備忘録(2/28−3/1)
●ウクライナ・ロシア
欧米日の金融制裁でロシアが信用危機に直面している。通貨ルーブルの急落や外貨取引を制限する制裁を受けて、対外債務に債務不履行(デフォルト)の懸念が高まった。国内の金融システムにも不安が広がる二重の信用危機だ。主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は1日にウクライナの財務相を招いてオンライン会議を開き、制裁に関して「今後も速やかにさらなる行動を取る」との方針で一致した。
米クレジットカード大手のマスターカードは2月28日、同社の決済網からロシアの複数の銀行を排除したと発表した。米欧日が打ち出した対ロシア金融規制に対応した。米ビザも3月1日、同様の措置をとる方針であることを明らかにした。
28日、ロシアの中央銀行が米国の金融機関などと米ドルを取引するのを禁じる追加制裁を実施すると発表した。即日発効する。米欧の経済制裁で通貨ルーブルが下落するなか、ロシアが外貨準備を使って買い支えするのを阻止する。政府系基金にも制裁を科した。
米財務省によると、ロシアの中銀と政府系基金、ロシア財務省について、米国人が取引するのを禁じた。ロシア中銀が米国内や、米国外の米国金融機関に抱えるドル資産が使えなくなる。ロシアは6300億ドル(約73兆円)の外貨準備を抱えているとされる。
石油などエネルギーの資金決済に悪影響を及ぼすのを避けるため、特定の取引についてはロシア中銀との取引を認める。米財務省が個別に許可を出す。
米財務省はこのほか、「ロシア直接投資基金」やその幹部らにも米国との取引を禁じる制裁を科した。同基金はプーチン大統領が資金を集めて蓄財するのに不正利用されているという。資金源を断つ狙いがある。
今回の制裁ではロシア中銀がFRBや日銀に持つ外貨資産を凍結する。さらに米国人はロシア中銀と取引ができなくなり、同中銀が金などを売却しようとしても購入できなくなる。外貨や金は米欧の市場で取引されるため、事実上ロシア中銀は外貨準備を売却できなくなる。中国はこの制裁に参加しておらず、人民元は資産凍結の対象にはならない。
ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁を受けて、米国の公的年金基金が相次ぎ、ロシア資産の売却検討に乗り出した。東部コネティカット州や西部コロラド州は州知事が州年金にロシア資産の売却命令を出した。米最大の公的年金、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルーパース)は資産売却を視野に入れて対応を検討している。
ロペスオブラドール氏は「メキシコは常に難民と迫害されている人たちを保護するが、どの国に対しても経済関係を制限することはない」と述べた。メキシコの最大野党である国民行動党(PAN)のケニア・ロペス上院議員は大統領の発言を受け、「政府が優先すべきは人権だ。罪のない人が傷つくことのないようにすべきだ」と批判した。
ロシアの石油大手ルクオイルは2月下旬、メキシコ沖合の海底石油の事業者への出資が完了したと明らかにした。アエロフロート・ロシア航空もメキシコへの渡航を続けている。メキシコ政府はロシアによるウクライナ侵攻について「侵略に反対する」と表明したが、経済活動は一切制限していない。
ロシア中央銀行は外国人に対するルーブル建てロシア国債のクーポン支払いを禁止した。世界各国から制裁を受ける中で、市場を支えるための一時的な措置だと説明した。
今週に入り同中銀は、外国人によるロシア証券の売却凍結を含む一連の措置を発表している。2月初めの時点で約3兆ルーブル(約3兆円)相当のロシア債を保有する外国人投資家は、今回の禁止でクーポンを受け取れなくなる可能性がある。
「今回の措置はテクニカルなデフォルトとなる公算が大きい。どのくらい長く続くのか見守ることになる」とバンガード・アセット・マネジメントの新興国市場アクティブ債券共同責任者ニック・アイジンガー氏は指摘。「ソブリンレベルでユーロ債がテクニカルデフォルトとなる公算も大きいとみている」と続けた。
●コロナ
●中国不動産
マンションなどの新築プロジェクトで資金の流れが滞り、工事業者の財務に打撃を与えている。農村からの出稼ぎ労働者など多くの雇用を支えてきた建設業界で連鎖的な倒産が起きれば、社会の動揺にもつながりかねない。
「再生の価値と可能性がある」。江蘇省如皋(ルーガオ)市の裁判所は1月、地元の建設会社、江蘇南通六建建設集団に法的整理を適用する方針を決めた。南通六建は世界一の高さを誇るドバイの高層ビル「ブルジュ・ハリファ」の工事に関わったことでも知られ、有望視される企業だった。
裁判所も南通六建も経営破綻の原因について言及していない。ただ中国メディアは南通六建が、不動産大手で経営難に陥っている中国恒大集団のほか、資金繰りが不安視されている世茂集団などの建設プロジェクトに「数多く関与していた」ことを指摘している。
中国では苦境にあえぐ建設関連の中堅企業が増えている。内装工事を手掛ける深圳広田集団は、2021年12月期の最終損益が最大50億元(約900億円)の赤字になったとの見通しを発表した。前の期の6倍以上に赤字が膨らむ可能性があり、原因は「得意先の債務不履行」と説明する。
深圳広田の20年の売上高に占める恒大関連の比率は4割を超える。同じ内装業の上海全筑も21年12月期に12億元の最終赤字に陥る可能性があり、恒大関連の債権回収で問題が起きているという。
中国全土の住宅やオフィスなど建築着工面積は21年に20億平方メートル弱と20年比11%減少した。当局が財務体質への監視を強め、経営が比較的安定している不動産企業でも新規案件への投資を手控えるようになった。21年後半からの着工減は今後、建設会社の収支を一段と悪化させる恐れがある。
景気循環や社会ステージの変化に合わせた建設市場の縮小は避けられないことだが、産業政策で急ハンドルを切りにくい事情もある。中国で建設業に従事する人は18年末に6759万人となり、労働力数の9%弱を占めた。不動産業界まで合わせれば10%を超える。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
楽天グループが通信インフラの外販を本格化させる。日本国内の携帯通信に使われている仕組みで、設備投資額を4割減らせるとして世界の通信会社に売り込む。高速通信規格「5G」の整備が進む中で新興国にも需要があるとみている。業績が過去最大の赤字に落ち込む中、新規ビジネスが黒字化のカギを握る。
首都圏の通勤定期券で、朝の通勤時間帯といったピーク時以外に乗る場合は割安にする仕組みを想定している。価格差をつけることで混雑緩和を目指す。
英石油大手シェルがロシア極東の石油ガス開発事業「サハリン2」からの撤退を発表したことを受け、政府や総合商社などはロシアに持つエネルギー権益の取り扱いの対応を検討する。同事業には三井物産や三菱商事が参加する。欧州では仏トタルエナジーズもロシアでの新規投資をしないと1日に発表し動きは広がる。日本は液化天然ガス(LNG)の約8%をロシアから輸入しており、エネルギー安全保障と事業継続のリスクを勘案して慎重に判断する。
ドイツとロシアを直接結ぶ新しいガスパイプライン計画(ノルドストリーム2)の事業主体の企業が破産手続きの検討に入ったと報じた。パイプラインは完成済みだが、ロシアがウクライナ東部の親ロ派武装勢力の支配地域を独立国家として承認したことを受け、ドイツが認可しない方針を表明。米国も金融制裁を発表していた。
ノルドストリーム2の事業規模は110億ドル(約1兆2000億円)。事業主体のノルドストリーム2AGはスイスを拠点とし、ロシア国営のガス会社、ガスプロムの傘下にある。ロシアがウクライナに侵攻して緊張緩和がさらに遠のくなか、パイプラインの稼働のメドが立たなくなっていた。
ロイター通信によると、パイプラインの建設資金はガスプロムが半分を負担し、英シェルやオーストリアのOMVなどの企業が残りを負担している。英シェルは2月28日、ノルドストリーム2への関与を取りやめると発表していた。
ランスエネルギー大手トタルエナジーズは1日、ウクライナを侵攻中のロシアで今後新規投資はしないと発表した。既存事業については説明していない。世界の同業他社がロシア事業撤退を決める中、トタルへの圧力が高まっていた。ウクライナ当局への燃料供与も進めるとした。
トタルは「ロシアの侵攻を非難し、ウクライナ国民と連帯を示す」などと表明した。ルメール仏経済・財務相がパトリック・プイヤネ最高経営責任者(CEO)と近く会う見通しで、仏政府が同社のロシア関連の既存事業について見直しの圧力をかける可能性もある。
同社はロシアのガス大手ノバテクに19.4%出資している。仏紙ルモンドによると、2020年時点でグループ全体の石油・天然ガス生産の17%がロシア産で、ロシア事業が売上高に占める割合は3~5%だという。
ヨハン・シュトローブル最高経営責任者(CEO)が投資家とアナリストに対し「我々が立ち去るわけではないというのを理解してもらうことが非常に重要だ」と語った。ロイター通信は関係者の話として撤退を検討していると報じていたが、否定した。
同社はロシアに132の支店があり、9000人以上の従業員が働く。顧客向け融資は116億ユーロ(約1兆5000億円)で、全体の1割強を占める。欧米はロシアのウクライナへの侵攻を受け、国際決済網からロシアの大手銀行を排除するなど、金融制裁を強めている。
APモラー・マースク(デンマーク)は1日、ロシアを発着する全ての輸送を停止したと発表した。スイスの海運大手MSCやシンガポールのオーシャン・ネットワーク・エクスプレスも停止を決めており、航空に続いて海運も遮断され始めた。
マースクは「制裁措置によって我々の事業の安定性と安全性がすでに直接的、間接的に影響を受けている」としてロシア発着の海上、航空、鉄道で新規予約を停止した。食品や医薬品などの人道的な物資は引き続き予約を受け付ける。
すでに予約を受けた貨物は、引き続きロシアに運べるよう最大限努力するとしている。ただ、オランダやドイツなど欧州各国が制裁に触れる製品が含まれていないか調べているため、大幅な遅延が予想されるという。再開については状況を注視して判断する。
●決算関連
出資先で動画投稿アプリを手掛ける快手科技の株価が下げ止まり、3四半期ぶりに最終黒字を確保した。
コア事業の内訳をみると、広告収入を柱とするオンラインマーケティング事業は1%増にとどまったが、クラウドサービスや人工知能(AI)など非広告事業が63%増と好調だった。
ただ、AIを活用した自動運転などの技術開発に向け、研究開発支出は74億元と30%増加した。非広告事業が売り上げの伸びをけん引しているものの、コスト負担も大きいとの見方もある。
2021年11月~2022年1月期決算は、売上高がy/y+9%の309億9600万ドル。実店舗への来客数が既存店ベースで8.1%増えた。ほぼ全店舗をネット通販の梱包や出荷、商品の受け取り場所として二重活用した。純利益が前年同期比12%増の15億4400万ドル(約1770億円)だった。
人手不足が続く中、これまで平均15ドルだった時給を最大24ドルに引き上げる。店舗や物流センターで働く従業員の初任給はこれまで平均15ドルだったが、人材確保へ最大24ドルに引き上げる。週25 時間以上働く従業員には医療保険を支給するなど福利厚生を手厚くする。23年1月期通期の売上高の伸びは1ケタ台半ば、年間の設備投資額は40億~50億ドルを見込む。
2021年11月-22年1月(第4四半期)は売上高が26%増の73億3000万ドルで、市場予想平均の72億3000万ドルを超えた。一部項目を除いた1株利益も84セントと、アナリスト予想の74セントを上回った。
2-4月売上高は最大73億8000万ドル(約8480億円)の見通し。ブルームバーグ集計のアナリスト予想平均は72億6000万ドルだった。通期は最大321億ドルの売上高を見込む。アナリスト予想平均は318億ドル。
●マクロ・その他
2月の米製造業景況感指数は58.6で前月から1.0ポイント上昇した。4カ月ぶりの上昇で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(58.0程度)をやや上回った。
個別指数は「新規受注」が61.7で3.8ポイント、「生産」が58.5で0.7ポイントそれぞれ上昇した。一方、「雇用」は52.9で1.6ポイント低下した。
ISMは、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の流行による悪影響が急速に小さくなったと指摘。「新規受注」と「受注残」が伸びており、3月以降の好況が期待できると分析した。供給制約や労働不足は続いているが、企業の楽観度は1月より改善したという。
回答企業は「需要は引き続き強く、受注残が増えている。部品が手に入るようになり生産は安定してきたが、受注残を減らすほどの生産増は難しい」(電気機器・部品製造業)、「市場の回復で前年比10%ほど収益が増している」(機械製造業)などとコメントした。
IEAが1日に開いた臨時閣僚会合で決めた。リビア情勢の悪化で協調放出した2011年以来、11年ぶりとなる。米国が3000万バレル、他の加盟国で3000万バレルを分担して放出する。日本の放出量は未定。
米エネルギー情報局によると22年1月の世界の石油の1日あたりの消費量は約1億バレルで、放出量はそれを下回る。ただ各国はさらに多くの備蓄を持っており潜在力はある。
放出期間は30日が想定されている。ロシアからの石油の輸出量は1日500万バレル。一部の輸出が停滞しても1日200万バレルを協調放出することで穴埋めできると見込んだ。状況が悪化すれば柔軟に対応するという。
世界の金融市場で米ドルの調達コストが上昇している。金融機関がユーロや円をドルに交換する際に必要な上乗せ金利(ベーシススワップ)はコロナショックで市場が混乱した2020年3月以来約2年ぶりの高水準となった。米欧などが国際決済網からのロシア排除を決め、先行きへの警戒から世界的にドルを保有したいとの需要が増しているためだ。
2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)によると、PMI全体は50.2で、1月を0.1ポイント上回った。新規受注を示す指数が50.7と7カ月ぶりに好不調の境目である50を上回った。丸紅中国の鈴木貴元経済調査総監は「インフラ建設が動き出し、建材メーカーなどの景況感の下支えに寄与し始めた」と分析する。地方政府は昨年後半から、インフラ債券の発行を増やしてきた。鈴木氏によると、半導体工場やデータセンターの建設需要が伸びている。
中小零細企業には受注持ち直しの流れが及んでいない。大企業と中堅企業のPMIはともに改善し、節目の50も上回る。対照的に中小零細企業は45.1で、前月より0.9ポイント悪化した。生産も受注も落ち込み、新型コロナウイルスの直撃で経済活動がほぼ止まった20年2月以来の低さとなった。
3月以降は原材料価格の上昇が景況感の重荷になりかねない。ロシアのウクライナ侵攻で、国際商品市況は再び高騰している。とりわけ産業構造の川下の分野に多い中小零細企業は、コスト高と弱い消費との板挟みになって価格転嫁が難しく、利益を圧迫されやすい。
中銀は声明を発表し、「ここ数日間に見られるズロチ下落はポーランド経済のファンダメンタルズあるいは中銀の金融政策の方向性に一致していない」と説明した。
16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に関連するスワップは、24.5bpの利上げしか織り込んでいない。トレーダーらが25bp利上げをほぼ確信している一方、50bp利上げ予想は影をひそめたことが分かる。2月のある時点では約48bpの利上げを織り込んでいた。
米政策金利見通しの変化とともに、質への逃避とショートカバーにより米国債利回りはあらゆる年限で低下。短期債の利回りが長期債より大きく低下した。
小麦の国際価格が約14年ぶりの高値をつけた。1日の米シカゴ商品取引所で小麦先物5月物(中心限月)は、値幅制限いっぱいまで上げ1ブッシェル9.84ドルと、2008年4月の高値(9.855ドル)以来の水準を付けた。ウクライナ情勢の緊迫と欧米のロシア制裁により、主産地である両国からの輸出が停滞している。世界の穀物供給網への影響の長期化が懸念されている。
ロシアは世界最大の小麦輸出国で、米農務省によると世界輸出の17%を占める。一方「欧州のブレッド・バスケット」と呼ばれるウクライナは12%を占め、合計で約3割に達する。ウクライナでは現在、商業港が閉鎖し、穀物メジャーのカーギルとアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)が同国での事業を停止している。ロシアについても米欧によるSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除により「輸出は止まった状態が続いている」(米穀物アナリスト)。
戦闘が長引けばウクライナで今春の作付けが困難になり来年の供給に影響する。ロシアへの経済制裁が長期化すれば同国からの輸出はさらに低迷する可能性もある。「向こう6カ月、売りに出る小麦は高値にもかかわらず即刻売り切れるだろう」とみる。
●市況
日経先物(大証)26495、ダウ先33356、債先150.97、米1.741、独▲0.0935、仏0.354、西0.849、伊1.390、原油105.95、ドル円114.82、墨ペソ20.65、トルコリラ13.9077、墨CDS112
※3/2 9時5分頃
備忘録(2/24-27)
●ウクライナ(企業への影響を中心に。戦況など流動的なものは除外)
仏石油大手トタルエナジーズのパトリック・プヤンネ最高経営責任者(CEO)は24日、「ロシアは天然ガスを武器として使用したくない」との見方を示した。同社がロシアで手掛ける液化天然ガス(LNG)プロジェクトは今のところ影響を受けていないという。
トタルとノバテクは周辺で別のプラント「アークティック2」の建設も進めており、中国勢、三井物産、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が出資している。トタルはノバテクに19.4%出資しており、欧米の石油メジャーのなかでは特にロシアに深く入り込んでいる。
このほかのメジャーでは、英BPは石油大手ロスネフチに19.75%を出資し、BPのバーナード・ルーニーCEOら2人の取締役を派遣。ロシアで複数の大型油田を開発しておりBPの純資産総額の9%はロシア事業が占めるとの試算もある。
極東ロシアでは、米エクソンモービルはロシアのロスネフチや日本勢とサハリンで原油を生産し、アジアに輸出している。同プロジェクトではLNGプラントを新設する計画もある。このほか、英シェルはガスプロムや三井物産、三菱商事とサハリンでLNGを生産し、日本などに輸出している。
ロシア軍のウクライナ侵攻による情勢の緊迫を受け、同国中部クレメンチュークのたばこ製造工場の操業を一時休止した。ウクライナ国内の約900人の従業員は在宅勤務や自宅待機をさせており、安全は確認できているという。現地に日本人の従業員はいない。
ウクライナ西部にある自動車用ワイヤハーネス(組み電線)の工場を同日から停止すると明らかにした。ロシアによるウクライナ侵攻で工場のある西部も攻撃対象になったとみられ、「従業員の安全確保を優先する」とした。現時点で約6000人の従業員や設備に被害は出ていないという。現地に邦人の関係者はいない。
ウクライナ西部にある自動車用ワイヤハーネス(組み電線)の工場を現地時間の28日まで操業停止すると明らかにした。およそ1300人の従業員には自宅待機を指示した。現時点で人的被害は確認されていないという。現地に日本人の従業員はいない。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う情勢の緊迫化を受け、両国から輸入する原料の鉄鉱石の代替調達を検討していると明らかにした。輸入ができなくなった場合は、オーストラリアやブラジルなど他の主産地からの調達...
