備忘録(10/28-31)
●エバーグランデ
中国恒大集団は29日(日本時間30日)に猶予期限を迎える米ドル債の利払いを実施した。関係者が明らかにした。背景には無秩序な債務不履行(デフォルト)を回避したい中国政府の意向があるとみられる。ただ恒大は2022年から巨額の社債償還を控えており、市場の警戒は緩んでいない。
香港のネットメディア香港01によると、恒大トップの許家印氏は香港に所有する豪邸を抵当に入れて資金を借り入れ、恒大が債務保証する関連会社ジャンボ・フォーチュン・エンタープライゼズの社債償還に充てた。綱渡りの対応が続いているもようだ。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
2021年10月期の売上高は前期比71%減の1250億円、営業損益は630億円の赤字(前期は311億円の赤字)、連結最終損益が530億円の赤字(前期は250億円の赤字)になる見通しだと発表した。新型コロナウイルス禍で旅行需要の低迷が長引き、主力の海外旅行の取り扱い収入が大幅に落ち込んだほか、「非旅行部門」のホテル事業やテーマパーク事業でも営業赤字が続いた。2期連続の赤字となる。未定としていた年間配当は無配とする。
前日に発表した計215億円の資本増強計画を取り下げて再提出すると発表した。3回に分けて調達する計画をまとめて発表したが、東京証券取引所から別々に提出するよう指摘を受けた。発表した資本計画の取り下げは異例。
エクソンモービルが29日公表した2021年7~9月期決算は最終損益が67億5000万ドル(約7690億円)の黒字(前年同期は6億8000万ドルの赤字)だった。黒字額は四半期ベースで17年以来の高水準。営業キャッシュフローは120億9100万ドルに達した。一方、上流の資本支出と探鉱費は1.6%増の28億3900万ドルと小幅な増加にとどまった。
潤沢な資金は株主還元と脱炭素ビジネスに振り向ける。22年から1~2年かけて100億ドルの自社株買いを実施すると発表した。ダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は同日のアナリスト説明会で「脱炭素にむけて22~27年に累計150億ドルを投資する」と話し、二酸化炭素(CO2)の回収・貯留といったビジネスを進めると強調した。
シェブロンの21年7~9月期の売上高は737億8600万ドルと前年同期比59.7%増加、最終損益は61億1100万ドルの黒字(前年同期は2億700万ドルの赤字)だった。四半期ベースの利益では13年以来の高水準となった。フリー・キャッシュフローは過去最高の67億ドルを確保した。
ANAホールディングス(HD)は29日、2022年3月期の連結最終損益が1000億円の赤字(前期は4046億円の赤字)になりそうだと発表した。35億円の黒字としていた従来予想から一転して2期連続の赤字となる。
同社はこれまで、7~9月の国内線旅客数が19年比で15%減、国際線が80%減の水準まで回復すると想定していた。だが実績は国内線が同7割減、国際線が9割減。今期末には国内線旅客数が19年並み、国際線は19年比5割の水準まで戻るとしていた従来予想は、国内線が15%減、国際線が70%減に下方修正した。
10~11月には国内線で200便を超える臨時便を設定するなど収益回復の兆しも見えている。22年1~3月期に営業黒字に転換し、21年10月~22年3月期の最終赤字は約10億円に縮小する見通しだ。
逼迫する半導体は必要量を確保。原材料高は値上げで吸収する。店頭での品切れを防ぎエアコン販売を伸ばしている。
企業活動が持ち直してM&A(合併・買収)が活発になり、法人向けサービスを手がける投資銀行部門が好調だった。半面、債券売買が低調だった市場部門は振るわなかった。海外で多額の損失を出した野村ホールディングスや三菱UFJ証券ホールディングスは大幅減益や赤字を計上し、リスク管理の課題も改めて浮き彫りになった。
2021年7~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比21%増の24億7000万ユーロ(約3270億円)だった。半導体不足の影響で販売台数は25%減ったが、単価の高いモデルを多く販売し収益の減少を抑えた。期中の販売台数は乗用車・バンが30%減の47万台、トラック・バスが7%増の10万台だった。高級車の旗艦モデル「Sクラス」の販売が約5割増えたほか、大型の多目的スポーツ車(SUV)や高性能車の「AMG」が好調だった。
自動車向け過給器(ターボチャージャー)や物流機器、製鉄機械が伸びた一方、脱炭素の流れで稼ぎの大黒柱だった火力発電機器は低迷する。
電力小売りの競争が激しい上、発電用燃料の液化天然ガス(LNG)や石炭の価格が高騰し、一時的に業績を押し下げる。
2021年7~9月期の連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す事業損益が4~6月期に続き大幅黒字の見通しだ。前年同期は790億円の赤字だったが、製造業や建設業の旺盛な鋼材需要と需給逼迫を背景に、値上げが進み利幅が拡大。インドなど海外事業の好調も続く。足元では原料炭価格が高騰しており、一段の上振れにはさらなる値上げがカギとなる。
2022年3月期の連結最終損益が44億円の黒字(前期は18億円の赤字)になりそうだと発表した。鉄道とバスの運輸業では66億円の営業赤字となるものの、不動産事業などが補って全体では黒字確保を見込む。
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言が想定より長引き、従来予想から16億円引き下げた。人件費や宣伝広告費などを削減するものの、鉄道、バスの利用減の影響をカバーできない。
鉄道の旅客収入は、新型コロナ禍前の20年3月期に比べて毎月3割減ほどの水準が続いている。期初時点では22年3月期について、鉄道など「交通事業」の年間売上高を20年3月期に比べて約2割減と見込んでいた。
2022年3月期の連結最終損益が100億円の黒字(前期は398億円の赤字)になりそうだと発表した。
鉄道事業の売上高は4~9月期がコロナ前の75%程度と見込んでいたが、緊急事態宣言の延長などが響き7割にとどまった。同85%を見込んでいた下期についても、10~12月は8割程度で、22年1月以降に85%程度に回復する想定に見直した。売上高は3644億円と従来予想から172億円下方修正した。
米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとみられる取引に起因する損失654億円に加え、10年以上前の取引で起こされた訴訟で約390億円の引当金を計上した。7~9月期に限ると純利益は95%減の32億円に落ち込み、リスク管理体制の再構築が急務になっている。
減収率は1~6月期の29.4%から広がった。事業別売上高は非公表だが、スマホなど消費者向け事業の落ち込みが大きかったようだ。米政府が20年9月に輸出規制を強めて以降、ファーウェイはスマホに使う高性能な半導体の調達難が続く。同年11月には規制の影響を避ける狙いで低価格ブランド「オナー」を売却。残る「ファーウェイ」ブランドのスマホの生産も低調が続く。
東南アジアで新型コロナウイルスの感染が広がり半導体不足も重なって自動車メーカーが減産を迫られたうえ、原材料も値上がりした。デンソーや豊田自動織機、豊田通商は増益を確保した。
2021年7~9月期決算は売上高が前年同期比29%増の833億6000万ドル(約9兆4600億円)、最終利益は62%増の205億5100万ドルだった。そろって7~9月期として過去最高を更新したが、半導体不足によって供給面の制約を受け、在宅需要には一服感が漂う。供給面の制約も重なって売上高の伸び率は29%に下がった。
2つの要因のうち東南アジアにおける混乱は10月に入って解消しつつあるが、半導体不足の影響は長引いているという。クック氏は同社にとって最大の商戦期である10~12月期について「7~9月期に経験した60億ドルよりも大きな供給制約(の影響)が生じる」との見通しを示した。
2021年7~9月期決算は売上高が前年同期比15%増の1108億1200万ドル(約12兆5700億円)、純利益が同50%減の31億5600万ドルだった。新型コロナウイルス禍で急拡大した前年の反動でインターネット通販事業の伸びが減速したほか、人件費や輸送費などがかさみ6四半期ぶりの減益となった。
クラウドコンピューティング事業の「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の売り上げは39%増の161億1000万ドルで堅調な拡大が続いた。「アマゾンプライム」を中心とするサブスクリプション(継続課金)型サービスの売上高は24%増の81億4800万ドルと予想を上回ったが、主力のネット通販事業の減速とコスト増の影響が大きかった。
年末商戦と重なる10~12月期も人材や物流の制約が重荷になる見通し。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は声明で「労働力不足や賃金上昇、世界的なサプライチェーンの問題、運賃・輸送費の上昇に対処するため数十億ドルの追加コストが発生する」と指摘した。商戦期の販売を維持するため、輸入品に関して相対的に処理能力の余裕がある港の利用を増やしている。
10〜12月期の会社全体の売上高は1300億〜1400億ドルになるとみている。前年同期と比べた伸び率は最大でも12%にとどまり、市場予想の1421億ドルに届かない見通しだ。28日の時間外取引でアマゾン株は終値を約4%下回って推移している。
7~9月期の販売台数は27%減の117万6千台だった。北米は29%減、欧州が36%減と主力市場で大幅に台数を減らした。半導体不足で7~9月期は約60万台分の生産ができなかった。高価格車種に販売を集中することで台数減による売上高への影響を和らげたが、すべてはカバーできなかった。
2021年7~9月期決算は、最終損益が772億ペソ(約4300億円)の赤字(前年同期は14億ペソの黒字)となった。原油価格の上昇で売上高は増えたが、為替差損や税負担の増加で赤字に転落した。
売上高は前年同期比61%増の3847億ペソだった一方、販売費が2684億ペソと前年同期から42%増えたほか、原油の生産に関する税金などの負担が754億ペソと同80%増えた。メキシコ政府はペメックスの負担を減らすため減税を進めており、利益にかかる税金を22年に40%と21年の54%から下げる予定だ。
ペメックスは原油生産量の減少に伴い経営が厳しい状況が続いている。21年9月末時点の負債総額は2兆2954億ペソと20年末に比べて1.6%増えた。ペメックスはメキシコ政府の重要な収入源で、立て直しが急務になっている。
2021年7~9月期決算は、純利益が前年同期の4.5倍の17億6400万ドル(約2000億円)となった。店内飲食の再開などで既存店売上高が同17%伸びた。韓国の合弁事業の持ち分の売却益も寄与した。
売上高は31%増の81億4600万ドルだった。主力の米国市場の既存店が22%伸びた一方、米国に次ぐ中国市場が7%減と落ち込み、海外店舗の伸び率は3%にとどまった。中国は新型コロナウイルス感染の再拡大に伴う外出規制が響き、8割の店舗が減収となった。
米国の賃上げは来年1月に実施し、勤続2年以上で時給を最大5%、5年以上で最大10%引き上げる。最低時給は15ドル、平均時給は17ドルになるという。
2021年7~9月期決算は純利益が前年同期比2.1倍の14億ドル(約1600億円)だった。北米や欧州で建設機械の需要が上向き、売上高が同25%増の123億ドルとなった。輸送費などのコスト増を販売価格の引き上げで補った。
建設機械部門の売上高は北米地区が36%増、欧州・中東・アフリカでも56%増と高い伸びを示した。新型コロナウイルス危機で停滞していた住宅建設などが復調し、機器の販売に加えメンテナンスなどのサービス需要も伸びた。アジア太平洋地区は中国で需要が減速したほか、東南アジアを中心にデルタ型の感染が広がったことで売上高が13%減少した。世界全体では30%増となった。
鉱山機械とエネルギー・輸送機器はアジア太平洋を含むすべての地区で売上高が増加した。輸送費や人件費の上昇に伴い営業費用が21%増加したが、コスト上昇分を販売価格に転嫁して吸収し、営業利益率は13.4%と前年同期から3.4ポイント改善した。
CEOは決算会見で「サプライチェーン(供給網)の制約がなければ収益がさらに伸びたはずだが、課題にうまく対応して生産への影響は限定的だった」と述べた。需要の先行きについては「北米や欧州を中心に建設業界は活況だが、石油・ガス業界は設備投資の抑制が続く」と説明した。
売上高は4%減の569億3100万ユーロだった。販売台数が197万台と24%減ったことが響いた。一方、中古車価格の上昇などで金融部門が好調で、純利益は7%増の27億6100万ユーロだった。営業利益が前年同期比18%減の25億9500万ユーロ(約3400億円)だった。半導体不足の影響で約80万台分の生産が影響を受けた。
21年12月期通期の販売台数と売上高の見通しを下方修正した。販売台数は前期の実績(約930万台)を10%以上上回るとしていたが、「前年並み」に見直した。売上高は「前年(2229億ユーロ)を大幅に上回る」としていたのを「やや上回る」に引き下げた。
2022年3月期の連結最終損益が1600億円の赤字(前期は5779億円の赤字)になりそうだと発表した。従来予想は360億円の黒字だった。
期初時点では、鉄道利用は10月以降、新型コロナ禍前の8割程度に戻ると想定していた。だが、度重なる緊急事態宣言の延長などで回復が遅れ、4~9月の鉄道営業収入は19年同期比54%にとどまった。
●マクロ・その他
中国国家統計局が31日発表した2021年10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と、前月より0.4ポイント低下。前月を下回るのは7カ月連続。
項目別では柱である生産が48.4と1.1ポイント下落した。新規受注も3カ月連続で節目の50を下回った。3分の1の調査企業が最大の経営課題として需要不足を挙げた。幅広い企業の収益悪化による受注減が製造業の景況感に影を落としている。電力制限で工場の稼働率が下がったことも影響した。
原材料などの調達量や製品在庫を示す指数も悪化が続いている。政府系シンクタンク、国務院発展研究センターの張立群研究員は「企業の先行き見通しが一段と慎重になっている」と分析する。先行きを警戒する企業が設備投資も控え、景気の停滞感が強まる恐れもある。
とりわけ川下産業に多く、コスト高を価格転嫁しにくい中小零細企業の苦境が目立つ。企業の規模別では、大企業のみ節目の50を上回った。中小零細企業は5月から50を下回っている。
中国政府は、中小製造業の法人税(企業所得税)などの納付を猶予する。収益悪化の痛みを和らげる狙いだが、資源高が続くなか景気下支えの効果は不透明だ。
「新型コロナ感染の局地的な再拡大、洪水被害、世界経済の減速、原材料価格の高止まりなど景気回復は困難に直面している」。国営新華社は10月24日、「権威人士」なる匿名人物のインタビューを配信した。習近平(シー・ジンピン)国家主席に近い劉鶴(リュウ・ハァ)副首相らが書いたとの見方がある。
先行きは「10~12月や22年初めの経済成長も多くのリスクに直面する」と慎重な見方を崩さなかった。雇用など構造問題が顕在化し、原材料と製品の価格差は拡大するため、投資や消費を抑制する要素が多いと見通した。
欧州議会は29日、「法の支配」が脅かされている加盟国への資金供与を凍結する手続きを怠っているとして、EUの行政執行機関、欧州委員会をEU司法裁判所に提訴した。「身内」への提訴は極めて異例で、念頭に置くポーランドに一層厳しい対応を迫った形だ。
国家情報長官室は8月、調査報告書の要旨を公表した。①中国の武漢ウイルス研究所からの流出②自然に動物から人間へ感染――のどちらが新型コロナの発生源なのかを結論づける決定的な証拠は得られず、起源を特定できなかったと説明した。
研究所流出説については2つの根拠を示した。一つは武漢ウイルス研究所が日ごろからリスクの高い研究を実施していたこと、もう一つは適切な安全対策を講じていなかった可能性だ。
動物からの感染説を唱える情報機関員は過去の感染症の事例に加え、研究所流出説の根拠が乏しいことを理由に挙げた。
ニカラグアではオルテガ大統領が独裁色を強めており、11月に予定する大統領選に向けて反体制派を相次ぎ拘束した。バイデン政権はオルテガ氏が大統領として再選した場合に経済制裁を科す方向で検討している。
新型コロナウイルス禍からの景気回復で消費が堅調に推移しており、インフレが加速しているのに対応した。
9月の消費者物価指数は前年同月比4.51%上昇した。2カ月連続で中銀目標の上限(4%)を上回っている。輸出の主力である原油、コーヒーなど国際商品の価格が上昇していることもインフレ要因だ。
10月の景気指数(PMI、季節調整済み)は前月から3.7ポイント上昇の68.4だった。3カ月ぶりの上昇でダウ・ジョーンズまとめの市場予測(63.5程度)を上回った。
「新規受注」が3.1ポイント、「受注残」が13.5ポイントそれぞれ上向いた。「入荷遅延」は一段と上昇し、企業は港の渋滞の悪化を引き続き伝えた。「仕入れ価格」は42年ぶりの高さに上昇した。
2021年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比で4.8%増(速報値)だった。2四半期連続でプラス成長だった。ただ新型コロナウイルスの感染再拡大や自動車生産の縮小により、20年7~9月期の落ち込み(8.7%のマイナス)を補いきれなかった。
21年7~9月期は第3波の到来で再び一時的に経済活動を制限した。8月18日には1日の感染者数が約2万9000人と過去最高を更新していた。
自動車生産の落ち込みも回復スピードの鈍化につながった。INEGIによると、メキシコの7~9月の自動車生産台数は66万6975台と、前年同期比27%減となった。世界的な半導体不足が響いた。
●市況
日経先物(大証)29040、ダウ先35740、債先151.37、米1.561、独▲0.1065、仏0.269、西0.608、伊1.125、原油83.25、ドル円114.01、墨ペソ20.55、トルコリラ9.6080、墨CDS100
※10/29 NY引値
備忘録(10/27)
●エバーグランデ
中国の不動産開発会社、佳兆業集団(カイサ・グループ)の格付けをシングルBからトリプルCプラスに格下げしたと発表した。佳兆業は12月7日償還の4億㌦(約460億円)の米ドル債を含め、2022年10月までの1年間で計32億㌦の米ドル債償還を控える。「債務不履行を回避するには、資産処分や資本構造の改善が必要」という。
佳兆業は2015年にオフショア社債が債務不履行(デフォルト)になった経緯がある。複数の債務再編によって経営再建に成功していたが、再びデフォルトの可能性が高まっている。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ビジョン・ファンドは9月、2件のマージンローンで資金を調達した。一つは韓国の電子商取引大手クーパンの保有株式ほぼ全て、150億ドル(約1兆7000億円)相当を裏付け資産とした。もう一つは米食事宅配会社ドアダッシュの持ち株88億ドル相当を裏付けとした。ドアダッシュ保有株のうち担保に差し出された株式数は明らかでない。
借り入れた資金はサウジアラビアやアブダビの政府系ファンドなどビジョン・ファンド投資家への分配金の一部になると、事情に詳しい関係者は語った。
ヘッジファンド運営会社サード・ポイントは、ロイヤル・ダッチ・シェルの株式を取得し、同社に対して分社化を強く求めている。石油やガスの掘削を続けながらエネルギー転換を進めるという戦略を描くシェルにとって、これまでで最も厳しい要求となる。
投資家宛ての書簡でサードポイントは、液化天然ガス(LNG)、再生可能エネルギー、マーケティングの各事業を1つにまとめて分社化した方がシェルにとっては有益だと指摘。そうなれば、これら事業は上流部門や製油部門、化学部門を含む従来型エネルギー事業から切り離されることになる。
●その他産業
●決算関連
第3・四半期の純利益は22%増の21億5000万ドル。調整後の1株利益は2.76ドルで、市場予想の2.46ドルを上回った。
米国内の既存店売上高は9.6%増と市場予想の8.27%増を上回った。労働力不足などの問題はあるものの、値上げや有名人とのコラボレーション商品の投入が奏功した。
世界の既存店売上高は12.7%増。予想は10.31%増だった。海外市場が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から次第に回復していることが寄与した。
企業やインフラのデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を取り込んだほか、海外の鉄道やエレベーター事業が伸びた。銅など原材料価格の上昇の影響を補った。
従来予想を400億円上回り、過去最高益を更新する見込み。石油化学製品の市況上昇を支えに収益性が改善するほか、半導体材料の販売増も寄与する。
記者会見で金子慎社長は「旅行客は比較的に早く戻ると思うが、ビジネス出張は感染防止に慎重な企業がある」との見方を示した。
売上高は前年同期比8%増の152億7800万ドルだった。最終赤字が1億3200万ドル(約150億円)となり、前年同期(4億6600万ドル)より赤字幅が縮小した。小型機「737MAX」の出荷再開が寄与した。
同社は21年7~9月期に62機の737MAXを航空会社に引き渡した。現在は月産19機のペースで製造しており、22年前半には月産31機を目指す。出荷増などを受けて営業キャッシュフローの赤字は2億6200万ドルとなり、前年同期の18分の1に改善した。
中型機787については製造の品質管理で混乱が続いており、出荷再開に向けた品質検査などのために1億8300万ドルのコスト増加を計上した。
このほかに、米航空宇宙局(NASA)などと開発中の有人宇宙船「スターライナー」でも1億8500万ドルの費用を計上した。バルブなどの開発にてこずり、全体のスケジュールが遅れている。無人飛行試験では19年の1回目の打ち上げで失敗し、今夏の打ち上げも延期。次回は22年を計画する。
純利益が前年同期比40%減の24億ドル(約2700億円)となった。世界的な半導体不足による減産の影響で卸売りベースの販売台数が前年同期から44%減少し、売上高が同25%減の267億ドルに落ち込んだ。
利幅が大きい大型のピックアップトラックや多目的スポーツ車(SUV)の生産に半導体を優先的に振り向けることで最終黒字を確保した。電気自動車(EV)「シボレー・ボルト」のバッテリー発火に伴うリコール費用の約7割を韓国・LG化学が負担することで合意し、19億ドルの戻り益が出たことも利益水準を押し上げた。
メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は「半導体の調達難は年末にかけて緩和し、通期業績は予想の上限に近づく」と述べた。中国の電力不足や停電の影響については「今のところ軽微だ」と説明した。1~9月累計の純利益は前年同期の2.3倍の82億ドルとなり、12月期通期の純利益見通しを従来予想の77億~92億ドルから81億~96億ドルに上方修正した。
2021年7~9月期決算は、純利益が前年同期比23%減の18億ドル(約2000億円)だった。売上高は同5%減の356億ドル。半導体不足に対応して4~6月期に生産調整に着手したことで、7~9月の生産への影響はライバルの米ゼネラル・モーターズ(GM)に比べて限定的だった。
ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は「サプライチェーン(供給網)をうまく管理し、短期間で半導体の調達を改善することができた」と述べた。年末にかけて半導体不足の影響がさらに緩和するとの見方から、12月期通期の調整後EBIT(利払い・税引き前利益)の見通しを従来予想の90億~100億ドルから105億~115億ドルに引き上げた。
売上高は16%増の100億ドル、純利益が前年同期比42%増の24億ドル(約2700億円)だった。前年同期は新型コロナの感染拡大の影響でレストランや映画館、スポーツ観戦向けなどの需要が減少していたが、経済再開に伴い伸びた。地域別の売上高では、北米や南米、欧州、中東など世界で幅広く回復した。
21年12月期通期の売上高予想は前期比13~14%増と、前回予想(12~14%増)から引き上げた。上方修正は2度目となる。新型コロナに伴う不確実性は低下を続けるとみており、飲料販売が好調に推移する。
一方でインフレへの懸念を示し、値上げの可能性についても言及した。ジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は投資家説明会で「インフレは2022年まで続くとみている。人件費や物流コストの上昇などを踏まえて、価格に反映していく」と述べた。
2021年7~9月期決算は、売上高が62億100万ドル、純利益が前年同期比22%増の21億4900万ドル(約2443億円)だった。人件費や食材費などコストが11%増えたが、値上げや新製品の投入、アプリを介したポイント還元プログラムで売上高を14%伸ばし増益につなげた。
新型コロナウイルスによる外出制限が各国で緩和されたことを受け、既存店売上高は12.7%増と過去2年間の伸びの平均(10.2%増)を上回った。欧米や日本、中南米が好調だった半面、中国市場は新型コロナ感染への対策強化の影響もあり低迷した。
●マクロ・その他
3年連続で年間所得1億ドル(約114億円)、または資産10億ドルを基準とする超富裕層、約700人を対象にするという。式など売買可能な資産は売却しなくても時価評価によって「利益」を確定し、キャピタルゲイン(譲渡益)課税の対象にする。「損失」は控除を認める。ただ未実現の利益を所得とみなせるのか、税務上の執行は可能かといった疑問は多い。課税の是非をめぐり最高裁まで争う恐れもあり、民主党内でも慎重論がある。
9月の耐久財受注(季節調整済み、半導体を除く)は、前月から0.4%減少した。4月以来5カ月ぶりの減少で、長引く供給制約が足かせとなり、自動車、コンピューター、電気機器などの受注が落ち込んだ。
自動車・同部品が2.9%減ったほか、コンピューター・電子製品が0.3%、電気機器・部品が0.5%それぞれ減少した。コロナ危機後の急速な需要回復で、材料の高騰や部品・人手の不足、輸送の目詰まりが起き、生産活動の重荷となっている。
「コンテナ不足など物流の混乱で最大生産国ベトナムからの輸出が滞っていることが相場の上昇圧力となっているようだ」と指摘も
国務院が今回示した計画は、李克強首相が3月に約束していたもので、主要目標に変更はない。水力発電や建築、石油精製などに関する新たな詳細を幾つか示した。
米国の発電所の石炭備蓄は、少なくとも24年間で最低の水準に落ち込んだ。発電所での石炭使用は、鉱山会社の採掘能力を上回るペースで増えている。
一部地域では天然ガス価格が最高値を付けており、電力会社がより安価な代替手段として石炭の使用を増やすという連鎖反応が広がっている。
巨大で老朽化した発電所が天然ガス火力発電所や再生可能エネルギーに取って代わられたため、米国全体の在庫はここ数年着実に減少していた。しかし、今年の備蓄減少は、冬の到来が差し迫っている状況を考えると、公益企業が最悪ともいえるタイミングで備蓄の石炭を使用していることを示している。
米国では、発電所の石炭使用は今年19%増える方向にあるが、炭鉱会社は長年生産能力を抑制しているため、2021年の生産の伸びは10%未満にとどまる見通し。このため、発電業者は化石燃料で最もダーティーと呼ばれる石炭の備蓄を使用せざるを得ず、冬季の供給に対する懸念が高まっている。
27日の政策声明で、カナダ国債の保有拡大をやめ、新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)となってから金融システムに巨額の資金を注入してきた量的緩和策を終了すると発表した。
さらに、インフレ高進を伴わない経済成長の余地が供給面の制約によって限定されていることから、早ければ4月にも政策金利の翌日物貸出金利を引き上げる用意があると示唆した。
マックレム総裁は景気回復が完了するまで翌日物貸出金利を引き上げないとの公約を維持した。その一方で当局者は、利上げがこれまで考えられていた2022年下半期ではなく、22年第2ー3四半期に実施されるとの見方を示した。
今年の経済成長率は1973年以来最大となる見通しだと述べた。議会で新たな予算案を説明したスナク氏は、この予算で新型コロナウイルス禍からの経済回復を支えていくと表明した。
独立財政機関の予算責任局(OBR)の予測によれば、今年の英経済成長率は6.5%に達する。従来予想では4%が見込まれていた。昨年はマイナス10%程度だった。
2024年度までに新型コロナウイルス対策で赤字が膨らんだ同国の財政を立て直す方針を表明した。24年度までに恒常的な歳出が税収の範囲内におさまるよう歳出・歳入の見直しを進め、累積の債務残高の国内総生産(GDP)比を安定的に引き下げる。コロナ禍からの経済再開を受け、財政の平時モードへの回帰を目指す。
中銀政策委員会は声明で、「リスクバランス悪化とインフレ見通し上振れを考慮すると、目標の範囲内にインフレ率を確実に収束させる上でこの利上げペースが最も適切だと考えている」と説明した。
ブラジル中銀は3月から政策金利を計5.75ポイント引き上げており、今年世界で最もタカ派だ。ボルソナロ大統領が貧困層支援拡充に向け財政規律ルールの回避を提案したことを受け、中銀は引き締めペースを加速している。
低所得者の市民5000人を対象に月500ドル(約5万7000円)を支給するプログラムの試験導入を決めた。始時期は明らかではないが、年間所得が3万5000ドルを下回る市民を抽選で5000人選び、月500ドルを1年間支給する。カリフォルニア州ロサンゼルス市もこのほど同様のプログラム導入を決めており、ベーシックインカムの実験が全米で広がる。
●市況
日経先物(大証)28745、ダウ先35425、債先151.40、米1.553、独▲0.1875、仏0.156、西0.461、伊0.893、原油81.52、ドル円113.79、墨ペソ20.31、トルコリラ9.5119、墨CDS95
※10/28 10時頃
備忘録(10/26)
●エバーグランデ
主要業界に外債の管理や返済計画の徹底を指導した。具体的な業界名は明らかにしていないが、ドル建て社債の不履行への懸念が高まっている不動産業界も会議に参加したとみられる。
当局は外債の償還計画などを聴取したうえで「積極的かつ主体的に外債の元利払いに備え、企業の信用と市場の秩序を保つ」よう要求した。外債による資金調達の構造を絶えず合理化し、集めた資金を当局の承認に沿って使うことも求めた。
25日に償還期限を迎えた2億5000万ドル(約285億円)相当のドル建て社債を巡り、元利払いを実施できなかったことを明らかにした。多額の負債を抱える中国不動産セクターで、新たなストレスの兆候となる。
当代置業は先週、同社債の償還期限を3カ月延長する提案を打ち切っていた。フィッチ・レーティングスは、この延長案を受けて「ディストレスト債務交換」と見なして同社格付けを「B」から「C」に引き下げていた。
別の中国不動産開発会社、融信中国は25日に期限を迎えたドル建て債の利払い(3020万ドル)を実施した。同社のメディア担当者が明らかにした。
中国の発行体によるオフショア債のデフォルト(債務不履行)はすでに年間記録を更新。年初来でデフォルトが少なくとも87億ドルに達しているが、その3分の1を占めるのが不動産業だ。
中国当局は同社創業者で富豪の許家印氏に対し、個人資産をなげうつよう指示した。
恒大がドル建て債の利払いを当初の期限である9月23日に履行できなかったことを受け、当局はこの指示を許氏に通知した。
中国各地の地方政府は恒大の資金が未完了の住宅プロジェクトの完成に確実に使用され、債権者への支払いに回ることがないよう同社銀行口座の監視を続けているという。
同社の債務返済に個人資産を活用するようにとの要求は、中央政府がそれでも救済に乗り出す意欲が薄いことを示す。習近平国家主席は資産格差の縮小を目指す「共同富裕」の一環として、富裕層に対する締め付けを強化している。
公表されている許氏の資産の大半は、恒大の株式と、同社が2009年に香港市場に上場して以来支払われた現金配当が占める。ブルームバーグの試算によると、恒大の手厚い配当政策のおかげで許氏は過去10年間に約80億ドルの配当金を受け取った。この配当金を許氏がどのように再投資したかは明らかでない。
