2023年12月3日日曜日

備忘録(23/12)

備忘録(2023/12/29-31)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
欧州連合(EU)の主要機関トップがユーロの強化と資本市場連合に向けた進展を呼びかけた。独フンケ・メディアグループが29日、ユーロ誕生25周年を記念した文章を公表した。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長、欧州議会のメツォラ議長、欧州理事会のミシェル議長、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のドナフー議長らは文章で、地政学的緊張の高まりや気候危機などの課題を克服するために協力が必要と強調。「われわれの競争力は世界の他の地域におけるエネルギー政策や産業政策によってかつてない困難に直面している」とした。
また、EU全体に広がる資本市場連合の設立を提唱。競争力と安全保障を高めるために「予算ルールの見直しやより強固な銀行同盟によって既存の構造を強化することが可能」とした。
米東部メーン州のベロウズ州務長官(民主党)は28日、2024年大統領選の同州予備選でトランプ前大統領の出馬資格を認めない判断を示した。21年1月の連邦議会襲撃事件を巡り同氏の出馬を認めないと判断したのはコロラド州最高裁に続き2例目。
サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンの番組で「市場が恐らく過小評価しているというリスクはまだある。インフレに関して人々が望むほどの進展は遂げないだろうし、米金融当局の緩和余地も人々が望むほどはないだろうと考えている」と述べた。
「われわれが持続的な意味で、目標であるインフレ2%の国であるのか確信はない」とサマーズ氏は発言。連邦政府の賃上げやストライキ活動、労働市場の逼迫(ひっぱく)、地政学リスク、住宅価格の上向きをインフレ圧力の潜在的要因として挙げた。ハーバード大学教授の同氏はブルームバーグテレビジョンに定期的に出演する。
その上で、「いわゆる『ソフトランディング』が起こったと宣言するのは時期尚早だ」と指摘。ただ「6、8カ月前よりその可能性が高く見えるのは確かだ。ソフトランディングとなれば経験に対する期待の勝利だが、期待が経験に勝利することは時折あると私は常に言ってきた」と続けた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
来年1月13日に投開票される台湾総統選で、与野党3候補が30日に討論会に臨み、中国との関係を中心に論戦を交わした。
世論調査でトップを走る与党・民主進歩党候補の頼清徳副総統は、対中関係について現状を維持し、両岸関係の安定化を目指すと表明。かつては自らを「台湾独立を主張する政治工作者」と表現したこともあるが、副総統就任後は姿勢を和らげている。
選挙戦唯一となった今回の討論会は、最大野党・国民党候補の侯友宜氏と野党第2党、台湾民衆党の柯文哲氏にとって頼氏のリードを崩す重要な機会だった。大半の世論調査によると、頼氏は手堅く支持を集めているが、圧倒的なリードにはなっていない。
ニュースサイトの美麗島電子報が30日公表した調査結果によれば、頼氏の支持率は40%。侯氏が29%、柯氏は19%だった。TVBSの29日の調査では、頼氏が侯氏を4ポイント上回っている。
蔡英文政権が2016年に発足して以降、台湾を自国の領土と主張する中国は台湾を孤立させ、威嚇する取り組みを着実に強めてきた。中国は平和統一を目指すと公言しているが、武力行使も排除していない。
中国が台湾の民主主義にとって脅威なのか、それとも歓迎すべき経済的機会なのか。この問題が総統選の主要テーマになっている。
頼副総統は「いわゆる台湾独立とは、台湾の主権と独立が2300万人の住民に属するものであり、中国に属するものではないということを基本的に意味している」とし、「中華民国と中華人民共和国は互いに従属するものではない。これが台湾独立の定義だ」と主張した。
一方、侯氏は自身が両岸関係に関して「中道」の立場を取っているとし、台湾の独立には反対だが、中国の「一国二制度」も認めていないとした。抑止と対話によってのみ、衝突のリスクを減らし、台湾の民主主義を守ることができると述べた。
柯氏は、民進党と国民党が解決できない問題で30年も争ってきたと批判。「台湾が現在、統一や独立を宣言することは不可能だ」とし、台湾住民の90%超が現状維持を支持しており、現在のところそれが唯一の選択肢だと訴えた。
中国は今年、頼氏について台湾独立を目指す「トラブルメーカー」と表現し、平和的な現状維持に関する同氏の発言はうそであり、戦争の危険をもたらすとの見解を発表。国営中央テレビ(CCTV)が先月報じたところでは、国務院台湾事務弁公室(国台弁)は台湾の有権者に対して「独立に反対」し、平和か戦争か、繁栄か衰退かで正しい選択をするよう呼びかけた。
中国国家統計局が31日発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0で11月の49.4から低下、予想の49.5も下回り景況拡大・縮小の分かれ目となる50を3カ月連続で下回った。
華宝信託のエコノミストは、「政策支援を強化しなければ成長鈍化の傾向は続く」とし、中央銀行が今後数週間のうちに金利と銀行預金準備率を引き下げると予想。「物価下落は企業収益に大きく影響し、雇用や個人の収入にも波及している。悪循環に陥る可能性がある」と述べた。
統計局は「現在の外部環境は一段と複雑で厳しく、不透明になっている。海外受注の減少や国内の有効需要不足が、直面している主な問題だと一部の調査対象企業は回答した」と指摘した。
構成指数の新規受注は48.7で3カ月連続で縮小。外需も引き続き弱く新規輸出受注指数は45.8で9カ月連続で縮小した。
出荷価格指数は47.7で3カ月連続で縮小、デフレの兆候や企業収益圧迫に拍車をかかっていることを示した。
サービス業と建設業を含む非製造業(PMI)は50.4で11月の50.2から上昇した。
韓国の崔相穆・経済副首相兼企画財政相は29日、中堅建設会社の泰栄(テヨン)建設(009410.KS)の債務再編計画を受け、早急の市場安定化策が必要になれば政府は韓国銀行(中央銀行)と協力して対処する方針を表明した。
崔氏は韓国銀行と規制当局の会合で「必要に応じ、韓国銀行は公開市場操作(オペ)を通じて流動性支援策を行う準備に入るだろう」と述べた。
泰栄建設の債務はプロジェクトファイナンス(PF)関連を含めて総額4兆5800億ウォン(36億ドル)に及ぶ。同社は28日に債務再編計画を明らかにしていた。
債務再編の対象となったのは、地域金融機関の資産の1%を下回る規模。サムスン証券は28日付リポートで「タイムリーな政府支援が間もなく実施されそうなので、PF市場の再編は迅速で、衝撃はそれほど長引かないと予想している」と指摘した。
中国の習近平国家主席は29日、共産党に忠実な「外交上の鉄の軍隊」を編成するよう中国大使に要請した。一部の外交官によって伝えられた「戦狼外交」のようなレトリックを想起させ、中国の外交政策が一段と強硬的になっていることを示唆した。
中国国営中央テレビ(CCTV)によると、北京で開かれた中国大使らとの会議で「闘争に優れ、国益の擁護者となる勇気を持つべきだ。必要なのは強大な権力に対抗する準備と確固たる意志を持って、国家主権、安全保障、発展の利益を断固として守ることだ」と指摘。「規則と規律を前面に打ち出し、厳しく自らを律し、厳しく責任を取る必要がある。また、党に忠実で、闘争に優れ、厳しい規律を守る外交上の鉄の軍隊を編成することが必要だ」とした。
また「党、国、人民への忠誠は外交戦線の輝かしい伝統」とし、「イデオロギー的な防衛線を強固に築き、確固たる政治的信念を持ち、規則と規律を厳しく順守する聡明な人物であることが必要だ」と語った。
さらに、中国を封じ込め、抑圧しようとする西側諸国の企てに対抗するため、中国の国際的な影響力を高める必要性を強調。「われわれは広く深い友好関係を築かなければならない」とした。
●中東
フランス、ドイツ、英国、米国は28日、イランが高濃縮ウランの生産を加速させていることを非難する共同声明を発表した。
声明はイランがどのような報いを受けるかには言及せず、生産ペースを減速させるよう求めた。イランの核プログラムを巡る問題の「外交的解決にコミット」しているとした。
また「イランによる高濃縮ウランの生産に民生用として信頼できる正当性はない。こうした決定は緊迫した地域情勢における無謀な行動だ」と指摘した。
国際原子力機関(IAEA)は26日、イランがウランの濃縮度を兵器級に近い60%まで高めるペースを再び加速させているとの見解を示した
イランは何も新しいことはしておらず、規則に従って活動しているとし、IAEAの報告を否定している。
IAEAの定義に基づくと、イランは兵器級の約90%までさらに濃縮すれば、核爆弾3発が製造できる濃縮度60%のウランをすでに十分保有している。
●中南米・アフリカ
●市況
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終えた。日用品・家庭用品株や自動車株が上げを主導した。主要中央銀行が来年早期に利下げを開始するとの観測が相場を支え、FTSE100種指数(.FTSE)は年間で3.78%高と、3年連続でプラスとなった。
一方、不動産株指数(.FTUB3510)、不動産投資信託株指数(.FTNMX351020)はそれぞれ1.06%、1.12%下げた。
英住宅金融会社ネーションワイドが29日発表した12月の住宅価格の前年同月と比べた下落幅は、市場予想より大きかった。一方、英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)が14日に発表した調査では、最近数週間の住宅ローン金利の低下で市場が底を打った兆候がみられることが示された。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。主要中央銀行が来年利下げを開始するとの期待を背景にSTOXX欧州600種指数(.STOXX)は年間で12.74%上昇した。
金利動向に敏感なテクノロジー株指数(.SX8P)が31.70%と大きく上昇したのがけん引した。地域別ではイタリアの主要株価FTSE・MIB指数(.FTMIB)が28.03%、スイスの主要株式指数SMI(.SSMI)が3.81%それぞれ上昇。
個別銘柄では、スペインの製薬会社グリフォルス(GRLS.MC)が8.6%上昇。血液製剤の開発・販売などを手がける中国の上海RAASブラッド・プロダクツ(上海莱士血液製品)(002252.SZ)の持ち株の一部を中国の家電大手ハイアール・グループに売却することで合意したことが材料視された。
<ユーロ圏債券> 長期債利回りが上昇した。ただ年間ではここ数年で最大の低下幅を記録した。
<為替> ドルが小幅に上昇した。ただ年間ではユーロや通貨バスケットに対し2020年以降で初の値下がりとなる見込み。インフレ鈍化を背景に米連邦準備理事会(FRB)が来年利下げに着手するとの見方が背景。
<債券>  今週発表された一連の低調な指標が消化される中、指標となる10年債利回りが上昇して今年の取引を終えた。米経済が来年に景気後退に陥る可能性も意識されている。
朝方発表された12月のシカゴ景気指数が46.9と、前月から低下し、予想を下回ったことを受け、10年債利回りは低下する場面もあった
<株式> 小幅安で取引を終えた。来年の米利下げ期待を背景とする年末ラリーが一服した。
<米原油先物> 年末で薄商いとなる中、対ユーロでのドル高を背景に売られ、3日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物は前日清算値(終値に相当)比0.12ドル(0.17%)安の1バレル=71.65ドルだった。年間では10.73%下落した。29日の3月物は0.13ドル安の71.84ドル。
日経先物33,280、ダウ先37,968、債先146.56、米3.866、独2.0235、仏2.558、西2.994、伊3.689、英3.5645、波5.216、原油71.33、銅8,566、ドル円141.04、ユーロドル1.1037
※12/29 NY引け値

備忘録(2023/12/28)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ロシアのプーチン大統領は少なくとも2030年まで権力の座にとどまることが確実視され、インドのモディ首相も29年まで政権を維持する可能性が高い。米国ではトランプ前大統領が選挙結果を覆そうとしたとして起訴されたにもかかわらず、大統領に返り咲く可能性がある。
権威主義的な支配者がリベラルな民主主義者より優位に立つことを憂慮する人々にとり、24年は懸念の多い年になりそうだ。
来年は世界の4分の1以上の人口を占める国・地域で選挙が予定され、台湾で1月、ロシアで3月、インドで5月までに、米国では11月に実施される。英国の総選挙も24年末までに行われる公算が大きいが、25年1月にずれ込む可能性もある。
しかし、米大統領選ほど民主主義の将来を巡る議論に大きな影響を与える選挙はないだろう。
<注目される選挙>
20年米大統領選での敗北を認めず、選挙で不正があったと虚偽の主張をしているトランプ氏は、自身が政権に返り咲いた場合は司法省や連邦政府機関の官僚、バイデン大統領ら政敵に報復すると誓っている。
こうした中、国内で政治的な対立が深まり、社会不安を引き起こすのではないかとの懸念が広がっている。
台湾は1月13日に総統選と立法院(議会)選挙を実施する。選挙結果は中国の習近平国家主席が台湾統一の目標をどう追求するかに影響する可能性がある。
中国は総統選の有力候補である民進党の頼清徳副総統を「台湾独立分子」と見なし敵視している。米軍関係者によると、習氏は中国軍に対し、27年までの台湾侵攻に備えるよう命じた。
ロシアでは反体制派を長年弾圧してきたプーチン氏の大統領再選が確実視されている。このためウクライナ侵攻も続く見通しで、米国の忍耐が試されることになる。トランプ氏はウクライナに対する米軍事支援の大きさを批判してきた。
インドではモディ首相が再選に向けて順風満帆だ。同氏の妥協しないリーダーシップスタイルは多くの有権者や海外投資家には受けが良いが、人権団体からは批判が強い。
モディ氏の与党インド人民党(BJP)が勝利すれば、同氏は人権問題ではなく経済に引き続き焦点を置くと予想される。
<アフリカでも民主主義後退か>
自由民主主義が権威主義や独裁主義に負けているのではないかという議論においてはアフリカも重要になる。
ニジェールとガボンで今年起きたクーデターは、20年以降8件のクーデターが発生した西アフリカと中央アフリカにおける民主主義の後退を拡大させた。
30年にわたり汚職や景気低迷に悩まされてきた南アフリカでは来年、与党のアフリカ民族会議(ANC)が1994年以降初めて議会の過半数を失う恐れがある。
そうなればANCは政権にとどまるため、白人有権者に人気の民主同盟(DA)、もしくは黒人貧困層の支持を集める急進左派「経済的解放の闘士(EFF)」との連立が必要になる可能性がある。いずれにせよ、南アの民主主義は転機を迎えることになる。選挙は5月から8月の間に実施される見通し。
民主主義は24年に後退するのだろうか。政治的権利や市民の自由を民主主義の指標としている米人権団体フリーダムハウスによると、民主主義は17年間後退してきたが、最新の調査では改善の兆しが示された。
3月に公表された報告書によると、22年には34カ国で民主主義が改善し、悪化したのは35カ国と後退傾向が始まってから最も少なかったという。
2024年11月5日の米大統領選に向け、トランプ前大統領は共和党の指名獲得を目指す候補者6人の先頭を走り、2期目を目指すバイデン大統領は民主党内で対立候補は見当たらない。
25年1月の就任式までに予定される大統領選関連イベントの日程は以下の通り。
<24年>
1月10日:CNNがアイオワ州デモインで共和党の候補者討論会を開催。世論調査で少なくとも10%の支持率を得ることなどが参加資格。
1月15日:アイオワ州の共和党が党員集会を開催。候補指名争いの初戦となる。党員集会は郡または管区、地区レベルで組織される非公開の会合で、参加者は支持する候補者ごとにグループに分かれ、各候補が獲得する代議員の数を決定する
これに対し、アイオワ州の民主党は郵便投票のみによって候補を選出し、結果は3月5日のスーパーチューズデーに発表する。
1月18日:ABCニュースとWMUR─TVがニューハンプシャー州マンチェスターで共和党の候補者討論会を開催。アイオワ州党員集会で上位3位に入った候補と世論調査の支持率10%に達した候補が参加できる。
1月21日:CNNがニューハンプシャー州ゴフスタウンで共和党の候補者討論会を開催。世論調査で少なくとも10%の支持率を得ることなどが参加資格。
1月23日:ニューハンプシャー州が全米最初の予備選を実施。予備選は州や地方自治体によって運営され、参加者は無記名投票で希望の候補者に投票する。
民主党全国委員会は南部サウスカロナイナ州を24年予備選の初戦州とし、ニューハンプシャー州ではそれより後の2月6日に実施したい考えだった。
だがニューハンプシャー州の民主党は初戦州としての伝統を維持することを希望。バイデン氏は同州予備選に参加しないと明らかにした。
1月31日:連邦選挙委員会の23年末政治資金収支報告の提出期限。
2月3日:サウスカロライナ州で民主党予備選
2月6日:ネバダ州で民主党予備選
2月8日:ネバダ州で共和党党員集会
2月24日:サウスカロライナ州で共和党予備選。
2月27日:ミシガン州主催の予備選で民主党員と共和党員が投票。民主党が優勢な同州が日程を前倒しした。共和党は反対しており、3月の党員集会で代議員の大半を選出する。
3月2日:共和党がミシガン州で開く党員集会で代議員の大半を選出。
3月5日:「スーパー・チューズデー」。予備選・党員集会が集中し候補者が絞り込まれることが多い。民主・共和両党がアラバマ、アーカンソー、カリフォルニア、コロラド、メイン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、バーモント、バージニアの各州で予備選。ユタ州では民主党が予備選、共和党が党員集会。アラスカ州で共和党予備選。
3月12日:ジョージア、ミシシッピ、ワシントンの各州で予備選。ハワイ州で共和党党員集会。
3月19日:アリゾナ、フロリダ、イリノイ、カンザス、オハイオの各州で予備選。
6月4日:残りの州が予備選を実施予定。一部の州は予備選や党員集会の日程が未定。
7月15─18日:共和党全国大会(ウィスコンシン州ミルウォーキー)。候補者を正式に決定。
8月19─22日:民主党全国大会(イリノイ州シカゴ)。候補者を正式に決定。
9月16日:大統領討論会委員会が定めた第1回大統領討論会の開催日。テキサス州サンマルコスのテキサス州立大学で開催。
9月25日:大統領討論会委員会が定めた副大統領討論会の開催日。ペンシルベニア州イーストンのラファイエット大学で開催。
10月1日:大統領討論会委員会が定めた第2回大統領討論会の開催日。バージニア州ピーターズバーグのバージニア州立大学で開催。
10月9日:大統領討論会委員会が定めた第3回大統領討論会の開催日。ユタ州ソルトレークシティーのユタ大学で開催。
11月5日:選挙日
11月中:選挙結果判明までに日数がかかる可能性。
  <25年>
1月6日:各州から選挙人の投票結果を受け取った連邦議会が上下両院合同会議で結果を集計し、正式に選出する。副大統領は合同会議の議事進行役を務める。
トランプ前大統領は21年1月6日、当時副大統領だったペンス氏にバイデン氏の大統領就任を阻むよう迫ったがペンス氏は受け入れなかった。その後、大統領選の勝利認定の手続き中だった議事堂にトランプ氏の支持者らが乱入した。
議会は22年に選挙人数改革法を可決し、州の選挙人投票に異議を申し立てられる基準を上下両院議員の5分の1の支持とし、基準を大幅に厳しくした。
1月20日:大統領就任式。
16日までの1週間の継続受給件数は1万4000件増の187万5000件だった。
石油輸出国機構(OPEC)の加盟国による2024年前半の原油生産量が世界シェアの27%弱となり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)時の20年以来、約4年ぶり低水準となる見通しなのがロイターの推計と関連機関の予測データから分かった。アンゴラのOPECからの脱退と、OPEC加盟国とロシアなど非加盟国でつくる「OPECプラス」の減産が要因。
世界の石油需要が加速するか、OPECが原油価格低下を容認しない限り、減産緩和に踏み切るのは難しい情勢だ。
利下げの時期
株式市場ではここ数カ月、米金融当局が2024年半ばまでに利下げを開始するとの観測が追い風となってきた。市場は「より早くより急速」な利下げを織り込んでいる。
スワップ市場が想定する来年の利下げ幅は計150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)。これは米金融当局者が見込む利下げ幅の2倍となる。
大手ハイテク企業の業績
人工知能(AI)を巡る熱狂を背景に、エヌビディアやマイクロソフトなど「マグニフィセント・セブン」と呼ばれるテクノロジー大手7社が2023年の米株上昇をけん引してきた。
ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによると、上記2社のほかにアマゾン・ドット・コム、アップル、グーグルの親会社アルファベット、メタ・プラットフォームズ、テスラをくわえた7社の2024年業績は22%の増益が見込まれている。景気のソフトランディング期待が高まる中、それがどの程度株価に織り込まれているかが鍵となる。
ナベリアー&アソシエーツのルイス・ナベリアー氏は、7社のうち6社は2024年に向けて好調に見えると指摘。例外はアップルだけで、同社には収益を押し上げるような最先端の製品もしくはテクノロジーが見えてこないとリポートに記している。
米大統領選
現職大統領が2期目を目指す選挙が行われる年は、米株は歴史的に強気シナリオが優勢となる。ストック・トレーダーズ・アルマナックの集計データによると、1949年以来、こうした選挙の年にS&P500種は平均で13%近く上昇している。一方で現職が出ない大統領選の年は平均1.5%の下落となっている。
株式が上昇する理由のひとつは、現職大統領は通常、投票前に景気とセンチメントを押し上げるために新しい政策を実施したり、減税を推し進めたりするからだ。
アジア:日銀、中国、インド
日銀の超緩和政策と円安を背景に日経平均株価は33年ぶり高値まで上昇したが、2024年にはハードルに直面することになるだろう。日銀はマイナス金利を維持しているが、エコノミストの3分の2は4月までに2007年以来となる利上げが行われると予想している。
中国株の強気派にとっては2023年は再び不本意な年となった、2024年の経済成長目標や財政刺激策の手掛かりを求め、投資家は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に注目するとみられる。
インドは明るい強気材料を提供する場所となりそうだ。同国は製造業での大型投資獲得やインフラ支出拡大など、中国に代わる存在として台頭している。
ECBと英中銀
ストックス欧州600指数は2年ぶり高値水準付近にある。中国で財政刺激策が打ち出される可能性を踏まえると、さらなる上昇の鍵を握っているのはアジアへのエクスポージャーが高いシクリカル銘柄になるだろう。
欧州企業の収益は軟調な域内経済に圧迫される公算が大きく、BIのデータによると、2024年は約4%増益がアナリストのコンセンサス予想となっている。
米テキサス州のダラスに金融業界から熱い視線が注がれている。ウォール街の大手金融機関3社は今年、ダラスで新たなオフィス建設に着手し、全米有数のスピードで成長するテキサス州の中でも特に成長が著しい同市への進出を確固たるものにした。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をきっかけに、金融業界はテキサス州で事業を急速に拡大。金融関連の従業員の数は今やニューヨークに次ぐ多さで、シカゴやロサンゼルスを上回る。
金融機関のこうした動きは大手に限った話ではない。テキサス州では州の所得税がかからず、住宅も比較的安価に手に入ることから、東海岸や西海岸から多くの富と人がダラスに流入。利益拡大の機会を得ようと、あらゆる規模の資産運用会社が狙いを定めている。フィッシャー・インベストメンツは今年に入り、ワシントン州からダラス近郊のプレイノに移転した。プレイノにはここ数年にチャールズ・シュワブやキャニオン・パートナーズなども移転してきている。
こうした金融機関の進出もあり、ダラスはアトランタやマイアミといった競合都市を圧倒し、南部における金融の中心地としての地位を確固たるものにしつつある。テキサスでは人や企業の急速な流入により、建設や外食など金融とは直接関係のない業界でも雇用創出の好循環が生まれている。
ただテキサスでは、州の政治的な要素が業界の拡大ペースに悪影響を及ぼす恐れがある。テキサス州の司法長官室は10月、バンク・オブ・アメリカ(BofA)やJPモルガン・チェースなど金融企業10社について、気候変動への懸念を理由に石油・ガス業界との取引を制限する企業に制裁を科す州法に違反していないかどうか調査していると発表した。また州当局者らは、銃器メーカーを「差別」する企業との契約を制限する2021年成立の州法を巡り、金融機関に対する調査を実施した。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は11月、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、社の方針として銃器や化石燃料業界との取引を制限する米銀に制裁を科すことを目指す州法によって、テキサス州はビジネスに優しいという評判を落とすリスクがあると警告した。一方、パクストン州司法長官は、そうした懸念は行き過ぎだと指摘している。
ただ現在のところは、ダラスの金融セクターに減速の兆しは全く見られない。ウェルズ・ファーゴは3000人収容のオフィスキャンパスをダラス近郊のアービングに建設する。11月にはBofAが、ゴールドマンの新キャンパスから1マイル(約1.6キロメートル)も離れていないエリアで、30階建て高層ビルの起工式を行った。
米国債の逆イールドはリセッション(景気後退)のシグナルを発しており、米金融当局は速やかに利下げを開始するべきだと、デューク大学のエコノミスト、キャンベル・ハーベイ氏は指摘した。同氏は1980年代に初めて、利回り曲線研究で逆イールドの景気後退予見性を立証した。
ハーベイ氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、3カ月物財務省短期証券(Tビル)と10年債の逆イールドは過去13カ月間続いており、これはリセッションまでにかかる平均的なリードタイムだと指摘。「13カ月目に入った。米金融当局はフェデラルファンド(FF)金利をできるだけ早期に引き下げることで、状況を支援することが可能だ」と述べた。
現在の高い政策金利は「経済に大きなストレスをもたらす。私の計算ではインフレが2%を大きく下回って推移していることを踏まえれば、こうしたストレスは不要だ」と続けた。
その上で、米金融当局は遅れを伴う住居費のインフレに注目することで間違いを犯しているとし、「リアルタイムの賃貸インフレや住宅価格インフレに目を向けると、0%か1%に近い。消費者物価指数(CPI)をリアルタイムの住居費で再計算すると、2%を下回るリアルタイムのインフレになる」と語った。
米国が深刻なリセッション(景気後退)には陥らない可能性が高いことから、社債、とりわけ高利回り債は「スイートスポット」にあると、アライアンスバーンスタイン・ホールディングの債券共同責任者、ガーション・ディステンフェルド氏が指摘した。
同氏はブルームバーグテレビジョンの番組で「利払いが得られ、デフォルト(債務不履行)もさほど多くはならず、リターンは株式市場さえ上回るかもしれない」と語った。
各国・地域の中央銀行が来年利下げに動くとの見方がトレーダーの間で強まる中、世界の債券市場は2カ月として過去最大の上昇を記録する方向だ。株式市場ではナスダック100指数が年間ベースで1999年以来最高になる勢いで、S&P500種株価指数も過去最高値まであとわずかだ。
ディステンフェルド氏は「ここ2、3カ月で既に多くのリターンが得られた」とした上で、「この流れはさらに続くと考えられる。米金融当局の政策正常化に伴い、金利は低下が続くと想定している」との見通しを示した。
一方、ジャンク債市場で最も高リスクの層にある「CCC」格付け債は、トータルリターンで今年20%近く上昇しており、米債券市場でパフォーマンスが最も高い資産クラスだ。こうしたリターンを背景にジャンク債は、足元で活況を呈しているプライベートクレジット市場に対し、久しく見られなかったほど競争力が高まっていると同氏は指摘した。
「プライベートクレジット市場から得られるプレミアムは低下してきている」とした上で、「プライベートクレジット市場の損失の割合も恐らく高まるだろう」と同氏は分析した。
これほど多くの経済学者がリセッションを予想した裏には訳がある。実勢を把握していなかったわけでも、トランプ前米大統領の選挙戦での主張を繰り返したわけでもない。イエレン氏やクルーグマン氏、ローマー氏ら多くの専門家が何十年もそれを教えてきたからだ。リセッション入りの可能性が十分あるとずっと考えてきた私自身も、一般的混乱と無関係と思っていない。
サマーズ元米財務長官は、ディスインフレによって雇用と生産に莫大(ばくだい)なコストが生じると予測し、それが間違っていたと分かった。少なくとも同氏は一貫性あるモデルを用いていたが、現実世界はモデル設計者が望むほど一貫していない。
ここでは過去の教義を隠さず、より率直になるのが正解だ。マクロ経済学者は非常に多くの場合、何が起きているか理解していない。
最近の出来事を少なくとも部分的に説明できるかもしれない理論、すなわち合理的期待に基づくディスインフレの理論は経済学者、とりわけケインズ派経済学者から支持されなくなった。ロバート・E・ルーカス氏とトーマス・サージェント氏がノーベル経済学賞を受賞したにもかかわらず、このアプローチは今もほとんど評価されていない。
マクロ経済学がいかに政治化されているか認識することが何より重要だ。米経済が23年にリセッションを回避する予想が正しかったと大勢のエコノミストが今触れ回っている。けれどもさらに深く掘り下げると、もっと長くあまり都合のよくないストーリーが浮かび出てくる。
中国国防省は28日、台湾が2週間後に迫った総統選挙を前に、中国の軍事的脅威を意図的に「誇張」していると非難した。
台湾では1月13日に総統選挙と立法委員(国会議員)選挙が実施される。選挙が近づく中、台湾当局は、台湾周辺での中国軍の戦闘機や軍艦の活動や気球の飛来を指摘している。
中国国防省の報道官は定例会見で、緊張の原因は台湾にあると指摘。「(与党の)民進党当局は、いわゆる『大陸からの軍事的脅威』を意図的に誇張し、緊張をあおっている。選挙戦を有利に進めるためだ」と述べた。
台湾国防部(国防省)は26日、総統選を前に中国による大規模軍事活動の兆候は見られないが、今後も状況を注視すると述べていた
中国国防省報道官は、人民解放軍は台湾軍の動きを十分認識しているとし「これまでと同様、国家主権と領土保全を断固守るために必要なあらゆる手段を取る」と述べた。
台湾が中間線を越えて進入したと指摘する気球についてはコメントを控え、「台湾は中国の一部である。『中間線』なるものは存在しない」と述べた。
中国は、米国の台湾への武器売却を非難している。報道官は「いかなる国も、いかなる形でも台湾との公的・軍事的接触に断固反対する」と指摘。「米国は台湾問題をさまざまな形に操作している。それは非常に危険な賭けだ」と述べた。
今月発足したポーランドのトゥスク新政権のシェンキエビッチ文化相は27日、公共のテレビ、ラジオ、通信社を清算することを決めたと述べた。
公共メディアを巡っては、保守政党「法と正義(PiS)」による前政権時代に、政権寄りの報道をする「プロパガンダ(政治宣伝)」の手段になったとの批判が出ており、親欧州連合(EU)派のトゥスク政権が見直しを進めている。
PiSはこうした動きに強く反発。新政権が通常の議会手続きを迂回して見直しを進めていると批判している。
これに先立ち、PiS寄りのドゥダ大統領は、新政権がまとめた公共メディア向け歳出法案に拒否権を発動。
これを受け、シェンキエビッチ文化相は「大統領が公共メディアへの資金拠出停止を決めたため、ポーランド・テレビ、ラジオ・ポーランド、ポーランド通信社を清算することを決めた」とX(旧ツイッター)に投稿。
「現状では、こうした企業の営業は継続され、必要な再編が行われ、従業員の解雇は回避できる」とし、国の決定により清算状態はいつでも撤回できると述べた。
ラブロフ氏は「世界中で嵐が続いているが、その理由のひとつは西側の支配者層が他国民を犠牲にして自分たちの問題を解決するために国境から何千キロも離れた場所で危機を引き起こしていることだ」と指摘。「西側諸国が失われつつある優位性に固執しようとしている状況を踏まえると、誰も西側の地政学的陰謀から身を守ることはできない」と説明した。
また、中東情勢の緊張緩和を呼びかけ、テロ行為も「集団的懲罰」も「容認できない」と強調。「暴力の連鎖を断ち切り、何世代にもわたってパレスチナ人が苦しんできた不公正を無くすことが重要だ」と述べた。
ロシアが「特別軍事作戦」と主張するウクライナとの紛争について、ウクライナ側が和平協議に消極的だと再度批判した。
中国は既存の金融政策を強化し、消費者物価を刺激すると表明した。同国の消費者物価指数(CPI)は11月も低下が続き、過去3年で最大の落ち込みとなった。
中国人民銀行(中央銀行)は28日、的を絞った効果的な方法で穏健な金融政策を実施すると表明。消費者物価を押し上げるとの約束を再確認した。同中銀は前日、四半期に一度の金融政策委員会会合を終了した。
人民銀は信用の合理的な伸びを誘導するほか、テクノロジーやインフラなどのセクターへの構造的支援を強化し、民間投資を刺激するため政府投資を推進することも約束した。
2023年の商品市場は、様々な品目を最大消費国として「爆買い」してきた中国経済が重荷となった。リオープン(経済再開)期待が空振りに終わり、景気の長期停滞懸念が続く。24年も需要が戻らず相場の反発が遅れる可能性がある。
商品のなかでも、中国の景気動向を反映しやすいとされるのが非鉄だ。「ドクターカッパー」の異名も持つ銅やアルミは消費の5〜6割を中国が占め、建設や製造業など用途も幅広い。
●中東
エジプトは28日、パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘を巡り「3段階」の休戦案を提示したと確認し、回答を待っていると明らかにした。
エジプト国家情報局のトップは声明で、新たな案は「パレスチナ人の流血とガザへの攻撃停止と地域の平和と安定回復に向け、全ての関係当事者の意見をすり合わせる」試みとし、回答が得られ次第、新たな案の詳細を明らかにするとした。
イスラエル軍は28日、パレスチナ自治区ガザ中央部にある町の奥深くまで戦車を進軍させた。砲撃は数日間にわたって行われており、すでに家を失った数万人のパレスチナ人が新たな避難を余儀なくされている。
ガザ健康省のアシュラフ・アルキドラ報道官によると、28日遅くのイスラエル軍の空爆により、南部ラファでパレスチナ人20人が死亡、55人が負傷した。地元の医師や住民によると、攻撃を受けた建物には避難民が滞在していたという。
パレスチナ保健当局は、イスラエル軍の攻撃で過去24時間に210人の死亡が確認されたと発表。戦争による死者数は2万1320人に達した。これはガザの人口のほぼ1%に相当する。さらに数千人の死者が埋められたり、廃墟の中で行方不明になっている恐れがある。
イスラエル政府報道官は28日、10月7日のイスラム組織ハマスによる大規模攻撃で捉えられた人質240人のうち、11月下旬の戦闘休止中に110人が解放されたほか、23人が不在のまま死亡が確認されたと発表した。
28日はガザ中部のヌセイラット、ブレイジ、マガジから逃れてきた数万人が南部や西部に避難。急遽建てられた仮設テントのキャンプに押し寄せた。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)はソーシャルメディアへの投稿で「幼い子ども、赤ん坊を抱いた女性、障害者、高齢者など15万人以上の人々が行き場を失っている」とした。
ブレイジ東部では28日、イスラエル軍の戦車が北方や東方から進入し、激しい戦闘が展開されたという。
南部ハンユニスでも28日午前、アル・アマル病院付近で戦闘機や戦車から激しい砲撃を受けた。病院を運営するパレスチナ赤新月社は同病院への1回の砲撃で10人が死亡、12人が負傷したと発表。同病院付近を狙った砲撃は1時間以内に3回あったという。
イスラエル側は3人の兵士が死亡し、地上侵攻での死者数は合計169人になったと発表した。
エジプトは28日、パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘を巡り「3段階」の休戦案を提示したと確認し、回答を待っていると明らかにした
●中南米・アフリカ
チリのボリッチ大統領は27日、同国のリチウム生産大手ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ(SQM)(SQMA.SN)と産銅大手のチリ銅公団(コデルコ)がリチウム分野で提携したことを歓迎すると発表した。
提携は政府が管理する官民連携事業(PPP)とし、コデルコが新会社の過半数株式を取得する。SQMは民間企業。
SQMは同日、今後のリチウム開発・生産でコデルコと提携すると発表。共同事業は同国のアタカマ塩原で2025年から開始し、60年まで継続する。
今回の提携はボリッチ大統領が4月に発表したリチウム産業の国家管理を強化する計画に沿ったものだ。同国のリチウム確認埋蔵量は世界最大。リチウムは電気自動車(EV)用電池に利用される。
大統領はテレビ演説で「これはチリの鉱業において前例のない画期的な出来事であり、公正で持続可能な開発の実現に向けた具体的な一歩だ」と表明した。
アタカマ塩原はチリ北部に位置し、国内のリチウム埋蔵量の90%が存在する。
●市況
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドル/円が下落した。米連邦準備理事会(FRB)が来年利下げするとの見方が背景。
市場ではFRBが来年3月に最初の利下げを実施するとみているほか、来年12月までに155ベーシスポイント(bp)の利下げが行われるとの見方が織り込まれている。
バノックバーン・グローバル・フォレックスのチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「市場はFRBの金融緩和に対してさらに積極的になっている」と述べた。
<債券>  米金融・債券市場では、指標となる10年債利回りが一時低下した後切り返し、上昇に転じた。28日発表された経済指標に反応した。
<株式> 米国株式市場はS&P総合500種(.SPX)が終盤に上げ幅を縮小し、ほぼ横ばいで取引を終えた。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、紅海の治安悪化を受けた石油供給混乱への懸念が幾分緩和し、続落した。
<ロンドン株式市場> ほぼ横ばいで取引を終えた。市場参加者が少なく薄商いの中で、中型株で構成するFTSE250種指数(.FTMC)は0.01%安で引けた。
英中銀が来年5月までに政策金利を引き下げるとの予想が広がる中、英国の10年物国債利回りは一時、4月6日以来の低水準まで低下した。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。石油・ガス株や銀行株の下落が相場を押し下げた。
原油価格の値下がりを受け、STOXX欧州600種石油・ガス株指数(.SXEP)は0.68%安。銀行株指数(.SX7P)は0.53%下げた。
デンマークの海運大手マースク(MAERSKb.CO)は1.7%下落。27日も4.7%下げていた。
ハーグリーブス・ランズダウンの金融・市場部門責任者、スザンナ・ストリーター氏はマースクがスエズ運河と紅海を経由するタンカーの運航再開を計画したことが当面の原油供給懸念を払拭するのに役立ったとの見方を示した。イスラエルとレバノンの国境では、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラによる攻撃を受けて懸念が高まっており、地政学的緊張は依然高まっていると言及した。
デンマークの風力タービンメーカー、ベスタス(VWS.CO)は2.4%上昇。米国での受注獲得発表が材料視された。
<ユーロ圏債券> ドイツ2年債利回りが3月の銀行危機以来の低水準を付けた。利下げ観測の継続を受けた。一方、長期債利回りはイタリア債を中心に上昇した。
日経先物33,448、ダウ先38,040、債先146.81、米3.844、独1.9435、仏2.472、西2.893、伊3.592、英3.5030、波5.161、原油72.00、銅8,621、ドル円141.41、ユーロドル1.1066
※12/29 8時45分頃

備忘録(2023/12/27)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
複数の米投資銀行は米シェブロン(CVX.N)の業績予想を下方修正した。今年の業績不振が来年も続くとの懸念から、社員の間では人員削減への警戒が高まっている。ただ、同社株は割安との見方も出ている。
シェブロンは今年、米パーミアン盆地とカザフスタンという2つの主要産油地域が低調だったことに加え、競合ヘスを530億ドルで買収する計画を当局が早期に承認するとの期待も薄れている。
シェブロンの株価は年初から15%下落し、競合BP(BP.L)やエクソンモービル(XOM.N)、シェル(SHEL.L)、トタル(TTEF.PA)の株価パフォーマンスを下回っている。
LSEG(ロンドン証券取引所グループ)によると、米金融大手15社中7社が、過去30日間にシェブロンの第4・四半期業績予想を平均12%下方修正した。予想を引き上げたところはなかった。
LESGによると、同社の24年利益予想は過去30日間で平均10.3%引き下げられ、1株当たり利益は14.17ドルとなっている。同社競合のエクソンモービルの予想も下方修正されたが、引き下げ幅は4%未満だった。
UBSのアナリスト、ジョシュ・シルバースタイン氏は今月、同社の目標株価を194ドルから185ドルに引き下げた。ただ、割安な株価と24年第2・四半期以降の石油生産見通しを踏まえ、投資判断は「バイ」としている。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
オーストラリア当局は27日、25─26日に同国東部を襲った激しい雷雨で8人が死亡し、1人が行方不明になっていると発表した。数万世帯で停電が続いている。
ビクトリア、ニューサウスウェールズ、クイーンズランドの3州は雷雨に伴い大粒のひょうや豪雨が降るなど、悪天候に見舞われた。一部の地域は暴風で屋根が吹き飛ぶといった大きな被害を受けた。
クイーンズランド州営エナジェックスによると、送電線の損傷が原因で9万世帯以上でで停電が続いている。
日銀の植田和男総裁はNHKのインタビューで、来年にマイナス金利が解除される可能性が「結論的にはゼロではない」と述べた。経済・物価情勢が好転して賃金・物価の好循環が見通せる状況が来年訪れることに期待感を示した。
インタビューは26日に行われ、27日に放映された。
もっとも、植田総裁は、マイナス金利解除が来年1月なのかについては否定的な見方を示した。1月には支店長会議が開かれ、地方の中小企業の賃上げや価格転嫁の状況についてどのような報告がなされるかが焦点。
植田総裁は1月の支店長会議で賃金・物価でかなりの情報が得られる可能性は「今のところそんなに高いとは思っていない」と述べた。
植田総裁は賃金・物価の好循環の下での2%インフレの実現について「まだもうひとつ自信が持てない」と述べた。物価が2%をオーバーして際限なく上がっていくリスクは高くなく、「焦っているという気持ちはない」とし、非常に近い将来にデフレに戻るリスクは「非常に低い」と語った。
日銀が注視する賃金と物価の好循環について、植田総裁は具体的な判断基準を示した。
来年の春闘については「今年の春と同じか、それを少し上回るくらいの賃上げが決定されると望ましい」と述べた。来年3月には集中回答日があるが「特定のイベントで何か全部決まるというわけではないが、それも含めて大事なイベントはきちんと情報を確認していきたい」と語った。
政策委員の中には中小企業の賃上げまで見極める必要があるとの意見が出ているが、植田総裁は中小企業の賃金データがまだ出ていなくても「企業収益などが非常に強く、賃金が期待できるという情勢であれば1つの大きな判断材料になる」と述べた。
賃金上昇分のサービス価格への転嫁を巡っては、12月の金融政策決定会合で「企業からは引き続き難しいという声が多く聞かれる」との意見が出ていた。植田総裁は、今年上がった賃金が今年から来年にかけてどの程度サービス価格に反映されるか見たいと述べた。
日銀が来年マイナス金利を解除すれば、2007年以来17年ぶりの利上げになる。植田総裁は将来的な金融政策の転換の際には「一部現状のままで行くという部分もあるかもしれないが、それも含めて全体を見直すという作業はしたい」と話した。
シティグループやJPモルガン・チェース、UBSグループなど、顧客のためにシステマティックな株式商品を開発する銀行が、24時間未満に期限が切れるデリバティブ「ゼロ・デー・オプション(ゼロDTE=ゼロ・デー・トゥー・エクスピレーション)」の流行に乗った。
いわゆる「クオンツ投資戦略」(QIS)を担当するデスクは、この派手なオプションを中心に新たな取引を構築したり、既存の戦略の代替手段として利用したりしている。
この種のオプションは広く導入されてから2年で急成長を遂げた。クオンツ投資家が採用したことは、市場に受け入れられたことを示す新たな証だ。成長の一因は、単純に流動性の好循環にある。取引が盛んになれば、プロの投資家が飛びつく。今では、ボラティリティーへの低コストの賭けからポートフォリオの分散化まで、さまざまな目的でゼロDTEを使ったオーダーメードの戦略が提案されている。
シティのQISトレーディング・ストラクチャリングのグローバル責任者、ミケーレ・カンチェリ氏は「リスク管理という点で、このソリューションが実際に優れていることを人々に納得してもらうのは難しいことではない。これは間違いなく受け入れられており、今後さらに拡大する可能性がある」と話した。
一説には3700億ドル(約52兆7700億円)の資産を運用しているとされるウォール街のクオンツが、市場の変化に対応していかに迅速に商品を生み出すことができるかが鮮明になる。各投資銀行のQISチームがこれらの取引をスワップや仕組み債にパッケージングしているため、競争についていかなければならないというプレッシャーが高まっている。
シティではカンチェリ氏と同僚のギヨーム・フラマリオン氏がゼロDTEへの参入を主導。下落に対してヘッジし、プレミアムを確保し、相対価値取引を強化する幅広いボラティリティー関連商品にゼロDTEをバンドルしている。両氏の見解によれば、満期までの時間が24時間より短い商品の大きな利点は、夜間に市場の不利な動きに巻き込まれるリスクを最小限に抑えられることだ。
シティの米州マルチアセットグループ責任者であるフラマリオン氏は「ゼロ・デー・オプションが大人気となったのには、非常に正当な理由がある。われわれは顧客が自由に選択し、目的に応じてエクスポージャーをカスタマイズできるよう、一連の戦略を構築する必要がある」と述べた。
JPモルガンが提供する日中モメンタム取引も、ゼロDTEの世界向けに改良された標準的な商品の一例だ。これまでは指数先物を使った商品だったが、そこにゼロ・デー・オプションが加わった。
新商品の乱立は、ゼロDTEの普及が市場の安定を脅かし、「ボルマゲドン」と呼ばれた2018年のボラティリティー急上昇のような事態を引き起こすリスクがあるという懸念を希薄化させる可能性がある。このオプションの取引ブームの中心であるCBOEグローバル・マーケッツは、取引フローが広がれば広がるほど、一方的な市場となる危険性は減少すると主張している。
ゼロ・デー・オプションは23年の市場に適した商品として登場し、不確実な経済と変化する中央銀行の政策の中で、絶え間ないボラティリティーを乗り切ろうとするトレーダーによってその普及が促進された。1ドルの投資で1000ドルの賭けに相当するという価格の低さもあって、この商品は瞬く間に主流となり、一時はS&P500種株価指数オプション総取引高の半分以上を占めるまでになった。
ゼロ・デー・オプションの利用はここ数カ月で欧州にも広がり、他の資産にも波及。衰える気配はない。クオンツ投資家にとって、ゼロDTEに連動した取引を展開する競争は始まったばかりだろうと、シティのカンチェリ氏は言う。
「どんな新しい市場でも、完全に取り入れる前に、人々は数カ月から数年のパフォーマンスを見たがるものだ。われわれはまだ競争の初期段階にいる」と同氏は述べた。
欧州の天然ガス先物が27日に上昇。パレスチナ自治区ガザでは戦闘が激化しており、紛争拡大のリスクがある。
指標価格であるオランダ期近物は一時6%上昇。米軍がイラクで複数の標的を空爆したほか、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は紅海で船舶に新たな攻撃を仕掛けており、中東情勢が不安定になりつつあるとの懸念が強まっている。
迂回(うかい)しての船舶による供給はまだ大きな影響を受けていないが、エネルギー輸出の主要な経由ルートに脅威が及ぶ恐れがあるとして、市場は引き続き強く警戒している。
ヘイリー氏がさらに勢いを強め、トランプ氏打倒と共和党指名獲得に現実味を持たせたいならば、支持層を迅速に広げなければならない、というのが同氏の敵味方共通の認識だ。
今月公表のロイター/イプソス調査によると、共和党指名獲得レースに関する全米レベルの支持率はトランプ氏が61%、ヘイリー氏とデサンティス氏がともに11%だった。
ヘイリー氏は、大卒の共和党支持者の約2割を取り込み、郊外在住者の支持率でも健闘している半面、非大卒者の7割はトランプ氏を支持した。
政治活動委員会(PAC)枠外団体としてヘイリー氏を応援している組織SFAの内部調査でも、同氏は高所得層や大卒者、郊外在住者の間では優勢だ
この調査の担当者は、ヘイリー氏の注目度が高まり始めて有権者にとってよりなじみのある候補になるとともに、農村部や非大卒者の支持を拡大できる余地があると自信を示した。
SFAは9月下旬以降、ヘイリー氏支持の広告や手紙送付などに2500万ドル余りを費やしており、この頃から幾つかの大口献金者の間で本格的な応援の動きが出てきた。
最近になってSFAが力を入れているのは、格差拡大を嘆く中間層の問題への取り組み。陣営の広報担当者は「ヘイリー氏はどんな有権者も軽んじていない。彼女はアイオワ州全域を回って集会を開き、全ての質問に答えて誰とでも握手を交わしている」と強調した。
アイオワ州の党員集会の1週間後にはニューハンプシャー州で予備選挙が実施される。アイオワよりもずっと裕福なニューハンプシャーでは、ヘイリー氏の支持率はトランプ氏に次ぐ2位。ヘイリー氏の支持団体の一つが今月半ばに行った内部調査の結果をロイターが確認したところでは、ニューハンプシャーでヘイリー氏とトランプ氏の一騎打ちを仮定した場合は、互角の勝負を演じられるという。
ロイターはアイオワ州でのヘイリー氏の集会に参加した20人に取材し、今回はトランプ氏に票を入れないと考えている人や、なおトランプ氏への投票を検討中という人たちの一部をヘイリー氏が引きはがしつつあることが分かった。
米短期金融市場における比重が大きいレポ取引は、今週に入って金利が2019年以来の水準に跳ね上がった。年末を迎えてディーラーがポジションを手じまっている影響とみられている。
代表的なレポ取引(GFCレポ)の毎日の平均金利を反映する「DTCC GFCトレジャリー・レポ指数」は26日が5.452%で、先週の5.395%から上昇し、19年9月以降で最も高くなった。当時は銀行の準備金が大きく落ち込んで翌日物取引金利が一時10%まで高騰し、米連邦準備理事会(FRB)が介入を迫られる事態になった。
複数の市場参加者の話では、今回の場合はディーラーの手じまいに伴って、借り手の調達コストが押し上げられた。
ただドイツ銀行の米金利ストラテジスト、スティーブン・ゼン氏は、今週のGFCレポ金利上昇は特に心配ないと指摘。GFCレポはディーラー間の貸借取引で、動く資金の量が非常に限られる結果、金利が高くなっていると説明した。
大手ディーラーの参加が減って、主な資金の出し手のマネー・マーケット・ファンド(MMF)がレポ取引を利用しにくくなっており、ゼン氏によるとFRBのリザーブ・レポ利用が増えているのがその証拠だという。
別の市場関係者は、年末でなければ、リザーブ・レポに向かった資金の多くがレポ市場に流入するはずだとの見方を示した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは27日、資金調達コストの上昇により米銀の純金利マージン(NIM)が圧迫されており、たとえ米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じたとしても2024年末までにその圧力が緩和される可能性は低いとの見方を示した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、アナリストは24年に米大手銀行20行中16行のNIMが低下すると予想。中央値で14ベーシスポイント(bp)低下が見込まれているという。
ブルームバーグがまとめたデータによると、SPACとの合併を通じて上場した少なくとも21社が今年倒産した。各社のピーク時の時価総額から算出すると、経営破たんによって合計で460億ドル(6兆5600億円)余りの株式価値が失われたことになる。
中には有望な企業もあったが、いずれも個人投資家を含め、SPACブームに乗せられた熱狂的な投資家から資金を集めた。足元では、損失を被った株主の多くがSPACのスポンサーを訴えている。
今年最大級の経営破たんに追い込まれたSPAC企業には、ソフトバンクグループの出資先で、シェアオフィス事業のウィーワークが含まれる。
金利上昇が企業のバランスシートに重くのしかかる中、今後さらなる問題が起こりそうだ。ブルームバーグが12月中旬にまとめた企業の推定資金需要データによると、元SPAC企業の約140社は、事業を継続するには向こう1年に一段の資金を必要とする可能性が高い。
また規制当局への提出書類を分析する投資調査ソフトウエアを手がけるハドソン・ラボでは、SPAC企業は相対的に、事業の先行きについて警告する傾向が強いと指摘している。2023年に年次報告書を提出したSPAC企業の44%近くが継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する警告を行っているのに対し、SPAC以外の企業ではこの割合は約22%だったという。
●中国・アジア・ロシア・東欧
韓国の首都ソウルで27日、北朝鮮による奇襲攻撃を想定した異例の防衛訓練が行われた。
訓練には軍、警察、救急隊1000人以上が参加。朝鮮半島では北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、初の偵察衛星を打ち上げるなど緊張が高まっている。
ソウル市の呉世勲・市長は「イスラエルの世界トップクラスの先進的な防衛システムが、通常型の大砲と原始的な手段で武装したハマスの奇襲攻撃になすすべもなく屈したことは、われわれにとって大きな教訓だ」と発言。優れた軍事能力を持っていても、敵の奇襲攻撃が成功すれば大きな意味がないことが明らかになったと述べた。
27日の訓練は、主要な給水施設、電話網、地下通信・電力ケーブルへの攻撃を想定して実施。同市長はソウルは南北の軍事境界線から38キロメートルしか離れておらず、常に攻撃の脅威にさらされていると述べた。
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、軍や軍需産業、核兵器部門に対し、米国による前例のない「対決の動き」に対抗するため戦争準備を加速させるよう命じた。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が28日報じた。
金氏は朝鮮労働党の重要会議である中央委員会拡大総会の2日目となる27日、新年の政策方針に言及。北朝鮮は「反帝国主義的独立国」との戦略的協力を強化するとも述べた。
KCNAは「金氏は人民軍と軍需産業、核兵器、民間防衛部門に対して、戦争準備をさらに加速させるための軍事的課題を示した」と伝えた。
さらに、新年の経済目標を提示し、国の5カ年開発計画を達成するための「決定的な年」になると述べた。
今年の政策などを総括する中央委員会拡大総会は26日に始まった。会議は通常数日続き、近年は重要な政策発表の場とされている。国営メディアが翌年の1月1日に金正恩氏の演説を公表していた
中国国務院台湾事務弁公室の陳斌華報道官は27日の定例会見で、台湾の与党・民主進歩党(民進党)が独立支持の立場を堅持するならばさらなる貿易制裁を科すと警告した。
中国は21日、台湾から輸入する一部の化学品に対する関税引き下げ措置を終了すると発表。台湾側が2010年の貿易協定に違反したと主張した。
陳氏は民進党の独立支持が同協定に関する問題の根本原因をつくっていると指摘。「民進党が台湾独立の立場をかたくなに堅持する考えで、悔い改める気がないならば、われわれは関係機関が規則に沿ってさらなる措置を取ることを支持する」と述べた。
来年1月13日の台湾総統選・立法委員(国会議員)選を控え、中国は台湾が中国の一部という主張を受け入れれるよう台湾に圧力を強めている。総統選の最有力候補である民進党の頼清徳・現副総統を分離主義者と見なし、嫌悪感をあらわにしている。
陳氏は、台湾は進むべき道について「岐路に立たされている」とし、台湾独立反対を前提に置けばいかなる議論も可能だと述べた。さらに、台湾独立は戦争を意味すると改めて強調した。
中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が27日公表した第14次5カ年計画の中間報告は内需を拡大し、迅速な景気回復を確かなものとし、安定成長の促進に努めるとの方針を示した。
鄭山傑・中国共産党書記兼国家発展改革委員会主任は26日の会合で「消費の回復と拡大を優先し、大量消費を安定化し、サービス消費を促進する」と言及。さらに中所得層の拡大を目指した改革を加速させるとした。
不動産不況や地方政府の債務リスク、世界経済成長の鈍化を背景に中国当局は最近数カ月、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の景気てこ入れ策を発表してきた。
鄭氏は、中国は市場志向の改革と制度開放を深化させ、発展を後押しすると説明。また、「不動産や地方政府債務、中小金融機関のリスクの解消に向けた調整」により、主要分野でのリスク防止と解消に取り組むとした。
鄭氏は一部の国が中国への技術輸出を阻止している中で、克服するためにはハイテク開発を強化する必要があるとも言及。「(中国は)重要なコア技術のブレークスルーを加速させ、高いレベルの科学技術的自立を達成し、技術や産業が低中級に『固定化』されるのを避けなければならない」と訴えた。
●中東
米ホワイトハウスの国家安全保障会議の報道官は26日、イランによる高濃縮ウランの増産に関する国際原子力機関(IAEA)の報告書を米国は「非常に懸念している」と述べた。
IAEAは26日、加盟国への報告書でイランがウランの濃縮度を兵器級に近い60%まで高めるペースを再び加速させているとの見解を示した。 
報道官は、イラクとシリアにおける最近のドローン(無人機)攻撃や紅海における親イラン武装組織フーシ派の商船への攻撃など、イランが後ろ盾となる勢力が危険で不安定な活動を続ける中、イランの核開発加速は今まで以上に懸念事項だと指摘した。
トルコのエルドアン大統領は27日、パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けるイスラエルのネタニヤフ首相が行っていることは「(ナチス・ドイツの)アドルフ・ヒトラーと変わらない」と非難し、イスラエルを支持する西側諸国は戦争犯罪に加担しているとの考えを示した。
エルドアン氏は「西側諸国はヒトラーについて悪く語った。ネタニヤフ首相が行っていることは、ヒトラーが行ったことほどひどくないというのか。そうではない」とし、「ネタニヤフ氏は西側諸国から支援を受けている。あらゆる支援を米国から受けている。その支援で何をしたのか。2万人を超えるガザの人々を殺害した」と語った。
これに対し、ネタニヤフ氏は声明で「クルド人に対するジェノサイド(大量虐殺)を行い、自身の統治に反対するジャーナリストを投獄した世界記録を持つエルドアン氏は、われわれに道徳を説くことができる最後の人物だ」と述べた。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるトルコはイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を支持。イスラエルとの通商関係を維持しているが、イスラム組織ハマスを「テロ組織」に指定せず、イスラエルによるガザ地区への攻撃を非難。「テロ国家」なのはイスラエルだとし、イスラエルの指導者は国際裁判所で裁かれるべきとの立場を示している。
エジプトのシシ大統領とヨルダンのアブドラ国王は27日、エジプトの首都カイロで会談し、パレスチ自治区ガザとヨルダン川西岸地区に居住するパレスチナ人を追放するイスラエルのいかなる動きも拒否すると表明した。国営メディアが報じた。
シシ大統領とアブドラ国王は会談後に発表した声明で、即時停戦の実現とガザ地区への支援拡大に向け、国際社会がイスラエルに圧力をかける必要があるとした。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルがユーロと通貨バスケットに対し5カ月ぶりの安値を付けた。米連邦準備理事会(FRB)が近く金利を引き下げるとの期待を受けた。
ただ、多くの市場関係者が年末年始休暇を取っているため、商いは年明けまで限定的となる可能性が高く、流動性が乏しい中で値動きが荒くなる可能性がある。
DRWトレーディング(シカゴ)のマーケットストラテジスト、ルー・ブライエン氏は「日本は少なくとも今後数カ月以内に超低金利政策からようやく脱却しそうなほか、欧州中央銀行(ECB)もFRBが新たに打ち出したハト派姿勢よりはややタカ派になりそう」と指摘。「インフレ率が大幅に低下し、意図しない政策の引き締まりを回避するためにFRBが利下げを実施するとすれば、それはおそらく良いシナリオだ」と述べた。
ただ、経済軟化を理由に利下げするのであれば、経済と株式市場にとって「厳しいものになる」と言及。「利下げの動機はまだ不明だが、最も重要な要素になるだろう」とした。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが低下した。市場では、来年に米経済が穏やかな景気後退(リセッション)に陥り、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに転じるとの観測が意識されている。
<株式> 米国株式市場は薄商いの中、小幅続伸して取引を終えた。材料難で方向感が出ず、主要3指数は終始、小幅なプラスとマイナス圏を行き来する展開だった。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、海運大手が治安悪化を背景に回避していた紅海航路を再開する中、反落した。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。イングランド銀行(英中央銀行)を含む主要中央銀行が2024年の早い時期に利下げを始めるとの楽観的な見方が広がる中、自動車・部品株が買われたのが相場を押し上げた。
個別銘柄では、英資源大手アングロ・アメリカン(AAL.L)が2.3%上昇。90億ドル相当の英国鉱山事業の株式の一部売却を検討していると伝わったことが材料視された。
英製薬のアストラゼネカ(AZN.L)は0.9%上昇。細胞治療事業の強化と中国での存在感向上を目指し、グレーセル・バイオテクノロジーズ(GRCL.O)を最大12億ドルで買収すると発表したことが好感された。製薬・バイオテクノロジー株指数(.FTNMX201030)は0.61%上げた。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が早ければ来年3月にも利下げを開始するとの観測が強まり、金利動向に敏感なテクノロジー株や不動産株を中心に買いが優勢で今年最終週をスタートした。ただ、海運会社が下落したため上げ幅は抑えられた。
BNYメロンのEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域担当マクロストラテジスト、ジェフ・ユー氏は「2024年の3月または4月に欧州中央銀行(ECB)が利下げを開始するとの観測は比較的一貫しており、FRBとの違いが大きいとはもはや考えられていない」との見方を示した。
一方、デンマーク海運大手APモラー・マースク(MAERSKb.CO) は4.7%下落。イエメンの親イラン武装組織フーシ派による商船攻撃を背景に今月から停止していたスエズ運河経由の航路を再開し、コンテナ船を数十隻運航することを計画していると明らかにしたことが背景にある。
ドイツの製薬・化学大手バイエル(BAYGn.DE)は2.3%上昇。除草剤ラウンドアップへの暴露が原因でがんになったとして米カリフォルニア州の男性が起こした訴訟で勝訴したと発表したのが材料視された。
デンマークの風力タービンメーカー、ベスタス(VWS.CO)は4.5%高。新規受注を獲得したと発表したのが好感された。
<ユーロ圏債券> ドイツ10年債利回りが1年ぶりの低水準を付けた。金利が来年、大幅に低下するとの見方が強まった。
市場が織り込む、欧州中央銀行(ECB)の来年の利下げ幅は約165bp。15日時点では約140bpだった。
日経先物33,385、ダウ先37,986、債先146.84、米3.802、独1.8880、仏2.407、西2.823、伊3.479、英3.4725、波5.181、原油74.01、銅8,700、ドル円141.41、ユーロドル1.1108
※12/28 9時00分頃

備忘録(2023/12/26)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
英製薬会社アストラゼネカは、中国の細胞療法開発企業グレイセル・バイオテクノロジーズを最大12億ドル(約1710億円)で買収することで同社と合意した。
両社の26日発表によると、合意の下でアストラゼネカはグレイセルを1株当たり2ドルで取得し、現金前払い分は10億ドルとなる。さらに規制上の一定のマイルストーンを達成した場合の追加の株式購入を含めると、最終的な買収総額は12億ドルに達する。
グレイセル買収により、アストラゼネカはがん治療におけるCAR-T細胞(キメラ抗原受容体T細胞)療法のパイプライン強化が可能になる。
米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブは、放射性医薬品を開発するレイズバイオを約41億ドル(約5800億円)で買収することで合意した。同社は製品パイプラインの強化を目指した買収を相次いで行っている。
26日の発表文によると、ブリストルはレイズバイオに1株当たり62.50ドルを支払う。これはレイズバイオ株の22日終値(30.57ドル)の2倍余りとなる。
米製薬大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY.N)は26日、がん治療の放射性医薬品を手がけるレイズバイオ(RYZB.O)を約41億ドルで買収すると発表した。
ブリストルは22日に新種の統合失調症治療薬を開発するカルナ・セラピューティクス(KRTX.O)を140億ドルで買収することに合意したと発表したばかりで、立て続けの大型買収となる。
アナリストからは、2020年代後半に幾つかの特許を失うことを見越し、製品の拡充を急いでいるとの見方が出ている。
ブリストルはレイズバイオ買収により、後期試験段階にある放射性医薬品と米インディアナ州にあるレイズバイオの製造施設を手に入れることができる。
レイズバイオ1株当たりの買収提示額は62.50ドルで、直近終値に104%のプレミアムを乗せた水準。
●その他産業
インテルを含め複数の半導体メーカーが半導体製造をアジア外に広げようとしている。半導体のパイオニアであるインテルは、エヌビディアや台湾積体電路製造(TSMC)などライバルに追い越され、技術面での優位性を取り戻そうと取り組んでいる。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ビロル氏はイスタンブールで開催されたエネルギー会議に参加した際にインタビューに応じ、新興国や発展途上国におけるクリーンエネルギー投資は15年以降横ばいであるのに対し、世界全体ではほぼ倍増しており、そのほとんどは中国と先進国によるものであると説明した。
「IAEにとりバクーまでの主要課題は発展途上国や新興国への資本流入を確実にするためにいかにリスク回避のメカニズムを確立するかということだ」と述べた。来年のCOP29はアゼルバイジャンの首都バクーで開催予定。
この場合のリスクとは、発展途上国における太陽光発電の投資コストが先進国比で最大4倍多くなる恐れがあることだとし、コスト高は資本の流れを妨げると指摘した。
日銀が26日に発表した11月の物価の基調を示す指標は、3指標とも前月より伸び率が縮小した。2022年4月に消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の伸び率が2%を超えて以降、3指標全てで伸び率が縮小するのは初めて。輸入物価上昇に伴う物価の押し上げ効果がはく落する中で、物価の基調的な上昇圧力も後退している。
上昇率の高い品目順に並べ、品目のウエートを加味したときの分布で真ん中の値である「加重中央値」は前年同月比プラス1.7%で3カ月ぶりに2%を下回った。上昇率分布で上下10%を機械的に除いた「刈込平均値」はプラス2.7%で前月の伸び率3.0%を下回った。最も頻度の多い上昇率である「最頻値」もプラス2.4%で、3カ月連続で伸び率が縮小した。
上昇品目の比率は83.0%で前月の84.7%を下回った。下落品目の比率は11.3%で前月の9.6%を上回った。
一連の指標は日銀が総務省発表の消費者物価指数をもとに算出し、毎月発表している。11月のコアCPIは前年同月比プラス2.5%となり、昨年7月以来の低い伸びとなった。
金相場が今年最後の取引週に上昇している。トレーダーは2024年の米利下げとドル安を見据えている。
スワップ市場は現在、来年3月までに米連邦準備制度が政策金利を引き下げる確率を80%余りと織り込んでいる。これは金のような非金利資産にとっては強気材料だ。
ロンドン時間26日午前6時33分(日本時間午後3時33分)現在、金は0.6%高の1オンス=2064.45ドル。先週は1.7%上昇していた。
今月1日は2072.22ドルで引け、終値として過去最高値だった。
近年は食料価格の高騰が続いたため、世界中の農家は穀物の作付けを拡大しているが、来年も消費者は主要穀物の供給引き締まりに直面するとみられる。エルニーニョ現象の継続や、生産国による輸出制限、バイオ燃料需要の強さなどが予想されるからだ。
数年にわたって力強く上昇してきた小麦とトウモロコシ、大豆の国際価格は今年、黒海の輸送ルートの制約が和らいだことや世界的な景気後退懸念を受けて、下落に転じる見通し。ただ供給ショックや新年の食品価格上昇に影響を受けやすい地合いは変わらないとみられる。
IKONコモディティーズのオレ・ホウエ氏は「今年は幾つかの重要な産地で収穫が増えたため、穀物の供給環境が改善したのは間違いない。しかしまだ本当に苦境を抜け出したわけではない」と述べた。
同氏によると、エルニーニョ現象は少なくとも4─5月まで続いてトウモロコシの収穫量を減らすのはほぼ確実なほか、中国が国際市場で小麦とトウモロコシを予想より大規模に購入して市場を驚かせているという。
今年アジアの大部分に乾燥した気候をもたらしたエルニーニョ現象は来年前半も解消されないと見込まれ、コメや小麦、パーム油などの生産国や輸入国に悪影響を及ぼしつつある。
例えば来年前半のアジアのコメ生産量については、作付け時の乾燥や貯水池の水量縮小によって減少する、というのが取引業者や当局者の見立てだ。
エルニーニョ現象のせいで既に今年、コメの世界的な供給が引き締まり、最大の輸出国であるインドは出荷を制限している。他の主要穀物が値下がりする中でも、今年のコメの価格は15年ぶりの高水準に跳ね上がった。
インドでは小麦の次の収穫期も雨不足に脅かされており、小麦消費世界2位の同国は6年ぶりに輸入を迫られる恐れが出てきた。
小麦輸出量世界2位のオーストラリアでは何カ月も続いた熱波で今年の小麦の収穫が打撃を受け、来年4月の作付け時期も土壌に十分な水分が確保されないかもしれない。
こうしたオーストラリアの状況を受け、中国やインドネシアなどの大口の買い手は北米や欧州、黒海沿岸諸国など別の供給先からの購入を拡大する可能性が大きく、世界の需給全体に影響しそうだ。
コメルツ銀行は「2023/24穀物年度の(小麦の)供給環境は前期に比べて悪化するだろう。主要生産国からの輸出が大幅に下振れするからだ」と記した。
レイモンド・ジェームズのチーフエコノミスト、ユージェニオ・アレマン氏は「住宅市場の在庫不足が同セクターに影響を及ぼし続けており、住宅ローン金利上昇の影響が軽減されている」と指摘。「住宅ローン金利の低下により、より多くの住宅購入希望者が市場に参入する一方、住宅供給は依然として限られているため、将来の住宅価格指数は上昇する可能性が高い」と述べた。
これとは別に、米S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズが同日発表した10月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は、全国の住宅価格指数が前年同月比4.8%上昇と今年最大の上昇率を記録した。
インフレ率がさらに鈍化する中、金利を安定的に維持することも政策引き締めの一形態であり、長く維持するのは適切ではないかもしれない。
これは一部のFRB当局者が利下げ理由として挙げ始めていることであり、特に米国経済の「ソフトランディング(軟着陸)」を望むならなおさらだ。
必要以上に制約的な金利を続けることは、経済活動の急速な鈍化、大幅な失業増、景気後退といった厳しい結果を招くリスクがある。
住宅や製造業など、金利の影響を受けやすいセクターは1年以上にわたって金利上昇の影響を感じてきた。
サービス業は総じて拡大を続けているが、S&Pグローバルの先進国製造業活動指標は最悪期を過ぎたことが示唆されているものの、22年10月以降縮小を示し続けている。
<市場とのずれ>
市場は中銀の見込みよりもはるかに積極的な緩和を期待しており、大規模なチキンゲームが進行中だ。
例えば、先週のFRB当局者の予測では24年中に75ベーシスポイントの利下げを見込んでいたが、債券・金利先物市場は現時点でその2倍の利下げを予想。そのため、シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は市場の動きに「混乱している」と語っている。
一方の欧州。関係筋によると、ECBが6月までに利下げに踏み切る可能性は低い。これは市場が現在織り込んでいる時期より3カ月遅い。
もちろん重要なのはインフレ動向だ。政策立案者はこれまで、インフレを目標水準に戻すために必要であればある程度の経済的痛みは覚悟していると述べている。
特に米国と英国の選挙を含め、来年は政治の影響もあり得る。政治的な独立性を重んじる中銀は、選挙結果を左右しようとしていると非難されないよう、選挙間近に大きな行動を起こすことを望まない可能性がある。
年末を控えて利下げ観測を複雑化させかねない新たな事象が出現した。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が船舶への攻撃を続けているため紅海での航行が回避されており、サプライチェーン(供給網)の目詰まりがインフレの好転を妨げる可能性がある。
米マスターカードの消費調査部門「マスターカード・スペンディングパルス」の初期データによると、今年の米年末商戦では小売売上高の増加が昨年に比べてかなり鈍いペースにとどまった。シーズンを通して消費者の関心は値打ち品や割引キャンペーンに向けられた。
この調査はマスターカードのネットワーク決済データと、その他の決済形態に関する調査ベースの推定値を使用。これによると、自動車を除く小売売上高は11月1日から12月24日までの期間で前年比3.1%増加。マスターカード・スペンディングパルスが昨年実施した同様の調査では、ホリデー商戦の売上高は7.6%増だった。
マスターカード・エコノミクス・インスティテュートのチーフエコノミスト、ミシェル・マイヤー氏は消費者が「よく考えてお金を使っている」と声明で解説した。
数カ月前から粘り強さを見せている米経済にとって、ホリデーシーズンの小売売上高は重要なバロメーターだ。11月の米小売売上高は予想外に増加した。ガソリン価格の下落が消費を後押ししたとみられる。それでも企業業績にはばらつきがあり、消費動向はより慎重になったとの指摘は多い。
最新のデータではオンライン売上高が6.3%増、実店舗での売上高は2.2%増加した。前年比で特に伸びたのがレストランと衣料。宝飾品と電化製品への支出は減少した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
トリベディ氏はインタビューで、「新興市場全体と中国を除く新興市場とを分けて扱うというのが一つ目の教訓だ」と指摘する。「中国資産と他の新興市場資産の多くとの相関関係が極めて低い状態がしばらく続いており、それは株式、債券の両方に当てはまる」と説明した。
トリベディ氏が挙げる二つ目の教訓は、「米金融当局による積極的な利上げサイクルやドル高、中国の減速」にもかかわらず、新興市場全般が底堅さを維持したことだ。「こうした組み合わせは新興市場資産に非常に悪いものだが、それにもかかわらず新興市場資産は底堅いパフォーマンスとなっている」と語った。
事実、中国を除く新興市場の株価は年初来で約16%上昇。これに対し、中国株の比重が全体の30%近くを占めるMSCI新興市場指数は4.4%の上昇にとどまっている。 
トリベディ氏は「新興市場の観点からは、安価なバリュエーションにもかかわらず、中国の失速が続いたことが最も失望すべき点で、それが今年を通じ新興市場資産の重しとなった」と話した。
中国以外の新興市場が底堅く推移した主な理由は政策措置にあり、新興市場各国の中央銀行は迫りつつあるインフレショックに対処するため、早期に先を見越して積極的に利上げを行ったと、トリベディ氏は分析する。
「先進各国・地域の多くに比べ先行したという事実が、助けとなったのは明白だと考えられる」とし、「マクロの組み合わせはこれまでよりもはるかに良好と見受けられ、新興市場資産にとって非常に前向きだ。来年の新興市場資産のトータルリターンはプラスと見込まれる」と語った。
台湾国防部(国防省)は26日、来月の台湾総統選を前に中国による大規模軍事活動の兆候は見られないと明らかにした。ただ、今後も状況を注視するとした。
1月13日の総統選と議会選を前に台湾周辺では中国の戦闘機や軍艦が確認されている。中国の気球が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線を越えたとの報告もある。ただ、国防部は中間線を超えた気球は気象観測用の気球の可能性が高いとの見方を示している
台湾国防部の孫立方報道官は記者団に対し「今のところ中国が大きな動きを見せている兆候は見られないが、今日何もなかったからといって明日も明後日も何もないとは限らない」とし、「われわれは常に注視している」と述べた。
中国は与党・民主進歩党(民進党)の総裁候補である頼清徳・副総統を分離主義者と非難し、独立に向けたいかなる動きも戦争につながる可能性があると警告している。
新中国建国の指導者、毛沢東の生誕から26日で130年を迎えた。習近平(シー・ジンピン)国家主席は北京市内で演説し、事実上の公約に掲げる台湾統一を「必ず実現する。いかなる方法であれ、台湾を中国から分裂させることを断固阻止する」と表明した。中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。
習主席は台湾に対する武力行使について言及しなかった。台湾で年明け1月13日に実施される総統選挙と立法委員選挙についても言及はなかった。
習主席はシンポジウムで「祖国の完全統一は、逆らうことができない流れだ」とし、「祖国は再統一されなければならず、必然的に再統一される」と表明。中国は融合を深め、台湾海峡の向こう側との関係の平和的発展を促進し、「台湾の中国からの分裂を断固として阻止しなければならない」と語った。
●中東
米中央軍のマイケル・クリラ司令官は空爆について声明で「イラクとシリアにおける連合軍への攻撃に直接関与している勢力の責任を追及し、攻撃継続の能力を低下させる目的がある。われわれは米軍部隊を常に守る」と表明した。
米国家安全保障会議(NSC)のエイドリアン・ワトソン報道官は、バイデン大統領が危険な場所に駐留する米軍兵士の保護を最優先していると述べ、駐留米軍への攻撃が続けば「米国は自ら選んだ時間と方法で行動する」と警告した。
国際原子力機関(IAEA)は26日、イランがウランの濃縮度を兵器級に近い60%まで高めるペースを再び加速させているとの見解を示した。
IAEAは声明で「(イランは)高濃縮ウランの生産を加速させており、今年半ば以降の減産から転換した」と述べた。
イランはナタンツとフォルドウの施設でウランの濃縮度を最大60%に高めている。兵器級の濃縮度は約90%。
IAEAの報告によると、これらの施設では減産開始以降、濃縮度60%のウランが月間約3キロのペースで生産されていたが、今年11月末から月間約9キロまで加速していることを確認したという。
IAEAの定義に基づくと、イランはさらに濃縮すれば、核爆弾3発が製造できる濃縮度60%のウランをすでに十分保有している。
ハレビ参謀総長はガザ地区との境界沿いを訪問。記者団に対し、「戦争は何カ月も続くだろうが、われわれは戦果を長期間維持するためにさまざまな方法を採用する」と指摘。「魔法の解決策はなく、テロ組織の解体に近道はない。決意と粘り強い戦いだけだ」とし、「1週間かかったとしても、数カ月かかったとしても、われわれはハマス指導者を追い求める」と述べた。
また「われわれは最初の瞬間から、これは長期戦になると述べていた。遠大な目標を設定するのは正しいことであり、われわれは遠くまで到達する、それが長期化する理由だ」と言及。イスラエル近隣に敵がいなくなるというのは野心的すぎるが、「われわれは安全保障を巡る新たな状況を作り出す」と語った
ガラント国防相は議員に対し「われわれは多面的な戦争状態にある。ガザ地区、レバノン、シリア、ユダヤ・サマリア地区(ヨルダン川西岸地区)、イラク、イエメン、イランの7地域から攻撃を受けている。われわれはこのうち6つの地域で対応し、行動を起こした」と述べた。
イランのライシ大統領は1月4日にトルコの首都アンカラを訪問しエルドアン大統領会談する。パレスチナ自治区ガザの状況のほか、シリア情勢やイランとトルコの二国間関係などについて協議する。トルコ当局者が26日、明らかにした。
トルコはイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を支持。イスラエルによるガザ地区への攻撃を非難し、即時停戦を呼びかけている。ただイスラエルとの交易は維持している。
イランはイスラム組織ハマスやイスラム教シーア派の武装グループなどで構成される緩やかな連合体「抵抗の枢軸」を率いており、イスラエルや西側の同盟国と軍事的に対立している。
●中南米・アフリカ
エチオピアが26日、国債の3300万ドルの利払いを実施できず、デフォルト(債務不履行)に陥った。アフリカ諸国のデフォルトは、過去3年でザンビア、ガーナに続き3カ国目となる。
10億ドルの国債の利払い日は11日で、26日が14日間の猶予期間の最終日だった。関係者によると、猶予期限前の最後の営業日となる22日中に利払いが確認されなかった。
今後、20カ国・地域(G20)の低所得国の債務軽減措置「共通枠組み」にザンビア、ガーナとともに加わる見通し。
エチオピアは、内戦やコロナ禍で経済・財政が疲弊。中国を含む債権国とは11月に返済一時停止で合意したが、12月8日に年金基金、その他の民間債権者との交渉が決裂したと発表していた。
エチオピアが26日までに、約束の期限を迎えた国債の利払いを実施できず、デフォルト(債務不履行)状態に陥った。ロイター通信が同日伝えた。アフリカでは新型コロナウイルス流行の影響などで多くの国で財政状況が悪化しており、2020年以降にデフォルト状態となったのはザンビア、ガーナに続き3カ国目となる。
コロナ禍に加え、エチオピアでは20年11月から2年続いた北部ティグレ州での紛争や、「40年で最悪」(国連)とされた干ばつへの対応も経済を逼迫した。今後は発展途上国の債務削減を図る、20カ国・地域(G20)の「共通枠組み」を通して再建を目指す。
ロイターによると、エチオピア政府は12月11日が期限だった3300万ドル(約47億円)の利払いを不履行とした。その後の2週間の猶予期間内でも、支払いが実施できなかった。
●市況
<為替> ニューヨーク外為市場では、ユーロが対ドルで約4カ月ぶりの高値を付ける中、ドル指数が下落した。米国のインフレ率が目標の2%に近づく中、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに着手する時期の手がかりを得ようとする動きが続いている。
インフレ率がFRBの基準金利をはるかに上回るスピードで低下すれば、FRBの意図以上に金融引き締めが強まり、経済の「ハードランディング(強行着陸)」のリスクが高まる可能性がある。アクション・エコノミクスのアナリストは「インフレは引き続き低下すると予想されている。実質金利が受動的に引き締まる事態を防ぐために、FRBは6月までに利下げに着手する」との見方を示している。
<債券> 米金融・債券市場では、2023年の最終週を迎える中、指標10年債利回りが小幅に低下した。
市場では現在、米連邦準備理事会(FRB)による利下げが早ければ来年3月に実施されるとの見方が織り込まれているほか、2024年末までに152bpの利下げが想定されている。
<株式> 米国株式市場は上昇して今年最終週のスタートを切った。米連邦準備理事会(FRB)が早ければ来年3月にも利下げに踏み切るとの観測が背景。
金利動向に敏感な大型株や半導体株が上昇の勢いを主導した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、中東情勢の緊迫化や米利下げ観測などを背景に3営業日ぶりに反発した。商いは薄かった。
日経先物33,510、ダウ先37,897、債先146.66、米3.902、独1.9775、仏2.479、西2.886、伊3.544、英3.5270、波5.156、原油75.27、銅8,576、ドル円142.64、ユーロドル1.1039
※12/27 9時15分頃

