備忘録(1/27)
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
ドイツ銀行は純収益が254億ユーロと前年比で6%拡大。不良債権処理損の大幅な減少もあって、税引き前利益が前年の3倍超の33億9000万ユーロ、税引き後利益が同4倍の25億1000万ユーロへと伸びた。21年10~12月の純利益は1億4500万ユーロで、前年同期の約2.8倍だった。
ゼービング最高経営責任者(CEO)は「4つの中核事業が計画通りか計画を上回る結果となり、負の遺産の処理も想定以上に進捗した」と手応えを強調した。
●マクロ・その他
2021年10~12月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比年率換算で6.9%増え、市場予想(5.5%程度)を上回った。21年は巨額の財政出動やワクチンの普及で経済活動が再開し、1~3月期、4~6月期はともに6%台を記録した。7~9月期は変異型「デルタ型」の感染拡大で減速したものの、再び持ち直した。
21年通年の成長率は5.7%で、レーガン政権の減税で景気が拡大した1984年(7.2%)以来の高水準となった。20年のマイナス3.4%から回復した。
成長加速の原動力となったのはGDPの7割を占める個人消費だ。10~12月期は前期比3.3%増と、7~9月期(2.0%増)から加速した。全米小売業協会によると、11~12月の年末商戦売上高は前年同期比14.1%増の8867億ドル(約100兆円)と金額、伸び率ともに過去最大だった。
一方、新たな変異型「オミクロン型」の流行などを背景に、22年1~3月期のGDP成長率は2%台に再び減速すると市場は予測する。
年末以降に感染者が急増し、外食や旅行などサービス消費は再び冷え込んだ。英調査会社STRによると、米国のホテルの稼働率は22年1月15日までの1週間で49%と、21年11月の60%前後から下降傾向が続く。
オミクロン型の感染拡大は人手不足にも拍車をかけている。米国勢調査局が21年12月29日~22年1月10日に実施した家計調査では、労働力人口の5%にあたる875万人が感染や看病を理由に働きに出なかったと答えた。米ユナイテッド航空は11日、従業員約3000人が感染し、減便すると明らかにした。労働市場の逼迫が続けば、賃金上昇を通じてインフレ圧力が高まる。
ロシアはウクライナとの戦争は想定外だと考えていると、ロシア外務省のアレクセイ・ザイツェフ報道官が定例記者会見で述べた。
また紛争解決を目指してウクライナおよび仏独との間で2週間以内に開催する次回4カ国協議では、進展が得られることを望んでいるとも述べた。
ジェンセン氏(47)はズームでのインタビューで、「連邦準備制度の観点からすれば、ある程度の資産価格下落は悪いことではなく、容認するだろう」と分析。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が相場の安定に乗り出す「FRBプット」と呼ばれるような状況からはまだ遠いとの認識を示した。
短期金融市場は3月の30ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)米利上げを想定。一部のトレーダーが25bpを上回る利上げを見込んでいることになる。年末までには5回の利上げでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が現在の0.25%から1.5%になると見込まれている。
フューチャーズ・ファーストのアナリスト、リシ・ミシュラ氏は、3月の「50bp利上げについて投資家が真剣に考えていることを意味する」と述べた。
欧州ではトレーダーらがイングランド銀行(英中央銀行)が来週、政策金利を25bp引き上げ0.5%にすると予想。市場動向によれば、6月までに1%、12月までに1.5%への上昇が見込まれている。
他の中銀に比べハト派的な欧州中央銀行(ECB)も、9月までに中銀預金金利をマイナス0.4%に10bp引き上げると見込まれ、これまでの10月予想から前倒しされている。
●市況
日経先物(大証)27120、ダウ先34229、債先150.94、米1.780、独▲0.0820、仏0.328、西0.652、伊1.352、原油85.36、ドル円113.90、墨ペソ20.61、トルコリラ13.4598、墨CDS100
※1/28 *時*分頃
備忘録(1/26)
●コロナ
時間での閉店、ワクチン証明の利用といった国内のすべての規制が解除される。
●中国不動産
届け出は「ステークホールダーの権利を守るための事業再編計画を策定することを視野に、当社グループの状況を精査するという立場を強調した」としている。
同社は関連作業を遂行するための監査人を採用し、「引き続き債権団の意見と提案に注意深く耳を傾ける意向だ」という。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
ゲーム市場の成長は著しい。オランダの調査会社ニューズーによれば、5年前に22億人だったゲーム人口は21年に30億人に達した。世界市場の規模は1803億ドルにのぼり、売上高から推計したマイクロソフトのシェアは9%ほど。既に市場の2割近いシェアを持つクラウド事業と比べて、伸びしろが大きい。
成長のカギとなるのが、ナデラ氏の指摘する「いつでもどこでも」遊べる仕組みづくり。ゲーム機の販売を主体としてきたマイクロソフトは、パソコンやスマートフォンなど端末の垣根を越えてゲームサービスを提供する企業への転換を進めており、ここに買収の必然が生じる。
代表例が月額サブスクリプション(継続課金)サービス「Xboxゲームパス」だ。約100作の作品を遊ぶことができ、12月末までに会員が2500万人に達した。ナデラ氏は「他にないコンテンツがサービスの成長をけん引した」と話す。
若い世代は「倫理的ではない会社の製品・サービスは使わない」という意識が強い。企業文化の問題は株式市場の評価にも表れた。21年2月に800億ドルを超えていた時価総額は、マイクロソフトによる買収発表の直前には約500億ドルに落ち込んでいた。人気作品を生み出してきたソフト大手の苦境は、放置すれば取引先であるマイクロソフトやゲーム業界にとってもリスクとなる。
IT(情報技術)大手の買収に対する規制当局の監視が強まるなかで、M&A(合併・買収)に踏み切れる有望分野が乏しくなっているとの指摘もある。
ゲーム業界は中国の騰訊控股(テンセント)やソニーグループといった大手から中小の専業までさまざまな規模の企業が割拠する。米ウェドブッシュ証券のダニエル・アイブス氏は「マイクロソフトの買収に独禁法上の問題があると証明するのは難しい」と話し、「80%の確率で成立する」と予測する。消費者向け事業の存在感の薄さが功を奏するとみる。
もっとも反トラスト法(独占禁止法)を所管する米連邦取引委員会(FTC)と米司法省はM&A審査の指針を改定し、IT大手が関わる取引をより厳しく審査する意向を示している。マイクロソフトの買収はサービス基盤を提供する企業がコンテンツも取り込む「垂直型」のM&Aにあたり、一筋縄ではいかないとの見方もある。
傘下の米穀物会社ガビロンの事業を再編し、一部の資産や事業を丸紅に移管した上で穀物事業をカナダの穀物流通会社バイテラに売却すると発表した。
同社はバイテラへの事業売却でガビロン・グループ向け融資の回収も含めて合計3000億-4000億円程度の資金回収を見込む。2023年3月期中を予定している譲渡の完了後、純運転資本や純有利子負債などに基づいて譲渡価格を決定する予定で、同期の決算で譲渡益を計上する予定だという。
古谷孝之最高財務責任者(CFO)は発表後に会見し、売却により百億円単位の売却益が生じる見通しで、「財務基盤が大幅に改善する」と説明。そのため、成長投資や株主還元に充てる資金の自由度が高まると話した。
古谷氏は、ガビロン事業について、商品を仕入れてから長期間保有した後に最適な時期に売るという事業形態であるため、多額の運転資金を要する一方で、収益性は他の事業と比べ低かったことを明らかにした。
会見に同席した食料・アグリ・化学品事業を統括する寺川彰副社長は、売却のタイミングについて「穀物市況が買収後に大幅に下がったのは想定外だった」とした上で、「足元では穀物市況は回復しており、利益を最大化できる機会」と捉えたと説明した。
●決算関連
2021年10-12月期(第4四半期)決算は、アナリスト予想を上回る内容となった。同社の業績を巡っては、販促キャンペーンや、第5世代(5G)移動通信ネットワークと光通信網の拡大に伴うコストが懸念されている。
一部項目を除いた1株当たり利益は78セントと、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均の75セントを上回った。AT&Tは2022年通期の調整後1株利益を3.10ー3.15ドルとみており、増収率は1桁台前半を見込んでいる。アナリスト予想は1株利益3.13ドル、売上高1552億ドル(約17兆7350億円)だった。
AT&Tはワイヤレス事業の業績見通しを示さなかった。過去の発表によれば、2021年に450万人が新規に契約。アップルのiPhone(アイフォーン)無料キャンペーンなどが奏功し、10年ぶりのペースで加入者が伸びた。
2021年10~12月期決算は売上高が前年同期比3%増の205億2800万ドル(約2兆3500億円)だった。パソコン(PC)向けが7%減と失速する一方、データセンター向けが2割増えて増収を維持した。製造原価や研究開発費が膨らみ、純利益は同21%減の46億2300万ドルとなった。
インテル製のCPUを使わない米アップルの「Mac」がシェアを拡大したのも響いたようだ。
2021年10~12月期の決算で、中型機「787」の生産と納入が滞っているために55億ドル(約6300億円)の追加コストがかかると発表した。最終損益は41億6400万ドルの赤字(前年同期は84億3900万ドルの赤字)だった。
売上高は前年同期比3%減の147億9300万ドルだった。新型コロナウイルスの感染拡大で国際線の旅客需要が回復していないことも響いた。
ボーイングは21年10~12月、航空会社へ支払う遅延金で35億ドルを計上した。このほかに生産の改善に伴うコストが23年末までに合計20億ドルかかることも明らかにした。
一方、ボーイングの21年10~12月のフリーキャッシュフロー(純現金収支)は4億9400万ドルとなり、2019年以来のプラスに転換した。2度の墜落事故があった小型機「737MAX」の出荷を20年末に再開したことが寄与した。
●マクロ・その他
14時半にパウエル議長の記者会見が始まると売りが優勢になり、ダウ平均は下げに転じた。議長は労働需給の逼迫は「これまで見たことがないレベル」と強調。賃金インフレを警戒し「労働市場を損ねることなく利上げは可能」と指摘した。資産圧縮についても「次回とその次の会合で議論し、適切な時期に決断する」と述べ、早期実施に含みを持たせた。
市場では「タカ派色が強い内容だった」(インガルズ・アンド・スナイダーのティム・グリスキー氏)との声が聞かれた。会見中に長期金利が1.85%(25日終値は1.77%)まで上昇し、高PER(株価収益率)銘柄の重荷となった。
声明文で、政策金利を「まもなく引き上げるのが適切だ」と表明した。パウエル議長は記者会見で「委員会は(次回の)3月会合で利上げに適切な条件が整うと想定している」と語った。保有資産の縮小も「利上げプロセスの開始後に取り組む」と述べ、インフレ抑制に向けて金融引き締めを進める考えを示した。
パウエル議長は利上げを進めるペースについて「何も決まっていない」と強調した。ただリーマン危機後の15年末以降の利上げ局面に比べ、経済環境は良好で物価上昇率は大幅に高いとも指摘。「こうした違いは政策調整のペースに重要な影響を与えうる」と語り、より速く利上げを進めたいとの意向をにじませた。
パウエル議長は利上げ後に保有資産を減らす量的引き締め(QT)にも取り組む考えを示した。コロナ危機後に2倍以上に膨らみ、約9兆ドルに達したFRBの総資産は大きくなりすぎたとの認識を示し「大幅に縮小する必要がある」と語った。前回のQTは利上げ開始から2年近くたった17年秋に始めたが「おそらくもっと早く動いてもいい」と指摘した。
資産規模は「予測可能な方法で減らしていく」とも述べ、国債などを売るのではなく再投資を徐々に減らす形で市場の混乱を招かないようにQTを進める方針を示した。
パウエル議長は特に供給制約の問題が「予想以上に大きく、長く続いている」と語った。「賃金も急速に上昇し、継続すればインフレ圧力になりかねない」とも指摘し、高インフレ定着への危機感を示した。
26日、政策金利を1.5%引き上げて5.5%にすると発表した。利上げは5会合連続。新型コロナウイルス禍からの経済回復で加速するインフレを抑える狙いだ。前回2021年12月会合の上げ幅(1.25%)を上回る利上げに動いた。
21年12月の消費者物価上昇率は7.2%と、11月(6.7%)から加速しているのに対応した。新型コロナ対策として政府が導入した収入保護策を背景とした堅調な消費、資源価格の上昇がインフレの要因となっている。
早ければ3月の会合で利上げに踏み切る可能性がある。約30年ぶりの高い伸びになっている物価の抑制に向けて金融引き締め方向にかじを切る。
市場関係者の間では今回の会合で利上げに踏み切るとの見方が多かった。カナダ中銀のマックレム総裁は26日の記者会見で、利上げを見送った理由について「(新型コロナウイルスの変異型)オミクロン型の急速な広がりや、第1四半期(1~3月期)の支出が減少していることを考慮した」と説明した。
米投資会社アドベント・インターナショナルとシンガポールの政府系投資会社GICが同月にスウェーデンのバイオテクノロジー企業スウェディッシュ・オーファン・バイオビトラムの買収から撤退し、バークレイズは為替ヘッジが裏目に出たという。
この関係者によると、買収破談でモルガン・スタンレーとドイツ銀行もそれぞれ約2000万ドルを失った。
2021年の世界粗鋼生産量(速報値)は、前年比3.7%増の19億5050万トンだった。
世界最大の鉄鋼生産国である中国が3%減の10億3280万トンだった。年初は旺盛な鋼材需要のもとで増産を続けていたが、二酸化炭素(CO2)排出量の抑制に向け、政府が鉄鋼メーカーに対して減産を要請。21年の生産量が20年を下回るようにする方針を掲げたため、7月以降は前年同月の実績を下回る状況が続いた。
中国の鉄鋼メーカーは大量につくった鋼材を安値で輸出し、市場の混乱を招いてきた。だが減産に転じたため、世界の鋼材価格は従来より高水準で推移している。鉄鋼業界では、中国政府主導の減産措置がいつまで続くかに注目が集まっている。
他の主要生産国は軒並み20年から増えた。インドは17.8%増の1億1810万トンだった。日本は20年、日本製鉄やJFEスチールが需要縮小に対応し、国内の高炉を相次ぎ一時休止したが、21年は9630万トンと15.8%増えた。米国も18.3%増の8600万トンだった。
世界64カ国・地域の21年12月の粗鋼生産量は、前年同月比3.0%減の1億5870万トンだった。中国は6.8%減の8620万トンと、6カ月連続で前年同月を割り込んだ。11月時点で年間生産が前年を下回る見通しとなっていたため、12月は増産に転じて4カ月ぶりの8000万トン台まで回復した。
中国共産党の中央規律検査委員会は26日、浙江省杭州市トップだった周江勇・元同市共産党委員会書記の党籍を剝奪したと発表した。汚職が理由で、公職からも追放した。杭州市に本社を置くアリババ集団傘下のアント・グループが関与していたとの見方が広がっており、同社の経営問題に発展するかどうか注目されている。
ブルームバーグの集計データによれば、同一企業が2種類以上の投資適格社債を募集開始する場合、通常は償還までの期間が短い方が発行額と比較して需要が大きい。企業は長めの社債を売り込むため、同種の既発債に対するプレミアム(上乗せ利回り)を引き上げざるを得ない状況だ。
カナダ・ライフ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、クシティジ・シンハ氏は「われわれはより短いデュレーションを選好する。ボラティリティーが高まり、適正なバリュエーション(評価)を待つ状況であり、今は注意を要する」と説明した。
12月の米新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は、前月比11.9%増の81万1000戸。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は76万戸だった。前月は72万5000戸(速報74万4000戸)に修正された。
ウクライナ情勢の緊張の高まりに伴い、原油と天然ガスの供給に著しく大きな影響が及ぶ可能性は高くないとゴールドマン・サックス・グループのジェフリー・カリー氏が予測した。
ゴールドマン・サックス・インターナショナルの商品調査グローバル責任者のカリー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「供給途絶は起きない」が基本シナリオだと語った。
カリー氏は、制裁か偶発的事故がウクライナから原材料市場への供給途絶を招く可能性のある二つの主な要因だと指摘。制裁による途絶は「相互確証破壊(MAD)」となり、「ウクライナ経由のエネルギーフローの停止は誰の利益にもならない」との見解を示した。
それでも原油が恐らくバレル当たり2ドル前後、天然ガスも100万BTU(英国熱量単位)当たり4ドル前後と、エネルギー価格は幾分上向く恐れがあり、ウクライナが小麦とトウモロコシの主要輸出国という事情を考えれば、穀物価格も注目に値すると同氏は述べた。
●市況
日経先物(大証)26973、ダウ先34068、債先150.80、米1.844、独▲0.0735、仏0.340、西0.715、伊1.404、原油87.24、ドル円114.74、墨ペソ20.73、トルコリラ13.5867、墨CDS103
※1/27 9時45分頃
備忘録(1/25)
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
エヌビディアは関係各方面に買収が完了することは期待していないと語ったという。協議が非公開であるため関係者の1人が匿名で明らかにした。一方、ソフトバンクGはエヌビディアによる買収の代替案として、アームの新規株式公開(IPO)の準備を進めていると別の関係者は語った。
関係者によると、エヌビディアとアームの幹部は規制当局への嘆願を続けており、最終的な決定は下していないという。両社は、買収の実現に関する立場をこれまで公には変更していない。
エヌビディアの広報担当者のボブ・シャービン氏は「われわれは、この取引がアームの事業を加速し、競争と革新を後押しする機会を提供するという直近の規制当局への提出書類で詳細に表明した見解を引き続き維持する」と述べた。ソフトバンクGの広報担当者は買収が承認されることを引き続き望んでいるとコメントした。
IATAは25日、2021年の世界の航空旅客需要が新型コロナウイルスが広がる前の19年と比べ58%減少したと発表した。変異型ウイルス対策の渡航制限で国際線が76%減と回復が鈍い。一方、航空貨物は7%増とコロナ前を上回った。
旅客需要の国際線は、欧州や北米などが7割弱の減少になっているのに対し、厳しい水際対策をとる国が多いアジア大洋州は93%減と回復が遅れている。国際線全体の搭乗率は19年比15ポイント減の67%だった。
国内線は28%減。ロシアが24%増だった一方で中国や米国は2割以上減少した。日本は58%減だった。
●その他産業
英ユニリーバは25日、管理職1500人を削減すると発表した。事業再編に伴うもので、上級管理職の15%、そのほかの管理職の5%が対象となる。英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)の一般用医薬品(大衆薬)事業の買収に乗り出したが難航するなどし、株主からの圧力が強まっていた。
FTCは同日、「ロッキードが買収すればライバル企業へのミサイル部品の供給を阻止できるようになる。米政府の(ミサイルの)調達額が増える可能性もある」として、首都ワシントンの連邦地裁に買収の差し止めを求めて訴えた。
エアロジェットはミサイルの推進装置を製造する米国で唯一の独立系企業。20年にロッキードが買収することで合意し、FTCによる調査が続いていた。
●決算関連
2021年10~12月期決算は、売上高が前年同期比20%増の517億2800万ドル(約5兆8900億円)、純利益は同21%増の187億6500万ドルだった。出社と在宅勤務を組み合わせる働き方が広がり、クラウドコンピューティング事業の拡大が続いた。予想を上回る業績だが、市場が調整局面に入るなかで株価は時間外取引で下落している。
ネット経由で演算能力を提供する「Azure(アジュール)」の増収率は46%と予想値(45%)を超えたものの、7~9月期の50%からは低下。「Office365」の売上高は10~12月期に19%増加した。顧客情報管理(CRM)サービスなども含めた「マイクロソフトクラウド」の売り上げは32%増の221億ドルだった。21年を通じて拡大基調にあった伸び率が鈍化したことも投資家心理を冷やしたとみられる。
2021年10~12月期決算は、売上高が前年同期比10%増の248億ドル(約2兆8000億円)、純利益は2.7倍の47億3600万ドルだった。主力の処方薬が好調で、前年同期に計上した訴訟費用がなくなり大幅増益となった。
部門別売上高では主力の「処方薬」でがん治療薬などが伸びて16%増、手術用医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」は4%増だった。ただ、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大で病院が人手不足に陥り、手術などの見送りも影響した。日用品や市販薬を含む「消費者向け」は1%増にとどまった。解熱剤の「タイレノール」などが伸びた一方、化粧品や口臭防止剤では原料不足などの供給制約が響き、売り上げを押し下げた。
ジョセフ・ウォーク最高財務責任者(CFO)は同日の投資家向け説明会で「10~12月期にみられた供給制約や、新型コロナに伴う病院での人手不足の影響は、今年も続くとみている」と述べた。
22年通期の売上高予想は、前期比5~7%増の989億~1004億ドルだった。新型コロナワクチンの売上高は30億~35億ドルを見込む。同ワクチンは1回接種型で、追加接種も進む。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では1800万回超が接種されている。
2021年10~12月期の決算は、純利益が前年同期比約5%減の13億3900万ドル(約1500億円)だった。売上高は86億1200万㌦で前年同期ほぼ横ばいを維持したが、売上原価が7%上昇し収益を押し下げた。
事業全体ではサプライチェーン混乱の影響などで、販売量が1.3%減った。販売価格は2.6%引き上げたが、コスト上昇ペースに追いつかなかった。
2021年10~12月期決算は売上高が前年同期比3%減の203億ドル(約2兆3100億円)だった。社債の償還費用が膨らみ、最終損益は39億ドルの赤字(前年同期は24億ドルの黒字)となった。
最終赤字は2四半期ぶり。10~12月期に51億ドルの社債の償還費用を計上したことが響いた。
部門別では主力の航空機エンジン事業の売上高が同4%増の60億ドルとなった。航空会社の新造機の需要が上向き、部門の営業利益は同2.2倍になった。一方、ヘルスケア事業は半導体の調達難で医療機器の生産が滞り、4%の減収となった。電力と再生可能エネルギーの売り上げも前年割れとなった。
22年は新型コロナウイルス危機で落ち込んだ航空機の需要回復が本格化すると予測し、航空機エンジン事業で20%超の増収を見込む。通期の調整後1株利益は2.8~3.5ドルと、中央値で21年実績(1.71ドル)から84%増加する見通しを示した。
同社は23~24年に医療機器と電力・再生可能エネルギー事業を切り離し、航空機エンジン事業を本体に残して3社に分割することを決めている。
2022年通期の総収入は最大20%増、利益は1株当たり9.25-9.65ドルに達する見通し。以前からアメックスは22年について、新型コロナウイルス禍が深刻化する前となる2年前に設定した目標を達成する年になるとの見通しを示してきた。だが今回の新たな予想はそれらの目標をも上回る。同社が2年前に設定した目標は総収入が8-10%増、1株利益について8.85-9.25ドルとしていた。
昨年第4四半期の同社決済ネットワークでの支出額は29%増の3681億ドル(約42兆円)。オミクロン変異株の感染拡大でホリデーシーズンの計画に悪影響が及ぶ中でも、支出額は大きな伸びを見せた。これにより総収入も30%増の121億ドルと、アナリスト予想を上回った。
2021年10-12月(第4四半期)に巨額の法務費用を計上すると明らかにした。中核事業のウェルスマネジメントからは資金が流出したという。不祥事や経営陣の混乱に見舞われた1年の苦しい締めくくりとなる。
発表によると、同行は主に投資銀行事業に絡む訴訟のための引当金5億スイス・フラン(約620億円)を計上する。同部門の四半期損益は赤字となったもようで、リスク圧縮とトレーディング環境の正常化が響いた。ウェルスマネジメントは特にアジアで顧客資金が流出したという。
