2021年11月2日火曜日

備忘録(21/11)

備忘録(11/30)
●コロナ
米製薬大手メルクが開発した新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」について審議する第三者委員会を開き、重症化リスクの高い大人への使用を推奨した。FDAはこれを踏まえて、承認を最終判断する。すでに英国では承認されているが、承認されれば米国で初の新型コロナの飲み薬となる。
モルヌピラビルは重症化リスクの高い新型コロナ患者が対象となり、発症から5日以内に治療を開始する。1回の治療で5日間にわたり1日2回各4錠、計40錠を服用する。「RNA(リボ核酸)ポリメラーゼ阻害薬」というタイプの抗ウイルス薬で、ウイルスが増殖する際に必要な酵素の働きを抑え、体内でウイルス量が増えるのを抑制する。先天性欠損症のリスクがあるとして、妊婦への使用は推奨していない。
一部参加者からは、有効性の低さを懸念する声が出た。メルクが26日に公表した臨床試験(治験)の最終分析では、入院と死亡のリスクを30%減少させることが確認された。10月に公表した中間分析では50%減少させるとしており、有効性が低下していた。メルクのニコラス・カートソニス博士は第三者委で「最終分析で有効性が変化した理由は特定できなかったが、治験の後半ではより多くの高齢者、より多くの女性が参加した」と説明した。
新型コロナの飲み薬を巡っては、米ファイザーもFDAに緊急使用許可を申請済みだ。ファイザーの飲み薬は、入院と死亡のリスクを9割低減するとのデータが公表されている。
オランダ保健当局は30日、19日と23日に採取した検体からオミクロン型を確認したと発表した。南アがWHOに報告した24日よりも前に感染者が存在していた。感染が確認された人物がアフリカへの渡航歴があるかどうかは不明で、当局が調査している。オランダは26日に南アなどからの渡航を制限したが、少なくともその一週間前にはすでに感染者がいたことになる。
欧州ではオミクロン型の市中感染がすでに広まっている可能性がある。ドイツのザクセン州では30日、海外渡航歴のない男性の感染が確認された。独DPA通信が伝えた。男性は39歳で、海外にいたことも、海外に滞在していた人との接触もないという。
英グラスゴーなどでオミクロン型の感染者が6人確認されたことが判明。外国への渡航歴のない人もおり、市中感染が起きている可能性がある。
バンセル氏は、南アフリカで急速に広がったオミクロン型について、50の変異のうち32が、ウイルスが細胞に入り込む際に重要な役割を果たす「スパイクたんぱく質」で見つかった点に言及。既存のワクチンについて「(オミクロン型へは)デルタ型と同じレベルの効果が得られるとは思わない」などと話した。
どの程度の効果が得られるかについては「データを待つ必要がある」と断ったうえで「かなり低いと思う。私がやりとりしている科学者らと話したが、(有効性について)見通しは良くない」と語った。
現在使用しているワクチンのオミクロン型に対する効果と、オミクロン型が重症化を引き起こすかどうかを示すデータは2週間以内に入手できるだろうとも指摘した。
オミクロン株の存在を最初に指摘した南アフリカ医師会のアンジェリク・クッツェー会長の説明には安堵(あんど)させられる一方で、一部の患者の症例にすぎず、オミクロン感染が広く世界に拡大した場合のリスクの片りんしか示していないかもしれない。症状を研究するには幅広い患者層を対象にオミクロンの病原性を調査する必要があると、公共衛生専門家は指摘する。
専門家は以下のような理由でオミクロン感染症に関するこれまでの報告を慎重にみている。
・現在の感染者は若者や低リスクグループが中心だが、感染が拡大すれば状況が変わり得る
・オミクロン感染者はまだ感染から日が浅いが、2週目以降に重篤な症状が出てくる可能性がある
・ワクチン接種や過去の感染が現在の患者の重症化を防いでいる可能性があるが、こうした条件を満たさない人もいる
世界保健機関(WHO)によれば、新型コロナウイルスに感染した人の約80%は軽症または無症状。重症化して酸素が必要になるのは15%、5%が重篤で人工心肺装置が必要になるという。
ニューサウスウェールズ大学(シドニー)のライナ・マッキンタイア教授(バイオセキュリティー)は「重症度について何らかの発言をするのは時期尚早だ。新型コロナ感染症で重症化する人は20%にすぎず、疫学的研究が必要だ。また、入院と集中治療室への収容は発症から遅れる。通常、発症後1週間は軽い症状の状態にある」と話した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
発電量の大幅な積み増しを計画する洋上風力発電はとりわけ「巨大なプロジェクトになる」と言い、政府のシナリオ通りに進むとすると「グリーンボンドを中心としたESG(環境・社会・企業統治)債の発行増加につながる可能性はある」との見方を示す。
ブルームバーグNEFによると、国内では20年代後半から洋上風力発電の導入加速が見込まれる。マニュライフ・インベストメント・マネジメントの押田俊輔クレジット調査部長は「23年ごろから洋上風力の設備投資が本格化する」とし、それに応じて電力会社の環境債発行も増えていくと予測する。
もっとも、政府が描く再エネ導入のシナリオは、立地の制約条件や経済性の面から実現の難易度は高いともSMBC日興の浅野氏はみている。そのため、再エネ促進と並行して脱炭素への移行を支えるトランジションファイナンスの資金使途対象に「原子力発電所を含めるのが合理的」という。原発再稼働やメンテナンスにかかる資金についても調達しやすい環境を整えることが脱炭素の推進には重要だとしている。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
中米ホンジュラスで28日に実施された大統領選で、親中派で左派野党連合のシオマラ・カストロ氏(62)の当選が確実になった。与党・国民党の幹部が30日、地元ラジオに敗北を認めた。カストロ氏は当選すれば台湾と断交して中国と国交を結ぶと述べたことがあり、対中政策が焦点になる。
カストロ氏は09年にクーデターで失脚したセラヤ元大統領の妻で、ホンジュラスで初めての女性大統領になる。カストロ氏は30日、「ホンジュラスは国民の声に耳を傾け、擁護する大統領を手にした。ともに祖国を築こう」とツイッターで表明した。同氏は22年1月に就任し、4年間の任期を務める。
カストロ氏は当初、大統領に当選したら外交関係を結ぶ台湾と断交し、中国と国交を結ぶ方針を明言していた。だが11月下旬には側近がロイター通信に「まだ最終決定はしていない」と述べた。カストロ氏自身は大統領選前後には台湾との外交関係について言及していない。今後は就任後の対中政策に関する発言が焦点になる。
台湾外交部(外務省)は30日、カストロ氏が優勢だという中間集計を受けて「まだ開票作業は完全には終わっていない」と述べ、最終結果が判明した後に公式な声明を出す考えを示した。蔡英文(ツァイ・インウェン)政権は11月中旬にホンジュラスの現職大統領を台湾に招待するなど外交関係を維持するように働きかけている。
中南米の左派政権はカストロ氏の当選を祝うコメントを相次ぎ発表した。キューバのディアスカネル大統領は30日、「セラヤ氏が追放されたクーデターから12年かかり、ようやく圧倒的な勝利をなし遂げた」と歓迎した。南米ベネズエラのマドゥロ大統領は「(ホンジュラスは)希望への道を取り戻した」とツイッターに投稿した。
11月の消費者信頼感指数は109.5(1985年=100)で、前月の改定値から2.1ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(110.0程度)をわずかに下回った。
また、「現在の景況」が142.5で3.0ポイント低下した。「短期の見通し」も87.6で1.4ポイント下がった。
コンファレンス・ボードは、景気拡大への期待はわずかに上向いたが、労働市場と収入への見通しが下がっていると指摘。「物価上昇と新型コロナウイルス感染の再拡大への懸念が、景況感を下げた」と分析した。
11月の景気指数(PMI、季節調整済み)は61.8で前月から6.6ポイント低下した。2月以来9カ月ぶりの低さで、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(67.5程度)を下回った。
「新規受注」(58.2)が大きく低下し全体を押し下げた。このほか「受注残」「入荷遅延」「雇用」なども低下した。
「供給網の目詰まりは解消されてきているか」との問いに、64.9%の企業が「解消されていない」とし、24.3%は「やや解消された」と回答した。また「顧客にコストの上昇を転嫁できているか」との問いには、78.4%が「少なくとも一部は転嫁できている」と答えた。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の30日の議会証言を受けて、米金融政策の正常化が想定より早く進むとの見方が強まり、幅広い銘柄に売りが優勢となった。新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大の懸念も相場の重荷だった。
パウエル議長は30日の米上院委員会での議会証言で、「私の見解では資産購入を数カ月早く終了することを検討するのが適切だ」と表明した。11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で開始を決めたばかりの量的緩和の縮小(テーパリング)の加速を「(12月半ばの)次回のFOMCで議論する」意向を示した。
FRBは11月にテーパリングに着手し、月1200億ドルだった国債などの資産購入額を月150億ドルずつ減らす方針を示していた。このペースだと2022年6月に購入額がゼロになる予定だったが、より早期に終える可能性が高まっている。市場では毎月の減額ペースを22年1月から月300億ドルに加速し、同3月までに資産購入を終える案などが浮かぶ。資産購入を早く終えることで過剰な景気刺激を止め、必要に応じて利上げに動ける余地を確保する狙いがある。
パウエル議長は議会証言で、テーパリングの加速に前向きになった理由として「より持続的なインフレのリスクが高まっているのは明らかだ」と指摘した。「ここ数カ月で物価上昇はより広範囲に及んでいる」と述べた。「我々がインフレに関して見落としていたのは供給サイドの問題の予測の難しさだ」とも語り、物流の混乱などによる供給制約がインフレ持続につながるリスクに警戒感をにじませた。
FRBはこれまでインフレについて「transitory(一時的)」との表現をしてきたが、「この言葉を使わないようにする良い機会だ」とも述べた。物価高の一因である需給の不均衡が和らぎ、来年にかけて物価上昇率が政策目標の平均2%程度に落ち着くとの従来の見解も重ねて示しつつ、インフレが止まらないリスクにより重きを置いた。
失業率の低下など労働市場の改善が進んでいる点を評価しつつ、人々の感染再拡大への不安などを理由に労働参加率が高まってこない問題にも言及した。「パンデミック前のような素晴らしい労働市場に戻るには、より長い景気回復が必要になる」と指摘。その際にも「持続的な高インフレがリスクになる」と指摘し、インフレ抑制が景気や雇用の回復に重要との認識を示した。
2020年国勢調査の確定値を公表した。経済活動の主な担い手となる生産年齢人口(15~64歳)は7508万7865人となり、5年前の前回調査から226万6232人減った。ピークだった1995年の8716万4721人に比べ13.9%少ない。人口減時代の成長は一人ひとりの能力を高め、規制緩和にも取り組んで生産性をどう押し上げるかにかかる。
米サイバーマンデー(11/29)の売上高は前年比1.4%減の107億ドル(約1兆2000億円)と、集計を始めた2012年以来で初めて減少に転じた。小売り各社のセール前倒しやネット通販の浸透で需要が分散した。
26日のブラックフライデーのオンライン売上高も89億ドルと1%減った。アドビ・デジタル・インサイツのテイラー・シュライナー氏は「企業が早期のセールに踏み切ったことで、消費者はブラックフライデーやサイバーマンデーまで割引を待つことがなくなった」と指摘する。
1日当たりの売り上げは減ったものの、年末商戦全体では消費の勢いは強い。アドビによると、11月1日からサイバーマンデーまでのオンライン売上高は1098億ドルで、前年同期比12%増えた。11月1日~12月31日までのオンライン売上高は10%増の2070億ドルに達するとの予想を据え置いた。
今年のホリデーシーズンは、ワクチン普及による経済の正常化で店頭への客足の回復も目立つ。全米小売業協会(NRF)の30日の発表によると、25日の感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間に実店舗には14%増の約1億500万人が訪れた一方、ネット通販は12%減の約1億2800万人にとどまった。
移民の大幅な制限、治安対策の強化などを主張する。同日仏メディアが報じた世論調査では支持率13%で3~4位に位置しており、首位マクロン大統領(23~24%)、2位極右国民連合ルペン党首(19~20%)を追う。
支持率は一時ルペン氏を追い抜いたが、伸び悩んでいる。南仏マルセイユで中指を立てて挑発する女性に、中指を立てて応じるなどの言動が批判を浴びた。ただ治安にたいする厳格な姿勢が一部の層に熱烈に支持されている。西部ボルドーの支援者集会にきたオレリアンさん(32)は「ボルドー郊外には夜間危なくて外に出れない地域がある。こんな状態を正す政治家が必要だ」と語った。
ゼムール氏はパリ郊外のユダヤ系家庭に生まれ、ジャーナリストとしてテレビ出演や新聞へのコラム執筆を手掛けてきた。外国人を敵視する発言で知られ「ほとんどの(違法薬物の)運び屋は黒人とアラブ人だ。それが事実だ」と仏メディアで語り、人種差別をあおったとして有罪判決を受けた過去がある。
2024年に任期を迎える次期大統領選について「憲法によれば、私には出馬する権利がある」「(出馬は)決めていない。24年に誰が何を計画しているかを言うのはまだ早い」と述べた。
米連邦住宅金融庁(FHFA)が30日発表した7~9月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は前年同期比18.5%上昇し、伸び率は4四半期連続で過去最高を更新した。
すべての州で価格が上昇し、特にアイダホ州の上昇率が35.8%、ユタ州が30.3%、アリゾナ州が27.7%など中西部で著しい伸びが続いた。
前月比の伸び率は9月単月では0.9%となり、7月(1.4%)と8月(1.0%)から伸びは鈍化した。FHFAのエコノミストは「市場の勢いは7月にピークに達した」と指摘した。
シンガポールの西端に建設中のトゥアス港の2つの停泊所が年末までに稼働する見通しだと発表した。トゥアス港は2040年代に完成した際のコンテナ取扱容量が年間6500万TEU(20フィートコンテナ換算)と、シンガポールの現在の港の取扱高(20年実績は3690万TEU)の1.8倍に達する巨大な港湾プロジェクトだ。今後も工事を計画通り進め、東南アジアの主要港としての地位を維持したい考えだ。
30日に第1期の埋め立てが完了し、MPAは第1期の21の停泊所のうち、2つが年末までに稼働すると明らかにした。政府は40年代までに、パシル・パンジャンなど既存のコンテナ港の機能をトゥアス港に集約する計画で、巨大港への集約で効率性も高まると説明している。
世界海運評議会の統計によると、シンガポールの20年のコンテナの取扱量は上海港に次いで世界2位。ただ、クラン港が12位、タンジュン・ペレパス港が19位に入るマレーシアなど周辺国との競争も激しくなっている。シンガポールは将来の需要増加にも対応できる港湾インフラを30年単位の長期計画で整備することで、競争力を維持する戦略だ。トゥアス港では人工知能(AI)を使って少人数による運営を可能にするほか、事故の予防にもつなげるという。
台湾大手複合企業の遠東集団の経営トップが30日付の主要紙、聯合報に「私は一貫して、台湾の独立に反対してきた」とする内容の文章を寄稿した。中国で手広く事業展開する同社には、中国政府から台湾の独立を支持する企業とのレッテルが貼られ、圧力がかかっていた。事業に支障が出かねず、寄稿でそれを否定する狙いがあったとみられる。
産業別では製造業が9.4%増だった。トルコは需要が回復しつつある欧州などへの輸出拠点で、年初から対ドルで4割も下落した通貨のリラ安が追い風となった。20年11月~21年10月の12カ月間の輸出額は2100億ドル(約24兆円)と過去最高を更新している。
一方、調査会社メトロポールが11月に実施した世論調査では、回答者の7割が「昨年より貧しくなった」と答え「豊かになった」は1割にとどまる。高い成長率との落差が鮮明だ。
トルコに製造拠点を持つ京都市の機械メーカー、生田産機工業は10月、現地従業員の給与を25~38%引き上げた。例年は12~1月に給与を改定するが「物価上昇が速すぎて、待っていては技術を持つ人材が流出しかねない」と判断した。
通貨リラは11月、1日で最大15%暴落する場面もあり、物流にも影響している。イスタンブール市内の小規模スーパーによると、コスト上昇の懸念から卸売業者は日用品や非生鮮食品の供給を通常の半分以下にしぼっている。医薬品も輸入が多く、薬局の棚には空きが目立つ。
ドルベースでみたトルコの1人当たりGDPは14年のピークから20年までに3分の2に減り、21年も落ち込む可能性が高い。
11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1と、3カ月ぶりに好不調の境目である50を上回った。石炭価格の上昇の一服などが景況感を押し上げたが、肝心の新規受注は国内外で伸び悩んでいる。需要不足による先行きへの懸念は残っている。
11月は前月を0.9ポイント上回った。改善は8カ月ぶりだ。PMIを構成する生産指数が電力制限の緩和もあり、3.6ポイント上昇し、52.0に高まった。主要原材料の調達価格を示す指数も大幅に低下し、企業のコスト負担が軽減した。
もっとも、新規受注は節目の50を下回ったままだ。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う行動制限は経済活動の足を引っ張ってきた。外食や宿泊、運輸、娯楽などサービス業が打撃を受け、製造業の受注が伸び悩む一因になっているとみられる。政府の規制強化で不動産開発投資も冷え込み、建材などの需要が増えない。
国務院発展研究センターの張立群研究員は「今、特に必要なのは公共投資を通じて企業の投資や雇用、個人消費を押し上げることだ」と強調する。景気の下押し圧力を生む需要の制約を速やかに解消すべきだと訴える。
中国財政省は地方政府のインフラ債をめぐり、できるだけ11月末までに2021年の新規発行枠を使い切るよう指示している。22年前半にかけて地方のインフラ建設で景気を下支えする考えだ。
製造業の外需に対する見方も慎重だ。海外に限った新規受注を示す指数は5月から50割れが続く。実際の輸出額は前年同月比2~3割増で推移しているが、これはコスト高やハイテク化に伴う製品単価の上昇の影響が大きい。受注が増えにくいなか、輸出品の価格の引き上げが一段落すれば、輸出額の伸びも鈍る可能性がある。
インドのコロナ新規感染者は5月に1日あたり41万人強と世界最悪だったが、7月に入ると5万人を下回る水準に減少。足元では6千人台と最悪期に比べ2%弱の水準に減り、ワクチン接種も10月下旬に10億回を超えた。
製造業は4~6月期の49.6%増に続いて、5.5%増えた。9月の鉱工業生産指数は前年同月比3.1%上昇し、電機部品、製紙、織物などが大幅に伸びた。北部パンジャブ州のパンジャブ中小企業協会連合のバディシュ・ジンダル会長は「4~5月はコロナの影響でもたついていたが、最近は中小企業も持ち直し始めている」と話す。電気・ガスは8.9%増、農業も4.5%増だった。
サービス業も上向きつつある。GDPを構成する「貿易・ホテル・交通・放送」は8.2%増だった。ホテル業界の関係者は「国内の旅行需要が戻ってきた。まだ海外旅行には行けないので、代わりに国内を旅行先に選択する人が多い」と語る。
今後の景気の懸念材料は世界的な半導体不足だ。インドの10月の乗用車販売台数は約22万台となり、半導体不足の影響で前年同月比27%減に落ち込んだ。メーカー別では最大手のマルチ・スズキが33%減だった。インド政府は11月に農産物取引の自由化に関する農業の新法を廃止すると表明したが、この方針が農業分野に投資しようとしていた民間企業の意欲をそぐとの見方もある。
「OPECプラス」は12月2日に会合を開き、年明けの原油増産ペースを協議する。米国などの備蓄放出に新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の拡大が重なり、需給の緩みへの警戒感が強まっている。継続してきた毎月の増産を停止すべきだとの論調も浮上してきた。
オミクロン株の出現のような「散発的な後退」は「自然免疫およびワクチンによる獲得免疫の広がりと死亡率の大幅な低下、および新しい抗ウイルス治療の普及という背景に照らして」見られるべきだと指摘。「コロナ禍後の正常化が2022年に世界で進展すると予想している」と明らかにした。
その上で、「相場上昇は緩やかになるものの、続くとの見方を維持している。供給ショックが和らぐことや中国と新興市場の状況改善、消費者の支出行動の正常化により企業利益が予想以上に伸びるだろう」と説明した。
ストラテジストらは2022年末までにS&P500種株価指数が約9%上昇し5050になると予想。この見通しに対する主要なリスクとして中央銀行のタカ派シフトを挙げている。
また、シクリカル株選好の持続を勧め、エネルギーや金融などリフレ関連セクターを生活必需品や公益株より有望視している。
ショルツ氏は30日にビルトTVとのインタビューで、インフレ上昇は政府のパンデミック対策支出やエネルギー価格急騰と関係しているが、長期にわたる上昇は容認できないと述べた。
物価高は緩和する見通しだとのアナリスト予想に言及し、「そうならないなら、何らかの行動が必要だ」と発言。「現在のような高インフレを目指すべきではない」と続けた。
米20都市住宅価格指数は前年同月比19.1%上昇。前月は19.6%上昇であり2カ月連続で減速。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は19.3%上昇
価格は依然高騰しているが、伸びは鈍化する格好となった。新型コロナウイルス禍をきっかけに全米で住宅争奪戦が激しくなったのは1年余り前だった。一般的に新学期が始まって以降に住宅を購入する家庭は少ない上、住宅ローン金利が9月に上昇したことで、買い手による価格競り上げは難しくなった。
今後数カ月に売りに出される物件は増えると見込まれており、在庫不足の緩和につながる可能性がある。ただ需要の強さは変わっておらず、価格上昇が本格的に落ち着くのはまだ先になる可能性も示唆される。
地域別では、フェニックスで前年同月比33%上昇。タンパでは28%、マイアミでは25%それぞれ伸びた。
●市況
日経先物(大証)27898、ダウ先34549、債先151.93、米1.456、独▲0.3470、仏0.012、西0.398、伊0.975、原油67.03、ドル円113.26、墨ペソ21.44、トルコリラ13.5021、墨CDS123
※12/1 8時00分頃