BPのヘルゲ・ルンド会長は発表文で「今回の軍事行動は根本的な変化をもたらした」とし、「BP取締役会は徹底的なプロセスを経た末、国有企業であるロスネフチとの関係は断じて継続できないとの結論に達した」と説明した。
BPは保有する約20%のロスネフチ株の売却を計画しているのかどうかなどは明らかにしなった。ルーニーCEOは社員向け文書で、「財務面の影響」が今後の四半期業績に反映されるだろうと指摘した。広報担当者は最大250億ドルの評価損が計上される可能性を指摘した。
ルーニーCEOはロスネフチ取締役も即時辞任する。BPはロシアで3件の合弁事業を含む他の事業からも撤退する。事業の簿価は約14億ドル。
EU領空への乗り入れ禁止は、ロシア系企業が所有していたり、ロシアに登録されていたりする航空機が対象になる。EU内での離着陸や、上空を飛行することができなくなる。政治的影響を持ちつつプーチン政権を支えるオリガルヒ(新興財閥)を念頭にプライベートジェット機も対象にする。
EUはロシア政府系メディアの放送禁止など活動を制限する。「ロシア・トゥデー」と「スプートニク」を対象に挙げた。フォンデアライエン欧州委員長は会合に先だって声明を出し、対象メディアは「プーチン氏の戦争を正当化し、EUの分裂をあおるためのうそを広げることができなくなる」と力説した。
同首相は連邦議会(下院)で演説し、軍の強化に向けた基金に今年1000億ユーロ(約13兆円)を振り向ける方針を示すとともに、政府は2024年までに国内総生産(GDP)の少なくとも2%相当を国防費に毎年充てると表明した。北大西洋条約機構(NATO)は国防予算についてGDPの2%相当を目標としているが、ドイツは未達に終わることが多かった。
●コロナ
●中国不動産
中国恒大集団は25日、複数の不動産開発プロジェクトの権利を信託会社に売却すると発表した。資金繰りに窮するなか、少しでも財務状況を改善したい考えだ。
グループで開発を進めていたマンションやテーマパークに関連するプロジェクト合計4件について一部権利を売却する。売却先は国有資源大手、中国五鉱集団傘下の五鉱国際信託などだ。今回の売却取引で70.1億元(約1300億円)の債務を解決でき、プロジェクトへの初期投資の一部である19.5億元を回収できるという。
ラガルド総裁は25日、パリで記者会見し、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて「物価と金融の安定のために必要なあらゆる行動を取る用意がある」と述べた。侵攻による経済への影響を判断するのは「早すぎる」としたが、金融機関の資金繰りなどに問題がないように柔軟に対応していく姿勢を強調した。
ラガルド氏は、ロシアによる侵攻は「二つの主な経路」を通してユーロ圏経済に影響を及ぼすと指摘した。一つはエネルギー価格で、侵攻を受けてすでに原油や天然ガス価格が上昇している。ECBは3月10日に新しい経済・物価見通しを示すが、エネルギー価格の高まりで「短期的にはインフレ率が高まりそうだ」と述べた。
もうひとつは、人々の心理の悪化だ。不確実性の高い状態が長く続けば「おそらく消費や投資に影響し、成長の足かせになるだろう」と指摘した。ロイター通信は25日、ECBのチーフエコノミストであるレーン専務理事が周辺に、ユーロ圏の域内総生産(GDP)が0.3~0.4%押し下げられるとの見方を示したと報じた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
2021年10~12月期決算は、純利益が前年同期比74%減の204億元(約3700億円)だった。政府のネット統制で主力事業のネット通販のビジネスモデルが崩れ、稼ぐ力が衰えている。21年11月の年間最大セール「独身の日」でも、規制によって取扱高が伸び悩んだことが響いた。
売上高は10%増の2425億元、営業利益は86%減の70億元だった。21年の「独身の日」の取扱高は過去最高の5403億元を記録したものの、政府のネット統制で例年のような派手な販促活動を展開できず、取扱高の伸び率は鈍化していた。
021年12月期通期の決算は、純利益が前の期の6.3倍の230億ユーロ(約2兆9600億円)だった。より高額な車種へのシフトに加え、半導体不足の影響で車両の供給が需要に追いつかず、平均販売価格が上昇した効果が1兆円以上あった。
同社が「トップエンド(最上級)」と位置付ける「Sクラス」や「Gクラス」、「マイバッハ」などの販売台数は30%増え、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の合計は64%増えた。
22年の見通しについては、販売台数と売上高は21年の実績に対して「やや増える」とし、EBITは「同水準」とした。ハラルト・ウィルヘルム最高財務責任者(CFO)は「需要は非常に強いが、半導体不足や地政学、新型コロナなどによる不確実性は続く」と述べた。
2021年12月期通期決算は純利益が前の期比2.1倍の210億9400万ドル(約2兆4200億円)だった。中国の旺盛な需要に支えられ主力の鉄鉱石部門が好調で利益を押し上げた。売上高は42%増の634億ドルだった。
鉱石の1トン当たりの平均販売価格は132ドルと20年12月期から45%上昇した。ただ人件費や燃料費の上昇で、1トン当たりの生産コストも18.6ドルと同25%増え、当初予想(18~18.5ドル)を上回った。リオは鉄鉱石運搬トラックの自動化などを進め生産性を向上させるとしている。
ヤコブ・スタウショーン最高経営責任者(CEO)は電話会見で、ウクライナ問題で米英などがロシアへの制裁を決めたことについて「非常に難しい状況だ」と述べたうえで、アルミニウム事業に影響が出る可能性があるとの見方を示した。リオはロシアのアルミ大手ルサールと共同企業体(JV)を組み、豪東部でアルミナ精製工場を運営し、リオはルサールと供給契約を持つ。
未定としていた2022年3月期の年間配当を25円にすると発表した。前期は新型コロナウイルス禍の外出自粛の影響で業績が悪化し無配だったが、今期は最終黒字に転換するとみて復配する。ただ、オミクロン型などで業績回復が見通せないため、20年3月期までの配当水準(50円)からは減らす。
本業の事業環境はなお厳しい。同日、22年3月期の営業損益が50億円の赤字(前期は621億円の赤字)になりそうだと発表した。30億円の黒字とした従来予想から一転し、2期連続の赤字を見込む。変異型の影響で観光特急などの鉄道やホテルの収入が落ちこむ。鉄道収入は12月はコロナ前比2割減だったが、1月は3割減だった。
最終損益は340億円の黒字(前期は601億円の赤字)と従来予想を据え置いた。近鉄エクスプレスは海運輸送などの運賃が上昇し業績が堅調に推移し、持ち分法による投資利益が想定を上回る。米投資ファンドなどに売却した8ホテルの売却益も寄与する。
2021年12月期決算は、最終損益が55億2300万ユーロ(約7100億円)の黒字だった。前の期は10億6千万ユーロの赤字。新型コロナウイルス禍からの経済回復に加え、化学品の値上げが貢献した。
売上高は33%増の785億9800万ユーロ。同社が経営の指標としている、特殊要因を除いたEBIT(利払い・税引き前利益)は77億6800万ユーロと2.2倍だった。自動車業界向けは半導体不足で振るわないが、幅広い業界向けが回復。コロナ拡大前の19年実績も67%上回った。
化学品の原料や燃料に使う天然ガス価格の高騰によるコスト増は、欧州だけで年間15億ユーロ、10~12月期で8億ユーロだった。ロシアによるウクライナ侵攻に伴う影響について、ハンスウルリッヒ・エンゲル最高財務責任者(CFO)は「影響を予測することはできない。北西欧州で使うガスの3分の1はロシアから購入しており、代わりをみつけるのは非常に難しい」と述べた。
BASFは、ロシアに対する制裁としてドイツが承認手続きを止めたガスパイプライン「ノルドストリーム2」に出資する石油・ガス開発大手の独ウィンターシャル・デアの大株主だ。上場させ株式を売却する準備を進めていたが、ほかの株主の抵抗で難航している。エンゲルCFOは「法的救済や上場を一方的に進める権利を含め、あらゆる手段を使って当社の権利と利益を保護する」と述べた。制裁を受け、上場はさらに難しい状況になっている。
●マクロ・その他
1月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は80万1000戸で、上方修正された前月の改定値(83万9000戸)から4.5%減少した。3カ月ぶりの減少だが、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(80万3000戸程度)とほぼ一致した。前年同月比では19.3%減った。販売価格(中央値)は42万3300ドル(約4900万円)で前年同月比13.4%値上がりした。
ホテル稼働率が再び低下している。ホテル専門の英調査会社STRがまとめた2022年1月の全国ホテル平均稼働率は44.1%と、21年9月以来4カ月ぶりに50%を切った。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」による感染拡大が打撃となった。ただ、高級ホテルを中心に客室平均単価は高水準を維持しており、全体の収益力は緊急事態宣言発令時ほど落ち込んではいない。
1月の耐久財受注(季節調整済み、半導体を除く)は、2021年12月から1.6%増加した。12月分が上方修正されたため4カ月連続の増加となる。伸び率はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.8%程度)を大きく上回った。
民間航空機・同部品が15.6%増え、全体を押し上げた。機械も2.3%増と堅調だった。変動の激しい輸送関連を除くと0.7%、同様に変動の激しい国防関連を除くと1.6%それぞれ増えた。
2月の消費者態度指数(確報値)は62.8で前月から4.4ポイント低下した。速報値(61.7)からはわずかに上向いたが、それでも2011年10月以来10年4カ月ぶりの低水準となった
調査担当者は、インフレ懸念が強まり、回答者の約9割が金利上昇を予測していると指摘。今後の家計悪化を見込む人の割合は1980年5月以来に高まっているという。インフレが持続するとの予測下で消費者が行動し始める「インフレ心理」の定着を防ぐために、米連邦準備理事会(FRB)は強い措置をとる必要があるとした。
1月の個人消費支出(PCE)物価指数は総合指数が前年同月比6.1%上昇し、1982年2月(6.2%)以来、約40年ぶりの高い伸びとなった。変動の激しい食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率も5.2%と83年4月以来の高い水準になった。
ロシア国債の格下げを発表した。外貨建ての長期債務格付けを「トリプルBマイナス」から投機的水準にあたる「ダブルBプラス」へ1段階引き下げた。ロシアのウクライナ軍事侵攻に対応する欧米諸国の経済制裁が、経済・貿易活動や金融安定などに「重大な影響を与える可能性がある」と指摘した。
S&Pは声明で、米英や欧州連合(EU)など国際社会の強力な金融・経済制裁が「ロシア銀行業界の金融仲介能力に著しい悪影響を及ぼしうる」との見方を示した。地政学的な緊張の高まりで国内企業の心理が萎縮し、経済を圧迫する恐れもあると指摘した。
世界有数の資源大国であるロシアは、原油や天然ガスなどの輸出で経常黒字を保つ。外貨準備高も1月末時点で約6300億ドル(約72兆5000億円)と潤沢で、信用力の支えになっていた。だがS&Pはウクライナ侵攻による環境悪化の影響は、強固な対外資産をもってしても防ぎきれない可能性があると指摘した。今後、ロシア政府が制裁への対抗措置を打ち出して事態がより悪化するシナリオへの懸念も挙げた。
●市況
日経先物(大証)26952、ダウ先33994、債先150.20、米1.970、独0.2185、仏0.702、西1.211、伊1.827、原油91.93、ドル円115.54、墨ペソ20.35、トルコリラ13.8434、墨CDS117、ロシアルーブル82.98
※2/25 NY引値
●市況(その2)
日経先物(大証)26472、ダウ先33544、債先150.34、米1.906、原油96.84、ドル円115.58、墨ペソ20.57、トルコリラ14.0684
※2/28 9時頃
備忘録(2/22-23)
●コロナ
米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、22日の新規感染者数(7日移動平均)は約8万4000人。80万人を超えた1月中旬をピークに減少に転じており、1週間前の15日と比べて4割減った。
入院も減っている。米疾病対策センター(CDC)によると、20日の新規入院者数は約6600人。最も多かった1月中旬から7割減った。新規死者数は今月中旬から減少傾向になり、22日は約1800人だった。
大都市でも感染防止対策を緩める動きが出ている。中西部イリノイ州シカゴ市は22日、飲食店など一部の屋内でのマスク着用義務を28日になくすと発表した。公共交通機関や病院、公立学校では引き続き着用を求める。
ニューヨーク市のアダムズ市長も23日、飲食店などで求めている接種証明の提示を近く取りやめる意向を示した。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ソトロビマブは英グラクソ・スミスクライン(GSK)が製造販売する点滴薬で、今回の8万人分は3月中旬に納入予定だった。軽症や中等症の患者に投与すると重症化や死亡のリスクを引き下げる効果がある。感染者の急拡大で、需給逼迫が懸念されていた。
後藤氏は米ファイザー製の治療薬「パキロビッドパック」について、2月中の納入量が計12万5000人分になるとも示した。納入済みの4万人分に加え、月内に追加で8万5000人分を入荷できるという。
ファイザー製は飲み薬で、併用すると健康被害の恐れがある薬が約40種類指定されている。政府は27日までを試験運用として使う医療機関を限定しているが、28日以降、全国で本格運用する見通しだ。治療薬の種類が増えたことから、後藤氏は「患者の状態、薬剤の特性に応じて治療薬を選択し活用いただきたい」と語った。
●その他産業
VWの議決権の過半を握る持ち株会社のポルシェ・オートモービル・ホールディング(ポルシェSE)と協議を始めた。最終決定はしていないとしている。
ポルシェAGが上場すれば、株式時価総額はイタリアのフェラーリ(約5兆円)を上回ることが確実視されている。VWはポルシェAGのIPOで得た資金を電気自動車(EV)や自動運転技術の開発にあてるとみられる。発表を受けVWの株価は前日終値に比べ一時10%上昇した。
ポルシェの2021年の世界販売台数は30万台だった。台数ではVWのグループ全体の約30分の1に過ぎないが、営業利益に相当するEBIT(利払い・税引き前利益)は全体の約3分の1を稼ぎ出す。
●決算関連
2021年10~12月期決算は純利益と売上高の両方とも四半期ベースで過去最高を更新した。新型コロナウイルス禍による在宅勤務の普及でパソコン販売が好調だった。赤字が続いていたサーバー事業が黒字転換し、全体の収益を押し上げた格好だ。
2021年11月~22年1月期決算は、純利益が前年同期比17%増の33億5200万ドル(約3850億円)だった。物価上昇に加え、活況な住宅市況を背景とする業者からの建材需要が高く、購入単価の上昇ぶりが目立った。
売上高は同11%増の357億1900万ドルだった。既存店売上高は8.1%増と高い伸びで、主力の米国市場も7.6%増を記録した。木材や銅板など住宅建材が高騰し、主に業者とみられる購入単価が1000ドルを超す高額決済が前年同期比18%増加した。平均購入単価は12.4%増の85.11ドル、売り場面積あたりの平均売上高は8.3%増の571.79ドルといずれも大幅に増えた。
売上高は引き続き堅調だった一方、顧客の購入回数が減少し、販売コストは増加する中で、売上高増の大半は値上げに起因するとみられる。収益性を測る指標として注目される粗利益率は、前年同期比で低下した。
リチャード・マクフェイル最高財務責任者(CFO)はアナリスト向け電話会議で、需要は底堅いとしつつ、インフレの影響やサプライチェーンの状況、消費者の支出動向に関して不透明感が残っていると説明した。
10ー12月のグループ全体の税引き前利益は14億7000万ポンドと、前年同期から2倍余り増加し、市場予想を上回った。同行は新型コロナウイルスの流行初期に用意した貸倒引当金の戻し入れを増やした。通期の税引き前利益は過去最高の84億ポンドだった。
資本市場およびM&A(企業の合併・買収)助言による収入は前年同期比27%増の9億5600万ポンド(約1450億円)。通期では37億ポンドと、少なくとも14年以降で最高だった。
米ホテル大手3社の2021年10~12月期決算は、売上高が軒並み前年同期の2倍以上となった。3社を合わせた売上高は74億ドル(8500億円)規模で、新型コロナウイルス流行前の19年10~12月期の8割まで回復が進んだ。欧米で年末にかけ「オミクロン型」の感染が拡大したが、宿泊需要への影響は限定的だった。感染拡大がピークを越えるなか、各社は春以降の需要拡大に期待を寄せる。
●マクロ・その他
台湾の専門家によると、蔡政権は「米国がウクライナをどこまで支援するか」に最も強い関心を寄せている。
蔡氏はまた、中国が台湾世論の動揺と分断を狙う作戦を仕掛けてくる可能性を指摘し、適切に対応するよう関係部門に指示した。
バイデン氏は22日の演説で対ロシア制裁の「第1弾」と位置づけた。制裁の対象になる金融機関は国営開発対外経済銀行(VEB)と軍とつながりが深いプロムスビャジバンク(PSB)。米財務省によると、ロシア国内での規模はそれぞれ5位と8位になる。
ロシア政府や中央銀行、政府系ファンドを米欧の金融市場から遮断し、国債や政府機関債などについて「資金調達を西側から切り離す」と述べた。米政府高官は22日「長期的には借入コストの上昇、投資能力や成長率、生産性の低下につながる」と主張した。
バイデン氏はロシアの新たな軍事行動に備え「次の手を準備している。 追加制裁を含めさらに厳しい代償を科す」とも語った。最大手ズベルバンクなど他の大手銀行も制裁リストに加える検討をしている。
政権に影響力を持つエリート層やその家族の個人金融資産も凍結する。バイデン氏は「プーチン政権の政策で不正な利益を得ており痛みを共有すべきだ」と話した。ロシア連邦保安局(FSB)長官や国営銀行幹部ら5人が対象になる。
銀行間の国際決済ネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアを排除する案は制裁の第1弾から外した。米高官は「ロシアの今後の対応次第で展開できる選択肢になる」と明言した。
カナダも22日、金融・経済制裁に踏み切ると発表した。カナダ国民に対し、ロシアが「独立国家」として承認したルガンスク、ドネツクの2地域との全ての金融取引を禁止するほか、独立承認に賛同したロシア議会の議員にも制裁を加える。制裁の「第1弾」として、カナダ人がロシアの国債や政府機関債など「ソブリン債」の購入に関与することも禁じる。
欧州も相次ぎ制裁を科す。欧州連合(EU)加盟国は22日にパリで開いた臨時のEU外相会合で一部の政治家や軍関係者などが対象にすると決めた。ロシアが一段と攻撃的な対応をとれば、制裁を拡大することでも一致した。
英国が22日明らかにした制裁はロシアのウクライナ戦略に深く関与している5つの銀行と富裕層の一部の政治家や軍関係者などが対象になる。ロシアが一段と攻撃的な対応をとれば、制裁を拡大することも申し合わせた。
一方、 ドイツのショルツ首相は22日、ロシアとの新しいガスパイプライン(ノルドストリーム2)の認可手続きを停止すると発表した。ロシアがウクライナ東部の武装勢力による支配地域を独立国家として承認したことへの制裁だ。ロシアに弱腰と批判され続けてきたドイツが、さらなる事態悪化を避けるため、強力なカードを切った。
バイデン氏は「我々はロシアと戦うつもりはない」と明言しつつ「米国は同盟国とともに北大西洋条約機構(NATO)の領土を隅から隅まで守り、NATOに対する責務を果たすという明白なメッセージを送る」と強調した。
国防総省高官は今週中にイタリアから米兵800人、ドイツからアパッチ20機をそれぞれバルト3国へ移すと明らかにした。ロシア軍は20日に終了するはずだったベラルーシでの軍事演習を延長。ベラルーシで活動を続けており、同国と国境を接するリトアニアやラトビアにとってロシアの脅威が高まっていた。
これとは別に高官はアパッチ12機をギリシャからポーランド、最大8機の最新鋭ステルス戦闘機F35をドイツから東欧地域に配置するとも説明した。米軍は2月上旬、ポーランドやルーマニアに増派し、東欧防衛を強化していた。
米国の2月の購買担当者景気指数(PMI、総合)の速報値は56.0と前月から4.9ポイント上昇し、4カ月ぶりに改善した。新型コロナウイルスのオミクロン型の感染拡大が一服し、サービス業の需要が持ち直したことで、2月のサービス業の指数は56.7と5.5ポイント改善した。
製造業の指数は57.5と約2ポイント上がり、7カ月ぶりに改善した。コロナが落ち着き従業員の職場復帰などが進み、供給制約がやや緩和したことが景況感を上向かせた。もっとも、IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏は「製造業はなお供給不足に悩まされており、コスト増を顧客に転嫁する動きも広がっている」と指摘する。
足元ではウクライナ情勢の緊迫で原油先物価格が上昇し、インフレ圧力は一段と強まっている。さらなる企業のコスト高や消費者心理の悪化につながれば、米景気の持ち直し機運にも悪影響を及ぼしかねない。
2021年10~12月期の全米住宅価格指数(季節調整済み)は、前年同期比で17.5%上昇した。過去最高の伸びとなった7~9月期(18.6%)からは鈍化したが、高い伸びが続いた。12月単月では前月比1.2%、前年同月比17.6%上昇した。
全米50州と首都ワシントンのすべての地域で値上がりし、伸び率は特にアリゾナ州(27.4%)、ユタ州(27.1%)、アイダホ州(27.0%)などで著しかった。
全米不動産協会(NAR)は2月上旬、21年とコロナ危機前を比較して、超富裕層以外のすべての所得層で購入可能な価格帯の物件数が大幅に減り、自宅所有が難しくなっているとするリポートを発表した。
NARは、住宅価格がコロナ危機前と比べ30%以上値上がりしている一方、賃金は12%しか上昇していないと指摘。各所得層が所得の3割を住宅費(30年固定住宅ローン、税金、保険を含む)に充てた場合に購入できる物件数を計算したところ、年間所得10万~12万5000ドル(約1150万~1440万円)の層が購入可能な価格帯の物件は21年12月は全体の63%で19年12月から8ポイント、7万5000~10万ドル未満の層は51%で7ポイントそれぞれ低下していた。
米連邦準備理事会(FRB)による政策金利の引き上げ観測から、住宅ローン金利は上がり始めており、今後住宅市場は鈍化すると予測されている。しかし、アマースト・ピアポント証券のエコノミストは、住宅供給不足が続いている一方、家計の流動資産が潤沢なことから、住宅価格の伸びは当面続くとの見方を示した。
アフリカ最大の経済国ナイジェリアがガソリン不足で混乱している。粗悪な輸入品のためで、産油国なのに石油製品が外国頼みの矛盾が噴き出した。インフレや補助金が経済を圧迫する構造問題もあり、フィンテックなど新産業が成長する同国の重荷になっている。
電子情報技術産業協会(JEITA)は22日、1月の国内のパソコン(PC)出荷台数が前年同月比60.2%減の55万1千台だったと発表した。減少は10カ月連続で、前年同月比の下げ幅は比較可能な2008年度以降で最大となった。国の教育向け政策で需要が急増した前年の反動が続いている。前年同月比での大幅な減少は3月まで続く見込みだ。
ソシエテはロシア子会社ロスバンクを通じて同国で事業を展開。ソシエテのウェブサイトによると、ロスバンクはモスクワを拠点にロシア国内で550支店、310万人余りの顧客を抱え、欧州の銀行としてはイタリアのウニクレディトやオーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナルなどと並ぶ。ロシアで事業を展開する米銀には、ゴールドマン・サックス・グループやシティグループも含まれる。
消費者信頼感指数は110.5に低下。前月は111.1(速報値113.8)に下方修正。期待指数は87.5に低下-5カ月ぶり低水準。現況指数は145.1に上昇。
インフレが1980年代初頭以来の高水準に加速し、賃金増加ペースはそれを大きく下回っている。ウクライナ情勢の緊迫で信頼感が一層悪化する可能性もあり、ガソリン価格がさらに高騰し、ローン金利の急上昇で住宅購入がさらに困難になれば、悪化に拍車が掛かる恐れがある。
前月まで2カ月続けて低下していたインフレ期待は、2月に上昇。年金生活者を含む55歳以上の年齢層と、年間所得が3万5000ドル(約402万円)未満の層で信頼感を後退させた。
コンファレンスボードの景気指数担当シニアディレクター、リン・フランコ氏はこうした傾向反転にもかかわらず、「消費者は短期の成長見通しについて比較的強気な姿勢を維持している」と発表文で指摘。「消費者は近い将来に景気が勢いを増すとは考えていないが、動向が悪化するとも見込んでいない」と記した。
6カ月以内の所得増を見込むとの回答比率は、2021年1月以来の低水準だった。自動車や住宅、家電製品の購入計画があるとの回答や、今後数カ月以内に休暇を取得する予定だとの回答は減った。
政策金利であるオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を0.75%から0.25ポイント引き上げ、1%とすることを決定した。利上げは3会合連続となる。
同時に公表された最新予測では、OCRが2023年初めにかけ今後1年で少なくとも2.5%に引き上げられ、同年末に3.25%前後でピークに達するとの見通しが示された。 昨年11月時点では政策金利のピークを2.5%前後と見込んでいた。
NZ中銀は量的緩和(QE)プログラムの段階的縮小を通じてバランスシートの圧縮を開始するが、金融情勢に大きな影響を与えるとは予想していない。「大規模資産購入プログラム(LSAP)」の下で買い入れた債券の保有を7月から年50億NZドルのペースで圧縮する。債券の償還金は再投資しない。
オルセン司法次官補が講演で「中国イニシアチブ」を終わらせると明らかにした。「中国やロシア、イラン、北朝鮮などの国々がより攻撃的になっている」と指摘したうえで、今後は対象国を絞らず「幅広いアプローチ」を採用すると説明した。
