさらなる富を生み出すために必要だ」と改めて理解を求めた。「(年金財政上の)赤字が積み上がるのを放置すれば、将来の世代に債務を負わせることになる」とも指摘した。
演説では今後、労働者の収入拡大などの雇用環境の見直し、判事の増員などの犯罪対策、教育や医療体制強化による生活環境改善の3つを重点政策として掲げた。ボルヌ首相が今後実行に向けたロードマップを発表する。
マクロン氏の演説放映前後に、パリや南西部トゥールーズなどフランス各地で抗議活動が広がった。多くの人が鍋やフライパンをたたいて反発を示し、一部では路上のごみなどへの放火も起きた。
フランス労働総同盟(CGT)のソフィー・ビネ総書記はテレビ番組でマクロン氏が提案した労働組合との協議を拒否する方針を明らかにし、「我々を侮辱した後に手を差し伸べるのか」と不快感を示した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
サウジアラビアとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが近く高官級協議を開くと報じた。イランとの関係をめぐって距離を置いてきた両者がパレスチナの緊張緩和に向けて関係改善を探る。
●中南米・アフリカ
●市況日経先物28583、ダウ先34127、債先147.31、米3.6…6、独2.4655、仏2.963、西3.493、伊4.304、英3.7310、波6.170、原油80.86、銅8,955、ドル円134.46、ユーロドル1.0926
※4/18 8時20分頃
備忘録(2023/4/14-16)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
共同声明には一部の国が提案していた電気自動車(EV)などのZEVについて数値目標は盛り込まれなかった。
共同声明では、G7の既存車両を含め自動車からのCO2排出量を2035年までに00年比で少なくとも半減する「機会に留意」するとされた。また、世界で販売されるゼロエミッション小型車のシェアを30年までに50%以上まで拡大することを含め、G7各国の政策が自動車部門の脱炭素化に貢献する機会を提供することにも留意するとした。
共同声明は、再生可能エネルギーの拡大についても言及した。洋上風力発電は30年までに計1.5億キロワット、太陽光発電は計10億キロワット以上とする目標が盛り込まれた。
このほかリチウムやニッケルなどバッテリーの製造に必要な重要鉱物については、西村康稔経産相はG7札幌会合後の記者会見で、排出削減に必要不可欠であることから「特定の国へ過度な依存に懸念が生じている」との認識を示した。今回G7として、重要鉱物の開発に対する130億ドル(約1兆7393億円)規模の投資支援を含む5項目の行動計画を策定した。
共同声明では、ガス需要を削減してクリーンなエネルギーへの移行を加速する必要があるとした一方で、水素の開発など低炭素社会の実現に向けた国家戦略下での天然ガス活用といった条件などの下であれば、同部門への投資は供給不足の解消に必要な適切な手段になりえると、解釈の余地が残される書きぶりとなった。
●その他産業
●決算関連
2023年1〜3月期決算は純利益が前年同期比52%増の126億ドル(約1兆6700億円)だった。金利上昇で利ざやが改善し、消費者部門などで金利収入が大幅に増えた。景気見通しの悪化を考慮し、融資の焦げ付きに備える貸倒引当金を計上したことは収益の圧迫要因となったが、収入増で相殺した。
JPモルガンの23年3月末時点の預金残高は2兆3772億ドルと、22年末時点から2%増えた。SVBなどの破綻をきっかけに、JPモルガンに500億ドルの預金が集まった。貸出残高は同1兆1288億ドルとなり、22年末比で1%減った。
金利上昇で大幅に増えた純金利収入は49%増の207億ドルだった。米連邦準備理事会(FRB)は急ピッチの利上げを続けているが、預金金利の上昇は貸出金利に比べて小幅にとどまっている。両者の差である利ざやは2.63%となり、2022年10〜12月期(2.47%)からさらに拡大した。
貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)は前年同期より56%多い22億ドルを計上した。22年10〜12月期からは横ばいだ。貸倒引当金は1〜3月期に11億ドル計上した。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は米経済について「個人の消費意欲や財務状況は強く、企業活動は健全な状態が続いている」と総括した。一方、先行きについては「昨年から注視してきた嵐を呼ぶ雲はいまだ地平線上にとどまる」と警戒した。「銀行業界の混乱が(景気後退の)リスクを強めている」と述べた。
2023年1〜3月期決算は純利益が前年同期比7%増の46億ドル(約6100億円)だった。金利上昇で純金利収入が23%増えたほか、債券トレーディングが好調だった。インドの消費者向け事業の撤退に伴う売却益計上も利益を押し上げた。
不良債権処理などにあてる与信費用は19億ドルと、前年同期(7億ドル)から大幅に積み増し利益を圧迫した。マーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は「今年後半に景気後退が起こるという予想は変えていないが、前の四半期の時点と比べてその可能性が少し高まった」と語った。
資本市場を通じた企業の資金調達やM&A(合併・買収)が低調だったことから、投資銀行業務の収益は前年同期比25%減った。メイソン氏は投資銀の需要回復が「おそらく年後半になる」との見方を示した。
米地銀シリコンバレーバンクの破綻を機に注目度が高まった預金は、3月末時点で1兆3304億ドルだった。1年前と比べてほぼ横ばいで、22年12月末比では3%減った。
2023年1〜3月期決算は、純利益が前年同期比32%増の49億9100万ドル(約6660億円)となった。22年からの利上げ局面で貸出金利と預金金利の利ざやが広がり、利益水準を押し上げた。金融引き締めや銀行システム不安で景気の不透明感が増す中、与信費用は積み増した。
金利収入は45%増の133億3600万ドルだった。投資銀行部門の利益は45%増の18億1800万ドル。資金調達案件の低迷により株式・債券の引受手数料収入が15%減ったが、期中の金利が乱高下した影響で債券・為替・商品のトレーディング収入が47%増えた。
貸倒引当金と貸倒損失を合算した与信費用は12億700万ドル計上した。前年同期は与信費用の戻り益7億8700万ドルが発生していた。金利水準の高まりや需要低迷により、融資先の財務悪化や保有債券の債務不履行リスクに備える。チャールズ・シャーフ最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「返済遅延や貸し倒れは緩やかに増加している」と述べた。
純金利収入の増加という追い風は弱まってきた。四半期ごとにみると22年10〜12月期の134億3300万ドルをピークに減少に転じた。預金者がMMF(マネー・マーケット・ファンド)など利回りがより高い金融商品に資金を移す動きが続くなか、預金金利を徐々に引き上げてきたためだ。それでも緩やかな預金減少は続き、23年3月末時点の預金は1兆3626億ドルとなり22年3月末比8%減、22年末比では2%減となった。
貸出判断は厳しくなりつつある。23年3月末の融資総額は9480億ドルと、22年末から1%減った。シャーフ氏は「リスクの高い業種に対する与信を徐々に引き締めている」と述べ、注視している業種として商業用不動産を挙げた。商業用不動産向けローンは融資総額の16%を占める。
2023年1〜3月期決算は、純利益が11億ドル(約1470億円)と前年同期比19%減少した。1株利益は7.64ドル(前年同期は9.35ドル)。不安定な相場で株式ファンドの資産残高が目減りし、手数料収入やパフォーマンス報酬が減少した。
14日に1-3月(第1四半期)決算を発表した3行はいずれも、3月のシリコンバレー銀行(SVB)破綻と、地銀の顧客が保険対象外の預金をより安全な場所へ避難する動きにつながった、政策金利の引き上げから恩恵を受ける方法を見いだしている。
高利回り商品を求めて預金者が広範に動くとアナリストが予測していたにもかかわらず、JPモルガンの預金残高は2%増加した。シティでは、顧客が金利の変化に反応したことで、債券トレーディングの成績がこの10年で最も好調な一つとなった。米連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げを受け、3行ともに純金利収入が前年同期から急増した。
JPモルガンのジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)は、決算発表後のカンファレンスコールで、「新規口座開設が活発で、預金やマネーマーケットファンド(MMF)の流入も目立った」と語った。
インフレ抑制を目的としたFOMCの利上げは、一部の小規模な地銀にとって痛みを伴うものだった。多くの銀行は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時に預金者から集めた資金の余剰部分を、米国債や住宅ローン担保証券(MBS)といった安全資産に投入し、少しでも利回りを得ようとした。
ただ、FOMCの動きによってこうした資産の価値は下落。さらに、SVBのような銀行の顧客が預金を取り崩すと、銀行は現金の需要に対応するため損失覚悟で資産の売却を迫られた。
こうした圧力をほとんど受けずに、割安価格での資産売却を強いられなかった大手行は14日、金利上昇が貸し出し業務からの収入に拍車をかけていると語った。
ブラックロックの14日発表によると、同社ファンドへの資金純流入額は1100億ドル。投資家や顧客らが債券上場投資信託(ETF)に資金を移した。ミューチュアルファンドやETFなど長期投資商品への純流入額は1030億ドルと、ブルームバーグが調査したアナリスト予想平均の841億ドルを上回った。
ラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)によると、地銀の健全性を巡る「信頼の危機」を背景に、3月には400億ドル余りが同社の現金運用商品に流入した。
「預金の流出は増えており、それらはETFやあらゆる形の現金ファンド、マネー・マーケット・ファンド(MMF)に流入している」とフィンク氏はアナリストとの電話会議で発言。「この種の混乱は当社にさらなる機会をもたらすだろう」と述べた。
