備忘録(2023/1/31)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、プロファイ・インフラ、ESG
日本航空(JAL)は31日、2023年度から国際線に欧州エアバスの省燃費機材「A350」を導入すると発表した。23年10月以降に羽田―ニューヨーク線で就航する。国際線の主力機(フラッグシップ)更新は約20年ぶり。二酸化炭素(CO2)排出量を最大25%減らす。
欧米線を中心に投入する。国際線は今後数年で、フラッグシップだったボーイングの大型機「777」を順次、退役させる。国内線も777型機は23年度上期中に退役させる方針で、国内線、国際線ともに主力機がエアバスに置き換わっていくことになる。
JALは50年に航空機の運航によるCO2排出を実質ゼロにすることを目指している。A350など低燃費機材への更新で、50年時点で50%分の排出削減を見込む。
世界の航空業界では低燃費機材の導入が進む。英調査会社シリウムの21年時点の推計では、40年までに世界で約4万7千機の新機材納入計画がある。このうち約9割に相当する約4万5千機を燃費効率の良い低燃費型が占め、市場規模は3兆㌦になるとされる。
格安航空会社(LCC)の台頭で、航空各社は燃費の良い中・小型機を求める傾向が強まっている。ここ数年の「747」は貨物機として細々と受注するだけの状態が続いていた。新型コロナウイルス禍も逆風になった。
欧州エアバスも21年に総2階建ての超大型機「A380」を中東のエミレーツ航空に納入し、生産から撤退した。07年に運航が始まった同機種だが、発注企業は広がらず、エアバスは新規受注に苦戦した。
●その他産業
全社員の約7%に当たる約2000人を削減すると発表した。同日には米ネットアップや米ワークデイも人員削減を公表している。1月の世界のテクノロジー企業による人員削減は7万人を上回り、単月としては2020年以降でもっとも多い水準に達した。
今回の公募増資は事実上、ゴータム・アダニ氏に対する信任投票だった。アダニはヒンデンブルグに不正会計疑惑を指摘され、企業帝国が揺らいでいる。個人資産も大きく目減りしたアダニ氏だが、増資の成功でまだ投資家を引き付けられることを証明した。
公募増資の完了はアダニ氏に勝利をもたらしたものの、アダニ・グループのガバナンスに対する投資家の不安を完全に払拭したわけではなさそうだ。
公募増資の大部分はアブダビ首長国のIHCを含めた既存の株主や機関投資家が引き受けており、リテール投資家のプレゼンスは著しく弱い。ヒンデンブルグが不正会計問題などを指摘して以降、株式を上場しているアダニ企業は時価総額が急減。アダニ氏はこの疑惑を否定し、ヒンデンブルグに対する法的措置を講じる可能性を示唆している。
●決算関連
2022年の通期利益(一時項目除く)は前年比2.6倍増の591億ドル(約7兆7000億円)に上り、08年に記録したこれまでの最高である452億ドルを大きく超えた。
だが、投資家はこの数字よりも追加の自社株買いが発表されなかったことに反応した。
競合のシェブロンは先週、750億ドルという巨額の自社株買いプログラムを発表したが、その数日後に明らかにした昨年10-12月(第4四半期)利益は市場予想に届かなかった。
米ゼネラル・モーターズ(GM)の2022年10-12月(第4四半期)決算は、利益が市場予想を上回った。同社は23年について、生産台数の増加により業績モメンタムが加速するとの見通しを示した。
10-12月の調整後利益は1株当たり2.12ドルと、アナリスト予想(同1.67ドル)を超えた。前年同期(1.35ドル)を上回ったが、7-9月(第3四半期)の2.25ドルには届かなかった。
22年通期の調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は145億ドル(約1兆8900億円)で、GMが11月に示した予想レンジ(135億-145億ドル)の上限となった。23年の調整後利益については、105億-125億ドル(1株当たり6-7ドル)と予想。アナリスト予想(1株5.70ドル)を上回った。
GMは利幅の大きいスポーツタイプ多目的車(SUV)やトラックへの需要継続、またサプライチェーン問題が改善する中での生産水準の高まりが業績に寄与すると見込んでいる。販売台数は5-10%増えるとの予想だ。競争が激しさを増す電気自動車(EV)市場で価格競争の兆候が見られるものの、同社は強気の姿勢を示している。
2022年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比15%増の19億9900万ドル(約2600億円)となり、2四半期連続の増益となった。中国での販売が減速したが、稼ぎ頭である北米市場の販売が好調で、収益をけん引した。
米ファイザーが31日発表した2023年通期利益見通しは、アナリスト予想を下回った。巨額の利益をもたらした新型コロナワクチンの需要は軟化すると見込む。
調整後利益の見通しは1株当たり3.25-3.45ドル。アナリストの予想平均は4.31ドルだった。通期売上高は670億-710億ドルと予測。アナリストは717億ドルを見込んでいた。
昨年10-12月(第4四半期)の調整後1株利益は1.14ドルと、アナリスト予想の1.05ドルを上回った。売上高は243億ドルで、市場予想の242億ドルにほぼ一致した。
今年通期のコロナワクチン売上高は前年比64%減の135億ドル前後とみており、アナリスト予想の160億ドルを下回った。経口のコロナ治療薬「Paxlovid(パキロビッド)」の売上高見通しは同58%減の80億ドル。市場予想の92億ドルにやはり及ばなかった。
アナリストはコロナ感染が下火になると予測、ファイザーの今後の計画に耳を傾けている。ウェルズ・ファーゴのモヒット・バンサル氏は長期的には投資妙味がありそうだとしつつ、今年のコロナ関連事業を巡る不透明性から利益面の短期的なリスクがあると指摘、今月半ばに投資判断を「買い」から引き下げた。
2022年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比47%増の49億9500万ドル(約6480億円)だった。23年12月期通期については、新型コロナウイルス関連の売上高が大幅に減るとの見通しを示した。
22年10〜12月期の売上高は2%増の242億9000万ドルだった。1株利益(EPS)は1.14ドルと、 アナリスト予想(1.05ドル)を上回った。アルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け説明会で「22年はファイザーにとって記録的な年で、過去最高の売上高と利益になった」と述べた。
一方、23年通期については売上高が前期比29%〜33%減の670億〜710億ドル、1株利益は48%〜51%減の3.25〜3.45ドルとの見通しを発表した。新型コロナワクチンの売上高が前期比64%減の135億ドル、飲み薬の「パクスロビド(日本での製品名パキロビッドパック)」は58%減の80億ドルを見込む。
ワクチンの初期接種が必要な人が減るほか、米国市場では政府との販売契約も切れ、23年後半から新型コロナ製品は市販に移るのも響く。31日の米株式市場で同社株は下落して始まった。
欧米でコロナ製品の売り上げが一巡するなか、同社が目を向けるのは中国市場だ。しかし、ファイザーの中国でのコロナ薬の価格をめぐる交渉は決裂し、4月から医療保険制度でカバーされる医薬品から外れる。ブーラCEOは「4月以降は民間市場で販売できる」と話すが、23年通期予想に中国のコロナ治療薬の売上高は含まれていない。
2022年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比31%減の14億5400万ドル(約1900億円)となった。建機や鉱山機械の販売は好調だったが、鉄道事業関連の費用計上に加え、為替変動に伴う差損も計上した。
売上高は前年同期比20%増の165億9700万ドルだった。建機はアジア太平洋を除く主要地域で売上高が増え、北米は34%増だった。鉱山機械はすべての主要地域で増えた。
キャタピラーは積極的な値上げで、原材料高などによるコスト増加を補っている。22年10〜12月期は営業利益ベースで価格改定が17億ドル超の増益要因となった。販売数量の増加も約5億ドルの増益要因だった。北米などで機械の需要が堅調なのを背景に、値上げによって販売ペースが鈍る事態にはなっていないようだ。
営業利益は前年同期比4%増の16億8000万ドルにとどまった。値上げが増益要因となる一方で、鉄道事業関連ののれん代の減損や在庫評価減で11億ドル超を費用計上した。営業外の為替差損を計上し、純利益は大幅に減った。一時期に比べ、ドルが円やユーロに対して安くなったことで、ドル建ての仕入れ債務などが膨れたとみられる。
2022年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比1%減の59億2650万ドル(約7700億円)、純利益は16%増の19億ドルだった。ドル高の影響で全体では減収だったが、物価上昇にあわせた値上げが功を奏して増益を確保した。ただ想定外のペースで原材料費などのコスト高も続いており、営業利益率は43.6%と事前の市場予想を下回った。
2022年12月期決算は、純利益が前期比23%増の76億3000万ドル(約9920億円)だった。世界的な金利上昇の影響によって純金利収入が拡大し、主力の富裕層向けビジネスのほか、個人金融と投資銀行の部門で利益を上積みした。
2022年4〜12月期の連結決算(米国会計基準)は純利益が前年同期比49%増の2319億円だった。売上高とともに同期間で過去最高となった。資源高が追い風となり、北米や中南米、東南アジアで鉱山機械の需要が拡大している。10〜12月期でみると、コスト上昇分を上回るペースで建機の値上げも浸透した。
1-3月(第1四半期)について、懸念されていた水準よりも良好な売上高見通しを示した。パソコン(PC)用半導体の需要が低迷する一方、収益性の高いサーバー向けが伸びている。
●先進国、グローバル、金融市場
FHFAが31日発表した2022年11月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は、前年同月比で8.2%の上昇にとどまった。伸び率は20年7月以来の低水準だった。前月からは0.1%下がった。需要低迷を受けて価格上昇圧力が弱まっていることを映した。
世界鉄鋼協会は1月31日、2022年の世界粗鋼生産量(速報値)が前の年比4.2%減の18億7850万トンだったと発表した。最大生産国である中国で「ゼロコロナ政策」や不動産市況の悪化などを受けて鋼材需要が減少した。世界的な半導体不足による自動車の減産も響いた。
中国の生産量は10億1300万トンと、2.1%の減少だった。事実上の都市封鎖(ロックダウン)が広がったことで経済活動が停滞したほか、建築向けの鋼材需要も低調だったとみられる。
世界2位のインドは1億2470万トンと5.5%増えた。日本は7.4%減の8920万トンだった。半導体など部品供給網の混乱で自動車の減産が相次ぎ、自動車向け鋼材の需要が減った。米国は5.9%減の8070万トンだった。
超低金利時代が巨大な資産バブルをつくり出し、不平等を加速させたとタレブ氏は主張。米金融当局が以前のような水準に金利を引き上げる一方で、投資家は高金利の世界に戻る用意がほとんど整っていないとの見解を示した。
金融危機で緩和マネーがあふれたため、過去15年で投資家はキャッシュフローの重要性を忘れたと論じ、仮想通貨は低金利時代が続いた市場の甘さを表していると指摘。「この数年、資産は恐ろしく膨張した。腫瘍のようにだ。この表現が最も適していると思う」と語った。
タレブ氏によると、低金利下で膨らんだ「腫瘍」はビットコインから不動産価格に至るまであちこちで見受けられる。そのような「幻想の富」は推計5000億ドル(約65兆円)余りに上るという。
問題の中心は代替参照金利委員会(ARRC)による指針だ。ARRCはLIBORからの円滑な移行を目指し、米連邦準備制度理事会(FRB)の支援を受けて設置された。ARRCの決定は、フォワードルッキング(将来の金利を反映する)ベースのターム物SOFRレートのスワップを利用できる投資家を事実上制限するものだった。大半の場合において、ターム物SOFRに連動するレバレッジドローンやローン担保証券(CLO)の発行体だけがスワップを利用できる。これは一つには、大きな流動性基盤を持たないターム物レートに市場が依存し過ぎることを当局が望まないためだ。
1兆4000億ドル(約183兆円)規模のレバレッジドローン市場で借り入れる企業の多くは、金利リスクを軽減するためにスワップ契約を銀行と結び、固定金利を支払いターム物SOFRレートを受け取る。
反対に固定金利から変動金利ファンディングに交換したい借り手企業はターム物SOFRのスワップが利用できないため、銀行はこれらの企業には翌日物SOFRに基づくスワップを提供することしかできない。
このヘッジの不適合によって銀行のバランスシート上にいわゆる「ベーシスリスク」が生じてしまう。ペン氏によれば、ウォール街の大規模ディーラーは既に、翌日物とターム物SOFRのスプレッドの1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の動きで500万-1000万ドルを失うリスクがある。そして、銀行のエクスポージャーは新たな取引が成立するたびに拡大していくという。
●中国・アジア・ロシア・東欧
リーマンショックによる落ち込みを受け、中国政府が4兆元(現在のレートで約77兆円)規模の大規模刺激策を打ち出し、世界経済が回復した2009年とは異なり、米連邦準備制度など中央銀行がインフレ抑制を急いでいるタイミングで、物価の押し上げ方向にも働きそうな気掛かりな一面もある。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は今月、中国の「ゼロコロナ」政策の急転換が恐らく今年の世界経済の成長にとって最も重要な要因だとの認識を示す一方、インフレに対する意味合いについても警鐘を鳴らした。
ゲオルギエワ氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で、「中国経済の成長加速という良いニュースが石油やガス価格の大幅上昇につながり、インフレ圧力を高めるとしたらどうするか」と問い掛けた。
BEのモデルがあり得ると示唆しているように、中国経済の回復を受け、米インフレ率が第2四半期(4-6月)も5%程度で推移するとすれば、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での利上げ停止観測を妨げる可能性がある。
ロックダウン(都市封鎖)下で低迷する中国経済と経済再開で活気づく中国では大きな違いがあり、世界経済にとってはナイジェリア1カ国分の購買力に匹敵する5000億ドル(約65兆円)の追加需要が生じる。
こうした需要拡大を織り込む形でコモディティー(商品)相場は上昇する一方、サービス業や小売業は中国消費の盛り返しに備えている。
中国経済の一本調子の回復が見込みにくいのは確かだ。昨年終盤のゼロコロナ政策の急転換はまず経済活動にマイナスに働いた。感染や死亡率を巡る不透明感から、公衆衛生コストや景気の先行きも見えにくくなっている。コロナ禍を通じて刺激策が比較的抑制されていた点を踏まえると、他の主要国で見られたような繰り越し需要が中国でも生じるかは分からない。
だが、高頻度データによると、中国経済の低迷は既に終わりに近づき、コロナ感染の波も落ち着きつつあることが示唆されている。病院の救急外来患者が減少する一方、主要都市では地下鉄利用者が増えている。春節(旧正月)連休関連の初期データでは、旅行や映画興行収入が前年を大きく上回った。
中国当局は成長回復へと再び軸足を移しており、不動産開発企業の資金繰りや住宅購入者の借り入れは改善しつつある。不動産セクターの過剰債務など長期的な見通しはなお厳しいが、少なくとも23年についてはやや明るさを取り戻している。BEは投資が3%減と、22年よりも景気に対する足かせがずっと小さくなると見込んでいる。
中国の起業家もひとまず胸をなで下ろしている。フィンテック大手アント・グループの新規株式公開(IPO)が中止に追い込まれた20年11月以降、中国のテクノロジー大手には巨額の罰金が科され、規制も強化された。こうした締め付けの代償は高く、昨年10月にナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数はピーク時に比べて約80%下げた。
しかし、不動産セクターと同様、中国政府は成長回復という当面の方針が大手企業の力を抑えるとの長期的な目標に優先するとの判断に至った。
中国発のインフレ圧力は2つの経路を通じて波及するだろう。
まず、コロナ感染急拡大に伴う相次ぐ欠勤や工場停止によって業務の継続が難しくなり、供給面でショックが生じる。中国製造業購買担当者指数(PMI)のサプライヤー納期指数は昨年末に落ち込んだ。これよりはるかに規模が小さいものの、コロナ禍に伴う最初のインフレ急上昇に拍車を掛けた供給混乱再現のリスクがある。
第2の経路として、通常の生活が戻り、購入が活発化することに伴う需要ショックが挙げられる。中国の石油輸入はコロナ禍で伸び悩んだ。主要道路や鉄道駅、空港ターミナルに人々が押し寄せる中で需要拡大期待が広がり、原油相場は昨年12月上旬の1バレル=76ドルから今月終盤には約86ドルまで上昇した。ゴールドマン・サックス・グループのベテラン商品アナリスト、ジェフ・カリー氏は105ドル以上に原油が値上がりする可能性があると指摘する。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況日経先物27428、ダウ先34109、債先146.69、米3.510、独2.2825、仏2.739、西3.319、伊4.266、英3.3525、波5.997、原油79.10、銅9,278、ドル円130.12、ユーロドル1.0862
※2/1 8時40分頃
備忘録(2023/1/30)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、プロファイ・インフラ、ESG
2021年にベビーパウダー事業を手掛ける子会社の「LTLマネジメント」を設立。そのうえでLTLが日本の民事再生法に当たる米連邦破産法11条(チャプター11)を申請し、破綻裁判所の管理の元で賠償金支払いなどの解決をめざした。
連邦巡回裁判所は今回、LTLが破綻申請の時点で「財政的に危機的状況にあったとは認められない」と指摘。同社へのチャプター11の適用は不適切と判断を説明した。米メディアによると、J&Jはこの判断を不服とし対応を検討する方針だ。
アスベスト被害を巡る訴訟は賠償金が巨額になるケースが多い。米メディアによると、過去にも紙製品のメーカーなど複数の企業が事業分割を伴う破産法の適用を申請した。
●その他産業
●決算関連
オランダの医療機器大手フィリップスの第4・四半期決算は、調整後EBITAが6億5100万ユーロ。前年同期の6億4700万ユーロからほぼ横ばいだった。
同社は利益率の改善に向け6000人を削減すると発表した。
同社は睡眠治療関連機器のリコールを受けて、時価総額が70%減少している。
人員削減により、調整後の利払い・税・無形固定資産償却前利益(EBITA)率が25年までに10%台前半に、25年以降は10%台半ば─後半になる見通し。比較可能ベースの売上高は1桁台半ばの伸びになる見込み。
●先進国、グローバル、金融市場
新たな共同声明の骨子案では、政府と日銀の連携によって生産性向上、賃金上昇、安定的な物価上昇が起こる「持続的な経済成長が実現するための環境を作る」ことを共通目標に設定。その過程で国債市場の正常化を図り、市場安定に特段の注意を払うとし、日銀の対応については「消費者物価上昇率2%を長期的な物価安定の目標として新たに位置付ける」と明記した。
10年前に政府と日銀が合意した現在の共同声明では、2%の物価安定目標について「できるだけ早期に実現することを目指す」としているが、日銀の大規模な金融緩和にもかかわらず実現できていない。現在の共同声明でも構造改革や規制改革といった政府の役割も示しているが、提言では特に政府の約束について「実行が十分に伴わず、結果が出ていない」としている。
会見した翁百合財政・社会保障部会共同座長(日本総合研究所理事長)は、日銀の独立性が大前提だとし、物価目標を長期的と位置付けることで「金融政策が柔軟に動きやすくなる」と説明した。提言を踏まえれば、現在の金融政策が見直される可能性があるとしながらも、物価目標は現状の2%を目指して努力することが大事だと指摘した。
借り手企業が融資の担保である優良資産を債権者の手の届かない新設子会社に移管してしまう。これは移管した資産を担保にして借り手がいずれ別の銀行団からさらに借り入れようとしている兆候で、既存の貸し手にとって非常に望ましくない展開だ。
この手法には「Jクルー」というニックネームがついている。衣料小売りチェーンを展開する米Jクルー・グループが採用したからだ。この手法は既存ローンの価値を目減りさせ、価格をディストレスト水準へと落ち込ませる。
この手法で最も悪名高いのは16年に起きたケースで、資金繰りが悪化していたJクルーが代表的ブランドを含む知的財産を子会社に移管し、これを担保に3億ドル(約390億円)を借り入れたというものだ。既存債務の貸し手は債権価値の急落に見舞われ、1兆4000億ドル規模のレバレッジドローン市場で「Jクルーされる」という新語が生まれた。
その後、この手法を取る借り手が相次いだが、銀行は担保が奪われたローンの価値目減りを座視するしかなかった。低金利時代に高利回りを得る機会に飢えていた銀行は、資産移管を禁じるような貸し付けの条項を借り手企業がなし崩しにするのを許していたからだ。
Jクルー事件後、貸し手側は資産移管を可能にするような抜け穴をふさぐことに努めたが、新型コロナウイルス禍時代のブームで貸し手は再び油断し、自分たちを保護する最も基本的な条項の削除を許してしまった。
ここ最近でレバレッジドローン市場が最も活況だった21年には新規ローンの9割超が、借り手に対する制約が緩い、いわゆるコベナントライトの状態になっていた。S&Pグローバル・レーティングが同年10月のリポートで指摘した。
有料会員「プライム」向けに提供していた生鮮品の配送無料サービスの最低注文額を引き上げると明らかにした。生鮮品などを扱うネットスーパー「フレッシュ」の注文が150ドル(約1万9600円)未満の場合は配送料がかかるようになる。
米消費者の約64%に相当する約1億6600万人が2022年末の時点で給料ぎりぎりの生活をしていた。
前年に比べれば3ポイント、930万人増加したことになる。このうち約800万人の年間所得は10万ドル(約1300万円)を超えていた。昨年12月には、この所得層に分類される消費者の半分以上が給料ぎりぎりの生活をしているとしており、この比率は1年前から9ポイント上昇した。
調査に回答した消費者のうち、所得がインフレ率と同ペースを維持すると期待しているのは半分を割っており、今年はさらに厳しい状況となる可能性がある。
EYパルテノンのシニアエコノミスト、リディア・ブスール氏は「個人消費の先行きは視界不良だ」と語る。「物価の高止まりや、貯蓄の取り崩し、そしてクレジット依存の高まりはこの冬の個人消費が弱いことを示している」と指摘。「これに株安と住宅の価値目減りという逆資産効果が加わり、状況はさらに悪化するだろう」と述べた。
世界的な債務膨張が大恐慌に匹敵する大損害を市場に与えると顧客に警告した。
バイデン米政権が華為技術(ファーウェイ)への輸出許可を停止したと報じた。すでに禁じている半導体などに加えて全面的に米技術・製品の輸出を取りやめる措置になる。
米政府は2019年5月に原則、輸出禁止の対象とする「エンティティー・リスト(禁輸リスト)」にファーウェイを加えた。その後も一部の品目については輸出許可を与えていたとみられる。完全に取引を遮断し、ファーウェイの経営に一段と打撃を与える。
バイデン政権は2022年11月、ファーウェイの通信機器について米国内での販売を事実上、禁じた。米国内で販売する際に必要な認証の対象からファーウェイを外した。輸出入ともに厳しい制限をかけることになる。
1月のCPIは、欧州連合(EU)基準で前年同月比5.8%上昇。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値である4.8%上昇を大きく上回った。昨年12月は5.5%上昇だった。
30日の短期金融市場では、ECBのピーク金利見通しが一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げられ、中銀預金金利は年央までに3.50%を上回るとの見通しが織り込まれた。現在の水準は2%。ユーロ圏国債は下落(利回りは上昇)し、指標のドイツ10年債利回りは一時8bp上昇の2.32%と、今月6日以来の高水準を付けた。
INGの金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブーベ氏は「コアインフレ率の上昇は懸念材料だ」と指摘した。
スペインの1月のインフレ加速は、燃料コスト上昇のほか、年初の衣料品販売で値引きが縮小したことが要因。変動の大きい項目を除いたCPIコア指数は過去最高の7.5%に上昇し、物価上昇圧力が依然として広範囲に及んでいることを示唆した。
UBSグループの金利ストラテジスト、ロハン・カーナ氏は「ラガルドECB総裁はターミナルレートを4%に引き上げる可能性を排除しないというのが、現在の最もタカ派的な結果になろう」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
マレーシアのアンワル首相は30日、シンガポールを訪問し、リー・シェンロン首相と会談した。2022年11月に首相に就任したアンワル氏は今月、インドネシアやブルネイも訪問しており、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との関係構築を急ぐ。連立政権の基盤が盤石ではないため、外交では周辺国と波風を立てずに安全運転に徹する姿勢が鮮明だ。
アンワル氏が経済重視の外交を繰り広げるのは、国内の政治安定が喫緊の課題で、外交で摩擦が生じた場合に対処する余裕がないからだ。アンワル政権は政策や支持母体が異なる複数の政党から成る連立政権で、主要政党の一つの国民戦線では激しい派閥闘争が続く。路線対立を生む政策を推進しようとすれば、連立政権の基盤がすぐに弱体化しかねず、内政・外交ともに火種になる主張や改革を封印している。
アンワル氏がトップの政党連合、希望連盟は18年の前回総選挙でも勝利し、当時アンワル氏と共闘していたマハティール氏が首相に就いた。マハティール氏はシンガポールとの間の高速鉄道の建設計画中止や水の供給契約の見直しを主張し、両国の関係にさざ波が立った。国内改革の多くも頓挫し、マハティール政権は2年弱で崩壊した。アンワル氏は当時の失敗を踏まえ、外交でも慎重な対応を心がけているとみられる。
アンワル氏はASEAN各国の首脳との会談を一通り終えた後、米国や中国、日本など主要国への訪問を模索する見通しだ。アンワル氏は米中が経済面でも対立を強める中で、「米中双方と非常に良好な関係を維持しなければいけない」と強調する。中立の立場を維持し、主要国と経済分野での協力関係を維持・強化できるかが課題となる。
米銀モルガン・スタンレーは今回の改革は住宅市場の安定化につながり、今年4〜6月期には住宅販売額が若干回復する可能性があると予想する。中国政府の狙いに沿ったかたちだ。だが、政策の遂行にあたる政府の舵(かじ)取りは難しい。
資金が過剰になれば供給過多の問題が再燃しかねない。しかも今は中国の人口が減少し始めている状況だ。米銀JPモルガン・チェースによると、中国の都市部の空室率は大都市で7%、中堅都市で12%と世界平均を大きく上回る。また、18年以降販売された住宅の約70%が既に1件ないしそれ以上の不動産を所有する人が購入した。
中国の住宅価格は投機で値上がりし、住宅年収倍率(住宅を購入するのに必要な所得を得るまでの年数)が世界で最も高くなっている。中国の資産運用会社グロー・インベストメント・グループの洪灝(ホン・ハオ)チーフエコノミストは3つのレッドライン政策には少なくともデベロッパーが負債を増やすペースを鈍化させる効果があったと指摘する。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況日経先物27403、ダウ先33817、債先146.77、米3.548、独2.3115、仏2.774、西3.346、伊4.306、英3.3520、波5.891、原油77.94、銅9,224、ドル円130.49、ユーロドル1.0849
※1/31 8時40分頃
備忘録(2023/1/27-29)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
世界的な景気後退への懸念から、企業は広告費を絞る動きに出ている。米広告大手インターパブリック・グループ傘下の広告リサーチ会社マグナによると、23年の米国の広告市場は前年比3.7%増にとどまる見通しだ。伸び率は22年の水準(8%増)から大幅に減速する。
米民間雇用調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、ニュース・報道系メディアの人員削減数は22年に1800人強と、21年の水準より2割多かった。広告収入の減少に加え、読者や視聴者の伸び悩みに直面する各社への逆風は強い。
●決算関連
大手3社の2022年10〜12月期決算は、純利益の合計が24億7400万ドル(約3200億円)と、新型コロナウイルスが流行する前の水準を初めて上回った。すでに回復していた国内線に加え国際線も需要が復活。客単価が19年比で3割近く増え、稼ぐ力を取り戻した。
り、過去最高となった。ウクライナ紛争などを受けて原油相場が上昇し、上流事業が好調だった。
同社の22年の米国内の原油・天然ガス生産はテキサス州のシェールオイルがけん引して日量約118万バレル(原油換算)と前年比約4%伸びた。マイケル・ワース最高経営責任者(CEO)は27日のアナリスト向け説明会で「投資を増やしており、米国内の生産は会社として過去最高になった」と強調した。
●先進国、グローバル、金融市場
米ビザなど主なクレジットカード会社の2022年10〜12月期決算が27日出そろった。景気後退懸念がくすぶるなか、堅調な消費や旅行需要の伸びが収益を支えた。一方、低所得層などにも幅広く与信業務を手がけるカード中堅では延滞や不良債権比率の増加が目立ち始めた。今後、物価高や貯蓄率の低下傾向を受け、低所得層を中心に消費意欲が低下する可能性もある。
顧客向けに与信を手がけるカード会社では返済の延滞率や融資の焦げ付きを示す不良債権比率が上昇してきた。幅広い所得層にカードを発行しているキャピタル・ワンでは、カードローンを含む全体の不良債権比率が1.86%と前年同期(0.79%)の2倍以上になった。延滞の増加も目立ち、30日以上の延滞率は3.21%と前年同期(2.41%)を上回った。
決算説明会では「不良債権比率や延滞は新型コロナウイルス流行前の正常な水準に戻ってきている」と指摘した。今後も延滞の増加などが続けばカード利用額の制限や新規発行の審査の厳格化などにつながる可能性がある。
ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズは不良債権比率が2.13%と前年同期の1.37%から上昇した。23年12月期通期では3.5〜3.9%とさらに高まる見通しを示した。米シンクロニー・ファイナンシャルでは30日以上の延滞率が3.65%と前年同期(2.62%)から上がった。不良債権比率は3.48%と前年同期(2.37%)を上回り、23年通年では最大5.0%まで上昇するとの予想を示した。
新型コロナウイルス下での政府支援などで家計の余剰貯蓄が増え、米国でのカード利用は伸びている。米連邦準備理事会(FRB)によると、22年11月の消費者信用残高はクレジットカードなどの「リボルビング払い」ローンは前月から16.9%増加し、22年8月以来の大きな伸び率となった。
ローン残高が増える一方、個人の貯蓄率は低下基調にあり、コロナ下の余剰貯蓄も減少している。米金融調査会社MFRのマリア・ラミレスCEOは「特に低中所得層で消費の先行き不透明感が強まっている」と指摘した。
2022年12月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で5.0%上昇した。伸び率の鈍化は3カ月連続で、1年3カ月ぶりの低水準となった。高インフレはピークを越えたとみられており、市場の関心は減速のペースに移っている。
伸びは6月の7.0%をピークに鈍化傾向で11月の5.5%からさらに鈍った。12月は前月比では0.1%の上昇。エネルギーと食品を除くコア指数の前年同月比は市場予想通り4.4%の上昇で11月の4.7%から減速した。
米エネルギー情報局(EIA)によると全米平均のガソリン価格は12月、1ガロン3.3ドルと約2年ぶりに前年同月を下回った。サプライチェーン(供給網)の改善も重なり、モノの価格高騰はサービス価格に先行して落ち着きつつある。
米国債「恐怖指数」7カ月半ぶり低位、利上げ縮小観測で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB276KL0X20C23A1000000/
米国債の予想変動率を示す「MOVE指数」が低下している。26日に104.2と、2022年6月上旬以来およそ7カ月半ぶりの低水準をつけた。米国は物価の上昇ペースが鈍くなっている。米連邦準備理事会(FRB)の利上げ幅が一段と縮小するとの観測から、債券相場が急変動することへの警戒感が後退している。
小麦市場がロシアのプーチン大統領の脅しに反応しなくなっている。1月中旬に「食料備蓄のために必要なら輸出を制限する」との発言が伝わったが、小麦価格はほとんど動かなかった。戦況の悪化が指摘されるロシアにとって輸出制限は自分の首を絞めるようなもの。投資家はロシアの苦境を見透かしている。
チェコでゼマン大統領の任期満了に伴う大統領選の決選投票が27、28両日実施され、ロシアが侵攻したウクライナの支援強化を訴える元北大西洋条約機構(NATO)高官のペトル・パベル氏(61)が、アンドレイ・バビシュ前首相(68)を破り、勝利した。チェコ統計局によると、パベル氏の得票率は約58%で、投票率は約70%だった。
