備忘録(7/30-8/1)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
化石燃料への逆風が強まり、欧米の石油メジャーが投資を抑制した。再生可能エネルギーへの投資額は発電コストの低下もあって増加が続き、2020年に石油・ガスを初めて上回った。温暖化ガスの排出量が多いエネルギー部門で脱炭素の動きが本格化してきた。
航空機が排出する二酸化炭素(CO2)の削減は待ったなしだ。その有望な技術が、微細な藻類の活用。藻はCO2から油をつくり、これを燃やせば実質的な排出を抑えられる。火力発電所などから出るCO2のリサイクルでも注目されている。
同社はIT(情報技術)を利用して設計から部材生産、施工までを一気通貫で手がけ、工程をITで管理することにより効率化を目指すと意気込んだが誤算が続いた。破綻劇は安易なデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する警鐘にもなる。
カテラの旧トレーシー工場は最新鋭のロボットを備え、毎年アパート1万2500棟に相当する壁や天井、床を生産できる。だが、周囲の工場とは対照的に静まりかえっていた。
同社は電子機器の受託製造サービス大手企業のCEOらが設立。電子機器の受託製造サービスは部品を集中購買することでコストを下げるのが一般的で、その手法を建設業界に応用することを目指した。
SVFから19年夏までに総額17億5000万ドルを投資を受け、事業拡大に弾みがつき、18年前半は毎月1社のペースで建設会社などを買収。19年にはアパートの建設戸数で全米5位に躍り出た。
一方、「社員は建設業界についての基礎知識が乏しかった」「20年4月末時点で仕掛かり中の428棟のうち147棟が赤字案件だった」という。
カテラにはSVFの追加出資や海外事業の売却による資金化など挽回のチャンスがあったが、リフォーム事業部門で不正会計が発覚や新型コロナウイルスの影響も加わり、資金繰りが悪化。さらにSVFの出資先で売掛債権を担保にした短期貸し付けを手がける英グリーンシル・キャピタルが破綻し、19年末から同社に依存してきたカテラに信用不安が連鎖した。
カテラの行き詰まりは既存業界にITを応用するDXの流れにも警鐘を鳴らす。「建設業界に最新技術を応用する利点はあるが、カテラは一気に事業を拡大しすぎた」。この分野に詳しい英ロンドン大学のケール・ジョーンズ氏は指摘する。IT業界が重視する急成長がすべての分野に当てはまるわけではないというのも破綻劇の教訓といえる。
お盆期間(8月6~15日)の国内線予約人数は東京都への緊急事態宣言発令後も伸び、ANAは29日時点で前年実績を31%上回る。2019年の同じ時期と比べると6割減の水準だが、宣言の効力が薄れていることを示唆する。
●その他産業
小米(シャオミ)が世界の四半期別のスマホ出荷で初めてシェア2位に浮上した。新興国で販売が好調なことに加え、中国同業の華為技術(ファーウェイ)の失速もシェア拡大につながった。一方、小米が得意とする中低価格帯は新興勢の追い上げも激しく、成長維持のハードルも高まっている。
欧州連合(EU)の包括的な個人情報保護ルールである一般データ保護規則(GDPR)に違反したとして、7億4600万ユーロ(約970億円)の罰金を科す決定を受けていたことが30日、分かった。GDPRに基づく罰金額としては19年に米グーグルに科された5000万ユーロを上回り、過去最大となる。
米メディアによると罰金額などの最終決定にはEU域内の他のプライバシー規制当局の同意を得る必要があり、金額は変動する可能性がある。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はCNPDが罰金額をもっと高くすべきだという指摘を少なくとも1件受けていると報じた。
アマゾンは「我々はCNPDの決定にまったく同意しておらず、抗議するつもりだ」との声明を出した。当局の決定は「欧州のプライバシー法の主観的で未検証の解釈に依存しており、提案された罰金額はその解釈にさえ全く比例していない」とも主張した。アマゾンは「データ侵害はなく、顧客データが第三者に漏洩したこともない」とも説明している。
●決算関連
1四半期は営業赤字になったが、社内で計画していた800億円程度の赤字水準を上回っており、「構造改革の効果が出ている」と指摘。国内線については「夏場以降、特に8月を中心としたところでは予約動向は低下することなく、むしろ若干ながら増加傾向にある」と説明した。また、国際貨物の需要堅調は「少なくとも年度末までこの状況が続く」との見通しを語った。
同社は、4月時点では実質キャッシュフローベースで7月ごろに黒字転換することを計画していたが、福沢専務は黒字化のタイミングは同計画から「少し遅行している」との見方を示した。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジェームス・テオ氏は23日付のメモで、日本のワクチン接種の遅れを踏まえると、旅客需要のより力強い回復は21年後半まで考えにくいと指摘している。
ワクチン接種の進む米国でも、国内でレジャー旅行に続き、オフィス再開に伴う法人需要の回復に期待が高まる半面、国際線の見通しは依然として不透明だ。米航空大手のデルタ航空やユナイテッド航空は政府支援なしに7-9月期の黒字転換を見込み、アメリカン航空とサウスウエスト航空はより慎重な見通しを示すなど企業間で見方が分かれている。
米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとみられる顧客との取引による関連損失654億円を計上するなど一時要因の影響が大きく、大幅な減益となった。
米国の顧客取引に関しては、前四半期にすでに2457億円を計上しており、最終的な損失は3111億円に膨らんだ。ポジション処理は全て完了したという。北村巧財務統括責任者(CFO)は同日の電話会見で、米顧客の一部の銘柄への集中投資と株価の急落が重なった「非常に特殊な状況だった」とし、同社がリスクを過小評価した結果、対応が遅れたとの認識を持っていると総括した。
4-6は7%増収/4%最終増益。輸送の混乱で美容品など一部商品の搬入が遅れ、北米市場では高級化粧品「SK-II」などの在庫不足も逆風になった。素材価格や輸送費の上昇の影響により、22年6月期の税引き後利益で約19億ドル押し下げるとの見通しを示した。これらのコストを販売価格に転嫁するため、米国で販売するおむつやトイレットペーパー、生理用品など主力商品は予定通り今年9月に値上げする方針を確認した。
4-6は77%増収/旅客数は10倍強の約547万人/最終損益が9億8100万ユーロ(前年同期:21億2500万ユーロの赤字)。
2021年7~9月の輸送能力を増やすと発表した。4~6月は19年の同期間の22%程度だったが、45%程度にする。新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、英国に入国する際の規制が緩和されていることなどを受けた措置だ。
エクソンモービルが30日発表した2021年4~6月期決算は、最終損益が46億ドル(約5100億円)の黒字(前年同期は10億ドルの赤字)だった。原油相場の上昇で売上高が前年同期の2.1倍の677億ドルに増加した。市場関係者が注目した「カーボンニュートラル」の計画には触れなかった。
最終黒字は2四半期連続。4~6月の石油販売価格が1バレル60~63ドルと前年同期の2.9倍に上昇し、天然ガス価格も約7割上がったことで採算が大幅に改善した。石油・天然ガスの生産量(石油換算)は同2%減の日量358万バレルだった。
米同業シェブロンの4~6月期決算は、最終損益が30億ドルの黒字(前年同期は82億ドルの赤字)だった。米シェール大手ノーブル・エナジーの買収効果もあり、売上高が前年同期の2.3倍に増加した。市況の改善に伴い、年間20億~30億ドル規模の自社株買いを再開する方針を明らかにした。
JR西は期初に今期の最終損益を30億円の黒字とみていたが、815億~1165億円の赤字に下方修正。鉄道利用がコロナ前の9割に戻る時期の想定を「8月から3カ月かけて」から「10月か11月から4カ月かけて」に変えた。
JR東海も同日、今期の最終利益予想を900億円から150億円に引き下げた。「回復の時期が想定より2カ月程度遅れると判断した」という。
JR東日本は業績予想を据え置き
ANAHDの4~6月期の最終損益は511億円の赤字、通期黒字転換の予想を据え置いた。「夏場の予約動向は大きな低下が見られない」としたうえで、航空需要の先行きについて「ワクチン接種率がカギになる。秋以降の展開を見ていく必要がある」という。
2022年3月期の連結営業損益が120億円の黒字(前期は241億円の赤字)になる見通しと発表した。従来予想を75億円下回る。再度の緊急事態宣言で鉄道やホテルの利用客の回復が想定より遅れている。鉄道事業の売上高は期初時点、上期でコロナ前の8割程度、下期で85%程度と見込んでいたが、上期想定を75%に下げる。
プロ野球阪神タイガースや宝塚歌劇といったエンターテインメント事業で観客が増え、利益を押し上げる。国際輸送事業でも航空輸送貨物の取り扱いが当初の想定を上回っている。
4-6では阪急電鉄と阪神電気鉄道のいずれも運輸収入が前年同期比2割増。
4-6は41%増収/純利益が前年同期の2.5倍の408億円。北米などで住宅建設やインフラ投資が活発化し、建設機械の販売が伸びた。新型コロナウイルス禍からの経済回復で業況は上向いているものの、中国市場では供給過剰になるなど懸念材料もでている。
けん引するのは主力の北米だ。同地域の建機の売上高は36%増え、通年での北米市場の需要見通しも従来の前期比5~10%増から10~15%増に引き上げた。大規模な景気支援策をうけて住宅や道路工事に使う油圧ショベルなどの引き合いが強まっている。インフラ整備の増加に伴う銅や鉄鉱石などの資源価格の上昇も追い風となり、オセアニアや東欧、中南米での鉱山機械の需要も好調だった。
一方、中国やインドネシアといった比較的採算の高い地域で売り上げが全体に占める割合が下がったことで営業利益率は低下。
4-6は29%増収/純利益が前年同期の3倍の14億ドル。主力の建設機械の売り上げが南米地区で前年同期の2倍、北米でも56%増と上向き、グローバルで40%増加した。鉱山機械は41%増、エネルギー・輸送関連機器は20%増と主要3部門がいずれも増収となり、地域別でも欧州・中東・アフリカとアジア太平洋を含む全4地区で売上高、営業利益ともに増加した。
ただし、鉄鋼などの原材料価格や人件費の上昇に伴い、コストは増加傾向にある。製造原価と販管費の合計は前年同期から3億ドル増加し、製品値上げによる2億ドルの増収効果を打ち消した。4~6月期の売上高営業利益率は13.9%と1~3月期に比べて1.4ポイント低下した。
●マクロ・その他
連休明けの30日、通貨ソルは大きく売られ、対ドルで連休前の終値から3.3%安の1ドル=4.06ソルで取引を終えた。地元紙コメルシオ(電子版)は中央銀行が通貨安を抑えるためにドル売りの為替介入を実施したと報じた。株も全面安となり、代表的な指数のペルー総合株価指数(S&P/BVL)は同5.9%安となった。
カスティジョ氏は29日に所属政党ペルー・リブレの議員ギド・ベリド氏を首相に指名。閣僚人事にはマルクス主義を信奉するペルー・リブレのセロン党首の意向が強く反映されているとみられ、急進左派色が濃い陣営となった。市場ではインフラ企業や天然資源の国有化や輸入制限といった急進左派的な政策の実現可能性が高まったと受け止められている。
中国の中央政府や地方政府が国有企業を支援する基金を相次ぎ立ち上げている。計画中の基金も含めると資産規模は計2100億元(約3兆6000億円)を超す。低利・長期の資金を提供するなどし、経営改善につなげる。格付け会社は前向きに評価する一方、生産性の低い「ゾンビ企業」が延命する恐れもある。
4~6月期の雇用コスト指数は、季節調整済みの前期比で0.7%上昇した。伸び率は前期から0.2ポイント縮小し、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(0.9%程度)を下回った。前年同期比では2.9%上昇した。
4~6月期は新型コロナウイルスのワクチン普及などによる経済再開で労働需要が高まった。一方、依然として残る感染懸念や失業保険給付金の積み増し、保育先の確保の難しさなどから、就職をためらう労働者が多かった。人手不足が深刻になる中、賃上げに踏み切る企業が増えた。民間部門をみると、賃金・給与は前期比1.0%上昇した。前年同期比では3.5%伸び、約14年ぶりの大きな伸びとなった。
蘇寧易購集団はアリババ集団傘下の大手スーパーの幹部が、同社の董事長(日本の会長にあたる)に就任すると30日までに発表した。蘇寧は業績悪化を受け、創業者の張近東氏が董事長を退任すると公表したばかり。アリババは2016年に蘇寧に出資し、同社の株式を19.99%保有している。アリババとの連携を強め、経営の立て直しを進める。
蘇寧は家電量販店が祖業で、19年には仏大手スーパー、カルフールの中国事業を買収するなど拡大戦略を進めてきた。グループ内の傘下には東証2部上場の免税店大手、ラオックスや、イタリアの名門サッカークラブ、インテル・ミラノもあるが、急速な拡大で不採算店が増えていたところに新型コロナ禍が追い打ちとなり、20年ごろから業績が急速に悪化した。今月5日には張氏らが保有する蘇寧株を一部売却し、政府系のファンドが立ち上げた基金から約88億元(約1500億円)を調達していた。
4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比で19.6%増(速報値)だった。19年4~6月期以来のプラス成長となった。製造業や鉱業などの第2次産業が28.2%増と、最も伸びが大きかった。農業などの第1次産業は6.8%増、金融・サービス業などの第3次産業が17%増だった。主要輸出先の米国経済が回復しているのを受け、製造業を中心に持ち直している。
メキシコの製造業の主力である自動車生産は1~6月累計で159万5701台と、前年同期を32%上回った。世界的な半導体不足の影響は残っているものの、堅調に推移している。
食品・日用品世界大手の英ユニリーバは1日、メキシコで今後4年間に55億ペソ(約300億円)を投資すると発表した。4工場を拡張して、3000人を新規雇用する。現地法人のエクリサート社長は「今後3年で輸出が200億ペソ増える」と展望した。
国際通貨基金(IMF)は27日、メキシコの21年の実質経済成長率見通しを6.3%と、1.3ポイント上方修正した。ロペスオブラドール大統領は、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の締結が輸出や投資の伸びにつながっている」と述べ、当面の経済状況に自信を示す。
7月の消費者態度指数(確報値)は81.2で前月から4.3ポイント低下した。2カ月ぶりの低下で、2月以来5カ月ぶりの低水準となった。ただし、速報値(80.8)からはわずかに上向き、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(80.8程度)も上回った。インフレ懸念の高まりが指数の低下に影響したと見られる。
「現在の景況」が84.5で4.1ポイント、「今後の見通し」が79.0で4.5ポイントそれぞれ低下した。
1年先の予想インフレ率は4.7%で、前月から0.5ポイント高まり、2008年8月以来の高さとなった。5年先の予想インフレ率は2.8%で、前月から横ばいだった。ともに速報値と比べると0.1ポイント縮小した。ただし、家庭の貯蓄率の改善が物価高騰への抵抗をやや和らげており、「大半の消費者は、物価の急騰は一時的と予測している」と指摘した。
7月の景気指数(PMI、季節調整済み)は73.4と前月から7.3ポイント上昇した。2カ月ぶりの上昇で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(64.1程度)を大きく上回った。
雇用者数をみるとまだコロナ前を大きく下回ったままだ。欧米に比べ経済再開が遅れる日本でもIT(情報技術)など一部で人手が不足する。コロナ禍で離職した労働力の復帰が遅れれば景気回復の足を引っ張る恐れがある。
米国上場を目指す中国企業の審査を厳格化すると発表した。中国勢が規制を迂回して海外に上場する仕組み「変動持ち分事業体(VIE)」について、目論見書でリスクを明示するよう求める。中国当局の上場許可の有無も確認する。中国株の急落で対中強硬派の議員などから対応を求める声が強まっていた。
「VIE」の複雑な仕組みは中国企業が外資規制をくぐり抜けて米国に上場し、外国人に株式を買ってもらうために考案された。米国に上場する中国企業はまず米上場の「箱」となる会社を英領ケイマン諸島などに設立登記する。次にケイマン籍の米上場会社が中国国内に100%の子会社を設立し、中国で事業を営む本体と「協議支配契約」を結ぶ。契約によって上場会社が中国企業の支配権を握り、利益を吸い上げる。
中国政府が突如、適法性に疑義を唱えるリスクがある。仮に違法となれば、米国に上場する米預託証券(ADR)は紙切れになりかねない。ゲンスラー委員長は「一般の投資家は、自分が中国の事業会社ではなく、箱会社の株式を保有していることに気付かないのではないか」と懸念する。
足元で中国勢の米上場は急減速している。米調査会社ディールロジックによると、7月の中国企業の米IPOは1件にとどまった。21年1~6月期までは過去最高ペースで推移していた。ロイター通信は30日、中国企業の上場を巡る新しい開示のガイドラインを作り終えるまで、いったん上場審査を中断していると報じた。
海外上場によるデータ流出を中国経済のリスクと位置づけた。すでに海外に上場予定の中国企業をめぐり、個人情報登録ユーザー数が100万人超なら当局が審査すると発表した。証券法の域外適用など関連制度の確立も急ぐ。
また、中小企業や消費の伸び悩みに直面する小売りなど特定業種に絞って、資金繰りを支援する方針だ。資源高に伴うコスト上昇の抑制も年後半の重要課題に掲げた。
不動産規制の手は緩めない。「住宅は住むものであって投機の対象ではない」との基本方針を堅持し、土地や建物の価格安定を重視する。一方で、若者らの不満を和らげるため、税優遇などで賃貸マンション市場の成長を後押しする。
国家統計局が31日発表した7月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.4と、6月の50.9から低下。ブルームバーグ調査のエコノミスト調査予想中央値は50.8だった。活動拡大・縮小の節目は50。建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは53.3で、予想通りだった。6月は53.5。
製造業の項目別では新規輸出受注指数が47.7と、6月の48.1から低下。新規受注も50.9と、先月の51.5から下がった。雇用指数は製造業が49.6に、非製造業が48.2にそれぞれ小幅改善した。
ここ最近のインフレ高進は一時的に終わる公算が大きいと示唆したほか、米経済へのリスクは上下両方向あるとも述べた。下降させるリスクとして新型コロナウイルスのデルタ変異株の広がりを挙げた。テーパリング開始基準を満たすには「雇用にまだ進展の余地がある」と述べたほか、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)前の雇用水準に「680万人足りないほか、パンデミック前のトレンドに対して910万人下回っている」と説明した。
資金繰りに苦慮する同社は、香港に株式を上場する恒騰網絡集団(ハンテン・ネットワークス・グループ)の株式7%を、20億7000万香港ドル(1株3.20香港ドル)でテンセント・ホールディングス(騰訊)の傘下部門に売却する。取引所への1日付届け出で明らかになった。
中国証券監督管理委員会(証監会)は1日の発表資料で、適切な解決策を見つけるため、SECとの意思疎通の強化を目指すと表明した。
●市況
日経先物(大証)27480、ダウ先34867、債先152.37、米1.226、独▲0.4600、仏▲0.106、西0.266、伊0.626、原油73.72、ドル円109.72、墨ペソ19.87、トルコリラ8.4540、墨CDS95
※7/30 NY引け値
備忘録(7/29)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
傘下の「ビジョン・ファンド」が投資する中国企業は株価が急落した。習近平(シー・ジンピン)指導部は独占的な地位を築いた有力企業への統制を強める。中国はSBGにとって重要な投資先だったが、戦略の見直しを迫られそうだ。
8月全体の運航率(2021年度当初計画比)は71%となり、15日の前回発表から2ポイント低下する。新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、コストを抑えようと運航規模を縮小する。
1~6月のグループ世界販売台数(ダイハツ工業、日野自動車を含む)は前年同期比31%増の約546万台で、年上半期の過去最高を更新した。自動車販売が米中を中心に回復している。独フォルクスワーゲン(VW)の約497万台(前年同期比28%増)を上回り、この期間では2年連続での世界首位になったとみられる。
ルコの電子商取引会社トレンドヨルは、企業価値を165億ドル(約1兆8000億円)と評価する新たな資金調達ラウンドの完了に近づいている。事情に詳しい関係者が明らかにした。この評価額はトルコの新興企業のうち最大となる。
同社は米投資会社のゼネラル・アトランティックなどの投資家から約15億ドルを調達する協議を進めており、早ければ来週にも完了する。ソフトバンクグループも今回のラウンドで投資の話し合いに入っているという。トレンドヨルは調達資金をトルコ内外での事業拡大に活用する方針だ。
●その他産業
●決算関連
売上高は前年同期比約8倍の498億円となった。20年4~6月は新型コロナウイルスの影響で休園となっていた反動で大幅に伸び、東京ディズニーランドを含むテーマパーク事業は396億円と8倍近くに達した。連結営業損益は88億円の赤字(同156億円の赤字)。パーク運営にかかる人件費などでコストは増加したものの、売上高の増加で赤字幅は縮小した。22年3月期通期の業績予想は、先行きが見通せないとして引き続き未定とした。
同社の4~6月期の売上高は、前年同期比31%増の82億2000万ドルだった。「タグリッソ」などがん治療薬の販売が好調だった。また、新型コロナウイルスワクチンの売上高が8億9400万ドルだったと発表した。1~3月の3倍強に増えた。同社はパンデミック(世界的大流行)の間は無利益でワクチンを販売している。
4~6月期決算は純利益が前年同期比78%減の2億5300万スイスフランだった。アルケゴス関連損失に加え、投資銀部門の収入が大きく落ち込んだのが響いた。
アルケゴス問題については、クレディ・スイスとビル・ホワン氏の関係は03年まで遡るが、事件について特段の調査をした形跡はなかった。定例の信用調査も「通り一遍」で、投資銀行部門は運用成績の好調さなどを強調して取引を維持した。19年にはアルケゴスが求めてきた担保比率の引き下げをのみ、同社への与信はさらに積み上がった。危うい運用実態や与信集中にリスク担当者から懸念の声が度々出ていた。だが20年9月の投資銀行部門の監督委員会は緊急対応の必要性を議論せず、同委員会は破綻直前の21年3月まで問題を協議しなかった。
報告書は投資銀行部門が目先の利益に走った結果、「アルケゴスを制御できず貪欲なリスクテイクを許した」と批判した。クレディ・スイスは「リスク管理全般の転換点にする」と応じ、事件を教訓に抜本的な体制見直しを図ると約束した。22年2月までに最高リスク責任者(CRO)に米ゴールドマン・サックスから同分野のベテランを招く。投資銀行部門が暴走しない体制づくりを急ぐ。
4-6は70%増収/最終損益は18億6900万ユーロの黒字(前年同期は14億3800万ユーロの赤字)と回復。28日に発表した米ボーイングの同4~6月期決算も最終損益が1年9カ月ぶりに黒字転換した。新型コロナウイルスワクチン接種の普及で人の移動が先進国で再開し始め、航空会社が機材調達に再び動き始めた。
21年通年の引き渡し機数の目標は「2020年と同水準(566機)」としてきたが、600機に引き上げた。29日、ギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)は「コストを削り、競争力を高めてきたのが理由だ」とコメントした。
4-6は76%増収/EBITDAは前年同期の7.1倍の50億5200万ドル/最終損益は40億500万ドルの黒字(前年同期は5億5900万ドルの赤字)。EBITDAは四半期として08年以来で最高を記録した。新型コロナウイルスからの世界経済の回復で需要が増え、利幅が拡大した。期中の粗鋼生産量は24%増の1780万トンだった。鋼材平均価格は北米で59%、欧州で50%上昇した。1~3月と比べてもそれぞれ25%、17%上がった。
CEOは声明で「需要は今後さらに良くなる」と述べ、通期の世界の鋼材消費量の見通しを前年比7.5~8.5%増に引き上げた。従来予想は4.5~5.5%増だった。
19年末に日鉄と共同で買収したAM/NSインディアのEBITDAは6億700万ドルと前年同期の5.7倍。米国のAM/NSカルバートは2億7千万ドルだった。
VWは通期の調整後売上高営業利益率を6-7.5%と予想。見通しの上方修正は今年に入り2回目となる。一方、VWは半導体不足が7-12月(下期)に一段と厳しくなるとの見通しを示したほか、商品相場変動に伴うリスクも強調した。
4-6は27%増収/48%最終増益。人々が従来の買い物慣行に戻る中、新型コロナウイルス禍での急成長が失速しつつあることが示唆された。株価は時間外取引で一時約7%下げた。
通販事業が16%増収。「プライムデー」を例年よりも前倒しして6月に実施したものの、同事業の売上高は事前の市場予想を下回った。伸び率は20年4~6月期(48%増)や21年1~3月期(44%増)を下回った。ECプラットフォームに出品する外部事業者から受け取る各種手数料収入は38%増収だが、競合他社を下回る成長。アマゾンプライムなどサブスク収入は32%増収。AWSは37%増収となった。
地域・事業別の営業利益はAWS事業が25%増の41億9300万ドルとなり、全体の営業利益の5割超を稼いだ。北米事業の売上高営業利益率は4.7%となり前年同期に比べ0.8ポイント改善し、国際事業の営業利益率は0.3ポイント悪化して1.2%となった。
7~9月期は10~16%の増収(1060億ー1120億ドル)を見込むが、伸び率は19年1~3月期(17%増)以来、2年半ぶりに20%の大台を割り込むことになるほか、営業利益については25億~60億ドルの範囲になるとの予想を示した。前年同期比では3%減から60%減となり、収益力が低下する見通しを示した。これらはアナリスト予想平均(売上高1187億ドル、利益81億1000万ドル)を下回る。
油価回復と巨額減損の剥落により業績改善
Tモバイルの登録月間加入者数は4-6月期に130万人増加。そのうち新規顧客は62万7000人だった。アナリストは全体で87万3000人の増加を見込んでいた。通期の加入者数の伸びを最大530万人と、従来予想の490万人から引き上げた。
また同社は2020年4月のスプリント買収に伴うシナジー効果が最大32億ドル(約3500億円)に上る見通しも示した。従来予想は約31億ドル。
●マクロ・その他
ドイツのインフレ率は7月に大幅上昇し、2008年以来の高水準となった。同国では新型コロナウイルス対策に伴う制限措置が解除され、経済活動が再開している。
ドイツ連邦銀行(中央銀行)の予測によれば同国のインフレ率は今年、4%まで上昇する可能性がある。約20年前のユーロ導入以降、同国のインフレ率がこの水準に上昇したことはない。
6月の本邦鉱工業生産指数速報値は、前月比6.2%上昇(予想:5.0%上昇)の99.3。出荷指数は4.3%上昇の96.3で、在庫指数は2.3%上昇の95.9。在庫率指数は0.3%低下の108.5だった。製造工業生産予測調査では7月が1.1%低下、8月は1.7%上昇を見込んでいる。
サプライチェーンの制約が経済全体に影響し、政府支出や住宅投資、在庫が伸びを抑制し、市場予想(8.4%増)に届かず。ただ米経済の最大部分を占める個人消費は前期比年率11.8%増加し、市場予想も上回った。
また、GDPの規模は新型コロナウイルス危機の前である19年10~12月期の水準を回復した。
新型コロナウイルス禍で家賃を支払えなくなった人向けの立ち退き猶予措置を延長するよう米議会に要請した。猶予措置の期限は7月末で切れるため、住居を失う人が大量にでる懸念が強まっている。
米疾病対策センター(CDC)が、立ち退きによるホームレス増加でコロナ感染が拡大する恐れがあるとして猶予措置をとっていた。しかし最高裁が法的権限を認めなかったため、8月以降は延長できない。
米国勢調査局によると7月5日までに家賃滞納で今後2カ月以内に立ち退きを迫られる可能性のある人は360万人に上る。議会は約500億ドル(約5兆5000億円)の家賃支援を用意したが、米財務省によると6月末までに約30億ドルしか配布されておらず、政権は配布を担当する州・地方政府に手続きの迅速化を求めている。
ゴールドマンのストラテジストはリポートで「最近では中国株への投資に関する顧客との会話で、『投資不可能』という言葉がよくささやかれるようになった」と指摘。一部の産業を標的とした「極端な規制」があらゆる企業に適用される可能性は低いとして、過剰に悲観しないよう提言した。
リポートは2015年の相場急落を引き合いに、投資家のセンチメントに共通のパターンがあると指摘。当時は人民元建てA株が40%以上の値下がりとなったが、結局は市場に信頼感が戻り、1年後には資金流入はそれまでの最高を上回るまでになったという。
ただし、「規制の向かい風は今後も、中国株投資家のバリュエーション(投資尺度)判断に強く吹き付けるだろう」とリポートは予想。「変曲点に到達したと判断するのは時期尚早のようだ」とした。
滴滴は終値で11%高。一時20%急伸する場面もあった。非公開化を検討というダウ・ジョーンズ通信の報道に対し、滴滴はソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」の公式アカウント上で内容を否定した。
●市況
日経先物(大証)27470、ダウ先34898、債先152.32、米1.251、独▲0.4525、仏▲0.100、西0.269、伊0.623、原油73.31、ドル円109.45、墨ペソ19.87、トルコリラ8.4590、墨CDS99
※7/30 9時50分頃
備忘録(7/28)
●雑感
鉄道の損益分岐点はコロナ前2割減収が一つの目安(当然、会社にもよるけど)と見てる。京王は29%減収なんで、あともう一息か
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
ANAHDはベトナム航空の発行済み株式の9%弱を保有しているが、ANAHD自身の業績が悪化しており、追加出資に応じる余裕はないと判断
保有する米ライドシェア大手ウーバーテクノロジーズ株を4500万株売却することが28日、分かった。関係者が明らかにした。28日のウーバー株の終値(46ドル14セント)で計算すると売却額は約21億ドルに相当する。SBGは1月にもウーバー株を20億ドル売却している
2021年4~6月期の本業のもうけを示す事業損益(国際会計基準)は前年同期から大幅な黒字に急回復する見通しだ。4~6月期では、18年の906億円を上回り、過去最高水準が視野に入る。自動車を中心とした製造業向けの鋼材需要が大幅に回復し、コスト削減も進展する。海外グループ会社の好調も続く。
自動車や家電などで幅広く使う薄鋼板の一般流通(店売り)向け価格について、9月出荷相当分から1トン1万円(約1割)引き上げる。鉄鉱石などの原料価格や海上運賃が上昇しており、製品価格に転嫁し採算の改善につなげる。製造業の需要回復による需給の逼迫も踏まえた。値上げは2カ月ぶり。
2022年3月までに完了する予定だ。買収で配車サービスなどのモビリティサービスを強化する。
●その他産業
●決算関連
4-6は92%増収/59%最終増益。新型コロナワクチンの売上高が78億ドルとなり押し上げた。がん治療薬など主力の処方薬が好調だったほか、行動規制が緩和されるなか病院需要の回復も貢献した。
21年12月期通期の業績予想は、売上高が前期比86~91%増の780~800億ドルを見込み、従来予想(705~725億ドル)から上方修正した。ワクチン売上高予想の引き上げを反映したほか、経済回復により病院需要が引き続き好調に推移するとみている。ワクチンの売上高を除いたベースでは、7~12%増の450億~470億ドルを予想する。
ファイザー製ワクチンは、昨年12月に米食品医薬品局(FDA)などが緊急使用を承認してから、100カ国超に10億回分以上が供給されている。米国では累計1億9000万回超と、最も接種されているワクチンだ。7月中旬時点で各国・地域などと供給契約を結ぶ21億回分が、21年末までに供給されるとして見通しを引き上げた。生産能力拡大への取り組みも順調で、21年の生産量は30億回分を見込む。感染力の強いインド型(デルタ型)の拡大が深刻となるなか、追加接種のワクチンについてはデルタ型に高い予防効果を示すと明らかにしたことも追い風となる。