オフィス向け融資関連の損失引当金を過去4四半期に積み上げてきたと説明。ウェルズは発表文で、商業用不動産向け融資も一部影響し、引当金を1-3月期に若干増やしたことを明らかにした。
サントマッシモCFOは「需要鈍化と資金調達コスト上昇、厳しい資本市場環境を背景に、オフィス市場は引き続き脆弱(ぜいじゃく)さの兆候が見られる」とし、「時間とともにストレスは強まるとみている」と付け加えた。
ウェルズはそうしたストレスについて、損失の大幅増加にはまだつながっていないとしつつ、サンフランシスコやシアトル、ロサンゼルスといった大都市ではリモートおよびハイブリッド勤務へのシフトやオフィス賃料の下落を受けて、今後問題が発生する恐れがあると警告した。
●先進国、グローバル、金融市場
中東では最近、犬猿の仲だったサウジとイランの和解を中国が仲介。サマーズ氏は、中東とロシア、そして中国の関係深化は「米国にとって大きな課題だと私が考えていることの象徴だ」と述べた。
3月の小売売上高(速報値、季節調整済み)は前月比1.0%減の6916億7100万ドル(約92兆円)で、2カ月連続で減少した。ガソリン価格の低下でガソリンスタンドの販売が大きく減った。自動車・同部品も振るわず、総合小売りがマイナスに転じるなど、幅広い項目で減少となった。市場予想(0.5%減)も下回った。急激なインフレで消費者心理の悪化が続いている。
ガソリンスタンドは5.5%、自動車・同部品は1.6%、それぞれ減少した。両項目は金額が大きく、全体の売上高を押し下げた。自動車・同部品を除いた売上高は0.8%減だった。
他の内訳をみると、家具が1.2%、家電が2.1%、衣料品が1.7%、総合小売りが3.0%それぞれ減少した。急ぎで必要ではないものなどについて、消費者が買い控え姿勢を強めている可能性がある。食料品も0.1%減だった。
成長が続いているインターネット通販などの無店舗小売りが1.9%と増加が目立った。ヘルスケアは0.3%増、外食が0.1%増だった。
米バンク・オブ・アメリカがクレジットカードとデビットカードの利用データから算出する消費者の支出傾向の分析「消費者チェックポイント」でも、23年3月の家計あたりのカード支出の伸びは0.1%にとどまり、21年2月以来の低水準となった。
4月の消費者態度指数(速報値)は63.5と、前月の確報値である62.0から1.5ポイント上昇した。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(62.0)も上回った。長期的なインフレ予想は安定しているものの、短期的なインフレ期待が上昇した。
1年先の物価の見通しを示す予想インフレ率は4.6%と前月から1ポイント上昇し、2022年11月以来の高水準となった。5年先の予想は昨年12月から2.9%で横ばいとなった。
同大の調査分析担当のジョアン・シュー氏は「短期的なインフレ予想は上昇と下降を繰り返しており、不確実性が顕著に高まっている。これからも変動が続く可能性がある」と指摘した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
2023年3月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が上昇したのは64都市だった。前月から9都市増え、全体の91%を占めた。値上がり都市の多さは19年5月(67都市)以来となった。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況日経先物28525、ダウ先34037、債先147.45、米3.515、独2.4270、仏2.941、西3.461、伊4.290、英3.6840、波6.180、原油82.43、銅9,036、ドル円133.79、ユーロドル1.0995
※4/14NY引け値
備忘録(2023/4/13)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
売上高が好調だった一方、コスト負担が利益を圧迫し赤字となった。調整後の1株利益は25セントで市場予想を下回った。デルタ航空は3月、パイロットの労働条件をめぐり国際航空パイロット協会(ALPA)と、18%の即時賃上げや一時金の支払いなどで合意した。その他、人件費は前年同期比で2割増え、原油価格の高騰から燃料費も3割近く増加した。
23年4〜6月期は調整後の1株利益が2ドルから2ドル25セントになると見通す。デルタのエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は13日の決算説明会で「予約状況からみて、今年の夏の強い需要に自信を持っている」とコメントした。23年通期の業績予想については、22年10〜12月期に発表した予想を据え置いた。
●先進国、グローバル、金融市場
フランスで年金改革に反対する12回目の大規模なデモが実施され、一部のデモ参加者がパリのLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン本社に侵入する騒ぎとなった。14日に憲法院が、政府により強制的に採択された年金改革法案の審査結果を発表する予定。法案が合憲と判断されれば政府が同法を公布する。
この日のデモの参加者からは「政府が年金改革法を公布すれば、人々の反発は一層強くなるだろう」との声が聞かれた。仏メディアによると14日夕方にも再び幅広い抗議活動が計画されている。
製品の価格が前月比1%下がった。エネルギー価格が6.4%下がり、指数全体の下げをけん引した。ガソリン価格が11.7%下がったほか、軽油や住宅用天然ガスなどの価格も低下した。一方、鶏卵と食肉の価格は上昇した。
サービスの価格も前月比0.3%下がった。下げ幅は2020年4月(0.5%)以来の水準だ。卸売・小売手数料が0.9%下がり、物流価格も1.3%下がった。特に機械・乗用車の卸売手数料が7.3%と大きく下がった。半面、食品の小売りサービスと旅客輸送の価格は上昇した。
月報は米国で毎年夏のドライブシーズンに伸びる輸送燃料の需要について「金融引き締めで経済が弱含めば、この季節的な力を一部相殺する可能性がある」と指摘した。「世界経済には高インフレや金融引き締め、金融市場の安定、債務水準といった潜在的課題がある」との見方を示した。
IACPMのエグゼクティブディレクター、ソムロック・レオン氏は発表資料で「当協会メンバーは金利上昇の影響が表れることをしばらく前から予想していた。現在は信用市場のストレスが高まり、借り手企業のデフォルトが増え始めている」と指摘。「この流れは時間をかけてシステム全体に広がっていく恐れがある」との見通しを示した。
信用スプレッドは拡大する見込みで、約60%が向こう3カ月に北米市場でスプレッドが拡大すると予想。また、80%がハイイールド債のスプレッド拡大を見込んでいる。
調査回答者はヘルスケア、中規模テクノロジー企業、防衛など一部セクターが現在の環境で苦戦するとみている。商業用不動産も、在宅勤務の流行でオフィス空き室率が高まっていることや不動産所有者が高い金利に借り換えなければならないことからリスクが高いと見なされている。
都市部のオフィスビルは需要が戻っておらず、その多くを住居用不動産に変えるのは非現実であるため、取り壊す必要があると同氏は指摘。「やり直さなければならない資産クラスの一つであり、やり直しとは解体を意味する」と語った。
オフィス不動産市場にさらなる痛みが生じるとの同氏の見立ては、新型コロナウイルス禍で在宅勤務やハイブリッド型勤務が一般化したことにより、老朽化物件や設備が整っていない低品質な建物は存在価値が危うくなるという広範な見方を反映している。
不動産仲介のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)によると、米国のオフィス空室率は2022年10-12月(第4四半期)の19.6%から、23年1-3月(第1四半期)に20.2%に上昇。ハイテク業界に吹く逆風を受け、メタ・プラットフォームズやアマゾン・ドット・コムなどはオフィス縮小を余儀なくされた。
不動産投資会社ボルネード・リアルティ・トラストのスティーブン・ロス会長は最近の投資家向け書簡で「われわれは今、経済の嵐の目に接近しつつあり、さらに悪化することが予想される」と記している。
●中国・アジア・ロシア・東欧
IMFは今年のアジア太平洋地域の成長率を4.6%と予想し、昨年10月時点の予測を約0.3ポイント上方修正した。中国の経済活動再開などにより昨年の3.8%を上回る見込み。地域全体の今年の世界成長率への寄与度は70%を上回ると想定される。
IMFののスリニバーサン・アジア太平洋局長はブログへの投稿で、中国の回復が地域全体の活動を押し上げていると指摘。「地域の成長に最も強い波及効果をもたらしてきたのは、投資財への中国の需要だ。しかし今回は、中国の消費財需要拡大に伴う波及効果が最も大きいと予想される」と説明した。
同アジア太平洋局長は、アジアも世界の他の地域と同様、根強いインフレやレバレッジ、金融・不動産セクターのリスクといった脅威を警戒する必要があり、「政策担当者は金融ストレスを注視し、危機管理策を準備すべきだ」と提言した。
●中東
シリアのメクダド外相は12日、サウジアラビアで同国のファイサル外相と会談し、国交の正常化で合意した。内戦で国民を弾圧するシリア政権は国際社会で孤立してきたが、サウジはアラブ国家同士で連帯してイランの影響力をけん制する必要があると判断したようだ。加盟資格が停止中のアラブ連盟に復帰するとの観測もある。
シリア外相のサウジ訪問は2011年に始まったシリア内戦を巡って関係が悪化して以降、初めてとみられる。会談後の共同声明によると、両国は大使館や航空便の再開に向けて手続きを始めた。シリアをアラブ社会に復帰させることを含む「包括的な政治解決に向けた措置」についても協議した。
多くのアラブ諸国は内戦開始後、自国民を弾圧するアサド政権を非難。米欧と同調して反体制派を支援した。アラブの22カ国・機構で構成するアラブ連盟の加盟資格を停止し、大使を引き揚げるなどシリア政権との外交関係は事実上断絶した。
関係修復の動きは23年に入って急速に進んでいる。メクダド氏は1日にエジプトを訪問、2〜3月にはアサド大統領自身がオマーン、アラブ首長国連邦(UAE)をそれぞれ訪れた。チュニジアは大使館の再開を決めた。
次の焦点はシリアのアラブ連盟復帰だ。サウジ西部ジッダでは14日、アラブ連盟の外相会議が開かれ、シリアの連盟復帰が議論される見通し。ロイター通信は関係者の話として、サウジが5月の首脳会議にアサド氏を招待する考えだと報じている。
