2022年11月1日火曜日

備忘録(22/11)

備忘録(11/30
●中国・ロシア・東欧
孫副首相は30日に北京で国家衛生健康委員会および専門家らと会合を開き、「オミクロン株の病原性は比較的弱く、ワクチン接種も進み、新型コロナに対する政府の知見も蓄積されている。このため新型コロナとのわれわれの闘いは新たな段階にあり、新たな課題に向き合っている」と語った。
会合後の発表文によると、孫氏はゼロコロナを意味する「動態清零」という言葉を使用しなかった。国家衛生健康委などの機関が行った前日の説明でも、これまでと異なり当局者らはこの言葉に全く言及しない一方で、高齢者らにワクチン接種を促した。
孫氏の発言は、新型コロナ感染がもはやそれほど深刻ではないことを政府として初めて公式に認めたものと捉えることができ、厳格な「ゼロコロナ」政策へのさらなる変更に道を開く。中国では広州市の一部や重慶市の中心部など、さまざまな都市がこれまでの制限措置を緩和しつつある。
習氏を党トップの総書記に引き上げたのは、江氏や江氏側近の曽慶紅元国家副主席だ。当時、江派は胡錦濤(フー・ジンタオ)前国家主席が率いる中国共産主義青年団(共青団)派と争っており、後継候補を持たない江派は李克強(リー・クォーチャン)氏の対抗馬として習氏を推した。
習氏は2012年に党総書記に就くと、院政を狙った江氏らの期待を裏切り「江氏が築いたもの」を次々と否定した。
江氏は在任中、経済発展を強力に進め、IT(情報技術)分野などで民間企業家が躍進する基盤をつくった。同時に自らの権力基盤を固めるため、経済成長で生まれた利権を党内や人民解放軍に配った。党内や軍には拝金主義や汚職・腐敗がはびこった。
ロシアではリベラル派の有力者が政権外に去る事例が相次ぐ。クドリン氏と同様に、1990年代にエリツィン政権で第1副首相などを務めたアナトリー・チュバイス氏は3月、国外に脱出した。90年代、大統領府長官だったワレンチン・ユマシェフ氏も5月末、プーチン大統領の非常勤顧問を辞任したことが明らかになった。
クドリン氏は1983年、プーチン大統領と同じロシア北西部のレニングラード大学(現サンクトペテルブルク大学)の経済学部を卒業した。1990年代半ばにはサンクトペテルブルク市の第1副市長を務めた。
1996年にエリツィン政権(当時)の大統領府に移り、1997年からは第1財務次官を務めた。国家債務の再編交渉で西側との交渉を担当し、プーチン政権が発足した2000年からは財務相や副首相を歴任した。2018年5月から政府予算などを監視する会計検査院のトップだった。
サンクトペテルブルク市政府で、同じく市幹部だったプーチン氏とは旧知の間柄で、信頼が厚いとみられていた。2月にウクライナ軍事侵攻が始まって以降、プーチン政権に対する批判はせず、政治的発言も控えていた。
11月の総合購買担当者景気指数(PMI)は47.1と10月から1.9ポイント低下した。新型コロナウイルスを抑え込むゼロコロナ政策で移動制限が強まり、経済活動を停滞させている。企業の資金繰り難は若年層や大都市圏の雇用悪化を招き、ゼロコロナへの抗議活動の背景となっている。
新型コロナの感染再拡大をうけ、首都北京など主要都市で市民の移動制限が厳しくなった。民間需要が落ち込み、自動車など製造業の新規受注が低迷した。非製造業も外食や娯楽などサービス業が打撃を受けた。
中小企業では収益悪化に伴う資金繰り難が目立ってきた。調査対象に民間企業が多い長江商学院の景況調査では、資金調達の環境を示す指数が11月まで4カ月連続で悪化した。
雇用環境は大都市圏ほど厳しく、主要31都市の失業率は6.0%と全体より0.5ポイント高い。ゼロコロナの影響を強く受けるサービス業の比率が大都市ほど高いためだ。
共産党関係者は「毎年3月に開く全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は重要政策を打ち出す一つの好機だ」と語る。裏を返せば、来春まで政策に大きな変化はないと捉える向きもある。
ゼロコロナ政策が雇用回復を阻み、消費者は節約志向を強めている。中国の消費者信頼感指数は4月に大幅に悪化し、足元も最低水準で推移する。国内総生産(GDP)の4割を占める個人消費の冷え込みが続けば経済の好転は遠のく。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
仏自動車会社ルノーと欧州エアバスは30日、次世代のバッテリーの研究開発における提携に合意したと発表した。バッテリー関連の技術向上により、将来的なハイブリッド型の航空機の実現などにつなげる。
両社の技術チームが協力し、電気自動車(EV)の長距離走行の障害となっているバッテリーのエネルギー貯蔵関連技術の開発にも取り組む。バッテリーのエネルギー消費の最適化や軽量化なども研究する。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
ドイツの債券市場で2年物国債の利回りが10年債を上回る「逆イールド」が14年ぶりに発生した。欧州中央銀行(ECB)が大幅な利上げを続けるとの見方から、欧州経済の先行きに不透明感が強まっているからだ。欧州のインフレ率は10%台と米国を上回る。利上げが景気を冷え込ませる「オーバーキル」への警戒が一段と高まっている。
11月のユーロ圏の消費者物価指数は前年同月比10.0%の上昇だった。伸び率が10月と比べて0.6ポイント縮小し1年5カ月ぶりに鈍化した。ロシアによるウクライナ侵攻を背景にエネルギーのほか食品やサービスに値上げが広がる。物価の水準は2カ月連続で10%台と高止まりした。
市場予想の10.4%を下回った。米国では消費者物価の伸び率が7%台に鈍った。欧州の高インフレはなお際立つ。
品目別の上昇率はエネルギーが34.9%となり、9~10月の40%超からは一服した。食品は13.6%、サービスは4.2%。エネルギーや食品を除いても5.0%とインフレ基調は強い。
米国の民間雇用者数は11月にほぼ2年ぶりの低い伸びとなった。賃金の伸びも鈍化し、景気見通しが悪化する中で雇用主がブレーキをかけ始めた可能性が示唆された。
DPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は30日の発表文で「労働市場の転換期を見極めるのは難しいかもしれないが、当社のデータからは金融引き締めが雇用創出と賃金の伸びに影響を与えていることが示唆される」と解説。「それに企業はもう、かつての人員入れ替わりモードではない。離職者は減っており、コロナ後の回復は安定している」と続けた。
労働市場はこれまで、積極的な利上げにもかかわらずおおむね堅調を維持してきた。今回のデータはその減速が一段と顕著になったことを示唆する。労働者にとっては残念な展開だが、数十年ぶりの高インフレと闘う政策当局には歓迎される。
雇用者数の増加は娯楽・ホスピタリティーで最も顕著だった。一方で製造業では10万人減少した。
英政府は銀行に対するリングフェンス規制を緩和する方針だ。ロンドンの金融街への規制を減らし欧州連合(EU)離脱から大きな効果を得るのが目的だと、事情に詳しい関係者が述べた。
事情に詳しい関係者によると、大手銀行は引き続き規制の対象になるが、トレーディング活動が限定的で、規模の比較的小さい銀行は規制を免れることができる。規制緩和の方針を先に報じたFTによると、サンタンデールの英国部門やヴァージン・マネー、TSB銀行などが恩恵を受ける見通し。
ベージュブックでは「経済活動は前回報告時から総体的に横ばいないし小幅拡大し、緩やかな成長からペースを落とした」と記された。「金利とインフレが引き続き活動への重しとなっており、見通しを巡る不確実性の増大や悲観の強まりが多く示された」とした。
ベージュブックは「5地区が経済活動の若干あるいは緩やかな拡大を報告した。他の地区は横ばいまたは若干から緩やかな縮小だった」と指摘。労働市場はなおタイトだが、「大半の地区で雇用の伸びは緩やかだった」とした。
さらに「消費者物価は大半の地区で緩やかあるいは力強いペースで上昇した」とした上で、「ただならしてみると物価上昇ペースは鈍化した。サプライチェーンの状況改善に加え需要軟化を反映した」との分析を示した。
10月の米求人件数は前月比で減少し、労働市場の冷え込みがあらためて示唆された。経済全体の需要抑制を目指す米金融当局にとっては明るい兆しとなる。
10月米求人件数は、景気見通しが悪化する一方で金利が上昇する中、労働力需要が減速しつつあることをうかがわせる。それでも多くの雇用主はなお人員確保に苦慮しており、労働需要には底堅さも見える。
景気の先行きが不透明であることに加え、複数の大手企業が相次ぎレイオフを発表していることも、労働者に離職をためらわせる要因になっているとみられる。全雇用者に占める自発的離職者の割合である離職率は2.6%と、2021年5月以来の低水準となった。
失業者1人に対する求人件数は1.7件と、前月の約1.9件から減少。過去1年で最も低い水準となった。
ジェフリーズ氏は弁護士などを経て、2012年にニューヨーク州から初当選。党内左派からは中道寄りとみなされている。院内総務選で対抗馬は出ず、中間選挙で多数派を失った下院民主党は結束をアピールした。
利上げを減速する時期について「早ければ12月の会合になる」と表明。高インフレがピークを越えたかどうかの判断には慎重な考えを改めて示したが、今後も高い物価上昇が続いた場合は利上げの回数を増やして対応する考えを改めて強調した。
パウエル氏は金融政策の効果が実体経済や物価に時間差で影響を及ぼすとして「これまでの急速な金融引き締めの効果が完全に現れるのはこれからだ」と指摘。「政策金利がインフレを引き下げるのに十分な引き締め水準に近づくにつれ、利上げペースを緩やかにすることは理にかなっている」と説明した。
11月会合では大多数の参加者が「近いうちに利上げペースを減速することが適切になる可能性が高い」と主張していたことが明らかになっているが、パウエル氏は12月会合での実施をやや強く示唆した。
パウエル氏は「インフレ率が実際に低下していることを確信するには、さらに多くの証拠が必要だ」と強調した。「過去1年間、政策の引き締めと成長の鈍化にもかかわらず、インフレ率の鈍化に明確な進展はみられない」とも述べた。
世界的な食料危機や物価高で困窮した中東やアフリカの人々が相次いで国境を越え、欧州が再び移民の大量流入に直面している。新型コロナウイルスの影響緩和もあって、欧州連合(EU)の不法越境者は前年の約1.8倍に膨らんだ。一時保護とはいえ、欧州はすでに500万人のウクライナ難民を抱え込んでおり、受け入れ負担は重い。ガス不足やインフレに加えての移民流入に欧州の冬は厳しさを増している。
●市況
日経先物(大証)28425、ダウ先34616、債先148.67、米3.611、独1.8855、仏2.398、西2.944、伊3.866、波6.581、原油80.49、ドル円138.04、墨ペソ19.26、トルコリラ18.6270、墨CDS127
※12/1 7時25分頃

備忘録(11/29
●中国・ロシア・東欧
上海ディズニーランドは29日、新型コロナウイルス対策で同日から再び休園すると発表した。感染者が立ち寄ったため10月末から約1カ月休園し、25日に再開したばかりだった。再開時期は決まり次第知らせるという。
中国政府は29日、80歳以上の高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種を強化すると表明した。国家衛生健康委員会が声明で明らかにしたもので、衛生担当の専門家は経済の本格再開に向けた鍵を握る動きだとしている。
声明によれば、高齢者についてワクチン完全接種の3カ月後にブースター(追加免疫)接種を受けることを可能にする。ワクチン接種が必要な高齢者特定のためビッグデータを活用するよう地方政府に促すほか、60-79歳のワクチン接種も引き続き促進する。当局は高齢者施設などでの接種を強化するとともに、接種を拒む場合はその理由の説明を求める方針。
中国では国民14億人のうち、9割余りが2回のワクチン接種を済ませている。全体的な接種率は世界的にも高水準だが、高齢者の接種率は低めで、国家衛生健康委によると、80歳以上の65.8%しか接種を完了していない。60歳以上は86.42%。
中国は徹底的にコロナ感染を封じ込める「ゼロコロナ」政策を堅持しているが、高齢者のワクチン接種率が低いことから、当局が高齢者の集団感染を恐れ、経済再開の障害の一つとなっているとみられている。
中国では厳格な移動制限などを伴うゼロコロナ政策への国民の反発が広がり、本土各地で抗議行動が発生。国家衛生健康委の米鋒報道官は記者会見で、地方当局は住民からコロナ関連で「合理的」な要望があれば適時対応し解決する必要があると述べた。
最近の抗議行動を受けコロナ政策を再検討するかどうかと問われた米報道官は、中国は継続的にコロナ政策を調整していると返答。
コロナ感染増加が経済と国民にもたらす不都合を最低限にすべきだとした上で、地方当局は行き過ぎたコロナ規制を回避しなければならないと指摘した。
記者会見に同席した国家衛生健康委高官の程有全氏は、市民らの不満はコロナ規制そのものに対してではなく、過剰な制約や規則性のないロックダウン(都市封鎖)、住民の要望が無視されていることだと主張。国家衛生健康委は住民からの申し立てに「積極的かつ効果的」に対応するため地方政府と毎日調整していると説明した。
「インフレ期待の管理が重要で、そのためには短期的にもう少し積極的になる必要があるかもしれない。中期的なインフレ期待が和らいだ際に、政策を転じることができるようにするためだ」と語った。
専務理事はベルリンで記者団に対し、「リスクは下振れ方向だ」と述べ、「不確実性が極めて高く、これらの予測を下方修正せざるを得なくなる可能性がある」と説明した。
ゲオルギエワ氏は「中国には景気を浮揚させ、成長抑制圧力に対抗する財政余地がある」とした上で、「われわれは何を中国が行うことができるか検討を支援してきた。中国自体と世界経済における同国の役割のためにより効果的な政策だ」と語った。
●中東
国営カタールエナジーは29日、米コノコ・フィリップスと共同でドイツに液化天然ガス(LNG)を長期供給すると発表した。コノコ社の子会社を通じ、2026年から短くても15年間、年最大200万トンを対独輸出する。
拡張計画を進めるカタール沖のガス田「ノース・フィールド」から供給する。ドイツは同国北部ブルンスビュッテルで建設中のLNGターミナルで受け入れる方針だ。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米バイオジェンと共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を巡り、一部の報道で治験に参加した患者1人が死亡したと報じられた。エーザイは29日、この報道を受け、レカネマブによる治療が「全体の死亡リスクを上昇させたわけではない」とする声明を出した。
レカネマブについて、エーザイは第3相試験での良好な結果を公表していた。エーザイは被験者の死亡について、当局への報告は実施したとしている。死亡した患者1人は血栓の溶解剤を使用しており、レカネマブとの併用により何らかの問題が起きたとされる。レカネマブによる死亡事例は2例目。
2022年9月期決算は、税引き前損益が1億7800万ポンド(約295億円)の赤字だった。前の期は新型コロナウイルス禍の影響で11億3600万ポンドの赤字だったが、航空需要が大幅に戻って回復した。売上高は57億6900万ポンドと4倍になった。
22年9月期の旅客数は6970万人と、前の期の3倍強に増えた。新型コロナの影響がなかった19年の7割強の水準に回復した。英国では22年3月に水際規制が撤廃され、旅行をする人が増えた。ヨハン・ラングレン最高経営責任者(CEO)は「我々はこの夏に記録的な回復を記録した」とコメントした。
10月の英消費者物価指数は前年同月比で11.1%上昇と、約41年ぶりの高水準だった。市民の財布のひもは固くなっており、旅行を手控える可能性もある。ラングレン氏は「消費者は価値や空港のネットワークを求めるので、我々が恩恵を受ける」とするが、投資家は楽観視していない。29日の英株式市場でイージージェットの株価は下落した。
●その他産業
2021年に生命保険の保険金支払額が約1001億9000万ドル(約14兆円)に達した。業界団体の米生命保険協会(ACLI)がこのほど、年次報告書で公表した。年間の支払額ではコロナ流行が始まった20年を上回り、過去最大となった。
保険金支払額の前年比伸び率は20年が15.4%、21年は10.8%だった。ACLIによると、2年連続で前年比1割を超えるのは、1918年のインフルエンザ(スペイン風邪)流行以降で最も大きい伸びとなる。年平均の増加率は21年までの過去10年で5%程度で、20~21年の伸びの大きさが目立つ。
ACLIで調査を担当するアンドリュー・メルニク氏は、生命保険各社が21年の段階でも十分な支払い余力を保持していたと説明。コロナ禍が「生命保険会社が様々な『不慮の事態』に万一の備えとしての役割を約束通り果たせることを示す例となった」と指摘した。
英金融大手HSBCホールディングスのカナダの銀行事業を135億カナダドル(約1兆3800億円)で買収すると発表した。事業を運営する「HSBCカナダ」の全株式を現金で取得する。2023年後半までの買収完了をめざす。
HSBCはカナダでの市場シェアの相対的な低さやてこ入れのための投資余力の乏しさを撤退の理由に挙げた。事業売却により中核的な自己資本比率の改善を見込むほか、余剰資本を配当や自社株買いで株主に還元することを検討する。
●決算関連
●マクロ・その他
主要な半導体メーカーで構成する世界半導体市場統計(WSTS)は29日、2023年の半導体市場が前年比4.1%減の5565億ドル(約77兆円)になる見通しを発表した。従来予想(4.6%増)から一転し4年ぶりのマイナス成長となる。スマートフォンやパソコンなど民生品向けの需要が落ち込んでおり、記憶用半導体のメモリーが大きく落ち込む。
WSTSは今春、23年の市場成長率を5.1%との見通しを示していたが、8月に4.6%に下方修正していた。前回の修正予想からさらに大きく下振れる。前年を下回るのは、新型コロナウイルス禍前にメモリー市況が急速に悪化した19年以来4年ぶりとなる。
23年の落ち込み幅で特に大きいのは市場の2割強に相当するメモリーで、22年比17%減を見通す。地域別ではアジア太平洋地域が7.5%のマイナスとなる見込みだ。日、米、欧はプラス想定だが、中国を中心に市場の縮小幅が大きい。22年の市場予想は21年比4.4%増の5801億ドルとした。
インフレが落ち着きつつあることを受け、市場では米金融当局によるさらなる引き締めの観測が後退。JPモルガン・アセット・マネジメント(AM)やモルガン・スタンレーなどのかつての強気派は、ドル高の時代が終わりつつあるとの見方を示した。それが欧州や日本、新興国通貨の買いの好機につながる可能性がある。
ドルの下降局面が長期化すれば、影響は為替市場だけにとどまらない。輸入インフレがもたらした欧州経済への圧力が和らぐほか、貧困国にとっては食料購入価格が下がり、ドル建てで借り入れている国の債務返済負担が少なくなる。
買い手がいなくなり、売り手も同様だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期の住宅ブームでこうした買い手や売り手に対応した不動産業者は今、売り物件探しに奔走するか、売買急減でサイドビジネスに頼っている。
住宅バブル気味の地域での価格が値下がりし、経済はリセッション(景気後退)の瀬戸際にある中、住宅在庫はタイトな状態にあり、価値の急落を防いでいる。だが、米金融当局によるインフレ抑制策の結果、住宅ローン金利が急上昇し、不動産業界は混乱。不況が待ち受けていることを示唆している。
不動産情報を提供するジローのデータによると、10月の売り物件は前年同月比で24%減り、4カ月連続で減少。一方で、購入も減り、新型コロナ流行前の2019年10月の水準を17%下回っている。
ザンディ氏は、米経済が本格的なリセッションを回避できる場合、住宅価格が6月のピークから向こう2年で10%近く下落すると予想。ただ、緩やかなリセッションに陥った場合は、その2倍の価格下落が見込まれると述べた。
パノシアン氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「一定の掘り出し物がある」と述べ、「BB格付けを得ている高利回り債の割合は過去10年間で最高で、市場の6割のレバレッジは軽い。1970年代と80年代にはこうした商品はドルベースで魅力的なリターンを提供した」と指摘した。
パノシアン氏はこのセクターが今後2年にわたり力強いパフォーマンスを示すと予想する一方で、CCC格付け債のデフォルト(債務不履行)懸念も抱いている。「ハイイールド債の償還スケジュールを見ると、今から2024年末までに償還を迎えるのはその市場のわずか6%」と説明した上で、近く償還されるCCC以下の格付け債については「ある程度のデフォルト」を予想した。米ハイイールド社債のベンチマークは年初来で約11%下げている。
パノシアン氏はデフォルトリスクの中心はプライベートクレジットとレバレッジドローンだとし、「特にLBO(レバレッジド・バイアウト)スポンサーとの高レバレッジ取引ではこれらのクレジットに関連し、ある程度のデフォルトと損失を見込んでいる」と語った。1兆4000億ドル(約195兆円)相当のプライベートクレジット市場は過去5年間でその規模を倍以上に拡大している。
アドビによれば、サイバーマンデーの売上高は最大116億ドルと、1日のオンラインショッピングとしては過去最高となる見込み。
アドビ・デジタル・インサイツのリードアナリスト、ビベック・パンジャ氏は「28日のサイバーマンデーにかけ、かなりのモメンタムがあった。27日の日曜日は消費者が一足早くお買い得品に飛びつき、オンライン消費は50億ドル近くとこれまでの記録を塗り替えた。きょう値引きはさらにエスカレートする見通しで、サイバーマンデーが今シーズンの大きな明るい材料になるとアドビは予想している」と説明した。
サイバーファイブと呼ばれる商戦期(感謝祭から翌週月曜日までの期間)は2021年とは様変わりだ。昨年は、サプライチェーンの混乱で消費者が買い物の前倒しを迫られ、小売業者は値引きを渋った。これに対し、今年は過剰な売れ残り品を抱える店側が、食料品・光熱費高騰の負担を埋め合わせるためバーゲン品を狙う消費者の呼び込みに向け、大幅な値下げを強いられている。
米アップルのスマートフォン「iPhone」を受託生産するフォックスコン・テクノロジー・グループは、中国河南省鄭州市にある生産施設の従業員にさらなる特別手当を支給しようとしている。混乱を和らげ、世界最大のiPhone工場の生産を回復させることが狙い。
同工場では先週、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)などに反発する数百人の従業員と警備員が激しく衝突。これを受け、一連の報酬増額やインセンティブが打ち出された。フォックスコンは週末、11月初め以前に入社したフルタイム従業員を対象に、12月と来年1月に月間最大1万3000元を支払うとしていた。
中国での生産上の問題により、アップルは今年のホリデー商戦期に「iPhone 14 Pro」が不足する事態に直面している。鄭州工場の混乱で生産が600万台近く減ると見込まれ、14 Proの最低価格が1台当たり約1000ドルであることから少なくとも60億ドル(約8300億円)の売上高が失われる可能性が示唆されている。
米貨物鉄道でストライキ突入のリスクが迫る中、バイデン米大統領とペロシ下院議長はストの回避に動いている。
バイデン大統領は9月に労組と鉄道会社の合意を仲裁。同氏は28日の声明でこの合意について、一部の労組が採決で否決しているにもかかわらず、議会が「修正や遅延なく」直ちに法律に成文化する必要があると指摘した。
バイデン氏の介入は貨物鉄道のストの可能性に対する同政権の懸念の高まりを浮き彫りにしている。ストに至ればサプライチェーンをまひさせたり、鉄道での乗客の移動を混乱させたりすることで米経済に打撃を与える恐れがある。
労組と鉄道会社のスト回避期限は12月9日だが、現時点で交渉が妥結する公算は小さいとみられる。議会には連邦法の下でスト阻止に向け介入する権限がある。ペロシ氏は、下院として9月合意を盛り込んだ法案を今週審議する方針を示した。
11月の消費者物価指数(速報値)は、欧州連合(EU)基準で前年同月比11.3%上昇した。伸び率は10月と比べて0.3ポイント小幅に鈍化したものの、エネルギー価格の高止まりにより3カ月連続で10%台で推移した。
品目別ではエネルギーが38.4%、食品が21.0%それぞれ上昇。サービスも3.7%値上がりした。エネルギー価格が9~10月の40%超から一服しつつあるのに対し、生活必需品である食品の高騰が続いている。
9月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は前月比で0.1%上がり、ほぼ横ばいで推移した。前年同月比では11%上昇した。2020年10月以来の低い上昇幅で、価格上昇圧力が弱まっていることを示した。
7~9月期では前年同期比12.4%上昇、3~6月期からは0.1%上がった。FHFAのエコノミスト、ウィリアム・ドーナー氏は「引き続き1年前の水準は上回っているが、価格上昇率は全米で大幅に減速している」と分析した。
S&Pコアロジック・ケース・シラー指数では全米の住宅価格は前月比1.01%下落した。米PNCフィナンシャル・サービシズのエコノミストは「年初からのローン金利の上昇を受けて9月も住宅市場の減速を反映した。年末から23年にかけてこの傾向はさらに進み、23年末には住宅価格が前年比7%ほど下落するだろう」と指摘した。
11月の米消費者信頼感指数は、前月の改定値から2ポイント下落し100.2となった。2カ月連続で低下した。足元の景況感や短期的な見通しを示す指数もそれぞれ低下し、インフレ懸念や米経済に対する不安感の高まりを反映した。
内訳をみると、足元のビジネスや労働市場の景況感を示す「現況指数」が前月の138.7から137.4に低下し、2021年4月以来の低水準となった。所得や労働環境の短期的な見通しを示す「期待指数」は77.9から75.4に下がった。同指数が80を下回ると、景気後退リスクの高まりを示すとされる。
コンファレンス・ボードのシニア・ディレクター、リン・フランコ氏は「現況指数の低下は年末にかけて米経済が減速し続けていることを示した。短期的な見通しも暗く、景気後退の可能性が依然として高いことを示唆している」と分析した。
マン氏は29日、「新型コロナウイルス流行以前のサービス業のインフレ率は、2%を大幅に下回っていた」とオンラインイベントで指摘。「今では3%を超えている。インフレの基調的なペースにおいて、劇的な変化だ」と述べた。
英中銀は1年前にゼロ付近だった政策金利を、3%まで引き上げた。マン氏は大幅な利上げを支持しており、今回の発言もこの主張を強調するものだ。英中銀の12月の政策判断について、市場では0.5ポイント利上げが見込まれている。
「インフレ期待の管理が重要で、そのためには短期的にもう少し積極的になる必要があるかもしれない。中期的なインフレ期待が和らいだ際に、政策を転じることができるようにするためだ」と語った。
●市況
日経先物(大証)27947、ダウ先33846、債先148.79、米3.750、独1.9315、仏2.549、西2.908、伊3.815、波6.706、原油78.61、ドル円138.71、墨ペソ19.24、トルコリラ18.6531、墨CDS127
※11/30 8時30分頃