珠江デルタ地域の40件のプロジェクトで建設を再開し、このうち32件については年末までに予定通り完成して引き渡しできる見通しという。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
石油やガス、石炭の生産に携わる企業が対象で、関連資産を徐々に処分する。売却は2023年1~3月期までに大半を終え、総額150億ユーロ(約2兆円)を超す見込み。
●その他産業
半導体のリードタイム(発注から納品までにかかる時間)は10月に、過去約9カ月で最も小幅な拡大にとどまった。幅広い業界に打撃を与えてきた半導体不足がようやく緩和されつつある可能性を示唆するものだ。
10月のリードタイムは、電源管理に使われるパワー半導体やオプトエレクトロニクス分野の半導体で短くなった半面、特に自動車メーカーで使われるマイクロコントローラーは6週間も延びたという。
●決算関連
今回の業績上振れは販売回復に加え、米州で農機大手ディア社との合弁事業を解消したことなどに伴う一時的な利益(約190億円の見通し)も含まれる。
欧米を中心に海外のインフラ投資が活発だ。為替相場の円安も寄与し回復が鮮明だが、新型コロナウイルスの感染拡大前の19年3月期と比べると利益はまだ3割低い水準にある。
また、中国以外の需要は旺盛だが、今後は鋼材など原材料価格の上昇も利益を圧迫する見通しだ。
インフラ・不動産開発が減速している中国の今期の売上収益は前期比34%減を見込む。中国では足元で不動産大手の中国恒大集団による巨額の債務問題の影響も懸念されているが、今のところ「販売面で大きな影響は出ていない」(松井英彦・執行役営業本部長)という。
2021年7~9月期決算は、最終損益が12億ドル(約1370億円)の黒字(前年同期は11億ドルの赤字)だった。新型コロナウイルス危機で低迷していた航空機エンジン部門が持ち直し、12月期通期の1株利益の見通しを上方修正した。
航空機エンジン部門は米ボーイングの小型機「737MAX」の出荷再開や旅客機のメンテナンス需要の回復により売上高が同10%増加した。航空会社の新造機への投資が戻り始め、エンジンなどの新規受注は69%伸びた。
一方、医療機器部門は半導体や樹脂などの調達難に伴い医療用スキャナーの生産が滞り、売上高が5%減少した。部材不足は年内いっぱい続く見通し。再生可能エネルギー部門は新規受注が65%伸びたものの、風力発電設備の税控除の拡充を見越した建設の延期などで7%の減収となった。
値上げのほか、電子商取引を中心とした力強い配送需要に支えられた。通期の営業利益率は13%との見通しを示し、従来目標の12.7%から引き上げた。
UPSと競合企業フェデックスは昨年の新型コロナウイルス禍以降、膨大な輸送量に対応しており、宅配増加に伴う費用を相殺するため、積極的な値上げを行ってきた。宅配需要は、収益性がより高い商業用パッケージよりも速いペースで伸びてきた。
インフレの高まりやサプライチェーンのボトルネック、商品価格高が圧迫要因とした。
通年の1株利益見通しは9.70─9.90ドル。従来見通しは9.70─10.10ドルだった。
クラウド関連事業の拡大が続いた。アジュールの売上高は前年を50%上回り、企業向けのOffice365は同23%増加した。利用企業の数・1社あたりの売上高ともに増えたという。
主力のネット広告の売上高は531億3000万ドルと43%増え、このうち動画共有サイト「ユーチューブ」の広告は43%増の72億500万ドルまで拡大した。
広告事業の成長について、「小売り分野の貢献が最も大きく、メディア・エンターテインメントや金融、旅行も好調だった」と説明した。
月間平均の利用者が1890万人と4~6月期から11%減った。新規の口座開設も減少した。資産別では仮想通貨の取引が大きく落ち込み、関連収入は過去最高だった4~6月期から78%減った。
の業績予想開示が不適切だったとして一部の投資家が起こしていた集団訴訟で8億ドル規模の和解金の支払いを計上したためで、5四半期ぶりに最終赤字になった。
2021年4~9月期連結営業損益が1100億円前後の赤字(前年同期は2809億円の赤字、7-9単独では450億円程度の営業赤字)になったことが分かった。前年同期比で赤字額が約6割縮小したが、旅客需要の回復が遅れている。米航空大手が最終黒字を確保したのに比べて、国内航空の業績回復で遅れが目立ってきた。旅客数の本格回復にはワクチン証明書の活用など経済正常化に向けた対策もカギを握りそうだ。
10~12月期については売上高が15億~16億ドルの範囲になる見通しを示した。前年同期に比べ16~24%の増収となる。
同社は現在、従来予想を上回る勢いとなっており、2021年通期に65%の増収を記録する方向に進んでいると説明した。
同社は具体的な目標は明らかにしていないが、スーCEOは2022年の需要環境が力強いと予想していると述べた。パソコン(PC)市場は一部部品の供給上の制約で横ばいとなるが、ビデオゲーム機向け半導体の需要は増加するとの見通しを示した。
●マクロ・その他
世界的なエネルギー不足の中で石炭が最高値を更新したほか、電力を大量消費する中国からの需要急拡大が追い風になっている。
米国が制裁を科す中国の華為技術(ファーウェイ)を巡り、米政府が614億ドル(約7兆円)分の製品に同社への輸出許可を与えていたことが25日までにわかった。半導体やその製造装置で技術水準が高くない製品を認めた。日本企業の製品も含まれた。議会の対中強硬派は不満を募らせ、対中輸出規制の強化を訴える。
中国の国有海運最大手、中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)はギリシャ最大の港であるピレウス港を運営する会社の株式16%を追加で取得し、出資比率を67%に引き上げたと発表した。中国の広域経済圏構想「一帯一路」に沿った戦略の一環だが、現地では「約束した投資を実行していない」と批判する声もある。
ピレウス港は欧州や中東、北アフリカをつなぐ地中海の要衝にある。コスコは16年、約2億8000万ユーロ(約360億円)を投じて同港の運営会社ピレウス・ポート・オーソリティー(PPA)の株式51%を取得した。今回の追加投資額は明らかにしていない。
16年に結んだ契約では、株式の追加取得はコスコが21年までに計3億ユーロにのぼる投資を実行することが条件だった。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は「投資案件には大型客船の入港を増やすための港湾能力増強や造船インフラの拡充などが含まれていたが、ほとんどが未完成だ」と報じた。
コスコは21年6月末時点で世界36カ所の港に投資している。中国による海外港湾への買収・出資攻勢に対して、米政府などは「軍事転用されかねない」と懸念している。現地の反発もあり、新たな火種となる可能性がある。
中国は21.2%減の7380万トンと3カ月連続のマイナスだった。減産幅は7月の8.4%、8月の13.2%から広がった。中国政府は二酸化炭素(CO2)排出量の抑制にむけて今年の粗鋼生産量を前年より減らすよう地方政府に要請。さらに電力不足による鋼材需要の減少もあり大手各社が生産量を減らした。
中国に次ぐ生産国のインドは7.2%増の950万トンとなり、米国は730万トンと22.0%増えた。日本も25.6%増の810万トンだった。
新型コロナウイルスのデルタ型の感染が抑制されたため指数が上向いたと指摘する。「短期のインフレ懸念は13年ぶりの高さだったものの、景況感への影響は小さかった」という。
住宅、自動車、大型家電の購入を計画している人の割合がいずれも高まった。今後6カ月以内にバケーションをとる予定の人は47.6%で、コロナ感染が本格化する前の2020年2月以来の高さとなった。
9月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は80万戸で、下方修正された前月(70万2000戸)から14.0%増えた。2カ月ぶりの増加で3月以来6カ月ぶりの高水準となった。前年同月比では17.6%減った。販売価格(中央値)は40万8800ドル(約4670万円)で、前年同月比18.7%上昇した。
製造業の設備更新やグリーンエネルギー、国有企業の改革、大量消費などのテーマに関連する企業が、政策による追い風を受けるとみられる。
8月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市)は季節調整済みで前月比1.2%上昇した。伸びは前月の1.5%から鈍化し、2020年7月以来の低水準。予想の1.5%も下回った。
S&Pダウ・ジョーンズのインデックス・インベストメント・ストラテジーのグローバル部門責任者、クレイグ・ラザラ氏は「住宅価格の伸びはなお力強いものの、鈍化が始まっている可能性がある」と述べた。
●市況
日経先物(大証)29008、ダウ先35662、債先151.17、米1.618、独▲0.1295、仏0.212、西0.513、伊0.938、原油84.39、ドル円114.11、墨ペソ20.18、トルコリラ9.5436、墨CDS99
※10/21 9時30分頃
備忘録(10/25)
●エバーグランデ
広東省など南部の都市でマンション工事を再開していると発表した。資金繰りの悪化を背景に、これまで一部物件で作業が停止するケースが出ていた。
恒大はSNS(交流サイト)上で、広東省の広州市や仏山市などで建設中の40件超のマンション工事が順調だとアピールし「(購入者への)引き渡しは業務の核心」とする声明を発表した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
普通運賃のほかに「先得」など8種類ある早期割引を廃止し、予約の変更ができるかなどの条件の違いを基にした3種類ほどの運賃に絞る。低採算の値引き販売を減らすため一部の顧客には値上げとなる。新型コロナウイルス禍で利用客が落ち込んでおり、コスト削減と合わせた運賃の見直しで業績を底上げする。
米労働省が年金基金向けの規則を改正する。投資収益を最重視するエリサ法の規則を変え、気候変動リスクや従業員の多様性などESGも考慮して投資先を選べるようにする。
企業のサプライチェーン(供給網)の中に強制労働などの人権侵害がないかを厳しくチェックする動きが世界で広がっている。中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区を供給網に持つ企業に、各国政府が規制を強めたのが代表例だ。
報告書の分析結果によると、各国が現行目標を達成しても、2030年の排出量は10年比で16%増える見通し。専門家は世界の気温上昇を1.5度に抑えるには30年までに45%の排出量削減が必要と指摘している。
●その他産業
25日の規制当局への届け出によれば、シティの取締役会は22日に韓国からのリテール事業撤退計画を承認した。同行は4月、韓国を含む13市場でリテールバンキングから撤退すると発表。8月には、オーストラリアのリテール事業をナショナルオーストラリア銀行(NAB)に売却することで同行と合意している。
今回の届け出では、韓国リテール事業からの「撤退計画と関連し、2023年末までに相当額の撤退・関連費用が発生すると見込んでいる。費用は、希望退職者への給付と関連費用に伴う現金支出だ」と説明した。ただ、予想される総費用の具体額については現時点では不明としている。
NYTは「フェイスブックが交流サイトの基本的な機能に疑問を抱いていたことを示している」と報じた。
CNNは、フェイスブックのSNS(交流サイト)が人身売買に悪用されていたことを知りながら問題を解決できていないと報じた。
米紙ワシントン・ポストはフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)がベトナム共産党の要請に応じて反対派の投稿を制限する判断をしたと報じた。米AP通信はインドでのヘイト(憎悪)スピーチや誤情報の対策にあたり、フェイスブックの対応が偏っていたことを示す内部資料の存在を伝えた。
FTは21年の内部資料を引用し、「サウジアラビアやイエメン、リビアで話されるアラビア語の方言は、不適切として削除されたコンテンツが非常に少ない」と伝えた。フェイスブックの月間利用者のうち米国以外が9割以上を占める。だが誤情報を検知するアルゴリズムへの投資のうち9割近くを米国に充てており、英語以外の言語への対応が後手に回っている状況を指摘した。
英議会でオンライン安全法案を精査する委員会に招かれた同氏は、フェイスブックが攻撃的表現を制限するなどの安全対策を怠り「ヘイト(憎悪)を助長している」と非難した。1月の米議会占拠事件のような暴力的行為がさらに起きるかどうかについて問われると、「疑いの余地が無い」と述べた。
フェイスブックに表示される順番を決めるアルゴリズムについて、「分断を招く過激な内容を優先しており、危険だ」と指摘した。
10万台は2020年のテスラの世界販売台数(約50万台)の2割に相当し、ハーツが所有するレンタカーは2割以上がEVとなる。
法人需要の大部分を占めるレンタカー業界で採用が進めば、EVの本格普及に一段と弾みがつく可能性がある。
ペイパル株は報道のあった20日以降、3日続落していた。同期間の下落率は10%を超え、21日には5月以来の安値をつけた。ピンタレストのサービス利用者数は足元で伸び悩んでおり、財務負担の重さに見合った買収効果が得られないとの懸念から、売りが先行したようだ。
●決算関連
売上高は45%増の20兆6370億ウォン、営業利益が3兆1170億ウォン(約3030億円)と前年同期の4.7倍、純利益は2兆6280億ウォンと5.1倍になった。2四半期連続で、四半期ベースの最高益を更新した。業績を押し上げたのが主力の鉄鋼事業だ。7~9月期の粗鋼生産量は2%増の970万トンで、自社製鉄所の稼働率は95%だった。販売量は1%増の902万トンだった。自動車や造船など幅広い製品の生産回復を受けて鉄鋼価格が上昇し、利益を押し上げた。
ポスコは決算発表後に開いた電話会見で「中国の長期的な減産政策によって供給面では安定基調が続く。鉄鉱石や石炭など原料価格の上昇も一服する見通しだ」と説明した。一方の需要面では「自動車や造船、建設分野がけん引し、22年の鋼材需要は2%程度伸長する」とみている。
高速通信規格「5G」の契約件数の増加などでいずれも増収増益だった。政府機関や企業向けデータセンターやクラウドサービスの拡大も業績を押し上げた。
最大手の中国移動(チャイナモバイル)の純利益は7%増の872億元(約1兆5500億円)、売上高は13%増の6486億元だった。
主力のモバイルサービスで1件当たりの月間平均収入(ARPU)が3%伸びたほか、政府や企業向けのクラウドやデータセンターなどサービスの収入が489億元と大幅に増加した。中国政府が普及に力を入れる5Gプランの契約件数は9月末時点で3億3100万件に達し、6月末に比べ8000万件増えた。
中国電信(チャイナテレコム)の純利益は25%増の233億元、売上高は13%増の3292億元だった。
中国聯合網絡通信(チャイナユニコム)の純利益は19%増の129億元、売上高は9%増の2444億元になった。
中国政府は5Gの普及を加速し、自動運転技術を搭載した自動車の販売拡大や工場の自動化などを後押ししている。5G基地局数は9月末で約115万カ所に達した。3社は対応スマートフォンの販売だけでなく、5Gを活用した新しいサービスの開発を急いでいる。
米アップルによる規制強化などの影響により売上高は増加率が4~6月期の56%から鈍化して市場予想に届かなかった。一方で1株利益は予想を上回り、25日の米株式市場の時間外取引で株価は一時、同日終値より3%超上昇した。
9月時点の月間利用者は29億1000万人となり、3カ月前より1500万人増えた。地域別では「その他」を除く北米、欧州、アジア太平洋でそろって増えた。画像共有アプリ「インスタグラム」などを含むグループ全体のサービスの月間利用者は35億8000万人に達した。
主力のコンテナ船市況が一段高だ。新型コロナウイルス禍からの正常化に向けた経済活動が活発になっており、世界的な物流の逼迫状況が海運企業の業績に顕著に反映されている。
●マクロ・その他
東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)が8月に比べ13万円(0.1%)低い9239万円と11カ月ぶりに前月を下回った。首都圏全体は5カ月連続で上がっているものの、過熱感から購入を見送る動きも出てきた。
脱炭素の目標を達成するには再エネの投資額を4倍にし、化石燃料の減少分を埋めなければならない。化石燃料の減少が速すぎても供給不足を招く。欧州や中国でエネルギー危機が相次ぐなか、移行期の需給コントロールが課題として急浮上している。
安価な原油供給の時代は永遠に過ぎ去ったのだろうか。ウォール街の大手商品デスクの一部はそう結論付けており、長期の原油相場見通しを1バレル当たり10ドル(約1100円)かそれ以上引き上げたところも多い。
米国のシェールブームは「原油安長期化」の観測をもたらしたが、市場では現在、気候変動問題に焦点が当てられ、化石燃料への投資意欲は低下している。企業は供給拡大ではなく、支出抑制の圧力にさらされており、新たな生産への構造的な投資不足で原油高がより長期にわたって続くというわけだ。ベーカー・ヒューズによると、原油価格が7年ぶり高値近くにあるにもかかわらず、現在のリグ数は16年並みの低水準だという。
ゴールドマン・サックス・グループの商品調査責任者ジェフ・カリー氏は、新たな供給につながる「均衡価格がどこか判明するまでロングを維持した方が良いというのが、顧客への私のアドバイスだ」と述べた。
化石燃料への投資が減少する一方で、需要が近くピークに達するようには見受けられない。
国際エネルギー機関(IEA)は今月、現在の需要の伸びが続けば、化石燃料への支出は必要な水準を下回ると予想。現行の政策の下では、原油需要が減少し始めるのはようやく30年代になってからだとの見通しを示した。
10月の業況指数は97.7で4カ月連続で低下した。引き続き供給のボトルネックで工場の生産が低迷し、4月以来の低水準となった。IFOのクレメンス・フュースト所長は発表文で「供給の問題が企業の頭痛の種だ」と述べ、製造業の稼働率が落ちていると指摘した。
IFOのエコノミスト、クラウス・ボールラーベ氏は、サプライチェーンの目詰まりが製造業、第4・四半期の成長に打撃を与えていると指摘。第4・四半期の成長率は0.5%程度と予想した。
欧州のガス・電力価格は今年秋に記録的な高水準に急上昇して高止まりしているため、スペインやフランスなどはEUの行政執行機関、欧州委員会に対して電力市場のルール変更を求めている。
9カ国は共同声明の中で卸売電力市場の見直しなど「域内ガス・電力市場に抵触するいかなる措置も支持できない」とし、こうした提案に冷や水を浴びせた。
声明では、「価格高騰にはグローバルな要因があり、域内エネルギー市場の設計への干渉には十分な注意が必要だ」とした。「化石燃料市場に関連する現在のエネルギー価格上昇を緩和する救済策にはならない」とも指摘した。
この声明には、オーストリアとドイツ、デンマーク、エストニア、フィンランド、アイルランド、ルクセンブルグ、ラトビア、オランダが署名した。省エネ対策を強化し、2030年までにEU電力市場の相互接続率を15%にすることを目標としている。
南米チリの中央銀行が金融引き締めを急いでいる。チリ中銀は13日、政策金利を1.25%引き上げて2.75%にすると発表した。利上げは3会合連続。主要輸出品の銅の価格高騰や新型コロナウイルス禍からの経済の急回復で、インフレが加速しているのに対応するためだ。
MPC外部委員のテンレイロ氏は、世界的なサプライチェーンの混乱は「一過性」のものとなる可能性が高く、拙速な行動はより長期の物価圧力に「ディスインフレ的な影響」すら与えかねないと指摘した。
「投資家の予想に反して、世界はエネルギー転換の初期段階において、より多くのLNGを必要とすることになる」と指摘。
「LNGの競合技術は十分な速度で開発されておらず、環境に優しい燃料が商業化されるまでの間、石炭消費を減らすことに大きなメリットがある」と説明した。
また、今後10─15年の間、LNG需要増加ペースは他の炭化水素需要の伸びを上回ると指摘。石油需要は最近の増加ペースをほぼ維持し、石炭需要は横ばいになるとの見通しを示した。
●市況
日経先物(大証)29067、ダウ先35666、債先151.22、米1.638、独▲0.1180、仏0.220、西0.512、伊0.913、原油83.80、ドル円113.76、墨ペソ20.19、トルコリラ9.5888、墨CDS99
※10/26 9時10分頃
備忘録(10/22-24)
●エバーグランデ
不動産税を一部都市で導入する。国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が23日、政府による試験導入を認めた。土地も含めた課税で高騰する不動産をめぐる格差是正を促す。
国務院(政府)が今後、具体的な実施都市を決める。試験期間は5年。課税対象は住宅とオフィスビルなど非居住用不動産で、農村の宅地は含まない。中国の土地は国有のため、土地使用権と建物が課税対象になる。
党関係者は「当面は1~2都市のみだ」と語る。中国の空き家率は2割を超すとの試算もある。所有コストが上がればマンションの売却が広がり、価格が暴落するリスクをはらむ。
中国恒大集団が23日(日本時間24日)期限の米ドル債利払いを実施し、債務不履行(デフォルト)をいったん回避する見通しとなった。ただ中国の住宅販売は急減。米ドル債の信用収縮は人民元債市場にも波及し、10月の発行額は前年同期比6割減っている。恒大を含め中国の不動産会社の資金繰り難は続く見通しで、危機脱却は遠い。
中国恒大は8350万ドルを送金しており、社債保有者は猶予期間が終了する今月23日より前に利払いを受ける見通し。中国恒大の担当者はコメントを控えた。
中国恒大は取引先の銀行やサプライヤー、本土の投資商品保有者への返済・支払いに必要な資金の調達に苦慮。今回の利払いは同社にとって、ドル建て社債の優先順位が予想よりも高い可能性を示唆している。
中銀国際の呉瓊エグゼクティブディレクターは、「中国恒大の逼迫(ひっぱく)した流動性状況を踏まえると、この利払い実施は問題を先送りする試みのようにも見受けられる」と指摘しながらも、「今回のドル建て債利払いはポジティブだ。同社が資産売却に必要な時間を稼ぐことになり、秩序ある再編という基本ケースを裏付けることにもなる」と話す。
中国恒大は年内にまだドル建て債の利払いが控えている。また、来年は社債の大量償還という高い壁が立ちはだかっており、オンショアならびにオフショア債で約74億ドル相当に上っている。
花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)の創業者、曽潔(別名:曽宝宝)氏は曽慶紅元副国家主席の姪で、かつて毛沢東政権で内務相を務めた曽山氏の孫でもある。
同氏率いる花様年は今月に入り2億570万ドル(約235億円)相当の社債を償還できず、オフショア市場での劇的な売りを引き起こした。一部の投資家は多額の債務を抱える中国不動産業界の流動性危機が悪化する前兆と受け止めている。
当局が不動産セクターの締め付けを強化する中、苦境に陥った不動産会社が受ける可能性のある支援について臆測が高まっているのは、曽氏の政治的バックグラウンドのせいもある。中国政府は3000億ドルの負債を抱える中国恒大集団を救済するつもりはないとほのめかしており、花様年のように強力なコネを持つ企業が破綻すれば、当局の厳しい姿勢が浮き彫りになる。
人民銀は不動産会社30社に対して負債比率など守るべき財務指針「3つのレッドライン」を設けた。3つとも守れない企業には「有利子負債残高を増やしてはならない」と規制した。
一部の銀行は「過去の融資の返済を受けたあとでも、新規融資に応じてはいけない」と解釈し、不動産会社の資金繰りをより困難にしたという。
人民銀と銀行保険監督管理委員会は9月末の会議で、主要銀行に「不動産金融の健全性を保つ規制を正確に実行せよ」と求めた。規制そのものは見直さないが、銀行融資を増やすよう促す窓口指導といえる。
「一部の金融機関は不動産企業への資金規制を誤解している」。中国人民銀行(中央銀行)の鄒瀾金融市場局長は15日の記者会見で、行き過ぎた融資の絞り込みを事実上是正する方針を示した。人民銀の潘功勝副総裁も10月20日の講演で「金融監督当局の指導のもと、融資と金融市場の価格は少しずつ正常な状態に戻っている」と強調した。
過剰に膨れ上がった不動産金融のリスクをどう抑え込んでいくか。難題に取りかかる中国当局が先行事例として研究を重ねてきたのが、1990年代の日本のバブル崩壊だ。
「日本の不動産バブル崩壊の教訓を重く受け止めよ」。政府系シンクタンク、国務院発展研究センターの王微氏らが2017年4月、中国メディアに載せた論文だ。
王氏らが提言した中国の対処法は主に2つある。金融規制をめぐり「引き締め度合いや規制強化のペースは、状況に応じて適宜調整すべきだ」と求めた。独立性が高い米欧の中央銀行と異なり、国務院(政府)の一部門である人民銀などの軌道修正もこの提言に合致する。
もう一つが財政政策だ。「(固定資産税にあたる)不動産税の短期導入はバブルを破裂させる可能性が高いので、タイミングはよく研究すべきだ」と指摘した。
中国政府はバブル退治と経済配慮のジレンマに悩む。人民銀などが行き過ぎた融資の絞り込みを是正するよう指導した9月末の会議では「不動産を短期の景気刺激策としない」方針も確認した。不動産企業向け融資は緩めたが、住宅ローンなどの総量規制を変えないのはリスク抑制を重視している表れでもある。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
欧州のロボット事業を手掛けるソフトバンクロボティクスヨーロッパ(SBRE)の売却について、独企業と交渉していることが分かった。ロイター通信が22日に報じた。SBGは米企業開発の配膳向けロボットなどの販売を拡大しているが、ヒト型ロボット「ペッパー」は接客向けの販売低迷で2020年夏から生産を一時的に停止している。
●その他産業
米インテルの停滞懸念が一段と強まっている。21日発表した2021年7~9月期決算は市場予想を下回り、株価は時間外取引で一時9%安と急落した。期待を寄せる米政権の半導体支援法案も成立していない。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は21年を「転換の年」と位置づけるが先行きの不透明感を拭えずにいる。
積極的な買収で事業領域を広げてきた自動車部品大手の独コンチネンタルが収益確保に苦しんでいる。足元で2期連続の赤字を計上、ROAも買収本格化前の水準を一度も超えていない。買収額に見合った収益が稼げないことに加え、欧州がディーゼルからEV開発にシフトしたことへの対応が遅れている。
●決算関連
原材料価格の上昇と消費の不振が相まって、中国の大手企業の7-9月(第3四半期)は厳しい時期となった。不動産、農業、電力のセクターは最悪の減益を記録しそうだ。
企業の見通しを曇らせている要因はこれ以外にも、長引く半導体不足やエネルギー危機の問題がある。中国当局によるハイテク企業への締め付けや、レバレッジ比率の高い不動産開発業者の債務危機も追い打ちをかけている。
自動車ヘッドランプ大手のスタンレー電気は22日、2022年3月期の連結業績予想を取り下げ「未定」としたと発表した。世界的な半導体不足が長期化しており、自動車メーカーの生産が回復する時期が見通しにくくなっているため。従来予想では、売上高で前期比17%増の4220億円、純利益で34%増の308億円を見込んでいた。
前年同期比34.8%増加する見通し。エネルギーセクターを除くと、利益は同27.5%増加すると見込まれている。
第3・四半期の1株利益について、悪化もしくは市場見通しを下回ると予測している企業は45社。改善もしくは市場見通しを上回ると予測した企業は59社。悪化を改善で割ったネガティブ/ポジティブレシオ(45/59)は0.8。
●マクロ・その他
発言のきっかけとなったのが、トルコ人の実業家・人権活動家であるオスマン・カバラ氏を巡り、10大使館が釈放を求める共同声明を発表したことだ。
カバラ氏の拘束は近年の米欧とトルコの間の火種の一つだった。カバラ氏は2013年の大規模デモや16年のクーデター未遂を支援したなどの疑いで、裁判で有罪が確定しないまま4年にわたって拘束されている。19年にはトルコも加盟する欧州人権裁判所がカバラ氏の釈放を命じ、欧米はこれまでも判決の履行を何度も促していた。
10カ国の多くは北大西洋条約機構(NATO)の同盟国や主要な貿易相手でもあり、大使追放は極めて異例だ。実行すれば相手国も同様の措置を取る可能性があり、外交・経済の両面でのマイナス影響は計り知れない。
エルドアン氏がこのタイミングで対外的に強硬な対応を示したのは、低迷する支持率への焦りがあるとみられる。23年に控える大統領選・議会選の前倒し説もくすぶるなか、各種世論調査で与党支持率は過去最低に沈み、連携を模索する主要野党の合計を下回っている。
入札条件などの公平性を高め、外資企業を事実上締め出す購入候補リストなどを修正する。環太平洋経済連携協定(TPP)加盟への交渉入りをにらみ、対外開放を示す狙いがあるようだ。ただ例外規定も設けており、実効性には疑念が残る。
同国の「政府調達法」では地方政府や国有企業に対し、原則として中国で生産した製品やサービスを購入するよう規定している。
中国財政省は今月中旬、地方政府向けに差別的待遇の是正に関する通達を出した。通達には「中国国内で生産した製品なら、供給業者が中国資本でも外国資本でも、政府調達に公平に参加できる権利を保障しなければならない」と明記した。
政府調達で外資企業への開放姿勢を見せる一方、どれほど是正が実現するかは不透明な部分が残る。通達では「国家の安全や秘密に関する調達プログラムは対象から除外する」と明記しているためだ。
中国政府は18年ごろからパソコンやサーバー、複合機などについて「安可目録」や「信創目録」と呼ぶ推奨企業・製品リストを作成した。データ流出の防止など安全保障上の理由から、調達先を外資の出資比率が一定以下の企業や経営トップが中国国籍を持つといった条件に当てはまる企業に絞るようになったとされる。
財政省は通達に加え、政府調達法の改正も検討している。20年12月にパブリックコメントにかけた改正案では、政府調達をめぐる安全審査制度の新設を盛り込んだ。国家の安全に影響しうる政府調達について、関係部局が組織する国家安全審査を受けなければならないとした。
イダルゴ氏は20年地方選で市長再選を決めるなどパリでは人気があるが、苦しい選挙戦となるとの見方が大勢だ。同氏を含めた左派候補は全員支持率が伸び悩んでおり、右派中心の選挙戦になる可能性が出ている。
マクロン氏を除けば、現在の主要候補は右派出身者で固められている。極右評論家ゼムール氏(16%)、極右国民連合のルペン党首(15%)に続き、中道右派元共和党で仏北部「オードフランス」地域圏のベルトラン議長(13%)が支持を集めている。各候補は競って治安対策の強化や移民管理を主張しており、仏政治が右傾化しているとの指摘も出ている。
前年度の3.8倍になり、過去最高を更新した。移民に寛容と見込まれたバイデン政権が発足したことで、米国をめざす中南米出身者が急増している。
移民出身国の広がりも特徴だ。従来はメキシコにホンジュラスとグアテマラ、エルサルバドルの中米3カ国からの移民が多かったが、最近はハイチやニカラグアなど周辺国出身の移民が増加している。CBPによると、メキシコと中米3国を除いた国の出身者の割合は21年度に22%と18年度の8%から大幅に増えた。
貿易相会合で、国際的なサプライチェーン(供給・調達網)から強制労働を排除する仕組みづくりで一致した。強制労働の排除へG7が具体的な対応の方向性を打ち出すのは今回が初めて。採択した共同声明で名指しは避けたが、新疆ウイグル自治区で疑われる中国当局による人権抑圧を念頭におく。
強制労働を巡っては米国がウイグルでの強制労働の関与が疑われる衣料品などの輸入禁止措置を講じている。日本は人権に特化した輸出入管理の法令や規制がない。
人権DDも制度化されておらず、企業の対応が遅れれば世界的なサプライチェーンから外されるリスクが高まる。G7合意を受け、日本も制度導入に向けた議論が活発化する可能性がある。
権力の乱用を法で縛る「法の支配」をめぐって欧州連合(EU)と加盟国ポーランドの対立が激化している。同国が国内法はEU法に優先する場合があるとの判断を下したのが発端で、EUは制裁も視野に入れる。
20日に発表されたカナダの9月のCPIは前年同月比4.4%上昇と、約18年ぶりの高水準となった。