トランプ前政権は中国イニシアチブを立ち上げ、産業スパイやサイバー攻撃を通じて米国の技術を盗む犯罪を重点的に取り締まってきた。「中国との関係を隠しながら米政府の補助金を受け取った」と問題視し、著名な米大学教授などを起訴してきた。
オルセン氏は中国イニシアチブをやめる理由について、アジア系を標的とした憎悪犯罪(ヘイトクライム)の増加など人種差別の懸念を挙げた。国際連携が滞って米国の研究に悪影響を及ぼすとの声が米学界から出ていることにも触れた。
一方、中国への警戒は緩めない。オルセン氏は「米国を損なう中国政府の行動には積極的に対抗していく」と強調し、取り締まりは今後も続けていくと説明した。
ロシアとウクライナの対立激化、欧米の対ロシア制裁は資産価格にどのような影響をもたらすのか、市場関係者は慎重に見極めようとしている。警戒しているのは、米連邦準備理事会(FRB)が過度な引き締めで景気を冷やす「政策ミス」だ。
ウクライナは最高会議(議会)での承認を経て、24日午前0時(日本時間午前7時)に非常事態宣言を発令した。期間は30日で延長が可能だ。親ロ派が一部地域を占領する東部2州ではすでに非常事態宣言を発令中で、ウクライナ全土に対象を広げる。
ゼレンスキー大統領は23日、ロシアの動向を予測することは難しいとした上で「我々は何に対しても準備ができている」と強調した。ウクライナはロシアが本格的に侵攻した場合、戒厳令の発令などさらなる措置に踏み込む考えも示した。
ウクライナでは23日に政府系サイトへのサイバー攻撃が発生、政府や外務省、議会などのウェブサイトが閲覧できなくなった。大量のデータを送りつけて通信障害を起こす「DDoS攻撃」とみられる。
ウクライナでは15日にも国防省や軍のサイトへサイバー攻撃が発生した。ウクライナはロシアが侵攻する場合、サイバー攻撃を仕掛ける可能性があるとみて警戒を強めていた。ロシアは関与を否定している。ウクライナへのサイバー攻撃とロシア軍の派兵を組み合わせた「ハイブリッド攻撃」の一環との懸念も浮上している。
高官は親ロ派支配地域や、ロシアが14年に併合したウクライナ領クリミア半島以外を念頭に、ロシア軍の一部はウクライナ国境まで5~50キロメートルの距離にいると指摘した。「プーチン氏は大規模な侵攻に向けて完全に準備を整えている」と語った。「昼夜を問わずにいつでも侵攻を開始できる」と強調し、首都キエフが標的になる可能性にも改めて触れた。
ウクライナが面する黒海ではロシアが20隻以上の艦船を配置したという。高官は「効果的にウクライナを包囲しようとすれば黒海の艦船は部隊を上陸させるだけでなく、海から標的を攻撃できることが重要になる」と話した。揚陸艦も配置されており、黒海から上陸作戦を実施するシナリオも排除しなかった。
ロシア下院が22日にキューバと2021年に合意した返済猶予を批准した。キューバの債務の返済期限を27年まで延長する。債務の総額は23億ドル(約2600億円)にのぼる。ロシア下院によると、キューバは06~19年にロシアから借りた資金をエネルギー業界や交通インフラなどに投じてきた。
キューバの外務省は22日、「米国によるロシア国境に対する北大西洋条約機構(NATO)の拡大は同国の安全保障と国際平和にとって脅威だ」と米国を批判する声明を公表した。ウクライナ情勢をめぐって米国が公表したロシアへの制裁は不当だと主張し、ロシアを支持する姿勢を示した。
中南米ではキューバ以外にもロシアを支持する動きがある。中米ニカラグアのオルテガ大統領は21日、「ウクライナがNATOに加わればロシアに戦争を仕掛けるだろう。ロシアは自衛しているだけだ」と述べた。ロシア下院のウォロジン議長は23~24日にキューバとニカラグアを訪問する予定だ。
国際金融協会(IIF)が23日付で発表したリポート「グローバル債務モニター」によると、2021年の世界の債務残高は303兆ドルと過去最高になった。300兆ドルを超えるのは初めて。新型コロナウイルス禍からの経済回復のため、新興国を中心に借り入れが増えたのが背景だ。
IIFによると、21年の世界の債務は20年から10兆ドル増加した。世界の国内総生産(GDP)に占める債務の割合は351%で、20年の360%超から下落した。GDPに占める割合の下落についてIIFは「経済回復とインフレ率の上昇が寄与している」と分析する。
新興国市場の債務は20年から8.5兆ドル増え、95兆ドル超となった。中国が約7兆ドル増の60兆ドルとなったのが大きい。新興国の債務がGDPに占める割合は約248%で、コロナ禍の前を20%以上上回っているという。
ドル建て2047年償還のロシア国債(発行額70億ドル=約8050億円)利回りは急上昇して6%を超え、17年の発行以来最高となった。ブルームバーグが確認した制裁案文書によると、欧州連合(EU)はロシアが「発行する譲渡可能な証券や短期金融市場商品」の購入や販売を禁じる。ロシアの株式市場は23日、祝日で休場だった。
バンガード・アセット・マネジメントの新興国市場アクティブ債券共同責任者ニック・アイジンガー氏は「これまでに実現していない大きな措置は既発債券の取引または保有、あるいはその両方を禁じることだろう」とし、「いかなるケースでもわれわれはファンドでロシアをアンダーウエートにしている。実際に悪くなる前に減らした」と語った。
米国関連の多くの投資家は既に発行市場におけるロシア国債購入で制限を受けているが、さらに3月1日より後に新規に発行されたロシアのソブリン債を流通市場で購入することができなくなる。発行市場が主なターゲットと見られるが、既発債に連鎖的な影響をもたらしかねないほか、ロシアが借り換えを検討する場合に潜在的なリスクとなる可能性がある。
一方、ロシアは制裁で当面、海外から借り入れができなくなるが、そうした資金がなくても切り抜けられる良い態勢にあると、ピクテ・アセット・マネジメントの新興市場ハードカレンシー債券共同責任者、グイド・チャモロ氏(ロンドン在勤)は語る。対外債務が低水準で外貨準備が潤沢という2つのプラス要素があることで、同国は相対的に自足可能な状態と言えるという。
23日のシカゴ市場で小麦先物相場が上昇、約9年ぶりの高値を付けた。黒海地域で供給が混乱する可能性への懸念が背景。主食の価格を世界的にいっそう押し上げそうだ。
ウクライナとロシアはともに穀物の輸出大国で、両国の緊張激化は小麦輸出に影響が及ぶとの不安を高めている。悪天候と旺盛な需要ですでに穀物在庫が減っている中で、何らかの制限があれば重要な供給源が脅かされかねない。
小麦先物は2.8%高の1ブッシェル=8.7675ドルとなり、2012年以来の高値に上昇した。
キエフを拠点とするコンサルティング会社ウクルアグロコンサルトによると、ウクライナとロシアの主要な穀物輸出拠点である黒海とアゾフ海からの船舶運航に今のところ乱れは生じていない。
欧州の工業大国であるドイツは現在、必要な天然ガスの半分余りをロシアの国営ガス会社ガスプロムに依存している。さらに、ドイツは原子力発電と石炭火力発電の段階的な廃止を進めており、ガスの需要は高まる一方となる。ドイツへのガス供給がロシアに次いで2番目に多いノルウェーは既にフル稼働で生産。またドイツは液化天然ガス(LNG)を輸入する手段も整っていない。
DBグループ・ヨーロッパのエネルギートレーディング責任者ティム・パートリッジ氏は23日、「ドイツは原子力発電と石炭火力発電の廃止で自ら災いを招いた」と指摘。再生エネルギーの生産が目標に満たずガス供給も不足すれば、昨年のように価格が押し上げられ、厳しい状況になるとの見方を示した。
ハベック経済相は23日、ドイチュラントフンク(DLF)ラジオに対し、「ロシアからのガス輸入以外で十分なガスと供給源を得られる可能性がある」と述べた。
●市況
日経先物(大証)26165、ダウ先32870、債先150.23、米1.962、独0.2195、仏0.728、西1.237、伊1.905、原油93.00、ドル円114.98、墨ペソ20.28、トルコリラ13.8238、墨CDS115
※2/24 10時15分頃
備忘録(2/21)
●コロナ
●中国不動産
主要70都市の新築住宅価格によると、前月より値下がりした都市は39で、2021年12月より11減った。各都市の価格変動率を単純平均すると、0.04%の下落となった。5カ月連続のマイナスだが、12月の0.28%より和らいだ。
大都市の市況が持ち直したからだ。北京、上海、広州、深圳の1級都市は0.6%、省都クラスの2級都市は0.1%それぞれ上昇した。21年12月はともに前月比マイナスだった。
銀行が22年1月に個人に融資した中長期資金は、急増した1年前の反動もあって前年同月比2割減った。ただ1月までの利下げを受け、住宅ローン金利は低下している。「新学期が始まる3~4月は住宅需要が膨らみやすく、昨年後半に買いを見送った人が投資に動く可能性がある」(鈴木氏)
気がかりなのは中小都市での販売不振だ。省都クラスより小さい3級都市の新築価格は1月、前月を0.2%下回った。21年9月から下落が続く。
不動産市場の停滞は地方財政を直撃する。地方政府は国有地の使用権を不動産企業に売って得た収入への依存を強めてきたからだ。歳入の確保も視野に不動産販売のてこ入れ策を打ち出す地方政府が増えている。
ひとつは住宅購入者への補助だ。広東省珠海市の一部地域は1月、最大600万元(約1億800万円)の住宅購入補助策を打ち出した。
山東省菏沢市などでは、銀行が住宅ローンを提供する際に求める頭金の割合を引き下げた。公的住宅ローンの借入限度額を引き上げる動きもある。
中指控股(チャイナ・インデックス・ホールディングス)の副リサーチディレクター、陳文静氏は「昨年12月の値下げが年明けも続いており、買い手の様子見姿勢はなお強い」と指摘。「多くの都市は今月も低迷したままだろう」と述べた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
中国では21日、ゲーム業界の新たな規制案とされるスクリーンショットがオンライン上で出回った。だが、中信証券(CITIC証券)のアナリストは、このスクリーンショットの内容は当局がゲーム業界の規制について勉強会を昨年開いた際に同氏が投稿したものだと指摘し、「きょうは何も投稿していない」と自身の微信アカウントで述べた。
米インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)はロイター通信に対し、ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社アームを買収するために結成される可能性があるコンソーシアムに「加わることは、恐らく非常に有益だろう」との見解を示した。サンフランシスコで開いた投資家向けイベントの際に発言した。
同CEOによると、アームを買収するためのコンソーシアム結成の話が半導体業界の中で行われているという。インテルはアームの一部技術を活用しており、それをファウンドリー(受託生産)事業を通じて成長させる計画だと同CEOは語った。
中国当局は国内最大級の国有企業や銀行にアント・グループへの財務エクスポージャーや同社とのつながりをあらためて調べるよう求めた。事情に詳しい関係者が明らかにした。アリババグループを創業した馬雲(ジャック・マー)のフィンテック企業に対する新たな検証が始まった。
非公開情報だとして匿名を条件に述べた関係者によれば、銀行保険監督管理委員会(銀保監会)を含む幾つかの監督当局が管轄下にある機関に対し、アントと同社の子会社、さらには同社株主への全エクスポージャーを入念に検証するよう命じた。
関係者はアントとの取引を巡るこれまでで最も徹底的かつ広範囲にわたる調査だと説明。各機関は調査結果をできるだけ早期に報告するよう求められたという。
関係者は新たな検証を行うことになったきっかけや、これが当局による何らかの行動もしくは結論につながるかどうかは分からないとしている。銀保監会はコメント要請にすぐに応じなかった。アントはコメントを控えた。
●その他産業
政府の承認のもとで台湾に武器売却を決めたことを理由に米ロッキード・マーチンと米レイセオン・テクノロジーズに制裁を科すと発表した。反外国制裁法に基づいて対抗措置をとると説明したものの、詳細は明かしていない。
●決算関連
●マクロ・その他
米政府高官は18日、1月末に10万人ほどだった国境付近のロシア軍が16万9000~19万人に拡大したと明かした。衛星写真などから、20日にウクライナ北東部の国境から約35キロメートル以内の場所で、装甲車両や兵士の新たな展開が確認されたとの報道もある。
米CNNテレビは20日、米当局者の話としてロシアが通常戦力の75%近くをウクライナ近くに集中させていると伝えた。ウクライナ国境まで60キロメートル以内に通常1つあたり1000人の兵士で構成される「大隊戦術グループ」が120ほど展開する。ロシアは160の大隊戦術グループを保有するという。500機の戦闘爆撃機や戦闘機も配備したとみる。
米政府が侵攻の前兆とみる偽装工作や挑発も増えている。米紙ニューヨーク・タイムズによると、1~2月に「ウクライナ政府が化学兵器を持ち込んだ」との誤情報が拡散した。2021年12月下旬にロシアのショイグ国防相がウクライナが化学兵器を使った挑発行為を準備していると発言した後、ロシアの政府系メディアとSNSで広がった。
ロシアの国営メディアはウクライナ軍が米英などの協力を得て、親ロシア派が支配するウクライナ東部地域への攻撃を計画していると伝えた。その後、フェイスブックやユーチューブでも流された。プーチン氏は同地域でジェノサイド(集団殺害)が起きていると主張する。
米政府は「侵攻が始まる瞬間まで外交を追求する」(サキ大統領報道官)構えだ。ロシアが侵攻に踏み切らない前提で受け入れたバイデン氏とプーチン氏との首脳会談を調整する24日の米ロ外相会談がヤマ場になる。
派兵の対象はロシアを後ろ盾とする親ロ派武装勢力が占領するウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州の一部地域。プーチン氏は派兵命令に先立ち、この2地域を独立国家として承認すると一方的に宣言していた。
大統領令では親ロシア派との外交関係の確立や相互協力などを定めた条約の締結も外務省に指示した。タス通信によると、この条約にはロシアが2地域に軍事基地を設ける権利が盛り込まれる。ロシア軍がウクライナ東部での長期的な駐留を狙っている可能性がある。
バイデン氏が米国人を対象として、独立承認した地域との新規投資や貿易、金融取引への関与を禁じる大統領令に署名したと明らかにした。22日に追加の対抗措置も発表すると説明した。独立承認は武力を背景に国境を変更する試みで米国にとって受け入れがたい。
ホワイトハウスは声明で「今回の措置はロシアがウクライナに再侵攻した場合に同盟国やパートナー国とともに準備している迅速かつ厳しい経済措置とは別のものであると明確にしたい」と強調した。再侵攻すればロシアの大手銀行への制裁や輸出規制を実行する構えとみられる。
仏側はロシアがウクライナを侵攻しないことを会談実施の条件とした。
仏大統領府の関係者は「外相会談は実施したいと思っている」と語った。
ロシアによるウクライナ東部の一部地域の独立承認は「ウクライナの領土保全と主権に反するものであり、国連憲章との整合性に欠ける」と批判する声明を報道官を通じて発表した。
臨時に開催した安保会議では、親ロシア派勢力が支配する地域の独立承認問題を諮問した。対象は親ロ派武装勢力がウクライナ東部で一方的に独立を宣言した「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」。安保会議副議長のメドベージェフ前大統領ら政府幹部が相次いで独立を承認すべきだとプーチン氏に促した。
ホワイトハウスのサキ報道官もバイデン大統領が会談開催を原則として受け入れたと確認。それまでにロシアによるウクライナ侵攻が起きていないことが条件だとし、「われわれは常に外交の準備ができている」と説明した。
OPECプラスは日量40万バレルでの供給拡大は市場の安定には十分な規模だとの考えを示しており、一部の参加国はウクライナを巡る地政学的な緊張が相場上昇の原因だと指摘している。
「私は3月の次回会合でのフェデラルファンド(FF)金利引き上げを支持する。私の想定通りに景気が進展すれば、数カ月中にも追加利上げが適切になる」と発言。「3月会合での適切な利上げ規模を判断するために、データを注視する」と述べた。
0.5ポイントもしくは0.25ポイントの利上げを支持するかと問われたボウマン氏は、3月15、16両日の連邦公開市場委員会(FOMC)で「われわれが対処する1つの問題だ」とコメント。「それまでの間は、景気の行方を注視し、状況の改善ないし悪化を把握していくことが極めて重要だと思う」と述べた。「現時点での判断は時期尚早だと思う」と付け加えた。
1月のFOMC以降のデータを受け、「金利スタンスを正常化し、連邦準備制度のバランスシートの規模を大幅に縮小するプロセスを進める緊急性は高まる一方だ」と述べた。
ハーディーCEOはブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、原油市場が今後より逼迫(ひっぱく)し、1日当たりの消費量は年末までに新型コロナウイルス禍以前の水準を優に上回ると予想。「今年は恐らく1億バレルという数字を突破するだろう」と発言し、交通量正常化に向けた動きが続けば、「需要は下期に急増が見込まれる」と話した。
連銀は以前の感染の波と違い、新型コロナ対策に伴う制限措置などで打撃を受けているのはサービスセクターだけではないと指摘、コロナ禍による労働力不足は他の分野の活動にも「著しく」打撃を及ぼすとの見方を示した。
ただ需要は「非常に良好」だとして、サプライチェーンの目詰まりがさらに緩和し、コロナ禍が今後も弱まっていけば景気は春に力強く回復するとみている。
直近の感染の波ではドイツはピークを過ぎつつあり、政府は市民生活への制限措置を漸進的に緩和することに合意していることから、経済への打撃が短期的で終わる可能性もある。
個別社債の売買が一段と難しくなる中、投資家はETFやクレジット・デフォルト・ スワップ(CDS)といった取引が比較的容易な商品に殺到している。
●市況
日経先物(大証)26445、ダウ先33597、債先150.31、米1.868、独0.2020、仏0.712、西1.242、伊1.911、原油92.42、ドル円114.68、墨ペソ20.32、トルコリラ13.6946、墨CDS114
※2/22 9時40分頃
備忘録(2/18-20)
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米バイオ医薬モデルナは今年秋をめどに、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」とデルタ型の双方への効果を高めた次世代型ワクチンの供給を始める。2023年にはインフルエンザ予防と併用できるワクチンの実用化も目指す。
新型コロナウイルス禍で打撃を受けた航空業界で、新規参入が増えている。2020~21年に計212社が創業し、18~19年の181社を上回った。コロナ下で既存各社が事業を縮小し、割安な航空機や人員を確保しやすくなったことが背景にある。雇用の受け皿として期待されるが、事業環境が安定しないなかで経営を軌道に乗せられるかは不透明だ。
●その他産業
ブルームバーグによると、20年に最高経営責任者(CEO)に就任したジム・ファーリー氏が分社化に意欲を示している。一方、同社の経営に強い影響力をもつ創業家のフォード家には慎重な意見もあり、EV部門を既存事業から切り離したうえで社内に残す可能性もあるという。
米同業セラニーズに自動車向け樹脂製品などを製造するモビリティ・アンド・マテリアルズ(M&M)事業の一部を売却すると発表した。 売却額は約110億ドル(約1兆2600億円)で、2022年末の手続き完了を見込む。デュポンは事業再編により選択と集中を進める。
M&M部門は車載エンジン用の耐熱カバーや接着剤などの合成樹脂、樹脂ポリマー製品などを製造する。セラニーズに売却する事業分野の2021年の売上高は約35億ドル。
デュポンは昨年11月に電子部材の米ロジャースを52億ドルで買収した。電気自動車(EV)向け部材など高付加価値製品に事業を集約する方針を示し、M&Mについては分離や売却を検討するとしていた。
EDFの財務は原子炉の一部停止や政府による電力料金の上限設定によって悪化している。
EDFによれば、原子炉の改修や保守作業で今年の原発発電量は30年ぶりの低水準に落ち込む見通し。これに加え、4月の大統領選で再選を狙うマクロン大統領が、エネルギー価格の高騰から家計や企業を保護するため大幅な割引価格で電力供給を増やすよう求め、同社はいっそう苦しい状況に追い込まれた。同社の今年の中核利益は最大で70%減少する可能性がある。
今年のEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)は政府の電力価格方針によって約80億ユーロ、発電量の減少によって110億ユーロそれぞれ押し下げられる見通しだ。
●決算関連
2021年12月期決算は、純利益が前の期比77%増の24億4500万ユーロ(約3200億円)だった。新型コロナウイルス禍の前の19年12月期に比べても6割増となった。世界的な行動規制で旅行消費などが抑えられたが、高級ブランドの需要は拡大している。
部門別では売り上げの半分近くを占める主力の皮革・馬具が28%増となった。人気バッグ「バーキン」は希少価値から、人気が高止まりしている。服飾・アクセサリーも58%増と伸びた。
地域別の売上高では特に米国などが約5割増、アジアが約4割増と好調だ。米国はバイデン政権が経済対策として打ち出した、家計への巨額の現金給付が影響したとみられる。2月に東京・表参道に新店を開業した日本の売上高は2割近く増えた。
2021年12月期の最終損益は8億8800万ユーロ(約1160億円)の黒字(前の期は80億800万ユーロの赤字)だった。半導体不足と原材料価格の高騰の影響を受けたが、3期ぶりに黒字転換した。
販売台数は5%減の約270万台だった。ただ従来より高価格帯を狙う戦略が効果を上げ、売上高は6%増の462億1300万ユーロとなった。売上高営業利益率は4%で、「23年に3%以上」としていた目標を2年前倒しで達成した。
半導体不足は22年も続くとみており、22年通期で30万ECBのフォワードガイダンスは現在、利上げを開始する「少し前に」債券購入を終了するとしている。関係者によれば、これに基づくと12月に金利を引き上げる公算が最も大きい。10月では時期尚早とみなされ、11月は政策委の会合が予定されていない。台の生産ができなくなる可能性があるとした。
ルノーはCEO兼会長だったカルロス・ゴーン被告時代に進めた台数至上主義を改め、利益重視の経営にシフトしている。同社は21年に19年比で固定費を20億ユーロ減らし、損益分岐点を4割下げたとした。
●マクロ・その他
「規模の点では(第2次世界大戦終結の)1945年以来、欧州で最大の戦争になり得る計画を目の当たりにしている」「全ての兆候は計画がすでに始まっていることを示している」と述べ、ロシアのウクライナ侵攻の危険性は高いとの見方を示した。
ジョンソン氏は想定されるロシア軍の侵攻ルートとして、親ロシア派が勢力を保つ東部からだけでなく、北側のベラルーシやウクライナの首都キエフに近いロシア領から南下する可能性があると指摘した。バイデン米大統領が西側諸国の首脳に伝えたという。
ジョンソン氏はドイツ南部ミュンヘンでの安全保障会議で演説し、ロシアの侵攻は「衝撃や動揺が世界中に広がる。反響は東アジアや台湾にも及ぶだろう」と訴えた。
ウクライナのレズニコフ国防相は20日、「今日の段階では、国境地帯のロシア側に攻撃部隊がいるという兆候はどこにもない」と述べ、ロシア軍のウクライナ侵攻が迫っているとするバイデン米政権などの主張に疑問を呈した。タス通信が伝えた。
地元テレビに出演したレズニコフ氏は、攻撃部隊の編成と展開には「1週間から半月はかかる」と述べ「明日やあさってに侵攻があるというのは適切ではない」と明言した。同時に「リスクがまったくなくなったわけではないと思う」とも述べ、警戒の必要を指摘した。
米国西海岸の物流混乱を受け、日本から米国向け輸出のルートを見直す動きが広がっている。これまでは米西海岸への直送が一般的だったが、メキシコを経由する迂回ルートの利用が増えている。日本通運の直近3カ月間の輸送量は従来に比べて倍増した。自動車部品などで切り替えが目立つ。物流混乱が長引けば、供給網の見直しにつながる可能性がある。
新規則では幹部職員による個別の株式や債券、暗号資産(仮想通貨)、デリバティブ(金融派生商品)などの取引を幅広く禁止する。購入や売却の際は45日前までに通知し、承認を得る必要があり、最低1年間の保有を求める。さらに金融市場で緊張感(ストレス)が高まっている時期の売買は禁止する。
景気の強さや高インフレを踏まえ「政策金利をより正常なレベルに着実に戻していく」と語った。3月半ばの次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが「適切だ」とも表明した。利上げの進め方については「開始時に何か特別なことをする必要はなく、着実に金利を引き上げながら再評価すればいい」と発言。経済環境の変化に応じて「(利上げペースを)遅くしたり速くしたりする必要があるか判断できる」と語った。2023年末までに政策金利が通常のレベルとみる2~2.5%まで戻るとの見立てが理にかなっているとの考えも示した。
QTは「今年後半に始まると予測している」と述べた。国債と住宅ローン担保証券(MBS)の双方を「着実かつ予測可能な形で減らす」と強調した。段階的に利上げとQTを進めることで「需要と供給を近づけることができる」と説明し、需給の不均衡で生じた高インフレの抑制に努める考えを示した。
「最初から大きな一歩を踏み出す説得力のある論拠は見当たらない」とも指摘。一部で浮上している0.5%の大幅利上げには慎重な姿勢を示した。
米国で液化天然ガス(LNG)の生産が拡大する。2022年の生産能力は前年比2割増の約1億トンとなり、輸出量で世界一になる見通しだ。新規投資も3年ぶりに再開し、8年ぶりの高水準になりそうだ。一定部分は需要が高まる欧州に向かう可能性が高い。欧州で米国産ガスの割合が高まり、「脱ロシア化」が進めば、経済安全保障上のリスクは軽減する。
1月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は650万戸で、前月から6.7%増えた。2カ月ぶりの増加で、21年1月以来1年ぶりの高水準となった。