備忘録(2023/12/25)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
オルタナティブ資産運用会社のブラックストーンは2023年の不動産投資の半分以上を英国を含む欧州資産に割り当てた。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。
同紙によると、金利上昇により物件価格が割安になったことを受け、同社は世界の不動産投資の55%を欧州に振り向けた。通常は米国に最も多く投資し、欧州には20-30%を割り当てていたという。また、新規不動産への投資総額を2022年の約470億ドル(約6兆7000億円)から、23年1-9月は約90億ドルに削減したとFT紙は伝えた。
ブラックストーンの不動産部門グローバル共同責任者、キャスリーン・マッカーシー氏は、400億ドルの「ドライパウダー」を保有しており、不動産市場の中で「キャッシュフローが大きく増加し、需給のファンダメンタルズが良好な」部分をターゲットにしていると述べている。
そうした対象には物流倉庫やデータセンター、アパート、学生寮などが含まれるという。
米スポーツ用品大手ナイキ(NKE.N)はOn(オン)(ONON.N)やHOKA(ホカ)など新興スニーカーブランドに市場シェアを奪われ始めており、新味のあるスタイルに投資する必要がある──。ナイキが21日に通期売上高見通しを下方修正して株価が急落したのを受け、アナリストらは22日にこうした見方を示した。
TDコーエンのアナリストチームは「HOKAとルルレモン(LULU.O)が顧客の獲得、維持を一段と進めており、ナイキはマーケティング投資を拡充する必要がある」とし、ナイキの投資判断を「アウトパフォーム」から「マーケットパフォーム」に引き下げた。
少なくとも6つの証券会社がナイキの株価目標を引き下げ、2社は投資判断を下方修正した。 
ナイキは20億ドルのコスト削減計画の一環として、品揃えの簡素化や自動化の促進を打ち出した。
レイモンド・ジェームズのアナリスト、ピック・パテル氏は「消費者にもっと響く製品に絞るナイキの戦略は理にかなっている。そうすれば在庫管理だけでなく収益率にも貢献するだろう」と述べた。
パイパー・サンドラーのアビー・ズベジニークス氏は「(コスト削減計画は)前向きな転換だと思うが、新鮮味をもたらし革新を進めるには時間を要するだろう。当面はマクロ経済が軟調なことで業績は一段と圧迫されるだろう」と語った。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
12月は世界の主要国の中央銀行で利上げを行ったのはわずか1カ国にとどまり、新興国では利下げの動きがさらに加速した。特に米連邦準備理事会(FRB)がハト派に転じたことは市場に衝撃を与え、来年は主要国中銀が相次いで利下げに踏み切るとの見方が一段と広がっている。
最も取引量の多い10通貨を管轄する中央銀行のうち8行が金利決定会合を開催したが、ノルウェーだけが25ベーシスポイント(bp)の利上げを実施した。
FRBのほか、欧州中央銀行(ECB)、英国、日本、オーストラリア、カナダ、スイスの中銀は政策金利を据え置いた。しかし、FRBがハト派的な姿勢を打ち出したことは市場を驚かせ、金利が従来の予想よりも急ピッチかつ早期に引き下げられるとの見方が強まった。
USBグローバル・ウェルス・マネジメントのユーロ圏・英国担当チーフエコノミスト、ディーン・ターナー氏は「世界経済の減速、インフレ圧力の緩和、労働市場の冷え込みは、来年の主要国中央銀行による利下げへの扉を開く」と指摘。現行水準で金利を据え置くことは実質的には引き締めになるとし「これが必要と考える中銀はほとんどない。そのため、2024年に金利が引き下げられる可能性が高い」と語った。
ロイターの計算によると、G10(主要10カ国)の中央銀行の今年現時点までの利上げ回数は38回、幅は1200bp。22年は54回・2700bpだった。
一方、引き締めと緩和の両方のサイクルを先導してきた新興国では、利下げが勢いを増した。
ロイターがサンプルとする新興国の中央銀行18行のうち、12月は13行が金利決定会合を開催。利下げを行ったのは5行で、少なくとも過去3年間で最多となった。チェコは緩和サイクルをスタートさせ、ブラジル、ハンガリー、コロンビア、チリは緩和を一段と進めた。
年間の利下げは18回・945bpとなり(22年は11回・1765bp)、アナリストは利下げはまだ続くとみている。
バークレイズの経済調査責任者、クリスチャン・ケラー氏は「FRBのハト派方向への転換は新興市場のリスクセンチメントを押し上げ、新興国中銀に緩和の余地を与える」と話す。
年初からの合計で、新興市場の中央銀行は5075bpの引き締めを実施した。22年通年の引き締め幅は7425bpだった。
今年好調だったイタリア国債は、来年も前半は好ましい相場環境に恵まれそうだ。しかし6月以降は、政治情勢や欧州中央銀行(ECB)の今後の政策に絡んで問題が顕在化する可能性があるとアナリストは見ている。
2兆4000億ユーロと世界有数の市場規模を持つイタリア国債は、以前からその持続可能性がユーロ圏の安定にとって潜在的な弱点と目されてきた。こうした懸念は、インフレ抑制のためにECBが昨年から相次いで利上げを実施し、ユーロ圏金利が記録的な高水準に達したことで、一段と強まった。
しかしイタリア国債は今年、魅力的な利回りによって旺盛な需要を引き寄せ、政府が格付け会社による一連のレビューを切り抜ける予想外の手腕を見せたこともあり、好調な地合いで年を終えようとしている。
注目度の高い10年物イタリア国債と同年限のドイツ国債の利回り差は19日に165ベーシスポイント(bp)を割り込み、8月下旬以来の低水準となった。
ただイタリア国債の対ドイツ国債スプレッドは他のユーロ圏諸国の国債を大幅に上回っており、イタリアの債務水準の高さに市場が依然として警戒感を抱いていることが分かる。イタリアの債務は国内総生産(GDP)の約140%に相当する。
資産運用最大手ブラックロック(イタリア)のチーフ投資ストラテジスト、ブルーノ・ロヴェッリ氏は「10年物イタリア国債は2024年に対ドイツ国債スプレッドがやや拡大するかもしれないが、アンダーウエートのポジションを正当化するほどには広がらないだろう」と予想した。
ブラックロックの10年物イタリア国債の評価は「中立的」で、他の欧州諸国の国債と等しい。
一方、インテーザ・サンパオロのチーフエコノミスト、グレゴリオ・デフェリーチェ氏はもっと明るい見方だ。発足から1年2カ月のメローニ政権は運営が安定し、イタリア国債は波乱のない1年になると予想。対ドイツ国債スプレッドは年末までに120―130bpに縮小する可能性があるとの見立てだ。
イタリア国債の対ドイツ国債スプレッドはこの数カ月で縮小。10月に発表されたイタリアの24年度予算における赤字拡大で格付け会社がネガティブな反応を示すのではないか、とのアナリストの予想とは異なる展開となった。
S&Pグローバル、DBRS、フィッチはいずれもイタリアの格付けを据え置き、ムーディーズは見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。
ウニクレディトの戦略調査部門を率いるルカ・カッツラーニ氏は「イタリアが格付け会社の精査を乗り切ったことで、外国人投資家が来年イタリア国債の保有を上積みするかもしれない」と述べた。
イタリア国債は昨年の需要回復にもかかわらず、外国人の保有額がパンデミック前の19年の水準を依然として1000億ユーロ程度下回っている。
<年央から逆風か>
一方、ECBによる国債買い入れの段階的終了、EUの財政規律見直し、欧州議会選挙などのリスク要因があるため、イタリア国債は来年半ば以降の見通しに影が差すかもしれないとアナリストは警鐘を鳴らしている。
HSBCのシニアエコノミスト、ファビオ・バルボーニ氏は「イタリアにとっては夏以降が正念場。政府は2025年度予算で難しい選択を迫られるのではないか」と述べた。
ECBは先週、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で償還分の完全な再投資を24年上半期で終了すると発表。PEPPの恩恵が大きいイタリアは大きな影響を受けそうだ。
HSBCのバルボーニ氏は「PEPP再投資の早期終了でイタリア10年物国債のスプレッドはリスクが高まる可能性がある」と述べた。
来年6月6―9日に行われる欧州議会選挙も、統合にあまり熱心でない政党が票を集め、イタリアのような財政的に弱い加盟国がより脆弱な立場に置かれることになれば、イタリア国債に打撃になるだろうと見られている。
パンデミックのために20年以降中断されているEUの財政ルール改正を巡る交渉の結果も、夏までには明らかになるはずだ。
加盟国の債務と財政赤字に上限を設ける「安定成長協定」の見直しでイタリアが大幅な債務削減を求められれば、条件を満たせなくなる可能性が高まるとアナリストは指摘。その場合は欧州委員会との摩擦が大きくなり、ECBは、EUの財政枠組みを遵守している国にのみ適用している「トランスミッション・プロテクション・インスツルメント(TPI)」を通じたイタリア支援を拒否するリスクも高まるだろう。
ウニクレディトのカッツラーニ氏によると、イタリアは24年の国債発行規模がネットベースで今年より約200億ユーロ多い約1350億ユーロとなり、この規模で買い手を見つける必要がある。
イタリア国債は主要な保有者であるECBがバランスシートの縮小を続けており、買い手確保が一段と困難になっている。
資産運用大手キャンドリアムのグローバル債券部門副責任者、シルヴァン・デ・ブス氏は、来年は国内の小口投資家がイタリア国債の重要な買い手となり、外国人投資家もネットベースで増える可能性があると述べた。
イタリア財務省は今年、国内の個人投資家開拓のために大々的な取り組みを行った。アナリストによると、24年も個人投資家が重要な役割を果たすが、その役割はやや小さくなりそうだ。
イタリア中銀の最新データによると、小口投資家のイタリア国債保有比率は前年の7.5%から今年9月には12.6%に上昇。一方、外国人の保有比率はこの間に28.2%から27.1%に低下し、20年3月の34.6%を大幅に下回った。
欧州最大の経済国ドイツで不動産業界の低迷が深刻だ。低金利局面では旺盛な需要に沸いていたが、金融政策の転換とともに業況は一変、「バブルがはじけた」という指摘が出ている。
連邦統計庁が22日発表した第3・四半期の居住不動産価格は前年比10.2%下落。下落は4四半期連続で、統計を取り始めた2000年以降で最大の落ち込みとなった。
ドイツ経済研究所(DIW)のマクロ経済部門のコンスタンチン・コロディリン氏は「2022年までは過去50年で最大級の投機的バブルだった。その後、価格は下がり続けている。バブルははじけた」と述べた。
22日発表された建設業界の10月の受注は季節調整済みで前月比6.3%減少。業界団体は、住宅建設セクターでは一段の人員削減が行われるとの見通しを示した。
先月にはドイツ国内で業界大手だったオーストリアの不動産会社シグナが破産申請した。
イタリア財務省は22日、今年の借り入れコストが平均3.76%となり、2008年の世界金融危機以来、15年ぶりの高水準に達したと発表した。欧州中央銀行(ECB)による前例のない積極的な金融引き締めが背景。
同省の推計によると、来年の中長期総所要調達額は3400億─3600億ユーロ。今年は約3600億ユーロだった。
欧州連合(EU)からの融資を除く政府借り入れの今年の平均デュレーションは6.97年で、前年の7.04年から短縮化した。
トランプ氏は、黒人初の米大統領であるバラク・オバマ氏が米国生まれではないとの虚偽の主張を繰り返したほか、17年にはバージニア州シャーロッツビルで開かれた白人至上主義者の集会に「とても素晴らしい人」が一部いたと発言。昨年には大統領選への出馬を表明した直後、白人至上主義者のリーダーで、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)否定論者のニック・フエンテス氏と自身の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で会食している。
にもかかわらず、少なくとも世論調査からは、トランプ氏ならインフレといった経済問題をうまく解決してくれるとの見方があり、それがトランプ氏の過去の発言に対する嫌悪感を相殺している兆候がうかがわれる。再選を目指すバイデン氏にとっては、20年に有権者を突き動かしたトランプ氏への不安をいかに再燃させるかが大きな課題になっている。
またトランプ氏の副大統領候補のリストには、著名な黒人政治家も名を連ねていると、協議の内容について説明を受けた関係者が明らかにした。これには共和党のバイロン・ドナルズ、ウェズリー・ハント両下院議員やトランプ政権時代に住宅都市開発長官を務めたベン・カーソン氏らが含まれる。
バイデン陣営の関係者は選挙戦が本格化し、真の選択肢は「トランプかバイデンか」だと有権者が認識すれば、黒人有権者や若者、女性といった伝統的な民主党の支持層はトランプ氏の扇動的な暴言に嫌気がさし、バイデン氏を再び支持するだろうと主張している。
ブルームバーグの世論調査によれば、スイングステートの黒人有権者は6対1超の割合で、トランプ前政権下よりもバイデン政権下の方が経済が良くなったと答えている。
それでも民主党はすでに、支持率低下の流れを逆転させようと躍起だ。民主党全国委員会(DNC)は黒人有権者を起用した広告キャンペーンに巨額を投じ、バイデン政権による医療費削減や中小企業支援への取り組みを強調している。だが、これまでのところ厳しい戦いが続いている。
アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員のような民主党のスターに助言してきた政治ストラテジストのロニー・オリバ氏は「米国の黒人有権者は民主党の忠実な支持者となることで報われているとは実感していない。誰でもいいから必死になって見つけたいと考えている」と指摘。その上で「少なくともトランプ氏は本心を口にしているのだから、自分たちの希望をトランプ氏に伝えることができれば、それを実現してくれるかもしれないと考えている」と話した。
日本銀行の植田和男総裁は25日、2%物価目標を持続的・安定的に実現する確度が少しずつ高まっているとし、十分な確度になれば政策変更を検討すると語った。都内で行われた日本経済団体連合会審議員会で講演した。
総裁は企業の賃金・価格設定行動の変化を踏まえれば、日銀の2%目標が「持続的・安定的に実現していく確度は、少しずつ高まっている」との認識を示した。その上で、確度が十分に高まれば「金融政策の変更を検討していくことになる」とも語ったが、政策変更の時期は「決め打ちできない」とした。
日銀は19日の金融政策決定会合でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を中心とした大規模な金融緩和政策の維持を決めた。総裁は会見でマイナス金利の解除などを急がない姿勢も示したが、今回の講演でも、経済や賃金・物価動向を入念に点検して判断していく考えを改めて表明した。
金融政策運営に関しては、物価目標実現に向けた動きを確たるものとするため、「粘り強く金融緩和を継続し、賃金が上昇しやすい環境を整えているところだ」と説明した。来年の春闘で「はっきりとした賃上げが続くかが、重要なポイント」としつつ、現時点では物価目標が実現していく確度は「なお十分に高いわけではない」との見方も示した。
ブルームバーグのエコノミスト調査によると、来年4月会合までにマイナス金利が解除されるとの予想は67%。春闘の第1回集計結果が3月に公表された後の4月が最多の50%となっているが、植田総裁からはそれよりも早い政策修正の可能性を排除するような直接的な発言はこれまでにない。
物価上昇率が小幅のプラスになることのメリットについては、「景気下振れに対する金融政策での対応余地が拡大すること」を挙げた。金融政策が有効に機能すれば「先行き経済が悪化したり、デフレに戻るリスクが減る」とし、企業にとっても大きなプラスになると語った。
その上で、賃金・物価が動く世界では「企業もより動きやすくなるのではないか」と指摘。人材確保や価格・商品戦略、投資を含めて新たな挑戦が必要になるとしながらも、賃金と物価の好循環のメリットを企業が最大限活用して「前向きの動きを強めていく」ことに強い期待感を示した。
ウォール街は2024年の米利下げ期待で活気づいてるが、現実の世界は金融引き締めによる影響からまだ抜け出したわけではない。
過去2年間、中央銀行はインフレ抑制の取り組みで積極的な引き締めを行ってきた。そのため企業や消費者の借り入れコストは上がり、それが来年も支出を圧迫し続けるとみられる。  
「要するに、米金融当局による利上げで生じている痛みは2024年も続くということだ」と、アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は指摘。「景気抑制効果はすぐには消えない」と語った。
金利上昇が経済全体に波及する中、ブルームバーグ・エコノミクスは2024年の世界経済について、金融危機とコロナ禍を除いて2001年以来の低成長にとどまると予想する。経済のソフトランディング(軟着陸)を達成できたとしても、今後数年で巨額の債務が満期を迎える中で一部企業は借り換えコストが上がり、債務不履行(デフォルト)につながるかもしれない。消費者信用はすでに圧迫されており、地方銀行は商業用不動産の評価減による打撃に直面している。
今問われているのは、インフレの脅威を過小評価していた各中銀が今度は利下げに転じるのが遅すぎとなり、景気減速に歯止めをかけられなくなるのではないかという点だ。
シティグループのエコノミストが今年行った分析によると、米国とユーロ圏の貸出調査で示された信用力低下は、来年末までに両地域の実質成長率を1%から2%程度押し下げる可能性がある。ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、スチュアート・ポール氏は「金融政策の効果が根強く残るため、金利敏感なカテゴリーでは支出の軟化が続く」と予想している。
一部のエコノミストは金融引き締めによる痛みが長引くとの見方には同意しておらず、リセッションを予想する悲観派はむしろ減っている。
それでも、家計にとって厳しい状況が続いていることは間違いない。物価高やサービス価格の高騰、家賃やクレジットカード金利の上昇で家計は消耗している。
食品大手ネスレのマーク・シュナイダー最高経営責任者(CEO)は、過去2年間の高インフレで「消費者が家計のやりくりに苦労するのは当然とも言える」と指摘。それに加えて金融引き締めが「今や実体経済に及んでいる。住宅ローン金利やリース料、家賃などの上昇が消費者の警戒感を強めている」とブルームバーグTVのインタビューで語った。
ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、シャノン・シーリー氏は「米金融当局が政策緩和を始めたとしても、より緩和的な環境が経済全体に波及し、消費者の借入コストに反映されるまでには時間がかかる」とみている。
企業も痛みを感じ始めている。玩具メーカーのハズブロは、重要なホリデー商戦での販売不振を理由に、従業員の20%近くを削減すると明らかにした。フォード・モーターは主力電気自動車(EV)の「F-150ライトニング」について、顧客が割高な価格を敬遠していることを理由に2024年の生産台数目標を大幅に減らした。ナイキは売上高見通しが弱まる中、人員削減や品ぞろえの簡素化を通じて最大20億ドル(約2840億円)の経費削減を目指す方針を示した。
ビシュワス・パトカー氏らモルガン・スタンレーのストラテジストは、社債の格下げが増えるとの見方を示している。景気抑制的な金融政策が及ぼす遅効性の影響が継続し、それが業績不振企業のキャッシュフローと債務返済能力の両方に打撃を与えるというのが理由だ。
2023年には、クレディ・スイスという世界的銀行が破たんに追い込まれた。米国では地域金融機関の経営危機が発生し、それが飛び火するのを防ぐために大手行や政府、規制当局の介入が必要となった。
相次いだ地銀の破たんは有価証券ポートフォリオでの損失が発端だった。商業用不動産(CRE)ローンの不振は今後数年、中小金融機関の多くに打撃を与える恐れがある。トレップの調査によると、2兆8000億ドルに上るCRE債務が来年から2028年までに満期を迎え、その多くは銀行が抱えている。
英国は今後15年間、欧州で最も好調な経済となり、国内総生産(GDP)規模でドイツとの差を縮める一方、フランスに対するリードを広げると26日に公表された長期予測が示している。
英シンクタンクの経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)は、英国のGDPが2038年まで1.6-1.8%成長を続けると予想。世界6位の経済大国であり続けるという。
英経済は欧州連合(EU)離脱後の混乱や新型コロナウイルス禍、インフレ急上昇といったここ数年続いているショックを克服するとCEBRは想定している。
CEBRの長期世界経済ランキングによると、英経済はフランスとドイツ、イタリア、スペインというユーロ圏の4大経済全てより速いペースで成長するが、米経済ほどの高成長にはならない見込み。
CEBRのシニアエコノミスト、プッシュピン・シン氏は「英経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は依然として非常に強い」と指摘し、「金融・アドバイス業の中心地としてのロンドンの地位が続き、英経済全体に広がるサービスセクターの強さが英国の成長を押し上げる」とコメント。
EU離脱の経済的影響は「誇張されているか、まだ十分検証されていない」との見方も示した。
CEBRは37年に中国が米国を追い抜き、世界一の経済大国になると予想。世界のGDP倍増をけん引するのは、先進国に追い付く新興国経済だとみている。
イタリアは38年までに世界のGDPトップ10から脱落し、代わりに韓国がトップ10入りを果たすと分析。米国とドイツが共に順位を落とす一方で、インドが3位、ブラジルが8位になるという。日本は23年と同じ4位にとどまる見通し。
シン氏によれば、フランスは公共セクターの大きさと高水準の税率が影響し英国を下回る成長となり、ドイツは製造業が鈍化し、英国とのGDPギャップが縮小していく。
●中国・アジア・ロシア・東欧
来年1月の台湾総統選を前に、中国共産党が対中融和路線の政党支持へと世論を操作するため、台湾農村部の宗教団体との交流を活発化させていることが、台湾政府の文書と安全保障当局者らの証言で明らかになった。
中国政府や共産党が運営する宗教団体、国営メディアのウェブサイトを調査したところ、中国のゼロコロナ政策が終了したのを受け、今年は台湾から中国への宗教的な旅行が増加している。そのうちの数十件は、海の女神「媽祖」(まそ)崇拝に関連するものだ。媽祖は航海・漁業の守護神として台湾で最も人気のある神で、1000万人の信者がいる。
ロイターは台湾の安全保障文書5本を調査し、台湾の安全保障当局者5人、媽祖廟の指導者5人、アナリスト4人にインタビューした。
その結果、中国共産党幹部が中国への旅行を補助するなどして宗教界の重鎮らと関係を築こうとしている実態について、これまで報道されてこなかった詳細が明らかになった。
これに対し、台湾は媽祖信仰を含む中国本土・台湾間の宗教活動の監視を強化している。対中関係を担う台湾の大陸委員会の説明と、ロイターが閲覧した文書3本から明らかになった。
台湾政府関係者5人によれば、中国は1月13日の台湾総統選および立法委員(国会議員)選を前に、対中関係強化を唱える政党への支持を高めるため、宗教関連の活動を行っている。
ロイターが今年10月に確認した諜報報告書によると、中国は国家宗教事務局などを介して台湾の媽祖信仰への影響力を確立してきた。台湾のキリスト教徒や仏教徒、道教徒にも関与する同事務局は、習近平国家主席が中国の対外的な影響力を拡大するための「魔法の武器」と呼ぶ共産党「統一戦線工作部」の管轄下にある。
文書によると、少なくとも5つの台湾媽祖廟協会が6つの中国側団体と接触しており、その6団体は全て同事務局によって運営されている。
ある文書は、中国と最も密接な関係があるこの信仰を、中国は世論操作活動の「軸」に据えていると指摘した。媽祖の起源は台湾海峡を挟んだ中国の福建省にあり、中国本土にも何百万人もの信者がいる。
中国は公式には無神論の立場だが、ロイターが調査した2020年と2016年の統一戦線の報告書によれば、統一戦線は長い間、民間宗教を利用して台湾の信者と関係を築いてきた。信者の多くは巡礼のために定期的に中国を訪れている。
中国国営メディアは9月、媽祖関連の交流プログラムは台湾との「平和的統一」において「重要な役割」を果たしていると伝えた。
台湾の大陸委員会はロイターに対し、中国との真の宗教交流は歓迎するが、統一戦線の「活動空間を縮小」するため、台湾の寺院への関与と監視を強化すると文書で回答した。
<戦争か平和か>
中国は、台湾の与党・民主進歩党(民進党)と同党の総統候補である頼清徳副総統を危険な分離主義者とみなし、民進党への投票は中国との戦争に投票することに等しい、と訴えている。頼氏は一貫して世論調査で対立候補をリードしている。
対中融和姿勢を採る最大野党、国民党の高官らも同様の表現を使ってきた。
中国は対照的に「親中政党を支持することは平和を意味する」というシグナルを台湾の有権者に送っていると関係者の一人は語った。
国民党は、中国とメッセージが類似していることについて問われ、民進党が中国との対話不足ゆえに台湾を戦争の淵に導いていることは「紛れもない事実」だと答えた。
台湾の安全保障当局者らは、中国が活動を行っている多くの寺院の場所にも注目している。中国が大都市以外の「中小規模の神社仏閣との関係」を築こうとしていることを、台湾は認識していると関係者の1人は述べた。
こうした地方のネットワークは「地元にうわさを広める効果的なシステム」であり、世論形成の一助になるという。
台湾の民間信仰を研究している学者、ウェン・ツォンハン氏によれば、中国が農村部の寺院に影響力を持とうとしているのは、都市部の宗教センターと比べ、信者の日常生活において大きな役割を果たしているからだ。
「社会組織や地域社会に働きかけ、選挙結果に影響を与えることができる」とウェン氏は語った。
<参拝旅行を後援>
政府の報告書によると、中国は2018年から20年にかけて、台湾との間で70回以上の大規模な相互寺院参拝を企画し、少なくとも2万0400人が参加。そのうち少なくとも9回は中国政府が一部資金を提供した。
今年、中国は台湾の政治家数百人による中国旅行を後援した。台湾政府関係者らは、これを選挙法や治安維持法違反の疑いで調査している。
台湾の治安当局者2人は、こうした旅行は中国が諜報活動を行い、世論操作活動のための同調者を募る「チャンス」だとの考えを示した。
180以上の寺院を会員とする媽祖廟ネットワーク「台湾媽祖廟親睦会」のチャン・ミンクン代表は「戦争に向かわないためにも(中国との)交流を深める必要がある」と話し、選挙によって政権交代が実現することを望んでいると語った。
インド準備銀行(RBI、中央銀行)が22日公表した今月8日の金融政策委員会(MPC)議事要旨では、不安定な食品価格により先行きに依然として不透明感が漂っていることから、インフレリスクに警戒を続ける姿勢が示された。
ラジブ・ランジャン委員は「成長面ではインド経済がフル稼働している状態」だとし、「金融政策によってこの高い成長軌道を支えるための最善の方法は、物価安定へのコミットメントを維持すること」だとした。
中銀側3人と外部委員3人で構成するMPCは8日の会合で、主要政策金利のレポレートを6.5%に5会合連続で据え置くことを決定した
MPCはまた、「緩和の解除」という政策スタンスを維持することも6委員中5委員の賛成で決めた。
議事要旨によると、ダス総裁は「現時点で政策スタンスを変更することは時期尚早でリスクが高い」と述べた。
パトラ副総裁は最近の高い成長率は、インドの国内総生産(GDP)ギャップが年初からプラス(需要超過)に転じ、その状態が続いているという見方を補強していると述べた。
「これは今後のインフレ動向が需要主導で形作られ、将来の供給ショックを増幅させる可能性が高いと示唆している」と述べた。
●中東
パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスと、ハマスと共闘する過激派イスラム聖戦は、ガザでの権力放棄を条件にイスラエルと全面的に休戦するというエジプトの提案を拒否した。エジプトの治安筋が25日、明らかにした。
ハマス政治部門のエザット・エルラシュク氏はイスラエルによる「侵攻の完全停止がない限り交渉はありえない」と強調。イスラム聖戦の幹部も同様の見解を示した。
ハマスとイスラム聖戦は仲介役を務めるエジプトの当局者らと首都カイロで別々に協議してきたが、エジプト筋によると、どちらもガザで拘束する人質のさらなる解放以上の譲歩を拒否したという。
エジプトは人質の追加解放を条件とする停戦を実施後、ガザ統治の見直しを伴う全面的な休戦を提案。選挙を実施し、ハマスに対してはメンバーの追跡や訴追をしないと保証する考えを示したが、ハマスは人質解放以外の譲歩を拒否したという。ガザにはまだ100人以上の人質が拘束されているとみられる。
関係者によると、イスラム聖戦はイスラエルの軍事作戦停止がさらなる交渉の条件だと主張し、人質交換についてもガザで拘束されている人質全員の解放の見返りにイスラエルで収監されている全てのパレスチナ人を解放することを求めている。
ネタニヤフ氏は議会演説で「軍事的圧力がなければ100人以上の人質を解放することはできなかった」と主張。今後も「軍事的圧力をかけなければ全ての人質の解放には成功しないだろう」と述べた。
イスラエルがシリア首都ダマスカス郊外で25日に行った空爆により、イラン革命防衛隊のサイード・ラジ・ムサビ上級軍事顧問が死亡した。3人の安全保障関係者とイランの国営メディアが伝えた。
関係者がロイターに語ったところでは、ムサビ氏はシリアとイランの軍事協力の調整役を務めていた。
イスラエル国防省の報道官は「中東におけるこれらの外国発の報道についてはコメントしない。イスラエル軍が国家安全保障上の利益を守るための任務を担っているのは間違いない」と述べた。
イランの国営テレビは通常のニュース放送を中断し、ムサビ氏の死亡を伝えた。
ダマスカス駐在のイラン大使は国営テレビで、ムサビ氏がイスラエルのミサイルで殺害されたと明かした。
イラン革命防衛隊は「強奪者で残忍なシオニスト体制はこの犯罪の代償を払うことになる」とイスラエルへの報復を示唆した。
●中南米・アフリカ
●市況
日経先物33,200、ダウ先37,765、債先146.52、米3.900、独1.9745、仏2.479、西2.886、伊3.544、英3.5275、波5.156、原油73.61、銅8,576、ドル円142.16、ユーロドル1.1019
※12/26 9時50分頃

備忘録(2023/12/22-24)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米製薬大手ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)は22日、統合失調症治療薬を開発するカルナ・セラピューティクスを140億ドル(約1兆9900億円)で買収すると発表した。ジェネリック医薬品との競争で需要が減っている主力の血液がん治療薬に代わる分野を拡大する狙いだ。
両社の発表資料によれば双方の取締役会が合意しており、2024年の前半に買収手続きを完了させる見通しだ。BMSは現金でカルナ1株当たり330ドルを支払う。
カルナは統合失調症治療薬「KarXT」を開発している。米食品医薬品局(FDA)に承認申請中で、24年後半に展開する見通しだ。認知症関連の精神症状にも効果があるとされ、臨床試験の結果が26年にも発表される。
買収についてBMSのクリストファー・バーナー最高経営責任者(CEO)は「神経科学分野には大きなビジネス機会があり、カルナはこの分野におけるポートフォリオの拡大と多様化を加速させる」と述べた。「KarXTは20年代後半から30年代以降の成長につながると期待している」と述べた。
米製薬大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブ(BMY.N)は22日、新種の統合失調症治療薬を開発するカルナ・セラピューティクス(KRTX.O)を140億ドルで買収することで合意したと発表した。2030年にかけてブリストルの複数の治療薬が特許切れを迎える中、カルナの買収を成長につなげる狙い。
ブリストルのクリストファー・バーナー最高経営責任者(CEO)は、カルナの統合失調症治療薬「KarXT」は双極性障害(そううつ病)I型や重度の精神疾患、アルツハイマー病に由来する興奮状態にも効果を発揮する可能性があり、売り上げは数十億ドル規模に達し得るとの見通しを示した。
ブリストルは2030年にかけ、主力の血液がん治療薬2種類がジェネリック医薬品との競争に直面するなど、売り上げの減少が予想されている。KarXTは来年9月までに統合失調症治療薬としての承認決定を控えている。
ブリストルは、カルナ株の前日終値に53.4%のプレミアムを乗せた1株=330ドルを支払うことで合意した。
欧州で銀行株の先行きに陰りが出ている。欧州中央銀行(ECB)による過去最速ペースの利上げなどで収益環境は改善してきたが融資は8年ぶりに減少に転じ、景気不安の高まりから不良債権化の兆しが出てきた。2024年以降は収益が悪化する見込みで、ECBは金融の安定へ警戒を強めている。
●その他産業
日本製鉄(5401.T)のUSスチール(X.N)買収計画を巡り、米国内で安全保障上の懸念が強まっている。共和党、民主党ともに議員の間から反対の声が上がり、ホワイトハウスのブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は「真剣な精査」に値するとの声明を発表した。日本政府は今のところ明確な反応を控えている。
斎藤健経産相は22日午前の閣議後会見で、日鉄が「手続きにしっかりと対応することが必要」と述べた。個別企業の経営のこととして、それ以上コメントしなかった。林芳正官房長官も「(NEC委員長の)声明は承知している」とした上で、それ以上のコメントは控えた。
共和党のJ.D.バンス氏、ジョシュ・ホーリー氏、マルコ・ルビオ氏の3上院議員は19日、イエレン財務長官に対し、買収を阻止するよう要請した。3氏は書簡を送り、「USスチール側に国家安全保障に焦点を当てた検討がなかったが、国内の鉄鋼生産は米国家安全保障にとって不可欠だ」とした。民主党もシェロッド・ブラウン氏ら、少なくとも4人の上院議員が反対している
さらにブレイナードNEC委員長は21日、「国家安全保障とサプライチェーンの信頼性への潜在的な影響という観点から真剣な精査」に値するとの声明を出した
日本製鉄は22日、USスチール買収について米政府が慎重に精査する姿勢を示していることに関して「買収は全てのステークホルダーにとって有益なものと考えている」と表明した。その上で「政府当局を含む関係するステークホルダーと対話を進め、理解を求めていく」とした。18日にUSスチール買収を発表した際は、「関係当局の承認などが得られること」を条件に買収を実行するとしていた。買収計画には全米鉄鋼労働組合(USW)も反対しているが、19日に会見した橋本英二社長は「丁寧な対話を行えば必ず理解が得られる」と語っていた
トランプ政権で国防次官補代理(東アジア担当)を務めたハイノ・クリンク氏は、安全保障を理由にこの買収を疑問視することは、日米同盟に悪影響を及ぼす可能性があると指摘する。「根拠がない。良くても偽善的、最悪の場合は外国人排斥と取られかねない」と述べ、米海軍に納める鉄の増産を日本が妨害するとは思えないとした。
ホワイトハウスのブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は、日本製鉄による米USスチール買収計画は精査が必要だと指摘。「国家安全保障とサプライチェーンの強靱(きょうじん)性の観点から、そうした類いの取引について厳格な審査を確実に実施することは重要だ」と理由を説明した。
ブレイナード氏はブルームバーグテレビジョンで、「もちろん、われわれは引き続き海外からの投資を歓迎する。米経済への外国からの直接投資は記録的な規模になっている」と語った。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
イタリア議会下院は21日、ユーロ圏諸国が債務危機国への金融支援を行うために設立した組織「欧州安定機構(ESM)」の改革案を否決した。経営難に陥った銀行支援のための仕組みは、先行きが不透明になっている。
ESMの見直しに対しては、イタリアを除くユーロ圏の全ての国が賛成している。
ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のドナフー議長は、イタリア下院の否決に遺憾の意を示すとともに、今後数カ月イタリア政府とこの問題の協議を続ける考えを表明。議長は「ESM条約見直しの完遂はユーロ圏のセーフティーネットのカギであり、構成国全ての利益になる」と呼び掛けた。
メローニ首相率いる極右政党「イタリアの同胞」の所属議員は、今回の否決によって、議会が今後半年間、同じ文言の改革案を可決することができなくなると報道陣に説明した。
連立与党のうち、イタリアの同胞と極右「同盟」が反対票を投じた一方、中道右派「フォルツァ・イタリア」は棄権した。
既存のESMは依然機能しているものの、経営難に陥った銀行を支援対象とする「単一破綻処理基金(SRF)」については、イタリアの批准がなければ使うことができない。
メローニ氏はESMについて、同機構の支援を受けられる見返りに加盟国に緊縮財政や金融改革を求めるものだと繰り返し批判している。
米資産運用会社ブラックロック(BLK.N)のグローバル債券担当チーフインベストメントオフィサー、リック・リーダー氏は22日、債券市場は24年の米連邦準備理事会(FRB)の利下げに過度な期待を寄せているとの認識を示した。
同氏はインタビューで、市場はFRBが早ければ3月から計150ベーシスポイント(bp)の利下げを開始するとみているが、これは行き過ぎだと指摘。「市場が想定している利下げを実現するには、労働指標などいくつかの指標がかなり悪化しなければならない。米経済に対する懐疑的な見方は根強いが、それは行き過ぎだと思う」と述べた。
また、超短期ゾーンと超長期ゾーンではここ数カ月で急激に価格が上昇しているため、これ以上の上昇は限定的とも指摘。「2024年の同ゾーンのリターンの多くはすでに達成されているとみている」とした。
2024年の米連邦公開市場委員会(FOMC)は投票権を有するメンバーの交代によって、わずかにタカ派寄りになる見通しだ。ただ、連邦準備理事会(FRB)が来年利下げに踏み切るとの見方は変わらないという。
実際、来年の利下げを見込むアナリストは多い。インフレ率が予想よりも急速に鈍化し続ければ、FRBは先週の金利見通しで示唆された0.75%ポイントよりも大幅な利下げを実施するとみられている。
今年下半期にはFRB当局者の軸足が著しくハト派にシフト。22年3月から23年7月まで実施した利上げにより物価圧力が緩和し、労働市場が冷え込んでいることを示す証拠が積み上がっているためだ。
特にウォラー理事など最もタカ派的とされる当局者は、これまでの利上げ支持姿勢を撤回している。
ドイツ銀行のブレット・ライアン氏は「インフレと闘うときは誰もがタカ派だ」とした上で「インフレの上振れリスクが後退するにつれ、タカ派の当局者は自身の見方を変えた」と述べた。
<投票権を持つFOMCメンバーの交代>
ドイツ銀行やBMOなどのエコノミストらは、来年投票権を得る4人の地区連銀総裁は投票権を失う4人の総裁よりも利下げにそれほど積極的ではない傾向があるとみている。
24年にはハト派であるアトランタ地区連銀のボスティック総裁が投票権を得る予定で、他の当局者よりも過度な失業への懸念を示す傾向があるが、来年末の政策金利を4.75─5.00%と想定している。
一方、先週発表された金利見通しでは、24年末の予測中央値は4.50─4.75%となっている。
24年に投票権を得るメンバーは、ボスティック氏のほか、タカ派として知られるクリーブランド地区連銀のメスター総裁とリッチモンド地区連銀のバーキン総裁、中道派のサンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁となる。
これに対し、タカ派であるミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁とダラス地区連銀のローガン総裁、ハト派であるフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁とシカゴ地区連銀のグールズビー総裁が投票権を失う。
もっともFRB当局者の政策金利に対する見解はデータによって変化する。特にメスター総裁はここ数カ月で追加利上げの必要性について確信が持てなくなっているようだ。
さらに言えば、投票権を持つメンバー自体が途中で変わる可能性がある。メスター総裁は24年6月の退任を予定しているが、クリーブランド連銀が新総裁を選出できなかった場合、FRBの規定によればグールズビー総裁がメスター総裁の投票権を引き継ぐことになる。
ただ、様々な要因がインフレ率に影響を及ぼすため、FOMCメンバーにタカ派バイアスが再燃する可能性は否定できない。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での船舶に対する攻撃でスエズ運河における航行の混乱が長期化すれば、財の価格が上昇する可能性がある。消費者信頼感の上昇も今後の支出増につながりかねないほか、10年債利回りの低下など金融情勢が緩和すれば、借り入れや投資に拍車がかかるだろう。
さらに雇用の伸びは昨年と同様に予想を上回り続けるかもしれない。
オックスフォード・エコノミクスのナンシー・バンデン・ホーテン氏は、インフレ鈍化が停滞しかねない「リスクは確かに存在する」と指摘。ただ全体として、地政学的なショックがかなり長期にわたると見なされない限り、FRBはこのようなショックに対応するために金融政策を調整することはないと確信しているとし、高水準の政策金利は来年、支出と雇用の伸びを軟化させると述べた。
その上で、投票権を持つメンバーの交代はデータそのものよりも重要性が劣るとし、このような見方を背景に来年は0.75%ポイントの利下げが実施されるとの見通しを示した。
米商務省が22日発表した11月の新築一戸建て住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比12.2%減の59万件だった。ロイターがまとめた市場予想の68万5000戸を下回り、2022年11月以来1年ぶりの低水準に落ち込んだ。ただ、中古住宅が慢性的に不足する中、新築住宅販売の落ち込みは一時的なものとみられている。
米商務省が22日発表した11月の耐久財受注は前月比5.4%増加した。航空機の受注増が全体を押し上げて急増した。ロイターがまとめた市場予想は2.2%増だった。
米商務省が22日発表した11月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比2.6%上昇し、伸びは10月の2.9%から鈍化した。伸びが3%を下回るのは2カ月連続。米連邦準備理事会(FRB)が来年3月に利下げに着手するとの見方が一段と高まった。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、米連邦準備理事会(FRB)が3月に利下げを開始するとの見方が80%超織り込まれた。この日発表された米11月個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比2.6%上昇と、FRBが目標とする2%に近づいた。
アナリストによると、インフレ率の急速な低下は、過度な金融引き締めを避けるためFRBが方針を転換する必要があることを意味する。スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフマーケットエコノミスト、ピーター・カーディロ氏は、「この数字がこのまま続けば、FRBは予想より早く利下げに踏み切る可能性が高い」と述べた。
FRBは12─13日の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置くと決定。同時に発表した最新の金利・経済見通しでは、FF金利誘導目標は来年、現行水準から0.75%ポイント低下するとの予想が示された
現時点でFF金利先物は、来年末時点の金利が3.75─4.00%と、現行水準から1.50%ポイント低い水準にあると見込む水準にある。
ただ、インフレ・インサイトのオメール・シャリフ氏は「FRBが利下げに踏み切る確信を得る前に、来年第1・四半期のインフレ指標の乱高下が予想されている」と指摘。「FRB当局者は利下げに移行できると確信する前に、家賃の軟化を含む数回のインフレ統計を確認したいだろう」と述べた。
KPMGエコノミクスのダイアン・スウォンク氏も「FRB当局者は苦労して勝ち取ったインフレとの闘いを後退させることを恐れ、尚早な金融緩和には慎重になる」との見方を示した。
英国立統計局(ONS)が22日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)確報値は前期比0.1%減少で、横ばいから下方修正された。英経済が現在リセッション(景気後退)に陥っている可能性がある。
ONSは11月下旬の「ブラックフライデー」商戦期間中の大幅な値引きを反映したと分析した。ただ9─11月の売上高は減少し、新型コロナウイルス流行前の水準を回復していない。
ハント財務相は「英経済の中期的な見通しは(GDPなどが示唆するよりも)はるかに楽観的だ」との声明を発表した。
また英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで「現在の軌道を保てばインフレを抑制できる可能性は十分にあり、イングランド銀行(英中央銀行)は利下げ開始を決定するかもしれない」と語った。
英国のGDPは新型コロナウイルスが大流行する直前の2020年初頭から1.4%拡大したとみられる。これは主要7カ国(G7)の中でドイツに次いで2番目に低い。
ただ第3・四半期のマイナス成長が景気後退の始まりになるかどうかについてはエコノミストの見方は分かれる。
キャピタル・エコノミクスのアシュリー・ウェッブ氏は、第4・四半期も景気低迷の兆しが見られ、利上げの影響もまだ十分に浸透していないことから、緩やかな景気後退が始まった可能性があるとの見方を示した。
パンテオン・マクロエコノミクスのサミュエル・トゥームズ氏は第4・四半期のGDPを横ばいと予想。24年はインフレ率が一段と鈍化し、税負担が軽くなり、社会保障給付が増えるとして、家計の状況は改善するとした。
ONSによると、第3・四半期の貯蓄率は10.1%と第2・四半期の9.5%から上昇した。収入の伸びが支出の伸びを上回ったとしている。
ブルームバーグが実施した月間調査では、連邦公開市場委員会(FOMC)が24年6月の会合で政策金利を0.25ポイント引き下げ、同年後半にさらに3回の追加利下げに動くことが予想の中央値で示されている。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは7月以降、5.25-5.5%に据え置かれている。
1カ月前の時点では、エコノミストは最初の利下げが7月になると予想していた。ただ12月のFOMC会合の前に実施された別のブルームバーグ調査では、既にその時点で最初の利下げは6月との予想が示された。
一方、市場参加者はFOMCによる3月会合、ないしそれより前の利下げについて90%超の確率を織り込んでおり、FF金利は24年末時点で約3.77%になるとの予想だ。
複数の米連邦準備制度理事会(FRB)当局者はここ1週間、3月に利下げが実施されるとの観測を押し返す姿勢を示してきた。
ブルームバーグが実施した最新のエコノミスト調査ではまた、24年中のインフレについて、前月の予想よりも大きく鈍化するとの見通しが示された。
エコノミストは、金融当局が注目する物価指標である個人消費支出(PCE)コア価格指数に関して、向こう4四半期で0.2ポイント程度予想を下向きに修正した。最新調査では、PCEコア価格指数が24年に平均で前年比2.3%上昇すると予想。前月の調査では2.5%上昇と見込まれていた。
ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は消費者マインドの回復について、「消費者のインフレに対する見方が大幅に改善したことが理由だ」と発表文で指摘。「全体として、消費者心理は昨年6月にインフレがピークに達して以来の全般的な上昇傾向に戻ったが、物価高という重荷があるため、コロナ禍前の水準に達するには長い道のりがある」と述べた。
ニューヨーク連銀によれば、米消費者のクレジットカード残高は7-9月(第3四半期)だけで約480億ドル(約6兆8200億円)増え、合計額は1兆800億ドルに達した。しかもこれはホリデーシーズンのショッピング最盛期前の話だ。残高が膨らむのと同時に、カード金利も急上昇。平均年間利率(APR)は20%を上回り、過去最高を記録した。
来年の利下げが視野に入る中、消費者動向が注視される。今年は株価が反発し、多くの米国人が賃金上昇の恩恵を受けるなど、経済の強さを示すデータは豊富にある。
その一方で米国人の推定40%が、請求書に応じるためにコロナ禍の貯蓄を使い果たしている。動画投稿サイト「TikTok(ティックトック)」では、学生ローンや自動車関連の支払い、住宅コストや食品価格の高騰などに苦しむ「静かなリセッション(景気後退)」の実例が大量に上がっている。多くの消費者が日々の出費をクレジットカードやその他の負債に頼るようになっていることを、専門家は懸念している。
「消費者は生活必需品の支払いをクレジットラインに頼るようになった。こうした支払いは手持ちの現金で支払うはずのものだ」とナショナル・ファウンデーション・フォー・クレジット・カウンセリングの広報担当者、ブルース・マクレイ氏は指摘する。「余裕がなくなってきている」と話した。
JPモルガンが参加したリンゼー・ゴールドバーグ・アンド・ベッセマーによるエンジニアリング会社クラインフェルダー・グループの買収のための融資は、同行が直接融資のイニシアチブを強化して以降に行った数少ない融資の一つだ。
JPモルガンは、ほぼ全てのライバル銀行と同様、レバレッジドファイナンス部門がリスクの高い企業への融資で、プライベートクレジットに押され気味なのを何年も見てきた。潤沢な資金を持つこれらノンバンクの貸し手は、買収に有利な条件を提示しより大規模な取引を行うことができる。
今、銀行は浸食を食い止めるために新たな手段を試みている。JPモルガンだけではなく、シティグループやバークレイズ、モルガン・スタンレーなどもこの事業への参入を急いでいる。
具体的に何をするのかは銀行によって異なる。しかし最も基本的な要素に絞ると、採用しているモデルは多くの点で、銀行が得意としてきたレバレッジドファイナンスと驚くほどよく似ている。
規制上の制約に阻まれ自己資金を長期にわたって投入することができないため、銀行は企業顧客との広範なネットワークを生かして案件をまとめ、資金調達で懐の深い投資家と組み、仲介役として手数料を得ようとしている。
最大の違いは、ビジネスの順序が逆転していることだ。通常、銀行はまず貸し付けのコミットメントを行い、その後にジャンク(投機的格付け)債やレバレッジドローンの形でこの債権の一角を買いたい顧客を見つける。
そのため、借り入れコストが急上昇したり、投資家が手を引いたりすると、銀行がローン債権を抱えることになる。今は資産運用会社にプライベートクレジット案件を持ち込ませているため、債権の買い手は事前に用意されていることになる。
「銀行は自己資金を貸し付けずに手数料を得る方法を見つけようとするだろう。レバレッジドファイナンスは銀行のビジネスモデルの中核を成すものであり、その市場を奪還できなければ、収益性に大きな打撃を受けることになる」とアキン・ガンプ・ストラウス・ハウアー・アンド・フェルドのスペシャルシチュエーション・プライベートクレジット部門共同責任者、ラネシュ・ラマナサン氏は話した。
プライベートクレジットに潜む危険性について懸念が高まっているこの時期に、このような動きが出てきたことは、銀行が自分たちの縄張りを守る必要性を強く感じていることを裏付ける。
成功すれば、銀行は今後何年にもわたって最大規模のデットファイナンス案件での役割を確保できる。失敗すれば、さらに数十億ドルの潜在的手数料を失うだけでなく、投資銀行業務全体の歯車をうまく回すための顧客との関係も失うことになる。
多くの銀行幹部がインタビューで、ダイレクトレンダーがここ数年で急速に市場シェアを獲得したことにウォール街が不意を突かれたことと、この変化が今後も続くだろうことを認めた。
企業がプライベートクレジットを利用するようになったのは、資金調達の速やかさや少数の貸し手とだけ交渉すればよいという簡便さ、取引条件の柔軟性などが理由だ。プライベートクレジットの残高は現在、世界全体で1兆6000億ドルを超え、今後数年でおよそ2倍になると予想する向きもある。このため、銀行はこの流れに乗ろうと躍起だ。
ブルームバーグが今月報じたところによると、JPモルガンはプライベートクレジット会社とシンジケーショングループの設立について協議。グループのメンバーはJPモルガンがオリジネートしたローンに資金を提供し、同行は仲介サービスに対して手数料を徴収する。オルタナティブ資産運用会社に加え、政府系ファンド(SWF)や年金基金、寄付財団とも話し合いをしている。JPモルガンの広報担当者はコメントを控えた。
大半の銀行は、プライベートクレジット事業を拡大する中で、自己資金をかなり少額にするか、まったく投入しないことを目指している。
これは、金融危機後の規制により、銀行がバランスシート上にリスクの高い負債を保有することの負担が大きくなり、融資が不良化した場合に備えて追加資金を保持することを義務付けられたためだ。
間近に迫った国際的な資本規制「バーゼル3」では、必要な資本バッファーが引き上げられる見通しだ。レバレッジドレンディングのガイドラインは、銀行が企業に提供できる融資の収益に対する割合を制限している。
その反面、プライベート資産に資金を振り向ける投資家が増えるにつれ、多くのダイレクトレンダーはバイアウト案件が十分でない中で現金の山を抱えることになった。銀行との提携は独占的なディールフロー、特に通常であれば関係を築くのに何年もかかるような法人顧客からのディールフローへのアクセスを可能にする。
バークレイズは最近、バランスシート上の資金を直接融資に割り当てた。直接融資を数十億ドル規模に成長させることを計画している。また、アブダビ投資庁などから外部資金を集めるためAGLクレジット・マネジメントとの提携を図っている。
シティは新たな直接融資戦略を開始するため、予備交渉を行っている。この戦略には、融資のための資金を提供する1社以上の外部パートナーとの提携が含まれる。
野村ホールディングスは今後1年半の間に約10億ドルの自社資金をプライベートクレジットに割り当てる予定だ。
激動の年となった今年のユーロ圏国債市場のリターンは6.5%と、米英を上回る「勝ち組」となっている。消費者の財布のひもが固くなって経済が悪化していることから、その魅力は2024年も続きそうだ。
インフレ高進で2年間マイナスだったグローバル債券リターンの回復をけん引。ICE・BofAの指数によれば、今年の米国債のリターンは3.5%、英国債は2.4%だ。
記録的なペースによる利上げの影響が懸念されるイタリア債は9%近いリターンとなった。
一部の投資家にとってはこれは始まりに過ぎない。
アリアンツ・グローバル・インベスターズのシニアポートフォリオマネジャー、マイク・リデル氏はこうした傾向が続くと見ており、米国とカナダから欧州に資金をシフトしている。
ユーロ圏のインフレは急速に軟化しており、年末の景気後退が迫っている。ロイター調査では、ユーロ圏の来年の成長率はわずか0.6%で、米国の半分にとどまると予測されており、安全資産であるドイツ債が買われそうだ。
憲法裁判所がドイツの予算に600億ユーロの打撃を与えたことで、来年の成長率は最大0.5%押し下げられる可能性がある。
<財政引き締め>
リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメントの金利・インフレ戦略担当責任者、クリス・ジェフリー氏は独憲法裁の判決について、財政政策が引き締められ、米国債よりも欧州債を選好する自身の決定を後押しするものだと述べた。
もう一つの利点は、米国と異なり、ユーロ圏内の主要国は来年選挙が予定されておらず、追加支出圧力の大きな要因が見られないことだ。
欧州中央銀行(ECB)がコロナ禍による緊急購入プログラムで買い入れた債券を巡る満期償還金の再投資について、早期に停止するのではなく、24年末までに段階的に停止すると決定したことも強気心理に拍車をかけている。
こうした再投資は高債務国のイタリアなどを支援する。
<リスクも>
しかしリスクもある。
まず、ボラティリティーの高さだ。年末の上昇は、2月と9月に債券が大きな打撃を受けた価格の乱高下に続くものだ。欧州金融市場協会(AFME)が18日に発表したところによると、欧州債の1日当たり取引高で14年以降の上位3四半期はいずれも今年だった。
債務管理当局者によると、ヘッジファンドがECBの穴を埋めるのに役立っている。
加えて、年末ラリーでドイツ債利回りは一部銀行が予想する24年末水準まで低下したため、さらなる低下は限定的となることを示唆している。
イタリア国債の輝きがどこまで続くかもわからない。BofAはユーロ圏のアウトパフォームはドイツに集中し、高い資金調達ニーズがイタリアに重くのしかかると予想している。
バークレイズも、個人投資家からの需要が減退する兆しが見えればイタリア債への重しになりかねないと警告している。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ゼロコロナ政策が解除されれば、消費者はこぞってショッピングモールに押し寄せ、外国からの投資は再開し、工場はフル稼働して土地入札と住宅販売も安定する──。当初の期待はこうだった。
ところが現実には、中国の消費者は万が一の事態に備えて貯蓄し、外国企業は資金を引き揚げ、工場は西側諸国からの需要減退に見舞われ、不動産開発業者はデフォルト(債務不履行)を起こしている。
この展開は、中国の成長モデルに長年疑問を呈してきたエコノミストの見方をある程度裏付けている。中には、中国経済を日本のバブル崩壊と「失われた数十年」になぞらえるエコノミストもいる。
中国経済の「懐疑派」は、中国は10年前に建設主導から消費主導の成長モデルに切り替えるべきだったのに、それを怠ったと主張している。この10年、債務は経済成長をしのぐペースで膨らみ、地方政府と不動産企業が返済に苦慮する水準に達した。
政策当局者は今年、消費を押し上げ、経済の不動産セクター依存を減らすと約束。銀行に対しては、不動産から高性能製品を作る製造業へと、貸し出しをシフトするよう指導した。
しかし、債務一掃と経済再構築に向けた具体的かつ長期的なロードマップは依然として描かれていない。
中国がどのような選択を採るにせよ、人口縮小と高齢化、そして西側が対中ビジネスへの警戒感を強めているという地政学的環境を考慮に入れる必要がある。
<何が問題なのか>
2023年の中国の成長率は5%程度と、世界経済全体をしのぐペースとなりそうだ。しかしその裏に潜むのは、国内総生産(GDP)の40%以上を投資が占めるという実態だ。これは米国の2倍であり、投資の大きな部分が非生産的であることを意味する。
つまり多くの国民は成長を実感していない。若者の失業率は6月に21%を超えた。当局はそれ以来、若年層失業率の発表をやめ、物議を醸している。
高度な職に就くために学んだ大卒者は今、低スキル労働に従事せざるを得ず、他の労働者らは賃下げの憂き目に遭っている。
不動産が家計資産の70%を占める中国にあって、住宅所有者は貧しくなっていると感じている。数少ない明るいセクターである電気自動車(EV)産業でも、価格競争がサプライヤーと労働者を苦しめている。
アナリストによると、国民に広がる悲観論は、習近平国家主席に社会不安のリスクを突きつけかねない。中国が日本型の経済停滞に陥っているのだとすれば、日本のような経済発展を達成する前にそうなってしまうということだ。
世界中の産業が中国のサプライヤーに大きく依存している以上、このことは幅広い影響を及ぼすだろう。アフリカと中南米は、中国がコモディティーを買ってくれて、工業化の資金を出してくれると期待している。
<2024年はどうなる>
中国が究極の選択を行うための時間はほとんど残されていない。
政策当局者は経済の構造改革に意欲を燃やすが、中国において改革は常に難しかった。
地方からの出稼ぎ労働者向けに社会保障を増やす試みは、社会不安とコストへの懸念から既に頓挫(とんざ)しつつある。出稼ぎ労働者が都市部住民と同様の公共サービスにアクセスできるなら、家計消費を通じてGDPを1.7%増大させるとの試算もあるのだが。
不動産および債務の問題を解決しようとする試みも、同様の懸念に突き当たっている。
つまり、失敗した投資の代償をだれが払うのか、という問題だ。銀行か、国有企業か、中央政府か、はたまた民間企業や家計か──。
エコノミストによれば、どの選択を採っても将来の成長率は押し下げられかねない。
中国は今のところ、改革のために成長を犠牲にする選択に及び腰なようだ。
政府の顧問らは、来年の成長率目標を5%前後とするよう求めている。これは今年と同水準だが、今年の成長率はロックダウンによって低迷していた前年と比較したものだ。来年はその効果が消える。
5%前後の目標を立てれば、債務を増やさざるを得ないかもしれない。ムーディーズは今月、そうした財政の緩みを理由に中国の格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ、これを嫌気して中国株は5年ぶりの安値に沈んだ。
借りた資金を何に回すかによって、中国が姿勢を変化させているのか、もしくは行き詰まりが懸念されている成長モデルへさらに軸足を置いているのかが分かるだろう。
フィリピン統計局は22日、今年上半期の貧困率は22.4%(2524万人)と、前回発表(2021年上半期)の23.7%から低下したと発表した。
マルコス大統領は、6年の任期が終わる2028年までに、貧困率を9%に抑制することを目指している。インフラ投資や海外からの直接投資(FDI)促進を通じ、雇用創出と経済拡大を実現していくという。
インド政府の首席経済顧問を務めるV・アナンサ・ナゲスワラン氏は21日公表の論文で、格付け会社のソブリン格付けの手法が先進国に偏重しているとし、見直しを呼びかけた。
論文はまた、各国が格付けの改善に向け適切な行動が講じられるよう、格付け会社が手法を共有する必要があるとも指摘。「マクロ経済要因が改善しても、質的要因を改善する必要があると判断されている場合は、信用格付けにとってほぼ何の意味もなさない」とした。
ナゲスワラン氏と共著者でインド政府上級顧問のラジブ・ミシュラ氏は、信用度を評価する方法論が曖昧ならば「差別的な意図への疑念を生じさせる」危険性があると指摘。途上国は、先進国よりも緩やかな経済収縮にとどまっているにもかかわらず、格下げの95%強を占めているという。
インドの格付けは過去15年間「BBBマイナス」にとどまったが、その間に経済規模は2008年時点の世界12位から第5位にまで成長したと説明した。
米中関係はこの1年間、中国の偵察気球を巡る騒動や半導体摩擦、軍備競争などで緊張が高まる場面が続いた。しかし、11月にバイデン米大統領と習近平・中国国家主席が会談し、関係悪化に歯止めをかけたいとの意向を示したことで、両国は不安を抱えつつも緊張がやや緩和した状態で年の瀬を迎えつつある。
ただ、来年は台湾の総統選挙、米大統領選、貿易摩擦の継続など問題がめじろ押しで、両国関係は新たな波乱に見舞われそうだ。
<台湾問題>
まずは年明け1月13日に台湾で、総統選挙と立法委員選挙が行われる。中国の反応次第で米中両国が互いに疑心暗鬼に陥りかねない。
台湾総統選は、反中姿勢を打ち出している与党・民進党の頼清徳・副総統(副総統候補は蕭美琴・前駐米代表)が世論調査でリード。中国は両候補を「二枚舌の独立派」と呼び、頼氏からの対話の呼び掛けを拒否している。
台湾の選挙は、以前にも米中間の緊張を高めている。例えば、1996年の第3次台湾海峡危機の際には中国軍が台湾近海にミサイルを放ち、米国が空母機動部隊を派遣する事態となった。
中国政府は今回、再び軍事的・政治的圧力を強め、台湾総統選は「平和か戦争か」の二者択一との構図を作り上げるとともに、与党候補は危険な独立主義者だと主張。台湾市民に「正しい選択」をするよう迫っている。
アナリストの間には、習氏は衝突を避けたいと考えており、頼氏が勝てば中国の軍事的反応が緩むとの見方もある。しかし、台湾は選挙を控え、軍事・政治の両面で中国の動きに対して厳戒態勢を敷いている。
<トランプ氏の返り咲きはあるか>
2024年の米大統領選挙はもっと重大な結果をもたらす可能性がある。土壇場でよほどの波乱がない限り、米大統領選は再び、バイデン氏とドナルド・トランプ前大統領の一騎打ちとなる公算が大きい。
選挙戦で中国に対して激しい「口撃」が繰り広げられるのは確実だが、習氏の関心はトランプ氏が大統領に返り咲くか否かの一点に集中するだろう。
スティムソン・センター(ワシントン)のユン・スン所長は「中国にとって米大統領選でのトランプ氏返り咲きは、最もひどい悪夢だ」と話した。
米中関係はバラク・オバマ元大統領の任期中に緊迫した後、トランプ政権下で全面的な貿易戦争へと悪化。新型コロナウイルスの起源や、台湾への対応を巡り新たに緊張が高まった。
一方、トランプ氏の返り咲きは、ある面では中国にとって地政学的な追い風にもなりうる。バイデン氏はトランプ政権が導入した対中関税を維持しつつ、新たな輸出規制を導入し、同盟国との関係を強化するなど巧みに中国政府への圧力を高めてきた。
トランプ氏が基本的に孤立主義を採って同盟国から距離を取るなら、米国の力に囲い込まれていると感じている中国の指導者にとって利益になるかもしれない。
だが、スン氏によると、バイデン氏には不満かもしれないが、中国の指導者は同氏を、争いにおいてもルールに従うとともに、半分は機能している米中関係を尊重する人物だと見ている。
一方のトランプ氏は予測が不可能だ。「トランプ政権下ではほとんど何も意味のある対話はなく、緊張のエスカレートが止まらなくなった」とスン氏は述べた。
<半導体紛争>
最先端の半導体を中国の手に渡らないようにすることを狙った米国の対中輸出規制は、来年はさらに強化されるだろう。
米国は今年10月、既存の規制を強化して「抜け穴」をふさいだ。レモンド米商務長官は「少なくとも毎年」強化する見通しだと述べており、来年はさらに厳しくなりそうだ。
対中輸出規制の実効性については議論があるが、中国政府は規制への対応に苦慮してきた。米企業に対して報復措置を採れば、経済成長が鈍化する中で中国にとって不可欠な外国資本を遠ざける恐れがあるからだ。
中国政府が手にしている対抗手段の一つが、半導体製造に欠かせないレアアース(希土類)供給国としての圧倒的な立場。中国は7月に特定のガリウムとゲルマニウム製品を対象とする輸出規制を発表し、以来、輸出は急激に落ち込んでいる。
米当局による規制違反の取り締まりにより緊張は高まるばかりで、バイデン政権は今年、米国の機密技術を不正に取得しようとする動きに対処するタスクフォースを発足させた。
アクセルロッド商務次官補(輸出担当)はロイターに寄せた声明の中で「中国への技術輸出に関わる明らかな違反行為の調査が進行中であり、2024年にはこうした取り組みの結果、輸出について重大な規制措置が実施される見通しだ」と述べた。
●中東
米国家安全保障会議(NSC)報道官は22日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が海運の要衝である紅海で船舶への攻撃を重ねていることについて、イランが「深く関与」しているとの見方を示した。
NSCのエイドリアン・ワトソン報道官は声明で「イランが紅海の商船に対する作戦計画に深く関与していると承知している。このことは、イランが長年にわたりフーシ派を支援し、この地域の不安定化を助長してきたことと一致する」とし、集団的な対応が必要になるとの考えを示した。
イランはフーシ派による攻撃への関与を否定している。
一方、米国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長は、政府は海運の要衝である紅海での船舶に対するフーシ派の攻撃を注意深く監視していると表明。地域の安全保障の強化に向け、海運業者やこの地域の国々と常に連絡を取り合っていると述べた。
同時に「スエズ運河から(南アフリカの)喜望峰への船舶の迂回で、年末商戦用の商品の入手に大きな影響を受けることはないと予想されるが、監視を続ける」と語った。
カナダのトルドー首相は、ガザ攻撃によりイスラエルの長期的な国家の安全にリスクが生じていることを友好国は懸念していると述べた。
21日に放送された公共放送でのインタビューで首相は、イスラエルの強固な友人は「イスラエルが短期的に行っている行動が実は、同国の長期的な安全や将来的の支持をリスクにさらすことになっているのではないかと懸念を強めている」と述べた。
トルドー氏は、10月7日のハマスによる攻撃後、一貫してイスラエルには自衛権があると発言していたが、イスラエルによるガザ攻撃で民間人の死者が増加する中、徐々に厳しい姿勢を示すようになっている。「イスラエルには自衛の権利と責任がある。だが、それは民間人への影響に注意する形で行わなければならない」とし、イスラエルを支持する国々からの懸念に呼応した。
カイロ:イラン国営テレビによると、エジプトとイランの大統領は土曜日、初めての電話会談で、ガザ地区の最近の動向や両国間の国交回復の見通しについて話し合った。
テレビは、イランのイブラヒム・ライシ大統領がエジプトのアブドルファッターハ・エルシーシ大統領に電話したと報じた。両氏は11月、リヤドで開催されたアラブ・イスラム合同臨時サミットに合わせて初めて会談した。
イラン国営テレビは、「ライシ大統領は、イランはシオニスト政権による大量虐殺を阻止し、パレスチナ人に援助を送るためにあらゆる能力を発揮する用意があると述べた」と報じ、両大統領が電話で会談するのはこれが初めてだと付け加えた。
エジプトとイランの関係はここ数十年、全般的に困難を抱えているが、両国はある程度の外交的接触を維持している。彼らの呼びかけは、ここ数カ月の東側の緊張に対する地域諸国の他の動きに続くものだ。
イランのアブドラヒアン外相は23日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海を航行する商船を攻撃するのを同国が支援していることを否定し、イスラエルがパレスチナ自治区ガザでの攻撃を続けている限り、水路は安全ではないと警告した。
米政府は22日、新たに公表された情報に基づいて、イランがフーシ派の攻撃計画に「深く関与」しており、武器、資金援助、訓練を提供しているとの見解を明らかにした。
アブドラヒアン外相はテヘランでの記者会見で「この非難には根拠がない」とし、攻撃は「ガザを支援し防衛するための、完全にイエメンの決定だ」と述べた。
米国防総省は、イランから発射されたドローンがインド洋でケミカルタンカーを攻撃したと発表。世界の船舶に新たな危険領域が広がっているのではないかという懸念が浮上している。
国防総省の声明によれば、攻撃は23日にインド沿岸から約200海里(約370キロ)の地点で、リベリア船籍、日本企業所有、オランダ企業運航のケム・プルート号を襲った。死傷者はなく、タンカー内の火災は鎮火したという。
これとは別に、米中央軍によれば、フーシ派の弾道ミサイル2発が23日に紅海南部に撃ち込まれたが、船舶への被害は報告されていない。米英軍はまた、紅海とインド洋の両方で、フーシ派の無人偵察機に狙われた船舶が数件あったと報告している。
紅海におけるフーシ派の攻撃は、イスラエルを支持していると同派が考える船舶を標的としたもので、世界の海上貿易の約12%を占めるこの地域に混乱を引き起こしている。世界の主要なコンテナ船とタンカーの荷主は、この水路から船舶を迂回(うかい)させており、攻撃は海運市場を動揺させ原油価格を押し上げる要因となっている。 
バイデン米大統領は23日、イスラエルのネタニヤフ首相と長い対話をしたが「停戦を求めたわけではない」と語った。クリスマス休暇を過ごすキャンプ・デービッドに向けてホワイトハウスを出発する際、記者の質問に答えた。
アブドラヒアン外相は、紅海の海上交通を守るための米主導の多国籍部隊は「解決策にはならない」と述べ、米国などがイスラエルへの「支援をやめれば地域はより安全となり、エネルギー輸送の状況も改善される」と主張した。
イスラエルのネタニヤフ首相は、イスラエルによる中東地域での軍事作戦行動を米国が阻止した、あるいは阻止しているとする報道は誤りだと述べた。どの報道かは明示していない。
イスラエルは主権国家であり、戦争に関する決定は作戦上の考察に基づいたものだとネタニヤフ氏は述べ、外部圧力の影響を受けたものではないと語った。23日夜にバイデン米大統領と協議し、イスラエルは「絶対的な勝利が得られるまで、どんなに時間がかかろうとも」戦い続けるとバイデン氏に伝えたと説明。「米国はそれを理解している」と続けた。
その上で、「はっきりさせておきたいのは、これは長い戦争になるということだ。われわれは人質が解放されるまで、イスラム組織ハマスが排除されるまで、パレスチナ自治区ガザの南北両方の治安を回復するまで、最後まで戦う」と言明した。
イラン革命防衛隊のナクディ調整司令官は、米国やその同盟国がパレスチナ自治区ガザで「犯罪」に関与し続ければ、「程なく地中海、すなわち(欧州とアフリカを隔てる)ジブラルタル海峡などの封鎖に直面することになる」と警告した。イランのタスニム通信が23日に伝えた。
ガザでの軍事衝突で、イランはイスラエルと交戦するイスラム組織ハマスを支持し、イスラエルの後ろ盾の米国を批判している。
ガザでの戦闘を受け、イエメンの親イラン武装組織フーシ派はイスラエルへの「報復」として、紅海を航行する商船を相次いで襲撃。米政府は22日、襲撃計画にイランが「深く関与している」と非難した。
ナクディ氏は、紅海での襲撃などに触れ「他の航路封鎖に向けた新たな勢力の誕生」に言及したが、どのように地中海を封鎖するかは説明しなかった。
イランは地中海への直接のアクセスがなく、同国が支援するレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラやシリアの武装勢力の活動地域は地中海に面しているが、ジブラルタル海峡から遠く離れている。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> 主要通貨に対するドル指数が一時約5カ月ぶりの水準に低下した。個人消費支出(PCE)価格指数の伸びの鈍化を受け、米連邦準備理事会(FRB)が来年3月に利下げに着手するとの見方が一段と高まった。
<債券> 国債利回りがやや上昇した。朝方発表された11月の個人消費支出(PCE)統計はほぼ予想通り。クリスマスに伴う連休を控え商いが細る中、ポジションを手仕舞う動きが見られた。
市場は来年3月の利下げをほぼ確実視。来年12月までの利下げ幅は159ベーシスポイント(bp)になるとの見方が織り込まれている。
<株式> クリスマスに伴う連休を控え、まちまちで取引を終えた。朝方発表された個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが鈍化したことを受け上向いたものの、その後失速した。
週足では、主要3指数がそろって8週連続で上昇。連続での上昇はS&P総合500種が2017年終盤、ダウ工業株30種とナスダック総合が19年序盤以来の長さとなる。
この日の取引でS&Pの主要11セクターのうち、一般消費財(.SPLRCD)が唯一下落した。
個別銘柄では、スポーツ用品大手ナイキ(NKE.N)が11.8%安。ナイキは前日、通期売上高見通しを下方修正。コストを管理するため、主要製品の供給削減を計画していることも明らかにした。
<米原油先物> クリスマスの3連休を前に利益確定の売りがやや優勢となり、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.33ドル(0.45%)安の1バレル=73.56ドル。週間では2.98%上昇した(中心限月ベース) 。3月物は0.33ドル安の73.73ドル。
<ロンドン株式市場> 小幅反発して取引を終えた。イングランド銀行(英中央銀行)などの主要中央銀行が来年利下げを開始する可能性があるとの期待感が相場を支えた。
個別銘柄では、小売りのJDスポーツ・ファッション(JD.L)が5.1%と大幅安。米スポーツ用品大手ナイキが(NKE.N)が慎重な個人消費を理由に通期の売上高見通しを下方修正したことが嫌気された。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。クリスマス休暇で欧州市場が25日に休場となるのを控えて薄商いだった。
ドイツのスポーツ用品大手アディダス(ADSGn.DE)、プーマ(PUMG.DE)は5.3%、7.2%それぞれ下落した。米同業ナイキ(NKE.N)が慎重な個人消費などを理由に通期売上高見通しを引き下げたことがマイナス材料となった。
<ユーロ圏債券> ドイツ10年債利回りが週間で8週連続の低下を記録する見通し。来年の大幅利下げ観測を受けた。
ダンスケ銀行の債券ストラテジスト、ピート・ヘインズ・クリスチャンセン氏は「次回の連邦公開市場委員会(FOMC)前に新たなインフレ統計が発表されるため、今回の発表が最も重要なものにはならない」と指摘。ホリデー期間中の市場の動きを拡大解釈するべきではないとした。
日経先物33,215、ダウ先37,702、債先146.37、米3.901、独1.9740、仏2.481、西2.902、伊3.549、英3.5310、波5.156、原油73.49、銅8,576、ドル円142.45、ユーロドル1.1013
※12/22 NY引け値