英IHSマークイットが22日公表したユーロ圏の10月の購買担当者景気指数(PMI、総合、速報値)は54.3となり、9月の56.2から大幅に低下した。製造業のPMIは58.5(9月は58.6)で8カ月ぶり、サービス業は54.7(同56.4)で6カ月ぶりの低水準となった。国別では欧州最大の経済大国であるドイツの総合が52.0と、8カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。3カ月連続の悪化で6カ月ぶりの低水準だった。サプライチェーン(供給網)の混乱や新型コロナウイルスの感染拡大が欧州経済を直撃している。
9月時点では、自動車の減産による粗鋼生産への大きな影響はみえていない。用途が広い普通鋼の9月の生産量は20.8%増の621万7千トンで、自動車部品など製造業向けが大半の特殊鋼は44.1%増の192万7千トンだった。
ただ、自動車大手の減産は続く。トヨタ自動車は11月も国内生産を計画比減とし、ホンダなど他メーカーも同様に減産となる見通しだ。コロナ禍から順調に回復してきた鉄鋼生産だが、自動車減産の長期化による下押しリスクはくすぶっている。
米石油サービス会社のベーカー・ヒューズが22日発表した週間データ(22日までの週)によると、米国内の石油・天然ガス掘削リグ稼働数は前週から1基減の542基となった。原油価格が7年ぶり高値を付ける中でも、7週間ぶりに減少した。
石油リグは2基減の443基で9月初旬以来の減少。天然ガスのリグは1基増の99基で9月初旬以来の増加となった。
原油価格は年初から約72%上昇しており、一部のエネルギー会社は過去2年に減らした採掘などへの投資を今年は増やす計画としている。
改革の実行が経済成長を押し上げ、財政健全化に恩恵をもたらすと説明した。
中国政府は自国を世界2位の経済大国に押し上げた高成長モデルから移行しようとしている。金融リスクを緩和するために債務の伸びを抑制し、不平等を和らげ、米国からのテクノロジー関連規制の脅威に対抗するためハイテク産業への資金振り向けに動いている。
中国政府は短期的な刺激策として不動産セクターを利用しない立場を繰り返しているものの、ここ数週間は市中銀行に住宅ローン貸し出しを増やすよう要請するなど、政策を一部緩める可能性を示唆している。元世界銀行の中国担当局長で現在はシンガポール国立大学東アジア研究所を率いるバート・ホフマン氏は、今後数カ月に政策緩和が打ち出されるとすれば、その目的は成長支援ではなく「大惨事の阻止」だと語った。
「中国経済のエンジンが止まりかければ、世界中で成長が勢いを失う」とHSBCホールディングスのアジア経済調査共同責任者、フレデリック・ニューマン氏は語る。
来年後半にインフレは鈍化していくと予想。現在の状況は「一時的」な痛みを反映していると述べた。
長官は「米国がインフレに対するコントロールを失いつつあるとは考えていない」とし、米国などがインフレリスクに十分留意していないとするサマーズ元米財務長官の批判に反論。「このところ経験しているようなインフレは米国では長い間みられなかった。しかし正常に戻る中でこれも終わると予想する」と語った。
首都北京では感染が3地区に広がり、現地時間23日正午から24日午後3時の間に新たに5人の感染と無症状の陽性者1人が報告されたと、中国疾病対策予防センター(CDC)の副責任者が記者説明で明らかにした。
現在国内で広がっている感染は国外から持ち込まれたデルタ変異株によるものだと指摘。同委員会の報道官によれば、10月17日からの1週間に感染地域は11省に広がり、これらの地域には「緊急モード」の導入が促された。
原材料不足や輸送ネットワークの混乱から生じる圧力が、インフレをさらに強めている。仕入価格と販売価格の総合指数はいずれも高水準となった。
サービス業の雇用指数は6月以来の速いペースで上昇した。
IHSマークイットのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は発表文で、「新型コロナウイルス感染者が減少を続けており、10月はサービス業活動が復活し、第4四半期は力強く始まった」と指摘。「製造業は引き続き強い需要を報告しているが、生産は記録的なサプライチェーンの障害や労働力不足などの制限でなお悪影響を受けている」と続けた。
ユニリーバは、第3四半期に2012年以来の最大となる平均4%超の値上げを実施し、高い価格は来年に入っても続くと示唆した。食品大手ネスレや消費財大手P&G、ヨーグルトのダノンも同様の見通しを示している。
ユニリーバのCEOはインタビューで、「少なくともあと1年はインフレ圧力が続く」と発言。「20年に1度のインフレ環境にある」と語った。
企業はサプライチェーンの問題に加え、エネルギーや原材料、輸送などのコスト上昇といったさまざまな要因に直面している。
ウニクレディト、イタリア政府とのモンテ・パスキ買収交渉が決裂
●市況
日経先物(大証)28720、ダウ先35493、債先151.24、米1.638、独▲0.1035、仏0.236、西0.522、伊0.955、原油83.98、ドル円113.47、墨ペソ20.18、トルコリラ9.5976、墨CDS98
※10/21 NY引値
備忘録(10/21)
●エバーグランデ
仏エネルギー大手トタル・エナジーズは約50年前から化石燃料と地球温暖化に関連があることを認識していたものの、他の石油メジャーと協力して少なくとも30年間にわたり温暖化リスクを過小に見せようとしてきたとの論文が発表された。
不動産管理部門の過半株売却交渉を打ち切ったほか、住宅購入のピークシーズンに販売が約97%減少したことを明らかにした。
ブルームバーグの集計データによれば、2022年3月償還債(表面利率8.25%)は額面1ドルに対して23.8セント(気配値)となっている。
中国恒大は9月と10月1-20日の自社の契約不動産販売が計36億5000万元(約650億円)にとどまったと公表。昨年9月1日-10月8日の販売は1420億元に上っていた。
オフショア債権者は、猶予期間が終わる23日までに同社が利払いを実施しない場合、権利行使を留保するスタンドスティル合意と債務協議を求める可能性がある。
同社の社債保有者は支払期限が過ぎても直ちには返済を要求しない計画。不履行の支払いに関する選択肢について話し合うため同社が交渉の席に着くと期待しているという。情報の部外秘を理由に関係者が匿名で明らかにした。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
SPACとの合併時の企業評価額は約90億ドル(約1兆円)。経営難が表面化する前のピーク時の評価額(470億ドル)の8割ほど低い水準となる。SBG主導で経営陣の刷新やリストラに取り組んだ。不動産業界に明るいサンディープ・マサラニ氏を最高経営責任者(CEO)に据え、不採算のリース契約の見直しなどを急いだ。
20日の取引開始前に米CNBCの取材に応じたウィーワーク会長でSBG副社長を兼務するマルセロ・クラウレ氏は「ウィーワークは倒産の縁にあった。ほぼゼロまで落ちた企業価値を2年間で80億、90億ドルの水準まで引き上げた」と述べ、リストラの成果を強調した。
ただ再建途中に新型コロナウイルス下に入ったことで売り上げが伸び悩み、業績は厳しいままだ。21年4~6月期の最終損益は9億2300万ドルの赤字だった。9月まで月次売上高は5カ月連続で前月比で増加しているが、利用客の呼び戻しが焦点となる。
豪英BHPグループは石油・ガス事業を売却し、豪石油・ガス大手のサントスはパプアニューギニアの同業と統合する。世界的に脱炭素が進むなか、M&A(合併・買収)により水素など次世代技術への投資資金の確保を狙う。一部では複数の買い手による買収合戦も起きており、過熱への警戒も必要だ。
新型コロナウイルスの感染長期化に伴う海上コンテナ輸送の混乱を受け、樹脂など素材関連を中心に貨物の流入が続いている。
足元では欧米のクリスマス・年末商戦に向けた輸送需要が本格化しており、当面は堅調な荷動きが見込まれる。年末にかけて運賃が一段と上昇する可能性もある。
●その他産業
車各社は半導体不足で夏まで減産を続けてきたが、当初は2021年下期からの増産を見込んでいた。新型コロナウイルス禍で東南アジアから半導体調達が滞った影響が長引いている。
トヨタの提訴に踏み切った背景には日鉄が持つ大きな危機感がある。世界的な脱炭素の潮流が加速する中、二酸化炭素(CO2)排出の多い鉄鋼業界では低炭素技術の開発に莫大(ばくだい)な資金が必要になる。
日鉄だけでも研究開発に約5000億円、設備の実装に4-5兆円の投資が求められる見通しだ。同社は昨年には新型コロナウイルスの感染拡大を受けた減産対応で国内の高炉のうち、6基を一時停止し、リストラにも踏み切った。
そういった背景から鉄鋼業界には「長期的にお金が必要なので、今稼がないといけないという危機感がある」とタアインハ氏は指摘する。
脱炭素の流れの中で鉄鋼業界の生産能力の増強は進まず、供給が世界的に減少していく見通しのため、タアインハ氏は「良い商品を継続的に調達したいなら自動車会社だけがいい思いをするのではなく、フェアな取り分を素材メーカーにもよこせ」と言える環境になりつつあるという。
入沢氏は、お互い関係を断ち切るところまで事態が悪化する可能性は低いとした上で、もし仮にそうなったら「日鉄を失ったトヨタというのは瀕死(ひんし)になるだろうし、トヨタを失った日鉄は確実に死ぬ」と指摘。訴訟が長期化している間に競合他社にトヨタとの取引でのシェアを奪われるリスクもあり、「早期に交渉して和解するのが一番いい」との見方を示した。
アルトスは石炭や鉄の採掘を手掛ける子会社のミネラ・デル・ノルテについて破産法の申請を検討している。ミネラは国営電力公社CFEから発電所に石炭を供給する契約を破棄されており、業績が落ち込んでいた。ミネラはCFE向けに年間で660万トンの石炭を生産しており、そのうち3分の1を米国で採掘していた。
●決算関連
5四半期ぶりの増収増益だが、顧客のパソコン(PC)メーカーで生じた部品不足や米アップルによる内製化の影響でノートPC向けの売り上げが減収に転じた。
PC用のCPU(中央演算処理装置)を中心とする「クライアントコンピューティング部門」の売上高が2%減の96億6400万ドルだった。QUICK・ファクトセットによると、同部門の減収は8四半期ぶり。なかでもノートPC向けの売上高が5%減少し、事業整理に伴って通信半導体の販売も減った。
大手3社の2021年7~9月期決算はそろって最終黒字を確保した。純利益の合計は18億ドル(約2000億円、前年同期は96億ドルの赤字)だった。米国内を中心に旅行需要が戻り、売上高は計258億ドルと前年同期の3倍になった。今後も需要増を見込むなか、原油高に伴う燃料費の急騰が重荷となる。
「法人需要の回復と国境制限の緩和によって、向かい風は追い風に変わり始めた」。ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は語る。
アメリカンは国内線の旅客収入が19年7~9月期比16%減と、コロナ前の水準に近づいた。デルタ航空のエド・バスティアンCEOは「個人の需要は完全に19年の水準まで戻った」と手応えを示す。
ホワイトハウスは15日、米国に入国する外国人観光客向けの制限を11月8日から撤廃すると発表。アメリカンでは、発表から一晩で米ー英路線の予約が66%、米ーブラジル間が74%増えるなど顕著な反応が見られたという。低迷が続いていた法人の予約も「月単位で大幅に改善している」(同)という。
アメリカンやデルタは21年10~12月期に再び最終赤字に転落する見通しだ。重荷になるのが燃料価格の高騰だ。10~12月の1ガロン当たりの燃料価格は7~9月より1~2割上がるとみる。
米投資会社カウエンのヘレン・ベッカー氏は「燃料費の上昇分を航空券の価格に反映するには4~6カ月かかる。当面はコスト上昇分を相殺できるほどの売り上げ増は期待できず、利益を圧迫するだろう」と指摘する。
人手不足への対応も焦点だ。
●マクロ・その他
9月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は629万戸で前月比7.0%増えた。2カ月ぶりの上昇で、1月以来8カ月ぶりの高水準となった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(610万戸程度)も上回った。前年同月比では2.3%減った。販売価格(中央値)は35万2800ドル(約4000万円)で、前年同月比13.3%上昇と強い伸びが続いた。
NARのエコノミストは、前月より物件供給がわずかに改善したため販売が伸びたと分析した。「来年にかけて住宅ローン金利が上がる前に購入を希望する人も多く、引き続き需要は強い」という。
10月の製造業景況指数は23.8と、大きく上昇した前月からの反動で6.9ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(24.5程度)をわずかに下回った。
個別項目では「新規受注」が30.8で14.9ポイント上向いた。「生産」は30.0でほぼ横ばいだった。「受注残」と「入荷遅延」が上昇した一方、「在庫」はわずかに低下し、供給網の混乱の影響が続いた。「仕入れ価格」(70.3)と「販売価格」(51.1)は、いずれも依然として高かった。
銀行株のオーバーウエートは18年以降で最も顕著だ。従来型の固定利付債と異なり変動金利を提供するレバレッジドローンは、インフレ高進と金融政策引き締めへのリスクヘッジ手段として選好され、米国と欧州の両方でジャンク債(投機的格付け債)をしのぐ年初来リターンとなっている。
国家インターネット情報弁公室は、約1300の報道機関やソーシャルメディアアカウント、政府機関から成る認可リストを発表。2016年公表のリストを更新し、モバイルアプリや「微博(ウェイボ)」と「微信(ウィーチャット)」で公式なメディアソースが持つアカウントを初めて加えた。一部の報道機関については、「もはや条件を満たさず、パフォーマンスが悪く、影響力を欠いている」としてリストから削除した。
金融ニュースを提供する財新は、汚職や公害、政府に対する国民の怒りなどを伝えてきた。リスト除外は、微博を運営する新浪などのインターネットプラットフォームに財新の記事を掲載できなくなることを意味する。
上昇は1年6カ月ぶり。携帯電話の通信料が下がったが、前年の観光需要喚起策「Go To トラベル」の反動で宿泊料が上昇して全体を押し上げた。
宿泊料は43.1%上がった。20年7月下旬に始まったGo To トラベルは現在は一時停止しており、消費者の負担が増えて21年9月は上昇した。エネルギー全体では7.4%上昇した。携帯電話の通信料は44.8%低下した。
●市況
日経先物(大証)28545、ダウ先35462、債先151.22、米1.696、独▲0.0920、仏0.246、西0.558、伊0.946、原油82.42、ドル円113.99、墨ペソ20.32、トルコリラ9.5302、墨CDS96
※10/22 9時15分頃
備忘録(10/20)
●エバーグランデ
中国恒大集団は20日、同業の合生創展集団との間で進めていた恒大グループの不動産管理会社、恒大物業集団の売却交渉を打ち切ったと発表した。恒大は恒大物業の発行済み株式の50.1%を約200億香港ドル(約3000億円)で合生に売却する契約を1日付で結んでいた。
中国恒大は恒大物業の株式50.1%を約200億香港ドル(約2940億円)で売却するための協議を先週取りやめた。オンライン情報プラットフォームのリスク・イベントドリブン・アンド・ディストレスト(REDD)は先に、中国恒大が恒大物業の過半数株式を合生創展に売却することを目指し協議してきたが、その交渉が停止したと伝えていた。
中国恒大と恒大物業、合生創展3社の株式は重大な取引に関する発表待ちを理由に、今月に入ってから取引が停止されていた。
取引価格を比較的自由に決められ、市場の需給を反映しやすい中古物件は、値下がりがさらに広がっている。9月は7割超の52都市で価格が下落した。単純平均した前月比下落率も0.2%と、8月から拡大した。
マンションバブルの抑制を狙った当局の規制強化が影響している。中国人民銀行(中央銀行)と銀行保険監督管理委員会は1月から住宅ローンなどに総量規制を取り入れており、借り入れに制限がかかりつつある。
地方政府が中古物件に設ける標準価格も市場を冷ます。関係者によると、実際の取引価格は相対で決めるため標準価格より高い例が多いが、住宅ローンは標準価格を参考に決まる。実質的に頭金比率が高まり、住宅の購入を諦める人も少なくないという。
当局の資金規制で不動産企業が経営難に陥っていることも、マンション価格に影を落とす。資金繰りのため、大幅に値下げしてでも開発物件を早期に売却しようとするためだ。
不動産市場の変調を警戒する当局は、強化一辺倒だった規制の微修正に動き始めた。人民銀行は15日、銀行の不動産向け融資をめぐり、行き過ぎた絞り込みを是正する方針を示した。「10~12月の不動産向け融資は多少持ち直すのではないか」との見方が広がる。
中国メディアによると、広東省広州市や同省仏山市など一部地域では、銀行が住宅ローン金利を引き下げている。
共産党政権は景気を下支えするため、年末に向けて地方政府にインフラ債の発行を加速させる。金融市場のお金が地方政府債に流れると、民間企業に流れる資金の需給がタイトになりかねない。預金準備率の引き下げで市場に潤沢な資金を供給し、景気を下支えするとの見方が多い。
新力が18日期日のドル建て債2億5000万ドル(約285億円)相当の利払いと償還を怠ったのを受け、米格付け会社S&Pグローバル・レーティングは同社の格付けを「CC」から「選択的デフォルト(SD)」に引き下げた。19日の発表資料で明らかにした。
中国国家外為管理局(SAFE)の潘功勝局長は20日、不動産セクターに対する金融機関や市場の過剰な引き締めは徐々に是正されており、資金調達活動は正常化しつつあると述べた。北京での金融フォーラムの開幕式での発言として地元メディアが伝えた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
世界での半導体メモリーの生産拡大と研究開発に今後10年間で1500億ドル(約17兆円)超を投じると発表した。同社の21年8月期までの10年間の設備投資額と研究開発費の合計は751億ドルだった。次の10年では2倍の水準の金額を投じる。
マイクロンは声明で、米国のメモリー製造にかかるコストはアジアなどの他地域と比べて35~45%高いと指摘した。「米国での生産拡大には、資金援助と税額控除が不可欠だ」とし、コストを相殺するための米連邦政府や州政府の協力を促した。
高速通信規格「5G」対応のスマートフォンやクラウド分野で需要が増える主力のメモリーの生産拠点を拡大し、数万人を新たに雇用する計画だ。
買収額は450億ドル(約5兆1300億円)に達する見通しだ。SNS(交流サイト)を通じて商品を販売する「ソーシャルコマース」分野への進出で決済シェアの拡大を狙う。
●決算関連
2021年7~9月期の連結決算は、売上高は52億4100万ユーロと32%増、粗利益率は51.7%と4.2ポイント上昇。営業利益は58%増の19億1900万ユーロ、純利益が前年同期比64%増の17億4千万ユーロ(約2320億円)だった。世界的な半導体需要増の恩恵を受けた。
期中の機器売上高41億ユーロのうち、最先端の半導体生産に必要な「EUV(極端紫外線)露光装置」が54%を占め、販売台数は15台だった。EUVは売上高と販売台数ともに四半期ベースで過去最高だった。EUVはASMLが独占している。
ピーター・ウェニンク社長は声明で「需要は引き続き堅調だ。将来見込まれる需要に対応するため、生産能力増強の必要性が高まっている」と述べた。10~12月期は売上高49億~52億ユーロ、粗利益率51~52%を見込んでいる。
スイス製薬大手のロシュが20日発表した2021年1~9月期の連結売上高は、前年同期比8%増の466億8400万スイスフラン(約5兆7千億円)だった。新型コロナウイルスの抗体カクテル療法「ロナプリーブ」の売上高が10億8400万スイスフランになるなどコロナ関連薬の販売が好調だった。
このほか、欧米などで新型コロナの重症患者の治療にも転用されている中外製薬の関節リウマチ薬「アクテムラ」も、前年同期比30%増の26億9000万スイスフランと伸びた。感染が深刻となった米国で特に伸び、同44%増の13億スイスフランとなった。
同社は21年12月期通期の売上高成長率の予想を、1桁台前半から1桁台半ばに引き上げた。セヴリン・シュヴァン最高経営責任者(CEO)は「デルタ型の流行で、7~9月期の新型コロナ検査の需要が高かった」とコメントした。
2021年7~9月期決算は売上高が前年同期比0.3%増の176億1800万ドル(約2兆円)だった。新型コロナウイルス禍で企業向けのコンサルティングやクラウド部門の売り上げが伸びた一方、システム部門の需要が減少した。11月初旬に予定するサービス部門の分社化に伴うコスト増がかさみ、純利益は33%減の11億3000万ドルにとどまった。
米医薬品メーカーのバイオジェンは、既存製品の需要に後押しされ、通年の業績予想を引き上げた。ただエーザイと共同開発したアルツハイマー病治療薬「アデュヘルム」(一般名アデュカヌマブ)については、短期的な収入をほとんど見込んでいない。
米国で今年承認されたアデュヘルムの7-9月(第3四半期)売上高は、わずか30万ドル(約3430万円)だった。
ミシェル・ボナッソス最高経営責任者(CEO)は「米国でのアデュヘルム受け入れに時間がかかっているが、当社は長期的な可能性を引き続き確信している」とアナリストとの電話会議で述べた。
●マクロ・その他
10年物国債の利回りは一時、前日比0.010%高い0.095%に上昇(債券価格は下落)した。4月上旬以来約半年ぶりの高水準。米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を早期に引き上げるとの観測から米長期金利が上昇し、国内債にも売りが波及した。19日に公示された衆院選で各党が大規模な経済対策を訴えていることによる国債の増発懸念も債券売りにつながった。
中国政府は19日夜、石炭の供給安定に向けて価格決定への介入策を検討すると発表した。石炭会社の利益率を制限するといった案がある。石炭価格の高騰は電力制限や中小企業の収益悪化を招き、中国景気が停滞する一因となっている。より直接的な価格統制の検討をうけ、一般炭の先物価格は最高値圏から急落した。
価格法第30条は「重要な商品やサービスが著しく値上がりした場合、価格への介入措置をとれる」と規定。具体例として、利ざや率や利益率の制限、限界価格の設定、値上げ申告制度や価格調整届け出制度の実行を挙げている。
会議では、石炭会社に価格を安定させやすい中長期の契約を履行するよう要求した。市場監督部門が価格のつり上げや買い占め、値上がり期待の売り惜しみを徹底的に排除する方針も確認した。
政府の価格統制強化がどれほど石炭市場の過熱を抑えるかは見通せない。
最近の価格上昇は、投機というよりも、電力不足という需給逼迫が引き起こしているからだ。マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表は「政府が投機的な取引に目を光らせても、電力不足が解消しない限り、一時的な効果しかもたらせない」と指摘する。投機的な取引を市場から閉め出すと「割高だから売ろう」とするプレーヤーがいなくなり、値動きがより一方向に傾きやすくなる恐れもある。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の国吉信行氏は「想定外の暖冬にならない限り、中国内の需給逼迫や価格高騰は冬が終わるまで続く可能性が高い」とみる。
米国はロシアに対峙するウクライナやジョージアへ武器売却を進める構えだ。オースティン氏は19日に「国や主権を守る能力を引き上げる取り組みを支援するため米国は全力を尽くす」と強調した。
バイデン政権はすでにウクライナに対し、対戦車ミサイルのジャベリンやパトロール艇の売却を決めている。政治専門サイトのポリティコによると、米議会には米国がウクライナに資金提供し、高度なミサイル防衛システムの調達を支援すべきだとの声も出ている。
欧州側は米国の欧州防衛の本気度を測るうえでウクライナやジョージア政策が試金石の一つになるとみている。ウクライナとジョージアはNATOに加盟しておらず、米国は条約に基づく防衛義務を負っていない。ロシアは米国の関与が薄れたとみれば挑発行動を活発にするとの見方は多い。
一方でウクライナでは米国に対する不信も根強い。バイデン政権はロシアとドイツを結ぶパイプライン(ノルドストリーム2)に対する制裁の一部を見送った。ウクライナは自国のパイプラインを通るガスが少なくなり、通過料収入が減ることもあげて制裁を訴えていた。
米政権がウクライナよりもドイツとの同盟関係の立て直しを優先したとの見方が目立つ。
9月の英国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.1%上昇した。伸び率は8月より0.1ポイント下がったが、自動車用燃料などエネルギー関連の値上がりを背景に高止まりした。10月以降はプラス幅を再び広げるとみられており、供給制約に伴うインフレ加速の懸念が続いている。
項目別に上昇率をみると「輸送」が8.4%と、前月より0.6ポイント拡大した。原油相場の値上がりでガソリンなどの燃料が17.8%と高水準を保ち、中古車は19.2%と8月の18.3%から伸びを広げた。「家具類」は4.5%、「食品・非アルコール飲料」は0.8%で、伸び率はそれぞれ0.8ポイント、0.5ポイント拡大した。
CPI全体の上昇率は8月には3.2%と、前年同月に外食費半額の経済対策で物価が押し下げられていた反動で2012年3月以来の高水準になっていた。特殊要因がはげ落ちた9月はやや縮んだが、10月以降は電気・ガス料金の値上がりで再び拡大する見込みだ。22年初めにかけて4%台まで上昇するとの予想が多く、金融市場では英イングランド銀行(中央銀行)の早期利上げ観測が急速に高まっている。
経済政策全般の立案を担当する国家発展改革委員会(発改委)は19日遅く、石炭生産を日量1200万トンに引き上げることを目指すとともに、港や鉄道を通じた石炭輸送を優先させる方針を明らかにした。声明によると、石炭価格への介入に向けた追加措置を検討しているほか、同市場での虚偽情報拡散などを「断固容認しない」姿勢を示した。
また、ラジオ局の中央人民放送(CNR)が19日報じたところによると、韓正副首相はエネルギーセクターでの投機やため込みに対する「強力な措置」を呼び掛け、石炭や電力価格に関して市場志向の制度への改善が安定供給の確保に寄与すると述べた。
中国による台湾への軍事的威圧などに触れ「脅しは不当であり止めなければならない。特に最近の台湾に対する行動は好ましくない」と表明した。
新疆ウイグル自治区やチベットでの人権侵害にも言及した。米国が1979年の米中国交樹立に伴って定めた台湾関係法を踏まえ「台湾が十分な自衛能力を維持することを支援すべきだ」と強調した。
中国とは「責任を持って競争を管理して偶発的な紛争のリスクを軽減し、北京との効果的な意思疎通のチャンネルを求めるべきだ」と訴えた。「中国と比較した場合の優位性は条約上の同盟国の存在だ。我々には深く信頼できるパートナーがいるが、中国にはいない」と唱え、日本や欧州などと連携していくべきだと力説した。
バーンズ氏は97年に中国に返還された香港を例に「中国は約束をことごとく反故にしてきた」と批判した。
●市況
日経先物(大証)29260、ダウ先35456、債先151.36、米1.660、独▲0.1200、仏0.220、西0.511、伊0.913、原油83.72、ドル円114.39、墨ペソ20.20、トルコリラ9.2164、墨CDS96
※10/21 7時45分頃
備忘録(10/19)
●エバーグランデ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
●マクロ・その他
●市況
日経先物(大証)29435、ダウ先35347、債先151.28、米1.657、独▲0.1085、仏0.233、西0.524、伊0.944、原油82.53、ドル円114.54、墨ペソ20.23、トルコリラ9.3099、墨CDS97
※10/20 9時00分頃
備忘録(10/18)
●エバーグランデ
中国の不動産業界に信用収縮の波が押し寄せている。中国恒大集団の経営問題が波及し、金融機関が不動産会社への融資に慎重姿勢になっているからだ。中国では、関連産業を含めた広義の不動産業の国内総生産(GDP)への貢献度が2~3割に達するという推計がある。不動産会社の資金繰り難は経済成長の急減速を招きかねない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
「新型コロナウイルスの影響で収入の減少が長引いた場合に、機動的に対応できるように備える」という(同社)。
工事を進めているリニア中央新幹線の工事費については「当面の間、財政投融資を活用し、社債発行で調達する資金を即座に充てることは考えていない」としている。4月には、総工費が従来計画より1兆5千億円増えて7兆円にのぼると公表している。
年末商戦に向けて米国内で15万人の季節労働者を新たに雇用すると発表した。アリゾナ州やカリフォルニア州など各州で採用を想定する。採用時には最大で3000ドル(約34万円)の一時金を支給するほか、勤務時間帯などに応じて時給に3ドルを加算するという。アマゾンはすでに米国内で働く労働者の平均の初任給を18ドルに引き上げている。小売りや物流各社の人材獲得競争が激しくなるなか、待遇改善で人材をひき付ける。
アマゾンが外部事業者の販売データを使って自社のプライベートブランド(PB)商品を開発したり、検索サイトで自社商品が上位になるよう表示したりしたと指摘する各種メディアの報道を引用した。また、ペゾスCEOの議会証言について「議会に噓をつき、連邦法に違反した可能性がある」と指摘した。「司法省に刑事捜査すべきか照会することも検討する」と述べ、アマゾンに圧力をかけた。
●決算関連
ヘルスケア大手フィリップスの21年7~9月期の決算は、売上高が6%減の41億5600万ユーロ(約5500億円)で、経営の指標としている調整後EBITAは5億1200万ユーロと25%減った。調理家電や空気清浄機などの「ドメスティックアプライアンス」事業の売却益を計上したため純利益は29億8000万円と8.8倍に増えた。
また、2021年12月期通期の売上高と利益率の見通しを下方修正した。
継続事業ベースの増収率を「1ケタ台前半」に見直した。これまでは「1ケタ台前半~半ば」だった。売上高に占める調整後のEBITA(利払い・税引き・償却前利益)の比率は、前年比0.6ポイント改善するとしていたのを「わずかに改善する」に修正した。
半導体不足や海運の需給逼迫でサプライチェーン(供給網)が混乱しているうえ、睡眠治療関連機器のリコールに対応しているためだ。CEOは、サプライチェーンの混乱は10~12月も続き、リコールの対応も22年前半までかかかるとの見通しを示した。「22年後半から成長軌道に回帰する」と述べた。
●マクロ・その他
0.2%程度の上昇を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測に反して低下した。8月末に南部を襲ったハリケーン「アイダ」の長引く悪影響が、指数を0.6%押し下げた。
主な産業分野の内訳では、製造業(マイナス0.7%)、鉱業(マイナス2.3%)、電気・ガス(マイナス3.6%)と、すべて低下した。製造業は、ハリケーン被害に加え、半導体の供給不足で自動車・関連部品がマイナス7.2%と落ち込み、全体を押し下げた。自動車・関連部品を除いても製造業は0.3%低下した。
2021年7~9月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年同期比4.9%増えた。4~6月(7.9%増)から減速した。素材高による収益悪化で企業の投資が伸びず、新型コロナウイルスの感染再拡大をうけた移動制限が消費を抑え込んだ。中国景気の停滞感が強まっている。
企業部門では、工業生産が1~9月に前年同期比11.8%増えた。19年同時期と比べた年平均の伸びは6.4%で、1~6月(7.0%)より鈍った。新エネルギー車や工業ロボットは堅調だったが、9月に本格化した電力制限が素材や部品の生産の足を引っ張った。
工場やマンションの建設などを示す固定資産投資は1~9月に前年同期比7.3%増加した。過去2年間の年平均では3.8%伸び、1~6月(4.4%)より鈍化した。バブルを抑えるための金融規制で不動産開発投資が振るわず、マンション販売も勢いが落ちた。
家計部門も伸び悩んだ。百貨店、スーパーの売り上げやインターネット販売を合計した社会消費品小売総額(小売売上高)は1~9月、前年同期比16.4%増えた。19年同時期と比べた年平均増加率は3.9%となり、1~6月(4.4%)から減速した。夏場に再び広がった新型コロナの感染が、旅行や外食など接触型消費を抑え込んだ。
