備忘録(9/29)
●エバーグランデ
不動産市場を安定させるため「不動産を短期の景気刺激策としない」と強調した。また、「不動産市場の健全な発展と住宅(購入者ら)消費者の合法的な権利を守る」と訴えた。不動産開発大手、中国恒大集団の経営難をきっかけに市場の不安が高まっている。過熱リスクの封じ込めに注力する姿勢を示した。
従来、中国の不動産開発は景気の「調整弁」として機能してきた。景気が悪くなれば取引規制を緩め、過熱すれば規制を強めてきた。
傘下の地方銀行、盛京銀行の株式19.93%を約99億元(約1700億円)で売却すると発表した。世界最大規模の広州FCサッカースタジアム(建設中)などの売却交渉を進めているとの報道もある。29日には欧米市場で発行した米ドル債が再び利払い日を迎え、資金繰り確保が急務となっている。
国内大手銀3行に対し、中国恒大集団へのエクスポージャーに関する情報を報告するよう求めたことが、事情に詳しい関係者の話で明らかになった。シンガポール当局も他国と同様に中国恒大の債務危機がもたらし得る打撃を警戒している。
DBSのピユシュ・グプタ最高経営責任者(CEO)は27日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、同行は中国恒大へのエクスポージャーはなく、同社の債務危機がアジアの銀行業界にとってシステミックリスクになるとは考えていないと述べた。
中国恒大集団のドル建て債保有者2人が、香港時間29日午後5時(日本時間同6時)の時点でクーポン支払いを受けていないと明らかにした。中国恒大の2024年償還債は29日が4520万ドル(約50億4000万円)の利払いの期日。デフォルト(債務不履行)が宣言されるまでには30日間の猶予期間がある。
ディストレスト債が専門の米資産運用会社マラソン・アセット・マネジメントは、債務危機に直面する中国の不動産開発会社、中国恒大集団の社債を購入している。
リチャーズCEOが29日語ったところでは、マラソンは中国恒大集団の社債を初めて今週買い入れ、今の低い価格で購入を続ける方針だ。
同CEOは、中国恒大が当面の債務の支払いを一部行うことで問題を「先送りする」しようとするかもしれないが、最終的には再編が必要になるだろうと発言。住宅購入者とサプライヤー、中国の債券保有者がオフショア投資家より先に支払いを受けるとの見通しを示した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
アンデラは企業向けの研修やアウトソーシングを手掛ける。2019年1月にはゴア元米副大統領が共同で立ち上げた投資会社ジェネレーション・インベストメント・マネジメントなどから1億ドルを調達した。
2013年創業のコンフィオは、一般的な銀行から資金を十分に借り入れることができないことの多い中小企業向けに与信を行っている。同社は発表資料で、新たに集めた資金は商品提供の拡充や買収機会模索に充てると説明した。
アマゾン・ドット・コムやメルカドリブレなどのサイトに出店するプライベートブランド企業の買収を手掛ける新興企業メラマは、プライベートエクイティ―(PE、未公開株)投資会社アドベント・インターナショナルとソフトバンクグループが参加した資金調達ラウンドで2億2500万ドル(約250億円)を調達した。
●その他産業
ASMLは投資家向けに29日発表した資料で、2025年の年間売上高は約240億-300億ユーロ(約3兆1200億-3兆9000億円)になるとの予想を示した。これまでは150億-240億ユーロと見込んでいた。
ASMLは資料で「収益性が高く極めて革新的なエコシステム(生態系)に支えられたエレクトロニクス業界におけるグローバルメガトレンドが半導体市場全般で成長を後押しし続けると見込まれる」とコメントした。
世界生産台数が前年同月比16.2%減の53万1千台だった。東南アジアで新型コロナウイルスの感染が再拡大し、国内や海外の工場で一時稼働を停止した影響が出た。前年同月を下回るのは12カ月ぶり。一方、世界販売台数は12カ月連続で前年同月を上回り、3.9%増の74万8千台だった。
●決算関連
自動車の樹脂部品向けのガラス繊維などが好調で利益を押し上げる。同日、利益を株主に還元するため100億円を上限に自社株を取得すると発表した。
●マクロ・その他
中国の人民元建て国債への投資を当面見送ると明らかにした。市場の流動性が低く、自由に売買できなくなるリスクが高いと判断した。
2020年5月に過去最低の現行水準に引き下げて以来、11会合連続の据え置きとなる。
国内経済について「7~9月期を底にして徐々に回復が見込まれるものの、依然として不確実性が残っている」との認識を示した。21年の経済成長率見通しは0.7%とし、8月時点から変えなかった。
タイはデルタ型の変異ウイルスが広がり、7月から首都バンコクなどで都市封鎖(ロックダウン)を実施した。行動制限は9月以降、段階的に緩和された。1日当たりの新規感染者数は8月に一時2万人を超えたが、足元では1万人程度に減少している。
中国の300億ドル(約3兆3000億円)規模のペット市場と、都会暮らしの若者が新たなベビーブームよりも餌をたっぷり与えられた猫や犬を選ぶ可能性に投資をせよ――。米投資銀行ゴールドマン・サックスが投資家にこう呼びかけている。
「一帯一路」を巡り、融資を受けた中低所得国で政府の負債として公になっていない「隠れた債務」が3850億ドル(約43兆円)にのぼることが29日、米民間調査機関の調べで分かった。対中債務が国内総生産(GDP)の10%を超える国は42カ国にのぼる。中国が不透明な融資を通じて、急速に影響を広げる実態が浮き彫りになった。
対中隠れ債務がGDP比で最も大きかったのはラオスの35%。公表している政府債務とあわせると対中債務の実態は64%に及ぶ。
報告書では一帯一路で中国が自国に有利な条件を設定している点も指摘した。政府開発援助(ODA)以外の貸し付けが中心で、融資の約6割に担保や信用保険、第三者による返済保証を付けた。日本やドイツなどによる開発融資では金利1.1%、返済期間28年が一般的なのに対し、中国は金利4.2%、返済期間10年未満が主だった。
エイドデータ研究所は「中国は多くの中低所得国が第一に頼る融資元としての地位を急速に確立したが、融資の実態はベールに包まれている」と指摘した。中国が詳しい情報を開示しないことで、一帯一路への参加リスクを判断するのが難しくなっていると問題点を挙げた。
岸田氏は29日夕の記者会見で、新政権の経済政策について「新しい資本主義を構築していきたい」と強調。アベノミクスは経済の体質を強化し成長を実現したものの、「一部の人間に成長の果実がとどまり集中しているようでは経済の好循環が実現できない」と指摘した。
企業については、株主・経営者だけではなく「従業員などに適当に分配されているのか民間で考えてもらう」と話した。大企業と中小企業、高所得者層と中・低所得層、地方と大都市の「格差を埋めていかなければいけない」とも述べた。
幅広い人の給与引き上げで消費を喚起し、企業の投資や研究開発を促す。特に国が定めることができる看護師や介護士、保育士などの給料引き上げに取り組む。
国家発展改革委員会(発改委)は29日、需給およびコストの変化を電気料金に合理的に反映させる方針を示した。石炭輸入を「適度」に増やすとし、冬季前の石炭在庫積み増しを発電所に促したことも明らかにした。
計画の詳細を知る関係者によれば、工場向けの電気料金値上げは定額料金の引き上げか石炭価格に連動する形での値上げとなる可能性がある。
ただ、非公開情報を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、工業ユーザー向けを値上げしても電力危機が解消できない場合、住宅向け電気料金を引き上げる案も政府は検討している。計画はなお変更もあり得、最終的な承認が必要という。
発改委によると、中国は不合理なエネルギー需要を効果的にコントロールする。住宅向けの電気・ガス料金については、基本的に安定を維持すると表明した。
世界2位の経済大国である中国が直面している電力不足は、自国経済の成長鈍化を招くだけでなく、グローバルなサプライチェーンを一層逼迫(ひっぱく)させる恐れがある。
2021年9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.6と、前月より0.5ポイント低下した。好不調の境目である50を下回るのは、新型コロナウイルスが直撃した20年2月以来だ。中国経済の停滞感が強まっている。
8月の鉱工業生産指数(2015年=100、季節調整済み)速報値は95.0となり、前月比3.2%下がった。低下は2カ月連続。自動車工業が15.2%の大幅低下となった。半導体不足や新型コロナウイルスの感染拡大による東南アジアからの部材調達の停滞が響いた。
全15業種のうち12業種が下がった。自動車工業は普通乗用車や自動車用エンジンを中心に減産した。19.4%低下した5月以来の大きな落ち込みとなり、鉱工業生産指数全体を押し下げた。
経産省は「長引く半導体不足やアジアからの部材調達不足の影響が出た」とみている。部品不足から国内工場の稼働停止が相次いだ。
電気・情報通信機械工業はリチウムイオン蓄電池や放送装置の生産が減り、10.6%低下した。ショベル系掘削機械などを減産した生産用機械工業は3.2%下がった。
主要企業の生産計画から算出する生産予測指数は9月が0.2%の上昇、10月は6.8%の上昇となった。
このうち自動車などの輸送機械工業は9月に8.7%の大幅な低下を見込む。10月は15.8%の上昇を見込むものの「アジアからの部材調達の混乱などが十分に反映されていない可能性があり、下振れリスクがある」(経産省)という。
新型コロナウイルスワクチンの普及で、個人消費や輸出が想定以上に回復しているためだ。
リスク要因はエネルギー価格の高騰だ。欧州では天然ガスの値上がりに歯止めがかからず、家計や企業収益に打撃となる可能性が高い。伊政府は低所得の世帯や零細企業の光熱費の支払いを支援する対策を打ち出したが、イタリアはガス依存度が高く、どれくらい効果があるかは不透明だ。
ガスや電力の小売事業者3社が営業を停止した。いずれも天然ガスや卸電力価格の急激な上昇で、仕入れコストの重荷に耐えきれなくなったためとみられる。英当局によると8月以降に経営破綻した供給会社は計10社に増え、エネルギー価格高騰の波紋がさらに広がった。
欧州では天然ガスの値上がりに歯止めがかからない。英国では29日も先物取引で期近物が過去最高値を更新し、7月末からの約2カ月で2倍以上になった。卸電力の相場も連れ高しており、販売価格の水準に上限を課されている小売事業者の経営悪化が中小規模を中心に深刻になっている。
これまでに破綻した企業の顧客基盤は、英ブリティッシュガスや仏電力公社(EDF)などに継承された。相対的に体力の小さい新興エネルギー会社が市場から退場を余儀なくされ、大手が吸収する構図になっている。
●市況
日経先物(大証)29467、ダウ先34369、債先151.46、米1.513、独▲0.2080、仏0.140、西0.442、伊0.825、原油74.97、ドル円111.88、墨ペソ20.51、トルコリラ8.8938、墨CDS102
※9/230 10時30分頃
備忘録(9/28)
●エバーグランデ関連
ジャンボ・フォーチュン・エンタープライゼズ(鉅祥企業有限公司)という会社のドル建て社債の一部保有者が、同社債には中国の不動産開発会社、中国恒大集団が保証を付けていると主張し、同社債がデフォルト(債務不履行)した場合に支払いを求めるため債権者委員会を結成しようとしている。
2億6000万ドル(約290億円)相当の鉅祥債は10月3日が償還期限。同社債は中国恒大とその子会社の天基控股有限公司が保証していると、詳細は非公開だとして関係者が匿名を条件に述べた。
中国恒大は23日が期限だったドル建て債のクーポン8350万ドルを支払った様子がなく、29日には2024年償還の別の社債のクーポン4500万ドルの支払い期日が来る。20日期限の銀行への利払いを行っていないほか、納入業者およびオンショア投資商品の保有者への支払いも遅延している。
中国恒大と天基による鉅祥債への保証は直接的な無条件・非劣後債務に相当し、中国恒大と天基の他の無条件・非劣後債務と少なくとも同等の支払い順位に位置づけられると関係者らは説明。支払いの遅れが許容されるのは5営業日までで、それ以上の猶予期間は設けられていないとも語った。
中国の中央政府が救済の形で直接介入する可能性は低いと関係者6人が語った。資産の買い取りによって、中国恒大が破綻した場合の社会不安を回避または軽減することを当局は望んでいるという。
広州市都市建設投資集団は中国恒大が建設する広州サッカースタジアムの取得に向けて詰めの協議を行っていると、関係者の1人がロイターに述べた。一部の政府保有企業が既に、広州市の資産についてデューデリジェンス(資産査定)を行ったとも語った。
経営危機の中国恒大を救済するために中国政府が直接介入する可能性は低い。ただ当局は、資産購入を通じて、中国恒大が破綻した場合に起こりうる社会的不安を解消、または少なくとも緩和することを期待しているという。
この人物によると、広州にある中国恒大の中核資産の買い手候補は「政治、商業の両面で考慮」することを念頭に置いて「手配」されており、当局は同じ資産に対して数社だけが入札することを望んでいないと指摘した。
関係者によると、資産の購入を求められている政府系不動産開発会社には、万科と中国金茂、華潤置地が含まれている。これらの企業には、直接または間接的に打診があったという。
FRBは金融安定に対するリスクを回避するための情報収集に乗り出した。香港金融管理局(HKMA、中央銀行)も域内の銀行に対し、高利回りドル建て債発行で中国最大の恒大に関連するリスクの報告を求めた。
米国の銀行監督当局は、経営難の企業との関係について金融機関に定期的に質問している。パウエルFRB議長は先週、恒大について「米国には直接的なエクスポージャーはない」とし、「信用の経路を通じて世界の金融環境に影響を与えるという心配はあるだろう」と述べていた。
2024年2月償還の米ドル債の一部を流通市場で買い入れたと発表した。金額は3360万㌦(約37億円)。インターネット上に流出した文書をきっかけに浮上した信用不安を鎮静化する狙いがある。
東北部の遼寧省大連市でオフィスと商業の複合ビルを建設中で、2022年5月末に竣工予定。同社の投資額は非開示だが、総事業費は36億元(約620億円)超。中国の別の地域でも不動産事業を検討中で「ファンド方式で外部の資金を活用して運営・管理を拡大したい」(開発担当者)という。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
エアアジア・グループの関連会社で国際線など中長距離路線専門のエアアジアXは27日、2021年4~6月期の最終損益が246億リンギ(約6530億円)の赤字となったと発表した。赤字額は前年同期の3億500万リンギの約80倍に膨らみ、四半期ベースで過去最大となった。
損失額が膨らんだのは、債務支払いの引当金を238億リンギ計上したためだ。コロナの影響で国際線の需要が激減し、同社は20年に資金不足に陥った。債務削減を柱にした経営再建策を打ち出し、リース会社などの債権者と交渉中だ。635億リンギの負債を2億リンギまで、99.7%カットする計画。債権者の反発は大きいとされるが、エアアジアXは決算資料で「交渉は進捗している」とし、「債務削減が成功すれば、引き当てた負債は免除される」と強調した。
資金繰りの改善に向け、マレーシア政府保証の融資を5億リンギ分申請する計画も明らかにした。不採算路線を撤廃し、余剰航空機をリース会社に返却する交渉も続ける。
10月の運航率(2021年度計画比)は72%で、16日の前回発表から3ポイント低下した。新型コロナウイルス禍が長期化する中、コストを抑えるべく運航規模の縮小を続ける。
既に同じ原理のワクチンが複数できており、必要性が下がったと判断した。たんぱく質系のコロナワクチン開発に経営資源を集中する。
mRNA型のワクチンは米ファイザーや米モデルナが完成させている。
●その他産業
2021年6~8月期の決算発表で、新型コロナウイルスによるサプライチェーン(供給網)の混乱が年末商戦に影響するとの見通しを示したためだ。
ネット通販が好調だったものの、コロナによる供給網の混乱が長引き、年末商戦で悪影響が出るとの見通しを示した。ベトナムにある主力の委託工場はデルタ型流行の影響で生産を一時停止しており、フル稼働まで時間がかかるという。
スポーツ用品は在宅時間の増加や健康志向の高まりで需要が高まっているものの、業績の先行きに不透明感が漂っている。
パソコンや携帯電話向け同社製品の旺盛な需要が縮小しつつある兆候だ。
●決算関連
●マクロ・その他
28日公表した中長期の世界石油見通しで、世界の石油需要の伸びが2035年以降に停滞するとの見方を示した。脱炭素が進んでも45年時点で石油がなお最大のエネルギー源だとし、供給不足を避けるため投資が必要だと警告した。
20年に19年比9%減の日量9060万バレルに落ち込んだ後に急回復し、23年に1億160万バレルとコロナ禍前を上回るとした。45年に1億820万バレルまで増えると予測したが、35年以降は「事実上増えず長期間、停滞状態になることを示唆している」とした。45年に世界の1次エネルギー需要のうち石油は28%を占めるとの見通しを示した。20年の30%より低下するが、なお最大のエネルギー源だという。
OPECは世界石油見通しで供給について、米国のシェールオイル生産が「30年ごろにピークに達する」とした。世界の供給量は45年に1億820万バレルと、20年比16%増えるとした。OPEC加盟国に限ると4270万バレルと39%増を見込む。
中国を除いた東アジア・太平洋地域の新興国の貧困層が2021年に2年連続で増加し、高止まりすると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大により就業できない人が増えるためだ。教育機会の減少によって若い世代が生涯に得られる収入が3.8%減る恐れがあるとも警告した。
コロナ前の予測では、中国以外の22カ国の貧困層は19年の計2億5900万人から21年は計2億4100万人に減少する見通しだった。実際は20年に2億6400万人、21年も2億6600万人と2年連続で増加した。コロナ前の予測との差は約2500万人に上る。特にインドネシア、フィリピン、ミャンマーで貧困からの脱却が遅れているという。
一方、経済がいち早く回復した中国は21年に貧困層の人口が3700万人減る見通しで、減少ペースはコロナ前の予測とほぼ変わらない。子供が将来得られる収入の減少幅も約300ドルと、東南アジア諸国連合(ASEAN)や他の東アジアの国に比べて小さい。
年末商戦を控えたこの時期、中国のメーカーや輸出業者は衣料品や玩具を含めあらゆる需要への対応を急ぐが、エネルギー不足が深刻化。原材料コストの高騰や港湾の機能停止、輸送用コンテナ不足などによる供給ラインの混乱も重なる。
メーカー側は厳格な電力使用削減措置が江蘇省と浙江省、広東省などでの生産減につながると警告。これらの省は中国国内総生産(GDP)の3分の1近くを占めており、価格上昇を招く可能性もある。
生産を停止している浙江省の繊維メーカーは、値上げに踏み切り、外国からの新規受注を見合わせているという。
「すでに製品の国外出荷に苦しんでいるが、今では生産能力も制限されており、大混乱になるのは確実だ。これまでにも非常に多くの不確実要因に対処しなければならなかったが、今また1つ増えた。特にホリデーシーズン向けに受注品を引き渡すのは一段と難しくなる」と関係者は述べた。
中国の港湾が混乱し、世界のサプライチェーンに影響を与えたばかりだが、電力不足がこれに追い打ちをかけている。新型コロナウイルスの新たな感染拡大で浙江省の寧波港は先月、数週間にわたり機能を停止。広東省深圳市の塩田港からの船積みも5月に止まった。
野村ホールディングと中国国際金融(CICC)、モルガン・スタンレーは電力を巡る混乱を理由に中国のGDP見通しを下方修正、もしくは成長鈍化を警告。野村の中国担当チーフエコノミスト陸挺氏(香港在勤)は、「繊維から玩具、機械部品に至るまで、グローバル市場に供給不足の危機感が広がるだろう」と予想。「中国に関する最もホットな話題はすぐに『中国恒大集団』から『電力危機』に移る」と指摘した。
同議長の金融規制に関する実績を理由に挙げている。
イエレン氏は連邦政府の債務上限問題への対応が遅れると10月18日以降に資金が尽きると指摘。デフォルト(債務不履行)に陥れば「経済の壊滅的な事態」になると警告し、議会に早急な対応を訴えた。
債務上限問題の対応の遅れはドルの基軸通貨の地位を損なうとし、「人民元を国際通貨にしようとしている中国にさらなる信頼性を与える」と語った。
ロンドン市場の北海ブレント原油は日本時間28日の取引で、期近物が一時18年10月以来、約3年ぶりに1バレル80ドルを超えた。ニューヨーク市場でもWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近物が7月以来の高値をつけた。リフィニティブによると、石炭価格の国際指標の1つは過去1年間で4倍近くに急騰し、08年夏以来13年ぶりの高水準になった。ニューヨーク市場の天然ガス先物も急ピッチで上昇しており、約7年半ぶりの高値圏で推移している。
9月の消費者信頼感指数は109.3で、前月の改定値から5.9ポイント低下した。7月、8月に続く低下で、市場予測(114.9程度)を大きく下回った。
「現在の景況」が143.4で5.5ポイント、「短期の見通し」が86.6で6.2ポイントそれぞれ低下した。
「新型コロナウイルスのデルタ型感染拡大の持続で楽観度が下がったほか、短期的なインフレ懸念も残っている」「消費者は慎重になっており、支出を切り詰める可能性が高い」と指摘した。
アイダホ州、アリゾナ州、コロラド州を含む山岳部で25.6%上昇するなど、4地区で伸び率は20%を超え、残る5地区も15%を上回った。
前月比の伸び率は1.4%で、6月(1.7%)、5月(1.9%)と比べ、鈍化しており、価格上昇はピークを過ぎた可能性がある。
●市況
日経先物(大証)29490、ダウ先34224、債先151.40、米1.551、独▲0.1945、仏0.156、西0.447、伊0.857、原油74.34、ドル円111.54、墨ペソ20.34、トルコリラ8.8735、墨CDS96
※9/28 8時45分頃
備忘録(9/27)
●エバーグランデ
恒大発行の社債保有者については、「ハイイールド債」のリスクを承知のうえで、相対的に高いリターンを追求したので、容赦なく扱われ、救済されないであろう。
対して、理財商品の購入者は個人投資家が主体なので、彼らの不満が鬱積すれば社会不安を生じかねない。これは中国共産党の最も嫌うところで、なんらかの救済措置が採られるのではないか。
さらに最優先に救済されそうな債権者が、例えば2年後受け渡し条件で全額前金払いで恒大マンションを購入した人たちだ。その戸数は200万を超すとされる。そもそも恒大は、この前払いで得た資金を新たなマンション建設に振り向けるなど、危うい資金繰りが目立った。
さらに建設を請け負った下請け業者の保護も必要だ。
筆者が最も懸念するのは、不動産価格に依存する地方政府の財政問題だ。具体的には、「地方融資平台」が地方政府から土地を買い受け、さらに巨額の地方債を発行して、インフラや「箱もの投資」を行い、地方政府レベルでの「国内総生産(GDP)競争」に明け暮れてきた。恒大も地方政府から土地払い下げを受けてきた。
恒大の債務危機が、中国不動産価格のさらなる下落を誘発すれば、地方政府の累積債務悪化は必至だ。その規模について正確な統計はないが、円換算で少なくとも数百兆円台に膨張していると推定される。恒大の30兆円規模の債務とは桁が違う。この問題こそ「大きすぎてつぶせない」。恒大の危機は、地方での債務処理の過程で、地方融資平台問題の実態を浮かびあがらせることになりそうだ。
銘柄リストの筆頭に挙がっているのは恒大の債権者と株主、サプライヤー、同業他社だ。中国の規制強化が続く中、同国でかなり稼いでいる企業も注目されている。また、米国の市場ウォッチャーは工業株を重視し、欧州勢は鉱業株に目を向けている。
トレーダーが注目する銘柄とセクターの一部は以下の通り。
同業の不動産開発会社
恒大の規模の大きさに中国政府の不動産セクターに対する規制強化が相まって、業界各社は引き続き大きな影響を受けそうだ。ゴールドマン・サックス・グループの試算では、恒大の資産は約2兆元(約34兆2400億円)と、中国の国内総生産(GDP)の2%に相当し、いかなる資産処分も市場の混乱につながる可能性がある。
恒大に何が起きるかにかかわらず、中国の住宅価格は現在「大きな下振れ」リスクにさらされているとシティグループは指摘した。
銀行と投資家
政策担当者は支援を提供する見込みだが、一部の銀行は犠牲となる可能性があるとシティのジュディ・チャン氏らアナリストは22日のリポートで予想した。
中国の銀行の高リスク不動産開発会社に対する融資エクスポージャーを巡るシティの分析で、中国民生銀行と平安銀行、中国光大銀行の信用リスクが最も高いことが示唆された。南京銀行と重慶農村商業銀行、中国郵政儲蓄銀行はそこまで脆弱(ぜいじゃく)ではないとみられている。
アジアのサプライヤー
恒大のプロジェクトに建築資材や電化製品を供給する業者については、恒大に対する債権の規模や同社の盛衰が経常損益にもたらす意味合いが注視されている。
米工業株
恒大の再編で世界2位の中国経済が圧迫されれば、最も景気に敏感でグローバル化された銘柄を通じて米国に波及効果が生じるだろう。米経済の健全性の指標としばしば見なされる工業株が最大の打撃を受ける可能性がある。
JPモルガン・チェースのアナリスト、スティーブ・トゥサ氏の試算によると、米工業企業の売上高のうち中国は約10%を占める。注目すべき銘柄は鉱業・建設機械メーカーのキャタピラーのほか、ゼネラル・エレクトリック(GE)、オーチス・ワールドワイド、ハネウェル・インターナショナルなど。
欧州鉱業株
ブルームバーグの集計データによれば、中国が売上高全体に占める比率はBHPグループが62%、リオ・ティントは58%で、アングロ・アメリカンとグレンコアはほぼ半分に上る。ハイデルベルクセメントなどのセメントメーカーのほか、コネやシンドラー・ホールディングといった建材メーカーが、恒大破綻の影響を直接受ける可能性があるとリベラムのストラテジストは予想した。
恒大は恒大人寿の持ち分50%を簿価の0.5倍で売却すると、6億ドル(約660億円)の調達につながる可能性がある。2015年の恒大による買収後、恒大人寿は市場シェアを9倍以上に拡大し、過去4年間は毎年利益を上げている。
これは潜在的な買い手にとって掘り出し物のように聞こえるかもしれない一方、多少の難点もある。ラム氏は27日のリポートで、急速なシェア拡大は低いソルベンシー比率を犠牲にしたものだと指摘。6月末時点で恒大人寿の110%に対し、同業大手6社の平均は239%だったことから、これを200%以上に引き上げるために恒大の持ち分の買い手はさらに22億ドルを払う必要に迫られる可能性があるという。
物件販売面積で中国4位の大手不動産・融創中国が浙江省紹興市の当局に支援を要請したと報じた。主要都市で住宅や商業用物件の開発・販売を手掛けており、同業の大連万達集団(ワンダ・グループ)からテーマパークを買収するなど拡大路線を取ってきた。紹興市が打ち出した不動産関連の規制によって、多くの市民が不動産購入資格を失った影響で不動産開発プロジェクトの販売がふるわず、資金繰りが厳しい状況に直面しているという。同社の株価は27日の香港市場で前週末比9%急落した。
住宅都市農村建設省が各地方の関連部門に対し、恒大の口座に関して管理監督を強めるよう指示した。中国ではマンションなど完工していない物件を販売する際、購入契約者から預かった資金を地方政府の管理を受けた口座で取り扱う必要がある。資金が別のプロジェクトなどで不適切に利用され、物件建設が頓挫することを防ぐためだ。
中国メディアによると今年7月、中国南部の湖南省で恒大物件の売上金が政府管理口座に十分に入っておらず、現地当局が該当物件の一時販売停止を指示した。中国では財産の大半を住宅につぎ込む人が多い。恒大が各地で建設中のプロジェクトが宙に浮けば、社会不安につながりかねず政府は警戒を強めている。
中国当局は恒大の破綻による社会への悪影響を最小限に抑える対策を講じているもようだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国当局は地方政府に対し、会計士や法律家で構成する専門チームをつくり、各地で恒大が手掛ける事業の財務状況などを調査するほか、同社の不動産開発事業を引き継ぐ準備を進めるよう指示した。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
8月の日本発の航空貨物輸出量(混載貨物ベース)は、8万9011トンと前年同月比59%増えた。前年実績を上回るのは9カ月連続。
方面別では米国向けが同約2倍と全体をけん引した。自動車部品や電子部品の荷動きが堅調だった。貨物の急増に伴う海上コンテナ輸送の混雑が続き、航空貨物に切り替える動きも見られた。アジア向けもフィリピンが2.3倍、シンガポールが2.2倍と大きく伸びた。欧州方面もドイツが70%増、イタリアが67%増と堅調だった。
一方、最も輸出量の多い中国向けは1.2倍と、増加率は7月(同1.6倍)に及ばなかった。上海浦東空港で従業員の新型コロナ感染が確認され、同空港を発着する貨物便が減った。
中国の準大手航空、海南航空が遼寧方大集団実業から380億元(約6500億円)の資金を受け入れる案が27日明らかになった。
海南航空には債務を返済しても100億元の現金が手元に残るという。他のメディアによると方大は380億元とは別に、海航が手がけていた資産運用商品に関して投資家への返済のため30億元を拠出する。
海航は1993年に運航を開始した航空事業を中心とする複合企業だ。不動産や物流などに事業を多角化し、2016年から17年にかけてはドイツ銀行やホテル大手の米ヒルトン・ワールドワイドなどへ次々と出資した。中国政府が借り入れを膨らませ、海外買収を繰り返す企業への締め付けを強めると経営が行き詰まりはじめた。
20年2月には地方政府が海航の経営に関与することが決まり、21年2月には再建型の倒産手続きである「破産重整」の適用が決まった。会社側と債権者が裁判所の指導のもとで話し合い、債務の処理や更生計画をつくる手法だ。この手続きのもと、3月以降は再建スポンサー探しを続けていた。
予防を目的とした新型コロナウイルスの経口治療薬について、後期の臨床試験(治験)を開始したと発表した。2種類の経口薬を併用して投与し、感染や発症への予防に対する有効性と安全性を検証する。飲み薬のため点滴タイプの既存の治療薬などに比べて投与しやすく、予防効果が確認されればパンデミック(世界的な大流行)の収束につながるとの期待がある。
●その他産業
●決算関連
半導体製造装置用の部品が好調なほか、利益率の高い自動車エンジン向け交換プラグが伸びる。為替相場が想定よりも円安に推移したことも利益を押し上げる。
●マクロ・その他
環境対策として石炭を主燃料とする火力発電所の発電抑制に動いたことが要因で、同国メディアは全国の約3分の2の地域で電力供給を制限したと報じた。米アップルや米テスラ向け部品を生産しているとされる工場が操業を停止し、日系企業にも影響が出始めている。
江蘇省では今月下旬から、1000社を超える企業が工場を2日稼働した後に2日停止しているという。同省にはスマートフォンや電気自動車(EV)などの工場が多い。
この影響で、アップルやテスラに部品を供給しているとされる台湾の乙盛精密工業は26日、江蘇省の子会社が30日まで操業を停止すると発表した。アップル向けの半導体関連部品を手掛けているとされる別の台湾企業、日月光半導体製造の子会社も27日までに、同省の工場を30日まで停止すると明らかにした。
中国で電力不足が起きたのは、習近平(シー・ジンピン)国家主席が掲げた「2030年までに二酸化炭素の排出量をピークアウトさせ、60年までに実質ゼロにする」との目標実現に向けて、地方政府が達成に向けて懸命になったためだ。
この結果、火力発電所が発電抑制に追い込まれた。火力発電は中国の発電量全体の7割近くを占めるだけに、電力不足が深刻さを増した。石炭価格が1年前に比べ3割以上も上昇したことも稼働率の低下につながったようだ。
選挙管理委員会の暫定最終結果によると、社民党が25.7%(前回2017年は20.5%)で、CDU・CSUの24.1%(同32.9%)を上回った。環境政党の緑の党が14.8%(同8.9%)、産業界寄りの自由民主党が11.5%(同10.7%)、極右のドイツのための選択肢が10.3%(同12.6%)、旧共産党系の左派党が4.9%(同9.2%)で続く。
CDU・CSUの首相候補、ラシェット党首は「CDU・CSU主導の政権を樹立する」との決意も示し、政権維持をあきらめない姿勢をみせた。
次の首相になるには連邦議会で過半数の支持を得る必要があり、二大政党の多数派工作は今後、激しくなりそうだ。有力な選択肢のひとつは社民党、緑の党、自由民主党による連立で、各党のシンボルカラーが赤、緑、黄であるため「信号連立」と呼ばれる。もう一つは、CDU・CSU、緑の党、自由民主党の連立だ。
3党での連立は政策のすり合わせの難易度が高い。連立交渉がうまく進まなかった場合には、現在と同じCDU・CSUと社民党による大連立の維持も選択肢となる。
2025年には10兆元(約170兆円)を突破し、21年の2.3倍になる見通しだ。
政府系シンクタンク、中国財政科学研究院が発表した。過去の税収や財政支出、将来の経済成長率見通しをもとにはじいた。増減税や制度改革の影響は盛り込んでいない。歳出入は一般会計にあたる一般公共予算ベースで、特別会計にあたる基金からの繰り入れなどは考慮していない。