こうした「雪解け」の背景について、米コンサルティング会社、湾岸諸国分析(GSA)のジョルジオ・カフィエロ最高経営責任者(CEO)は「イランの影響力に対抗するためには、アサド政権と関係を正常化し、アラブ国際社会に復帰させるのが最も現実的だとの見方が広がってきた」と説明する。
ロシアとイランの支援を受けたアサド政権は首都ダマスカスを含む主要地域を抑え、内戦の事実上の勝者となったが、国際社会から孤立して両国への依存を深めた。サウジは当面の安全保障を目的にイランと関係の正常化で合意したものの、警戒は依然根強い。
カタールなど一部の加盟国はシリアの連盟復帰に慎重とされる。反体制派との和解を条件にしているとみられるが、サウジなどの後押しで和平が進展するかは不透明だ。反体制派地域のシリア北西部はイスラム過激派の拠点にもなっている。
中東ではイランとサウジの外交の正常化を受け、両国の対立を基軸としていた緊張関係に緩和の兆しが出ている。アラブ諸国の独自の動きは、北米の「シェール革命」を経て中東における米欧の関与や影響力が低下したことも反映する。産油国はウクライナ侵攻後も原油価格の調整で協調するロシアとの友好関係を維持している。サウジとイランの国交正常化は中国が仲介し、4月6日の外相会談は北京で開かれた。
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物28373、ダウ先34139、債先147.70、米3.449、独2.3760、仏2.885、西3.416、伊4.212、英3.5910、波6.200、原油82.31、銅9,067、ドル円132.48、ユーロドル1.1050
※4/14 8時40分頃
備忘録(2023/4/12)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
連邦預金保険公社(FDIC)は預金を保証している銀行から拠出金を集めるため、破綻銀行の整理で連邦政府が資金を使うことはないと説明。「国民はFDICが米政府だという印象を持っているが、FDICのコストは人件費なども全て、銀行によって賄われている。従って、銀行が連邦政府に金銭的負担をかけたことは一度もない」と語った。
バークシャーの銀行株売却は対象銀行の経営陣への批判ではないともバフェット氏は説明。むしろ、業界全体への自身のセンチメント冷え込みを示すものだと述べた。
ただ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は今でも選好しているとして、同行最高経営責任者(CEO)の「ブライアン・モイニハン氏が大好きだ。とにかくBofA株は売りたくない」と述べた。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
途上国の債務残高は足元で9.2兆ドル(約1200兆円)と、リーマン危機後の3倍に膨らんでいる。米地銀破綻を契機とした金融不安が広がるなか、途上国債務の焦げ付きは危機の導火線になりかねない。
IMFが報告書で特に注意を促したのは新興・途上国の状況だ。債務残高は19年の55%から20年に65%に拡大した後、コロナ禍が落ち着いても先進国のような改善がみられなかった。23年には68%になり、28年には78%に達する見通しだ。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物27935、ダウ先33760、債先147.79、米3.387、独2.3670、仏2.864、西3.387、伊4.215、英3.6015、波6.203、原油83.15、銅8,962、ドル円132.98、ユーロドル1.0999
※4/13 8時45分頃
備忘録(2023/4/11)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米中堅銀行が金利の急上昇で膨らんだ保有債券の含み損を実際に損失処理する事態になれば、1割弱にあたる銀行で資本不足に陥るとの試算を示した。投融資の縮小で住宅や商業向け不動産市場への打撃が大きくなるリスクも指摘した。
IMFが資産規模100億〜3000億ドルの米中堅・中小銀行について保有債券の含み損を加味した中核的自己資本(CET1)比率をはじいたところ、約9%の銀行が規制要件となる同比率7%を下回る結果になった。
金利が長期間高止まりすれば、一部の銀行は流動性確保のため損失覚悟の債券売却を迫られる可能性がある。IMFの試算は、こうした「金利リスク」が再び顕在化する恐れがあることを示す。住宅ローンなど期間の長い固定金利の資産を多く抱える銀行も金利リスクにさらされていると指摘した。
IMFは米欧の銀行が、金融引き締めの影響で既に慎重になっていた融資を一段と絞り込むとみる。注目したのは銀行の信用不安を象徴する株価下落だ。過去に融資基準の厳格化につながってきた経緯を踏まえ、今回の銀行株安で1年先の米欧銀行の貸し出し能力が1%低下すると予測。これが米国の実質国内総生産(GDP)を0.44%、ユーロ圏のGDPを0.45%押し下げると試算した。特に中堅・中小企業で融資縮小の影響が大きいとみる。
SVBの破綻後、他の銀行にも信用不安が飛び火し、FRBの統計によると米中小銀は3月半ばの1週間で過去最大の預金流出を記録した。金融機関が資金をやり取りする短期金融市場では資金調達コストが上がり、資金繰りが苦しくなった銀行はFRBなど公的機関からの融資に頼った。FRBが設けている「連銀貸し出し」と新設した「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」という2つの融資枠は足元の利用額が計1500億ドル規模で高止まりする。
金利への感応度の高い不動産市場の脆弱性も分析した。住宅価格は2022年7〜9月期に前年同期と比べ先進国の55%、新興国の65%で下落したと指摘。さらに今後3年間で5%の確率で起こる厳しい経済シナリオの場合、住宅価格の下落率は先進国で7〜9%、新興国で19〜22%に達するとの試算を示した。物価変動を考慮した実質住宅価格が10%下がると、実質消費を0.6〜1%下げるとの推計も示し、景気への影響の大きさも強調した。
IMFは金利の上昇と景気悪化が不動産価値の下落と市場の流動性低下を招くシナリオを警戒する。米商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の債務不履行(デフォルト)率は、22年7〜9月期の2%程度から23年10〜12月期に4〜4.5%まで跳ね上がると予測する。
植田和男新総裁が就任した日銀の金融政策変更が国際金融市場に及ぼす影響についても分析した。具体的には短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を修正した場合のインパクトをみた。
日本勢がこれまで積極的に買ってきた米欧やオーストラリアなどのソブリン債(国債や政府機関債)利回りに上昇圧力がかかると分析。さらに日本勢が一定の保有割合を持つインドネシアやマレーシアなどの新興国債券で大規模な資金流出が起きうるリスクに警鐘を鳴らした。日銀がサプライズの政策変更に動くと資金移動のペースが速まるとも指摘し、政策変更時には明確なコミュニケーションが必要だと訴えた。
ボーイングは1-3月に130機を引き渡した。前年同期からは37%増加。稼ぎ頭である737型機を安定的に生産できたほか、生産済みで倉庫に格納されていた737MAXや787ドリームライナーを納入できたことが寄与した。エアバスの納入機数は127機。部品不足が響き前年比で9%減少した。
●その他産業
●決算関連
2023年1〜3月期決算では、米主要企業は2四半期連続で減益となったもようだ。金融引き締めと与信環境の悪化で先行きの業績見通しも暗い。株式相場は有力地銀の破綻前水準を回復したが、業績に照らして割高感が強まれば下落圧力は強まりそうだ。
●先進国、グローバル、金融市場
融不安の影響で強い信用収縮や株安が重なれば、2023年は世界の成長率が1970年以降5回しかない2%割れになるとの試算を示した。高インフレ下で政策手段が限られるなか、低成長に身構えるよう警鐘を鳴らした。
現時点では3月中旬に米欧で相次ぎ表面化した金融機関の経営危機が実体経済に及ぼす影響を読み切れない。このためベースとなる予測は成長率を2.8%と1月時点の予測から0.1ポイントの下方修正にとどめた。
IMFは可能性の高いシナリオとして、金融不安は収まるものの銀行の融資姿勢が厳しくなる事態を想定。この場合は世界の成長率が2.5%と、リーマン危機後の09年と新型コロナウイルス禍が直撃した20年を除き01年以降で最低になる。
さらにIMFは25%の確率で2%割れに落ち込むとの試算も示した。米国で銀行融資が通常の予測からさらに4%減少すると仮定。株安により新興国の資金調達環境が厳しくなる想定も加えた。
15%の確率で成長率が1%となり、世界景気後退のときによく起きる「1人あたり国内総生産(GDP)の減少」に直面するとも分析した。
「金融不安が悪化すれば、急激な景気後退につながると懸念している」(IMFのチーフエコノミスト、ピエール・オリビエ・グランシャ氏)。IMF高官らの発言は中国の経済再開を受けて楽観的だった1月から急変している。
IMFは生産性の伸びを下押しする環境悪化を踏まえ、今回の予測では世界経済が28年まで3%程度の低成長になると見通した。90年代以降で最低の水準となる。IMFは危機の回避に向けて途上国の債務再編問題や公正な貿易ルールの策定など、国際連携の必要性が今まで以上に高まっていると強調した。
フランスのマクロン大統領が台湾情勢を巡り、欧州は米中いずれにも「追随」すべきでないとインタビューで発言し、欧米から強い批判を招いている。中国が大規模演習で台湾を威嚇する中、米中両国に対して不適切なメッセージとなるとして、自国内でも「失策」(フィガロ紙)と指摘されている。
インタビューは訪中の間の7日、フランス紙などを相手に行われ、中国が蔡英文・台湾総統の訪米などへの対抗措置として軍事演習を始めた後の9日報じられた。マクロン氏は台湾情勢の急変は欧州諸国の利益にならないと訴え「最悪なのは、欧州がこの問題で米国のペースや中国の過剰反応に追随しなければならないと考えることだ」と主張した。
またマクロン氏は、台湾情勢は欧州の「危機」にはならないと示唆。米共和党のルビオ上院議員はツイッターに投稿した動画で、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの米国の支援に触れ「欧州が台湾に関し、米中どちらにもつかないなら、ウクライナは自分たちで対応するよう言うべきかもしれない」と述べた。