同行は昨年11月に既に、再編関連で16億フランを償却し、純損益が赤字になるとの見通しを明らかにしていた。巨額リストラ費用を除いたベースで、第4四半期税引き前損益はほぼ収支とんとんになると見込んでいる。
発表によると、引当金は多数の訴訟に関するものだが、投資銀行事業に絡むレガシー問題が中心だという。また、不動産の売却益が費用を一部相殺したとも同行は説明した。
●マクロ・その他
IMFは25日公表した世界経済見通し(WEO)で、今年の成長率予想を4.4%と、昨年10月時点で見込んだ4.9%から下方修正した。23年の予想は3.8%に上方修正したものの、2年間の累積成長率予想は前回予測を0.3ポイント下回る。
米国の今年の成長率予想は1.2ポイント引き下げ4%とした。バイデン大統領の支出計画「ビルト・バック・ベター(BBB)」法案の成立見通しが立たない中で、これによるプラス効果の想定を除外したほか、米連邦準備制度による政策支援の早期引き揚げ、サプライチェーン目詰まり継続の影響を織り込んだ。
中国の成長見通しは0.8ポイントの下方修正で4.8%。パンデミックと同国のゼロコロナ政策、住宅セクターの混乱に言及した。
IMFの予測は年末までに新型コロナの感染が大半の国で低水準となり、ワクチン接種率が上昇、治療法が普及することを前提としている。ただ、リスクは下振れ方向に傾き、新たな変異株の出現でパンデミックが長引く可能性を指摘した。
IMFは新型コロナのオミクロン変異株が1-3月(第1四半期)の成長の重しとなるものの、世界的な感染急増が収まりさらなる移動制限を必要とするような新たな変異株が発生しない限り、悪影響は4-6月(第2四半期)から薄れ始めるとみている。
IMFはまた、サプライチェーンの目詰まりが予想以上に幅広いインフレを引き起こしていると分析。先進国・地域の今年の平均インフレ率を3.9%と予測し、前回の2.3%から引き上げた。新興国・発展途上国については5.9%と予想。インフレ期待が安定を保ち供給のボトルネックが軽減、主要国が利上げで対応すれば、今年中には生活費上昇が徐々に和らぐとみている。
先進国・地域の利上げは金融安定と新興国・途上国の資本フローや為替、財政に対するリスクを生じさせる可能性があるともIMFは指摘。過去2年で債務が大きく増えていることから、各国の資金アクセスを維持し、必要な場合には秩序ある債務再編を後押しする国際協力が必要だと論じた。
香港に拠点を置く金融機関から成る業界団体、アジア証券業金融市場協会(ASIFMA)は中国証券監督管理委員会(証監会)への23日の書簡で、国外上場規制強化案は経費を増やし、ディールメーキングも妨げると主張。申請要件のほか、何が違反に当たるのかをそれぞれ明確にするよう要望した。センシティブな問題だとして匿名を条件に関係者が話した。
関係者によると、ASIFMAは意見公募のため示された規制案は経費を増やすだけでなく、香港や中国本土外の別の地域で業務を展開する企業に運用が難しい規制を導入する形になると訴えている。
実施に関する詳細が乏しく、文書で使われている表現も漠然としており、投資銀行業界で不安が広がっていると関係者は話す。例えば、中国企業またはその大株主が「社会主義市場経済の秩序を乱した」場合、国外上場を禁止するというルールがある。
中国は先月、国外上場に関する新たな規制計画を公表。機微なデータの海外流出に懸念を強めており、サイバーセキュリティー規制当局に国外上場に関して審査する権限を与えた。
1月の米消費者信頼感指数は、113.8に低下した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は111.2だった。前月は115.2(速報値115.8)に下方修正された。
Ifo経済研究所が25日発表した1月の独企業景況感指数は95.2と、エコノミストの予想以上に上昇した。製造業は年初に供給制約が緩和した様子で、現在の行動制限にもかかわらずサービス業も先行きを楽観した。
IFOのクレメンス・フュースト所長は「新年のドイツ経済には、かすかな希望が見え始めている」と発表文でコメントした。
「この秋、中国共産党大会で決まる習近平(シー・ジンピン)続投の仕方が重要になる。1期5年に限る単純な党総書記続投だけで、超長期政権への展望がみえないなら事実上、敗北だ。求心力は衰えてゆく」。中国の政界関係者がささやく。
22年の見通しについて東京カンテイの高橋雅之主任研究員は「下落は考えにくいが上昇ペースは鈍化しそうだ」とみる。東京都心の中古物件は新築と価格が近づいており、割安感が薄れている。在庫は21年夏から増加傾向にあり、今後は大幅な価格上昇は見込みにくい状況にある。神奈川県など周辺部でも価格が上がれば、さらに割安な戸建てに需要が流れる可能性がある。
●市況
日経先物(大証)27120、ダウ先34229、債先150.94、米1.780、独▲0.0820、仏0.328、西0.652、伊1.352、原油85.36、ドル円113.90、墨ペソ20.61、トルコリラ13.4598、墨CDS100
※1/26 8時55分頃
備忘録(1/24)
●コロナ
イタリアの新規感染者数は11日には22万人を超えていたが、24日は約7万7700人まで減少している。
●中国不動産
雅居楽集団と世茂集団はこの数日で、国有企業への事業の持ち分売却を相次ぎ発表。地方銀行の上海浦東発展銀行は不動産セクターの合併・買収(M&A)関連融資に必要な資金を確保するため債券を発行する計画で、その条件を決定。また、少なくとも2社の国有不動産開発会社もM&A関連社債を発行する計画だ。
雅居楽は合弁会社の持ち分を18億4000万元(約330億円)で売却すると24日に発表。中国最大級の不動産開発会社で政府系の中国海外発展が間接的に完全保有する広東中海地産が買い手となる。
世茂は21日、上海市政府の公有資産を主に管理する上海久事に不動産管理部門を10億6000万元で売却することで合意したと発表した。また、世茂は広東省広州市での事業持ち分を中国海外発展に売却する方向で交渉していると中国メディアの財聯が24日に報じた。
中国の規制当局はこうした資産売却を、不動産業界を圧迫し景気回復を妨げる流動性危機を緩和する重要なステップと見なしている。当局は昨年12月、不動産セクターのソフトランディング(軟着陸)を目指した措置の一環として、主要不動産会社によるM&A資金の借り入れ規制を緩和した。
不動産開発各社による資産売却で、株式・社債投資家の間には楽観的な見方が広がりつつある。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の中国不動産株指数は24日、5営業日続伸。この間の上昇率は一時12%と、このままいけば1年半で最大の値上がりとなる。クレジットトレーダーによると、不動産開発企業が大半の中国高利回りドル建て債は額面1ドルに対し2セント値上がりする場面もあった。
BIアナリストのクリスティー・フン、 パトリック・ウォン両氏はリポートで、「国有の不動産開発会社から流動性支援があれば、雅居楽の支払い能力に対する投資家の懸念は和らぐ可能性がある」と指摘した。
中国恒大集団は、中国国有の不良債権処理会社、中国信達資産管理の香港部門トップである梁森林氏を非常勤取締役に任命したと発表した。信達は恒大が2021年12月に設立したリスク管理委員会に委員を派遣している。今後の経営再建に当たって重要な役割を果たすとみられる。
経営危機に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団は海外投資家を含む債権者グループに対し、債務返済を巡り強硬な法的措置をとらないよう求めた。この債権者グループは先週、法的措置も辞さない構えを示していた。
24日の発表文で、中国恒大はさまざまな関係者の利益を守る資産売却計画をまとめるため、不確実性とリスクを十分に考慮する追加的な時間を海外投資家に求めていると表明。詳細かつ包括的な債務再編計画を策定しつつあり、オフショアの債権者と積極的に対話を維持していると説明した。
中国恒大の再編は現在、政府主導で進んでいる。同社は先週、債権者の特定を開始したとブルームバーグが先週報道。中国恒大は金融アドバイザーを追加起用する方針だと明らかにしていた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
月に国内線67路線の3644便を減便すると発表した。同月の運航率(2020年度計画比)は81%と、1月から11ポイント引き下げる。新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染が広がる中で、需要低迷が続くとみてコストを抑える。
●その他産業
●決算関連
2021年12月期の決算は、営業利益が前の期比56%減の5億5300万ユーロ(約710億円)だった。供給網の混乱や睡眠治療関連機器のリコールが響いた。売上高も1%減だった。供給網の混乱の影響は続くとしたうえで、売上高は夏以降に回復するとの見通しを示した。
売上高は171億5600万ユーロだった。調理家電などの事業の売却益で純利益は33億2300万ユーロと約3倍になった。
フランス・ファン・ホーテン最高経営責任者(CEO)は電話会見で「供給網の断絶は21年10~12月期にむしろ悪化した。22年も売上高は前年割れの水準でスタートし、夏以降に力強く回復する」と述べた。
2021年12月期の最終損益が56億~61億香港ドル(約820億~890億円)程度の赤字になる見通しだと発表した。赤字額は20年12月期の216億香港ドルより縮小するものの、足元の香港政府の規制強化で、再び現金流出に転じるとの見方を示した。
香港政府はキャセイの乗務員が新たな変異型「オミクロン型」を香港に持ち込んだとして、21年末に乗務員の入境時の規制を強化した。
21年7~12月期はコスト削減の徹底などで現金流出が一時的に止まっていたものの、22年2月以降は「月10億~15億香港ドルの現金流出に転じる見通しだ」と明らかにした。
22年1月時点の輸送能力はコロナ流行前に比べ貨物便で20%、旅客便は2%にとどまり、厳しい経営状況が続いている。
2021年10~12月期決算は売上高が前年同期比6%増の166億9500万ドル(約1兆9000億円)だった。市場予想の159億6000万ドルを上回った。サービス部門の一部分社化に加え、クラウドや企業向けのコンサルティング部門の成長がけん引した。純利益は72%増の23億3200万ドルで、市場予想を上回った。
部門別の売上高では、19年に買収したソフトウエア大手のレッドハットを含むソフトウエア部門は8%増の72億7000万ドル、コンサルティング部門は13%増の47億5000万ドルで、いずれも市場予想を上回った。部門にまたがるハイブリッド・クラウド事業の売上高は16%増の62億ドルで、21年12月期通期で20%増の202億ドルに上った。ハードウエアを含むインフラストラクチャー部門は0.3%減の44億1000万ドルだった。
●マクロ・その他
ダウ平均の終値は前週末比99ドル13セント(0.3%)高の3万4364ドル50セントだった。ナスダック総合株価指数やS&P500種株価指数もプラス圏で終えた。サスケハナ・インターナショナル・グループのデリバティブ戦略共同責任者、クリストファー・マーフィー氏は「S&P500指数が一時、(3日につけた)最高値から10%安となり『調整局面』入りしたことで、押し目買いを狙っていた投資家が動いた」とみる。
米株式市場では不安定な値動きが続いている。主に①金融引き締めに積極的な「タカ派」FRBへの懸念②企業業績や経済成長が減速しているとの危惧③ウクライナ情勢など地政学リスクの高まり――という3つの要因が重なり、投資家は積極的に買いを入れにくくなっているからだ。
域内主要600社で構成するストックス600は大幅に続落し、前週末比18.08ポイント(3.81%)安い456.36で終えた。終値の下落率は20年6月以来、1年7カ月ぶりの大きさ。一時は4.2%安まで下げを広げた。
国別の主要指数はドイツDAX、フランスCAC40、イタリアFTSE・MIBがそれぞれ4%前後下げた。英FTSE100種総合株価指数も3%弱下げた。いずれも構成銘柄全体の9割超が下げるほぼ全面安の展開だった。時価総額が欧州最大の仏LVMHモエネヘシー・ルイヴィトンは5%安、半導体露光装置の世界最大手ASMLホールディング(オランダ)は7%安で終えた。
ロシアは株式、通貨、国債の3資産がそろって値下がりする「トリプル安」になった。代表的な株価指数の一つであるRTSは8%下げ、20年11月以来の安値水準に沈んだ。通貨ルーブルは一時1ドル=79ルーブル台半ばと、対ドルで20年11月以来の安値水準をつけた。ロシアの10年物国債利回りは前週末の9.4%台から9.7%台へ上昇(債券価格は下落)した。
欧州エネルギー市場ではロシアに輸入を頼る天然ガス相場が急上昇した。金融情報会社リフィニティブによると、指標価格であるオランダのTTFは翌月渡しの取引で一時1メガワット時あたり94ユーロ強と、前週末より19%上げた。米ゴールドマン・サックスは23日付のリポートで、ロシアとウクライナの緊張がエスカレートすれば「21年12月半ばにつけた高値かそれ以上を再び目指すシナリオも排除できない」と警告した。
ロシアによるウクライナへの軍事的攻撃は「深刻な結果とコストをもたらす」と警告する文書を発表。具体的な制裁措置に向けた準備を進めるとともに、ウクライナ政権を支持する姿勢を鮮明にした。
ただし、EU側がロシアに対して準備する制裁案の具体的な内容は明らかになっていない。加盟27カ国のロシアへの立場には幅があり、調整が続いているようだ。EUのボレル外交安全保障上級代表は会合終了後の記者会見で「我々はウクライナに寄り添う」と表明した。
25~26日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。3月のFOMCでの利上げ決定が既定路線とみられているが、声明や議長会見などで金融引き締めに一段と前向きな姿勢を見せる可能性がある。ウクライナ情勢を巡ってはロシアによる軍事行動の脅威が高まり、24日までに米英両政府が在ウクライナ大使館に勤務する一部職員と家族に退避命令を出すなど緊迫化している。
投資家心理を測る指標である変動性指数(VIX)は一時、前週末比2割近く高い33台後半と心理的節目の30を上回った。不安心理が高まった状態とされる20から大幅に水準を切り上げている。
個別では航空機のボーイングや金融のゴールドマン・サックス、クレジットカードのビザといった景気敏感株の売りが目立つ。ハイテク株も売られ、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフトが安い。
NATOのストルテンベルグ事務総長は声明で「(欧州)東部地域の強化を含め、すべての同盟国を防衛するために必要なあらゆる措置をとり続ける」と表明した。
フランスはルーマニアに部隊を派遣する用意があると表明した。オランダはブルガリアに戦闘機を送り、デンマークはフリゲート艦をバルト海に派遣することを決めた。
米メディアによると、米国防総省高官が22日、バイデン大統領に複数の選択肢を示した。その中にエストニア、ラトビア、リトアニアを含む北大西洋条約機構(NATO)に加盟する東欧諸国に1000~5000人の軍を送る案もあり、事態が悪化すれば10倍に増やす可能性もある。週内にも判断するという。
日本は液化天然ガス(LNG)輸入量の約1割をロシア産に依存している。日本の電力会社やガス会社は昨冬にLNGが不足した経験から在庫を積み増しており、足元では不足感はない。
ただ、最近の気温低下を受けて追加調達に動く会社も出てきているようだ。ロシア産の輸出が止まれば在庫が不足する事態に陥り、昨冬のように卸電力価格を押し上げる可能性もある。
ドラギ氏は2021年12月の記者会見で、誰が首相になっても「仕事を続けられる条件を整えた」と述べ、大統領就任へ意欲をちらつかせている。ドラギ氏の転身が決まれば、新首相を選ばなければならない。新首相の選出に失敗すれば解散総選挙になって、政局が一気に流動化する恐れもある。
21年2月に現政権が発足して以降、イタリア銀行(中央銀行)や欧州中央銀行(ECB)の総裁を歴任したドラギ氏の強い指導力で伊政治は安定してきた。解散総選挙を避けるためにも、最大与党「五つ星運動」などはドラギ氏の残留を望んでいるとされる。
今後、EUの復興基金を活用した環境投資などが本格化する。経済の回復には政治の安定が欠かせない。他の大統領候補にはジェンティローニ元首相やカルタビア法相も取り沙汰されている。マッタレッラ氏の続投を推す声も多いが、本人は否定している。
マイケル・ウィルソン氏は24日、1月の相場下落は金融引き締めと成長減速による下落を見込む同氏の見方に一致すると指摘した。
同氏らストラテジストはリポートで、一段の下落見通しを示し市場に「冬が来た」と記述。下落の主な要因として、景気減速の懸念が米金融政策を巡る不安に取って代わると主張した。
ストラテジストらは「購買担当者指数(PMI)と利益見通し修正を景気減速が底を打つ兆しとして注視しているが、当社の見方ではまだ大きな減速の余地があり、株式市場はまだそれを織り込んでいない」と指摘、「強気になるには時期尚早だ」と論じた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は26日に3月利上げとその後の量的引き締めを示唆すると見込まれている。決算シーズンはここまでのところ、マクロ経済見通しをめぐる悲観を打ち消す内容ではない。
デービッド・コスティン氏らゴールドマン・サックス・グループのストラテジストもリポートで、市場は米連邦準備制度のタカ派シフトが企業利益に打撃を与えることをますます懸念していると指摘。投資を促す明らかな材料が目先はほとんどないとの見解を示した。
環境悪化の中でモルガン・スタンレーのウィルソン氏は、ディフェンシブなバリュー株を推奨。ゴールドマンのチームは価格設定力のある企業を選好し、JPモルガン・チェースのミスラブ・マテイカ氏は金利上昇の影響を比較的受けにくい欧州と英国株が米国よりも「興味深い」としている。
IHSマークイットが24日発表した1月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は52.4。製造業の供給障害はやや緩和したものの、前月の53.3から2カ月連続で低下した。
ユーロ圏の1月総合PMI速報値は52.4、予想52.6
感染力が極めて強いオミクロン株の流行で、観光や旅行、娯楽などの業界がとりわけ影響を受けている。ただ、感染による欠勤者が増えているにもかかわらず、納入の遅れや部品不足が緩和する中で多くの工場は生産を増加させた。
IHSのチーフビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「オミクロン株の流行で、消費者が直接相対するサービス業への支出は再び急減した」と指摘。「ただ、他の業種も含めた全体的な影響は今のところやや抑えられている様子だ。感染拡大の波が再び襲っている中でも製造業のサプライチェーンの遅れがさらに緩和されてきているのは心強い」と語った。
1月の購買担当者景気指数(PMI、総合)の速報値は米国で50.8となり、2021年12月より6.2ポイント下がった。3カ月連続の低下で、1年半ぶりの低水準となった。新型コロナウイルスで感染力の強い「オミクロン型」がまん延し、製造業、サービス業ともに人手不足に伴う供給制約が景況感に悪影響を及ぼした。IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏は「感染急拡大で年明けの米経済はほぼ停止した。物資輸送の遅延や人手不足で企業活動が混乱した」と指摘した。先行きについては「オミクロン型の影響は需要より供給面が大きい。営業規制などが緩和されれば、米経済は再び回復する」と楽観的にみる。物価上昇についても、緩和の傾向にあるという。
米国はインフレ率が高いので引き締めペースが速いが、欧州では状況が違うと指摘。その上で、後手に回ってはならないとも戒めた。従って、インフレと景気の実際の状況を見て実際的に対応すると述べた。
金融政策は危機時の衝撃を和らげるものであるべきで、成長へのブレーキでもインフレのアクセルでもあるべきではないと論じた。
2021年の経常黒字は2242億ドル(約25兆5000億円)と13年以来の高水準。ブルームバーグが国家外為管理局(SAFE)発表データから算出した。資本収支は832億ドルの黒字で、10年の集計開始後では最大の年間黒字だった。
この数字についてブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアジア外国為替・金利担当チーフストラテジスト、趙志軒氏は、新型コロナウイルス禍下での中国の力強い貿易黒字と元建て債への資金流入を反映していると指摘した。米連邦準備制度が利上げを開始しようとする中で米中の国債利回り格差が縮小し、本土債への資金流入は鈍化し始める可能性があるものの、中国の黒字堅調は続くとの見通しも示した。
ロシアはEUにとって第5位の貿易相手国で、最大のエネルギー供給国だ。一方、米国にとっては辛うじて30位。投資についても同じような格差がある。ロシアにはイケアやロイヤル・ダッチ・シェル、フォルクスワーゲン(VW)など欧州の有名企業が資金を投じている。
エネルギー価格急伸に伴う消費手控えやインフレ高進を背景にEU当局者は予想される制裁に慎重だ。ウクライナ侵攻阻止を目指す措置でロシアが受ける痛手が欧州を上回ることを望む一方、戦争が起きて、最も需要が大きい冬のさなかに天然ガス供給が途絶えることを心配している。
ブルーベイ・アセット・マネジメントの新興市場担当シニアストラテジスト、ティモシー・アッシュ氏は「欧州のエネルギー価格が主な懸念だ」とブルームバーグテレビジョンに語った。ロシアのプーチン大統領は、欧州が「今冬の天然ガスや寒さに恐怖感を持ってほしいと考えている。自分がウクライナに入っても何もしてほしくない」と述べた。
エネルギーは最も合意を見い出しにくい分野だ。米国はエネルギーの純輸出国だが、EUは輸入に頼っており、EUにとってロシアは石油・天然ガスともに最大の供給国だ。
天然ガスは、ロシアがここ数カ月に供給を抑制する状況にあって現時点で特に微妙な課題だ。価格が3倍に高騰し、電気料金はEU全域で上昇している。欧州が米国より大きなエネルギーショックを受けているのは主にそのためだ。
キャピタル・エコノミクスのアナリスト、ウィリアム・ジャクソン氏は「エネルギー輸出に関する対ロ制裁が実施されたり、ロシアが影響力を行使する手段に天然ガスを利用したりすることがあれば、欧州の天然ガス価格は恐らく急騰するだろう」とし、「価格は昨年のピークをはるかに上回ると考えられる」と指摘した。
余氏は先週のインタビューで、与信需要は比較的弱く、現時点でいずれの金融緩和策も影響は限定的だと指摘。人民銀は拡張的な財政政策を支援できるが、政府支出を管理する財政省が景気てこ入れの主導権を握るべきだとの認識を示した。
さらに、不動産など生産性がそれほど高くないセクターに過剰な信用が流入するといった、「他の問題を引き起こす可能性があり、あまり有用ではない」として、財政政策に決定的な変化が生じるまでは、「金融緩和は抑制されるべきだ」と述べた。
地方政府の債務を巡る中央政府の締め付けでインフラ投資が鈍化し始めた2017年以降、余氏はより積極的な財政施策を提唱してきた。複数のエコノミストが同様の見解を示しており、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国担当シニアストラテジスト、邢兆鵬氏は中国経済の主な問題は供給側の制約と不十分な需要であり、金融政策だけでは解決できないと分析していた。
3-12日実施の調査結果によれば、昨年10-12月(第4四半期)に値上げしたとの回答は差し引きで全体の53%に達し、調査開始後40年で最も多くなった。メーカーでは全体の92%と最も広範な価格転嫁の動きが確認された。
今後3カ月で価格がさらに上昇するとの予想も過半数に上り、下落を見込む向きは1%にとどまった。約70%が10-12月の原材料費の値上がり加速を示唆した。
投入原価の圧力に加え、労働コストも消費者への価格転嫁の主な要因になりつつある。勤労者の報酬を上げざるを得ないとの回答は68%と過去最も多く、77%が今後3カ月の賃金コスト上昇を予測。約57%が熟練勤労者が不足と回答し、昨年10月時点の調査から10ポイント増えた。
●市況
日経先物(大証)27260、ダウ先34182、債先150.97、米1.772、独▲0.1110、仏0.301、西0.631、伊1.352、原油83.92、ドル円114.01、墨ペソ20.59、トルコリラ13.4741、墨CDS100
※1/25 9時20分頃
備忘録(1/21-23)
●コロナ
20日の新規感染者数(7日移動平均)は約73万6000人。過去最高となった15日の約81万4000人よりも1割減った。ニューヨーク州など北東部は4割減った。中西部や南部などではいまも増加している州がある。
新規入院も頭打ちの兆しがある。米疾病対策センター(CDC)によると、19日の新規入院者数は約2万1000人。15日(約2万1600人)がピークだった可能性が高い。ニューヨーク州では20日の新規入院者数が1週間前に比べて2割減った。
懸念は死者数の増加が続いていることだ。20日の新規死者数は約1850人だった。デルタ型による感染が拡大した昨年秋のピーク時の9割近い水準まで上昇している。
●中国不動産