チェコはNATOと欧州連合(EU)の加盟国。物価高騰の中でも、ウクライナ支援を進めるフィアラ政権に近いパベル氏が支持を集めた。チェコでは首相が政策を主導し、大統領の権限は限定的。
1月18〜19日に米ハーバード大などが実施した調査で、24年大統領選で支持する共和候補を聞いたところ、トップはトランプ氏で全体の48%を占めた。2位はフロリダ州のデサンティス知事の28%、3位はトランプ前政権で副大統領だったペンス氏が7%で続いた。
トランプ氏とデサンティス氏の2人のいずれかを支持するかの質問でもトランプ氏が55%、デサンティス氏が45%だった。22年12月にそれぞれ48%、52%だった支持が逆転した。共和支持団体の幹部は「予備選で候補者が乱立すれば岩盤支持層を持つトランプ氏に有利になる」と分析する。
年金基金の柱の一つは、20年間にわたり積み立て不足に苦しんでいたが、ここにきて潤沢な資金を有している。企業の確定給付型年金は、金利急上昇のおかげで珍しく積み立て余剰状態にあり、株式よりも変動の少ない債券に資金を再配分し、業界用語でいう「リスク軽減」を図ることができるようになっている。
米調査会社ミリマンが米大手企業100社の年金基金を対象にまとめた指数によれば、積み立て比率の平均は約110%で、過去20年余りで最高の水準。これは何年にもわたる低金利で運用難に見舞われ株式市場でのリターン追求を余儀なくされたファンドマネジャーにとっては歓迎すべきニュースだ。
英国のハント財務相はスナク首相を含む他の閣僚らに対し、インフレ率が年内に5%を下回る水準に低下するのは難しいとの見通しを示し、3月に発表する予算案では財政規律の堅持が欠かせないと主張した。
財務相が示した予測はまちまちな内容だったと、関係者らは指摘。景気回復の芽が見られ始め、インフレはピークを過ぎて今のところ予想以上のペースで減速していると述べる一方、食品や財・サービスの価格上昇は根強く、全体のインフレ率が5%未満に低下するのを難しくしていると説明したという。
スナク首相は5つの主要公約の一つとして、インフレ率の半減を掲げている。昨年のピーク時には11.1%に上っていたため、インフレ率が5%以上にとどまるとしても公約の達成はなお可能だ。
欧州連合(EU)や英国が、厳格な規制対象ではない資金の出し手である「影の銀行(シャドーバンク)」に対する規制を強化しようとしている。年金基金や電力会社などのデリバティブ(金融派生商品)取引を発端に市場が大混乱したからだ。規制強化は低金利下の行き過ぎたリスクがある取引を抑制するとともに、リスク資産の売却がさらなる売りを呼び、新たな波乱を呼び込む懸念もはらむ。
約140カ国・地域が合意した法人税の最低税率(15%)の導入が進めば、世界の法人税収が年2200億ドル(約28兆円)増える可能性がある。経済協力開発機構(OECD)が試算した。新型コロナウイルス対策などで各国の財政は厳しさを増す。経済のデジタル化に対応し、法人税の引き下げ競争に歯止めをかける観点からも導入の重要性は高まっている
●中国・アジア・ロシア・東欧
プーチン氏が示す決意は、戦争が再びエスカレートする前兆となる。一方でウクライナも国土からロシア軍を駆逐する新たな攻勢を準備しており、ロシアの占領維持を認める停戦協定には応じない姿勢だ。関係者によると、プーチン氏はロシアの存亡を懸けて西側と戦っているとの認識で、戦争に勝利する以外に選択肢はないと信じている。新たな動員が今春行われる可能性もあるという。ロシアは経済や社会を二の次とし、戦争のニーズを最優先する性格をますます強めている。
ロシアの政府系シンクタンク、ロシア国際問題評議会のアンドレイ・コルトゥノフ会長は「何かが変わらない限り、第1次世界大戦のような消耗戦を目にすることになる。両陣営とも時間が自分に味方すると考えているため、長期戦になる可能性がある」との見方を示し、「プーチン氏は西側やウクライナに戦争疲れが広がると確信している」と述べた。
原油輸出に対する上限価格設定など相次ぐ制裁でロシアの財政は圧迫されているが、戦争の資金力を断つには今のところ至っていない。制裁の影響を受けていない中国人民元建ての多額の準備金に対するアクセスをロシアは維持しており、最長で2ー3年の財政赤字を穴埋めする資金として利用できるだろうと、エコノミストらはみている。
ウクライナを支援する側にも、戦争長期化への不安は広がりつつある。
「ロシア軍をあらゆるウクライナの土地から、あるいはロシアが占領したウクライナの国土から軍事的に排除するのは、今年は非常に困難だろう」と米国のミリー統合参謀本部議長は今月20日、同盟国との国防担当相会合で発言。「ただ、この戦争も過去の多くの戦争と同様、最後にはある種の交渉で終わることになると思う」と語った。
中国国務院(政府)は、3年続いた新型コロナウイルス感染拡大抑制のための厳しい規制が緩和され経済が再開する中で、消費回復を加速させ、景気の主要な推進力にする必要があるとの認識を示した。李克強首相が主宰する会議を引用し、国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。
CCTVによれば、着実な回復促進には、妥当な範囲内で経済を動かし続けるために成長と雇用、価格の安定に重点的に力を注ぐべきだとの方針が確認された。消費促進策は完全に実行されなければならず、消費者信用も適度に拡大する必要があるとしている。
●中東
27日には東エルサレムのユダヤ人入植地にあるシナゴーグ(ユダヤ教会堂)からでてきた人々を狙って21歳のパレスチナ人の男が銃撃しイスラエル人7人が死亡。その数時間後には、13歳の少年がエルサレムの旧市街に向かっていた親子に発砲した。これらの銃撃は、イスラエル軍が26日にヨルダン川西岸のパレスチナ自治区で過激組織を急襲し、パレスチナの軍人8人と民間人1人を死亡した事件が引き金になったと見られている。
●中南米・アフリカ
政策金利を0.75%引き上げて12.75%にすると決めた。利上げは12会合連続。1999年12月以来の水準となる。食料品を中心にインフレの加速が続いているのに対応した。
●市況日経先物27445、ダウ先34046、債先146.62、米3.507、独2.2225、仏2.691、西3.252、伊4.216、英3.3510、波5.771、原油79.38、銅9,267、ドル円129.85、ユーロドル1.0869
※1/27 NY引け値
備忘録(2023/1/26)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
独ソフトウエア大手SAPは26日、全従業員の2.5%に相当する約3000人を今春までに削減すると明らかにした。クリスチャン・クライン最高経営責任者(CEO)は同日開いた2022年12月期の決算記者会見で「難しい決断だが、事業構造を最適化し、ターゲットを絞ったリストラを行う」と語った。
ベッド・バスは「返済のための十分な資金がない」と認め、米連邦破産法下での債務再編を含む「あらゆる戦略的選択肢を検討する」と改めて表明した。
ベッド・バスは同日付の米証券取引委員会(SEC)への提出資料で、13日ごろに債務不履行が生じたと説明。25日に債務不履行の通知を受け、直ちに融資を返済するよう求められているとした。
同社の時価総額の約2割に相当する750億ドルの自社株買いは23年4月から開始する。期間は定めていない。従来の自社株買いは19年から250億ドルを実施する計画だった。
これまで米バイデン政権は株主還元を優先して増産の動きが鈍い石油業界を批判してきた。ホワイトハウスの報道担当アブドラ・ハッサン氏はツイッターで「(原油の)増産に向けて努力していると主張している会社が、幹部や金持ちの株主に750億ドルを配るのは奇妙だ」と投稿した。
エクソンモービルは22年12月、24年までに500億ドルの自社株買いを実施すると発表しており、石油業界では好業績を背景に株主還元を強化する動きが相次いでいる。
●決算関連
22年第4・四半期の調整後利益は8億2700万ドル(1株当たり1.17ドル)で、1株利益はリフィニティブがまとめたアナリスト予想の1.14ドルを上回った。
営業収入は約40%増の131億9000万ドル。市場予想は132億ドルだった。
23年の調整後利益見通しは1株当たり2.50─3.50ドルとし、前年の0.50ドルから増加すると予想した。航空業界幹部らは、景気減速の可能性に直面しつつも、需要鈍化の兆候は見られないという見方を示している。
米化学大手のダウは26日、全従業員の約5%にあたる2000人を削減すると発表した。拠点や原料調達の見直しも進め、2023年に10億ドル(約1300億円)のコスト削減を目指す。米国ではテック業界が過去最多ペースの人員削減に乗り出しているが、世界的なインフレや景気減速を受けてほかの業種にも合理化の波が広がり始めた。
ダウのジム・フィッタリング最高経営責任者(CEO)は同日「低コストで競争力が高い成長市場に軸足を置き、コスト構造の最適化を進めていく」と説明した。リストラ関連費用として、23年1〜3月期に5億5000万〜7億2500万ドルの計上を見込む。
ダウが同日発表した22年10〜12月期の決算は、純利益が6億1300万ドルで、前年同期(17億3600万ドル)の約3分の1に落ち込んだ。売上高は17%減の118億5900万ドルで、ドル高が4%程度の減収要因になった。
欧州・中東・アフリカ・インド(EMEAI)地域で製品販売量が18%減と低迷。米国・カナダも販売が振るわなかった。事業別ではパッケージ材・特殊プラスチックの部門売上高が16%減となり、産業中間財・インフラ、高機能材・コーティングはそれぞれ2割減と大きく落ち込んだ。
23年の見通しについては、米国のインフレ減速やエネルギー市場の改善など「初期の明るい兆候も見られる」(フィッタリングCEO)と指摘した。ただ当面は「慎重かつ積極的に、コスト管理や経営効率の改善を進める」(同)と強調した。
第4・四半期決算は市場予想を下回った。エネルギーコストの上昇や需要低迷、サプライチェーンの混乱が響いた。従業員の約5%に当たる約2000人の雇用を削減すると発表した。
第4・四半期の純売上高は17%減の118億6000万ドルとなり、リフィニティブIBESがまとめた予想平均の120億ドルを下回った。1株当たり営業利益も、予想平均の0.58ドルに対し0.46ドルとなり、予想を下回った。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて生産コストがここ数四半期で上昇しているほか、中国の新型コロナウイルス対策が需要を圧迫している。
同社は2023年には10億ドルのコスト削減を達成する計画を明らかにした。営業経費を5億ドル削減するほか、特に欧州を中心として世界的に事業基盤を見直すとしている。
これらのリストラ関連費用として、2023年第1・四半期に5億5000万─7億2500万ドルを計上する予定。
2022年第4・四半期決算は、特別項目を除く1株当たり利益が2.65ドルと、リフィニティブがまとめたアナリスト予想の2.58ドルを上回った。
純収入は12%増の58億ドルだった。
コストは10%増加したものの、マスターカードは、競合のビザに比べ、アジア太平洋地域へのエクスポージャーが大きく、第4・四半期には同地域における国境再開や旅行のペントアップ需要の恩恵によって相殺された。
第1・四半期の収入が「1桁後半の伸び」になるという見通しを示し、アナリスト予想の10.7%増を下回った。米経済が減速する中、2023年がマスターカードにとって厳しい年となる可能性があるという懸念が強まった。
2022年10〜12月期決算は売上高が前年同期比32%減の140億4200万ドル(約1兆8300億円)、最終損益が6億6400万ドルの赤字(前年同期は46億2300万ドルの黒字)だった。パソコン(PC)需要の低迷が響いたほか、データセンター向けも振るわず2四半期ぶりの最終赤字となった。
部門別ではPC向けのCPU(中央演算処理装置)を中心とする「クライアントコンピューティング」が36%減の66億2500万ドルだった。新型コロナウイルスの感染が広がった20〜21年にPCを買い替えた人が多く、4四半期にわたって大幅な前年割れが続いている。
サーバー向けの半導体が主力の「データセンター・AI」は33%減の43億400万ドルだった。データセンターに対する投資が停滞したのに加え、競争も激しくなった。自動車向け半導体を手がける子会社モービルアイによる売上高は59%増の5億6500万ドル、受託生産事業の売り上げは30%増の3億1900万ドルだった。
26日の説明会で、パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は「少なくとも今年の前半はマクロ経済の弱さが続く」と指摘した。PCメーカーやクラウド大手などの顧客が半導体の在庫調整を進めており、販売の低迷が続くという。23年1〜3月期の売上高見通しは105億〜115億ドルで、前年同期を4割下回る水準となる。
ゲルシンガー氏は「組織の規模を適正にするために厳しい決断をしている」と言い、人員削減に取り組んでいることも明かした。人数は公表しなかった。
2022年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比9%増の約227億ユーロ(約3兆2千億円)だった。市場予想(7%)をやや上回る伸び率で、ホリデーシーズンの欧米の高級品需要の高まりが中国のゼロコロナ政策解除後の混乱の悪影響を相殺した形となった。
香水・化粧品など柱となる5つの事業はすべて増収となった。主力のルイ・ヴィトンの22年の年間売上高は初めて200億ユーロを超えた。
先月のクリスマス休暇シーズンに米国を襲った寒波などが原因で大量の欠航が発生したことが響き、第4・四半期が赤字となり、今年第1・四半期も赤字が続く見通しだと発表した。
先月の大量欠航に対応した従業員への追加報酬などを理由に、燃料費以外の経費が従来予想を上回る見通しだとした。
第4・四半期は1株当たりの調整後純損益が0.38ドルの赤字となった。欠航により売上高は4億1000万ドル減少し、経費が約3億9000万ドル増えた。
同社には、大量欠航で失った顧客を取り戻すよう投資家から圧力が強まっている。欠航の影響を受けた顧客には300ドル強相当のマイレージのポイントを付与するなどして対応。3月に影響が一巡し、通年で「堅実な」利益を確保すると見込む。
●先進国、グローバル、金融市場
2022年10〜12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比の年率換算で2.9%増だった。高インフレの下でも底堅い経済成長が続いた。先行きの景気後退懸念はなお強い。利上げを続ける米連邦準備理事会(FRB)の思惑通り、適度に経済を減速できるかが焦点となる。
市場予想は2.8%だった。22年7〜9月期の成長率は10月時点の速報値が2.6%で、12月の改定で3.2%に上方修正された。直近の2四半期とも米経済の地力を示す潜在成長率の2%程度を上回る伸びになった。
米景気を左右するのはGDPの約7割を占める個人消費だ。10〜12月期は前期比2.1%増えた。7〜9月期は2.3%増と、4〜6月期の2.0%増から加速していた。
家計が抱える現預金は22年9月末時点で5兆ドル(約650兆円)近くあり、新型コロナウイルス禍前の約1兆ドルから大きく膨らんだまま消費の余力となっている。労働市場では人手不足が続き、物価上昇を追いかけて高水準の賃上げも続くとみられる。
これから高インフレや利上げの影響がどこまで出てくるかを市場は注視する。米小売売上高は10月まで回復傾向が続いた後、11〜12月は前月比でマイナスに転じた。これまでの実質的な所得の目減りなどが響き、11月末のブラックフライデーや12月にかけてのクリスマス商戦は苦戦だったとされている。この減速ペースが当面の焦点となる。
利上げの影響をもっとも強く受けている住宅投資は26.7%減った。3四半期連続で2桁のマイナスだった。住宅ローン金利は11月にかけて上昇し、逆風が続いた。12月の中古住宅販売件数(年率換算)は前月比1.5%減の402万戸と約12年ぶりの低水準を記録した。
企業の設備投資は0.7%増だった。4〜6月期に0.1%増に落ち込み、7〜9月期は6.2%増に回復したが、持続的な改善を見込む声は少なかった。資金を借り入れる際の金利が高水準となっているためだ。景気後退の懸念も影を落とす。
輸出から輸入を差し引いた純輸出の動向も注目だ。輸出が1.3%減り、輸入は4.6%減った。輸入は7〜9月期に7.3%の減少に転じ、コロナ禍で世界経済に急ブレーキがかかった20年4〜6月期以来のマイナスだった。輸入の減少はGDPの計算上はプラスとなる。実際は米国内の需要減少を示す場合も多い。
年に1度の対日経済審査を終えて公表した。日本が低インフレに戻る可能性を念頭に、金融緩和は全体としては「適切だ」と評価した。
ただ、物価は「上振れリスクのほうが大きい」と指摘。日銀が検討すべき選択肢として、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の修正を挙げた。「柔軟化は将来の急激な金融政策の変更を回避するのに役立つ」とも説明した。
IMFが示した修正の具体案は3つ。日銀は2022年12月に長期金利の許容幅をプラスマイナス0.25%から0.5%に広げた。1つ目の案は、長期金利の変動幅のさらなる拡大などだ。
次に金利操作の対象を10年債より短い期間の国債に移す案を示した。3つ目として、金利水準ではなく国債の買い入れ量を目標とする政策に移行する案を記した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
両国は東西冷戦下の「非同盟」諸国の雄で、ロシアのウクライナ侵攻による食糧難などで再接近。対ロ批判を避けて中立を掲げる途上国同士の結束を演出した。
パキスタンルピーが26日の銀行間市場で7%急落した。パキスタンの外国為替取引会社が為替レートの上限を撤廃したことを受けて、2日連続で市場の混乱が続いている。
外為取引会社の団体は24日夜、国益のため為替レートの上限を撤廃すると発表。市場原理に基づく為替制度への移行は国際通貨基金(IMF)が支援の条件の一つに挙げていた。
今回の措置は、IMFによるパキスタン向け融資再開に寄与する可能性がある。パキスタンの外貨準備は輸入3週間分を下回っており、同国は外部からの資金調達を急いでいる。
中国が新型コロナウイルス禍に伴う渡航制限を解除したことで、中国人富裕層の海外移住の動きが加速している。こうした中国人が海外の不動産や資産を購入し、巨額の資本流出につながる可能性がある。
複数の移住コンサルタントがインタビューで明らかにしたところでは、ゼロコロナ政策が昨年12月に撤廃されて以来、多くの中国人富裕層が不動産のチェックや移住計画の最終確認のため海外に渡航し始めている。こうした中、金融市場を圧迫し得る資本流出に加え、頭脳流出が懸念されている。
中国共産党に盾突かない限り富を増やし続けられることが当たり前になっていた富裕層はこの2年間、習近平国家主席によるテクノロジー・不動産・教育業界の締め付けや、同氏が推進する「共同富裕」で動揺せざるを得なかった。富裕層向けアドバイザーは、昨年10月の共産党大会で習氏が支配体制を強化して以来、富裕層の懸念は増していると指摘した。
カナダの移民問題専門の法律事務所ソビロフスによると、カナダへの移民を目指す中国人顧客が急増している。同事務所のシニア弁護士、フェルーザ・ジャマロワ氏は「この6カ月間でうんざりしたのだろう。相談の予約が急増している。中国の顧客は現在、移住に前向きであり、できるだけ早期を希望している」と説明した。
ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアエレロ氏によれば、コロナ禍前は中国からの海外渡航者による資本逃避は年間1500億ドル(約19兆4000億円)前後だったが、今年は3年間海外旅行が実質禁止されていたこともあって増加する可能性が高い。
同氏は「中国は今年、巨額の資本流出に直面し、これが人民元と経常収支を圧迫する公算が大きい」とし、多くの人が現金を持ち出せない場合は今年の資本逃避は過去の年を上回らないかもしれないが、それでも労働力や生産性、成長に影響を及ぼし得ると指摘した。
クレディ・スイス・グループの昨年9月のリポートによれば、資産が5000万ドルを上回る超富裕層の人数で中国は3万2000人強と、米国に続き2位となっている。
中国人富裕層の海外移住は既に昨年から始まっている。投資移住コンサルティング会社ヘンリー&パートナーズのデータ情報パートナーであるニュー・ワールド・ウェルスによると、2022年は約1万800人と、19年以来の多さとなった。世界ではロシアに次ぐ2位。
高止まりしてきた住宅ローン金利は足元で下げが続いており、住宅購入のハードルが以前より低くなりつつある。米抵当銀行協会(MBA)が25日発表した調査では、30年固定の住宅ローン金利(週平均)は直近で6.2%と22年9月以来の低水準を記録した。金利低下にともない、ローン申請件数を示す総合指数(季節調整済み)は前週から7%上昇した。
MBAで経済・産業予測を担当するジョエル・カン氏は「購入活動は依然として低調だが、金利低下と価格の下落がさらに続けば、より多くの購入希望者が市場に戻ってくるだろう」と指摘する。
●中東
●中南米・アフリカ
主要政策金利であるレポ金利を0.25%ポイント引き上げ7.25%とした。上げ幅はロイターのエコノミスト調査で予想された0.50%よりも小幅だった。
ハニャホ中銀総裁によると、金融政策委員会(MPC)の5人の委員のうち3人が0.25%の利上げ、2人が0.50%の利上げを主張した。
●市況
日経先物27367、ダウ先33976、債先146.89、米3.509、独2.2090、仏2.662、西3.207、伊4.127、英3.3360、波5.854、原油81.12、銅9367、ドル円129.80、ユーロドル1.0895
※1/27 8時55分頃
備忘録(2023/1/25)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
ジュール・ラブズが、日本たばこ産業(JT)、米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)、米アルトリア・グループの業界大手3社と事業売却や資本提携について協議を進めていることが分かった。25日、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版が関係者の話として報じた。
アルトリアは2018年にジュール株式の35%を取得している。22年9月にアルトリアとジュールが結んでいた非競争契約が終了し、ジュールに業界他社への身売りや出資受け入れの道が開けた。
米食品医薬品局(FDA)は22年6月、安全性への懸念を理由にジュールの電子たばこ製品の米国内での販売を禁止した。ジュールの提訴で禁止命令は一時差し止めとなったが、事業継続を巡る不透明感が高まった。WSJは同年10月、ジュールが破産申請を検討していると報じた。
ヒンデンブルグ・リサーチは24日、インドの財閥アダニ・グループに対してショート(空売り)ポジションを取っていると明らかにした。同日発表した調査報告書で、アダニが市場操作や不正会計をしていると主張し、揺さぶりをかける。アダニの主要企業の株価は報告書の公表後、一時前日比で5%前後下落した。
ヒンデンブルグは24日、2年に及ぶ調査を経たという報告書を公表した。アダニがモーリシャスやカリブ海諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)を不適切に利用していると批判した。汚職やマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いを指摘した。
アダニはインドでエネルギーやインフラ開発を手掛ける。米ブルームバーグ通信が毎日更新している世界長者番付「ビリオネア(億万長者)インデックス」によると、グループを率いるゴータム・アダニ氏は2022年12月時点で純資産が1250億ドル(約16兆円)と世界3位の富豪だった。23年1月24日時点では株価の下落を受け4位に後退した。グループの主要企業の経営幹部の大半を一族が占める。
●決算関連
10-12月(第4四半期)の調整後1株当たり損益は1.75ドルの赤字。売上高は約200億ドル(約2兆6000億円)と、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均とほぼ一致した。
ボーイングが急増する航空需要を最大限に生かすには、設備稼働率を回復させる必要があり、今回の決算はそのための課題が残されていることを浮き彫りにした。ドル箱である737ーMAXの運航停止や新型コロナウイルス対応でここ数年は苦しい時期が続いていたが、最近になって回復の兆しが見られるようになっている。
納入機数が増えて赤字幅は縮小したが、部品供給網(サプライチェーン)の混乱で2四半期連続の赤字だった。
23年のフリーキャッシュフロー見通しは30億〜50億ドルとしている。737を400〜450機、787を70〜80機納入することで改善する。25〜26年に商用機を年計800機納入し、フリーキャッシュフローを年100億ドルまで拡大させる計画だ。
2022年10〜12月期決算は売上高が横ばいの166億9000万ドルで、市場予想を上回った。純利益は16%増の27億1100万ドルだった。
アービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)は「企業がインフレや供給網の課題に直面するなか、差別化に役立つテクノロジーの需要は引き続き大きい」と述べた。人工知能(AI)やハイブリッド・クラウドなど高成長分野の採用は続ける方針という。
部門別にみると、19年に買収したソフトウエア大手のレッドハットを含むソフトウエア部門の売上高は3%増の72億8800万ドルだった。インフラ部門は2%増の44億8300万ドル。企業の基幹業務で使うメインフレーム(大型汎用機)の新製品「Z16」の販売が好調だった。コンサルティング部門は0.5%増の47億7000万ドルだった。
従業員の1.5%にあたる約3900人の人員を削減する方針を明らかにした。人員削減はシステム運用などを手がける部門の新会社「キンドリル」の分社化やヘルスケア部門「ワトソン・ヘルス」の一部売却後に残る従業員が対象で、関連費用として3億ドル(約390億円)を計上する。
2022年10〜12月期決算は売上高が前年同期比12%減の100億9100万ドル(約1兆3080億円)、純利益は48%減の10億3300万ドルだった。新型コロナウイルスの検査キットの販売が前年の反動で大幅に減ったのが響いた。
減収は2四半期連続。とくに落ち込みが大きかった新型コロナの抗原検査キットの売上高は前年同期比54%減の10億6900万ドルだった。
アボットは決算資料で「新型コロナがパンデミック(世界的大流行)からエンデミック(一定期間で繰り返される流行)に移行するなか、検査キットの需要が大幅に鈍ると予想している」と指摘した。23年12月期の検査キット売上高は前期比76%減の20億ドルを見込む。
同社は「22年10〜12月期と23年の通期業績をよりよく理解したい投資家は、コロナ検査キットを除いたベースのオーガニックグロース(既存事業の成長率)をみるのが適切だ」とした。為替影響を除いた同ベースの売上高は22年10〜12月期に5%増えた。
●先進国、グローバル、金融市場
政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%引き上げて4.5%にしたと発表した。利上げは8会合連続で、引き上げ幅は前回の0.5%から縮小した。声明文では、経済・物価情勢が現在の見通しに沿って推移した場合は「政策金利を現在の水準で維持する」方針を明記。利上げをいったん打ち止めとする考えを示唆した。
カナダ国債の保有を減らす量的引き締めの継続も決めた。政策金利の先行きについては「物価上昇率を2%の目標に戻すために必要であれば、さらに引き上げる用意がある」とも言及した。当面はこれまでの利上げの累積的な影響を見極めつつ、インフレ鎮静化のペースが鈍いと判断したら再び利上げに踏み切る意向とみられる。
カナダの消費者物価指数(CPI)の前年同月比上昇率は2022年6月の8.1%が直近ピークで、12月には6.3%まで伸びが鈍った。カナダ銀は「家計は食品価格や住居費の持続的な上昇でまだ苦難を感じている」としつつ、エネルギー価格の低下や供給網の制約の緩和、金利上昇による経済活動の減速で「23年のインフレは大幅に落ち着く」と指摘。CPIの上昇率は年央に3%程度になり、24年には目標の2%に戻ると予測した。
ドイツ企業の景気見通しは1月にさらに明るさを増した。ロシアのウクライナ侵攻を受けて多くの人が懸念していたリセッション(景気後退)は回避される見通しが強まっている。
Ifo経済研究所が25日発表した1月の独企業期待指数は86.4と、前月の83.2から上昇した。改善は4カ月連続で、エコノミスト予想より大幅だった。一方、現況指数は低下した。
Ifoのクレメンス・フュースト所長は発表文で「ドイツ経済はより強い自信を持って新年入りした」とコメントした。
ドイツ経済は短期的な見通し改善の示唆が相次いでいる。政府が今年の経済成長率予想をプラス0.2%と昨年10月時点のマイナス0.4%から引き上げたと、25日公表予定の最新経済予測の内容を知る関係者が24日明らかにした。
短期金融市場は昨年8月以降で初めて、今年末までの0.25ポイント利下げを完全に織り込んだ。2月の0.5ポイント利上げはほぼ確実視され、その後も利上げが続いて夏季に4.50%前後でピークに達すると見込まれている。
一連の経済指標が成長失速とインフレ鈍化を示唆し、トレーダーの金利見通しを変化させた。市場の動向は英中銀が金利をピーク水準で長く維持することができないのではないかとの疑念も示している。現在の政策金利は3.5%と10年余りで最高。
ジェフリーズの金利ストラテジスト、モヒト・クマー氏は「欧州の景気見通しについてはより前向きになりつつあるが、英国に対しては依然としてネガティブだ」と述べ、「英中銀が2月に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを実施したとしても、それはハト派的な50bpだろう」と語った。
欧米諸国が冬を前に緩衝在庫を補充できたほか、北半球で比較的温暖な季節のため暖房需要が減少していることが主な要因。テキサス州の大規模LNG(液化天然ガス)ターミナルの予想以上の長期閉鎖でガス輸出が制限され、国内の供給を押し上げたことも相場下落につながった。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の医療機関における新型コロナウイルス感染症に関連する死者数と重症患者数は1月初めのピークに比べ7割余り減少したと、中国疾病対策予防センター(CDC)が発表した。
同センターが25日発表した資料によると、医療機関での死者数は23日に全国で896人だった。今月4日のピーク時には4273人を記録していた。
23日の重症患者数は3万6000人と、ピークを付けた5日の12万8000人から72%減少したという。12月27日から1月3日には重症患者数が1日当たり約1万人ずつ増えていたと、CDCは説明した。
タイ銀行(中央銀行)は25日、4会合連続で政策金利を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げることを決めた。観光業の回復で経済が勢いを取り戻す中、インフレを抑制する姿勢を示した。
●中東
●中南米・アフリカ
●市況日経先物27388、ダウ先33837、債先147.40、米3.442、独2.1615、仏2.593、西3.133、伊4.069、英3.2880、波5.892、原油80.53、銅9,331、ドル円129.27、ユーロドル1.0922
※1/26 8時50分頃
備忘録(2023/1/24)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
2022年12月、米新興メディア「アクシオス」は、金融情報サービス大手ブルームバーグの創業者であるマイケル・ブルームバーグ氏が、ニューズ傘下の経済メディア部門「ダウ・ジョーンズ(DJ)」の買収に関心を持っていると報じた。その時点では、ブルームバーグ氏とマードック氏はまだ接触していないとされた。今回、ニューズとフォックスの合併計画が頓挫したことで、マードック氏の次の一手が注目される。
ザールルイ工場は小型車「フォーカス」を生産している。フォードは米欧市場でEVに集中する戦略で、コストを抑えつつEVの生産体制を整えるため、生産拠点を絞るという。BYDなどとの交渉は初期段階で、売却は実現しない可能性があるとしている。
フォードは欧州事業の再編を進めている。別途、ケルンの工場でも従業員を削減する可能性があると、独の産業別労働組合であるIGメタルが明らかにしている。
今回の賃上げにより同社の米国内平均賃金は17.50ドル超になる見通しだ。米国内で約160万人の従業員を抱える全米最大の雇用主である同社の賃上げは、他の小売企業に波及する可能性がある。
●決算関連
2022年10〜12月期決算は、純利益が前年同期比25.7%減の35億2000万ドル(約4570億円)だった。新型コロナウイルスのワクチンの売り上げ低下や急速に進んだドル高が収益を押し下げた。
売上高は4.4%減の237億600万ドルだった。コロナワクチンの販売と為替の影響を差し引いたベースの売上高は4.6%増だった。コロナワクチンの売上高は57.4%減で、米国での販売はゼロだった。
売り上げが振るわないなか、J&Jはコロナワクチンの生産縮小に動いている。同社のワクチンをめぐっては、まれだが深刻な血栓症を引き起こすリスクがあるとされており、不人気だったことも大きい。
部門別の売上高では、新型コロナワクチンを含む「処方薬」が7.4%減だった。ワクチンを差し引いた場合は1%減だった。手術用の医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」は1.2%の減収だった。23年半ば以降に会社分割予定の日用品や市販薬などの「消費者向け」部門の売上高は1%増えた。
海外売上高比率は全体の半分に達し、為替変動の影響を受けやすい。22年10〜12月期にはドル高が5.3%の減収要因となった。
23年12月期通期の売上高については、前期比4.5〜5.5%増の969億〜979億ドルを見込む。引き続き販売減を想定し、コロナワクチンの売上高は予想に織り込んでいない。
22年10~12月期決算は、純利益が前年同期比6割減の5億4100万ドル(約703億円)に落ち込んだ。売上高は約6%減の80億7900万ドル。ドル高による為替の引き下げ効果が売上高を5%程度引き下げた。