NARのエコノミストは「今後の住宅ローン金利上昇を見越して、今のうちに住宅を購入して借入金利を固定しようとしている」として、駆け込みで販売件数が伸びたと分析した。
販売価格(中央値)は35万300ドル(約4000万円)で、前年同月比15.4%上昇した。1月末時点で売り出されている在庫物件は86万戸まで減り、過去最低水準に落ち込んだ。
NARによると、販売価格が50万ドル以下の物件が少なくなってきている。1月は購入者全体に占める個人投資家やセカンドハウス取得者の割合が22%と前月から5ポイント上昇した。一方、初めての住宅購入者は27%で3ポイント低下した。
2021年の国内総生産(GDP)が20年比4.7%増だったと発表した。2年ぶりのプラス成長となった。20年の新型コロナウイルス感染拡大の影響による落ち込みから国内需要が回復、主要輸出品である天然ガスなどのエネルギー価格上昇が寄与した。
世界の鉱業関連株に資金が流入している。米S&Pの業種別指数で「金属・鉱業株」が足元で上昇し2012年3月以来、約10年ぶりの高値圏にある。米MSCIが算出する世界の金属・鉱業株指数も上昇基調にある。資源価格の高騰が企業業績の追い風となり、インフレ耐性の強い業種として買いが集まっている。
「米金融当局は今後9回の会合で毎回0.25ポイントの利上げを決め、来年の早い時期までに政策金利を中立的な状態に近づけるとみている」とリポートに記述した。
1月の米CPI上昇率は「予想外に大きく上振れ」したとし、「過去最高に近いペースだった前四半期からの減速はもはや見込んでいない」との見解を明らかにした。
インフレに関しては、エネルギー面の現在の強烈な価格圧力がいずれ緩和するとしても、力強い経済成長とコスト圧力、民間セクターの行動が相乗的に物価上昇を増幅させる流れが定着しつつある可能性を指摘。「中央銀行が姿勢を転換して成長減速の必要性を認識するリスク、およびそれが世界の金融環境に及ぼす影響が今や世界にとって最も重大な脅威だ」と続けた。
年内利上げが必要となる可能性は高いとの見方に傾きつつある当局者が増えている。インフレ見通しの上振れが背景にある。
3月10日の会合を前に、政策委員会の間では資産購入を9月で終了するとのコンセンサスが形成されつつある。
ECBのフォワードガイダンスは現在、利上げを開始する「少し前に」債券購入を終了するとしている。関係者によれば、これに基づくと12月に金利を引き上げる公算が最も大きい。10月では時期尚早とみなされ、11月は政策委の会合が予定されていない。
エバンス総裁はFOMCによる近い将来の利上げ開始計画を支持した一方、より長期にわたって一段と高い水準に政策金利を引き上げる必要性には疑問を呈した。総裁は今年のFOMCで投票権を持たない。
インフレについてエバンス総裁は、「政策を巡る状況について言うと、現在のインフレはコロナ禍の影響を受けた供給サイドの異例な動きが主因だと私はなお考えている」と説明。その上で、「ただインフレ圧力は明らかに経済のより多くの分野に広がっており、金融政策の大幅な再調整が必要になっている」と述べた。
エバンス氏は、米国を含む先進国では構造的な要因を背景に長期の基調的インフレは低い水準が続くと引き続き考えていると説明。政策を抑制的な領域に移行させる必要はないとの認識を示した。金融当局者らは、長期の金利目標水準を約2.5%と推定している。エバンス総裁は長期のインフレ期待はなお抑制されていると述べた。
同氏は「政策を巡る現在の状況から判断すると、必要とされる金融面での抑制の度合いは過去の局面と比較して小さくなる可能性が高く、また過去に見られた多くの状況よりも雇用の責務達成へのリスクは低いとみられる」と語った。
またコロナ禍をきっかけとした高インフレと供給混乱はいずれ解消するとしつつ、データを慎重に注視していく必要があると指摘した。
米国債への資金流入は16日までの1週間で74億ドル(約8500億円)と、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以来の最大だった。EPFRグローバルの週間データを基にBofAがリポートで指摘した。
インフレヘッジ手段とされるインフレ連動債(TIPS)やクレジットを敬遠する動きが加速しており、投資家が手放したTIPSやクレジットは2020年4月以来の規模だった。マイケル・ハートネット氏らBofAのストラテジストによると、こうした資金の流れはリセッション(景気後退)リスクが高まっている兆しだ。
中国は債券発行や登録制度でさらに改革を進めるとともに、外国人投資家にも一段と開放する方針を示した。詳細については言及していない。
エコノミストやクレジットトレーダーによれば、今も続く不動産セクターの債務危機によって、中国は今年も債券デフォルトが記録的な水準になる可能性がある。ただエコノミストらの大半は、債券の支払い不履行が経済に広範囲にわたる痛みをもたらすとはみていない。建設業者は資産売却を急いでおり、一部債券の支払いについて遅延を認めるよう投資家に求めている。
●市況
日経先物(大証)26867、ダウ先34007、債先150.19、米1.927、独0.1785、仏0.682、西1.194、伊1.833、原油90.21、ドル円115.00、墨ペソ20.29、トルコリラ13.6601、墨CDS112
※2/18 NY引値
備忘録(2/16)
●コロナ
ファウチ所長は16日の記者会見で、米国内の新型コロナウイルスの感染状況を示す指標が急激な減少を示していると指摘した。
欧州では新型コロナ対策で導入していた制限措置を解除する動きが進んでおり、ドイツとギリシャもこの流れに加わった。スイスとオーストリア、オランダも制限解除を計画している。
シティグループは「ゼロコロナ」を目指す香港政府の政策が業務を阻害し従業員の生活の質にも影響があるとして、株式担当シニアスタッフ6人前後を香港からシンガポールなどに異動する。
●中国不動産
四川省成都市の開発プロジェクトの工事代金や違約金の支払いを求めて昨年12月、広東省広州市の裁判所に恒大を訴えた。この提訴に基づき、同裁判所が恒大の銀行預金の凍結と不動産の差し押さえを命じたという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ソフトバンクグループは傘下の英半導体設計会社アームを上場する場合に関与する可能性がある複数の銀行に対し、マージンローン約80億ドル(約9240億円)の引き受けを求めていると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
情報の詳細が公表されていないことを理由に匿名で話した関係者らによれば、ソフトバンクグループはアームの新規株式公開(IPO)で起用する助言役を選考するにあたり、アーム株に関連付けたマージンローンを選択肢の一つとして検討している。同IPOは実現すれば今年最大規模の案件となり得る。
計画に対する運航便数の割合である運航率(2020年度計画比)は88%と2月(75%、9日発表時点)からは13ポイント引き上げる。ただ、コロナの影響を踏まえて追加で減便する可能性もある。
●その他産業
スウェーデンの通信機器メーカー、エリクソンはイラクで特定の輸送ルートへのアクセスを確保するために過激派組織「イスラム国(ISIS)」に資金を払った可能性がある。
ボリエ・エクホルム最高経営責任者(CEO)はスウェーデン紙ダーゲンス・インダストリ(DI)とのインタビューで、同社が「2018年にさかのぼる異例の経費」があったのを確認したと説明。しかし、その経費の最終的な支払い先についてはまだ特定できていないという。「分かっているのは、ISISを含むテロ組織が実効支配する地域を通過する輸送ルートが確保されていたことだ」と述べた。
同社は15日、イラクでの業務にコンプライアンスを巡る懸念があるとして、大規模な調査を続けていることを明らかにした。同社の広報担当者はブルームバーグ・ニュースに対しコメントを控えた。
コロナの感染拡大で通勤・通学時間帯の混雑緩和を求める声が高まり、JR東日本は通勤定期券などで時間帯別運賃の導入をめざしている。国交省は総収入を変えない範囲で運賃を自由に動かせる仕組みを検討する。
住宅・施設の設計や、住民コミュニティーの運営にテーマパークの知見を生かす。完成時期や総工費などは明らかにしていないが、レジャー関連企業の新規事業のモデルとなる可能性がある。
ディズニーは2023年が創業100年にあたり、自社の資産や知見を生かせる新規事業を模索していた。外部の住宅メーカーなどとも連携し、米国の他の地域での居住区開発も検討する。
鉄鋼業の排出量は日本全体の約15%を占め、製造業の中で最も多い。日鉄をはじめ、アルセロール・ミタルや宝武集団、韓国のポスコなど世界の主要鉄鋼メーカーは50年までにCO2の実質排出量ゼロを目指すカーボンニュートラルの実現を掲げ、世界的な技術開発競争を繰り広げている。
脱炭素化技術の開発で日鉄が最も意識するのは、世界の粗鋼生産の過半を占める中国勢の動向だ。鈴木常務は、日本の鉄鋼メーカーは技術的に先行しているが、「中国は非常に強い指導力や強制力、資金力もある。ライバルとして非常に手ごわい」とみている。
今年1月、国内企業の脱炭素化を後押しする目的で政府が創設した2兆円の基金から日鉄など鉄鋼メーカーに対し、水素活用技術などの研究開発費用として10年間で1935億円拠出されることが決まった。
しかし日鉄では、同社だけで脱炭素化の研究開発に1兆円かかると試算する。中国では国営企業の宝武集団に対し500億元(21年7月発表時のレートで約8500億円)と巨額の基金が中国政府によって設立されており、鈴木常務はこれらとの比較で国内の支援規模は「全く少ない」と指摘し、追加の支援を求めていく考えを示した。
●決算関連
オーストラリアの鉄鉱石大手、フォーテスキュー・メタルズ・グループが16日発表した2021年7~12月期決算は純利益が前年同期比32%減の27億7700万ドル(約3200億円)だった。中国での需要減による鉄鉱石価格の下落に加え、燃料費などのコスト上昇が響いた。売上高は同13%減の81億2500万ドルだった。
鉄鉱石の平均販売価格は前年同期比16%下落の1トン96ドルだった。同社は「粗鋼生産の減少で需要が弱含んだ」と説明した。21年7~12月期に売上高の87%を占めた中国では、二酸化炭素の排出削減のため政府が鉄鋼メーカーに減産を要請しており需要減につながった。
電話会見したエリザベス・ゲインズ最高経営責任者(CEO)は「(20日閉幕の)北京冬季五輪が終われば、中国の粗鋼生産は上向くだろう」との見方を示した。
2021年11月~22年1月期決算は、純利益が前年同期比2.1倍の30億300万ドル(約3470億円)だった。年末商戦でゲーム用GPU(画像処理半導体)の需要が膨らんだほか、クラウド事業者を中心にデータセンターでの採用も進んだ。売上高は53%増の76億4300万ドルで、純利益とともに過去最高を更新した。2~4月期の売上高は81億ドル前後を見込んでいる。
ゲーム部門の売上高が37%増。パソコン(PC)でゲームを遊ぶ際に映像をなめらかに映すGPUの販売が伸びた。品不足が続くなかでゲーム愛好家に購入してもらいやすいよう、ほぼすべてのデスクトップPC向けGPUで暗号資産(仮想通貨)の採掘利用を防ぐ処理を済ませたという。
データセンター部門の売上高は71%増の32億6300万ドルで、8~10月期と比べても11%増加した。クラウド企業によるデータセンター投資が堅調で、自然言語処理や推薦システムの構築といった人工知能(AI)計算のための購入も拡大した。
プロの動画編集向けの製品販売額は2.1倍の6億4300万ドルだった。エヌビディアは21年秋に仮想空間で共同作業やシミュレーションをするためのサービスを始めており、同部門の拡大に弾みがつく可能性がある。自動車向けは14%減の1億2500万ドルで、主要部門で唯一減少した。
ジェンスン・ファンCEOは声明で「エヌビディアのコンピューティング基盤に対する、並々ならぬ需要を目の当たりにしている」「アームとのプロジェクトは複数ある」とコメント
●マクロ・その他
世界で社債の金利が上昇している。金融引き締めでベースとなる国債利回りが上がっているうえ、企業の資金調達に逆風が吹くとの懸念が強まっているためだ。15日には指標金利が1年10カ月ぶりの高水準となった。信用力の低い米企業が今後5年間で返済する必要がある債務残高は160兆円と過去最高水準に膨らむ。借換時の負担が増せば、抑制されてきた企業破綻が増える可能性がある。
2022年1月の小売売上高(季節調整済み)は6498億ドル(約75兆円)で、21年12月から3.8%増えた。マイナス2.5%に下方修正された12月から回復した。インフレ懸念で消費者景況感は下がっているが、個人消費は堅調ぶりを示した。変動の激しい自動車・同部品販売店の売り上げが5.7%増えたほか、これを除いても3.3%伸びた。
業態別ではネット通販などの無店舗販売が14.5%増と急伸したほか、百貨店(9.2%増)、家具店(7.2%増)などが好調だった。一方、飲食サービス店の売り上げは0.9%減った。1月上旬に新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染者が急増したのを受けて、消費者が外食を控えたとみられる。
1月の英国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.5%上昇した。伸び率は前月より0.1ポイント広がり、1992年3月以来約30年ぶりの高水準を連続でつけた。
主な項目別で指数を最も押し上げたのは「衣服・履物」で6.3%上昇した。伸び率は前月(4.2%)から拡大し、統計を遡れる1989年以降で最大になった。「家具・住宅用品」は8.4%と1.1ポイント拡大した。変動の大きいエネルギーや食品などを除く「コア」のインフレ率は4.4%と0.2ポイント広がり、92年5月以来の大きさになった。
2022年1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.9%上昇した。2カ月連続で伸びは鈍化した。食品やエネルギーなど必需品のコスト負担が和らいだためだ。ただ生活用品やサービスの価格も伸びが緩やかで、家計の節約志向を物語る。
CPI上昇率は21年11月の2.3%から1.4ポイント下がった。生鮮野菜が下落に転じたほか、中国人の食卓に欠かせない豚肉の値下がり幅が広がった。ガソリンなど交通燃料も価格上昇が落ち着いてきている。
必需品のコストが下がれば、家計は他の商品やサービスにお金を振り向けやすくなる。ただ1月の食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率は1.2%と、21年11月から横ばいが続く。新型コロナウイルスがまん延する前の19年は1.5%前後で推移していた。
21年秋ごろから雇用の回復がもたつき、家計が節約志向から抜け出せないためだ。中国人民銀行(中央銀行)が21年10~12月に預金者を調べたところ、52%が「より多くのお金を貯蓄に振り向ける」と答えた。新型コロナの直撃から中国経済が立ち直り始めた20年4~6月(53%)以来の高さとなった。
ディーラーがプットオプションを売る時は本質的に原資産の上昇に賭けていることになる。ディーラーは通常、原資産の売りでこのリスクをヘッジする。プットオプションが期限を迎えると、このヘッジが反転し、原資産の値上がり要因となり得る。
マケリゴット氏は15日の電子メールで、多くの顧客がHYGのプットを購入していることは、「プットの期限が来た時にディーラーからの『カバー』の流れを生む」と解説した。
マケリゴット氏によれば、HYGがオプション期限に絡み今後数日に上昇した場合、株式相場にとっても朗報となる可能性がある。
最近は信用スプレッドが株式の主要な推進力になっていると同氏は指摘。「HYGの値上がりは株式の機械的な上昇をさらに前進させる燃料を追加する可能性がある」と15日のリポートで分析した。
易総裁はビデオスピーチで、「緩和的な金融政策を柔軟かつ適切に保ち、経済の重要分野と弱い部分への支援を強化する」と表明。内外の不安定な情勢で経済に困難が生じ、より反循環的な政策調整が必要になるとの見解も示した。
人民銀は2025年までの5年間について、潜在成長率を約5-5.7%と想定している。ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、今年の中国成長率は5.2%となる見込み。
カザークス・ラトビア中銀総裁は、ECBがインフレ抑制のため2022年中に利上げをする「可能性はかなり高い」ものの、引き締め過程で混乱を招かないことが必要だと述べた。
2月の住宅市場指数は82に低下。ブルームバーグがまとめた市場予想と一致した。前月は83だった。
●市況
日経先物(大証)27390、ダウ先34817、債先149.93、米2.024、独0.2725、仏0.745、西1.270、伊1.912、原油91.03、ドル円115.43、墨ペソ20.29、トルコリラ13.5963、墨CDS112
※2/17 9時40分頃
備忘録(2/15)
●コロナ
新型コロナウイルス対策で導入していた制限措置を解除する動きが欧州で進んでいる。ドイツのラウターバッハ保健相は、オミクロン変異株による感染の波はピークを越えたとし、3月20日までに多くの措置を解除する計画を支持した。
米国では食肉加工大手タイソン・フーズが、ワクチン接種完了者の一部を対象にマスク着用義務を緩和する方向で動いている。同社は従業員のマスク着用義務を早期に導入した米大手企業のうちの1社。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
2020年度の事業計画に対する運航便数の割合である運航率は各月30%前後とし、大幅な減便を続ける。新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、運航規模を縮小してコストを抑える。
●その他産業
イスラエルの半導体受託生産会社(ファウンドリー)、タワーセミコンダクターを54億ドル(約6200億円)で買収すると発表した。アジア市場向けの半導体製造に強みをもつ同社を買収し、生産能力を増強して半導体需要の高まりに対応する。
タワー社はスイッチやセンサー用のアナログ半導体を主力とし、年間200万枚以上のウエハー製造能力をもつ。2014年にはパナソニックの国内半導体工場を買収した。インテルは1年後をめどにタワー社の買収手続きを完了し、21年に設立したインテル・ファウンドリー・サービス(IFS)に統合する。
自動車部品大手のマレリ(旧カルソニックカンセイ)が元親会社で主要取引先である日産自動車のほか、取引金融機関に支援を要請した。2019年に日本と欧州の大手が統合し、「メガサプライヤー」として誕生したが、リストラが遅れ、設備過剰を解消できないまま新型コロナウイルス禍に突入。急速に資金繰りが悪化した。今後、株主や金融機関などと再建に向けた協議を進める。
穀物価格の高騰で所得の向上した農家が設備投資を増やし、業績拡大への期待が高まっている。
マレリは日産の業績低迷のほか、新型コロナウイルス感染拡大後にステランティスなど海外メーカーも含む自動車業界全体の生産停滞などの影響で業績が大幅に悪化。金融機関に対する負債額は昨年9月末時点で1兆1000億円を超える規模となっていた。
事業再生ADRで猶予や減免の対象となるのは主に銀行貸し付けなどの債権。債権者全員の合意が得られなければ民事再生法や会社更生法の適用を申請し、裁判所の下で再建や清算の手続きに入ることになる。
当面の資金繰りを支えるため、主力行を中心に1000億円規模の金融支援を実行する。みずほ銀が200億円のつなぎ融資をするほか、みずほ銀と日本政策投資銀行はマレリが両行に預ける400億円の預金の取り崩しを認める方向で検討する。そのほか、3月以降に返済期日を迎える借入金のうち約500億円の返済を繰り延べる。
関係者らによると、マレリの主要取引銀行はみずほ銀と政投銀のほか三井住友銀行、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行で、全て合わせると取引金融機関は国内外20数行に上る。みずほ銀などメガ3行は21年10-12月期にマレリの債務者区分を引き下げたことで、貸倒引当金を積み増している。
●決算関連
資源会社のグレンコアは15日、配当と自社株買いによる計40億ドル(約4620億円)相当の株主還元策を発表した。2021年は過去最高益を記録。同社はまた、米司法省などによる汚職疑惑を巡る調査が今年中に終わるとの見通しも示した。
昨年の中核的利益は213億ドルと、前年のほぼ倍に増加。トレーディング部門の利益も37億ドルと過去最高となった。グレンコアは34億ドルの配当を支払うほか、5億5000万ドル規模の新たな自社株買いを始める。
●マクロ・その他
2021年の在外フィリピン人の本国への送金額が前年比5.1%増の349億㌦(約4兆円)だったと発表した。19年(335億㌦)を上回り過去最高額を更新した。人口の1割を占めるとされる出稼ぎ労働者による送金が、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた同国経済や個人消費を下支えしている。
21年の海外送金が同国の国内総生産(GDP)に占める割合は8.9%だった。出稼ぎ労働者による送金は、母国に住む家族の生活や消費、教育にとって不可欠になっている。フィリピンの20年のGDP伸び率は前年比9.6%減と東南アジアで最低水準だったが、21年は同5.6%増とプラスに転じた。
ロシアはウクライナ国境付近での軍事演習が終了し、一部の部隊が所属基地に帰還し始めたと15日に発表した。米国と欧州諸国は、ロシア軍がウクライナに侵攻する可能性を警戒してきた。
市場はロシア側による今回の動きを危機緩和の兆しと受け止めて好感した。ここへきて外交的解決を追求する動きが活発化しており、ロシアのプーチン大統領も西側との協議継続を支持した。ロシア側は一貫して侵攻の意図を否定している。
NATOのストルテンベルグ事務総長は15日、ブリュッセルで記者団に対し、ロシア軍の一部部隊撤退の発表について「慎重ながら楽観的になる根拠」を与えるものだと発言。その上で「今のところ緊張緩和に向けた兆しは見えない」とし、ロシア部隊撤退の証拠を待ちたいとの考えを示した。
「ロシアの情報機関が捏造(ねつぞう)したものだ」。米国務省のプライス報道官は2月初めにロシアがウクライナに再侵攻する口実をでっち上げるための動画をつくっているとの情報を入手したと明らかにした。
ウクライナ軍が国境を越えてロシアを攻撃し、民間人の死傷者が出ている映像を含み、ロシア語を話す弔問客を演じる俳優も登場するなどと内容を細かく説明した。米政府として機密扱いを解除した情報だとあえて言及し、動画はロシアが侵攻を正当化する偽装工作だと断じた。
バイデン政権が情報発信を強化した背景にはロシアによるウクライナ領クリミア半島の併合を許した2014年の教訓がある。当時のオバマ政権は情報開示に消極的で、欧州の同盟国などにも情報を十分に伝えていなかったという。
今回のロシアの動向を巡り、ロシア軍がウクライナ侵攻に最大17万5000人の兵力を集結させると予測した21年12月初めの米メディア報道も当初は機密扱いだったという。今年1月末には政府高官がロシアが隣国ベラルーシに3万人規模の軍を派遣したとただちに公表した。
ウクライナに侵攻すれば最大5万人の民間人が死傷し、500万人の難民が生まれる可能性があるとの試算などを米議会に説明したのもメディアに漏れるのが織り込み済みだったとみるのが自然だ。
プーチン氏も会見で欧州の安保について「協議を続けていく用意がある」と語った。戦争を望んでいるかを問われると「望んでいない」と回答。米国と北大西洋条約機構(NATO)から1月下旬に受け取った欧州安保に関する書面回答について、不満を示すだけでなく「いくつかの(評価できる)考え方があった」とも語った。
プーチン氏はウクライナ国境からの撤収を進めていくのかと問われると「状況次第」と指摘。本格的な撤収は今後の協議の進捗などにかかっているとの考えをにじませた。
バイデン米大統領は15日、ホワイトハウスで演説し、ロシアのウクライナ侵攻はなお起こり得るとし、一部部隊をウクライナ国境近辺から撤収したとするロシアの主張については米国はまだ確認していないと述べた。
2021年の世界の半導体売上高が前年比26.2%増の5559億ドル(約64兆2800億円)だったと発表した。5000億ドルを上回るのは初めて。自動車や家電など幅広い製品で半導体不足が課題になるなか、各社が生産能力の増強を進めたことで、出荷数も過去最高の1兆1500億個となった。
SIAによれば、世界の半導体売上高は17年に初めて4000億ドルを超えた。そこから4年で5000億ドルを突破したことになる。22年については、6000億ドルを上回るとの見通しを示している。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比0.8%上昇。前年同月比では8.3%伸びた。
今回の統計では強いインフレ圧力が続いていることが示された。販売価格の指数は17ポイント上昇の54.1と、統計でさかのぼれる2001年以降で最高。仕入れ価格指数も過去最高付近で高止まりしている。
回答者の約34%は前月からの業況改善を報告した一方、30%程度は悪化したと指摘。急拡大した新型コロナウイルスの感染が落ち着きつつある中で、景況感を巡る事業者の認識になお開きがあることが示された。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が15日発表した2月の期待指数は54.3と、前月の51.7から上昇した。現状指数も改善した。
ZEWのバンバッハ所長は発表資料で、「経済や政治の不透明感が高まっているにもかかわらず、ドイツ経済の見通しは2月も引き続き改善した」と指摘。「金融市場の専門家はコロナ対策の制限措置緩和と今年上期の景気回復を見込んでいる」と説明した。
投資家は金融当局がインフレ抑制に乗り出す準備をしている中で、グロース株への配分を急速に減らしつつある。
●市況
日経先物(大証)27375、ダウ先34823、債先149.95、米2.042、独0.3070、仏0.782、西1.308、伊1.968、原油92.44、ドル円115.68、墨ペソ20.40、トルコリラ13.6073、墨CDS116
※2/16 9時40分頃
備忘録(2/14)
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