備忘録(2023/12/21)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米格付け会社のS&Pグローバル・レーティングは21日、あおぞら銀行の長期発行体格付けを「トリプルBプラス」から「トリプルB」に1段階下げたと発表した。外国債券の含み損の拡大と米国オフィス向けのノンリコースローン(非遡及型融資)で多額の引き当てを計上していることなどを踏まえて判断した。
●その他産業
住友生命保険は、 プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社TPGが保有するシンガポール・ライフ・ホールディングス(シングライフ)の株式の取得で合意に近づいている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。住友生命は東南アジアでのプレゼンス強化を図っている。
内部情報であることを理由に匿名で語った関係者によると、両社は取引の詳細を詰める作業を進めており、シングライフの評価額は40億-50億シンガポール・ドル(約4300億-5400億円)となる可能性がある。シングライフの他の少数株主もTPGの動きに追随する可能性があり、そうなればシングライフは住友生命の完全子会社になると関係者は述べた。
交渉は進んだ段階にあり、22日にも発表される可能性があるという。住友生命の担当者からのコメントは得られていない。TPGはコメントの要請に応じなかった。
ドイツの海運大手ハパックロイドと香港の外航船大手オリエント・オーバーシーズ・コンテナ・ライン(OOCL)は21日、紅海の航行を回避する方針を示した。反イスラエルの立場を取るイエメンの親イラン武装組織フーシ派が船舶への攻撃を続けているため。
紅海はアジアと欧州を結ぶ海運の要衝。航行を避ける海運会社が増加し、国際的な貿易に混乱が生じている。
既にスウェーデンの家具大手イケアは、スエズ運河の寸断による貨物輸送の遅れで一部の製品で品不足が起きる可能性があると警告。フィンランドのエレベーターメーカー、コネ(KNEBV.HE)は一部の出荷に2―3週間の遅れが生じる可能性があると見込んでいる。
また、干ばつに見舞われたパナマ運河からスエズ運河に航路を変更している米国の大豆輸出業者は、中国などアジア市場へ直行する船舶にアクセスするため、西海岸行きの列車を使うかどうかを検討している。
●決算関連
スポーツ用品大手のナイキが21日発表した2023年9〜11月期決算は、純利益が前年同期比19%増の15億7800万ドル(約2240億円)だった。11月下旬の商戦「ブラックフライデー」が好調だったほか、コスト削減で採算が改善した。
売上高は1%増の133億8800万ドルだった。地域別では、欧州・中東・アフリカが2%増えた。中華圏でもスポーツ用品やアパレルが好調で4%増え、全体の増収をけん引した。一方、最大市場の北米部門はシューズがふるわず、4%減の56億2500万ドルだった。
商品値上げの影響や海上運賃が下がったことで、粗利益率は1.7ポイント改善した。販管費は1%増の41億4600万ドルだった。これまでコストが膨らんでいた宣伝広告費やマーケティング費用などは1%増えた。
24年通期の業績予想は下方修正した。売上高1%増と、従来予想(一桁台半ばの増加)から引き下げた。先行きについてマシュー・フレンド最高財務責任者(CFO)は21日のアナリスト向け説明会で、「中国と欧州のマクロ環境悪化で今後半年は需要が縮小しそうだ」と述べた。
ナイキは品ぞろえの縮小や製造ラインの自動化など今後3年で20億ドルのコスト削減を目指すことも明らかにした。その一環で人員削減に伴う退職金の支払いで23年12月〜24年2月期に4億〜4.5億ドルの減損損失を計上する見通しだ。
米半導体大手マイクロン・テクノロジー(MU.O)は20日、半導体メモリー需要の回復を背景に第2・四半期(12─2月)の売上高が市場予想を上回るとの見通しを示した。時間外取引で同社株は5%近く上昇した。
アナリストはフラッシュメモリーとDRAMの需要は来年も改善すると予想。半導体メモリー価格は今年低迷したが、ここ数週間改善しており、同社の収益に追い風になると見込まれる。
マイクロンはパソコンやモバイル機器向けなどの半導体供給が来年上半期に通常の水準に戻るとの見通しを示した。
同社の競合SKハイニックス(000660.KS) は、AI向け半導体大手のエヌビディア(NVDA.O)に製品を供給している。メロトラ氏によると、マイクロンはエヌビディアの次世代プラットフォーム、Grace Hopper GH200とH200に採用されるHBM3E半導体の最終的な認定段階にあるという。
2024年度に「数億ドル」相当の高帯域幅メモリ(HBM)の売り上げを見込んでおり、25年度も売上高が伸び続けると予想している。
HBMはマイクロンにとり最も収益性の高い製品の1つ。その理由のひとつとしてスミット・サダナ最高事業責任者はロイターとのインタビューで、構造上の技術的な複雑さを挙げた。同氏は「HBMはDRAM業界でこれまで設計された製品の中で最も複雑だ」と説明した。
●先進国、グローバル、金融市場
民主・共和両党の献金者や政治アナリストは、トランプ氏の支持層が今回の判決に反発すると予想。「自分は党派的な法的手続きの犠牲者だ」というトランプ氏の主張に同調する有権者が増え、献金がさらに集まるとの見方を示している。
民主党のバイデン大統領の資金集めを担当するフロリダ州のジョン・モーガン弁護士は「トランプ氏は祝杯を挙げている」とし、共和党にとって資金集めの絶好の機会になると述べた。
トランプ陣営も支持者に対し、献金を通じて「専制的な」判決に対抗するよう呼びかけている。
ロイター/イプソスの最近の世論調査によると、来年の大統領選がトランプ氏とバイデン氏の直接対決となった場合、トランプ氏の支持がバイデン氏を若干上回るとの結果が出ている。
バイデン大統領は20日、連邦議会襲撃事件について、トランプ前大統領が反乱を支持したことに「疑問の余地はない」と発言。大統領選への出馬資格については裁判所が判断することだが「彼は確かに反乱を支持した。疑問の余地はない。ゼロだ」と断言した
トランプ氏は依然として共和党の指名候補として圧倒的な支持を得ており、コロラド州で出馬を禁止されても、その状況に変わりはないとみられる。コロラド州は民主党が優勢で、トランプ氏が同州で勝利する見込みはない。
共和党候補の指名争いでは、ニッキー・ヘイリー元国連大使への注目度が増しているが、今回の判決を受けてトランプ氏が再び脚光を浴びる可能性がある。
フロリダ州の共和党ストラテジスト、フォード・オコネル氏は、今回の判決について、トランプ氏が政治的な動機に基づく法的手続きの犠牲者であるという長年のシナリオを補強するものであり、態度を決めかねている共和党有権者をトランプ氏支持に傾かせることが考えられるとの見方を示した。
ライバルの共和党候補は、これまでのトランプ氏に対する訴訟と同様、同氏を擁護する姿勢を示している。
バイデン米大統領は20日、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件について、トランプ前大統領が反乱を支持したことに「疑問の余地はない」と述べた。ただ、大統領選への出馬資格については裁判所が判断することだとした。
トランプ前米大統領が権力の座に返り咲けば、国防総省や国務省、中央情報局(CIA)の要職には自身に忠実な人物を起用し、自らの政策を1期目に比べてもっと自由に反映させる環境を整えようとするだろう。トランプ氏の現側近や元側近、外交関係者ら20人近くに取材した結果、こうした道筋が見えてきた。
そうした人事を通じてトランプ氏は、ウクライナ戦争から中国との貿易問題に至るさまざまな分野で米国の政策を一変させ、1期目において外交政策の「足かせ」と見なしてきた政府機構内部にも思うがままに手を入れることができる、と取材した人々は話している。
2017―21年までの政権時代にトランプ氏は、傍目からは気まぐれで衝動的と受け取られるような自分の構想を、米国の外交安全分野のエスタブリッシュメントに認めさせることに苦労した。
トランプ氏はしばしば、要職者らに対して「仕事が遅い」「先送りする」「自分の方針と違う案を話題にする」などと不満を表明。実際に元国防長官のマーク・エスパー氏は回想録で、メキシコの麻薬犯罪組織にミサイル攻撃を行うというトランプ氏の提案に2回反対したと明かしている。
トランプ政権で4人目、そして最後の国家安全保障担当大統領補佐官を務めたロバート・オブライエン氏は「トランプ氏は、人事こそが政策なのだと認識するに至った。政権発足当初は、トランプ氏の政策案ではなく、おのれの政策案を実行することに興味がある人々が(周りに)多くいた」と語る。
「2期目」のトランプ氏は、忠実な人々を要職に配すれば、1期目にはできなかった外交政策をより迅速かつ効率的に遂行できるとみられている。
今もなおトランプ氏の最有力外交顧問の1人で、頻繁に連絡をしているオブライエン氏は、政権奪回時の優先課題の1つとして、国内総生産(GDP)の2%以上の防衛費を計上しない北大西洋条約機構(NATO)加盟国に貿易関税を課すことを挙げた。
1期目を目指した16年の選挙戦と異なり、トランプ氏は外交経験が豊富で信頼を寄せる人材には事欠かない、と4人の関係者は指摘する。具体的には政権最後の国家情報長官だったジョン・ラトクリフ氏や、元駐独大使リチャード・グレネル氏などだ。
これらの人々の政策観には幾分差があるとはいえ、トランプ氏が大統領を退任して以来一貫して同氏を明白に擁護し、NATOとウクライナ向け支援を巡る米国の過大な負担への懸念を表明している点でほぼ一致している。
<破滅シナリオ>
トランプ氏は来年の大統領選に向けた共和党指名候補レースで圧倒的な優位に立っており、正式に指名され、本選で民主党候補が確実視されているバイデン大統領に勝利すれば、トランプ氏の力は1期目よりも「強大化」する公算が大きい。国内外において有効な権力行使の方法を知り尽くしているからだ。
それが現実になった場合に米国がどうなるのかを巡り、各国の外交官は情報収集に躍起となっている。
トランプ氏自身は、ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせると主張している以外、2期目に推進する外交政策についてあまり語っていない。
ただロイターが話を聞いた欧州諸国の8人の外交官は、トランプ氏が米国によるNATO加盟国防衛の義務を守るのか疑問を投げかけ、ロシアと戦争しているウクライナへの支援を大幅に削減するのではないかと恐れている。
トランプ氏退任後も側近たちと意見交換を続けているというNATO加盟のある北欧の国の外交官は「(1期目は)われわれは(統治の)準備が整っていなかったが、今度はそうではないという声を聞いた」と語った。
この外交官の仕事の1つは、来年の大統領選で想定されるシナリオとその影響を本国に報告すること。最も好ましいのは米国が自己修正能力を発揮してバイデン氏が再選される展開だが、トランプ氏勝利の場合は、1期目と同じく時折行き過ぎた政策が行われる「マイルドシナリオ」のほか、トランプ氏が政府機構を破壊したり、政敵を次々に追放したりして、権力に抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)を働かせる米政治システムを弱体化させる「破滅シナリオ」があるという。
<孤立主義に傾斜>
トランプ政権時代に国防総省の高官だったマイケル・マルロイ氏は、トランプ氏が提唱する孤立主義的な外交政策を支持し、同氏に逆らわない人物が起用される確率が高いだろうとみている。
マルロイ氏は「トランプ氏への忠誠度が最重要になると思う。トランプ氏が信じる外交政策、つまりグローバリスト(的な政策)ではなく米国をより重視するという考えを確固として信奉することだ」と述べた。
1期目のトランプ氏は、トランスジェンダーの軍への入隊からシリアからの部隊撤退まで、国防総省に関するさまざまな問題で自身が起用した高官らと衝突してきた。1人目の国防長官で18年に辞任したジム・マティス氏も、トランプ氏と政策面で著しく意見の食い違いがあったと認めている。
トランプ政権時代の駐スイス大使で、現在は陣営の資金調達を担当しているエド・マクマラン氏は、トランプ氏は2期目において外交政策の主要ポストに忠誠心がなかったり、言うことを聞かなかったりする人物を置くのを避けることが政権運営の成功に必須だと、十分認識しているとの見方を示した。
一方トランプ氏陣営の公式政策サイト「アジェンダ47」によると、安全保障に関わる中堅以下の政府職員のうち「ならず者」とみなした対象者を一掃する計画もあるという。
どんな政権でも中立的な立場で奉仕することが前提となっている米国の政府機構に対してそのような措置が講じられた例はほとんどない。
トランプ氏は1期目の末期に、公務員をより簡単な手続きで解雇できるようにする大統領令を発し、それは全面的に実施されないまま終わったが、政権奪回後に再導入すると明言している。
またアジェンダ47に示された文書に基づくと、トランプ氏は「ディープステート(闇の政府)」による権力乱用に関連する書類を公開するための「真実と和解の委員会」立ち上げや、情報収集活動をリアルタイムで監視する機関の設置も表明した。
トランプ氏が「国務省と国防総省、国家安全保障の既存体制は私の政権が終わるまでに非常に異なる場所になっている」と語る政策動画がある。
<NATO脱退説も>
トランプ氏は政権を奪回すれば中国の最恵国待遇を打ち切り、欧州諸国には防衛費増額を求めると約束している。
ワシントンに駐在する欧州各国の外交官が注視するのは、特に米国のウクライナ支援が続くのかどうかと、NATOに米国が関与し続けるのかという問題だ。
あるバルト三国の外交官は「トランプ氏が米国をNATOから脱退させたがっているとのうわさがある。われわれはパニックにはなっていないが、気がかりだ」と話した。
トランプ政権3人目の国家安全保障担当大統領補佐官で、のちに強烈なトランプ氏批判派に転じたジョン・ボルトン氏はロイターに、トランプ氏はNATOから脱退するとの見方を明かした。
ただトランプ政権時代の高官3人(2人は今もトランプ氏との関係を維持)は、そうした事態に現実味はないと一蹴。このうちの1人は、国内の政治的反発を踏まえれば、全く割に合わないだろう、と付け加えた。
欧州証券市場監督機構(ESMA)が20日公表したデータによると、S&Pグローバル、ムーディーズ、フィッチの世界3大格付け会社は 、欧州当局がその支配力を弱めようとしているにもかかわらず、欧州格付け市場での圧倒的な優位性を維持している。
欧州では国債から社債、仕組み債に至る幅広い金融商品を対象に有料で付与される格付けの市場全体で、3社が合計で90%を超えるシェアを握っていることが明らかになった。
内訳は、S&Pのシェアが昨年の50.1%から48.6%に、ムーディーズは32.8%から31.5%に若干低下した。一方、フィッチのシェアは昨年の10%から10.2%へ微増となった。
今年最も人気のデリバティブ(金融派生商品)であり、恐らく最も賛否両論が分かれる取引が、20日の米国株急落を引き起こした真犯人だとして市場関係者の注目を集めている。
2024年を控え今年最後となりそうなスポットライトを浴びているのが、ゼロ・デー・オプション(ゼロDTE=ゼロ・デー・トゥー・エクスピレーション)だ。
S&P500種株価指数が買われ過ぎの領域にあり、連休が迫っていたため売買高が縮小していたことから、ゼロDTEオプションと呼ばれる24時間以内に期限が切れるプットオプションの大規模な取引がここ約3カ月で最大の下落を引き起こすのに十分だったとオブザーバーらはみている。
こうした取引は、相手側であるマーケットメーカーにヘッジを強いるため、相場を押し下げることになるのだという。
キャンター・フィッツジェラルドの株式デリバティブ取引責任者マシュー・ティム氏はパオロ・ザネロ氏と共同で執筆したリポートで、「しばらく前からゼロDTEをかなり警戒していた。20日は後場になって売りが出たが、これはSPXオプションのゼロDTEが原因になったか、あるいは下げを悪化させたと考えられる。確かに、市場環境はその準備が整っていた」と指摘した。
注目されたのは、4755-4765付近のプットオプションの取引。S&P500種は日中4778.01の高値を付けたが、4698.35まで下落して引けた。前日終値から1.5%下落は9月26日以来の大きさだった。相対力指数(RSI)は下落前によく見られる水準で推移していた。ウォール街の恐怖指数であるCBOEボラティリティー指数(VIX)は、数年来の低水準から急上昇した。
今年に入ってから毎営業日、ゼロDTEオプションの取引が爆発的に増加する中、その広範な影響について議論が続いている。ゼロDTEは機関投資家には短期的なリスクをヘッジし、ポジションの出し入れに基づく戦略を追求する手段を提供し、個人投資家はわずかな資金で大きな賭けをし、すぐに利益を得ることができる。
ゼロDTEの人気は2018年の「ボルマゲドン」と呼ばれるボラティリティー急上昇のようなショックを再来させる危険性があるとJPモルガンのマルコ・コラノビッチ氏らは警告しているが、CBOEグローバル・マーケッツによれば、このデリバティブ売買が現物市場を不安定にしているという証拠はほとんどないという。
オプション分析会社のスポットガンマは、ゼロDTEオプションがS&P500種の下落をけん引したとソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿。
デリバティブ分析会社アシム500の創業者、ロッキー・フィッシュマン氏は、ゼロDTEの取引高が10月上旬以来の高水準となる9000億ドル(約129兆円)だったと説明し、取引時間中に特定の経済ニュースがなかったことを考えると注目に値すると述べた。
同氏によれば、「もし新たに加わったアクティビティーが方向性を持ったオプション買いであったなら、この取引高の増加が急落の一因となった可能性がある」という。
ジョナサン・ホフマン氏とジョン・ボネロ氏、ジョナサン・ティパーマス氏の共通項は、似たようなファーストネームだけではない。「ベーシス取引」による米国債への巨大投資が規制・監督当局を夜も眠れない状態にしたが、彼らこそ推進役だ。
世界屈指のヘッジファンドが、米国債の現物と先物との価格差を利用し、利益を得るこの種の取引で、ホフマン氏らとそのチームはトッププレーヤーであり、その意味で今日の金融業界の最も重要な人物といえる。
非公開情報を理由に複数の関係者が匿名で語ったところでは、ヘッジファンド運営会社エクソダスポイント・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ホフマン氏(51)とミレニアム・マネジメントのトレーダー、ボネロ氏(52)、シタデルのティパーマス氏(41)は、数十億単位に上る利益を生むためにベーシス取引を長年にわたり利用してきた。
10社ほどのコアのグループに属する彼らは、ウォール街の金融機関から巨額の資金(投資額の50倍も珍しくない)を借り入れ、数百億ドルを取引につぎ込んでリターンを増幅させる。極めて莫大(ばくだい)な投資であり、国際資本市場の土台である米国債売買の今や中心との指摘もある。
関係者によると、キャプラ・インベストメント・マネジメントのライアン・レッチワース氏らやバリアズニー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、スティーブ・ブラウン氏も巨額取引を行っており、チューダー・インベストメントのアレクサンダー・フィリップス氏らの動きも活発だ。
このグループの当事者が公の場に姿を現すことは、めったにない。だが、十数人の市場参加者へのインタビューやブルームバーグが内容を確認した文書を見る限り、今年に入り勢いを取り戻したベーシス取引で、彼らが支配的である様子がうかがえる。中心的プレーヤーと長年仕事をしてきたウォール街のある幹部は、ヘッジファンドのベーシス取引投資の約70%を彼らが独占していると見積もる。
2020年3月に新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が発生した際には、ヘッジファンドが裁定ポジションの巻き戻しを余儀なくされ、米国債市場や他の金融市場で流動性が枯渇した。米規制・監督当局は、それが繰り返される事態を恐れヘッジファンドに狙いを定めている。
膨大な借り入れに危機感を募らせた米証券取引委員会(SEC)は先週、ベーシス取引の経済合理性の魅力を損なうと考えられる新たな規則を決定した。
規制・監督当局は苦しい立場に置かれている。過度に厳しく取り締まれば、パンデミック後26兆ドル(約3730兆円)規模に膨れ上がった米国債市場の秩序立った動きを脅かしかねない。
逆に手加減が過ぎれば、ヘッジファンドの金融レバレッジの行き過ぎた増大を招く恐れがある。トレーダーのポジションの大きさは、彼らが問題を起こせば、米連邦準備制度が再び介入を余儀なくされる危険性を暗示する。
アルファシンプレックス・グループのチーフ・リサーチストラテジスト、キャスリン・カミンスキー氏は「幾つかしか存在しないプレーヤーが、自分たちを大き過ぎてつぶせない状態にしている。こうした裁定取引を制限すれば、市場の流動性を低下させることになる」と指摘した。
アムンディのリサーチ部門、アムンディ・インベストメント・インスティテュートで先進国市場通貨責任者を務めるフェデリコ・セザリーニ氏によれば、アムンディはポンドが対ドルで4%余り下落すると予測している。インフレが減速し、金融引き締めに伴う痛みが経済に現れるとの見方が背景だ。
アムンディは来年1-3月(第1四半期)にポンドは対ドルで1.21ドルまで下げると予想する。ポンドは今月、同1.28ドル近くまで上昇していた。
セザリーニ氏は、多くの英住宅ローンが数十年来の高金利でリセットされれば金融の痛手はさらに大きくなり、需要や最終的には成長の重しになると指摘。さらなる景気減速によってインフレ率は来年5月までに英中銀が十分とみなす水準まで低下し、同月の初回利下げへ道を開くことになるだろうと続けた。
英政府は移民の流入に制限を設ける。2024年春から、年収3万8700ポンド(約700万円)未満の外国人に技能労働者ビザを発給しない。過去最多の74万5000人となった22年の純流入数から30万人の削減をめざす。
技能労働者ビザの取得に必要な英国内での最低年収を2万6200ポンドから引き上げ、低賃金の労働者の入国を抑える。次期総選挙をにらんで保守層の取り込みを狙う。
米国のインフレ見通しはここ数カ月で既に着実に改善しつつあったが、ちょうど連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開催された先週の2日間に、それがついに確かなものとなった。
12月12、13両日の朝にそれぞれ発表された11月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の統計は、米金融当局が重視するインフレ指標で測った過去6カ月の物価上昇率が、年率ベースで目標の2%に戻った可能性が高いことを示唆した。
この予想外の展開を受けて、連邦準備制度理事会(FRB)当局者の一部は、13日午後の公表予定前に自らの予測を急いで修正した。向こう6カ月についても、同様にインフレが抑制されるとの確信がエコノミストらの間で強まった
商務省経済分析局(BEA)が22日朝に発表する個人消費支出(PCE)価格指数では、これが正式に示される見通しで、向こう数四半期中の利下げに向けた論拠が強まる一助となりそうだ。
Tロウ・プライスの米国担当チーフエコノミスト、ブレリナ・ウルチ氏は、2022年通年と23年前半を通して、FRBウオッチャーらは「実現インフレ率に焦点を絞ることに」慣れてしまったと指摘。だがFRBは今や、目標のアンダーシュートを回避しようと「インフレの見通しに注目している」と同氏は述べた。
FRBが重視するPCE総合価格指数とPCEコア価格指数は、先週公表されたCPIとPPIの要素をいくつか使用している。
それらを合わせると、食品と燃料を除いた財、金融サービス、一部のヘルスケア項目など主要カテゴリーで軟化が示されたため、エコノミストらはPCE価格指数の予想を引き下げた。
21日に公表された7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)確定値の統計は、さらに良いニュースを提供した。同四半期のPCEコア価格指数は前期比で年率2%上昇と、2020年10-12月(第4四半期)以来の低い伸びにとどまった
ヤン・ハッチウス氏率いるゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは13日付の顧客向けリポートで、「広く予想されていた『最後の1マイル』問題に直面するどころか」、PCEコアインフレは23年前半の年率4%から、今年後半には1.9%に減速したもようだと指摘した。
米商務省は最先端ではないが世界経済にとって不可欠な旧型の「レガシー半導体」について、中国の生産動向に関する情報収集を開始する。米国企業が中国にどれだけ深く依存しているかを分析する狙いがある。
商務省の産業安全保障局(BIS)は来年1月、自動車、航空宇宙、防衛業界などの100社余りを対象に、レガシー半導体の調達、使用状況について調査する予定だと同省当局者が明らかにした。
匿名を条件に語ったその当局者によると、中国の半導体メーカーの中には安値を武器に市場シェアを伸ばしているところもあり、米政府は鉄鋼や太陽光発電セクターのように、中国がレガシー半導体分野で支配的な地位を占めるのを防ぐことを目指している。
レモンド商務長官は声明で、中国がここ数年、国内企業によるレガシー半導体の生産拡大を促し、米企業を取り巻く競争環境を悪化させるような懸念すべき兆候がうかがわれると指摘。その上で、調査は「次のステップを考える上で参考になる」とした。
次のステップには、中国の動きに対抗するための関税やその他の貿易手段が含まれるかもしれない、とその当局者は述べた。下院中国特別委員会は最近、超党派の報告書で、レガシー半導体に関税を課すよう政府に求めている。
新型コロナ流行時には旧型半導体が深刻な不足に陥り、自動車メーカーやテク企業では生産に大きな支障が発生。これが2022年の「CHIPS・科学法」の制定につながった。同法には半導体の米国生産回帰を促すため1000億ドル(約14兆2350億円)相当の補助金が盛り込まれており、そこから少なくとも20億ドルが成熟技術に振り向けられる見通しだ。
BISの調査は、これらの投資を決定する上で必要な情報を提供すると、同当局者は指摘。また防衛業界の請負業者がサプライチェーンから中国製半導体を段階的に排除するよう促す狙いもあると述べた。
もっとも近年は、安易にドル安に賭ける危険性が証明されており、一部投資家は拙速な決めつけを警戒。米国の経済状況が他国を上回り続けることが、ドル弱気派にとって逆風の一つとなるかもしれない。
ニューバーガー・バーマンのシニア・ポートフォリオマネジャー、サノス・バーダス氏は、米国以外では成長鈍化がより定着していると述べ、向こう1年のドルに強気の立場。「米国の場合、成長が減速するまでしばらく時間がある」という。
しかしアムンディUSの債券・通貨戦略ディレクター、パレシュ・ウパダヤ氏は、中国とインドの成長について市場は悲観的になり過ぎていると分析。両国の成長が伸びれば原材料需要が拡大し、豪ドルやニュージーランドドル、カナダドルといった資源通貨にプラスとなる可能性があると付け加えた
ブランディワイン・グローバルのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は、米国の成長鈍化と中国の成長加速を予想し、ドルを売ってアジア通貨に投資している。同氏は「ドル強気相場は爛熟期に入っている」と話した。
当然ながらドルの軌道は、FRBの政策と米国の物価上昇率が本当に市場予想通りに展開するかどうかにもかかっている。金利先物が織り込んでいる来年のFRBの利下げ幅は140bp余りと、FOMCメンバーによる想定の2倍近くに膨らんでいるからだ。
ストーンXの市場調査責任者マット・ウェラー氏は「物価上昇率の減速が続かなければ、FRBが利下げを控える確率が高まる。それはドルにとって強気の環境となるのは間違いない」と語った。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は新型コロナウイルス禍後のインフレ圧力増大への対応が遅かったが、利下げへの移行でも世界の他の中銀に後れを取るとの見方が金融市場に織り込まれている。
日本を除けば、オーストラリアは先進国で唯一、政策当局が向こう半年のうちに利下げに踏み切るかどうかトレーダーが確信を持てない国だ。米金融当局や欧州中央銀行(ECB)が0.25ポイント利下げを最大6回行う見通しに対し、豪中銀は緩和サイクルを開始しても2回にとどまると市場は予想する。
オーストラリアのインフレ率は米国や英国を依然として上回っているものの、豪中銀の政策金利は米金融当局の政策金利より1ポイント低い。この差から、ブロック豪中銀総裁がタカ派トーンを堅持している理由や、豪中銀が慎重に利下げ方向に動くと短期金融市場が予想している理由が説明できる。
バークレイズのエコノミスト、シュレヤ・ソダニ氏(シンガポール在勤)は「豪中銀は他の中銀ほど多くの利上げを行っていないため、利下げの幅が比較的小幅で開始時期は遅めが理にかなうことになる」と指摘。「ブロック総裁はロウ前総裁よりもタカ派に見える」と付け加えた。
豪中銀の引き締め開始は他国より遅かったが、0.25ポイントの小幅な利上げに早めに移行した。世界的なディスインフレの傾向から、豪州が再び他国に後れを取るか注目される中で、インフレ率が目標に戻る確かな兆しが見えるまで豪中銀がタカ派姿勢を維持することは明らかだ。
12月5日開催の政策決定会合の議事要旨では、インフレ率が2-3%の目標を上回る状態が予想より長く続くリスクを強調。現在の中銀予測では、インフレ率は2025年末にようやく上限に収まるとみられている。
豪州のインフレは根強さが示されており、ブロック総裁は先月、インフレの課題は「国内要因や内需主導」の色合いが強まっていると述べ、インフレ率を現在の約5.5%から3%未満に引き下げるプロセスは長期化する可能性が高いとの見通しを示していた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は21日、北朝鮮と「包括的な意思疎通」を構築したと明らかにした。インドや中国とは「戦略的パートナーシップ」の方向で続けているとした。大使館付武官とのブリーフィングで述べた。
ゲラシモフ参謀総長は年末の演説で「中国、インドとの包括的な戦略的パートナーシップの発展が続いている。北朝鮮とは積極的で包括的な協力関係を築いている」と述べた。ただ詳細については語らなかった。
このほか、ロシアによるウクライナ全面侵攻巡り西側諸国との緊張が高まる中、ロシアは偶発事件を未然に防ぐための取り組みを続けており、米国との軍事ホットラインを維持していると述べた。
来年1月の台湾総統選に向けた20日のテレビ演説で、最有力候補である与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳・現副総統は、中国が自身を含む与野党候補3人全員を分離主義者と見なしているとの見解を示した。
頼氏は国民党の侯友宜氏、野党第2党の台湾民衆党の柯文哲氏と共に政策演説に臨み、テレビで生中継された。頼氏は中国が国の方針として台湾を「飲み込もう」としていると指摘。
「中国から見れば、総統選に立候補している私たち3人全員が台湾独立を支持している」とした。
侯氏は頼氏が中華民国という正式名称を捨てて台湾の正式な独立を望んでいると改めて批判。
「台湾の独立は戦争につながり、戦争はますますわれわれに迫っている」とし、「私は(中国が提案する)一国二制度に反対で、台湾独立にも反対だ」と語った。
国民党と民衆党の候補一本化交渉が決裂して以来、支持率が低迷している柯氏は中国に短く言及しただけで、若者の支持獲得で鍵となる住宅価格高止まりなどの問題に焦点を当てた。
中国の2大都市で住宅取引が大幅に増加した。住宅セクターのセンチメント改善に向けた新たな規制緩和の取り組みが寄与した。
20日のHSBCホールディングスのリポートによると、上海の中古住宅の取引面積は15-18日に前週から25.7%増加。同市の1日平均の新築住宅販売件数は約41%増加し、北京では122%増えた。
HSBCのエコノミスト、エリン・シン氏とジン・リウ氏はリポートで、「中古住宅販売が加速することで、住宅の改修需要が促進され、新築住宅の取引が押し上げられる可能性がある」と指摘した。
北京市と上海市は、住宅購入に課すローン要件について、頭金比率を引き下げるなどの措置を講じた。11月の中国の中古住宅価格は9年で最大の下落率となり、住宅購入者や市場ウォッチャーらの信頼が損なわれていた。
リポートによると、先週の主要30都市の新築住宅販売は前週比で6%増加。1級都市が伸びをけん引した。
韓国の与党「国民の力」は21日、臨時執行部トップの非常対策委員長に韓東勲(ハン・ドンフン)法相を指名した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の腹心とされ、尹政権発足と同時に法相に抜てきされた。2024年の総選挙(国会議員選)で与党側の「選挙の顔」になる。
●中東
中銀は今回、「金融の引き締まりは、ディスインフレ軌道を確立するために必要な水準にかなり近づいている」とし「引き締めサイクルをできるだけ早く完了させる」との見通しを示した。そのうえで「引き締めは、持続的な物価安定を確保するために必要な限り維持される」とした。
元米連邦準備理事会(FRB)のエコノミストで現在はコチ大学(イスタンブール)の教授のセルバ・デミラルプ氏は、中銀が早まった緩和をせず、来年トルコへの資本流入が続けば、政策水準はインフレ抑制に十分との見方を示した。
「われわれは、中銀の(政策対応に関する)反応関数を予測することはできるが、どの程度それに沿って対応するかはわからない。(利下げを志向する)エルドアン大統領の金融政策に対する反応関数は推定できないからだ」と述べた。
WAMによると、アブドラ外相はパレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のフセイン・アル・シェイク事務局長と会談し、ガザ地区の人道的危機などについて協議。アブドラ外相は、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」の枠組みに向けた交渉を優先させることの重要性を強調した。
●中南米・アフリカ
12月前半の消費者物価指数(CPI)は前年同期比4.46%上昇し、11月末の4.32%から加速した。ロイターがまとめた市場予想の中央値4.36%を上回った。
インフレ抑制に向けたメキシコ中央銀行のタカ派的な政策方針を正当化する可能性がある。
Grupo BASEのエコノミスト、ガブリエラ・シラー氏は「サービス部門(のインフレ率)が下がりにくい状況が続いており、引き続き最も懸念される」とし、食品の年間インフレ率が引き続き中銀目標の2倍超であることも指摘した。
ただ、変動しやすいエネルギーと食品価格を除いたコアCPIは5.19%上昇と前年同期比で鈍化し続けており、市場予想の5.24%上昇を下回った。
アンゴラのアゼベド石油相は21日、石油輸出国機構(OPEC)から脱退すると発表した。OPEC加盟はアンゴラの利益にならないと説明した。原油価格下支えに向け追加減産への支持獲得を目指すOPECにとり痛手となる可能性がある。
アンゴラ大統領府が発表した声明で、アゼベド石油相は「アンゴラはOPECにとどまっても何の利益も得られないと感じており、利益を守るために脱退を決断した」と説明。ロウレンソ大統領もOPECから脱退する決定を承認した。
アゼベド石油相の事務所は先月、OPECとロシアなど非加盟国による「OPECプラス」がアンゴラに対し2024年の生産枠引き下げを提示したことに抗議していた。ブルームバーグの報道では、アンゴラはOPECプラスの決定に不満で、提示された生産目標に縛られない構えとしていた。
OPEC筋によると、アンゴラの脱退決定はサプライズだったという。
アンゴラは07年にOPECに加盟。石油生産量は日量約110万バレル。OPEC全体の生産量は日量約2800万バレル。アンゴラは19年以降、OPECの生産割り当てを満たすほど十分な石油を生産していない。
アンゴラのOPEC脱退に関するニュースを受け、原油先物相場は約2%下落した。
UBSのアナリスト、ジョバンニ・スタウノボ氏は「OPECプラスの結束を巡る懸念から原油価格は下落した」と指摘。同時に、他の有力加盟国が「アンゴラを後追いすることを示唆する兆候はない」と述べた。
●市況
<為替> ドルが主要通貨バスケットに対し下落し、1週間ぶりの安値を付けた。米金融政策の行方の手がかりを示す可能性があるとして、22日に発表される米個人所得・消費支出統計に注目が集まっている。
<債券> 短期債利回りが低下する一方、長期債利回りが上昇し、2・10年債利回りの逆転現象(逆イールド)の幅が縮小した。市場では米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に影響を及ぼす可能性がある22日のインフレ統計が注目されている。
CMEのフェドウオッチツールによると、金融市場は早ければ来年3月にも25bpの利下げが実施される確率を71.3%織り込んでいる。
<株式> 反発し、前日の下落分の大半を取り戻して取引を終えた。経済指標を受けてFRBの金融緩和を巡る楽観的な見方が高まり、リスク地合いが改善した。
主要3指数はいずれも上昇。四半期業績見通しが市場予想を上回った半導体大手マイクロン・テクノロジー(MU.O)が急伸し、半導体株が買われ、ナスダック総合(.IXIC)が指数の上げを主導した
<米原油先物> アンゴラによる石油輸出国機構(OPEC)脱退表明を受け、反落した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比0.33ドル(0.44%)安の1バレル=73.89ドルだった。3月物は0.39ドル安の74.06ドル。
<ロンドン株式市場> 4営業日ぶりに反落して取引を終えた。主要中央銀行の利下げ期待を背景とした最近の世界的な株価上昇が一服し、米国株が前日の取引で大幅下落したことが投資家心理を冷やした。
個別銘柄では、携帯電話サービス大手のボーダフォン(VOD.L)が2.3%上昇。スイスコムが来年の早い時期にボーダフォン・イタリアの買収を検討していると報じられたことが材料視された。
英高級ブランド会社バーバリー(BRBY.L)は4.2%安と、FTSE100種指数(.FTSE)の中で最も下落率が大きかった。モルガン・スタンレーが目標株価を引き下げたことが嫌気された。
<欧州株式市場> 3日ぶりに反落して取引を終えた。前日までは、世界の主要中央銀行が来年利下げを開始するとの観測を背景に上昇していた。
個別銘柄では、イタリアのエネルギー会社エニ(ENI.MI)はほぼ横ばい。低炭素・リテール事業プレニチュードの株式9%を、負債を含めて100億ユーロ(110億ドル)でエナジー・インフラストラクチャー・パートナーズ(EIP)に売却することで合意した。
<ユーロ圏債券> イタリア10年債利回りが1年3カ月超ぶりの低水準を付けた。中銀当局者は利下げ観測に歯止めをかけようとしているものの、債券買いが継続した。
市場では欧米中銀の来年の利下げ幅を150bp超と見込んでいる。
日経先物33,150、ダウ先37,691、債先146.48、米3.888、独1.9740、仏2.470、西2.903、伊3.592、英3.5585、波5.063、原油73.85、銅8,607、ドル円142.09、ユーロドル1.1008
※12/22 8時55分頃

備忘録(2023/12/20)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
丸紅(8002.T)は20日、チリのロスペランブレス銅鉱山の権益3.27%を追加取得するとともに、センチネラ銅鉱山の生産を拡張すると発表した。JX金属と三井金属鉱業(5706.T)が運営する非鉄金属素材の供給企業の株式20%も取得し、電気自動車などの普及で需要が高まる銅事業を強化する。
年間生産量約40万トンのロスペランブレス銅鉱山は、ENEOSホールディングス(5020.T)の子会社JX金属から持ち分の一部を取得し、保有比率を12.48%に高める。3割を出資するセンチネラ銅鉱山は、拡張によって丸紅の持ち分生産量が年4万トン増加する。
非鉄金属素材の供給企業パンパシフィック・カッパー(PPC)は年間約65万トンの銅地銀を販売しており、丸紅によると国内最大規模という。
PPCはJX金属の連結対象から外れる。PPCは有利子負債が1954億円あり、JX金属は「当社グループの収益性・財務体質が大きく改善する」としている。
S&Pグローバル・レーティングは20日、日本製鉄(5401.T)の長期発行体格付け(BBBプラス)について、引き下げ方向のクレジット・ウオッチ(CW)に指定したと発表した。米鉄鋼大手メーカーのUSスチール(X.N)の買収資金の全額をいったん有利子負債で調達する予定で、財務内容が大幅に悪化する可能性が高いとみている。
S&Pは、計画通りなら買収完了後の1─2年は日鉄の主要キャッシュフロー指標は大きく悪化する可能性が高いと指摘した。変動性が極めて高いUSスチールの利益とキャッシュフローを取り込むため、日鉄の収益構造の安定性が低下する可能性があるとの見方も示した。
CWは買収完了し次第、解除予定。格付けは解除時に1─2段階引き下げる可能性があるとしている。
保険ブローカーの米エーオンは、米NFPを現金と株式交換合わせて約134億ドル(約1兆9200億円)で買収することで同社と合意した。保険仲介のミドルマーケット分野、ならびにウェルスマネジメント事業への参入の一環。
両社の20日発表によれば、134億ドルの内訳は現金70億ドルとエーオンの株式64億ドル相当。NFPはエーオン傘下の独立した事業体として運営され、ダグ・ハモンド最高経営責任者(CEO)が引き続きNFPを率いる。ハモンド氏は、エーオンのエリック・アンダーセン社長の直属となる。
買収は2024年半ばに完了する見込み。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
欧州連合(EU)は20日未明、移民・難民受け入れの負担を加盟国間でより均等に分担し、流入を抑制するための新たな対策で合意した。
欧州議会と各国政府の代表が徹夜の協議の末に新協定について合意に達した。来年発効する予定。
不法移民の審査、亡命申請の処理手続き、申請を受け付ける国を決めるための規則、危機に対処する方法などが一連の法律に含まれる。
現行制度は移民・難民が最初に到着する国が申請を受け付けるためイタリアやギリシャなどの負担が重く、東欧諸国などは受け入れに消極的だった。
新制度では、EUの境界に接していない国は難民を受け入れるか、EU基金に資金を拠出するか選択を迫られることになる。
新たな審査制度では保護が必要な人とそうでない人を区別することを目的としている。インド、チュニジア、トルコ出身者など、難民申請が認められる可能性の低い人や、安全保障を脅かすとみなされた人物はEUへの入国を拒否され、国境で拘束される可能性がある。
フランス議会は19日、不法移民の規制強化法案を可決した。マクロン大統領にとって、政策面では勝利したが中道連立政権内には亀裂が入る結果となった。
ダルマナン内相は、想定外だった極右勢力の支持に依存せず、中道連立と保守派の票で可決されたことに安堵を表明した。
政府は当初、法案は人材不足の部門で働く移民が居住許可を得やすくする一方、不法移民の追放がより簡単になると説明。ただ右派の支持を得るため、政府は居住許可要件を厳しくし、児童・住宅手当などへの支給開始時期を数年繰り下げるなど妥協を図った。
フランスは、外国人居住者にも各種手当を支給するなど世界でも有数の寛容な福祉政策を維持していた。しかし極右勢力だけでなく最近では保守派からも対象はフランス人に限定すべきとの声が出ている。
極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首は法案修正を「イデオロギーの勝利」として法案賛成を表明、政府に意外感を与え中道政権内の左派勢力は不快感を示した。
20日に発表された11月の英消費者物価指数(CPI)上昇率が市場予想を大幅に下回ったため、金利先物は来年3月の英利下げ開始を織り込む動きを見せた。
11月のCPI上昇率は前年比3.9%と、10月の4.6%から低下し、2021年9月以来の低水準となった
英2年物国債利回りは19ベーシスポイント(bp)以上低下し、4月以来の低水準となる4.082%をつけた。1日の低下幅としては7月以来の大きさ。
CPIの発表前に市場が織り込んでいた24年上半期の利下げ幅は38bp、通年では117bpだった。
0839GMT(日本時間午後5時39分)時点では、利下げ幅の予想が来年上半期は53bpに、通年では137bpに拡大した。
最初の利下げが25bpで3月までに実施される確率は45%、5月は100%となった。また6月に25bpの追加利下げが行われ、年末時点の政策金利は4%か、これを下回る水準と予想されている。
英国立統計局(ONS)が20日発表した11月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.9%と、10月の4.6%から低下し、2021年9月以来の低水準となった。
ロイターがまとめた市場予想の4.4%を大幅に下回った。来年の英利下げ観測が一段と強まり、投資家は24年5月までの利下げを完全に織り込んだ。3月までの利下げ確率は約50%と示されている。
コアインフレ率は5.7%から5.1%に低下。
イングランド銀行(英中央銀行)が注視するサービス価格の上昇率は6.6%から6.3%に低下した。
統計発表を受け、ポンドは1ポンド=1.271ドルから1.266ドルに下落。英国債利回りも急低下(価格は急上昇)した。
PwCのエコノミスト、ジェイク・フィニー氏は「英国でディスインフレ圧力が高まっていることを示す強力な証拠だ。総合インフレ、コアインフレ、サービスインフレはいずれも直近11月金融政策報告書でのイングランド銀行予想を大幅に下回っている」と述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、サミュエル・トムズ氏は、英中銀の新しい基調サービスインフレ指標も大幅に低下したと指摘。「ノイズ(雑音)」として片付けることはできないだろうと述べた。
ONSによると、11月のインフレ率を最も押し下げたのは運輸、特に自動車燃料だった。燃料価格は前年比10.6%下落した。
ハント財務相は「インフレ率は半分以下に低下しており、経済からインフレ圧力が取り除かれつつある」と述べた。
別途発表されたデータによると、製造業の原材料費は前年比2.6%下落と、10月と同じ下落ペースとなった。生産者産出価格は0.2%下落し、エコノミスト予想(0.5%下落)よりもマイナス幅は小さかった。
フランスのルメール経済財務相は19日、欧州連合(EU)の財政ルール改革について、独仏が「100%」合意に達したと述べた。ドイツのリントナー財務相との会談後に明らかにした。
両国は財政赤字がEUの定める上限を超えた場合にどのような形で投資を維持するかを巡り、見解が対立。20日のEU財務相会合までに見解を統一することを目指していた。
ルメール氏は「安定成長協定の新ルールについて、今晩(独財務相と)100%の合意に達した」とX(旧ツイッター)に投稿。数カ月にわたる交渉の末、合意に達したことは「欧州にとって素晴らしいニュースであり、健全な財政と投資を保証するものだ」と述べた。
リントナー氏も「財政赤字・債務水準の削減や改革・投資のインセンティブのための安全装置」など、EU財政ルールの「主要要素」について合意したとXに投稿した。
独仏は、財政赤字がEUの上限である国内総生産(GDP)比3%を超えた国について、投資と改革の財源を確保しながら、どの程度のペースで財政赤字を削減すべきかを巡り対立。フランスは赤字削減ペースを抑制して投資の財源を確保すべきだと主張。ドイツは早急に財政赤字を削減すべきだと訴えていた。
英国のインフレ率が予想を下回ったことを受けてトレーダーが来年の利下げ観測を強め、世界の債券は値上がりした。
ドイツの10年債利回りは3月以降で初めて2%を割り込み、英国では4月以来の低水準。10年物米国債利回りは5カ月ぶり低水準となった。
英国のインフレが11月に予想以上に鈍化したことを受け投資家は世界の主要中央銀行による積極的な金融緩和への見通しを強めた。トレーダーは現在、来年にイングランド銀行(英中銀)が少なくとも5回、米連邦準備制度と欧州中央銀行が6回の利下げを実施すると見込んでいる。
コメルツ銀行の金利調査責任者、クリストフ・リーガー氏は「英国のインフレ率は、債券市場のお祭りムードに拍車をかけた。このデータは世界のインフレがより広範なベースで崩れ始めていることを示す証拠になる」と話した。
ダンスケ銀行のチーフストラテジスト、ピエト・クリスティアンセン氏は「英国のインフレ動向は他国・地域と大きく異なることはなく、従って中銀の利下げサイクルも大きく異なることはないだろう」と語った。
ユーロ圏の経済データの悪化とインフレ鈍化が来年の利下げの必要性を強調している欧州中央銀行(ECB)については、来年に160bpの利下げが想定されている。
メディオラヌム・インターナショナル・ファンズの債券責任者チャールズ・ディーベル氏(ダブリン在勤)は「欧州のデータを踏まえると、ECBが主要中銀の中で最初に利上げを反転させると見込まれる」と指摘した。
日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収する合意が成立したことで、バイデン米大統領は政治的ジレンマに追い込まれた。バイデン氏が再選を目指す上で製造業の中心地での勝利が鍵となるからだ。
USスチールは全盛期には米製造業の象徴的存在だった。大統領選を来年に控えた今の時期でなければ、友好国の企業からの好条件の提案は問題視されなかったかもしれない。
しかし政治的な意味合いからバイデン大統領はこの取引を遅らせたり修正に動いたりする可能性があり、阻止することさえあり得る。USスチールの身売りで打撃を受ける激戦州の民主党議員やバイデン氏の支持者らが早々と買収に反対を表明した。
ホワイトハウスのジャンピエール報道官は19日、バイデン大統領はこの取引を承知しており、規制・監督当局の審査対象となり得ることも分かっていると述べた。大統領は鉄鋼労働者を支持し、競争が重要だと考えていると同報道官は強調した。
ブルームバーグ・ニュースとモーニング・コンサルトが共同で実施し、今月結果を公表した世論調査によると、バイデン氏は経済運営に関する評価で、製造業が盛んなペンシルベニア州やミシガン州など激戦州でトランプ前大統領にリードを許している。
トランプ氏は長らく鉄鋼業界に政治・経済的に肩入れし、国内生産を支えるために関税を導入した。バイデン氏はそのアプローチを継承。鉄鋼関税を維持し、ブルーカラー労働者へのアピールでトランプ氏と肩を並べた。米製造業の立て直しも公約した。
米鉄鋼協会(AISI)のデータによると、米鉄鋼業界は2022年に8900万トンを生産。USスチールは約17%を占め、製鉄所は重要な激戦州の各地に存在する。鉄鋼労働者はまた、バイデン氏が20年大統領選勝利に大きく寄与したと認めるブルーカラー組合員の代名詞でもある。
全米鉄鋼労働組合(USW)は日本製鉄によるUSスチール買収に反対しており、この取引を「欲深く近視眼的 」と批判した。
第三党の候補として大統領選出馬を検討と臆測を呼ぶマンチン上院議員はこの取引に反対を表明。「米鉄鋼業を守り、米国民の好待遇の雇用が失われることを防ぐため、できることは何でも行う」と声明を出した。
ペンシルベニア州選出のケーシー、フェターマン民主党上院議員も懸念を表明した。フェターマン議員はこの買収を阻止するために全力を尽くすと投稿。オハイオ州選出のブラウン議員(民主)とJ・D・バンス議員(共和)、ミシガン州選出のスロットキン下院議員(民主)も反対の立場を示した。
オハイオ、ペンシルベニア、ミシガン各州の上院選は全米でも有数の白熱した選挙戦になる見込み。ペンシルベニア、ミシガン両州は16年の大統領選でトランプ氏が勝利した後、20年にバイデン氏が制しており、同氏にとって極めて重要な意味を持つ。USスチールは両州に事業拠点を持つ。
英住宅市場は10月に一段と低迷した。金利上昇が経済活動の妨げとなっている。
英政府統計局(ONS)の20日発表によれば、住宅平均価格は10月に前年同月比1.2%下落して28万8000ポンド(約5230万円)。前月は0.6%下落だった。ロンドンでは3.6%下落と、金融危機に見舞われていた2009年以降で最大の値下がりを記録した。
統計内容は、イングランド銀行(英中央銀行)がインフレ抑制のために急ピッチで利上げを進めた結果、不動産市場に圧力がかかっていることを浮き彫りにした。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるナーゲル独連邦銀行(中銀)総裁は、インフレ抑制に向け政策金利を過去最高水準に維持する必要があるとし、将来的な利下げを期待する市場関係者に対し注意するよう呼びかけた。
ポータルサイト「T─オンライン」のインタビューで「金融政策がインフレ抑制効果を十分に発揮できるよう、まずは現在の金利水準を維持しなければならない」と指摘。利下げが間近に迫っていると予想している人々に対し注意すべきとした上で「一部の人はすでに見当違いをしている」と述べた。一方で、金利がピークに達している可能性が高いことは認めた。
フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は20日、差し迫ってはいないが利下げに前向きとする姿勢を示した。追加利上げには反対だとした。
現地のラジオ番組に出演したハーカー氏は「しばらく金利を現状維持し状況を見守るという意見に賛成だ。利上げを行う必要はない」と述べた。また今後を考えると、「金利を下げ始めることが重要だ」としたが、それほど急ぐ必要はないとした。
また、米経済の「ソフトランディング」は十分可能との見解を示し、「インフレ対策はまだ終わっていないが、正しい方向に進んでいる」と述べた。
ハーカー氏は今年、米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持っていたが、2025年に定年退職を迎えるため、再び投票権を持つことはない。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ハンガリー国立銀行(中央銀行)は19日、主要政策金利(HUINT=ECI)を75ベーシスポイント(bp)引き下げ10.75%とした。
利下げは予想通りで8回連続。欧州連合(EU)加盟国で最高水準だったインフレ率は1桁台に低下している。
中銀は、インフレ率が年内に6%前後に鈍化する可能性があるとともに、来年第1・四半期にかけても強いディスインフレ圧力が続くとの見通しを示した。
●中東
ブリンケン米国務長官は20日、米国はイスラエルがパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を低強度段階に移行させ、その間にイスラム組織ハマスの指導部およびインフラを焦点とする、より的を絞った作戦を実施することを期待し、望んでいると述べた。
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの最高指導者イスマイル・ハニヤ氏は20日、エジプトを訪問した。イスラエルとの新たな戦闘休止に向けた集中的な交渉が行われる中、「異例の外交介入」とみられる。
ハニヤ氏が公の場で外交に臨むのは、交渉で大きな進展が見込まれる場合のみとされている。最後にエジプト入りしたのは、11月終盤に実現したイスラエル軍とハマスの戦闘休止に関する合意が発表される前だった。
ガザの武装組織「イスラム聖戦」の指導者も数日中にエジプトに訪れ、戦闘休止の可能性を巡り協議する見通しという。
関係筋によると、交渉では、新たな戦闘休止合意の下、ハマスから解放される人質や、イスラエル側が見返りとして刑務所から釈放するパレスチナ人について協議が進められている。イスラエルは女性や疾病を抱える男性の解放を求めているという。
バイデン米大統領は20日、ガザで拘束されている人質の解放に向け、イスラエルとハマスが近く合意に達するとは想定していないとしつつも、「われわれは働きかけている」と述べた。
米国が紅海での商船の安全確保に向け打ち出した多国間の取り組みは、なお実践面での詳細に欠き、多くの商船が引き続き紅海を迂回(うかい)、もしくは運航を停止する状況で、海運業界の安心感につながっていないもよう。海運関係者や海上保安当局者らが20日明らかにした。
海事セキユリティー会社、英ドライアド・グローバルのコーリー・ランスレム最高経営責任者(CEO)は、米主導の有志連合の計画には「まだ不明な点が多い」と指摘。参加する軍艦の数、軍艦が到着するまでの時間、攻撃を受けた場合の対処や防護を巡る計画など「正確に分からない」と述べた。
さらに、戦闘が続く限り、商船に対する脅威は続く公算が大きいとし、「多くの世界的な海運会社がアフリカ周辺に航路を変更、もしくは同地域内での運航を完全に停止している。有志連合の取り組みに効果がなければ、より多くの海運会社が船舶をアフリカ南端の喜望峰を回るルートに迂回させるだろう」という見通しを示した。
海運業界の関係者は「ミサイルを撃ち落とす以外に何か対処するのだろうか。それだけで海運会社に十分な保証を与えることができるのか」と疑問を呈した。
別の関係筋は「市場は何らかの成功や具体的な行動を確認する必要がある」と述べた。
●中南米・アフリカ
ブラジル中央銀行は19日、今月12─13日に開いた金融政策委員会の議事要旨を公表した。
国際環境は以前より不利な状況ではなくなっているものの、依然として不安定で、慎重な金融政策運営が必要と強調。国内のディスインフレについては予想外ではないとの認識を示した。
中銀は13日、50ベーシスポイント(bp)の利下げを決定。政策金利は11.75%となった。インフレ鈍化と世界経済の改善に言及する一方で、次回1月会合以降も同じペースで利下げを継続する見通しを示唆した。
議事要旨によると、複数の政策委員は米連邦準備理事会(FRB)のハト派姿勢が強まったことを受けて、米経済の軟着陸の確率が高まったと指摘。
ただ、不透明な地政学的状況、過熱する労働市場、一部先進国のタイトな需給ギャップなど、今後の課題を強調。「金融政策委員会は、国際的な見通しを巡る最近のボラティリティーと今後の不確実性を踏まえ、慎重なスタンスの採用が適切との判断を維持した」としている。
ディスインフレの動きは予想から大幅に乖離しておらず、「ディスインフレの動きを強化するため、収縮的で慎重な金融政策が必要との結論を全会一致で下した」と指摘した。
C6バンクのマクロ調査チームはリポートで「利下げペースを加速させる余地が生じる兆しは見られない」と指摘。
XPのエコノミスト、ロドルフォ・マルガト氏は政策金利が10%前後まで引き下げられるとの見方を示した。
●市況
<為替> ドルが上昇。午後に米国株が売られ、安全資産としてのドルの魅力が高まったほか、英国のインフレ鈍化を受けてポンドが下落した。
<債券> 指標となる10年国債利回りが約5カ月ぶりの低水準を付けた。英国の11月消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化したことが背景。
債券市場が休場となる25日のクリスマス休暇を前に、多くの投資家が休暇を取るため、取引量は減少する可能性が高い。23日の債券市場も東部時間午後2時で取引終了となる。
<株式> 反落して取引を終えた。午後中盤に売りが加速し、金利低下や米連邦準備理事会(FRB)のハト派転換を背景としたこのところの上昇がストップした。
<米原油先物> 紅海周辺の情勢悪化を背景としたエネルギー供給不安から買いが優勢となり、上伸した。この日から新たに中心限月となった米国産標準油種WTIの2月物は前日清算値(終値に相当)比0.28ドル(0.38%)高の1バレル=74.22ドルだった。3月物は0.24ドル高の74.45ドル。
ただ、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計では、原油在庫が前週比 290万バレル増と、市場予想(ロイター通信調べ)の230万バレル減に反して積み増しとなった。また、ガソリン在庫は270万バレル増(同予想120万バレル増)、ディスティレート(留出油)在庫も150万バレル増(同50万バレル増)といずれも予想を上回る積み増しとなった。これを受けて、需給の緩みが再び意識され、上値を抑えた
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。英国のインフレが予想以上に鈍化したことを受けて、イングランド銀行(英中央銀行)が来年の早い時期に利下げを検討する可能性があるとの期待が高まった。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。英国のインフレ鈍化を好感した買いが優勢となった。
一方、ドイツのDAX指数(.GDAXI)は0.07%安だった。
ドイツの郵便・物流大手ドイツポスト(DHLn.DE)は1.9%下落した。米物流大手フェデックス(FDX.N)が通期の売上高見通しを下方修正したことなどがマイナス材料となった。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが一段と低下した。来年の利下げ期待が背景。ドイツ10年債利回りは3月以降で初めて2%を下回り、独伊10年債の利回り格差は6月末以来の水準に縮小した。
市場は現在、欧州中央銀行(ECB)が2024年に150bp以上の利下げを実施するとの見方を織り込んでいる。ラボバンクのアナリストによると、英インフレ率が予想以上に鈍化したことを受け、市場が織り込む利下げ幅がやや拡大した。
日経先物33,170、ダウ先37,511、債先146.91、米3.862、独1.9545、仏2.480、西2.884、伊3.565、英3.5690、波4.992、原油73.61、銅8,596、ドル円143.51、ユーロドル1.0944
※12/21 8時55分頃

備忘録(2023/12/19)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
欧州中央銀行(ECB)は19日、ユーロ圏の銀行に関する年次評価を公表した。貸倒引当金が不十分とし大手銀行20行に対し資本の上積みを求めたことを明らかにした。
金利の急上昇と経済成長の鈍化により企業の経営破綻が増えると予想され、ECBは銀行に十分な引当金を積むよう促している。
不良債権から生じるリスクに対する備えが不十分で、ECBが期待する水準に達していないことが確認されたと指摘した。具体的な銀行名は明らかにしていない。
ECBは、経済環境が低迷していることから資産の質が悪化する兆候が既に見られ、これにより不良債権が増加する可能性があると指摘。
8行に対し「レバレッジドファイナンス」へのエクスポージャーに対する所要自己資本を積むよう求めた。
このほか、過剰なレバレッジの引き受けや財務の過度な楽観的見通しを理由に6行に追加の資本上積みを求め、7行に指導を行った。
2行に対し、利用可能な現金と担保でもつ「存続期間」の延長を、別の銀行には外貨建て流動性バッファーの構築を命じた。
「金利の上昇により中期的に銀行の資金調達コストが上昇し、一部の資金調達先のボラティリティーが高まると予想される。これはECBが供給した資金の相当額の借り換え時期と重なる」と指摘した。
銀行はまた気候変動関連リスクの管理における「欠点」を改善するよう求められるとした。最終期限は2024年末とし、その間にいくつかの暫定期限を設けた。
「この目的を支援するため、ECBの銀行監督部門はさまざまな手段を活用する用意がある」と説明し、資本の上乗せや行政指導、制裁措置などを挙げた。
エンリア銀行監督委員長は記者会見で、リスク管理、ガバナンス、内部統制における長年の弱点を重視したと述べた。
レーダーと地上システムを手がけるRTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)(RTX.N)は発射装置と制御システムの生産を年間12基に引き上げた。発射装置とレーダーを合わせた単価は約4億ドル。
ボーイング(BA.N)は、パトリオットミサイルを誘導するために使われるセンサーのアラバマ州ハンツビル工場における生産能力を向こう数年で30%余り増強すると発表した。
またロシアのウクライナ侵攻以降、多様な武器に使われる固体ロケットモーターの受注残高からも需要の強さが読み取れる。
米ロケットモーター大手のノースロップ・グラマンとL3ハリス・テクノロジーズ(LHX.N)はいずれも、需要が増えているという。
ノースロップ・グラマンは、増産の多くはウクライナで大きく使われている誘導多連装ロケットシステム(GMLRS)の弾頭とロケットモーターの需要に起因していると説明した。 
ロッキード・マーチンは年間1万基のミサイルを生産しており、生産量を1万4000基に増やす方針だ。陸軍の資料によると、同社のミサイルは平均単価が14万8000ドル。ロイターの分析では、これまでに6100基超がウクライネへ送られている。
●その他産業
バイデン米大統領は鉄鋼労働者と競争を支持していると、ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は19日、日本製鉄によるUSスチール買収計画に関する質問に答えた。
「大統領は競争にコミットしている。競争は消費者のコストを下げ、労働者の賃金を上げることを意味すると知っているからだ」とジャンピエール氏は説明。規制当局の調査が入る可能性があるため、取引の詳細には言及しないと述べた
世界の海運業界は、最も重要な海上輸送ルートを経由せずに航行する事態が数週間続く可能性に備えている。
親イラン武装組織フーシ派によるイエメン沖での商船攻撃を阻止するため米国が部隊結成に取り組んでいるが、海運業界はなお詳細待ちで、実行を不安視している。フーシ派は、イスラエルと戦うイスラム組織ハマスへの支持表明で船舶を攻撃しており、あまりに強硬な対応は暴力をエスカレートさせるだけだと懸念する向きも域内にある。
海運各社は遠回りのアフリカ周回航路での運航を進めている。1回の航海に100万ドル(約1億4400億円)のコストと7-10日の日数が余分にかかる。原油価格は上昇している。
欧州の石油・ガス大手である英BPとノルウェーのエクイノールは18日、タンカーのイエメン沖の航行を回避すると表明した。イエメン沖は欧州とアジアを結ぶスエズ運河を利用する船舶にとって避けては通れない経由地。既に海運大手が先週、紅海の通航を見合わせると発表していた。
アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は「スエズ運河における不確実性の高まりと、金融緩和に伴う世界経済の回復が相まって、今後数カ月、商品インフレに上昇圧力がかかる可能性がある」と指摘した。
ロイズの海上保険引受業者にリスクに関する助言を行う戦争委員会連合(JWC)は18日、紅海上の世界で最も危険な海域とみなす部分を拡大した。これは、船舶が戦争リスクに対するカバーを必要とする期間が長くなることを意味する。このようなカバーのコストは攻撃が始まって以来、ほぼ10倍に急騰している。
アジアから地中海へのコンテナ輸送料金はすでに上昇している。国際貨物の予約・決済プラットフォーム「Freightos.com」によると、17日時点でスエズ運河を経由する同ルートの料金は40フィート型コンテナ当たり2414ドルで、11月末から62%上昇している。
●決算関連
物流大手の米フェデックスの9-11月(第2四半期)決算では利益がアナリスト予想を下回った。経費は削減されたが、長引く貨物需要低迷を背景に航空貨物部門とトラック部門の輸送量減少を補うほどではなかった。同社は通期売上高見通しを下方修正した。
19日の発表資料によると、9-11月期の調整後1株利益は3.99ドル。アナリスト予想は4.19ドルだった。売上高は2.6%減の222億ドル(約3兆2000億円)。アナリスト予想は224億ドル。
消費者が実店舗での買い物を再開し、インフレと金利高への対応を迫られ購買力が低下する中、今年の繁忙期は落ち着いている。だがフェデックスの地上輸送部門では輸送量と荷物1個当たりの単価が上振れした。ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)からの乗り換えが追い風となった。
同社は通期売上高が「1桁台前半の減少率」になるとの見通しを示した。従来見通しはほぼ横ばいだった。調整後1株利益予測は17-18.50ドルに据え置いた。
●先進国、グローバル、金融市場
ロイター/イプソスが先週まで実施した世論調査によると、共和党層の61%が予備選でトランプ氏を支持すると回答。続くフロリダ州のデサンティス知事とヘイリー元国連大使の支持率は11%にとどまった。
この事案は、反乱者の公職禁止を定める米国憲法の規定に関するもので、この規定に基づき、トランプ氏の大統領選出馬阻止につながる動きはこれが初めて。
欧州連合(EU)はエネルギー価格の高騰に対する安全策として導入している天然ガスの価格上限設定を1年間延長する見通し。エネルギー相らが19日、延長に合意した。
欧州委員会のカドリ・シムソン委員(エネルギー担当)は「冬季が比較的順調な始まりになったにもかかわらず、地政学的な状況は依然として非常に脆弱だ。そしてこれらの緊急措置は消費者を過剰なエネルギー価格から守るのに役立つ」と述べた。
価格上限は2024年2月に失効する予定だったが、25年1月末まで適用されることになる。
11月の米住宅着工件数は予想外に大きく伸び、6カ月ぶり高水準をつけた。中古住宅物件の不足を追い風に、居住用不動産のひっ迫が和らぎつつあることを示唆した。
中古住宅不足の恩恵を受ける建設業者は、ローン金利負担の軽減や値下げなどのインセンティブを買い手に提供しており、過去最悪にまで下がっていた値ごろ感による痛みを緩和する一助となっている。
金融当局が引き締めを開始する直前に当たる2021年末と比べると、住宅ローン金利は依然として2倍の水準にあるが、ここ6週間では大きく低下。フレディマックの最新データによると、住宅ローンの平均金利(30年物、固定)は8月後で初めて7%を割り込んだ。
住宅着工件数の年率換算ペースは新型コロナウイルス流行前と同程度で、住宅投資の低迷による国内総生産(GDP)下押しの影響が和らぎつつあることをうかがわせる。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員会の王一鳴委員は19日、中国は5%の2024年経済成長目標を達成できるとの認識を示した。北京で開かれた経済フォーラムで述べた。
投資が4─5%増加し、消費が6─7%拡大し、輸出も増加に転じれば、中国経済は来年5%の成長を実現する可能性が高いと見方を示した。
中央政府の債務負担が比較的少なく消費者物価も低いため、経済支援を強化する余地があると指摘した。
また米連邦準備理事会(FRB)は利上げを終了した可能性が高いことを理由に、人民銀は利下げに踏み切ることができるかもしれないと述べた。
●中東
カアビ氏はカタール・エナジー本社でインタビューに応じ、「欧州に関しては、まさに真剣な交渉の最中で、欧州の一部の地域に関する交渉では、それ以外の地域よりも突っ込んだ話し合いをしている」と明らかにした。その上で、「LNGを購入しているアジアの国は全てカタールに交渉を持ちかけているし、案件のうち一部については契約に向けた最終局面に非常に近い」と付け加えた。
また、同氏によると、カタール・エナジーは「付加価値」が期待できそうな取引先と「真剣かつ前向きな協議」を行っているという。そうした過去の取引先の例として、同氏は中国国営石油大手の中国石油化工(シノペックグループ)(600028.SS)や中国石油天然ガス集団(CNPC)が合弁事業に出資したことを挙げた。
さらに同氏は「(カタール・エナジーは)来年に必ず何か発表するつもりだ」と語り、アジアの交渉相手国が「長期契約の準備」に入っていることをも明らかにした。
●中南米・アフリカ
への対応が緩慢にとどまる可能性や、依然として弱い経済見通しを反映した。一方、対外収支が堅調なほか、金融政策はインフレ期待を再び安定化させるのに寄与していると指摘した。
ブラジル財務省は格上げを歓迎し、改革の意欲を改めて表明。「財政収支の改善に寄与するだけでなく、物価安定を確保しつつ金利低下や信用状況の改善につながる」と述べた。
S&Pは「非常に緩やかな財政調整」を見込み、財政赤字は高水準にとどまると予想した。公約を実現する上での課題や、利払いの大きさ、裁量的支出の低さ、税制措置の成功が段階的になることなど踏まえ、2023─26年の一般政府赤字は平均で対GDP比6.2%になると見通した。
●市況
<為替> ドル/円が上昇した。日銀が超金融緩和政策を終了する兆候を示さなかったことを受けた。ただ来年の米利下げ期待が引き続きドルの重しとなった。
コーペイのチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏は、日銀の政策金利が来年早々にプラス圏に移行するとの見方が後退していると指摘。「記者会見でも声明でも、政策担当者が金利を劇的に引き上げる用意があることを示唆するような言及はなかった」と述べた。
<債券> 国債利回りが小幅に低下した。投資家は米連邦準備理事会(FRB)当局者のコメントを引き続き消化している。先週つけた数カ月ぶり低水準からは上昇した。
<株式> 続伸して取引を終えた。FRBによる先週のハト派転換が引き続き相場を支えた。
<米原油先物> 紅海での治安悪化に伴う石油供給の混乱懸念が根強い中、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.97ドル(1.34%)高の1バレル=73.44ドル。2月物は1.12ドル高の73.94ドルだった。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。コモディティー(商品)価格の値上がりを受けて貴金属株や鉱業株が買われたほか、米連邦準備理事会(FRB)の利下げに対する根強い期待感も相場を押し上げた。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。ユーロ圏のインフレ鈍化を示す指標や欧州中央銀行(ECB)高官の発言を受けて、来年の利下げ開始に対する楽観的な見方が広がった。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが低下した。前日は欧州中央銀行(ECB)の早期利下げ観測が後退したことで利回りは上昇したが、この日は利下げ観測がやや復活した。
日経先物33,435、ダウ先37,912、債先146.70、米3.931、独2.0210、仏2.522、西2.963、伊3.635、英3.6685、波5.012、原油74.12、銅8,586、ドル円143.96、ユーロドル1.0981
※12/20 8時40分頃

備忘録(2023/12/18)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
日本製鉄 (5401.T)は18日、米鉄鋼大手メーカーのUSスチール(X.N)を買収すると発表した。買収総額は約2兆円(141億ドル)。日本製鉄グループの世界での粗鋼生産量は年6600万トンから年8600万トンに拡大し、1億トン体制の目標へ大きく前進する。
日鉄の売上高は2023年3月期が約8兆円。USスチールの22年12月期は約3兆円で、単純合算すると10兆円を超える鉄鋼メーカーが誕生する。
日鉄はこれまでインドのエッサールスチールや、タイのGスチール、GJスチールなどを買収し、世界戦略を進めてきた。米国は先進国最大の市場であり、付加価値の高い高級鋼の需要も見込める。
日鉄は「インド、ASEAN(東南アジア諸国連合)に加えて、先進国である米国に鉄源一貫製鉄所を持つことによるグローバル事業拠点の多様化の観点からも、大きな意義のある投資と判断した」としている。両社の先端技術を融合し、2050年までの脱炭素に向けた取り組みも推進する考え。
USスチールは高炉・電炉一貫メーカーで、電炉の能力増強計画を現在進めている。
買収は、USスチールの株主に対して1株当たり55ドルを支払う。15日の株価に対して40%のプレミアムを上乗せした。
関係当局の承認取得後、24年の4―6月期または7―9月期の買収完了を目指している。
日鉄は買収資金を主に主要取引銀行からの借り入れで賄う。すでに日本国内の金融機関から融資を確約するコミットメントレターを受領した。
買収後には株主や財務健全性への影響も考慮した上で、財務状況や市場動向などを勘案しながら、必要に応じて最適な資金調達手段を検討するとしている。
全米鉄鋼労働組合(USW)は18日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収に反対を表明した。USWは買収計画の入念な審査も米規制・監督当局に強く求めた。
USWのデービッド・マッコール国際会長はインタビューで、「これではうまくいかないだろう。われわれは日本製鉄のことを知らない」と述べた。
同国際会長は発表資料で、この買収が労働者にとってプラスとなり、米国の国家安全保障上の利益にかなうかどうかUSWとして米当局に審査を求める意向を明らかにし、今回の買収合意には「USスチールをあまりに長く導いてきた欲深い近視眼的な姿勢が表れている」と主張した。
日本製鉄の森高弘副社長はインタビューで、規制・監督当局からの承認獲得に自信があると語った。USWはこれまで、外国企業によるUSスチール買収を支持せず、米同業のクリーブランド・クリフスが8月に公表した約72億5000万ドル(約1兆400億円)の買収提案だけを支持すると繰り返してきた。
米議会でも少なくとも3人の上院議員が、外国企業によるUSスチール買収に反対する考えを示した。
民主党のボブ・ケーシー議員とシェロッド・ブラウン議員が18日に表明した批判は、両議員の選挙区ペンシルベニア、オハイオ州が重要な激戦州である点を考えると、特に注目に値する。来年の選挙に向け、議員らはブルーカラーからの一層の支持獲得を目指している。
デザインソフト大手の米アドビは18日、同業の米新興フィグマの買収を撤回すると発表した。アドビは2022年にフィグマを200億ドル(約2兆9000億円)で買収することで同社と合意していた。欧州の規制当局が競争環境に影響すると指摘しており、アドビは買収が承認を得る見込みがないと判断した。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ドイツのピストリウス国防相は、2030年までに新たな軍事的脅威が生じる恐れがあるとして、欧州は防衛能力の確実な強化を急ぐ必要があると述べた。
同氏はドイツ紙ウェルト日曜版とのインタビューで、ロシアはウクライナ侵攻継続のため兵器を大幅増産する一方、バルト海諸国やジョージア、モルドバに脅威をもたらしていると指摘。さらに、米国はインド太平洋地域に焦点を合わせていくため欧州に対する軍事面の関与を縮小する可能性があると分析した。
そのうえで、「われわれ欧州諸国はわれわれ自身の大陸の防衛を確保するため、取り組みを強化しなければならない」と述べた。
ただ、欧州での兵器増産には時間がかかるとも指摘。「軍、産業、社会において、追いつくには5─8年程度かかるだろう」と述べた。
また欧州は、米国で新たなウクライナ支援の合意が成立しなかった場合欧州が埋め合わせる必要が生じる可能性があると認識していると述べた。
来年の米大統領選の共和党指名候補争いで首位を走るドナルド・トランプ前大統領は16日、ニューハンプシャー州で開かれた選挙イベントで、不法移民は「米国の血を汚している」と述べた。同氏は9月にも右派寄りのウェブサイトのインタビューで同じ言い回しを使い、人種差別的、ゼノフォビア(外国人嫌い)などの批判を一部で浴びたが、過激な発言を繰り返した形だ。
トランプ氏は、不法に国境を越えて米国に入ろうとする移民の数は過去最高に達していると批判。南米に加えてアジアやアフリカからも移民が米国に入っており、「世界中の移民が米国になだれ込んでいる」と主張した。
トランプ氏は来年の選挙で大統領に返り咲けば、不法移民を取り締まり、合法的な移民についても制限を強化するとの公約を打ち出している。
ファシズムに関する著作のあるエール大学のジェーソン・スタンレー教授はトランプ氏のこうした過激な発言について、第二次世界大戦時の独裁者ヒトラーの言い回しそのもので、トランプ氏が繰り返し使うのは危険だと指摘した。
スタンレー氏は「トランプ氏はこの表現を集会で何度も使っている。これは米国の移民の安全という面で非常に憂慮すべき発言だ」と述べた。
FTとのインタビューで「次の段階はいつ利下げが行われるかではない。たとえ市場がそう見込んでいるとしてもだ。インフレ率が持続可能かつタイムリーに2%に戻る道を確実に進むために、金融政策がどれくらいの期間、制約的であり続ける必要があるかということだ」と指摘。「市場はやや先走りしている。市場は『すぐに正常化する』という最後の部分に飛びついたが、私にはそうは見えない」と述べた。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチは18日、米連邦準備理事会(FRB)は2024年の3月、6月、9月、12月に利下げを実施し、4回の利下げ幅は合計1.0%ポイントになるとの見通しを示した。
BofAは従来、合計の利下げ幅は0.75%ポイントとの見方を示していた。
来年の米経済成長率については、力強い消費支出を背景に四半期平均で1.2%になるとし、従来の見通しから0.6%ポイント上方修正した。
BofAの米国担当エコノミスト、マイケル・ギャペン氏は「米経済が緩やかな成長とディスインフレを同時に享受できることが経済指標で示されている」と指摘。FRBが今月の連邦公開市場委員会(FOMC)でハト派方向に傾いたことで、利下げ開始時期の見通しが前倒しされたと述べた
独IFO経済研究所が18日発表した12月の業況指数は86.4と、予想外に低下した。期待指数と現況指数の双方が低下した。
ロイターがまとめた業況指数の市場予想は87.8。11月改定値は87.2だった。
IFOのクレメンス・フュースト所長は「ドイツ経済は低迷が続いている」と指摘した。
INGのマクロ担当グローバル責任者、カルステン・ブルゼスキ氏は「先月の財政問題はドイツ経済に明らかに影響している」と語った。
現況指数は88.5で、11月の89.4から低下。期待指数も84.3と、11月の85.1から低下した。現状に対する満足度が低下し、来年上半期について懐疑的な見方が強まっていることが浮き彫りになった。
IFOの調査担当責任者、クラウス・ボールラーベ氏はロイターに対し、ドイツ経済は需要に問題があると発言。今回の指標は第4・四半期の国内総生産(GDP)が小幅なマイナス成長になることを示していると述べた。
ドイツ経済は第3・四半期にすでにマイナス成長となっており、2四半期連続でマイナスになれば、テクニカルリセッション入りすることになる。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当チーフエコノミスト、アンドリュー・ケニンガム氏は「GDPは2四半期連続で縮小する可能性が高く、2024年の見通しもあまり良くない」と述べた。
キャピタル・エコノミクスは、ドイツ経済が24年に停滞すると予測。金利上昇が建設・産業投資に与える影響、財政引き締め、労働市場の軟化で消費者の警戒感が続くことを考慮した。
日本銀行が19日に結果を発表する金融政策決定会合では、早期の政策正常化観測が強まる中で、マイナス金利の解除への距離感を探ることになる。正常化に向けたヒントが声明文や植田和男総裁の記者会見から提供されるか、市場は注視している。
会合では、鍵を握る来年の賃上げ動向を中心に経済・物価情勢を入念に点検する。関係者によると、日銀は賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られておらず、今回の会合で急いで正常化に踏み出す必要性はほとんどないと認識している。マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の枠組みの撤廃は見送られ、現状維持が決まる公算が大きい。
氷見野良三副総裁は6日の講演で、大規模な金融緩和からの出口が家計や企業、金融機関に与えるメリットに言及。7日には植田総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言したことから、市場には早期の政策正常化観測が急速に広がっている。
ブルームバーグが1-6日に実施したエコノミスト調査では、ほぼ全員が今会合での政策据え置きを予想。マイナス金利解除が来年4月会合までに行われるとの予想が67%で、最多は4月の50%だった。正副総裁発言を受けて、日銀の金融政策予想を反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、来年1月会合での利上げ確率が約4割に高まり、予想が一段と前倒しされている。
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーの増島雄樹プリンシパルエコノミストは、今会合は現状維持がメインシナリオとした上で、「来年早期、条件によっては今会合でもマイナス金利が解除される可能性が高まっている」と指摘。「植田総裁が時期を想像されるコメントを直接示すとは考えにくい」としながらも、解除に向けたシグナルを探るのが最大のポイントとみる。
市場では、来年早々のマイナス金利解除に向けて、声明文に明記しているフォワードガイダンス(先行き指針)が今会合で修正されるとの見方もある。声明文に大きな変化がなくても、植田総裁の発言には最大限の注意が必要だ。賃金・物価の見通しやリスクの変化を踏まえた物価目標実現への確証度合いの高まりのほか、正常化の手法とその後の利上げペース、チャレンジング発言の真意などが注目される。
東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「年明け以降に大手企業経営者が次々と賃上げへの意欲を示し、春闘の方向性が見えてくれば1月会合での利上げの確率は高まってくる」とみる。マイナス金利解除後の正常化の進め方は海外経済次第とし、「FRBやECB(欧州中央銀行)が利下げを始めるほど海外経済の減速が明らかになってくれば、日銀の正常化はいったん止まりそうだ」としている。
一方、自民党の派閥による政治資金パーティー収入の裏金化問題を受けた政局が、日銀の金融政策運営に与える影響への関心も高い。市場では、緩和重視の安倍派の勢力低下で日銀の自由度が高まるとの指摘がある一方、政治の混乱の最中は特に景気や市場への影響が大きい利上げの判断は一段と難しくなるとの見方も出ている。 
岸田文雄首相は13日の記者会見で、政府はデフレ完全脱却に向けて持続的な賃上げがリードする形でのコストカット型経済からの転換を目指していると強調。その上で、日銀には「しっかりと念頭に置いて政府と連携をしていただきたい」と述べ、適切な金融政策運営への期待感を示した。
カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は、コアインフレ率が予想通り低下すれば、来年に利下げを開始する可能性があると述べた。BNNテレビが18日、インタビューを放送した。
同総裁は15日、早期の利下げを明確に否定する姿勢を示していた。
「物価動向を左右する全ての基礎的要因からは、世界的に今後数カ月はインフレの下振れが確実なことが読み取れる」――。世界銀行のエコノミストチームは18日のブログでこうした見解を示した。
需要面では(1)借り入れコスト増大(2)低調な国際貿易(3)財政当局の支援限定――が押し下げ要因として働くと分析。世界全体の経済成長がさえないことが、物価変動の4割を占める原油価格に下押し圧力となり続けると指摘した。
また世界的な供給制約に伴う物価上昇圧力も最近は歴史的に低い水準まで落ち着き、インフレ鈍化をもたらすと予想している。
世銀のエコノミストチームは「インフレは国家間での同調性が非常に高く、これらの要因が世界的に物価上昇率を切り下げる公算が大きいことを示唆している」と述べた。
ただインフレ環境がさらに改善するには、サービス需要がより減速し、労働市場がもっと軟化する必要があるし、地政学的緊張によって原油価格が再び高騰しかねない点も踏まえると「まだ祝杯を挙げるのは時期尚早だ」とくぎを刺した。
20カ国・地域(G20)の金融当局でつくる金融安定理事会(FSB)は18日、ノンバンク金融仲介(NBFI)セクターの金融資産総額が2022年に前年比5.5%減の217兆9000億ドルだったと発表した。
金利上昇が資産評価に打撃を与え、09年の世界金融危機以来の大幅な縮小となった。
ただ、NBFIは依然として世界の金融資産総額461兆2000億ドルの47.2%を占めている。
FSBはNBFIに関する年次報告で「銀行は引き続きNBFIセクターの資金の純受入機関だが、13年以降減少している。一方、一部のNBFI事業体による銀行からの資金調達は増えている」と記した。
投資ファンドや保険会社などのノンバンクは世界金融危機後、規制がより厳しい金融機関から資金がシフトして急成長したため、規制当局による監視が厳しくなっている。これにより、マネーマーケットファンドなどの隠れたレバレッジや「流動性のミスマッチ」に関連する懸念が生じ、銀行とノンバンクの相互関係を通じて危機時に金融安定に打撃を与える可能性がある。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ロシアのプーチン大統領は17日、バイデン米大統領がウクライナ戦争に勝利すればロシアは北大西洋条約機構(NATO)加盟国を攻撃する恐れがあると発言したことについて、「全くのナンセンスだ」と否定した。
バイデン氏は今月6日に演説した際、「ウクライナを掌握したとしてもプーチン大統領はそこでストップしないだろう」と述べ、ロシアがその後、NATO加盟国に攻撃を仕掛け、米国を戦争に引きずり込む恐れがあると警告した。
プーチン氏は国営テレビとのインタビューで、バイデン氏の発言は「全くのナンセンスであり、バイデン氏もそれを認識していると思う」と述べた。
「ロシアがNATO加盟国と戦う理由や利益が経済的にも軍事的にも地政学的にもない」と説明した。
一方、今年4月のフィンランドのNATO加盟について、ロシア北部の国境付近に特定軍事部隊を集中的に配備させることになると述べた。
1年前との違い何だろうか。ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーは22年終盤、中国政府が厳格な新型コロナウイルス規制を廃止したことで、MSCI中国指数の年間上昇率が少なくとも10%に達すると予想。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査によると、力強い中国経済再開を期待するファンドが中国株へのエクスポージャー拡大を急いでいた。
だが、現実は厳しかった。米国株や日本株、インド株が今年値上がり。一方で、中国株は低迷し、主要市場の中で世界最悪のパフォーマンスを記録。中国本土株は12月、5カ月連続の外国勢売り越しとなりそうだ。
今にして思えば、ウォール街の誤った楽観主義は、消費低迷から住宅問題の長期化、地政学的緊張に至るまで、逆風の強さを過小評価したことと、借入金頼みの経済を財政出動で支援する当局の意向を過大評価したことに起因していたとみられる。
ただ、同時に言えるのは、政策決定がますます不透明で予測不可能になっている市場を乗り切ることの難しさだ。
中間所得者層(ミドルクラス)の人々は今、家計支出の優先順位を見直す必要に迫られている。投資から手を引いたり、流動性を確保するために資産を売却したりする人もいる。
家計資産の7割が不動産の中国社会で、家計を大きく圧迫しているのが住宅市場のメルトダウンだ。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、住宅価格が5%下落するごとに、19兆元(約380兆円)の住宅資産が消失する。
BEのエコノミスト、エリック・チュー氏は「今後数年間におけるさらなる資産損失の始まりに過ぎないかもしれない。大きな強気相場がない限り、金融資産のわずかな増加が住宅資産の損失を打ち消すことはないだろう」と語った。
中国の公式データは中古住宅価格の緩やかな下落を示しているが、不動産会社や民間データプロバイダーによれば、大都市の一等地は少なくとも15%の値下がりだ。
BEによると、中国では住宅セクターは現在、国内総生産(GDP)の約20%相当だが、26年までに対GDPで約16%に縮小する可能性がある。これにより、都市部労働人口の約1%に相当する約500万人が失業や収入減のリスクにさらされることになる。
金融投資は気休めにならない。中国株は今月に入り、他の新興国市場と比べ少なくとも1998年以後で最もきついアンダーパフォームとなり、投資信託の運用成績も低迷。銀行の資産運用商品の利回りも抑えられたままで、預金金利は過去1年間に3回引き下げられた。
中国の富裕層は高いリターンを求め、規制の緩いシャドーバンク(影の銀行)が販売する金融商品を購入していたが、2兆9000億ドル(約414兆円)規模の中国信託業界には亀裂が入りつつあり、最近の支払いを巡るスキャンダルでは数百億ドルの損失が発生する可能性がある。
●中東
パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のフセイン・アル・シェイク事務局長は16日、ロイターのインタビューに応じ、パレスチナ自治区ガザにおける戦闘が終息した後、イスラム組織ハマスを含めた全てのパレスチナの政治勢力は、パレスチナ人のための自由を達成できなかったという意味で、自分たちの政策の失敗を真剣に見つめ直し、イスラエルと対峙する上で新たな道を模索しなければならないと強調した。
パレスチナ自治政府のアッバス議長の後継候補の1人との見方もあるシェイク氏は、イスラエルとパレスチナの恒久的な和平を目指すために締結された「オスロ合意」について、政治的な進展がほとんど見られず、パレスチナ人によるパレスチナ国家建設という最終的な目標が達成されていないと認めた。
一方でシェイク氏は「パレスチナの地はパレスチナ人の単一の政府が統治しなければならない」と改めて主張。パレスチナ自治政府こそが、パレスチナ人の正統な代表であり、戦闘後のガザを支配する用意があると述べた。
パレスチナ自治政府は、多くのパレスチナ人から汚職がはびこり、民主的でないとみなされ、人気がないことはシェイク氏も承知し、自治政府の役割を再検討する必要はあるとの考えを示した。
一方、直近の調査では、パレスチナ人の間でハマス支持が拡大しつつある。
しかしシェイク氏は、イスラエルとの闘争でハマスのやり方が理想的で最善だという一部の考えは受け入れられないと反論し、多数の犠牲者が出てもなお、パレスチナ人とパレスチナの大義を守ったと言えるのかと問いかけた。
●中南米・アフリカ
南米チリで17日、ピノチェト軍事政権下に制定された憲法に代わる新憲法草案の是非を問う国民投票が投開票され、反対多数で否決された。
集計率99.65%時点で反対55.76%、賛成44.24%だった。
チリでは2019年に国内の格差に抗議するデモが激化し、国民投票で新憲法を制定する方針が決まった。22年9月に新憲法の草案の可否を問う国民投票が行われたが、否決された。
ボリッチ大統領はテレビ演説で「国は分極化し、分裂した」と述べ、新憲法を国民投票で制定するという願いがかなえられなかったと説明。政府は3度目の改定を試みず、議会を通じて年金と税制の改革を行うと再度表明した。
22年の草案は社会問題や先住民、環境、ジェンダーに関する権利に焦点を当てたものだったが圧倒的多数で否決された。
今回は、私有財産権や移民と妊娠中絶をめぐる厳格な規則が盛り込まれ、1980年に制定された憲法よりも保守派色が強く、市場寄りと見られていた。
●市況
<為替> 先週に続きドルが対ユーロで下落した。米連邦準備理事会(FRB)が先週、来年の利下げの可能性を示唆したことを受け、ドルは引き続き圧力にさらされている。
円は11月に152円近辺と、対ドルで数十年来の安値を付けた後、約6%上昇。市場では、日銀の低金利が通貨に与える影響は長くは続かないとの確信が強まっている。
CMCマーケッツのストラテジスト、マイケル・ヒューソン氏は「日銀はこのセンチメントの変化を間違いなく歓迎する」とし、「来年早々の何らかの政策転換をほのめかすかもしれないが、現在の政策設定を変えようと考える動機は少なくなっている」と述べた。
<債券> 長期国債利回りが上昇した。米シカゴ地区連銀のグールズビー総裁が市場の利下げ観測をけん制する発言を行ったことが材料となった。
グールスビー氏はこの日、金融市場でFRBが早期かつ迅速に利下げに踏み切るとの見方が急速に高まったことはFOMCの機能とは相反するものと述べた
市場では、最初の利下げは3月、2024年12月までに141ベーシスポイント(bp)の利下げが行われるとみられている。
<株式> 上昇して取引を終えた。週内に発表される重要な経済指標を控え、市場参加者は来年の米利下げ期待の高まりを消化した。
USバンク・ウェルス・マネジメントの投資ストラテジスト、トム・ハインリン氏は「市場はFRBが来年に利下げを開始するという方向に向かっている」とし、「インフレ、個人消費、労働市場などの指標には急速な悪化も過熱も見られず、ゴルディロックス(適温経済)のシナリオが続いている」と述べた。
個別銘柄では鉄鋼大手USスチール(X.N)が26.1%急伸。日本製鉄(5401.T)が約2兆円で買収すると発表した。
<米原油先物> 紅海の治安悪化を受けた海上輸送の混乱を懸念し、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は、前週末比1.04ドル(1.46%)高の1バレル=72.47ドル。2月物は1.04ドル高の72.82ドルだった。
イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海南部のイエメン沖で商船への攻撃を続ける中、英石油大手BPは18日、紅海経由の石油輸送を全面的に停止すると発表。紅海の北端に位置し、欧州とアジアを結ぶ最短航路であるエジプトのスエズ運河管理当局は17日、 11月以降に55隻が紅海ルートを取りやめたことを明らかにしていた。
ロンドンの海上保険市場は紅海における「高リスク」指定のエリアを拡大。保険料の上昇や航路変更によって輸送コストが膨らめば、国際石油市場の需給が引き締まるとの観測が台頭し、朝方から買いが優勢となった。
また、ロシアのノバク副首相は17日、12月の原油輸出を一段と制限する可能性に言及。既に表明済みの日量30万バレル分に、5万バレルかそれ以上を上乗せする方針を示唆したことも買いに拍車を掛けた。
<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。原油価格の値上がりを受けてエネルギー株が買われたのが相場を押し上げた。
個別銘柄では、携帯電話サービス大手のボーダフォン(VOD.L)が3.9%高。フランスの通信会社イリアドが両社のイタリア事業統合を提案したと発表したことが好感された
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。自動車銘柄が下落した。欧州中央銀行(ECB)高官の一連の発言を受け、早ければ来年3月にも利下げが開始されるとの観測が後退したことも相場の重しとなった。
ドイツの自動車大手BMW(BMWG.DE)は2.0%、メルセデス・ベンツ(MBGn.DE)は1.3%それぞれ下落した。ドイツ政府が電気自動車(EV)の購入に支給する補助金制度を終了すると発表したことが嫌気された。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが上向いた。欧州中央銀行(ECB)当局者の一連の発言を受け、早期利下げ観測が後退した。
日経先物32,758、ダウ先37,654、債先145.86、米3.927、独2.0710、仏2.606、西3.046、伊3.751、英3.7235、波5.103、原油72.82、銅8,469、ドル円142.73、ユーロドル1.0924
※12/19 8時45分頃