パワー半導体は大電流に対応できるため、EVのインバーターや太陽光発電のパワーコンディショナーなど電力変換をする機器に搭載されている。
世界的な潮流である脱炭素の流れで、再生可能エネルギーの普及や自動車の電動化が進むとみて、パワー半導体の需要が伸びると予測している。特に炭化ケイ素については、窒化ガリウムや酸化ガリウムなど次世代とされる材料と比べても伸びが大きいとみている。
報告は「世界の金融システムの耐性が厳しい試練にさらされた。これまでに取られた措置が市場と金融機関への信頼を完全に回復させるのに十分かどうかはまだ分からない」と指摘した。
IMF金融資本市場局のトビアス・エイドリアン局長は報告に伴うブログ投稿で、見通しに対するリスクを投資家は甘く考え過ぎているかもしれないとし、特に米国株のバリュエーションの高さに言及した。
「恐らく驚くべきことだが、銀行破綻以降に全体的な金融環境は有意なほど引き締まってはいない」と同氏は記した。
銀行破綻は「世界の金融システムに何年も前から潜んでいた複数の脆弱性の危険な組み合わせ」の表れで、こうしたリスクが今、数十年ぶりの高インフレと闘う中央銀行の積極的な信用引き締めによって露呈したとIMFは論じた。
「急速な政策引き締めは金融リスクの世界に根本的な変化をもたらしている。資産配分や資産価格、市場環境が新しい状況に適応しつつあり、市場構造と投資家、金融機関に難題を突き付けている」と分析した。
金融セクターの緊張は、想定以上に持続性のあるインフレを抑え込む中銀の取り組みを複雑にしているともIMFは指摘。こうしたストレスが悪化すれば、当局はインフレとの闘いと金融システムの安定確保の兼ね合いという難しいかじ取りを迫られる可能性があると説明した。
IMFは報告で「政策当局は世界の金融システムに対する投資家の信頼を揺るがすようなシステミックなイベントを防ぐため迅速に行動すべきだ」と呼び掛けた。
一方で金融ストレスが解消された後は、インフレ率を押し下げる決意を可及的速やかに打ち出す必要があると付け加えた。
エイドリアン氏はブログで、最近の混乱は約15年前の世界金融危機よりも1980年代の米貯蓄貸付組合(S&L)の危機に類似していると分析。銀行システムの資本水準は08年に比べはるかに高く、金融危機後の規制が信用リスクを縮小させたと指摘した。
それでも、「銀行セクターのストレスは広範な融資状況、ひいては経済成長に悪影響を与える可能性が高い」とIMFは予想。最近の銀行株の大幅下落が与信を縮小させ、米国とユーロ圏の成長を約0.5ポイント低下させる可能性があると試算した。
全米自営業者連盟(NFIB)が11日発表した調査では、3月は銀行借り入れが難しくなったと考える中小企業が9%純増し、2012年12月以来のプラス幅を記録した。米シリコンバレー銀行などの破綻を受け、融資を絞り込む動きが広がっている可能性がある。
米シカゴ連銀のグールズビー総裁は、政策金利を引き上げる上で米金融当局には「慎重さと忍耐」が求められるとの見解を示した。3月に起きた銀行セクターの混乱が融資環境の引き締まりにどの程度つながるのか、政策当局は見極めようとしている。
「こうした金融面での向かい風について不透明感が多いことを踏まえると、われわれは慎重姿勢でいる必要がある」と発言。「インフレを押し下げる上でこの逆風がどの程度作用するのかが分かるまで、さらなるデータを集め、過度な利上げには慎重であるべきだ」と述べた。
調査結果が示唆しているのは、高級ホテルやレストラン、航空会社はこの夏、ますますいら立つ消費者に直面するということだ。
銀行破綻や高インフレ、住宅ローンの負担増、特にハイテクなどの高所得者層の労働市場鈍化を背景に、旅行者が裁量支出を抑えている可能性がある。2月まで1年間の個人所得の伸びは物価を上回るペースだったが、それでも旅行者は財布の中身を気にしている。
ぜいたくする意欲は乏しく、高い航空運賃に尻込みする旅行者も出てくるだろう。一方、ドイツのルフトハンザ航空など一部の航空会社は意図的に輸送能力を抑制しており、長く旅行を手控えていた人々が目指す目的地に行くため大金の支払いをいとわないのではないかと期待している。
ジャン・ボアバン、ウェイ・リ両氏は「インフレと共に生きることになる」と指摘。「消費パターンが正常化し、エネルギー高騰が収束すればインフレも減速すると予想するが、今後数年間は政策目標値を上回る水準が続くとみている」と論じた。
さらに「米金融当局は金融に亀裂が入り始めても、インフレ率を目標値へ押し下げるために利上げに固執している」とし、「ダメージがより明らかになれば、いずれ利上げをやめるだろう。インフレ目標を達成するために必要な深刻なリセッション(景気後退)を作り出すまで、金融当局にとっては十分利上げしたという意味にならないということだ」と指摘した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物28020、ダウ先33870、債先147.66、米3.432、独2.2980、仏2.816、西3.349、伊4.172、英3.5660、波6.149、原油81.40、銅8,893、ドル円133.66、ユーロドル1.0916
※4/12 8時15分頃
備忘録(2023/4/10)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米民主党のウォーレン上院議員とオカシオコルテス下院議員は9日、破綻したシリコンバレー銀行(SVB)の預金上位14社に書簡を送り、同行の顧客基盤の大半を占めていた一部のベンチャーキャピタル(VC)およびテクノロジー企業創業者と同行の関係に懸念を示した。ブルームバーグが確認した同書簡で両議員は、取引期間や預金額などSVBとの関係性のほか、取締役や幹部、投資家がSVBから与信枠などで特別待遇を受けていたかどうかに関して質問。特に両議員は、SVBが大手VCの一部を厚遇して特別な恩恵を与え、その見返りとしてVCは無担保の巨額の短期資金を提供していたという報道に関心を示していることが書簡に記されている。両議員は24日までに回答するよう求めた。
FHLBの貸し付けはなお高止まりしているものの、アドバンス(低利貸し出し)と債券発行の減少は預金引き出しの動きが収まって加盟行の手元資金ニーズが満たされたか、あるいは後退していることを示唆している。米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は先週、銀行危機は終わりに近づいているとの見方を示していた。
IMFは最新の世界経済見通し(WEO)で、米国や他の先進諸国の金利は、人口高齢化や緩慢な生産性の伸びを背景に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前に定着していた超低水準に戻るとの見方を示した。景気の加速も減速も招かない中立金利と呼ばれるインフレ調整後の短期金利は、向こう数十年に米国で1%を優に下回るとみている。
これはサマーズ氏の予想とは対照的だ。同氏は先月、経済学者が「R*」と呼ぶ中立金利について、国防費の増加やグリーン経済への移行で政府が借り入れ増やすことを一因に、将来のある時点で実質ベースで1.5-2%のレンジに入る可能性があると予想した。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
モルガン・スタンレーは、オフィスおよびリテール不動産の評価額がピークから最大40%下落する恐れがあり、デフォルト(債務不履行)リスクが高まると予測する。
さらに困ったことには、昨年時点で商業用不動産業界への最大の貸し手だった小規模・地方銀行は、シリコンバレー銀行(SVB)破綻に伴う預金流出で動揺し、資金提供能力が損なわれる不安が広がる。
金利上昇とデフォルト懸念でCMBSのディールは既に打撃を受けている。ブルームバーグ・ニュースの集計データによれば、今年1-3月(第1四半期)の政府支援のない証券発行は前年同期比約80%減少した。
集合住宅を除けば、金融機関が直面する問題の大きさは一層顕著になる。リポートによれば、今後5年で満期を迎える他の商業用不動産ローン債権のうち最大70%を銀行が保有する。
アナリストらは「商業用不動産の価格再評価と債務借り換えの代替手段が必要だ」との見方を示した。
3月は裁量消費の項目が特に値下がり。消費者が慎重姿勢を強め、サービスへの支出を増やしていることが示唆された。
食料品価格はなお高止まりしている。伸び率は過去6カ月に鈍化してきているものの、3月は前年比で10.3%上昇した。
世界銀行のマルパス総裁は10日、金融不安の影響が長期化する可能性に懸念を示した。世銀による世界の2023年の実質経済成長率の見通しが22年の3.1%から2.0%に鈍ると明らかにしたうえで、途上国からの資本流出など今後の下方修正のリスクについて「黄信号というより赤信号といったほうがよい」と言及した。
マルパス氏は、最近の金融不安について金融機関が持つ資産の問題が解消するまで時間がかかると説明した。金融機関は超低金利時代に利回りを求めて償還までの期間が長い債券を資産として保有しており、それが急速な利上げで含み損を生んでいる。
マルパス氏はこの不安定な状況が長引くとしたうえで「世界中の銀行システム、国際資本市場の見直しで流れが逆転し、途上国からの資本流出が懸念される」と指摘した。
途上国を巡っては国際間で合意した債務再編の共通枠組みがうまく機能しておらず、最大の貸し手である中国が非協力的だとの批判も根強い。マルパス氏は「中国の金融機関の規模からみれば、大きな金額ではないはずだ」とも強調。解決に向けた取り組みは「中国にとって政治的にも経済的にも意味がある」と協力を呼びかけた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
入植地建設は国際法違反で、欧米諸国や日本が中止を再三求める中、国際社会の要請を気にかけないネタニヤフ政権の体質が改めて浮き彫りになった。パレスチナ情勢の悪化は必至だ。
●中南米・アフリカ
●市況日経先物27875、ダウ先33776、債先147.59、米3.415、独2.1875、仏2.700、西3.225、伊4.029、英3.4325、波6.051、原油79.83、銅8,855、ドル円133.57、ユーロドル1.0865
※4/11 8時10分頃
備忘録(2023/4/7-9)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