新型コロナウイルス禍が長引き、一般用医薬品(大衆薬)市場が縮小している。調査会社インテージヘルスケア(東京・千代田)がまとめた2021年の販売金額は前年比3%減り、2年連続でマイナスだった。感染対策の浸透で風邪にかかる人が減り、風邪薬が大幅に落ち込んだ。大衆薬各社は需要減少が続くとみて他事業の育成を急ぐ。
2020年度の計画に対する運航便数の割合である運航率は各月23~24%とした。新型コロナウイルス禍が長期化するなか「本格的な需要の回復には一定程度の時間を要する」(ANA)と判断し、運航規模の縮小を続けてコストを抑える。
期間中は大半の中国路線や羽田―ソウル線、成田―ホノルル線などを運休する。当初は20年度を予定していたミラノやモスクワなどへの就航は引き続き延期する。
英国のシンクタンク国際戦略研究所(IISS)は14日、軍事情勢の報告書「ミリタリー・バランス」の最新版を発表した。2021年の世界の軍事費の合計は1兆9200億ドル(約220兆円)となり、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年から1.8%減った。米国の減少が響いた。全体が減る中でも欧州は同4.8%増えた。ロシアと中国の脅威が強まる中で各国が軍備を拡張している。
米国は世界の軍事費の4割近くを占め、2位の中国の3.5倍の規模だ。21年の軍事費は同6%減の7540億ドルだった。バイデン政権は米軍の配置を見直し、同年8月にはアフガニスタンからの米軍の撤退を完了させている。
欧州の軍事費は4.8%増えた。ロシアのウクライナ侵攻への警戒が強まっているほか、中国の台頭も背景にある。欧州連合(EU)を離脱した英国の21年の軍事費はインドを抜いて世界3位となった。IISSは「中国とロシアの軍事的な発展に対する懸念が、地域や世界の軍事的発展を促していることは明らかだ」と指摘した。
同業のエアロジェット・ロケットダインの買収を断念したと発表した。米連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法(独占禁止法)に違反する恐れがあると指摘していた。
●その他産業
傘下の楽天銀行の新規株式公開(IPO)の準備は「非常に順調にいっている」と述べ、上場のタイミングは今年後半か年末に近いとの見通しを明らかにした。
新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、変異型「オミクロン型」の感染者数や入院数も減少しているため。30日間の移行期間を設け、部署やチーム内で出社計画の詳細を決める。
28日から制限のない「再開」に移し、従業員は「上司と合意した働き方を採用する」という。多くの従業員が出社する見込みで、オフィスへの来客も迎えられるようにする。
米半導体中堅のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は14日、同業の米ザイリンクスの買収手続きが完了したと発表した。汎用性と省電力性を備えた「FPGA」と呼ぶ半導体に強い同社を取り込み、データセンター向けの事業を強化する。2020年10月末の計画公表から約1年3カ月での成立となった。
米インテルはイスラエルの半導体受託生産会社タワー・セミコンダクターについて、約50億ドル(約5780億円)での買収で合意に近づいている。事情に詳しい関係者が明らかにした。受託生産事業への進出計画の一環だという。
●決算関連
中国南方航空など大手3社が明らかにした2021年通期の最終損益の見通しはそれぞれ約2000億円を超える赤字だ。新型コロナウイルス禍が航空業界に与えた打撃は世界共通だが、「ゼロコロナ政策」とも呼ばれ格段に厳しい中国当局の感染対策のルールが重い足かせとなっている。
2021年12月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が1338億円の赤字となり、過去最大の赤字となった。基地局整備などで携帯通信事業の赤字が膨らんだ。電子商取引(EC)や金融事業の競争も激化するなか、携帯事業の会員獲得やコスト削減のペースを速められるかが会社全体の黒字化を左右する。
携帯事業の営業赤字は4211億円と前の期比約9割増えた。急ピッチで進める基地局の整備で同事業の償却費は837億円と7割増えた。自社設備が整わない地域でKDDIから回線を借りる「ローミング」の費用がかさんだことが「大きな負担になった」(三木谷浩史会長兼社長)。
米国のほか、タイやインドで農業機械の販売が好調だったほか、オーストラリア政府の景気刺激策でトラクターや建設機械が大きく伸びた。国内も消費増税前の駆け込み需要の反動から持ち直した。
22年12月期の純利益は前期比1%増の1780億円を見込む。売上高は12%増の2兆4500億円と過去最高となる見通し。
米国は住宅着工の増加で小型トラクターや建設機械の販売が好調を維持する。競合の米ディアと比べ小型のトラクターや建機に強みを持つ。建設向けに加えて、新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要によって富裕層の庭園手入れ用などの用途でも売れている。
利益面では原油価格の高騰やコンテナ不足による輸送コストの増加や、鋼材価格の高騰、二酸化炭素(CO2)排出を抑制する電動トラクターなど脱炭素への投資負担が影響する。原材料や物流のコスト増が970億円の営業減益要因となる見通し。値上げにも取り組むが、「(温暖化ガス排出を実質ゼロにする)カーボンニュートラルへの開発投資と原材料・物流費のコスト増が増収効果を相殺する」(北尾裕一社長)ことで、営業利益は2%増の2500億円を見込む。
●マクロ・その他
G7、経済・金融制裁の用意 ロシア侵攻なら
G7財務相はロシアがウクライナ国境に兵力を結集していることに「重大な懸念」を表明。外交的解決を支持するとともに、ウクライナ経済を支援するため「迅速かつ果断に行動する用意がある」と訴えた。G7と国際金融機関は14年以降、ウクライナに総額480億ドル(約5兆5000億円)を上回る経済支援をしてきたという。
ドイツのショルツ首相は14日、ウクライナで同国のゼレンスキー大統領と会談した。15日のプーチン大統領との会談を前に侵攻回避に向けた対応を話し合った。
ショルツ氏は会談後の記者会見で「ウクライナに寄り添う」と述べ、同国との連帯を表明。ロシアの侵攻には「かなり広範囲の効果的な制裁」を同盟国と連携して用意していると語った。
問題はこうした態度にプーチン大統領が納得するかどうかだ。プーチン氏は12日のマクロン仏大統領との電話協議で、東部紛争を巡る4者協議がいっこうに前進しないことへの不満をあらわにした。ショルツ氏がウクライナから何の譲歩も引き出せず、プーチン氏を訪問すれば、プーチン氏が態度をさらに硬化させる恐れもある。
ドイツ政府高官は「極めて危険な状況だ」としてロシアによるウクライナ侵攻に強い懸念を示した。プーチン氏を緊張緩和に向けた対話につなぎとめられるかが焦点で「我々は対話の準備ができているだけでなく、積極的に求めていく」という。今回を最後の対話にしてはならないというのがドイツ側の問題意識だ。
ブラード氏は「7月1日までに計1%分の政策金利の引き上げを実施したい」との主張を改めて表明。約9兆ドル(約1040兆円)まで膨らんだFRBの保有資産を減らす量的引き締め(QT)は「2022年4~6月に開始してほしい」と語った。
QTに関し、FRBは米国債などを売るのではなく再投資を徐々に減らす形を軸に想定している。ブラード氏は「ペースを速めるために必要に応じて資産を売却するプランBもポケットに入れておきたい」と指摘した。
08~09年の暴落では銀行が広く一般市民から集めた預金が壊滅的損失を被るリスクがあることが判明し、各国政府は自国の銀行の救済を余儀なくされた。以来、銀行は自己資本を増強し、高リスク資産の保有も減らしたがもう金融システムの主役ではない。今、リスクを大胆に取っているのは株主や長期預金者の資金を運用するファンドで、建前上は損失吸収の余地は大きそうだ。
だが金融改革は投資家の自信過剰まで排除できたわけではない。現在、特に危険な点が2つある。第一は規制の網から外れた「シャドーバンク(影の銀行)」と呼ばれるファンドが抱える負債だ。例えばヘッジファンドや不動産投資信託、MMF(マネー・マーケット・ファンド)の借入額と預金の形を取った債務の合計は米国内総生産(GDP)比43%と、10年前の32%から増えている。一部の事業者は誰にも気付かれずに借り入れを増やせる。
第二の危険は、金融システムの分散化が進んだとはいえ、ごく少数の関門を必ず経由する取引への依存度が依然として高いため、大きな価格変動が起きればその打撃も大きくなりやすい点だ。例えば運用資産総額10兆ドルのETFでも、そのETFの価格の裏付けとなる原資産の相場を正確に反映させるのに一握りの小さなマーケットメーカー(値付け業者)に頼っている。
なにしろ今や米世帯の53%が株を保有しており(1992年は37%)、オンライン証券取引口座数は1億を超える。信用市場が逼迫すれば、個人も企業も借り入れに窮する。コロナ禍の初期段階でFRBが「最後のマーケットメーカー」として債券市場に3兆ドルを投入し、証券会社や投信ファンドを支えたのもこのためだ。
原油価格が経済に及ぼす影響はかつてほどでないにしろ、食料品価格や輸送費、光熱費の高騰で企業と消費者への請求が増えて購買力が圧迫され、世界の大部分が打撃を受けるだろう。
ブルームバーグ・エコノミクスのショクモデルによれば、原油価格が昨年末の1バレル=70ドル前後から今月末までに100ドルに値上がりすれば、今年下期に米国と欧州のインフレ率が0.5ポイント前後押し上げられそうだ。
さらに広い影響としては、原油が150ドルに達する過程で、世界の景気拡大がほぼ失速し、インフレスパイラルに伴い物価上昇率は7%を超え、多くの中銀の目標(2%)の3倍余りになるとJPモルガン・チェースは警告する。
米連邦準備制度当局者として長く勤務したドイツ銀行の経済調査グローバル責任者、ピーター・フーパー氏は「オイルショックが今やより広範なインフレの問題に発展している。世界の成長が著しく減速するかなりの可能性が存在する」と分析した。
オックスフォード・エコノミクスは、バレル当たり10ドルの油価上昇が世界の経済成長率を約0.2ポイント押し下げると予想する。
米欧はロシアがウクライナ国境付近に10万人超の軍部隊を集結させ、規模の増強を続けているとみる。ウクライナ隣国のベラルーシでは10日から大規模な合同軍事演習を実施している。
ジャンピエール大統領副報道官は「ロシアがどの道を選ぶかは依然として不明だ。 米国はロシアのプーチン大統領がどのような決断をしても対応できる」と話した。欧州などと協調し、ただちに大規模な金融・経済制裁に踏み切る用意があると警告した。一方で「外交のドアは開かれている」とも強調し、対話による緊張緩和を促した。
トラック運転手らによるデモ隊の国境封鎖が物流の混乱につながっているとして、連邦政府の権限を一時的に拡大する緊急事態法を発動すると表明した。同法の使用は1988年の制定以来初めて。デモを取り締まる法執行機関の権限を強化・支援する。トルドー氏は「連邦政府には状況を完全に掌握し、国境の再開を保障する責任がある」と述べた。
同法に基づき、封鎖や占拠など違法で危険な行為につながるデモを取り締まる警察権限を拡大させる。罰金や禁錮などの刑罰の適用拡大が含まれる。連邦警察の王立カナダ騎馬警察(RCMP)を地域の警察の支援に動員しやすくし、道路を塞ぐ車両の移動など、必要な支援を提供する。金融機関に対し、違法な封鎖に関わる資金調達や支援のための財産の使用を規制したり禁じたりするよう求める。
前身となった戦争対策法はカナダの歴史上、3度のみ使用された。2度にわたる世界大戦に加え、1970年に東部ケベック州の分離独立を求める過激派が州閣僚らを誘拐する事件を起こした際、トルドー氏の父親で当時の首相だった故ピエール・トルドー氏が発動に踏み切った。
新民主党のシン党首は14日、議会での通過を確実にするために、発動を支持する考えを明らかにした。
BofAがまとめた最新の欧州投資家調査によれば、投資適格社債のオーバーウエートポジションはネットベースで全体の16%に低下し、2019年2月以来の低水準になった。銀行債への強気な持ち高が減り、手元現金の水準が上昇している。ゴールドマンは14日、社債を「アンダーウエート」にするよう呼び掛けた。
同日には社債や株式が下落。ロシアがウクライナ国境付近で軍備を増強していることを巡って緊張が高まる中、安全逃避の動きが強まった。利上げ観測や中央銀行の資産購入テーパリング(段階的縮小)を背景に、債券投資家は今年に入って既に損失に見舞われている。
「10年に及ぶ金融抑圧の後、中央銀行が政策ミスを犯す可能性を投資家はなお恐れている」とBofAのストラテジストらはリポートで指摘。投資家はそれをここ3回の調査で連続して最大のリスクに挙げたと、BofAは付け加えた。
ゴールドマンの調査チームによれば、短期金利市場での利回り上昇も、現金保有に急ぐ動きを強めている。
クリスチャン・ミュラーグリスマン、セシリア・マリオッティ両氏らゴールドマンのストラテジストは「社債は政策支援の縮小と需要構造の悪化に直面する中、リスクプレミアムを再構築する必要がある」とリポートで指摘。同社の資産配分における社債の投資判断を引き下げ、現金を「オーバーウエート」に引き上げた。
米国の消費者は極めて高いインフレ水準が長期的に続くとは予想していないことが、ニューヨーク連銀の消費者調査で示唆された。
これによると、1年先のインフレ期待は5.8%に下げた。最後に低下したのは2020年10月だった。3年先の見通しはより大幅に下げ、低下の見方は年齢や教育水準、収入層を超えて広範にみられた。
米不動産サービスのクシュマン・アンド・ウェイクフィールドの調査によると、21年10-12月期の銀座の賃料は前年同期比5.3%上昇し1坪当たり月40万円となった。同期の表参道の賃料も同6.7%上昇し同32万円となった。
ただ、賃料が上昇しているのは海外高級ブランドが興味を示す限られたエリアのみだ。銀座や表参道全体ではコロナ禍の影響下で賃料は上昇していない。須賀氏は好立地の奪い合いは別世界の競争だとし、蚊帳の外に置かれた国内ブランドは「都心の一等地に手を出すことができない」と語った。
欧州中央銀行(ECB)は今月タカ派に転換しており、年内に約10年ぶりの利上げに踏み切る可能性がある。これは長く調達通貨として選好されてきたユーロの新たな押し上げ要因となっている。一方、米金融当局が消費者物価の上昇抑制のために今年に最大7回の利上げに踏み切らなければならないとの見方が広がり、ドルも押し上げられている。円でさえ、ロシアとウクライナの緊張を背景に上昇している。
その結果、低金利通貨で資金を調達して高金利通貨に投資するキャリートレーダーがこれらの通貨を敬遠し、資金調達の選択肢が引き続き狭まる可能性がある。ドルを調達通貨とする新興国8通貨のキャリー取引の指数は2年連続で下落した後、回復し始めていた。しかし、先進国の多くで借り入れコストが上昇しているため、リターン最大化はさらに困難になるだろう。
●市況
日経先物(大証)27050、ダウ先34510、債先150.03、米1.984、独0.2735、仏0.756、西1.296、伊1.972、原油94.72、ドル円115.50、墨ペソ20.41、トルコリラ13.5970、墨CDS116
※2/15 9時5分頃
備忘録(2/10-13)
●コロナ
レストラン予約はより難しくなり、オフィスで働く人が増えている。トニー賞のシーズン前に劇場には人々が戻っている。9日にはニューヨーク州のホークル知事が、大半のビジネスを対象に10日からマスク着用義務を解除すると発表した。
市のデータによると、1日当たりの新規感染者の7日平均は6日時点で1906人と、1月4日に記録したオミクロン流行期ピークの4万3604人から大きく減少。1日の入院件数は同じ期間に1000件程度から104件に減少した。学校や医療施設、介護施設ではマスク着用義務を継続するものの、これについても3月解除の「可能性は高い」とホークル知事は述べた。
セキュリティー会社キャッスルシステムズのデータによると、ニューヨーク都市圏では2日時点で約4分の1の従業員がオフィス内で勤務している。昨年12月末時点では10%程度だった。同社の「バック・トゥー・ワーク・バロメーター」が示したもので、パンデミック入り後の最高は12月1日に付けた37%だった。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
グーグルアナリティクスはサイトの閲覧回数、閲覧者の属性などが分かるツール。無料で幅広く解析ができるため、世界中のサイト管理者が使っている。
CNILは得られた情報が仏側から米国に送信されていると説明。情報は正しく管理されておらず「米情報機関が情報を見られる可能性を排除できない」とした。そのため欧州連合(EU)が2018年に施行した一般データ保護規則(GDPR)と、それ基づく仏国内法に違反しているとした。サイト管理者にはGDPRに従うか、必要な場合はグーグルアナリティクスの使用をやめるよう求めた。
「欧州のサイト利用情報を米国に送信するほかのツールも調査している」と表明した。仏紙ルモンドによると、米メタ(旧フェイスブック)が提供する他サイトとの連携ツール「フェイスブックコネクト」も調査対象になっている。
●決算関連
スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーが11日発表した2021年12月期通期の決算は、売上高と営業利益が過去最高になった。半導体不足の影響で計画通りの生産はできなかったが、販売価格の上昇と、利幅の大きい車種がよく売れたことでカバーした。
売上高は2820億クローナ(約3兆5100億円)。営業利益は203億クローナで、2.3倍になった。純利益は2.2倍の125億4600万クローナだった。
期中の販売台数は20年比6%増の69万台だった。新型コロナウイルスの感染拡大前の19年の水準にほぼ回復した。利幅の大きい多目的スポーツ車(SUV)の比率が75%と19年より12ポイント上昇した。
工場の自動化システムの需要が非常に高く、ローランド・ブッシュ社長は「空前のブームを迎えている」と述べた。
工場の自動化機器やソフトウエアを手がける主力の「デジタルインダストリーズ」部門の受注は73%増を記録した。中国で約8割、ドイツで約6割増え、イタリアでは約2.6倍になった。同部門の利益率は21.8%と高い水準を保っている。
ミタルは22年の中国を除く世界の鋼材需要は2.5~3%増えるとみており、同社の22年の鋼材出荷量は21年比3%増と予測する。アディティヤ・ミタル最高経営責任者(CEO)は「自動車関連の契約見直しにも支えられ、業界のファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)は引き続き良好だ。財務基盤の強さを生かして成長と低炭素製鉄に投資していく」と述べた。
2021年10~12月期決算は、純利益が前年同期比66%増の24億1400万ドル(約2800億円)だった。売上高は10%増の94億6400万ドルと市場予測(89億ドル前後)を超えた。外食需要が回復し、新型コロナウイルス前の19年の販売量を上回った。
ジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は投資家説明会で「22年は完全に19年の水準に戻れるわけではない」と述べ、新型コロナに伴う不透明感は依然残るとの見通しを示した。素材価格などの上昇が22年を通じて続き、22年12月通期の利益を下押しする要因になると警戒した。22年通期の1株利益の成長率は5~6%を見込む。
コスト高を吸収するためコカ・コーラは値上げを進めてきたが「今後もコスト上昇とのバランスを見ながら(値上げを)実施する」(同CEO)という。
同業のペプシコが同日発表した21年10~12月期決算は、純利益が28%減の13億2200万ドル、売上高は12%増の252億4800万ドルだった。輸送費や人件費の高騰で販売管理費が15%増えた。ラモン・ラグアルタCEOは「素材、輸送、人件費のコスト増が続いている。コスト管理を強化する」と述べ、追加値上げの可能性を示唆した。
2021年12月期通期の決算は、売上高が前の期に比べ4割増の374億1700万㌦(約4兆3400億円)だった。がん治療薬などが好調だった。構造改革費用がかさんだことなどから、純利益は96%減の1億1200万ドルだった。
今期は全体では増収を見込んでいるが、新型コロナ関連の売上高は20%程度減るとみている。欧州の一部の国では新型コロナをインフルエンザなどと同じように扱い、パンデミックからエンデミック(一定期間で繰り返される流行)に移行させようとする動きが出ている。
●マクロ・その他
独裁政権を敷いた故マルコス元大統領の長男フェルディナンド・マルコス元上院議員の支持率は60%に達した。2021年12月に実施した前回調査より7ポイント上昇し、2位との差を広げた。
マルコス氏は新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた同国経済の回復を主張し、SNS(交流サイト)などを通じて若者への情報発信に重点を置いている。かつてのマルコス政権時代の人権弾圧などを体験していない若者から支持を集めている。反対勢力は税金未納を理由として出馬資格の無効化を試みたが、フィリピン選挙管理委員会はこのほど訴えを退けた。
大統領選と同時に実施する副大統領選の支持率は、現職のドゥテルテ大統領の長女であるサラ・ドゥテルテ氏(南部ダバオ市長)が50%で首位だった。前回調査より5ポイント高まった。
サラ氏とマルコス氏は選挙戦で連携している。ほかの候補者は南シナ海の領有権を主張するなどして対抗している。
抗議集会が開かれていた「アンバサダー橋」はカナダのオンタリオ州ウィンザーから米国ミシガン州のデトロイトに至る幹線道路で、米カナダ間の貨物物流のおよそ3割を占める大動脈だ。
トラック運転手だけでなく反ワクチンの活動家やカナダのトルドー政権の新型コロナ対策に反発を強める右派や極右主義者らも抗議に加わり、複数の地域で物流がまひ。サプライチェーン(部品供給網)に支障が生じ、北米のトヨタ自動車やゼネラル・モーターズ(GM)が生産を一時停止する事態に発展していた。
1994年に北米自由貿易協定(NAFTA)が発効してから米国の自動車生産の中心であったミシガン州と川を挟んで隣接するカナダ・オンタリオ州は部品供給網で密接なつながりがある。
カナダのトラック運転手らによるデモ活動によって米国国境の橋が封鎖されている問題で、自動車のサプライチェーン(供給網)への影響が広がっている。周辺工場の生産への影響は週明け14日以降も続く見込み。ゼネラル・モーターズ(GM)など米自動車メーカーは事態の長期化に備えて部品を空輸する検討に入った。
ウクライナ首都のキエフ制圧に向けて大規模な攻撃を実行する戦力も思いもない。第2次世界大戦下の1943年、旧ソ連がドイツからキエフを奪還するために反撃した際には70万人を動員し、キエフを包囲して制圧するのに1カ月かかった。(現時点でロシア軍はウクライナ周辺に10万人規模とされるため)キエフ制圧は現実的ではないように見える。可能性が高いのは黒海やアゾフ海の海岸線に沿って攻撃を仕掛ける作戦だ。ロシアは複数の上陸作戦を実行する可能性がある。ウクライナを横断したり、中心部を攻略したりするよりも犠牲者をあまり多く出さず、はるかに持続可能性がある。私の見立てでは作戦失敗のリスクが低い。海岸線に攻撃を仕掛けて、ウクライナによる黒海やアゾフ海へのアクセスを遮断すればウクライナ経済に大打撃を与えられる。ウクライナ経済は農産品や鉄鉱石などの輸出に依存しているからだ。アゾフ海の港湾都市であるマリウポリやベルジャーンシク、黒海のオデッサに民間船がアクセスできなければウクライナ経済は崩壊する。それがロシアによる戦略的計画の一部だ
一方でロシアがオデッサに向けて上陸作戦を仕掛けるかどうかはわからない。ロシアは全ての欧州諸国がロシア制裁を実行しないように一定の段階で軍事行動に歯止めをかけるだろう。大都市であるオデッサを武力制圧すればロシアと経済関係が強いドイツやイタリアなども制裁を実行せざるをえないと思う。上陸しなくてもオデッサを崩壊させられるだろう。(物流システムなどに対する)サイバー攻撃といった手段で海上物流の流れを制限して混乱させられる。必ず制圧しなければいけないわけではない
ロシアがウクライナに対して新たな攻撃に踏み切れば、外交努力や米欧の脅しによる抑止が失敗したことになる。中国共産党指導部はこのことを記憶し、台湾や南シナ海に関する米国の意見にあまり耳を貸さなくなるだろう
2回の増派でポーランド駐留米軍は9000人規模に膨らむ見通しだ。ロシアがウクライナを侵攻すれば同国と国境を接するポーランドに対するロシアの脅威が高まる公算が大きい。増派は米国が東欧防衛に関与する姿勢を示す狙いがある。ウクライナ侵攻時に発生する難民に関する対応も担うとみられる。
ウクライナはNATOに加盟しておらず、米欧は戦闘部隊を派遣しない。ロシアがウクライナを侵攻しても、ロシアと米欧が直接戦う可能性は現時点で極めて低い。米欧は武器提供を通じてウクライナを支援していく。ロシアはウクライナ侵攻の可能性を繰り返し否定している。
米ミシガン大学が11日発表した2月の消費者態度指数(速報値)は61.7で前月から5.5ポイント低下した。急上昇が続いている物価が消費者心理を冷やし、2011年10月以来10年4カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(67.0程度)も下回った。「現在の景況」が68.5で3.5ポイント、「今後の見通し」が57.4で6.7ポイントそれぞれ低下した。
予想インフレは1年先が5.0%で前月から0.1ポイント高まり、08年7月以来の高さとなった。5年先は3.1%で横ばいだった。
調査担当者は、物価の高まりに政府の経済政策への不信と景気の長期見通しの悪化が加わり、家計の先行きに不安が増していると分析した。回答者の3分の1が高インフレの家計への悪影響に懸念を示し、約半数は今年のインフレ調整後の所得が低下すると予測した。
足元の指数低下は消費支出の持続的低下の始まりを意味するという。ただ、家計にはかなりの貯蓄があり、特に(バケーションや娯楽などの)サービスへの支出意欲が強いことから、消費の落ち込みは大きくならない可能性があるとした。
