備忘録(3/31)
●ウクライナ
ウクライナ政府は31日、ロシア軍が首都キエフの周辺などから部隊を再配置し、東部2州で攻勢をかけるとみて警戒を高めた。特に南東部の港湾都市マリウポリでは、制圧に向けた活動を強めている。ウクライナ側によると4月1日に停戦協議をオンラインで再開する見通しだが、ロシアは軍事的な圧力を緩めようとしていない。
ロシアは要衝であるマリウポリを掌握し交渉を優位に進める狙いとみられるが、長引く無差別攻撃で取り残された住民の人道危機は深まっている。
一方、ウクライナ北部ではロシア軍が一部で後退しているもようだ。同国の原子力企業エネルゴアトムは31日、北部チェルノブイリ原子力発電所を制圧していたロシア軍の大半が退却したと発表した。ベラルーシとの国境方向に向かった。少数はまだ施設内に残っているという。同原発はロシア軍が2月下旬から占拠していた。
ロシアは4月4日償還の国債20億ドル(約2440億円)相当の大部分をルーブルを使い買い戻した。これにより、償還日の国債保有者へのドルでの支払額は大幅に減った。
3月31日のロシア財務省の声明によると、同省が買い戻したのは発行額の72%に当たる14億5000万ドル相当。この結果、引き続き流通する国債は5億5240万ドル相当となった。同省は支払い代行機関であるシティバンクのロンドン支店に通知した。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
バイデン米大統領は3月31日、戦略石油備蓄からの前例のない規模の放出を命じた。議会の中間選挙を今年後半に控え、気候変動対策の推進者として評価が損なわれるリスクを冒してもガソリン価格を押し下げることを優先した。
戦略が奏功すれば、バイデン氏はリセッション(景気後退)と民主党大敗の両方を回避できるかもしれないが、環境団体の反発を招き、自身の掲げる温暖化対策目標から脱線する恐れも伴う。失敗に終わる可能性もあり、そうなれば、中東の産油国から見放されてガソリン価格高騰になすすべもなくなったカーター政権の二の舞となるリスクがある。
気候変動対策で代替エネルギーへの転換加速や公有の土地・水域での掘削許可の阻止などを公約に掲げて当選した大統領にとって、大きな転換だ。向こう数カ月間で最大1億8000万バレルを戦略石油備蓄から緊急放出する命令に加え、欧州への米天然ガス輸出を増やす計画を推進している。
コンサルティング会社クリアビュー・エナジー・パートナーズのマネジングディレクター、ケビン・ブック氏は「バイデン大統領は大胆な気候変動プラットフォームを公約に掲げて当選したが、政府が放出する戦略備蓄から生じる石油の燃焼で、過去の政権の合計を上回るカーボンフットプリント(化石燃料から生じる温室効果ガスの排出量)を残す方向にあるのかもしれない」と指摘した。
ディース米国家経済会議(NEC)委員長は、戦略石油備蓄からの記録的な規模の放出について、バイデン氏が気候変動の目標を断念したことを意味しないと説明。「今日の世界の石油・エネルギー市場の状況は、米国が真のエネルギー安全保障と独立性に向かって加速するため必要なあらゆる行動を取るべきであることを示すこの上なく明確なシグナルとなっている」とホワイトハウスでの会見で述べた。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
OPECプラスは同日オンラインで開いた閣僚協議で、5月は増産幅を日量43万2千バレルにすることで一致した。毎月日量40万バレルずつ増産してきた従来の合意を「再確認する」としたうえで、基準となる生産量を微修正した。次回は5月5日に協議する。
協議後の声明で、原油相場の激しい値動きは「ファンダメンタルズでなく、進行中の地政学的な展開によるものだ」と表明。ロシアのウクライナ侵攻で生じた供給懸念の責任を負わない姿勢をにじませた。
国際エネルギー機関(IEA)はロシアからの石油輸出が日量250万バレル減ると予測し、穴埋めの余力を持つサウジアラビアなど中東産油国に対し、米欧日が相次いで増産を働きかけていた。他の産油国が代わりに大幅増産すればロシアにとっては敵に塩を送る行為になり、OPECプラスの結束を揺るがす。
どの産油国にとっても原油高は追い風で、高値を維持したいのが本音だ。サウジとバイデン米政権との間に吹く隙間風も、増産要請に応じない一因との見方がある。サウジはイエメンの親イラン武装勢力との戦いで米国の支援が弱いと感じ、イラン核合意の再建にも不満を抱く。対照的に中国との関係強化の動きを強めている。
ロシアのプーチン大統領は31日、ロシア産天然ガスを購入する場合に自国通貨ルーブルでの支払いを義務付ける大統領令に署名した。米欧日など「非友好国」の企業を対象とし、ロシア国内の銀行に決済口座を開設するよう求める仕組みも明らかにした。プーチン氏は「(ルーブルでの)支払いがされない場合には契約を停止する」と主張した。
ルーブル決済の義務化は、ロシア国営ガスプロムのパイプラインを通じた輸出のみが対象となる。大統領令で示されたルーブル払いの決済口座は、欧州の金融制裁の対象から外れているガスプロムバンクを指定した。
3月の製造業の景況指数は5カ月ぶりに節目の50を割り込み、中国景気が一時的に「縮小」に転じたもようだ。ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高で採算が悪化し、生産を見合わせる動きも出ている。新型コロナウイルス対応の事実上の都市封鎖(ロックダウン)もあり、世界経済の回復に水を差す可能性がある。
中国国家統計局が31日発表した2022年3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.5と、前月より0.7ポイント下がった。中国景気の「拡大」と「縮小」の境目とされる50を下回るのは、電力不足が生産の足を引っ張った21年10月以来だ。
3月は非製造業の景況感を示すビジネス活動指数も3.2ポイント落ち込み、48.4となった。製造業と非製造業がともに景気の縮小を示すのは、新型コロナが最初に中国経済を直撃した20年2月以来だ。
主因は2つある。一つ目はコスト高だ。ウクライナ情勢の緊迫化で国際商品市況が高騰。PMI統計で調べる原材料の仕入れ価格を示す指数は66.1で、3カ月で18ポイント高まった。コスト上昇を訴える企業が増えている。
もう一つの原因は新型コロナ対応の行動制限だ。中国では3月に入り市中感染が急速に広がり、広東省深圳市などは事実上の都市封鎖に踏み切った。工場労働者の出勤停止などで供給網に混乱が生じている。
在広州日本総領事館と日本貿易振興機構(ジェトロ)が3月半ばに実施した調査では、深圳市に進出した日系企業の半数が「稼働率が平常時の2割未満」と答えた。同市の電子部品メーカー関係者は「半導体関連の組み立て工場で一部部品の調達が滞り、生産ラインを止める動きもある」と語る。
上海市も28日から事実上の都市封鎖を始めた。PMIは毎月22~25日に調べるため、同市の影響は3月分の結果に反映されていない。ただ最大経済都市での大規模な行動制限で、直近の景況感が一段と悪化している可能性は大きい。
スイスのUBSは、中国の実質経済成長率の予測を引き下げた。5.4%と見込んでいた22年の伸び率を5.0%に下げた。ウクライナ情勢と新型コロナのショックが大きいと、4%まで失速しかねないとした。中国政府の目標である5.5%前後を大きく下回る可能性に言及した。
5年に1度の共産党大会を今秋に控えて、習近平(シー・ジンピン)指導部は安定を最重視する。社会の安定のため、医療資源の制約などを理由に「ゼロコロナ」規制を堅持するが、経済成長が犠牲になっている。
29日に開いた国務院(政府)常務会議は「経済の下振れ圧力はさらに強まっている」と懸念を示した。政府は1兆5000億元(約28兆円)規模の税還付で、中小零細企業などの手元資金を増やす。ただ企業は資金不足に直面しており、還付で新規の投資や雇用を促すという政府が期待する効果が出るかは不透明だ。
英国の消費者債務が2月に記録的な水準に達した。一部のエコノミストはこれをロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格が上昇する前から生活費の危機的な上昇が消費者に打撃を与えていた証拠だと指摘する。
PCE総合価格指数は前月比0.6%上昇。前年同月比では6.4%上昇と、1982年以来の大幅な伸びとなった。コア価格指数は前月比0.4%上昇。前年比では5.4%伸びた。
インフレ調整後の財の支出は前月比2.1%減。前月は5.6%急増していた。サービス支出は0.6%増で、7カ月ぶりの大幅な伸びを示した。サービス支出の増加は、コロナ感染者の減少が背景にある。
賃金・給与は4カ月ぶりの大幅な伸び。貯蓄率は6.3%に小幅上昇。ただ8年ぶり低水準付近にとどまった。インフレ調整後の可処分所得は7カ月連続で減少した。
オースランダー氏は2016年にアルゼンチンに満額の払い戻しを求めるホールドアウト債権者の依頼を手掛けたことがある。同氏は、ロシアがデフォルトすれば少なくともウクライナでの戦争が終結するまで、ロシアを訴訟に持ち込む余地はほぼないとみる。
同氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「債券保有者が支払いを受けるかは、戦争解決とロシアの世界舞台への復帰に全て懸かっている」と述べた。
さらに「ロシアがある程度の正常さを取り戻して再び機能できるよう、世界の市場が受け入れ可能な形で戦争を終結する必要がある」と指摘、「それまではデフォルトに陥った際にどのように支払いを受けられるのか、道筋が見えない」と続けた。
ゴールドマン・サックス・グループは1つのシナリオで、スタグフレーションに対する割安なヘッジを勧めている。ブラックロックは別のシナリオで、短期債を選好。仏アムンディは流動性の逼迫(ひっぱく)を警告している。
ロシアによるウクライナ侵攻開始からこれまで様子見姿勢だった投資家に対し、リスクヘッジを求める圧力が強まっている。多くの投資スペシャリストは、市場の方向性に賭けるハイ・コンビクション(確信度の高い)戦略を放棄していることを明らかにしている。
欧州最大の資産運用会社アムンディのグループCIO、ビンセント・モルティエ氏は「今のところ市場の流動性状況は堅調な様子であるものの、これは注意すべき点だ」と指摘。同社はクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)やプットオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)でポートフォリオをヘッジしている。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・へーフェルCIOは、国家安全保障の重要性が高まる時代には、小・中型テクノロジー株のロング(買い持ち)ポジションが好調になる可能性があると分析した。
ゴールドマンとティー・ロウ・プライス・グループはこの状況における選択肢を分析している。ゴールドマンのストラテジスト、イアン・トゥーム氏によると、世界的なスタグフレーションに対する一段と割安なヘッジとして、スイス・フランやユーロに対するドルのロングポジションなどが挙げられるという。
株式と債券が共に下落した場合、トゥーム氏はドルに対して円でヘッジすることを選好している。円は対ドルで約6年ぶりの円安水準に下落しているものの、「リスク資産とコア金利の両方が低下した場合、優れたヘッジ」になることを同氏の分析は示唆しているという。
→声明の内容
【习近平等领导同志向东航飞行事故遇难同胞默哀】新华社北京3月28日电 3月28日下午,中共中央政治局召开会议,研究近期有关工作。会议开始时,经中共中央总书记、国家主席、中央军委主席习近平提议,出席会议的中共中央政治局委员等全体起立,向“3·21”东航MU5735航空器飞行事故遇难同胞默哀。
オックスフォード大学のラナ・ミッター教授(中国政治)は、不確実なこの時期に共産党は最大限の柔軟性を確保するため公式に何かを発表することを避けようとしている可能性があるとみている。中国関連の著書も多い同教授は「政治局声明は通常、指導部が決めた意思を反映している」と指摘し、「急速な変化に対応する判断を必要」とする幾つかの問題があり、「数日または数時間以内に変更する必要があるかもしれない政策に縛られることを政治局は望んでいない」との見方を示した。
共産党は5年に1度の党大会開催を年内に控えており、これまでの慣例を破る3期目を目指す習氏にとって、今は極めて微妙な時期だ。党は3月29日に地方政府の党トップ3人の指名を発表。前日の政治局会議で人事異動が取り上げられたことが示唆される。これとは別に、新華社は汚職調査の結果を踏まえ、司法相だった傅政華氏が党から追放されたと報じた。
政策金利を1%引き上げて5%にすると決めた。利上げは5会合連続。世界的な燃料高や新型コロナウイルス禍からの景気回復で、インフレが加速しているのに対応した。
2月の消費者物価指数は前年同月比8.01%上昇した。2016年8月以来の高い上昇率となった。上昇率は11カ月連続で加速しており、中銀目標の上限(4%)を上回るのは7カ月連続となった。食料品の価格上昇が目立つ。
中銀はこの日の声明で「ロシアによるウクライナ侵攻で農産物や中間財、燃料の価格に上昇圧力がかかる」との見方を示した。
この日の決定は7人の委員による多数決だった。2人はより幅の大きい1.5%の利上げを主張した。金融市場の事前の予測では1.5%の利上げを見込む声が多かった。
政府代表として会合に参加したレストレポ財務・公債相は「インフレ期待を抑えるのは賢明ではあるが、経済成長と雇用への影響を避けなくてはならない」と指摘し、予測よりも小幅となった背景を説明した。
3月の景気指数(PMI、季節調整済み)は62.9で6.6ポイント上昇した。大きく落ち込んだ前月から回復し、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(57.0程度)を上回った。
指数を構成する5項目すべてが上昇した。特に「新規受注」が61.9で8.9ポイント上昇し、力強く改善した。「生産」は60.0、「雇用」は48.1でいずれも4.6ポイント上昇した。
構成項目以外では、「在庫」が1973年以来の高さとなる68.7に上昇した。長引く供給網の混乱を受け、企業は在庫を増やしている。「供給網の目詰まりが緩和してきているか」との質問に対し、半数以上の企業が「緩和していない」と回答し、「やや緩和した」とした企業(36%)を上回った。
●市況
日経先物(大証)27717、ダウ先34723、債先149.78、米2.396、独0.5485、仏0.986、西1.490、伊2.040、波5.195、原油99.97、ドル円122.63、墨ペソ19.91、トルコリラ14.6721、墨CDS94
※4/1 12時50分頃
備忘録(3/30)
●ウクライナ
ウクライナはロシアが求めていた中立化で、具体的な提案をした。北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念する見返りとして、関係国による安全保障の担保を求めた。保証国としてロシアや中国、米国を含む国連安全保障理事会の常任理事国のほか、ドイツ、トルコ、ポーランド、イスラエル、イタリア、カナダを挙げた。
想定するのは、NATOと「同等以上」(ウクライナ側交渉団の法務担当オレクサンドル・チャーリー氏)の強力な安保条約だ。NATOの第5条では、締約国への武力攻撃を「全締約国への攻撃とみなすことに同意する」と定めており、条約でも同様の規定を含めることを要求した。ウクライナが攻撃を受けた場合、保証国は3日以内に協議し、軍事支援を提供しなければならないと明記するとしている。
ウクライナが拘束力の強い条約を求めた背景には、過去の安保をめぐる苦い経験がある。1994年に米国や英国、ロシアと「ブダペスト覚書」に署名した。核兵器の放棄を条件にウクライナの安全を約束する内容だったが、2014年にロシアは武力で南部クリミア半島を一方的に併合し、覚書は完全にほごにされた。
ロシアは、ウクライナの中立化のモデルとして、具体的にオーストリアやスウェーデンを挙げている。両国とも軍事同盟には参加していないが、自国を守るための軍隊は保有する。旧ソ連など4カ国に占領されていたオーストリアは1955年、条約によって独立を回復し、永世中立を宣言した。
一方、ウクライナは特定の国の例を参考にするのは消極的だ。受け入れられるのはウクライナだけのモデルで、「法的に裏付けられた安全保障があって初めて成立する」(ポドリャク大統領府顧問)としている。
ロシアの交渉団は提案をいったん持ち帰り、プーチン大統領に報告するとした。ウクライナのゼレンスキー大統領は、国民投票で是非を問う必要があると主張しており、交渉がまとまるには時間がかかる可能性もある。
東部の領土と主権を巡る問題も焦点だ。ウクライナは2014年にロシアが一方的に編入したクリミア半島の地位を「今後15年以内」の話し合いで決めるとして、事実上の棚上げを提案した。親ロ派武装勢力が実効支配する東部地域の扱いも停戦合意には含めず、別に首脳間で話し合うべきだと主張したが、問題はより微妙だ。
最大の受け入れ国はポーランドで、233万人と避難民全体の6割を占める。次いでルーマニア(60万人)、モルドバ(38万人)、ハンガリー(36万人)と続く。
ロシアのプーチン大統領にウクライナでの戦況などについて軍から誤った情報が伝えられていると明らかにした。「プーチンがロシア軍に欺かれたと感じているとの情報があり、その結果、軍との間に緊張が生じている」と述べた。
ウクライナでの想定外の苦戦や米欧などによる対ロシア制裁に伴う経済的打撃に関し「誤った情報がもたらされている」と主張した。誤情報が伝えられる背景をめぐっては、プーチン氏の側近は「怖くて真実を話せないからだ」と語った。
●コロナ
ニューヨーク市で新型コロナウイルスの感染者数が再び増加しており、特に25-34歳の年齢層で目立つと、市当局者らが明らかにした。感染拡大はワクチン接種が最も進んでいるマンハッタン地区に集中しているようだ。
市の保健・精神衛生局は30日、ツイッター上で異例の警告を発し、屋内でのマスク着用とブースター(追加免疫)接種を「強く推奨」した。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
全日本空輸(ANA)は春休みとゴールデンウイーク(GW)に合わせて国内路線で臨時便を510便に増やす。2021年の同時期の60便から約9倍となる。首都圏から沖縄など遠方への旅行も復調しつつある。全国でまん延防止等重点措置が解除されて1週間がたち、国内の旅行需要に回復の兆しが出てきた。
6~7月の一部の国際線の運航計画を発表した。北米、東南アジア方面などの運航率(2020年度計画比、便数ベース)を6月は54%、7月は62%とした。5月は全路線で33%となっている。新型コロナウイルス禍で低迷している需要が徐々に回復すると見て運航規模を引き上げる。4~5月の国際線全体の運航率はそれぞれ33%としている。
英半導体設計会社アームは中国合弁企業の持ち分の一部を親会社ソフトバンクグループに移管する。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。それに伴う会計上の変更で、アームが目指す新規株式公開(IPO)が実現しやすくなる可能性がある。
詳細は非公開だとして関係者が匿名で語ったところでは、アームは安謀科技(アーム・チャイナ)の持ち株比率を20%未満に引き下げる方針。今後は会計監査の責任を負わず、ライセンス収入を支払う顧客と同様の扱いとするという。
アームのこうした変更は、安謀の最高経営責任者(CEO)を務めていたアレン・ウー(呉雄昴)氏との対立が背景にある。安謀の取締役会は2020年に利益相反を理由にウー氏のCEO職を解いたものの、同氏は辞任を拒否。現在も業務に携わっている。
アルツハイマー病治療薬「アデュヘルム(一般名アデュカヌマブ)」の効果を確認するために実施する第4相試験について、最終的なプロトコル(治験実施計画書)を米食品医薬品局(FDA)に提出したと発表した。
発表資料によると、同試験の患者スクリーニングは5月に開始する。試験期間は約4年を見込んでいる。
●その他産業
国内の乗用車メーカー8社が30日まとめた2月の世界生産は、前年同月比4%増の198万8千台だった。前年同月を上回るのは2021年6月以来、8カ月ぶりとなる。半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大の影響は続いているが、トヨタやホンダが中国での生産を増やしたことでプラスに転じた。
2月の世界生産は8社合計でプラスに転じたものの、3月以降も生産制約が続いている。トヨタは取引先へのサイバー攻撃や16日の福島県沖地震の影響で3月に国内工場の稼働を一時止めた。4~6月の世界生産も従来計画を1割強下回る約240万台に引き下げる。ロシアのウクライナ侵攻による供給網への影響も、3月以降に各社で顕在化する可能性がある。
だが米テスラは、こうした事態になる前から既に世界中でニッケルの調達先を探し、2021年以降に複数の供給元と契約を結んでいた。
テスラが結んだ契約の一つに、ブラジルの鉄鉱石大手ヴァーレからの複数年にわたるニッケル供給がある。事情に詳しい複数の関係者によれば、未発表のこの契約にはカナダ産ニッケルが含まれる。関係者らは、詳細が公になっていないとして匿名を条件に語った。
●決算関連
新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」のまん延で鉄道などの利用者数が減ったものの、戸建て住宅の販売や不動産仲介が伸びたほか、広告宣伝費などのコスト削減が進んだ。
●マクロ・その他
3月のADP雇用統計において非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は45万5000人増えた。増加幅はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(45万人程度)とほぼ一致した。
前月は48万6000人増に上方修正され、1~3月の3カ月を合計すると約150万人増となり、雇用の伸びは勢いを保った。
分野別では、前月に続きレジャー・ホスピタリティーが16万1000人増と力強く伸びた。医療ケア(6万2000人増)や、専門・ビジネスサービス(6万1000人増)も堅調だった。製造業は5万4000人増えた。
ADPのエコノミストは、雇用増は幅広い分野におよび、特に年初に新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」流行で影響を受けたサービス業が、落ち込みを埋めようと積極的に採用していると指摘した。
ドイツのハベック経済・気候相は30日、天然ガスの安定調達を巡る「早期警報」を発令したと発表した。ロシア産のガス確保が難しくなる事態に備え、予防措置が必要だと判断した。危機管理の専門チームを立ち上げ、調達状況を監視する。ハベック氏は「ドイツ政府は調達安定のために何でもする」と語った。
ドイツ政府はガスを安定確保するため、不測の事態に備えた調達計画をすでに策定済みだ。警戒レベルは①早期警報②警報③緊急の3段階で、重大な問題が生じる場合に宣言する。今回の早期警報は第1段階で、ハベック氏は現時点で「安定供給が引き続き保証されている」と述べた。
英国の最高裁判所は30日、ロバート・リード長官ら英国籍の2人が香港終審法院(最高裁)の非常任裁判官を辞任すると発表した。「香港にとどまり続けると、政治や言論の自由といった価値から逸脱した政権を支持しているように見える」ためだと説明した。
香港の外国籍判事は、中国本土と異なる司法制度を象徴する存在だ。香港政府は外国籍判事について「司法の独立が確保されている証拠だ」と主張してきた。香港最高裁のウェブサイトによると、辞任する2人を含めて外国籍の非常任裁判官は12人いる。
トラス英外相は30日、2人の辞任を支持し「(2020年の)香港国家安全維持法(国安法)の施行以来、香港当局は言論や報道の自由を取り締まってきた。英国の裁判官が香港に残るのは正当化できない」と指摘した。
外国為替市場で中南米通貨が対ドルで上昇している。ロシアによるウクライナ侵攻で資源価格が上昇するなか、ブラジルなど豊富な資源を抱える中南米諸国には経済的に追い風になるとの見方が出ているためだ。米連邦準備理事会(FRB)の金融正常化に先行して利上げに動いた国も多く、かつてのような資本流出懸念を防げている面もある。
自治体が独自の政策に自由にお金を使えない財政の硬直化が顕著になっている。2022年版地方財政白書によると、地方税や地方交付税などの経常一般財源が人件費など経常経費にどれくらい使われたかを示す「経常収支比率」は2020年度で93.8%(都道府県と市町村合計)だった。19年度から0.4ポイント上がり、リーマン・ショックの影響があった09年度と並んで過去最悪の水準になった。
インドネシアのジョコ政権は国内の石炭事業者が電力会社への供給を優先するよう規制の強化を検討する。ロシアによるウクライナ侵攻の影響でアジアの石炭の需給が逼迫するなか、1月に発動した禁輸措置を一部解除した後も輸出制限を続ける。
米国内市場での取引継続が認められるのは、これら企業が米国の監査を完全に順守する場合のみだと示唆した。
同氏の厳しい発言は、米当局が監査書類への完全なアクセスを断固として要求していることを示している。同氏はさらに、自身が妥協できる余地は米国の法律によって限られていると指摘した。監査に同意しない場合、中国企業はニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダックから排除される。米議会で可決した法律は2024年を期限と定めている。
「2年後も同じ状況であれば」多くの企業が上場廃止となるだろうとゲンスラー氏は語った。
中国以外の数十カ国は米当局者が現地の会計士から聞き取りを行ったり、会計報告の基となる書類を調べたりする監査を認めている。中国と香港は守秘義務に関する法律や国家安全保障上の懸念を理由に拒否している。
ジョージ総裁は、インフレ高進に対応するため金融当局は利上げに動くべきだと指摘。ただ利上げのペースについては、引き締めサイクルにおける経済情勢の変化を注視しつつ、慎重に判断する必要があるとの見解を示した。
バーキン総裁は、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.5ポイント利上げにオープンな姿勢を示した。ただ最終的な判断については、会合開催時点での米経済の力強さに左右されるとの認識を示した。
3月の消費者物価指数(CPI)は欧州連合(EU)基準で前年同月比7.6%上昇。ブルームバーグが調査したエコノミスト予想中央値は6.8%上昇だった。エコノミスト27人のうち1人を除く全員の予想を上回った。国内基準のインフレ率は7.3%だった。
スペインでもインフレ率が約10%と、市場予想を上回る伸びを示した。ロシアによるウクライナ侵攻で不透明感が高まり、欧州の物価動向を予測するのが困難な状況があらためて示された。
中国ではライブ配信ショッピングが急拡大し、600億ドル(約7兆3000億円)規模に膨らんでいるが、アリババのプラットフォームで実演販売していた著名インフルエンサーの黄薇さんが昨年12月、脱税していたとして追徴課税など2億1000万ドルの支払いを命じられた。
●市況
日経先物(大証)27900、ダウ先35148、債先149.48、米2.358、独0.6525、仏1.082、西1.543、伊2.129、波5.157、原油102.38、ドル円122.32、墨ペソ19.87、トルコリラ14.6569、墨CDS94
※3/31 9時30分頃
備忘録(3/29)
●ウクライナ
ウクライナとロシアの交渉担当者は29日、トルコで会談したが、停戦合意には至らなかった。会談後にロシアは、ウクライナ軍に押されつつある地域での軍事作戦を縮小すると表明。ウクライナは欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)加盟国による安全保障上の確約を求めた。
ウクライナ側の交渉担当者は、分離主義勢力が実効支配するドンバス地方とクリミアを除く領土について安全保障の国際的な確約を求めていると説明。ロシアは交渉が両国首脳の会談実現に道を開く可能性があると示唆した。
ロシアは今後も外貨建て国債の利払いや償還を控えており、31日の4億4700万ドルの支払いと、4月4日の21億2900万ドルの償還と利払いをドルで支払う必要がある。
ロイター通信によると財務省は29日、4月4日に償還期限を迎える国債について、現地通貨のルーブルで支払う方針を示した。実行に移すと一方的な条件変更によるデフォルトと見なされる可能性が高いが、ロイターはロシア側が実際にルーブルで支払うかどうかは不透明だとするアナリストの見方を紹介した。
カービー報道官はウクライナの首都キエフへ進軍していたロシア軍の一部が再配置を始めたと明らかにした。再配置先がウクライナ東部となる可能性に触れて「ロシアはキエフ制圧に失敗した」と断定した。
「戦争開始から数日間の迅速な進軍は明らかにキエフが(ロシアにとって)重要な目標だったことを示す」と強調した。侵攻当初からキエフ制圧が目標ではなかったとのロシアの主張に反論した発言だ。
英国防省も29日、ツイッターで「ロシアは北部(のキエフ周辺)での戦闘能力を東部のドネツクとルガンスク2州での攻撃に転用する可能性が高い」との分析を明らかにした。
カービー氏は「キエフへの脅威が消えたわけではない」と話し、長距離砲による攻撃が続いていると指摘した。「ロシア軍が(キエフ周辺から)全ての部隊を撤収させるという報道にごまかされてはならない」とも訴え、ロシアの履行状況を見極める方針を示した。
●コロナ
同社は顧客向けの文書で「上海を往来する輸送サービスは30%の深刻な影響を受けるだろう」と指摘した。上海の倉庫は4月1日まで閉鎖するという。「結果として輸送にかかる時間が長くなり、迂回や高速道路の使用にかかる料金などの輸送コストが上昇する可能性がある」とみている。
中国・上海市で新型コロナウイルスの新規感染者数が高止まりしている。28日は前日比977人増の4477人と連日で過去最多を更新した。封鎖の効果はまだあらわれていない。上海市政府は29日、中小・零細企業などを対象にした約1400億元(約2兆7000億円)の減免税を柱とする経済支援策を公表した。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
米在宅医療大手のLHCグループを54億ドル(約6600億円)で買収すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で急成長する在宅医療の分野を強化する。
LHCグループは米国で在宅医療を提供しており、37の州に950以上の拠点を持つ。2022年後半に買収完了する見通し。
医療保険データをもとに医師や医療施設などを患者に紹介する「オプタムヘルス」事業とLHCグループを統合する。オプタムヘルスのワット・デッカー最高経営責任者(CEO)は声明で「(LHC買収により)在宅医療やオンライン診療など、サービスの幅を大きく広げる」と述べた。
ポリ(旧社名:プラントロニクス)を33億ドル(約4080億円)で買収することで合意した。ハイブリッド型勤務にシフトする流れに一段と乗じようとする動き。
28日付の発表文によると、買収は全額現金で行い、HPがポリ株1株に対し40ドルを支払う。これは25日終値を53%上回る水準。買収額の33億ドルは、債務も含めたポリの企業価値に相当する。
新型コロナウイルス時代の柔軟な働き方に慣れた従業員に便宜を図る企業が世界的に増えており、HPとしては、リモート勤務社員とオフィス勤務社員をつなぐテクノロジーへの需要を最大限に活用したい考えだ。HPはPCやプリンター以外の事業への多角化にも力を入れており、通信ヘッドセットや会議用AV機器などを製造・販売するポリの買収で顧客ニーズをうまく捉えることが可能だと、HPのエンリケ・ロレス最高経営責任者(CEO)は指摘した。