同社の2025年償還債は額面1ドル当たり16.9セントと前日から4.9セント上昇し、昨年9月後半以降で最大の上昇を記録する勢い。オンライン情報プラットフォームのリスク・イベントドリブン・アンド・ディストレスト(REDD)はこの日、広東省政府が3月までに債務再編の枠組みを発表する計画だと伝えた。
REDDが情報源を明示せずに報じたところによると、中国恒大の債務について広東省政府は法廷外での再編を提案し、オンショア債務の再編からオフショアの債務と資産を切り離すことを計画。合計で約55億ドル(約6260億円)と評価される電気自動車と不動産管理部門を含む資産売却を活用し、オフショア債務のうち1500億元(約2兆7000億円)の返済を目指すという。
嘉浩資本(香港)の債券責任者アンソニー・レオン氏は「速やかな解決に向け政府が支援する姿勢は、投資家にとって朗報だ」と指摘。中国恒大の債務再編の「規模と複雑さ」を考えれば、3月までの計画発表は極めて速いと付け加えた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
三菱UFJ銀行に間接的に融資できるファンドが人気を集めている。インターネットで小口資金を調達するクラウドファンディング運営のファンズ(東京・港)を通じて募集したところ、1億円の目標に対して5倍超の金額が集まった。想定利回りは1%と定期預金の500倍。預金金利が0%付近に張り付くなか、イールドハンター(利回り狩り)の垂ぜんの的になっている。
GスチールとGJスチールの粗鋼生産能力はそれぞれ年158万トン、150万トン。日本製鉄が国内に持つ4700万トンと比べて大きくはない。
それでも日鉄は東南アジアで初めて一貫製鉄所を持つことになる。一貫製鉄所は鉄鉱石や鉄スクラップを溶かして鉄の大元をつくり、圧延工程をへて鋼板などに仕上げる拠点だ。圧延だけを手掛ける場合と比べ、コスト競争力などは高い。
タイの2社は建材など汎用品を主に手掛ける。「まず汎用品の市場を押さえ、将来は(車用など)高級品も視野に入れる」(森副社長)という。
日鉄にとって日本の市場が縮むなか、海外での事業拡大は成長戦略の要。東南アジアで多かったのは、国内から送った鋼材の母材を現地で加工して出荷するスタイルだ。ただ近年は中国や韓国の鉄鋼会社などとの価格競争の激化に加え、現地では地元産の鋼材を使う動きが強まっていた。
日本鉄鋼連盟(鉄連)は21日、2021年の国内粗鋼生産量が前年比15.8%増の9633万トンだったと発表した。新型コロナウイルスの影響を大きく受けた20年からは回復したが、コロナ前の19年(9928万4千トン)の水準には届かなかった。日本製鉄が基幹設備の高炉の休止をするなど、足元で進む設備集約の動きが一因だ。
鉄連の橋本英二会長(日鉄社長)は「需要の問題というより、生産能力の問題で1億トンは超えないだろう」と話す。感染が急拡大している変異型「オミクロン型」などコロナが収束しても、粗鋼生産は以前の水準には戻らない見通しだ。一方で、こうした生産能力の削減により需給が引き締まり、今の業績拡大につながっている面もある。
韓国防衛事業庁によると、文氏の訪問に合わせ、韓国の防衛装備品大手のハンファシステムなどが生産するミサイル迎撃システムの輸出が決まった。契約規模は35億ドル(約4千億円)で、単独兵器の契約としては過去最大だという。ミサイルシステムはレーダーや発射台、誘導弾を搭載し、韓国軍が実戦配備している。
韓国政府は防衛産業の育成に注力しており、積極的な「首脳ビジネス」で海外輸出を推進している。文大統領が2021年12月にオーストラリアを訪れた際には、韓国のハンファグループが豪政府と10億豪ドル(約810億円)分の自走砲などの調達契約を交わした。
親米のUAEやサウジ、エジプトは防衛協力や兵器輸入でも伝統的に米国と関係が深いが、米軍は中国との競争を重視し中東への関与を減らしている。昨年8月にアフガニスタンから撤収し、12月にはイラクでの戦闘任務を終えた。米シェール革命や脱炭素の流れで米国と中東の関係が変質するなか、中東主要国は武器の調達先の分散に動いている。
欧州やアジアの兵器輸出国は米国ほどイスラエル対アラブの軍事バランスを気にしておらず、付き合いやすい事情もありそうだ。
インテルは同日、200億ドル(約2兆3000億円)を投じ、中西部オハイオ州に新工場を建てると発表した。2022年後半に2つの工場を着工し、3000人を雇用する。バイデン氏はホワイトハウスで演説し「中国は世界市場を奪い取るためにあらゆることに取り組んでいる」と警戒感を表した。半導体生産の75%が東アジアに集中していると指摘したうえで「(国産強化は)経済安全保障に関わる問題だ」と力説した。
同席したインテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は「経済と安全保障のリスクに対処する唯一の方法は、米国内の半導体の製造能力を引き上げることだ」と意義を強調した。
●決算関連
●マクロ・その他
欧州連合(EU)や英国、インド、オーストラリアの対中強硬派の議員が共同で出身国の政府や組織に、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働や人権抑圧に関与する企業への投資を禁止できる制度を設けるよう要請したことがわかった。議員には各国で影響力がある重鎮たちが含まれており、企業への規制を求める国際的な圧力がさらに強まる可能性が出てきた。
中国のテック株の苦境が一段と深まっている。主要5社の株式時価総額はピークと比べて約1兆1000億ドル(約130兆円)減った。アリババ集団の予想PER(株価収益率)は2014年の米国上場以来、最低水準となっている。中国政府による巨大IT(情報技術)企業への圧力は、データ安全・金融サービス分野での統制強化から、「反腐敗」にまで広がりつつあるからだ。
中国から遠く離れた中東欧で「中国離れ」が起きている。数年前までは経済的な支援への期待が高かった。実際に付き合ってみたら、中国からの援助は思ったほど利益が出ないと失望する国も出てきた。
中国では乗客が中国到着後の新型コロナ検査で陽性になると、搭乗させた航空会社の旅客機の運航を制限する制度を導入しており、今年に入り米国便の欠航が続発。米側が運航継続を求めたが受け入れられず、不公平で懲罰的だとして報復に出た形。
米運輸省は1月30日~3月29日に米西部ロサンゼルスや東部ニューヨークから中国に向かう中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空などの旅客機計44便の運航を差し止める。
マン氏は企業の価格設定や賃金計画についての調査結果を取り上げ、それらが示唆する物価上昇率の見通しは「2%の目標と相いれない」と語った。物価高の定着に懸念を示し、消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率を目標に戻すためには、金融政策委員会はインフレ期待を抑え込まなければならないと強調した。
中国や世界経済の先行指標として注目度が高い「クレジット・インパルス」に底打ちの兆しが表れている。中国の名目国内総生産(GDP)に対する新規貸し出しの伸びを示し、中国当局の政策に対するスタンスを映すとされる。株価にも先行するとみられており、市場では「吉報」と受け止める声も出ている。
ヤン・ハッチウス氏をはじめとするゴールドマンのエコノミストは週末の顧客向けリポートで、同社としては現時点で3月と6月、9月、12月の利上げに加え、7月にバランスシート圧縮開始の発表があると見込んでいると指摘した。
ただ、インフレ高進圧力を踏まえれば「リスクは当社のベースラインの上方に幾分傾斜している」とし、「インフレ動向に変化が見られるまで毎回の会合」で金融当局が引き締めに動く可能性もあるとコメントした。
その上で、「これは追加利上げもしくはバランスシートを巡る発表の5月への前倒し、年内4回を上回る利上げの可能性を浮き彫りにする」と分析。「毎会合連続の利上げへの転換につながる幾つかの潜在的な引き金を当社は想定することができる」としている。
ゴールドマンのエコノミストは一層の金融引き締めを促す潜在的要因として、長期的な予想インフレ率のさらなる上昇や、インフレを巡る新たなサプライズなどを挙げた。また、新型コロナウイルスのオミクロン変異株感染拡大や賃金上昇の持続的な力強さを背景に、同社が既にインフレ見通しへの懸念を強めていると説明した。
JPモルガンのエコノミストは21日発表のリポートで、そうした価格急伸は今年上期の世界成長率を0.9%前後に押し下げるだけの強いショックを経済に与えると警告した。同行の現在の予想は4.1%。
世界のインフレ率については7.2%と、従来シナリオである3%の2倍余りに押し上げられると予想。そうした状況になれば、各国・地域の中央銀行は現在の計画よりさらに速いペースで金融引き締めに動かざるを得なくなる可能性があると分析した。
リポートでは「原油相場が与えるショックは、循環的な景気低迷をもたらしてきた長い歴史がある」と指摘。「最近見られるロシア・ウクライナ間の地政学的緊張は、今四半期に相場が急伸するリスクを高めている」と記した。
JPモルガンは今回の分析について、ロシアとウクライナの間で軍事衝突が起きたり、米国がロシアに制裁を科した場合の金融市場への影響は考慮していないと説明した。
米金融当局のタカ派シグナルのほか、ホワイトハウスによる新たな規制の示唆やロシアでの仮想通貨マイニング(採掘)と取引の全面禁止の可能性にトレーダーが反応し、イーサなど他の仮想通貨はビットコインを上回る下落ペースとなっている。
英国の主張についてロシア外務省は、「ウクライナを巡る緊張をエスカレートさせている」のはロシアではなく北大西洋条約機構(NATO)であることの「証拠」だと批判。「でたらめの拡散を止める」よう英外務省に求めた。
英外務省は前日、ロシアがウクライナ政府トップに据えようとしている人物としてウクライナ元最高会議(議会)議員エウヘン・ムラエフ氏の名前を挙げた。また、ロシア情報機関が「多くの」ウクライナ元政治家との接触を保っているとの情報も得たとし、すでに欧米による制裁対象となっている4人に言及。この中にはアザロフ元首相も含まれる。
米国家安全保障会議(NSC)の報道官は、ロシアによる陰謀の疑いを「深く憂慮する」と述べた。バイデン大統領は22日に国家安全保障チームと会合を開き、ウクライナを巡るロシアの動きについて協議。ホワイトハウス当局者によると、米国が同盟各国と取り得る対応の選択肢について話し合った。
●市況
日経先物(大証)27175、ダウ先34157、債先151.03、米1.770、独▲0.0670、仏0.327、西0.625、伊1.350、原油84.84、ドル円113.69、墨ペソ20.47、トルコリラ13.4481、墨CDS101
※1/21 NY引値
備忘録(1/20)
●コロナ
ブラジルの新型コロナウイルスの新規感染者数が19日、20万5310人と過去最多になった。主要メディアが共同でまとめた。18日に記録した13万2254人を大幅に上回り、2日連続で最多を更新した。感染力の強い変異型「オミクロン型」が主流で、年明け以降に感染が急速に広がっている。7日間移動平均では10万322人となり、前日の最多水準(8万3630人)を上回った。1週間前の1.9倍の水準だ。医療機関や薬局での検査体制は逼迫しており、実際の感染者はより多いとの見方も出ている。
妊婦や医学的な理由で接種ができない人は対象外となる。免除理由のない未接種者が拒否し続ければ、最大3600ユーロ(約47万円)の罰金が科される。義務化は2024年1月末まで維持される見通し。
オーストリアで接種を完了したのは人口の約74%。EU平均(約71%)を上回っており、決して水準は低くない。
それでも政府が接種の義務化に踏み切るのは、若者を中心にワクチンを拒否する層が根強くいるためだ。将来の新たな変異型の発生にも備え、ワクチンの普及で発症や重症化を抑え、医療機関の負荷を軽減する狙いがある。
米連邦最高裁がバイデン政権によるワクチン義務化を差し止めたことを受けた措置。
米雇用機会均等委員会(EEOC)は、企業は自社の判断で従業員にワクチン接種を義務づけることができるという指針を示している。金融や航空業界では独自の判断で接種を義務付けている企業が多い。
一方、従業員の反発をおそれて義務化をためらう企業も多く、昨年11月の米民間調査では義務化している企業は2割以下にとどまった。オミクロン型の拡大で人手不足の懸念が強まるなか、企業はワクチン接種に関して改めて自主判断を求められる。
●中国不動産
中国恒大集団のオフショア債を保有すると主張する投資家グループは20日までに、恒大が海外債権者と実質的な交渉を行っていないと批判する声明を発表した。「法的権利を守るために必要な措置を講じる用意がある」と警告した。
恒大に財務状況を明らかにして、投資家グループに相談せずに資産を売却しないよう求めた。同グループは米法律事務所カークランド・アンド・エリスと投資銀行モーリスが代表を務めている。
20日と23日に満期を迎える米ドル建て社債を償還せず、他のオフショア債務も返済しない方針だと発表した。オフショア債務について「債務不履行(デフォルト)が起きるか、すでに起きた」と認めた。オフショア債務の総額は現時点で10億8600万ドル(約1200億円)という。
奥園は広州を拠点に不動産開発や販売、投資を手掛ける中堅不動産会社。2021年12月に格付け会社S&Pグローバルが部分的なデフォルトに相当する「SD」に認定していた。
中国の規制当局は、不動産開発企業が物件の事前販売で集めた資金を管理する預託口座へのアクセス制限に関して一部解除を検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。資金繰り難の緩和に向けた大きな一歩となりそうだ。
事前販売で集めた資金にアクセスしやすくすれば、資金繰りに苦しむ開発業者のキャッシュフローは改善する。中国のジャンク(投資不適格)級ドル建て債利回りは今月に入り20%を上回るなど、オフショア市場での資金調達は極めてコストが高くなっている。
今回の報道を受けて、高利回り債は19日、額面1ドルに対し一時10セント上昇する一方、中国の不動産株が大幅に値上がりした。わずか数日前はかつてない安値まで下落していた碧桂園と融創中国の社債は記録的な上げとなった。19日の株式市場では空売り勢のお気に入り銘柄、雅居楽集団が13%高と、2015年以来の大幅上昇で引けた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
欧米で認可を得た新薬のうち7割超が国内で未承認との調査結果を明らかにした。縮小傾向にある日本市場の優先度が下がっているためとして、「(欧米に比べて新薬投入が遅れる)ドラッグラグの兆しがある」と指摘した。
第4・四半期の営業収入は94億3000万ドルと、前年同期の40億3000万ドルから増加、調整後1株損失は1.42ドル。前年同期は3.86ドルの損失だった。市場予想は1.48ドルの損失。
第1・四半期の売上高はオミクロン株の影響により19年第1・四半期比で20─22%減少する見込み。
国内線や短距離国際線の需要は2019年の水準に近づいているが、長距離国際線の需要は依然として厳しいと指摘。また、新型コロナウイルスの新たな変異株出現に伴う旅行需要の変動により、計画策定が「史上最も困難」な環境になっているという。
●その他産業
衣料品を販売する初の実店舗を2022年後半にロサンゼルス市郊外に出店すると発表した。試着室のスクリーンで色違いを選びアプリで電子決済するなど最新のデジタル技術を導入する。
21年12月末時点の動画配信サービスの会員数は2億2184万人で、9月末と比べて828万人増えた。438万人の増加だった7~9月期を上回り、20年10~12月期(851万人増)に迫る水準だ。北米が119万人のプラスにとどまるなか、欧州・中東・アフリカが354万人、アジア太平洋地域は258万人増えて全体をけん引した。アジアでは「日本とインドの拡大が顕著だった」(ネットフリックス)という。
ただ、会員の純増数は会社予想の850万人には届かなかった。ネットフリックスは株主への手紙で「継続率は健全なレベルだが、新規獲得のペースが新型コロナウイルス前の水準に戻っていない」と指摘した。コロナ下に会員が急拡大した反動が続くほか、中南米のマクロ経済の停滞などが影響したとみている。
成長が緩やかになるなか、ネットフリックスは各地で値上げを進めている。1月には主力市場の米国で利用料金を月1~2ドル引き上げた。カナダでも類似の価格改定をしており、日本などに広がる可能性もある。
●決算関連
●マクロ・その他
1月の製造業景況指数は23.2で、前月から7.8ポイント上昇した。2カ月ぶりの上昇で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(18.5程度)を上回った。
個別項目はばらつきがあった。「新規受注」が17.9で4.2ポイント上向き、「出荷」も20.8で5.5ポイント上昇した。一方、「雇用」は26.1で7.8ポイント低下した。
供給面では、「受注残」は23.5で12.1ポイント上昇したが、「入荷遅延」は25.2で6.2ポイント低下した。
「仕入れ価格」は72.5で6.4ポイント上昇したが、「販売価格」は46.4で4.0ポイント低下した。
また2022年のコスト見通しを尋ねたところ、回答者の平均予測上昇率は、エネルギー価格が6.4%、エネルギー以外の原材料が8.9%、中間財が6.4%、賃金が4.9%だった。
民主党のバイデン大統領が公約として成立を目指す投票権擁護法案に関し、共和党の議事妨害を阻止するための規則変更が失敗に終わった。共和党議員のほか、民主党の中道派議員2人が規則変更に同意しなかった。法案を採決に持ち込む見通しが立たず、可決は絶望的になった。バイデン氏にとって大きな打撃となる。
9~15日の週間の新規失業保険申請件数は28万6000件で前週の改定値から5万5000件増えた。3週連続の増加で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(22万5000件程度)を大きく上回った。年末年始にかけて新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が急増し、主に飲食業や観光業などで客足が落ち込んだ。この影響で解雇が増え、減少傾向が続いていた失業保険申請が再び増え始めたとみられる。総受給者数も2~8日の週は163万5000人で前週の改定値から8万4000人増えた。
企業統治改革の焦点の一つである持ち合い株の解消に最後の壁が残っている。退職給付信託として拠出された政策保有株(みなし保有株)は5兆円超と、純投資以外の目的で保有する株式の1割にあたる。2000年以降、年金の積み立て不足解消策として保有株を信託する動きが広がった。政策保有株との意識が希薄で、通常の保有株に比べ解消が遅れている。年金の資産運用上の問題もでてきている。
事実上の政策金利と位置づけられる1月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を発表した。優良企業向け貸出金利の参考となる1年物は3.70%で、2021年12月の3.80%から0.1%下げた。下げ幅は前回利下げの0.05%より拡大した。住宅ローンなど中長期資金を融資する際の目安となる5年物も4.60%に引き下げた。21年12月までは4.65%で、こちらは1年9カ月ぶりの引き下げ。
金融緩和とは対照的に、財政面の景気てこ入れ策は新味に欠ける。李克強(リー・クォーチャン)首相は5日に開いた会議で「さらに効力を強めた複合的な減税やコスト削減を実施する」と強調した。だが、19日の国務院(政府)常務会議が決めた当面の減税策をみると、多くが従来措置の延長にとどまった。
景気減速に伴う歳入の伸び悩みが背景にある。中国財政省によると、21年11月の税収は2カ月連続で前年同月の水準を下回った。地方財政の悪化はさらに深刻だ。税源が細る地方政府が依存を強めてきた国有地使用権の売却収入が、不動産市場の低迷で落ち込んでいるからだ。
地方政府が景気対策として重視してきたインフラ投資も拡大が難しくなる。地方財政が悪化し、投資資金を調達するために債券を発行しても、将来の償還リスクが高まりかねないためだ。財政出動による景気下支えは期待しにくい状況が続きそうだ。
住宅ローン金利が最近急上昇しているため、物件購入意欲はさらに減退する可能性がある。中古住宅価格(季節調整前、中央値)は前年同月比15.8%上昇し、35万8000ドル。前月は35万4400ドルだった。
NARのチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は「販売件数は減少しているものの、価格がここまで強いという事実は買い手がいることを示している。ただ、在庫不足が一部の販売活動の妨げになっている」と記者団との電話会議で述べた。
米財務省は20日、ウクライナの不安定化を狙うロシアの活動を支援したとしてウクライナの元政府関係者ら4人に制裁を科したと発表した。声明によると、ロシアと対立するウクライナ政府高官の誤情報を意図的に流したり、同国の重要インフラに対するロシアのサイバー攻撃に協力したりした。
財務省は声明で、ロシアがウクライナに侵攻した場合に備えて米欧が検討している措置とは別だと説明した。
スペインのエネルギー大手、レプソルの製油所などから原油6000バレル程度が流出したとみられている。汚染地域は1万8000平方キロメートルに及ぶ。
ペルーの検察当局は環境汚染などの疑いでレプソルを捜査をしている。ロイター通信によると、製油所の広報担当者はペルー海軍からの津波に対する警告が不十分だったと指摘している。
ロシア軍が国境を越えてウクライナを攻撃すれば「迅速に厳しく対処する」と語った。小規模な侵攻であれば制裁を弱めるとも受け取れる19日のバイデン米大統領の発言を事実上修正し、いかなる侵攻も容認しない姿勢を改めて明確にした。
●市況
日経先物(大証)27118、ダウ先34565、債先151.01、米1.781、独▲0.0270、仏0.361、西0.656、伊1.367、原油83.55、ドル円113.92、墨ペソ20.53、トルコリラ13.3719、墨CDS101
※1/21 9時25分頃
備忘録(1/19)
●コロナ
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
JFEホールディングスは事業モデルを脱炭素に転換するための「移行債」を2022年度に発行する。調達する300億円は省エネルギー技術の開発などに使う。移行債の発行は国内製造業で初めて。二酸化炭素(CO2)を大量に出す企業は環境対策のための資金調達手段として一般的である環境債の発行が難しかった。企業の調達手段が広がり、脱炭素を加速しやすくなる。
●決算関連
融資残高の平均は前年同期比で1%増加した。ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は発表資料で「第4四半期に融資は510億ドル(約5兆8000億円)増え、預金は1000億ドル増加し、リテール預金のリーダーとしての地位をさらに固めた」と自賛した。
第4四半期のローンおよびリースの平均残高は9450億ドルとアナリスト予想の9400億ドルを上回った。純金利収入は前年同期比11%増の114億ドルとなった。
一方、セールス・トレーディング収入は2%減の29億ドルで、アナリスト予想の31億ドルに届かなかった。
投資銀行業務の手数料収入は26%増の24億ドル。企業買収の活況を受けて助言手数料は55%増加した。
デフォルト(債務不履行)リスクもさらに低下し、貸倒引当金8億5100万ドルを戻し入れた。
ただ、人件費増大を一因に金利外費用は6%増。22年通年で費用は前年からほぼ変わらずとの見通しも示した。
19日の発表によると、株式トレーディング収入は2億2500万ドル(約260億円)の一時利益により13%増加した。アナリストは前年同期並みを予想していた。債券トレーディング収入は31%減少した。
トレーディング事業は業界を通じて低迷する一方、トレーダーとバンカーをつなぎ留めるための人件費増大が各社の重しとなっている。モルガン・スタンレーの2021年金利外費用は19%増えた。これには買収した企業を統合するコストも含まれる。
シャロン・イェシャヤ最高財務責任者(CFO)はインタビューで、「収入は伸び、経費については強い規律を維持した」とコメントした。
投資銀行業務の収入はアナリスト予想に届かなかったものの、助言手数料は30%増えた。
ウェルスマネジメント事業の収入は10%増の62億5000万ドルと、市場予想にほぼ一致した。同事業は投資管理とともに同社収入の半分以上を占める。
純利益は9%増えアナリスト予想を上回った。全社の収入は7%増。
足元で発表が相次ぐ2021年10~12月期の決算では、米主要企業の純利益が前年同期比23%増える予想だ。インフレ下で最終製品の値上げが浸透し、利益率は上向き傾向にある。先行きについては新型コロナウイルスの感染拡大による人手不足で営業制限や人件費引き上げを迫られ、利幅が縮小するとの見方も出ている。
2021年10~12月期の決算は、売上高が前年同期比2.4倍の81億9200万ドル(19年10~12月比25%減)、主力の旅客収入は19年比で31%減、1ガロン当たりの燃料費は2.41ドルと、同15%増加したことなどから、減収を費用の圧縮で補えず、最終損益が6億4600万ドルの赤字(前年同期は18億9700万ドルの赤字)だった。