備忘録(11/28
●中国・ロシア・東欧
中国の主要都市で26~27日、新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策への抗議活動が相次いだ。政府の打ち出した緩和策を地方レベルで実現できず、市民の強い不満につながっている。上海市では習近平(シー・ジンピン)指導部への批判も出るなど、共産党の統制が強い中国では異例の事態となっている。
中国で週末に拡大していた新型コロナウイルス政策に対する抗議活動は28日、当局が北京などの主要都市に警察を大量配備したことを受けて沈静化に向かった。北京、上海、杭州、南京などでは街頭で取り締まりが行われ、ショッピングモールは早い時間に閉まり、当局者は定期的に通行人を呼び止めて身分証明書の提示を求めるなどした。
ゼロコロナ政策に対する抗議行動拡大が習主席にゼロコロナ脱却の加速を促し、結果として資産価格の支えになり得るとみる市場ウオッチャーもいる。
ニューヨークの助言会社テネオ・ホールディングスのマネジングディレクター、ガブリエル・ウィルダウ氏は「習主席が過ちを公に認めたり弱みを見せたりするとは思わないが、今回広がった抗議により、中国指導部が以前の計画よりも迅速にゼロコロナ脱却を進める必要があると非公式に判断する可能性がある」と指摘した。
GAM香港の投資マネジャー、ロバート・マンフォード氏は「この種の世論の圧力が経済再開の加速を後押しする可能性があり、プラスになるのではと考えている」が、「当局が最近の出来事にどのように反応するかはまだ分からない」と語った。
ワクチン接種がそれほど進んでいない中国で急にゼロコロナ政策をやめれば、死者数が急増する可能性があり、そうなれば中国のコロナ対策は欧米より優れていると主張してきた習氏の面目がつぶれることになる。一方で、抗議活動を強硬に抑え込もうとすれば、すでに全国的な広がりを見せている反発に火を注ぐことにもなりかねない。
新たな党最高指導部を側近で固めた習氏を非難する者はほとんどいない。習氏が自身に次ぐ党のナンバー2に起用したのは上海のロックダウンを統括した当時の上海トップ、李強氏だ。
中国への赴任経験もある元英外交官チャールズ・パートン氏は「何が起きようと、習氏3期目の始まりから輝きを奪うことになる」と指摘。今は英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)の研究員を務める同氏は「もし習氏が姿勢を変えず力に訴え、それがうまくいかなければ、間違いを犯しやすい人物と捉えられ、自身と党への信頼を壊すだろう。経済への悪影響が続くにつれ、そうなっていく」と語った。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
水素で航空機エンジンを動かす試験に世界で初めて成功したと発表した。風力と潮力発電で作られたグリーン水素を燃料としており、同社は「水素が将来のゼロカーボンの航空燃料になり得ることを示すための大きな一歩だ」としている。
試験は英格安航空会社(LCC)大手イージージェットと共同で、英国防省の施設内で行った。プロペラ機や軍用機などに使われるロールス・ロイス製AE2100-Aを改造したエンジンを、水素で動かした。両社は2回目の試験を計画しているほか、飛行試験を目指している。
二酸化炭素(CO2)を大量に排出する航空業界は、ネットゼロ(温暖化ガスの排出実質ゼロ)の目標達成に向けて水素や持続可能な航空燃料(SAF)を使うエンジンの開発を急いでいる。英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、欧州エアバスは超大型機「A380」で水素を使ったエンジンの飛行テストを計画している。
●その他産業
PMIはスウェディッシュの非公開化を目指しTOBを進めたが、買収価格引き上げを求めるエリオット・マネジメントなどアクティビスト(物言う株主)の抵抗で取得株式の積み増しが難航。非公開化に必要な割合の株式取得の実現が一時、不透明になっていたが、TOB(株式公開買い付け)で取得株の割合が9割を超え、残る株式の強制購入が可能になった。無煙品が主力のスウェディッシュの完全子会社化で、紙巻きたばこからの事業シフトを加速する。
スウェディッシュはスウェーデンが本社。米国や北欧地域でたばこの葉をつめた小袋を口に含んで使う「スヌース」や、かぎたばこ、かみたばこなどで主力ブランドを持ち、無煙製品が売り上げの7割を占める。PMIは2025年までに、無煙製品が売り上げに占める割合を直近の3割程度から5割以上に引き上げる事業目標を掲げ、同分野で積極的な事業買収を進めている。
アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は28日、米メタ(旧フェイスブック)が個人情報を適切に扱っていなかったとして、2億6500万ユーロ(約380億円)の制裁金を科すと発表した。欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に違反すると判断した。英BBCによると、最大5億3300万人の利用者の個人情報がネット上で閲覧できる状態になっていた。
DPCは2021年4月、18年5月~19年9月の期間にフェイスブックやインスタグラムなどの情報管理に問題があったとして調査を始めていた。何者かが「スクレイピング」と呼ばれる手法で情報を抽出し、利用者の電話番号やメールアドレスなどを特定のサイト上で見られるようにしていたとされる。DPCは個人情報が詐欺などに使われるリスクは大きいとして、制裁金を科すことを決めた。
メタの広報担当者は28日、「スクレイピングできないようにするなど、システムを変えてきた。我々は今回の決定を慎重に検討している」とコメントした。DPCは9月にも、インスタグラムがGDPRに違反したとして、メタに4億500万ユーロの制裁金を科すことを決めている。メタはこの決定に対して不服申し立てをする方針を示している。
●決算関連
●マクロ・その他
ほぼ一本調子で上昇を続けてきた韓国の不動産価格が下落基調に転じている。KB国民銀行が28日発表した11月の不動産売買価格(全国平均)は前月比1.1%下落し、ピークの7月から2%超下げた。韓国銀行(中央銀行)の急速な利上げに伴い不動産市場にも逆風が強まる。
市況の冷え込みをもたらしたのは、金利の上昇だ。韓国銀行は6会合連続で利上げを実施し、政策金利を年3.25%に引き上げた。2021年8月以降の利上げ幅は累計2.75ポイントにのぼる。結果的に9月末の平均貸出金利は4.79%と前年同月比で1.78ポイント上昇した。利子負担が重いために住宅ローンが組みにくく、持ち家を購入しようという意欲が後退しているとみられる。
ハナ金融経営研究所は「利上げ加速と値下がり予想で購入意欲が萎縮している。過去のような早期回復は難しく、価格下落が長期化する可能性がある」と分析する。
急激な価格高騰に伴って家計負債も急増した。韓国銀行によると、21年末の家計負債額は1861兆ウォン(約190兆円)と16年末比で39%も増加した。
問題なのは8割超が変動金利による借り入れであることだ。不動産価格の継続的な値上がりを見越して収入に見合わない住宅ローンを組んだ世帯も少なくない。仮に5000万円の住宅ローンを変動金利で組んだ場合、現時点の利子負担は年240万円にのぼる。韓国銀行は通貨防衛のため利上げを進めざるをえず、家計部門の負債が消費全体に大きな影を落とすことになる。
パウエル議長は30日、ブルッキングズ研究所主催のイベントで経済見通しと労働市場について講演する。来月13、14両日のFOMC会合を控え、ブラックアウト期間入り直前の当局者による発言機会の一つとなる。
米エネルギー情報局(EIA)は28日、欧州の液化天然ガス(LNG)の輸入能力が2024年末までに3割増加するとの見通しを公表した。ロシアは欧州にパイプラインで供給するガスを絞って揺さぶりをかけるなか、ドイツなどはLNG受け入れ基地を急ピッチで整備している。
EIAによると、欧州連合(EU)と英国のLNG輸入能力は24年末まで21年末比で34%増加し、日量68億立方フィート分が上乗せされるという。LNGに換算すると年約5000万トン分で、世界需要の1割強に相当する。
EUと英国の受け入れ能力の過去10年の増加ペースは緩やかで、12年から21年にかけては16%しか増えなかった。ウクライナ侵攻を受け、浮体式のLNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU)を独仏やイタリアなどが相次いで導入するほか、陸上基地の新規・拡張計画もある。
LNGの受け入れ基地には貯蔵タンクやLNGを気化する装置などが必要になる。陸上に建設すると許認可手続きを含め5年以上かかる場合もあり、欧州では3年程度で導入できる浮体式の基地の導入計画が多い。
欧州の需要増加を受け、米国ではLNGの生産計画が相次いでいる。南部のテキサス州やルイジアナ州でのプロジェクトと欧州企業の長期契約も結ばれている。
米CBSテレビは27日、東部ニューヨーク州など米東部地域が雨の影響を受け、多数のフライトが遅延したと伝えた。米国立気象局は28日から米南部での竜巻を含む悪天候を予報しており混乱が続く可能性がある。
回復する旅行需要に航空各社が対応しきれていない側面もある。米運輸保安局(TSA)によると、11月23~27日に飛行機で移動した個人は約1066万人と、前年比で5%増えた。旅行客が回復するなかで人手不足からサービスの供給が追いつかず、悪天候も重なって運航トラブルが相次いだようだ。
今週に入るまでOPECプラス参加国の代表らは、先月の減産の影響を見極めるため今回は様子見だろうと述べていた。それが今や、追加減産もあり得ると話している。OPECプラス内での正式な議論はまだ始まっていない。
次回会合を約1週間後に控え、サウジアラビアは既に異例なほど明確なシグナルを市場に発している。同国のアブドルアジズ・エネルギー相は先週、需給均衡に必要であればOPECプラスは供給を追加削減することにより「介入する用意」があると語った。
コンサルティング会社エナジー・アスペクツの共同創業者でチーフ石油アナリストのアムリタ・セン氏は、「OPECは恐らく現状維持か追加減産を選択する」と予想。OPECは「常に、需給バランスに大きな注意を払っている」と述べた。
ブルームバーグが今週調査したトレーダーとアナリスト16人のうち、10人が追加減産を予測した。減産幅の予想は日量25万バレルから200万バレルだった。
米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長は、ここ数十年に比べ不安定化している可能性のある物価動向の下で、インフレ期待が2%の目標を上回って上昇するリスクに米金融当局は対応する必要があるとの認識を示した。
28日公表された発言によると、ブレイナード氏は「供給ショックや高インフレが長引く状況で、インフレ期待が目標を上回って推移する危険の回避に向け、金融政策としてリスク管理姿勢を取ることが重要だ」と述べた。 
その上で、「長期間にわたり生産を抑制する累積的効果を伴う一連の負の供給ショックが長引けば、需給バランス回復に向け金融政策引き締めが必要になる公算が大きい」と語った。
ブレイナード氏はまた、労働力不足やサプライチェーン移転、気候変動に関連するものなど長期的な変化が「将来的に供給の弾力性を低下させ、インフレの変動性を高める恐れがある」と話した。
●市況
日経先物(大証)28055、ダウ先33859、債先148.89、米3.694、独1.9805、仏2.612、西2.987、伊3.905、波6.772、原油76.64、ドル円138.81、墨ペソ19.31、トルコリラ18.6320、墨CDS127
※11/29 8時45分頃

備忘録(11/25-27
●中国・ロシア・東欧
12月5日から0.25%下げる。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う移動制限の厳格化により、サービス業を中心に企業の収益が落ち込んでいる。金融緩和によって資金繰りを支援する狙いがある。
中国の金融業界で不正が増えている。不正調査の対象になった大手銀行や監督当局の幹部の数は2022年1~11月に21年通年より約3割増え、過去最多を更新した。不正を契機に破綻した中小銀行もあり、金融システムの不安の火だねとしてくすぶる可能性がある。
ウクライナのゲラシチェンコ内相顧問は「マケイ氏はルカシェンコ氏の後継候補として名前があがっていた。彼はロシアの影響下にない数少ない人物の一人だった」とSNS(交流サイト)でコメントし、強い関心を示した。
華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)などの中国IT(情報技術)大手5社について米国での輸入・販売を禁じたと発表した。米政府は先端半導体の中国への輸出を制限したばかりで、ハイテク製品を巡る米中分断が一段と進むことになる。
上海市中心部の「ウルムチ中路」付近では27日夜、大勢の市民らが集まった。ゼロコロナ政策に抗議し、警備の警察官とにらみ合った。
抗議行動の発端は新疆ウイグル自治区ウルムチ市で24日、高層住宅で火災が発生し、10人が死亡したことだ。長期の断続的な都市封鎖の影響で「車両が通れず、消火活動が遅れた」などの投稿が相次いだ。北京市当局は27日の記者会見で「封鎖地区でも消防の通り道を防ぐのは厳禁だ」と説明した。
習近平(シー・ジンピン)指導部の「ゼロコロナ」政策への抗議が中国各地に広がる背景には、この政策の「機能不全」が強まっているためだ。都市封鎖で企業活動は停滞し、経済が打撃を受けている。市民生活は圧迫される。一方、感染が再び拡大し、中国本土の1日あたりの感染者数は26日まで4日連続で過去最高を更新した。
中国の工業企業の利益は1-10月も減少した。新型コロナウイルス対策の制限や工場出荷価格の低下が響いた。
国家統計局が27日発表したデータによると、1-10月の工業利益は前年同期比3.0%減少。1-9月は2.3%減っていた。単月のデータは今年6月を最後に公表していない。
英政府は24日の声明で、こうした場所では常に安全保障上の考慮が最優先されるとし、安保上のいかなるリスクも顕在化しないよう行動を起こすと説明。中国国家情報法の対象となる企業が生産した機器を政府の機密の場所に新規に取り付けることを禁じるほか、設置済み分についても取り外しを検討するよう勧告した。
中国の監視カメラメーカー、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や浙江大華技術は、新疆ウイグル自治区の人権侵害に関与したとして2019年から米国の制裁リストに掲載されている。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
南米ペルーのカスティジョ大統領は25日、新首相にチャベス文化相を起用すると発表した。24日にトレス首相の辞任を認めていた。ペルーでは政権と議会の対立による政治混乱が続いている。2021年7月に発足したカスティジョ政権でチャベス氏が5人目の首相となる。
調査会社DATUMが3日に発表した世論調査で、カスティジョ氏の支持率は26%だった。8月時点の19%よりは改善しているももの、低迷が続いている。
2022年7~9月期の実質国内総生産(GDP)の確定値は、前四半期比で0.9%増だった。1日に発表した速報値から0.1ポイント下方修正した。自動車を中心とした製造業や観光業の回復が続いている。
実質経済成長率がプラスになるのは4四半期連続。22年7~9月期の分野別は、農業や石油などの第1次産業が前四半期比で2.0%増、製造業や工業などの第2次産業は同0.6%増だった。金融・サービス業などの第3次産業は同1.1%増だった。
メキシコ大手銀バノルテは25日、7~9月期のGDP確定値の発表後のリポートで、22年通年のGDPについて前年比2.7%増という見通しを据え置いた。メキシコ銀行(中央銀行)が民間銀行など38機関の予測をまとめて1日に公表した調査では、22年のGDPは前年比で2.1%増になるという見通しを示していた。
米アドビによると、インターネット通販の消費額は前年比2.3%増の91億2000万ドル(約1兆2700億円)で、伸び率は事前予想の1%を上回った。在庫増による値引き拡大が、物価高を警戒していた消費者の消費意欲を刺激した。
アドビの公表データは物価変動を考慮しない名目値で、物価上昇により上振れしている可能性もある。米国の消費者物価指数(CPI)の上昇率は10月、前年同月比7.7%の高水準だった。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは12月までの年末商戦全体について、売り上げが前年より4.5%増える一方、インフレ分を調整した実質ベースでは1.2%減に落ち込むと推測する。
全米小売業協会(NRF)は、11~12月の年末商戦の売上高(自動車・ガソリン・外食除く)が9426億~9604億ドルになると予測する。21年実績から6~8%増えるが、伸び率は同年の前年比13.5%から縮小する。アドビも同期間のオンライン販売が2.5%増と、21年の8.6%増から減速するとみる。
米財務省がシェブロンに事業再開を認可した。マドゥロ政権が態度を変えた場合などは、即座に修正や取り消しする構えだ。石油販売の利益は政権側に渡らず、すべてシェブロンへの債務返済に充てられる。
与野党の対話は1年ほど途絶えていたが、ノルウェー外務省の仲介により26日にメキシコで再開した。米政府によると、教育や保健などの人道的な政策のほか、24年の選挙実施に向けた協議継続が合意された。ノルウェー外務省が公表した共同声明は「12月も協議を継続し、政治的な課題に対処する」としている。
米政府が態度を軟化させた背景には、中南米の政治情勢の変化もありそうだ。中南米では右派から左派への政権交代が進んでいる。23年1月には国内総生産(GDP)の上位6カ国がいずれも左派になる。右派政権が多かった際には、反米左派のベネズエラのマドゥロ政権は中南米で孤立していたが、ここに来て周辺国との関係が改善している。そのため、米国による包囲網は効力がより限られることになる。
マスク氏は、直近は共和党を支持すると明らかにしている。同氏はツイートのなかで「24年の大統領選では、良識を持った(政治的に)中道の人を望んでいる。バイデン政権に期待したが、今のところ失望している」と記し、デサンティス氏への支持も明らかにした。マスク氏は以前にも、デサンティス氏を支持することを考えていると表明していた。
世界の債務が減少に転じている。国際金融協会(IIF)の集計によると2022年7~9月時点で290兆ドル(約4京円)と前四半期に比べ6.4兆ドルほど減った。2年ぶりの低水準。世界の利上げを受けて借金の動きが鈍った。インフレでモノの価格があがり、国の税収や企業の利益が増えたことも寄与した。
世界で影響力を強める中国への警戒と対抗を強くにじませつつ、日本や韓国、東南アジア諸国と貿易や気候変動対応などで連携を深める。アジアの経済成長を取り込むとともに、自国や同地域の安全保障の強化につなげる。
柱の一つがインド太平洋地域の平和や安全保障の確保に向けた取り組みだ。具体的には地域におけるカナダ海軍の存在感を高め、地域での軍事演習への参加を増やす。情報収集など国家安全保障を担う機関の能力を高め、同盟国との連携を強化する。友好国のサイバー攻撃への防御力向上も支援する。
カナダのジョリー外相は「中国はますます破壊的でグローバルな力を持つようになった」と指摘した。「中国は国際的な規範に挑戦を続けている」とも語り、ミサイルの発射を続ける北朝鮮とともに、日本や韓国など友好国が直面する安全保障上の脅威になっているとの認識を示した。カナダでは中国が選挙に干渉しているとの疑惑も浮かんでおり、中国への警戒感が高まっている。
カナダは中国と経済面で協力関係を築いてきたが、ここ数年は緊張が強まった。2018年12月にカナダ当局が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長を拘束したためだ。中国当局はその後すぐにカナダ人2人を拘束し、報復措置との受け止めが広がった。21年に孟氏は釈放され、カナダ人2人も拘束を解かれたが、溝は深いままだ。
レーン氏は25日のブログ投稿で、ECBが金融政策を決定する際に参考にする複数の物価統計や動向を挙げた上で、月次統計を過度に重視することはないとの考えを示した。一部当局者は短期的な金利水準の判断には、月次データからよりよい手がかりが得られると主張する。レーン氏はまた、賃金上昇がこの先数年間にわたりインフレを押し上げることになるとも語った。
同氏は直近のインフレ統計や基調的な物価統計は有用だと指摘しつつ、「将来のインフレ軌道に対する適切な判断は、包括的なマクロ経済予測に照らして行うことが最善だ」と論じ、「インフレ予測が条件付きの性質を伴っているということは、常に完全に認識されているべきだ」と注意を促した。
インフレ動向の理解は賃金への注視がその大部分を占めると説明。最近の物価急騰に対する賃金の完全な調整は数年かかる公算が大きいとして、「賃金調整のプロセスが今後2ー3年のインフレに上振れ圧力をかける可能性がある」と論じた。
デジタル・コンサルティング会社CI&Tの小売り戦略ディレクター、メリッサ・ミンコウ氏は「小売業者の望むような利益水準とはならない」と指摘。「インフレによるコスト増を全ては顧客に転嫁できない」ことが一因だと説明した。
アドビ・アナリティクスの集計によれば、ブラックフライデーのオンライン小売売上高は2.3%増の91億2000万ドル(約1兆2700億円)。
売り上げは、10月の米消費者物価指数(CPI)上昇率の7.7%を大きく下回る伸びとなっている。セールスフォースによると、ブラックフライデーの値引き平均は30%を上回る見込み。昨年の28%から拡大し、2019年の33%に近い数字になる見通しだ。家電やアパレル、美容・健康の品目で値引きが最も大きかった。
同社の小売り担当バイスプレジデント、ロブ・ガーフ氏は、物価高で買い物客が支出を切り詰めていると指摘した。
●市況
日経先物(大証)28347、ダウ先34356、債先148.76、米3.691、独1.9660、仏2.430、西2.943、伊3.839、波6.872、原油76.55、ドル円139.12、墨ペソ19.34、トルコリラ18.6020、墨CDS129
※11/25 NY引け値