4-6は57%増収/純利益は前年同期比約4.6倍の22億1900万ドル。全世界で店内飲食の再開が進んだほか、商品価格の値上げや、まとめ買いが増え、持ち帰り注文の金額が増えたことが売り上げを押し上げた。今年2月に導入したチキンサンドイッチが売れ筋商品となったことも業績に寄与。既存店売上高は全世界市場で新型コロナ以前の水準に回復。
4−6は44%増収/最終損益は5億8700万ドルの黒字(前年同期は23億ドルの赤字)。四半期ベースの最終黒字は1年9カ月ぶり。
貨物機を含む商用機の出荷は79機と前年同期(20機)の4倍に回復し、商用機部門の売上高が2.7倍の60億ドルとなった。新規受注もユナイテッド航空からの小型機「737MAX」200機を含む317機と、わずか10機だった前年同期から急回復した。20年に着手した3万人規模の人員削減計画を見直し、削減人数を2万人にとどめる。
2度の墜落事故を起こした737MAXは、昨年末の運航再開後に500機を超える受注を得た。一方、中型機「787」は新たな構造上の問題が見つかり、5月から出荷を停止している。カルホーン氏は787について「航空当局と出荷再開の手続きを協議しており、影響は短期的だ」と説明した。
4−6は71%増収/最終損益は1145億円の黒字(前年同期は2855億円の赤字)。
2022年3月期の連結最終損益が600億円の黒字(前期は4486億円の赤字)になる見通しだと発表した。営業損益も1500億円の黒字(同1506億円の赤字)になる見込み。米国や中国で新車販売が好調に推移し、従来予想を上方修正した。5月時点では22年3月期の営業損益はゼロ、最終損益は600億円の赤字と予想していた。営業損益、最終損益はともに3期ぶりに黒字転換となる。
内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は「構造改革が着実に進んでいる」と強調した。
昨年10月に投入した新型SUV「ローグ(日本名エクストレイル)」は今年6月に発売直後の昨年11月と比べ6割増の3万台の販売に達するなど堅調に推移している。アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は「むやみに台数増を追うのではなく、台当たりの利益を追う取り組みが功を奏している」と話した。
英調査会社オートデータによると、米国では値引きの原資となる販売奨励金(インセンティブ)は6月に3028ドル(約33万円)と前年同月に比べ1800ドル以上抑え、日本車メーカーではなお最も高いがコスト構造も改善に向かいつつある。
もっとも、半導体不足に加えて原材料の価格も上昇している。特に車載電池に使うレアメタル(希少金属)は高騰が目立つ。リチウムは指標となる中国での炭酸リチウムの価格が1年間で2倍以上になった。コバルトは8割高い。日産は1850億円の影響があることを明らかにした。
販売の機会を逃さないように新車生産を進められるか。引き続き半導体や原材料の調達が業績のカギを握っている。
1-6は19%増収/営業利益は9.8倍の1478億円/純利益は前年同期比8.1倍の1056億円。在宅勤務の広がりで家庭向けインクジェットプリンターが好調だったほか、新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んでいたデジタルカメラの販売も大きく回復した。欧米での構造改革も進み始めた。
2021年4~6月の純利益が6億9200万ユーロ(約900億円)になったと発表した。前年同期は7700万ユーロの赤字だった。ロイター通信によると市場予想は3億7200万ユーロの黒字で、これを大幅に上回った。稼ぎ頭の投資銀行部門の収益は23億9400万ユーロで、前年同期に比べて11%減少した。銀行全体の収益もほぼ横ばいだったが、引当金や非金利費用が大きく目減りしたため、全体の利益が押し上げられた。
1-6は71%増収/純利益は、前年同期比3.7倍の123億ドル。主力の鉄鉱石部門の売上高は89%増の217億ドル、純利益は2.2倍の102億ドルと好調で全体を牽引。出荷量は前年同期比で3%減少したが「世界的な需要増や(オーストラリアに次ぐ鉄鉱石輸出国ブラジルの)供給制約を受けた価格上昇」(同社)を受け、大幅増益となった。平均販売価格は1トン168ドルと、前年同期から97%上昇した。銅やアルミニウム部門も販売価格が上昇し、増収増益となった。
4-6は38%増収/純利益は50%減の5億ドル。
北米や欧州で新車販売が前年同期から2割増加し、4~6月の世界販売は18%増の76万4000台となった。ピックアップトラックなど大型車の販売増や、値引きの抑制による販売単価の上昇も収益を押し上げた。前年同期に35億ドルの利益を計上した一過性損益(自動運転子会社「アルゴAI」への独フォルクスワーゲン(VW)からの出資受け入れに伴うもの)が剥落したことで最終減益に。
CEOは「4月の想定に比べて半導体の調達が改善した」と述べ、7~12月の生産台数が1~6月に比べて最大約3割増加するとの見方を示した。これに伴い、21年12月期通期のEBIT(利払い・税引き前利益)の見通しを4月時点の55億~60億ドルから90億~100億ドルに引き上げた。これは期初予想(80億~90億ドル)を上回る。
4-6は19%増収/総決済額は40%増/純利益は23%減の11億8400万ドル。新型コロナウイルスの感染拡大で電子商取引(EC)が拡大し、デジタル決済の利用が消費者に定着している。本業以外の収益減などにより最終減益となった。
4-6は65%増収/純利益は2.4倍の20億2700万ドル。
半導体販売部門の売上高は70%増の64億7200万ドル。5Gに欠かせない「RFフロントエンド」と呼ばれる半導体は2.1倍の9億5700万ドルで、最も伸びが大きかった。IoT機器向けと自動車向けはそれぞれ83%増えた。主力のスマホ向けは57%増だった。知財ライセンス部門の収入は43%増えた。
半導体の供給逼迫をめぐり、アカシュ・パルキワラ最高財務責任者(CFO)は「22年の初めまでは制約を受ける」との見通しを明らかにした。生産能力拡大への投資が進めば「22年後半に入る頃には現在よりも状況が改善しているだろう」との考えを示した。同社は1~3月期の決算発表で、21年末までに供給状況は大きな改善を見込むとの考えを示していた。
7~9月期の売上高見通しは84億ドルから92億ドルと、前年同期を0.6%~10%上回ると予想する。業績が市場予想を上回ったため、同社の株価は時間外取引で一時3%上昇した。
4-6は56%増収/純利益が2倍の103億9400万ドルだった。企業がインターネット広告の出稿を増やし、売上高が四半期ベースで過去最高を更新した。
19/4-6対比では36%減収(鉄道事業は29%減収)
●マクロ・その他
1~6月期の中国全体のスマホ出荷台数は前年同期比6.5%増の1億6400万台になった。1~3月期は前年に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で販売が落ち込んだ反動があったが、4~6月期は「大きなヒット商品がなく、消費者の関心が低かった」(IDC)という。足元では世界的な半導体不足によるスマホの生産への影響が広がる懸念もあり、21年後半の出荷に響く可能性がある。
4-6月(第3四半期)の米国外でのカード支出は47%増と、アナリスト予想を上回った。旅行を除くオンラインのクロスボーダー支出は56%増と、前期から12ポイント上向いた。増加分の多くを暗号資産購入が占めた。そのような支出には既に鈍化傾向が表れている。海外旅行が徐々に回復しているにもかかわらず、クロスボーダー支出の伸びが妨げられかねない。CFOはインタビューで、特に4月と5月に「暗号資産購入がかなり大きく増加した」が、「6月までに後退し始めた」と語った。
インフレは3Mの4-6月の調整後1株利益(2.59ドル)を0.17ドル押し下げた。同社は原材料価格や物流費の上昇で、通期利益が最大0.8ドル押し下げられると予想。影響の多くが下期に集中するとの見通しを示した。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)など他の主要工業企業トップも27日、同様の見方を示した。GEのラリー・カルプCEOは、インフレが下期により大きな問題になると指摘。これまではコスト管理などによって影響は若干抑えられてきていると説明した。
一部の銀行幹部は教育産業を巡る政策について、的を絞ったものであり他の業界で企業に打撃を与える意図はないとの認識を示したと、関係者らは語った。
●市況
日経先物(大証)27770、ダウ先34880、債先152.40、米1.239、独▲0.4555、仏▲0.096、西0.264、伊0.620、原油72.41、ドル円109.88、墨ペソ19.93、トルコリラ8.5604、墨CDS99
※7/29 8時55分頃
備忘録(7/27)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
ウィリオットは電池無しで使える無線通信機とセンサーを組み合わせたセンサータグを強みとする。2021年には200万個以上のセンサータグを出荷する見込みで、日本でも事業展開する。「ビジョン・ファンド2」などから2億㌦(約220億円)を調達した。
業種別日経平均株価で「空運」は前日比3%高、「鉄道バス」は2%高だった。米国市場では新型コロナウイルス下での経済再開への期待からレジャー関連への買いが目立っており、海外の投資家が日本株も先回りして物色した。ただ、国内の新規感染者数は急増しており、株価上昇の持続性には疑問の声もある。
8月の運航率(2020年度事業計画比)は65%と、15日の前回発表時から変わらない。緊急事態宣言による予約数の大幅な落ち込みは足元で生じておらず、運航率は7月(1~31日)の50%と比べて改善傾向という。
●その他産業
米インテルは26日、技術説明会でスマートフォン向け半導体大手の米クアルコムとクラウド最大手のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)から生産を受託したと発表した。インテルはすでに200億ドル(約2兆2000億円)を投じ米西部アリゾナ州に新工場を建設すると表明。年内には米国、欧州での能力増強に向けた投資計画を公表する方針も示している。このほか、300億ドル規模で半導体受託生産世界4位の米グローバルファウンドリーズの買収に向け交渉していることも報じられた。
米国の半導体産業はファブレスの台頭と裏腹に生産能力を落としていった。米国半導体工業会(SIA)によると、世界の半導体生産(能力ベース)に占める米国のシェアは1990年の37%から20年には12%まで低下している。一方で90年に0%に近かった台湾は21%まで躍進した。
米中関係の悪化や需給逼迫を契機に米政権は半導体の製造基盤を自国で確保する動きを加速しており、米議会上院は5年間で、米国内に工場や開発拠点を設ける企業への補助金など計5.7兆円を出す法案を可決するなど半導体の内製にカジを切っている。
「24年に競合の性能に追いつき、25年には首位となる」。パット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は説明会でこう強調した。回路の線幅が7ナノ(ナノは10億\分の1)メートル相当の製品を23年に出荷し、毎年、新世代の半導体製品を投入する方針だ。
2021年4〜6月期の石油・ガス関連企業が絡んだM&A(合併・買収)の総額は300億ドル(約3兆3000億円)を超えた。アナリストや銀行関係者は今後もこのような状況が続くと見ている。
人口カバー率を2021年夏までに96%に広げる目標を示していたが、21年内の達成に時期を改めた。基地局に使う半導体が足りず、基地局整備が遅れる見込み。世界的な半導体不足を受け、自動車業界などに続いて通信業界にも影響が出てきた。
アルケゴス・キャピタル・マネジメントのポジション破綻で数十億ドルの損失を被った経緯の分析を29日にも公表する見通しだ。事情に詳しい匿名の複数の関係者からの情報を引用し、ダウ・ジョーンズ(DJ)通信が伝えた。DJによれば、報告書の公表は29日の4-6月(第2四半期)決算発表前後になる可能性があり、見過ごされたポジション集中のリスクや人的判断ミス、リスク管理部門の問題が焦点となる。
●決算関連
2022年3月期の連結純利益が前期比24%増の3630億円になりそうだと発表した。2期ぶりに最高益を更新する。米国を中心に経済回復が鮮明で、主力の塩化ビニール樹脂では住宅やインフラ向けに需要が拡大する。シリコンウエハーも半導体不足を受けて好調に推移する。年間配当は前期から50円増やして300円とする。
4−6は9%増収/最終損益は11億ドルの赤字(前年同期は21億ドルの赤字)だった。金融部門が保有する航空機リース会社の株式評価損などが響いた。
航空機エンジン部門は、米ボーイングの小型機「737MAX」の出荷再開や旅客機のメンテナンス需要の回復で売上高が前年同期から10%増加した。営業利益は6億ドルの赤字から1億ドルの黒字に転換した。最悪期は脱したものの、新型コロナ危機前の19年同期と比較すると売上高はなお4割低い水準だ。
フルサイズミラーレスカメラや家庭向けインクジェットプリンターなど高価格帯製品の販売が好調で想定を上回って推移する。
4-6は20%増収/38%営業増益/57%最終増益。パソコンやゲーム、サーバー向けの半導体メモリーの需要が引き続き堅調で、メモリー価格を押し上げた。また、主要メモリー製品のDRAMの平均価格は前四半期比10%台後半の水準で上昇し、NAND型フラッシュメモリーは約10%上昇したという。
今後の需要については「下半期から来年にかけて、ポストコロナの需要拡大期となる。5Gスマートフォンや高速通信関連サービスが浸透し、データセンター向けのメモリー需要も高まる」と明るい見通しを示した。また、同社はDRAMで「EUV(極端紫外線)」と呼ぶ最新生産技術を使った先端品の量産を開始し、21年後半に供給開始すると明らかにした。NANDでは現在最先端のメモリー素子を128層積み重ねた製品の販売比率が4~6月期に50%に達したという。年末には次世代品の176層品の量産を始める。
4-6は21%増収/47%最終増益。通期(21/6期)としては18%増収/38%最終増益。
ネットワーク経由で演算能力を提供する「Azure(アジュール)」や業務ソフトをまとめた「Office365(企業向け)」といったクラウド関連事業の売上高は36%増の195億ドルだった。出勤と在宅勤務を組み合わせる働き方の広がりも、クラウドの継続成長を後押しした。マイクロソフトによれば、職場向けアプリ「Teams(チームズ)」の月間利用者は2億5000万人に迫るという。
一方、パソコンメーカー向けの「Windows(ウィンドウズ)」の販売額は前年同期を3%下回った。部品不足によって顧客のパソコン出荷が停滞したのが一因だ。業績への影響は軽微だが、27日の時間外取引で株価が一時3%下落する要因となった。
4-6は36%増収/最終利益が1.9倍。高速通信規格「5G」の本格普及に伴って主力商品であるスマートフォン「iPhone」の買い替えが進み、売上高と最終利益はいずれも4~6月期として過去最高を更新した。
地域別の売上高では香港と台湾を含む中華圏の伸びが大きく、58%増の147億6200万ドルだった。スマホ市場で競合する中国・華為技術(ファーウェイ)が米国政府による半導体輸出規制の影響で失速するなか、アップルは5G対応によってiPhoneの販売を伸ばしたとみられる。
7~9月期には半導体不足の影響がiPhoneにも及び、逸失売上高は4~6月期の30億ドル弱よりも「大きくなる」との見通しを示した。全体の売上高は7~9月期も2桁の伸びが続くものの、伸び率は4~6月期(36%増)を下回る見込みだという。
4~6月期の連結営業損益が750億円前後の赤字になったことが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した前年同期(1590億円の赤字)から赤字幅が半減する。航空貨物の需要が伸びて採算が改善したほか、機材削減や社員の外部出向などのコスト削減効果が出た。
4-6は78%増収/最終損益が11億5300万ドル(前期:6億7800万ドルの赤字)。通期売上高予測を従来の17~22%増から21~22%増に修正。
猛暑が追い風となりアイスコーヒーなど冷たい飲み物が飲料品売り上げの約4分の3を占めた。主力市場の米国の既存店売上高は83%増で既存店売上高の伸びを主導した。
海外の既存店売上高は41%増。来店客数が55%増えた。米国に次ぐ第2の主力市場である中国の既存店売上高は19%増だった。出店数は中国での税制改正や旅行規制を受けやや鈍化したものの継続し4~6月期に5000店に達した。22年9月末までに6000店に拡大する計画だ。
4-6は62%増収/純利益が同2.7倍の185億2500万ドル。売上高と純利益は四半期ベースで過去最高を更新した。米欧で経済再開が進み、インターネット広告の需要が急回復した追い風を受けた。主力のネット広告の売上高は前年同期比69%増の504億4400万ドルだった。このうち動画共有サイト「ユーチューブ」向けの広告は84%増の70億200万ドルだった。小売りや旅行、金融といった分野の企業が経済再開を機に広告の出稿を増やし、アルファベットの収益を押し上げた。
強化を進めているクラウドコンピューティング事業の売上高は前年同期比54%増の46億2800万ドルになった。営業損益は5億9100万ドルの赤字(前年同期は14億2600万ドルの赤字)だった。米アマゾン・ドット・コムなどとの競争が激しく、収益は改善しているものの赤字が続いている。
4-6は99%増収/利益は前年同期から3倍強増の7億1000万ドルとアナリスト予想を上回った。7-9月期売上高を約41億ドル(約4500億円)の上下1億ドルと予想。アナリスト予想の平均は38億ドルだった。また通期増収率見通しを従来の50%から60%に引き上げた。
リサ・スー最高経営責任者(CEO)は、顧客が久しぶりにインテル製品と対抗し得ると評価する一連の新製品を投入し、同社を成長軌道に戻した。投資家はスーCEOの改革により市場シェアと利益が伸びると期待してAMD株にこの5年間、多くの資金を投じてきた。しかし今年に入ってフィラデルフィア半導体株指数は13%上昇したものの、AMDは約2%下げている。
●マクロ・その他
米連邦住宅金融庁(FHFA)が27日発表した5月の全米住宅価格指数(季節調整済み)は前月比で1.7%上昇した。前年同月比では18.0%の上昇で、伸び率は前月に続き統計のある1991年以降の最高を更新した。
FHFAの調査では、西海岸都市部からの移住先として人気のアイダホ州、アリゾナ州、コロラド州からなる山岳部は23.2%に達したほか、マサチューセッツ州、コネティカット州を含む東海岸北部も21.8%上昇した。FHFAは「住宅売買は夏季も活発で、すでに逼迫した市場に一段と圧力がかかる」として価格高騰は続くとの見方を示した。
5月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(全米)も前年同月比で16.6%上昇した。伸び率は12カ月連続で高まり、こちらも前月に続いて過去最高を更新した。
最新の世界経済見通し(WEO)で、2021年の世界成長率予測を6%に据え置いたものの、国・地域別の予想は修正した。新型コロナウイルスワクチンの普及状況が先進国と発展途上国の経済回復の格差を広げるとみている。新興市場国の成長率予想は6.3%と、4月時点に予測した6.7%から下方修正した。先進国の成長率予想は0.5ポイント上方修正され5.6%と見込まれている。
22年の世界成長率予想は4.9%と、従来見通しの4.4%から上方修正した。
IMFは報告書で、「ワクチンへのアクセスが主要な断層線となり、世界は景気回復について2つのグループに分断された。今年中にさらなる活動正常化が望めるグループと、依然として感染再拡大および死者増加に直面するグループだ。先進国・地域の大半が前者に入る」と分析。その上で、「しかしながら、現時点で感染者数が非常に少なくなっている国々でも、他の国・地域でウイルスが猛威を振るっている限り、回復は確実ではない」とくぎを刺した。
ブラジル南部で冷害が発生し、農作物の生産に懸念が生じている。コーヒー豆の主要産地であるミナスジェライス州やサンパウロ州では今後も降霜が予想され、収穫量の減少が見込まれている。コーヒー豆(アラビカ種)の国際指標であるニューヨーク先物(期近)は26日、1ポンドあたり200セントを超え、約7年ぶりの高値を記録した。
トウモロコシやサトウキビへの影響も懸念されている。ブラジルでは現在、渇水も問題となっており、既にこれらの作物は収穫量の減少が予想されている。冷害によりさらに収穫量が減少するとの見方が出ており、相場の上昇要因となっている。
ハンセンテック指数は一時10%近く下落。公表を開始したちょうど1年前の水準を割り込んだ。中国本土のCSI300指数は3.5%安で取引を終了。オフショア人民元はドルに対して一時0.6%安の6.52元と、今年4月以来の安値を付けた。中国の債券も下げている。トレーダーらによると、米国が中国や香港への投資を制限する可能性があるとの未確認のうわさでこうした動きに拍車が掛かった。
招銀国際証券の蘇沛豊ストラテジストは「規制当局の措置がさらに続き、締め付けが他のセクターにも広がるのかが主な懸念材料だ」と指摘。「こうした規制面の懸念が今年後半の市場の大きな足かせになるだろう」と述べた。
中国の教育関連企業ニュー・オリエンタル・エデュケーション・アンド・テクノロジー・グループについて「中国当局による規制変更および導入の結果、ニュー・オリエンタルの事業は著しく弱体化し、事業モデルや業務内容、事業拡大、資金調達力が大幅に悪化する可能性がある」と指摘。格付けを「Baa1」から「Baa3」へ引き下げた。
中国恒大は債務の77%が1年以内に返済期限を迎えるため、完成前物件の売り上げを促進しようと価格の引き下げを続ける可能性があり、これが利益や利幅に大きく影響するだろうとUBSのアナリストは指摘。同社は有利子負債を削減したが、商業手形やその他短期債務を含む負債総額は昨年に過去最大の1兆9500億元(約33兆円)に膨らんだ。
信頼感指数はパンデミック入り前の水準に近づき、経済活動の再開で消費者の楽観が強まったことを示唆した。一方、ここ数週間では消費者物価高騰やデルタ変異株への懸念が強まり、これが今後数カ月のマインド圧迫要因となる可能性がある。
●市況
日経先物(大証)27700、ダウ先34982、債先152.37、米1.249、独▲0.4450、仏▲0.094、西0.264、伊0.619、原油71.98、ドル円109.86、墨ペソ19.97、トルコリラ8.5634、墨CDS94
※7/28 9時30分頃
備忘録(7/26)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
世界64カ国・地域の1~6月の粗鋼生産量(速報値)は、前年同期比14.4%増の10億390万トンだった。前年は新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ主要生産国が軒並み回復したことが寄与した。さらに中国の生産拡大が続いていることで、全体では9億トン台だったコロナ前の2019年1~6月も上回った。
国・地域別では、中国が11.8%増の5億6330万トンだった。中国は20年もコロナの影響からいち早く脱し、同期間で前年超えを達成していた。21年も鋼材需要は高水準で推移しており、足元で減産措置が講じられているものの、前年同期比で2桁増となった。
20年に大きく落ち込んだ国の回復も顕著だ。インドは31.3%増の5790万トンとなった。日本は13.8%増の4810万トン、米国は15.5%増の4200万トンだった。
6月単月では粗鋼生産量は前年同月比11.6%増の1億6790万トンだった。中国が1.5%増の9390万トンだったほか、インドや日本なども大幅に増えた。
米国ではワクチンの接種完了率が低い地域ほど新規感染者が多い傾向が鮮明だ。一方、欧州では5割を超えても感染抑制に苦戦する。感染力の強いインド型(デルタ型)の拡大で感染を抑えるための「集団免疫」獲得へのハードルは上がっている。
英国で10年以内にたばこの販売を停止へ。日本でも10年以内にたばこの販売から撤退して加熱式の「IQOS」などに注力する予定。加熱式たばこに力を入れるほか、ライフサイエンスの分野にも事業の幅を広げて世界で脱たばこを進める。
テキサス州ヒューストンの病院などの研究では、デルタ型の新規感染のうちワクチン接種を完了した人は2割を占めた。他の変異ウイルスでは、わずか6%だったという。
ただし、デルタ型に関しては、従来型に比べてワクチンの有効性が低下するとの研究もある。イスラエル保健省の研究でも、予防効果が低下した一方で重症化を防ぐ効果は9割を超えた。
●その他産業
携帯通信事業の基地局設置など先行投資が重荷となり、営業キャッシュフロー(CF)から設備投資額を差し引いたフリーオペレーティングキャッシュフロー(非金融事業)の赤字額が、22年12月期末までに1兆円超になると試算。「21年12月期は増資や劣後債の発行で財務負荷を一定程度緩和できるが、来期は負債調達が主体となるため財務基盤が大きく悪化する」とした。劣後債の格付けも「シングルBプラス」に2段階引き下げた。格付け見通しは「ネガティブ」とした。
ルネサスをはじめとした半導体メーカーの供給制約は解消されつつあるが、自動車や家電など幅広い分野の需要を満たす供給量は確保できていない。世界的な半導体不足は、なお解消のメドが立たない。
●決算関連
4-6は25%増収/73%最終増益。中国などでのスマホ需要が高く、ハイエンド向けの偏光板や組み立て用の部材などが好調。前期から量産を始めたスマホ向けの高精度基板も伸びた。データセンター向けの回路基板も受注が増えた。自動車向けのテープも前年同期から販売需要が回復した。核酸医薬分野では技術供与に対するロイヤルティー収入を計上。
22年3月期通期の業績予想は据え置いた。26日の電話での記者会見で最高財務責任者(CFO)の伊勢山恭弘取締役は「上期は計画通りに推移している」と話したうえで、「下期は半導体不足、新型コロナの収束時期が不透明などの懸念もある」と指摘した。
4-6は6%増収/27%最終減益。呼吸器や遠隔診療システムなどを含むコネクテッドケア部門の売上高は11%減。リコール対象になった睡眠時無呼吸症候群の治療機器の受注を停止した影響が出たものの、電動歯ブラシなど消費者向け製品のパーソナルヘルス部門が28%増、診断・治療機器部門は10%増と、新型コロナウイルスの影響で減少した前年同期の反動が出て、トップラインは増収。
最終利益は同社がは6月に発表した睡眠治療関連機器のリコールに関連する費用として2億5千万ユーロを引き当てたことが響き減益。
また、同社はこの問題に関して複数の訴訟を抱えていることも明らかにした。フランス・ファン・ホーテン最高経営責任者(CEO)は電話会見で「訴訟の影響について結論を出すのは尚早だ。現在集めている追加の試験データに基づいて我々の立場を強く擁護するつもりだ」と述べた。
発表資料によれば、同社は7-9月(第3四半期)からの3年間に発行済み株式の最大4%の買い戻しを目指す。
ビットコインの価格は4-6月(第2四半期)に41%下落。米電気自動車(EV)メーカーのテスラやデータ分析ソフトウエアを手掛けるマイクロストラテジーは、今週発表の4-6月決算に保有するビットコインの評価を計上する必要がある。モバイル決済サービスを提供する米スクエアも来月決算を公表する。
1-6は56%増収/純利益が前年同期比10倍の52億8900万ユーロと業績は大幅改善。
主力ブランドの「ルイ・ヴィトン」がけん引した。1月に約1兆7000億円で買収した米宝飾大手ティファニーとの相乗効果も表れ、時計・宝飾品は3.1倍に急増した。
地域別では全地域が2桁増収を達成した。
不安もある。感染力が強いインド型(デルタ型)の変異ウイルスの流行で、欧米では感染が再拡大。再び店舗閉鎖に追い込まれるリスクはある。消費が富裕層に偏っているのも懸念材料で、中低所得者層に訴求できるブランド戦略も課題になる。
4~6月期決算では3億5400万ドルのクレジット売却収入を除いても最終利益は黒字の水準を保ち、EV販売で稼ぐ収益体質が備わりつつある。
●マクロ・その他
中国側は通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)など中国企業への制裁撤回を柱とする是正リストを提示。
ファーウェイなどへの制裁の他、党幹部や政府高官、政府機関への制裁の撤回、中国語普及を目的に米国に設置している中国政府の非営利団体「孔子学院」への圧力停止、共産党員とその家族、中国人留学生に対するビザ制限を撤廃なども要求した。
米国は中国によるサイバー攻撃や香港、新疆ウイグル自治区、台湾、東シナ海・南シナ海を巡る問題など幅広い分野で懸念を伝えた。新型コロナウイルス発生源の追加調査で中国が世界保健機関(WHO)に非協力的な点も指摘した。
王外相は「(新疆ウイグルや香港などの問題より)重要なのは台湾問題だ」と指摘。「台湾独立」の動きに「中国はいかなる手段をとっても阻止する権利がある」と強調した。
また外務次官からは会談に先立ち「中米関係が膠着状態に陥り、深刻な困難に直面している根本的な原因は、米国の一部が中国を仮想敵とみなしているからだ」と主張。バイデン政権が8月末までに新型コロナの発生源を巡る調査報告書をまとめる予定であり、調査の成り行きによって再び中国がやり玉に挙げられる可能性があることから、対米交渉において強気の構えをみせている。
もっとも中国はバイデン政権とのさらなる関係悪化は回避しようとしている。米国に相互尊重やウィンウィンの連携構築も呼びかけた。
英政府が全ての原子力発電所の新設計画から中国国有企業の関与を排除することを検討しているとの報道について「開放的で公平、差別のないビジネス環境を提供すべきだ」と述べ、英側をけん制した。
中国共産党が支配する中国では2008年に独占禁止法が施行されたが、それは外国企業の締め付けに使われてきた。
だが中国政府は自国企業に対し、突然、その独禁法の適用を強化しだした。その活動は奇妙な頭字語で呼ばれ、旧東独のシュタージ(秘密警察)のように不意打ちの捜査を得意とする組織が、終わりのない恐怖と驚愕(きょうがく)の物語を繰り広げている。かくして中国の巨大テック各社は、瞬く間に当局に尻尾を振る従順な飼い犬へと姿を変えている。巨大テックを苦々しく思う米国の人々に、中国はそうした企業に身の程を思い知らせる手本を示した格好だ。だが、それは米当局が中国と同じ手法をとれたらのことであって、そんなことは米国ではあり得ない。
まずスピードの違いがある。反対派の意見にも配慮する必要がある民主主義の米国に対し、スピードは中国共産党が握る最大の強みだ。20年12月にアリババ集団を独禁法違反の疑いで捜査して、4月に182億2800万元(約3000億円)の罰金を科すまで4カ月しか要しなかった。米国の司法省と11州が20年10月に米グーグルを検索ビジネスで独占的地位を乱用した疑いで提訴したが、裁判が始まるのは23年だ。何という違いか。
独禁法の適用範囲も違う。中国では独禁法を適用する上で、米国のように煩わしい裁判所が立ちはだかることはない。一党独裁体制で許されるあらゆる手段を用いて不届き者に鉄ついを下すのが中国のやり方だ。ネット上での差別的な価格設定から優越的地位の乱用、取引先の不当な扱い、テック企業の合併で当局への事前申請漏れなど今や取り締まりの対象は幅広い。中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)は、6月末にニューヨーク証券取引所に上場した数日後に当局に国家安全保障上の理由から、そのデータ管理に問題がないかスパイ行為がないかの審査を受けた。
3つめの違いは処罰の厳しさだ。中国テック大手が最も恐れるのは罰金ではない。アント・グループのように事業モデルの変更を余儀なくされたり、企業としての信頼を失ったりすることだ。当局は国営メディアや大衆の怒りを利用して、そうした企業の売上高や株価に大打撃を与えられる。一連の取り締まり強化で中国のネット大手5社の時価総額は今年、既に計1530億ドルも減った。中国企業が政府に降伏する一方、米企業はカーンFTC委員長などの規制派に公然と反論、反撃している。バイデン政権が司法省の反トラスト法担当トップに選んだ、グーグル批判で知られる弁護士ジョナサン・カンター氏も似た反撃を覚悟せざるをえないだろう。
テック企業たたきは、技術革新を次々に生む彼らのアニマルスピリットを潰す危険もある。皮肉にも米中それぞれのデジタル市場では、テック各社が互いの領域に進出し合う一方、新興企業が既存企業に戦いを挑むなど競争は激しさを増している。今、必要なのは企業の弾圧ではなく支援だ。米政府は巨大テックを解体するのではなく、いつの時代にも米国の最大の武器だった自由市場、法の支配、そして適正な手続きの在り方の全てを強化すべきだ。これが米国が中国に伝えられる教訓の一つであり、最も重要な教訓である。