プリンスホテルが長年続いた事業モデルから脱却するため、新体制で再出発する。4月1日付でホテル運営の新会社に移行し、本部が運営ノウハウを集約して高める組織に改める。親会社の西武ホールディングス(HD)が31施設の売却を決めており、資産を所有し成長を目指した創業時からのレガシーと決別し、運営受託へかじを切る。
同部門の企業価値は推定で約200億ドル(約2兆4500億円)。金利上昇やウクライナ情勢などを受けて減速する2022年のIPO市場で最大の案件になる可能性がある。
分社化する生保・資産運用部門の新会社名は「コアブリッジ・ファイナンシャル」とし、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場する。運用資産総額は21年末時点で約4100億ドルと退職年金や生保の運用では最大手の一角を占める。上場後はAIGが50%を保有し、昨年11月に22億ドルの出資で合意した買収ファンドのブラックストーンが9.9%を保有する。この出資額をベースにすると、新会社の企業価値は約200億ドルになる。
●決算関連
●マクロ・その他
1月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は、前月比で1.6%、前年同月比で18.2%それぞれ上昇した。伸び率は2021年12月(改定値)の前月比1.3%、前年同月比17.7%から加速した。
住宅ローン金利は1月以降に上がり始めているが、FHFAのエコノミストは「融資コストはまだ比較的低く、ローン金利が価格上昇圧力を緩和するには至っていない」と分析した。
米金融調査会社MFRの主任エコノミストのジョシュア・シャピロ氏は1月の指数について、3月に入ってからの住宅ローン金利の急上昇とローン申請件数の減少前のデータだとして、今後価格の伸びは鈍化し始めるとの見方を示した。
議会(一院制、定数130)の投票で賛成は55票で、可決に必要な3分の2(87議席)に届かなかった。否決後、カスティジョ氏はツイッターに「この国の大きな課題に共に立ち向かおう」と投稿した。
急進左派のカスティジョ氏は21年7月、政治経験が乏しいまま、大統領に就任した。議会における支持勢力は盤石でなく、与党内での対立も抱え、政権は不安定な状況が続いている。就任からこれまでの8カ月間で首相は現職が4人目。21年11月にも議会で弾劾の提案があり、否決されていた。
調査会社Ipsosによると、カスティジョ氏の支持率は就任直後に38%だったが、その後は下落傾向で、3月上旬の時点で26%だった。インフラ工事の入札を巡って特定の企業に便宜を図った疑惑も浮上している。
ペルー議会は少数政党が乱立し、政治の混乱が続いている。大統領の任期は5年だが、18年以降は現職のカスティジョ氏を含め5人が務めてきた。ペルーは今後も「政治的な不安定と政策のまひが続く」(格付け会社のフィッチ・レーティングス)との見方が強まっている。(宮本英威)
メキシコペソが堅調だ。一時1ドル=19ペソ台とおよそ半年ぶりの高値を付けた。インフレを抑えるためメキシコ銀行(中央銀行)が24日、7会合連続の利上げを決め、相場の支えになった。高止まりしている原油相場も買い材料となっている。
神田財務官は、金融緩和を続ける日本銀行との関係について「中央銀行と政府での不一致は全くないと考えている」と強調。財務省と日銀、金融庁は「極めて密接な意見交換を続けている」と説明した。
「最近の円安の進行を含めて、為替市場の動向や日本経済の影響を緊張感を持って注視していきたい」とも話した。
シンガポールは米欧や日本などと足並みをそろえ、ウクライナに侵攻したロシアに制裁を科した。ロシアの4銀行の資産を凍結し、軍事目的に転用できるコンピューターや通信機器の輸出を禁じた。
リー氏は「いかなる口実であれ、主権国家へのいわれのない軍事侵攻は容認できない。ウクライナでの戦争はアジア太平洋にも影響を及ぼす」と明言。「我々の地域にも火種や争点がある。うまく管理しなければ紛争に発展しかねない」と危機感を示した。台湾海峡を含む東シナ海・南シナ海での中国の海洋進出が念頭にある。
政策金利を1.5%引き上げて7%にすると発表した。利上げは6会合連続。新型コロナウイルス禍からの経済回復や世界的な燃料高に対応して、インフレ抑制につなげたい考えだ。
上げ幅は前回1月会合と同じで、全員一致で決定した。金融市場の事前予測では利上げ幅ついて、1.5%と2%で見方が割れていた。
2月の消費者物価指数は前年同月比で7.8%上昇した。2008年11月(8.87%)以来の高い上昇率だ。新型コロナ対策として政府が導入した収入保護策を背景とした堅調な消費や、資源価格の上昇がインフレ要因となっている。
ロシアによるウクライナ侵攻などの影響でインフレ見通しは高まっている。中銀はこの日の声明で、期待インフレ率が短期的に「年率10%近くに修正されている」と指摘した。
インフレ率は中銀目標の中心値(3%)を11カ月連続で上回っている。次回以降の会合でも利上げが続くとの見方が多い。米ゴールドマン・サックスは政策金利が年内に8.5%まで上昇するとみている。
3月の消費者信頼感指数は107.2(1985年=100)で、前月の改定値から1.5ポイント上昇した。
「現在の景況」が153.0で10.0ポイント上昇し全体を押し上げた。一方「短期の見通し」は76.6で4.2ポイント低下した。
コンファレンス・ボードのエコノミストは「インフレ懸念とウクライナ戦争よる先行き不透明感にもかかわらず、強い雇用増が景況感を支えている」と分析した。ただ、これらの逆風は当面続くと予測され、先行きの景気への自信を弱め、消費を落ち込ませる可能性があるとした。
逆イールドが前回発生した19年8月は米国と中国が通商問題で争っていた時期で、それ以前に逆イールドが続いたのは06年から07年にかけてだった。
メドレー・グローバル・アドバイザーズのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ベン・エモンズ氏は「歴史的にリセッションは逆イールドなしでは起きていない」と指摘。「従って、これが将来の景気後退の前兆である可能性が高い。しかし景気後退入りの時期は分からない。遅くて2年先になるだろう」と説明した。
「大規模な財政支援策とサプライチェーンの混乱、緩和的な金融政策を背景に、インフレ率は私やFOMCの同僚が懸念せずにいられる水準を大きく超えて上昇している」と指摘。また「インフレ期待が抑制できなくなるリスクを懸念している」と述べた。
ハーカー氏は講演後の質疑応答で、データ次第で利上げの「加速に非常にオープン」だとし、「われわれが直面している経済の不確実性の度合いを踏まえれば、次回会合での0.5ポイントという選択肢を排除しない。ただ現時点で断言はしない」と付け加えた。
ハーカー総裁は、一段のインフレをもたらし得る要因の一つとして、中国での新型コロナウイルス感染再拡大に伴うサプライチェーンの混乱を挙げた。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のバランスシート縮小に伴い景気抑制が強まることにも留意する必要があると指摘。バランスシート縮小については、近く開始することが望ましいとの考えを示した。FRBの保有資産規模を3兆ドル(約370兆円)減らすことは、0.25ポイントの利上げ2回とほぼ同等だと、ハーカー総裁は述べた。
ECBが7-9月(第3四半期)以降も債券購入を継続するには、「中期的なインフレ見通しの大幅な低下」を見込む必要があると指摘した。
欧州は「物価上昇に慣れる必要があるかもしれない」ものの、インフレの大半は薄れる見通し。「年内にインフレは低下するだろう。来年、再来年は今年に比べてさらに低下しているだろう」と、レーン氏は語った。
ただ、消費者や企業のセンチメントを示す指数は「大幅かつ相当」落ち込んでいるとして、「重大な懸念」との認識を示した。
●市況
日経先物(大証)27995、ダウ先35153、債先149.36、米2.389、独0.6385、仏1.056、西1.546、伊2.221、波5.175、原油106.41、ドル円122.48、墨ペソ19.97、トルコリラ14.6051、墨CDS104
※3/30 10時00分頃
備忘録(3/28)
●ウクライナ
米国防総省高官は記者団にロシア軍が、マリウポリを含む東部地域のウクライナ軍の孤立を図っているとの分析を示した。国を東西に分断する動きとして懸念が出ている。
米高官は東部ドンバス地域でロシア軍が攻勢を強めていると指摘。ウクライナ軍が他の戦線の支援に回るのを阻止するほか「同地域の支配権を確立して、(29日にトルコで再開見通しの)停戦協議を有利に進めようとしている可能性がある」との見方を示した。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
撤退を決めた企業は米アクセンチュアなど174社に上る。米アップルやインターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コム、工業製品・事務用品の米スリーエムなど194社が現地での販売や生産など事業を停止し、米ゼネラル・エレクトリック(GE)など93社が一部事業の停止や新規投資の凍結を表明した。
米アップルは2022年4~6月に廉価版スマートフォンの「iPhone SE」の生産台数予測を当初の計画より2割減らす計画だ。ワイヤレスイヤホンの「AirPods」についても生産台数を通年で1000万台以上減らす。ロシアのウクライナ侵攻に伴うデジタル家電の需要減に対する警戒のほか、部品不足も影響したとみられる。
●決算関連
米国の制裁などにより売上高は6368億元と29%減ったが、低価格帯スマートフォン事業の売却益などにより最高益となった。
●マクロ・その他
●市況
日経先物(大証)27855、ダウ先34836、債先149.10、米2.464、独0.5805、仏1.007、西1.451、伊2.083、波5.453、原油104.86、ドル円123.57、墨ペソ20.09、トルコリラ14.8241、墨CDS104
※3/29 9時40分頃
備忘録(3/25-27)
●ウクライナ
バイデン米大統領は26日、ワルシャワでポーランドのドゥダ大統領と会談した。米国による欧州防衛への関与について「神聖な義務だ」と言明し、ロシアを抑止する姿勢を鮮明にした。ウクライナからの難民を支援する方針も重ねて伝えた。
バイデン氏は北大西洋条約機構(NATO)による集団的自衛権の行使を定めた北大西洋条約第5条の履行を繰り返し強調した。「米国が世界の別の地域で役割を果たせるかどうかは欧州の結束や安全保障にかかっている」と話した。欧州の安定がインド太平洋地域での中国への対抗に向けても必要だと訴える発言だ。
ポーランドはウクライナに加え、ロシアが侵攻の拠点を置くベラルーシとも国境を接する。ロシア軍はポーランド国境に近いウクライナ西部で空爆を増やしており、ロシアの脅威が迫っている。バイデン氏は25日、ポーランド南東部に派遣している米兵の拠点を訪れて激励し、ポーランド防衛への関与を国内外にアピールした。
24日にムーディーズ・インベスターズ・サービスが取り下げを発表した。S&Pグローバル・レーティングスやフィッチ・レーティングスも取り下げの方針を明らかにしている。
バイデン米大統領は26日、欧州歴訪の締めくくりとなるポーランドの首都ワルシャワでの演説で、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領を繰り返し「独裁者」と呼び、プーチン氏は「権力の座にとどまることはできない」と強く非難した。
米国の大統領が、外国の指導者を権力の座から降ろすことにはっきりと言及するのは極めて異例であり、ロシア規模の核保有国に対しては特にそうだ。ホワイトハウス当局者は、プーチン氏が隣国や地域に対し権力を行使することを許すことはできないという意味であり、ロシアの体制転換を求めたわけではないとその後釈明した。
さらに「北大西洋条約機構(NATO)加盟国の領土に1インチでも入ることを考えさえするな」とロシアをけん制し、欧州防衛への関与も強調した。ポーランドのドゥダ大統領との会談でも、攻撃された際に同国をNATOの一員として防衛することは「神聖な義務」だと明言していた。
トルコ大統領府は27日、ロシアとウクライナの次回の停戦対話がトルコのイスタンブールで開かれると明らかにした。ウクライナ側によると、28日にも始まる。ウクライナ東部の一部ではロシアへの編入の是非を問う住民投票の可能性が伝えられ、国の分断に警戒が強まっている。
海事リスク情報会社ウィンドワードによると、25日終了週に船舶自動識別装置(AIS)を作動させずに運航していたロシアのタンカーは少なくとも33隻と、過去1年間の週間平均(14隻)の2倍強に上った。
ブルームバーグの委託で調査を行ったウィンドワードによれば、こうした動きは主としてロシアの排他的経済水域(EEZ)内ないしその周辺で確認されたという。国際海事法は商用船舶に対し、航行中のAIS作動を義務付けている。
●コロナ
香港・マカオを除く中国本土の市中感染者数(無症状含む)が25日に合計5600人だったと発表した。比較できる2020年4月以降で、1日の感染者数として過去最多だ。
東北部の吉林省吉林市や長春市で感染者が多い。無症状の市中感染は4320人で、そのうち上海市が2231人と最多だった。
東北部の遼寧省瀋陽市は24~30日に事実上の都市封鎖を実施する。同市によると、約900万人の全市民に不要不急の外出を禁じた。生活必需品を除き、企業の生産を止める。共産党系メディアの環球時報(英語版)によると、独BMWの自動車工場が停止した。
遼寧省大連市では中心部のオフィスビル「申貿大厦」で感染者が見つかり、24~30日に封鎖となる。メガバンク3社や航空2社、総合商社など約80の日系企業・機関が入居するが、いずれも在宅勤務だ。河北省唐山市も22日、約770万人の全市民に外出を禁じた。
11日に事実上の都市封鎖となった吉林省長春市では、トヨタ自動車の合弁工場が14日から操業を停止している。上海ディズニーランドも21日から休業を続けている。
市内を2地域に分けて実施する。まず金融機関などが集積する東部を対象に28日5時から4月1日5時まで実施。その後、日本人が多く住む西部を対象に4月1日3時から5日3時まで実施する。封鎖期間中に市民にPCR検査を実施し、感染者を隔離する。
期間中は、バス、地下鉄、タクシーなどの運行を停止し、自家用車の通行も禁止する。電気、ガス、水道、食料など生活インフラ関連以外の全ての企業に在宅勤務などを求める。株式・為替などの取引は通常通り行われる見通しだ。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
英半導体設計子会社アームの株式を担保に国内外の銀行団から資金調達することが分かった。金額は80億ドル(約9700億円)規模で、未上場株を担保にした資金調達では世界的にも異例だ。株安で先行き不透明感が漂うなか、異例の策で手元資金を厚くし財務指標の悪化に歯止めをかけるのが狙いだ。アームが予定通り上場できるかなど懸念材料も残る。
二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロと銘打つ液化天然ガス(LNG)が日本で出回り始めた。森林保護や再生可能エネルギー導入事業で創出されたカーボンクレジット(削減量)を組み合わせ、燃焼までに出るCO2を相殺する製品だ。ところが日本経済新聞の調べによると、一部で実際の削減量より過大に発行した疑いがある事業のクレジットが使われていた。買い手がCO2相殺の実態をチェックできるルール作りを急ぐ必要がある。
●その他産業
●決算関連
欧米諸国のロシア制裁を受け、需給が逼迫するとの見方から原油は1バレル110ドルを上回る水準で取引されており、石油元売り各社が保有する在庫の評価は上昇が続く。また、日本政府はガソリン価格の激変を緩和するため元売り各社に対し補助金を支給しており、店頭ガソリン価格の上昇が抑えられたことも追い風となった。年間配当は22円を維持する。
渇水に備えた引当金を取り崩して約202億円の利益を計上するが、ロシアのウクライナ侵攻などに伴い市場で取引される卸電力価格が高騰し、電力小売子会社の電力調達費用が膨らむ。
電力小売子会社の中部電力ミライズは販売する電力の1割を市場で調達しているが「23年3月期は市場調達の比率を絞る」(水谷仁副社長)という。売上高は前期比11%減の2兆6000億円とする従来予想を据え置いた。
●マクロ・その他
ウィリアムズ総裁は25日、今後の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅について「0.5%の引き上げが適切であれば、そうすべきだ」と語った。経済データを見極めつつ、必要なら大幅利上げも辞さない考えを示した。同日の米債券市場では米連邦準備理事会(FRB)の急速な引き締め観測が強まり、長期金利が一時2.5%台まで上昇(債券価格は下落)した。
ウィリアムズ氏はペルーの中央銀行と国際決済銀行(BIS)が共催したオンライン討論会に参加した。0.5%の利上げの必要性を問われ「(経済)データを見て、分析することに集中している」と述べた。従来と同じ0.25%の利上げ幅にとどまる可能性も示し「どちらかをやらない理由はない。(会合時点の)経済状況などをみながら適切な判断をするだけだ」とした。
FRBは16日のFOMCで2年ぶりにゼロ金利政策を終了し、政策金利を0.25%引き上げた。政策決定の投票権を持つウィリアムズ氏もこれに賛成票を投じている。その後、パウエル議長らFRB高官からインフレ抑制に向けた0.5%の利上げの必要性を示唆する発言が相次ぎ、ウィリアムズ氏もこの流れに加わった。
ドイツのガス調達のロシア依存の割合は、調達先の切り替えなどでウクライナ侵攻前の55%から40%にまで下がっているという。今後も調達の多様化や再生エネルギーの拡大などが進めば、24年夏にはロシアからの輸入割合を1割程度にまで下げられるというのがドイツ政府の見立てだ。
石油についてもロシアからの輸入を夏までに半減し、年末にはほとんど依存していない状況を目指す。石炭は秋までにロシア依存から抜け出せそうだという。
世界の上場企業の2021年度の純利益をコロナ直前の本決算と比べると、主要17業種のうち情報通信や自動車など11業種で首位の企業が入れ替わる見込み。08年のリーマン・ショック前後以来の多さだ。巣ごもりなど消費行動の変化の波を捉えつつ、供給制約の影響を抑えた企業が利益を増やしている。
中国はユーラシア大陸を横断し、ロシアや欧州と結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の支援に乗り出した。荷主の費用となる戦闘で被害を受けた際に補償を受けられる「戦争保険」について、地方政府傘下の運営会社が負担。一部で運賃を約2割値下げする動きもある。約半分は中ロ間の貨物であり、米欧の経済制裁にあえぐロシア経済の下支えにつながる可能性がある。
中国の生産者物価の上昇率は、ロシア軍のウクライナ侵攻に伴う原油・天然ガス価格急騰で高止まりが続き、中国のメーカーは利益が最近圧迫されている。国家統計局の発表によれば、商品価格高騰でエネルギー・原材料関連企業の利益が拡大し、全体の増益率が上向いた。
1年先のインフレ期待は5.4%。5-10年先のインフレ期待は年率3%と、2月と同水準だった。米金融当局のインフレ目標を上回る水準ではあるものの、長期インフレ期待の安定は、当局者に一定の安心感を与える可能性がある。
消費者が数十年来の高インフレに直面する中、米金融当局は先週、2018年以来となる利上げを決定した。所得の伸びを上回るペースとなっている物価上昇の圧力は、2カ月目に突入したウクライナでの戦争の影響で悪化の一途をたどり、食品やガソリンといった生活必需品のコストを押し上げている。
向こう1年間で家計状況の悪化を見込むとの回答は全体の約3分の1と、1940年代の統計開始以降で最も高い水準だった。さらに、インフレ高進で生活水準が低下しているとの回答の比率は、1970年代終盤と2008年のリセッション(景気後退)以外のどの時期よりも高かった。
●市況
日経先物(大証)28025、ダウ先34754、債先149.33、米2.488、独0.5885、仏1.008、西1.445、伊2.076、波5.374、原油112.58、ドル円122.06、墨ペソ20.03、トルコリラ14.8360、墨CDS107
※3/25 NY引け値
備忘録(3/24)
●ウクライナ
ロシアへのエネルギー依存度を下げるため、「代替となる持続可能な供給を確保していく」とも明記した。「供給が途絶しそうな場合には、緊密に結束して調整する」とも表明した。
米国はロシア産原油や天然ガスの輸入を禁止したほか、英国も年内までに原油の輸入を停止する。EUは2027年までのロシア産の化石燃料からの自立を掲げる。その穴埋めとなる調達先の確保に向けG7で連携する方針だ。すでに米英はサウジアラビアなどの中東諸国に、増産を含めた原油市場の安定への協力を求めている。
声明は「化学兵器や生物兵器、核兵器の使用の脅威に対して警告を発する」とも指摘し、ロシアの動きをけん制した。バイデン米大統領は、計画よりも侵攻が遅れているロシアが化学兵器を使う可能性について「現実の脅威だ」と言及。ロシアは核兵器を使う可能性も示し続け、ウクライナや西側諸国を脅かす。
ロシアの鉄鋼メーカー、セべルスタリが期間内に外貨建て社債の利払いを実行できなかったことが明らかになった。ロシア軍のウクライナ侵攻後、外貨建て債の利払いを履行できない最初のロシア企業となった。
国際金融協会(IIF)によれば、ロシアはウクライナ侵攻によって来年末までに過去15年分の経済成長を失う見通しだ。多くの制裁措置が発動されたほか、ロシアから撤退する企業が相次いだことが背景。
IIFのエコノミスト、ベンジャミン・ヒルゲンストック、エリナ・リバコバ両氏は戦争の影響に関する初期分析を行い、ロシアの経済成長率を今年がマイナス15%、来年がマイナス3%と予測した。この結果、国内総生産(GDP)は15年前の水準へと落ち込むことになる。両氏は追加制裁によって予測が変化する可能性もあるとしている。
IIFはロシア経済について、当面の打撃が過ぎ去った後も「頭脳流出」で数年間は苦しむことになると指摘。さらに欧米のテクノロジー輸出規制により、ロシアでの技術開発は長期にわたって損なわれるとの見方を示した。
ドイツのショルツ首相は「ほとんどの契約で決済通貨はドルかユーロになっている」とし、決済通貨の一方的な変更は契約違反になるとの認識を示した。
バイデン氏は同日に開いた北大西洋条約機構(NATO)や主要7カ国(G7)の首脳会議の目的についてウクライナ向けの軍事支援や対ロシア制裁、東欧防衛の強化だったと説明。「我々は3つ全てをなし遂げた」と強調した。「NATOはかつてなく結束している」と誇った。
G20からのロシア排除を提唱しつつ、困難な場合にはウクライナを参加させるべきだと主張した。2022年のG20議長国・インドネシアはロシアを枠組みにとどめる方針を示しており、バイデン氏はG20のあり方について関係国と議論を重ねていくとみられる。
NATOは首脳会議で、まずウクライナへの支援拡充で合意した。ストルテンベルグ事務総長は記者会見で、対戦車ミサイル、防空システム、無人機を含む重要な軍事物資をウクライナに供与しているとして「非常に効果が出ている」と説明し、支援を積み増すと表明した。サイバーセキュリティーでの支援に加え、生物・化学兵器などから身を守る装備も提供することで合意した。
ウクライナ支援だけでなく、NATO自身の防衛力強化も急務だ。柱は多国籍の千人規模の「戦闘群」と呼ばれる事実上の常設部隊の配備だ。今はバルト3国とポーランドにあるが、これをスロバキア、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーにも置く。
米国や英独仏などは、ロシア軍がウクライナ国境付近で兵力を増強し始めて以降、欧州東部に増派を重ねており、現在NATOの直接指揮下にある兵力は約4万人にのぼる。ただロシア軍の行動はエスカレートする恐れがあり、緊張が高まっている。
EUも24~25日の首脳会議で、国防費の増額などで一致する見通しで、安全保障上の危機感はNATOと共有している。だがウクライナに近い中・東欧諸国は難民の受け入れという大きな問題に直面する。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ロシアによる侵攻でウクライナを出た難民は23日時点で約367万人にのぼる。ポーランドが200万人以上、ルーマニアが50万人以上を受け入れているが、受け入れ能力は限界に近づきつつある。
米政府は24日、ウクライナからの避難民を最大10万人受け入れる方針を明らかにした。人道支援のために10億ドル以上の基金も設立する。
匿名を条件に話した政権高官らの内部評価では、プーチン大統領は追い詰められた場合、引き下がるのではなくエスカレートする傾向がある。プーチン大統領の選択肢にはウクライナの都市に対する無差別爆撃や化学兵器、さらには戦術核兵器の使用が含まれる可能性があるという。
北大西洋条約機構(NATO)は24日の首脳会議で、化学兵器および核兵器による攻撃の脅威に対する防御を強化することで一致した。記者会見で可能性のある攻撃についての証拠を問われたバイデン大統領は、「あなた方に情報機関のデータを教えるつもりはない」とした上で、「彼がそれを使えばわれわれは対応する。だが、対応の性質は使われた兵器の性質次第だ」と述べた。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
アンモニア燃料船などの導入を含めた50年までの関連投資は総額4.8兆円にのぼる見通し。単純計算で年間1700億円程度の投資となる。長沢仁志社長は同日の会見で「この2年間で大きく財務体質が改善しており、新規投資に回すことができる」と語った。液化天然ガス(LNG)運搬船の導入や洋上風力発電などにも投資する。
30年以降、アンモニア燃料船の導入を急ぐ。同社では30年に自動車船で建造が開始され、35年ごろから量産体制が整備されると想定。50年までに運航隻数の半分程度をアンモニア燃料船に切り替えることを目指す。40年からはバイオ燃料や合成メタンといった脱炭素燃料も活用し、50年に温暖化ガス排出実質ゼロを達成する。
ただ、船舶燃料としてアンモニアを導入するにはハードルもある。長沢社長は「アンモニアには毒性の問題があり、船員の安全確保が最重要だ。またインフラ関連の整備も課題だ」と話した。
米ニューヨーク大学スターンビジネススクールを最近退職したバルーク・レブ氏ら4人の教授は、汚職問題がはびこるロシアに多額の投資を行ってきた企業が高いESGスコアを維持できた理由について、共同研究をまとめた。
企業のESGスコアと、ロシアの侵略に対する企業の対応の間には統計的な関連性がないというのが研究で導き出された結論の一つで、ESG評価の有用性を疑問視する意見に合致する結果となった。
さらに同研究は、「われわれが得た証拠が示しているのは、ロシア向け投資をしている欧州企業で高いESG総合スコアを保有し、特に社会的スコアが他社より高い場合でも、これらの企業がロシアによるウクライナ侵攻に対してより有意義な行動を取る傾向があるわけではない」と分析している。
ESG投資の擁護派は、ESGが投資プロセスに活用されていることを懐疑論者が理解していないと指摘。ESG投資は、資金を使って善行を施すということではないと説明する。ESG評価は、財務的に重要なESG関連のリスクに対して企業がどの程度の耐性を持つかを測るための基本的なツールの一つだと主張している。大手ESG格付け提供会社のMSCIは自社のウェブサイトで、格付けは「企業の善良さについての一般的な基準ではない」と明記している。
ソフトバンクGは昨年12月にアポロから初めて40億ドルの融資を受けたが、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)の保有資産を担保に新たに11億ドルのローン契約を22日にまとめた。市場のボラティリティーにもかかわらずソフトバンクGは投資家からかなりの関心を集めたと、関係者が非公開取引を理由に匿名で語った。
ブルームバーグのデータによると、総額51億ドルのユニトランシェ・ローンはプライベートクレジット市場におけるこの種のローンとしては過去最大規模。関係者の話では、追加融資の背景にはSVF2の保有資産増加がある。ソフトバンクGの発表によれば、SVF2の公正価値は昨年末時点で480億ドル。
関係者によると、ローン金利は約5%。今回の取引はアポロが主導するが、投資信託や保険会社、寄付基金、金融機関も参加する。
傘下の英半導体設計会社アームの新規株式公開(IPO)計画で少なくとも600億ドル(約7兆3400億円)の評価額を目指している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。頓挫したエヌビディアへの売却計画よりも高い金額を目標に据えている。
●その他産業
今期の投資額は中国移動が1%増の1852億元と高水準を計画するものの、5G向けは4%減の1100億元に抑える。中国電信も投資全体は7%増やすが、5G向けは11%減らす。中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)は5G向けを公表していないが、提携している中国電信に近い水準とみられる。
●決算関連
●マクロ・その他
3月の米国の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合が58.5と前月から2.6ポイント上昇した。改善は2カ月連続で8カ月ぶりの高水準になった。新型コロナウイルスの感染者数の減少で、飲食・宿泊といったサービス需要が持ち直しているのを映した。
サービス業の指数は58.9と2.4ポイント改善し、総合と同じ8カ月ぶりの高水準になった。米国では新型コロナのオミクロン型の感染が1月半ばにピークを迎えた後に急減し、その後も抑制された状態が続いている。マスクの着用義務の撤廃やオフィスへの出社再開など正常化の動きが広がるなか「コロナ関連の規制緩和の恩恵で特に接客業(の景況感)が上向いている」(S&Pグローバルのクリス・ウィリアムソン氏)という。
製造業の指数も1.2ポイント高い58.5と6カ月ぶり高水準を記録した。自動車などの需要の強さが続き、サプライチェーン(供給網)の混乱がやや和らいだことも追い風になった。
3月のユーロ圏の総合PMIは2カ月ぶりに低下し、ロシアのウクライナ侵攻が影を落とし始めている。米国はまだ景気の底堅さがみられるが、資源高のもたらすインフレの一段の悪化や米連邦準備理事会(FRB)の急速な金融引き締めなど逆風も強まり、景気の先行きに慎重な見方を示す企業も増えている。
2021年の経常収支は8216億3400万ドル(約100兆1500億円)の赤字だった。前年比で33.4%拡大し、過去最高の赤字額となった。
経常赤字の国内総生産(GDP)に占める比率は3.6%で、前年の2.9%から0.7ポイント拡大し、08年以来の大きさとなった。
モノの貿易赤字の拡大が赤字拡大の主因。米経済は新型コロナウイルス流行の打撃から迅速に立ち直り、モノの輸入が大きく増えたが、諸外国の回復が遅れたため輸出の伸びは緩やかだった。
ウォラー理事は24日、住宅市場について講演し、「ここワシントンで家を買おうとしているのでわかるが、市場はクレージーだ」と語った。新型コロナウイルス危機に対応した金融緩和と供給制約で「住宅価格と家賃が全国で大幅に上昇し、空室率は低下している」と述べた。
ウォラー氏は住宅市場を「真っ赤に熱せられた」と表現し、消費者物価指数(CPI)など足元の統計が「家賃の上昇幅を十分に反映していない」との可能性を指摘した。市場実勢を映し出すまでに時間がかかるとの見方を示した。
ウォラー氏は30年物の住宅ローン金利がすでに上昇に転じたとして「ローン金利の反発と価格上昇の継続により、多くの人にとって住宅購入は手ごろではなくなった」と話した。
コロナ禍で広がった転居や住環境の変化に伴う住宅需要は和らぐ可能性がある一方、資材価格の上昇、熟練労働者の不足といった供給要因は続くと分析。「最近の住宅価格の上昇は実質的な需給問題によって維持されるようにみえる」との見通しを示した。