備忘録(11/24
●中国・ロシア・東欧
中国の四大国有銀行、中国銀行は中国不動産2位の万科企業に最大1000億元(約2兆円)の与信枠を設定すると発表した。中国政府が不動産市場に対する包括的な金融支援策をまとめたことに対応する。中国農業銀行などほかの国有銀行も相次ぎ不動産各社への支援姿勢を示している。
●中東
サウジアラビアがトルコ中央銀行への50億ドル(約7000億円)の預け入れについて協議に入っている。実現すれば、トルコ中銀の外貨準備が底上げされるほか、両国の関係を悪化させたサウジ人著名ジャーナリストのジャマル・カショギ氏殺害事件から4年がたつ中、関係の改善を示すサインがまた一つともることになる。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
割引分を加味した最終的な利回りは12%となる。発行額は総額5億ドル(約700億円)。調達資金はモバイル事業への資本投資や、債務返済を含む運転資金に充てる。
森高弘副社長は22日のブルームバーグとのインタビューで、下期(2022年10月-23年3月)の鋼材需要量は「非常に低い」とし、現在の状況が長期化すれば、「正直言って今の生産能力は必要ないということになりかねない」と述べた。足元の需要減少が構造的な問題なのか、景気変動によるものか見極める必要があるという。
日本製鉄は大規模な経営合理化策を打ち出しており、25年までに国内の粗鋼生産能力を2割削減する計画だ。昨年9月に広島県呉市と和歌山市の製鉄所で高炉2基と1基をそれぞれ休止。25年3月には茨城県鹿嶋市の製鉄所で高炉1基を休止する予定で、国内で稼働する高炉は10基となる。
森副社長は、策定した合理化策の着実な実施を「最優先に考え、それに注力したい」と強調。ただし、さらに状況が悪化すれば、追加的な能力削減の検討が必要で、需要に見合う生産体制かどうか足元の状況を見ながら確認していく考えを示した。
物価が世界的に上昇する中、米国や英国、インド、日本、豪州、南アフリカ、欧州各地のアマゾン従業員は「Make Amazon Pay(アマゾン、働き損)」を合言葉に、賃上げと労働条件の改善を要求している。アマゾン従業員の抗議行動は労働組合の国際団体が支援しており、環境保護団体や市民社会団体も後押ししている。
●決算関連
●マクロ・その他
スウェーデンのリクスバンク(中央銀行)は24日、政策金利を0.75%引き上げて2.5%にすると発表した。利上げ幅は前回9月の1%から縮小した。声明文では「インフレは高すぎる」として追加利上げを予告しつつも、急速な金利上昇に伴う家計や企業の負担増にも配慮をにじませた。
トルコ中央銀行は24日、金融政策決定会合を開き、主要政策金利の1週間物レポ金利を年10.5%から9%に下げると決めた。エルドアン大統領が求めていた「年内に1桁台」の金利が実現し、利下げをいったん停止することも表明した。
利下げは4会合連続。中銀は声明で、経済指標が「7月以降、成長減速を示している」と利下げの理由を説明した。そのうえで「政策金利は適正な水準になったと評価でき、8月に始まった利下げサイクルを終えることを決めた」と記した。
背景に2023年半ばに大統領選・議会選を控えて景気をふかしたいエルドアン氏の思惑がある。19年以降で計3人の中銀総裁を更迭するなど金融政策に強い影響力を持ち、最近は「年内に金利が1桁まで下がることを望む」と発言していた。
エルドアン氏が示した「目標」を達成した中銀は当面、追加の利下げを行わないことを明確にした。TEB投資のプナル・ウールオール副会長は「政府はこれから選挙まで、利下げの代わりに最低賃金の引き上げや年金受給年齢の引き下げで景気を支えていくだろう」との見方を示した。
インフレ率を差し引いた実質金利はマイナス70%台という異例の低水準で、過去2年間に通貨リラは対ドルで半分以下になった。英ブルーベイ・アセット・マネジメントのティモシー・アッシュ氏は「選挙までに再び利下げに転じる可能性はあるが、もはや実質金利がマイナス70%でも80%でも大差はなく、市場の関心は薄い」と話した。
ドイツ企業の景況感は、記録的な低水準からは改善した。今冬にエネルギー不足に陥るリスクが後退したほか、コスト高に直面する企業や家計を守るため政府が幅広い支援策を準備していることが寄与した。
Ifo経済研究所が24日発表した11月の独企業期待指数は80と、前月の75.9から上昇した。エコノミスト予想は77だった。ただ、現況指数は悪化した。
Ifoのクレメンス・フュースト所長は発表文で「ドイツ経済のセンチメントは改善した」と指摘。「企業は現況にあまり満足していないが、向こう数カ月間への悲観は大きく後退した。リセッション(景気後退)は多くの人が予想していたほど深刻にならない可能性がある」との見方を示した。
11月前半の消費者物価指数は、前年同期と比べて8.14%上昇した。メキシコ銀行(中央銀行)はインフレはピークを過ぎたという見方を示している。市場には中銀が12月に開く次回の金融政策決定会合で利上げペースを減速するという見方がある。
11月前半は食料品と飲み物、たばこの価格が前年同期と比べて14.1%上がった。野菜と果物の価格は同6.41%上昇した。農作物とエネルギー価格を除くコアインフレ率は8.66%だった。食料品の品目別では特にトウガラシの一種(前期比26.11%増)や食用のサボテン(同11.39%増)の伸び率が大きかった。
中銀は10日、政策金利を0.75%引き上げて10%にすると発表した。米シティグループ系のバナメックスは18日のリポートで、中銀が12月の次回の会合で0.5%の利上げを決める可能性が高いという見通しを示した。バナメックスは同じリポートに11月前半のコアインフレ率は8.6%になるという予測を盛り込んでいた。
10月26~27日に開いた理事会の議事要旨を公表した。ユーロ圏の景気後退が浅くとどまる場合は「金融引き締めを継続すべきだ」との意見が出ていたことが分かった。深刻な景気後退が長引き、インフレを鈍化させる場合には利上げを中止するなどリスクシナリオへの言及もあった。
今回の議事要旨では、少数の理事会メンバーが0.5%の利上げを支持していたことも判明した。将来の利上げ継続を視野に、急激な引き締めではなく持続性を重視したもようだ。先立つ9月の会合では当初、一部で0.5%利上げを求める声が出たものの、最終的に0.75%の利上げが全会一致で決まっていた。
このほか、景気を熱しも冷ましもしない「中立金利」や利上げの終着点にも議論は及んだ。米連邦準備理事会(FRB)と異なり、ECBは政策金利の見通しを公式に明示していない。先行きの利上げを巡っては「中立的な領域に移った後も、おそらく金融引き締めを続ける必要がある」との主張があった。利上げ局面は長引く可能性がある。
イングランド銀行(英中央銀行)は、インフレ率を2%に戻すため、たとえ家計をより圧迫することになっても利上げを続けなければならない-。タカ派で知られるラムズデン副総裁と金融政策委員会(MPC)のマン委員が24日、それぞれこうした見解を示した。
ラムズデン氏は労働市場の逼迫(ひっぱく)と高いインフレ期待に対する懸念を挙げ、一段の引き締めに傾いていると語った。マン委員はエネルギーや食品の価格上昇に苦しむ人たちを救済するために金融政策ができることはほぼないと述べた。
ラムズデン氏はロンドンでの会合で講演し、インフレ率が2024年に目標値を下回るとのイングランド銀の予測は景気の弱さを誇張している可能性があることをより懸念していると述べた。「インフレ心理の台頭と定着」に加え、予想以上に速いペースでの賃金上昇を懸念していると語った。
さらに「英国経済に及ぼす短期的な影響がどれほど困難であっても、中期的に2%のインフレ目標を持続的に達成できるよう、MPCは金融政策においてインフレ低下に必要な措置を講じなくてはならない」と言明した。
マン委員はパネルディスカッションに参加し、「中期的なインフレ期待が制御不能の状態となれば、インフレの抑制にはより犠牲を伴う」と述べ、当局はさらにやるべきことがあると続けた。
●市況
日経先物(大証)28380、ダウ先34266、債先149.33、米3.689、独1.8455、仏2.286、西2.790、伊3.688、波6.648、原油77.82、ドル円138.60、墨ペソ19.38、トルコリラ18.6178、墨CDS129
※11/25 8時5分頃

備忘録(11/22-23
●中国・ロシア・東欧
米アップルのスマートフォン「iPhone」を受託生産しているフォックスコン・テクノロジー・グループの中国生産拠点で数百人の従業員が警備員と衝突した。河南省鄭州市にある同社工場では新型コロナウイルスの感染防止策として厳しい制限措置がほぼ1カ月続いており、緊張が高まっていた。
匿名を条件に取材に応じた目撃者によると、未払い賃金とコロナ感染懸念に対する抗議活動は夜中に始まった。何人かの従業員が負傷し、秩序回復のため警察が23日に現場に入ったという。
22日の本土新規感染は2万8183人。前日の2万7307人から増加し、上海でロックダウン(都市封鎖)が実施された4月に記録した過去最多の2万8973人をわずかに下回る水準となった。
上海市は24日から新たな入境者に対し、公共の場への出入りを5日間禁止する。全国的な新型コロナウイルス感染急拡大が同市に及ぶのを阻止したい考えだ。
北京市は24日から住民に対し公共の場に行ったりバスに乗車したりする際、48時間以内のPCR検査で陰性となったことを証明するよう求める。同市では週末にコロナ感染者が死亡。中国本土での約半年ぶりのコロナによる死者となった。
広東省では深圳市が24日から北京市と同じような陰性証明を住民に義務付ける。同省の省都、広州市の一部地区ではロックダウンが続いており、同市での22日の新規感染は7970人となった。
●中東
20日の開会式の際にトルコのエルドアン大統領とエジプトのシシ大統領が初めて握手を交わし、昨年までカタールと断交していたサウジアラビアの首脳らも集った。欧米から人権などで厳しい視線を浴びるカタールだが、中東外交で得点を重ねる構えだ。
W杯開会式には21年まで約3年半にわたりカタールと断交していたサウジの実力者ムハンマド皇太子も出席した。カタール国旗をあしらった応援タオルマフラーを首に掛け、タミム首長と笑顔で握手を交わした。カタールは一時はアラビア半島で孤立感を深めたが、中東初の開催となったW杯で祝福を受ける様子を印象づけた。
ただアラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領は隣国ながら姿を見せず、微妙な距離をうかがわせた。開会式には副大統領のドバイ首長を派遣した。バーレーンのハマド国王も出席を見送った。アラブ世界からは他にヨルダンのアブドラ国王、アルジェリアのテブン大統領、パレスチナ自治政府のアッバス議長らが出席した。
これまでのところW杯カタール大会に欧米の首脳の参加は伝えられていない。欧米ではカタールの外国人労働者の人権問題や、同性愛への対応に批判が相次いでいる。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
2026年6月末までに、日常の業務執行に携わらない社外の取締役の少なくとも40%か、全取締役の33%を女性が占める必要がある。
基準を達成できなかった企業はその理由と対策を公表する必要があるほか、制裁金が科される可能性もある。従業員250人未満の中小企業は適用外。
欧州議会によると、21年時点で大手上場企業の女性取締役の比率は30.6%だった。フランスの45.3%からキプロスの8.5%まで加盟国の間で大きな差がある。
対象となったのは、運用会社ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントがESG投資を掲げて運用する2つの投資信託などだ。SECによると、同社は2017年4月から20年2月まで、投資先のESGに関する調査において方針や手続きを明文化していなかったり、ルールができた後もそれを順守していなかったりしていた。
●その他産業
同日発表した2022年8~10月期決算は売上高が前年同期比11%減の148億ドルだった。消費者向けパソコンなどの需要が軟調だった。法的措置にかかる費用を計上し、最終損益は200万ドルの赤字だった。
エンリケ・ロレス最高経営責任者(CEO)は人員削減をめぐり、HPが25年末までに年14億ドルの経費削減をめざすなかで「非常に厳しい決断」が必要だったと述べた。人員削減は25年度末までの完了を見込み、デジタルトランスフォーメーション(DX)や業務効率化によるコスト削減も並行して進める。
同社の従業員数は約6万1000人。足元では既にメタ(旧フェイスブック)やツイッター、アマゾン・ドット・コムなどのテック企業が相次いで大規模な人員削減を発表している。
●決算関連
2023年1月期通期の業績予想を上方修正した。既存店売上高の見通しは前期比10%減と、従来予想の11%減から引き上げた。インフレ下で消費者の支出減を想定していた家電製品のうち、ゲームなど一部で需要の持ち直しがみられるという。在庫の削減を進めており、通期の営業利益率は4%超を見込む。
22年8~10月期決算は、売上高が前年同期比11%減の105億8700万ドル(約1.5兆円)、純利益が44%減の2億7700万ドルで、いずれも市場予想を上回った。既存店売上高は10%減った。コンピューターやスマートフォン関連の製品は11%減と落ち込みが目立った一方、ゲームなどのエンターテインメント部門は5%減と減少幅を抑えた。在庫は前年同期から15%減少した。
コリー・バリー最高経営責任者(CEO)は今年の年末商戦がパンデミック(世界的大流行)前の購買パターンに回帰し「(11月末の)ブラックフライデーやサイバーマンデー、クリスマス前の2週間に買い物が集中する」と予想し、戦略的に在庫管理を進めたと説明した。年末商戦ではゲームのほか仮想現実(VR)関連の商品、キッチン用の小型家電などの需要に期待を示した。
7月に通期見通しを下方修正した際に中止した自社株買いを再開し、23年1月期に10億ドルを充てる計画も発表した。同社の株価は22日、前日終値から一時10%超上昇した。
2022年8~10月期決算は売上高が前年同期比8%増の69億3660万ドル(約9810億円)で、純利益は23%増の2億6690万ドルだった。冷凍食品などの品ぞろえを強化してインフレ下で節約志向を高める消費者の需要を取り込み、いずれも市場予想を上回った。
23年1月期通期は売上高予想を281億4000万~282億8000万ドルと、従来予想の278億5000万~281億ドルから引き上げた。一方、通期の1株利益は従来予想の7.10~7.40ドルの範囲の下限を見込み、市場予想を下回る。同社は声明で「売上高に占める消耗品が当面の利益を圧迫するほか、インフレによるコスト上昇圧力も続く」と説明した。
事業部門別の売上高は、大型農機を含む「生産・精密農業」が74億3400万ドルで前年同期比59%増と急拡大した。「小型農機・芝刈り機」は26%増の35億4400万ドル、「建設・林業機械」が20%増の33億7300万ドルと続いた。夏にかけて受注残の積み上がりを招いた供給問題による部品不足は、8~10月期中に緩和が進み、部品待ちの農機の出荷が進み始めたという。ローンなど「金融サービス事業」は14%増の9億8800万ドル。
ディアのジョン・メイ最高経営責任者(CEO)は「農業を巡るファンダメンタルの好条件や、(米政府が後押しする)インフラ投資の拡大などを踏まえ、引き続き力強い成長が続く」と説明。23年10月通期の業績は、純利益ベースで80億~85億ドルと予想した。
2022年10~12月期決算で15億スイスフラン(約2200億円)の税引き前損失を計上する見通しだと発表した。事業再構築に伴う損失や、市場環境悪化による投資銀行業務の苦戦が原因。経営不安を受けた顧客離れ
も収益を押し下げる。
コスト構造改革のためのリストラ費用などで10~12月期に最大2億5000万スイスフランの計上を見込む。また保有していたオールファンズ・グループ株の売却に伴い最大7500万スイスフランの損失を計上する可能性がある。
チューリヒに保有するホテルなど不動産売却も進めている。10~12月期の最終的な業績はこうした資産や事業売却の進捗、のれんの減損の有無、投資銀行業務の動向などによって変動するとしている。
同行は7~9月期連結決算の最終損益で40億スイスフランの赤字を計上し、4四半期連続の最終赤字となっていた。
●マクロ・その他
首相の任命権を持つアブドラ国王は22日、首相候補者2人を王宮に呼び、大連立内閣を提案した。しかし、候補の一人である国民同盟トップのムヒディン前首相が拒否したため、決裂した。国王は23日に、カギを握る第三勢力の国民戦線の議員30人と面会。どちらの候補を支持するかを確認し、早期に首相を任命したい考えだ。
大連立の提案の失敗を受け、国王は「23日午前10時半に、国民戦線の議員30人と個別に面会する」と発表した。国民戦線の議員の支持が割れている現状を踏まえ、一人ひとりの議員にどちらの候補を支持しているかを確認した上で、過半数の議員の支持を得ている首相候補がいるかを見極めるとみられる。マレーシア憲法は「国王が下院議員の過半数の信任を得ていると判断した議員を首相に任命する」と定めている。
2031年の鉄鉱石の海上貿易量は21年から8%減、石炭が18%減となるとの予測をまとめた。輸送を担う大型ばら積み船(ケープサイズ)の輸送需要が低下する。世界の主要貿易国である中国の産業構造の変化を反映する。世界人口の増加によって穀物や非鉄金属など、より小型のばら積み船で運ぶ貨物の輸送量は増える見通しだ。
10月の国内粗鋼生産量が前年同月比10.6%減の734万9000トンだったと発表した。前年割れは10カ月連続。半導体不足を背景に自動車生産の回復が遅れており、自動車向け鋼材の需要が落ちている。
高炉でつくる「転炉鋼」が前年同月比11.8%減の530万3000トンだった。転炉鋼の需要は自動車減産の影響を受けやすい。「電炉鋼」は中小の建設向け需要が減少したとみられ、同7.5%減の204万6000トンだった。転炉鋼は10カ月連続、電炉鋼は3カ月連続の前年割れとなった。
世界64カ国・地域の10月の粗鋼生産量(速報値)は、1億4730万トンと前年同月比で横ばいだった。前年に脱炭素政策の影響で減産していた中国はプラスとなったが半導体不足などを背景に日本などの生産量が減った。
2022年の実質国内総生産(GDP)成長率が約3.5%となるとの予測を発表した。エネルギー価格の高騰などで世界経済の先行きに懸念があることから、23年の成長率は0.5~2.5%と、22年よりも減速するとの予測を示した。
政策金利を0.75%引き上げて4.25%にすると発表した。利上げは9会合連続で、利上げ幅は10月の0.5%から拡大した。中銀は声明でインフレ抑制に向け「断固たる姿勢で臨む」と表明した。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は22日、利上げのペースとどこまで利上げするかを決める上で家計支出と賃金、価格設定行動に加え世界経済を「注視」すると表明した。
同総裁は講演で、「これら3分野それぞれの展開が、インフレ率が目標に戻るペースと、経済が安定した状態を維持できるかどうかに影響を与える」と指摘し、豪中銀の政策委員会は「今後、金利をさらに引き上げると想定しているが、事前に定められた道があるわけではない」と述べた。
11月の米国の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は、総合指数が46.3と前月から1.9ポイント低下した。好不況の分かれ目となる50を5カ月連続で下回った。ユーロ圏の総合PMIも50割れが続き、高インフレの継続や急速な金融引き締めによる需要の落ち込みが米欧景気に影を落としている。
米国の総合PMIは2カ月連続で下がり、3カ月ぶりの低水準を記録した。主力のサービス業の指数も46.1と1.7ポイント下がり、3カ月ぶりの低さだった。製造業の指数は47.6と2.8ポイント低下し、新型コロナウイルス禍の影響が色濃い2020年5月以来、2年半ぶりの水準に沈んだ。
サービス業、製造業ともに新規受注の減少が目立った。多くの企業がインフレ持続や金利上昇を踏まえて、顧客が発注をためらったり、先送りしたりしていると報告したという。世界経済の減速で輸出関連の受注減も加速した。
サプライチェーン(供給網)の改善や景気の減速に伴い、企業の負担するコストや販売価格の上昇ペースが鈍ってきたとの声も広がっている。具体的には木材や鉄鋼、プラスチックなど一部の素材価格が下落し、貨物運賃も低下したことが企業のコスト抑制につながっている。冷え込んだ顧客の需要を喚起するため、値引きに動く企業も出始めている。
S&Pグローバルのエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「10~12月期は企業がコスト削減により重きを置くため、雇用も鈍化している」と分析。賃金の上昇圧力も和らぐとみる。「インフレ圧力は今後数カ月間、顕著に弱まっていくだろうが、より深い景気後退に向かう可能性も高まっている」と指摘した。
米銀ウェルズ・ファーゴのエコノミストらは「住宅需要の低迷を受け、建設会社が販売促進のために値引きなどの対応に講じた成果が反映された」と指摘する。また住宅ローン金利の高騰が一服し、これまで購入を手控えていた層が市場に戻ってきているとの見方も示した。
製造業は47.3と0.9ポイント上昇し、サービス業は48.6と横ばいだった。国別の総合PMIはドイツが46.4と1.3ポイント上昇した一方、フランスは1.4ポイント低い48.8で1年9カ月ぶりの水準に沈んだ。
供給制約で滞っていた部材調達が改善するなど明るい兆しが出る一方、新型コロナウイルス禍からの景気回復をけん引してきた観光やレジャーなどは低調だった。資源高によるインフレで企業の生産活動や個人消費への逆風は強い。
S&Pグローバルのクリス・ウィリアムソン氏は「最新のデータは景気後退が懸念されていたほど深刻にはならないことを示唆している」と指摘。欧州中央銀行(ECB)の金融政策をめぐり、インフレ圧力が緩和に向かうことで「さらなる積極的な利上げの必要性を下げる可能性がある」との見方を示す。
英最高裁は23日、北部スコットランドの行政府(地方政府)は英政府の同意なしに地域の独立を問う住民投票を実施できないとの判断を下した。同行政府のスタージョン首相は2023年10月19日に住民投票を実施する計画を発表していたが、スナク英政権は反対しているため実施はほぼ不可能になった。
23日公表された議事要旨では、「参加者の大部分は、引き上げペースの減速が近く適切となる可能性が高いと判断した」と記された。
同時に、「さまざまな」当局者が「委員会の目標達成に必要なフェデラルファンド(FF)金利の最終的な水準は、従来の見通しを幾分か上回る」と結論付けた。
スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏は、利上げの「ペースを落とす必要性の受け入れが広がっている」とし、金融当局者の間では0.5ポイントへの減速に顕著な傾きが見られると述べた。
●市況
日経先物(大証)28363、ダウ先34254、債先149.33、米3.689、独1.9145、仏2.366、西2.889、伊3.789、波6.804、原油77.38、ドル円139.30、墨ペソ19.36、トルコリラ18.6135、墨CDS139
※11/24 8時30分頃