別の政府系シンクタンク、国務院発展研究センターが20年8月に公表した名目国内総生産(GDP)の予測値と比べた赤字比率は、21年の4.2%から25年には7.0%に跳ね上がる。
財政赤字は23年以降、年3割前後で拡大し、悪化ペースが速まる。経済成長率の鈍化に伴う税収の伸び悩みが一因だ。
試算は「25年までの実質GDPは年5%の増加率を保つ」と仮定した。中国人民銀行(中央銀行)は、21年時点で5.7%ある潜在成長率が25年に5.1%まで下がると推計する。財政科学研究院の予測も徐々に減速していく前提とみられる。
対照的に、社会保障など硬直的な支出は膨らむ。財政支出は7~8%の伸びが続く。
急速な高齢化で、政府は法定退職年齢の引き上げを検討している。
ただ庶民の理解が広がっているとは言えない状況だ。中国版ツイッターの微博(ウェイボ)では「年金支給を減らしたいだけの政策なんて賛成できない」といった反対論も目立つ。就職難に直面する若者は職探しがより困難になると懸念する。
中国とロシアを結ぶインフラ整備が進んでいる。8月に鉄道橋のレール敷設が完了したほか、道路橋も開通待ちの状態だ。歴史的に対立が深まった時期もある中ロだが、米国との関係悪化を受けて経済連携を深めている。対米の関係改善が見通せない中、インフラ整備を通じた貿易が活発になりそうだ。
民間航空機・同部品の受注が77.9%増え、全体を押し上げた。自動車・同部品は半導体不足の影響で3.1%減った。これら変動の激しい輸送関連を除くと0.2%増、同様に変動の激しい国防関連を除くと2.4%増だった。
中国政府による電力消費の取り締まりは、電力需要の高騰や石炭・天然ガス価格の高騰、温暖化ガス排出抑制に向けた厳しい政府目標が背景にある。23省のうちの半分近くは中央政府が求める厳しいエネルギー強度目標を達成できず、電力消費量の抑制を迫られている。特に状況が厳しいのは、製造業が盛んな江蘇、浙江、広東の3省だ。
エコノミストはリポートで、「市場の注目は現在、恒大問題や中国政府による前例のない不動産セクター締め付けに集中しており、別の供給サイドの大型ショックが過小評価されているか、見落とされている可能性がある」と警告。中国経済は7-9月にマイナス成長になるとの予測も示した。
中国の電力不足は、欧州市場をすでに混乱させている世界的なエネルギー需給逼迫(ひっぱく)を反映している。新型コロナウイルスを受けたロックダウン(都市封鎖)からの景気持ち直しで家計や企業のエネルギー需要が高まった一方で、鉱山会社や掘削企業による投資減少で生産は抑制されている。
中国北部の一部の省で住民は既に停電に対処しており、信号の停電で少なくとも1つの主要都市で道路に混乱が生じている。これは同国の電力危機がいかに急速に拡大しているかを示しており、景気減速や世界的なサプライチェーンの混乱に加え、社会不安のリスクも高まっている。
LMEのニッケル相場は2.3%安の1トン=1万8946ドルで終了。スズは3.9%安の3万5100ドルと、先週付けた過去最高値から値下がりした。
アルミニウムは1.1%安。一方、中国当局から4回目の戦略的備蓄放出に関する発表があったにもかかわらず、銅は0.3%上昇した。国家食糧物資備蓄局は10月9日に3万トンの銅、5万トンの亜鉛、7万トンのアルミを放出すると発表した。
●市況
日経先物(大証)29920、ダウ先34727、債先151.53、米1.482、独▲0.2255、仏0.119、西0.412、伊0.796、原油75.28、ドル円110.98、墨ペソ20.11、トルコリラ8.8217、墨CDS96
※9/28 9時30分頃
備忘録(9/24-26)
●雑感
①中国
米国のテーパリングに加えて、中国経済の減速(可能性高いと見ている)で新興国経済はダブルパンチかも。
少し古いデータだが、対中輸出が多い国はこちら
東アジアや中東・ラ米・アフリカ・南アジアと幅広い国が名を連ねている。
2017年時点より対中輸出依存度が高くなっている国も相応にあると思う。しばらくは新興国にかかるマネーフロー、貿易収支には気をつける必要があるように思える
②ベトナム
以前、大和の草野さんがレポートで言及していたベトナムの状況。
少しずつ良くなっている様子。アパレルなど軽工業品の一大製造拠点なだけに、ロックダウンが長引かないことを祈る
保健省の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する25日の発表によると、34省・市で市中感染者9682人が新たに確認された。1日あたりの感染者数としては3日連続で1万人を下回った。海外からの入国者24人も陽性となった。
ベトナムの首都ハノイ市は、9月21日午前6時から新型コロナウイルス対策の社会隔離措置を1段階緩和した。同市は7月24日から厳格な社会隔離措置(2021年7月27日記事参照)を2カ月近くにわたり実施してきたが、感染者数の減少やワクチン接種の進展に伴い、行動制限の緩和に動いた。
●エバーグランデ関連
中国恒大集団の電気自動車(EV)事業会社、中国恒大新能源汽車集団が手がける高齢者向けリゾート施設などについて協力業者への代金支払い遅延があり、一部プロジェクトを中断するという。その上で「深刻な資金不足に陥っており、日常的な支払いが一部停止している」とした。同社は従来ヘルスケア事業を主軸としていたが、近年はEV事業に乗り出し、量産開始に向けた研究開発や工場建設で投資がかさんでいる。
同社はこれまでのところ今回のドル建て債利払いについて証券取引所への届け出や対外発表を行っていない。
この銘柄を保有する3者は香港時間24日午前8時(日本時間同9時)時点で、クーポンの支払いをまだ受けていないとブルームバーグに明らかにした。
中国恒大にはデフォルト(債務不履行)事由が宣言される可能性の前に利払いの猶予期間(30日間)が設けられている。同じく23日が期日だった人民元建て社債の2億3200万元(約40億円)相当の利払いについては「解決」したと発表したが、支払いの具体的な時期や規模は示さなかった。
恒大の株価とドル建て債は23日に大きく値上がりし、中国の不動産銘柄にも買い戻しが入ったが、ドル建て債利払いに関して情報が提供されない状況が続いており、こうした上昇の持続性を巡って疑念が生じる可能性もある。
過去にはこうした猶予期間に利払いを実施した中国企業もある。例えば、昨年は山東如意科技集団、2019年には青海省投資集団がそれぞれ期間内にクーポンを払った。数年前には不動産の恒盛地産が猶予期間に複数の利払いを行い、そのうち少なくとも1件は最終日ぎりぎりというタイミングだった。
一連の前例は、デフォルトを回避する最も明快な方法となる。中国は市場に対してより的確にリスクを織り込むよう促しているが、今年に入り社債の不履行が記録的な水準に増える中で、当局はモラルハザードへの対応と影響の波及拡大防止を両立させる必要がある。
中国恒大は先週、電気自動車(EV)ならびに不動産管理部門の持ち分売却に関して大きな進展が見られなかったと発表したが、猶予期間は資金調達に向けた追加の時間稼ぎになる。事情に詳しい関係者によれば、中国当局は同社担当者との最近の会合で、デフォルト回避に向けて社債保有者との意思疎通を積極的に進めるべきだと伝えた。
中国で不動産は拡大する格差の象徴だ。如是金融研究院によると広東省深圳市ではマンション価格が平均年収の57倍、北京市も55倍に達する。バブルだった1990年の東京都でも18倍で、中国の大都市圏は庶民に手が届く水準ではない。
国際決済銀行(BIS)によると、金融機関以外の民間債務は最近5年間、年1割超のペースで増え、直近で35兆ドル(約3850兆円)を超える。特に不動産は銀行の関連融資残高が5年で2.1倍に膨らんだ。
この結果、中国の民間債務残高の国内総生産(GDP)比は220%に達し、日本がバブル崩壊直後につけたピーク(218%)を上回る。融資残高全体に占める不動産向けの割合も今の中国が3割弱と、21~22%台だった日本のバブル期より高い。
中国の住宅の新規着工面積は1~8月に前年同期比で1.7%減少した。米ゴールドマン・サックスの試算では、2022年の住宅着工が前年比3割減少するなどの深刻シナリオになると、22年の実質国内総生産を4.1%押し下げる。
中国共産党は7月末の中央政治局会議で21年後半の経済運営方針に「不動産価格の安定」を盛った。過度な値下がりに対し直接介入を辞さない姿勢だが、不動産市況の調整は金融機関の不良債権増を通じて中国経済が長く低迷する要因になりかねない。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
11月5日から韓国・仁川と北九州を結ぶ路線を、現在の週3便から週4便体制にする。電子部品や食品などの物流需要が増えていることに対応する。
大韓航空は2019年に、米ロサンゼルスから北九州を経由して仁川に行くルートで国際貨物定期便を就航。その後、ルートを変更したり、運航便数を増やしたりしながら、北九州との結びつきを強めている。
●その他産業
8月の粗鋼生産量(速報値)は、前年同月比1.4%減の1億5680万トン、13カ月ぶりに前年を下回った。世界の粗鋼生産の半分超を占める中国の減産が本格化しており、中国宝武鋼鉄集団など大手を中心に減産が浸透する中、2カ月連続で粗鋼生産は前年を下回った。二酸化炭素(CO2)排出の抑制を目的とする中国の減産は続く見込みで、今後の世界の粗鋼生産も前年割れで推移する可能性が高い。
他の主要生産国では、前年の新型コロナウイルス禍からの反動もあり、前年超えの水準が続いている。インドの8月の粗鋼生産量は990万トンと同8.2%増え、日本も22.9%増の790万トンだった。米国は26.8%増の750万トン、欧州連合(EU)も27.1%増の1160万トンとなるなど、20年の中国1強から状況は様変わりしている。
ロイターによると、世界的な半導体不足にもかかわらず、同工場で7-9月は期末に出荷が急増している。ロイターは中国乗用車協会のデータとして、1-8月の同工場からの出荷台数が輸出分を含めて約24万台だったとしている。
●決算関連
●マクロ・その他
緑の党は地球温暖化問題への意識の高まりを追い風に,、得票率が14.3%と前回17年から5.4ポイント伸ばし、過去最高の得票率を記録した。メルケル首相の所属する中道右派、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)から多くの票を奪ったほか、全ての主要政党から緑の党に票が流れた。
前回の総選挙で、民族主義政党として約60年ぶりに議席を獲得したAfDは2.0ポイント減の10.6%と伸び悩んだ。難民やイスラムの排斥を訴えて票を集めた前回の主張に加え、「地球温暖化は人為的なものではない」と主張し独自色をアピールしたが、埋没した。
旧東ドイツの共産主義政党の流れをくむ左派党は得票率5.0%と大きく票を減らした。議席数次第では第1党の社会民主党(SPD)と緑の党との左派連立の可能性があったが3党が組んでも過半数は取れない情勢だ。
ドイツ連邦議会(下院)選は明確な勝者のいない接戦となり、中道左派の社会民主党(SPD)と保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の2大勢力が、それぞれ連立政権樹立に向けた次の動きを計画している。
ショルツ財務相のSPDとラシェットCDU党首率いるCDU・CSUはいずれも単独過半数には届かないため、環境保護政党の緑の党と中道の自由民主党(FDP)を取り込んで連立を組む必要があるが、これは複雑な交渉となりそうだ。
緑の党はSPDと組むほうを好む傾向があるが、FDPのリントナー党首は、保守政党との連立のほうが望ましいと述べてきた。両党は実質的にどの閣僚ポストを望むか指定できる立場にある。
SPDが望ましいと考えている連立パートナーは緑の党だが、過半数を確保するにはFDPの参加も必要だ。FDPは増税せず、政府借り入れに対する憲法上の制限を復活させることを公約に掲げており、インフラ投資拡大と富裕層増税を目指すショルツ氏および緑の党にとって受け入れるのは難しい要求だ。
CDU・CSUとSPDの大連立となれば、現在のメルケル政権と同じ枠組みを踏襲することになる。緑の党とFDPを締め出す理由を説明するのが困難なほか、ショルツ、ラシェット両氏とも首相の座を目指しているため、大連立の可能性は低そうに見える。ただ、両党を合わせると408議席と大きな過半数を確保できるため、他の交渉が難航すれば、検討される可能性はある。
4年前の総選挙では、メルケル首相の4期目最後の政権が発足するまで過去最長の約6カ月を要した。新首相が就任するまではメルケル氏が引き続き現内閣を率いる。
総人口は2585万人で前回調査の10年前から18.5%増えた。民族別でみると、漢民族は10~20年で23.7%増えた。増加率は10年までの10年間(17.9%)からさらに伸びた。対照的にウイグル族の伸びは19.8%から16.2%に鈍化した。この結果、民族ごとの比率はウイグル族が45.0%、漢民族が42.2%となった。両民族の差は3ポイント弱で前回10年の半分に縮まった。漢民族の移住が進んだとみられるほか、都市部に住む漢民族の夫婦も2人まで子を産めるようになり出産が増えた可能性がある。
白書では、海外からの強制労働、強制不妊手術、親子分離、文化絶滅、宗教迫害という5つの批判に対して反発した。例えば強制労働の疑惑について、過激化抑制のために建てた職業技能教育訓練センターは国連などの反テロ決議の原則に合致していると強調した。
そのうえで、米国などの反中勢力は先住民迫害の歴史や構造的な人種差別という自国の問題を無視していると批判した。
英国とユーロ圏では8月の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率が3%台で、既に約10年ぶりの高水準にある。ガスの高騰は卸電力料金にも及んでおり物価高がさらに勢いづきかねない。
感染力の強いデルタ型の新型コロナウイルスが広がり、持ち直していた需要が再び鈍っている。部品や物流など供給面の制約で物価が上がり、需要をさらに冷やす悪循環も懸念される。急回復が見込まれていた2021年の成長率は予測の下方修正が相次ぐ。
2016年に米国がTPPに署名した当時から世界の状況が大きく変化したと強調し「バイデン大統領は現状のままの協定なら参加しないと明言している」と語った。
中台の申請に関しては加盟国の意向を尊重するとした上で、中国は「非市場的な貿易慣行と他国に対する経済的な威圧が判断要素になるのだろう」と指摘。台湾については「世界貿易機関(WTO)の責任ある加盟国であり、民主主義の価値観を信奉していることも判断されるだろう」と語った。
先進国の正常化は、先進国からのマネーに頼ってきた新興国に資金流出のリスクを突きつける。新型コロナウイルス禍で債務を膨らませるなど財政にもろさを抱える国も多く、世界経済の安定的な回復に向けたアキレスけんとなりかねない。
8月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は74万戸で、前月から1.5%増加した。2カ月連続の増加で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(72万戸程度)を上回った。ただ、前年同月比では24.3%減少した。販売価格(中央値)は39万900ドル(約4330万円)で、前年同月比20.1%上昇した。
住宅業界では基調的な需要が堅調な一方、建設業者はサプライチェーンの問題や人材不足を背景に注文に応じるのが厳しい状況だ。8月の販売増加は、未着工物件の販売増が寄与したもので、今後数カ月にわたって堅調な建設活動が続くことが示唆された。
売りに出されていた物件は8月末時点で37万8000戸と、2008年10月以来の高水準。このうち25%以上は未着工だが、完成物件と建設中の物件が増加し、受注残の解消が緩やかに進んでいることが示唆された。
8月の販売は全米4地域中、3地域で増加。最大地域の南部で4カ月ぶり高水準となったほか、西部では1月以来の強さだった。
韓国で60を超える交換業者のうち、現行通りに営業を継続できるのは最大手のアップビットなど4社にとどまった。半数以上は営業中止か廃業に追い込まれる。
米政府による輸出規制の影響について「2021年にスマートフォン事業は少なくとも300億~400億ドル(約3兆3000億~4兆4000億円)の減収になるだろう」との見通しを明らかにした。
ファーウェイの20年の売上高は1367億ドルだった。徐氏によると、このうちスマホ事業が約500億ドルを占めた。20年11月に低価格ブランド「オナー」を売却したことなどが響き、21年のスマホ事業は6~8割の減収になる見込みだ。徐氏は「当面は生き残ることが課題だ」と述べた。足元は高速通信規格「5G」やクラウドサービス、人工知能(AI)関連など新規事業に注力しているが、徐氏は「今後10年かかっても(スマホ事業の)売上高の落ち込みを補うのは難しいだろう」と予測した。
統制が強まるネット株に加え、「三座大山」と呼ばれる教育、不動産、医療が住宅価格の抑制など事業環境の悪化懸念から軒並み下落。投資家は環境や消費など政策の恩恵を受けそうな銘柄探しに躍起になっている。
デパ地下での新型コロナウイルスの集団感染が問題となったことや、混雑時に入場制限を実施した影響を受けた。コロナが流行する前の2019年比では32.1%減だった。
品目別では衣料品の落ち込みが大きく18.5%減だった。19年比では38.7%減となった。在宅勤務が広がりビジネス着のカジュアル化が進んでおり、スーツなどが苦戦した。紳士服は前年比20%減で、婦人服に比べて減少幅が大きかった。高級時計などの高額品は富裕層を中心に好調が続き、美術・宝飾・貴金属は1.5%増だった。
9月は1日~15日の期間、前年同期比約6%減で推移している。消費増税前の駆け込み需要があった19年比では35%減で、依然として苦境が続いている。「
ビリオネアの投資の含み益に毎年課税する提案を支持することを明らかにした。バイデン氏は「提案は相応の支払いを行うことに関するものだと思う」と語った。
同提案は下院の税制案には盛り込まれていないが、民主党の「選択肢のメニュー」に入っている。また同案は、超富裕層の純資産に税金を課すウォーレン上院議員の超富裕税という提案を事実上縮小させた内容といえる。
ビットコインやイーサといった暗号資産(仮想通貨)が24日の取引で急落した。中国人民銀行(中央銀行)が仮想通貨関連のあらゆる取引は違法で、禁止しなければならないと発表。仮想通貨の投機やマイニング(採掘)に対する取り締まり強化が警戒された。
同日の声明で当局は中国での仮想通貨取引を禁止し、デジタル資産のマイニング(採掘)を根絶すると表明した。これまでで最も極端かつ明白なトーンだった。その後間もなく、人気のオフショア取引所、火幣(Huobi)は中国本土の電話番号での新規ユーザー登録を停止。26日の発表資料では、12月31日までに「既存の中国本土のユーザーアカウントを段階的に廃止する」方針を示した。
PwCの仮想通貨リーダーでパートナーのヘンリ・アルスラニアン氏はツイッターで、「中国は過去に何度も仮想通貨を『禁止』してきたため驚きではないが、今回は全く曖昧さがない」と指摘。「中国ではあらゆる種類の仮想通貨取引と仮想通貨サービスが禁止された。議論の余地はなく、グレーな部分はない」と付け加えた。
Ifo経済研究所が24日発表した9月の独企業景況感指数は98.8と、前月の99.6から低下。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想も下回った。現況指数、今後6カ月間の見通しを示す期待指数はいずれも低下した。
Ifoのクレメンス・フュースト所長は「原材料や中間財の調達で生じている問題がドイツ経済にブレーキをかけている」と述べ、「製造業はボトルネック・リセッションに直面している」と指摘した。
●市況
日経先物(大証)30055、ダウ先34686、債先151.53、米1.453、独▲0.2285、仏0.111、西0.408、伊0.780、原油73.98、ドル円110.74、墨ペソ20.05、トルコリラ8.8836、墨CDS92
※9/24 NY引け値
備忘録(9/22-23)
●雑感
●中国恒大
中国当局は地方政府に対し、会計士や法律家で構成する専門チームをつくり、各地で恒大が手掛ける事業の財務状況などを調査するほか、同社の不動産開発事業を引き継ぐ準備を進めるよう指示した。
中国恒大集団は23日の人民元建て債の利払いを表明した。ただ、過剰負債は不動産会社に共通する問題で、当局の救済措置などがなければ経済の重荷となる可能性がある。
中国恒大集団は23日、人民元建て債の利払いを実施したもようだ。同日に期日を迎えたドル建て債の利払いは30日間の猶予期間があるため、債務不履行に陥る事態をひとまず回避した。23日の香港株式市場で恒大の株価は大幅に反発し、18%高で取引を終えた。恒大の債務不履行回避を好感し、グループの不動産管理会社、恒大物業集団や電気自動車(EV)の中国恒大新能源汽車集団も買われた。
中国メディアによると、恒大は22日深夜に同社幹部など4000人を集めた緊急会合を開いた。創業者で経営トップの許家印氏は「業務と生産を再開するために最善を尽くさなければならない」と述べ、一部で止まっている住宅建設や引き渡しの再開に意欲を示した。
許氏は最優先事項として、グループで取り扱う投資商品の払い戻しをあげた。許氏は「投資家に対して責任ある態度を取り、償還を完了するためにあらゆる努力を払う必要がある」と強調した。
もっとも、恒大は今後も社債の利払いや償還を控えており、資金繰りは厳しい。恒大の大株主として知られる香港の不動産大手、華人置業集団は23日、8月30日から9月21日までに恒大の発行済み株式の0.82%にあたる1億株以上を市場で売却したと明らかにした。保有する残りの約7.5億株も売却する可能性があるという。
23日が期日の人民元建て債の利払いを実施すると発表し、ひとまず同日の債務不履行を回避する見通しが立ったとして、買い戻しが広がった。
香港市場では恒大の債務問題が深刻な金融システム危機につながる可能性は低いとの見方から、主力株を中心に買い戻す動きが目立った。もっとも、恒大は今後も社債の利払いや償還を控えており、資金繰りが厳しい状況が続く。市場では警戒感も根強く、恒大株は買い一巡後、売りに押されて伸び悩む場面があった。
中国恒大集団は22日、期日を23日に控える人民元建て債の利払いを実施すると発表した。同じく23日に予定するドル建て債には30日の猶予期間があり、この日に債務不履行に陥る可能性は低くなった。中国政府は金融危機を阻止する姿勢を鮮明にしており、混乱回避をいったん優先する。だが恒大の年内の利払いは社債だけで700億円を超え、2022年からは多額の満期償還を控える。
建設中の物件を完成させることと個人投資家への債務を返済することに集中的に取り組むとともに、ドル建て社債で目先のデフォルト(債務不履行)を回避するよう求めた。
当局は中国恒大の担当者との最近の会合で、デフォルト回避のため先を見越して社債保有者と連絡を取るよう指示したが、具体的な助言は与えなかったと、事情に詳しい関係者1人が述べた。
当局が支払いに関する資金支援を提案したのか、またオフショア債権者に最終的に損失を負わせるべきだと考えているかどうかは不明だ。当局は中国恒大債の保有者について情報を集めていると、慎重に扱うべき情報だとして関係者が匿名を条件に述べた。
この当局指導は中国恒大問題の結末がどのような形になるのか手掛かりにはなりにくいが、金融市場を揺るがし成長の足かせとなり得る同社の破綻を政府が当面は回避したい考えであることはうかがわれる。中国恒大に債務危機解決の時間を政府が与える兆候が見られれば、中国内外の投資家の不安は和らぐ可能性がある。
中国恒大集団のドル建て社債を保有する2者は、香港時間23日午後5時の時点で同日が期日のクーポン支払いをまだ受けていないと明らかにした。
社債の約款によると、利払いができない場合、デフォルト(債務不履行)を宣言されるまでに30日の猶予期間がある。
地方政府への指示は「起こりうる嵐に備えよ」という意味合いのもの。地方レベルの政府機関と国有企業は、中国恒大が秩序立った問題解決ができない場合に最後の瞬間にのみ介入するよう求められているという。
地方政府は会計士と法務専門家を集め中国恒大の事業に関する財務を調査するとともに、現地の国有および民間の不動産開発業者に中国恒大のプロジェクトを引き継ぐ準備をさせ、市民の怒りと抗議行動を監視するための治安部隊を組織するよう要請を受けた。
中国恒大集団の電気自動車(EV)部門は、一部従業員の給料の支払いが滞っているほか、工場の設備機器納入業者への支払いが遅延している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。親会社の債務危機が不動産以外の事業にも波及していることがうかがわれる。
中国恒大新能源汽車集団(恒大NEV)のキャッシュフロー悪化で上海と広州の工場での試験生産が足踏みしていることから、目標としていた来年の大量生産開始は遅れる見込みだと同関係者が述べた。
納入業者は代金が支払われなかったことを受けて、恒大NEVの上海と広州工場に派遣している社員を7月から引き揚げ始めたという。
関係者によると、納入先の現場で生産設備の調整や問題解決を担うこうした人員がいなくなったため恒大NEV社員が代わってこれを行っているが、設備や機器にそこまで精通していないため1日にわずかな台数しか試験生産ができないという。
中国本土株の指標であるCSI300指数は一時1.9%安となったが、中国恒大の本土不動産部門、恒大地産集団が社債利払いについて債券保有者との「クリアリングハウス外での交渉を通じて解決された」と発表した後、下げを縮小。0.7%安で引けた。人民銀行の短期資金供給が地合いを支え、中国国外のリスク資産の安定にも寄与した。
IGアジアのマーケットストラテジスト、ヤップ・ジュン・ロング氏は、中国恒大による「何らかの支払いによって、多くが考えていたよりは良い状況となり、小康状態が得られたのかもしれない」との見方を示し、「人民銀行の短期資金注入もあった。同中銀が状況を注視し、中国経済へのリスクがあれば介入する用意があることを示唆している」と述べた。
フィッチが先週公表した最新グローバルリポートに基づく最新予想によれば、中国の国内総生産(GDP)は今年8.1%増となる見込み。従来は8.4%増としていた。2022年については5.2%増と予想。これまでは5.5%増だった。
不動産セクターの冷え込みが下方修正の主因で、新型コロナウイルス対策として7、8両月に講じられた制限措置も景気回復の重しになっているとフィッチは分析。その他にも以下の点を指摘した。
住宅投資はGDPの10%程度を直接占めており、不動産活動は他の産業に大きく波及する
景気減速はすでに、特別債発行の加速検討などマクロ経済政策の再調整を促しているが、そうした動きが勢いを増すには一定の時間がかかる
フィッチは政策金利の引き下げは見込んでいない。一方で、7月に0.5ポイント下げられた預金準備率が年内に再び引き下げられる公算は大きい
シンクタンクの如是金融研究院によると、住宅が年収の何倍かを示す数値は広東省深圳や北京でも50倍を大きく超え、9~14倍の東京やニューヨーク、ロンドンを大きく上回る。
中国の不動産融資は6月末時点で50兆7800億元。10年で約5倍に膨らみ、中国の名目国内総生産(GDP)の約半分に相当する規模となっている。
金融リスクを解消するため、中国人民銀行は20年夏、大手不動産会社に対して守るべき財務指針「3つのレッドライン」を設けた。①総資産に対する負債(前受け金を除く)の比率が70%以下②自己資本に対する負債比率が100%以下③短期負債を上回る現金を保有していること――を指す。基準を破った企業への融資制限を銀行に指導し、不動産・銀行業界の健全性を取り戻す方策だ。
指針通達から1年弱が経過した21年6月末時点、主要85社のうち人民銀の基準を全て守っているのは4割に満たず、約1割は3つの基準全てを満たしていない。
こうなると追加の借り入れは難しいうえ、社債も流通利回りが大きく上昇しており新規発行は容易ではない。準大手以下では、恒大よりも財務状況が厳しい会社が珍しくない。
四川省に本社を置く住宅開発会社、四川藍光発展も3つのレッドラインをクリアしておらず、社債のデフォルトに至っている。
習指導部は8月の中央財経委員会で「共同富裕」というスローガンを掲げ、富裕層からの所得再分配を強化して貧困層を引き上げる方針を打ち出した。
「共同富裕」と「金融リスクの解消」という二大政策の下、銀行は不動産融資に慎重になりつつある。
恒大問題が世界に金融危機を引き起こすという最悪シナリオを免れても、中国の不動産業界の苦境はますます深まる見通しだ。
中国の住宅価格の高騰は、これまで資産価格の上昇を通じて個人消費を支えてきた。中国国家統計局によると1~6月期の経済成長に対する消費支出の貢献度は61.7%に達する。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米メルクや米ファイザーが軽症者に使える薬剤の最終段階の臨床試験(治験)を、日本を含む各国で進めている。点滴タイプの既存の治療薬と比べて投与しやすいうえ、量産が簡単なためコストも抑えられる。パンデミック(世界的な大流行)の収束につながると期待されている。
気候変動には自然災害の頻度や規模が拡大することによる物理的なリスクと、温暖化対策を進めるためのコストが膨らむ移行リスクがある。対策をしなければ移行に伴うコストはほとんどないが、物理的なコストが大きく膨らむ。計画的に移行を進めていくことが、コストを最小にとどめると結論づけた。
欧州の銀行は温暖化対策をしなければ、不良債権処理損失が自然災害の増加によって大きく膨らむことになる。2050年には計画的に移行を進めた場合に比べて、債務不履行の発生確率が8%も高まるという。
11月の国際線の運航計画を発表した。2020年度計画比で73%に当たる3469便を減便する。新型コロナウイルス禍の長期化で国際線の需要は低迷が続いており、大幅な減便を続ける。
医療関連ニュースを専門とするSTATの報道によると、バイオジェンはアデュヘルムの販売で苦戦しており、需要低迷からレイオフなどのコスト削減策を検討している。同社の株価は6月の高値から約3割下がり、22日は前日比3.4%安の285.40ドルまで下げる場面があった。
●その他産業
コンサルティング会社アリックスパートナーズの最新予測によると、半導体不足で今年の自動車生産台数は770万台減少する見通し。減少幅の予測は従来予想(390万台)の約2倍となる。サプライチェーン強化に向けた継続的な取り組みにもかかわらず、半導体の入手が一段と困難になっている。自動車メーカーの在庫は尽き、他の業界も余裕がなくなっている。
アリックスパートナーズで自動車業界などを担当するマネジングディレクター、ダン・ハーシュ氏はインタビューで、「今後は売り上げが打撃を受けるだろう。これまでは十分な在庫があったため売り上げに悪影響はなかったが、在庫はもう底を付いた」と指摘した。
8月の自動車生産台数が前年同月比11%減の10万4144台だったと発表した。世界的な半導体不足のほか、東南アジアにおける新型コロナウイルスの感染再拡大で部品の調達が滞った。生産台数は7カ月ぶりに前年実績を下回り、2020年9月以来の低水準に落ち込んだ。
タイの自動車産業の正常化には一定の時間がかかりそうだ。FTIは「半導体と部品の不足が解消されれば生産を加速できる」と早期のサプライチェーン(供給網)の回復を期待するものの、「自動車産業が通常に戻るのは23年になるだろう」と予想している。
今期業績予想はすでに一度、上方修正しており過去最高益を計画するが、米国やインドなど海外事業が想定を上回り好調に推移している。自動車など国内の大口顧客向けの値上げも寄与するとみられる。
●決算関連
2021年6~8月期決算は、売上高は同16%増の122億4800万ドル、純利益が前年同期比23%増の18億7400万ドル。
主力の北米は15%増の48億7900万ドルで、アナリストの事前予測(50億ドル前後)を下回った。中国市場は約20億ドルと11%増えたが、為替の影響を除くと1%の増収にとどまった。
ネット通販が好調で売上高も増えたが、世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱で年末商戦に向けた商品の生産や販売に支障が出るとの見通しを示した。
また、感染力の強いデルタ型の広がりを受け、運動靴の5割、衣料品の3割を生産するベトナムの委託工場が7月に閉鎖した。CFOは「10月に再開するがフル稼働にはさらに数カ月かかる」と述べた。
●マクロ・その他
域内で販売されるスマートフォンなどの充電機器の端子を「USBタイプC」に統一することを盛り込んだ法案を公表した。同法案が成立すれば、主に別のタイプを使っている米アップルに打撃となる。対象になるのは携帯電話のほか、タブレット、デジタルカメラ、ヘッドホンなどで、生産事業者にはUSBタイプCの充電ポートを搭載することが義務付けられる。
EU加盟国と欧州議会での議論・審議を経て、早期の成立をめざす。成立後に2年間の移行期間が設けられ、企業はその間に対応する。これまでアップルは技術革新が阻害されるなどの理由で反対する姿勢を示していた。
主要政策金利の1週間物レポ金利を年19%から18%に引き下げた。インフレが加速する中での利下げは、高金利を嫌うエルドアン大統領の意向をくんだものとみられる。金利据え置き予想が大勢だった市場では通貨リラが史上最安値を更新した。
トルコでは足元の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比19%を超えており、利上げをしてもおかしくない局面だ。
トルコではエルドアン氏が常々「金利は悪だ」として利下げを求めていた。3月にはタカ派の前総裁を更迭し、現在のカブジュオール総裁を登用した。