備忘録(11/29)
●コロナ
コロナの遺伝子解析データに占める変異型の割合では、デルタ型が圧倒的に主流で、足元のオミクロンの割合は1%程度とみられる。しかし、デルタ型は初期に感染が確認された国が少なかったのに比べ、オミクロン型は発見直後から世界に拡散している。
南アフリカではオミクロン型の割合がすでに100%近くに達し、隣国のボツワナでも割合が高まりつつある。
世界保健機関(WHO)によればオミクロン型は11月9日に採取された検体から初めて確認され、26日には最も警戒レベルの高い「懸念される変異型(VOC)」に指定した。
WHOによるVOC指定はオミクロン型で5つ目だ。変異型が見つかると、感染状況を見極めつつ警戒レベルを引き上げるのが一般的で、デルタ型は確認から分類まで約7カ月だった。オミクロン型は1カ月もたたずにVOCに分類された。
WHOはオミクロン型について「初期的な証拠に基づけば、過去にコロナに感染した人が再びかかるなど再感染のリスクが増加しているだろう」との見解を示している。
南アフリカの国立伝染病研究所は、ワクチンによる免疫がオミクロン型に対して部分的に効かない可能性があるものの、重症化を抑える効果は高いとの見解を示している。米国のファウチ首席医療顧問も「既存のワクチンで重症化をある程度予防できる可能性が高い」との見方を示した。
重症化リスクなどについて、専門家が評価を急いでいる。南アのワクチン諮問委員会のシューブ委員長は英メディアに、オミクロン型の患者について「確かなことは言えないが、今のところは軽度か中軽度だ」と語った。
イタリア政府の諮問機関、高等保健評議会のロカテッリ会長は、同国メディアに「(オミクロン型は)感染スピードは速いが、重大な症状をもたらすかどうかはまだわからない」と語った。WHOは「初期段階での感染報告は軽症になりがちな若者である大学生のものだった」と重症化リスクを慎重に見極めている。
南アの国立感染症研究所は「幼い子供は免疫が不完全で、ワクチンも受けていない」と指摘している。同研究所はまた、オミクロン型の感染拡大で不安を抱えた親が念のため受診・入院させていることが原因の可能性もあるとしている。幼児への影響に関する報告は週内にも発表するとしている。
バイデン氏はオミクロン型について「懸念する理由だが、パニックになる理由ではない」と強調し、国民に冷静な対応を呼びかけた。米国内では感染例が確認されていないが「遅かれ早かれ米国で見つかるだろう」と指摘した。
バイデン氏は、今冬の新型コロナ流行を抑えるための計画を12月2日に発表すると明らかにした。「ロックダウンではなく、ブースター接種を含むワクチンの普及や検査体制の拡充で対応する」と説明した。
米国は29日から南アフリカなど8カ国からの入国禁止措置を実施した。バイデン氏は「(米国内での感染拡大は)止められないが遅らせることができる。多くの対応を迅速に取れる時間ができる」と措置の正当性を訴えた。
一方、ニューヨーク市は29日、オミクロン型の感染拡大をにらみ、ワクチン接種の有無にかかわらず屋内でのマスク着用を「強く推奨する」と発表した。同市はすでに公共交通機関や病院、学校でのマスク着用を義務付けている。同市の保健当局幹部は「ニューヨークでも近くオミクロン型の感染が確認されると予測している」との認識を示した。
南半球のアフリカ南部は夏を迎えており、欧米がクリスマス休暇に入る12月は観光産業にとって稼ぎ時のため渡航制限の影響は大きい。南アの国際関係・協力省は声明で、いち早くウイルスを検知して報告したことを「罰しているようなもの」と反発した。
渡航制限は、WHOも非現実的だとして懐疑的だ。BBCによると、WHOアフリカ地域事務局長のモエティ氏は「世界の複数の地域でオミクロン型が検出されているいま、アフリカだけを対象とした渡航禁止は世界的な連帯を損なう」と指摘した。WHOは各国に「リスクを元にした科学的な対応」を促している。
先進国が人口分以上のワクチンを確保する一方、分配の遅れるアフリカでは摂取率が1割にも満たない問題もある。国連のグテレス事務総長は29日の声明で渡航制限による「アフリカの孤立」に懸念を示したうえ、「低い摂取率が変異ウイルスの温床となっている」と指摘した。
南アのラマポーザ大統領は29日、セネガルで開かれた中国とアフリカ諸国の首脳会議に際し、「国の富によって病と健康が分かれてしまう世界の構造がある」と述べた。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は29日、米CNBCに出演し、「金曜日(26日)に新しいワクチンの開発プロセスの初期段階を開始しており、100日以内に出荷可能だ」と強調した。26日の声明では「ファイザーは変異型の出現に備えて数カ月前から、6週間以内に新たなワクチンを開発し、100日以内に出荷できるよう準備してきた」としていた。既存のワクチンが有効かどうかについても調査を進めている。
またファイザーが開発する新型コロナの飲み薬「パクスロビド」については、オミクロン型にも有効である可能性が高いという。ブーラCEOは「ウイルスの突然変異を想定して開発したため、飲み薬(の有効性)に影響は出ないだろう」と述べた。パクスロビドは米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請済みで、入院・死亡リスクを89%低減するとの臨床試験(治験)の結果を公表している。
モデルナのステファン・バンセルCEOも29日のCNBCに出演し、「オミクロン型に対応したワクチンの出荷には数カ月かかる」と述べた。同社もすでに、オミクロン型に対応した追加接種(ブースター接種)用ワクチンの開発を開始している。既存のワクチンが有効かどうかについては、調査に2週間程度かかるとした。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
日本が世界のトップを走る脱炭素技術がある。植物の光合成をまねて、太陽光と水、二酸化炭素(CO2)から有用な物質をつくる「人工光合成」だ。実用化を見据えた段階に入った研究もあり、将来的には大きな投資テーマになりそうだ。
海藻など海洋生態系による二酸化炭素(CO2)の吸収効果を意味する「ブルーカーボン」に注目が集まっている。海では陸の植物に匹敵する炭素を固定しているといわれる。四方を海に囲まれた日本でも、藻場を増やすなどブルーカーボンの活用に向けた研究が進む。技術の背景や今後の展望について、神戸大学の川井浩史特命教授に聞いた。
サプライチェーン(供給網)上の人権侵害リスクを把握する「人権デューデリジェンス(DD)」に取り組んでいる企業が52%だったことがわかった。米欧を中心に企業に義務づける動きがあるなかで、日本企業の対応が十分ではない実態が明らかになった。政府は調査結果を踏まえて今後の政策対応を検討する方針だ。
●その他産業
ルネサスエレクトロニクスなど世界大手5社の9月末在庫総額は、生産能力の回復などを受けて9カ月ぶりに増加に転じた。高水準の需要が続き先行き不透明感は残るものの、今夏までのような逼迫状況は和らぎつつある。自動車生産の回復を下支えしそうだ。
トヨタ自動車が29日発表した10月の生産・販売・輸出実績(トヨタ・レクサス車)によると、10月の世界生産台数は前年同月比25.8%減の62万7千台だった。東南アジアで新型コロナウイルスの感染が再拡大し、部品供給不足が続いている影響で、3カ月連続で前年同月を下回った。当初の生産計画(約88万台)と比べて3割減った。
自動車メーカーなど国内大手の鉄鋼製品ユーザーとの交渉で決まる「ひも付き価格」について、下期(10月ー22年3月期)は値上げとなることでおおむね合意が得られたことを明らかにした。同社はこれまで、国際的に見て低水準にとどまる国内価格の引き上げを求めてきたが、価格の是正に「大きな進展があった」と自信を示した。
これまで鋼材の価格交渉では、コスト削減や品質にも厳しい国内自動車メーカーが優位となるケースが多く、過剰設備を抱えた鉄鋼メーカーは長年厳しい交渉を強いられてきた。しかし、景気回復や鉄鋼メーカーの脱炭素化対応による生産能力の削減で世界的に鋼材価格が高騰しており、国内でも需給の逼迫で売り手が優位な状況となっている。 
●決算関連
●マクロ・その他
バイデン米大統領は29日、オミクロン型の感染拡大を巡り「現時点でロックダウン(都市封鎖)は考えていない」と述べた。米経済の先行きに対する過度な懸念が後退し、株買いを誘った。オミクロン型に対応するワクチンが必要になれば「あらゆる手段を使って開発や供給を加速する」と対策に意欲を示したことも投資家心理を支えた。
26日に大きく低下した米長期金利が小幅の上昇にとどまり、1.5%台前半で推移した。金利が上昇すると相対的な割高感から売られやすい高PER(株価収益率)のハイテク株に買いが入った。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトが上昇。30日に決算発表を控える顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムは4%強上昇した。
業績が景気の影響を受けにくいディフェンシブ株も買われた。医療保険のユナイテッドヘルス・グループが3%高で終え、飲料のコカ・コーラと日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)がしっかり。
ダウ平均の構成銘柄以外では、先週に大幅安となったクルーズ船のロイヤルカリビアン・グループやホテルのマリオット・インターナショナルなど旅行・レジャー株の一角に「売られすぎ」とみた買いが入った。
半面、景気敏感株は下げた銘柄が目立った。オミクロン型の景気への影響を警戒し、押し目買いが入りにくかった。ダウ平均の構成銘柄では建機のキャタピラー、航空機のボーイングが続落した。金融のJPモルガン・チェースとゴールドマンサックスも安い。
決議は「多国間主義の発展が、人類が直面する問題に対応するための唯一の解決策である」とした上で、台湾がWHO総会に参加することを求めた。台湾は新型コロナウイルス禍に「最も迅速に対応した国である」として参加の意義を強調した。中国は台湾の参加に強く反対している。決議は国際民間航空機関(ICAO)総会などへの参加も訴えた。
決議を提出したのは与党共和国前進の下院代表カスタネール議員や、マクロン政権で環境相を務めたドルジ議員など。マクロン氏の意向を代弁しているとみることもできる。
香港政府がまとめた2021年版の「境外企業調査」によると、6月時点で香港に地域統括本部を置く米国企業は254社と、18年ぶりの低い水準に落ち込んだ。香港国家安全維持法(国安法)に加え、新型コロナウイルスの厳しい感染対策が企業活動の打撃になった。
11月の消費者物価指数(CPI、速報値)は前年同月比で5.2%上昇し、1992年6月以来、約30年ぶりの上昇幅となった。欧州連合(EU)各国と比較可能な指数(HICP)でみると、上昇幅は6.0%とさらに高くなる。物価上昇圧力はエネルギー価格以外にも広がっている。
物価を押し上げているのは、前年同月比22.1%上昇したエネルギー価格だ。原油や天然ガスなどの価格が跳ね上がり、ガソリン価格や電気料金などが上昇した。さらに、1年前にコロナ対策で実施していた付加価値減税が20年末で打ち切りとなったことも、反動による物価高につながっている。
モノの価格全体では前年同月比7.9%、サービス価格も同2.8%上昇した。ドイツの製造業は半導体不足で自動車生産が落ち込むなど、サプライチェーン(供給網)の乱れの影響を強く受けている。こうした供給制約も、物価上昇を勢いづかせている。
ECB内では物価上昇率が22年以降、再び低下に向かうとの見方が多い。エネルギー価格の上昇が一服し、ドイツの付加価値減税の反動などの特殊要因の効果もはげ落ちるためだ。効果が遅れて表れる金融引き締めに踏み切れば、経済・物価に悪影響を与えるとみている。
もっとも、ドイツでは賃上げの動きも少しずつ広がり始めている。物価が上がり続けることを前提に企業が値上げや賃上げを進めるようになれば、物価上昇の勢いがECBの想定を超えて強まるリスクもある。金融政策のかじ取りは難易度を増しつつある。
ゴールドマンによれば、ヘッジファンドは物色先をヘルスケア株から情報技術(IT)銘柄に移しており、モデルナやファイザーなどがヘッジファンドに最も人気のショートポジションとなっている。
MSCIの指数を構成する日本株の比率が低下すれば、短期的には巨大な指数運用型のファンドが組み入れから外すため株式需給が悪化する。MSCIによると、エクイティ指数を基準に運用するグローバルの資産総額は9月時点で16.3兆ドル(約1880兆円)。構成銘柄の変更による影響は無視できない。
ピクテ投信投資顧問の松元浩常務は、長期的にみても日本株の比率低下は「ボディーブローのように効いてくる」とみる。指数連動の投資家だけでなく、アクティブ運用の投資家にとっても、基準そのものが下がることで日本株の国際的なプレゼンス低下や売買代金の減少につながる恐れがあるからだ。
みずほ証券の試算によると、MSCIのSAIRで代表的な指数であるACWI(先進国・新興国)やWorld(先進国)での日本の比率が低下し、資金が純流出となるのは20年5月以来、4回連続。今回の見直しでACWIの日本比率は直近5.71%から5.65%へ下がる。新型コロナ前の19年11月の見直し後では7.35%だった。
ニッセイアセットマネジメント運用企画部の松波俊哉チーフ・アナリストは、日本は雇用を維持したまま投資も行っていないためアウトパフォームは期待薄だ、と話す。米国は雇用を大幅に削減した後にDX(デジタル・トランスフォーメーション)投資や研究開発費を大幅に増やし、労働生産性が劇的に高まった90年代後半と現在は同じようなイメージがある一方で、日本はまったく違うとみる。
もっとも松波氏は、来年の日本株は新型コロナが先進国の中でも収束の方向に向かっている上、岸田政権が長期政権となる可能性や為替の円安も株価をサポートし、右肩上がりが続くだろうとも予想している。これら3点セットの追い風材料に、もし岸田政権が労働生産性を高めるような政策を打ち出すことさえできれば、コロナで広がった海外との差が株式市場でも埋まる芽はあるとみていた。
●市況
日経先物(大証)28595、ダウ先35190、債先151.80、米1.509、独▲0.3150、仏0.049、西0.429、伊0.975、原油70.68、ドル円113.79、墨ペソ21.67、トルコリラ12.7441、墨CDS123
※11/30 8時45分頃

備忘録(11/26-28)
●コロナ
国立感染症研究所は28日、南アフリカなどで見つかった新型コロナウイルスの「オミクロン型」について、最も警戒レベルの高い「懸念される変異型(VOC)」に指定したと発表した。
28日までにドイツとイタリア、オーストラリア、オランダで新たに初の感染が確認された。英政府がマスク着用を再び義務化し、イスラエルがすべての外国人の入国を禁じるなど各国が規制の再強化を迫られている。
オミクロン型の感染はこれまでに南アや隣国のボツワナ、ベルギー、イスラエル、英国、香港で確認されていた。
各国の報道によると、ドイツで27日、南アから航空便で南部ミュンヘンに最近到着した2人の感染が確認された。イタリアでも同日、モザンビークに滞在していた男性が北部ミラノで受けた検査で陽性反応が出た。オランダでは南アからの航空便の乗客で13人の感染が28日に判明した。
豪州ではシドニーがあるニューサウスウェールズ州の保健当局が28日、アフリカ南部から入国した2人の感染確認を発表した。27日夜にドーハからシドニーに着いた航空機に搭乗していた。チェコやデンマークでも初の感染確認が報じられた。
英国では人口の大半を占めるイングランドで7月に新型コロナ対策の規制を全面的に撤廃した。主要国でいち早く「コロナとの共生」を掲げ、新規感染者が1日4万人規模に増えてもマスク義務化は見送っていたが、オミクロン型の確認で方針転換した。
イスラエル政府は27日、すべての外国人の入国を14日間禁止する方針を決めた。イスラエルでは26日までにオミクロン型の感染が確認され、いち早く南アや周辺国からの渡航を原則禁止していた。
米国務省も27日、南アなどアフリカ南部8カ国への渡航警戒レベルを4段階のうち最も厳しい「渡航中止」に引き上げた。同日までに米国内で感染は確認されていないが、バイデン政権のファウチ首席医療顧問は米メディアで「確認されたとしても驚かない」と語った。
フィリピンはすでに南アフリカなどアフリカ南部の国を、感染リスクが高いと定める「レッド国」に指定ずみ。今回はオーストリア、オランダ、ベルギー、イタリアなど欧州諸国をレッド国に追加した。原則としてこれらの国からの入国は認めない。
フィリピンは12月1日から、日本など約30の国・地域を対象に観光客の入国を認める予定だったが、中止する。ワクチン接種完了など一定条件を満たせば隔離なしで入国できるはずだった。自国民にもマスクとフェイスシールド両方の着用を義務付けるとの現地報道もあり、規制が再び強化される可能性がある。
新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、非常事態を宣言した。12月3日から来年1月15日まで、病床と医療従事者を確保するため不急の医療行為を制限することなどが可能になる。
知事は声明で「感染拡大の兆候が出ている。新たな変異株『オミクロン株』はまだ州内で検出されていないが、近づいてきている」と警鐘を鳴らした。同州は今年6月、感染拡大に伴い昨年3月に宣言した非常事態を終了していた。
ニューヨーク州の陽性率(7日間平均)は今月に入ってから上昇し、3.8%に達している。
ファウチ氏はNBCの番組「ウイークエンド・トゥデイ」で、「そうだとしても驚かない」とコメント。「われわれはまだ検出してはいない」が、このウイルスが「これほどの伝染性」を示す状況では、「ほぼ必ず最終的には全体に広がっていくだろう」との見方を示した。
また、バイデン政権が南アフリカ共和国などアフリカ地域8カ国との渡航制限を講じたことは、米国にとってオミクロン株に対する防御を準備する時間稼ぎとなり、パニックにはつながらないだろうと指摘した。
さらに、オミクロン株を巡っては、デルタ株への感染より重症化するかどうかなどの疑問があると述べた。オミクロン株がワクチン防御力を弱める恐れがあると「考えられる」ものの、既存の予防接種で封じ込められる可能性もあると付け加えた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
実店舗への客足は前年比48%増加したが、2019年を28%下回った。センサーマティック幹部のブライアン・フィールド氏は、あまり大幅な増加でなかったことについて、小売業者がホリデー商戦のバーゲン販売を前倒しして客足を分散させたことが一因だと指摘した。
ホリデー商戦全体では、実店舗への客足は19年比で10ー15%の減少にとどまる見通しだという。世界のサプライチェーン(供給網)の停滞が大きく報じられる中、新型コロナ感染への懸念はあるものの、配送遅延を回避するため実店舗での買い物を消費者は優先するとフィールド氏は分析した。
アドビ・デジタルエコノミー・インデックスからの最新集計では、ブラックフライデーのオンライン売上高は総額89億ドル(約1兆円)と、事前予想の下限にとどまり、昨年の実績(90億ドル)をやや下回った。アドビ・デジタル・インサイツの首席アナリスト、ビベク・パンディヤ氏は「ブラックフライデー商戦は初めて、ここ数年の成長トレンドが反転した」とリポートで述べた。
●決算関連
●マクロ・その他
金融庁は地域金融機関向けの新たな資本規制の適用を1年遅らせて2025年3月とする方針を固めた。08年のリーマン・ショックを受けた国際規制「バーゼル3」の総仕上げにあたるが、新型コロナウイルス禍で苦境に陥った取引先への支援を優先させる。債権管理の計算方法を変えるなどシステムの対応が必要で、経営資源が限られる小規模な金融機関からコロナ禍での適用を不安視する声があった。
英政府統計局が発表した移民統計の速報値によると、20年に英国に入った移民の数から同国を離れた人を差し引いたEU出身の「純移民数」がマイナス9万4000人となった。統計局は新型コロナウイルスのまん延とEU離脱の双方が影響したと分析している。
防衛省防衛研究所は26日、中国の最近の軍事戦略を調査した報告書「中国安全保障レポート2022」を公表した。人工知能(AI)や無人機を活用し、軍の「智能化」を急ぐ中国の現状を分析した。人材育成が追いついていない点などの課題を指摘した。
10月の平均落札価格は前年同月比11%高い93万8千円と、この10年の最高値を更新した。半導体不足などによる生産調整で新車販売が滞り、新車購入時の中古車の下取りが停滞。春先から続く輸出の増勢も重なり、中古車不足に拍車がかかった。中古車買い取り・販売会社は車の確保を急いでいる。
経済関係を柱に密接な関係を築いてきた中国と欧州の関係が揺らぎ始めたのは、中国の強権的な対応が目立ち始めてからだ。香港では自治や表現の自由などが強く制限され、中国・新疆ウイグル自治区での人権問題が浮かび上がった。
3月には少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害に当たるとして約30年ぶりの対中制裁に踏み切った。状況に改善はみられず、近く制裁の延長を決める方向で調整が進んでいる。中国の振る舞いに目をそらして経済的な利益を追い求めるわけにはいかない。
米国との対立を深める中国は、欧州とは対立を深めたくないというのが本音だ。ASEM首脳会議に参加した李克強(リー・クォーチャン)首相は25日、「アジアと欧州諸国が相互尊重、互恵の精神で共同発展の力強いエンジンをつくり上げさえすれば、協力の新たな局面にすることができる」と語った。
EUとしても現段階で中国を敵視しているわけではない。フォンデアライエン欧州委員長は25日、「地政学的な分断を乗り越えて、(アジア地域と)協力を模索したい」と語った。経済面での関係もある程度維持したいとの思いがにじむ。
ウォール街のストラテジストは向こう1年の株式投資見通しで、新型コロナをほとんど脅威として挙げていなかった。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の最新調査でファンドマネジャーが挙げたテールリスクの上位にはインフレと中央銀行による利上げ、中国の経済成長失速、資産バブルが並び、コロナはそれらに次ぐ5番目にすぎなかった。
フィデリティ・インターナショナルのグローバル・マクロ・エコノミスト、アンナ・ストゥプニツカ氏は、新たな変異株にワクチンが効きかない恐れがあるとの懸念や新型コロナ感染対策の行動制限拡大を受け、投資家は強気スタンスの再考を余儀なくされかねないと指摘。「マクロ経済と市場の短期的見通しを一変させる可能性があり、そのように扱われるべきだ。市場は浮かれ気分になりがちなホリデーシーズンに、投資家の期待よりも変動が激しくなるかもしれない」と付け加えた。
同氏は「経済には現在大きな勢いがある」とし、「この勢いによって次の波を乗り切ることができると期待している」と述べた。ただ、こうした見通しは「新たな変異株がデルタ株に類似しているとの前提に基づいている」とも指摘した。
ダイモン氏は23日、ボストン・カレッジのチーフエグゼクティブクラブの討論会で、「台湾で何かまずいことが起きると考えている」人を誰も知らないと発言。中国が自国の一部と主張する民主的統治下の台湾に対し、中国が攻撃を行うことをそれは意味しており、中国の干渉は「彼らにとってのベトナムになりかねない」と同氏は警告した。
ダイモン氏は正しい。台湾海峡両岸の衝突で非常に可能性の高い一つの結果にあえて言及した西側の経営幹部は、ほとんどいない。つまり、さながらベトナムでの米国の失敗のように何十年も続く危険がある地上戦の長期化だ。
中国の海軍と空軍、ミサイル大隊が(台湾を支援する)世界で最も強力な軍隊の一部から成る連合軍を圧倒したとしても、中国人民解放軍は台湾に地上軍を送り、保持する必要があるだろう。中国本土から100マイル(約161キロ)余り離れた台湾は荒海に囲まれ山も多い。成人男子約900万人の大多数が少なくとも何らか形で兵役を経験している。
しかし、中国兵約200万人の多くが実際に台湾に上陸し、占領作戦が長引く中で犠牲者が増えることは間違いない。ダイモン氏は「どの国でも遺体袋はある時点で有害な影響がある。目的が不適切と思われる場合は特にそうだ」とボストンで語った。
10月の工業利益は前年同月比24.6%増の8187億元(約14兆5200億円)。前月は16.3%増だった。1-10月では前年同期比42.2%増の7兆1600億元。
同局の朱虹氏は声明で「供給確保や価格安定に向けた政策によって、工業企業の事業は引き続き改善している」とコメントした。
●市況
日経先物(大証)28030、ダウ先34630、債先151.78、米1.482、独▲0.3415、仏0.031、西0.419、伊0.969、原油68.17、ドル円113.51、墨ペソ21.92、トルコリラ12.3751、墨CDS99
※11/29 8時00分頃

備忘録(11/25)
●中国不動産市場
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
鉄道業では22年度下期に相鉄・東急直通線を開業する計画だ。一方で駅改札の遠隔管理を拡大するなどの業務運営体制の見直しなども進める。
沿線開発では、相互直通運転の接続拠点となる西谷(横浜市)や羽沢横浜国大(同)で駅周辺の活性化を推進。
一方で、既存のノウハウを用いて沿線以外や海外への展開、新規事業の創出に積極的に取り組む。都心部での不動産取得や海外へのホテル進出計画を進めるほか、不動産分譲事業では1都3県以外に事業エリアを拡大し、首都圏以外でもマンション事業を展開する。
長期ビジョンの最終年度となる30年度には一転して370億円程度まで増益の目標を掲げている。
●決算関連
●マクロ
米ファイザーの公表資料によると、同社製ワクチンを2回接種してから4カ月経過すると感染予防効果が半減するという。米モデルナも8月上旬、接種の6カ月後からデルタ型などの変異ウイルスに対する予防効果が下がり始めるとのデータを明らかにした。効果が低減するスピードは年齢やワクチンの種類によって差があるとみられるが、2回目接種から4~6カ月後をめどに追加接種を始める国が増えている。
ドイツは18歳以上の国民全員に2回目接種から6カ月後、ワクチン供給が十分なら最短5カ月後からの追加接種を推奨する。仏メディアによると、仏政府は25日、成人全体に追加接種を呼びかける見通しで、従来6カ月としていた2回目接種から3回目の間隔を5カ月に短縮するもようだ。
追加接種の効果が表れているのがイスラエルだ。世界屈指のペースでワクチン接種を進めた同国は感染者が再び増え始めた8月、2回目の接種から5カ月たった60歳以上に追加接種を開始。順次対象を拡大し、既に人口の4割が3回接種を終えた。新規感染者数は9月のピーク時に1日1万人を超えたが、現在は数百人に抑えられている。現地報道によるとホロビッツ保健相は24日、また増えれば4回目が必要になるとの認識を示した。
「接種完了者」の定義も変わってきた。イスラエルやオーストリアは3回目接種を終えて初めて接種完了と見なすルールを導入した。米国のファウチ首席医療顧問も同様のルールを「検討している」と語った。
ワクチン未接種の子どもを起点に家庭に感染が広がるのを防ぐため、接種対象年齢を引き下げる国も増えてきた。
欧州連合(EU)で医薬品の審査を担当する欧州医薬品庁(EMA)は25日、5~11歳向けに米ファイザーなどが開発したワクチンの接種を認めることを推奨した。欧州委員会が最終決定する。
フランスのベラン保健相は25日、記者会見し、新型コロナウイルスの感染第5波を迎えていると指摘した上で、現時点でロックダウン(都市封鎖)や外出禁止令の発動は想定していないと述べた。「他国のように最も厳格な手段を使わなくても乗り越えられる」と強調。「店舗の営業時間短縮や移動制限は行わない」と語った。
一方、ワクチン接種か陰性結果を証明する衛生パスについては、取得条件を厳格化する。
また、現在は原則65歳以上としている3回目のワクチン接種を、27日からは18歳以上の全成人にも推奨する方針を示した。
7~9月の自動車生産台数は66万6975台と、前年同期比27%減となったのが響いた。この時期はコロナの第3波が到来しており、8月には1日の感染者数が約2万9000人と過去最多となった。飲食店の営業時間など経済活動の制限が再び厳しくなっていた。
21年7~9月期の分野別では前年同期比で製造業や鉱業など第2次産業が5.1%と最も伸びが大きかった。自動車生産が落ち込んだ一方で、足元で堅調な建設需要が支えた。農業などの第1次産業は0.3%増、金融・サービス業などの第3次産業は4.4%増だった。
足元では加速するインフレが国内消費の減退を招く懸念が高まっている。11月前半の消費者物価指数は7.05%と過去20年間で最も高い上昇率だった。エネルギーや食料品の価格が上がっており、中銀は11日の金融政策決定会合で4会合連続の利上げを決めた。
中国外務省の趙立堅副報道局長は25日の定例記者会見で「中国は全力で東京五輪開催を支えた。日本には基本的な信義があってしかるべきだ」と述べ、日本に来年2月の北京冬季五輪を支持するよう求めた。
中国の人権問題を理由に北京五輪に政府高官らを派遣しない「外交ボイコット」の検討が広がっており、中国は日本が同調するのを阻止したい考えだ。
新興国通貨の直近1カ月間の騰落率を調べたところ、多くの国で下落した半面、東南アジアなど一部の国の通貨は上昇し、成長期待の高い国には資金が流入する姿も浮き彫りになった。
ショルツ氏が記者会見で真っ先に挙げたのが、最低賃金の時給12ユーロ(約1500円)への引き上げだった。現在の9ユーロ台からの大幅な引き上げで、恩恵は1000万人に及ぶという。9月の連邦議会選挙でも公約の目玉としてきた政策だ。
気候変動対策でも、野心的な目標が並ぶ。遅くとも2045年までに温暖化ガス排出を実質ゼロにするとして、これまで38年までとしていた石炭火力の廃止を30年に前倒しすることを目指す。30年の電力に占める再生エネルギー比率の目標は、これまでの65%から80%へと一気に引き上げる。
そのための手段として国土の2%を風力発電のために利用する。電気自動車は30年までに少なくとも1500万台普及させたい考えだ。ショルツ氏は会見の中で「進歩」という言葉を何度も繰り返した。温暖化ガス排出の実質ゼロに向けて、ドイツ経済の構造転換を急ぐ考えだ。
外交も変化しそうだ。ショルツ氏は24日の会見で「フランスとの友好、米国とのパートナーシップ」が新政権の外交の基盤になると語った。欧州の中心に位置する経済大国として「強く自律した欧州連合(EU)」に貢献する。米国との協力が新政権にとって中心的な意味を持つとも強調した。
対中外交では、合意文書に「特に新疆での人権侵害」や香港で一国二制度がないがしろにされている問題を明記した。
中国やロシアの人権問題などで厳しい発言をしている緑の党のベーアボック共同党首の外相就任が有力で、メルケル時代の経済最優先路線がある程度修正される可能性がある。「自由で開かれたインド太平洋」への関与や日本などとの関係強化も盛り込んだ。
コーヒー豆の国際価格が一段と上昇し、10年ぶりの高値となった。7月に最大生産国ブラジルを襲った27年ぶりの深刻な霜害の後遺症が心配される中で「ラニーニャ現象」が発生。中南米で天候不順となり生産が減るとの懸念が再燃している。一方、先進国を中心に需要は回復傾向で、海上輸送の混乱も相まって品薄感が強まっている。日本で製品値上げの動きがさらに広がる可能性がある。
トラック輸送はそもそも細分化された業界で、大半の運送会社はほんの数台しかトラックを持っておらず、多くの個人業者はフリーランスでサービスを提供している。このため、この業界のテクノロジー導入は、少数の大手が市場シェアの大半を巡ってしのぎを削っている他の業界よりも遅れていることが多い。
米労働省の労働統計局によると、トラック運送業界はコロナ禍で労働力の6%を失った。今や消費者の需要は増しつつあり、業界は人手不足に対処しようと躍起になっているため、業務継続に向けてワークフローやプロセスの自動化がこれまで以上に重要になっている。
高速道路の運転は都市や郊外よりも間一髪の状況がはるかに少ないため、自動運転トラックによる運送はロボタクシーや乗用車など他の自動運転車よりも急速に進化しつつある。
ただし、自動化は進んでいるが、最も強固なシステムでもなお完全自動運転には至っておらず、運転手がトラックに同乗する必要がある。自動運転トラックは当面は運転手不足の緩和、長期的には輸送コストの削減に役立つだろう。
ECB銀行監督委員会は新たに組成されるレバレッジの高い取引について、各銀行のバランスシートの一定割合にとどめるよう制限を設けることを協議した。ただ委員会メンバーの一部は、銀行が十分なリスク管理を証明できる場合、こうした措置を講じることに消極的な姿勢を示したという。協議はまだ初期段階で、制限導入を決定しない可能性もあると、同関係者は語った。
米国を中心に今年はレバレッジドローン市場が活況だ。ドイツ銀行は投資銀部門の重要な収益源としてレバレッジドローンに注力している。ECBが制限導入を決めた場合、同行は大きな影響を受ける可能性がある。
インタビューで、日本の物価動向について「ずっとゼロ%近辺という感じではなく、少し上昇圧力が強まっている」と指摘した。海外でインフレ警戒が続く中、「日本も何らかの影響を受ける可能性があり、引き続き注視していくということに尽きる」と語った。
黒田東彦総裁が現在の円安は日本経済にプラスとの見解を示しているのに対し、中川氏は日本の産業構造の変化や日本企業の海外進出などを踏まえ、以前よりも「影響は複雑化している」と指摘した。円安・円高のどちらがいいという単純な話ではなく、「短期的な大きな変動についていくのは難しいので、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが最も望ましい」とした。
「物価だけを2%にすることが最終目的ではない」と強調。金融政策運営は必要があればちゅうちょなく行動するとしながらも、目標の実現に向けて「イールドカーブ・コントロールの下で、副作用にも十分配慮しながら強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが重要」と語った。
米金融当局は資産購入の縮小額を1月から倍増させて月300億ドルとし、6月には利上げを開始するとの見方を示した。
さらに利上げは9月と12月にも行われ、2023年にも2回の利上げがあるだろうと予測。ハッチウス氏らはこれまで、来年7月と11月の利上げを見込んでいた。
「過去2カ月のインフレ率がやや予想を上回る水準である上に、テーパリング(資産購入の段階的縮小)のペースを加速しても金融市場に衝撃を与えることはないとの安心感が米当局者の間に広がっている。この2つの要因から、ペース加速に前向きな見方が強まっている」と同氏らは記した。
●市況
日経先物(大証)29070、ダウ先35588、債先151.63、米1.594、独▲0.2525、仏0.113、西0.503、伊1.056、原油77.39、ドル円114.86、墨ペソ21.67、トルコリラ12.0540、墨CDS105
※11/25 9時25分頃