米国で貨物列車の脱線事故が相次いでいる。中西部オハイオ州では2月、環境に有害な化学物質を積んだ列車が大破する事故が起きた。脱線事故の件数は日本の145倍にあたる1日平均2.3件にのぼる。長さ8キロメートルにもわたって老朽化した車両を連結し、大量の荷物を運ぼうとする鉄道会社に対し、規制が追い付いていない現状が浮かぶ。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ネーションワイド・ライフ・インシュアランスのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は「データ自体はやや強弱が混在しているが、労働市場は十分力強く、インフレはなお高止まりしており、FOMCは5月に0.25ポイントの追加利上げに動くだろう」と分析。その上で、それが「この引き締めサイクルでの最後の利上げとなり、その後長期間据え置かれる可能性はある」と述べた。
労働参加率は若干上昇して62.6%と、3年ぶりの高い水準となった。
雇用は娯楽・ホスピタリティーや医療など、これまで労働力不足に悩まされてきた一部セクターでの伸びが大きかった。
一方、需要鈍化に対応し採用にブレーキをかけている業種もある。小売りと人材派遣の分野では雇用者は減少した。また恒久的に職を失った人の数は2020年以降で最も大きく増えた。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏とスチュアート・ポール氏は「労働市場の軟化は漸進的だ。減速のペースは遅く、失業率がFOMC参加者の年末予測の中央値4.5%を下回るリスクがある。そうなった場合、FOMCは5月の後さらに2回ほど追加利上げを余儀なくされるだろう」と分析した。
週平均労働時間は34.4時間に減少し、20年4月以来の低水準に並んだ。需要が鈍化した際、雇用主は人員削減を行う前に従業員の勤務時間短縮で対応する傾向があることから、週平均労働時間の減少は懸念要素となる可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)が7日公表したデータによれば、商業銀行の貸し出しは3月29日終了週に450億ドル(約5兆9500億円)余り減少した。前週は596億ドル減少していた(改定値)。
商業銀行の預金が同じ週に647億ドル減少したことも分かった。減少はこれで10週連続。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
ロイター通信は7日、イエメン内戦を巡り、サウジアラビアの代表団が近く、イエメンの首都サヌアを訪問し、敵対する親イラン武装組織フーシ派と恒久的な停戦協議をする方針だと報じた。
仲介役のオマーン代表団もサヌアを訪れる。イスラム教のラマダン(断食月)明けの祝祭「イード」が4月下旬に始まる前に合意が発表される可能性があるとしている。
●中南米・アフリカ
●市況日経先物27655、ダウ先33659、債先147.70、米3.413、独2.2780、仏2.700、西3.229、伊4.019、英3.4325、波6.051、原油80.47、銅8,855、ドル円132.20、ユーロドル1.0904
※4/7 NY引け値
備忘録(2023/4/6)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
FDICが指名したのは、ブラックロックのファイナンシャル・マーケット・アドバイザリー部門で、資産運用とは別に政府や金融機関などに金融市場に関する助言をする。破綻したSVBとシグネチャー・バンクの管財人であるFDICから証券を預かり、売却手続きを進める。ブラックロックの広報担当者は「コメントを控える」と述べた。
FDICによると、SVBの分が870億ドル、シグネチャーが270億ドルとなる。主に政府系機関(エージェンシー)のMBSや商業用不動産ローン担保証券(CMBS)、MBSの派生型のモーゲージ担保証券(CMO)で構成されるという。
FDICは売却手続きについて「段階的かつ秩序だったプロセスを踏み、市場機能への悪影響を最小限に抑える」と強調した。市場ではFDICによる売却で債券価格が押し下げられるとの懸念が浮上していた。
2008年の金融危機では傷が比較的浅かったためUBSと異なり同事業の縮小に踏み切れなかった。リスク管理の甘さが命取りとなった。
アンモニアは燃やしても二酸化炭素(CO2)を排出せず、水素より保管や輸送が容易だ。燃料を全てアンモニアとするのが理想だが、まずは石炭に混ぜて燃やしCO2排出を減らす「混焼」の技術を確立しようと実証が進む。
天津市にある既存工場でA320ナローボディー機向けの2番目の最終組み立てラインを設置する。米中関係の緊迫化に伴いアップルなどの企業が中国での生産を見直す中、エアバスの動きは中国の製造業活動を後押しするものとなる。
エアバスは中国への販売拡大にも取り組んでいる。ブルームバーグは今週、エアバスがA350と恐らくA330neoワイドボディーを含む航空機の追加受注獲得を目指していると報じた。
中国の航空会社は昨年、エアバスにナローボディー300機余りを発注しており、その価値は業界の商習慣的な値引き前で400億ドル(約5兆3000億円)を超えた。中国の航空会社は、エアバスの納入機の約5分の1を占める。
●その他産業
3月の米国内の既存店売上高(ガソリン価格と外国為替変動の影響を除く)は前年同月比0.9%増にとどまり、2020年4月以来約3年ぶりの低水準となった。前年比伸び率は2カ月連続で低下しており、消費者心理の冷え込みから今後の米景気の先行きにも懸念が強まりそうだ。
会員制量販店業態の競争激化に加え、急激なインフレや金融不安などから消費者の購買意欲が後退している可能性がある。
バイデン米政権は自動車による大気汚染の対策として、これまでで最も厳格な規制を提案する方向だ。電気自動車(EV)の義務付けやガソリン車の禁止までは踏み込まないという。
新たな規制案は12日にデトロイトで発表される見通し。
●決算関連
1-3月は利益率が大きく低下し、幾分の売上高増加をほぼ打ち消すとみられる。利益率改善が見込まれるのはエネルギー、工業、一般消費財の3セクターのみで、他の業種の過半数は利益率が200ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上低下する公算が大きい。
ゴールドマンのストラテジストによると、決算シーズンに投資家が注目する焦点は利益率見通し、人工知能(AI)への言及、現金使用減少の証拠、中国経済再開による好影響の兆候の4つだという。
また、金融セクター混乱の影響は大企業よりも中小企業の業績に大きく表れる可能性が高いとも指摘。景気感応度と地方銀行への依存度が高いことを理由に挙げた。銀行の利益は前年同期比11%増が見込まれるものの、「不確実性は高く、投資家は今後の方向に注目するだろう」とストラテジストはみている。
●先進国、グローバル、金融市場
東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は、前月比0.26ポイント高い6.41%だった。上昇は2022年12月以来、3カ月ぶり。港区で大規模の新築ビルが募集面積を残して竣工した。過剰感が強まり、賃料はおよそ5年ぶりに2万円を割り込んだ。
年数区分別では、竣工1年未満の新築ビルが同8.04ポイント高い29.08%。上昇は22年8月以来、7カ月ぶり。既存ビルは同0.04ポイント上昇の6.01%だった。22年12月以来、3カ月ぶりに前月を上回った。
大型の新築ビルの竣工が続く中、テナントが移転などで抜けた「2次空室」を抱える既存ビルも増えている。次のテナントの誘致に向けて、賃料の引き下げを余儀なくされている。
IMFでは今後5年間の経済成長率を約3%とみていると、ゲオルギエワ専務理事がワシントンでの講演で明らかにした。金利上昇が影響するという。発言は講演原稿に基づく。中期成長予想としては1990年以来の低さで、過去20年間の5年平均実績である3.8%を下回る。
IMFによれば、先進国の約90%で今年は成長が減速する見通し。金融引き締め政策で米国とユーロ圏の需要が圧迫され、経済活動が鈍化するとしている。IMFは世界銀行と共に開催する春季会合の一環として、より詳細な世界経済見通し(WEO)を11日に公表する計画。
●中国・アジア・ロシア・東欧
フォンデアライエン氏は会談後に記者会見し、台湾問題について「力による現状変更はすべきではない」と述べた。台湾に圧力を強める中国をけん制した。
同氏は「台湾海峡の安定が何より重要だ。台湾海峡の安定、平和と現状維持が我々の明確な関心事だ」と語った。「緊張が生じた場合は対話を通じて解決するのが重要だ」とも話した。
●中東
イランのアブドラヒアン外相とサウジアラビアのファイサル外相は6日、北京で会談した。会談後、両国は経済関係の強化や両国民へのビザ発給促進に向けた調整を進めるとした共同声明を発表した。2016年に断交していた両国は3月、外交を正常化すると発表している。仲介役の中国の存在感も一層高まりそうだ。
5日未明の1回目の衝突の後、サウジアラビアやエジプト、ヨルダンなどのイスラム教諸国は相次いでイスラエルを批判した。アラブ連盟は緊急会合を開き非難声明を出した。国連や米国も対立の激化に懸念を表明した。
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物27590、ダウ先33618、債先147.67、米3.303、独2.1730、仏2.694、西3.220、伊4.010、英3.435、波6.051、原油80.47、銅8,855、ドル円131.75、ユーロドル1.0918
※4/7 8時40分頃
備忘録(2023/4/5)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
通信システムを手がけるフランスのタレスや、ヘリコプターを製造するイタリアのレオナルド、ドローン(小型無人機)のイスラエルのエルビット・システムズなどの防衛関連株が上位組み入れ銘柄となっている。
欧州ではESG(環境・社会・企業統治)を重視する投資家を中心に、戦争で使われる武器を手がける防衛産業への投資は避けられてきた。ただウクライナ侵攻をきっかけに民主主義や人権を守ることにつながるとの議論から投資家の目線に変化もみられる。スウェーデンの銀行SEBのファンドは22年4月に投資方針を変更して防衛産業への投資禁止を取りやめた。