22日の金融政策決定会合で、政策金利を1%上げて6.25%にすると発表した。利上げは5会合連続となる。物価上昇が加速する中、金融引き締めで対応する。
慢性的に財政赤字を抱えるブラジルでは有事の際に通貨安が進みやすく、輸入インフレが発生しやすい。最低賃金もインフレに応じて上がるため、消費性向が高く、物価が常に上昇圧力にさらされている。
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、8月の物価上昇率は9.68%と、5年半ぶりの高水準だった。新型コロナウイルス禍で通貨安が定着したことで輸入物価が上昇したことに加え、足元では水不足による穀物価格や電力料金の上昇もインフレ要因となっている。
ブラジルでは2022年に大統領選を控えており、大衆迎合的な政策を掲げる左派のルラ元大統領が支持率で首位となっている。市場では財政の持続可能性に対する懸念もある。最大の輸出先である中国で不動産大手、中国恒大集団の経営不安が生じていることもレアルが売られる要因となっている。
世界のワクチン接種率を2022年9月の国連総会までに70%に引き上げる目標を掲げ、米ファイザー製のワクチン5億回分を途上国に追加供給すると表明した。「中途半端な野心では危機は解決できない」とし、各国に行動を呼びかけた。
世界人口の43.7%が少なくとも1回のワクチン接種を受けており、接種回数は60億回に上る。低所得国ではワクチンを1回接種した人の割合はわずか2%にすぎない。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、70%の接種率実現にはさらに110億回分の確保が必要だと指摘する。
量的緩和縮小(テーパリング)の開始を次回会合がある11月にも決定する見通しを表明した。FOMCは景気減速と高インフレが同時に進むなか、ゼロ金利の解除時期を2022年に前倒しする可能性を示した。
パウエル議長はテーパリングの開始がそのまま利上げの検討を意味するわけではないとし、急速な金融引き締め観測が市場に広がるのをけん制した。恒大集団の問題は「高水準の債務を抱える中国に特有のようだ」とし、米国への影響は現時点で大きくないとの見方を示した。来年2月に任期が切れる自身の再任に関しては「言えることは何もない」と述べた。
インフレが高進し、テーパリングを終える前に利上げを迫られる可能性については「私の見通しではない」と答えた。
ポールソン氏など6人の財務長官経験者は、「過去232年間、米国は債務をすべて期限通りに支払っており、揺るぎない信用力が国家の力の源泉となってきた」と指摘。その上で、債務上限問題が政争の具になっていることに懸念を示し、対処を間違うと「経済と国家安全保障に深刻な損害が及ぶ」と警告した。さらに、議会がぎりぎりまで先送りすることでさえ有害だと述べた。
英国でエネルギー供給会社の経営破綻が続いている。22日は新たに中堅の2社が事業停止に追い込まれた。需給の逼迫で天然ガスのスポット(随時契約)での調達価格が急激に上がり、採算が合わなくなったためだ。顧客への供給は当局の監督下で保たれるが、想定を超えた相場の高騰で混乱が広がっている。
欧州の天然ガス相場は直近1カ月で約7割上昇した。英国ではエネルギー価格の急激な値上がりから一般消費者を守るため、電力・ガスの標準料金に上限を課す「プライスキャップ規制」が設けられている。このため事業者は調達価格が上昇しても、販売価格へ素早く転嫁することが難しい。
供給会社が経営破綻した場合、Ofgemは事業基盤を引き継ぐ新たな担い手を探し、顧客へのエネルギー供給は維持される。料金の支払い状況なども引き継がれるが、新会社への契約の切り替えによって料金が値上がりする可能性がある。
8月の中古住宅販売件数は、季節調整済みの年率換算で588万戸で前月比2.0%減った。3カ月ぶりの減少で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測と一致した。前年同月比では1.5%の減少だった。
販売価格(中央値)は35万6700ドル(約3900万円)で、前年同月比14.9%上昇した。市場で売りに出されている物件数は8月末は前月から1.5%減の129万戸だった。販売件数は2020年秋をピークに減少傾向にあるが、価格は物件不足で強い伸びが続いている。
NARのエコノミストは「購入希望者は家探しを続けているが、予算の制約からもっと物件が増えるのを待っている」と指摘した。
伝統的に難民に寛大だったトルコがここにきて強硬な姿勢をみせる背景には、強まる市民の不満がある。国内には2011年に始まったシリア内戦から逃れた難民約360万人に加え、数十万人のアフガン難民らが滞在するとみられる。受け入れの長期化やトルコ経済の低迷で、同情的だった当初のムードは徐々に悪化した。
「不法滞在のアフガン人は我々の3分の1以下の1日20~30リラ(約300~400円)で働く。とても競争にならない」。日雇いで工務作業を請け負うワン県在住のミュスルム・ティムチンさん(60)は訴える。8月末にはトルコ初とみられる反難民政党「勝利党」も誕生した。
トルコは16年にEUと結んだ合意に基づき、欧州から送還される難民を引き受けてきた。ただ、見返りとされたトルコ国民のEUへのビザなし渡航や資金支援などの約束が履行されず、一方的な負担を強いられているとの不満が強い。
貧困と過去最高の失業率などを背景にアパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃後で最悪の暴動が発生した南アフリカでは、ベーシックインカム(最低所得保障)制度の導入を検討している。
州別では、カリフォルニアが2万4221件増加したほか、バージニアの1万2879件増も目立った。一方、ルイジアナは最も減少し、ハリケーン「アイダ」の被害から回復しつつあることを示した。
連邦政府はパンデミックに伴う失業保険給付の上乗せ措置を、6日に全州で打ち切った。ホワイトハウスは支援策を延長しない意向を示しているが、州政府はパンデミック救済の資金を失業者への追加支援に使うことができる。
イングランド銀行(英中央銀行)は23日、引き締めを実施する根拠が強まっているとの認識を明らかにした。インフレ率が4%を超えるとの見通しも示した。投資家は利上げ時期予想を来年2月に前倒しした。年内利上げ可能性を指摘するエコノミストもいる。
中銀は声明で、8月時点で想定されていた将来の「緩やかな引き締め」について、「同時点から現在までの間の一部の展開が、その根拠を強めた様子だ」との認識を示した。「相当の不確実性が依然ある」と付け加えた。
トレーダーらは利上げ時期の予想を前倒しし、短期金融市場は2022年2月に0.15ポイントの利上げで政策金利が0.25%になることを織り込んだ。政策発表前までは5月を想定していた。さらに、0.25ポイントの追加利上げ時期の予想は同年8月と11月から前倒しされた。
市場には早ければ11月にも利上げがあり得るとの予想も浮上した。HSBCホールディングスのシニアエコノミスト、リズ・マーティンズ氏は、量的緩和(QE)を通じた刺激策が続いていても「年内の利上げ可能性に道が開かれたように見受けられる。MPCはインフレ圧力がさらに高まった場合の急速な引き締めを望まないだろう」との見方を示した。
中銀は23日、政策金利をゼロから0.25ポイント引き上げ、0.25%とした。ブルームバーグが調査したエコノミスト15人中14人が予想した通りだった。政策金利の軌道は6月に示したガイダンスよりも「若干」高くなるという。危機からの回復の力強さを反映して引き締めサイクルを加速させ、12月にも追加利上げを行う方針を示唆した。
IHSマークイットが23日発表した9月のユーロ圏購買担当者指数(PMI)速報値は、サービス業、製造業とも予想以上の減速を示し、全体の活動は5カ月ぶりの低水準。一方で投入コストは21年ぶりの高水準に達した。
IHSのチーフビジネスエコノミスト、 クリス・ウィリアムソン氏は「供給の遅れや不足、かつてなかったほどの投入コストの高騰に企業はいら立ちを強めている」と指摘。「製造業で目立っているが今やサービス業でも結果的に活動が抑制され、売り上げや顧客を失っていることが多い」と述べた。「高水準の価格、サプライチェーンの逼迫(ひっぱく)、コロナ禍が続く中での需要の底堅さを巡る懸念が結果的に企業の景況感を悪化させ、1年先の期待は1月以降で最低となった」とウィリアムソン氏は説明した。
カーニーは152カ国の上場企業6万7000社について調査。結果は以下の通り:
不動産会社の7.4%がゾンビ企業
ヘルスケアの5.9%
通信・メディアの5.5%
旅行関連の5.1%
●市況
日経先物(大証)30153、ダウ先34666、債先151.82、米1.435、独▲0.2525、仏0.082、西0.380、伊0.728、原油73.25、ドル円110.29、墨ペソ20.05、トルコリラ8.7727、墨CDS93
※9/24 8時05分頃
備忘録(9/21)
●雑感
●中国恒大
主力債権銀行少なくとも2行に対する20日期限の利払いを行わなかった。深刻な資金難が続く同社は国内最大級の債務再編に一歩近づいた。
銀行が正式に中国恒大のデフォルト(債務不履行)を宣言するかどうかは不明。一部の銀行は次の行動を決める前に中国恒大がローンの期限延長を提案するのを待っていると、関係者2人が述べた。次に注目される支払い期限は23日で、2銘柄の社債がクーポン支払い期日を迎える。
多くの中国ウォッチャーは政府が中国恒大の危機による影響を封じ込めるための措置を講じると予想しているが、同社の窮状に対する当局の沈黙は投資家を不安にさせている。中国人民銀行(中央銀行)が連休明けの22日に公開市場操作を再開した時に当局の意向についてヒントが得られるかもしれない。
シティグループやフィデリティ・インターナショナルなどは、実際に恒大がデフォルト(債務不履行)に陥るかもしれないが、中国当局は恒大の問題が金融システムや経済の安定を損ねないよう、措置を講じるとみる。主な市場関係者の見方は以下の通り。
「債務リスクを解決するための時間を稼ぐ目的で当局はシステム全体へのリスク波及を防ぐという最低限のラインを維持する公算が大きい」
「過去3年間を振り返れば、中国華融資産管理や華夏幸福基業投資開発、その他単発のクレジットイベントに対し、政府もしくは規制当局が関与し、立て直しを図ったケースを見てきた。従って今回の再建の可能性についても政府や当局者は自信があるようだ」
「広範にわたって影響が及ぶという見通しは行き過ぎだろう。成長への影響があることは明白だ。しかし重要なことは今回は2008年に起きたような事態ではないということだろう。今もそう確信している。中国の政策当局者が発するシグナルも明らかに微妙に変化している」
李兆基氏率いるヘンダーソン・ランド・デベロップメント(恒基兆業地産)の株価は13%安と、2008年以来の大幅安で終了。鄭(チェン)一族が経営するニューワールド・デベロップメント(新世界発展)は約7年ぶりの下落率となった。李嘉誠氏のCKアセット・ホールディングス(長江実業集団)と郭(クオック)一族が所有するサンフンカイ・プロパティーズ(新鴻基地産発展)も急落した。
中国当局は香港の不動産開発業者に住宅不足を解消するため資源を振り向けるよう指示したとロイター通信が17日に報道。習近平国家主席が掲げる「共同富裕」政策がついに香港の不動産業界と大物実業家の富の源泉にまで及びつつあるとの懸念が広がった。
CGS-CIMBセキュリティーズの中国・香港不動産調査責任者、レイモンド・チェン氏は、主に懸念されているのは香港政府が中国政府から住宅価格の上限や購入制限を設けるよう求められることだと指摘。ただ、中国政府が「一国二制度」の原則をあらためて示したことを踏まえると、香港が中国本土と同じような住宅政策を採用する可能性は低いとの見方を示した。
人民銀は連休明けの22日、日次の公開市場操作(オペ)を再開する。ネットベースでの大規模な流動性注入があれば、当局が中国恒大危機によるシステムへの負荷軽減を図る意図が見えてくる可能性がある。一方、人民銀が資金を吸収すれば、中国恒大がデフォルト(債務不履行)に近づく中での市場混乱を容認する姿勢を意味し得る。
コメルツ銀行のシニアエコノミスト、周浩氏は「中国は市場をはらはらさせている」と指摘。「中国恒大危機をどのように解決するのか、経済の落ち込みをどの程度容認するのかについて当局の考えをトレーダーは推測することができない。短期的には人民銀は潤沢な資金を維持するために十分な短期流動性を注入するだろう」と話した。
人民銀は少なくとも、先週のオペで2月以来の規模となる資金供給を実施した。流動性を18日の水準と一致させるには、人民銀は22日に差し引きで1300億元(約2兆2000億円)を注入する必要がある。
中国恒大集団の資金繰り問題の影響が世界の市場に広がっている。不動産市況の悪化だけでなく中国経済全体の重荷になるとの見方から、中国経済との結びつきが強い国と企業の株価が急落。鉄鉱石や銅など資源価格と資源国の通貨も下落している。恒大は9月下旬から過去に発行した社債の利払い日が続く。債務不履行の気配が強まれば、市場への悪影響はさらに増す可能性がある。
中国では昨年、新型コロナウイルス対応の金融緩和で不動産価格が高騰。中国主要50都市の不動産価格は20年時点で平均年収の13倍と、15年の10倍から跳ね上がった。
価格高騰で都市部の生活コストは高止まりし、市民は不満を募らせている。金融危機の回避を優先して恒大を支援すれば、習指導部は結局、不動産投資でもうけてきた富裕層を守るのだと国民に受け取られかねない。
一方で中国国家統計局によると21年1~6月の国内総生産(GDP)のうち不動産業は7%を占める重要産業だ。
投機の過熱を警戒した中国当局は昨年夏に不動産業界の資金調達規制を導入、住宅ローンの総量規制などで消費者のマンション売買も制限した。不動産会社は金融機関からの資金調達も売却による回収も難しくなり、資金繰りが急速に悪化。中国工商銀行の不動産向け不良債権比率は6月末に4.29%と前年同期の1.41%から急上昇した。
不動産向け融資は銀行融資全体の約2割を占めており、恒大が行き詰まれば連鎖的に中国の金融システム不安が高まる懸念がある。ただ習指導部の経済運営方針から、恒大を即座に支援することは考えにくい。市場関係者は「広東省の国有企業などが資本支援に乗り出すとしても、恒大が非中核資産の売却を終えてからだ」とみる。
一方で中国政府は資金ショートによる恒大の唐突な破綻を警戒しているとの見方もある。米ブルームバーグ通信は先週、「住宅都市農村建設省が主要債権銀行に『20日が期限の利払いを行わない』と伝えた」と報じた。
習氏の沈黙の背景に、同氏が距離を置く党の青年組織、共産主義青年団(共青団)と恒大のつながりを指摘する声もある。
恒大集団が創業した広東省は「共青団の地盤」といわれる。習氏は党内を1強で固めるが、共青団の流れをくむ李克強(リー・クォーチャン)首相や胡春華(フー・チュンホア)副首相と溝があるとの見方は絶えない。党内の事情を知るある有識者は「意に沿わない部下の地盤沈下には手を貸さないということではないか」と語る。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
21日の日本株市場でソフトバンクG株は一時前週末比6.3%安の6243円と急反落し、日中下落率は5月13日(8.7%)以来の大きさ。この日は日本株全般に対し売り圧力も強まっており、日経平均株価も一時600円以上、2.2%下落した。
ソフトバンクGが筆頭株主のアリババ株は20日の米国市場で5.4%下落し、2019年6月以来、2年超ぶりの安値を付けた。中国でオンライン不動産取引プラットフォームを運営する貝殻找房(KEホールディングス)も8.4%下げ、20年8月の上場以来の安値を記録した。
米国が新型コロナウイルスワクチンの接種を条件に11月にも渡航制限を解除すると発表したことを受け、好感した買いが集まった。米国は国・地域別に導入していた入国制限をやめ、ワクチン接種を終えた証明書と出発前3日以内の陰性証明を示せば、入国後の隔離期間なく渡航できるようになる見通し。「市場は今年度の国際線の旅客需要をコロナ前の10%程度とみているが、少しは上乗せになりそう。久々のポジティブなニュース」
まずは出張などビジネス需要が中心で旅行の回復は当面先とみられるが、心理的なハードルが下がり回復速度が上がる可能性はある。「市場では織り込まれていない話。2022年にはコロナ前の5割程度には戻るのでは」と、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の土谷康仁氏はみる。
ただ足元をみると、緊急事態宣言が9月末まで延長された影響で8~9月は国内線の需要が当初想定より悪化した。「国際線が想定より良くても、国内線の悪化分があり厳しい見通しに変わりはない」(JPモルガンの姫野氏)と、業績回復にはまだ時間がかかるとの声も目立つ。
年末年始にかけて再び感染者数が増加する可能性など、旅客需要の回復にはまだ不透明な要素が多い。感染者数も米英や東南アジアではまだ多い状況が続いている。「経済再開期待は何回も出たが覆された。様子を見守る」(国内証券)と慎重な見方もあった。
前週末に開かれた学会で公表した抗がん剤の臨床試験(治験)結果が好感され、将来の利益成長を期待した機関投資家の買いが集まった。
全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)が環境負荷が少ないジェット燃料の調達を急いでいる。廃油や植物などを原料にした持続可能な航空燃料(SAF)は、国際航空で2027年から規制が強化される二酸化炭素(CO2)削減を克服する切り札だ。だが、国内では商用生産が未整備で、SAFの争奪戦で安定調達に手間取れば運航できなくなる危機が現実味を帯びる。SAFの調達や国産化に向けた課題を追う。
英グラクソ・スミスクライン(GSK)が製造販売承認を申請している新型コロナウイルス感染症の治療薬候補を27日の専門部会で審議すると発表した。軽症から中等症の患者を対象にした点滴薬「ソトロビマブ」で、審査を簡略化する特例承認を希望して6日に申請していた。承認されれば国内で5つ目のコロナ治療薬となる。
ソトロビマブは点滴薬で、たんぱく質を使った「抗体医薬」と呼ばれる薬だ。中外製薬の抗体カクテル療法が新型コロナから回復した患者から見つけた抗体をもとにしているのに対し、ソトロビマブは重症急性呼吸器症候群(SARS)患者から抽出した抗体をもとにした。海外での最終段階の臨床試験(治験)では、投与29日目までの入院または死亡のリスクを79%減らした。米国では2021年5月に緊急使用許可が認められたほか、オーストラリアで承認を取得しており、新型コロナの治療の現場で使われている。GSKはソトロビマブをイタリアで生産している。
●その他産業
傘下の米地銀MUFGユニオンバンクの全株式をUSバンコープに売却すると発表した。取引総額は176億ドル(約1兆9000億円)で、そのうちUSバンコープが支払う対価は現金55億ドルと同社株式2.9%分(25億ドル相当)の約80億ドルとなる。
売却によりMUFGの来期(23年3月期)に特別利益として1500億円程度の売却益を見込む。また、リスクアセット(RWA)も減少し、資本力が高まることから、こうした資金を株主還元やデジタル分野など成長領域への戦略投資に生かす。22年度中に自社株買いの実施を想定している。
今回のユニオンバンク売却によるグループ全体へのドル流動性の影響は軽微で、十分吸収できるレベルだという。
欧州で再生可能エネルギーで発電した電力を国家間で融通する長距離送電設備を約5億ユーロ(約640億円)で受注した。英国とアイルランドを海底ケーブルでつなぐ。欧州では脱炭素の流れで風力発電が拡大しており、天候に左右され不安定な出力を補うための国家間送電網の整備が進んでいる。
米国のシェール資産を米石油大手のコノコフィリップスに売却すると発表した。売却額は約95億ドル(約1兆400億円)。石油業界に対する脱炭素の圧力が高まる中、石油・天然ガス事業を縮小して再生可能エネルギーへの投資を拡大する。
シェルは2月に温暖化ガス排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を公表し、化石燃料の開発抑制と再生エネ事業の拡大方針を表明した。中間目標として、エネルギー1単位あたりの二酸化炭素(CO2)純排出量を30年に16年比で20%、35年に同45%減らす方針を打ち出した。
コノコは米石油大手で唯一、温暖化ガス排出量を50年に実質ゼロにする目標を打ち出している。一方で、20年にパーミアンを地盤とするシェール大手の米コンチョ・リソーシズを総額97億ドルで買収すると発表するなど、同業のM&A(合併・買収)や資産取得を加速している。
2022年1月から米国内の宅配料金を平均で5.9%上げることを発表した。人手不足から人件費が高騰しており、料金に転嫁する。米大手メディア各社はUPSも同様の引き上げを数週間以内に発表すると報じている。
物流コンサル会社トランスポーテーション・インサイトによると、米物流大手の過去10年ほどの値上げ率は年平均4.9%で、これを上回るのは10年以来のことになる。フェデックスは「運用環境が厳しさを増し、サービス改善、フリートのメンテナンス、技術革新、物流ネットワークへの投資を継続するには値上げが必要となった」と理由を説明した。コロナ禍をきっかけに電子商取引(EC)の利用が急増し、配送業への負荷が増大しており、人手不足が深刻化している。
新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大により、映画やテレビ番組の制作ペースが一部で落ちていると説明。「サービス加入者の長期的な伸びには非常に強気かつ自信を持っている」としながらも、「前四半期比での最終的な予想については、アナリスト予想に比べて若干のノイズが入るのではないかとみている」と語った。
●決算関連
●マクロ・その他
カナダ下院の総選挙で、トルドー首相が率いる自由党が再び第1党となった。単独過半数には届かず、再び少数与党となる見通しだ。法案や予算の成立のために他党との協力に頼ることになる。
ジャスティン・トルドー首相(49)率いる中道左派の与党・自由党が第1党となる見通しとなった。
解散時の自由党の議席は155議席で、トルドー氏がめざす単独過半数の170議席にはさらに15議席必要だ。CBC、CTVなどは再び少数与党となる見通しだと報じた。19年の前回総選挙では、自由党は単独過半数に届かず、少数与党として法案や予算ごとに新民主党など他党との連携に頼ってきた。過半数を下回れば、少数与党として再び政権運営を模索することになるとみられる。
8月15日の解散宣言の時点では、自由党が35.6%と保守党の28.8%に7ポイント近く差をつけ、単独過半数をうかがう勢いだった。トルドー氏は新型コロナのワクチン接種率が12歳以上の人口の7割を超え、経済も回復基調にあるとの判断から「次の数年のための明確な信任」を求めて解散に踏み切った。
これに対し、「10年後の財政均衡」や対中圧力の強化を掲げる保守党のオトゥール党首は炭素税への反対を撤回し、女性が中絶について決める権利を擁護するなど穏健化をアピールし、支持を集めてきた。CBCの世論調査によると、19日時点の支持率は自由党が31.5%、保守党が31.0%と拮抗していた。
2021年の都内の基準地価(7月1日時点)は、商業地が前年より0.3%下がり9年ぶりの下落となった。新型コロナウイルスによる経済活動の停滞が響き、都心や繁華街では1割前後下がった地点もあった。商業地は前年の1.3%上昇からマイナスに転じた。地区別では千代田、中央、港、新宿、渋谷の「都心5区」の下落が目立ち、平均で1.3%下落した。コロナで繁華街への外出を控えるようになった影響が出た。区別の下落率は中央区が1.9%で最も大きく、続いて新宿区が1.8%、千代田区が1.2%下落した。23区内の商業地で最も下落率が大きかったのは、新宿区歌舞伎町1丁目の調査地点で、10.1%下がった。下落率が2番目に大きかったのは中央区銀座7丁目の調査地点(9.0%)で、同区銀座6丁目(7.2%)、新宿区新宿3丁目(7.0%減)の調査地点が続いた。
住宅地は前年と同じく0.2%上昇で、9年連続の値上がりとなった。23区の上昇率は0.5%で前年(1.4%)より縮小。多摩地域の変動率は0.0%で前年の0.8%下落から横ばい基調となった。利便性の高いマンションに適した土地は需要が堅調な一方、駅から遠い地域や斜面造成地などでは大きく下落するところもあった。23区内の住宅地で最も上昇率が大きかったのは、江東区有明1丁目の調査地点で3.4%上昇した。20年8月に商業施設「有明ガーデン」の開業で需要が高まった。同年3月に開業した高輪ゲートウェイ駅から近い港区芝浦4丁目の調査地点も2.6%上昇した。
23区内で下落率が最も大きかったのは世田谷区岡本3丁目の調査地点で、2.0%下がった。下落率の上位10地点は全て世田谷区内で、駅から遠い住宅街の調査地点が並んだ。いずれも用途地域が「第1種低層住居専用地域」で、戸建て住宅が多い地域だった。
前年割れは5カ月連続で、減少率は7月の4%から拡大した。国の政策などで20年の夏ごろから拡大したオンライン教育向けの需要急増の反動が響いた。メーカー各社は今後、在宅勤務向けを中心とした高機能品に注力する。
会計年度末が9月末に迫るなか、緊急災害支援など短期の政府支出を認めるつなぎ予算案のなかに債務上限への対応も盛り、共和党に協力を呼びかける。実現するかどうかはなお不透明だ。
NAHBが20日発表した9月の住宅市場指数は76で、約1年ぶりの低水準となった前月から1ポイント上昇した。横ばいを見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測をわずかに上回った。
構成項目の内訳は、「現在の販売状況」が82で1ポイント上昇したほか、「客足」も61で2ポイント改善した。「今後6カ月の販売見通し」は81で横ばいだった。
高騰していた針葉樹製材などの資材価格が下がり、コスト面の負担が緩和されたため景況感が安定したと分析した。ただし、建設関連の求人率は上昇しており、人手不足の深刻さは増しているという。NAHBのエコノミストは「昨秋の持続不可能な過熱状況から、活発ながらも安定した市場になっている」と指摘した。
8月の米住宅着工件数は161万5千戸(季節調整済み、年率換算)で、前月の改定値から3.9%増えた。2カ月ぶりの増加で、増加幅はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(1.0%程度)を上回った。
先行指数である許可件数は172万8千戸で、前月比6.0%増え、2.1%程度の減少を見込んだ市場予測に反しての増加となった。
大阪市内の主要13ホテルの8月の平均客室稼働率は27.7%で前月より5.9ポイント低下した。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の影響を受けた。前年同月より3.5ポイント高いものの、低水準での推移が続いている。
2021年の工作機械の受注見通しを年初時点の1兆2000億円から1兆4500億円前後に引き上げると発表した。20年比では61%増となる。
上方修正の理由について「半導体装置の旺盛な需要、部品部材の需給逼迫を解消する動き、自動化・デジタル化投資の強化が背景に挙げられる」と説明。受注額のうち、内需は4500億円の当初見通しを据え置いたが、「肌感覚では内需も結構動いてきている。強含みと考えていただければ」と述べた。
一方、今後のリスク要因としてはマレーシアやベトナムなどのロックダウンの影響を挙げた。中国不動産開発大手の中国恒大集団の破綻危機については「工作機械のビジネスという点では現時点では大きな影響はみられない」とし、今後の推移を注視する考えを示した。
同行のエコノミストは2021、22両年の経済成長率をそれぞれ8.0%、5.3%と予想。いずれも従来見通しの8.3%と6.2%から引き下げた。23年については5.8%を見込んでいる。従来予想は6.0%だった。23年までの3年間はインフレが一段と緩やかなペースで進むと予測。最近は内需全般にわたり減速が見られると指摘。その主な理由として次の3点を挙げた。
・新型コロナウイルスのデルタ変異株感染拡大
・不動産・インフラ投資への厳しい与信規制
・商品生産を減らす脱炭素政策
●市況
日経先物(大証)29660、ダウ先33729、債先151.86、米1.321、独▲0.3185、仏0.017、西0.324、伊0.694、原油70.73、ドル円109.16、墨ペソ20.14、トルコリラ8.6254、墨CDS81
※9/22 8時50分頃
備忘録(9/20追加)
A steady stream of anxious apartment buyers flowed into the sales office of the Evergrande Oasis complex outside the city of Luoyang this week, seeking answers after construction was halted by the giant developer's severe cash crunch.
Work on the five-tower condominium and 16 blocks of apartments at the sprawling development in central China has been halted since August and July, respectively, according to a staff member who declined to give his name.
The complex is among a host of uncompleted homes across the country that have seen work grind to a standstill as result of the crisis engulfing China Evergrande Group
Evergrande, the country's No. 2 property developer, is scrambling to raise funds to pay lenders, suppliers and investors, with regulators warning its $305 billion of liabilities could spark broader risks to the country's financial system if not stabilised.
"We worry that if Evergrande goes bankrupt, its assets could be frozen, and we'll lose the home," said Tan Liangliang, who is part of a social media group of about 200 worried buyers at the Evergrande Oasis project in Luoyang.
Numerous such groups have sprung up for the Oasis project, where the unfinished towers stand near rows of completed and occupied high-rise apartments.
At the 16 blocks, at various stages of completion, cranes lay idle and no workers could be seen. Plastic sheets flapped from some balconies, steel reinforcement bars protruded from others another.
Some buyers said they expected construction to resume this month or next, but others said sales agents had simply told them to wait. The staff member who declined to identify himself said construction would resume in late October or early November but gave no other details.
He said apartments there had been sold late last year for 9,800 yuan ($1,518.81) per square metre, or roughly $197,000 for a 130 square metre unit.
"I collapsed when I heard that construction had halted. How my heart hurts," a middle-aged woman who didn't want to give her name told Reuters outside the sales office. "For regular folks like us, all our life-savings had gone into the house."
Across China, Evergrande has hundreds of thousands of uncompleted units that need to be delivered to buyers, Raymond Cheng, a managing director of CGS-CIMB Securities, told Reuters last month.