事業別では小売店が積極的な在庫圧縮に動いたオフィス用品など「消費者向け」部門が1割減。「ヘルスケア」は7%減った。新型コロナウイルスの感染対策の緩和が進み、使い捨てマスクの売り上げが急減した。電子機器を含む「交通・エレクトロニクス」は6%減、「安全・工業品」は4%減となった。
23年の事業環境についても「マクロ経済の逆風は当面続く」と厳しい見通しを示した。特殊要因を調整した通期の売上高が前期比で2〜6%減ると予測した。
マイク・ローマン最高経営責任者(CEO)は投資家に対し、22年10~12月期の業績は「満足できるものではない」と率直に認めた。今後リストラ以外にもコスト削減に向けた取り組みを進めると説明して理解を求めた。
2022年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比2%増の527億4700万ドル(約6兆8600億円)だった。伸び率は約6年ぶりに10%を下回り、市場予想にも届かなかった。パソコン(PC)関連が低迷したほか、成長を支えてきたクラウドサービスの減速も目立った。
売上高は会社予想(523億〜533億ドル)の範囲内だが、アナリスト予想(530億ドル)に届かなかった。増収率は17年以降で最も低い水準だ。純利益は12%減の164億2500万ドル。1株利益は市場予想を上回った。
すべてのクラウドサービスをまとめた売上高は22%増の271億ドル。景気後退への懸念からIT(情報技術)投資を見直す動きが広がり、比較可能な18年以降で最も低い伸び率となった。
世界的なPC需要の冷え込みも業績に響いた。PCメーカー向けの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の販売額は前年同期比で39%減少した。
携帯電話の新規契約者数は2022年10-12月(第4四半期)に21万7000人。アナリスト予想の20万9600人を上回った。ただ、Tモバイルの契約者数は10-12月に暫定数値で92万7000人増となっており、これを大きく下回る。25日に決算を発表するAT&Tは63万9600人増と予想されている。
ベライゾンの10-12月の利益と売上高はいずれもブルームバーグがまとめた市場予想と一致した。
2023年通期の1株当たり利益は一部項目を除いたベースで4.55-4.85ドルになる見込み。アナリストの予想平均は4.97ドルだった。ベライゾンは同業他社との競合において、コストが高くつく電話機の無償提供に依存してきた。
同社はAT&TやTモバイルUSに市場シェアを奪われている。競合相手である両社による機器の無償供与やネットワーク改善が背景にある。
今年通期の利益は約9%減少の予測で、同社のハンス・ベストベリ最高経営責任者(CEO)が直面する課題を浮き彫りにしている。同氏は低迷する消費者事業のてこ入れに向け、販売促進策に依存しているためだ。
22年10-12月(第4四半期)決算も発表。フリーキャッシュフローは42億9000万ドルと、アナリスト予想の平均(40億ドル)を上回った。調整後利益は1株当たり1.24ドル。市場予想は1.16ドルだった。
再生可能エネルギー部門は営業損益が4億5400万ドルの赤字。風力タービン事業の低迷が引き続き重しとなった。
2023年通期に関して増益の見通しを示した。再生可能エネルギー部門での問題が引き続き業績全体の重しとなってはいるものの、航空旅行の力強い需要を背景に利益は拡大すると見込んでいる。
通期の調整後利益は1株当たり最大2ドルを予想。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想の平均(同2.37ドル)は下回った。前年は同77セントだった。フリーキャッシュフローは34億-42億ドル(約4430億-5470億円)の見通し。
電力部門は今年も赤字が続く見通しだ。ラリー・カルプ最高経営責任者(CEO)は発表文で、再生可能エネルギー事業の業務改善に引き続き取り組んでいると説明した。
航空部門GEエアロスペースについては、営業利益が最大57億ドルになると予想。GEは、世界の民間航空業界がパンデミック後の回復を続けているとし、GEエアロスペースの力強さに自信を示した。
今期の営業利益下方修正の約7割は構造改革費用によるもので、欧州での品質問題処理のための費用などが含まれているという。永守氏は24日の会見で、前経営陣が「負の遺産」を残したと指摘。1-3月期にも構造改革費として約500億円を使うとし、「いろんなゴミを今期中にきれいにしちゃう」狙いがあると話した。
リッチ・テンプルトン最高経営責任者(CEO)は発表資料で「予想通り、業績は自動車を除くあらゆるエンドマーケットの需要低迷を反映している」と説明した。
●先進国、グローバル、金融市場
ドイツ政府は今年の経済成長率予想をプラス0.2%に引き上げた。25日に公表予定の新たな経済予測の内容を知る関係者が明らかにした。昨年10月時点ではマイナス0.4%と予想していた。2024年の成長率見通しは1.8%と、前回予想の2.3%から引き下げた。
ハービスト外相は「状況を分析し、何が起きたか見極めなければならない。それが原因で、スウェーデンの加盟が長期にわたって阻止されることもあり得る」と述べ、現時点で決定を下すのは「尚早」だと付け加えた。
NATOに加盟する30カ国のうち、フィンランドとスウェーデンの加盟申請を承認していないのはトルコとハンガリーだけだ。極右の活動家がスウェーデンの首都ストックホルムでイスラム教の聖典「コーラン」を燃やしたことを受け、トルコのエルドアン大統領は23日、同国のNATO加盟を支持する可能性はないと言明。これに対して米政府当局者は、NATO拡大への支持をあらためて表明した。
米国の企業活動を測る指数は1月、前月に比べて上昇したものの7カ月連続で活動縮小を示した。投入価格を示す指数が上昇に転じ、インフレ圧力が長期化していることが示唆された。
米国の製造業・サービス業合わせた1月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は、前月から1.6ポイント上昇して46.6。同指数は50を割り込むと活動縮小を示唆する。投入価格の指数は、2022年5月以降で初めて上昇した。
新規受注の指数は47.9に上昇。昨年10月以来の高水準だが、4カ月連続の縮小圏。雇用の指数は低下した。
ユーロ圏の経済活動は今月、予想に反して拡大した。域内経済がソフトランディング(軟着陸)に向かっているとの期待が高まる。
1月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI)は50.2に上昇。市場予想の49.8を上回り、拡大と縮小の境目である50を超えた。50超えは昨年6月以来。
経済の安定はリセッション(景気後退)が回避される兆候だが、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「まだ困難期を脱したわけでは全くない」とコメント。
「需要減退は続いている。減少ペースが遅くなっただけだ。モノとサービスの両方で出荷価格インフレが上昇したことはタカ派の当局者らが一段の金融引き締めを主張する根拠になる」と分析した。
「1月に雇用の伸びが上向いたことと、賃金上昇が物価圧力の高まりの原動力となっている兆候は、一段の利上げの議論を強める」とも指摘した。
国別では、ユーロ圏の2大経済大国であるドイツとフランスのPMIが依然として50を下回った。
英国企業は新型コロナウイルスの流行初期以来の急激なペースで生産が落ち込んでいると示唆し、英経済がリセッション(景気後退)に陥ったとの観測を強めた。同時に、政府の財政赤字は過去最高の水準に拡大した。
1月の英総合購買担当者指数(PMI)は、予想以上に大きく悪化した。以前は景気を支えたサービス業の落ち込みが激しかった。英政府統計局(ONS)によると、12月の財政赤字は過去最大に上った。金利上昇で国債費が増加した。
こうしたデータは、英国が景気の落ち込みを回避できるとの期待を後退させる。一部の業種を停滞させている労働争議や通商問題の解決策や、景気対策を打ち出すようスナク首相には圧力が強まりそうだ。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「労働争議や人員不足、輸出の減少、生活費の高騰、金利上昇などの全てが景気の落ち込みをいま一度加速させている」と指摘。英国は「労働力不足や通商問題など欧州連合(EU)離脱に関連した長期的な構造問題による経済への打撃」にも直面していると同氏は論じた。
世界経済の弱さを指し示す経済指標やインフレによる可処分所得の減少、金利上昇の中で、社債の上昇は「急激過ぎるのではないか」との問いがマネジャーらには浮かぶ。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の米マクロ戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベス氏は「経済の現実が明白になるに伴い、最悪のシナリオは回避したかもしれないが、企業にとってはネガティブな環境に陥る公算が依然大きいと考えている」と述べ、社債相場の上昇が持続的なトレンドの始まりだと考えない方がよいと警告した。
市場はなお、インフレとの闘いが終わりに近づき追加利上げの必要性が減ったという楽観によって押し上げられている。相場上昇で世界の投資適格級社債の平均利回りは4.8%と、昨年10月のピーク時の5.8%から低下した。リセッションで最も打撃を受けるジャンク債ですら反発している。
しかし今、こうした値上がりが息切れする兆候が表れつつある。景気減速が迫っているという懸念にもかかわらず、世界の投資適格級社債とジャンク債の両方で、リスクプレミアムは10年間の平均を数ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回るに過ぎない。
野村アセットマネジメントのクライエントポートフォリオマネジャーの責任者、フレーザー・ヘッジリー氏はポートフォリオの比較的高リスクの一部、特に新興市場について、ヘッジを始めたという。「コンセンサスに近いポジションを取ることには用心が必要だ」と話した。
明るいニュースは、ポートフォリオマネジャーの資金が潤沢なことだ。バンク・オブ・アメリカ(BofA)がまとめたEPFRグローバルのデータに従うと、米欧の投資適格級社債ファンドには数週間にわたり資金が流入している。コメルツ銀行のクレジット戦略責任者、マルコ・シュテックル氏は、資金流入のおかげで相場の調整は小幅に抑えられるかもしれないと述べた。
だが、一部のマネーマネジャーは過熱気味の新発債市場を中心に慎重な姿勢を強めている。トウェンティフォー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ゴードン・シャノン氏は「新発債のプレミアムはほぼ完全に消失したように見える」として、「妙味が残っていない」と語った。今年の欧州で起債された180件余りのうち、たった1件にしか手を出さなかったという。
一部の起債で「価格設定は今年のボラティリティーをゼロと織り込んでいる。私にとってそれは行き過ぎだ」と指摘。「最近のデータはソフトランディングの可能性が高まったことを示唆しているが、リセッション(景気後退)が依然、私の基本シナリオであり、用心深いアプローチが必要だ」と話した。
景気後退懸念がくすぶるなか、労働市場の逼迫が和らぐ可能性がある。
●中国・アジア・ロシア・東欧
世界的な需要回復で輸出額は過去最高だったが、原油高で燃料の輸入額が大幅に膨らんだ。
輸入額は21年比13.6%増の3031億ドルだった。原油が6割近く増え、輸入額全体の12.3%を占めた。国・地域別でみると最大は中国からの輸入で、6.7%増の710億ドルだった。産油国のアラブ首長国連邦(UAE)からの輸入は9割増の174億ドルに達した。
輸出額は5.5%増の2870億ドル。工業製品は集積回路(IC)や機械・部品などが伸び4.4%増だった。食料価格の高騰もあり、農産物や加工品が8.8%増加した。国・地域別で最大の輸出先は米国で13.4%増の475億ドル。2位の中国は「ゼロコロナ政策」による需要減の影響で7.7%減の343億ドルだった。
商務省貿易政策・戦略事務局は23年の見通しについて「地政学的な緊張が貿易の障害とサプライチェーン(供給網)のリスクを生み出す可能性がある」と指摘。足元で進行している通貨バーツ高も「輸出の足かせになる」と警戒感を示した。
ポーランドのブラシュチャク副首相は24日、ドイツ政府に対して、同国製の主力戦車「レオパルト2」最大14両のウクライナへの供与を認めるよう要請したことを明らかにした。ロシアがウクライナに侵攻して24日で11カ月がたった。ウクライナのゼレンスキー大統領は総力の結集とともにさらなる軍事支援を欧米各国に求める考えを示した。
外貨不足による経済危機に直面するスリランカの債務再編計画に中国が支持を表明したことが24日までにわかった。スリランカが国際通貨基金(IMF)と合意した29億ドル(約3800億円)の支援実行に道を開く。中国がIMFと協力して融資先を救済するのはアフリカのザンビアに次ぎ2例目。ほかの新興国や発展途上国にも同様の措置をとる可能性がある。
中国国有の中国輸出入銀行が21日、スリランカ政府に書簡を送り、2年間の債務支払い猶予やIMFの支援を支持する意向を示した。スリランカ政府の高官は同国メディアに対し「中国は債務再編へのプロセスを支持した。IMFにも支援の意思を伝えるだろう」と語った。
中国外務省の汪文斌副報道局長は19日の記者会見で、スリランカの債務問題について「中国側は関係国や国際金融機関と共に当面の困難に対応し、債務負担を緩和し、持続可能な発展を実現し、積極的な役割を発揮したい」と表明。汪氏は16日の会見で、中国共産党の中央対外連絡部の陳洲副部長がスリランカを訪れ債務問題を協議したとも明らかにしていた。
米国と中国の対抗意識が追い風となっている。海外拠点を中国に集中させることのリスクを回避し、中国以外の国・地域に分散投資する戦略「チャイナ・プラスワン」に企業がかじを切る中、インドとベトナムは大きく恩恵を受ける見込みだとサプライチェーンアナリストらは分析する。米アップルの主要サプライヤーである台湾の3社はスマホの生産・輸出拡大に向けモディ政権から優遇措置を獲得。アップルの「iPhone」の出荷は昨年4-12月に2倍余りに伸びた。
中国やドイツなど経済大国の成長が鈍化しつつある中で、世界経済をけん引する新たな国を見つける必要性が高まっている。モルガン・スタンレーはこの10年間で、インドが世界経済の成長の2割を担い、年間生産の伸びが4000億ドル(約52兆1200億円)を超え得るわずか3カ国の一角を占めると見ている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、同期間にインドの1人当たりGDPは一部の先進国と肩を並べるレベルに達するとみられ、この目標は達成可能ということになる。GDP成長率は法人減税や製造業への優遇政策、政府資産の民営化が後押しし、次の10年の早い時期に約8.5%でピークを付ける可能性があるとBEはみている。英シンクタンク、経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)は、インドの経済規模は35年までに10兆ドルに達すると予想する。
ワールド・ポピュレーション・レビュー(WPR)によると、インドの人口は昨年末時点で14億1700万人と中国を500万人ほど上回ったと推計される。国連は年内にインドが世界一に浮上すると予測する。中国では急速に高齢化が進む一方で、インドでは国民の半分が30歳未満だ。
両国の大きな違いの1つとして、インドでは依然として中間所得者層がはるかに少ないことが挙げられる。インド準備銀行(中央銀行)のスバラオ元総裁は「格差拡大に目を向けなければ、成長の伸びしろは限られる」と語った。インドほど超富裕層が急速に成長している場所はない。
また一方では、一部の若いインド人がホワイトカラー職に就きたいと、工場に勤務するくらいなら就職を先送りし、30歳未満の潜在的労働者の半分近くは職探しすらしていないという側面もある。
こうした課題はあるものの、インドのビジネスエリートの間では楽観論が広がっている。起業家たちはリスクテークへの寛容さや旺盛な個人消費、デジタルスタートアップのための活気あるエコシステムを利用することに意欲的だ。
●中東
●中南米・アフリカ
南米ブラジルとアルゼンチンが協議する共通通貨を創設する構想に否定的な考えを示した。両国の構想について事実関係を把握していないと話したうえで、「(事実であれば)同意しないだろう」と述べた。
ロペスオブラドール氏は24日の定例会見で構想について「何も聞いておらず、(判断するには)情報が足りない。恐らく中長期の計画なのだろう」と話した。共通通貨構想に加わる具体的な問題点には言及しなかった。
メキシコは他の中南米の国に比べて米国との経済関係が深い。中南米の通貨が対ドルで相次ぎ下落する一方、メキシコのペソは堅調に推移してきた。ロペスオブラドール氏は「米ドルを基準にし続ける多くの理由がある」と指摘した。左派のロペスオブラドール政権はこれまで中南米との関係を強化する考えを示していた。
1月前半の消費者物価指数は、前年同期と比べて7.94%上昇した。メキシコ銀行(中央銀行)はメキシコのインフレがピークを過ぎたとみている。市場では中銀が2月に開く金融政策決定会合で利上げ幅を縮小するとの見方が出ている。
●市況日経先物27138、ダウ先33760、債先147.32、米3.455、独2.1515、仏2.591、西3.117、伊3.911、英3.3160、波5.970、原油80.23、銅9,341、ドル円130.15、ユーロドル1.0884
※1/25 8時40分頃
備忘録(2023/1/23)
●中国・ロシア・東欧
中国のエネルギー各社が液化天然ガス(LNG)の長期購入契約を増やしている。少量を随時売買するスポット取引に比べて、発電燃料など向けに数十年にわたって安定調達できるためだ。2022年末までの2年間で中国勢が締結した購入契約量は年5千万トン近くに上り、世界全体の4割を占めた。調達先は米国やロシアから中東に広がり、大口の買い手として中国の影響力が高まる。
ロシアの大企業は欧米の締め付けで債務履行に必要な金融経路に大混乱が生じたことを受けて、債務返済でウォール街の利用を避けるようになっている。制裁の直接の対象になっていない企業もそうだという。
事情に詳しい複数の関係者によると、石油大手ルクオイルはキプロスの仲介業者を利用し、特別目的事業体のルクオイル・セキュリティーズを通じて全ての発行済みユーロ債を買い戻した。関係者は部外秘の情報だとして匿名を要請した。
中央銀行のデータを基にブルームバーグが試算したところ、ウクライナ侵攻前に856億ドル(約11兆1100億円)の規模があったロシアの国際社債市場は、侵攻後に米国や英国、欧州連合(EU)がロシアの外国資本へのアクセスを制限したために約127億ドル縮小した。ガスプロムはさらなる交換を計画しており、市場規模は今年いっそう縮小する見通しだ。
社債発行企業が制裁対象でなくても、社債が機能し続けるために必要な過程の多くに欧米の制裁が及び、ロシア企業は市場から引き揚げざるを得なくなっている。
アルメニアのエレバンを拠点とする投資会社アームブロックのポートフォリオマネジャー、ドミトリー・ドロフェーエフ氏は、ロシア国内の投資家が「数カ月のうちに全て買い入れることになるだろう」と指摘。「ロシア企業は債券を交換し、ロシアに戻る」と予想した。アームブロックもここ数カ月にロシア企業のユーロ債の一部を取引している。
ロシアは昨年、西側諸国によるエネルギー制裁と欧州に対するガス輸出削減という荒波を乗り越えた。だが2023年はエネルギー価格の下落に加え、主要7カ国(G7)が1バレル60ドルの上限を設けたことによるロシア産原油の大幅な値下がりが予想される。ロシア大統領府のエコノミストは頭を痛め、はるかに厳しい1年となるだろう。
●中東
EUとしてイラン革命防衛隊をテロ組織に加えるかどうかが注目されていたが、EUのボレル外交安全保障上級代表は23日、記者団にEU加盟国の裁判所が革命防衛隊がテロ行為をしたと認定した場合のみ可能になると説明した。「気に入らないからという理由でテロリストと見なすことはできない」と法に基づく手続きに従う考えを強調した。
トルコのエルドアン大統領は23日、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟について、トルコの批准を「期待すべきでない」と強い言葉で警告した。スウェーデンでイスラム教の聖典コーランに火を付ける極右のデモが行われたことに反発した。
エルドアン氏は国民向けのテレビ演説で、「このような冒瀆行為を許す国は、もはやNATO加盟で我が国の支持を期待すべきでない」とスウェーデンを非難した。
問題にしたのはストックホルムのトルコ大使館前で21日、反移民などを掲げるデンマークの極右政治家がコーランに火を付けた騒ぎだ。トルコはこのデモ行為を止めるようスウェーデンに求めたが、警察当局は許可したという。
●感染症
資料でFDAは新型コロナが変異を続けているため、毎年更新が必要だと指摘した。大半の人についてFDAはインフルエンザの予防接種と同様、年に1度の接種をすることを提案している。高齢者や免疫不全者などは2回の接種、過去に1回しかワクチンを接種していない幼児は2回の接種を提案した。
現在、FDAが利用を提案しているような2価ワクチンを提供しているのは米モデルナと米ファイザーだけだ。これらのワクチンは従来型のコロナウイルスと「BA.4」と「BA.5」のオミクロン派生型の双方に対応している。
一方、米国では新たな派生型「XBB.1.5」が急拡大している。米疾病対策センター(CDC)の推計によると、「XBB.1.5」の感染割合は49.1%に上り、いま最も流行している変異型となった。現在あるワクチンは「XBB.1.5」に対応していない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
エリオットのマネジングパートナー、ジェシー・コーン氏は声明で「セールスフォースは世界でも傑出したソフトウエア企業の一つであり、20年近く同社の動向を追ってきた我々はマーク・ベニオフ会長兼共同最高経営責任者(CEO)と彼が築き上げてきたものに深い敬意を抱いている」と説明した。
そのうえでコーン氏は「同社と建設的に協力し、セールスフォースにふさわしい企業価値の実現を楽しみにしている」とも記した。セールスフォースの株価は2021年に付けた高値の半値程度で推移している。
米マイクロソフトは23日、チャットボット「ChatGPT(チャットGPT)」を手がける米新興オープンAIに今後数年で数十億ドルを投資すると発表した。スーパーコンピューターを整備し、開発成果をクラウドサービスなどに取り入れる。景気減速に伴って従業員を1万人減らす一方で、戦略分野である人工知能(AI)への投資を強化する。
マイクロソフトは2019年と21年にもオープンAIに投資をしており、今回の追加投資を通じて「継続的な協力関係を拡大する」という。投資資金は大規模言語モデルを開発・運用するためのスパコンの拡充や人材採用などに振り向ける。米メディアでは投資規模について最大100億ドル(約1兆3000億円)との観測も出ていた。
オープンAIは「GPT-3」などの大規模言語モデルで知られるAIの研究開発企業で、起業家のサム・アルトマン氏らが15年に設立した。22年11月には質問に対して自然な文章で回答する「チャットGPT」を公開し、世界的な注目を集めている。進化の著しい生成AIの分野で先行する企業のひとつだ。
マイクロソフトは19年に10億ドルを投資したのを皮切りに、オープンAIとさまざまな協業を進めてきた。作りたいアプリケーションに合わせてAIがソースコードを提案するサービスや、画像生成AI「DALL-E 2」を組み込んだデザインソフトを手がける。1月には、クラウド基盤「Azure(アジュール)」でオープンAIの技術を使えるようにするサービスの本格展開も始めた。
サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は22年秋の日本経済新聞との取材で、今後10年で最も重要な技術について「疑いようなく、AIだ」と述べた。追加投資を通じて、オープンAIの技術を広く自社の製品・サービスに取り込む狙いがある。文書・表計算といった「Office」製品や検索エンジン「Bing」との連携も視野に入れる。
米自動車大手のフォード・モーターはドイツ西部のケルン工場を中心とした欧州全体で最大3200人の従業員を削減する可能性が出てきた。独最大の産業別労働組合IGメタルが23日明らかにした。エンジン車と比べ部品点数が少ない電気自動車(EV)へのシフトを進めるなかで、大規模な人員削減に乗り出す。
●決算関連
●マクロ・その他
防衛費増額に伴う増税方針を巡り、2027年度時点で1兆円強とされる税負担を可能な限り圧縮すべきだとの認識を改めて示した。「しっかりした成長があれば税収が上がり、それを財源にすることも含めて考えるべきだ。(増税を)なしとすることも模索する必要がある」と述べた。
ブラジルとアルゼンチンが共通通貨の創設に向けて協議を進める。南米で経済規模1位と2位の両国が連携し、域内の貿易振興や通貨の安定をめざす。共通通貨の構想は過去にも浮上したが、政権交代で立ち消えになった経緯がある。共通通貨が実現するかは不透明だ。
航空貨物運送協会(東京・中央)がまとめた2022年12月の日本発の航空貨物輸出量(混載貨物ベース)は前年同月比24%減の7万4993トンだった。12カ月連続で前年同月を下回り、11月(前年同月比18%減)から減少幅が拡大した。景気の減速感がある欧米向けの荷動きが低迷している。22年通年も前年比13%減と2年ぶりに減少した。
日本鉄鋼連盟は23日、2022年の国内粗鋼生産量が21年比7.4%減の8923万5000トンだったと発表した。自動車向け需要の低迷が響き、2年ぶりの前年割れとなった。粗鋼の生産量は国の経済活動と比例するとされ、かつて1億トン前後の水準を維持してきた。近年は国内需要の停滞で、鉄鋼大手は生産集約を進めている。各社は少ない生産量でも利益を稼ぐ体質への転換を急ぐ。
鋼材の代表品種「熱延コイル」の東アジア価格の下落基調が一服してきた。中国の需要減退に伴って付けた2022年の安値水準から、1カ月余りで16%持ち直している。中国の鉄鋼メーカーの減産で供給が絞られた。「ゼロコロナ政策」撤廃による需要回復期待も重なった。今後本格的な上昇基調に転じるかは中国経済の復調の見極めが焦点となる。
約1750億ドル(約22兆7000億円)相当の不動産関連の債権が既にディストレスト状態だとブルームバーグの集計データが示す。資金が楽に得られる時代の終焉(しゅうえん)と金利上昇による犠牲者が数を増しており、多くの不動産市場が機能をほぼ停止し、一部の貸し手は借り手に対し、資産を売却しなければ担保権を行使すると警告している。
法律事務所ワイル・ゴッチェル・アンド・マンジスの調査報告によれば、流動性低下が影響し、欧州不動産のディストレス水準は過去10年で最も高い。 MSCIのデータに基づけば、英商業用不動産価格は2022年下期に20%余り下落した。グリーン・ストリートによると、米国でも約9%下げた。
商業用および住宅用不動産の開発と取引の減少は、実体経済の支出への影響が避けらず、雇用と成長のリスクになりかねない。
10年余り続いたイージーマネーの突然の停止に加え、人々の仕事と生活の在り方を変えた新型コロナウイルス禍が不動産会社に追い打ちとなり、商業用不動産オーナーの多くが途方に暮れている。
影響の波及は世界中で感じられる。ブルックフィールドの不動産部門は、ロサンゼルスのダウンタウンの高層ビル2棟に関連する債務の借り換えが難航し、差し押さえの対象となる可能性を昨年11月に警告。韓国のテーマパーク「レゴランド・コリア・リゾート」の開発業者による債務不履行は、同国の信用危機の引き金となり、韓国銀行(中央銀行)が市場の安定に動かざるを得なくなった。
破産管財人の管理下に置かれることになったオーストラリアのケイドン・プロパティー・グループは、窮状に至った原因として、新型コロナ禍に伴うロックダウン(都市封鎖)と金利上昇を挙げた。
ベイズ・ビジネス・スクールで不動産クレジットを研究するニコル・ラックス氏は、英国の開発業者にも「幾らかの犠牲を見込んでいる」とした上で、「処分売りが起きるだろう」と予想した。
米国でも落ち込みの兆しは増している。グリーン・ストリートの米国REITリサーチ責任者マイケル・ノット氏は、下落にもかかわらず、商業用不動産価格は「まだ若干高過ぎる」と考えており、今年さらに5-10%の下げを想定する。
不動産市場が勢いを失う中国では、9月時点で推定200万戸の住宅建設が中止された。全国で販売が急減し、住宅ローンの支払いを拒否する人も現れる中で、中国の建設プロジェクトの遅れは、エコノミストからディストレスト債投資家まで、あらゆる関係者が注視する。中国当局は開発業者の借り入れを減らし、住宅価格を抑制し、金融セクターのリスクを軽減するため、20年に不動産規制を強化した。
国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミスト、米ハーバード大学教授(経済学)のケネス・ロゴフ氏はブルームバーグとの先週のインタビューで、中国の一部での商業用不動産の乱開発について「手っ取り早い解決策は存在しない」と語った。
08年の市場崩壊に関する著作があるコロンビア大学のアダム・トゥーズ教授(歴史学)は「不動産は重要なリセッション変数だ。最大の資産クラスであり、家計に直接関係し、消費への影響を伴うことをそれは意味する。大きなリセッションリスクだ」との認識を示した。
銅は今年に入り既に大幅に上昇。短期と長期で両方の追い風がある。銅は経済活動との連動性が極めて強い指標とされ、短期的に経済活動は中国の経済再開で上向く様子だ。
銅は経済の電化に伴い重要な金属でもある。ゴールドマン・サックス・グループのコモディティー戦略責任者、ジェフ・カリー氏は、銅の需給が今後数年以内に自身が商品市場でこれまでに見たことがないほどひっ迫する可能性があるとの見方を示した。
2022年8月に当時下院議長だった与党・民主党のペロシ氏も訪台しており、超党派で台湾を支持する姿勢を示す狙いがある。
マッカーシー氏は対中国強硬派で知られる。ペロシ氏が訪台した際には「支持する。彼女が私に頼んでいたら一緒に行った」と明言。「共和議員を連れて行かなかった。議会が声をひとつにしたいなら両党から集うべきだ」と語っていた。
共和が主導する下院は10日、中国問題を集中的に扱う「中国特別委員会」の創設を与野党の賛成多数で決めた。設置を提唱してきたマッカーシー氏は「中国共産党を信頼する時代は終わった」と話し、超党派で米政府の対中国政策を監視していくと強調した。
ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領は23日、ブエノスアイレスで首脳会談を開いた。両国間の貿易などで用いる共通通貨の創設に向けて協議することで一致した。当面は通貨統合ではなく、デジタル通貨などが検討されているもようだ。為替取引での米ドルへの依存を低減する狙いがある。
米調査会社コンファレンス・ボードが23日発表した12月の景気先行指数(2016年=100)は110.5と前月から1%低下した。低下は10カ月連続だった。11月(1.1%低下)から下げ幅は縮小したものの、ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(0.7%低下)を上回り、大きく低下した。
コンファレンス・ボードのシニアディレクター、アタマン・オジルドリム氏は「労働市場、製造業、住宅市場、金融市場など多くの指標が悪化した」と分析。「前月に続く大幅な低下で、米経済が景気後退に入る兆候が見られる」と説明した。
南米ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領は、共通通貨の創設に向けて協議する方針を示した。両氏がアルゼンチンメディア「ペルフィル」に寄稿して明らかにした。23日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで実施する首脳会談で合意する予定だ。
南米ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領は、共通通貨の創設に向けて協議する方針を示した。両氏がアルゼンチンメディア「ペルフィル」に寄稿して明らかにした。23日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで実施する首脳会談で合意する予定だ。
両氏は、ウルグアイとパラグアイの4カ国で構成するメルコスル(南米南部共同市場)の強化も主張した。「メルコスルが世界との効果的な統合のためのプラットフォームになることを望んでいる」と言及した。
国際通貨基金(IMF)によると、両国の人口合計は2億6000万人、国内総生産(GDP)は2兆5200億ドル(約330兆円)の経済圏となる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、共通通貨がすべての中南米諸国に導入された場合、経済圏は世界のGDPの5%を占める。ユーロ圏は同14%だ。
バイアウト向けローンをパッケージしたローン担保証券(CLO)の価格が先月、大幅に上昇した。米欧のリセッション(景気後退)について投資家の懸念が後退していることがうかがわれる。「BB」クラスの米既存CLOは利回りが13%と、昨年10月の15%超から低下。新規の組成については、最も安全な部分でリスクプレミアムが1月半ば以降に約0.4ポイント縮小した。CLOの利回り低下はレバレッジドローンの価格上昇に寄与している可能性がある。ローンを購入するCLOマネジャーにとって、借り入れコストが低下するからだ。
イエレン氏はザンビアの首都ルサカの地域医療センターを訪問した後で記者団に対し、「現在目にしているのは、サプライチェーン問題の著しい緩和と在庫の増加、輸送費用の低下だ」と発言。「従って、そうした部分のインフレはもはやあまり有意な形で寄与していない」と論じた。
イエレン氏は財の価格が昨年終盤に低下したと指摘、同年下期の物価上昇圧力に大きく寄与した住宅市場の過熱も今年半ばまでに冷めるだろうと予想した。
「向こう6カ月で、米国のインフレに対する住宅価格の押し上げはほぼなくなるはずだ。米国の堅調な労働市場とインフレの改善は続くと考えている。極めて有益な兆しだ」と語った。