備忘録(2023/12/15-17)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
移民を基盤として成立したカナダにとって、国を離れる人々の増加傾向は、トルドー首相の看板政策の1つである移民受け入れ推進に影を落としかねない。トルドー政権はわずか8年のあいだに過去最高となる250万人に対して恒久的な在留許可を与えてきた。
政府の公式データによれば、国外流出人口をカナダの総人口に占める比率で見れば、最高は1990年代半ばの0.2%で、現在は約0.09%にすぎない。
今のところ数そのものは小さいものの、弁護士や移民受け入れコンサルタントは、流出人口の増加は、移民先として最も人気のある国の1つというカナダの魅力に影を落としかねないと警告する。
別の国への再移民を考える気になった最大の理由として移民たちが挙げるのが、住宅コストの急騰だ。
RBCは9月に発表した報告書の中で、カナダの全国平均では、住宅保有のためのコストは家計収入の約60%に相当すると指摘している。バンクーバーではこの比率が約98%、トロントでは80%に上昇する。
トルドー政権は先月、住宅市場への圧力を緩和するため、2025年以降の年間移民受け入れ目標について50万人という上限を設定した。
だが、この措置は手遅れで、踏み込みも甘いという人もいる。
石油投資家は、供給過剰や経済成長の鈍化、価格変動を誘発する可能性のある中東情勢の緊迫化など複数の懸念を抱えて2024年を迎えることになりそうだ。
北海ブレント原油の23年の平均価格は1バレル=80ドル。22年はロシアのウクライナ侵攻を機にロシア産の供給が中断し、価格は約100ドル超に急騰するなど変動が激しかった。
今年の需要は日量1億バレルと過去最高水準に上ったが、ドル高と石油輸出国機構(OPEC)非加盟産国の生産が堅調で、相場の上げ幅は抑えられている。
ロイターがエコノミストおよびアナリスト計30人を対象に調査したところ、24年の北海ブレント原油の平均価格は84.43ドルと予想された。
エネルギー調査会社のライスタッド・エナジー、ケプラー、ウッド・マッケンジー、米金融大手JPモルガンは、24年の石油供給はOPEC非加盟国の産油量にけん引され、日量120万─190万バレル増加するとの見方を示した。
マッコーリーのエネルギー・アナリストは「来年は四半期ごとに供給過剰になると見込んでいる」と述べた。
投資家は、24年第1四半期(1─3月)の供給データに注目しており、OPECと非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が計画している日量220万バレルの自主的減産を実行するかどうかを見極める構えだ。
ウッド・マッケンジーのアナリストは「OPECプラスの自主的減産の順守状況を評価できるため、1─3月期がカギとなるだろう」と述べた。
アナリストらは、制裁下でもロシア産およびイラン産の石油は世界市場に流入し続け、原油価格を押し下げるとの見方を示している。
イランの現在の産油量は日量340万バレルだが、24年3月までに360万バレルに拡大することを目標としている。
ブラジル、ガイアナ、米国を中心としたOPEC非加盟国が24年の生産をけん引し、軽質スイート原油の供給を押し上げるとみられている。一方、OPECプラスの減産で、中質サワー原油の供給は引き続き引き締まる見込み。
ニューヨーク連銀が15日発表した12月のニューヨーク州製造業業況指数はマイナス14.5と前月のプラス9.1から低下した。市場予想はプラス2.0だった。
数値がゼロを下回るとニューヨークの製造業が縮小していることを示す。
新規受注は前月のマイナス4.9からマイナス11.3に低下。
支払い価格はプラス16.7と、前月のプラス22.2から低下した。 
雇用はマイナス8.4。11月はマイナス4.5だった。
6カ月先の業況指数はプラス12.1。11月のマイナス0.9だった。
ドイツ連邦銀行(中央銀行)は15日、国内総生産(GDP)が今年は0.1%縮小し、来年は0.4%の拡大にとどまるとする見通しを示した。
外需が低迷しているほか、グリーン移行への政府補助金が抑制され、高金利で経済活動が鈍化しているため。低金利、エネルギー安、好調な輸出に支えられた10年にわたるブームが終わりを告げ、ドイツ経済が近隣諸国に遅れをとり続けると予測している。
予測をまとめた後に連立政権が予算案合意に至ったものの、これを考慮しても大幅な修正は必要なかっただろうとしている。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチが15日に発表したEFPRのデータを基にした週間調査によると、13日までの1週間に現金ファンドから310億ドル流出し、8週ぶりの流出となった。一方、株式ファンドには253億ドル流入した。
利下げへの期待から株式や債券の価格が上昇したのが要因。
過去8週分の株式への資金流入は計740億ドルで、8週合計としては2022年3月以来の大きさだった。BofAはリポートで、市場は「全く誤りのない米連邦準備理事会(FRB)に結集している」とした。
FRBは13日に最終日を迎えた連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想されていた通り政策金利を据え置いた。パウエル議長が今回の利上げ局面は終わった可能性があると述べ、当局者による最新の経済見通しでは24年に合計75ベーシスポイント(bp)の利下げの可能性が示唆された。
BofAは消費者物価指数(CPI)のコアインフレ率(今年11月は4.0%)が失業率(11月は3.7%)を上回った時にFRBが利下げしたのは過去90年で5回しかないと指摘。これらは第二次世界大戦中の1942年と、69年から81年の間に起きた4回の景気後退(リセッション)の際だ。
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は15日、連邦準備理事会(FRB)の利下げについて語るのは時期尚早と述べ、市場で高まっている利下げ観測をけん制した。FRBは引き続き、インフレ率の2%回帰に向け金融政策が正しい道筋をたどっているか否かに焦点を当てていると述べた。
ウィリアムズ総裁はCNBCのインタビューに対し「現時点では、われわれは実際に利下げについて話し合っていない」とし、利下げについて推測するのは「時期尚早」と語った。
金融政策の変化を反映し、全体的な金融情勢は依然としてタイトであるとも指摘。金融政策はピークかその近くにあるとの見方を繰り返し、経済については「基本シナリオはかなり良好だ。インフレ率は下がり、経済は好調を維持し、失業率は低い」と述べた。
一方、「この1年で学んだことの一つは、データは意外な方向に動く可能性があるということだ」とし、金利が上昇する可能性はまだ否定できないとの警告も発した。インフレ率の低下が停滞したり、一段上昇に転じた場合には対応する準備が必要と述べた。
バランスシートの縮小停止時期については、まだ言えないとした。金融セクターの流動性は依然として堅調であり、そのプロセスにはまだ距離があることを示唆した。
FRBは13日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きを決定すると同時に、来年の利下げの可能性を示唆。パウエルFRB議長は会合後の記者会見で利下げの時期が次の問題だと述べていた。
ウィリアムズ総裁の発言を受け、市場で出ていた来年の利下げ観測が後退。短期金融市場では最初の利下げは来年3月に実施されるとの見方は変わっていないが、その確率は約65%に低下した。発言前は75%だった。
ウィリアムズ総裁の発言で米国債利回りも上昇し、10年債利回りは2.4ベーシスポイント(bp)上昇の3.955%。金利見通しを敏感に反映しやすい2年債利回りは一時4.487%まで上昇。その後は5.2bp上昇の4.451%となっている。
事情に詳しい複数の関係者への取材で分かっているのは、賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないという日銀の認識だ。
そのため日銀ウオッチャーは、賃上げを巡る展望や賃金環境の改善が消費や需要主導のインフレを促進する見通しについての手がかりを求め、日銀の声明や植田総裁の発言を詳しく検証するだろう。
ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に1-6日に実施した調査によると、日銀が現在マイナス0.1%の短期政策金利を引き上げる時期は、来年4月の会合までの予想が67%となっている。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の木村太郎シニアエコノミスト(日本担当)はリポートで、植田総裁は前任者から引き継いだ刺激策からの脱却に向け、政策レビューと考え抜かれたシグナル伝達によって、市場に十分な事前準備をさせながら非常に慎重に動くだろうとBEは主張してきたと触れた上で、こうしたプロセスは明らかに始まっているが、終了までには長い道のりがあると指摘した。
忘れてはならないのは、日銀には景気抑制的な金利設定をするつもりがないことだ。マイナス金利を終わらせる場合でも、依然として政策は全般的に刺激的だと植田総裁は強調するだろう。
フランクリン・テンプルトンのソナル・デサイ債券担当最高投資責任者(CIO)はブルームバーグテレビジョンで、パウエル議長の記者会見での発言について「困惑している」と述べた。「金利低下の動きをあおることが必要だと議長がなぜ判断したのか全く分からない。金利の上昇に伴い、適切な金融引き締め環境をもたらす市場の役割についてこれまで認めていたことを踏まえればなおさらだ」と述べた。
その上で「米金融当局が一定の慎重姿勢を示したいと考えれば、向こう数週間に市場の熱狂を少し抑えようとするだろう」と続けた。
ゴールドマン・サックス・グループの金融環境指数(FCI)は今週低下し、国債利回りが急上昇していた10月下旬の水準を1ポイント余り下回った。
米国家経済会議(NEC)のブレイナード委員長は15日、インフレ率の低下は続くことが最新の経済指標で広く示唆されるとして、いわゆるソフトランディング(軟着陸)達成に向けて滑走路の幅が広がったとの考えを示した。
ブレイナード氏は記者団との電話会見で、サプライチェーンの圧力緩和や堅調な雇用市場、力強い生産性、データにおけるさまざまな遅行効果を総合すると、インフレとの闘いが終わりに近づきつつあることが示唆されると述べた。
「想定し得る限りにおいて、経済は実に良好なバランスが取れた状態になりつつある。ディスインフレのプロセスがかなり安定した形で進んでいるようだ。従って、進展の継続を期待する十分な根拠はある」と発言。「ディスインフレの進行は続くだろう。底堅い成長と良好な雇用の環境の中でそれが起こると想定する十分な根拠がある」と話した。
しかしマックレム氏は「FRBは彼らが必要なことを行うだろう。われわれはカナダでなすべきことをなすことになる」と、カナダと米国の金融政策経路の違いを強調。利下げを論じるのは時期尚早なのでまだ議論を始めてはいないと述べ、「われわれが話し合っているのは利上げが十分か、あるいはどの程度の期間今の金利水準を維持すべきかだ」と説明した。
これに先立つ講演でマックレム氏は「物価上昇率はまだ高過ぎる。(利上げを)十分に実施しなければ、物価を押し下げるために結局もっと金利を引き上げなければならなくなる」と警告した。
マックレム氏は、中銀が目指す2%の物価上昇率目標は「視野に入ってきた」と楽観的な見通しを表明した一方、今後数四半期は高金利が経済活動を抑制するので厳しい局面になると警告した。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国は米国債保有の秩序ある削減が「必要」だと中国人民銀行(中央銀行)の貨幣政策委員だった余永定氏が17日に述べたと中国紙の証券時報が報じた。余氏は低水準の表面利率と米国の対外純債務急増見通しを踏まえた発言だとしている。
同紙によれば、2004-06年に貨幣政策委員を務めた余氏は中国国内のイベントで、米国の対外債務が国内総生産(GDP)比で増え続け、対外純債務の状況が悪化すると指摘。
その上で、中国は外貨準備の割合引き下げなど海外資産の構造改革を急ぎ、海外資産のリターンと安全性を向上させる必要があると語ったという。
余氏は中国の外貨準備高について、国際的に妥当と認められる水準まで削減されるべきだと主張したと証券時報は伝えた。
中国で新築住宅価格の下落ペースが11月に若干鈍化した。当局は不動産不況に歯止めをかけようと対策を強化している。
国家統計局が15日発表したデータに基づくと、主要70都市の新築住宅価格(政府支援住宅を除く)は11月に前月比0.37%下落した。10月は0.38%下げていた。中古住宅市場は悪化。11月は0.79%値下がりと、9年で最大の下落率となった。
チャイナ・インデックス・ホールディングスのアナリスト、リウ・シュイ氏は「不動産開発会社のデフォルト(債務不履行)が増加し、買い手の心理がさらに冷え込んだため、不動産市場の低迷は11月もおおむね続いた。デベロッパーは年末に向け、より大きな値下げに踏み切る公算が大きい」と指摘した。
中国当局はここ1年、不動産セクターを支えるため主に住宅需要の喚起を狙った措置が講じているが、8月後半以降に新たな対策を重ねている。
14日には北京市と上海市が、1軒目と2軒目の住宅購入者に課すローン頭金要件を緩和。両市はまた、高級でないと見なす住宅の定義を変更し、より多くの住宅が低金利ローン基準の対象となることを事実上容認した。
統計局が15日発表した1-11月の不動産開発投資は前年同期比9.4%減。住宅販売額は同4.3%減の9兆3600億元(約187兆円)、不動産販売額は同5.2%減の10兆5300億元となった。
統計局の劉愛華報道官は北京での記者会見で、不動産投資が来年プラスに転じるかどうかという質問には直接答えず、「政府の打ち出す政策で市場は良くなるだろう」と述べた。
ハンガリーのオルバン首相は15日、欧州連合(EU)のウクライナに対する大規模な支援策に拒否権を行使した。
EUは前日の首脳会議でウクライナとの加盟交渉を開始することで合意したが、オルバン氏はなお加盟を阻止することは可能との見解も示した。
EUはウクライナに500億ユーロ(549億4000万ドル)を振り向け、移民管理など他の優先項目にも資金を配分する計画だったが、見直しが決まった。
オルバン氏はハンガリーがEU予算から希望する金額を得られるようにウクライナへの支援策を阻止したと国営ラジオに語った。
ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は15日、ロシアは米国と対話する用意があるが、それは自国の条件に基づく場合のみだと述べた。ロシア通信(RIA)が報じた。
ペスコフ氏によるとプーチン大統領は、ロシアの懸念に配慮する必要性を認識する相手であれば誰とでも協力する用意がある。
また米国の大統領選に関連し、プーチン大統領は、米大統領にはロシアに対してより建設的なアプローチを取る人物が就任することを望んでいるとした。
●中東
米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は15日、米国はパレスチナ自治区ガザでの紛争が「数カ月続く可能性がある」ことについてイスラエルに同意しているが、米国はより特定の目標のみに向けられた作戦の範囲と規模について協議していると述べた。
記者団に対し「われわれはこの紛争が数カ月続く可能性があることについてイスラエルと同意している」とした。
また、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の攻撃により紅海での商業輸送がより危険になっていることに言及。ホワイトハウスは海上タスクフォースの詳細について近日中に明らかにすると述べた。
紅海とアデン湾を隔てるバブ・エル・マンデブ海峡で15日、リベリア船籍の船舶2隻がイエメンの親イラン武装組織フーシ派の攻撃を受けた。米国防当局者が明らかにした。
米当局者によると、ドローン(無人機)とみられる飛翔体が1隻に衝突し火災が発生したほか、弾道ミサイル2発が発射され、うち1発が船舶に命中し火災が発生したという。
フーシ派は声明で「ガザの市民が必要とする食料や医薬品が搬入されるまで、イスラエルの港に向かう全ての船舶の阻止を続ける」と表明した。
こうした中、デンマークの海運大手マースク(MAERSKb.CO)は、追って通知があるまで全てのコンテナ船の紅海航行を見合わせる方針を示した
米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は15日、パレスチナ自治区ガザでの戦争は新たな段階に移行し、イスラエルはイスラム組織ハマスの指導者に照準を合わせ、情報主導の作戦が行われるとの認識を示した。
訪問先のイスラエルで記者会見した。この戦争でイスラエルの目的を達成するには数カ月かかるとの見方を示し、米国は現在の激しい爆撃と地上戦から段階的に的を絞った作戦に移行するよう働きかけていることを明らかにした。その具体的な時期には言及せず、「具体的にいつ、どのような条件でそうなるかは、米国とイスラエルの間で引き続き集中的に話し合われることになる」と述べるにとどめた。
移行の条件とタイミングについて、イスラエルのネタニヤフ首相やガラント国防相、軍の指導者らと協議したと明らかにした。
これより先、米紙ニューヨーク・タイムズとニュースサイトのアクシオスは、米政府高官の話として、段階の移行は数週間以内に始まるはずだと報じた。しかし、ガラント国防相はサリバン氏に対し、戦争は「数カ月以上」続くとの見通しを示したという。
また、ニューヨーク・タイムズは4人の米政府高官の話として、バイデン大統領はイスラエルが約3週間以内に戦術を切り替えることを望んでいると報じている。
激しい攻撃が終息し民間人の犠牲者が減る段階に入らなければ米国はイスラエルへの軍事援助を控えるかとの質問には答えず、水面下での協議が合意に達する最善の方法だと述べた。
サリバン氏はこの日、ヨルダン川西岸ラマラでパレスチナ自治政府のアッバス議長とも会談した。とりわけパレスチナ自治区ガザでパレスチナ市民に対する攻撃を停止させる必要があると強調した。パレスチナのWAFA通信が報じた。
バイデン米大統領とサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナ自治区ガザにおける軍事作戦の縮小について協議した。米政府高官が14日、明らかにした。
イスラエル訪問中のサリバン氏は14日、地元テレビ局チャンネル12に対し、ガザでの軍事作戦をより正確で的を絞った段階に移行することについてネタニヤフ首相と「建設的」な協議を持ったと語った。移行の具体的な時期などには触れなかった。
14日付の米紙ニューヨーク・タイムズは米国が年内の移行を求めていると報じた。
バイデン氏は年内の移行について問われイスラエルが「イスラム組織ハマスへの攻撃をやめるというよりも、より慎重に、市民の命を守ることに注力してほしい」と述べた。 もっと見る
国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は定例会見で、サリバン氏が「近い将来」の移行の可能性について協議したと述べるにとどめた。「今後数週間、数カ月にハマスの身に起こり得る事態を知らせることは最も避けたい」とした。
米政府当局者は記者団に、高強度の掃討作戦に代わり、高価値の標的に低強度の作戦を集中させ、情報分析に基づく急襲作戦を増やすことなどが変更点に含まれる可能性があると記者団に語った。
暗い見通しにもかかわらず、希望の光はまだある。第一に、ハマス指導部は二国家解決策を受け入れる意思を示している–ハマス高官ムーサ・アブ・マルズークがアル・モニターとの最近のインタビューで示唆したように。もちろん、16年前にそうしていれば、そしてパレスチナ自治政府を弱体化させ、イスラエル国家の根絶を要求する代わりに、和平合意に向けたパレスチナ自治政府の努力を支持していれば、と主張するのは正当なことだ。結局のところ、戦争とは対照的に、歴史は交渉によってより多くのアラブの土地が解放され、奪還されたことを示している。ヨルダン、エジプト、レバノンが最近の明確な例だ。
もうひとつの希望の兆しは、人質の第一陣の解放に成功したことだ。これは地域外交が機能することを示す心強い兆候であり、このような親善的ジェスチャーがさらに増えれば、長い道のりになることは言うまでもないが、カタールやエジプトのような国々の努力は、今後も支持され続けなければならない。
しかし、疑問は残る:「その後」とはどのようなものなのか?現地のあらゆる可能性を検討しなければならない。ヨルダン川西岸地区の入植地を解体し、二国家解決を可能にするよう説得しているときに、イスラエルがガザを再び占領することを誰も受け入れないのは明らかだ。さらに明らかなのは、アラブ/イスラム/パレスチナの立場である。ガザの人々を別の場所に移動させたり、移住させたりするイスラエルのいかなる計画も、絶対に拒否するということだ。パレスチナ人は自分たちの土地に留まらなければならないし、留まるつもりだ。
同様に、パレスチナ自治政府(PA)はイスラエルの戦車に乗ってガザに戻るようなことは決して認めないだろう。レバノンの状況のように、国際平和維持軍による移行期間も可能かもしれないが、そのためには、おそらくイスラエルと平和条約を結んでいる中立的な国際軍やアラブ諸国が関与するという、受け入れ可能な構成が必要だろう。
また、ヨルダン川西岸地区とガザ地区が1つの当局のもとに再統合される事態もありそうだ。これは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が過去16年間採用してきた、パレスチナ内の分裂を拡大させるという信条に本質的に反するものである。
最後に、おそらく可能性は低いが、パレスチナ人全員が参加し、イスラエルと並んでひとつの国に住むことを望むかどうかを問う国民投票が行われることだ。これは、イスラエルが民主主義国家であるという条件を満たす一方で、”ユダヤ人国家 “としての存在意義を失うことになるため、特に双方から拒否される可能性が高い。
そして、一国家による解決はあり得ないことを考えると、現段階で本当に助けにならないのは、イスラエル政府高官の発言であり、最近では特に、駐ロンドン・イスラエル大使のツィピ・ホトヴェリ氏が、テレビインタビューで二国家という概念を断固として否定したことである。
また、イスラム社会が、”Piers Morgan Uncensored “のような影響力のあるテレビ番組のボイコットを呼びかけることも助けにならない。
実際、必要なのは、正義のために説得力のある主張を提示できる理性的なゲストがもっと登場することだ。CNNのクラリッサ・ウォードのような公正でバランスのとれたレポーターが、UAEの運営する野戦病院を経由してガザからリポートした結果を見ればわかる。真実には大きな力があるのだから、討論をボイコットすることで何かが達成されるとは私には思えない。
パレスチナ人も、近隣アラブ諸国の政府関係者も、ガザ住民の大量かつ長期的な移住という見通しに不安を感じている。
エジプトへの大量流入は現時点では考えにくい。
ガザ住民の退去は遅々として進まず、混雑した国境検問所は支援トラックの入国対応にさえ苦労している。国連によれば、数週間にわたって十分な医薬品が提供されておらず、飢え始めている住民に対応するには、支援トラックはまったく追いつけていないという。
イスラエルとイスラム組織ハマスはパレスチナ自治区ガザでの紛争を巡り、新たな停戦と人質解放に双方とも前向きだが、実施の詳細について意見が食い違っている。エジプトの安全保障関係筋2人が17日、明らかにした。
今月1日まで7日間の戦闘休止で仲介役を務めたエジプトとカタールは、停戦交渉に入る前にガザ支援を加速させ、イスラエルとガザ南部の境界にあるケレムシャローム検問所を支援物資搬入のために再開すべきと主張。
イスラエルの当局者はガザへの支援物資搬入が可能になったと述べた。
関係筋は、イスラエル対外特務機関モサドのバルネア長官がカタールのムハンマド首相と会談したと明らかにしており、和平への期待が高まった。
前出の関係筋によると、ハマスはガザで拘束する人質の解放リストを一方的に作成する考えを強調し、イスラエルが既存の境界線に軍を撤退させることを要求しているという。
イスラエルはハマスが人質解放のリストを決定することには同意しているが、解放の日程を示すよう求めており、リストを確認してて初めて停戦の時期や期間を決定できるとの立場を取っているという。軍の撤退は拒否している。
ハマスは完全な停戦が人質解放の前提条件だとしている。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドルが上昇した。米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が市場の利下げ期待をけん制したことを受けた。ただ、週間では1カ月ぶりの大幅な下げとなった。
市場では積極的な利下げ期待が織り込まれており、来年3月に利下げが開始され、12月までに141ベーシスポイント(bp)の利下げが実施されると見込まれている。
<債券> 短期債を中心に国債利回りが上昇した。連邦準備理事会(FRB)当局者の発言を受け、早期の利下げ観測が後退した。LSEGのフェドウオッチによると、金利先物市場が織り込むFRBが来年3月に利下げに着手する確率は70%以下と、前日の80%から低下した。
<株式> 小幅続伸して取引を終えた。S&P総合500種は2017年以来最長となる7週連続の上昇を記録した。個別銘柄では、コストコ・ホールセール(COST.O)が4.4%上昇。第1・四半期の業績が市場予想を上回った。
<米原油先物> 低調な米製造業関連指標の発表などが重しとなり、3日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.15ドル(0.21%)安の1バレル=71.43ドル。2月物は0.13ドル安の71.78ドルだった。
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。製薬・バイオテクノロジー株が下落して相場の足を引っ張った。製薬・バイオテクノロジー株指数(.FTNMX201030)は2.56%下落。英製薬のアストラゼネカ(AZN.L)が2.7%安と下げを主導した。
<欧州株式市場> 小幅に続伸して取引を終えた。今週は主要中央銀行の金融政策決定の発表が相次ぐ中、米連邦準備理事会(FRB)による利下げが視野に入ったとの観測が強まった。
<ユーロ圏債券> ドイツ債利回りが9カ月ぶりの低水準を付けた。経済指標が軟調だったほか、米連邦準備理事会(FRB)のハト派スタンスが欧州中央銀行(ECB)の3月利下げに対する反発姿勢を相殺した。
日経先物32,620、ダウ先37,666、債先145.71、米3.915、独2.0260、仏2.544、西3.007、伊3.732、英3.7260、波5.037、原油71.79、銅8,527、ドル円142.16、ユーロドル1.0894
※12/15 NY引け値

備忘録(2023/12/14)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米製薬大手メルクとモデルナが開発した個別化ワクチンについて、進行した皮膚がんの再発を3年間防ぐ効果があるとの新たな研究結果が明らかにされた。
14日の両社発表によると、ワクチンとメルクのがん免疫薬「キイトルーダ」を投与された悪性黒色腫(メラノーマ)患者は、キイトルーダのみを投与された患者に比べ、死亡または再発する可能性が49%低かった。
新型コロナウイルスのワクチンを開発したモデルナは、パンデミック(世界的大流行)収束を経てインフルエンザや呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、がんのワクチンに独自のメッセンジャーRNA(mRNA)技術を新たに活用する戦略を進めており、今回の調査結果は特に重要な意味を持つ。
メラノーマは米国では皮膚がん患者の約1%に過ぎないが、皮膚がんによる年間死亡者数の大半を占めている。個別化がんワクチンの開発では、異常増殖のマーカー認識を免疫系に指示する個別の治療法を確立するために、各患者の腫瘍の遺伝子配列を分析する。今回の研究で患者は腫瘍を摘出した後に薬剤を投与された。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、ユーロ圏のインフレ率が最近2%台に低下したものの、当局者は油断すべきでないと戒め、利下げが近いとの投資家の期待は時期尚早かもしれないと示唆した。
ECBは14日、2会合連続の金利据え置きを決めた。中銀預金金利は4%で据え置かれた。
ラガルド総裁は政策発表後の記者会見で、「決して警戒を緩めてはならない」とし、「利下げについては全く議論しなかった」と述べた。
総裁は、企業の利益率や進行中の賃金交渉など、消費者物価の上振れリスクが続いていると警告。賃金を巡る圧力について、「現在あるデータを見ると、圧力は弱まっていない」と述べた。
米国と英国も過去24時間の間に金利据え置きを決めたが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「利下げは視野に入り始めている」と発言したのに対し、ラガルド総裁はイングランド銀行(英中銀)とともに利下げ期待を押し戻した。
この日発表された最新の経済予測でECBは、景気の弱含みを指摘。インフレ率は今後数カ月に一時的に上昇するものの、来年は低下するとの見通しを示した。
声明では、インフレは「長期にわたり高過ぎる水準にとどまると見込まれる」との文言は削除され、「来年を通じて徐々に低下する」との言い回しに修正された。
これらを受けてECBの利下げ観測は後退し、市場が織り込む来年の利下げ幅は約150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に低下。一時は165bpが見込まれていた。
新型コロナウイルス禍の影響を緩和するために導入したパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下で購入した債券については、来年半ばから保有を減少させる。
発表によると、来年下期にPEPP債の再投資額を月平均75億ユーロ(約1兆2000億円)削減し、同年末で再投資を打ち切る方針。ラガルド総裁はPEPPに関し「役割を果たしたと思う。パンデミック対応の緊急プログラムとして意図されたものだった」と語った。
保有債券圧縮は予想ほど急進的ではなかったため、イタリアとドイツの10年債スプレッドは170bpを下回った。
利下げ観測の背景には、11月のインフレ率が2.4%と予想以上に低下したことがある。ECBは今回の経済予測で、来年のインフレ率を2.7%、2025年を2.1%、26年を1.9%と見込んだ。
エコノミストはユーロ圏が新型コロナ禍後で初のリセッション(景気後退)に陥るとみているが、落ち込みは穏やかと予想している。ECBは、域内総生産(GDP)成長率が今年0.6%、来年0.8%と予測した。  
ECBは金利について、この水準が消費者物価上昇率を目標の2%に戻すことに「大きく貢献」すると繰り返し、「政策金利は必要な限り、十分に景気抑制的な水準に設定される」とも説明した。
欧州中央銀行(ECB)政策委員らは、金融市場が現在見込んでいるよりも利下げは後になるだろうとの見方でほぼ一致している。事情に詳しい関係者が語った。
この関係者によると、今週の政策委員会の議論では、利下げを織り込む市場の急激な動きに一定のいら立ちが見られ、織り込まれている利下げの規模に困惑を示す委員もいた。協議内容は部外秘だとして、関係者は匿名を条件に述べた。
政策委員らはECBが成長とインフレの新たな予測を受け取る来年3月まで、政策姿勢の修正を見込んでいないという。
ECB報道官はコメントを控えた。
14日の金融市場では、米連邦準備制度が政策への転換を示唆したことを受けてECBの利下げを織り込む動きが加速した。ラガルド総裁の発言後、この織り込み度合いは縮小したが、依然として来年の150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げが見込まれている。利下げ開始時期は60%の確率で3月とされている。
イングランド銀行(英中央銀行)は、政策金利を15年ぶり高水準の5.25%で据え置いた。市場では2024年に利下げが続くとの観測が強まっているが、英中銀は高めの金利を長期化させる方針を堅持した。  
14日公表された議事要旨によると、金融政策委員会(MPC)は6対3で3会合連続の金利据え置きを決定した。前回11月の会合と同様に、3人が利上げを主張した。
インフレ抑制のためには「十分に景気抑制的な金利が十分な期間」必要とのガイダンスが維持された。来年に利下げの用意があると示唆した米連邦公開市場委員会(FOMC)の新たなシグナルとは対照的だった。
ベイリー総裁は政策判断と同時に発表された声明で、インフレ退治は「まだ道半ばだ」と言明。物価上昇率が依然として目標とする2%の2倍以上と高い中、MPCは「インフレ圧力がさらに持続する証拠があれば」、再び利上げを行う可能性があるとのガイダンスを繰り返した。
エコノミストらは、生活費高騰と中銀による積極的な金融引き締めによって、英経済は景気後退の瀬戸際にあるとみている。10月の経済縮小を受けて、中銀は10-12月(第4四半期)の国内総生産(GDP)が横ばいになると予想。11月に予測した0.1%の成長から下方修正した。
市場が織り込む来年の利下げ幅は、118ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後に縮小。政策発表前は一時127bpが想定されていた。
ベイリー総裁は「今年は長い道のりを歩んできた。相次ぐ利上げによって、インフレ率は1月の10%超から10月には4.6%まで低下した。しかし、まだ道半ばだ。引き続きデータを注視し、インフレ率を2%に戻すために必要な決断を下していく」と説明した。
利上げを求めたのはマン、グリーン、ハスケルの3氏だった。
MPCは、インフレ率の短期的な見通しについて11月の「予測よりやや低い」とし、民間部門の賃金上昇率の「下振れ」を指摘した。その上で、賃金データを拡大解釈しないよう警告し、政府推奨の最低賃金の引き上げが計画されているなど、賃金上昇には上振れリスクがあると論じた。
また、「サービス価格インフレと賃金上昇率が確実に低下軌道に入ったと結論付けるのは時期尚早」とも警告した。賃金の年間伸び率は依然として7%を超えており、当局は逼迫(ひっぱく)した労働市場がインフレを持続させることを懸念している。
経済協力開発機構(OECD)は14日に公表した最新の長期経済予測で、先進国と主要新興国の成長率が今後数十年でほぼ半分に減速するとの見通しを示した。債務の増大を抑制するために増税が必要になると指摘した。
クリーンエネルギーへの転換を加速させることが経済活動をさらに圧迫する可能性があるとする一方、効果的なカーボンプライシング制度は一部の政府にとって思いがけない収入をもたらす可能性があるとも指摘した。
OECDは加盟38カ国と20カ国・地域(G20)のトレンド成長率が徐々に鈍化し、新型コロナウイルス禍前の3%から2060年までに1.7%になると予想。多くの国で高齢化により労働人口が減少するほか、新興国で労働効率の伸びが鈍化するためという。
OECD加盟国のトレンド成長率が1.8%から60年に1.3%に鈍化すると予想される一方、G20新興国は4.5%から2%とより大きな減速が見込まれている。
また、30年代終盤にはインドの世界経済成長への寄与度が中国を上回る見通しだが、中国は予測期間を通じて最大の経済大国であり続けるという。
OECD加盟国は景気減速に伴い、債務を現在の水準に維持するために60年までに平均6%ポイント超の増税が必要になるとした。
増税を実施したくない、あるいは実施できない政府は、医療・年金制度改革など、財政逼迫を緩和する他の方法を見つける必要があるとした。
国際エネルギー機関(IEA)は14日公表の月報で、2024年の世界石油需要の見通しを日量110万バレル増とし、従来予想から13万バレル引き上げた。米経済の見通し改善と原油価格の低下を理由に挙げた。
13日閉幕した国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は化石燃料からの脱却を進めることで合意したが、月報は目先の石油消費が堅調に推移する見通しを示した。ただ、石油輸出国機構(OPEC)は13日付の月報で24年の世界石油需要を225万バレル増と予想しており、IEAと大幅な開きがなおある。
IEAは24年需要予測の上方修正について、先月の月報と比べて経済成長率見通しがやや改善したためとし、経済の「ソフトランディング(軟着陸)が視野に入りつつある米国は特にそう言える」とした。
価格低下が「石油消費のさらなる押し上げ材料になる」とした。
23年については、世界石油需要を230万バレル増とし、従来見通しから9万バレル下方修正した。増加分の8割を中国が占めるとした。
23年第4・四半期の需要の伸び見通しは、40万バレル引き下げて193万バレル。景気見通しの悪化が理由で、欧州、ロシア、中東が修正分の大半を占めるとした。
ウォール街のトレーダーと米連邦準備制度はここ数年、対立することが多かったが、今回ばかりはほぼ同じ見方をしている。世界一の経済大国がソフトランディングするというかつては考えられなかったシナリオを米国の中央銀行が実現させようとしており、金融の大きな転換が近づいている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は13日、従来の見通し以上に2024年に積極的な利下げを実施すると示唆し、歴史的な引き締め政策が終了したことをこれまでに最も明確に伝えた。
これを受け、世界的に株高が進行した。米国債は3月以来最良のパフォーマンスを記録。世界の主要通貨はドルに対し値上がりし、社債価格も上昇した。
高揚感が広がり、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が依然として拡大する景気循環の中でインフレを抑制するという試みにおおむね勝利したと市場は歓迎。安全資産かリスク資産かを問わず最近の値上がりに新たな弾みを加えた。
50パーク・インベストメンツの創業者アダム・サーハン氏は 「この数十年で最も積極的な利上げサイクルが終わりを迎え、ウォール街では大規模なパラダイムシフトが起きている。連邦準備制度はもはやインフレを『社会の敵ナンバーワン』として扱うことはない」と述べた。
ただ、13日の資産値上がりが続く保証はない。市場ではここ2年間、何度も利下げ観測が膨らんだ。だが、連邦準備制度が方針を変えなかったために足をすくわれた投資家も多い。
今後数カ月のうちに想定外のインフレ率や雇用統計が発表され、トレーダーが方向転換を迫られる可能性は想像に難くない。だが、13日午後のウォール街で、そうした心配をする人はほとんどいなかった。
ブルームバーグ・オピニオンに寄稿しているダドリー前ニューヨーク連銀総裁はブルームバーグテレビジョンで、「パウエル議長は金融政策の長いタイムラグについて語るが、金融情勢はほんの数カ月前よりもはるかに緩和的だ」と指摘した。
14日のアジア市場でも、G10通貨がドルに対し買われる流れが続き、新興国市場のリスク選好を示す指標と見なされることの多いハンガリー・フォリントや南アフリカ・ランドが上げた。
投資適格社債とジャンク(投機的格付け)債、コモディティーに連動する上場投資信託(ETF)は13日、いずれも値上がり。ブルームバーグが集計したデータによると、13日は資産全般でここ15年近くで最良のFOMCデーとなった。
11月の米小売売上高は予想外に増加した。ガソリン価格の下落がホリデー商戦での消費を後押ししたとみられる。
自動車・ガソリンを除いたベースの小売売上高は0.6%増加した。  
根強いインフレと借り入れコスト上昇という逆風を踏まえると、個人消費は想定以上に持ちこたえている。予想を覆して堅調を維持する労働市場が消費者の購買力を支える中、ガソリン価格下落の恩恵も加わった。
みずほの米国担当エコノミスト、アレックス・ペレ氏は今朝発表された一連の統計について「全般的に予想より強い」と指摘。「米経済は10月に弱含んだものの、11月は明らかに好調だった」と述べた。
内訳では13項目のうち8つで増加。飲食店やスポーツ用品店、ネット小売店がけん引した。飲食店は小売売上高統計に含まれる唯一のサービス項目だ。ガソリンは価格下落が続き、売上高が3%近く減少。百貨店は3月以来の大幅な落ち込みとなった。ホリデー商戦が本格化する感謝祭翌日のブラックフライデーの販売が低迷したことを反映している。
国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は0.4%増加した。前月は横ばいに下方修正された。
長引くインフレや借り入れコスト上昇にもかかわらず、これまで予想外の底堅さを維持してきた米個人消費について、来年も持続するか懐疑的な見方が強まっている。
セルサイドのアナリストは過去12週間に、S&P500種株価指数の一般消費財セクターの利益予想を来年7-9月(第3四半期)まで引き下げた。ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の株式ストラテジスト、ジーナ・マーティン・アダムズ、マイケル・キャスパー両氏が分析した。下方修正は主に売上高見通しの落ち込みを反映したもので、2024年半ばまで一般消費財セクターの利益の伸び見通しを、S&P500種全体の見通しを下回る水準に押し下げた。
両氏は14日のリポートで「利益率見通しはよく持ちこたえているが、売上高見通しは大きく切り下がっている。背景には、今後1年の裁量需要に対して疑念が強まっていることがある」と指摘した。
S&P500種一般消費財指数は年初来40%値上がりと、上昇率はS&P500種の23%の約2倍だ。ただ、大型株のテスラとアマゾン・ドット・コムによる押し上げ効果が大きい。消費需要を見極める上で、来週発表される旅客船運航のカーニバル、スポーツ用品大手ナイキの決算が手掛かりを提供しそうだ。
資本コスト上昇で低格付けの借り手が打撃を受ける中、クレジット市場では2024年に大きな価格調整があると、JPモルガン・アセット・マネジメントのオクサナ・アロノフ氏は指摘した。
代替債券担当最高投資ストラテジストのアロノフ氏は13日のインタビューで、「金利の報いは到来まで時間がかかった。クレジットの報いもそうだろう」とした上で、「金利リスクで大きなものだったように、信用リスクでも大きなものになるだろう」と語った。
こうした打撃はバランスシートが基本的に脆弱(ぜいじゃく)な企業に集中するという。社債全体にも広範に波及し、投資家にとっては好機になるとも述べた。同社の運用資産は9月時点で2兆9000億ドル(約411兆円)。
来年の早い時期からの積極的な利下げをトレーダーが織り込む方向に動いたことで今週のクレジット市場は大きく上昇した。だがアロノフ氏は、サービス業を中心にインフレが高止まりすることで、緩和はあるとしても2024年末まではないと予想している。同氏の見解はJPモルガン・チェースのエコノミストや来年の早い時期の利下げ開始に予想を修正した他行とは対照的だ。
アロノフ氏は、「現段階でこれはおかしな考えであることは承知しているが、結局のところ来年は、広く想定されている積極的な利下げより、利上げのリスクの方が大きい」と述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
●中東
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ドルが全面安となった。対円では4カ月超ぶり、対ユーロでは2週間ぶりの安値をそれぞれ付けた。米連邦準備理事会(FRB)が13日までに開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で来年に利下げに着手する可能性を示唆したことが引き続き材料視された。米金利先物市場では、FRBが来年3月に0.25%ポイント利下げを実施し、2024年12月までの利下げ幅が計1.50%ポイントになるという観測がほぼ完全に織り込まれた。
<債券> 国債利回りが大きく低下した。FRBがハト派化したことを受け、市場では来年の利下げに備える動きが出ている。
<株式> 小幅続伸して取引を終えた。FRBのハト派転換を受け、来年に金利が低下するとの楽観的な見方が高まった。
<米原油先物> 需給引き締まり観測が台頭し、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比2.11ドル(3.04%)高の1バレル=71.58ドルだった。2月物は2.19ドル高の71.91ドル。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が前日、利下げに方向転換する可能性を示唆したことで市場に明るいムードが広がり、FTSE100種指数(.FTSE)は取引時間中に一時、約3カ月ぶりの高値を付けた。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が13日にハト派的な姿勢にシフトしたことが引き続き好感された。
<ユーロ圏債券> ドイツ国債利回りが下げ渋り。欧州中央銀行(ECB)が14日の理事会で、インフレ期待の低下にもかかわらず、金利は高水準にとどまると改めて確認したことに反応した。
金融市場が織り込むECBの2024年の利下げ幅は150bpとなった。一時160bpという見方を織り込んでいた。
日経先物32,645、ダウ先37,624、債先145.92、米3.930、独2.1145、仏2.641、西3.084、伊3.809、英3.8105、波5.113、原油71.66、銅8,530、ドル円142.17、ユーロドル1.0996
※12/15 8時40分頃

備忘録(2023/12/13)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
欧州銀行監督機構(EBA)が12日公表した年次報告書(2022年7月―23年6月)によると、欧州連合(EU)域内銀行の資本バッファーは過去最高に達した。金利上昇により収益力が上がったためで、昨年は株主還元も過去最高となった。
報告書によると、3月に米国を中心に銀行セクターが混乱したにもかかわらず、普通株式等から成る自己資本「ティア1」の比率は16%と過去最高だった。EBAは、貸し出しが低迷して必要とされる資本バッファーが少なくなったこともあり、自己資本比率は基準値を余裕で上回っていると説明した。
配当と自社株買いを通じた銀行の株主還元は2022年に約630億ユーロと過去最高に達し、年初計画の480億ユーロを上回った。
ただEBAは、金利上昇によって貸し出しは減速しており、今後は収益率や資産価値に悪影響が及ぶ恐れがあるため、最良の時期は終わった可能性があるとしている。
欧州の景気低迷にもかかわらず、不良債権比率は6月時点で1.8%と、過去最低水準を維持した。収益性の尺度となる自己資本利益率(ROE)は6月時点で11%と、1年前の7.9%から上昇し、EBAが集計を始めて以来で最高となった。ほぼ全面的に純金利収入の増加が寄与した。
米製薬会社ファイザーの株価がニューヨーク時間13日早朝の時間外取引で急落。がん治療で最も注目されている治療薬のいくつかを製造する抗がん剤メーカーを買収したにもかかわらず、来年の売上高見通しはアナリストの予想を下回った。
ファイザーが13日発表した2024年通期売上高は585億-615億ドル(約8兆5200億-8兆9600億円)で、ウォール街の予想平均である629億ドルに届かなかった。通期の調整後1株利益予想も2.05-2.25ドルと、予想平均の3.21ドルを大きく下回った。
これを受けて、時間外取引で株価は一時7.2%安と急落。この下落率で13日の取引を終えれば、2020年6月11日以来の大幅安となる。
欧州の銀行監督当局は、プライベートクレジットなど伝統的な銀行セクター以外の分野で蓄積される可能性のあるリスクに関するデータ不足に神経をとがらせている。欧州銀行監督機構(EBA)のカンパ議長が明らかにした。
同議長はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「われわれは、銀行以外の金融セクターからの融資について懸念している。懸念の主な理由は、それがわれわれにとってブラックホールのようなものだからだ。われわれはあまり情報を持っていない」と語った。
2008年の金融危機の余波で規制が強化された伝統的な銀行の穴を埋めるために、銀行業界以外の企業が参入するケースが増えている。監督当局がノンバンクと呼ばれる金融仲介業者の一部を取り締まる一方で、プライベートクレジットについてはそのような企業の透明性の欠如から遅れている。
13日にロンドンで講演したカンパ氏は、金融安定理事会(FSB)がこの問題に取り組んでいると述べた。FSBは来年、ノンバンクの「過度なレバレッジ」への対応を進めるという。
カンパ氏はプライベートクレジットを抑制するための新たな規制権限を求めることはせず、「少なくとも、そこに金融安定へのリスクがないことを確認するために、より多くの情報を得る必要がある」と述べた。伝統的な銀行部門に問題が「波及」するリスクも指摘した。
米証券取引委員会(SEC)は13日、米国債市場のシステミックリスクを抑えるための新規則を採択した。
国債現物やレポ取引において中央清算を義務付ける範囲を拡大する内容で、2026年6月までに段階的に施行される予定。米国債市場を巡る過去数十年で最大の改革と見なされている。
新規則策定の狙いは、ヘッジファンドや自己勘定売買を目的とする金融機関の取引がもたらすリスクに対処することで、当局はこうした動きが市場のボラティリティー増大や流動性ひっ迫につながる構造的な問題だと考え、取り組みを進めてきた。
この10年で米国債市場はヘッジファンドなどの取引の比重がかつてないほど高まった半面、規制整備がそれに追い付いていない面があった。特に彼らが手がける、いわゆる「ベーシス取引(国債現物と先物の価格差を利用した売買)」と呼ばれる手法は、レバレッジをかけたポジションが突然巻き戻され、市場に緊張を与えかねないと懸念されている。
こうした中でSECのゲンスラー委員長は、新規則が「資本市場の重要な部分全体に対して正常時も緊張時も、リスクを減らしてくれる」と説明した。
米証券取引委員会(SEC)はヘッジファンドや証券会社に対し、中央清算機関を経由した米国債決済を著しく増やすよう新たな義務を設ける。26兆ドル(約3774兆円)規模の米国債市場に抜本的な構造改革を迫る。
SECは13日に新規制を採決する。レポ取引に関わる米国債取引は全てクリアリングハウス(清算・決済機関)で決済することを義務付ける。クリアリングハウスは買い手と売り手の間でバックストップの役割を持つ。SECによれば、ヘッジファンドは現物の米国債については取引の中央決済義務を免除される。ヘッジファンドにとっては部分的な勝利となった。それでも新規制は、ベーシストレードなどレバレッジの高い戦略に対する監督強化につながりかねない。ベーシストレードはレポ市場を利用するもので、その危険が及ぶ範囲は広いと当局は警戒している。
新規制はゲンスラーSEC委員長が柱とする政策。同委員長はこれまで、中央決済がリスクを低減すると主張し、プライベートファンドによる取引は透明性が不十分だとしてきた。クリアリングハウスは米国債以外の資産に関しては定着したものの、そこで決済される米国債はほんの一部に過ぎないとも指摘してきた。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に起因する2020年初期の混乱を最後に、米国債市場では大きな波乱は起きていない。しかしながら流動性に対する懸念は続いている。連邦準備制度による大量の国債買い入れが、市場の安定回復に寄与した。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
最近の指標は、経済活動の成長が第3・四半期の力強いペースから減速したことを示している。雇用の伸びは今年初旬から緩やかになったが依然として力強く、失業率は依然として低い。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている。
米国の金融システムは健全で強固だ。家計や企業の金融および信用状況の引き締まりが経済活動、雇用、インフレの重しになる可能性がある。これらの影響の程度は引き続き不透明だ。委員会はインフレのリスクを引き続き大いに注視している。
委員会は雇用最大化と長期的な2%のインフレ率の達成を目指す。これらの目標を支援するため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを5.25─5.50%に維持することを決定した。委員会は追加の情報と金融政策への意味を引き続き評価する。徐々にインフレ率を2%に戻すために適切とみられるあらゆる追加的な金融政策の引き締めの程度を決めるに当たり、委員会は金融政策の度重なる引き締め、金融政策が経済活動とインフレ率に及ぼす影響の遅れ、および経済と金融の動向を考慮する。さらに、以前発表された計画で説明されている通り、委員会は保有する米国債およびエージェンシーローン担保証券の削減を続ける。委員会は、インフレ率を2%の目標に戻すことに強く取り組む。
金融政策の適切な姿勢を評価するに当たり、委員会は今後もたらされる経済見通しに関する情報の意味を引き続き監視する。もしも委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、委員会は金融政策の姿勢を適切に調整する準備がある。委員会の評価は、労働市場の状況、インフレ圧力、インフレ期待、金融と世界の動向を含む幅広い情報を考慮する。
政策決定の投票で賛成したのは、ジェローム・パウエル委員長、ジョン・ウィリアムズ副委員長、マイケル・バー、ミシェル・ボウマン、リサ・クック、オースタン・グールズビー、パトリック・ハーカー、フィリップ・ジェファーソン、ニール・カシュカリ、アドリアナ・クーグラー、ロリー・ローガン、クリストファー・ウォラーの各委員。
●FF金利見通し中央値(カッコ内は前回見通し)
*24年末:4.6%
*25年末:3.6%(3.9%)
*26年末:2.9%(2.9%)
*長期:  2.5%(2.5%)
●24年の利下げ幅は現在の水準から0.75%ポイントに達すると予想
●24年末の政策金利が現在の水準を上回ると予想した政策担当者は皆無
●24年のインフレ率は2.4%、26年に目標の2%に戻ると予想
●24年の経済成長率は低下、失業率は横ばいと予想(前回予想比)
◎決定的なハト派転換
<コーペイのチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏>
追加引き締めへのハードルを引き上げ、2024年に少なくとも3回の利下げを示すことで、FRBは今日、決定的にハト派に転じ、政策緩和を期待する市場の強気派を刺激した。
当局者はインフレが沈静化し、成長率が大幅なプラスを維持し、失業率が24年を通じて実質的に変化しないという「ソフトランディング(軟着陸)」が目前に迫っていると確信しているようだ。金融市場が「メルトアップ(過熱的な相場上昇)」する条件は整っており、経済全体の信用状況がさらに緩和されるだろう。
◎かなりハト派的、来年の利下げ裏付け
<USバンク(ノースカロライナ州シャーロット)の米国セールス&トレーディング責任者、ブレア・シュウェド氏>
FOMC声明と金利・経済見通しは共にかなりハト派的だった。こうした見方は、過去数週間にわたり市場で織り込まれつつあった。
FRBが示した予測は、2024年に利下げが実施されるという市場の予想を裏付けるものだった。
◎利上げ終了の明確なシグナル
<アライアンス・バーンスタインのシニアエコノミスト、エリック・ウィノグラッド氏>
FOMCは追加利上げの選択肢を残しつつも、重大なサプライズがない限り、利上げサイクルは終了という非常に明確なメッセージを発した。利下げリスクは今後数カ月間の利上げリスクよりも大きい。
市場の反応の大きさは誇張されていると感じるが、方向性としては正しい。FRBは現在のサイクルで初めて、妥当な予測期間における利下げに向けた道を開いた。これは重要なことだ。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月12-13日に開催した定例会合で、主要政策金利を2001年以来の高水準で据え置くことを全会一致で決定した。金利据え置きは3会合連続。また2024年に複数回にわたって金利を引き下げるとの見通しを示し、積極的な利上げキャンペーンが終了したとのシグナルをこれまでで最も明確に発した。
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25-5.5%。FOMC参加者の予測中央値では、今後追加利上げはないとの見通しが示された。予測中央値で追加利上げの見通しが示されなかったのは2021年3月以来。
24年については合計で0.75ポイントの利下げを当局者らは予測。9月時点での予測より利下げペースが急になっている。24年末時点でのFF金利については、予測中央値は4.6%だが、FOMC参加者個々の予測はばらつきが大きい。
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25-5.5%。FOMC参加者の予測中央値では、今後追加利上げはないとの見通しが示された。予測中央値で追加利上げの見通しが示されなかったのは2021年3月以来。
8人は0.25ポイントの利下げが3回未満とみている一方、5人はそれ以上の利下げを予想している。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会合後の記者会見で、予測はあらかじめ決められた計画ではないと強調。物価上昇圧力が再び台頭しないようにするため、追加利上げの選択肢を外す用意はないとした。ただ、利下げ開始がいつ適切になるかについて今回のFOMC会合で議論したことは認めた。
パウエル氏は「利下げは視野に入り始めており、実社会で話題になっているのは明白だ。今回のFOMC会合でも議論した」と述べた。
FOMCのトーンの変化は、会合後に発表された声明での文言修正でも浮き彫りとなった。声明では「インフレ率を時間とともに2%に戻すために追加引き締めが適切となり得る場合、その程度を決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅効性、経済や金融の情勢を考慮する」と記述。前回の声明には、「場合」との文言は含まれていなかった。
またその他の変化として、インフレについて「この1年で緩和したが、依然として高い水準にある」と指摘。さらに、大半の参加者は物価上昇に対するリスクはおおむね均衡が取れているとみている。
今回新たに示された予測では、今年と来年のインフレ予想が下方修正された。金融当局が重視する食品・エネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数は、24年に2.4%上昇を予想。来年の経済成長率についても予想をやや下方修正した一方、失業率の予測は変わらなかった。
FF金利については一段の低下を予想し、25年末時点で3.6%(中央値)と見込んでいる
◎ダブルライン・キャピタルの創業者ジェフリー・ガンドラック氏:
当局は予想より多くの利下げを余儀なくされる
消費者物価指数(CPI)上昇率は来年6月までに前年同月比2.4%になる可能性があり、CPIモデルはあと1カ月は3%台の数字になることを示唆
米10年債利回りが来年3%台前半になる可能性が高い
2024年上半期にイールドカーブの長短逆転が解消される可能性が高い
◎エバコアのクリシュナ・グハ副会長:
FOMC声明文と最新の経済予測はハト派的でリスクオンだ。声明文には「インフレはこの1年で緩和した」と評価する新たな文言が盛り込まれ、来年の金利予測は中央値で3回の利下げだ
◎トレードステーションの市場戦略グローバル責任者デービッド・ラッセル氏:
パウエルFRB議長はパンチボウルを取り除いたようだ。トレーダーは今回の発表まで慎重姿勢を予想していたが、米当局はインフレ緩和を認めたためハト派的だった。積極的な引き締めの必要性は比較的低いと政策当局者が考えていることを示唆する文言の大きな変化だ
◎ アリアンツ・インベストメント・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、チャーリー・リプリー氏:
投資家コミュニティーの話題は全般として、最後の利上げ予想から最初の利下げ予想に移ってきた。その作業の大半はドット・プロット(金利予測分布図)を含む経済予測更新を通じて行われたが、パウエル議長が今回の会合でハト派的な姿勢を示したのは確かだ。実際のところ、インフレ対策は奏功しており、現時点で当局は現行のフェデラルファンド(FF)金利が24年に景気抑制的になり過ぎるとみている
米当局は利上げを3回会合連続で見送っており3度目の正直だ。当局はこのサイクルでの利上げを終了したと、今や投資家は十分確信できる。さらに、計0.75ポイントの利下げ想定を伴うハト派的なトーンは、インフレに対する勝利宣言だけでなく、パウエル議長らが経済のソフトランディング(軟着陸)実現に向けて準備を整えていることを示唆している
13日の米金利先物市場で、米連邦準備理事会(FRB)が来年3月に利下げを開始するという観測が高まった。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明やFRBが公表した最新の金利・経済見通しで、今回の利上げサイクル終了の可能性が示されたことに反応した。
市場が織り込む3月利下げ開始の確率は77%と、FOMC声明と最新の見通し発表前の約40%から上昇した。
また、LSEGのフェドウォッチによると、市場が織り込む2024年の利下げ幅は100%ポイント超となった。
FRBは12日─13に開いたFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置いた。据え置きは3会合連続。金利・経済見通しでは、19人の政策担当者のうち17人が2024年末には政策金利が現在よりも低下するとの予想を示した。24年末のFF金利見通し中央値は4.6%。
ジェフリーズの米国エコノミスト、トム・シモンズ氏はメモで「FOMC声明は過去2回分からさほど変わっていないが、微妙な修正はかなりの重みを持っている」と指摘。声明で、適切となり得る追加的な金融引き締めの決定に関する表現に「あらゆる(any)」という文言が追加されたことについて「追加引き締めが必要という確信が薄れつつあることを示唆している」と述べた。
イエレン米財務長官は13日、インフレが時間とともに鈍化する一貫したパターンを確認しており、雇用市場の混乱は緩和しているという認識を示した。
イエレン長官はCNBCのインタビューで「インフレは意味のある鈍化を遂げた」と指摘。同時に「米連邦準備理事会(FRB)の目標である2%達成に向けた道のりはまだ残されている」としつつも、達成に「かなり近づいている」とし、2024年末までに2%のレンジに回帰することへの自信を表明した。
さらに、米経済はソフトランディング(軟着陸)に向かっているという認識を改めて示した上で、24年も成長が続く可能性は十分にあり、景気後退(リセッション)のリスクが「特に高い」とは考えていないと述べた。
FRBの金融政策運営を信頼しているとし、インフレ鈍化に伴い金利が若干低下するのは「ある意味自然なこと」とも述べた。その上で、FRBは「インフレがFRBが想定しているように目標に低下しない、そして経済が軟化しすぎるという2つのリスクを管理する必要がある」と述べた。
14日朝の東京外国為替市場の円相場は1ドル=142円台後半と、前日夕に比べ大幅上昇している。米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された利下げ見通しなどを受け米国金利が大きく低下し、ドル売り・円買いが強まった。東京市場ではこの流れを引き継ぎ、円に上昇圧力が加わりやすい展開が見込まれる。
自民党安倍派の政治資金問題で東京地検が近く強制捜査に乗り出すと報じられ、政府・与党の動向と国内政治の混乱が来年以降に予想される日本銀行の金融政策修正に影響を与えるかどうかについても注視される。
13日の米国債利回りは大幅低下。FOMCは3会合連続で金利を据え置き、当局者の2024年の利下げ見通しは9月時点に比べ合計0.75%に拡大された。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は会見で、利下げのタイミングを協議したことを明らかにした。2年債利回りは前日比30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い4.43%程度、10年債利回りは18bp低い4.02%程度となった。金利スワップ市場では来年3月までの利下げ確率が9割程度に上昇した。
米金利の低下を受け、ドル安主導で円が買われやすい展開となりそうだ。日銀の早期政策修正観測を材料に8日に円は一時141円71銭まで急上昇した後、観測の後退で146円台まで戻していた。対ユーロなどクロス円でも円高が進んでおり、年末を控え低金利の円を売って高金利通貨を買う円キャリー取引の巻き戻しが活発化する可能性もある。
世界銀行は13日、途上国の債務返済が2022年に前年比5%増の4435億ドル(約65兆円)となり、過去最高を更新したと発表した。新型コロナウイルス対応による借り入れ増に加え、米欧の金融引き締めによる金利上昇で利払い負担が増している。
世界銀行のチーフエコノミスト、インダーミット・ギル氏は13日、過去の経験を踏まえると、金利はある時点で上昇が止まるものの、すぐに低下に転じることはないとし、途上国が大きな影響を受ける可能性があるとの考えを示した。
ギル氏は、債務返済コストの高騰、高水準の債務、成長鈍化を背景に、多くの国で新たな債務危機のほか、ある国がデフォルト(債務不履行)に陥った場合の波及リスクを巡る懸念が高まっていると指摘。ただ、こうしたリスクが差し迫っているとは考えていないとした。
インフレ動向については、先進国で改善が期待できるとしながらも、特に商品市場における供給ショックにより、インフレが急速に上昇する可能性があると警告。中央銀行に金利を高水準にとどめる圧力がかかる可能性があるとの見方を示した。
ドイツのショルツ政権は13日、2024年度予算案の修正で基本合意した。財政赤字を抑える「債務ブレーキ」を原則堅持し、気候変動対策の関連資金などを圧縮して財源を捻出する。新型コロナ対策で使わなかった過去の予算の転用が違憲となり、当面の財政運営が見通せなくなっていた。
ドイツ経済研究所(IW)は13日、来年の同国の国内総生産(GDP)が0.5%減少するとの見通しを示した。予算危機による不透明感が理由。
ドイツ憲法裁判所は先月、新型コロナウイルス対策予算の未使用金600億ユーロを他の用途に転用することを認めない判決を下しており、政府は来年度予算の編成に苦慮している。
IWのミヒャエル・ヒューター所長は「ドイツ政府はこの危機で決定的な役割を果たしている。連立政権は今、財政政策の面で行動力を示さなければならない」と述べた。
IWによると、予算を巡る対立で企業に不安感が広がっており、多くの企業が現時点で投資の決定を先送りしている。
IWの試算によると、今回の判決により合計200億ユーロ以上の政府支出が削減され、GDPは0.5%減少する。
最悪の場合、1%ポイントの減少もあり得るという。
予算危機がなくても、輸出を基盤とするドイツの経済モデルは圧力に見舞われており、世界貿易は今年1.5%減、来年も1%の増加にとどまる見通しという。
トリシェ元欧州中央銀行(ECB)総裁は米国の基調インフレは頑強であり、経済成長も一段と堅調なため、米利下げはユーロ圏の利下げより後になる可能性があると述べた。
同氏は13日、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の政策決定発表前にブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、米当局者が消費者物価は完全に落ち着いたと確信できるのか疑問だと発言。
「例えば米国ではさまざまな理由からコアインフレの水準はかなり高い。最初の利下げが米国ではなく欧州で行われる可能性があると考えるのは不合理ではない」と語った。
ECBの利下げ開始時期について、一部のトレーダーは早ければ3月と予想しているが、トリシェ氏は来年上期の終わりごろの方が妥当だと述べた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国共産党中央財経委員会弁公室の日常業務担当副主任、韓文秀氏は13日、2024年の財政赤字と特別地方債を適切な水準に設定し、財政支出の構造を最適化すべきと述べた。中国国営中央テレビが伝えた。
経済フォーラムで、中国は消費者物価を適度で適切な水準に保つべきだと指摘。「物価水準はマクロ経済の温度計であり、高過ぎても低過ぎても良くない」と語った。
今年の中国の消費者物価指数(CPI)は前年比0.4%上昇するとの見通しを示した。
また、「中国のマクロ政策の余地はまだ十分ある。CPIの水準が低く、中央政府の債務水準も高くないため、財政・金融政策の余地は依然として大きい」と述べた。
不動産セクター、地方政府債務、中小金融機関に関連するリスクを解決するために調整が必要とも指摘。「地方債務を解決する一連の計画を効果的に実施する必要がある。債務リスクの低い地域はできるだけ早く質の高い発展を促進しなければならない」とした。
●中東
当局者によると、サリバン氏は「地域全体の安定を維持し、イスラエルとイスラム組織ハマスの紛争拡大を防ぐための広範な外交努力」を巡り協議したという。
世界中がイスラエルによるガザ地区での2カ月におよぶ軍事作戦に注目している中、北部戦線は急速に激化してきている。
イスラエルがハマスに宣戦布告し、地上侵攻に先駆けて包囲されたガザ地区への攻撃を開始してから数日後、イスラエルとレバノンの国境沿いでの緊張が高まり始めた。ヒズボラとイスラエル軍の小競り合いは、やがて日常的な火力の応酬へと進展し、イスラエルはレバノン国境から南へ5km以内の入植地や町からの避難を余儀なくされた。
アメリカが2つの空母群を東地中海に派遣し、イスラエルのガザ攻撃に干渉しないようイラン政府とその代理勢力に厳しいメッセージを送る中、ヒズボラの指導者、サイード・ハッサン・ナスナッラー師は、疑惑をより深める動画を数本公開した後、同組織は国連安保理決議1701に基づくイスラエルとの休戦協定を破棄しようとはしておらず、いわゆる交戦規定の範囲内で挑発行為に対応するとの姿勢を示した。
しかし、それでも両陣営が低強度の戦闘といえるような形で互いを標的にするのを止めることはできなかった。そのためイスラエルは3個機甲師団を北部に動員せざるを得なくなり、ヒズボラはこれにより、ハマスへの圧力を緩和できると述べた。小競り合いのなかには致命的なケースもあった。イスラエルは自国の死傷数を公表しないよう慎重を期していたが、ヒズボラは、ガザ作戦が始まって最初の1ヶ月が過ぎた頃から、「ガザの人々と勇敢なレジスタンスを支援する」作戦中に倒れた自軍の戦闘員の名前を公表し始めた。
これらの作戦は「支援」や「陽動」と表現され、ヒズボラはこれまでに100人以上の戦闘員を失った。イスラエルがレバノン南部で何度か民間人を標的にした際、ヒズボラはロケット弾を発射し、レバノン国境から西にわずか3kmの上ガリラヤ地方の大都市キリヤット・シュモナを攻撃した。避難が行われる前は、ここには22,000人以上のイスラエル人が住んでいた。
また、イスラエルによるレバノン南部の町や村への空爆に対して、ヒズボラは「ブルカン」と呼ばれる大型のロケット弾を数発発射した。さらに、国境を越えて無人機を送り込み、そのうちの数機がイスラエル北部で警報を発動させたことも認めた。また、イスラエルの装甲、レーダー、要塞を標的にした戦闘機の動画を何度も公開し、イスラエル兵を死傷させたと主張している。
イスラエルは、レバノン南部への砲撃に加え、ダマスカス空港、シリア南部、ゴラン高原のクネイトラに対する多くの空爆を開始した。これらの空爆のいくつかは、イランの顧問やヒズボラの戦闘員を殺害したと伝えられている。
しかし、先週から今週初めにかけて、イスラエルによるレバノンの町への空爆に対して、ヒズボラがイスラエル領内の9kmの深さまでロケット弾を撃ち込むなど、こうした応酬の範囲が顕著に拡大した。11日には、イスラエルによる攻撃でレバノンの町タイベの町長が殺害され、他の住民も負傷した。その前日には、イスラエルの戦闘機が国境沿いの町、アイタルーンの近隣一帯を破壊した。ここ数日、イスラエルはレバノン側からこの小競り合いを取材するジャーナリスト、国連レバノン暫定駐留軍、レバノン軍の陣地も標的にしている。
イスラエル北部の国境沿いでの緊張の高まりは、北部の状況に対処しなければならないという、多くのイスラエル高官による強い警告と最後通告を受けての生じたものである。レバノンの新聞『アル・アクバル』紙によると、イスラエルはUNIFILを通じてヒズボラに対し、レバノンとの国境沿いの半径3km圏内で目撃されたものは、軍民を問わず、すべて標的にするというメッセージを伝えた。これに対してヒズボラも、国境から3km以内で移動するものは合法的な標的とみなすと回答した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は先週、ヒズボラに対し、国境沿いでのエスカレーションは、「ベイルートをガザに変える」ことを意味すると強い警告を発した。極右のベザレル・スモトリッチ財務相もまた、同様の警告を発した。また、イスラエル国家安全保障会議のツァチ・ハネグビ議長は先週、「レバノン国境の現実を変え、問題が外交的に解決されないのであれば、軍事的に解決する」と主張した。
イスラエル高官のこのような発言は、いくつかの理由から真剣に受け止めるべきである。民間人の死者を多くだし、イスラエルが罪のない人々の命や非軍事的なインフラを軽視していることを非難する世界的な抗議にもかかわらず、イスラエルのガザ戦争はうまく進んでいない。バイデン大統領のアメリカ政府は、国内的にも同盟国からも、停戦を求める前例のない圧力にさらされている。
ネタニヤフ首相とその戦時内閣は、軍事作戦を終結させるまで1カ月もないと伝えられている。しかし、イスラエル政府やその他の説明によれば、ガザにおけるイスラエルのとらえどころのない目標(ハマスの壊滅、ハマス軍事指導部の殺害、人質の解放)を達成するには、1カ月は十分な時間ではない。
加えてイスラエルは、その火力と重装甲にもかかわらず、異常に多くの死傷者を出していることを認め始めている。100人以上の兵士が死亡し、5,000人以上が負傷し、なかには重傷者もいることを認めている。ハマスは、イスラエル人の死者数はさらに多いとしている。イスラエルはまた、激しい砲撃にもかかわらず、ハマスの軍事能力は無傷のままであるとも述べている。11日の時点でも、ハマスがテルアビブやイスラエル南部に向けてロケット弾を発射していた。
イスラエル人とその擁護者たちは、イスラエルは広報戦争に負けつつあると述べている。世界中の何百万もの人々が停戦を要求し、自国政府にさらなる圧力をかけるためにデモを続けている。先週8日にアメリカが拒否権を発動した停戦を求める国連安保理決議案は、100カ国以上が共同提案したものだ。アメリカは、イスラエルの戦争継続を支持する唯一の国として孤立しつつある。
イスラエル北部の国境沿いでの敵対行為の激化と、ヒズボラをリタニ川より北に追いやるというイスラエルの脅迫は、戦争を意味するものでしかない。アメリカの盲目的な支援と脅迫にもかかわらず、今やレバノンの政治的運命を完全に掌握しているヒズボラは、レバノン南部の現状を守ることを躊躇しないだろう。
ここは誰にとっても地政学的に複雑な領土である。イランもアメリカも、さまざまな理由から戦争の拡大を望んでいない。しかし、ネタニヤフ首相とその仲間たちの見方は異なり、危険である。ガザ戦争を突然終結させることは、イスラエルの敗北を意味し、イスラエルにとっても、そして何よりもネタニヤフ首相にとっても、甚大な影響をもたらすだろう。10月7日に実際に起こったことを取り巻く状況は曖昧である。これを調査すれば、ネタニヤフ首相を筆頭に、多くの首が飛ぶだろう。
ヒズボラはもはや非国家主体として行動していない。ヒズボラは、レバノンでの利益とイランとの同盟を考慮しなければならない。当時よりはるかに大きな火力を有するにもかかわらず、2006年のようなイスラエルとの戦争は求めていない。戦争を拡大し、大国を引き込もうとするのは、イスラエル政界の過激派である。ハマスとの停戦を打ち切り、イスラエル人の人質の運命を決定づけたネタニヤフ首相は、自らの個人的な利益に目を向けている。ガザでの戦争が時間切れになることを恐れるネタニヤフ首相は、ヒズボラをより広範な対立に追い込む立場にあり、それによりアメリカ、そしておそらくイランを地域戦争に引きずり込むことになる。
バイデン政権はここで一線を引かなければならない。たとえ戦争があと数カ月長引いたとしても、ハマスが完全に壊滅する可能性は低い。人質たちの家族らは、すでに戦時内閣に圧力をかけており、これは不必要な戦争になっていると主張している。ネタニヤフ首相はもう限界に達しつつある。ヒズボラとの戦争は、すべての当事者にとって破滅的なものになるだろう。当座の唯一の出口は、ネタニヤフ政権を崩壊させることだ。
政権崩壊でガザの人道的大惨事が終わるわけではないかもしれない。これはその翌日のシナリオを提示するかもしれないが、それはまた、この問題が解決されない限り、地域を大規模な戦争に引きずり込みかねない難問から抜け出す方法を、すべての利害関係者に提供することにもなる
●中南米・アフリカ
ブラジル中央銀行は13日、政策金利(SELIC)を12.25%から11.75%に引き下げることを決めたと発表した。次回以降の会合でも今回と同じ50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の追加利下げに動く見通しを示唆した。
ブラジルの拡大消費者物価指数(IPCA)は、年間上昇率が2020年以降で初めて目標レンジの範囲内に収まると予想され、中銀は漸進的な金融政策の緩和を進めている。ブルームバーグが調査したアナリスト全員が今回の0.5ポイント利下げを予想していた。
今年8月に3年ぶりの緩和に動き出して以降の利下げ幅は2ポイントに達する。
カンポス・ネト総裁を中心とする政策委員会は声明で、「シナリオの予想通りの展開を前提として、次回以降の会合について今回と同幅の追加利下げを政策委メンバーは全会一致で予想している」と説明した。
●市況
<為替> ドルが円やユーロに対し急落した。米連邦準備理事会(FRB)が13日までに開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、今回の利上げサイクルが終了し、来年に利下げに着手する可能性を示唆したことに反応した。
終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は0.83%安の102.89と、11月30日以来の安値を付けた。
<債券> 米債利回りが低下した。FRBは予想通り政策金利を据え置いたものの、新たな金利・経済見通しで引き締め政策の終了と来年の利下げを示唆したことを受けた。
LSEGのフェドウオッチによると、FOMCを受け、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場が折り込む、来年3月の利下げ確率が70%超に上昇した。また来年100bp以上の利下げが織り込まれた。
<株式> ダウ工業株30種(.DJI)が昨年1月以来初めて終値で過去最高値を更新した。S&P総合500種(.SPX)とナスダック総合(.IXIC)も大幅続伸して引けた。FRBが利上げ終了を示唆し、来年に金利が低下し始めるという見通しを示したことが背景
主要3指数は横ばいで推移していたが、このニュースを受けて値を上げた。
幅広い銘柄に買いが入り、S&P主要セクターは全てが上昇。金利動向に敏感な不動産(.SPLRCR)と公益事業(.SPLRCU)が上げを主導した。 小型株で構成するラッセル2000指数(.RUT)も上昇した。
<米原油先物> 需給引き締まり観測などを背景に買い戻され、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物は前日清算値(終値に相当)比0.86ドル(1.25%)高の1バレル=69.47ドルだった。2月物は0.87ドル高の69.72ドル。
<ロンドン株式市場> 小幅上昇して取引を終えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控える中、英国の10月の経済成長率がマイナスとなったことを背景に英ポンドがドルに対して下落したのが相場を支えた。
<欧州株式市場> 小幅続落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)の結果と最新の経済・金利見通しの発表を控え、投資家のリスク選好心理が抑えられた。
14日には欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中央銀行)がそれぞれ決定内容を発表する。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。投資家が米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定を待つ中、英経済指標が材料となった。
RBCキャピタル・マーケッツの欧州マクロストラテジスト、ピーター・シャフリック氏は、英国の経済データの影響がユーロ圏市場にも波及していると述べた。
英国立統計局(ONS)が13日発表した10月の国内総生産(GDP)は前月比0.3%減少した。ロイターがまとめた市場予想(横ばい)を下回った。 
日経先物32,860、ダウ先37,515、債先145.76、米4.010、独2.1565、仏2.712、西3.115、伊3.922、英3.8655、波5.287、原油69.94、銅8,336、ドル円142.62、ユーロドル1.0881
※12/14 8時35分頃