中国当局は26日、ネット企業を対象に独占禁止法の順守やデータ安全など4分野に関して集中的に取り締まると発表した。データ利用状況の監視強化につながるとの見方から、同日の香港市場と上海市場ではネット大手などの主力株が軒並み安となった。米国に上場する中国企業では音楽配信のテンセント・ミュージック・エンターテインメントや電子商取引大手のアリババ集団などが大幅安で始まった。
新規制は学校のカリキュラムを営利目的で教えることを各社に禁止し、資本調達や上場も認めない。週末や休暇中に学校の科目に関連した指導もできなくなる。学習の低年齢化に拍車を掛けていた6歳未満の子供向けオンライン・学術的授業の提供も禁じられる。これにより生徒の学習負担を軽減するとともに、「資本に乗っ取られて」いたと政府が主張する教育セクターの改革に乗り出す。
子供の将来に有利に働くとして親の教育熱が高い中国では、そうした需要に応える形で教育テクノロジーセクターが1000億ドル(約11兆円)規模に拡大していた。今回の見直しは既存のビジネスモデルを根本から転換させるもので、関連企業と株主は大規模な変革を余儀なくされる。
中国当局が1000億ドル(約11兆円)規模の教育関連テクノロジー業界に対し厳しい規制を課したことで、同セクターに投資している世界のプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社やベンチャーキャピタル(VC)ファンドは打撃を受けそうだ。
中国政府は24日に教育セクターの抜本的改革方針を発表。週明け26日の中国株式市場では教育関連銘柄だけでなく、ハイテク銘柄などにも売りが広がった。
中国のハイテク株と教育関連株の時価総額は2月以降、計1兆ドル(約110兆円)余りが吹き飛んだ。上海からニューヨークに至る世界のトレーディングデスクでは、中国規制当局が次はどこを標的にしそうか、市場は規制リスクを適切に織り込んでいるのか、という疑問が渦巻いている。不動産管理会社や食品配達企業の株価は26日、政府が両分野の監督強化を示唆したのを嫌気して大幅下落した。
中国金融の脆弱(ぜいじゃく)性を論じた「レッド・キャピタリズム(赤い資本主義)」の著者フレーザー・ハウイー氏は、「あらゆる産業がターゲットにされている」と指摘。「これは舵取りが非常に難しい環境だ。週末に国の命令で自分のビジネスが価値ゼロになってしまうこともあり得るなら、一体どうやって計画を立てればいいのか」と語った。
新型コロナウイルス感染拡大の継続が理由。娯楽イベントや遊園地の再開、企業のオフィス復帰に予想以上に時間がかかる可能性があるほか、リモート勤務の増加がオフィス関連ビジネスやサービス支出にとって好材料とはならないと、同行エコノミストはみている。
6月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は67万6000戸で、前月比6.6%減少した。3カ月連続のマイナスで2020年4月以来1年2カ月ぶりの低水準、市場予測(79万5000戸程度)を大幅に下回った。前年同月比では19.4%減少した。販売価格(中央値)は36万1800ドル(約3990万円)で、前年同月比6.1%上昇した。
住宅ローン申請件数や中古住宅販売件数は下降傾向にあり、建設業界の景況感を示す全米住宅建設業協会(NAHB)の住宅市場指数も7月は11カ月ぶりの低水準となった。
全米不動産協会のエコノミストは、需要に対して物件の供給が不足して価格が高騰している上に、建材の値上がりや労働者不足も新築住宅価格を押し上げていると指摘。
物価連動国債の取引から算出される米国の10年債の実質金利は26日、一時マイナス1.12%まで低下し、1月などにつけていたマイナス1.11%を初めて下回った。2~3月には景気急回復や米金融緩和の修正観測を背景にマイナス0.5%台まで上昇していた。
ドイツ企業の景況感は7月に予想外に落ち込んだ。サプライチェーンの問題や新型コロナウイルスの感染再拡大が景気回復を減速させるとの懸念が示唆された。
●市況
日経先物(大証)27950、ダウ先35021、債先152.42、米1.295、独▲0.4130、仏▲0.071
、西0.287、伊0.632、原油72.14、ドル円110.36、墨ペソ20.04、トルコリラ8.5586、墨CDS94
※7/27 8時20分頃
備忘録(7/22-25)
●雑感
米国航空強い。デルタ株云々あるが、一度自粛から解き放たれてしまった以上、再び自粛に戻すのは難しいのでは(あとワクチン打った人は重症になりにくいこともある。あと国民性も…)。なので、3Qも強い結果が待っていそう。となると航空関連も追い風か。Boeingは置いといて、Airbus、RTXも期待したい。エンジンのGEは発電事業が気がかり。
日系航空はどうなんだろうか。米国航空より遅れて回復となりそうだが。7/30に出てくるANAの決算から何か示唆が出てくるか注目。
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
温暖化ガス排出量の削減目標については「2030年時点の引き上げを目指す」ことでは合意した。だが気温上昇を産業革命前と比べて1.5度以内に抑える目標の表現などを巡って各国の調整が長引き、通常は閉幕直後に公表する共同声明のとりまとめも遅れている。新興国からの慎重な声が多かったためとみられる。
G20はG7に中国やインド、ロシアといった新興国などが加わり、温暖化ガスの排出量で世界の約8割を占める。世界の気候変動対策が成功するにはG20の協調が欠かせないが、新興国は石炭火力への依存度が高く、踏み込んだ合意に至るのに難しい状況が改めて浮き彫りになった。
22日の新規感染者数は約5万5000人。ブラジルやインドネシア、英国を上回り世界最多だった。7日移動平均では約4万4000人となり17日連続で増加した。新規感染に占めるインド型(デルタ型)の割合は8割を超える。ワクチン接種が遅れる一部の州では感染拡大に危機感が高まり、接種ペースが上昇している。
背景にはデルタ型の急速な広がりと、ワクチン接種割合が低い地域での感染拡大がある。米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長はデルタ型が「信じられないほどの早さで広がっている」と指摘する。デルタ型が9割を超える地域もあるという。少なくとも1回接種を受けた人の割合は全米で56%。最も割合が低い南部ミシシッピ州(38%)を含め、南部や中西部など約30州が全米平均を下回る。
感染拡大は接種が遅れる地域で目立つ。ミシシッピ州は22日、新規感染者数が約1200人と1週間前に比べ2倍に増えた。同テキサス州(50%)や同アーカンソー州(45%)も2倍、同アラバマ州(42%)は6割増となった。一部の州では接種ペースが上昇している。1日の接種回数(人口100人当たり)をみると、これまで相対的に遅れていたアーカンソー州やフロリダ州、ミズーリ州、ネバダ州、テキサス州などが全米平均を上回り始めた。
経済産業省が原案を公表した新しいエネルギー基本計画は、再生可能エネルギーや原子力発電所で最大限の稼働をめざすが、2030年度の発電量のうち4割はなお火力で担う。そのうち半分は温暖化ガスの排出量が多い石炭火力発電だ。電力の安定供給や電気代の上昇を抑えるため、古い発電所の休廃止を進めながら使い続けるが、欧州では石炭火力の全廃を掲げる流れが加速しており、海外からの風当たりは強い。
シボレー・ボルトEVのバッテリーから発火する恐れがあるとして約6万8000台のリコールを届け出た。2020年11月に続く2度目のリコールで、EVシフトを進める同社には痛いつまずきとなる。
河南省で豪雨の影響によって停止していた合弁工場の運営を同日昼までに再開したと明らかにした。現地で発生した観測史上最悪の大雨による水害を受け、21日から稼働を停止していた。従業員に被害はなく、「完全な生産に戻った」(日産)としている。
日産は鄭州市で、地場自動車大手の東風汽車集団との合弁の東風日産の工場を運営し、多目的スポーツ車(SUV)「エクストレイル」などを生産している。鄭州市ではこのほか、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)が米アップルのiPhoneの組み立てを請け負っている。富士康科技集団は「工場設備に直接的な影響はない」とコメントしている。
大手3社の2021年4~6月期決算は、最終損益で黒字だったのはアメリカンとデルタ航空の2社。ユナイテッド航空は最終赤字だったが、赤字幅はコロナ下で最も小さく7~9月期の黒字転換を見込む。合計の純利益が2億3700万ドル(約260億円、前年同期は94億ドルの最終赤字)と、新型コロナウイルス下に入った20年1~3月期以降で初めて黒字になった。今年4月時点の市場予想では21年後半まで赤字が続く見通しだったが、予想より早く黒字に浮上した。
けん引役は「19年の同時期を上回る米国内の観光需要と法人需要の持ち直し」(デルタのエド・バスティアンCEO)だ。アメリカンでは今年3月に19年の20%にとどまった米国内の法人需要が6月には45%に上昇した。コロナ下で在宅勤務が中心だった企業の多くがオフィス勤務や出張を再開しており、これまでの慎重な見方を転換。「22年には完全に回復する」(アメリカン幹部)との見通しも出た。ユナイテッドは「夏の終わりと、年始めの22年1月が回復の節目になる」と期待する。
決算発表で各社は財務の健全性も強調した。前年同期は3社合計で1日当たり1億ドル近くの現金流出が続いていたが、3社とも純現金収支が黒字に転換した。現金などの手元資金も4~6月は1~3月から1割増え621億ドルとなった。アメリカンは収入回復の持続を見込み、逆風下で巨額の手元資金を積み上げる必要性は薄れたと判断。6月末で213億ドルを抱える手元資金は22年に、コロナ前と同水準の100億~120億ドルまで減らす方針だ。一方、25年までの負債削減の目標額は従来の80億~100億ドルから150億ドルに引き上げ、財務の立て直しを急ぐ。
今後懸念されるのがインド型(デルタ型)など変異ウイルスのまん延と、人手不足などに伴う費用負担だ。
変異ウイルスの拡大に対して各社は「キャンセルは生じていない」(ユナイテッド幹部)、「陽性率上昇に伴う予約の鈍化はない」(アメリカン幹部)という。ユナイテッドの調査ではマイレージ会員の84%が6月末時点でワクチン接種を終えており、ワクチン普及が需要を下支えするとの見方だ。
ただ、変異ウイルスのまん延によって「渡航制限の延長や新たな制限措置が設けられ、国際線の回復を遅らせる可能性がある」と指摘する声もある。ユナイテッドは最も回復が遅いアジア路線について「コロナ前の運航に戻るのは早くても23年になる」としており、「コロナ前の利益水準を取り戻すにはまだ坂道を上らないといけない」(スコット・カービーCEO)。
ファイザー・ビオンテック製ワクチンは入院する確率を88%、重症化を91%の確率で防ぐ。調査は6月20ー7月17日にかけて行われたが、調査対象人数は明らかにされていない。
イスラエルは世界で最も効果的にワクチン接種が進んだ国の一つで、全人口の57%がこれまでに接種を完了した。だが、デルタ変異株で最近は感染者数が増加している。重症化の数も増えているが、今年初めのピーク時との比較では少数にとどまっている。
●その他産業
トラック輸送管理のソフトウエア開発を手掛ける米トランスプレイスを買収すると発表した。2017年にトランスプレイスを買収していた米投資ファンドTPGキャピタルから株式を取得する。買収は株式交換と現金の組み合わせによって行い、最大7億5000万ドル相当のウーバーテクノロジーズの普通株式と現金で構成する。
ウーバーは祖業のライドシェアと同様の技術を使い、荷物を送りたい企業とトラック運送企業をマッチングするサービス「ウーバーフレイト」を17年から米国で手掛けている。荷物の動きを追跡して効率を高めるソフトに強みを持つトランスプレイスの買収によって、荷主とトラック会社の双方に対するサービス品質を改善できると見込んでいる。
インドのIPO市場を利用する初のユニコーン(企業価値10億ドル以上の未公開企業)だったゾマトは、国内の投資コミュニティーにめったに見られない熱狂を生み出している。
投資家の間では、インド市場はバブルがいつ崩壊してもおかしくない状態にあり、バリュエーションがファンダメンタルズを上回っているとの懸念が広がっている。
法律の専門家らは今週、クラウンによるメルボルンのカジノ運営は適切ではないとする報告書を当局の規定に基づきまとめた。マネーロンダリングリスクへの対処を怠り、納税が過少である可能性があるものの、その実態を隠していると主張した。最終報告書は10月15日までに提出される。
●決算関連
2021年4~6月期決算は、売上高が前年同期比微減の196億3100万ドル、純利益が1%減の50億6100万ドル。部門別の売上高はパソコン向けを主体とする「クライアントコンピューティンググループ」が前年同期比6%増の101億900万ドルとなる一方、「データセンターグループ」は9%減の64億5500万ドルにとどまった。同グループは営業利益も37%減だった。インテルの減収減益は4四半期連続だったが、売上高、純利益ともに減少幅が縮小。
21年12月期の実質売上高は735億ドル程度との見通しを示した。4月時点の見通しから10億ドルの上方修正となる。実質1株利益の見通しも4.60ドルから4.80ドルに引き上げた。
新型コロナウイルスの流行を機に販売拡大に勢いがついたパソコン向けが好調を持続する一方、データセンター向けの苦戦が続いた。ただし、「1~3月期を底に回復している」(ゲルシンガーCEO)としており、この分野の成長加速により増収への転換を図りたい考えだ。また、ゲルシンガー氏は「半導体不足は今年後半に底を打つ一方、業界全体として正常化するまでは1~2年かかる」と説明し、供給不足が追い風になるとの考えを示した。
ただ、データセンター向けCPUは競争が激しくなっている。米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)がインテルと同じ基本構造の製品でシェアを拡大する一方、米エヌビディアなど英アームの技術を活用する企業による新規参入や事業強化の動きも相次ぐ。かつて9割超の世界シェアを握っていたインテルは「挟み撃ち」に遭っている状況だ。
売上高が前年同期比1.7倍の11億9000万ドル、最終損益が6500万ドルの黒字(前年同期は13億7800万ドルの赤字)だった。「巣ごもり消費」の拡大で、ネット通販向けの広告販売が好調だった。売上高が事前の市場予想(10億7000万ドル前後)を上回ったことから、同日の米国市場の時間外取引でツイッター株は一時9%急騰した。
7~9月期の売上高が12億2000万~13億ドルの範囲になる見通しだと明らかにした。市場予想(11億7000万ドル)を上回り、ネット広告を中心に高い成長が続くと見込んでいる。
1~6月期決算は、売上高が0.3%増の257億9100万ユーロ、純利益が前年同期比5%減の31億2100万ユーロ(約4060億円)だった。外国為替市場でユーロ高が進んだことに加え、国際商品相場の上昇による原材料高で採算が悪化した。コストインフレが企業業績に影を落としている。
売上高はM&Aや為替変動の影響を除く基調ベースでは5%増え、アイスクリームや調味料などの食品部門(8%増)を先頭に3部門がいずれも伸びた。ただユーロ高で為替換算値が目減りし、会計基準上の増収率は伸び悩んだ。営業マージンは17.2%と1.0ポイント低下した。営業利益率を押し下げた一因がコスト高だ。原油や穀物など商品相場全般の上昇で原材料費が増え、梱包や輸送などの費用もかさんだ。一部で値上げを図ったものの補えなかった。
●マクロ・その他
貧富の差拡大や機会不平等を受けた不満が国民に蓄積するなか、習近平最高指導部は市場に「公平と正義」を求めざるを得なくなっている。アリババ集団や滴滴出行など巨大IT企業の経営は急速に萎縮。投資家も慎重姿勢に転じ、中国経済の先行きに暗い影を投げかけている。
独占禁止法などを管轄する国家市場監督管理総局は24日、音楽配信事業で楽曲の独占的利用を是正するよう命じた。同社は7月上旬にゲーム動画の配信事業でも指導を受けており、事業戦略の修正を余儀なくされている。
米政府が設けていた立ち退き猶予措置が7月末で期限切れになる。米国勢調査局によると、約400万人が住む場所を失う可能性が出ており、社会問題になりかねない。対照的に富裕層による住宅購入は勢いを増しており、格差の拡大が懸念されている。
渋沢が当時会長を務めていた団体は「餓死を待つ子ども40万人」を救うために寄付金集めに尽力、アルメニア側に多額の資金を届けた。寄付金は病院などで子どもや女性らの支援に使われたとみられる。
渋沢史料館の井上潤館長は「(渋沢は)国際的な人道支援分野でも日本の先駆者だった。国民生活に必要なインフラ産業の育成や、外国製品の国産化に注力しただけではない」と評価した。
8月からの連邦政府の債務上限の復活を控え、万一、米国が債務不履行(デフォルト)に陥れば「米国経済と米国人の生活に取り返しのつかない損害を与える」との声明を公表した。議会上下院に対し、債務上限の引き上げや適用停止の延長などの対応を早急に講じるよう要請した。
イエレン氏は声明で新型コロナウイルス禍で不確実性が増し、財務省が手元資金をやりくりする臨時措置は「いつまで続けられるか具体的な見積もりを出せない」と指摘。「8月の議会の休会が終わった後、すぐに現金や臨時措置が尽きるシナリオもある」と危機感を示した。10月1日だけを例にとっても国防総省関連の退職金など多くの義務的な支出があり、手元資金は約1500億ドル減ると訴えた。
未公開株や不動産への配分割合を増やす一方で、債券・現金の割合を落とすなど、市場の変動が激しい中での機動的な運用が目立った。日本への配分割合も直近1年間で14%から8%に大きく減らした。
地域別では日本への配分を14%から8%に落としたのが目立った。リム・チョーキャット最高経営責任者(CEO)はその理由について「1年前の20年3月は新型コロナの感染拡大の影響で市場の変動が激しかった時期で、当時、リスク対比の利回りが相対的に良かった日本国債を大量に保有していた」と説明。その後、日本国債の保有を減らしたために日本への配分も減ったものの、「日本は引き続き重要な市場だ」と継続的に投資する姿勢を強調した。日本を除くアジアへの資産配分は20%から26%に引き上げており、アジアに全体の資産の3分の1を振り向ける構図は変わっていない。
米調査会社ソブリン・ウェルス・ファンド・インスティテュート(SWFI)の推計では、GICの総資産は4532億ドルで、世界の政府系ファンドの中で7位。
1月1日~6月5日に新たに入党した党員は231万人と、2020年の通年(243万人)に迫る。とくにハイテク分野に通じた理系学生の入党が目立つ。米国との対立の長期化に備え、若くて専門知識のある党員を増やそうとしているようだ。
6月の全米活動指数は、0.09で前月の改定値から0.17ポイント低下した。2カ月ぶりの低下だが、低下幅は小さく、プラス圏を維持した。
指数を構成する4分野のうち、製造業の生産減少で「生産関連」が下がったほか、失業率がわずかに上がったため「雇用関連」も低下した。一方、「販売・受注・在庫関連」と「消費・住宅関連」はわずかに上向いた。
調査対象となったエコノミストのうち、半数強がMBSのテーパリング(段階的縮小)は米国債よりも相対的に速いペースで実施されると見込んでいる。住宅市場の過熱を抑えるため、複数の地区連銀総裁がこうしたアプローチを支持しているが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長とニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の姿勢は曖昧だ。
エコノミストらは23年末までに0.25ポイントの利上げが2回実施されるとも予想し、金融当局者らが6月に公表した金利予測の中央値と一致。24年には3回の追加利上げが行われるとみており、これは6月の当局者予想を上回る。エコノミストの大多数はバイデン大統領がパウエル氏をFRB議長に再指名すると見込んでいる。
テーパリングの正式発表は12月に行われる公算が大きいと、エコノミストの半数近くがみており、71%が実際の縮小開始は22年第1四半期(1-3月)になると予想している。
●市況
日経先物(大証)28190、ダウ先34917、債先152.43、米1.281、独▲0.4200、仏▲0.087、西0.265、伊0.622、原油72.17、ドル円110.56、墨ペソ20.05、トルコリラ8.5556、墨CDS95
※7/23 NY引け値
備忘録(7/21-22欧州時間)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
オラ・ケレニウス社長は「高級車のEVシフトは加速している。転換点は近づいており、30年までにメルセデスは準備できているようにする。EVファーストからEVオンリーに踏み込む」と述べた。
22年に満充電で航続距離1000キロメートル以上の新型車を発表する。25年にEV専用の車台(基本設計)を3種類導入。それ以降に出す車台はすべてEV専用とする。代表車種の「Sクラス」や「Cクラス」の次期モデルはEVだけになる見通しだ。ガソリン車などの販売終了時期は市場によって前後するとしている。
メルセデスはこれまで30年に新車販売の半分をEVかプラグインハイブリッド車(PHV)にし、39年にガソリン車の販売終了などで二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指す計画を掲げていた。半分をEV・PHVにする期限は25年に前倒しする。
欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、35年にエンジン搭載車の販売を事実上禁止する規制案を発表した。すでに独フォルクスワーゲン(VW)傘下の独アウディや、ボルボ・カー(スウェーデン)、英ジャガーなどの高級車ブランドが相次いでEV専業への転身を発表している。
高級車大手ボルボ・カー(スウェーデン)は21日、2023年までに中国に持つ合弁会社を完全子会社化すると発表した。合弁相手で、ボルボの親会社でもある浙江吉利控股集団から持ち分を買い取る。ボルボは21年中の新規株式公開(IPO)を検討しており、経営の自由度を高める。
売上高は同比39%増の30兆3260億ウォン、営業利益は3.2倍の1兆8860億ウォン、純利益が前年同期比5.3倍の1兆9830億ウォンだった。四半期ベースの純利益としては6年半ぶりの高水準。欧米市場の販売回復が収益を押し上げた。収益率の高い多目的スポーツ車(SUV)の販売比率が47%を占めるなど、収益力が定着してきたことも大幅増益につながった。
世界販売台数は前年同期比45%増の110万台だった。地域別にみると、北米は73%増、欧州は2.3倍、インドは2.3倍となった。政府補助金の押し上げ効果のなくなった韓国では11%減で、競争激しい中国市場でも28%減と苦戦が続く。
足元の半導体不足について「4~6月期が最も深刻。次第に改善していくものの、一部では供給不足が続く」との見通しを示した。
JFEホールディングス(HD)は2025年3月期までの中期経営計画で、事業売却などを通じて約900億円の資金を創出する方針だ。中計では約2000億円の現金を創出し負債圧縮を進める計画を掲げる。すでに表明している政策保有株式の売却などに加え、収益性の低い事業の売却にも踏み込む。今後、増大が見込まれる脱炭素投資を見据え、有利子負債の削減を進めて財務を改善する狙いだ。
1~6月の国内粗鋼生産量が前年同期比13.8%増の4805万7千トン。コロナ禍前の19年1~6月(約5109万トン)には届かなかったが、生産活動が堅調な製造業がけん引している。
回復は幅広い業種で鮮明だ。製造業や建設業など用途が広い普通鋼の6月の生産量は、36.3%増の627万1千トンだった。自動車部品など製造業向けが大半の特殊鋼も、81%増の183万7千トンに増えた。
●その他産業
ここにきて、半導体業界の前例のない投資急増が行き過ぎてしまい、数年先に大規模な生産能力を持っても需要の減退で利益に打撃を受けるとの懸念が強まっている。
TIの4-6月(第2四半期)売上高は41%の大幅増加だっただけに、7-9月期の見通しは特に困惑を招いた。アナリストらはTIがあまり楽観的でない理由や、景気循環型産業として知られる同業界の最初の減速の兆候なのかどうかについて会社側に質問を浴びせた。
経営陣は、需要のピークや、現在のレベルの成長が持続可能かどうかは予測できないと警告。ラファエル・リザルディ最高財務責任者(CFO)は、「われわれの仕事は将来の予測ではない。会社が何にもでも対応できるよう準備することであり、それを行った」とインタビューで説明。「今回は違うと主張する人もいるが、それは危険な議論だ」と述べた。
他の半導体メーカーと同様、TIも2桁の増収率を数四半期にわたり記録してきた。ただ、急速な増加を受けて、アナリストや投資家の間では、供給を十分に確保できないと懸念を強めた顧客によるパニック買いが受注の一部に反映されているとの臆測を招いている。こうした行動は過去に価格急落を引き起こしていた。
レイモンド・ジェームズのアナリスト、クリス・カソ氏は、TIが慎重な見通しについてあまり説明しなかったと指摘。「TIも半導体業界全般もともに供給が逼迫(ひっぱく)する状況が続いているにもかかわらず、経営陣はマクロレベルで自信を持てない状況に苦しんでいる可能性があるというのがわれわれの受け止めだ」と話した。
●決算関連
売上高は前年同期比33%増の18兆2930億ウォン、営業利益が2兆2010億ウォン、純利益は同17倍の1兆8070億ウォン。世界的な経済再開で自動車や家電など幅広い製品の生産回復を受け、鉄鋼価格が上昇し利益を押し上げた。
粗鋼生産量は21%増の944万トンで、製鉄所の稼働率は93%と16ポイント改善した。自動車や家電のほか建設や造船などの需要が拡大基調で、販売価格の上昇が収益拡大につながった。中国鉄鋼メーカーが環境政策の強化を背景に鉄鋼生産量を減らしたことも需給の引き締めにつながっている。
売上高は27%増の233億ドル、純利益が前年同期比73%増の62億ドル。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動規制が各国で緩和される中、病院需要が回復して医療機器などが好調だった。21年の新型コロナワクチンの売上高は25億ドルになる見通しだ。21年通期の業績見通しは売上高が前期比14~15%増の938億~946億ドルを見込む。
部門別では、主力の「処方薬」でがん治療薬などが伸びて17%増だったほか、手術用医療器具などを扱う「医療機器・診断器具」は手術件数の回復により63%増に膨らんだ。日用品や市販薬を含む「消費者向け」も、化粧品などが好調で13%増となった。同社の医薬品担当であるジェニファー・タウバート氏は決算説明会で「ほぼ全ての部門がコロナ前の水準に戻った」と説明した。
J&J製ワクチンを巡っては4月、接種後にまれに深刻な血栓が生じる事例が報告されたとして米国で接種が一時中断された。7月上旬には、米食品医薬品局(FDA)が非常にまれな副作用として神経障害「ギラン・バレー症候群」への警告を追加している。20日には同ワクチンが、感染力の強い変異ウイルスのインド型(デルタ型)に対して有効性が低下するとの研究結果が公表された。CFOは「足元で流行しているデルタ型をはじめとした変異ウイルスに対しても有効で、少なくとも8カ月間は免疫反応が持続するとの研究結果がある」と述べた。
売上高は42%増の101億2900万ドル、純利益が前年同期比48%増の26億4100万ドル。新型コロナウイルス禍後の経済再開で外食需要が回復した。商品数の絞り込みや構造改革などのコスト削減も寄与した。売上高は新型コロナ前の19年4~6月期(99億9000万ドル)を上回った。
飲料品は全ての部門で販売量が2桁の増収となった。主力商品のコカ・コーラを含む炭酸・ソフトドリンクは14%伸びた。栄養飲料やジュースは25%増、ボトル飲料水やスポーツドリンク、コーヒー飲料などは21%増えた。
21年12月期通期の売上高が前期比12~14%増になるとの見通しを発表した。1~3月期時点では、買収分を除き1桁台後半の増収率を見込んでいたが、好調な販売を踏まえて上方修正した。
連結事業利益(国際会計基準)が前年同期の2.8倍の約350億円だったことがわかった。新型コロナウイルス禍前の19年4~6月期(344億円)並みに戻る。看板事業の航空機向け炭素繊維複合材料(CFRP)はなお厳しいが、米中の経済回復で自動車や家電向け樹脂などが好調だ。東レは8月4日に4~6月期決算発表を予定する。
第2四半期の利益は1株当たり89セント、売上高は440億ドルと市場予想(利益が同80セント、売上高428億ドル)を上回ったほか、無線通信と動画配信サービス「HBOマックス」の契約者が増加、新たなエンターテインメント事業での制作と5G(第5世代)通信網の拡大に関するコスト増大懸念が和らいだ。
無線通信の契約者数は116万人増でアナリスト予想(約30万人増)を大きく上回った。一方で有料テレビの契約者数は47万3000人減。市場予想は約60万人減だった。
通期については、調整後1株利益で1桁台前半から半ばの伸び率を予想。アナリスト調査では前年比横ばいが見込まれていた。
4-6月(第2四半期)決算は、純利益が19億3000万ドルに増加し、1株当たりでは2.05ドル。前年同期は13億8000万ドル、1.48ドルだった。売上高は41%増の45億8000万ドル。市場予想平均は43億6000万ドル。
7-9月期の売上高見通しは44億-47億6000万ドル(約4850億-5250億円)、1株当たり利益の予想は1.87-2.13ドルと比較的レンジを広く取った見通しを示した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で引き起こされた半導体需要の急増が今後も続くのかどうか、同社が明確には見通せていないことを示唆しており、株価は時間外で下落した。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均は売上高45億9000万ドル、1株利益1.97ドルだった。
4~6月期決算は、売上高が前年同期比46%増の530億円、単独税引き利益が16%増の36億円だった。鋼材販売量が拡大したほか、修繕費の圧縮などコスト削減が寄与した。通期では売上高は73%増の2440億円、単独税引き利益が前期比3.2倍の190億円になる見通しだと発表した。従来予想を80億円上回る。世界各地で鋼材価格が高値で推移する中、実施している製品値上げが夏以降に本格的に浸透し採算性が上向く。
21年4~6月期の売上高は前年同期比21%増の40億2000万ユーロ(約5200億円)だった。デジタル化で需要が膨らむ中、売上高は新型コロナウイルス禍でも落ちておらず、コロナ前の19年4~6月期比でも57%増えた。粗利益率は51%で、純利益は10億3800万ユーロと38%増えた。
期中の受注額は83億ユーロで、このうち最先端の半導体生産に必要な「EUV(極端紫外線)露光装置」は49億ユーロだった。EUVはASMLが独占している。全体の受注残は175億ユーロとなった。
2021年12月期の売上高が前期比35%増える見通しだと発表した。従来予想は30%増だった。世界的な半導体不足で半導体メーカーが生産能力増強に動いており需要が旺盛だ。
売上高は44%増の434億ユーロ、EBITは51億ユーロの黒字、最終損益が35億9800万ユーロの黒字だった。新型コロナウイルスの影響で20億ユーロの赤字だった前年同期から急回復した。中国などで販売が好調だ。半導体不足の影響は残るが需給が引き締まり利幅が改善している。
期中の販売台数は73万台と36%増えた。中国で過去最高の販売台数を記録したほか、旗艦モデルの「Sクラス」や多目的スポーツ車(SUV)が好調だ。
採算性も改善した。生産計画に対し相当な量が未達だった半面、利幅の大きい上級車種を優先的に生産したほか、販売の際の値引きが少なくなった。その結果、乗用車・バン部門では売上高に占める調整後のEBITの比率が12.8%を確保、3四半期連続で10%以上を確保した。コロナの反動で生産量が増えていることに加え、半導体不足がプラスに出た側面もある。同社は半導体不足の生産への影響が年後半も続くとみている。調達コストが増えるとみて、通期の乗用車・バン部門の売上高EBIT率の予想は10~12%に据え置いた。
トラック・バス部門は販売台数が11万台と91%増えた。調整後の売上高EBIT率は8.3%と前年同期のマイナス12.0%から大きく回復した。すべての主要地域で市場が回復したほかサービス事業も好調だった。ダイムラーは21年通期のトラック・バス部門の通期の売上高EBIT率の見通しを6~8%に引き上げた。従来予想は6~7%だった。
4~6月期の米企業決算が本格化する。主要企業のアナリスト予想を集計したところ、本業の利益は前年同期より4割超増え、過去最高を更新する見込みだ。IT(情報技術)大手の収益拡大が続くほか、経済再開で個人消費関連の回復が目立つ。ただ年後半は経済対策の効果が薄れるほか、足元で新型コロナウイルスの感染者が再び増えていることも懸念材料となる。
JPモルガン・チェースは直近のピークだった6月上旬から1割下げた。新型コロナウイルス対応で拡大していた各行の貸出残高が、景気回復で企業の返済が進み足元で減少に転じている。米金利の低下に伴う利ざや縮小もあり、投資家の嫌気につながっている。