22年1~3月期は、売上高が19年1~3月期比で20~25%減の水準になると予測する。スコットCEOは決算説明資料で「オミクロン型が航空需要に短期的な影響を及ぼしているが、春は楽観的にみている」と指摘し、感染のピークアウトとともに航空需要が回復軌道に乗るとの見方を示した。
10~12月期決算は、売上高が6%増の209億5300万ドル、純利益が前年同期比10%増の42億2300万ドル。
同年9月におむつや生理用品、12月には家庭用液体洗剤を値上げしており、増収の半分は値上げが寄与したという。22年4月には主力分野のパーソナルケア用品で値上げを計画していると明らかにした。
供給制約や仕入れ価格上昇による影響も示した。22年6月期は素材価格で23億ドル、輸送費は3億ドル分の減益要因になると想定する。従来はそれぞれ21億ドル、2億ドル分を見込んでいた。新たに、ドル高による影響で2億ドル分の利益を押し下げるとの見通しを示した。
値上げ効果などにより、22年通期の売上高予測を従来の前期比2~4%増から3~4%増に上方修正した。通期で70億~90億ドルとしていた自社株買いは90億~100億ドルに引き上げると発表した。
2022年12月期の売上高が前期比20%増える見通しだと発表した。世界的に半導体の需給が逼迫するなか需要は同社の生産能力を上回り、高水準の成長が続く。
●マクロ・その他
2021年12月の住宅着工件数は170万2000戸(季節調整済み、年率換算)で、前月の改定値から1.4%増えた。3カ月連続の増加で3月以来9カ月ぶりの高水準となった。
主力の一戸建てが117万2000戸で前月比2.3%減ったが、変動の激しい5世帯以上の集合住宅が52万4000戸で13.7%増え、全体を押し上げた。
21年通年(季節調整前)では着工件数は159万5100戸で前年比15.6%増だった。市場に出されている中古物件が不足しているため、新築住宅への需要は極めて強い。しかし長引く供給網の目詰まりや資材高騰、技能を持った労働者の不足などが建設増の足かせとなっている。
また、フレディマックによると、22年1月13日までの週の30年固定ローンの平均金利は3.45%で、前週の3.22%から0.23ポイントも上昇した。今後、ローン金利の上昇が住宅需要を抑制する可能性が高い。
21年の石油需要を前年比548万バレル増の日量9638万バレル、22年を同333万バレル増の日量9971万バレルとした。それぞれ21年12月時点の前回予測から20万バレル弱引き上げた。この通りに行けば22年の需要はコロナ禍前の19年(日量9955万バレル)を上回る。
前回はオミクロン型の感染拡大で渡航制限などの規制が広がったことを受け、21~22年合計で日量21万バレル落としていた。今回は、その下方修正分を埋める以上に需要の見方を引き上げたことになる。リポートは世界の経済情勢について「モビリティー(移動)指標は堅調さを保ち、直近数カ月の石油需要は想定以上に強い」との認識を示した。
供給量については22年は21年より日量620万バレル増えると予測している。原油先物市場では目先の供給不安から値上がりが進んでいるが、IEAは米国の増産や主要産油国の減産縮小で「1~3月期は供給が需要を上回る」とみている。
日本船舶輸出組合(東京・港)が18日発表した21年の輸出船契約実績は1520万総トンだった。船体構造の規制強化に伴う駆け込み需要があった15年(2222万総トン)を除けば、08年(1942万総トン)以来の高水準だ。鉄鉱石などを運ぶばら積み船の需要が204隻と20年の88隻から急増した。
米連邦準備制度が00年以来の0.5ポイント利上げに踏み切るとの観測台頭から、先物トレーダーらは3月までの一段の債券下落を予想し、ポジションを構築している。
ウエストパック銀行の債券調査責任者、ダミアン・マカロー氏は「米10年債利回りが2%に達するのは確実だ。ただ、その後は売りが少し和らぐ可能性が高い」と述べた。「それでも、米国の初回利上げ後に利回りがさらに上昇するのは確かだろう」との見方を示した。
利回り上昇は住宅ローン担保証券(MBS)投資家が米金利リスクを減らすために米国債を売るコンベクシティ・ヘッジを引き起こす水準に近づいている。
サクソバンクの債券ストラテジスト、アルテア・スピノッツィ氏は19日にブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「投資家は今年のECBがこれまでほど緩和的でないことに対して警戒している。その場合、ドイツ債利回りは必然的に0%を大きく超えて上昇するだろうが、高ベータなイタリア債など欧州の他のソブリン債にとっては問題だ」と話した。
クウェートは急速に人が住めない場所となりつつある。2016年にはセ氏54度とここ76年で地球上最も高い気温を記録し、昨年は初めて6月に50度を超えた。クウェート環境庁(EPA)によれば、同国の一部では71-100年にこれまでの平均から最大4.5度上昇し、国内の多くの部分が居住に適さない場所となりかねない。
クウェート人や豊かな住民の多くが温暖化の直接的被害を免れている現状がある。住居やショッピングモール、自動車はエアコンが効いており、資金に余裕のある人たちは夏をよく欧州で過ごす。一方で途上国からの労働者を中心に、猛暑を避けられない人たちの状況は一段と悪化。政府は夏の午後の暑い盛りに屋外で作業することを禁じているが、移民労働者はしばしば炎天下で働いている。
フィッチ・レーティングスによれば、40年代から50年代の気温変化はクウェートの信用格付けに今後次第にマイナスの影響をもたらす見込みだ。リスクが高まっているにもかかわらず、民選の議会と、首長が首相の任免権を持つ行政府との対立が気候など全てについて改革を困難にしている。
中国人民銀行(中央銀行)で調査統計局長を務めた盛松成氏は18日のインタビューで、当局は経済成長が底を打つまでの時間を短縮すべく、カウンターシクリカル(逆周期)政策を強化する必要があると語った。
今年下期にはインフレ加速の恐れがあるほか、数カ月以内に米国が利上げした場合は人民元に圧力がかかる可能性があると盛氏は指摘。年後半は人民銀の行動が制限されるとの見方を示した。
現在は上海の中欧国際工商学院の教授を務める盛氏は「最善策は、3ー4カ月は続くとみられる現在の期間を利用し、大規模な刺激策を回避しながら小幅な緩和を継続することだ」と述べた。
ロシアが2014年に続きウクライナに再び侵攻した場合、ドル取引を停止する措置を検討していると明らかにした。ロシアの大手金融機関を対象にするとみられる。
ロイター通信によると、ロシアとベラルーシの両政府は18日、2月に外部からの攻撃に対処する合同軍事演習を実施すると発表した。ロシア軍は今月17日以降、ベラルーシに到着。ベラルーシ西部のポーランドと北部のリトアニア、南部のウクライナそれぞれの国境付近で訓練するという。
ホワイトハウスのサキ大統領報道官は18日の記者会見で「ロシアがいつ攻撃を開始してもおかしくない」と語った。米政府高官は18日、記者団に「このタイミングは注目に値する。ロシアが北部からウクライナに侵攻する意図をもち、演習名目でベラルーシに軍隊を駐留させる懸念がある」と述べた。
再編計画では対象となる330億ドルの債務を8割減の74億ドルまで減らす。計画によって返済額は500億ドル強減るという。
プエルトリコは主力だった観光業が低迷し、米国本土への人口流出も進み経済が行き詰まった。2015年に米自治領で初めて借入金の元利金を支払えなくなる債務不履行(デフォルト)に陥り、17年からは財政破綻に伴って債務削減のための法的手続きを続けていた。
●市況
日経先物(大証)27580、ダウ先34967、債先150.87、米1.859、独▲0.0095、仏0.378、西0.686、伊1.404、原油85.18、ドル円114.38、墨ペソ20.51、トルコリラ13.4400、墨CDS101
※1/20 9時40分頃
備忘録(1/18)
●コロナ
テドロス氏は記者会見で「オミクロン型は信じられないほどの広がりをみせており、新しい変異型も現れるだろう。追跡と分析が今後も重要になる」と語った。スペインや英国ではコロナをより日常的で危機水準が下がった「エンデミック」とみなす検討が始まっている。感染者の全数把握や隔離などをやめる選択肢も出てくるが、テドロス氏は時期尚早だと指摘した。
●中国不動産
恒大が売却したのは、雲南省昆明市と広東省仏山市の不動産開発子会社で、五鉱信託が一部株式を担保設定していた。両社が五鉱信託からの融資資金を返済できず、全株式を譲渡することになったもようだ。
五鉱信託は株式の取得について「政治的地位を高めるため」と説明しており、恒大問題の社会不安への波及を避けたい中国政府の指導が背景にあるとみられる。
五鉱信託は中国の国有資源大手、中国五鉱集団傘下の信託会社と呼ばれる金融機関だ。運用資産は2020年末時点で3兆4000億元(約61兆円)にのぼる。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
生産現場など自社事業で直接排出する「スコープ1」と、他社から供給された電力の発電時などに発生する間接的な排出「スコープ2」を実質ゼロにする。欧州の石油会社などが目標に含める取引先の排出「スコープ3」は含まれていない。
ニューヨーク時間17日夜にウェブサイトで公開された今年の書簡は、化石燃料に対するブラックロックの立場を明確にしている。「セクター全体から投資を引き揚げる、もしくは炭素集約型資産を単に公開市場から非公開市場に移すことでは、ネット・ゼロの世界は実現しない」と指摘。「ブラックロックは石油・ガス企業からの投資引き揚げを目指すつもりはない」と言明した。
ここ数年の書簡と大きく異なるのは、気候変動ではなく資本主義が脚光を浴びたことだ。「われわれがサステナビリティーを追求するのは環境保護主義者だからではなく、資本主義者であるからであり、顧客に対する受託者責任があるからだ」とフィンク氏は記述。短期的な結果よりも長期的な利益を優先するよう、企業に促した。
米商務省は同社のアリクラウド部門が顧客データを保存・処理する方法や、中国がその情報にアクセスできるかどうか調べていると、ロイターがこの問題について説明を受けた関係者3人を引用して報じた。今回の調査の対象には個人情報や知的財産も含まれるという。アリババはロイターに対してコメントを控えた。
●その他産業
「コールオブデューティ」などで知られるゲーム大手の米アクティビジョン・ブリザードを買収すると発表した。買収規模は687億ドル(約7兆8700万円)で、現金で取引を行う。ゲーム業界で最大規模の買収で、マイクロソフトとしても過去最大のM&A(合併・買収)となる。両社の取締役会が買収で合意した。手続きには規制当局の審査とアクティビジョンの株主による承認が必要となる。マイクロソフトは2023年の買収完了を見込んでいる。
マイクロソフトはソニーグループなどと並ぶゲーム機メーカーである一方、近年は一定額で多数のゲームを遊べる「ゲーム版のネットフリックス」とも呼べるサービスに注力してきた。アクティビジョンの買収を通じて有力ソフトをいち早く配信し、端末を問わずに遊べるゲームサービスの利用拡大をめざす。ソフトの配信戦略によっては、ソニーグループなどに逆風となる可能性がある。
●決算関連
2021年12月期決算は、純利益が前の期比2.2倍の216億ドル(約2兆4800億円)となり、過去最高益を更新した。世界的なM&A(合併・買収)ブームが追い風となり、助言業務が伸びたほか、株式や債券の引受業務が好調だった。
投資銀行部門の純営業収益(事業会社の売上高に相当)は148億ドルとなり、前の期比58%増となった。M&Aの大型案件で助言業務を獲得し、手数料収入が増えた。債券引受業務では買収ファンドの資金調達を支援する「レバレッジド・ファイナンス」が好調だった。
もっとも四半期業績の推移をみると、勢いに陰りがみえる。21年10~12月期の純利益は前年同期に比べて13%減った。トレーディング部門の収益が前年の水準に届かなかった。機関投資家による高水準の売買が続いていたが、徐々に正常化に向かっている。ゴールドマンの株価は早朝の時間外取引で一時、4%安となった。
●マクロ・その他
習氏は「いまだかつてない勇気と力をもって反腐敗闘争を推進する」と強調した。2022年秋に開く党最高指導部の人事を決める第20回党大会に向け、党内を引き締める考えを強調した。党幹部に習氏への忠誠を迫り、党トップとして自身の3期目入りを円滑に進める狙いがあるとみられる。
民間集計では、2021年が418件で前年より35%減り、比較可能な01年以降では最少となった。新型コロナウイルスによる企業への打撃を和らげる公的支援や金融緩和が背景にある。一方、個別の企業が抱える信用リスクは覆い隠され、競争力の低い会社が存続しているようだ。
1月のニューヨーク連銀製造業景況指数は前月から大幅に低下した。受注と出荷の指数がいずれも急激に落ち込み、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大で活動が抑制されたことを示唆した。
同景況指数の32.6ポイントの低下幅は、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が始まった直後の2020年4月以来の大きさ。新規受注の指数は32.1ポイント下げて、マイナス5。出荷の指数は26.1ポイント低下して1となった。
入荷遅延の指数はわずかに低下。週平均就業時間と雇用者数の指数も拡大ペースが鈍化した。
今回の統計ではまた、インフレが今年も根強く高止まりする可能性を示唆。仕入価格と販売価格の指数はいずれも低下したが、6カ月先の両価格の見通しを示す指数はともに統計開始以来の最高水準に上昇した。
6カ月先の景況見通し指数は35.1と、堅調な水準を維持。新規受注見通しの伸びを反映した。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)が18日発表した1月の景気期待指数は51.7と、昨年12月の29.9から急上昇した。市場予想は32.0だった。一方、現状指数は8カ月ぶり低水準のマイナス10.2に落ち込んだ。
ZEWのバンバッハ所長は「年明けとともに景気見通しは大きく改善した」とし、「その主因は新型コロナの感染数が初夏までには大きく減るとの推定だ。個人消費関連や輸出主導セクター、つまりドイツ経済の大きな部分について見通しが改善している」と解説した。
欧州の自動車販売は昨年12月に6カ月連続で減少した。半導体供給の危機的状況に見舞われる自動車メーカーの苦戦ぶりを浮き彫りにした。
欧州自動車工業会(ACEA)が18日発表した12月の乗用車登録台数は前年同月比22%減の95万218台。昨年全体の新車販売台数は1.5%減少。昨年はACEAが市場調査を開始した1990年代初め以来最低の販売実績となった。
半導体不足による世界の自動車業界の混乱が緩和されるとの見方が数カ月続いた後、メーカーの先行き見通しは悪化している。半導体の十分な調達は今年も厳しい状況が続く見込みで、新型コロナウイルス禍は引き続き消費者信頼感の重しとなっている。
NAHBの分析では、住宅建設の資材コスト総額は2021年12月以来約19%高まっており、資材高騰と入荷の遅れで大幅に完工が遅れる例が増えている。NAHBのエコノミストによると、データは1月前半分しか含まれておらず、足元の住宅ローン金利上昇を十分に反映していない。今後、金利上昇の影響が出るとの見方を示した。
●市況
日経先物(大証)28825、ダウ先35265、債先150.79、米1.884、独▲0.0055、仏0.380、西0.681、伊1.384、原油86.17、ドル円114.68、墨ペソ20.40、トルコリラ13.5458、墨CDS100
※1/19 9時20分頃
備忘録(1/17)
●コロナ
17日にデータが公表されたもので、テルアビブのシェバ・メディカルセンターの医療関係者154人を対象に4回目接種を試験的に開始してから2週間経過した時点で、研究者らは抗体レベルの上昇を確認した。
しかし、この試験の主任研究者ギリ・レジェブヨーチャイ氏によれば、オミクロン株に対する防御効果は完全ではなく、既存株に比較的効果が高いワクチンもオミクロン株に対する効果は低下した。ただ試験の対象者のうち感染した人は軽症ないし無症状にとどまったという。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
地方銀行が融資の焦げ付きに備える引当金の見直しを急いでいる。売り上げが落ち込む飲食・宿泊など業種や属性に応じて損失への備えを積む「グループ引き当て」を導入済みか検討中の地銀が過半に広がってきた。新型コロナウイルス禍が3年目を迎え、中小の接客業では不良債権化のリスクも高まる。疲弊する地域経済の再生と安定した経営の両立という難しい課題が地銀に迫る。
英国で19日に予定していた米ビザのクレジットカードの利用停止を見送ると表明した。しばらく利用を続けられる旨を該当する顧客にメールで知らせた。決済の手数料が高いとして取り扱いをやめる計画だったが「引き続き使えるようにするために可能性がある解決策をビザと緊密に協議している」として先送りを決めた。
英市場調査会社ミンテルの調査では、英市民の約9割がアマゾンで買い物していると推計されている。ビザにとっては支払い手段から排除されれば影響が大きい。一方でアマゾンにとっても多くの人が持つビザは決済手段として軽視はできない存在だ。小売り、カードの世界大手同士が英国で展開する手数料バトルの行方は、世界にも今後影響を与える可能性がある。
●決算関連
●マクロ・その他
「我が国の経済発展とコロナ防疫はいずれも世界をリードしている」。寧吉喆統計局長は17日の記者会見で胸を張った。
11年(9.6%)以来の高さとなった21年通年の成長率(8.1%)を根拠としたが、庶民の実感は乏しい。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストによると、8.1%のうち6.3%分は新型コロナの直撃で低成長だった20年の反動として説明できるからだ。
注目すべきは10~12月期の低迷だ。4.0%の増加率は20年初めに新型コロナ拡大で経済活動が止まった後、復調し始めた同年4~6月(3.1%)以来の低さとなる。
環境や不動産への規制強化に加え、政府が新型コロナ対応で厳しい行動規制を敷いた。10月下旬から感染が広がり、地方政府が省をまたぐ旅行や出張を制限した。
外食や旅行、物流が打撃を受けた。中国経済の「体温」を映す12月の発電量は前年同月比2.1%減少した。20年3月以来のマイナスだ。百貨店やスーパーの売り上げやインターネット販売を合計した12月の社会消費品小売総額(小売売上高)も前月比減少に転じた。
政府が重視する雇用も振るわない。21年の都市部の新規雇用は1269万人だった。前年より7%増えたが、1300万人を超えていた新型コロナ前には届かない。
消費や投資が力強さを欠くなか、経済を支えたのは外需だ。21年通年の成長率への寄与度は1.7ポイントに達し、中国経済が高速成長していた06年以来、15年ぶりの高さだった。
22年1~3月もゼロコロナ政策が経済活動の足を引っ張りそうだ。1月8日に天津市で、15日に北京市で新変異型「オミクロン型」の感染者が見つかった。上海市や広東省深圳市にも広がる。2月4日に北京冬季五輪の開幕を控え、政府は厳戒態勢を敷く。
多くの地方政府は2月1日の春節(旧正月)前後の休暇で帰省や旅行の自粛を呼びかける。中国政府は春節を挟む40日間の旅客数が延べ11億8000万人と見込む。新型コロナ前の4割にとどまるが、実際の旅客数はさらに下振れしかねない。春節がかき入れ時の飲食、宿泊業へのダメージは大きい。
野村証券は、22年1~3月の実質GDPの伸び率を前年同期比2.9%とはじく。米ゴールドマン・サックスもオミクロン型の出現で「より頻繁で広範囲な規制が必要になるリスクが高まった」として、22年の実質経済成長率の予測を4.8%から4.3%に下げた。
22年は秋に5年に1度の共産党大会がある。党大会のある年は景気対策で成長率は上振れしやすいとされてきたが、地方財政の悪化でインフラ投資にも限度がある。財政出動が要らない景気対策として21年にいったん厳格化した不動産規制を再び緩めるのではないか――。市場ではこんな観測がくすぶっている。
同時に発表した21年通年の実質GDPは前年比8.1%拡大した。11年(9.6%増)以来の伸びだが、主因は新型コロナで年初の経済活動が止まった20年の反動だ。
企業部門では、21年通年の工業生産は前年比9.6%増えた。1~9月の前年同期比伸び率(11.8%)より鈍化した。政府が環境規制で電力供給を制限した鉄鋼やセメントの生産は落ち込んだ。
工場の建設などを示す21年の固定資産投資は4.9%増だった。このうち地方経済の下支え役であるインフラ投資は0.4%増にとどまった。バブル抑制を目的とした金融規制で不動産開発投資も失速し、マンション販売も振るわなかった。
家計部門も伸び悩んだ。百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売を合計した社会消費品小売総額(小売売上高)は前年を12.5%上回った。1~9月の前年同期比増加率(16.4%)より縮小した。コロナ感染を徹底して封じ込める「ゼロコロナ」政策のもと、厳格な移動制限が外食や旅行、娯楽などサービス業の逆風となった。
内需の不振と対照的に、外需は堅調さを保った。10~12月の輸出入(ドル建て)はともに前年同期から2割超伸びた。輸出から輸入を引いた貿易黒字は最大となった。
中国の不動産開発は、地方政府がまず競売を通じて、国有地の使用権を開発企業に売る。中国の不動産サイトによると、南昌市の売却収入は21年、前年比7割も減少した。21年は住宅用地の供給を2割近く増やす計画を立て、売却収入の増加を見込んでいたが、目算は外れた。
主因は習指導部の不動産投機に対する規制の強化だ。住宅ローンや開発企業向け融資を厳格化した。新規の投資が減るとともに、住宅需要も縮小しマンション在庫がだぶついた。南昌市では21年9月から12月まで新築物件価格の前月比下落が続く。4カ月連続は7年ぶりだ。
仕入れにあたる土地の需要も減った。国有地使用権の売却収入を全国ベースでみても、21年1~11月は前年同期比4%増だった。20年までの2ケタ増から失速した。
不動産規制が強まるまで、地方政府は土地使用権の売却収入への依存を深めてきた。一般会計に相当する一般公共予算と売却収入を管理する基金(特別会計)を合わせた地方の独自収入は20年、19兆元(約340兆円)だった。売却収入の割合は遡れる10年以降で初めて4割を超えた。
中国不動産データ研究院によると、中国の主要12都市は売却収入が一般公共予算の歳入を上回る。浙江省杭州市や江蘇省南京市など省都も含む。「打ち出の小づち」をなくした地方財政は逼迫度が一気に高まるリスクも否定できない。
地方の歳入減を受けて、公務員の手当やボーナスの削減、遅配が広がっている。「20年の年末ボーナスは21年12月になってようやく払われた。これが最後のボーナスかな」。四川省にある市で働く劉さんはあきらめ顔で語った。社会保障や教育など公共政策やインフラ投資の重荷にもなりかねない。
21年10月、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は政府が固定資産税に相当する不動産税を試験導入することを認めた。マンション投機を抑えつつ、土地使用権の売却収入に代わる地方財政の歳入源を育てる狙いがある。
ただモデル都市の選定は難航しているもようだ。共産党関係者は「マンション市場に与える影響を考えれば、地方税収に貢献するような主要税源には当面ならない」と見通したうえで、こう付け加えた。「指導部が強調するように、党や政府の機関は財政的に苦しい日々を送り続けなければいけないんだよ」
中国国家統計局が17日発表した2021年の出生数は、前年比138万人減の1062万人だった。5年連続の減少で、1949年の建国以来の最少となったもようだ。政府は昨年、全ての夫婦に3人目の出産を認めたが、養育費の高さなどから出産をためらう夫婦が多い。出生数が死亡者数を上回ったため、2021年末の人口はわずかに増えた。
中国では80年ごろから続けた「一人っ子政策」の影響で「子は1人で十分」と考える家庭も多い。政府が2人目の出産を全面的に認めた2016年は出生数が増えたが、効果は長続きせず、5年で4割超減った。
教育費など子育ての負担が重いほか、女性の社会進出に伴う晩婚化や離婚数の増加という要因もある。出生数を総人口で割った「普通出生率」は0.752%と、建国以来の最低を更新した。今後は出産適齢期の若い女性が減るため、少子化はさらに加速しそうだ。
中国は今年秋に開かれる共産党大会を控え、経済「安定」を優先する方針を示している。党大会では習近平総書記(国家主席)の3期目続投が確認される見通しで、政府による刺激策強化が示唆されている。
1月の工業生産は伸び悩みそうだ。春節(旧正月)連休を控えているほか、西安や天津などでのコロナ封じ込めを目的とした厳格な措置による影響、北京冬季五輪に合わせた大気汚染対策として講じられる重工業の生産抑制が足かせとなる。
中国当局は不動産業界の資金調達に対する制限の一部緩和に動いたが、その効果は統計にまだ反映されていない。また、中央政府が地方当局に借り入れや支出を促しているにもかかわらず、インフラ投資も伸び悩んだ。