外需は堅調さを保った。7~9月の輸出入(ドル建て)は四半期ベースでともに最高となった。輸入原材料が値上がりし、輸出品への価格転嫁もみられ、単価の上昇で貿易額が膨らんだ。輸出から輸入を引いた貿易黒字は前年同期より15%ほど増えた。2四半期ぶりの増加だ。
中国政府による不動産市場の規制強化で建設活動が抑制されるとともに、業界向けの資金供給が圧迫された。不動産開発大手、中国恒大集団の債務危機が一段と深刻になり他のデベロッパーにも波及。不動産販売の不振を招いている。
9月には電力が不足し、製造業は生産抑制や操業停止を余儀なくされた。新型コロナウイルス感染の散発的な流行を封じ込める厳格な措置も引き続き個人消費の重しとなった。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)の大中華圏担当チーフエコノミスト、喬虹氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「需要関連の投資はかなり弱く、電力不足による供給サイドへの影響も非常に深刻だ」と述べ、10-12月(第4四半期)の成長率は3-4%に低下する公算が大きいと予想した。
7-9月の成長率は、基準となる前年同期の水準が高めだったため、減速すると以前から予測されてはいたものの、エネルギー危機の深刻さや不動産の低迷はエコノミストの想定を超えていることから通期GDP予測の下方修正が相次いでいる。
消費の急拡大が見られなければ、中銀当局者が恐れているインフレショック持続見通しに逆行する動きとなろう。世帯の貯蓄増は燃料費高騰に対応していく上で助けになり得るが、鈍い需要は企業が恒久的な値上げを断行する力を奪いかねない。
貯蓄が消費に回らない理由には新型コロナ感染再拡大と景気回復のペース、雇用見通しを巡る懸念が含まれる。人口動態と消費パターンも理由の一部だろう。
ECBの調査報告によると、昨年のロックダウンで多くの人は特定のモノ・サービスがなくても不自由はないと知ったという。
世界的なサプライチェーンの混乱でモノが不足し、需要はあっても消費につながらない場合もある。米ミネアポリス郊外でファイナンシャルアドバイザーのマイク・レバティ氏は、同氏の裕福な顧客たちは車やプール購入に貯蓄を回したくてもモノはないし労働力不足でままならない状態だと説明した。
大量のマネーは社会の全てのグループに均等に広がっていないことも理由に挙げられる。高齢者や、もともと豊かな人たちが最も増やしているが、そうしたグループは往々にしてやたらな支出はしない傾向にある。
実際に規制が導入された場合、中国の大手インターネット企業間の障壁撤廃を目指す政府にとって大きな前進となる。バイトダンスやテンセントに対し、自社のソーシャルコンテンツを百度などライバル企業の検索結果に表示させるよう強制するとなれば同国では初めてで、微信や抖音などの広告収入が百度など検索エンジンに流れることもあり得る。
10月に3カ月ぶり高水準となった。全ての地域で指数が上向き、広範な改善を示した。指数の細目では、一戸建て販売の現況指数が87と、6月以来の高さに上昇。販売見通し指数は昨年12月以来の高さとなる84。購買見込み客足指数は65と、3カ月ぶりの高さだった。
NAHBのチャック・フォーク会長は「需要と住宅販売は依然堅調だが、建設業者はサプライチェーン障害や人材不足になお苦戦している。それが完工遅れや建設資材および住宅価格の上昇圧力につながっている」と発表文で指摘した。
9月の住宅販売は金額ベースで前年同月比16.9%減少。8月は19.7%減だった。国家統計局が18日発表したデータを基にブルームバーグが算出した。
中国経済は不動産市場の減速を含む多くの逆風に直面している。デベロッパーの債務削減に向けた政府の取り組みで、中国恒大の資金不足が深刻化し、今やそれが同業他社にも波及。このため買い手側は完工していない住宅物件の購入を再考している。
販売不振で不動産開発各社の資金不足に拍車が掛かり、より大きな値引きを提供せざるを得なくなることで、さらなる悪循環に陥る可能性がある。
中国景気懸念が重荷となるさえない展開のなか、急騰が目立ったのは電子商取引(EC)事業のスピンオフ(分離・独立)への期待が高まる百貨店大手のメーシーズだ。同社株の大幅高は、米小売りの底堅さとECの急成長を映す一方、実店舗の淘汰が一段と進むという小売市場の先行きを示している。
9月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、ワシントン本部のFRBスタッフは来年にインフレ率が2%未満に戻ると予想している。
FOMC議事要旨によると、「供給問題を原因とした消費者物価の上昇は一部巻き戻され、輸入価格は急速に低下すると予想される」と指摘。「従ってPCE価格指数の上昇率は2022年に2%をやや下回る水準へと低下する見通しだ」とし、インフレには上振れリスクもあるとスタッフは付け加えた。
●市況
日経先物(大証)29045、ダウ先35095、債先151.32、米1.591、独▲0.1510、仏0.191、西0.490、伊0.895、原油81.59、ドル円114.26、墨ペソ20.42、トルコリラ9.3397、墨CDS97
※10/19 7時45分頃
備忘録(10/15-17)
●エバーグランデ
中国恒大集団以外にも債務不履行(デフォルト)の懸念が広がる不動産向けの融資は資本の半分超にのぼり、大幅な資本不足が現実味を帯びる。中国政府の財政は土地売却収入に支えられており、地価下落が続けば政府が銀行を支援する力も低下しかねない危うさがある。
15日には香港上場の中国地産集団(チャイナ・プロパティーズ・グループ)が同日期日の米ドル債の元利金を支払えなかったと公表した。23日には中国恒大集団のドル債の利払い猶予期限が終了し、格付け会社から一部デフォルトと認定される恐れがある。
チャイナ・プロパティーズ・グループ(CPG)は15日、子会社が発行した社債について、同日の償還期限までに元本と利息を支払うことができず、デフォルト(債務不履行)に陥ったと発表した。
期限を迎えた社債は2億2600万ドル(約260億円)で、金利は年15%。CPGは債務の借り換えや資産売却が償還期限に間に合わなかったと説明。債権者と連絡を取りつつ、早期の資金調達を目指すと強調した。
期日を19日に控えた人民元建て債の利払いを実施すると発表した。金額は1億2180万元(約21億円)。恒大集団は海外市場で発行した米ドル債の利払いを3回連続見送る一方、人民元債は利払い実施の意向を示しており、国内投資家を優先する姿勢が鮮明になっている。
中国人民銀行(中央銀行)は銀行の不動産向け融資をめぐり、行き過ぎた絞り込みを是正する方針だ。15日に記者会見した人民銀行金融市場局の鄒瀾局長が「一部の金融機関は規制に対して誤解がある」と述べたうえで「安定的で秩序だった不動産融資を続け、不動産市場の健全な発展を守る」と強調した。
誤解があるとしたのは、人民銀行が設けた不動産大手が財務面で守るべき「3つのレッドライン」だ。貸し渋りが起き、不動産会社の資金繰り難を招いたと指摘した。
不動産開発向けの資金供給は急速にしぼんでいる。銀行による9月の企業向け中長期融資は前年同月を35%下回り、3カ月連続で2ケタ減った。
中国恒大集団の経営問題を巡り、鄒氏は「金融業界へのリスクの広がりは総じてコントロール可能だ」と語った。総負債に占める金融負債が3分の1に満たず、債権者も分散していることを根拠に挙げた。地方政府と連携し、建設が止まった不動産開発の再開への金融支援を進めていく考えも示した。
不動産会社のドル建て社債の償還リスクが高まっていることには「関係部局が発行企業に償還義務を積極的に果たすよう促している」と語った。
中央規律検査委員会は12日までに大手国有銀行など金融分野の25機関に幹部の不正を取り締まる特別チーム「中央巡視組」を派遣した。習近平(シー・ジンピン)指導部は乱脈経営で経営危機に陥った不動産大手、中国恒大集団への融資を問題にしており、金融界を引き締める狙いとみられる。
中国の不動産開発大手各社は政府に対し、不動産セクターの規制を緩めるよう求めた。中国紙の第一財経が微信(ウィーチャット)を通じて報じた。
会合には住宅都市農村建設省の不動産局長と、不動産開発会社の保利置業集団や万科企業、融創中国控股などの幹部が出席した。
各社の主な要請は、市場の期待を安定させる措置や投機的ではない住宅取得の支援、地価の調整などだった。会合の内容に詳しい複数の匿名の関係者を引用している。
易総裁は、中国恒大の問題は「若干の懸念をもたらす」とした上で、「全体として、われわれは恒大のリスクを封じ込めることが可能だ」と話した。
恒大の負債は金融システム内の多くの企業や機関に分散しており、「それほど集中していない」と、易総裁は指摘。「債権者や株主の権利および利益は、法に厳密に従って完全に尊重される。こうした債務の優先順位も法律で明確に示されている」と語った。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
風力・太陽光などの再生可能エネルギーや水素・アンモニアなどの次世代エネルギーの開発を手厚くするとともに、LNGは脱炭素に向かう移行期のエネルギーとして二酸化炭素(CO2)を地下にためる技術を活用しながら投資を継続する。
米ロサンゼルス国際空港を離陸した羽田行きの日本航空(JAL)015便ボーイング777で、離陸直後に右側エンジンのトラブルが発生した。同機はロサンゼルスに引き返した。JALは原因を調査中としている。ロサンゼルスの空港公団から煙や炎を確認したとの情報があったが、エンジンの覆いの内部に火災の痕跡は確認されていないという。
JALによると離陸直後に音と振動が発生し、右側エンジンの不具合を示す警告が出るとともにエンジンのオイル圧が下がった。乗務員は手順に従って右側エンジンを停止し、燃料を投棄したのち離陸から約45分後にロサンゼルス国際空港に着陸させた。
エンジン周辺の外観を確認したところ、機体やエンジンには損傷がなかったという。右側エンジンの排気口に金属片を確認したが、エンジンに空気を吸い込むためのファンブレード(羽根)に損傷はなかったとしている。
同社がホノルル線向けとして2016年に導入を決めた3機が全てそろった形だが、新型コロナウイルスの影響で旅客需要は低迷し、就航のメドは立っていない。大型投資の回収が重い課題になる。
3号機は20年1月には完成していたが、旅客需要の低迷を受けてエアバスからの引き受けを見合わせていた。ホノルル線への就航時期は未定で、ANAの平子裕志社長は「おそらく22年以降になる」としている。入国時の隔離などの制限が続く中、21年のANAのホノルル線の1カ月あたり旅客数は1000~2000人程度とコロナ前の数パーセントにとどまる。
500席を超える超大型機のA380は、メーカー側の希望価格にあたるカタログ価格が約500億円と高価で、運航コストも高い。ホノルル線でA380を運航して採算が合う水準は遠い。
一方、日本からのハワイ路線を巡っては日本航空(JAL)の完全子会社の格安航空会社(LCC)、ジップエア・トーキョー(千葉県成田市)が10月31日から成田―ホノルル線を週2往復から3往復に増便する。同社は運航コストが相対的に安い中型機の米ボーイング「787」型機を使用。需要回復に先立ち、シェア争いに動き出した形だ。
超大型機は需要が低迷しており、エアバスは新型コロナの感染拡大が始まる前の19年に生産終了を発表し、現在は数機の受注残を残すのみ。ボーイングも「ジャンボ」の愛称を持つ「747」型機の生産終了を決めた。
●その他産業
2021年12月期のオーストラリア産鉄鉱石出荷量が3億2000万~3億2500万トンになるとの見通しを発表した。7月時点の予測である3億2500万~3億4000万トンから引き下げた。鉄鉱石鉱山がある西オーストラリア州で労働者が不足し、鉱山開発などに遅れが出ているためだ。
●決算関連
2021年7~9月期決算は、純利益が53億7800万ドル(約6130億円)となり、前年同期に比べて6割増えた。世界的なM&A(合併・買収)ブームで助言業務が伸びた。1~9月期で前年通期の実績を上回っており、年間ベースの過去最高益達成もほぼ確実にした。
純利益は1~9月期で177億ドルに達し、すでに20年12月通期の実績(94億ドル)を超えた。残り3カ月となった21年通期も、金融危機さなかの09年12月期に達成した過去最高益(133億ドル)を上回って着地しそうだ。
けん引役は投資銀行部門だ。7~9月期の純営業収益は前年同期比88%増となった。特に助言業務は同3倍に膨らんだ。関与していたM&A案件が7~9月期に入って相次ぎ完了し、手数料収入が増えた。債券引受業務では買収ファンドの資金調達を支援する「レバレッジド・ファイナンス」が好調だった。機関投資家の売買を仲介するグローバル・マーケッツ部門も好調だった。債券・為替・商品(FICC)のトレーディングは過去10年で最高の収益をあげた。特に商品市場では原油や天然ガスの価格が9月に入って変動するようになり、収益機会が増えた。
M&A市場の過熱ぶりを警戒する向きもある。借り入れを使って買収額を膨らませた結果、行き詰まったファンドも少なくないからだ。デービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は「金融スポンサー(投資ファンド)に対する融資の勢いは非常に注意深くみている」と述べた。さらに今のペースは維持できないと指摘したうえで「いつかスピードバンプ(調整)が発生する」と話した。
キオクシア、キヤノン、大日本印刷はハンコを押すように回路を形成する「ナノインプリント」を2025年にも実用化する。一部の工程が不要になり、設備投資を数百億円、対象工程の製造コストを最大4割減らせる見込み。露光分野でシェアを奪われてきた日本勢が再び存在感を高められそうだ。
ネット通販から国家の機密情報のやりとりまで支える暗号通信の方式が早ければ2024年から変わる。超高速計算が可能な量子コンピューターの登場で、現行方式では簡単に解読される恐れがあるためだ。新方式にはNTTが提唱する新暗号が有力候補として残る。世界の通信覇権を握ろうと「IOWN構想」を掲げるNTTに弾みがつくか。
●マクロ・その他
ローン返済に苦しむ学生には朗報だが、企業によっては100億円を超す費用負担が見込まれる。年末商戦を控えた米国で、人材獲得合戦が過熱する。
1月の世界生産を直近の生産計画から15%程度減らすと発表した。東南アジアで新型コロナウイルスが猛威を振るっていたことや半導体不足が響き、計画(約100万台)から15万台程度減の85万~90万台となる。11月は減少幅が縮小し、2021年度の世界生産計画(900万台)は修正しないとした。
背景には利上げ観測の強まりがある。英イングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁は9日付の英紙ヨークシャー・ポストとのインタビューで、インフレについて「恒久的な浸透は防がなければならない。そうなれば非常に有害だからだ」と述べ、物価高の定着に警戒感をあらわにした。10月に入って他の金融政策委員からもインフレ懸念の発言が出て、引き締めへの転換が近いとの見方が金融市場で強まった。
イングランド銀は11月4日に最新の金融政策を発表する。金融情報会社リフィニティブによると、金利先物市場が織り込む11月の利上げ確率は約3割、12月も含めると7割に達している。米ゴールドマン・サックスは14日付の投資家向けリポートで、最近の政策委員の情報発信を踏まえ「11月か12月の利上げが現実味を帯びてきた」と指摘した。
9月の小売売上高(季節調整済み)は6254億ドル(約71兆4700億円)で前月から0.7%増えた。2カ月連続の増加で、0.2%程度の減少を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測に反して増加し、物価上昇懸念の高まりにもかかわらず、消費は良好さを保った。
半導体不足による在庫薄で売り上げが落ち込んでいた自動車・関連部品販売店が0.5%増え、5カ月ぶりにプラスとなった。自動車価格の上昇が売上高を押し上げたと見られる。これらを除いても全体の売上高は0.8%増加した。
ガソリンの値上がりで給油所の売り上げが1.8%増えたほか、百貨店(0.9%増)、衣料・装飾品店(1.1%増)、オンラインストア(0.6%増)なども良好だった。サービス分野の消費である飲食サービスは0.3%増で、新型コロナウイルスのデルタ型感染拡大の影響が残り、やや弱かった。
1~8月期の利益総額は、国有企業が民間企業を8%上回った。13年ぶりに通年で国有が民間をしのぐ可能性もある。民間は、当局の規制強化で資金調達が滞り、「川下」の消費財関連に多いため原材料価格の高騰で打撃を受ける。「国進民退」と呼ばれる習近平(シー・ジンピン)指導部の国有強化のひずみが表面化してきた。
原油生産は中国石油天然気(ペトロチャイナ)、中国石油化工(シノペック)、中国海洋石油(CNOOC)の国有3社がほぼ独占する。3社の1~6月期は、売上高が原油高を追い風に前年同期比2~5割増だった。
民間には国有と比べ、大きく2つの不利なポイントがある。
一つは、銀行融資など資金調達での官民格差だ。信用力が高い国有は低利の資金調達が容易だが、民間は銀行からの低利借り入れが難しいケースも少なくない。中小企業にとっては、銀行融資以外の「シャドーバンキング」が重要な調達先だったが、金融監督当局の規制強化で大幅に細っている。
もう一つは民間の価格転嫁の遅れだ。製造業では川上の分野に国有が集中して寡占状態になる一方、民間は消費者に近い川下の企業が多い。川下の方が競争の影響を受けやすい。9月の卸売物価指数をみると、川上の生産財は前年同月比14.2%上がった。だが、川下の生活財は同0.4%上昇にとどまった。消費回復がもたついている。
国有などによる民間への出資も、国有の利益総額を押し上げているようだ。報道によると、20年に国有や政府系ファンドが経営権を握った中国の上場企業は48社。新型コロナなどで経営が悪化したハイテク分野をはじめとする民間への出資例が目立った。
中国は環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請したが、TPPは国有企業の優遇を禁じている。
中国の電力不足や欧州のガスなどエネルギー価格の高騰を背景に、製造時に電力を大量に使う非鉄金属の生産施設では減産や停止が相次ぐ。供給懸念から在庫も急激な取り崩しが進み、需給の逼迫懸念からアルミや銅などの国際価格は過去最高値に接近している。
「EUの新型コロナウイルス禍からの復興基金の受け取りが遅れ、経済成長見通しが下方修正される恐れがある」と指摘。ズロチ安に転じる可能性もありそうだ。
天候にさまざまな影響を及ぼすラニーニャ現象が太平洋赤道域で発生したもようだ。昨年始まったのと同様に今回も影響は穏やかで済む確率は57%だという。
南米では雨が少なくなる恐れがある一方、インドネシアでは洪水が増加する可能性があり、南米産穀物やインドネシア産パーム油など農業市場に大きな影響が及び得る。ラニーニャ現象の発生時には米国の太平洋岸北西部と北部平原を寒気や嵐が襲うことが多くなる傾向があり、地域のエネルギー市場をひっ迫させそうだ。
ミシガン大消費者調査ディレクター、リチャード・カーティン氏は「購入環境が悪化したとみる理由を問う設問で、物価が正味で上昇したためとの回答は、インフレ率が10%超に達していた1978-80年以来で最も多かった」と発表文で指摘した。
ゴールドマンのエコノミストはリポートで、預金準備率が引き下げられる確率は低下したと指摘。人民銀は流動性需給の比較的安定した状態を維持するため公開市場操作や中期貸出制度(MLF)、的を絞った手段などを用いる可能性があるとした。
米国内の石油・天然ガス掘削リグ稼働数は前週から10基増の543基と2020年4月以来の高水準となった。
S&P総合500種指数採用企業の2021年第3・四半期利益は、前年同期比32.0%増加する見通し。エネルギーセクターを除くと、利益は同24.8%増加すると見込まれている。
中国の金融当局が一部国内銀行のウェルスマネジメント部門に対し、キャッシュ・マネジメント・プロダクツ(CMP)という金融商品を減らすよう指示したことが複数の関係者の話で分かった。償還請求が膨らんだ場合の流動性リスクを抑えるのが狙い。
CMPは、資産運用会社が販売するマネー・マーケット・ファンド(MMF)と同等の商品だが比較的規制が緩かった。市場規模は1兆1000億ドル。
●市況
日経先物(大証)29180、ダウ先35191、債先151.38、米1.574、独▲0.1615、仏0.180、西0.465、伊0.868、原油81.73、ドル円114.25、墨ペソ20.34、トルコリラ9.2650、墨CDS96
※10/15 NY引値
備忘録(10/14)
●エバーグランデ
不動産開発大手、中国恒大集団の経営難をうけ、中国の住宅バブルへの懸念が強まっている。当局の規制強化で高騰してきた住宅市況は変調の兆しも見せるが、中国人民銀行(中央銀行)は不動産融資の総量規制などを続ける姿勢を示す。総量規制は30年前の日本でバブル崩壊を招いたもろ刃の剣だ。人民銀はいつまで金融リスク抑制の旗印を掲げられるか。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
12月の国際線の運航率(2020年度計画比)を28%にすると発表した。全60路線で3521便を減便する。新型コロナウイルス禍の収束が見通せず、各国で入国規制などが続いている。旅客数の本格回復が見込めない中、コストを抑えようと大幅な減便を続ける。9月22日に発表した10月と11月の国際線運航率はともに27%だった。
新たな問題は特定のチタン製部品に関連しており、過去3年間に製造された787において規定された強度を下回っているという。
ボーイングはDJに対し、会社として生産面で改善を続けており、社内の基準を引き上げていると説明した。
FAAによる737MAXの認証作業で「MCAS」と呼ぶ機体制御システムの情報を隠蔽した罪に問われている。
FAAはパイロットの訓練に必要な基準作りを進めていたなか、元幹部は16年、MCASに重大な変更があったことを知ったが、FAAに伝えなかったため、パイロットのマニュアルや訓練教材などに必要な情報が記載されなかったという。18年のジャカルタで発生した1回目の墜落事故を受け、FAAはMCASの変更に気付いたとしている。
欧州では2年間で2兆ドルの金融商品からESGラベルが消えた
欧州連合(EU)は今年3月、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点から金融商品の特性を評価、開示することを運用会社に義務付ける「サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」を導入した。
EUが設定したこの「反グリーンウォッシュ」規則が、推定35兆ドル(約4000兆円)に上る世界のESG市場の標準となりつつあることに運用会社が気付き始めたからだ。
S&Pグローバルは、SFDRの順守を迫られるEU外の投資会社の規模は計3兆ドル超とみている。この推計が対象としているのは株式を上場している運用会社だけであり、実際にはさらに膨らむ可能性が高い。
あいまいなラベルが取り除かれることで、ESG市場では調整が進んでいるようだ。欧州のファンド業界では2020年末までの2年間に、2兆ドル相当の金融商品からESGのラベルが外された。厳格な規則の導入を見込んだ動きだ。これを一因に、欧州のESG資産の規模は現在、米国を下回っている。
同様の調整が米国でも起こるかどうかは分からないが、シモンズ&シモンズのファ―ス氏はESGを巡る環境の変化の速さに驚いたと話す。資産運用業界は今や、ESGの重要性を強く認識しており、反グリーンウォッシュ規制は潜在的な法的リスクに関して全く新しい世界を開いたと同氏は述べた。
●その他産業
電気自動車(EV)など電動車のモーターに使う電磁鋼板に関し、日本製鉄が自社の特許権を侵害したとしてトヨタ自動車と中国の宝山鋼鉄を提訴した。同鋼板は電動車の基幹部品で、脱炭素が進むとともに知的財産保護が課題となっていた。大口ユーザーもまとめて訴えることで宝山製の電磁鋼板の流通をけん制する狙いがある。知財の重みが増す中で訴訟も新しい段階に入った。
同事業の負債を本体から切り離し、分離後の事業を破産申請した。
J&Jは同日の声明で「(問題のベビーパウダーの原料となる)『タルク(滑石)』に関する全ての申し立てを解決することを目的としている」と述べた。ロイター通信などはこれまで、J&J側の弁護士が原告団に対し、原告との和解が成立しなければ同社は破産法の適用申請を検討し、賠償金が少なくなる可能性があると説明したと報じていた。
●決算関連
第3四半期純利益は37%増の37億ドル(1株当たり1.98ドル)、収入は26%増の148億ドルだった。
投資銀収入は28億5000万ドル(約3240億円)と、アナリスト予想平均の21億ドルを上回った。助言手数料は12億7000万ドルに増えた。株式引き受け手数料は16%増の10億ドル。債券引き受け手数料も19%増え5億6700万ドルとなった。
不調だったのは投資管理事業で、資産運用会社の償還に関連した資産流出があったほか、アジア投資に関連して1700万ドルの損失を出した。
ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は14日の決算発表資料で、「パンデミックからの回復が企業と消費者の信頼感を高め続け、顧客の活動が活発化した。これが当行の投資銀行と株式市場業務の力強い業績に反映されている」とコメントした。これらの業務が寄与し、第3四半期収入はアナリスト予想を上回った。
貸倒引当金11億6000万ドルの戻し入れも寄与し、純利益は46億ドルとアナリスト予想の39億ドルを超えた。
2021年7~9月期の売上高が前年同期比16%増の4146億台湾㌦(約1兆6750億円)になったと発表した。純利益は14%増の1562億台湾㌦だった。売上高、純利益ともに四半期ベースで過去最高を更新した。
売上高純利益率は37.7%と高水準だった。新型コロナウイルス禍からの経済活動の再開で、半導体の需要が世界で一段と膨らんでおり、利益を大きく押し上げた。半導体不足が長期化しており、需給逼迫から半導体の値上げが進んでいることも奏功した。
説明資料によると、上期は行動規制や臨時休業などの影響が継続する上、生産遅延、輸送遅延の影響が残るため、減収減益を想定している。半面、下期にはビジネスが通常通りに戻るとして、大幅な増収増益を予想する。
セグメント別では、国内ユニクロ事業は、在庫の適正化や値引き販売の抑制などの事業構造変革に取り組むことから業績が一時的に低下するため、減収減益を見込む。海外ユニクロ事業は大幅な増収増益、グローバルブランド事業は大幅な増収、黒字化を予想する。
JPモルガン証券の村田大郎アナリストは、事前の電話取材で、新型コロナからの経済活動の再開を前提としたマーケットの期待が高すぎたと述べた。第3四半期の時点で、会社側は商品戦略とマーケティング戦略の連動がうまくいっていないと説明しており、「新しい商品が必要」と指摘した。
需要の拡大で配達員の人手不足が進み、売り上げの伸びよりも配達コストの上昇が加速度的に増えている。
9月のアプリ利用者数はウーバーイーツが568万人、出前館は403万人。1年前からいずれも200万人超の伸びで差は縮まっている。加盟店舗数はウーバーイーツが13万店強、出前館は8万店強で激しく競う。一方で地方ではフィンランド発の「ウォルト」や、独デリバリー・ヒーローの「フードパンダ」が存在感を増しており、シェア争奪へ投資の手を緩められる状況ではない。
足元では配達員の確保も課題となる。これまでコロナ禍で休業していた飲食店からの雇用の受け皿になっていた面があり、行動制限緩和が進めば配達員の確保が難しくなる可能性がある。
出前館は2年後の黒字転換を目指しているが、実現に向けてZHDとの連携を模索する。ZHD傘下のLINEとも連携し集客やポイント施策を強化。さらに7月末からZHD傘下のアスクルと洗濯や掃除用品など日用品の即時配達の実証実験を始めた。料理以外の分野でもサービスを広げることで、新たな需要の獲得を狙っている。
主要5行の2021年7~9月期は純利益が前年同期比で2ケタ増益となった。M&A(合併・買収)ブームで投資銀行業務の収益が伸びたほか、富裕層向け資産管理事業も好調だった。新型コロナウイルス禍への政策対応が世界的なカネ余りと株高をもたらし、力強い追い風となった。
けん引役は投資銀行部門だ。主にM&A助言や新規株式公開(IPO)の支援、株式や債券の引受業務を手がけている。モルガン・スタンレーの助言業務は7~9月期、過去最高の収益を記録した。シティの投資銀行業務も同四半期に、過去10年間で2番目に大きい手数料収入を得た。
景況感の改善とカネ余りが企業やファンドをM&Aに駆り立てている。
富裕層ビジネスもカネ余りの恩恵を受ける。
新型コロナ禍で富裕層は一段と投資余力が増した。FRBのデータによると米家計上位10%が保有する資産額は6月末で98兆ドル。株高によって19年末比で2割増えた。各行とも「富裕層マネー」を取り込もうと躍起だ。
一方、企業や消費者向けの融資で稼ぐ純金利収入は回復途上だ。貸出金利の低下で利ざやが縮小したほか、企業向け融資が伸び悩んでいる。
カネ余りと株高に依存した好業績だけに、その持続性が焦点となる。モルガン・スタンレーのジェームス・ゴーマンCEOはFRBの量的緩和縮小(テーパリング)開始と早期利上げ観測に言及。「マーケットはすこし揺れ始めている」と指摘した上で、FRBの今後18カ月の行動によって、さらに不安定になると予想した。
●マクロ・その他
9月の卸売物価指数は前年同月比8.6%上昇した。伸び率は前月(8.3%)を上回り、比較可能な10年11月以降で最大の伸びとなった。物流の混乱や人手不足など長引く供給制約で、物価の伸びが続いた。
前月比ベースでは0.5%上昇し、伸びは前月の0.7%から減速した。しかし、ガソリンが3.9%値上がりしたほか、牛肉は8.6%、野菜は19.4%値上がりするなど、消費にかかわる品目が広範囲に上昇した。変動の激しい食品・エネルギーを除くコア指数は、航空旅客サービスが16.9%低下して全体を押し下げたため、0.2%の上昇にとどまった。
住宅ローン担保証券(MBS)の動向に市場の注目が集まっている。MBSを保有する投資家が金利変動に伴うリスク調整で米国債を売るとの連想から、金利上昇を誘発する一因とみられているためだ。インフレの高まりによる米金融政策の正常化への観測に加えて、米長期金利の行方を占う材料として目先の金利の先高観を強めている。
9月末時点のH形鋼在庫は、全体で18万300トンと前月末から2400トン(1.3%)減った。2020年12月末以来、9カ月ぶりの低水準となった。小規模の鉄骨造(S造)向けの需要回復が続き、6カ月連続で減少した。
前年同月比10.7%上昇した。比較可能な1996年10月以降で最大の伸びを記録した。資源高に加え、国内の電力制限で素材の生産が落ち込み価格が上がったことも全体の物価上昇に拍車をかけたもようだ。
電力需給が逼迫する要因となっている石炭は75%上昇した。電力不足で生産が落ち込んだ鉄鋼は前年同月を35%上回った。資源高は素材や中間財に広がり、石油・石炭加工、非鉄金属加工、肥料など化学原料、化学繊維は2~4割高まった。
川上と川中の製品をまとめた生産財は14.2%伸びた。対照的に、衣類や耐久消費財など川下にあたる生活財は0.4%の上昇にとどまった。
9月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比10.7%上昇と、1995年11月以来の高い伸び。ブルームバーグのエコノミスト予想中央値は10.5%上昇、8月は9.5%上昇だった。
9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.7%上昇。エコノミスト予想と8月はいずれも0.8%上昇だった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは1.2%上昇と、前月と同じ伸びだった。
生産者物価の高騰は石炭やエネルギー集約型産品の急速な値上がりが主因。石炭高やエネルギー消費削減に向けた政策目標が電力不足を招き、9月は20を超える省・自治区・直轄市が電力使用の制限や工場の操業停止に追い込まれた。ブルームバーグ商品指数は先月5%上昇しており、原油など他の商品高も続いている。
生産者物価上昇率(10.7%)と消費者物価上昇率(0.7%)の差は9月に10ポイントへと拡大、93年以来の大きさとなった。