備忘録(11/24)
●エバーグランデ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
調達した資金のうち約500億円はデジタル投資のほか、アジアに就航する格安航空会社(LCC)の新ブランドの立ち上げの資金などに充てる。700億円は2017年に発行したCBのうち22年9月が満期となる分の償還に、残りも長期債務の返済に活用する。
ANAHD株の終値が20取引日連続で転換価額の120%以上となった場合に、同社が24年12月10日以降に繰り上げ償還できる条項を盛り込み、株式への転換を促しやすくした。
売上高は前年同期比37%減の2億9500万リンギだった。マレーシアやインドネシア、タイが厳格な国内の移動制限を敷き、国内線が再度の減便を余儀なくされ、航空部門は70%減少した。
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
Ifo経済研究所が24日発表した11月の独企業景況感指数は96.5と、前月の97.7から低下し、4月以来の低水準となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想は96.7への低下だった。今後6カ月間の見通しを示す期待指数も低下した。
Ifoのクレメンス・フュースト所長は「供給目詰まりの問題が続いており、加えて深刻な新型コロナの感染拡大もある」と述べ、「この状況を企業も懸念していると、統計が明確に示している」と指摘した。
拙速な刺激策縮小はユーロ圏経済に打撃を与え、域内需要を損ねる恐れがあると警告。ユーロ圏は物価を押し上げ、経済活動の足を引っ張る供給ショックに苦しんでいると指摘した。
同氏は「データからは、ユーロ圏の外で生じた『悪い』インフレが現在の状況に大きく影響していることが示唆される」と述べ、「金融政策は引き続き辛抱強くあるべきだ。時期尚早の引き締めを行えば、需要がトレンドに復帰する前に支出を抑制することになる」と主張した。
11月の米ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)は67.4と、前月(71.7)から低下した。速報値の66.8からは上方修正された。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は66.9。
ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏は「純粋に季節要因によるゆがみだ。今回の減少分の多くは来週、反転するだろう」と述べた。
季節調整前では先週の申請件数は、約1万8000件増加した。 
新政権は格差の是正と温暖化対策に政策の軸足を置く。連立合意には、最低賃金を時給12ユーロ(約1500円)に引き上げることを盛り込んだ。脱石炭の時期はこれまでの38年から30年への前倒しを目指す。再生可能エネルギーの比率は30年に80%としたい考えだ。温暖化対策を急ぐため、大規模な投資も進めていく。
外相のポストは緑の党が獲得した。人権問題などで中国やロシアに厳しい発言をしてきた同党のベーアボック共同党首の就任が有力だ。ショルツ氏は中国などとの経済関係を重視したメルケル氏の路線をある程度継承するとみられるが、米中の対立が深まるなか、中国と蜜月といわれたドイツ外交も転機を迎えつつある。
財務相ポストはFDPが獲得し、健全財政を唱える同党のリントナー党首が就任する見込みだ。
工業製品や肥料の製造に欠かせないアンモニアの国際価格が昨年同時期の2倍で推移している。世界各地の生産トラブルで供給が絞られ相場水準が押し上げられたほか、原料の天然ガスの高値も重なった。需要は中国を中心に底堅い。国際相場の上昇の影響で日本でも値上げ表明が続き、合成繊維などのコスト上昇要因になりつつある。
「政府は退陣しろ」。反政府系紙ジュムフリエトなどによると、23日夜、首都アンカラや最大都市イスタンブールなどで、政府や与党の対応に不満を募らせた若者らによるデモが起きた。動画などでみる限り、それぞれのデモへの参加者は数十~数百人程度と小規模だが、反体制派の拘束などが相次ぐ近年のトルコで明確に反政府を掲げるデモは異例だ。
リラの暴落で、経済活動でも混乱がみられた。経済紙デュンヤなどによると、中古車のオンライン販売市場では22~23日の2日間で、売り主らが計9000台分の出品を撤回した。米アップルのトルコ版オンラインストアでは23日、iPhoneやiPadなどの高額製品が取扱停止となった。いずれも、急激なリラ安の進行で価格が短期間に急上昇することを見込んだためだとみられる。
オーストラリアや日本などの環境団体はJICAが4月に発行したドル建て債券を問題視している。
目論見書には調達した資金を「意図的に石炭火力事業への投融資に回すことはない」と明記しているにもかかわらず、バングラデシュなどで石炭火力事業への融資を続けていると指摘している。
中国は23.3%減の7160万トンと4カ月連続のマイナスとなった。減産幅は8月の13.2%、9月の21.2%から広がった。2021年前半にエネルギーを消費しすぎたとして、中国政府は各省に電力使用を減らすよう迫っている。電力制限により製造業の生産が落ち込み、鋼材需要も減った。
中国に次ぐ生産国のインドは2.4%増の980万トンだった。新型コロナウイルス禍からの経済回復を受け、日本は14.3%増の820万トン、米国は20.5%増の750万トンとそれぞれ大きく回復した。
「エンティティー・リスト」に26日付で、量子技術や電子部品、半導体などを手掛ける8社を加える。対潜水艦技術や解読できない暗号を開発するのに米国の技術を活用したと問題視している。
イランや北朝鮮に米国技術を販売したとして、中国のコラッド・テクノロジーの日本法人など3社も禁輸対象に加える。パキスタンの核開発に関わった中国とパキスタンの計16の企業や個人にも禁輸措置を発動する。ロシアの1社は軍事関連の規制対象に指定した。
米国は、企業と人民解放軍が一体化した中国の軍民融合戦略を警戒しており、中国のハイテク企業に相次いで制裁を科している。トランプ前政権時代からスーパーコンピューターや人工知能(AI)などの先端分野で禁輸措置を課してきた。
EUの公衆衛生専門機関、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は18歳以上のすべての人が新型コロナウイルスワクチンのブースター接種を受けるべきだと発表した。ECDCはこれまでブースター接種は一般の人に緊急の必要性はないとの立場をとっていた。
成人の中でも40歳以上の人を優先すべきだとした。ブースター接種をすることで、免疫力の低下による感染に対する防御を高め、新たな入院や死亡の増加を防げる可能性がある。
ブースター接種をめぐってはドイツやオーストリアなどがすでにすべての成人向けに実施することを決めている。フランスは9日にマクロン大統領が65歳以上に実質的に義務付ける方針を発表していた。
イタリア政府は24日、新たな規制を閣議決定した。ワクチン未接種者は飲食店や映画館、ジムなどに入れなくする。12月6日から適用する。12月15日からは警察や軍隊、学校関係者のワクチン接種も義務付ける。
イタリアの1日あたりの新規感染者は24日時点で約1万2400人。増加ペースは速まっているが、ドイツや英国に比べると感染は抑制できている。記者会見したドラギ首相は「我々は正常な状態を取り戻しつつあり、これを維持したい」と述べた。
スロバキア政府は24日、新型コロナの感染者の急増を受け、2週間のロックダウンを導入すると発表した。25日から生活必需品以外を販売する店や飲食店は閉店となり、不要不急の外出も禁止となる。22日からロックダウンに入った隣国オーストリアを追随した形だ。
人口約550万人のスロバキアでは1日あたりの新規感染者が1万人を突破した。ロイター通信によると、人口比では世界で最も急激に感染が拡大している。ワクチン接種完了率も4割台前半にとどまり、患者が重症化するケースも目立つ。医療体制は厳しさを増し、「危機的状況」(保健当局)に陥っている。
オランダやベルギー、アイルランドなどでも規制強化が相次ぐ。欧州で感染が急拡大している理由は特定できていないが、各国が対策を緩和したことや人々の気の緩み、ワクチン効果の低下などが指摘されている。
IEA)はサウジアラビアやロシアなど主要なエネルギー生産国が世界の原油・天然ガス市場に「人為的な逼迫(ひっぱく)」をもたらしていると批判し、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成する「OPECプラス」に対し、供給拡大の加速を求めた。 
OPECプラスの一部の代表は、米国などによる備蓄放出で市場が供給過剰となった場合、来年1月に予定する供給拡大を取りやめる可能性を示唆している。OPECに助言する経済委員会の予測は、こうした休止を求める国の主張を後押しすることになる。
ブルームバーグが入手した文書によると、1月と2月に計6600万バレルが投入された場合、世界市場の供給過剰は日量110万バレル拡大してそれぞれ同230万バレル、370万バレルになる見通し。
マイアミとウェストパームビーチ、フォートローダーデールでは、10月の賃料が前年同月比36%と急伸。ニューヨーク市の都市部(ウェストチェスター郡と一部のニュージャージー州北部を含む)でも31%上昇した。不動産サービス会社レッドフィンのリポートで明らかになった。
レッドフィンのチーフエコノミスト、ダリル・フェアウェザー氏は「人気が高い都市の一部での家賃高騰は、全体的な住宅不足を示唆している。それは売りに出されている住宅にとどまらない」と述べた。
中古住宅の在庫不足に低いローン金利、在宅勤務の増加で広い住宅の需要が高まっていることが重なり、建設業界では明るいセンチメントが続いている。同時に輸送の目詰まりや資材コストの上昇、労働力不足で住宅建設には支障が生じ、完工遅延で価格は希望者の手の届かない水準に押し上げられている。
●市況
日経先物(大証)29490、ダウ先35785、債先151.56、米1.643、独▲0.2305、仏0.136、西0.518、伊1.071、原油78.43、ドル円115.43、墨ペソ21.42、トルコリラ11.9202、墨CDS105
※11/25 8時50分頃

備忘録(11/22-23)
●エバーグランデ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
環境団体が問題視しているのは、JICAが4月に発行したドル建て債券。目論見書に調達した資金を「意図的に石炭火力発電事業への投融資に回すことはない」と明記しているにもかかわらず、JICAがバングラデシュなどで石炭火力事業への融資を続けていることを問題視した。気候変動リスクの開示を怠ることで、米投資家に損失を与える可能性があると訴えた。
●その他産業
高炉の灰の中からよみがえる不死鳥のように、独鉄鋼・機械大手ティッセンクルップの未来に希望の灯がともった。長年の株価低迷に苦しんできた株主には救いの光だ。同社の株価は2017年以来半減している。だが18日に発表した21年9月期の通期決算では、鉄鋼事業の利益率が回復、注目に値する動きを見せた。だがそれ以上に目を引くのは水素部門をスピンアウト(分離)する案だ。
鉱山機械の電動化を加速する。金属鉱山での坑内掘り向けに電気駆動の刃を搭載する切削機を2022年にも投入するほか、米企業と連携して電動の運搬機械やドリルジャンボなどを投入する。石炭を除く坑内掘り向け鉱山機械の市場シェアを3年以内に10%程度と足元の3倍に高める。世界で脱炭素の流れが強まるなか、金属鉱山向け事業の強化が急務となっている。
新築の住宅や商業施設などの建築物に電気自動車(EV)の充電スタンドの設置を義務付ける方針を表明した。2022年からの施行を目指す。30年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を終了させるという同国の計画の実現を後押しする。
ラウドサービスなどを手掛ける米ボネージを62億ドル(約7100億円)で買収すると発表した。通信インフラを含めて重要度が増すクラウド分野を強化する。
ボネージのクラウドサービスは、世界で12万以上の顧客を持つ。ボネージはかつて米国最大のIP(インターネットプロトコル)電話事業者だったが、スマートフォンの無料通話アプリの普及などで業績が低迷。企業向けサービスに業態転換した。
エリクソンは世界の通信会社に基地局やシステムなどを提供している。最近では通信インフラをクラウド上のソフトウエアに置き換えることで効率化するサービスが台頭しており、エリクソンにとってもクラウドの強化は課題だった。
KKRの提案は拘束力のない打診段階で、今後4週間のデューデリジェンス(資産査定)の結果を踏まえて正式提案に乗り出すか決める。買収後は株式を上場廃止して非公開化する方向だという。買収にはイタリア政府の認可も必要で、実現するかは不透明だ。
2022年4月末までに商品の大部分の販売価格を1ドル25セント(約140円)に引き上げると発表した。原材料や人件費の上昇に伴うコスト増に対応する。主要1ドル店が本格的な値上げに踏み切るのは初めて。
同社は9月以降、1ドル25セントや1ドル50セントなどの商品を増やして販売動向を調べてきた。アンケート調査では、91%の顧客が値上げ後も従来通り同店を利用すると答えたという。
21年のリストではJPモルガンの区分が3から4に引き上げられ、指定された銀行内での最上位に単独で位置づけられた。仏BNPパリバは2から3へ、ゴールドマン・サックスは1から2へそれぞれ引き上げられた。今回の変更に伴う資本要件は2023年1月1日から適用される。
G-SIBsの30行の顔ぶれに変更はなかった。
●決算関連
2021年7~9月期の純利益は前年同期比84%減の7億9200元(約140億円)だった。半導体不足で主力のスマホの販売台数が前年同期実績を下回り、売上高が8%増の780億元にとどまった。
全体の6割を占めるスマホ事業の売上高は0.5%増の478億元。半導体不足で販売台数が6%減の4390万台に落ち込んだ。ただ、高級機種の販売が好調で平均単価が7%上昇し、前年同期実績並みの売上高を確保した。
純利益の大幅な減少は、スマホ事業の停滞に加え、投資している上場企業の株価下落による損失も大きな原因となった。収益が厳しい中でも電気自動車(EV)参入をにらみ、研究開発支出は40%増の32億元に増やした。
東南アジアの製造工場が新型コロナウイルスの感染再拡大で2カ月以上閉鎖したうえ、港湾でのコンテナ船の滞留などで商品供給が大幅に遅れた。
CEOは決算説明会で「ベトナムの製造工場の長期的な閉鎖や深刻な物流網の混乱は、我々の対応能力を超えていた」と述べた。廉価商品を主に販売するオールド・ネイビーの既存店売上高は9%減少した。
年末商戦に向けては港湾の混乱を避けるため一部を空輸に切り替えたことを明らかにした。これに伴い通年で4億5000万ドルのコスト増を見込む。2022年1月通期の売上高について、事前予測の前年比30%増から20%増に下方修正した。
2021年8~10月期決算は、売上高が同0.5%増の119億1000万ドル、純利益が前年同期比28%増の4億9900万ドルだった。昨年の新型コロナウイルス感染期に急拡大した家電需要が一巡し、米国の既存店売上高も前年同期比2%増とゆるやかな伸びにとどまった。
ネットで注文して即日宅配したり店舗で受け取ったりするサービスが好調で、同社のコリー・バリー最高経営責任者(CEO)は声明で「需要が前年同期の5倍に膨らんだ」と述べた。
年末商戦を控え物流の混乱から品不足が懸念されていることに関し、同CEOは「在庫水準は前年同期の15%増と潤沢にある」と自信を示した。
●マクロ・その他
10月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は634万戸で前月比0.8%増えた。販売価格(中央値)は35万3900ドル(約4000万円)で、前年同月比13.1%上昇した。
NARのエコノミストは、物件不足と価格高騰にもかかわらず「住宅販売には依然強さがある」と指摘。物価上昇が進み家賃も急上昇していることから、対策として住宅ローンで支払額を固定することに関心を持つ購入希望者が増えた可能性があると分析した。
主要野党にとっては2017年以来、約4年ぶりの選挙参加となったが、足並みは乱れており、与党連合が圧勝した。欧州連合(EU)は選挙監視団を送っており、米議会内には選挙に「お墨付き」を与えると懸念の声も出ている。
投票率は41.8%にとどまった。ハイパーインフレや物不足が深刻ななかでマドゥロ政権への支持は高いわけではない。ただ、野党は連合内で候補者の集約が進まず、苦戦した。国営メディアは与党が20州知事選で勝利したと伝えた。
国際社会にはEUの姿勢を疑問視する声もある。対ベネズエラ強硬派で知られる米共和党のマルコ・ルビオ上院議員は「深く懸念する。マドゥロ政権に国際的な信用を与えてしまう」との声明を公表した。
ベネズエラの地方選挙を巡り、「過去の選挙に比べて良い環境だった」との見解を示した。ただ同時に「構造的な欠陥」があることも指摘した。具体的には、野党候補者への恣意的な立候補禁止、メディアへの不平等なアクセスなどを挙げた。
米エネルギー省は今後数カ月かけて南部テキサス州などの備蓄拠点から放出する。3200万バレルを将来備蓄に戻すのを前提に企業に貸し出す。1800万バレルは議会が承認済みの売却分を速やかに実施する。具体的な放出時期は今後発表する。日中韓など他国の放出量は明らかになっていない。
米国を含む国際エネルギー機関(IEA)加盟国が協調して石油備蓄を放出したのは2011年が最後だった。当時は中東の民主化運動「アラブの春」でリビアの石油生産が滞った。
石油備蓄の放出は自然災害などで供給に支障が生じた緊急時に、国際エネルギー機関(IEA)が呼びかける形などで実施してきた。価格を抑えるために実施するのは異例だ。
備蓄の放出でいったん原油が値下がりしたとしても効果は長続きしないとの見方がある。OPECプラスが増産を抑えて備蓄放出に対抗するとの観測もあり、需給が緩和して価格が下がるかどうかは未知数だ。
米国政府が石油戦略備蓄を放出すると発表したものの、需給が引き続きタイトな状況が続くとの見方から買いが優勢となった。
「過去数週間にわたり(ニュースが)市場に伝えられていたので、材料視されていない」と指摘する声も
ユーロ圏の11月PMI(総合、速報値)は前月より1.6ポイント高い55.8となった。市場では悪化が予想されていたが、4カ月ぶりの改善となった。ただ、欧州では新型コロナウイルスの感染が拡大しており、先行きは不透明感が強まっている。サービス業は56.6で前月と比べて2.0ポイント改善。製造業も58.6で同0.3ポイントの改善となった。サプライチェーン(供給網)の乱れやインフレを背景にした景況感の悪化にひとまずブレーキがかかった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏は「減速というエコノミスト予想を覆したが、ユーロ圏は10~12月の成長鈍化が避けられないだろう」と分析する。感染を抑えるために新たな規制が必要になれば、サービス業の改善が「短命」に終わるとも指摘した。
足元のインフレ率は、実感より低いとの指摘がある公式統計で20%近い。通常なら金融引き締めでインフレに対抗する局面だが、高金利に反対するエルドアン氏は「金利が下がればインフレ率も下がる」と逆の主張をする。トルコ中央銀行は9~11月に計4%の利下げを実行した。
歯止めのきかないリラ安に対し、市場の一部ではトルコが早晩、緩和的な金融政策の転換を迫られるとの見方もあった。だが、エルドアン氏は22日の演説で、トルコ経済を攻撃する外国勢力などの陰謀があると示唆した上で、「神(アラー)と国民の助けで経済的な独立戦争に勝利する」と宣言。中銀の利下げを称賛し、引き締めを主張するエコノミストらを西側の「従属者」などと批判した。
ドイツ連銀の月報によれば、11月のインフレ率のうち約1.5ポイント相当は一時的な要因が影響している。前年同月は付加価値税(VAT)が一時的に減税されていたほか、旅行関連のサービス価格が非常に低かったことから、ベース効果が作用する。
ドイツ連銀はインフレ率が今後数カ月で低下し、旅行関連がインフレに及ぼす影響は12月に、VAT減税のベース効果は1月に消えると予想している。
国家統計局の最新年鑑によると、昨年は1000人当たり8.5人の出生と、1978年からのデータでの最低となった。
出生率急低下の理由を政府は示していないが、世界2位の経済大国で人口の伸びが劇的に鈍化していることが新たに示された数値で確認された。中国の人口減少は早ければ今年始まる可能性があると推計する人口統計学者もいる。
昨年の出生数は1200万人だが、国家衛生健康委員会の于学軍副主任は今年も出生数が減少するとの見通しを7月に示している。
来年後半にはインフレが落ち着くとの見通しを示した。雇用が増え、消費者の需要がモノからサービスにシフトし、サプライチェーンの問題が収まるとしている。
11月の購買担当者景気指数(PMI、総合)の速報値は前月より1.1ポイント低い56.5だった。
サービス業の指数が1.7ポイント低い57.0になった。国内外の旅行者数が増加するなどサービス需要は拡大している。ただ物価や賃金の上昇で企業側のコスト負担が増しているほか、人手不足による需要の取りこぼしなどが景況感の改善を阻んでいるようだ。
製造業の指数は0.7ポイント高い59.1と4カ月ぶりに上向いた。新規受注の伸びが加速していることが追い風になったが、コスト増や採用難に苦しむのはサービス業と同じで、景況感の改善は小幅にとどまった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏は「米経済は引き続き好調だ」としたうえで「今回の減速は(企業などが)長引く供給制約に苦慮していることを明確にした」と述べた。
「企業には利幅の確保のためコスト高を顧客に転嫁するよう圧力が強まっており、モノやサービスの平均価格はかつてないペースで上昇を続けている」とも指摘した。
9月末の保有残高は約4兆8000億円と、2019年のピークの約8兆円から4割減らした。リスク管理を強化すると同時に、世界の金融システムに影響を与える金融機関に選ばれるのを回避する思惑がありそうだ。
●市況
日経先物(大証)29663、ダウ先35744、債先151.43、米1.667、独▲0.2210、仏0.137、西0.506、伊1.059、原油78.42、ドル円115.18、墨ペソ21.27、トルコリラ12.8237、墨CDS98
※11/24 8時40分頃

備忘録(11/19-21)
●エバーグランデ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ボーイングによると、世界で稼働する航空機の数は40年に19年比9割増の4万9405機に増える。このうちアジアの割合は4割近くとなり、19年の3割に比べて上昇するとの見通しを説明した。
機種別では、小型機の割合が40年には70%となり、19年の64%から伸びるとした。大型機が18%と横ばいのなか、成長のドライバーになる。一方で、日本、韓国、台湾で構成する「北東アジア」市場では今後20年で1360機の新規需要があるうち、大型機が4割以上を占めるとの見通しも示した。
国内のアパレル企業で中国・新疆ウイグル自治区で作られる綿花の使用を中止する動きが広がってきた。ミズノなどに続き、三陽商会やTSIホールディングスなど3社が新たに使用中止を決めた。
●その他産業
クレディ・スイス・グループの元バンカーらは、米国人顧客による口座隠しの支援を同行がなおも続けていると捜査当局に証言した。同行が2014年に罰金26億ドル(現在の為替レートで約2960億円)を支払い、そうした脱税ほう助行為をやめると約束した後も継続していたという。
11月18日に民事訴訟で提出された書類には、元バンカーらは「クレディ・スイスが2014年以降もさらに米国人が米税務当局の目から資産を隠すのを支援し続けたという信頼できる情報を提供した」と記されている。「一部ケースでは隠ぺいは今なお続いている」という。
政府はミサイルや艦船などの防衛装備品を巡り、国が調達先を契約後に審査する新たな仕組みを検討する。装備品に組み込む部品や企業が扱う機器から機密情報が漏れないよう、信頼性を厳格に調べる。経済安全保障の観点から懸念がある中国製機器の使用を防ぎ、国産装備や米国などとの共同開発の基盤も強化する。
充電設備の整備が遅れている新興国では電気自動車(EV)の普及に時間がかかる。家庭の電源から充電できるPHVを「準EV」として売り込み、格安車で販売攻勢をかける中国勢から次世代車の顧客を囲い込む。
●決算関連
●マクロ・その他
4割程度まで落ち込んだ10月に比べて10~15ポイント上昇した施設まで続出する原動力は、北海道と札幌市が相次いで投入した宿泊割引制度。併用すれば1泊最大1万5000円に達する大盤振る舞いが効いて、札幌のホテルは端境期の思わぬ特需に沸いている。
事前の世論調査では、元下院議員で右派のホセアントニオ・カスト氏(55)、元学生運動家で左派のガブリエル・ボリッチ下院議員(35)の2人が上位に位置しており、中道勢力が劣勢だ。ボリッチ氏が格差是正や鉱山会社への増税を訴え、カスト氏がデモ抑制を視野に治安強化を主張する構図となっている。
チリは大統領を連続2期務めることができない。過去16年間は中道左派のバチェレ氏、中道右派の現職ピニェラ氏が4年ずつ交互に大統領職を務めてきた。両者とも新自由主義的な経済政策を採り、自由貿易協定(FTA)の対象範囲は中南米で有数の規模だ。政権交代しても政策の振れ幅が小さく「南米の優等生」と呼ばれてきた。FTAに慎重なボリッチ氏が勝利した場合は、チリの経済路線が転換する可能性がある。
中国で巨大ネット企業などのプラットフォーマーに「データ税」を導入するとの観測が浮上している。習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げた所得再分配を促す「共同富裕(共に豊かになる)」のスローガンのもと、巨額の収益を上げるネット大手に利益を還元させるべきだとの圧力が強まっている。
世界の約30カ国・地域の金融当局が気候変動に伴う金融リスクの把握に乗り出す。欧州中央銀行(ECB)は2022年に金融機関の財務の健全性を審査する。新興国では中国やロシアが準備を進める。脱炭素への移行はコストがかかるうえに、価値を失う設備や技術がある。融資先の業績悪化が懸念されるため、各国当局は銀行経営に与える影響を点検する。
中国公安省は19日に幹部会議を開き、全国の公安(警察)トップの公安省共産党委員会書記に習近平(シー・ジンピン)国家主席の側近である王小洪氏を充てると決めた。
王氏は習氏の福建省時代からの側近として知られる。2015年以降、北京市の公安トップや公安省党委員会副書記などを歴任し、主に習氏の身辺警護の責任を担ってきた。香港紙の星島日報は20日付の紙面で公安相も兼務する見込みと伝えた。
習氏は公安部門の幹部の摘発を進め、完全掌握を目指してきた。10月には公安の勤務経験の長い傅政華前司法相を捕まえたばかり。11月の共産党の重要会議で、大幅に権威を高めた習氏が思い通りの人事を進めやすくなっているとの見方がでている。
欧米で新型コロナウイルスの感染が冬の流行期に入りつつある。オーストリアは再びロックダウン(都市封鎖)の導入を決めるなど、規制復活が相次ぐ。消費が盛り上がるクリスマス商戦が本格的に始まるのを前に、感染拡大を食い止められるかが焦点になる。
中国経済の年次報告書で、中国の経済成長率は「下振れリスクが増大している」と分析した。新型コロナウイルス感染再拡大に絡む不確実性や消費停滞を理由に挙げた。安定成長のため、財政は社会保障の充実や環境投資の促進に力点を置くべきだと指摘した。
最近の中国景気は「引き続き回復しているが、勢いは鈍化している」と言及した。新型コロナ対応で拡大した財政支出などの正常化に加え、感染再拡大に伴う消費の伸び悩み、電力制限、政府の不動産規制が重なったためだとみている。
IMFは10月、2021年の中国の実質経済成長率が8.0%、22年が5.6%と予測したが、報告書は下振れする可能性が高まっているとの警戒感を示した。消費停滞などのほか、債務問題といった金融面の不安定さも経済の足を引っ張りかねないと指摘した。サプライチェーン(供給網)などの米中デカップリング(分断)や働き手の減少も長期的な懸念材料に挙げた。
政府のIT(情報技術)企業への規制強化にも触れた。インターネット大手による情報の独占禁止など競争環境の改善やデータ管理の強化に絡む中国政府の狙いを指摘したうえで「政策の不確実性も高めた」と懸念を示した。
今後の財政政策をめぐっては、社会保障の充実や環境投資の促進に重点を置くよう求めた。消費や投資などバランスの取れた経済成長を実現するうえで、従来の景気下支え策であるインフラ投資よりも効果が高いとの見方を示した。
金融政策は緩和的な状態が望ましいとした。1~10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比0.7%と、政府目標の「3%前後」を下回っているためだ。国内市場のさらなる開放や国有企業改革も質の高い経済成長モデルへの転換に役立つと指摘した。
需要が低迷したままで生産者物価が高止まりし、企業の利益が圧迫され、経済における既存リスクが「あまりに早く顕在化」すれば、こうしたシナリオの「可能性が非常に高くなる」と、中国マクロ経済フォーラム(CMF)のイベントで述べた。さらに、その状況にいったん陥れば来年も続くことになるため、細心の注意が必要だと呼び掛けた。
新型コロナウイルス感染拡大の抑制でオーストリア政府の新たなワクチン接種義務化を目指す動きや全国規模のロックダウン(都市封鎖)に抗議し、数万人が参加するデモが20日にウィーンであった。
欧大陸では新型コロナ感染が急増して病棟が患者でいっぱいとなり、危機が深刻化している。制限措置の強化は各地で社会的混乱を招いており、オランダでは19日夜の暴動で警官が威嚇射撃するなどし負傷者も出た。クロアチアでは20日、デモを取材していた撮影班が抗議活動参加者に襲われた。
中国の李克強首相は19日、新たな景気下振れ圧力が生じつつあり、経済発展を安定的に維持する上で中国は「多くの課題」に直面していると述べた。
国営新華社通信によると、李首相は学者や実業家らとのセミナーで、当局は経済運営を合理的な範囲内に維持し、全体的な雇用状況の安定確保を図らなければならないと指摘。成長を支えるため「クロスシクリカル(跨周期)」調整が必要だと語った。
李首相の発言は主に、成長を下向かせる圧力に触れつつ政策「微調整」の必要性に重点に置いた最近のコメントを踏襲。その上で、経済は着実に回復しており、今年の主要目標は達成可能だとも話した。
李首相はまた、企業を支え雇用を保つさらなる取り組みが必要だとし、製造業や中小企業を支援する減税などの新たなやり方を研究すると表明。下流の中小企業に対する商品値上がり圧力の緩和につながる一段と的絞った措置を呼び掛けた。
安定した電力供給を確保するため、石炭火力会社を支援するさまざまな政策を完全に実施する必要があるとも語った。
ファウチ国立アレルギー感染症研究所長は21日、感染力の強いデルタ株の流行が主因とし、ワクチン接種率の伸び悩みに懸念を示した。
20日時点でワクチン接種を完了したのは全人口の59.1%にとどまる。18歳以上の成人人口では70.9%。
ディズニーは今秋までに従業員全員にワクチンを接種するように求めていたが、フロリダ州の規制を受けて中断した。ディズニーは米紙ワシントン・ポストの取材に「ワクチン接種を義務化するアプローチは正しかった」と現在も考えは変わっていないと答えた。
フロリダ州ではワクチンの義務化を禁じる法律が18日に成立した。従業員は健康や宗教上の理由のほか、コロナへの過去の感染歴や妊娠の希望など幅広い理由でワクチンを接種しないことを選べる。
一方で米連邦政府はワクチンの義務化を推進している。バイデン大統領は11月上旬、従業員が100人を超える企業に対し、22年1月までに従業員にワクチン接種か毎週の陰性証明の提示を義務付ける方針を発表した。
テキサス州ではダラスを拠点(ハブ)空港とするアメリカン航空などが10月に州知事の方針に反発し、連邦政府に従ってワクチンの接種義務化を進める考えを示した。連邦政府と州政府の方針が対立する中、板挟みにある企業が踏み絵を迫られる事例が今後も増えそうだ。
●市況
日経先物(大証)29625、ダウ先35581、債先151.74、米1.548、独▲0.3440、仏0.005、西0.381、伊0.862、原油75.67、ドル円114.03、墨ペソ20.84、トルコリラ11.2360、墨CDS97
※11/19 NY引け値