エバンス総裁は24日、デトロイト地域商工会議所での講演後の質疑応答で、「われわれは慎重、謙虚かつ機敏でありたい。また、そう遠くない将来に中立水準に到達したい」とし、0.5ポイントの利上げがその点で「役立つかもしれない。私はそれにオープンだ」と語った。「毎回の会合で0.25ポイント引き上げることには違和感はない」とも述べた。
金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げて6.5%にすると発表した。利上げは7会合連続。
メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)が同日発表した3月前半の消費者物価指数の上昇率は前年の同じ時期と比べて7.29%だった。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は前年の同じ時期と比べて6.68%上昇した。4月のイースター休暇を控え、航空券や旅行パッケージの価格が大幅に上がった。
中銀は同日、インフレ率が目標上限である4%を下回る時期は23年4~6月期以降になるという見通しを示した。2月時点では23年1~3月期に目標上限を下回ると予測していた。米シティグループ系のバナメックスは18日に発表したリポートで「インフレ圧力は長期的に高止まりし続けるだろう」と指摘した。
メキシコのロペスオブラドール大統領は24日の記者会見で「食料や資源の不足でインフレが続けば関税を撤廃する可能性がある」と述べた。
各国政府や企業がロシア依存を見直すなかで恩恵を受けるのは「メキシコやブラジル、米国、東南アジアの製造拠点だろう」との見方を示した。同社が事業を強化している中国など打撃を受ける可能性のある国については言及を避けた。
各国がロシアの原油・天然ガスに代わるエネルギー源を模索している。フィンク氏は「長期的には今回の危機が再生可能エネルギーへのシフトを加速する」とする一方、温暖化ガス排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)への転換は一時的な停滞が避けられないと指摘。機関投資家としてESG(環境・社会・企業統治)の改善に向けた取り組みが難航する可能性を示唆した。
ロシアの侵攻やその後の経済制裁を踏まえ「各国で(従来の)通貨に依存することを再考する動きが加速するだろう」と予想し、デジタル通貨の役割が拡大する可能性に言及した。米連邦準備理事会(FRB)によるデジタルドルの取り組みにも触れ、「グローバルなデジタル決済システムはマネーロンダリングや汚職のリスクを軽減しながら、国際的な取引の決済を強化できる」と述べた。
IIFは24日のリポートで、他の新興国市場への資本流入が続いているにもかかわらず、高頻度データで中国の株・債券から大規模な資本の流出を検知したことを明らかにした。
チーフエコノミストのロビン・ブルックス氏らはリポートで、「われわれが目にしている中国からの大規模かつ激しい資本流出は、前例がない。特に他の新興市場からの同様の流出が見られない」と指摘。「資本流出のタイミングはロシアによるウクライナ侵攻後に当たり、外国人投資家が新たな観点で中国を見ている可能性があるが、この点に関して明確な結論を出すのは時期尚早だ」としている。
公式データによると、2月は外国人投資家の中国国債保有が過去最大の減少を記録。ロシアによるウクライナ侵攻が世界の債券投資家の償還に拍車を掛けたことが一因だ。制裁措置により、ロシア中央銀行がユーロとドルで保有する外貨準備が凍結され、同国政府が保有する中国資産を売却して資金を調達するとの臆測につながっている。
中国の株式市場も今月初めに大幅下落した。米国と欧州連合(EU)による対ロシア制裁が何らかの形で中国に波及する可能性などが懸念され海外投資家が引き揚げていた。その後、政策当局が資本市場の下支えを表明したことから、中国株は先週以来持ち直している。
●市況
日経先物(大証)27820、ダウ先34580、債先149.59、米2.357、独0.5230、仏0.984、西1.410、伊2.049、波5.362、原油111.19、ドル円122.07、墨ペソ20.08、トルコリラ14.8305、墨CDS110
※3/25 10時00分頃
備忘録(3/23)
●ウクライナ
同氏はロシアのウクライナ侵攻に反対しており、抗議の意を示した可能性がある。プーチン政権内の改革派やリベラル派の間で侵攻への批判が広がりつつある。
チュバイス氏は1990年代にエリツィン政権の大統領府長官や第1副首相を務め、急進的な経済改革を主導した。ロシアの経済界になお強い影響力を保持し、外国企業とのパイプも太い。
18日にはハイテク企業を育成する政府系基金「スコルコボ」が、アルカージー・ドボルコビッチ会長が退任したことを明らかにした。同氏はメドベージェフ前政権で大統領補佐官を務めた有力なリベラル派として知られる。ウクライナへのロシア軍侵攻について批判的な発言をし、プーチン政権内で同氏への非難の声が高まっていた。
外貨の獲得だけでなくルーブル相場を支える狙いがあるとみられる。
非友好国リストには、米国や欧州連合(EU)加盟各国のほか日本や英国、カナダなどが含まれている。
NATOはウクライナ侵攻から1カ月で、ロシア軍の死者を7000~1万5000人と試算した。
化学・生物兵器に対応できる装備の供与を拡大する考えを表明した。放射性物質やサイバー攻撃から身を守る機器なども支援する。
欧州東部への防衛体制の強化でも合意する見通し。ハンガリーとスロバキア、ルーマニア、ブルガリアに1000人規模の「戦闘群」と呼ばれる事実上の常設部隊を設置する。すでにポーランドやバルト3国に設置された分を含めると、8つの多国籍の部隊が欧州東部に置かれることになる。
決議案はフランスとメキシコが主導し、23日午後5時(日本時間24日朝)時点で90カ国以上が共同提案に名を連ねる。東部マリウポリなど都市包囲に触れ「人道的な状況をさらに悪化させている」としてロシア軍の撤退を求めたほか、ウクライナの核施設爆撃に懸念を表明する内容だ。
一方、南アフリカはロシアによる侵攻に言及しない独自の決議案を提案した。南アフリカのラマポーザ大統領はロシアのウクライナ侵攻は北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大が原因であり、ロシア非難は非効率的との立場を明確にしている。シリアのサバーフ大使は「人道問題の政治化は拒否する」と述べ、南ア提出の決議案への支持を表明した。
決議案はいずれも24日に採決される見通しだ。当初、フランスやメキシコは安全保障理事会での採決を目指していたが、拒否権を持つロシアの反対を想定し、総会での決議に持ち込んだ。2月28日~3月2日まで開いた国連総会の緊急特別会合では、ロシアのウクライナ侵攻の非難決議を141カ国による賛成多数で採択した。
ブリンケン米国務長官は23日、米政府としてロシア軍がウクライナで戦争犯罪を行ったと認定すると発表した。ブリンケン氏は声明で「無差別攻撃や市民を意図的に狙った攻撃に関する多数の信頼できる報告」に言及。同盟国や国際機関などと情報を共有し、犯罪訴追を含め実行者の責任を追及すると強調した。
欧米の経済制裁の影響でロシア企業の外貨建て社債の利払いに混乱が起きている。仲介する金融機関が取り扱いに慎重になって送金手続きが滞り、企業側の支払指示が予定通り実行されない事案が相次いでいるためだ。払いたくても払えずに債務不履行(デフォルト)に至るケースが出てくる可能性がある。
米国や欧州連合(EU)などはロシアの企業から利払いを受けることは禁じていない。セベルスターリ自体は制裁を科されていないが、大株主で会長のアレクセイ・モルダショフ氏がEUと英国から、プーチン政権に近いオリガルヒ(新興財閥)として制裁対象に指定されている。シティバンクはコメントを避けているが、制裁違反のリスクを恐れて慎重に精査しているもようだ。
制裁違反でないことが明確でない限り金融機関は慎重に対応する構えで、元利払いの遅れは今後も続く可能性がある。当局の反応を見極めながら綱渡りの債務返済が続く。
ポーランドのトマシュ・ザットコウスキー駐北大西洋条約機構(NATO)大使は23日、ウクライナからの難民流入について「前例のないペースと規模だ」と危機感を表明した。「同じペースが数週間続けばポーランドにとって難題になる」と言明し、各国に難民対策で協力を求めた。
国連によると200万人を超えている。同氏は「我々は戦争を恐れて安全な場所を探す人々を拒まない」と強調しつつ「受け入れ能力の限界もある」と話した。
ロシアがウクライナで住宅街や民間インフラに爆撃を激化させていることについて「大量の難民を生み出して西欧に圧力をかける意図があるのかもしれない。我々は強い疑いを持っている」と不信感をあらわにした。欧州では過去にシリアなどから多数の難民が押し寄せて深刻な社会問題となり、反グローバリズムが広がったことがある。
ザットコウスキー氏はロシアとベラルーシの軍事協力拡大に懸念を示した。外交で中立的な立場をとってきたベラルーシをめぐり、NATOは「緩衝地帯」と位置づけてきたと指摘。ポーランドが接するベラルーシにロシア軍が常駐する可能性が高いとして「NATOの態勢や戦略は修正を迫られる」と語った。
特にロシアがベラルーシに戦術核を配備するシナリオをあげて「ゲームチェンジャーだ」と言及した。「とても敵意のあるシグナルであり、核兵器による威嚇が一段と現実的なものになる」と述べた。ベラルーシは2月に憲法改正し、ロシアの核兵器の受け入れを可能にした。
●コロナ
中国で新型コロナウイルスの感染拡大阻止を狙うロックダウン(都市封鎖)が拡大している。鉄鋼業が盛んな河北省唐山市が一時的な全面封鎖に入った。地元当局が22日発表した。
中国では約2週間で5番目のロックダウンとなり、これらの省では当局が60余りの仮設病院の設置に動いている。上海市当局は同市が1週間に及ぶロックダウンを実施するとのオンライン上のうわさを否定した。
中国での1日当たりの新規感染者数は5000人に近づいている。ロックダウン中の吉林省は約2800人の感染を報告。コロナ検査を拡大した上海市では1000人近くに増えている。
特に35~44歳が40%増、25~34歳は37%増と大幅に増えた。20年の全死者数のうちアルコール関連死は3%を占めた。
アルコール関連死の増加は「パンデミック(世界的大流行)の隠れた犠牲を反映している」と指摘した。1999年から2017年までのアルコール関連死は年平均2%増だった。
米心理学会によると新型コロナは現在も米国人の主要なストレス要因となっている。3月上旬に実施した調査では58%が新型コロナは日々のストレス要因と回答した。「新たな変異型ウイルスの出現でパンデミックがいずれ終わるとの希望はなくなった」との回答は66%だった。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
最新モデルの性能の高さが自作PCファンらに評価され販売が好調だ。一方、競合の米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)製は世界的な半導体不足が製品の値上がりを招き、割安感が後退した。
●決算関連
●マクロ・その他
2月の英国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で6.2%上昇した。伸び率は1月の5.5%から0.7ポイント広がり、1992年3月以来ほぼ30年ぶりの高水準を連続で記録した。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格の高騰に拍車がかかっており、物価上昇率は3月以降さらに高まる見通しだ。
値上がりは様々な品目で進んだ。前年同月比の伸び率をみると「衣服・履物」は8.9%と1月より2.6ポイント拡大した。前年に新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)下で値下げ圧力がかかっていた反動が出た。「娯楽・文化」は4.7%、「食品・非アルコール飲料」は5.1%上がった。
インフレは3月から一段と強まる可能性が高い。英政府の統計によるとガソリンの平均小売価格は3月21日時点で1リットル1.65ポンド(約265円)と、1カ月前より12%高まった。4月には電気・ガス料金の大幅な値上げも控える。もともと人手不足などの供給制約で物価上昇圧力が強まっていたところへ、ウクライナ危機によるエネルギーの一段高が重なった。
世界鉄鋼協会が23日までにまとめた世界64カ国・地域の2月の粗鋼生産量(速報値)は、前年同月比5.7%減の1億4270万トンだった。
世界64カ国・地域の粗鋼生産量が前年実績を下回るのは7カ月連続となる。世界最大の鉄鋼生産国の中国は、10%減の7500万トンと8カ月連続で減少した。二酸化炭素(CO2)排出量の抑制に向け、同国の鉄鋼メーカーが減産を続けていることが響いた。
日米欧などで構成するパリクラブ(主要債権国会議)に対する債務について、交渉期限を当初の3月末から6月末に延長することで合意したと発表した。再び期限を延長し、デフォルト(債務不履行)回避を探る。
アルゼンチンは2021年5月末に約24億ドル(約2900億円)の支払期日を迎えたが、金利が高いことを理由に返済を拒否した。同年6月にはパリクラブと22年3月末まで交渉を継続することで合意し、デフォルトを回避した。その後、アルゼンチンは債務の一部を返済したが、まだ約20億ドルが残っている。
セベルスタリは16日に1260万ドル(約15億2000万円)のクーポン支払期日を迎えた。だが、シティグループは同社に対し、資金を送金する前に米財務省外国資産管理局(OFAC)の許可を取得するよう要求した。関係者は公に話す権限がないとして匿名で語った。
クーポン支払いの猶予期間も23日で終了するため、セベルスタリには時間がなくなりつつある。期間内に支払いができなければ、ウクライナでの戦争開始以来、外貨建て債務を履行できない初のロシア企業になる可能性がある。セベルスタリ、シティグループの広報担当者はコメントを控えた。
ユニオン・バンケール・プリベ(UBP)のノーマン・ビラミン最高投資責任者 (CIO、ウェルスマネジメント担当)は「地政学と経済面で状況は引き続き流動的であるため、向こう数カ月は高ボラティリティーが続いたままになるだろう」と述べた。投資家はクレジットの質に注目し、デュレーション(平均回収期間)を短めに維持すべきだと付け加えた。
スナク英財務相は23日、議会への春季財政報告で、ウクライナでの戦争が景気回復にリスクをもたらし、今年の英国のインフレ加速や成長減速につながっているとの見方を示した。
スナク氏によれば、今年の経済成長率予測は3.8%と、従来予想の6%から下方修正された。生活コストの上昇が打撃を与え始めている。
食料品ではコーヒーとマーガリン、チーズ、パスタ、大豆油、砂糖が対象になる。現在の関税は対象品目で最も低いコーヒーと大豆油が9%、最も高いチーズが28%となっている。ブラジルの消費者物価指数(IPCA)に対して影響が大きい品目が選ばれた。
資本財や情報機器に対する関税も4月に引き下げる。すでに21年3月に税率を1割下げており、今回の措置と合わせて2割の引き下げになる。例えば21年3月より前に16%だった携帯電話の税率は12.8%になる。食品などの関税停止と合わせて税収は10億レアル(約250億円)減る見通しだ。
世界の供給量の1%強に相当する日量120万バレルの原油の輸出が1~2カ月滞る可能性が浮上している。
カザフ産原油はロシアのウクライナ侵攻に伴う対ロシア経済制裁の対象外だ。
2月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は77万2000戸で、前月から2.0%減った。2カ月連続の減少で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(80万5000戸程度)を下回った。前年同月比では6.2%減少した。
販売価格(中央値)は40万600ドル(約4800万円)で前年同月比10.7%値上がりした。
「0.5ポイントの行動が必要なら、われわれはそれを実行するだろう」と発言。0.25ポイントの利上げを支持する可能性もあると述べた。「物価安定を確保するために必要なあらゆる措置を講じる用意がある。現時点で物価が安定していると誰も考えていないのは明白だ」と続けた。
一方で世界的なリスクを踏まえ、速過ぎる行動に警鐘を鳴らし、「あまりに急速に引き上げ、リスクを忘れてしまうのは適切でないと考える。むしろ、データ次第の姿勢であるべきだ」と話した。
国内の天然ガス資源開発を促進する「マーシャル・プラン」がバイデン政権には必要だとの考えを示した。
●市況
日経先物(大証)27542、ダウ先34275、債先149.74、米2.310、独0.4475、仏0.920、西1.378、伊1.990、波5.138、原油115.16、ドル円121.19、墨ペソ20.22、トルコリラ14.8324、墨CDS110
※3/24 9時10分頃
備忘録(3/22)
●ウクライナ
キエフから西に約65キロメートルの地点にある地方都市マカリフをロシア軍から奪回したと発表した。
ただ現地ではまだロシア軍による砲撃が続いており、完全にウクライナ軍が掌握したわけではないとみられる。
●コロナ
オミクロン型の派生型である「BA.2」への感染が広がっている。米疾病対策センター(CDC)によると、感染者のうちBA.2が占める割合は19日までの1週間で35%と前の週から約13ポイント拡大した。
拡大傾向にあるBA.2は感染力が強いとの指摘もあり、マスク着用義務の廃止など連邦政府や自治体がコロナ対策を緩める中で再び感染が拡大する可能性がある。
BA.2の感染は欧州やアジアではすでに広がっている。英国やドイツでは3月にBA.2の感染が拡大し、総感染者数も増えた。米国のファウチ首席医療顧問は3月中旬、米国でも同様に感染者数が増加に転じる可能性があると指摘した。
●中国不動産
中国の不動産開発大手、中国恒大集団傘下の恒大物業集団は、同社の預金134億元(約2500億円)相当が第三者の担保保証として使われ、銀行がこれを執行していたことが判明し、経緯を調査していることを明らかにした。
恒大物業は年次報告の準備を進めている際に今回の事案を見つけたと説明。中国恒大の主要不動産事業はここ数カ月、資金繰り難に見舞われているが、恒大物業はグループ内で財務が比較的健全と見られていた。
恒大物業は上場先の香港取引所への届け出で、「第三者の担保保証として差し入れられた約134億元相当の預金が関連する銀行によって強制執行されたことが分かった」と説明。担保や第三者、銀行に関する詳細は明らかにせず、「当社は独立調査委員会を設置し、今回の担保保証を調べるため専門家の起用に向けた準備を進めている」とした。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
中国で事故を起こしたのは最新型「737MAX」に比べると旧型の機種で、1990年代に運航を開始した「737ネクストジェネレーション」だ。
ただ、737MAXは2018~19年に事故を起こした後に中国で運航再開をまだ認められておらず、今回の事故が中国当局の運航再開の判断に影響するとの懸念も浮上している。
ボーイングの21年の新規受注は合計909機で、うち737MAXが749機。旧来型の737ネクストジェネレーションの新規受注はほとんどないが、これまでに約7000機を世界の航空会社向けに納入している。
2027年からの5年間で約75万キロリットルを調達する計画。二酸化炭素(CO2)排出量が少ない燃料の使用を拡大して航空業界の脱炭素化を進める。
JALは通常、1年間に360万~370万キロリットル前後の燃料を使用する。30年に全燃料の10%をSAFに置き換える目標を掲げ、調達先の確保を急いでいる。
22日に運航予定だった航空便1万1800便のうち約74%がキャンセルされた。
中国の航空データ会社バリフライトによると、これには通常なら世界で最も便数が多い国内路線の一つである北京・上海間で予定されていた大部分のフライトも含まれる。
中国の空の旅は既に新型コロナウイルス感染拡大に伴う制限措置の打撃を受けており、欠航率が高くなっている。ただ、22日の欠航率は今年に入り最高である上に、月初の2倍の水準だったことが、バリフライトのデータで示されている。
●その他産業
東芝が売却方針を表明した同社のエレベーター事業について、中国の美的集団、米オーチス・ワールドワイドなどの同業者が予備段階での関心を寄せている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
情報が非公開のため匿名を条件に語った複数の関係者によると、東芝エレベータの買収には提携先であるフィンランドのコネも関心を示しているほか、ドイツのTKエレベーターも買い手候補とみられている。東芝エレベータの売却額は約40億ドル(約4800億円)になる可能性があるという。
東芝エレベータは2002年からコネと資本提携関係にあり、一時はコネ株の5%を所有していたが15年に全株を売却。一方、コネは東芝エレベータ株の20%を持ち続けている。複数の関係者はこうした関係があるために、コネが他社よりも優位に立つ可能性があると述べた。
2021年12月-22年2月(第1四半期)の売上高は9.1%増の42億6000万ドル。アナリスト予想を超えたが、四半期ベースで増収率が2桁に届かなかったのは2015年以来となる。
3-5月(第2四半期)見通しは市場予想を下回った。競争激化が主力のデザイン用ソフトウエアへの逆風になっていることが示唆された。
アドビはロシアのウクライナ侵攻の影響で通期売上高が7500万ドル押し下げられるとの見通しも明らかにした。
●決算関連
2021年12月~22年2月期決算は、純利益が前年同期比4%減の13億9600万ドル(約1668億円)だった。売上高は同5%増の108億7100万ドルだった。中国市場で売上高が5%減少したものの、北米市場は9%増と好調だった。
ネット直販事業の「ナイキ・ディレクト」の売上高は15%増の46億ドルだった。ただ物流の混乱による納品の遅れが続いており、ジョン・ドナホー最高経営責任者(CEO)は「需要が在庫を上回っている」と述べた。
●マクロ・その他
2月の国内粗鋼生産量が前年同月比2.3%減の729万9千トンだったと発表した。足元で新型コロナウイルス禍による大幅減少からの反動増の効果が一巡。自動車の減産も長引く中、2カ月連続で前年実績を下回った。
鋼種別では、用途が広い普通鋼の生産量が566万トンと前年同月比で1.5%減少した。自動車部品など製造業向けが大半の特殊鋼は4.9%減の163万トンだった。
エジプトは21日、通貨エジプトポンドをドルに対し14%切り下げた。ロシアのウクライナ侵攻後、外貨不足が進んでおり国際通貨基金(IMF)から支援を得るための措置だとの見方がある。
中央銀行は同日、政策金利を1%引き上げた。声明で、インフレ圧力が「ロシアとウクライナの衝突で強まった」と指摘し、衝撃を和らげるため為替レートの柔軟性が重要だと強調した。中銀は金融政策委員会を24日に開く予定だったが、急きょ21日に前倒しした。
エジプトはロシアとウクライナに輸入小麦の8割を頼っており、小麦の国際価格が高騰するなか主食のパンの値上がりに苦慮している。燃料高も響いており、IMFから資金支援を得るための交渉に入ったと報じられていた。
通貨切り下げは海外からの投資呼び込みや輸出競争力の向上に寄与するが、輸入が現地通貨建てで割高になり、国内でインフレが強まる可能性がある。
同国は16年、変動相場制に移行し8.8エジプトポンドに固定していた対ドル為替レートを13エジプトポンドに大幅に切り下げた。IMFから融資を受ける条件として要求されていた改革の1つだった。
ロシアのウクライナ侵攻は、世界屈指の穀倉地帯である両国に小麦の供給を頼る中東アフリカ諸国への打撃が大きい。レバノンやチュニジアなどの経済不振が深刻な国でも状況は一段と悪化し、イエメンでは食糧不足による人道危機を警告する声もある。
「メキシコは世界で最も投資先としてチャンスがある国の一つになるだろう」と述べた。具体的な根拠は示していない。
欧米諸国がロシアに制裁を科したことで、ロシアから投資を引き揚げる動きが相次いでいることを念頭に置いた発言とみられる。
ロペスオブラドール氏はこれまで、経済指標や調査機関の予測よりも楽観的な経済見通しを繰り返し主張している。
国土交通省が22日発表した2022年1月1日時点の公示地価は全国平均が前年比0.6%上がり、2年ぶりに上昇した。コロナの爪痕が残る都心の商業地や地方の観光地は下落も目立ち、本格回復はまだ見通せない。
商業地は0.4%の上昇だった。前年の0.8%下落からの戻りは鈍い。大阪府が0.2%の下落で2年連続のマイナスとなるなど、地域差も目立つ。21年は厳しい入国制限が続いて訪日客数は過去最少に落ち込んだ。外国人需要への依存度が高かったエリアは逆風が続く。
コロナ禍で通勤者が減ったオフィス街も低迷している。東京23区のうち千代田・中央・港の都心3区は2年連続でマイナス圏に沈んだ。再開発が進んで2.3%上がった中野区をはじめ他の20区はプラスだった。
恐らくもっと重要なのは、プーチン大統領にとってウクライナでの戦争が裏目に出れば、習主席と中国共産党への圧力が高まる恐れがある点だ。
中国と国際法を研究する米ホフストラ大学のジュリアン・G・クー教授(憲法)は、「外交・軍事の両面で、米国への対抗勢力としてロシアを確保しておくことが非常に重要だと習氏は感じていると見受けられる」と指摘。「だが、プーチン氏が失脚するか、ロシアが劇的に弱体化すれば、米国をはじめとする他国に対し中国の利益を積極的に主張するという、習氏の基本的な外交戦略が骨抜きにされる」と語った。
クー教授はさらに、「プーチン氏による侵略の失敗と関連付けられれば、外国における中国の評価は損なわれ、それは欧州で特に顕著だろうがアジアの近隣諸国にも当てはまるだろう。中国は既に失いつつある信頼と親善を築くのが一層難しくなる」との分析を示した。
デギンドス副総裁は、ロシアのウクライナ侵攻を受け「以前から上昇基調にあったインフレはさらに高くより長期化するだろう」との認識を示した。
同副総裁はバーチャル形式で開かれたイベントで、今年の経済成長見通しを踏まえ「これまでスタグフレーションの可能性を無視することができている」と説明。欧州の銀行およびノンバンクによるロシアに対するエクスポージャーはかなり限定的」とも話した。
金融政策を迅速に引き締める必要があると指摘。政策金利を年内に3%超の水準に引き上げることを改めて支持した。
金融当局がどの程度の速さで動くべきかとの質問に対しては、「速いほど良い」とし、「1994年の引き締めサイクルないし緩和解除サイクルが恐らく最も良い例になるだろう」と付け加えた。
1994年から95年の早い時期にかけ、当時のグリーンスパン連邦準備制度理事会(FRB)議長率いるFOMCはFF金利誘導目標を3%から6%に引き上げ、インフレを抑制しつつ力強い成長を維持するという「ソフトランディング(軟着陸)」を達成。その後10年にわたる景気拡大期をもたらした。
2022年の実質成長率は「プラス圏にとどまるものの、(1月予測の)4.4%から一段と鈍くなる」と述べた。
世界経済は新型コロナウイルス危機からの回復途上にあり、供給制約の緩和などでインフレ圧力が低下しようとしていた矢先に「真逆のことが起きた」と指摘。
世界の中央銀行は金融引き締めに向かっている。債務負担の重い新興国は成長鈍化とインフレ悪化に金融引き締めが加わり、景気後退が懸念されるとした。
ロシア発の資源高を受け、建設資材価格が急騰している。電炉大手の東京製鉄は22日、ビルや住宅に使う鋼材を大幅値上げすると発表した。主要鋼材で13年8カ月ぶりの高値水準となる。木材やセメントでも新型コロナウイルス禍などで続いた価格上昇が加速している。建材高を理由に設備投資を延期する動きも出てきた。長引けば景気の重荷となる恐れがある。
「ロシア産エネルギー輸出の大半が年内いっぱい市場から除外された場合、世界経済の低迷は避けられないだろう」と指摘、「この減速は1991年の景気低迷よりも長引く可能性がある」と論じた。ダラス連銀が両氏の論文を22日発表した。
両氏は91年の世界的なリセッションと比較。この時は前年にイラクがクウェートを侵攻したことを発端に、石油供給ショックが起きた。当時はサウジアラビアが原油増産を表明し、打撃緩和に寄与。米国は1年未満でリセッションを脱却した。
両氏は「ロシアからの供給不足を解決しない限り、原油の需要超過が解消されるまでは大幅な価格上昇や長期的な高止まりが必然となるだろう」と分析。「特に欧州で天然ガスやその他商品の価格上昇が景気を後退に押しやり、その影響が需要破壊を助長する可能性が高い」と指摘した。
ロシアのウクライナ侵攻による影響に対処するという点で、「新型コロナウイルス禍から迅速に回復している一部の国の経済はより有利な位置にある」とゲオルギエワ氏は指摘。特に米国については「ファンダメンタルズが非常に強い」と評価した。一方で、「コロナ危機からまだ脱せず、大きく後れを取っている国は一段と大きな打撃を受ける」とした上で、「リセッションに陥るリスクもあり得る」と述べた。
米国をはじめとする先進国で利上げの動きが広がっているが、そうした金融環境の引き締まりは多くの国に「大きなショック」を与えると同氏は予想。低所得国の約60%は「債務返済に支障を来している」あるいはそれに近い状態だと指摘した。
●市況
日経先物(大証)27487、ダウ先34722、債先149.81、米2.386、独0.4975、仏0.965、西1.418、伊2.024、波5.028、原油108.44、ドル円121.25、墨ペソ20.28、トルコリラ14.8260、墨CDS96
※3/23 9時25分頃
備忘録(3/18-21)
●ウクライナ
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は言質を与えなかった一方、従来の「ロシア一辺倒」を軌道修正する動きもうかがえた。
17日に習氏は最高指導部による政治局常務委員会を招集した。中国の発表からは「ロシア一辺倒」を修正した跡がうかがえる。習氏は今回、初めて「ウクライナ危機」との言葉を使った。これまでは「ウクライナ問題」や「戦火」と呼んでいた。国際法や国連憲章を踏まえた「処理を堅持する」とも明言した。国際法を踏みにじるロシアと距離を置いたとも受け取れる。
一方、習氏はロシアへの配慮もみせた。対ロシア制裁への反対を明言し、「ロシアの安全保障上の懸念も解消すべき」と擁護した。立ち位置を微妙に修正したとはいえ、米国との長期対立をにらめばロシアを切り捨てる選択肢はない。
●コロナ
南部の広東省深圳市は21日、1週間続けた事実上のロックダウン(都市封鎖)を解除した。一方で東北部の吉林省長春市では自動車などの工場停止が続く。中国全土で新型コロナウイルスの感染者数は高止まりしており、経済への打撃が広がる恐れがある。
ドイツは20日からマスク着用規制を大幅に緩めるほか、ケアホームなどを除いて陰性証明を出す必要がなくなる。ドイツの1日あたりの感染者数は約30万人と過去最多水準だが、重症化率はこれまでのように高くない。
新規感染者数は減少傾向にあるものの、感染動向の早期把握の目安となる下水のウイルス量が全米の4割の地点で増加した。マスクの着用などいったん緩和した感染対策を再び強めるのは容易ではなく、連邦政府は難しいかじ取りを迫られている。
下水に含まれるウイルス量を分析することは、無症状者を含む感染者数の増減の早期把握につながるとされる。ホワイトハウスの新型コロナ対策チームのアシシュ・ジャー調整官は17日、ツイッターで「感染は拡大する可能性が非常に高い」と警戒を呼びかけた。
もう一つの懸念は、新規感染者数が増加に転じた英国などでオミクロン型の派生型「BA.2」が急速に広がりつつあることだ。CDCは、12日までの1週間で感染例の2割超を「BA.2」が占めたと推測する。2週間前と比べて3倍となった。
政府機関と企業が通常の業務・生産を再開することを許可すると発表した。市全域のバスと地下鉄の運行も再開される。通達の有効期間は21-27日となっている。