Evergrande did not immediately respond to requests for comment on Cheng's figures, the Oasis complex or other halted projects.
Late last month, the company said some projects had been suspended because of delays in payment to suppliers and contractors, and that it was in negotiations with them and coordinating with the government to resume construction.
Early this month, it held a pledge-signing ceremony with project teams across the country, promising buyers that construction would proceed.
"Two years ago when we were deciding which property to buy, we chose Evergrande because we thought it, being such a big brand, won't have cashflow problems like other property firms," another buyer said, declining to give her name.
Buyers are placing their hopes on the government, which has asked Evergrande to guarantee that it can deliver on units sold.
"This is a national issue, I don't think the government will let it blow up," another homeowner said.
The offshore yuan -- the exchange rate for China’s currency trading outside of the country -- is garnering the attention of investors around the world.
Fallout from a potential default by China Evergrande Group hit Hong Kong stocks and the downbeat tone is weighing on markets around the world on Monday, but with mainland Chinese markets closed for holidays, the offshore currency will be a key focus.
The offshore yuan has lost 0.9% over the past three days to trade at 6.4844 per dollar as of 7:36 a.m. in New York, primarily due to a stronger U.S. dollar and selloff in emerging-market peers. The currency extended declines past its 50- and 200-day moving averages, and strategists at Mizuho Bank Ltd. see it weakening this week to 6.50 per dollar, a level last seen on Aug. 23.
Major banks were already told by Chinese authorities that they won’t receive interest payments due on Evergrande loans on Monday. It is also unclear whether Evergrande intends to pay about $84 million of dollar-bond interest due Thursday, Sept 23.
Policy makers and businesses alike are preparing for potential market contagion. The People’s Bank of China on Friday added $14 billion (90 billion yuan) of funds on a net basis through repo agreements, the most since February, in a bid to avert any funding squeeze.
Agricultural Bank of China, among the big-four state-owned lenders, made bad-debt provisions for its Evergrande exposure, according to Reuters. Banks are readying themselves for a liquidity squeeze, part of the reason why they are dumping dollars in onshore swap markets, leading to tight liquidity conditions in the onshore yuan, some analysts say.
A staggered holiday schedule in mainland and Hong Kong markets further complicates matters. All onshore financial markets will be closed on Monday and Tuesday, though Hong Kong markets will stay open. On Wednesday, onshore markets will resume trading yet Hong Kong will go on holiday.
Here’s a list of Evergrande debt events and market schedules for the week ending Sept. 24:
Monday, Sept. 20: All onshore China financial markets are closed and all markets in Hong Kong are open. Evergrande shares lost as much as 19% and closed 10% lower. The offshore Chinese yuan trades throughout the day, though traders won’t have a PBOC daily fixing as reference.
Tuesday, Sept. 21: All onshore financial markets stay closed and all markets in Hong Kong remain open. Evergrande stocks and dollar bonds continue to trade in Hong Kong. Offshore Chinese yuan trades throughout the day, in absence of a PBOC daily fixing for a second session.
Wednesday, Sept. 22: All onshore financial markets reopen and all markets in Hong Kong close. Trading in Evergrande stocks and dollar bonds will take a break. The offshore Chinese yuan trades throughout the day together with its onshore counterpart, though the Hong Kong holiday may lead to substantially lower volumes and worse liquidity conditions that day.
Thursday, Sept. 23: All markets in mainland China and Hong Kong will open. Evergrande will decide whether or not to pay interest due on its dollar bond.
中国の不動産開発会社、中国恒大集団は18日、満期を過ぎた資産運用商品(理財商品)について、現金に代わり不動産資産の大幅値引きという形で返済する手続きを開始した。
中国恒大の資産部門が「微信(ウィーチャット)」に投稿したところでは、不動産の値引きを選ぶ投資家は、さらに詳細な情報を得るため資産管理担当者と連絡を取ることができる。
投資家は住宅物件が28%、オフィスが46%、駐車スペースは52%のディスカウント価格で不動産投資が可能になり、既に購入した住宅の支払いについて割引を受ける選択肢も示された。
ブルームバーグが先に伝えたところでは、中国恒大の多くの社員を含む7万人余りが理財商品を購入。現金で返済を望む場合、四半期ごとに金利と元本の10%の支払いを受ける選択も可能という。
経営難に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団の主要取引銀行が貸倒引当金を設定したり、返済に猶予を与えたりしていることが分かった。4人の銀行幹部がロイターに話した。
中国恒大の経営破綻に備え、中国の金融機関が対応策を取っていることが明らかになったのは初めて。中国恒大は融資や債券などで3050億ドル近くの負債を抱える。
関係者によると、中国で3位の銀行の中国農業銀行は、中国恒大への融資の一部に貸倒引当金を設定。民生銀行とCITIC銀行は一部の短期融資で借り換えを準備している。
中国恒大への融資は過去1年で総じて減少しており、大半は担保や預金で保全されているという。例えば、民生銀行は過去1年で融資額を400億元から300億元に減らし、新規の貸し出しはやめている。
中国恒大の報告では、昨年の借り入れが6934億元(1074億ドル)と2019年の7823億元から減った。負債は中国国内総生産(GDP)の2%に相当し、中国恒大の破綻が管理されたものであっても、経済への影響が出るだろう。
20年に明らかになった文書によると、中国恒大は128行超の銀行と121社を超えるノンバンクから借金がある。
債権者の1人は、規制当局が中国恒大の救済可能性について、銀行側に何も示していないと話した。
備忘録(9/17-20)
●雑感
確かに、日本以外の国はコロナ影響を除けば経済成長をしているわけで、購買力は上がっていると思う、となると、かつて国防ラインとされていた1ドル=100円というのはもっと切り下がっているのかもしれない。また、海外インフレ率>日本インフレ率からして、「1ドル120円超」というのは以前にも増して相当な円安なんだろうな
日本経済の体温が上がらない背景には「過去20年間、主要国では平均年収が実質ベースでも15~45%程度伸びたのに日本では増えていない」(JPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏)という現実がある。→非常に悲しい現実・・・
●エバーグランデ関連
中国の不動産大手、中国恒大集団の資金繰り問題が引き続き中国・香港市場を揺さぶっている。香港のハンセン不動産株指数は16日に約1年半ぶりの低水準をつけた。17日終値は反発したが、一時前日比1%下落した。業界への締め付けを強める中国政府が恒大の救済に慎重との見方もあり、警戒ムードが続く。
グループ傘下の恒大財富の投資商品に関して、5月1日から9月7日の間に6人の幹部が前倒しで償還を受けていた。償還を取り消し、厳しい処分を下したという。
恒大は巨額の債務問題に揺れており、グループで取り扱う投資商品も焦げ付きが懸念されている。中国メディアなどによると12日には広東省深圳市の恒大本社ビルに数百人の投資家らが押し寄せて抗議した。投資商品が期限内に償還されなかったことのほか、グループ幹部が財産保護のために前倒しで償還を受けたとの疑念が広がっていたためとされる。
資金繰りの悪化に苦しむ恒大は、主力事業であるマンションの建設も一部で滞っているもよう。工事停止や投資商品の焦げ付きへの懸念がマンション販売を押し下げ、財務不安を深める悪循環にはまりつつある。
中国恒大集団の資金繰りが一段と厳しくなっている。9月下旬以降、過去に発行した社債の利払い日が集中するためだ。年内の利払い額は社債だけで700億円を超える。取引先への未払い分などを含めた恒大の負債総額は1兆9665億元(約33兆4000億円)と中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当する。その処理に失敗すれば中国経済や金融システムに大きな打撃を与えかねない。
中国恒大の主要債権金融機関に対し、同社が20日に融資の利払いを行えない見通しだと伝えた。
中国恒大は23日に社債2本の利払い期日も控える。銀行やサプライヤー、国内で取引される金融商品の投資家への支払いが滞る状況でも、社債保有者への支払い義務を引き続き履行できるかどうか試金石になる。
社債の1本は額面価格の30%を下回る水準で取引され、投資家は高い確率で不履行の可能性を織り込む。
中国恒大が抱える3000億ドル(約33兆円)もの債務履行を巡る不安が中国の金融市場に波及した結果、他の不動産関連株も急落し、ドル建てジャンク債(投機的格付け債)指数の利回りは上昇。中国人民銀行(中央銀行)は17日、金融システムに140億ドルの短期資金を供給した。
ブルームバーグの集計データによれば、ドル建て5年債(表面利率8.25%)の8350万ドルの利払い期日が23日に到来する。同債のコベナンツ(特約条項)によれば、支払いの遅れがデフォルト(債務不履行)と判断されるまで30日の猶予期間が設定されている。
23日は人民元建て債の2億3200万元(約39億円)の利払いも重なる。年内に期日を迎える利払いは総額6億6900万ドルに上る。
ハンセン不動産株指数は一時6.8%安と、2020年5月以来の大きな下げ。時価総額で中国最大の保険会社である中国平安保険は香港市場で一時8.4%安を付けた。香港株の指標であるハンセン指数は一時4.2%安と、1日の下げとしては2カ月ぶりの大きさとなった。
中国の不動産開発会社、中国恒大集団を巡る投資家の懸念が急速に拡散。深刻な資金難に陥っている同社の破綻回避に中国政府が動くかどうか、同国高官は沈黙を保っている。同社は融資や社債の利払い期限を今週迎えるが、ほとんどの専門家の間で支払いを履行できると考えられていない。香港市場で同社株は一時19%安まで下げた。
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
2030年までに温暖化ガスのメタンの排出量を20年に比べて少なくとも30%減らす取り組みを始めると表明。
会合後のホワイトハウスの声明によると、日本のほか、EUや英国、韓国など10カ国・地域の首脳が参加した。
日本法人は出店戦略を見直す。ビルなどを所有者から賃借してオフィスに仕立ててきたが、借りずに運営のみを受託する手法を2022年にも導入する検討に入った。受け取る収入は目減りする可能性があるが、賃料負担が軽減し、投資資金が減る見通しだ。テレワークが増え、シェアオフィス需要の拡大が見込めるなか、財務リスクを抑えながら新規出店を続ける考えだ。
1株あたりの価格は3.58ユーロで10月5日まで募集する。価格は17日の終値より56%安く、理論上の権利落ち価格より39%安い。ルフトハンザのすべての取締役が増資に参加するほか、資産運用会社の米ブラックロックが運用する複数のファンドが総額3億ユーロを引き受けることを決めている。
増資で得た資金は公的資金のうちの「サイレントパーティシペーション(議決権を持たない資本注入)」の返済にあてる。21年末までにサイレントパーティシペーションの未使用分も解約する。
ルフトハンザは公的資金の返済を進めることで経営の自由度を高める考えだ。
ルフトハンザは6月に増資の検討を表明。カールステン・シュポア社長は「救済措置の出口への重要な一歩」と述べていた。
米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は17日、ファイザー製ワクチンの3回目の接種を高齢者らに限定するよう勧告した。バイデン政権は20日から18歳以上の希望者に追加接種を始める方針を示してきたが、計画縮小を迫られる可能性が出ている。
これに対してファウチ氏は、米ABCテレビのインタビューで「米当局の検討作業はまだ終わっていない。ワクチンの安全性や有効性に関するデータは今後増えていくため、再検討して勧告が変更されることもあり得る」と強調した。
●その他産業
エアバッグ部品に乾燥剤を使用している約3000万台を調査対象に加える。
米連邦預金保険公社(FDIC)のデータによると、MUFGユニオンバンクは約300支店を抱え、自己資本は160億ドル(約1兆7550億円)余り。ブルームバーグの集計データによれば、米国で今年売却された銀行は純資産価値の1.4倍(中央値)で売られた。三菱UFJはユニオンバンクを2008年に約35億ドルで買収した。
GMは通常、半導体を直接購入していなかったが、現在は半導体メーカーと「直接的な関係を構築しつつある」と説明した。
自動車メーカーなどに販売する鋼材の価格について「もう一段の是正を求めていく」と話した。国内の鉄鋼企業は大口需要家と半年に1度、鋼材価格を交渉している。海外の鋼材価格が依然として高値で推移する状況などを受け、引き続き値上げを求める考えを示した。
橋本氏は「日鉄の社長としての考え方」と前置きした上で、大口需要家との長期契約である「ひも付き価格」について「国際的にみても国内のレベルはいまだ途上だ」と話した。世界各地の鋼材価格は上昇しているのに対し、国内の自動車や電機といった大口需要家との長期契約のひも付き価格は低水準にとどまる。加えて、今後は脱炭素に向けた研究資金なども膨らむとみられる中、「今のままでは開発に必要な巨額投資が全くできない」との認識を示した。
水素ステーション向けの高級鋼材の輸出を始めた。このほど欧州とアジアでの受注が決まった。この製品は水素への耐性や強度が高く、国内のステーション向けで高いシェアを持つ。脱炭素へのニーズが高まるなか、世界各国で水素インフラの整備が進むとみられ、日鉄は海外需要の取り込みを本格化する構えだ。
●決算関連
●マクロ・その他
米メディアの報道によると、デルリオには今週初めの時点では数百人規模の難民にとどまっていたが、ここ数日で急速に拡大した。ハイチを中心にキューバやベネズエラ、ニカラグアからの人々がいる。
ハイチでは7月に現職の大統領が殺害され、8月にはマグニチュード(M)7.2の地震が襲った。政治は不安定で、治安が一段と悪化しており、国外への移住を検討する人が増えている。
米テキサス州のアボット知事(共和党)は16日、州内6カ所の出入国拠点を閉じると発表した。国境監視も強化する。「バイデン政権はアフガニスタンからの退避と同様に国境の危機にひどい対応をとっている」とも批判した。
報告書は特定の国の名指しは避けたが、念頭の一つあるのは中国だ。中国は顔認証カメラなどを活用して少数民族ウイグル族を監視しているとされ、国際社会からの批判を浴びている。人権を基本的な価値観として重視する欧州連合(EU)は4月にAIの規制案をまとめるなど、国際的なルールづくりで主導権を握ろうとしている。
増税議論を否定する一方で、財政再建を重視する姿勢も示した。「財政は国の信用の礎なので財政再建の旗はおろしてはならない」と強調した。「成長と分配の好循環」を実現した後に「財政を考えていく」と訴えた。
カナダで20日、ドイツで26日に総選挙を実施する。カナダでは3期目をめざすトルドー首相率いる与党・自由党が僅差で優勢だ。ドイツではメルケル首相の後継として16年ぶりに中道左派、ドイツ社会民主党(SPD)出身の首相が誕生するかに注目が集まる。自民党総裁選を控える日本も含めてG7(主要7カ国)トップの顔ぶれが変われば、改めて対中国や脱炭素の結束を試されることになる。
この日の会議には域内約20カ国の首脳が参加した。キューバのディアスカネル大統領やベネズエラのマドゥロ大統領ら左派の首脳が目立った。ロイター通信によると、ブラジルの右派のボルソナロ大統領は代表者を送らなかった。
中道右派であるウルグアイのラカジェポー大統領は「キューバ、ニカラグア、ベネズエラでおきていることを心配している」と、反体制派に対する抑圧行為に懸念を表明して、左派政権の国と距離を置く姿勢を示した。
財政と金融を拡大するバイデン米政権の経済運営「バイデノミクス」が危機下の陶酔からさめる局面に入る。新型コロナウイルスの感染が続くなか、金融緩和は縮小に向かい、積極財政もアクセルは緩む。これまでの追い風がやもうとし、景気の先行きに黄信号がともる。政策運営の軸足が脱危機に移り、米経済と政権の地力が試される。
タイのタクシン元首相を支持する勢力(タクシン派)が19日、首都バンコクで国軍出身のプラユット首相の辞任を求める大規模デモを実施した。同日はタクシン政権が倒された2006年の軍事クーデターの発生から丸15年に当たる。プラユット氏の新型コロナウイルス対応を批判し、政権奪還に向けた動きを活発化している。
ボクシング界の英雄で国民の人気が高い同氏は世論調査でも支持率は上位だ。ドゥテルテ大統領らと対立しており、反ドゥテルテ派の支持をどこまで集められるかが焦点となる。
ここ3カ月だけでも有力紙の蘋果日報(アップル・デイリー)が廃刊に追い込まれ、香港最大の教職員組合や大規模デモを主催してきた団体も解散を発表した。いずれも影響力や動員力がある組織だ。受刑者を支援する市民団体も親中派の批判を受けて解散した。
候補者から民主派を排除し登録有権者は前回より97%減った。定数の7割超が無投票で決まる異質の「選挙」となった。
黒田ライン――。外国為替市場にそんな言葉がある。2015年6月10日、黒田東彦日銀総裁が国会で円安けん制と受け止められる発言をした時の相場を指す。ドル・円相場では1ドル=124円台半ばから後半。円の下限と解釈されてきた。
与党の得票率は2016年の前回下院選から低下するものの、憲法改正に必要な3分の2の議席を維持する公算が大きい。
「民主、共和両党の財務当局者やエコノミストの間での圧倒的なコンセンサスは、債務上限を引き上げられなければ広範な経済的大惨事が生じるだろうというものだ」との見解を示した。
また、デフォルトが生じれば「歴史的な金融危機を引き起こし、公衆衛生上の危機のダメージを悪化」させ、米国をリセッションに追い込み、「恒久的な国の弱体化」につながりかねないと指摘。「遅延もデフォルトも容認できない」として、議会は迅速に行動する必要があると付け加えた。
関係者によれば、3時間続いた円卓会議には、中国側から人民銀行(中央銀行)の易綱総裁、ウォール街からはゴールドマン・サックス・グループやヘッジファンド運営会社シタデルを含む経営幹部らが出席した。2018年9月に始まった円卓会議が今回再開にこぎ着けた。
円卓会議の非公開を理由に事情に詳しい関係者が匿名を条件に語ったところでは、中国証券監督管理委員会(証監会)の方星海副主席は最近の動きに関し、消費者向けプラットフォームを展開する企業への規制とデータプライバシー、国家安全保障の強化が目的だと説明した。
同副主席は出席者に対し、教育やゲーム業界を対象とする動きは社会不安の抑制を意図したものだと述べ、中国企業への監視強化について米国や国際金融市場からのデカップリング(分断)と解釈すべきでない主張した。
9月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は前月から小幅に持ち直したものの、約10年ぶり低水準の近辺にとどまった。高価格が響き、消費者の購買意欲は1980年代以来の水準に後退した。
家庭用の大型耐久財や住宅、自動車に対する購買意欲はいずれも数十年ぶりの低さとなった。これは価格が高いとの不満が原因だという。1年先のインフレ期待は4.7%と、2008年以来の高率となった。
ミシガン大消費者調査ディレクター、リチャード・カーティン氏は「高齢者層や低所得層、低学歴層は引き続き生活水準の低下に言及したが、ここ数カ月では比較的若い層や高所得層、高学歴層の間でも物価上昇に対する不満が広がっている」とリポートで説明した。
消費者の短期的な景況感と家計見通しはやや楽観的だったが、長期の景況感は10年ぶりの低さとなった。
中国の成長エンジン変調の兆しとエネルギー価格の急上昇が不安をあおり、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の世界ファンドマネジャー調査ではスタグフレーションのリスクが懸念材料トップの一つとして浮上した。ニュースでのスタグフレーションへの言及も少なくとも10年で最多となっている。
しかし、インフレ連動米国債が示唆する今後10年のインフレ期待は米連邦準備制度の目標付近の水準にあり、米国債のイールドカーブもフラット化しスタグフレーション期の傾向に逆行している。
ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「今はスタグフレーションの脅威は見えない。インフレの側面は気になるが、実質利回りは非常に低く、市場がそれを織り込んでいないことが分かる」と話した。今後10年の平均インフレ率の予想を示す10年物ブレイクイーブンレートは過去1年に上昇し約2.35%となった。インフレ連動債は消費者物価指数(CPI)に連動するが、CPIは金融当局がインフレの指標とする個人消費支出価格指数を約40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る傾向があるため、市場のインフレ予想は当局の目標である2%に近いということになる。
ただ、債券市場が完全にゴルディロックスシナリオを見込んでいるかというとそうではない。10年物実質利回りは依然として大幅なマイナスで、成長への懸念を示している。短期市場が示すインフレ期待は長期の見通しを上回りインフレが一時的とする説の根拠になっていたが、そのギャップは6月時点に比べ約5分の1に縮小している。
それでも、1970年代のようなスタグフレーションを予想する悲観論者はいない。G10戦略責任者のアサナシオス・バンバキディス氏は「70年代に見られたような2桁台のインフレ率と景気後退を予想しているわけではない。経済再開による現在の強いベース効果が薄れた後の来年のシナリオとして、成長の下振れとインフレの上振れが想定されるということだ」と述べた。
●市況
日経先物(大証)29838、ダウ先34098、債先151.66、米1.363、独▲0.2820、仏0.047、西0.355、伊0.718、原油71.11、ドル円109.93、墨ペソ20.09、トルコリラ8.6585、墨CDS83
※9/20 13時50分頃
備忘録(9/16)
●雑感
・エバーグランデについては週末まとめてみたい
・ドル円は本当に動かないな
・製造物流網のリスクは今後ケアしたほうがいいかも
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
過去発表分とあわせた10月の減便数は6689便で、当初計画に対する運航割合を示す運航率(2021年度計画比)は75%とした。9月の運航率(9月9日発表時点)は64%だった。
16日にはスカイマークや格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション(大阪府田尻町)も国内線の減便を発表した。10月はスカイマークが18路線1454便を減便(運航率69%)し、ピーチは21路線231便を追加減便して累計の減便数を1357便(同71%)とする。
新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種(ブースター接種)に向け、米製薬ファイザーなどが米食品医薬品局(FDA)に提出した資料が明らかになった。2回の接種後、徐々にデルタ型への感染予防効果は下がり、4カ月以降に当初の53%になった。追加接種すれば感染リスクは約11分の1になるとして実施を求めている。
●その他産業
同社がCBを発行するのは、旧新日本製鉄時代の2006年以来で15年ぶり。調達資金は高機能鋼材の生産体制の強化のほか、脱炭素関連の技術開発などに充てる方針だ。
VWグループ米州部門のスコット・キオ最高経営責任者(CEO)は、テネシー州チャタヌーガ組立工場でのインタビューで、「あらゆる車を作りたいときに作れるというのが通常の状態だが、そうした時期は来年後半まで訪れないと考えている」と述べた。
●決算関連
●マクロ・その他
米国で物流網の混乱が拡大している。海運の要衝ロサンゼルス港は入港待ちのコンテナ船であふれ、中国からのコンテナ輸送費は以前の5~6倍に急騰した。景気回復に伴う需要増に人手不足などが重なり、物流網の目詰まりが深刻だ。物流費の上昇は物価押し上げの要因となっており、年末商戦でも商品の延着や一段の値上げにつながるおそれがある。
9月の製造業景況指数はプラス30.7で、前月から11.3ポイント上昇した。5カ月ぶりの上昇で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(プラス18.7程度)を大きく上回った。
ニューヨーク連銀製造業景況指数も、9月は予測を上回って大きく上昇した。新型コロナウイルスの感染再拡大やインフレで景気回復ペースは鈍っており、中国製造業の減速の影響も懸念されるが、いまのところ米製造業は拡大を続けている。
「新規受注」が15.9で6.9ポイント下がったが、「生産」は29.9で11.0ポイント上向いた。「受注残」と「入荷遅延」は低下したが、「在庫」は大きく改善しており、供給制約が緩和し始めたことを示した。「仕入れ価格」は67.3、「販売価格」は52.9といずれも依然として高いものの、前月からは下がっており、インフレ圧力がやや弱まったことを示した。
新規失業保険申請件数は33万2000件と、前週の改定値から2万件増えた。3週ぶりの増加で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(32万件程度)を上回った。
ハリケーン「アイダ」の被害が出たルイジアナ州の申請件数が大きく増えた。変動をならした4週間の移動平均は33万5750件で、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年3月以来の低水準となった。
総受給者数は8月29日~9月4日の週は266万5000人で、前週の改定値から18万7000人減った。こちらも20年3月以来の低水準となった。緩やかながらも、失業者の再就職が進んだ。
8月の小売売上高(季節調整済み)は6187億ドル(約67兆8300億円)で前月から0.7%増えた。0.8%程度の減少を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測に反しての増加で、消費が堅調だったことを示した。7月分は1.8%減に下方修正された。
半導体不足による減産で在庫薄になっている自動車・関連部品販売店(▲3.6%)を除くと1.8%増だった。
項目別では、オンライン・ストアなど無店舗小売店の売り上げがプラス5.3%と伸びたほか、家具店(プラス3.7%)、百貨店(プラス2.4%)も好調だった。一方、回復を続けていた飲食サービス店はコロナ感染の再拡大で客足が鈍り、売り上げは横ばいだった。
世界銀行の年次報告書「ビジネス環境の現状」を巡る調査報告書は、国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事が世界銀行の最高経営責任者(CEO)だった当時、中国のランキングを上げるよう内部で圧力をかけたと指摘した。
世銀は昨年12月に発表したレビューで、2017年10月に発行された18年版報告書での中国のランキングは78位ではなく、本来は7つ下の85位であるべきだったと報告していた。
今回の調査報告では、18年版における「中国のデータ変更は世銀指導者からチームに対する2種類の圧力の産物と思われる」と指摘。「世銀の増資の取り組みで中国が重要な役割を果たすと期待されていたのと同じ時期に、中国のランキングを上げるために同国のデータポイントに具体的変更を加えるよう、ゲオルギエワCEOと同氏のアドバイザーであるジャンコフ氏による圧力」があったと記した。
中国のスマートフォンメーカー、OPPO(オッポ)は主要なソフトウエア・デバイスチームの人員を約20%を削減する。事情に詳しい関係者が明らかにした。同社による関連会社ワンプラスの事業吸収を踏まえた動きで、半導体不足と新型コロナウイルス禍の影響に苦しむ中国モバイル業界で初の大規模な合理化となる。
中国のテンセント・ホールディングス(騰訊)が世界の時価総額ランキングで11位に後退し、トップ10から中国企業が消えた。中国政府が規制強化を通じさまざまな業界への締め付けを進めており、株式市場では動揺が続いている。
中国企業が世界の上位10社に含まれないのは2017年以来。 アリババグループは今年先にトップ10から脱落していた。
声明は「23年に早くも利上げが行われる可能性があるとのFTの結論は、われわれのフォワードガイダンスと整合的でない」と主張。「レーン氏は15日の公開イベントで、具体的期日に言及せず、高度の金融政策刺激を継続することで、2%の物価目標をやがて達成可能だと明言した」と説明した。