備忘録(11/21
●中国・ロシア・東欧
中国河北省石家荘市は新型コロナウイルス感染拡大を受け、住民に対して自宅に5日間とどまるよう求めた。学校は休校となり、大学も封鎖された。北京市にも近い石家荘では、厳格なコロナ制限措置を最初に撤廃するテストケースになるとの観測もあったが、感染急増で当局が「ゼロコロナ」に回帰しつつあることを示唆している。
中国人民銀行(中央銀行)など規制当局は金融機関に対し、不動産開発企業や建設会社向けの融資を安定させるよう求めた。不動産危機を抑え込み、景気の下支えを図る政策当局による新たな取り組みとなる。
人民銀は21日の声明で、既存の不動産開発融資と信託ローンの「合理的」な延長を支持するとも表明した。声明は人民銀と銀行保険監督管理委員会(銀保監会)が共同で開催した商業銀行との同日の会合後に発表された。
当局はまた、住宅購入者の合理的なローン需要は満たされるとあらためて説明。民間不動産開発会社の起債を支援するため重要な資金調達支援プログラムが「十分活用」されなければならないとも指摘した。
人民銀の易綱総裁は同日の金融フォーラムで行った講演で、穩健な金融政策を実施し、金融リスクを防止・抑制すると表明。不動産セクターは他の多くの業界とつながっており、同セクターの発展は健全な経済成長にとって重要だと話した。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
トカエフ氏は選挙公約で「過去の失敗を踏まえて修正し、蓄積された問題を解決していかなければならない」と暗に前政権を批判。国家の独占に終止符を打ち、公正なカザフをつくると表明していた。約30年続いた旧体制とどのように決別し、旧ソ連型の政治・経済システムを改革して民主化に向かうのか、今後の動向が注目される。
トカエフ氏は1月に発生した反政府デモを収拾する際、ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」に部隊派遣を要請した。だが2月、ロシアがウクライナに侵攻すると、混乱の波及を避けるようにロシアと距離を置くようになった。
ほかの旧ソ連圏・中央アジア諸国でもロシアの影響力の低下がみられるなか、カザフとの関係強化を通じて同地域にくさびを打ち込もうとしているのが中国だ。中国はカザフを広域経済圏構想「一帯一路」の要衝と定め、石油などの資源を輸入している。トカエフ氏が当選確実になったことを受けて、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は21日、「両国の国交樹立30周年を新たな出発点として、恒久的全面的戦略パートナーシップのさらなる発展を推進したい」との祝電を寄せた。
習氏は9月、カザフを訪問し、トカエフ氏と会談した。隣国のウズベキスタンではロシアのほか中央アジアのキルギス、タジキスタンも加盟する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」の首脳会議にも出席。中央アジア諸国との関係強化に向けた姿勢をアピールした。
サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は、国営サウジ通信(SPA)を通じて声明を発表。「OPECプラスが現在実施している日量200万バレル減産は2023年末まで継続される」とし、「需給バランスを取るため減産による追加措置が必要な場合に備え、われわれは介入する準備を常に整えている」と記した。
米最大の鉄道労働組合、板金・航空・鉄道・運輸組合輸送部門(SMART-TD)は21日、経営側と9月に暫定合意した協定案を否決したと発表した。バイデン政権が労使交渉の仲裁に動いたが、SMART-TDをはじめ、米国にある12の鉄道労組のうち4団体が提案を受け入れなかった。12月初旬にも全米で鉄道ストが起きる可能性があり、米国の物流がマヒしかねないとの懸念が広がっている。
SMART-TDが20日に実施した組合員投票で、50.87%の労働者が暫定合意案に反対した。SMART-TDには車掌や操車係を中心に、米国の鉄道労働者の3割近くが所属している。協定案を否決した4労組合計で抱える鉄道労働者は全体の半数を超える。休暇制度や職場環境の改善など条件面で折り合えなかったとみられる。
SMART-TDのジェレミー・ファーグソン組合長は声明で「組合員の懸念は交渉で解消できる。ストライキをする必要はない」と述べ、経営側と交渉を続ける考えを示した。しかし各労組で反対論は根強く、このまま合意に至らなければ、各地の鉄道運営に与える影響は大きい。
米鉄道協会(AAR)によると、早ければホリデーシーズン前の12月5日からストが始まる可能性がある。最大の懸念が米物流へのダメージだ。
貨物鉄道は米国の物流のおよそ3割を担っている。米化学協会(ACC)がまとめた最新報告によると、貨物鉄道のストは米経済にとって大きな打撃となる。ストが1カ月続いた場合、ACCは米国全体で70万人が職を失い、生産者物価指数(PPI)が4%上昇すると試算した。ACCのチーフ・エコノミスト、マーサ・ムアー氏は「鉄道ストが発生すれば、回復へ向かっていた米経済が景気後退に入る可能性がある」と語る。
中長距離をつなぐ全米鉄道旅客公社(アムトラック)の運行も止まる可能性がある。AARは大規模ストで各鉄道が止まれば、1日あたりおよそ20億ドルの損失が出ると試算する。
鉄道業界の労使交渉を巡っては、連邦議会による介入も現実味を帯びてきた。1926年に成立した鉄道労働法によって、連邦議会はストを止めるために介入できる。議会が今回の交渉に介入すれば、92年6月に起きた鉄道スト以来となる。
米国商工会議所は15日、鉄道ストを防ぐために議会の介入を求めた。
米国では長引くインフレや人手不足で労働者の不満が高まっており、ストライキの件数は増加傾向にある。米コーネル大学のまとめによると、2022年1月1日~11月21日に米国で発生したストライキは351件と、前年の同期間(243件)と比べて44%増えた。
分野別にみると「生産関連」の指標は前月に続きマイナスで、9月からわずかに低下した。製造業生産が前月から0.1%下がったことが響いた。「雇用関連」も前月から低下した。10月の失業率が3.7%と前月から0.2ポイント上昇したことが響いた。「販売・受注・在庫関連」も前月から下がった。「個人消費・住宅関連」は前月から上昇した。
●市況
日経先物(大証)28040、ダウ先33722、債先149.28、米3.829、独2.0205、仏2.479、西3.023、伊3.918、波7.008、原油80.33、ドル円142.08、墨ペソ19.55、トルコリラ18.6132、墨CDS139
※11/22 9時00分頃

備忘録(11/18-20
●中国・ロシア・東欧
●中東
サウジのムハンマド皇太子の責任を追及するとして米国で起こされた裁判で、バイデン米政権は18日までに、皇太子は免責されるとの見解を裁判所に示した。AP通信などが伝えた。裁判所が今後、当否を判断する。
皇太子は9月にサウジ首相に就任した。国家元首は国王だが、首相就任で政府トップに対する免責の原則が適用されると判断した。人権重視のバイデン大統領はこれまで、事件に関し皇太子の責任を追及する姿勢を示していた。政権は、免責は事件自体に対する考え方を反映したものではなく「純粋な法的判断」だと強調した。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
これまでに商用化に成功したのは一部の欧米企業のみで、当面は輸入に頼らざるを得ない。ANAはフィンランドのネステから調達しており、JALもネステと調達契約を結んだ。
日本勢の巻き返しにはコスト削減が欠かせない。資源エネルギー庁が4月に公表した資料によると、SAFの生産コストは1リットルあたり200~1600円とジェット燃料の2~16倍で、普及のハードルになっている。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
世界の住宅価格が高騰から値下がりに転じた。スウェーデンなどではピークに比べ約1割下げ、米英独など主要国も夏場から下落し始めた。インフレを抑えるための利上げの「効果」でもあるが、世界で250兆ドル(約3.5京円)の規模の市場が急収縮すれば家計債務や金融機関への影響は避けられない。東欧などでは金融システム不安の予兆もみられる。
同社によると、足元までに9割の修復作業が終わり、規制当局の許認可を得る手続き中という。2023年1月には日量20億立方フィート(LNG換算で年1500万トン弱)を生産し、同年3月には積み出し設備も含めてフル稼働できるとしている。
フリーポートの生産能力は年約1500万トンで、米国のLNG生産能力の15%程度を占める。火災による運転停止で日本や欧州へのLNG輸出が滞り、代わりに米国内で供給が増えて天然ガス価格が低迷するなど影響は多方面に広がっている。
フランスで製油所のストライキに起因するガソリン不足が長引いている。一時は救急車やスクールバスが動かせないほど深刻化し、政府がスト中の従業員に業務再開を命じる事態となった。ストは原子力発電所にも広がった。インフレによる生活コスト高を背景に、企業と労働者の対立は深まっている。
10月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は、前月比5.9%減の443万戸だった。減少は9カ月連続で、新型コロナウイルス流行直後の落ちこみを除けば、2011年12月以来の低水準となる。住宅ローン金利の高止まりで購入を手控える動きは続いている。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「10月も多くの住宅購入希望者がローン金利の高騰で買う機会を奪われた」と指摘する。米抵当銀行協会(MBA)が16日発表した調査によると、足元の30年固定の住宅ローン金利(週平均)は6.9%と4週間ぶりに7%を下回ったが、なお高水準で推移している。
マッカーシー氏は西部カリフォルニア州出身で、現在57歳。トランプ前大統領に近く、8月に米連邦捜査局(FBI)が同氏の邸宅を家宅捜索した際は「(捜査権限の)政治利用」と非難した。
中国には厳しい姿勢で臨む。「台湾を自衛させ、中国が侵略しないようにしよう」と話す。8月にペロシ氏が訪台した際は「支持する。彼女が私に頼んでいたら一緒に行った」と明言し、「共和議員を連れて行かなかった。議会が声をひとつにしたいなら両党から集うべきだ」と語った。
党内基盤には不安が残る。15日に実施した共和の次期下院議長候補の選出ではマッカーシー氏が188票、対抗馬のビグス氏が31票。トランプ氏の支持議員が多い保守強硬派「フリーダム・コーカス(自由議連)」の票がビグス氏に流れたとみられる。本選挙でマッカーシー氏を支持する条件として議長の権限縮小などを求める。
野党連合の希望連盟が最大の82議席を獲得した。解散前に連立政権の一角を占めていた国民同盟が73議席で続いた。どの政党も単独では過半数を獲得できず、主要各政党は20日、連立政権樹立に向けた交渉に入った。30議席の与党・国民戦線、合計で約30議席を得たボルネオ島の地域政党の動向が焦点となる。
仮に国民同盟が国民戦線や地域政党の取り込みに成功した場合、解散前のイスマイルサブリ連立政権の枠組みに近い組み合わせになる。このうち最大の議席を得た国民同盟が首相ポストを求め、2020年3月から21年8月まで首相を務めたムヒディン氏が復帰する可能性がある。
一方、希望連盟が地域政党などとの連立政権樹立に成功すれば、アンワル元副首相が首相に就く可能性が高い。希望連盟はマニフェスト(政権公約)で、副首相ポストの1つをボルネオ島の政党に割り当てる方針を示し、地域政党との連立で政権交代を目指す姿勢を明確にしていた。
イスマイルサブリ氏が所属する国民戦線は30議席にとどまり、解散前の42議席から後退した。汚職事件で起訴されているザヒド氏がトップにとどまっていることが、支持基盤であるマレー系の有権者の離反を招いた。1957年の独立以来、長期にわたり政権を維持してきた国民戦線だが、退潮に歯止めがかからない。
前回18年の総選挙では、希望連盟が過半数の議席を獲得し、当時希望連盟に加わっていたマハティール氏が首相に就任した。しかし、20年2月に内紛によってマハティール政権が崩壊し、それ以降2度にわたり首相が交代する不安定な政治状態が続いていた。
フロリダ州での講演向け原稿でボスティック総裁は、「経済が私の予想通りに推移すれば、75-100bpの追加引き締めが妥当だと確信する」と指摘。「さらなる措置が必要なことは明らかであり、その水準の政策金利なら、合理的な期間にわたってインフレを抑制するのに十分だと信じる」と述べた。
ボスティック総裁の計画は利上げ幅を75bpから縮小しつつ、向こう数回の金融政策決定会合で政策金利を4.75-5%まで引き上げるという内容だ。この最終到達点について総裁は、米金融当局が長期にわたって維持することで物価に下押し圧力を与え続けられる「適度に抑制的な」金利水準とみている。
ボスティック総裁は「ペースという点では、経済が向こう数週間に私の予想通りに推移するなら、次回会合から75bp利上げから離れ始めることに抵抗を感じないだろう」と語った。
●市況
日経先物(大証)27960、ダウ先33766、債先149.28、米3.829、独2.0100、仏2.474、西3.002、伊3.888、波7.013、原油80.11、ドル円140.37、墨ペソ19.45、トルコリラ18.6215、墨CDS139
※11/18 NY引け値

備忘録(11/17)
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
足元で在庫削減が進んだことを踏まえ、収益改善を見込む。通期の売上高は前期比0.5%減の243億4000万ドル~同0.5%増の245億8000万ドルの範囲に据え置いた。
10月最終週から11月初旬にかけてはメーシーズの売り上げの減少がみられたが、7日から始まった早期セールで足元では販売が回復してきたという。ジェネット氏はインフレ下で「消費者がますます大きなプレッシャーにさらされ、どこにお金を使うかを選択するようになっている」と指摘した上で「消費者心理の減退が(例年は消費のピークとなる)22年11月~23年1月期まで続くかを注視している」と述べた。
洋上風力市場の低迷で株式35%を保有するシーメンス・エナジー株の評価損を計上したほか、ロシア市場からの撤退費用もかさんだ。
洋上風力事業ではサプライチェーン(供給網)の停滞による資材・輸送費の高騰で事業環境が悪化している。さらにウクライナ侵攻後、シーメンスはロシア事業からの撤退を進めており、関連費用も減益要因となった。
●マクロ・その他
FTXは11日、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条(チャプター11)を申請し、同日付でレイ氏がCEOに就任した。レイ氏は2001年に巨額の不正会計で経営破綻したエンロンの破綻処理で陣頭指揮を執った人物だ。
レイ氏は「40年以上に及ぶ企業再生のキャリアにおいて、今回ほどの企業統治の完全な失敗は見たことがない」と指摘した。レイ氏によるとFTXグループの多くの企業では、取締役会を一度も開いたことがなかったという。バンクマン・フリード氏は一定の時間がたつとメッセージが自動削除されるアプリケーションで多くやりとりしており、従業員にも勧めていた。意思決定に関わる記録が残っていないという。
FTXは出納管理もずさんだった。従業員がオンラインチャットで経費支出の申請をし、管理者は「絵文字」で承認していたという。特にFTXが本社を置く中米バハマでは、従業員らが住居購入など私的な目的に会社の資金が使われたとレイ氏は指摘した。
創業者に関する不透明な資金の流れも明らかになった。FTX関連会社で資金繰り不安の発火点となったアラメダ・リサーチについてレイ氏は、バンクマン・フリード氏らのため投機的な取引をする「暗号資産ヘッジファンド」と表した。アラメダはバンクマン・フリード氏個人に10億ドルを融資していた。
英国のハント財務相は17日、増税と歳出削減を柱とする財政再建計画を公表した。ハント氏は同日の議会での演説で、計画には年換算で約550億ポンド(約9兆円)の収支改善策を盛り込んだと表明した。トラス前政権の経済政策で失った財政への信頼は回復しつつあるが、緊縮財政により、英経済の中期的な低迷は避けられそうにない。
10月の住宅着工件数は142万5000戸(季節調整済み、
年率換算)と9月の改定値から4.2%減少した。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(141万戸)は上回った。前年比では8.8%減少した。7月以来の低水準となった。
最も大きな割合を占める一戸建ての着工件数は85万5000戸となり、前月を6.1%下回った。前年同月からは20.8%減少した。変動が激しい5世帯以上の集合住宅も55万6000戸と前月比0.5%減少した。前年同月比では17.3%増えた。
先行指標である許可件数は152万6000戸で前月比2.4%減った。前年同月からは10.1%下がった。
全米不動産協会(NAR)のチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「住宅ローン金利はピーク時から小幅に低下しており、これから住宅購入のハードルが少しずつ下がるとみる。一方で在庫は歴史的な低水準にとどまっているため、今後はより多くの新築住宅建設が必要になるだろう」と指摘した。
住宅ローン金利の平均は10月が年4.3%で、確認できる2009年以降では最低となった。マンション販売の不振が長引き、人民銀行などが22年末までの期間限定で一部の都市に住宅ローン金利の下限の引き下げや撤廃を認めたため、実際に適用する金利も下がった。
住宅ローン金利の低下が販売回復に結びつくには時間がかかりそうだ。10月の新築マンションの販売面積は前年同月より2割超減った。主要70都市の新築価格も前月比変化率の単純平均がマイナス0.37%で、下落幅は7年8カ月ぶりの大きさとなった。14カ月連続で下落し、比較可能な11年以降では最長を更新している。
利上げは7月の緊急会合を含め6会合連続で、政策金利が5%に高まるのは2009年3月以来。対ドルで安値圏にとどまる通貨ペソを防衛し、物価上昇を抑える狙いだ。
ブラード総裁は高インフレの持続を招いた1970年代の金融政策の失敗を繰り返さぬよう、当局は長期にわたり政策金利を高水準に維持すると予想。「インフレ率が目標に向かって意味のある形で鈍化する明らかな証拠を目にする必要がある」と記者団に語った。
総裁はさらに、インフレ率が来年低下すると予想しながらも、その証拠はこれまでのところ比較的乏しいとの認識も示した。講演で総裁は「これまでのところ、金融政策スタンスの変更は実際のインフレに限定的な効果しかもたらしていないように見受けられる。ただ市場の織り込み具合は、2023年にディスインフレが見込まれることを示唆している」と述べた。
マークス氏は、銀行がブリッジローン取引で被った損失がクレジット市場を傷めていると指摘し、一つの例としてイーロン・マスク氏のツイッター買収に絡む案件を挙げた。ウォール街の銀行はマスク氏の買収を支援するため約130億ドルのレバレッジドバイアウト(LBO)ファイナンスを取りまとめたが、この債権の売却が思うように進まず、銀行は額面1ドル当たり70セントまで値引きしているとブルームバーグはこれまでに報じた。
●市況
日経先物(大証)27965、ダウ先33582、債先149.38、米3.769、独2.0190、仏2.46、西3.046、伊3.936、波7.157、原油82.06、ドル円140.27、墨ペソ19.41、トルコリラ18.6044、墨CDS138
※11/18 8時50分頃