深圳市の新型コロナを巡る状況は依然として厳しいものの、市内での感染拡大に歯止めがかかり、「全般に制御可能」だと市政府は通達で説明した。習近平国家主席がゼロコロナ政策による経済・社会的影響を最小限に抑える方針を示したことを受け、同市は18日に市内5地区で制限措置を一部解除すると発表していた。
●中国不動産
恒大の再編は中国で過去最大級となる可能性が高く、投資家は債券保有者やオフショア債権者からの圧力に直面する同社のさらなる資産売却の兆候を注視している。
澎湃新聞は20日遅く、恒大の本土部門の恒大地産集団が南京恒沢房地産開発の株式30%を中航信託に売却すると報じた。売却額は開示されていない。
恒大地産は同日、40億元(約749億円)の人民元建て債のクーポンについて、債券保有者から支払い延期の承認を得たと発表した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米ボーイングの737-800NG型機で、乗客乗員132人が搭乗していたという。けが人や死亡者などの詳しい状況は分かっていない。
737-800NGは737MAXの前世代に当たる単通路型機の一部で、2018年時点でジェット旅客機の中で有数の安全飛行記録を誇っていた。ボーイングが当時まとめたデータによれば、7000機を超えるNGが納入され、死亡者を出す事故は8件だった。
ボーイングは現在、墜落に関する情報の収集を続けていると、中国中央テレビ局(CCTV)が同社従業員の話として報じた。米株式市場の寄り付き前の時間外取引でボーイングの株価は一時8%安となった。
●その他産業
米保険会社アレゲニーを買収すると発表した。株式取得額は116億ドル(約1兆3800億円)となる。バークシャーは1467億ドルという巨額の手元資金を抱え、大型買収の機会をうかがっていた。
アレゲニーは損害保険事業を中核とする複合企業(コングロマリット)で、鉄鋼加工や玩具、葬儀関連など非保険事業を傘下に抱える。2021年12月期の純利益は10億ドルだった。バークシャーも保険事業の収益を生かして、鉄道やエネルギーに事業範囲を広げてきた。アレゲニーは「ミニ・バークシャー」ともいえる存在だ。
●決算関連
証券アナリストによる2022年度予想の下方修正は1週間で200件を超える。食品や小売り、化学などで引き下げが目立つ。新型コロナウイルス禍の長期化に加え、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原材料高が重荷となっている。ロシアの影響は十分に織り込まれていない面もあり、予想がさらに悪化する懸念もある。
●マクロ・その他
利上げペースに関して「データが適切だと示すなら、より積極的になっても構わない」と述べた。「0.25%ずつ引き上げることに固執しているわけではない」とし、インフレ抑制のために利上げ幅を「0.5%」とする可能性に言及した。
全米企業エコノミスト協会の会合にて「私は2022年に6回、23年に2回の利上げを想定している」と述べた。景気を冷やしも熱しもしない中立金利の水準を2.25%程度として、早期に中立金利の水準に金利を引き上げる必要があるとの見解を表明した。
FRBの保有資産縮小については「できる限り早く進める必要がある」と語った。
1年物のLPRは優良企業に適用する貸出金利の参考となる。人民銀は毎月公表し、事実上の政策金利と位置づける。21年12月と今年1月に2カ月連続で引き下げた後は据え置きが続く。新型コロナウイルスの感染急拡大などで利下げ観測も浮上していたが、据え置いた。1月までの利下げ効果と最近の景気下押し圧力を慎重に分析する方針とみられる。
住宅ローンなど中長期資金を融資する際の目安となる5年物は4.60%だった。1年物と同じく2カ月連続で据え置いた。
22年の財政赤字は3兆3700億元(約63兆円)と見積もった。新型コロナの打撃で税収が落ち込んだ20年の赤字額は前年比36%増の3兆7600億元に拡大した。その後、2年連続で圧縮する。
習近平(シー・ジンピン)指導部は秋の共産党大会を控え、積極財政で景気を下支えする方針だ。2兆5000億元規模の減税や税の還付で企業などの負担を軽減する。
この影響をうけ、一般会計に当たる全国一般公共予算ベースの歳入は前年比3.8%増にとどまる。一方、歳出は社会保障・雇用や教育への支出が増え、8.4%増を見込む。増加幅で歳出が歳入を上回る。
それでも財政赤字が減るのは、新型コロナからの経済正常化で税収が見通しより上振れした21年の剰余金や人民銀の利益上納金といった「特別収入」を多めに見込むためだ。人民銀は過去数年間、外貨準備の管理で積み上がった1兆元超の利益を国に還元した。
財政健全化をアピールするが、構造問題は変わっていない。まずは地方政府の歳入不足だ。
米中貿易戦争や新型コロナの打撃に対応した減税などで、地方政府の税源は細ってきた。代わりに国有地の使用権の売却収入への依存を強めてきたが、習指導部の不動産規制でこの収入も大幅に落ち込んだ。1~2月分は前年同期より3割少なく、15年1~10月以来の減少率となった。
地方財政難に対して、中央政府は移転支出を増やして対応する。22年は前年から2割近く増やす。中央政府の予算に占める移転支出の割合は19年の68%から、22年には73%まで高まる。
社会保障費の伸びを抑制するため、中国政府は法定退職年齢の引き上げを25年までの重要課題に掲げる。第1弾として江蘇省が3月から働き手の申請を条件に退職を遅らせられる制度を始めた。ただ年金の受取総額が減るといった懸念から反発も根強く、全国一律での年齢引き上げには時間がかかりそうだ。
2月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は602万戸で、前月から7.2%減った。住宅ローン金利の上昇が重荷となったとみられる。2カ月ぶりの減少で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(613万戸程度)を下回った。
販売件数は全4地区で減少し、前年同月比でも2.4%減った。販売価格(中央値)は35万7300ドル(約4300万円)で、前年同月比15%上昇した。
米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年物固定金利は2021年2月平均の2.81%から22年2月は3.76%に上昇した。直近では米連邦準備理事会(FRB)による政策金利引き上げを受け、19年5月以降で初めて4%を超えている。
NARのエコノミストは「購入希望者はローン金利上昇と販売価格上昇のダブルパンチを受けている」と指摘した。
欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、ロシアのウクライナ侵攻が景気拡大の足を引っ張り、既に記録的な高騰を示す消費者物価をさらに押し上げ始めているが、スタグフレーションの兆候は見られていないと述べた。
ラガルド氏は21日にパリで講演し、ウクライナでの戦争は経済成長に「影響」を及ぼすと指摘。インフレが加速し、信頼感は損なわれていると説明した。中銀にとって困難なのは、経済活動に打撃を与えることなく、物価安定を維持することだと続けた。
同氏は「二次的効果やガス・石油のボイコット、戦争の悪化と長期化という最も厳しいシナリオでも、2.3%の経済成長を達成できる」とし、「引き続き一定の成長を見込んでいる」と語った。
ECBの金融政策スタンスに関する議論は避けたが、米国と同じようなペースでは進まないことを認めた。政策金利を先週引き上げた米国は、利上げサイクルに入る見通しだ。
ラガルド氏は、欧州と米国では景気サイクルの同じ局面にいないとあらためて主張し、ウクライナに隣接するユーロ圏は米国よりも戦争の影響を強く受けると指摘した。
同氏は「われわれは違う世界におり、異なる段階にいる。出発点も違う」と述べ、「ユーロ圏の金利はマイナスだが、米国では一度もマイナス圏にはならなかった」と論じた。
●市況
日経先物(大証)27087、ダウ先34492、債先150.12、米2.246、独0.4315、仏0.892、西1.373、伊1.966、波4.876、原油108.81、ドル円119.22、墨ペソ20.28、トルコリラ14.8236、墨CDS96
※3/12 0時20分頃
備忘録(3/17)
●ウクライナ
米国防総省高官は16日、ロシアが地上戦闘を担う主力部隊「大隊戦術グループ」の75%をウクライナへ投入したと分析した。17日には英国防省がロシアの侵攻はすべての前線で大きく停滞していると指摘。ロシア軍は余力が乏しいこともあり、停戦に向けた協議も模索し始めている可能性がある。
ロシアのウクライナ侵攻が世界の経済成長率を1ポイント超押し下げる可能性があると指摘した。2月24日の侵攻開始から1年間の影響を分析した。原油や小麦など商品価格の高騰などで、世界の物価上昇率は2.5ポイント近く上がるとの見方を示した。
OECDは2021年12月時点で、22年の世界の国内総生産(GDP)成長率を4.5%、23年は3.2%と予測していた。経済成長率の下押し効果は、ロシアにエネルギーを頼るユーロ圏で1.4ポイントと大きく、米国は0.9ポイントとみている。
300万人を超えたウクライナからの難民受け入れのコストについては「最初の1年間で欧州連合(EU)のGDPの少なくとも0.25%になる」と予測した。隣接国が単独で支え続けるのは困難との見方も示した。
ロシア財務省は17日、前日に期限を迎えたドル建て国債の利払い計1億1700万ドル(約140億円)の支払いを実施したと発表した。当日に利払いがなく、30日間の猶予期限を経ても支払いがなければ債務不履行(デフォルト)になるとの懸念が出ていた。
ロシアのプーチン大統領について「彼は戦争犯罪人だと思う」と初めて明言した。ホワイトハウスで記者団の質問に答えた。これまでは調査中だとの理由で判断を示していなかった。
中国外務省の趙立堅報道官は、駐ウクライナ中国大使が同国に寄り添う姿勢を示した発言を認め、中国は「事態の緩和そして政治的解決に向けたあらゆる努力を支持する」と述べた。
範先榮大使は14日に行われたウクライナのコジツキー・リビウ州知事との会合で、中国は「ウクライナの人々に対して友好的な国」であり、ウクライナを攻撃することは「決してない」と述べた。リビウ州政府のウェブサイトに掲載された会合の概要によれば、範大使はウクライナの人々が示した強さや団結を称賛した。
趙報道官は17日の会見で範大使の発言について「中国は大使の発言を明確に支持する」と述べた。同報道官は前日、大使の発言を「知らない」と話していたことから、発言が中国政府の立場を表明したものかについて不透明感が高まっていた。
ただ、攻撃は「決してしない」という大使の発言が、中国がロシアに軍事支援をしないという保証として解釈できるのかは判然としない。この点について趙報道官は、「そのような関連付けや解釈を行おうとすることは論理的でない」と述べ、明確にすることを避けた。
次の焦点は3月末に控える元本償還で、その後も元利金の返済期日は続々と迫る。米政府がロシアからの元利金受領を認める特例期間もあと2カ月余りしかなく、債務返済の行方はなお不透明だ。
外貨建て及び自国通貨建ての長期債務の格付けを、デフォルト(債務不履行)の起こる可能性が高い「ダブルC」まで引き下げた。国際的な金融制裁を受け、支払期日の16日までに、投資家にドル建て国債の利払いが支払われなかったためとした。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
2021年12月~22年2月期決算は売上高が市場予想を上回る前年同期比10%増の236億ドル(約2兆8000億円)だった。純利益は23%増の11億ドルで予想を下回った。1月の宅配料金の値上げで営業利益が改善した一方、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」のまん延や輸送・賃金コスト上昇が収益を圧迫した。
直近四半期には人件費上昇による追加費用も約2億1000 万ドルに上ったという。マイケル・C・レンツ最高財務責任者(CFO)は「インフレ圧力を緩和して収益を改善するため、業務効率の改善に注力する」と述べた。
営業損益は121億円の赤字(前年同期は121億円の赤字)だった。国内外の旅行店舗を22年1月時点で19年同月比41%減の319店舗まで削減するなどコスト削減を進めたが、旅行需要が回復せず、前年同期並みの赤字額となった。
税負担が10億円膨らみ、最終赤字額は拡大した。10億円のうち5億円が繰り延べ税金資産の取り崩し分にあたる。特別利益で4億円の不動産売却益を計上したが補えなかった。
22年10月期通期の業績見通しは、新型コロナ禍で合理的な算定が難しいとして未定とした。同社は21年12月時点で、「Go To トラベル」が22年2月ごろに再開すると見込んでいたが、その後「オミクロン型」が拡大。再開時期は決まっておらず、「回復時期が想定から数カ月遅れている」(IR担当者)という。一方、22年夏ごろとする海外旅行の再開時期の見込みは据え置いた。
●マクロ・その他
2月の鉱工業生産指数(2017年=100)は103.6で、前月比0.5%上昇した。上昇率はダウ・ジョーンズまとめの市場予測と一致した。製造業が回復し全体を押し上げた。
製造業は1.2%上昇した。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の流行による労働者の欠勤増で一時活動が抑制されていたが、労働者が戻って生産が回復したとみられる。大半の耐久財と非耐久財産業で生産が増えた。ただし自動車・同部品は、電子部品不足で3.5%低下した。
米大手企業の自社株買いが加速している。米ゴールドマン・サックスによると、2022年初から2月末までにS&P500種株価指数の採用企業が発表した自社株買いは総額2380億ドル(約28兆円)と21年1~3月から3割増えた。米金融政策の正常化やロシアのウクライナ侵攻で株式相場が下げた局面で、自社株買いを公表する企業が相次いだ。
1~2月までの公表分は、四半期ベースで最高額となった21年10~12月期の2701億ドルに迫る。過去最高ペースで推移しており、ゴールドマンは年間で1兆ドルを超える可能性があるとみている。
S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズの調べによると、昨年公表された取得枠は約8817億ドルと20年から約70%増え、過去最高になった。
22年は業績が堅調な企業を中心に大型の取得枠公表も目立つ。2月には鉄道会社のユニオン・パシフィックが250億ドル、飲料大手のペプシコが100億ドルの自社株買い計画を発表した。アマゾン・ドット・コムは3月に最大100億ドルの自社株買いを発表し、翌日の株価は大幅に上昇した。
S&Pダウ・ジョーンズのシニア・インデックスアナリストのハワード・シルバーブラット氏は「インフレの先行きやウクライナ情勢を巡る不透明感で個人消費が減速する可能性はあるものの、堅調な企業のキャッシュフローをテコに今年の自社株買いは過去最高になる可能性がある」と分析している。
2月の住宅着工件数は176万9000戸(季節調整済み、年率換算)で、上方修正された前月の改定値から6.8%増えた。2カ月ぶりの増加で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(170万戸程度)を上回った。前年同月比では22.3%増えた。
アマースト・ピアポント証券のエコノミストは、寒波と新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の流行で落ち込んだ1月の反動で伸びたものの、基調に変化はないとの見方を示した。
据え置きは3会合連続。ウクライナ情勢を受けてインフレがさらに加速する可能性があり、市場では利上げに踏み切るとの観測もあった。
トルコはインフレが収まらない。2月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比で54%だった。2月下旬にロシアがウクライナ侵攻を始めたことで、大半を輸入に頼る石油・天然ガスの価格が上昇した。インフレ圧力はさらに高まっている。
インフレ率を考慮した実質金利は大幅なマイナスになっており、経済学の定石では利上げでインフレを抑制する局面だ。だが、金利そのものを嫌うエルドアン大統領は中銀に圧力をかけ、利上げに同意していないもようだ。低金利の環境で輸出を振興し、経常収支を改善することで通貨や物価を安定させる考えのようだ。
オーストラリアドルの上昇余地が膨らんでいる。ロシアのウクライナ侵攻でロシア産小麦や液化天然ガス(LNG)などの供給不安が続くなか、改めて資源輸出国としての豪州の潜在力に投資家が注目している。世界的な景気の先行きの不透明感から、国際商品市況と連動してきた豪ドルの値動きには足元で乖離(かいり)がある。投資家はいずれ連れ高に戻るとみてポジション(持ち高)戦略を練り直し始めた。
英イングランド銀行(中央銀行)は17日、政策金利を0.25%引き上げて年0.75%にすると発表した。2021年12月から3会合続けて利上げし、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻した。声明文はロシアのウクライナ侵攻について「エネルギーや食料品を含む商品価格の大幅な上昇を招いている」と指摘し、物価上昇率の見通しをさらに引き上げた。
英国では1月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で5.5%上がり、1992年3月以来約30年ぶりの高い伸び率になった。イングランド銀は前回の2月時点では、CPI上昇率は「4月に7.25%」まで広がってピークをつけるとみていた。今回は「4~6月期に8%程度」になり、年内にさらに伸びが高まると予測した。インフレ見通しを大幅に引き上げた形で、2%の物価目標に戻すために金融引き締めの継続が必要だと判断した。
政策決定は2月下旬にロシアがウクライナ侵攻してから初めて。ウクライナ危機が世界的なサプライチェーン(供給網)の乱れに拍車をかける恐れにも懸念し「経済見通しの不確実性を著しく高めた」との認識を共有した。足元の英景気は堅調とみているが、インフレで家計の所得が実質的に目減りし、経済活動を妨げるシナリオに警戒を強めている。
台湾の中央銀行は17日、定例理事会を開き、政策金利を現行の年1.125%から0.25%引き上げ、1.375%にすると決めた。18日に実施する。利上げは2011年7月以来、10年8カ月ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大後の景気下支えのため、20年3月に1.125%の過去最低水準に引き下げていた。22年の実質成長率予想は4.05%に上方修正した。
楊氏は「台湾では(製造業のみならず)サービス業も回復し始め、米国が利上げをしたことも主な要因だ」とも話した。
楊氏は22年の実質成長率の予想を4.05%に引き上げたと明らかにした。21年12月時点では4.03%だった。ロシアによるウクライナ侵攻で世界景気の先行きが不透明になり、修正幅が縮小した可能性を示唆した。
ポーランドはドイツやフランスと比較し欧州の周辺国とも位置づけられる。そのポーランド財務省によると、同国債の保有残高の海外勢首位は日本となっており、1月時点で36%を占める。
ウクライナ情勢が緊迫したことで、投資環境は一変した。2月のロシアのウクライナ侵攻後、隣国のポーランドにも混乱が及びかねないと懸念され、海外の機関投資家の間ではポーランドの資産を売る動きが出ている。
3月中旬には10年債利回りが5%台に達した。同時に通貨ズロチも売られ、1ドル=4.6ズロチ前後と2000年以来の水準に下落した。ポーランド国立銀行(中央銀行)は通貨安を止めるために為替介入に踏み切ったうえ、8日には政策金利を0.75%引き上げて3.5%と9年ぶりの水準となったが、効果は限定的だ。
オランダ金融大手INGは「一部のウクライナ人労働者がポーランドを離れて軍に加わる」と、労働者不足が賃金の上昇圧力となりインフレの一因になるとみる。ポーランド中銀によると18年のウクライナからの労働者は100万人程度と、人口が4000万人に満たないポーランドにとって存在感が大きい。ウクライナからの避難民に対して負担する財政支出も未知数だ。中銀の一段の引き締めも予想される。
こうしたポーランド経済の混乱は、日本の投資家の行動にも影響し始めている。ある外資系運用会社の運用担当者は損失を回避しようと「きな臭い動きを察知し、ロシアとウクライナの開戦前にポーランドの国債を売って米国債を買った」と打ち明ける。米長期金利が2%の水準を回復し、より安全な米国債に投資妙味が出てきたことも資金を移した理由だという。
だが、ポーランド国債を売って、損失を抑えられた日本の投資家はまだ一部にとどまるようだ。
ある国内の機関投資家はポーランド国債について「年初から中銀の利上げによって(短期金利の差から算出する)為替のヘッジコストが上昇しており、今後は為替ヘッジをつけないオープンでの買いか、売却も選択肢として検討している」と話す。
このまま保持し続ければ、ウクライナ情勢の悪化によって債券価格が下落し評価損が膨らむ。日本勢が投資しにくくなり、資金運用の選択肢が狭まる恐れがある。
H株指数は7.5%高で取引を終了。8.2%高まで買われる場面があった。テクノロジー株や不動産銘柄の上げが目立つ。中国当局が規制面の締め付けを和らげるとともに、同セクターの企業を支援する考えを示した。
中国政府の方針発表で、底が見えない株安にも見受けられた株式相場は急反発したが、市場参加者は今回の反発の持続性を見極めようとしている。主な懸念材料としては、新型コロナウイルス関連の厳格な規制措置や米利上げを受けた中国からの資本流出の恐れ、ロシアとの緊密なつながりで政治的反発を招く可能性、不動産市場の低迷などがある。
既に高水準の消費者物価上昇率が上振れするようならば、2022年中に2回の利上げを行う可能性も排除しないと発言した。
2022年についてECBの「厳しい」シナリオでは、ウクライナ戦争と対ロシア制裁の激化によりインフレ率が7%を超えると見込まれていると、クノット氏は説明した。
3月の製造業景況指数は27.4で、前月から11.4ポイント上昇した。
個別項目では、「新規受注」が25.8で11.6ポイント、「出荷」が30.2で16.8ポイントそれぞれ上昇したほか、雇用は6.6ポイント上昇の38.9で、統計開始の1968年以降で最高を記録した。
一方、供給制約を映す「受注残」は21.0で5.2ポイント、「入荷遅延」は39.7で16.7ポイントそれぞれ上昇し、状況の悪化を示唆した。経済調査会社パンセオン・マクロエコノミックスのエコノミストは、ロシアによるウクライナ侵攻や中国の新型コロナウイルス対策強化による一時的混乱が影響した可能性を指摘した。
●市況
日経先物(大証)26425、ダウ先34179、債先150.09、米2.180、独0.3840、仏0.842、西1.339、伊1.913、波4.702、原油104.62、ドル円118.67、墨ペソ20.51、トルコリラ14.7131、墨CDS106
※3/18 10時20分頃
備忘録(3/16)
●ウクライナ
「米国はもっとやるべきことがある」と指摘し、ロシアに対する経済制裁の強化を求めた。具体的には全ての米企業がロシアから直ちに撤退し、全てのロシアの政治家に制裁を科すべきだと主張した。
ロシア軍による爆撃が強まっているとして、地対空ミサイルや航空機の供与を求めた。ウクライナ領空で「飛行禁止空域」の設定も要請した。設定はウクライナ上空でロシア軍の活動を禁じることを意味し、必要に応じて撃墜する必要があり、バイデン政権は一貫して反対してきた。
●コロナ
15日に確認された感染者は40万741人となり、前週比で約2割増加した。ワクチン接種が遅れた18歳以下が26%を占め、重症化しやすい60歳以上が全体の17%だった。
直近1週間の死者数は1日平均230人と過去最多水準で推移。重症患者数も過去最多の1244人となっており、重症者用の病床使用率は64%で上昇傾向が続く。
各国政府統計などをまとめた感染情報サイト「ワールドメーター」によると、韓国の感染者数が最も多く、世界全体の新規感染者の2割程度を占めた。直近1週間の感染者数ランキングでは、韓国が1位でドイツ、ベトナム、ロシア、オランダが続く。
●中国不動産
先送りは景気への配慮を強めているためだ。秋の共産党大会を控え、習指導部は安定成長の実現を最重要課題に掲げている。国務院(政府)金融安定発展委員会も16日の会議で「(市場を)収縮させる政策は慎重に進める」と強調した。
主要70都市の新築住宅価格動向によると、全体の6割弱に当たる40都市で前月より値下がりした。各都市平均の価格変動率は0.13%のマイナスで、2021年9月から下落が続く。
住宅の購入需要も低迷している。1~2月の住宅販売面積は前年同期を14%下回った。21年7月から減少が続く。都市部の新規雇用が新型コロナウイルスの感染拡大前の19年の水準に戻っておらず、家計は支出に慎重になりがちだ。
中国人民銀行(中央銀行)によると、住宅ローンが大半とみられる個人向けに新たに貸し出した中長期資金は2月、マイナスとなった。遡れる07年以降で初めてだ。住宅ローンの金利は低下しているが、先行き不安などから新たな借り入れをためらう動きがみられる。
特に中小都市で市況の低迷が目立つ。省都クラスより規模が小さい都市の新築物件は2月、前月より0.3%下がった。下落率は1月の0.2%より拡大した。前年同月と比べた変化率でみても、2月は0.1%下落した。前年同月を下回るのは16年3月以来だ。
習近平(シー・ジンピン)指導部は、金融リスクを高めかねないバブルは抑制する姿勢を堅持しつつ、地方が不動産市場をてこ入れすることを容認する。
指導部の方針をうけ、地方政府は相次ぎ住宅取引の促進策を打ち出している。不動産取得税を減免したり、銀行が住宅ローンを提供する際に求める頭金の割合を引き下げたりする動きが広がっている。
供給面での価格下落圧力は年明け以降、弱まったとの分析もある。リストラや規制の一部見直しで、不動産会社の資金繰りがやや改善したためだ。
ただ住宅取引の促進策が出ても、消費者はマンション購入を様子見する姿勢を崩していない。3月に入ってからは新型コロナの市中感染が急速に広がり、住宅展示場などに足を運ぶ人が減る可能性が高い。丸紅中国の鈴木貴元氏は「住宅価格が戻り始めるのは5月ごろになる」と見ている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
ケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)が4月4日付で退任すると発表した。後任が決まるまで実質的な創業者のハワード・シュルツ氏が同職に復帰する。新型コロナウイルス禍の収束や労組結成機運の高まりなど経営環境の変化をにらんだ動きとみられる。
●決算関連
2021年12月通期の決算は、前期売上高が12%増の1112億ユーロ、収益指標にしている自動車部門の売上高に占めるEBIT比率が10.3%と7.6ポイント上昇。半導体不足で供給が間に合わない中で単価が上昇したことなどが理由。純利益が前の期の3.2倍の124億ユーロだった。販売台数は252万台と8%増えた。
今後はロシアによるウクライナ侵攻の影響が懸念される。足元では、ウクライナの部品会社からのワイヤハーネス(組み電線)の供給が滞り、ドイツや英国の一部の拠点が生産を停止している。秋に予定していた設備メンテナンスを前倒しするなどして、年間の生産量への影響を抑えようとしている。
●マクロ・その他
米国でシェールオイルの増産が加速している。2022年12月の米原油生産は2月に比べて日量100万バレル以上増える見通しだ。ロシア産原油輸出量の約2割に当たる。ロシア産の取引自粛で原油需給が逼迫するなか、米政府が石油会社に増産を要請。投資家も後押しする。米国は世界最大の原油生産国だ。エネルギー地政学への影響力が強まる可能性がある。
王毅外相はスペインのアルバレス外相との14日の電話会談で、世界の市場を揺るがしている対ロ制裁からの一段のダメージは避けたいとの意向を示唆。中国外務省の声明によれば、「中国は今回の危機の当事者ではなく、制裁による影響をさらに受けることは望んでいない」と王氏は述べた。
米国がウクライナでの戦争をあおっていると中国が批判を試み、ロシアが唱えるウクライナにあるとするバイオ研究所を巡る陰謀論を中国の外交官が後押ししていても、中国はウクライナ危機の緊張緩和を強調しており、王外相の発言はこれと一致する。中国が世界的な対立に引きずり込まれる、あるいは経済面でさらに足を引っ張られる可能性を最小限に抑えようと、中国側の行動が調整されているようだ。
2月の小売売上高(季節調整済み)は6581億ドル(約78兆円)で、前月から0.3%増えた。急増した前月(4.9%)の反動で伸びは鈍化した。ガソリン価格の上昇など物価高で消費者が支出に慎重になりつつあるとの見方もある。
変動の激しい自動車・同部品の売り上げは0.8%増えたが、それを除くと0.2%増にとどまった。
前月に大きく伸びたネット通販などの無店舗小売りの売り上げが3.7%減ったほか、家具店(1.0%減)、家電店(0.6%減)などもマイナスとなった。一方、ウクライナ危機でガソリン価格が急騰したため給油所は5.3%増えた。新型コロナウイルスの流行が落ち着いたことから飲食サービス店も2.5%増に回復した。
ロシア国営通信社のRIAノーボスチは16日のシルアノフ財務相発言として、ロシア政府はドル建て国債の利払いを14日に実施したが、政府と中央銀行の外貨口座が制裁で凍結されているため債券保有者に支払いが届かないリスクがあると報じた。
この報道によると、シルアノフ氏は「資金はわれわれの外貨口座がある適切な米国の銀行に到着した」と発言。「支払いの手続きは現在進行中で、処理が完了したかどうかの連絡をまだ受けていない。つまり処理はまだ完了していない」とし、口座のある銀行からの情報を待っているところだと述べた。
国際エネルギー機関 (IEA)によれば、ロシアの来月の原油生産量は約25%減少する可能性がある。ロシアのウクライナ侵攻で買い手が同国産原油を敬遠しており、数十年ぶりの深刻な供給ショックに見舞われる恐れがある。
IEAは、ロシアの原油生産が来月から日量300万バレル減の860万バレルと試算。新型コロナウイルス禍からの景気回復で石油需要が持ち直す中で既に引き締まっている市場がさらに逼迫(ひっぱく)する可能性を示唆した。
IEAはまた、今年予想される石油需要の伸びを3割余り引き下げた。商品高がもたらすインフレ圧力が需要を抑制するとの見方が背景。石油消費は今年、日量210万バレルの増加が見込まれている。
FOMCは同時に参加者による最新の経済予測を公表。これに基づく金利予測分布図(ドット・プロット)では、中央値で2022年末の金利を約1.9%と予測。市場の予想と一致したが、前回の予測を上回った。23年については約2.8%への上昇を予想した。今回の予測での最終年となる24年は2.8%との見通しが示された。
8兆9000億ドル(約1052兆円)に膨らんだバランスシートについて、声明は「今後の会合」で縮小を開始するとしたが、具体的な説明はなかった。パウエル議長は記者会見で、バランスシート計画の明確化という点で当局者らが今週前向きな進展を見せたと指摘。FOMCとしてはまだ決定していないが、5月の会合で縮小プロセスを開始する準備が整っている可能性もあると説明した。
新たな経済予測では、インフレ率が従来予測から大幅に上方修正され、22年に4.3%とされた。ただ24年には2.3%に下がると見込んでいる。22年の経済成長率については2.8%と前回予測の4%から下方修正、失業率の予想はほとんど変わらなかった。
ウクライナ侵攻が米経済に与える影響は極めて不透明だ。原油や商品価格の上昇が世界に及ぼす直接的な影響だけでなく、侵攻や関連事象は海外での経済活動を抑制し、供給網の混乱をもたらし、貿易や他の経路を通じて米経済に波及する可能性がある。
金融市場の変動の大きさは、特にそれが続いた場合、信用の引き締めに作用し、実体経済に影響を与える可能性がある。このような環境下で適切な金融政策をとるには、経済がしばしば予期せぬ形で進展することを認識しなければならない。我々は入ってくるデータと変化する見通しに機敏に対応する必要がある。すでに極めて困難で不確実な状況にあるいま、さらに不確実なものを増やさないよう努める。