備忘録(2023/12/12)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委員会)は12日、金利変動リスクに対処するために銀行が確保すべき資本の基準について「的を絞った調整」を提案した。
声明で「見直しの結果、基準における特定の金利ショックの評価に一連の調整を加えることを提案する」とした。
イングランド銀行(英中央銀行)は12日、銀行に対する国際的な資本規制「バーゼル3」の最終規則を適用することで国内銀行は資本を3%積み増す必要があるが、上積みは欧州連合(EU)や米国の銀行に比べてはるかに少ないとの見方を示した。
バーゼル規則の実施に関する2つの「ほぼ最終的な」政策声明のうちの最初の声明を発表した。意見聴取を行った結果、当初の提案に若干の調整を加えたと明らかにした。
最終規則が2030年までに段階的に完全に導入された場合、必要な中核的自己資本(Tier1)の引き上げ幅は平均約3%と、英銀に与える影響は「小さい」と指摘した。
必要とされるTier1上乗せ幅はEU域内銀行が約10%、米銀は約16%とみられており、英銀はこれよりも少ないとした。
英中銀のウッズ副総裁は声明で「本日公表されたルールは最新のバーゼル基準を英国に導入するもので、意見聴取先から指摘された点を踏まえた適切な調整が含まれている」と説明した。
●その他産業
経営破綻した欧州不動産のシグナ・ホールディングスのグループ会社に対して、ドイツの保険会社が計30億ユーロ(約4700億円)以上の融資などをしていたことがわかった。英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。
ドイツの保険会社のジグナル・イドゥナが約10億ユーロ、ミュンヘン再保険が約7億ユーロ、アリアンツが約3億ユーロの貸し付けをしていたという。融資額の3分の1は裏付けとなる担保がないとみられ、業績に悪影響を及ぼす可能性がある。
シグナ・ホールディングスは11月にオーストリアの裁判所に破産手続きの開始を申請した。オーストリア人のベンコ氏が1999年に創業し、主に不動産部門と小売部門で多くの子会社が連なる複雑な企業体になっている。
シグナのグループ会社には、イタリアの金融大手ウニクレディトやスイスの金融大手ジュリアス・ベアが融資をしていたとみられていた。非上場企業で開示が限定的のため金融機関に隠れた損失がないか、市場の警戒が高まりやすくなっている。
トランスフォーマーなどの玩具を手掛ける米ハズブロ(HAS.O)は11日、世界で900人を追加削減すると発表した。今年1月に発表した1000人と合わせ、全従業員の29%に当たる1900人を削減する。
ホリデー商戦に入っても販売が振るわず、2024年も低迷が続くとみている。物価の高止まりから、世界的に消費者が玩具や家庭用品、電子機器、アパレルなどへの支出を抑制している。
クリス・コックス最高経営責任者(CEO)は11日に従業員に宛てた電子メールで、「逆風は予想以上に強く、長く続いている」と説明した。
同社は1月に発表した計画のうち、すでに800人を削減した。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
ウエストパック銀行とメルボルン研究所が12日発表した12月のオーストラリア消費者信頼感指数は前月比2.7%上昇し82.1となった。前月の2.6%低下から上昇に転じたものの、悲観的な回答が楽観派を依然大きく上回った。
指数は中立を示す100の水準を昨年3月から下回っており、1990年代初めの景気後退期以降で最長となっている。
ウエストパックのチーフエコノミスト、マシュー・ハッサン氏は「今年最後の会合で豪中央銀行が金利据え置きを決定したことにより、追加利上げが近いとの懸念が後退した。しかし、消費者の所得は生活費と金利の高騰や増税で極度の圧力にさらされており、ささやかな慰めにしかならない」と述べた。
住宅ローンを抱える消費者の信頼感は5.4%上昇したが、依然悲観的な77.4。
今後1年間の家計に対する信頼感は3.9%上昇。
今後1年の経済見通しは2.2%悪化したが、5年間の見通しは9.7%改善した。
大型家財道具の購入に適した時期かどうかを示す指数は3.8%低下した。
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が12日発表した11月の豪企業景況感指数はプラス9と、前月から4ポイント低下し、新型コロナウイルス禍以来の水準を付けた。売上高と利益が減速した一方で生産能力の逼迫により物価上昇圧力が強まった。
信頼感指数は6ポイント低下のマイナス9だった。コロナ禍を除けば2012年以来の低水準だった。
NABのチーフエコノミスト、アラン・オスター氏は「消費者関連セクターでは小売業や娯楽・個人サービスでこれほど景況感が弱まったのは世界的な金融危機以来だ」と述べた。
売上高に関する指標は6ポイント低下のプラス13と依然として健全で、収益性は5ポイント低下のプラス6だった。雇用情勢はプラス8と堅調を維持した。
設備稼働率は83.9%と高水準を維持し、人件費の上昇率は四半期ベースで2.2%となった。仕入原価、最終生産価格、小売インフレ率はいずれも上昇した。
欧州経済センター(ZEW)が12日発表した12月のドイツの景気期待指数は12.8と、前月の9.8から上昇した。
ロイター調査によると、アナリストは8.8に低下すると予想していた。期待指数の上昇は5カ月連続。
現況指数もマイナス77.1と、前月のマイナス79.8から上昇した。
ZEWのワムバッハ所長は「現在の予算危機にもかかわらず、再び小幅に改善した。これは中期的に欧州中央銀行(ECB)の利下げを予想する回答者の割合が倍増したことによるものだ」と指摘。特に建設業界がかなり楽観的な見通しを示したという。
ドイツ経済が低水準ながらわずかに改善していることを示すとエコノミストは指摘する。
LBBWのアナリストは「上昇傾向が続いているが浮揚力はまだ非常に弱く脆弱だ」とし、現況指数が低く短期的な景気悲観論が強いことを示していると述べた。
一方で、今日の結果からは12月のIFO指数の景況感も再びやや上向きになる可能性が高いとの見方を示した。
英国立統計局(ONS)が12日発表した8─10月の賃金はボーナスを除いたベースで前年同期比7.3%上昇した。予想以上に鈍化したがなお高水準で、イングランド銀行(英中央銀行)が近く利下げに踏み切ることはなさそうだ。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は7.4%の上昇だった。7─9月の上昇率は7.8%に上方修正された。
2021年9─11月以来、約2年ぶりの大幅な鈍化となった。
ONSの幹部は「名目ベースの賃金上昇率は依然として高いが、賃金圧力が全体として緩和している可能性がある」と指摘。
EY・ITEMクラブの主任経済顧問マーティン・ベック氏は「賃金統計は中銀の観点からは明らかに正しい方向に向かっている。だが、年間の賃金上昇率は依然として中銀のインフレ目標2%と整合的な水準の2倍以上で、中銀はしばらく高金利が長期化するとのメッセージを維持するだろう」と述べた。
米労働省が12日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.1%上昇した。伸びは前月の3.2%から鈍化し、ロイターのまとめた市場予想と一致した。
前月比では0.1%上昇した。市場予想は横ばい。10月も横ばいだった。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比4.0%上昇と、伸びは前月と並んだ。
12日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)では金利が据え置かれるという見方が優勢。シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏は「パウエルFRB議長は利下げはまだ検討されていないという認識を示し続けるだろうが、市場の観測を大幅に後退させることはないだろう」と述べた。
11月の米消費者物価指数(CPI)が前月比で予想外に上昇したことを受け、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では12日、米連邦準備理事会(FRB)が早ければ来年3月に利下げを開始するとの見方が後退した。
FF金利先物市場が織り込む来年3月の利下げ確率は約40%。CPI発表前は約50%だった。また3月ではなく5月に最初の利下げが実施されるとの見方が強まった。
一方、インフレが鈍化するとの予想を背景に、来年4回程度の利下げが実施されるとの見方を引き続き織り込んでいる。
エコノミストらは、基調的なインフレを見る上では総合指数よりもコア指数の方を重視している。この日のデータはインフレを低下させることがいかに容易ではないかをあらためて浮き彫りにした。物価圧力は数十年ぶりの高さから総じて後退したものの、労働市場は依然強く、個人消費と経済全般を引き続き後押ししている。
連邦公開市場委員会(FOMC)はこの日から2日間の定例会合を開始。金利の再度据え置きを決定すると予想されている。パウエル議長らFOMCメンバーは金融政策を緩和方向に転換する前に、物価上昇の持続的後退を確認したい意向だ。
今回のCPIは家賃や医療ケア、自動車保険の価格上昇を反映。中古車価格は5月後で初めて上昇した。衣料品と家具の価格は下げた。
総合CPIの約3分の1を占める住居費は0.4%上昇し、ガソリン価格の下げを相殺した。コアインフレをFRBの目標水準に下げるには、住居費カテゴリーの価格が持続的に軟化することが鍵を握るとエコノミストはみている。
ブルームバーグの計算によると、住宅とエネルギーを除いたサービス物価は前月比0.4%上昇し、前月から加速した。パウエル議長らFRB当局者はインフレの道筋を判断する上でこうした指標の重要性を強調しているものの、別の指数に基づいて算出している。
サービス物価とは対照的に財の価格は持続的に低下し、ここ数カ月で消費者にいくらかゆとりを与えている。食品とエネルギー商品を除いた財のコア物価は、2003年より後で最長となる6カ月連続の低下となった。
欧州中央銀行(ECB)が保有債券の償還金再投資を段階的に終了させるための時間は限られつつある。
インフレ率が急低下していることから、早ければ来年3月にも利下げがあるとの見方が強まっている。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下で購入された債券1兆7000億ユーロ(約266兆円)のロールオフ(償還に伴う保有圧縮)開始予定の時期より、かなり前になる。
スケジュールに変更がなければ、PEPP債再投資の終了(量的引き締め=QT)が利下げサイクルの真っただ中にやってくることになる。このような政策の矛盾を避け、ECBの目標が投資家にとって不透明になることを避けるため、政策委員会の複数のメンバーは、より早い再投資終了を望んでいる。
ECB政策委員会が今週開く2023年最後の会合で、この問題が取り上げられるかもしれない。
ABNアムロのマクロ調査責任者ニック・コーニス氏は「PEPPが導入された目的、つまり新型コロナウイルス流行による経済的影響を和らげるという純粋な観点に立てば、PEPPを存続させる意味はない」と指摘する一方で、「同時に、柔軟な再投資は、われわれが直面している課題を考える上で、有効な手段だ」とも述べた。
ゴールドマン・サックス・グループのヤリ・ステーン氏、バークレイズのマリアーノ・セナ氏、ソシエテ・ジェネラルのアナトリー・アネンコフ氏らエコノミストは、ECBがPEPPからの離脱を加速させると予測している。
ECBは来年1-3月(第1四半期)末ごろから再投資を縮小すると14日に発表する可能性があり、次回の来年1月会合時にそのプロセスの詳細が公表されるかもしれない。UBSなどはこれによって市場が混乱することはないとみている。
ECBは4-6月に満期を迎える債券の償還金の約半分のみをロールオーバーし、7月以降は再投資を完全に中止することができる。これは現在示されている予定より半年前倒しになる。
このスケジュールであれば、PEPPの最も重要な特徴の一つである、ユーロ圏債券市場の一部のストレスを緩和する柔軟な再投資が、各国政府が一般的に国債発行を急ぐ年初の時期にも継続されることになる。
また、ブルームバーグが調査したエコノミストの金利見通しともほぼ一致する。エコノミストは24年に3回実施される0.25ポイント利下げのうち、最初の1回が6月に実施されると予測している。
クノット・オランダ中銀総裁は今年9月、QTを加速させると同時に借り入れコストを引き下げることは避けたいと述べていた。
「保有債券のロールオフプロセスは、事前に十分に準備され、発表されることが非常に重要だ」と主張し、このプロセスを開始したりQTの強化を発表したりすることは「われわれが伝えようとしている主要な金融政策の方向と相反することになりかねない」と論じた。
25年後半までには2%のインフレ目標が達成されるかもしれないという期待と、ユーロ圏経済の緩やかなリセッション(景気後退)見通しが、PEPPを巡る今週の舞台を整えた。
カミーユ・ド・クールセル氏らBNPパリバのストラテジストはリポートで、「ECBは今週、再投資の終了に向けた議論を正式に開始するだろう」と顧客に伝えている。
米国債相場について2023年に最も正確な予測を行ったストラテジストらは、年末にかけての大幅な値上がりは新年には続かないとみている。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフ金利ストラテジスト、プラビーン・コラパティ氏と税務コンサルティング会社RSMのトップエコノミスト、ジョセフ・ブルスエラス氏は共に、10年物米国債利回りが来年末までに4.5%程度まで上昇すると予想している。BMOキャピタル・マーケッツのスコット・アンダーソン氏は、24年末の10年債利回りは現在とほぼ変わらずの4.2%程度とみている。
ブルームバーグが昨年末に調査した40人のエコノミストとストラテジストの中で、米10年債利回りが2023年に4%を超えて上昇し、現在の水準付近で年を終えると言い当てたのはこの3人だけだった。
3氏は今、トレーダーが過去2年と同じわなに陥っていると言う。経済の強さとインフレ圧力の持続を過小評価しているというのだ。景気とインフレ双方の鈍化の兆候を受けて米債券相場は先月、1980年半ば以来の大幅上昇を演じた。米連邦準備制度が24年前半から利下げを開始し、同年内の利下げ幅が1ポイント以上に及ぶとの観測を背景に利回りは急落した。
コラパティ氏は「市場はあまりにも早期で過度の政策緩和を織り込んでいる」と述べた。
21、22年、そして今年の大半に損失を被った債券市場が来年はほぼ横ばいで推移するという予想は、特に憂慮すべきものではない。しかしブルームバーグの調査では、10年債利回りは24年末までに3.9%まで低下するというのが平均的な予想だ。インフレが完全に抑え込まれるまで米金利が高止まりする可能性を市場が尚早に無視しているリスクが浮き彫りになる。
BMOのアンダーソン氏は、経済が変化し中立金利(景気を過熱も冷え込みもさせない金利水準)が高くなったため、新型コロナウイルス禍以前のような低金利がすぐに戻る可能性は低いとみている。つまり、政策当局は景気を刺激しないために、かつてよりも高い金利を維持する必要があるということだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)は次回会合終了後の13日に、その方向を示唆するかもしれない。
「今後5年間の米金融政策に関する当社の長期予測では、フェデラルファンド(FF)金利がすぐにコロナ前の水準に戻るとは見込まれていない」とアンダーソン氏は述べた。
インフレ率が米当局の目標である2%を上回って推移し、景気後退の兆候もほとんど見えないことから、ゴールドマンのエコノミストは来年の米利下げは7-9月(第3四半期)から始まり、その幅は0.5ポイントにとどまると予想する。これは先物市場が織り込む利下げ幅のほぼ半分だ。
コラパティ氏は、景気縮小のリスクを排除しているわけではないが、インフレが持続するか、人工知能(AI)の普及が生産性向上につながれば、利回りが自身の基本シナリオである4.55%より高くなるリスクの方がやや大きいとみている。
昨年はほとんどのストラテジストやエコノミストが経済について悲観的過ぎたと同氏は指摘。また、脱グローバル化やグリーンエネルギーへの大規模な政府支出など、他の要因からも不意打ちを受け、それが全世界で予想以上に根強いインフレと金利上昇をもたらしたとの見方を示した。
「大多数はこのようなレジームシフトを予測できなかった」とコラパティ氏は語った。
RSMのブルスエラス氏は、同僚のトゥアン・グエン氏と共に、10年債利回りが4.5%で23年を終えると予測し、その予想は他の誰よりも正確だった。
ブルスエラス氏は、債券利回りが来年低下する余地は限られていると見ている。労働市場は底堅く、インフレ率が連邦準備制度の目標に戻るには時間がかかると見込まれるからだ。
消費者物価の上昇が徐々に鈍化を続けたとしても、インフレ率が2.5%、経済成長率2%であれば、10年物利回りは4.5%程度になるはずだという。
「私は景気後退派ではない」とブルスエラス氏。ベビーブーム世代の退職と移民受け入れの厳格化による構造的な労働力不足は、インフレ率が「今後2、3年は高めになる」ことを意味すると同氏は付け加えた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国は11ー12日に中央経済工作会議を開催し、2024年の景気回復を支えるため政策調整を強化する方針を示した。国営メディアが会議の内容を伝えた。
来年は有効需要の拡大に焦点を当て、内需拡大のために協調して取り組む方針。
国営メディアによると、カウンターシクリカルとクロスシクリカルのマクロ政策調整を強化する。「景気回復の一段の促進へいくつかの困難や課題を克服する必要がある」とし、「主な問題は、不十分な有効需要、一部産業での過剰生産能力、国民の期待の低迷や多くの隠れたリスクだ」と報じた。
来年は積極的な財政政策と慎重な金融政策を堅持する。
当局は「景気回復を強固し強化する」とし、来年は質の高い拡大に重点を置いて適切な経済成長を目指すとしている。
「進歩を通じた安定促進」を確約、これは成長を一段と重視する姿勢を示すとみられている。また「解体の前にまず確立する」とし、問題の不動産セクターへの支援拡大を示唆した。
国営メディアは、中国は構造的な減税と手数料引き下げを実施する計画で、新たな財政・税制改革を視野に入れていると伝えた。
不動産開発の新しいモデル確立を加速するとし、手頃な価格の住宅建設を促進し、地方債務リスクの解決と安定した発展へ調整するとした。
●中東
イランで、茶の輸入に関連した20億ドルの新たな贈賄事件が表面化した。イランの現政権は、この事件について、むしろ自分たちは暴露した側であると称し、改革派の前政権に責任があると示唆している様子だ。実際に、茶輸入贈賄事件は、イスラム共和国が成立してから数十年間に行われた数十億ドルにのぼる多くの腐敗した金融取引の一つに過ぎない。
例えば、強硬派でポピュリストのマフムード・アフマディネジャード前大統領の政権時代には、実業家のババク・ザンジャニ氏に支払われた数十億ドル相当の手数料をめぐる贈賄事件が報告されている。これに加えて、パディデ・シャンディズ不動産汚職事件や、イスラム革命防衛隊が税関や貿易関税の脱税に関与する動きが強まっており、アフマディネジャード氏は国内の重要な港や空港を支配しているイスラム革命防衛隊を「密輸兄弟」と表現したほどだ。
さらに、ハッサン・ローハニ政権下で報じられた天文学的な額の給与事件など、多くの事件が存在している。これらの事件は全て、イランの民間ビジネス環境と投資に悪影響を及ぼしており、その結果、同国は莫大な経済的損失を被っている。
最近の茶輸入贈賄事件に関して言えば、デブシュ・ティー社は海外から茶を輸入しており、そこで20億ドルの不正に関与していた。同社は、通貨の不正使用に関与し、闇市場よりも安い価格で政府から外貨を受け取っていた。安く手に入れたドルをインド産茶の輸入に充てる代わりに、同社はその大部分を闇市場で売却することで莫大な利益を得て、残りの外貨でケニアから低品質の茶を輸入していた。
同社は、2018年からこうした取引に関与していたという。2019年から2022年の間、同社が得た外貨の総額は23億7000万ドル。茶はコーヒーと並びイラン国民の生活に必需な人気の品の一つである。この重要な製品を独占していることに加え、同社はイラン国内の茶輸入に割り当てられる補助付き通貨の80%近くを獲得している。イランの新聞報道によると、過去2年間に同社に割り当てられた金額は、医薬品や粉ミルクの輸入に割り当てられた額に匹敵するという。このため、その後援者や受益者の身元について疑問の声が上がっている。
ローハニ前大統領の政権に近い関係者は、輸入茶の補助金の80%がなぜ特に同社に割り当てられ、同じ分野に従事する他の数十社よりも同社が優先されるのか疑問を呈している。イラン商工会議所の元会員であるペドラム・ソルタニ氏はラジオ・ファーダに対し「このような巨額の資金割り当ては、広範な調整と協力、特別な許可、高官の承認、自由市場での通貨売却を容易にする大規模な共謀ネットワークが不可欠だ」と語る。これらの発言は、同事件が単に外国から茶を輸入するというより大きな事件であるという事実を示唆している。
ここ数十年間、金融汚職がイラン経済とイラン国民の生活環境に莫大な損害をもたらしてきたことは明らかだ。こうした損害には、外国投資、国内投資、資本の逃避、自由競争の欠如、生産的資産の流動化、投資や生産よりも迅速に得られる利益や投機を優先する傾向などが含まれる。ここ数年には、イラン市場からの資本逃避が急増し、投資は近隣諸国やトルコの不動産セクターへと向かっている。
国連貿易開発会議によれば、イランへの海外直接投資は2017年の50億ドルに対し、2022年には15億ドルに減少したが、これは驚くべきことではない。2017年の数字でさえ(2015年の核合意調印後にあたる)、国家間の海外投資フロー全体のわずか0.5%を占めるに過ぎず、著しく低い水準だ。また、自動車、民間航空、農業分野など、2018年以降の対イラン制裁のためにダメージを受けた他の分野は言うに及ばず、石油などの単一セクターでも20億ドルの投資を必要としていることも書き添えておく価値があるだろう。
金融汚職は、関税、税金、補助金配分のいずれに関わるかを問わず、イランの国庫と開発割り当てから巨額の資金を奪っている。その上、特権階級で権力の中枢に近い一部の人々の元に富が集中している。その一方で、大多数の国民は、ごく基本的な利益やニーズを満たすために賄賂の支払いを余儀なくされている。
カイハン紙の元編集長メフディ・ナシリ氏は、最近の茶輸入汚職事件に関連して、「最高機関」に非難の矛先を向けた。彼は自身のテレグラム・チャンネルにおいて、「茶輸入に関連した最近の大規模な汚職事件は、(こうした機関で全権力を握る最高指導部によって任命された、あるいはその傘下にある)情報機関や司法機関による、直接的であれ間接的であれ、大規模な介入・圧力・影響力なしには発生しなかっただろう」と発言した。
このような認識をもっともらしくするのは、トランスペアレンシー・インターナショナルが今年初めに発表した報告書である。その中で、イランは腐敗認知指数で180位中147位と、アフガニスタンより上だがウガンダより下という低順位に甘んじた。20年前の順位はもっと高く、78位だった。
注目すべきは、投資や大規模プロジェクトの大半の進捗は、石油、ガス、石油化学、自動車、請負、対外貿易、鉱業などの分野で活動するイラン革命防衛隊と、同組織の巨大な経済コングロマリットにかかっていることだ。この事実は、イランにおける民間セクターの発展と、将来制裁が解除された場合の外国人投資家の自由な事業活動にとっての、正真正銘の障害となっている。
ガザ:ハマスは、11日にガザ全域でイスラエル軍に反撃していると発表し、パレスチナ人や国際救援機関は飢餓が広まる中で社会秩序が崩壊しつつあると述べており、エジプトへの大量脱出への懸念が高まっている。
沿岸の狭い地区であるガザは、2か月以上前の戦闘開始以来、イスラエルにより完全に封鎖されており、エジプトとの国境だけが脱出する唯一の道となっている。
人口が密集した飛び地のガザでは、既に約18,000人が死亡し、戦闘が激しさを増す中で、230万人の住民の多くが家を追われており、住民らは避難先を見つけるのは不可能で、食料を見つけるのはますます困難になっているという。
ガザの住民らは、何度も避難を強いられた人々が、爆撃のほか、飢えと寒さで命を落としていると述べ、支援トラックへの必死の襲撃や物価の高騰について語った。
「人々が飢餓で死ぬかもしれないと予想した人がいただろうか、以前にそれが誰かの頭をよぎっただろうか」と、ソーシャルメディア上で困惑を表明する多くの人々のひとりであるローラ・ガーニム氏は述べた。
支援トラックは、交差点でスピードを緩めるだけで、必死の住人たちによって止められてしまうリスクがあると、国連世界食糧計画(WFP)の副事務局長であるカール・スコウ氏は述べた。
「人口の半数の人々が飢餓に陥っており、9割の人々が毎日食事をとっていない」と、同氏は9日にロイターに語った。
あるパレスチナ人はロイターに対し、3日間食べておらず、子どもたちのためのパンを懇願しなくてはならないと述べた。
「強がっていますが、今にも子どもたちの前で倒れてしまいそうで怖いのです」と、電話で語ったこの男性は、報復を恐れて名前を告げなかった。
12月1日に1週間の停戦が崩壊したあと、イスラエルは先週から南部での地上戦を開始し、以来、東からハーン・ユーニス中心部に向かって進軍しており、戦闘機が西側の地域を攻撃している。
11日に、戦闘員らがイスラエルの戦車が街を通ってさらに西へ向かうのを阻止し、イスラエルが任務はほぼ完了したとしているガザ北部でイスラエル軍と戦っていたと、戦闘員と一部の住民が述べた。
イスラエルは、数十人のハマス戦闘員が投降したと述べ、他の戦闘員にも投降するよう呼びかけた。ハマスの武装部門はテルアビブに向けてロケット弾を発射したと述べており、同地ではイスラエル人らがシェルターに逃げ込んだ。
国連関係者は、ガザの人口の85%にあたる190万人が自宅を追われていると述べ、避難した人々が集まっている南部地域の状況を地獄のようだと表現した。
「まもなく社会秩序が完全に崩壊するだろうし、伝染病やエジプトへの大量移住を強いる圧力の高まりなど、一層悪い状況が展開する可能性もある」と、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は10日に述べた。
イスラエルはガザから人々を追い出そうとしていないという
パレスチナ難民の福祉を担当する国連組織UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は9日に、ガザの住民たちをどんどん国境近くに追いやっていることが、「パレスチナ人をエジプトに移住させる企て」を示していると記した。
エジプトとの国境は厳重に要塞化されているが、2008年にハマスの戦闘員らが壁を破壊し、厳しい封鎖を破った。ガザの住民たちは食料などの物資を購入するため越境したが、すぐに戻ってきており、恒久的に退去した者はいなかった。
エジプトは、やってきた人々が戻れなくなることを危惧し、今回はガザ住民の領土内への侵入を許さないと以前から警告してきた。
1948年のイスラエル建国のあと、パレスチナ人の大部分を受け入れたヨルダンは、10日に「ガザの住民を追い出そうと」しているとイスラエルを非難した。
イスラエル政府のエイロン・レヴィ報道官は、この非難を「無礼であり、間違いだ」と評し、自国は「10月7日の虐殺を行ったモンスターたちから」国を守っているのであり、この者たちを裁こうとしているのだと述べた。
イスラエルの集計によると、ハマスの武装集団は10月7日に1200人を殺害し、240人の人質をとった。停戦中に約100人の人質が解放されたが、この中には親類がいまだ人質となったままの人々もいる。
「彼がもう生きていないという悪い知らせを受けることを考えて、すくみ上がっています」と、2人の幼い娘と共に解放されたシャロン・アロニー・クニオ氏は、いまだ人質となっている夫について、ロイターに語った。
イスラエルは、2007年からガザを統治し、イスラエルを滅ぼすと宣言している過激派イスラム主義組織ハマスの殲滅を誓っている。
ガザ保健省によると、10月7日以降に少なくとも18,205人のパレスチナ人がガザで死亡し、49,645人が負傷した。この数字にはガザ北部の死傷者数は含まれておらず、北部や他の場所で多くの人々が瓦礫に埋まったままになっている。
イスラエルは、移動の指示は人々を守るための手段のひとつだという。同国はガザを支配するハマスの戦闘員らが市民を人間の盾として利用し、人道支援物資を盗んでいると非難しているが、ハマスはこれを否定している。
イスラエル軍は、ハマスがジャバリアにあるUNRWAの施設内に武器を隠していると非難し、ガザ市のシェジャイア地区で人々を殴り、支援物資を手に入れるハマスの武装集団をうつしたとする動画を公開した。
イスラエルは、ハマスの攻撃激化につながる恐れがあるとして、大半の援助物資のガザへの搬入を阻止してきた。
政府の報道官であるエイロン・レヴィ氏は、イスラエルは戦争前に援助物資の大半を処理していたケレム・シャローム検問所を開放しようと取り組んでいると述べ、歩行者用に設計されたエジプトと通じる検問所における停滞に関して、国際機関を責めた。
イスラエルに占領されているヨルダン川西岸地区と隣国ヨルダンでは、パレスチナ人たちによるストライキの呼びかけに応じて、大半の店や会社が営業を停止したが、イスラエルへの影響のほどは不明だ。
ガザ保健省はハーン・ユーニスにおいて一晩で32人のパレスチナ人が死亡したと発表した。ハマスの武装部門は、イスラエルの戦車2台にロケット弾を命中させ、イスラエル軍に向かって迫撃砲を発射したと述べた。
戦闘員と住民によると、ガザ市中心部の東のシェジャイア、北西部のシェイク・ラドワン地区、さらに北のジャバリアでも激しい戦闘があったという。
イスラエルが11日に「デイル・アルバラ地区にある既知の避難所」に向かって移動するよう人々に伝えたガザ中部では、シュハダ・アルアクサ病院に40人の死者が運び込まれたと、保健当局者が述べた。
また、医療従事者らは、イスラエルの空爆によりラファのある住宅で4人が死亡したと述べた。ラファは、イスラエルがパレスチナ人の避難場所として指定したエジプト付近の2か所のうちのひとつだ。
イランのアミラブドラヒアン外相は12日、イスラエルと米国がイスラム組織ハマスを一掃することは不可能であり、イスラエルがパレスチナ自治区ガザの人質解放を確保するには紛争の政治的解決しかないと述べた。
国連での演説で「イスラエルと米国はハマスを絶対に排除できない」と指摘。イスラエルは10月7日の大規模攻撃でハマスが拘束した人質を戦争によって解放させることはできず、政治的解決のみが人質解放を達成できるとした。
アミラブドラヒアン外相は、他の中東諸国の閣僚らとの会合に出席。会合後「イスラエルは攻撃と大量虐殺を直ちに停止しなければならないとの考えで一致した」と言及。ガザ地区への支援物資の輸送に使われるエジプトとガザの間のラファ検問所は開かれていなければならず、ガザ地区の住民の強制移住を止めなければならないと語った。
バイデン米大統領は12日、イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの「無差別」の爆撃によって支持を失いつつあると述べ、ネタニヤフ首相は強硬路線の政権を変える必要があるとの認識を示した。
献金者の会合で述べたもので、ガザでの戦闘を巡るネタニヤフ氏の対応についてこれまでで最も批判的な発言となった。会合にはユダヤ人を含む約100人が出席した。
バイデン氏はイスラエル軍によるガザへの無差別攻撃で多くの民間人が死亡していることを受け、イスラエルが国際社会の「支持を失い始めている」と語った。
また、ネタニヤフ氏が私的な会話の中で「(米国は)ドイツをじゅうたん爆撃した。原爆を投下し、多数の市民が死亡した」と述べたことを示唆。バイデン氏は「だからこそ第2次世界大戦後、同じことが二度と起きないようさまざまな機関が設置された。(2001年)9月11日(の同時多発攻撃後)のわれわれと同じ失敗をするな」と応じたという。
バイデン氏はさらに、イスラエルの極右政治家、ベングビール国家治安相に特に言及し、イスラエル現政権は「史上最も保守的な政府だ」と指摘。「ネタニヤフ首相はこの政府を変えなければならない」と述べた。
その上で、イスラエルは将来的なパレスチナ国家樹立を否定することはできないと強調。「この地域をまとめ始める機会があり、それはまだ望まれている。ネタニヤフ氏が何らかの動きをしなければならないと確実に理解するようにしなければならない。パレスチナ国家樹立に『ノー』と言うことはできない」と述べた。
バイデン氏はこれまでイスラム組織ハマスに対するイスラエルの軍事作戦に強い支持を表明してきたが、ガザ地区に対する空爆で民間人の犠牲者が増える中、米国で懸念が高まっているとが改めて示された。
●中南米・アフリカ
パンテオン・マクロエコノミクスのチーフ中南米エコノミスト、アンドレス・アバディア氏は「総合的に見て、ブラジルではディスインフレが続いている。それは低調な経済活動とコモディティー価格の低さ、相対的に引き締まっている金融環境のためだ」と指摘。年末の消費者物価上昇率は4.5%前後になりそうだとの見通しを示した。
こうした中でブラジル中央銀行は13日に政策金利を4回連続で50ベーシスポイント(bp)引き下げ、11.75%にすると予想されている。
キャピタル・エコノミクスのチーフ新興国市場エコノミスト、ウィリアム・ジャクソン氏は「今回の物価データは50bpの利下げサイクルを継続すべきだという中銀の判断に何ら修正を促す働きはしないだろう」と述べた。
●市況
<為替> ドルが下落。13日に判明する米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果やFOMCメンバーによる最新の経済・金利見通し、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が2024年上期の利下げ見通しをけん制するかどうかに注目が集まっている。
ただ、朝方発表された米消費者物価指数(CPI)が一部の分野でインフレが高止まりしている兆候を示したことで、ドルは下げ幅を縮小した。
<債券> 国債利回りが低下した。米国の基調インフレ率が市場予想と一致したことで、この日から2日間の日程で始まった連邦公開市場委員会(FOMC)で金利据え置きが決定されるとの見方が強まった。
<株式> 続伸し、主要3指数が今年の最高値を更新した。インフレ指標が米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期に関する見方を大きく変える内容ではなかったことが背景。13日まで開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が待たれる。
市場はこのところ、FRBの利下げが早ければ来年3月になるとの見方を織り込んでいたが、5月に後ずれした。
ソフトウエア大手オラクル(ORCL.N)は12.44%の大幅安。クラウドサービスの需要鈍化を背景に第3・四半期の売上高見通しが市場予想を下回った。
グーグル親会社アルファベット(GOOGL.O)は0.58%安。人気ゲーム「フォートナイト」を開発したエピック・ゲームズが、グーグルのアプリ市場「グーグルプレイ」を独占禁止法(反トラスト法)違反で提訴した裁判で勝訴した
<米原油先物> インフレの根強さを示す米経済指標をきっかけに売りが膨らみ、3営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTI1月物の清算値(終値に相当)は、前日比2.71ドル(3.80%)安の1バレル=68.61ドルと、中心限月の清算値ベースで6月下旬以来約5カ月半ぶりの安値となった。2月物は2.71ドル安の68.85ドル
<ロンドン株式市場> 横ばいで取引を終えた。航空宇宙・防衛株が買われる一方、建設・資材株の下落が相場の重しとなった。
英国の賃金上昇率の減速を示す指標を受けてイングランド銀行(英中央銀行)が今週の会合で政策金利の据え置きを決めるとの楽観的な見方が強まり、FTSE100種指数(.FTSE)は取引時間中に一時、約2カ月ぶりの高値を付ける場面もあった。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。米国の11月の消費者物価指数(CPI)が前月比で予想に反して上昇したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が早ければ来年3月に利下げを開始するとの見方が後退した。今週は主要中央銀行の金融政策会合での決定が相次ぎ発表される予定で、投資家は神経質になっている。
証券会社GCFXのチーフ市場アナリストのジャイルズ・コグラン氏は「私の予想では、どの中銀もまだ利上げの可能性があることを市場に喚起するだろう」とし、「中銀としてはインフレとの闘いに勝利したと時期尚早に示すことは最も避けたいことだ」と指摘した。
個別銘柄では、肥満症治療薬「ウゴービ」を製造するデンマークの製薬大手ノボノルディスク(NOVOb.CO)は1.2%下落。競合の米イーライリリー(LLY.N)の肥満症治療薬の服用を中止した患者の体重が元に戻ったとの調査結果が嫌気された。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが低下した。経済指標で米国の物価上昇が鈍化し、英国の賃金上昇率の緩和していることが示される中、市場では週内に開かれる一連の主要中央銀行の政策決定会合が注目されている。
日経先物32,910、ダウ先37,009、債先145.47、米4.197、独2.2205、仏2.773、西3.237、伊4.014、英4.0205、波5.299、原油68.72、銅8,341、ドル円145.38、ユーロドル1.0798
※12/13 8時25分頃

備忘録(2023/12/11)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
ゴールドマン・サックス・グループはプライベートクレジット部門の幹部入れ替えを進めていると、資産運用・ウェルスマネジメント部門を率いるマーク・ナックマン氏が明らかにした。1100億ドル(約16兆1000億円)規模の同部門の資産を中期的に倍増させることを目指しているという。
同氏は「オルタナティブ分野全体で最大の機会だと考えている」と語った。
ブルームバーグ・ニュースが確認した文書によると、グレッグ・オラフソン氏がオルタナティブ部門の共同プレジデントからプライベートクレジットのグローバル責任者になる。
またプライベートクレジットの最大分野である直接融資のグローバル責任者にはジェームズ・レイノルズ氏が、投資適格級プライベートクレジット・アセット・ファイナンスのグローバル責任者にはケビン・スターリング氏がそれぞれ就く。レイノルズ、スターリング両氏は現在、プライベートクレジットの共同責任者。
ゴールドマンは急成長するプライベートクレジット市場で、JPモルガン・チェースやバークレイズ、シティグループといったウォール街のライバルたちを長い間リードしてきた。同行は2008年の金融危機以前から大規模なプライベートクレジット部門を維持している数少ない企業。
ゴールドマンはこの事業を資産運用部門内に置き、自社の資産を充てるのではなく第三者から資本を調達する戦略を採用してきた。
今回の人事はゴールドマンがプライベートクレジット市場での優位維持を目指す中で行われた。ライバルはレバレッジド・ファイナンス事業と直接競合するプライベートクレジットの台頭への対応を急いでいる。
資産運用部門の再編が進む中、この1年に多くの著名な上級幹部がゴールドマンを去った。資産運用・ウェルスマネジメント部門の最高投資責任者(CIO)を務めていたジュリアン・ソールズベリー氏はシックス・ストリート・パートナーズに移籍する。
またオルタナティブ部門の共同プレジデントをオラフソン氏と務めていたマイク・コースター氏も今年ゴールドマンを退社し、同じく元ゴールドマンのトム・コノリー氏と共同で新会社5Cインベストメント・パートナーズを設立した。コノリー氏は昨年、ゴールドマンを離れていた。
医学誌JAMAに11日掲載された研究によれば、ゼップバウンドを36週間使用した人の体重は20.9%減少した。治療開始から8カ月後に使用を停止した人は、88週間後に9.9%の減量を維持。使用を停止しなかった人は25.3%の減量に成功した。
GLP-1受容体作動薬と呼ばれるリリーやノボ・ノルディスクの肥満症治療薬は非常に人気が高い。使用を停止すれば体重がリバウンドする傾向があると、これまでの研究で明らかにされている。それでも効果の一部は1年後でも残っていると、今回の研究リポートを執筆したワイル・コーネル・メディシンの肥満症専門家、ルイ・アロンニ氏は指摘する。
「こんなに良い結果が出るとは驚きだった」とアロンニ氏はインタビューで話した。リリーとノボ・ノルディスク、両社のコンサルタントでもあるアロンニ氏は、最大限の効果を得るにはこれらの薬剤を継続的に使用する必要があることを研究は明確に示していると指摘した。
リリーの製品開発担当上級副社長、ジェフ・エミック氏は「患者や医療提供者、そして一般の人々は肥満がしばしば継続的な治療を必要とする慢性疾患であることを必ずしも理解していない」とのコメントを発表した。
アラブ首長国連邦(UAE)で開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で11日に公表された合意草案で、多くの国々が求めていた化石燃料の完全な「段階的廃止」が削除された。前回の草案には含まれていた。
議論に詳しい情報筋によると、石油輸出国機構(OPEC)の盟主のサウジアラビアが化石燃料に関する言及を削除するよう議長国のUAEに圧力をかけていた。
COP28の交渉関係者やオブザーバーはロイターに対し、サウジなどが石油やガスの段階的廃止への合意に反対する中心勢力になっていると指摘した。
サウジ政府は11日のコメント要請に応じなかった。
国連のグテレス事務総長は記者団に対し、COP28の成功の中心的な指標は壊滅的な気候変動を回避するのに十分な速さで石炭や石油、ガスの使用を削減する合意を生み出せるかどうかだとして「全ての国が同時に化石燃料を段階的に廃止しなければならないということを意味しているわけではない」と言及した。
草案では、各国が温室効果ガス排出量を削減するために利用「可能な」8つの選択肢の一つとして「化石燃料の消費と生産の両方を公正かつ秩序があり、公平な方法で削減し、2050年より前、またはそれまで、あるいはその頃に実質ゼロを達成する」との内容を盛り込んだ。
COP28は今月12日に閉幕予定だが、交渉が長引けば延長される可能性がある。
米食品医薬品局(FDA)は8日、鎌状赤血球症(SCD)の遺伝子療法2種を承認した。そのうち1つはノーベル賞を受賞した遺伝子編集技術に基づく米で初の治療法となる。
FDAが12歳以上の患者を対象として認めたのは、米バーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX.O)とクリスパー・セラピューティクス(CRSP.BN)がノーベル賞の技術を応用する形で共同開発した「キャスジェビー」と、米ブルーバート・バイオ(BLUE.O)が開発した「リフジェニア」。
SCDは、身体が欠陥のある鎌状のヘモグロビンを作り、赤血球が身体の組織に適切に酸素を運ぶ能力を損なうとともに、痛みを伴う遺伝性の血液疾患。衰弱して早死に至る場合があるこの病気に、米国では10万人が罹患していると推定され、その大半が黒人だ。
米国での定価はバーテックス/クリスパーの療法が220万ドル、ブルーバードの療法が310万ドル。いずれも治療は1回で済むとされ、2024年初めに利用できるようになる。
●その他産業
●先進国、グローバル、金融市場
オーストラリアは11日、留学生と低技能労働者のビザ規則を厳格化すると明らかにした。豪政府は同国の移民制度は「崩壊した」との認識を示しており、今後2年間で移民受け入れ数を半減させることを目指す。
新たな政策の下では留学生は英語テストでより高い点数を得る必要があり、2回目のビザ申請にはより厳しい審査が課されることになる。
オニール内相は会見で「新政策により移民の数は正常に戻る」と説明。「数字だけの問題ではない。わが国の未来に関わる話だ」とした。
アルバニージー首相は週末に、移民の数を「持続可能なレベル」に戻す必要があると述べ、「システムは崩壊している」と主張していた。
オーストラリアでは移民数(ネットベース)が2022─23年に、過去最多の51万人に達したと予想されている。新型コロナウイルス禍後の人手不足を補うため移民の受け入れを増やしたが、急激な移民増加で家賃が高騰しホームレスが増えるなど、弊害も指摘されている。
オーストラリアのチャーマーズ財務相は10日、手頃な価格の住宅供給を促進するための包括的な対策を発表した。
具体的には、外国人が中古住宅を購入する際の賦課金を3倍に引き上げるほか、住宅を空屋のまま放置する行為への罰金強化、賃貸住宅建設プロジェクト向けの外国投資を対象とする賦課金の削減などを打ち出した。チャーマーズ氏は、これらの措置を通じて、国内居住用不動産への外国投資を確実に国益と合致させられると説明した。
政府は6月、国内全域で新たに数千戸の手頃な価格の住宅を供給するため20億豪ドル(13億米ドル)を拠出し、入居の順番を待っている国民向けに公共住宅の供給を増やすことも表明している。
今回の対策の下で、政府は約5億豪ドル(3億米ドル)の賦課金収入が得られる見通しとなり、住宅を含めた最優先分野への投資に回すことが可能になるという。
オーストラリアの住宅価格は既に世界屈指の高水準に達しているが、需要が供給を上回ることから、今後も着実に上がり続けると予想されている。
格付け会社ムーディーズは新しいリポートで、来年はより多くの米商業用不動産所有者が銀行ではなく商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の貸し手に目を向けるとの見通しを示した。
金利の上昇、不動産価値の変動、キャッシュフローの悪化により、銀行をはじめとする商業用不動産(CRE)の貸し手による融資基準は2023年を通じて引き締められている。
6日に発行されたリポートによると、新規・既存の借り手の多くは代わりに個々のローンをプールするCMBSに目を向けている。これらローンプールの全体的な信用力と利回りに重点を置く投資家からの需要は根強いという。
マルチローン(コンデュイット)型とシングルアセット・シングルボロワー(SASB)型のCMBSローン発行は今年全体で2022年の水準から減少。しかし、ムーディーズによると、今年後半はSASBとCREローン担保証券(CLO)の発行が急増した。
日本銀行は、賃金と物価の好循環の実現に向けた十分な確証が得られていないため、マイナス金利やイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の撤廃などを今月急ぐ必要はほとんどないとの認識だ。事情に詳しい複数の関係者への取材で分かった。
これは、日銀が18、19日に開く金融政策決定会合では、金融政策の正常化が見送られる可能性が高いことを示している。関係者によると、賃金の堅調な伸びがデータで確認されるまで待つコストはそれほど高くないとみているという。
日銀はマイナス金利などの解除の条件である2%物価目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況には依然として至っていないとみている。焦点となる来年の賃上げへの期待感は高まりつつあるが、十分な確証は得られておらず、賃金と物価の好循環の実現をなお見極める必要があるとの声が日銀内に多いとしている。
13日公表の12月の企業短期経済観測調査(短観)を含め、経済・物価情勢や市場動向などを直前まで見極めた上で政策対応の必要性を判断するという。日銀は前回の10月会合で、長期金利の1%超えを容認するYCCの運用柔軟化を決めた。市場では早ければ今月の会合でマイナス金利が解除されるとの観測が広がっている。
金融政策運営を巡っては、植田和男総裁が7日の国会答弁で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言したことなどを受けて、市場で早期の正常化観測が急速に強まっている。関係者によると、植田総裁の発言は単なる一般的な見解に過ぎず、差し迫った政策変更を示唆するものではないという。
ブルーバーグによる報道後、外国為替市場では円が対ドルで一時1%安の146円46銭まで下落した。大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は上げ幅を拡大し、一時3万2920円を付けた。日経平均の11日の通常取引終値は3万2791円80銭だった。
ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に総裁発言前の1-6日に実施した調査では、日銀が現在マイナス0.1%の短期政策金利を引き上げる時期は、来年4月の会合までの予想が67%となった。最多は4月の50%で、前回の10月会合前の調査の29%から大きく上昇。次いで来年1月が15%となったが、今月会合で解除するとの予想はなかった。
イングランド銀行(英中央銀行)は来年6月までに利下げするとの観測が市場で高まる中で、金融政策委員会(MPC)の金融政策決定を14日に公表する。英エコノミストによれば、政策金利が来年も高止まりせざるを得ないと警告する機会に利用する可能性がある。
ベイリー総裁とMPC委員らは、金利が当面15年ぶりの高水準にとどまる必要があるというガイダンスの裏付けとして、インフレに対する根強い懸念を強調してきた。
ブルームバーグの先週の調査で、英中銀が14日に政策金利の変更を発表すると予想するエコノミストはいなかった。短期金融市場は2024年について、80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の金融緩和を現時点で織り込んでいる。11月2日のMPC直後は50bpにとどまっていた。そのような市場の見方は金融環境を緩める方向に働き、英中銀がこれまで実行した金融引き締めの効果を弱める。
ラボバンクのシニアマクロストラテジスト、ステファン・コープマン氏は「この価格設定に対し、何らかの厳しい言葉といった形で、一定の抵抗が見込める。21、22年にインフレで非常に不運な経験をしたことで、これが維持できないと痛々しいほど明らかになるまで、MPCは『より高くより長く』という戦略に引き続き固執するだろう」と見解を示した。
ユーロ圏は10-12月(第4四半期)が前四半期に続きマイナス成長となり、新型コロナウイルス禍以降で初のリセッション(景気後退)に陥る。ブルームバーグが実施した調査でアナリストらが予想した。
ユーロ圏の域内総生産(GDP)は0.1%減ると見込まれ、前回のゼロ成長から予想が修正された。2024年序盤に緩やかな回復が想定されている。
バントレオン銀行のエコノミスト、イェルク・アンゲレ氏は「今が回復の始まりであることは疑わしい。逆風は依然として強く、特に大幅利上げに起因する向かい風が強い」と述べた。
欧州一の経済大国ドイツは、製造業の不振から脱却できずにいる。予算危機と世界的な需要低迷に見舞われたドイツは、10-12月に0.2%のマイナス成長と、当初予想の0.1%を超える落ち込みが予想されている。
欧州連合(EU)の欧州委員会が11月に発表した経済予測では、インフレ率の急低下と堅調な労働市場に支えられ、ユーロ圏は今四半期に成長軌道に戻るとみられていた。
先週公表されたユーロ圏統計局(ユーロスタット)のデータは、最近のユーロ圏低迷は在庫の変動に起因し、家計消費は引き続き堅調であることを示した。しかし、鉱工業生産は縮小し、域内経済の弱さが続いていることを浮き彫りにした。
金融引き締めが大きな逆風となる一方で、最近の消費者物価上昇の鈍化は市場と政策当局を驚かせ、欧州中央銀行(ECB)が早ければ来春にも利下げに踏み切るとの観測を呼んでいる。
エコノミストは2024年9月までのインフレ予想を引き下げた。しかし、それ以降の四半期ごとの予測は引き上げられ、調査の対象期間中にインフレ率がECBの目標である2%まで下がることは想定されていない。
ニューヨーク連銀が11日に発表した調査結果によると、米消費者の短期的なインフレ期待は11月に低下し、2021年4月と同水準になった。
1年先インフレ期待の中央値は3.4%と、10月の3.6%から低下した。低下は2カ月連続。3年後と5年後のインフレ期待は3%、2.7%と、それぞれ前月から変わらず。
消費者の目先のインフレ期待が低下したのは、多くの要因を反映している。ガソリンの予想価格は下落し、家賃と大学教育費の予想価格は2021年1月以来の低水準となった。60歳以上のインフレ期待はほぼ3年ぶりの低水準に後退した。
労働市場に対する消費者の見方はやや悪化。今後1年以内に職を失うと考える確率は平均で1ポイント近く上昇し13.6%となった。失業後に職が見つかると考える確率は55.2%と7カ月ぶりの低水準。再就職の可能性が最も低いと考えている地域は中西部だった。
引っ越しにも消極的な姿勢が見られた。今後12カ月の間に主要な住居を変更する確率は、データが残る2013年半ば以後で最低となった。
12日発表予定の11月の消費者物価指数(CPI)は前月比横ばいの予想。ガソリン価格の下落が影響するとみられている。
米企業の利益は10-12月(第4四半期)に落ち込む可能性が高いとの見方を、モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏が示した。回復は2024年になるとしている。
ウィルソン氏は、第4四半期利益のコンセンサス予想の「大幅な下方修正」を指摘。また来年の利幅拡大の度合いについて、他のストラテジストほど楽観していないと付け加えた。リポートで同氏は、「来年に入り広範な回復が定着する前に、利益を巡るリスクは短期的に持続するとわれわれはみている」と記した。
ウィルソン氏は今年の大半で株式に対する弱気姿勢を維持しており、相場が上昇する中でもその姿勢は変えていない。10月には、米国株の年末ラリーは望み薄との見方を示していた。ただS&P500種株価指数はその後に約11%上昇している。
ウィルソン氏は、第4四半期におけるS&P500種構成企業の利益予想は、前回の決算発表シーズン開始以降に5%下方修正されていると指摘。ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータでも、第4四半期についてはウィルソン氏の指摘と同様の下方修正トレンドが示されている。ウォール街では、企業利益の成長率は前年同期比1.5%増になると見込まれている。
ウィルソン氏はこのほか、価格決定力を引き続き注視すると指摘。価格トレンドが安定化しつつあるのか、それとも不安定化が進行しているのかについて兆候をつかむため、今週発表の生産者物価指数(PPI)のデータに注目していると述べた。全米自営業連盟(NFIB)が先に示した調査データは、企業が24年に価格引き上げを計画していることを示唆するとし、「こうした楽観的な状況は、価格決定力が安定化する初期の兆候かもしれない。ただそれを確認する上で、PPIデータへの注目が重要になる」と語った。
米国ではコロナ禍以降、実体経済の動きと一般市民の景況感に明確なズレが生じていることが、シカゴ地区連銀の最新調査で判明した。
シカゴ地区連銀が消費者や企業のセンチメント指標を調べたところ、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年春にこうした現象が始まり、経済が正常化しても人々がそれを完全に認識できない状態が続いている。
同連銀の調査アシスタントとシニアエコノミストは、コロナ禍後の数年間は景気の状況に関係なく、人々の楽観度が平均的に低下してきたことを発見。2人は「歴史的に見ると、消費者および中小企業のセンチメントと経済環境には緊密な相関性があり、失業率や所得といった指標でさまざまな家計や企業の景況感調査の動きをほとんど説明できた」と述べた一方で、パンデミックに伴う景気後退後はそうした関係が崩れたと指摘した。
このような変化が、失業率が4%より低く賃金上昇率が物価上昇率を上回っていることが、なぜ人々の感覚にもっと深く浸透しないのかを理解する糸口になるという。
2人は変化が起きた理由を明示していないが、最も有力な要因として挙げたのは物価の絶対水準の高さと、失業率低下がノルム(通念)とみなされるようになった可能性だ。
パンデミックのショック自体が影響を及ぼしたとも考えられている。米連邦準備理事会(FRB)当局者はこれまで、コロナ禍の余波と人々が抱く経済物価見通し、とりわけ物価観を強く関連づけてきた。
2人は変化が起きた理由を明示していないが、最も有力な要因として挙げたのは物価の絶対水準の高さと、失業率低下がノルム(通念)とみなされるようになった可能性だ。
パンデミックのショック自体が影響を及ぼしたとも考えられている。米連邦準備理事会(FRB)当局者はこれまで、コロナ禍の余波と人々が抱く経済物価見通し、とりわけ物価観を強く関連づけてきた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
デフレ圧力が長引く中国では、実質借り入れコストが2024年も高止まりする見通しで、同国経済の成長に新たな脅威となりそうだ。
ブルームバーグ・ニュースの試算によると、インフレを調整した実質金利は4%を超え、5%に近づく可能性さえある。実際にそうなれば、2016年以来の高水準となる。これは平均ローン金利をはるかに上回るペースで、消費者および生産者の物価が下落しているためだ。平均ローン金利は中国人民銀行(中央銀行)と主要金融機関が設定する基準金利の変動に大きく左右される。
マッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は「中国の実質金利はかなり高く、現在も上昇を続けている」と指摘。企業の借り入れコストが高止まりしていることもあり、高金利は「国民の貯蓄志向を高めている」と付け加えた。
企業の景況感が弱く、国民の間で消費よりも貯蓄を優先する傾向が今年すでに問題となっていることを考えれば、これは経済にとって悪い兆候だ。1年物ローンの基準プライムレートは3.45%と、実質ローン金利と推定される水準より約150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い。
問題は実質金利の反転を示唆する兆候があまり見られないことだ。 中国の消費者物価は11月に過去3年で最も急ピッチで下落した。経済全体の物価動向を表す指標の国内総生産(GDP)デフレーターは、2015年後で初めて2四半期連続でマイナスとなった。
デフレが危険なのは、消費者が物価が下がり続けると期待して買い控え、下降スパイラルに陥る可能性があるためだ。将来の需要が不透明な企業が、生産や投資を減らす可能性もある。エコノミストの間では、デフレ圧力は来年も続くとの声が聞かれる。ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、2024年の消費者物価指数(CPI)は前年比0.5%上昇にとどまると予想。野村ホールディングスのアナリストは同0.6%の上昇を見込んでいる。豪銀ANZグループ・ホールディングスなど、物価が下落する可能性があると見るエコノミストもいる。
習近平国家主席ら中国指導部が来年の経済運営方針を協議する中央経済工作会議が11日に開幕した。関係者4人が明らかにした。
住宅市場や地方政府の債務、世界経済の成長鈍化、地政学的緊張の高まりといった課題が山積する中、投資家は中国の来年の経済政策や改革に関する手掛かりを得ようと注目している。会議は12日に終了する見通し。
中国政府の政策顧問はロイターに対し、2024年の経済成長率を4.5─5.5%の範囲内で設定することを提案すると述べた。
ある政策当局者は「5%前後の成長率目標を設定する可能性が高い」と述べ、「景気支援策を強化する必要がある」と指摘した。
中国政府は10月に1兆元の国債を年末までに発行する計画を発表し、2023年の財政赤字目標を当初の国内総生産(GDP)比3%から3.8%に引き上げた。
来年の経済成長目標は会議で承認される見通しだが、通常3月に開催される全国人民代表大会(全人代、国会に相当)まで公表されないとみられている。
ポーランド議会で11日、右派の与党「法と正義」(PiS)のモラウィエツキ首相に対する信任投票が行われ、不信任が多数を占めた。これを受け議会は欧州連合(EU)大統領を務めたトゥスク元首相を新首相に選出した。8年ぶりの政権交代となる。
トゥスク氏の新首相就任を議員248人が支持。201人が反対した。トゥスク氏は採決後「この歴史的な変化を決断した全ての人に感謝する」と語った。
●中東
11日発表のトルコ中央銀行の統計によると、10月の経常収支は、貿易赤字の縮小を一因に1億8600万ドルの黒字だった。
ロイターがまとめたエコノミストの予想中央値は7億5000万ドルで、予想レンジは2億5000万─8億5000万ドルだった。
10月の貿易赤字は17.5%減少し65億ドルだった。
金とエネルギーを除いた10月の経常収支は50億7000万ドルの黒字。
シムシェキ財務相は「われわれは、投資、雇用、生産、輸出を重点にした持続可能な成長を確立すると同時に、実施する政策によって経済の脆弱性を是正している」とX(旧ツイッター)に投稿した。
貿易相手国の需要低迷が、輸出増加を抑える主因の一つで、10月の鉱工業生産指数が前月比0.4%低下したのは、そのためだと述べた。
10月の失業率は8.5%に低下し、10年ぶりの低水準になった。
イスラエルのガラント国防相は11日、イスラエルはパレスチナ自治区ガザに永久に留まる意向は持っていないとし、ガザ地区の将来的な統治を巡る代替案の協議に前向きだと語った。
ガラント国防相は記者団に対し「イスラエルはハマスを全滅させるためならいかなる手段も行使する。ただ、イスラエルは永久的にガザ地区にとどまるつもりはない」と述べた。
その上で、いかなる合意にも国境沿いの安全地帯設置などが含まれることを条件に、北隣のレバノンに拠点を置く親イラン組織ヒズボラとの合意の可能性も否定しないと表明。「イスラエルはガザ地区で見られたような破壊的行動と反撃の能力を持っている。ヒズボラもこのことを認識していると考えている」と述べた。
イスラム組織ハマスとの軍事衝突終結後のガザ地区の統治について、代替案の協議に前向きな姿勢を表明。「統治する組織がイスラエルに敵対的な行動を取らないことが重要な条件となる。それ以外のことは協議で決定できる」とし、ガザ地区を統治するのは「ハマスでもイスラエルでもない」と語った。
このほか、ハマスの戦闘員と指揮官は「降伏すれば命は助かる」と言及。少なくとも公の場の発言では戦略をシフトさせた格好となる。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> 日本円が対ドルで続落した。日銀の金融政策がハト派的ではなくなるとの見方が後退した。市場では今週の米インフレ統計と主要中銀の金融政策決定会合が注目されている。
<債券> 国債利回りがほぼ変わらずとなった。この日は3年債と10年債の入札が行われたが、週内に11月消費者物価指数(CPI)の発表と米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、投資家は消極的だった。
<株式> 続伸し、今年の最高値を更新した。ただインフレ指標の発表や連邦公開市場委員会(FOMC)など週内に金利動向に関する投資家の見方に大きな影響を与えるイベントを控え上げは小幅にとどまった。
この日は半導体株が買われた。フィラデルフィア半導体指数(.SOX)は3.4%上昇し、2022年1月5日以来の高値で引けた。シティグループが投資判断「バイ」でカバーを再開したブロードコム(AVGO.O)が8.99%高と上げを主導した。
医療保険大手シグナ(CI.N)は16.68%の大幅高。関係者によると、同業ヒューマナ(HUM.N)の買収を断念した。同社はまた、100億ドルの自社株買い計画を発表した。ヒューマナは1.04%安。
百貨店大手メーシーズ(M.N)が19.44%の大幅高。関係者によると、不動産投資会社アークハウス・マネジメントと資産運用会社ブリゲード・キャピタルで構成する投資家グループが非公開化に向けた58億ドルの買収案を提示した
<米原油先物> ドル軟化に伴う割安感などを手掛かりに買いが入り、小幅続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は、前週末比0.09ドル(0.13%)高の1バレル=71.32ドル。2月物は0.12ドル高の71.56ドルだった。
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。主要中央銀行の会合や経済指標の発表が待たれる中、金属価格の値下がりを受けて資源株が売られたのが相場の足を引っ張った。
<欧州株式市場>  週明けの欧州株式市場は続伸して取引を終えた。世界的に金融政策緩和への観測が強まる中、週内の11月の米消費者物価指数(CPI)発表や主要中央銀行の金融政策会合での決定が投資家から注目されている。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが安定的に推移した。12日に発表される米インフレ統計や今週予定されている主要中銀の金融政策決定会合を前に手控えムードが広がった。
日経先物33,023、ダウ先36,800、債先145.04、米4.234、独2.2490、仏2.824、西3.274、伊4.051、英4.1115、波5.378、原油71.40、銅8,344、ドル円146.13、ユーロドル1.0764
※12/12 8時30分頃

備忘録(2023/12/8-10)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米医療保険会社のシグナ・グループは10日、100億ドル(約1兆4500億円)の追加自社株買い計画を発表した。また事情に詳しい匿名の関係者によると、同社はヒューマナとの合併交渉を打ち切る。
シグナは自社株買い計画を総額113億ドル規模に拡大する。シグナの合併取りやめについては米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)がこの日、先に報じていた。
シグナはヒューマナに関して公にコメントしなかったが、シグナのデービッド・コーダニ会長兼最高経営責任者(CEO)は発表資料で、同社は「自社戦略に沿った追加の買収および価値を高める売却を検討する」と述べた。ヒューマナにコメントを求めたがすぐには返答はなかった。
発表資料によると、シグナは2024年上期(1-6月)末までに少なくとも50億ドル相当の普通株を買い戻す見込み。自社株の一部は24年1-3月(第1四半期)に実施される前倒しプログラムを通じて行われる。
コーダニ会長は「シグナ株は著しく過小評価されており、当社が質の高いケアや一段と手頃な料金、健康転帰改善の支援に取り組む中で、自社株買いは価値を高める資本配分を意味するとわれわれは考えている」と述べた。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
過去2年にわたり損失続きの債券投資を巡り、老後の備えとして債券に依存することが果たして良い戦略なのかとの疑問が生じても無理はないだろう。
こうした疑問を裏付ける研究論文がこのほど明らかになった。
これはウォール街の反発を招くこと間違いなしの、コンセンサスから大きく外れた見解だ。論文では、将来への備えを蓄える上で最善の手法とされる株式6割・債券4割の「60/40」ポートフォリオという従来の投資アドバイスについて、30余りの国・地域を対象に130年にわたる期間について検証。その結果、国内株式と外国株式の半々で組み合わせて運用した方が、株と債券の分散ポートフォリオよりも運用成績が良いことが分かった。
論文の共同筆者の1人、アリゾナ大学のスコット・セダーバーグ氏は「株式投資家が耐えられる限り、債券に分散投資することで短期的な動きをならそうとする投資家よりも、非常に高い確率で一段と大きな利益を得ることができる」と指摘する。
コンピューターを使って米国の家計を対象に100万回のシミュレーションを行ったところ、国内株式と海外株式に資金を振り分けた場合、退職までに平均100万ドル(約1億4500万円)余りの資産が形成されたのに対し、60/40の場合は76万ドルにとどまった。株式のみのポートフォリオの場合、損失が生じた場合のマイナス幅はより大きかったが、長期のパフォーマンスを損ねるほどではなかったという。
老後の備えに向けた投資で債券を完全に避けるべきだというのは、かなり極端な主張に聞こえるだろう。多くの米国民にとって債券は老後資金として極めて重要な部分を占めており、こうした長年にわたり広く浸透してきた慣行に逆行することになるためだ。
メリルおよびバンク・オブ・アメリカ・プライベート・バンクのチーフ・インベストメント・オフィスでマーケット戦略の責任者を務めるジョー・クインラン氏によると、債券の重要性は値上がりの見込みだけでなく、安定性にもある。パフォーマンスにばらつきがあり不安定な株式とは異なり、債券の安定的で予測可能なリターンは、人々に金融資産をコントロールしているという感覚を与える。顧客の多くは夜中に安心して眠るためなら、潜在的な利益をあきらめることもいとわない、とクインラン氏は述べた。
11月の米雇用統計では雇用者数と賃金の伸びが市場予想を上回り、労働市場の力強さが示された。米金融当局が来年早期に利下げに動くとの市場の期待をしぼませる内容だ。
キーポイント
11月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比19万9000人増
エコノミスト予想の中央値は18万5000人増
前月は15万人増
家計調査に基づく11月の失業率は3.7%に低下-前月3.9%
市場予想は3.9%
平均時給は前月比0.4%増-今年最大の伸びに並ぶ
市場予想は0.3%増
前月は0.2%増
11月の雇用者数では、ストライキを実施していた自動車メーカー従業員の職場復帰が3万人の押し上げにつながった。労働参加率も小幅に上昇。
全米自動車労組(UAW)のスト終結に伴い製造業分野の雇用が上向いたことに加え、医療や娯楽・ホスピタリティー、政府部門が全体の伸びをけん引。他の分野では伸びが小幅にとどまるか、小売りのように減少するかだった。
今回の統計で示された労働市場の力強さは、インフレ率を確実に目標水準に下げるため高水準の借り入れコストを維持するという金融当局の方針を裏付けている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は来週開く会合で政策金利を据え置くと、市場では広く予想されている。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はこれまで、市場で強まる早期利下げ期待を繰り返し押し返している。
LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏は「1-3月(第1四半期)を皮切りに来年数多くの利下げが行われるとの期待は後退しそうだ」とし、「金融当局はこの機会を捉え、辛抱強さとより長期にわたる金利据え置きを呼び掛けるだろう」と分析した。
雇用統計が堅調な内容となったことを受け、市場の注目はインフレ指標に移る。物価上昇ペースの一段の鈍化が示されれば、労働市場がより持続的な再加速を見せない限り、FOMCを利下げ姿勢に傾かせる可能性が高くなる。
BNPパリバの米国担当シニアエコノミスト、エレーナ・シュルヤティエバ氏は「今回のデータの全体像を見れば、FOMCはインフレ率を確実に目標に戻すため辛抱強い姿勢を維持できるだろう」と述べた。
平均時給は前月比0.4%増と、今年最大の伸び率に並んだ。前年同月比では4%増。
労働参加率は62.8%に上昇。男性の参加率上昇が全体を押し上げた。25歳から54歳までの労働参加率は変わらずだった。労働力の供給がさらに増えれば、賃金の伸び緩和につながる可能性がある。
8日発表の11月米雇用統計で雇用者数と賃金の伸びが市場予想を上回り、来年の積極的な金融緩和期待が後退。米国債利回りは上昇した。
米政策金利と最も密接な関係にある指標の2年債利回りは一時14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇と、1日の上昇としては6月以来最大。この日は全ての年限が少なくとも6bp上昇した。
スワップトレーダーが見込む来年の米利下げ幅の見通しは約110bpと、雇用統計発表前の120bp強から縮小した。11月の非農業部門雇用者数は前月比19万9000人増と、エコノミスト予想中央値の18万5000人増を上回る伸びとなった。失業率は3.7%に予想外に低下した。
ロスMKMのチーフエコノミスト、マイケル・ダーダ氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「これは良好な統計だ。米金融当局がこれを見て、市場が既に織り込んだ来年の早期利下げを受け入れる必要があるとの思いに駆られることは全くないだろう」と語った。
金利先物スワップ市場に反映される3月の利下げ確率は40%と、雇用統計発表前の50%超から低下した。来年3月にも利下げ開始を織り込む債券市場は先走りし過ぎだと指摘していたストラテジストの意見が正当化される格好となった。
ウィンショア・キャピタル・パートナーズのマネジングパートナー、ガング・フー氏は、「今回の統計を受けて、利下げを口にできなくなるだろう」と述べ、「労働市場のトレンドは弱まりつつあるが、人々が思っていたほど弱くはない。インフレも緩和を支持してはいない」と指摘した。
投資家は極めて重要な週を迎える。注目の米消費者物価指数(CPI)が12日に発表されるほか、13日(日本時間14日午前)には米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定が明らかになり、2024年の株式市場と経済を方向付けると予想される。
連邦準備制度は既に利上げを終了し来年半ばまでには利下げを開始するとの観測が強まっており、米国債利回りの急低下と投資家のリスク選好意欲の再燃を招いた。S&P500種株価指数は10月下旬以降の相場上昇で時価総額が約4兆ドル(約580兆円)膨らんだ。借り入れコスト低下で恩恵を受けやすい小型株など、これまで売りたたかれていた市場の一角にトレーダーの買いが集中した。
「連邦準備制度の利上げは終了したとの楽観から株価は上昇している」とインディペンデント・アドバイザー・アライアンス(IAA)のクリス・ザカレリ最高投資責任者は指摘。「10年債利回りが10月中旬からどれだけ低下したかを踏まえれば、合理的な価格設定だ。24年に向け、株価は上昇を続けるもようだ」と述べた。
だが、より注意深く見ると、今後1週間に待ち受ける懸念が見えてくる。S&P500種の今後5営業日の予想ボラティリティーを示す指標は、その後5日間との比較で急上昇している。今週のある時点では、この期間のギャップは3月以降で最も大きくなっており、乱高下に対するヘッジ需要の高まりを示している。
12日には11月の米CPIが発表され、正念場のワンツーパンチが始まる。インフレ鈍化の兆しが見られれば、米金融当局が近いうちに緩和に転じるとの見方が強まり、年末にかけて株価がさらに上昇する可能性はある。ブルームバーグがまとめた予想によれば、CPIは前年同月比3.1%上昇と、6月以来の低い伸びとなる見込み。
12日から2日間の日程で始まるFOMCでは3会合連続で政策据え置きが決まると予想されている。トレーダーらは米金融当局が来年、計1ポイントの利下げを実施すると予想しているため、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)の記者会見や、当局者の金利予測分布図(ドット・プロット)にも特に注目している。
堅調な経済がインフレを高止まりさせ、当局が追加利上げを検討したり、政策金利を高い水準に予想より長い期間維持したりするリスクもある。その場合、23年の相場上昇を大きくけん引してきたハイテク株に重くのしかかる可能性がある。
「来週のパウエル議長の発言は、人々の考えを変える可能性がある。特に、人々の予想よりもタカ派的なトーンの発言があれば、そうなるだろう」とザカレリ氏は指摘した。
S&P500種は今年20%近く上昇し、8日は22年3月以来の高値で取引を終えた。トレーダーは、債券利回りがまだ全般的に低下に向かっているのであれば、年末に向け株価が幅広く値上がりすると期待している。10月19日以来、10年債利回りは5%近くの水準から4.2%前後まで低下。その間、S&P500種は8%近く上昇している。
歴史を振り返ると、債券利回りの大幅な低下は株式市場への追い風となってきた。
ブルームバーグ・インテリジェンスのクリストファー・ケイン・ストラテジストがまとめたデータによると、1980年以降、10年債利回りが1カ月以内に50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)以上低下した例は33回ある。S&P500種のその後の3カ月リターンの中央値は8%近く、ラッセル2000種株価指数は8.2%だった。
「この債券ラリーは、米金融当局がより景気支援的になるとの見方に基づいており、これは株式に有利に働く」と同ストラテジストは指摘した。
個人投資家もこうした楽観に乗っているようだ。JPモルガン・チェースのペン・チェン氏がまとめたデータによると、個人投資家は6日までの1週間で68億ドル相当の米国株を買った。これは、米金融当局が引き締めサイクルを開始した22年3月以降では週間ベースで最大の資金流入だ。
一方、今年の上昇局面で見送り姿勢を取ってきたアクティブマネジャーの多くは、年末までに失った分を取り戻そうとしており、株式相場の勢いはさらに増している。バンク・オブ・アメリカがまとめたデータによれば、大型株のアクティブファンドは先月の相場上昇に後れを取り、ベンチマークを上回ったファンドはわずか41%だった。
ストーンXのグローバル・マクロ戦略ディレクター、ビンセント・デルアード氏は、多くの投資家がリセッション(景気後退)を予想していたと指摘。「アクティブマネジャーにとっては非常に厳しい年だった。多くの人がマクロを見誤った」と語った。
7日朝に電話が鳴った時、みずほ銀行の経済・戦略責任者、ビシュヌ・バラサン氏はシンガポールのアジアスクエアにある自社オフィスビルの7階にいた。円が急騰しており、顧客は今後どうなるかをすぐに知りたがっていた。
「値動きは非常に急だった。大規模なドル・円のスクイーズが起こり、それがクロス取引を通じて波及した。一段のボラティリティーは必至だった」と同氏は話した。
対ドルでほぼ1年ぶりの上昇率につながった円買いの火種はアジア時間にあった。日本銀行の植田和男総裁と副総裁の1人の発言を、トレーダーらは近い将来のマイナス金利政策解除を示唆するものだと受け取った。
30年国債入札の不調が火に油を注いだ。トレーダーが円のショートポジションを解消するのにそれ以上の後押しは必要なく、円は7日のニューヨーク市場で一時4%近くも急騰した。
7日から8日にかけたドル・円急落時にまだ起きていたというトレイダーズ証券の井口喜雄市場部長は、「対応できるようにするためのリスク管理でかなり緊張感が高い状況だった。スピード感でどこまでいくかわからなかったため震えながらやるしかなく、本当に怖かった」と語った。
流動性の薄さ、コンピューターアルゴリズム、円ショートポジションの急激なカバーによって増幅された混乱状態の取引の中で、一部の投資家は傍観を余儀なくされた。円ウオッチャーは8日に発表される米雇用統計が次のきっかけになる可能性が高いとみている。
FPマーケッツのアジア太平洋最高経営責任者(CEO)、ニック・トウィデール氏も、さらなる変動に備える投資家の一人だ。相場が展開する間、同氏はシドニーのブリッジ・ストリートにあるオフィスでパソコンの画面にくぎ付けになっていた。同社のトレーダーらは、欧州の動きを注視して7日夜遅くまでオフィスに詰めていた。その時、円が一段と上昇し多くの投資家がパニック的な買いに加わった。
「このような相場の動きで取引するのはあまりにトリッキーで、流動性ギャップにぶつかった」と、市場歴26年のベテランの同氏は語った。「デスクにいれば、注文を埋めるだけだ。1日に4%もの値動きがあると、双方向の価格を出すのはとても難しい」と話した。
ドル・円相場は7日のアジア市場で147円台前半で取引を開始した後、ニューヨーク市場で141円71銭まで急落した。円はその後上げ幅を縮めたが、アジア時間8日に再び上げ、一時1.1%高となり142円台を付けた。東京時間午後4時22分は1ドル=144円35銭。
オプショントレーダーらは、ジェットコースターのような展開に投資家は「混乱し確信が持てない」状態になっていると話した。
ヘッジファンド、K2アセット・マネジメントの調査責任者、ジョージ・ブーブラス氏のように、マーケットの動きを遠くから見守ることを選ぶ市場関係者もいる。
投資歴30年のベテランの同氏は「私は傍観することにした。市場は日銀の政策転換という大きなテーマについて、1カ月ではなく1日で取引してしまった。同じような動きは恐らくまだ何回もあるだろう」と述べた。
市場に残っている人たちは、8日にあと2回の荒い取引のリスクを覚悟している。
「実際にトレードしている市場参加者は昨日からかなりシビアな状況になっている」と語るのは、ソニーフィナンシャルグループの森本淳太郎シニアアナリストだ。「今晩の米雇用統計で為替相場が大きく振れる可能性があり、欧州時間から米国時間にかけて自宅から対応する」とも述べた。
キャピタル・ドット・コムのアナリスト、カイル・ロッダ氏は、8日午前6時にメルボルンで目覚めた時、携帯電話をチェックするやいなや、今日も忙しい一日になることを悟った。
「これらは異常な値動きだが、同時に市場が転換点にある可能性も示している。これは確実に、日銀が利上げをし米国とのスプレッドが縮小することを市場が織り込むというトレンドの始まりだ」と述べた。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は8日、高インフレと金利上昇により家計が幅広い経済的圧力にさらされているが、深刻なストレスは依然としてまれで、大多数の借り手はローンを返済できているという認識を示した。
中銀の金融安定グループを統括するアンドレア・ブリスチェット氏は、多くの家計がローン返済のために支出削減を余儀なくされ、特に低賃金層が圧迫されていると指摘。
その上で「最も基本的な出費さえ賄うのに苦労するような深刻な経済的ストレスの発生は現在のところ、かなり少数のグループに限られている」と述べた。
中銀が昨年5月に利上げを開始して以降、住宅ローン利用者の大半は最低予定返済額が30─50%増加しているという。
ただ、中銀は住宅ローン返済と必要経費を賄うのに収入が不足している人はわずか5%と推定している。
ブリスチェット氏は「借り手が直面している経済的圧力が金融安定性の問題に発展するリスクは低いとみられる」と述べた。
米ミシガン大学が8日発表した12月の消費者信頼感指数(速報値)は69.4と11月の61.3(確報値)から5カ月ぶりに上昇し8月以来の高水準となった。市場予想中央値の62.0も大幅に上回った。
調査ディレクターのジョアン・スー氏は声明で「消費者信頼感は12月に13%上昇した。主に予想されるインフレ軌道の改善に基づき、過去4カ月の落ち込みを全て帳消しにした」と述べた。
現況指数は74.0と前月の68.3から上昇。期待指数も66.4と56.8から上昇し、7月以来の高水準となった。
1年先のインフレ期待は11月の4.5%から3.1%に低下し、2021年3月以来の低水準。1年先のインフレ期待の月間での1.4%ポイントの低下は過去22年間で最大となる。
5年先のインフレ期待は2.8%と3カ月ぶりの低水準。11月は3.2%と11年3月以来の高水準だった。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場は、雇用統計前には3月利下げ開始の確率を60%程度とみていたが、発表後は50%弱に低下。5月利下げの可能性がより高まったとみている。
FOMCがインフレの鈍化と足並みをそろえて金利を引き下げるなら、経済にとっても投資家にとっても朗報だ。それは景気下降を伴わずにインフレ率を新型コロナウイルス禍前の水準に向かって低下させるというソフトランディングを達成しようとしていることを意味する。
しかし景気の劇的な悪化、リセッション(景気後退)入りやそのリスクを理由に金利を引き下げるのであれば、話は別だ。その場合は、失業率が著しく上昇し、需要減少に伴い企業利益が打撃を受けることが示唆される。
KPMGのチーフエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「利下げを望むのは景気が鈍化し、インフレが減速したからであって、リセッション入りしたからではない」と述べた。
FOMCが利下げを行う動機は、それが何回実施されるのかという見方に影響する。景気がリセッション入りしている、あるいはその危険にさらされているなら、当局者らは急速かつ大幅な緩和を実施する可能性が高いとエコノミストらは指摘している。深刻な景気下降がないなら、小幅で緩やかな利下げになるとみられる。
ゴールドマンでは、見通しを巡り「かなり」の不確実性があると強調し、基調的インフレの鈍化ペースが予想よりも「緩慢」な場合、24年を通じ政策金利を5.25%に据え置かなければならなくなる可能性が30%あるとしている。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の消費者物価は11月に過去3年で最も急ピッチに下落し、生産者コストはマイナス圏でさらに落ち込んだ。
国家統計局の9日の声明によると、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.5%低下。これは2020年11月以来最大の落ち込み。ブルームバーグ集計のエコノミスト予想中央値は0.2%低下だった。
生産者物価指数(PPI)は前年同月比3%低下。市場予想は2.8%低下だった。1年2カ月連続でデフレ領域に陥っている。
CPIの低下は豚肉価格の落ち込みが一因。豚肉の潤沢な供給と消費低迷が市場の重しとなり、政府は価格下支え策を講じた。豚肉は中国のCPIの中で大きな割合を占める。変動の激しい食品・エネルギー価格を除いたコアCPIは前年同月比0.6%上昇と、前月と同じ結果となった。
世界の多くの中央銀行がインフレ抑制に注力している状況とは対照的に、中国は今年の大部分にわたり物価下落に見舞われている。ブルームバーグ・エコノミクスの予測では、住宅不況が需要と価格を抑えており、デフレリスクは24年まで続く見通し。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは、内需低迷でデフレ圧力が高まっていると述べ、「これは、財政政策の重要性を浮き彫りにしている」と指摘した。
●中東
イスラエルのネタニヤフ首相は9日、軍が地上侵攻するパレスチナ自治区ガザで「イスラム組織ハマスを掃討するため、正義の戦争を継続する」と宣言した。中東メディアによると、軍は10日もハマスの拠点と見なすガザ南部への攻勢を強め、南部の最大都市ハンユニスでは住宅への爆撃で子どもを含む10人が死亡した。ガザ保健当局によると、戦闘開始以来のガザ側の死者は1万7700人に達した。
イスラエルメディアによると、同国のハネグビ国家安全保障顧問は9日、ハマス戦闘員の死者数について推定7千人以上だと述べた。
一方、イスラエルと敵対するイエメンの親イラン武装組織フーシ派は9日、ガザに食料や医薬品が搬入されなければイスラエルに向かう全ての船を標的にすると警告した。これまでイスラエルの実業家が関係するとされる船を拿捕するなどしており、けん制を強めた。
フランス軍によると、紅海で展開する同国のフリゲート艦は9日、イエメン沿岸から飛んできた無人機2機を撃墜した。
イスラエル軍はハンユニスの住民に一方的に退避を要求し、混乱が広がっている。国際非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン」は9日「パレスチナの子どもたちや家族を『安全地帯』という名の『死の地帯』に押し込めている」とイスラエルを非難した。
国連安全保障理事会は8日、即時停戦を求める決議案を米国の拒否権行使により否決した。ネタニヤフ氏は、米国が「正しい姿勢」を示したと高く評価した。
ファイサル王子は、ガザ停戦決議に対する米国の拒否権行使に反対した
ファイサル王子は、アンソニー・ブリンケン米国務長官と会談でガザについて協議
まず、仮にアメリカとイスラエルがハマスの強大化を防ぐことに真剣に取り組むのであれば、彼らは16年前にハマスの最大の支援者とも言うべきベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相が「ハマスをテロ組織からパートナーに格上げ」するのを止めることでそうすべきだったのだ。「タイムズ・オブ・イスラエル」紙は最近、このような表現でネタニヤフ氏が長年行ってきた、ヨルダン川西岸地区の正統なパレスチナ自治政府を弱体化させるとともにガザのハマスに力を与えることでパレスチナの分裂を促進する政策を厳しく批判した。
テヘラン:イランは2023年12月9日土曜日、前米大統領ドナルド・トランプ氏によって事実上破棄された、世界各国との重要な核合意の復活に向けた試みは、ますます「無意味」になっていると述べた。
イラン外相のホセイン・アミール・アブドラヒアン氏は、テヘラン大学で学生たちに向け行った演説の中で、協定の正式名称の頭文字を用い「今日、我々が前進すればするほど、JCPOAは無意味となる」と述べた。
2015年、イランは経済制裁の緩和と引き換えに核開発計画を抑制することに合意した。
しかし、この協定は中国、ロシア、イギリス、フランス、ドイツを含む複数の世界的大国と締結されたものの、2018年にトランプ大統領政権下でアメリカが一方的に離脱したことで、事実上、機能不全となった。
アメリカが制裁を再開したことで、国際的な銀行や企業はアメリカの規制に引っかかることを恐れ、イランから距離を置いている。
トランプ氏の後任、米大統領のジョー・バイデン氏による核合意再建の取り組みは、2022年半ば以降、行き詰まっている。
「(イランの)レッドラインは無視されることもあり、現在のところ、合意復活の道筋は立っていない」とアミール・アブドラヒアン氏は述べた。
「もちろん、これは協定を破棄したという意味ではない。協定が我々の利益に資するものであれば、欠点があろうとも(協定を)受け入れる」と付け加えた。
国際原子力機関(IAEA)事務局長のラファエル・グロッシ氏は10月、イランについて、核兵器を開発した北朝鮮と同じ轍を世界は踏んではならないと、国際社会に呼びかけた。
イランは、核開発をあくまで平和利用のためのものであると主張しているが、2021年以降、IAEAは核開発の監視に手を焼いている。
●中南米・アフリカ
アルゼンチンで10日、急進的なリバタリアン(自由至上主義)で知られるハビエル・ミレイ氏(53)が大統領に就任した。宣誓式後の演説で、インフレ率が200%に迫るなどこの数十年で最悪の経済危機から脱するには急激で痛みを伴う改革以外に選択肢はないと強調した。
「前政権はわれわれをハイパーインフレへの道筋に残したが、そうした壊滅的状況を回避するため、あらゆる措置を講じる」などと述べた。
演説では詳細には触れなかったが、主な措置には歳出削減を通じた国内総生産(GDP)の5%に相当する財政調整が含まれると述べた。
ミレイ氏は中央銀行と通貨ペソの廃止や、歳出削減など痛みを伴う改革を訴えて大統領選を勝ち抜いた。投資家は大胆な経済改革案を評価、経済の立て直しにつながる可能性があるが、既に5分の2以上が貧困状態にある国民がさらに苦しむことにもなりかねない。
●市況
<為替> ドルが上昇した。11月の米雇用統計で労働市場の基調的な力強さが確認され、利下げ観測が後ずれした。
スタンダード・チャータード・バンク(ニューヨーク)のグローバルG10外為調査部門責任者、スティーブン・イングランダー氏は「FRBを様子見姿勢から脱却させるようなデータは今のところは出ていない」としている。
<債券> 米債利回りが急上昇した。11月の米雇用者数の伸びが予想を上回ったことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が早ければ3月にも利下げに踏み切るとの観測が後退した。
CMEグループのフェドウオッチによると、今回の米雇用統計を受けて、来年3月に0.25%ポイントの利下げが決定される確率が前日の65%から46%に低下した。
<株式> 続伸して取引を終えた。11月の米雇用統計が堅調な内容となり、経済のソフトランディング(軟着陸)に対する投資家の楽観的な見方が強まったことを受け、S&P総合500種とナスダック総合は終値ベースで2022年初以来の高値を付けた。
個別銘柄では、米半導体大手エヌビディア(NVDA.O)とメタ・プラットフォームズ(META.O)がそれぞれ2%近く上昇した。
グーグルの持ち株会社アルファベット(GOOGL.O)は1.4%下落し、前日の上昇分を吐き出した。
米ハネウェル・インターナショナル(HON.O)は1.6%下落した。米空調大手キヤリア・グローバル(CARR.N)のセキュリティー事業を49億5000万ドルで買収すると発表した。キャリアは4%近く上昇した。
<米原油先物> 安値拾いの買いが入り、7営業日ぶりに反発した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物は前日清算値(終値に相当)比1.89ドル(2.73%)高の1バレル=71.23ドルだった。2月物は1.85ドル高の71.44ドル。週間では3.83%安で、7週連続での下落となった。
<ロンドン株式市場> 上昇して取引を終え、FTSE100種指数(.FTSE)は終値で10月中旬以来、約1カ月半ぶりの高値を付けた。原油価格の反発を受けて石油大手が買われたのが相場を支えた。週間ベースでは0.33%高と、2週連続で上昇した。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。高級品株の買いが優勢だった。主要中央銀行の今回の利上げ局面が終了し、来年早期には利下げが始まるとの観測も相場を支援した。
8日にSTOXX欧州高級品株10種指数(.STXLUXP)は2.07%上昇した。
2023年の中間配当を発表したフランスの高級ブランド「グッチ」を抱えるケリング(PRTP.PA)が2.6%高。同業LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)(LVMH.PA)は3.3%、エルメス(HRMS.PA)は1.5%それぞれ上げた。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが上昇した。予想を上回る11月米雇用統計を受け、米連邦準備理事会(FRB)による来年早々の利下げ期待が後退した。
日経先物32,490、ダウ先36,643、債先144.76、米4.229、独2.2595、仏2.813、西3.276、伊4.042、英4.0600、波5.339、原油71.26、銅8,437、ドル円144.95、ユーロドル1.0764
※12/8 NY引け値