備忘録(11/16
●中国・ロシア・東欧
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は16日、ポーランド領内で発生した爆発を巡る初期の調査結果だとして、ウクライナの迎撃が原因だったと説明した。
ストルテンベルグ氏はNATO加盟国とブリュッセルで開いた会談後に記者会見し、「暫定的な分析に従うと、ロシアの巡航ミサイル攻撃から領土を守るためにウクライナが発射した迎撃ミサイルが原因だった公算が大きい」と語った。
NATOの調査は継続しているとし、「意図的な攻撃の結果だったことを示唆するものは何もない」と指摘。「ロシアがNATOに対して攻撃的な軍事活動を準備している兆候」もないと続けた。
モラウィエツキ首相はNATO第4条を発動する必要はないかもしれないと語った。NATO第4条では、加盟国が自国の領土保全や政治的独立、安全保障が脅かされていると判断した場合に協議を要請できるとしている。
これらの見解は、バイデン米大統領と一致する。事情に詳しい関係者2人によると、バイデン氏は20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれたインドネシアで同盟国と会議を持ち、ウクライナ国境に近いポーランドでの爆発はウクライナの防空によって引き起こされたと伝えた。ただ、結局はロシアの大規模なミサイル攻撃が招いた結果だとも語ったという。
支援策は全16項目ある。中国人民銀行(中央銀行)と中国銀行保険監督管理委員会が11日、金融機関や地方の金融当局に通知した。
開発企業の資金繰り支援では、今後半年以内に返済期限を迎える開発資金について、融資を1年延ばすよう銀行に促した。銀行が延長に応じても不良債権の認定など貸し出し区分を見直す必要はない。
販売不振などで短期的な資金不足に陥った開発企業の社債発行も支援する。
マンション購入者への支援では、地方政府に住宅ローン金利の下限や頭金比率の引き下げを求めた。
政府が包括支援策をまとめたのは、住宅市場がデフレの様相を強めているためだ。
中国国家統計局が16日発表した主要70都市の新築価格は、単純平均で前月比0.37%下がった。2015年2月以来の下落率だ。14カ月(1年2カ月)連続のマイナスで、遡れる11年以降で最長を更新している。値下がりした都市数も58都市と、21年11月以来の多さとなった。
富裕層などが資産形成を目的にマンションを買う動きも細っているとみられる。人民銀行が7~9月に実施した預金者向けアンケート調査では「今後3カ月で住宅価格が下がる」との回答が「上がる」との答えを7年半ぶりに上回った。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
同社は16日の声明で、「来年の市場見通しは最近になって弱くなった」と説明。DRAMのビット出荷量を前年比で削減し、NANDのビット出荷量は従来見通しより著しく伸びを抑える必要があると明らかにした。
同社は設備投資の追加削減も検討しているという。9月には2023会計年度の支出を30%カットすると表明していた。16日の米株式市場でマイクロンは一時6%近く下落。同業のエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も下げている。
マイクロンのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は「当社は大胆かつ積極的な措置でビット出荷量の伸びを抑え、在庫規模を限定する」と表明。「業界の状況を注視し続け、必要に応じてさらなる調整を施す」と述べた。
●決算関連
2022年8~10月期決算は、純利益が前年同期比52%減の7億1200万ドル(約990億円)にとどまり、市場予想を下回った。増収を確保したが、インフレに伴う消費行動の変化や在庫削減のための値引きが収益を圧迫した。22年11月~23年1月期の業績見通しを下方修正し、今後3年間で最大30億ドルのコスト削減に取り組む方針もあわせて発表した。
8~10月期の売上高は3%増の265億1800万ドルで、既存店売上高も3%増だった。取引件数、平均単価はそれぞれ1.4%、1.3%のプラスとわずかに増えた。消費者の節約志向を映し、低価格のプライベートブランド(PB)商品の販売は全体の2倍の伸び率となった。既存店売上高のうち、食品・飲料や化粧品は2桁台の増加を記録した。
一方、家庭用品やスポーツ用品、おもちゃなどの販売は軟調だった。大幅な値引きで8~10月期の営業利益率は3.9%と、目標の6%を大きく下回った。10月上旬に実施した早期セール後に消費が減速し、10月単月の既存店売上高の伸び率は1%弱にとどまった。全体の商品在庫も14%増えた。
ブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は「消費者のストレスが高まり、高いインフレ率が購買力を低下させ続けている」と指摘し、値引きを求める消費者の増加が利益悪化につながったと説明した。3年間で20億~30億ドルのコストを削減する計画について「効率を高め、事業規模に見合った最適化を進める」と語った。詳細は23年3月の年次株主総会で明らかにする。
11月末のブラックフライデーを含む22年11月~23年1月期の既存店売上高は1桁台前半の減少、営業利益率は3%程度を見込む。マイケル・フィデルク最高財務責任者(CFO)は「23年まで厳しい環境が続く」と述べた。足元では店舗での組織的な万引きが前年同期比で約50%増えたことも収益を圧迫した。フィデルク氏は「盗難などの商品損失で4億ドル以上の商品を失った」と説明した。
●マクロ・その他
10月の米小売売上高は市場予想以上に増え、伸びが8カ月ぶりの大きさとなった。数十年ぶりの高インフレに見舞われ、景気見通しが悪化しているにもかかわらず、財への需要が広範囲に持ちこたえていることが示唆された。
10月は13カテゴリーのうち、自動車ディーラーや食料雑貨店、飲食店など9つで増加。ガソリンスタンドの売上高は4.1%増加。主としてガソリン価格の上昇を反映している。
今回の統計は、消費が引き続き総じて堅調であり、10-12月(第4四半期)の米経済が好調な滑り出しとなったことを示唆する。ただ、米金融当局者の間から向こう数カ月での利上げペース減速を主張する声も聞かれており、堅調な経済指標はそうした議論を複雑化させる可能性がある。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、イライザ・ウィンガー、アンドルー・ハスビー両氏は「10月の小売りデータが堅調だったことで、米金融当局は今後の数会合で利上げを継続せざるを得ない」とリポートで指摘した。
多くの小売業者は在庫を過剰に抱えており、重要なホリデーシーズンを前に在庫を整理しようと大幅な値引きを行っている。衣料品店の売り上げは前月比横ばい、百貨店は2.1%減少した。
家電販売店やスポーツ用品店などでも減少し、値引きと需要軟化の影響を示唆している。
英国のインフレ率は10月に11.1%と41年ぶり高水準に達した。イングランド銀行(英中央銀行)が利上げを続ける根拠が強まった。
英政府統計局(ONS)が16日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比11.1%上昇と、中銀予想の10.9%やエコノミスト予想中央値の10.7%を上回った。食品とエネルギーが物価高の中心だった。
インフレ率は今や中銀目標の2%の5倍を超える水準となり、来月も0.5ポイント利上げが見込まれる。
イングランド銀行(英中央銀行)が利上げを進める中で、英住宅価格は最大20%下落する可能性があるとブルームバーグ・エコノミクス(BE)の調査が示した。
買い手が英住宅に現在支払っている額と、経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)によって正当化され得る価格に開きがあるためだと、BEのエコノミスト、ジェイミー・ラッシュ、アナ・ガルバオ、ニラジ・シャーの3氏がリポートで説明した。
「バリュエーションのギャップが何年も残り続ける可能性はあるが、歴史には価格急落を招く深刻なストレスのエピソードが刻まれている」と指摘。「最新の証拠は、何らかの形で調整が行われる公算が大きいと示唆している」とコメントした。 
ゴールドマン・サックス・グループは、米政策金利のピーク水準の見通しを従来予想から0.25ポイント引き上げた。インフレが当面は「不快なほど高い」状態にとどまる公算が大きいことなどが理由だとしている。
今年の米政府支出は新型コロナウイルス禍に対する救済策の終了で急減しているが、家計所得が再び伸びている状況を踏まえると、「個人消費が過度に再加速しかねないリスクが一部ある」と同行エコノミストはリポートで指摘。「インフレがしばらく不快なほど高くとどまる公算が大きく、来年のFOMCで小幅な利上げをより長く続ける圧力になる可能性がある」とした。
金融システムの安定に関する報告書で、銀行の保有資産は「劣化の兆しが出始めており、引当金の積み増しが必要になりうる」と警鐘を鳴らした。ウクライナ危機に伴う資源高でインフレが続くなか、欧州経済の先行き不安が銀行経営にも影を落とす。
ECBは報告書で「ユーロ圏の金融安定に対するリスクが高まっている」と分析した。新型コロナウイルス禍からの景気回復シナリオにブレーキがかかるなか、インフレ抑制に向けた急激な利上げで企業や家計には逆風が強まっている。
欧州の銀行で懸念されるのは融資が焦げ付くリスクだ。急激なインフレや金利の上昇は家計所得や企業収益の圧迫を通じて、資金の返済に行き詰まる可能性を高める。
足元で不良債権比率は低位で安定するものの、ECBは「銀行が中期的により大きな損失に直面する可能性がある」と指摘。金利の上昇で銀行の収益性は回復している一方で、貸し倒れに備える引当金は2023年にかけて増える見込みだ。
実際、先行きの経営環境は厳しい。欧州委員会は秋の経済見通しで、ユーロ圏が23年1~3月期にかけて2四半期連続でマイナス成長になると予測した。ECBのデギンドス副総裁も「ユーロ圏は『テクニカル・リセッション』(景気後退)の可能性が高まっている」として、金融システムへの悪影響を警戒する。
●市況
日経先物(大証)27943、ダウ先33622、債先149.52、米3.690、独1.9730、仏2.460、西3.010、伊3.912、波7.003、原油85.32、ドル円139.45、墨ペソ19.34、トルコリラ18.5914、墨CDS137
※11/17 7時25分頃

備忘録(11/15
●中国・ロシア・東欧
米政府高官などの話として、ロシア軍によるウクライナへのミサイル攻撃が国境を越えて、隣接するポーランド東部の村に着弾し2人が死亡したと報じた。
ポーランドのモラウィエツキ首相は国家安全保障と防衛問題に関する閣僚委員会を緊急招集したと、同国の政府広報担当者のミュラー氏がツイッターで投稿した。
ロイター通信によると、米国防総省は同日、ロシアのミサイルがポーランドに着弾したとの報道を確認できないとする一方、米国務省の報道官は「信じられないほど憂慮すべき事態」と説明している。ロシア国防省は報道を否定して「意図的な挑発行為である」としている。
ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)加盟国で、加盟国の民間人がロシア軍の攻撃で死亡したとすれば、初めての事例になるとみられる。北大西洋条約の5条は一つの加盟国に対する攻撃をNATO全体への攻撃とみなし、加盟国は攻撃された国の防衛義務を負う集団的自衛権を定める。
ロイター通信によると、NATO当局は「ポーランドでの爆発に関する報告を調査しており、同盟国であるポーランドと緊密に連携している」とした。
ロシアのミサイル2発が北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるポーランドに着弾し、2人が死亡したと、AP通信が米情報当局の高官の話として名前を明かさずに報じた。
ポーランドのラジオ局Zetもウクライナとの国境から約4マイル(約6キロメートル)の地点に軌道を外れたロケット弾が着弾したと伝えた。一連の報道後、ポーランドのモラウィエツキ首相は臨時の国家安全保障会議を招集した。同国政府報道官が15日、明らかにした。
ロシア国防省は、ミサイルがポーランドの領土に着弾したという報道について、緊張激化を狙った「意図的な挑発」だと一蹴した。同省はテレグラムに投稿した声明で、爆発が伝えられたウクライナとポーランドの国境付近に兵器を向けたことはなかったと主張。メディア報道で示された破片はロシアの兵器と一致しないと指摘した。
ラトビアのパブリクス国防相はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、この件についてポーランド当局を含む複数のソースから情報を受け取ったとし、ラトビア政府はさらなる確認に努めていると説明した。
その上で、「ポーランドがNATOの第4条に基づき、協議を要請するならラトビアは支持する」とし、「私の見解では、これが十分確認されれば次の段階は防空システムに関する一段と真剣な議論だろう。私個人としてはウクライナ領空の少なくとも一部の閉鎖となる」と語った。
NATOのストルテンベルグ事務総長はかねてウクライナでの戦争が偶発的にNATO加盟国に飛び火する可能性があると警告していた。
ポーランドのモラウィエツキ首相は、臨時の国家安全保障会議を招集した。一部メディアは、ロシアのロケット弾がポーランドに着弾し、2人が死亡したと報じた。
ポーランド政府のミュラー報道官はツイッターで、「未確認情報」とした上で、会議招集の正確な理由については説明を避けた。
●中東
サウジアラビアやロシアなど主要産油国が11月に大規模減産に乗り出し、波紋を呼んでいる。米国の意向に反した減産に、米バイデン政権はいらだちを隠さない。鳴りを潜めてきた巨額の石油マネーが再び金融市場に流れ込もうとしている。「中東の逆襲」が世界の市場や経済にどんな波乱を引き起こすのか。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
2022年8~10月期決算は、売上高が前年同期比9%増の1528億ドル(約21兆円)だった。インフレ下で低価格帯の食料品の売れ行きが高所得世帯でも伸び、市場予想を上回った。値引きによる在庫削減も進んだ。
8~10月期の最終損益は18億ドルの赤字(前年同期は31億ドルの黒字)。同社の薬局で販売された医療用麻薬「オピオイド」をめぐり、複数の州や自治体を原告とする訴訟の和解関連費用として33億2500万ドルを計上した。
ウォルマートは同日に31億ドルを支払う和解案に基本合意したと発表した。和解の最終的な成立には原告側の承認が必要となる。オピオイド訴訟をめぐっては、米薬局大手のCVSヘルスとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが2日、それぞれ約50億ドルの和解金支払いに基本合意したと発表済みだ。各社とも過失は認めていない。
ウォルマートの燃料費を除く8~10月期の既存店売上高は8%増えた。調整後の1株利益は1.50ドルと市場予想を上回った。在庫水準は前年同期比13%増と、5~7月期の25%増から伸びが縮小した。発注のキャンセルや値引きの拡大を通じて在庫過剰の解消を進めており、調整後の営業利益は4%増の60億ドルだった。
足元の収益改善を踏まえ、23年1月期通期の業績予想を上方修正した。調整後の営業利益は前期比6.5%減~7.5%減と、従来予想の9%減~11%減から減少幅が縮小する見通しだ。一方、11月末のブラックフライデーを含む22年11月~23年1月期は米国の既存店売上高が市場予想を下回る3%増になると予想する。
ジョン・レイニー最高財務責任者(CFO)は「食品や消耗品の持続的なインフレ圧力が、特に一般商品で消費を減速させる可能性がある」と指摘。ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)はインフレ下で「家庭が価格に敏感になっている」と語り、12月末までの年末商戦で「売上高の推移を注意深く見守る必要がある」と述べた。
2022年8~10月期決算は、売上高が前年同期比6%増の388億7200万ドル(約5.4兆円)、純利益は5%増の43億3900万ドルだった。インフレ下でDIY向け、事業者向けいずれも需要が伸び、市場予想を上回った。
顧客取引は4%強減少したが、平均単価は約9%上昇し89.67ドルとなった。インフレによる上振れ分に加え、新製品の需要増がけん引した。
23年1月期通期の既存店売上高予想は前期比3%増に据え置いた。同社は木材などの価格がピーク時から3分の1程度まで低下していると明らかにした一方、インフレによるコスト上昇圧力は23年まで続くとみる。営業利益率は約15%、調整後の1株当たり利益の伸び率は1桁台半ばを見込む。
●マクロ・その他
世界経済の失速が鮮明だ。中国は新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ」政策などの影響で2022年の成長率見通しが年初の予測を2ポイント近く下回り、3%台に沈む。直近10月は消費が減少に転じた。米欧は歴史的な物価高で急速な利上げを迫られ、22~23年に景気後退に入るとの予測が広がる。日本は7~9月期に4四半期ぶりのマイナス成長に陥った。けん引役不在の世界は先行きの不透明感も強い。
マレーシアの連邦議会下院(定数222、任期5年)の総選挙が19日、投開票日を迎える。総選挙の構図や勝敗を左右するポイントを解説する。
10月の卸売物価指数(最終需要向け製品・サービス、季節調整済み)は前月比で0.2%上がった。2カ月連続で上昇したものの、ダウ・ジョーンズ集計の市場予測(0.4%上昇)を下回った。特にサービスの価格低下が目立った。前年同月比の上昇率は8.0%と4カ月連続で伸びが鈍った。
品目別にみるとサービスの価格が前月から0.1%低下した。前月比で低下するのは2020年11月以来。小売り・卸売業者のサービス価格が0.5%低下し、全体の下げをけん引した。物流サービスも0.2%下がった。一方、旅客輸送サービスは2.1%上昇した。
製品の価格は前月比0.2%上昇した。10月はガソリン価格が5.7%上がり、全体のエネルギー価格が2.7%上昇した。食品価格は0.5%上昇した。食品とエネルギーを除いた製品価格指数は前月から0.1%下がった。
2023年の世界の石油需要は前年比1.6%増と、22年の2.2%増から鈍化するとの見通しを出した。欧米を中心とする金融引き締めの加速が世界的な景気減速を招き、石油消費量が伸び悩むと予測する。
世界の石油需要は23年に日量1億138万バレル、22年に9977万バレルになる見通しとした。特に新型コロナウイルス対応のロックダウン(都市封鎖)の悪影響を受ける中国や、エネルギー危機に直面する欧州での消費量の低迷が続くとみる。
ボスティック総裁はアトランタ連銀のウェブサイトに掲載された小論文で、財価格の上昇鈍化といった兆候を指摘し「かすかな希望の光」が見えると述べた。
ボスティック総裁は「インフレ目標を達成するために十分抑制的な」金融政策にすることがゴールだと述べ、「まだそこには到達していない。従ってさらなる利上げが必要になると考えている」と続けた。
「これまでに行った累積的な引き締めを踏まえると、金融政策は十分に景気抑制的スタンスに近づいており、今後数カ月で利上げのペースは減速すると予想している」と語った。来年のどこかの時点で「金融政策が効果を表す様子を見守りつつ、景気抑制的な水準に金利を維持することになると考える」とも述べた。発言はフィラデルフィアの世界相互依存センターで行う講演の原稿に基づく。
労働市場の好調が続く中でも景気が減速し始めた兆候はあると、ハーカー総裁は説明。「クレジットカード購入データは、経済活動の約7割を占める個人消費の減速を示唆しており、特にサービスと小売りで落ち込みが目立つ」と指摘。「住宅投資が弱含んでいるほか、経済を支えてきた製造業の活況も徐々に弱まっている」と述べた。
●市況
日経先物(大証)27983、ダウ先33576、債先149.51、米3.777、独2.0690、仏2.593、西3.153、伊4.048、波6.955、原油86.82、ドル円139.31、墨ペソ19.37、トルコリラ18.6124、墨CDS137
※11/16 7時15分頃

備忘録(11/14
●中国・ロシア・東欧
中国が資金難にあえぐ不動産開発会社への支援を強化した。中国では完成前に物件を販売する事前販売制(プレセール)が一般的だが、事前販売で得た資金へのアクセス拡大を認めた。
銀行保険監督管理委員会(銀保監会)はウェブサイトに14日掲載した声明で、銀行保証を得ることを条件に「質の高い」不動産開発会社にプレセール資金の最大30%にアクセスすること認めると発表した。住宅建設に先立ち住宅購入者が開発会社に支払うこうした資金は通常、エスクロー勘定で管理されている。
●中東
同国政府は14日、隣国シリアなどで活動するクルド系武装勢力のテロだと断定した。複数の容疑者を拘束した。北大西洋条約機構(NATO)の一員のトルコは、テロリストの保護を理由にフィンランド、スウェーデンの新規加盟に難色を示しており、テロが新たな逆風になる可能性がある。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ユナイテッドは20年、リストラの一環として大規模な人員削減に踏み切り、収益が改善した際にはパイロットの時給を5%上げることで組合と合意していた。

給与を上げる際の条件は税引き前利益率が5%以上となることなどがあり、ユナイテッドが10月に発表した7~9月期決算では税引き前利益率が9%まで回復した。収益の改善とともにパイロットの給与増に踏み切った格好だ。
●その他産業
NTTが研究・開発を進めている次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の初の商用サービスとなる。30年度以降に半導体からネットワークまでの伝送を従来の電子から光に置き換える構想で、低遅延のほか100分の1の消費電力や伝送容量125倍を目標にしている。
14日に開いた説明会で島田明社長は「IOWN構想のうち遅延についての目標は達成した。まず日本で活用事例を広げていきたい」と話した。遠隔ロボットを活用した工場やプラントの保守点検のほか、遅延が勝敗に直結するゲーム対戦競技「eスポーツ」などにも活用できるとみる。
報道によれば、アマゾンは小売りや人事、端末部門を中心に、事務職や技術職の従業員を減らす。音声アシスタント「アレクサ」を手がける部門も対象となる。最終的な解雇の規模については「流動的」としている。
●決算関連
●マクロ・その他
過去4年間に米国への輸出を最も増やしたのは東南・南アジアだ。バングラデシュとタイから米国への輸出は18年に比べ80%以上増えた。ベトナムに至っては170%を超える伸び率を記録した(グラフ参照)。インドとインドネシアからの輸出も60%以上拡大した。
その結果、米国の輸入全体に中国からの輸入が占める割合は18年の21%から22年には17%となり、4ポイント低下した。中国は以前はアジアの対米輸出の半分近くを占めていたが、今ではそのシェアは3分の1強程度にすぎない。
中国以外のアジア各国から積極的に輸入しているのは米国だけではない。中国でも東南・南アジアからの輸入が増えている。22年1~9月の中国の輸入に占める米国の割合は18年の同時期に比べ2ポイント低下した。EUのシェアも同程度下がっている。一方で東南アジア地域の10カ国で構成する東南アジア諸国連合(ASEAN)からの輸入が占める割合は2ポイント上昇した。
共和が下院で過半数を奪還すれば、上院と下院で多数派が異なる「ねじれ議会」になる。バイデン政権は予算や政策にかかわる法案成立に共和の協力が欠かせなくなり、バイデン政権は厳しい政権運営を迫られる。
上院は条約の批准のほか、大統領が指名した閣僚や大使などの政府高官、裁判所判事らの人事を認めるかどうかなど下院にない権限を持つ。最高裁判事で欠員が出た場合など、バイデン氏が指名する候補を与党だけで承認できる体制を保持した。
世界の人口が15日、80億人の大台に到達する。国連の推計によると、70億人に達した2010年から12年間で10億人増えた。出生率の低下などで人口増加率は鈍化が進み、20年に戦後初めて1%を下回った。新興国含め幅広い国々で少子高齢化が進む中、持続的な経済成長の実現が世界の課題となる。
ロシアが軍事技術を調達している国際的な供給網を制裁対象に加えたと発表した。アルメニアにあるロシアの電子機器メーカー子会社や台湾を拠点とする企業などが含まれる。
1年先の予想物価上昇率(中央値)は5.9%と前月から0.5ポイント上がった。6月の調査以来、4カ月ぶりの上昇となった。3年先の予想物価上昇率も前月比0.2ポイント上昇した。ガソリン価格の予想が全体を押し上げた。
住宅価格の予想上昇率は2.0%と前月調査と変わらず、2020年6月以来の低水準を2カ月連続で記録した。
ブレイナード氏はブルームバーグのワシントン支局で行われたイベントで、「恐らく利上げペース減速への移行が近く適切になるだろう」と発言。その上で「われわれは多くのことを行ってきたが、追加でしなければならないことがある。強調すべき真に重要なことはそれだ」と述べた。
●市況
日経先物(大証)27960、ダウ先33636、債先149.34、米3.865、独2.1470、仏2.659、西3.198、伊4.168、波7.248、原油85.31、ドル円140.08、墨ペソ19.36、トルコリラ18.6001、墨CDS136
※11/15 8時50分頃