備忘録(11/18)
●エバーグランデ
保有する映画の制作配信会社の株式を約21億香港ドル(約300億円)で売却すると発表した。恒大グループは資金繰りが悪化するなか資産売却を急ぎ、運転資金を捻出している。
ブルームバーグのまとめによれば、過去24時間だけで計24億ドル(約2740億円)を集める計画が発表された。過去1週間では少なくとも42億ドルとなる。
不動産開発大手の中国恒代集団が発表したインターネットサービスを手掛ける恒騰網絡集団の保有株式売却や、不動産管理を手掛ける碧桂園服務の増資計画が含まれるほか、国有の不動産開発2社は本土債を発行する。
金融の安定を長く重視してきた中国当局は不動産会社との10月26日の会合で、全ての債務を履行する必要があると伝えた。少なくとも4社が同月先にオフショア債務の返済を怠ったが、会合後にドル建て債務を不履行とした不動産開発会社は1社もない。
ただ、社債保有者がうろたえる中でも、当局はこうした不動産各社への金融支援には消極的だ。市場におけるモラルハザード(倫理観の欠如)を減らそうとする中国政府の決意が背景で、過去においてリスクを無視し、大きくなり過ぎた企業は常に救済されるとの考えで資金を投じた債権者を戒めることにもなる。
中国恒大集団について、来年3月と4月にさらに多額のドル建て債の支払いを迫られることからデフォルト(債務不履行)に陥る公算が極めて大きいとの見方を示した。
マシュー・チョウ氏らS&Pのアナリストはリポートで、「恒大は新規物件を販売する能力を失った。これは主たるビジネスモデルが事実上、機能していないことを意味する」とし、このため完済の可能性は低いと分析した。
リポートはその一方で、不動産セクター内のストレスが高まり過ぎないよう中国当局が不動産規制を微調整することもあり得ると指摘した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
アルツハイマー病治療薬「アデュヘルム(一般名アデュカヌマブ)」について、米大手保険会社は保険適用には有効性などに関するさらに多くの証拠が必要だとの見方を示した。両社が画期的治療薬と位置づける高額なアデュヘルムは、販売が停滞している。
ブルームバーグ・ニュースの調査に回答した保険大手25社のうち、年間5万6000ドル(約640万円)の同薬を「医療上の必要性が高い」と判断した会社はゼロだった。「医療上の必要性が高い」という言葉は、特定の疾病の治療に必要であり、かつ医学的基準を満たしていることを意味する。回答した企業の多くはアデュヘルムを実験的とみなしており、一部はまだ評価中だとした。
保険各社は、有効性や副作用に関する不確実性を保険適用否定の理由に挙げている。
●その他産業
ユニリーバは18日、紅茶事業を投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに売却すると発表した。売却額は45億ユーロ(約5800億円)で2022年後半に完了する予定だ。ユニリーバは植物由来の代替肉などの成長事業に注力する。
CVCの発表によると、ユニリーバの紅茶事業であるエカテラ社はリプトンやPGティップスなどのブランドを持つ。
今回の売却に、インド、インドネシア、ネパールでのユニリーバの紅茶事業や、米ペプシコとの合弁によるペットボトル飲料事業などは含まれない。
新型コロナウイルスのまん延で顧客が処方箋薬の購入をオンラインで処理するなど店舗への来店客が減っているのに対応する。閉鎖にともなう特別損失として10億~12億ドル(約1142億~1371億円)を計上する。人員削減数は明らかにしなかった。
CVSは将来的に運営店舗を3つの店舗業態に変更する考えを示した。①日用雑貨や店頭薬販売、薬局を備えた既存型の店舗②医療関係者が予防接種や内科診療などを提供する店舗③メンタルヘルスや糖尿病治療などを予約のうえで診療するヘルスケア店舗――に分ける。店舗を医薬関連商品の販売からサービス提供の場に変えるのが目的という。
●決算関連
2021年8~10月期決算は最終損益が2億3900万ドルの黒字(前年同期は9100万ドルの赤字)だった。消費者の購入意欲が旺盛で、新規顧客を取り込みながら売上高を大きく伸ばした。ネット通販も全体を押し上げた。年末にかけても好調な販売が続くと見込み、22年1月期の通期業績予想を上方修正した。
売上高は前年同期比36%増の54億4000万ドル、ネット通販の売上高は19%増え、総売上高の33%を占めた。新規顧客の41%は同社の販売アプリなどデジタル販路から流入したと説明した。
同社では年末商戦でも消費の勢いが続くと見込む。22年1月通期の売上高予想は従来の235億5000万~239億5000万ドルから、241億2000万~242億8000万ドルに上方修正した。
また、デジタル事業の強化策として、22年後半を目処にウエブサイトで外部販売業者の商品を扱う「マーケットプイイス」を開き、グループのブルーミングデールズの商品と併せて提供する。品ぞろえを大幅に拡大して、新規顧客取り込みを狙う。
メーシーズが18日発表した8-10月(第3四半期)決算は市場予想を上回り、同社は通期の業績ガイダンスを引き上げた。年末商戦期に入る中、消費需要が引き続き堅調なことが示された。コールズも売上高が市場予想を上回り、通期見通しを上方修正。先週にはディラーズも好調な決算を発表していた。
メーシーズでは実店舗に消費者が戻ってきていることに加え、何年にもわたって投資家が求めてきたデジタル戦略の推進が好感されている可能性もある。同社はこの日、来年下期にデジタルマーケットプレイスを立ち上げる計画を明らかにした。品ぞろえを拡大し、サードパーティーの販売業者を取り込むことを目指す。
利益の大半を稼ぐネット通販の9月末の利用者数は9億5300万人で前年同期から2割強伸びた。ただ、ネット通販を含むコマース事業の営業利益は17%減の256億元となった。アリババは4月に取引先に圧力をかける行為などが独占禁止法違反にあたると当局に認定された。高収益を支えてきた既存のビジネスモデルは崩れつつあり、稼ぐ力も落ちている。
傘下の金融会社アント・グループから持ち分法投資利益として65億元を計上した。前年同期比で4割弱増えたものの、アントは依然として金融当局の圧力を受けている。9月には当局が消費者金融サービスを分割するよう求めたとの観測も出ており、今後の収益に影響が出るのは避けられない。
中国ネット通販2位の京東集団(JDドットコム)が18日に発表した2021年7~9月期決算は、営業利益が前年同期比41%減の25億元(約450億円)となった。物流事業で人件費などのコストが増えていることが重荷となった。配達員の給与などの待遇改善を政府が求めていることが影響したとみられる。
●マクロ
バイデン氏は大統領就任前から失言癖で知られ、8月と10月には米国は台湾防衛の義務があると明言して物議を醸した。米国で1979年に成立した台湾関係法は、台湾の自衛力強化の支援をうたいながら台湾防衛を確約していない。ホワイトハウスはいずれも直後に発言を撤回して火消しに回った。
この過程で浮上したのが、台湾防衛義務をめぐる発信が「確信犯」との見方だ。バイデン氏にアジア政策を助言した元側近は「バイデン氏は米国の台湾政策を知り尽くしている」と指摘する。
中国も「確信犯」とみている公算が大きい。1度目の発言の際は外務省報道官は「メディアが失言と報じている」と取り合わなかったが、2度目の発言に報道官は「失言」に触れなかった。
バイデン氏は強気の姿勢を示すが、台湾有事での軍事介入は米国民の支持を得られるかがカギをにぎる。米シンクタンク、シカゴ・カウンシルの7月の調査では、台湾有事に米軍を派兵すべきだと答えた人の比率は52%だった。初めて半数を超えたが「ロシアによるバルト3国侵略」への派兵(59%)には及ばない。
主要政策金利の1週間物レポ金利を16%から15%に下げると決めた。世界の中銀が引き締めに動くなかでの金融緩和により、通貨リラは下落が止まらない。
利下げは9月から3カ月連続で、合計の下げ幅は4%になった。中銀は声明で12月の次回決定会合まで現在の緩和姿勢が続く可能性も示唆した。18日のリラ相場は一時、対ドルで前日比6%下落した。年初からの下落幅は3割を超える。
一方、通貨安は急激なインフレをもたらし、庶民の生活を直撃している。トルコは石油や天然ガスを輸入しており、電気やガスの料金は過去1年でいずれも約2割上昇した。
公式統計では消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比2割弱で推移するが、市民の肌感覚では上昇幅はずっと大きい。調査会社メトロポールが10月に食料品の値上がり幅を尋ねたところ、計90%以上が「30~100%超」と回答した。
前年同月比30%減の71万6849台だった。マイナスは4カ月連続で、減少率は9月より拡大した。半導体不足による新車の供給遅れの影響が深刻化している。
ブレイナード氏は現職のパウエル議長に比べて金融引き締めへの傾斜度が小さい可能性があると受け止められており、当初の市場の反応は短期金利の低下とドル安になるだろう。しかし、こうした動きは短命に終わりそうだ。どちらの候補が次期議長になっても結局は不確実なインフレと成長の状況に動きを左右されることになるためだ。
マイケル・フェロリ氏ら同行の米国担当エコノミストは、連邦準備制度の責務の一つである完全雇用は来年半ばまでに達成するとみている。17日遅く顧客向けに発表した最新見通しで示した。
同エコノミストらの予想によれば、米連邦公開市場委員会(FOMC)は来年9月にほぼゼロの政策金利を引き上げ、12月に追加利上げ、その後は四半期ごとに利上げする。インフレ調整後の金利がゼロに戻った時点で利上げを停止するとみている。
11月の製造業景況指数は39.0で、前月から15.2ポイント上昇した。2カ月ぶりの上昇で4月以来の高さとなった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(23.0程度)を大きく上回り、長引く供給制約にもかかわらず、製造業の力強さは増した。
個別項目では「新規受注」は47.4、「出荷」は32.1で、いずれも前月から上昇した。「雇用者数」は27.2でわずかに低下した。
一方、物価上昇は引き続き顕著だった。「仕入れ価格」は80.0で、42年ぶりの高さとなった6月(80.7)以来の高さとなった。また「販売価格」も62.9で1974年6月以来の高さとなった。約66%の企業が自社製品の価格を引き上げたと回答した。
新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者が1万223人になったと発表した。1万人を超えたのは9月下旬以来。最大都市であるホーチミン市がある南部地域が感染の中心地だが、北部の首都ハノイでもじわじわと感染者数が増えており、警戒を強めている。
新規感染者は10月中旬に1日3千人程度まで減少していたが、厳格な規制を徐々に緩めたことで増加に転じ始めた。
ベトナムのワクチン接種を完了した人の割合は4割弱にとどまり、特に地方での接種が遅れている。政府はウイルスと共存する「ウィズコロナ」の方針を示しているが、医療体制が脆弱なこともあり、新規感染者の拡大に伴う経済活動への影響が懸念されている。
●市況
日経先物(大証)29645、ダウ先35849、債先151.64、米1.591、独▲0.2770、仏0.059、西0.431、伊0.911、原油78.23、ドル円114.32、墨ペソ20.77、トルコリラ11.0601、墨CDS98
※11/19 9時20分頃

備忘録(11/17)
●エバーグランデ
経営危機に陥っている中国不動産開発大手の中国恒大集団が工事費などを滞納しているとして、内装工事会社の上海全築控股集団股※(※ニンベンに分)は17日、恒大の中核子会社である恒大地産集団と関連会社を相手取り、総額2億3800万元(約43億円)の支払いを求めて提訴したと発表した。
恒大は資金繰りが逼迫(ひっぱく)しており、同様の訴訟が相次ぐ可能性もある。 
発表によると、全築は10月8日から11月16日にかけ、湖北省武漢市黄陂区人民法院など各地の裁判所で計333件に上る恒大関連の訴えを起こした。恒大側は全築が請け負った工事が終わった後、定められた期間内に代金の支払いを行わなかったという。 
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
世界で航空貨物機の需要が増えている。新型コロナウイルスの余波でネット通販の貨物量が急増するなか、海運のコンテナ不足を補う輸送手段として引き合いが強まる。旅客機の需要が落ち込む航空機メーカーにとっては干天の慈雨で、米ボーイングは次世代の大型貨物機の開発を検討していることを明らかにした。航空会社が旅客機を貨物機に改造する動きも広がる。
エーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム(一般名アデュカヌマブ)」について、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が販売承認申請(MMA)を審査した結果、否定的な見解を示した。両社が17日に文書で発表した。バイオジェンの株価は米株式市場で一時3.7%下落。両社の発表によれば、CHMPは12月に開催される会合で、MMAに関する正式な勧告を採択する見通し。
●その他産業
●決算関連
8~10月期決算は、売上高が同13%増の252億9000万ドルだった。既存店売上高が12.7%増(店舗が9.7%増、ネット通販が29%増)、純利益が前年同期比47%増の14億8800万ドルだった。年末商戦を前倒しする形で10月半ばに特別セールを始めたことなどが寄与した。
店内にアップルストアやディズニーストア、化粧品専門販売のアルタ・ビューティなどの販売コーナーを設けたことも来店客の増加につながった。
米国では物流網の混乱や人手不足が深刻になっている。ターゲットは輸送船をチャーターして前年同期の2割増の在庫水準を保ち、品切れを防ぐ。ブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は「価格を死守する」と述べ、他の小売り大手で相次ぐ値上げと距離を置く方針を強調した。
年末商戦の前倒しにより需要を先食いする恐れも指摘されているが、同社は年末商戦の需要が事前の見込みを上回る可能性があると指摘。21年11月~22年1月期の既存店売上高の伸びを従来予想の1ケタ台後半から、最大で2ケタ台前半に上方修正した。
2021年8~10月期決算は、純利益が前年同期比84%増の24億6400万ドル(約2800億円)だった。ゲームやデータセンター、映像編集向けの半導体とソフトウエアの販売拡大が続き、売上高は50%増の71億300万ドルとなった。売上高・純利益ともに市場予想を上回り、過去最高を更新した。
ゲーム部門の売上高が42%増の32億2100万ドルで、パソコンでゲームを遊ぶ際に使うGPU(画像処理半導体)の販売が伸びた。「ホリデーシーズンに向けて強い需要がある」とコレット・クレス最高財務責任者(CFO)は指摘した。
データセンター部門の売上高は55%増の29億3600万ドルだった。クラウドコンピューティング企業をはじめ、大規模事業者への人工知能(AI)半導体の納入が堅調だった。自然言語処理や推薦システムの構築に使われたという。
21年11月~22年1月期は74億ドル前後の売り上げを予想する。各国当局が審査を進めている半導体設計大手アームの買収を巡っては「アームの技術提供先や業界にとっても、買収は有益なものになる」(クレスCFO)という従来の主張を繰り返した。
●マクロ・その他
トルコのエルドアン大統領は17日、与党の会合で「金利と戦う」などと演説し、政策金利の引き下げを示唆した。トルコ中央銀行は18日に金融政策決定会合を控えており、リラは一時、対ドルで前日比3%下落して史上最安値を更新した。
演説では「金利が原因でインフレがその結果だ」とする自説を繰り返した。経済学では金利を上げてインフレを抑制する考えが主流だが、エルドアン氏は逆の説を主張する。金利を否定するイスラム教の教えにも言及した。
10月の住宅着工件数は152万戸(季節調整済み、年率換算)で、前月の改定値から0.7%減った。2カ月連続の減少で、プラス1.6%程度を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測に反してマイナスとなった。前年同月比では0.4%増だった。許可件数は165万戸で前月比4.0%増加した。
主力の一戸建てが103万9000戸で前月から3.9%減った。一方、変動の激しい5世帯以上の集合住宅は47万戸で6.8%増えた。
10月の英国の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で4.2%上がった。上昇率は9月の3.1%から急拡大し、2011年12月と並ぶ約10年ぶりの大きさになった。電気・ガス料金の引き上げや付加価値税(VAT)の軽減措置の縮小で、インフレが加速している。
インフレ率を押し上げた主因はエネルギー価格だ。前年比の動きを主な品目でみると「電気」は18.8%、「ガス」は28.1%それぞれ上昇した。規制当局が半年に1度見直す家庭向けの小売単価の上限が、10月1日から引き上げられた影響が出たほか、原油高に伴うガソリンの値上がりも進んでいる。
「レストラン・ホテル」は6.3%上がった。サービス消費の回復に加え、経済対策として飲食や宿泊、娯楽業などに適用されていたVATの税率軽減幅が、10月から縮小されたことも響いた。
変動の大きいエネルギーや食品などを除く「コア」のインフレ率は3.4%で、前月より0.5ポイント拡大した。部材や人手など供給制約も幅広い商品価格に上昇圧力をかけている。新車の供給不足で代替需要が向かっている中古車は22.8%上昇し、9月の19.2%から値上がりが加速した。
米国の16日の新規感染者数は約8万5000人、7日移動平均で8万人超と、1週間前に比べて1割増えた。今夏のデルタ型の流行後は新規感染者数が減少していたが、11月上旬から再び増加傾向に転じた。冬の感染者の急増に危機感が強まっている。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、全米33州で2週間前に比べて新規感染者数が増加した。中西部ミシガン州とミネソタ州は1週間前に比べて5割近く増えた。ワクチン接種を完了した割合が全米平均よりも高い北東部でも感染が広がりつつある。
このため一部の州では、連邦政府の動きを先取りして追加接種の拡大を急ぐ。東部ニューヨーク州は16日、陽性率が高い地域の住民に追加接種を受けるように強く促した。すでに西部カリフォルニア州やコロラド州、南西部ニューメキシコ州、南部アーカンソー州、ニューヨーク市などが全成人に追加接種を奨励している。
米疾病対策センター(CDC)によると、米国でワクチンを少なくとも1回接種した人は16日時点で全人口の約69%、完了した人は約59%だった。追加接種を受けた人は全人口の約16%、65歳以上で約37%にとどまっている。
ソロモン氏は、シンガポールで開かれているブルームバーグ・ニューエコノミー・フォーラム向けのインタビューで、「40年に及ぶ自分のキャリアを振り返ると、強欲が恐怖を大きく上回るペースで進むという時期が複数あった。今もそうした時期の一つだ」と指摘。「私の経験から言えば、そうした時期というのは長くは続かない。何らかの力が働いてバランスを取り戻し、もう少し先を見通せるようになる」「恐らく利上げが実施されるだろう。金利が上昇すれば、それだけで一部市場では活力が奪われることになる」と述べた。
●市況
日経先物(大証)29575、ダウ先35863、債先151.66、米1.592、独▲0.2500、仏0.106、西0.477、伊0.973、原油77.50、ドル円114.17、墨ペソ20.67、トルコリラ10.7502、墨CDS98
※11/17 9時40分頃

備忘録(11/16)
●雑感
小売り強いのは物価上昇の影響が大きそうだな。
WMTとHDの決算、中身まだ見てないけど、報道見る限り対照的な印象。扱ってる商品の性質やリードタイムの違いなどで片付けられるのだろうか
●エバーグランデ
ニューヨーク時間15日午前6時(日本時間同日午後8時)時点で佳兆業のドル建て債の投資家はまだ支払いを受けていない。情報の非公開を理由に関係者が匿名で語った。同社は今月11日と12日に計8840万ドル(約101億円)の利払い期日を迎えていた。 
デフォルト(債務不履行)までに与えられた30日間の猶予期間のカウントダウンが始まった格好だ。
中国恒大集団の許家印会長が自社の流動性改善のため、7月1日以降に70億元(約1260億円)を超える資金を注入したと、匿名の関係者を引用して中国紙・第一財経が報じた。
同紙は中国恒大に近い関係者の話として、許会長は個人資産の売却や株式担保を通じて資金を捻出したと伝えた。同社の基本的な業務の維持に充てられているという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ソフトバンクグループ系の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループは国内ゴルフ場最大手のアコーディア・ゴルフ・グループを買収する。
全国でホテルを運営するフォートレスはホテルとゴルフ場との相互送客などを進め、企業価値のさらなる向上を目指すとしている。
開発中の新型コロナウイルスの飲み薬「パクスロビド」について、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請したと発表した。対象となるのは、軽度から中程度の新型コロナ患者で、重症化リスクの高い人。新型コロナの飲み薬の使用申請は、米メルクに次いで2例目となる。
パクスロビドの生産は2021年末までに18万回分、22年は5000万回分を見込む。ファイザーは同日、途上国への供給を広げるため、国連の関係機関がつくった非営利団体(NPO)「医薬品特許プール(MPP)」にパクスロビドの製造ライセンスを供与すると発表した。
●その他産業
●決算関連
2021年8~10月期決算は、売上高が前年同期比4%増の1405億2500万ドルで市場予想(1356億ドル)を上回った。生活必需品の価格が上昇するなか、「エブリデー・ロープライス(毎日低価格)」をうたう同社では食料品の売り上げが好調だった。既存店売上高は9%増。純利益は、物流逼迫に伴うコストがかさみ、31億500万ドルと前年同期から40%減った。
ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「米国の消費者が店舗に戻ってきており、食料品の市場シェアが拡大している」と述べた。消費意欲の高まりを受け、22年1月期通期の1株当たり利益を6.40ドルと従来予想(6.20~6.35ドル)から引き上げた。
ただ、新型コロナウイルスのワクチン普及で経済が正常化に向かうなか、同社の成長を支えてきたインターネット通販は伸び悩んでいる。8~10月期のネット通販全体の売上高は8%増で、21年5~7月期の6%増をわずかに上回ったものの、再び1桁台の成長にとどまった。
2021年8~10月期決算は、売上高が同10%増の368億2000万ドル、純利益が前年同期比20%増の41億2900万ドル(約4727億円)だった。一般消費者からの日曜大工需要は一巡したが、住宅市況の活況を背景に建材や家屋修繕用品を求める業者の需要が堅調だった。既存店売上高は6.1%増と市場予測の2%前後を大幅に上回った。
物流網の混乱や物価上昇圧力については、「影響を回避するため納入業者との交渉、商品の代替えで対処している」(リチャード・マクフェイル最高財務責任者、CFO)と説明した。
●マクロ・その他
中国政府の不動産業界締め付けは来年以降も続きそうで、多くの金融機関が想定していなかった展開だ。ゴールドマン・サックス・グループや野村ホールディングス、バークレイズなどは2022年の中国成長率見通しを5%未満に引き下げた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に見舞われた昨年を除けば、ここ30年余りで最低の成長率となりそうだ。
北京のコンサルティング会社プレナムの陳竜エコノミストは「不動産セクターが大き過ぎると考えている習氏は自ら不動産政策に関与している。そのため各省庁は習氏の承認なしにあえて政策を緩和することはない」と指摘する。
野村のチーフエコノミスト、ロブ・スバラマン氏は、中国国内総生産(GDP)成長率が今年の7.1%から来年は4.3%に低下すると想定。これが「世界のGDP伸び率を直接的に0.5ポイント引き下げる可能性がある」とみている。中国政府は「長期的な安定性を高めるために短期的な成長の一部を犠牲にする」つもりだと分析している。
オーストラリアやインドネシアなどが産出する商品の需要軟化や、米アップルやドイツのフォルクスワーゲン(VW)といった外国企業にとって極めて重要な中国消費者による支出が鈍化することを意味する。
個人消費の弱さも景気の足かせとなっているほか、新型コロナを一切容認しない「ゼロコロナ」政策と厳しいロックダウン(都市封鎖)措置は消費者と企業にとって重しだ。
UBSグループの中国担当チーフエコノミスト、汪涛氏は「中国のゼロコロナ政策が一段と長期化するか、不動産部門の落ち込みがより深刻になれば、22年のGDP成長率が4%に低下することもあり得る」との見方をリポートで示している。
IEAの最新月報によれば、需要の伸びは引き続き堅調だが、供給が追い付きつつあり、10月に見られた石油在庫の変動は「流れが変わりつつある可能性」を示唆している。市場での需給逼迫を受け、石油価格は7年ぶりの高値となっていた。
IEAは「世界の石油市場はあらゆる面で引き続きタイトだが、値上がりから逃れられる兆しが見えているかもしれない」と指摘。「石油価格上昇と並行して、米国での生産が増えている」とコメント。10-12月(第4四半期)の米生産予測を日量30万バレル、来年については同20万バレル引き上げた。今年および来年の世界需給に関する全体的な見通しはほとんど変わらず。
IEAによると経済協力開発機構(OECD)加盟国の石油在庫量は9月にかけて、過去5年平均を大きく下回る水準へ低下が続いた。だが10月の速報値はやや増加に転じたという。
OPECも需給環境は緩和に向かうとみている。ロイター通信によるとバルキンド事務局長は16日、世界の石油需給について「12月にも供給過剰が始まる」と発言した。
英政府統計局(ONS)が16日発表した労働統計によれば、10月の雇用者数は前月比で16万人増加、求人件数は117万件と過去最多に増えた。新型コロナウイルス禍に対応した政府の労働者支援策が終了した後も労働市場は強さを示し、イングランド銀行(英中央銀行)が来月にも利上げするとの見通しが一段と強まっている。
イングランド銀のベイリー総裁は15日、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)後最初の利上げを見極める最終的な判断材料の一つとして労働統計を挙げていた。
中国共産党は16日、重要会議で11日に採択した「歴史決議」の全文を発表した。毛沢東、鄧小平の時代に続く第3の歴史決議となるが、鄧時代に明記した「個人崇拝禁止」や「集団指導」の文言は記されなかった。習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)の長期政権のもと党の集団指導体制が転機を迎える可能性が強まった。
大連市政府によると、11月4~15日に約270人の市中感染者が確認された。人口約74万人の地域が封鎖され、水産加工場など約100カ所の工場も停止した。市政府は隔離生活やPCR検査を市民に強要しており、不満の声も出ている。
米国で低格付け債(ハイイールド債)を初めて発行する企業が増えている。IT(情報技術)や仮想通貨関連といった新興企業が目立ち、2021年の社数は過去最高を更新した。22年にも始まる米国の利上げによって債券価格が下落する局面でも、高い利回りを維持でき、金利上昇に強いとの見方が追い風となっている。実質金利はマイナスに沈んだままで、投資家はリスクをとらざるを得ない状況が続く。
3カ月連続の増加で、伸び率は3月以来7カ月ぶりの大きさとなり、消費の力強い回復を示した。
自動車・同部品の供給制約がやや改善されたのを受け、これらを扱う販売店の売上高が1.8%増え、全体を押し上げた。これらを除いても売上高は1.7%増加した。
ガソリンの高騰で給油所の売上高が3.9%増えたほか、オンライン・ストア(4.0%増)、家電店(3.8%増)、百貨店(2.2%増)なども好調だった。一方、飲食店の売上高は横ばいで、モノ消費と比べ、サービス消費の回復は弱かった。
11月の住宅市場指数は83で、前月から3ポイント上昇した。3カ月連続の上昇で5月以来の高水準に回復。
構成項目の内訳は、「現在の販売状況」が3ポイント上昇の89となり、2月以来の高さとなった。「今後6カ月の販売見通し」は84で横ばいだったが、「客足」は68で3ポイント上昇した。
NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は発表文で「建設資材や国内サプライチェーンを巡る懸念はよく知られているが、さらに労働力や建設用地へのアクセスも住宅供給の主要な制約となっている」と指摘した。
トルコのアパレル製造が活況を呈している。新型コロナウイルス禍で世界の物流網が混乱し、大消費地である欧州がアジアなどより近場のトルコや東欧から調達を増やしているためだ。通貨リラ安で輸出競争力向上への追い風も吹いており、トルコに製造拠点を置く企業はシェア拡大に期待を寄せている。
●市況
日経先物(大証)29770、ダウ先36094、債先151.62、米1.635、独▲0.2400、仏0.110、西0.472、伊0.965、原油79.39、ドル円114.88、墨ペソ20.76、トルコリラ10.3652、墨CDS97
※11/17 9時35分頃