備忘録(2023/12/7)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米製薬大手アッヴィ(ABBV.N)は6日、同業セレベル・セラピューティクス(CERE.O)を約87億ドルで買収すると発表した。
アッヴィはセレベルの全ての発行済み株式を1株当たり45ドルで買い取る。買収価格はセレベル株の6日終値に22%のプレミアムを上乗せした水準。
アッヴィは主力の関節リウマチ治療薬ヒュミラがバイオ後続品との競争に直面する中、新たな大型新薬を検討している。一方でセレベルはアルツハイマー病、精神疾患、てんかん、パニック障害、パーキンソン病などの治療薬を開発している。同社は現在、統合失調症の治療薬エムラクリジンの臨床試験を進めている。
セレベルは2018年、米製薬大手ファイザー(PFE.N)の中枢神経系疾患治療薬部門が独立して誕生した。
●その他産業
米国で「1ドルショップ」の収益力が低下している。根強いインフレで消費者の節約志向が高まるなか、日用雑貨の購入場所として高い人気があったが、直近の決算では既存店で客単価の低下が目立つ。主要顧客の低所得層の消費に陰りが出てきているほか、中国系の格安通販などとの競争激化も変調の要因とみられる。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
日本銀行による早期のマイナス金利解除を見込むエコノミストが一段と増えている。2%の物価安定目標の実現可能性の高まりとともに、来年4月までの解除見通しが同会合の5割を筆頭に7割弱に達している。
ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に1-6日に実施した調査によると、日銀が現在マイナス0.1%の短期政策金利を引き上げる時期は、来年4月の会合までの予想が67%となった。最多は4月の50%で、前回の10月会合前の調査の29%から大きく上昇。次いで来年1月が15%となった。今月会合での解除を見込むエコノミストはおらず、94%は現状維持を予想している。
調査結果は足元の市場動向と整合的だ。植田和男総裁は7日、金融政策運営に関して「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」と発言。6日には氷見野良三副総裁が出口局面における家計や企業、金融機関への影響に言及した。市場には早期の正常化観測が急速に広がり、7日の債券市場で新発10年債利回りは一時前日比10.5ベーシスポイント(bp)高い0.75%を付け、今年最大の上昇幅を記録した。
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、これまでの日銀の説明を踏まえると正常化の条件がそろうのは「来年の春闘賃上げ率が今年と同程度以上になり、賃金上昇がサービス価格を押し上げていることが確認できる来年3月以降」と指摘。政策変更のタイミングは経済・物価情勢の展望(展望リポート)で物価見通しを示す来年4月が妥当と語った。
他方、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「流れとして最も美しいのは、来年4月のマイナス金利解除」としつつ、金融市場や政治情勢がどう転ぶかわからない状況の中で、「日銀としてはできるだけ早く宿題を片付けてしまいたい潜在願望はあるだろう」とみる。1月か3月の会合でマイナス金利解除が決まる可能性が「少なからずある」との見方を示した。
金融政策の正常化に対する市場の織り込みが進む中、94%のエコノミストは、マイナス金利を解除しても日本経済に大きな悪影響を与えることにはならないとみている。
日銀は2%物価目標の持続的・安定的な実現が見通せるまで現行のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の枠組みとマイナス金利を維持する方針を示している。実現のカギを握る来年の賃上げについて、エコノミストの52%は30年ぶりの高水準となった今年よりも高くなると予想。71%が物価安定目標を達成する可能性が高まっていると回答した。
政策の正常化局面におけるマイナス金利とYCCの枠組みの取り扱いについては、46%が「同時に廃止する」と予想した。マイナス金利先行が31%、YCC先行が19%だった。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、来年4月にマイナス金利が解除され、同時にYCCが再修正されるとしつつ、YCCは「金利急騰時のバックストップとして枠組み自体は当面残されよう」と指摘。その上で、「連続利上げに入る前に、日銀は国債買い入れ減額を進め、量的引き締め局面に入るだろう」とみている。
前回の10月会合では、米金利に連動して日本の金利に上昇圧力がかかる中で、長期金利の1%超えを容認するYCCの運用柔軟化が決まった。ソシエテ・ジェネラル証券の劔崎仁調査部長氏は、「足元で長期金利が1%を大きく上回る可能性が高まっていることもなく、市場機能も改善方向にある」とし、今月会合の現状維持を見込んでいる。
米投資会社KKRはパブリックおよびプライベートのクレジット市場で起きている動揺をよそに、来年には高利回り債を購入し、有利なディールを成立させる機会を狙っている。
デフォルト(債務不履行)の波やプライベート融資セクターの崩壊に対する「市場の懸念」は行き過ぎだと、KKRではみている。市場の一角では弱さが増しているものの、貸し手にとっては優良な借り手とディールを成立させる上で依然乏しい資本状況が恩恵となる可能性が高いと、同社のクレジット・マーケッツ共同責任者クリストファー・シェルドン氏とクライアント・パートナーグループのディレクター、ロリー・オファレル氏は指摘した。
両氏は資産を担保とする資金調達やジャンク(投資不適格)債にも機会があるとし、これらは過去10年間にリスクがかなり低下したとの見方を示した。
「世界的な金融危機に匹敵するようなバリュエーション底入れを待っている投資家は、失望するかもしれない」と両氏は7日の投資家向け書簡に記述。「2024年以降に目を向けると、魅力的な機会の年になるだろうと心が躍る思いだ」と続けた。
米金融当局による数十年ぶりの積極引き締め政策で、企業ファンダメンタルズが悪化するとの懸念は強まっている。ウォール街の一部では、高金利の長期化がいずれクレジット市場全般での広範なデフォルトにつながり、プライベート資産クラスへの打撃となるのではないかと懸念されている。
KKRでも、流動性が高いクレジットとプライベートクレジットの両方でデフォルトは増加する可能性が高いとみている。しかしジャンク債市場の全般的な質改善により、デフォルトの大量発生は防げるとKKRは考えており、質の高い借り手に注力しているプライベートの貸し手も影響を受けないだろうとしている。
米債券市場の急反発はほぼ想定外の展開だった。米経済が利上げに対して驚くべき耐性を示す中で、債券価格は毎月、下落の一途をたどっていた。10月下旬には、米10年債利回りが2007年以来初めて5%の節目を突破。米国債は3年連続のマイナスに向かっていた。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリスト陣は、米史上最悪の下げになりそうだと予想した。
そこに、待望のシグナルがついに投資家に届いた。
11月1日、米連邦公開市場委員会(FOMC)は2会合連続の金利据え置きを決定。一方で、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は40年ぶりの積極的な金融引き締めにようやく終止符を打つ考えを示唆した。その後、景気が冷え込みつつあり、インフレ率が予想以上のペースで鈍化していることを示すデータが相次いだ。
その結果、高格付け債券は11月、1980年代半ば以来の大幅な月間リターンを記録するほどの急騰を演じ、年初来でわずかなプラスに転じた。米金融当局が来年利下げに転じるとの観測が追い風となり、株価も跳ね上がった。欧州中央銀行(ECB)も金融緩和を開始すると見込まれている。
とはいえ、過去2年はいつわりの夜明けが続いた。長らく金融緩和時代に慣れた投資家らは米金融当局のハト派ピボットを予想し、何度も足元をすくわれた。ドイツ銀行によると、それは6回あった。だが、ここにきてウォール街全体が今回こそは本物だとの確信を強めている。
アメリプライズ・ファイナンシャルのチーフ市場ストラテジスト、アンソニー・サグリンビーン氏は「市場には今、2024年の利下げの道筋がはっきり見えており、株も債券も金融緩和の可能性を折り込み始めている」と述べる。
こうしたセンチメントの変化には一定の確かな裏付けがある。米金融当局がインフレ指標として重視する米個人消費支出(PCE)総合価格指数は10月、前年比の上昇率がピーク時の7.1%から3%へと鈍化し、米金融当局の目標である2%が視界に入ってきた。個人消費は疲弊の兆しを見せており、かつて爆発的な伸びを見せていた雇用と賃金も冷え込みつつある。
ルネッサンス・マクロ・リサーチの米経済調査責任者、ニール・ダッタ氏はブルームバーグ・テレビジョンに対して「多くのディスインフレが進行中だ」と指摘。「(裏付けとなる)データは積み上がっており、おそらく来年3月の利下げに向けた軌道上にある」と語った。
市場もこうした見方に傾いている。タカ派だった米金融当局者らがもう十分に利上げを行ったとの考えを示唆したことに反応し、先物市場は3月までの利下げ開始を折り込み始めた。こうした見立てを背景に、S&P500種株価指数は11月におよそ9%値上がり。金利に敏感なグロース株を中心に構成するナスダック100指数はそれ以上に上昇した。
もっとも、市場が再び先走っているリスクはくすぶる。パウエル議長は12月1日、米金融当局がいつ利下げに踏み切るかを推測するのは「時期尚早」だと言明。インフレとの闘いで勝利宣言を急ぐつもりはないことを示唆し、市場の利下げ観測をけん制した。もちろん、国債利回りの先行きは最終的には経済動向が左右する。国債利回りは、住宅ローンや苦境にある企業への融資など、あらゆる借り入れのコストに影響するため、その行方は極めて重要だ。
今のところ、利回りはすでにピークに達しているとの見方から、10年債利回りは4%に向かって低下傾向にある。好調なデータが相次ぎ、最近の下げ幅を縮めてもだ。ウォール街では成長とインフレが鈍化する「ソフトランディング(軟着陸)」と景気後退に陥る「ハードランディング(硬着陸)」の双方のシナリオが議論されている。いずれに転んでも、利下げにつながる公算が大きいため、債券にとっては追い風だ。
先物市場は、2024年末までに政策金利が現在の5.25-5.5%から4%程度まで引き下げられるとの見方を織り込んでおり、すでに一段と穏やかなシナリオを想定しているようだ。それでも、政策金利は2022年終盤の水準に戻るに過ぎない。インフレ鈍化を踏まえると、米金融当局がアクセルを踏むというより、むしろブレーキから足を離していると言えそうだ。
それが現実のものとなるか懐疑的にみている著名投資家もいる。米運用会社パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメント創業者で資産家のビル・アックマン氏は、米金融当局が早期に利下げに転じなければ、景気の腰折れを招きかねないとの見方を示している。
こうした根強い懸念が株式市場の高揚感を後退させている。パイパー・サンドラーのチーフ投資ストラテジスト、マイケル・カントロウィッツ氏は、米金融当局による利上げの全面的な影響が今ようやく感じられ始めたところだと指摘する。そのため、ソフトランディングのシナリオから恩恵を受けそうな銀行や自動車メーカーなどの株を積極的に購入しないよう注意を促している。「当社では『任務完了 』の看板を掲げるのは早過ぎると考えている」と、リポートで指摘した。
債券保有者にとっては、金利がこれから据え置かれても、損失が積み上がることはないだろう。11月の上昇のおかげで、国債と社債を含む投資適格級債の指標は年初から12月初めまでに2.5%のプラスとなった。わずかなプラス幅だが、2022年に13%のマイナスとなったことを踏まえれば歓迎すべき好転だ。
JPモルガン・チェースのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は、現時点で株式市場の方向性を予測することが最も難しいと話す。「ソフトランディングならリスク資産は大丈夫だ」だが、「ハードランディングとなれば、リスク資産にとっては大きな問題になる」と同氏は指摘。一方で「金融当局はいずれかの時点で利下げを行う見通しだ。われわれはタイミングの規模について議論できる」と述べ、債券については自信を深めている。
債券市場の痛みはついに終わるとの市場関係者の確信は揺らいでいない。これは、パウエル議長がソフトランディングを実現しそうなことを意味するかもしれない。あるいは、経済の痛みは始まったばかりだということを示唆している可能性もある。
14日に発表される欧州中央銀行(ECB)の最新の経済見通しとそれに伴うラガルド総裁のメッセージに市場は注目するだろう。同総裁は投資家の間で高まる2024年の利下げ観測をどの程度押し戻すか思案中に違いない。
インフレ率が急速に低下し経済は低迷、タカ派的な当局者が姿勢を転換したことで、トレーダーは早ければ来年3月にも利下げがあるとみている。24年末までには中銀預金金利が現在の4%が2.5%まで低下するとの予想も市場に織り込まれている。
市場が正しければ、ECBは来年、主要中銀の中で最初に利下げに踏み切り、最も積極的な緩和サイクルを展開することになる。しかし、新たな予測では経済背景の変化と物価見通しの低下を認める必要があるにもかかわらず、当局者には行動を急ぐ様子はない。
当局が直面している苦境は、米連邦準備制度がタカ派姿勢に転換し、投資家がECBの利上げを予想し始めた21年12月を彷彿(ほうふつ)とさせる。当時の予測ではインフレ加速が見込まれていたが、利上げが開始されたのはその7カ月後となり、多くのオブザーバーはECBが出遅れたと判断した。
14日の決定を控え7日から発言自粛期間に入るラガルド氏らECB当局者は今、同じようなトレードオフを迫られている。尚早な利下げでインフレを再燃させるリスクか、抑制し過ぎで経済を失速させるリスクかに頭を悩ませているだろう。
アリアンツのシニア投資ストラテジスト、ビョエルン・グリースバッハ氏は、消費者物価上昇の危険はまだ多くの当局者の頭の中にあると考えている。「予測は非常に重要だ。一つはっきりしているのは、インフレ率の低下が必要だということだ。ECBはインフレ過小評価の過ちを再び犯すことを避けようと決意している」と同氏は指摘する。
ラガルド総裁が14日に公表する予測の最終的な詰めを当局者らは行っている。
12月の予測は9月のものよりも包括的で、各国中銀の半年ごとの数字をまとめる作業が必要だ。また、今回の予測は初めて、26年までの見通しを含むものになる。
ECBは以前、来年のインフレ率は平均3.2%となり25年後半に2%の目標に戻ると予測していた。しかし11月の消費者物価指数上昇率が2.4%と21年半ば以来の低水準に鈍化したことで、前回の見通しはますます実情から懸け離れたものに見えつつある。
タカ派とされるシュナーベル理事は11月のインフレ低下について「驚くべきもの」だと述べ、追加利上げの可能性は低いと認めた。ビレロワドガロー・フランス中銀総裁は、24年に利下げの問題が浮上する可能性があると発言した。
米失業保険統計では、継続受給者数が7月以来の大幅減となった。調査対象週には感謝祭の祝日が含まれる。それまでの2カ月間は増加が続いていた。
失業保険統計は、特にホリデーシーズンには週ごとの変動が大きくなり得る。変動のより少ない4週移動平均で見れば、継続受給者数は2年ぶり高水準で推移している。
今回の統計で継続受給者数は減少したものの、労働市場の沈静化の兆候が強まる中でなお高水準にとどまっている。雇用の創出はおおむね健全な状態が続いているが、採用にブレーキをかける雇用主が増え、失業は増加、賃金の伸びは勢いを失いつつある。
新規失業保険申請件数(12月2日終了週)は1000件増の22万件で、市場予想に一致した。
別の統計でも労働市場に沈静化の兆候が示された。再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによれば、米国に拠点を置く雇用主は11月に合計4万5510人の削減を発表。この数は前年同月を下回るが、前月比では24%の増加だ。
シニアバイスプレジデントのアンドルー・チャレンジャー氏は発表文で、「雇用市場は緩みつつあり、雇用主はあまり早急に採用に動いていない」と指摘。「労働市場は安定化しつつあり、通常ペースでの入れ替わりに近づいているようだ。ただ、来年頭にかけてレイオフは続くと予想している」と分析した。
季節調整前ベースでは、新規失業保険申請件数は2022年1月以来の大幅増。人口の多いカリフォルニアやニューヨーク、テキサスといった州で増加が目立った。
米労働省が7日発表した失業保険統計によると、米企業の解雇動向を映す11月26日〜12月2日の週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は22万件だった。前週の改定値から1000件増え、ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(22万2000件)をわずかに下回った。労働需要の過熱が収まる一方、人員削減に踏み切る米企業はなお少ない。
失業保険統計のデータは年末にかけ振れ幅が大きくなる傾向にある。週ごとの変動が少ない4週間移動平均は前週から500件増加し、22万750件となった。
11月19〜25日の週間の総受給者数は186万1000人と前週から6万4000人減った。ただ、基調としては総受給者数は増加傾向にあり、失業者の再就職が難しくなっている可能性がある。
一方、米調査会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスが7日発表した調査によると、米企業や政府機関による11月の人員削減は計4万5510人だった。前年同月比では41%減った。前月比では24%増えた。
同社のアンドリュー・チャレンジャー氏は「労働市場が緩み、企業も採用をためらうようになった。労働市場は正常化しつつある。新年に入り解雇も増えるだろう」と分析した。
市場は8日発表の11月の米雇用統計で非農業部門の就業者数が19万人増えると予想している。
米連邦準備理事会(FRB)が7日に発表したデータによると、第3・四半期の家計資産は前期から1%ほど減少し、約151兆ドルとなった。
第2・四半期末は152兆3000億ドルだった。
家計資産が減少したのは2022年第3・四半期以来1年ぶり。インフレ抑制に向けた米連邦準備理事会(FRB)の利上げにより、株式市場が下落したことなどが影響した。
S&P500トータルリターン指数(.SPXTR)の配当再投資を含めた第3・四半期のリターンは3.27%低下した。
家計の現金保有残高(銀行預金や投資信託など)は17兆7000億ドルと、6四半期連続で減少。ピークだった22年第1・四半期末には約18兆3000億ドルだった。
家計、企業、政府の債務残高も引き続き増加した。ただ、前四半期よりペースは鈍化した。
非金融部門の総債務残高は前年同期比5.2%増の73兆ドルに達した。内訳は、家計が19兆8000億ドル、企業が21兆2000億ドル、政府が32兆ドルだった。前期は6.3%増だった。
国際通貨基金(IMF)は7日、米国の金融政策は引き続き適切であり、インフレ率を「持続的に」低下させるためには、金利は現在の水準を維持する必要があると述べた。
IMFのジュリー・コザック報道官は、米経済は「かなり耐性がある」ことが証明されたと指摘。「2024年まで現在の金利水準を維持する必要があるだろう」とした。
金融大手ゴールドマン・サックスのエコノミストは7日、欧州中央銀行(ECB)が2024年4月から毎回の会合で0.25%ポイントの利下げを実施し、政策金利が2025年初めまでに現在の4%から2.25%まで低下すると予想した。
エコノミストは利下げ開始時期について、「底堅い成長見通し、継続中の賃金の強い伸び、基調インフレ鈍化を裏付ける一段のデータを踏まえ、4月となる確率がより高い」という見方を示した。従来予想では、四半期ごとに0.25%ポイントの利下げを実施すると見込んでいた
ドイツ連邦統計庁が7日発表した10月の鉱工業生産指数は前月比0.4%低下と、5カ月連続の低下となった。低下は予想外。
ロイターがまとめた市場予想は0.2%上昇だった。機械工学部門の生産減少が主因だが、建設など他の多くの部分でも減少した。
VPバンク・グループのチーフエコノミスト、トーマス・ギッツェル氏は「鉱工業生産は悲惨な状況が続いている」と述べた。過去2年間の受注低迷が現在、生産に打撃を与えていると指摘した。
コメルツ銀行のシニアエコノミスト、ラルフ・ソルベン氏は高水準のエネルギー価格や外需の低迷、融資条件の厳格化などが産業部門を引き続き圧迫していると分析した。
10月の鉱工業生産指数は独経済が第4・四半期もマイナス成長になるとの予想と整合的だと述べた。
9月の改定値は前月比1.3%低下。速報値は1.4%低下だった。
月単位の変動をならした3カ月間で見ると8─10月は前の3カ月に比べて1.9%低下した。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当チーフエコノミスト、アンドリュー・ケニンガム氏は「産業部門の低迷はまだしばらく続く可能性が高い」との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)のジュリー・コザック報道官は7日の定例記者会見で、日銀の金融政策について「インフレ目標が持続的に達成できることが明らかになった際に備えて、短期の政策金利を引き上げる用意を続けるべきだ」と話した。マイナス金利政策の解除が選択肢になるという考えを示した。
英政府は6日、英国に入国した不法移民をルワンダに強制移送することを可能にする法案を公表した。法案はルワンダを移送先として「安全な国」と定義。英最高裁や人権団体からの懸念や批判をかわす狙いだが、与党保守党の一部強硬派は内容が「不十分だ」と反発し、ジェンリック移民担当閣外相が辞任した。
法案は7日に下院に提出された。12日に審議される予定。スナク首相は7日、ジェンリック氏に代わる2人の移民担当相を指名した。
スナク氏は7日の記者会見で、法案は「これまでで最も厳しい移民対策で(不法移民が乗った)ボートを止めるだろう」と強調した。自らも移民の子だったとし、不法移民は国の基盤である公平性を損なうと訴え、党内の反発にかかわらず、対策を「最後までやり遂げる」と決意を示した。
英政府は近年増加傾向にある小型ボートによる密入国対策として、2022年4月に不法移民を亡命希望者として受け入れてもらうための協定をルワンダと締結した。だが移民が母国に送還される危険があるとして英最高裁が今年11月、違法との判断を示した。
スナク政権は今月5日、移民を安全でない第三国へ送還しないよう保証することを柱とする新協定をルワンダと締結。公表した法案では、ルワンダは国際法に反し移民を他国へ移送しない国と位置付けた。
オーストラリアで移民の増加を受け、住宅価格が高騰している。労働市場の逼迫に備えて移民受け入れを続ける必要がある一方、住宅に手が出ない国民の不満は高まっている。移民抑制策を打ち出せば効果的との声もあがっているが、移民大国の豪州で支持を得るのは難しい。アルバニージー政権にとって深刻な課題となりつつある
●中国・アジア・ロシア・東欧
格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは今週、中国の国債格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げると発表する前に、中国在勤スタッフに在宅勤務を勧めていたと、英紙フィナンシャル・タイムズが報じた。
同紙はムーディーズ社員2人の情報として、北京と上海に勤務する非管理部門の職員はオフィスに出勤しないよう助言されたと報じた。このうち1人は、格付け見通し引き下げ後に政府の調査が入ることを恐れてのことだろうと述べたという。
同じ社員によるとムーディーズは発表に先立ち、香港のアナリストに当面は中国本土への渡航を避けるよう指示したと同紙は伝えた。
ムーディーズは「格付けプロセスの機密性と誠実さを維持するコミットメントを当社は最重視している」として、社内での議論についてコメントを控えた。
ロシアのベテラン民主派政治家、グリゴリー・ヤブリンスキー氏はウクライナとの和平を呼びかけ、自身の政治生命で最後になるかもしれないプーチン大統領への挑戦を仕掛けている。
ロシア大統領選挙にこれまで3回出馬したヤブリンスキー氏は、来年の大統領選でプーチン氏に挑むことを検討中だ。ただ、前回2018年の選挙では1%程度の票しか得られず、今回出馬するとしても結果に幻想は抱いていない。
モスクワからオンラインでのインタビューに応じたヤブリンスキー氏は「結果は今の段階で言える。投票率75%、プーチン氏の得票率は78%だ」と語った。
ロシア上院は7日、大統領選の日程を来年3月17日に設定した。ウクライナでの戦争に対する市民の支持を演出すべく圧勝を収めようと政府当局者が決意する中で、プーチン氏は5期目を目指す立候補を表明すると広く見込まれている。同氏に反対する政治家はほぼ全員が刑務所または外国におり、ヤブリンスキー氏のような声は政治議論の片隅でかろうじて生きながらえている。
民主派政党ヤブロコの創設者でもある同氏(71)は、10月26日に約2年ぶりにプーチン氏と会談。会談は1時間半にわたり、「極めて真剣な会話」をしたという。休戦と和平交渉の必要性をプーチン氏に説いたが、「結論は出なかった」と述べた。
ソ連崩壊以降に北大西洋条約機構(NATO)がロシア国境に向かって拡大し続けていることで、プーチン氏は「ベルサイユ・シンドローム」にかかっているとヤブリンスキー氏は指摘。第1次大戦後の賠償金への不満がヒトラーの台頭を許したドイツの状況になぞらえた。
ただ、ヤブリンスキー氏の主なメッセージは、欧州で第2次大戦後最悪の戦争を終結させる交渉に臨むよう米国とその同盟国に求めるというものだ。その交渉はウクライナが現在支配する「領土の80%を保全することについてだ」と語った。ウクライナはロシアからの領土奪回に苦戦し、過去1年にわたり戦線がこう着している。
和平交渉は「1カ月以内に始まるかもしれないし、1年または2年かかるかもしれないが、その時はやってくる。これは不可避だ」と主張し、「人々が死んでいくのを止める必要がある。われわれはおぞましい対価を支払っており、ウクライナの破壊は続いている」と述べた。
●中東
米国のジョン・ファイナー大統領副補佐官(国家安全保障担当)は7日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派がイスラエルや紅海の船舶にミサイルやドローンで攻撃していることについて、イランのイスラム革命防衛隊が計画・実行を支援しているとの米政府の見解を示した。
「これらの攻撃の計画、実行、是認に関与し、つまりは支援しているとわれわれは考えている」とコロラド州アスペンで開かれた安全保障関連会議で語った。
イランは、フーシ派の対イスラエルや紅海での攻撃への関与を否定している。
フーシ派は、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザでのイスラム組織ハマスへの攻撃に報復していると主張している。
バイデン米大統領は7日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、パレスチナ自治区ガザでのイスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘を巡り協議を続けた。ホワイトハウスの当局者が明らかにした。
また、米国務省高官によると、ブリンケン国務長官もイスラエルのダーマー戦略相と会談し、イスラエル軍はガザ南部での攻撃で民間人を守るために一層の努力をする必要があると伝えた。さらに、ガザへの人道支援をさらに容認するよう訴えた。
イランのライシ大統領は7日、モスクワを訪問し、ロシアのプーチン大統領と会談した。会談の冒頭、パレスチナ自治区ガザでイスラエルによるパレスチナ人の「大量虐殺」を西側諸国が支援していると非難した。
テレビで報じられた冒頭発言では、両首脳とも両国の軍事協力の拡大には言及しなかった。
プーチン大統領は、中東情勢、特にパレスチナ問題を話し合うことが非常に重要だと応じた。
ライシ大統領は「パレスチナとガザで起きていることは言うまでもなく大量虐殺であり、人道に対する犯罪だ」とした上で、これが米国と西側諸国によって支持されていることは「さらに悲しいことだ」と述べた。
イランはガザを実効支配するイスラム組織ハマスを支援している。ロシアはハマスやイスラエルを含め、同地域の主要先と幅広く関係を保っている。
ロシア大統領府は、6日のプーチン大統領とサウジアラビアのムハンマド皇太子との会談について、原油市場における石油輸出国機構(OPEC)プラスの協力と中東情勢が話し合われたと明らかにした。
この会談は、当初は皇太子がモスクワを訪問する予定だったが直前に変更となりプーチン大統領がリヤドを訪問した。
異例の外遊が急きょ実施された理由は不明。
ロシアとサウジはOPECと非加盟の産油国からなるOPECプラスの主要メンバー。先の会合ではさらなる減産を決定したが、原油価格は下落している。
ロシアの通信社によると、大統領府のぺスコフ報道官は、会談ではOPECプラスでの協力が話し合われたと発言。「国際的なエネルギー市場を適正な水準、かつ安定的で予測可能な状態に維持するために両国は多大な責任を負っているとの認識で一致した」という。
皇太子は会談で両国間の協調が「中東での緊張を取り除くのに役立った」と称賛。
両国には共通の利益があり、お互いと中東全体、そして世界の利益のために行動していると評価した。
会談でプーチン氏は皇太子に笑顔で、予定は変更となったが両国の友好関係の発展を妨げるものはないと強調。次回はモスクワで会談することに意欲を示した。皇太子も同意した。
ロシアが中東に外交攻勢をかけている。プーチン大統領は6日、アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアを訪れた。7日にはモスクワでイランのライシ大統領と会談する。中東の地域大国と関係を強化し、ロシアのウクライナ軍事侵攻を非難する米国との分断を図る狙いだ。
サウジアラビア政府は6日、2024年予算を発表した。財政赤字は790億サウジリヤル(約3兆円)と23年見通しの820億リヤルから赤字幅がやや縮小する。原油価格の下落などが歳入を押し下げるが、石油収入への依存から脱却を図る経済改革に向けた歳出は続ける方針だ。
サウジアラビア外務省は外交活動の中心地である。近年の王国の広範な変革の中で、より目立たない側面の一つが、多極化する世界に対応するための外交政策の転換だった。西側諸国から誘致され、東側で拡大し、周辺地域で再浮上しているサウジアラビアの外交地図は塗り替えられつつあり、ここ数カ月の経験によってこのことがクローズアップされている。
サウジアラビアの外相という役割は、常に権威あるものだった。この役割は、数十年間にわたって後のファイサル国王の支配下にあり、その息子、サウード・ビン・ファイサル王子のもとでも同じ形を維持した。しかし、この役割は、現職のファイサル・ビン・ファルハーン王子の下で再構築された。控えめで勤勉、そして不屈の精神を持つ彼は、サウジアラビアの大胆な外交政策の再構築を象徴している。米国の国務長官や中国の指導者と会談する時も、カイロで王国を代表する時も、パリにおいて万博の招致の成功を支援する時も、ファイサル王子はアラブ世界が強い発言力を欠いている今、その役割を巧みに、そして慎重に遂行してきた。
国際舞台における王国の新たな発言力は、同国の指導者が打ち出した野心的なビジョンの反映である。この計画の下、サウジ社会と経済を活性化させる努力は明らかである一方、世界の舞台における王国の行動は、政治面における同様の努力を示している。サウジアラビアの外交政策は、同国の戦略的重要性、資源、宗教的意味合いにふさわしいものへと向かっており、その変化は顕著に見て取れる。
米国がこの地域から後退し、ホワイトハウスの政権が相次いで中国の台頭とロシアの再浮上に焦点を当てる中、サウジアラビアも同様に別の道を模索してきた。この10年間、中国の石油輸入量は米国のそれを上回り、同時にサウジアラビアと中国は急速に協力関係を強化してきた。エネルギーを中心としながらもそれに限らず、中国企業がサウジアラビア経済に多額の投資を行っていることから、両国の関係は大きく発展している。サウジアラビアの5Gネットワークの構築やデジタル市場の拡大において、ファーウェイの役割は、中国によるサウジアラビアへの160億ドルの直接投資に次いで大きい。先月の70億ドル相当の現地通貨スワップ――つまり260億SR、500億人民元――も、両国関係の拡大を示すものだった。
サウジアラビアがますます自律的な地政学的軌道に乗り出す中、中国はこれを支持してきた。中国が仲介したイランとの和解は、先月ファイサル王子を含む4人のアラブ外相が北京に招かれ、イスラエル・ハマス紛争について議論したことと相まって、新たなパートナーの仲介で政治的解決策を模索するサウジアラビアの意欲をさらに示している。
米国が王国の変革にとって重要かつ特定の領域から姿を消したのと同時に、インドとの関係も拡大した。インドにとって第3の石油供給国との二国間関係は、双方にとって戦略的に重要なものである。2019年にサウジ・インド戦略的パートナーシップ評議会が設立されて以来、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2度ニューデリーを訪問している。最近では、皇太子は9月にインドで開催されたG20サミットに出席し、そこでインド・中東・欧州経済回廊が発表された。このプロジェクトは、中東を経由してインドと欧州間の貿易を促進することを目的としている。
その後、サウジアラビアは再生可能エネルギー、食糧安全保障、グリッド接続における1000億ドルの投資を約束し、これら二国はスタートアップ、教育、デジタル化などの破壊的セクターでの協力を目指している。これには、防衛製造や、サウジアラムコが投資した西インドの重要な沿岸製油所も含まれる。インドとの関係拡大は、サウジアラビアがアメリカ国債を数カ月にわたって売却しているなかで起きている。これは、欧米の経済世界秩序からますます外れたところで活動する、急速に発展する国家としてのサウジアラビアの外交と一致する投資政策を反映している。
サウジ外交政策の変化の一端を示すのは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカから成るこのグループに、サウジアラビア、UAE、エジプト、イラン、アルゼンチン、エチオピアが加わると、BRICS37億人を代表することになり、今後30年間で最も成長が見込まれる市場のいくつかを包含することになる。王国のBRICSへの参加は、グローバル・サプライ・チェーンにおける王国の地位の向上と、アラブ世界におけるその主催力を評価したものである。
『ビジョン2030』の下、急速な成長を遂げる王国にとって、BRICS 加盟は、西洋主導の世界秩序への代替案を育成し、グローバルサウスの要となる別の機会を提供する。サウジアラビアが経済の多様化を図り、海外からの投資を求めていることから、BRICS諸国はサウジアラビアにとって、湾岸、アラブ、西側世界との従来のパートナーシップを超えて、より多様なパートナーとの関係を仲介する新たな機会を提供することになる。
近年の王国の外交的成果は、世界的に影響力を拡大し、新たなパートナーシップを育成するという明確な努力を示している。それでも、アラブ・イスラム世界における王国の役割は、より大きな発言力を持つことを求めている。国連は、アフリカやアラブの常任理事国を持たない安全保障理事会に依存している。イスラエル軍による重大な人権侵害の中で、サウジアラビアがアブラハム合意から強く距離を置いたことは、アラブ世界全体で歓迎された。しかし、最近サウジアラビアで開催されアラブ・イスラム・アフリカ首脳会議では、特に外交政策の危機の中で、イスラム世界が一つの声を持つことの緊急性が浮き彫りになった。
王国の計画はまだ完全ではない。しかし、外交政策の転換をめぐるエネルギーは歓迎されるべきものである。これは若く、革新的な指導者と献身的な外相によって体現されている。
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> ニューヨーク外為市場では、円が対ドルで急伸した。日銀が早期に金融政策を修正するという観測を背景に一時141円台に乗せ、約3カ月ぶりの高値を付けた。1日の上昇率としても約1年ぶりの高さとなった。
るかプラス圏の金利にするか、どの程度のスピードで利上げしていくかは「その時の経済・金融情勢次第」と述べた。
コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は植田総裁の発言について、「日銀が最終的にプラス圏の金利に回帰するという観測にロケット燃料を注いだようなものだ」と述べた。
<債券> 米金融・債券市場では、10年国債利回りが3カ月ぶり低水準に近い水準で推移した。日本の金融当局者が超緩和政策からの脱却を示唆する発言を行ったことで、米国債に対する長期的な需要が弱まる可能性があるとの見方も聞かれる。
<株式> 米国株式市場は反発して取引を終えた。人工知能(AI)を巡る楽観的な見方からアルファベット(GOOGL.O)、アドバンスト・マイクロ ・デバイセズ(AMD)(AMD.O)を中心に大型株に買いが入り、ナスダック総合(.IXIC)が指数の上げを主導した。
グーグルの持ち株会社アルファベットは6日、AI基盤技術で高性能の「Gemini(ジェミニ)」を投入すると発表。株価は5.3%上昇した。
AMDは10%近く急伸。同社のデータセンター向けAIチップ市場が今年450億ドルに達する可能性があるとの見方を示したことが好感された。
他のハイテク関連大型株も買われ、エヌビディア(NVDA.O)とメタ・プラットフォームズ(META.O)は2%超高、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)は1.6%高、アップル(AAPL.O)は1%高。
フィラデルフィア半導体指数(.SOX)も2.8%上昇し、年初来の上昇率を約48%に伸ばした。主にAIの将来への期待が背景にある。
インフラストラクチャー・キャピタル・マネジメントのジェイ・ハットフィールド最高経営責任者(CEO)は「きょうはAMDとグーグルの上昇が市場全体に波及した」と指摘。「市場はハイテク株が主導したと思えば、次の日はバリュー株や市場全般がけん引役となるような状況となっている」と語った。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米中のエネルギー需給を巡る先行き懸念が重しとなり、6営業日続落した。
相場は朝方に70ドル台で堅調に推移したものの、米中の需給の先行きを巡る根強い不安に売りが優勢になり、一時は68ドル台まで下落。急ピッチの下げを受けた持ち高調整の買い戻しや安値拾いの買いが入り、下げ幅を縮小したが上値は限られた。
世界最大の石油輸入国である中国の輸入落ち込みが投資家心理を圧迫。中国税関総署が7日発表した11月の貿易統計によると、原油輸入は前月比13.31%減、前年同月比9.18%減少した。米エネルギー情報局(EIA)が6日公表した米石油在庫統計では、原油在庫が前週比460万バレル急減したものの、米産油量は依然記録的な高水準を維持しており、供給過剰への警戒感も浮上している。
<ロンドン株式市場> ほぼ横ばいで取引を終えた。米雇用統計の発表を控え、投資家の間で様子見ムードが強かった。
<欧州株式市場> 反落して取引を終えた。ユーロ圏最大の経済大国ドイツの鉱工業部門が引き続き重しとなるとの懸念が強まり、経済への懸念を背景に売りが優勢だった。
短く浅い景気後退になるとの見方が多い中、ロイターのエコノミスト調査によると欧州中央銀行(ECB)は従来予想より早い24年第2・四半期に利下げを始めると予想されている。
STOXX欧州600種銀行株指数(.SX7P)は0.66%下落した。
スペインの銀行サバデル(SABE.MC)、カイシャバンク(CABK.MC)、サンタンデール(SAN.MC)、バンキンター(BKT.MC)が2.3%─5.9%下げた。
<ユーロ圏債券> 利回りがまちまちの展開となった。欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測の高まりが一服した。
低調な経済指標とECB高官の発言がタカ派色を弱めたことにより、金融市場は2024年の利下げ幅を最大約145bpと予想している。11月末時点は約100bpだった。
24年12月のユーロ短期金利(ESTR)フォワードレートが織り込む利下げ幅は約140bp。前日は150bpsに接近していた。
24年3月のESTRフォワードレートは25bpの利下げを80%の織り込んでいる。12月5日には100%織り込んでいた。
日経先物33,367、ダウ先36,137、債先145.34、米4.144、独2.1955、仏2.739、西3.205、伊3.928、英4.0065、波5.300、原油69.84、銅8,372、ドル円144.06、ユーロドル1.0793
※12/8 8時35分頃

備忘録(2023/12/6)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
米銀シティグループのマーク・メイソン最高財務責任者(CFO)は、10-12月(第4四半期)のトレーディング収入は低迷する公算が大きいと述べた。商品(コモディティー)と金利で取引減少がみられるとしている。
ゴールドマン・サックス・グループ主催の米金融サービス会議でメイソンCFOは、債券と株式のトレーディング収入は7-9月(第3四半期)に比べて最大20%減少する可能性があると発言。「外国為替はうまく持ちこたえている」が、金利市場では一部で圧力がかかっているとし、「ボラティリティーの欠如を踏まえるとコモディティーは恐らく若干軟化するだろう」と述べた。
また、同行は組織再編に伴う費用として、数億ドルを計上する見込みだとも述べた。ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は9月に大規模な組織簡素化に着手した
保険監督当局の国際機関、保険監督者国際機構(IAIS)は6日公表した報告書で、保険会社が気候変動の影響をかなり受けやすい状況にあり、再保険におけるオルタナティブ投資でリスクに直面していると指摘した。
化石燃料やエネルギー集約型産業への投資、自然災害リスクの引き受けを通じて、保険会社は気候変動への「重大なエクスポージャー」を持ち続けているとし、それが収益性に打撃を与え、資本バッファーを侵食する可能性があると述べた。
保険会社は銀行よりもリスクが「著しく」低いとしたが、突発的に現金が流出する恐れがあることから、IAISが保険会社への審査を頻繁に行うとした。
IAISはこれまで、生命保険会社が再保険市場で、概して流動性が低いオルタナティブ投資へのエクスポージャーを高めていることを調査。執行委員会の有泉秀議長は「これらの投資とそのリスク管理について保険会社レベルで十分に理解することが重要だ」と述べた。
米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は6日、もし自分に権限があれば暗号資産(仮想通貨)業界を閉鎖すると議会の公聴会で語った。
上院銀行委員会が米金融業界の監督に関し毎年開く公聴会で、「もし私が政府にいるならそれを閉鎖するだろう」と語った。
ダイモン氏は以前にもデジタル通貨を「ねずみ講」や「詐欺」と指摘し、かねて批判的な考えを示してきた。暗号資産業界ではハッキングや不祥事が相次いでおり、サム・バンクマンフリード被告が創業した交換業者FTXの経営破綻以来、米規制当局や議会の監視の目は厳しくなっている。
石油メジャーの米エクソンモービルは6日、2027年までの中期計画を公表し、設備投資を27年まで年220億〜270億ドル(約3兆2000億〜約4兆円)とした。従来計画は27年まで年200〜250億ドルだった。化石燃料の先行きの需要は堅調とみて、投資額を上積みする。
気候変動対策を受けて今後の石油需要に懐疑的な見方が浮上するなか、エクソンは石油・天然ガス開発の投資の90%は10年足らずで回収できるとしている。構造改革も進め、27年まで19年比で60億ドルのコストを節減する。同年まで現金収支(CF)を140億ドルに高め、19年の2倍とする。
低炭素事業は27年まで200億ドルを投じる。従来計画より18%増やす。米アーカンソー州でリチウムを生産するなど新規事業の育成を目指す。
シェール大手パイオニア・ナチュラル・リソーシズの買収で合意しており、24年前半に手続きが完了すれば自社株買いのペースを25年まで年200億ドルに高める。23年は175億ドルを実施する計画だ。
27年までの石油・天然ガスの生産量は24年計画比10%増の日量420万バレルとした。米テキサス州と南米ガイアナでの増産を進める。今回の計画には日量約70万バレルを生産するパイオニアの買収を織り込んでいない。
●その他産業
米ファストフードチェーン大手マクドナルド(MCD.N)は6日、世界中で2027年までに約1万店を新規開設する計画を明らかにした。同社にとって過去最速の拡大になるという。
購入に応じたポイントで付加的なサービスを提供する「ロイヤルティ・プログラム」の会員数も、現在の1億5000万人を27年までに2億5000万人に増やし、年間売上高450億ドルの達成につなげる。
イアン・ボーダン最高財務責任者(CFO)は、海外のフランチャイズ店は中国、インド、日本、ブラジルなどでおよそ7000店を新規に開くと説明した。これらにより、同社の全店舗数は27年までに5万店前後に達する。
また同社はアルファベット子会社グーグルと提携し、世界中の店舗運営に人工知能(AI)を活用する方針。顧客に対してより迅速に、より出来たての商品を届けるための調理工程の工夫などに生かす。
●決算関連
世界の航空大手が加盟する国際航空運送協会(IATA)は6日、2023年の航空大手の最終損益が233億ドル(約3兆4000億円)の黒字となる見通しだと発表した。22年は38億ドルの赤字だった。黒字化は新型コロナウイルス禍後で初めて。渡航制限の解除で中国を中心としたアジア便が回復した。
●先進国、グローバル、金融市場
欧州中央銀行(ECB)当局者が、インフレ率を目標に戻すために十分な引き締めを行ったとの見方を示す中で、トレーダーは2024年の利下げ幅の予想を拡大させている。
市場は2024年に6回の0.25ポイントの利下げ予想を一時、完全に織り込んだ。1.5ポイントの利下げで中銀預金金利は2.5%に低下することになるが、市場が織り込む利下げ幅はその後143ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)へと縮小した。利下げが1-3月(第1四半期)に始まる確率も約80%とみられている。3週間前にはほぼ想定外だったシナリオだ。
当局者はなおインフレの脅威を警告しているが、政策金利を4%からさらに引き上げる必要はないだろうとの見方も強まっている。最もタカ派的なメンバーの1人とされるシュナーベル理事はロイター通信との最近のインタビューで、インフレ率の低下は「目覚ましく」、展開は「心強い」と述べた。
インベスコのマルチセクターポートフォリオ管理責任者、ガレス・アイザック氏は「欧州経済は過去12カ月、金融環境の引き締まりに伴い着実に悪化してきた」とし、来年は労働市場が軟化し「インフレ率が目標へと低下する中で、ECBは大幅な利下げを開始することができるだろう」と予想した。
政策委員会メンバーのカザークス・ラトビア中銀総裁は、「24年上期に利下げする必要はない」が、「物価安定のリスクバランスが変化すれば」政策判断は変わる可能性があると発言した。エコノストリーム・メディアが6日、同総裁のプレゼンテーションを引用した。
中道派とされるビルロワドガロー・フランス中銀総裁は先週、「何らかの衝撃が起きない限り、利上げはもはや完了した」と述べ、24年のある時点で利下げの問題を検証することになるだろうとの見通しを示した。
ユーロ圏のインフレ率はここ数カ月に急速に低下し、3カ月連続で予想中央値を下回った。11月の2.4%は21年半ば以降のどの時点よりもECBの目標である2%に近づいている。
同時に、経済データはさらなる弱さの兆候を示している。ドイツの10月製造業受注は予想外に減少し、欧州随一の経済大国の製造業が依然として低迷していることを浮き彫りにした。
トレーダーの見込みが正しければ、ECBは来年、主要中央銀行の中で最初に利下げを実施し、最も積極的な緩和サイクルを実行するだろう。
パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局は5月に利下げを開始し、政策金利を計1.25ポイント引き下げると予想されている。イングランド銀行(英中銀)は4月を皮切りに、0.25ポイントの利下げを3回実施し、4回目実施の可能性は40%と予想されている。1カ月前には、織り込まれていた利下げの回数は2回だけだった。
オーストラリアの金利市場は、豪準備銀行(中銀)が2024年半ばまでにあと1回利上げするとの見方から、同時期までに75%余りの確率で利下げするという予想に転換。先週、追加利上げが来年必要になる可能性を示したニュージーランド準備銀行(同)でさえ、今では5月までに利下げに踏み切る公算が大きいとみられている。
ECBをはじめとする主要中銀が来年、自国経済を支えるために金融緩和を実施せざるを得ないとの見方が債券相場を押し上げている。ドイツ10年債利回りは過去2カ月で約80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下し、2.23%と5月以来の低水準になっている。
欧州中央銀行(ECB)は2024年の10-12月(第4四半期)になるまで利下げを行わないだろう。ピクテ・アセット・マネジメントのシニアエコノミスト、サブリナ・カニシュ氏が予想した。
同氏は6日ブルームバーグテレビジョンに「インフレ率は現在大きく低下しているが、ここから上向くとみている。昨年にエネルギー価格がピークに達したため、インフレ率の低下は続くだろうが、インフレ圧力が続いているのため鈍化は非常に緩やかだろう」と語った。
「ECBがインフレ率を目標に戻すために金利を景気抑制的な水準に維持すると予想するのはこのためだ」と続けた。 
市場は利下げ観測を強めており、早ければ来年3月にも最初の0.25ポイント利下げが行われるとみている。
カニシュ氏はまた、堅調な労働市場に起因するサービスインフレが持続するリスクと、24年には経済活動が回復する見通しであることを強調した。
欧州中央銀行(ECB)の利下げは従来見込んでいた来年6月ではなく4月になると、ドイツ銀行のエコノミストが予想を修正した。
マーク・ウォール氏率いるドイツ銀のアナリストは6日、顧客へのリポートで、ECBの来年の利下げ幅は計150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達し、4月と6月の会合では0.5ポイントずつ利下げがあるとの見方を示した。
ウォール氏らは最近のインフレデータと政策当局者の発言を踏まえ、3月に利下げが実施される「リスクも相当ある」と述べた。
リポートでは「われわれは短期的な成長とインフレ見通しについてECB以上に悲観的だ」とした上で、「われわれが正しければ、ECBは今後数カ月でさらなる下振れに驚くだろう」と指摘した。 
日本の投資家は、国際決済銀行(BIS)のデータに基づく実質実効為替レートが約50年ぶりの円安となったことや世界的な不動産不況にもかかわらず、過去20年で最も多くの資金を投じ、海外の不動産を買い上げている。
日本の企業や年金基金が今年購入した資産には、ニューヨーク・マンハッタンの超高層ビル、トロントのデータセンター、ロンドンのオフィスビルが含まれる。オフィスの空室率と金利上昇が他の買い手を遠ざける中で、潤沢な資金を持ち、先進国で唯一最低水準の借入金利を利用できる日本勢の動きが、市場を幾分安堵(あんど)させる。
ニューマーク・グループのインターナショナル・キャピタル・マーケッツ・グループ責任者アレックス・フォシェイ氏は「今は競争力を高められる絶好の機会と捉えているようだ」と指摘する。
MSCIリアルアセッツによれば、世界の商業用不動産取引に占める日本勢の資金は、年初来で74億ドル(約1兆900億円)と、過去15年の年間平均の3倍余りに達する。日本からこれほど大規模な資金が投入されるのは、ニューヨークのロックフェラーセンターやペブルビーチ・ゴルフリンクスという象徴的な権益買収に火を付けた1980年代後半のバブル期以降、ほとんど例がない。
ブローカーによると、日本の顧客は米国とオーストラリア、インドを中心に海外で投資を続けたいと考えている。日本国内のローリターンの現状を鑑み、収入源の分散を図る長期的視点に立つ企業がほとんどだ。円安で購買力が低下しているとはいえ、不動産不況の影響で価格は魅力的と映る。
不動産サービス会社クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの高山裕之ジャパン・デスク・サービス部門統括責任者によれば、今回の投資ブームは、新型コロナ禍以前に海外不動産に資金を割り当てていた企業が後押しする側面もある。
コロナ危機の下で、それらの企業は海外に出張し、目的の物件を評価することができなかったが、今年は通常の状態に戻り手元資金が解き放たれた格好だ。
森トラストは、マンハッタンのグランドセントラル駅裏手にある超高層ビル(245 パークアベニュー)の権益49.9%をSLグリーンリアルティから今年6月に約1000億円で取得した。
伊達美和子社長は「われわれの強みは、財務基盤体質の非常に良い状態だ。1000億円単位の投資であっても、投資家を集めながらやるのではなくて、自己で資金調達することにより決断を速くできるところが強み」とインタビューで発言。「唯一無二といわれるようなものであれば、機会があったときにはできる限り取得していこうと思っている」と語った。
森トラストは安定した成長市場への多角化を目指し、国際的な事業拡大を2016年に開始。ボストンとワシントン周辺の少数のオフィスビルを取得した。
海外の不動産に2000億円投資するという当初の目標は22年に予定より5年早く達成した。30年までに1兆2000億円の設備投資を行う目標を掲げるが、約4分の1が海外向けの投資だと伊達氏は述べた。
今年の日本勢による大型買収案件としては、KDDIがトロントのデータセンター事業を13億5000万カナダ・ドル(約1465億円)で譲り受けたほか、三井不動産の合弁会社は、ロンドンのセントポール大聖堂近くのオフィスビル に3億1500万ポンド(約585億円)投じた。シドニーでは、三菱地所が主導するファンドが商業用タワーを7億7900万豪ドル(約756億円)で買収した。
グローバル不動産投資の経験がそれほど長くない年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のような年金基金も、全体の数字を増やしている。
三井不動産の広報担当者は、当社は経営戦略の一環として海外投資を着実に実行し、経済や地政学的リスクを踏まえてはいるが、短期的な為替動向が影響を与えることはないとコメントした。
イングランド銀行(英中央銀行)は、ヘッジファンドによる米国債先物のショートポジションに関してあらためて警告し、ネットポジションの規模は新型コロナウイルス危機で「キャッシュ・ダッシュ」が起こった2020年3月よりも大きいと指摘した。
英中銀によると、ネットショートポジションは8000億ドル(約118兆円)と7月時点の約6500億ドルから拡大した。これは投資家が先物と現物の価格差を利用しようとする、いわゆるベーシストレードの急増を示唆している。
この取引は、レポ市場で資金を借り入れることによってリターンを高めようとするため、特にリスクが高い。ボラティリティーの低い環境ではうまく機能する傾向があるが、市場が急激に動けば裏目に出る恐れがある。
英中銀は6日の報告書で「市場金利のボラティリティーが急激に上昇すると、先物ポジションに必要な証拠金が増加したり、ヘッジファンドがレポ市場で借り換えるのが困難になったりする可能性がある」とし、「リスクや損失の制限に抵触すれば、ファンドが急速なポジション解消を強いられかねない」と指摘した。
国際的な規制当局はこの取引への懸念を強めている。英中銀は7月にも、ベーシストレードが金融安定へのリスクになると警告した。米国債先物のレバレッジ取引はヘッジファンドの間で人気が再燃しており、米国の規制当局も監視の目を向けている。
こうした取引を行うヘッジファンドは英債券市場でも活動しているため、米国債市場の混乱は英国債にも影響する可能性があると中銀は指摘した。
報告書ではまた、市場の「弾力性を高める緊急の必要性がある」と主張。プライベートクレジット資産の「不透明性」と頻繁なリプライシングの欠如を挙げ、それが急激かつ相関的な価値下落に対する脆弱(ぜいじゃく)性を高めていると論じた。
イタリア政府は、2019年に締結した中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する投資協定から離脱する方針を中国に伝えた。タヤーニ外相が明らかにした。
タヤーニ氏は、同国の通信社ADNクロノスがローマで主催した行事で、一帯一路は「望ましい成果を上げていない」と指摘、もはや「優先事項」ではないと説明した。また、一帯一路に参加していない国が「より良好な成果を上げている」とも述べた。
トランプ前米大統領は5日、2024年の大統領選挙で勝利した場合、「初日」を除いて独裁者にはならないと述べた。民主党議員と一部の共和党議員はトランプ氏が勝利すれば、米国は独裁国家になるリスクがあると警告している。
大統領選に向けた共和党候補指名争いで支持率トップに立つトランプ氏はアイオワ州でテレビ中継されたタウンホールイベントで、再選された場合に権力を利用して政敵に復讐することを否定するかと聞かれ、当初回答を避けたため2回質問された。
トランプ氏は初日以外は独裁者にならないとし、初日には大統領権限を行使してメキシコとの国境を閉鎖し、石油掘削を拡大すると述べた。
トランプ氏は選挙に勝利した場合の政敵への「報復」について度々、言及してきた。
バイデン大統領の選挙対策本部長、ジュリー・チャベス・ロドリゲス氏は声明で「トランプ氏は、再選された場合に何をするかを正確に伝えてきた。そして今夜、初日に独裁者になると発言した。米国民は彼を信じるべきだ」と述べた。
 欧州連合(EU)統計局が6日発表した10月のユーロ圏小売売上高は前月比で0.1%増え、4カ月ぶりの増加となった。個人消費の伸びが、経済成長を小幅に押し上げることを示唆した。
10月の小売売上高は前年同月比で1.2%減。
ロイターがまとめた市場予想は前月比が0.2%増、前年同月比が1.1%減だった。
前月比の増加は、通信販売・インターネット通販の売り上げが2.2%増えたことや、非食品が0.8%増えたのが寄与した。
一方、食品・飲料・たばこの売上高は前月比1.1%減。自動車用燃料は0.8%減だった。
前年同月比では、食品と燃料の売り上げ減が目立った。非食品は0.1%増。
ユーロ圏の2023年第3・四半期の域内総生産(GDP)は前期比0.1%減った。これまでの調査や指標は、第4・四半期もマイナス成長になる可能性が高いことを示唆している。
イングランド銀行(英中央銀行)は6日、半年に一度の金融安定報告書を発表した。企業と家計は今のところ金利上昇に対処しているが、借り入れコストの上昇や銀行の資金調達方法の変更が将来的に金融セクターにリスクとなる恐れがあるとの見方を示した。
「経済活動の低迷、世界の成長とインフレ見通しへのさらなるリスク、地政学的緊張の高まりを反映し、全体的なリスク環境は引き続き厳しい」と指摘した。
7月の前回調査以降、予想を上回る賃金と所得の伸びが家計の負担を一部軽減したと分析。しかし「生活費の増加と金利の上昇が依然として家計を圧迫しており、金利上昇の一部は住宅ローン返済額の増加にまだ反映されていない」と述べた。
また金利上昇や経済成長鈍化に対して企業はおおむね底堅さを示しているが「資金調達コスト上昇の影響はまだ全ての借り手に転嫁されていない」とした。
通常の当座預金から高金利の定期預金への切り替えを踏まえ、銀行に対し資金調達における課題に備えて事前に計画を立てるよう促していると指摘。
「英国の銀行システムは資本が充実しており流動性が高い」とし、純金利マージンはおそらくピークに達したが収益性は引き続き堅調に推移すると予想した。
その上で、中国不動産市場の混乱や、中東の緊張が原油価格を押し上げて経済成長に悪影響を与えるケースなどをリスクとして挙げた。
リスクの高い社債に投資するファンドからの資金流出や、ヘッジファンドや資産運用会社による米国債の売り持ちと買い持ちの増加により、市場のボラティリティーがさらに高まる恐れがあるとした。
来年は人工知能(AI)の台頭によってもたらされるリスクを監視すると表明した。
企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が6日発表した11月の全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は10万3000人増と、ロイターがまとめた予想の13万人増を下回った。
10月分は前回発表の11万3000人増から10万6000人増に下方改定された。
在職者の賃金は前年比5.6%上昇と2021年9月以降で最小の伸びとなった。転職者の賃金は8.3%上昇と21年6月以降で最小となった。
コメリカ・バンクのチーフエコノミスト、ビル・アダムズ氏は「最近発表された雇用関連指標が軟調だったことで、賃金と物価の問題を背景とするインフレ圧力の再燃リスクが軽減され、連邦準備理事会(FRB)が2024年に利下げに舵を切ることが容易になった」と述べた。
米ニューヨーク連銀は6日、11月のグローバル・サプライチェーン・プレッシャー・インデックス(GSCPI)がプラス0.11と1月以降で初めてプラスに転じたと発表した。
前月分は従来発表のマイナス1.74からマイナス0.39に改定された。NY連銀によると、大幅な改定は「為替レートの加重方法の変更によるもの」という。
【この記事のポイント】
・米経済の血流となる銀行融資が急減速している
・高金利で家計や企業の借り入れ需要が減少
・米銀CEO、公聴会で追加の資本規制をけん制
米経済の血流となる銀行融資が急減速している。大手銀の融資は足元で前年同月比0.3%増まで鈍り、新型コロナウイルス禍以来のマイナス転換が迫る。高金利環境が続き、家計や企業の借り入れ需要が減っているためだ。
カナダ銀行(BOC、中央銀行)は6日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を5.0%に据え置いた。景気が減速し、全般的な物価圧力が緩和していると指摘すると同時に、インフレ懸念を踏まえ、追加利上げの可能性に含みを残した。
中銀は声明で「依然としてインフレ見通しへのリスクを懸念しており、必要に応じ政策金利を引き上げる用意がある」とし、「コアインフレのさらなる持続的な緩和」を確認したいとした。
前回の声明で使用された「物価安定に向けた進展は遅く、インフレリスクは高まっている」いう文言は削除された。
さらに、労働市場における圧力は緩和され、成長は今年半ばに失速し、もはや需要過多の状況ではないと指摘。「金利上昇が明らかに支出を抑制している」とした。
10月のコアインフレはここ数カ月で見られたレンジの下限にあると指摘し、「経済の減速により、幅広いモノやサービスにおけるインフレ圧力が緩和している」という認識を示した
短期金融市場では、早ければ来年3月に利下げが実施される可能性があるという見方を織り込んでいる。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ロシアのプーチン大統領は6日、サウジアラビアを訪問し、ムハンマド皇太子との会談に臨み、両国の関係は「これまでになく良好」だと述べた。
ロシアのテレビ局がプーチン氏の冒頭あいさつを報じた。プーチン大統領はムハンマド皇太子の招待に感謝し、当初は皇太子がモスクワを訪問すると予想していたが、「計画に変更があった」と述べた。
プーチン大統領は、両国は政治や経済のほか、人道的な分野でも良好かつ安定した関係を築いていると指摘。「われわれの友好関係の発展を妨げるものは何もない」と語った。
会談では、ガザでの紛争や石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」における両国の協力についても話し合われる予定。
プーチン氏は「もちろん、われわれ全員にとって、この地域で起きていることについて情報を交換し、検証することは非常に重要だ」とも述べた。
ロシアのプーチン大統領は6日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビを訪問し、ムハンマド大統領と会談した。イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスとの戦闘が続く中東やウクライナの情勢などを協議。ロシアのウクライナ侵攻後、プーチン氏の中東訪問は2022年7月のイランに続く2度目。対ロ制裁を科す欧米以外の国との関係強化を図る。
6日はサウジアラビアも訪問し、ムハンマド皇太子と会談、原油価格維持などのエネルギー協力を協議する。
7日にはイランのライシ大統領とモスクワで会談する予定。ロシアなど新興5カ国(BRICS)は8月の首脳会議で、UAEとサウジ、イランに来年1月の加盟を認めた。
国際刑事裁判所(ICC)はウクライナ侵攻に絡んでプーチン氏に逮捕状を出しているが、サウジとUAEはICCに加盟していない。
米格付け会社ムーディーズは6日、中国の地方政府の融資平台(LGFV)26社を格下げ方向で見直すと発表した。
中国の国営メディアは6日、ムーディーズによる中国の格付け見通し引き下げを「偏見がある」と非難した。ただアナリストの間からは、公式反応は抑制的で債務増大に対する中国政府の懸念を示しているとの声が上がっている。
中国当局者は格付け機関に攻撃的な発言をすることが多いが、5日の財政省の公式反応は「失望」の表明にとどまった。6日外務省報道官は、中国は改革を深化させ課題に対処する能力があり、「世界中」の「全ての友人」による投資を歓迎すると述べた。
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院のアルフレッド・ウー准教授は、中国のプロパガンダは国内に強さを示すことが目的だが、よりニュアンスのあるトーンは国際社会に向けられている」と指摘した。
これは、中国が成長見通しを巡る世界の懸念を受け止め、問題の対処において信頼できると評価されたいと考えていることの表れだと述べた。
また著名なコメンテーターの胡錫進氏は、ブログで財政省の反応を称賛。「ムーディーズの動きが『陰謀』かどうかの議論にエネルギーを割くより、国内の信頼を高めて景気回復を強化し、地方債や不動産のリスクを解決することが重要」と指摘した。
●中東
イスラエルが無防備なガザ地区への大規模な攻撃を再開した現在、欧州は多数の人命損失とイスラエルによる重大な国際人道法違反にいかに対応すべきかについて見解が別れ麻痺状態に陥っている。内部での見解の相違への対応はもちろん重要だが、EUは、少なくとも、迅速な行動により、この壊滅的な紛争の急を要するいくつかの側面に対処する必要がある。
国連総会が、10月27日、人道的停戦や民間人の保護、法的・人道的義務の順守、妨害の無い円滑な援助物資の輸送を求める穏健な決議案の採択を行った時、これを支持したのは一部のEU加盟国を含む欧州の十数か国のみだった。欧州の4ヶ国(オーストリア、チェコ、クロアチア、ハンガリー)は反対すらした。他方、ドイツ、英国、イタリア、オランダ、ポーランド、スカンジナビア諸国(賛成票を投じたノルウェーを除く)といった欧州の大国を含む大多数が棄権した。
欧州は、国連外においても、原則堅持の国、二枚舌外交の国、共謀を図る国に別れている。ベルギーやフランス、アイルランド、スペインを初めとする多くの欧州諸国は中立的な立場を堅持し、紛争の調停や人道支援に取り組んでいる。多くの国々は、病院が攻撃され、未熟児が保育器から出されて死を迎えざるを得なかった時でさえ、ガザ地区の民間人の死に無関心であり続けた。なお悪いことに、少数の欧州諸国は、ガザの民間人への侵攻を継続できるようにイスラエルに物質的、政治的支援を提供し続けている。
欧州のイスラエル支持は、ガザ地区の紛争に反対する世界的なコンセンサスやガザ地区で活動する国連職員や人道支援組織による停戦を求める懸命の呼びかけとは相容れない。また、欧州のイスラエル支持は、ウクライナ戦争に対する欧州の立場や欧州による平和と人権の提唱、人道法を含む国際法を擁護しようとする欧州の姿勢とは明らかに矛盾している。その全てが、イスラエルによる加虐的なガザ地区の破壊、そして女性や子供が大半を占める何千人もの民間人の殺害によって図々しくも侵害されているのだ。
2022年にはロシア・ウクライナ戦争がEUを予想以上に結束させたが、2023年のガザ地区の紛争によってEUは再分裂してしまった。イスラエルのガザ地区への攻撃に対するEUの対応にはEU加盟国間の分裂が反映されてしまった。EU諸国の高官たちはそれぞれ相違する見解を示したのだ。高官たちは、ハマスの襲撃に対しては明確な非難を行ったものの、イスラエルの対応については見解がまとまることはなかった。大半のEU加盟国は、ガザ地区への人道援助物資の輸送の優先を主張したが、人質の「無条件」解放とイスラエルの「自衛権」のみに論点を絞った国も多かった。
とはいえ、意見の相違の大半は停戦に関するものだった。停戦を求めたEU加盟国は少数に留まった。スペインのペドロ・サンチェス首相は国連のアントニオ・グテーレス事務総長の発言に同調し、援助物資のガザ地区への輸送を可能とするために即時の人道的停戦を求めた。この呼びかけに呼応したのはベルギーやアイルランドなど数ヶ国に留まった。
その一方、ドイツの政府高官たちは、イスラエルを無条件に支持し、イスラエルの自衛の「権利」が停戦によって制限されることへの懸念を示した。ドイツのオラフ・ショルツ首相は、イスラエルが国際法を順守することに「疑念を挟む余地は無い」と述べた。ドイツの副首相は、イスラエルの過剰な行動を暗に正当化するために、ホロコーストを想起させた。それはまるでガザ地区の子供たちがドイツの罪を償わなければならないかのようだった。緑の党に所属するドイツの外相もイスラエルを擁護した。オーストリアのカール・ネーハマー首相は、「停戦や戦争行為の中断といった白日夢がハマスを強化してしまったのです」とまで言った。
こうした主要国間の混乱を反映し、EU全体としての反応の見極めは困難となっている。
ドイツの中道右派政治家でもある欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、早期にイスラエルを訪問して連帯を示し、イスラエル政権への全面的な支持を表明した。EUの外交担当責任者のジョセップ・ボレル氏は、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とは対照的に、ガザ地区での紛争に対してより微妙な立場を示した。
EUは、従来、若干イスラエル寄りの傾向はあっても、おおよそ平等な立場で、誠実な仲介者として役割を果たそうと努めていた。現在のアラブ世界においては、EUは特に紛争開始当初、過剰にイスラエル寄りだったという印象が強い。以来この印象を払拭するようなことはほとんど何も為されていない。ヨルダンのラーニア王妃は、欧米の首脳たちが「目に余る二重基準」を用いていると非難している。これは、中東地域の多くの人々の見解を反映している。
昨年欧州はウクライナについての統一見解を即座に示したが、ガザ地区の問題についてはメッセージの表明の仕方に混乱を来している。この分裂は、欧州に対する信頼を損ない、EU機関への期待を低めてしまう。
欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は、こうした批判に対して、「私たちは二重基準など用いていません」と、苦言を呈した。
「私たちには、国際法を信じるという根本的な基準があります」。 ミシェル議長は、EUを非難し、その信頼性に対して「疑念を抱かせる」向きもあるが、「私たちの団結は『グローバル・サウス』に関与する際に最善の論拠になることでしょう」と付け加えた。しかし、こうした心強く感じさせてくれる言葉は、現場で状況が展開するにつれ、また、個々の加盟国やEU当局者らが種々の異なる声明を発する中で失われてしまった。
ガザ地区がイスラエルの容赦ない空爆を受ける中、EU関係者数百人がフォン・デア・ライエン委員長に書簡を送り、同委員長のイスラエルに対する「歯止めのない」支援を批判したと伝えられている。この書簡において、EU関係者たちは、「EUの価値がまるで発揮されていない」とし、「ガザ地区での人権や国際人道法を無視した民間人の虐殺に対してEUは最近数日間無関心であるかのような態度でいる」と強い語調で述べた。
書簡を送ったEU関係者たちは、ロシアによるウクライナ封鎖をテロ行為と見なした一方で、イスラエルによるガザ地区の封鎖を「完全に無視」している欧州委員会の「二重基準」を悲しく思うと述べた。EUの曖昧な立場は、「ガザ地区における戦争犯罪の加速と正当化を放置しているのに等しいように見受けられる」と、EU関係者たちは申し立てた。
EUと欧州全体が見解を統一することは、ガザ地区での紛争の調停という点で非常に有益であり、また、今回の危機が始まって以来低下し続けているEUの信頼性と外交における影響力の回復にも役立つだろう。
そうした見解の統一が為されるまでは、この中東という極めて重要な地域における欧州の役割が完全に消滅してしまうことを避けるために、分業が役立ち得る。これは、この紛争をまず主要な課題に分解し、それぞれの要素の責任を、協力的な特定の国またはEUの官僚機構に割り当てることで達成可能となる。
少なくとも6つの個別に処理可能な問題がある。第1の、そして最も喫緊の課題は、停戦の呼びかけで、欧州の数ヶ国は既にこれを支持している。
第2の課題は、国際人道法の尊重、そして、それに違反したすべての当事者に説明責任を果たさせることである。
第3の課題は、ロジスティクスやイスラエルによる制限に妨げられることなく、ガザ地区の民間人の人道支援物資へのアクセス性を改善することである。例えば、キプロスは他の欧州諸国の支持を得て、ラルナカからガザ地区までの海上の援助回廊を提案している。
第4の課題は、ハマスに拘束されている民間人の人質とイスラエルで収監されているパレスチナ人抑留者の解放交渉の再開である。
第5の課題は、ヨルダン川西岸地区や近隣諸国への戦闘の拡大を避けるための紛争の封じ込めである。
第6の課題は、より広範なパレスチナ問題に関する協議の再活性化である。9月に、EUは、和平努力を再び活発にするための新たな取り組みをサウジアラビアやアラブ連盟と共に始めた。現在の惨酷な紛争により、こうした努力を倍増させることが不可欠となっている。
これら6つの課題にへの取り組みにより、EUと欧州は、この紛争を調停する影響力を持った当事者としての適切な役割を取り戻し、国際的な平和と安全の回復に寄与し得る。
リヤド: サウジアラビアとカタールはあらゆる面で急速な発展を協力が進行していると共同声明
サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、公式訪問中のカタールで、シェイク・タミーム・ビン・ハマド首長と会談した。
湾岸協力理事会の加盟国である両国間のコミュニケーションの手段として理事会は重要であり、「将来の持続可能な復興と成長を達成するよう、二国間協力の分野を深め拡張する真剣な努力が必要だ」と両首脳は、認識しているとの声明が出された。
サウジアラビアの皇太子と代表団は、湾岸協力理事会最高理事会とサウジアラビア・カタール調整会議の会合に出席するため、木曜日にドーハに到着した。
皇太子とシェイク・タミーム首長は、今回の結果、前向きな取り組み、多くの協定とMOUに署名がなされた小委員会会合でのコンセンサスに満足の意を表明した。
さらに、執行委員会と事務総局の支援で小委員会の勧告と取り組みが実施されることに期待を表明した。
両首脳は、さまざまな分野のビジネスの規制を行う組織としての効果を向上させることに貢献するため、会議の仕事と小委員会と永続的な調整の支援を継続することの重要性を強調した。
経済面では、両国が経済連携を強化し、多様化への共同作業を発展させ、両国間での貿易量を増加させる必要性を指摘した。
両首脳は、両国間の協力と政治協議の統合と強化を継続する重要性も強調した。
この二人に隣人は、地域の安全保障と安定への支援に貢献するよう、両国の安全保障と軍事協力を強化する重要性にも言及した。
シェイク・タミーム首長は、2030年のワールドカップのリヤドでの開催を勝ち得たことと、サウジアラビア王国が、2034年のワールドカップの主催国へノミネートされたことで、皇太子を祝福した。
「兄弟国を離れるにあたり、私と代表団への温かい歓迎と親切なおもてなしに深い感謝を表したいと思います」と皇太子は電信で表明した。
皇太子は、火曜日にカタールを後にした。
イスラエルがパレスチナ自治区ガザ南部でイスラム組織ハマスへの攻撃を再開するとともに、民間人の死者が急増しつつある。
これを受けバイデン米政権はイスラエルに対して、民間人の犠牲者を最小限にとどめるよう働きかけを強めている。ただ、武器支援の制限など、イスラエルに聞く耳を持たせるための「力ずく」の手段が行使される公算は、今のところ非常に小さい。
ハリス副大統領やブリンケン国務長官らの政権要職者は、ガザ南部でもっと攻撃目標を絞り込んで多数の民間人犠牲者を出さないよう、これまでも公式ルートではイスラエルに要請してきた。
ガザの保健当局によると、戦闘の一時停止期間が終わった1日から4日までに、イスラエルの空爆によりガザでは約900人が死亡。これはハマスがイスラエルを奇襲攻撃した10月7日からの4日間に発生したガザでの死者数にほぼ等しい。
それでも米政府は現在、イスラエル向け武器支援の実行を保留したり、イスラエルに厳しい非難を向けたりすることで、イスラエルの方針を変える手段とすることを否定している。2人の米政府当局者に理由を聞くと、水面下での働きかけが有効に作用しているからだという。
ある米政府高官は「われわれの行っていることが、イスラエルを動かしていると思う」と語り、ガザへの支援物資提供を拒否していたネタニヤフ首相が、1日200台近くのトラックによる物資搬入を認めたのがその一例で、これらは米国が脅したからではなく、外交的に強く呼びかけた結果だと説明した。
この高官が口を開く前の3日間、ガザ市民は空爆で生じたがれきから犠牲者の遺体を運び出す作業に追われ続けた。
しかし、同高官はイスラエル向けの武器支援を減らすのは重大なリスクを伴うと主張。「イスラエルへの支援を弱めれば、他の勢力が紛争に介入するのを助長するし、抑止効果が低下してイスラエルの敵を勇気づける」と述べた。
米国はイスラエルを揺るぎなく支持すると表明し、イスラエル政府は軍事戦略を修正してほしいという国際社会の要請には全く反応していないように見える。
ネタニヤフ氏の外交顧問は先週、ロイターの取材に応じ、イスラエルに対する国際的な圧力についての質問には「首相は何もプレッシャーを感じていないと認めざるを得ない。われわれは軍事的な目標達成のためにできることは何でもやる」と改めて言い切った。
<大きな影響力>
米国は毎年、戦闘機からハマスの地下トンネルを破壊できるほどの強力な爆弾まで、イスラエルに総額38億ドルの軍事支援を行っている。バイデン政権はさらに議会に対して、140億ドルの追加支援承認を求めているところだ。
ザ・プロジェクト・オン・ミドルイースト・デモクラシーのセス・バインダー氏は、こうした支援によって米政府はイスラエルの戦争遂行に関して「大きな影響力」を持っており、特定装備の提供停止やさまざまな武器の補充延期などを通じてイスラエルに戦略と戦術の修正を強制できるのに、バイデン政権はそれを使うことに消極的な態度しか示していない、との見方を示した。
バイデン大統領に重くのしかかるのは、来年の米大統領選。イスラエル向け支援を削減すれば、再選に必要な親イスラエルの無党派層の票が逃げかねないという事情がある。
イスラエル政府の安全保障分野の高官の1人は、これまでのところ米国のイスラエル支持姿勢に変化はないと強調。「現段階では(共通の)理解と継続的な協力関係が存在している」と述べ、今後、米国の方針が変わるならば、イスラエルは作戦のスピードを加速させて迅速に目的を達成しなければならなくなると付け加えた。
<暗黙の了解>
イスラエルの複数の当局者は、ガザ南部で進めている軍事作戦において、戦闘地域から非戦闘員が避難するための時間を増やしているが、民間人の犠牲者をゼロにするとは約束できないと話している。
政府報道官は「われわれはハマスを壊滅させる作戦を続ける。この作戦について米国は、われわれに暗黙の了解を与えている」と述べ、ハマスが女性や子どもを人間の盾に使っているという従来のイスラエル側の主張を繰り返した。
1日にはイスラエル軍が、オンライン上に精密な区画地図を投稿し、ガザ南部のパレスチナ人が地中海沿岸やエジプト国境近くのラファに避難するよう指示。ただ、一部市民は、安全地帯と言われた場所も砲火にさらされ、犠牲者が生じたと訴えている。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、イスラエルが安全地帯を攻撃しない方針を順守することを米国は期待すると語った。
もう1人の米政府高官によると、イスラエルが民間人の立ち入りを避けるべき地域をより丁寧に説明するようになったのは米国の圧力が効いているからで、米政府としてはイスラエルがガザ南部でより精密な攻撃を行うよう望んでいるという。
それでもイスラエルが、そうした米国の助言を本当に受け入れたと断言するのは時期尚早と言える。
人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチのオマル・シャキール氏は「全ての兆候や報道からは、イスラエルによる攻撃再開後に同じパターン、つまり人口密集地に大型爆弾投下と砲撃が行われている構図に変わりはないことがうかがえる」と述べた。
●中南米・アフリカ
アルゼンチンのミレイ次期大統領は、ルイス・カプト次期経済相の盟友であるサンティアゴ・バウシリ氏を中央銀行総裁候補に抜てきした。ミレイ氏はペソ建て債務問題の解決を図り、通貨管理を解除することを目指しており、将来的にペソに代わる通貨としてドルを導入する可能性もある。
ミレイ氏のスポークスマンが5日、バウシリ氏起用を確認した。この人事には上院の承認が必要だが、実現すれば、カプト氏が緊縮財政とインフレ抑制に向けて構築している経済チームの能力が強化されることになる。
ミレイ氏は中銀の廃止や経済のドル化など一連の急進的政策を掲げ、大統領に当選。しかし、経済チームに関する選択からは、同氏が「ショック療法」と称する財政調整プログラムを優先させる方針がうかがえる。中銀を廃止し、ドルを採用する計画は先送りされる可能性がある。
バウシリ氏(49)は2016年、アルゼンチンの債務再編案の受け入れを拒否していた債券保有者との交渉に参加。この合意により、アルゼンチンは国際資本市場への復帰を果たした。19年には国際通貨基金(IMF)との交渉を担当するチームを統括していた。
サン・アンドレス大学で学位を取得したエコノミストのバウシリ氏は、JPモルガン・チェースやドイツ銀行に勤務した経験を持つ。最近は、カプト氏率いるコンサルティング会社アンカー・ラティノアメリカに勤務している。
●市況
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが2週間ぶりの高値を付けた。一方、欧州中央銀行(ECB)が早ければ3月にも利下げに踏み切るとの見方が強まり、ユーロは全面安となった。
<債券> 米金融・債券市場では、10年国債利回りが3カ月ぶり低水準を付けた。オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した11月の全米雇用報告が予想を下回ったことを受け、8日に発表される11月の雇用統計も予想外に鈍化を示す可能性を織り込んだ。
INGの米州地域調査責任者、パドレイク・ガーベイ氏は「エコノミストの予想通りであれば、雇用統計は労働市場の後退がないことを意味する。それを前にして、非常に急速に利回りが低下したように見える。労働市場の後退がなければ米連邦準備理事会(FRB)が急ぐ必要はない」と指摘した。
<株式> 米国株式市場は下落して取引を終えた。労働市場減速の兆候を受けて米連邦準備理事会(FRB)が来年早期に利下げを開始する可能性があるとの見方が強まったものの、超大型株やエネルギー株の下落が重しとなった。
USバンク・ウェルス・マネジメントの資本市場調査責任者、ビル・メルツ氏は「雇用の伸び鈍化という全体的な道筋と一致しており、今のところ経済がなお順調なことから問題はない」とした上で、「この傾向が過度に長引き、大規模な雇用喪失につながれば懸念材料になる」と述べた。
S&P総合500種(.SPX)の主要11セクターのうち、8セクターが下落。エネルギー(.SPNY)や情報技術(.SPLRCT)の下げが目立った。
マイクロソフト(MSFT.O)は1%、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)は1.6%、それぞれ下落。エヌビディア(NVDA.O)は2.3%安だった。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、需要減退への懸念が浮上し、5営業日続落した。
米エネルギー情報局(EIA)が午前発表した1日までの1週間の石油在庫統計によると、原油在庫は前週比460万バレル減と市場予想(140万バレル減=ロイター調べ)を上回る取り崩しとなった。ただ、ガソリン在庫は540万バレル増と、積み増し幅は市場予想の100万バレル増を大幅に上回ったため、需給が緩むとの見方が広がり、原油は売りにさらされた。
エネルギー消費大国である米中の景気冷え込みが需要減退につながるとの懸念も相場を下押した。米商務省が発表した10月の貿易収支は2カ月連続で赤字幅が拡大。特に輸出の減少が、景気の鈍化につながると受け止められた。前日には米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスが中国の信用格付け見通しを引き下げたと発表していた。
<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)による来年の利下げ観測を背景とした米国株の上昇につられて買いが優勢となった。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BATS.L)は8.4%と大幅下落。一部の米たばこブランドで評価損を計上することで約315億ドルの打撃を受けると発表したことが嫌気された。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。ユーロ圏最大の経済大国、ドイツの鉱工業受注指数が低下し、欧州中央銀行(ECB)による来年の利下げ観測が強まる中でドイツのDAX指数(.GDAXI)が過去最高値を更新した。
<ユーロ圏債券> 域内国債利回りが低下した。引き続き、欧州中央銀行(ECB)が来年に大幅利下げに踏み切るとの観測が高まっている。
日経先物33,050、ダウ先36,101、債先145.98、米4.109、独2.1965、仏2.740、西3.195、伊3.921、英3.9895、波5.326、原油69.48、銅8,249、ドル円147.16、ユーロドル1.0766
※12/7 8時50分頃