ブルームバーグの集計データによると、S&P500種株価指数構成企業の約7分の1が決算発表を終え、その86%が市場予想を上回った。
デルタ変異株の広がりで消費者が再び家に引きこもって支出を抑制するようになり、これまでに示された業績見通しが甘かったという結果になる可能性もある。しかし、ブルームバーグ・エコノミクスの分析によれば、デルタ変異株が米経済の軌道を大きくは変えていないことを示す兆候もある。その理由の一つには、感染が拡大している地域は全体の成長にはさほど寄与していないことがある。
一方で、コロナ禍の勝ち組の中には、市民生活の平常化に対する調整を続けている企業もある。動画配信サービスのネットフリックスは7-9月(第3四半期)の有料会員数の伸び予想がアナリスト予想に届かず投資家の失望を誘い、21日の株式市場で株価は一時4.8%となった。
●マクロ・その他
ECBは物価が近く2%に到達し、その後もしばらくその水準にとどまると判断するまで、政策金利を現在の水準かそれ以下にとどめる。物価の基調の改善も利上げの条件となる。さらに「一時的に物価上昇率が目標をある程度上回る」ことを容認する姿勢も示した。
ECBは現在、2022、23年の物価上昇率を1%台半ばとみており、超低金利政策は少なくとも今後数年続く可能性が高い。これまでは物価見通しが「2%未満でその近辺」の水準に収束していくのを見通せるまで超低金利政策を続けるとしていた。
危機の局面では潤沢な資金供給が欠かせないが、あふれたマネーは株式や不動産、低格付け債(ジャンク債)などの価格を実力以上に押し上げかねない。超低利の資金が効率の悪い投資やゾンビ企業の延命に向かえば、中長期的な国の成長力をむしばむことにもなる。
足元の物価上昇は一時的というのが中央銀行の共通見解だが、緩和縮小の遅れが景気・物価の過熱につながる恐れも否定はできない。政府の資金調達は事実上の中銀依存が進んでおり、財政規律が失われつつあるとの指摘もある。
新規失業保険申請件数は41万9000件で、前月の改定値から5万1000件増えた。2週ぶりの増加で、5月上旬以来約2カ月ぶりの高水準となり、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(35万件程度)を大幅に上回った。失業保険の総受給者数は4~10日の週は323万6000件で前週の改定値から2万9000件減り、新型コロナウイルス感染が本格化した2020年3月以降の最低水準を更新した。
失業保険申請件数はミシガンとテキサス、ケンタッキー、ミズーリの4州での大幅増加が反映された。週間データの季節調整を困難にする要素は複数あるが、新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染が急拡大していることを要因に、今後数カ月の統計はボラティリティーが一段と高まる可能性がある。
パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏は「自動車メーカーの年次設備再編に伴う操業停止の時期と期間が毎年異なるため、失業保険統計の季節調整は難しくなり、その影響が続いている」とリポートで指摘した。
今回の調査期間は、月間雇用統計の調査期間と重なった。ニューヨークやオクラホマ、テネシーを含む大半の州は季節調整前ベースで前週比での減少を報告した。
6月の中古住宅販売件数は、季節調整済みで年換算586万戸に増加。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は590万戸だった。前月は578万戸に下方修正された。
滴滴グローバルが先月、米国で新規株式公開(IPO)に踏み切ったことを受け、中国当局は恐らく前例のない規模の深刻な罰則を科すことを検討している。事情に詳しい関係者が明らかにした。結果はまだ不透明だが、中国政府はアリババグループに科した罰則よりも厳しい制裁措置を滴滴に加える可能性が高いと、同関係者はみている。
CACの声明によると、CACのほか公安省、国家安全省、自然資源省、交通運輸省、税務総局、国家市場監督管理総局の担当者が滴滴のオフィスへの立ち入り検査を開始している。当局は罰金や一部業務の停止、国有資本の投入など多岐にわたる罰則の可能性を検討しているという。また強制的な米国での上場廃止なども可能性として挙げられているが、実際にこれをどう進めるのかについては明確になっていない。
同氏は22日公表された講演原稿で、「小売り商品の現在の値上がりが1年半から2年先のインフレ率上昇を意味するとは考えていない」とし、金融政策にとってはこうした中期的なインフレ見通しがより重要だと指摘した。インフレ率は年末まで中銀目標を上回り続ける公算が大きいと認めつつ、持続する可能性は低いと主張。インフレの多くは原油高によるものだとし、材木価格は最近の高値から下落しており来年初めにはインフレ率の押し下げに寄与するだろうと述べた。
●市況
日経先物(大証)27930、ダウ先34673、債先152.43、米1.247、独▲0.4265、仏▲0.087、西0.287、伊0.635、原油71.48、ドル円110.12、墨ペソ20.11、トルコリラ8.5726、墨CDS96
※7/23 1時55分頃
備忘録(7/20)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
米研究機関の世界開発センターは20日、インドでの新型コロナウイルス感染による死者数が6月までの累計で、政府発表約40万人の10倍の約400万人に上るとする推計を発表した。インドを除く世界全体のコロナ死者数を超える規模になる。感染力の強いインド型(デルタ型)が急拡大、死者も大幅に増えて行政が実態を把握しきれない状況になっていた。
推計では、世界保健機関(WHO)などが実施した調査で判明した陽性率を基にして、より正確な感染者数を見積もった。米疾病対策センター(CDC)が使う年齢層別の感染致死率を掛け合わせて、死者数を算定したという。同センターはこれとは別の2つの方法でも推計したが、死者数は340万~490万人でいずれも公式発表よりもはるかに多かったとしている。
国際エネルギー機関(IEA)は20日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、各国がまとめた復興支援策を分析したところ、総額の約2%、3800億ドルしかクリーンエネルギーに向けられていないことが分かったと公表した。IEAは温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」の目標達成には年間1兆ドルの投資が必要としている。その結果、世界の二酸化炭素(CO2)の排出量が2023年に過去最高になり、その後も増え続ける可能性が高いという。
お盆期間(8月6~17日)の新幹線と在来線の指定席の予約状況(19日時点)は新型コロナウイルス影響のなかった2019年比で76%減の84万席だったと発表した。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象となる地域もあり、依然として低迷が続く。前年比では10%伸びた。ワクチン接種の広がりで、移動需要には回復傾向もみられる。
6社合計での新幹線の予約は19年比で76%減の66万席、在来線は75%減の18万席だった。前年と比べると回復傾向にはある。在来線は前年並みだが、新幹線では13%増と伸びている。特にJR東では新幹線が前年比44%増、在来線が19%増で、全体でも38%増えた。北陸新幹線では19年比で7割減にとどまるも、前年比では55%増え、前年よりは好調に推移している。
鉄道車両製造で世界最大手の中国中車は20日、時速600㌔㍍で走るリニアモーターカーが完成したと発表した。中国の鉄道として最速となる。JR東海はリニア車両で最高時速603㌔㍍を記録しており、それに迫る形となる。鉄道分野で世界的に技術開発競争が激しくなりそうだ。
CDCのワレンスキー所長は20日の米議会上院の公聴会で、現時点でデルタ型は米国の新規感染の83%を占めるに至ったことを明らかにした。7月上旬時点では新規感染の5割強だったという。ワレンスキー氏はワクチン接種が普及していない地域で「劇的に拡大している」と指摘した。
オフィス再開を見直す動きもでてきた。米ブルームバーグ通信によると、変異ウイルスへの感染拡大を受けて米IT大手アップルは9月に予定していたオフィス再開を少なくとも1カ月後に延期する検討に入った。米銀大手シティグループのCFOもオフィス再開を広げていくかどうかは決まった日付ではなく、感染状況を示す「データに基づいて決める」と話している。
デルタ型の流行で旅客収入が大きく減り、計画投資省は経営破綻の可能性を指摘した。ベトナムは周辺国よりも感染の拡大を抑えてきたが、大株主である政府の厳しい防疫と財政難が業績の悪化に拍車をかけている。
ベトナムでは4月下旬からデルタ型の流行が始まり、航空各社の旅客収入が前年同月比で8割前後減少した。ベトナム航空は21年1~6月期の連結最終赤字が約10兆ドン(約470億円、前年同期は6兆6000億ドンの赤字)になったもようで、遅延債務も6兆ドンを超えた。
現在、ホーチミン市では1日1000人以上の感染者がでている。同市では9日から市全域で不要不急の外出禁止措置が取られている。同市など感染流行地域からハノイに入る場合は自宅などで14日間の隔離が義務付けられた。
ベトナムでは国際定期便の乗り入れができない状態が続き、外国からの観光客は当面見込めない。首都ハノイと商業都市のホーチミン市を結ぶ路線は業績への寄与度が大きいが需要は低迷している。
政府は20年11月にベトナム航空に対し12兆ドンの支援策を決定したが、大半が実施されていないもようだ。20年春に2万人超の従業員を半減させるなどのリストラ策を打ち出したが資金繰りは厳しいままだ。
競合のアングロ・アメリカンはすでに、投資家の圧力を受けて一般炭事業から撤退しており、BHPもこれに続くことを目指している。BHPは長らく石油事業を戦略的な柱の一つに位置付け、少なくともあと10年は利益を生み続けると主張してきた。だが世界が化石燃料からの脱却を図る中で、売却がますます難しくなる資産を抱え続けることは避けたい考えだと、関係者は説明した。
目指すのは2018年に実行したシェール事業売却の再現だ。BHPは同年、シェール事業を104億ドルでBPに売却した。BHPは大規模に展開する鉄鉱石や銅と比べ、エネルギー事業は比較的小さく、石油大手の競合と異なりエネルギー事業に利益を依存してはいない。
インドの食品宅配アプリ、スウィッギーはソフトバンクグループの「ビジョン・ファンド2」とテクノロジー投資会社プロサスが主導する12億5000万ドル(約1370億円)の資金調達ラウンドを終えたと発表した。
●その他産業
2021年4~6月期のオーストラリアでの鉄鉱石生産は前年同期比4%減の7280万トンだった。鉄鉱石を運搬する列車の運転士の不足などが響いた。21年6月期通期については前の期比1%増の2億8410万トンとなり、過去最高を記録した。
主要輸出先である中国の旺盛な需要に支えられ、鉄鉱石価格は上昇している。21年6月期の平均販売価格は前の期比69%増の1トン130.56ドル(約1万4000円)だった。
電気自動車(EV)のリチウムイオン電池などに使われるニッケルについては、21年6月期は前の期比11%増の8万9000トンを生産した。火力発電に使う一般炭の通期の生産量は悪天候などの影響で同17%減の1929万トンだった。BHPは6月に南米コロンビアのセレホン炭鉱の権益売却を発表しており、22年6月期の生産量は1300万~1500万トンになるとの見通しを示した。
カンター氏はグーグルやフェイスブックなどIT大手による市場の寡占が中小企業などに不利益をもたらしていると主張してきた。企業の顧問弁護士として、反トラスト法をIT大手に厳しく執行するよう司法省やFTCに求めてきた。
バイデン氏はFTC委員長に米アマゾン・ドット・コムに批判的なリナ・カーン氏を指名した。巨大企業の寡占に警鐘を鳴らすティム・ウー氏も大統領特別補佐官に起用した。ホワイトハウスと独禁当局にそろって巨大ITの規制派を送りこむ形になる。
7-9月の新規有料会員数の見通しは350万人で、アナリスト予想の586万人を下回った。4-6月(第2四半期)は154万人となり、アナリスト予想(112万人)と自社見通し(100万人)をともに上回った。
4-6月期を地域別で見ると、中南米とアジア太平洋が新規会員数の大半を占めた。一方、米国とカナダの会員数は43万人の純減と、2年ぶりに落ち込んだ。
●決算関連
純利益が前年同期比63%増の20億600万ドル(約2190億円)だった。主力の富裕層向け資産運用ビジネスが好調で、手数料収入が拡大した。市場環境や景気の回復を追い風に、投資銀行や個人金融など全ての部門で利益を上積みした。
従来計画を50億円上回った。建材に使う塩化ビニール樹脂の出荷が東南アジアで伸びた。力を入れてきた医薬品の製造開発受託(CDMO)も好調で、新型コロナウイルス禍前の19年1~6月期を上回った。
売上高は19年4~6月期と比べると52%減の54億ドルだった。主力の旅客収入では、米国内線が19年4~6月期比で半減、国際線は同73%減だった。
6四半期連続の最終赤字だが、赤字幅は最小となった。旅行需要の回復に伴い、7~9月期以降の黒字化を見込むと明らかにした。
CEOは「意味のある転換点に到達した」と述べた。赤字幅は前年同期と比べ73%縮小。ワクチン接種の拡大で旅客需要が急回復し、コロナ下に入って初の黒字転換が視野に入った。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動規制などが各国で緩和される中、たばこ需要が回復している。主力の加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」などが好調だった。
●マクロ・その他
ペルーの選挙管理当局は大統領選で急進左派のペドロ・カスティジョ氏の当選を発表した。カスティジョ氏は「政府は誰一人として置いていかない」として平等な社会の実現を約束した。一方、政治経験が乏しいカスティジョ氏の手腕は未知数で、政策の具体化が喫緊の課題となる。
選挙から1カ月以上かかってようやく結果が確定したものの、次期大統領の具体的な政策はまだ見えない。
カスティジョ氏は選挙戦で天然資源やインフラの国営化、コメや小麦など農作物の輸入禁止など急進左派的な政策を掲げていたが、経済や企業経営環境の悪化への懸念から6月に通貨ソルが暴落した。ペルーは世界有数の銅産出国で、国際市況への影響も大きい。通貨暴落を受け、同氏は国有化や輸入制限を実施しないと発表するなど、穏健的な経済政策への転換を示唆している。
もっとも、円滑に転換できるかは未知数だ。元教師で労働組合活動家のカスティジョ氏は大統領選まで全国的には無名の存在だったことに加え、所属する左派政党「ペルー・リブレ」の党首で、マルクス主義を信奉するブラディミール・セロン氏が大きな影響力を持っている。
同党が掲げる、締結済みの自由貿易協定(FTA)の見直しといった公約はセロン氏の肝煎りだ。政治アナリストのロドルフォ・ロハス氏は「カスティジョ氏が穏健路線へ修正する必要が出てきても、セロン氏がより急進的な方向へ押しやるだろう」と予測する。既に組閣などを巡ってカスティジョ氏とセロン氏の不仲説も浮上している。
そもそもペルー・リブレは少数政党が乱立する議会で第1党ながら過半数を取っておらず、国有化のような大胆な政策は難しいとの見方もある。現地に進出する日本企業幹部は「当面は様子見だ」としている。
6月の住宅着工件数は164万3千戸(季節調整済み、年率換算値)で、前月の改定値から6.3%増えた。前年同月比ではプラス29.1%となった。
主力の一戸建てが116万戸で前月比6.3%増えたほか、変動の激しい5世帯以上の集合住宅も47万4千戸で6.8%増えた。
一方、先行指標である許可件数は159万8千戸で5.1%減少し、市場予測(168万戸程度)を下回った。
複数の低格付け企業に対するローン債権を束ねたローン担保証券(CLO)の発行が急増している。2021年1~6月の米欧の発行額は上半期として過去最高となった。最近までの景気回復期待と金利の先高観を背景に、投資家がリスク姿勢を強めた。新型コロナウイルスの感染再拡大が警戒されるなか、今後は投資家が購入に消極的になって低格付け企業の資金繰りに悪影響が及ぶおそれもある。
国産の製材品価格が急騰している。木造住宅の着工が増えるなか、米国発の相場高「ウッドショック」で輸入材の入荷が減り、代替需要が増えた。大規模な製材所が多い西日本を中心に丸太不足が鮮明で、原木丸太の価格も上昇している。各地の森林管理局は国有林の伐採入札の前倒しを進める方針だが、出材がどこまで増えるかは不透明だ。
中国恒大の財務を巡っては以前から疑念がくすぶっていたが、オンショア部門の恒大地産集団などで1億3200万元(約22億3500万円)相当の銀行預金が凍結されたほか、湖南省邵陽市の当局が中国恒大による預託口座での資金の扱いが適切でないとして住宅販売の停止に一時踏み切るなど、今週に入り不安が一気に広がっている。
邵陽市がその後、販売停止措置を解除したことで20日の中国恒大株の下げはやや縮小した。だが、同社の負債は昨年末時点で3010億ドル(約33兆円)相当まで膨らんでおり、巨額の返済に十分なペースで不動産など資産を売却できていないとの投資家の懸念は根強く残っている。
同社が本土内外で発行した社債の一部は最安値を更新。2025年償還のドル建て債は額面1ドルに対して54セントまで下げた。中国恒大による影響の波及を巡る懸念が広がる中で、他のジャンク(投資不適格)級発行体の債券も値下がりしている。
中国恒大は過去の流動性危機を無傷で脱してきたが、習近平指導部がデフォルト(債務不履行)を許容するようになる中で、今回は異なると警戒する投資家もいる。
●市況
日経先物(大証)27790、ダウ先34476、債先152.57、米1.222、独▲0.4165、仏▲0.065、西0.325、伊0.685、原油66.83、ドル円109.92、墨ペソ20.14、トルコリラ8.5750、墨CDS94
※7/21 8時30分頃
備忘録(7/19)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
タイ運輸省傘下の民間航空局は首都バンコクの空港などを発着する国内線の運航を21日から原則禁止すると発表した。政府による新型コロナウイルス対策の行動制限強化を受けた措置だ。国内航空各社は外国人旅行客の減少で経営が悪化しており、国内線の停止はさらなる打撃となる。
ワクチン接種を終えていることを条件に、8月9日から米国の観光客など「不要不急」の旅行者の受け入れを再開すると発表した。米国人と米国に居住する永住者が対象となる。
9月7日以降は、カナダ政府が認めるコロナワクチンの接種を完了した渡航者について、米国外からも同様に受け入れを再開する方針だ。カナダ保健省は米ファイザー、米モデルナ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、英アストラゼネカ製などのワクチンを認めている。
米疾病対策センター(CDC)は19日、英国への渡航警戒レベルを最高の「非常に高い」に引き上げ、可能な限り渡航は避けるべきだとした。
1日当たりの新規感染者数がインドとブラジルを上回ったインドネシアなど、東南アジアでも感染拡大が続いている。カラオケラウンジに関連したクラスター発生が先週明らかになったシンガポールは、19日の新規感染者が163人になったと発表。オン・イェクン保健相はこの日、シンガポールでは向こう数日は引き続き多くの感染症例が報告されることが見込まれるとし、感染抑制に断固とした措置を取ることも準備しておかなくてはならないとフェイスブックへの投稿で述べた。
ベビーパウダー訴訟の巨額の賠償金支払いを巡り、破産法の活用を検討していると報じた。同事業の負債を本体から切り離したうえで、分離後の事業を破産申請する計画について協議しているという。
J&J側の弁護士が原告団に対し、原告との和解が成立しなければ同社は破産法の適用申請を検討し、賠償金が少なくなる可能性があると説明したという。J&Jは「訴訟に関して特定の方針を決定していない」とコメントした。
J&Jはベビーパウダーに混入したアスベストを原因とする健康被害について、3万人を超える原告から提訴された。6月にはベビーパウダーを使った20人以上の女性が卵巣がんを発症したとする裁判で、21億ドル(約2300億円)の賠償金支払い命令が確定した。
アスベスト被害を巡る訴訟は賠償金が巨額になるケースが多い。米メディアによると、過去にも紙製品のメーカーなど複数の企業が事業分割を伴う破産法の適用を申請した。
●その他産業
米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは18日、米クラウドサービス会社ファイブ9を買収することで合意したと発表した。約147億ドル(約1兆6160億円)相当の全額株式の買収となる。
発表資料によると、ファイブ9の株主は保有株1株につき、ズームのクラスA普通株を0.5533株受け取る。買収後、ファイブ9はズームの事業部門となる。株主の承認を前提に2022年上期の手続き完了を見込んでいる。
ズームの株価は20年に約5倍に急騰し、時価総額が1000億ドルを超えた。
同業のチャールズ・シュワブの時価総額は19日の終値ベースで1259億ドル、インタラクティブ・ブローカーズは257億ドルだった。
●決算関連
2021年12月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比2.4倍の2010億円になりそうだと発表した。従来予想(1400億円)から610億円引き上げる。新型コロナウイルス感染拡大前の19年12月期比で61%増となる。コロナ禍で落ち込んだカメラや事務機など既存事業が急回復し、メディカル事業など新規事業も伸びる。
売上高が前年同期比3%増の187億ドル。複数の事業部門にまたがるクラウド関連の売上高が13%増加し、2四半期連続の増収となった。
人員削減やサービス部門の事業分割に伴うコスト増などで、純利益は3%減の13億ドル。
社内外のデータセンターを組み合わせて利用できる「ハイブリッドクラウド」の取引が伸び、クラウド関連の売上高は70億ドルと全体の4割に迫った。
先週、加工食品メーカーのコナグラ・ブランズと飲食品メーカーのペプシコは、投入コストの上昇が一時的なものにとどまらないことを示唆した。両社は原材料や人件費など全てが今後数カ月で大きく値上がりすると予想している。ペプシコのヒュー・ジョンストン最高財務責任者(CFO)は13日にブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「一時的なものになるとは思っていない。来年の大部分で継続するだろう」との見方を示した。
こうした予想が正確であれば、株式投資家はいずれインフレ継続環境を考慮に入れる必要が出てくる。これまでのところ投資家はインフレを楽観視しており、それが米国債利回り低下の局面でテクノロジー株などバリュエーションが高めの銘柄が上昇することにつながっている。
今回の決算シーズンでは、インフレと企業の価格転嫁力がテーマの一つに浮上してきている。ブルームバーグの集計によると、S&P500種採用銘柄で今月これまでに、決算に伴う電話会議で「インフレ」という言葉が使われた割合は87%と、前年同期の33%を大きく上回っている。
もちろん、インフレ加速懸念は行き過ぎと見る企業幹部も多い。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは先週の電話会議でアナリストに対し、インフレは金融当局の予想より悪化する可能性があるものの、雇用が十分で成長が引き続き力強ければ「問題はない」と語った。ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモンCEOはインフレ圧力は一時的なものとなり、「それに伴うリスクはいずれも適切に対処し得るだろう」との見解を示した。
今週、企業のインフレ対策が最も投資家の関心を集めそうなのはメキシカン・レストラン経営のチポトレ・メキシカン・グリルと清涼飲料メーカーのコカ・コーラの決算発表だ。グレンビュー・トラストのビル・ストーン最高投資責任者(CIO)は「米経済の4-6月(第2四半期)は非常に堅調だった。そのため多くの企業が、売上高と共にとはいかなくても、利益が予想を上回ることは可能と見ている。要は価格転嫁できるかどうかだ」と語った。
●マクロ・その他
米調査会社CBインサイツによると、2021年4~6月期のVCのフィンテックへの投資額は340億ドル(約3兆7千億円)と四半期ベースで過去最高を記録した。今年の全VC投資額の2割がこの分野に投じられた計算だ。
かつて金融界の反乱者だったフィンテック企業が金融エスタブリッシュメントの一部になりつつあるのだ。現在の投資ブームには新たな特徴が複数ある。JPモルガンのザビエル・ビンデル氏によると、同業最大手に投資が集中しており、規模の小さい二番煎じやコロナ禍で苦戦するスタートアップは相手にされない。21年1~3月期には、企業価値1億ドル超の未上場フィンテック企業による資金調達件数は過去最高に達した。1回の調達額の中央値は1000万ドルで、前年同期比25%増えた。
フィンテックが活躍する地域も変わった。5年前には米国と中国が中心だったが、今は欧州が追い上げる。
業務範囲は決済を超えて広がる。先進富裕国ではこの1年で貯蓄が増え、ネット証券や投資顧問などの「富裕層向けテック」スタートアップが台頭している。世界の「(保険とテクノロジーを融合する)インシュアテック」企業の21年1~3月期の調達件数は82件、調達額は18億ドルに上った。規制が厳しい融資の分野では破壊的変化は起きにくいが、クラーナのように決済と融合すると違ってくる。この事業領域の拡大が、フィンテック投資の急増の一因だ。コロナ禍でフィンテックの市場は拡大している。
近年、巨大テック株投資で大きな利益を上げた有力機関投資家の間でも、上場候補の発掘熱が高まっている。投資家からの巨額の資金が、今、次の段階へ歩を進めようとしているフィンテックに流れ込んでいる。多くのフィンテックは創業から金融業を「分解」し、ニッチ市場で銀行を上回るサービスを提供しようとしてきた。だが、成功したフィンテック企業は今、プラットフォーマーを目指して新しいサービスを加えながら事業を再統合している。買収はその近道だ。企業価値の高い大手は株式交換で中小勢を割安で買収できる。
買収ブームにはリスクも伴う。まず、買収額が過大評価だったと判明する可能性がある。ビザはティンクを年間売上高の60倍の価格で買収した。ワイズの企業価値は売上高の約20倍、利益の285倍に上る。特に銀行は高額になってから有望なフィンテック企業の存在に気付きがちだ。
競争やイノベーションが阻害される危険もある。被買収企業の創業者はM&A(合併・買収)に際し株式売却が制限される期間(通常1~3年)が過ぎると退任することが多く、創業者が離脱すると企業文化の維持が難しくなる。
特に銀行に買収されたフィンテックは苦戦しがちだ。M&Aで企業文化が衝突すると、顧客離れの原因にもなる。スペイン大手銀BBVAに買収された米シンプルなど、銀行に買収されたネオバンクの多くは廃業か売却の末路をたどっている。
中国当局は10日、海外上場を目指すほぼ全ての企業にサイバーセキュリティー審査を義務付ける新たなルールを発表。中国勢の米国での新規株式公開(IPO)にとって終わりの前兆に等しいと長年の業界ウオッチャーは指摘する。
米上場の中国株の指標は最近の高値から約30%下落。まだ上場していない企業の投資家にとって、資金を取り戻せる時期を巡る不確実性が強まっている。中国企業が自国により近く政治的にもより安全な代替上場先を求める中で、ウォール街の企業が魅力的な引受手数料を失う一方、香港は恩恵を受けることになりそうだ。
香港への重複上場は増えたものの、中国企業は数カ月ではなく数週間でIPO申請手続きが完了するニューヨークを依然として選好している。中国の厳格な資本規制は、同国の取引所がテクノロジー企業のバリュエーションの高さや流動性の面でニューヨークに太刀打ちできないことを意味する。中国企業は今年だけでも米国での初の株式公開を通じて130億ドルを調達している。
既に米国に上場している中国企業が今後どうなるかは、主に変動持ち分事業体(VIE)を巡る中国当局の方針にかかっている。ただ、企業が海外での上場を廃止し、構造転換して再上場するのは、コストが高く何年もかかるプロセスで、完全に禁止される可能性は低い。
一方、香港はますます実行可能な代替上場先となりつつあるようだ。ブルームバーグの先週の報道によれば、中国は国外IPOに義務付けるサイバーセキュリティー規制当局への承認申請について、香港上場の場合は免除する方針だ。
いずれにせよ、中国で最も成功した強力な民間企業が米上場に沸いた20年間のブームは終わりに近づいているようだ。中国政府からのメッセージは明白だ。それは共産党がIPOを含むほぼ全てについて最終決定権を持つということだ。
ECBは戦略点検を経て、「2%を下回るがそれに近い」という従来の物価安定の目安を変更し、中期的な物価目標を「2%」に設定。さらに「インフレが一時的に目標を上回る期間を容認する可能性がある」とした。
ECBの政策担当者は22日の政策委員会で、これらの変化を反映させる形で金融政策スタンスを微調整する見通しだ。ラガルド総裁は「コミットメントを果たす上でわれわれが示す必要のある粘り強さ」を考えれば、金融刺激に関する新たなガイダンス(指針)に金融市場は備えるべきだと事前に予告した。
ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、デービッド・パウエル氏とマエバ・クザン氏は「政策委はフォワードガイダンスで、インフレ率が2%に達するか若干上回ると予想されるまで政策金利を据え置き、2-3年の予測期間の範囲内でしばらくの間そこにとどまる指針を示すだろう。単にインフレ率が物価安定の目安に向け収れんすることが条件としていた従来の表現を大幅に修正し、物価目標達成へのより積極的なコミットメントを反映する内容になろう」と予想した。
中国規制当局によるテクノロジー分野の締め付けや米消費者が支出より貯蓄に資金を振り向ける可能性が世界景気回復の2つのリスクだと、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの新興市場責任者兼チーフ・グローバル・ストラテジスト、ルチル・シャルマ氏は指摘した。力強い好景気を見込むコンセンサスは、予想より早期の失速につながりかねない下振れリスクを見落としている可能性を警告している。
シャルマ氏はインタビューで、新興市場では新型コロナウイルスのワクチン普及加速に伴い景気が良くなるため、世界の景気回復が進む余地はあると依然感じており、まだピークに達していないとみていると述べた。だが、世界経済の二大エンジンは考えられているほど力強くない公算があり、その結果、現在のコンセンサスよりもはるかに速いペースで景気がピークに達する恐れがあると指摘。世界的な好景気が実現するとの現在のコンセンサスは極めて強いとし、こうした一般的な通念のどこに不備があるのかを調べていると語った。
11カ月ぶりの水準に低下。原材料コストの上昇やサプライチェーンでの障害が、住宅の在庫不足解消に向けた急速な供給増加をいかに妨げているかが浮き彫りになった。一方で低い住宅ローン金利で急増した需要が供給を上回っており、価格上昇につながっている。
ランドは引き続き新興国通貨で最高の年初来パフォーマンスとなっているものの、ズマ前大統領の収監をきっかけに起きた暴動によって、ラマポーザ大統領が直面する危機は深刻化している。ランドは先週に一時、対ドルで3月以来の安値を付けた。暴動や新型コロナ感染者急増による経済への打撃を巡る懸念で、金融政策引き締め期待が抑えられた。
誤情報の拡散を許すことが、ワクチン普及の遅れにつながっているとの見方だ。ワクチン「拒否層」への接種が進まず、成人の接種率7割の目標が依然として未達となるなか、バイデン大統領のいら立ちがあらわとなっている。
投資家はこれまで、世界的な力強い景気回復見通しを享受していた。金融緩和措置やワクチン接種の進展がその追い風となっていた。しかし、物価上昇圧力とコロナ感染急拡大が重なり、経済成長が楽観的な予想に届かないというリスクが浮上している。
一方、強気派は「企業業績の回復に支えられ、株価は上期に非常に堅調に推移した。企業業績は力強い状況が続くと当社では見込んでいる」と主張
NBERは19日の発表文で、雇用と生産に関する主要指標は全て、2020年4月が事業活動の「底だということを明確に示している」と説明した。
●市況
日経先物(大証)27300、ダウ先33938、債先152.52、米1.200、独▲0.3940、仏▲0.046、西0.340、伊0.703、原油66.84、ドル円109.53、墨ペソ20.05、トルコリラ8.5843、墨CDS94
※7/20 8時40分頃
備忘録(7/16-18)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