●市況
日経先物(大証)27215、ダウ先33714、債先147.43、米3.513、独2.2000、仏2.662、西3.192、伊4.017、波6.026、原油81.66、ドル円130.56、墨ペソ18.81、トルコリラ18.8106、墨CDS123
※1/24 8時55分頃
備忘録(2023/1/20-22)
●中国・ロシア・東欧
中国の不動産企業が過剰在庫の圧縮を急いでいる。中国恒大集団などの信用不安で消費者心理が冷え込み、2022年末時点の在庫面積は21年末比で約2割増えた。最大手の碧桂園など各社はそろって値引きによる販売に動く一方、新たな用地取得を巡っては民間と政府系で対応に差が出ており、将来の勢力図に影響しそうだ。
中国人民銀行(中央銀行)は20日、事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を据え置いた。住宅不況は出口が見えていない。政府は全国一律の利下げでなく、販売不振が続く地域で住宅ローン金利の下限撤廃を認めるといった規制緩和で市場を正常化させたい考えだ。
1月のLPRは優良企業に適用する貸出金利の参考となる1年物が年3.65%、住宅ローン金利の目安となる期間5年超の金利が年4.30%となった。5カ月連続で据え置いた。
金融市場では、期間5年超のLPRのみ下げるとの観測が出ていた。政府が利下げを見送ったことで、今後は対象を絞り込んだ規制緩和で住宅市場をテコ入れする方針とみられる。
まずは、地域の販売実績に応じて住宅ローン金利のさらなる引き下げを認める。中国には政府が定める下限金利がある。1軒目は現在は年4.1%だ。人民銀行などは、販売不振地域において下限を下回る金利で1軒目の住宅ローンを貸し出すことを認めた。
不動産調査の貝殻研究院によると、16日までに、主要70都市のうち、山西省太原市と河北省唐山市が金利を3.8%まで下げた。22年12月時点で下限金利撤廃の要件を満たす主要都市は35都市あり、今後低金利を設定する都市が増えそうだ。
不動産開発大手を対象に資本規制も緩める。融資や債券発行による資金調達を促し、資金繰り改善を急がせる。資本規制が開発企業の財務を悪化させ、全国で工事中断が相次いだ。頭金を支払ったり住宅ローンの返済が始まったりしたのに引き渡しが済んでいない物件は全国に2600件以上あり、対象の住民は188万人に上る。
ロシアのウォロジン下院議長は、ロシア軍は現在ウクライナのゼレンスキー政権が軍事目的に利用している施設だけを標的にしていると述べ、エネルギー関連施設など民間インフラへの攻撃を正当化。欧米が軍事支援を強化すれば「世界を恐ろしい戦争」に導き、結果として欧米諸国も破滅するだろうと指摘した。
その上で「核保有国が地域紛争に大量破壊兵器を用いないという従来の議論は通用しない。そういう国はこれまで、自国の市民や領土一体性の脅威に直面したことがないからだ」と述べ、ロシアは勝利のためにあらゆる手段を使うことを辞さないとの考えを示唆した。
コフェースのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、バーナード・アー氏は「急速な経済再開が特に個人消費において景気押し上げ期待を高めているが、少なくとも1-3月(第1四半期)には耐えなければならない移行期の痛みがある」と指摘した。
アー氏は、労働市場が逼迫(ひっぱく)し輸出が弱含む中で消費者信頼感の低迷するなど、中国経済は依然として幾つかの逆風に見舞われていると警告。「政策措置と経済活動の再開にもかかわらず、期待する景気浮揚がまだ見られない可能性というリスクがある」と述べた。
●中東
司法制度改革案は、国会が最高裁の判断を覆せるようにする内容だ。裁判官の任命でも政府の関与を拡大する。ネタニヤフ首相は「権力のバランスを回復する」と15日の閣議で強調した。2022年11月の総選挙で勝利したことで、改革が有権者の信任を得ているとも訴えた。
これに対し野党や法曹、市民は、三権分立を危うくするとして反発。今月に入り週末に3週連続の大規模デモがあった。現地報道によると21日のデモは10万人以上がテルアビブ中心部に繰り出し、参加したラピド前首相は「民主主義を守るために国を愛する人々が集まった」と強調した。北部ハイファやエルサレムなどでも抗議デモがあった。
司法制度改革を巡っては、地元経済界からも懸念の声が上がる。現地メディアによるとソフトウエア企業ナイスの最高経営責任者(CEO)は「国のビジネス拠点の地位に取り返しのつかない影響を与える」と訴えた。
イスラエルはIT(情報技術)などの新興企業が勃興し投資資金を集めてきたが、知的財産や資産の保護は司法が独立した国でこそ可能だと訴えた。
イスラエルは選挙による政権交代や言論の自由があり、強権体制ばかりの中東では例外的に民主的とみなされている。英王立国際問題研究所のヨッシ・メケルバーグ氏は、パレスチナ人の抑圧で従来も「イスラエルの民主主義は問題があった」としつつ「新政権は民主主義を一段と弱めようとしている」とみる。
●感染症
中国の衛生当局は21日、1月13〜19日の新型コロナウイルスに関連する医療機関での死者数が1万2658人だったと発表した。在宅の死亡は含んでいない。感染爆発の実態に比べて、「当局発表の死者数は非常に少ない」との批判は国内外で根強い。
死因別ではコロナに起因する呼吸不全が681人、基礎疾患とコロナの併発が1万1977人だった。衛生当局は14日、コロナ対策を大幅に緩和した直後の2022年12月8日から23年1月12日の死者数が5万9938人だったと発表していた。
14日と21日の発表は従来は統計から除外していた基礎疾患との併発による死者を含めたという。「中国の感染データは不透明だ」と世界保健機関(WHO)などの批判を受けて、発表形態を変更したとみられる。
衛生当局の専門家、呉尊友氏は21日、全国で約80%の人が感染したとの分析をSNS(交流サイト)に投稿した。約11億3千万人が感染した計算だ。英医療調査会社エアフィニティは12月以降の累計死者数が70万人を超えたと予測している。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米医薬品大手イーライ・リリーは19日、アルツハイマー病薬「ドナネマブ」について米食品医薬品局(FDA)が迅速承認を却下したと発表した。FDAはこの薬を少なくとも12カ月使った患者の臨床試験(治験)データが不十分だったことを却下の理由に挙げた。
イーライ・リリーは今年半ばまでに最終段階にあたる第3相治験の結果をFDAに提出し、通常承認を申請するという。
このほど、エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」がFDAの迅速承認プロセスを経て承認された。迅速承認では治療費を全額負担できる人などに利用が限られるため、エーザイなどは早い段階で公的保険の適用が可能となる完全承認をめざす。
●その他産業
米グーグルは20日、世界で約1万2000人の社員を削減すると発表した。持ち株会社である米アルファベットの社員の約6%に相当する規模となる。新型コロナウイルスの流行に伴い製品やサービスの需要が急増したことを受けて採用を拡大したが、事業環境が厳しくコスト削減が避けられないと判断した。
●決算関連
●マクロ・その他
ヒプキンス氏は10月に総選挙を控え、最も注力する課題を問われると「経済が我々の焦点になる」と述べた。インフレが進み「多くの人々が食費や住宅ローンの支払いに不安を感じている」と指摘、「厳しい経済情勢の中で、国民を支援するため目的意識や優先順位をもって取り組む」と強調した。
新型コロナウイルス下のテレワーク普及で世界のオフィス市況が冷え込んでいる。昨秋時点で3年前と比べた主要都市の空室率の上昇幅をランキングしたところ、首位の米サンフランシスコなど、北米の都市が上位に並んだ。テレワークとの親和性の高いIT(情報技術)や金融などサービス業の集積が目立つのが特徴で、従業員のオフィスへの復帰の割合を示す出社率も低い水準にとどまる。
米国内の航空路線で大幅な遅延を引き起こした11日の航空システム障害の原因について、米連邦航空局(FAA)は20日までに、下請け企業の従業員が「意図せずにファイルを削除する操作ミスがあった」と発表した。人為的なミスで、従業員の作為やサイバー攻撃があった証拠はないと説明した。FAA運営の抜本的な見直しを求める声が広がっている。
関係者はFAAの組織やシステムの老朽化を問題視する。米航空大手のデルタ航空のエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は13日の決算発表で「航空管制システムのアップデートが必要だ」と指摘した。FAAの予算を増やすなど、適切な措置をとるべきだと訴えた。
非営利団体アメリカン・エコノミック・リバティーズ・プロジェクトで航空分野を担当するウィリアム・マギー上級研究員は、FAAが「数年単位などではなく、ここ何十年も慢性的な資金不足に陥っている」と話す。
複数の米メディアによると、FAAは2022年3月から常任の局長が不在だ。バイデン氏は同年7月、局長候補にデンバー国際空港のフィリップ・ワシントンCEOを指名した。局長就任には上院の承認が必要だが、野党・共和党の反対で滞っている。与党・民主党のチャック・シューマー上院院内総務は15日、上院の迅速な承認にむけて働きかけるとの声明を出した。
バイデン米大統領は20日、債務上限の引き上げを巡って、下院多数派の共和党のマッカーシー下院議長と協議する意向を示した。政権はこれまで「債務上限で交渉はしない」としていたが、デフォルト(債務不履行)の回避に向け、協議で打開策を模索する。
バイデン氏は自治体トップらとの会合で「債務について、下院の指導者と協議するだろう」と発言。「もし国の借金を踏み倒したら、これまで米国で起きたどんな金融危機も上回る大惨事になる可能性がある」と述べ、野党に協力を求めた。
共和党は上限引き上げの条件として歳出削減を求めているが、政権が応じるかどうかは見通せない。マッカーシー氏はツイッターで「無責任な支出に対処するため、債務上限を引き上げる協議に応じる」とした。
米労働省労働統計局は20日までに、2022年の雇用者に占める労働組合加入者の割合(組織率)が過去最低の10.1%だったと発表した。前年から0.2ポイント低下した。一方、22年の組合員数は前年から1.9%増えた。新型コロナウイルスの流行による労働環境の悪化で労組の活動は活発になったが、増加する雇用者を十分に取り込めていない。
米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は20日の講演で「(2月の)次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げを希望する」と明言した。利上げを減速して金融引き締めの効果を見極める局面だという従来の見方について「この先も波乱はなさそうだ」と説明した。
個人消費や企業の求人件数は減速しつつあるが、失業率は2022年12月も3.5%と歴史的な低水準にある。ウォラー氏はかねて企業の求人が多すぎるため、失業率は急には上昇しないと主張してきた。講演では「労働市場に深刻なダメージを与えることなくインフレを抑制させるソフトランディング(軟着陸)は十分に可能」という主張を繰り返し、今後についても楽観視していると強調した。
12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が6.5%と6カ月連続で鈍っている。市場では高インフレの沈静化に期待が高まっているが、ウォラー氏はこの点では慎重な見方を示してまだ利上げを継続する必要があると主張した。「1~3カ月間のデータを取り上げてバラ色の絵を描くことは可能だが、私はそうしないよう注意している」と話した。
「2%のインフレ目標まではまだかなりの道のりがあるため、金融引き締めの継続を支持することになる」と説明。利上げを止めた後も、早期には利下げには転換せず、金融引き締めの状態を保つとの見方を示した。
米投資ファンド大手のKKRが、非上場の不動産投資信託(REIT)「KREST」の解約請求を一部制限したことがわかった。富裕層向けに提供する同ファンドで、解約上限を約6割上回る請求があったため。他社が運用する同様のファンドでも解約制限が相次ぐ。金利上昇を背景に不動産投資に慎重な姿勢が強まってきた。
KRESTの投資家は毎四半期に解約を請求できるが、同ファンドが解約に応じるのは純資産総額の5%までとする規約がある。米証券取引委員会(SEC)への提出資料によると、13日まで受け付けていた2023年1~3月期の解約請求は合計1億2800万ドル(約165億円)に及び、基準日の純資産総額の8.1%に相当したため、上限の793022年米中古住宅販売、17.8%減 利上げで8年ぶり低水準万ドルのみ解約に応じた。
KRESTの提出資料では解約請求が殺到した理由について説明していない。KKRは日本経済新聞の取材に対してコメントを控えた。ただ、米不動産市場の変調が背景にある可能性がある。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めで米住宅価格の動向を示す指数は22年半ばから下落に転じている。
2022年通年の中古住宅販売件数は前年比17.8%減の503万戸となった。通年の販売戸数としては14年以来、8年ぶりの低水準。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めに伴い住宅ローン金利が上昇し、住宅購入の需要が低迷した。
22年末時点の中古住宅の在庫は97万戸と21年末比より1割強多い水準となり、需要の弱さを映した。米抵当銀行協会(MBA)の調査によると30年固定の住宅ローン金利は22年最終週に6.58%と、21年末より3%あまり高かった。
価格高騰も中古住宅買い控えの一因となった。12月の販売価格の中央値は前年同月比2.3%高い36万6900ドル(約4800万円)だった。新型コロナウイルスの感染拡大期に住宅需要が急拡大して価格水準は大幅に切り上がった。需要が弱くなっても売り手は価格を引き下げるのをためらっている。
22年12月単月の販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月比1.5%減の402万戸だった。米メディアによると金融危機の影響がまだ色濃かった10年11月以来の低水準を記録した。ただ、減少ペースは11月(7.9%減、改定値)より鈍化した。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「住宅ローン金利は22年末にピークを付けた後に急低下しているので、中古住宅の販売はいずれ持ち直す」との見方を示した。
岸田文雄首相は22日放送のBSテレ東の番組で、政府と日本銀行によるアコード(共同声明)について、新しい日銀総裁が決まってからの話であり、今は何も決まっていないと明言した。
首相は3日に、「アコードを見直すかどうかも含めて新しい日銀総裁と話をしなければならない」と声明を見直す可能性に言及している。
さらに機密文書が見つかったことで、バイデン大統領にとっては政治的・法的リスクが浮き彫りとなっている。2024年の次期大統領選を視野に入れた場合、政治的なつまずきが大きくなっている。ホワイトハウスは捜査当局に協力している点を強調することで類似の問題を抱えるトランプ前大統領との違いを際立たせようとしている。
クノット氏はスタンパ紙とのインタビューで、「われわれは昨年12月に利上げ幅を75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から50bpに縮小させた。これが今後の複数回の会合でのペースになるだろう」と指摘。「つまり、2月と3月の少なくとも2回という意味だ」とし、「夏まで引き締めモードが続くと私は強く考えている」と述べた。
今年下期は「50bpから25bpへと一段と利上げ幅を縮小させる可能性のある時期」になるかもしれないとしながらも、「そこからまだ遠く離れている。今後複数回の会合ではこれが視野に入っていないという点を改めて強調したい」と語った。
クノット氏は「12月のデータでは総合インフレ率が鈍化したものの、全面的にベース効果とエネルギーインフレの鈍化によるものだ」と分析。「われわれはコアインフレに軸足を置いており、ここでは残念ながら良いニュースはない。なぜならなお上昇傾向にあるためだ。基調的なインフレ圧力は和らぐ兆候がまだ見られない」と話した。
「現時点でわれわれが管理しなければならないリスクは、引き締め過ぎではなく引き締め不足のリスクだ」とも述べた。
3月から始める方向の量的引き締め(QT)については「影響は限定的にとどまり、われわれは月平均150億ユーロ(約2兆1000億円)から最終的に260億ユーロへと段階的に引き上げていくことが可能だ」と見込んでいると説明。「慎重かつ段階的にそこまで行くべきだとも考えている。これまでしたことがないためだ」と付け加えた。
イエレン米財務長官は20日、連邦債務の支払いで財務省が優先順位を付けることはないと述べ、いかなる形でも支払いの不履行はデフォルト(債務不履行)であり、「間違いなく」リセッション(景気後退)の引き金を引くだろうと話した。
「米国がいかなる支払いにおいても義務を怠るということは、相手が国債保有者であれ、軍人であれ、社会保障受給者であれ、事実上のデフォルトである」とイエレン氏はセネガルの首都ダカールで記者団に話した。
イエレン長官は同日行われたCNNインターナショナルとのインタビューで、支払い不履行は「間違いなく米経済をリセッションに追いやる」と言明。「多くの労働者が職を失い、彼らの借入コストは確実に上昇する」と述べた。
それはデフォルトが「最低でも」債務格下げのきっかけになるからだとイエレン氏は説明。米国の支払い能力が外国政府の信用を失い、世界の準備通貨としてのドルの地位が脅かされるためだと続けた。
●市況
日経先物(大証)26895、ダウ先33474、債先146.91、米3.482、独2.1690、仏2.614、西3.156、伊3.977、波5.958、原油81.96、ドル円129.59、墨ペソ18.87、トルコリラ18.7651、墨CDS125
※1/20 NY引け値
備忘録(2023/1/19)
●中国・ロシア・東欧
中国の2023年経済成長率見通しをエコノミストが引き上げた。新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策が予想より早く解除され、昨年末に向けて予想外に強靱(きょうじん)な経済情勢が示されていた。
ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、中国の国内総生産(GDP)伸び率は23年が5.1%、24年は5%と中央値で予想されている。先月の調査では今年が4.8%、来年が4.9%だった。
中国政府が今週発表した22年12月と同年10-12月(第4四半期)の主要経済指標は市場予想を上回り、ゴールドマン・サックス・グループやソシエテ・ジェネラルなどの大手金融機関は23年の中国成長見通しを上方修正した。
コフェースのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、バーナード・アー氏は「急速な経済再開が特に個人消費において景気押し上げ期待を高めているが、少なくとも1-3月(第1四半期)には耐えなければならない移行期の痛みがある」と指摘した。
エコノミスト調査によると、今年1-3月の成長率見通しは2.5%。前回予想の3.1%から下方修正された。4-6月(第2四半期)には6.8%成長となる見通しだ。
アー氏は、労働市場が逼迫(ひっぱく)し輸出が弱含む中で消費者信頼感の低迷するなど、中国経済は依然として幾つかの逆風に見舞われていると警告。「政策措置と経済活動の再開にもかかわらず、期待する景気浮揚がまだ見られない可能性というリスクがある」と述べた。
香港紙の星島日報は19日、中国共産党の最高指導部から外れた韓正(ハン・ジョン)氏が3月に国家副主席に就く見通しだと伝えた。国家副主席は本来、将来の最高指導者をうかがう立場。習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は一線を退いた韓氏を任命し、後継候補を置かない姿勢を示すとみられる。
●中東
トルコ中央銀行は19日、金融政策決定会合を開き、主要政策金利の1週間物レポ金利を年9%で据え置くと決めた。据え置きは2022年12月に続き2会合連続。中銀は11月の決定会合で、それまで続けていた利下げを完了したとして、当面の据え置きを予告していた。
トルコの消費者物価指数(CPI)上昇率は足元で64%に上る。経済学の定石に従えば利上げする状況だが、景気の拡大を優先するエルドアン大統領は金利を「諸悪の根源」として嫌う。中銀は11月までにエルドアン氏が求めていた「1桁台」までの利下げを達成した。
トルコでは5月中旬に大統領選・議会選が実施されるとの見方が強まっている。市場では、エルドアン氏の影響下にある中銀が選挙前に利上げに転じる可能性は低いとの見方がある。
トルコのエルドアン大統領は18日、大統領選と議会選を1カ月前倒しして5月14日に実施する考えを示唆した。一時は劣勢だった支持率は財政出動などで回復傾向にあり、野党への締め付けも強めている。
一時は野党側に突き放された支持率は盛り返しつつある。イスタンブール経済研究所(IEA)の1月世論調査によると次の選挙でエルドアン氏の与党連合に投票すると答えた人は33%で、野党連合の31%を上回った。2022年6月時点では与党連合の26%に対し、33%の野党連合がリードしていた。
エルドアン政権は22年12月、最低賃金を前年の2倍に引き上げ、40歳代の一部も含む200万人超を新たに年金の支給対象にすると表明した。IEAのジャン・セルチュキ代表は「昨夏以来、一連の家計支援策が奏功している」と分析する。
こうした大盤振る舞いは家計に一息つかせる半面、足元で64%のインフレを長引かせかねない。支持率を引き上げる効果は6月半ばまで持続しないとみて、早期選挙を予想する声は以前から多かった。
一方、野党への締め付けは強まっている。大統領選の有力候補の一人とみなされていたイスタンブールのイマモール市長は11日、自身が区長時代に入札談合に関与したとして起訴されたことを明らかにした。同氏は22年12月、選挙管理委員会を侮辱した罪で有罪判決を受け、控訴したばかりだ。
イマモール氏は、新たな起訴内容は何年も前に行政裁判所で嫌疑が晴れたなどと反論し、政権による嫌がらせだと批判した。
同氏を巡ってはソイル内相が対テロの政令で市長権限を停止する可能性にも言及した。テロとの関与が疑われる500人以上を市職員として雇用したためとしている。
いずれの嫌疑を巡っても、通常は数カ月~数年かかる有罪判決の確定までは大統領選に出馬できる。ただアトルム大のメティン・ギュンダイ教授(行政法)は「トルコでは何が起きてもおかしくない」として、選挙までにスピード審理が進む可能性も指摘する。野党にとってイマモール氏の擁立はリスクが高くなった。
少数民族クルド系の国民民主主義党(HDP)も追い込まれている。トルコメディアによると憲法裁判所は1月上旬、同党が非合法テロ組織とつながっているとして、政府からの補助金を受け取る銀行口座の凍結を決めた。HDPは議会第3党の地位にあるが、裁判所から解散命令を受ける可能性もある。
もっとも、野党への締め付けが反感を呼べば、エルドアン氏に不利に働く可能性もある。一連の司法の動きを受けた1月世論調査では浮動票が減り、野党連合への支持も増えた。野党連合はHDPと距離があるが、連携に動けば全有権者の10%超を占めるクルド票が野党連合側に流れる可能性もある。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
豪英資源大手BHPグループは19日、2022年7~12月期のオーストラリア西部での鉄鉱石生産量(100%ベース)が前年同期比1%増の1億4600万トンとなり、過去最高を記録したと発表した。操業現場での生産性向上のほか、新型コロナウイルスによる従業員の欠勤が減ったことも生産量を押し上げた。
マイク・ヘンリー最高経営責任者(CEO)は声明で「23年のコモディティー需要は、経済協力開発機構(OECD)諸国が逆風を受けるなか、中国が安定した力を発揮するだろう」と指摘した。また、不動産部門を含む成長促進策や新型コロナ規制の緩和により中国の経済状況が改善するとの見通しも示した。
ブラジル小売り大手ロジャス・アメリカナスは19日、リオデジャネイロ州の裁判所に会社更生手続きの適用を申請したと発表した。負債総額は430億レアル(約1兆円)。200億レアル規模の不正会計疑惑の表面化によって、急速に経営状況が悪化していた。
ブラジル小売・消費市場経営管理者協会(Ibevar)の22年の調査によると、売上高の規模でアメリカナスは5位に位置している。
●決算関連
-12月の販売数量は6%減少。アナリスト予想は2.6%減だった。アンドレ・シュルテン最高財務責任者(CFO)はインタビューで、消費者は製品を使い切ってから補充しているとし、ペーパータオルなどの品目の使用で慎重姿勢を強めていると説明した。ただし、値上げに対する消費者の反応は「当社が想定していたよりもかなり穏やか」だと話した。
新たな一連の値上げが奏功し、為替変動などの影響を除いた本業の売上高は5%増加。アナリスト予想を上回った。ただし、約1年ぶりの小幅な伸びにとどまった。
P&Gでは6月に終了する通期の本業ベースの売上高について、4-5%増を見込んでいる。昨年10月に示した従来予想の上限方向に狭めた形だ。全体の売上高見通しも引き上げた。
世界的に消費者の買い控えが広がり、全体の販売数量は6%減った。ドル高の影響も大きく、ひげそり「ジレット」などを国内外で展開するグルーミング事業は部門売上高が9%減と落ち込みが目立った。美容品事業も3%の減収だった。
主力の洗剤・家庭用品事業は13%の値上げに踏み切ったが、販売減少が止まらず、部門売上高は1%増にとどまった。地域別ではロシアや中国の不振が響いた。
原材料や輸送コスト、人件費の高騰も痛手となった。粗利益率は47.5%と、前年同期に比べ1.6ポイント減った。
シュルテン最高財務責任者(CFO)は19日の投資家向け説明会で「営業環境は引き続き厳しい状況となるだろう」と話した。地域別では「米国は持ちこたえているが、中国の経済回復の予測は難しく、23年後半も難しい環境が続くと予想している。欧州市場では今後も高インフレに向き合う必要がある」と述べた。
2022年10〜12月期決算は、売上高が前年同期比2%増の78億5205万ドル(約1兆円)だった。2002年の上場以降で最も低い伸び率となった。
12月末の会員数は2億3075万人で、9月末と比べて766万人増えた。アナリスト予想(457万人)を大きく上回り、19日の米市場の時間外取引でネットフリックス株は終値を上回って推移している。欧州の会員が320万人増えて全体をけん引したほか、停滞が目立っていた北米も91万人増えた。
●マクロ・その他
2022年の貿易収支が過去最大の19兆9713億円の赤字となった。円安と資源高に加え、輸出の伸び悩みが響いた。化石燃料への依存や、イノベーションを生む力の衰えを放置してきたツケが出ている。貿易赤字は定着する可能性があり、日本の稼ぎ頭はモノの輸出から、海外への投資の配当や利子などに移ってきている。海外収益の還流は不十分で、国内産業の次なる成長が見えにくい状況にある。
カナダのウィルキンソン天然資源相は19日、電気自動車(EV)電池の重要素材のリチウム、ニッケルといったレアメタル(希少金属)の増産を促す考えを示した。中国はレアメタルの生産や加工で大きなシェアを持つが、日本や米国と連携し「脱中国」で「大きな役割を果たす」と語った。
インドネシア中央銀行は18、19両日に開いた政策決定会合で、政策金利(7日物リバースレポ金利)を0.25%引き上げ、年5.75%にすると決めた。利上げは6カ月連続で、物価高や通貨安を抑える狙い。
中銀はインフレ率を3%前後に抑える目標を置く。3年9カ月ぶりに利上げした22年8月から連続で金利を引き上げ景気減速への懸念がある一方、同年12月の消費者物価指数は前年同月比5.51%増と高水準で推移した。足元の物価高への対応を優先した。
マレーシア中央銀行は19日の金融政策委員会で、政策金利を年2.75%に据え置くことを決めた。2022年11月の前回会合まで4回連続で利上げを続けており、据え置きは22年3月以来となる。成長率低下の懸念が高まっており、利上げの打ち止めで国内景気の下支えを狙う。ロイターの事前調査では9割以上のエコノミストが利上げ継続を予想しており、据え置きは大方の予想を覆すサプライズとなった。
マレーシア中銀は19日の声明で「世界経済の減速に伴い、マレーシアの23年の成長率も22年から低下すると見込まれる」と指摘。地政学リスクの悪化や供給網の断絶などさらなる下振れにつながる要因を列挙した上で、「今回の据え置きによって、これまでの連続利上げの経済への影響を精査することができる」と説明した。
マレーシアの22年1~11月の物価上昇率は3.4%と、欧米に比べて低位にとどまっている。中銀はインフレのピークが22年7~9月期で、23年は上昇率が下がると見込んでおり、インフレ対策の観点から利上げを続ける必要性は薄れている。
南米アルゼンチンのマサ経済相は18日、ドル建ての長期国債10億ドル(約1300億円)以上を買い戻す計画を明らかにした。2029年と30年に償還期限を迎える国債が対象となる。債務を減らすことで国の信用評価である「カントリーリスク」の低下につなげたい考えだ。ただ金融市場では買い戻しの財源についての懸念がある。
マサ氏は「ミクロとマクロの経済の正常化につなげたい」と述べた。アルゼンチン国債は額面1ドルあたり40セント弱で取引されている。米ブルームバーグ通信によると、マサ氏の発表を受けて30年償還の国債の価格は21年10月以来の高い水準に上昇したという。
中央銀行は外貨準備を約430億ドルと公表しているが、金融市場では純残高は60億ドル程度にとどまるとの見方もある。このため買い戻しの財源が不安視されている。
インタビューによると、総裁は「峠を越えた兆しが見られ始めている」と発言。「最も可能性が高いシナリオは、年内にかなり急速に(インフレ率が)低下することだと考えている。恐らく春の終わり頃から始まるだろう。エネルギー価格と大いに関係がある」と語った。
この発言は、30年ぶりの急速なペースで進む金融引き締めの減速時期を英中銀当局者が検討している可能性を示唆する。2021年12月以降、英中銀金融政策委員会(MPC)はインフレ抑制のため9回利上げを行った。
英国のインフレ率は昨年12月に10.5%と、2カ月連続で低下した。10月には11.1%で41年ぶりの高水準を付けていた。
ベイリー氏はまた、賃金上昇とひっ迫する労働市場が引き続きインフレの上振れリスクだと指摘した。
米連邦債務は19日に上限に達し、財務省はデフォルト(債務不履行)を回避するための特別措置の活用を開始したことを明らかにした。
米財務省は連邦債務支払いの継続に向け、政府が運用する退職者向け基金2つの財源を活用する。
チーフエコノミストのレーン理事が0.5ポイントの利上げを提案したのに対し、当初は「多数の」委員が0.75ポイントの利上げを選好した。最終的にはラガルド総裁が0.5ポイントずつの利上げを今後複数回にわたって行うとのメッセージを発することを条件に、一部委員らは0.5ポイントの利上げを受け入れた。
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は、0.5ポイント利上げがあと1回でやむことはないとし、複数回あるだろうと明言した。インフレを巡る状況はなお「満足できるものではない」と論じた。
引き締め度合いについての見通しを後退させた投資家は物価抑制へのECBのコミットメントを過小評価していると述べた。19日にダボスでCNBCとのインタビューで語った。当局者らが現在心配しているのは引き締めが足りないリスクだけだとも指摘した。
クノット氏は「ラガルド総裁は既に、ECBが今後進めなければならない引き締めの大半は、50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げを着実なペースで複数回行うことでカバーすると表明している」と語った。
「ECBがあと1回の50bp利上げで終わりにすることはない。それは確かだ」と述べ、「ユーロ圏のコアインフレ率はまだ山を越えていない」と説明した。
ノルウェー中央銀行は金融引き締めを休止した。ただ、インフレを抑制する必要はなおあるとして、3月に0.25ポイントの利上げを行う公算が大きいと示唆した。
ノルウェー中銀は19日、政策金利を2.75%に据え置いた。ブルームバーグが調査したエコノミストの大半が予測した通りだった。
バーチェ総裁は、政策金利が「3月に引き上げられる公算が極めて大きい」と表明。同総裁は昨年12月、金利が2023年に「3%前後」になるだろうとのガイダンスを示していた。
複数の当局者は「金利はもう少し上昇する必要があるだろう」と発言。それでも「短期間でかなり上昇し、金融政策が景気に引き締め効果を及ぼし始めた。これは金利設定へのアプローチが漸進的になることを示唆するかもしれない」と説明した。
2022年12月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が104.1となり、前年同月比で4.0%上昇した。第2次石油危機の影響で物価が上がっていた1981年12月(4.0%)以来、41年ぶりの上昇率となった。22年通年は生鮮食品を除く総合で102.1となり、前年比2.3%上がった。
22年の米年末商戦、売上高5%増 インフレで伸び縮小
2022年11月~12月の米年末商戦の結果をまとめた。売上高は前年同期比5.3%増の9363億ドル(約120兆円)で、事前予想(6~8%増の9426億~9604億ドル)を下回った。伸び率は過去最高だった21年の14%増から大幅に縮小した。インフレ下で必需品以外の電子機器や家具などの売れ行きが低調だった。
商品別では食品・飲料品店が7.8%増と好調だった一方、例年はセールで売れ筋となる電子機器や家電は5.7%減、家具は1.1%減と落ち込みが目立った。家計負担を減らすため、セールで食品や日用品をまとめ買いする消費者が多かったとみられる。
NRFのマシュー・シェイ会長は「(新型コロナウイルス禍でネット販売が好調だった)過去2年の小売売上高の伸びは前例がなく、誰も持続可能とは思っていなかった」と述べた上で、歴史的なインフレでも「消費の回復力」がみられたと強調した。(うさぎ注記:これって名目ベースでしょ?実質ベースでは横ばいくらいでは?)