21年10~12月期の成長率は年率換算で3.9%増だった。GDPは19年10~12月期を100とすると99.6で、四半期ベースでのコロナ前水準の回復は持ち越した。
前期比の内訳をみるとGDPの6割を占める個人消費が1.2%増と、7~9月期(2.9%増)から鈍った。一般政府支出は1.9%増、企業投資は0.9%増だった。輸出は4.9%増えて全体を下支えした。個人消費は交通や旅行、衣服などへの支出が伸びた一方、オミクロン型の感染拡大が響いてレストラン・ホテルはマイナスになった。
月次GDPは21年12月に前月比0.2%減り、5カ月ぶりに落ち込んだ。英国ではオミクロン型の流行を受けて12月に行動規制の緩やかな強化が図られた。消費意欲が高まるクリスマス時期に催し物の取りやめなどが相次ぎ、生産面で全体の8割を占めるサービス業が0.5%減と振るわなかった。
SIAMのラジェシュ・メノン事務局長は11日の声明で「オミクロン型の懸念と半導体不足によって販売が落ち込んだ」と指摘した。インドでは新型コロナの新規感染者数が1月に急増し、各地で外出が制限された。首都ニューデリーでは、週末の外出禁止措置が1月下旬まで一時導入されていた。足元で感染者数は減少傾向にある。
南米ペルーの中央銀行は10日開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.5%引き上げて3.5%にすると発表した。利上げは7会合連続となる。国際的な燃料価格の上昇や天然資源の需要増を受けたインフレを抑制する狙いがある。
2022年1月のリマ首都圏の消費者物価指数は前年同月比で5.68%上昇した。21年12月(6.43%)からは鈍化したが、中銀目標の上限(3%)を8カ月連続で上回っている。
中銀はこの日の声明で「今年の第4四半期にはインフレ率は目標範囲内に戻ると期待されている」と指摘した。
ペルーは銅や亜鉛といった天然資源の輸出が伸びている。経済は好調だが、21年7月に発足した急進左派のカスティジョ政権は不安定な状況が続いている。金融市場では国による天然資源への管理強化への懸念もある。
ノルドストリーム2は独ロを海底で結んで天然ガスを輸送する全長約1200キロメートルのパイプラインで、すでに完成しているが稼働が遅れている。エネルギー輸出はロシア経済の土台で、稼働が始まらなければ打撃になる。
「1カ所つくるのに10年かかった洋上の集合型風力発電を、あと30年で90カ所つくれるのだろうか」。方針転換の理由は、再生エネルギーだけでは2050年に温暖化ガス排出実質ゼロとの目標を達成できないと判断したためだ。膨大な数の太陽光、風力発電所が必要になるほか、発電量は日光や風など気象条件に左右される。
仏政府によると、原発産業の関連2600社に22万人が勤務している。雇用を守る観点からも、産業規模の維持が必要だとみている。フランスは1~6月に欧州連合(EU)議長国を務めており、加盟国に原発の活用を促すねらいもある。
計画通りに進むかは見通せない。フランス電力公社(EDF)は1月、仏北西部のフラマンビル原発で建設中のEPRの完成が遅れると発表した。07年着工で12年の完成をめざしたが、遅延を繰り返している。経費はすでに当初計画の4倍近くに膨れ上がった。
2月8日には既存の3基で腐食が見つかり、稼働を一時停止すると発表した。類似の問題でほかにも5基が停止中で、国内の原発発電量は1991年以来の水準にまで落ち込む見通しだ。老朽化が進んだ原子炉には、予期せぬ異常が見つかる可能性を排除できない。
「FRBは非常に大きな問題に直面している。量的緩和を続けた結果、株式市場、住宅市場の資産バブルを起こした。米住宅価格はインフレを調整しても2006年より高い。FRBが積極的に利上げを始めると資産バブルが崩壊し、景気後退に陥る現実的なリスクがある。すでにハイテク関連の株価にその傾向がみられる」
メキシコ銀行(中央銀行)は10日、金融政策決定会合を開き、政策金利を0.5%引き上げて6.0%にすると発表した。利上げは6会合連続。メキシコは国内総生産(GDP)が2四半期連続で縮小するなど経済が低迷しており、さらなる利上げは新型コロナウイルスからの回復の足かせになりかねない。
中銀は10日に発表したプレスリリースで2022年1~3月期の消費者物価指数の上昇率が6.9%になるという見通しを示した。21年12月時点で示していた6.7%という見通しから上方修正した。中銀の目標範囲に入る時期は22年10~12月期以降になると指摘している。
中銀が1日に民間銀行など38機関の予測をまとめた調査では、22年の実質経済成長率の見通しは2.27%と21年12月公表時点(2.79%)から下方修正された。一方でロペスオブラドール大統領は2月上旬、定例の記者会見で「22年の成長率は5%になる」と専門家よりも楽観的な見通しを示した。
中国人民銀行(中央銀行)などは、3月から個人預金の管理を強める。現金の預け入れや引き出しが1回あたり5万元(約90万円)を超す際には、お金の出どころや使い道を登録するよう市中銀行に義務付ける。不正所得のマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐ。外貨も対象で、海外への違法な持ち出しを取り締まる狙いもありそうだ。
新法規は管理強化の狙いを「資金洗浄やテロ資金への流用を防ぐため」と説明する。なかでも、脱税など不正所得の資金洗浄を厳しく取り締まる意向がにじむ。
中国メディアによると、2021年に金融当局が銀行に下した処分のうち、資金洗浄に関する処罰案件は1460件だった。前年比5割増で、全案件の16%を占めた。22年秋に予定する5年に1度の共産党大会を控え、地方の党幹部らの腐敗撲滅をてこ入れするという政治的メッセージもありそうだ。
不透明な海外への現金の持ち出しを防ぐ狙いもある。現在持ち出せるのは原則、人民元で2万元、外貨で5000ドル相当だ。ただ生活費など出費が膨らみやすい海外留学の目的だと上限規制が緩いという。
海外との資金取引に詳しい関係者は「子弟の海外留学という理由で外貨を多めに持ち出し、実際は海外で不動産を買う例もある」と語る。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため敷いた入国規制を緩める動きが海外で出始めているなか、留学を隠れみのにした不正な資金持ち出しに目を光らせる意図がうかがえる。
米国の物価上昇の勢いがおさまらない。米労働省が10日発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で7.5%上昇した。前の月(7.0%)から伸びが加速し、1982年2月以来約40年ぶりの高水準となった。長引く高インフレに原油価格上昇が追い打ちをかけ、人々の物価見通しをさらに押し上げる可能性が強まっている。
ホワイトハウスはバイデン米大統領の経済計画についてマンチン上院議員(民主)の支持を得るため、財政赤字削減を強調するよう計画の修正を検討している。政権内の協議に詳しい関係者1人が11日に明らかにした。
米政府の方針転換が実現すれば民主党議員にとっては中間選挙の選挙戦で、共和党議員から無責任な支出増大と批判されるのを回避できる。
●市況
日経先物(大証)26997、ダウ先34627、債先150.11、米1.918、独0.2875、仏0.754、西1.125、伊1.939、原油93.93、ドル円115.40、墨ペソ20.54、トルコリラ13.4735、墨CDS111
※2/11 NY引値
備忘録(2/9)
●コロナ
ニューヨーク州のホークル知事は別の会見で、屋内でのマスク着用義務を10日に解除すると述べた。イリノイ州でもプリツカー知事が屋内公共施設でのマスク着用義務を28日に解除する意向を示した。サンフランシスコ・ベイエリア地域の10郡は16日付で屋内のマスク着用義務の大半を撤廃する。
米ドラッグストア大手CVSヘルスは、今年は検査とワクチンへの需要減退が見込まれると明らかにした。9日の発表文書で同社は、今年は昨年に比べて検査件数が約半分、ワクチン接種件数が最大80%減になるとの見通しを示した。同発表を受けてCVS株は一時6%を超える下落となった。
香港の9日の新規感染者は過去最多の1161人となり、前日の625人から急増。当局は症状が軽度な場合については、患者急増の対応に追われる公立病院の救急部門に行くのではなく、民間医療施設で検査を受けるよう呼び掛けている。
●中国不動産
中国恒大集団が2022年に60万戸、7000万平方メートルの住宅引き渡しを目標に掲げたことが明らかになった。建設中のプロジェクトの早期完成で資金を回収し、経営再建につなげる。60万戸、7000万平方メートルは恒大が引き渡し予定の全プロジェクトの半分近くに相当するという。
22年の目標は資金繰り悪化が表面化する以前の20年(7392万平方メートル、竣工面積ベース)並みの高水準となる。目標を達成できるかどうかは不透明な情勢だ。
会議の席上、恒大のトップの許家印董事局主席は「80%以上の建設会社や資材メーカーなどが当社と取引を継続している」としたうえで、「全面的に建設が正常化して初めて、市場と顧客の信頼を取り戻すことができる」と社員に訴えた。「資産を安値で売ることは許さない」とも強調した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
エヌビディアはアームを現金と株式の組み合わせで買収することに合意。2020年に発表された時点で買収額は400億ドル(約4兆6200億円)規模だったが、その後のエヌビディア株値上がりで600億ドル超に膨らんでいた。アームのIPOでは400億ドルの企業評価も困難とみられる上に、ソフトバンクGはアーム株全てを売却することはできないだろう。
IPOは数カ月後と見込まれ、同社は投資家に必要な詳細な財務情報をまだ開示していない。しかし、業界の水準とアナリストによる当初見積もりによれば、アームの価値は250億-350億ドルとなる公算が大きい。
アシンメトリック・アドバイザーズのシニアストラテジスト、アミール・アンバーザデ氏は「どのような企業評価になるかは分からないが、当社は300億ドルでも厳しいかもしれないと考えている」と述べた。
クラウドコンピューティングや自動車などの分野で重要性が高まっていることを踏まえると、アームが平均を上回る評価を得る可能性は高い。エヌビディアによる買収が実現しなかったのも、単一の市場参加者が所有するにはアームの設計は価値が高すぎると規制当局とクアルコムなどの顧客企業が考えたためだ。
アームは収入の多くをロイヤルティーから得ている。企業価値を収入の10-12倍とするなら、260億-310億ドルになる。
ジェフリーズのアナリスト、アツール・ゴヤール氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、孫氏は「IPOの投資家向け説明会であるかのように、これが理想的な状況だと強調した」が、「IPOのプロセスでは難しくなるだろう。アームは実際、過去3、4年は赤字だ。現在の市場環境でこのような資産に好評価を得ようとするのは難しいだろう」と話した。
株式調査会社ライトストリーム・リサーチのアナリスト、加藤ミオ氏は、IPO価格はテクノロジー株中心のナスダック指数の動向や、テクノロジー株に逆風となる米連邦準備制度の利上げに左右されるだろうとし、「200億-300億ドルすら保証されてはいない」と語った。
ソフトバンクGはアームを320億ドルで買収しており、エヌビディアへの売却ではかなりの利益が出る見込みだった。
計画に対する運航便数の割合である運航率は2月全体でANA(2020年度計画比)が75%、JAL(21年度計画比)が67%とした。新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染が広がる中、運航規模を縮小してコストを抑える。
●その他産業
●決算関連
米ウォルト・ディズニーが9日発表した2021年10~12月期決算は売上高が前年同期比34%増の218億1900万ドル(約2兆5200億円)、純利益が同65倍の11億400万ドルだった。テーマパークの客足回復が進み、売上高は新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年10~12月期(208億ドル)を超えた。動画配信サービスの会員規模も予想を上回り、米国市場の時間外取引で株価は一時9%上昇した。
テーマパークとグッズの販売からなる部門の売上高は前年同期比2倍の72億3400万ドルで、営業損益は24億5000万ドルの黒字(前年同期は1億1900万ドルの赤字)だった。パーク事業は長引くコロナ禍の影響を受けていたが、営業再開が進み、米国を中心にホリデーシーズンの客足が大幅に回復した。
動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」の会員数は1億2980万人で、9月末と比べて1170万人増えた。競合の米ネットフリックスなどと比べて新作が少なく停滞が懸念されていたが、韓国や台湾などで新たにサービスを始めたことで市場予想(1億2575万人)を上回った。
2021年12月期通期の決算は、売上高が前の期からほぼ横ばいの341億1400万ポンド(約5兆3千億円)だった。新型コロナウイルスワクチンの開発が遅れており、ワクチンの売り上げが減った。切り離しを予定する大衆薬事業も不調だった。前の期に事業売却益を計上した反動で、純利益は43億8500万ポンドと24%減だった。
GSKは帯状疱疹(ほうしん)ワクチンのシングリックス、髄膜炎ワクチンのベクセロなどを販売している。米製薬大手ファイザーなどが世界で新型コロナワクチンの売り上げを伸ばす中で、コロナ以外のワクチンの販売は振るわなかった。
新型コロナ向けワクチンは遅れているが、治療薬の開発は比較的順調に進んだ。抗体医薬「ゼビュディ(ソトロビマブ)」は変異型「オミクロン型」にも効果があり、日本では21年9月に承認された。コロナ関連の21年12月期の売上高は14億ポンドだった。
GSKは大衆薬事業を分離し、医療用医薬品やワクチンの開発に注力する予定だが、新型コロナワクチンの開発が遅れるなどして一部の株主から不満の声が上がっている。食品・日用品大手の英ユニリーバはGSKの大衆薬事業買収に500億ポンドを提示したが、GSKは価格が低いとして拒否している。
昨年10-12月(第4四半期)決算では、売上高がアナリスト予想を上回った。アクティブユーザー数は過去最多を記録し、新型コロナウイルスのオミクロン変異株流行による配車サービスへの影響を抑制し、宅配の伸びを後押しした。株価は決算発表後の時間外取引で一時約4%上昇した。
ダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「オミクロン変異株が12月下旬にビジネスに影響を与え始めたが、モビリティはすでに回復し始めている」と述べ、直近の1週間のグロスブッキングが1カ月前に比べて25%増加したことに言及した。
2021年12月期の連結最終損益が120億円の赤字(前の期は763億円の赤字)になったと発表した。従来予想から赤字幅が130億円縮小する。市況が上がり石化製品の採算が改善したほか、半導体材料の販売も好調だった。構造改革費用の一部は22年12月期に計上することになったことで費用が減る。
2021年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比2.8倍の1272億円と過去最高になった。自動車の電動化や高機能化で制御に使うマイコンなどの半導体の搭載数が増えている。英大手同業の買収効果で産業部門の販売も増えた。
三菱ケミカルホールディングスを除く5社の純利益が同期間として最高になった。石油化学製品の価格上昇や、需要が拡大している半導体関連製品が貢献している。急激な原油高で10~12月期の利益率は悪化が目立つ。利益拡大が続くかは、価格転嫁が追いつくかにかかっている。
石化製品が業績を押し上げる構図は各社に共通する。住友化学と三井化学は半導体関連材料も伸び、4~12月期の純利益がともに同期間で最高となった。
ただし10~12月をみると減速が目立つ。6社中3社で利益率が7~9月比で悪化した。三菱ケミHDの売上高コア営業利益率は6.2%と、7~9月期(7.1%)より1ポイント近く下がった。住友化や三井化学も悪化した。旭化成も汎用品が多い基盤マテリアルの営業利益率は11.6%と2.2ポイント悪化している。
背景には急速な原料高がある。石化製品の原料となるナフサの価格は10~12月期に1キロリットルあたり6万700円と4~6月期の4万7700円から27%強上昇している。原油価格はウクライナ情勢を巡る警戒感から高水準で推移している。
需給が緩む懸念もある。21年は2月に寒波によって北米の化学各社の設備が止まった。石化製品の需給逼迫で高騰した価格もいまは落ち着きつつある。三井化学の石化製品を含む基盤素材事業の22年1~3月期のコア営業利益は68億円と、21年10~12月期から6割減る。旭化成も「22年1~3月期は石化製品の採算は低下する」(工藤幸四郎常務執行役員)とみている。
23年3月期の6社の市場予想平均(QUICKコンセンサス)合計は22年3月期比で6%減る見通し。信越化を除く5社は減益となっている。原油高が続くかと、価格転嫁のスピードが来期業績のカギとなりそうだ。
2021年4~12月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比22%増の716億円となった。新型コロナウイルス禍で延期されていた治療の再開を背景に、心臓や脳の血管の治療に使うカテーテル(医療用細管)など主力製品の販売が伸びたことが寄与した。
売上高に当たる売上収益は17%増の5234億円。けん引したのは大黒柱のカテーテルなどを扱う心臓血管事業だ。同事業の売上収益は2割超の増加となった。同日のオンライン会見で武藤直樹執行役員は「心臓血管事業を中心にコロナ禍からの回復軌道に乗った」と説明。為替が円安に振れたことも利益を押し上げた。
2021年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比58%増の2兆3162億円だった。同期間では17年の2兆131億円(当時は米国会計基準)を超え、4年ぶりに最高。為替の円安傾向や1台あたりの採算改善が後押しした。一方、足元の部品不足が響き、22年3月期通期のトヨタ・レクサスブランドの世界生産計画は、850万台と前回見通しから6%(50万台)引き下げた。
●マクロ・その他
2022年1月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.38%上昇した。5カ月連続で10%を上回った。ガソリンや電気代の値上がりが大きく、生産コスト上昇の影響は幅広い分野に広がっている。
1月としては2016年(10.71%)以来の高い水準となった。原油価格の高騰を受けたガソリン価格の上昇率は1年間で43%、電気代は27%となった。干ばつによってニンジンやトマト、タマネギといった野菜、コーヒー、チーズなども値上がりが目立つ。
2022年1月の消費者物価指数は、前年同月比で7.07%上昇した。国民食のタコスに使うライムやジャガイモなど食料品の価格が上昇した。メキシコ銀行(中央銀行)は10日に金融政策決定会合を開く予定で、市場関係者の間では利上げの予想が多い。
1月としては2001年以来の高水準だった。食料品の価格が大幅に上がった。特にライムは前年同月比で69%、ジャガイモおよび芋類は15%上昇した。ほかにもバナナやアボカドなどが値上がりした。一方で航空運賃や観光パッケージなど旅行関連の価格は下がった。
メキシコシティでイベント会場を運営するフェルナンド・ゴメスさん(55)は「インフレで市民の生活に余裕がなくなり、音楽ライブなどのイベントに来る人が減っている」と不満を漏らす。
1月の工作機械受注額(速報値)は前年同月比61.4%増の1430億円だった。15カ月連続で前年実績を上回った。データ通信量の増大を受けた活発な半導体投資を背景に、国内外で半導体製造装置向けに工作機械の引き合いが強まっている。
2026年までに人々の25%が仕事や買い物、教育、エンターテインメントなどのために1日1時間以上をメタバースで過ごすようになると予測した。
「メタバースはデジタル通貨などによって実現される新たなデジタル・エコノミーになる」と予想し、消費者が日常的に接するあらゆるビジネスに影響を与えるとみている。働き方にも影響を及ぼす。企業は仮想オフィス環境を導入することで、従業員同士がつながる機会を提供できるとする。
ただし、メタバース技術の採用は始まったばかりであるため、特定のメタバースへ多額の投資をすることについては「時期尚早」と注意を促した。
米金融当局はインフレ抑制で後手に回っているとの批判を浴びており、1回で0.5ポイントの利上げに踏み切れば、こうした批判が正しいことを認めたものと受け止められかねず、パウエル議長にとってリスクの高い動きとなる。
一方で、セントルイス連銀のブラード総裁やカンザスシティー連銀のジョージ総裁といったタカ派の当局者でさえも最近、漸進的な動きの方が望ましいとの考えを強調している。FOMC参加者は昨年12月公表の金利予測分布図(ドット・プロット)中央値で今年3回の利上げを予想。予測は3月に更新される。
米クリーブランド連銀のメスター総裁とアトランタ連銀のボスティック総裁は9日、共に3月の利上げ開始を支持するとした上で、利上げ幅についてはあらゆる選択肢があり得るとの立場を示した。ただメスター総裁は0.5ポイントの利上げ幅を裏付ける説得力のある論拠は見当たらないと指摘した。
米国と欧州の企業のクレジットリスクを反映する指標が最近数週間でいずれも急上昇した。リセッション(景気後退)の予兆となる「炭鉱のカナリア」という評判を前提とすれば、企業のクレジットスプレッド拡大は金融情勢に波及したり、市場をさらに動揺させたりする危険がある。
このため、景気の安定を損なうことなくインフレ抑制を目指す米連邦準備制度と欧州中央銀行(ECB)にとって問題になりかねない。
メドレー・グローバル・アドバイザーズのグローバルマクロ・ストラテジスト、ベン・エモンズ氏は、株式市場の急落が「社債に飛び火した」とした上で、「株式相場の変動の結果として、社債が『安定』していたという認識と物語が変わりつつある」と指摘した。
北米企業の信用リスク指標であるマークイットCDX北米投資適格指数のスプレッドは昨年11月初めから10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し、62bpと2020年10月以降で最も高くなった。マークイットiTraxx欧州指数も13bp上げている。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期間の大半で続いた海運の滞りは今年下期に解消され始めると予想。これによりコンテナ輸送能力にかかる圧力は緩和されるだろうが、同社にとってスポット市場で得られる売上高は減ることになると語った。スポット市場の運賃は最も混雑するルートで2019年の水準に比べ依然10倍もの高値が続いている。
●市況
日経先物(大証)27797、ダウ先35690、債先150.12、米1.939、独0.2170、仏0.674、西1.077、伊1.763、原油90.11、ドル円115.62、墨ペソ20.49、トルコリラ13.5496、墨CDS108
※2/10 9時20分頃
備忘録(2/8)
●コロナ
カナダ全土で新型コロナウイルスのワクチン接種義務化に抗議するトラック運転手らによるデモが激しさを増している。7日夜にはトラックの車列が米カナダ間で最も交通量が多いとされる「アンバサダー橋」の通行を双方向で遮断した。ロイター通信によると、8日も米からカナダに向かう車線の遮断が続いた。
オンタリオ州ウィンザーと米ミシガン州デトロイトを結ぶアンバサダー橋は1日だけで約8千台のトラックが往来し、3億2300万ドル(373億円)相当の商品が輸送されるという。他に複数の交通拠点でも封鎖の動きが報告されており、国境を挟んで供給網を形成する自動車産業など経済活動への影響が懸念されている。
●中国不動産
規制を見直して建設を促すのは、周辺の同じ規模の物件に比べて家賃が割安な「保障性賃貸住宅」だ。地方政府の認可を条件に、建設資金の補助金や税優遇を受けられる。
狙いは2つある。まずは不動産企業が資金を借りやすくし、建設を促して不動産市場の落ち込みを食い止めることだ。
もう一つは、若年層や都市部への移住者の住宅難を緩和することだ。中国では住宅ローンの返済など生活費の高騰や就職難に嫌気が差して、将来に大きな希望を抱かない「寝そべり族」の出現が社会問題となっている。安価な物件の供給を増やして、不満を和らげる狙いだ。
中国で不動産企業の社債利回りが乱高下している。中国恒大集団の部分債務不履行(デフォルト)に加え住宅販売が減少し、業界大手の世茂集団(シーマオ・グループ)など同業他社にも資金繰り不安が波及しているためだ。中国政府は2022年の住宅市場の政策目標を「安定」とし、不透明感の払拭に躍起になっているが、先行きは予断を許さない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
孫正義社長は8日夕の記者会見で、IT業界や「各国政府の強い動きで断念した」と説明。各方面からの強い反対を受けたのは「想定外」で、背景には「シリコンバレーのほとんどが直接的、間接的にアームの製品を使っているからだ」との認識を示した。また、アームの上場市場については「ナスダックを中心に米国での上場を考えている」と表明した。
ソフトバンクGは同日、規制上の理由により、エヌビディアとアームの売却契約を解消することで合意したと発表。売却の対価として受け取っていた前払い金12億5000万ドル(1438億円)には返金の義務はなく、1-3月期(第4四半期)に利益として認識するという。
ソフトバンクGが同日発表した21年10-12月期(第3四半期)の純利益は前年同期比98%減の290億円。昨年12月に上場した中国の人工知能(AI)大手、商湯集団(センスタイム)など新規上場銘柄の株価は上昇したが、中国の配車サービス大手の滴滴グローバルなど既存上場銘柄の株価下落が響いた。ソフトバンクGの最大の出資先であるアリババ・グループ・ホールディングも米国市場で約2割下げた。
発表資料によると、ビジョン・ファンドからの投資損益は1115億円の黒字と、前の四半期の1兆1671億円の赤字からは改善した。ただし、持ち株会社投資事業を含めた投資損失は2640億円となった。