足元ではインド型(デルタ型)が10~20代の若い世代を中心に流行しており、夏場には感染者数が10万人に達するとの見方もある。17日の新規入院者数は740人と、増加ペースが速まってきた。新規感染者が増える中でも規制を解除するのは、ワクチン接種が進み、死者や重症者の数が抑えられているためだ。1月のピーク時は、英国の1日の感染者は6万人を超え、死者は1820人に達していた。だが、17日時点の死者は41人と当時ほどは増えておらず、入院患者数も4万人近かったピーク時の1割程度にとどまる。
1月に始まったロックダウン(都市封鎖)は3月以降、感染の落ち着きに合わせて段階的に緩和してきた。今回が最終的な解除となる。店内やイベントの入場人数の制限をなくし、ソーシャルディスタンス(人と人との距離)に関する規制も撤廃する。人混みの中でのマスク着用は推奨するが、義務ではなくなる。濃厚接触者や、外国からの入国者の隔離措置は続ける。
6日の新規感染者数は7万9000人を超え、4月半ば以来の高水準となった。感染力が強いインド型(デルタ型)の拡大が続いており、西部カリフォルニア州などで再びマスクの着用を義務づける動きが広がっている。
デルタ型の拡大に伴い、一部の自治体ではワクチン接種の有無にかかわらずマスクの着用を義務付ける動きが出てきた。カリフォルニア州ロサンゼルスでは17日から、ワクチン接種者も屋内の公共スペースでのマスク着用が義務づけられた。サンフランシスコなど同州の他の7地区や、隣接するネバダ州の一部でもマスク着用が義務化された。
インドで初めて確認されたインド型(デルタ型)は国内で大勢を占めると予想されるなど感染が拡大している。世界保健機関(WHO)は「懸念される変異(VOC)」にデルタ型を含む4種類、「注意すべき変異(VOI)」に4種類の変異ウイルスを分類した。今後も新たなタイプの登場が危惧されている。
プリンスホテルやゴルフ場など全国の40施設程度の資産の売却交渉に入った。簿価で1000億円規模の保有資産が売却候補となる。売上高の4割を占めるホテルレジャー事業は全国規模で展開し同社を支えてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大で観光レジャー需要が急減速したことが響く。資産売却で財務体質改善や、コロナ後を見据えたホテルレジャー事業の収益性の改善につなげたい考えだ。
2021年1~6月の欧州主要18カ国の新車販売台数(乗用車)は前年同期比28%増の586万5045台。新型コロナウイルスの感染拡大が直撃した前年同期の反動で増えたが、コロナ前の19年1~6月と比べると100万台以上少ない。
メーカーグループ別では、首位の独フォルクスワーゲン(VW)の販売台数が30%増え、シェアは25.7%と0.4ポイント上昇した。2位はグループPSAとフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が統合した欧州ステランティスで台数は33%増、シェアは22.2%だった。3位が仏ルノー(台数11%増)、4位が独BMW(31%増)と続いた。
日本勢ではトヨタ自動車が37%増だった。シェアは5.8%と0.4ポイント上昇し7位に浮上。6位の独ダイムラーに約3000台差に迫った。日産自動車の台数は8%増で、マツダ(34%増)、三菱自動車(30%減)、ホンダ(7%増)と続いた。
米バイオテクノロジー会社モデルナは1年前、市場で販売する製品はなく、有望だが全く立証されていない技術を持つ赤字企業で、大規模試験を完了した医薬品・ワクチン候補もなかった。メッセンジャーRNA(mRNA)の新型コロナウイルスワクチンが第3相試験に入る直前でも、これが旧来のより確立したワクチン技術にどれほど匹敵するものになるかについて、専門家の間で意見が分かれていた。
モデルナは今年、コロナワクチン10億回分を生産し、売上高が190億ドル(約2兆900億円)に達する可能性がある。
高い有効性や安定した供給、目立った安全性懸念がないこと(10代と若年成人でまれに起きる心筋炎や心膜炎を当局は監視)で、mRNAワクチンは少なくとも入手可能な国でうってつけの存在となった。
モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)にとってコロナワクチンは始まりにすぎない。mRNAがうまく機能すれば、心疾患やがん、希少な遺伝子疾患などほぼ全ての領域で治療が可能な新たな巨大産業が誕生すると、以前から指摘している。
モデルナにはこの3領域全てで治験中の医薬品候補がある。ニパウイルスやジカ熱といった新しいウイルスのほかエイズウイルス(HIV)などのもっとよく知られ対応が難しい病原体向けの製品開発を通じて、同社が有力なワクチンメーカーになり得るとバンセル氏は語る。
長期的には、新型コロナやインフルエンザなど多くの呼吸器疾患の抑制につながると考えられる年1回の特別なワクチン開発を目指している。バンセル氏は、地元の薬局や一般開業医で「毎年8月または9月に、複数のmRNAで構成されるワクチンの1回接種を行うことがわれわれの目標だ」と語った。
ただ試練もある。mRNAへの投資を急速に進める世界の他のワクチンメーカーに先行し続ける形でこの目標を実現できるかどうかだ。
またスピードと柔軟性という、従来の技術に対するmRNAの最も明確な利点を際立たせる今回のパンデミックのような機会が、モデルナに将来的にもあるとは限らない。今後の医薬品・ワクチンは米食品医薬品局(FDA)で通常の承認手続きで審査されることになるだろう。これにはデータ収集に向けたより長期の経過観察や6-10カ月の審査期間を伴う。その結果、mRNA分野のライバル勢や他の旧来型技術に競争の余地を与えることになる。
ソフトバンクグループが出資するインドの決済サービス会社ペイティーエムは、国内規制当局に新規株式公開(IPO)を申請した。最大1660億ルピー(22億3000万ドル)を調達する。提出された草案文書で16日明らかになった。
●その他産業
●決算関連
4~6月期の連結決算は、売上高は1%減、純利益が前年同期比5割増の467億円だった。高速通信規格「5G」などネットワーク事業の利益率が改善した。
中国事業の売上高は6割減(25億クローナ減)と大幅に減った。スウェーデン政府は20年10月に5Gの通信網から中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)を排除することを決定。これによりエリクソンは中国政府の報復で中国での市場シェアが下がる可能性があると予想していた。
●マクロ・その他
協調減産を8月から毎月日量40万バレルずつ縮小すると決めた。協調減産の枠組みを2022年末まで続けることでも一致した。5日に決裂していたが、再協議で妥結した。
減産縮小は現在の約580万バレルの減産が解消するまで続けるとし、声明で「22年9月末までに生産調整を終了するよう努める」とした。次回の閣僚協議は21年9月1日に開く。12月に市場環境を見極める。
新型コロナウイルスで20年に急減した原油需要はワクチンの普及などで持ち直しており、ニューヨーク市場の原油先物は年初比5割高い水準にある。OPECプラスが段階的に供給を元に戻すことで、上昇圧力が和らぐとの見方が多い。
IEAは世界の石油需要について21年は前年比540万バレル増の日量9640万バレル、22年は9950万バレルと予測し、22年末までに新型コロナ流行前の水準を回復するとみている。ただ感染力の強いインド型(デルタ型)が広がっており、再び行動制限が強まる懸念もある。OPECプラスは協調減産の枠組みを22年末まで続けることで、微妙な生産調整に取り組む。
中国は日本の固定資産税にあたる不動産税を一部の都市で試験導入する方針だ。11年に上海と重慶が建物のみの所有税を導入したが、今回は土地も対象に含めた本格的な固定資産税だ。金融緩和でマネーが流れ込んだマンション市場の価格高騰を抑える。財政難にあえぐ地方政府の収入を増やす狙いもある。懸念は複数の物件を持つ「持てる者」の反発の根強さで、全国展開に向けた課題も多い。
金融当局は規制を強めている。1月から住宅ローンの総量規制を導入した。個人事業主の運転資金向けローンを住宅購入資金に転用していないかも厳しく監視する。価格が高騰しやすい「学区房」と呼ぶ名門校付近のマンションの取引も制限し始めた。
これらの金融規制に合わせて固定資産税を設けて土地の収益率を下げて、投機を抑える。空き家の売却で中古マンション市場の供給が増えれば、価格が安定し、若い世代などが購入しやすくなるとの期待もある。西南財経大学の分析では、中国の空き家率は20%超と、日本の14%より大きい。
地方政府の収入増も新税の目的だ。地方財政は景気対策や新型コロナ対応の減税などで悪化してきた。20年の赤字は9800億元(約17兆円)と、10年間で5倍近くに膨らんだ。財政省によると、3000近くある県(省や市より小さい地方行政区)のうち約2割が公務員給与の未払いリスクなど深刻な財政難に直面している。
地方財政は不動産の開発や売買への依存を強めている。地方政府が20年に国有地の使用権を不動産会社に売って得た収入は、中央と地方を合わせた税収総額の5割を超えた。不動産関連の地方5税も開発や売買にかかわる税目が多い。19年までの10年間で4倍に増え、地方税収の25%を占める規模に拡大した。
不動産関連の財源がなければ、地方財政が維持しにくくなっている。人口流出が加速する中小都市では今後、建てすぎたマンション在庫を処理しきれない恐れもある。土地も含めた地方所有税をつくり、財源不足を緩和させたい考えだ。
もっとも、土地の国有制は税導入に向けた障害だ。建前上は国が所有するのに企業や個人が所有税を払うという矛盾のほか、土地評価額の算定が難しいという面もある。
消費者態度指数は80.8で前月から4.7ポイント下がった。2カ月ぶりの低下で、上昇を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測(86.3程度)に反して低下した。「今後の見通し」が78.4で5.1ポイント下がったほか、「現在の景況」も84.5で4.1ポイント下がった。
予想インフレ率が1年後は4.8%で前月から0.6ポイント上昇した。5年後は2.9%で0.1ポイント上昇した。足元の物価上昇が消費者の予測インフレ率を押し上げた。
住宅、自動車、家庭用耐久財の値上がりを懸念する消費者の割合が過去最高に達し、調査担当者は、物価上昇が、低・中所得層の生活水準に影響しており、高所得層の裁量支出の先延ばしにつながっていると指摘。「消費者は雇用増より、物価上昇の加速が止まるかどうかに関心を持っている」とした。
政府への抗議デモが起きた社会主義国キューバについて「失敗国家で、自国民を抑圧している」と批判した。「共産主義は世界中で失敗した制度だ。社会主義もあまり有効な代替策とは思えない」とも強調した。
0.4%程度の減少を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測に反して増加した。
経済再開で、外出や旅行が増えていることを映し、衣料品店が2.6%、飲食店が2.3%とそれぞれ大きく伸びた。一方、巣ごもり中に売り上げが伸びていた家具店は3.6%、建築園芸資材店は1.6%それぞれ減少した。
半導体不足による減産で在庫が少なくなっている自動車・関連部品販売店の売り上げがマイナス2.0%と大きく落ち込んだ。しかし、全体からこれらを除いた売上高は1.3%伸びており、個人消費は依然として力強かった。
●市況
日経先物(大証)27730、ダウ先34555、債先152.34、米1.300、独▲0.3545、仏▲0.018、西0.355、伊0.704、原油71.56、ドル円110.05、墨ペソ19.89、トルコリラ8.5233、墨CDS94
※7/16 NY引け値
備忘録(7/15)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
英デジタル銀行のレボリュートは15日、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2」と、米投資ファンドのタイガー・グローバル・マネジメントから8億ドル(約880億円)を調達したと発表した。レボリュートによると調達条件に基づく企業価値の評価額は330億ドル(約3兆6300億円)で、英国のフィンテック企業で最大になった。資金は2020年に進出した米国など世界展開の強化にあてる。
レボリュートは15年に英国でサービスを始めたフィンテックのスタートアップだ。決済や外貨両替、暗号資産(仮想通貨)取引など、スマートフォン上で完結する総合金融サービスを手掛けている。為替手数料の安さなどを売りに顧客を増やし、利用者数は世界で1600万人にのぼる。
韓国旅行予約サイト運営のヤノルジャは15日、「ビジョン・ファンド2号」から17億ドルの投資を受け入れたと発表した。ヤノルジャは資金を活用して海外展開を急ぐ。SBGの韓国企業への投資案件では、ネット通販大手のクーパンに次ぐ規模となる。これまでシンガポールの政府系ファンドのGICや、米同業大手のブッキング・ホールディングスなどが同社に出資している。
ヤノルジャの強みは、宿泊だけでなく交通手段やレストラン、レジャーなど幅広い旅行オプションを集約しており、利用者の趣向に合わせた旅行プランを提案する点だ。ビッグデータをもとに人工知能(AI)が顧客一人ひとりに最適なパッケージ旅行を組み上げる。同社のAIエンジンは自社サイトだけでなく、他社サービスにも採用されているという。
東京8号線(有楽町線)の延伸と品川と白金高輪を結ぶ品川地下鉄構想には十分な公的支援が必要と指摘。両路線の整備期間中は、国と東京都が株式の2分の1を保有することが適切であると主張した。
2021年内に米ナスダック市場に上場すると発表した。手続きは21年内に完了する予定で、企業価値の評価額は110億ドルとした。自動車大手の仏ルノー(時価総額は約110億ドル)やいすゞ自動車(同100億ドル)と並ぶ規模となる。
現在はウーバーと提携関係にあったトヨタ自動車とライドシェア向けの自動運転車の試作に取り組むほか、商用車大手のボルボ(スウェーデン)や米パッカーと自動運転トラックの開発を進める。自動運転トラックについては23年末までに実用化し、オーロラは自動運転システムの供給先から走行距離に応じた収益を得る考えを示している。
オーロラは23年後半から自動運転システムの供給を通じた売り上げの計上が始まり、27年の売上高は20億1200万ドルに伸びるとの見通しを示している。自社製品の普及に伴ってフリーキャッシュフロー(純現金収支)は27年に黒字化すると見込んでいるが、それまでは年間5億~8億ドル規模の資金流出が続くと予測している。
●その他産業
インドネシアで米鉱山大手フリーポート・マクモランの子会社から銅製錬所の設計、調達、建設業務を受注したと発表した。製錬の処理能力は世界最大級で、受注額は3000億円程度とみられる。世界的な脱炭素の流れを受け、電気自動車(EV)の蓄電池などに使う銅の需要が高まっていることに対応する。
半導体受託生産のグローバルファウンドリーズの企業価値はこの取引で約300億ドル(約3兆2900億円)と評価される可能性がある。取引がまとまる保証はなく、グローバルファウンドリーズは新規株式公開(IPO)を進める可能性もある。
●決算関連
営業利益を従来予想(71%増の2550億円)から100億円下方修正、純利益の通期見通しは同83%増の1650億円とする従来予想を据え置いた。
20年6月以降、「巣ごもり需要」に合う在宅着が売れ、エアリズムマスクなどの新商品もヒットした。ただ直近では「計画を大幅に下回っている」(岡崎健最高財務責任者)とし、好調だった前年の反動を見込む。岡崎氏は失速について「商品の目新しさや情報発信が不足していた」と話す。
海外のユニクロ事業もアジアでのコロナ感染拡大の影響を受ける。20年9月~21年5月期の営業損益は977億円の黒字と前年同期(518億円)より89%増えた。一方で21年6~8月期はこれまでコロナの流行を抑え込んでいた台湾でも直近では感染者が増えている。東南アジアでも感染者の増加でほぼ全ての国で売り上げが落ち込んでいる。それらを踏まえ、海外ユニクロでも計画を下方修正した。
中国・新疆ウイグル自治区での強制労働を巡る問題について「米国やオーストラリア、ブラジル産の綿を中国の工場で縫製していた」と明らかにした。生産工程で強制労働がない旨を説明したが「証明しきれず、時間切れになった」と述べた。
2021年の売上高の伸びが20%超になるとの見通しを示した。自動車業界などに打撃となっている世界的な半導体不足の緩和に貢献するとも表明した。
半導体供給に関して2022年にかけてもタイトな状態が続くと見込んでいると説明。TSMCは今年のマイクロコントローラーの生産を60%近く増やす方針で、7-9月から自動車業界の顧客に対する供給の大幅拡大を後押しする。
モルガン・スタンレーは今週決算を発表したJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループと同様に、M&A(企業の合併・買収)活況の恩恵を受けた。
ウェルスマネジメント部門の収入は60億9000万ドル。ジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)はウェルスマネジメントおよび資産運用事業の預かり資産で10兆ドルを目標としている。6月末の時点では6兆ドルだった。 モルガン・スタンレーは富裕層など顧客の資産管理が総収入に占める割合を高めることを目指し、昨年にイートン・バンスとEトレード・ファイナンシャルを買収している。
●マクロ・その他
中国の習近平国家主席は長年、危険だとみてきた「中国のトップクラスのテック各社が上場する際に、決して中国を選ばず米ニューヨークを選ぶ」という問題への対応にようやく乗り出した。習政権にとって、これはかねて中国の国家安全保障にかかわるリスクであると同時に、中国資本市場の明らかな力のなさを浮き彫りにする問題だった。
欧州連合(EU)が新型コロナウイルス禍からの経済回復を支えるために発行した「復興債」に投資資金が流入している。海外からの需要がユーロ高要因となるほか、復興債で支えられる南欧諸国の国債利回り低下(価格は上昇)につながる可能性がある。復興債が財政面での統合が進むきっかけになるとの長期的な期待も聞かれる。
2021年4~6月期の国内総生産(GDP)は物価の変動を調整した実質で前年同期比7.9%増えた。企業部門による堅調な工業生産が支えた。懸念は資源高で、企業収益が伸び悩めば、21年後半の設備投資や個人消費の重荷になる可能性がある。
工業生産や固定資産投資は加速。小売も堅調。
輸出入(ドル建て)は四半期ベースでともに過去最高となった。携帯電話など情報家電のほか伝統的な輸出品である衣料や玩具は伸びた。輸入は資源高で原油や鉄鉱石の調達額が急増し、輸出から輸入を引いた貿易黒字は前年同期より1割近く落ち込んだ。
ただし、雇用や所得の回復はなお遅れている。1~6月の都市部の新規雇用は698万人だった。前年同期を24%上回ったが、新型コロナ前の19年1~6月の水準(737万人)には届いていない。
特に自動車メーカーで供給不足が続いていることや、資材コストの急騰が背景にある。
7月のニューヨーク連銀製造業景況指数は予想を大幅に上回る上昇となり、過去最高を記録した。受注と出荷の指数が過去17年で最も強い数字となり、販売価格の指数もかつてない水準に上昇したことを反映した。
債券をただ保有しているだけで得られるリターンが全てだとして、この状況を「キャリー・イズ・キング」と表現している。金融当局が依然として超低金利と大規模な資産購入にコミットし、ボラティリティーがほぼ消滅した状態では、トレーディングで利益を上げることは難しさを増しているからだ。
投資家は割高なバリュエーションで買うことにも、当局の景気刺激プログラムが続く中で積極的に売ることにも慎重なため、リスクプレミアムは3月下旬以降ほとんど動かない状態が続いている。アクサ・インベストメント・マネジャーズのシニア・クレジット・ストラテジストは「キャリー(保持する)が現時点での戦略だ。ボラティリティーがほぼゼロに近いなかでは有望のようだ」と述べた。「今後3-6カ月、少なくとも夏の間は最小のスプレッドと低ボラティリティーが続くだろう」と予想した。
社債スプレッドはここ数カ月停滞している。航空会社や不動産のような新型コロナウイルスの打撃を受けたセクターでさえ、バリュエーションはパンデミック前の水準に戻っている。米国の投資適格級社債のスプレッドは4月初め以降、約10ベーシスポイント以内の動きにとどまっている。ユーロ建てのスプレッドはほぼ変わらず。
市場を休眠状態から呼び覚ますきっかけは、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)と欧州中央銀行(ECB)の会合だろう。「次の重要ポイントは9月の中銀会合だ」とベニゼロス氏は述べた。
7月の製造業景況指数はプラス21.9と前月から8.8ポイント下がった。3カ月連続の低下で、ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(プラス27.0程度)を下回った。
個別項目は「新規受注」がプラス17.0、「出荷」がプラス24.6で、いずれも前月から低下したものの良好さを保った。一方、「入荷遅延」は前月から4.0ポイント上昇の33.3となり、人手・材料の不足や配送の遅れなど供給制約が一段と深刻になっていることを示した。 「在庫」はマイナス4.0に低下した。
「仕入れ価格」は42年ぶりの高さとなった前月から11.0ポイント低下したが、プラス69.7で、物価上昇圧力が依然として高いことを裏付けた。「販売価格」はプラス46.8で2.9ポイント低下した。
ソーンダース氏は英景気の現状について、イングランド銀が5月上旬にまとめた中心見通しと比べて「回復がやや速まっている」との認識を強調した。需給ギャップの解消時期が以前の想定より前倒しになる可能性も挙げた。
物価動向については、消費財やIT(情報技術)、工場や機械投資などの需要が増えた結果、世界の製造業で上昇圧力がかかっていると分析した。エネルギー価格上昇の要因が和らいでも、こうした動きが英国の消費者物価指数(CPI)にある程度の持続的な影響を与えるとみている。
英CPIの上昇率は「2021年終盤に前年比3%を上回る」との見通しを示した。今の金融緩和環境では「向こう2~3年は2%の目標を上回って推移するだろう」と述べた。そのうえで「持続的に2%目標へ戻すには今の金融緩和策の一部をかなり早い時期に取り下げることが適切になるかもしれない」と語った。
●市況
日経先物(大証)27890、ダウ先34797、債先152.45、米1.302、独▲0.3345、仏0.006、西0.306、伊0.719、原油71.53、ドル円109.75、墨ペソ19.92、トルコリラ8.5685、墨CDS96
※7/16 9時00分頃
備忘録(7/14)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
21年4~6月の実績を19年同期と比べると乗用車は9%減、商用車は49%減にとどまる。感染「第2波」に伴う外出制限が響いた。
6月単月でみると回復傾向が続いているようだ。乗用車(月次統計に含まれないタタ自動車を除く)の販売は23万1633台で、5月と比べて2.6倍だった。20年6月比では2.2倍で、19年6月と比べても11%増の水準にまで回復している。
6Gは通信速度が5Gの10倍程度になる想定で、世界の通信キャリアが研究開発を進めている。ソフトバンクは上空からの通信網によるカバーエリアの拡大、無線を駆使した非接触充電、従来より高い周波数を持つ「テラヘルツ波」の無線通信などの研究に力を入れることを明らかにした。
●その他産業
米半導体大手ブロードコムによる米分析ソフト大手SASインスティチュートの買収に向けた交渉が物別れに終わったと報じた。同紙は前日にブロードコムが最大200億ドル(約2兆2000億円)で買収を目指していると報じていたが、SASの創業者らが売却について考えを変えたためとしている。
米保険大手のAIGは14日、生命保険や退職金事業の9.9%分を22億ドル(約2400億円)で米投資ファンド大手のブラックストーンに売却すると発表した。一部の資産を長期的にブラックストーンが管理する契約も結んだ。低金利の運用難でリストラを進める米保険業界で、ファンドとの提携が進んでいる。
資産管理に関して、AIGが現状管理している同分野の資産は2000億ドルのうち、ブラックストーンがまずAIGの生保や退職金事業における500億ドル分の資産を管理し、6年後に925億ドルに増やすことで合意した。
また、AIGは保有する住宅資産をブラックストーンの不動産投資信託(REIT)に51億ドルで売却することでも合意した。
ブラックストーンは1月にも、大手保険オールステートから生保事業を28億ドルで買収することで合意しており、保険への参入を進めている。米投資ファンド大手のアポロ・グローバル・マネジメントは3月に、保険会社アテネ・ホールディングスを110億ドルで買収することを決めた。
フェイスブックはFTCに提出した嘆願書で、「カーン委員長が以前からフェイスブックを批判し、特定の企業を標的として反トラスト法に違反すると主張してきた」と指摘。同氏が調査に加われば「結論ありき」となるため、「自ら調査から降りるべきだ」と訴えた。
専門家の間では、FTCの委員が独禁法について自分の意見を持つことは自然であり、カーン委員長の除外が認められる可能性は低いとの見方が多い。
2兆3000億円を投じた米ガソリンスタンド併設型コンビニ大手「スピードウェイ」の買収が完了した。買収額と純資産との差額にあたる「のれん」は約1兆3000億円にのぼり、減価償却として年約650億円の利益が押し下げられる見通しだ。買収で上乗せされる利益の半分近い規模にあたり、株式市場では巨額買収による収益や財務への影響を警戒する声も出ている。
●決算関連
主要5行は、そろって最終増益、または黒字転換となった。新型コロナウイルス禍で積み上げた貸倒引当金が戻し入れとなり、利益を大きく押し上げた。M&A(合併・買収)市場の活況で投資銀行業務も好調だった。
最終損益が6億5200万ドル(約720億円)の黒字(前年同期は57億ドルの赤字)だった。1~3月期(11億7700万ドルの最終赤字)の決算発表時には7~9月期の黒字化を見込んでいたが、当初の想定より早い黒字転換となった。
CEOは説明会で「国内の観光需要は(コロナ前だった)2019年の水準まで完全に回復した。需要増が予想を上回る収入をもたらした」と述べた。
21年4~6月の売上高は71億ドルで、前年同期比で4.9倍、19年4~6月比で43%減だった。主力の旅客収入は国内線は19年比で45%減となった一方、国際線では太平洋、大西洋路線がそれぞれ87%減、85%減にとどまり、回復度合いでは明暗が分かれた。
21年7~9月期の売上高予想は19年比30~35%減とした。米運輸保安局(TSA)によると、足元で米国内空港の保安検査所の通過人数は7日移動平均で19年比2割減の水準まで回復している。また、変異ウイルスの感染が拡大している点について、デルタの幹部は「リスクとして注視しているが、需要の落ち込みは見られていない」と述べた。
第2四半期の純利益はほぼ6倍の61億9000万ドル(約6820億円)に増え、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均の46億7000万ドルを上回った。
株式トレーディングと投資銀行業務が好調で、債券トレーディングとクレジットカード部門の弱さを補った。貸倒引当金の戻し入れも寄与し、第2四半期の収入と利益はアナリスト予想を上回った。株式トレーディング収入は2四半期連続で10億ドルを超えた。クレジットカード事業の収入は消費者のローン返済で11%減少。米景気回復の中でカードの利用額は40%増えた。
●マクロ・その他
米経済は「一段と力強さを増した」と総括した。各地区の経済は「緩やか」もしくは「力強い」ペースで拡大し、前回より判断を引き上げた。新型コロナウイルス感染に関する懸念が減り、経済再開が進む中で、輸送業、旅行・観光業、製造業、金融以外のサービス業などが「平均を上回る」強い成長を示したという。
一方で、急激な需要回復を受け、材料や労働力の不足、入荷遅延、消費財の在庫薄など「供給サイドの乱れが一段と広がっている」という。スタッフ不足で営業制限している飲食店、宿泊施設、小売店の報告が相次いだ。こうした状況で、需要が特に強い未熟練労働者の賃金が大きく上昇したほか、その他の賃金も緩やかに上昇した。物価も「平均を上回るペース」で上昇した。
物価上昇圧力は幅広く高まっており、飲食店やホテルなどで特に強かった。「仕入れ価格と販売価格は今後さらに上昇する」と予測する企業が大半だった。企業の価格決定力にはばらつきがあったが、シカゴ連銀地区の業者が「価格が上がっても顧客の購入意欲は変わらない」と報告するなど、コスト転嫁に自信を持つ企業の声も聞かれた。
パウエル議長はインフレの加速は「一時的」との認識を変えず、「今後数カ月は伸びが高いまま推移し、その後は和らぐ」との見通しを示した。需要が急回復する局面に供給制約が重なっていることが物価を押し上げているなどと説明した。さらに「早まって動けば間違いになりかねない」と語り、拙速な引き締めに慎重な姿勢を示した。
テーパリング開始の条件である「さらなる著しい進展」について「意味するところを正確に示すことは難しい」と語り、実際に着手する前に市場と十分に対話を重ねると訴えた。市場では今年終盤から来年初めにテーパリングが始まるとの見方が多い。
ラムスデン副総裁(市場・銀行担当)は14日の講演で、新型コロナウイルス禍の先行き不透明感は残るとしつつ、雇用や賃金情勢なども順調だとの認識を示した。英経済の急速な回復を背景に「金融引き締めを検討する条件が従来考えていたより幾分早く満たされることが想定される」と言及した。「物価上昇の鈍化よりも拡大のシナリオをより重視している」と付け加え、将来の金融緩和の縮小が早まる可能性に注意を促した。
新型コロナウイルス対策の失敗に加えて汚職疑惑も浮上し、各種世論調査での不支持率は50%を超えた。2022年の大統領選での再選に黄信号がともり、現金給付策の拡充などで支持回復をねらうが、求心力の低下は隠しきれない。
「OPECプラス」の協調減産を巡り、対立していたサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)が合意に至ったと伝えた。UAEの基準生産量を現状の日量316.8万バレルから365万バレルに増やす。他国も基準を変更するかは不明。減産を2022年末まで継続する見通しという。
6月の大口取引価格はおおむね前月から据え置きで決まった。在宅勤務によるパソコン需要の強さが価格の下支えとなっている一方、年初からパソコン・家電業界などの需要家が前倒しで調達したことで在庫水準が高まり、値上げが浸透しにくくなっている。
政策金利は過去最低の0.25%に据え置いた。中銀は声明で「7月23日までに大規模資産購入(LSAP)プログラムに基づく追加の資産買い入れを停止する」と述べた。NZ経済については「経済活動全体では、新型コロナ前のレベルを上回っている」と指摘、好調な個人消費が今後も続くとの見通しを示した。
量的緩和政策はカナダ銀行(中銀)が4月、オーストラリア準備銀行(同)が今月にそれぞれ縮小を決定している。また、NZ中銀は5月、22年9月終わりまでに政策金利が0.5%になり、23年末には1.5%になるとの予測を示した。
CPI上昇率は2月(0.4%)を底に4カ月連続で拡大。6月は前年同月比で2.5%上昇した。伸び率は5月より0.4ポイント拡大し、2018年8月以来2年10カ月ぶりの大きさになった。原油高で自動車用燃料の値上がりが進み、ロックダウン(都市封鎖)緩和を背景に外食や衣料品などにも上昇圧力がかかった。英国でも経済再開によるインフレ圧力が増している。
品目別で前年比の伸び率が大きかったのは輸送で、7.2%上昇した。ガソリンなどの燃料・潤滑油は20.3%と10年5月以来の高水準だった。中古車は5.6%と5月の0.9%から加速した。半導体不足による新車市場の需給引き締まりの影響が米国と同じく波及している。前年同期にロックダウンの打撃を受けていたレストラン・カフェは2.5%上昇した。
半導体業界の国際団体SEMIは14日、2022年に半導体製造装置の世界販売額が1013億ドル(約11兆2000億円)以上になるとの予測を発表した。新型コロナウイルスによる巣ごもり需要や世界的な半導体不足を背景に、半導体メーカー各社は積極的な設備投資を打ち出している。21年の半導体製造装置市場は20年実績比34%増の952億ドルに急成長する見通しであり、20年12月時点の予想を252億ドル(33%)上方修正した。
特にデータセンターなどで使う演算を担うロジック半導体や受託生産(ファウンドリー)分野の投資額は21年に39%増え、市場の約半分を占める。また、足元ではメモリー需要も増加しており、データを一時的に保存するDRAM向け投資は21年に46%増える。
半導体不足の解消には時間がかかる見通しで、増産に向けた設備投資が続く。米中摩擦を背景に、半導体の自国内での生産に向けた供給網の構築も追い風になりそうだ。
前年同月比では7.3%上昇
前年比の数字はいずれも2010年の統計開始以降で最大の伸びを記録した。