ナットウエスト・グループの中国担当エコノミスト、劉培乾氏は「固定資産投資に対する不動産セクターの足かせは非常にはっきりしており、衝撃的だ」と指摘。12月の不動産投資は前年同月比13.9%減少し、11月の4.9%減からさらに悪化したと同氏は推定した。
中国財政科学研究院の劉尚希院長は北京で14日に開かれたフォーラムで、地方政府債の発行残高が30兆元(約540兆円)に上っており、このうち半分が3年以内に満期が到来するため「地方政府の財政は非常に圧迫されている」と述べた。
地方政府債の利率は平均して4%未満と総じて低水準だが、「債券残高の急拡大が利払いを加速させている」とも指摘した。
財政省が発表した昨年1-11月の全国一般公共予算収支状況によれば、債券利払いは9640億元に迫り、前年同期から6.6%増えた。
2022年の世界の総労働時間はコロナ禍前の19年に比べ、5200万人分に相当する減少幅(約2%)となる見通しだ。21年時点では2600万人分と試算していた。下方修正は変異型「デルタ型」「オミクロン型」の発生などが理由で、ILOのライダー事務局長は「回復は遅く、道のりは見通せない。貧困や格差の拡大もみられる」などと警鐘を鳴らした。22年の失業者は19年より2100万人多い2億700万人となる予想で、就業を諦めた人を含めるとさらに多くなるとした。コロナ禍前の水準まで回復するのは24年以降になるとの見方を示した。
4週連続で上昇してきたブレントは冬季で暖房油の需要が高まる状況の中で同86ドルを上回っている。また、イエメンの親イラン武装勢力フーシ派がアラブ首長国連邦(UAE)にドローン攻撃を仕掛けたと発表し、地政学的な緊張が再燃した。この攻撃で首都アブダビ郊外では爆発が起き、3人が死亡した。
ターゲットのブライアン・コーネルCEOは16日、全米小売業協会(NRF)のニューヨークでのイベントで、消費者が物価上昇の痛みを緩和するため、自宅での食事の機会を増やし、より安価な大衆ブランドを求める可能性が強いとも指摘した。昨年12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7%上昇と1982年半ば以来の高い伸びだった。
「過去の物価上昇期に消費者が取った反応の一部が復活するだろう。買い物での車の走行距離と外出回数、訪問する店舗数を減らす。お気に入りのレストランの代わりに恐らく自宅で食事する回数を若干増やし、全国的なブランドではなく各社の自社ブランド製品で一部妥協をすることもあるかもしれない」とコーネル氏は語った。
●市況
日経先物(大証)28442、ダウ先35838、債先150.84、米1.814、独▲0.0245、仏0.357、西0.655、伊1.360、原油83.64、ドル円114.49、墨ペソ20.29、トルコリラ13.4491、墨CDS100
※1/18 9時40分頃
備忘録(1/14-16)
●コロナ
中国政府のゼロコロナ政策が生産や消費活動への打撃となっている。春節(旧正月)や北京冬季五輪開幕が2月初旬に迫るなか、15日には首都北京で初めて新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染者が確認された。市当局は16日、入域する全員を対象としたPCR検査の強化策を決めた。企業や市民生活への影響は必至だ。
●中国不動産
2021年12月の主要70都市の価格動向によると、主要70都市のうち前月から値下がりした都市は50と、全体の7割を占めた。11月の59より減った。各都市の変化率を単純平均すると0.3%の下落となった。4カ月連続のマイナスだ。北京、上海、広州、深圳の「1級都市」の平均価格は前月を0.1%下回った。3年3カ月ぶりの下落だ。政府の不動産規制の影響が広がっている。
価格下落は中小都市から大都市に波及している。省都クラスより小さい「3級都市」は21年9月から、省都クラスの「2級都市」は10月から下落が続く。都市の規模別でいずれも値下がりするのは、15年2月以来6年10カ月ぶりとみられる。
住宅ローンが大半とみられる個人向け中長期資金の新規融資額は21年12月、前年同月より19%減った。9月まで続いていたマイナスに戻り、住宅需要の弱さを示した。不動産シンクタンクの易居不動産研究院によると、年末年始から北京や上海、広州でも銀行が住宅ローン金利を引き下げたり、ローンの審査期間を短くしたりする動きが出始めている。
広州富力は2021年の物件販売額で30位前後。プロサッカーチームを抱えていることで知られる。債務の元本7億2500万ドル(約830億円)のうち、金利を含めて1億ドルあまりしか支払っていない。S&Pグローバルも広州富力の香港部門を部分デフォルトと認定し、「グループが脆弱な流動性を大幅に改善するのは難しい」との見解を示した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
取引先などでの人権侵害のリスクを調べる人権デューデリジェンス(人権DD)を実施する企業が増えている。国内主要企業への日本経済新聞社の調査で、回答企業の4割弱が実施していたことが分かった。欧米で人権DDを求める法令が相次ぎ、日本企業も対応を急ぐ。ただ専門家は「実施率や調査の質の点で課題は多い」と指摘する。
●その他産業
米国で動画配信サービスの利用料金を1カ月あたり1~2ドル(約115~230円)引き上げると発表した。価格改定は2020年10月以来で、各プランで1割強の値上げとなる。映画やゲームなど配信作品の多様化を料金に反映する。カナダでも同様の値上げをしており、世界各地に広がる可能性がある。
ネットフリックスはこれまでも「作品への投資」を理由に段階的な値上げを実施してきた。最近では映画やスポーツを題材にしたドキュメンタリー、モバイルゲームなどの制作に積極的に投資しており、配信する作品の数や種類の増加を料金に反映したとみられる。
三菱重工業は発電出力を機動的に十数分で変えられる原子炉を実用化する。天候で発電量が不安定な再生可能エネルギーの弱点を補う電源としても使えるようにするためで、電力会社と初期設計の協議を始めた。従来の原発は、出力変更に1時間かかり再生エネの補助電源として使いにくかった。脱炭素に欠かせない再生エネの安定的な活用に向けた技術開発が活発になってきた。
食品・日用品メーカーのユニリーバは、英グラクソ・スミスクラインのコンシューマーヘルスケア部門への買収提案の条件を引き上げるため、追加の資金調達について複数の銀行と協議を行った。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
最後の提案は昨年12月20日に提示され、総額約500億ポンド(約7兆8000億円)だったが、ユニリーバがこれより高い条件を提示する上で十分な額を融資する可能性について、一部の銀行は協議したという。
グラクソは15日、ユニリーバの提案を拒否したと説明。「3つの提案の全てがコンシューマーヘルスケア事業とその将来の見通しを根本的に過小評価している」ことを理由に挙げた。
●決算関連
アジアやメキシコなどで展開していた海外コンシューマー(消費者)事業は「レガシー(非中核)事業」に区分し、順次売却や撤退を進めることを明確にした。2000年代初めから進めた拡大路線の歴史が完全に幕を下ろすことになる。
シティが14日公表した21年10~12月期決算は、純利益が前年同期比26%減の31億ドル(約3500億円)となった。アジア市場からの撤退に伴う費用がかさんだ。当局の要求に応じて、銀行インフラの強化を進めていることもコスト増要因になった。シティ株は14日、前日比4%安まで売られる場面があった。
米銀大手のJPモルガン・チェースが14日発表した2021年10~12月期の決算は、純利益が前年同期比14%減の103億9900万ドル(約1兆1800億円)だった。前年同期と比べ市場部門の収益が減少したほか、融資の焦げ付きに備えて積んでいた貸倒引当金の戻し入れ額が前年同期と比べ縮小し、利益の押し上げが減った。
●マクロ・その他
新型コロナウイルス対策への財政支出などで新興国の債務が一段と増えている。2021年9月末時点で92.6兆ドル(約1京500兆円)と、感染拡大前の19年末に比べ2割増えた。前年比の伸び率は10年以降おおむね7%以下に収まってきたが足元では1割超だ。物価上昇を受けた利上げが、回復が遅れる新興国経済をさらに押し下げる悪循環が現実味を帯び、世界経済の大きなリスク要因になりつつある。
2021年12月の小売売上高(季節調整済み)は6268億ドル(約71兆円)で、前月から1.9%減少した。前月からのマイナスは5カ月ぶり。変動が大きい自動車・同部品とガソリン販売店を除くと2.5%減だった。業態別ではネット通販などの無店舗販売が8.7%減と最も下げ幅が大きく、百貨店も7.0%の大幅減となった。家具やスポーツ用品、衣料品などの専門店も3~6%減少した。
米国の年末商戦は11月末のブラックフライデーから始まるのが慣例だが、今年はアマゾンが10月に大規模な特売イベントを実施し、ウォルマートもセールを11月初旬に前倒しした。この結果、年末に向かうはずの個人消費が分散し、12月のピークが抑えられた。
米西海岸の港湾の混雑などでアジアからの商品の仕入れ・配送が遅れ、年末商戦の需要を取りこぼした面もある。オミクロン型の感染拡大で米アップルが12月に直営店「アップルストア」の一部店舗を休止するなど実店舗の営業を縮小する動きもあった。米メディアでは、12月の販売機会の損失分が1月以降にずれ込むとの見方も出ている。
全米小売業協会(NRF)が14日発表した2021年11~12月期の年末商戦売上高は8867億ドル(約101兆円)で前年同期から14.1%増えた。売上総額、伸び率のいずれも過去最高となった。11月に小売り各社が商戦を前倒ししたのが奏功した。12月は物流の混乱や物価上昇の影響で鈍化したもようだ。
オンライン通販は前年比11.3%増の2189億ドルを計上し、総額の約4分の1を占めた。伸び率は事前予想の11~15%増の下限にとどまった。商品別では衣料品、スポーツ用品、日用品雑貨の販売が好調だった。
月次GDPの水準はコロナ禍前の20年2月との比較で0.7%増えた。英国では21年3月以降、外出や飲食店営業などを制限するロックダウン(都市封鎖)が段階的に解除され、経済活動の回復につながった。英政府はワクチン効果で重症化が抑えられていると判断し、1日に数万人規模の新規感染者が出続けた21年秋以降も厳格な行動規制とは一線を画してきた。
ただ21年12月はオミクロン型の急拡大による下押しが避けられない。再び在宅勤務が奨励されたことで出社人数が減ったり、多くの会合やイベントが取りやめになったりした影響が出そうだ。英調査会社キャピタル・エコノミクスのポール・デールズ氏は「12月と22年1月のGDPはともに前月比0.5%減」と予想している。
米ミシガン大学が14日発表した1月の消費者態度指数(速報値)は68.8で前月から1.8ポイント低下した。10年ぶりの低水準となった2021年11月(67.4)に次ぐ低さで、強い物価上昇が消費者景況感を冷え込ませた。
調査担当者によると、消費者はインフレのため生活水準を引き下げていると指摘。物価上昇は逆累進の影響をもたらすため、低所得層の景況感の落ち込みが大きかった。22年に物価上昇が所得増を上回って実質所得が減ると予測する人は48%にのぼり、75%は「失業より物価上昇の方が深刻な問題」と回答した。また政府の経済対策への信頼は14年以来の低さに落ち込んだ。
予測インフレは1年先が4.9%で前月から0.1ポイント高まった。5年先は3.1%で0.2ポイント高まり、11年3月以来約11年ぶりの高さとなった。
製造業が0.3%低下した。長引く供給網の混乱や材料・部品不足、労働力不足などが足かせとなったとみられる。温暖な天候で暖房需要が減り、電気・ガスも1.5%下がった。一方、鉱業は2.0%上昇した。
中国税関総署が14日発表した貿易統計によると、2021年の対米貿易総額は過去最大となった。輸出入ともに前年より3割増えた。中国の黒字拡大など通商摩擦は解消していないが、貿易での相互依存はむしろ強まっている。今後はハイテク分野や人権問題をめぐる対立が焦点となる。
輸出は米個人消費の回復でパソコンや玩具の出荷が好調だった。東南アジアなどで新型コロナウイルスの感染が再び広がり、サプライチェーン(供給網)が打撃を受けたことも供給元として中国への依存が強まった面もある。
輸入の拡大は資源高が一因だ。脱炭素に向けて、液化天然ガス(LNG)の調達を増やした。20年2月に発効した米中貿易協議の第1段階合意で、中国は米国から輸入するモノやサービスを20~21年に17年比で2000億ドル増やすと約束した。合意に基づき、工業製品の輸入も増えた。
17日に発表される昨年10-12月(第4四半期)の中国国内総生産(GDP)では、不動産不況と電力不足の影響が鮮明に示されそうだ。成長率は前年同期比3.3%と、2020年4-6月(第2四半期)以来約1年余りぶりの低水準となった可能性がブルームバーグのエコノミスト調査結果で示されている。
●市況
日経先物(大証)28277、ダウ先35796、債先150.75、米1.793、独▲0.0395、仏0.340、西0.642、伊1.341、原油84.28、ドル円114.19、墨ペソ20.30、トルコリラ13.5198、墨CDS98
※1/14 NY引値
備忘録(1/13)
●コロナ
欧州で新型コロナウイルスを危機レベルが下がった「エンデミック(特定の地域で普段から繰り返し発生する状態)」と見なす検討が始まった。ワクチンが普及し、オミクロン型の重症化率が低いことから、社会を正常に近づけるとの考え方だ。世界保健機関(WHO)は「不確実なことが多くある。エンデミックと呼べる段階には入っていない」と指摘。現段階では反対している。
●中国不動産
2020年1月8日に発行した人民元債(満期3年)45億元については、発行の2年後から投資家が恒大に繰り上げ償還を請求できる権利が付いている。この繰り上げ償還期日を従来の1月8日から7月8日に6カ月延期することなどを議案としていた。同議案は約72%の賛成票を得たという。
取得税の軽減や家電などの購入補助券の配布で需要を掘り起こす。政府の不動産規制などでマンションの在庫が5年4カ月ぶりの高い水準に膨らんだため。取引を活性化させ、地方財政が依存するマンション用地の売却収入の落ち込みを抑えたい考えだ。
不動産シンクタンクの易居不動産研究院によると、主要100都市の新築マンションの在庫面積は21年11月末に5億2千万平方メートルとなり、16年7月以来の高水準に達した。特に、省都クラスより小規模の地方都市は前年同月比7%増えた。北京市や上海市などの1級都市が3%、省都クラスの2級都市が1%それぞれ減ったのと対照的だ。
習指導部の方針を受け、地方政府は積極的な販売促進策を打ち出しにくかった。転機となったのは共産党が21年12月に開いた中央政治局会議と中央経済工作会議だ。「マンション市場が合理的な住宅購入の需要を満たすことを支持する」と強調。投機の抑制は続ける一方、居住目的の実需まで抑え込むことがないよう規制を緩める姿勢を示した。
気がかりなのは、売却収入の実態が統計以上に悪化している恐れもあることだ。規制強化で不動産開発会社が資金不足になり、入札にかけても買い手がつかない土地が目立ち、融資平台と呼ぶ地方政府傘下の投資会社が購入する例が増えているためだ。
中国メディアによると、江蘇省無錫市が昨秋に実施した入札では、買い手がついた20区画のうち17区画は融資平台だった。同省南京市でも6割近い土地を融資平台が落札した。
中国には人口流出が止まらない中小都市も少なくない。潜在的な住宅需要がしぼむなか、一時的な財政支援でどこまで不動産売買を活性化させ、地方財政の安定につなげられるかは見通せない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
計画に対する運航便数の割合である運航率は1月全体でANAが93%(2020年度計画比)、JALが94%(21年度計画比)となり、21年12月の前回発表から2~3ポイント下がった。
JALはこのほか、2月1~14日に55路線1230便を減便することも発表した。同期間の運航率(21年度計画比)は90%としている。
●その他産業
●決算関連
2021年10~12月期決算は、売上高は94億7000万ドルで、コロナ拡大前の19年10~12月期と比べ17%減だった。四半期ベースでの売上高はコロナ下に入った20年1~3月期以降で最大。最終損益が4億800万ドルの赤字(前年同期は11億800万ドルの赤字)だった。
主力の旅客収入は19年10~12月期比で29%減。米国内線は22%減だったが、大西洋路線が53%減、太平洋路線が81%減になるなど国際線が振るわなかった。
原油価格の上昇に伴い、1ガロン当たりの燃料コストは19年10~12月期比で4%上昇したほか、運航再開に伴うコストもかさんだ。費用全体の減少幅は同8%にとどまり、売上高の減少を補えず最終赤字につながった。
オミクロンのまん延について、CEOは「60日ほど需要回復が遅れる」「消費者や法人の潜在需要は大きく、(感染の)ピークを過ぎれば春や夏は力強い旅行シーズンとなるだろう」とのべると共に、4-6での黒字転換の見通しを示した。
また、航空業界では従業員の感染によって運航に支障が出ているが、バスティアン氏は13日「運航は先週から安定してきた」と述べ、混乱が収束に向かっていると強調した。
21年通年での純利益は2億8000万ドルとなった。19年と比べると94%減だが、通年で2年ぶりの黒字となった。
純利益は16.4%増の1662億台湾㌦。売上高、純利益ともに四半期ベースで過去最高を更新した。
世界的な半導体不足を受け、好調な生産が続き、需給逼迫から値上げ効果も寄与した。売上高全体の2割強を占める米アップル向けでは、新型スマートフォン「iPhone13」に搭載する最先端の半導体の出荷が好調だった。
今後も好調は続きそうだ。業界の国際団体SEMIは12日、22年の世界の半導体業界の設備投資額(前工程のみ)予測を発表した。TSMCなど半導体生産受託会社(ファウンドリー)がけん引し、設備投資額は3年連続で過去最高を更新し、21年比で10%増の980億米ドル(約11兆2000億円)になる見込み。
人工知能(AI)関連などの半導体需要が今後も膨らむ。そのためTSMCも今年、業界全体の投資額の4割強に相当する400~440億ドルの過去最高の設備投資を計画する。
●マクロ
「22年1~3月期か4~6月期までは高止まりするだろう」との見通しを示した。「FRBは物価上昇率を(2%の)目標値まで引き下げることにコミットしている」と強調。「我々は強力な政策手段を持っており、それを使い物価を下げていくつもりだ」「我々は22年に数回の利上げを予測し、その後しばらくして保有資産の縮小を始めることも話し合っている」と指摘。「物価はできるだけ早く下げようと努力するが、持続的で強力な(景気・雇用の)回復と矛盾しないようにしなければならない」とも指摘した。
FRBのめざす気候対応について「大手金融機関が自ら抱える重要なリスクを測定し、監視し、管理しているかどうかを確認したい」と説明。「気候関連のストレステスト(健全性審査)を実施すべきだとは言っていない」「我々が銀行に対してどの産業に融資すべきか、しないべきかを指示することはない」とも強調した。
2021年12月の卸売物価は前年同月比9.7%上昇した。伸び率は前月の改定値(9.8%)から0.1ポイント縮まり、わずかに物価上昇の勢いが弱まったが依然として高水準な状況が続いている。
製品が0.4%低下した。低下は新型コロナウイルス感染拡大が本格化した直後で大きく物価が下がった20年4月以来となった。ガソリンの値下がりなどでエネルギー価格が3.3%低下したほか、肉、野菜などの値下がりで食品価格も0.6%下がった。ただし、これらエネルギーと食品を除いた製品コアは0.5%上昇した。
サービスは0.5%上昇した。人件費の高騰などで卸売業者や小売業者のマージン(利ざや)が0.8%上がったほか、輸送・倉庫も1.7%上昇した。
国内に加え、米国や中国で自動車向けの受注が増加した。21年の年間受注総額は過去4番目だった。
空室率の低下は2カ月連続。新型コロナウイルス拡大前より割安な賃料を背景に移転需要が出るなど、悪化していたオフィス需要に落ち着きが見え始めた。
ただ、新築ビルが竣工する22年下期以降は古いビルからの退去が増え、空室率の上昇が再び顕著になる可能性がある。
2021年のパソコンの世界出荷台数が前年比14.8%増の3億4880万台になったと発表した。在宅勤務などのためにパソコンを購入する流れが続き、半導体などの供給が滞った影響を受けたものの9年ぶりの高水準になった。
一方、足元では成長が鈍化している。IDCによると、21年10~12月期の前年同期比増加率は1%にとどまり、ガートナーは5%減ったとみている。新型コロナウイルスの流行に伴い、在宅勤務や在宅学習向けなどの需要が高まったが、ガートナーの担当者は「パンデミック(大流行)に伴う需要の急増は終わりを迎えた可能性がある」と指摘した。
半導体をはじめとする部品の供給不足も懸念材料になっている。IDCの担当者は「21年は物流や供給制約の影響を受けており、需要はより拡大していた可能性がある」との見方を示している。
備忘録(1/12)
●コロナ
ブラジルでは11日に新規感染者数(7日移動平均)は4万4016人と2021年7月29日以来の水準となった。新型コロナとインフルエンザに同時感染する「フルロナ」の症例への警戒も強まっている。首都ブラジリアや最大都市サンパウロでの報告が多いようだ。南半球のブラジルの季節は夏で、学校の休暇時期にあたる。旅行や里帰りする人々も多く、今後は一段の感染拡大が警戒されている。2月末から3月上旬にはカーニバル(謝肉祭)の大型連休も控える。
中南米では他の国でも感染が拡大している。アルゼンチンの場合は12月半ばから感染が増えており、11日の新規感染者数は13万4439人と過去最多となった。メキシコも同日に3万3626人と、最多を更新した。メキシコでは検査を受けるのが困難になっている。
●中国不動産
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
日本市場は米国、中国に次ぐ3位から、2026年にはドイツに抜かれて4位に転落する見通しだ。政府は医療財政の圧縮のため22年度の公定価格(薬価)も引き下げる方針だ。薬価低下により国内市場の優先度が低下すれば、新薬の投入が他国に比べて遅れる「ドラッグラグ」が生じかねない。
●その他産業
独フォルクスワーゲン(VW)が12日に発表した2021年の世界新車販売台数は20年比5%減の888万台だった。トヨタは21年通年の実績をまだ発表していないが、同年1~11月の累計ですでにVWの通年を上回っている。半導体不足への対応の巧拙で差が開いた。
各社が頭を悩ませた半導体不足もグループ会社のデンソーとの連携で影響を最小限に抑えた。
新型コロナウイルス下の外出自粛で1店舗あたりの商圏が狭まっており、コンビニで生活雑貨を求める動きが広がっていることに対応する。気軽に買いやすい100円均一の雑貨を並べることで、客単価の押し上げにもつなげる。
16年から5年間首位だった独メルセデス・ベンツは5%減の205万台。BMWは半導体不足の影響が比較的小さかったことが奏功した。
11日時点で従業員の約3000人が新型コロナに感染しており、米東部ニュージャージー州のニューアーク空港では従業員のおよそ3分の1が病欠したという。
●決算関連
●マクロ・その他
企業の見通しはおおむね明るさを保ったが、一部地区は今後数カ月の成長予測がやや弱まったと報告した。製造業は引き続き拡大し、輸送分野も緩やかな拡大を続けた。
雇用は「緩やかな伸び」にとどまった。求人は増えたものの深刻な労働者不足で雇用増が抑制された。セントルイス連銀地区の公共交通機関は、就職イベント開催や退職者呼び寄せにもかかわらず人手不足でサービスを削らざるを得ず、「幹部が従業員に働いてくれと懇願している」と窮状を伝えた。
労働市場の逼迫で「全米全域で強く賃金が上昇した」ほか、福利厚生など賃金以外の労働コストも上昇した。低技能労働者の賃金の伸びが特に強かったが、多くの産業や地域、人種、年齢層で過去平均を上回る伸びがみられた。クリーブランド連銀地区では、調査協力企業の約7割が過去2カ月間に賃上げを実施したと回答した。多くの企業はパートタイム勤務を認めたり、資格要件を緩めたりして人材確保に努めているとも報告した。
物価は大半の地区で大幅に上昇したが、ペースがやや鈍化したとの報告も一部であった。供給網の混乱が長期化するなか、卸売価格と材料価格が上昇しインフレ圧力になっている。ボストン連銀地区の小売業者は、輸送費が高い水準で高止まりしていると伝え、製造業者も仕入れ価格が高騰し、ものによっては前年から3割高となっていると報告した。また、人手不足とそれに伴う賃金上昇も企業にとってコスト高の一因になっているとの指摘もあった。
12日に事前公表した冒頭発言によると「我々の金融政策はすべての人を巻き込んだ(経済・雇用)回復を維持しつつ、物価上昇率を(目標の)2%まで下げることに重点を置いている」と表明する。また、「物価上昇率が高すぎ、全米の勤労者は給料がどこまで上がるのかを不安に感じている」とも指摘する。
21年の中古車販売は約10%増加し、過去最高水準の4000万台超となったもようだ。人気車種は新車を上回る価格で売れるという話も聞く。