我々は、物価上昇率と期待物価上昇率への上昇圧力に留意する。米経済は非常に堅調で、金融引き締めに対応できる状況にある。我々は最大雇用と物価安定目標の達成のため、できる限りのことをする。
金融政策決定会合で、政策金利を1.0%引き上げて11.75%にすると決めた。利上げは9会合連続。委員が全員一致で決めた。ウクライナ情勢の緊迫でエネルギー価格に上昇圧力がかかる中、インフレを抑制するために金融引き締めの継続を決めた。
2月の消費者物価指数IPCAは前年同月比で10.54%上昇した。中銀の目標上限(5%)の2倍を上回った。特にエネルギーや食料品の価格が上がっている。中銀が民間エコノミストの予測をまとめて毎週公表する「FOCUS」では、22年は前年比6.4%、23年は同3.7%のインフレ率が見込まれている。
軍事侵攻を続けるロシアへのエネルギー依存から脱却するため、エネルギー市場の安定への協力を要請した。英政府の発表によると、原油の増産など具体的な約束には至らなかったとみられる。
●市況
日経先物(大証)26382、ダウ先34102、債先150.05、米2.172、独0.3835、仏0.848、西1.367、伊1.969、波4.708、原油95.59、ドル円118.96、墨ペソ20.64、トルコリラ14.6014、墨CDS106
※3/17 9時40分頃
備忘録(3/15)
●ウクライナ
モラウィエツキ氏は会談に先立ち、キエフ訪問はEU首脳と調整したうえだとし「専制政治から自由な世界に住むのがふさわしい子孫の未来のためだ」とフェイスブックで表明した。「東方で起きている悲劇を止めなければならない」と訴えた。
同行したポーランドのカチンスキ副首相はキエフでの記者会見で「北大西洋条約機構(NATO)やより広い国際的な枠組みで、ウクライナで活動し自衛能力のある平和ミッションが必要だ」と述べた。ロイター通信が伝えた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、15日夜(日本時間16日未明)時点で300万381人となった。ウクライナの人口の約7%が国外へ脱出したことになる。受け入れで最多はポーランドの約183万人、次いでルーマニア(約46万人)、モルドバ(約34万人)と続く。
既にワルシャワには30万人以上の難民が到着し、「受け入れ状況は日増しに厳しくなっている」(ワルシャワ市長)。地元メディアによると、ウクライナと国境を面していないチェコ当局も「国の宿泊施設の収容能力は既に限界」としている。同国政府は欧州連合(EU)に5万人分の簡易住宅の提供を要請している。
●コロナ
イスラエル保健省の分析によると、4回目を接種完了した人は、3回目を接種完了した人に比べて感染する確率が2倍、重症化の確率が4倍低下したという。同分析は110万人超の60歳以上を対象にしており、3回目から少なくとも4カ月後に4回目の接種を受けた。
ただ、ベトナムの1日当たりの新型コロナの新規感染者は足元で15万人超になっており、東南アジアで最大。変異型「オミクロン型」の流行で実際の感染者はさらに多いとみられている。ベトナムへの入国が容易になっても、観光目的の渡航やビジネス関連の出張需要が回復するには、なお時間がかかりそうだ。
●中国不動産
不動産会社の株価に連動するブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の指数は9.7%安と、1日の下落率としては08年10月以来の大きさを記録した。
不動産会社の社債も売られた。ブルームーバーグの指数によると、高利回りドル建て債は15営業日連続の値下がりとなる方向。14日には利回りが初めて27%を超えていた。
龍光集団の主要本土部門は人民元建て債について、1年3カ月の返済先送りを求めている。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは15日、龍光のコーポレートファミリー格付け(CFR)を「Caa2」に引き下げた。従来は「B2」だった。シニア無担保格付けは「B3」から「Caa3」に引き下げ。格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」に変更した。
フィッチ・レーティングスは融創中国の長期発行体デフォルト格付けを「B-」に引き下げたと発表。従来は「BB-」だった。シニア無担保債務格付けも「BB-」から「B-」に引き下げた。同社の全ての格付けが「ウオッチネガティブ」の対象になっているという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
事業計画に対する運航便数の割合である運航率(2021年度計画比)は4月が87%、5月1~8日が98%と、3月(76%)から引き上げる。需要の低迷が続けば、追加で減便する可能性もある。
●その他産業
想定以上の原油価格の上昇で、燃料費がかさむ。燃料高により卸電力市場での取引価格が上昇し、既存の発電事業者や新電力から調達する「他社購入電力料」が増加することも影響する。連結経常利益は77%減の26億円(従来予想は59%減の46億円)になる見通し。
EV業界では生産に必要な鉄やアルミ、パラジウムなどの価格上昇が深刻だ。特に車載電池にも使われるニッケルについては主要な産地であるロシアへの経済制裁によって供給不安が強まり、3月に入って価格が急騰。足元のニッケルの価格上昇だけでEVの製造コストが1000ドル増加するとの試算も出ている。
EUは2月、域内の半導体産業の強化を狙った「欧州半導体法案」を発表。半導体の生産シェアを現状の10%程度から30年に20%に高めることを目指し、官民で30年までに430億ユーロを投じる。インテルはこの枠組みでEUや各国から補助金を得る見通しだ。
●決算関連
●マクロ・その他
バイデン米政権は14日の中国との高官協議で、同国によるロシア支援に懸念を示した。米国の経済制裁に違反してロシアと取引すれば、中国の半導体大手に禁輸措置を講じる可能性がある。
2月の卸売物価(最終需要向け製品およびサービス、2009年11月=100)は前年同月比10.0%上昇した。伸び率は前月(改定値)と変わらず、物価上昇圧力が収まる兆しはみられなかった。ガソリンの急騰でエネルギー価格が大幅に上昇した。
前月比では0.8%の上昇で、前月の1.2%(改定値)から伸びは鈍化した。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.9%程度)とほぼ一致した。
製品が前月比2.4%上昇し、統計の算出が始まった2009年12月以降で最大の伸びとなった。ガソリン(14.8%上昇)の急騰で、エネルギー価格は8.2%上昇した。食品も1.9%、食品・エネルギーを除いた製品も0.7%上昇し、強い伸びが続いた。一方、サービスは前月から横ばいだった。
ニッケル相場の急騰で巨額の含み損を抱えているとされる中国のニッケル生産大手の青山控股集団は15日、ロンドン金属取引所(LME)で保有する多額のニッケル売り持ち高に対し、追加証拠金(追い証)の請求や強制決済を当面行わないことなどで取引銀行団と合意したと発表した。その上で市場の異常な動きが落ち着き次第「持ち高を段階的に縮小する」とした。
ロシアがウクライナ侵攻で中国に軍事支援を求めていたとの米当局者の発言後、中国株売りに拍車が掛かった。中国はその報道を否定したが、トレーダーは中国政府に対する制裁があればサプライチェーン上の制約が強まり、世界の成長に打撃を与えかねないと懸念している。
一方、JPモルガン・チェースは米国と香港に上場する中国株28銘柄の投資判断を引き下げた。投資家が地政学リスクや規制リスクへの懸念を織り込む大変動を理由に挙げた。
さらに、テクノロジー産業の主要な集積地である広東省深圳市で新型コロナ感染対策のロックダウン(都市封鎖)が開始されたことも市場のセンチメントを悪化させている。
期待指数は3月にマイナス39.3と、前月の54.3からに急低下した。現状指数も悪化した。
ZEWのバンバッハ所長は発表資料で、「ウクライナでの戦争とロシアに対する制裁措置がドイツ経済の見通しを著しく損ねている」と指摘。リセッション(景気後退)の可能性は「一段と高まっている」との見方を示した。
さらに「経済見通しの悪化と同時に、インフレ期待は急上昇している」として、「従って専門家は今後数カ月以内のスタグフレーションを予想している」と続けた。
華興証券の株式責任者アンディー・メイナード氏は「売りは行き過ぎだが、何もかもがそうだ。マーケットはクレージーで、ファンダメンタルズはもはやない。08年の金融危機より悪いかもしれない」と述べた。
中国がロシアと接近する可能性が制裁につながるとの懸念から、トレーダーらは中国資産に絡むリスクへの警戒を強めている。中国が15日発表した1-2月の経済統計は堅調だったが、本土では新型コロナウイルスの感染が広がり、ロックダウン(都市封鎖)に入る都市が増えている。
2022年の小売売上高(自動車、ガソリン、外食を除く)成長率が前年比6~8%増になると予測した。
NRFの予想値は、新型コロナ流行前の過去10年間の平均成長率(3.7%)を上回る。NRFのマット・シェイ会長は「インフレ、新型コロナ、地政学リスクが残るにも関わらず消費意欲の拡大は続いており、22年は底堅い成長がみられるはずだ」と述べた。ネット通販の売上高は前年比11~13%増を見込む。
もっともNRFのチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンツ氏は「米経済について前向きな見方をしているが、未知数な部分はかなりある」と懸念も示した。高インフレの定着や、ウクライナ情勢などの地政学要因が世界経済の減速につながり、米経済に波及するリスクなどについて指摘した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の月次ファンドマネジャー調査によると、現金比率は新型コロナウイルス禍初期の20年4月以来の高水準となり、コモディティーへの配分は過去最大、株式へのエクスポージャーはほぼ2年ぶりの水準に低下した。
マイケル・ハートネット氏らストラテジストはリポートで「経済成長と企業利益に関する見通しはリセッション(景気後退)を想定するレベルだ」と指摘した。
調査によると、スタグフレーション予想は62%と2月の30%から上昇し、08年9月以来の高水準に達した。インフレが持続するとの予想は51%で、一時的との見方の42%を上回った。
一部のソブリン・ユーロ債の契約には、自国通貨での支払いを認める条項がある。だが、今週期日を迎えるロシア国債の利払いにルーブルを用いる選択肢はない。
実務的には4月15日まで30日の猶予期間が設けられてはいるが、ロシア国債の保有者が16日にドルで利払いを受けられない場合、それは非常に長く複雑なプロセスの始まりになると予想される。
過去の教訓が常に役に立つとはいえないが、世界銀行のチーフエコノミスト、カーメン・ラインハート氏によれば、ロシアには、旧ソ連の初代指導者レーニンが帝政ロシア時代の債務の履行を拒否した後、債権者と一定の決着に至るまで数十年という最長の年月を要した歴史的経緯がある。
ブルームバーグの集計データによれば、ロシアの政府・企業債務残高のうち約1200億ドル相当がドル建て、残りの大部分がユーロ建てとなっている。約250億ドル相当を発行したガスプロムも、来週支払期日を迎える。
企業が外国の現地法人を通じて社債を発行し、オフショアでドルを保有する場合もある。それでも、クリアストリームとユーロクリアを含むクリアリングハウス(清算・決済機関)が決済通貨としてルーブルの受け取りを停止し、ロシアの事業体の取引をほぼ禁止する状況では、不確実性が極めて高い。
同社はルーブルでの利払いという強制的な支払い義務のデノミ(通貨単位の変更)が実施されれば、8日の格下げと整合的な動きになるとした。
●市況
日経先物(大証)25310、ダウ先33461、債先150.15、米2.135、独0.3260、仏0.805、西1.318、伊1.910、波4.902、原油96.37、ドル円118.39、墨ペソ20.84、トルコリラ14.7317、墨CDS111
※3/16 9時40分頃
備忘録(3/14)
●ウクライナ
中国共産党のエリートらは、今回のウクライナ紛争により米国の衰退と世界からの緩やかな撤退は加速するという。米国主導の同盟は崩壊し、中国を筆頭にいくつかの鉄の意志を持った専制国家がそれぞれの地域で影響力を振るう新たな世界秩序の時代に入っていく、と。
同氏はCBSの番組「フェース・ザ・ネーション」に出演し、「債務の履行の面では、ロシアのデフォルトを起こりそうもない出来事とはもはや考えない」と発言。 「ロシアは債務返済のための資金を有するものの、それにアクセスすることはできない」と指摘した。
ロシアの金融の締め付けが世界金融危機を招く可能性について問われた専務理事は、「今のところはない」と述べ、世界の銀行のロシア向けエクスポージャーは金融システム上「重大でないことは確かだ」と付け加えた。
ロシア連邦統計局によると、国内労働力の約6.5%が外資系かロシアと外資系の合弁で働いている。ブルームバーグの集計では、ウクライナ侵攻を受け、ロシアで計15万人以上を雇用する外国企業が操業停止や店舗閉鎖、投資棚上げなどの措置を発表。全ての企業がそうした措置や従業員数を公表していないことを考えると、実際の数ははるかに多い可能性がある。
フィンランド国際問題研究所の客員上級研究員で西側の対ロ制裁を研究しているマリア・シャギナ氏によると、過去に制裁対象となった市場に企業が戻るには数年かかる可能性がある。ロシアのケースでは、国際社会からの孤立で、お気に入りのブランドを入手できなくなり、経済の破綻で失業に直面する国民から圧力が生じかねない。
ドイツのショルツ首相は14日、トルコの首都アンカラを訪問し、同国のエルドアン大統領と会談した。ショルツ氏は共同会見でウクライナ情勢について「できるだけ早く停戦すべきだという考えで我々は完全に一致した」と述べた。両首脳とも、ロシアとウクライナの仲介役として動きを活発化させている。
●コロナ
14日は10万人当たりの感染者数(7日間平均)が1543人と3日連続で過去最多を更新した。
ラウターバッハ保健相は13日のツイートで、感染状況悪化で「多くの死者」が出る兆候があると警告。ワクチン未接種者に対し、至急接種に行くよう促した。同国は2月中旬からコロナ関連の各制限を解除し始め、残りの措置の多くも20日に廃止する予定となっている。
RKIによると、感染者の増加はオミクロン変異株の一種で、感染力がさらに強いとされる「BA.2」の流行が一因。感染症例数の約半数がBA.2によるものだという。
欧州ではロシアのウクライナ侵攻で市民の関心が新型コロナから離れており、ドイツだけでなく、オランダやオーストリア、スイスなどでも感染率が再び上昇している。
深圳のロックダウンは同市が位置する広東省の経済に「直接の打撃」となると、ブルームバーグ・エコノミクスは分析。同省経済は中国GDPの11%を占め、金額にして1兆9600億ドル(約231兆円)に相当。スペインや韓国と肩を並べる。2021年の輸出額は7950億ドル相当と中国全体の23%を占め、どの省よりも規模が大きいことから、世界的な影響波及が示唆される。
北東部の長春市は、中国の自動車年間生産の約11%を担う(2020年実績)産業都市だ。同市が属する人口2400万人の吉林省は先週すでにロックダウンに入り、トヨタ自動車は現地工場の稼働を一時停止せざるを得なくなった。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
フランス電子機器大手タレスの株価が昨年末比で5割高となり、昨年来高値圏にある。ロシアのウクライナ侵攻を受けて、欧州諸国からの防衛関連の受注が増えるとの思惑から買われ急騰した。航空宇宙関連事業が新型コロナウイルス禍の需要減から回復基調にあるなど、業績回復が株価を押し上げている。
売却規模は10億4350万ドル(約1231億円)で、2021年9月以降2度目となった。
SVFインベストメンツが12日までに米国証券取引委員会(SEC)に提出した届け出によると、同社はクーパン株5000万株を1株当たり20.87ドルで売却した。昨年9月に5700万株を同29.685ドルで売却した時に比べ約3割安い。
ファイザーは声明で、「医薬品の自主的な供給停止は、患者を最優先にするという私たちの基本原則に反する」と説明した。がんや心臓血管などの治療薬の投与が終了すれば、特に子どもや高齢者にとり、重大な苦痛や命の危機につながるとした。欧米などによる制裁措置の対象から、医薬品や医療機器は除外されている。
ファイザー製のコロナワクチンが3回の接種で変異型「オミクロン型」に対しても重症化を防ぐための高い効果を持つとの認識を示した。一方で「感染自体を予防する効果はあまり高くなく、効果もそれほど長い期間持続しない」と認め、2回目の追加接種の必要性を示した。
ファイザーは現在、すべてのコロナ変異型に有効で、さらに予防効果が少なくとも1年間続く次世代ワクチンの開発を進めているという。ブーラ氏は、追加接種向けにこのワクチンを実用化できれば「接種を忘れずに受けることも簡単になり、皆が本当の意味で(コロナ流行前の)元の生活に戻れるようになる」と説明した。
独政府は米ロッキード・マーチン製のF35を最大で35機購入する計画だ。独国防省によると、欧州では8カ国がF35の導入を進めており、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国や欧州のほかのパートナーとの連携に最適と判断した。
ドイツ国内には米国の核爆弾「B61」が20基配備されているといわれ、有事になれば米国の同意のもとでドイツの戦闘機に搭載して使うことが想定されている。ドイツはF35を調達することで、核共有に今後も関与していくことを改めて明確にする。
●その他産業
発表済みのコンシューマーバンキング以外にも範囲を広げることを明らかにした。シティのロシアでのプレゼンスは米金融機関の中で最大。
広報担当のエグゼクティブ・バイスプレジデント、エドワード・スカイラー氏は14日の発表文で、ロシアからの「撤退の範囲を拡大して複数の事業を対象とし、残りの業務とエクスポージャーの縮小を続ける決定を下した」と説明。「銀行・金融サービス業務の性質上、この決定の実行には時間を要する」と付け加えた。
この日はエアトリなどの旅行関連株のほかに、JR東日本や日本航空(JAL)など鉄道や空運株の上昇も目立った。
欧米石油大手がロシアの資源開発事業からの撤退で多額の損失を計上する公算が大きくなっている。英BPなど4社の撤退損失は合計で4兆円規模となる可能性があり、2022年1~3月期以降にのしかかる。4社の前期純利益の6割弱にあたる水準だが、資源高の加速で損失を補えるとの見方から株式市場は冷静だ。
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などの生産を請け負う台湾のフォックスコンが中国広東省深圳市の施設で生産を休止することが嫌気された。新型コロナウイルス感染拡大に伴う同市のロックダウン(都市封鎖)に対応した措置。
●決算関連
●マクロ・その他
2018年以来となる利上げを視野に、パウエル議長はバイデン大統領や与野党議員、金融当局の多くの同僚からインフレ抑制にタカ派姿勢で臨むことにライセンスを与えられている形だ。企業や家計の間では、1970年代のような狂乱物価が購買力を損なう事態を避けたいとして、不安が一段と募りつつある。
マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏は「パウエル議長はこの局面にあってハト派であるわけにはいかない。そのような姿勢は健全な政策や求められる政策の方向性と整合性を欠くことになる」と指摘した。
16日のFOMC会合終了後にパウエル議長が行う記者会見を巡って市場では、事実上のゼロ金利政策の解除に踏み切る米金融当局が、最終的にどの程度の水準まで、どのようなペースで利上げすることになりそうかについて、手掛かりを探る動きが見込まれる。ゴールドマン・サックス・グループは、来年のどこかの時点において3%で利上げ打ち止めとなると予想している。
当局者が最新の金利予測分布図(ドット・プロット)で示す2024年までの見通しと、パウエル議長がそれをどの程度支持するかが重要な焦点となりそうだ。
SGHマクロ・アドバイザーズの米国担当チーフエコノミスト、ティム・ドイ氏は「現在はひどい状況にある。パウエル議長としては、力強い成長を維持しつつ、インフレをもっと妥当な水準に沈静化させるといった難事業を成し遂げたい考えだろう。それができれば、レジェンドになれる」と話した。
米調査会社ロジウム・グループの欧州・中国関係専門家ノア・バーキン氏によれば、今は「欧州と中国の関係にとって極めて重要な時期」だ。「中国が様子見姿勢を崩さず、プーチン大統領を挑発したと米国と北大西洋条約機構(NATO)を非難し続ければ、対欧関係へのダメージが長引く可能性がある。そうなれば『民主主義vs強権国家』という構図が定着し、中国とロシアは共通の脅威と見なされることになる」と同氏は言う。
中国はロシアのみならずウクライナとの結び付きも強く、2020年時点でウクライナにとって欧州連合(EU)に次ぐ第2の貿易パートナーが中国だった。そのため、ウクライナのクレバ外相を含め欧州では中国政府に仲介役を果たすよう促す動きも浮上。ただ、独メルカトル中国問題研究所のリードアナリスト、ヘレナ・レガルダ氏は「中国は紛争への関与を深めたいとは思わないだろう」とみている。「米国とNATOを敵と見なす観点から、中国は西側と足並みをそろえようとはしない」との見立てだ。
中国が仲介に乗り出し交渉が成功すれば、責任あるグローバルリーダーとしての評価が高まる一方、失敗すれば欧州の安全保障を巡る何世紀にもわたる対立の巻き添えを食らう恐れもある。
元ドイツ外交官で現在は上海にある同済大学ドイツ研究センターで上級研究員を務めるウォルフガング・レーア氏は「EUと米国が近づき過ぎることは中国の利益にはならないが、この戦争が長期化するほどEUと米国は一段と接近する」と分析。欧米の結束強化が中国の得策でないことは「欧州も分かっている」という。
米中両国はロシアのウクライナ侵略開始後で初めてとなる高官の対面会談を14日に行う。ホワイトハウスによれば、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が中国の外交を統括する楊潔篪共産党政治局員とローマで会う。
ウクライナとロシアの和平交渉がより中身を伴うものになりつつある様子があるほか、中国の深圳市と吉林省が新型コロナウイルス感染対策としてロックダウン(都市封鎖)に踏み切ったことが意識された。
カスティジョ氏の弾劾提案について採決をとったのは2回目。前回は「道徳的な能力の欠如」を理由に野党の提案で昨年12月に投票を実施し、反対多数で否決された。その後別の野党が再び弾劾を求めて議会に提案した。前回反対した議員の一部が賛成に回ったことで、弾劾提案が可決された。
カスティジョ政権は汚職疑惑が浮上している。政府がかかわるインフラ工事の入札などで特定の企業に便宜を図った疑いが持たれており、1月には検察が仮捜査に入ったと発表した。カスティジョ氏は左派の与党ペルー・リブレ内でも急進的なセロン党首と対立し、支持基盤が揺らいでいる。
反米左派のマドゥロ政権への制裁緩和につながるため、議会の与野党議員が相次ぎ反対を表明した。
米国は2019年に当時のトランプ政権がマドゥロ政権に経済制裁を発動し、外貨獲得手段である原油の輸入を制限した経緯がある。米司法省は20年にマネーロンダリング(資金洗浄)や麻薬取引などの罪でマドゥロ氏らを起訴し、国務省は同氏の逮捕につながる情報提供者に最大1500万ドル(約18億円)の懸賞金を出すと発表した。
米国と関係がぎくしゃくしているサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)との交渉も続けている。米CNNは駐米UAE大使の話として同国が原油の増産を望んでおり、石油輸出国機構(OPEC)に供給量を増やすよう働きかけていく意向だと報じた。
アルゼンチンは20年10月に大豆などの一部の輸出税を一時的に引き下げた。大豆は税率33%から一度30%まで下げ、その後段階的に33%まで引き上げた。大豆粉と大豆油は33%から一度27%まで下げ、段階的に31%まで引き上げていた。
米農務省によると、21~22年度の世界全体の輸出のうちアルゼンチンは大豆粉で41%、大豆油で48%を占める見通しだ。アルゼンチンが輸出税を引き上げれば、国際価格にさらなる上昇圧力がかかる可能性がある
●市況
日経先物(大証)25092、ダウ先32979、債先150.06、米2.133、独0.3575、仏0.831、西1.348、伊1.964、波5.050、原油101.28、ドル円118.25、墨ペソ20.90、トルコリラ14.8070、墨CDS111
※3/15 9時5分頃
備忘録(3/11-13)
●ウクライナ
ポターニン氏は、政府が資産接収に動けば「我々を100年前の1917年に引き戻す」として、ロシア革命以前のような混乱状態に陥るとの懸念を示した。「世界的に投資家がロシアへの信頼を失う結果になる」とし、それが数十年にわたり続く恐れがあるとの認識を示した。プーチン政権に慎重な対応を促したものだ。
ポターニン氏は世界最大のパラジウム生産企業ノリリスク・ニッケルの筆頭株主で、ロシア屈指の大富豪とされる。今のところ米欧や日本の制裁対象になっていない。
EUから高級品をロシアに輸出することを禁止する方針も打ち出した。ロシアのプーチン大統領を支える富豪やエリートに打撃を与えるのが狙い。一方で、ロシアの主力輸出品の一つ、鉄鋼製品をEUに輸入するのをやめ、ロシアの収入源に圧力をかける。
さらにロシアのエネルギー部門への新規投資を禁止することを提案した。プーチン氏に近いエリートや支援者など個人と団体を対象にした制裁を拡大するほか、暗号資産(仮想通貨)をつかって制裁を回避できないようにすることにも触れた。
米大手資産運用会社ブラックロックが、ロシア関連資産を組み入れたファンドで計約170億ドル(約2兆円)の評価損を計上したことが11日、分かった。欧米による対ロシア制裁やロシア側の対応で、ロシア株式の売買は難しくなり、ロシア国債や社債についてはデフォルト(債務不履行)懸念が高まっている。市場環境の悪化を受けて、全損に近い水準まで評価額を下げた。
250万人のうち150万人がウクライナの隣国ポーランドに退避した。グランディ国連難民高等弁務官は「この愚かな戦争で何百万人もの人々が自宅を追われた」とツイッターに投稿し、人道危機の解決を訴えた。
受け入れ先の国では食料や医療、宿泊場所の提供といった支援が急務になっている。
約130億ドル(約1兆5200億円)相当のロシア国債はクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のオークションで引き渡し可能債務として不適格になる恐れがあると、クレジットデリバティブ決定委員会が11日判断した。ロシアのデフォルト(債務不履行)時に保険の役割を果たすCDSを活用する取引が増えていたが、そうしたヘッジ取引は複雑な様相を呈しそうだ。
対象となるロシア国債6本について、発行通貨のドルやユーロではなく、ルーブルでの支払いが許されたことを理由に、引き渡し可能債務として見なすことができないと指摘した。これら国債の満期は2025年、27年、29年、32年、35年、36年。
ロシア政府はルーブルの支払いオプションがもともと付いていないドル建て債で1億1700万ドル相当の利払いを今月16日に控えている。この支払いがルーブルで行われた場合、CDS決済を引き起こすデフォルト事由となる。
中国はこれまで公の場で軍事支援の可能性を否定している。
習氏は3月8日、ドイツやフランスの首脳とのオンライン協議で米欧によるロシアへの経済制裁に反対を表明した。「緊迫した情勢がエスカレートし、暴走することを避けるのが急務だ」とも指摘し、欧州側とウクライナ情勢をめぐり話し合いを続ける方針を示した。米国では中国が過度にロシアへ肩入れすることを避けるとの見方がある。
●コロナ
香港・マカオを除く中国本土の新規感染者(無症状・海外からの訪問者を含む)は12日、合計3393人となった。データを遡れる2020年3月末以降、1日の感染者数として最も多い。2月中旬までは毎日、数十~200人台で推移していた。「オミクロン型」など感染力の強い変異型が感染拡大の原因という。
深圳市政府は13日、14~20日に実質的なロックダウン(都市封鎖)を実施すると発表した。全地域で不要不急の外出を禁じ、バスや地下鉄の運行を止める。水や電気など生活インフラ関連以外の全ての企業に在宅勤務や生産活動の一時停止を求め、スーパーや薬局などを除く店舗も休業する。全市民を対象に1人3回のPCR検査も実施する。
東北部にある長春市の防疫当局も11日、全地域で不要不急の外出を禁止したと発表した。スーパーや薬局などを除く店舗や学校は休みとなる。バスやタクシー、地下鉄の運行も止まった。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
政府がロシア在留邦人に出国の検討を呼びかける中、ロシアへの航空便の運航が厳しさを増している。日本企業はロシア領空飛行を禁じられていないが、航空機の故障時に現地で代替部品の調達が難しくなり、航空保険を契約できない恐れもあるためだ。出国手段が提供できない中で企業の駐在員の帰国が遅れるリスクが高まっている。
●その他産業
ライドシェアと料理宅配の両サービスが対象となる。
サーチャージの金額は平均移動距離とガソリン価格の上昇率に基づいて設定する。地域によって異なり、ライドシェアの場合は1回の利用ごとに0.45ドル(約52円)または0.55ドル。料理宅配「イーツ」は1回の注文ごとに0.35または0.45ドルになるという。
ドイツ銀はロシアに銀行子会社を持ち、企業向けの融資などを手がけている。ロシアがクリミアを併合した2014年以降は事業規模を徐々に落とし、21年末時点のロシア事業の与信残高は6億ユーロ(約770億円)だった。
●決算関連
21年12月期の通期決算(速報値)は、売上高が前の期比12%増の2502億ユーロ(約32兆円)だった。新型コロナで世界出荷台数が5%減ったものの、半導体不足で供給が需要に追いつかず、高単価のモデルの販売を優先したほか有利な値付けができた。営業利益は99%増の192億7500万ユーロ。特殊要因を除いた売上高営業利益率は8.0%と3.2ポイント上昇した。
2022年12月期通期の売上高が21年に対して8~13%増加するとの見通しを発表した。販売台数が5~10%増えるとみているが、ロシアによるウクライナ侵攻について「事業に悪影響を及ぼすリスクがある。現時点では具体的な影響を評価することは不可能だ」とした。
VWは22年の業績見通しについて、部品や原材料の不足が激しくならないことを前提においている。21年の同社の生産を苦しめた半導体の不足は22年も続くとみており、年後半に回復すると予想している。ウクライナでの戦争の結果、部品調達が途切れ、ドイツでのVWの自動車生産にも既に影響が出ている。
●マクロ・その他
イラク北部のクルド人自治区アルビルに13日、12発の弾道ミサイルが打ち込まれたとみられる事件について、イラン革命防衛隊は同日、自らが実行したとする声明を公表した。イスラエルの施設を標的にしたとしている。
チリではピノチェト軍事政権(73~90年)下で、米シカゴ大出身者が貿易や投資の規制を緩和して経済成長をなし遂げた。民政移管後も市場経済と自由貿易を重視する路線は変化なく、中南米で有数の豊かな国となった。
ボリッチ氏は富裕層や鉱山会社に増税し、社会保障の拡充により格差を是正したい考えだ。当初の選挙公約には「環太平洋経済連携協定(TPP)を含む新たな貿易協定には署名しない」との記述があった。ただ選挙戦の後半以降は言及が目立たない。
ウレホラ外相は就任前の2月、管轄する自由貿易協定(FTA)について「議論を継続しなくてはいけないテーマだ」と述べたが、踏み込んだ発言は控えている。チリに進出する日本企業の間では「ボリッチ政権は通商面では実務的に対応していく」と「現状維持」を期待する声もある一方で、環境悪化を警戒する見方も根強く残っている。