欧州各国はロシアによるウクライナ侵攻を踏まえて防衛費増に動いている。ドイツは国内総生産(GDP)比で1%台だった国防費を恒久的に2%まで引き上げる方針を打ち出した。同国製の主力戦車「レオパルト2」のウクライナへの引き渡しのほか、同戦車を保有する他国によるウクライナへの提供も認めた。
債券保有者はマイナス面に注目。複数の格付け会社がUBS債の見通しを引き下げた。合意からわずか数時間後にケレハー氏はセルジオ・エルモッティ前最高経営責任者(CEO)に接触し、ラルフ・ハマーズ現CEOに代わってエルモッティ氏を起用することを決めた。大規模な事業再編の経験を持つ人材を呼び戻したことになる。
ケレハー氏はこの人事について説明する先週の記者会見で、クレディ・スイス買収は、金融危機時の「08年に行われたどの案件よりも大きいと言える。これにはかなりの実践リスクが伴う」と語った。
UBSは約10年前にエルモッティ氏の下でトレーディング事業を縮小しており、クレディ・スイスがもたらすマーケット事業、特に債券事業へのこだわりはほとんどない。UBSは統合後の投資銀行について、リスク加重資産で25%相当の規模を目指しており、マーケット事業の多くは閉鎖されるだろう。
UBSはクレディ・スイス買収発表前に発行したユーロ建て債2本について買い戻しを提案していた。5日午前の監督当局への届け出によれば、対象となる15億ユーロ(約2160億円)の2028年償還債のうち保有者が買い戻しを求めたのは約4億5400万ユーロ、12億5000万ユーロの2032年償還債については2億7300万ユーロにとどまった。
昨年終盤のクレディ・スイスの顧客流出状況について問われると、アンゲルン氏は「10月は劇的で、11月も大規模だったが10月に比べれば少なかった。12月はさらに減った」と説明。1月と2月は横ばい、さらに改善も見られるようになり、クレディ・スイスが流動性バッファーを再び積み増すことが可能になっていたという。だが、3月15日からUBSの買収決定の週末までには、10月に匹敵する規模の流出が起きていたと、同氏は語った。
アンゲルン氏によると、クレディ・スイスについて検討された選択肢は銀行整理、一時的な国有化、UBSとの合併だった。クレディ・スイスの破綻は当初検討されたが、その「劇的な衝撃」を考慮してこの選択肢を実質排除したという。
国有化はリスクと法的問題がある上、民間セクターでの解決が望ましかったと説明。UBSによる買収は市場に信頼感を与えられるという点で最良の選択肢だったと同氏は語った。
銀行が発行したドル建てAT1債についてブルームバーグがまとめる指数は4日、クレディ・スイスが救済される前の3月16日以来の高水準に上昇した。
「経営陣が預金残高を示さなかったのは良いニュースでないためだと、投資家は結論付ける可能性が高い」とジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのアナリスト、ケイシー・ヘアー氏はリポートで指摘。「これは3月10日以降で4回目の情報更新だが、預金について明示しなかったのは今回だけだ」と続けた。
先月に取り付け騒ぎが米銀3行の破綻につながる事態となって以降、投資家は預金に注目している。米連邦準備制度のデータによると、規模が小さめの米銀では3月15日までの1週間に1200億ドル(約15兆7000億円)の預金が流出。一方、大手25行では670億ドル近く増加した。翌週には小規模行でやや増えたが、米銀全体では1257億ドルが流出した。
アリゾナ州フェニックスに本社を置く同行は4日の取引終了後に、3月31日時点で預金保険対象の預金が全預金残高の約68%を占めると発表した。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によると、これは同行が3月16日時点で公表した55%よりも高い。また、流動性水準は預金保険対象外預金の140%を「健全に」カバーするのに十分だという。
しかし、預金残高を明示していない今回の開示情報は、疑問に答えるよりもむしろ疑問を投げかけるもので、「投資家に疑念を抱かせる」可能性が高いと、ジェフリーズのヘアー氏は指摘した。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
労働者の賃上げは消費の拡大といった経済効果を期待できる一方、企業にとっては人件費上昇につながる。物価上昇が長引く可能性もあり、企業の財務圧迫や新規投資の抑制を招く懸念がある。
ADPが5日発表した3月の全米雇用リポートによると、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は前月から14万5000人増えた。ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(21万人)を大幅に下回った。
業種別にみると、レジャー・宿泊サービスの雇用者数が9万8000人増えた。物流は5万6000人、建設は5万3000人それぞれ増えた。天然資源・採掘業も4万7000人増えた。一方、金融サービスは5万1000人減った。ビジネス・専門サービスは4万6000人減り、製造業も3万人減った。
ADPのエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「3月の雇用リポートは米経済が鈍化している兆候の一つだ」と説明。「雇用者は1年間続いた強気の採用と賃上げから退いている」と指摘した。
国家安全保障会議(NSC)で、友好国の軍に防衛装備品を無償で供与する新制度を決定した。通信衛星システムや警戒管制レーダーなどを想定し、地域の抑止力を高める。目的外での使用や第三国への移転がないよう適正な管理を相手国に義務づける。
2023年度は東南アジアのフィリピンやマレーシア、太平洋島しょ国のフィジー、南アジアのバングラデシュの4カ国を見込む。インド太平洋地域の途上国の防衛力を上げ、海洋進出や軍備増強を進める中国への抑止力を高める狙いがある。
米中西部ミズーリ州を5日未明、巨大竜巻が襲い、AP通信によると少なくとも5人が死亡した。過去2週間に米中西部や南部を中心に数十もの竜巻が発生、累計死者数は63人に上っている。
3月の米非製造業(サービス業)景況感指数は前月より3.9ポイント低い51.2だった。市場予想(54.3)を下回り、3カ月ぶりの低水準になった。好不況の分かれ目になる50は超えたが、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを続けるなかでも底堅かったサービス需要に陰りが出てきた。
主な項目では新規受注が52.2と前月比10.4ポイントの大幅な低下を記録した。不動産や金融・保険、小売り、卸売りで受注が減った。3月前半の米銀シリコンバレーバンク(SVB)などの破綻が影響を及ぼした可能性がある。金融・保険業の回答企業からは「経済の不確実性が懸念材料で、金利を引き続き注視している」との報告があった。
雇用環境を映す指数は51.3と2.7ポイント低下した。「初任給の引き上げが求められるなか、依然として人手不足が続いている」(教育サービス)との声もあった。サービス業が支払うコストにあたる価格指数は59.5と前月から6.1ポイント低下し、2020年7月以来、2年8カ月ぶりの低水準となった。
米銀ウェルズ・ファーゴの調査グループは「金利上昇と銀行セクターの混乱で新規需要が低迷し、3月の活動が鈍化した」と指摘した。SVB破綻を機に「与信環境が大幅に引き締まり、人々が消費のために余剰貯蓄を取り崩すことにも慎重になる」(調査会社パンテオン・マクロエコノミクス)として、サービス需要に一段の下押し圧力がかかるとの見方もある。
セントルイス・ワシントン大学のユンソク・シン教授は同会議に寄せた論評で、就労時間が減った労働者には3つのグループがあると指摘。教育レベルの高い若い男性、高額所得者、そしてワーカホリックだ。高額所得者の就労時間は週間で1時間半短くなった。2019年に週55時間働いていたワーカホリックは、「たった」52時間しか働かなくなった。リモート勤務やハイブリッド勤務の労働者も、就労時間が減少する傾向にある。「金曜日にちょっと早めに切り上げても誰にも気づかれない」とシン教授は説明した。
労働参加率の低下よりも不可解で重要なのは、労働時間の減少だとエイブラハム、レンデル両氏は指摘する。減少のうち新型コロナ感染後の症状長期化によるものは約10%程度にとどまり、ほかに何が原因なのかは不明だ。ワークライフバランスを考え直した米国人が多いことが一因なのではないかと、両氏はみている。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
国際原子力機関(IAEA)は2月下旬、イランの核開発プログラム監視の一環として、濃縮度84%のウラン粒子を確認したと報告した。核兵器の製造に必要な濃縮度は90%で、これは重大な事態だ。米国防総省の高官は2月末、「米国がイラン核合意から離脱して以降、イランの核開発は著しく進んだ。
アラブ紙アッシャルク・アルアウサトは4日、関係者の話としてイランのアブドラヒアン外相とサウジアラビアのファイサル外相が6日に北京で会談すると伝えた。3月に合意している外交正常化について協議する見通しで、仲介した中国の存在感が高まっている。
●中南米・アフリカ
●市況日経先物27698、ダウ先33642、債先147.61、米3.309、独2.2170、仏2.695、西3.224、伊4.014、英3.4455、波6.069、原油80.48、銅8.781、ドル円131.03、ユーロドル1.0909
※4/6 8時5分頃
備忘録(2023/4/4)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
ダイモン氏(67)は4日に公表された株主宛て年次書簡で、先月市場を揺るがせた米銀行危機について論評した。この話は「まだ終わっていない」と予想し、影響は今後何年も残るだろうが、米当局は「過剰反応」してさらに規則を増やすべきではないとくぎを刺した。
書簡の中でダイモン氏は規制を厳しく批判。金利上昇時に価値を失う低利回り資産の大量保有に銀行を追いやったのは資本規制だと主張した。
「皮肉なことに、銀行は安全性の高い政府証券を保有するインセンティブを与えられていた。当局は政府証券の流動性が高いと考え、こうした資産に対する資本要件を低くしていた」と説明。「さらに悪いことに」、FRBは金利が上昇した時に起こることについて銀行のストレステストを行っていなかったと付け加えた。