深刻な新車不足のなか、車メーカーは利幅の薄い法人向け販売を絞って個人への販売を優先している。この結果、レンタカー会社などの大口の車両の買い替えが停滞し、将来の中古車の供給が細る可能性がある。レンタカーなどの法人販売は、新型コロナ危機前には年間300万台規模と新車販売の2割近くを占めていた。3年リースなど比較的新しい状態で買い替えられるレンタカーは中古車市場の商品サイクルを活発にし、メーカーにとっても生産ペースを安定させる調整弁になっていた。
自動車販売コンサルティングの米コックス・オートモーティブは「20~22年の減産により、この先の数年は中古車の供給が制限される」と指摘する。過去にも金融危機などで法人販売が落ち込み、その数年後に中古車の供給が滞ったケースがある。
2021年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が7.0%と39年半ぶりに7%台に達した。変動の大きい食品とエネルギーを除く上昇率も5.5%と、11月の4.9%から一段と高まった。半導体不足で新車の供給が滞るなか、中古車の価格は前年同月比37.3%上昇し、11月から伸び率が5.9ポイント拡大した。
インフレを受けて家主が引き上げている家賃などの住居費は4.1%高くなった。食肉などの値上がりが続く食品も6.3%上昇した。ガソリン価格の上昇率は11月から8.5ポイント鈍化したものの、49.6%となお高い水準にとどまっている。
調査結果によると投資額は20年の約2.9倍になった。海外からイスラエルへの投資額全体のうち日本からは15.8%を占めたという。投資件数も85件と前年の63件から増えた。半導体や医療など同国で台頭する新興企業への投資が広がった。
2021年の消費者物価指数(CPI)上昇率は0.9%と、09年以来12年ぶりの低水準だった。新型コロナウイルス対策の厳しい行動制限で消費の回復が鈍いからだ。卸売物価指数の上昇率が資源高で8.1%と、1995年以来26年ぶりの高水準だったのと対照的。雇用や所得の改善の遅れが見られる中節約志向も強く、消費現場に近いサービス業を中心に資源高のしわ寄せが行っている。
中国政府も、原材料高の小売価格への波及に厳しい目を向けてきた。値上げによる消費の落ち込みを防ぐためだ。価格統制は、コスト上昇分を転嫁できない企業の収益を圧迫した。内需の停滞も重なり、非製造業へのしわ寄せが目立った。
規模別では、川下に多い中小零細企業の苦境が際立つ。21年12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)で、中小零細企業は46.5と、20年2月以来の水準に悪化した。好不調の節目である50を上回った大企業や中堅企業との違いは鮮明だ。
アルゼンチンが国際金融市場から断絶され、孤立する恐れが再び高まっている。同国は国際通貨基金(IMF)に対する数十億ドルの債務を再編する期限が3月に迫っている一方で、左派の与党・正義党(ペロン党)政権が新たな取り決めについて議会の支持を得られないためだ。
世界の企業の社債発行額が、2022年の最初の1週間だけで1000億ドル(約11兆5000億円)を超えた。指標金利の上昇が見込まれるため、借り入れコストが低いうちに起債を目指す動きが始まった。
19歳のセキュリティーリサーチャーが、13カ国で25台を超える米テスラの電気自動車(EV)のシステムをリモート操作でハッキングしたと、ツイッターへの投稿で主張した。ソフトウエアに欠陥があり、システムへのアクセスが可能だったという。
物価の落ち着きを示す兆しが表れない場合、米連邦準備制度の当局者は、より積極的な利上げおよびバランスシート縮小に着手することを余儀なくされる可能性もある。11月の中間選挙で民主党が過半数を維持することを一層困難にし、バイデン政権が推し進める税制・支出法案の成立も難しくなる恐れがある。
自動車や衣服など一部品目の価格は落ち着いていくと予想されるが、「ほかのコア部分の大半については、同様の展開を期待するような理由は特に見当たらない」とアマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は指摘した。
「年内に供給ボトルネックが緩和され始めれば、上昇傾向が沈静化される品目も当然あるだろう。だが同時に、賃金からの物価への圧力は強まるばかりだ」と語った。
2日の市場で2月限は14%高の1MMBtu=4.857ドルに達し、今年に入ってからの上昇率は30%と、年初の上昇率としては1990年の取引開始以降で最大。天気予報によると、東海岸の人口が集中する地域で一段と寒くなる方向で、南部は週末に冬の嵐に見舞われるもようだ。
BOKファイナンシャル・セキュリティーズのシニアバイスプレジデント、デニス・キスラー氏は「足元の動きはショートカバーに加え、1月から2月末にかけてのどのくらい寒い天候になり得るかがテーマだ」と指摘した。また「欧州の供給逼迫(ひっぱく)はアジアにも波及する可能性があり、ショートにしたい人はいない」と語った。
●市況
日経先物(大証)28605、ダウ先36164、債先150.97、米1.757、独▲0.0650、仏0.271、西0.621、伊1.012、原油82.81、ドル円114.65、墨ペソ20.36、トルコリラ13.2250、墨CDS94
※1/13 9時35分頃
備忘録(1/11)
●コロナ
今後6~8週間で欧州の人口の過半数が新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に感染する可能性があると警告した。域内26カ国で毎週、人口の1%超が感染している状況から判断したという。
米保健福祉省によると、米国の入院患者数は11日時点で14万5982人と1カ月前の2.4倍に増え、過去最多を更新した。変異型「オミクロン型」は重症化率が低いとされるが、母数となる感染者の急拡大で医療逼迫の懸念が高まっている。
欧州でも感染者が増えている。特に目立つのがフランスだ。一方で、英国は感染のピークを超えている。年明けに22万人と過去最多の感染者を記録したが、そこから減少傾向が続き11日は12万人だった。入院患者は増えているが、別の病気やけがで入院してからコロナ感染が発覚するケースも少なくない。人工呼吸器が必要な患者の数は21年夏からほとんど変わっていない。
フランスでも11日発表の死者は268人増えたほか、重症者は65人増えて3969人となったが、いずれも1日当たりの数値としては過去の感染の波より低い水準にとどまっている。
カ月ごとのブースター接種を繰り返すと最終的に免疫力が低下する可能性があると指摘。各国はブースター接種の間隔をより空け、インフルエンザ予防接種戦略で示された青写真のように寒い季節の到来に合わせるべきだとの見解を示した。
●中国不動産
民生銀は、中国経済を混乱に陥れている不動産債務危機で最も大きな痛手を受けた金融機関の一つ。中国恒大集団を含む不動産開発大手への融資に伴う損失が膨らみ、同行の株価は先週までの1年間で31%下落。
シティグループの昨年9月の調査リポートによれば、高リスクのデベロッパーへの民生銀のエクスポージャーは約1300億元(約2兆3520億円)と、いわゆる「ティア1」資本の27%に相当する。これは中国の大手銀行では最も高い。
不良債権の整理には数年を要し、より経営基盤の強いライバル行から資本注入を受ける可能性も排除できないと、北京を本拠地とする投資銀行、香頌資本の沈萌ディレクターは語る。
民生銀が地方当局に20年に送付し、ブルームバーグが内容を確認した書簡によれば、恒大向けエクスポージャーは同年6月時点で約290億元だった。
同行は昨年9月、恒大向け融資が20年6月以降に約15%減ったと指摘したが、具体的な水準は明らかにしなかった。信託商品を通じた間接的な貸し付けも考慮すると、恒大へのエクスポージャーは290億元を超えると、事情に詳しい複数の関係者は指摘している。
関係者によると、銀行が住宅ローンの承認を加速したことを受けて12月の不動産販売は予想を上回り、流動性の改善につながった。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
脱炭素時代の燃料として期待される「グリーン燃料」の価格競争力が増している。通常のアンモニアや水素が天然ガス価格の高騰でコスト高になったのに対し、「グリーンアンモニア」や「グリーン水素」は価格が安定し、割高感の解消が進んだためだ。今後、価格差が一段と縮小すれば普及に弾みがつきそうだ。
2021年の新規受注は、20年の約3倍の計1680機と3年ぶりの水準になった。国内線需要の復調で小型機がけん引した。両社は11~18年にかけ年2000~3000機を受注しており、21年は当時の6~8割の水準まで戻した。
ボーイングは11日、21年の新規受注が前年の約5倍の909機だったと発表した。小型機737MAXが新規受注の8割を占めた。
21年はユナイテッド航空が約260機、サウスウエスト航空が約150機の737MAXを発注した。20年に発注を手控えていた航空会社の注文が21年にずれ込んで押し上げた側面もある。
エアバスは新規受注が前年の2倍となる771機。このうち737MAXの対抗機であるA320neoシリーズが9割近くを占めた。
旺盛な需要を受けて737MAXとA320neoにエンジンを供給する航空エンジンの仏サフランは22年に1万2000人を新たに雇用する方針と報じられている。
もっとも、今後の旅客需要は見通せない。バンク・オブ・アメリカのロナルド・エプスタイン氏は「航空旅客の年間需要が19年の水準に戻るのは23年」とみており逆風が続く。
新型コロナ禍でネット通販の利用が増加したことなどを受け貨物機は好調だった。ボーイングは中大型の貨物機で過去最高となる合計84機を米物流フェデックスやUPS、中東のエミレーツ航空などから受注した。ボーイングは次世代大型機777Xの貨物機型を開発することも検討中だ。エアバスは21年、最新鋭機A350の貨物機型を初めて受注した。
出荷機数はボーイングとエアバスで明暗が分かれた。品質管理問題で揺れる中型機787は21年、14機の出荷にとどまった。足元では月産2機しか生産しておらず、出荷できていない。
アルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」について、臨床試験(治験)の参加者のみに保険適用する方針を発表した。最終決定されれば、同新薬を利用できる患者は制限されそうだ。
バイオジェンはメディケアに採用されるなどの条件が整った場合、2022年に約5万人の患者が治療を受けると想定していた。
今回の決定は暫定的なもので、今後30日間パブリックコメントを募る期間が設けられる。最終決定は4月に下される見込み。
当局者は声明で、アデュヘルムがアルツハイマー病患者にとって助けになり得る一方で、副作用をもたらす可能性もあることが徹底的な分析で判明したと説明した。
●その他産業
シティは21年以降、海外リテール事業の見直しに着手していた。21年4月にオーストラリアや中国、韓国などアジア・太平洋地域を中心に13の市場からの撤退を発表した。今後は富裕層向け事業やクレジットカード、法人向け事業に注力する。
2021年11月末に発表した突然のトップ交代が波紋を呼んでいる。創業者の娘で22年4月に新会長に就くマルタ・オルテガ氏は37歳と若く、経営手腕は未知数だ。物流網の混乱など逆風が吹く環境で成長を続けられるか、市場からは不安の声も聞かれる。
●決算関連
●マクロ・その他
コロナワクチンの接種率は国ごとに大きな開きがあり、各国の経済回復に差をつけていると指摘。裕福な国が経済のデジタル化などに成功して回復軌道に乗る一方、「他の多くの国は足踏み状態に陥る」とし、国際協調が難しくなると警告した。
長期的に最も懸念すべきな課題については「環境リスク」だとした。経済の脱炭素を急速に進めれば何百万人もの雇用に影響する。その一方で従来型の経済に依存すれば技術革新の遅れなどで競争上の優位性を失い、深刻な異常気象を招くという。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)などは既に、当局が年末までにフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を計88ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げることを示唆。市場が2022年中に3回の利上げに加え、4回目の可能性も織り込みつつあるサインと多くが受け止めている。
21年終盤にかけての段階で、今年3月の利上げ開始の確率は五分五分近辺だったが、現時点ではほぼ完全に織り込まれた状況に近い。当時の米10年債利回りは現行水準より0.25ポイントほど低い1.5%近くだった。
オプショントレーダーは24年の早い時期までに8回の0.25ポイント利上げの可能性を示唆し、6回前後としていた従来見通しから回数を増やしている。米金融当局者が今週、インフレ圧力の抑制に向けた最近のメッセージを後退させなければ、オプション市場における引き締め観測の勢いは強まるものと考えられ、12月のCPIが予想を上回る伸びとなれば、その動きを後押しすることにもなりそうだ。
中国の共同富裕について、「最高の人材がどこにいるのかは分からない。富裕層だけでなく、貧困層や恵まれない人々の間にもいる可能性は高い。そうした人材を活用すれば、経済をより繁栄させ、もっと公正なシステムを作れる」と語った。国民の間でのより公平な富と機会の再分配に加え、人材プールの拡充に寄与すると指摘。習政権の取り組みは、毛沢東思想への回帰を恐れる海外投資家に誤解されることも多いと付け加えた。
2023年の原油生産量が22年比5%増の日量1240万バレルとなり、これまでの年間平均で過去最高だった19年(同1230万バレル)を上回るとの見通しを公表した。
液化天然ガス(LNG)輸出は21年、20年比5割増の日量98億立方フィート(年約7150万トン)だった。22年は日量115億立方フィート(同8400万トン)、23年は121億立方フィート(同8830万トン)になるとみている。
2021年12月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.06%上昇した。12月としては15年(10.67%)以来の高い上昇率となった。干ばつによる農作物の不作、通貨安に伴う輸入物価の上昇が響いた。
新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染拡大や物価高などを脅威に挙げて「世界経済は21年の力強い回復から、著しく鈍化し始めている」と警鐘を鳴らした。
コロナ関連の制限措置により成長率が0.9ポイント押し下げられるとリポートで指摘。ただ、金融緩和と財政出動でその影響が一部和らぐと説明した。
感染拡大および、それに伴う制限措置によるマイナスの影響は、今年1-3月(第1四半期)に最も大きくなる見込みだと、エコノミストらは予想。中国は厳格な感染封じ込め策であるゼロコロナ政策を追求している。
米アトランタ連銀のボスティック総裁は10日、金融当局がインフレ抑制のため3月にも利上げを開始し、その「かなりすぐ」後にバランスシートの削減に着手する必要があるかもしれないとの考えを示した。
8兆7700億ドル(約1010兆円)規模に膨らんだ連邦準備制度の資産を巡っては、「利上げ開始のかなりすぐ後に、安心してバランスシート削減を目指すべきだろう」とし、利上げ開始からほぼ2年が経過してからバランスシート削減に着手した「前回の事例に比べ、経済はずっと力強い状態にある」と話した。
●市況
日経先物(大証)28525、ダウ先36147、債先150.94、米1.734、独▲0.0240、仏0.290、西0.646、伊1.373、原油81.41、ドル円115.31、墨ペソ20.38、トルコリラ13.7673、墨CDS95
※1/12 9時35分頃
備忘録(1/7-10)
●コロナ
ドイツのショルツ首相は7日、新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染拡大を抑えるため、レストランや居酒屋への規制を強化すると発表した。これまでは多くの場合、ワクチンを2回接種していれば入店できたが、今後はさらに追加接種か検査陰性の証明がなければ利用できなくなる。
また、感染者や接触者の隔離期間を短縮することも決めた。感染が急拡大すれば働き手が不足して経済がまひしかねないとの懸念が強まっていた。特に追加接種を受けた人であれば、感染者と接触しても隔離の対象にならないようにする。
8日の1日当たりの新規感染者数は3万671人と過去最多を更新した。累計の感染者数は400万人を超え、死亡者数も30万人に達する。変異型「オミクロン型」の拡大で検査体制は逼迫しつつある。
メキシコシティでは9日時点の入院者数が744人と2日に比べて2.1倍に増えた。だが病床使用率は11%で、重症者の受け入れにはまだ余裕がある。すでに18歳以上の95%がワクチンを2回接種しており、高齢者や医療関係者から優先的にブースター接種が進んでいる。ワクチン接種の効果で重症化が抑えられている側面もある。
伊政府によると、同国の集中治療室(ICU)の患者の3分の2はワクチン未接種者。ドラギ氏は「未接種者の影響で、病院に圧力がかかっている」「問題の大半はワクチン接種をしていない人々に起因している」と語った。同日からワクチン未接種者の行動制限を強化した。
10日発表の新規感染者数は約10万人で、22万人近くに達した6日のピークからは大きく減少している。伊政府によると、同国の集中治療室(ICU)の患者の3分の2はワクチン未接種者。ドラギ氏は「未接種者の影響で、病院に圧力がかかっている」と述べた。10日発表の新規感染者数は約10万人で、22万人近くに達した6日のピークからは大きく減少している。
ANSA通信によると、公共交通機関や飲食店、映画館などを利用する際は、ワクチン接種か新型コロナからの回復の証明が必要になった。検査での陰性証明は認めない。既に50歳以上には接種を義務付けた。
7日平均ベースで全地区で大きく減少。中でもブロンクス地区では、1月7日までの週に7日平均の数字が35%低下した。
ただ市当局は、これらのデータが修正される可能性があると指摘。ホリデーの影響でデータの処理に遅れや漏れが生じるなど、トレンドラインが人為的に押し下げられることがあると警告した。大みそかのパーティーなどが感染拡大を長引かせる恐れもあるという。
●中国不動産
恒大を巡っては21年12月、広東省政府が経営指導のための監督チームを派遣すると発表し、同社もリスク管理委員会の設置を決めた。省政府のお膝元である省都の広州に本部を移すことで政府が管理を強化し、債務の再編など経営再建を進めるとみられる。
中国政府が不動産危機の封じ込めに向け、国有不動産開発会社に対し、資金繰りに苦しむ競合企業から市場シェアを獲得するよう促す状況を示す証拠がそろいつつある。
中国広東省の当局者らは、資金難の不動産開発業者と国有企業との間で、一部プロジェクトの買収・統合を後押しするため、両者の協議の場を設けた。同国のニュースメディア、財聯が伝えた。これを受け、中国市場で不動産株が当初上昇したものの、その後上げ幅を縮小した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
世界的な脱炭素のうねりが化石エネルギー関連の上場企業を事業売却に駆り立てている。ところが、売却先の過半は温暖化ガス排出量などの開示が乏しい非上場企業で、いわば「庭先だけ」の脱炭素になるリスクをはらむ。株式市場で石炭、石油などを目の敵にする「ESG(環境・社会・企業統治)マネー」の猛威は意図せず脱炭素の針路をゆがめかねない。
各国が認知症を減らす対策を取らないと、世界の患者数が2019年の5700万人から50年までに1億5300万人と約3倍に増えるとの推計を米ワシントン大などのチームがまとめ、6日付の英医学誌ランセットの姉妹誌に発表した。
人口の増加や高齢化が主な原因。教育環境の改善で世界的には620万人の患者が減るが、肥満と高血糖、喫煙の増加で逆に680万人増えるという。
日本は生活習慣の見直しといった予防策の効果が出るため、分析の対象国の中で最も増加率が低いとされているが、それでも412万人から約1.3倍の524万人になるとしている。
増加率には地域差があり、中東やアフリカが特に高い。上位3カ国はカタール(20.26倍)、アラブ首長国連邦(18.95倍)、バーレーン(11.84倍)となった。
一方、アジア太平洋地域や欧州は低く、低い順に日本(1.27倍)、ブルガリア(1.37倍)、セルビア(1.38倍)と続く。日本などでは教育環境や生活習慣の見直しといったリスク軽減策の効果が出るとみている。
2021年12月期の引き渡し機数は20年同期の566機から8%増えて611機だった。小型機がけん引して最悪期は脱したものの、新型コロナウイルス禍前の19年(863機)よりは29%少ない水準だった。受注残は7082機となった。引き渡し機数の伸びを主導したのは主力の小型機「A320」で、20年より37機多い483機を引き渡した。別の小型機「A220」も12機増やして50機とした。
●その他産業
カザフスタンの政情混乱で影響を受けている同国最大の油田について「通常運転へ向けて徐々に生産を増やしている」「TCOは引き続き従業員の安全の確保に注力している。全ての生産設備は安全に運転している」と日本経済新聞に明らかにした。
カザフは日量約160万バレルの原油を生産。このうちTCOの油田で日量約70万バレルを生産していたが、6日までに労働者が抗議活動に参加したことなどで減産していた。減産の量は不明。
スイスのニュースサイト、インサイド・パラデプラッツ(IP)が裏付けのない「うわさ」として報じたところによれば、合併先の候補の一つにイタリアのウニクレディトが挙がっている。フランスのBNPパリバも関心を示す可能性があるという。
●決算関連
●マクロ・その他
「連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に反応したリスク資産の下落はほぼ間違いなく行き過ぎだ」と指摘。「金融政策の引き締めは漸進的で、リスク資産が対応できるはずのペースとなる可能性が高い。しかも、景気が力強く回復している局面に起こっている」と論じた。
バリナス州では20年以上に渡ってチャベス前大統領の一族が州知事を務めてきた。直近では前大統領の弟であるアルヘネス・チャベス氏が知事を務めており、2021年11月に行われた選挙では同氏が再選を狙った。ただ野党候補が善戦すると、開票作業が途中で止まった。最高裁はこの野党候補の出馬資格を剝奪した上で、再選挙の実施を決めていた。
ロイター通信は、与党が11月以降にバリナス州で食料の支援物資やガソリン供給を増やしたという人権団体の見方を伝えている。与党は候補者を変更して必死に勝利を目指したが及ばなかった。
野党指導者のフアン・グアイド氏は「バリナス州から(マドゥロ政権の)終わりが始まった」とツイッターに投稿して意義を強調した。グアイド氏は依然として米国から「暫定大統領」として支持を受けているが、政権交代に向けての道筋は描けていない。
カザフのトカエフ大統領は暴動が「まるで合図があったかのように」相次いで発生したと強調した。具体的な背後関係には触れなかったが、「海外のテロリストが参加していることは確実」とも述べた。デモ鎮圧は進んでおり、近く終結するとの見通しも示した。
トカエフ氏は5日、デモ隊による抗議活動をテロリスト集団による侵略行為と主張してCSTO(ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構」)に支援を訴えた。ロシアを筆頭としたCSTOの加盟各国はカザフに総勢約2500人とされる「平和維持部隊」を派遣した。同部隊はカザフの治安当局の後方支援や、軍や空港などの重要な施設の警護にあたっているとみられる。
抗議デモは年明けからの燃料価格の上昇を発端に2日にカザフスタンの西部で発生し、南部の最大都市アルマトイなどに広がった。
2021年12月の自動車生産台数は21万2272台と前年同月比17%減となった。世界的な半導体不足の影響が長引き、6カ月連続で前年の水準を下回った。
メキシコでは新型コロナウイルスの感染拡大で20年4月に工場がほぼ止まり、同年5月から徐々に回復していた。21年の前半は回復傾向にあったが、世界的な半導体不足が深刻化してからは生産台数が前年の水準を下回る月が続いている。
2021年12月の消費者物価指数は、前年同月比で7.36%上昇した。国民食のタコスに使うライムといった食料品や航空運賃などの価格が上がった。約21年ぶりの高水準だった同年11月(7.37%)並みの上昇率だった。INEGIによると、21年12月に食料品ではライムの価格が前年同月比で46%上昇したほか、バナナの価格も同11%上がった。航空運賃が同22%上がるなど旅行関連の価格も上昇した。
12月の消費者物価指数の上昇率は中央銀行の政策目標の上限である4%を10カ月連続で上回った。農産物やエネルギー価格を除くコアインフレ率は5.94%と01年10月以来の高水準だった。
メキシコ銀行(中央銀行)はインフレを抑えるために利上げを続けている。中銀は21年12月中旬に金融政策決定会合を開き、5会合連続の利上げを決めた。政策金利を0.5%引き上げて5.5%にした。中銀は2月に金融政策決定会合を開く予定で、再び利上げに動くという見方が強い。
米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めの進め方について「政策金利を徐々に調整し、前回の(正常化)サイクルより早く保有資産の縮小に動くことを望んでいる」と述べた。利上げを引き締め手段の軸としつつ「1~2回利上げした後に資産を調整することは考えられる」と語った。