3月の消費者調査(速報)によると、人々の1年先の物価見通しを示す予想インフレ率が5.4%と前月から0.5ポイント上がり、1981年11月以来約40年ぶりの高水準になった。ロシアのウクライナ侵攻で原油相場が高騰し、米国のガソリン価格も急上昇したことが影響した。実質的な購買力の低下を懸念し、消費者心理も一段と悪化した。
1年先の予想インフレ率は2月時点で4.9%と、リーマン危機前に原油相場が高騰した2008年夏以来の高さだった。3月はさらに伸びが加速した。5年先の予想インフレ率は3%と横ばいだった。
3月の同調査で消費者態度指数は59.7と3カ月連続で下がり、10年半ぶりの低水準になった。ミシガン大の調査分析担当のリチャード・カーティン氏は「最近の燃料高の加速やインフレ調整後の所得の減少が響いた」と指摘する。
政策金利を0.5%引き上げて4%にすると発表した。利上げは8会合連続となる。ロシアによるウクライナ侵攻で食料品や燃料の価格が上昇しているのに対応した。
2月のリマ首都圏の消費者物価指数は前年同月比で6.15%上昇した。1月(5.68%)は21年12月を下回っていたが、再びインフレが加速した。中銀目標の上限(3%)を9カ月連続で上回っている。
銅や亜鉛などの堅調な輸出もインフレ要因になっている。中銀はこの日の声明で「来年前半にはインフレ率は目標範囲内に戻ると期待されている」と指摘した。2月時点では「今年の第4四半期」としており、時期を先送りした。
全体の8割強を占める乗用車が14.4%増の367万4000台だった。買い替えのピークを過ぎた商用車は21.7%減の59万4000台にとどまった。新エネ車の販売は2.5倍の76万5000台と好調が続いた。
販売台数に含まれる輸出は41万2000台と75.0%増えた。協会幹部は記者会見でロシアなどへの輸出は「部品や物流、決済などの問題がある。今後の影響がどの程度で、いつまで続くか判断できない」と述べた。
2021年はロシアへの輸出が十数万台、ウクライナへは数千台で、合計で全体の輸出台数の5%強を占めたという。
中国証券報によれば、今は成長を支えるため緩和的な金融政策が必要で、人民銀がすでに預金準備率と金利の追加引き下げを議論の俎上(そじょう)に載せている可能性は高い。米国の利上げサイクル入りが中国金融政策の独立性を変えることはできないだろうとも伝えた。
●市況
日経先物(大証)24920、ダウ先32925、債先150.41、米1.997、独0.2380、仏0.719、西1.240、伊1.860、原油109.20、ドル円117.29、墨ペソ20.91、トルコリラ14.7858、墨CDS107
※3/11 NY引値
備忘録(3/10)
●ウクライナ
ロシアとウクライナは10日、トルコのアンタルヤで1時間半にわたり外相会談を行った。ウクライナのクレバ外相によれば、ロシアは要求が満たされるまで攻撃を継続すると通告し、停戦へ前進はなかった。ロシアのウクライナ侵攻以来、最も高位の当局者による両国の直接会談となった。
クレバ外相は、今回の形式で再び会談する用意があるとも表明。ロシアのラブロフ外相は今回の会談で休戦を議論する計画はなく、主に人道問題について協議したと説明し、ロシアはベラルーシでウクライナとの「真剣な」交渉を望んでいると語った。
英政府は10日、ロマン・アブラモビッチ氏や国営ガス会社ガスプロムのアレクセイ・ミレル最高経営責任者(CEO)らロシア人の富豪7人を新たに制裁の対象にすると発表した。資産を凍結するほか、英国の個人や企業との取引、英国への渡航を禁じる。
バイデン米政権は9日、ポーランドからウクライナへの戦闘機の供与に一転して反対する方針を示した。
会見でハリス氏は、米国が北大西洋条約機構(NATO)の条約第5条(集団防衛)に関与すると改めて言及し、NATOの同盟国であるポーランドが攻撃を受けた場合は同国の防衛に参加すると強調した。
ハリス氏は会見で、ポーランドに地対空ミサイル「パトリオット」を供与したとも明かした。「これは同盟国の安全保障への米国の関与を示す」と指摘した。
ウクライナへの戦闘機の供与について、ドゥダ氏はNATO全体の判断に従うとの立場を示した。事実上、供与を見送る姿勢だとみられる。
ドイツのショルツ首相も9日、これまでウクライナに提供してきた人道支援や限られた武器のほかの支援は「慎重に考えなければならず、明らかに戦闘機は含まれない」と語り、ロシアとの対立が過度に激しくなる事態を望まない立場を鮮明にした。
米ハドソン研究所のピーター・ラフ上級研究員は「新たな戦闘機の獲得はウクライナにとって最優先の課題で、供与の断念は大きな誤りだ」と批判する。バイデン政権の決断をロシアが「弱腰」と判断すれば、同国が一段と強気に出ることも考えられる。
ロシア政府は、ウクライナへの軍事侵攻を受けてロシア事業の停止や撤退を判断した外資系企業の資産を差し押さえる検討に入った。欧米やロシアのメディアが10日、一斉に報じた。外資の出資が一定比率を超える企業がロシアでの事業を止めた場合に、企業の設備や資産を事実上押収し、ロシア寄りの経営者に事業継続を委ねる枠組みになるとみられる。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
2020年度計画に対する運航便数の割合である運航率は4月が87%、5月1~8日が93%とした。4月は羽田空港の発着便を中心に、地方路線を含め幅広く減便する。入国者数の制限などで国際線の利用者が特に低迷しており、国際線との乗り継ぎが多い成田空港発着の5路線は5月1~8日の運休も早期に決めた。
●その他産業
非農業分野の害虫駆除製品などの事業を投資ファンドの英シンベンに売却すると発表した。売却額は24億ユーロ(約3080億円)で、2022年内の売却完了を目指す。非中核事業の売却で、18年の米モンサントの買収で増えた負債を削減する。
売却する「環境化学プロフェッショナル」部門は、芝生や林業など向けに害虫駆除剤や除草剤などを手がける。従業員は約800人で、独メディアによると21年の売上高は11億ユーロだった。
米エネルギー大手のセンプラ・インフラストラクチャーは、三井物産などと合弁で運営する同国南部の液化天然ガス(LNG)プラントの生産能力を2027年に現在より6割増やして年約1900万トンにする。増産分は欧州やアジアへの輸出に振り向ける。ロシアのウクライナ侵攻で欧州はロシア産ガスへの依存を減らす方針だ。米国は中長期的に輸出体制を整え、ロシアへの圧力を高める。
JR九州は自動運転列車で運転士免許がない従業員が乗務する「ドライバーレス運転」を2024年度末に実現すると発表。西鉄なども一部バス路線で25年ごろの完全自動運転を目指す。人手不足が深刻化しているためで、両社は自動化で対応を急ぐ。
同社はロシアのアルミ大手ルサールと豪東部でアルミナ精製工場を運営している。
リオは声明で「ロシア企業とのすべての商業的関係を終わらせる過程にある」と述べた。リオはルサールとの共同企業体(JV)「クイーンズランド・アルミナ(QAL)」に80%を出資している。残る20%はルサールが保有する。収益に与える影響など詳細は明らかにしていない。
ロシアのウクライナ侵攻後、米大手銀行で撤退方針を公表したのはゴールドマン・サックスに続き2社目となる。ロシアでのビジネスを見直す動きは事業会社から始まり、ウォール街にも波及してきた。
同案の下で、モスクワの裁判所が取締役会メンバーなどからの外部管理受け入れの要請を検討する。その後、資産と従業員を保護するための取り組みの一環として、外資系企業の株式を凍結する可能性がある。
経済発展省の発表によると、外部管理にはVEB.RF(ロシア開発対外経済銀行)などが参加する可能性がある。企業の保有者は5日以内にロシアでの営業を再開するか、株式売却など他の選択肢を選ぶかを決めなければならないという。
同措置は株主を含む経営陣がロシアの法律に反して事業活動の管理を事実上終了させた企業に適用されると経済発展省は説明。2月24日以降に経営陣がロシアを離れたり、資産を移転したりした企業も対象となる可能性があるとしている。
発表によると、接収された企業は改めてパッケージ化され、3カ月後に競売で売却される可能性があり、新しい所有者は従業員の3分の2を維持し、1年間は営業を続ける必要がある。この措置はまだ承認されてはいない。
投融資残高(エクスポージャー)に関する各社の情報開示では「影響は限定的」との説明が目立つ。ただ欧米による前例のない制裁でロシアの孤立や通貨ルーブルの減価が止まらず、経済の先行き不透明感は強まる一方だ。傷口が広がる前に撤退を選ぶ動きが欧州勢からも出てくる可能性がある。
国営ロシア鉄道の債券保有者らは9日に見込んでいたユーロ建て債券のクーポン支払いをまだ受け取っていないと明らかにした。プーチン大統領は5日、敵対的な国の投資家に対してはルーブルでのみ債務返済を認める大統領令に署名。ロシア鉄道の債権者らは、ロシア国内の口座にルーブルで支払いが履行されたかどうかは分からないとしている。ロシア鉄道が外貨建て債務を履行しないとなれば、プーチン氏の大統領令以降でロシア企業では初めてとなる。
●決算関連
12-2月期の一部項目を除いた1株利益は1.13ドル。ブルームバーグ集計のアナリスト予想平均の1.18ドルに届かなかった。オラクルは遺伝子配列事業を手掛けるオックスフォード・ナノポア・テクノロジーズの株安とサーバー用半導体メーカー、アンペアの営業損失が1株利益を5セント押し下げたと説明した。
●マクロ・その他
ラトナー米国防次官補(インド太平洋安全保障担当)が議会下院の軍事委員会の公聴会で「ウクライナ紛争の教訓は、台湾による独自の能力開発が重要だということだ」と明言した。「これは台湾の防衛と抑止力に関するもので、米国の協力で取り組んでいる」と語った。
ウクライナ情勢を踏まえたラトナー氏の発言は、中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が固執する台湾との統一を阻止するため抑止力を高める意思を明確にした。米国が台湾情勢と関連づけるのは、予想を上回るウクライナ側の抵抗だ。「ロシアはウクライナを過小評価していた」(ヘインズ米国家情報長官)と分析する。
ロシアは侵攻後、ただちにウクライナの首都キエフを制圧し、同国軍を圧倒する計画だったが、この短期決戦に失敗したという見方が広がっている。台湾も自衛力を高めれば、中国が武力行使に踏み切りにくくなるというのが米側の見立てだ。
米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は8日の議会証言で、結束した米欧の対応やウクライナ側の抵抗などに触れ「習氏らは驚き、動揺しているだろう」と話した。
ロシアの苦戦につながっている要因のひとつは米欧によるウクライナへの武器の供与だ。ウクライナ軍は各国から得た対戦車ミサイル「ジャベリン」などを前線で展開している。地対空ミサイル「スティンガー」は最大8キロメートルの射程で、空からの攻撃に備える。ロシア軍はウクライナの制空権を十分に確保できていないとみられる。
2月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は6.41%と、1月に比べ0.15ポイント高くなった。空室率の上昇は2021年10月以来4カ月ぶり。供給過剰の目安となる5%は13カ月連続で上回った。
発表によれば、ECBは債券購入の規模を5月に300億ユーロ(約3兆8600億円)、6月に200億ユーロへ減速する。7-9月期に資産購入プログラム(APP)の終了を決定する可能性もあるという。
総合CPIは前年同月比7.9%上昇-前月は7.5%上昇
1982年以来の大きな伸び
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比6.4%上昇-前月6%上昇
ガソリンは前月比6.6%上昇。CPI全体の前月比上昇分のほぼ3分の1を占めた。食品は同1%上昇と、2020年4月以来の大きな伸びとなった。
CPI項目の中でもより構造的な部分とみられる住居費は同0.5%上昇と、昨年11月以来の大きさ。家賃が0.6%上昇と、1987年以来の大きな伸びとなった。
2月の賃料は中央値で3630ドル(約42万2000円)。前年同月から28%上昇し、約10年前のデータ集計開始以来の最高となった。2020年4月に付けた従来の最高水準から2.5%の値上がりとなっている。賃貸不動産市場は20年4月以降に大きく崩れ、ニューヨーク市は新型コロナウイルス大流行における米国の中心地となった。
オフィス復帰が大規模に進まなくても、賃貸需要は高い状況だ。
賃料はここしばらくの間、着実に上昇してきたが、「コロナ禍前の水準に上昇したのは、ロックダウン(都市封鎖)以降で今回が初めてだ」とミラー・サミュエルのジョナサン・ミラー氏は指摘した。2月の賃料中央値は2020年2月から7.1%上昇した。
専務理事は記者団に対し、「ロシアは資金がないわけではなく、それを使うことができない」と指摘。ウクライナ侵攻に対する前例のない制裁措置でロシアはIMFの特別引き出し権(SDR)の通貨への交換が難しくなると語った。
米証券取引委員会(SEC)は今週、外国企業説明責任法に基づき、中国企業5社を新たに特定。百済神州(ベイジーン)とヤム・チャイナ・ホールディングス、再鼎医薬、盛美半導体、和黄医薬(中国)の5社は同法の会計監査要件の順守を3年連続で怠れば米取引所からの上場廃止対象となる可能性がある。
●市況
日経先物(大証)25157、ダウ先33198、債先150.32、米1.979、独0.2725、仏0.757、西1.267、伊1.905、波4.968、原油107.14、ドル円116.19、墨ペソ20.92、トルコリラ14.8513、墨CDS117
※3/11 9時20分頃
備忘録(3/9)
●ウクライナ
ゼレンスキー氏は、平和のために何を提供する用意があるのかという問いに答えた。そのうえで「妥協することはあっても、それが祖国を裏切るものであってはならない」と続けた。「両国の大統領が直接話して初めてこの戦争を終わらせられる」と述べ、プーチン大統領との直接の会談が必要だと強調した。
ゼレンスキー氏率いるウクライナ与党の「国民の奉仕者」は8日に声明を出し、NATO加盟の条件が整うまで、米欧にロシアを加えた周辺諸国によるウクライナの安全保障の確約が必要と指摘。NATO早期加盟を事実上諦める考えを示唆した。
ドイツ通信によると、ゼレンスキー氏の外交アドバイザーは8日の独公共放送ARDで、中立国化について話すことも否定しないと述べた。10日にはトルコ・アンタルヤで、ウクライナのクレバ外相とロシアのラブロフ外相が会談する。ロシアがウクライナ侵攻を始めて以来、最高位の会談になる。
ウクライナのクレバ外相は9日、ロシア軍が制圧した北部のチェルノブイリ原子力発電所について「すべての電力供給が途絶えた」と明らかにした。自身のツイッターに「唯一の送電設備が損傷した」と投稿した。国際原子力機関(IAEA)は、安全面で重大な影響はないとの見方を示した。
欧州連合(EU)は9日、ロシアへの追加制裁を決めた。ロシアに協力するベラルーシの3銀行を国際的な資金決済網「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除するほか、これまでロシアに科した制裁を回避するために使われる可能性のある暗号資産(仮想通貨)の利用を制限する。
事業の撤退や資産の評価損につながると「損益・財務への影響度は高まる」と指摘。一方で同地域のエクスポージャー(投資・事業資産残高)は期間損益や自己資本対比で小さい企業がほとんどで、「現状では信用力への影響は限定的」とした。
ウクライナ情勢の緊迫化が引き起こす供給網の混乱や資源価格の上昇については、長期化すると「多様な経路を通じて間接的な影響が増幅し、信用力に響く格付け先が増える可能性がある」として、先行き不透明感が残るとの見方を示した。
米メディアによると、ポーランド政府は保有する旧ソ連製戦闘機「ミグ29」の全てをドイツのラムシュタイン空軍基地に移送すると表明した。米空軍は同基地を欧州の一大拠点にしている。ウクライナは操作に慣れたミグ29の供与を強く訴えており、米国とポーランドはウクライナへの供与をめぐり協議を重ねてきた。
ポーランドがウクライナへ直接移送しないのは、ロシアが猛反発してポーランドが攻撃対象になるリスクを懸念しているためとみられる。
米国防総省のカービー報道官は8日の声明で、ミグ29がドイツを拠点として戦闘下にあるウクライナ上空を飛行することは「北大西洋条約機構(NATO)全体に対する深刻な懸念だ」と強調した。「合理性があるのかどうかも我々には分からない」と断じた。
米国の真意も明らかではないが、米軍のパイロットが戦闘機をウクライナに運び、その過程でロシアによる攻撃を受ければ米欧とロシアの緊張が一段と高まると懸念しているもようだ。ロシアによるウクライナへの砲撃が強まり、制空権をめぐる競争が激しくなる中、ウクライナに戦闘機を迅速に引き渡せるかが焦点になっている。
ストックス欧州600の業種別では、自動車と銀行の上げが目立つ。両業種はロシアへのエクスポージャーが大きく、ここ数日にわたり売り込まれていた。
建機大手の米キャタピラーは9日、ロシアの生産拠点を停止したと発表した。ホテル大手のヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスはロシアでの新規投資を凍結する。
キャタピラーはサンクトペテルブルク近郊の油圧ショベルや採掘用トラックの工場の操業を停止した。同日の声明で「サプライチェーン(供給網)の混乱や制裁によって操業が困難になった」と説明した。
農機大手のディアも9日、ロシアとベラルーシへの農機の出荷を停止したと発表した。
米アマゾン・ドット・コムは9日までに、ロシアで会員向け映像配信の「プライムビデオ」を停止した。ロシアとベラルーシへの商品の発送も停止した。
●コロナ
米国の新規感染者数は減少し続けている。米ジョンズ・ホプキンス大によると、8日の新規感染者数(7日移動平均)は約3万9700人。およそ8カ月ぶりに4万人を下回った。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
独アディダスは9日、ロシアでの販売停止に伴い、2022年12月期の売上高が最大2億5千万ユーロ(約320億円)減るリスクがあると発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、同社はロシアでの店舗やインターネットでの販売を停止している。会社全体の22年の売上高成長を1%押し下げるとみている。
アディダスはロシアでは約500店舗を運営し約6000人の従業員を抱える。事業停止にともなって22年に失う可能性のある2億5千万ユーロは同地での売り上げの約半分で、年内の再開に含みを残した。
オランダのビール大手ハイネケンは9日、ロシアでの生産、販売を停止すると発表した。広告も止めるほか、ロシア事業からのいかなる利益も受け取らないという。同社はすでにロシアへの輸出と新規投資の停止を表明している。
ドルフ・ファン・デン・ブリンク最高経営責任者(CEO)は「ロシア政府のウクライナに対する戦争は正当な理由がなく、完全に不当な攻撃だ。エスカレートし続ける戦争への対応として、(生産停止などの)対応を表明した」とするコメントを出した。ロシアの従業員と家族への支援をするという。
コンチネンタルは前日にロシアによるウクライナへの戦争を考慮しロシアのカルーガ工場の生産を停止したと発表していた。同工場ではタイヤのほかゴム・樹脂製品を生産しており、ロシアから東欧などへの輸出も停止した。
5月27日時点の株主が保有する1株を20株にする。同社の株式分割は約23年ぶりになる。自社株買いの限度額を現行の50億ドル(約5800億円)から100億ドルに引き上げることも併せて公表し、株主を重視する姿勢を強めている。
新型コロナウイルスの流行に伴いインターネット通信販売の需要が拡大し、アマゾンの業績を押し上げた。一方、足元では多くの地域でコロナの影響が薄くなり、同社の成長も鈍化していた。さらにガソリン高が物流費の上昇につながる懸念も強まっている。アマゾンの株価は年初に比べ、20%近く下落していた。
●決算関連
2021年12月期決算は2年続けて最終赤字となり、22年も厳しい見通しを示した。厳格な新型コロナウイルス対策や、香港の経済都市としての行方にも左右される。業績が上向くシンガポール航空や貨物が好調な大韓航空など、アジアの同業との格差が鮮明になってきた。
フィリピン航空は3月の国際線と国内線を合わせた運航便数をこれまでより1500便以上増やすと発表した。同国では新型コロナウイルスの感染者数が減少し外国からの観光客受け入れも再開した。渡航需要の高まりに対応し収益改善につなげる考えだ。
同社によれば定期便は5割以上増える。国際線は北米のほか東南アジア、日本、中東などへの便を増便する。国内線もマニラと中部セブや南部ダバオ、リゾート地のボラカイ島などを結ぶ路線で増便する。
●マクロ・その他
増産余地があるのが米国だ。米石油サービス会社ベーカー・ヒューズによると、シェールオイル開発動向を示す掘削設備(リグ)の稼働数は3月上旬で519基と、新型コロナウイルス禍で減る前の19年末より2割少ない。採算を重視し量を追わなくなっている。
米エネルギー情報局(EIA)によると21年の米国の原油生産量は日量1120万バレルと、過去最高だった19年(同1230万バレル)を下回る。ただ、油価の上昇に伴って生産は増えてきた。リグ稼働数は直近の底の20年8月に比べ3倍になっている。EIAは23年の生産量は21年に比べ日量200万バレル近く多い日量1300万バレルと予測する。
油価高騰が続けば投資が加速し生産量は上振れする可能性がある。米国の国務省幹部はエネルギー会社の株主の消極的な姿勢を批判している。環境重視に傾いていた世論も変わりつつある。
米国は経済制裁で停止しているベネズエラからの原油輸入再開も検討し始めた。ただ、18年に日量140万バレルだった同国の生産量は今年1月時点では半減している。設備の老朽化もあり、すぐには増やせない。イランは日量150万バレル規模の輸出能力があり、核開発を巡る禁輸制裁の行方に注目が集まる。最終段階とみられていた核合意の再建交渉は、ロシアの反発で不透明になっている。
ロシア産を埋めるカギを握るのは中東だ。サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)は、合計で日量300万バレル以上の増産余力がある。ただ、両国は増産には慎重な構えを崩していない。
欧州債券市場で指標となるドイツ国債とイタリア国債の利回りの差(スプレッド)が縮小している。きっかけは8日に伝わった、欧州連合(EU)が債券の共同発行を計画しているとの一部報道で、10年債のスプレッドは約1カ月ぶりの低さとなった。EU共同債が債券需給の緩和などにつながるとの見方から、ドイツ国債を売ってイタリア国債を買う動きを促したようだ。
対外政策の軸に日米韓の安全保障協力の強化を掲げている。文政権が一時破棄しようとした日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も維持すると明言している。テレビ討論では就任後にまずバイデン米大統領と会談し、その次に岸田文雄首相と会う意向を示した。
「私は対日外交を国内政治に利用しない」と明言しており、歴史問題を含む懸案の「包括的解決」を唱えている。ただ、元徴用工問題は賠償を命じられた日本企業の資産現金化が迫る。日本政府は企業に実害が発生した時点で報復も辞さない方針で、対処を誤ればさらなる関係悪化を招きかねない。
ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の上昇について「我々は戦時体制にある。緊急時で、(エネルギー)需要を満たすために原油や天然ガスの供給を増やす必要がある」と述べ、石油業界の関係者に増産を促した。
シェールの掘削の許認可手続きを加速する方針も示した。石油業界では、バイデン政権になって掘削の許認可に時間がかかっているとの不満が高まっている
2022年2月の消費者物価指数は、前年同月と比べて7.28%上昇した。
食料品ではライムが15.2%、アボカドが8.7%上がった。タコス屋などの軽食店の価格も1.1%上昇した。家庭用の液化石油ガス(LPG)は5.7%上がった。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は前年同月比で6.59%上昇した。
中銀のジョナタン・ヒース副総裁は9日、高いインフレ率に関して「メキシコでも世界でも我々の予想以上に続くだろう」とコメントした。ロシアによるウクライナ侵攻の影響について「予測は難しいが、明らかに上振れするだろう」と指摘し、エネルギー価格の上昇など世界的にインフレ圧力が高まるとの懸念を示した。
国外で働くウクライナ人が母国を侵攻したロシアと戦うため次々と帰国し、欧州のトラック運転手不足に拍車をかけている。影響の大きい隣国ポーランドでは、人材難と燃料高で物流コストを倍増させるとの見方がある。供給網を一段と圧迫する懸念が出ている。
非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は1126万3000件で、前月から18万5000件減少した。21年12月は1144万8000件に上方修正し、過去最高となった。新型コロナウイルスの感染が広がる中でも労働市場の逼迫が続いた。
宿泊・飲食サービスの求人件数は28万8000件減った。一方で耐久財製造業が8万5000件増えたほか、建設業も2万1000件増えた。
アラブ首長国連邦(UAE)は、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」の他のメンバー国に対し、原油増産ペースの加速を呼び掛ける考えを表明した。姿勢を180度転換させた格好で、サウジアラビアとロシアが主導するOPECプラスにおいて、その他メンバーとの対立を招きかねない。
UAEはこの提案について、他のOPECプラス加盟国と事前に相談はしていないと、事情を知る関係者が明らかにした。サウジのエネルギー省からコメントは得られていない。
●市況
日経先物(大証)25230、ダウ先33228、債先150.52、米1.941、独0.2135、仏0.658、西1.112、伊1.670、波4.808、原油110.37、ドル円115.94、墨ペソ20.92、トルコリラ14.6648、墨CDS117
※3/10 9時30分頃
備忘録(3/8)
●ウクライナ
習氏は「(米欧などの)制裁は世界の金融、エネルギー、交通、サプライチェーンの安定に衝撃を与える」と発言した。「新型コロナウイルスの流行のもとで世界経済の足を引っ張り、各当事者にとって不利になる」と続けた。米欧日の制裁でロシア経済は大きな打撃を受ける可能性があり、ロシアの立場を擁護した。
習氏は欧州連合(EU)やロシア、米国、北大西洋条約機構(NATO)の名前を挙げて「平等な対話を展開することを望んでいる」と話した。「緊迫した情勢がエスカレートし、暴走することを避けるのが急務だ」とも指摘し、今後も仏独など欧州側とウクライナ問題について話し合いを続けていく方針を示した。
仲裁については仏独首脳に「仲裁のために取り組んだ努力を称賛する」と述べただけだった。当面は当事者間の話し合いを促し、中国に責任が及ばない方法を検討しているとみられる。中国は今年の秋に共産党幹部を決める5年に1度の党大会が控えている。仲裁に失敗すれば習指導部のメンツにもかかわるだけに、直接の関与には慎重だ。
ヘインズ氏は、ロシア軍が即座にウクライナの首都キエフを制圧してウクライナ軍を圧倒する計画をつくったが失敗に終わったと断じた。ロシアがウクライナ軍の抵抗に加え、自国軍の軍事作戦や戦闘意欲、後方支援体制などの課題を過小評価していたと訴えた。
駐ロシア大使を務めた経験があるバーンズ氏は意思決定プロセスのゆがみに言及した。プーチン氏が意見を求める周辺のアドバイザーは減少傾向にあり、新型コロナウイルスの発生を受けて外部の情報に触れる機会が一段と減ったという。プーチン氏の判断に疑問を呈したり、反対したりすると昇進が危うくなる体制だと指摘。プーチン氏に苦言を伝える側近が存在しないまま、ウクライナ侵攻を決めたと分析した。
ロシアの誤算はロシア兵の死者数にも表れる。スコット・ベリア国防情報局長は確度が低いとしつつも死者数を2000~4000人と推計した。ロシア国防省は2日に498人と発表しており過少公表の可能性が浮かび上がる。20年間にわたるアフガニスタン戦争で米兵の死者数は2461人。推計が事実であればロシアの犠牲者の多さが際立つ。
ロシアは大規模な経済制裁を受けたが、ヘインズ氏はロシア軍がむしろ攻撃の激しさを一段と増していくと予想した。ヘインズ氏は「プーチン氏は西欧諸国が自身に適切な敬意を払わず、(ウクライナ侵攻について)負けられない戦争ととらえている」と語った。米欧はロシア軍が地上侵攻の停滞を受け、民間インフラや住宅街に攻撃対象を広げていると批判してきた。
ヘインズ氏はロシアがウクライナ全土を制圧するためには増派が必要だと指摘し、全土制圧に成功しても長期安定は「困難だ」と強調した。ウクライナ国民に反ロシア感情が高まっており「ロシアは断続的かつ強力な反乱に見舞われるだろう」と唱えた。
英政府によると、英国の原油の総需要のうちロシア産は8%を占める。比率は高くないものの、代替供給先の確保や企業の準備に少し時間がかかるとして、英政府は「段階的廃止はすぐに発動しない」とも説明した。政府は新設する作業部会でロシアに代わる調達先などについて企業などと協議する。政府は「1年の時間があれば輸入停止は可能だ」としている。
英国はロシア産の天然ガスにも総供給量の4%弱を依存している。政府は「関係閣僚がこれをさらに減らす選択肢も模索している」と表明した。
英国は沖合の北海油田に天然資源を抱え、風力発電の充実で総発電量に占める再生可能エネルギー比率が4割を超える。ロシアへのエネルギー依存度は低く、ドイツなど他の欧州の主要国と比べて原油やガスの輸入停止・削減をしやすい環境にある。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
まずロシア産原油のスポット購入をただちにやめ、期限を迎えた中長期の調達契約は更新しない。石油製品への精製工程でロシア産原油を使わない措置も始めるが、代替品や能力確保の制約で数週間かかるとみられ、一部製油所で稼働率が下がる可能性もあると説明した。
パイプライン経由の天然ガスや液化天然ガス(LNG)、石油製品についても段階的な撤退を始める。ただ欧州へのエネルギーの安定供給の点から「複雑な課題だ」と指摘した。各国当局やエネルギー供給事業者、消費者の協調が不可欠で、構造転換に時間がかかるとの見方を示した。
英BBCによるとシェルは原油調達全体の8%をロシアが占める。
米マクドナルドは8日、ロシアで展開する全850店を一時閉鎖する方針を明らかにした。欧米の主要企業が相次ぎロシア事業の見直しを表明するなか、マクドナルドは明確な方針を示さず投資家などから批判の声が出ていた。同様に態度を鮮明にしていなかった米スターバックスやコカ・コーラも事業停止を表明した。
●決算関連
2021年12月期決算は、売上高が12.9%増の1145億元、純利益が前の期比59.9%増の68億元。地域別では主力の中国国内が14.7%増の780億元と好調で、中国外でも欧米・オセアニアが171億元と23.8%増加した。事業別では通信会社向けが2.3%増の757億元となった。高速通信規格「5G」関連の受注が堅調だった。消費者向けは59.2%増の257億元で、スマホなどの端末の販売が伸びた。
ZTEは22年の経営戦略について「生産や取引の効率化を進めるとともに、顧客や関連産業などとの協力を深く広くする」と説明した。通信会社向け事業では「国際化戦略を堅持し、国内とグローバルのシェアを着実に引き上げる。半導体などの革新技術への投資を増やす」と強調した。
●マクロ・その他