●市況
日経先物(大証)30223、ダウ先34726、債先151.72、米1.336、独▲0.2990、仏0.034、西0.356、伊0.693、原油72.53、ドル円109.75、墨ペソ19.94、トルコリラ8.5384、墨CDS85
※9/17 9時20分頃
備忘録(9/15)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
過去の発表分も合わせると減便数が大きいのは羽田―札幌線(159便)、羽田―福岡線(179便)、羽田―広島線(125便)など。運航率は9月が63%(前回発表時は64%)、10月が70%(同73%)となる見通し。
配膳ロボットを手掛ける中国のキーンオンロボティクスは15日、ソフトバンクグループのビジョン・ファンド2が主導し、未上場企業の後期出資ステージとなる「シリーズD」で2億ドル(約220億円)を調達したと発表した。
中国で中古車売買の取引プラットフォームを展開する車好多集団は、新たな資金調達ラウンドで少なくとも1億ドル(約110億円)を集めることを検討しているほか、香港上場の可能性も探っている。
顧客コミュニケーションプラットフォームを手掛けるユニフォニック向けに1億2500万ドル(約137億円)規模の資金調達を主導した。
ゴルが優先株を発行し、アメリカン航空が引き受ける。出資比率は5.2%で、アメリカンはゴルの取締役一人を選任する権利も持つ。今後、両社で共同運航便を増やし、コロナ後の航空需要を取り込む狙いだ。
新型コロナにより打撃を受けたブラジルの航空市場は、経済活動の再開に伴い足元では回復が続いている。LCC大手のアズールがラタムのブラジル事業買収に意欲を示すなど、コロナ後をにらんだ再編の動きが相次いでいる。
バイデン氏は演説で「昨年の異常気象で米国は990億ドルの被害を受けた。今年は1千億ドルをゆうに超える」と強調。
米ファイザーとモデルナはそれぞれ自社の新型コロナウイルスワクチンの効果が時間の経過と共に低下する可能性があるとしてブースター(追加免疫)接種の必要性を強調した。
●その他産業
住宅改築向け融資を手がける米グリーンスカイを株式交換で買収すると発表した。買収総額は22億4000万ドル(約2400億円)。ゴールドマンはトレーディングに依存した収益構造から脱却するため、消費者向け金融を強化しており、買収で顧客基盤を一気に拡大する狙いがある。
グリーンスカイは2018年に米ナスダック市場に上場したフィンテック企業。信用スコアなどを基に融資可能かどうか素早く判定するシステムをクラウド上で構築し、住宅リフォーム事業者に提供する。
最大600億ドル(約6兆5800億円)規模の新たな自社株買いプログラムを公表した。
●決算関連
売上高は48%増の69億9千万ユーロ、純利益が前年同期の4倍近い8億5千万ユーロ(約1100億円)だった。欧米を中心に新型コロナウイルス対策の規制が緩和され、これまで抑えられていた消費が戻った。
欧米では新型コロナ禍で20年春ごろからロックダウン(都市封鎖)などの厳しい規制が相次ぎ、店舗も閉鎖を余儀なくされた。だがワクチン接種が進み、死者数がこれまでのように増えていないことなどから各国は21年に入って規制を緩和している。足元ではインディテックスの世界約6700店舗のうち99%が営業している。
コロナ禍を通じて伸びたのがオンライン販売だ。21年2~7月のオンライン販売は前年同期比36%増で、コロナ前の19年2~7月に比べると137%増えた。22年1月期通期では売上高全体の25%以上をオンライン販売が占める見通しだ。
同社はオンラインで受けた注文を近くの店舗の在庫から発送するなど、ネットとリアルの連携に力を入れている。店舗数は20年春時点で約7300店舗あったが、小型店を減らして大型店を出すなどして店舗運営を効率化している。20~22年のデジタル関連投資は10億ユーロを見込んでいる。
●マクロ・その他
国家統計局が15日発表した主要70都市の新築住宅価格(政府支援住宅除く)は前月比0.16%上昇と、年初来で最低の伸び。中古住宅価格は前月を0.02%下回り、昨年2月以降で初の値下がりとなった。
住宅部門の規制と不動産開発大手の中国恒大集団の債務危機深刻化が、買い手のセンチメントを損なっていることを示している。
同日発表された1-8月の不動産開発投資は前年同期比10.9%増の9兆8100億元(約167兆円)。同期間の不動産販売額は同22.8%増の11兆9000億元、住宅販売額は同24.5%増の10兆8100億元だった。
8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.2%上昇。中銀目標の2%まで鈍化した前月から再び上向き、2012年3月来の高水準を記録した。予想以上のインフレ加速を受けて短期市場は、中銀が22年末までに恐らく2回の利上げで政策金利を0.5%とするとの見通しを織り込んだ。
原油相場は8月下旬以降、着実に上昇してきた。ハリケーン「アイダ」の上陸に伴い、メキシコ湾岸での石油生産の大部分が停止されたことが一段の上昇要因となった。同地域では生産施設の約40%がなお操業停止となっている。
NY連銀製造業景況指数は34.3に上昇-前月18.3
新規受注は33.7と、17年ぶりの水準に上昇。出荷は26.9と、前月から22.5ポイント急伸した。
販売価格の指数は前月から1.8ポイント上昇して47.8と、過去最高を記録。仕入れ価格指数は75.7で、前月からはやや低下したものの、なお高い水準にある。入荷遅延の指数も過去最高となった。
中国当局は不動産開発大手、中国恒大集団の主要債権銀行に、今月20日が期限の利払いを同社が行わない見込みだと伝えた。事情に詳しい関係者が明らかにした。国内最大級の債務再編が一歩近づいた。
また、来週は少なくとも1件のローンで元本の返済ができない見込みだと関係者の1人が語った。約8400万ドル(約92億円)のドル建て債のクーポンを期日の23日に支払うかどうかも不透明だ。
銀行と債券保有者、納入業者、住宅購入者に対する中国恒大の債務は中国で最大級の金融リスク源となっている。ブルームバーグの計算によれば、6月30日時点の負債は5718億元(約9兆7000億円)に縮小していた。一方、貿易その他の支払残額は6カ月前から15%増え9511億元に達している。
英南東部ケント州の送電施設で15日未明に火災が発生し、フランスと電力を融通するインフラの一部が機能を停止した。火災が起きたのは英送電大手ナショナル・グリッドの変電所で、英国とフランスを結ぶ海底送電線「IFA」を扱う施設。ナショナル・グリッドは再開について2022年3月27日以降になるとの見方を市場参加者に通知した。
同日のロンドン市場では卸電力の取引価格が大きく上昇。8月までと比べて4~5倍に跳ね上がっている。発電に使われる天然ガスの世界的な高騰や経済回復、風量の不足に伴う風力発電の稼働低下などが背景にある。
また、発電用の需要が高まるとの思惑で英国の天然ガス先物は一時前日比18%高と急騰した。世界的なエネルギー価格の高騰に拍車をかけた。米金融大手ゴールドマン・サックスは14日付のリポートで、冬場にかけて欧州とアジアの両方で厳しい天候になれば、欧州で天然ガスが在庫不足に陥る恐れを指摘した。最悪の場合は電力・ガス価格が需要を壊すほどに上昇したり、産業界が停電に直面したりするリスクもあると言及した。
中国国家統計局が15日発表した8月の工業生産は、新型コロナの打撃から復調し始めた2020年7月(4.8%)以来の低い伸びとなった。季節の変動要因をならした前月比伸び率は0.31%とより鈍い。
デルタ型の感染拡大が消費に及ぼす影響に加え、港湾の人手不足など供給網の混乱が長引いている。
世界的な半導体不足の影響も深刻だ。8月の自動車生産は前年同月より2割近く落ち込んだ。減少は4カ月連続だ。
加えて企業の体力をじわじわと奪うのが原材料高だ。投機資金の流入もあって一部の商品価格が高騰し、中国の中間財や素材に波及している。8月の卸売物価指数は前年同月比9.5%の上昇と、13年ぶりの水準を記録した。
振るわない雇用、賃金は内需に波及する。消費動向を反映する社会消費品小売総額(小売売上高)は8月、前年同月比2.5%増にとどまった。全体の1割を占める飲食店が4.5%減と落ち込んだことが響いた。
また、中国は感染者が出た地区の封鎖政策を採ってきた。今夏の感染拡大でも省をまたぐ移動の制限や観光地の閉鎖が相次ぎ、接触型消費の重荷になった。
8月の鉱工業生産指数(2017年=100)は101.6で、前月の改定値から0.4%上昇した。米南部に上陸したハリケーン「アイダ」の悪影響が一部で出たが、全般には良好さを保ち、新型コロナウイルス感染が本格化する前の20年2月を上回る水準に回復した。
FRBの試算では、アイダによる被害が指数を0.3%押し下げた。
法人税の最高税率は現行の21%から26.5%に引き上げられるが、中小企業の税率は引き下げる。また、米多国籍企業が海外で得る利益への課税を拡大する。2017年にトランプ前政権下で導入された最低税率を引き上げるとともに、そうした所得の一部に与えている適用免除を縮小することで実現を目指す。
個人所得税の最高税率は、トランプ前大統領の署名で17年に成立した減税措置の前の水準である39.6%に戻す。また、500万ドルを超える所得には3%の付加税を課す。キャピタルゲイン税の課税率は、今年9月13日より後に高所得者が行う取引を対象に20%から25%に引き上げる。
●市況
日経先物(大証)30433、ダウ先34835、債先151.87、米1.304、独▲0.3120、仏0.021、西0.339、伊0.697、原油72.59、ドル円109.32、墨ペソ19.86、トルコリラ8.4310、墨CDS85
※9/16 8時30分頃
備忘録(9/14)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ラテンアメリカ地域のテクノロジー企業に投資する2号ファンドを設立し、30億ドル(約3300億円)の出資枠を設けたと発表した。2019年に発表した50億ドル規模の1号ファンドの運用成績が好調なためだという。今後2号ファンドへの追加出資も検討する。
新型コロナウイルス危機に伴う市況悪化は2024年までに解消し、アジアを中心に30年までに約1万9000機の商用機の需要が生まれると推計した。保守・整備などのサービス需要や軍用を含めた市場規模は10年で9兆ドル(約990兆円)に上る見込みだ。
23年から24年にかけて旅客需要がコロナ危機前の水準に回復する。小型旅客機と貨物機を中心に商用機の需要が上向き、10年間で新造機の需要が3.2兆ドル、整備などのサービス需要も3.2兆ドルにのぼると見積もった。市場規模の見通しを20年予測の8.5兆ドルから6%引き上げた。
40年までの20年間では、前年予測より500機多い4万3610機が必要になると推計した。中国、アジア太平洋、欧州、北米の各市場が需要の2割ずつを分け合う。サイズ別では単通路の小型機が3万2660機と全体の75%を占め、双通路のワイドボディー機は7670機、90席以下のリージョナル機は2390機とみている。
羽田―シアトル線を12月に再開するほか、羽田―ニューヨーク線、成田―ホーチミンシティ線など北米、アジア路線の一部も増便する。新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込んでいたビジネス客などの需要が回復しているため。貨物輸送の需要増を受け欧州路線の一部も増便する。
2020年度事業計画に対して実際の運航割合を示す国際線の運航率は、9月から22年1月までで20~22%となる。
航空・鉄道業界で実質上の税金の前払いに当たる「繰り延べ税金資産」が急増している。JR東日本やANAホールディングス(HD)など主要5社では6月末に2020年3月末比75%増の約1兆3200億円と最大になった。同資産は将来、想定した収益を確保できなければ取り崩す必要があり利益を押し下げる。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長引くようなら、中長期での取り崩しリスクも増しかねない。
「ソフトバンク中南米ファンドⅡ」では、域内の電子商取引やデジタル金融サービス、ヘルスケア、教育、ブロックチェーン、保険会社に焦点を当てていくと説明した。
●その他産業
米国の販売金融子会社で16日起債予定のドル建て社債の発行条件を決めた。年限が3年、5年、7年の3本。発行額と金利は3年ものが5億ドルで1.125%、5年ものが10億ドルで1.850%、7年ものが3億5000万ドルで2.450%。ローンやリース販売の資金に充てる。米販売台数は多目的スポーツ車(SUV)「ローグ」などが伸び4~6月期に前年同期比約7割増えており、社債発行で販売金融の資金需要に備える。
物流拠点で働く従業員12万5000人を新たに採用すると発表した。一部地域では契約時に一時金3000ドル(約33万円)を支払う。労働市場が逼迫するなか、ネット通販の需要の増える年末商戦に向けて人材を集め、物流網を強化する。
人手確保に向けた福利厚生の拡充も進めている。22年1月からは物流拠点で働く時間給の従業員を対象に、大学の授業料を全額支払う。米国内の従業員の教育支援に25年までに12億ドルを投じる計画だ。
第3四半期はマーケッツ部門の減収が前年同期比10%にとどまる公算が大きいと発言。株式がとりわけ好調で、「第2四半期の決算で予想していた数字を上回る」と語った。
投資銀行業務の手数料収入は第2四半期に過去最高を記録。M&A(企業の合併・買収)で活況が続いていることを追い風に、今四半期も前年同期比で増収を確保できる見込みという。
●決算関連
4~6月期の最終損益が8億1500万ドル(約900億円)の赤字となったと発表した。東南アジア域内で新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動制限が今後も続く可能性があるとして、2021年通期の業績見通しを下方修正した。
グラブの利用者の消費額を示す流通総額(GMV)は前年同期比62%増の39億ドル、手数料収入を中心とする売上高は前年同期比2.3倍の1億8千万ドルだった。
主力事業の配車、食事・食品宅配、金融はいずれも前年同期比で成長が続くものの、前四半期比では売上高が17%の減収となった。マレーシアで6月にロックダウン(都市封鎖)が導入されるなど各国の経済・社会活動の制限の影響を受けたためだ。売上高の3分の2を配車事業が稼いでおり、コロナ下でも依然配車が収益の柱となっていることが浮き彫りになった。
グラブは4月、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて米ナスダック市場に上場する計画を発表した。14日の発表では年内の上場計画は維持したものの、通年のGMV見通しを150億~155億ドル、EBITDAを7億~9億ドルの赤字に下方修正した。4月時点では企業価値の総額は約400億ドルになると見込んでいたが、上場時の時価総額も当時の想定より下振れする可能性がある。
●マクロ・その他
8月の消費者物価指数(CPI、1982~84年=100)は前年同月比の上昇率が5.3%となった。前月から0.1ポイント縮小し、ほぼ横ばいの高水準が続いた。新型コロナウイルスの感染再拡大で部材などの供給制約が長引く恐れが高いほか、賃金の上昇圧力も続いている。
左派のフェルナンデス大統領の与党、正義党(ペロン党)が大敗した。11月の本選で上院の過半数維持が危うくなったといえる。中道右派の野党連合「ジュントス(共に)」が2015年の結成後で最大の勝利を収めた。開票率96%の時点で全国の得票率はジュントスが41%、与党は30%にとどまる。
過去130年で詳しい資料が残っている5回のインフルエンザのパンデミックを見ると、新型コロナが今後どんな展開をたどる可能性があるか若干見えてくると、デンマークのロスキレ大学教授(人口保健科学)で疫学者のローン・シモンセン氏は語る。
同氏によると、最も長く続いたインフルエンザの世界的流行は5年だったが、平均2、3年で感染の波が2-4回到来するケースが大半を占めた。新型コロナは2年目が終わる段階で世界的な第3波のさなかにあるが終息が見えておらず、既に最も深刻なパンデミックの部類に入る。
ウイルスは宿主集団を完全に消滅させないように、時間の経過とともに自然に弱まると広く考えられていたが、これは間違いであることを歴史は示しているとシモンセン氏は説明。新たな変異株がその前身より深刻なものになるとは限らないが、「ウイルスは新しい宿主に適応していくため、パンデミック期に致死率が高まることは実際あり得る」という。
パンデミックが向こう半年では終わらないことは明白に見える。現在の感染拡大は大半の人々、恐らく世界人口の90-95%がワクチン接種あるいは過去の感染を通じて一定の免疫を獲得すれば、落ち着くというのが専門家のほぼ共通の見方だ。その鍵を握るのがワクチンだろうと専門家はみている。
感染症の流行がいかに終息するかについて研究するプロジェクトのコーディネーターを務めるオックスフォード大学のエリカ・チャーターズ准教授(医史学)は、今回のパンデミックも過去の例と同じように、異なる場所ごとに異なる時期に終息すると分析している。各国政府は今後、どの程度の流行なら新型コロナとの共存を容認できるか決断を迫られるだろうと指摘する。
アプローチはさまざまだ。新規感染者ゼロをまだ目指している国もあるが、世界が新型コロナを完全に撲滅できる可能性は低い。
「油断せず、相当な謙虚さで対応しなければならない。向こう数日または数カ月でこれを克服できると考えている人は甚だしく誤っている」とオスターホルム所長は語った。
8月は航空運賃が前月比9.1%低下。中古車が1.5%、自動車保険は2.8%それぞれ下がった。ホテル宿泊費とレンタカー料金も下がっており、新型コロナのデルタ変異株の感染拡大による需要減退が、他人との接触機会の多い分野での価格下落につながっていることを示唆した。一方、家賃と帰属家賃は上昇。家庭用家具・備品や自動車部品、男性用スーツも大きな伸びとなった。
8月の数字は、インフレ高進は一時的なものだとする一部の米金融当局やバイデン政権の見解をある程度裏付ける内容となった。3兆5000億ドル(約385兆円)規模の税制・支出計画を掲げるバイデン大統領にとっては、景気刺激策が深刻なインフレを引き起こすとの共和党からの批判をかわす材料にもなりそうだ。
部品不足がなお生産を抑制している。過去1週間ではトヨタ自動車と3Mが共に、半導体不足を理由に自動車生産の見通しを下方修正した。ネスレは原材料価格や輸送コストの上昇を受け、さらに大幅な値上げを実施するとしている。
先のハリケーン「アイダ」の被害で米南部の製油施設や石油化学工場の操業が停止したことも、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に絡むサプライチェーンの停滞状況を悪化させ、価格圧力に拍車を掛ける可能性がある。
9月調査によると、世界経済の成長と企業利益の見通しは約1年ぶりの低水準に落ち込んだ。一方、通常よりも高いリスクを取っているとの回答の割合は9%に上昇した。BofAによると、債券は依然として人気がなく、差し引きで69%の回答者がアンダーウエートにしていた。
調査回答者の84%は米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内に債券購入のテーパリング(段階的縮小)を示唆すると予想しているが、初回利上げの時期に関する予想は2022年11月から23年2月に先送りした。
資金繰りにあえぐ恒大にとって、バランスシートに記載されない投資商品は重要な資金調達手段だ。中国全体に広がる同社への抗議行動は、社会の安定を特に重視する政府の同社救済を巡る決定を左右する可能性がある。
恒大は最大で年率約13%の高金利をうたって理財商品を販売し、獲得した資金を運転資本に回していたという。杜総経理の説明によれば、投資家に返金するため同社が推計する約800億元相当の資産を売却する計画だと、同関係者は述べた。
恒大の理財商品を購入した投資家の多くは従業員だ。同社も従業員に購入を奨励していたという。安徽省だけでも従業員の70-80%が同社の理財商品を購入し、他の地域の支社でも恐らく似たような状況だと、地元テレビ局が従業員1人を引用して伝えた。
「OPECプラス」の減産幅縮小を通じた石油供給拡大をハリケーン「アイダ」による生産停止が打ち消し、世界の石油供給がプラスに転じるのは10月まで待つ必要がありそうだ。
オプション市場はインプライドボラティリティーの上昇を示しているが、実際のボラティリティーは記録的低水準に向かっている。こうした乖離(かいり)は過去において、目先の相場下落と長期的な上昇の先触れだったという。
テクノロジーや学習塾業界に対する締め付けは経済格差是正と生産性向上という長期的ゴールを目指したもので、幅広い民間企業を標的としたものではないと指摘した。また、政府は反競争的行為やプライバシーを侵害し国家安全保障を脅かすデータ収集など特定の行動を規制する意向だと指摘。技術革新にはこれまで以上に重点を置いており、その焦点はインターネット企業のような「ソフトテック」セクターから、半導体、航空宇宙機器、特殊素材などの「ハードテック」産業に移ったと分析した。
ゴールドマンのアナリストらはリポートで、中国は引き続き投資可能だとし、規制が「企業収益を構造的に損なう」可能性は低いとの見方を示した。ハードテックやグリーンエネルギーなど政府の国家発展計画の目標に一致したセクターへのエクスポージャーを選好している。
春華資本のフー氏は、中国によるテクノロジー事業抑制の規制上の目標は他の国々が行っているものと同様だが、規制や執行を巡り中国の方がずっと強力で、ほぼ間違いなく強引な手法を用いている点が主な違いであり、それが短期的には投資家心理と市場に圧倒的なインパクトを及ぼしているのは明らかだとコメントした。
コインベースは融資分野への事業拡大計画について米証券取引委員会(SEC)から警告を受けたばかり。債券格付けはS&Pグローバル・レーティングで「BB+」、ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「Ba1」で、ともに投資適格級を1段階下回る。
米ニューヨーク市の劇場街ブロードウェーが14日、約1年半ぶりに本格再開した。同市では対面での授業による公立学校の新学期が前日に始まるなど社会正常化の動きが加速。ブロードウェー再開で「眠らない街」復活へさらに弾みがつく。
前月比の動きで注目が集まったのは1.5%下落した中古車だ。新車不足と経済再開で需給が逼迫し、4~6月に高騰したが、一服感が出てきた。航空運賃も前月比で9.1%下がった。
モルガン・スタンレーのエレン・ゼントナー氏は「今後、インフレ圧力が持続的にかかっていくことを示す兆候はやや強まっている」と指摘する。
ゼントナー氏が今回のCPIで注目するのは住宅だ。持ち家の購入価格を家賃に換算する帰属家賃や通常の家賃が上昇している。住宅はCPI全品目のうち3割強の寄与度があり、指数への影響は大きい。
住宅価格は都市部、郊外を問わず全米で騰勢を強めており、上昇率は2005~06年の住宅バブル期を上回る。ピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長は「(建材や建設作業員などの)供給不足の解消には時間がかかり、住宅価格も家賃も上昇は続きやすい」と指摘する。
シティグループのアンドリュー・ホレンホースト氏は「最も目を引いたのは外食の価格が前年同月比で4.7%と引き続き上昇したことだ」と話す。記録的な人手不足の中、接客業の賃上げ圧力は強まっており、「販売価格に着実に転嫁されているサインだ」と指摘する。
FRBでも「インフレに影響してきた供給網(サプライチェーン)の混乱は当初の想定より長引くことがわかってきた」(フィラデルフィア連銀のハーカー総裁)との見方が広がっている。中古車などの高騰が一服しても、幅広い品目への物価上昇圧力が収まるとは限らなくなっている。
2020年の世帯所得の中央値は6万7500ドル(約740万円)で、前年から2.9%減った。11年以来9年ぶりの大幅な減少で、新型コロナウイルス流行による景気後退が家計にもたらした打撃の大きさを示した。所得減は主に雇用の減少によるもので、収入のある労働者数は前年より300万人減った。フルタイムで年間を通じて働いた人は1370万人減り、統計開始の1967年以来最大の減少幅となった。
貧困率は11.4%で、前年の10.5%から0.9ポイント上昇した。上昇は6年ぶり。貧困者数は3720万人で330万人増加した。
●市況
日経先物(大証)30173、ダウ先34608、債先151.81、米1.284、独▲0.3455、仏▲0.018、西0.304、伊0.653、原油70.75、ドル円109.72、墨ペソ19.91、トルコリラ8.4426、墨CDS83
※9/15 8時10分頃
備忘録(9/13)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
●その他産業
●決算関連
6-8月の売上高は3.8%増の97億3000万ドルとブルームバーグ集計のアナリスト予想平均は97億7000万ドルを下回る。6-8月は企業財務管理用アプリケーション「フュージョン」の増収率が32%と、前期の46%から縮小した。
9-11月(第2四半期)について、売上高が前年同期比3-5%増になるとの見通しを示した。アナリスト予想平均では4%増の102億ドルが見込まれていた。一方、1株利益は1.09-1.13ドルの見通し。アナリスト予想平均は1.09ドル。
決算発表を受け、オラクルの株価は時間外取引で一時3.7%安となったが、見通しが発表されると下げ幅を縮小した。通常取引終値は88.89ドル。年初来の上昇率は37%と、S&P500種株価指数の約2倍に達している。
●マクロ・その他
主張する金融所得課税の引き上げは物価安定目標のインフレ率2%を達成後に実施する考えを示した。「減税ばかり主張するのは不誠実だ」とも語った。
美団は2021年に入ってから何度も当局の指導をうけ、4月には独禁法違反の疑いで調査も受けた。王氏はその後の5月、自身の会員制ブログに秦の始皇帝を批判する唐詩を載せ、同氏がいまの体制に不満を持っているのではとの臆測を呼んだ。
18年に香港取引所に上場した際には325億香港ドル(当時の為替レートで約4700億円)を調達し、いまの利用者数は6億人を超える。
主力のフードデリバリーのほか、旅行予約や口コミサイトなど生活全般に関わる様々なサービスを展開。15年にはアリババのライバルの騰訊控股(テンセント)からも出資を受け入れ支援を得た。
足元の業績は悪くない。21年4~6月期の営業損益は32億元(約560億円)の赤字だが、本業のフードデリバリーや旅行事業の営業利益は2倍弱だった。3月には「新規事業への投資を増やすため、赤字が続く可能性がある」と公表済み。さらなる成長にむけ赤字覚悟で新規事業に投資するまでは計画通りだった。
だがここにきて、想定外の三重苦に直面している。1つ目は10億ドル(約1100億円)規模との観測もある独禁法違反への制裁金だ。同社は6月末で現金・現金同等物は713億元(約1兆2000億円)あり、直ちに資金繰りに困ることはなさそう。それでも有力な出店企業が競合に移れば、自社サービスの魅力が下がりかねない。
2つ目は習近平(シー・ジンピン)指導部が掲げる「共同富裕」だ。貧富の格差を縮め共に豊かになるとの方針で、巨大ネット企業に厳しい目を向ける。「『共同富裕』は会社の理念と完全に一致する」。王氏はこう述べて配達員の待遇改善に取り組むと訴える。もっとも20年末で950万人の配達員が働く美団にとって、待遇改善は収益の圧迫要因となる。
既存事業に加え、期待の新規事業にも規制の影が及ぶ。これが3つ目の苦難だ。中国では新型コロナウイルス下で、居住地区単位で生鮮品などを割安に団体購入するサービス「社区団購」が急速に普及。美団も同事業への投資を大きく増やしていた。
米議会民主党は連邦法人税率を現在の21%から26.5%に引き上げる案の検討に入った。子育てや教育の支援などに10年で3.5兆ドル(約380兆円)を投じることをめざす歳出・歳入関連法案の主要財源の一つ。バイデン米政権が当初想定していた28%よりも引き上げ後の税率の水準を抑える案となる。
ノムラ・インターナショナル(香港)のクレジットアナリスト、アイリス・チェン氏は債務再編は「ほぼ不可避だ」と述べ、政府の監督下でのディールに基づき、恒大が住宅引き渡しとサプライヤーへの支払いを確実にし、ドル建て債保有者は投資額の25%を回収するのが基本シナリオだと説明した。
恒大が無秩序に破綻すれば、金融システムへの脅威となる恐れがある。中国当局は明らな前例がないため、3000億ドル(約33兆円)以上の負債を抱える恒大のような債務問題を解決するメカニズムを今後試していく必要がある。
以下に3つのシナリオを挙げる。
基本シナリオ:恒大が債務を再編し、債券保有者は資金の一部を回収するシナリオだ。ノムラのチェン氏は中国の不動産業界の発行体企業の一部に最初こそ影響する可能性もあるが、主要な脅威が取り除かれるためセンチメントは改善すると予想する。クレジットサイツのチャイ氏は、再編プロセスに政府が関与する公算は大きいとしながらも、デフォルトを阻止したり、最後の債権者として受け止められたりすることはないとコメント。クレジット市場でのモラルハザード(倫理観の欠如)に対処しつつ社会や金融、経済への影響を抑制するため、共産党の関与は後になるだろうとした。
非現実的シナリオ:国有企業による完全もしくは部分的買収の可能性はあるが、ノムラのチェン氏はこのシナリオ通りになる確率は低いとみる。恒大は市場環境が改善すれば上場資産をより良い価格で売却する可能性もあり、その場合は債券保有者の回収率が30%以上になると予想する。クレジットサイツのチャイ氏によれば、恒大は手元流動性を向こう1年で改善するため時間を稼ぐ可能性もある。そのシナリオでは、恒大は近く満期を迎えるドル建て債の一部を返済することになるという。恒大は非中核資産の売却を目指しており、目先の債務返済を支えるだろうが、同社は先月、その取り組みが不十分ならデフォルトリスクがあると明らかにした。
悪夢のシナリオ:清算は債券保有者がほとんど何も得られないシナリオだ。クレジットサイツのチャイ氏によれば、これは「中国の不動産や金融全般だけでなく、恒大のサプライヤーなど関連企業にとっても大混乱をもたらす」ため起こりそうにないシナリオだという。モルガン・スタンレーのアナリストらは、中国不動産開発会社のリストラでは「全ての当事者に清算シナリオの回避が奨励されている」と指摘する。また、恒大が簿外債務の一部を帳簿上に戻す可能性もネガティブなシナリオだとノムラのチェン氏は指摘する。これらの資産はドル建て債よりも優先順位が高くなる可能性があり、簿外債務が予想より多ければ、債券保有者の回収率は15%未満になる恐れもあるという。
金利市場は、10月のMPCで、8月に見送った0.25ポイントの利上げを決定すると予想しているが、さらに大幅な政策金利引き上げもあり得る。
NZ中銀のタカ派的トーンに加え、最大都市オークランドを除いて全国的なロックダウン(都市封鎖)を解除する政府の決定を受け、10年債利回りは先週2%を上回り、一時2019年4月以来の高水準を付けた。
NZ金利市場は10月の0.25ポイント利上げと11月の同幅の追加利上げを完全に織り込み、10月の0.5ポイント利上げについても4%の確率を反映している。
同社が手掛けた住宅の購入者や個人投資家から強く抗議を受けているだけでなく、自社の従業員の反発も招いている。中国当局は同社の債務危機が社会不安をあおらないよう、目を光らせる。
深圳にある恒大の主要オフィスには未払いとなっている資産運用商品(WMP)、いわゆる理財商品の返金を求める多くの人が詰めかけ、13日夜には警察が出動する事態となった。財新が報じたところによれば、12日時点で抗議者は数百人に上っていた。
恒大は先週後半、WMP保有者に対して返金が長期にわたり遅れる案を提示し、これが猛反発を引き起こした。規制が緩いWMPは、恒大にとって重要な資金調達手段となっていた。同社は13日、反発を和らげようと提案を微修正したが、個人および機関投資家は恒大が開発した不動産という形での払い戻しを受け入れない限り、返金が遅れる事態は変わらない。
投資家2人の情報によれば、恒大はWMPの払い戻し案として3種類の選択肢を提示。現金の分割払いか不動産での支払い、あるいは投資家が購入した住宅物件の支払残高からの相殺などが含まれていた。匿名を条件に述べた同投資家は、商品マネジャーから説明を受けた。
米国が突出している要因について、ハーバード大学のジェーソン・ファーマン教授は「私自身は財政刺激策の方をより重視している」と語る。国内総生産(GDP)の約4分の1に相当する大型経済政策により、米国の景気はコロナ禍の底から想像以上に早く抜け出すことができた。
国際金融協会(IIF)のチーフエコノミスト、ロビン・ブルックス氏は、こうした財政刺激策主導のインフレが早期の金融引き締めにつながれば、米国の異例の景気回復が他の国・地域にとっては問題になる可能性があると指摘。2013年の「テーパータントラム」の時と同様に新興国市場から資金が流出する恐れがあるとの見方を示した。
●市況
日経先物(大証)30497、ダウ先34925、債先151.84、米1.326、独▲0.3295、仏▲0.001、西0.331、伊0.683、原油70.61、ドル円110.01、墨ペソ19.87、トルコリラ8.4261、墨CDS83
※9/14 8時20分頃
備忘録(9/10-12)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
アメリカン航空など大手各社は9日までに7~9月期の需要や業績見通しを下方修正した。これまでは米国内の観光需要が回復をけん引してきたが、デルタ型の感染拡大で飛行機の利用を見送る人が増えたほか、企業のオフィス復帰が延期されて出張需要が戻らないことが足かせとなっている。デルタ航空は7~9月期の売上高を2019年の同期比で30~35%減としていた当初予測について、「下限(35%減)になりそうだ」と述べた。「法人需要の回復を見込んでいたが、各社のオフィス再開の延期を受けて回復が止まっている」と説明した。アメリカン航空は7月時点で7~9月期の売上高を同20%減と予測していたが、24~28%減に引き下げた。ユナイテッド航空も同期間の提供座席数の見通しを引き下げた。