SVBが出金依頼に応じるために保有証券を売り、損失を被っていることに気づいた預金者が引き出しを加速させ、その結果SVBは当局の管理下に置かれることになった。
ダイモン氏は「銀行の経営陣の責任を軽くしようというのではない。多くの当事者にとって難しい局面だった」とし、「これらの矛盾する要素の全てが、市場と格付け会社、預金者が注目した瞬間に非常に重要になった」と述べた。
JPモルガンは自己資本要件の影響を和らげようと、資本をあまり、あるいは全く必要としない事業を検討していると明らかにした。
複雑な規制が銀行を住宅ローン事業から撤退させつつあり、ローンの組成と管理のコストを高めたと指摘。JPモルガンは持ち応えているが、多くの銀行が既に事業の大部分から撤退したと語った。ウェルズ・ファーゴは今年に入り、住宅ローン事業の大幅縮小を発表している。
ダイモン氏は人工知能(AI)とチャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」にも触れ、AIは「非凡」だとし、JPモルガンの未来に欠かせなくなるだろうとの考えを示した。行内で既に300以上の使用例があり、チャットGPTなどを活用して「従業員を補い力を高める」方法を模索していると説明した。
AIはマーケティングやリスク発見に役立つ可能性があるが、不正を防ぎ銀行と市場に対する攻撃に対して防御することが最重要だと論じた。「犯罪者もAIを利用するのは確実だからだ」と述べた。
クレディS、UBSによる買収なければ破綻していた-中銀副総裁
ベビーパウダー事業を移管した傘下子会社の破綻を再申請した。あわせて原告団に25年間で89億ドル(約1兆1700億円)を支払う和解案を提示した。
製品の安全性については問題を認めない。原告6万人の基本合意を得ているという。実現には破産裁判所の承認が必要になる。
J&Jは訴訟に伴う巨額の負担を本体から切り離すため、2021年にベビーパウダー事業を手がける子会社の「LTLマネジメント」を設立。そのうえでLTLが日本の民事再生法に当たる米連邦破産法11条(チャプター11)を申請し、破綻裁判所の管理の元で69億ドルの和解金支払いによる解決をめざした。
しかし裁判所が23年1月、LTLは「財政的に危機的状況にあったとは認められない」として、J&Jによる破産申請をいったん却下していた。
●その他産業
化粧品世界最大手の仏ロレアルは4日、オーストラリアの化粧品ブランドの「イソップ」をブラジルの化粧品会社から買収することで合意したと発表した。買収額は37億豪ドル(約3300億円)。豪メディアによると同国の高級ブランドの買収案件で最も大きい。ロレアルはアジア市場の取り込みを強化しており、イソップの中国展開にも注力していくとみられる。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は4日の政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を3.6%に据え置くことを決定した。
豪中銀は昨年5月以降、オフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を10会合連続で計3.5ポイント引き上げ、積極的な金融引き締めを続けてきたが、利上げを今回停止する。
ロウ総裁は声明で、「インフレを目標に確実に戻すには、金融政策の一定の追加引き締めが必要になることもあり得ると政策委員会は想定する」と説明し、それが求められる場合は利上げを再開する用意が政策委にあると明確に示唆した。
「今月の金利据え置きの決定は、かなりの不確実性を伴う環境の下で、経済情勢と見通しを評価するより多くの時間を政策委に与える」とロウ総裁は指摘した。
AMPキャピタル・マーケッツの副チーフエコノミスト、ダイアナ・マウジナ氏は「彼らはインフレに厳しいと引き続き受け取られることを望んでおり、予想通り引き締めバイアスを維持している。それらの利上げの影響が経済に完全に行き渡る過程で、今後さらに多くの痛みを伴う」との見方を示した。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)は4日、オーストラリアのアルバニージー首相が9、10月ごろに訪中する可能性があると報じた。中国がアルバニージー氏に招待状を出したという。
アルバニージー氏は3月、中国から招待があれば「私は受け入れるだろう」と記者団に述べ、訪中に意欲を見せた。
米労働省が4日発表した2月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は993万1000件だった。下方修正した前月の改定値から63万2000件減少し、2カ月連続でマイナスとなった。2月はビジネス・専門サービスの求人が前月から27万8000件減った。医療・社会福祉サービスは15万件、物流は14万5000件それぞれ減った。
中国はロシアとウクライナに停戦と対話を呼びかける仲裁案を打ち出している。バイデン政権はロシア軍のウクライナ撤退を明確に求めていない中国の仲裁案に何度も懸念を示しており、米仏首脳の協議テーマにのぼった可能性が高い。中国がロシアに致死性の高い武器を提供した場合の対応も話し合ったことが考えられる。
ホワイトハウスは声明で「ロシアによる侵攻が続くなかでウクライナへの揺るぎない支援を再確認した」と説明した。ウクライナへの武器や経済支援の継続を申し合わせた公算が大きい。
ちょうど1年前、この地域はカリフォルニア州だけでなく全米のどこよりも速いペースで労働者を雇い、サプライチェーンの混乱から最も恩恵を受けた地域として浮上した。ロサンゼルス近郊の北米最大規模の港湾施設を通じた記録的な輸入で、倉庫はモノであふれかえっていた。
ロジスティクス・マネジャーズ・インデックス(LMI)によると、米国のサプライチェーン活動は3月に少なくとも6年半ぶりの低水準に落ち込んだ。低水準の財輸送費が全体を押し下げた。ウォルマートの監督当局への届け出によれば、同社は5カ所の電子商取引用倉庫で人員削減を計画しており、全米で2000人余りに影響が出る見通し。
最近のデータによれば、同地域のサンバーナーディーノ郡とリバーサイド郡の失業率は1月に4.4%と、ほぼ1年ぶりの高水準に達した。貿易や輸送、公益部門で雇用にブレーキがかかり、経済環境が変わりつつあることを示唆している。平均時給は約20ドルで、全職種の全米平均を約8ドル下回る。
インランドエンパイア・エコノミック・パートナーシップのチーフエコノミスト、マンフレッド・ケイル氏率いる現地のエコノミストらは3月30日、「インランドエンパイアには給料が安い仕事が蓄積されていて、付加価値をあまり生んでいない。これらは自動化されるリスクが高く、環境汚染に大きくつながり、膨大なスペースを消費する」と指摘した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
ロペスオブラドール大統領は4日、イベルドローラの資産売却についてツイッターに「新たな国有化の形だ」と投稿し、歓迎の意向を示した。同氏は電力産業を国有化する憲法改正案を議会に提出したが、22年に否決された。現政権は資源の国営化を目玉政策に掲げており、エネルギー業界に関与を強める方法を模索していた。
●市況日経先物28113、ダウ先33615、債先147.63、米3.339、独2.2495、仏2.766、西3.286、伊4.107、英3.4475、波6.043、原油80.97、銅8,753、ドル円131.45、ユーロドル1.0961
※4/5 8時4.分頃
備忘録(2023/4/3)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー・バンク、シルバーゲート・キャピタルの破綻を受け、顧客は銀行預金より有利で安全な代替を探している。マネー・マーケット・ファンド(MMF)と競合するほどに預金金利を上げるのも解決策にはならない。そうすれば銀行の利益率は急低下し、株価にも影響する恐れがあるからだ。
個人や企業が余剰資金を預け、より高い金利を得られる選択肢が他にもあることが、混乱を通じて鮮明になった。低金利の貯蓄預金口座からの緩やかな流出は、より高利回りの選択肢への大脱走に転じた。中小の銀行は大手よりもはるかに痛みを感じている。中小銀行の預金は3月15日までの1週間に1200億ドル(約16兆円)減少した。一方、大手25行の預金は約670億ドル増えたことが、米連邦準備制度理事会(FRB)のデータから分かった。
銀行預金からMMFやその他の投資商品への資金の流れは、長く辛抱を強いられていた貯蓄者を潤すだろう。しかし預金の減少により米国のコミュニティーバンクや地銀の数が減り、貸し付ける資金も少なくなることが懸念される。これは経済成長の足かせになるとともに不平等を悪化させる。
民間部門で働く米国民の約46%を抱える中小企業にとって銀行ローンは重要な資金源だ。米中小企業庁(SBA)によれば、中小企業は1995年以降の雇用創出の約3分の2も担ってきた。
貯蓄口座や譲渡性預金(CD)の金利を引き上げれば資金を集めることができるかもしれないが、そうすれば銀行の純金利マージン(NIM)は圧迫される。
S&Pグローバルのアナリスト、ネーサン・ストボール氏は、銀行の健全性を測る重要な指標であるNIMが「大きく悪化するだろう」と述べ、これが既に身売りを考えている銀行の背中を押し、業界再編につながるかもしれないと指摘。
中国の中小銀行が発行した劣後債の利回りが急激に上昇(価格は下落)している。3月上旬まで5〜6%前後だった利回りは3月下旬、約8%まで跳ね上がった。湖北省の農村商業銀行など4行が、繰り上げ償還を相次いで見送ったためだ。
買収交渉の過程で両行幹部や政府関係者、規制当局担当者らによる法令違反がなかったか調べる。
スイス紙ゾンタークス・ツァイトゥングは2日、UBSがクレディ・スイスとの統合後に国内外で2〜3割の人員削減を実施する可能性があると報じた。両行合わせて最大で3万6000人が対象となるという。そのうちスイス国内の人員削減は1万1000人に達する可能性がある。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
国内でも支持が多数を占めるNATO加盟をしのぐ争点となったのは、新型コロナウイルス禍を受けて膨張を続けた政府債務への対応だった。国民連合は財政再建を主張し、支持を広げた。欧州連合(EU)に懐疑的な立場をとるフィン人党も第2党となり、選挙結果で社民党を上回った。