2021年の輸出台数は前年比約3倍の約50万台となり、ドイツや米国を上回り世界最大となった。中国のEVは車載電池など産業の集積が進み、コスト競争力を高めた新興メーカーが欧州や東南アジアで販売を伸ばしている。世界生産でも6割を中国が占め、デジタル製品に続いてEVでも「世界の工場」になりつつある。
通年で鉱業が11.8%増、製造業6.6%増、商業6%増などだった。21年のGDPは世銀などの推計を上回ったものの、20年は6.4%減に落ち込んでおり、コロナ前の水準には回復していない。10~12月期成長率は前期比1.2%だった。
世銀は1月発表の予想で22年の南アの成長率を2.1%、23年を1.5%とした。南アではかねて電力供給に不安があり、経済低迷の一因になっている。ウクライナ危機は金、プラチナ価格の上昇が追い風になる半面、エネルギーや食料価格の高騰が貧困層にとっての重荷になるとみられる。
欧州委員会は加盟国に早期に承認し、行動に移すよう求める。対策は大きく①エネルギー調達先の多様化②再生可能エネルギーなどへの投資増③消費者や企業保護――の3つからなる。
欧州は暖房需要が膨らむ冬に多くのエネルギーが必要だ。欧州委はこの冬は乗り切れるとみており、次の冬をしのぐための対策を急ぐ。具体的には、冬を乗り越えるのに必要な量を9月までに確保するよう加盟国に求める。
急激な価格変動を抑えるため、ニッケルの取引で前日比上下10%の制限値幅の導入を検討中だと明らかにした。
ナセルCEOは「ウクライナ情勢でエネルギー危機が加速した。脆弱な(脱炭素の)エネルギー転換の計画では打撃を受ける」と述べたうえで、「石油開発の投資が不足しており、代替エネルギーの投資も不足している」とした。
世界の原油需要は日量約1億バレルで、サウジの追加の増産余地(スペアキャパシティー)は「あと日量200万バレルしかない。世界市場の2%分だ」と話した。原油相場が高騰するなか、米国政府はサウジに増産を期待しており、これにくぎを刺した格好だ。
市場予想を上回る幅の利上げで、過去最安値に下落した通貨ズロチの押し上げを図る。
政策金利は75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げられ3.5%と、9年ぶりの高水準になった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想では、大半が50bpの利上げを見込んでいた。
中銀は利上げ決定後の声明で、「マクロ経済および金融の安定を確保し、何よりもインフレが高止まりするリスクを軽減するために必要な行動は全てとる」と表明した。
ロシア国営ガス会社ガスプロムやアルミニウム大手ルサールなどが念頭にある。
ロシアは、西側諸国の制裁に対抗するため一部の物品や原材料の貿易を禁止・制限する命令を出した。具体的な対象については、後ほど詳細を明らかにするとした。
8日に掲載された資料によると、命令に署名したプーチン大統領は、対象となる項目は内閣が規定する必要があると説明した。大統領府は政府に対し、制限が適用される国々のリストを2日以内にまとめるよう指示した。
ロシアは石油やガス、穀物、金属の主要輸出国。ウクライナ侵攻が始まって以来、供給の混乱や制裁、対抗措置を巡る懸念から商品相場が急騰している。今回の命令を受け、小麦やアルミ、パラジウムの価格は急伸した。
●市況
日経先物(大証)24850、ダウ先32667、債先150.64、米1.859、独0.1305、仏0.568、西1.050、伊1.597、原油126.16、ドル円115.83、墨ペソ21.34、トルコリラ14.5175、墨CDS113
※3/9 9時20分頃
備忘録(3/7)
●ウクライナ
ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月24日の前後から、小型ジェット機によるロシア出国が相次いでいる。プーチン大統領を支えてきたオリガルヒ(新興財閥)など富裕層が、国内外の資産保全のために逃避した可能性がある。米欧はオリガルヒを対象にした制裁を通じ、プーチン政権の権力基盤の弱体化を狙う。
「非友好国」とされたのは米国、英国、欧州連合(EU)加盟国のほかカナダ、オーストラリア、シンガポール、台湾、日本など。
非友好国の指定は大統領令に基づく。政府や自治体、企業を含むロシアの債務者は、指定された国・地域の債権者に対してはロシアの通貨ルーブルによる債務返済が可能になる。
米エール大経営大学院の集計では、ウクライナ侵攻後にロシア事業の撤退や縮小を表明した日欧米などの主要企業は230社を超えた。一方、7日時点でプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やネスレ、ユニリーバなど30社以上が事業を継続しているという。
調査・分析を担当したジェフリー・ソネンフェルド教授は「ロシア事業を続ける企業の取締役会は、ガバナンス(企業統治)のまずさや想像力の欠如からリスクを抱えている。一部の企業はロシアに残るウィンウィンの解決方法を模索しているが、そのようなものは存在しない」と指摘する。
ウクライナとロシアの代表団は7日午後、ベラルーシのポーランド国境近くで3回目の停戦交渉を行った。ウクライナ側の発表によると、停戦に向けた有意な進展はなかった。人道回廊設置についてはウクライナ側が「わずかに前向き」な進展があったとしたのに対し、インタファクス通信によると、ロシア側代表は8日に機能し始めると話したという。双方とも交渉を継続する姿勢を示した。
エネルギー問題を担当するノバク副首相は7日遅くのテレビ演説で、ロシア経済に科された制裁に等しいような行動を取る権利が同国にはあると発言。ノルドストリーム1を遮断する決定はまだ下されていないとも述べ、同パインプラインは現在「フル稼働している」と付け加えた。
同社ストラテジストのサイモン・ウェーバー氏は7日のリポートで、「最も可能性の高いシナリオはデフォルト(債務不履行)だとみている。デフォルトの場合、通常のような展開となる公算は小さく、比較対象として恐らく最も近いのはベネズエラだろう」と分析した。
今月16日に支払期限を迎えるドル建てロシア国債のクーポン支払いには、30日の猶予期間が設定されているため、デフォルトになり得るのは最も早くて4月15日だと指摘。
米国やその同盟国に科された制裁を踏まえるとロシアは債務履行を渋る可能性があり、米国の銀行がロシア財務省からのクーポン支払いを受け付けることが許されるかを巡っても、一定の不透明性があるとウェーバー氏は記述した。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
アイルランドに拠点を置く世界最大手のエアキャップが撤退方針を固めたほか、ロシア向けの航空機リースで海外勢2位のSMBCアビエーションキャピタルもロシアの航空会社との契約を解除する見通しだ。欧州連合(EU)が対ロ制裁として3月末までに契約を打ち切るよう要請したのに伴う措置。
エアキャップはロシアの航空会社に、世界のリース会社で最大の約150機をリースしていた。EUの方針に従って契約解除と機体回収を進める。三井住友ファイナンス&リース傘下でアイルランドに本社を置くSMBCアビエーションキャピタルも期限までにリース契約を解除する方向だ。ロシア航空大手のアエロフロートなどに36機をリースしている。
欧州委員会が2月末に発表した対ロ追加制裁では、域内企業に対しロシアへの航空機や部品の提供を禁止した。新規のリース契約はできず、既存の契約も30日以内に解除しなければならない。航空機リース会社の多くがアイルランドに拠点を置く。親会社の本社がEU域外でもEUの方針に従う必要がある。
英航空情報会社シリウムによると、ロシアの民間航空会社が使用する機体のうち半分にあたる約500機がロシア国外の企業からリースする。
制裁措置に対し、ロシア側の対抗も予想される。米通信社によると、ロシア当局は機体の購入や国有化などを検討している。部品供給が止まれば、予備の部品を融通し合うことで運航を続けるとみられる。
航空機リース各社は新型コロナウイルス禍で苦しい状況にある。国際航空運送協会(IATA)によると、2021年の航空旅客需要は新型コロナが広がる前の19年と比べて6割減った。22年は回復が見込まれていたが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で再び落ち込む恐れがある。ロシアの航空会社との契約を打ち切った機体の新たなリース先を探すのは難しくなっている。
国際線全便の運航を今月8日以降、原則として当面停止すると発表した。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧州連合(EU)や英国などがロシアの航空機に領空を閉鎖するなどの制裁を科したことに関連しているとみられる。国内線の運航に支障は出ないという。
孫正義社長は11月の決算説明会で、株価がディスカウントされて推移していることを受け、2022年11月8日までを取得期間とした1兆円の自社株買いの実施を表明した。2月末時点の累計取得額は約2032億円となっている。
●その他産業
建築用と自動車用のガラスを中心に事業展開する欧州の売上高は2021年12月期で約4000億円あり、ロシア事業の売上高はこのうち10%弱を占めるという。従業員数は欧州全体の1割強になる。
ドイツとロシアを直接結ぶ新しいガスパイプライン計画(ノルドストリーム2)への出資に関連して9億8700万ユーロ(約1240億円)を減損すると発表した。既存のパイプラインによるロシアからのガスの輸入は続け、新規の長期供給契約は結ばない方針だ。
ユニパーの持つ約3700億キロワット時の長期ガス供給契約のうち、ロシア産が約2000億キロワット時を占める。「ドイツと欧州の人々にエネルギーを供給するため、既存の契約に基づいて使命を確実に果たしていく」とした。一方で、ロシアと新たに天然ガスの長期供給契約を結ぶことはやめる。
●決算関連
●マクロ・その他
欧州連合(EU)の財政ルールで防衛などの戦略的投資は対象外にする緩和案について、オランダのカーフ財務相が警鐘を鳴らした。ロシアのウクライナ侵攻による経済的難局に直面する中でも、EUは債務の持続可能性に目を光らせ続ける必要があると主張した。
オーストラリアがインド太平洋地域での中国抑止の姿勢を鮮明にしている。モリソン首相は7日、豪東部に100億豪ドル(約8500億円)を投じて原子力潜水艦の基地を新たに建設する計画を発表した。2021年に安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設した米英と協力し、防衛力を高め中国に対抗する。
2022年2月末の外貨準備が前月末より78億ドル少ない3兆2138億ドル(約369兆円)だったと発表した。2カ月連続で減少した。ウクライナ情勢の緊迫をうけて、国際金融市場で資産価格が総じて下落したためだ。
カザフ当局は通常、この種のデモを許可しないが、ロシアを支持する国にも制裁を拡大すべきだと英国などで声が上がり始めたことから、ロシアとは距離を置く姿勢を示したい考えとみられる。
カザフ政府は5日、英政府から制裁対象にはならないと確約を得ていると強調。一方でデモを容認した。デモ隊は、平和の回復を求め、ロシアのプーチン大統領を非難した。カザフは1月、燃料価格高騰に抗議するデモが拡大、ロシア主導の集団安全保障条約機構(CSTO)が部隊を派遣し、トカエフ大統領は危機を脱している。
米政府高官が5日にベネズエラの首都カラカスを訪問し、同国のマドゥロ大統領、ロドリゲス副大統領と会談した。米ホワイトハウスのサキ大統領報道官は7日の記者会見で「政府高官がベネズエラを訪れた目的はエネルギー安全保障を含むさまざまな問題を議論することだ」と述べた。
会合では米国側は公正な大統領選の実施や石油産業の改革に加え、ウクライナに侵攻したロシアを非難するよう促した。ベネズエラ側は原油禁輸の全面解除やマドゥロ氏への制裁撤回などを求めた。
5日の会談で合意に向けた進展はなかったものの、協議を継続する方針では一致。次回の日程は決まっていない。
ニッケルはステンレス鋼や電気自動車(EV)のバッテリーなどに使われる希少金属で、もともと需給の引き締まりが意識されていた。ロシアは資源大手ノリリスク・ニッケルが高純度品で高い世界シェアを握るなど供給者として存在感が大きい。ウクライナ侵攻による経済制裁で輸出が今後滞る可能性への懸念が強まった。
オランダ金融大手INGのシニア商品ストラテジスト、ウェンユー・ヤオ氏は「旺盛な需要で在庫減って需給が非常に引き締まっていたところへ、ロシアからの供給途絶の不安に火が付いた」と話す。市場では想定を超す急上昇に売り手が慌てて買い戻す「踏み上げ」に拍車がかかったとの見方も出ている。
中国の王毅外相は7日の年次会見で、米国のインド太平洋戦略の「真の狙い」はアジア版NATOの構築だと言明した。中国はこれまで、中国の成長を追い抜くために米国が勢力圏の形成を試みていると非難してきた。ロシアのプーチン大統領が同様の主張を掲げてウクライナに侵攻して以降、中国のこの批判はさらに関心を集めるとみられる。
王外相は「平和や発展、協力、ウィン・ウィンの結果を求める域内の共通の願いと逆行する動きだ」と発言、「失敗する運命にある」と述べた。
米国による台湾との連携拡大については、「台湾を不安定な状況に追い込むことになるだけでなく、米国側にとって耐え難い結果を招くことにもなる」と述べ、「台湾は最終的に母国の下に戻る」と主張した。
モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏はリポートで「下落リスクは今後6-8週間が引き続き最も大きい」とし、「弱気相場は期間と下落幅の点で明らかにまだ終わっていない」とコメントした。
ジェイミー・ファヒー氏らシティのストラテジストは、企業利益のアナリスト推計に関する世界的指標が2020年9月以降で初めてマイナスに転じたと指摘。これはリスク資産に関する見通しを転換させるものかもしれないと分析した。
世界の中央銀行が流動性を引き揚げる中で利益は「最重要」だと、ファヒー氏らは指摘する。
バークレイズやJPモルガン・チェースなどのエコノミストは世界経済成長の見通しを引き下げ、消費者物価の予想を引き上げている。両社ともに成長見通しを約1ポイント下方修正した一方、インフレ予想は1ポイント上方修正した。
クリスチャン・ケラー氏らバークレイズのエコノミストは「ロシア・ウクライナ戦争を要因とする商品価格の高騰やリスク回避の強まりは、スタグフレーションのショックを示唆する」とリポートで指摘。「欧州は米国よりもこの影響を受けやすいと見受けられ、英国はその中間に位置し、中国は影響が最も小さい」と続けた。
アニタ・マーコウスカ氏らジェフリーズのエコノミストは「米金融当局は3月に利上げを実施せざるを得ない。地政学リスクがあっても、それ以降も利上げを続けると当社ではみている」とリポートで指摘した。
●市況
日経先物(大証)25135、ダウ先32740、債先150.79、米1.765、独▲0.0325、仏0.458、西0.955、伊1.510、原油120.39、ドル円115.41、墨ペソ21.31、トルコリラ14.3869、墨CDS113
※3/8 9時45分頃
備忘録(3/4-6)
●ウクライナ
制圧地の広場を、青と黄色のウクライナ国旗が埋め尽くした。「ヘルソンはウクライナだ」。ロシア軍が2日に制圧を発表した最初の主要都市、南部ヘルソンで5日、約2千人の住民が怒りの声を上げた。反戦デモは世界各地で続いた。
ロシアの人権団体「OVDインフォ」によると、同国では6日に21の都市で反戦デモがあり、少なくとも559人が拘束された。ロイター通信が伝えた。
ロシアのプーチン大統領は5日公開の映像で、ウクライナについて「核兵器を取得し、核保有国の地位を得ようとしている。見過ごすわけにはいかない」と主張した。根拠のない核兵器の開発疑惑を口実に、ウクライナへの侵攻や原子力発電所の制圧を正当化した。
ロシア通信など複数の国営メディアは6日に「情報筋」の話として、ウクライナが閉鎖したチェルノブイリ原発で放射性物質をまき散らす「汚い爆弾(ダーティーボム)」を製造しようとしていたなどと一斉に報じた。
ロシア軍は侵攻後に同原発のほか、稼働中のザポロジエ原発を制圧した。ほかの原発の掌握も狙っているとみられる。原発制圧で、ウクライナが核兵器の開発を試みているとの偽の証拠をロシア側がでっち上げる恐れが指摘されていた。
市民生活の混乱が拡大。スーパーでは小麦や砂糖、塩などを買い急ぐ動きが目立ち、一部では1人が買える量を制限し始めた。家具や家電など輸入に頼る製品の不足も顕在化してきた。こうした動きはロシア経済全体の先行きに影を落とす。
ウクライナの隣国ポーランドでガソリン不足が広がっている。戦火が飛び火するのではないかとの不安から給油所に列ができ、給油量が制限されている。ポーランドは歴史的にロシアへの警戒心が強く、現金を多めに確保しようと銀行窓口に並ぶ動きも出ている。
ポーランドの与党は3日、国防予算を国内総生産(GDP)比で現状の2%程度から4%に引き上げる考えを示した。2024年以降に2・5%にするとしていた当初案から踏み込んだ。
21年11月末時点でロシアにユニクロを48店舗展開するファーストリテイリングは方針を表明していない。家具世界最大手のイケア(スウェーデン)は、ロシアとベラルーシでの事業を一時停止すると発表している。同社は「戦争は甚大な人的影響を与えているだけでなく、サプライチェーン(供給網)に深刻な断絶をもたらしている」としている。
6日には米クレジットカード大手のアメリカン・エキスプレス(アメックス)や動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」がロシアでのサービスの一時停止を発表した。動画配信のネットフリックスもロシアでのサービスを一時停止する。
小売り大手も相次いでロシアでの事業を見合わせている。仏食品大手ダノンはウェブサイトで、ロシアでの投資案件をすべて見合わせるとの声明を出した。乳製品や乳幼児の栄養食品については、生産や流通を続けているという。
ベラルーシの長期債務格付けを「シングルB」から「トリプルC」に3段階引き下げたと発表した。
S&Pは声明で「ベラルーシに科された国際的な制裁は厳しく、今後さらに強化される見込みだ」と指摘し、今後12カ月以内にデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高いと予想した。見通しは「ネガティブ」としており、さらに引き下げる可能性がある。
LVMHはロシアにある124店舗を全て一時閉める。同社広報担当者は仏AFP通信の取材に「地域の現在の状況を考慮した」と理由を説明した。仏紙ルモンドによると、ロシアの売上高は全体の2%未満を占める。ベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)はロシアのプーチン大統領と面識があるが、ロシア政府に配慮しているとみられることを避けた。
エルメスはモスクワ中心部「赤の広場」近くなどの全3店舗の営業を一時やめる。「欧州の現状を強く懸念した」などとの声明を出した。西部サンクトペテルブルクで2022年に新店舗を開ける予定だったが、延期した。シャネルもロシアにある17店舗の営業中断を明らかにした。
米ボーイングと欧州エアバスがロシアの航空会社に部品を提供することをやめたほか、米アップルは「iPhone」など全商品のロシア販売を止めた。米エネルギー大手エクソンモービルは資源開発事業「サハリン1」からの撤退を決めるなど、幅広い業種でロシア事業を避ける動きがある。
米国はロシアの侵略を受けているウクライナ向けに他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国が軍用機を提供できるかどうかを巡り、ポーランドと協力して取り組んでいる。ホワイトハウス報道官が明らかにした。
こうした考えはNATOに加盟している幾つかの東欧諸国が拒否していたが、ウクライナのゼレンスキー大統領が5日に行った米上下両院の300人近い議員とのビデオ電話で取り上げた。電話協議後、米議員の何人かが軍用機の提供を支持すると述べた。ウクライナ軍の操縦士が訓練を受けているロシア製の軍用機が提供される可能性がある。
ホワイトハウス報道官によれば、ポーランド軍が保有機の中からウクライナに戦闘機を引き渡す可能性があり、バイデン政権はその代替機の手配を検討している。報道官は決定はポーランドが行うと指摘し、同国から軍用機をどのようにしてウクライナに移送するかなどの課題があるとも説明した。
外貨建ての長期債務格付けを「ダブルBプラス」から信用リスクが極めて高いとされる「トリプルCマイナス」まで8段階引き下げた。主要7カ国(G7)によるロシアの中央銀行の外貨準備を凍結させるとの経済制裁が、ロシアの信用力を悪化させるためとしている。
大統領令によれば、ルーブルをロシア中央銀行の公定レートで支払えば、債務履行と見なされる。
ルーブルでの対外債務返済が認められても、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保有者にとって、新たなルールはなお問題となり得る。
JPモルガン・チェースのストラテジストらは4日の投資家向けリポートで、ロシアの資本統制と制裁を考慮すれば、ルーブルでの支払いはCDS取引にとってその債券が「債務」あるいは「引き渡し可能債務」とみなされない可能性があると指摘。ロシアのドル建て債券は16日に1億1700万ドル相当のクーポン支払いの期日を迎えるが、ルーブル建てで支払う選択肢は付随されていないという。
「ピークから底」までの落ち込みは「1998年の債務危機と同程度」の11%前後となると推計。
「ロシアの輸出収入は抑えられ、経常収支の大幅な黒字にもかかわらず、資本流出はすぐに起こるだろう」とし、「輸入とGDPは急減する」と予想した。
JPモルガンは現在、ロシア経済が今年7%縮小すると予想。これまでの3.5%から変更した。今四半期には季節調整後・年率ベースで10%減少、次四半期には35%の大幅減少になるとみている。
「制裁はロシア経済に打撃を与えるだろう。ロシアは深刻なリセッション(景気後退)に向かっているとみられる」と指摘した。
●コロナ
ニューヨーク市は4日、新型コロナウイルスの感染者数の減少を受けて日常生活の規制をほぼ解除すると発表した。7日から飲食店でのワクチン接種証明の提示や学校でのマスク着用義務をなくす。2年前に世界の感染の中心地になった同市は正常化に向け大きな節目を迎える。
同市によると、3日の新規感染者数(7日移動平均)は約500人。1月上旬のピーク時には4万人を超えていた。
国内の各地域で新型コロナウイルス感染状況が落ち着いてきたことで、屋内で一律にマスク着用を求める対象から人口の9割が外れたと発表した。公共交通機関では3月中旬まで着用を求めるが、その後の対応は検討中としている。
国内で2日までの1週間に報告された感染者は1日平均約5万3千人で、1月のピーク時から9割減。死者も減少傾向だが1日平均1500人超と依然、高水準にある。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
同社は5日声明を出し「可能な限り代替先から調達していくが、グローバルな供給におけるロシアの重要性から一朝一夕には実現できない」と釈明した。資源大国ロシアへの経済制裁とエネルギー安定供給をどう両立させるか、難題を突きつけている。
シェルは4日にロシア産原油の購入を決めた。ロイター通信によると売り手は欧州の資源商社トラフィギュラで、国際指標の北海ブレント原油より1バレルあたり28.5ドル安い水準で仕入れる。市場ではウクライナを侵攻したロシアからの調達が敬遠されており、同国の代表的油種「ウラル」と北海ブレントの価格差は過去最高になっている。
●決算関連
●マクロ・その他
5日開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が審議する2022年予算案で、国防費は前年比7.1%増えた。経済成長が鈍るなか伸び率は前年(6.8%)を上回った。ロシアによるウクライナ侵攻で中国の台湾への対応が注目されるが、台湾統一に向けて軍備増強を進める姿勢を示した。
国防費は1兆4504億元(約26兆3000億円)と米国に続く世界第2位で、日本の防衛予算の4倍以上ある。
伸び率は2年連続で拡大し、19年以来3年ぶりの高さ。22年の経済成長率は目標で5.5%にとどまり、21年(8.1%)から大幅に減速しそう。成長率に逆行して国防費の伸びを拡大したのは台湾問題が念頭にある。
中国は秋の共産党大会をにらみ、景気下支えに動く。2兆5000億元(約45兆円)の減税や税の還付を実施して企業の負担を軽減するほか、追加利下げにも含みを残すなど財政や金融政策をフル活用する。習近平(シー・ジンピン)党総書記(国家主席)は経済を安定させ、党大会での3期目続投を確実にしたい意向とみられる。
李克強(リー・クォーチャン)首相は5日、所信表明に当たる政府活動報告で、2022年の実質経済成長率目標を「5.5%前後」とした。21年の「6%以上」から引き下げた。
ただ国際機関やエコノミストの見通しよりは高い。国際通貨基金(IMF)は1月の最新予測で4.8%とはじいており、相対的に中国政府の目標設定は強気に映る。
背景にあるのが、秋に控える5年に1度の党大会だ。習氏は党大会で異例となる3期目入りを目指している。それだけに、庶民の不満を高めかねない景気の停滞は是が非でも避けねばならない。李氏は「速やかに持てる政策ツールを活用し、経済の安定成長を確保する」と述べた。
2兆5000億元に及ぶ企業の負担軽減額のうち、1兆5000億元は税の還付だ。製造業や中小零細企業の手元資金を増やし、投資を促す。21年は減税などによる新規の負担軽減が1兆元超だった。地方のインフラ債の発行枠も3兆6500億元と、前年と同じ水準を保った。伝統的な景気刺激策である公共事業で地方経済を支える。
景気をてこ入れするのは、昨年後半にかけて資源高や不動産規制の強化で経済が停滞した影響も大きい。21年10~12月の前年同期と比べた実質経済成長率は4・0%にとどまった。新型コロナウイルスの打撃から復調し始めた20年4~6月(3・1%)以来の低さだった。
財政と並び、金融政策でも景気配慮の姿勢を鮮明にする。李氏は「緩和的な金融政策の実施を強化する」と述べた。1月まで2カ月連続で行った利下げの追加実施にも含みを残した。税の還付とともに企業の資金繰りにゆとりを持たせる狙いがある。
バブル抑制を目的に強めた不動産規制も微修正する。政府活動報告は「住宅は住むものであって投機対象ではない」という従来方針を盛り込んだ。一方、中低所得層向け住宅開発のてこ入れなどを念頭に「新たな成長モデルを模索する」とも強調した。不動産業以外の産業基盤が弱い地方都市も多く、規制強化による地方の疲弊を意識したとみられる。
政策総動員で安定成長の実現に腐心するが、リスクも多い。新型コロナのまん延がなお不安要因として残るほか、資源価格の高止まりは価格転嫁が難しい中小零細企業の利益を圧迫しやすい。ウクライナ情勢の混乱が拍車をかける恐れもある。李氏は「国内外の情勢を総合的に検討すると、今年の経済成長が直面するリスクは顕著に増えている」と認めたうえで「必ず乗り越えないといけない」と述べた。
新憲法制定を進める議会の委員会で、天然資源の国有化、自由貿易協定(FTA)への消極姿勢を盛り込む提案がなされた。制憲議会の本会議での議論を経て最終的に国民投票で承認される場合には、外国企業や国際商品市場に大きな影響が及ぶ可能性がある。
2月の世界の食料価格指数(2014~16年=100)は140.7と前月比5.3ポイント上昇し、11年ぶりに過去最高を記録した。植物油や小麦、乳製品など幅広い食料が値上がりしており、ロシアが侵攻したウクライナ情勢の緊迫化も食料高に拍車をかける。家計への打撃が一段と大きくなる。
指数は肉類や穀物など主要5品目の国際取引価格から算出し、投資家や企業の注目度が高い。これまでの最高値は、パン高騰などに怒った民衆が独裁政権を打倒した中東の民主化運動「アラブの春」が起きていた11年2月の最高値(137.6)だった。食料高は、新型コロナウイルス禍からの回復途上にある世界経済に影を落とす。
特に植物油は15.8ポイント高い201.7と値上がりが顕著だ。パーム油の世界最大の生産・輸出国インドネシアは、1月下旬から食用油の国内価格を安定させるため輸出制限に踏み切った。ロシアのウクライナ侵攻で黒海周辺からの輸出が滞るとの懸念から、ヒマワリ油の価格も急上昇している。
ウクライナ情勢は農産物相場にも波及している。穀物は144.8と4.2ポイント上昇した。ウクライナは小麦や大麦、トウモロコシの一大産地だが、戦闘の激化で供給が細る可能性が高い。穀物メジャーの米カーギルは同国での事業に支障が出ている。
一部の国は早くも身構えている。ロイター通信によると、4月に総選挙を控える中欧ハンガリーのナジ農相は4日、ウクライナ侵攻による価格上昇に対応し、ただちに穀物輸出を禁止すると述べた。食品会社では値上げの表明が相次いでおり、国民の不満に直結しかねないためだ。
乳製品も8.5ポイント高い141.1と高騰が続く。オセアニアや欧州など主要な産地で生乳生産が減って、世界的に逼迫した状態が続いたのが要因だ。
食料高を引き起こしているのは短期的な需給だけでなく、構造問題も横たわる。経済成長を続ける中国は豚など飼料用需要が旺盛で、外国から穀物の買いだめを急ぐ。世界各国の急速な脱炭素政策を背景に、ガソリンの代替燃料として期待が高いバイオ燃料の消費も拡大し、その原料となる大豆や菜種の価格を押し上げている。
FAOは食料価格の上昇は、エネルギーや肥料などのコスト高による要因も大きく、「これらが食料の生産事業者の利益を圧迫しており、投資や生産拡大の意欲を失わせている」と指摘する。
食料インフレの影響を強く受けるのは、経済基盤の弱い途上国だ。貧困に拍車をかけ、政情不安を招く恐れがある。国連は30年までに飢餓ゼロの目標を掲げるが、21年7月の報告書では、30年でも約6億6000万人は飢餓状態となっている可能性があると警告。紛争や災害など有事の際でも食料を安定的に確保する「食料安全保障」の強化は、国際社会の大きな課題となっている。
2021年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比で1.6%増となった。新型コロナウイルスの感染が抑制されていた時期でサービス業は伸びたが、主力の農牧畜業や製造業がマイナスとなって低成長となった。
プラス成長は4四半期連続。サービス業は前年同期比で3.3%増だったが、部品不足が響いた製造業は6.9%減、農牧畜産業は0.8%減だった。
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2月、21年10月~22年9月の穀物生産量の推定は約2億6822万トンとの見通しを発表した。前年度比5%増の水準ではあるが、1月の前回発表(約2億8439万トン)から大幅に下方修正となった。ギリェルメ・リベイロ総裁は「南部での干ばつの被害は大きく、主力のトウモロコシや豆類の生産性が下がる」と指摘している。
非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比67万8000人増-昨年7月以来の大幅な伸び。家計調査に基づく失業率は3.8%に低下-前月4%。
求人情報サイト、インディードの経済調査ディレクター、ニック・バンカー氏は「回復が現在のペースを維持できれば、労働市場の健全性を示す複数の主要指標が今夏にはコロナ禍前の水準に達するだろう」とリポートで分析した。
平均時給は前月比ほぼ横ばい。前年同月比では5.1%増と、前月から伸びが鈍化した。週平均労働時間は34.7時間に増えた。
労働参加率は62.3%に小幅上昇。25-54歳の同参加率は2020年3月以来の高水準となった。ただし、育児関連の問題や早期退職などの要因で米労働力人口は減少している。コロナ禍前の全体の同参加率は現行水準より約1ポイント高かった。
2月は外食やヘルスケアなど、コロナ禍の影響を最も大きく受けてきたセクターの一部で雇用が堅調に伸びた。専門職・ビジネスサービスでも増加。建設業の雇用は昨年3月以来の大幅増となった。
「西半球でかなりのロシア産原油が受け入れられなくなることは、すでに世界は織り込みつつあるが、まだ全部を織り込んだとは思わない」と述べた。