リーマン危機後の金融政策の正常化局面では、2015年12月から計4回利上げした後の17年10月に資産圧縮を始めた。デイリー氏の発言は、より早く引き締めが進む可能性を示したものだ。
東北部の黒竜江省にある旧産炭地、鶴崗市が事実上「財政破綻」したことが明らかになった。省直下の市としては初めてとみられる。地方財政の悪化は公共事業の足かせになるほか、公務員給与の削減を通じて個人消費の下押し要因にもなる。
「不動産価格が白菜の値段のように安い」。鶴崗市は「5万元(約90万円)あれば家を買える」といわれるほどの過疎地だ。かつて黒竜江省四大炭鉱の一つとして発展したが、2011年に国が資源枯渇都市に認定。その頃から経済成長が止まった。
現役世代を中心に人口が流出し、20年時点では10年前から16%減った。直近で人口約90万人の同市では60歳以上の比率が24%と、全国平均の19%を上回る。経済の停滞と高齢化で財政赤字は拡大している。一般会計にあたる一般公共予算をみると、23億元の歳入に対し、歳出は6倍の137億元に達した。
中国の国務院(政府)によると、財政再建計画を策定した地方政府は徴税を強化する。補助金の支給や職員の新規採用も止め、建設支出も抑える。そのうえで省政府に財政支援を申請できる。
地方財政の悪化は局所的な問題ではない。中国財政省によると、一般公共予算に含む税収は21年11月、前年同月比13%減少した。2カ月連続のマイナスで、20年4月以来の2ケタ減となった。景気の減速に伴い、中央政府と地方政府で折半する増値税(付加価値税)などの伸びが鈍った。
中小企業などの資金繰り支援を目的とした納税猶予も、最近の税収が落ち込む一因であるほか、地方財政が依存度を高めてきた土地収入も落ち込む。米格付け会社S&Pグローバルは売却収入が22年に前年比20%、23年に同5%それぞれ減ると予測する。土地収入の減少は当面、地方財政の手足を縛る要因になりそうだ。
この結果、地方公務員の給与削減が話題になっている。最近では江蘇省や浙江省、広東省、福建省でも手当やボーナスの支給を減らしたり見送ったりする動きが出てきたという。
民間企業より待遇が恵まれた公務員の所得減少は消費に影を落とす。中小都市では、財政悪化に伴って地方政府が発行するインフラ債(専項債)の償還リスクが高まり、公共事業の執行にも支障が出る懸念もある。
今回の雇用の数字は、労働需要はなお堅調ながらも育児関連の問題やウイルスを巡る不安、貯蓄増加といった昨秋を通じて雇用を抑制してきた要因が昨年遅い時期まで続いたことを示唆している。ここ最近の新型コロナ感染拡大の主因となっているオミクロン変異株は状況をさらに複雑にし、2022年早期の雇用拡ペースにリスクをもたらしている。
求人情報サイト、インディードの経済調査ディレクター、ニック・バンカー氏は「労働市場が回復しつつあるという点で、今回の両調査は一致している」と指摘。「相違は、どの程度速いペースでそれが起こっているのかということだけだ」と述べた。
平均時給は予想を上回る伸びを示し、前月比で0.6%増。昨年4月以来の大幅な伸びに一致した。前年同月比では4.7%増。こうした伸びの多くはインフレ急伸で損なわれているが、持続的な賃金増加は人員の確保に向け雇用主が報酬を増やすことに意欲的なことを浮き彫りにしている。
インフレが加速する中での失業率低下や賃金の伸び加速は、より速いペースでの金融政策引き締めを正当化する可能性がある。
今回の調査期間は12月中旬に終了したため、オミクロン株関連の同月後半への影響は1月の統計に反映される。
12月に雇用の伸びが目立ったのは、娯楽・ホスピタリティー分野で5万3000人増。専門職・ビジネスサービスも増加。一方、小売業では減少した。
製造業と建設業はいずれも堅調な雇用増加を示し、こうした業界の活動を制約してきた要因が近く解消し始める可能性を示唆した。
現在就業している人の割合である就業率は25-54歳で79%に上昇し、20年3月以来の高水準となった。
企業は一部の米政治家から、国家安全保障や人権を巡る懸念から中国から手を引くように求められているが、ウォール街の銀行はむしろ絆を深める方向だ。JPモルガンは昨年8月、中国企業との証券合弁会社を完全に傘下に収めた。今は、一部出資する資産運用事業についても同様の措置を望んでいる。
モルガン・スタンレーでアジア太平洋地域担当CEOを務めるゴクル・ラロイア氏は中国でのチャンスが大きいと捉え、本土・オフショア双方でビジネスを獲得しようと競う同行の方針について、「ほかに選択肢があるとは思わない」と語る。世界的な金融機関は中国でまだ大きな利益を得ていないが、それを理由に投資しないと表明すれば「チャンスを逃すことになる」と続けた。
ウォール街は以前から中国を、最後の素晴らしい稼げるフロンティアと見なしていた。21年は多額の投資が実を結び始める年となるはずだったが、同年に入る前の段階でアリババグループ傘下のアント・グループによる350億ドル規模の新規株式公開(IPO)が中国当局から中止を強いられ、JPモルガンやシティなどは約4億ドルの手数料を手にすることができなかった。その後もテクノロジーや教育、不動産業界への当局の締め付けでIPO需要は抑えられた。
米当局も米市場に上場する中国企業の金融情報開示規則を強化しており、中国当局は企業データ管理を巡る懸念を理由に配車アプリ大手、滴滴グローバルに対し米上場廃止を強制的に求めるなどした。21年の中国企業IPOは金額ベースで52%減少し、滴滴などの米上場の引き受け業務を手掛けていたゴールドマンなどで手数料収入が減った。
米上場廃止などの動きは一時的かもしれないが、香港市場や上海、深圳の取引所を介した上場が容易な状況にあって中国企業が海外で資金を集める必要性が低下していることが一段と明確になりつつある。
中国の国内市場にさらに足を踏み入れることもリスクを伴う。国有証券会社が同国の確立された企業やスタートアップと取引を行う大規模なチームを現地で展開しているからだ。当局への提出資料によると、世界的な金融機関は中国本土の事業で20年に合わせて4800万ドルの損失を計上したが、中国の投資銀行は計244億ドルの黒字だった。
ディールメイキング番付を見ても、外銀は何年も前からの取り組みにもかかわらず中国市場にさほど深く入り込んでいない。ブルームバーグ集計データによると、ゴールドマンは中国企業による同国での株式を通じた資金調達案件で15位にとどまる。
米金融機関は国内でも中国を巡り批判を浴びている。ロムニー上院議員はヘッジファンド運営会社を率いる資産家レイモンド・ダリオ氏の中国投資について「嘆かわしいモラル(倫理)の崩壊」と批判。スコット上院議員は人権より利益を重視していると銀行を責めた。
しかしウォール街はひるんでいない。渡航を望んでいたCEOはダイモン氏だけでなかった。事情に詳しい複数の関係者によると、ゴールドマンのデービッド・ソロモンCEOも状況が許せばできるだけ早く中国を訪れると述べている。
世界的な資産運用会社も中国の24兆4000億元(約444兆円)規模の投資信託市場で同様の動きに出ている。米資産運用会社ブラックロックは昨年9月に初の中国向けファンドで約10億ドルを集めた。フランスの資産運用会社アムンディは台湾を含む大中華圏の運用資産を25年までに2500億ドルに倍増する考えだ。
●市況
日経先物(大証)28380、ダウ先35959、債先150.95、米1.764、独▲0.0360、仏0.280、西0.643、伊1.290、原油78.64、ドル円115.25、墨ペソ20.37、トルコリラ13.8206、墨CDS95
※1/11 9時10分頃
備忘録(1/6)
●コロナ
米国の入院患者数は5日に10万2400人となった。7日移動平均で10万人を超えるのは1年ぶりだ。英国でも4日に同1万4000人を超え、2021年2月以来の高水準となった。
感染者数や入院患者数と比べ遅れて傾向が現れるため予断は許さないものの、ICUの患者数は米国で5日、同1万9500人となり1カ月での増加率は4割にとどまった。入院患者数に占めるICU患者数の割合は20%で、遡れる2020年7月以来で最低だ。1日あたりの死者数は1200人程度と、1カ月前より3割減った。
英国でも、人工呼吸器が必要な患者は約900人と21年1月のピーク時の4分の1にとどまり、感染者数が少なかった夏からほとんど増えていない。死者数も同様の傾向で、100人前後の日が続いている。ピーク時は1000人を超えていた。フランスでの死者数も、コロナ下に入った直後の20年4月と比べ直近では3分の1程度に抑えられている。
20年3~4月に米ニューヨーク州で感染爆発が起きた際、深刻だったのは病床だけでなく、人工呼吸器や酸素吸入器などの医療機器が足りないことだった。重症者が多かったため海外や全米から機器を集めても足りず、1台の人工呼吸器を2人で分け合うなどして医療体制の逼迫に対応した。今回のオミクロン型ではこれまでと異なり、医療現場での人手不足が課題となっている。
バンケルコフ氏は記者会見で「残念ながらオミクロン型が最後の変異型ということはほぼありえない。他にもVOCは現れる」と語った。「感染者が増えるほど、変異の機会をウイルスに与えることになる」として、ワクチン接種を進めるよう呼びかけた。
●中国不動産
世茂集団の子会社が人民元建て融資でデフォルト(債務不履行)した。中誠信託が宣言したもので、信託商品に関し6億4500万元(約117億円)の延滞が発生したという。投資家向けの通知をブルームバーグが確認した。
通知によると、中誠信託は信託商品についての利払いが行われなかったことから昨年12月25日を期限に早期返済を求めていた。世茂はこの信託商品を保証している。当初の満期は約3カ月先だったという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
担保の増加が確認された金融機関は4社。最も増えたのは11月時点から500万株増えて800万株となった新生銀行、続くジュリアス・ベアが200万株増の2800万株、CAインドスエズは50万株増の700万株、野村信託銀行は30万株増の530万株だった。
英製薬スタートアップのロイバント・サイエンシズに対して、抗がん剤の研究開発や販売などの権利をライセンス供与したと発表した。血液がん向けに初期の臨床試験(治験)を進めており、今後はロイバント主導で開発が進む。今回の契約に伴う一時金のほか、開発などの進捗に応じて収入が見込まれる。
権利を供与したのは開発品「H3B-8800」で、エーザイの米子会社が作りだし、開発を進めてきた。人間に投与する前の研究では、遺伝子の変異に作用してがん細胞を減らすなどの抗腫瘍効果がみられたという。すでに骨髄異形成症候群と呼ばれる血液がん向けに米国と欧州で初期の治験を実施中だ。
エーザイはがん向け新薬の開発を重点領域に掲げている。抗がん剤「レンビマ」は同社の収益を支える大型薬で、収益化が遅れる認知症分野を補っている。2021年6月には米ブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)と新型抗がん剤の開発で提携している。
新型コロナウイルスワクチンの開発期待が一服し、製薬企業の株価が軟調になる中、割安感や高配当を手がかりに資金が向かっている。一段高には新薬開発など収益源の多角化を求める声もある。
●その他産業
新型コロナウイルス禍が一服していたこともあり、5社合計で1年前と比べ35.8%増の835万人と、全社で利用者が回復した。ただ2年前と比べると8割程度の水準にとどまっている。
1回の充電による航続距離が1000キロメートルを超える電気自動車(EV)を発売した。量産車で「世界最長」の航続距離だという。消費者がEVに対して抱く距離への不安を軽減できるとアピールし販売拡大を目指す。
寒さで需要が高まった一方、悪天候で太陽光発電の稼働率が低下したためだ。再生可能エネルギーのさらなる導入拡大でこうしたケースが増えると想定される。地域間を結ぶ送電網の増強やバックアップ電源の拡充が急務だ。
ウェブサイトの閲覧履歴を保存する「クッキー」の拒否を難しくしたのは違法だとして、米グーグルと米メタ(旧フェイスブック)に計2億1千万ユーロ(約275億円)の制裁金を科すと発表した。
CNILがネット検索「グーグル」、動画共有「ユーチューブ」、SNS(交流サイト)「フェイスブック」の各サイトを2021年に調査したところ、クッキーの受け入れは1回のクリックで済むが、拒むには複数回クリックしなければいけなかった。ネット上の公正な情報の取り扱いや同意方法を定めた仏国内法に違反したとしている。
●決算関連
●マクロ・その他
2021年10月時点のオフィスビル賃料が半年前より下がった地域は香港や東京、ニューヨークなど10都市にのぼった。新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務の定着によるオフィス利用の減少の影響が続く。
EVの電池で主要材料となるコバルトで、世界2位の中国企業、洛陽欒川モリブデン集団(チャイナ・モリブデン、CMOC)が首位の座をうかがっている。世界生産の7割を占めるコンゴ民主共和国で、生産量を2倍に増やす投資で拡大を目指すが、CMOCを含む中国各社のコバルトの寡占化に米国などの警戒が強まっている。鉱山労働者の待遇といった人権問題などが実現の壁になる可能性がある。
トルコとアルメニアはオスマン帝国末期の1915年に始まったアルメニア人殺害事件を巡って対立してきた。アルメニアはジェノサイド(民族大量虐殺)と主張し、トルコは組織的な虐殺を否定する。両国は2009年に正常化に向けた議定書に署名したが実現せず、緊張が続いていた。
中央財経委員会弁公室の韓文秀副主任は4日、「各地区および各部門が経済を安定させる責任を負う必要がある」と「瞭望」誌に寄稿。そうした目標を支える政策を当局は打ち出すべきだと主張し、財政支出の加速とインフラ工事の「適切な前倒し」も促した。
生鮮食品を除く総合が100.0と前年同月比0.5%上昇した。上昇は4カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.5%上昇だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は99.5と前年同月比0.3%の下落だった。生鮮食品を含む総合は0.8%の上昇だった。
2021年の新車販売台数は211万9554台と、20年比で3%増えた。2年ぶりの前年比プラスとなった。ただ新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きかった20年は19年比で3割弱落ち込んでおり、需要は十分には回復していない。
需要減は金利上昇による影響があるほか、世界的な半導体不足で生産が影響を受けたために、顧客への引き渡しが遅れている側面もある。
ブラジル自動車販売店連盟は22年の販売台数は21年比で4.6%増を見込んでいる。
USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の解釈を巡る米国との対立を解決するための委員会を米国との間で設置すると発表した。メキシコで製造して米国に輸出する自動車が関税ゼロになるための条件について審議する。委員会は2022年中に結論を出す見通しだ。
「早ければ3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを始める可能性がある」と述べた。過熱するインフレの抑制に向け、利上げを急ぐ必要性を示した。複数の米メディアが報じた。
講演では新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染者が米国で急増している点にも言及した。感染拡大が一服した南アフリカの事例も踏まえ、米国でも「今後数週間でピークに達し、その後は減少する」との見通しを示した。
生産量がどのくらい減少したかは不明だが、6日の米国の原油指標「WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)」は一時1バレル80ドル台に上昇、カザフ情勢などで上昇圧力がかかった。
シェブロンなどの企業連合「TCO」は6日、「生産を続けているものの、物流(の問題)により一時的な調整をしている」と日本経済新聞にコメントした。
「全土の抗議活動を支持するために、作業員が油田に集まっている。TCOは事態の解決を目指している」ことも明らかにした。油田設備で抗議集会が開かれている可能性もある。ロイター通信は、デモ隊が原油を運搬する鉄道の運行を妨げていると伝えた。
耐久財が民間航空機・部品の大幅受注増などで2.6%増加した。非耐久財は0.7%増えた。全体から変動の激しい輸送関連を除くと0.8%、同様に変動の激しい国防関連を除くと1.3%それぞれ増加した。
「企業活動・生産」が67.6で7.0ポイント、「新規受注」が61.5で8.2ポイントそれぞれ低下した。供給制約はやや緩和し「入荷遅延」は63.9で11.8ポイント下がった。インフレ圧力は依然高く「価格」は82.5で0.2ポイント上昇し、過去3番目の高さとなった。
ISMは「企業は引き続き、インフレ、供給網の混乱、能力制限、物流停滞、労働力・原材料の不足に苦戦している」と指摘した。回答企業は「従業員と材料確保が最大の課題。さらなる値上げを検討している」(宿泊・飲食サービス業)、「自社や供給業者で退職などによる人員減が多く、ビジネスの混乱や遅れにつながっている」(金融・保険業)といったコメントを寄せた。
原油や天然ガスの高騰でエネルギー価格が押し上げられたほか、サービス価格にも値上げの動きが広がっている。
●市況
日経先物(大証)28740、ダウ先36216、債先151.14、米1.725、独▲0.0685、仏0.254、西0.620、伊1.275、原油79.58、ドル円115.94、墨ペソ20.49、トルコリラ13.8107、墨CDS92
※1/7 9時30分頃
備忘録(1/5)
●コロナ
4日時点の隔離対象者が約4万2000人となったと明らかにした。記者会見の内容を中国メディアが報じた。同市の人口は約1300万人。昨年12月23日以降、実質的なロックダウン(都市封鎖)を続けており、解除のめどは立っていない。
8日から米国や英国など8カ国から航空機の乗り入れを禁止すると発表した。午後6時以降の外食も禁止し、テーマパークやバーも閉鎖する。新型コロナウイルスの対策を厳しくして、変異型「オミクロン型」の拡大を防ぐ。
伊保健省が同日発表した新規感染者数は約18万9000人と過去最多を更新した。オミクロン型の感染拡大や検査数の増加で、感染者はここ数週間で急速に拡大している。
米厚生省のデータによると、深刻な人手不足を報告した病院の割合は約20%と、2020年12月28日以来の多さとなった。7日間平均は18%と、2021年1月11日以来最多。
米国ではワクチン接種が普及した上にオミクロン株の重症化リスクが低いことから、昨冬と比べて重症患者数や死者数は大幅に少なくなっている。このため集中治療室(ICU)も過去の感染の波と比べてかなり余裕がある。しかし一方で多くの医師や看護師がオミクロン株に感染して隔離されているほか、長引くコロナ禍で医療従事者の一部は疲労困憊(こんぱい)の状況にある。
●中国不動産
中国恒大は8日に設定されている同社債の早期償還期日を7月8日に延期することを提案している。発表資料によれば、早期償還期日の延期はデフォルト(債務不履行)事由にはならない。
華融は先週、420億元の資本増強を完了。中国中信集団(CITICグループ)を中心とする政府系投資家から成るグループから出資を受けた。中信集団は華融2位の株主となった。筆頭株主は財政省。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
ドイツ銀のアナリスト、エマニュエル・ロスナー氏はメモで、EVへの需要が業界全体の供給能力を明らかに超えている状況だとした上で、EVに関して重要になるのは「受注ではなく生産能力や供給を途切れさせない技量、最適なコスト」を確保できるかだとして、その意味において「テスラは他社に相当なリードをつけていると感じられる」と述べた。
ドイツ連邦自動車局(KBA)が5日発表した21年のドイツの新車販売台数は前の年比10%減の262万台だった。このうちEVは83%増の35万台で、シェアは20年の7%から倍増した。
欧州でEVの普及が最も進んでいるノルウェーの21年のEVシェアは前の年より11ポイント上昇し、全体の約3分の2を占めるまでになった。PHVは2ポイント増の22%だった。全体を通じてブランド別の販売台数首位は米テスラだった。ノルウェーEV協会は22年にEVのシェアが8割を超えると予想している。
フランスの21年のEVシェアは10%と3ポイント上がった。6日に21年の実績を発表する英国も21年1~11月の累計で11%となっており、独英仏の欧州3大市場で10台に1台の規模に成長したことになる。
ソニーグループはEV事業に不可欠とみるセンサーやクラウドコンピューティング、高速通信規格「5G」などの技術を社内に抱え、エンターテインメントやコンテンツ資産も活用できる。物言う株主などから複合経営を批判されてきた経緯があり、EVを自社ならではの「総合力」を生かせる分野として有望視している可能性が高い。
ただ、事業化に向けた課題がある。ひとつは量産の壁だ。「試作品を作るのは比較的簡単だが、大規模な製造は非常に難しい。製造システムの設計は自動車そのものの設計より100倍困難だ」。EVで先行したテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はこう語り、何度も綱渡りを余儀なくされたことが明らかになっている。
採算性にも課題がある。中国の新興企業などが価格競争を仕掛けているほか、大手と新興、異業種の三つどもえの戦いのなか、利益を確保しづらくなる恐れがある。実際、ソニーグループと同じ家電事業を「祖業」とする英ダイソンは19年、準備を進めてきたEV事業への参入を断念した。
事業を成功に導くカギを握りそうなのは、多様なパートナー企業との連携だ。ソニーは20年に公開した試作車で自動車版EMSなどと呼ばれるオーストリアのマグナ・シュタイヤーなどから協力を得た。4日に公開した多目的スポーツ車(SUV)型の「VISION-S 02」も同社が製造を担ったようだ。
米ニューヨーク証券取引所(NYSE)は2021年、中国通信各社の米預託証券(ADR)の上場を廃止した。米国が中国通信3社を「中国人民解放軍と関係が深い」と認定。トランプ前米大統領が米投資家による株式売買を禁止する大統領令に署名したためだ。
これを受けて、中国電信(チャイナテレコム)は21年8月にすでに上海市場に上場している。今回の中国移動の上場によって国有通信の「本土回帰」が完了した。
新車需要は堅調だったものの、年初から世界的な半導体不足や新型コロナの影響でメーカー各社が計画通りに生産できない状況が続いた。
関東のトヨタ系販売会社幹部は「新車需要は底堅い。受注がたまっており、22年は前年中に納車できなかった反動で販売がかなり増えそうだ」と話す。ただ新型コロナの変異型「オミクロン型」の感染拡大や物流の逼迫が部品などの供給に影響する懸念は残る。22年の販売動向も、メーカー各社が生産をどれだけ増やせるかに左右されそうだ。
●決算関連
●マクロ・その他
マクロン氏は仏紙パリジャンが4日報じたインタビュー記事の中で、未接種者を「どうやって減らしていくか?それには彼らがむかつくようなことをさらに進めるのがいい。彼らがむかつくようなことをやりたい」などと表明した。未接種者は他人に危険を及ぼす可能性があるとして「無責任な人はもはや国民とは呼べない」とも語った。
外出を控える人が増え、飲食・宿泊や航空などのサービス需要の落ち込みを示すデータが出てきた。人手不足による供給制約もしばらく続きそうで、欧米景気の先行きに影を落とす。
サービス部門が66万9000人増で全体をけん引した。レジャー・ホスピタリティー産業が24万6000人増と大きく伸びたほか、商業・輸送・公益が13万8000人、専門・ビジネスサービスが13万人それぞれ力強く増えた。
ADPのエコノミストは「12月の雇用市場は、新型コロナウイルスのデルタ型の影響が収まった一方、オミクロン型の影響がまだ出ていないため強さを増した」と分析した。雇用数者はコロナ前の水準を依然約400万人下回っていると指摘した。
トルコ中銀は12月30日時点で年間損益を約700億トルコ・リラ(現在の為替レートで約6060億円)の赤字としていたが、1日で600億トルコ・リラの黒字に突然転換した。中銀の最大のステークホルダーである財務省は、利益の多くを配当として2月以降に受け取る。
投資家の損失補塡(ほてん)策を大統領が相次いで打ち出した後、年末に中銀の損益が突然好転した。
中銀バランスシートの劇的な変化は、野党・未来党に属する元中銀副総裁のイブラヒム・ターハン氏と元バンカーのケリム・ロタ氏が3日最初に伝えた。中銀はこの件でコメントを控えている。
22年は建設中のプラントの稼働が相次ぎ、LNGの生産能力も世界一となる見通しだ。米エネルギー情報局(EIA)によると、米国のLNG生産能力は22年末までに前年比2割増の日量139億立方フィート(年産約1億100万トン)となりそうで、オーストラリアの日量114億立方フィート(年産約8300万トン)とカタールの日量104億立方フィート(年産約7600万トン)を追い抜くという。
同氏は金融機関の規制強化や気候変動リスクへの対応に前向きとされ、トランプ前政権時代に進んだ規制緩和の揺り戻しが起きる可能性がある。