米銀バンク・オブ・アメリカが10日に公表したクレジットカードの利用動向では、航空への利用額が8月に前月比19.5%減と急減速した。宿泊施設(1.2%減)や飲食店(1.3%増)など他の分野と比べて回復の鈍さが目立つ。
米運輸保安局(TSA)によると、保安検査所の通過人数は7日移動平均でみて19年比約15~20%減の水準で足踏みしている。米航空業界団体のエアラインズ・フォー・アメリカによると米国内線の旅客数は7月以降、コロナ前と比べ1~2割減で推移する。国際線は路線によって回復の明暗が分かれる。旅行需要がけん引する米ーメキシコ路線は2割増と好調だが、太平洋路線は同9割減と大きく低迷したままだ。国境制限が緩和されてきた欧州と米国をつなぐ大西洋路線の旅客数は6月以降に増え始め、直近で6割減となっている。
米国の航空需要は国内線が主体だ。米運輸省の統計では、コロナ前の19年時点で国内線の旅客数は全体の77%を占める。コロナ下で国内線への依存度はより高まっている。各社は足元の需要見通しを引き下げたものの、中長期は強気の姿勢を崩していない。ユナイテッドは変異ウイルスについて「過去の感染拡大よりも旅客需要への影響は少なく、一時的だ」とみる。
深刻なのは航空会社や関連会社の人手不足だ。米国では52万人がコロナ前に航空業界に従事していたが、8月の雇用者数は45万人にとどまる。米大手航空会社の客室乗務員は「空港によっては常に欠員状態。法定休憩時間が終わるとすぐに呼び出しがかかる」と多忙を極める。アメリカン航空のパイロット1万4000人が加入する労働組合は9日までに「我々は記録的な数の再配置に対応し、疲弊している」との通知を組合員で共有し、労働環境の改善を求め今後数週間で主要な空港でデモ活動などを展開する方針だ。需要の偏りに対応できるかが焦点となる。
航空関連の温暖化ガスの排出量を2030年までに20%削減する目標を発表した。排出量を大幅に削減できるSAF(持続可能な航空燃料)を増産し、民間航空機などに活用するのが柱。取り組みを加速し、50年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標の達成につなげたい考えだ。
米国は二酸化炭素(CO2)排出量が中国に次いで世界で2番目に多い。国防以外で、米国内と米国発着で運航する航空機からの排出量は輸送関連の11%を占めており、排出量削減の鍵を握る分野の一つとなっている。
SAFの供給量を現在の年450万ガロン(米で1ガロンは約3.8リットル)から、30年までに年30億ガロンへ増やすため、関連企業への資金支援を打ち出した。欧州連合(EU)も、30年までに航空燃料に占めるSAFの割合を5%とする目標を掲げている。
米航空大手では、ユナイテッド航空が35年までにCO2排出量を19年比で50%削減する目標を発表。デルタ航空やアメリカン航空はSAFの使用を増やす計画を表明した。
債務の一部を株式に振り替えるデット・エクイティ・スワップ(DES)を同日付で実施した。政府は昨年末、JR四国に5年間で約1000億円を支援すると決めており、その支援策の一環となる。
水ビジネス世界首位、仏ヴェオリア・エンバイロメントによる巨額買収提案が7月に認可された。業界2位の仏スエズを総額260億ユーロ(約3兆4000億円)で買収し、売上高約370億ユーロの巨人が誕生する。水ビジネスは、水不足といった「2030年問題」などを背景に市場規模が拡大している。気候変動の次の投資テーマとも言われる中、ヴェオリアの攻めの一手の成否が注目されている。
●その他産業
日本車6社の2021年度の当初計画からの減産規模が、現時点で100万台を超えることが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で大規模な減産を強いられた20年度に並ぶ規模と見られる。足元では東南アジアでのコロナ感染が再拡大している。同地域は車載半導体のアジアの供給基地で、影響は欧米の自動車メーカーにも広がっている。
世界セメント大手のホルシム(スイス)は10日、ブラジル事業を同国の鉄鋼大手CSNに売却すると発表した。売却額は10億2500万ドル(約1120億円)で、事業の選択と集中を進める。ブラジルからは撤退するものの、アルゼンチンやメキシコなどでは事業を継続しており、中南米地域は中核戦略地域として今後も事業を続けていくという。
CSNは6月にもセメントを手掛ける地場企業を買収している。今回の買収により、同国でセメント業界3位となる。近年の経済低迷でブラジルの建設市場は伸び悩んでいるが、中長期的に成長機会が見込めるとしている。
住宅ローン業務で顧客の損失軽減措置に不備があり、OCCが2018年に求めた要件を満たしていなかった。大手銀行に対する米当局の厳しい姿勢が改めて浮き彫りになった。
ウェルズは18年に自動車や住宅ローンを巡る不正でOCCと米消費者金融保護局(CFPB)に対し、罰金10億ドルを支払った。両当局の監督下で業務改善に取り組んでいたものの、この日までにOCCの要求水準を満たせなかった。住宅の差し押さえを回避し、顧客の損失を抑えるプログラムに不備があるという。
OCCは罰金に加え、事業拡大に制限を課した。問題が解消されるまで、ウェルズが他の金融機関から住宅ローン債権を取得したり、消費者がローンをウェルズに移したりすることを禁じた。
ウェルズは不正行為の発覚が相次ぎ、当局から厳しい目を向けられている。16年には顧客の承認手続きを経ずに銀行口座を開設したり、クレジットカードを発行したりする不正営業が明らかになった。この不祥事を巡っては20年、米司法省と米証券取引委員会(SEC)に対して、合計30億ドルの制裁金を支払った。
特に注力するのは次世代の医薬品とされる核酸医薬。米マサチューセッツ州などの拠点で生産拡大に250億円を投じる。核酸医薬はがんなどの治療薬として開発が進んでおり、日東電工は核酸医薬の原薬では世界シェアの6割を握る。現在は臨床試験用が中心だが、商業生産向けに事業を拡大する。
11月には、新型コロナウイルスワクチンの効果を高める「核酸免疫補強剤」を、ナスダック上場のバイオ医薬メーカーの米ダイナバックス・テクノロジーズに提供する。核酸医薬事業を24年3月期までに売上高400億円規模に育てる。
プリント回路事業には650億円以上投じる。データセンターやスマートフォン向けの部品需要が高く、高崎秀雄社長は「短期間で生産能力を上げるには大きな設備投資が必要」と説明した。
オーストラリアのエネルギー大手サントスは10日、パプアニューギニアの同業最大手オイルサーチと合併することで正式に合意したと発表した。サントスは今年6月に合併を提案、オイルサーチが拒否したため8月に提案内容を修正していた。サントスは規模を拡大し、コスト削減など効率化を進める。
両社の石油・ガス生産量の合計は2021年で約1億1600万バレル(石油換算)を見込む。合併後の新会社の時価総額は210億豪ドル(約1兆7000億円)になり、世界の石油・ガス企業の上位20位に入るという。
米鉄道大手カンザスシティー・サザン(KCサザン)は12日、カナダの同業大手カナディアン・パシフィック鉄道による買収提案を再び受け入れると発表した。債務を含む買収総額は310億ドル(約3.4兆円)。
パシフィックは3月、総額290億ドルでの買収でKCサザンと合意したが、ナショナルが総額336億ドルの対抗案を提示したため一度は破談となった。ただ、ナショナルの買収案は規制当局の承認を得られない可能性があるとみて、その後再提案を持ちかけていた。
ナショナルによる買収が実現した場合、米国、メキシコ、カナダの鉄道網を一体運営する北米で第3位(営業収入ベース)の鉄道会社が誕生するはずだった。規制当局はナショナルより規模の小さいパシフィックによる買収は競争上の懸念が少ないとして、議決権信託の使用を承認済みだ。
KCサザンは米中西部とメキシコを結ぶ輸送網などを持ち、自動車などの工業製品や農産品の貿易に重要な役割を持つ。米国、メキシコ、カナダの3カ国の新たな貿易協定(USMCA)発効や供給網(サプライチェーン)の見直しで域内の輸送需要は中長期的に拡大を見込む。
●決算関連
主力だった海外旅行需要の蒸発が響き、旅行事業の売上高は、前年同期比で90%減と大幅に落ち込んでいるほか、「非旅行」部門のテーマパークやホテル事業も赤字が続いた。21年10月期通期の業績見通しは引き続き未定とした。
政府は今秋をめどにワクチン接種証明書などがあれば、宣言下でも県境を越える移動も認める方針を示しており、国内旅行需要は一定程度回復する可能性がある。だが海外旅行の本格的再開には時間がかかる見込み。HISは最大で全社員の4分の1にあたる約1500人をグループ外に出向させるほか、21年7月時点の国内店舗数を19年同月比で38%削減し、体質改善を進める。
コロナ禍の長期化に備え、手元資金の確保や財務面の強化も急いでいる。9月には本社を置く東京・虎ノ門のオフィスビル「神谷町トラストタワー」の4~5階フロアを324億円で売却した。自己資本比率は21年7月末時点で14.4%と前期末の17.8%から低下しており、資本増強策として、政府系金融機関の日本政策投資銀行から資本支援を受けることも検討している。
●マクロ・その他
新型コロナウイルス対策で実施してきた債券購入のペースの縮小を決めた。金融政策の正常化への最初の一歩といえるが、量的緩和終了までの道のりはかなり遠い。コロナ危機を克服するために大量の国債発行を続ける各国を支えるため、当面は債券購入をやめられないという事情がある。
利上げは3月から5会合連続で、インフレ率の高まりを抑える狙いだ。ロシアでは新型コロナウイルス対策で実施していた行動規制などの緩和や世界経済の回復を背景に、消費者物価が上昇傾向を強めている。中銀によると、8月の消費者物価は前年同月比で6.68%上昇。7月にはさらに高まった。中銀が目標とする年4%を大きく上回っている。
ロシア産の天然ガスをバルト海経由で欧州に供給するガスパイプライン「ノルドストリーム2」の敷設工事を完了したと発表した。2021年末までの稼働を予定している。
ロシア北西部からドイツ北東部に至る全長約1200キロメートルで、年間輸送能力は550億立方メートル。輸送量はガスパイプラインでの欧州向け天然ガス供給量の約4分の1に当たる。ほぼ同じルートで11年に稼働したノルドストリームとあわせて、ロシアの欧州向け供給量の約半分を担うことができる。
ノルドストリーム2を巡っては、米国が制裁を発動して完工の阻止に動いていたが、米国はドイツがウクライナのエネルギー調達を支援することなどを条件に、7月には完工を容認する姿勢に転じた。
供給サイドでは、コロナ禍で膨らんだ受注残が企業に新たな生産設備への投資を迫っている。環境に一段と配慮するよう求める動きは電気自動車(EV)やバッテリー、代替エネルギーへの支出を促し、深刻な半導体不足が投資の勢いに弾みをつけている。
需要サイドでは消費者支出が繰り延べられていることが、企業幹部に設備投資を確信させている。新型コロナのデルタ変異株が影を落とす中でも、各社が景気回復見通しに賭けている兆しであり、低金利が続くとの見通しがこうした傾向に拍車を掛けている。
野村ホールディングスのグローバル市場調査責任者ロブ・スバラマン氏は、「資本の蓄積は生産性向上を高める鍵であるため、企業投資の回復は長期の成長にとって極めて重要だ」と指摘し、「前例のない世界的な政策刺激策が薄まると、世界は成長を維持するために企業投資と構造改革を必要とする」と述べた。
独連邦議会選挙(総選挙)まで2週間。中道左派のドイツ社会民主党(SPD)が支持率でリードし、中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が追う展開となっている。注目された12日のテレビ討論会も社民党の首相候補、ショルツ財務相が勝利した。ただ、両党の差はまだ小さく、シュレーダー氏以来16年ぶりの社民党出身の首相誕生には連立交渉という難関もある。
大手行の2021年1~6月期の業績は新型コロナウイルスからの経済回復を受けて改善。4行合計の不良債権残高は6月末に1兆325億元(約18兆円)と20年末に比べて3.3%増だった。1年で22%増えた20年に比べて増加ペースが鈍った。不良債権比率は平均1.47%と、20年末に比べて0.08ポイント低下した。
もっとも、改善はまだら模様だ。不動産業向けに限ると、中国銀の不良債権比率は4.91%と1年前の0.41%から跳ね上がった。リスク管理を担当する劉堅東氏は「海外資産には一定の劣化圧力がかかる。コロナの影響を大きく受ける航空や不動産、輸出企業に注意が必要だ」と話す。
中国当局は不動産の投機的な取引を取り締まるため、融資制限など開発業者への締め付けを強めている。米ジェフリーズのアナリスト、陳姝瑾氏は「当局の姿勢はかつてなく厳しく、影響が長引きそうだ。景気悪化に不動産の締め付けが重なれば、来年は厳しい状況になる。全体の不良債権比率が上がる可能性がある」と指摘する。格付け会社フィッチ・レーティングスも「一部の開発業者は流動性や借り換えのリスクに直面する」と警告した。
地域ごとの傾向も一様ではない。遼寧省や吉林省など経済成長が遅れる東北部で資産内容の劣化が目立つ。工商銀の場合、東北部の不良債権比率は3.9%と、広東省など珠江デルタ(0.96%)より突出して高く、20年末の3.38%に比べても悪化した。
地場企業向け貸し出しが多い中小金融機関も厳しい。香港紙・東方日報によると、香港上場の中国本土銀行のうち4割が、6月末の不良債権額、比率の両方が20年末に比べて悪化した。
習近平(シー・ジンピン)指導部は「共同富裕(ともに豊かになる)」を旗印に、格差是正を進める。高騰する不動産価格の抑制は優先課題の1つだ。半面、急激に締め付ければバブルが崩壊し、経済全体への悪影響は避けられない。
中国の金融監督当局も21年1月から銀行の住宅ローンや不動産会社への融資に総量規制を設けた。日本経済の長期停滞の起点となったバブル崩壊も、引き金を引いたのは旧大蔵省が1990年に導入した不動産融資の総量規制だった。
●市況
日経先物(大証)29955、ダウ先34645、債先151.77、米1.343、独▲0.3310、仏▲0.001、西0.331、伊0.703、原油69.69、ドル円109.94、墨ペソ19.89、トルコリラ8.4695、墨CDS85
※9/10 NY引け値
備忘録(9/9)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
建造当初は液化天然ガス(LNG)を燃料としながら、将来的に燃料をアンモニアに切り替えられる船舶の開発を始めたと発表した。
アンモニアは水素と窒素の化合物で、燃やしても二酸化炭素(CO2)が出ないため、船舶の次世代燃料として期待されている。海運各社は現在の重油に代わり、まず相対的にCO2排出量が少ないLNGを燃料にする船舶を導入して、さらにその先にアンモニアを燃料として活用する考え。
ANAは10月全体の運航率(2020年度計画比)を73%、JALは10月1~15日の運航率(21年度計画比)を74%とした、JALは10月後半の減便計画を9月16日に発表する予定。
両社は同日、9月の国内線の追加減便も発表した。9月全体の運航率は両社ともに64%。
小型の二酸化炭素(CO2)回収プラントを実用化する。火力発電所などに使う大型装置が一般的だったが、ごみ処理場など小規模施設でもCO2を回収できるようになる。将来は1トンあたりの回収コストを現在の半分程度に下げる。幅広い業種での脱炭素に向けた取り組みを後押しする。
エーザイと共同開発したアルツハイマー病治療の新薬「アデュヘルム(一般名アデュカヌマブ)」の販売が期待された通りには順調に進んでいないとのウォール街の懸念を同社も認めた。
「われわれが当初見込んでいたより、販売のペースは遅い」と語った。社としては短期的な売り上げではなく、アデュヘルムのデータなどの構築に注力していると続けた。
●その他産業
寡占によって食肉価格が高騰しているとして加工大手4社を批判し、独占禁止法(反トラスト法)の活用などを通じて価格引き下げに取り組む考えを示した。市場では景気対策や金融緩和による過度なインフレを懸念する声があり、経済政策への批判をかわす狙いがあるとみられる。
政府は牛肉、豚肉、七面鳥などを含む鳥肉の市場の55~85%を国際的な食肉加工大手JBSなど大手4社が占めていると指摘。「食肉加工業者は新型コロナウイルスの流行の間、消費者や農家を犠牲にして記録的な利益を上げている」と批判した。
インドの自動車工場を閉鎖し、約20億ドル(約2200億円)の再編費用を計上する。過去の経営陣が同社3大市場の一角になると考えていたインドで、事業を大幅に縮小する。
米国の物流拠点で働く時間給従業員75万人を対象に、大学の授業料を全額支払うと発表した。年末商戦を前に人材をめぐる競争が激化するなか、福利厚生を拡充し人手確保につなげる。
高校卒業資格取得に向けたプログラムや、英語を母語としない従業員の英語資格などの関連費用も対象とする。
5年がかりの官製値下げは、多くの国民にとって目に見える形で反映されたと言えるだろう。すでに2010年代半ばに続々と生まれた格安スマホ並みにまで通信料金が下がったことでこれ以上の値下げ余地は少ないとの見方が広まり始めている。
通信各社はすでに値下げの次を見越し、収益源の確保に動いている。通信料金そのものでもうけるのではなく関連するコンテンツなどを育てようという考えだ。
楽天のユーザー数は参入から1年で500万回線を超えた。三木谷浩史会長兼社長は楽天モバイルに加入したユーザーによるEコマースの利用(流通総額ベース)が77%上昇したことを「衝撃的」と自賛し、「ショッピングとのシナジー(相乗効果)は大きい」と話した。
「巨大IT企業に対する監視強化が避けられない時代に入っており、企業は懸念を理解して先回りして対応することが重要になる」と指摘した。
新型コロナウイルス下でクラウドコンピューティングなどの利用が広がるなか、「各国政府はITの価値を認識する一方、懸念に焦点を当てる皮肉な結果を生んだ」との見方を示す。ITの影響が強まっていることから規制強化を「理解できる動き」とする一方、「問題に正しく焦点を当て、微妙な差異を理解して執行する必要がある」と述べた。
規制については国や地域ごとに強化の動きがバラバラに進み、企業活動の妨げになるとの懸念が強まっている。スミス氏は「各国は規制の整備を進める際に協調し、相互に学んでほしい」と注文をつけた。
●決算関連
●マクロ・その他
米国では今週、750万人余りが恩恵を受け、国内経済の大きな支えとなってきた失業給付金の上乗せが終了する。新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中、経済回復の力強さが試されることになる。
8月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は6.31%と、7月に比べ0.03ポイント高くなった。供給過剰の目安となる5%を上回るのは7カ月連続。
港区と渋谷区の2地域で上昇した。港区は7月比0.19ポイント高い8.49%と、5区で最も高い。7月に空室率が下がった渋谷区も、8月は0.22ポイント上昇し6.67%となった。
一方、丸の内地区などで安定した需要がある千代田区は0.05ポイント下がり4.49%だった。中央区や新宿区も低下し、5区全域の上昇幅は6月(0.29ポイント)や7月(0.09ポイント)より縮小した。「一時はテレワーク中心の体制にしたものの、オフィスが足りなくなり再び契約する動きもある」(不動産関係者)という。
平均募集賃料は3.3平方メートルあたり2万932円。7月に比べ0.54%(113円)下がった。下落は13カ月連続。
仲介大手、三幸エステート(東京・中央)の今関豊和チーフアナリストは「今後は東京五輪・パラリンピック関係の事務所などの解約も影響する可能性がある」と指摘する。空室率の緩やかな上昇と賃料の下落は当面続く公算が大きい。
指標となるニューヨーク市場のヘンリーハブ先物の期近物は8日、前日比9.7%高の100万BTU(英国熱量単位)あたり5.010ドルに急伸し、2014年2月下旬以来の高値を付ける場面があった。米国南部を襲ったハリケーン「アイダ」の影響でメキシコ湾の生産量の8割近くが停止しており、供給懸念が強まっている。
首都クアラルンプールで10日から事実上のロックダウン(都市封鎖)が解除されるなど経済活動の再開が進んできており、利下げを急ぐ必要はないと判断した。
ECBはコロナ危機に対処するため、総額1兆8500億ユーロ(約240兆円)の緊急買い取り制度を設け、少なくとも2022年3月まで債券などの購入を続けると約束してきた。現在はおおむね月800億ユーロのペースで買い取りを進めている。今回、今後3カ月の買い取りペースをこれまでの2四半期より「適度に低いペース」にすると決めた。
ただ、債券の購入ペースを落としても、当面は緩和的な金融政策を続ける見通しだ。緊急買い取り制度自体を22年3月で終了するかは、声明文では示さなかった。今後の景気・物価を見極めたうえで、年末にかけて慎重に判断するとみられる。
8月29日~9月4日の週間の新規失業保険申請件数は31万件と、前週の改定値から3万5000件減った。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(33万5000件程度)を下回った。新型コロナウイルスの流行が本格化した2020年3月以降の最低水準を2週連続で更新した。
総受給者数は8月22~28日の週は278万3000人で、前週の改定値から2万2000人減った。こちらも20年3月以降の最低水準となった。
一方、米シンクタンク「センチュリー財団」の試算では、特例措置の打ち切りで750万人が給付を失う。景気回復の恩恵にはばらつきがあり、コロナ危機の打撃が特に大きかった低所得層は雇用環境や所得の改善が遅れている。経済支援策の打ち切りによって回復が鈍くなるとの懸念もある。
中国は戦略原油備蓄を放出した。北半球の今夏、大半の時期で1バレル=70ドルを超えていた原油価格を抑制する狙い。発表を受け、原油先物相場はロンドン、ニューヨーク両市場で下落に転じた。
原材料価格の上昇に伴う圧力を軽減しようと、中国はこれまでにも他の一部商品(コモディティー)で国家備蓄の放出を行ってきている。今回の原油備蓄放出は主として、製油と化学事業を一体的に手掛ける国内企業向け。
中国当局はテンセントやネットイースなどの経営幹部を呼び出し、利益偏重からの脱却を求め、ゲーム促進に対する監督を強化する必要性も指摘した。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、マシュー・カンターマン氏は、「不確実性がかなり残る中で底入れと判断しようとしている向きにとってリスクが浮き彫りになった」と指摘。「今回のニュースはわれわれが既に知る範囲から大きく逸脱するとは思わないが、市場の反応は規制面のニュースを巡る投資家の不安を明確に示している」と述べた。
中国当局は、資金繰り難に陥っている不動産開発大手の中国恒大集団が提案した銀行や他の債権者らとの支払期限を巡る再交渉を承認した。3000億ドル(約33兆円)を超える債務を抱える恒大に一時の猶予を与えることになる。
事情に詳しい関係者によれば、恒大は一部融資で利払いおよび元本の支払期限を守れなかったことから、再交渉計画を先月提示。同国の金融監督トップである金融安定発展委員会(FSDC)がこれを承認した。
関係者4人によれば、恒大はすでに一部銀行などに対して期限延長を求めた。合意にこぎ着けた協議がどの程度あったのか、また、社債保有者に対しても支払いを遅らせる意向なのかは明らかになっていない。
同社の主要取引銀行は、返済を巡る決定を一元化するため債権者委員会を設立することを先週にも協議したが、貸し手と監督当局は強力な措置を取る前に、恒大が流動性問題を解決する時間をもう少し与えることを決めたと、事情を知る関係者が語った。
中国政府は債務問題を解決するよう恒大に迫っているが、大規模な債務再編を認めるのか破綻を容認するのかはまだ示唆していない。
行動規制がほぼ解かれた英国で、オフィスへの通勤客がじわり戻りつつある。ロンドンの地下鉄では9日、朝の通勤・通学時間帯の乗客数がコロナ禍前との比較で初めて5割を回復した。ただ在宅勤務中心の体制を維持する企業はなお多く、完全な正常化には遠い。
ロンドン市内の地下鉄やバスなどを運営するロンドン交通局によると、コロナ禍前の同等日との比較で初めて50%に戻した。9月に入り従業員の出社数を引き上げる動きや夏季休暇明けが背景にある。
英国ではワクチン接種の進展で重症になるケースは減ったとはいえ、9日も3万8013人の新型コロナの新規感染者が報告された。流行に歯止めはかかっておらず、勤務体系の変更に様子をみる企業も多い。
欧州ではコロナ禍を機に柔軟な働き方を認める動きが広がっている。出社と在宅を組み合わせる「ハイブリッド型」がこのまま主流になる可能性もある。ロンドンの金融街シティーでは昼にランチを買い求める行列が以前より伸びるなど徐々に活気は戻ってきたが、コロナ前の人出が完全に戻るかは見通せない。
プーチン大統領にとって重要なロシア下院選が17~19日、実施される。反体制派への徹底的な締め付けなどにより、政権与党の「統一ロシア」の勝利は確実とみられる。焦点は与党がどれだけ多くの議席を確保できるかだ。
両国は国境付近のインフラや貿易、移民問題などについて話し合った。中米諸国で雇用を創出するための支援で協力することや、北米のサプライチェーン(供給網)を強化するために、共同の作業部会を設けることで一致した。
両金属ともクリーンエネルギー移行で果たす役割から長期的な見通しが堅調で、買いが広がっている。中国がエネルギー集約型産業の温室効果ガス排出を取り締まっていることも材料になっている。
金瑞期貨のアナリスト、チョウ・ウェイカン氏は「中国のエネルギー集約型産業への締め付けはアルミからステンレス鋼、ニッケル銑鉄(せんてつ)に広がっている」と述べた。
ギニアのクーデターで、アルミの原料となるボーキサイトの供給が逼迫(ひっぱく)しかねないとの懸念も押し上げ要因となった。
●市況
日経先物(大証)29888、ダウ先34858、債先151.94、米1.297、独▲0.3705、仏▲0.045、西0.292、伊0.668、原油67.95、ドル円109.79、墨ペソ19.94、トルコリラ8.4445、墨CDS85
※9/10 8時30分頃
備忘録(9/8)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
発電量に占める太陽光の比率を2035年までに40%に引き上げられるとの試算を発表した。現在は3%程度にとどまるが、政策で後押しすれば実現できると主張した。バイデン政権は再生エネルギーを増やして電力部門の脱炭素をめざしている。
技術の発達で太陽光発電のコストが下がり、電気代を増やさずに対応できると説明した。50万~150万人の雇用を生むと強調した。太陽光発電の利点を並べて懐疑派から支持を得る狙いがある。
4~6月期決算は、売上高は前年同期2.6倍の3億7千万リンギ、最終損益が5億8千万リンギ(約153億円)の赤字だった。最終赤字は8四半期連続。国内線が回復して赤字額は前年同期比41%縮小したが、国際線は各国の国境管理の強化により苦戦が続いている。
インドネシアやフィリピンなどでは国内の移動制限がいったん緩まり、国内線を再開した。国内線の便数と乗客数はそれぞれ前年同期の3.3倍、3.7倍となった。もっとも国際線はほぼ運航できておらず、マレーシアでは変異型ウイルスにより国内線も低迷した。会社全体の売上高はコロナ前の19年4~6月期の1割強の水準にとどまる。
欧州委員会のウェブサイトによると、承認申請は8日に行われ、欧州委は暫定的な審査期限を10月13日に設定した。
競合他社や顧客企業が同計画の批判を準備をしており、EUは競争上の懸念を検証するため審査期間を少なくともさらに4カ月延長する公算が大きい。エヌビディアは昨年9月にソフトバンクグループ傘下のアームを400億ドル(約4兆4100億円)で買収する合意を発表した際、2022年3月までの手続き完了を見込んでいた。
買収計画を巡っては、英競争市場庁(CMA)がより長期間の審査を実施する方針を既に示唆していた。エヌビディアがライバル企業によるアームの設計へのアクセスを阻むのではないかとの懸念を検証する。英国はさらに、同計画がもたらす安全保障上のリスクも取り上げている。買収実現には米国と中国の承認も必要。
大学・学生用住宅物件を扱う米アメリカン・キャンパス・コミュニティーズは、5月に10億ドル(約1100億円)規模のサステナビリティー連動型のクレジットライン契約を結んだ。
明記されていないのは、このローンに組み込まれている目標達成へのインセンティブがほぼ無意味だということだ。アメリカン・キャンパス・コミュニティーズはESG目標を達成できなくても追加コストに直面することはなく、達成できた場合に節約できる金利は0.01%、つまり100万ドルを借り入れても年間100ドルにとどまる。
ブルームバーグが2018年以降に米国で設定されたサステナビリティー連動の回転信用枠とタームローン計70件余りを分析したところ、4分の1以上がアメリカン・キャンパス・コミュニティーズのクレジットラインと同様の条件だった。つまり目標未達の罰則はなく、達成での金利節約は微々たるものだ。
米企業のESG取り組みに対する監視の目が厳しくなるに伴い、見た目を整えるためにウォール街に頼る企業が増えている。
サステナビリティー連動ローンは比較的新しい形態で、世界的に最近活発化しているグリーンボンドとは異なる。特定のESG目標の達成と金利を連動させることに企業は合意するが、資金の使途は制限されない。米国では今年約930億ドルが設定され、2020年通年の130億ドルの7倍に上るものの、ブルームバーグのデータによれば年初来で約1兆5000億ドルに上る米シンジケートローンのほんの一部にすぎない。
ESG目標達成のための幅広いツールの一つとして活用している企業もあるが、企業が最小限の努力でESGの取り組みを宣伝する手段になっているように見受けられるケースもある。
●その他産業
2021年4~6月期の半導体製造装置の世界販売額が前年同期比48%増の248億7000万ドル(約2兆7300億円)になったと発表した。最大市場である中国を中心に販売が伸びた。世界的に半導体不足が深刻化するなか、増産に向けた設備投資が活発化している。
米決済大手ペイパル・ホールディングスは7日、日本で後払いサービスを手がけるペイディ(東京・港)を買収すると発表した。買収金額は3000億円となる。以前から強みを持つ越境電子商取引(EC)決済に、新たなサービスを加え、日本での事業基盤を強化する狙いがある。資本力のある海外大手の本格参入で競争は一段と激しくなる。
ペイパルの稼働口座数は6月末までに4億を突破。このうち4割は米国外だ。ペイパルで決済可能な加盟店も3200万に達する。時価総額は約3400億ドルで米大手銀行に肩を並べる。
日本市場では海外と商品をやりとりする越境ECの決済に注力してきた。稼働口座数は430万。ペイパルのダン・シュルマンCEOはかねて、世界3位のEC市場である日本を重点地域の一つに挙げていた。現金決済が7割を占める日本は成長余地が大きいとみる。会員数600万人のペイディを買収することで、国内決済市場での存在感を一気に高める狙いだ。
ペイディはクレジットカード不要の後払い決済サービスを手掛ける。日本では数少ない時価総額10億ドル(約1100億円)超の未上場企業スタートアップの一社だ。3月には米著名投資家ジョージ・ソロス氏一族が運営するファンドなどから総額130億円を調達。未上場企業の資金調達としては過去最大規模となり、注目を集めた。
マレーシアの半導体企業ユニセムは、一部工場の操業を7日間停止する。3人の従業員が最近、新型コロナウイルス感染症(COVID19)で亡くなったことを受けた措置。
半導体のパッケージングや検査を提供する同社は、売上高全体の約12%を自動車セクターから稼いでいる。28%は通信、30%は消費者関連が占める。
●決算関連
●マクロ・その他
宇宙軍トップのジョン・レイモンド作戦部長は日本経済新聞の電話インタビューで宇宙の現状をめぐり「一段と混雑してきた」と懸念を示した。各国が経済や安全保障の土台になる人工衛星の打ち上げを拡大。それに伴ってデブリも増え、衝突回避の難度が増す。
混雑はミサイル実験の結果でもある。中国は2007年、ミサイルによる人工衛星の撃墜実験を実施した。米国はこの実験によって3000個以上のデブリが発生したと分析し、現在も監視を続けている。
もう一つの懸念は、ロシアや中国による人工衛星の活動妨害だ。米宇宙軍は20年7月、ロシアが地球周回軌道上の人工衛星から別の衛星に向けて物体を発射する攻撃実験を行ったと批判。ロシアは自国の機器の検査が目的だとして米ロの主張はかみ合わなかった。
中ロはこれまで宇宙の軍備管理に前向きな姿勢を示しながらも、宇宙への兵器配備の制限を主張してきた。米軍が宇宙にミサイル防衛システムを配備することを阻止する狙いがあるとされる。米国は中ロの提案を拒否し、宇宙の軍縮協議は停滞してきた。宇宙での衝突リスクが高まるなかで、国際協調にはハードルがある。
米宇宙軍トップのジョン・レイモンド作戦部長は、中国が人工衛星の攻撃を目的とした兵器開発を推進していると指摘し「(中国は)起きうるいかなる戦闘でも開発中の能力を使うと確信している」と述べた。同盟国とともに宇宙を共同で防衛していくべきだとの認識を示した。
8月に復活した連邦政府の債務上限の引き上げを改めて議会に要請した。手元の現金や公務員の退職年金基金の一部投資の停止といった臨時措置による資金繰りは「10月中に使い果たす可能性が最も高い」と指摘。放置すれば「米国は史上初めて債務を履行できなくなる」と警告した。
安門事件の犠牲者の追悼集会を長年開いてきた民主派団体の幹部4人を逮捕した。警察が求めた資料提出を拒み、香港国家安全維持法(国安法)に違反した容疑に問われた。香港で民主派の存続は一段と厳しくなってきた。
トルコ中央銀行は、物価上昇が加速する中で政策の焦点をコアインフレに移行した。エルドアン大統領が求める利下げに道を開くことになり、トルコ・リラはドルに対して下落した。