華興証券香港のマクロ・戦略調査責任者、龐溟氏は「PPIとCPIの差が拡大しているということは、上流セクターが下流へとコスト上昇分を転嫁する圧力も強まっているということだ」と指摘する。
石炭先物が最高値を更新し、政府は電力値上げを容認する姿勢を示しており、今後もインフレ圧力は根強く残り、消費者へと波及していくとみられる。
ピンポイント・アセット・マネジメントの張智威チーフエコノミストは、「スタグフレーションのリスクが他国・地域と同様に中国でも高まりつつあるとわれわれは考えている」とし、「根強いインフレ圧力で金融緩和の潜在的余地は限られる」と述べた。
景気はイングランド銀が予想した以上に弱く、新型コロナウイルス危機前の水準を下回る「完全なリセッション(景気後退)」に今もなお匹敵すると述べた。同氏はMPC委員9人の中でも特にハト派的な1人と認識されている。
今年の物価急騰の一部は、インフレに対して一時的な衝撃となることが多いエネルギー価格の上昇によるものだとテンレイロ氏は主張。もう一つの理由はサプライチェーンの障害で、この解決には時間が必要であり、つまりインフレ抑制に利上げは必要ではないかもしれないと語った。
同氏は「一般的に、半導体やエネルギーの大幅な価格上昇といった短期的な影響がインフレに生じている場合に、その直接的な影響に対応しようとするのは自滅的と言えるだろう」と述べ、「金利がインフレに大きな影響を及ぼす頃には、エネルギー高の影響は既にインフレの算出から外れているだろう」と論じた。
9月はサービス価格が前月比0.2%上昇と、3カ月ぶりの低い伸びにとどまった。航空利用客向けサービス価格が16.9%急低下したことなどを映している。レンタカーの価格も低下しており、新型コロナ感染拡大で旅行などの活動が影響を受けたことを浮き彫りにした。一方で財の価格は1.3%上昇し、4カ月ぶりの大きな上昇率となった。発表元の労働省は財の上昇分の40%はエネルギー価格に帰因すると説明した。
財の内訳ではエネルギー価格が2.8%上昇と、3月以来の高い伸び。食品価格は2%上昇。前月は2.9%上昇だった。
食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.1%上昇。2020年5月以来の小さな上昇率にとどまった。前年同月比では5.9%上昇した。最も変動の大きい要素を取り除いていることから、一部のエコノミストはこの指標を重視している。
5大経済研究所の最新予測によれば、今年の経済成長率は2.4%にとどまる見込み。4月時点では3.7%と予測していた。深刻な供給問題や輸送力不足、最近のエネルギー高が世界の景気回復を脅かしているとの見方を反映した。来年の経済成長率見通しについては4.8%と、これまでの3.9%から上方修正した。
5大研究所は合同で声明を発表し、「中間財の供給不足が製造業の生産を妨げている。その結果、伸びているのは消費者関連のサービス業だけだ」と指摘した。
大半のセクターで生産が新型コロナウイルス危機前の水準を回復するのは来年春と予測し、年末までの回復を見込んでいた従来予想から後退した。
豪統計局の雇用統計責任者、ビョルン・ジャービス氏は発表資料で「ニューサウスウェールズ州やビクトリア州、首都特別地域でのロックダウンの延長を受け、雇用者数と労働時間の両方が新型コロナ禍前の水準を下回った」と指摘。「失業率の低さは労働市場の力強い状況を示しているわけではなく、引き続き最近のロックダウン中の労働参加率低下を反映している」と説明した。
習近平(シー・ジンピン)指導部が達成したと成果を誇示する「脱貧困精神」や新型コロナウイルスに打ち勝つ「防疫精神」など40以上を選んだ。2022年秋に控える党大会に向け、党員を思想面で引き締める。
7月末に発足したばかりのカスティジョ政権の地盤はより一層弱くなりそうだ。
セロン党首はツイッターに投稿した声明で「内閣が中道右派に向かっていることは否定できない」と指摘した。同氏は急進的な左派で、マルクス主義を信奉していることで知られる。
物価高に賃金上昇が追いつかず、待遇改善を求める労働組合と会社の交渉が難航している。人手不足による労働需給の逼迫を背景に、組合側は強硬姿勢で好条件を引き出そうとしている。
農機大手のディアで14日、従業員1万人が賃上げなどの待遇改善を求めて無期限ストに入った。
政府は電力生産を増やすため、値上げを容認した。資源高と重なり企業のコストは一段と膨らみ、価格転嫁の圧力は強まる。政府は価格統制で小売価格の上昇を抑え込んできたが、政府が市場に介入する手法が揺らいでいる。
政府は住民生活にかかわる領域への電力供給を優先。エネルギー消費量が多い鉄鋼やセメントへの供給制限を続ける。生産が減り、供給不足から価格が跳ね上がっている。
中国の鉄鋼業界団体によると、大手企業の1日当たりの粗鋼生産量は9月下旬で前年同期比19%減、10月上旬は同14%減と2ケタの落ち込みが続く。
この結果、9月末の鋼材価格は前月末より6%高まった。前年同月と比べると51%の大幅上昇だ。10月も値上がりの傾向が続く。
政府は電力不足の緩和に動き出した。温暖化対策として石炭生産を制限してきたが、主産地の内モンゴル自治区政府が石炭の増産を指示。15日からは、石炭火力発電の電気料金の引き上げ幅を最大20%まで容認する。
輸出企業は国内市場での収益悪化を補うかのように、家電など一部の海外向け製品で価格の引き上げを進めている。値上げが海外製品に偏れば、将来的に中国企業の国際競争力にも影を落とす。
●市況
日経先物(大証)28950、ダウ先34885、債先151.44、米1.528、独▲0.1935、仏0.141、西0.430、伊0.834、原油81.81、ドル円113.93、墨ペソ20.54、トルコリラ9.1948、墨CDS10
※10/15 11時55分頃
備忘録(10/13)
●エバーグランデ
ディストレスト水準で取引されているドル建て債1390億ドル(約15兆7900億円)のうち、46%が中国不動産セクターの社債だ。利回りがベンチマーク金利を10ポイント以上上回る債券は、ディストレスト債と見なされる。
中国不動産セクターでは債務返済圧力が高まりデフォルト(債務不履行)が増えていることから懸念が広がっており、中国の発行体による投資不適格級(ジャンク)格付けのドル建て債は、利回りが約10年ぶり高水準に達している。
業界大手の中国恒大集団が先月、社債利払いを怠り、続いて花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が予想外のデフォルトに陥った。新力控股集団は、今月18日に期限を迎える社債を償還できるとは見込んでいないと発表した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
スイスの大手銀行クレディ・スイスは英金融サービス会社グリーンシル・キャピタルの破綻を巡り、関連ファンドに投資して損失を被った顧客に対し手数料を実質的に免除する。関係筋がロイターに明らかにした。
クレディ・スイスは、債務者と保険からの資金回収は前進しているが時間がかかるとし、SCFの投資家の状況を改善するための他の手段を模索していると説明した。
●決算関連
7~9月期決算は純利益が前年同期比24%増の116億ドル(約1兆3200億円)だった。米経済の見通しが改善し、融資の焦げ付きに備えて積んでいた貸倒引当金を戻し入れたことが純利益を押し上げた。M&A(合併・買収)や新規株式公開(IPO)の動きが活発で手数料収入も増えた。
7~9月期は貸倒引当金を21億ドルを戻し入れた。内訳は企業向け融資で12億ドル、個人向けカードローンで9億ドルだ。貸倒損失と合計した不良債権処理費用(信用コスト)の減少で15億ドル利益を押し上げた。
純営業収益は同1%増の296億ドルだった。伸びが大きかったのは投資銀行部門と、富裕層向けの資産管理部門だ。投資銀行の収入はM&A助言業務などの手数料増加で45%増えた。富裕層向けは資産管理手数料などが好調で、同部門の収入は21%増えた。
もっとも、カードや住宅ローンなど融資業務が主体の個人・中小企業部門の売上高は3%減少した。金利低下で貸出金利と預金金利の差である利ざやが圧迫されている。
第3・四半期決算は、新型コロナウイルス感染拡大以降で初めて政府支援なしで黒字化した。ただ第4・四半期については、燃料価格の急騰を受け、税引き前ベースで赤字を計上する恐れがあると警告した。
原油価格の急騰で新型コロナ禍から回復しつつある航空業界は圧迫されており、デルタ航空では、燃料費用が営業費用(調整後)に占める割合は第3・四半期に約20%に達した。
バスティアン最高経営責任者(CEO)は、燃料費用の増加を顧客に転嫁せざるを得なくなる可能性があると指摘。ただ、旅客需要の回復などを受け、11月と12月には収入が新型コロナ感染拡大前の75%まで回復するとの見方を示した。
●マクロ・その他
主要候補から移民やイスラム過激派を巡る治安対策で強硬論が目立つようになってきた。現職のマクロン氏(43)は警備人員を増やすと強調し、極右評論家のゼムール氏(63)は外国人犯罪者の国外追放といった過激な主張を唱える。経済対策を巡っては主張が割れるなか、国民の関心が高い治安の強化を訴えて支持取り込みを狙う。
世界の政府債務が高水準に達するなか、金融緩和政策が縮小に向かうリスクについて「十分に予測され、十分に意思疎通できる」と述べ、大きな混乱が生じる恐れは小さいとの認識を示した。
2026年に先進国は国内総生産(GDP)比で118.6%と新型コロナウイルス危機前の19年を約15ポイント上回る。米欧がコロナ後の成長を見据えた巨額の財政支出を続けるためだ。新興国の債務も一段と膨らみ、金利の急上昇や資本流出の懸念が世界経済のリスクとしてくすぶる。
ロサンゼルス港は24時間・休日なしの運営に切り替える。夜間や週末もフル稼働し、荷物を運び出せる時間を増やす。ロングビーチ港では既に同様の運営を始めている。ロサンゼルスとロングビーチの両港で、米国に運ばれるコンテナの4割をさばいている。2港は米国の「海の玄関口」だ。
カリフォルニアの2港では、荷物が滞留する時間も減らす。フェデックスは貨物列車の利用拡大などで、港から夜間に運び出す荷物の量を2倍に増やす。ウォルマートは夜間の港の利用時間を最大5割引き上げる。
個人消費の中心がサービスからモノに移ったことで輸送需要も高まった。全米小売業協会の推計によると、9月の米主要港の輸入量は前年同月比6.7%増えた。カリフォルニアの2港に入るために待つ船は約75隻と1カ月前の3倍に上る。
米貿易統計によると、1~8月のモノの輸入は1兆8460億ドル(約210兆円)と前年同期を23%上回る。最大の輸入相手国である中国は21%増えた。トランプ前政権時代から大部分の製品に制裁関税を課しているが、輸入の勢いは衰えない。
今回の対策だけで供給制約が解消するわけではない。ホワイトハウスの協議には労働組合も参加して協力する姿勢だが、物流や小売りの人手不足は著しい。輸入先の中国では電力が不足しており、モノの生産と供給が一段と滞るリスクも抱える。
た9月のドル建て輸出額は前年同月より28.1%増えた。市場の事前予想では国内の電力制限が輸出を下押しするとの見方が多かったが、結果は8月の25.6%増より加速した。資源や半導体など原材料高を製品価格に転嫁する動きが輸出額を押し上げている。
堅調な伸びを示した理由の1つが製品価格の上昇だ。携帯電話や液晶パネルの輸出の数量は減少したが、単価はそれぞれ85%、45%上がった。家電の価格も35%高まり、3%弱にとどまった数量の伸びを大きく上回った。
不安要素は少なくない。1つは国内の電力制限だ。石炭価格の上昇や政府の気候変動問題への対応で電力需給が逼迫し、工場の操業停止など生産に影響が出ている。輸出への影響をめぐり、税関総署の李魁文報道官は「状況を注視し分析しているところだ」と述べるにとどめたが、電力制限の長期化は輸出製品の出荷も下押しする。
もう一つは海外受注の動向だ。中国国家統計局がまとめた製造業購買担当者景気指数(PMI)をみると、輸出に限った新規受注は9月まで5カ月連続で好不調の境目である50を下回った。2022年初めにかけて輸出用の新規受注が停滞する可能性を示唆する。
天然ガスなどのエネルギー価格について「厳冬が長引いて生産国が市場を安心させる必要な措置を取らなければ、高止まりして荒い値動きが当面続く可能性がある」と語った。
総合CPIは前月比0.4%上昇-前月0.3%上昇。ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は0.3%上昇。前年同月比では5.4%上昇-2008年以来の高い伸びに並ぶ
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.2%上昇-前月0.1%上昇。前年同月比では4.0%上昇
9月のCPIは食品や居住費の上昇が反映された。一方、中古車・トラックや衣料品、航空運賃は低下した。
中国平安保険(集団)は自社について、生命保険の販売会社ではなく、高成長を遂げているテクノロジー企業として扱われるべきだとずっと主張してきた。だが中国の不動産セクターが敬遠されている今、時価総額を900億ドル(約10兆2000億円)失った平安保険は不動産開発会社のような株価動向となっている。
保険・資産運用商品に顧客を呼び込むため、ヘルスケアサイトのグッド・ドクターや中国で自動車販売のウェブサイトを運営する汽車之家(オートホーム)など、オンラインプラットフォームへの投資に重きを置いているのが平安保険のビジネスモデルだ。
本業の生保事業が低迷しているほか、華夏幸福基業投資開発への大規模投資が失敗したことで、平安保険による他の不動産開発会社へのエクスポージャーを巡る懸念も浮上している。
IEAは太陽光や風力などへのグリーンエネルギー投資について、温暖化の著しい進行を防ぐために必要な水準に達していないと指摘。同時に化石燃料についても、石油と天然ガス、石炭への今の需要の伸びが続く場合に必要な投資を下回っているとした。
ビロル事務局長は「国際エネルギー市場がさらに動揺するリスクが生じている、将来のエネルギー需要に十分な投資をわれわれは行っていない」と訴えた。
IEAが世界の政策担当者に提示した三つのシナリオによれば、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを達成できた場合に限り、世界の気温上昇をセ氏1.5度に抑制できる。このシナリオは、化石燃料需要の劇的な減少と新たな油田・ガス田の開発中止が前提となる。
他の二つのシナリオは現時点で実施された気候変動およびエネルギー政策と公約を反映する一方、化石燃料へのより大きな依存を想定しており、気温上昇はそれぞれ2.1度、2.6度に達するという。
華興証券(香港)のマクロ・戦略調査責任者ブルース・パン氏は、10月1日からの国慶節(建国記念日)連休前に注文をこなそうと工場が急いだ結果、これが輸出押し上げに寄与した可能性を指摘した。
税関総署の李魁文報道官は10-12月(第4四半期)に貿易の伸び鈍化があり得ると予想。前年同期の水準が高めで、物流に問題があるとし、「一部の取引ルートに需給の不均衡が生じており、状況を注視している」と話した。
オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏は「輸出の数字は堅調だが国内経済の減速を埋め合わせできなかった恐れがある」と述べ、「輸入の伸び鈍化が気掛かりだ。特に電力不足など各方面で、中国は供給の制約を克服する必要があるだろう」との見方を示した。
OPECは13日発表の月報で、今年の世界石油需要見通しを下方修正し、加盟国に対して市場動向を注視するよう求めた。天然ガス価格の高騰によって発電など一部の分野で石油消費が拡大する可能性があると指摘した上で、製油など他の分野で需要が損なわれ得るとの見方を示した。
欧州諸国が要請すれば天然ガスの供給を増加させる用意があると述べ、ロシアが政治的な意図を持って供給を削減しているとの批判を暗に否定した。
ロシアがエネルギーを政治的な武器として利用しているとの批判については、「全くのナンセンス」と一蹴。「ロシアは常にパートナー国に妥協しており、追加措置について協議する用意がある」と述べた。ただ具体的には明らかにしなかった。
その上で、欧州のガス市場の構造とスポット取引への依存を改めて批判。今年は冬季の厳しい寒さを受け燃料需要が増大したものの、多くの国は天然ガスの在庫積み増しに動かず、むしろスポット取引に依存したとし、市場原理の下で需要増を反映し価格が一段と上昇したとの見方を示した。
エネルギー製品の価格が急騰する中、上昇は今後数カ月も継続する見通しで、インフレ上昇が一過性とする米連邦準備理事会(FRB)の見解に疑問を投げ掛けた。
食品や家賃の上昇が目立ち、9月の消費者物価上昇分の半分強を占めた。景気回復を阻害させかねない供給制約を早急に解消するよう、米政権への圧力が強まることは必至だ。
人民銀行は、債務やバブルのリスクに配慮しながら、景気の回復を下支えしている。
不動産ローンを中心とする9月の家計向け融資は7886億元で、8月の5755億元から増加。企業向け融資は9803億元で、8月の6963億元から増加した。
興業証券のアナリストは、「不動産や地方政府債務に対する厳しい規制を背景に、市場は(信用問題で)過剰な期待を抱くべきではない。住宅や不動産融資への規制がいつ緩和されるか、景気悪化に対応する財政政策の程度が重要だ」と述べた。
副総裁2人を含む、金融政策決定会合メンバー計3人を更迭した。14日未明に官報で公表した。決定会合を翌週に控えるなか3人を更迭するのは異例。エルドアン氏は過去約2年半の間に総裁を3度更迭しており、人事の混乱が続いている。
EIAは、今冬に米国の家庭が支払う天然ガス代は前年同期に比べて30%増え、電気代は6%増えるとの見通しを公表した。ガスの市場価格が上昇したほか、今冬は「ラニーニャ現象」のために北半球は気温が低いと予測されており、暖房需要が増加するためだ。
市場価格が上昇したことで今冬の家庭向けのガスも27%高くなる。ただ、ガス会社の調達価格が家庭向けにただちに反映されない地域もあり、家庭向けの上昇率は市場価格よりも低い。
ボウマン理事は13日の講演で「供給に起因する価格圧力が予想以上に長引きかねない重大なリスクがある」と述べ、インフレ圧力の長期化に強い警戒感を表明した。量的緩和の縮小(テーパリング)については「できれば11月の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で開始を決定することに、現時点で非常に納得している」と明言した。
アマゾンが求めているのは現在運航している中では双発旅客機として最大級のボーイング777ー300ERの改造貨物機、エアバスの広胴機A330-300の貨物転用機。アマゾンで5年間にわたり空輸の中心を担ってきた中型機のボーイング767に比べ、両モデルは大型だ。
ボーイング777の改造型なら中国などから直接商品を輸入できると関係者は話す。米ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)やフェデックスとの競争激化につながりそうだ。ボーイング777ー300ERの改造貨物機は来年投入の計画で、既存の同社製貨物機よりも積載量が25%多い。関係者によると、アマゾンが求めている機材の数は不明。エアバスA330-300については、10機を模索しているという。
●市況
日経先物(大証)28480、ダウ先34337、債先151.37、米1.551、独▲0.1340、仏0.200、西0.491、伊0.899、原油80.83、ドル円113.35、墨ペソ20.55、トルコリラ9.1493、墨CDS103
※10/14 9時25分頃
備忘録(10/12)
●エバーグランデ
「広範な金融ストレスが生じ、中国経済や金融業界だけでなく世界の資本市場にも影響が及ぶリスクがある」と警鐘を鳴らした。
IMFは危機の連鎖について「今のところ財務が脆弱な不動産開発会社や低格付けの企業に限られている」とみているが、「緊張が広がるマクロ金融面の経路はいくつもある」と指摘。中国の不動産業界全体の信用問題に広がれば、融資や債券購入などで関わる多くの金融機関が損失リスクを抱える点を挙げた。「住宅価格の長期的な下落が家計の心理を冷やし、消費を圧迫しうる」ことや、地方政府の土地売却収入の減少や公共投資の削減といったリスクも指摘した。
また、中国では政府を除く家計や企業などの資金調達の総額が2021年6月時点で国内総生産(GDP)比230%の規模に達した。新型コロナウイルス禍が本格化する前の19年末から15ポイント上昇した。「コロナ禍を経て中国の金融の脆弱性はさらに高まった」とIMFはみる。財政状態の悪い地方政府が企業を支える力も弱まっているという。
中国当局は格差是正に向けて「共同富裕(ともに豊かになる)」のスローガンを掲げ、富裕層向けビジネスや不動産、フィンテック企業への規制や監視を強めている。IMFはこうした取り組みを金融の脆弱性に対処する動きとしつつ、急なルール変更などに対する投資家の警戒感の高まりにも言及した。
債務問題がさらに深刻になる事態を防ぐため、IMFは投資額を膨らませるレバレッジの抑制や政府による暗黙の支援の段階的縮小を中国当局に求めた。経営不振企業が市場から秩序だって退場できるように、企業再建や破綻処理の枠組みを強化することも長期的な課題だとしている。
中国で不動産開発を手掛ける新力控股集団は、今月18日に期限を迎える社債2億5000万ドル(約280億円)相当を償還できるとは見込んでおらず、その他2銘柄でクロスデフォルトを招く可能性があると発表した。不動産業界では波及リスクが高まっており、投資家らは他にどこが資金不足に陥る恐れがあるのか推測を余儀なくされている。
「(中国の)不動産セクターへの懸念されるエクスポージャー」はないとした上で、「今が中国にとって何かリーマンのような瞬間だというこの考えだが、中国が率直にそれほど愚かだとは思わない」と発言した。
花様年の香港取引所への届け出によれば、両氏の退職により、社外取締役は1人となった。香港の上場規則では、3人以上の取締役を置き、このうち少なくとも1人は適切な資格や会計もしくは関連する財務管理の専門知識を有している必要があるという。同社は「実施可能になり次第すぐに」空席となった取締役の補充を目指すとしている。
社債投資家は利払い約1億5000万ドルについて、期限の11日までに受け取っていない。中国恒大は9月以降、それまで2度利払いを見送っている。
市場では、同社は10月18─19日にも正式にデフォルト(債務不履行)を宣言する可能性がある、としてカウントダウンが始まっている。
シーポート・グローバルの新興国市場法人信用アナリストのHimanshu Porwal氏によると、年内注視すべき支払いと日程は以下の通り。
Oct. 15 - Shimao $820 million
Oct. 15 - Xinyuan $229 million
Oct. 18 - Sinic $244 million
Oct. 27 - Seazen Holdings $100 million
Nov. 8 - Central China Real Estate $400 million
Nov. 18 - Agile $200 million
Dec. 3 - Ronshine China $150 million
Dec. 7 - Kaisa $400 million
Dec. 17 - Fantasia $249 million
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
グラクソの大衆薬部門は鎮痛剤「パナドール」、制酸剤「タムズ」、ビタミン剤「セントラム」などのブランドを抱えており、世界の製薬大手や消費財企業なども関心を示す可能性がある。
グラクソは約3年にわたり、医療用医薬品と大衆薬とを分割する計画を進めてきた。変化を急ぐよう求めるエリオット・インベストメント・マネジメントやブルーベル・キャピタル・パートナーズなどアクティビスト投資家の圧力をエマ・ワムズリー最高経営責任者(CEO)はかわしてきたが、革新的な新薬開発では国内競合のアストラゼネカに後れを取り、世界最大のワクチンメーカーであるにもかかわらず新型コロナウイルスのワクチン開発では競争に割って入ることもできなかった。
●その他産業
●決算関連
2021年7~9月期の売上高は、155億1200万ユーロ(約2兆300億円)と前年同期比3割増えた。富裕層の旺盛な消費意欲を背景に全部門が増収で、特に時計・宝飾品が好調だった。
全体の約半分を稼ぐ主力のファッション・皮革は25%増だった。地域別では、新型コロナウイルスワクチンの普及で経済活動の再開が進んでいる欧米の好調が目立った。
ただ、今年4~6月期(前年同期比の増収率は89%)に比べると減速した。高級ブランドの一大市場である中国の景気減速懸念など先行き不透明感もある。
●マクロ・その他
腐敗や汚職を取り締まる共産党中央規律検査委員会が「重大な規律違反」の疑いによる調査を発表したのは、前司法相(法相に相当)の傅政華だ。66歳になった現役の中央委員である。これまで傅政華が指揮した捜査で捕まった人物は多い。
「事件捜査畑出身の実務官僚という印象だったが、知りすぎた男はやはり退場させられた。しかも非情な形で。これから何が起きてもおかしくない」。共産党関係者の吐露である。
実績もある傅政華について今後、明らかになる具体的罪状とは別の背景として見逃せないのは、純粋な習派ではない「外様」としての経歴である。習側からみれば、能吏ではあるが、決して気を許せない人物だった。
習はそもそも警察組織に根深い不信を抱いていた。習政権が2期目に入った18年以降だけでも公安次官経験者の摘発は3人目だ。18年には中国が国際刑事警察機構(ICPO)のトップとして送り込んでいた孟宏偉、そして20年4月には孫力軍、そして今回の傅政華である。重慶や上海の公安局長も摘発されている。中国の治安を担ってきた警察上層部は総崩れ状態といってよい。
裁判所や検察を含めた司法、警察部門を仕切る中央政法委員会の秘書長には習の側近である陳一新が就き、傅政華の後任の司法相には同じく習に近い唐一軍を抜てきした。いずれも習が浙江省時代に見いだした「浙江閥」の人材で、純粋な習派である。
2021年の実質成長率の見通しを5.9%と前回7月の予測から0.1ポイント引き下げた。新型コロナウイルスの感染再拡大による供給制約が響き「全体として成長のリスクは下方に傾いている」と懸念を表明。高インフレが長引く可能性にも警戒感を示した。
IMFは22年に供給制約が和らぎ、インフレも落ち着くとの見方を基本とするが、原油など国際商品価格が上昇する現状を踏まえ「インフレの先行きに大きな不確実性がある」と強調した。
また、IMFは世界経済の成長率は22年に4.9%、中期的に3.3%程度に減速するとみている。
供給制約が強く響くのは、財政出動とワクチン普及で春以降、需要を急回復させた米国だ。経済再開の効果のずれこみや足元の消費の弱さから、21年の成長率は前回から1ポイントの大幅な下方修正となった。
新興・途上国では中国の成長が鈍る。公共投資が想定より小さいとして21、22年とも0.1ポイント下方修正し、それぞれ8%、5.6%を見込む。中国当局による不動産市場の引き締めで中国恒大集団の経営危機といった懸念もある。IMFは「中国の不動産部門の無秩序な債務再編」をリスクに挙げた。成長はさらに鈍る恐れがある。
一方、産油国などは原油高で成長が上振れし、新興・途上国全体の21年の成長率見通しは前回より0.1ポイント高い6.4%と予測した。
米GDPは今年前半に危機前の水準を回復したが、その急回復に夏のコロナ感染の再拡大がブレーキをかけた。「コンクリート価格が数カ月で約2割上がり、資材価格の高騰が落ち着くまでプロジェクトを一時中断する建設業者が出ている」(セントルイス連邦準備銀行)。経済再開の主力の一つの飲食業でも人手不足が深刻で、営業時間を短縮せざるを得ないケースもある。
IMFも米国の下方修正の要因の一つに7~9月期の消費の弱さを挙げた。米ゴールドマン・サックスは、財政支出の縮小に加え「長期的に続くコロナ感染の影響を織り込むと、個人消費の回復はより遅くなる」と指摘した。
米調査会社コンファレンス・ボードの消費者信頼感指数は9月、6カ月先を見通す期待指数が6.2ポイント低下した。
マクロン氏は18年、58基(同年時点)ある国内の原子炉のうち14基を35年までに閉鎖し、エネルギー生産に占める原発の依存度を7割超から5割に下げると表明していた。欧州では天然ガスの価格が高騰し、温暖化ガスを出さず安定して電気をつくれるとして、原子力を再評価する声もある。
英コンセンサス・エコノミクスによると、過去5カ月間に同国の経済成長予測には主要7カ国(G7)の中で最大の上方修正が行われた。
OECDのチーフエコノミストは同国が硬直化した民事裁判制度や行政、効果のない競争関連の法律など、広く知られている経済成長の阻害要因への対処を始めたと指摘した。
ドラギ首相は、政府のワクチン接種キャンペーンが成長見通しの大幅改善に貢献したとしている。同国のワクチン接種完了率はG7の中で2番目に高い。
エネルギー効率の改善や機械・装置の購入に政府がインセンティブを設けたことや、長年にわたる政治的不安定の後で発足したドラギ政権への投資家の信頼のおかげで投資が「活況だ」と同氏は述べた。
また、多くの企業がパンデミック対応としてデジタル分野への投資を増やし、電子商取引(EC)への対応で他のEU加盟国に後れをとっていたイタリアが差を縮めた。
輸出も景気回復を後押ししている。一部のアナリストは、イタリアは他国より半導体の輸入が少ないためサプライチェーンの混乱にあまり影響を受けていないと指摘する。
短期的な懸念材料もある。イタリアはすでに急騰する燃料価格に影響を受けており、政府は補助金として40億ユーロを支出する予定だ。燃料危機が長期化すれば景気回復のペースが落ちる。サプライチェーンの混乱が続いて需要が弱まっていることに加え、中国の経済成長が減速すればイタリアだけでなく世界経済への向かい風となる。
中国共産党は、国内で金融規制を担当する機関や大手国有銀行、保険会社、不良債権処理会社を対象にした検査を6年ぶりに行う。54兆ドル(約6117兆円)規模の金融システムにおける腐敗の一掃に向けた取り組みを強化する。
銀保監会の郭樹清主席は、今回の取り組みは党中央が金融規制を高度に重視していることを反映していると説明。職員に対し、検査担当者への協力が最優先事項になると述べた。
今回は中国人民銀行(中央銀行)や証券監督管理委員会(証監会)、上海・深圳証券取引所、大手国有銀行、中国華融資産管理を含む不良債権受け皿会社などが厳格に調べられる。
こうした動きは幹部や企業役員の汚職に対する共産党の姿勢が厳しくなっていることを示している。金融セクターへの前回の検査は15年終盤に行われ、規律検査委は21の組織を調べた。一連の検査は違反の是正に至ることが多く、疑わしい取引や当局者への追加調査に発展することもある。
一般炭の先物価格が2営業日連続で最高値を更新した。豪雨被害が山西省以外の主要採炭地域にも広がっており、燃料供給の拡大や深刻化するエネルギー危機に歯止めをかける取り組みが難しさを増している。
証券時報によれば、陝西省にある2カ所の炭鉱が豪雨による影響を受けている。国内最大の石炭生産地である山西省では、この数日で洪水により682カ所のうち60カ所が閉鎖されたが、一部は徐々に操業を再開しつつある。
超緩和的な金融政策が「一部の市場の熱狂や金融レバレッジの積み上げ」につながり、信用引き締まりに伴ってそれらが無秩序な形で巻き戻されて、経済回復が危険にさらされる可能性があると指摘した。
また、「中銀が以前予想されていたよりも速いペースで引き締めを進めることで、中銀自体からショックが誘発される可能性がある。バリュエーション伸長のレベルを踏まえると、かなりの規模の売却を目にするのではないかと懸念している」とも指摘。
住宅市場については住宅価格の下振れリスクは極めて大きいと見受けられる。最悪のシナリオでは、住宅価格の今後3年間の下落幅は先進国で約14%、新興市場国では22%と推計される。住宅価値は2007-08年の金融危機前と同程度、伸長していると見受けられるが、当時に比べて銀行システムがずっと良好な状態にあることが、1つ希望を持てる点だとIMFは指摘する。
ZEWのバンバッハ所長は10月の指数悪化について「原材料と中間財の供給障害の長期化が主な原因」だと発表文で指摘。「金融市場の専門家は、自動車製造や化学、製薬など輸出指向型の業界で利益が減少すると見込んでいる」と記した。
政府は12月3日ごろまで資金をやりくりできる見通しだが、同日が近づけば問題が再燃するのは必至だ。議会が債務上限を引き上げたり凍結したりするなど新たな対応が必要になる。
クオールズ氏は以前、副議長の任期満了後もFRB理事として残ることを示唆していた。
●市況