備忘録(11/15)
●エバーグランデ
2021年10月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落した都市の数は7割超の52で、9月から16増えた。景気が減速していた15年2月以来、6年8カ月ぶりの多さだ。当局による住宅ローンやマンション取引の規制の影響が広がっている。70都市の変化率を単純平均すると、0.3%の下落だった。2カ月連続の下落で15年2月以来のマイナス幅となった。
取引価格が比較的自由で市場の需給を反映しやすい中古物件では、全体の9割超に相当する64都市で価格が下落した。9月より12増え、14年10月以来の多さとなった。値上がりは4都市にとどまった。単純平均した下落率は0.3%で、3カ月連続で前月を下回った。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
本業のもうけを示す営業損益は214億バーツの赤字(同339億バーツの赤字)と苦戦が続いている。旅客数が8割減ったことなどで売上高は66%減少した。タイ政府は9月から外国人旅行客の受け入れを段階的に拡大しているが、客足の本格的な回復には至っていない。
本業不振のなかで最終黒字となったのは、タイ中央破産裁判所の承認を得た事業再生計画の実行で730億バーツの特別利益を計上したからだ。債務返済の一時停止や航空機リース料の減額などで607億バーツの利益が発生したとみなした。保有株式や不動産も売却した。
米欧を目的地とする国際線の提供座席数は12月に新型コロナウイルスの影響がなかった2019年の7割の水準まで戻る見通しだ。ワクチン接種率の向上に伴う渡航制限の緩和が国境を越えた往来を後押ししている。一方でアジア行き路線の提供座席数は3割に届かず、明暗が分かれている。
ボーイングが4%超上昇している。中東のドバイで開かれた航空見本市、ドバイ航空ショーで航空機の受注が多数あったと発表し、業績改善期待の買いが入った。
●その他産業
米半導体大手エヌビディアによる英半導体設計大手アームの買収について安全保障面などの追加調査に乗り出す方針だ。
英紙サンデー・タイムズによるとデジタル・文化・メディア・スポーツ省が16日にも、英競争・市場庁(CMA)に安全保障や独占禁止法に関する詳細な調査を指示する。CMAはすでに競争、法律、安保の面でアーム買収について調査し、8月に「競争上の深刻な懸念がある」とする報告書をまとめている。追加調査で安保面での影響などを掘り下げるとみられる。
●決算関連
緊急事態宣言の延長に伴い鉄道収入の合計は直近の半年より落ち込み、首都圏より低迷する。新型コロナウイルス感染拡大前の5割強にとどまった。長距離路線の持ち直しが鈍いJR西日本は22年3月期通期も営業赤字が続く見通し。
売上高は18%減少し、6億6100万ドル(約753億円)となった。
9月30日時点の稼働率は59%で、前年同期比9%上昇。総会員数は57万8000件に増加した。前年同期は54万2000件だった。
第3・四半期の純損失は8億4430万ドル。前年同期は9億9950万ドルの損失だった。
損失には、主に減価償却と資産の減損による2億6200万ドルの一時費用が含まれている。
●マクロ・その他
与党の敗北は、アルゼンチンが国際通貨基金(IMF)との間で進める約450億ドル規模の債務再編交渉にも影響しそうだ。フェルナンデス氏や交渉窓口のグスマン経済相は与党内では穏健派に位置づけられる。今回の敗北で、与党内で強硬派の意見が強まれば、IMFとの「既に難しい交渉がより複雑になる」(米ゴールドマン・サックス)との見方が多い。与党が内政対策のためIMFを「悪者」に仕立て上げ、妥結点を見つけるのがより難しくなる可能性がある。
フェルナンデス氏は19年の大統領選で、中道右派のマクリ氏を破って就任した。国民は、マクリ政権下での公共料金への補助金削減などの「痛み」に耐えきれず、ばらまき的な政策を打ち出す左派を選好し、政権交代に至った。
23年の大統領選挙でマクリ氏らの野党連合は政権交代をうかがう。IMFによると、21年の実質国内総生産(GDP)は、マクリ氏が大統領に就任した15年を7%下回る。
香港メディアによると、国安法の施行後、外国人記者のビザ発給の拒否が明らかになるのは米紙ニューヨーク・タイムズ、ネットメディア・香港フリープレスに続き3例目。香港記者協会は「これらは個別の事案ではなく、香港の外国メディアへの締め付け強化だ」と懸念を示した。
これまで香港は中国本土のような報道統制やインターネット規制がなく、多くの外国メディアが拠点を置いてきた。ただ報道機関を取り巻く環境は急速に変わりつつある。
香港外国記者会(FCC)が8~10月に会員向けに実施したアンケート調査によると、84%が国安法の施行後に取材環境が悪化したと答えた。ビザの取得や更新についても29%が「かなりの遅れや障害」、24%が「少しの遅れ」を経験したという。
コモディティ(商品)価格上昇の収束と、供給網の混乱の緩和が予想されることから、2022年末までには上昇率は約半分の水準に低下するとの見通しを示した。
同州製造業業況指数は30.9と、前月の19.8から改善し、市場予想の21.2を上回った。
10月の小売売上高は前年同月比4.9%増と、市場予想中央値(3.7%増)に比べて高い伸び。9月は4.4%増えていた。
工業生産は前年同月比3.5%増。予想は3%増、9月は3.1%増加だった。調査ベースの失業率は4.9%と、9月と同水準だった。
1-10月の固定資産投資は前年同期比6.1%増。市場では6.2%増加と見込まれていた。
9月に工業生産の主な足かせとなっていた電力不足が10月には和らぎ、電力供給は前年同月比11.1%増加した。だが、不動産の不振は引き続き生産の重しとなっており、鉄鋼など建設関連商品の生産は縮小した。
野村ホールディングスの中国担当チーフエコノミスト、陸挺氏は「鉱業や公益を中心に、全般的に幾分の改善が示された」と指摘しながらも、「投資など他の分野は大きく改善しておらず、低水準にとどまっている」とコメント。価格上昇や10月初めの消費者によるパニック買いが支出の押し上げに寄与した可能性があると分析した。
大半のエコノミストは当局が不動産抑制策を堅持すると見込んでいる。その結果、ブルームバーグのエコノミスト調査では、今年10-12月(第4四半期)のGDP成長率は3.5%に鈍化し、通年では8%となる見通し。来年は5.4%への減速が予想されている。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは「成長率は年内に弱まるだろう」と分析。「不動産セクターの減速が続いており、向こう数四半期のマクロ見通しにとって主要なリスクだ」と述べた。
ロングビーチ港のマリオ・コルデロ港湾局長は先週の発表文で、「コンテナを保管できる空きスペースを探し、営業時間を延長し、港内のコンテナの滞留をできるだけ早期に解消することを海上輸送業者に促す料金を課すことで、業務遂行能力の向上に努めている」と説明した。
ブルームバーグのデータによると、東海岸でも20隻余りのコンテナ船がジョージア州サバンナ港沖で入港待ちとなっている。
中央アパラチア産石炭の価格は先週10ドル余り上昇し、1トン=89.75ドルとなった。これは、米国からの石炭輸出急増で価格が急騰した2009年以来の高値となる。
ベラルーシが国境を接するポーランドのほか、リトアニア、ラトビア国境に集まっている不法移民の状況について協議。問題を解決するための方法について議論したといい、今後の協議の継続にも合意した。
ボラティリティーの異例の高まりによって、30年債入札は10年ぶりの乱調となり、適正価値のモデルからの利回りの乖離(かいり)を測るブルームバーグの米国債流動性指数によると、米国債の取引環境は20年3月以来最も悪化した。 
アカデミー・セキュリティーズのマクロ戦略責任者、ピーター・チア氏は「取引高が平均水準前後で推移している場合、現行の構造で市場はうまく機能するが、データに照らして説明不可能と見受けられる大荒れの動きにつながって、資産運用者のリスク管理が困難となる場合もある」と指摘した。


●市況
日経先物(大証)29768、ダウ先36020、債先151.66、米1.611、独▲0.2295、仏0.127、西0.493、伊1.000、原油79.64、ドル円114.18、墨ペソ20.61、トルコリラ10.0635、墨CDS97
※11/16 9時30分頃

備忘録(11/12-14)
●エバーグランデ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米ボーイングは、ANAホールディングスなどが導入を予定する次世代大型機「777X」をお披露目した。
最大の焦点だった石炭火力発電の利用について、当初の文書案から表現を弱め、「段階的な廃止(phase-out)」から「段階的な削減(phase-down)」に変更した。産業革命前からの気温上昇は1・5度以内に抑える努力を追求すると明記した。
議長国の英国は、石炭火力の段階的な廃止に強くこだわっていた。だがインドなどの反発が強く、当初案に比べて表現を後退させた。欧州連合(EU)やスイス、島しょ国の閣僚らが「表現の変更に失望した」と表明したものの、採択には反対しなかった。
地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、現状の各国の排出削減目標では達成できないとの分析を受けて、必要に応じて22年末までに30年の各国目標を見直すことも明記した。パリ協定は地球気温上昇を産業革命前から2度未満、できれば1.5度以内に抑えることをめざす。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、1.5度に抑えるには、30年時点で10年比45%減が必要だが、気候変動枠組み条約事務局によると、現状の取り組みでは13.7%増える。
ドイツ政府は2020年5月、コロナで航空需要が蒸発し資金繰りが厳しくなったルフトハンザに最大90億ユーロ(約1兆1700億円)の公的資金注入を決めた。ルフトハンザはこのうち約38億ユーロを引き出した。社債の発行などを通じて調達した資金で、これまで複数回に分けて返済しており、12日に残りの10億ユーロを返した。
公的資金注入の条件としてルフトハンザの株式を取得した政府系ファンドは、完済を受け23年10月までに現在保有している約14%の株式を売却することになる。ルフトハンザのカールステン・シュポア社長は声明で「歴史上最も深刻な危機において将来への展望を与えてくれたドイツ政府と納税者に感謝したい。予定より早く完済できたことを誇りに思う」と述べた。
日用品や市販薬を含む「消費者向け部門」と、処方薬や医療機器などの「医療向け部門」の2事業に分割すると発表した。
消費者向け部門を分離(スピンオフ)する。18~24カ月以内に分離を完了する見通しで、上場を目指す。同部門は、解熱剤の「タイレノール」や救急ばんそうこうの「バンドエイド」、口臭防止剤の「リステリン」などのブランドを抱える。医療向け部門が現J&Jを引き継ぐ。
J&Jによると、医薬品と医療機器を合わせた医療向け事業の売上高は2021年通期に約770億ドル(約8兆8000億円)、消費者向け事業は150億ドルを見込んでいる。
●その他産業
総額2000億円程度の社債の発行を計画していることが12日、分かった。資金の使い道は未定としている。年限は3~10年を中心に検討しており、条件の詳細は11月下旬に決める見込み。
2021年7~9月期決算で、ディズニープラスの会員数の伸び悩みが明らかになったためだ。9月末の契約者数は世界で1億1810万人。新たに契約した人数から解約者数を引いた「純増数」は7〜9月の3カ月間で210万人にとどまり、サービス開始以降で最も低い水準となった。
ディズニーによれば、インドで配信するクリケットリーグの日程変更により、年間契約を更新しない人が増えたのが主因という。この影響を除けば「中核となる市場で400万人増えた」と、クリスティン・マッカーシー最高財務責任者(CFO)は強調する。それでも同じ期間に会員を440万人増やした米ネットフリックスに見劣りする。
コロナ禍で映画や配信向けコンテンツの撮影・制作が遅れ、有力な新作を継続的に出せなかったのが響いた。マッカーシーCFOは22年度(21年10月〜22年9月)も「作品の質に自信はあるが、第3四半期までは配信本数に制約がある」と明かす。
さらに投資家が気をもむのが「潜在的なユーザーをすでにつかみ終えてしまったのではないか」という懸念だ。
「毎月コーヒー1杯の価格で、3年間ディズニーを見られます」。19年8月のカリフォルニア州アナハイム、ディズニーはファンイベントの会場でディズニープラスの限定プランを宣伝していた。3年契約する「太客」をあらかじめつかみ、その後も通信会社と組んだマーケティングでファン層を取り込んだ。サービス開始日の19年11月12日に、加入者がいきなり1000万人を超えたからくりだった。
そこにコロナの感染拡大が重なった。仕事も子育ても家でしなければならなくなった親たちにとり、「ユーチューブ」などと比べて子どもに見せやすいコンテンツがそろうディズニープラスは救世主となった。
ただ、こうした層はすでに会員だ。作品の投入ペースが徐々に正常化するとしても、現状の会員数と24年にめざす2億3000万〜2億6000万人の目標には2倍以上の開きがある。
チャペック氏は決算説明会で、現状60あまりの展開国・地域を23年までに160以上に増やす計画を明らかにした。口火を切るのがアジアだ。
進出国の拡大に合わせ、地域に根ざす独自作品340本の企画・制作にも着手した。チャペック氏は「世界で成長する最も効果的な方法は、視聴者の共感を得られるローカル作品を含む、良質なコンテンツだ」と言う。
とはいえ、ローカル作品は得意としてきた「ディズニーが作り込んだ世界観を届ける」というビジネスとは異なる。
ディズニーはこれまで、米国から厳格に管理することでキャラクターや世界観の質を守ってきた。はやり廃りの激しいエンターテインメントの世界で100年にわたり競争力を保ってきた源泉でもある。強みを守りながら、新しい市場とビジネスに柔軟に対応していけるか。3年目の課題だ。
●決算関連
。新型コロナウイルス禍からの経済正常化で幅広い業種で伸びた米国企業がけん引。日本と欧州の企業も追随した。一方、中国企業が踊り場にある。先行きは原燃料高など波乱要因も多く、拡大ペースが米欧日でも鈍化する懸念がある。
パンデミック(世界的大流行)の間は無利益で販売すると表明していたが、ある程度ワクチンが行き渡ったほか治療薬が出始めていることなどから方針を転換する。途上国向けには引き続き無利益で販売する。
同社によると2021年10~12月から利益分が上乗せされた価格での受注が始まる。パスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)はパンデミックからエンデミック(一定期間で繰り返される流行)に変わりつつあるとの認識を示した上で、「我々はウイルスとともに生きることを学ばなければならない」と述べた。
アストラゼネカが同日発表した7~9月期の売上高は前年同期比48%増の98億6600万ドル(約1兆1200億円)、純利益は16億5200万ドルの赤字(前年同期は6億4800万ドルの黒字)だった。7~9月期の新型コロナワクチンの売り上げは10億5千万ドルだった。
鉄道大手18社の2021年4~9月期の連結決算が12日出そろい、22年3月期の業績予想で12社が最終損益が黒字転換する見通しを示した。鉄道事業は緊急事態宣言の影響などが響くが、不動産など比較的影響が少ない事業は収益に寄与する。鉄道収入が主体のJR各社の中には黒字予想から赤字に転落する見通しもあり、非鉄道での稼ぐ力で明暗が分かれる格好になった。
●マクロ・その他
調査会社リカルド・ルビエル&アソシアドスが10月下旬に実施した世論調査では左派の与党連合の支持率は34.2%と、中道右派の野党連合の42.1%を下回っている。
フェルナンデス政権は、発足後まもなく新型コロナウイルス禍に直面した。厳しいロックダウン(都市封鎖)を実施したが感染拡大を抑えることはできず、ワクチン確保でも出遅れた。国民に集会禁止を求める中でフェルナンデス氏自身がパーティーを開いていたことが明らかになり、批判が集まった。
食料品価格の上昇や通貨安でインフレは年率50%超に加速しており、市民の生活が厳しくなったことも与党には逆風となっている。フェルナンデス氏は14日午前、自身が投票する写真をツイッターに投稿して「アルゼンチンで投票がある日は貴重で、重要だ」と書き込んだ。
中道右派のマクリ前大統領らの野党連合が議席を伸ばす見通しだ。マクリ氏は14日、「国を正しい方向に導く」と述べ、23年の大統領選に向けて再度の政権交代をうかがう基盤を築きたい考えを表明した。
米ミシガン大学が12日発表した11月の消費者態度指数(速報値)は66.8で前月から4.9ポイント低下し、2011年11月以来10年ぶりの低水準に落ち込んだ。緩和の兆しがみえない物価上昇が消費者景況感を押し下げた。
住宅、自動車、耐久財の値上がりを伝える頻度が過去50年で最高となった。4人に1人が物価上昇による生活水準の低下を指摘し、特に低所得者と高齢者からそのような声が相次いだ。また世帯の半数が来年の実質所得の低下を予測した。調査担当者は強い物価上昇に加え、対処する有効な経済政策がとられていないとの見方が、景況感を押し下げたと分析した。
予測インフレ率は1年先が4.9%で前月から0.1ポイント高まり、08年7月以来約13年ぶりの高さとなった。5年先は2.9%で横ばいだった。
金融市場の参加者の一部は、民主党員であるブレイナード理事が、雇用の最大化と物価安定という連邦準備制度の二つの責務のうち雇用サイドにより重きを置くのではないかと臆測している。
米連邦準備制度の新たな政策運営方針の強力な支持者である同理事は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で労働力の供給が恒久的に減少したと結論付けるつもりはなく、「パンデミック以前と同程度の強さかより強い水準に雇用が達しない理由は見当たらない」と9月27日に発言した。
一方、民主党のオバマ政権下で国際担当の財務次官として外国経済に触れた経験は、購買力を維持する力がない困窮した家計にとって物価の急騰がいかに深刻な打撃になり得るか同理事に知見をもたらした。
財務省時代の同僚、ナブテジ・ディロン氏は「彼女にとってインフレと物価安定は、マンデート(責務)を巡る問題であると同時に人々の給与がどれほど消えてなくなるかという問題でもある」と指摘した。
インフレは減速し、労働参加率は持続的な上昇を示すと見込まれることが理由だと、シーツは説明。来年の米経済は個人消費と企業設備投資にけん引され、4.6%の成長率になると予想しているという。
モルガン・スタンレーのエコノミストらはゴーマンCEOよりもハト派的とみられる。ゴーマン氏は先月、「マネーは現在やや自由になり過ぎ、あまりに簡単に利用できる状態にある」との懸念を表明し、米金融当局は22年1-3月(第1四半期)に「動き始める」べきだとの考えを示していた。
バイデン政権は米インテルによる中国での増産計画について、安全保障上の懸念を理由に退けたことが事情に詳しい複数の関係者の話で分かった。米国の半導体不足問題の解決策として打ち出された同案は頓挫した。
関係者が匿名を条件に話したところでは、半導体メーカー最大手のインテルは四川省成都にある工場を使ったシリコンウエハー製造を提案。2022年末までに稼働させ、世界的な供給不足の緩和を図る計画だった。同社は一方で、米国での研究と生産を強化するため連邦政府の支援も求めている。
バイデン政権は半導体供給不足への対応を急ぐ一方で、重要部品の生産の米国回帰を目指している。インテルの中国計画はこうした目標にはそぐわないことから、当局者は提示された計画を思いとどまるよう強く求めたと関係者は話した。
「インフレ率を下げたいのであれば、われわれができる最も重要なことはコロナ対策で進展し続けることだと考える」と述べた。
イエレン長官はインフレ率が2022年後半までに低下すると見込んでいるとあらためて表明。「労働供給や需要パターンが正常化すれば、そうなると予想する。新型コロナにしっかり対応できれば、来年後半のどこかの時点で物価は正常に戻ると考える」と話した。
エネルギーコストが上昇しているエストニアの場合、今年のインフレ率は4%と予測されている。一方でエネルギーの価格規制が敷かれているギリシャでは、インフレ率予想はわずか0.1%だ。
各国間の差異は以前からあるものの、これほどの開きは域内のソブリン債危機以来だ。金融政策への画一的アプローチの弱点を浮き彫りにしている。
特にインフレを嫌うドイツの不満は大きい。サプライチェーン問題で同国の製造業は打撃を受け、インフレ率は約30年ぶりの高水準となっている。
ヘラバのチーフエコノミスト、ガートルード・トラウド氏は「ECBへの圧力は高まっている」と述べ、現在の物価上昇に伴う問題は「この状況が短期的なのか、長期的なのかを読めずにいることだ」と指摘した。
ラガルドECB総裁は、足元のインフレ高進によって来年利上げを迫られることはないと「確信」しており、サプライチェーン問題が解消されればインフレも落ち着くとの見通しを示している。ただインフレ加速は既に当初の想定以上に長期化している。
欧州委員会によれば来年のインフレ率は2.2%と、目標を上回る見通しだ。ECBの政策委員会メンバー、オーストリア中央銀行のホルツマン総裁は今週、「インフレが後退することはあり得るが、(物価目標の2%)より高い時期が長期にわたる可能性も排除できない」と発言している。
●市況
日経先物(大証)29745、ダウ先36028、債先151.59、米1.570、独▲0.2655、仏0.096、西0.449、伊0.953、原油80.72、ドル円113.92、墨ペソ20.52、トルコリラ9.9795、墨CDS99
※11/12 NY引値