総合インフレ率は8月に3カ月連続で上昇して19.25%と、7月の18.95%から加速。一方、食品やエネルギーなど価格変動が激しい品目を除くコアインフレは16.76%と、前月の17.22%から低下していた。
当局に反対する見方を定期的に検閲する中国では異例なことだ。共産党の習近平総書記(国家主席)の「共同富裕」(共に豊かになる)政策を巡り論争が起きている。
習氏が進める規制上の取り締まりは国全体に及ぶ深淵な「変革」だとするブロガー、李光満氏の論評が先月、国営メディアに一斉に掲載された。「資本市場はもはや資本家が一夜にして金持ちになる楽園にはならない」とするこの論評は、「この人民中心の変革を阻む者は全て処分される」と主張した。
これにかみついているのが環球時報の胡錫進編集長らだ。共産党機関紙、人民日報の系列紙である環球時報はタカ派的な論調で知られているが、計画されている変革は最高指導部からの統一した政策の結果だと反論。第2の「文化大革命」を連想させるような全面的な運動ではなく、漸進的な社会的進歩が目的だと論じた。
ジャーナリストの拘束も珍しくない中国の厳格に管理された言論界で繰り広げられている意見対立は、習氏が「無秩序な資本拡大」をどこまで抑制しようとしているのかを巡り、中国内部で混乱が生じていることを示唆している。
故・鄧小平氏の通訳を務めた高志凱氏によれば、共同富裕についての議論は「非常にセンシティブ」で、最高指導部からのメッセージは巨大な官僚機構を通過する中で「誇張される」可能性がある。また、「共同富裕が過度なキャンペーンとなる危険性を警戒する必要がある」と述べ、そのような展開はビジネスを阻害し、中国の競争力を損ねる恐れがあると指摘。
中国共産党の機関紙、人民日報は8日、「対外開放は中国の基本的な国家政策であり、どんなときであれ揺らぐことはない」と主張。習近平総書記(国家主席)の規制強化が外国人投資家にとってマイナスになるとの懸念の緩和を狙った論評を1面に掲載した。
さらに「非公有の経済セクターの発展を奨励・支援・指導するという原則と方針は変わっていない!」とし、政府は外国人投資家の権利を保護すると説明した。
米ムーディーズ・インベスターズ・サービスとフィッチ・レーティングスの格下げに加え、リスク・イベントドリブン・アンド・ディストレスト・インテリジェンス(REDD)によると、中国恒大は今月21日に期限を迎える銀行2行からの借入金利払いを停止する計画で、1行には延長計画の連絡を待つよう要請した。
2025年償還のドル建て債は8日の取引で額面1ドルに対して1.5セント下落し、24.2セントを付けた。
中国恒大の格付けを「CC」に引き下げたフィッチは資料で、「今回の格下げはある種のデフォルトが起こりそうに見受けられるとのわれわれの見解を反映している」と指摘。「タイトな流動性や契約販売の減少、サプライヤーならびに請負業者に対する支払い遅延への対応に向けた圧力、資産売却の進捗(しんちょく)が限定的であることを踏まえると、信用リスクは高いとわれわれは考えている」と説明した。
ムーディーズも7日、中国恒大の格付けを「Caa1」から、「デフォルトに陥っている可能性、あるいはそれに非常に近い状態」を示唆する「Ca」へとさらに3段階引き下げ。同社の流動性およびデフォルトリスクは「増大」していると指摘した。
3000億ドル(約33兆1200億円)余りの負債を抱える中国恒大が破綻すれば、貸し手である金融機関、サプライヤー、小規模企業、何百万もの住宅購入者の間で混乱が生じる恐れがある。中国当局はこれまでのところ中国恒大に債務リスクの解消を急ぐよう促す以外は、同社を巡る方針に関して沈黙を守っている。
中国恒大は先週、資金調達に向けた取り組みが十分でなければ借り入れに関してデフォルトが生じる可能性があると自ら警告していた。
「私が想定する通りに米経済の改善が続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり得る」と話した。「今後入ってくる労働市場のデータや、それが経済見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」と続けた。
ベージュブックは「経済活動が減速した主たる理由は、大半の地区での外食や移動、観光分野の後退にある。新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染増加による安全性への懸念を反映した動きだ」と指摘した。また、労働面については「労働者の需要は引き続き強まっているが、全ての地区が広範に及ぶ労働力の不足を訴えた。労働力不足が雇用を制約し、多くの場合、事業活動の妨げとなっている」と記された。
量的緩和の縮小開始について「9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で計画を発表し、10月から開始すべきだ」と語った。新型コロナウイルスの感染が再拡大するなか、「経済は依然として回復している」との認識を示した。
労働市場のついて、感染の再拡大が影響しているとしたうえで、需要は強いと指摘。9月も雇用回復の鈍さが続いたとしても「驚くことはない」と語った。
同指標はローンなどの借り入れによる個人消費の動向を示す。クレジットカードなどの「リボルビング払い」ローンは6.7%、自動車ローンや教育ローンなどの「非リボルビング払い」ローンは4.1%それぞれ増えた。
急落の背景にあるのが、ボルソナロ氏の言動だ。同氏は7日、支持者を前に最高裁判事を罵倒し、今後、判決には従わないと主張。三権分立や民主主義を否定する姿勢が懸念された。
7月の雇用動態調査で、求人数から採用数を引いた人数は426万人と過去最多を更新した。企業は需要に見合った採用拡大を目指すが、働き手の間では新型コロナウイルスを警戒し、求職に慎重な動きが続いている。人手不足の解消は見通せず、景気回復の足かせとなっている。
米失業保険の拡充は5日までにすべての州で打ち切られた。学校の再開も広がっており、パウエルFRB議長は「求職を妨げていた要因は少しずつ和らいでいきそうだ」と見込む。
ただ、コロナの流行を機に仕事や生活への国民の考え方は変わっており、雇用が回復するかは不透明だ。失業保険の拡充は7月までに約半分の州が打ち切ったが、拡充を続けた州と比べ「期待されたほど労働需給の逼迫は和らがなかった」(シティグループのアンドリュー・ホレンホースト氏)。
米CNBCが主要企業の最高財務責任者(CFO)に実施した8月の調査では「求人に見合った人手を確保するのがさらに難しくなっている」との回答は95%に達した。人手不足に加え、サプライチェーン(供給網)の混乱で「物流の遅延は過去最悪となっている」(調査会社IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏)
一方、個人消費は強い状態が続いている。レストラン予約のオープンテーブルによると、9月1~7日の米国の予約件数は19年の同時期と比べ1%多い。経済対策で家計の所得が増えたほか、株価や不動産価格の上昇で富裕層の購買力も高まった。企業は強い需要に応じたモノやサービスの提供が難しくなっている。
デルタ型の感染収束の見通しもたたず、求人と求職のミスマッチが長引くおそれがある。人件費や材料費が上昇し、品薄感も強まっており、IHSマークイットのウィリアムソン氏は「物価は今後も大幅に上昇するとみられる」と指摘する。ゴールドマン・サックスなど7~9月の米経済成長率見通しを引き下げる事例も増えている。
●市況
日経先物(大証)30000、ダウ先35000、債先151.94、米1.338、独▲0.3300、仏0.015、西0.363、伊0.757、原油69.25、ドル円110.22、墨ペソ19.94、トルコリラ8.4773、墨CDS85
※9/9 9時00分頃
備忘録(9/7)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
ドイツテレコム株4.5%を取得すると発表した。SBGはドイツテレコムの大株主となる。SBGが保有する米通信大手Tモバイルの株式と交換し、SBGはドイツテレコムに取締役も派遣する。SBGは投資会社として出資先の多様化を進めており、ドイツテレコムを通じ、グループ企業の欧州でのサービス連携も検討する。
保有するTモバイルの株式4500万株と引き換えに、新たにドイツテレコム株の2億2500万株を得る。SBGは2020年にTモバイル親会社のドイツテレコムとの間で、ドイツテレコムが24年までにSBGが保有するTモバイル株式の大半を取得できる契約を結んでいた。今回の株式交換に加え、ドイツテレコムはさらにSBGからTモバイルの株式2000万株を追加で取得する方針で、SBGのTモバイルの出資比率は3.3%になる見通しだ。
事業面では、300社以上あるソフバンクGの投資先企業は、ドイツテレコムが抱える欧米の約2億4000万人の顧客にアクセスすることが可能になる。一方、ドイツテレコムは加入者1人当たりの月間平均売上高(ARPU)の向上や解約率の改善につなげたい考え。
SBI証券の森行真司アナリストは、「ディールが一歩進んだ。追加資金の必要がなく、欧州拠点を持てたのはポジティブだ」とみている。さらに、ソフバンクGのポートフォリオ企業がドイツテレコムの顧客と接触できることで、「ドイツテレコムにとてもハッピーだ」と述べた。
ドイツテレコムの経営陣は、次回年次総会でソフバンクGのマルセロ・クラウレ副社長をドイツテレコムの監査委員に選任するという提案を支持する予定だという。ソフバンクGの広報担当者によれば、クラウレ氏は取締役会に出席する予定だ。
アームがエヌビディアの傘下に入ることで、エヌビディアのライバル企業がアームとこれまで通り取引できるかどうか、EU内には不安視する声が出ている。
足元では半導体不足から、自動車やスマートフォンの生産が滞るなど世界的な影響が広がっている。半導体の多くを輸入に頼るEUには安定的な調達に支障が出かねないとの懸念がある。
政治専門サイト「ポリティコ」によると、産業政策を担うブルトン欧州委員らが地政学や技術面から買収に反対している一方、ベステアー上級副委員長(競争政策担当)は競争法の観点から審査するとの意向を示している。
●その他産業
航空貨物事業子会社の日本貨物航空(NCA)について「どこまで自立できるか再検討する必要がある」と語った。2019年3月期から2期連続で経常赤字となり、売却も視野に入れるなど改革を模索してきたとみられるが、新型コロナウイルス禍を経て航空貨物市況が回復していることなどを背景に方針を見直す考えを示した。
ネクステラ・エナジーは傘下にフロリダの電力会社や再生エネ企業を抱えるエネルギー大手。風力や太陽光による再生エネ発電では世界最大級の発電規模を誇る。時価総額は約18兆円で、2020年秋には米エクソンモービルの時価総額を上回る場面もあった。
電炉の鉄鋼メーカーが原料に使う鉄スクラップの輸出価格が一段安となった。建物の解体工事で発生する鉄筋くずなどからなる標準品種「H2」(韓国向け、FOB=本船渡し)は現在1トン4万6000円前後。前週から1000円(2%)下落し、5月上旬以来、4カ月ぶりの安値となった。アジアの新型コロナウイルス感染の再拡大で需要が減退している。
トヨタの前田昌彦チーフテクノロジーオフィサー(CTO)は同日のオンライン会見で、車両と電池を一体で開発することで20年代後半には同社の新型EV「TOYOTA bZ4X」と比較して1台当たりの電池コストを50%減らすとの目標を示した。
欧州に半導体工場を2カ所建設すると発表した。投資額は今後10年で800億ユーロ(約10兆円)に上る可能性があるという。世界的な半導体不足に加え、電気自動車(EV)の普及などで半導体需要が今後さらに増すことから、生産能力を拡大する。また、アイルランド工場でファウンドリー(受託生産)事業を強化する。
●決算関連
●マクロ・その他
都市部のハイエンドの住宅価格が急上昇するなど、米国の不動産市場は活況を呈している。一方、米国国勢調査局の統計によれば家賃の支払いが遅れているケースが700万件以上に及ぶ。賃貸物件は4800万あるので、かなりの割合で滞納が発生している。多くは新型コロナウイルスの影響で収入が減ったり失業したりした人たちだ。
9月4日までの1週間では人口当たりの感染症例が世界最多となった。もはや感染するかどうかだけでなく、症状がどれほど重くなるか、感染力の強いデルタ変異株が広がる中でワクチンが引き続き確実に効果を上げるかどうかが問題になっている。
シェバ医療センターのイヤル・レシャム教授(感染症学)は、「ロックダウンなしの生活を維持し、多数の入院や死亡を避けられるのであれば、コロナとの共生はこのような感じになる」と語った。
同国ではワクチン未接種者が重症者に占める割合は、2回接種した人の10倍余りとなっている。このことは、ワクチンの感染予防効果が下がったしても、なお重症化は防げることを示している。
疫学者によると、ブースター接種の効果とバーやレストランへの入店をワクチン接種者に限定する措置により、30代以上ではすでに感染症例が減少している。
コロナ対策を政府に助言する専門家パネルの責任者ラン・バリサー氏は、ワクチンの「免疫力低下はすべての国が危機管理の策定に取り組むべき現実的な課題だ」と指摘。イスラエルから今後数週間で出てくるデータが、ブースター接種の有効性を世界が判断する材料になるだろうと述べた。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)の7日発表によれば、今後6カ月間の景気見通しを示す期待指数は26.5と、前月の40.4から低下し、1年半ぶりの低い水準となった。ユーロ圏に対する期待指数も前月から悪化した。
ZEWのバンバッハ所長は声明で、「自動車セクターの世界的な半導体不足や建設部門の資材不足によって、両セクターの企業利益見通しが大幅に引き下げられた」と述べ、「これが景気見通しにマイナスの影響を及ぼした可能性がある」との見方を示した。
ブルームバーグの集計データによると、中国企業が今年これまでに売却計画を発表した海外資産の総額は105億ドル(約1兆1500億円)と、少なくとも1998年以降で2番目の大きさ。現在のペースなら、2021年は通年で昨年の150億ドルを超える可能性がある。
中国国際金融(CICC)の中国クロスボーダーM&A(合併・買収)責任者、バグリン・アンゲロフ氏はインタビューで、「中国企業は最近、単なる買収よりも、先を見越した資産ポートフォリオの見直しを行っている。良い提案があれば、少なくともそれを精査することにオープンだ」と述べた。
かつて活発な買収を行っていたものの、今では債務削減に向け資産売却を急ぐ中国恒大集団や海航集団などの複合企業とは異なり、現在の中国の売り手の大半は資金繰り難には陥っていない。そうした企業が売却しようとしている資産は力強いキャッシュフローを生み出しており、投資家が低金利環境で収益性の高い資産を探す中で、バリュエーションが上昇している。
処分対象となっている事業分野の1つは廃棄物処理事業で、中国天楹は6月、傘下のスペインの廃棄物処理会社ウルバセルを18億ドルで売却することで合意。北京首都創業集団と北京控股も海外資産の売却を検討している。
国有電力会社の中国長江三峡集団は国外の再生可能エネルギー資産ポートフォリオの25%を売却することで合意に近づいており、最大20億ドルと評価される取引となり得ると事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ナティクシスのアジア太平洋地域担当M&A責任者、ミランダ・ザオ氏はインタビューで、「この手の資産は現在の低金利環境下で健全な利回りをもたらし、域内の他の戦略的投資家やインフラファンドにとって魅力的だ」と語った。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以来、外国政府の監視が強化されていることを踏まえると、中国企業がそうした資産売却で得た資金を他の海外資産への再投資に回すのは難しそうだ。
オーストラリアとインド、欧州連合(EU)は昨年、いずれも外国企業による買収提案の審査ルールを厳格化した。中国を標的とする動きだと広く受け止められており、これにより中国企業による海外での買収は減少した。
CICCのアンゲロフ氏は「これまで、M&A活動の大部分が中国企業による資産購入という一方向の動きばかりだったが、今では中国企業による少数株の取得・売却など、売り買いが入り交じっている。ずっと多様化されたM&A市場になりつつある」と述べた。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は7日、量的緩和(QE)のテーパリング(段階的縮小)を先送りせずに実施する方針を確認した。9月初めまでの週50億豪ドル(約4080億円)から週40億豪ドルに債券購入のペースを落とし、期間は少なくとも来年2月半ばまで延長する。
豪中銀は債券購入プログラムを当初は11月半ばに見直す方針だった。ブルームバーグが調査したエコノミスト16人中10人が、テーパリングの先送りを予想していた。
声明では「政策委は豪州の完全雇用への復帰とインフレ目標の達成に向け、高度に景気支援的な金融情勢維持にコミットしている。実質インフレ率が2-3%の目標レンジの範囲内で持続的に推移するまでキャッシュレートを引き上げない」という方針があらためて示された。
その上で「この条件が24年より前に満たされないというのが経済の中心シナリオだ。この条件を満たすには、現時点よりかなり高い賃金の伸びを十分生むほど労働市場がタイトになる必要がある」との認識を繰り返した。
「年内に予想外のことが起きるとすれば、中国だろう」。米証券ミラー・タバックのストラテジスト、マシュー・マリー氏は顧客向けメモでこう指摘した。中国政府が突如、IT(情報技術)大手や教育関連の規制強化に動き、投資家はリスクを再認識した。マリー氏が注視するのは中国恒大集団の動向。「デフォルト(債務不履行)が世界市場にもたらす影響を心配しなければならない」と述べた。
ロイター通信によると中国国内の格付け会社が2日、恒大債の格付けを引き下げ、清算決済機関である中国証券登記決済は3日、レポ取引における同社債の価値をゼロとした。上海証券取引所は6日、22年7月満期の恒大債に異常な値動きがみられたとして、取引を一時とめた。
恒大は10兆円近い借り入れを抱えている。中国政府は住宅市場の投機熱を抑えるため、国内の金融機関に対し、不動産会社への融資を絞るよう指導した。恒大は政策変更によって借り換えが難しくなり、資産売却を迫られている。8月末には投資家に対し、デフォルトに陥る可能性があると警告した。25年6月満期のドル建て債は額面1ドルあたり30セントを下回った。
他の中国不動産会社への連鎖が警戒されているが、世界の社債市場への波及は現時点で見られない。
「アジアの信用リスクは、アジア投資家の手中にある」。JPモルガンの社債調査チームは、信用不安が世界に広がらない理由について、こう解説する。
もっとも中国リスクと無縁とは言い切れない。欧米投資家も運用難で中国社債の保有を増やし始めたからだ。
国際資本市場協会(ICMA)によると中国の社債発行残高は5.8兆ドルで、米国(10兆ドル)に次いで大きい。運用者にとってポートフォリオから「中国」を完全に外すのは難しい。
米国の新型コロナウイルスの累計感染者が4000万人を超えた。
入院患者も増えている。米疾病対策センター(CDC)によると、5日時点の新規入院患者数(7日平均)は1万1483人と、1月のピーク時(約1万6000人)に近づいている。ワクチン接種で重症化は抑えられるものの、接種者は足元で伸び悩んでいる。
景気回復への影響も指摘されている。米ゴールドマン・サックスは6日、米の国内総生産(GDP)予想を下方修正した。デルタ型の拡大による消費者心理の悪化や、米政府の財政支援の縮小などで下期に伸びが鈍化すると想定。2021年の年間成長率見通しを従来の6%から5.7%に引き下げた。
ジョンソン首相によれば、国民保険料は来年から1.25%引き上げられる計画で、主要税率は引き上げないとする保守党の重要な公約を破る格好となる。また配当課税も1.25%増税される方針で、首相は高額所得者には相応の負担を求めると述べた。今回の増税により、今後3年間で360億ポンド(約5兆4660億円)の財源を確保する見通しだ。
同社は7日に発表した1-6月(上期)決算で、低金利でトレーディングの機会が減っており、金融市場は「異例の静けさ」だと指摘した。
ニコラス・ブレトー最高経営責任者(CEO)はインタビューで、「もっとボラティリティー(変動性)が必要だ。また率直に言って、顧客もオフィスでの勤務を増やしてもっとリスクポジションを取るべきだ」と語った。
●市況
日経先物(大証)29870、ダウ先35046、債先151.87、米1.368、独▲0.3190、仏0.031、西0.371、伊0.762、原油68.47、ドル円110.28、墨ペソ19.94、トルコリラ8.3500、墨CDS83
※9/8 9時5分頃
備忘録(9/6)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
米国で連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したフィリピン航空は6日、航空機材数を現在の90超から70に削減するなどのリストラ策を発表した。4日に発表した債務減免とあわせて財務を立て直す。一方、新型コロナウイルスの感染拡大が続く東南アジアでは需要回復の兆しはまだなく、再建には不透明さも漂う。
削減するとしていた航空機材については、70機への削減に加えて欧州エアバスから調達予定だった13機について調達を遅らせるか、キャンセルする方向で検討する。既に今年3月までに全社員の約30%に相当する2300人の人員を削減しており、今回の破産法適用申請に伴う追加の人員削減は検討していないとしている。
破産法の適用が認められれば財務面では一息つけることになるが、再建が円滑に進むかどうかは予断を許さない。最大の課題は顧客需要がいつ戻るのかが予想できないことだ。
同社はこの日、「コロナ前の需要には24、25年ごろまで戻らないとみている」と説明した。厳しい状況が向こう数年続くことを想定しているものの、足元のように利用者がほぼ消滅した状態が長引けば追加の対応を求められる可能性もある。
欧米では経済再開に伴って航空需要が戻り始めており、一部の航空会社では人員不足に陥っている。新型コロナのワクチン接種が進み、経済再開が始まっているためだ。一方、東南アジアではフィリピンの接種完了率が11%にとどまるなど、1割前後の国や地域がなお多い。タイ国際航空も経営破綻に追い込まれたほか、ガルーダ・インドネシア航空も経営再建を進めている。
1941年設立とアジアで長い歴史を持つフィリピン航空に対する政府支援が見込みにくいことも懸念材料だ。会長であるルシオ・タン氏は大手財閥LTグループの創業者で、PALHDの8割弱の株式を保有する。ドゥテルテ大統領は財閥や資産家に対して厳しい姿勢を貫いており、ワクチンの輸送業務などを除けばこれまでもフィリピン航空への金銭面の支援はしていない。世界的な航空連合の活用も課題だ。同社はスターアライアンスやワンワールドといった航空連合に所属していない。
●その他産業
●決算関連
主要27社合計の2021年4~6月期の最終損益は3234億円の黒字(前年同期は3006億円の赤字)だった。新型コロナウイルス禍での落ち込みを取り戻し、18年同期並みまで戻った。なかでも規模が大きく、開発力や営業力があるトヨタ自動車系の改善が目立った。
●マクロ・その他
日系自動車メーカー5社の中国での8月の新車販売実績が6日、出そろった。トヨタ自動車は前年同月比11.9%減の14万4800台と2カ月ぶりに前年実績を下回った。日産自動車とホンダは4カ月連続のマイナス、マツダと三菱自動車は5カ月連続のマイナスになった。5社すべてマイナスになるのは2カ月ぶり。半導体不足の影響で在庫が不足し、販売が落ち込んだ。
中国全体でも半導体不足の影響が想定より長引いている。中国汽車工業協会の予測では、8月の新車販売台数は前年同月比21.8%減の171万台となった見込み。4カ月連続で前年実績を下回る。乗用車の業界団体は「7月下旬から半導体の供給が改善すると予測していたが、東南アジアで新型コロナ問題が深刻になり、一部の半導体工場の生産が止まり中国内の自動車工場の生産ペースが混乱した」としている。
10月以降に主要観光地で外国人観光客の受け入れを順次再開する方針だ。新型コロナウイルス対策の行動制限で景気が悪化し、規制緩和によって経済再生との両立を目指す方針に転換した。ワクチン接種が遅れるなか新規感染者数は高止まりしており、さらなる感染拡大を招くリスクをはらむ。
タイの1日当たりの新規感染者数は足元で1万4000人前後となり、連日2万人を超えていた8月中旬に比べて減少傾向にある。だが、バンコクなどでロックダウン(都市封鎖)を開始した7月中旬は1万人前後だったため、感染状況が改善したとは言いがたい。死者数は200人前後と同国として最悪の水準が続く。
先行して観光を再開したプーケットでは外国人観光客が伸び悩んでいる。7月1日から2カ月間の訪問者数は約2万6000人にとどまり、3カ月間で10万人としていた目標に届かないのが確実になった。タイ国内でインド型(デルタ型)の感染が急増し、欧米諸国がタイへの渡航自粛を求めているためだ。
タイ政府はワクチン接種を加速し、現在は約1割にとどまる2回接種を終えた人の割合を年末までに7割に高める計画だ。しかし、足元では軍政の流れをくむプラユット政権の退陣を求める反体制デモが再燃し、連日のように警察との衝突が起きており、外国人から旅行先として敬遠され続ける可能性もある。
中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は経済の現実という壁にぶつかっている。民間企業の締め付け策が中国経済の足を大きく引っ張っているからだ。最も影響の大きいのは不動産部門、特に住宅だ。過去20年にわたり広範な不動産ブームに沸いてきた中国で、その活況が終わろうとしている。中国の不動産大手、中国恒大集団は過剰債務に陥り、債務不履行(デフォルト)の危機にある。そうなれば中国株急落の原因になりかねない。
マン氏は現在と70年代を区別する4つの要素を列挙した。
現在よりも70年代の方が賃金と物価の相互連動の度合いが強かった
70年代は為替相場と原油価格が「急速に変化した時期」で、当時はインフレ期待が固定されたことはなかった
フィリップス曲線の傾きは当時、賃金と労働市場逼迫(ひっぱく)との関係がここ10-15年よりも「はるかに強い」状況にあった
企業が価格決定力を持ち、それを利用する程度。マン氏によると、企業は世界的な金融危機の後、値上げを「定着」させることができなかったのを覚えている。今状況は多少変わっているが、企業は値上げをためらっている
マン氏は「このため米金融当局は後手に回っておらず、インフレ動向に応じてその懸念に対処するための手段を備えていると言える」と論じた。
中国政府に貧困削減に関して助言していた浙江大学の李実教授(経済学)は、テクノロジーならびに金融セクターの台頭によって国内の所得格差はここ5年で拡大していると分析した上で、税制を通じた格差是正もほとんど効果を発揮できていないと述べた。浙江大のウェブサイトによると、李教授は自身の研究成果から国際的な学術界で「ミスター中国所得分配」として知られる。
中国の税制は所得再分配において非常に限られた役割を果たすにとどまっている。税には直接税と間接税があるが、直接税は所得格差の縮小に寄与する一方、間接税は格差を広げる。中国は直接税の割合が小さく、財政収入の3分の1にとどまる一方、間接税は3分の2を占める。先進国ではこの直間比率が逆であることが普通だ。中国は所得税や不動産税、相続税などの直接税を強化する必要がある。
富裕層の生活が大きく変わることはないだろう。共同富裕は平等主義でもなければ、富裕層から資産を取り上げて貧困層を養うものでもないと指導部は繰り返し説明している。豊かな人々は納税や慈善活動への寄付に関してより大きな貢献をする必要があるかもしれないが、税金を5%、あるいは10%多く払っても生活に甚大な影響が生じることはないだろう。
ブルームバーグが調査したエコノミスト16人中10人が、豪中銀はテーパリングを先送りすると予想。ロウ総裁は8月の会合後、そうした措置に景気支援の効果はそれほどなく、政府が支援を提供する方が望ましいと述べていた。
ゴールドマン・サックス・グループの豪州担当チーフエコノミスト、アンドルー・ボーク氏は「ロウ総裁は先月、さらなる量的緩和(QE)が2022年の成長に主に影響するという点や、財政政策の方がより適切との理由からテーパリングの計画を強く支持していた。これらの論拠はいずれも1カ月前と同様になお有効だ」と指摘した。
米内務省安全環境執行局(BSEE)は6日、8月末に米ルイジアナ州に上陸した大型ハリケーン「アイダ」の影響で、米メキシコ湾の原油・天然ガス生産の80%以上が現在もなお停止していると明らかにした。
エネルギー省によると、ルイジアナ州では6日時点で5カ所の精製施設がなお稼働を停止。停止されている施設の精製能力は合計で日量100万バレルと、全米の約6%に相当する。
西アフリカのギニアで国軍の特殊部隊がコンデ大統領を拘束したことを受け、同国の主要輸出品であるボーキサイトの供給懸念が台頭し、6日の取引で中国向けのギニア産ボーキサイト価格が約1年半ぶりの水準に急騰した。
ギニアはアルミニウムの原料となるボーキサイトの世界第2位の生産国。中国に対しては最大の供給国となる。
中国国家発展改革委員会(発改委)は6日、義務教育科目を学校以外で教える学習塾の料金について、地方政府が設定すべきだと通知した。
声明によると、地方政府は標準料金と変動幅を定める必要がある。上振れ幅は標準料金の10%までに制限され、地方政府は民間の学習支援企業向けの標準料金と関連政策を今年末までに公表するよう求められている。
2021年全体の成長率を5.7%と予想しているとした。8月末時点では6%を見込んでいた。22年の成長率予想は従来の4.5%から4.6%に引き上げた。
21年見通しを下向きに修正した理由として、新型コロナウイルスのデルタ変異株の広がりや財政支援の効果縮小、モノからサービスへの需要のシフトで、米消費者の支出が減る見込みであることを挙げた。また、サプライチェーンの混乱が在庫の補充に影響したことも指摘した。
「力強い消費の伸びに対する今後のハードルはずっと高いように見える。デルタ変異株が既に第3四半期の成長の重しとなっており、財政刺激策が薄れつつあることとサービス部門の回復の鈍化が中期的に逆風となるだろう」と分析した。
●市況
日経先物(大証)30055、ダウ先35405、債先151.87、米1.326、独▲0.3690、仏▲0.026、西0.316、伊0.688、原油68.75、ドル円109.83、墨ペソ19.90、トルコリラ8.2775、墨CDS83
※9/7 8時5分頃
備忘録(9/3-5)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
国内製薬大手8社は2022年度にも研究成果を相互開放する。新薬の候補成分の情報を対価なしで集約し、最大100万種類のデータベースを構築する。新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の開発の遅れで、国内勢が創薬力で見劣りする実態が浮き彫りになった。欧米大手に対抗するため情報共有で開発力を底上げする。
債権者が海外にもいるため米国で破産法適用を申請したが、フィリピンでも破綻や再建に関する法に基づく申請を進める。フィリピン航空は再建に向け、20億ドル(2200億円)以上の債務削減で債権者と合意した。さらにフィリピン国内の金融機関などから約5億ドルの資本注入を受け、海外の投資家から1億5000万ドルを借り入れる。
同社の親会社PALホールディングス(HD)の負債総額は6月末時点で3000億ペソ(6600億円)で2020年12月期は718億ペソの最終赤字。破産法適用を申請したのは事業会社のフィリピン航空のみで、親会社は含まれていない。
再建計画では機材数の削減などに取り組む。運航は継続し、チケットやマイルも引き続き利用できる。マイル会員などの顧客基盤を活用し再建を目指す。需要回復に合わせて国内線、国際線ともに便数を増やす方針だ。
フィリピン航空の再建は険しい道となりそうだ。フィリピンでは新型コロナの累計感染者数が200万人を超え、東南アジアではインドネシアに次ぐ規模だ。フィリピン観光省のまとめによると、21年1~5月の外国人訪問者数は約4万6000人と前年同期比97%減少。加えて、東南アジアの航空大手にとってコロナ感染拡大前から格安航空会社(LCC)との競争が激しく、コロナが経営難に拍車をかけた。タイ国際航空は経営破綻するなど厳しい状況が続く。
スペインとコロンビア、英国が今月、初めてグリーンボンドを起債する予定。中でも英国の発行規模は世界で「間違いなく最大」になるとスナク財務相は述べた。常連国であるドイツも今週、入札を通じて10年物を発行する。
●その他産業
ボーイングは納入開始を目指して検査を最近提案したが、連邦航空局(FAA)は承認しなかったという。FAAに関与する同社従業員が同案を支持しなかったと同紙は伝えた。
ボーイングは787納入再開に向けてFAAと「引き続き取り組んでいく」とする発表文を出したが、時間枠についてはコメントを控えた。FAAは電子メールで、ボーイングとのやりとりを続けるとした上で、「われわれの安全性の専門家が満足するまで検査は承認しない」と説明した。
薄鋼板の主要3品種(熱延、冷延、表面処理)のメーカー・流通の国内在庫は、7月末時点の速報値が全体で388万1千トンと前月末と比べて1千トン減った。出入庫いずれも前月から大きな変化がなく、ほぼ横ばいとなった。前年同月比では9万1千トン(2.3%)少ない。
送電線事業の売上高を2031年3月期に20年3月期比で2倍の約4000億円に引き上げる。生産能力の増強へ新工場の建設を検討する。世界的な再生可能エネルギーの普及加速により、都市部に電力を運ぶ長距離送電線の需要が拡大している。国内市場の開拓を狙う海外メーカーに対抗する狙いもある。