米政府の債務が19日、法定上限を突破した。米財務省が特別措置で年央まで資金繰りを支える間に、米議会は上限の引き上げや停止に向けた合意を得る必要がある。与野党の隔たりは大きく、調整は長期化が必至だ。直前までもつれ込めば、市場混乱などを招く恐れがある。
今回は米財務省が公務員退職・障害者基金などの運用を変更して資金繰りをつなぐ特別措置を発動した。6月5日までの措置で、少なくともその時期までは不履行を避けることができる公算が大きい。
過去に同じような状況になったのは、草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」の支援を受けた共和党がオバマ政権と対峙した2011年。当時は直前で債務不履行を回避したが、米国債が初めて格下げされた。オバマ政権で米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めたファーマン氏は「今回は当時よりもリスクが高いかもしれない」と警戒している。
2022年12月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算)は138万2000戸と前の月の改定値から1.4%減った。前月比マイナスは4カ月連続で、22年7月以来5カ月ぶりの低水準になった。住宅ローン金利の高止まりによる需要減を映した。
市場予想(約136万戸)よりは小幅な減少にとどまった。内訳をみると、主力の一戸建てが11.3%増の90万9000戸と堅調で、変動の大きい5世帯以上の集合住宅は18.9%減の46万3000戸だった。先行指標となる許可件数は1.6%減の133万戸になった。足元の住宅着工の減少が想定より緩やかなことを踏まえ「最悪期は過ぎ去ったかもしれない」(調査会社オックスフォード・エコノミクス)との声も出始めた。全米住宅建設業協会(NAHB)が公表する業界の景況感も足元で底入れの兆しがみえ、米景気への影響が大きい住宅市場の耐久力に焦点があたっている。
マクロン政権の新たな年金制度改革案に反対する労組の一斉ストライキが行われた。国鉄やパリの地下鉄など交通機関の運行は大きく乱れ、学校の教員らもストに加わった。
マクロン氏にとり、年金改革実現の可否が2期目の政策遂行能力を占う試金石となっている。議会で右派野党、共和党の支持を得て法案を通過させ、押し切りたい考え。
スイス中銀、「一定の引き締め」が恐らくまだ必要-ヨルダン総裁ヨルダン総裁は19日、「一段の引き締めは排除できない」と発言。「スイス中銀の金利は現時点でだいたい1%だが、インフレ率は依然2%を上回る。従って、一定の引き締めが恐らく選択肢になるのは明らかだ」と語った。
ブルームバーグのエコノミスト調査によると、スイス中銀は3月に金利を再び0.5ポイント引き上げて1.5%とし、1年にわたり同水準で据え置くと現時点で見込まれている。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、スイス中銀は3月に金利を再び0.5ポイント引き上げて1.5%とし、1年にわたり同水準で据え置くと現時点で見込まれている。
スイス中銀は今回の引き締め局面で金利を合計1.75ポイント引き上げた。一方で欧州中央銀行(ECB)の利上げ幅は2.5ポイント、米当局は4.25ポイントだ。スイスの低いインフレ率を踏まえると、実質金利はユーロ圏よりも高いが、金利差の拡大がスイス・フラン売りを引き起こす恐れがあるとアナリストらは警告する。
ヨルダン総裁は「フラン相場の日々のボラティリティーについては、われわれは本当にもうコメントしない」としつつ、「当然ながら為替レートはわれわれにとって依然極めて重要だ。従ってフランが再び強くなり過ぎれば、為替市場で再び行動することにもちゅうちょしない」と語った。
米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長は、インフレには減速の兆しが見られるがなお高過ぎるとし、これをさらに抑制するには金利を高い状態でしばらく維持する必要があるとの見方を示した。
ブレイナード副議長は19日、シカゴ大学ブース経営大学院でのイベントで講演。「インフレは最近緩やかになったものの、依然として高い水準にあり、これが持続的なベースで2%に下がることを確実にするには、十分に抑制的な金融政策をしばらく続ける必要があるだろう」と述べた。発言内容は事前原稿に基づく。
12月のFOMCで利上げ幅がそれまでの0.75ポイントから0.50ポイントに「ダウンシフト」したことについて、ブレイナード氏は「政策金利は十分に抑制的な水準に近づいており、われわれの2大責務に関連したリスクを考慮すると、ダウンシフトはより多くのデータを評価することを可能にする」と述べた。
●市況
日経先物(大証)26350、ダウ先33177、債先146.48、米3.404、独2.0520、仏2.487、西3.007、伊3.755、波5.918、原油81.00、ドル円128.57、墨ペソ18.99、トルコリラ18.8029、墨CDS126
※1/20 9時30分頃
備忘録(2023/1/18)
●中国・ロシア・東欧
ロシアにとって欧州の中で最も親密な同盟国の一つ、セルビアがロシアと距離を置こうとしている。ウクライナでの戦争によって両国関係だけでなく、両国の指導者間にも亀裂が生じている。
セルビアのブチッチ大統領は17日、首都ベオグラードでインタビューに応じ、ロシアのプーチン大統領によるウクライナでの領有権主張を否定し、長引く戦争の「最悪の事態はこれからだ」と述べた。ブチッチ氏は過去数年でプーチン氏と何度も会談し、直接会話できるようロシア語も学んだが、最近は「何カ月も」プーチン氏と話していないという
ブチッチ氏(52)は「極めて初期の段階から、われわれはロシアのウクライナ侵攻を支持することはできないと述べてきた」と語り、「クリミアもドンバスもウクライナの領土であり、今後もそうだ」と続けた。
ブチッチ氏は欧州連合(EU)加盟が自身の最終目標だと語るが、コソボ独立を認めない方針をロシアが支持しているほか、かつて自国が経済的に孤立した経験があることから、対ロシア制裁には反発している。またロシアがセルビアに天然ガスを市場価格より安く販売しているという背景もある。
しかし、セルビアがロシア指導部を完全に支持していると考えるのは誤りだとブチッチ氏は語る。「われわれは伝統的に良好な関係にあるが、ロシア側の決断を全て、もしくはその大半を支持するという意味ではない」と言明した。
●中東
サウジアラビアのジャドアーン財務相はスイスのダボスでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、「ドルやユーロ、もしくはサウジ・リヤルであろうと貿易決済方法について協議することに問題はない」と説明。「われわれが世界の貿易改善に寄与する議論を拒んだり、除外したりしているとは考えていない」と述べた。
基軸通貨ドルによる1970年代に確立された原油取引、いわゆる「ペトロダラー」システムの中核を成しているのがサウジだ。ドルとの通貨ペッグ(連動)制を堅持しているサウジだが、中国など主要な貿易相手国との関係強化も目指している。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
マイクロソフトの従業員数は2022年6月時点で22万1000人にのぼり、半数近くは日本など米国外で働いている。解雇の対象は全体の5%弱にあたる。サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は従業員向けの手紙で「コスト構造を収益と顧客の需要に見合うよう調整する」とし、人員整理への理解を求めた。
同社は22年にもパソコンやゲーム部門でリストラを実施した。ここにきて大規模な人員削減を打ち出したのは、業績の停滞が目立ってきたためだ。ナデラ氏は「景気後退への懸念から、あらゆる業界・地域の企業が(投資に)慎重になっている」と指摘した。
マイクロソフトの従業員は19年から22年にかけて5割強、増えた。株式市場ではテクノロジー企業に対して人件費の削減を求める圧力が強まっており、新型コロナウイルス下の急成長の反動が目立ち始めた22年以降、雇用を調整する動きが続いている。
●決算関連
●マクロ・その他
米財務省によると、両者は経済・金融面での対話強化や、気候変動対応を巡る途上国への金融支援で協力することで一致した。
イエレン氏はアフリカ訪問前に会談のためスイスに立ち寄った。アフリカ諸国が直面する過剰債務の再編には最大の貸し手である中国の協力が不可欠で、米国側はこの問題でも前進を期待している。
IEAは18日に公表した1月の石油市場リポートで、2023年の世界の石油需要は前年比約190万バレル(1.9%)増の日量約1億170万バレルと年間として過去最高となる見通しを出した。中国が新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ」政策を終了したことで石油消費が増える影響が大きいとしている。
もっとも石油供給については、欧州連合(EU)や主要7カ国(G7)による価格上限を上回る原油の禁輸などの制裁措置でロシアが減少して、需給バランスが厳しくなるとみている。リポートでは「電気自動車(EV)の普及支援や石油の政府備蓄の確保などの対策がこれまで以上に重要となる」と指摘している。
頼氏は台北市内で記者会見し、自身が台湾独立派であることを問われたのに対し「台湾は既に独立している。台湾の独立を改めて宣言する必要はない」と述べた。党トップに就任し、独立色を抑え、バランスを重視したものとみられる。
頼氏は過去に何度も台湾の独立を主張してきた。頼氏の党トップの就任で、中国がこれまで以上に台湾に対し、強硬姿勢をみせるのではないかという見方や不安も広がっていた。
頼氏は会見で「台湾も中国も互いに帰属してはいない。台湾の将来は台湾の2300万人の住民が決める。この考え方は蔡政権の従来路線と変わらない」とも語った。
膠着が続く中台関係をどう打開するかについては「中国が台湾に軍事的圧力をかけ、現状変更をしている。台湾だけではどうすることもできない。中国がもっと(中台の)人民のためを考えたら、色々な問題が解決できる」と語った。
中国経済の減速や、輸出の約4割を占める半導体の需要減退で、輸出が大きく減少したことが響いた。
呉佩璇・専門委員は「輸出が予測を大きく下回った。中国向けが特に減少した」と述べた。
半導体などモノの輸出は8.63%の大幅減だった。中国経済の減速や世界的なインフレを受け、パソコンやスマートフォンの販売が落ち込み、搭載する半導体などの在庫調整が続いた。
英国の2022年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比10.5%上昇した。伸び率は同年11月より0.2ポイント下がり、2カ月連続で鈍化した。エネルギー価格の上昇が一服したことでガソリン代が下落し、全体の伸び率が縮小している。
自動車のガソリンやディーゼルなどの燃料代を含めた輸送が6.5%と、前月比で0.7ポイント低下した。衣服・履物が6.5%、娯楽・文化も4.9%でいずれも伸び率が下がった。
エネルギーや食品などを除くコア指数の上昇率は横ばいの6.3%だった。
インフレを加速させてきた光熱費の上昇が一服するとの期待もある。欧州は記録的な暖冬で暖房需要が高まらず、天然ガスの先物価格は22年11月末から6割安となっている。
2022年の域内主要18カ国の新車販売台数(乗用車)は、21年に比べ4%減の1016万1993台だった。22年12月単月では5カ月連続で前年同月を上回ったものの、サプライチェーン(供給網)混乱による年前半の落ち込みをカバーできず、3年連続で前年を下回った。
米小売売上高は前月比1.1%減、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は0.9%減、11月は1%減(速報値0.6%減)に下方修正
12月は13カテゴリーのうち、自動車や家具など10で減少。ガソリン価格が下落していたことを受け、ガソリンスタンドの売上高は4.6%減少した。
JPモルガン・アセット・マネジメントのボブ・マイケル最高投資責任者(CIO)はブルームバーグに対し、昨年は「中央銀行による非常に積極的な引き締めと量的引き締めが行われた。それが経済に大きな影響を及ぼし始めている」と述べた。
消費者は昨年の大半でサービスへの支出を増やしたが、12月は低調だった。米小売売上高で唯一のサービス分野である飲食店は0.9%減と、約1年ぶりの大きさで落ち込んだ。国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は0.7%減少した。
米PPIは前月比0.5%低下-2020年4月以降で最大のマイナス、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は0.1%低下、前年同月比では6.2%上昇-市場予想6.8%上昇、食品とエネルギー除くコアPPIは前月比0.1%上昇-予想と一致、前年同月比では5.5%上昇-予想5.6%上昇
食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.1%上昇で、予想を下回る伸びにとどまった。前年同月比では4.6%上昇。
ビルロワドガロー氏は世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開かれているスイスのダボスでブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、3月利上げ幅の見通しについて語るのは時期尚早だと指摘。当局者の考えを知る関係者はブルームバーグに対し、インフレの鈍化とエネルギー値下がりがより小幅な利上げを正当化する可能性があると述べていた。
ビルロワドガロー氏は「決定は会合ごとに下すと非常に明瞭に伝えている。ECBの決定はデータに左右されるので、3月にどうするかについて臆測を巡らすのは全く早過ぎる」と述べた。
「昨年12月の記者会見でのラガルド総裁の発言を思い出してほしい。『0.5ポイントの利上げペースが一定期間続くことを見込むべきだ』と総裁は述べている。この言葉は今も有効だ」と話した。
ビルロワドガロー氏は夏までにピーク金利に達するべきだとの見解を繰り返した。その後はインフレの火種を確実に消し去るために長期間その水準に据え置くべきだとしている。
「昨年はスピードが鍵だったが、今年は水準と期間の組み合わせになる。ターミナルレートに達した後、インフレ率を2%に押し下げるのに必要な期間据え置くと表明することが非常に重要だ」と語った。
「経済活動は予想よりも底堅く、今年のリセッション(景気後退)は回避できるだろう」とし、「インフレは恐らくこの半期中にピークに達するだろう。まず総合インフレ率が、次にコアインフレ率がピークを付けるだろうが、それでもわれわれは取り組みを堅持する必要がある」と語った。
1-3月(第1四半期)の世界の石油市場では、従来予想された以上の供給過剰が生じる見通しだ。中国が新型コロナウイルス対策の制限措置を解除し経済を再開させようとしているが、需要は引き続き抑えられている。
国際エネルギー機関(IEA)は18日公表した月報で、1-3月の世界の供給は消費を日量約100万バレル上回るだろうと予想。中国の見通しは小幅に引き上げたが、同国の需要が前年比でプラスに転じるのは4-6月(第2四半期)以降になるとみている。
英商工会議所(BCC)の調査責任者、デービッド・バリアー氏は、インフレの「ピークがいまや過ぎたことが示唆される」と指摘。「だが、これは単に1年前よりもはるかに高い水準で物価が落ち着くことを意味している」と述べた。
KPMGの英法人チーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は「インフレ鈍化はイングランド銀の政策当局者にとって安心材料となるだろう。これを追加利上げのペースを減速させる機会と受け止める可能性がある」と述べた。
カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)は、米欧の債券利回りスプレッド縮小を考慮すると、米CPI統計で予想通りインフレ緩和の兆候が示された場合はユーロは同抵抗線を試すだろうと分析。
NAHBが18日発表した1月の住宅市場指数は35となり、前月から4ポイント上昇した。2021年12月以来、13カ月ぶりに前月を上回った。高止まりしていた住宅ローン金利の低下が業況改善につながり、底入れの兆しが出ている。
1月の内訳は「現在の販売状況」が40で前月から4ポイント、「客足」は23と3ポイント、「今後6カ月の販売見通し」は37と2ポイントそれぞれ上昇した。NAHBの会長、ジェリー・コンター氏は「住宅着工件数や許可件数の低迷のサイクルも終わりに近づいてきているとみる。建設活動は23年後半に回復していくだろう」と指摘した。
同協会は住宅ローン金利の低下が1月の業況改善につながったとみている。米抵当銀行協会(MBA)が同日発表した調査によると足元の30年固定の住宅ローン金利(週平均)は6.23%と、22年9月上旬以来の低水準で推移している。ローン金利の低下にともない申請件数も前週比で28%増えた。
地区連銀経済報告(ベージュブック)で、2022年11月末以降の米経済の成長を「横ばいだった」と総括した。多くの地区で「供給網の混乱が幾分和らいだ」との報告があった一方、全体として事業者は「今後数カ月の経済成長の見込みは薄い」と予想した。需要の減退が目立つ半面、採用難を恐れ人員削減をためらう事業者が多かった。
経済状況は多くの地域で横ばいだった。全米12地区連銀の管轄地区ごとの状況では、ミネアポリスやリッチモンドなど5地区で経済活動が緩やかに拡大したと報告した。一方、ボストンやセントルイス地区は前回から横ばい、ニューヨークやクリーブランドなど5地区は経済活動が鈍化したと指摘した。
年末商戦での増加が見込まれていた需要は、まだら模様だった。クリーブランド地区の小売業者は「多くの消費者が購入を必需品に絞り、裁量支出は少なかった」と報告。一方、リッチモンド地区では消費者が思いのほか値段を気にせず買い物し、割引品への注目は低かったと複数の事業者が報告した。
報告では前回に続き採用難に悩む事業者が目立った。ボストン地区の衣類販売店は在宅勤務が可能な求人は予想より早く埋まった一方、出勤が必要な倉庫業の求人は着任時の賞与などを支給せざるを得なかったと報告した。企業の求人が多いなか、労働者は条件のよい就職先を求めている可能性が高い。
「直近では人員削減の発表が目立つが、実際の削減は特に多いわけでもなく、求人は依然として多い」(ニューヨーク地区の職業紹介所)との報告があった。経済成長の先行きが思わしくない半面、人員削減をためらっているとの報告が多い。アトランタ地区では多くの事業者が「人員削減を極力避ける」と報告し、事業縮小は人員の自然減で調整すると説明した。
利上げの影響を受けやすい住宅・不動産業では、前回に続いて需要低迷の報告が相次いだ。シカゴ地区の建設業者は「今後6~12カ月の仕事はまだ残っているが、高金利が新規の案件に重くのしかかっている。特に2023年後半の仕事がなくなるのではないかと心配している」と報告した。カンザスシティー地区の不動産事業者も「住宅の建設をキャンセルする動きが23年の春にかけ増える可能性がある」とした。
「ペース減速はまさに最善の決定を確実に行うための方法だ」とし、「われわれは利上げペースが減速したとしても金融状況を景気抑制的に保つため全体的な政策戦略を調整することができ、必要なら調整すべきだ」と述べた。
ローガン総裁は12月のFOMC会合で利上げ幅を0.5ポイントに縮小した決定を自分は支持するとした上で、現在の「複雑な経済・金融環境」を背景に同様の判断が1月31日-2月1日の次回会合での0.25ポイント利上げへの一段の縮小を正当化する可能性があると指摘した。
ローガン総裁の金融政策に関する講演は昨年8月の就任以来初めて。同総裁は今年、FOMCの投票権を有する。
グローバルSWFによると、中東SWFの2022年の投資額は約890億ドルと前年から倍増し、このうち欧州と北米には516億ドルの巨額の資金が流れた。
中東ペルシャ湾岸諸国の投資家はこれまで、サッカーのイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティーやニューヨーク・マンハッタンの不動産、ロンドンの高級デパート「ハロッズ」といったトロフィーのように自慢できる資産に飛び付くと定評があった。しかし、今では国際舞台でより大きな役割を要求し、自国経済の多角化を進め、地政学的影響力を確保するために富を用いる意味で、より周到になりつつあるという。
投資銀行フーリハン・ローキーで中東・アフリカのキャピタルマーケッツ責任者を務めるアンディ・ケアンズ氏は「中東地域のSWFは明らかに上席に座り、あらゆるグローバルディールを優先的に見ることができる立場にある」とした上で、「国際舞台で経済的・政治的野心をはっきり主張する」傾向を強める中東諸国の現状に即していると指摘した。
●市況日経先物(大証)26435、ダウ先33382、債先146.05、米3.373、独2.0210、仏2.438、西2.957、伊3.744、波5.819、原油79.37、ドル円128.52、墨ペソ18.88、トルコリラ18.7824、墨CDS126
※1/19 8時35分頃
備忘録(2023/1/17)
●中国・ロシア・東欧
政府の規制強化で低迷する不動産業界について「中国経済の重要産業だ」などと語った。開発企業の資金不足で工事が止まった未完成物件の早期完成を促すなど、不動産業向けの支援策を進めていく方針を示した。
劉氏は「不動産リスクの処理を誤るとシステムリスクを招く」と述べ、不動産市場の調整を注視していることを示唆した。
2023年の経済見通しについては「総じて好転し、成長率はかなりの確率で正常のレベルに戻るだろう」と自信を示した。
2022年10~12月の実質国内総生産(GDP)は前年同期比2.9%増と、7~9月の3.9%から減速した。新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策の終了で23年は経済活動が正常化に向かうが、輸出の低迷や家計の貯蓄志向など懸念も残る。コロナ感染の再拡大も不安材料だ。
中国が人口減少時代に入った。2022年末の人口は61年ぶりに前年末を下回り、世界最大の人口大国をインドに譲ったもようだ。産児制限のツケで少子高齢化が止まらず、23年からの10年間で生産年齢人口は約9%減る。働き手の減少が足かせとなり、世界経済をけん引してきた中国の成長にブレーキがかかる。
ワグネルの構成員が西側に逃れるのは初めてとみられる。ワグネルの戦争犯罪を証言する用意があるという。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
報道によれば従業員を約5%減らす計画で、数千人から1万人強が対象となる可能性がある。景気の減速感が強まるなかで、米IT(情報通信)企業を中心に人員削減の動きが相次いでいる。
米ブルームバーグ通信は、マイクロソフトが22年に実施した事業再編に基づく人員整理と比べて「かなり大きな規模になる」と報じた。
FRBは銀行の投融資や保有不動産が気候変動によってどのような影響を受けるのかを調べるよう大手銀に求めており、バンク・オブ・アメリカなど6行が参加を表明していた。金融システム全体への影響を調べるのが目的で、個別の金融機関の情報は開示しない予定だ。
経済危機などを想定して財務基盤が十分に健全かどうかを調べる「ストレステスト(健全性審査)」とは別で、FRBは今回の分析結果は金融機関の自己資本の規模などに影響しないと説明している。金融監督担当副議長のバー氏は声明で「銀行が気候変動による金融を含めた重要リスクを理解し、管理できるようにすることが目的だ」と強調した。
●決算関連
2022年10~12月期決算は、最終損益が8億4300万ドル(約1080億円)の黒字(前年同期は6億4600万ドルの赤字)だった。運賃の上昇や堅調な旅客需要で業績が急回復し、黒字額は新型コロナウイルスが感染拡大する前の19年の同期間と比べても30%超増えた。
22年10~12月期の売上高は前年同期比51%増の124億ドル。19年同期と比べても約14%増だった。主力の旅客収入は前年同期比で63%増えた。19年同期比では欧州路線が22%増、中東などの路線が55%増とけん引した。国内線も約14%増と新型コロナ前の水準を超えた。アジアなどの太平洋路線は24.3%減にとどまった。
2022年12月期決算は純利益が前の期比48%減の112億ドル(約1兆4000億円)だった。米連邦準備理事会(FRB)をはじめとする世界的な急速利上げと金融市場の混乱で、企業の資金調達支援やM&A(合併・買収)助言の需要が冷え込み、主力の投資銀行業務の収益が急減した。
事業会社の売上高に相当する純営業収益は20%減の473億ドルだった。投資銀の手数料収入が73億ドルと48%減ったのが響いた。このうち株式の引受業務の手数料は、特別買収目的会社「SPAC」を通じた新規株式公開(IPO)の失速などで83%減った。債券の引受業務の手数料は48%減、M&A助言は17%減だった。市場の急変動で顧客の機関投資家の売買が活発になり、債券や為替、商品分野のトレーディング収益は約4割増えたものの、全体の落ち込みを補いきれなかった。
22年10~12月期の純利益は前年同期比66%減の13億ドル、純営業収益は16%減の105億ドルだった。投資銀業務の低迷が続いたほか、経費の増加も利益を圧迫した。1株利益は3.32ドルと市場予想を下回り、17日の米株式市場でゴールドマンの株価は前週末比約5%下げる場面があった。
2022年12月期決算は、純利益が前の期比27%減の110億2900万ドル(約1兆4200億円)だった。新株などの引き受けが急減して投資銀行部門の収益が振るわなかった。事業会社の売上高に相当する純営業収益は10%減の536億6800万ドルだった。
投資銀行部門の利益は52億4200万ドルで、前の期から41%減少した。株式の引受手数料が8割、債券は4割減った。M&A(合併・買収)助言も16%減少した。
年金基金や事業法人など向けの資産運用部門の利益も6億6000万ドルと半減した。相場下落や顧客資産の流出で運用資産総額は2割近く減少し、手数料収入が減った。対照的に富裕層向け資産運用部門は堅調で、部門利益は9%増の51億3900万ドルだった。金利上昇で純金利収入が増加した影響が大きかった。
22年10~12月期の純利益は前年同期比40%減の22億3600万ドルだった。富裕層向け資産運用部門の好調などを背景に1株利益は1.26ドルとなり、市場予想を上回った。17日の株式市場で株価は一時、前週末比6%以上上昇した。
●マクロ・その他
1月のニューヨーク連銀製造業景況指数はマイナス32.9だった。前月から21.7ポイント低下し、新型コロナウイルス禍に入った直後の2020年5月以来、2年8カ月ぶりの低水準となった。新規受注と出荷が大きく低迷した。
個別項目では「新規受注」がマイナス31.1で前月から27.5ポイント下がった。「出荷」はマイナス22.4で27.7ポイント、「仕入れ価格」は33.0で17.5ポイントそれぞれ下がった。調査対象となった企業の44%が1月に業況が悪化したと回答し、改善したと答えた企業の比率(11%)を大きく上回った。
6カ月先の景況見通しは8.0で、前月から1.7ポイント上昇した。指数は依然として低水準で推移するものの、出荷は16.9と前月から8.1ポイント、在庫は3.6と8.3ポイント上昇し、見通しが改善した。
世界の企業の信用力回復が鈍ってきた。2022年に社債の格付けが下がった企業(金融除く)は501社と21年に比べ2割増えた。米国を中心とした金利上昇で債務不履行(デフォルト)リスクが高まり、低格付け企業の格下げが目立った。ロシアのウクライナ侵攻も重荷だ。景気後退懸念が強まるなか、23年は企業の資金繰りの厳しさが増す可能性がある。
ベトナム共産党が17日、グエン・スアン・フック国家主席を事実上更迭した。序列2位の首脳が任期途中で交代させられるのは異例。最高指導者のグエン・フー・チョン党書記長の権力基盤が一段と強化され、4人で権力を分散する伝統的な集団指導体制は崩れた格好だ。
最高指導者のグエン・フー・チョン党書記長は、汚職撲滅を進めつつ権力基盤を強化している。5日の臨時国会では外交全般を統括するファム・ビン・ミン筆頭副首相と保健部門を担うブー・ドク・ダム副首相が解任された。党が政府を指導する動きが一段と強まり、経済面でも管理や統制が厳しくなる可能性がある。
フック氏はチョン氏に次ぐ序列2位。副首相や首相を務めた後、21年に国家主席に就いた。18日に開く臨時国会で後任人事を協議する。チョン氏の兼任や、トー・ラム公安相の昇格などが取り沙汰されている。
イアン・ブレマー氏は17日、物価の高騰など構造的な変化がグローバル化の後退を引き起こしていると指摘した。
「グローバル化、進展か後退か」と題したセッションで発言した。司会を務めたブレマー氏は構造的な変化として、国際機関の機能不全による地政学的な状況の悪化を挙げた。国家資本主義を掲げる中国や内政優先姿勢を強める米国、「ならず者国家」として振る舞うロシアといった国々の対立にも触れた。
物価の高騰を受け、企業が低コストの地域に生産拠点を移しても収益を拡大するのが難しくなったことも変化の一つと指摘した。
パネリストの一人で英オックスフォード大学教授のナイレ・ウッズ氏は「グローバル化を支える基盤が失われつつある」と話した。
グローバル化への市民の反発が強まっているほか、グローバル化のルールを定める覇権国家のような存在は見当たらないという。企業は進出地域の環境や人権保護といった義務を十分果たしていないとした。グローバル化が再び進展するにはこれらの課題解決が条件とした。
報告書では新型コロナウイルスによる経済への打撃が格差拡大に拍車をかけたとしている。足元ではウクライナ危機に伴う食料やエネルギーの価格高騰がさらに事態を深刻にしている。オックスファムは22年時点で世界の17億人の労働者が賃金の伸びよりも、物価上昇が上回る環境に置かれていると分析した。
ドル・円の翌日物インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)は2008年11月以来の高水準に達した。トレーダーは昨年12月に続く日銀の政策調整を見込んでポジションを構築している。
円はドル以外の通貨に対しても変動が大きくなっている。ユーロ・円の翌日物IVは47.58%と16年7月以来の水準に上昇した。欧州を拠点とするトレーダーによれば、短期の円オプションの流動性は悪化し、スプレッドは拡大しつつある。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が17日発表した1月の期待指数は16.9と、前月のマイナス23.3から上昇し、ブルームバーグがまとめたエコノミスト27人の予想全てを上回った。期待指数はいまや過去10年の平均近くまで回復した。
ZEWのバンバッハ所長は「ウクライナでの戦争が始まった2022年2月以降初めて、今後6カ月の景況見通しの顕著な改善を示唆する内容となった」と述べ、「エネルギー市場の状況がより好転したほか、ドイツ政府がエネルギー価格に上限を設定したことが特に寄与した」と続けた。
同所長はさらに、中国の経済再開がドイツの輸出に及ぼすプラスの影響や、インフレ鈍化で消費関連セクターが押し上げられる可能性を強調した。
英政府統計局(ONS)の17日発表によれば、昨年11月までの3カ月間の平均賃金(賞与除く)は前年同期比6.4%増。2001年の統計開始以降、新型コロナウイルス禍の影響で賃金が押し上げられた時期を除き最大の伸びとなった。
また欧州連合(EU)離脱に伴う移民の抑制で、英国では労働者が33万人不足し、労働市場の逼迫(ひっぱく)とインフレ加速を助長していると、英シンクタンクの欧州改革センター(CER)が分析した。
これらの数字は、労働市場が依然として極めてタイトであることを示唆する。英中銀当局者は現在のペースで賃金が伸びれば、2桁台に上昇したインフレ率を抑え込むことは困難になると懸念する。
賃金・物価スパイラルを回避しようと、英中銀は政策金利を0.1%から3.5%まで引き上げてきたが、2月には再度0.5ポイント利上げが見込まれている。
KPMGの英法人チーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は「先週発表された予想以上に強かった国内内総生産(GDP)と今回の統計内容を合わせて、英中銀が2月の金融政策判断で追加利上げを決める十分な根拠になるとみている」と述べた。
月報によれば、OPECで1-3月期に必要となる産油量は平均で日量2885万バレルの見通し。2022年12月実績を約12万バレル下回る。
関係者によると、ラガルド総裁が示唆したように2月は0.5ポイントの利上げを実施する公算が引き続き大きいが、3月は利上げ幅を0.25ポイントとする案に支持が集まりつつある。
金融引き締めペースが減速するとしても、ECBが責務に対して甘くなると捉えられるべきではないと、関係者は主張。決定はまだ下されておらず、ラガルド総裁が昨年12月15日の会合で示したように3月の会合でも0.5ポイントの利上げが決まる可能性も依然あると、関係者はくぎを刺した。
エコノミストらは2月と3月のECB会合について、現時点で0.5ポイントずつの利上げを予想している。短期金融市場は2月の利上げを0.5ポイントと織り込む一方、3月は0.5ポイントの可能性を80%余りと想定。中銀預金金利は7月までに3.5%弱でピークに達すると見込まれている。
●市況
日経先物(大証)26218、ダウ先33977、債先144.75、米3.549、独2.0800、仏2.543、西3.071、伊3.875、波6.007、原油81.03、ドル円128.23、墨ペソ18.66、トルコリラ18.7659、墨CDS126
※1/18 8時25分頃
備忘録(2023/1/16)
●中国・ロシア・東欧
中国国家統計局が16日発表した2022年12月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で値下がりした都市は8割の55都市に上った。70都市の変化率を単純平均すると、0.25%のマイナスだった。21年9月から1年4カ月連続で下がり、下落期間は確認できる11年以降の最長を更新した。
中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会は5日、販売不振が長引く地方都市が住宅ローン金利をめぐり、政府が決めた下限より低い金利水準を設定できるようにすると発表した。22年9月末に年内限定で同様の措置を発表していたが、これを恒久化する。
対象は、新築住宅の販売価格が3カ月連続で前月比、前年同月比のいずれも下落した地域だ。国家統計局が価格を調べる主要70都市のうち、新築価格をみると、12月時点で半数の35都市が要件を満たす。このうち天津市など省都級が14都市もある。
対象の都市は1軒目の下限金利の引き下げや撤廃を決められる。住宅ローンの利回りは、人民銀行が事実上の政策金利と位置づける最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)の期間5年超が目安になる。1軒目の下限金利は「LPRより0・2%低い水準」で、現在は4.1%が下限となる。
人民銀行によると、新規住宅ローン金利の全国平均は12月が年4.26%で、調査を始めた08年以降で最低という。各地の住宅市場の状況に応じて金利の引き下げを促し、需要を喚起させたい考えだ。
2022年12月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは55都市だった。11月から4都市増え、全体の79%を占めた。
前月比で上昇したのは15都市で、11月から1都市減った。横ばいの都市はなかった。21年9月以降、半数(35都市)超の都市で価格が下がっている。