備忘録(2023/12/5)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
規制強化に備えるウォール街の銀行が債券トレーディングから後退する中、この機会に乗じることができる電子マーケットメーカーからの脅威が増大している。トレードウェブ・マーケッツのビリー・ハルト最高経営責任者(CEO)がこう指摘した。
ハルト氏は5日にゴールドマン・サックス米国金融サービス会議で「私の見方では、世界のシタデル・セキュリティーズやエコシステムがこれらの市場に参入してくるだろう」と語った。
ケン・グリフィン氏が率いるシタデル・セキュリティーズなど電子トレーディング会社は、ウォール街の銀行の専門分野に新たな挑戦を突き付け、コーポレートクレジットやその他の債券商品のマーケットメーク(値付け業務)を開始した。
ハルト氏は「彼らのクレジット市場への参入は本物で意義深い」と述べ、同市場に参入する模倣者が増加するだろうと予想。銀行は既存のトレーディング部門の積極性と効率性の向上が必要との認識を示した。
電子マーケットメーカーや高頻度トレーダーは金融危機後の規制で大手銀行が手を引く中、いわゆるディーラー間ビジネスで存在感を増している。これらの企業は、トレードウェブやマーケットアクセス・ホールディングスのような電子取引プラットフォームを通じて債券注文をルーティングすることができる。ブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルームバーグ・エル・ピーは独自の債券取引サービスを提供している。国際的な資本規制の枠組みである「バーゼル3最終化」は、資本要件を強化し銀行に特定業務からの撤退で対応を迫ることから、業界のトレンドをさらに後押しする可能性がある。
ハルト氏は「私の直感では、こうした電子化は非常に良い傾向だと思う」と指摘した。
米銀シティグループは、ルミナークス・キャピタル・マネジメントとの間で、新たな資産ベースの貸し付け戦略を巡る提携に向け交渉を進めており、協議は進んだ段階にある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
部外秘の情報だとして匿名で語った関係者の1人によると、シティの市場部門は、いずれルミナークスの少数株式を取得するような仕組みについて交渉中。まだ取引は成立していないが、合意に達すれば数週間以内に発表される可能性があるという。
今回の協議は、活況を呈するプライベートレンディング市場で足がかりを得ようと銀行の間で相次ぐ取り組みの一つ。これには企業の資産と結びつけたオーダーメード型のファイナンス合意も含まれると考えられる。
ルミナークスは、ともにブラックストーン出身のギデオン・バーガー、ミン・トゥー両共同創業者が率いる。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
欧州中央銀行(ECB)が5日に発表した10月の消費者期待調査によると、ユーロ圏消費者の1年先と3年先のインフレ期待はそれぞれ4.0%、2.5%で横ばいとなった。
一方、今後1年間の経済成長率予想は前月のマイナス1.2%からマイナス1.3%に下方修正された。
欧州連合(EU)統計局が5日発表した10月のユーロ圏生産者物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇した。
予想と一致した。エネルギー価格が上昇したが、他のさまざまな品目が下落した。
前年同月比では9.4%下落と、下落ペースが鈍化した。市場予想は9.5%下落だった。
9月は前月比0.5%上昇、前年同月比12.4%下落だった。
前月比の内訳は、エネルギーが1.0%上昇、耐久消費財が0.1%上昇。資本財は横ばいだった。非耐久消費財は0.1%下落、中間財は0.3%下落した。
S&Pグローバルがまとめた11月のユーロ圏のHCOB総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は47.6と前月から上昇した。だがサービス業は需要低迷が続き、ユーロ圏は第4・四半期もマイナス成長になる可能性が高いことが示された。
速報値の47.1から上方修正され7月以来の高水準となったが、好不況の分かれ目となる50を依然として下回っている。10月は46.5と約3年ぶりの低水準だった。
サービスPMIは48.7と10月の47.8から上昇した。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「サービス部門は11月も低下基調が続いた。活動指数は小幅改善したが、目先の急回復について楽観できる余地はあまりない」と指摘した。
「新規事業が5カ月連続で縮小したことで見通しはさらに暗くなった。第4・四半期のGDP成長率はマイナスになりそうだ」と述べた。
需要の強さを示す新規事業指数は45.6から46.7へ上昇したが、5カ月連続で50を下回った。
今後1年の全体的な景況感は改善した。製造業とサービス業を合わせた将来の生産を示す指数は55.6から56.0へ上昇した。
S&Pグローバルがまとめた11月のドイツのHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は49.6と、10月の48.2から上昇したが、引き続き好不況の分かれ目となる50を下回った。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は、国内外で新規受注が鈍化していると指摘。
雇用は小幅ながら3カ月ぶりに増加した。
企業の見通しは前月比で小幅に悪化。高いエネルギーコスト、市場の不透明感、経済全体の低迷が引き続き重しとなっている。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは45.9から47.8に上昇したが、引き続き50を下回った。
独IFO経済研究所が5日発表した11月の国内小売業者の景況感指数は、マイナス8.8と10月のマイナス13.5から上昇した。3カ月ぶりに改善したが、需要の低迷が続きクリスマス商戦に対する期待は高くない。
IFOで小売業界を担当するパトリック・ヘップナー氏は「小売業者のムードは若干改善した。しかし需要は1年を通して低迷しており、クリスマス前の書き入れ時でも依然として課題となっている」と指摘した。
IFOによれば、今後数カ月の小売業界に対する見方は依然として悲観的だが、来年はインフレの緩和により弾みがつく可能性がある。「経済全体と同様に小売り部門も今後数カ月、価格の伸びが縮小するだろう」とした。
S&Pグローバルがまとめたフランスの11月のHCOBサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は45.4と、好不況の分かれ目となる50を引き続き下回った。
需要の減少ペースが過去3年で最大だった。景気後退に対する懸念が強まっている。
速報値は45.3、10月は45.2だった。
新規受注指数は43.2と、新型コロナウイルスが猛威を振るっていた2020年11月以降で最低。
ハンブルク商業銀行のエコノミスト、ノルマン・リープケ氏は「フランスのサービス企業は窮地に立たされている。活動は6カ月連続で落ち込み、需要は依然として弱く、投入価格は再び急上昇している」と指摘。経営者は特に、来年も需要の低迷が続き、資金調達条件が厳しくなることを懸念しているという。
サービス業と製造業を合わせた11月の総合PMI改定値は44.6。速報値は44.5だった。
S&Pグローバル/CIPSが5日発表した英国の11月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)改定値は50.9と4カ月ぶりに好不況の分かれ目となる50を上回った。
速報値の50.5から上方修正され、7月(51.5)以来の高水準となった。サービス価格も7月以来の高水準だった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの経済ディレクター、ティム・ムーア氏は「11月のデータは短期的なインフレ見通しについて警戒感をもたらした。賃金の上昇などによりサービス業者が再び強いコスト圧力にさらされることを示している」と分析した。
広範な経済見通しに対する懸念や賃金の上昇によるコスト圧力から一部の企業は採用を凍結した。しかしサービス部門全体では雇用は改善し、雇用指数は50.3と10月の49.2から上昇した。
S&Pグローバルによると、一部の企業は借り入れコストの上昇が新規受注の重しになっていると指摘した。
サービス業と製造業を合わせた総合PMIは50.7と、前月の48.7から上昇し7月以来初めて50を上回った。
英小売協会(BRC)が5日発表した11月の小売売上高は前年同月比2.7%増だった。10月の2.5%増から小幅な改善にとどまった。11月はブラックフライデーがあったものの、消費者は依然として食費など生活費の確保に追われて廉価商品を選好し、宝飾品など高額嗜好品への支出を絞り、小売り全体でさえない伸びが続いた。前年11月には伸びが4.2%増あった。
国際会計事務所KPMGの英国事業を統括するポール・マーティン氏は「多くの家計が生活費(の高騰)に苦しみ、(今年の)クリスマス消費は落ち込んでいる。英景気は(低成長が)続いており、消費の回復力が試されている」と話した。来年早々に小売業者の経営破綻が相次ぐ恐れがあり、特に売り上げの落ち込みが長引いているオンライン専業でその可能性があるという。
スウェーデン中央銀行が4日公表した11月23日の金融政策委員会議事要旨では、金融政策で当面、引き締め姿勢の維持が求められ、物価見通しが悪化すれば追加利上げが必要になるかもしれないとの見解が示された。
中銀は先月、政策金利を4.00%に据え置くと決定。8回連続利上げによる効果が出てきており、物価は正しい方向に向かっていると説明した。
議事要旨によると、中銀のテデーン総裁は「現時点では物価上昇率が目標の2%まで下がって、その水準で落ち着く状況を確実にできるかが問題だ」と指摘。「仮に新たに入手したデータで、物価上昇率の目標へ向けた下振れ基調が続いていないことが示されれば、今後の会合で行動を起こす多くの機会が到来する」と述べた。
物価上昇率はピークの10%超からは鈍化したが、依然として目標の2%を上回っており、中銀はクローナ安に加え、財とサービスの物価動向を巡る不安を払拭できていない。
数人の政策委員は、物価上昇率が確実に目標の2%に戻るようにするため、金融政策では当面、引き締め姿勢を維持する必要があると主張した。
だが金融市場は、中銀は利上げを終了した可能性が高く、来年半ば以降に利下げに踏み切ると織り込んでいる。
バイデン米大統領が何らかの理由により2024年大統領選挙での再選をめざさないと決意したとしても、民主党には「プランB」が存在しない。バイデン氏に代わる総大将を用意する必要が突然生じれば、面倒な党内抗争が勃発する可能性がある。
世論調査での支持率が低迷し、党内からでさえ聞こえてくる高齢への不安にも関わらず、バイデン氏は自らの再選をめざす計画を堅持している。
これから新たな民主党候補が急きょ参戦するとしても、ネバダ州、サウスカロライナ州、ジョージア州といった重要州で予備選挙への登録が締め切られてしまっているため、その前途は視界不良だ。
共和党は2020年にバイデン氏に敗れたドナルド・トランプ氏を候補に指名する可能性が濃厚だが、バイデン氏の忠実な支持者は、大統領就任以来の実績を理由として、勝利に向けたプランBは不要だと主張する。
81歳になるバイデン大統領が万が一撤退してしまった場合、想定されるシナリオの1つは、民主党が党規約に従い、来年8月の党大会、あるいはさらに後の時期に、別の候補者を指名することだ。
ロイターが取材した複数の民主党現・元職員はバイデン氏の成功を望んでいると明言しつつも、米国史上最高齢の大統領が選挙期間中に健康問題に直面するか、それ以外の理由で撤退を余儀なくされた場合に、民主党は大混乱に見舞われる可能性があると認めた。
バイデン氏とともに再選をめざすカマラ・ハリス副大統領は、自らも支持率の低さという悩みを抱えており、バイデン氏が撤退した場合に自動的に正大統領候補に昇格するとは限らない。バイデン氏抜きにハリス氏が大統領をめざす場合、2人で共に培ってきた選挙基盤による恩恵を受けられるだろうが、他の民主党候補が参戦してくる可能性は高い。
ある民主党幹部はロイターに対し、「プランBは存在しない。もしバイデン氏が突然出馬を取りやめたら、ご存知の面々が出てくるだろう。ハリス副大統領を恐れる者はいない」と語った。
民主党の予備選が進んでいる段階でバイデン氏が撤退した場合、各州の立候補届出要件にもよるが、他の候補者の参戦も可能になる。
大統領選挙に向けた選挙陣営の立ち上げと選挙資金の調達には通常数カ月を要する。カリフォルニア州やイリノイ州、ミシガン州といった重要州の立候補届け出期限は数週間以内に迫っている。
いくばくかの不安は抱えつつも、民主党関係者は現大統領支持で団結しているという。さもなければ、すでに大物ライバルが予備選に参戦していたはずだ、と。
バイデン陣営で広報を担当するダニエル・ウェッセル氏は、「ジョー・バイデン氏は民主党の候補者となり、たとえ共和党がどのようなMAGA過激派を立ててきても勝利するだろう」と言う。「MAGA」は「アメリカを再び偉大にする(Make America Great Again)」というドナルド・トランプ前大統領のスローガンを意味する。
共和党の大統領候補指名争いでトップを走るトランプ氏も77歳という高齢であり、機密文書の不適切な扱いや、バイデン氏に敗れた2020年大統領選挙における選挙干渉などをめぐる多数の訴訟といった問題を抱えている。同氏はこうした容疑を否認している。
共和党の予備選では多くの候補者がトランプ氏に挑戦しており、万が一トランプ氏が撤退しても、代替となる選択肢はすでに用意されている。
<国益として最善か>
現政権にとっては残念なことに、バイデン氏の高齢は、2024年大統領選挙で決定的な争点となってしまった。
オバマ政権で大統領上級顧問を務めたデビッド・アクセルロッド氏は、11月の世論調査では鍵となる激戦州でバイデン氏がトランプ氏に対して後れを取っている点を指摘し、再選をめざすことが賢明なのかどうかバイデン氏は判断する必要があると述べた。
アクセルロッド氏はX(旧ツイッター)に、「バイデン氏が出馬を止めないならば、民主党の候補指名は得られるだろう。彼が判断すべきことは、それが賢明かどうかだ。それが自分自身にとっての最善の利益なのか、それともこの国にとっての最善の利益なのか」と投稿した。
2月に行われた健康診断では、バイデン氏の健康は良好で「任務に耐えうる」という結果が出ている。
バイデン氏はこれまでずっと、民主党の候補者としてトランプ氏に勝てる可能性は自分が一番高いと考えているが、ロイター/イプソスが11月7日に実施した世論調査では、バイデン氏の支持率は4月以降で最低の39%を記録した。
民主党の予備選は2月に始まる。バイデン氏は予備選に快勝して候補指名を獲得すると予想される。世論調査では、バイデン氏に挑戦すべく予備選への出馬を表明した作家のマリアンヌ・ウィリアムソン氏、ディーン・フィリップス下院議員に大差をつけている。
2024年6月に実施される終盤の予備選の後でバイデン氏が撤退した場合、民主党の代議員はシカゴでの党大会で別の候補者に自由に投票することになる。
党大会以前にバイデン氏が撤退すれば、ハリス氏、ニューサム・カリフォルニア州知事など多数の政治家の間で、候補指名をめざして4000名を超える民主党代議員の票の争奪戦が繰り広げられるのはほぼ確実だ。
そうなったとしたら、党大会に出席する代議員があらかじめ決められた通りの投票ではなく、本当に自分自身で候補者を選んだ時代に戻る契機になるかもしれない。
ブルッキングス研究所の上級研究員で、民主党全国委員会にも名を連ねる選挙専門家のエレーヌ・カマルク氏は、「バイデン氏が党大会前に撤退すれば、誰に投票するべく選出されたかに関わらず、代議員が実質的に(投票先を)自分で決めるという、昔ながらの党大会を開催することになる」と語る。
そうなれば党内抗争が勃発し、民主党も、候補者が時間と資金を費やしてお互い戦うという、共和党に酷似した状態に陥りかねない。
さらに事態が複雑になるのは、バイデン氏が何らかの理由で党大会後に離脱した場合だ。『予備選の政治学(Primary Politics)』という著書のあるカマルク氏によれば、その場合には民主党全国委員会のメンバー435名が、特別の会合を経て候補者を選出するという。
候補者の交替には前例がある。
1972年、民主党大統領候補ジョージ・マクガバン氏の副大統領候補だったトーマス・イーグルトン上院議員(当時)は、うつ病治療中であることが明らかになり、選挙戦から撤退した。
民主党全国委員会は空席となった副大統領候補を決めるべく緊急会合を開き、サージェント・シュライバー氏を後任に選んだ。マクガバン候補は落選した。
バイデン氏の「代役」として特に活発に動いているのがカリフォルニア州知事のニューサム氏で、共和党大統領候補であるフロリダ州知事ロン・デサンティス氏を派手に攻撃している。両知事は30日にテレビ放映された討論番組に出演しているが、大統領候補として出馬表明していない立場としては異例の行動だ。
ある民主党幹部は、「バイデン氏を全力で応援するニューサム氏のように、いま私たちが目にしている多くの『代役』の活動は、民主党支持者たちに対して自分たちも選択肢であることを印象づけるための動きだ」と語る。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。追加利上げが必要になるかどうかは今後入手するデータとリスク評価次第と改めて表明し、来年2月の次回理事会まで判断を持ち越した。
10月のインフレ率が予想以上に鈍化したことを受け、市場では据え置き予想が大勢だった。
中銀は11月以降に入手した経済指標がおおむね予想通りだったと指摘した。
豪ドルは0.5%下落して1豪ドル=0.6581米ドル。豪3年国債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下し3.995%。
市場が織り込む来年3月までの25bp利上げの確率は43%から38%に低下した。
中銀のブロック総裁は「今回の金利据え置きにより、利上げが需要、インフレ、労働市場に及ぼす影響を評価する時間を確保できる」と表明。
「インフレ率が合理的な時間枠内で目標に戻ることを確実にするために金融政策の追加引き締めが必要になるかどうかはデータとリスク評価の展開次第だ」と述べた。
中銀は4回連続で政策金利を据え置いた後、先月25bpの利上げを実施。ブロック総裁はその後、内需が物価を押し上げつつあると述べ、金利による一段と「大幅な」対応が必要になっているとの見解を示した。
バークレイズのアナリストは顧客向けメモで「声明文は11月ほどタカ派的でなく、また当社予想ほどタカ派的でもなかった」と指摘。
「豪中銀はデータ次第という姿勢のため、第4・四半期インフレ率の発表後に追加利上げの可能性はあるものの、当社は利上げサイクルは終わったと引き続き考えている」とした。
第4・四半期インフレ率は2月6日の次回理事会を控えた1月下旬に発表される。
中銀は、予想以上に低下した10月のインフレ統計について、サービス部門に関する最新情報を得るには不十分と判断。前期に記録的なペースで上昇した賃金については今後緩むと予想している。
ANZのエコノミスト、マデリン・ダンク氏は、11月の利上げによって少なくとも短期的にはインフレ懸念が払拭されることを中銀は期待しているのだろうと指摘。来年に見込まれる米連邦準備理事会(FRB)の利下げが続くようであれば、豪中銀が4.35%をピークに利下げに着手する可能性はあるとした。
豪連邦統計局が5日発表した第3・四半期の経常収支は1億5800万豪ドル(1億0449万ドル)の赤字となった。第2・四半期の78億豪ドルの黒字から赤字に転落した。
市場予想は31億豪ドルの黒字だった。石炭と液化天然ガスの輸出価格が下落する一方、石油の輸入と国民の海外旅行が拡大し対外支出が増えた。
統計局によると、純輸出が国内総生産(GDP)を0.6%ポイント押し下げるとみられる。予想は0.2%ポイントだった。
半面、政府支出が1%増加し、GDPを0.3%ポイント押し上げ。さらに、鉱業在庫の急増が約0.9%ポイント寄与するとみられ、6日発表の第3・四半期GDPを押し上げる可能性を示唆した。
GDPの予想中央値は0.4%増、前年比では新型コロナウイルス大流行期に当たる2020年後半以降で最低の1.8%に鈍化する見通しとなっている。
一方、5日に発表された業界データによると、11月の新車販売台数は前年比で約18%増加。過去7カ月のうち6カ月が過去最高の販売台数となっており、23年通年でも過去最高を記録する見込みだ。
業界団体FCAIは「サプライチェーン(供給網)混乱による問題が後退し、消費者は幅広い選択肢にアクセスできるようになった」と指摘した。
先週発表された11月のユーロ圏インフレデータを受け、欧州中央銀行(ECB)は恐らくこれ以上の利上げはしないだろうと、シュナーベル理事が述べた。
同理事はロイター通信とのインタビューで「直近のインフレ率を見ると、追加利上げの可能性はかなり低い」と述べた。インタビュー内容はECBのウェブサイトに掲載された。
11月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)指数は前年同月比2.4%上昇と、エコノミスト予想を大きく下回った。
シュナーベル氏は「何が起こるか見てみないとわからない。これまで何度も、どちらの方向にも驚かされてきた。6カ月後に起こることについて発言するのには慎重であるべきだ」とも語った。
1カ月前に10月のデータでも物価上昇率の鈍化が示されたが、シュナーベル氏は再利上げの可能性を否定するのは時期尚早だと警告し、インフレ率をECB目標である2%に戻すための闘いを、長距離走の最後の1マイルを克服することにたとえていた。
現在は、状況が変わりつつあることに自信を深めているもようだ。
ECB当局者の中でもタカ派とされるシュナーベル氏の発言を受けて短期金融市場はより急速で大幅な利下げ予想を織り込んだ。来年3月までの0.25ポイント利下げをほぼ完全に織り込んだほか、来年末までに1.5ポイントの利下げを見込んでいる。
3週間前には来年1-3月(第1四半期)中の利下げの確率はほぼゼロとみられており、先月下旬の時点では来年に予想される利下げ幅は0.75ポイントだった。
シュナーベル氏は「11月のインフレ速報値は非常にうれしいサプライズだった。最も重要なのは、より頑固だった基調的インフレ率が、予想以上に急速に低下してたことだ。これは驚くべきことだ。全体として、インフレの進展は心強い」と話した。
ただ、4日のデギンドス副総裁発言と同様に「性急にインフレに対する勝利を宣言してはならない」とくぎを刺した。
「今後数カ月には上振れもあると考えている」とし、「幾つかの財政措置やベース効果の反動もあるだろうし、エネルギーや食品で新たな価格高騰が起こる可能性も排除できない」と話した。
ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁も同様の論調で、地政学的緊張が物価上昇圧力を高める可能性があると警告している。
当局者らは13-14両日の政策委員会で2回目の金利据え置きを決める見込み。14日には2026年までを含む新しい経済見通しも公表される。
米共和党内でトランプ前大統領批判派の急先鋒として知られるリズ・チェイニー前下院議員(57)は、来年の大統領選に第三の政党から、もしくは超党派の候補として出馬することを検討していると明らかにした。
チェイニー氏はトランプ氏を民主主義と米国に対する脅威の一つだと指摘。米紙ワシントン・ポストで「われわれは米国にとって実際に出現しかねない脅威に直面しており、これら全ての試練に対処し、真正面から向き合う候補を必要としている」と語った。
さらに「トランプ氏が共和党を掌握し続けている結果として、米国の民主主義が危険にさらされていると考えるに至り、同じように国際的に民主主義は危機にあると思う」と強調した。
今後数カ月中に決断を下す考えだとしている。
チェイニー氏は、2021年1月にトランプ氏支持者らが起こした連邦議会襲撃事件でトランプ氏の責任を追及した。
ロイター/イプソスが1─3日に実施した世論調査によると、12月のバイデン大統領の支持率は40%となった。11月の39%から小幅上昇したものの、大統領就任以降の最低水準である36%近辺を推移しており、2024年の米大統領選での再選見通しに影を落としている。
世界最大の資産運用会社ブラックロック傘下のブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)のストラテジストは5日のパネルディスカッションで、先物市場が米連邦準備理事会(FRB)の利下げを「過度に」織り込んでいるため、2024年の世界市場はより大きなボラティリティーに見舞われるだろうとの見方を示した。
グローバルチーフインベストメントストラテジスト、ウェイ・リー氏は「利下げに対する市場の織り込みはやや過度だ。金利のボラティリティーは今後も続く」と述べた。
CMEのフェドウオッチによれば、米政策金利が来年12月までに125ベーシスポイント(bp)以上低下する確率は現在50%以上となっている。
ブラックロック・ファンダメンタル・エクイティーズのグローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー、トニー・デスピリト氏は、金利に関する前提が変わることで24年には様々なセクターが急速に人気を集めたり失ったりする可能性が高いと指摘。人工知能(AI)分野で重要な役割を果たすメモリストレージ企業に特に強気とした。
米短期債に対してはなお強気だが、構造的なインフレ高進を想定しているため、長期債利回りが現在の水準から大幅に低下することは難しいとし、キャピタルゲインよりもインカムゲインの方が大きくなる見込みとした。リー氏は「来年の投資にとってインカムが有意義な形で戻ってくる」と述べた。
また、ユーロ圏と英国の国債および米インフレ連動債に対する見方を「オーバーウエート」から「ニュートラル」に引き下げた。投資家は今後「成長鈍化、インフレ高進、金利上昇、そしてボラティリティーの増大」に直面するとした。
新興国市場ではインドとメキシコに強気とし、先進国市場よりも新興国市場の資産を広く選好しているとした。先進国市場では日本株を選好した。
シニア投資ストラテジストのクリスティ・アクリアン氏は、市場はFRBの利下げに過度の期待を寄せているかもしれないが、FRBはすでに金利のピークに達している可能性が高く、債券の魅力は全体的に高まっていると言及。「最大のリスクはキャッシュを持ち過ぎることだ」とした。
米供給管理協会(ISM)が5日発表した11月の非製造業総合指数は52.7と、5カ月ぶりの低水準だった前月の51.8から上昇し、予想の52.0も上回った。拡大・縮小の分岐点となる50を上回るのは11カ月連続。
企業活動の活発化を反映し総合指数は回復したものの、新規受注指数が横ばいにとどまったほか、金利上昇の影響が出始める中で価格指数は低下した。
新規受注指数は55.5と、前月から横ばい。価格指数は58.3と、58.6から低下した。
ただ、雇用指数は50.7と50.2から上昇。5月に50を下回ったが、その後は6カ月連続で50を上回った。ISMによると、雇用主は「通常の自然減で従業員が減少している」とし、「これらのポジションを補充するのに問題が生じている」とした。また労働市場は依然として「非常に競争的」とした。
サービス業は米経済の3分の2超を占めており、指数が50を上回ると拡大を示す。
主要短期金利の急上昇は、難解だが重要な翌日物資金調達市場を驚かせ、4年余り前にこの市場を揺るがした混乱を想起させている。
緊張が表面化し始めたのは先週後半だ。11月の米国債急上昇をあおった債券購入熱は、国債を担保に短期の貸し借りを行う現先市場での資金需要を急増させた。
このため11月最終取引日の短期金利は大幅に上昇し、担保の債券銘柄を特別指定しないGCの翌日物レポ金利は5.50%を超えた。さらに異例なことに、この高水準は12月に入っても続いた。
このエピソードは、2019年9月に起きた市場の大混乱を思い起こさせる。当時は米金融当局が国債購入をやめ、その穴埋めから銀行の準備預金が不足していた中で、政府借り入れの増加がそれを悪化させた。ウォール街の銀行が日々の資金調達に広く頼っていた翌日物レポ金利は一時10%と、5倍に急上昇した。
金融当局は一時的にレポ金利の統制を失い、最終的には市場を安定させるために国債の買い入れを再開して介入した。
TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジェナディー・ゴールドバーグ氏は「2019年9月と同じように見えるが、今回は準備預金不足が理由だとは思えない」と述べた。
短期資金調達市場のボラティリティーが懸念されるのは、中央銀行の金融政策運営に支障をきたす可能性があるためだ。資金調達の機能不全は政府などの借り入れコストを圧迫する可能性があるため、より広範な経済にリスクをもたらす。
今回の金利急上昇は、さまざまな出来事が重なったために起こった。国債の急上昇と資金調達需要に加え、規制上の理由から銀行は月末の傾向に従ってレポ市場での貸し出しを縮小していた。一方、政府の借り入れ増加と米金融当局のバランスシート縮小の副産物として、プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)のバランスシートには国債が膨らんでいたため、短期資金を提供する能力が損なわれていた。
4日に公表されたニューヨーク連銀のデータによると、この逼迫(ひっぱく)は他の主要な資金調達金利にも波及し、担保付翌日物調達金利(SOFR)は1日時点で5.39%まで上昇。ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の代替として2018年4月にデビューして以降で最高の水準となった。
金融当局が量的引き締め(QT)として知られるバランスシートの縮小を進めている現在、銀行のバランスシートの許容度は一段と重要性を高めている。さらに、連邦財政赤字を埋め合わせるための政府借り入れの増加も背景にある。
ただ、今のところは大きな懸念材料にはなっていないようだ。金融当局に預けている銀行の準備預金は約3兆4000億ドル(約500兆円)と、政策決定者が潤沢だと考える水準にある。当局の翌日物リバースレポ(RRP)ファシリティーにはまだ約8150億ドルが保管されている。これは、減少傾向にあるとはいえ、まだ金融システムに滞留している過剰流動性を表している。
ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「これは準備預金不足というよりも、ディーラーのバランスシートの問題かもしれない」と指摘。「ここ数カ月、月末に向けて大量の担保が絶えず市場に出回っていることが、恐らくレポ金利の急騰に寄与しているのだろう」と語った。
それでもバークレイズのジョゼフ・アベート氏は、ディーラーが月末後に柔軟性を取り戻し、より高い資金需要に適応するよう取り組んでも、RRPファシリティー残高の減少は続くと予想している。そのため、金利はもう少し高止まりし、最終的にはRRPファシリティーからさらに多くの現金が引き出されることになる。マネー・マーケット・ファンドのようなカウンターパーティーが財務省短期証券(TB)などのより利回りの高い資産への投資を選択したため、RRPファシリティーの残高は6月にすでに約1兆2000億ドル減少している。
アベート氏は、資金調達市場の動きから2つの疑問が湧くと指摘。借り入れによる資金調達の需要は今後も上昇を続け、ディーラーが資金を提供する能力を上回ってしまうのか、RRPファシリティーの資金が1月までに実質的に底をつく場合に金融当局は2024年のどこまでQTを継続できるのかだと説明した。
同氏は4日付の顧客向けリポートで、「歴史は繰り返さないかもしれないが、韻(いん)を踏む可能性はある」との見方を示し、「現在の資金繰りのひっ迫は今週中に落ち着くと予想されるが、RRPファシリティーの減少スピードの速さは、混み合ったロングポジションと相まって、リスクが高まっていることを示唆している」と論じた。
●中国・アジア・ロシア・東欧
中国の王毅外相は4日、欧州連合(EU)の駐中国大使やEU加盟国の高官らと面会し、7日に開かれる中EU首脳会談で関係深化を目指す考えを表明した。複雑な情勢や困難な課題に直面する中で実利的な協力に軸足を置く姿勢を示した。
新華社通信によると、王外相は双方が戦略的観点から中EU関係を捉えるべきだとし、中国の対欧州政策は引き続き安定していると語った。
「中国とEUは国際・地域問題に関して完全に同じ見解を持っているわけではなく、意思疎通と連携の継続によってのみ世界の平和と安定を維持し、世界的な課題に対処する上で建設的な役割を果たすことができる」と述べた。
7日には中国の習近平国家主席がミシェルEU大統領とフォンデアライエン欧州委員長と会談する。 もっと見る
EUの駐中国大使らは、EUが建設的で安定した中EU関係の発展に尽力しており、中国との相互尊重と対話の維持に前向きだと述べた。中国とデカップリング(経済切り離し)する意向はなく、「互恵的でバランスの取れた経済・貿易関係」の構築を望んでいると述べた。
S&Pグローバルが5日発表したインドの11月のサービス部門購買担当者景気指数(PMI)は56.9と1年ぶりの低水準となった。インフレ圧力は緩和しているが、需要が軟化した。
10月の58.4から低下しロイター調査の予想(58.0)も下回った。しかし2021年8月以降、好不況の分かれ目となる50を上回っている。
需要の重要な指標である新規事業指数は1年ぶりの低水準で、海外需要を示す指数も5カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。
S&Pグローバルの経済アソシエートディレクター、ポリアンナ・デリマ氏はインドのサービス部門は成長が一段と鈍化したが、サービス需要は堅調で新規事業の立ち上げと生産拡大に寄与していると指摘した。
インフレ期待の上昇により楽観的な見方が薄れているが、現在のPMIの水準は長期平均と比べると非常に健全で、企業活動の見通しは引き続き明るいとの見方を示した。
全体的な景況感は4カ月ぶりの低水準となった。将来の活動を示す指数は9年ぶりの高水準だった9月から大きく低下している。
企業の採用ペースは鈍く、雇用指数は7カ月ぶりの低水準だった。営業コストとサービス価格は上昇したが、いずれも3月以来最も弱かった。
11月のインド製造業PMIは56.0。サービスPMIの低下により製造業とサービス業を合わせた総合PMIは57.4と昨年11月以来の低水準となった。
格付け会社ムーディーズは5日、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
中期的な経済成長率の低下や不動産部門の縮小が理由。
ムーディーズは中国の成長減速・債務増加見通しを踏まえ2017年に格付けを1段階引き下げA1とした。それ以来の調整となる。
長期自国通貨建て・外貨建て発行体格付け「A1」は据え置いたが、GDP伸び率は24年と25年に4.0%に減速し、26─30年には平均3.8%に低下すると予想した。
見通しの変更についてムーディーズは、中国当局が債務問題を抱える地方政府や国有企業への資金支援を迫られることが予想され、中国の財政、経済、構造的強さに広範なリスクを与えているためと説明。
さらに「中期的な経済成長の構造的・持続的低下や、現下の不動産部門縮小に関連したリスク」も見通しの引き下げ要因とした。
国際通貨基金(IMF)の最新データによると、地方政府債務は22年に92兆元(12兆6000億ドル)、国内総生産(GDP)比76%で19年の62.2%から上昇した。
中国財政省は、ムーディーズの措置に失望したと表明、中国経済は回復トレンドを維持するとした。不動産・地方政府リスクは制御可能とし、「中国の経済成長見通し、債務の持続可能性、その他ムーディーズの懸念は必要ないものだ」と説明した。
5日の中国株式市場は同国経済への懸念から優良株が約5年ぶりの安値を付けた。取引時間中にはムーディーズによる引き下げのうわさが流れ、地合いが悪化した。
関係筋によると、中国の大手国有銀行は終日、人民元を買い支えていたが、ムーディーズの発表後、ドル売りを大幅に増やした。午後遅くの人民元は横ばい。
中国ソブリン債の債務保証コストは11月中旬以来の水準に上昇した。
みずほ銀行(香港)のアジア通貨担当チーフストラテジスト、ケン・チュン氏は「市場は目先の国債のリスクよりも、不動産危機や低成長の方を懸念している」と指摘。
複数のアナリストによると、A1の格付けは投資適格級の領域内で高水準であるため、格下げされても海外ファンド勢が売りを迫られる可能性は低い。フィッチとS&Pも中国をムーディーズと同等の「A+」に格付けしている。格付け見通しはともに「安定的」。
●中東
パレスチナ自治区ガザ南部でのイスラエルの軍事作戦の停止を求める国際社会の圧力が高まる中、同国のネタニヤフ首相は5日、イスラム組織ハマスを壊滅させるまで作戦を推し進めると明言した。ただガザでの死者数はさらに増加しており、国連はガザに安全な場所はないと指摘した。
ネタニヤフ首相は戦時内閣のメンバーとブリーフィングに臨み、世界が戦争の早期終結を望むならイスラエルを支持しなければならないと発言。戦闘の発端となった10月7日のハマスの奇襲攻撃で戦闘員が「忌まわしい」性的暴行を行ったことを国際機関が無視していると非難した。
同首相は「ハマスはわれわれを破壊しようとしているとしているが、逆にわれわれが彼らを壊滅させつつある」とし、イスラエル軍はハマス軍事部門の大隊指揮官の半数を殺害したと述べた。その上で、「われわれは最後まで、圧勝するまで戦い抜く」と表明した。
バイデン米政権や他の同盟国はイスラエルに対し、ガザ北部で行ったような壊滅作戦を南部で展開しないよう圧力を加えてきた。しかしネタニヤフ首相と戦時内閣メンバーはこうした懸念に対し、同様の主張を繰り返している。欧州委員会のボレル副委員長(外交安全保障上級代表)は5日、X(旧ツイッター)の投稿で、戦闘の一時停止を呼び掛けた
イスラエルは民間人の命を守るための予防的措置を強化しているとしているが、ハマスの保健当局は5日、戦闘再開後の死者数は約1000人に上り、イスラエルの反攻開始以来のパレスチナ人の死者数は1万6000人を超えたと発表した。イスラエルはハマスが病院や学校の近くや地下に拠点を構え、民間人を人間の盾にしているためだと主張している。
イスラエル国防軍はガザ南部の最大都市ハンユニスを包囲した。ニュースサイトのアクシオスが匿名の当局者を引用して報じたところでは、イスラエル軍はハマスの指導者ヤヒヤ・シンワル、ムハンマド・デイフ両氏が同市内に潜伏しているとみている。
国連事務総長のデュジャリック報道官は5日、ニューヨークで、国連は民間人の犠牲を避けることを重視しているが、率直に言ってこれはうまく行っていないとした上で、「ガザには安全な場所はない。国連の旗を掲げたシェルターには多数の住民が避難しているがそこも安全ではない」と指摘した。
一方、米国はイスラエル軍がガザの住民に作戦を通告し、他の地域への退避を促す努力をしていると強調。まだ状況を注視しているとした。ホワイトハウスのダルトン報道官は記者団に、「まだ始まったばかりだ。いちいち説明はしない」と語った
イスラエル政府のレビー報道官は5日、ハマスやその他の武装集団が10月7日に連れ去った人質全員を確実に解放することが、引き続きハマスの壊滅と並ぶ戦争目的だと主張。「人質を解放するための一時的な休止」なら検討できると、同報道官がエルサレムの記者クラブで述べた。
カタールのタミム首長は5日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによる戦闘休止の復活に取り組んでおり、包括的な停戦を模索すると表明した。
タミム首長はカタールの首都ドーハで開かれた湾岸協力会議(GCC)での演説で、戦闘休止を「復活させ、ガザ市民の負担を軽減するための努力を続けている」とした上で、「戦闘休止は包括的な停戦の代替策ではない」と強調した。
さらに「女性や子どもを含む罪のない民間人の組織的かつ意図的な殺害という凶悪な犯罪が2カ月近く続いている状況を放置しているのは、国際社会にとり恥ずべきことだ」と非難。国連安全保障理事会はイスラエルに対し、交渉の席に戻るよう強いるべきという認識も示した。
また、カタール外務省の報道官はアルジャジーラに対し「戦闘の終結につながる可能性のある持続可能な戦闘休止」について協議を深めるべきと語った。
カタールはこれまで、イスラエルとハマスによる交渉の仲介役を果たしてきている。
イスラエルがパレスチナ自治区ガザの地下トンネルに海水を注入できる大型ポンプのシステムを組み立てたと、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が4日、米当局者の話として報じた。
イスラム組織ハマスの戦闘員をトンネルから追い出すために使用する可能性があるという。
報道によると、イスラエル軍は11月半ば、シャティ難民キャンプから北に約1.6キロの場所で少なくとも5つのポンプの設置を終えた。1時間に数千立方メートルの水を移動することが可能で、数週間でトンネルを浸水させられるという。
イスラエルが全ての人質解放前にポンプ使用を検討するかは不明。
米当局者はこの報道について、イスラエルがトンネルを使用不能にするのは理にかなっており、同国がさまざまな方法を検討していると述べた。
イスラエル軍当局者はWSJに対し、海水注入計画には言及せず、「さまざまな軍事的・技術的手段を用いてハマスのテロ能力解体に向けて活動している」と述べたという。
WSJによると、イスラエルは11月にこの選択肢を米国に伝えた。米当局者はイスラエルが計画実行にどの程度近づいているか把握しておらず、計画を実行もしくは排除するか同国は最終決定していないと述べたという。
イスラエルは再度の短期的な戦闘休止を検討する可能性がある。イスラム組織ハマスと、まだ拘束されている人質137人のさらなる解放で合意が成立することが条件だ。
イスラエル政府のレビー報道官は5日、ハマスやその他の武装集団が10月7日に連れ去った人質全員を確実に解放することが、引き続きハマスの壊滅と並ぶ戦争目的だと主張した。
その上で、「人質を解放するための一時的な休止」なら検討できると、同報道官がエルサレムの記者クラブで述べた。
1日に終了した7日間の戦闘休止期間にハマスは240人余りの人質のうち、110人を解放した。その引き換えに、イスラエルは刑務所に収監していたその約3倍の数のパレスチナ人を釈放した。
イスラエルは戦闘休止が終了となったのは、ハマスが女性と子供全員を解放するという合意をほごにしたためだと説明している。米国と欧州連合(EU)がテロ組織に指定するハマスは、女性20人と少年2人、男性115人を依然拘束しているとされる。この全員が生存しているかは明らかでない。
前回の戦闘休止の仲介役を務めたカタールは、新たな戦闘休止合意の確保に取り組んでいると明らかにした。だが、これが「恒久的な休戦の代替」として見なされるべきではないと、同国のタミム首長がドーハで語った。
イスラエルの主要野党指導者ヤイール・ラピード氏が4日再び注目を集めた。ベンヤミン・ネタニヤフ首相の辞任を求め、10月7日へ至る諜報活動の大失敗を批判したのだ。ラピード氏は、イスラエル国民の間のみならず、右翼過激派寄りの現職政府内でさえ高まっている感情を代弁したのだ。
「このような失敗をした者は続けられない」と彼は切り捨てた。ラピード氏は、ハマスがガザから押し寄せ、1200人以上を殺害したネタニヤフ首相は “辞めるべきだ “と付け加えた。
ネタニヤフ首相は辞めるべきだ。しかし、この野党党首が述べたような理由で辞任すべきではない。いや、ネタニヤフ首相の罪は、10月7日に起きたことが、情報の見落としや安全保障の怠慢、または分裂政治の結果だと決めつけることをはるかに超えている。
10月7日に起きたことは、ネタニヤフ首相自身がテロリストと評するハマスの「支援」と、正当なパレスチナ自治政府の弱体化、マフムード・アッバース大統領の放置という、16年間にわたる長年にわたる意図的な政策の直接的な結果であった。
ネタニヤフ首相の狡猾な計画は、いくつかの条件を同時に満たすものだった。一方で、パレスチナの大義にとって受け入れがたい面、すなわち、イランの支援を受ける亡国組織であり、多くの国からテロリスト集団として分類されているイスラム過激派グループに力を与えてきた。その一方では、パレスチナ人自身の内部分裂を拡大させた。そして、アッバス大統領の権威を弱体化させた後、彼はパレスチナ人と和平協定を結ぶ用意はあるが、適切で合法的な相手はいない、と至る所で繰り返し言い続けた。
このため、ネタニヤフ首相は10年半もの間、パレスチナ国家について真剣に語る必要がなかった。しかし彼は、イスラエルの極右を受け入れ、ハマスに力を与え、パレスチナ自治政府を疎外するという3つの望みを叶えることで、貪欲な状況に陥っていることに気づかなかった。悪魔との取引には代償が必要であり、その代償が10月7日に起きたことなのだ。
もちろん、アラブ系新聞の編集者がイスラエルの首相の政治について語るのは偏っていると言われるかもしれない。だから、私の言葉を鵜呑みにするのではなく、『タイムズ・オブ・イスラエル』紙の記事も読んでいただきたい。
「何年もの間、ネタニヤフはハマスを支えてきた。それが今我々の眼前で弾けたのだ」と、コラムニストのタル・シュナイダー氏は10月8日付の記事で書いている。また、アッバス氏とパレスチナの独立建国を犠牲にし、ハマスをパートナーとして扱ってきたネタニヤフ首相の方針が、「イスラエルが癒えるのに何年もかかる傷を負う結果になった」と主張した。
ネタニヤフ首相は、「ハマスを単なるテロ集団から、イスラエルがエジプト経由で間接的な交渉を行う組織に格上げし、海外から資金が注入されることを許した」と付け加えた。
同記事では、ネタニヤフ首相が2019年にプライベートな会合で行った「パレスチナ国家が実現しないことを保証する最善の方法は、ハマスへの支援を続けることだ」というコメントまで言及している。
だからこそ、今や悪名高く繰り返されるようになった “ハマスを非難すべきか?”という質問に対する自然な回答は、”それなら、ネタニヤフを非難しなければならない “となるべきだと思うのだ。結局のところ、テロ集団は支援者や後援者がいなければ活動できないことは周知の事実である。そして、多くの国では、テロの支援者はテロリスト自身と同じ罰を受けるとすれば、ネタニヤフ首相は責任を負わなければならない。
実際、もしイスラエル軍がナーフの町でハマス支持を投稿した女性を逮捕することが許されるなら、ネタニヤフ首相はハーグで(裁かれるべき)戦争犯罪はおろか、イスラエル国内でも国家反逆罪(汚職だけではなく)で裁かれるべきだ。
サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外相が最近指摘したように、イスラエルとハマスの戦争に対する世界の対応には「ダブルスタンダード」が見られる。ガザでの戦争でイスラエルが国際法に違反することを一部の世界的大国が容認していることが犯罪だとすれば、ネタニヤフ首相の退陣を求めるイスラエル国内からの声を無視することは、さらに大きな犯罪である。
●中南米・アフリカ
ブラジル地理統計院(IBGE)が5日発表した第3・四半期国内総生産(GDP)は、季節調整済みの前期比が0.1%増となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想の0.2%減を上回り、マイナス成長を免れたものの、第1・四半期改定値1.4%増や第2・四半期改定値1.0%増からは大きく減速した。
サービスと製造業はいずれも0.6%増だったが、農業は3.3%減と落ち込んだ。需要項目別では、家計消費が1.1%増、政府支出が0.5%増で、企業の固定資産投資は2.5%減。好調な収穫の追い風がなくなり、投資も減少していることから、先行きの経済活動は弱まるとみられる。
キャピタル・エコノミクスの新興国市場エコノミスト、ウィリアム・ジャクソン氏は「農業セクターの生産の振れが大きい点から、第4・四半期の予想は難しい。より大きな構図として、今年前半に見られた力強い成長は幕切れを迎えた」と解説した。
8月に利下げを開始し、既に政策金利を150ベーシスポイント(bp)引き下げたブラジル中央銀行が今後も緩和路線を続けていくとの観測を強める内容にもなった。
アダジ財務相は「プラスだが弱いGDPだった」と述べ、今年と来年の成長率をそれぞれ3%強、約2.5%と予測。中銀に対しては、なお金利水準が高く、物価上昇率は下振れしていることを理由に、さらなる利下げを促した。
●市況
<為替>  終盤のニューヨーク外為市場では、ドル指数が上昇した。10月の米求人件数が2021年初め以来の低水準に落ち込んだが、アナリストによると、ドルはここ数週間の大幅な下げの反動が出たという。
<債券> 米金融・債券市場では、10年債利回りが3カ月ぶりの水準に低下した。景気減速が懸念される中、市場では米連邦準備理事会(FRB)が来年3月にも利下げに着手するとの観測が織り込まれつつある。
BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の米金利戦略責任者、イアン・リンゲン氏は「景気が減速し、消費は向かい風に直面しているとの見方は市場ですでに受け入れられているが、どの程度減速するのかはまだ明らかになっていない」とし、「経済が予想以上に減速する可能性があるため、来年第1・四半期の利下げの可能性について、多少のワイルドカードが織り込まれつつある」と述べた。
アクション・エコノミクスのアナリストも、JOLTSで労働市場が冷え込みつつあることが示されたことで、FRBは利上げを終了し、「数カ月以内に利下げに踏み切る」との見方が強まっているとしている。
<株式> 米国株式市場はまちまちで取引を終えた。米労働省が発表した雇用関連指標を受け、S&P総合500種(.SPX)の大半のセクターが下落した。一方、アップル(AAPL.O)など超大型株は上昇した。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、需給絡みの材料を眺めて売り買いが交錯した後、ドル高に押されて4営業日続落となった。
需要面では、米格付け大手がこの日、中期的な経済成長率の低下などを理由に、石油消費大国である中国の信用格付け見通しを下方修正。また、米欧でもインフレ鈍化の兆しとともに景気減速懸念がくすぶっている。さらに、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がこの日示した成果文書の草案には、2030年までを念頭に化石燃料の「秩序ある公正な段階的廃止」などが盛り込まれ、投資家心理を圧迫した。これらの材料を眺めて、相場は72─74ドル台を方向感なく推移したが、終盤はドル上昇に伴う割高感が加わり、売りが優勢となった。
<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。金価格の値下がりや、格付け会社ムーディーズによる中国の格付け見通し下方修正を背景に資源株が売られた。英銀大手のバークレイズが下落したことも相場を圧迫した。
バークレイズ(BARC.L)は2.5%安。同行の最大株主の一つであるカタール政府系ファンド、カタール投資庁(QIA)傘下のカタール・ホールディングが約5億1000万ポンド(6億4400万ドル)の株式売却に動いたことが嫌気された。
ムーディーズは、地方政府の債務急増や不動産危機の深刻化による影響への懸念を理由に、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。
中国で事業を展開する金融大手HSBC(HSBA.L)、スタンダード・チャータード(スタンチャート)(STAN.L)はそれぞれ0.1%、1.1%下落。保険大手プルーデンシャル(PRU.L)は1.3%下げた。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。ドイツのDAX指数が上昇して過去最高値を更新した。
スウェーデン通信機器大手エリクソン(ERICb.ST)は6.1%と大幅に上げた。米通信大手AT&T(T.N)が通信ネットワーク構築を巡ってフィンランドの通信機器大手のノキア(NOKIA.HE)ではなく、エリクソンを選んだことが好感された。一方、ノキアは5.9%下落した。
<ユーロ圏債券> 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事の発言を受け、国債利回りが大きく低下した。
ユーロ圏短期金融市場では、ECBが来年3月に0.25%ポイントの利下げを決定する確率が約90%であることが織り込まれている。
日経先物33,150、ダウ先36,222、債先146.39、米4.169、独2.2460、仏2.798、西3.251、伊3.990、英4.0545、波5.377、原油72.18、銅8,347、ドル円147.24、ユーロドル1.0793
※12/6 9時30分頃

備忘録(2023/12/4)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
スイスの医薬品メーカー、ロシュ・ホールディングは、米カーモット・セラピューティクスを最大31億ドル(約4500億円)で買収することで合意した。カーモットは製薬業界に旋風を巻き起こしている減量薬の新薬を開発している。
ロシュはカーモットが開発中の肥満および糖尿病の候補薬3種を取得することになるが、これにより欧州でデンマークの製薬会社ノボ・ノルディスクと競合する可能性がある。ノボは肥満症治療薬「ウゴービ」の成功で、時価総額で欧州トップの企業の座にのし上がった。
ロシュの発表資料によれば、同社はまず27億ドルを支払い、あらかじめ設定した事業目標の達成次第で最大4億ドルを支払う計画だ。
ノボのウゴービだけでなく、イーライ・リリーも肥満症治療薬「ゼップバウンド」を手掛けている。両社の製品に、まだ開発初期段階にあるカーモットの候補薬はいずれ挑むことになりそうだ。アナリストの試算によれば、減量薬市場は2030年末までに1000億ドルに達する見通し。
スイスのプライベートバンク、ピクテは米国の顧客が海外に資産を隠して課税を逃れるのをほう助したことを認め、制裁金の支払いを条件に訴追を延期する訴追延期合意(DPA)を米司法省と結んだ。米連邦検察が4日発表した。
米顧客は2008─14年に約5060万ドルを脱税。ピクテは米財務省に制裁金として1億2290万ドルを支払うことで合意した。
米内国歳入庁(IRS)犯罪捜査局のジム・リー長官は、今回の事例が、海外で資産や所得を隠そうとする人たちへの強い戒めになるだろうと声明で指摘した。
ピクテはDPAに基づき是正策を講じるほか、当局の捜査に協力する。3年間合意に従えば、米検察は税金詐欺罪での起訴を見送る。
●その他産業
関係筋によると、カナダの資産運用会社ブルックフィールドはオーストラリアの電力大手オリジン・エナジー(ORG.AX)の買収から撤退する。
ブルックフィールドを中心とする企業連合は106億ドルでオリジンの買収を提案していたが、4日の最終投票で買収に賛成した株主は68.92%と、買収成立に必要な75%を下回った。
これに先立ち、オリジンの筆頭株主で豪最大の年金基金であるオーストラリアン・スーパーはブルックフィールドの買収案に反対する方針を示しており、買収案の否決は予想されていた。 もっと見る
ブルックフィールドは、グリーンエネルギーの導入加速に向けた政府の新計画を踏まえて、今後の対応を決定すると表明。
関係筋によると、ブルックフィールドは政府のグリーンエネルギー計画がオリジンの将来の業績に悪影響を及ぼすとみており、買収を再提案する意向はないという。
米控訴裁判所は4日、VLSIテクノロジーが保有する特許を侵害したとして半導体大手インテル(INTC.O)に総額21億8000万ドルの支払いを命じた陪審評決を覆し、インテル勝訴の判決を下した。
インテルがVLSIの特許1件を侵害したとする2021年の陪審評決を破棄。2件目の特許侵害は認めたものの、損害賠償分析に問題があったとし、適切な賠償額を決定するためテキサス州に審理を差し戻した。
特許保有会社のVLSIは、フォートレス・インベストメント・グループが運営する投資ファンドによって所有されている。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の政府系ファンド、ムバダラ・インベストメントは今年、ソフトバンクグループ(9984.T)からフォートレス株を買収し、過半株式を取得することで合意した。
VLSIからは今のところ、今回の控訴裁判断に関するコメントを得られていない。
インテルの広報担当者は、今回の判決に満足しており、新たな損害賠償審理ではVLSIの特許は「ほとんど価値がない」と主張すると述べた。
VLSIは、インテルが半導体技術をカバーする複数の特許を侵害しているとして、複数の米裁判所に提訴している。
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
欧州の極右政党各党が3日、イタリアのフィレンツェで合同集会を開き、来年の欧州議会選挙で躍進を目指すと表明した。欧州連合(EU)の移民規制強化を訴えた一方、雇用と産業を守るために環境政策は緩めるべきだと主張した。
オランダの先月の総選挙で反移民政策を掲げる極右の自由党(PVV)が予想に反して勝利し、欧州の極右政党を勢いづかせている。
イタリアのサルビーニ副首相は「(われわれの)目的は少なくとも、(欧州議会で)中道右派と中道左派に次ぐ第3の勢力になることだ」と明言した。
極右系の会派「アイデンティティーと民主主義」(ID)は現在、6番目の勢力。
オランダPVVのウィルダース党首は動画を介して、同党の成功が「オランダと欧州に政治的激震」をもたらすとともに、同志の極右政党が「各国選挙で相次いで勝利する出発点」となり得ると期待していると述べた。
サルビーニ氏は、二酸化炭素を排出する内燃エンジン車の新車販売を2035年以降は禁止するEUの決定を激しく非難。ドイツの右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のクルパラ共同代表は「自動車業界に対する戦争を終結させるべきだ」と語り、サルビーニ氏に同調した。
フランスの極右政党、国民連合(RN)のバルデラ党首は、欧州は「アフリカのための五つ星ホテル」にはなり得ないと強調、大量の移民と暴力・犯罪との関連性に言及し、喝采を浴びた。
欧州経済センター(ZEW)のワムバッハ所長は4日、ドイツの予算を巡る危機について、すでに低迷している経済に対する新たな打撃になると警告した。
独憲法裁判所が新型コロナウイルス対策予算の転用を認めない判決を下したことを受け、連立与党は11月末、財政赤字を抑制する「債務ブレーキ」の一時停止を盛り込んだ2023年度の補正予算案を発表。リントナー財務相は、憲法裁の判決を踏まえ24年の連邦政府予算4500億ユーロに対して170億ユーロ程度の歳入不足が生じるとの見通しを示している。 もっと見る
ワムバッハ所長はロイターに対し、予算を巡る状況は「経済に対する新たな痛手となる」と指摘。「低炭素」経済への転換の先行きが不透明になっていることにも言及し、「ドイツ経済はうまくいっていない」と語った。
ドイツ銀行は先週、憲法裁の判決と予算を巡る危機的な状況を踏まえ、独経済成長率予想を下方修正。0.2%のマイナス成長に陥るとの見方を示した。
国際通貨基金(IMF)は独経済について、物価上昇などで競争力が損なわれ、23年は0.5%のマイナス成長に陥るとの予想を示している。
 世界の中央銀行が加盟する国際決済銀行(BIS)の金融・経済部門の責任者、クラウディオ・ボリオ氏は4日、インフレの鈍化が進んでいる最近の状況に勇気づけられているとしながらも、中銀はまだインフレとの闘いからは「脱しておらず、任務を完了させる必要がある」との見解を強調した。
ボリオ氏は「見通しは改善されたが、留意すべき重要な点は私たちは困難から脱したわけではなく、任務をやり遂げなければならないということだ」と述べた。
ボリオ氏は、中銀がインフレ率を下げることに「レーザー光線のように集中している」ことを示していると指摘。一方、世界経済が減速して必要になった場合には、「柔軟かつ機敏」に対応することが求められるとも言及した。
また、10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃後の中東情勢の緊迫化に対する市場の慎重な反応は心強いとしつつ、金利の大幅な上昇に伴う「信用リスクの広がり」が起こるのはこれからになるとの考えを示した。
ロンドン時間4日午前の取引で、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格が一時4万2000ドル台に乗せた。年初来の上昇率は150%を超え、短期筋の買いが加速している。
ビットコインは一時6.1%上昇の4万2144ドルと、ステーブルコインのテラUSD(UST)が暴落する前の2022年4月以来の高い水準となった。このまま行けば、年間ベースの上昇率は20年以降で最高となる見通しだ。
ビットコイン現物投資型の上場投資信託(ETF)承認後の需要拡大や米利下げへの期待が背景にある。インフレ沈静化に伴い米連邦準備制度が利上げを終えたと投資家は確信を強めており、来年見込まれる利下げ幅に焦点が移りつつある。こうした背景の変化が世界的な相場上昇を促し、デジタル資産への投機的な関心を再燃させている。
IGオーストラリアの市場アナリスト、トニー・シカモア氏によれば、テクニカルチャートパターンが示す次に注目すべき水準は4万2330ドル。「SECによるETF承認と24年の米利下げを巡る楽観論がビットコインを引き続き支えている」と同氏はリポートで指摘した。
デジタル資産業界は、米資産運用会社ブラックロックなどが申請した国内初のビットコイン現物投資型ETFについて、米証券取引委員会(SEC)の審査結果を待っている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は、1月までに一連の承認が得られると予想している。
英与党・保守党を率いるスナク首相は短命に終わったトラス前首相よりも多くの支持離れを招き、有権者の支持が右派の改革党へと流れていることが、新たな調査で明らかになった。
JLパートナーズが過去1年半の間に実施された世論調査を深く掘り下げて分析したところによると、スナク首相の在任期間は「後退続きの1年」で、保守党票の「内部崩壊」を引き起こしている。これにより最大野党・労働党は確実に政権を奪取できる道筋にあるという。 
2019年の総選挙で当時のジョンソン首相が率いた保守党に投票した人のうち、同党を現在でも支持している有権者は59%しかいないと、JLパートナーズはリポートで指摘。この割合は昨年8月に74%、市場を大混乱に陥れ、トラス政権の退場につながった財源の裏付けのない減税計画が発表された後の同年9月でも63%で、それで保守党の支持低下は底を打ったと見なされていた。
JLパートナーズによれば、保守党の支持が落ち込んだ最大の要因は、右派で反移民の英国改革党の人気上昇だ。同党は欧州連合(EU)離脱の是非を問う2016年の国民投票で離脱の旗振り役を務めたナイジェル・ファラージュ氏の助力で設立された。
19年の総選挙で保守党を支持した有権者のうち、親EU(欧州連合)の野党、自由民主党(LDP)への乗り換えが約5%だった一方、改革党へは15%に上った。今回の分析によると、改革党はイングランド北部と中部、ウェールズでLDPの支持を上回り、第3政党に浮上しているという。ただ、労働党への乗り換えも約18%に上った。
スナク首相は国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)への途上、ファラージュ氏が保守党に加わるなら歓迎するかとの問いに、「われわれの党の間口は常に広い」と記者団に語った。 
バンク・オブ・アメリカ(BofA)が4日に発表した調査によると、米国の住宅購入者は、金利が高止まりしていても不動産を購入する意欲を強めている。
調査によると、住宅を購入する前に借入コストが下がるのを待つと答えた回答者は約62%となった。半年前の85%から減少している。調査は9月に1000人を対象に行われた。
同行のリテール融資責任者、マット・バーノン氏は「購入者が待ちきれなくなっていることが明らかになった。これは今後の購入活発化につながるはずだ」と述べた。
調査によると、住宅所有者は、より手ごろな地域に物件が見つかった場合などに所有住宅を売却し、より高金利の住宅ローンを利用して買い替えることにも前向きな姿勢を示している。また、仕事や家庭の事情、あるいは生活費の安い場所を求めて住宅を売却するケースもあった。
USバンクは自動車ローンのプールに連動するクレジットリンク債(CLN)25億ドル(約3700億円)相当を発行する。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスの暫定格付けリポートによると、USバンクがこの種の証券化商品を販売するのは初めて。CLNは、発行体がローン債権に関連する信用リスクを投資家に転嫁することを事実上、可能にする。
CLNは最近、人気が高まっている。「バーゼル3」の最終規制の一部として導入される新資本規制を踏まえ、各行はバランスシートを最適化する方法を模索している。USバンクはディーラー網を通じ全米で自動車購入資金を提供するが、今回の取引では9万7000件余りの自動車ローンをバランスシートに残しつつ、その全体の信用リスクを移転する。初回の案件では約2億8900万ドル規模のCLNを投資家に販売する計画。
猛烈な米債券相場上昇は、米金融当局の利上げサイクルが終了したとのトレーダーの確信を示している。現時点での論点は、利下げがいつ開始され、最終的にどの程度になるかに移っている。
経済がソフトランディング(軟着陸)で落ち着くのか、あるいはスパイラル的に悪化するのかで意見が分かれている。どちらのシナリオでも、早ければ来年3月に利下げがあると想定されている。現在の市場では来年に少なくとも1.25ポイントの利下げが見込まれ、こうした動きとなれば、利回り低下と債券高継続への道が開かれるとみられる。
ただボラティリティーがさらに高まる可能性は否定できない。一貫性に欠けるデータが疑念を生むことも考えられ、米金融当局者は緩和を急いでいないと市場にリマインドし続ける公算が大きい。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は1日、政策はかなり景気抑制的な領域に入っているとの見解を示す一方、緩和時期を臆測するのは現時点で「時期尚早」だと述べた。このけん制では、債券相場の一段の上昇に歯止めはかからなかった。
米国債相場の動きはあまりにも急ピッチだったかもしれない。またトレーダーは過去に方針転換の予想が早過ぎて痛手を負ってきた経緯がある。
だが、利回りは足元の局面でピークに達している印象があり、約6兆ドル(約878兆円)という記録的な水準にあるマネー・マーケット・ファンド(MMF)の資金では、統計の軟化を受けある時点でかなりの部分が、4%を超える期間長めの米国債利回りに引き寄せられるとも考えられる。指標の米国債利回りは、先月60bp低下したとはいえ、相次ぐ米銀破綻でリセッション(景気後退)懸念が高まった今年前半の低水準を大きく上回ったままだ。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のポートフォリオマネジャー、マイケル・カジル氏は「米金融当局はデータが軟化してきたと言及することで市場の動きを容認し、それが市場に一段の安心感をもたらしてきた。市場は想定で進み、若干行き過ぎる傾向がある」と指摘。「データ鈍化がもっと悪質なものである可能性もある」と分析した。
雇用統計など今週発表される一連のデータでは債券強気派の度量が試される。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、11月の雇用者数増加は20万人と、前月の15万人から回復する見通し。失業率は3.9%で横ばいが予測され、平均時給は前年同月比4%上昇と、若干の鈍化が予想されている。
●中国・アジア・ロシア・東欧
ベラルーシのルカシェンコ大統領は4日、北京で中国の習近平国家主席と今年2度目の会談を行なった。
新華社通信によると、習主席は「中国はベラルーシとの戦略的協力を引き続き強化し、実務協力も推進して二国間関係を深めたい」とし、「中国・ベラルーシ工業団地のようなプロジェクトを実施し、両国の産業協力の成果を促進すべきだ」と語った。
国連の統計によると、中国はウクライナ戦争前の2021年はベラルーシにとって第7位の貿易相手国だった。ベラルーシにとって中国は第2位の輸入先。
ベラルーシ国営メディアによると、ルカシェンコ大統領は中国との商業関係には拡大余地があると強調した。
習主席は会談で、両国が国境を越えた輸送の円滑化を改善し、中国・ベラルーシ工業団地のような経済・貿易イニシアチブや人の交流を促進すべきだと述べた。
ルカシェンコ大統領は、西側が分断化を図るのに対し、中国が広域経済圏構想「一帯一路」に各国の参画を促していることに世界は感謝するだろうと述べた。
習主席は、国連や上海協力機構などの多国間メカニズムにおいて、中国とベラルーシの協調と協力を強化することを提案したと新華社は報道。「中国とベラルーシは、グローバル・ガバナンス・システムの改革と構築における重要な力」との習主席の言葉を引用した。
ハンガリーのオルバン首相は4日、欧州連合(EU)のミシェル大統領宛て書簡で、来週14─15日開催のEU首脳会議ではウクライナの加盟交渉開始についていかなる決定も下さないよう要求した。
EU欧州委員会は先月、ウクライナが加盟の幾つかの最終要件を満たせばEU首脳会議としてすぐにも交渉開始を承認するよう勧告。ただ正式承認は全加盟国の賛成が必要となり、ハンガリーはかねてからウクライナの加盟交渉に乗り出す環境はまだ十分整っていないと主張してきた。
オルバン氏は、ウクライナ向けに500億ユーロ(541億1000万ドル)の経済支援を行うという提案も、今回の首脳会議で判断を留保するべきだと提言した。
書簡には「今月の欧州理事会でこれらの問題を決定しないよう求める。なぜなら明らかに意見がそろわない状況で合意できないのは間違いないからだ。欧州理事会は、われわれの最も大事な資産である結束を保つために、こうしたマイナスのシナリオは避けなければならない」と記されている
オルバン氏は、ウクライナに侵攻したロシアにEUが包括的な制裁を発動した後も、ロシアとの良好な関係を維持している。
一方ウクライナを強く支持するEU諸国の外交官らは、首脳会議で加盟交渉開始と経済支援が承認されないと、ウクライナは政治的に大きな痛手を受け、ロシアを利することになるとの懸念を示した
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は4日、ポーランド次期政権が同国中銀のグラピンスキー総裁を違法に起訴または停職処分とする場合、欧州連合(EU)の法律が総裁を保護すると述べた。
ポーランドでは、10月に行われた下院選で野党勢力が過半数を確保し政権が交代する。野党連合が樹立する予定の連立政権は、グラピンスキー総裁が現政権の与党「法と正義(PiS)」の利益となるよう金融政策を調整し、インフレとの闘いを妨げたと批判。これが憲法違反に当たるとしている。
連立政権で首相候補となっている、親欧州連合(EU)でリベラル派の「市民連立」(KO)を率いるトゥスク元首相は、グラピンスキー総裁を法廷で裁くに十分な下院の支持を獲得しており、その可能性を探っていると述べた。
こうした動きに対し、ラガルド総裁はグラピンスキー総裁宛ての書簡で「欧州中央銀行制度(ESCB)とECBの規約は、各国中央銀行総裁の独立性を保証するため、万一議会が起訴する決議を採択した場合の保護を提供している」とした。
ラガルド氏は、起訴されればグラピンスキー総裁は中銀総裁およびECB理事会メンバーとしての資格を自動的に停止される恐れがあると指摘。違法である可能性があると述べた。
ロシアのプーチン大統領は週内にアラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアを訪問する。ロシアのニュースメディア「Shot」が4日、ウシャコフ大統領補佐官の話として報じた。
ウシャコフ補佐官によると、プーチン大統領はUAE訪問後にサウジを訪れ、ムハンマド皇太子と会談する。
国際刑事裁判所(ICC)は3月、プーチン大統領に対しウクライナでの戦争犯罪の責任を問う逮捕状を発行。ただ、サウジとUAEは共にICCに加盟していないため、プーチン氏が訪問しても逮捕する義務は負っていない。
プーチン氏のこのところの外遊先は大部分が旧ソ連諸国で、旧ソ連諸国以外では10月に中国を訪問した。
●中東
7週間近くにわたり血の惨劇、恐怖、戦慄をまき散らし続けるイスラエルとハマスの戦争は、緊急の必要性により4日間の一時停戦が決まり、その後数日間延長された。
たった1週間とはいえ、爆撃、ロケット弾の発射、銃撃が止み、皆が安堵した。一時的な休戦協定により、ハマスが拘束していたイスラエル人の人質と、イスラエルが収監していたパレスチナ人の一部が解放され、切実に求められる人道支援がガザ地区に入ることも可能となった。
イスラエルとパレスチナの長きにわたる紛争の中でも最悪に近い状況下で、ここ数日間の平穏は初めて一筋の希望の光をもたらした。しかし戦闘行為が全面的に再開した今、一時停戦は今後数日・数週間にわたる戦争の軌跡にとってどのような意味を持つのだろうか?
戦闘休止によって、恒久的な停戦やさらなる人道的な休戦が近いうちに実現するという保証はなかった。しかしイスラエルは当初、ハマスを―どのような意味であれ―壊滅させると宣言し、目標を達成するまでは軍事作戦を一時的であっても停止する気はなかったのだ。今回の停戦は、イスラエル側にも、できるだけ多くの人質を解放するために優先順位を変更する覚悟があったことを示している。たとえハマスに再編成の機会を与えることになったとしてもだ。第三者による仲介を経て、このようなパターンが再度起こる可能性もあり得なくはないだろう。
さらに今回の休戦では以下も指摘される。10月7日の攻撃は、パレスチナのイスラム主義組織指導者の歪んだ判断が、極端な形で具現化した結果だった。それでも人質、特に最も弱い立場の人々を解放することが、彼ら自身の最善策であるという認識はハマスにも浸透していたということだ。
ここ1週間の戦闘休止は、両陣営に政治的利益をもたらした。ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いるイスラエル政府は、当然ながら、人質の解放を優先すべしという計り知れない重圧にさらされていた。数十人の人質が解放され帰宅する喜ばしい光景が、その重圧を多少なりとも和らげた。
同時にハマス側も、パレスチナ社会の中で力ある存在として称賛される地位を手に入れた。収監されていたパレスチナ人を解放して、家族と再会させるほどの影響力を持っていると認められたのだ。このことは、少なくとも一時的にパレスチナ自治政府に対するハマスの立場を強化すると共に、イスラエルの監獄からパレスチナ人を解放する唯一の方法はイスラエル市民を人質に取ることだというハマスの主張に説得力を持たせるだろう。
カタール、エジプト、および米国の仲介と支援による停戦協定は、この悲劇的な戦争の転換点となり得るが、戦争の終結はまだまだ遠く、停戦協定が近い将来再び締結されるかどうかも不明である。
当然のことながら、この1週間はイスラエル人の人質と収監されたパレスチナ人の解放に多くの注目が集まっていた。しかし同様に重要なのは、戦闘行為の中断によって、ガザの人々が一時的に戦争の恐怖から逃れてひと息つき、食料、水、緊急医療用品、冬用衣料品などの人道的支援を得られたという事実だ。自宅が破壊されたり、ガザ地区北部から南部に強制的に避難させられたりした何十万人もの人々にとっては、文字通りの「ライフセービング(人命救助)」だった。
人道支援の仕組みは、戦闘が再開されても機能し続けなければならない。このような支援が、あらゆる年代の市民の生存に不可欠なのだ。
だが、残ったイスラエル人の人質解放に向けた交渉は、ますます複雑になるだろう。ハマスはイスラエルの監獄に収監されている重要人物たちの釈放を目指しているが、子どもや高齢者など最も弱い立場の人質を拘束し続けている限りは実現しないことを知っている。そのような人質の中には深刻な健康状態を抱えている者もいると報告されている。
ハマスが最も興味を持っているのは、長期刑に服しているパレスチナ人の釈放だ。その中にはイスラエルが「血塗られた手」と称し、釈放を拒んでいる者たちも含まれる。
カタールのシェイク・ムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニー首相、CIAのウィリアム・バーンズ長官、イスラエル諜報特務庁のデイビッド・バルネア長官、エジプト総合情報庁のアッバス・カメル長官による先週の会合で、今後のイスラエル人人質の解放に向けて、交渉者は人質を以下5つのカテゴリにまとめたという。兵役に就けない高齢男性、女性兵士、男性予備役兵士、現役の男性兵士、そして捕虜になる前またはその間に亡くなった者の遺体だ。
これは今後の交渉が長引き、はるかに困難で複雑になる可能性を示唆している。ここ1週間で行われた人質と被収容者の解放につながる段階的な協議とは比べ物にならないだろう。特に、イスラエルの軍事作戦が完全に再開された状況ではなおさらだ。
両陣営とも互いに相反する目標がある。それらの目標が交渉を複雑にし、戦闘行為を再開させる大方の要因になっているのだろう。イスラエルの指導部は、ハマスが人質解放に同意したのは軍が圧力をかけたおかげだと主張している。確かに事実かもしれないが、イスラエルはハマスの壊滅を主目標に掲げているため、恒久的な停戦が合意されない限り、相手は残された主要な資産である人質を放棄しようとはしないだろう。
一方で、イスラエルが、収監しているパレスチナ人を大々的に釈放することに同意すれば、ハマスはガザ地区のみならず、ヨルダン川西岸地区やさらに広範にわたるディアスポラで政治的立場を強める可能性がある。
イスラエル当局は、せめて人質と被収容者の包括的な交換の可能性を上げるため、ハマスの指導者を排除するという言辞を控えるべきだった。あるいは、イスラエル外務省のある高官が声明に出したように、カタールがハマスを支持しているという現時点では理屈に合わない憶測を理由に、戦争が終わったらカタールに報復するなどと息巻くべきではなかったのだ。
戦争が再び激化している今、パレスチナ人の大量虐殺とガザの壊滅を顧みずにこのまま軍事作戦を継続することは許されないと、国際社会がイスラエルを説得できるかどうかは未知数だ。ガザ地区南部は、北部から避難してきた多くの人々で溢れかえり、今後何が起こるか非常に懸念される。
今後イスラエルが戦争目標を達成する方法を再考し、より長期的な視野を持つ可能性があるかもしれない―それがただの希望的観測でないことを祈る。軍事力だけがハマスに対処する唯一の方法ではなく、目標を達成するためにはまず政治的・外交的努力が必要だと気づくかもしれない。そうすれば、この紛争に関与するすべての人々と次世代の人々に、安全、権利、繁栄の面で平等を享受できるより良い未来を保証できるだろう。
今はわずかな可能性のように感じられても、決して実現不可能な夢物語ではない。
リヤド:サウジアラビアのサルマン国王が、2日に建国記念日を迎えたアラブ首長国連邦(UAE)のシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド大統領に対し祝福のメッセージを送ったと、サウジ通信社が報じた。
サルマン国王は、「UAE大統領の引き続きの健康と幸福、UAE政府および友好的な国民のさらなる進歩と繁栄を祈願した」
さらにサルマン国王は、両国を繋ぐ兄弟のような関係を讃えた。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下も、シェイク・ムハンマド大統領に対して同様のメッセージを送った。
UAEは52回目の建国記念日を祝福中だ。同国の建国記念日は毎年12月2日で、7つの首長国が1つの国家へと統一されたことを祝う日である。
シェイク・ムハンマド大統領のほか、シェイク・ムハンマド・ビン・ラーシド副大統領兼首相兼ドバイ首長、シェイク・マンスール・ビン・ザーイド副大統領兼副首相兼大統領府会長にも、世界中から祝福のメッセージが送られた。
米国はUAEに祝福を伝え、同国の引き続きの成功を祈願する言葉を送った。
「米国とUAEは50年以上に渡る友好関係とパートナーシップによって結ばれています」米国国務省はアントニー・ブリンケン国務長官からのメッセージという形で声明を出した。
「我々の数多くの成功は、地域の平和と安定を押し進め、脅威を抑止し、紛争を沈静化させ、繁栄と平和的共存のための積極的なアジェンダを前進させるためにリーダーたちが共に尽力してきたことの証です」同声明はそう述べた。
ブリンケン氏は、両国が「相互に繋がる地域と世界のビジョン」を共有しており、そのことはイスラエルとの外交関係を築いたいわゆるアブラハム協定や、UAEがドバイでCOP28を主催していることが体現していると述べた。
「こうしたことや、その他数多くの画期的な外交努力は、UAEのリーダーシップの賜物です」
●中南米・アフリカ
●市況
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが上昇した。米連邦準備理事会(FRB)が近く利下げに踏み切るとの見方からドルは3週連続で下落していたが、切り返した。
暗号資産(仮想通貨)では、ビットコインが2022年4月以来の高値となる4万2100ドル超まで急騰した。米当局がビットコインの現物に投資する上場投資信託(ETF)を近く承認するとの観測を受けた。終盤は4万1912ドルだった。
投資会社ファインキアのリサーチアナリスト、マッテオ・グレコ氏は「承認されれば従来の金融投資家からの短期資本流入が見込まれ、上昇傾向が加速する一方、承認されなかった場合は市場参加者の承認期待が高いため、短期的には価格にとってネガティブな反応をを引き起こす可能性がある」と述べた
<債券> 米金融・債券市場では、10年債利回りが3カ月ぶり低水準から上昇した。8日に雇用統計の発表を控える中、トレーダーは先週の米連邦準備理事会(FRB)高官のハト派的発言を受け、FRBが早ければ3月にも利下げに踏み切る可能性を引き続き織り込んでいる。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、3月に利下げが行われる可能性を50%以上とみているほか、2024年12月までに122bpの利下げが行われると予想している。
<株式> 米国株式市場は反落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)が来年早い時期にも政策金利を引き下げるとの期待が広がる中、今週発表の雇用統計を前に警戒感が出た。
米国債利回りの上昇が重しとなって超大型株のマイクロソフト(MSFT.O)、アップル(AAPL.O)、エヌビディア(NVDA.O)、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)が売られ、S&P総合500種(.SPX)が下落した。
米国株はこのところ、堅調な企業決算やFRBが早ければ来年3月にも利下げを開始するとの思惑から上昇してきた。S&P500は先週末1日、パウエルFRB議長の発言を受けて主要政策金利がピークアウトしたとの見方が強まり、終値ベースの年初来高値を更新していた。
グローバルト・インベストメンツのシニアポートフォリオマネジャー、トム・マーティン氏は「非常に重要なFRBの会合を控えている。なぜ重要かというと、来年早期にFRBが利下げするとの見方が市場で急浮上したためだ」と述べた。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」による自主減産方針を巡って懐疑的な見方が広がる中で売られ、3営業日続落した。
<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。ドル高や中国経済への懸念を背景とした原油や金属価格の値下がりを受け、エネルギー株や鉱業株が売られた。
<欧州株式市場> 小幅反落して取引を終えた。コモディティー(商品)価格の低迷を受け、資源株や石油・ガス株が売られて相場を押し下げた。
世界的な燃料需要の先行き不透明感などから原油価格が下落し、石油・ガス株指数(.SXEP)は1.52%下げた。
スイスクオート銀行のシニア市場アナリスト、イペック・オスカルデスカヤ氏は「欧州株は引き続き米株に後れを取るだろう。利下げ観測はあるものの、ユーロ圏では経済のソフトランディング(軟着陸)を示していないからだ」とした上で、「米国の成長は引き続き平均を上回っているが、欧州では縮小またはせいぜい停滞だ。(中略)米連邦準備理事会(FRB)よりも先に欧州中央銀行(ECB)が利下げに踏み切る可能性がより高い」との見方を示した。
個別銘柄では、フィンランドの通信機器大手ノキア(NOKIA.HE)が6.5%安。あるアナリストは米通信大手AT&T(T.N) がノキアを取引先から外す可能性があるとの市場の憶測を指摘した。
一方、スイスの製薬大手ロシュ(ROG.S)は2.8%上昇。肥満症治療薬の開発を手掛ける米カーモット・セラピューティクス(CRMO.O)を27億ドルで買収することで合意したのが好感された。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが数カ月ぶりの低水準を付けた。先週の欧米当局者の発言や経済指標を背景に利下げ観測が高まっている。
ユーロ短期金利(ESTR)フォワードレートが織り込む、24年末までの利下げ幅は約140ベーシスポイント(bp)。先週初は約90bpだった。
市場はまた、ECBが3月に利下げを開始する確率を1週間前の約40%から約85%に引き上げた。
ノルデアのチーフアナリスト、アンダース・スベンセン氏は「中銀が利上げを打ち切るリスクは織り込み済みだ。利上げリスクが非常に低いと考えるのであれば、金利低下に向けてポジションを取る必要がある」と述べた。
日経先物32,947、ダウ先36,222、債先145.73、米4.256、独2.3425、仏2.917、西3.356、伊4.122、英4.2165、波5.464、原油73.28、銅8,437、ドル円147.29、ユーロドル1.0839
※12/5 9時5分頃