世界的な半導体不足が完全に解消されるのは来年ではなく、2023年までかかる可能性があると警告した。
トヨタ自動車に半導体を供給するロームも先月、供給危機が来年いっぱい続く可能性があるとの見通しを示していた。
●決算関連
●マクロ・その他
世界の株式相場は景気懸念が重荷となりそうだ。8月の米雇用統計は非農業部門の雇用者数が市場予想を大きく下回った。米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小(テーパリング)を急がないとの見方が株価を支えるものの、上値を追う動きは限られる見通し。
大規模な財政出動に逆行する形で、国の信用力に対する市場の評価が高まっている。債務不履行(デフォルト)のリスクをやり取りするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では主要国国債の保証料率の低下(信用力の改善)が鮮明で、新興国への警戒感も後退気味だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は危機を察知する「炭鉱のカナリア」の体質も変えつつある。
首都ジャカルタがあるジャワ島などで厳格な行動制限を講じてから3日で2カ月が過ぎた。人流の抑制が功を奏して1日の新規感染はピーク時の2割以下に減少し、状況は落ち着きつつある。政府は制限の一部緩和に伴う感染の再拡大を警戒する。
ドイツの代表的な株価指数DAXの銘柄数を30から40に広げることに伴う、新たな構成銘柄を発表した。ポルシェやプーマ、エアバス、食材キット配送のハローフレッシュ、シーメンスの医療機器子会社シーメンス・ヘルシニアーズなど10銘柄を新規採用する。1988年7月の算出開始以来、30銘柄で構成してきた。今回初めて銘柄の数が見直され、フランスのCAC40やイタリアのFTSE・MIBと同じ40になる。算出対象を増やすことで業種などの幅を広げるねらいがある。銘柄数の拡大は決済サービス会社ワイヤーカードの粉飾会計問題を受けた指数改革の目玉で、20日から新たな枠組みで運用が始まる。
南部テキサス州で1日に発効した人工妊娠中絶の大半を禁止する州法で自社の運転手が訴えられた場合、弁護士費用を会社側が負担するとそれぞれ表明した。同法ではライドシェア運転手が中絶を受ける女性を病院に運んだ場合、1万ドル(約110万円)の罰金が科されるおそれがある。
ルネサンス・テクノロジーズが、未払いの税金など合計70億ドル(約7700億円)を米内国歳入庁(IRS)に支払うことで合意したことが2日、明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。金融派生商品の活用で得られた節税効果について、当局が「脱法的」とみなし、両者の間で争いになっていた。
ルネサンスの支払額は英製薬大手グラクソ・スミスクライン(約34億ドルの追徴課税)を上回り、税務紛争の解決金としては過去最大規模になったとみられる。
WSJによるとルネサンスは数秒単位の短期で銘柄を入れ替え、細かく利益を積み上げていく手法をとっていた。ポートフォリオの投資銘柄数は数千に達するとみられる。実際の銘柄売買は投資銀行に委託する一方、同等のリターンをもたらす金融派生商品「バスケット・オプション」を投資銀行から購入していた。
バスケット・オプションを使った運用は節税効果をもたらした。通常、保有期間が1年未満の短期運用では、1年以上の投資に比べて高い税率が課せられる。ルネサンスと取引先銀行はオプションを活用することで、短期的な運用益を長期投資の利益として処理していた。14年の米議会上院でこうした手法が問題視され、IRSは15年に過去の確定申告を修正するよう勧告していた。
20日に投開票を予定するカナダの総選挙で、単独過半数をめざすトルドー首相率いる与党・自由党が苦戦している。初のテレビ討論翌日の世論調査では野党・保守党の支持率を下回った。新型コロナウイルス禍での総選挙の前倒しに批判が集まり、議席減や第2党への転落につながる可能性も出ている。コロナ対策の成果と財政出動を掲げて支持獲得を狙ったトルドー氏は戦略の練り直しを迫られる。
ハリケーン「アイダ」の被害で米南部の停電が続いている。ルイジアナ州では3日午後時点で80万世帯以上の電力が復旧しておらず、メキシコ湾岸の製油所も停止したままだ。米政府は3日までに、製油所の円滑な再開に向けて戦略石油備蓄を放出し、米石油大手エクソンモービルに150万バレルを貸し出すと発表した。
米エネルギー省によると、ルイジアナ州にある6カ所の製油所が停止し、日量160万バレルの精製能力が失われている。これは全米の精製能力の9%を占める。沿岸から離れた3カ所の製油所が再開作業に着手したが、復旧には数日かかる見通し。その他は再開のメドが立っておらず、数週間かかるとの見方もある。
ルイジアナ州を含むメキシコ湾岸地区には、8月末時点で同湾の石油生産量の4カ月分に相当する2億3000万バレルの石油在庫(戦略備蓄を除く)がある。エネルギー省は「製油所の停止が即座に供給問題につながることはない」と説明する。同省は停止した製油所の再開を円滑にするため、戦略備蓄からエクソンに対してガソリン生産向けに150万バレルを貸し出す。
ハリケーンの進路から外れたテキサス州では、酸素不足という別の事情で製油所の操業が止まった。ブルームバーグ通信によると、ベネズエラ国営系列の製油所は3日、新型コロナウイルスの拡大による酸素不足を理由に一部設備の稼働を止めた。
主要産油国の増産方針もあり、米原油先物指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は足元1バレル69ドル台でもみ合っている。だが、停電や酸素不足が長引けば供給不安や燃料価格の上昇につながるおそれがある。
非農業部門の就業者数は23万5000人増にとどまった。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の拡大の影響で、市場予想(72万人程度)を大幅に下回った。特に経済活動の再開で改善してきたサービス業の回復が足踏みが鮮明だ。娯楽・接客業の就業者は半年で月平均35万人増えてきたが、8月は変わらなかった。このうち飲食店は4万2000人減少した。
ただ雇用増の鈍化が続くかの判断は難しい。6、7月の就業者数の増加幅はあわせて約13万人上方修正された。企業の採用時期が平時と変わっており、統計の季節調整の不備を指摘する声も出ている。失業率は5.2%と前月から0.2ポイント改善した。
これまで企業側は働き手を見つけるのに苦労してきた。例えば6月の雇用動態調査によると、求人は1007万件と4カ月連続で過去最多を更新したが、採用は671万件にとどまった。コロナ禍で条件がいい仕事に移ったり、職場に戻らずに失業給付を受け取り続けたりする人も多い。
人手不足が改善する要素はある。連邦政府が失業給付に週300ドル(約3万3千円)上乗せする特別加算は9月4日に期限切れとなる。自宅で待機していた人が働きに出る動機になる。8月から新学期が順次始まり、子供を持つ親は職場に戻りやすくなった。
英政府は北部のスコットランドが分離独立を決めた場合、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM))「トライデント」を搭載する原子力潜水艦の母港を現在のスコットランドから、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国である米国やフランスに移転させる可能性を検討し始めた。政府内で作成している緊急時の対応計画の一環だ。
中国の低格付け債に売り圧力がかかっている。「共同富裕(ともに豊かになる)」の号令のもと習近平(シー・ジンピン)指導部が特定の業界を厳しく締めつけ、投資家の間でとくに不動産会社や教育産業の事業モデルが揺らぎかねないとの警戒が強まった。10兆円近い借金を抱える中国恒大集団など一部企業では信用リスクが高まっている。習指導部は金融安定を保つ姿勢を明確にするが、不安は拭えない。
「外国人投資家は間違いなく河野氏を好む。英語を話し、米国の大学で学んだ。これが大きくプラスに働いている」とCLSA証券のストラテジスト、ニコラス・スミス氏はブルームバーグテレビジョンで発言。「河野氏の時代が来たと思う」と述べた。
雇用ペースの急減速は、新型コロナウイルスのデルタ変異株の急速な拡大への懸念と、採用難の両方を反映している公算が大きい。
デルタ変異株の感染拡大はすでに消費活動を抑制しており、対面方式での授業再開や企業のオフィス復帰計画の妨げにもなっている。こうした状況で雇用主は採用に一段と慎重になり、一部労働者が他人との接触機会の多い仕事を敬遠している可能性がある。
雇用者数はコロナ禍前の水準をなお530万人下回っている。労働参加率は前月と変わらずの61.7%。子どもの世話が必要という問題やコロナ懸念が依然影響していることが示唆された。
飲食店や小売店から製造業や建設業に至るまで、多くの業種で人員の確保は大きな課題となっている。その結果、アマゾン・ドット・コムなどの企業は人材を引き寄せるべく、賃上げや一時金支給などに動いている。
平均時給は8月に前月比で0.6%増加。市場予想(0.3%増)の2倍の伸びとなったが、これは低賃金労働者の多い業界での雇用者数減少といった同月の雇用構成を反映したものとみられる。週平均労働時間は34.7時間で前月と変わらずだった。
パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏は顧客向けリポートで「デルタ変異株の感染拡大前には、秋には100万人を超える雇用者増が見込まれていたが、それは今や非常に難しくなっている。労働市場の状況がここまで不透明な中、パウエル議長がテーパリングを急かされることはないだろう」と記した。
中国の北京市政府が配車サービス最大手、滴滴グローバルへの出資を提案しており、政府系企業が同社の支配権を握る可能性がある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。検討されているシナリオには、このコンソーシアムが拒否権のあるいわゆる「ゴールデンシェア(黄金株)」を取得して取締役を送り込む計画が含まれているという。
北京市がどの程度の出資を想定しているのかや、この提案が政府高官の承認を得られるのかは不明。滴滴は現在、共同創業者の程維氏ならびに柳青社長が率いる経営陣で運営されている。ソフトバンクグループやウーバー・テクノロジーズも大株主として名を連ねる。
元FRBエコノミストで現在はコーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は「ホスピタリティー業界や小売業界でさえ雇用創出が急減速したことは、デルタ変異株が労働市場に影響し始めている証拠と考えられ、それは何らかの警鐘となるだろう」と指摘。「比較的早い段階もしくは速いペースでのテーパリングを求めていた一部FOMCメンバーは、言説を多少トーンダウンさせるかもしれない」と述べた。
ピクテ・ウェルス・マネジメントの米国担当シニアエコノミスト、トーマス・コスターグ氏は、「タカ派は賃金上昇の伸びを受けてさらに落ち着かなくなる可能性が高い」と予想した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のエコノミストらはリポートで、「11月のテーパリング発表はあり得ると引き続き考えるが、データが回復し、デルタ変異株などによる弱さが一過性だと判明すればという条件付きだ」と記した。
ヘッジファンドは株式相場について強気と弱気の両方向に賭けるものだが、ビジネスの中国依存が比較的大きい米企業へのエクスポージャーを減らしている。ゴールドマン・サックス・グループのプライムブローカレッジ部門がまとめたデータによると、これら企業にはラスベガス・サンズやゼネラル・モーターズ(GM)が含まれる。
ゴールドマンの顧客データはファンドマネジャーが8月下旬までの約1カ月間に米売上高の大きい銘柄を売り、純保有が26%減って2020年4月以来の水準に下がった状況を示している。一方、サプライチェーンで中国を頼りにしている銘柄の保有は17%減少し、過去1年のレンジ下限に向かっている。
アリババグループ株などは、中国の習近平国家主席がテクノロジー大手企業の影響力を抑えにかかったことで下落したが、中国依存の高い米企業への投資ポジションの変化は、より深い懸念があることを浮き彫りにする。中国が新型コロナウイルス感染拡大を抑制できなくなり、さらなる港湾閉鎖があったらどうなるのか。世界経済のけん引役である同国の経済が低迷したらどうなるかといった懸念だ。
デルタ変異株を巡る懸念を背景に、外食や娯楽、旅行といった一部サービスへの需要が減退しつつある状況を示唆した。業況の指数は60.1と、6カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。
ただ今回の統計では、このところ高まっていたインフレ圧力が和らぎつつあることも示唆された。仕入れ価格の指数は3月以来の低水準となった。7月は約16年ぶりの高水準をつけていた。入荷水準と受注残の指数もそれぞれ低下した。
テクノロジーから教育まで幅広い業界を標的とした中国当局の締め付けは、緩和的な金融・財政政策が続く可能性が高いことを意味すると、米ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストが指摘した。締め付けがもたらす経済成長の押し下げを緩和維持で相殺するためだという。
中国担当のホイ・シャン氏らゴールドマンのエコノミストは経済状況について、特定セクターの規制強化が金融・財政当局による緩和的な政策を伴う公算が大きい「ミクロが奪い、マクロが与える」の環境だとリポートで指摘した。
過大なリスクをとらせず、危機が起きても金融システムに迷惑をかけさせないことに主眼をおいた結果、銀行の健全性は大幅に高まった。09年3月期にそれぞれ6~8%台だった3メガバンクの中核的自己資本比率は20年3月期には13~16%台まで上昇。コロナ禍でも自己資本比率の低下を避けるための貸し渋りは起きず、むしろ資金繰り支援で銀行は久しぶりに存在感を発揮した。
しかし、コロナウイルスの感染が急速に広がり始めた20年3月、金融市場は大きく動揺し、最も信用力や流動性が高いとされる米国債すら売って、とにかく現金を手元におこうという「Dash for cash(現金主義)」が広がった。社債も激しく売られ、世界の中央銀行は社債や上場投資信託(ETF)といった資産購入の拡大で相場の底割れ防ごうとした。
銀行監督当局を兼ねる中銀には「規制強化によって銀行はコロナ禍でも役割を果たした。MMF(マネー・マーケット・ファンド)や社債の買い支えは本来、中央銀行の仕事ではない。証券当局によるファンド規制が弱いから混乱が起きた」との不満がくすぶっている。
一方の証券当局は、中銀が銀行を羽交い締めにした結果、大量に金融商品を売買することで市場に流動性を提供するマーケットメーカーとしての機能も低下し、買い手のいない金融商品の価格は暴落したと反発する。
Dash for cashも、中銀主導で導入した証拠金規制が厳しすぎたため、売らなくてもいい証券まで売らざるを得なくなったことが背景にあるとみる。
営業CFは5年連続の黒字を確保。理由の一つが商品などの代金を回収する権利の売掛金の少なさだ。入金がない状態を示す売掛金はCFでマイナスに働く。逆にレコード会社などへ将来支払うロイヤルティーなど買掛金が多い。買掛金は特定日まで資金が流出せずCFではプラスだ。他に損益段階で費用計上する従業員の株式報酬(実際の資金流出はない)などの戻しもCFを押し上げる。
ただ、足元では会員数の伸び悩みという懸念材料が出始めた。今年6月末の会員数の増加率は直前四半期比で3%弱と半年前(8%)を下回り、17年以降で最も低い。無料会員の増加率が1%と過去1年平均(6%)より低いことも気になる。
会社側は会員数鈍化の理由について、新型コロナウイルス禍の影響が大きい地域で積極的な販促ができなかったためというが、競争激化の影響もありそうだ。
カギは収益源の多様化だろう。アップルやアマゾンは音楽配信を通じて会員を増やし、他サービスを含めた「経済圏」の収益につなげられる強みがある。
8月の米雇用者数は急減速した。空港でのチェックインやホテル、レストランの予約など需要鈍化を示す兆候はあらゆるところに見られる。ドイツの企業景況感は悪化し、中国ではサービスセクターが軟化。世界の製造業活動を示す指数は低下した。
ゴールドマン・サックス・グループによれば、主要経済国の景況活動を示す指数は予想を下回っている。シティグループはセクター間、地域間のばらつきが深刻化しながら、経済の回復はペースが鈍る可能性があると警告した。
IIFのチーフエコノミスト、ロビン・ブルックス氏は「デルタ株の広がりで経済再開のプロセスに遅れが生じ、世界の成長見通しを下方修正せざるを得なくなっている」と指摘。
アジア全体で製造業や輸送業全般に問題が生じ、複雑に絡み合う供給不足が世界で顕在化するに至った。そうした混乱は個人消費の足かせとなり得るほか、財の価格を押し上げる恐れがある。
ワクチン接種率が全般に高く、経済再開が続いている欧米諸国では成長が比較的持ちこたえられるが、「こうした経済も、マレーシアの工場閉鎖といった外国で起きるデルタ株関連の障害から影響を受ける可能性がある」と指摘する声も。
値下げ幅は事前予想の2倍余りで、世界最大の原油輸出国が値段を下げてまで買い手の呼び込みに力を入れていることが示唆された。最大顧客であるアジアの製油業者らは今回の値下げ幅に驚きを示した。サウジが価格面で他の生産者と競い、市場シェアを奪おうとしていると買い手らはみている。
●市況
日経先物(大証)29600、ダウ先35341、債先151.97、米1.326、独▲0.3650、仏▲0.023、西0.329、伊0.702、原油69.12、ドル円109.71、墨ペソ19.92、トルコリラ8.3228、墨CDS84
※9/3 NY引け値
備忘録(9/2)
●雑感
●SBG、航空防衛宇宙、ヘルスケア、ESG
個人の購買行動や金融機関の投融資が脱炭素に結びつけば企業も大きく変化すると強調した。企業も政府の本気度を示す大胆な支援を求めているとして、政府は中長期的な政策の方向性を明示すべきだとした。脱炭素に取り組む企業を支援する複数年度の予算や税制、投融資について、具体的な政策や計画を示すよう要望した。
1987年の国鉄民営化以降初めての公募増資は、新型コロナウイルスの影響の根深さをあらわにした。自己資本比率は2021年6月末で22.9%と、10%台だった04年以前よりも高い。それでも「構造的な改革に向けてより強靱(きょうじん)な体質に変える」(長谷川一明社長)として資本増強に踏み切る。
JR西の公募増資をきっかけにJR各社でも増資を警戒した売りが広がった。JR東日本は一時前日比640円(9%)安の6780円、JR東海も990円(6%)安の1万5160円まで下げた。JR各社と比べれば売上高における鉄道事業の割合が比較的少ない私鉄大手でも西武ホールディングス(HD)が一時96円(7%)安の1244円、小田急電鉄も113円(4%)安の2423円と鉄道株全体が下がった。
10月に一部の北米路線を増便すると発表した。海外赴任や留学、出張や、アジアから日本で乗り継ぎ北米に向かうビジネス客の需要が回復傾向にあるため。羽田―ニューヨーク線は9月比で週1往復増の5往復、成田―ワシントン線と成田―ヒューストン線は往路のみ週1便増やしともに週4便とする。アジア路線からの乗り継ぎの利便性を高めるほか、成田から北米に送る貨物輸送の需要取り込みも狙っている。2020年度事業計画に対して実際の運航割合を示す国際線の運航率は9月が20%、10月は21%としている。
ANAホールディングス(HD)が必死のコスト削減を続けている。人件費や機材費などを抑え、四半期ベースで営業黒字を確保できる損益分岐点売上高はコロナ前と比べ1700億円ほど引き下げたもようだ。3~4割減の大幅な引き下げだ。ただ、旅客需要は低迷が続いており、目標に掲げる2022年3月期の黒字転換への視界は開けていない。
●その他産業
在庫などの無駄を排除し、生産効率を高めるトヨタの「ジャスト・イン・タイム生産方式(リーン生産方式)」は自動車業界にとどまらず世界中の企業で手本とされてきた。しかし、コロナ禍はそういったシステムの脆弱(ぜいじゃく)性を露呈させたとユー教授は指摘する。その上で、今後は複数の地域に供給元を持つことなどでサプライチェーンに少し余裕を持たせる努力が必要になると語った。
野村証券の桾本将隆アナリストらは8月20日付のリポートで、今回のトヨタの減産は半導体の後工程やワイヤハーネスといった「大半の自動車メーカーで使用されている部品の不足が原因で、業界全体の課題とみるべきだろう」と指摘した。
同部品は組み立てに人手がかかる典型的な労働集約型の製品で、かつては日本の輸入元は人件費の安い中国がトップだった。その後、中国の人件費高騰に伴い生産移管が進み、20年はベトナムが約4割を占める最大の供給国となり、フィリピンがそれに続いた。
ベトナムの首都ハノイの東、ハイズオン省にある住友電気工業のワイヤハーネス組み立て工場は8月、従業員の感染が確認されたため地元政府から稼働停止を命じられた。同省の周辺地域の工業団地では4ー5月に深刻な感染拡大を経験しており、同様の事態を避けるため1人の感染でも厳しい措置が取られた。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、ワイヤーハーネスの製造ではベトナムやフィリピンには安い労働コストなどの優位性があるとした上で、サプライチェーンのBCP(事業継続計画)対策として自動車各社は供給元をより分散することも検討の余地があるとの見方を示した。
司法省はグーグルのデジタル広告慣行の調査を加速し、年末にも提訴する可能性がある。最終決定は下されておらず、先送りもあり得る。関係者は調査が進行中だとして匿名を条件に話した。
データ管理ソフトウエアを提供する米アナプランの株価が伸びている。1日の米株式市場では一時、前日比17%高の70ドル超に急伸。前日発表の決算が市場予想を上回ったほか、証券会社が相次いで目標株価の引き上げに動いたことで投資家の期待感が強まっている。
習主席の「共同富裕」スローガン、決算で言及する中国企業相次ぐ
店舗で働く従業員56万5000人超を対象に、時給を少なくとも1ドル引き上げると発表した。深刻な人手不足が続くなか、米国の個人消費のピークとなる年末商戦に向け、待遇改善を通じて人材のつなぎ留めを図る。過去1年間で3回目となる賃上げを通じて、同社の米国内の平均時給は16.40ドルになると明らかにした。
米国・メキシコ・カナダの計16の完成車工場のうち半分を休止する。期間はピックアップトラックなどを生産する米国とメキシコの6工場が1~2週間、多目的スポーツ車(SUV)を生産するカナダとメキシコの2工場が4週間。同社は半導体不足の詳細や減産台数の見通しを明らかにしていないが、インド型(デルタ型)の拡大によるアジアの半導体サプライチェーン(供給網)の混乱が影響したとみられる。
もともと、スマホQRコード決済サービスの決済手数料は2%台が中心であり、クレジットカードやフェリカなどの非接触決済サービスの決済手数料である3%強に比べて低く設定されている。
PayPayが決済手数料収入とともに収益の柱にしようとしているのが、店舗向けの顧客情報管理(CRM)サービスだ。
また、「店舗への送客」という点で別の強さを発揮するのが楽天グループだ。
8-10月期の売上高見通しは約73億5000万ドル(約8100億円)。ブルームバーグ集計のアナリスト予想平均は72億3000万ドルだった。
ホック・タン最高経営責任者(CEO)は発表文で、業績は「クラウドや第5世代(5G)インフラ、ブロードバンド、無線」などの市場の堅調さを反映しているとし、「この勢いは第4四半期も続くと見込んでいる」と指摘した。
●決算関連
個別企業をランキングすると上位には海運や医療、ゲームが並んだ。新型コロナウイルスで停滞した海外経済が正常化。ワクチン接種の遅れる国内では巣ごもりなどの需要を捉えた。
●マクロ・その他
中国が少子化に歯止めをかけるため、1組の夫婦につき3人まで出産を認める改正人口・計画出産法を施行した。この「3人っ子政策」を2016年から全国に先駆けて導入した街がある。先行実験の効果を確かめに、東北部の黒竜江省黒河市を歩いた。
テキサス州法は、胎児の心拍確認後の中絶を禁止している。通常妊娠6週目ごろを過ぎると中絶ができなくなると解釈され、女性が妊娠に気づく前であることが多いとされる。性的暴行や近親相姦(そうかん)による妊娠にも例外を認めず、全米で最も厳しい規制だ。共和党が多数派を占める州議会が可決し、同党のアボット知事が今年5月に署名して成立した。
最高裁は1973年、「ロー対ウェード判決」で胎児が子宮外で生育可能になるまでの中絶を認めた。一般的に妊娠から24週間ごろまでの中絶を認めると解釈されている。テキサスの州法は同判決を事実上無効として女性の権利を大幅に制限するものとなる。最高裁がテキサス州法を容認した背景には、「司法の保守化」という流れがある。
最高裁判決は政権運営にも影響する。バイデン氏は連邦資金を使った中絶支援に反対してきたが、20年の大統領選では賛成に転じた。女性やリベラル派の支持を得る狙いがあったとみられる。バイデン氏はアフガニスタン撤収の不手際や新型コロナウイルスの拡大で支持率が下がっており、全米の注目を集める中絶をめぐる問題で妥協の余地が少ない。
世界の153カ国・地域が参加する「中国国際サービス貿易交易会」が2日、北京で開幕した。習近平(シー・ジンピン)国家主席が開幕に合わせてテレビ形式で演説し「(店頭市場の)新三板の改革を深化し、北京証券取引所を設立する」と表明した。上場対象企業は革新的な中小企業としている。ただ開設時期などは明確にしなかった。
北京証券取引所は上海、深圳、香港に次ぐ4カ所目の証券取引所となる。金融面で米中の対立が深まるなか、証券取引所の新設によって中国国内の資本市場の機能を強化する狙いがある。また習指導部が提唱する「共同富裕(ともに豊かになる)」に向けて、中小企業の振興が重要なテーマとなっており、資金調達面で中小企業の成長を支える。
中国の自動車市場に活躍の舞台を求める日本人技術者が増えている。中国の新興自動車メーカーなどが厚待遇で人材獲得を進め、7月にはトヨタ自動車の元チーフエンジニアも中国の国有自動車大手に移ったことが分かった。ホンダなど日本の大手が大規模な人員削減に踏み切るなか、技術者の流出がさらに膨らむ可能性もある。
中国政府は、3000億元(約5兆1000億円)規模の低利資金供給を行うことなど、中小企業の資金繰り支援を強化するとともに、地方政府債をより有効に活用する方針を示した。
野村ホールディングスの中国担当チーフエコノミスト、陸挺氏(香港在勤)はリポートで、「景気減速を示す証拠が増える中で、中国当局が支援策の強化に少しずつ向かっているとわれわれは考えている」と指摘。政策当局はハト派色を今後強める一方、不動産セクターや環境汚染度が高い産業に対する制限は維持されるだろうと分析した。
米腎臓学会誌に1日掲載された調査結果によると、腎臓のダメージはCOVID19の重症度に応じて大きくなり、腎臓の基礎疾患がなく入院せずにコロナから回復した人でも末期腎臓病に至るリスクはコロナ未感染者の約2倍だという。
同調査のデータは軽・中等症のコロナ患者1万人当たり7.8人が透析ないし移植が必要になることを示している。
台湾国防部(国防省)が立法院(議会)に宛てた年次報告書によると、中国が山岳地帯の多い台湾本島に侵攻可能な輸送・兵たん能力を有しているとは考えられていないが、国防部は軍事演習と複雑な上陸作戦の準備を中国が強化していることを監視すべきだと指摘。また、中国はすでに台湾の離島を占拠する能力があるとの見方を示した。
パウエル議長は先週、当局が毎月実施する債券購入を年内に減らし始める可能性を示唆したが、それ以降もトレーダーらは利上げ開始は2023年序盤との予想を維持し、米国債利回りもほとんど動いていない。
が、この静けさは3日以降に終わりを迎えそうだ。一部のFOMCメンバーはテーパリングの早期開始を主張しているだけに、ドット・プロットも上振れする可能性がある。
つまり、3日の雇用統計の数字が強ければ、投資家も利上げ開始予想時期を前倒しさせ得るということだ。ドット・プロットの上振れが市場を驚かせ、イールドカーブスティープ化を見込むポジションが突然巻き戻された6月の再燃を、トレーダーは警戒する可能性がある。
「市場は新型コロナウイルスのデルタ変異株と中国の減速による世界的な循環リスクについて懸念し過ぎだ」と指摘。「従って、短期的には、循環資産のさらなる値上がり、つまり株高と債券利回りの上昇が見込まれる」と分析。
ただ、2022年になると成長と政策の見通しがシクリカル資産に「友好的ではなくなる」可能性が高いとも警告している。
2020年12月~21年7月分の分析によると、2回のワクチン接種を終えた成人97万1504人のうち、0.2%にあたる2370人が接種完了後に陽性が確認されたと答えた。分析可能な回答のうち症状が28日以上続いた人数を調べると、2回の接種完了者では592人のうち31人(5.2%)が該当した。比較対象の未接種者群である482人中55人(11.4%)と比べ、症状が長期化する割合が低かった。
研究はワクチンの接種完了後に感染する「ブレイクスルー感染」の実態を調べるために実施された。研究チームのクレア・スティーブス氏は「2回のワクチン接種で感染と症状長期化のリスクを大きく減らせることが分かったのは朗報だ」とコメントした。
ニューヨーク、ニュージャージーの両州は1日深夜から2日未明に非常事態宣言を出した。降水量はニューヨーク市中心部のセントラルパークで1時間に3.15インチ(約8センチメートル)と同公園で過去最多になった。多くの場所で、9月の月間降水量を超える雨が一夜で降り、米国立気象局は鉄砲水の警報をニューヨーク市に初めて発令した。
米国内の停電状況を追跡するパワーアウテージ・ドット・USによると、2日午後5時時点でニューヨークとニュージャージー、ペンシルベニアの3州で合計約11万世帯が停電している。通信障害も広域に及んでいる。
交通網への打撃も深刻だ。中心部のマンハッタンでは地下鉄の駅に濁流が流れ込むなど被害が広がった。地下鉄はほぼ全線で、部分的もしくは全面運行停止となっている。ニュージャージー州のニューアーク国際空港は1階部分に浸水し、2日は約370便がキャンセルとなった。列車は首都ワシントン―ボストン間で2日の運行を休止した。同路線はフィラデルフィアやニューヨークを通り、ビジネス客の利用も多い。
今回の豪雨被害は、年々規模を増す気象災害に対するニューヨークの都市インフラの限界も示す。ニューヨーク地下鉄を運営するニューヨーク州都市交通局(MTA)のジャンノ・リーバー会長は2日、米CNBCの取材で「気候変動による鉄砲水が起きても地下鉄に多くの水が流れ込まないよう、路面の排水能力をもう少し高めるべく市政府と連携する必要がある」と述べた。
ペルーの信用格付けを1段階引き下げ、「Baa1」にしたと発表した。急進左派政権が発足したことを受け、政治リスクが反映された。組閣などで急進左派色を強めており、野党との対立が始まっている。ムーディーズはこうした状況が「政策立案の能力を弱める」と指摘。「投資家の信頼に影響を与え、ペルー経済の回復力を害する」として、中期的な信用を損なっていると説明した。
カスティジョ政権は低所得者層への現金給付策や鉱山会社への課税など大衆迎合的な政策を次々と表明しており、経済界では懸念が広がっている。ムーディーズは今後の格付け見通しについて「安定的」としているものの、財政規律路線からの逸脱や急激な政策転換について、「格付けと見通しに下方圧力がかかるだろう」としている。
「あの男が権力を握り続ければ、さらに多くの人が死ぬ」。タイの首都バンコクで8月16日、反体制デモ隊を率いる活動家、ソンポン・ソンティラックは首相、プラユットの辞任を求めてデモ行進した。バンコクでは8月中旬から毎日のようにデモ隊と警察の衝突が起き、ゴム弾や催涙弾、火炎瓶が飛び交う。
7月の米製造業新規受注額(季節調整済み)は、5081億ドル(約55兆8700億円)で前月比0.4%増加した。3カ月連続のプラスで、伸び率はダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.3%程度)をやや上回った。非耐久財は0.9%増だった。一方、耐久財は民間航空機・同部品の大幅受注減で0.1%減となった。全体からこれら輸送関連を除くと0.8%増え、輸送関連以外は堅調に受注が伸びたことを示した。
今週施行された同規制に基づき、クリアリング(清算・決済)機関で清算されない非清算デリバティブを590億ドル相当以上保有するヘッジファンドや資産運用会社、保険会社はさらなる担保の差し出しを求められることになる。
デロイトの資産運用・資産リスク助言の責任者、ディミトリ・ツォパナコス氏は「今回の新たな規則が資産運用会社に新たな課題やコスト高をもたらすことは間違いない」と指摘。「分析やもっと賢明な方法論が特に取引前のレベルで必要になる」と述べた。
中国の文化・エンターテインメント業界を改善する取り組みの一環として、ゲームコンテンツの監督が強化される見通しだと、国営新華社通信が共産党の宣伝部が発表した作業計画を引用して2日に伝えた。
作業計画では、ゲームプラットフォームが依存症対策システムや本名確認技術を改善する必要があるとしている。また、バラエティー番組のコンテンツ監視を強化する方針なども示している。
月間の起債件数は低迷したものの、25日に東京電力パワーグリッドが総額2000億円、31日には野村ホールディングスが総損失吸収能力(TLAC)適格債1200億円を起債するなど大型案件が寄与した。
マニュライフ・インベストメント・マネジメントの押田俊輔クレジット調査部長は、新型コロナウイルス感染症を巡る不透明感が長引く中で国内の金利は低水準となっており、企業には手元資金を厚めに確保しようとする考えがあるようだとの見方を示した。
●市況
日経先物(大証)28633、ダウ先35416、債先152.12、米1.285、独▲0.3875、仏▲0.044、西0.312、伊0.669、原油69.75、ドル円109.95、墨ペソ19.96、トルコリラ8.2866、墨CDS85
※9/3 8時25分頃