●市況
日経先物(大証)28510、ダウ先34802、債先152.41、米1.346、独▲0.3205、仏0.016、西0.302、伊0.709、原油72.81、ドル円110.00、墨ペソ19.90、トルコリラ8.5874、墨CDS96
※7/15 9時00分頃
備忘録(7/13)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
2021年7~9月期の国内粗鋼生産量が前年同期比30%増の2469万トンになるとの見通しを発表した。19年7~9月期比でも0.6%増となり、新型コロナウイルス拡大前の水準を上回る。四半期ベースの増加は5期連続となる見通し。自動車や機械など製造分野向けの鋼材需要がけん引する。
この1週間の1日当たりの新規感染件数(確認された症例と感染の可能性が高い症例)は平均328件と、6月28日時点の208件から増加している。
ワクチン接種を済ませた住民が少ない地区で変異株が広がっている可能性を考慮すると、今回のトレンドは懸念される。
後藤CFOは一般論と断った上で、「MBOのメリット、目的は、その時投資家にお返しできるのか」などを考える必要があると指摘。上場と非上場化を「資本戦略として常に両方考え、向き合っていくこと」が大切だと述べた。
また、後藤CFOはソフトバンクGのビジョン・ファンド2号について、現在4兆円超の拠出を全額自己資本で行っているが、将来的には外部の投資家が入る「可能性は十分ある」と話した。
アリババグループ・ホールディングや複数の中国国有企業はクラウドコンピューティング企業、ユニスプレンダー(紫光)の株式取得を検討している。ロイター通信が事情に詳しい関係者の情報を基に報じた。取得額は最大77億ドル(約8500億円)に上る可能性がある。
ユニスプレンダーの親会社で半導体大手の紫光集団(清華ユニグループ)は昨年、大規模なデフォルト(債務不履行)を引き起こしていた。ロイターによると、紫光集団は期限が迫る債券の支払いに必要な資金を賄うため、ユニスプレンダーの持ち株46.45%の売却を模索している。
●その他産業
構造上の問題は未出荷の787の胴体部分で見つかった。詳細は明らかにしていないが、出荷済みの機体には影響ないという。数週間かけて点検と改修作業を行い、生産ペースを月間7機から5機未満に落とす。
787は日本の航空機部品メーカーが主要構造部を手掛けている。ボーイングは約100機ある787の在庫の大部分を2021年中に出荷する計画だったが、改修作業のため年内の出荷は在庫の半分以下にとどまるという。
グーグルが検索サービスで表示する記事の使用料について、仏メディアとの誠意ある協議を求めた当局の命令に従わなかったためとしている。
テマセク・ホールディングスが東南アジアなどの新興企業の成長を取り込んでいる。2021年3月期の運用利回りはプラス25%と高水準を確保した。足元では出資する中国ネット企業への規制が強まっており、こうした中国当局の動向が投資戦略にも影を落としかねない。
●決算関連
新規株式公開(IPO)市場が活況で、新株引受業務が好調だった。前年にマレーシア政府系ファンド汚職で罰金の支払いを計上しており、利益の伸び率が大きくなった。
世界的にM&A市場は活況だ。調査会社リフィニティブによると21年1~6月期に発表のM&Aは総額で2兆8000億ドルとなり、半期で過去最高だった。
M&Aのけん引役は投資ファンドだ。ソロモンCEOは「エコシステムに膨大なドライパウダー(買収待機資金)がある」と指摘した。年金基金や保険会社など長期投資家が低金利による運用難で、未公開株やインフラ投資に資金を振り向けている。事業会社もデジタル化対応でM&Aを活用しようとしている。
バイデン大統領はこのほど競争を促進する大統領令に署名した。大手企業による利益独占を認めず、消費者や労働者を守る狙いがある。ソロモンCEOは「大規模なハイテク企業の統合など特定の取引には影響がでる」との見方を示した。一方で現時点では「規制の影響よりも、M&Aによって競争力を高めたいという企業の意欲のほうが上回っている」と強調。「政権の野心的なアイデアが盛り込まれている」と指摘したうえで、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)執行機関による実際の運用を注視したいと話した。
貸出先の破綻リスクに備えて計上していた貸倒引当金と貸倒損失を合わせた不良債権処理費用(信用コスト)は22億ドルの戻し入れとなった。特にカードローンなど消費者部門で引当金を26億ドル戻したことが大きい。ダイモンCEOは引当金などの戻し入れを除いた純利益は96億ドルになると述べた。
純営業収益は同8%減の304億ドルだった。金利低下に伴い、貸出金利と預金金利の差(利ざや)が圧縮され、純金利収入が同8%減の127億ドルになったことが響いた。預金残高は19%増える一方、貸出残高の伸びは3%にとどまり、預貸率(預金に占める貸出金の割合)は45%と、1年前(52%)と比べて7ポイント下がった。
アナリスト予想では、ウェルズ・ファーゴは不必要な貸倒引当金約5億4500万ドルを戻し入れる見通しで、3行では最大となる見込み。BofAは2億7400万ドルの見通し。両行は1-3月(第1四半期)にそれぞれ10億ドル余りを戻し入れていた。1-3月に貸倒引当金を40億ドル余り減らしたJPモルガンは、4-6月期に2億3900万ドルの戻し入れが見込まれている。
一方でシティグループは、貸倒引当金を4-6月期に約3億2300万ドル積み増したと発表するとアナリストらは予想している。同行は1-3月期に21億ドル減らしていた。
あべのハルカス近鉄本店(大阪市)では休業中も食料品や婦人雑貨など一部の生活必需品売り場で営業を続けたほか、電子商取引(EC)による販売が好調だった。株高による資産効果などで高額品も堅調だった。今期から「収益認識に関する会計基準」を適用しており、会計基準を適用しない場合の売上高は前年同期比27%増の497億円だった。折り込みチラシを取りやめるなど宣伝費を中心に経費を削減し、営業損益は6億6600万円の赤字(前年同期は22億円の赤字)となった。
●マクロ・その他
2030年度の再生可能エネルギーの発電量を3120億キロワット時程度とする見通しを示した。現状より7割多いが、温暖化ガスの排出量を13年度比46%減らす目標にはまだ足りない。21日にもエネルギー基本計画や電源構成の改定案を示す方針で、追加の積み上げ余地を探る。
6月の消費者物価指数(CPI、1982~84年=100)の上昇率は前年同月比5.4%となった。5月の5.0%を上回り、2008年8月以来、約13年ぶりの高水準が続いた。原油価格や家賃の上昇に加え、飲食業などの賃金の上昇圧力も高い。高インフレが長引く恐れがある。
インフレ長期化の影がちらつく。需要増と供給制約による一時的な値上がりだけでなく、長く物価を押し上げる家賃や賃金にも上昇圧力がおよび始めた。
米でインフレ加速 市場は静観「いまがピーク」
4月分の発表時とは異なり、今回は株価急落といった金融市場の反応はなかった。物価の上振れは一時要因が強く、今年後半には徐々に鈍化するとの見方が多いためだ。
市場からは「予想よりもはるかに強い数字だった」との反応が見られた一方、「上振れの大部分は供給要因や経済再開による一時的な急上昇によるものだ」との指摘も。特に中古車は半導体不足による生産減が尾を引き、前月比でも10%を超える伸びとなった。
リフィニティブが集計するエコノミスト予想は2021年後半のCPIの前年同期比は3%台の予想が多い。2022年春ごろには米連邦準備理事会(FRB)の物価目標である2%程度に落ち着くとの見方が優勢だ。
ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は「経済見通しは改善し続けており、消費者、企業ともに財務状況は並外れて強い」
インフレについて、ダイモン氏は消費の強さや賃金上昇を背景に「人々やFRBが考えているよりひどくなるだろう」と述べた。FRBは「一時的」との認識を示すが、ダイモン氏は「一時的とは考えていない」と発言。ただし「極めて強い経済成長がある限り、問題にはならない」と述べた。
十分な自己資本が維持され、株主還元に完全復帰しても問題ないと判断。2020年3月、融資の体力を確保させるためバークレイズなど大手行に配当中止を要求した。21年初から再開は容認したものの利益や資産規模比で配当額に制限を残していたが、これを撤廃した。
欧州中央銀行(ECB)も10月からユーロ圏の銀行に配当再開を認める方向だ。新型コロナウイルス禍で当初警戒された銀行システムの健全性への懸念が遠のいたことを意味する。
FRBが量的緩和策の縮小を始める時期について、年内とする回答が合計で40%となった。前回6月調査時点では27%だった。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げ想定の時期が従来の2024年以降から23年中に前倒しされたことが影響した。
7月の石油市場月報で、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくるOPECプラスによる減産縮小協議の決裂で「石油市場の需給が著しく逼迫する」可能性を指摘し、在庫水準の大幅減にも言及した。実際に在庫の取り崩しが進めば、現在は1バレル74ドル前後で推移している米原油先物相場への上昇圧力がさらに強まりそうだ。
米経済は速いペースで拡大し、経済予測の専門家は今年下期と来年にかけての成長をなお比較的楽観視している。債券投資家はむしろ少なくとも当面、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の成長加速へのパラダイムシフトという考えを捨て、インフレ高進の不安も軽視するようになったようだ。
さらなる財政出動を伴う経済対策期待が後退し、連邦準備制度のレトリックがよりタカ派的になる状況で、債券市場の関心は、大規模な金融、財政刺激策が縮小に向かう来年より先の成長減速見通しにシフトした。
PGIMのチーフエコノミスト、ネイサン・シーツ氏は、労働人口の高齢化と世界的需要不足といった構造要因が成長とインフレを抑制していた2019年への「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だと指摘した。
TDセキュリティーズのグローバル金利戦略責任者プリヤ・ミスラ氏は7日のブルームバーグテレビジョンで、「米連邦準備制度が去ろうとしていると市場は言うが、経済がうまく対応できるかどうか分からない。それは『政策ミス』につながる話であり、当局は先送りする必要があると私は考える」と語った。
国内4大銀行は、暴動の震源となったクワズールー・ナタール州、経済の中心地ヨハネスブルクのあるハウテン州の全支店を休業とした。各行が12日、電子メールで回答した。米ウォルマート傘下のマスマート・ホールディングス、携帯電話大手のボーダコム・グループ、MTNグループなども店舗を閉鎖した。
同国の4大銀行のエコノミストは現時点で11月の利上げ開始を見込んでおり、14日の声明でその可能性が暗に示されるとみている。
先週の調査で企業が値上げによる価格転嫁に自信を深めていることが示され、投資家の利上げ観測が高まっている。ただ、リスクも依然として多い。NZの国境はまだ大部分が閉ざされており、新型コロナウイルスのワクチン接種がなかなか進まないこともマイナス要因だ。
総合CPIは伸びの3割余りを中古車が占めた。ホテル宿泊やレンタカー、衣料品、航空運賃など広範な経済活動再開に関連した分野での価格持ち直しもCPIの伸びに大きく反映された。
月までの9カ月の財政収支は、累計約2兆2379億ドル(約247兆円)の赤字だった。赤字額は前年同時期と比べ18%縮小した。経済再開による景気回復で税収が増え、赤字が縮小した。
ペプシコ決算により好調ぶりが改めて確認された外食業界だが、米経済が抱える懸念が長期化する可能性も映し出している。
2021年4~6月期決算は純利益が前年同期比43%増、売上高が21%増だった。経済再開に伴いレストラン需要が好調で、コーラ飲料を含む主力の北米飲料品事業が21%増と部門別では伸び率がトップだ。併せて21年通期の業績見通しを上方修正した。
CEOは「消費者の移動が活発となり、外食サービス向けが急成長している。7~9月期以降もこの傾向は続くだろう」と話した。
レストラン予約サイト「オープンテーブル」の集計によると、米国における予約件数は12日時点で新型コロナウイルス流行前の19年とほぼ同水準まで回復している。
ただ客足が好調な半面、人手不足とインフレという米経済が抱える懸念も映し出す。5月の雇用動態調査(JOLTS)によれば、特に宿泊・飲食サービス業における労働需給のミスマッチが鮮明で、業界の求人率は9%と高水準だった。
こうした人手不足は、賃金やメニュー価格に反映され、6月の消費者物価指数(CPI)によると、外食価格は前年同期比で4.2%上昇し、内食価格(0.9%)の伸び率を大きく上回った。
米国は今週、米企業に対し、香港で事業を行うことのリスクが高まっていると警告する。事情に詳しい関係者3人が明らかにした。米政権は中国政府による香港締め付けに対する圧力を強めようとしている。
米政府が指摘するリスクには、香港で外国企業が保管するデータに中国政府がアクセス可能である点などが含まれる。
イングランド銀は金融安定報告の中で、今後も世界的にジャンク(投機的等級)債市場での借り入れが拡大した場合、バリュエーションは成長見通しや金利動向の変化に対して脆弱(ぜいじゃく)になるとの見方を示した。
報告書では「押し上げられた資産価値や圧縮されたリスクプレミアムは、資産価格の急激な調整に対する脆弱さを示唆する」と指摘。「資産価格の急落は経済的なショックを増幅させ得る」ほか、金融システムに直接影響を及ぼすとの見解を示した。
●市況
日経先物(大証)28510、ダウ先34752、債先152.25、米1.415、独▲0.2915、仏0.038、西0.327、伊0.714、原油75.00、ドル円110.64、墨ペソ20.05、トルコリラ8.6203、墨CDS93
※7/14 9時5分頃
備忘録(7/12)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
日産自動車は英北部サンダーランド工場の隣接地に10億ポンド(約1500億円)を投じて電池工場を新設すると発表し、同工場の将来の存続を決めた。仏グループPSAと欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が統合して1月に発足した自動車大手の欧州ステランティスが英中西部のエルスメアポート工場に1億ポンドを投資し、電気自動車(EV)専用工場にすると発表した。独BMWやトヨタ自動車も近く、英国での投資計画を発表するとみられている。
英国が20年12月にEUとの自由貿易協定(FTA)で合意し、手厚い補助金も用意しているとあって、企業経営者は英国から撤退するより、離脱後に英国がより自由に規制を設定できるようになった利点のほうに注目している。英EU間の貿易・協力協定(TCA)は英自動車産業の希望をすべてかなえたわけではないが、それに近い。関税ゼロ、数量割当ゼロの貿易がほぼ維持されていたからだ。税関検査や手数料で一定の摩擦は生じているが、合意が形成されず世界貿易機関(WTO)のルールに基づいて完成車に関税10%が適用された場合に比べれば、影響は軽微である。
厄介なのは、域外から輸入する原材料の比率が大きい製品は無関税の対象ではなくなる「原産地規則」のほうだ。これは第三国から輸入した商品を国産品と称して再輸出するのを防ぐことを狙ったものだ。
TCAは関税上、英国とEUを同一圏とみなすため両者間には関税はかからないが、両者がともに貿易協定を結んでいる日本などの国から輸入される原材料や部品などには関税が発生する。
関税を回避するには、英・EU製以外の部品の割合を金額ベースで27年までに45%に下げなければならない。このためEUで販売し、アジアまで及ぶサプライチェーンを抱えるメーカーには英国から撤退するか、英国事業を拡大するかの選択を迫られる。
自動車各社が電気自動車(EV)シフトを進める。ガソリン車のエンジンと同様に、EV向け電池は高額である。
ある生産担当マネジャーは「電池を国内で調達しない限り、原産地規則をクリアできない」と言う。日産が中国系のエンビジョンAESCグループ(神奈川県座間市)と合弁でサンダーランドに新設する電池工場は、20年代半ばまでに年間9ギガワット時の生産能力を実現する。自動車10万台分に相当する量で、30年には25ギガワット時まで増強する。電池メーカーが結成した独立系コンソーシアムのブリティッシュボルトは、20年代末までに30ギガワット時の生産能力を確保しようと計画する。
ブレグジット後に官僚主義の排除が進むであろうと期待していた向きには、潤沢な補助金の給付には困惑させられる点があるかもしれない。だが英政府は気候変動対策の目標達成や新しい技術の導入といった面でも、役所仕事を排除していこうという姿勢だ。EVや自動運転車のルール作りに関して、英国政府は迅速かつ前向きに動くと自動車メーカーはみている。
EU離脱は英国経済に総じてマイナスに働き、潜在成長率を押し下げるだろう。だが、補助金や優遇税制、イノベーションを阻む障害が少ないことを考慮に入れれば、離脱後の英国での環境は、自動車メーカーがかつて危惧していたよりも事業展開しやすくなりそうだ。
2030年に独フォルクスワーゲン(VW)など10社が販売する新車の約5割がEVになる見通し。うち上位5社は今後5年で17兆円をEVに投資する。自動車業界のEVシフトが本格化し、次世代電池の開発など残された課題を克服するための競争が激しくなる。
今月ラスベガスで開催される会計士の大規模年次会合には約半数が現地に赴く。主催者側が年初に想定していた数を大きく上回るという。秋に予定された幾つかの会合は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前に完全に戻ったような雰囲気で講演者や出席者のほぼ全員がズームではなく現地入りする計画だという。
医療関連の会合HLTHの創設者、ジョンソン・ウィナー最高経営責任者(CEO)は、「われわれはデジタル専用チケットを提供しているが、約95%が対面で参加する見通しだ」と述べ、今年10月にボストンで開催される会合への出席者が前回対面で行われた2019年並みのペースであることを明らかにした。
しかし、企業の出張の本格回復はまだ先のようで、JPモルガン・チェースによると、パンデミック前の水準の30%から35%にとどまっているという。国外出張の回復はさらに先となる見通しで、ワクチン接種ペースが遅く、デルタ変異株が急拡大している国では多くの渡航制限が実施されている。
約36億ドル(約4000億円)を集めた直近の資金調達ラウンドで、自社の企業価値が約376億ドルと評価されたことを明らかにした。
大株主の米ウォルマートに加え、ソフトバンクグループや中国のテンセント・ホールディングス(騰訊)、米ブラックストーン・グループ系のアンタラ・キャピタル、アブダビ首長国政府系ファンドのADQ、シンガポールのGIC、カタール投資庁、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)も調達に参加した。
ソフトバンクGは以前、フリップカートに出資。その後持ち株を売却しかなりの利益を得たが、今回の出資で再び同社の株主となった。
●その他産業
米マイクロソフトはセキュリティー対策ソフトウエアメーカーの米リスクアイキューを買収することで合意した。世界的にサイバー攻撃が増える中でマイクロソフトは製品の幅を広げ顧客保護を向上することを目指している。マイクロソフトは今回の買収で現金5億ドル(約550億円)強を支払う。
米公益会社ドミニオン・エナジーと合意していたパイプライン資産取得の一部を取りやめた。規制当局の承認を得られないとの懸念を理由に挙げた。
両社は声明で「1976年に制定されたハート・スコット・ロディノ(HSR)反トラスト改正法に基づく連邦取引委員会(FTC)の承認獲得を巡って、不透明感が続いていることを踏まえて今回の決定を下した」と説明した。
ノースカロライナ州に本社を置く非上場のデータ分析ソフトの老舗である米SASインスティチュートの買収に向けた交渉を進めていることが12日、明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。収益性の高いソフトウエア分野の強化が狙いとしており、買収額は最大200億ドル(2兆2000億円)に上るという。
研究者や技術者らがデータを視覚的に分析するためのソフトに強みがあり、医療分野などでの応用を目指している。WSJは今後数週間でブロードコムとの買収交渉が決着する可能性があるとしている。
ブロードコムは近年、ソフト分野の企業買収に力を入れている。18年にはソフトウエア開発の米CAテクノロジーズを約190億ドルで、19年にはセキュリティーソフト大手米シマンテックの法人部門を約107億ドルで買収した。
●決算関連
●マクロ・その他
1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)は、11日時点でブラジル、インドに次ぐ3万4731人と、世界最高水準に近づきつつある。
国内の生産が停滞した中国がインドネシアなどから輸入を増やし、アジア域内の需給が引き締まった。石炭の値上がりは日本の電力料金の押し上げ要因になる。
2021年1~6月の工作機械受注額(速報値)は前年同期比71.2%増の7021億円だった。自動車や半導体で設備投資が膨らんでおり、新型コロナウイルスがまん延する前の19年1~6月(6819億円)を上回った。すでに前週末に安川電機が22年2月期の業績予想を上方修正。需要回復による業績期待から12日は関連企業の株価が高騰した。
中国の小売り大手、蘇寧易購集団は12日、同社の創業者の張近東・董事長が辞任すると発表した。
蘇寧の業績は急速に悪化しており、張氏とその関連企業が保有する蘇寧株16%超を江蘇省政府傘下の国有ファンドが立ち上げた基金に、約88億元(約1500億円)で売却すると発表していた。基金にはネット通販最大手のアリババ集団やスマートフォン大手の小米なども参画している。今後は地方政府とアリババなどが同社の立て直しを主導するとみられる。
ECBは6、7両日の特別会合でインフレ目標を2%に引き上げ、必要ならオーバーシュートの余地を容認することで合意。22日の会合は比較的平穏なイベントとなるとこれまでは考えられていたが、ラガルド総裁は「重要な会合になる」と説明。「われわれのコミットメントを粘り強く示す必要性を踏まえると、フォワードガイダンスが再検討されることは確実だ」と語った。
ラガルド総裁は現在の1兆8500億ユーロ(約242兆円)規模のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)について、「少なくとも」2022年3月まで続くことを見込んでいると述べた。その後に「新たなフォーマットへの移行」が行われるかもしれないと説明した。詳細は明らかにしなかった。
ただ同総裁は、コロナのデルタ変異株が平常の生活を取り戻す取り組みへの脅威となり得るため、回復についてはまだ「慎重ながらも楽観」している程度だと指摘。緊急刺激策の縮小時期について協議する必要性を否定した。年内に物価上昇に弾みが付く見込みだが、ECBはこれが一時的にとどまると予想している。
債券購入プログラムのテーパリング(段階的縮小)を支持する米連邦準備制度当局者も、そうすべき一つの根拠として住宅価格の上昇を挙げる。特に住宅ローン担保証券(MBS)買い入れは、既に過熱状態にある市場で住宅需要をさらにあおる不安がある。
ニュージーランド(NZ)と韓国、カナダの中銀が政策決定会合を今週開く。いずれも住宅高騰を背景に価格抑制で何らかの対応を求める圧力が高まりつつある。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のバブル番付によれば、NZ準備銀行(中銀)は世界で最も過熱する不動産市場への対応を迫られており、住宅ローンの返済負担率(DTI)に制限を課すことも今後認められる。同中銀の予測は、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレート(OCR)が来年下期に引き上げられる可能性を示唆した。
ユーロ導入以来で最も大掛かりな戦略点検を終えた欧州中央銀行(ECB)は、公式インフレ指標に現時点で反映されていない持ち家コストについて、追加の評価対象とする方針を明らかにした。イングランド銀行(英中央銀行)も住宅市場に懸念を示し、ノルウェー中央銀行も超低金利が住宅市場に与える影響を不安視している。
ニールセンのデータによると、紙おむつの平均単価は今年1月に前年比14%上昇し、それ以降も高止まりが続く。昨年は25ドル(2800円)程度だった1パックの値段が今では40ドルすることもある。実際、あせもの薬やお尻拭きなどベビー用品の価格は2桁の上昇率となっており、各社は今後も値上げは続くと話している。
おむつ価格の上昇は、市場が大手2社による寡占状態となっていることも背景にある。ハギーズやパンパースなど世界的ブランドの多くはキンバリー・クラークとプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の商品だ。米おむつ市場の70%を占めている両社は、原材料価格が高騰する中でも自社の利益を確保している。
●市況
日経先物(大証)28670、ダウ先34878、債先152.23、米1.368、独▲0.3035、仏0.046、西0.338、伊0.738、原油74.23、ドル円110.34、墨ペソ19.84、トルコリラ8.6369、墨CDS93
※7/13 8時30分頃
備忘録(7/9-11)
●雑感
米国のホテル業界指標は好調だが、コロナ変異株が足元で拡大。これがデータに影響するのはもう少しあとかな。
国内旅行は動き出したが、海外旅行がオープンとなるのはいつなのだろうか(航空関連業界の回復の鍵は海外旅行・出張需要が握っているだろう)
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
飲食店の深夜営業の禁止、ディスコやナイトクラブの閉店が10日から始まった。大規模な集会の開催も認められない。英国やスペインなど欧州各国と同様、感染力の強いインド型(デルタ型)が急速に広がっているためで、8月13日までの措置。
同国保健当局は、感染者のほとんどが若年層だと指摘。国民の約80%が少なくとも1回、約50%が2回のワクチン接種を受けていると説明した。
2021年1~6月の販売台数は前年同期比3割近い伸びを確保したものの、5月は3%減、6月は12%減と2カ月連続で前年実績を割り込んだ。2ケタのマイナスは、新型コロナウイルス問題が深刻だった20年3月以来15カ月ぶり。半導体不足が主因で、長期化すれば中国の経済全体に影響が広がる恐れがある。
メキシコやブラジルなど中南米への投資を倍増するため、新たに50億ドル(約5490億円)を追加する準備をしていることが複数の関係者への取材で分かった。
同社は近く同地域での出資額増額を取締役会で決議する見通しで、同地域への投資額はこれで累計100億ドルとなる。増額分は2019年の1号ファンドに続き、2号ファンドとして設定される可能性もあり、マルセロ・クラウレ副社長が統括する。
中南米ではヘルスケア、電子商取引、デジタル金融サービス、運輸、保険などを投資対象にしてきた。同地域は人口が世界の1割、国内総生産(GDP)が中国の2分の1に相当し、インターネットの利用者は3億7500万人、スマートフォンも2億5000万人と米国を上回るという。
宿泊業界の主要指標の一つであるRevPAR(販売可能な客室1室当たりの収益)が先週、2019年の同じ時期を上回った。ついに新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を超えたことになる。主要市場で最も伸びたのはフェニックスで43%増、最も落ち込んだのはニューオーリンズとサンフランシスコ。ニューヨーク市のホテルも苦戦が続いている。
旅行需要は好調維持が予想されるものの、ホテル業界の完全な回復には企業の出張の戻りが必要で、9月より前の実現は期待薄と見られる。
●その他産業
●決算関連
021年1~6月期の営業利益が約110億ユーロ(約1兆4000億円)になったとの速報値を発表した。新車販売が新型コロナウイルスから急回復した。前年同期は8億ユーロの赤字で20年12月期通期は106億ユーロの黒字だった。
コロナからの販売回復で売上高が伸びたほか、需給が引き締まったことで利幅も増えたとみられる。一方、上半期で解消するとみていた半導体不足による生産への影響は下半期にも及ぶことを明らかにした。
2022年2月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比2.2倍の410億円になる見込みだと発表した。従来予想を93億円上回る。新型コロナウイルス禍を機に自動車や半導体の工場を省人化する企業が多く、モーターや産業用ロボットの販売が好調だ。業績の先行指標となる直近の四半期の受注は過去最高となった。
●マクロ・その他
SPACのIPOが急減速している。2021年4~6月の資金調達額は127億ドルと1~3月から86%の大幅減となった。米当局が投資家保護などの観点から監視を強めた影響が大きく、過熱感も指摘されたSPACのIPOは一気にしぼんだ。
先進国の財政が悪化するなか、中央銀行の国債買いが財政を支援する構図が続く。長期金利を経済成長率より低くして利払い費を抑え、経済規模に比べた政府債務に歯止めをかける役割だ。債務危機は回避できるのか。戦後の米国には中銀が国債利回りを低く保ち、結果的に債務の膨張抑止につなげた経験があるが、経済成長に助けられた面も強い。中銀に頼り続けることは難しい。
新型コロナウイルスのワクチン接種の進展に加え、金融緩和と財政政策を支えに経済が力強く成長していると指摘。金融政策運営について「完全に回復するまで経済を強力に支援し続ける」と表明した。
足元で目標の2%を大きく上回っているインフレについては「一時的」との認識を改めて示した。経済再開に伴って需要が急増するなか、製造から貿易にいたるサプライチェーンで幅広く物流の停滞や在庫の不足が生じているとし、米西海岸の港で積み荷を降ろせない船が待機している状況などを分析した。こうした供給制約はいずれ解消に向かい、中期的な物価上昇率は目標である平均2%の水準に落ち着いていくとの見通しを改めて説明した。ただ「供給制約が解消される時期は不透明だ」とも付け加えた。
労働市場については「緩みが残っている」として、回復がいまだ不十分だと訴えた。感染リスクの敬遠や早期退職に加え、家で子どもの面倒をみるために仕事に就けないといった要因が絡み、雇用水準が危機前を大きく下回っていると解説した。労働参加率の回復はなお鈍く、人種などによる雇用格差も残っている。
同じ気温に達した昨年8月16日と同様に、1913年7月のデスバレー、31年7月のチュニジア中部ケビリでの記録に次ぐ暑さとなる見込み。
預金準備率の引き下げは2020年5月以来で、1年2カ月ぶり。卸売物価指数の伸びが高止まりしており、中小零細企業はコスト高に苦しんでいる。準備率の引き下げで銀行に中小零細向けの貸し出しを増やすよう促す。人民銀行によると、計1兆元(約17兆円)の長期資金が市場に放出される。
人民銀行は「これまでの金融政策の方向性に変わりはない」とも強調した。新型コロナウイルス対応の金融緩和は不動産市場の高騰を招いた。緩和的なスタンスとの見方が広がれば、資産バブルを助長しかねないとの警戒感が透ける。
人民銀行は準備率の引き下げによる資金放出で、金融機関が人民銀行から受けた資金供給を返済しやすくなるとみる。7月中下旬は納税が集中する時期で金融機関も資金需給が逼迫しやすい。今回の放出分で銀行が資金のゆとりを保てれば、融資などにお金を回しやすくなるとの読みもある。
2025年までのビジネス発展計画を公表した。小売売上高を50兆元(約850兆円)に増やす目標を掲げた。今後5年間で年5%拡大することになる。特定企業への戦略物資や技術の輸出を禁止できる輸出管理法などをめぐり「調査と法施行を強化する」と指摘した。米国などとの貿易摩擦をにらみ、対抗姿勢を示した。
監査報酬額を巡る意見が監査事務所と企業の間ですれ違い、大手の監査事務所から中小に変更する例が増えている。
開発と経済的安定を促進するために融資を行うのでなく、民間投資家のリスクを低減する役割を担うことで、世界がクリーンエネルギーへと移行する上でより有益な存在になれるとの考えを示した。20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の一環としてイタリアのベネチアで開催される、気候変動に関する国際会議向けの準備原稿で明らかになった。
●市況
日経先物(大証)28530、ダウ先34759、債先152.20、米1.361、独▲0.2930、仏0.055、西0.357、伊0.763、原油74.63、ドル円110.16、墨ペソ19.87、トルコリラ8.6607、墨CDS95
※7/9 NY引け値
備忘録(7/8)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