備忘録(11/11-13
●中国・ロシア・東欧
雷海潮副主任は12日の記者会見で、地方当局による過剰なロックダウン(都市封鎖)の禁止などを盛り込んだ見直しに関し、「ウイルスへの理解が深まり、ワクチンの研究開発の進歩を背景にしたものだ」と説明した。
ただ当局者は、さらなる規則の緩和の可能性を排除しなかった、中国疾病予防コントロールセンターの研究員は、中国のコロナ対策は引き続き科学を指針とすると発言。雷副主任はその後、同国政府は「小さな歩みで前進し続ける」と語った。
これまでの断片的な措置とは異なり、最新の通知には開発業者が直面する流動性危機への対応や、住宅購入者への頭金要求の緩和など16の措置が盛り込まれた。
救済策の一環として、開発業者の銀行融資残高や信託融資残高のうち、期限が今後半年以内のものは期間の1年間延長を可能とするほか、債券の支払いについても交渉を通じた期間延長やスワップなどが可能となると関係者は説明した。
中国による過去数年にわたる不動産セクター締め付けは、新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策と共に同国経済の最大の重しとなっているが、今回明らかになった措置は当局がその緩和に動きつつあることを示す最も顕著な兆候となる。  
2022年の実質成長率の見通しをマイナス3.2%と、従来の「マイナス0.5~プラス0.5%」から大幅に下方修正した。2年ぶりのマイナス成長が濃厚だ。中国を含む世界経済の減速が輸出に打撃となるほか、香港での金利上昇も消費や投資の下押し圧力となる。
同日発表した7~9月期の実質域内総生産(GDP)改定値は前年同期に比べ4.5%減少した。1~9月では3.3%減となり、通年のマイナス成長がほぼ確実になった。香港は中国本土と世界をつなぐ中継貿易がさかんで、世界経済の影響を受けやすい。
政府経済顧問の梁永勝氏は「著しく悪化する外部環境が香港の輸出に大きな圧力となる。主要先進国におけるインフレ率の上昇や継続的な金融引き締めも世界の需要をさらに弱める」と警戒感を示した。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
アリババは発表文で、独身の日の総取引額について「マクロ面の課題や新型コロナウイルス感染症関連の影響にもかかわらず、前年実績並み」だったと説明。昨年は5403億元(現在のレートで約10兆5700億円)に上っていた。今年は約29万のブランドが参加し、21年と同規模だった。
独身の日のショッピングイベントは世界最大級で、規模や伸びでは米国の「ブラックフライデー」や「サイバーマンデー」をしのいでいた。アナリストも中国経済の動向を測る指標として、同販売実績を重視していた。来週の決算発表時に、独身の日セールの数字が公表される可能性はある。
●決算関連
2022年1~9月期連結決算(国際会計基準)は、最終損益が2580億円の赤字(前年同期は1039億円の赤字)だった。携帯電話事業が足を引っ張り、同期間の最終赤字は4年連続で過去最大となった。四半期ベースでは携帯電話事業の赤字幅は縮小傾向にある。5月に「0円プラン」廃止を発表してから契約数は9月末までに45万件減った。基地局などの設備投資が財務を圧迫している。子会社上場による資金調達のメドを年内につけられるかが焦点となる。
携帯電話事業は財務を圧迫し続けている。7~9月期の同事業の営業赤字は1208億円で、1~3月期の1350億円をピークに減少傾向にある。だが、赤字幅の縮小は4~6月期比で3%にとどまった。
携帯電話事業では基地局の建設などにこれまで1兆円超を投じてきた。費用は主に借り入れや社債で対応し、9月末時点の有利子負債(金融事業を含む)は2兆7337億円にのぼる。6月には個人向けに1500億円の普通社債(愛称=楽天モバイル債)を発行した。23~25年に3800億円前後の社債の償還を予定する。
11日の決算説明会では投資家の不安を払拭するため、従来なかった財務戦略を説明する時間を用意。広瀬研二最高財務責任者(CFO)は「楽天銀行や楽天証券の新規上場などで資本性資金の調達を進めるほか、モバイル以外の営業キャッシュフローも拡大していく」と強調した。楽天証券はみずほフィナンシャルグループ(FG)の出資を受け、2日には楽天グループが配当を通じて775億円を吸い上げた。
●マクロ・その他
国内にある原子力発電所の全3基について、2023年4月15日まで運転延長を認める原子力法の改正案を賛成多数で可決した。ドイツ政府は年内の脱原発目標を先送りし、冬の電力供給が不安定になる事態に備えて原発を予備電源として活用する。
野党のキリスト教民主同盟(CDU)からは24年までの稼働継続を求める提案も出た。ドイツでは電力の安定だけでなく、高騰する電気代を抑えるため原発の運転延長を求める声が根強い。
英国のトラス前政権で財務相を更迭されたクワーテング氏は首相辞任の引き金となった経済対策の発表後に、政権退陣につながるとトラス氏に警告していたことを明らかにした。トラス氏からの更迭の宣告に反論したとも語った。11日掲載の英紙タイムズのインタビューで明らかにした。
2022年7~9月期の英国の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比0.2%減だった。年率換算で0.7%減になる。マイナス成長は新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)で経済活動が停滞した21年1~3月期以来、1年半ぶり。物価高が個人消費を冷やした。
GDPの6割を占める個人消費が0.5%減と、21年1~3月期以来のマイナスに転じた。9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で10.1%上昇と約40年ぶりの高い伸びで、衣類や家具、食料など幅広い分野で出費が減った。一方、国防費の増加で政府支出は1.3%増と3四半期ぶりに増えた。
関係者によると、FTXが破産申請前日に投資家と共有したバランスシートの内訳によれば、負債は90億ドル(約1兆2500億円)近くで流動資産は9億ドル。「流動性が少ない」資産は55億ドル。「非流動的」資産は32億ドルだった。知名度の低い仮想通貨セラムやソラナ、FTTなどが保有資産の大部分を占めており、価値はその後、急減している。
ブロックチェーン分析会社エリプティックによれば、破産申請から24時間以内の暗号資産の不正引き出しは推定4億7700万ドルに上ったとみられ、顧客が回収できる資産はさらに損なわれた。FTXは法執行機関と窃盗の疑いで調査を開始している。
MPCメンバーの中で最もハト派的で、先週の金融政策会合で唯一0.25ポイントの利上げを主張したテンレイロ委員は、来年には政策金利の引き下げに転じ、2024年には2%を下回る水準にする必要があるかもしれないとの見方を示した。広く予想されているリセッション(景気後退)の突入によってインフレ率が目標値を大幅に下回ることがないようにするためだと論じた。
11月会合では0.25ポイントの利上げでさえためらったが、「インフレが予想通りの規模もしくは速さで低下しないリスクに備える」ため、「リスク管理」の観点から、その判断に至ったと説明した。
●市況
日経先物(大証)28090、ダウ先33763、債先149.53、米3.811、独2.1490、仏2.658、西3.191、伊4.190、波7.186、原油88.86、ドル円138.80、墨ペソ19.50、トルコリラ18.5783、墨CDS136
※11/11NY引け値
    
備忘録(11/10)
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
●市況
日経先物(大証)28052、ダウ先33757、債先149.62、米3.811、独2.0040、仏2.497、西3.043、伊4.000、波7.184、原油86.35、ドル円141.68、墨ペソ19.31、トルコリラ18.5086、墨CDS155
※11/11 8時45分頃

備忘録(11/9
●中国・ロシア・東欧
資本取引を禁じたのは資源開発関連の機械製造や保守・サービスを手がける企業など191社。スイス重電大手ABBのロシア法人のほか、独シーメンスや石油サービス会社の米ベーカー・ヒューズなどの現地法人の株式が対象となる。日本企業では日立建機などの現法が対象リストに含まれている。
今回の大統領令では資本取引を禁じることで「非友好国」の企業がロシアから撤退し、国内の雇用喪失や資源開発関連での技術流出などを防ぐ狙いがあるとみられる。ロシアが重視する資源関連の企業の株式が、ロシア以外の企業に自由に売却されることも阻止できる。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
今期(2023年3月期)営業利益予想を3600億円に従来計画の2500億円から上方修正した。円安のほか、販売奨励金の縮小や車両価格の値上げによる収益改善が進んだ。
日系自動車各社は円安の追い風を受ける一方、長引く半導体不足や原材料価格の高騰といった逆風も吹いている。経営の混乱などにより業績が低迷していた日産は新型車投入やコスト削減が奏功し収益力は回復傾向にあるものの、世界経済が景気後退入りし自動車需要が減退するリスクも懸念される。
日産の発表資料によると、日産の第2四半期の生産台数は前年同期比0.8%減の約80万6000台と前年同期の約81万3000台を下回った。
発表資料によると、従来見通しとの比較では為替面の追い風が販売台数などのマイナス影響で相殺されるもののコスト減などが寄与することで営業利益が400億円増加。グループの四輪世界販売台数は従来計画から10万台引き下げ410万台とした。
ホンダの竹内弘平副社長は会見で、円安でも生産をすぐに日本に動かすのは難しいとした上で、「需要のあるところで生産することを貫く」と述べた。
主力の鉄鋼事業は鋼材値上げの浸透で利益見通しを引き上げたが、燃料価格の高騰で電力事業の採算が悪化するほか、日野自動車のエンジン不正による建設機械の販売減も響く。
売上高は21%増の2兆5300億円の見通しと従来予想から200億円引き上げた。神戸市などで発電所を展開する電力事業で、電力販売単価の上昇を反映する。ただ、石炭など原燃料費の上昇分が料金に遅れて反映されることなどが採算悪化要因となり、同事業の経常利益見通しを95億円引き下げた。
建設機械事業の経常利益は従来予想(75億円)から引き下げ、67%減の40億円を見込む。日野自のエンジンの排出ガスなどをめぐる不正の影響で、欧州を中心に販売量が想定を下回る。鉄鋼事業は見通しを50億円上方修正したが、電力や建設機械の不振を補えない。アルミ事業も採算悪化が響く。
●マクロ・その他
バイデン氏はホワイトハウスで記者会見し、習氏との会談について「根本的な譲歩はいっさいしない」と断言した。互いの「死活的な国益」を示したうえで「相いれない面があるかどうかを確かめ、もしあればどのように解決できるかを考える」と語った。
会談で台湾問題や核軍縮、公平な貿易を議論すると言及した。台湾を防衛する意志があると習氏に伝えるかどうかを問われて「最初から台湾に関するドクトリン(基本原則)は変わっていない」と述べるにとどめた。
10月の消費者物価指数は、前年同月と比べて8.41%上昇した。食料品を中心とした大幅な物価上昇が続いており、市場ではメキシコ銀行(中央銀行)が10日に開く金融政策決定会合で利上げを続けるという見方が強まっている。
タン氏は日銀のこうした姿勢について、政策対応が後手に回りインフレ圧力が高まるリスクと、早すぎる金融引き締めでデフレに逆戻りするリスクの「二つの重要なリスクをてんびんにかけている」とし、「日銀の仕事は容易ではない」と続けた。
同氏によると、ハイパーインフレなどにならない限り「インフレよりもデフレに陥る状況の方が深刻だ」という。デフレ環境下では税収などの政府収入が減る一方で、社会保障費など政府支出は変わらないためだ。低成長が長期化し、加えてデフレが再燃すれば財政悪化の圧力が増し、「格下げリスクは大きくなる」と述べた。
もっとも、短期的には追加歳出が格付けに直接的な悪影響を与える可能性は低いという。日本の国内総生産(GDP)に占める政府債務の比率は既にS&Pが格付けを付与する国の中で最も高い水準にあり、現在「A+」とする格付けは「財政力にはそれほど依拠していない」ためだ。財政状況がさらに悪化しても必ずしも格下げ圧力を強めることにはつながらないと話した。
●市況
日経先物(大証)27483、ダウ先32540、債先149.04、米4.099、独2.1675、仏2.674、西3.253、伊4.275、波7.662、原油85.79、ドル円146.30、墨ペソ19.58、トルコリラ18.5983、墨CDS158
※11/10 8時40分頃

備忘録(11/8
●中国・ロシア・東欧
フォックスコン・テクノロジー・グループが運営する世界最大級のiPhone工場がある鄭州空港経済総合実験区では、7日間のロックダウンが現地時間9日正午(日本時間午後1時)に終わる予定。ただ、地元政府は現地の感染状況次第で不要不急の物資や人の流れを抑制する措置を延長する可能性がある。
「iPhoneシティー」とも呼ばれる鄭州市の7日の新規感染は733人と、前日の297人から2倍余りとなった。
直近の感染者数は半年ぶりの高水準に達した。約3億人が都市封鎖や移動制限の対象とみられ、経済への被害は甚大だ。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
中国の国産旅客機「C919」が近く就航する。開発した中国商用飛機(COMAC)は8日開幕した中国国際航空宇宙博覧会(珠海エアショー)でデモフライトを披露。年内に航空大手の中国東方航空に機体を納入する見通しだ。旅客機市場で最も需要が多い機種の開発完了は同国航空機産業の大きな節目となる一方、部品の4割は海外に依存するなど課題は残る。
●その他産業
楽天Gの円建て社債のほとんどがここ数週間で下げ幅を拡大。ブルームバーグのデータによると、2031年償還の社債は10月の月間下落幅が3円超と、昨年の起債以来最大となった。ドル建てやユーロ建ての社債も価格が過去最低の水準付近で推移している。
赤字が続くモバイル事業の立て直しに向けた大規模な資金調達が可能かどうかを見極める上で、11日に発表が予定されている楽天Gの決算が注目される。S&Pグローバル・レーティングは同社を格下げ方向の「クレジット・ウオッチ」に指定しており、現在の投機的水準「BB+」から引き下げられるリスクがある。
楽天G債下落の背景には、モバイル事業向けの資金調達のために中核事業の一部に影響が及んでいるとの懸念がある。同社は証券事業や銀行子会社の株式新規上場(IPO)を計画している。野村証券の星千鶴クレジットアナリストは「まとまった非負債性資金を調達する機会はその2件になる」とし、計画通りに進まなかった場合、ほかの方法を探すことになるため時間がかかるだろうと指摘した。
S&Pは楽天Gの非金融事業の財務改善に向けた非負債性資金の調達動向を注視。今後1、2年のモバイル事業の業績見通し、非負債性資金の調達の進捗(しんちょく)と実施額、財務基盤の見通しを精査した上で、年内をめどにクレジット・ウオッチの解除を予定している。
クレジット・デフォルト・ スワップ(CDS)市場で、楽天Gの社債保証コストは過去最高を記録。10月初めからは104ベーシスポイント(bp)上昇した。一方、マークイットiTraxxジャパンCDSインデックスは同期間に18bp下落している。
好調な業績を背景に、東南アジアの大手銀行の時価総額が拡大している。シンガポールのDBSグループ・ホールディングスやインドネシアのバンク・セントラル・アジア(BCA)の米ドル換算の時価総額は、三菱UFJフィナンシャル・グループに並ぶまでになった。投資家の将来の成長期待を織り込む時価総額の地殻変動は、日本を含むアジアの銀行や金融都市の勢力変化を映している。
米マイクロソフトによる米ゲーム大手のアクティビジョン・ブリザードの買収計画について、競争法(独占禁止法)に基づく本格調査に入ると発表した。家庭用のゲーム機市場などで競争が低下する可能性があると懸念している。
香港や台湾を含むグレーターチャイナ(中華圏)事業を中国のEコマース(電子商取引)大手、宝尊電商に最大5000万ドル(約73億円)で売却すると発表した。現地での「GAP」ブランド商品の販売は宝尊がライセンス契約を通して続ける。2023年前半の手続き完了を見込む。
●決算関連
2022年7〜9月期決算は売上高が前年同期比9%増の201億5000万ドル、純利益は同2%増の1億6200万ドル。
ディズニー+の会員数は9月末時点で1億6420万人だった。6月末と比べて1210万人増えたが、インフレや作品の増加、参入地域の拡大に伴い、製作コストやマーケティング費用、技術基盤への投資がかさんだ結果、営業損失は7~9月期に14億7400万ドルに達し、前年同期の6億3000万ドルと比べて2.3倍に拡大した。
動画配信の赤字について、CEOは「赤字の幅は今後縮小し、24年度に黒字化する」と強調した。会費の値上げや米国で12月に始める広告付きプランが収益性の改善に貢献するという。
テーマパーク・物販部門の売上高が前年同期比36%増の74億2500万ドルだった。レジャーへの意欲が旺盛で来園者数が増えたほか、アトラクションに早く乗るための追加チケットの販売などを通じて1人あたりの消費額も増えた。同部門の営業利益は2.4倍の15億1400万ドルだった。
●マクロ・その他
不動産サービス大手シービーアールイー(CBRE、東京・千代田)がまとめた2022年7~9月の大型物流施設の平均賃料は、首都圏で3.3平方メートル(1坪)当たり4550円だった。前期(4~6月)から30円(0.7%)上昇し、2008年の賃料調査の開始以降で最高だった。電子商取引(EC)事業者や物流会社などからの需要が堅調ななか、賃料水準の高いエリアでの竣工が多かったことが寄与した。
市場の関心が10日発表の10月分の米消費者物価指数(CPI)に向かっている。事前予想では総合指数の前年同月比は8.0%上昇と9月の8.2%から鈍ると見込む。米連邦準備理事会(FRB)は12月に利上げ幅の縮小も議論する見通し。米株式相場は利上げ鈍化の期待を支えにやや持ち直しただけに、物価が想定外に上振れすれば投資家心理に水を差す可能性もある。
ポリティコとのインタビューで、QTのプロセスは「十分な慎重さをもって導入する必要がある」とし、「個人的には、満期償還金を全額再投資するのをやめる受動的なQTから開始するのがいいと思う」と語った。
金利については、不確実性が極めて高い時期にはデータ次第とするのが最良のアプローチだと述べ、金利のピークは「入ってくるデータとインフレの展開、経済状況、需要、エネルギー価格に左右される」と説明した。
短期金融市場の情報を専門とするクレーン・データによると、ポンド建て短期金融市場に先月流入したとみられる資金は600億ポンド(約10兆円)に上る。9月は20億ポンドに過ぎず、ユーロ建てやドル建ての短期金融市場に流入した額と比べても「目玉が飛び出るほど多い」額だと、同社創業者のピート・クレーン氏は指摘した。
この新たな資金の出所について、内訳を正確に突き止めることはできない。だがフィッチ・レーティングスなどのアナリストは、9月の債券市場急落で年金負債対応投資(LDI)戦略が苦境に陥り、現金のバッファーを積もうと急いだ英国の年金基金が大半を占めるとみている。
現金同等資産と見なされるMMFに需要が大きく上積みされ、主要な短期証券の品不足は悪化。同等のスワップに対してはるかに割高となり、先週のレポ市場では歴史的なゆがみが生じた。英中銀の金融引き締めを損ねる恐れもあり、ディーラーや金融当局を悩ませる問題となった。
●市況
日経先物(大証)27910、ダウ先33174、債先148.<2、米4.128、独2.2750、仏2.790、西3.312、伊4.379、波7.775、原油89.05、ドル円145.34、墨ペソ19.54、トルコリラ18.5443、墨CDS158
※11/9 8時40分頃

備忘録(11/7
●中国・ロシア・東欧
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
10月27日に発表した2022年7~9月期の決算が市場予想を上回り、12月期通期の売上高も約260億㌦(約3兆8000億円)と従来予想から5%引き上げた。主力のがんやエイズウイルス(HIV)薬が好調で、中長期の成長を期待した買いが続いている。
診療クリニックを運営する傘下のビレッジ・プラクティス・マネジメントが同業のサミット・ヘルスーシティMDを買収すると発表した。負債を含めた買収総額は89億ドル(約1兆3000億円)規模。ウォルグリーンは買収により、薬局の店舗内などで提供してきた診療事業の規模を広げる。
非上場のサミットは米東海岸を中心に、緊急診療所「シティMD」を370カ所運営する。サミットには米投資会社のウォーバーグ・ピンカスが出資する。ウォルグリーンはビレッジにサミットの買収費用として35億ドルを出資する。2023年1~3月期末までの手続き完了を見込む。
ウォルグリーンはサミットと経営統合した後のビレッジ株式の53%を保有する。米保険大手シグナも少数株主として資本参加を予定する。ウォルグリーンは今回の買収を受けて、25年8月通期のヘルスケア事業の米国内売上高の目標を従来の110億~120億ドルから145~160億ドルに引き上げた。
足元では、患者が使いやすい医療サービスの需要を見込んだ事業買収が活発になっている。ウォルグリーンと競業する米薬局大手のCVSヘルスは9月、80億ドルで在宅医療サービスの米シグニファイ・ヘルスの買収を発表。7月には米アマゾン・ドット・コムが約39億ドルでサブスクリプション(継続課金)型の診療サービスの米ワン・メディカルを買収するなど異業種からの参入も進む。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
連邦議会下院は野党・共和党が多数派を奪還する勢いを維持している。混戦が続く上院選は激戦州が7州から8州に増えた。最終盤で与党・民主党が優位の州が減り、共和が徐々に伸長している。
米政治サイト、リアル・クリア・ポリティクス(RCP)の6日時点の分析によると、上院(定数100)の予想は非改選議席を含め民主が44議席、共和が48議席で、残り8議席が接戦だ。10月下旬まで民主が46議席、共和が47議席だった議席予想の変化は最終盤になって民主が劣勢に立たされ、共和が優位に展開している選挙戦を映す。
上院選で激しく競っていた南部ノースカロライナ州で共和候補が10月25日に優勢になった。民主が一貫してリードしてきた西部ワシントン州の予想を10月30日に、同コロラド州を今月4日にそれぞれ「拮抗」に改めた。過去の大統領選で民主の勝利が目立つ「青い州」で共和の追い上げが鮮明になった。
選挙分析に定評のある「クック・ポリティカル・リポート」は4日、選挙を受けた上院の議席構成について、民主は最多で現状維持、最少で47議席になるとの見通しを示した。
RCPによると、下院(定数435)は共和が227議席と過半数を獲得する公算が大きい。民主は174議席で、残り34議席を争っている。
課題への対処でどちらの政党が信頼できるかについては、経済は52%が共和、38%が民主、インフレは50%が共和、38%が民主だった。歴史的なインフレの高止まりがバイデン政権への逆風になっている現状を裏付けた。半面、中絶問題への対処では50%が民主を信頼していると回答、共和は37%だった。
10月の自動車生産台数は27万8506台と前年同月比で8%増えた。6カ月連続で前年同月の水準を上回った。新型コロナウイルスや世界的な半導体不足の影響が解消しつつあるが、メキシコの通常の生産規模までは回復していない。
2022年7~9月期決算では、マイクロソフトやマクドナルドといったグローバル企業で海外収益が目減りした。インフレ下でのコスト増も収益を圧迫し、米主要企業の純利益は前年同期比2.7%増と、伸び率が約2年ぶりの低水準となりそうだ。
リセッション回避に向けた動きとしては、経済活動の減速、名目賃金の伸び鈍化、インフレ緩和、労働市場のバランス改善が含まれる。
ハッチウス氏はリポートで、「潜在成長率は下回るもののプラスを維持した成長への移行は既に見られており、その状態は長続きするように見受けられる」と記した。
米国はリセッションを回避できるかもしれないとみるゴールドマンだが、ユーロ圏と英国については景気後退を免れないとの見方だ。
ハッチウス氏は、ユーロ圏では10-12月(第4四半期)にリセッションが始まると予想したほか、英国では既に7-9月(第3四半期)に景気後退に陥った可能性が高いと指摘した。
ゲオルギエワ氏は国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が開かれているエジプト東部シャルムエルシェイクでブルームバーグテレビジョンに対し、「データを入手する前に判断を急ぐつもりはないが、ピークに達しつつある可能性は非常に高い」と語った。
「インフレ率を2%前後という望ましい水準に戻すのは一段と困難になるだろう」とも述べ、消費者物価の上昇率を許容可能なペースへと引き下げることに各国・地域当局は苦慮するとの見通しを明らかにした。
ブリュッセルでのユーロ圏財務相会合(ユーログループ)に先立ちジェンティローニ氏は7日、記者団に対し、「前四半期は何とかプラス成長を遂げた」と述べつつ、「景気減速が続いていることは当然承知している。少なくとも冬の数カ月間は縮小に陥る」と続けた。
ドムブロフスキス上級副委員長(通商担当)は近く公表されるEUの秋季経済予測について問われ、「景気の一段の軟化が示唆」され、高水準のインフレが確認されるだろうと記者団に答えた。
ただ同氏は、エネルギー価格はピークに達し、価格引き下げのための的を絞った措置が講じられる中で、インフレは今後減速が続くだろうとの見方を示した。
英国の年金基金業界が金融市場にもたらした混乱を受け、負債が危険な水準に積み上がるのを防止するため世界的に規制強化が必要になる可能性があると、イングランド銀行(英中央銀行)の金融安定戦略・リスク担当エグゼクティブディレクター、サラ・ブリーデン氏が指摘した。
●市況
日経先物(大証)27662、ダウ先32817、債先148.39、米4.230、独2.3385、仏2.862、西3.381、伊4.483、波7.925、原油91.97、ドル円146.70、墨ペソ19.49、トルコリラ18.4871、墨CDS163
※11/8 8時40分頃