日経先物(大証)28195、ダウ先34199、債先151.31、米1.572、独▲0.0945、仏0.236、西0.524、伊0.918、原油80.42、ドル円113.56、墨ペソ20.78、トルコリラ9.0429、墨CDS99
※10/13 9時20分頃
備忘録(10/11)
●エバーグランデ
中国の不動産開発会社、当代置業(中国)(モダン・ランド・チャイナ)は25日に期限を迎えるドル建て社債の償還を3カ月延期するよう投資家に要請していると明らかにした。デフォルト(債務不履行)を回避することが目的。また元本の35%を償還し、1000ドルにつき1ドルの承諾料を支払うことを提案した。
今月償還を迎える社債の表面利率は12.85%。11日の取引で額面1ドル当たり46.512セントへ下落した。同社の株価は香港市場で2.11%安の0.465香港ドルで終了し、上場来安値を更新した。
中国恒大集団の社債を保有する海外投資家の一部がアジア時間11日の期限までに利払いを受け取っていないことが、関係者の話で分かった。
11日は2022年4月、23年4月、24年4月の各償還債の半年に1度の利払い日だったが、中国恒大は国内債権者を優先し、ドル建て債については先月に2回期日が到来したにもかかわらず、利払いを見送ったまま沈黙を守っているため、今回も実施の可能性は低いとみられていた。
一方、同業の新力控股(Sinicホールディングス)も11日、2億5000万ドル相当の社債について、デフォルト(債務不履行)となる可能性が高いと発表した。支払いに足る十分な資金がないためとしている。
同社は先月、迅速な資金注入がなければ資金繰りが破綻すると警告。戦略的投資や資産の売却がなければ、従業員やサプライヤーへの支払い、および自動車の量産能力に影響が及ぶだろうとしていた。
ただ、同社はこのほど部品会社や地元当局などとの会合を開催。ウェブサイト上の発表によると、経営陣は来年の量産開始を確実に達成するとした。
中国の不動産信託商品が9月に調達した資金が前月から40%強急減した。中国紙の上海証券報が11日、報じた。同国の不動産大手、中国恒大集団の債務問題で不動産部門への投資を手控える動きが強まった。
恒大の2022年償還債(表面利率9.5%)と2023年償還債(同10%)のクーポンが、香港時間11日午後5時(日本時間同6時)時点で支払われていない。
この2本に2024年償還債(同10.5%)を合わせた計3本が11日に利払い日を迎えており、合計利払い予定額は約1億4800万ドル(約168億円)に上る。
これら社債のうち少なくとも1本は発行時の文書に、支払いには30日間の猶予期間があり、その間はデフォルト(債務不履行)と見なされないと記載されている。恒大にコメントを求めようと営業時間外に連絡したが、これまでに返答はない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
英製薬大手のアストラゼネカは11日、新型コロナウイルスの治療に使う「抗体カクテル療法」の後期臨床試験(治験)で、患者の重症化や死亡のリスクを50%減らすことが確認されたと発表した。同社は「早い段階で治療することで重症化が大幅に抑えられ、効果は6カ月以上続く」としている。
同社の抗体カクテル療法「AZD7442」は2つの抗体を感染者に筋肉注射で投与し、体内でウイルスが増えるのを阻止する仕組みだ。同社は米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請している。日本では、厚生労働省の新型コロナ治療薬の開発支援事業に採択されており、承認時の供給について政府と交渉している。
開発中の新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」について、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請したと発表した。ウイルスの増殖などを防ぐ抗ウイルス薬で、認められれば飲み薬としては初となる。
自宅で服用が可能なため、医療機関の負担が軽くなると期待されており、米国で緊急使用許可が出れば、日本政府も国内審査を経て年内にも承認する方針を示している。
11月の2020年度計画比の国内線の運航率は74%で、10月(9月30日発表時点)から11ポイント上昇すると発表した。
米メディアによるとサウスウエスト航空の欠航便の数は9日に800便超、10日は1000便超に上り、それぞれ計画していた便数全体の2割超がキャンセルとなった。11日も全体の約1割に相当する約350便が欠航を予定している。3連休を使って遠出を計画していた旅行客らに打撃となった。
同社によると、悪天候によって8日夕に発生した欠航が最初の引き金となった。9日以降の運航に必要な機材と乗務員が事前に予定していた位置から外れ、連鎖的なキャンセルを招いたという。正常化の時期については明らかにしていない。
悪天候はライバルにも影響したが、他の米航空大手では3連休の間に大規模な欠航は発生していない。サウスウエスト航空が収益性を重視するあまり、機材や乗務員らの配置に余裕を持たせなかったことが裏目に出たとの見方も出ている。
●その他産業
再生可能エネルギー新興企業のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、東京・港)を買収すると発表した。買収額は2000億円。JREの親会社である米ゴールドマン・サックスとシンガポール政府投資公社(GIC)から全株式を取得する。脱炭素を見据え、再生エネ事業を新たな収益の柱に育てる。
ENEOSは国内外に60の再生エネ発電所を持つJREを傘下に収め、再生エネ事業を本格的に拡大する足がかりにする。11日にゴールドマンなどと株式譲渡で基本合意した。22年1月下旬ごろに株式譲渡を実行する予定だ。22年3月期の業績への影響は軽微という。
井上氏が指摘する「将来価値」の主軸は洋上風力だ。JREは長崎県や秋田県、北海道などで洋上風力の開発に乗り出している。国内での商業利用は遅れており、政府は「再生エネ電源の主力電源の切り札」と期待する。洋上風力は建設や運営などに数千億円かかる一方、数十年にわたってコストを上回る収益を得られる可能性がある。
工業用ソフトウエア事業を米アスペン・テクノロジーと統合させることで同社と合意した。約110億ドル(約1兆2400億円)規模の取引となる。
アスペンの株主は1株当たり現金87ドルと統合新会社の株式0.42株を受け取る。エマソンは新会社に60億ドル出資し、株式55%を保有する。
●決算関連
●マクロ・その他
国務院(政府)は8日、電気料金は指標に対して最大20%の上昇が認められると発表。10%上昇としていた上限を2倍に引き上げることで、電力会社が供給を増やし利益を上げやすくするとともに、利用者の需要を抑制する措置を講じた。
天風証券の孫彬彬氏率いるアナリストチームは10日のリポートで、エネルギー集約型産業のコスト上昇を踏まえると、生産者物価指数(PPI)への影響はCPIより大きくなると分析。電気料金引き上げはPPIで1%上昇、CPIでは0.5%の上昇につながるとしている。
シティグループのトレーシー・リャオ氏らアナリストは生産者物価が高止まりし、成長が圧迫されていることから中国での「短期的なスタグフレーション」に警鐘。8日のリポートで、「世界のサプライチェーンに混乱が広がっており、中国がインフレを輸出する可能性もある」との見方を示した。
インフレ加速を受けて、米連邦準備制度が資産購入のテーパリング(段階的縮小)開始の方向にあるほか、ノルウェーやブラジル、メキシコ、韓国、ニュージーランドなどの中銀は既に利上げに踏み切っている。
今のところは、大多数の従来予想よりもインフレの高止まりが長引いているというのが多くの当局者の感触だ。イングランド銀行(英中銀)のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏は先週、「現在のインフレの勢いは当初予想されたよりも長く続くと見受けられ、リスクバランスは現在、インフレ見通しに対する大きな懸念へとシフトしつつある」と指摘した。
ただ、全ての中銀が物価高を懸念したり緩和姿勢からの転換を展望したりしているわけではない。日本銀行と欧州中央銀行(ECB)などは積極的な緩和策を維持する方針だ。このほか、国際通貨基金(IMF)も少なくとも先進国経済に関し、インフレ率は近いうちに2%程度に鈍化するだろうと予想している。
今年に入り国内石炭供給の30%を賄っている山西省で、洪水により炭鉱682のうち60が閉鎖。中国の経済成長を脅かすエネルギー危機が一段と悪化している。
ヤン・ハッチウス氏率いるゴールドマンのチームは10日付リポートで、2021年の成長率見通しを年率5.6%と、これまでの5.7%から下方修正し、来年は4.4%から4%に引き下げた。ただその下方修正分の大半はその後の2年間の見通し引き上げで相殺されている。
エコノミストのチームは「経済再開や財政刺激策、累積した貯蓄、資産効果など、われわれの消費予測に影響する重要な成長要因について試算を見直し、新型コロナウイルスの動向に敏感な個人のサービス支出を阻害する一段と持続的なコロナ禍の重しを勘案した結果、個人消費の回復が一層、遅れると現時点で見込んでいる」と説明した。
半導体供給が来年下期まで改善せず、在庫の再構築が先送りされるとの想定も相まって、「回復の勢いが増すのはこれまでの予想よりもずれ込むことが示されている」と指摘した。
中期の成長に対する主な試練は財政支援の鈍化と、モノの購入減少を補うほど十分迅速にサービス支出が持ち直す必要性の2点だと分析した。
石油収入の増加見通しに支えられ、ロシア通貨ルーブルの今月の上昇率は、新興国・地域市場の通貨で最も大きくなった。新興国市場の株価動向を広範に反映する指標が下げる中でも、ロシアの株価はアウトパフォームしている。
投資家はロシアやコロンビアなどエネルギー輸出国資産のウエートを増す方向に転換しており、コロンビア・ペソは今月のパフォーマンスが新興国通貨で2番目に良い。
ヘッジファンド運営会社カーヘイ・キャピタルで最高投資責任者(CIO)を務めるアリ・エイケイ氏は「エネルギー価格の高止まりが予想され、商品輸出国の企業は、電力関連商品の世界的供給逼迫(ひっぱく)の恩恵を受けるだろう。このテーマの下でエネルギー・原材料輸出国の再評価が続くはずだ」と指摘した。
米国と欧州連合(EU)は11日、2030年までに温室効果ガスの一種「メタン」の排出量を20年比で少なくとも30%削減する取り組みについて各国に連携を呼び掛けた。既に英国など7カ国が賛同していたが、今回新たに日本を含む24カ国が加わり、メタン削減を公約した国・地域は30を超えた。
ケリー大統領特使は会合の冒頭で、メタンの温室効果が二酸化炭素(CO2)の20~80倍に達すると説明。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が掲げる温室ガス削減目標を達成するには「メタン対策が一番の近道だ」と訴え、今月末から始まる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に向けて協調を促した。
今回の閣僚級会合で日本やアフリカ諸国など24カ国が加わった。これにより世界のメタン排出量の約30%を占める国・地域が削減を公約したことになる。一方、主要排出国である中国やインドは現時点で含まれていない。
米主要企業の四半期決算の発表が今週から始まる。インフレや新型コロナウイルスの感染拡大による供給網の混乱で、企業業績の悪化懸念が取り沙汰されやすい。今週に21年7~9月期の決算を発表するJPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスの下げが目立った。半面、ホームセンターのホーム・デポや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などディフェンシブ株は上昇した。
暖房用燃料の需要が高まる冬場にかけてエネルギー需給の逼迫が続くとの見方から買いが優勢だった。一時は82.18ドルと2014年10月以来、約7年ぶりの高値を更新した。
経済再開で原油需要が強まるなか、夏のハリケーン被害などもあって米国では原油の生産が伸び悩んでいる。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国からなる「OPECプラス」が協調減産の縮小ペースを緩やかにとどめていることも、需給の引き締まりにつながっている。
さらに市場では天然ガス価格の高騰が原油の需要を日量50万バレル前後押し上げるとの観測が出ている。アジアでの石炭不足が原油需要拡大につながる可能性も意識される。エネルギー需給逼迫による原油の先高観が強まり、買いを誘った。
第3四半期の業績はほぼ市場予想通りだろうとしつつ、来年の通期見通しは下方修正されると思われると指摘。S&P500種株価指数構成企業の第3四半期の1株利益予想は49ドルと従来の51ドルから引き下げ、ブルームバーグが調査したコンセンサスの49.13ドルをやや下回る水準とした。スブラマニアン氏によると、企業利益がコンセンサスを下回ったのは過去50四半期で2回しかなく、11年第2四半期と20年第1四半期だったという。
22年通期業績見通しについては、企業のコスト転嫁能力に懸念が続いているにもかかわらずアナリストは記録的な利ざやを見込んでいるため、「大きなリスク」があるとの見方を示し、顧客からは価格決定力を持つ企業への問い合わせが多いと明らかにした。
BofAでは第3四半期決算を前にテクノロジーや不動産、エネルギー業界の株式を保有し、公益や消費者関連業は避けるよう促しているという。
国有銀行など金融機関が民間の大手企業と構築してきた関係に厳しい視線を注いでいる。経済における資本主義の力を抑える取り組みを強める動きだ。ダウ・ジョーンズ通信(DJ)が事情に詳しい関係者の話として報じた。
リラは下げを拡大し、1ドル=9リラを割り込んだ。米国債市場が先週急落し、利回りが3カ月ぶりの高水準に達したことが背景にある。
「バイデン大統領はガソリン高が現職者にとって良くないことを理解している」とした上で、「米政権からの発信が増えるのは間違いないだろう」と語った。
8月にバイデン政権は、「手頃な価格のエネルギー」の重要性を強調し、サウジアラビアなどOPEC加盟国に世界市場への原油供給拡大を求めた。バイデン政権は足元のエネルギー高への対処で手段を多く持っていないと、ヤーギン氏は指摘した。
原油先物相場は1バレル=80ドルを突破したが、欧州やアジアが発電や暖房用で高価格の天然ガスの代わりに原油の利用を拡大すると考えられるため90ドルに達する可能性があるとした。
また、バイデン政権は再生エネルギーへの移行の迅速化を推進しているが、代替エネルギーが化石燃料に完全に置き換わる状況がまだ整わない中で、欧州やアジアを揺るがしているエネルギー危機が化石燃料を縮小するタイミングについての大幅な「再考」につながる可能性があるとの考えを示した。
●市況
日経先物(大証)28445、ダウ先34355、債先151.22、米1.628、独▲0.1180、仏0.217、西0.513、伊0.911、原油80.42、ドル円113.39、墨ペソ20.86、トルコリラ8.9985、墨CDS99
※10/12 9時00分頃
備忘録(10/7-8)
●エバーグランデ
償還されていないのは恒大の関連会社とされるジャンボ・フォーチュン・エンタープライゼズが発行した2億6千万ドル(約290億円)の社債。事実上の償還期限である4日を過ぎても、一部の債権者は返済を受けていないという。
格付け会社フィッチ・レーティングスによると、恒大が中国本土外で出したオフショア米ドル債には「クロス・アクセラレーション」と呼ばれる条項がつく。ある債務がデフォルトとなり資金が予定よりも早く回収される場合、同条項がついた他の債務もデフォルトとみなす規定だ。ジャンボ・フォーチュン債がデフォルトになれば、恒大のドル建て債にも影響する可能性がある。
ロイター通信によると、JPモルガンの不動産アナリストは恒大が巨額の簿外債務を抱えていると推計するリポートを出した。恒大の自己資本に対する負債比率は6月末時点で177%と、公表値の100%を大きく上回るという。
中国房産信息集団(CRIC)のリポートによると、中国の不動産会社上位100社による9月の成約販売は前年同月比36%減少。7月に始まった下振れスパイラルが深刻化している。90社余りが前年と比べ販売が落ち込み、そのうち6割が30%超の減少率に見舞われているという。
投資家がまず注視しているのは、鑫苑置業のドル建て債2億2900万ドル相当の償還日である10月15日だ。格付け会社フィッチ・レーティングスは先月、鑫苑置業の格付けを1段階引き下げて「CCC」とした。10月に償還期限を迎える同社社債に関する「借り換えリスクの高さ」を理由に挙げた。
さらに、建業地産(セントラル・チャイナ・リアルエステート)が社債4億ドル相当の償還期限を迎える11月8日も注目される。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
11月に国内線74路線の4590便を減便すると発表した。2021年度計画比の運航便の割合である運航率は82%で、10月から11ポイント上昇する。新型コロナウイルスの広がりの影響で減便は続くが、政府の緊急事態宣言の解除などを受け運航率を引き上げる。追加減便の実施については、今後の需要動向をみて判断する。
同社が年内の承認申請を目指す新型コロナウイルス感染症の経口治療薬(飲み薬)について、今月中に商用生産を開始するほか、グローバル展開に向けて海外の製薬会社とパートナーシップの交渉を始めていることを明らかにした。
タタが1800億ルピー(約2680億円)を投じ、エア・インディアの株式全てと負債の一部を取得する。インド政府によると同社は8月末時点で6156億ルピーの負債を抱え、その多くは政府側が引き取る。タタが引き継ぐのは1530億ルピーにとどまる。一連の手続きは年内にも完了する見通しだ。
タタはシンガポール航空と共同で航空会社のビスタラを展開している。マレーシアの格安航空会社(LCC)大手エアアジアのインド法人であるエアアジア・インディアにも出資している。2020年末にはエアアジア・インディア株の買い増しを発表した。
エア・インディアは国際線の旅客数ではインドの首位だったが、いまは新型コロナウイルス禍により国際線の定期旅客便の運航は止まっている。シェア約1割の国内線もLCCとの競争が激化し、業績不振が続いていた。
インド政府は以前からエア・インディアの売却を探っていたが、多額の債務を抱えるエア・インディアの買い手探しは難航していた。今回も売却対象を全株に広げるなど、条件変更を余儀なくされていた。新型コロナによって航空市場はいまも大幅な需要減少に直面しており、タタ傘下で経営がどこまで持ち直すかは不透明だ。
ベトナム航空などベトナムの航空各社は10日から国内線の運航再開を検討している。最大都市のホーチミン市と南部のフーコック島などを結ぶ10路線の再開をめざしている。ただ首都のハノイなどが受け入れに慎重な姿勢を示しており、全面的な再開には時間がかかる可能性がある。
ベトナムでは新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、7月下旬から国内線の定期運航を停止していた。
●その他産業
国産旅客機凍結によるコスト減少や自動車部品の回復が寄与する。足元では原材料高で自動車部品などのコストは200億円程度膨らみ、半導体不足などによる自動車の減産影響も懸念材料となっているが、小沢寿人最高財務責任者(CFO)はそれでも上振れ傾向にあると、業績目標達成へ自信を示した。
当初5年間の利率が年0.74%。7年の社債が1000億円で当初7年間の利率が年0.885%、10年の社債1500億円が当初10年間の利率を年1%とする。
2022年3月期のフリーキャッシュフロー(純現金収支、FCF)は400億円の赤字となる見通しだ。鋼材在庫の削減などにより、650億円の赤字とする従来計画と比べ250億円上振れする。今後は生産工程での脱炭素にむけた研究開発や設備投資が膨らむ。財務体質の強化のために現金収支の改善を急ぐ。
●決算関連
●マクロ・その他
店舗などの物理的な拠点がなくてもサービス利用者がいれば税収を得られるデジタル課税の導入で最終合意した。法人税の最低税率は15%で決着した。2023年の制度開始を目指す。米IT(情報技術)企業を念頭に欧州など一部の国が導入していた独自課税は廃止する。
法人税率が12.5%でグローバル企業の拠点が多いアイルランドや9%のハンガリーも合意に加わった。
これまで店舗などの拠点を前提にしていた課税原則が約100年ぶりに転換する。合意したデジタル課税は売上高200億ユーロ(約2.6兆円)超で税引き前利益率が10%超の企業100社程度が対象。日本企業も該当する可能性がある。売上高の10%を超える利潤の25%に課税する権利を消費者のいる国・地域に配分する。
デジタル課税に関する国際条約を22年に策定。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)を想定した各国独自のデジタルサービス税は条約の発効後に廃止すると確認した。
また、企業が負担する法人税の最低税率を15%に設定する。総収入が年7.5億ユーロ以上の企業を対象にする。税率の低い国・地域に子会社を置いて税負担を逃れるのを防ぐ。
製造業など経済活動の実態がある企業の進出先の国・地域の経済に配慮した内容も盛り込んだ。工場などの有形資産や従業員への支払い分の給与の5%を課税対象から除外するのを認める。制度開始後の10年間は移行期間とする。有形資産は当初8%、支払い給与は10%を除外対象にして、段階的に引き下げる。
両国は薬物中毒予防への投資や武器の違法密輸の防止、国際犯罪ネットワークの追及などで連携する方針で一致した。米国は今後4年間で40億ドル(約4500億円)を中南米の経済状況の改善などに投資する方針を示した。
会合には米側からガーランド司法長官とマヨルカス国土安全保障長官、メキシコ側からロペス内相もそれぞれ参加した。
2008年から結んでいた「メリダ・イニシアチブ」と呼ぶ協定の撤廃を決めた。米国政府はこの協定を巡って約30億ドルを拠出し、メキシコの武器増強や部隊の訓練を支援してきた。
一時80.11ドルまで上昇し、期近物として2014年11月以来ほぼ7年ぶりの高値を付けた。経済活動の正常化を背景に原油需要が高まる一方で供給は伸び悩み、需給が逼迫した状態が続くとの見方から買いが優勢となった。
このところエネルギー全般の価格が上昇している。相対的な割安感から原油が買われやすい状態が当面続くとの見方が広がった。
2021年9月の消費者物価指数は、前年同月比で10.25%上昇した。16年2月以来、約5年半ぶりの高いインフレ率となった。新型コロナウイルス禍からの経済回復や干ばつの影響で、中央銀行が設定する目標上限(5.25%)を大幅に上回る状況だ。
食料や飲料、電気代などの上昇が目立つ。干ばつなどでピーマンやキャベツといった野菜が値上がりしている。
中銀は3月に利上げを始めて、9月まで5会合連続で利上げを決めた。インフレの加速が確認されたことで、10月下旬の会合でも大幅利上げに動くことが確実視されている。
民間企業が新聞やテレビ、ネットニュースを運営する組織に出資して経営することを認めず、実況中継なども許さない。ネット世論の統制を強化することで、共産党や政府への不満や批判を封じ込める狙いがあるとの見方も出ている。
ニュースや世論に関わるフォーラムなどを開催してはいけないことも盛り込んだ。中国では共産党系メディアが新聞やテレビなどを手がけるが、ネット企業がハイテクや文化などの情報を伝え、実況中継などをしている事例がある。
外国の新聞社やテレビ局などは中国で取材活動を認められているが、メディア事業を手がけることは許されてない。中国では幅広い情報を扱う「微博(ウェイボ)」や経済問題を扱う「財新」などが人気を集めており、事業活動に影響があるかに注目が集まる。
急進左派の同政権を巡っては、ビジネス環境の悪化が警戒されている。経験豊富な中銀総裁の再任で金融市場の不安の沈静化につなげたい考えだ。
ベラルデ氏は2006年に中銀総裁に就任し、金融市場からの評価が高い。ベラルデ氏の退任が決まれば、過去最安値圏で推移する通貨ソルの一段の下落につながる可能性があった。
新車販売台数は8月に前月比で12%減、生産台数が21%減と低調。インド商工会議所連盟(FICCI)の調査で7~9月の生産が前年同期を下回ると回答したメーカーは3分の2に上った。需要拡大が見込まれる11月の祭事シーズンを前に、半導体不足がさらに深刻化すれば商戦の熱気を冷ましかねない。
足元で1日あたりのコロナ感染者数は3万人程度に減り、経済活動は正常化してきた。各地で外出制限も解除され「乗用車の旺盛な需要が続く」(野村グループ)とみられるなかで、部品の供給不足が浮上してきたかたちだ。
ポーランドの右派政権を率いる与党「法と正義」は司法改革の一環で、裁判官の人事で政権寄りの人物を増やしたり、判決内容次第で裁判官の免職や減給を可能にする懲戒制度を設けたりしてきた。EUは基本的価値観である司法の独立性が脅かされているとして繰り返し警告。EU司法裁判所も懲戒制度などは違法との判決を出した。
今回、憲法裁は同国の2004年のEU加盟後も「EU司法裁に最高の法的権限を与えたわけではなく、ポーランドの法的主権がEUに移ったことを意味するものでもない」と結論付けた。モラウィエツキ首相は「(自国法が優位になる)権利が尊重されることを望んでいる」と歓迎した。
EUにはEU法が加盟国の国内法に優先する原則があり、欧州統合の根幹をなしている。
フォンデアライエン欧州委員長は8日、ポーランドの憲法裁の判断に「深い懸念」を表明する声明を発表した。「EU市民やポーランドでビジネスを展開する企業は、EUの規則が同国で完全に適用されるという法的確実性を必要としている」と述べ、EU法の優位性確保に全力を尽くす構えだ。フランスのボーヌ欧州問題担当相は「これはEUへの攻撃だ」と強調し、ポーランドへの経済制裁も選択肢の1つだとした。
中銀が定める消費者物価指数(CPI)上昇率の中期目標は「2~6%」で、5、6月は6%を超えたが、8月の速報値は5.3%に低下していた。
インドでは感染力の強いデルタ型の変異ウイルスにより、4、5月を中心に新規感染者が急増した。工場の稼働停止が相次ぎ、経済活動に深刻な打撃を与えた。1日あたりの新規感染者は一時、40万人を超えたが、足元では2万人程度に減ってきた。
変動金利の仕組みを持つローン担保証券(CLO)の需要が急増し、発行額は9月に単月ベースで過去最高を更新した。価格下落を見込んで米国債先物の売りも増えている。インフレ懸念から米連邦準備理事会(FRB)の利上げの前倒し観測もあり、先高観が強まる米長期金利への警戒が強まっている。
鉄鉱石や石炭を運ぶ大型ばら積み船の用船料が一段と上昇し、およそ12年ぶりの高値をつけた。世界的な天然ガス不足を受けて地中海諸国などが発電用石炭の代替調達を増やし、輸送需要が上向いている。新型コロナウイルス対策による港湾機能の制約も続き、中国沖などでの滞船が解消しない。船不足で手配が難しくなり、高騰に拍車をかけた。
経済産業省は8日、2021年10~12月期の国内粗鋼生産量が前年同期比9.6%増の2411万トンになるとの見通しを発表した。新型コロナウイルス禍からの需要回復が続く一方、感染拡大が深刻な東南アジアからの部品調達難で自動車メーカーの減産が相次ぎ、需要の伸びを抑えるとみている。
製造業全体の普通鋼鋼材は0.5%増の642万6千トンになると試算する。そのうち、主要な需要先の自動車向けは0.3%減の264万5千トンとなる。
建設向けは1.6%増の491万4千トンになる見通し。貸家の着工件数が下げ止まっているほか、物流倉庫などの建設の増加で需要が伸びるとみる。産業機械向けは9.6%増の124万9千トンとなる見込みだ。コロナ禍からの企業業績や設備投資の持ち直しを受けて、土木建機向けや工作機械向けを中心に需要が上向く。
世界の粗鋼生産の半分超を占める中国では不動産大手の中国恒大集団の経営問題に電力不足が重なり、経済の減速が鮮明化している。松野課長は「供給面で様々な産業に影響を与え、需要にも響く。電力不足が長引くようであれば(粗鋼生産が)悪化するリスク要因だ」と述べた。
現在の本社周辺では物価や人件費の上昇が著しく、採用や事業拡大が難しくなっていた。言動が注目を集めるスター経営者の決断は、シリコンバレーの他の企業にも影響を与えそうだ。
7年ぶりの利上げに踏み切った背景には、物価と住宅価格上昇への強い危機感がある。NZは新型コロナウイルスの「感染ゼロ」を目指す方針も転換。金融とコロナ政策の両輪で、正常化にカジを切る。
新型コロナウイルス禍でオフィス需要の落ち込みが止まらず、4カ月ぶりに5区すべてで上昇した。
不動産サービス大手、シービーアールイー(CBRE、東京・千代田)の岩間有史アソシエイトディレクターは「成約件数は増えているが空室を上回っていない」と指摘する。
平均募集賃料は3.3平方メートルあたり2万858円と8月より0.35%(74円)安くなった。下落は14カ月連続。三幸エステート(東京・中央)の今関豊和チーフアナリストは「緊急事態宣言は終わったがまだ入居は増えていない」と話す。
今回の電力不足は最悪のタイミングだ。運輸業界の供給ラインは混み合い、年末商戦向けの衣料や玩具の納入遅れを既に招いている。中国ではちょうど農産物の収穫期を迎えることから、食料価格の急騰を巡る懸念も強まっている。
エコノミストらは既に中国経済の成長鈍化に警鐘を鳴らしている。シティグループの脆弱(ぜいじゃく)性指数は、製造業と商品の輸出業者が中国経済減速へのリスクに特にさらされていることを示唆。台湾や韓国など近隣諸国・地域の感応度は高く、豪州やチリなど金属輸出国も同様だ。ドイツなど主要貿易相手国もリスクに幾分さらされている。
中国政府は電力供給の確保に向け、事態の収拾に乗り出している。こうした取り組みがどれだけ早期に実を結ぶかが、世界経済への影響を左右することになる。中国では国慶節(建国記念日)連休で多くの工場が生産を減らしていた。エコノミストは連休明けの再稼働によって電力不足が再び表面化するか注視している。
今回のエネルギー危機で中国はより困難な収穫期を迎えようとしており、食品のサプライチェーンもリスクにさらされている。世界の食料価格は既に上昇、10年ぶりの高水準にある。中国がトウモロコシから大豆、ピーナツから綿花に至るまで収穫に手間取れば、状況はさらに悪化するとの懸念が広がっている。
債務上限引き上げ法案を上院本会議採決に進めるためのクローチャー動議の可決には60票が必要だった。マコネル氏は動議可決に十分な共和党票を確保するため、ぎりぎりまで働き掛けを続けていた。最終的にはマコネル氏を含む11人の共和党議員が動議に賛成し、法案採決に道を開いた。
李克強首相が主宰した会議後に国務院(政府)が発表した声明によると、電気料金の最大20%上昇を容認する。現在は同10%と規定している。
また、エネルギー集約度が最も高い産業向けの電気料金については上限を撤廃し、需給状況に応じて設定可能とした。ブルームバーグは先月、中国政府が工業ユーザー向けの電気料金引き上げを検討していると報じていた。
●市況
日経先物(大証)28068、ダウ先34620、債先151.28、米1.612、独▲01510、仏0.189、西0.486、伊0.879、原油79.58、ドル円112.22、墨ペソ20.71、トルコリラ8.9900、墨CDS98
※10/8NY引け値
備忘録(10/6)
●エバーグランデ
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
EIA、2050年の石油需要が20年比で4割増加するとの長期見通しを公表した。アジアや新興国がけん引し、世界のエネルギー消費は5割増加する。再生可能エネルギーも急伸するものの、現状の政策が続けば化石燃料抜きでは需要を賄いきれない。二酸化炭素(CO2)の排出量も2割以上増加するとみており、脱炭素の難しさが浮き彫りになった。
CO2の排出量は50年に42兆8390億トンとなり、現状の政策のままではカーボンゼロからはほど遠い姿となる。
石油需要で大きな割合を占めるのが交通部門だ。EIAの見通しによると、ガソリン車の保有台数はEVの増加により先進国では23年に頭打ちとなる。一方、新興国ではガソリン車の需要が根強く、世界全体ではピークが38年にずれ込む。
製造工程で蒸気を発生させるために化石燃料を使う工業部門の燃料転換も遅れる。
石油消費は中国では30年半ばに頭打ちになるが、インドはこのままだと右肩上がりで増加し、50年には20年の3倍以上となるという。
発電部門では新興国の電力需要が50年までに6割増え、再生エネの発電量も急伸する。ただ、電力システムを安定させるために天然ガスと石炭も引き続き重要な役割を果たすとしている。