都市の規模別では北京、上海、広州、深圳の「1級都市」のマンション価格は平均で前月と横ばいだった。11月は0.2%のマイナスだった。省都クラスの「2級都市」は前月より0.3%低く、下落率が0.1ポイント拡大した。それ以下の「3級都市」も0.3%低下した。
取引価格が比較的自由で市場の需給を反映しやすい中古物件では全体の90%に相当する63都市で価格が下落した。都市数は11月から1都市増えた。値上がりは7都市だった。
中国西部の貴州省政府傘下のインフラ投資会社が、銀行から融資された155億9400万元(約3000億円)の返済を20年繰り延べると決めた。不動産市況の悪化や新型コロナウイルスを抑え込む「ゼロコロナ」政策によって悪化した地方財政の厳しい台所事情の一端を映している。
しかし上海半夏は同レターで、諸外国と異なり、中国の財政刺激策は家計収入を直接増やすのではなくインフラに充てられていると指摘。米国などでは景気刺激のための個人給付金や補助金が制限措置解除後の景気回復を後押ししたが、中国はこれらの提供を控えている。
●中東
●感染症
カリフォルニア大学ロサンゼルス校フィールディング公衆衛生大学院の張作風疫学部長は「発表された新型コロナ死者数は氷山の一角かもしれない」と言う。病院での死者数として同氏の推計とほぼ一致するものの、これは中国全土での合計死者数に対して一握りに過ぎないと指摘した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
1980年代から認知症薬の開発にこだわってきたエーザイが、病気の進行を緩やかにする治療薬「レカネマブ」の実用化にようやくこぎ着けた。まず、月内に米国で発売する。日本でも16日、製造・販売の承認申請をした。日々進化する最新の医学でもお手あげだったアルツハイマー病。「不治の病」と呼ばなくなる日への扉があいた。
●その他産業
22年1月にも同様の機種を平均10%値上げしていたが、鋼材などの原材料価格や物流費だけでなく労務費やエネルギー価格も高騰しておりコスト削減だけでは吸収しきれないとして再値上げに踏み切る。
機械本体だけでなく、4月以降は機械の保守に使う部品や油脂類も値上げする。純正部品は平均7%、油脂類は平均28%引き上げる。
●決算関連
●マクロ・その他
ここのところの物価上昇や地政学リスクの高まりを反映し、回答者の8割近くが景気改善を予測した過去2回の調査から一転して悲観的な結果となった。
4割は自社について「今のままの経営では10年後には経済的に存続できない」との危機感を示した。根強いインフレと金利上昇など、経営環境の激変への対応が必要と感じているとみられる。一方、8割は賃金カットは予定していないとし、人材確保を優先する姿勢を示した。
ブラジルのルラ政権は12日、今年2310億レアル(約5兆8000億円)を超えると予想されている財政赤字を大幅に削減するための増税と歳出削減策を組み合わせた財政改革案を発表した。今月発足したばかりのルラ政権が打ち出した最初の経済対策で、110億レアル以上の財政黒字達成を目指す。
ペルーは南米では観光が盛んな国の一つだ。デモの影響で予約のキャンセルなども相次いでいる。世界遺産のマチュピチュ観光の玄関口となるクスコの空港は12日、予防的な措置で閉鎖された。空港業務に当たる職員や乗客の安全確保のためだった。14日には再開された。
副大統領から昇格したボルアルテ大統領への支持率は低いままだ。調査会社Ipsosが12~13日に実施した世論調査で、ボルアルテ氏の支持率は20%にとどまった。議会の支持率は14%とさらに低い。
デモ隊の要求もカスティジョ氏の釈放やボルアルテ氏の辞任、議会の解散など多様だ。治安部隊によるデモ隊への過度な武力行使にも反発は強まっている。
ペルー政界では汚職や不祥事が横行してきた。ボルアルテ氏やカスティジョ氏への支持率は低いが、かといって国民の期待を担える政党や政治家がいるわけでもなく、混乱の収束への道筋は見えない状況だ。
2018年以降の5年弱で大統領は5回交代した。政府と議会は24年4月に大統領選と議会選を実施する方向で動いている。従来の26年4月から2年早くなる見通しだが、デモではさらに早い選挙実施を求める声も出ている。
航海開始から15年超経過した老齢の原油タンカーの取引価格が高騰している。船齢15年の船は1月上旬に前年同期比2.6倍となった。タンカー運賃の上昇に伴い船価が上がっていることに加え、欧米の制裁を受けたロシア産原油を輸送する「影の船団」の影響との指摘もある。制裁の効果をそいだり、輸送の安全が危険にさらされたりする懸念が浮上している。
オプション価格はさらなる政策変更でドルが急落するか、日銀が動かずドルが上昇して政策調整を見込んでいる投資家のショートカバーを誘発するリスクを織り込んでいる。ドル・円の1週間物オプションは1ドル=127円67銭を基準に、スポット価格がその1週間に123円40銭-131円76銭のレンジで取引される確率を70%と想定している。
エコノミストの予想中央値によると、ECBはその後7-9月(第3四半期)の初めに利下げに転じ、中銀預金金利は3%になると見込まれる。
そのようなシナリオは、ECBが思い描いていない事態の劇的な展開を意味する。政策委メンバーの大部分は政策金利がいわゆるターミナルレートに達した後、その水準にとどまると予想し、利下げを想定するメンバーはいない。
ECB政策委メンバー、オーストリア中銀のホルツマン総裁は「コアインフレ率がピークに達しない限り、ヘッドラインインフレ率の変化がわれわれの判断を変えることはない」と先週述べていた。
エコノミストはユーロ圏の消費者物価指数について、変動の激しい食料品とエネルギーを除くコア指数が1-3月(第1四半期)に平均5.1%でピークを付け、今年10-12月(第4四半期)には3.5%に低下するとみている。
●市況
日経先物(大証)25875、ダウ先34401、債先144.71、米3.527、独2.1700、仏2.636、西3.159、伊4.006、波6.010、原油79.05、ドル円128.32、墨ペソ18.78、トルコリラ18.7742、墨CDS126
※1/17 9時00分頃
備忘録(2023/1/13-15)
●中国・ロシア・東欧
2022年10~12月のドル建て輸出額は前年同期比7%減と、2年半ぶりのマイナスとなった。インフレ対策で急速に利上げを進めた米欧向けの出荷が減った。外需の縮小は、新型コロナウイルスの封じ込めを狙った「ゼロコロナ」政策の終了後の景気回復に水を差しかねない。
国・地域別にみると、米国向けは19%減で2四半期連続のマイナスとなった。欧州連合(EU)向けも12%の減少に転じた。一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは10%増と2桁増を保った。このうち、ベトナム向けは前年同期を7%上回った。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「米中貿易戦争の影響を考慮した企業が生産拠点を中国からベトナムに移したことで、部材などの対ベトナム輸出が伸びている」と分析する。
新型コロナがまん延して以降、外需は経済成長の重要なエンジンとなってきた。22年1~9月の実質国内総生産(GDP)は3.0%増えたが、このうち1.0%分が外需の寄与だ。コロナ前は外需が成長の足を引っ張ることもあった。20年以降は経済成長の2~3割が外需による押し上げで説明できた。
こうした外需の追い風が急速に弱まっている。中国の証券会社、中泰証券は23年の輸出が前年比3.7%減少すると予測する。世界経済の減速による貿易の停滞に加え、新型コロナ禍で傷んだ各国のサプライチェーン(供給網)が復旧し、中国で代替生産する需要が剝落するとみるためだ。
中国国家発展改革委員会(発改委)は15日、鉄鉱石の価格設定に対する監視を強める考えを示した。鉄鉱石価格はこの数カ月で大きく値上がりしている。
発改委は声明で、鉄鉱石市場の安定維持のため、偽情報の拡散や買いだめ、価格つり上げなどの違法行為を取り締まると表明した。
声明によると、古いニュースや虚偽のニュースを公表し、国民を混乱させて市場に悪影響を与えたとして一部の情報プロバイダーが発改委から出頭を命じられた。これらプロバイダーはそれぞれのデータを確認し、価格をつり上げないよう万全を期すことを通告されたという。
中国経済が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の混乱から回復する中、需要が急拡大する可能性があるとの楽観的見方を背景に、鉄鉱石価格はこの数カ月、大幅に上昇している。
ロシアの有力紙コメルサントは13日、ロシア大統領府(クレムリン)が2024年3月の次期大統領選に向けた準備に着手したと報じた。ウクライナへの軍事侵攻を続ける中、現職のプーチン大統領が出馬することを前提に予定通り実施するという想定だ。戦況の大幅な悪化や内政の混乱が起きなければ、プーチン氏の5期目の当選は確実とみられる。
コメルサント紙によると、ロシアの次期大統領選は24年3月17日に投票される見通しだ。23年12月に上院の決定により公示される。前回、18年3月の大統領選では、プーチン氏は公示直前の17年12月6日に出馬を表明した。24年の次期大統領選への出馬はまだ明言していない。
ロシアでは20年7月の憲法改正を問う国民投票の結果、大統領任期について「通算2期」と定める一方、これまでの任期は適用外とした。これにより、首相在籍期間を除いて、00年からすでに合計4期20年近く大統領職にあり、独裁的な権力を持つプーチン氏が5期目を目指す出馬が可能になった。
大統領選に向けた内政上の今後の焦点は、22年に実施を見送られた大統領の年次教書演説と23年秋の統一地方選だ。軍事侵攻の戦況や有権者の意識を見極めつつ、大統領選の圧勝をどう演出するかがクレムリンの課題となりそうだ。
●中東
スナク英首相はアクバリ氏が処刑されたことを受け「がくぜんとしている」とツイッターに投稿。「自国民の人権を尊重せぬ野蛮な政権によって行われた無情でひきょうな行為」だと非難した。
●感染症
中国の衛生当局は14日の記者会見で、新型コロナウイルス対策の「ゼロコロナ」政策を緩和した直後の2022年12月8日から23年1月12日にかけて、新型コロナに関連する医療機関での死者数が5万9938人だったと発表した。これまで発表していた死者数は1日あたり数人。「感染データが不透明だ」と世界保健機関(WHO)や欧米諸国が批判しており、公表に踏み切ったとみられる。
衛生当局幹部は「中国ではコロナ関連の死亡は呼吸不全と、基礎疾患との併発による死亡の2種類に分類される」と述べた。12月20日の会見では「基礎疾患が主な死因の場合は除く」と説明していた。「定義が狭すぎる」とのWHOの批判を受け、判定基準を変更した形だ。
ただ6万人には在宅での死者は含んでいない。英医療調査会社エアフィニティは12月以降の累計死者数が34万人を超えたと推定。米保健指標評価研究所(IHME)は死者数が23年中に100万人を超えるとみており、6万人はなお少ないとの見方もある。
全体の感染者数も不透明だ。北京大学の学者らは累計感染者数が11日時点で約9億人に達したとの推計値をまとめた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
中国の航空会社は13日、約4年ぶりに米ボーイングの小型機「737MAX」を商用運航した。過去に墜落事故を起こした737MAXについて、他の国では安全性の確認作業の後、運航を順次再開していたが中国は停止したままだった。厳格な感染対策「ゼロコロナ」が事実上終了したことで航空旅客が増える見通しで、稼働率の高まりに備える狙いがありそうだ。
●決算関連
消費者や法人・機関投資家向けにデジタル金融サービスなどを提供する部門は、2020年から22年9月末までの約3年間で計30億ドル(約3800億円)超の税引き前損失が発生していたことがわかった。
今回の開示は、公表済みの決算内容を新部門別にくくり直してみたもので、過去の業績に影響は与えないとしている。同社は17日に22年10~12月期決算を発表する。
JPモルガン・チェースなど、商業銀行部門が中心の米銀大手4行は13日に2022年12月期決算を発表した。米景気後退入りに備えて各行とも貸倒引当金を積み増し、与信費用を2期ぶりに計上した。個人向けローンでは焦げ付きが徐々に増えており、経営トップからは景気の先行きを警戒する声があがる。
「 穏やかな景気後退入りが当社の基本シナリオだ」(バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEO=最高経営責任者)、「深刻な景気後退までは行かなくとも、後退には備える必要がある」(ウェルズ・ファーゴのチャールズ・シャーフCEO)。決算発表後に各行が開いた経営説明会の場で経営トップは口々に米経済失速へ懸念を表明した。
決算内容からも警戒感が透ける。融資先の財務が悪化する可能性に備える貸倒引当金に、実際に回収が困難になった債権の貸倒損失を足した与信費用の計上額は、22年12月期に4行合計で157億ドル(約2兆円)となった。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めを背景に、企業の景況感が急速に悪化している現状を反映した。
堅調な個人消費を背景に各行が発行するクレジットカードの利用は増加傾向にある。JPモルガンやシティグループが発行したカード決済額は22年10~12月期に前年同期比1割増えた。JPモルガンは「リボルビング払い」の残高も2割増え、コロナ禍前の水準を回復した。
コロナ対策の給付金による家計の蓄えは旺盛な消費で減ってきており、景気悪化も相まって、消費者向け融資の延滞リスクは徐々に高まっている。JPモルガンやシティは23年末までにカード利用者向けの貸倒損失がコロナ禍前の水準に戻ると予想する。
金利上昇の余波で、住宅ローンや自動車ローンの需要は急速に鈍った。バンカメでは10~12月期の住宅ローンの新規組成が前年同期比8割減った。ウェルズ・ファーゴの自動車ローン組成も半減した。
FRBによる急ピッチの利上げは銀行の貸出金利の上昇をもたらし、利ざや拡大を通じて銀行の収益押し上げに寄与している。22年10~12月期に限れば、純金利収入の増加によりJPモルガンやバンカメは最終増益を確保できた。
問題は、与信費用の増大を吸収する利ざや拡大の追い風が近くやみそうなことだ。JPモルガンは23年通年の純金利収入(市場運用除くベース)が740億ドルになると予想しており、22年10~12月期実績の年率換算より6%少ない水準だ。預金金利も上昇し、調達コストが高まる。
2022年12月期決算は純利益が前の期比22%減の376億ドル(約4兆8000億円)だった。融資の焦げ付きに備える貸倒引当金の計上が利益を圧迫したほか、投資銀行業務の手数料収入が大幅に落ち込んだ。利ざやの改善で純金利収入は急拡大し、22年10~12月期の純利益は5四半期ぶりの増益に転じた。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は声明で「現在の米経済は強さを保っている」と評価しつつ、ウクライナ危機やインフレの継続、金融引き締めなどの逆風が「最終的にどのような影響を及ぼすかはまだ分からない」と指摘。「警戒を怠らず、何が起きても大丈夫なように準備している」と述べた。
22年12月期は貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)として63億ドルを計上した。前の期は92億ドルの戻り益が発生していたが、一転して利益の圧迫要因になった。ジェレミー・バーナム最高財務責任者(CFO)はメディア向け説明会で「緩やかな景気後退に入るという見通しを反映している」と述べた。
M&A(合併・買収)助言や新規株式公開(IPO)など企業の株式発行の引受業務が低調で、投資銀行の手数料収入は49%減った。
22年10~12月期は明暗が分かれた。JPモルガンの純利益は前年同期比6%増の110億ドル、純営業収益は18%増の345億ドルだった。投資銀の不振や引当金の積み増しは続いたが、純金利収入が48%増と伸びが加速し、利益を底上げした。利ざやは2.47%と7~9月期(2.09%)から拡大。10~12月期はクレジットカード大手ビザの株式売却で利益が押し上げられた面もある。
バンカメの純利益は2%増えた半面、シティは21%減、ウェルズは50%減になった。ウェルズは過去の不正行為にからみ米当局に巨額の制裁金を科されたことが響いた。
JPモルガンは中核的な自己資本比率の早期改善を踏まえ、22年に一時停止した自社株買いを再開できるとの見通しを示した。23年の事業環境については、顧客に払う預金金利の上昇により、純金利収入が22年10~12月期のペースからは鈍化する可能性も示唆した。
2022年10~12月期決算は、純利益が前年同期比50%減の28億6400万ドル(約3670億円)だった。米消費者金融保護局(CFPB)が科した制裁金による営業損失や、住宅ローン事業の落ち込みが利益を圧迫した。22年12月通期は純利益が前の期比39%減の131億8200万ドルだった。
CFPBは22年12月、住宅ローンや自動車ローンで不正に手数料を徴収したり、担保の自動車などを不正に差し押さえたりする慣行があったとしてウェルズに制裁金37億ドルを科すと発表していた。
事業会社の売上高に当たる純営業収益は10~12月期に前年同期比6%減の196億6000万ドルだった。金利上昇を受けて、貸出金利と預金金利の差である利ざやは3.14%と、7~9月期から0.31ポイント拡大した。
一方、急ピッチの金利上昇で消費者の借り入れ需要が低迷し、住宅ローン関連の収入は前年同期比57%減だった。ウェルズの収益は米銀大手のなかでも住宅ローンへの依存度が大きい。1月10日には住宅ローン事業を大幅に縮小する計画を発表した。13日の決算説明会では同事業について「引き続き厳しい状況が続くだろう」との見方を示した。
2022年12月期決算は、純利益が148億4500万ドル(約1兆9000億円)と前の期比32%減少した。投資銀行業務からの収入が大幅に減少した。融資の焦げ付きに備えて貸倒引当金を積み増したことも収益を圧迫した。
貸倒引当金は前期に12億4700万ドル計上した。貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)は52億3900万ドルだった。前年は景気見通しの改善を背景に引当金を87億8600万ドル戻し入れていた
22年10~12月期の純利益は25億1300万ドルと前年同期比21%減った。純営業収益は6%増の180億600万ドルだった。
シティはメキシコや韓国、タイなど海外の消費者向け事業からの撤退を中心とした事業再編を進めている。フレーザー氏は「10~12月期は事業再編が順調に進む一方で、主力ビジネスである債券トレーディングなどの市場ビジネスとクレジットカードを中心に大きな収益を確保できた」と語った。
2022年10~12月期決算は、純利益が12億5900万ドル(約1600億円)と、前年同期比23%減少した。1株利益は8.29ドル(前年同期は10.63ドル)だった。22年は年間を通じて株式や債券相場が低迷。個人投資家を中心に資金流出が進み、運用手数料収入が減少した。人員削減の特別費用も計上した。
22年12月通期の純利益は51億7800万ドルと前の期比12%減少した。金融市場の低迷を受け、運用資産総額は12月末時点で8.5兆ドルと、21年末の10兆ドル超から14%減った。資産運用手数料の減少に加え、ドル高で海外事業の収入が目減りした。
22年10~12月期の収入は43億3700万ドルと前年同期比15%減少した。同四半期の資金流入額は1140億ドルと前年同期(2120億ドル)からほぼ半減した。上場投資信託(ETF)や機関投資家向けの商品には資金が流入した一方、個人投資家の資金が150億ドル流出した。
純利益が前の期比14%減の275億2800万ドル(約3兆5200億円)だった。景気の先行き不透明感が増す中、融資先の財務が悪化する可能性を踏まえて与信費用を積み増した。投資銀行業務も振るわなかった。
貸倒引当金や貸倒損失を合算した与信費用は通期で25億4300万ドル計上した。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な金融引き締めで景気が冷え込んでおり、景気後退が近いとの見方も多い。
ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)はアナリスト向け電話会議で「貸倒引当金の増加は、融資残高の増加に加えて保守的なシナリオ設定によるもの」と説明した。景気に過熱感があった前の期は与信費用の戻り益45億9400万ドルが発生していた。
投資銀行業務の手数料収入は前の期比46%減の48億2300万ドルだった。相場急落を受けて企業の新株や社債の発行ニーズが減り、引き受けが減った。M&A(合併・買収)助言も鈍った。
22年10~12月期の四半期決算では、純利益が前年同期比2%増の71億3200万ドルとなり、4四半期ぶりに前年同期を上回った。利ざや改善の効果が、投資銀行業務の不振や与信費用の計上といったマイナス影響を上回った。1株利益は0.85ドルとなり、市場予想(0.77ドル)を上回った。
2022年10~12月期決算は売上高が134億3500万ドル(約1兆7000億円)と前年同期比42%増えた。最終損益は8億2800万ドルの黒字(前年同期は4億800万ドルの赤字)だった。燃料費や人件費などのコストは前年同期比で3割増えたが、運賃の上昇や旅客数の増加で黒字を確保した。
売上高は新型コロナウイルスの感染拡大前の19年10~12月期と比べても17%増えた。主力の旅客収入で国際線がけん引した。アジアなどの太平洋路線が前年同期比で3倍以上、欧州などの大西洋路線は2.5倍に増えた。国内線も37%増と堅調だった。
一方、原油価格の上昇で燃料費は8割高まり、人件費は17%増えた。堅調な航空需要や運賃の引き上げでこうしたコスト増を相殺した。運航実績の指標で1つの座席を1マイル輸送して得られる収入を指す「有効座席マイル当たり収入(TRASM)」は22.58セントで、前年同期の18.30セントから2割超増加した。
エド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は「23年も航空業界の環境は引き続き良好だ」と指摘。堅調な需要は続くとして23年1~3月期の売上高は19年の同期間と比べて14~17%増加すると見込む。一方、パイロットなどの人件費増により、23年1~3月期の1株利益は0.15~0.4ドルと、22年10~12月期(1.29ドル)から下がる見通しだ。
JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(BofA)、 ウェルズ・ファーゴ、シティグループは13日に相次ぎ決算を発表。各行のトップがそれぞれ電話会見で、顧客の貯蓄引き出しやクレジットカードの債務増加、返済が困難なケースが増えていると指摘した。
ただ、貸し出しが続く状況での融資残高の増加は、貸し手にとって良いことだ。BofAのブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会見で、これまでのところ大半の消費者には「十分なクッション部分が残っている」と述べた。
同日午前の米株式市場では、銀行の収益を損なう恐れのあるクレジットカードローンの劣化急増懸念から、銀行株は下落。だが、経営陣がアナリストや投資家に対し、貸し出しが増えることで大きな利益を得ることができると説明したため、株価はすぐに回復した。
●マクロ・その他
米労働省監査室によると、20年3月~22年4月にかけおよそ456億ドル(約5兆8300億円)分の新型コロナ失業手当がだまし取られた。手当を受け取るには社会保障番号(SSN)が必要だが、死者や受刑者らのSSNを利用する不審なケースも多数確認された。監査室は実際の被害総額はこれを上回ると予想している。
22年12月には、中国のハッカー集団「APT41」がおよそ2000万ドル分の新型コロナ失業手当をだまし取っていたことが明らかになった。米メディアがシークレットサービスの調査結果として報じた。米国内の犯罪組織による大規模な失業給付詐欺も摘発されており、コロナ禍に乗じた詐欺の摘発が今後も増えると予想される。
1月の消費者態度指数(速報値)は64.6と、前月の確報値である59.7から4.9ポイント上昇した。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(60.7)を上回り、2022年4月以来の高水準となった。
1年先の物価の見通しを示す予想インフレ率は4.0%と2021年4月以来、1年9カ月ぶりの低水準となった。前月からは0.4ポイント下がったが、新型コロナウイルス流行前の水準(2%台)と比較すると依然として高水準で推移している。5年先の予想は3.0%と前月から0.1ポイント上昇した。
同大の調査分析担当のジョアン・シュー氏は「インフレ予想は不確実性が高い。今後数カ月は世界経済の動向を受けて、現在の水準から再び上昇に転じる可能性もある」と分析した。
イエレン米財務長官、デフォルト回避へ19日から特別措置講じる意向
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-13/ROFP5FT0AFB401?srnd=cojp-v2
米財務省は債務残高の上限到達を回避するため、今月19日から会計上の特別措置を講じる。イエレン財務長官が超党派の議会首脳部に宛てた書簡で13日明らかになった。イエレン長官はこの中で、債務不履行という事態を避けるべく上限を引き上げるよう議員らに求めた。
この書簡は米財政政策を巡る長く激しい政争の口火を切った格好。金融市場を強く圧迫し、すでにリセッション(景気後退)リスクが迫る経済をさらに脅かしかねないと専門家は警告している。債務上限が引き上げられなければ、財務省は8月頃に資金が尽きるとエコノミストらは予想している。
米アトランタ連銀のボスティック総裁は昨年12月の米消費者物価指数(CPI)統計を受けて、次回連邦公開市場委員会(FOMC)ではこれまでより小幅の利上げを支持する方向に傾いていると述べた。
独連邦統計局が13日発表した2022年通年の国内総生産(GDP)成長率は1.9%で、21年の2.6%から減速した。ブルームバーグの調査で見込まれていた1.8%は上回った。10-12月のエコノミスト予想はマイナス0.5%だった。
22年は2年間続いた新型コロナウイルス対策の制限が段階的に解除される中で始まり、当初は4%の高成長が予測されるなど大きな期待があった。だが、ロシアのウクライナ侵攻でコロナ禍からの回復が早期に失速、企業と政府は痛みの伴う転換を強いられた。
ブルームバーグが調査したアナリストらは、今年のドイツ経済について0.6%のマイナス成長を依然予測。キール世界経済研究所(IfW)はそれよりも強気で、0.3%のプラス成長へと12月に予測を引き上げた。
オーストラリアのアルバニージー首相は14日、引き続き中国との関係強化を目指す考えを示した。オーストラリアは最大の輸出相手国である中国との通商関係の全面的な回復を模索している。
同首相はクイーンズランド州タウンズビルで記者団に、「中国はわれわれの主要な貿易パートナーであり、関係を変革するために取り組んでいる」と指摘。「より前向きな関係を引き続き発展させていくことは両国の利益にかなうと確信している」と述べた。
低金利時代の行き過ぎた自由奔放な行動は、もう終わりだ。あの時代にはレバレッジは世界金融危機後の最高水準に達し、投資家保護は脇に追いやられ、膨れ上がった債務負担はレバレッジを小さく見せる怪しげな会計処理によって隠蔽(いんぺい)された。金利が急上昇し投資家がリスク資産から逃げ出している今、金融機関はやり方を修正しなければならなくなっている。
●市況
日経先物(大証)25803、ダウ先34416、債先144.22、米3.498、独2.1710、仏2.640、西3.159、伊3.998、波5.983、原油80.07、ドル円127.88、墨ペソ18.76、トルコリラ18.7675、墨CDS127
※1/13NY引け値
備忘録(2023/1/12)
●中国・ロシア・東欧
22年12月の総合指数は前年同月比1.8%上がったが、家計の購買力を映すとされる食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率は0.7%にとどまった。新型コロナウイルスをめぐる混乱で消費者心理が悪化し、節約志向が根強く残っている。
省をまたぐ移動制限が緩和されたことで、飛行機のチケット代は3割近く上昇した。
23年に入り、大都市ではコロナ感染がピークを越えたとの見方が多い。4年ぶりに移動制限がない春節(旧正月)休暇を迎え、消費の持ち直しを期待する声は多い。
気がかりなのが3年に及ぶゼロコロナ政策によって冷え込んだ消費者心理だ。国家統計局によると、同政策が緩和される前の22年11月の消費者信頼感指数は、確認できる1990年1月以降で最悪となった。上海市のロックダウン(都市封鎖)で景気が急激に悪化した2022年4月に付けたこれまでの最低水準を下回った。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
メルクは13日から中国へ抗ウイルス薬「ラゲブリオ」(一般名モルヌピラビル)の販売を始める。米ファイザーのコロナ治療薬「パクスロビド(日本での製品名パキロビッドパック)」は中国の公的医療保険で3月31日まで一時的にカバーされる。
販売の拡大は難航している。中国当局は8日、医療保険制度でカバーされる医薬品にファイザーのパクスロビドを今後は含めないと発表した。同社のアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は9日、4月以降の医療保険制度の適用について「中国政府が価格を受け入れていない。世界2位の経済大国に発展途上国のエルサルバドルより安い値段で治療薬を売るのは適切でない」と交渉決裂について語った。
米欧の製薬大手が中国に軸足を移そうとしているのは、感染が落ち着いた先進国でワクチンや治療薬の売上高が減少しているためだ。ファイザーの22年7~9月期は新型コロナワクチンの売上高が44億ドル(約5700億円)と前年同期に比べ66%減った。米モデルナのワクチン売上高は同32%減の33億6400万ドルにとどまった。同四半期の治療薬の売上高もファイザーで前四半期比7%減、メルクは同6割減となった。
一方、米欧でも新型コロナの感染は収束していないとの見方が多かった。変異型が各地で発生しており、各社はコロナウイルス関連製品の一定の需要が続くとみている。ビオンテックのウグル・サヒンCEOは「2022年には米国や欧州でそれぞれ25万人ほどの人がコロナ感染で死亡した。この先一年もウイルスは残るだろう」と語った。今後は重症化を防ぐワクチン以外に「感染そのものを防いだり、症状が出ないようしたりするワクチンが開発できないかも検討する」と話した。
今後は混合ワクチンへの期待も高まりそうだ。ファイザーのブーラCEOは「米国では1月1日以降もワクチンの自己負担がなくなった。インフルエンザとコロナ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)の3つのワクチンを無料で同時に接種できるのであれば、3つとも受けるという人が多いだろう」と強調した。
●その他産業
ペルツ氏が率いるトライアン・パートナーズが米証券取引委員会(SEC)に関連書類を提出し、ディズニーの利益水準の悪化や株価が8年ぶりの安値に落ち込んでいることを指摘した。世界的なブランドと規模があり知的財産(IP)を収益化しやすい企業にもかかわらず「最近の株価と業績は期待はずれ」といい、「魔法を取り戻す」と強調した。
ペルツ氏が取締役に加わることで過剰な支出を見直し、「ディズニー+(プラス)」を中心とする動画配信事業の利益率を改善するという。12日に米経済番組CNBCに出演したペルツ氏は「Huluを(完全に)買収するか、配信事業から手を引かなければならない」と述べた。約8兆円を投じた2019年の21世紀フォックス買収について「会社を傷つけた」と指摘した。
景気の減速感が強まるなかで、株価の低迷に直面する企業は少なくない。ペルツ氏のようなアクティビストが企業に経営改革を迫る例が増える可能性がある。
日本製鉄は4年8カ月ぶりの高値をつけ、欧米の製鉄株も年初から上昇が目立つ。中国の経済再開による鉄の需要回復期待が高まったことが背景にある。予想PER(株価収益率)が1桁台と代表的な割安株となっており、金利が高止まりする見通しの中で見直し買いの動きも出てきている。
●決算関連
背景について「顧客の在庫調整が続き、当社の工場稼働率が落ちている」と説明した。
通期見通しについても言及し、「世界の半導体市場(メモリーを除く)は4%減少すると予測するが、当社の下半期はHPC(高性能コンピューターなど)需要が回復し、通期ではわずかに前年を上回るだろう」と述べた。
米調査会社IDCによると、22年のパソコンの世界出荷台数は21年比16.5%減の2億9230万台に落ち込んだ。さらに直近の22年10~12月期に限れば28.1%減った。減少に歯止めがかかっておらず、今後さらにシリコンサイクルの「谷」が深くなる可能性に、業界は警戒する。
台湾のある半導体大手は「通常2カ月分の在庫が昨夏から増え始め、足元では6カ月分まで増えてしまった。今年は間違いなく、かつてない厳しい年になる」(同社幹部)と、肩を落とす。
半導体メーカーに設備を供給する製造装置メーカーにも既に大きな落胆の色が広がっている。台湾に進出する日系製造装置大手のある幹部は「顧客である台湾の半導体メーカーから、『23年前半は新規の商談はもう不要だから、6月まで、うちに営業は来なくていい』とまで言われた」と打ち明けた。
●マクロ・その他
2022年10~12月期の世界のパソコン(PC)出荷台数は、前年同期比28.5%減の約6530万台だった。四半期ベースの落ち込み幅は調査開始以来で最も大きかった。新型コロナウイルス流行による在宅勤務の広がりを受けたPC特需が一巡。インフレが進み世界的に景気後退懸念が強まるなか、新規購入や買い替えを見合わせる動きが広がっている。
22年12月通期の出荷台数は2億8600万台で、前の期比16%減だった。需要がしぼみ在庫が積み上がる中、年後半にかけて出荷台数の落ち込み幅が拡大した。
ガートナーは、PCの需要は20年から21年にかけての急拡大を経て縮小期に入ったと分析。需要の落ち込み傾向は「24年はじめまで続く」(アナリスト)と分析している。
上昇は4カ月ぶり。中央区や港区の既存物件で退去に伴う大型空室の募集が始まった。
23年は都心5区で約46万坪の新規供給が予定され、22年実績の2.8倍に相当する。オフィス仲介大手、三幸エステート(東京・中央)の今関豊和チーフアナリストは「IT(情報技術)や金融など外資系企業の需要を見込んで開発されていた」と指摘し、「景気不安から本国で人員削減が進むなか、日本でのオフィス戦略も見直す動きが広がるとの懸念が市場で広がっている」と話す。
●市況
日経先物(大証)26183、ダウ先34317、債先144.44、米3.447、独2.1270、仏2.594、西3.138、伊3.992、波5.885、原油78.31、ドル円129.13、墨ペソ18.85、トルコリラ18.7821、墨CDS131
※1/13 8時50分頃
備忘録(2023/1/11)
●中国・ロシア・東欧
社会保障費の支出増に加え、ウクライナへの軍事侵攻で戦費が急増したのが原因だ。足元では主要輸出品である原油の価格が低下しており、23年は財政状況が一段と厳しさを増す可能性がある。
ロシアの財政収支は21年に約5200億ルーブルの黒字だった。22年の赤字額は国内総生産(GDP)の2.3%に相当する。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で4.1兆ルーブルの赤字を計上した20年に次ぐ赤字幅となる。