備忘録(11/4-6
●中国・ロシア・東欧
中国での新型コロナウイルス感染拡大は深刻度を増しており、ゼロコロナ政策堅持の方針は揺るがないと国家衛生健康委員会の当局者が発言した。複数の生産拠点を規制下に置くロックダウン(都市封鎖)長期化を招いた政策緩和への期待をくじくものだ。
国家衛生健康委・疾病予防管理局の胡翔氏は5日の記者会見で、「われわれの予防・管理計画と一連の戦略手段が完全に正しいことがこれまでの実践で証明された。それらの政策は最も効率的かつ効果的でもある」と語った。
●中東
同国が2022年に「財政黒字に転換する見通しだ」と明らかにした。財政黒字になれば、9年ぶり。原油価格の高騰が直接の要因だが、経済改革で原油価格に左右されない収入を国家予算の3割程度まで増やしたという。23年以降の安定した黒字の継続に自信を示した。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
認知症患者の神経細胞を活性化させる新薬で、「10年程度かけて実用化を目指す」としている。
●その他産業
●決算関連
2022年7~9月期決算は、売上高が44億8800万シンガポールドルと、前年同期の3倍近くに伸びた。旅客数も630万人と14倍に増え、座席稼働率も87%と高水準だった。燃料費の上昇でコストが増えたが売り上げの伸びで吸収し、営業利益は6億7800万シンガポールドルと過去最高を更新した。
同社はコロナ禍の資金不足を避けるために、20年に35億シンガポールドルの10年物転換社債型新株予約権付社債を発行した。収益の回復を受けて、12月8日に償還する。まだ21年に発行した社債が残るが、一部を繰り上げ償還することで財務を改善させる。
日本や台湾、香港などでコロナの入国制限が緩和されており、年末から23年1月下旬の旧正月にかけて事前予約は好調という。ただ、燃料費の高騰やインフレ、世界的な景気減速などが、旅客・貨物需要に悪影響を与える恐れがあると懸念している。
バークシャーが9月末で保有する株式の時価評価は3061億ドルと、6月末時点に比べて214億ドル減少した。コカ・コーラ株が28億ドル、バンク・オブ・アメリカ株は10億ドルそれぞれ減少した。一方、保有株全体の4割を占めるアップル株の評価額は14億ドル増えた。
販売価格の引き上げ効果が760億円、棚卸し資産評価益が230億円のそれぞれ増益要因となったが、円安影響が500億円、エネルギー価格上昇などが723億円のそれぞれ減益要因となり補えなかった。
在庫評価益はJFEスチール単体で230億円の増益要因だったのに対し、日鉄の製鉄事業はグループ会社込みで1100億円の増益要因だった。両社で算定する項目が異なるため単純比較しにくいが、立花証券の入沢健アナリストは「原料を使うタイミングで差が出ている可能性がある」と指摘する。
海運大手3社は2023年3月期通期の業績見通しを上方修正した。2期連続で連結純利益1兆円超えを見込む日本郵船をはじめ、全社が最高益の見通しだ。上期(4~9月期)のコンテナ船事業の利益が予想を上回り、円安も大幅な増益要因となる。ただ、下期(22年10月~23年3月期)は利益が急激に縮小する見通しで、先行きの不透明感が強まっている。
ただ、下期は商船三井の純利益が前年同期比57%減る見通しなど厳しい。同社と川崎汽船はコンテナ船事業の経常利益見通しを下方修正した。日本郵船は280億円の上方修正としたが、円安による押し上げ効果が大きい。想定為替レートを1ドル=143円と従来予想(128円)から大幅に引き上げた。
本来は長期契約よりスポット運賃のほうが高いが、現在は逆転している。「急落したスポット運賃との差が広がり、荷主からはスポット運賃で輸送してほしいというプレッシャーも高まる」(拓殖大の松田琢磨教授)といった見方もあり、不透明感は残る。
もっとも、ここ数年の好業績で各社の財務体質は大幅に改善し、不採算船の処理といった構造改革も進んだ。コンテナ船事業の利益が縮小しても新型コロナ前のような赤字体質に戻ることはなさそうだ。
●マクロ・その他
2022年1~6月は前年同期比約3割減った。世界的なインフレで金利が上昇し、発行しにくくなっている。外貨不足に陥り、エジプトなど国際通貨基金(IMF)の支援を求める国が増えている。
エジプトは10月、IMFと30億ドルの金融支援で合意した。食糧や燃料の高騰でインフレや外貨流出が続いている。外貨建て債の発行残高は570億ドルと、5年間で7倍近くに増やし重要な調達手段としてきた。今年1~6月は前年同期の15%しか発行できていない。
トルコは4~6月まで3四半期連続で償還超過が続いた。エネルギーを輸入に頼り外資流入が欠かせず「銀行は年末にかけ、(欧州銀などと)協調融資を探る」(現地大手証券)とみられている。ケニアは金利上昇を背景に6月、1400億円の発行を見送った。制裁下のロシアも発行できなくなっている。
民間では中国の落ち込みが大きい。中国恒大集団の債務不履行(デフォルト)以降、企業の海外での債券発行が難しくなっている。金融情報会社リフィニティブによると、1~6月の不動産会社の外貨建て債の発行額は前年同期比ほぼ半減した。SMBC日興証券の平山広太チーフ新興国エコノミストは「不動産企業の破綻がみられる中、投資家は高い利回りを要求している」と指摘する。
新興国は2010年以降、外貨建て債の発行を増やしてきた。残高は4.7兆ドルと09年末に比べ3.6倍に拡大。ところがインフレで金利が上昇し発行しにくくなっている。米大手運用会社ヌビーンのポートフォリオ・マネジャー、アヌパム・ダマニ氏は「金利のピークが見えず、先行きが不透明だ」と指摘する。
国際金融協会(IIF)は「債券市場で調達できなくなった国が増えており来年には資金不足に陥りかねない」とみる。債務不履行やIMFの支援拡大が金融市場の火種になる可能性がある。
米国債については2021年10月ごろから22年4月末にかけて市場の厚みが失われたと分析した。経済の先行きや金融政策の動向についての不透明さが、金利の変動率を上昇させたためだという。特に償還までの期間が短い国債は、金融市場が混乱した新型コロナウイルス禍の初期に近い水準まで取引が細っている。株式のほか原油、小麦などの商品市場でも売買が減っており、それぞれ価格が急変動しやすくなっている。
8月下旬から10月中旬にかけて市場関係者や調査機関などの専門家26人に12~18カ月先の重大リスクを聞いた調査では「市場の流動性のひずみ、変動率」が3位に浮上した。これは首位の「高インフレや金融引き締めの長期化」、2位の「ロシアによるウクライナ侵攻」と異なり、春に実施した前回調査では出てこなかったリスクだ。
FSRは米国に影響を及ぼしうる海外発のリスクとして英国で9月下旬に起きたような金融混乱を挙げた。ドル建ての債務を抱える新興国がドル高の進行で「ストレスを増大させている可能性がある」と言及した。グローバルに展開する海外の金融機関は十分な資本を蓄積しているものの「市場からの深刻な圧力を受けた場合は、ドルの調達市場への緊張を通じて米国の金融安定に重大な波及をもたらす可能性がある」と懸念を示した。
同日声明を出したブレイナード副議長は 「世界的な金融政策の急速な引き締め、物価上昇、戦争に伴う高い不確実性がある」と強調。金融市場で流動性が低下したり、レバレッジ(てこ)をかけた取引でショックが起きたりした場合に「脆弱性が増幅されるリスクが高まっている」と警戒を呼びかけた。
10月は比較的幅広い業種で雇用が増加。特に医療やプロフェッショナル・ビジネスサービス、製造業などで伸びが目立った。
平均時給は前月比0.4%増と、前月(0.3%増)から伸びが加速。市場予想は0.3%増だった。前年同月比では4.7%増加した。
今回の雇用統計は、速いペースでの利上げや景気見通し悪化にもかかわらず労働者に対する需要が引き続き強いことを示唆している。レイオフは増えつつあるものの歴史的に見ればなお低水準で、極めて高水準の求人件数を背景とした人材獲得競争が賃金を押し上げている。
こうした状況は、経済のエンジンである個人消費を支える上でプラスに働く一方、インフレ沈静化を目指す金融当局の取り組みを一層困難にさせ、この先何カ月にもわたり断固とした引き締めを継続することが示唆される。
ただ雇用の増加ペースは鈍化しつつある。10月の雇用者数の増加幅は市場予想を上回ったものの、伸びは前月比減少となった2020年12月以降で最小だった。今後を見通すと、1980年代以降で最も積極的な金融当局の引き締め策が雇用に重しとなりそうだ。パウエル議長は労働市場への悪影響について、明白な失業増加ではなく、主に求人件数の減少という形で表れることへの期待を表明している。
●市況
日経先物(大証)27493、ダウ先32428、債先148.39、米4.163、独2.2875、仏2.817、西3.398、伊4.445、波8.170、原油92.60、ドル円148.65、墨ペソ19.53、トルコリラ18.5699、墨CDS163
※11/4 NY引け値

備忘録(11/2-3
●中国・ロシア・東欧
●中東
国主要メディアは右派リクードを率いるネタニヤフ元首相の支持派が議席の過半数を得る勢いだと報じた。仮に同氏が首相に返り咲けば対パレスチナ政策は強硬になり、バイデン米政権との関係が悪化する可能性もある。
焦点は前回の総選挙を受けた2021年6月の8党連立政権の発足で下野したネタニヤフ氏が首相に復帰するかどうかだ。ネタニヤフ氏は1948年のイスラエル建国以来、最長の首相在任期間を誇る。だが、2019年には在任中の収賄や背任などの罪で、同国の現職首相として初めて起訴された。同氏は起訴事実を否定している。
イスラエルの有力紙ハーレツによると、開票率84%の時点で、リクードの予想獲得議席は31で、21年3月の前回総選挙(30議席)から伸ばし、解散前と同様に第1党を維持する見込みだ。ネタニヤフ氏を支持する右派や宗教(ユダヤ教)政党と合わせれば65議席に達し、過半数を握るとの観測が強まっている。
ネタニヤフ氏の支持グループが躍進する背景には、同氏に近い極右の宗教政党「宗教シオニズム」の伸長がある。議席は14前後に増え、第3党に浮上すると予想されている。同党の人気をけん引するイタマル・ベングビール議員はイスラエルからのパレスチナ人追放など極右の心情に直接訴えるスローガンを連発した。
ネタニヤフ氏は選挙戦を通じ、イスラエルと敵対するパレスチナのイスラム過激派に強い姿勢で臨むべきだと主張した。首相に指名された場合、ベングビール氏を入閣させる構えで、隣接するパレスチナ自治政府との緊張も高まるのは間違いない。
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
医療用麻薬「オピオイド」乱用問題をめぐり、米薬局大手のCVSヘルスとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは2日、複数の州や自治体を原告とする集団訴訟で和解案に基本合意したと発表した。薬物中毒まん延を引き起こしたオピオイド系鎮痛剤の大量流通を巡り、処方薬の管理責任が問われていた。
両社を合わせた和解金の支払額は約100億ドル(約1兆5000億円)。合意が成立すれば、薬局各社が多数抱えるオピオイド関連の集団訴訟で、解決に向け大きな進展となる。
具体的には、CVSは10年間、ウォルグリーンは15年間かけて原告の州や自治体や先住民族にそれぞれ合計で約50億ドルを支払う。両社とも過失は認めない。和解が最終的に成立するには、原告側の合意が必要となる。和解金は、各受け取り自治体を通して中毒者や遺族の支援活動などに使われる見通し。
ロイター通信は同日、関係者の話として、薬局事業で業界大手の米ウォルマートも31億ドルの和解金支払いに合意したと報じた。ウォルマート広報担当者は問い合わせに対し「ノーコメント」と返答した。
製造品質問題などに見舞われていた米航空機大手ボーイングが「復活」をアピールしている。同社は2日、投資家向け説明会を開催し、納入を一時停止していた中型機「787」について2023年に70~80機を納入する計画を公表した。世界的に航空機市場が回復するなか、増産を急ぐ。
●その他産業
今後数カ月にわたって人材採用を凍結すると発表した。小売事業ではすでに採用活動を止めており、広告やクラウドコンピューティング事業にも拡大する。金融引き締めに伴う景気後退への警戒が強まるなかで、人件費を抑えるための雇用調整が広がっている。
アジア太平洋地域で余剰と見なされる人員の一覧を作成した。中国関連ビジネスに力を入れているチームの人員が大半だと、ロイターは関係者2人を引用して伝えた。一部は香港と中国本土の資本市場チームで削減されるという。
●決算関連
2022年7~9月期決算は、純利益が前年同期比6%増の5億4100万ドル(約800億円)だった。主力のパソコン販売が落ち込むなか、教育や小売りなど向けのソリューション・サービスやサーバー販売の高い成長が利益を押し上げた。
7-9月(第3四半期)決算では、ライバルの欧州銀と同様に金利上昇の追い風を受け、融資事業の利益が伸びた。債券トレーディングも好調でアナリスト予想を上回る業績を記録した。
純受取利息は前年同期比9.6%増。債券トレーディング収入は25%増と、ウォール街の大手金融機関の平均を上回る伸び。ジャンローラン・ボナフェ最高経営責任者(CEO)が近年重視する株式トレーディングはライバルの不振をよそに持ちこたえた。
貸倒引当金の増加やディールメーキングの鈍化、レバレッジドローンの評価減が利益の重しとなったものの、BNPの純利益は10%増加し27億6000万ユーロ(約4000億円)に上った。市場予想は小幅減益だった。
スマートフォン用半導体メーカー最大手、米クアルコムは2日、10-12月(第1四半期)売上高が市場予想を大きく下回る見通しを示した。景気減速と中国での新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)を理由に挙げた。これを受け、同日の時間外取引で同社株価は下落した。
同社の見通しは消費者向けデバイス市場が懸念された以上に浸食されつつあることを示している。同社株価は時間外取引で一時8.4%安となった。スマートフォン需要の低迷懸念から年初来では38%下げている。同社は投資家向けのプレゼンテーションで「マクロ経済環境の一段の悪化と中国での新型コロナ対応の制限措置の継続が広範な層と地域における需要の軟化につながった」と説明した。
クアルコムは3カ月前、スマホの出荷予想を引き下げたが、見通しは現時点でさらに暗くなっている。スマホ市場の縮小が見込まれるほか、過剰な在庫が引き続き10-12月の受注に重しとなると見込まれるためだ。
ただ同社には一つの明るい材料がある。同社はアップルが来年、5Gモデムチップをクアルコム製から自社開発製品に置き換えると予想していたが、もはやそれが来年実現する見通しはなくなった。
ショッピングなどのeコマース取扱高は同四半期に1兆262億円と前年同期比14%増加。新型コロナ禍からの経済活動の再開で、トラベル事業が好調に推移した。ヤフーとLINEの広告などメディア事業、決済アプリのペイペイなどフィンテックを含む戦略事業も増収だった。
2022年7~9月期決算は、純利益が前年同期比50%減の8億7830万ドル(約1300億円)だった。主力の米国事業は好調だったが、賃上げや店舗改装の費用がかさんだほか、インフレ下のコスト高が響いた。
売上高は3%増の84億1400万ドルで、市場予想を上回った。ドリンクの値上げに加え、会員制度の拡充や自動化店舗の開発などで米国内の売り上げが伸びた。
既存店売上高は7%増えた。米国が11%増え、来店客数、平均消費額ともに伸びた。ラテやフラペチーノといった定番商品の値上げを北米中心に実施。パンプキン・スパイス・ラテなどの人気商品や、シロップ・ソース追加など利益率の高いカスタマイズ注文の増加も貢献した。
海外の既存店売上高は5%減った。新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)の余波で、中国は16%減った。ただ中国の既存店売上高は4~6月期の44%減からマイナス幅が縮小した。
23年9月期通期については、為替によるマイナスの影響を3%程度見込んだ上で、売上高の伸び率が10~12%に達するとの見通しを明らかにした。既存店売上高の伸びは従来予想の7~9%の範囲の上限を見込む。一方、店舗改革の費用を計上するため、調整後1株当たり利益の伸び率は従来予想の15~20%の下限になる見通しだ。
米ホテル大手3社の2022年7~9月期決算は、売上高が軒並み前年同期比3割以上の増収だった。3社を合わせた売上高は92億2200万ドル(約1兆3600億円)で、新型コロナウイルス流行前の19年7~9月期の売上高水準を上回った。米消費者の旺盛な旅行意欲を背景に、夏休みシーズンの宿泊需要が拡大。好調な米国内に加え、ドル高で割安感がある欧州地域などへの海外旅行者が急増したことも寄与。
米国などで8月下旬から従来型とオミクロン型に対応する「2価ワクチン」が緊急使用許可を得た。だが主要市場の米国では、従来ワクチンの接種から期間を空ける必要があるうえ、コロナ感染への警戒の緩みも影響して思うように利用が進んでいない。
生産問題も生じた。米国ではオミクロン派生型の「BA.4」と「BA.5」向けワクチン、日本や欧州連合(EU)では「BA.1」対応ワクチンの需要が高まったが、同時生産が難航した。ステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は同日のアナリスト向け説明会で「教訓はたくさんあった。23年の体制強化に向けてしっかり修正していく」と述べた。
●マクロ・その他
ノルウェー銀行(中央銀行)は3日、政策金利を0.25%引き上げて2.5%にすると発表した。利上げ幅は前回9月の0.5%から縮小した。声明文では次回12月の追加利上げを予告しつつも、国内景気が「冷え込む兆しがある」と警戒を示した。インフレの抑制だけでなく景気の安定にも配慮したもようだ。
声明文では「(高騰していた)エネルギー価格が予想を下回る見通しで今後のインフレを抑制する可能性がある」とも指摘。利上げによる金融引き締めの効果が出始めているとして、今後は急激な利上げを避ける可能性も示唆した。
2日に追加利上げを決めた米連邦準備理事会(FRB)に追随し、さらなる自国の通貨安を防ぐ。
「インフレは7~9月期にピークを迎えたようだ」とも述べ、今後利上げペースが鈍る可能性がある。経済が下振れするリスク要因として、世界経済の減速や地政学リスクの増大などを挙げた。
米中間選挙を直前に控え、税制を巡る与野党の対立が際立っている。大企業や富裕層への増税を目指してきた与党の民主党に対し、共和党からは減税を求める声が相次ぐ。妥協点は見いだしにくく米議会の与党優位が崩れた場合、バイデン政権は手詰まりに陥りかねない。高インフレ下の景気減速という難しい経済環境で税財政のかじ取りを封じられ、景気低迷が長引く懸念もある。
パウエル議長は2日の記者会見でインフレ抑制への強い意志を改めて示した。政策金利は2023年前半の5%超えが視野に入る。約40年ぶりの速度で進む金融引き締めが経済にもたらす負荷への警戒が強まっている。景気後退に陥る兆しが世界の8割の国々に広がっている。
過去2回の記者会見で述べたように、ある時点では、物価上昇率を2%目標に下げるために十分に引き締まった金利水準に近づけば、利上げペースを減速させることが適切になるだろう。その金利水準は極めて不透明だ。まだ道半ばであり、前回の会合以降に入ってきたデータをみれば、最終的な金利水準は以前の予想より高いことを示唆している。
――12月の次回会合までにインフレ指標が改善すれば利上げペースを緩める可能性があるか。
「インフレが着実に低下する状況を見たいが、それが利上げペースを緩めるための適切な条件とは考えていない。2%目標まで下げるために十分な引き締め水準をどう判断するかは、実体経済やインフレへの影響を評価し、関連するあらゆるデータを考慮する。時間差も考慮に入れる。イールドカーブ(利回り曲線)や実質金利など、金融市場の状況も見ていく」
「我々の実施する引き締めプログラムは利上げペース、利上げ幅、どの程度引き締めた水準に留め置くかという3つの柱から成り立つ。我々は歴史的に速いペースで利上げをし、それは適切だった。まず継続的な利上げが適切であり、どこまでやるかは改めて伝える。労働市場や消費者物価指数(CPI)の状況を踏まえると、9月の会合で示した到達点よりも高い水準まで利上げする可能性を示唆する。その水準は不透明だが、いずれ明らかになるだろう」
「利上げペースの減速が適切となる時期はいつか来る。早ければ次の会合、もしくはその次かもしれない。次回の会合で議論はするだろう。物価上昇率がFF金利をはるかに上回っていることを踏まえれば、現在の金利水準が引き締め気味とは言えない。引き締めペースが速すぎたとも思っていない。今後も引き締めの必要があるとみている」
――これ以上利上げの必要はないと考える金利水準とは。
「実質金利がプラスになる水準まで政策金利を引き上げたいが、それだけが利上げの目安ではない。イールドカーブ全体を見る必要がある。政策金利に沿ってお金を借りる人はほとんどいない。家計や企業にとって、クレジットスプレッド(基準金利に対する上乗せ幅)が拡大しているため、借入金利は大幅に上がっている。こうした点で金融情勢はかなり引き締まっており、私は重要な点とみている」
チャレンジャーは「10~12月期は企業が予算などを確定する時期のため、人員削減が増える傾向にある」と分析する。また景気後退への懸念や米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げの継続を受け、23年にかけてより人員削減が増えるとみている。
業種別にみると、最も人員削減が多かったのはIT企業で9587人だった。22年に入ってからの削減数はすでに2万8207人にのぼり、前年の1~10月までと比べ約2.6倍に膨らんだ。
ベイリー総裁は記者会見で「インフレ抑制に必要な政策金利の引き上げは、市場が考えるよりも小さい」との見方を示した。金融引き締めによる景気後退の長期化を懸念するためだ。あわせて発表した四半期ごとの金融政策報告書では、2024年の英国内総生産(GDP)の見通しを前年比1%減と、前回8月の0.25%減から下方修正した。
CPIの上昇率は今後2年間のうちに目標とする2%を割り込む水準まで下がり、25年には0%まで落ち着くとの見通しも出した。政府による光熱費を抑えるエネルギー高騰対策は23年5月以降に見直されるが、何らかの財政支出は継続されるとみて物価引き下げに寄与すると予測する。
過去10年の平均伸び率4.9%は上回るが、前年の13.5%からは大きく減速する。消費者がインフレ下で必需品以外への支出を削るなか、物価上昇率を差し引いた実質売上高の減少を指摘する声もある。
ベイン・アンド・カンパニーは年末商戦の売上高をめぐり、前年からの伸び率は7.5%、インフレ調整後の伸び率は1~3%と予想する。一方、アリックスパートナーズは4~7%の伸びを予測し、インフレ調整後は減少になるとみる。
前月から2.3ポイント低下し、54.4になった。2カ月連続の悪化で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が色濃かった2020年5月以来、2年5カ月ぶりの低水準を記録した。高インフレの継続や急速な金融引き締めでサービス需要が冷え込みつつある現状を映した。
新規受注の落ち込みなどでサービス業の活動は緩やかに減速している。
サプライヤーの納期に関する指数は56.2と前月から2.3ポイント上昇した。この指数は数値が高くなるほど納期の遅れを示す。10月のISM製造業の同指数は低下しており「サプライチェーン(供給網)の改善度合いは非常にばらつきがあることを示唆している」(ジェフリーズのトーマス・サイモンズ氏)。
サービス分野の企業が負担するコストにあたる価格指数は低下傾向にあったが、10月は70.7と2ポイントの上昇に転じた。同指数もISM製造業では低下が続いており、「サービス業のインフレ圧力はなお強い」(PNCフィナンシャル・サービシズ・グループのカート・ランキン氏)との受け止めが広がっている。
●市況
日経先物(大証)27235、ダウ先31966、債先148.64、米4.149、独2.2240、仏2.774、西3.355、伊4.412、波8.316、原油87.97、ドル円148.30、墨ペソ19.67、トルコリラ18.6180、墨CDS162
※11/4 8時25分頃