東南アジアで石炭火力発電所の早期廃止に向けた支援に乗り出す。発電所全体または運営権の一部を買い取り、運営主体として直接関与する基金を2022年にも創設する。投資回収を終えればすみやかに廃止できるよう道筋をつけ、アジアの新興国の脱石炭を後押しする。
承認したのは、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)が開発した「RTS,S」と呼ばれるワクチン。英メディアによると、2019年からガーナ、ケニア、マラウイで80万人以上の子どもに試験的に接種して効果を確かめた。その結果、抗マラリア薬との併用で死者や重症者を70%減らすことが分かった。今後はアフリカの他の地域でも接種を広げる。
財務省傘下の公的保証機関であるダナジャミン・ナショナルが、融資の80%の保証を認可した。貸し手の銀行名は明らかにしていない。融資は機体整備など運転資金にあてる。
世界気象機関(WMO)は5日、地球温暖化や人口増などによって2050年に世界で50億人が水不足の状態に陥るとの試算を発表した。洪水や地滑りなど水に関わる災害も増えており、気候変動対策や治水の改善が急務となっている。
スウェーデンの保健当局は6日、30歳以下を対象に接種停止とした理由について、心筋炎や心膜炎のリスクが高まることを示す新たなデータを挙げた。デンマーク当局は18歳未満への接種を中止する。
●その他産業
アームの買収を計画する米半導体大手エヌビディアが、実現に向けて欧州連合(EU)競争当局に譲歩案を提出したことが分かった。譲歩案の具体的な内容は分かっていない。
エアバスはA350-1000をベースにした貨物機を売り込んでおり、ボーイングが長年独占してきた収益の高い貨物機市場に食い込もうとしている。
航空機メーカーが同じモデルの旅客型より先に貨物型を販売するのはまれだ。ボーイングの動きは、旅行需要の低迷が続く中で同社が大型旅客機の販売に苦戦している状況や、エアバスの新型機による危機感を反映している。
●決算
ドラッグストアや金融などは堅調だが、前年より赤字幅が拡大した中核の総合スーパー(GMS)の苦戦が鮮明
●マクロ
9月の自動車生産台数は20万8092台と、前年同月比33%減となった。世界的な半導体不足の影響が続いており、3カ月連続で前年の水準を下回った。
中国は、オーストラリア産石炭の輸入を非公式に禁止しているにもかかわらず、少量の荷揚げに着手したことが、アナリストらの指摘で明らかになった。世界第2位の経済大国が直面する電力危機の厳しさが浮き彫りになっている。
米民主党は6日、共和党のマコネル上院院内総務が提示した連邦債務の法定上限を12月まで短期的に引き上げる案を受け入れると示唆した。
ただ、財政調整措置を通じて債務上限の長期的な引き上げを民主党単独で通過させることには引き続き反対するとした。マコネル氏は民主党に同措置の活用を要求している。
インフレ上昇で近隣のハンガリーとチェコはすでに利上げを強いられており、対応を求める圧力に同中銀が屈した格好になる。
ブルームバーグが調査したエコノミスト29人のうち、利上げの予想は皆無だった。中銀は0.1%から0.5%へと政策金利を引き上げ、5.8%に達したインフレに対処した。利上げ発表で通貨ズロチは上昇し、債券は下げを拡大した。
●市況
日経先物(大証)27670、ダウ先34360、債先151.40、米1.531、独▲0.1805、仏0.162、西0.466、伊0.891、原油77.09、ドル円111.43、墨ペソ20.56、トルコリラ8.8788、墨CDS101
※10/7 9時00分頃
備忘録(10/5)
●エバーグランデ
S&Pグローバル・レーティングも花様年の長期発行体格付けを「CCC」から「SD」に引き下げた。4日が償還期限だった社債については「D」とした。
S&Pは発表文で「花様年が十分な手元資金があると報告しているにもかかわらず支払いができなかったのは、資金繰りの逼迫(ひっぱく)を浮き彫りにする」と指摘。「一方で資産の処分は予想以上に遅く、期限内に流動性を確保することができなかった」との見方を示した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
英シュローダーは9月、企業のESGへの取り組みを評価する独自の分析ツール「SustainEx」を拡充した。拡充したのは、企業による温暖化ガス排出量の評価対象だ。従来は自社工場が出す「スコープ1」と自社の事業所による「スコープ2」が対象だったが、原材料の生産や輸送の過程などで排出される「スコープ3」も加えた。マクロデータから各企業の排出量の推計値を算出し、アナリストによる独自調査や分析を加える。
土壌の気温が常に氷点下にある永久凍土のリスク評価も手掛ける。解ければガスや細菌が放出され事業継続に影響を及ぼしかねないためだ。北極圏の油田やガス田地域の地表温度を分析し、温度が上昇している地域で操業する企業と対話する。
米JPモルガン・アセット・マネジメントは、インターネット上にあふれる膨大な情報の分析に力を入れる。
一例が、世界の100万社超を対象に従業員らによる9500万もの口コミを抱える米求人サイト「グラスドア」の分析だ。「研修制度が充実している」などのコメントが多く従業員の満足度が高い企業は加点し、逆に不満が多い企業は減点するなど、独自のスコアを算出している。
NTTは2040年度までに温暖化ガスの排出量を事実上ゼロにすると公表したばかりで、再生可能エネルギーの発電設備などへの投資を積み増す計画だ。目標達成に向けた原資に調達資金を充てる。
●その他産業
受注額は非公表だが、1000億円前後とみられる。1350キロメートルの長距離間で3000メガワットの電力をやりとりする。各国が「脱炭素」の政策を競うなか、再生可能エネルギーで発電した余剰電力を消費地に送る電力融通の市場を取り込む。
「多くのフェイスブックの内部資料は同社が10代以下の児童の精神的な健康に悪影響を及ぼしていると示している」と指摘
「フェイスブックは利益と安全の衝突の中で、自社の利益を優先してきた」と同社の体質を批判した。同時に「誰もフェイスブックの問題点を正せない。なぜなら問題の原因を覆い隠していたから。そうでなければ私のような内部告発者は出なかった」と述べ、今回の内部告発を契機に規制の強化を求めた。
同社は2009年設立で、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)から分離した製造部門を源流とする。シンガポール企業との合併や米IBMの部門買収を通じて拡大し、主力工場のあるニューヨーク州に本社を置く。
7月には米インテルによる買収観測も出たが、グローバルファウンドリーズのトム・コーフィールド最高経営責任者(CEO)は直後に否定していた。
●決算関連
7-9は12%増収/3%最終減益
新型コロナウイルスの感染拡大が減速傾向を見せていることで外食の機会が増えて売り上げが拡大した一方、サプライチェーン(供給網)混乱の影響や人員不足による人件費高騰、輸送費や原材料価格の上昇が利益を押し下げた。
CFOは説明会で22年1~3月期中に飲料品、スナック菓子価格の追加値上げに踏み切ることを示唆。同社はすでに今夏から秋にかけて製品価格を引き上げているという。
2021年12月期通年は6%増収から8%増収に上方修正。経済活動の再開にともない外出や外食の機会が増え、映画館など娯楽施設が営業を再開したことが飲料品、スナック菓子の売り上げに寄与するとの見方を示した。
●マクロ・その他
ブリンケン氏とルドリアン氏はインド太平洋地域やアフリカなどで協力できる分野について協議した。欧州の安保に対する米国の支援を伝え、気候変動問題でも協調していくと申し合わせた。ブリンケン氏とマクロン氏は米仏関係の進展と両国の緊密な協力について協議し、近く開くバイデン大統領との米仏首脳会談に期待感を示した。
仏政府にとって、米国抜きでは外交上の多くの問題に取り組めないのが実情だ。仏はニューカレドニアなどインド太平洋地域に海外領土を抱える。中国の海洋進出の脅威を受けているが、独力で対応することは難しく、米との関係を修復する必要性に迫られている。
脱炭素を急ぐ中国が輸入を大幅に伸ばし、ロシアからの天然ガス供給が滞る欧州も調達を増やしているためだ。中国、欧州の調達競争が激しくなった結果、国際価格は過去最高を更新している。日本でも電力需要が増える冬場にLNGが不足し、電力価格が高騰する供給面では、中国の生産量が6%増えたほか、工場の新設などがあったコンゴ民主共和国が同13.5%増加。前年の精錬所の一時的な操業停止から回復した米国やザンビアがそれぞれ2ケタ増となった一方、チリの生産量は7%減った。リスクが高まっている。
6万7千トンの供給過剰だった前年同期と比べると、需給バランスはほぼ均衡した状態となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた前年同期から、供給量と需要量がともに回復した。
コロナ禍に見舞われた20年の中国を除く世界の銅需要は19年比9%減少したと推定する。自動車など製造業の復調を映し、21年1~6月の需要量は前年同期比6%増を見込むが、コロナ禍前の19年1~6月比では4.7%低い水準にとどまるとした。
2030年までにインフラ整備プロジェクトに過去最大の1650億ユーロ(約21兆円)の資金をつぎ込む計画を発表した。人口が急激に増加している一方で、公共インフラへの投資不足が数十年続いてきたためだ。
政策金利を過去最低の0.1%に据え置くと決定した。国債と州債の購入については少なくとも2022年2月半ばまで継続するとの方針を維持した。
総裁は声明で、新型コロナウイルスのなかでも感染力の強いデルタ型が広がり「豪経済の回復を妨げている」と指摘した。シドニーでは6月下旬に導入された外出規制が現在も続いている。ロウ氏はこうした状況を受け、7~9月期の国内総生産(GDP)が大幅なマイナス成長になるとの見方を示した。
そのうえでワクチン接種率の上昇などに伴い豪経済は10~12月期に再び成長軌道に乗り、22年後半にデルタ型流行前の水準に戻るだろうと述べた。今後については「インフレ率が持続的に政策目標の2~3%になるまでは利上げをしない」と明言。条件は24年より前に整うことはないだろうとした。
モルガン・スタンレーのアナリストらは先週の顧客向けリポートで、11日の週までに問題が解決しない限り、10月後半に満期を迎える財務省短期証券(TB)の価格が速いペースで下落する恐れがあると予測した。
新型コロナウイルスワクチン接種の遅れが続いていることやインフレ加速、債務急増で途上国が大きな後れを取っていることが理由だ。これら3つの問題は特に低所得国で悪化しており、長期化する公算が大きいとの見方も示した。
非製造業総合景況指数は61.9と、前月の61.7から上昇した。ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値は59.9だった。
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、天然ガス危機がすでに石油需要を押し上げているとの見方を明らかにし、同社の生産能力増強計画をあらためて示した。
欧州とアジアでの供給不足で天然ガスの価格が高騰。一部企業では動力源を石油に切り替えることを余儀なくされている。
アラムコは、2027年までに石油生産能力の日量1200万バレルから1300万バレルへの増強を完了することを目指しているとナセル氏は説明した。
ワクチン未接種または接種状況を開示していない米国従業員の出張を禁止する方針を明らかにした。
社内メモによると、JPモルガン・チェースでは顧客と対面する業務に参加する従業員は即時実施でワクチン接種証明が義務となる。このほか、対顧客業務に従事する、または出張の必要がある新規採用者はワクチン接種が義務になるという。
「供給阻害がどの程度継続するか注視している」と指摘。2023年のインフレ率の詳細な水準は現時点では分からないとしながらも、「インフレ率が目標を上回るのではなく、下回るリスクはまだ残っている」と述べた。
2021年の世界経済の成長率は7月時点予測の6%をやや下回るとの見通しを示した。債務やインフレ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響による経済動向の隔たりに伴うリスクを挙げた。
指標価格が前日比で一時3割近く急騰し、過去最高値を大幅に更新した。消費が増える冬場を控えて需給逼迫を懸念した先回り買いに歯止めがかからない。主な産油国が減産縮小ペースの維持を決めた原油も上昇が続き、エネルギー全般で供給不安が深まっている。
WTIは一時79.48ドルまで上昇し、期近物として2014年11月以来ほぼ7年ぶりの高値を付けた。原油の需給が引き締まった状態が続くとの見方から買いが優勢となった。
ブルームバーグNEFによると、2050年までに世界の電力消費量は60%増加するとみられる。その背景には、化石燃料の使用が段階的に減らされ、自動車や暖房システムなどが電動に切り替えられることがある。経済成長と人口増加も電力消費を押し上げるだろう。半面、デジタル化がさらに進み、安定した電力の必要性はこれまで以上に高まることになる。
●市況
日経先物(大証)28167、ダウ先34171、債先151.47、米1.528、独▲0.1865、仏0.162、西0.461、伊0.858、原油79.06、ドル円111.50、墨ペソ20.58、トルコリラ8.8705、墨CDS101
※10/6 8時40分頃
備忘録(10/4)
●エバーグランデ
中国恒大集団とグループの不動産管理会社、恒大物業集団の株式の売買を停止すると発表した。恒大は9月23日と29日に米ドル債の利払いを見送り、市場で債務不履行(デフォルト)の懸念が高まっている。
香港メディアによると、中国不動産大手の合生創展集団が恒大物業を買収するとの観測が出ている。合生創展が400億香港ドル(約5700億円)超で恒大物業の株式51%を取得する計画という。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、リサ・チョウ氏はリポートで、今回の資産売却が実現すれば中国恒大の資金繰り難を短期的に和らげることができると分析。
恒大物業は中国恒大にとって最も価値が高い事業。物業の時価総額は約550億香港ドルで、中国恒大の時価総額(390億香港ドル)を上回っている。中国恒大は先月、電気自動車(EV)部門と共に物業の一部売却を「積極的に検討」していたものの、大きな進展が得られなかったと説明していた。
合生創展は朱氏と息子の朱一航氏が約71%の株式を保有し、ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、朱家の資産は約62億ドル。朱孟依氏の娘、朱桔榕氏が2020年1月から会長を務めている。合生創展は世界的にはあまり知られていないが時価総額で中国13位の不動産会社。
恒大物業株取得計画が報じられると、合生創展のドル建て債は下落。ブルームバーグのデータによれば、香港時間午後1時(日本時間同2時)現在、表面利率6.8%の2023年償還債は額面1ドルに対し5セント下落の90.1セント。このままいくと過去最大の値下がりとなる。
事情に詳しい複数の関係者によれば、ジャンボ・フォーチュン・エンタープライゼズという会社が発行したドル建て債、2億6000万ドル(約290億円)相当を中国恒大が保証している。この社債の償還期限が3日。当日は日曜日のため、実際には4日となる。
同社債には一般的な猶予期間が設けられていないため、元本を償還できなければデフォルト(債務不履行)となり得る。事情に詳しい関係者によると、技術的ミスなどで償還できなかった場合は5営業日の猶予が与えられている。この社債の目論見書は開示されておらず、取引所では売買されないため、中国恒大による保証の詳細は広く知られているわけではない。
ブルームバーグインテリジェンスのアナリスト、ダニエル・ファン氏は、ジャンボ・フォーチュン債の償還ができなかった場合、中国恒大の他の社債がクロスデフォルトとなるリスクがあると指摘している。
花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)は4日、同日に返済期限を迎えた2億0600万ドルの債務を返済できなかったと発表した。
リフィニティブのデータによると、2022年7月償還債および2022年10月償還債 は、額面1ドルあたり0.053ドル下落し、0.30ドル。
2023年1月償還債および2023年7月償還債は同0.033ドル下落し0.29ドルとなった。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ソフトバンクグループの投資ペースが急加速している。ビジョン・ファンド2号の出資先企業数は今年、前年に比べ5倍に増えた。短い期間に多くの案件を扱うため、投資先事業の査定の精度や意思決定のプロセスに懸念の声が出ている。
また、特に幹部級人材の流出が続いており、案件成立のペースが速まると、孫氏が投資判断において同じ轍(てつ)を踏むリスクが高くなるのではないかとの懸念も生まれる。昨年3月以降、7人のマネジングパートナーが退社しており、 直近では人工知能(AI)に詳しい上級幹部のディープ・ニシャール氏が年末までに退社する意向を示している。
ある関係者によると、ビジョン・ファンドを運営するソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズの従業員数は昨年の約500人から現在は約400人に縮小したという。
関係者の1人は、ソフトバンクGが投資を加速させているのはベンチャーキャピタルとの競争が激化していることが一因だと語る。かつては投資決定に1カ月程度の時間をかけ、デューデリジェンスのためにマッキンゼー・アンド・カンパニーやベイン・アンド・カンパニー、ボストン・コンサルティング・グループなど大手コンサルティング会社を雇っていたという。
現在はせいぜい2週間程度で、投資案件の規模が小さくなったことを反映してデューデリジェンスの回数も少なくなっていると話した。孫氏が翌日に回答を求めたことから、投資委員会が緊急招集されたことも何度かあったという。
再生可能エネルギーをより長く貯蔵できる新しい技術を有しており、カリフォルニア州で停電を引き起こし、欧州で記録的な高エネルギー価格を招いたような信頼性の問題の一部克服に寄与できるという。
このバッテリーの素晴らしさはその単純さにあるという。「バッテリーは鉄塩と水でできている」と話す同CEOは、「リチウムイオン電池とは異なり、鉄フロー電池は製造が本当に安価」だと指摘した。
2022年の世界の航空需要が新型コロナウイルスが広がる前の19年と比べ39%減になるとの見通しを発表した。21年の見通しは4月時点の予測(57%減)から小幅下方修正し、60%減とした。
IATAが22年の需要見通しを出すのは初めて。22年になっても国際線の見通しは19年比で56%減にとどまるとみる。一方で国内線は7%減と、ほぼコロナ前の水準に戻る予測を示した。
21年の需要見通しは国内線が19年比27%減、国際線が78%減と4月時点のものをほぼ踏襲した。IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は「最悪の危機を経て、なお厳しさは残るものの、回復への軌道が見え始めた」との見方を示した。
22年の世界の航空会社の売上高は19年の21%減にとどまる見込みだ。最終損失は116億ドルの赤字と予測し、黒字に転換するのは23年以降とみる。
国際線の回復の遅れは国境制限の影響が大きい。アジア・太平洋地域は地域別で見て最も厳しい国境制限を敷いている。
「企業からも入国規制や隔離措置が緩和されれば再び出張したいという声が多く出ており、制限緩和が進めば法人需要が回復するとみている」(全日本空輸)との声が出ている。
IATAの数字を基にすると、2010億ドルという額は同業界の9年分の利益に相当する。国内線と地域路線は回復し始めているものの、多くの航空会社にとって極めて重要な国際線のビジネス利用はまだほとんど回復が見られないという。
IATAは今年の航空業界の損失額見通しを約520億ドルとし、4月時点の予想480億ドルから引き上げた。昨年の損失額も1260億ドルから約1380億ドルに修正した。
●その他産業
自社回線エリアは39都道府県に達し、人口カバー率は約7割になったと説明している。
新株発行に加え、既存株主は一部の株式を売却する。親会社の中国民営自動車大手、浙江吉利控股集団は筆頭株主として残る。
●決算関連
●マクロ・その他
日本経済の需要と潜在的な供給力の差を示す「需給ギャップ」が4~6月期はマイナス3.9%だったと発表した。同期間の実質国内総生産(GDP)改定値を基に算出すると7四半期連続のマイナスで、需要不足は年換算で22兆円だった。
10月に新型コロナの行動制限が緩和され、これからは飲食や旅行などの消費の持ち直しも期待される。経済対策と合わせて20兆円を超える需要不足をどこまで解消できるかが焦点となる。
米産業界の負担軽減に向けて、制裁関税の適用を一部除外する制度を復活させる。関税の除外制度は医療品を除いて2020年末に終わっていた。対象製品は未定としているが、重点政策に沿って判断する。
再生エネルギーなど気候変動やインフラに関わる輸入品の関税を免除する可能性がある。前政権は工作機械など中国以外から輸入しにくい製品を関税の上乗せ対象から外した。
協調減産を11月も日量40万バレル縮小すると確認した。原油相場が上昇しインフレ懸念から消費国で供給増を求める声が高まるなか、従来のペースを維持した。ニューヨーク市場の原油先物は急伸し、一時約7年ぶり高値をつけた。
新型コロナウイルスの流行で20年に急減した原油需要は、ワクチンの普及で持ち直し在庫の取り崩しが進んでいる。既定方針の40万バレルを上回る減産緩和を期待する声もあったが、OPECプラスは見送った。感染力の強い変異ウイルスや新たな感染の波の恐れもあり、需給の緩みで価格が下がることへの警戒を解かなかった。
沖合の石油プラットフォームとのパイプラインの破損が原因とみられ、米メディアによると、施設を所有する会社がパイプラインの使用を中止、流出は止まった。
2021年7~9月の外国為替市場では、新型コロナウイルス禍からの行動制限緩和でインドネシアの通貨ルピアが堅調だったのに対し、ブラジルや韓国など「中国関連通貨」は利上げ後も通貨安に苦しんだ。コロナ禍で各国中央銀行は空前の規模で金融緩和を進めたが、その副作用ともいえる状況が新興国経済に影を落としている。
過去にない規模で、中国は威嚇行為を強め始めた。米国は3日、中国に対し、台湾に対する挑発的行動の抑制を求めたが、中国側は聞き入れなかった。
中国は、台湾への連日の軍事的圧力について、狙いを明らかにしていない。ただ、中国は現在、10月1日から、建国72年を祝う国慶節の大型連休中にある。祖国統一を目指すなか、国威発揚や、抵抗する台湾に軍事力を誇示する狙いがあるとみられる。
台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の蘇紫雲所長は、中国側の狙いについて、「(9月後半からの)台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加盟に向けた動きや、最近の米英豪の連携による対中警戒が、背景にある」と指摘する。
3月時点の見通し(8%増)から上方修正した。
地域別の伸び率をみると、輸出ではアジアが14.4%と最も大きく、欧州(9.7%)、北米(8.7%)と続く。一方、中東は5.0%にとどまるなど、「地域ごとにバラツキがある」(WTO)としている。輸入は南米(19.9%)を中心に多くの地域が2桁の伸び率になる見通しだ。
米調査会社デカルト・データマインによると、8月のアジア発米国向け海上コンテナ輸送量は14カ月連続で前年実績を上回った。航空貨物も好調で、国際航空運送協会(IATA)は、21年の世界の航空貨物収入は過去最高になると予想する。
先行きは不透明だ。WTOは22年の伸び率も4.7%と3月時点の見通し(4.0%)から若干上方修正したが、21年からは大きく減速する。
貨物需要の急増による船舶の遅延など物流の混乱が一因だ。米カリフォルニア州のロサンゼルス港などは需要増と人手不足で荷物をさばききれず、入港待ちの船の「渋滞」が発生している。世界的な半導体不足も自動車生産などに影を落とす。「世界の工場」と呼ばれる中国の景気減速懸念も高まっている。
インドで電力不足への懸念が高まっている。石炭火力発電所の半数以上で燃料の在庫が3日分を割り込んでいることが明らかになった。インドでは電源構成に占める石炭火力発電の割合が約7割にのぼる。世界的な石炭価格の上昇を受けて輸入を削減したが、経済再開による需要急増に追いついていない。中国に続いてインドでも電力不足が深刻化すれば、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱に拍車をかける恐れがある。
需給逼迫の背景にあるのが、世界的な石炭価格の上昇だ。インドは中国に次ぐ世界2位の石炭輸入国で、主にインドネシアやオーストラリアなどから石炭を輸入する。
アジアの発電用石炭の指標であるオーストラリア産のスポット(随時契約)価格は10月上旬時点で1トン200ドル(約2万2千円)を突破。08年7月に付けた過去最高値(約185ドル)を更新した。新型コロナ禍からの経済正常化でアジアでの消費が増えたほか、同じ発電燃料である天然ガスの高騰を受けて欧米で代替的な需要も増えている。
価格高騰を受け、インドの石炭輸入量は8~9月に7月以前の月平均と比べて3割以上減った。電力各社は代わりに割安な国産石炭の調達などを増やそうとしたが、9月の豪雨による減産などで目算が外れた。
中国は冬の電力不足を回避するために化石燃料の確保に動いており、アジアで石炭価格のさらなる上昇が予想される。インドでの石炭の供給回復には時間がかかる可能性がある。
米金融情報会社S&Pグローバル傘下の印クリシルは9月末のリポートで「短期的には石炭の輸入が唯一の選択肢」と指摘した。石炭の供給不足が続き、「発電所の石炭在庫は22年3月まで徐々にしか改善されない」との見通しを示した。
鉄鋼メーカー関係者は「ただちに操業に影響が出るとは考えていないが状況を注視している」と話す。
一方で金属やセメントメーカーなどへの自家発電向けの供給が減り、足元で生産の縮小を検討する企業も出ているという。地元紙によるとアルミニウムの事業者団体が、コール・インディアに対して石炭の持続的な供給を求める書簡を出した。
北欧の9月の電力価格は1年前の5倍に達し、電力を大量に利用する工場や鉱山会社、請求書の支払いに苦慮する学生までさまざまな事業・人々が痛手を受けており、物価上昇も加速している。
フィンランド電力会社フォータムのトレーディング責任者マッツ・パーソン氏は石炭などの高価格に加え「北欧の水力発電用貯水量の少なさと、欧州天然ガス貯蔵の低水準が重なり、最悪の状況が生じている」とした上で、「欧州で確認されている大幅な価格変動が北欧にも入ってきている」と指摘した。
ノルウェーではここ数日に降雨もあったが、南西部は状況が深刻で送電会社スタットネットは9月27日、電力バランスのレベルについてトレーダーに警告を出した。同地域は貯水能力が極めて大きく、英国への新しい送電線に加えドイツやデンマークとも接続がある。
同国の電力会社アグデル・エネルギの幹部は「この時期は通常なら貯水池は満水だが、今年は8月と9月の気温が高く降水が非常に少なかった」と指摘した。
電力市場では、利用可能な水資源に関するデータが欧州の天然ガス貯蔵レベルの集計データと同程度に重要で、トレーダーはここ数日、非常に注視している。
業界コンサルティング会社ストームジオ・ネナのチーフアナリスト、シーグビョルン・セランド氏は「欧州大陸と英国への電力輸出に十分な水量がない」とした上で、英国とアイルランドはほぼ間違いなく、世界的な天然ガス供給不足で最も打撃を受けており、電力を必要としていると指摘した。
ブルームバーグ商品スポット指数は4日に1.1%高となり、2011年に記録した最高値を更新した。同指数は昨年3月に4年ぶりの安値を付けてから90%余り上昇している。
値上がりが目立ったのは天然ガスなどのエネルギー。欧州と中国での供給不足で天然ガス価格は急上昇しており、値上がりが世界の他地域に広がる恐れがある。原油もほぼ7年ぶりの高値を付けた。
生産が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以前の水準付近に達し、2018年以来最高の石油収入を上げているサウジアラビアは現状に満足しており、その他のOPEC加盟国は漸進的な生産引き上げ計画でほぼ団結している。匿名を要請した米政府関係者によると、バイデン政権も供給引き上げのペースに不満を持っていない。
これはサウジが現在のOPECプラス合意の維持に熱心で、変更するとしても「可能な限り小幅にとどめたい」という考えの表れだと、エナジー・アスペクツの共同創業者でチーフ石油アナリストのアムリタ・セン氏は語った。
米政府が債務上限を超えないことを保証できるかと問われ、「いや、できない」と回答。「それはマコネル氏次第だ」と述べた。バイデン氏は演説で、債務上限の適用停止に向けた民主党の取り組みを阻止してきた共和党を非難、妨害をやめるよう要求した。
●市況
日経先物(大証)27950、ダウ先33914、債先151.56、米1.481、独▲0.2170、仏0.131、西0.434、伊0.820、原油77.64、ドル円110.97、墨ペソ20.49、トルコリラ8.8624、墨CDS101
※10/5 8時00分頃
備忘録(10/1-3)
●エバーグランデ
「頭金を返せ」憤る中国恒大マンション購入者 現場ルポ
半数程度の棟は中層階までしか完成しておらず、鉄筋はむき出しのまま。残る半数も窓ガラスはなく、内部はがらんどうだった。資材を整理していた男性作業員は「ここ半月は工事がとまっている。再開時期は聞かされていない」とぶっきらぼうに答えた。
40代の女性は2020年8月に購入契約を結び、総額200万元(約3400万円)の代金のうち、半分程度を恒大指定の口座に振り込んだ。
中国では今なお「不動産価格は必ず上がる」と信じている人は多いが、恒大を巡る動きは、中国でもネット上で大きな話題となっている。この女性は最近、こんな風に思うようになった。「恒大の問題を機に、中国人の不動産への考え方は変わるかもしれない」
中国しぼむ資金調達 不動産規制で加速、中小にも打撃
銀行による企業向け中長期融資は8月に前年同月比で28%減った。
中国企業の債務返済能力への懸念から外債発行も減少。リフィニティブによると、中国企業による7~9月の外債発行額は約80億ドル(約8900億円)と、4~6月期と比べて7割近く減った。仏投資銀行ナティクシスは仮に恒大の資金繰りが行き詰まった場合、「完成物件待ちの人が優遇され、ドル債の保有者は一番大きな影響を受ける」と予想する。こうした見方も信用力の低い企業の資金調達を一段と難しくしている。
銀行の帳簿に計上されない委託融資、信託融資、手形引き受けは8月、1058億元のマイナスだった。返済が調達を上回ったことを示す。1~8月の累計では1兆3534億元の返済超過で、前年同期の8倍となった。20年夏までは新型コロナ禍の打撃を被った経済状況を考慮し規制を緩めたとみられるが、21年は改めて締め付けを強めている。
中国では、就業者の8割が中小零細企業で働く。1~8月の都市部の新規雇用は938万人だった。新型コロナまん延前の19年同時期をなお5%近く下回っており、中小零細企業の雇用創出力が弱まっている。人民銀は7月に銀行の資金調達コストに直結する預金準備率を引き下げ、9月には低利での借り換えを促す資金枠を創設した。中小零細企業の資金支援策を打ち出してきたが、資金繰りに苦しむ企業はなお多い。中国政府にとって適切な債務管理は重要な課題だが、調達環境の悪化は先行きの成長率を大きく鈍化させるリスクも潜む。
中国の時限爆弾、世界も共犯 恒大ショックで株急落「頭金を返せ」憤る中国恒大マンション購入者 現場ルポ
半数程度の棟は中層階までしか完成しておらず、鉄筋はむき出しのまま。残る半数も窓ガラスはなく、内部はがらんどうだった。資材を整理していた男性作業員は「ここ半月は工事がとまっている。再開時期は聞かされていない」とぶっきらぼうに答えた。
40代の女性は2020年8月に購入契約を結び、総額200万元(約3400万円)の代金のうち、半分程度を恒大指定の口座に振り込んだ。
中国では今なお「不動産価格は必ず上がる」と信じている人は多いが、恒大を巡る動きは、中国でもネット上で大きな話題となっている。この女性は最近、こんな風に思うようになった。「恒大の問題を機に、中国人の不動産への考え方は変わるかもしれない」
中国しぼむ資金調達 不動産規制で加速、中小にも打撃