備忘録(11/11)
●雑感
・欧米資本財セクターの決算見てると、自動化支援は堅調な需要。賃金高騰とか労働者確保問題もあるので、このトレンドはしばらく続くのでは
・JALの国内線がコロナ前比90%回復。今後の焦点は国際線に移るが、観光目的の移動はハードルが高い(周囲の目、帰国後の隔離)。この辺りの風潮・規制が緩和されてくるといよいよ黒字化がはっきりと見えてくるか
しかし欧州はコロナ新規感染者が高止まりしてるのに、なぜ日本だけ低位推移なのだろうか
●エバーグランデ
中国の銀行による不動産開発企業向け融資が10月に急増し、11月も増勢が続く見通しだと、中国の有力証券紙が足並みをそろえて報じた。不動産業界の与信環境が改善しつつある可能性を示す兆しが増えている。
中国証券報と上海証券報、証券時報は11日付の1面で、中国人民銀行(中央銀行)が前日発表した10月の与信データについて詳しく報道。また、人民銀は別のリポートで、住宅ローンが10月に拡大したと公表した。月次で住宅ローン残高データを発表するのは異例で、懸念を和らげようとしているのは明らかだ。
中国不動産開発企業の社債や株価は10日に上昇。当局が不動産会社による人民元建て債発行を巡る規制を緩和する公算が大きいとの証券時報の報道を好感した。
また、国有企業が規制当局に対し、不動産業界のレバレッジ抑制に向けて設けた「三条紅線(3つのレッドライン)」の貸し出し制限を同セクターの再編目的に調整するよう要請したとの観測も広がり、財聯がその後これを報じた。
中国の不動産開発会社、佳兆業集団は11日、社債の利払いを行えない可能性があると投資家に伝えた。国内およびオフショア市場での法的問題やクロスデフォルトの問題が理由だとしている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、佳兆業は11日に5850万ドル(約67億円)、12日に2990万ドルのクーポン支払いが期日となっている。いずれも、支払えない場合の猶予期間が30日間ある。
佳兆業の表面利率6.5%の12月7日償還債は香港時間午後5時20分(日本時間同6時20分)時点で、額面1ドルに対し3.1セント安の38.5セント。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ミスラ氏はブルームバーグ主催のインド経済フォーラムで「適切な企業があれば、2022年に50億-100億ドルの投資が可能だ」とコメント。「適正なバリュエーションで適正な機会が見つかれば」と続けた。
これまでのところ、インドでの投資はソフトバンクGの期待を裏切っておらず、同国新興企業のポートフォリオは評価額が大幅に増えている。ミスラ氏は、インドのテクノロジーのエコシステムが軌道に乗りつつあるとし、ソフトバンクGの忍耐力が「報われる」だろうと指摘。「インドの時代が訪れた」と語った。
第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が12日、会期末を迎える。合意文書では2030年の温暖化ガスの排出削減目標の上積みを先送りする方向が固まった。議長国の英国は世界の気温上昇を産業革命前から「1.5度以内」に抑える目標の追求や、石炭の段階的な廃止の明記で成果を打ち出したい考えだが、サウジアラビアなど資源国の反発が強い。
12月24日~22年1月4日の国内線便数を21年度事業計画比97%の水準で運航すると発表した。12月1~31日は同91%、22年1月1~4日は同98%の水準で運航する。9割以上の運航率となるのは20年3月以来、21カ月ぶり。減便は続けるが、緊急事態宣言の解除で観光や出張需要が回復傾向にあり、前月に比べて運航規模を引き上げる。
●その他産業
楽天銀上場について「金融庁の制約もあり、資本が重要。今後ますます資本を厚くする必要ある」と語った。また、親子上場についてはガバナンスとコンプライアンスを順守すれば問題なく、「楽天グループの株主利益にも資する」と語った。
ビルの柱や梁(はり)に使うH形鋼の一般流通(店売り)向け価格について、11月契約分から1トン3000円引き上げると発表した。鉄鉱石、合金鉄などの原料価格や燃料費などが上昇しており、製品価格に転嫁して採算を改善する。国内外の鋼材需給の逼迫も踏まえた。値上げは9月契約分以来、2カ月ぶり。
●決算関連
2021年4~9月期の連結決算は、売上高が32%増の1兆6735億円、営業利益が32%増の991億円、純利益が前年同期比85%増の1005億円だった。同期間として3年ぶりの増益となる。新型コロナウイルスの感染拡大で前年に落ち込んだ主力のインド市場で、四輪車の販売が急回復した。インドルピーなどに対する円安傾向も利益を押し上げた。
四輪車の世界販売台数は30%増の125万台だった。インドでは新型コロナで工場の稼働が一時停止したが、販売台数は40%増の60万台に回復した。また営業利益については、原材料高が475億円の減益要因となったが、販売台数の増加や円安効果、原価低減による増益要因が上回った。
原材料価格の上昇に対し、スズキは市場の競争環境に応じて製品価格へ転嫁を進める考え。四輪車でシェア首位のインドでは今期3度の値上げを実施した。
従来予想から50億円下方修正した。半導体不足で自動車各社が大幅減産に踏み切り、車部品の需要が減っているのが響く。
同社はサスペンションや自動車の足回りに使うジョイント部品を生産している。半導体や部品不足による自動車の大幅減産で、足回り部品の受注が減少している。
工作機械など産業機器向けは半導体製造装置の需要増などで受注自体は好調に推移しているものの、原料の鋼材価格の上昇や輸送コストの上昇の影響を受ける。
域内で新型コロナウイルスの感染が拡大し、配車の利用が低迷したのが主因だ。多額の利払い負担も赤字額を膨らませた。売上高も前四半期比で減少が続き、年内の上場を目前にして成長の鈍化が鮮明になっている。
2021年1~9月期の連結最終損益が922億円の赤字(前年同期は714億円の赤字)になったと発表した。電子商取引(EC)事業、クレジットカードなど金融事業は好調だったが、携帯通信事業の事業損益の赤字が3025億円と過去最大になったことが響いた。
モバイル事業の赤字額は前年同期の1506億円から倍増した。同事業の赤字は7~9月期では1052億円で四半期ベースでも過去最大となった。
モバイル事業は基地局建設の投資負担が重い。これに加え、KDDIから回線を借りる「ローミング」の費用負担が収益の重荷になっている。三木谷浩史会長兼社長も「ローミング費用が想定を上回ってしまっている」と話す。
これに対して、基地局整備を進め「自社回線エリア」を増やし順次、ローミングを打ち切る。10月から全国23道県で打ち切りを始め、22年4月に追加の打ち切りを予定する。基本料金の1年間無料キャンペーンも来春に終了する。楽天モバイルの山田善久社長は11日に開いた決算記者会見で「22年4~6月期から事業損益の改善を見込んでいる」と説明した。
ただし、21年7~9月期の新規契約数(仮想移動体通信事業者サービスを除く)は45万件。1~3月期の123万件、4~6月期の81万件に比べて減った。競合も相次ぎ低価格プランを追加していることが響いている。
三木谷社長は11日の会見で「23年12月期中の黒字化は可能だ」と述べ、従来の見通しを変えなかったが、黒字化達成にはARPUを2000円と高めに見積もった場合でも、23年12月期末には1400万の契約が必要になる。楽天が11日発表した21年9月末時点の累計契約数は411万件だ。
2021年9月期通期の売上高は622億6500万ユーロと13%増、純利益は継続事業ベースで前の期比53%増の61億6100万ユーロ(約8060億円)だった。
工場のデジタル化機器やソフトウエアを手がける主力のデジタルインダストリーは売上高が10%増だった。7~9月期も自動車や機械などの業界からの自動化機器への需要が強く、7~9月期の受注は31%増えた。地域別の売上高は中国とドイツがそれぞれ21%増だった。
2021年4~9月期決算は、売上高が前年同期比73%増の28億2700万シンガポールドル、最終損益が8億3680万シンガポールドル(約700億円)の赤字だった。前年同期の34億シンガポールドルの最終赤字の4分の1に縮小した。
新型コロナウイルスワクチンの普及で出入国制限を緩和する動きが広がり、旅客数は5倍に膨らんだ。
隔離なしの入国は年末までに、欧米やオーストラリア、マレーシアなどに広がる予定。シンガポール航空は年末までに、輸送能力を新型コロナの流行前の43%まで戻す見通しだ。決算発表資料で「今後、アジア太平洋地域でワクチンが普及し、主要市場で航空旅行の需要が回復する。これに応じて輸送能力を拡大する」と強調した。
2021年4~9月期決算は、純利益が9億5400万シンガポールドル(約800億円)となり、前年同期に比べ倍増した。売上高は3.1%増の76億5300万シンガポールドルだった。出資先であるインド通信大手、バルティ・エアテルの業績回復が利益を押し上げだ。
国内のセメント需要が伸び悩むなか、石炭や原油価格など原燃料コストの増加が利益を押し下げる。
●マクロ・その他
中国の進路を変える可能性のある今回の歴史決議は、閉幕後のコミュニケで発表された。歴史決議の採択は1945年の毛沢東氏、1981年の鄧小平氏以来3度目で、毛、鄧両氏は同決議を使って息を引き取るまで党内で権勢を振るうことになった。
来年の党大会での習近平総書記(国家主席)の3期目入りがほぼ確実となり、習氏による終身統治に向かう可能性も高まった。
新華社が伝えたコミュニケによると、党中央委員会は習氏を「核心」とする党を中心に中国が団結するよう呼び掛けるとともに、習氏の政策を実行し、「中華民族の偉大な復興」を実現するよう求めた。
一方でコミュニケは毛、鄧両氏に加え、江沢民氏や胡錦濤氏らこれまでの党最高指導者の貢献を評価。直近2人の前任者が持つ党エリート層に対する影響力を習氏がまだ完全に排除できていないことをうかがわせている。
新華社は以下についても伝えた
来年の党大会は7-12月(下期)に北京で開催される
「共同富裕」(共に豊かになる)と科学・テクノロジーにおける「自立」の推進
香港は「混乱から統治」に移行した
中国政府は台湾海峡の「両岸関係における主導権をしっかりと握った」
金融政策決定会合を開き、政策金利を0.25%引き上げて5%にすると発表。5人の委員のうち4人が利上げを支持した。
エネルギーや食料品の価格が世界的に上がっており、メキシコもインフレ率が中銀の目標上限を上回る状況が続いている。利上げで加速するインフレに対応する。
10月の消費者物価指数は前年同月比6.24%の上昇だった。中銀の目標上限(4%)を8カ月連続で上回っている。エネルギー価格が高騰しているほか、食用サボテンや畜産品など食料品の価格も上がっている。
中銀は同日の声明で「インフレは一時的とみられるが、影響は大きく幅広い商品に及ぶ」と述べた。
2022年1~3月の物価上昇率見通しを9月末時点の5.6%から6.3%へ大幅に引き上げた。中銀の目標範囲内に入る時期は22年7~9月期としている。
中国では政府によるネット企業への統制が強まっているなか、セール期間中の取扱高が過去最高となる5403億元(約9兆5600億円)に達したと発表した。
2020年の独身の日では4982億元の取扱高を記録したが、今年は20年に比べ8.5%増加した。今年のセールの対象期間は10月20日~11月11日に設定し、20年(11月1日~11日)よりも延ばした。
ネット通販2位の京東集団(JDドットコム)も12日未明にセール期間中の取扱高を発表し、3491億元(20年は2715億元)と過去最高を記録した。
欧州委は21、22両年のインフレ率予想をそれぞれ2.4%と2.2%に上方修正する一方で、23年の平均インフレ率は1.4%と予想した。
現在の物価上昇を招いているエネルギー高騰とサプライチェーン問題が落ち着くとみている。
インフレ以外の回復への脅威として、欧州委は新型コロナ感染の再拡大と製造業の足かせとなるサプライチェーンの目詰まりを挙げた。
●市況
日経先物(大証)29545、ダウ先35911、債先151.72、米1.582、独▲0.2275、仏0.131、西0.472、伊0.959、原油81.41、ドル円114.10、墨ペソ20.63、トルコリラ9.9262、墨CDS99
※11/11 9時20分頃

備忘録(11/10)
●エバーグランデ
国際証券決済機関クリアストリームの広報が明らかにしたところでは、同機関の複数の顧客が恒大の支払期日を過ぎていたドル建て債3本の利払いを受け取った。また同債の2本を保有する投資家2人は支払いを受けたことを確認した。公に話す権限がないとして匿名で明らかにした。
高級住宅地・山頂(ピーク)にある一戸建てで、市場価値は8億香港ドル(約116億円)という。
報道によると、今回抵当に入れた戸建ては許氏が2010年に購入し、自宅として使っていたことがあるという。記事は「許氏が個人資産を使って、恒大の債務危機の救済に乗り出した」と指摘した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ガソリンを使う自動車の新車販売を主要市場で2035年、世界で40年までに終えるとの宣言を発表した。欧州と南米が中心の23カ国と、自動車メーカー11社が参加。全会一致が原則のCOPで、コンセンサスを得る努力を欠いた議長国主導の「宣言」の手法や実効性を疑問視する声もある。
宣言に参加した23カ国は欧州が中心だ。英国は当初、24カ国と公表したが、参加国からウルグアイを削除した。
インドは宣言に賛同したが23カ国には含まず「ゼロエミッション車の普及加速のために集中的に取り組む」との内容にとどまった。宣言にはフォード・モーターやゼネラル・モーターズといった米国の大手自動車メーカーが名を連ねた。日本や米国、中国のほか、日本メーカーも個別企業としては加わらなかった。
国際自動車工業連合会(OICA)によると、20年の世界の新車販売の台数で欧州と南米市場は約2割。今回の宣言には両地域で販売台数の多いドイツ、フランス、ブラジルは加わっておらず、さらに比率は下がる。
パリ協定は条約などと違い、緩やかな国家間の取り決めで、各国の温暖化ガスの排出量の削減も法的にしばられるものでない。
●その他産業
保険や資産運用事業を通じて日本の退職年金市場を狙う。低金利が長引く日本で従来の債券に代わる利回りの高い年金向け商品を投入し、資産拡大を目指す。東京拠点は有力シニアバンカーを相次いで招き、今後1年半で陣容を倍増させる計画だ。
●決算関連
7-9月の売上高は1424億元(約2兆5200億円)。予想平均は1454億元だった。増収率は6四半期連続で低下し、2004年のテンセント上場以後で最も小さくなった。純利益は395億元と予想を上回った。一部投資の売却益が寄与した。
2021年7~9月期決算は売上高が26%増の185億3400万ドル(約2兆1100億円)、最終損益が1億5900万ドルの黒字(前年同期は7億1000万ドルの赤字)だった。テーマパークの再開が進み、収益が改善した。
2021年9月期の通期売上高は3%増の674億1800万ドルだった。最終損益が19億9500万ドルの黒字で、28億6400万ドルの赤字だった前の期から2期ぶりに黒字に転じた。
テーマパークとグッズの販売からなる部門の売上高は99%増の54億5000万ドル、営業損益は6億4000万ドルの黒字(前年同期は9億4500万ドルの赤字)となり、4~6月期の3億5600万ドルから拡大した。
ただ感染対策のため入場人数の制限を続けており、海外から米国のパークを訪れる旅行者の回復も鈍い。
「ディズニー+」では会員数の伸びの鈍化が目立った。9月末の会員数は1億1810万人で、3カ月間の純増数は210万人。アナリストらの事前予想(940万人)を大きく下回り、サービス開始以降で最も低い水準となった。
「イカゲーム」のヒットで7~9月期の会員拡大に弾みをつけた米ネットフリックスとの対照的な結果に、時間外取引で売りが広がった。
●マクロ・その他
マクロン氏は温暖化対策の切り札として原発の建設再開を打ち出した。国内での新規着工は07年以来となる。
AFP通信などによると欧州加圧水型原子炉(EPR)を最大で6基建設する計画を数週間以内に明らかにする見通し。マクロン氏は10月に発電規模の小さい原子炉「小型モジュール炉」を30年までに国内で複数導入すると表明している。
原発推進についてマクロン氏は演説で「ここ数週間、ガスや電力価格が高くなっている。急いで対策を取らなければいけない」と主張した。気象条件で発電量が左右される再生可能エネルギーだけでは安定的な電力の供給体制はつくれないとの考えを強調した。原発の活用で電力の安定供給と脱炭素の両方を実現できるとする立場だ。
仏メディアが10月に報じた世論調査によると、原発を国の利点だと考える人は50%だった。19年の調査では34%で、原発が気候変動対策に必要だという仏政府の主張は支持を広げている。
原子力産業を支援する狙いもある。フランスが手掛けたEPR建設はフィンランドで工期が大幅に遅れて巨額の赤字を出したほか、仏北西部フラマンビル原発で07年に始めた建設計画はいまだに終わっていない。新たな原発建設で技術力や知見の向上を目指す考えだ。
英国も原発の活用で温暖化ガス削減を進めるとの立場だ。10月、小型モジュール炉などの原発開発や技術の維持のために1億2000万ポンド(約180億円)の新基金をつくると発表した。遅くとも24年までに1基以上の新規の大規模原発の建設を決める方針も明らかにしている。
国際エネルギー機関(IEA)の予測では2050年に世界の温暖化ガス排出を実質ゼロにするには、原子力の発電量は50年時点で20年から倍増させ、エネルギー供給の11%をまかなう必要がある。小型原発の開発も米国を中心に進み、各国で導入論が浮上している。
日米欧などの専門家の調査によると、中国の20年の原発発電量は前年比で4.4%増え、同11%減だったフランスを上回り米国に次いで世界で2番目に多くなった。中国やロシアは電力不足に悩む新興・途上国を中心に原発輸出に攻勢をかけている。
次世代原子力である「小型モジュール炉(SMR)」の開発も相次ぐ。小型原発のSMRは炉が小さく事故時に大型炉より冷却が早いとされる。
10月の工作機械受注額(速報値)は、前年同月比81.5%増の1492億円だった。12カ月連続で前年実績を上回り、3年ぶりの高水準となった9月の実績も更新した。米国で半導体製造装置向けの需要が強く、海外向けが3年7カ月ぶりの高水準となって全体をけん引した。
10月の卸売物価指数は前年同月比13.5%上昇した。9月(10.7%上昇)に続き、比較可能な1996年10月以降で最大の伸びだった。前月と比べた伸び率も2.5%と9月の1.2%より拡大した。資源高や気候変動対応の生産抑制に伴う在庫減少が原因だ。
業種別にみると、石炭が前年同月の2倍と、伸び率が最大だった。石油・天然ガスも6割上昇した。鉄鋼や石油・石炭加工など素材や中間財も上がった。川上と川中の製品をまとめた生産財の上昇率は17.9%と、9月の14.2%から一段と高まった。対照的に、川下にあたる生活財は0.6%の上昇にとどまった。食品は1.0%、衣類は0.8%上がったが、耐久消費財は0.1%下落した。
同時に発表した10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は1.5%で、9月の0.7%から跳ね上がった。20年9月以来の大きさだ。主因は生鮮野菜の値上がりで、夏場の洪水被害などで15.9%跳ね上がった。ガソリンなども燃料高をうけ3割上昇した。中国人の食卓に欠かせない豚肉は44%下落した。
中国の生産者物価はここ数カ月で急加速している。当初は世界的な商品値上がりが原因だったが、その後は全国的な電力不足に伴う生産抑制が響いた。また、天候関連の供給問題で食品価格が押し上げられたほか、メーカーによる小売業へのコスト増の転嫁で消費者物価上昇率も拡大し始めている。
国家統計局のシニア統計学者、董莉娟氏は発表文で、生産者物価の大幅な伸びは輸入インフレと主要なエネルギー・原材料の国内供給不足が原因だと説明。一方、消費者物価の加速は天候や一部製品の需給逼迫(ひっぱく)、コスト増などが背景にあると指摘した。
華興証券香港のマクロ・戦略調査責任者、龐溟氏は今回の物価指標について、「生産・消費両面で幅広いインフレ圧力を示唆している」と指摘。「インフレ圧力や他の主要国で強まる金融政策のタカ派スタンスを受け、中国の金融緩和余地は限られそうだ」と話した。
ナットウエスト・マーケッツの中国担当エコノミスト、劉培乾氏は生産者物価を抑制するため政策当局は商品や原材料の供給と価格の安定化を今後も優先する一方、CPIが依然として目標を大きく下回っていることから、人民銀が金融政策を引き締める公算は小さいとの見方を示した。
10月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比6.2%上昇と、1990年11月以来31年ぶりの大幅な伸びを記録した。ガソリンや食品価格が上昇する中、伸びは前月の5.4%上昇から加速し、市場予想の5.8%上昇も上回った。世界的なサプライチェーンの混乱を背景に、インフレが来年にかけても高止まりする兆候を示唆した。
10月の内訳では、ガソリンが6.1%上昇。9月は1.2%上昇していた。食品は0.9%上昇。肉、卵、魚、野菜、穀物、ベーカリー製品が上昇した。一方、アルコール飲料は下落した。
サプライチェーンのボトルネックと労働力不足でコストが上昇する中、底堅い需要を背景に企業は消費財とサービスの価格をじわじわと引き上げている。エコノミストの多くや一部の米金融当局者は、物価上昇圧力が来年も根強く続き、インフレ率は高止まりすると見込んでいる。
人民銀が10日発表した10月の経済全体のファイナンス規模は1兆5900億元(約28兆1500億円)。エコノミスト予想中央値の1兆7000億元を下回った。前月は2兆9000億元、前年同月は1兆4000億元だった。10月の新規融資は8262億元と、前月の1兆7000億元から減少した。エコノミスト予想は8000億元だった。
諮問委は、世界経済に影響を与えているサプライチェーン(供給網)のボトルネックとインフレ圧力が要因と指摘。連立を目指す政党にとっては経済のグリーン化に向けた変革的な投資や、増税せずに厳しい債務上限規定を23年に復活させる公約を果たす上でさらなる障害となる可能性がある。
2021年10月の消費者物価指数IPCAは、前年同月比で10.67%上昇した。16年1月以来、5年9カ月ぶりの高い上昇率となった。干ばつや通貨安の影響でインフレは加速している。
食料品ではトマトや鶏肉が1年前から約3割上昇し、ジャガイモ(24%)やチーズ(15%)も上がっている。食用肉に手が出ず、ペット用の肉を食用に購入する庶民が増えているとの報道もある。
原油の高騰を受けてガソリンの販売価格も上昇した。通貨レアルは1ドル=5.5レアルと、6月下旬の高値から1割以上下落しており、輸入物価の上昇につながっている。
中央銀行は10月まで6会合連続で利上げを決めており、政策金利を7.75%まで引き上げた。次回の12月会合では少なくとも1.5%の追加利上げが見込まれている。金融市場には引き上げ幅をさらに広げるとの見方もある。
米労働省が発表した10月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことで、米連邦準備理事会(FRB)が早期の引き締めに動くとの観測がリラ売り・ドル買いを呼んだ。
今後5年間のインフレ期待を反映するブレークイーブンインフレ率(BEI)は一時14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後上昇し、約3.13%と過去最高水準を記録した。
米国債市場では、短めの国債利回りの上昇ペースが勝り、2年債と10年債の利回り格差(スプレッド)は97bp前後に縮小した。
InspereXのシニアトレーダー、デービッド・ペトロシネッリ氏は「連邦準備制度の動きが遅過ぎるとの認識が広がりつつある。利回り曲線のフラット化は、短めの金利が近いうちに上昇すると人々が考えている結果だ」と指摘した。
●市況
日経先物(大証)29195、ダウ先35985、債先151.78、米1.570、独▲0.2475、仏0.119、西0.477、伊0.935、原油81.56、ドル円113.93、墨ペソ20.61、トルコリラ9.8504、墨CDS95
※11/11 9時40分頃

備忘録(11/9)
●エバーグランデ
流動性危機の兆候が5カ月前に表れた中国の不動産開発大手、中国恒大集団が最大の正念場を迎えている。10日には、ドル建て債3本のクーポン1億4810万ドル(約170億円)を期日に支払わずデフォルト(債務不履行)宣言されるまでの30日間の猶予期間が終了する。中国の信用市場ストレスは投資不適格(ジャンク)級の不動産開発会社以外にも広がり、投資適格のドル建て債も数カ月で最悪の売りを浴びた。大手不動産会社と経済全体への影響について、投資家は懸念を深めている。
花様年は届け出で「流動性問題の緩和措置を引き続き実行する」と表明。同社は債権者と活発に交渉し、財務や法律のアドバイザーと協力して取り組んでいる。
同社は10月4日が期限だった社債を償還できなかったことをこれまでに明らかにしている。届け出では、この社債以外に未払いとなっている社債や融資はないと説明。社債については、自社で保証している分を含めて未払い分はないとしている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
23年初頭に医療機器部門を分割し、GE本体が19.9%を保有する。24年初頭には火力発電と再生可能エネルギー、デジタル部門を合わせて電力事業会社として分社化する。本体には航空機エンジン事業を残し、ラリー・カルプ最高経営責任者(CEO)が引き続き経営を担う。GE本体に加え、分社する2社も株式上場を計画している。
GEは11月初旬に子会社のGEキャピタルが手掛けていた航空機リース事業の売却を完了し、金融事業から事実上撤退したばかり。新型コロナウイルス禍に伴う航空機市場の悪化や火力発電への逆風など事業環境の変化が激しくなるなか、複合経営を続けるメリットが薄まったと判断した。
GEは過去に手掛けた金融事業や電力部門の買収案件で巨額の損失を計上。事業リストラを進めてきた。鉄道車両やバイオ医薬、祖業である電気照明など複数の事業を売却し、金融事業からも撤退した。
新型コロナ危機に伴う旅客機の需要減で稼ぎ頭だった航空機エンジン事業の収益が悪化。欧州を中心に火力発電を撤廃する動きも広がった。アクティビストの投資家から分社化を求める圧力が強まっていた。
●決算関連
東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大などで日産も夏以降、生産面で大きな制約を受け、今期の世界販売台数計画を従来の440万台から380万台に修正。それにより、今期の売上高見通しでは従来予想を下方修正した。一方で、販売奨励金が減少したことから収益性が改善することから、営業利益予想を1800億円(従来1500億円)に上方修正した。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、日産の上方修正について「想定外でポジティブサプライズ」とコメント。7-9月期に販売台数が1割も減っているのにもかかわらず、700億円近く増益になっていたとし、「これまで多額のインセンティブ支出のために、もうけ損ねていたのが改めて浮き彫りになった」と述べた。
自動車部品や発電所の保守サービスなどが伸び、3社とも連結最終損益が黒字転換した。ただ、新型コロナウイルス禍が長引き、主力の航空機関連事業の回復には時間がかかる。火力発電設備事業も脱炭素の流れで逆風が強い。収益を支える新たな柱の育成が待ったなしだ。
不動産販売では「東急四谷ビル」(東京・千代田)など大型物件の売却があり、「当初予想より非常に高い価格で売れた」(同社)。今期の不動産事業での営業利益は前期比39%増の404億円と従来予想から95億円上振れする。
一方、売上高は緊急事態宣言などの影響で鉄道やホテル利用の回復が遅れ、7%減の8684億円と従来予想を298億円下回る。最終損益予想(100億円の黒字)は鉄道やホテルの損失発生リスクを考慮し据え置いた。
鉄道やバスなどの利用は回復傾向にある。鉄道の利用者数はコロナ前比では7割の水準にとどまるが、メンテナンス費や人件費の削減などによるコスト減も寄与した。オフィスビルやホテルなど開発物件の売却益も寄与した。
国際物流や住宅事業が好調だったことで、黒字を確保する見通しだと上方修正した。一方、鉄道・バスやホテル事業は想定より不調だったという。
●マクロ・その他
ブレイナード理事は先週ホワイトハウスを訪れた際に、FRB議長の職について聞き取りを受けたと、事情に詳しい関係者が明らかにした。バイデン大統領が次期FRB議長の人選を進める中で、パウエル現議長と共にブレイナード氏が真剣に検討されていることがうかがわれる。
当局者は全国的なエネルギー危機を深刻化させた炭鉱や発電所の管理者のように指示・命令を過度に受け止めたり、不安で身がすくみ、前例のない規模の洪水や感染症など大きな危機が訪れても自主的な判断ができなくなったりしている。
こうした状況は習氏が自ら招いている部分も大きい。孫子の兵法にある「将在外、君命有所不受(将、外にあっては君命を奉ぜざるあり)」のように、中国の地方政府は中央からの指示に一部応じないこともかつてはあった。習氏による中央集権化に加え、多数の役人を摘発してきた反腐敗運動がリスクを高め、現場の当局者の動機もゆがめることになった。
その結果、多くの官僚は最高指導部をどのように満足させることができるのか、そしてどうすれば不透明な共産党内で昇進していけるのか理解しにくくなっている。
オックスフォード大学の中国センターで、リサーチアソシエイトを務めるジョージ・マグナス氏は、「皮肉だが中国は2020年代以降に新たな発展モデルを採用する必要があり、本来なら地方分権化や試行錯誤を進める強い論拠があるはずだ」と指摘。「それが習氏のモデルはこれとは全く逆で、柔軟性を欠いた不備のある構造を求めており、こうした統治モデルを遅かれ早かれ後悔することになるかもしれない」と述べた。
ZEWのバンバッハ所長は「原材料と中間財の供給問題、さらにインフレ加速が今四半期の景気動向に悪影響を及ぼすと専門家はみている」と指摘。その上で「2022年1ー3月(第1四半期)については成長が再び上向くと見込んでいる」と述べた。
2022年の石油生産量が前年比545万バレル増の日量1億142万バレルになるとの予測を公表した。供給が消費量(同1億88万バレル)を上回り、需給が緩和する見込みだ。
米国の生産量が日量2015万バレルとなり、前年比同140万バレル増加する。石油輸出国機構(OPEC)は同3390万バレルとなり、同222万バレル増える。
22年の消費量も新型コロナウイルス禍からの景気回復を受け、米国(同2037万バレル)や中国(同1586万バレル)などで前年から増加する見通しだが、世界の石油の増産ペースが上回る。
需給の緩和などを受け、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)価格は22年に、1バレル68・28ドルになると予想。前年(同69・02ドル)をやや下回るとみている。
原油市場ではEIAの見通し公表を受け、米国政府が戦略備蓄を放出する可能性が後退したとの見方が浮上している。
1日2ドル以下で生活する7億5000万人を支援する計画を表明した。世界の上位1000の富裕層と大企業に毎年資産の4%の寄付を呼びかけるほか、G20の加盟国に国内総生産(GDP)の0.2%を出してもらいたい考えだ。
●市況
日経先物(大証)29212、ダウ先36163、債先151.97、米1.458、独▲0.2975、仏0.045、西0.380、伊0.841、原油84.42、ドル円112.90、墨ペソ20.33、トルコリラ9.7328、墨CDS95
※11/10 9時30分頃