ラスキン氏は米メリーランド州の金融規制当局の責任者を務め、10年のFRB理事就任後は金融規制改革法(ドッド・フランク法)の実施ルール作りに深くかかわった。14~17年には女性で初めて米財務省ナンバー2の財務副長官を務め、金融機関のサイバーセキュリティー強化や金融市場における消費者保護を求めてきた。
近年は気候変動が金融システムに及ぼすリスクについても積極的に発言し、適切な規制を通じて金融ビジネスを脱炭素の方向に促すことを主張している。
「参加者は概して、経済や労働市場、インフレについての個々の見通しに基づきフェデラルファンド(FF)金利を参加者の従来想定より早期に、あるいは迅速に引き上げることが正当化される可能性があることに留意した」「FF金利引き上げ開始後の比較的早い時期に、連邦準備制度のバランスシートの規模を縮小し始めることが適切になり得ると、一部の参加者が留意した」と書かれている。
議事要旨は「多くの参加者は、物価安定に相応した最大限の雇用水準は時と共に変わり得ると認識しており、委員会の掲げる最大限の雇用実現目標に向けて米経済が急速に進んでいるとみている」と指摘。「幾人かの参加者は、労働市場の状況が最大限の雇用に既におおむね整合的だと考えている」とした。
ロシア政府は6日、同国と集団安全保障条約機構(CSTO)の同盟国がカザフスタンに「平和維持部隊」を派遣すると発表した。カザフではここ数日、燃料価格高騰に反発する抗議デモが暴徒化している。
●市況
日経先物(大証)29085、ダウ先36357、債先151.25、米1.705、独▲0.1170、仏0.242、西0.606、伊1.238、原油77.31、ドル円116.18、墨ペソ20.58、トルコリラ13.6954、墨CDS92
※1/6 9時35分頃
備忘録(1/4)
●コロナ
米国の1日あたり新規感染者数は3日に初めて100万人を超えた。オミクロン型はワクチンを接種した人などでは重症化しにくいとの分析もあるが、感染者の大幅な増加で入院者数も急速に増えてきている。
米誌ニューズウィーク(電子版)は3日、米保健福祉省のデータをもとに、1週間以内に米国の5000近くの病院のうち4分の1が深刻なスタッフ不足になるおそれがあると報じた。
英国でも新規入院者数が12月27日に1915人となり、約11カ月ぶりの高水準となった。国民医療制度(NHS)によると、イングランドでは12月26日時点で新型コロナにより2万4632人の医療スタッフが休んだという。1週間前比で約3割増、2週間前比では約2倍になっている。
英メディアによると、東部リンカンシャーの4つの病院は2日、新型コロナに伴うスタッフ不足を理由に非常事態を表明した。対策を講じて、何とか業務は続けてく方針も示したという。ジョンソン英首相はオミクロン型の感染急拡大によって、国内の病院は今後数週間「かなりの圧力」を受けるとの認識を示した。
南部マルセイユに近い町「フォルカルキエ」で4日までに、少なくとも12人が新型コロナウイルスの新たな変異型に感染したことが分かった。仏国内で新規感染の過半数を占める変異型「オミクロン型」を上回る感染力や毒性を持っているかは分かっていない。
変異型「B.1.640.2」は南仏の研究者が2021年12月上旬に見つけ、その後オンライン上に研究結果を報告した。46の変異を持っており、50の変異があるオミクロン型と近い水準だ。遺伝子配列はアフリカ・コンゴ共和国で見つかっている変異型と近いほか、感染者の1人はアフリカ・カメルーンへの渡航歴があった。
英インペリアルカレッジのウイルス学者トム・ピーコック氏は3日、感染者が仏国内外で急増しているとの情報がないことから「今のところ心配しすぎる必要はない」とツイッターで発信した。広がらずに消滅する変異型もあるため、世界保健機関(WHO)や仏政府もこれまでのところ静観している。
新型コロナウイルスの1日の新規感染者数が8万1210人だったと発表した。直近のピークは2021年5月につけた4万1080人だった。
保健省によると、死者や重症者は増えていない。
ジョンソン首相はワクチン接種や過去の感染で多くの人が免疫を持っているとした上で、「国を再び閉じることなく、オミクロンの波を乗り切れる可能性がある」と述べた。入院患者はイングランドだけで1万5千人を超えるが、集中治療室(ICU)に入る重症者は過去の流行時のように増えていないと指摘した。骨折など他の原因で入院し、検査で陽性となるケースも少なくないという。
●中国不動産
同社はリスクの解消に向けて、今後も債権者との意思疎通を積極的に保つ方針を示した。
中国恒大はまた、2021年の不動産契約販売が4430億2000万元(約8兆500億円)、面積ベースで5430万平方メートルになったと公表した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
スカイマークの2021年12月の営業損益が単月ベースで約2年ぶりに黒字に転じたことが分かった。緊急事態宣言解除後の国内需要の回復で搭乗率が回復したことが寄与した。搭乗率は新型コロナウイルス前の水準に戻りつつある。
石油や石炭など化石燃料を手がける企業から投資資金を引き揚げる動きが広がっている。「ダイベストメント(投資撤退)」を表明した年金基金や大学、自治体などは世界で1500を超え、5年で2倍になった。運用資産額は約40兆ドル(約4600兆円)にのぼる。化石燃料の開発停滞は足元の電力不足の一因になっており、脱炭素への移行とどう両立させるかが課題になっている。
●その他産業
トヨタが4日発表した21年の米新車販売台数は20年比10%増の233万2000台。GMの販売(221万8000台)を約11万台上回った。フォードは21年の結果を集計中だが、1~11月実績でトヨタを約40万台下回っており、トヨタの首位は確定的だ。
GMは1931年にフォードを抜いて以降、一貫して米国で販売トップを続けてきた。今年は半導体不足の影響で9月に北米の半分の工場で生産を休止するなど大規模な減産に追い込まれた。21年の販売は20年比13%減となった。トヨタも北米で月間数万台規模の減産が続くが、生産車種の見直しと小まめな生産調整によって工場の長期休止を回避している。
GMは足元で半導体不足が緩和し、生産ペースを上げている。半導体の供給が回復に向かえば、22年は米国市場で首位に返り咲く公算が大きい。
アップルやフォード・モーターなどの企業は、自社製品の需要を満たす半導体を十分調達できず、多額の収入の機会を逸している。半導体確保のための努力がコストも押し上げているとこれら企業は指摘する。
サスケハナのアナリスト、クリス・ローランド氏は4日の調査リポートで、「電源管理とマイクロコントローラ-(MCU)を中心にリードタイムはほぼ全ての製品カテゴリーで過去最長となった」と分析した。
同工場ではASMLの先端EUV(極端紫外線)装置に使われるウエハークランプやミラーブロックなど、さまざまな部品が生産されている。
●決算関連
●マクロ・その他
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は4日、現行の原油増産を2月も続けると決めた。毎月日量40万バレルずつ増産する従来の方針を維持する。
ニューヨーク市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は同日、一時1バレル77ドル台後半をつけ前日比2%上昇した。現行の増産継続は事前の観測通りだが、産油国が需要回復が底堅いとみているとの思惑から買いが優勢になった。OPECプラスはオンラインで開いた閣僚協議後の声明で、次回協議を2月2日に開くとした。
米株価が今年10-15%下落する可能性があると指摘。同氏はかねて弱気相場見通しを示してきたが、下落のきっかけとなるのは持続的なインフレ高進の下での米金融当局による一連の利上げだろうとの見方を示した。
さらに、一連の利上げのうち1回の引き上げ幅は50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となる可能性があり、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は年末までに現行水準から少なくとも100bp引き上げられると考えられると話した。
ガートマン氏は「米金融当局の金融引き締め開始に伴い、弱気相場の到来が見込まれる。それは年内のことであり、疑いようがない」とコメントした。S&P500種株価指数が21年に27%上昇し、最も強気なアナリスト見通しさえもほぼ全て上回る上げ幅を記録したことについて、同氏は過去半年間の自身の弱気相場予想の誤りを認めた。
ただ「暴落といった類いではなく、緩慢かつ時間をかけた相場下落となると思う」と話すガートマン氏は、「株式市場への関与を減らし、合理的な姿勢で静観するのが向こう1年ないし2年は適切な取引手法と考える」と強調した。
22年に向かう中で中国政府が規制を通じた企業締め付けを続け、自国企業による国外上場に関する新たな規定を打ち出したことから、IPOの勢いが鈍る公算は大きい。
消費者向けテクノロジーを基盤とする新世代の企業が株式市場を活用しているインドでも、資本市場監督当局がルールの厳格化を進めている。
今年の新興国株への投資意欲を見極めている投資家の中では、ブラックロックが中立的スタンスで、先進国株を選好するとしている。ゴールドマン・サックス・グループやモルガン・スタンレー、JPモルガン・チェースなどは少なくとも年後半まで弱さが続くと予想している。
中国株はMSCI新興市場指数の約30%を占めており、アリアンツ・グローバル・インベスターズのポートフォリオマネジャー、ルー・ユー氏(米サンディエゴ在勤)は中国企業のこのウエートの大きさを踏まえれば「新興市場全体の好調を想定するのは難しい」と述べている。MSCI中国指数は昨年、20%余り下落した。
5カ国は声明で「核戦争に勝利することはできず、決して戦ってはならないことを確認する」とした上で「軍事的対立を回避し、安定性と予見可能性を強化し、相互理解・信頼を高め、誰の利益にもならず万人を危険にさらす軍拡競争を防ぐため、2国間および多国間の外交的アプローチを引き続き追求していく」と指摘した。
中国が2022年末まで新型コロナウイルス対策として入国規制を続ける可能性があると、ゴールドマン・サックス・グループはみている。北京冬季五輪や5年に1度の共産党大会など一連の政治イベントを控えているためだ。同社のアンドルー・ティルトン氏らアナリストは4日のリポートで、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発したワクチンはオミクロン変異株に対して限定的な効果しかないとの報道が中国にコロナを一切容認しない「ゼロコロナ政策」を堅持させるよう強いる公算が大きいと指摘した。
地政学的リスクについて助言するコンサルティング会社ユーラシア・グループは、22年に予想される政治的リスクのトップとして、中国が固執するゼロコロナ政策を挙げた。この政策では感染力の強い新たな変異株を抑え込むことは難しく、感染拡大で同国が一層厳しいロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされる可能性を指摘した。
同社はリポートで、中国のゼロコロナ政策は20年には非常に大きな成功を収めたが、今は「はるかに感染力の強い変異株に対し、より広範囲のロックダウンと効果の限られるワクチンといった手段で闘う」状況にあると説明。「オミクロン株に対する人々の抗体は実質的にゼロだ。ロックダウンを2年続けたことで、再開するリスクが一層大きくなった」と分析した。コロナ対策の当初の成功とそれへの習近平国家主席の執着が「方向転換を不可能にしている」という。
また、「極めて容易に感染し得るが命を脅かすことがそれほどないウイルスと共生する力は、中国のゼロコロナ政策とは正反対に位置している。ゼロコロナ政策はこうしたウイルスに対して機能しないだろうが、中国はそれを堅持するだろう」と述べ、「これは主としてウイルスが招いている課題ではなく、中国政府が自国のやり方から抜け出せないという問題だ」と論じた。
発表資料によれば、生産の伸びは過去1年で最もハイペースとなった。インフレが和らぐ一方で、市場環境の改善や消費者需要の強まりが支えになったという。雇用は5カ月連続で落ち込み、項目別の雇用指数は48.7と、昨年2月以来の低水準となった。
新型コロナウイルスの感染再拡大がおおむね抑え込まれたことから、全体的な新規受注は増加。ただ、外需は低調。生産者物価指数の伸びがピークを過ぎ、12月の平均投入コストは1年7カ月ぶりの低い伸びにとどまったとしている。
仮にドラギ氏が大統領に転身すれば、新首相を選ばなければならない。イタリアは新型コロナウイルスの感染拡大防止に加え、財政再建や労働市場の構造改革など難しい課題が山積している。ドラギ氏の後を継げる有力候補は見当たらないとの声は多く、国内政治が混乱するリスクもある。
2021年12月の米製造業景況感指数は58.7となり前月から2.4ポイント低下した。製造業の良好な拡大は続いたが、1月以来の低さとなり、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(60.0程度)を下回った。
個別指数は「新規受注」が60.4で1.1ポイント、「生産」が59.2で2.3ポイントそれぞれ低下した。一方、「雇用」は54.7で、4カ月連続で拡大を示す50を超えた。供給網の混乱で高まっていた「入荷遅延」は64.9で7.3ポイント低下した。
ISMは「需要が強く供給網に負荷がかかった環境が続いているが、労働資源と供給業者の配送パフォーマンスには改善の兆しがみられる」と指摘。その上で、景況感は非常に明るく、企業は22年に強気の見通しを持っているとした。
カシュカリ氏は2016年に同連銀総裁に就いて以降、米金融政策当局者の中で最もハト派的とされてきた。
同総裁は「根本的には、新たな高インフレのレジームに入るよりも、過去20年にわたって続いてきた低インフレのレジームに最終的には戻る可能性が高いと確信している」と指摘。「しかし、高インフレレジームに陥ることのコストは、低インフレレジームに最終的に戻ることのコストよりも大きくなる可能性が高い」と続けた。
今後の追加利上げも示唆し、2000年以来の水準に加速したインフレとの闘いを強化した。
中銀は政策判断後の発表文で、今後数カ月の政策運営ではインフレを中期的に目標に戻すことへの注力を続け、政策引き締めの規模はインフレ見通しと、労働市場を含む経済成長次第だと説明した。CPIは11月に7.8%に上昇した。
●市況
日経先物(大証)29250、ダウ先36623、債先151.38、米1.651、独▲0.1320、仏0.226、西0.577、伊1.217、原油77.06、ドル円116.17、墨ペソ20.54、トルコリラ13.4466、墨CDS90
※1/5 9時15分頃
備忘録(1/3)
●コロナ
重症者は前日と変わらず1人だった。新たな死亡の確認はなく、累計の死者数は3175人。
この1週間の新規感染者数は1日当たり平均で約40万5000人に達し、2021年1月のピーク時を約60%上回った。一方で各州の検査件数は依然として昨年ピークを下回って推移している。
PCR検査で陽性反応が出る確率は17%と、2020年4月以降の高水準。ニューヨーク市では昨年12月31日時点で、3人に1人が検査で陽性と判断される確率だ。
これらのデータを総合すると、オミクロン変異株があまりにも広がり、多くの感染が見落とされている可能性が浮上する。家庭用の検査キットを使っているか、あるいは検査そのものをしていないことが原因と考えられる。
オミクロン株の感染がますます広がる中でも入院と死亡は過去のピークを下回っており、オミクロン株がデルタ株に比べて軽症で済むとのデータを補強している。新型コロナウイルスによる死亡者は米国で1日当たり約1100人(7日平均ベース)と、過去1カ月でほぼ変わっていない。新たに入院した患者の数は12月25日から31日の間で1日平均1万2000人に40%急増したが、1年前のピークである1万6000人を依然下回っている。
恒大は中身を明かさずに、内部情報を開示するまで売買を止めると発表した。インターネット上では中国海南省の地方当局が恒大物件の解体を命じたとの情報が流れているが、取引停止との関係は不明だ。
2021年12月29日には別の米ドル債2億5520万ドル(約290億円)の利払い期限を迎えたが「支払われた様子はない」と報じられた。
中国メディアの財聯は1日に、海南省儋州市が恒大に対し、建設許可が違法に取得されたとして、開発中の39の建物を10日以内に解体するよう命じたと報じていた。恒大は内部情報を含めた発表を行うと表明したが、売買停止について詳細は示さなかった。
光大新鴻基のストラテジスト、ケニー・ヌン氏は「海南省のプロジェクトは中国全土に及ぶ恒大の戦略の中で重大なものではないが、信用面に大きな影響を及ぼすだろう」と述べた。
ブルームバーグの試算とアナリスト推計によれば、中国の不動産開発業界は1月に少なくとも1970億ドル(約22兆6800億円)の支払いが必要。これには償還を迎える社債の元本やクーポン支払い、多数の出稼ぎ労働者に対する未払い賃金などが含まれる。
シティグループのアナリストによると、同社が継続調査する上場不動産開発31社の契約販売は昨年12月に前年同月比26%減少した。特に恒大は同99%減と最も大きく減らし、前月比でも7%少なかったという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
アリババ株は香港市場で前営業日比3.3%下げて引けた。香港上場株に転換された同社ADRの数が先週、急増したことがデータで示された。
UOBケイ・ヒアン(香港)のエグゼクティブディレクター、スティーブン・レオン氏はこの動きについて、一部の投資家がアリババ株の持ち分を近く削減することを示唆している可能性があると指摘した。
ブルームバーグの計算によると、昨年9月に同様の持ち株転換があった際、アリババ株はその後の10営業日で13%近く下落した。昨年3月と6月に同じ動きがあった後も下げている。
●その他産業
バイデン大統領はビルサック農務長官およびガーランド司法長官とともに牧場主や農家とバーチャル形式で会合し、食肉業界の少数集中に関する不満などを聞く。こうした農業従事者らは新設のポータルを使って、食肉加工業者らによる不公正な取引慣行を報告することが可能になる。
ホワイトハウスは食肉加工業者の経済的影響力に対抗する方策も強調する。この中には独立系業者の事業拡大を支援する10億ドル(約1150億円)の連邦補助金や、検討中の新たな競争関連規制が含まれる。
ホワイトハウスは流通の中間にあたる食肉加工で大手企業の寡占を問題視する。牛肉では上位4社が85%、豚肉では上位4社が70%のシェアを握っており、それぞれ卸価格を引き上げて大きな利益を上げていると主張する。
新たに発表した施策は、独立系の食肉加工工場の建設を金融支援する。市場に参加する企業を増やすことで競争を促し、最終的に消費者価格の引き下げにつなげたい考えだ。農務省と司法省は競争を妨げる違法行為の通報窓口も設ける。
●決算関連
●マクロ・その他
●決算関連
●マクロ・その他
2021年11月24日、インド政府は1人の女性が生涯に産む子供の数を示す同国の合計特殊出生率が2.0に低下したと発表した。現在の人口規模を維持するのに必要とされる人口置換水準を下回り、多数の富裕国と同じ領域に入った。
現在すべてのBRIC諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)で出生率が人口置換水準を下回っており、ロシアと中国では人口が減少に転じたとみられる。
特に注目すべきなのは、各国が人口転換を遂げるペースが加速しているという重要な指摘だ。英国の転換は1790年代から1950年代にかけて約160年の間で緩やかに進展したが、チリでは1920年代から70年代の約50年のより短い期間で転換を完了した。20世紀終盤に変化が始まった国々にいたっては、20~30年で転換のプロセスを終えている。
過去200年間に出生率転換が始まった国のその時点での1人当たり平均国内総生産(GDP、購買力平価ベース、2011年物価換算)は約2700ドル(約30万円)だった。だが、1990年代以降の数字を見ると、転換が始まる時点の水準は約1500ドルに低下している。
国連は、現段階では2100年までに世界の人口が110億人に達すると予想している。しかし、世界全体で出生率が急速に低下する傾向があることから、インドの場合と同様に、いずれ予測の下方修正を余儀なくされる可能性がある。
高齢化が進むと貯蓄が増大し、インフレ率と金利の低下につながると分析している。世界の人口に占める50歳を上回る人々の割合が現状予測の通りに、直近の25%から2100年に40%に上昇した場合、低金利が定着して、資産の収益率が低下し、世界的な不均衡が一段と拡大する可能性があると指摘している。
その一方で、人口転換は様々な形の経済的なメリットをもたらす可能性もある。二酸化炭素の排出量削減は世界にのしかかる大きな課題だが、人口増加率が低下すれば、実現を後押しする要因になり得る。教育水準が高まったり、女性の労働参加が拡大したりする結果、少ない労働人口で生産性が高まる可能性も期待できる。
香港の民主派ネットメディア「衆新聞」は2日、4日にウェブサイトの更新を止め廃刊すると発表した。香港では別のネットメディア「立場新聞」が警察の摘発を受けて廃刊を決めたばかり。当局の締め付けが強まり、民主派寄りのメディアは存続が難しくなってきた。
香港の主要メディアは中国資本の影響力が強まり、中国共産党への直接的な批判を避ける姿勢が目立つ。かろうじて当局に批判的なメディアが生き残っていたネット空間にも統制強化が及んできた。
12月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.3。11月は50.1、ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は50だった。建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは52.7。11月は52.3、市場予想は52だった。
国家統計局の統計学者、趙慶河氏は発表文で、12月の統計は中国経済が回復基調を維持していることを示すものだと指摘。製造業PMIの2カ月連続の上昇について、一部商品が大きく値下がりし、企業のコスト圧力がある程度緩和したと分析した。
一方、製造業者にとって需要不足が大きな問題であることに変わりはない。新規受注は49.7となお低迷しているほか、新規輸出受注指数は48.1に悪化し、来年の貿易安定化に向けて中国が直面する圧力を浮き彫りにした。建設活動は56.3に低下し、活動鈍化が示された。趙氏はその要因として、厳しい寒さや休みが近づいていることを挙げた。
リポートによれば、経済成長の鈍化によって、多くの企業で売り上げの伸びが限定されるため、企業がインフレと金利の影響をいかにくぐり抜けられるかが極めて重要になる。典型的な株式リターンにマクロ要因が及ぼす影響は薄れつつあるという。
主な働き先である米国の経済が回復しているほか、メキシコ出身の移民が増えたことで母国への送金が伸びた。
前年同月を上回るのは19カ月連続。9カ月連続で40億ドルを上回った。送金の件数は同10%増の約1165万件だった。1~11月累計では約468億3400万ドルと、前年同期比で27%増えた。
スペイン大手銀BBVAの資料によると、米国にいるメキシコ出身の移民は21年に1190万人と20年3月時点に比べて40万人増えた。そのうち建設業界で働く人が21%を占めている。11月の1人当たりの送金額は401ドルと2000年以来の高水準だった。
2021年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比36%だった。21%だった11月から急加速し、約20年ぶりの高水準になった。11月以降だけでドルに対して一時4割安となった通貨の下落が響いた。
通貨リラ安が進んだ秋ごろからさらに悪化した。市民が実感するインフレ率は統計局の数字よりも高いとの声もあり、メトロポール社の12月世論調査では6割の人が「100%以上」と回答した。大学教授らでつくるENAグループは独自調査の12月CPI上昇率を83%としている。
市民は値上がりを見越してトイレットペーパーや乳製品を買いだめするなどの生活防衛を迫られている。最大都市イスタンブールでは12月、燃料費の高騰を理由として、海峡を渡る公共交通機関のフェリーの一部路線が運休した。
一方、通貨安を背景に輸出は好調だ。エルドアン大統領は3日、21年の輸出額が前年比33%増の2250億ドル(約26兆円)となり、過去最高を更新したと発表した。
●市況
日経先物(大証)29195、ダウ先36447、債先151.49、米1.628、独▲0.1225、仏0.245、西0.587、伊1.202、原油76.44、ドル円115.40、墨ペソ20.51、トルコリラ13.0672、墨CDS90
※1/4 10時30分頃
日経先物(大証)29195、ダウ先36447、債先151.49、米1.628、独▲0.1225、仏0.245、西0.587、伊1.202、原油76.44、ドル円115.40、墨ペソ20.51、トルコリラ13.0672、墨CDS90
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