ロシアの国家財政は歳入の4割前後を占める石油・天然ガス部門の収入に左右される。22年予算案ではロシア産石油の平均価格を1バレル62ドルと見込んでいたが、実際は1バレル76ドルまで上昇した。これにより歳入は2.8兆ルーブル増えたが、歳出の増加が上回った。
ロシアの国家財政は18~19年に黒字を確保するなど比較的安定していた。政府予算とは別に、石油・ガス部門からの余剰収入を積み立てた福祉基金が22年12月時点で約11兆4千億ルーブルあり、22年の財政赤字を吸収できる状況にあった。
23年以降の財政は不透明だ。予算案で想定した原油価格は1バレル70ドルだが、22年12月の平均価格は50ドルまで低下した。米ブルームバーグは1月9日、直近の取引価格が約38ドルまで低下したと伝えた。主要7カ国(G7)などが22年12月に導入したロシア産石油の上限価格が効果を上げている。
こうした値引きに世界経済の減速懸念が加わり、ロシア産原油の価格低下に拍車がかかっている。ロシア政府が23年の予算案で想定した原油価格は1バレル70ドルだが、22年12月の平均価格は50ドルまで低下していた。さらに米ブルームバーグは1月9日、直近の取引価格が約38ドルまで低下したと伝えた。
歳入不足を受け、プーチン大統領が11日に求めた「対応」の一つが、政府が保有する外貨の売却だ。中央銀行と財務省は同日、石油ガス収入の増減に応じて外貨を売買する「予算のルール」に従い、13日から2月6日までに不足分の545億ルーブル相当の外貨の売却を市場で実施すると発表した。
有力紙RBKによると、「予算のルール」に基づく外貨取引はこれまでドルやユーロで実施してきたが、今後は人民元となる。対立する欧米の通貨の取引には支障が生じるとの懸念があるほか、中国への石油ガス輸出が急増しているとの背景もあるとみられる。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
サイバー攻撃などの可能性は低いとみられるが依然として原因は不明で、米運輸省は解明を急いでいる。
がんの放射線療法の新手法で、診断と治療を一体化した「セラノスティクス」の実用化が広がる。スイスのノバルティスなど製薬大手が参入し、欧米では2022年に患者の多い前立腺がんで新薬が承認された。病巣を発見しながらピンポイントで攻撃し、副作用を抑える。世界市場は25年に5割増の1300億ドル(約17兆円)になる見通しだ。治療効果を高め、患者や医療財政の負担減につながる可能性がある。
●その他産業
EYとIIFは世界30カ国にある88行のチーフ・リスク・オフィサーを対象に聞き取り調査を行った。回答者の72%が「サイバーセキュリティー」を最も差し迫った課題にあげ、「クレジットリスク」(59%)を上回った。気候変動などの「環境リスク」は36%で3位だった。
地域ごとに危機を感じる要素に差も出た。地政学リスクを23年最大のリスク要因にあげた割合は、欧州の金融機関のチーフ・リスク・オフィサーでは62%に上った。世界全体では28%にすぎなかった。ロシアによるウクライナ侵攻が影響しているものとみられる。
米ブラックロックが最大500人の人員削減に踏み切ることが11日分かった。世界の従業員全体の3%未満に相当する。同社の人員削減は2019年以来となる。株式相場などの下落で運用手数料が減少するなか、コスト削減で収益環境の悪化に対応する。同社は直近3年で全世界の従業員を2割超増やしてきたが、人員の抑制にかじを切る。
EVの広がりは海外に比べて後れを取っている。中国は22年1~11月で新車販売の2割、欧州は1~9月で1割ほどをEVが占め、当初は出遅れていた米国も7~9月では5%まで高まった。
●決算関連
●マクロ・その他
米紙ニューヨーク・タイムズに対し、コリンズ氏は「ゆっくり調整することで、決定を下す前に入ってくるデータを評価する時間が増える」と説明し、利上げ幅を12月会合の0.5%からさらに減速したい考えを示唆した。コリンズ氏は投票権を持っていないが議論に参加している。
利上げの終了時期については「(0.25%の)利上げを3回実施すれば到達するかもしれない」として5月会合で政策金利を5.0~5.25%に引き上げる考えを示した。その後は「年末まで金利を維持するのが妥当な見通しだ」と話した。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は9日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで0.25%と0.5%の「いずれの利上げにも論拠を示すことができる」と話し、明言を避けている。
昨秋までのドル高を受け、外貨準備を取り崩し自国通貨を買い支える動きが膨らんだ。足元でドル高は一服しているが再び急激なドル高に転じる可能性もある。外貨準備がさらに減れば世界経済の波乱要因になりかねない。
世界の主要製造業の在庫に調整の兆しが出ている。2022年9月末は6月末比で1%減り、直前四半期末比では約3年ぶりの減少だ。世界景気の減速感が強まる中、供給網の混乱で歴史的水準に膨らんだ在庫をリスクとみなす動きが強い。主にパソコン(PC)関連などでの調整が目立つ。他業種でも調整が広がれば景気を一段と下押しする懸念もある。
●市況
日経先物(大証)26443、ダウ先34089、債先145.25、米3.550、独2.1525、仏2.658、西3.184、伊4.042、波5.918、原油77.60、ドル円131.95、墨ペソ18.95、トルコリラ18.7800、墨CDS131
※1/12 9時5分頃
備忘録(2023/1/10)
●中国・ロシア・東欧
オーストラリア・ニュージーランド銀行の中国担当シニアストラテジスト、邢兆鵬氏は「新型コロナの影響で、クレジット需要の実態は依然弱い」と指摘。理財商品の激しい売りも資金調達需要を損ねていると語った
●中東
孤立するロシア、イランは連携を強めて、友好国のあいだでの供給網(サプライチェーン)構想である「フレンドショアリング」推進を掲げる米国に対抗する意図もある。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ボーイングは10日、2022年の受注が前年比約6割増の774機だったと発表した。新規受注からキャンセルを差し引いた機数で、18年以来の高水準だ。納入は同4割増の480機だった。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ旅客需要が復活したうえ、製造品質問題の混乱が一段落して好調だった。小型機「737MAX」が特に好調で、納入機数の8割程度を占めた。受注は561機だった。
中型機「787」は31機を納入、114機を受注した。787は製造品質問題が発覚して納入を停止していたが、生産工程を改善したことでFAAが22年8月に引き渡しの再開を認めた。燃費性能が高いうえ航続距離も長いため、国内線だけでなく国際線でも投入する動きが相次いでいる。
大型機「777」は納入が24機、受注は開発中の次世代型機種「777X」も含めて合計68機だった。
●その他産業
●決算関連
世界的な電子機器の需要減少が同社の業績に悪影響を及ぼし始めた兆候と受け取れる。
TSMCが公表した月間データを基にブルームバーグが算出したところでは、売上高は43%増の6255億台湾ドル(約2兆7100億円)。アナリストの予想平均は6360億台湾ドルで、市場予想に届かなかったのは2年ぶり。TSMCが発表した12月の売上高は24%増の1926億台湾ドルだった。
●マクロ・その他
特別委は3日開会の新議会で多数派を握る野党・共和党のマッカーシー下院議長が提唱した。設置が決まった10日、「これは党派的な委員会ではないと約束する。米国が直面する課題にワンボイスで発信する超党派の委員会になるだろう」と述べた。
「中国の軍事力と経済力は世界中の自由と民主主義を犠牲にして増大している」とも強調。「バイデン政権が事態を悪化させたのは明らかだが、中国共産党を信頼する時代は終わったという超党派の合意がある」と訴えた。
委員長には共和のマイク・ギャラガー氏が就く予定だ。元海兵隊の情報将校で、外国政府・組織によるスパイ活動など機密情報を扱う部門に所属した。米メディアで「中国共産党を米国の敵とみなしている」と明言。中国発動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を米国で使用するのを禁じる法案を超党派の有志議員と提出した。
5カ月連続の1ケタ台で、21年2月(5.2%)以来の低い水準となった。22年4月に今回のインフレ局面で最も高い12.13%となり、その後は下落基調で推移している。1年前の21年12月(10.06%)からは大幅に下がった。
ガソリン価格は低下した一方で、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う肥料価格の上昇で、タマネギやトマト、豆といった農産物の価格は上昇している。
カリフォルニア州は2022年末から断続的に、例年にない豪雨や強風に見舞われている。大量の水蒸気が流れこむ「大気の川」と呼ぶ現象によって雨雲ができやすくなっているためで、10日には州全域、11日には州北部で大雨が予想されている。
晴天の多い同州は雨への耐性が弱いインフラが多く、道路が川のようになったり、陥没したりといった被害が各地で発生している。一連の嵐による死者は10日昼までに16人にのぼり、行方不明者も出ている。州当局は「過去2年間の山火事よりも多くの命を奪っている」と指摘した。
マクロン氏は大統領任期の1期目から年金改革を主張してきた。フランスの年金制度は他国と比べて受給開始年齢が早く、財政への負担が大きいためだ。経済協力開発機構(OECD)によると17年時点のフランスの年金向け公的支出は国内総生産(GDP)比で13.6%だった。OECD加盟国平均(7.7%)を大きく上回る。
マクロン氏は22年春の大統領選でルペン氏との一騎打ちを制し、ロシアの侵攻を受けるウクライナ支援などで活発な外交活動を展開している。一方で内政は苦戦中だ。6月の下院選で与党連合が過半数割れしたために議会運営は難航し、ボルヌ氏は憲法の規定を繰り返し適用して予算案を強行採決せざるを得なかった。
マクロン氏は大統領として1期目の任期中にも年金改革を打ち出したが、大規模なストライキに阻まれて実現できなかった。再び失敗すれば求心力の低下は避けられない。2度目の挑戦で長年の持論を実現して仏内政に足跡を残せるか、早くも2期目の正念場を迎えている。
2023年の世界経済の実質成長率見通しを1.7%に引き下げたと公表した。半年前の前回見通しで示した3.0%から下方修正した。世銀は「高インフレと、それに対応した各国の利上げが世界経済を景気後退に追いやる危険性をはらんでいる」と指摘した。
先進国は0.5%と前回見通しから1.7ポイント引き下げた。9割以上の国・地域で下方修正になった。米国を0.5%、ユーロ圏を0%成長とした。いずれも前回見通しから1.9ポイントの大幅な下方修正とした。日本の引き下げ幅は0.3ポイントと小幅で、成長率見通しは1.0%になった。
新興国・途上国の成長率も23年は3.4%と0.8ポイントの下方修正になった。新型コロナウイルス禍の感染拡大が続く中国は0.9ポイント引き下げて4.3%とした。新興国も7割が下方修正となった。輸出の低迷、高インフレと通貨安、資金調達環境の悪化を反映した。
23年の世界経済成長率が予想通りになれば2000年以降ではマイナス成長に沈んだリーマン危機後の09年、コロナ禍の20年に次ぐ低成長となる。21年は5.9%と回復したが、22年は2.9%に減速する見込みで、23年はさらにブレーキがかかる。24年は2.7%と予想している。
新型コロナウイルスの感染拡大や世界的な物価高騰で、アフリカの財政状況が悪化している。頼りとしてきた中国も融資方針を見直し、債務不履行(デフォルト)の懸念が一部で現実のものになった。深刻化する気候変動問題への適応で巨額の資金が必要となる各国の財政負担は一段と膨らむ見通しだ。
アフリカでは20年にザンビアが、22年2月にマリがデフォルトに陥っている。財政の弱い国が多く、主要国の利上げで国際市場での資金調達は一段と難しくなった。ロシアのウクライナ侵攻が食糧や原油の価格を押し上げ、ドル高でさらに輸入コストが膨らんだ。
格付け会社フィッチ・レーティングスは、南アフリカを除いたサハラ砂漠以南のアフリカ諸国について「対外債務支払いの負担は23~25年に増え続ける」と予測する。
借金苦のアフリカ諸国は、IMFなど国際機関に支援を求める一方で、中国を含む債権国から債務再編の合意を取りつける必要に迫られる。同研究所は「中国と西側諸国にはアフリカの債務問題に取り組む共通の利益がある」と指摘した。アフリカの対外債務は2000年から20年にかけて5倍以上の6960億ドルに膨らみ、中国向けが12%を占めると分析している。
現在の予想が正しく、政策金利が5%程度まで引き上げられる確率は50%で、6%まで引き上げなければならない確率も50%あると、ダイモン氏が10日放映されたFOXビジネスとのインタビューで語った。
5%程度という現在の予想についてダイモン氏は「私は、十分ではないのではないかと考える方だ」とした上で、「3カ月か6カ月待ってみることに害はないと思う」と述べた。
2022年終盤の経済が予想以上に底堅く、天然ガス価格が大きく下落し、中国が新型コロナウイルス対策の制限を予想外に早く撤廃したことが見通し改善につながった
●市況
日経先物(大証)26320、ダウ先33847、債先145.52、米3.611、独2.2740、仏2.786、西3.329、伊4.212、波6.022、原油74.58、ドル円132.12、墨ペソ19.06、トルコリラ18.7902、墨CDS131
※1/11 9時00分頃
備忘録(2023/1/9)
●中国・ロシア・東欧
中国の当局者は景気てこ入れを強化するため、今年は地方政府の特別債発行枠を過去最大とするほか、財政赤字目標の引き上げを検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。
非公表の情報だとして匿名を求めた同関係者によれば、当局は発行枠を最大3兆8000億元(約74兆2000億円)とすることを協議している。これまでの最高は3兆7500億元だった。
財政赤字目標は2023年の対国内総生産(GDP)比で3%程度が検討されている。これは昨年の同2.8%を上回る水準となるが、20年の同3.6%は下回る。
中国当局がこれまでに認めた今年の原油輸入割当量が、昨年の同じ時期を既に上回っていることが明らかになった。「ゼロコロナ」政策の本格的終了に伴い、精製業者の生産が拡大に向かう兆候と受け取れる。
事情に詳しい複数のトレーダーによれば、中国当局は昨年12月時点で、国有以外の44の精製業者などへの2023年2回目の割当量として、合計1億1182万トンの原油輸入を認める方針を示した。
新型コロナウイルス感染の勢いが大都市で落ち着き始め、人の移動が正常化すると見込まれる今年4-6月(第2四半期)以降は、中国の石油需要が有意な増加を示すと予想される。精製業者はエネルギー需要を賄うため生産を拡大し、輸入割当量の増加分を活用できることになりそうだ。
●中東
2月で69歳になるエルドアン氏は、ほぼ20年にわたりトルコの政治を牛耳ってきた。選挙は当初、6月18日の実施が見込まれていた。同氏が大統領選を1回目の投票で勝利するには、50%以上の得票を必要とする。そうでない場合、2週間後に行われる2回目の投票にもつれ込む。6党から成る野党連合はまだ統一候補を発表していない。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
高血圧治療薬を手掛ける米製薬のシンコル・ファーマを買収すると発表した。シンコル・ファーマ1株当たりの取得価格は26ドルと6日終値の約2.2倍の水準に設定しており、実現すれば買収額は最大18億ドル(約2370億円)に達する見込み。
買収は2023年1~3月期中に完了する見通し。開発中の新薬の進展に応じて対価を受け取るCVR(成功対価受領権)も設定している。シンコル社は従来の治療手法が効かない治療抵抗性の高血圧に対応する降圧薬「バクスドロスタット」を開発している。23年前半に大規模な臨床試験(治験)段階にあたる「フェーズ3」を始めるとしている。
米CDCによると、米国での高血圧患者は約1億1600万人にのぼるという。シンコル社はそのうち治療抵抗性の高血圧の患者は1300万~1500万人にのぼると推計している。高血圧は心臓病や脳卒中などのリスクを高める危険がある。
●その他産業
アップルは昨年4-12月にインドから25億ドル(約3300億円)強の「iPhone(アイフォーン)」を輸出し、前年度全体の約2倍に達した。地政学的な緊張が高まる中で、同社が中国からのシフトを加速していることが裏付けられた。
事情に詳しい複数の関係者によると、受託生産を手掛ける台湾のフォックスコン・テクノロジー・グループと緯創資通(ウィストロン)は同期間にそれぞれアイフォーンを10億ドル余り出荷。
イースターブルック氏は罰金の支払いに同意した。5年間、上場企業の取締役や役員を務めることも禁じられる。同氏は当初、社内の行動規範に反して1人の社員と関係を持ったと説明したが、その後の調査で複数の従業員が対象になったことが判明。マクドナルドは20年8月に「役員会に虚偽報告をして巨額の報酬を受け取った」として退職金などの返還を求めて提訴し、21年12月に総額1億500万ドルの支払いで和解していた。
●決算関連
発表資料によると、9-11月期は投資銀行部門の総収入が約52%減少して5億6850万ドル(約750億円)だった。ブルームバーグ集計のアナリスト予想平均5億5040万ドルは上回った。
●マクロ・その他
非公開情報だとして同関係者が匿名を条件に語ったところでは、週半ばにプロセスを開始する見込みで、全体の削減数が3200人を超えることはないという。うち3分の1強が中核のトレーディング・銀行部門となる公算が大きく、今回の人員削減が広範に及ぶことが示唆された。同社はまた、クレジットカードや割賦金融事業を網羅する新部門の財務状況も公表する方向で、20億ドル(約2630億円)余りの税引き前損失を計上することになるという。
ポジャール氏の分析によると、相対価値トレーディング戦略をとるファンドは米国債がオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)に比較して大きく値を下げない限り、米国債を買うことはない。銀行も資金が細る中で、米国債の購入ではなく調達市場に向かう公算が大きい。為替ヘッジ付きで米国債を買っていた向きはコスト上昇で「手が出せなくなり」、地政学的なイベントで米国債に対する大手運用者の投資意欲も減退した。
逃げ足の速い買い手の需要が弱まって米国債入札の需要は低下し、株式やクレジット、新興国市場の売りを引き起こすだろうとポジャール氏は指摘した。「詰んだも同然だ」とポジャール氏は述べ、「米当局の方向転換はなく、ターミナルレートはさらにもっと上昇する必要があるかもしれない。このいずれも、リスク資産や米国債にとって好ましくはない」と続けた。
結果的に、米当局は昨年6月に始めたバランスシート縮小を停止し、市場を支えるため米国債購入を再開するとポジャール氏はみる。
ただ、「それがリスク資産を押し上げると期待すべきではない。低金利とリスク資産下支えの文脈で行われた量的緩和(QE)とは異なり、次のQEは米国債市場の機能不全という背景で実施される。高水準の金利でスワップスプレッドの秩序を保つことが目的で、利回りを低く抑えてリスク資産の価格を押し上げることが目的ではない」と説明した。
6日発表の米雇用統計で賃金の伸びが鈍化し、非製造業総合景況指数が予想外に縮小圏に陥ったことが明らかになると、米国債は短期債を中心に幅広く上昇した。これらの統計は、数十年ぶりのペースで進む米当局の利上げサイクルが終わりに近づき、年内にも金融政策の緩和が始まるとの臆測を強めた。
雇用統計発表後に見られた短期債のアウトパフォームは「安心感の表れだ。賃金の大幅な上昇は恐らくピークを過ぎた。これは米当局にとって朗報だ」とクレディ・アグリコルの米国金利戦略責任者、アレックス・リー氏は述べ、「まだすべきことはあるだろうが、当局は恐らく引き締めサイクルの終わりに近づいている」と続けた。
これまでの市場のボラティリティーの大きさや、長期債利回りが短期債利回りを引き続き大きく下回っている状況を踏まえれば、米国債市場の最近の動きが持続するという確証は全くない。さらに言えば、金利は上昇が続き、目標とする2%に向けてインフレ率が低下するまでピーク水準で据え置かれる公算が大きいと強調する当局者と金融市場の隔たりも依然大きい。TDセキュリティーズの金利戦略グローバル責任者、プリヤ・ミスラ氏は、米当局の利下げ回帰を織り込もうとしている市場は誤りだと主張する。同氏の見解によれば、米当局は主要金利を5.5%前後まで引き上げ、その水準で年内は維持する可能性が高い。米10年債利回りはこれまで以上に大きく2年債を下回るだろうという。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.25-4.5%。
米国債の全年限について強気を崩しかねない別のリスクもある。インフレが根強く景気が底堅いと経済統計で明らかになれば、市場で現在織り込まれている緩和見通しが巻き戻され、米国債利回りを一段と上昇させる可能性がある。
トレーダーはこうした事態に備えていない。2年債、10年債の利回りは現在4.25%と3.56%前後で、いずれもFF金利の年内のピークと見込まれている水準を大きく下回る。6日は2年から5年の利回りがそれぞれ21ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)かそれ以上に低下し、30年債利回りはその約2倍低下した。
ストに参加したのはニューヨーク市マンハッタンでも利用者の多い総合病院のマウントサイナイ病院と、ブロンクス地区で主要医療機関として知られるモンテフィオーレ病院で働く看護師ら約7000人。ニューヨーク州でニューヨーク州看護師組合(NYSNA)に所属する約4万2000人の看護師の17%にあたる。米CNNによると、参加者は医療現場での人手不足を訴え、病院側が提示した3年間で約19%の賃上げでは不十分だとしている。
ニューヨーク州のホークル知事は8日に声明を出し、ストを回避するべく仲裁を持ちかけたが、NYSNAはこれに応じなかった。一部病院では新生児を他の病院に移したり、手術を延期したりするなど、ストの影響が広がっている。
NYSNAは8日、マウントサイナイ医科大学の付属病院の1つであるマウントサイナイ・ウエスト病院、マウントサイナイ・モーニングサイド病院と条件面で暫定合意し、ストを回避した。3年間で19.1%の昇給を約束したほか、看護師の人員配置について改善措置をとることなどを盛り込んだ。正式な合意までには、組合員がこの条件を批准する必要がある。
2022年12月の消費者物価指数は、前年同月と比べて7.82%上昇した。インフレ率は直近のピークの8.7%を下回った。市場ではメキシコ銀行(中央銀行)が2月に開く金融政策決定会合で利上げ幅を縮小するという見方が出ている。
22年12月は食料品と飲み物、たばこの価格が前年同月と比べて14.14%上昇した。果物と野菜の価格は同7.22%上がった。農産物とエネルギー価格を除くコアインフレ率は8.35%だった。食料品の品目別では、ソースなどに使うトウガラシの一種が前月比で39.65%、トマトは同3.86%、それぞれ上昇した。
メキシコ政府は6日、インフレ対策として一部の輸入品の関税を免除する一時的な措置を23年末まで延長すると発表した。同国政府は22年5月、23年5月までの期間限定で食料品の関税を免除する政策を発表していた。市民生活への影響が大きい食料品を中心に価格上昇を抑えたい考えだ。
2022年11月の消費者信用残高(速報値、季節調整済み)は、年率換算で前月比7.1%増えた。金額ベースの残高は4兆7572億ドル(約630兆円)と前月から約280億ドル増え、増加幅はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(250億ドル程度)を上回った。
クレジットカードなどの「リボルビング払い」ローンは前月から16.9%増加し、22年8月以来の大きな伸び率となった。自動車ローンや学生ローンなどの「非リボルビング払い」ローンは前月比3.9%増で、同年1月以来の低い伸びにとどまった。
ロンドン金属取引所(LME)で昨年発生したニッケルの大規模なショートスクイーズ(踏み上げ)で渦中にいた富豪の項光達氏が、傘下企業の生産構成に大幅な変更を計画している。世界的な供給の流れを一変させ、ニッケル相場が新たな変動に見舞われる可能性がある。
事情に詳しい複数の関係者によると、項光達氏が所有する中国のニッケル生産大手、青山控股集団は、同社がバッテリー製造用に供給する中間体に対して、ロンドンや上海の取引所で受け渡し可能なニッケル地金価格に並外れて大幅なプレミアムが付いていることに着目。そこから利益を得ようとしている。
青山は既にインドネシアにニッケル精錬施設を建設中だが、原料をより価値の高い地金に精製することについて、経営が苦しい中国国内の複数の銅製錬施設と協議に入っていると、非公開の情報だとして匿名を要請した関係者は語った。協議がまとまれば、同様の動きをとっている国内同業と合わせ、今年の中国のニッケル地金生産は昨年の18万トンから倍増し、世界全体の生産を約20%押し上げる可能性がある。
青山の動きは、ニッケル市場で広がるかい離への対応だ。フェロニッケルや水酸化ニッケルなど、市場で現在支配的な中間体を青山などがインドネシアで増産したため、ニッケル全体では数年にわたり供給過剰が続く。関係者によると、項氏など中国のニッケル生産企業は同国内で電気自動車(EV)需要が弱まる見通しにも懸念を強めているという。
一方で、ニッケル地金の供給は引き続きひっ迫し、他の金属と比べ価格が比較的高止まりしている。
供給の動きに変化が生じれば、LMEのニッケル取引に新たなボラティリティーが生じる可能性がある。LMEのニッケル相場はここ数カ月、薄商いと取引時間短縮の中で荒い値動きに見舞われることが多々あった。LMEはまた、1週間にわたり取引を停止し、いったんは成立した巨額の取引を取り消した危機の影響から完全には回復できていない。この危機については、週内に独立した機関による検証結果が公表される見通し。
●市況
日経先物(大証)26202、ダウ先33660、債先146.04、米3.527、独2.2325、仏2.734、西3.275、伊4.169、波5.820、原油74.78、ドル円131.71、墨ペソ19.14、トルコリラ18.7608、墨CDS131
※1/10 8時35分頃
備忘録(2023/1/6-8)
●中国・ロシア・東欧
8日付の中国共産党機関紙、人民日報に掲載されたインタビューで郭氏は、「景気回復の鍵となるのは現在の総収入を可能な限り消費と投資に回すことだ」と述べた。コロナで影響を受けた人の収入拡充に向けた対策を講じ基本的需要を満たし消費を喚起していくことを約束し、金融部門は住宅や自動車の購入を促す商品の開発が必要だとも指摘。また、金融政策はより民間企業を支援する方向とし、新規株式公開(IPO)と起債への支援を厚くし資金調達チャンネルを拡大する意向も示した。
●中東
6月までに大統領選・議会選を控えるトルコのエルドアン政権が財政出動を加速している。1月からの最低賃金を1年前の2倍に増やしたのに続き、年金の受給対象者を拡大。低金利の住宅ローンなどを矢継ぎ早に打ち出している。
政権は財政出動の拡大を急ぐ。12月末には年金の受給開始年齢の下限を撤廃すると表明した。一定の就業期間などを満たせば40代でも年金を受け取れるようになる。新たに200万人超が対象者となる見込みだ。
4日には中所得層を対象に最大500万リラ(約3500万円)の住宅ローン、5日には農家など向けにいずれもインフレ率を大きく下回るローンの提供を表明した。
こうした歳出の拡大は一時的に家計の痛みを和らげる一方、中長期的には物価への上昇圧力となる。選挙の実施期限である6月半ばまで効果がもたないとの見方もあり、前倒し選挙の観測も強い。
イラン司法府は7日、反スカーフデモで革命防衛隊傘下の民兵組織バシジの隊員を殺害したとして、死刑判決を受けたデモ参加者の男2人に対して、同日朝に絞首刑を執行したと発表した。デモ参加者の死刑執行は計4人となった。体制側は抗議デモを徹底的に弾圧する姿勢を強調しているが、欧米は非難を強めている。
米財務省は6日、無人機を製造するイランの主要メーカー「コッズ航空産業(QAI)」の幹部6人を制裁対象に加えたと発表した。ウクライナではロシアの無人機による攻撃が続いており、撃墜された中にイラン製のものが見つかっている。米財務省はイランがロシアに提供したと断定した。
トルコがシリアのアサド政権との関係修復に動いている。ロシアの仲介で国防相同士が会談し、エルドアン大統領は首脳会談への意欲も示す。トルコ国内では約400万人のシリア難民に対する不満が高まっており、選挙前に難民の帰還へ道筋を付けたい考えだ。
「トルコ、ロシアとシリアはモスクワで(対話の)プロセスを開始した」。エルドアン氏は5日、首都アンカラで行った演説でシリアとの関係改善に向けて動き始めたことを明らかにした。
昨年12月末にはモスクワでロシアを交えた3カ国の国防相同士が会談した。エルドアン氏によると、3カ国で近く外相会談を実施したうえ「その後は状況に応じて首脳同士で会う」といい、首脳会談も視野に入れる。いずれも実現すれば2011年に始まったシリア内戦で関係が断絶して以来初めてとなる。
民主化運動「アラブの春」をきっかけに始まったシリア内戦で、トルコは反体制派を支援し、国民を弾圧するアサド政権の打倒を目指してきた。トルコは戦闘や政権の弾圧から逃れる難民をイスラム教徒の同胞として受け入れ、その数は400万人に上るとされる。
だが、アサド政権はロシアやイランの支援を得て主要地域の支配を固め、政権の打倒は現実的でなくなった。一方で滞在が長期化する難民に対するトルコ国民の不満は募り、難民問題は6月までに大統領選と議会選を控えるエルドアン氏にとってアキレスけんとなっている。
「難民がいなくなった」。8日朝、トルコ最大野党、共和人民党(CHP)の広報担当者はぼうぜんとした。同党のクルチダルオール党首がイスタンブール郊外で難民の「送別会」を開く予定だったが、政府側が前夜に先回りして該当の難民数十人をシリアに出発させてしまったことが分かったという。
難民の受け入れは「虐げられたイスラム教徒の守護者」を自任するエルドアン氏が積極的に進めた。一方、野党はアサド政権と関係を修復して難民を帰すべきだと主張。以前から帰還希望者を南東部のシリア国境まで送り届けるなどの事業を続け、支持の拡大につなげてきた。
調査会社メトロポールが21年に行った世論調査では、8割以上の人が「難民は帰還すべきだ」と回答した。22年12月の同調査では59%がアサド政権との対話に賛成を示し、中でもエルドアン氏の与党・公正発展党(AKP)支持者の間では6割を超え、政権も難民に厳しい態度を取らざるを得なくなっている。
選挙前に難民問題を前進させたいエルドアン氏に対し、アサド政権側は慎重なもようだ。トルコは国境に近いシリア北部のクルド系武装勢力の掃討を目的として空爆や越境軍事作戦を繰り返し、シリア国内で支配域や影響圏を広げてきた。クルド系武装勢力はアサド政権とも緊張関係にあるが、アサド政権はトルコの攻撃が主権の侵害にあたるとして反発を示してきた。
アサド政権としてはトルコと協力すればクルド系勢力から支配地域を奪還できる可能性が高まる一方、トルコの影響力は排除したい思惑がある。条件を巡ってトルコと駆け引きをしているとみられる。
アサド政権には、化学兵器を使って自国民を虐殺したなどの疑いがある。米国は「残忍な独裁者アサドを復権させることになる」として、トルコとシリアの改善を支持しない考えを示した。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米公的医療保険の適用対象になれば患者自己負担は1日14.5ドルと推定される。内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は「社会的価値を含めて評価されるべきだ」と述べ、今後の普及に意欲を見せた。主な一問一答は以下の通り。
「3年後にレカネマブの投与対象者は米国で10万人となる見通しで、2030年にはアジアなどを含めたグローバルで約250万人に達すると推計している。30年以降に(薬剤の売上高の)ピークが訪れる。販売直後は利益を大幅にあげるのは難しいが、販売2年目の後半以降から収益に貢献すると期待している。ただ、投与対象者となる患者を調べる血液を使った診断手法など、検査技術の普及も必要な要素となる」
●その他産業
償還期限は2025年2月10日までの2年債となる。日本格付研究所(JCR)からシングルAの格付けを27日に取得する予定だ。
組織再編の一環として4月までに人員削減に踏み切る方針を表明した。対象となる職種や人数などの詳細は明らかにしていない。出店は拡大する一方で、人員の再配置や運営システムの効率化などを進める方針だ。
ケンプチンスキー氏は従業員にあてたメモで、人員の削減や配置の見直しなど「難しい決断を下す」と述べた。4月3日までに詳細を決め、対象となる従業員に告知する。6日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「現在ある職種のいくつかは別の仕事に移行するか、なくなるかもしれない」とも語った。同社や直営店で働く従業員は約20万人に上る。
新店舗の開発計画を進め、出店を増やす方針も表明した。「過去数年にわたり獲得してきた需要を完全に取り込むには、出店ペースを加速させなければならない」と述べた。具体的な出店数や地域などは明示していない。
英シェルは6日、英国と欧州連合(EU)がエネルギー企業に課す増税策によって、2022年10~12月期に約20億ドル(約2600億円)の負担が生じる見通しだと発表した。欧州ではウクライナ危機に伴う原油高などで得た利益に追加課税し、インフレに苦しむ家計支援の財源を確保する動きが広がっている。
欧州では「ウインドフォール課税」と呼ばれ、自助努力でなく偶然に得られた利益に対する課税強化が相次いでいる。英国は22年5月に石油・ガス会社の利益に対する追加課税を導入し、23年1月から28年3月まで税率を25%から35%に引き上げた。EUも22年にエネルギー企業の利益の一部を徴収することを合意した。
●決算関連
●マクロ・その他
メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)が6日発表した2022年通年の自動車生産台数は前年比9.24%増の330万8346台だった。世界的な半導体不足で低迷していた生産体制が回復しつつある。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前だった19年の水準は下回った。
22年12月単月の全体の生産台数は前年同月比4.45%増の23万9536台と、通常操業の目安とされる30万台には届かなかった。
メキシコでは新型コロナウイルスの感染拡大で20年4月に一時的に工場がほぼ止まる状況に陥った。20年後半から回復傾向にあったが、21年に部品不足や物流網の混乱が起きてからは生産台数が再び落ち込んだ。22年以降は各社の生産が盛り返しつつあるが、全面的な回復には至っていない。
野党・共和党ではマッカーシー氏の議長就任に反対してきた保守強硬派が影響力を強めるのは確実。上下両院の多数派が異なる「ねじれ議会」は、もともと政策遂行の障害になる懸念があったが、今回の議長選出は米議会が機能不全に陥るリスクを露呈させた。
共和内にはロシア侵攻を巡る対ウクライナ支援を縮小すべきだとの意見がある。バイデン氏は「国家安全保障を守ることは不可欠で、資金不足に陥らないようにしなければならない」とした。