備忘録(11/8)
●エバーグランデ
中国恒大集団の子会社「SceneryJourney」が発行した米ドル建て債について、一部の債券保有者が6日に期限を迎えた利払いをアジア時間8日午前までに受け取れていないことが分かった。事情に詳しい関係筋2人が明らかにした。
30日間の猶予期間に入ることになる。利払い総額は2022年11月償還債(クーポン13%)と23年11月償還債(同13.75%)にかかる8249万ドル。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
抗体カクテル療法が最長8カ月間にわたり有症状の感染リスクを82%引き下げると、試験結果を基に発表した。今後幅広い使用に道を開く可能性がある。
●その他産業
「企業価値向上に向けて中期経営計画の策定過程にあり、事業分割についても選択肢の一つとして検討しているのは事実」と明らかにした。ただ、きょうの時点で決定したことはなく、東芝は「今後、開示すべき事実を決定したら、速やかに公表する」としている。
●決算関連
四半期の最終損益が赤字になるのは20年1~3月期以来、6四半期ぶり。SBGは投資先企業の価値を四半期ごとに評価し直し、含み損益の増減を業績に反映している。7~9月期のファンド事業の損益は8250億円の赤字だった。
中国政府が7月以降、自国のIT(情報技術)や教育産業への規制を強化した影響が赤字転落の主因だ。ファンド投資先の7~9月の株価下落率は配車アプリ大手の滴滴出行(ディディ)が4割強、オンライン教育サービスの掌門教育(ジャンメン・エデュケーション)は約8割となった。韓国ネット通販大手クーパンの株価下落も響いた。
SBGが直接保有する中国・アリババ集団の株価も3割強下落した。最も重視する指標である、保有株式価値から単体の純有利子負債を差し引いた時価純資産(ネット・アセット・バリュー=NAV)は9月末時点で20兆9000億円と6月末に比べて2割減った。
21年4~6月期までは中国の投資先の上場に伴い多額の含み益を計上した半面、7月以降は中国の投資先が一転して足を引っ張った。孫氏は「中国のハイテク株は受難の時期」とも述べた。
中国の投資環境悪化を受け、SBGは主に2つのリスク抑制策に動いている。1つが投資金額の抑制だ。19年に始動した2号ファンドは全額自己資金で運用している。1号ファンドの1件あたりの平均投資額が1000億円強だった半面、2号は1件あたり200億円強にとどまる。
ファンド投資先の国・地域の分散も進めている。9月末時点の時価ベースではアジア・欧州・中南米などが46%を占め、中国は19%だ。足元でも中国企業への投資は継続しているものの、少額にとどめているという。
ソフトバンクグループ(SBG)は8日、最大1兆円の自社株買いを実施すると発表した。自己株式を除く発行済み株式の14.6%にあたる2億5000万株を上限に実施する。
同日、米S&PグローバルはSBGが自社株買いをすれば「現在の格付けに対する余裕度はやや狭まる」とのコメントを出した。
●マクロ・その他
クラリダ副議長は8日の講演で「利上げを考えるにはまだ距離があるのは明らかだが、2022年末までに政策金利の誘導目標を引き上げるために必要な条件が満たされていると考える」との見解を示した。クラリダ氏は足元の高インフレは「長期的な目標である2%を『適度』に上回る以上のもの」として「リスクは上向き」、供給制約が徐々に解消され「最終的には一時的なものと判明するだろう」と述べた。
党史上3回目となる「歴史決議」と党の高官人事の有無が焦点になる。
人事の焦点は習氏による後継者指名だ。現指導部で習氏後継と目される幹部はいない。習氏が6中全会で後継になりうる人物の最高指導部への昇格を見送れば、次回の党大会で習氏が続投する環境が整う。
習氏はこれまで一貫して後継候補を決めるのを避けてきた。今回も見送り、自身の続投に向けた基盤固めと、側近の登用が加速するとの見方が強まっている。
李克強(リー・クォーチャン)首相が2023年3月に首相職を退くため、その後継候補として李強・上海市共産党委員会書記と広東省のトップである李希・広東省党委員会書記どちらかを副首相に就けるとの見方がでている。
現状では胡春華(フー・チュンホア)副首相が有資格者だが、党の青年組織、共産主義青年団(共青団)出身のホープといわれる胡氏は、共青団の団結力を警戒して遠ざけてきた習氏と溝があると指摘されて久しい。6中全会で側近の起用を進めて「胡氏封じ」に動こうとしている可能性がある。
中国メディア関係者は「景気は減速しており、外交もうまくいっていない。来年の政権運営はますます難しくなるだろう」と語る。
党大会を5年に一度開く共産党は、5年間に計7回の中央委員会総会を開催する。政府首脳や軍幹部、省トップ、有力な学識経験者ら約400人が北京市内で厳重に警備された軍関連施設に集まる。議題は極秘扱いで、閉幕後のコミュニケでようやく明らかになる。論争や内部の争いは編集の上で削除される。
6中総会は5年の政治サイクルで最後に開かれる大きな会議であり、ある意味では他の総会より重要。党大会での重大な決定を前にした駆け引きを巡る最後の機会でもある。
国営新華社通信によると、中央政治局は先月、6中総会で「党100年の奮闘の重大成果と歴史経験」に関する決議案を審議すると決めた。同通信によれば、6中総会が北京で開幕し、習総書記が同決議案について説明した。2016年の6中総会では、習氏を党の「核心」と位置付けている。
習総書記が党内から歴史や将来に関する自身の見解で支持を得ることができれば、就任から約10年にわたり政敵の排除や国家の威信強化を進めてきた習氏にとっては、終身統治も視野に入る権力基盤を整えていることを示す最大の兆候となる。
理事としての任期は残っているが、副議長任期の終了を節目に退任を決めた。
世界全体の新規感染者は10月半ばごろから再び増え始めている。
ハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は先週、欧州がパンデミックの「震源地になっている」とした上で、今の状況が続けば「来年2月までに50万人の死者が出る可能性がある」と警鐘を鳴らした。
先週末に、新規感染者が1万人近くと過去最多を更新したオーストリアは、8日から措置を厳格化した。飲食店やジムに入店する際は原則、ワクチン接種かコロナから回復した証明のみ有効とし、検査での陰性証明は除外した。
米国では感染者数の減少ペースが鈍っている。米疾病対策センター(CDC)によると、直近の1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)はデルタ型の感染拡大が深刻になった9月初旬の半分以下まで減ったもの、足元では7万人前後で横ばいが続く。
北半球はこれから本格的な冬の季節を迎え、ワクチンの効力も時間の経過とともに低下するとのデータも出ている。
欧州連合(EU)は、強権政治を続けるベラルーシのルカシェンコ政権が意図的に欧州に移民を送っていると非難し、加盟国に制裁拡大を呼びかけた。
7日に実施された大統領選挙で現職のオルテガ氏(75)が当選した。ニカラグアの選挙管理当局が8日、76%の得票率でオルテガ氏が当選したと発表した。だがオルテガ氏は事前に有力な対抗馬を拘束しており、米国や欧州連合(EU)は相次ぎオルテガ氏を批判する声明を出した。
選挙管理当局は投票率が65%だったと発表したが、ニカラグアの市民団体は実際は2割に満たないと推計している。地元メディアは選挙管理当局による得票率の集計に疑問を投げかけている。
調査対象の13社のうち11社が前年同月を下回った。米ゼネラル・モーターズは69%減と最も落ち込みが大きかった。日本の日産自動車は18%減と落ち込み幅は前月に比べて縮小した。トヨタ自動車は6%増と増加に転じた。1~10月の累計では252万488台と前年同期比で2%伸びた。
「投資家のリスクセンチメントが悪化したり、新型コロナウイルス感染封じ込めの進展が鈍るか、景気回復が失速したりすれば、資産価格は大幅下落に見舞われやすい状況が続いている」
新たに台頭しつつある脅威として法定通貨などの資産価値に連動するステーブルコインを挙げるとともに、中国の商業不動産部門の脆弱(ぜいじゃく)さが劇的に高まれば米国に波及する恐れがあると分析。さらに、トレーディングにおけるソーシャルメディアの影響が大きくなるのに伴い、今年のミーム株を巡る熱狂と同じような「予測し難い」ボラティリティーの高まりが一段と頻発する可能性があるとしている。
FRBが懸念を抱くもう1つの分野として、中国不動産部門の混乱と同国規制当局が中国恒大集団など高レバレッジ企業に重点を置いている点を指摘。「中国の金融面のストレスはリスクセンチメントの悪化を通じて世界の金融市場を緊張させたり、世界的な経済成長のリスクとなったり、米国に影響を及ぼしたりする恐れがある」との分析を示した。
DJによると、免許に関する新たな取り決めの下、教育関連企業は補習事業を非営利で運営する必要があるが、職業試験を目指す成人向けの学習指導など他の事業で利益を得ることは認められる。
●市況
日経先物(大証)29645、ダウ先36259、債先151.81、米1.488、独▲0.2425、仏0.101、西0.435、伊0.888、原油81.97、ドル円113.18、墨ペソ20.34、トルコリラ9.6956、墨CDS95
※11/9 9時30分頃

備忘録(11/5-7)
●エバーグランデ
中堅不動産で債務不履行(デフォルト)が相次ぐなど資金繰りに窮する実態が浮き彫りになり、市民の財産に影響が及ぶのではないかとの不安が頭をもたげる。大手の中国恒大集団を震源地とした不動産問題の収束はみえない。
中国メディアによると佳兆業側は支払期限が到来した元本や利息を繰り延べて返済する案を説明したが、多くの投資家は納得しなかった。
中国の不動産開発会社、陽光城集団(ヤンゴー・グループ)は19日に期限を迎えるオンショア債券(7.8%クーポン、残高はおよそ1億ドル)の償還を1年間延期することで投資家と合意した。関係者2人が5日、ロイターに明らかにした。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が文書を引用して報じたところによると、佳兆業は深圳で広さ計145万平方メートルの不動産プロジェクト18件を売りに出した。一方、中国メディアの財聯は、華潤置地など国有企業がこれらのプロジェクト取得に向けて交渉中だと伝えた。
SCMPは事情に詳しい複数の関係者の話として、佳兆業が来月にも資産売却を始め、来年末までに完了する計画だと報道。同社に今回の報道についてコメントを求めたが、今のところ返答はない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
国内線の需要が大きい米国勢はすでに四半期ベースで黒字に転換している。日本では国内線の回復が遅れているうえ、国際線への依存度が高い収益構造も立て直しの壁になっている。
「脱炭素に必要なSAF(再生燃料)の推進や空港設備の共用などでさらに協力を進められる可能性は十分にある」と話した。新型コロナウイルス禍で事業環境が厳しい中、世界的に供給が少ないSAFの調達拡大に向けた取り組みや、地方空港の設備共用など、効率向上につながる協業拡大に意欲を示した。
投資調査会社レッドエックス・リサーチのアナリスト、カーク・ブードリー氏はリポートで、同ファンドが出資する上場企業ポートフォリオ全体の7-9月期の損失を183億ドル(約2兆円)と予想した。ソフトバンクG本体の損失については、14億ドルとの見方を示した。「中国のエクスポージャーが主なドライバーだが、クーパンも3月の高値から下降スパイラルに入っている」とも指摘した。
ビジョン・ファンド事業は2020年1-3月期に1兆円を超す赤字を計上したのを最後に、5四半期にわたり黒字基調を継続してきた。今年1-3月期の黒字額は、投資先の評価損益の増加などで3兆円以上に膨らんだ。
●その他産業
●決算関連
発電所の耐震基準引き上げに伴う更新工事が伸びた。新型コロナウイルス禍からの経済再開で工場設備の受注も回復し、コロナ前の19年4~9月期の105億円の営業黒字を上回った。
純利益が6社そろって増加した。石油化学製品の市況上昇が利益を押し上げたほか、自動車部材や半導体材料の需要回復が寄与した。22年3月期通期の見通しも5社が上方修正している。もっとも原材料高など懸念要素が少なくなく、下期の減速を警戒する声もある。
2022年3月期の連結最終損益(国際会計基準)が2500億円の黒字(前期は218億円の赤字)になりそうだと発表した。従来予想を100億円上回る。北米の鋼材市況が好調で商社部門による鋼材販売が上向く。一方、鉄鋼事業はスクラップ価格の高騰などをうけ、利益予想を据え置いた。
従来予想を1150億円下回り、一転して最終減益となる。トヨタ自動車などの競合よりも半導体不足による減産幅が大きい。部品調達網の見直しを急がないと、不振が続く主力の四輪車事業の立て直しが遅れかねない。
●マクロ・その他
第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が8日、開幕する。共産党にとって3度目の「歴史決議」を採択する見通しだ。習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は自らの権威を高め、来年秋の党大会で異例の3期目続投を狙う。
中国国家電網は、管轄地域における電力需給状況が正常に戻り、電力ギャップが大幅に縮小したと明らかにした。国営の新華社通信が報じた。
管轄地域における発電用石炭(一般炭)の在庫は9930万トンに回復し、一般炭の利用可能日数は20日に増加した。
輸出は前年同月比27.1%増の3002億ドル/輸入は20.6%増の2156億ドルだった。輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は845億ドルで、5割近く増えた。新型コロナウイルスがまん延する前の19年10月と比べると、輸出は41%、輸入は26%それぞれ増えた。
輸出を品目別にみると、パソコンと衣類がそれぞれ前年同月より2割増え、9月から伸びを拡大させた。マスクなど織物は新型コロナ特需の一巡で9月まで減少が続いたが、10月は7カ月ぶりに増加に転じた。
輸出は3割近い伸びを続けているが、主因はコスト高に伴う輸出製品への価格転嫁だ。半導体など世界的に価格が上がり、製品価格に反映しやすかったもようだ。
公表済みの9月分をみると輸出価格指数が10.6%上がったのに対して、輸出数量指数は8.4%の上昇にとどまった。数量の伸びが価格の伸びを下回るのは新型コロナの打撃から輸出が回復し始めた20年6月以来だ。10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)をみても、海外に限った新規受注は6カ月連続で節目の50を下回っている。先行きの海外への出荷状況が芳しくないとの回答が目立っている。
中国国内の電力制限も工場の稼働率低下を通じて、輸出量の伸びを抑える要因だ。海外のサプライチェーン(供給網)復旧に伴い、新型コロナ後に中国に代替発注していた分が再び海外に分散する可能性がある。こうした要因も中国からみれば、先行きの海外受注動向を不透明にする。
中国経済は、資源高で企業収益が悪化し設備投資が落ち込んでいる。雇用や所得の回復がもたつく家計部門も、新型コロナの感染再拡大に伴う移動制限が加わり、消費は力強さを欠く。政府の規制強化で不動産市場も冷え込んでおり、内需は停滞している。数量ベースでみた外需が振るわなければ、景気回復の不安材料となりかねない。
今年は例年とは違う側面もみえる。特にアリババは「緑色的(エコな)双十一」と「公益的双十一」というキーワードを自社アプリなどで繰り返し訴える。いずれも習指導部が唱える方針を前面に打ち出した格好だ。
中国は60年に二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロを目指している。今年8月には貧富の格差を是正するため所得の分配を呼びかける「共同富裕(共に豊かになる)」の方針も掲げた。今年のアリババのセールでは、こうした方針を強く意識した施策が多い。
アリババが政府の方針を強く意識する背景には、ネット統制がある。10月末には当局がアリババなどのネット大手を集め、独身の日に違法行為を行わないように指導しており、当局の監視の目はこれまで以上に強まっている。
クレジットカードなどの「リボルビング払い」ローンは11.8%増で、前月(3.4%増)から急伸した。自動車ローンや教育ローンなどの「非リボルビング払い」ローンも7.2%増えた。
四半期ベースでは6期連続の黒字で、収益率は0.98%。現在の運用体制になった01年度以降の累積収益額は102兆1946億円に上る。
道路や橋、公共交通などの整備に5500億ドル(約62兆4000億円)を投じる内容で、下院採決では共和党議員13人が賛成する一方、民主党からは6人の造反があった。民主党進歩派と穏健派の対立で数カ月にわたり滞っていた法案の議会通過は、支持率低下にも見舞われていた大統領にとって勝利を意味する。
ただバイデン大統領とペロシ下院議長は、政権の優先的な経済施策のもう1本の柱である1兆7500億ドル余りの税制・支出法案の同時採決には至らなかった。下院はその代わり、来週の休会後、議会予算局(CBO)のコスト分析も示されから法案採決を行うとする手続き上の措置を承認した。
こうした手順は、CBOの分析なしでは税制・支出法案に賛成票を投じることはないとした民主党穏健派議員の小グループへの瀬戸際の妥協であり、進歩派は同法案の採決に先立ってインフラ法案の可決に応じることで歩み寄った。
利上げ時期を決断するために必要な証拠は英労働市場が提供するだろうと述べ、当局は必要になった時に利上げを封印することはないと言明。労働市場が4日の据え置き決定で最も重要な要素だったとし、中銀は行動する前に新型コロナウイルス不況対策の雇用支援終了の影響についてより多くの情報が必要だと説明した。
10月は娯楽・ホスピタリティーの雇用が16万4000人増。専門職・ビジネスサービス、運輸・倉庫などでも大幅に増えた。人材派遣の雇用は2月以来で最大の伸びとなり、企業が年末商戦に向け労働者の確保に成功していることが示唆された。製造業の雇用は6万人増で、昨年6月以来の大きな伸び。自動車メーカーでの雇用急増を主に反映した。運輸の雇用増と共に、サプライチェーンのボトルネック緩和につながる可能性がある。
今回の統計は雇用市場の状況が従来の想定よりも明るいことを示唆している。新型コロナ感染者数の減少やより高い賃金の提示が寄与し、雇用主の人員確保が進んでいる。ただし、労働市場を退出した人はまだ多く、労働参加率はここ数カ月ほぼ横ばい状態が続いている。
平均時給は前年同月比で4.9%増と、2月以来の大幅な伸び。人材不足が続く中、労働者が昇給を要求できていることを浮き彫りにしている。
週平均労働時間は34.7時間と、前月の34.8時間から減少した。
2017年、馬氏はニューヨークへ飛び、米大統領就任を2日後に控えたトランプ氏と、トランプタワーで2者会談を行った。そして米国に100万人の雇用を創出すると約束した。この派手な外遊が、中国政府を憤らせることになった。政府がこの会談と、雇用に関する約束について知ったのは、一般人と同じく、馬氏がトランプタワーで記者団の質疑に応じる様子がテレビ放映された時だった。アリババに近い関係者4人と中国政府筋1人が明らかにした。
アリババの関係者2人によると、同社はこの後政府高官らから、事前の承認なしに馬氏がトランプ氏と会ったことを政府は不快に思っている、と告げられた。
トランプ氏は大統領選挙戦中、中国が米国の雇用喪失を招いたとの批判を展開していた。馬氏との1月9日の会談は、米中間の緊張が高まっていた最中のことだった。
アリババ関係者4人は、この会談をきっかけに馬氏と中国政府の関係が暗転したとみる。
かつて政府の寵愛を受けた馬氏の転落ぶりは、習近平国家主席の下で中国がいかに変容したかを物語っている。前代未聞の3期目に突入する習氏は今、中国屈指の革新的企業のいくつかに対して締め付けを強めている。
馬氏は渡航して外国首脳と定期的に交流し、海外から杭州市のアリババ本部を訪れるVIPも後を絶たなかった。2018年から2020年にかけては、グテレス国連事務総長、ヨルダンのラニア王妃、マレーシアのマハティール前首相など、そうそうたる顔ぶれと会談を持った。馬氏は、外国政治家との会談を中国のための「非公式外交」と位置づけ、楽しんでいたという。
馬氏は続いて今年、習氏に直接書簡を送り、残りの人生を中国農村部の教育に捧げたいと申し出た。馬氏は元英語教師。習氏は5月、中国高官らとの会合で書簡に言及したという。
アリババの共同創業者である蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)副会長は6月、珍しく馬氏に関してCNBCのインタビューに答え、「彼は今、身を低くしている。私は毎日彼と話をする」とした上で、「ジャックが強大な権力を握っているというのは当たらないと思う」と付け加えた。「彼はあなたや私と同じく、ごく普通の一個人だ」と蔡氏は語った。
●市況
日経先物(大証)29695、ダウ先36173、債先151.95、米1.455、独▲0.2870、仏0.052、西0.389、伊0.876、原油81.17、ドル円113.40、墨ペソ20.34、トルコリラ9.6954、墨CDS102
※11/5NY引値

備忘録(11/4)
●エバーグランデ
同社が保証する「理財商品」を購入した投資家ら数百人が4日、広東省深圳市のオフィスに集まり、償還計画を明らかにするよう求めて抗議した。4日の香港市場で同社の株価は上場来安値を更新した。
一部報道によると、佳兆業の幹部は同日、投資家に支払期限が到来した金融商品の返済計画を説明した。元本については、支払期限の当月に10%を返済し、その後は3カ月ごとに10%ずつ返す。利息については、元本の返済後、3カ月ごとに25%ずつ支払う。
元本や利息を払う原資となる資産として、十分な不動産を保有しており、今後処分を進めていくとも説明した。同社が保証する金融商品の資産規模は127億元(約2300億円)という。これで投資家の納得を得られるかどうかは不透明だ。
佳兆業は2015年にオフショア社債がデフォルトに陥った。その後、経営再建に成功したものの、市況悪化を受けて資金繰りが厳しくなった。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
英国はこれまでにコロナ治療の新薬2つ、メルクとファイザーの経口薬を確保する取引を結んだと発表。確保分はメルク製が48万回治療分、ファイザー製が25万回分としている。治験データに基づくと、感染初期に服用すればメルクの経口薬が最も効果的であることが分かったと、MHRAは指摘した。
●その他産業
投資銀行部門はヘッジファンド関連業務(プライムブローカレッジ)から撤退し、新興国での融資や複雑なデリバティブ(金融派生商品)は縮小。安定した収益が見込める資産運用分野に軸足を移す。
●決算関連
旅客運輸収入は当初計画より48億円引き下げ、71億円の黒字としていた従来の見通しから引き下げた。移動自粛の影響が長引き、鉄道需要の回復遅れが響く。
純利益が前年同期比2%減の3072億円だった。同期間として2年連続の減益となる。在宅勤務の拡大でクラウドサービスなど法人事業が伸びたが、低価格の通信プランの利用者が増えるなどモバイル事業で4~9月に約260億円、通期で計700億円の減益要因になることが押し下げた。
売上高は12%増の2兆7242億円と4~9月期で過去最高だった。デジタル化の加速でクラウドやセキュリティーサービスを提供する法人事業が5%増の3509億円。ヤフー・LINE事業は電子商取引(EC)の拡大などで35%増の7510億円となった。モバイルを含むコンシューマ事業は携帯端末の販売回復で6%増えた。
新型コロナウイルスの感染拡大で延期されていた治療が本格的に再開され、心臓や脳の血管の治療に使うカテーテル(医療用細管)など主力製品の販売が伸びた。
同日の会見で財務担当の武藤直樹執行役員は「下期も症例数の回復が継続する見通しで、業績も成長軌道に乗る」と述べた。22年3月期の連結業績見通しは従来の予想を据え置いた。
今期見通しの上方修正はすでに3回目。3社合計のコンテナ船事業の経常利益は1.3兆円近くにのぼり、前期の3.6倍にまで膨れ上がる。突如訪れた「海運バブル」で稼いだ利益を脱炭素に向けた投資に振り向けられるかが、各社の中長期の競争力を左右する。
ONEからの持ち分法投資損益は営業外で計上する。経常利益に占めるコンテナ船事業(ターミナルなど含む)の割合は日本郵船が72%、商船三井が85%、川崎汽船が95%となる。
需給のギャップが埋まらず、コンテナ船運賃も高止まりする。日本海事センターによると、アジア発米国向けの20フィートコンテナ1個あたりの運賃は9月時点で3月から3倍超まで上昇した。新型コロナ前の19年9月と比べると約6倍の水準だ。5月時点では3社合計の今期のコンテナ船事業の経常利益は1420億円の見込みだったが、運賃の市況の高騰で約9倍となり、業績を大きく押し上げる。
もっとも、株式市場の見方は厳しい。日本郵船も川崎汽船も4日の決算発表後に株価が下落に転じ、一時は前営業日比10%安となった。同日昼に発表したONEから3社への配当金についてJPモルガン証券の姫野良太シニアアナリストは「市場の期待に届かなかったことが響いたのではないか」と見る。
ONEの配当金が少ないと、各社の成長に振り向ける資金も少なくなる。荷主からの要請もあり、脱炭素に向けた投資を急いでいるからだ。3社は50年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにすることを目指している。達成に向けては各社の本業の自動車運搬船や大型ばら積み船などで燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないアンモニアや水素燃料船への切り替えが不可欠だ。
本業のもうけを示す今期の3社合計の連結営業利益見通しは期初時点の見通しに比べて3倍の2800億円と、経常利益見通しの5.5倍に比べて伸びが小さい。コロナの影響が薄れコンテナ船の運賃市況が正常化すれば、本業の実力が問われることになる。中長期で収益構造を安定するための投資を実行できるかが今後の課題となる。
工場閉鎖など損益分岐点を引き下げる事業規模縮小の構造改革が奏功した。スマートフォンがカメラ市場を侵食するなか、出遅れたミラーレス一眼カメラで回復の兆しが見え始めている。
白物家電が高付加価値モデルを中心に好調が続いているほか、液晶ディスプレーは車載向けなどで増えた。国内外で複合機も伸びた。
新型コロナウイルスの感染拡大による在宅勤務の定着などでパソコン需要が伸び、四半期ベースで過去最高を記録した。
事業別でみると、パソコンが主力で全体の8割強を占めるインテリジェント・デバイス事業の売上高が21%増の153億ドルと大幅に伸び、利益も34%増えて全体をけん引した。収益の課題だったスマートフォンの売上高が27%増の19億ドルと好調で、利益も3倍近くに膨らんだ。タブレットの売上高は2割伸びた。
成長分野と位置付けるソリューション・サービス事業の売上高は30%増の13億ドルで、利益は32%伸びた。楊CEOは「レノボのすべての製品をサービスとして提供していく」方針を示しており、パソコンなどをソフトなどとのセットで、利用した分だけ課金するサービスへの転換を目指す。
営業利益予想を2兆8000億円と従来計画の2兆5000億円から上方修正した。足下では半導体など部品不足の影響で減産が続くが、為替の円安方向などが追い風になるとみている。
トヨタの発表資料によると、通期の想定レートを従来の1ドル=105円から110円に修正。為替変動による影響で営業益が従来予想から4300億円上振れる。
CFOは同日のオンライン会見で、上期(4-9月期)は「新車市場の需給ひっ迫による、中古車価格の高止まりや販売費の低下といったプラス効果もあり、実力以上の部分もある実績」と評価。上方修正した通期予想についても為替変動による押し上げ影響があることから、「まだまだ課題があると受け止めている」と語った。
●マクロ・その他
景気が想定通りに推移すれば「物価上昇率を2%の目標へ持続的に戻すため、今後数カ月で政策金利の引き上げが必要になる」と表明した。供給制約やエネルギー高を受けて物価見通しを大きく上方修正し、インフレ警戒を鮮明にした。今回は政策金利を過去最低の年0.1%に据え置いたほか、国債や社債の購入枠の上限を8950億ポンドで維持したが、近い将来の引き締め転換を事実上予告した。
大方の委員は金融引き締めの見送りに投票したが、これは新型コロナの一時帰休支援制度が9月末で終わった影響の評価を待つ必要があると判断したためだ。経済が見通し通りなら数カ月以内に利上げが必要だと「委員会で判断した」としており、現状維持に投票した委員も近く引き締めるべきだとの考えを共有したもようだ。
世界食料価格指数は10月に、前月から3%上昇して10年ぶりの高水準に達した。FAOのリポートによれば、10月の上昇は主に穀物や植物油のコスト高が原因。新型コロナウイルス禍が既に家計を圧迫している中で、食費は今後さらにかさむ恐れがある。
今年は悪天候で収穫が打撃を受けた。輸送コストも上昇し、労働力の不足に伴い供給網は大きく乱れている。エネルギー危機も問題を深刻にしている。
中道左派、社会党のコスタ首相が率いる政府が22年度予算の承認を議会で得られなかったため、民意を問うことにした。
与党社会党は議会で半数以下の108議席しか持たず、急進左派政党の協力を得て法案を通してきた。だが急進左派政党は22年度予算案を「国民の暮らしを十分に助けていない」などと主張して支持せず、政権運営が行き詰まっていた。
コスタ氏は15年から首相で、移民問題、食料政策などの分野で親欧州連合(EU)の立場を取ってきた。前回総選挙は19年で任期4年のため、本来なら次回選挙は23年のはずだった。
OPECプラスは4日の会合を早々に終了し、12月に生産を日量40万バレル引き上げる計画を承認した。多くの石油消費国はこのペースでは需要を満たせないとしており、米国は最大2倍のペースでの増産を求めている。
OPECプラスは声明で、「安定的かつバランスのとれた石油市場を確保する」ための合意だと説明。一部エネルギー市場での「極端なボラティリティーと不安定さ」を指摘しつつ、それらの問題は「石油市場の境界線外」にあると結論づけた。
OPECプラスは4日、オンライン形式で閣僚協議を開き、毎月日量40万バレルずつ増産する従来の方針を12月も維持すると再確認。
米国家安全保障会議(NSC)の報道担当者は4日、原油高をめぐり「需給のミスマッチが世界経済の回復を危うくしてはならない」とコメント
ジャンピエール米大統領副報道官は4日の記者会見で原油高に対処するため「可能な限りのあらゆる手段を使っていく」と強調した。石油戦略備蓄の放出の可能性についても否定しなかった。
習氏は4日夜、上海で5日開幕する「中国国際輸入博覧会」を前に行われた式典で、デジタル経済や貿易、環境、産業補助金、国有企業といった問題に関する交渉に中国は「積極的でオープンな」姿勢だと述べた。
習氏は成長が最近減速している中国経済の状態について直接言及することはなかった。一方で輸入拡大に向けた多数の措置を挙げ、近隣諸国からの輸入増加や、外資参入を制限・禁止する「ネガティブリスト」のいっそうの縮小などに触れた。
●市況
日経先物(大証)29648、ダウ先36015、債先151.75、米1.549、独▲0.2250、仏0.114、西0.449、伊0.936、原油80.03、ドル円113.78、墨ペソ20.57、トルコリラ9.7043、墨CDS105
※11/5 9時30分頃