スペインのバルセロナで1日まで開かれた世界最大のモバイル関連見本市「MWC」。例年10万人が集まる巨大イベントは2020年に新型コロナウイルス禍で中止となり、600億円もの経済効果が失われた。主催者は2年ぶりの対面開催実現のため、72時間に1回の検査を義務付けるなど感染対策に万全を期したが、人出は以前の半分以下にとどまった。
スウェーデンの通信機器大手エリクソンは「社員の安全を優先する」として参加せず、通常のイベント開催がまだ難しいことを印象づけた。
コロナ下で会議や商談はオンラインに移行した。収束後も出張需要は元に戻らない可能性がある。英銀大手HSBCホールディングス。2020年12月期の出張経費は前の期より3億ドル(約330億円)減った。最高執行責任者(COO)のジョン・ヒンショーは強調する。「新型コロナは明らかに我々全員の働き方を変えた」
7月16日~8月16日に国内線の4072便を追加で減便すると発表した。7月後半に709便を追加で減便し、8月前半には3363便を減らす。当初計画比の運航率は7月1日~31日が71%、8月1日~16日が77%とする。5月から閉鎖していた羽田空港第1ターミナルにある一部の保安検査場の運用を15日から再開する。減便計画は足元の需要動向をもとに決めており、4度目の緊急事態宣言などで今後需要が落ち込めば追加減便を行う可能性もある。
7月末までに環境に配慮した事業に資金用途を限るグリーンボンド(環境債)の発行で、200億円を調達すると発表した。ネット産業ではデータセンターの消費電力の増加が課題になり、省エネルギー型のデータセンターの建設や改修、再生可能エネルギーの調達に使う。併せて普通社債も800億円を発行する予定だ。
補助金で投資を後押しする方針で、2022年には発電量で石炭や原子力を上回って天然ガスに次ぐ第2の電源になる見通しだ。トランプ前政権でシェールガスに沸いた米国だが、再生エネ関連の投資で産業構造にも変化の兆しが出ている。
EUの競争法(独占禁止法)に違反したとして、ドイツの自動車メーカーに計8億7500万ユーロ(約1140億円)の制裁金を科すと発表した。カルテルに加わっていたのは、BMWとダイムラー、VWに加え、VW傘下のポルシェとアウディの5社。制裁金はVWがグループとして約5億ユーロ、BMWが約3億7千万ユーロ。ダイムラーはカルテルの存在を欧州委に明かしたとして、制裁金を免れた。
2020年の世界の1次エネルギー消費量は前年比4.5%減少した。落ち込むのは金融危機後の09年以来11年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の縮小で、第2次世界大戦後では最悪の減少率を記録した。
減少幅の7割強を占めたのが石油だ。日量ベースでは910万バレル(9.3%)減と過去最大のマイナスで、11年以来の低水準に沈んだ。天然ガスは2.3%、石炭は4.2%それぞれ減った。
エネルギー消費に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量は6.3%減り、戦後最大の減少。
世界の1日の新規感染者数(7日移動平均)は7日連続で前日の水準を上回った。インド型(デルタ型)の流入が確認されたのは100カ国を超え、ワクチン接種が低水準にとどまる国を中心に感染が広がっている。
国別の新規感染者数ではブラジルの5万4022人が最多で、インド、インドネシアが続いた。ワクチンの接種率はブラジルで38%、インドは21%、インドネシアは12%にとどまっており、感染者の増加は新興国でワクチン接種が進んでいない人口の多い国が目立つ。
世界での1日あたりの死者数(7日移動平均)は7800人前後で推移しており、減少傾向が続いている。ワクチンが不十分な国でも、高齢者や基礎疾患を抱えた人たちへの接種が進み、重症化するケースが減っているとみられる。
経済協力開発機構(OECD)のマティアス・コールマン事務総長は米CNBCの取材に「足元の流行は持続的な経済回復にとって下振れのリスクになる」と指摘した。
●その他産業
クレジットカードのアメリカン・エキスプレス(アメックス)株が一時、前日比3%高の174.76ドルを付け上場来高値を更新した。経済の正常化に伴う個人消費の回復への期待が高まっており、消費関連株として買われている。米モルガン・スタンレーが7日付のリポートで強い買い推奨を意味する「トップアイデア」に選んだことも後押しした。
開発者がユーザーにアプリを提供するのにグーグルプレイに頼らざるを得なくする反競争的戦術をグーグルが用いたと指摘。そうすることでグーグルはアプリ内の購入に対し、最大30%という「法外」な手数料を徴収していると訴えた。
一方、グーグルは州側がアプリ市場の定義をアンドロイド機器に限定し、グーグルが開発者や消費者の獲得でアップルと競争している事実を無視する「誤り」を犯していると反論した。
「PayPay(ペイペイ)」など大手は顧客獲得を優先した還元競争により依然として赤字だ。競争が激しくなれば収益化が遅れることになる。
英半導体メーカー、ニューポート・ウエハー・ファブが中国系のオランダ企業に買収されることが明らかになった。英国のハイテク産業の将来を脅かしかねないとの声が議会から上がり、ジョンソン英首相は直属の国家安全保障担当者による調査を約束した。
ダラー・によると、中心的な顧客の年収は4万ドル未満。節約のために新鮮な果物ではなく缶詰を選ぶこともあるほどに経済的には不安定な層だ。店舗は米小売り大手ウォルマートや伝統的なスーパーマーケットより小規模で、商品の品ぞろえは限られる。
ダラー・ゼネラルの顧客は、サービスが十分に行き渡っていない地域の住民だ。ヘルスケアは、健康と予防医療をますます重視するようになっている。ウー氏は農村医療の専門家であり、ダラー・ゼネラルの店舗を社会の周縁に置かれた人を支援する前哨基地に変える機会を手にしている。同社には、ワーキングプア向けのビジネスにありがちな「搾取」の悪評がつきまとう。低価格の店舗内薬局やクリニックを導入すれば、そうした批判が偽りであると証明することができ、客足も伸びるだろう。
●決算関連
TDKの2022年3月期の連結純利益(米国会計基準)は前期比26%増の1000億円となる見通しだ。過去最高益(1450億円)を記録した17年3月期以来5年ぶりの高い水準になる。自動車向け電子部品の販売が増え、巣ごもり需要を追い風にパソコンやタブレット端末向け電池も伸びる。一方、世界的に広がる半導体不足は懸念材料としてくすぶる。
2021年3~5月期の連結決算は、純利益が前年同期比3倍の430億円だった。国内コンビニ事業は新型コロナウイルス禍前の四半期の利益水準を回復した。消費の変化に合わせた店舗レイアウトの変更などが奏功した格好だ。
2021年3~5月期の連結決算は、最終損益が20億円の黒字(前年同期は24億円の赤字)だった。郊外のショッピングセンターを中心にカジュアル衣料が伸びた。バレエ用品「チャコット」も好調だった。加えて、不採算事業からの撤退で採算も改善した。
●マクロ・その他
中国でメディカルデータ事業を展開している零氪科技は、米国での新規株式公開(IPO)計画を停止した。米IPO延期は市場のボラティリティーが大きいことも一因で、環境が改善されれば実施に向けた再検討もあり得る。非公開情報だとして関係者の1人が匿名を条件に語った。
新規失業保険申請件数は37万3000件で、前週の改定値から2000件増加した。増加は3週ぶりだが増加幅はわずかだった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測(35万件程度)は上回った。
失業保険の総受給者数は6月20日~26日の週は333万9000人で、その前の週の改定値から14万5000人減少し、こちらもコロナ禍以降の最低水準となった。
コロナ対策で実施されている給付期間の延長などの特例措置を、フロリダ州やミシシッピ州など一部の州は打ち切り始めた。このため、6月13~19日の週は期間延長による全米の受給者数は約35万人減の490万8000人に、通常の失業保険対象外のフリーランサーなど向けのプログラムの受給者は約11万人減の582万5000人となった。
国が主導するインフラ整備計画を巡り、同国によるスリランカの「支配」が強まってきた。中国国有企業の中国港湾工程(CHEC)がスリランカで高架式の高速道を建設し、18年間は保有することになった。競争入札の過程が不透明で、親中とされるラジャパクサ政権の意向が働いた可能性もある。
景気対策の現金給付や失業保険給付金の積み増し、巣ごもりや資産価格の上昇で家計に余裕が出た消費者は、外食や旅行、自動車購入などに支出を増やし始めた。この結果、ローン需要も増え、消費者信用残高も4カ月連続で伸びている。
6月の新規賃貸契約は前年同月比3倍の9462件と、単月としては両社がデータ集計を開始した2008年以降の最高を記録した。空室率は5月の7.6%から、6.7%に下がった。
6月の空き物件が前月比38%減の1万1853戸。パンデミック前の水準に比べればなお多いが、1月以降では半分未満に減少している。
声明で、流動性の状況を考慮しながら「段階的かつ秩序正しく」売却し、市場の混乱を最小限にすることを目指すとした。
●市況
日経先物(大証)27820、ダウ先34329、債先152.33、米1.310、独▲0.3160、仏0.037、西0.345、伊0.762、原油73.42、ドル円109.88、墨ペソ19.98、トルコリラ8.6871、墨CDS94
※7/8 9時20分頃
備忘録(7/7)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
ビデオ会議システムの開発を手がける米mmhmm(ンーフー)がソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)などから1億ドル(約110億円)の資金を調達した。欧米では新型コロナウイルス感染が収束に向かうが、「Zoom」などで定着したビデオ会議市場の先行きは有望とみている投資家が多いことを裏付けた。
イニシャルガイダンスによると、10年債の米国債に対する上乗せ利回りは200ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)、30年物のグリーンボンドは260bp。公に話すことが認められていないとして匿名を条件に関係者が語った。
世界の企業別粗鋼生産量で19年ぶりに首位が交代した。2020年は中国宝武鋼鉄集団が中国企業初のトップにたった。中国勢は上位10社のうち7社を占め、その多くが国内再編を繰り返しながら膨大な内需を取り込み成長してきた。一方、1990年には4社入っていた日本企業は20年は5位の日本製鉄のみ。日本勢の劣勢がさらに鮮明になってきた。
6月の自動車生産台数は26万3955台と、前年同月比6%増となった。世界的な半導体不足の影響は続いているが、4カ月連続で前年の水準を上回った。ただ、2020年6月は新型コロナウイルスの感染が広がっており、工場稼働停止からの回復途上の時期だった。今年6月の生産台数は19年比では2割以上少ない水準にとどまっている。
●その他産業
鉛蓄電池事業を投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP、東京・港)と東京センチュリーに年内にも売却する方針を固めた。譲渡額は負債を含め約600億円。力を入れる半導体素材との相乗効果が薄い鉛蓄電池を手放し、旧日立化成の買収で悪化した財務を改善させるとともに、成長投資に軸足を移す。
新型コロナウイルスワクチンの接種ペースが足元で鈍化しており、接種を手掛ける同社の業績が悪化するとの見方から売りが広がった。
EVのエアコンに使う省エネ性能の高い冷媒を開発した。エアコンに使う電力を大幅に減らし、EVの航続距離を最大5割伸ばせるという。2025年をめどに実用化する。使用状況によりEVの消費電力の5割を占めることもある空調の技術革新は、運輸部門の温暖化ガス排出削減につながる。
●決算関連
2021年3~5月期の連結決算は、最終損益が50億円の黒字(前年同期は539億円の赤字)だった。四半期ベースでは5四半期ぶりに黒字に転換した。総合スーパー(GMS)部門で在庫や値引き率の管理を強め、利益率を改善させた。もっとも緊急事態宣言による減収の影響は一部残っている。
サムスンが7日発表した2021年4~6月期の連結営業利益は前年同期比53%増の12兆5000億ウォン(約1兆2200億円)、売上高は19%増の63兆ウォンだった。世界的な半導体不足を背景に、半導体メモリー事業が価格高騰の恩恵を受けた。家電やテレビの販売好調も収益増につながった。
有進投資証券の分析によると、半導体部門の営業利益は7兆ウォンと全体の56%を占めた。そのうちDRAMの営業利益は5兆4000億ウォンで、部門利益率は48%と1~3月期と比べて15ポイントも上昇した。
DRAMはデータの一時保存に使う半導体メモリーで、データセンター向けなどのサーバーやスマートフォン、パソコンなど幅広い用途に使われる。GAFA4社を中心とするデータセンター投資の拡大を背景に供給不足感から主要品目のDDR4型の4ギガ(ギガは10億)ビット品の価格は年初から45%高と、「異常な値上がり」(半導体商社)を見せた。
DRAM市場はサムスンと韓国SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーの3社でシェア95%を握る寡占状態。闇雲な増産を各社が控える傾向にある。
さらに半導体進化の指標だった「ムーアの法則」の限界を迎えて技術的な難易度が高まるなか、最先端DRAMは「EUV(極端紫外線)露光」と呼ぶ最新製法への移行期を迎えている。生産技術の端境期のために供給量が伸びにくく、結果的に価格が上昇しやすい構図となっている。
足元のDRAM好況は当面続くとの見方が大勢だ。ただ「スーパーサイクル」と呼ばれた17~18年水準の好況期が再来するかは意見が割れる。有進証券の李承禹(イ・スンウ)チーフアナリストは当面の需給について「データセンター事業者が先端DRAMを奪い合った3~4年前ほどの状況ではない」と分析する。
下位メーカーのマイクロンの追い上げも見逃せない。同社は回路線幅が15ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端DRAMの量産技術を高め、サムスンのシェアを奪いにかかる。業界関係者によると、東芝やSKハイニックスから日本人や韓国人技術者を多数採用している。マイクロンの3~5月期の営業利益率(非GAAPベース)は31.9%と、サムスン半導体部門と肩を並べる水準だ。
●マクロ・その他
6月末時点の外貨準備高は3兆2140億ドル(約355兆9000億円)。前月末は3兆2220億ドルだった。
債券に強気だったHSBCホールディングスのスティーブン・メージャー氏は、経済は新型コロナウイルス危機からの回復途上にあるが、「市場は利回りが既に今年のピークをつけた可能性をますます感じ取っている」「長期的に強気の見方と2021年末および22年の10年物利回り1%という予想に変わりはない」と明言した。
欧州委のドムブロフスキス副委員長は発表文で「欧州経済は力強い復活を果たしつつある」とし、「インフレ加速を注意深く監視する必要がある。域内および海外の需要が増していることが一因だ」と述べた。
欧州委は21年のインフレ率予想も1.9%と前回予測の1.7%から引き上げた。エネルギーおよび商品価格の上昇とサプライチェーンの目詰まり継続が今年の物価圧力を高めているが、22年にはインフレ率が再び低下すると見込まれる。
ただ、サプライチェーンの問題が解消せず、生産者物価の上昇を企業が消費者に転化し二次的影響が生じれば、物価上昇は現在の想定より持続する可能性があると欧州委は警告した。
重大なリスクとしては感染力の強い新型コロナ変異株を挙げ、既にポルトガルで感染者が大幅に増えていることを指摘。「ワクチン接種を完了した人を速やかに増やすことの重要性を浮き彫りにする」と論じた。「接種のペースは市民の抵抗という壁にぶつかり始めるかもしれない」と付け加えた。
域内の景気回復にはすでに「大きな不均衡」が見られ、ドイツとオランダは7-9月に新型コロナ前の生産レベルを回復すると見込まれる一方で、イタリアとスペインはそれよりまる1年遅れる見通しだという。
ブルームバーグのエコノミスト調査によると、来年のインフレ率は中国で今年を80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回る予想で、今年と来年の比較で最大の伸びが見込まれる。インドネシアが75bpで2番手だ。一方、フィリピンは来年のインフレ率が今年を120bp下回り、最も大きな伸び鈍化が予想される。
輸入商品のコスト高により中国の生産者物価指数(PPI)上昇率は5月に08年以来の高水準に達したが、CPI上昇率は比較的安定している。ただ、来年はCPI上昇率が今年の1.5%から2.3%に加速、PPI上昇率は1.9%に鈍ると見込まれている。
上昇相場の中でさえない展開となったのが、経済再開の恩恵を受けている旅行関連株だ。新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念がじわりと広がりつつある。
界で新型コロナウイルスに感染し、死亡した人の累計が400万人に迫っている。感染者数は累計1億8482万人に上った。感染力の強いインド型(デルタ株)が世界各地でなお猛威を振るい、感染の再拡大が懸念されている。
スペインで新型コロナウイルスの感染件数が約4カ月半ぶりの高い水準となっている。インド型(デルタ株)の広がりが理由とみられ、北東部カタルーニャ州では対策を再導入する。今後夏休みで人の動きがさらに活発になるため、同国政府は警戒を呼びかけている。
低金利を追い風に堅調だった米国の住宅ローンの申請件数が落ち込んでいる。米抵当銀行協会(MBA)が発表した7月2日までの週間の住宅ローン申請件数は前週比1.8%減、前年同期比で10%減だった。季節調整済みの指数は2020年1月以来、1年半ぶりの低水準となった。緩和マネーで潤う富裕層の購入で住宅は急騰しており、住宅購入の足かせとなり始めている。
インフレ目標を2%に引き上げ、必要ならオーバーシュートの余地を容認することで合意した。これまでのインフレ目標水準は「2%を下回るがそれに近い水準」とされており、今回の決定は大きな転換となる。一部の政策委員会メンバーはこの文言があいまい過ぎると感じていた。政策委メンバーは約20年ぶりのECB戦略点検を締めくくる6、7両日の特別会合で合意に達した。
米投資会社KKRが提供した商業不動産ローンは今年に入り80億ドル(約8860億円)と、これまでの年間最高額の約2倍となっている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)から経済が再開するのに伴いファイナンス需要が拡大している。
●市況
日経先物(大証)28300、ダウ先34580、債先152.28、米1.323、独▲0.2995、仏0.032、西0.332、伊0.738、原油72.22、ドル円110.61、墨ペソ19.95、トルコリラ8.6889、墨CDS94
※7/8 8時15分頃
備忘録(7/6)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
中国政府が自国企業に対する海外上場の規制強化に動いた。中国企業はニューヨーク証券取引所に新規株式公開(IPO)するケースが多く、米中対立が続くなかでも上場件数と調達額は過去最高ペースで推移する。今回の措置でマネーの流れが大きく変わりそうだ。
米調査会社ディールロジックによると、2021年に入って中国勢の米IPO件数は36件、調達額は125億ドル(約1兆4千億円)に達し、データが存在する1995年以降で過去最高ペースだ。米国株は最高値圏で推移し、投資家のリスク許容度は高い。
6月30日に上場した中国配車アプリ最大手の滴滴出行の20年12月期決算は最終赤字だったが、こうした企業でも上場しやすい環境は中国のテック企業にとって魅力的に映ったようだ。
投資家はかねて、米中による中国企業に対する規制強化を懸念してきた。中国の習近平指導部は自国のネット企業への統制を強めていたほか、米上下院は20年、米上場の中国企業の監査体制が不十分だとして、米当局による検査を拒んだ場合、3年後に米国での株式売買を禁止する法案を可決した。
今回の中国政府の規制強化方針を受け、今後は中国企業が米国など海外市場で上場することは難しくなるとみられる。既に米国に上場していた中国企業が香港取引所に上場先を変えたり、重複上場したりするケースが出ており、こうした流れは加速しそうだ。
6日の米株式市場で中国の滴滴出行(ディディ)の株価が取引開始直後に一時、前週末と比べ25%下落した。米東部時間午前9時半(日本時間午後10時半)過ぎ時点で、6月の公開価格(14ドル)を下回る11ドル80セント近辺で推移している。
中国企業の海外上場の規制を強化すると発表した。情報セキュリティー確保の規定を見直し、企業が保有するデータの越境を厳しく監視、中国の証券法を域外適用するための制度などを整備する。すでに海外上場した企業への監督も強める。
ジャガー・ランドローバーは「半導体不足の問題は現在のところ、状況が極めて変化しやすく予想が難しい」としつつ、「一定の不足状態が年末まで、さらにそれ以降も続くと見込んでいる」と説明した。メルセデス・ベンツは4-6月について、販売台数は27%増だったものの、出荷台数は半導体不足が原因で「顕著に」落ち込んだと説明。半導体不足は6月が特に深刻だったとしつつ、サプライチェーンの問題は次の2四半期も続くとの見通しを示した。
●その他産業
インドのノンバンク大手フラトン・インディア・クレジット・カンパニーを買収すると発表した。約20億ドル(約2200億円)を投じ、当局の認可を前提に、2021年内にもシンガポールの投資会社テマセクの子会社から発行済み株式の74.9%を取得する。三井住友FGは今年に入って、ベトナムやフィリピンの金融機関に相次いで出資している。インドへの進出を通じて、成長が続くアジアへの展開を加速する。
フラトン・インディアは、1994年に設立されたインドのノンバンク大手。約1万4000人の従業員を抱え、国内に650を超える支店を張り巡らせる。
強みを持つのが、中小企業や個人向けローンの分野だ。成長性の高い都市部のほか、金融サービスが行き届いていない地方の農村部にも幅広く顧客基盤を有する。貸出残高は2021年3月期に2505億ルピー(約3700億円)と同国内で10位以内に入る。
貸し出しから得られる利ざやも21年3月期時点で11.3%と、世界的な金融緩和で先進国を中心に利回りが低下する中でも高水準を維持している。インドのノンバンク市場は年2ケタ台で伸びており、今後も経済成長を背景に住宅ローンなどの拡大が期待できる。
野村は米国と欧州でキャッシュ・プライムブローカレッジのサービス提供をやめることを決定した。米欧の規制・監督当局と一部顧客には決定を既に通知しており、顧客には今後およそ半年のうちにサービスを提供する新たな事業者を見つけるよう伝えたという。
キャッシュ・プライムブローカレッジとは、ヘッジファンドが保有する株式を担保にマージンローン(証券担保融資)を提供する業務。これに対し、スワップ・プライムブローカレッジでは顧客が株式を完全には保有せず、トータルリターンスワップなどのデリバティブ(金融派生商品)を活用する。アルケゴスはトータルリターンスワップを用いて、少数の銘柄への膨大なエクスポージャーを積み上げていた。
関係者の1人によると、日本を含むアジアのプライムブローカレッジ業務に変更はない。米国と欧州では他の金融商品を通じてキャッシュ・プライムブローカレッジの一部サービス提供し、顧客との関係維持を目指す。
同省の情報システムの近代化に向けたクラウド導入プロジェクトは「JEDI」と呼ばれ、契約額は10年間で最大100億ドル(約1兆1000億円)。米国政府が技術力にお墨付きを与えることから、入札結果はクラウドサービス市場全体の競争環境にも影響を与えると見込まれていた。
アマゾンは技術面で優れた提案をしていた同社ではなく、マイクロソフトが契約を獲得したのは「トランプ米大統領からの不適切な圧力の結果だ」と主張。訴訟を扱う米連邦請求裁判所が20年にシステム構築作業の一時差し止め命令を出したことで、プロジェクトは宙に浮いていた。
国防総省は6日付の報道発表資料の中で、クラウドに対する要件の進化などを理由に、「JEDIクラウド契約がもはやニーズを満たさないと判断した」としている。新たに立ち上げる「JWCC」と呼ぶプロジェクトでは複数社と契約するマルチベンダー方式を採用し、同省の要件を満たすことができるアマゾンとマイクロソフトの両社から提案を受け付けるという。
●決算関連
2021年3~5月期の連結決算は、最終損益が88億円の黒字(前年同期は134億円の赤字)だった。最終黒字は同期間として2年ぶり。ショッピングモールの来店客数が長期休業で落ち込んだ前年同期から回復した。新型コロナウイルスの影響に伴う特別損失なども減った。
●マクロ・その他
政策金利を過去最低の0.1%に据え置くと決定した。現在実施している国債や州債の購入については、期限の9月が過ぎても11月半ばまで続ける方針を示した。購入額は週40億豪ドル(約3300億円)とし、現行の週50億豪ドルから減額する。
「50億豪ドルから40億豪ドルへの減額は、中銀が(豪経済への)支援から手を引くことを意味するわけではない」と強調した。量的緩和政策については11月の理事会で見直しを行う。
政策金利は「インフレ率が持続的に政策目標である2~3%の範囲内に収まるまでは利上げしない」と明言し、こうした条件は「24年より前に満たされることはない」との見方を示した。
中国の2021年4~6月期の国内総生産(GDP)前年同期比伸び率の予測平均値は7・7%だった。新型コロナウイルスを抑え込み、回復基調を保つと見込む。ただインド型(デルタ株)の流行や消費の弱さといった懸念材料もあり、下期は勢いが鈍るとの見方が多い。
6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比17.5%と2019年5月以来の水準を記録し、米ブルームバーグのアナリスト予想の16.8%を大きく上回った。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う規制が6月に緩和され、個人消費を押し上げたことが背景にある。トルコ中央銀行がエルドアン大統領の要求に応じて利下げに踏み切るのは難しくなっている。
中国の改革課題は棚上げ状態となっており、関税や他の貿易制限によって世界の市場や先端技術へのアクセスにも支障が生じている。さらに、コロナ対応の刺激策で債務も記録的な水準へと増加した。
習氏にとって悪夢のシナリオは、約30年前のバブル崩壊前まで米国に対する潜在的な挑戦者ともてはやされていた日本と同じ軌道を中国がたどることだ。中国の場合、改革の失敗と国際的な孤立、債務急増に伴う金融危機が組み合わされば米国を抜く前に停滞を余儀なくされる可能性がある。
また、中国が発表する公式の国内総生産(GDP)が実際に水増しされていれば、米経済との差は見た目以上に大きく、隔たりを埋めるペースもより緩やかとなりそうだ。
長期的に経済成長率を決定付ける要因は3つある。労働力の規模と工場から輸送インフラ、通信ネットワークに至る資本ストック、そして生産性だ。いずれに関しても中国にとって先行きは不透明だ。
労働力から見てみる。労働者が増えれば成長率も高まり、労働者が減れば成長力も落ちるという明快な図式だ。中国はここから課題に見舞われる。一人っ子政策の余波で出生率は低水準にとどまっており、中国の生産年齢人口はすでに頭打ちだ。出生率が今後も低いままなら、向こう30年で2億6000万人余り、率にして28%の減少が見込まれている。
資本投入量の見通しはそれほど悪くなく、鉄道や工場用ロボット、第5世代移動通信(5G)設備などの数が減少するとは見込まれていないが、投資の目覚ましい伸びが何年も続いた後、肝心のリターンが小さくなっている兆しも多い。過剰生産能力や入居者不在の建物が集まるゴーストタウン、過疎の農地にまでくねるように建設された6車線もある幹線道路などはいずれもこうした問題を浮き彫りにしている。
将来の中国経済の成長の鍵を握るのは生産性だ。大半の欧米エコノミストの見方では、生産性向上には中国特有の戸籍制度の廃止や国有企業と民間の公平な競争条件の整備、国内経済や金融システムへの外国からの参加を阻む障壁の削減などの措置が必要になる。
13年の状況や世界各地の新興市場の現状と比較すると、アジアでは外貨準備がより潤沢であるほか、インフレは比較的穏やか、貿易も好調、現地通貨建て債券市場の厚みは増し、中央銀行はこれらを頼りにできる。
トロント・ドミニオン銀行のアジア・欧州担当チーフストラテジスト、ミタル・コテチャ氏(シンガポール在勤)は「ファンダメンタルズが改善したため、アジア新興国・地域の中央銀行は比較的緩和的な姿勢でいられる」と指摘。 「一部の例外はあるものの、地域全体でインフレは引き続き比較的抑制されているほか、対外収支も強化されている」と述べた。アジアは引き続き、魅力的な投資先だとしている。
ISM非製造業総合景況指数は60.1とブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は63.5および前月の64(過去最高)を下回る、
全体の活動拡大ペースは前月から鈍化したが、外食や宿泊、旅行といったサービスへの需要が依然底堅いことは示された。受注残の指数は1997年の統計開始後の最高水準だった。雇用の指数は49.3(前月55.3)と活動縮小に転じ、年初来最低となった。先週発表されたISM製造業総合景況指数も雇用活動縮小を示唆していた。
ドイツの景気回復に対する機関投資家の信頼感は7月に後退した。製造業を圧迫するサプライチェーン問題に加えて、新型コロナウイルス変異株の感染拡大がサービス業の回復を脅かしていることが背景にある。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)の6日発表によれば、今後6カ月間の景気見通しを示す期待指数は63.3と、前月の79.8から低下し、1月以来の低い水準となった。ブルームバーグが調査した全てのエコノミスト予想を下回った。一方、現状指数は2年ぶりにプラス圏に復帰した。ZEWの調査に対して、現況を良好だと受け止めている回答が悪いとの回答よりも多かったことを示している。
ドイツ連邦統計局がこの日発表した5月の製造業受注指数は前月比3.7%低下した。市場予想では上昇が見込まれていた。自動車の輸出受注が低迷した。
2021年上期に全米の家賃(中央値)は9.2%上昇した。コロナ禍で下げた反動で上昇した側面もあるが、現在の家賃はコロナ禍前の傾向が続いたと想定した際の水準より高くなっていると同社は指摘する。
家賃の上昇傾向はなお継続している。この時期は賃貸契約の更新が1年で最も多い時期であり、今後多くの借り手が毎月の負担増に縛られることになる。ニューヨーク連銀とファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の調査によると、借り手は今後1年間でさらに7-10%の家賃上昇を見込んでいるという。
木材や中古車など経済再開に伴う価格上昇の多くとは違い、家賃はいったん上がると元に戻すのが難しい種類の価格上昇だ。つまり家賃の持続的上昇は、現在の物価上昇は一時的なものだと判断している米金融当局と多くの投資家にとって、より大きな課題となり得る。
●市況
日経先物(大証)28340、ダウ先34405、債先152.17、米1.352、独▲0.2665、仏0.062、西0.341、伊0.751、原油73.67、ドル円110.64、墨ペソ20.02、トルコリラ8.6854、墨CDS92
※7/7 8時5分頃
備忘録(7/5)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
SBGは傘下のファンドを通じ、滴滴出行(ディディ)やトラック配車アプリを運営する満幇集団をはじめ成長期待が高い中国ネット企業に投資しており、今後は中国企業以外の投資を増やすなど戦略の見直しを迫られる可能性がある。
ソフトバンクグループ(SBG)傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループなどによる買収を受け入れることで合意したと発表した英スーパー4位のモリソンズについて、米投資ファンド大手のアポロ・グローバル・マネジメントが買収することを検討していると明らかにした。ロンドン証券取引所に同日提出した資料によると、検討は初期段階で、モリソンズの取締役会にも申し入れていないという。
英地元紙によると、アポロは20年に英スーパー3位のアズダ買収に名乗りを上げたが、英国でガソリンスタンドなどを展開するEGグループなどの企業連合に破れていた。
独ダイムラー・トラックやボルボ(スウェーデン)など欧州トラック大手3社は5日、共同で大型トラック・バス向けの充電ネットワークを整備すると発表した。2022~26年に合計5億ユーロ(約650億円)を投資し、欧州に少なくとも1700基の商用車向け高速充電器を設置する。乗用車に比べて遅れている大型商用車のEV普及を促す狙いだ。