同氏の見方は、一部の商品ヘッジファンドや大手金融機関の見通しとも重なる。ゴールドマンは向こう3カ月以内に原油価格がバレル150ドルに達する可能性があるとみている。
●市況
日経先物(大証)25797、ダウ先33583、債先151.05、米1.737、独▲0.0745、仏0.435、西0.955、伊1.513、原油115.03、ドル円114.82、墨ペソ20.95、トルコリラ14.1774、墨CDS108
※3/4 NY引値
備忘録(3/3)
●ウクライナ
VWにとってロシア、中東欧は重要な市場だ。21年にはグループ全体で66万台を販売した。VWは声明で「ロシアによるウクライナ侵攻を鑑みた」としている。
ドイツの自動車大手ではメルセデス・ベンツグループが2日にロシアでの現地生産と同国への輸出を停止すると発表。BMWも現地生産と輸出を一時停止している。
ピクテ・アセット・マネジメントの新興国市場ハードカレンシー債務共同責任者グイド・チャモロ氏(ロンドン在勤)は、ウクライナ紛争によりデフォルトリスクは50%を超えたと述べた。
ロシアが外貨準備にアクセスできるか、クーポン支払いをする意思とその仕組みがあるかも問題だ。投資家は2月初めの時点でルーブル建て債約3兆ルーブル(約3兆2900億円)相当を保有していた。
ロシア中銀が何らかの発表をしない限り、ロシア債がデフォルトしたかどうかを投資家や格付け会社が判断するには数週間を要するだろう。
ロシア人銀行家ロマン・アブデエフ氏が保有するロンドンの金融ブローカー、ソバ・キャピタル・リミテッドが経営破綻に直面している。ロシア関連企業が混乱に見舞われていることを示す最新の事例と言えそうだ。
3日の法廷審問によると、ソバの経営陣は破産に相当する特別管理を申請している。これが認められれば、同社の破綻で金融市場に及ぶ混乱を管財人が最小限に抑える。ソバは新興市場に注力する独立系の証券仲買業者で投資銀行業務も手掛ける。
この法廷審問でソバの弁護士らは、約15億ポンド(約2320億円)の顧客資産と5000万ポンドの顧客資金を同社が抱えていると明らかにした上で、債務を支払うことができず、「ロシア関連で重大なエクスポージャーがある」と説明した。
仏ソシエテ・ジェネラル(ソジェン)は3日、ロシアでの銀行資産を接収される可能性に言及した。米シティグループは前日に融資などの残高の約半分を失うリスクがあると明かした。米英や欧州連合(EU)がウクライナ危機を受けて、前例のない金融制裁に乗り出すなか、ロシア側の報復を警戒している。
撤退を決めても、手続きがすんなり進むとは限らない。米シティは21年にロシアのリテール事業から撤退すると表明済みで、売却手続きに入っていた。ところが買い手候補の1つ、ロシアのVTBバンクが米国の制裁対象になり、先行きは不透明になった。シティのジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は「売却プロセスに多くの地政学リスクがあり、ロシアの情勢が流動的なのは明らかだ」と認めた。
オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルはロシア事業で利益の約3分の1を稼いでおり、状況次第では経営基盤が揺らぎかねない。1日、ヨハン・シュトローブルCEOは投資家向け説明会で「我々が立ち去るわけではないと理解してもらいたい」と強調し、撤退観測を打ち消した。ただし手元流動性を高めるため、予定していた配当は見送った。
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
国内通信大手のソフトバンクは、傘下のZホールディングス(ZHD)株式を活用して約1000億円の資金調達を実施したことが分かった。同社が保有株を使ったアセットファイナンスを行うのは初めて。
ソフトバンク広報担当の有山麻季子氏によると、同社が50%出資するAホールディングス(AHD)からZHD株約3億6144万株(約4.8%)を借り受け、株券貸借取引を使って1日までに調達した。事業の運転資金に充てる方針で、議決権に変更はないという。
親会社のソフトバンクグループでは、中国の電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングなど保有株式を活用したアセットファイナンスを積極的に進めている。株券貸借取引は保有資産を活用した資金調達手法で、貸し手は株券を貸し出すと同時に担保となる現金と株券の貸借料(品貸料)を受け取る一方、担保金に対する金利を支払う。
4日出発の羽田―ロンドン線の旅客便1往復2便を米国のアラスカ上空を通過する航路で運航すると決めた。グリーンランドやアイスランド上空を通る「北回り」のルートとする。同路線は通常ロシア上空を飛行しているが、ロシアによるウクライナへの侵攻を受けた情勢を考慮してルートを変える。
経路の変更により往路で約3時間、復路は約4時間半所要時間が延びる。4日は羽田―ロンドン線の残り1往復や羽田―パリ線など、他の欧州発着の8便を欠航とする。このうち6便が旅客便で、237人が影響を受ける。日本の航空会社はロシア領空の飛行を禁止されていないが、ロシア上空を避ける動きが広がっている。
●その他産業
●決算関連
2021年12月通期の連結決算は、最終損益が21億9100万ユーロ(約2800億円)の赤字だった。赤字額は約67億ユーロだった前の期の3分の1に縮小した。22年12月期はロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルスなど不確実な要因が多く、詳細な業績見通しは出せないとしている。
売上高は168億1100万ユーロと前の期比24%増えた。新型コロナの変異ウイルス「オミクロン型」が10~12月期の需要を押し下げた。21年通年では旅客数は29%増の4694万人だった。営業損益に相当する調整後EBIT(利払い・税引き前損益)は23億4900万ユーロの赤字だった。このうち貨物部門は14億9300万ユーロの黒字と利益額がほぼ倍増した。
カールステン・シュポア社長は声明で「22年の航空需要は力強く伸びると確信している。個人旅行部門を拡大する戦略は成果を上げている」と述べた。ただ、現在欧州とアジアを結ぶ路線はロシア上空を迂回している。通常より燃料費などが多くかかり、数億ユーロのコスト増になるという。
2021年12月期の営業損益は15億ドル(約1700億円)の赤字だった。物流拠点の整備など先行投資がかさみ、前の期の5億ドルの赤字から悪化し、過去最大の赤字額を計上した。
売上高は前の期比54%増の184億ドルだった。「韓国のアマゾン」と呼ばれるクーパンは、自前の物流システムで高速宅配を実現して会員数を増やしてきた。21年10~12月期の利用者数は前年同期比21%増の1793万人となり、売り上げ規模が1兆円を超えてもなお高成長を続けている。
2021年12月期決算は最終損益が35億5500万ドル(約4100億円)の赤字だった。配車や食事宅配のシェア維持を優先して多額の販売促進費用を使っているためで、前の期(27億4500万ドルの赤字)に比べ赤字幅が拡大した。21年12月の米ナスダック市場への上場後、株価は低迷しており、採算の改善が急務になっている。
●マクロ・その他
2月の消費者物価指数は、前年同月比で54.44%上昇した。上昇率は2002年3月以来、19年11カ月ぶりの高水準となった。
通貨リラは昨年1年間で米ドルに対し4割以上も下落し、インフレが加速している。
ロシア人やウクライナ人観光客に支えられてきた観光業も、ロシアのウクライナ侵攻の影響で打撃を受けることが予想される。エルドアン氏はインフレ抑制に自信を見せるが、先行きは不透明なままだ。
4月のフランス大統領選で、中道マクロン大統領が正式に出馬表明する。主要候補は同氏を含む5人だが、支持とりまとめに苦労する右派・左派を背景にマクロン氏が優位に選挙戦を進めている。欧州連合(EU)による対ロシア制裁での仏経済への影響が、選挙情勢を動かす不確定要因となりそうだ
2021年の会員ホテルの平均稼働率は34.7%で、過去最低となった。新型コロナウイルスの影響による宿泊需要の低迷が続き、前年(35.3%)を下回った。「オミクロン型」による感染拡大が続いており、インバウンド(訪日外国人)需要も含めた本格回復の時期は見通せない。
アルゼンチン政府と国際通貨基金(IMF)は3日、450億ドル(5兆1800億円)規模の債務再編で合意した。返済開始は2026年に先送りされ、34年に完了する計画だ。今後は同政府は議会での承認をめざすが、議会内には反対の声も根強くあるため、議論に時間がかかる可能性もある。
2050年までの長期見通しを公表し、同年の米国のエネルギー需要は石油が約41%、天然ガスが約36%を占め、合計で7割以上になるとの見方を示した。再生可能エネルギーの比率は約19%に拡大するが、依然として石油やガスに及ばない。
21年の比率は石油が約37%、ガスが約32%、再生エネは約10%だった。電気自動車(EV)の新車販売は増加するものの、依然として路上を走行する自動車はガソリン車が多く、石油需要は底堅い。ガスについては液化天然ガス(LNG)輸出が増加するほか、工業用の燃料としての消費が旺盛だ。
電源構成では、50年に再生エネが約44%(21年は約21%)、天然ガス火力が約34%(同約37%)、原子力が約12%(同約19%)、石炭火力が約10%(同約23%)になるとみている。再生エネは太陽光発電と風力発電の導入が政策支援によって増えるほか、技術の進展で発電コストも低下する。
2月の非製造業(サービス業)景況感指数は56.5で、前月から3.4ポイント低下した。3カ月連続の低下で、2021年2月以来1年ぶりの低さとなった。供給制約やインフレ、労働力不足が続いており、ISMは「これらが事業活動と経済成長の鈍化につながっている」と指摘した。
ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(61.0程度)を下回った。個別指数は、「事業活動・生産」が55.1で4.8ポイント、「新規受注」が56.1で5.6ポイントそれぞれ低下した。また「雇用」は48.5で3.8ポイント下がり、21年6月以来8カ月ぶりに縮小圏に落ち込んだ。
一方、「価格」は83.1で0.8ポイント上昇し、物価上昇圧力が弱まる兆しはみられなかった。
専門・科学技術サービス分野の企業は「『大量離職』は本当だ。従業員、請負業者、コンサルタントが、高賃金や柔軟な勤務体系を求めて相次いで辞めていく」と報告した。また建設業者は「事前通知なしの値上げをされた。資材確保にも苦戦している」と苦境を伝えた。
備忘録(3/2)
●ウクライナ
エネルギー決済は道残す 米欧日のロシア制裁第1弾
米欧日など主要国によるロシアへの金融制裁の第1弾が出そろった。大手・中堅7行を「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除し、米国は独自に最大手行のズベルバンクなどのドル取引も禁止する。中央銀行の外貨準備も凍結し、ロシアは企業も生活者もルーブル急落と外貨枯渇で混乱する。欧州のエネルギー調達への影響を減らすため、ユーロ取引には抜け道を用意した。
ロシアのズベルバンク、欧州撤退を発表 預金流出加速
ロシアの大手銀行、ズベルバンクは2日、欧州市場から撤退すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う欧州連合(EU)などの制裁で信用不安が高まってグループの傘下銀行で預金流出が進んでいることなどから、事業継続が困難と判断した。
同行傘下のズベルバンク・ヨーロッパはオーストリアに本拠を置く。2021年末時点の資産規模は136億ユーロ(約1兆7000億円)。ロシア政府が株式の過半を保有するズベルバンクの完全子会社で、オーストリアやドイツ、クロアチア、チェコ、ハンガリーなどで事業を展開している。
ユーロ圏の銀行破綻処理を担う単一破綻処理委員会(SRB)は1日、ズベルバンク・ヨーロッパが破綻処理される見通しとなったと発表していた。
同銀行は売上高にあたる経常収益のうち、直近の決算発表ではロシアでの事業が約96%を占める。ほかの国での事業の比率は低い。
EUは1日、ロシアの複数の銀行を国際的な資金決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することを決めた。同国2位のVTBバンクなど7行が対象。最大手のズベルバンクは制裁対象から外した。
ロシア向け債権18兆円、損失リスク 日米欧の金融機関
日米欧の金融機関によるロシア向け債権で損失リスクが高まっている。債権残高は約18兆円で、日本の3メガバンクも約5000億円の融資債権を抱える。エネルギー事業への融資が中心だが、制裁を踏まえて欧米企業は相次いでロシア事業の縮小・撤退に動いており、事業そのものの継続に黄信号がともる。新規融資を事実上、凍結するなどロシアビジネスそのものを根本的に見直す。
中国、ウクライナ危機で影響受ける商品確保に動く-関係者
メディアに話す権限がないとして匿名を条件に語った関係者によると、経済政策全般の立案を担う国家発展改革委員会(発改委)など政府機関は、ウクライナ危機で需要とのギャップが生じる恐れがある石油・ガスや鉄鉱石、大麦、トウモロコシなどの商品を求めて市場を探すよう買い手となる国有企業に伝えるよう命じられた。
供給確保は中国にとって優先順位が高く、当局者は商品の世界的コスト高騰による中国経済への影響も懸念していると関係者は明かす。中国政府は新型コロナウイルス禍やサプライチェーン圧迫、オーストラリアとの外交対立など地政学上の問題による余波を既に受けており、エネルギーや食料安全保障の重要性を強調するようになっている。
●ウクライナ
エネルギー決済は道残す 米欧日のロシア制裁第1弾
米欧日など主要国によるロシアへの金融制裁の第1弾が出そろった。大手・中堅7行を「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除し、米国は独自に最大手行のズベルバンクなどのドル取引も禁止する。中央銀行の外貨準備も凍結し、ロシアは企業も生活者もルーブル急落と外貨枯渇で混乱する。欧州のエネルギー調達への影響を減らすため、ユーロ取引には抜け道を用意した。
ロシアのズベルバンク、欧州撤退を発表 預金流出加速
ロシアの大手銀行、ズベルバンクは2日、欧州市場から撤退すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う欧州連合(EU)などの制裁で信用不安が高まってグループの傘下銀行で預金流出が進んでいることなどから、事業継続が困難と判断した。
同行傘下のズベルバンク・ヨーロッパはオーストリアに本拠を置く。2021年末時点の資産規模は136億ユーロ(約1兆7000億円)。ロシア政府が株式の過半を保有するズベルバンクの完全子会社で、オーストリアやドイツ、クロアチア、チェコ、ハンガリーなどで事業を展開している。
ユーロ圏の銀行破綻処理を担う単一破綻処理委員会(SRB)は1日、ズベルバンク・ヨーロッパが破綻処理される見通しとなったと発表していた。
同銀行は売上高にあたる経常収益のうち、直近の決算発表ではロシアでの事業が約96%を占める。ほかの国での事業の比率は低い。
EUは1日、ロシアの複数の銀行を国際的な資金決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することを決めた。同国2位のVTBバンクなど7行が対象。最大手のズベルバンクは制裁対象から外した。
ロシア向け債権18兆円、損失リスク 日米欧の金融機関
日米欧の金融機関によるロシア向け債権で損失リスクが高まっている。債権残高は約18兆円で、日本の3メガバンクも約5000億円の融資債権を抱える。エネルギー事業への融資が中心だが、制裁を踏まえて欧米企業は相次いでロシア事業の縮小・撤退に動いており、事業そのものの継続に黄信号がともる。新規融資を事実上、凍結するなどロシアビジネスそのものを根本的に見直す。
中国、ウクライナ危機で影響受ける商品確保に動く-関係者
メディアに話す権限がないとして匿名を条件に語った関係者によると、経済政策全般の立案を担う国家発展改革委員会(発改委)など政府機関は、ウクライナ危機で需要とのギャップが生じる恐れがある石油・ガスや鉄鉱石、大麦、トウモロコシなどの商品を求めて市場を探すよう買い手となる国有企業に伝えるよう命じられた。
供給確保は中国にとって優先順位が高く、当局者は商品の世界的コスト高騰による中国経済への影響も懸念していると関係者は明かす。中国政府は新型コロナウイルス禍やサプライチェーン圧迫、オーストラリアとの外交対立など地政学上の問題による余波を既に受けており、エネルギーや食料安全保障の重要性を強調するようになっている。
ロシア企業や個人への融資など98億ドル(約1.1兆円)の残高(エクスポージャー)について、最悪のシナリオで約半分を失う可能性があると明かした。非中核事業からの撤退によって、収益力の改善を目指しているが、地政学リスクの高まりが影を落とす。
ロシア市場における企業や個人への融資、保有証券の残高は54億ドルで、シティ全体の0.3%に相当する。債券を担保に資金をやりとりする「リバースレポ契約」やロシア中央銀行への預金などを含めると総額98億ドルになるという。
メイソンCFOは行内のリスク管理部門と実施したストレステスト(健全性審査)について説明した。最も厳しいシナリオを前提にすると、98億ドルのエクスポージャーが「半分以下になる可能性がある」と述べた。ロシア通貨ルーブルの下落による損失を回避するため、為替ヘッジを進めているという。
シティはロシアのリテール事業から撤退すると表明している。ただし売り先候補として名前が挙がるロシアのVTBバンクは米国の制裁対象となり、売却手続きを不安視する声がある。フレーザーCEOは「売却プロセスに多くの地政学リスクがあり、ロシアの情勢が流動的なのは明らか」と述べたうえで、「どのような影響がでるのか判断するのには早すぎる」と話した。
反対はロシアのほか、ベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリアの計5カ国にとどまり、当時の11カ国から減った。棄権も58カ国から35カ国に減った。
中国は安保理決議案の採決時と同様、棄権を選択した。張軍国連大使は採択後の演説で「決議案は現在の危機と歴史の複雑さを反映しておらず、政治的解決の推進や外交努力の強化の緊急性も強調されていない」と棄権の理由を説明した。「関係者が対話と協議を通じてウクライナ問題の包括的な解決策を模索すべきだ」と語った上で「中国は引き続き建設的な役割を果たす用意がある」との考えを明らかにした。
ロシアとの外交・経済関係に配慮する一方で、米欧日などによる制裁強化でロシアの孤立が深まるなか、中国も発言の軌道修正を迫られている。28日の演説では「状況はわれわれが望まないところまで発展している」と危機感をにじませた。「一国の安全保障が他国の安全保障を犠牲に成り立ってはならない」とも強調した。
ロシア産の原油輸入を禁止する制裁を科す可能性を問われ「選択肢から排除していない」と言及した。ホワイトハウスで記者団の質問に答えた。原油の輸入を停止すればガソリン価格高騰などにつながるおそれがあり、日米欧が発動した対ロ制裁はエネルギー産業を対象にしていない。
米ホワイトハウスのジャン・ピエール大統領副報道官は2日、記者団に「ロシア経済への打撃を最大化し、米国と同盟国への影響を最小限にする制裁にした」と話した。エネルギー価格の高騰を回避するため「エネルギー供給国としてのロシアの地位を時間をかけて低下させる」と語った。
ハイテク製品の輸出規制をベラルーシにも適用するほか、ロシアの石油精製産業への禁輸措置も講じる。
米国務省はロシアの武器開発・生産企業22社を禁輸対象に加える。戦闘機やミサイルなどを手掛ける企業を指定し、ロシアの軍事力向上をさらに抑え込む。
産業システム大手の独シーメンスや高級車大手の独メルセデス・ベンツグループは2日までに、ロシアでの生産や販売などの事業を停止すると発表した。
風力発電機大手のベスタス(デンマーク)も当面の間、ロシアでの新たな商業活動はしない。
高級ブランドの英バーバリー・グループは、ウクライナを侵攻したロシア向けの出荷を一時停止した。英衣料品小売りのASOS(エイソス)とブーフー・グループに続きロシアでの事業を縮小する。
最初の支払期限は3月16日となる。猶予期間は30日だ。JPモルガンによると、3月だけで利払いと元本で合計約7億ドル(約810億円)の支払いを控える。分析チームは「『支払い不能』に最も注目すべきだろう」とみる。
●コロナ
●コロナ
「開国」に動く東南アジア 経済立て直しへ観光再生急ぐ
●中国不動産
中国の銀行監督トップ、住宅価格の調整を歓迎-不動産投機に警鐘
郭主席は記者会見で、「今は不動産価格の一定の調整と需要構造の変化があり、金融セクターにとって良いことだ」と指摘した上で、「調整が極端になることや経済への過大な影響は望んでいない」と述べた。
また「多くの人々が不動産を投資もしくは投機目的で買うために借り入れをしている。不動産価格が下落するか他の問題が浮上すれば、大きな金融危機に転じる恐れがある」とも語った。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ANA、3日の欧州線全便欠航 4日以降は別ルート調整
全日本空輸(ANA)は2日、3日に出発する欧州発着の旅客便・貨物便を全て欠航すると決めた。羽田―フランクフルト線の旅客便1往復2便のほか、貨物便6便が対象。ロシア軍によるウクライナへの侵攻を受けた情勢を総合的に考慮した結果だという。4日以降の出発分については通常と別のルートでの運航を調整するとしている。
●中国不動産
中国の銀行監督トップ、住宅価格の調整を歓迎-不動産投機に警鐘
郭主席は記者会見で、「今は不動産価格の一定の調整と需要構造の変化があり、金融セクターにとって良いことだ」と指摘した上で、「調整が極端になることや経済への過大な影響は望んでいない」と述べた。
また「多くの人々が不動産を投資もしくは投機目的で買うために借り入れをしている。不動産価格が下落するか他の問題が浮上すれば、大きな金融危機に転じる恐れがある」とも語った。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ANA、3日の欧州線全便欠航 4日以降は別ルート調整
全日本空輸(ANA)は2日、3日に出発する欧州発着の旅客便・貨物便を全て欠航すると決めた。羽田―フランクフルト線の旅客便1往復2便のほか、貨物便6便が対象。ロシア軍によるウクライナへの侵攻を受けた情勢を総合的に考慮した結果だという。4日以降の出発分については通常と別のルートでの運航を調整するとしている。
欧州航空会社、日本便再開 フィンエアーなど迂回ルート
日揮HDやANAなど16社、バイオ航空燃料で連携
日揮HDの佐藤雅之会長兼最高経営責任者(CEO)は同日に開いた記者会見で、「SAFは航空業界のカーボンニュートラル達成の切り札だが、国内ではいまだ商用化されていない」と強調した。
今後は世界的にSAFの供給不足に陥り、既存の航空燃料の3~4倍といわれるSAFの価格がさらに上がる恐れもある。ANAの平子裕志社長は「インセンティブの導入などを政府と協力して進める必要がある」と語る。
●その他産業
米フォード、EV事業を独立採算に 成長分野に投資集中
EV事業を「フォードモデルe」の名前で分離する。ガソリン車の「フォードブルー」、商用車の「フォードプロ」を合わせた3事業を、フォード本体の傘下で独立採算体制で運営する。一部メディアが報じていたEV事業の分社は実施せず、社内で分業体制をとる。
一部の投資家は、大手メーカーにEV事業を分社して企業価値を高めるよう求めている。フォードは分社化ではなく、独立採算にすることで投資効率や収益の透明性を高められると判断した。ゼネラル・モーターズ(GM)の経営陣もEV事業の分社化には慎重な考えを示している。
シェル、ロシア産原油・ガスの購入を継続-関係者
英シェルは引き続きロシア産の原油・ガスを購入している。事情説明を受けた関係者1人が明らかにした。同社は政府と協議を進めており、規制に変更があれば全て従うという。
●決算関連
●マクロ・その他
日揮HDやANAなど16社、バイオ航空燃料で連携
日揮HDの佐藤雅之会長兼最高経営責任者(CEO)は同日に開いた記者会見で、「SAFは航空業界のカーボンニュートラル達成の切り札だが、国内ではいまだ商用化されていない」と強調した。
今後は世界的にSAFの供給不足に陥り、既存の航空燃料の3~4倍といわれるSAFの価格がさらに上がる恐れもある。ANAの平子裕志社長は「インセンティブの導入などを政府と協力して進める必要がある」と語る。
●その他産業
米フォード、EV事業を独立採算に 成長分野に投資集中
EV事業を「フォードモデルe」の名前で分離する。ガソリン車の「フォードブルー」、商用車の「フォードプロ」を合わせた3事業を、フォード本体の傘下で独立採算体制で運営する。一部メディアが報じていたEV事業の分社は実施せず、社内で分業体制をとる。
一部の投資家は、大手メーカーにEV事業を分社して企業価値を高めるよう求めている。フォードは分社化ではなく、独立採算にすることで投資効率や収益の透明性を高められると判断した。ゼネラル・モーターズ(GM)の経営陣もEV事業の分社化には慎重な考えを示している。
シェル、ロシア産原油・ガスの購入を継続-関係者
英シェルは引き続きロシア産の原油・ガスを購入している。事情説明を受けた関係者1人が明らかにした。同社は政府と協議を進めており、規制に変更があれば全て従うという。
●決算関連
●マクロ・その他
2022年の実質成長率は従来の見通しに比べ0.4ポイント強、下振れするとの見方がエコノミストの間で広がっている。資源高によるインフレの長期化を懸念する声が多い。新型コロナウイルス危機からの持ち直しで高成長が続くとの楽観論は後退しつつある。
2月のユーロ圏物価5.8%上昇 過去最高更新、ECBに試練
ユーロ圏の2月の消費者物価指数(速報値)が前年同月比で5.8%上昇したと発表した。前月の5.1%を大幅に上回り、上昇幅は統計を遡れる1997年以降で最大を更新した。ロシアのウクライナ侵攻で物価への上昇圧力は一段と高まりつつある。ただ、景気の先行きは不透明感で、欧州中央銀行(ECB)は難しいかじ取りを迫られている。
物価上昇の勢いは当初、2022年の年明け以降に弱まるとみられてきた。ドイツの付加価値減税の反動などの特殊要因が剥落するためだ。ところが、エネルギー価格の想定外の上昇で、欧州のインフレは長期化が鮮明になっている。
今後の焦点は、ロシアのウクライナ侵攻が及ぼす影響だ。ロシアからのエネルギー供給への不安から、原油価格や天然ガス価格は大幅に上昇している。ECBのラガルド総裁は2月25日の記者会見で、ロシアによる侵攻はエネルギー価格を通じて、短期的にはインフレ率を高める可能性が高いと指摘した。
ただ、ラガルド氏はロシア侵攻で不確実性が高まれば、消費や投資に悪影響を与えて成長の足かせになるとの見方も示した。景気回復にブレーキがかかれば、物価の基調も弱まりかねない。やや長い目で見た物価への影響には読みにくい部分がある。
パウエルFRB議長、3月利上げは「適切」-戦争で視界不良
労働市場がタイトな中での高インフレへの対応として、3月に政策金利を引き上げると想定していると明らかにした。一方でロシアのウクライナ侵攻で、米経済見通しに不確実性が加わったと指摘した。
事前に公表された下院金融委員会での証言テキストによると、議長は「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」と言明。「現在の環境下で政策緩和を解除するプロセスは、FF金利誘導目標レンジ引き上げとFRBのバランスシート縮小の両方を伴うことになるだろう」「ウクライナ侵攻とその後に続く戦争、経済制裁といったイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」と警告。「この環境で適切な金融政策を策定するには、経済は想定外の形で変化するものだと認識する必要がある」とし、「これから出てくるデータや見通しの変化に応じて、俊敏に対応する必要があるだろう」と述べた。
2月のユーロ圏物価5.8%上昇 過去最高更新、ECBに試練
ユーロ圏の2月の消費者物価指数(速報値)が前年同月比で5.8%上昇したと発表した。前月の5.1%を大幅に上回り、上昇幅は統計を遡れる1997年以降で最大を更新した。ロシアのウクライナ侵攻で物価への上昇圧力は一段と高まりつつある。ただ、景気の先行きは不透明感で、欧州中央銀行(ECB)は難しいかじ取りを迫られている。
物価上昇の勢いは当初、2022年の年明け以降に弱まるとみられてきた。ドイツの付加価値減税の反動などの特殊要因が剥落するためだ。ところが、エネルギー価格の想定外の上昇で、欧州のインフレは長期化が鮮明になっている。
今後の焦点は、ロシアのウクライナ侵攻が及ぼす影響だ。ロシアからのエネルギー供給への不安から、原油価格や天然ガス価格は大幅に上昇している。ECBのラガルド総裁は2月25日の記者会見で、ロシアによる侵攻はエネルギー価格を通じて、短期的にはインフレ率を高める可能性が高いと指摘した。
ただ、ラガルド氏はロシア侵攻で不確実性が高まれば、消費や投資に悪影響を与えて成長の足かせになるとの見方も示した。景気回復にブレーキがかかれば、物価の基調も弱まりかねない。やや長い目で見た物価への影響には読みにくい部分がある。
パウエルFRB議長、3月利上げは「適切」-戦争で視界不良
労働市場がタイトな中での高インフレへの対応として、3月に政策金利を引き上げると想定していると明らかにした。一方でロシアのウクライナ侵攻で、米経済見通しに不確実性が加わったと指摘した。
事前に公表された下院金融委員会での証言テキストによると、議長は「インフレ率が2%を大きく上回り、労働市場は強い中、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを今月の政策会合で引き上げることが適切になると考えている」と言明。「現在の環境下で政策緩和を解除するプロセスは、FF金利誘導目標レンジ引き上げとFRBのバランスシート縮小の両方を伴うことになるだろう」「ウクライナ侵攻とその後に続く戦争、経済制裁といったイベントが米経済に及ぼす短期的な影響は、依然として不確実性が高い」と警告。「この環境で適切な金融政策を策定するには、経済は想定外の形で変化するものだと認識する必要がある」とし、「これから出てくるデータや見通しの変化に応じて、俊敏に対応する必要があるだろう」と述べた。
「インフレが高まる、あるいは高い状態がより長引けば、一度の会合、もしくは複数の会合でフェデラルファンド(FF)金利を25bpより大きな幅で引き上げるもっと積極的な行動へ準備を整えるだろう」と話した。
バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏はウクライナ危機について、「これは不確実性ショックだが、米国では経験上、不確実性ショックはリセッション(景気後退)を引き起こさない」と指摘。「人々は停止ボタンを押すかもしれず、モメンタムは鈍化する可能性もあるが、縮小ではない」と説明した。
パウエル議長はバランスシート縮小の時期は示さなかった。利上げを開始した後、資産の削減は「主に再投資の調整を通じて予測可能な形で進める」と述べるにとどまった。バランスシートをより正常な水準に戻すのにかかる期間については3年の範囲内になるとした。
カナダ中銀、政策金利を0.5%に引き上げ-追加利上げも示唆
●市況
日経先物(大証)26597、ダウ先33814、債先150.88、米1.851、独0.0180、仏0.477、西0.975、伊1.546、原油112.14、ドル円118.53、墨ペソ20.66、トルコリラ14.0169、墨CDS117
※3/3 9時45分頃
●市況
日経先物(大証)26597、ダウ先33814、債先150.88、米1.851、独0.0180、仏0.477、西0.975、伊1.546、原油112.14、ドル円118.53、墨ペソ20.66、トルコリラ14.0169、墨CDS117
※3/3 9時45分頃