銀行による企業向け中長期融資は8月に前年同月比で28%減った。
中国企業の債務返済能力への懸念から外債発行も減少。リフィニティブによると、中国企業による7~9月の外債発行額は約80億ドル(約8900億円)と、4~6月期と比べて7割近く減った。仏投資銀行ナティクシスは仮に恒大の資金繰りが行き詰まった場合、「完成物件待ちの人が優遇され、ドル債の保有者は一番大きな影響を受ける」と予想する。こうした見方も信用力の低い企業の資金調達を一段と難しくしている。
銀行の帳簿に計上されない委託融資、信託融資、手形引き受けは8月、1058億元のマイナスだった。返済が調達を上回ったことを示す。1~8月の累計では1兆3534億元の返済超過で、前年同期の8倍となった。20年夏までは新型コロナ禍の打撃を被った経済状況を考慮し規制を緩めたとみられるが、21年は改めて締め付けを強めている。
中国では、就業者の8割が中小零細企業で働く。1~8月の都市部の新規雇用は938万人だった。新型コロナまん延前の19年同時期をなお5%近く下回っており、中小零細企業の雇用創出力が弱まっている。人民銀は7月に銀行の資金調達コストに直結する預金準備率を引き下げ、9月には低利での借り換えを促す資金枠を創設した。中小零細企業の資金支援策を打ち出してきたが、資金繰りに苦しむ企業はなお多い。中国政府にとって適切な債務管理は重要な課題だが、調達環境の悪化は先行きの成長率を大きく鈍化させるリスクも潜む。
「本当は、中国は成長率を2~3%程度、できれば一時的にゼロ近辺に落とすべきなんですよ」。7年ほど前、取材を終えた中国ウオッチャーが別れ際につぶやいた。固定資産と負債のストック調整には荒療治が必要と持論を披露した後、こう付け加えた。「でも、政治的には許容できない。結局、行き着くところまで行くのでしょうね」
「23年以降は不動産と負債の処理が中国経済全体の問題になり、成長が減速する懸念が強い」(ヨー氏)。バブルの後始末と高齢化、米中対立の三重苦で中国が日本型の低成長期に入りかねないリスクは、まだマーケットに織り込まれていないだろう。中国の債務問題はいったん「灰色のサイ」に逆戻りするかもしれない。だが、時限爆弾が時を刻むのを止められるわけではない。
中国恒大、理財商品の購入者に資金返還開始-2年半で全額返済
中国恒大が30日ウェブサイトで明らかにしたところによると、同社は9月に行わなければならない最初の支払いを30日に実施した。商品の元本と金利の10%ずつを四半期ごとに支払い、2年半かけて全額を払い戻すという発表済みのスケジュールに沿ったもので、資金は既に投資家の口座に振り込まれたという。
中国恒大、高まるデフォルト懸念
中国では一般にデフォルトを起こしても、法的整理手続きが始まるまで時間がかかる。デフォルトが経営破綻に直結する日本と異なる。「政府がハードランディングにならない処理方針を決めた上で、法的な倒産手続きに入ることが多い」(川合正倫弁護士)。銀行は政府の強い影響下にあり、強引な回収を見送るケースが大半という。
中国人民銀行(中央銀行)など当局は9月29日の会議で「不動産市場の健全な発展と住宅(購入者ら)消費者の合法的な権利を守る」とした。中国では不動産が富の格差を広げているとの批判が絶えない。国民の不満が高まるのを避けるため、着実な住宅引き渡しを恒大に求めている。
一部地域では地方政府が取引会社に工事再開を呼びかけているという。恒大は個人向け運用商品である「理財商品」の購入者に対しても返済手続きを進めており、9月30日には元本の10%を支払ったと発表した。
大和証券は「恒大の債務再編ではサプライヤーや社債保有者より住宅購入者が優先される」との見方を示す。恒大が国有企業に買収される可能性にも言及し「手続きに数年かかる恐れがある」と指摘した。格付け会社フィッチ・レーティングスの鄭俊英氏も「貸し手や社債保有者の優先順位は明らかに低い」と話す。
中国の格付け会社によると、20年末までにデフォルトした中国国内の公募社債の回収率は10.65%にとどまるという。恒大債がデフォルトした場合、投資家がどの程度回収できるか不透明だ。
バブル崩壊はいつも突然、やってくる。中国の不動産大手、中国恒大集団の債務危機が象徴する中国の不動産バブル懸念は「バランスシート不況」を引き起こす恐れがある。株式や不動産などの資産価格の下落が企業を一斉に借金返済へと走らせ、経済の縮小均衡を招いた1990年代から2000年代初頭にかけての日本のパターンだ。当時と比べ、経済の相互依存度は格段に高まった。中国の問題が米国に広がるリスクシナリオを点検する。
中国恒大集団への香港の銀行セクターのエクスポージャーは「ごくわずか」であり、「いかなるシステミックリスクも引き起こすことはない」と香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が陳茂波(ポール・チャン)財政官の発言を引用して伝えた。
香港の銀行セクターの中国恒大へのエクスポージャーは全体で約140億香港ドル(約2000億円)で、合計資産の0.05%だという。同財政官によると、香港当局の認可を受けた金融機関が有する資産は6月21日時点で26兆5000億香港ドル。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
アジアの航空、軒並み赤字 最悪期脱出も本格回復鈍く
日本の大手のほか、シンガポール航空や格安航空会社(LCC)大手のエアアジア・グループ(マレーシア)が軒並み最終赤字を計上した。3社中2社が黒字転換した米大手より回復が遅い。最悪期は脱したが国際線を中心に需要の本格回復は見通せず、経営破綻した企業もある。
ソフトバンクG出資の印OYO、上場申請 1200億円調達
ムンバイ証券取引所とナショナル証券取引所に上場する。現地メディアなどによると同社の企業価値は90億ドルで、インドのスタートアップ企業としては3番目に高いという。
米メルクのコロナ飲み薬、入院・死亡リスク「5割減」
開発する新型コロナウイルスの飲み薬について、臨床試験(治験)で入院と死亡のリスクを50%減少させることが確認されたと発表した。今後、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する見通し。
2021年7~9月の世界販売台数は前年同期比73%増の24万1300台だった。事前の市場予想(22万1000台前後)を上回り、四半期ベースで過去最多を更新した。世界的な半導体不足の影響はあったものの、代替品を確保するなどしてしのいだもようだ。テスラはこれまで欠品中の半導体についてはソフトウエアを書き換えて代替品に置き換えていると説明している。
米ファンド、英小売大手モリソンズを1兆500億円で買収
米投資ファンドのクレイトン・ダビリアー&ライス(CD&R)が英スーパー4位のモリソンズを買収することが2日、決まった。買収価格は70億ポンド(約1兆500億円)。
モリソンズは英全土で約500店舗を持ち、最近では米アマゾン・ドット・コムと提携するなどオンライン販売にも力を入れている。2021年1月期通期の売上高は176億ポンドだった。
日産スペイン工場、中国・長城汽車と売却交渉
日本車6社の米新車販売5%減 7~9月、半導体不足で失速
米国の販売店の在庫は足元で約20日分と、通常の半分以下まで低下している。ニューヨーク州の日産の販売店の営業担当者は「(主力SUVの)『ローグ』は新車の店頭在庫がブルーとブラックの2種類だけ。その他の色は納車はいつになるか分からず、商談にならない」とこぼす。
米コンサルティング会社アリックスパートナーズは9月下旬のリポートで、半導体不足によって21年の自動車の世界生産が770万台減少し、損失が2100億ドル(約23兆円)にのぼる可能性があると指摘した。5月時点で390万台とみていた減産幅を2倍近くに修正した。
独ダイムラー、トラック分離を正式決定 年内に上場
2021年末までにトラック・バス部門は「ダイムラートラックホールディングス」として上場する。ダイムラー本体は22年2月に「メルセデス・ベンツグループ」に改名する。
メルセデス・ベンツは今後、高級電気自動車(EV)に経営資源を集中、ダイムラートラックは電気トラックのほか燃料電池トラックの開発も強化する。
シングテル、豪の通信塔事業を1520億円で売却
オーストラリアで通信塔を保有運営する子会社を売却すると発表した。19億豪ドル(約1520億円)の売却益を得る。高速通信規格「5G」のサービスやデータセンター(DC)など、成長分野に投資をシフトする。
シングテルはシンガポール国内の7カ所で合計最大受電容量70メガワット超のDCを展開している。デジタル化の加速でDCの需要拡大が見込まれるため、海外展開を加速する。当面、国内を含む東南アジアで計100メガワット相当の新規案件を手掛ける計画だ。
西武HD一時4%安 4~9月赤字拡大を嫌気 反転期待も
4~9月期の連結最終損益は160億円の赤字(前年同期は390億円の赤字)と、従来予想の80億円の赤字から下方修正した。緊急事態宣言の長期化や東京五輪・パラリンピックが無観客開催になったことなどで、レジャー事業や都市交通・沿線事業が想定を下回った。通期見通し(50億円の最終赤字)は現在精査中として変更しなかった。
●マクロ・その他
日本の大手のほか、シンガポール航空や格安航空会社(LCC)大手のエアアジア・グループ(マレーシア)が軒並み最終赤字を計上した。3社中2社が黒字転換した米大手より回復が遅い。最悪期は脱したが国際線を中心に需要の本格回復は見通せず、経営破綻した企業もある。
ソフトバンクG出資の印OYO、上場申請 1200億円調達
ムンバイ証券取引所とナショナル証券取引所に上場する。現地メディアなどによると同社の企業価値は90億ドルで、インドのスタートアップ企業としては3番目に高いという。
米メルクのコロナ飲み薬、入院・死亡リスク「5割減」
開発する新型コロナウイルスの飲み薬について、臨床試験(治験)で入院と死亡のリスクを50%減少させることが確認されたと発表した。今後、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請する見通し。
米国で連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)適用を申請したフィリピン航空の経営再建が動き始める。債務超過に陥った財務を改善しながら、10月からは日本や米国、中東への国際線を増便する積極策に出る。出稼ぎ労働者や観光客の往来の本格再開に布石を打つ狙いだ。新型コロナウイルス禍の先行きがなお不透明な状況で、増便のタイミングや規模、需要の喚起策では難しいかじ取りを迫られる。
●その他産業
テスラ、7~9月の世界販売73%増 半導体不足も最多更新2021年7~9月の世界販売台数は前年同期比73%増の24万1300台だった。事前の市場予想(22万1000台前後)を上回り、四半期ベースで過去最多を更新した。世界的な半導体不足の影響はあったものの、代替品を確保するなどしてしのいだもようだ。テスラはこれまで欠品中の半導体についてはソフトウエアを書き換えて代替品に置き換えていると説明している。
米ファンド、英小売大手モリソンズを1兆500億円で買収
米投資ファンドのクレイトン・ダビリアー&ライス(CD&R)が英スーパー4位のモリソンズを買収することが2日、決まった。買収価格は70億ポンド(約1兆500億円)。
モリソンズは英全土で約500店舗を持ち、最近では米アマゾン・ドット・コムと提携するなどオンライン販売にも力を入れている。2021年1月期通期の売上高は176億ポンドだった。
日産スペイン工場、中国・長城汽車と売却交渉
日本車6社の米新車販売5%減 7~9月、半導体不足で失速
米国の販売店の在庫は足元で約20日分と、通常の半分以下まで低下している。ニューヨーク州の日産の販売店の営業担当者は「(主力SUVの)『ローグ』は新車の店頭在庫がブルーとブラックの2種類だけ。その他の色は納車はいつになるか分からず、商談にならない」とこぼす。
米コンサルティング会社アリックスパートナーズは9月下旬のリポートで、半導体不足によって21年の自動車の世界生産が770万台減少し、損失が2100億ドル(約23兆円)にのぼる可能性があると指摘した。5月時点で390万台とみていた減産幅を2倍近くに修正した。
独ダイムラー、トラック分離を正式決定 年内に上場
2021年末までにトラック・バス部門は「ダイムラートラックホールディングス」として上場する。ダイムラー本体は22年2月に「メルセデス・ベンツグループ」に改名する。
メルセデス・ベンツは今後、高級電気自動車(EV)に経営資源を集中、ダイムラートラックは電気トラックのほか燃料電池トラックの開発も強化する。
シングテル、豪の通信塔事業を1520億円で売却
オーストラリアで通信塔を保有運営する子会社を売却すると発表した。19億豪ドル(約1520億円)の売却益を得る。高速通信規格「5G」のサービスやデータセンター(DC)など、成長分野に投資をシフトする。
シングテルはシンガポール国内の7カ所で合計最大受電容量70メガワット超のDCを展開している。デジタル化の加速でDCの需要拡大が見込まれるため、海外展開を加速する。当面、国内を含む東南アジアで計100メガワット相当の新規案件を手掛ける計画だ。
西武HD一時4%安 4~9月赤字拡大を嫌気 反転期待も
4~9月期の連結最終損益は160億円の赤字(前年同期は390億円の赤字)と、従来予想の80億円の赤字から下方修正した。緊急事態宣言の長期化や東京五輪・パラリンピックが無観客開催になったことなどで、レジャー事業や都市交通・沿線事業が想定を下回った。通期見通し(50億円の最終赤字)は現在精査中として変更しなかった。
シンガポールの防衛機器大手シンガポール・テクノロジーズ・エンジニアリング(STエンジニアリング)は3日、米国の交通システム大手、トランスコアの全株式を26億8000万ドル(約3000億円)で取得すると発表した。渋滞の状況に応じて通行料金を変えるシステムなど最先端のノウハウを持つ同社の買収で、注力する都市交通分野の収益を伸ばす狙いだ。
トランスコアは自動料金収受システム(ETC)などの開発・運営を手がける道路システムの大手で、無線自動識別(RFID)といった最新技術の活用に定評がある。
STエンジニアリングは主力の防衛機器の開発・製造に加えて、近年はサイバー防衛や都市交通、エネルギー制御といった新分野に事業を広げてきた。ETCを含む世界の先端交通システム市場は21年の80億ドルから30年には150億ドルまで拡大する見通し。トランスコアのETCなどのノウハウを東南アジアに持ち込み、域内での受注拡大を目指す。
●決算関連●マクロ・その他
欧州では天然ガスが不足し足元の在庫が平時を16%下回る状況だ。中国では石炭在庫が平時の15%減にまで落ち込んでいる。脱炭素で化石燃料への投資が滞るなか、経済活動が再開したことでエネルギー需要が回復し需給が引き締まった。冬場の冷え込み次第では電力供給が不安定化しかねず、警戒が高まる。
ドゥテルテ大統領来年引退 フィリピン、副大統領選出ず
メキシコ、リチウム採掘を政府が独占 大統領が法案提出
9月の米消費者態度指数、2.5ポイント上昇も低水準
9月の消費者態度指数(確報値)は72.8で、約10年ぶりの低水準となった前月(70.3)から2.5ポイント上昇した。速報値からも1.8ポイント上向き、9月後半にかけてわずかに景況感は回復した。
1年先の予想インフレ率は前月から横ばいの4.6%で、5カ月連続で4%を超えた。5年先の予想インフレ率は0.1ポイント上昇の3.0%となり、約8年ぶりの高さとなった5月と並んだ。
調査担当者は、物価が上昇する一方、賃金の伸びは緩やかで、消費者は生活水準の低下を懸念していると指摘した。住宅や自動車の価格高騰を受けて、買い時と考える人は前年と比べ半分に減った。背景には将来の生活水準への不安や、物価上昇は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一時的なものであるとの見方があるという。担当者は、物価が長期的に上がり続けるとみる1970年代のようなインフレ心理とは違うとみている。
メキシコへの送金、8月に過去最高更新 国内経済下支え
外国からメキシコへの8月の送金額が前年同月比33%増の47億4400万ドル(約5300億円)と過去最高を更新したと発表した。メキシコでは送金は原油収入の2倍以上に相当する重要な収入源で、新型コロナウイルス禍からの経済回復を後押ししている。
9月の米製造業景況感、1.2ポイント上昇 供給制約が深刻
9月の米製造業景況感指数は、61.1で前月から1.2ポイント上昇した。
需要は「新規受注」が66.7で横ばい、「受注残」が64.8で3.4ポイント低下したものの、力強さを維持した。一方、「入荷遅延」は3.9ポイント上昇の73.4となった。需要は堅調だが、深刻な供給制約が続いていることを示した。
ISMは「あらゆる分野が、生産に要する期間の長期化、必須材料の不足、商品価格の高騰、輸送の混乱の影響を受けている」と指摘。人手不足に加え、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大による混乱や、中国や米国の港の混雑などによる輸送網の目詰まりも続いていると報告した。
回答企業からは「労働不足や、あらゆる面でのコスト上昇に強い懸念を持っている」(食品・飲料・たばこ製品)、「すでに脆弱な供給網にハリケーン被害によって一段の圧力がかかっている」(化学製品)、「炭素鋼など原材料の入手がますます難しくなっている」(金属製品)と苦境を訴える声が相次いだ。
8月の米消費支出物価、4.3%上昇 約30年ぶり高水準
8月の個人消費支出(PCE)物価指数を発表した。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比で3.6%上昇し、伸びは7月と同じだった。食品・エネルギーを含む総合指数の前年同月比の上昇率は4.3%と7月の4.2%から加速し、1991年1月以来約30年ぶりの高水準となった。
[FT]ロシアにのめり込むトルコ 警戒するNATO
アフリカ、ネット通販急拡大 通信網整備や人口増で
アフリカでネット通販が急速に広がっている。決済サービスと合わせて提供するなど電子商取引(EC)サイトが利便性を競い、新型コロナウイルスで普及が一気に加速した。アフリカでECの足かせだった通信インフラの整備も進み、さらに若年人口の増加が市場拡大を後押ししそうだ。
石炭が急騰、アジア向け指標は過去最高値-資源確保が世界で加速
オーストラリアのニューカッスル港から積み出される発電用石炭(一般炭)の価格はトン当たり203.20ドルに上昇し、2008年7月に付けたこれまでの最高値を上回った。
米債務上限「Xデー」28日前後か-TB入札敬遠やリスクプレミアムも
米上下両院は12月3日までの暫定予算案を可決し、バイデン大統領の署名を経て9月30日に成立した。政府機関の閉鎖は回避されたが、債務上限の引き上げや再度の適用停止は暫定予算に盛り込まれていない。
イエレン財務長官は9月28日に公表した議会指導部宛ての書簡で、債務上限の引き上げないし適用停止が行われなければ、10月18日前後に財務省の資金が尽きると警告。米議会予算局(CBO)も9月29日の報告書で、10月後半か11月初めまでに財務省の資金が尽き、特例措置も使い切るとの見通しを示した。
金融庁、地銀や生保含め横断的にリスク把握へ-投資利回り求める動き
金融庁の屋敷利紀審議官はブルームバーグの取材で、金融機関の有価証券運用では国債の比率が低下する一方、絶対額は多くないものの証券化商品や私募債、私募REIT(不動産投資信託)なども増加している。現在の市場環境下では「これまでは取らなかったリスクを取らざるを得なくなっている」とした上で、「誰もがノウハウがあるかといったらそうではない」と指摘。
個別商品のリスクではなく、「きちんと分析できているかが着眼点」として、リスクを管理・分析する枠組みができているかに焦点を当てていくと述べた。
米自動車販売は減少か、半導体不足が影響-納車待ちぼうけ続く
市場調査会社トゥルーカーによれば、米自動車ディーラーの9月の新車在庫は17日分と、前年同月の42日分から急減。ウォーズによると、2015-19年の同月平均は64日分だった。
ボトルネックは半導体以外にも広がっている。ゴムや電子部品などが不足し、労働力不足と物流の停滞も起きているとストダード氏は指摘。「製造業者は全体の需要に追い付けず、サプライチェーン全体が崩壊しつつある」との見方を示した。
新車不足は中古車市場にも影響を及ぼしている。コックス・オートモーティブによると、中古車の平均価格は8月末に過去最高の2万5829ドル(約287万円)に達した。ただ、供給不足で中古車販売も鈍化しているとシニアエコノミストのチャーリー・チェスブロー氏は語った。
アルケゴスのフアン氏と共に中国銘柄に集中投資、リー氏に厳しい視線
この2人のうち1人は今年有名になったビル・フアン氏。もう1人はタオ・リー氏だが、中国株投資の経験が深い同氏を「ミスター中国」と長年あがめてきた一部投資家以外にはほとんど知られていない。しかし、ニューヨークを本拠にヘッジファンドを運用するリー氏(41)には今、厳しい視線が向けられつつある。
分かってきたのは、両氏共に中国でオンライン学習事業を展開するGSXテクエデュ(跟誰学)の株式に多額の資金をつぎ込んでいたことだ。2人が積み上げた持ち分はGSX株全体の約40%に達していたと市場関係者は見積もっている。
両氏がどのような事情でGSX株をこれほど大きく積み上げることに至ったかは、カーソン・ブロック氏を含む一部の空売り投資家の強い関心の的だ。ブロック氏は中国企業を空売りの対象にすることで知られる。GSXの米国預託証券(ADR)の空売り残高は2020年半ばに約33%に達したが、株価が今年1月に2倍以上に値上がりすると、ショート(売り持ち)にしていた投資家に痛手をもたらした。
両氏の関係に詳しい関係者によると、2人は元同僚であり、少なくともアルケゴス破綻前には、定期的に投資アイデアについて意見交換していた。
原油は今冬1バレル=100ドル突破も、経済危機誘発の恐れ-BofA
天然ガス価格は原油換算で既にバレル当たり約190ドルに相当する水準へと急伸しており、BofAによれば、ディーゼル油の需要急増で原油価格も同様の領域に押し上げられる可能性がある。金融および財政政策が限界にまで拡大され、エネルギーコストが経済生産との対比で膨らむ中、原油価格の上昇はマクロ経済危機を引き起こしかねないと、BofAは1日のリポートで分析した。
原油価格上昇は3つの要素が後押ししそうだ。ガス価格高騰に伴うガスから原油への切り替え、厳冬期の原油消費急増、および米国の国境再開に伴う航空需要の増加だ。
インフレ高止まりへ、過去20年と全く違う時代-ブラックロック副会長
新型コロナウイルス禍後の世界経済再開が向こう1年-1年半の高インフレにつながる可能性が高いと述べた。目先のインフレ加速が一時的なものに終わるかとの問いには、このダイナミクスに市場は予見可能な将来にわたり対応しなければならないだろうとの見方を示した。
「一時的か持続的かというのは間違った問い方だと思う。両方だと思うからだ。重要な点は、インフレはより高い水準で落ち着くという見通しであり、市場はそれに慣れなければならないということだ」と語った。
ドゥテルテ大統領来年引退 フィリピン、副大統領選出ず
メキシコ、リチウム採掘を政府が独占 大統領が法案提出
9月の米消費者態度指数、2.5ポイント上昇も低水準
9月の消費者態度指数(確報値)は72.8で、約10年ぶりの低水準となった前月(70.3)から2.5ポイント上昇した。速報値からも1.8ポイント上向き、9月後半にかけてわずかに景況感は回復した。
1年先の予想インフレ率は前月から横ばいの4.6%で、5カ月連続で4%を超えた。5年先の予想インフレ率は0.1ポイント上昇の3.0%となり、約8年ぶりの高さとなった5月と並んだ。
調査担当者は、物価が上昇する一方、賃金の伸びは緩やかで、消費者は生活水準の低下を懸念していると指摘した。住宅や自動車の価格高騰を受けて、買い時と考える人は前年と比べ半分に減った。背景には将来の生活水準への不安や、物価上昇は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一時的なものであるとの見方があるという。担当者は、物価が長期的に上がり続けるとみる1970年代のようなインフレ心理とは違うとみている。
メキシコへの送金、8月に過去最高更新 国内経済下支え
外国からメキシコへの8月の送金額が前年同月比33%増の47億4400万ドル(約5300億円)と過去最高を更新したと発表した。メキシコでは送金は原油収入の2倍以上に相当する重要な収入源で、新型コロナウイルス禍からの経済回復を後押ししている。
9月の米製造業景況感、1.2ポイント上昇 供給制約が深刻
9月の米製造業景況感指数は、61.1で前月から1.2ポイント上昇した。
需要は「新規受注」が66.7で横ばい、「受注残」が64.8で3.4ポイント低下したものの、力強さを維持した。一方、「入荷遅延」は3.9ポイント上昇の73.4となった。需要は堅調だが、深刻な供給制約が続いていることを示した。
ISMは「あらゆる分野が、生産に要する期間の長期化、必須材料の不足、商品価格の高騰、輸送の混乱の影響を受けている」と指摘。人手不足に加え、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大による混乱や、中国や米国の港の混雑などによる輸送網の目詰まりも続いていると報告した。
回答企業からは「労働不足や、あらゆる面でのコスト上昇に強い懸念を持っている」(食品・飲料・たばこ製品)、「すでに脆弱な供給網にハリケーン被害によって一段の圧力がかかっている」(化学製品)、「炭素鋼など原材料の入手がますます難しくなっている」(金属製品)と苦境を訴える声が相次いだ。
8月の米消費支出物価、4.3%上昇 約30年ぶり高水準
8月の個人消費支出(PCE)物価指数を発表した。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比で3.6%上昇し、伸びは7月と同じだった。食品・エネルギーを含む総合指数の前年同月比の上昇率は4.3%と7月の4.2%から加速し、1991年1月以来約30年ぶりの高水準となった。
[FT]ロシアにのめり込むトルコ 警戒するNATO
アフリカ、ネット通販急拡大 通信網整備や人口増で
アフリカでネット通販が急速に広がっている。決済サービスと合わせて提供するなど電子商取引(EC)サイトが利便性を競い、新型コロナウイルスで普及が一気に加速した。アフリカでECの足かせだった通信インフラの整備も進み、さらに若年人口の増加が市場拡大を後押ししそうだ。
石炭が急騰、アジア向け指標は過去最高値-資源確保が世界で加速
オーストラリアのニューカッスル港から積み出される発電用石炭(一般炭)の価格はトン当たり203.20ドルに上昇し、2008年7月に付けたこれまでの最高値を上回った。
米債務上限「Xデー」28日前後か-TB入札敬遠やリスクプレミアムも
米上下両院は12月3日までの暫定予算案を可決し、バイデン大統領の署名を経て9月30日に成立した。政府機関の閉鎖は回避されたが、債務上限の引き上げや再度の適用停止は暫定予算に盛り込まれていない。
イエレン財務長官は9月28日に公表した議会指導部宛ての書簡で、債務上限の引き上げないし適用停止が行われなければ、10月18日前後に財務省の資金が尽きると警告。米議会予算局(CBO)も9月29日の報告書で、10月後半か11月初めまでに財務省の資金が尽き、特例措置も使い切るとの見通しを示した。
金融庁、地銀や生保含め横断的にリスク把握へ-投資利回り求める動き
金融庁の屋敷利紀審議官はブルームバーグの取材で、金融機関の有価証券運用では国債の比率が低下する一方、絶対額は多くないものの証券化商品や私募債、私募REIT(不動産投資信託)なども増加している。現在の市場環境下では「これまでは取らなかったリスクを取らざるを得なくなっている」とした上で、「誰もがノウハウがあるかといったらそうではない」と指摘。
個別商品のリスクではなく、「きちんと分析できているかが着眼点」として、リスクを管理・分析する枠組みができているかに焦点を当てていくと述べた。
米自動車販売は減少か、半導体不足が影響-納車待ちぼうけ続く
市場調査会社トゥルーカーによれば、米自動車ディーラーの9月の新車在庫は17日分と、前年同月の42日分から急減。ウォーズによると、2015-19年の同月平均は64日分だった。
ボトルネックは半導体以外にも広がっている。ゴムや電子部品などが不足し、労働力不足と物流の停滞も起きているとストダード氏は指摘。「製造業者は全体の需要に追い付けず、サプライチェーン全体が崩壊しつつある」との見方を示した。
新車不足は中古車市場にも影響を及ぼしている。コックス・オートモーティブによると、中古車の平均価格は8月末に過去最高の2万5829ドル(約287万円)に達した。ただ、供給不足で中古車販売も鈍化しているとシニアエコノミストのチャーリー・チェスブロー氏は語った。
アルケゴスのフアン氏と共に中国銘柄に集中投資、リー氏に厳しい視線
この2人のうち1人は今年有名になったビル・フアン氏。もう1人はタオ・リー氏だが、中国株投資の経験が深い同氏を「ミスター中国」と長年あがめてきた一部投資家以外にはほとんど知られていない。しかし、ニューヨークを本拠にヘッジファンドを運用するリー氏(41)には今、厳しい視線が向けられつつある。
分かってきたのは、両氏共に中国でオンライン学習事業を展開するGSXテクエデュ(跟誰学)の株式に多額の資金をつぎ込んでいたことだ。2人が積み上げた持ち分はGSX株全体の約40%に達していたと市場関係者は見積もっている。
両氏がどのような事情でGSX株をこれほど大きく積み上げることに至ったかは、カーソン・ブロック氏を含む一部の空売り投資家の強い関心の的だ。ブロック氏は中国企業を空売りの対象にすることで知られる。GSXの米国預託証券(ADR)の空売り残高は2020年半ばに約33%に達したが、株価が今年1月に2倍以上に値上がりすると、ショート(売り持ち)にしていた投資家に痛手をもたらした。
両氏の関係に詳しい関係者によると、2人は元同僚であり、少なくともアルケゴス破綻前には、定期的に投資アイデアについて意見交換していた。
原油は今冬1バレル=100ドル突破も、経済危機誘発の恐れ-BofA
天然ガス価格は原油換算で既にバレル当たり約190ドルに相当する水準へと急伸しており、BofAによれば、ディーゼル油の需要急増で原油価格も同様の領域に押し上げられる可能性がある。金融および財政政策が限界にまで拡大され、エネルギーコストが経済生産との対比で膨らむ中、原油価格の上昇はマクロ経済危機を引き起こしかねないと、BofAは1日のリポートで分析した。
原油価格上昇は3つの要素が後押ししそうだ。ガス価格高騰に伴うガスから原油への切り替え、厳冬期の原油消費急増、および米国の国境再開に伴う航空需要の増加だ。
インフレ高止まりへ、過去20年と全く違う時代-ブラックロック副会長
新型コロナウイルス禍後の世界経済再開が向こう1年-1年半の高インフレにつながる可能性が高いと述べた。目先のインフレ加速が一時的なものに終わるかとの問いには、このダイナミクスに市場は予見可能な将来にわたり対応しなければならないだろうとの見方を示した。
「一時的か持続的かというのは間違った問い方だと思う。両方だと思うからだ。重要な点は、インフレはより高い水準で落ち着くという見通しであり、市場はそれに慣れなければならないということだ」と語った。
下院民主党の進歩派が、野心的な歳出プログラムの一部を期限付きとすることを容認し、規模縮小に道を開いた。
進歩派のオカシオコルテス下院議員(民主)はCBSの番組で、「一つのアイデアは、資金の手当てを完全にできるものには完全に手当てする。ただ10年間それに資金を拠出するのではなく、5年間にするというものだ」と述べた。
ただし譲れない線はあり、下院民主党の進歩派議員連盟「コングレッショナル・プログレッシブ・コーカス(CPC)」のトップ、ジャヤパル議員は、同党のマンチン上院議員が提起した1兆5000億ドルへの縮小案は一蹴した。
ャヤパル議員はCNNの番組で「われわれの優先課題を実現させるには少な過ぎる。従って1兆5000億ドルから3兆5000億ドルの間になるだろう。ホワイトハウスがこれについて現在取り組んでいると思う。われわれが成し遂げたいのは育児支援や有給休暇、気候変動、住宅に関する施策だからだ」と述べた。
●市況
日経先物(大証)29075、ダウ先34230、債先151.52、米1.465、独▲0.2285、仏0.118、西0.417、伊0.818、原油75.72、ドル円111.07、墨ペソ20.45、トルコリラ8.8610、墨CDS102
※10/1 NY引け値
※10/1 NY引け値