備忘録(2023/12/1-3)
●航空防衛宇宙、ヘルスケア、銀行、プロファイ・インフラ、ESG
欧州中央銀行(ECB)は仏銀行大手ソシエテ・ジェネラル(SOGN.PA)の最低所要自己資本を引き上げた。監督上の検証・評価プロセス(SREP)の一環。
ソシエテ・ジェネラルが30日遅くに明らかにした。
ECBはソシエテ・ジェネラルの2024年の普通株等Tier1比率(CET1)の最低基準を10.22%に設定。前年の9.36%から引き上げた。1月1日から適用する。
あるアナリストは「同行のCET1は依然として最低基準を大幅に上回っている。戦略プランで2026年末のバーゼル4後に13%にすることを目指している」と述べた。
9月末時点のソシエテ・ジェネラルのCET1は13.3%。
金融の安定性を高め、支払い不能のリスクを減らすことがECBの狙い。ECBはスペインの銀行の最低所要自己資本も引き上げている。
米製薬ファイザーは1日、肥満症治療薬候補「ダヌグリプロン」について、開発を中止すると明らかにした。治験対象の患者で吐き気や嘔吐といった副作用が確認されたためだという。
ファイザーは6月、安全性を巡る懸念から、もう1つの肥満症治療薬候補である「ロチグリプロン」の開発中止を決めており、これで今年2度目の挫折となった。
足元では ノボ・ノルディスクやイーライリリーが手がける「やせ薬」に対する需要拡大への期待が高まっているが、ファイザーの発表は、市場参入が容易ではないことを示唆している。  
日米と英国、フランスなど約20の有志国は、世界全体の原発の発電能力を2050年までに3倍に増やす宣言をまとめた。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、ケリー米大統領特使(気候変動問題担当)が2日明らかにした。
ケリー大統領特使は、50年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標達成に原発技術は必要不可欠だと述べ、石炭火力発電所に代わる理想的な解決策として、次世代型原発「小型モジュール炉(SMR)」技術の利点を強調した。
SMRを巡っては、50年までの現実的な解決策となるには、稼働開始までに時間がかかり過ぎるほか、コストも高過ぎると批判もある。
●その他産業
●決算関連
●先進国、グローバル、金融市場
スイス経済省経済事務局(SECO)が1日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)はスポーツ行事を調整したベースで前期比0.3%増加した。製造業の低迷をサービス業が補った。
ロイター調査の予想は0.1%増、第2・四半期は横ばいだった。
前年同期比では0.9%増と予想の0.5%増を上回った。
SECOは「国際環境は依然厳しい。それに伴い産業部門の付加価値も停滞している」と分析した。サービス部門が再び下支えとなったとしている。
スイスの11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は42.1と11カ月連続で好不況の分かれ目となる50を下回った。
procure.chとUBSは「製造業の低迷は労働市場に波及している。雇用指数は46.0と2020年10月以来の低水準で、2カ月連続で50を下回った」と指摘した。
1日発表されたHCOBグローバルの11月のイタリア製造業購買担当者景気指数(PMI)は44.4と、前月の44.9から低下し、好不況の分かれ目となる50を8カ月連続で下回った。
6月以来の低水準。ロイター調査でアナリスト14人は45.3への上昇を予想していた。
HCOBのエコノミスト、タリク・カマル・チョードリー氏は「低迷は前月と比較して生産、購入量、購入在庫、雇用で特に強まった」と述べた。
人員削減は過去40カ月で最も速いペースとなった。
生産指数は44.9から44.1に低下。新規受注指数は40.3から40.6へわずかに上昇したが、依然として大幅な50割れとなっている。
S&Pグローバルがまとめた11月のフランスHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は42.9と速報値の42.6から小幅に上方修正された。
前月は42.8と製造業PMI改定値としては2020年5月以来の低水準だった。
11月は生産と仕入れ在庫が低迷した。
ハンブルク商業銀行(HCOB)のエコノミスト、ノルマン・リープケ氏は「仏製造業は引き続き需要の低迷に苦しんでいる。高水準の資金調達コストと在庫削減が打撃を与えている」と分析し「現時点で改善が近いことを示す兆候はない」との見方を示した。
HCOBの内部モデルは第4・四半期の製造業部門が0.7%のマイナスになることを示しているとし、特に資本財部門が足を引っ張っていると指摘した。
1日発表されたS&Pグローバル/CIPSの11月の英製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は47.2と、10月の44.8から上昇した。
上昇は3カ月連続。長期にわたる不況に改善の兆しが出ている可能性が改めて示されたが、企業は慎重姿勢を崩しておらず、値上げを実施した。
速報値の46.7から上方改定された。好不況の分かれ目となる50は16カ月連続で下回った。
生産と新規受注の減少ペースは緩和した。
ただ、S&Pグローバルは「製造業者は依然として慎重で、市場の不透明感継続とコスト管理の必要性が、雇用・在庫・購買の削減につながっている」と指摘した。
投入コストは再び低下したが、製造業者は利益率を調整するため、販売価格を小幅に引き上げた。値上げは6カ月間で2度目。
S&Pグローバルがまとめた11月のユーロ圏のHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は44.2で前月の43.1から上昇した。ただ、景況拡大・悪化の分かれ目となる50割れは続き、人員削減は6カ月連続に及んだ。
速報値の43.8から上方改定された。
生産指数は43.1から44.6に上昇した。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「ほとんど全てのサブ指数は小幅に上向いたが、上昇トレンドを宣言するのに必要なダイナミズムを欠いている」と語った。
需要、輸出、受注残を示すサブ指数はいずれも上昇したが、依然として50割れとなっている。
新規受注指数は39.0から41.5に上昇し、6カ月ぶりの高水準となったものの、全体的な需要は19カ月連続で減少した。
雇用指数は2020年8月以来の低水準に落ち込んだ。
1日発表の11月のドイツのHCOB製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は42.6と、10月の40.8から上昇した。
4カ月連続の上昇だが、好不況の分かれ目となる50を依然大幅に下回っている。
ハンブルク商業銀行のチーフエコノミスト、サイラス・デラルビア氏は「製造業は依然としてリセッション局面にあるが、生産の減少ペースは前月から鈍化している」と述べた。
生産と新規受注の減少ペースは過去6カ月で最低。
将来の活動に対する予想は改善したが、依然として悲観的な見方が多かった。
ドイツ憲法裁判所が新型コロナウイルス対策予算の未使用金600億ユーロを他の用途に転用することを認めない判決を下したことは、今回の調査には部分的にしか反映されておらず、「製造業はこの司法予算の嵐の最前線にいる可能性がある」という。
雇用の減少ペースは2020年10月以降で最大だった。
イタリア統計局(ISTAT)が1日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)改定値は前期比、前年比ともに速報値の横ばいから0.1%増に上方改定された。
項目別では、個人消費と外需が前期比プラス成長に寄与した。
個人消費は前期比0.7%増、政府支出は横ばい、投資は0.1%減。輸入が2.0%減少する一方で輸出は0.6%増加した。
政府の2023年の成長率予想は0.8%。
米供給管理協会(ISM)が1日発表した11月の製造業景気指数は46.7と10月から変わらずとなった。拡大・縮小の分岐点となる50を下回るのは13カ月連続で、2000年8月─02年1月以来の最長を記録。ロイターがまとめた市場予想は47.6だった。
ISMによると、一般的にPMIが48.7を下回ると経済全体の縮小を示す。ただ、米商務省が11月29日に発表した23年第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比5.2%増と、速報値の4.9%増から上方改定された。 
先行指標となる新規受注指数は48.3と10月の45.5から上昇した。
価格指数は10月の45.1から49.9に上昇し、7カ月ぶりの高水準となった。
供給業者の納入を示す指数は前月の47.7から46.2に低下。50を下回ると工場への納品が速くなることを示す。
雇用指数は10月の46.8から45.8に低下した。
拡大したのは、食品・飲料・タバコ、輸送用機器、非金属鉱産物の3業種。縮小したのは紙製品、電気機器、家電・部品、コンピューター・電子製品、機械などの14業種。
FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のマクロ・ストラテジスト、ウィル・コンパーノール氏は「製造業部門で需要が過大評価されていたことが示され、生産は向こう数カ月でさらに減速する可能性がある」と指摘。ブリーン・キャピタル(ニューヨーク)のシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏は「新規受注と顧客の在庫水準からは、活動の当面の好転は示されていない」としながらも、「景気後退時にみられる製造業の低迷を示すものでもない」と述べた。
米国では、年末商戦の幕開けとなるブラックフライデーやサイバーマンデーにオンライン購入した商品の返品を望む顧客に対し、返送にかかるコストが商品価値を上回るような商品は返送しないよう求め、返金だけに応じる小売業者が増えている。
返品サービス会社goTRGがウォルマートやアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)など主要小売企業21社の幹部500人を対象に調査したところ、こうした「返品無し返金」を採用している割合が今年は59%に上った。
goTRGのセンダー・シャミス最高経営責任者(CEO)によると、昨年はこの割合が26%だった。
余分なコストを徹底的に省くテクノロジーを導入する小売企業が増えるにつれ、特定のオンライン購入に対して返品不要方針を採用する企業が増えているとシャミス氏は語る。ただ、買い物客がこの制度を悪用する恐れがあるため、こうした情報を「小売業者は表に出したがらない」という。
別の返品サービス会社、オプトロによると、今年の米年末商戦では、返品が昨年より28%増えて1730億ドル(25兆5300億円)相当に達する見通しだ。
同社のアメナ・アリCEOは、「返品のスーパーボールはブラックフライデーの翌日に始まり、2月まで続く」と語り、返品処理の繁忙期を米国最大のスポーツイベントであるプロフットボールNFLの王者決定戦に例えた。
返品対応には通常30ドル前後のコストがかかる。輸送、仕分け、再販売(多くの場合、値引きされる)の費用がかかり、赤字を出して処分することもあるため、利益を圧迫する。そのため今年は90%近い小売業者がさまざまな方針を見直したとアリ氏は言う。こうした変更には、一部返品を有料化したり、オンラインでの購入商品を実店舗に返品するよう求めたりすることが含まれる。
アリ氏は返品コストについて、「見過ごすわけにはいかないものだ」と語った。
ウォルマート(WMT.N)は2月、動画共有サイトのユーチューブに、同社マーケットプレイスを利用する販売業者向けに、「返品無し返金」ポリシーの設定方法について解説する動画を載せた。ロイターは最近それを閲覧した。
この件についてウォルマートは、同社は交換や返品について検討する際、顧客体験と自社の利益のバランスを取っていると指摘。その一環として、第三者である販売業者によるコスト管理を助ける方法を探っているが、この解説動画は古く、現在は非公開にしていると説明した。
ロイターの取材に応じた買い物客17人は、アマゾンやイーベイ(EBAY.O)などの企業から、20ドル前後から300ドル程度の商品を返品しないよう求められたと語った。この中には欠陥品や誤配品も含まれるという。
アマゾンは「利便性のため、また価格を低く抑えるために」、少数の返品については返送しないことを顧客に認めているとした。
<返品ラッシュ>
アプリス・リテールと全米小売り連盟のデータによると、昨年の返品率はパンデミック以前の2倍近くに達し、米国の小売売上高全体の16.5%を占める8168億ドル相当の商品が返品された。
下着、寝具、食品の販売業者は、衛生上の懸念や健康安全上の規則に基づき、返品不要ポリシーを真っ先に採用していた。補整下着のシェーパーミント社は、返品したい商品を寄付したり友人にプレゼントしたりするよう顧客に求めることで、自社への忠誠心を高めるポリシーを採用している。同社を所有するトラフィレア社のブランド・ディレクター、ガブリエル・リチャーズ氏が明らかにした。
返品不要の慣行が主流になったのは、パンデミック初期のオンライン購入ブームで、送料が高騰し、倉庫がパンクした時期だ。企業は、不要になったTシャツやペットのおもちゃ、家具などを引き取ることをやめた。
最近では、小売業者は返品にかかるコストと買い物客の価値を天秤にかけている。大口の買い物客ほど、返品不要ポリシーの適用条件を満たしやすいと専門家は指摘する。
アマゾンやシェーパーミント、その他の小売業者は、不正行為と闘うため、信頼できる顧客にサービスを提供するためのテクノロジーを利用している。
アマゾンは「当社は不正行為を非常に深刻に受け止めており、悪質な者が我々の管理から逃れようとした場合には行動を起こし、法執行機関と協力して責任を追及している」とした。
ただ、一部の不正防止策は買い物客を遠ざけている。
ロサンゼルス在住の写真家、パメラ・ピーターズさんは夏の終わりごろ、熱風を吹き出す300ドルのポータブル・エアコンを返品せずに購入代金を返金してもらった。ただ、そのためには電源コードをが切れた状態の商品の写真をアマゾンの販売業者に送らなければならなかった。
ピーターズさんは、この商品を処分して別の店で代替品を購入。「非常にもったいないことだ」と語った。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は1日、22年ぶり高水準にある借り入れコストに関して連邦公開市場委員会(FOMC)は慎重に行動するが、追加利上げの選択肢も維持すると述べた。米金融市場で広がる2024年前半の利下げ観測を押し返した格好だ。
パウエル氏はアトランタで講演。「十分に景気抑制的なスタンスを達成したと確信を持って結論づける、あるいは金融緩和の時期について臆測するのは時期尚早だ」と述べ、「追加の金融引き締めが適切になる場合は、そうする用意がある」と話した。
FOMCは12月12-13日の会合で金利を据え置き、景気を評価する時間を得る見通しであることをパウエル氏は示唆した。2022年3月にゼロ付近だった政策金利を、FOMCは今年7月に5%を超える水準まで積極的に引き上げてきた。米経済の減速やインフレ率の低下を背景に、市場では早ければ3月にも利下げが開始されるとの観測が広がっている。
「かなり急ピッチでここまで来たあと、FOMCは慎重に前進している。引き締め不足と引き締め過ぎのリスクは一段とバランスがとれてきている」と同氏は語った。
パウエル議長の発言を受けて米国債利回りは低下し、ドルは下落、S&P500種株価指数は上昇した。政策は今「かなり景気抑制的な領域に入っている」との発言など、これまでよりもハト派的と示唆される内容が注目された。
「FOMCはインフレ率を時間とともに2%に引き下げること、またインフレが同目標への軌道上にあると確信するまで景気抑制的な政策を維持することに強くコミットしている」とパウエル氏は言明。
同氏は最近の進展を挙げ、10月まで6カ月間の食品とエネルギーを除いたコアインフレ率が年率2.5%だったと指摘した。
「金融政策が経済状況に影響を及ぼすには遅れが伴うと考えられている。引き締めの完全な影響はまだ実感されていない可能性が高い」と続けた。
株式6割・債券4割の「60/40」ポートフォリオ戦略が今年復活すると正確に予測していたバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト陣が、ここにきて流れが急激に反転するリスクがあると警鐘を鳴らしている。
BofAによれば、60/40戦略は11月に、月間としては30年余り前の旧ソ連崩壊後以来となる好調な成績を収めた。ストラテジスト、マイケル・ハートネット氏のチームが行った過去のデータ分析によると、このように「モンスター」級に大きく値上がりした局面の後には通常、揺り戻しが来る傾向があることが分かった。
11月はS&P500種株価指数と米10年債のリターンが合わせて12%に達するなど、米利上げ終了観測から株と債券の同時高が進行した。ブルームバーグがまとめたデータによると、米国の株式と債券の月間リターンが合計で12%以上になったのは、過去40年間で10回しかない。
クロスアセット市場のパフォーマンスを測るブルームバーグのベンチマークによれば、典型的な60/40ポートフォリオは今年、約14%値上がりしており、世界的な金融危機以来の落ち込みに見舞われていた昨年から回復した。ハートネット氏は昨年末の段階で、同戦略が今年復活すると正確に予想していた。
米国債相場の突然の猛烈な上昇で大きな勝ち組となった1人が、かつて「債券王」と呼ばれたビル・グロース氏だ。
米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の最高投資責任者(CIO)だったグロース氏は、現在は実績の浮き沈みが激しい一介のプレーヤーに過ぎないかもしれないが、10月下旬に金利に関する賭けに出たことが大当たりした。
同氏はこの賭けに出たことをソーシャルメディアX(旧ツイッター)への投稿で明らかにしていた。投資対象は、米金融政策の見通しに密接に連動する担保付翌日物調達金利(SOFR)先物というややニッチな市場だ。利下げ観測が強まる中、同証券は急騰した。
グロース氏は自身の広報担当者を通じて、SOFRに連動した3カ月物の2025年3月限を3000万枚購入したことを確認した。このポジションはまだ有効であり、ブルームバーグの算出によれば、12月1日の価格に基づくと、400万ドル(約5億9000万円)余りの利益を生み出した可能性が高い。
先月は雇用統計や消費者物価指数(CPI)の鈍化が示されたことが債券強気派への好材料となったのに加え、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長ら米金融当局者によるハト派的な発言で相場上昇にさらに弾みが付いた。ブルームバーグのデータによると、短期金融市場は現在、2024年に約1.1ポイントの金融緩和が実施されると織り込んでおり、初回利下げは5月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合になると予想されている。
欧州中央銀行(ECB)は現時点で利下げを検討する用意はないが、2024年のある時点でその問題を検証することになるだろうと、政策委員会メンバーのビルロワドガロー・フランス中銀総裁が語った。
ビルロワドガロー氏はパリ近郊で行われた会議で、「なんらかの衝撃が起きない限り、利上げはもはや完了した」と発言。「2024年のある時期が来れば、利下げの問題が出てくるかもしれない。だが、今ではない。対処法が有効であるなら、その期間は十分に我慢強く待つ必要がある」と述べた。
インフレ率の著しい減速を示した11月30日発表のユーロ圏の経済指標については、ディスインフレのプロセスがサービスを中心に「予想以上に速い」ことを明らかにしたとの見解を示した。
「足踏みが数カ月続くかもしれないが、外部の衝撃がなければ遅くとも2025年までにインフレ率は2%の目標に向かうとのECBの予測が裏付けられている」とビルロワドガロー氏は論じた。同氏の発言は、フランス中銀が明らかにした。
米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長(銀行監督担当)は1日、金融機関に対しFRBの割引窓口を利用することを否定的に捉えないよう呼びかけた。
バー氏は欧州中央銀行(ECB)のイベント向けに準備したスピーチ原稿で、割引窓口は金融の安定と金融政策にとって重要なツールだと指摘し、金融機関は困難な時のみならず平時でも資金調達手段の一つとして活用すべきだと促した。
「割引窓口を介し予測可能な金利でファイナンスにアクセス可能であることは、多くのシナリオの下で、銀行の流動性リスク管理計画において重要な役割を果たすはずだ」と語った。
米国では今年、中堅銀行が相次ぎ破綻。ストレス下での銀行による資金調達の在り方が議論されている。
バー氏は金融機関が流動性にアクセスする上で多様な選択肢を持つことは大事だと述べ、「割引窓口からの借り入れはこうした選択肢の組み合わせの重要部分となるべきだ」と主張した。
同氏はまた、安価で便利な割引窓口からの借り入れだけに頼れば当局に悪い印象を持たれると懸念する銀行もあることは承知していると話した上で、「これに鑑み、連邦準備制度は銀行や監督当局、アナリスト、格付け会社、その他の市場オブザーバー、国民に対し、さまざまな経路を通じ、割引窓口の活用は否定的に見なされる行動ではないという点を強調している」と説明。
「銀行は良い時も悪い時も割引窓口の利用に備え、安心して利用すべきだ」と語った。
米経済の減速がいよいよ始まった。最近の各経済指標やウォルマートなど大手小売業者が発する警告、米地区連銀経済報告(ベージュブック)での景況に関するコメントなど、その兆候は増えている。
米国の家計は2023年の大半を通じて予想外の強さを示し、夏には支出が大きく伸びた。しかし、ここにきて息切れし始めている。
高金利と貯蓄減少で疲弊している消費者の姿は、2024年に向けて米経済が下降線をたどっていることを示す最も確かな兆候と言えそうだ。労働市場が冷え込んで賃金の伸びが緩やかになるのに伴い、米経済は来年さらなる困難に直面するかもしれない。
INGフィナンシャル・マーケッツのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「家計の可処分所得状況はあまり芳しくない。雇用は減速しつつあり、賃金も伸び悩んでいる」と指摘。「消費者の勢いは弱まっており、それは重要な意味を持つ」と述べた。
11月30日に発表された10月米個人消費支出(PCE)統計では、自動車や家具、スポーツジムの会員料など、裁量支出の減少が示された。ホリデー商戦もやや精彩を欠く。ブルームバーグの分析では、感謝祭翌日のブラックフライデーに複数の大手小売企業で売上高が減少。ネット通販の大型セール「サイバーマンデー」では、後払い決済サービス「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」を使った購入が過去最大となった。
旺盛な消費がインフレ高止まりの要因になることを懸念していた米金融当局者にとっては、消費支出の鈍化は歓迎されるだろう。先物市場では現在、2024年に約120ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げが織り込まれている。10月中旬時点での織り込み幅のほぼ2倍だ。
アトランタ連銀のボスティック総裁は「個人消費は国内総生産(GDP)の約3分の2を占めるため、購買活動が減れば経済成長も鈍化する」と11月29日に発言。アトランタ連銀がまとめた最新のベージュブックでは、企業が今後1年での売上高の伸びを3%と見込んでいることが示された。新型コロナ禍の時期を除けば約10年ぶりの低い数字だ。
国内大手小売企業の8-10月(第3四半期)決算は、消費減速がかなり進んでいることを示唆している。ウォルマートは10月末の国内消費に軟化の兆しが見られたとして、先行きに不安な姿勢を示した。ターゲットの既存店売上高は、消費者が裁量支出を減らしていることが響いて2四半期連続で減少。ダラー・ツリーの幹部は、低所得世帯の「経済的ストレスの増大」を指摘した。
エコノミストは通常、消費は主として労働市場の状況に左右されるとみている。仕事がある限り支出は続くとの考えからだ。その労働市場にも冷え込みの兆候がある。10月PCE統計では、インフレ調整前の賃金・給与が0.1%増にとどまり、今年最も小幅な伸びとなった。別の統計では、失業保険の継続受給者数が約2年ぶりの高水準となり、再就職の難しさが示唆された。
8日発表の11月雇用統計では、平均時給は前年比4%上昇が見込まれている。実際にそうなれば、2021年半ば以来の低い伸びとなる。
景気は減速しつつあるものの、この先の大崩れを予想する向きは少ない。ブルームバーグによる調査の中央値では、実質GDP成長率は2023年10-12月(第4四半期)に前期比年率1.1%に減速し、2024年4-6月(第3四半期)に同0.2%で底を打つと予想されている。
「確かに状況は軟化しつつあるが、前進の勢いと進展の兆しは続いている」と、米大統領経済諮問委員会(CEA)のメンバーであるヘザー・ブシェイ氏は指摘。「大ヒットのペースは永久には続かない。実際に状況を安定させる必要があった」と電話インタビューで述べた。
米経済はこれまでは底堅く推移してきた。しかし2024年に向け、それが変化していく可能性があると、シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏はみている。
「われわれが想定するように6カ月後にリセッション(景気後退)に陥っているとすれば、今のこの時期が最も初期の兆候だったと振り返ることになるかもしれない」と語った。
●中国・アジア・ロシア・東欧
新型コロナ禍に伴う厳格な行動規制に反対する「白い紙」抗議が中国全土に広がってから1年。イーチェン・フアンさんは、中国では珍しい大規模な抗議行動が、いずれ国家による検閲のせいで市民に忘れ去られてしまうかもしれないと危惧している。
昨年11月25日に発生した市民による不服従の波は、市民社会に対する抑圧を強めてきた習近平政権の10年で、他に例を見ないものだった。
警察により迅速に鎮圧されたとはいえ、ゼロコロナ政策に対する抗議は、コロナ禍のもとで3年続いた世界有数の厳格な行動規制の終焉(しゅうえん)を早めることになった。
上海での抗議に参加し、危ういところで逮捕を免れ、現在はドイツに亡命しているフアンさんは、「抗議参加者の多くは、生まれて初めて自分も市民社会の一員だという自覚を持った」と語る。「中国の人々にとって、それは初恋のようなものだ」
国内外に居住する6人の抗議参加者はロイターに対し、「白い紙」デモについては希望と複雑な感情が入り交じった思いを抱いている、と語った。デモはコロナ禍に伴う行動制限の解除を促したものの、持続性のある政治的変化は達成できなかった、と彼らは言う。
昨年広い範囲で警察による取締りが行われたため、多くの人は国家による懲罰を恐れ、匿名を条件として取材に応じた。ロイターでは昨年逮捕された抗議参加者の総数を確認することができなかったが、その後、逮捕者の一部は釈放されている。
「白い紙」抗議から1周年を迎えた先週末、北京でも上海でもデモはまったく観られなかった。また、抗議が行われた場所では警察が厳重な警戒体制をとっていた。ニューヨークやロンドン、ワシントンといった大規模な中国人コミュニティーがある都市では、記念のイベントが開催された。
フアンさんによれば、上海在住の友人の多くは、1周年を機に抗議が行われた主要地点を歩いたが、それ以外にはほとんど何もやらなかったという。「6月4日のように、禁じられた記憶にされている」とフアンさんは言う。6月4日は、1989年に天安門広場での学生の抗議行動に対する弾圧が行われた日で、厳しい検閲の対象になっている。
昨年北京で行われた抗議行動では、一部の参加者から、報道の自由や民主主義、人権の尊重を求める声も上がった。
ロイターが取材した抗議参加者や識者らの中には、昨年の事件は、自分たちにどれほどの政治的影響力があるかについて、市民が認識を新たにする契機になったと指摘する向きもある。
イタリアで活動する中国人アーティストでブロガーの通称「李先生」は、ツイッターのアカウントを使って、抗議に関する情報を拡散させた。ロイターの取材に対し、「(抗議行動によって)中国の人々の市民としての意識は新たなステージに上がった。自分の権利を守るには立ち上がる必要があると気づく人が増えた」と語った。
また昨年の抗議を前例として、今年は小規模な反体制的行動が見られた。上海ではハロウィーンを祝うイベントで政治的なメッセージを込めた仮装が登場し、習主席に冷遇された李克強元首相の死を悼む動きも広がった。
広州で暮らす30歳の抗議参加者は、「監視の目が厳しい社会だから、あの抗議が中国国内の人々にこれほど広い共感をもたらしているとはまったく思っていなかった」と話す。
「でも、ようやく自分が1人ではないのだと分かった」と彼女は言う。「中国の今後の政治状況について、悲観的な見方が少し薄れた。それでもかなり悲観的だけれど」
中国で暮らす他の抗議参加者は、もっと複雑な思いを抱いている。抗議1周年だからといって大っぴらに何かすることもなければ、友達と議論することもないという。警察の目も怖いし、全般的にコロナ禍についての記憶をよみがえらせるのは気が進まないという。
そのうちの1人、北京のテクノロジー企業で働く28歳の抗議参加者は、自分も友人も過去に治安当局の仕事に携わったことはないが、この週末には何の活動にも参加しないように警察から警告を受けたという。
こうした警告や中国での生活の現実を見ると、社会の幅広い変化に対する希望は薄れてしまうかもしれない、と彼女は言う。
「初めて抗議行動に参加した若者の中には、政治的に目覚めた人もいるかもしれない。でもそういう意識は、じきに経済や不動産市場のの不況、高い失業率といった日常的な心配事に塗りつぶされてしまうのではないか」
ロシア大統領府は1日、プーチン大統領が軍の最大兵員数を17万人増やす大統領令に署名したと発表した。これにより軍の正規兵力は132万人となる。
国防省は「軍の正規兵力増加は特別軍事作戦と北大西洋条約機構(NATO)の拡張に伴うわが国への脅威拡大によるものだ」と説明した。
また、兵士増員は契約軍人の採用によるもので、大幅な徴兵拡大や新たな動員を行う計画はないとした。
メドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)は、今年1月1日から12月1日までに45万2000人以上が契約により軍に採用されたと述べた。
米共和党の上院議員5人が1日、中国で呼吸器疾患が急増していることを受け、バイデン政権に対し米中間の渡航を禁止するよう要請した。
米上院情報特別委員会の共和党トップ、マルコ・ルビオ議員が署名した書簡で「この新たな病気がもたらす危険に関する詳細が得られるまで、米中間の渡航を直ちに制限すべきだ」とした。
ホワイトハウスと在ワシントン中国大使館は現時点でコメントしていない。
ウクライナで人事マネジャーの仕事をしているアントニーナ・ダニレビチさん(43)の夫は、昨年3月に軍に入隊して以来、休暇を取得して自宅に帰ることができたのは合計わずか25日程度しかない。2人の娘は、父親にほとんど会えないまま育っている。
ダニレビチさんは首都キーウの自宅で受けた取材で「私たちはウクライナに勝利してほしい。でもいつも同じ人たちの努力で成し遂げられるのは望まない」と語り、現在兵役に就いている人々を交代させて、彼らに休息を与えるべきだと自分は理解できるが、それが分からない人もいると嘆く。
また、留守を預かる女性たちはたくましくならざるを得なくなったとはいえ、「一体どんな犠牲を払って強くなったのだろうか」と問いかけた。
ロシアとの戦争が2年目に突入している今、ダニレビチさんだけでなくウクライナ各地の家族が、戦争は当初予期したよりもずっと長引き、犠牲も大きくなるばかりか、勝利の保証もないという厳しい見通しに直面している。
そしてこの秋、ダニレビチさんを含む2万5000人が、ゼレンスキー大統領宛ての嘆願書に署名した。求めているのは、兵役期間を無制限にせず、軍が退役期日を明確に示すことだ。最近数週間では、キーウの主要な広場でそうした要求を掲げた50─100人のデモが2回発生し、ウクライナ軍の消耗の激しさや残された家族の負担の大きさが浮き彫りになった。
夏場にウクライナ軍が開始した大規模な反転攻勢は、今のところ戦局の逆転につながっていない。ウクライナとロシアの両軍は、各戦線でおおむねこう着状態に陥っており、ウクライナに対する外国の武器支援もこれまで通りの規模で実施されるかどうか不透明になってきた。
ウクライナにとっては、米国や他の同盟国による多額の軍事支援が頼みの綱だが、手元の武器弾薬は枯渇しつつあるのに、各国は従来のレベルでの支援を継続する熱意を失ってきている。
こうした中でダニレビチさんらの要求を受けて厳しい選択を迫られているのがウクライナの戦争計画担当者だ。戦死者が着実に増えている以上、より強大なロシアを倒すためには絶え間なく新兵を戦場に送る必要がある半面、疲弊する経済を何とか切り盛りするための要員も確保しなければならないからだ。
ウクライナでは現在、当局が動員できる年齢は27歳から60歳までで、18歳から26歳は招集対象ではなく、あくまで志願者のみを入隊させている。
これまで同国は予備役を含めた総兵力を100万人前後と公表し、兵役対象年齢の国民が外国に渡航するのを禁止している。個別の動員計画の人数や戦死者は明らかにしていない。
<徴兵逃れ>
ウクライナ軍総司令官は今月、ロシアに有利な消耗戦に引きずり込まれないようにするための戦略として予備役の拡充や、電子戦、無人機、対砲兵などの分野での能力強化を挙げた。同時に、徴兵逃れを許している法の抜け穴をふさぐことも提言した。
ただ徴兵手続きに関しては、当局が動員したい男性を無理やり連行したり、脅したりする様子がソーシャルメディアに投稿され、国民の批判を浴びている面がある。
当局者が徴兵の「目こぼし」をするために賄賂をもらっている幾つかのケースも多くの国民を怒らせ、ゼレンスキー氏が担当幹部を更迭する事態になった。
ルーマニア国境沿いのティサ川では、かつてタバコの密輸を取り締まっていたウクライナの国境警備隊が、今は徴兵を逃れて国外に出て行く人々に目を光らせている。
国境警備隊はロイターに、これまでにルーマニアに渡ろうとした約6000人を拘束したと明かした。渡河中に溺死した人も少なくとも19人いたという。
<対応策>
ウクライナ議会は、合法的に招集から外れる手段として30歳以上の人が高等教育機関を利用するのを禁止する法案を審議している。
教育相による9月のフェイスブックへの投稿によると、ロシアがウクライナに侵攻した昨年、大学生として登録された25歳以上の人数は前年比で5万5000人も増加したという。
一方、西側諸国からは、ウクライナは徴兵対象年齢を引き下げるべきだとの声が出ている。
ウォレス前英国防相は、前線で活動するウクライナ軍兵士の平均年齢が40歳を超えており、動員を見直す時期だと指摘。英紙テレグラフへの寄稿で「将来ある若者を温存したいというゼレンスキー氏の願いは分かる。だがロシアがひそかに総動員に踏み切りつつあるというのが事実だ」と述べた。
ゼレンスキー氏の側近議員の1人は23日、議会が動員計画の改善と復員手続きに関する法案を年内に策定する方針だと語った。この法案は、丸2年ずっと交代なしで戦闘に従事する兵士の扱いや、捕虜となって帰還した兵士の復員方法に加えて「徴兵年齢に関するさまざまな事項」にも対応するという。
S&Pグローバルが1日発表した11月の韓国製造業購買担当者景気指数(PMI)は季節調整済みで50.0と、前月の49.8から上昇した。17カ月ぶりに景気拡大・縮小の分かれ目である50以上となったものの、景況感は依然として脆弱だ。
10月まで16カ月連続の50割れは2004年4月の調査開始以来最長期間となった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのエコノミスト、ウサマ・バティ氏は、今回の指数は韓国製造業の稼働状況が安定したことを示しているが、基調的な弱さも見られると指摘した。
サブ指数を見ると、生産と新規受注の減少ペースはそれぞれ過去19カ月と16カ月で最も緩やかなものだった。
一方、海外からの受注は過去5カ月で最も落ち込み、特に中国本土と北米という主要市場の需要が軟化した。
需要が低迷する中、12カ月連続で減少していた受注残は横ばいとなった。
インフレ面では、企業がコスト負担増に対応したため、産出価格は過去10カ月で最も速いペースで上昇。投入価格は4カ月連続で上昇したが、ペースは前月から鈍化した。
国内外の経済低迷が続くとの懸念から、将来の生産に対する楽観度合いを示す指数は過去5カ月で最低の水準となった。
民間不動産調査会社の中国指数研究院が1日発表した調査結果によると、11月の国内新築住宅価格は3カ月連続で上昇した。
前月比で平均0.05%上昇。伸び率は10月が0.07%、9月が0.05%だった。
調査対象となった100都市のうち、新築住宅価格が上昇したのは38都市にとどまった。
ここ数カ月の不動産セクターに対する政府の支援には住宅購入規制緩和や住宅ローンコスト削減が含まれている。
中国指数研究院は報告書で、国内不動産市場に対する政策の方向性は明確であり、市場が回復を示すまで需給面からの支援は続きそうだとした。
アナリストは中国のリチウム価格について、主要生産国の供給がバッテリー向け需要を上回ることから2024年には現水準から30%超下落すると予想している。
炭酸リチウムのスポット価格は今週1トン=11万5500元(1万6185.54ドル)と約2年ぶり安値を付けた。中国のアナリスト4人は来年には8万元まで下げると予想している。
一方、世界のリチウム供給量は2024年に40%急増し、炭酸リチウム換算で140万トンを超えるとUBSは予想。
主要生産国のオーストラリアと中南米の生産量がそれぞれ22%、29%増加し、アフリカでもジンバブエのプロジェクトにより倍増が見込まれる。
中国の生産量も今後2年間で40%拡大する見通し。
中信フューチャーズによると、世界のリチウム余剰は今年の4%から12%に拡大する見通しだという。
S&Pグローバルが1日発表した11月のインド製造業購買担当者景気指数(PMI)は56.0と、10月の55.5から上昇した。
需要が好調だった。好不況の分かれ目となる50を約2年半にわたって上回っている。投入価格の上昇率は40カ月ぶりの低水準。
S&Pグローバルの経済アソシエートディレクター、ポリアンナ・デリマ氏は「インドの製造業が好調であることは明らかだ。来年も好調を維持するだろう」と指摘した。
生産と新規受注は増加ペースが加速。雇用は8カ月連続で増加した。
今後1年間の企業信頼感は引き続き強く、将来の生産を示す指数は62.2。ただ、予想インフレ率の上昇で7カ月ぶりの低水準となった。
内需は堅調とみられるが、新規輸出受注は5カ月ぶりの低水準。
投入価格の上昇ペースは2020年7月以来の低水準。産出価格の上昇率は7カ月ぶりの低水準にとどまった。
同氏は「原材料や部品の価格は11月も上昇したが、投入物の世界的な需要低迷でサプライヤーからの入手が容易になり、コスト圧力が大幅に緩和した」と述べた。
インドで11月に行われた4州の議会選の開票結果が3日明らかにされ、モディ首相が率いる与党のインド人民党(BJP)が3州で勝利した。来年5月までに実施予定の連邦下院選に向け、モディ政権には大きな追い風となった。
首相3期目を目指すモディ氏は今回の結果について「国民は適切な統治と開発をもたらす政策をしっかり支持していることが分かり、BJPはそうした政策を代表している」とX(旧ツイッター)に投稿した。
開票データによると、BJPは西部ラジャスタンと中部チャッティスガルの両州で最有力野党の国民会議派に相当な差で勝ち、中部マディヤプラデシュでも多数派を維持した。
事前の世論調査や出口調査ではBJPと国民会議派の接戦が示唆されていただけに、BJPが予想以上に党勢を伸ばしたと受け止められている。一方国民会議派は、南部テランガナで勝利したものの、全体として振るわなかった。
●中東
イスラエル軍は1日、イスラム組織ハマスが戦闘休止合意に違反したと非難し、パレスチナ自治区ガザに対する攻撃を再開した。ガザ保健当局は、イスラエル軍の空爆で夕方までに184人が死亡し、少なくとも589人が負傷したとしている。
戦闘休止合意の期限が切れた夜明け直後、ガザ地区南部のカーンユニスの東部地区が激しい砲撃にさらされたほか、これまでに激しい戦闘が繰り広げられたガザ地区北部でも爆発音が響き、廃墟の上に巨大な煙が立ち上るのがイスラエル領内から確認できた。
こうした中、イスラエル南部に対しガザ地区の海岸沿いからロケット弾による攻撃が行われたことで、空襲警報が発令。ハマスはテルアビブを標的にしたと表明しているが、これまでのところ死傷者や被害の報告はない。
イスラエル軍は、陸空海軍を投入し200カ所を超える「テロリスト標的」を攻撃したと表明。ガラント国防相は、イスラエル軍の戦闘機に搭乗し攻撃を間近で視察したとし「結果は印象的だった。ハマスが理解するのは力だけだ。われわれは戦争の目的を達成するまで実施する」と述べた。
国連人道問題調整官事務所(OCHA)のラーケ報道官は「地上の地獄がガザに戻ってきた」とし、戦闘再開を受けた人道的緊急事態の悪化を警告している。
パレスチナ赤新月社によると、イスラエル軍はガザ地区とエジプトの境界にあるラファ検問所からの援助物資の搬入を全て停止した。
<レバノン南部でも死者>
イスラエルとハマスの戦闘再開を受け、イスラエル北隣のレバノンに拠点を置く親イラン組織ヒズボラとの紛争が再び激化するとの懸念が高まる中、レバノンの国営メディアは、イスラエル軍の攻撃によりレバノン南部で少なくとも3人が死亡したと報じた。 
ヒズボラは、ガザ地区のパレスチナ人を支援するため、国境にあるイスラエル軍の拠点を数回攻撃したと表明。ヒズボラ幹部のハッサン・ファドララ氏は「警戒を怠らず、いかなる危険にも立ち向かう準備を常に整えている」とし、「レバノンがシオニストの標的から免れ、ガザで起きていることがレバノンの状況に影響しないなどと、誰も考えていない」と述べた。
米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日、パレスチナ自治区ガザでの人道的戦闘中止が延長されなかったのはイスラム組織ハマスが人質リストを提出しなかったためで、ハマスに責任があると非難した。
記者会見で「戦闘休止が終了したのはハマスのせいだ。責任はハマスにある」と述べた。また、これまでにハマスが解放した米国人の人質数を6人から4人に訂正した。
一方、イスラエルは米国の働きかけにより人道支援物資のトラック配送再開に同意したことを明らかにした。戦闘休止期間中は毎日何百台ものトラックがガザ入りしたが、1日数十台に減るとの見通しも示した。それでも、ガザにはもっと多くの援助が必要であり、支援物資の搬入を再開するという決定は「良い兆候のようだ」と述べた。
レバノンの国営メディアは1日、イスラエル軍の攻撃により、レバノン南部で少なくとも3人が死亡したと報じた。
イスラエルとイスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザでの戦闘を再開したことを受け、イスラエル北隣のレバノンに拠点を置く親イラン組織ヒズボラとの紛争が再び激化するとの懸念が高まっている。
ヒズボラは、ガザ地区のパレスチナ人を支援するため、国境にあるイスラエル軍の拠点を数回攻撃したと表明。イスラエル軍の攻撃でヒズボラ戦闘員1人が死亡したと明らかにした。
イスラエル軍は、攻撃が行われていたレバノンの拠点を攻撃したと表明。防空システムで2発の飛翔体の発射を阻止したほか、「テロリストの小集団」を攻撃したと明らかにした。
イスラエル北部の複数の集落では、ロケット弾の飛来を警告する空襲警報が発令され、住民が避難している。
これに先立ち、ヒズボラはレバノンとイスラエルの国境でイスラエル兵を「適切な武器で」標的にしたと表明。ヒズボラ幹部のハッサン・ファドララ氏は「挑戦に直面することを懸念している。警戒を怠らず、起こりうるいかなる可能性といかなる危険にも立ち向かう準備を常に整えている」とし、「レバノンがシオニストの標的から免れ、ガザで起きていることがレバノンの状況に影響しないなどと、誰も考えていない」と述べていた。
ヨルダンのアブドラ国王は30日、国連の支援当局者らや国際団体に対し、人道状況が一段と悪化しているパレスチナ自治区ガザへの支援受け入れを拡大するようイスラエルに圧力をかけるよう求めた。
当局者らによると、国王は国連高官や西側の非政府組織(NGO)代表、アラブの寄付団体代表らとの会合で、イスラエルが十分な支援物資の搬入を阻止し続けているのは容認できないと述べた。
ある代表は匿名で「国王は国際支援団体に、自分たちの土地を居住不可能にした残虐な戦争に耐えているガザの人々を救うため役割を果たすよう求めた」と述べた。
国際的な医療・人道支援を担う非政府組織(NGO)「国境なき医師団(MSF)インターナショナルのクリストス・クリストゥ会長は「ガザの人々には持続的な休戦が必要。無差別な殺害と民間人の負傷を食い止め、絶望的に必須となっている支援物資を意味のある規模で届けるには、それしか方法がない」と述べた。
さらに「既に壊滅的規模の人道危機を目の当たりにしており、暴力的な猛攻が再開すれば事態は悪化する」と述べた。
ネルソン米財務次官(テロ・金融情報担当)は30日、トルコ政府に対して、イスラム組織ハマスがトルコで活発に資金調達を行っていることに重大な懸念を持っていると伝えたことを明らかにした。
ハマスのさまざまな資金調達先においてトルコは「際立つ」存在で、イスラエルと戦闘中のハマスがこの状況を利用してさらに調達を進めようとしているという。
ネルソン氏はトルコの政府当局者や金融・経済団体との会談の合間、記者団に「ハマスが(トルコで)資金調達を続け、将来のテロ攻撃に向けた資金面の支えを得ることができる状態を深く憂慮している」と語った。
西側諸国の大半や一部のペルシャ湾岸諸国と異なり、トルコはハマスをテロ組織に指定しておらず、何人かのメンバーを滞在させている。
エルドアン大統領はハマスを「自由の戦士」とたたえる一方、パレスチナ自治区に対して空爆を続けてきたイスラエルを「テロ国家」と呼んだ。
一方米政府は、10月7日のハマスによるイスラエル奇襲攻撃以降、ハマスの資金調達を阻止する目的でトルコの幾つかの団体や個人を制裁対象にしている。
ネルソン氏は、トルコがハマスを合法組織と認めているとしても、ハマスはトルコの法令に違反している可能性はあると主張。トルコが米国の制裁に関係なく、国内法の下でハマスの資金調達問題に対処できる余地は十分にあるとの見方を示した。
これに対してトルコ側は、ハマスをテロ組織に指定していない半面、トルコとしてもマネーロンダリング(資金洗浄)などの国内法違反行為は決して許さない、とネルソン氏に説明したという。
スペインのサンチェス首相は30日、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルの軍事行動は容認できないと改めて表明し、イスラエルが国際人道法を順守しているか疑問だと述べた。
サンチェス首相は、国営放送局TVEとのインタビューで「私たちが見ている映像や死んでいく子どもの数を見ると(イスラエルが)国際人道法を順守しているのか、私は真剣に疑問に思う」とし、「容認できるものではない」と述べた。
これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は30日、「(イスラム組織)ハマスのテロリストがエルサレムでイスラエル人を殺害した日にスペイン首相が恥ずべき発言をした」として、スペイン大使を呼んで抗議したと明らかにした。
イスラエルの警察によると、エルサレムでは30日朝にパレスチナ人2人が発砲し、少なくとも3人が死亡、8人が負傷した。 
サンチェス首相は先週、ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所を訪問し、ガザで「罪のない民間人が無差別に殺されている」と非難した。
同首相は紛争解決に向けた国際和平会議を提案しており、インタビューでイスラエルとスペインの関係は「正しく」「友好国でも互いに物を言う必要がある」と発言。欧州諸国はパレスチナ国家の承認ついて協議すべきだとも述べた
オースティン米国防長官は2日、パレスチナ自治区ガザでの民間人の犠牲拡大についてイスラエルが警告に耳を傾けなければ、イスラム組織ハマスと再開した戦闘で「戦略的敗北」を喫する危険があると語った。
オースティン国防長官はカリフォルニア州シミバレーで行ったスピーチで、「私はイスラエルの指導者らに対し、民間人の犠牲を回避し、無責任なレトリックを避け、ヨルダン川西岸での入植者による暴力を止めるよう直接働き掛けた」と発言した。
オースティン氏や他の米指導者らは、イスラエルを引き続き支持すると明言してはいるが、民間人の犠牲が増え続ければ、支持継続が困難になりかねないと懸念している。
米政府高官らはガザの犠牲者を巡り、ますます声高にイスラエルに警告を発している。アラブ諸国や人権活動家、与党民主党左派を含む国内世論の圧力を受け、これまで非公開の会合に限られてきた警告の表明を公に行わざるを得なくなった。
ベイルート:イスラエル軍がガザの軍事作戦を再開した1日、レバノン南部におけるヒズボラの次の動きは依然として重要な懸念事項であった。
レバノンの国営通信によると、ホーラの町でナシファ・マズラーニさんとその息子モハメドさんの家がイスラエルの標的とされ破壊、2人は死亡した。
イスラエルとの南部国境での新たなエスカレーションが懸念される中、レバノン軍司令官ジョセフ・アウン将軍は40日以内に退任する予定である。
レバノン暫定内閣は、軍指導者の空白が生じることを懸念している。
モーリス・スリーム国防相は1日、ビシャーラ・ブトロス・アル・ライ総主教との会談後、アウン将軍の任期延長の例外を明確に拒否した。
同マロン派総主教と様々な政治派閥は、新大統領が選出されるまでの一時的な措置として、アウン将軍の任期延長を支持している。
自由愛国運動(FPM)に所属するスリーム氏は、アウン氏の任期延長を拒否している。
彼は次のように述べた。「定められた退職年齢に達した軍司令官の任期延長は、法律で認められていない」
「法律が規定する例外的なケースは現在の状況には当てはまらず、どのような理由があろうともこれを無視することはできない」
総主教庁が引用した発言によれば、アル・ライ氏はこれに対し、「地域は危機の中にあり、我々には大統領がいない」と述べた。
休戦の発効を受け、先週自宅に戻った国境地帯の住民は、南レバノンの状況が悪化することを懸念している。
1日には多くの人々が安全な地域に避難した。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、レバノン南部の緊張により、約5万5000人がレバノン南部から避難しているという。
避難民の約52%は女性である。
現地の統計によると、南部戦線での敵対行為により、国境の村々にある約52の私立・公立学校が閉鎖された。6000人の生徒がそれらの学校で教育を受けていた。
さらに、イスラエル軍による白リン弾の使用により、約460ヘクタールの森林と2万本以上のオリーブの木が焼失した。
イスラエル軍は1日午後、防空システムが「レバノン方面からの国境を越えた不審な飛行物体」を迎撃したと発表した。
治安当局の報告によると、イスラエル軍の偵察機は南部の空、特に国境付近の村や町の上空を飛び続けたという。
イスラエル軍は、レバノンの町アイタ・アル・シャブの対岸にあるイスラエルのアル・ラヘブ(Al-Raheb)周辺で、中型機関銃を使った掃討作戦を実施した。
レバノンに駐留する国連平和維持軍UNIFILのアンドレア・テネンティ報道官は、2006年に勃発したイスラエルとハマスの戦争を解決するために17年前に採択された国連決議1701の原則は依然として有効であると述べた。
テネンティ氏の発言は、UNIFILの要員が日常業務を遂行している中で行われた。
彼は、エスカレーションの防止、民間人の生命の保護、平和維持部隊の安全の確保が引き続き優先事項であると述べた。
テネンティ氏は、アロルド・ラザロ空軍大将率いるUNIFILが、イスラエル、レバノン両国との協議を通じて緊張を緩和し、紛争拡大のリスクを防ぐために積極的に取り組んでいることを強調した。
これらの協議には、UNIFILを代表とする国連の監督の下、レバノン、イスラエル双方の将校が出席する。
ヒズボラは10月8日、ガザ地区のレジスタンスを支援するという名目で、レバノン南部に第二戦線を開いた。
この動きは、レバノン軍とUNIFILを除き、いかなる武装勢力に対しても同地域への駐留を禁じる国連安保理決議1701の違反にあたる。
レバノン軍団(LF)のピエール・ボウ・アッシ議員は、決議1701号は、ヒズボラを含むすべての政党の承認を受けて発行されたものだと述べた。
彼は、その実施は自然かつ直感的であるべきであり、レバノンでの戦争を防ぐためにはその遵守が必要であると述べた。
ドバイ:先月30日、国連気候変動枠組条約締約国会議の傍ら、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領はハマスによる人質の解放を外交的に押し進める一環として、UAEトップとの会談を行った。
イスラエル・ハマス戦争が始まってから8週間を迎えようとしているなかヘルツォグ大統領がアラブ首長国連邦(UAE)を訪問するなか、パレスチナ人の囚人解放と交換の形でイスラエル人の人質解放が行われてきた停戦が丸1日延長された。
イスラエルの大統領府の声明によると、UAEのシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド大統領と会談したヘルツォグ大統領は、「可能な限りいかなる手段を使ってでも、殺戮テロ組織ハマスに捕らわれているイスラエル人の人質たちを解放する必要」があることを強調した。
ヘルツォグ大統領はザーイド大統領に対し、「人質らの解放を促し、迅速化するために政治力をフル活用するよう訴えた」と同声明は述べている。
ヘルツォグ大統領は元ツイッターのXにて個別に発表した声明で、人質解放を押し進めるためにドバイで「一連の外交会談」を行うと述べた。
1日と2日には、140以上の国および政府の首脳らが演説を行う。ヘルツォグ大統領もその1人で、1日に3分間の演説を行う予定となっている。
「世界の首脳との会談では、ガザ地区でハマスによって捕らわれている人質全員の即刻無条件解放を断固として要求するつもりです」ヘルツォグ大統領はそう述べた。
「さらに、ガザ地区住民へのさらなる人道支援提供の詳細を語り、その取り組みを強調するつもりです」
パレスチナのマフムード・アッバース大統領もCOP28で演説予定だったが、大統領府の発表によるとアッバース大統領は訪問を取りやめ、外相が代わりに参加するという。
11月24日の停戦開始以来、パレスチナ人の囚人210人の解放と引き換えに、イスラエルの人質70人が解放された。
約30人の外国人(大半はイスラエルで働くタイ人)は、交渉条件の枠外で解放されている。
イスラエルは、この停戦は人質解放のための一時的なものを意図していることを明確にしているが、紛争の停戦延長を求める声は高まっている。
10月7日、ハマスをはじめとする戦闘員らがガザ地区から境界を超えてイスラエルに侵入し、イスラエル当局発表で民間人を中心に1,200人を殺害、約240人を拉致したことで戦闘が始まった。
これに対しイスラエルはハマスの壊滅を宣言し、空および地上からの軍事作戦を開始した。ガザ地区のハマス政府発表によると、一連の作戦でこちらも民間人を中心におよそ1万5,000人が殺害された。
活動家らが永久停戦とイスラエルによる17年間に渡るガザ地区の封鎖を終わらせるよう訴えるなか、この戦争はドバイでの国連気候会議に影を落としている。
米国が仲介したアブラハム合意の一環としてイスラエルと外交関係を築いたUAEは、アラブ諸国の中でイスラエルを国家として承認している数少ない国のひとつだ。だがUAEは、パレスチナ人との連帯を何とか示そうとしている。
UAEはガザ地区に病床数150の野戦病院を設置し、子ども1,000人およびがん患者1,000人、合計で2,000人のパレスチナ人を治療のために受け入れると公約している。
ベイルート:在レバノン米国大使館は30日、ホワイトハウスはガザ紛争の「更なる波及の可能性」を懸念していると述べた。
同大使館の公式アカウントはソーシャルメディア「X」に投稿したメッセージで、米国は「レバノンでの紛争を望まない。紛争がエスカレートすれば、地域の平和と安全保障、そしてレバノン国民の幸福に重大な影響を及ぼすだろう」と述べた。
また、「イスラエルとレバノンの国境エリアの平穏を取り戻すことが最も重要であり、国連安保理決議1701を完全に履行することがこの努力の重要な要素である」と強調した。決議1701は、2006年に勃発したイスラエルとヒズボラの戦争を解決する目的で17年前に採択された。
同大使館は、国際連合レバノン暫定駐留軍は、2000年6月に国連によって設定されたレバノンとイスラエルの境界線である「ブルーライン」沿いの平和を維持するために重要な役割を果たしており、「すべての当事者が同平和維持軍の安全を確保することを期待している」と付け加えた。
このメッセージは、イスラエル軍がガザ地区での地上作戦の次の段階に関する軍事計画を承認した後に発表された。ヨアヴ・ガラント国防相は、イスラエルの空軍、地上軍、海軍は、現在の休戦が終わり次第、作戦を再開する用意があると述べた。
一方、レバノン訪問の2日目、フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン特使はベイルート南部郊外を訪れ、レバノンの政治家たちと様々な問題について会談し、国内の長期にわたる政治的行き詰まりを解消するための支援を模索した。
会談には、ヒズボラのモハメド・ラード議員、自由愛国運動(FPM)のジブラーン・バーシル党首、レバノン・カタエブ党のサミ・ゲマイエル党首、改革連合の議員、無所属の議員らが参加した。
ミッシェル・アウン前大統領の任期が2022年10月に終了して以来、大統領職は1年以上空席となっており、ゲマイエル氏はヒズボラが後継者の選出を妨害していると非難した。同氏は、ヒズボラとその同盟国に対し、自分たちの選択を押し付けようとするのではなく、全政党から信頼され支持される候補者についてコンセンサスを得るよう促した。
さらに彼は、レバノン軍司令官ジョセフ・アウン将軍の引退を、この国にとって重要な時期に延期するよう求めた。同将軍は1月10日に60歳の定年を迎える。
ゲマイエル氏はまた、地域において、レバノンを犠牲にするようないかなる和解も拒否すると述べ、「今日、レバノンには国家は存在せず、ヒズボラが国家となっている」ため、「決議1701および国際決議を実施し、レバノン軍への武器を制限する」必要性を強調した。
ル・ドリアン特使が政治家たちと話し合った主な内容には、大統領選出と政府樹立の緊急性、決議1701の完全実施、レバノン南部の安定確保などが含まれていたという。
ル・ドリアン氏と会談した一人であるレバノン軍団(LF)のジョルジュ・オカイス議員によると、特使は、レバノンの安全保障を維持する現在の必要性を考慮し、決議1701の実施とアウン将軍の軍司令官としての任期延長の重要性を強調したという。
ヒズボラは10月8日、「ガザ地区のレジスタンスを支援する」という名目で、レバノン南部に第二戦線を開設した。ヒズボラはイスラエル軍を標的にした作戦を数多く実施し、イスラエル軍もこれに呼応して南部国境地帯に同様の攻撃を数回加えている。イスラエル軍の砲撃はレバノン南部の奥深くの町を標的にしたこともあり、同国内のヒズボラ、ハマス、イスラム聖戦のメンバー80人以上を含む100人以上が死亡した。
ガザでのより広範な紛争における休戦が24日に発効し、複数回の違反が報告されているものの、ヒズボラは大部分この合意を順守している。
しかし、20日にはレバノン南部戦線でさらなる休戦違反が報告された。イスラエル軍当局によれば、イスラエルとの国境に近い村、ルメイシュ郊外で2発のミサイルがアイアンドーム・システムに迎撃されたという。
「我々の防空システムは、レバノンからイスラエル領内に侵入した不審な空中目標の迎撃に成功した」と彼らは付け加えた。
イスラエル軍は3日、地上部隊がパレスチナ自治区ガザ全域で活動していると明らかにした。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは、南部の都市ハンユニスから約2キロの地点でイスラエル軍と衝突したと述べた。
イスラエル軍のハガリ報道官は「ガザ全域でハマスの拠点に対する地上攻撃を引き続き拡大している」と述べ、南部で地上攻撃を開始したことを示唆した。
ガザ南部にはこれまでの戦闘を逃れてきた住民も多く、新たな地上攻撃の開始を懸念する声が聞かれた。
北部ではこの日、ジャバリア難民キャンプが空爆を受けたとされ、ガザ保健当局は数人が死亡したと明らかにした。
住民によると、空爆や砲撃は南部のハンユニスとラファにも集中した。
イスラエル政府報道官は軍が週末に「ハンユニス地域での大規模な空爆」を含め400以上の標的を攻撃し、北部ベイトラヒヤでもハマスのインフラを破壊し戦闘員を殺害したと述べた。
これより先、ハンユニスとガザ中部デル・アルバラを結ぶ道路を戦車が寸断し、ガザ地区を事実上3つに分断した。イスラエル軍はハンユニス市内と周辺の複数の区域からの退避を指示し、同市の西側やエジプトと境界を接するラファの避難所を示した地図を投稿した。
ガザ保健当局はその後、ラファの住宅への空爆で7人が死亡したと明らかにした。
●中南米・アフリカ
南アフリカの金融機関アブサが1日発表した11月の製造業購買担当者景気指数(PMI、季節調整済)は48.2と、前月の45.4から上昇した。景況拡大・悪化の分かれ目となる50は依然下回っている。
業況見通しを示すサブ指数はさらに低下し、新型コロナウイルス流行によるロックダウン(都市封鎖)が最も厳しかった2020年以来最も低い水準となった。
アブサは「(港湾の混雑という)物流の問題だけでなく、停電が最近拡大したことも先行きのセンチメントを押し下げた可能性がある」と指摘した。
ホンジュラス出身の難民であるウォルター・バネガスさん(28)は、メキシコ北部サルティーヨにある勤務先の工場で、高温に熱された街灯の金属部品をダイカスト鋳造機から取り出していた。
バネガスさんは10代の頃に一度、薬物売買を行う犯罪組織の勧誘を避けるため米国に逃れたが、2014年に強制送還されたという。亡命を目指し2020年にも渡米したが、再び国外追放に終わった。
ホンジュラスで犯罪組織の脅威から再度逃れようとした2021年、バネガスさんが避難先として目指したのは、米国ではなくメキシコだった。1月に難民認定を受け、国連難民プログラムの支援の下、サルティーヨに移住。米ミシガン州を拠点とする金属加工・鋳造企業で米・メキシコ両国に工場を持つ「ペース・インダストリーズ」で職を得ることができた。
長年、移民の母国や中継地として考えられてきたメキシコは、過去5年ほどで難民の最終目的地へと変化し始めた。米国より難民認定がゆるやかで、国内の労働者不足により求人数も多いことから、難民の数は小規模ながらも着実に増加をみせている。
バネガスさんはペース・インダストリーズで月800ドル(約11万7700円)の収入を得ており、米国で働けば稼げると予想していた金額よりは少ないものの、母国の家族に少なくとも月50ドルを送ることができているという。メキシコ人の同僚との関係もうまくいっており、6歳の息子デービッドくんがメキシコの市民権を得ていることを誇りに思っている。
「ここでは平穏を感じられる」とバネガスさんは話す。
「米国に行く必要はない。ここメキシコでも良い生活を送ることができる」
<「手堅い選択肢」>
メキシコの難民当局によると、10年ほど前に同国で亡命認定を受けた人数は年間数百人だったが、2021年には2万7000人に増加した。今年は既に、主にホンジュラスやハイチ、ベネズエラ、エルサルバドル、キューバから到着した少なくとも2万人を難民として受け入れる見通しだ。
メキシコに入国する移民のほとんどは米国を目指して北上を続ける。こうした移民の流入はバイデン米政権にとっての課題だ。昨年米国に申請された個人の亡命件数は、70万人以上に膨れ上がっている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)メキシコ事務所のジョバンニ・レプリ氏は、難民にとってメキシコが「非常に手堅い選択肢」になりつつあると話す。その理由の一つには、労働力の需要が高いことが挙げられるという。
経済団体「コパルメクス」によれば、現在メキシコ全体で百万件を超える求人数が埋まらず、観光事業や農業、運輸業や製造業の雇用主の多くが労働者探しに苦戦している。
コパルメクスが2500の事業所を対象に7月に行った調査によると、製造業の雇用主の85%が労働力の獲得に困難を感じていると回答。この割合は他のセクターよりも高い数字となった。
メキシコ製造業組合「インデックス」は、メキシコでは米国の顧客に近い場所に企業が移転する「ニアショアリング」の増加が見込まれており、今後人手不足が深刻化する恐れもあると指摘する。
米国、メキシコ、国連の担当者は、米国の不法移民を減らすべく、メキシコやコスタリカ、コロンビアといった国への再定住を移民に勧めるよう地域協力を呼び掛けた。
メキシコ外務省で移民政策を担当するアルトゥーロ・ローチャ氏は、「ニアショアリングをてこ入れするためにも」、政府が就労ビザの拡大や、職を探す移民と雇用主の結び付けに注力していると話す。
メキシコはグアテマラ政府と連携し、同国からメキシコに年間で最大2万人の労働者を送り込む計画に取り組んでいる。このプログラムは、将来的にホンジュラスやエルサルバドルにも拡大することが見込まれている。
コパルメクスのホセ・メディナ・モラ代表は、バネガスさんも支援を受けた国連のプログラムを称賛し、より多くの移民が雇用主とつながるようメキシコ政府が労働ビザの発給を拡大することを要請した。
「補充しきれない人手不足の現実を前に、このプログラムは特に大きな助けとなる可能性がある」
国連のプログラムでは、メキシコ南部などで亡命審査を完了させた難民が中部・北部の都市に移住するのを支援している。現金での補助金支給や就職の仲介、デイケアサービス・教育・ヘルスケアを受けられるよう手配するなどの支援を行い、2022年には5500人、今年は既に3000人近くに働き口をあっせんしたという。
<「これ以上望むことはない」>
フェルナンド・エルナンデスさん(24)は昨年、パートナーと幼い娘と共にホンジュラスからメキシコ南部へと逃れた。当初の計画では可能な限り素早くメキシコを縦断し、米国に向かう予定だった。
ただ、その考えは変わった。ソーシャルメディア上で米メキシコ国境の川でおぼれる子供の様子を写した投稿を見つけ、2歳の娘ケイトリンちゃんが流されているところを想像せずにはいられなかった。2017年に米国へと移住してテキサス州のトレーラーパークで暮らし、収入のほとんどを家賃に充てている自身の母親の現状にも思いを巡らせた。
エルナンデスさんはメキシコでの亡命申請を決意。2月に認定を受けたのち、国連の支援を受けて一家は北部の工業都市モンテレイに移住し、エルナンデスさんはコンビニエンスストアで働き始めた。
その後すぐ、エルナンデスさんは求人がどこにでもあると気づいたと話す。勤務先をより待遇の良い工場に変え、それから中華料理の米レストランチェーン「P.F.チャンズ」で料理人になり、今では週に225ドルを稼いでいる。
「ここでは家も食料も家族も、全てがある。望んだものは全て手に入った」
●市況
<為替> 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が一段の利上げに慎重な姿勢を示したことを受け、ドルが下落した。
パウエル議長はスペルマン大学(ジョージア州アトランタ)で行った講演で、利上げが行き過ぎ必要以上に景気を減速させるリスクと、インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクは「より均衡している」と述べた。
パウエル氏の発言はハト派的と受け止められ、市場でFRBの利上げサイクルは終了したとの見方が織り込まれた。マネックスUSA(ワシントン)のトレーディング・ディレクター、フアン・ペレス氏は「FRBは正しく行動しており、利上げを行わずに様子を見る余裕があると同時に、必ずしも利下げを行う必要はない、という考えをパウエル議長は肯定した」としている。
CMEフェドウオッチによると、FRBが来年3月の会合までに利下げに踏み切る確率は64%。前日では43%だった。5月の会合については、利下げが行われる確率は90%。前日は約76%だった。
<債券> 国債利回りが大きく低下した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言と11月製造業景気指数が材料となった。
<株式> 上昇し、S&P総合500種は終値ベースの年初来高値を更新した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を受け、主要政策金利はピークアウトしたとの見方が強まった。
主要3株価指数全てが上昇。経済の健全性を測る指標とされるダウ輸送株20種(.DJT)と小型株で構成されるラッセル2000指数(.RUT)の上昇が目立った。
ホライズン・インベストメンツの最高投資責任者(CIO)、スコット・ラドナー氏は「12月が好調なスタートを切れば、投資家は株高に飛びつき、追いかけることになる」と述べた。
S&P500の主要11セクターでは、不動産(.SPLRCR)が最大の上昇率を記録。一方、通信サービス(.SPLRCL)は唯一の下落セクターとなった。
製薬大手ファイザー(PFE.N)は5.1%下落。1日2回服用の肥満症治療薬「ダヌグリプロン」を後期試験に進める計画を取り止めると発表した。
<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」による自主減産合意に対する懐疑的な見方が根強い中、続落した。米国産標準油種WTI1月物の清算値(終値に相当)は前日比1.89ドル(2.49%)安の1バレル=74. 07ドルと、中心限月の清算値ベースで11月中旬以来約2週間ぶりの安値となった。2 月物は1.80ドル安の74.25ドル。
<ロンドン株式市場> 続伸して取引を終えた。鉱業株が堅調に上昇したほか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ鈍化の進展を認めたことも投資家心理を明るくした。
英住宅金融会社ネーションワイドが発表した11月の国内住宅価格は前月比で予想外に上昇し、住宅市場の低迷が和らぐ兆しが強まった。
住宅建設株指数(.FTNMX402020)、不動産株指数(.FTUB3510)、不動産投資信託株指数(.FTNMX351020)は1.71─2.03%上げた。
UBSが投資判断を引き上げたチリ産銅大手アントファガスタ(ANTO.L)、英資源大手アングロ・アメリカン(AAL.L)はそれぞれ6.2%、7.9%上昇した。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。資源株が買われたほか、利下げ観測の高まりでユーロ圏の域内国債利回りの低下が続いたことも相場を支えた。
STOXX欧州600種資源株指数(.SXPP)は1日、4.23%上昇した。ドル安による金属価格の値上がりに加え、主要消費国である中国の指標が好感された。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが低下した。軟調な米経済指標やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を受け、早ければ来年第1・四半期にも利下げが実施されるとの見方が強まった。
ダンスケ銀行の債券ストラテジスト、ピート・ヘインズ・クリスチャンセン氏は、「今週の非常に強いトレンドの継続に過ぎない。この1週間を支配していたのは、一種の買い遅れへの恐怖だ」と述べた。
日経先物33,478、ダウ先36,327、債先146.76、米4.209、独2.3570、仏2.919、西3.348、伊4.085、英4.1780、波5.450、原油74.38、銅8,629、ドル円146.80、ユーロドル1.0883
※12/1 *時*分頃