国民連合と同様に財政再建を主張し、移民の受け入れ制限やEUの気候変動対策の見直しも主張したフィン人党が連立政権に加われば、フィンランドの親EU路線が修正を迫られる可能性が浮上する。
加盟後のNATOでどこまで積極的な役割を担うのか。国内にNATOの部隊や基地を受け入れるかといった現実的な問題に加え、防衛関連費の増額が必要になる可能性もある。NATOは加盟国の共通予算で組織の指揮機構や通信ネットワーク、空中警戒管制機(AWACS)などの費用をまかなっているからだ。
加盟国の負担比率は各国の国内総生産(GDP)など経済力を反映する仕組みだ。加盟国の軍事費支出をGDP比2%以上に増やす目標も掲げている。弾薬や訓練などのコストがかさみ、2%は上限でなく「最低値」とすべきだとする案も出ている。財政再建とNATO加盟の両立という難題が新政権には託される。
サウジアラビアは2日、5月から2023年末にかけて日量50万バレルの原油を自主的に減産すると発表した。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」で協調するとし、ロイター通信によると合計で約115万バレルの減産となる。
OPECプラスが昨年11月から続けている日量200万バレルの減産に加えて供給を抑えることで、原油相場を下支えする狙いだ。他の産油国も同調し、ロイターによるとイラクは21万1千バレル、アラブ首長国連邦(UAE)は14万4千バレル、クウェートは12万8千バレルを自主的に減産する。
一方、ロシアは2日、2月に表明した日量50万バレルの減産について23年末まで続ける意向を示した。
国際指標の北海ブレント原油先物は3月、米欧の一部銀行の経営不安から1年3カ月ぶり安値の1バレル70ドル前後に急落していた。過度の警戒が和らぎ、前週末時点で80ドル前後に持ち直している。米原油先物のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)も同70ドル台半ばで推移している。
バイデン米政権は2日の声明で「石油輸出国機構(OPEC)プラス」に参加する主要産油国が自主的に原油を減産すると決めたことに反発した。「市場の不確実さを踏まえると、このタイミングの減産は賢明ではない」と断じた。
米国家安全保障会議(NSC)の報道担当者は声明で「全ての生産者や消費者と協力を継続し、エネルギー市場が経済成長を支えて米国の消費者にとって価格が下がるように取り組む」と言及した。
米国では夏場のドライブシーズンが近づくにつれて米国民がガソリン価格の上昇に敏感になりやすい。報道担当者はガソリン価格に関し「昨年から大幅に下がり、昨年夏のピークに比べれば(1ガロンあたり)1.5ドル以上低い」と強調した。
金融当局にとって、シリコンバレー銀行(SVB)破綻やUBSによるクレディ・スイス・グループ買収を受けた市場の混乱で利上げ計画が逸脱する恐れがある中で、今回の減産決定は新たな頭痛の種となる。
米連邦準備制度やイングランド銀行(英中銀)、欧州中央銀行(ECB)では、金融機関への影響を警戒するためにハト派的な議論を強めるというよりも、消費者物価がさらに上昇する可能性を巡る議論を活発化させる可能性がある。
金融市場は先月、銀行混乱を受けて利上げ観測を後退させ、一時は米欧英当局による利上げ打ち止めを予想していた。ただ、トレーダーは先週、欧州でインフレ率が市場予想を上回ったことから、再び利上げ観測を強めている。
市場が織り込む5月米連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.25ポイントの利上げ確率は現在60%。OPECプラスの減産が報じられる前の3月31日時点では55%だった。トレーダーはまた、ECBと英中銀のピーク金利見通しをそれぞれ4.69%、3.63%に引き上げている。
3月の新規受注は44.3に低下。生産指数は前月から改善したものの、なお縮小圏にとどまった。雇用指数は46.9に下げて2020年7月以来の低水準。同指数は3カ月連続での低下となった。
入荷遅延指数も下げて14年ぶり低水準。低調な需要が、サプライチェーンの混乱緩和に寄与している。ここ数カ月安定していた在庫も下げて縮小圏となり、約2年ぶり低水準。
仕入れ価格指数も下げ、コスト低下が示唆された。
不動産投資ファンドの純資産価値は過去10年に3倍以上に増え、1兆ユーロ(約144兆円)を超えた。ファンド業界の不動産市場への依存が強まったと、ECBが3日、「マクロプルデンシャル・ブレティン」で分析した。
ECBはその中で、投資家は資金を引き揚げる機会が頻繁にあるのに対し、ファンドの保有する資産はかなり流動性が低いというミスマッチを指摘。これは金融システムを最近揺るがせたような取り付けにファンドが見舞われるリスクを高めていると論じた。
従って、不動産ファンドの不安定は商業用不動産市場に「システミックな影響を及ぼす恐れ」があり、金融システム全体の安定と実体経済にも波及し得るとの見解を示した。
ECBの研究者らはブラックストーンの不動産投資信託(REIT)「ブラックストーン・リアル・エステート・インカム・トラスト(BREIT)」が最近、解約を制限しなければならなかった例を挙げた上で、不動産市場に関する懸念が解約請求をさらに増やす可能性があると指摘した。
ECBはブレティンで、ファンドが「流動性要求の急増に対処し、市場のストレス時に生ずる解約のコストを吸収する」のを容易にするような規則を策定すべきだと呼び掛けた。ECBによれば、資金引き揚げの機会を減らしたり通知期間を長くしたりすることが考えられる。
ブラックストーンが富裕層向けに提供する700億ドル(約9兆3000億円)規模の不動産投資信託(REIT)は、投資家からの解約請求額が3月に増加し、5カ月連続で換金を制限する事態になった。
「市場のボラティリティーが著しく高く、金融ストレスが広がった」3月に、「ブラックストーン・リアル・エステート・インカム・トラスト(BREIT)」には45億ドルの解約請求があったと、同社は1日付の書簡で明らかにした。BREITは約6億6600万ドルを換金した。これは請求額の約15%に相当する。
2月の解約請求額は39億ドルだった。ブラックストーンの広報担当者は同ファンドのパフォーマンスはプラスだったとし、3月の請求は1月に付けたピークを16%下回ったと指摘した。1月の請求額は50億ドルを超えていた。
ブラックストーンは解約の上限を四半期ベースで純資産の5%に制限している。既に1月と2月にそれぞれ月間上限の2%に達していたため、3月に投資家が換金を認められる余地は狭まっていた。
焦点は台湾有事が起きた場合、フィリピン政府が米軍の拠点利用を認めるかどうかだ。
マルコス氏は2月、基地利用に関し「EDCAは戦闘の勃発という事態を含んでいない」との原則を示した。ただ実際に紛争が始まった場合には「フィリピンにとって何が良いのかを見極める必要がある」と語り、含みを持たせた。
業界を悩ませてきた半導体の調達不足は改善しているが、メーカーによって車の生産が需要に追いつかない状況が続いている。
トヨタの23年1〜3月の販売台数は約46万9000台だった。需要は堅調な一方、断続的な生産調整が販売拡大に向けたボトルネックになっているもようだ。前年の比較対象である22年1〜3月は各社とも半導体不足で生産が落ち込み、販売が大幅に減った。トヨタはライバルに比べると同時期の販売マイナス幅が小さく、この反動も23年1〜3月の落ち込みにつながった。
米ゼネラル・モーターズ(GM)が3日発表した23年1〜3月の米国販売は18%増の約60万3000台だった。首位を争うトヨタを4四半期連続で上回り、差を広げた。GMは競合メーカーに比べ、半導体不足からの生産回復が進んでいるとみられている。注力する電気自動車(EV)の販売は2万台超だった。
3月の米製造業景況感指数は前月から1.4ポイント低い46.3だった。好不況の節目である50を5カ月連続で下回った。新規受注や雇用環境を示す指数が低迷しており、米国の製造業は依然として弱含みの状態だ。
全体の指数は2月に前月比プラスに転じたが、3月は悪化した。項目別で特に低下が目立ったのが新規受注で、前月より2.7ポイント下がり44.3となった。調査対象の企業からは「事業は低迷しており、顧客の注文は新型コロナウイルス下より前の水準に戻っていない」(衣料・革製品)との声が上がった。
英キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ハンター氏の分析によると、過去60年で景気後退を伴わずに同水準まで低下したのは1990年代半ばの1回だけ。同氏は「景気後退の領域に極めて近い水準に下がった」と指摘する。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
イスラエル各地で1日、ネタニヤフ政権が進める司法制度改革への抗議デモがあり、多数の市民が国旗を掲げて「民主主義を守れ」と声を上げた。民放チャンネル12は、商都テルアビブで推定16万5千人が参加したと伝えた。エルサレムなどでは数千人が参加。ネタニヤフ首相は改革の手続き延期を発表したが、批判が収まらない。
改革案には国会が最高裁の判断を覆せる条項が含まれ、三権分立を脅かすとして抗議デモが繰り返されている。この日、エルサレムのデモに参加した内科医ダン・ターナーさん(53)は「ネタニヤフ氏は改革を撤回したわけではない」と指摘。会社員フレデリック・クレッツさん(59)も「政府が撤回を決断するよう、圧力をかけなければならない」と語った。
サウジアラビアが5月19日に首都リヤドで開催予定のアラブ連盟の首脳会議に、シリアのアサド大統領を招待する方針だと伝えた。2011年に反体制派への武力弾圧でアラブ連盟の参加資格を停止されたシリアの復帰の可能性が取り沙汰されている。
11年からのシリア内戦でアサド政権は軍事的優位を固め、アラブ諸国は同政権との関係改善に乗り出している。シリアのメクダド外相は1日、内戦開始以降初めてエジプトを訪れてシュクリ外相と会談。ロイターはアラブ連盟復帰に向けた訪問で、サウジとエジプトが復帰のため仲介していると伝えた。
サウジは3月、アサド政権の後ろ盾であるイランとの外交関係正常化に中国の仲介で合意している。
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物28183、ダウ先33769、債先147.87、米3.415、独2.2410、仏2.751、西3.273、伊4.101、英3.4530、波6.025、原油80.38、銅8,911、ドル円132.22、ユーロドル1.0908
※4/4 8時30分頃