備忘録(11/2-3)
●エバーグランデ
4分の1にあたる29社が最終赤字となった。社債の債務不履行(デフォルト)を繰り返している華夏幸福基業は134億元(約2400億円)の最終赤字だった。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ドリームライナーと呼ばれ米ボーイングの稼ぎ頭と期待された787が市場に投入され10年。ANAホールディングスが大量に導入したほか、機体の35%を三菱重工業や川崎重工業、スバルなど日本企業が製造する。受注機数は1400機を超えたが、電池の不具合や新型コロナウイルス禍とその道のりは平たんではなかった。足元でも製造品質問題を抱え、難路が続いている。
米ボーイングは次世代の小型機の開発を検討する。シニア・バイス・プレジデントのイフサン・ムニール氏は日本経済新聞の電話取材に応じ、「やるなら小型機737MAXと中型機787の間の大きさの飛行機になる」と話し、市場調査を進める考えを明らかにした。
●その他産業
電子部材を手がける米ロジャースを52億ドル(約5900億円)で買収すると発表した。電気自動車(EV)向け部材など高付加価値分野の品ぞろえ強化につなげる。2022年4~6月期中の手続き完了を見込む。
ロジャースは電気自動車(EV)や高速通信規格「5G」関連機器向けの高周波用プリント基板材料など、高機能・高付加価値の先端電子部材に特化している。21年通期の売上高見通しは約9億5000万ドル。
デュポンはEV向け部材など高付加価値製品を成長分野と見なし、事業シフトを進めている。2日にはロジャース買収の発表と併せ、傘下の主要3部門のうち高機能樹脂や接着剤を手がける「モビリティ&マテリアルズ」について大幅な事業の絞り込みを進める計画も明らかにした。
レンタカー大手の米ハーツ・グローバル・ホールディングスに10万台の電気自動車(EV)を供給する計画について「まだ契約は締結されていない」とツイッター上で明らかにした。2日の米株式市場でテスラ株は一時、前日比5%安になった。
マスク氏は「テスラは生産台数より需要のほうがはるかに多い。ハーツには消費者向けと同じ利幅でしか車を売らない」と述べた。米メディアによると、ハーツ側はテスラからの納車がすでに始まっていると説明しており、両者の主張にはズレがある。
ヤフーの広報担当者は日本経済新聞の問い合わせに対して「中国で事業や法律の環境が厳しさを増していることを受け、11月1日に本土からサービスにアクセスできないようにした」と説明した。「引き続き、利用者の権利保護と自由で開かれたネットの実現に取り組んでいく」としている。
ヤフーは1990年代に中国でサービスを始めたが、規制や競争の激化を受けて2010年代半ばからは現地拠点を閉鎖するなど事業規模を縮小していた。直近では天気アプリや技術ブログ「エンガジェット」の中国版などを提供していたが、エンガジェットのサイトでは「中国版の記事更新を11月1日に終えた」と説明している。
規制強化を受け、米マイクロソフト傘下でビジネス向けSNS(交流サイト)を運営する米リンクトインも10月半ば、中国版を年内に閉鎖すると発表している。リンクトインは中国で5000万人程度の利用者を抱えていた。一方、ヤフーは事業規模が小さく、実質的な経営への影響はほとんどないとみられる。
プライムブローカレッジのさらなる資本縮小と新たな人員削減の計画を発表する見込み。米銀勢に対抗できそうにない資本集約型の分野から手を引く狙いがある。
5世代(5G)移動通信ネットワーク向け機器の需要急増や新たな市場での事業推進が寄与した。
●決算関連
22年3月期の連結売上高は前期比59%増の7660億円。本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前損益)は1980億円の赤字(前期は3983億円の赤字)を見込む。最終赤字は2期連続。新型コロナウイルス禍で運航停止が長期化している国際線を中心に回復が遅れる。
22年1~3月期に国内線の旅客需要がコロナ前比で9割まで回復すると見込み、資金流入に転じるとの見通しも示した。22年1~3月期に月次EBITで黒字化を目指し、23年3月期に年間で最終黒字への転換を目指す。
採算性の高いスマートフォンの電池向けに半導体が伸びる。世界的なデジタル需要の拡大を背景にデータセンターに使う軸受け(ベアリング)なども好調に推移する。
2021年7~9月期決算は、最終損益が25億4400万ドル(約2900億円)の赤字(前年同期は4億5000万ドルの赤字)だった。天然ガス相場の急騰で、在庫のリスク管理に使うヘッジ取引に会計上の評価損が発生した。特殊要因を除く調整後の純利益は前年同期比39倍の33億2200万ドルとなり、収益力は大きく回復した。
石油や天然ガスなど資源相場の上昇でエネルギーの販売価格が高まり、精製の利ざやも改善した。本業で稼いだ現金を示す営業キャッシュフローは59億7600万ドルの黒字で、黒字幅が15%増えた。
収益環境の改善を踏まえ、22年初めにかけて12億5000万ドル規模の自社株買いを追加で実施すると表明した。
自動車や家電向けの高機能樹脂などが好調だった。前年同期に計上した米炭素繊維子会社での減損の影響がなくなったことや持ち分法による投資利益の増加や法人所得税費用の減少も寄与した。
石油化学製品の市況上昇や自動車向け部材の販売増、アルミナ繊維事業の売却益計上が寄与する。業績好調を受け、年間配当を従来計画より6円多い30円(前期は24円)とした。
食料や自動車関連などの好調で従来予想を800億円上回る。総合商社で初の7000億円台に達するなど好調だ。一方、今回は鉄鉱石価格の下落などを踏まえて、金属資源の利益予想を据え置いた。「資源バブル」の終わりを見据えると、収益貢献が相対的に小さい非資源分野の底上げが必須になる。
銅や原油・ガスなど資源価格の上昇で資源分野の採算が上向く。食料やアグリなど非資源分野も伸びる。
2021年7~9月期の連結決算は、最終損益が7200万ユーロ(約95億円)の赤字だった。四半期ベースで7期連続の最終赤字だが、赤字額は前年同期の約27分の1まで減らし黒字化が近づく。売上高は52億700万ユーロと、新型コロナウイルスで落ち込んでいた前年同期の約2倍に増えた。ワクチンの普及で夏に消費者の旅行意欲が高まったほか、渡航制限が一部緩和されたことで期中の旅客数は1962万人と2.3倍になった。
搭乗率も16ポイント上昇し69%になり、営業損益に相当するEBIT(利払い・税引き前損益)は900万ユーロの赤字だった。リストラ費用を除く調整後のEBITは2億7200万ユーロの黒字と、新型コロナの感染拡大後初めて黒字に転換した。
10~12月期も回復が続くと見込む。9月末時点での予約数はコロナ前の19年の同時期の約8割の水準まで回復した。8日に欧州の旅行者に対する米国の入国制限が大幅に緩和されることも追い風とみる。
出張利用などの法人旅客数は21年10~12月に19年の4割だが、22年通年では6割まで戻るとみている。輸送能力を示すASK(有効座席キロ)は21年通年に19年の約4割になる見込み。22年は通年で19年の7割以上を見込んでいる。
売上高は5%増の274億7100万ユーロ、乗用車の新車販売台数は59万3177台と12%減った。半導体不足で世界的に新車が不足するなか、単価の高い車種の生産を優先したほか値引きも減った。営業利益に相当するEBIT(利払い・税引き前利益)は50%増の28億8300万ユーロだった。経営の指標とする自動車部門の売上高EBIT比率は7.8%と1.1ポイント上昇した。12月期通期では9.5~10.5%になると見込む。9月末に従来の7~9%から引き上げた予想を維持した。
マリオットの7~9月期は、売上高が39億4600万ドル、純利益が同120%増の2億2000万ドル。
ハイアット・ホテルズの7~9月期は、売上高が前年同期比で約2倍の8億5100万ドル、最終損益が前年同期の1億6100万ドルの赤字から1億2000万ドルの黒字に転換。
ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスは、売上高が前年同期比87%増の17億4900万ドル、最終損益が前年同期の7900万ドルの赤字から2億4100万ドルの黒字に転換。
米国ではコロナ感染が一服した春以降、個人旅行が活発になり7月にかけて航空や宿泊市場が急回復した。だが、デルタ株の感染拡大が深刻化した8月以降、企業がオフィス再開や出張の再開の先延ばしを相次ぎ発表。ビジネス需要の回復は遅れていた。
マリオットからはビジネス予約が徐々に戻り始めたと期待を示した。米国を中心にデルタ株の感染拡大が落ち着いており「需要回復は今後も続く」と指摘。ヒルトンはビジネス需要が「19年と比べ、4割程度の落ち込みで推移している」としながらも、足元では「中小企業がけん引する形で需要が伸び始めた」と述べた。現時点で出張などの再開に慎重な大企業も「今後は(旅行市場への)参加が進むだろう」と期待を示した。
●マクロ・その他
米企業の2021年7~9月期の決算発表では、商品・原材料の調達難とコスト上昇を懸念する経営陣からの声が相次いだ。値上げによってコスト高を吸収する動きが定着しつつあり、年末にかけてインフレ圧力がさらに強まる可能性がある。
バイデン氏は「(自身が)姿を示すことで世界が米国の指導的役割をどう見ているかに大きな影響を与えた」と指摘した。「中国は世界のリーダーとして新たな役割を主張しようとしているが姿を見せない。どうやってリーダーの役割を果たせるのか」と断じた。
ロシアのプーチン大統領に対しても「深刻な気候問題を抱えているにもかかわらず、何かをする意思があるかどうか口を閉ざしている」と非難した。
前年割れは3カ月連続。半導体不足による減産の影響が続き、9月の23%減から下げ幅が拡大した。
仏紙ルモンドによると、訪問は3日間。偽情報など外国からの干渉といった問題を担当する委員会に所属する7人が台湾を訪れ、閣僚を含む複数の高官に会う予定だという。経済協力や地域情勢について話し合う。
ロウ総裁は記者会見で、「経済状況の改善とインフレ目標に向けて予想よりも早い進展があったことを反映したものだ」と説明。0.1%という利回り目標を維持するのは「持続可能ではなく、恩恵よりはコストが大きくなる」と話した。
10月以降は中期債の利回りが中銀の目標を上回ることが増えていた。10月28日には中銀が金利を抑えるための国債買い入れを実施せず、利回りが急騰。誘導の対象としていた24年4月償還の国債利回りは足元で0.7%まで上昇していた。
利上げに関しては、24年よりも早い段階で適切になる可能性があると指摘したほか、政策金利は過去最低の0.1%を据え置いた。週40億豪ドル(3400億円)ペースでの国債の買い入れは「少なくとも22年2月半ばまで続ける」との従来姿勢を維持した。
ロウ総裁は今後の利上げについて声明で、従来の「24年よりも前に条件が整うことはない」との文言を「しばらく時間がかかりそうだ」と変更した。
英調査会社キャピタル・エコノミクスのマーセル・ティエリアント氏は中銀が「(来年)2月に国債の購入額を週40億豪ドルから30億豪ドルに減額し、8月には完全に止める」と指摘、最初の利上げは23年早期になるだろうとの見通しを示した。
20年11月の大統領選では、バイデン氏がバージニア州で約10ポイント差をつけて共和党のトランプ前大統領に勝利した。単純比較は難しいが、有権者がバイデン氏の政権運営に不満を強めて共和党支持に回った可能性が高い。
ヤンキン氏は、共和党で高い人気を誇るトランプ氏への支持を強くアピールせず、無党派層を取り込む戦略をとった。ヤンキン氏の勝利はトランプ氏の人気に頼りがちだった共和党の選挙戦略に一石を投じる可能性がある。
民主党のバイデン大統領の政権運営に対する有権者の不満を映し、マーフィー氏が優位との事前予想に反して接戦になっていた。
2日に本土で109人の感染者が出たと発表した。1日あたりの新規感染が100人を超えるのは8月10日以来、約3カ月ぶり。中国共産党は北京市で8~11日に重要会議を開く予定で、新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感を高めている。
10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で19.89%上昇。前月は19.58%だった。ブルームバーグがまとめたアナリスト20人の予想中央値は20.35%への加速が見込まれていた。前月比のインフレ率は2.39%、市場予想の中央値は2.8%だった。
項目別ではCPIの約4分の1を占める食料品が前年同月比27.41%上昇。前月は28.79%上昇だった。リラ安と供給問題が背景にある。同国中央銀行は先週、年末の食料品インフレ率予測を23.4%と、7月時点の予測(15%)から引き上げたが、10月は当局の見通しをなお上回った。
エネルギー価格のインフレ率は25.76%と、前月の22.77%から加速した。
変動の大きな食料品やエネルギーを除くコアインフレ率は16.82%と、前月の16.98%から若干低下した。
9月時点の東京のビルの賃料水準が10年ぶりに前年同期と比べ下がった。コスト削減に伴う面積縮小にとどまらず、在宅勤務の定着によるオフィス需要の変化が不動産市場の構造に変革を迫っている。
10月の非製造業景況感指数は66.7で、前月から4.8ポイント上昇した。上昇は2カ月連続で、2008年の統計開始以来の高さとなり、サービス業の好調ぶりを示した。
「新規受注」が6.2ポイント上昇の69.7、「企業活動・生産」が7.5ポイント上昇の69.8で、いずれも過去最高となり全体をけん引。
物流の乱れや品物・人手の不足で供給制約も一段と深刻になっている。「入荷遅延」は75.7で、過去最高だった2020年4月に次ぐ高さとなった。
「価格」は82.9に上昇し、物価上昇圧力は一段と高まった。
回答企業は「製造業者が注文に追いつかず、受注残が積み上がっている」(宿泊・飲食サービス)、「新しいビジネスは次々とくるが、供給業者からの入荷の遅れと新規労働者の不足のせいで断っている」(管理・支援サービス)と、供給制約や人手不足による苦境を伝える声が相次いだ。
政府は成人のコロナワクチン接種率が9割に達した10月に州を越える移動を解禁するなど、経済・社会活動の再開を進めており、22年の成長率は5.5~6.5%に高まると予想している。新型コロナの感染再拡大といったリスク要因は残るものの、景気をテコ入れするために政策金利を下げる必要性は薄れている。
世界的にインフレ懸念が高まっているものの、マレーシア国内の物価上昇率は「22年へ向けても適度な水準にとどまり続ける」として、金融引き締めを急ぐ必要はないとの認識を示唆した。
11月から、購入月額を米国債100億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)50億ドルの計150億ドルずつ減らす。経済が予想通り大きく進展するのであれば、毎月同じペースの減額が適切だとみている。それは22年の半ばにテーパリングを終えることを意味する。経済の見通しが変われば、このペースを修正する。我々がバランスシートの拡大を終えても、長期債の保有を増やしたことが緩和的な金融環境を支え続けるだろう。
「今回の会合はテーパリングを主眼においており、利上げではない。今は利上げする時期とは考えてはいない。雇用者数と労働参加率の両面において最大雇用に達しているとは言えない。供給制約は22年まで続き、物価上昇率を押し上げるだろう。パンデミックが収まれば供給制約が和らぎ、雇用も拡大し、物価も現在の高インフレの水準から下がるだろう。それは22年4~6月か7~9月とみる」
「利上げの時期は経済の先行き次第だ。辛抱強く待つことになるが、ためらうことはない。ビハインド・ザ・カーブ(景気拡大や物価の上昇に対して利上げが遅れる)の状況だとは思わない。金融政策は、(想定される)結果に対処するのに適切な立ち位置にある。我々は極めて透明性高くあるだろう。市場を驚かせたくはない」
ゼルマン氏は前回のような規模の市場崩壊が全米ベースで起きるとは予想していない。しかし問題の兆候は前回と似通っていると指摘。投資家が市場をゆがめて、居住目的の買い手の手が届かない水準にまで価格を押し上げているほか、受注残を抱えた建設業者が住宅用地の価格を競り上げているという。
投資資金が集中するアリゾナ州フェニックスなどの過熱地域は、「調整」に直面する可能性が高いと同氏は顧客に警告している。30年物の住宅ローン金利が小幅でも上がれば、それが4%への上昇であっても需要はストップするだろうとみている。
合計で40.31メガワットのモジュールが10月28日から11月3日まで引き留めを受けた。米市場への輸出は通常通り続いており、この引き留めは同社の操業に大きな影響を与えていないという。
米当局は中国の人権侵害を理由に太陽光発電メーカーに対する締め付けを強化。ロス・キャピタル・パートナーズは最近、隆基緑能科技について、米国の輸入制限の対象になる可能性を指摘していた。
●市況
日経先物(大証)29865、ダウ先36066、債先151.65、米1.595、独▲0.1680、仏0.183、西0.520、伊1.042、原油80.17、ドル円114.06、墨ペソ20.57、トルコリラ9.6440、墨CDS105
※11/4 9時10分頃

備忘録(11/1)
●エバーグランデ
中国の不動産会社、今月20億ドルの支払いに直面-恒大の子会社も6日
恒大の子会社の景程は2本のドル建て債のクーポン、計8250万ドルを6日に支払う必要がある。恒大のドル建て債の保有者は先週、遅れていた利払いを猶予期限切れぎりぎりで受け取り、恒大はデフォルト(債務不履行)宣言を回避したが、今月は支払いが遅れている別の1億4800万ドルの利払いで猶予期間が終了する。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、本土債とドル建て債を合わせて11月に支払いが必要な額は20億ドルを超える。先月は少なくとも4社がデフォルトし、中国恒大は2回、ぎりぎりでデフォルトを回避した。
11月は6日の景程の計8250万ドルのクーポン支払期限のほか、中国恒大の6890万ドル、4250万ドル、3675万ドルの利払いの猶予期間がいずれも10日に終了。
社債がディストレスト債の水準にある陽光城集団は傘下の陽光城嘉世国際などのクーポン支払いが10日と12日、17日にある。陽光城集団の人民元建て債6億300万元(約107億円)は19日が償還日。
格下げが相次ぎ苦境にある佳兆業集団は11日と12日にクーポン支払いがある。
中国の大手不動産会社、10月の住宅販売減少-経済成長の重しに
不動産調査会社の中国房産信息集団(CRIC)が1日発表したリポートによれば、国内不動産開発の上位100社が手掛けた新築住宅販売は10月に前年同月比32%減少した。前月比では1.4%増えた。
9、10両月は例年なら住宅購入の活発な時期。だが、3000億ドル(約34兆円)余りの負債を抱える中国恒大集団の流動性危機が広がり、住宅の購入意欲が損なわれている。
CRICはリポートで、不動産市場の見通しは芳しくなく、住宅販売が年末に向け引き続き減速する可能性があるとの見方を示した。
中国100都市の新築住宅価格、昨年2月以来の小幅な伸び=民間調査
10月の国内100都市の新築住宅価格は小幅な伸びにとどまった。厳格な借り入れ規制や信用のタイト化を背景に主要都市で需要が低迷した。
10月の新築住宅価格は前月比0.09%上昇。伸び率は9月(0.14%)から鈍化し、国内新型コロナウイルス流行期のピーク時に当たる2020年2月以来の低水準となった。
中古住宅価格は前月比0.04%下落。深センなど一部の都市で再販売価格を制限する政府の指針が示されたことなどを受け、20年6月以降初めてマイナスとなった。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ソフトバンクG、米ドアダッシュ株売却 2300億円分
ビジョン・ファンドが、保有する米料理宅配大手ドアダッシュの株式の一部を売却したことが分かった。売却額は約20億2800万ドル(約2300億円)にのぼる。同ファンドはドアダッシュが2020年12月に上場して以降、保有株を順次売却している。
タイ航空、1500億円コスト削減にめど 資金調達は未定
従業員を2019年に比べて半減させたほか、機材数も約半分に縮小する。事業継続に必要な500億バーツの資金調達はまだ固まっていない。
資金調達は22年1月までに民間金融機関と250億バーツの融資契約の合意を目指す。政府にも同額の資本注入の要請を続けるが、タイ政府は新型コロナ対策で財政が悪化しており、実現のめどは立っていない。
ソフトバンクGは4年前、30億ドル(現在のレートで3400億円)余りでのフォートレス買収で、同社の専門的な投資知識を当時設立中だったビジョン・ファンドの運用に生かす意向だった。
しかし、ソフトバンクGの計画通りには行かず、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)の承認を得るため、ソフトバンクGはフォートレスの日常業務管理を断念することに同意。2017年12月の買収手続き完了以降、フォートレスは独立して運営されてきた。
検討を開始した背景には、フォートレスとソフトバンクGの事業をうまく融合させられなかったことなどがあるという。
●その他産業
スポーツ飲料を手掛ける米ボディアーマーを完全買収すると発表した。すでに15%を保有するが、残りの85%を56億ドル(約6395億円)で取得する。
スポーツ飲料市場ではペプシコの「ゲータレード」が約7割のシェアを持ち、ボディアーマーは2位。コカ・コーラは「パワーエイド」を手掛けるが上位との差は大きい。コカ・コーラによるとボディアーマーは21年に14億ドルの売上高を見込んでおり、買収により一段の成長を促す。
同行は7-9月(第3四半期)決算発表に合わせて新戦略を打ち出す。アントニオ・ホルタオソリオ会長とトーマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)をはじめ取締役会メンバーが出席し、ロンドンで説明会を開く。
●決算関連
電子部品、EV・5Gで稼ぐ 4~9月、7社計の営業益最高に
日精工、今期純利益300億円に下振れ 自動車減産響く
従来予想を80億円下方修正した。半導体不足による自動車減産で主力のベアリング(軸受け)などの販売が減るのに加え、鋼材などの原材料や海上運賃の値上げも業績の下押し要因となる。
工作機械や半導体製造装置向けの軸受けなどの部品が想定以上に好調で、産業機械事業は売り上げと利益の予想を上方修正したが利益面で補いきれない。
●マクロ・その他
米製造業景況感、10月は60.8 供給制約続く
10月の米製造業景況感指数は60.8と前月から0.3ポイント低下した。
個別指数は「新規受注」が59.8で6.9ポイント低下し、「生産」も59.3で0.1ポイント下がったが、いずれも堅調さを維持した。供給制約が続いており「入荷遅延」は75.6%で2.2ポイント上昇した。「雇用」は52.0で1.8ポイント上向いたが、人手不足も続いており、離職や退職を懸念する企業の声が相次いだ。
また「価格」は85.7で4.5ポイント上昇した。ISMは、アルミニウム、鉄、銅、梱包資材、電子部品、エネルギー、一部プラスチック、貨物などが不足し価格が高騰していると指摘。「価格」は11カ月連続で70を超えており、物価上昇圧力が緩む兆しはみられなかった。
フランス先頭に原発へ回帰するEU(The Economist)
EUの政策決定に大きな力を持つ独仏2カ国は現在、原発を巡り真っ向から対立している。フランスが電力の7割強を原発で賄っているのに対し、ドイツは2022年までにすべての原発を閉鎖すると決めている。
独仏の原発政策を巡る対立が、従来では考えられない派閥をEU内に生んでいる。フランスとポーランドやチェコなどの東欧諸国は、普段はいがみ合う関係だ。仏政治家は総じて東欧諸国を金のかかるEUのお荷物とみなしており、同地域からの労働者の流入が自国労働者の賃金を引き下げているとみている。一方、東欧諸国は仏をロシアにこびる保護貿易主義国だと考えている。それでも原発を巡っては両者は盟友だ。
フランスはEU内での影響力をますます強めている。今やEUの多くの政策を巡る議論は仏の望む方向に進んでおり、EU各国が原発重視に再び回帰しつつあるのも、その一例だ。
ドイツで強硬な反原発である緑の党を含む新連立政権が発足する前に解答を出しておいた方がよいとも認識している。メルケル首相が退任する前に何らかの妥協案をみつけられれば、それは彼女のさらなる功績となるし、連立政権の一翼を担うことになる緑の党も、前政権が決めた既成事実だからもはや自分たちは何もできないと責任を負わなくてよくなる。
ドル・円ベーシスが1年ぶり低水準、国内勢の対外投資活発-チャート
企業の外貨調達ニーズが反映される5年物は一時マイナス40ベーシスポイント(bp)と約1年ぶりの水準を付けた。米金融政策正常化や新型コロナが収束の兆しを見せ始める中、日本企業によるドル資金調達ニーズの強まりが背景にある。日本企業の対外投資も活発化しつつあり、拡大基調は継続するとの見方が出ている。
中国ハイテク企業、経営陣交代相次ぐ-今度は快手科技CEOが退任
米ISM製造業景況指数、10月は60.8に低下-供給障害が長引く
10月の入荷遅延指数は5カ月ぶりの高水準となり、原材料のリードタイム(発注から納品までにかかる時間)が伸びていることを示した。労働力不足や断続的な操業停止、記録的な輸入を受け、全米の港湾施設が対応不可能に陥っており、出荷が遅延している。
中国国有の大手銀行、7-9月も利益回復続く-不良債権比率が低下
国内不動産市場の混乱が広がっているものの、与信需要が拡大し資産の質が向上した。
ただ、野村ホールディングスの陸挺氏らエコノミストは先月25日のリポートで、「中国の不動産セクターと経済全体が著しく減速し、債務不履行と不良債権がさらに増加するという見通しを維持している」と指摘。「力強い成長への逆風に対処するため、中国政府が金融・財政緩和を強化すると見込んでいるが、不動産セクターと炭素排出量が多くエネルギー集約度の高い産業に対する前例のない引き締め措置を緩める可能性は低いだろう」との見方を示した。
中国の銀行が抱える不動産セクター向けの融資残高は9月時点で51兆4000億元(約917兆円)余りと、1年前に比べ7.6%増加。公式データによると、不動産セクターへのエクスポージャーは他のどの業界よりも多く、中国の総貸し出しの約27%を占めている。
ライアンエア、ロンドン市場上場廃止を検討
売買高の減少が理由。欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)後の金融センターとしてのロンドンの地位に新たな打撃が加わることとなった。
マイケル・オレアリー最高経営責任者(CEO)は電話会議で「今後6カ月のうちに上場廃止になると思う」との見通しを示した。
財新の中国製造業PMI、10月は50.6 4カ月ぶり高水準
需要の拡大が寄与した。ただ、電力不足とコスト上昇が生産の重しとなった。
前年同月を上回るのは17カ月連続。7カ月連続で40億ドルを上回った。1~9月累計では373億3400万ドルと、前年同期比で25%増えた。米国で働くメキシコ人から母国の家族への送金が堅調だった。ただ米連邦政府は州による失業給付に上乗せする特別措置を9月に終了しており、伸び率は8月と比べると鈍化した。
アンゴラとナイジェリアが直面する生産面の障害に伴い、10月の供給拡大は予定していた量のわずか半分にとどまった。
アンゴラの産油量は7万バレル減の日量110万バレルと、今年記録した14年ぶりの低い水準に再び落ち込んだ。投資の制約で深海油田からの供給が減少している。
一方、ナイジェリアの10月の生産量は6万バレル減の日量144万バレル。5年ぶりの低水準だった8月を辛うじて上回った。英・オランダ系メジャー(国際石油資本)ロイヤル・ダッチ・シェルは先週、パイプライン停止後にボニー石油ターミナルからの輸出を中断する条項の発動を余儀なくされた。
ロシア産天然ガスをポーランド経由でドイツに運ぶパイプライン「ヤマル・ヨーロッパ」では、週末からドイツ方面へのガス輸送が止まっている。
ドイツのパイプライン運営会社のデータによると、ヤマル・ヨーロッパのポーランド国境に近いドイツのマルノウからドイツ国内へのガス流入が週末30日から止まり、以後再開されていない。ガスはマルノウからポーランド方面への供給に切り替えられ、少なくとも2日までこの状況が続く見込みという。
欧州の天然ガスの指標となるオランダTTF先物は1日、一時11%超上昇した後、5%高で引けた。トレーダーは、ヤマル・ヨーロッパのガスの供給方向が切り替えられたことがサプライズとして受け止められたと指摘した。
●市況
日経先物(大証)29578、ダウ先35788、債先151.47、米1.570、独▲0.1105、仏0.260、西0.618、伊1.217、原油84.00、ドル円114.07、墨ペソ20.86、トルコリラ9.5459、墨CDS103
※11/2 9時10分頃