孫社長は会見で、第3四半期は高成長企業の株価下落が続くなど「冬の嵐は決算上、まだ終わっていない」と発言。昨年12月末時点の時価純資産(NAV)の地域別割合は中国が32%、日本・アジア・欧州が46%、米国が22%になっているとし、「中国銘柄でビジョン・ファンドの利益を傷めている」と話した。
また、アリババ株についてはNAVに占める割合が24%と減少傾向にあると説明した上で、「一部現金化した部分はビジョン・ファンドの投資に回せる」との考えを示した。
●その他産業
日本勢は国際市況の軟化で減速感が出ているほか、海外勢も四半期の利益が頭打ちになった。原料高や自動車の減産なども重荷だ。もっとも利益水準は高い。市況や原料価格に合わせ利幅を維持・拡大できるかが好業績の持続性を左右する。
マンディアントの株価は8日に一時26%上昇し、時価総額は約44億ドル(約5080億円)に膨らんだ。一方、マイクロソフトは一時1%高。
マンディアントが加われば、サイバーセキュリティーの脅威に対して顧客を保護し、対応するマイクロソフトの製品が拡充する。マイクロソフトは昨年、規模が比較的小さいサイバーセキュリティー企業2社を買収。先月発表した2021年のセキュリティーソフト売上高は150億ドルと、前年比で約45%増えた。
●決算関連
米ドルなどに対する円安傾向が追い風となるほか、北米を中心に新車の値引きが抑えられ採算が改善する。また欧州向けの新型エンジン開発をやめる方針も示した。
地域別では売上高の半分を占める米国で、4~12月期の販売台数を8%増やした。複数の新型車がけん引し、北米事業の営業利益は前年同期の8倍の2719億円に。半導体不足で新車の供給が抑えられ、販売奨励金の削減につながったことも利益を押し上げた。グプタ氏は日本経済新聞社の取材に「米国でのブランド力は上がって顧客の質も高まった」と述べた。
ただ自動車事業全体の営業損益は4~12月期で1121億円の赤字だった。販売台数は前年同期を上回ったがなお低水準で、販売金融が営業損益を支える状態が続いた。
ガソリンエンジンの開発に関して、グプタ氏は「ユーロ7以降はやらない」と語った。欧州では25年にも排ガス規制「ユーロ7」が導入される。新たな触媒などで「顧客の負担が大きくなる」と説明。日本などについても「電動車シフトの準備はできている」とした。
北米などで旅客機の稼働が回復し、航空機エンジンのスペアパーツの販売が復調した。原子力発電所の再稼働に向けた工事も堅調だったほか、為替差益も寄与した。
8日の発表によると、ファイザーが見込む通期の調整後1株当たり利益は6.35-6.55ドル。アナリスト予想は6.65ドルだった。通期売上高は最大で1020億ドル(約11兆7650億円)としたが、アナリストの予想平均は1060億ドルだった。
控えめな見通しが嫌気され、8日の米国株式市場早朝の時間外取引で同社株は一時4.2%安と売られている。
ファイザーは1月後半までで今年用のワクチンについて320億ドル、パクスロビドは220億ドルの注文を受けたと明らかにした。だが、この受注額もそれぞれ市場予想を下回った。
ワクチンは昨年1年で368億ドル、同10-12月(第4四半期)で125億ドルの売り上げを計上した。このワクチンはドイツのビオンテックと共同開発されたため、利益は分割される。一方、単独で開発されたパクスロビドの売上高は第4四半期で7600万ドルだった。
22年12月期通期の業績予想は、売上高が前期比21~25%増の980億~1020億ドルを見込み、初となる1000億ドルの大台を超える可能性がある。
同日発表した21年10~12月期決算は、売上高が前年同期比2倍の238億ドル、純利益が4倍の33億ドルだった。新型コロナワクチンの売上高が125億ドルとなり押し上げたほか、パクスロビドの売上高は7600万ドルだった。
●マクロ・その他
新型コロナウイルス禍で縮んだ個人消費の回復が進んでいない。総務省が8日発表した2021年の家計調査によると2人以上の世帯の消費支出は実質で0.7%増にとどまった。勤労者世帯の平均貯蓄率は34.2%と、2年連続で35%前後と高止まりしたままだ。堅調な消費が景気をけん引する米国とは異なり、コロナで我慢していた需要が盛り返す「リベンジ消費」は勢いがなく、成長軌道への道筋は見えにくい。
フランス大統領府は8日、ロシアが10日からベラルーシで本格化させる合同軍事演習について、終了後にロシア軍が部隊を撤収させる方針だと明らかにした。7日の仏ロ首脳会談でロシア側に確認したという。だが、ロシアはなおウクライナとの国境付近に10万人規模の部隊を展開している。緊張の緩和につながるかどうかは不透明だ。
巨額の財政出動や経済再開で個人消費が伸び、輸入品への需要が高まった。米国の保護主義の姿勢が強まる可能性もある。
21年の貿易赤字は1兆783億6800万ドルとなり、前年に比べて18.4%増えた。国内総生産(GDP)の5%弱を占めた。この比率が最も高かった06年(6%)を下回るが、金額ベースでは過去最大になった。
21年の輸入は2兆8329億ドルと21.3%増えた。新型コロナウイルスのため自宅で過ごす時間が長くなり、スマートフォンやパソコンを含む電子機器、家具、玩具など消費者に身近な製品の需要が伸びた。これらはいずれも中国やベトナムなどからの輸入品に大きく頼っている。需給が逼迫する半導体は台湾などからの輸入が伸びた。
輸入は20年夏に新型コロナの感染拡大前の水準に戻り、21年も拡大を続けた。一方、輸出が新型コロナの前の水準に回復したのは21年に入ってからだ。米国の経済回復がほかの国に先行し、その時間差で輸入額が輸出額を上回るペースで増えたため、貿易赤字が膨らんだ。
PIIEのエコノミスト、ゲイリー・ハフバウアー氏は「巨額の貿易赤字は新型コロナ下での経済回復を示しており、深刻な問題ではない」と指摘する。だが、政治的には「与野党がともに保護主義的な態度を一段と強めるきっかけになるだろう」と懸念を示す。
22年も米国の貿易赤字は高水準で推移する見通しだ。支持基盤に労働組合を抱えるバイデン政権は国内生産への回帰を目指す。野党・共和党でも自由貿易に否定的な勢力が増えている。11月の中間選挙に向け、米国が一段と内向きになるリスクは拭えない。
CSI300指数は一時2.4%安まで下げながらも、0.6%安まで戻して引けた。事情を直接知る関係者2人によると、午後に複数の政府系ファンドが人民元建てのA株に買いを入れた。関係者は非公表の情報だとして匿名で語った。
「国家隊」とも呼ばれる政府系ファンドの買いは相場の下落ペースを鈍化させることを意図したものだと、関係者の1人は述べた。この日はCSI300指数が下げたものの、エネルギーや公益、金融など景気循環に敏感なセクターの業種別指数は上昇した。
シンガポールのエネルギー情報会社スパーク・コモディティーズによると、米国と欧州の間を運航する液化天然ガス(LNG)船の用船料が8日、1日あたりマイナス750ドル(約8万7000円)となった。大西洋路線でLNG船が大量に投入されたため、船の余剰が発生した。マイナスとなるのは初めて。
船は港に停泊すると岸壁の使用料を支払う必要があるうえ、沖合で待機するにも燃料代が必要で、海運会社はこうしたコストを考慮するとマイナスでも貸し出した方が損失を減らせると判断した。海運会社関係者によると「ばら積み船では用船料がマイナスになることがたまにあるが、LNG船では聞いたことがない」という。
テクノロジー大手の米国預託証券(ADR)が急伸し、アリババグループと拼多多(ピンドゥオドゥオ)はそれぞれ6.2%高と13%高で引けた。配車サービス大手の滴滴グローバル、検索エンジン大手の百度(バイドゥ)、電子商取引のJDドットコム(京東)も3%を超える上げとなった。
理論上、債券利回り上昇はドルを支えるというの が通説だが、トレーダーらは米金融政策引き締めで先行きの経済成長が損なわれるとみている。ドルが年初来の上昇分を消す中、ドルのコールオプション需要は9カ月ぶりの水準に急減。モルガン・スタンレーやバンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループといったドル強気派は守勢に立たされている。
ドルの動きは通常、景気動向と絡み合っている。米成長率が他の国・地域を上回る、あるいはリスク回避でドル需要が高まる状況でドル高が想定される「ドル・スマイル理論」としても知られる。ドルは1月の株安の局面で力強さを増したが、それ以降はそうした上昇分を消し、米利上げ期待の高まりを追い風にできていない。利上げ期待は通常、高い利回りを求める国外投資家にとって買い材料になる。
●市況
日経先物(大証)27435、ダウ先35393、債先150.10、米1.954、独0.2645、仏0.718、西1.112、伊1.837、原油89.70、ドル円115.50、墨ペソ20.62、トルコリラ13.5778、墨CDS106
※2/9 9時40分頃
備忘録(2/7)
●コロナ
トナムとの国境沿いにある百色市では6日に計98人の陽性者が確認された。感染拡大を防ぐため、市内ならびに市外への移動が禁じられ、全住民が自宅にとどまるよう求められた。
中国本土で都市封鎖が実施されるのはこの2カ月間で西安、安陽両市に次いで3都市目。デルタ、オミクロン両変異株が広がっており、コロナ抑え込みがいかに難しいかを浮き彫りにしている。
人口約360万人の百色市は西安、安陽両市に比べて規模が小さく、経済的重要性も劣るが、都市封鎖に踏み切る理由は同じだ。コロナ感染が知らず知らずのうちに広がっているようであり、これ以上の拡大を防ぐには全面的な移動制限しかないという状況に至った。
香港当局の7日発表によると、607人の域内感染が新たに報告された。このうち感染経路が判明したのは150人のみとされ、相当数の感染が経路不明のまま香港社会に広がっていることが示唆される。当局は先週の春節(旧正月)連休中に人が集まったことが感染急拡大の原因だとみている。暫定検査ではさらに600人余りが陽性と判定されているという。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
中国の電子商取引最大手アリババ・グループ・ホールディングは4日、米国預託株式(ADS)10億単位の追加登録届出書を米証券取引委員会(SEC)に提出した。
シティグループのアリシア・ヤップ氏らアナリストはリポートで、ソフトバンクグループはアリババの新規株式公開(IPO)前からの株主であることから、保有するアリババ株の大部分はADSとして登録されていないと指摘。従って今回の登録はソフトバンクGが持ち分の一部を売却しようとしていることを示している可能性があるとの見方を示した。
シティによると、ソフトバンクGはアリババ普通株53億9000万株を保有。これはADS6億7376万単位に相当する。持ち分比率は24.8%。
投資調査会社レッドエックス・リサーチのアナリスト、カーク・ブードリー氏はソフトバンクGのポートフォリオ企業の評価損は21億ドル(約2500億円)だったと推定。第3四半期には10社の新規上場(IPO)があったものの、損失を相殺するには至らなかっただろうとみている。
時価総額が約4兆円の食事宅配の米ドアダッシュは、昨年11月に上場来高値を付けたが、その後の調整で結局同四半期に28%下落した。ソフトバンクGの最大の出資先であるアリババ・グループ・ホールディングも、米国市場で約2割下げた。
一方、ロボット販売のノルウェーのオートストア・ホールディングスは昨年10月にオスロ証券取引所に上場し、同四半期に株価は12%上昇。12月に上場した中国の人工知能(AI)大手、商湯集団(センスタイム)も43%上昇し、ファンド収益を下支えした格好だ。
1月以降もビジョン・ファンドの出資先企業の株価は軟調な展開が続いており、レッドエックスでは通期(2022年3月期)ベースでも134億ドルの評価損になっていると分析。現時点で厳しい決算の継続を予想している。韓国電子商取引のクーパンは1月に29%、ドアダッシュは24%、オートストアHDは28%それぞれ下落した。第3四半期のIPO銘柄も、年明け以降はさえない。
ブードリー氏はスマートカルマに配信したリポートで、「投資ポートフォリオが弱体化するということは資産売却が難しくなることを意味する」と指摘。また、2号ファンドへの投資が加速し、自社株買いに充てるキャッシュが残っていない可能性があり、資産を売却せずに自社株買いの資金を調達するのは難しいとの見方も示した。
ソフトバンクGではアームの米エヌビディアへの売却を計画し、総額400億ドルの売却益を見込むが、関係当局の認可が下りず、先行き不透明感が広がっている。経営体制にも混乱がみられ、9年間在籍したマルセロ・クラウレ副社長兼最高執行責任者(COO)が先月辞任した。
ファンド事業を巡っては、中国でIT企業に対する規制強化の動きが強まる中、リスク分散の必要性に迫られている。全額自己資本で賄う2号ファンドの地域別ポートフォリオ比率は米州42%、欧州28%、中国15%。同社は現在、日本で案件発掘のための体制強化に取り組んでいる。
●その他産業
格安航空会社を傘下に持つ米フロンティア・グループ・ホールディングスは、同業のスピリット航空を29億ドル(約3300億円)で買収することで合意した。成長している米格安航空2社が統合することになる。
調査会社のスタティスタによると、2020年の米国内線のシェアは首位がアメリカン航空(19%)で、格安のサウスウエスト航空(17%)、デルタ航空(16%)、ユナイテッド航空(12%)が続く。5位のスピリット(6%)とフロンティア(4%)が合併すれば大手4社に迫る規模になる。
フロンティアのバリー・ビッフル最高経営責任者(CEO)は「より多くの人に、多くの場所で低価格運賃を提供できる」と述べた。フロンティアは西部コロラド州、スピリットは南部フロリダ州を拠点としており、路線を補完しあえるとみる。今後、350機以上の航空機を発注して便数を増やす。
長期的なパイロット不足や燃料費の高騰などコスト増がのしかかるなか、両社は規模の追求を選んだ。米航空大手の大型M&A(合併・買収)は16年にアラスカ航空がヴァージン・アメリカを買収して以来となる。
バイデン米政権は業界の寡占に批判的な姿勢を強めており、米当局による審査が今後の焦点となる。21年9月には格安大手のジェットブルー航空がアメリカン航空と進める共同運航(コードシェア)便に対して、米司法省が差し止めを求めて提訴した。
米国を除く主要市場でガソリンエンジンの新規開発を終了する。欧州向けではすでに開発を取りやめており、今後は日本や中国向けでも中止する方針だ。背景にあるのは世界的な電気自動車(EV)シフトに伴う規制強化。開発だけでなく生産でも脱エンジン車の動きは広がっており、車大手は抜本的な構造改革を避けられない状況にある。
中国での1月の新車販売台数が前年同月比21.5%減の14万8800台だったと発表した。2カ月ぶりに前年実績を割り込んだ。天津市で新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が確認され、同市内の合弁工場が1月10~21日に稼働を休止した影響が出た。
スーパーなど低価格を売りにする業態向けのみ出荷価格を5~8%引き上げ、コンビニエンスストア向けは据え置く。食品は原料価格の上昇で値上げ表明が相次ぐが、店頭価格に転嫁できない商品も多い。業種を絞って値上げし、店頭での値崩れを防ぎたい考えだ。
欧州連合(EU)の規制次第では欧州でのサービス継続が難しくなるとの見方を示した。EUは米IT(情報技術)大手への締め付けを強めている。米国へのデータ移管ができなくなれば事業継続は難しく、フェイスブックやインスタグラムなどSNS(交流サイト)が使えなくなると訴えた。
EUの最高裁判所にあたる欧州司法裁判所は2020年7月、米・EUが16年に締結した「プライバシー・シールド」と呼ぶ個人情報移転のルールを無効とする判断を下した。メタは、個人情報をEU域外に移管するための「標準契約条項(SCC)」に基づいてデータを移管しているが、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は20年8月、SCCについても一般データ保護規則(GDPR)に沿わないなどと判断し、データ移管を禁止する仮命令を出した。メタによると最終的な判断は早ければ22年前半に示される見通しという。
メタは3日に公表した21年の年次報告書で、EUの規制に対する見方を示した。「新しい大西洋横断のデータ移管の仕組みが採用されず、SCCや他の代替手段に依存できない場合、フェイスブックやインスタグラムなどのサービスを欧州で提供できなくなると考えられ、当社の事業や財務状況に重大な悪影響を与える」と指摘した。
GDPRは世界で最も厳しいとされる情報管理を企業に求めており、違反した企業には多額の罰金を科している。Zホールディングス傘下のヤフーは1日、英国と欧州経済地域(EEA)で大半のサービスの提供をやめると発表した。4月6日以降、検索サイト「ヤフージャパン」やニュースサイト「ヤフーニュース」が閲覧できなくなる。「コストの観点で、欧州の法令順守を徹底するのが難しくなったため」(ヤフー)としている。
詳細が非公開であることを理由に匿名で語った関係者によると、米国は日本から輸入する鉄鋼に対し、一定の数量までは25%の関税を廃止する。それを超える分については引き続き追加関税の対象になるという。この取り決めは、米国が昨年10月に欧州連合(EU)との間で合意した内容と似ている。
●決算関連
21年に独化学大手BASFから買収した塗料やインクなどの原料となる顔料事業の業績が低迷し、米国で繰り延べ税金資産を143億円取り崩したことが響いた。
新型コロナウイルスのワクチン接種の普及などで鉄道やバスの利用が増え、運輸業が黒字転換した。
愛知県などに発令されていた緊急事態宣言が21年10月に明けたことで人出が増え、鉄道などの交通事業やレジャー・サービス事業が好調だった。新型コロナウイルス禍前の19年4~12月期以来の最終黒字となった。
2022年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比20%増の1兆1000億円になる見通しだと発表した。従来予想を150億円上回り、過去最高益となる。システム開発を手掛けるNTTデータがデジタルトランスフォーメーション(DX)の追い風を背景に国内外で好調を維持する。年間予想配当は115円と、従来予想から5円引き上げた。
営業収益は2%増の12兆1800億円、営業利益は4%増の1兆7450億円と、それぞれ従来予想を1800億円、150億円上方修正した。
2022年3月期の連結純利益が前期比34%増の2100億円になる見通しだと発表した。欧米で省エネルギー性能に優れたエアコンが伸びる。日本を中心に換気機能付き機種がヒットしており、従来予想を70億円引き上げた。上方修正は今期3回目。原材料高を吸収し、4期ぶりに最高益を更新する。
連結営業利益は同30%増の3100億円と、従来予想を100億円上回る。銅などの原材料高や物流費上昇による減益要因は1270億円とこれまでの想定より150億円増えるが、新機種発売などのタイミングで価格転嫁を進め、値引き販売も抑制して吸収する。
コロナの変異型「オミクロン型」の感染拡大による影響は「日本以外は行動規制などを解除する方向で限定的だ」(同社)とみる。世界的に需要が冷え込んだ業務用は外食を除けば回復傾向。ベトナムやタイは前期実績を下回るが、感染拡大が深刻だったインドは販売が急速に回復しているという。
2021年4~12月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比15倍の500億円だった。国産ジェット旅客機の事業化凍結に伴う開発負担の減少に加え、フォークリフトなどの物流機器や自動車部品の販売が好調だった。鉄や銅などの原材料コストは上昇したが、影響を吸収した。
●マクロ・その他
バンク・オブ・アメリカ(BofA)とEPFRグローバルのデータによれば、2月2日までの1週間の債券ファンドからの資金流出額は116億ドル(約1兆3400億円)と、週間ベースで21年3月以降で最も大きく、高利回り債と投資適格債は03年以降で9番目に大きな流出となった。
米資産運用会社ブラックロックのポートフォリオマネジャー、ジェフリー・ローゼンバーグ氏はブルームバーグ・サーベイランスで、「われわれはマイナスの実質金利が執拗(しつよう)に続く時代から抜け出すだろう」と予測した。
かつては当たり前だったが、インフレ調整ベースでも債券投資でプラスの利回りが得られる先進国市場の世界をわれわれは先週にかけ垣間見た。その認識が浸透するにつれて、より大きな衝撃を与えるだろう。セーフティーネット(安全網)はもはやなくなった。セントラルバンカーは市場の悪化よりインフレの暴走を恐れているようだ。
成長の勢いのおかげで市場は恐らく曲がっても折れずに済むだろう。しかし、実質利回りの世界が何を意味するか投資家が見直しを進める過程で、今後数週間の相場が一層荒れても驚きではなかろう。不確実な経済モメンタムに照らして、ほぼ全ての資産の再評価が必要だ。
タイスハースト氏は「長期債利回りは初回利上げの前にピークを付ける可能性が低いことが過去のデータに示唆されている」と指摘。オーストラリアについては最初の利上げはまだ数カ月先のようだとした。
ビトルのアジア責任者マイケル・ミュラー氏は「中国国有企業の在庫量は必要最低限の水準と言っていいと思う。旧正月明けに中国で何が起きるかに全ての注目が集まっている。一定の在庫補充が必要と感じられる」と6日のポッドキャストで発言した。
ミュラー氏は、世界最大の原油輸入国である中国について、現在の価格は消費を抑制するほどまだ高くないと述べ、「彼らがアクセルから足を離したようには見えない。旧正月入り直前まで国有企業は今の価格での原油購入に関心を示していたようだ」と語った。
フランスのマクロン大統領とロシアのプーチン大統領は7日、モスクワで会談した。緊迫するウクライナ情勢について平和的な解決を目指すことで一致したが、具体的な行程は不透明なままだ。欧州はロシアとの交渉を加速する考えで、マクロン氏は「今後数日がカギを握る」と語った。
約6時間続いた会談後の記者会見で、プーチン氏は「ウクライナ情勢が平和的に解決することを望んでいる。事態打開の土台となる提案もフランス側からあった」などと語った。マクロン氏も「いかなる状況の悪化も防ぐよう努力しなければいけない。意見が一致する点も見つけた」と応じ、議論の成果を強調した。
バイデン米大統領とドイツのショルツ首相は7日、ホワイトハウスで会談した。ロシアがウクライナに再侵攻した場合、ロシアに大規模な経済制裁を科す方針を確認した。バイデン氏は会談後の共同記者会見で、侵攻すれば独ロを結ぶ新たなガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」は稼働しないと明言した。
米国と欧州連合(EU)は7日、エネルギー協力に関する閣僚協議を開いた。欧州がロシアに天然ガスを頼るリスクが浮き彫りになったウクライナ危機を踏まえ、調達先の多様化を柱とした共同声明をまとめた。欧州のガス不足を想定して産出国が追加供給する交渉を急ぎ、再生可能エネルギーの普及で脱ロシア依存をめざす。
ゴールドマンとシティのアナリストは、こうした急激な利上げが決まる公算は小さいとみて、通常行われることが多い0.25ポイントの利上げだった場合に利益を得られるトレーディングを提案している。
ラガルド総裁は欧州議会で、ユーロ圏経済が新型コロナウイルス禍から抜け出しつつある中で「データ重視」が以前にも増して重要になり、当局者には「かつてないほど」柔軟性と選択性の維持が求められていると語った。
「今後入ってくるデータへの注視を続け、中期的なインフレ見通しに対する影響を慎重に分析する」と発言。「政策を調整する場合は常に漸進的に行う」と述べ、拙速に結論を急ぐ必要はないとの認識を示した。
総裁は「資産の純購入終了と利上げ開始の順序は明確にされている。利上げが純購入終了より前に来ることはない」とも説明した。
●市況
日経先物(大証)27253、ダウ先35010、債先150.26、米1.919、独0.2250、仏0.669、西1.075、伊1.800、原油91.45、ドル円115.07、墨ペソ20.59、トルコリラ13.6003、墨CDS106
※2/8 8時35分頃
備忘録(2/4-6)
●コロナ
[FT]西オーストラリア州、州境閉鎖継続 鉱山は人手不足
オーストラリア最大の州で鉱物資源の豊富な西オーストラリア州は2年間の及んだ他州との往来制限を2月5日に解除する予定だった。
だが、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染急拡大を受け、マクガワン州首相が1月20日、この計画を破棄して州境閉鎖を当面継続すると発表した。州民の間にいら立ちが広まり、鉱山業界はひどく落胆している。
●中国不動産
中国恒大のドル建て債が急上昇、大規模な債務再編に進展の兆し
同社の2025年償還債は額面1ドル当たり16.9セントと前日から4.9セント上昇し、昨年9月後半以降で最大の上昇を記録する勢い。オンライン情報プラットフォームのリスク・イベントドリブン・アンド・ディストレスト(REDD)はこの日、広東省政府が3月までに債務再編の枠組みを発表する計画だと伝えた。
REDDが情報源を明示せずに報じたところによると、中国恒大の債務について広東省政府は法廷外での再編を提案し、オンショア債務の再編からオフショアの債務と資産を切り離すことを計画。合計で約55億ドル(約6260億円)と評価される電気自動車と不動産管理部門を含む資産売却を活用し、オフショア債務のうち1500億元(約2兆7000億円)の返済を目指すという。
嘉浩資本(香港)の債券責任者アンソニー・レオン氏は「速やかな解決に向け政府が支援する姿勢は、投資家にとって朗報だ」と指摘。中国恒大の債務再編の「規模と複雑さ」を考えれば、3月までの計画発表は極めて速いと付け加えた。
●コロナ
[FT]西オーストラリア州、州境閉鎖継続 鉱山は人手不足
オーストラリア最大の州で鉱物資源の豊富な西オーストラリア州は2年間の及んだ他州との往来制限を2月5日に解除する予定だった。
だが、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染急拡大を受け、マクガワン州首相が1月20日、この計画を破棄して州境閉鎖を当面継続すると発表した。州民の間にいら立ちが広まり、鉱山業界はひどく落胆している。
●中国不動産
中国恒大のドル建て債が急上昇、大規模な債務再編に進展の兆し
同社の2025年償還債は額面1ドル当たり16.9セントと前日から4.9セント上昇し、昨年9月後半以降で最大の上昇を記録する勢い。オンライン情報プラットフォームのリスク・イベントドリブン・アンド・ディストレスト(REDD)はこの日、広東省政府が3月までに債務再編の枠組みを発表する計画だと伝えた。