共和内でマッカーシー氏の議長就任に反対してきたのは保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議連)」に所属する議員が多い。議長就任を悲願としてきたマッカーシー氏が「ウクライナは重要だが、白紙の小切手は切らない」と繰り返したのは、巨額予算の継続に慎重なフリーダム・コーカスの存在があった。
当面の懸念は政府債務の法定上限を引き上げられない事態だ。歳出拡大で債務は膨張を続け、近く31.4兆ドルの上限に達する。下院共和が引き上げに応じなければ、米財務省が特別な措置を実施しても早ければ23年夏に米国債が史上初めて債務不履行(デフォルト)に陥るおそれがある。
与党・民主党も内紛と無縁ではない。中間選挙で上院(定数100)は民主が1議席を積み増して51議席としたが、選挙後に民主のシネマ氏が離党を表明した。かろうじて多数派を維持するが、これまでシネマ氏とともに同じ中道派のマンチン氏は党の看板政策や方針にたびたび反対した。
民主は財政政策や気候変動対策など主張が異なる議員の寄り合い所帯とされる。左派に配慮すれば中道派が反発して政策をまとめられない民主のジレンマは、共和が下院で多数派を握ったことで一段と複雑になる。
航空会社の国際線も上向いているものの、国内線と比べると回復が遅れている。ANAとJALの合計で28万2665人と21年度の5.4倍になったが、19年度比では5割の水準にとどまった。中国路線の旅客数は19年度の5~6%台と低迷が続く。
一方で東南アジア線との乗り継ぎ客も多い北米線はANAが19年度の8割、JALは98%まで回復した。北米などに就航するJAL傘下の格安航空会社(LCC)ジップエア・トーキョー(千葉県成田市)は、12月30日の日本発の搭乗率が99.4%とほぼ満席になった。
2022年12月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比9.2%上昇した。伸び率は2カ月連続で鈍化し、3カ月ぶりに10%を下回った。資源高が一服し、政府のインフレ対策もあって、域内の物価差は目立つ。欧州中央銀行(ECB)はインフレの長期化を視野に、利上げを続ける。
市場予想の9.7%を下回った。米国と同じくインフレはピークを迎えた可能性が高いものの、米国で消費者物価の伸び率が7%台で推移するのに比べると高水準にある。
品目別の伸び率はエネルギーが25.7%と、9~10月の40%超から大幅に鈍化した。一方、食品は13.8%、サービスは4.4%と加速した。エネルギーや食品などを除いても5.2%と11月から一段と高まり、インフレ基調は衰えていない。
国ごとの差も目立つ。ドイツは9.6%と4カ月ぶりに10%を下回った一方、ラトビアやリトアニアは20%台で推移した。最も低いスペインでも5.6%だった。インフレ率が2桁の国はユーロ圏のおよそ半分にあたる9カ国に上った。
昨年12月の米雇用統計では雇用者数が引き続き力強い伸びを示したが、賃金の伸びが鈍化。近くリセッション(景気後退)入りする可能性を排除しつつ、米金融当局に利上げペースを減速させる余地を与えた。
平均時給は前月比0.3%増(市場予想0.4%増)、前年同月比では4.6%増加した。11月は共に下方修正された。平均時給の伸び鈍化は金融当局に歓迎される可能性が高い。当局はインフレ率を目標の2%に戻す上で、特にサービス業の賃金圧力が大きな障害になっているとみている。
米連邦準備制度理事会(FRB)元理事で現在はシカゴ大学ブース経営大学院の経済学教授であるランドール・クロズナー氏は「金融当局は雇用減速を望んでいるわけではない。望んでいるのは賃金上昇率の低下だ。それは持続的なインフレを懸念していることが理由だ」と指摘。この統計により、2月と3月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合では「50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ではなく25bpの利上げが実施される可能性が高まったかもしれない」と述べた。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、アナ・ウォン、イライザ・ウィンガー両氏は「12月の非農業部門の統計は熱過ぎず、冷た過ぎないゴルディロックス的な内容のようだ。労働力人口が増える中でも雇用が力強かったため、失業率を押し下げたが、賃金の伸びは鈍化した。労働市場の勢いは昨年末にかけて若干弱まったが、再び加速している可能性がある」と指摘した。
前月からの低下幅は約7ポイントと、新型コロナ禍初期の2020年4月以来の大きさ。厳しい寒波の影響で、年末時期の移動が混乱したことや広範な地域で停電が起きたことが影響した可能性がある。
寒波は12月末までに過ぎたが、指数の弱さが今後も続いた場合は経済が勢いを欠いていることを示唆する。12月は不動産や卸売りなど6つの業種が活動縮小を報告した。
ISM製造業指数の生産に相当する業況の指数は54.7と、前月比で10ポイント低下。新規受注の指数はそれ以上に下げた。いずれの低下幅も同じく20年4月以来の大きさとなった。
12月はISM製造業総合景況指数も2カ月連続の活動縮小となった。しかし、製造業者が顧客在庫は適切な水準付近にあると報告したのに対し、サービス業者は在庫水準が高過ぎるとみていることがこの日の統計で示された。非製造業の在庫センチメント指数は前月比12ポイント近く上昇して55.9と、20年6月以来の高水準となった。
非製造業指数の仕入れ価格指数は2カ月連続で低下し、67.6。約2年ぶりの低水準だが、長期平均を依然上回っている。
雇用の指数は49.8と、過去3カ月で2回目の縮小圏。一部業界で従業員数が減少したことを示唆する。景気の不透明感が続く中で、人員補充が困難な状況と採用を抑制している様子が浮き彫りになった。
米ウォール街の2023年について多くの予想は、世界経済は縮小しリスク資産にとって厳しいものになると、あまり明るいものではなかった。だが、1月の取引が勢いを増すにつれて、少数の楽観主義者らはコンセンサスから外れ、ソフトランディング(軟着陸)が市場にプラスに働く可能性に賭けている。
リセッション見通しは社債市場でも後退しつつある。高格付け債とジャンク債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドの格差が昨年9月以降、100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り縮小している。これは、景気の大幅な悪化が最も脆弱(ぜいじゃく)な社債をデフォルト(債務不履行)に導く恐れは低下していることを示唆する。ただし、依然としてパンデミック前の水準は上回っている。
レーン氏は米ニューオーリンズで開かれたパネル討論に参加し、6日発表された昨年12月のユーロ圏インフレ率について「全体のインフレ動向にとって決定的なものではない」と指摘。ロシアのウクライナ侵攻が引き起こしたエネルギーショックや新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)からの経済再開が「向こう2年から3年にわたって」賃金に影響を及ぼすだろうと論じた。
賃金の上昇率は今のところ物価の伸びに追いついておらず、「今後数年のインフレを圧迫する」かい離が生じているとレーン氏は指摘した。
●市況日経先物(大証)26135、ダウ先33772、債先146.04、米3.560、独2.1950、仏2.710、西3.266、伊4.215、波6.115、原油73.73、ドル円132.10、墨ペソ19.14、トルコリラ18.7500、墨CDS134
※1/6 NY引け値
備忘録(2023/1/5)
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
マッカーシー氏は年明け早々に反対派を取り込むため譲歩案を示した。5人の議員が賛同すれば議長解任の採決をできるようにするのが柱だったが、反対派はひとりが提案すれば可能になるよう要求した。
米CNNは4日、マッカーシー氏がこれまで拒んでいた保守強硬派の提案を部分的に認めることに同意したと報じた。議長解任の手続きに加え、議員の任期制限や委員会の独立性強化なども対象になったもようだ。
トランプ氏の仲裁も現時点で効果は出ていない。4日の投票前にSNS(交流サイト)で「ケビン(・マッカーシー)に投票し、勝利する時が来た」と投稿して賛成するよう促したが、3日より造反議員が増えた。
カンザスシティー連銀のジョージ総裁はこの日、米経済専門局CNBCとのインタビューで、フェデラルファンド(FF)金利予測に言及し、「私は自分の予想を5%超に引き上げた」と発言。「インフレが当局の2%目標に向かって説得力ある形で鈍化し始めているという兆候が得られるまで、その水準に当面とどまると私はみている」と述べた。
24年になっても金利を5%超で維持することが適切になるというのが予測かどうかとの質問には、「私にとってはそうだ」と答えた。
アトランタ連銀のボスティック総裁は、インフレ率が「あまりにも高過ぎ」て引き続き「最大の向かい風」になっていると指摘。当局が目標レンジに向けて物価を押し下げる決意を堅持しているとあらためて話した。
2年債と5年債の2本立てで、米国債に対する上乗せ利回りはいずれも370ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。事情に詳しい関係者が明らかにした。投資適格級のリスクプレミアムとしては極めて高い。
オランダの銀行ラボバンクが起債した2年債のスプレッドは65bpだった。
4月30日に実施される大統領選に出馬する左派野党連合のアレグレ候補はロイター通信に対し、当選の暁には台湾と断交し、中国と国交を結ぶ意向を明らかにした。同通信が5日伝えた。牛肉や大豆の主要生産国のパラグアイは、南米で唯一台湾との外交関係を保っている。
元下院議長のアレグレ氏は「パラグアイは中国と関係を持たねばならない。(中国と外交関係がないことで)家畜と穀物の利益は大きく損なわれている」と強調。さらに「われわれは台湾との関係から十分に利益を受けていない」と述べた。
中道右派の与党コロラド党のペニャ候補は「台湾との伝統的な関係を守る」と宣言している。選挙はペニャ氏とアレグレ氏の事実上の一騎打ちになるとみられる。
パラグアイは台湾と外交関係を持つ世界14カ国の一つで、中国は経済力を武器に「転向」を働き掛けているとされる。昨年9月には、英経済紙が、アブドベニテス大統領が外交関係維持のために台湾からの投資を促していると報道。アブドベニテス氏が否定していた。
FTCは5日、営業秘密の漏洩などを防ぐため従業員の競合企業への転職を禁ずる「競業避止義務」を全面的に禁止する規則を提案した。FTCは義務を禁止することで労働者の転職先が増え、起業活動や技術革新が活発になり米企業の競争性の向上につながるとしている。
FTCによると、米国ではおよそ3000万人の労働者が競業避止義務の対象となっている。FTCは義務の禁止により労働者の賃金が合計で年間3000億ドル(約40兆円)増加すると試算した。
FTCのリナ・カーン委員長は同日、声明で「転職の自由は経済的な自由、そして競争性が高く繁栄する経済の根幹にある」と述べた。「競業避止義務は労働者の転職の自由を妨害し、賃金や労働環境を向上させる機会を奪う。FTCの提案はより活発な経済活動、イノベーション、そして健全な競争性をもたらす」と主張した。
全米商工会議所の国際規制関連・反トラスト部門のシニアバイスプレジデント、ショーン・ヘザー氏は5日、声明で「FTCの提案は明らかに違法だ。連邦議会はFTCにこのような権限を与えておらず、越権行為だ」と反発した。「競業避止義務を全面的に禁ずることはあらゆる州の法律に抵触する。競業避止義務は適切に利用されれば技術革新を促し企業の競争性を維持する」と訴えた。
米アドビが5日発表した2022年11~12月の米年末商戦のネット通販集計によると、売上高は前年同期比3.5%増の2117億ドル(約28兆円)と過去最高になった。おもちゃやゲーム、衣料品などの販売が伸びた。インフレ下で消費者が節約志向を高めるなか、在庫削減を急ぐ小売り各社が値引き率を広げて需要を喚起した。
数値はインフレ調整されていないが、アドビは年末商戦の売り上げ増は「(インフレによる)価格上昇ではなく、新規の需要によってもたらされたものだ」と強調する。18の商品分野でオンライン価格を追跡しているアドビの指標によると、22年9月以降、オンライン価格は前年同期比で下落が続いている。「インフレを織り込んだとしても、消費者の根底にある需要は伸びている」とした。
オンライン販売の47%がスマートフォン経由の注文で、12月25日のクリスマスには61%に上った。後払い決済「BNPL」(バイ・ナウ・ペイ・レータ―)の利用件数は11~12月に前年同期比4%増えた。一方で売上高は2%減少しており、物価高で予算の限られた買い物客がより少額の商品を後払いで購入するケースが多かったとみられる。
人員削減計画は11月に入り大きく増加した。チャレンジャー社のシニアバイスプレジデント、アンドリュー・チャレンジャー氏は「米経済全体では労働需要がなお強いものの、多くの企業は景気低迷を警戒している」と説明した。「2023年に入り採用姿勢を慎重にしている企業が増えている」と述べた。
2022年の年間集計では36万3824人の人員削減が発表され、IT企業は4分の1超の9万7171人だった。チャレンジャー社が月ごとの人員削減計画の調査を始めた1993年以来2番目に人員削減が少ない年だった。最も少なかったのは2021年だった。
●市況
日経先物(大証)25740、ダウ先33108、債先145.65、米3.726、独2.2910、仏2.806、西3.370、伊4.339、波6.114、原油74.00、ドル円133.40、墨ペソ19.32、トルコリラ18.7716、墨CDS134
※1/6 9時00分頃
備忘録(2023/1/4)
●中国・ロシア・東欧
豪州では22年5月の総選挙で政権が交代した。新しく首相に就いたアルバニージー氏は11月に習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談するなど中国との関係正常化を模索してきた。12月には豪州のウォン外相が北京を訪問し外相会談も行った。
中国は2020年、オーストラリアのモリソン首相(当時)が新型コロナウイルスの発生源について独立した調査を求めたことに反発し、豪産石炭の輸入を規制した。大麦やワインなど豪農産品にも高関税を課した。
豪外務貿易省によると、豪産石炭の中国への輸出額は19年137億豪ドル(約1兆2000億円)だったが、21年には2400万豪ドルと99.8%減となった。
中国証券投資基金業協会(AMAC)がPEファンドによるそうした投資商品登録を最近承認し始めたと、事情に詳しい関係者が非公開情報だとして匿名を条件に述べた。証券監督管理委員会(証監会)が監督するAMACは2021年にそういった商品の認可を停止したと、ブルームバーグ・ニュースが当時報じていた。
中国は不動産業界の低迷に歯止めをかける取り組みを強化。「システム上重要」と見なす不動産開発会社のバランスシート強化を支援するよう銀行・証券監督当局に指示している。
AMACが公表したデータによると、承認停止後、PEプロパティーファンドの数は21年に14%減少し、不動産投資に特化したPEファンド商品の残高は4389億元(約8兆3000億円)と前年から2%減少した。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
人員削減は米国と海外の従業員が対象で、数週間以内に大半を実行する。縮小するオフィスの具体的な場所などは明らかにしていない。リストラ関連費用として14億~21億ドル(約1850億~2800億円)を見込んでおり、2022年11月~23年1月期にそのうち8億~10億ドルを計上する。
セールスフォースが公表する22年1月期末の従業員数は7万3541人で、前の期比3割増えた。米メディアは直近の従業員数を8万人程度と報じており、削減の対象となる人員数は7000人を超える可能性がある。
コロナ下で採用を増やしたテック大手各社は22年秋以降、相次ぎ大規模な人員削減に動いている。テック企業のリストラ情報を集計するLayoffs.fyiによると、各社の人員削減は22年に計15万人を超えた。低金利を背景に成長投資を優先させてきたが、景気後退や業績鈍化懸念が高まるなかで、コスト削減圧力が強まっている。
メタは同日の声明で、「当社の取り組みはGDPRを尊重していると強く信じており、決定に失望している」と述べた。さらに、決定内容と罰金の双方について不服を申し立てる考えを示した。
欧州はメタの売上高の約2割を占める北米に次ぐ主要市場になっている。情報の利用に関してより厳格な事前確認を導入すると、同意しない利用者が増加して広告の配信精度が低下し、収益性が下がる可能性がある。
●決算関連
●マクロ・その他
2022年12月の消費者物価指数(速報値)は、欧州連合(EU)基準で前年同月比9.6%上昇した。伸び率は2カ月連続で鈍化し、4カ月ぶりに10%の大台を下回った。資源高の一服に加え、ドイツ政府によるガス代の一時免除などインフレ対策が影響したもようだ。
22年の平均はEU基準が8.7%と統計で遡れる1997年以降で最高だった。国内基準は7.9%で、独メディアによると旧西ドイツで51年に記録した7.6%を上回った。
ドイツ政府は2023年から、高騰する光熱費を抑えるためガス・電気代の価格上限制を段階的に導入する。先行して22年12月にはガス代を一時免除する「つなぎ措置」を実施。巨額の財政出動で企業や家計の負担を直接和らげる狙いだ。
もっとも、23年のインフレ率は7%台で高止まりするとみられている。欧州中央銀行(ECB)は物価高抑制へ当面も大幅利上げを続ける構えだが、インフレの鈍化が鮮明になれば急ピッチで進めてきた利上げペースの見直しに動く可能性もある。
半導体の供給過剰が長引いている。スマートフォンやパソコンなどの消費者向け電気製品に加えてIT(情報技術)大手のデータセンター投資も減速し、先端半導体を中心に需要が落ち込んでいる。供給過剰が底を打つのは2023年の秋以降となりそうだ。ただ、需要が高まる電気自動車(EV)向けなどの半導体は逼迫感が残っており供給制約はなお続いている。
米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は4日午前に公表した手記のなかで、米連邦準備理事会(FRB)が今後、2段階に分けて利上げを継続する可能性に言及した。今の利上げを一旦停止した後、しばらく様子をみたうえで不十分なら再び政策金利を引き上げるという。2023年内にも利下げに転換すると予想する市場をけん制した。
足元で継続中の利上げは「少なくとも今後数回の会合で続けることが適切だ」と指摘し、当面の到達点として政策金利を5.4%まで引き上げるよう主張していることを明らかにした。今の政策金利は4.25~4.5%のため、0.25%の利上げなら残り4回分で6月会合まで継続することになる。米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者による予測の中央値(5.1%)を上回る水準だ。
カシュカリ氏は「第2段階」として遅れて実体経済に波及する金融引き締めの効果を検証し、さらに利上げが必要か、この水準でとどまるべきかを評価する時期に入ると説明。「インフレが長引くような、進展の遅さを示す兆候があれば、政策金利をさらに引き上げる可能性がある」とした。
利上げをいったん休止する理由は政策金利の水準が「妥当な期間でインフレ率を2%に戻せるほど高いかどうかは、すぐには分からない」ためだと説明した。第3段階となる利下げ転換は「インフレを本当に打ち負かしたと確信した後になる」と説明した。
カシュカリ氏はFRBが用いている従来の経済予測モデルがインフレを十分に見通せていないとも指摘。新たなモデルを開発する必要があると訴えた。
「私としては5.4%での利上げ停止を想定しているが、最終地点がどの水準になるにせよ、政策金利がインフレ率を妥当な期間で2%へと戻すのに十分な高さにあるかどうか直ちには分からない」とし、「インフレをより長期間高止まりさせるような、進展の遅さを示唆する何らかの兆候が見られれば、政策金利をよりずっと高い水準に引き上げる可能性が正当化されると私は考えている」と説明した。
カシュカリ総裁は2022年、金融当局におけるタカ派代表格の一人として浮上。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の数年間は逆にハト派の代表格だった。総裁は23年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。
マルコス大統領が訪問している中国との間でインフラ開発など14項目で協力することで合意したと発表した。両国が領有権を巡り対立する南シナ海問題などについては外交当局間で直接対話する連絡ルートを構築することで合意した。
両国が協力することで合意した項目は農業や情報通信技術、両国間の観光業振興など多岐にわたる。「西フィリピン海(南シナ海)について判断違いや誤解が生じることを避けるため」(フィリピン外務省)、両国間に連絡ルートを創設することでも合意した。南シナ海では中国船がフィリピン船を妨害・追尾する事案が明らかになっており、偶発的な衝突のリスクを減らす意図がある。
マルコス氏は中国と南シナ海において資源の共同開発に向けて交渉を継続することにも意欲を示した。通商面で関係が深い中国との対話を通じて経済協力を強化する狙いだ。
2022年6月末の就任以来、マルコス氏は領有権問題を重視する姿勢を示し、日米との防衛協力を強化してきた。フィリピン外務省も同氏の訪中に先立ち「マルコス大統領は中国の指導者たちとの会談で西フィリピン海について我が国の主権を擁護し続ける」と語っていた。
今回の首脳会談では南シナ海問題について友好的な協議をしていくことを確認したが、どこまで領有権を主張したかは明らかになっていない。
3日には下院議長選の投票が3回実施されたが、本命視されていた共和のマッカーシー氏は1~2回目は203票、3回目は202票にとどまった。共和は下院で222議席を持つが、約20人の造反が出て過半数の218に届かなかった。
マッカーシー氏は年明け早々に反対派を取り込むため譲歩案を示した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、5人の議員が賛同すれば議長解任の臨時投票などを実施できるように下院の運営規則を改める案を含んだ。
しかし、反対派はひとりの議員が提案すれば解任するかどうかを決める採決に持ち込めるよう求めて決裂した。
2日の官報に公示された政令で、アマゾン熱帯雨林保護の強化、国営企業の民営化調査を凍結する方針を打ち出した。民間企業の間には警戒感もある。
日銀は4日午前、指し値オペと臨時の国債買い入れオペを通知した。指し値オペの対象は中長期債、臨時オペの対象は中長期債および超長期債となる。
先週末以降にドイツやスペインなど各国で発表された12月のインフレ統計は、エコノミストが予想した以上の減速を示した。天然ガス費用の低下と政府支援の開始が後押しした。
ただ、総合インフレ率低下の裏側には、エネルギーや食品などを除くコアインフレの上昇圧力の強まりが隠れている。このコアインフレ率こそが、欧州中央銀行(ECB)が金利を判断する際に注目している指標だ。
ECBは最新の経済見通しで、インフレ率が目標の2%に戻るのを2025年終盤と予測した。経済見通しの次回更新は3月だ。
ダンスケ銀行のチーフエコノミスト、ピエト・クリスティアンセン氏は「インフレのピークは実際、越えた可能性がある」としつつ、「問題は根強いコアインフレだ」と指摘。「従って、2月の政策決定は確定している」と述べた。
ECBが昨年12月の会合でインフレと闘う姿勢を強く打ち出したことで、エコノミストらはECBの金利上昇予想を引き上げ、いまや2回の0.5ポイント利上げが広く見込まれている。短期金融市場も同様の金利上昇見通しを想定しているが、スペインのインフレ指標が予想を下回った後、市場が織り込む金利見通しはやや低下した。
昨年12月30日に発表されたスペインの同月の総合インフレ率は前年同月比5.6%。前月は6.7%だった。ポルトガル、ドイツ、フランスでも総合インフレ率は低下した。ユーロ圏全体のインフレ率の発表は6日で、アナリストらは9.5%へと2カ月連続で低下すると予想している。
2022年12月の米製造業景況感指数は前月から0.6ポイント低い48.4だった。2020年5月以来、2年7カ月ぶりの低水準となり、前月11月分に続いて好不況の節目である50を下回った。新規受注の低迷は鮮明で、米景気の後退局面入りの懸念が深まっている。
項目別では新規受注が45.2と前月から2.0ポイント低下し、4カ月連続で50を割り込んだ。英キャピタル・エコノミクスの北米担当エコノミスト、ポール・アシュワース氏によると「景気後退期かその直前にしか見られない低水準」といい、米景気の減速ぶりを強く示唆した。
新規輸出受注も2.2ポイント低下の46.2となった。受注残は1.4ポイント上昇の41.4となったが、3カ月連続で50を下回った。調査対象の企業からは「受注残を消化している段階でまだ大幅減産には至っていないが、受注はかなり減速している」(輸送用機器)といった声があった。
仕入れ価格の水準を示す指数は前月比3.6ポイント低い39.4となった。米連邦準備理事会(FRB)は物価高が長引くとの見通しを掲げているが、企業の購買担当者の実感では仕入れコスト増への懸念が薄れ始めているようだ。キャピタル・エコノミクスのアシュワース氏は「23年中に物価には下落圧力がかかるだろう」とみていた。
物価高圧力の要因となっていたサプライチェーン(供給網)の混乱はほぼ解消した。数値が高いほど遅れを示すサプライヤーの納期に関する指数は45.1と、新型コロナウイルス禍前の19年の水準(50~55近辺)を大幅に下回り、09年3月以来の低水準にある。
総合景況指数は2022年通年では10.4ポイント低下。グレートリセッション(大不況)期の08年以来の大幅な下げとなった。
12月は仕入れ価格の指数が9カ月連続で下げ、1974-75年以来の長期低下局面。
新規受注と生産の指数はいずれも縮小を示し、共に2020年5月以来の低水準。需要が一段と軟化していることを示唆した。輸出と輸入の指数も縮小を示した。
エジプトは過去5年で最大の外貨不足に見舞われ、通貨に売り圧力がかかっている。ブルームバーグのデータによると、現地時間4日午後に7%安の1ドル=26.52ポンドまで下げる場面もあった。
エジプトは昨年に2回の通貨切り下げを実施。10月には柔軟な為替政策を採用すると表明し、国際通貨基金(IMF)から30億ドル(約3920億円)の融資を取り付けていた。自動車各社とも22年は半導体不足で需要に見合った生産ができない状況が続いたが、GMは年後半の生産回復のペースが他社に比べてはやかった。
足元では半導体の不足は緩和してきている。日本車6社の22年10~12月の米販売は123万台で、前年同期比7%増とプラスに転じた。トヨタは13%増の53万台だった。SUBARU、マツダの2社も台数を増やした。
ドイツ気象局は1日にツイッターで、首都ベルリンの同日の気温が16度と、1月の過去最高気温の記録を更新したと投稿した。英BBCなどによると、ポーランドのワルシャワは18.9度、ベラルーシでは16.4度と、1月の過去最高をそれぞれ4度と約4.5度上回ったという。スイスでは気温が20度となりスキー場の雪不足が問題となっている。
暖房の必要性が減ったことでガスの在庫枯渇の警戒感が和らぎ、ガス価格が下落している。欧州の天然ガス指標のオランダTTFは3日時点で1メガワット時あたり約72ユーロと、ロシアのウクライナ侵攻前の22年2月23日の約84ユーロを下回った。供給不足への懸念から8月には一時340ユーロ強まで上昇していた。
この会合の前、市場は2023年後半の利下げを織り込みつつあった。議事要旨のトーンからは、こうした市場の動きが物価抑制に向けた金融当局の取り組みを損なっているとのフラストレーションが示唆される。
議事要旨は「正当な根拠のない金融状況の緩和は、特に委員会の対応に関する世間一般の誤解に基づくものである場合、物価安定を回復する委員会の取り組みを複雑化させる」との認識を参加者は示したと記した。
JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「今年下期までに利下げが行われる可能性を市場が織り込みつつあることが、当局のこのメッセージにおける最大の懸念材料だ」と、ブルームバーグテレビジョンで指摘。インフレの水準が高過ぎることを踏まえ、当局は「引き締め過ぎのリスクは受け入れて我慢しなければならないものだということを認識している」と述べた。
●市況
日経先物(大証)25853、ダウ先33376、債先145.44、米3.690、独2.2825、仏2.790、西3.302、伊4.249、波6.354、原油73.40、ドル円132.15、墨ペソ19.39、トルコリラ18.7469、墨CDS134
※1/5 8時40分頃
備忘録(2022/12/30-2023/1/3)
●中国・ロシア・東欧
中国では主要な約10都市で地下鉄利用の回復が報告されている。新型コロナウイルス封じ込めを目指してきた「ゼロコロナ」政策の解除に伴う感染拡大の波はピークを迎えた可能性があることが示唆された。
上海や広州、深圳、南京といった11の大都市では過去1週間の地下鉄利用者が増加。これに先立って北京や鄭州、重慶などでは12月半ばに地下鉄利用が回復に転じ、交通渋滞も増えていた。
当局は1日、南部の主要な製造業拠点である広州で感染拡大はピークを付けたと発表した。発熱外来の患者数は12月23日以降減少しているという。先週は北京や天津、重慶で感染拡大がピークに達したと保健当局が発表した。
中国は1月21日から7日間、春節(旧正月)の祝日に入る。今後数週間は多くの人が帰省する時期であり、人の流れがどれほどの広範囲で回復したのかを判断する重要な期間となる。
中国・華為技術(ファーウェイ)の高速通信規格「5G」の通信に使う小型基地局を分解したところ、原価に占める国産部品の比率が55%だった。従来の大型基地局より7ポイント高かった。米部品は大型基地局の27%に対し、今回分解した小型基地局は1%にとどまった。米中対立で電子部品を中心に国産部品シフトをさらに進めていることが明らかになった。
●中東
アラブ首長国連邦(UAE)ドバイへの訪問者数が急回復している。ドバイ経済観光局によると、2022年1~10月のドバイでの宿泊者数は1140万人と、新型コロナウイルス流行前の8割超まで戻した。渡航制限の緩和や、3月まで半年にわたって開催された国際博覧会(ドバイ万博)が追い風となった。
イスラエルで年末に発足したネタニヤフ新政権の国家治安相で、極右政党「ユダヤの力」党首のベングビール氏が3日、エルサレムにあるイスラム教とユダヤ教双方の聖地「神殿の丘」を訪問した。ベングビール氏はこれまでも訪問していたが、閣僚就任後は初めて。
パレスチナ自治政府外務省は「挑発行為だ」と非難する声明を発表。自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの反発も必至で、武力衝突が懸念される。イスラム世界からも批判が出そうだ。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
ブラジルで1日、左派のルラ氏(77)が大統領に就任した。右派のボルソナロ政権からの交代で、2016年8月以来、約6年半ぶりの左派政権となった。外交政策では欧米と一定の距離を保ち、新興国との連携を重視していく。貧困層向けの施策に重きを置いて、インフレなどで高まる社会不安の抑制を急ぐ。
米政治リスクの調査会社ユーラシア・グループは3日、2023年の世界の「10大リスク」を発表した。1位に「Rogue Russia」(ならず者国家ロシア)を挙げた。長期化するウクライナ侵攻で国際社会から孤立したロシアが、核兵器やサイバー攻撃を用いて欧米諸国への脅しをエスカレートさせる可能性を指摘した。
2022年はロシアのウクライナ侵攻により石油や天然ガスの価格が急騰した。欧米はロシア産エネルギーの取引に制限をかけ対ロ制裁を強めている。エネルギー問題の権威であるダニエル・ヤーギン氏は「石油市場は分断した」と指摘した。ロシア産回避の動きもあり「(取引は)複雑になった」と指摘した。需要家の調達コスト押し上げにもつながりかねない。23年にエネルギー市場が直面するリスクを聞いた。
世界の大半の地域で予想外の暖冬が続き、天然ガス危機への不安が急速に後退しつつある。冬が始まる前にはガス不足で停電を余儀なくされ、電力価格に上昇圧力が加わると予測されていた。
今後の予報でも欧州の大半で向こう2週間の気温は例年を上回る見通し。米国も1月半ばまで好天が続くと見込まれている。世界最大のガス輸入国である中国の大半でも向こう10日間は過ごしやすい天候となり、東京は1月半ば頃に気温が急上昇する可能性がある。
ガス先物は燃料消費の減少と見通しの軟化で下げている。新年最初の取引日となった2日は、米国のガス先物が売られ、欧州のガス先物はロシアによるウクライナ侵攻開始以降で最安値を付ける場面があった。
MLIV調査では回答者の3分の1余りが選好する資産に株式を挙げた。S&P500種の年末目標(中央値)は4000で、ストラテジストの予想(4075)とさほど離れていない。ただ、回答者の予測は最低2000、最高5800とかなりの開きがあり、予想される米欧の景気悪化を背景に投資の見通しに相反する見方があることを浮き彫りにした。
軟調な見通しを受け、大半の投資家は当面、株式保有をほぼ変えない方針だ。ただプロの運用担当者は短期的により弱気で、今後1カ月に株式保有を増やすと答えた割合は約23%、減らすとの回答は28%だった。個人投資家では増やすが26%、減らすが15%だった。
パルス調査では、5-5.25%レンジで米政策金利がピークを迎えるとする政策当局者の見方に同調する回答が全体の約42%を占めた。ただ米金融当局の方針転換のタイミングについては、個人トレーダーの約52%が23年中を予測する一方、プロの運用担当者の54%は24年中を見込む。
これは米金融当局と市場の新たな戦いを予告するものだ。当局者は今後数カ月の政策金利を景気抑制的な領域にとどめる必要性を示唆し、年内の利下げを期待すべきでないとウォール街に警告している。ただ先物市場のトレーダーは最初の利下げが23年中になるとの予想を変えていない。
ゲオルギエワ氏は1日放送されたCBSの番組「フェース・ザ・ネーション」でのインタビューで「世界経済の3分の1がリセッション(景気後退)に陥ると予想する」とし、「なぜかと言えば、米国、欧州連合(EU)、中国の三大経済がそろって同時に減速するからだ」と語った。
IMFは昨年10月、世界経済の3分の1余りが23年にマイナス成長となり、全世界の国内総生産(GDP)伸び率が、世界的なリセッションとIMFが定義する2%未満になる確率は25%だと既に警告している。
ゲオルギエワ氏はインタビューで、三大経済が景気下降に耐える能力はそれぞれ異なると評した。「米国はリセッションを回避するかもしれない」が、EUは「ウクライナでの戦争でかなり深刻な打撃」を受けており、「EUの半分は来年、リセッションになるだろう」と発言。中国は「厳しい年」に直面していると述べた。
さらに、主要国・地域の景気鈍化は「世界的に悪いトレンドにつながり、途上国の新興市場に目を向けると、状況はさらに悲惨だ」とした。
ただ「米労働市場の回復力が維持されれば、世界が極めて厳しい年を乗り切るのを米国が手助けするだろう」と語った。
●市況
日経先物(大証)25853、ダウ先33428、債先145.39、米3.746、独2.3675、仏2.901、西3.444、伊4.498、波6.594、原油79.31、ドル円130.64、墨ペソ19.44、トルコリラ18.7352、墨CDS130
※1/3 22時55分頃