備忘録(11/1
●中国・ロシア・東欧
香港に上場する中国本土株が1日に急騰した。人民元も買われている。中国当局が新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策からの段階的な脱却に向けて準備を進めつつあるとの観測が広がった。
ゼロコロナ政策からの脱却方法を巡る複数のシナリオを評価する委員会が設置されたとの未確認のソーシャルメディア投稿がオンラインで広まり、午後に入り株高に弾みがついた。特に旅行など経済再開銘柄が買われた。過去にもこうした観測から株価が大きく上げることがあったが、結局は中国がゼロコロナを続けて期待外れに終わった経緯もある。
中国外務省の趙立堅報道官は北京で1日開いた定例記者会見で、政府がゼロコロナの出口に向けた方法を評価する委員会を設置したのかとの問いに対し、「あなたが言ったことについては承知していない」と応じた。
上海冪数資産管理のファンドマネジャー、リウ・シャオドン氏は「条件付きの経済再開に関するうわさがオンラインで広まったことに驚きはない」と説明。「国務院(政府)は次のステップを決めるため専門家チームによる検討を待っている可能性がある。市場もゼロコロナの転換点は近いとみて買いを入れる用意がある」と語った。
新型コロナウイルスが約3年前に最初に検出された中国湖北省の武漢市では現在、外食は不可能に近い状況だ。同国最大の「iPhone」製造工場がある河南省鄭州市からの航空便はほぼ飛んでいない。テクノロジー産業のハブである深圳市では過去数週間にわたって多くの学校で対面授業が停止されている。
これらの都市では上海市で先に導入されたような全面的なロックダウン(都市封鎖)は発表されていない。しかし住民や企業、娯楽施設はあたかもロックダウンが敷かれているかのように行動・運営している。
習近平国家主席の厳格な「ゼロコロナ」政策を社会や経済にあまり影響を与えないよう履行する圧力を受けている地方当局者らは、むしろ水面下で動くようになっている。全面的な命令でパニックを引き起こすのを回避すべく、制限措置について各企業と直接やり取りしたり、市の一部を少しずつ封鎖したりしている。住民には通知すらされず、帰宅後にロックダウン下にあることが分かるという例も一部ではある。
ゼロコロナ政策への反発が勢いを増す中、ひそかにロックダウンを実施する動きが広がっている。習主席は先月、5年に一度の共産党大会での演説でゼロコロナ政策を擁護したが、これをやめる時期や、やめるのかどうかすらも明らかにしなかった。野村の分析によれば、同大会終了以降にゼロコロナ措置は強化された。
●中東
●感染症
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
世界的な医療機器メーカーの米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、同業の米アビオメッドを約173億ドル(約2兆5400億円)で買収すると発表した。心機能を補助する医療機器の分野を強化する。
1日の発表資料によれば、J&Jはアビオメッド株1株につき380ドルを現金で支払う。これはアビオメッド株の10月31日終値を約50%上回り、2021年11月に付けた52週高値に近い水準。アビオメッドの株主はこのほか、一定の目標が達成された場合に最大で1株当たり35ドルの現金を追加で受け取る。
J&Jは来年コンシューマー製品事業のスピンオフ(分離・独立)を計画しており、利益率の高い医薬品・医療機器事業に注力したい考え。アビオメッドでは、人工心臓「インペラ」の販売が売上高の大半を占めている。
●その他産業
フランスの高級ブランド、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの株価が持ち直している。足元の株価は約640ユーロと、6月の年初来安値から2割高い。世界的な金融引き締めに伴う景気減速が同社製品の需要を冷やすとの警戒から売られていたが、7~9月期も売上高が大幅に増えた。高級品消費の底堅さを好感した買いが続いている。
トヨタは28%増の18万7000台となった。SUBARU(スバル)は32%増で、マツダも30%増だった。「半導体不足は一時期に比べれば改善している」(日本車メーカー幹部)。前年同月の2021年10月は東南アジアなどからの半導体の調達難航で車がつくれず、販売が特に落ち込んだ。この反動もあり、大きな伸びとなった。
一方、ホンダは16%減の8万1000台で、引き続き販売が落ち込んだ。一部車種で半導体の調達が難航した。ホンダは多目的スポーツ車(SUV)「パイロット」などをつくる米南部アラバマ州の工場の第二ラインを10月31日から1週間休止している。こちらも半導体不足が原因だ。
部品調達などサプライチェーン(供給網)の状況に違いがみえるのは日本車メーカーだけではない。米ゼネラル・モーターズ(GM)の22年7~9月期決算は半導体などの調達状況が改善して生産が上向き、純利益が前年同期比37%増だった。一方、競合の同フォード・モーターは、供給網の問題などによるコスト増で同62%の営業減益となった。
●決算関連
航空需要の回復に伴い、航空エンジン修理や製鉄機械などが好調だった。円安も寄与した。
2022年7~9月期の決算は、最終損益が21億ドル(約3200億円)の赤字(前年同期は25億ドルの赤字)となった。ガスの先物価格が上昇し、会計上の損失を計上した影響が大きかった。
減損などの影響を除く調整後純利益は81億ドルと、前年同期比で2.5倍となった。売上高は52%増の550億ドルだった。石油の精製や売買は低調だったものの、ガスの売買が伸びた。
同日、25億ドルの自社株買いも発表した。10~12月期の決算発表前に実施する予定だ。バーナード・ルーニー最高経営責任者(CEO)は「変革を進めながら業績を上げ続けることができている。世界がいま必要とする石油やガスを供給しながら、エネルギー転換を加速させる投資も実施する」とコメントした。
7-9月期(第2四半期)営業利益が前年同期比25%減の5628億円だったと発表した。資材高騰の影響などが響き、市場予想を大きく下回った。
トヨタの決算資料によると、第2四半期の資材高騰による営業利益へのマイナス影響は4500億円と、円安傾向が続いた為替変動や原価改善などの増益要因を打ち消した。通期の想定為替レートは1ドル=135円と従来見通しから5円、円安方向に修正した。通期の営業益予想は2兆4000億円と従来の水準に据え置いた。
日系自動車メーカーは歴史的な円安により円換算での海外事業の収益増加や輸出製品の競争力向上といったメリットを受けるが、輸入に頼る原材料やエネルギー価格の高騰といった負の影響に懸念する声もある。また、長期化する半導体不足による生産制約が続いていることに加え、世界的な景気後退懸念もあり、先行きには不透明感が漂う。
トヨタの近健太副社長兼最高財務責任者(CFO)は同日の決算会見で、為替や金利の変動、資材価格の高騰、半導体不足など「どれ1つをとっても大変な変化だが、それが同時に来た大変な半年だった」と振り返った。
急激に進む円安に伴う国内回帰の可能性を聞かれると、近氏は自動車産業では海外進出の際に部品メーカーも進出し、現地で従業員を抱えるなどしているため「短期的な為替の変動によって生産場所をあちこちに動かすことは正直難しい」とした。そのため地域ごとに為替などの短期的な変動に負けないよう、競争力を高めることが重要との見方を示した。
半導体不足などの影響により、トヨタは高級車ブランド「レクサス」を含めた今期の世界生産台数を従来計画の970万台から920万台に引き下げた。また、ダイハツ工業や日野自動車を含めたグループの販売台数も1070万台から1040万台に見直した。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは生産台数の下方修正幅は「ほぼ想定の範囲内」とした上で、為替や資材高の影響のほか原価低減の効果や諸経費などでも保守的な前提が置かれているものとみているとし、「部品不足は続くが、下期後半に挽回生産が加速する可能性があり、最終的には上振れする」と指摘した。
円安は輸入する資材費のコスト増要因にもなっている。トヨタはこれまで資材価格の高騰で通期で1兆7000億円の減益要因になるとしていたが、鉄やアルミの価格下落を反映したことなどにより、同影響を今回1兆6500億円に修正した。
発表によると、上方修正の理由はゲーム分野で減益が見込まれるものの、為替の円安進行が好影響を与えている音楽分野や半導体分野、映画分野の増益が寄与するためだという。
下期の想定為替レートは1ドル=140円前後(従来130円前後)に見直した。1ユーロ=138円前後は据え置いた。
ゲーム分野は通期予想を従来比で300億円下方修正した。自社制作以外のゲームソフトウエア販売が減少するほか、米ドル建て比率が高いことで為替の影響を受けるためだとしている。十時裕樹最高財務責任者(CFO)は会見で、2四半期連続で同分野の業績予想を下方修正したことは「最大の反省点」と述べた。
2022年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前損益)が3億8200万円の黒字(前年同期は1518億円の赤字)と同期間として3年ぶりの黒字となった。政府の入国制限の緩和などで旅客需要が回復し、貨物輸送も好調を維持した。最終損益は21億円の赤字(同1049億円の赤字)だった。
23年3月期の売上高にあたる売上収益を前期比2.1倍の1兆4040億円と、従来予想から140億円引き上げた。国際線の旅客収入が400億円、貨物郵便収入が300億円上振れする。新型コロナウイルスの感染第7波が響いた国内線旅客収入の540億円の下振れを補う。燃油費の高騰でEBITや最終損益の予想は据え置いた。
国際線の旅客数は中国路線の需要低迷の長期化などで従来予想から下振れするが、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上昇や長距離路線の運航規模の拡大などで単価が上昇する。23年1~3月時点の旅客数の想定は、国際線はコロナ前の60%(従来想定は65%)に下方修正し、国内線は95%に据え置いた。
売上高の内訳はライドシェアを含む移動部門が前年同期比73%増の38億2200万ドルと大きく伸びた。一方で消費者の外出機会が増えたことに伴い、「イーツ」の名称で手がける料理宅配などの配達部門の売上高は27億7000万ドルと24%の増加にとどまった。
2022年7~9月期決算は、純利益が前年同期比6%増の86億800万ドル(約1兆2750億円)だった。1株利益(EPS)は1.78ドルと、 アナリスト予想(1.39ドル)を上回った。配送の遅れなどで新型コロナウイルスのワクチンや飲み薬の販売は減ったが、コスト削減で増益を確保した。同日、22年12月期の業績見通しを上方修正した。
7~9月期の売上高は前年同期比6%減の226億3800万ドルだった。全体の5割を占めるコロナ関連製品の販売は欧州など先進国向けの配送時期が先送りされて減ったほか、ドル高が重荷となった。新型コロナワクチンの売上高は66%減の44億ドル、昨年末に承認された飲み薬の「パキロビッドパック」は75億ドルだった。コロナ関連製品を除いた売上高は2%増えた。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は1日のアナリスト向け説明会で「当面は新型コロナ関連の製品が数十億ドル規模の売り上げにつながる。(新製品開発で)予期せぬ課題が出た場合のバッファー(緩衝材)になる」と述べた。インフルエンザと新型コロナの両方に対応できる混合ワクチンの臨床試験(治験)も始めたという。
10ー12月期の売上高は55億ドルの上下3億ドルの範囲を見込む。これはアナリスト予想平均の約59億ドルに届かないものの、AMDの複数のライバルが減収に見舞われる中での増収となる。
サーバーの好調やカスタムチップの旺盛な需要が業績を支えるだろうとAMDは説明した。
リセッション(景気後退)懸念がマクロ経済を圧迫する中で、PE投資会社はバリュエーションの低下や借り入れコストの上昇、資産売却減速の影響を受けている。
●マクロ・その他
政策金利を0.25%引き上げて2.85%にすると決定した。5月から利上げは7会合連続。上げ幅は9月までの4会合で各0.5%だったが、前回10月に0.25%に縮小していた。ただ、中銀のロウ総裁は声明で「さらなる利上げを予測する」とし、金融引き締めを続ける姿勢を示した。
豪州では7~9月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同期比で7.3%と1990年以来の高水準となった。ロウ氏は「理事会の優先事項はインフレ率を(政策目標である)2~3%の範囲内に戻すことだ」と強調した。
インフレ率は年内に8%に達した後、2023年は4.75%、24年は3%になると見込んだ。経済成長率見通しは22年を3%と8月時点(3.25%)から下方修正した。23、24年は1.5%とした。
アジアの通貨が下落し、政府や企業のドル建て債務の負担が重くなるとの懸念が出ている。債務不履行の懸念度合いを示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率は軒並み上昇した。投資家の為替差損への警戒もあり、主要なアジア株式の指数も全世界に比べ下げが鮮明だ。
主要商品の金と銅の値動きから算出する「銅金レシオ」が低下している。景気動向を敏感に反映する銅価格が下がる一方、金の下げは小幅だ。安全資産とされる金は景気の低迷時に買われやすい。投資リスクを回避するマネーの動きを反映しているとされ、米国の急速な利上げを背景に、景気の落ち込みを示唆しているとの見方が広がる。
物価上昇率を抑え込むため、満期到来による償還を待つだけでなく積極的な処分も組み合わせて市場からの資金吸収を急ぐ。財政不安がくすぶるなかで国債の流通量が増えることになり、金利再上昇への警戒感は根強い。金利に続いて量についても金融引き締めをどう進めるか、インフレと財政不安の板挟み状況で難路を歩み出した。
ブラジル大統領選で左派のルラ元大統領が勝利した。2ポイント弱差の大接戦となり、世論は真っ二つに割れた。トップの座に返り咲く77歳の双肩には、外交の見直しや国内の融和、経済再建など多くの課題がのしかかる。6年半ぶりに左派政権が誕生する南米の大国はどこに向かうのか。
中銀は2月に保有証券の満期償還金の再投資をやめたが、これまで積極的な売却はしていなかった。米連邦準備制度と欧州中央銀行(ECB)もQEを実施してきたが、いずれも保有国債の売却はまだ始めていない。
HSBCの英金利戦略責任者、ダニエラ・ラッセル氏は「英中銀は用心深く進めると思う。従って、ここから先の引き締めペースは遅くなり、英国債への追い風になるかもしれない」と話した。
売却の入札を実施するのは市場が冷静で追加の債券を吸収できるという中銀の自信の表れだ。ベイリー総裁は混乱が生じれば売却は中止できるとしており、1日の開始も10月3日から延期されたものだ。数週間前に混乱の中心となった長期債は当面、売却の対象としない。
ネーションワイド・ビルディング・ソサエティーが1日発表した住宅価格によれば、平均価格は前月比0.9%低下の26万8282ポンド(約4560万円)。下落率は2020年6月以来の大きさで、エコノミスト予想の0.3%低下を大きく上回った。
不動産相場が下落に転じたことを示す兆しは増えており、専門家は住宅価格が10%超値下がりする可能性があるとみている。
ネーションワイドのチーフエコノミスト、ロバート・ガードナー氏は「市場金利の急上昇をもたらした英政府の大型減税案発表後の混乱が、不動産市場に影響を及ぼしていることは間違いない」と述べ、「高いインフレで家計が既に圧迫されているところへ、借り入れコストの上昇で住宅購入はさらに厳しいものとなった」と続けた。
ボルソナロ氏の支持者は全国で道路を封鎖するなどして選挙結果に抗議している。ボルソナロ氏はこうした抗議が「選挙プロセスへの憤慨と不公正という感情の結果だ」と支持者に理解を示す一方で、「不法侵入や財産の破壊、通行の妨害をしてはならない」と指摘した。
9月の雇用動態調査(JOLTS)によると非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は1071万7000件だった。22万7000件上方修正された前月から43万7000件増えた。2カ月ぶりの増加だった。求人件数が大きく減った8月から一転し、市場予測(980万件)を大幅に上回った。
9月は宿泊・飲食業の求人件数が前月から21万5000件増えた。医療・福祉は11万5000件、運送・倉庫業は11万1000件それぞれ増えた。
求人件数は2020年4月の約471万件を底に増加基調が続き、22年3月に約1185万件のピークを迎えた。8月には新型コロナウイルスの感染が広がった20年4月以来の求人件数の減少を記録した。9月の求人件数は1000万件台を割り込む予測に反し、1100万件に迫る高水準を維持した。
9月の失業者は575万3000人だった。失業者1人に対して約1.9件の求人がある計算だ。採用数は608万2000件と8月から25万2000件減った。米国の人手不足が続く。
収入減や家賃の高騰を受けて、10月は全米平均で事業主の37%が支払いを滞納した。今後も収入が上向かない場合、事業を取りやめる経営者が増える可能性がある。
企業向けのオンラインネットワークを運営するアライナブル(マサチューセッツ州ボストン)が10月下旬、中小事業主を対象にした調査結果を公表した。レストランや自動車修理工場などを経営する4789人の事業主を対象に家賃の支払いに関して調査したところ、家賃の滞納率は10月に37%と前月から7ポイント上昇した。
家賃の上昇に比べて収入は低迷している。インフレで家賃以外の負担が増えていることも響いた。アライナブルの広報責任者、チャック・キャスト氏は「3割以上の経営者が2023年まで事業を継続するのに十分な収入を得られないことを懸念している」と指摘した。
業種別では塾講師などを含む教育関係が57%と最も高かった。不動産業の滞納率は37%と年初の調査から15ポイント上昇した。住宅ローン金利の急激な上昇で住宅市場が低迷し、不動産業を逼迫した。レストランの家賃滞納率は22年で最高の49%となった。前月から13ポイント上昇し、外食をする人が減ったと嘆く事業主が多かったという。
アライナブルのキャスト氏は「事業主の51%が家賃の高騰に直面し、59%が消費者の支出が前月から減少したと答えた。10月の家賃滞納率は22年に入って最大の伸びを記録した」と指摘する。
10月の米製造業景況感指数は50.2となり、前月から0.7ポイント低下した。2カ月連続の低下となり、経済活動の拡大・縮小の境目である50に迫った。新規受注はさえない状況が続き、需要の弱さを映す結果となった。
項目別の指数で見ると、新規受注は49.2と前月から2.1ポイント上昇したものの、節目の50を2カ月連続で下回った。とりわけ外国向けの新規受注は鈍かった。英キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ハンター氏は「ドル高の影響が米製造業に及んできた」と指摘する。ドル高に伴い現地通貨に換算すると米国製品の割高感が強まった。
受注残の指数は45.3と同5.6ポイント低下し、2020年6月以来2年4カ月ぶりに50を割り込んだ。在庫は52.5と前月比では3.0ポイント低下した。
高インフレの要因となっていたサプライチェーン(供給網)の目詰まりの解消は進んでいる。サプライヤーの納期に関する指数は46.8と前月比5.6ポイント低下。全体の指数押し下げに寄与した。投入価格指数も2年5カ月ぶりに50を下回った。
米パンテオン・マクロエコノミクスのイアン・シェファードソン氏は「サプライチェーンの改善は徐々に消費者物価に波及していく」と説明し、金融市場や米連邦準備理事会(FRB)の想定よりも早期にインフレ圧力が緩和していくとの見通しを示した。
●市況
日経先物(大証)27580、ダウ先32666、債先148.78、米4.048、独2.1295、仏2.661、西3.259、伊4.266、波8.323、原油88.69、ドル円148.16、墨ペソ19.76、トルコリラ18.5947、墨CDS158
※11/2 8時00分頃