この3社は欧州の大型トラック市場のシェアの大半を占めている。ほかの商用車大手にも参加を呼びかける。
欧州自動車工業会(ACEA)によると、19年の欧州のトラックに占めるEV比率はわずか0.04%。21年5月時点でトラック用の充電設備は10基以下しかない。ACEAは25年までに最大1万5千基、30年までに最大5万基の高性能充電設備が必要としている。
「Yahoo!(ヤフー)」ブランドをライセンス手数料なしで国内で永久に利用する契約を投資ファンドの米アポロ・グローバル・マネジメントと結んだと発表した。ヤフーは対価として1785億円をアポロに支払う。手数料負担がなくなり、中長期的な企業価値向上につながるという。
「ヤフー」ブランドは、米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズが2017年に米ヤフーを買収して取得し、ベライゾン傘下のネットメディア事業「ベライゾン・メディア」が管理していた。ベライゾンはネットメディア事業をアポロに50億ドル(約5450億円)で売却することを5月に発表。日本国内でのライセンス利用を定めた従来契約が終了する。これに伴い、ヤフーはアポロと新たにライセンス利用の契約を結んだかたちだ。
滴滴グローバル以外の米上場2社にも調査の範囲を広げた。トラック配車の満幇集団と人材採用の看准が手掛けるオンラインプラットフォームが対象となる。
滴滴と満幇にはソフトバンクグループが出資している。
新型コロナウイルスの感染を防ぐ米ファイザー・独ビオンテック製ワクチンの有効性がイスラエルで大幅に低下したことが明らかになった。変異株「デルタ」の感染拡大と制限措置の緩和を背景に感染者数が増加。ただし、重症化や入院を防ぐ効果の低下は、はるかに小幅だった。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による制限が緩和された後も政策当局者は国外出張の代わりにバーチャル会合の活用を奨励される可能性があると指摘した。
●その他産業
世界最大のモバイル関連見本市「MWC」では、携帯電話の通信インフラをクラウド化する動きが注目を集めた。携帯事業の参入障壁となってきた巨額の設備投資負担を軽減し業界に地殻変動をもたらそうとするのが、米新興のテルコDRだ。
小売りなどの非金融事業者が自らのサービスに金融機能を盛り込む「組み込み型金融(エンベデッドファイナンス)」が世界で広がり始めた。事業者は新たな収益源や顧客の詳細なデータ収集につなげ、サービス利用者は1つのアプリやサイト内で決済や融資などをワンストップで利用できる利点がある。新たな金融の形として注目され、既存の金融機関も対応を迫られている。
●決算関連
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」生産を請け負う台湾の鴻海精密工業(フォックスコン)が5日発表した4ー6月(第2四半期)の売上高は1兆3600億台湾ドル(約5兆4000億円)と、市場予想(1兆3400億台湾ドル)を上回った。前年同期比で20%増加した。
●マクロ・その他
ワクチン接種が進む米欧では、長く続いた行動制限への反動からバカンス需要が沸き上がる。国土が広大な米国では州を越えた長距離の旅行に出る人が急増し、国内線の需要はコロナ禍前の8割程度まで回復した。
北西部の3州にまたがるイエローストン国立公園の責任者、キャメロン・ショリーは「今年は入園者数が過去最多だった16年の425万人を超え、500万人に到達する可能性が高い」と語る。
カリブ海に面し、米国の若者に人気のメキシコ、カンクンもホテルの稼働率が6割を超えた。
経済の観光依存度が高い国々は観光産業に優先的にワクチンを配分し受け入れ再開を急ぐ。欧州連合(EU)加盟国で先陣を切って外国人の受け入れを再開したギリシャは、当初バカンス客が訪れる離島の住民に限り年齢を問わずに接種した。
非日常の体験を渇望し、飛行機に飛び乗る人々。待ったをかけるのは、感染力が高いインド型(デルタ株)変異ウイルスへの懸念だ。香港政府は7月1日から、感染拡大を理由に英国からの旅客便受け入れを停止した。
カンクンを抱えるメキシコ南東部キンタナロー州でも、感染者が増え始めた。メキシコで1回でもワクチンを接種したのは人口の25%と米国の半分以下の水準にとどまる。国境を越えた人流の増加が感染拡大につながった可能性がある。
コロナ禍収束が見えたかと思ったさなかの怪しい雲行き。前のめりで動き出した人々を再び巣ごもり生活に戻すことは容易ではない。感染再流行を防ぐにはどの程度の制限が必要なのか、どの程度ならば人々が受け入れられるのか、各国で模索が続く。
欧州では昨夏、バカンスのため域内の往来規制を緩めた後、秋から冬にかけて「第2波」を招いた。この失敗を教訓として生かせるのか。
米国の木材価格は例年の4倍強に跳ね上がった5月の高値から見ると半分ほどに下落した。主因は資材や労働力の不足で住宅着工が遅れ、木材の調達が手控えられるようになったからだ。新規の住宅供給が伸び悩んで需要は既存の物件に集中し、住宅価格は上昇を続ける。
港湾や内陸輸送の処理能力は増強どころか、コロナ前の状態に戻っていない。そこへ北米向けに家具や家電製品などの輸送量が急増。日本海事センターのまとめで、直近5月のアジア発・北米向けの輸送量はコロナ前の19年5月を2割強も上回る。コンテナ運賃の高騰は当然と言える。
半導体の供給不足は、今なお自動車生産の足かせだ。同じような調達の制約は今後、電気自動車(EV)のサプライチェーンでも起きうる。米ゼネラル・モーターズ(GM)などはEV用電池工場の建設を急ぐ。ただ、電池の製造には電極材などの材料が必要になり、材料の製造にはニッケルなどの金属資源が不可欠になる。
電極材原料を手掛ける住友金属鉱山の阿部功・電池材料事業本部長によると、川下の電池セル工場が1年半ほどで完成するのに対し、電池材料の工場を新たに稼働させるには3年近くかかる。ニッケルを確保するために調査、鉱山開発して生産を始めるのは10年単位の時間が必要だ。
脱炭素に向けた道のりでも、供給制約のリスクを視野に入れておかないと思わぬショックに遭遇することになる。
新型コロナウイルス禍による「需要不足」が改善に向かっている。日銀が5日発表した経済全体の需要と潜在的な供給力の差を示す1~3月の需給ギャップはマイナス1.37%だった。ワクチン接種が進み経済再開で先行する米国は4~6月に需要超過となったとみられ、日本も年内にもプラスになるとの見方がある。家計や企業の過剰貯蓄が消費や投資にどれだけ回るかが焦点だ。
英国が、新型コロナウイルスの存在を前提とした新しい生活様式を模索する方針を明らかにした。感染者は増えているものの、ワクチン接種が順調に進んだことで死者や重症者の数が抑えられているためだ。接種が進むシンガポール政府もコロナとの共生を視野に入れようとしている。インドネシアなどは感染拡大で医療体制が逼迫しており、接種率で明暗が分かれる形となっている。
米企業の自社株買いは2020年に新型コロナウイルス禍で落ち込んだ後に増加に転じ、今年1-3月(第1四半期)に急増した。自社株買いは株価押し上げの直接的方法であるだけに株式相場には朗報で、企業はコロナ禍からの景気回復で手元資金が潤沢にある。
インフレ期待を微調整しようとする金融当局の試みは、物価圧力の受け止め方が消費者層によって異なるため難しくなっている。「高インフレを経験した人は、そうでない人に比べて系統的に高いインフレ期待を持ち、インフレに対する嫌悪感が強い」。オリビエ・コイビオン氏やユーリー・ゴロドニチェンコ氏ら経済学者は2018年の論文でこう指摘した。
こうした傾向はニューヨーク連銀による最新の調査でも明らかだ。1970年代のインフレを経験した60歳以上の消費者は、低く安定した物価しか知らない40歳未満に比べ、著しく高いインフレ期待を持っていた。また、食料品の買い物をすることが比較的多い女性も、男性よりインフレ期待が高い傾向にあるという。
カリフォルニア大学バークレー校の教授であるゴロドニチェンコ氏はインタビューで、「米国の一般的な家庭では、インフレ期待はガソリンや食料品の価格と極めて密接に結び付くことになる。金融当局が何をしているかには注意を払っていない」と述べた。
消費者のインフレ期待は、米金融当局が金融危機と闘っていた2008年にも原油価格の上昇を受けて急上昇した。その後、原油相場が急落したのに伴い落ち着いた。
ただ、目先はパンデミック後の景気回復で原油相場が再び急落することは考えにくいため、インフレ期待の上昇が「より長引く」可能性があると、ドイツ銀行の米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼティ氏は指摘している。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、オプションが示す10年物金利スワップの変動率は過去9年中8年で8月に上昇している。また、8月に上昇した年のうち6年は7月に低下していた。
歴史が指針になるとすれば、トレーダーが休暇を取るために活動が落ち込むことの多い7月の後の8月には、その留守を狙ったような特大の動きがある可能性が高い。金利スワップのボラティリティーは先週5月以来の大幅低下となり、現在は2月以来の低水準となっている。
ナットウエスト・マーケッツの欧州金利戦略責任者、ガイルズ・ゲール氏は「多くの投資家が静かな夏を望んでいる。ボラティリティーが例年低く、イベントも少ない7月はそうなるかもしれないが、リスクイベント目白押しの9月に向けて市場が身構える8月は忙しい月になりそうだ」と話した。
マスク着用は全ての環境で自発的なものとなり、政府は在宅勤務を指示せず、法的要求から個人的責任への決定的な転換となる。また、ナイトクラブを含めて全ての事業者の営業再開が認められる。入店前の検査やワクチン接種の証明書を求められることもない。最終決定は12日に確認される必要がある。
数日間の緊迫した協議を経てもサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の厳しい対立は解消できなかったと、複数の代表が非公開の情報だとして匿名で語った。バルキンドOPEC事務局長の発表文によると、OPECプラスは次回会合の日程でも合意できなかった。
OPECプラスの8月の生産水準は今後合意がまとまらない限り現行水準で据え置きとなり、新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた需要が急速に回復する中でも世界市場に供給は増えないことになる。
ただ状況は流動的で、協議はいつ再開されてもおかしくない。原油相場は今年に入って約50%上昇し1バレル=80ドルに近づいており、インフレ進行を懸念する原油消費国のOPECプラスへの圧力は強まる可能性がある。
●市況
日経先物(大証)28620、ダウ先34730、債先152.06、米1.431、独▲0.2115、仏0.121、西0.397、伊0.806、原油76.28、ドル円110.94、墨ペソ19.84、トルコリラ8.6654、墨CDS92
※7/6 8時20分頃
備忘録(7/2−4)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
山陽新幹線の乗客は平年比で5月は22%、6月初めから半ばまでが26%だった。緊急事態宣言が解除された6月21日以降は40%程度の水準まで戻ったが、足元では新規感染者が増える兆しもある。
英スーパー4位のモリソンズは3日、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループなどによる買収を受け入れることで合意したと発表した。買収額は63億ポンド(約9600億円)。全て現金で、2021年中に買収を完了させる。モリソンズは米投資ファンドのクレイトン・ダビリアー&ライスから約55億ポンドの買収提案を受けていたが、価格が低すぎるとして6月に拒否していた。
モリソンズは英全土で約500店舗を持つ。オンライン販売にも力を入れているが、ネット通販専業やドイツの格安チェーンの台頭で競争は激しくなっている。21年1月期通期の売上高は176億ポンドで、ここ数年は大きく増減していない。2日時点の時価総額は58億ポンドだった。
調査会社のマークラインズによると21年4~5月の中国販売は前年同期比4倍の約5万9000台となり、同じ期間に3倍の約4万5000台だった米国販売を上回った。19年末に上海市で現地生産を始めてから2年足らずで、同社にとって中国が最大の市場になった。
好調な販売の一方で、中国では品質問題の対応をめぐってテスラへの批判が高まっている。4月に開かれた上海国際自動車ショーでは衝突事故を起こしたというテスラ車の女性オーナーが同社ブースの展示車の屋根に乗り、ブレーキ品質に問題があると抗議。中国国営メディアなどが大きく報じる事態になった。
中国の国家市場監督管理総局なども異常加速などの問題が報告されているとしてテスラに対策を求めており、テスラは6月下旬に自動運転システムに不具合があるとの理由で中国で19年以降に販売した約28万6000台を「リコール」すると届け出た。無線通信によるソフトウエアの更新で対応可能としているものの、同期間の中国販売台数の9割超に相当する規模だ。
中国では安全保障上の対立が現地に進出する外資系企業のダメージを招くケースが多い。17年には在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)をめぐって対韓感情が悪化し、それまで中国市場でシェア3位前後だった韓国・現代自動車は不買運動に直面して長期的なシェア後退を余儀なくされた。
デジタル決済・送金サービスアプリを運営する英「レボリュート」の資金調達ラウンドへの参加を協議しており、同社の企業価値は300億ドル(約3兆3400億円)余りと評価される可能性がある。英スカイニューズが伝えた。
●その他産業
中国配車アプリ最大手、滴滴出行(ディディ)のアプリで個人情報の収集と利用に関する法律や規則の重大な違反を確認したと発表した。スマートフォンのアプリのダウンロードの停止を命じた。中国のネット統制強化によって、滴滴の今後の事業に悪影響が出るのは必至となった。
各社が一斉に引き下げてから約3カ月が経過し、緒戦はNTTドコモが先行した。楽天モバイルなどが猛追するが、料金引き下げのいたちごっこは収益の低下も招く。高速通信規格「5G」が本格的な普及段階に入る前に、コンテンツや法人の開拓など「非通信」分野の特色を打ち出す。
高速通信規格「5G」の基地局に使う通信用半導体を米国で量産する。世界シェア7割を持つ製品の生産を日米2極に分散させたうえで、供給能力をほぼ倍増させる。災害などで世界的な半導体不足が続くなか、サプライチェーン(供給網)が途絶えるリスクに備える動きが広がる。
インターネット接続機器などに使う半導体の独占的な供給契約をめぐり、米半導体大手のブロードコムと和解したと発表した。同社に対して独占契約を交わすことや、競合企業から製品を購入した顧客企業に報復することを禁じた。
ブロードコムはブロードバンド接続機器や有料放送の受信機器(セットトップボックス)に使う3種類の半導体で独占状態だった。対象となる半導体の取引で機器製造を担当する企業などと長期契約を交わし、競合企業の参入を妨げてきたという。問題となっている行為を禁じることなどで同社と合意した。
事業規模が大きく米アップルなどを取引先として抱えるスマートフォン向け半導体事業が調査対象になっているとの観測もあったが、ブロードコムは「当社のほかの事業に対する調査も終了し、(是正)措置は取られなかった」と説明している。
●決算関連
●マクロ・その他
中国の社債の債務不履行(デフォルト)が増加の一途をたどっている。2021年1~6月のデフォルト額は約2兆円と上期として過去最高を記録した。海外投資家も警戒感を強め、外貨建ての低格付け債の流通利回りは平均で10%に乗せた。習近平(シー・ジンピン)指導部は過剰債務の圧縮を優先するが、企業の資金調達への悪影響が広がれば景気の重荷になりかねない。
2020年度の運用実績を発表した。37兆7986億円の黒字で、黒字幅は最大だった。年度の運用成績が黒字になるのは2年ぶり。新型コロナウイルスを受けた主要国の経済対策で大規模な財政支出や金融緩和が続き国内外の株価が大幅に上昇した。収益率も25.15%で過去最高だった。
基本となる資産構成割合(ポートフォリオ)は、国内と外国の株式、債券それぞれ25%を目安にしている。宮園理事長はこれについて「いまのところ変える状況にはない」と明言した。
市場の関心が高まる中国債券への投資については「(年金の)被保険者の利益の観点から適切な解を求めていきたい」と述べるにとどめた。利回りに限らず、外国人投資家への制約などの観点も踏まえて判断する考えを示した。
5月の製造業新規受注額(季節調整済み)は4955億ドル(約55兆1500億円)で、前月比1.7%増加した。2カ月ぶりの増加となった。ダウ・ジョーンズまとめの市場予測と一致した。
ドラギ前ECB総裁がイタリア首相に就任して以降、安定の続いてきた同国で政局不安の芽が出始めた。市場が注目するイタリアとドイツの国債利回り差は1%ちょうど近辺となお低下基調にある。欧州債務危機前の水準に並ぶほどだが、政治リスクが思わぬ波乱要因になりかねない。反動には注意が必要だ。
1日時点の新規感染者数は約2万8千人と1月下旬以来の多さとなった。だが死者や重症者がそれほど増えていないこともあり、英政府は19日にロックダウン(都市封鎖)を解除する予定だ。「ウイルスとの共生を目指す」との立場に傾いている。
中国国債の資産への組み入れについて「一つの選択肢としてあり得る」と話した。ただ、外国人投資家に対する市場の制約に懸念も表明。「非常に慎重に考えざるを得ない」とした上で、「長期的にみて適切な解を求めていきたい」と話した。
投資適格の格付けを回復しそうなジャンク級(投機的格付け)企業、いわゆる「ライジングスター」に投資するこの取引は、欧州の景気回復が勢いを増し始める中でかつてないほど妙味がある。
PIMCOによれば、ジャンク級を上回る格付けになるのにかかる平均3年の間に最大200ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)のアウトパフォームが見込める。
JPモルガンのストラテジストらは「ワクチン接種が世界に広がり経済成長が加速するとみられる。年後半入りに伴い格上げサイクルとライジングスターがますます焦点になると考えている」とし、こうしたライジングスターが2021年通年では過去最大の300億ユーロに達し、ダブルB級格付けの債券の約1割に上ると予想している。
●市況
日経先物(大証)28750、ダウ先34645、債先152.06、米1.431、独▲0.2405、仏0.089、西0.367、伊0.770、原油75.04、ドル円111.06、墨ペソ19.77、トルコリラ8.6892、墨CDS93
※7/2 NY引け値
備忘録(7/1)
●雑感
●SBG、鉄鋼、輸送&自動車関連、ヘルスケア、ESG
世界の株式市場で新型コロナウイルスのインド型(デルタ株)への警戒感がじわりと広がっている。従来型に比べて感染力が強く、経済再開に水を差すとの懸念が高まる。ワクチン普及による経済正常化の恩恵が大きかった空運・陸運株の重荷となっている。
外貨建ての普通社債で約8100億円を調達すると発表した。同社の外債発行額として過去最大規模となる。調達した資金は短期借入金の返済のほか、傘下の「ビジョン・ファンド」を通じた投資活動にも充てる。
今回はドル建て、ユーロ建てで、それぞれ4本ずつ発行する。利率はドルの5年債が年4.0%、ユーロの5.5年債が年2.875%。米国を除く欧州・アジアなどの海外市場で機関投資家向けに募集する。
中南米を中心にデジタル資産のプラットフォームを展開するブラジルのメルカド・ビットコインに2億ドル(約220億円)を投資した。
ドル建てとユーロ建て合わせて8本の社債の発行条件を6月30日に決めたと発表した。円換算した発行総額は約8160億円で、投資家の需要は約1兆7800億円に達した。
ソフトバンクG広報室は条件決定に先駆け、発行にはグローバルに事業投資を展開する中で多様な資金調達基盤を維持し、クレジット投資家層のさらなる拡大を図る考えがあると説明していた。調達した資金は債務返済や、手元流動性の維持を含む一般事業資金に充てる。
ソフトバンクグループは中国の配車サービス、滴滴出行に合計120億ドル(約1兆3300億円)前後を投資してきた。テクノロジー情報サイド、ジ・インフォメーションが事情に詳しい関係者の話を匿名で伝えた。
滴滴の6月30日の終値14.14ドルを基にすると、ソフトバンクGの持ち分は137億ドル相当となり、14%の値上がりを示唆している。
日本の自動車大手6社が1日発表した4~6月の米国新車販売台数は計176万台と前年同期から64%増加した。年初以降の半導体不足の影響が緩和し、四半期の台数ベースで4年ぶりの高水準となった。
メーカー別ではトヨタが73%増の68万8813台となり、米ゼネラル・モーターズ(GM)をわずかに上回った。米フォード・モーターはまだ販売台数を公表していないが、トヨタが首位に立ったもようだ。米メディアによると、GMが四半期ベースで米販売首位を明け渡すのは1998年に米フォード・モーターに抜かれて以来という。GMは半導体不足による北米工場の休止が5月まで続いたことが響いた。
北米では2月以降に半導体不足による完成車工場の休止が相次いだが、5月ごろから調達状況が改善し、現在は多くのメーカーが操業時間の短縮など小まめな生産調整でしのげている。3月に発生したルネサスエレクトロニクスの工場火災の影響が北米に波及する懸念も指摘されたが、「代替調達などで生産への影響を抑えられている」(米国ホンダ)という。
ただ、長引く生産調整で販売店の在庫は品薄感が強まっている。在庫不足で納車に数カ月かかる場合もあり、「(色やグレードが)近いモデルや中古車を勧めるケースが増えた」(ニューヨークの日産の販売店)
●その他産業
高速通信規格「5G」向けに開発した、異なるメーカーの通信設備を組み合わせる「オープンRAN」の技術が評価された。
楽天モバイルは、ソフトウエアを導入して通信設備のコストを下げる「完全仮想化」に加え、オープンRANの技術開発にも力を入れている。この技術を使えば、特定のメーカーの設備に依存しないため、設備の調達先を多様化してコスト削減などにつなげられる。
2026年2月期までに海外のセブンイレブンの店舗数を21年2月期比で3割増の6万5000店に増やす方針を発表した。総投資額は1兆円を超える。2兆円超を投じた米コンビニ大手の買収で、成長の柱に据える米コンビニ事業の営業キャッシュフローがグループ全体に占める割合は5割に高まる見通し。国内の出店目標は示しておらず、海外シフトが鮮明になった。
成長の柱は海外のコンビニ事業だ。ガソリンスタンド併設型コンビニ「スピードウェイ」を買収した
北米では現在の約1万3000店から1万5000店に増える見通し。日米以外の地域では21年2月期比3割増の5万店に増やす。現在は16カ国・地域で展開するが、未出店地域では現地合弁やM&A(合併・買収)も駆使して出店を加速する。
会合では反トラスト法違反で提訴する条件を厳しく定めた2015年の声明を取り下げた。小売価格など消費者利益で判断する従来の手法にとらわれずに取り組む構えだ。カーン氏ら3人の民主党委員が賛成し、2人の共和党委員が反対した。
召喚状を出すなど強制力を伴う措置を迅速にとれるよう規則を見直した。調査の優先対象として、IT企業や医療、労働者や中小企業に悪影響を与えているケースなどを挙げた。
FTCは規則変更を踏まえて、巨大IT企業への調査・提訴を拡大するとみられる。フェイスブックに対する訴状は6月28日、裁判所に30日以内に再提出するよう指示された。米アマゾン・ドット・コムはカーン氏が同社の調査にかかわらないよう要請した。
衣料品ビジネスをめぐっては、新型コロナウイルスの拡大が販売に打撃となったほか、「ZARA(ザラ)」を展開するスペインのインディテックスやネット通販主体の新興勢との競争が激しくなっている。ギャップはオンラインへの移行を核に経営戦略を見直し生き残りを図る。
●決算関連
2022年3月期の連結純利益が前期比2.5倍の3500億円になる見通しだと発表した。従来予想を2100億円上回り、2期連続の最高益となる。コンテナ船の運賃や荷動きが想定以上に堅調で、出資するコンテナ船事業会社の持ち分法投資損益が改善する。共同出資する商船三井と川崎汽船を含めて3社そろって最高益を更新する見込み。
●マクロ・その他
UAEと他のメンバーの対立で最終的に減産が全く緩和されない可能性が出てきた。合意が成立しなければ、生産枠を2022年4月まで維持するという既存の条件に戻ることになる。そうなれば、原油市場の逼迫(ひっぱく)がさらに進み、急激な物価上昇が起きる恐れがある。
米金融当局が2022年終盤または23年序盤に利上げを開始する必要があるとの見解を示した。
個人消費支出(PCE)総合価格指数は5月に前年同月比3.9%上昇と、08年以来最大の伸びを示した。IMFは同指数が4.3%をピークに22年末までに2.5%前後に低下するとして、上昇は一時的だとみているが、それでも期間平均で2%とする米金融当局の目標より高い水準だ。
バイデン大統領の提案による政府拠出の拡大で、22-24年の国内総生産(GDP)は累積価値で約5.25%押し上げられるとの見通しも示した。
今年の米経済成長率の予測を7%に引き上げた。1984年以来の高い伸びとなる。4月時点では6.4%を見込んでいた。
2021年3月(41億5732万ドル)を上回り、過去最高となった。米国で働くメキシコ人から、新型コロナウイルス禍で苦境の親族向けに送金が堅調だ。
コロナ下でも堅調だったのは、オフィス街や駅前一等地だ。上昇率が大きかった地点は仙台・青葉通りの3.8%を筆頭に、千葉・駅前大通り(3.5%)、宇都宮・東口駅前ロータリー(3.4%)などが続いた。
都市未来総合研究所の平山重雄氏は「住宅地やオフィス街はコロナの影響を受けにくく、観光地などに比べて地価も安定している」と分析する。
不動産投資市場からは違った側面も見える。不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)によると、20年の海外投資家による国内不動産への直接投資額は1兆5547億円で19年比で6割近く増えた。21年の東京都の路線価は前年の5%上昇から1.1%下落に転じたが、世界的な緩和マネーが都心の地価を下支えする構図もある。
国内の大手企業が業績悪化で保有不動産を売却する動きが相次ぐなかで買い手となっているのも海外勢だ。近鉄グループホールディングスは3月、大阪や京都などにある8つのホテルを米大手投資ファンドのブラックストーン・グループに売却すると発表。世界的な低金利下で、少しでも高い利回りを狙う海外投資家が触手を伸ばしている。
新型コロナウイルスの発生から1年半で明らかになったのは、確実と思われていたことが現実の出来事により次々と覆されてしまうことだ。
週間の新規失業保険申請件数は36万4000件で、前週の改定値から5万1000件減少した。2週連続の減少で、新型コロナウイルス禍が始まって以降、最も少ない水準になった。
失業保険の総受給者数は6月13~19日の週は346万9000人で、その前の週の改定値から5万6000人増えた。経済再開で人手不足が問題となっていることから、一部の州は、就職を促そうとコロナ対策で実施していた給付期間の延長や給付金上乗せを打ち切り始めている。このため、今後受給者数は減ると予測されている。
資本金を減らす「減資」に踏み切る上場企業が相次いでいる。2021年は6月末までの半年で開示件数が90社超に達した。直近ピークだった20年の年間実績を上回り、リーマン・ショックのあった08年以降で最多となる。税制上の「中小企業」になることで税負担を抑えられる。新型コロナウイルスで経営に打撃を受けたサービスや小売企業の実施が多い。
世界の社債投資家が、低格付け債(ハイイールド債)から投資適格債に格上げされる「ライジングスター(希望の星)債」の発掘に力を注いでいる。ワクチンが普及する欧米などで新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかり、格上げの期待が高まっているためだ。低格付け債の利回りを一段と押し下げる可能性がある。
大手百貨店5社が1日発表した6月の売上高(既存店ベース、速報値)は4社が前年同月を上回った。営業制限が緩和され多くの売り場が再開したことに加え、宝飾品や時計など高級品が堅調だった。一方で、コロナ前の2019年と比較すると、1~3割減だった。
自動車販売の業界団体が1日発表した1~6月の新車販売台数(軽自動車含む)は前年同期比11.6%増の246万4586台だった。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で販売が低迷した20年を上回るが、生産調整による納期遅れなどが響き、コロナ前の19年を1割下回った。シェア争いでは減産幅の大きいホンダが4位に転落した。
半導体部品の供給不足により、各自動車メーカーは需要に応じた生産ができていない。トヨタモビリティ東京によると、6月にトヨタ自動車が東北の工場の一部を停止した影響で、人気の小型車「ヤリス」などで納期が延びている。スズキの北関東の販売店は「『スイフトスポーツ』など一部車種で納車までの期間が2カ月延びている」という。
ホンダが4月に発売した新型「ヴェゼル」は受注が好調なものの、仕様によっては納期が1年先で「購入を諦める客もいる」(都内の販売店)。日産自動車は新型の電気自動車(EV)「アリア」の発売が半導体不足などで半年遅れ、21年冬以降となった。
大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はプラス14と、3月の前回調査から9ポイント改善した。改善は4期連続で、2018年12月調査(プラス19)以来の高水準。市場予想はプラス16だった。
16業種のうち、化学や非鉄金属、はん用機械、電気機械など14業種で改善。一方、世界的な半導体不足の影響が出た自動車は、前回から7ポイント悪化のプラス3だった。
大企業・製造業の先行きはプラス13と1ポイントの悪化が見込まれている。日銀によると、木材・木製品、化学、食料品などで原材料価格の高騰による企業収益への影響を懸念する声が出ている。
大企業・非製造業はプラス1と前回から2ポイント改善し、5期ぶりにプラス圏に転じた。娯楽業を含む対個人サービスや運輸・郵便など12業種中8業種で改善した。ただ、新型コロナウイルス感染症の企業心理への悪影響は全体として和らぐ方向にあっても、非製造業の回復ペースは製造業に比べて鈍い。
米国でも英国でも中国でも値上がりし、不動産仲介会社ナイト・フランクによれば、世界の住宅価格上昇率は年間2桁台と、2006年以来の速いペースになっている。
フロス(泡立ち)が見られる市場は、金融危機前の時期以来見られなかったようなバブルの警告を発していることを、ブルームバーグ・エコノミクスの分析が示した。
熱狂の原動力はどこも同じだ。低金利の住宅ローン、新型コロナウイルス後のより広いスペースへの欲求、リモート勤務者の都市から地方への移住、そして何よりも、今買わないと永久に買えないかもしれないという強迫観念だ。
例えば、シドニーの中心部から南へ約7キロのところにある空き家は、台所もトイレもなく電気も来ていないし、床や壁は裸のままという見捨てられたような状態だったが、白熱した入札合戦の末に470万オーストラリア・ドル(約4億円)で落札された。
富裕層が多く住む米コネティカット州グリニッチでは、買い手は価格を提示する前に物件を見ることもできない。155万ドル(約1億7000万円)で売りに出されたばかりの物件を内覧する予約ができなかった買い手は、売り出し価格を上回る額の現金での購入を提案した。契約する前に家の中を見せてもらうことだけを条件とした。
6月の製造業総合景況指数は60.6と、前月の61.2から低下した。ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値は60.9だった。同指数は50が活動の拡大と縮小の境目を示す。
18の対象産業のうち17産業が拡大しており、ISMは「製造業と米景気の力強い拡大は続いている」とした。供給制約が解消されず、企業や供給業者が強い需要に応えられない状況が続いているとも指摘した。
「入荷遅延」は前月から3.7ポイント低下したものの、75.1と依然高かった。「価格」は4.1ポイント上昇の92.1となり、1979年7月以来の高さとなった。ISMは「あらゆる原材料と中間財が、生産不足や需給力学の影響で値上がりしている」と指摘した。
また労働力確保の難しさを映して「雇用」は49.9と1.0ポイン低下し、7カ月ぶりに縮小圏となった。圧倒的多数の企業が採用しようとしているものの、ポジションを埋められず、賃金を理由に転職が起きていると指摘する声が相次いだ。ISMは「生産網全体で、労働者不足が引き続き深刻な障害となっている」と述べた。
●市況
日経先物(大証)28690、ダウ先34504、債先151.95、米1.466、独▲0.2015、仏0.121、西0.400、伊0.800、原油75.03、ドル円111.58、墨ペソ20.01、トルコリラ8.6750、墨CDS92
※7/2 8時55分頃