REDDが情報源を明示せずに報じたところによると、中国恒大の債務について広東省政府は法廷外での再編を提案し、オンショア債務の再編からオフショアの債務と資産を切り離すことを計画。合計で約55億ドル(約6260億円)と評価される電気自動車と不動産管理部門を含む資産売却を活用し、オフショア債務のうち1500億元(約2兆7000億円)の返済を目指すという。
嘉浩資本(香港)の債券責任者アンソニー・レオン氏は「速やかな解決に向け政府が支援する姿勢は、投資家にとって朗報だ」と指摘。中国恒大の債務再編の「規模と複雑さ」を考えれば、3月までの計画発表は極めて速いと付け加えた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
西武HD、ホテルなど30施設売却 外資系に1500億円規模
西武ホールディングス(HD)はプリンスホテルやレジャー施設など国内の約30施設をシンガポール政府系投資ファンドのGICに売却する方向で最終調整に入った。売却額は1500億円規模となる見通し。売却後もホテルなどの運営は続ける。新型コロナウイルス禍で消費動向が変わるなか、資産を減らして経営効率を高める動きが広がっている。
外資ファンド、「安い」日本に照準 西武HDが施設売却
世界の不動産価格が高騰するなか、低金利で資金調達できる日本はなお割安な投資先として外資の的になっている。
楽天、4Gカバー率96%に ソフトバンクは5Gで85%
●決算関連
●マクロ・その他
中国・春節休暇、観光収入が前年割れ コロナで移動控え
1月31日から始まった中国の春節(旧正月)に伴う大型連休が2月6日に終了した。文化観光省は同日夜、期間中の国内旅行者数が2億5100万人と前年同期比2%減(2019年比26.1%減)と発表した。観光収入も2891億元(約5兆2000億円)で同3.9%減と落ち込んだ。
仏極右2人が大規模集会 大統領選で差別化に躍起
ルペン氏は今年初めてとなる大規模集会を仏東部ランスで開いた。約4千人を前に「マクロン氏は前進しようとして破壊を生み、発展させようとして後退させている」と声を張り上げた。ゼムール氏の主張は過激だとして中道右派を取り込む考えで、最近は「ゼムール陣営には何人かナチス(のような主張を持つ人物)がいる」と発言して物議を醸した。
ゼムール氏が集会を開いたのは北部リール。伝統的にルペン氏が強い地域で、同氏の支持層を切り崩す狙いがある。ゼムール氏は反イスラム教や人種差別的な社会観を明確に打ち出すことで、ルペン氏に失望した極右有権者にアピールしている。最近は低所得者を意識した主張も展開。「私は税金の無駄遣いをやめる大統領になる」と語り、大規模な減税を約束した。仏メディアによると、6千~8千人の支持者が集まった。
仏ラジオ・フランスアンフォが5日報じた世論調査によると、支持率はマクロン氏が24%。中道右派共和党のペクレス氏が16.5%、ルペン氏とゼムール氏が14%で並んでいる。マクロン氏はまだ正式な出馬表明をしていない。ペクレス氏は13日にパリで大規模集会を開く考えだ。
ペンス前米副大統領、トランプ氏に反論「選挙覆せない」
ペンス氏は4日、南部フロリダ州で開いた保守派団体のイベントで演説し「合衆国憲法のもとで私に選挙結果を変える権限はなかった」と指摘。「一人の人間が米国の大統領を選べるという発想ほど非アメリカ的な考えは他にない」と強調し、トランプ氏に苦言を呈した。
ペンス氏は副大統領在任中に大統領のトランプ氏へ強い忠誠心を示してきた経緯があり、名指しでトランプ氏を批判するのは珍しい。
マリオットなど外資系ホテル3社に聞く 欧米並み目指す
外資系ホテルが日本で一段と攻勢に打って出る。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が直撃し観光業界には逆風が続くが、コロナ禍収束後の旅行回復時には、旅行先として日本の需要が高いと見ているためだ。
公的年金運用、5.4兆円の黒字 21年10~12月
米長期金利1.93%に上昇、2年ぶり水準 雇用統計受け
長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時、前日比0.10%高い1.93%をつけ、2020年1月以来、約2年ぶりの高水準を記録した。朝方発表の1月の米雇用統計で、雇用者数の増加幅が市場予想を上回った。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑止に向けて金融政策の正常化を急ぐとの見方が強まり、債券売りが膨らんだ。
好調な雇用統計を受けて、FRBがよりタカ派姿勢を強めるとの思惑が広がり始めた。米金利先物の値動きから金融政策を予測する「Fedウオッチ」によると、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で「0.5%」の利上げを決める確率が30%を超えてきた。3日時点では14%だった。依然「0.25%」の引き上げ予想が大勢だが、FRBがインフレ抑制で利上げを急ぐシナリオもささやかれる。
メキシコ、1月の車生産25万台 7カ月連続前年割れ
1月の自動車生産台数は25万3366台と前年同月比9%減となった。世界的な半導体不足の影響が長引いており、7カ月連続で前年の水準を下回った。
メキシコでは新型コロナウイルスの感染拡大で2020年以降、自動車の生産台数が大幅に縮小した。一度は生産台数が回復したが、世界的な半導体不足で再び前年を下回る月が続いている。足元では変異型「オミクロン型」の感染が広がっており、自動車産業の回復に逆風となっている。
NY商品、原油が6日続伸 一時7年ぶり93ドル台 金は反発
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の3月物は前日比2.04ドル(2.3%)高の1バレル92.31ドルで取引を終えた。一時は93.17ドルと、期近物として2014年9月以来の高値を付けた。ウクライナ情勢を巡る警戒感に加え、米国の寒波の影響による需給引き締まり観測から買いが優勢だった。
米国では寒波が南部や中西部など広域に広がり、南部テキサス州では石油生産に影響が出て供給が細ると懸念された。暖房用燃料の需要増も見込まれている。一方、朝方発表の1月の米雇用統計では景気動向を映す非農業部門雇用者数と平均時給の伸びが市場予想を上回った。堅調な米労働市場もエネルギー需要の拡大観測を誘い、需給引き締まりを見込んだ買いが入った。
ウクライナ情勢に絡み欧州でのエネルギー需給の逼迫観測も引き続き相場上昇につながった。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国の産油国で構成する「OPECプラス」は今週、3月も現行の緩やかな増産ペースを維持する方針を決めた。市場では「目先は供給が需要に追いつかない状況が見込まれる」(プライス・フューチャーズ・グループのフィル・フリン氏)との声が聞かれ、原油先物の先高観が意識された。
SPAC失速、相次ぐ上場撤回 緩和マネーが手じまい
米国で特別買収目的会社(SPAC)に逆風が吹いている。SPACの値動きを示す指数「IPOX・SPAC」は1月、一時1年2カ月ぶりの安値を付けた。SPACを利用した新規株式公開(IPO)の計画撤回も相次いでいる。緩和マネーの行き先として人気を集めてきたが、米金融政策が正常化に向かう中で手じまう動きが広がっている。
米雇用者数は大幅増、コロナの影響はねのける-利上げ圧力増大
非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比46万7000人増。昨年12月と11月も上向きに修正され、両月合わせて70万9000人の上方修正。家計調査に基づく失業率は4%に上昇-前月3.9%。労働参加率は、最新の人口推計を反映させた調整後ベースで62.2%に上昇。反映させない調整前ベースでは61.9%と前月から変わらずだった。平均時給は前月比0.7%増と、20年12月以来の大きな増加率。前年同月比では5.7%増で、いずれも市場予想を上回る伸びとなり、根強いインフレへの懸念をあおる格好となった。週平均労働時間は減少した。
賃金が予想以上の伸びとなったことから、米金融当局が今年インフレ抑制に向けて一段と積極的な姿勢で臨むとの懸念が強まる可能性がある。
ただし、1月の雇用統計では新型コロナのオミクロン変異株感染拡大や季節調整、体調を崩して自宅で療養している人を統計上どう扱うかなど、さまざまな要因からデータの解釈が難しくなっている。ただ1月の大幅増に加え、昨年11月と12月の雇用者数も大きく上方修正されたことは、労働市場が新たに勢いを得ていることを示している。
ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者、ライアン・スイート氏は「今回の統計により3月の利上げは決定的となった」としつつ、利上げ幅が0.5ポイントとなる可能性はなお低いと付け加えた。その上で「金融当局はこの統計から、米経済が完全雇用に向けて勢いよく前進するとの結論に至るだろう。当局が巧みにソフトランディング(軟着陸)に導くのは一層困難になりそうだ」と述べた。
世界のマイナス利回り債、1日で1.5兆ドル縮小-金利先高観が強まる
利回りがマイナスの債券がわずか1日で世界から20%減少した。マイナス利回りの代表国、日本とドイツの両方で4日に5年債がマイナス金利を解消。米国でも予想を上回る米雇用統計を受けて、30年債実質利回りが8カ月ぶりにプラス圏に浮上した。世界で膨張していたマイナス利回り債券は、3年ぶり低水準の6兆1000億ドル(約703兆円)に縮小した。
ECBクノット氏、早ければ10月に利上げと予想-2回目は来年春にも
欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、クノット・オランダ中銀総裁は早ければ第4四半期(10-12月)中の利上げを見込んでいると明らかにした。
クノット氏は6日、オランダのテレビ番組「ブイテンホフ」でのインタビューで、借り入れコストは通常0.25ポイントの幅で引き締められるとし、「今回これと異なった考え方をする理由はない」と発言。2回目の利上げは2023年の春に実施することが可能だと述べた。
中国の22年インフレ引き続き穏やか、世界的な金融政策変化で-発改委
中国国家発展改革委員会(発改委)は6日、国外の金融政策の変化で世界的な商品相場の上昇が弱まれば、中国のインフレは引き続き穏やかだろうとの2022年見通しを発表した。
発改委は新型コロナウイルスと世界的な供給不足による悪影響の深刻さが減退し、それに伴い同国のインフレリスクが今年は低下するとみている。発表文によると、消費者物価指数は今年緩やかに上昇する見込み。昨年12月の上昇率は前月記録した1年3カ月ぶり高水準から下がっており、21年通年の平均0.9%はここ数年を下回った。
生産者物価指数も昨年の8.1%上昇後、今年は鈍化すると発改委は予想。「不規則な価格変動」を工業およびエネルギー製品の十分な国内供給が和らげるとしている。
ECB、遅くとも来年の利上げが「理にかなう」-フィンランド中銀総裁
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、フィンランド中銀のレーン総裁は、新型コロナウイルスの感染拡大や地政学的な状況による後退がない限り、ECBは遅くとも来年には政策金利を引き上げることが「理にかなう」だろうと語った。
レーン氏はフィンランド紙ヘルシンギン・サノマットとのインタビューで、ECBは中期的な物価上昇が緩やかにとどまるよう確実を期したいと発言。エネルギー価格が長期にわたって上昇を続ければインフレ圧力は増す見通しだと指摘しつつ、「エネルギー価格に金融政策はほとんど影響を及ぼさない」と言明。賃金上昇については、今のところ抑えられていると述べた。
ECB政策委員会の3月会合の時期には「インフレ圧力、特に賃金の動向について視界が改善しているだろう」とし、「3月にはロシアの強権政治がどれほどエネルギー価格に影響を及ぼしたか、より正確な見解が得られるかもしれない」と述べた。
英中銀チーフエコノミスト、数カ月以内の追加利上げ示唆-小幅を継続
イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミストを務めるピル氏は数カ月以内に追加利上げがある公算が大きいと述べつつ、急激な利上げは見込まないようくぎを刺した。
※2/4 NY引け値
●その他産業
西武HD、ホテルなど30施設売却 外資系に1500億円規模
西武ホールディングス(HD)はプリンスホテルやレジャー施設など国内の約30施設をシンガポール政府系投資ファンドのGICに売却する方向で最終調整に入った。売却額は1500億円規模となる見通し。売却後もホテルなどの運営は続ける。新型コロナウイルス禍で消費動向が変わるなか、資産を減らして経営効率を高める動きが広がっている。
外資ファンド、「安い」日本に照準 西武HDが施設売却
世界の不動産価格が高騰するなか、低金利で資金調達できる日本はなお割安な投資先として外資の的になっている。
楽天、4Gカバー率96%に ソフトバンクは5Gで85%
●決算関連
●マクロ・その他
中国・春節休暇、観光収入が前年割れ コロナで移動控え
1月31日から始まった中国の春節(旧正月)に伴う大型連休が2月6日に終了した。文化観光省は同日夜、期間中の国内旅行者数が2億5100万人と前年同期比2%減(2019年比26.1%減)と発表した。観光収入も2891億元(約5兆2000億円)で同3.9%減と落ち込んだ。
仏極右2人が大規模集会 大統領選で差別化に躍起
ルペン氏は今年初めてとなる大規模集会を仏東部ランスで開いた。約4千人を前に「マクロン氏は前進しようとして破壊を生み、発展させようとして後退させている」と声を張り上げた。ゼムール氏の主張は過激だとして中道右派を取り込む考えで、最近は「ゼムール陣営には何人かナチス(のような主張を持つ人物)がいる」と発言して物議を醸した。
ゼムール氏が集会を開いたのは北部リール。伝統的にルペン氏が強い地域で、同氏の支持層を切り崩す狙いがある。ゼムール氏は反イスラム教や人種差別的な社会観を明確に打ち出すことで、ルペン氏に失望した極右有権者にアピールしている。最近は低所得者を意識した主張も展開。「私は税金の無駄遣いをやめる大統領になる」と語り、大規模な減税を約束した。仏メディアによると、6千~8千人の支持者が集まった。
仏ラジオ・フランスアンフォが5日報じた世論調査によると、支持率はマクロン氏が24%。中道右派共和党のペクレス氏が16.5%、ルペン氏とゼムール氏が14%で並んでいる。マクロン氏はまだ正式な出馬表明をしていない。ペクレス氏は13日にパリで大規模集会を開く考えだ。
ペンス前米副大統領、トランプ氏に反論「選挙覆せない」
ペンス氏は4日、南部フロリダ州で開いた保守派団体のイベントで演説し「合衆国憲法のもとで私に選挙結果を変える権限はなかった」と指摘。「一人の人間が米国の大統領を選べるという発想ほど非アメリカ的な考えは他にない」と強調し、トランプ氏に苦言を呈した。
ペンス氏は副大統領在任中に大統領のトランプ氏へ強い忠誠心を示してきた経緯があり、名指しでトランプ氏を批判するのは珍しい。
マリオットなど外資系ホテル3社に聞く 欧米並み目指す
外資系ホテルが日本で一段と攻勢に打って出る。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」が直撃し観光業界には逆風が続くが、コロナ禍収束後の旅行回復時には、旅行先として日本の需要が高いと見ているためだ。
公的年金運用、5.4兆円の黒字 21年10~12月
米長期金利1.93%に上昇、2年ぶり水準 雇用統計受け
長期金利の指標となる10年物国債利回りは一時、前日比0.10%高い1.93%をつけ、2020年1月以来、約2年ぶりの高水準を記録した。朝方発表の1月の米雇用統計で、雇用者数の増加幅が市場予想を上回った。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑止に向けて金融政策の正常化を急ぐとの見方が強まり、債券売りが膨らんだ。
好調な雇用統計を受けて、FRBがよりタカ派姿勢を強めるとの思惑が広がり始めた。米金利先物の値動きから金融政策を予測する「Fedウオッチ」によると、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で「0.5%」の利上げを決める確率が30%を超えてきた。3日時点では14%だった。依然「0.25%」の引き上げ予想が大勢だが、FRBがインフレ抑制で利上げを急ぐシナリオもささやかれる。
メキシコ、1月の車生産25万台 7カ月連続前年割れ
1月の自動車生産台数は25万3366台と前年同月比9%減となった。世界的な半導体不足の影響が長引いており、7カ月連続で前年の水準を下回った。
メキシコでは新型コロナウイルスの感染拡大で2020年以降、自動車の生産台数が大幅に縮小した。一度は生産台数が回復したが、世界的な半導体不足で再び前年を下回る月が続いている。足元では変異型「オミクロン型」の感染が広がっており、自動車産業の回復に逆風となっている。
NY商品、原油が6日続伸 一時7年ぶり93ドル台 金は反発
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の3月物は前日比2.04ドル(2.3%)高の1バレル92.31ドルで取引を終えた。一時は93.17ドルと、期近物として2014年9月以来の高値を付けた。ウクライナ情勢を巡る警戒感に加え、米国の寒波の影響による需給引き締まり観測から買いが優勢だった。
米国では寒波が南部や中西部など広域に広がり、南部テキサス州では石油生産に影響が出て供給が細ると懸念された。暖房用燃料の需要増も見込まれている。一方、朝方発表の1月の米雇用統計では景気動向を映す非農業部門雇用者数と平均時給の伸びが市場予想を上回った。堅調な米労働市場もエネルギー需要の拡大観測を誘い、需給引き締まりを見込んだ買いが入った。
ウクライナ情勢に絡み欧州でのエネルギー需給の逼迫観測も引き続き相場上昇につながった。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国の産油国で構成する「OPECプラス」は今週、3月も現行の緩やかな増産ペースを維持する方針を決めた。市場では「目先は供給が需要に追いつかない状況が見込まれる」(プライス・フューチャーズ・グループのフィル・フリン氏)との声が聞かれ、原油先物の先高観が意識された。
SPAC失速、相次ぐ上場撤回 緩和マネーが手じまい
米国で特別買収目的会社(SPAC)に逆風が吹いている。SPACの値動きを示す指数「IPOX・SPAC」は1月、一時1年2カ月ぶりの安値を付けた。SPACを利用した新規株式公開(IPO)の計画撤回も相次いでいる。緩和マネーの行き先として人気を集めてきたが、米金融政策が正常化に向かう中で手じまう動きが広がっている。
米雇用者数は大幅増、コロナの影響はねのける-利上げ圧力増大
非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比46万7000人増。昨年12月と11月も上向きに修正され、両月合わせて70万9000人の上方修正。家計調査に基づく失業率は4%に上昇-前月3.9%。労働参加率は、最新の人口推計を反映させた調整後ベースで62.2%に上昇。反映させない調整前ベースでは61.9%と前月から変わらずだった。平均時給は前月比0.7%増と、20年12月以来の大きな増加率。前年同月比では5.7%増で、いずれも市場予想を上回る伸びとなり、根強いインフレへの懸念をあおる格好となった。週平均労働時間は減少した。
賃金が予想以上の伸びとなったことから、米金融当局が今年インフレ抑制に向けて一段と積極的な姿勢で臨むとの懸念が強まる可能性がある。
ただし、1月の雇用統計では新型コロナのオミクロン変異株感染拡大や季節調整、体調を崩して自宅で療養している人を統計上どう扱うかなど、さまざまな要因からデータの解釈が難しくなっている。ただ1月の大幅増に加え、昨年11月と12月の雇用者数も大きく上方修正されたことは、労働市場が新たに勢いを得ていることを示している。
ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者、ライアン・スイート氏は「今回の統計により3月の利上げは決定的となった」としつつ、利上げ幅が0.5ポイントとなる可能性はなお低いと付け加えた。その上で「金融当局はこの統計から、米経済が完全雇用に向けて勢いよく前進するとの結論に至るだろう。当局が巧みにソフトランディング(軟着陸)に導くのは一層困難になりそうだ」と述べた。
世界のマイナス利回り債、1日で1.5兆ドル縮小-金利先高観が強まる
利回りがマイナスの債券がわずか1日で世界から20%減少した。マイナス利回りの代表国、日本とドイツの両方で4日に5年債がマイナス金利を解消。米国でも予想を上回る米雇用統計を受けて、30年債実質利回りが8カ月ぶりにプラス圏に浮上した。世界で膨張していたマイナス利回り債券は、3年ぶり低水準の6兆1000億ドル(約703兆円)に縮小した。
ECBクノット氏、早ければ10月に利上げと予想-2回目は来年春にも
欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、クノット・オランダ中銀総裁は早ければ第4四半期(10-12月)中の利上げを見込んでいると明らかにした。
クノット氏は6日、オランダのテレビ番組「ブイテンホフ」でのインタビューで、借り入れコストは通常0.25ポイントの幅で引き締められるとし、「今回これと異なった考え方をする理由はない」と発言。2回目の利上げは2023年の春に実施することが可能だと述べた。
中国の22年インフレ引き続き穏やか、世界的な金融政策変化で-発改委
中国国家発展改革委員会(発改委)は6日、国外の金融政策の変化で世界的な商品相場の上昇が弱まれば、中国のインフレは引き続き穏やかだろうとの2022年見通しを発表した。
発改委は新型コロナウイルスと世界的な供給不足による悪影響の深刻さが減退し、それに伴い同国のインフレリスクが今年は低下するとみている。発表文によると、消費者物価指数は今年緩やかに上昇する見込み。昨年12月の上昇率は前月記録した1年3カ月ぶり高水準から下がっており、21年通年の平均0.9%はここ数年を下回った。
生産者物価指数も昨年の8.1%上昇後、今年は鈍化すると発改委は予想。「不規則な価格変動」を工業およびエネルギー製品の十分な国内供給が和らげるとしている。
ECB、遅くとも来年の利上げが「理にかなう」-フィンランド中銀総裁
欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、フィンランド中銀のレーン総裁は、新型コロナウイルスの感染拡大や地政学的な状況による後退がない限り、ECBは遅くとも来年には政策金利を引き上げることが「理にかなう」だろうと語った。
レーン氏はフィンランド紙ヘルシンギン・サノマットとのインタビューで、ECBは中期的な物価上昇が緩やかにとどまるよう確実を期したいと発言。エネルギー価格が長期にわたって上昇を続ければインフレ圧力は増す見通しだと指摘しつつ、「エネルギー価格に金融政策はほとんど影響を及ぼさない」と言明。賃金上昇については、今のところ抑えられていると述べた。
ECB政策委員会の3月会合の時期には「インフレ圧力、特に賃金の動向について視界が改善しているだろう」とし、「3月にはロシアの強権政治がどれほどエネルギー価格に影響を及ぼしたか、より正確な見解が得られるかもしれない」と述べた。
英中銀チーフエコノミスト、数カ月以内の追加利上げ示唆-小幅を継続
イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミストを務めるピル氏は数カ月以内に追加利上げがある公算が大きいと述べつつ、急激な利上げは見込まないようくぎを刺した。
米軍第1陣が到着したポーランドの空港からウクライナ国境までは約70キロ。ポーランドには米兵約4500人が駐留しており、さらに米陸軍第82空挺師団の約1700人が派遣される。5日に着いたのは同師団の先遣隊とみられ、6日に後続が到着した。ポーランド国防省は派遣について「同盟国から送られた力強い合図だ」との声明を出した。
米当局が、ロシアによる大規模なウクライナ侵攻の準備がほぼ完了し、首都キエフを2日以内に制圧可能だと分析していることが5日分かった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)などが伝えた。最大で5万人の民間人が死傷し、500万人が難民となる恐れがあるという。ロイター通信も、ロシアが侵攻に必要な部隊の7割を配置したと報じた。
米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は6日、米ABCテレビのインタビューでロシアがウクライナに再侵攻する可能性が「非常に明確にある」と述べた。想定される時期は「早ければ明日かもしれないし、数週間後かもしれない」として明確にはしなかった。
サリバン氏は、ロシアのプーチン大統領が「軍を配備し、いつでもウクライナを攻撃できる状態にしている」と語った。ロシアが事態を悪化させる手段を選べば「ウクライナの人々に莫大な犠牲を強いることになるだろう。同時に、プーチン氏にとっても真の戦略的な負担になる」と警告した。米政府はロシアの再侵攻で最大5万人の民間人が死傷すると分析している。
ブルームバーグのエコノミスト調査の予想中央値によれば、1月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.3%上昇と、前年比での伸びが1982年前半以来の大きさになったと見込まれている。変動の大きいエネルギーと食品を除くコアCPIは5.9%上昇の見通し。
党首選を管理する保守党議員委員会(1922年委員会)の副委員長経験者、チャールズ・ウォーカー下院議員はオブザーバー紙に対し、「彼が去る結果になろう。そこで彼に一定の主体性を望む」と述べ、国益のため自発的に退陣するよう首相に促した。
●市況
日経先物(大証)27237、ダウ先34978、債先150.13、米1.916、独0.2030、仏0.643、西1.038、伊1.753、原油91.95、ドル円115.21、墨ペソ20.68、トルコリラ13.5674、墨CDS103※2/4 NY引け値